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1948-01-29 第2回国会 衆議院 議院運営委員会 7号 公式Web版

  1. 昭和二十三年一月二十九日(木曜日)     午後零時十九分開議  出席委員    委員長 淺沼稻次郎君    理事 坪川 信三君 理事 大石 倫治君       赤松  勇君    佐々木更三君       笹口  晃君    森 三樹二君       安平 鹿一君    吉川 兼光君       岡部 得三君    工藤 鐵男君       小島 徹三君    稻田 直道君       小澤佐重喜君    廣川 弘禪君       星島 二郎君   山口喜久一郎君       山崎  猛君    石田 一松君       川野 芳滿君    田中 久雄君       中野 四郎君  委員外の出席者         議     長 松岡 駒吉君         事 務 総 長 大池  眞君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  議員原侑君の逮捕について許諾を求める件     ―――――――――――――
  2. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 これより会議を開きます。  昨日に引続き議員原侑君の逮捕について許諾を求める件を議題に供します。昨日の会議におきまして大体御意見の陳述は終つたことと認めますから、これより討論に入るのでありますが、討論の方法については速記を止めて懇談いたします。     〔速記中止〕
  3. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 午後一時半まで休憩をいたしまして、一時半、定刻に開会することにいたします。     午後零時二十八分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十六分開議
  4. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 それでは休憩前に引続き会議を開きます。  これより討論に入ります。通告順に從いまして、これを許可することにいたします。笹口晃君。
  5. 笹口晃

    ○笹口委員 今回の原侑氏逮捕について許諾を求むる件は、われわれ同僚といたしましても、はなはだ遺憾な事実でありますとともに、事の重大性に鑑みまして、きわめて愼重なる審議、冷靜な判断を下すべく努力いたしたのであります。この案件を審議いたしてまいりまする間、われわれといたしましては、二つの重要な点に重点をおいて考えてみたのであります。  一つは、その手続の形式的な要件、これがいかがであろうか。檢察廳が逮捕権を行使いたします場合、直接その行政長官たる責任者から、議会に対して許諾を求められる行為が、はたして國会法第三十三條の規定、その他の規定に合致するものであるかどうか。これはきわめて重大なことなのであります。われわれ議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期神はその院の許諾がなければ逮捕できぬという國会法の規定と、院の許諾を得る行為というものが、内閣総理大臣が許諾を求めるのか、あるいは最高裁判所が求めるのか、この二つの点について非常な重大な問題を含んであるのでありまするが、現在の法規の建前から申しまして、刑事訴訟法の本法がまだきまつておりませんので、應急措置法を用いておりまする現在、この点について明文がないことを、はなはだ遺憾といたすのであります。しかしながら、通説は、行政廳の責任者であります総理大臣から当院にその許諾を求めるという、この手続が正当である。この通説に私どもは一應從いたいのであります。しかしこの問題は將來において深甚なる考慮を加えなければならない問題であろうと思います。  第二に、実質的の問題でありますが、私はこの場合、あえて事件の内容に触れたくございません。また触れるべきでないと思うのであります。しかしながら、総理大臣より本院に參りました書面にありまする通り、詐欺罪の疑いありということになつておりまするならば、この詐欺罪の要件でありまする人を欺するというその行為及び財物を騙取するというその行為、この二つの行為について、はたして犯意があつたかどうかということは、きわめて重大であつて、私どもも、この点については一應深甚な観察を下さなければならないと思つたのであります。そうして司法大臣と原侑氏の兩方の陳述を十分冷靜に聽いたのでございましたが、その陳述には金銭收受の目的や金額につきまして食い違いはございますが、犯意がいずれにあるかということを確めます上につきましては、やはり相当傍証を固めなければ、はつきりした結論が出てこない。しかもこの傍証は、大体に書証ではないのでありまして、いわゆる人証によるほかないと考えられます際において、また司法大臣が証拠蒐集に困難を感じておるというその陳述等を勘案いたします場合におきまして、証拠を固めますためには、やはり一定の拘束が必要なのではないかというふうな結論になつたのでございます。  そして最後に、われわれ議員は議会開会中不逮捕の特権を憲法五十條によつてもつておりますが、この憲法五十條の不逮捕の特権と本件とを考察いたしまして、いかに取扱うべきかという結論になるのでございますが、大体司法大臣の陳述、原氏の陳述等を総合して伺いましても、相当多額の金銭の收受をしたということは、事実であろうと思うのであります。しかもこの相当多額の金銭の收受というものは、單なる個人原侑氏という地位から得たものではなく、明らかに衆議院議員という地位を利用して得たものと思われるふしが多々あるのであります。殊に看過することのできませんことは、その手段のために、あるいは商工大臣、内務政務次官というようなものが利用されておつたというようなふしふしもあるのでございまして、かような案件を議員不逮捕の特権の盾の中に守るべきかどうかということにつきましては、われわれも愼重に考えた次第なのであります。むしろ、かような議員の地位を利用して行われた犯罪といたしますならば、今回の不当財産取引調査委員会が本院に設置されましたその事情からいたしましても、また政界を浄化いたしますためにも、われわれといたしましては、はなはだ残念なことではありますけれども、進んで司直の手によつて、これらの事実を明らかにしていただいた方がよろしいのではなかろうか、かような結論になつておるのであります。  殊に最後に私として申し上げたいとは、原氏のこの問題が起りまして後における議員としての言動であります。この言動につきまして、私は多く申し上げませんが、新聞紙上その他に傳うるところによりましても、また原氏の陳述中におきましても、まつたく議員全体の信用を傷つけるような言動が多々あつたことを、はなはだ遺憾といたすのであります。われわれは、あくまでも憲法五十條の議員不逮捕の特権は守らなければならないのでありますけれども、しかしながら、この特権の盾の中に隱れて、議員がどのようなことをしても逮捕をせられないのだという印象を社会に與えますることは、國民道義の高揚を強く要望いたしておりまする本院としては、とらないところであります。從つて結論といたしまして、わが社会党といたしましては、この憲法五十條の特例といたしまして、本件逮捕を許諾するという態度を決定いたした次第でございます。
  6. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 山口喜久一郎君。
  7. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 自由党を代表して、反対の意見を表明いたします。先般來司法大臣の報告及び原君の弁明を聽取したのでありまするが、司法大臣は、本件はキヤラコに関する詐欺事件であると言い、原君はキヤラコのキヤの字も聞いたことのない事件である、こう申しておるのであります。ここに問題の根本的な見解の相違点を発見するのであります。しかも司法大臣は総金額は二百二十四万円と言い、原君は百九十万円を自分は受け取つたと申しております。ここにも金額に相違があります。いわんや、原君は十二月下旬より五回に及んで檢察廳の取調べを受けているのであります。しかるに、未だ檢察廳としては起訴さるるに至つていないのであります。司法大臣の言葉によれば、原君は逃亡のおそれはないと言明されております。原君を逮捕しなければならない点は、証拠湮滅の一点であると言つておられます。しかしながら、いやしくも檢察廳が五回にわたつて取調べをされた今日、なおかつ証拠を湮滅するおそれがあるか否かということについても、多大の疑問をさしはさまざるを得ない次第であります。しかも最後に原君は、何時たりとも檢察廳の取調べに應ずる誠意があるということも披瀝されました。また自己が、いかなる意味にせよ、費消した金額は、これを自己の財産を処分しても弁済するという誠意を披瀝したのであります。こういうことから考えまするならば、原君としては、原君の言い分を聽いておりますと、金を渡したという小川平之助なる人からは、原君はいわゆる政治献金として、淨財として受け取つたというのであります。しかし、そのことがたまたま司直の糺明されるところとなつた以上は、議員としてははなはだ面目ない次第であるから、これを弁済するとまで強く申しておるのであります。  つらつら司法大臣及び原君の言葉を拝聽しておりますと、私は率直に申して、こういうことが言い得るのではなかろうか。この小川平之助なる人が集めた金は、それはキヤラコを賣ると称し、あるいはその他の隱退藏物資を賣ると称して、地方の加工業者、あるいは農業会あるいはその下部に至つては、零細な資金が集められたでもありましよう。しかしその金が原君に渡る際には、原君の言葉によると、それは決してキヤラコを取得する意味の金ではなかつたと、かように申しております。そこで世間でようやく隱退藏物資問題等がやかましくなつてきたので、この小川平之助なる人が自己の非違を護らんがために、たとえば燎原の火のごとく燃えてきた。その自己の足もとを護らんがために、むしろその風力を利用して、原君の方に火をつけて、原君を燒いて自分の逃げ場を探すような姿が、ありありとわれわれに看取されるのであります。かかる見方からすれば、原君こそ、むしろ被害者であるということも成り立ち得るのであります。しかし私らとしては、決して牽強附会の弁を弄するのではありませんが、その金額といい、また原君が國会議員たる立場といい、われわれ同僚議員としては好ましからぬ問題とは思うのでありますが、これがかりに原君が國会議員でなくして、普通人であつたとするならば、私は新しき憲法のいわゆる人権を擁護するという精神からすれば、むしろ逮捕監禁するの要はなきものでないかと思います。ひいてもつてこれを考えれば、原君は代議士なるがために逮捕さるるのであるというような感じを受けるのであります。むしろ憲法にとつて保障されておる身分なるがゆえに、原君の身上には風当りが強かつたと見らるるふしがあるのであります。ここに私らは、本問題は多分に政府的意図が包藏されておると申すも、あえて過言ではないと思うのであります。新しき憲法は、日本の永遠の民主化のための不磨の大展であります。いわんや会期前に逮捕された議員をも釈放すべき規定が嚴として設けてあるのでありまして、この國権の最高機関たる國会の尊嚴を明らかにし、議員の審議権と身分とを保障されておるのであります。私はこの問題は、ただに原君個人の問題ではなくして、実にわれわれ國会議員全体の問題であり、これを軽々に取扱うことは、議員みずからを軽んじ、ひいてもつて國会を冒涜する結果を招來するのではないかということを、後世のために憂うるのであります。かかる観点から、この問題に対しては、断固として國権と國法を護る意味において、將來のために、憲政百年のために、私らは声を大にして反対せざるを得ない次第であります。いわんやこの手続にも、國会法第三十三條による会期中の議員の逮捕の許諾要求は、逮捕状を発し得る裁判所のみがなし得るのでありまして、内閣総理大臣にはその権限なきものと認めるのであります。その権限のない総理大臣よりの一片の要求に対しては、許諾するや否やの院議を決することはできないという一つの見方さえ存するのであります。憲法第五十條において保障されたる議員の逮捕に関する最後の決定権は、あくまでも國会がもつのでありまして、よろしくこの手続上におきましても、裁判所より國会に最後の決定を求めるようにいたさなければならぬ。國会が許諾を與えたるものを、さらに裁判所がこれに逮捕状を発するという形は、將來とも國会の尊嚴のためにも、とつてはならないことだと固く信ずる次第であります。その事案の内容につき、また手続上の問題においても、私らはこのことを軽々に決することは、きわめて將來のために危險であるとさえ感ずるのであります。かかる観点から、簡單ではありまするが、再び申します、國家永遠の発展のために、憲法護持の精神より、私らはここに大乘的見地に立つて、この問題について反対の意思を明らかに表明いたす次第であります。
  8. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 小島徹三君。
  9. 小島徹三

    ○小島委員 私は民主党を代表いたしまして、今日問題になつておりまする総理大臣からの要求に対しましては、許諾を與えるべきものであるという意見を主張するのでございます。今までこの委員会におきまして種々述べられたこれに反対する意見を要約してみますると、一つは手続の問題でございます。それは先ほど笹口委員と山口委員との間の論爭にも見られまする通りに、この許諾要求というものは裁判所からなすべきものであつて、檢察廳からなすべきものではないということであります。しかし現在の法律の解釈からいたしまして、私たちはこの逮捕状の要求は檢察当局によつてなされるべきものである。逮捕する権限というものは維檢察廳が握つておるのでございますから、逮捕状を裁判所に要求する前提條件として、檢察廳は書類を完備する必要上、國会の許諾を求め、その許諾状をつけて逮捕状を要求すべきものであると解釈するのが正しいと、私は信ずるものであります。ただ國会の権威のために、將來法律を改正するなりいたしまして、裁判所から要求するようにしようということは將來の問題として考えられますけれども、現在の段階におきましては、私は檢察廳が逮捕状を要求する前提として國会の許諾を要求するということの解釈は正しい、かように信ずるものでございます。  次に反対論の一つといたしまして、かくのごとき内閣総理大臣の要求に対して許諾を與えることは、將來官僚の手に國会が蹂りんせられ、官僚独善の暴力によつて國会を蹂りんせられるおそれがある、かように言う人があります。しかしながら、この点につきましては、私は意見を異にしておるのでございます。なぜなれば、新しい憲法ができまして、われわれは從來のように、天皇陛下の勝手に任命されたところの内閣をいただくべきものではないのでありまして、内閣総理大臣はわれわれ國会の手によつて選挙するのであります。現在の総理大臣も、われわれ國会がこれを選任いたしまして、行政の全部をこの総理大臣に委託した形になつておるのでございます。すなわちこの内閣をやめさせようとわめさせまいと、それは國会の手にあるのであります。ゆえに総理大臣がわれわれ國会の意思に反して事をなす場合においては、ただちにこの総理大臣をかえることができまするから、私は総理大臣がかかる許諾を要求した場合において、それが一應の理由があるとするならば、これに承諾を與えるのが正しいと思います。決して委員の一部の人がおそれるように、將來政爭の具にこれが供せられるということはないはずであると私は考えるのでございます。のみならず、逮捕状につきましても、御承知の通り逮捕いたしましてもわずか三日間、七十二時間の効力しかないのでございまして、裁判所はその間に勾留尋問いたしまして、拘引する必要がない、身柄を止め置く必要がないと考えました場合には三日以内に釈放しなければならぬことになつておるのでございます。しかるに御承知の通り新憲法におきましては、裁判所は完全に独立いたしております。裁判所に対しまして、從來は司法大臣が裁判所を監督するだけの権限をもつておつた。事実監督いたしまして、いろいろなことが行われたこともあるのでありまするけれども、將來におきましては、裁判所は完全に独立しておりまするがために、行政府ため内閣から、いろいろ影響を與えるということはできなくなりまするから、この裁判所が完全に独立しておる限りにおいては、たとえ檢察当局におきまして議員を逮捕いたしましても、三日以内に裁判所が取調べた結果、必要なしと考えました場合には、ただちに釈放しなければならぬのでありますから、私はこれは將來再び政爭の具に供せられるおそれがあるというようなことの危險は、まつたくないものである。もしもそういうことを考える人があるとするならば、みずから國会の権威を無視する人である、かように考えるものであります。  第三の反対論は、原君の罪状は單なる詐欺罪であつて、國家的の犯罪でないから、こういうものを國会の会期中に逮捕する必要はないという意見であります。しかし私はこれは根本的に間違つておると思います。われわれは從來國家的という概念的な抽象的な言葉によつて、國家を害するものである、國家の利益を失わんとするものであるというような名前によつて、幾多の彈圧を受けたのであります。ほんとうの民主主義、民主國家は、國民の最も弱い人間を保護していく、最も弱い人間が完全に保護されるということがあつて、初めて民主主義というものができるのであります。私はむしろ國家的犯罪であるならば、これは政治的思想の食い違いに基くものでありましようから、こういうものこそ逮捕する必要はないのであつて、むしろ弱い赤ん坊がねぢ殺されたとか、赤ん坊に渡すべき牛乳を薄めて渡したとか、そういうような犯罪こそむしろ憎むべきものであつて、こういうことをほんとうに保護してこそ、將來の民主國家は成り立つものである、かように考えております。こういう点から考えまして、詐欺罪であるから逮捕する必要はない、國家的犯罪でないから逮捕の必要なしとする議論は、成り立たないと思います。むしろ私は、民主國家として將來われわれが考える上におきましては、こういう犯罪を犯す者こそ、むしろ逮捕すべきものである、かように考えるものであります。  次に実質論につきましては、先ほど笹口委員からお話がございましたが、私は一昨日以來、司法大臣の話並びに原君の個人的釈明も承りました。この兩方の話を承りまして、われわれ委員のほとんど全部の人が考えたと思われることは、この二百数十万円の金を一体はたして淨財として考えることが常識であろうかということであります。私はこんな巨額の金が何ら理由もなしに、それこそ深い交際があつたわけでもなく、特別の関係があつたわけでもないのに、單なる淨財として渡されたということは、ちよつと私は腑に落ちかねるのであります。むしろその常識を疑わざるを得ないのであります。のみならず原君の説明された金銭の使途先は、司法大臣の檢察廳からの報告書と非常に食い違つておるのであります。この食い違いは非常に重大な点でございまして、司法大臣のお話によれば、その他に傍証はあるけれども、それは今言うことができないということでありましたが、少くともこの傍証をはつきりするためには、どうしても原君の身柄を要求しなければならぬということは、私たちの常識からいたしまして、この事件が幾多の書類によつて証明できるというものではなくして、むしろ人的証拠による方が多いと考えられますので、私はこの最近のうちに逮捕しなければならぬという司法当局の意見は、認めて差支えないと思うのでございます。かような意味合におきまして、私はこの総理大臣の要求に対して、許諾を與うべきものである、かように考える次第であります。  ただ最後に一言申し上げておきたいことは、本日は司法当局がおられませんから、委員長から直接司法大臣に申し傳えていただきたいのでございますが、一体この総理大臣から出されたところの逮捕状の許諾要求は、実にけしからぬと思う。要求自体がけしからぬというのではない、その中に使つた文句が、私は氣に食わぬのであります。大体人間というものは、完全に有罪なりと判決されるまでは、りつぱな一市民として権利をもつておるものであります。殊に國会議員としてわれわれは相当の人格をもつておるものでございます。にもかかわらず、この許諾要求書には、單に心議院議員原侑と書いてあるのであります。檢察廳から裁判所に要求する場合においては、それで差支えないと思いますけれども、いやしくも一國の総理大臣が衆議院議長に対してこの院の許諾を要求してきた場合においては、原侑君はりつぱな國会議員であります。少くとも現在の段階においては、りつぱな國会議員である以上は、これに対して、原侑君とか、原侑氏とか敬称を使うべきものであつて、單に原侑という言い放しは國会議員に対してけしからぬと思う。その点は委員長から司法当局に対して十分注意せられんことを希望するのであります。
  10. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 石田一松君。
  11. 石田一松

    ○石田(一)委員 私は國民協同党を代表いたしまして、本件に対して嚴しい希望條件をつけ逮捕の許諾に同意するものでありますが、その前に一言申し述べたいことは、私はこの事件が去る二十三日の各派交渉会の席上議題となりましたとき、すでに申し上げたことく、かかる問題は党の政策の問題ではありません。少くともこうした問題は、議員が一人々々の良心的判断において決定すべき問題であるという意を申し述べたのであります。現在といえども、私はこの考え方に全然変更を認めておりません。少くともかかる問題を党議によつて議員が束縛されるということは、まことに私は遺憾に思うものであります。しかしながら、ここに冷靜に考えなければならないことは、私がこの運営委員会の常任委員としてこの席上、この重大なる発言をなし得る権利の根拠は國民協同党所属の議員であるところから、この地位が生れてきていると、私は解釈しているのであります。かるがゆえに、私は私の一つの信念を心に藏しながら、わが國民協同党の党議によつて、多数の意思が欲するところをここに討論として申し述べるジレンマに陷つていることを、特に申し添えておきたいのであります。  私は原君の逮捕許諾要求に関しましては、先ほど社会党を代表しての笹口君の御意見のように、内容的に実質的に見た場合、またこれを外観的に手続的に形式的に見た場合と二つにわけたいと思います。私は実質的判断におきましては、過日來司法大臣の説明を祕密会において聽き、また本人の原君から、るる詳細なる説明を承りましたが、これを冷靜に判断いたしましたるところ、少くとも今回の原君の事件は、現在國民道義の上に最も強調されわれわれ國民の温かき心を要求されている、非常に私たちが関心をもつ海外引揚者の團体、しかも全國連合会という大きな團体をバツクとして、この引揚者をあたかも食いものにして、かかる事件が行われたのではないかという疑いがまことに濃厚であるということの悲しむべき事実であると私は判断したのであります。この点におきまして、原君が逃亡するおそれのないことは、総理大臣並びに司法大臣がみずから認めております。証拠湮滅の点におきましては、私どもの考えでは事実原君の金銭の收受の間に、ただ一片の証君も取交されておらない、口約束の收受であります関係上、放任すればするほど、兩者の交渉によつて証拠を湮滅するおそれがあるのではないかということに、私たちは同意をしたいのであります。すなわち衆議院議員として身分において、引揚者團体をバツクにし、引揚者を一つの食いものとした疑いが非常に濃厚である点から、私たちは残念ながら憲法の五十條の不逮捕の原則は、議員がいかなる犯罪を犯しても、これを逮捕すべからずという原則ではないと解釈をいたしまして、國会法三十三條において、これに院の許諾を與うべきだということを判定したのであります。  しかしここに形式的に、手続の問題から重大なる疑義のあることをこの際明らかにしておかなければなりません。今後かかる問題が発生しました場合に、この問題が少くとも政治的謀略ではないかと國民に疑われるような手続は、たとえ、その手続が法律の解釈上正しいと主張せられる場合でも、絶対にかかる不明朗なる手続をとるべきではありません。法律の問題でなくて、これは少くとも道義の問題であり、また法律的な信義の問題であると私は考えております。すなわちこれは説明するまでもなく、今回の原君の逮捕の許諾の要求は、片山内閣総理大臣の名前によつてなされております。しかも檢察当局からの要求によつて、片山内閣総理大臣の名によつてなされているのであります。檢察廳は裁判所に原君を逮捕する令状を要求する前提條件として、院の許諾を求めてきているのであります。司法大臣の答弁によりましても、もしこの際原君の逮捕を院が許諾いたし、檢察廳がこの院の許諾をもつて裁判所に逮捕令状を要求しましても、裁判所が逮捕に同意しない場合があり得ることは司法大臣自身の口から言明しておるのであります。司法裁判所が、衆議院は衆議院として逮捕を許諾しておるのに、裁判所がこれを許さない、逮捕令状を発しないという事実がもしあつたときに、この責任がどうなるのかを私は憂えるのであります。しかしながら、私はこの際このときに、司法大臣がもしそういう事実がかりに起つたとしたならば、これは檢察廳の責任であり、また不肖司法大臣の責任であるとおつしやいましたけれども、これは絶対に檢察廳、司法大臣のみの責任ではありません、國会の不名誉これに過ぎたるものはありません。しかも一司法大臣の責任の問題ではなくて、この原君の逮捕の許諾を要求した内閣総理大臣の重大なる責任であります。内閣総理大臣の責任は、ひいて内閣全体の責任であると私が論断しましたところ、司法大臣もこれを肯定されておるのであります。私はこの点に関しまして、相当の疑義をもつものであります。すなわちこれは檢察廳が一人の要疑者を逮捕したいと裁判所に令状の執行を要求する。裁判所がこの令状を発行するその前提條件として、この容疑者がたまたま國会議員であるから、裁判所自私が國会に対して、まずその容疑者の逮捕の許諾の要求を國会になすべきである。この國会が國会議員の逮捕を許諾したという條件を具えて、初めて裁判所が檢察廳に対して國会議員の逮捕の令状を出すべきである。こう考えることがまことに正しいのでありまして、司法当局が説明し、しかも民主党の方々が今主張されました現在の法律解釈においては、檢察廳がこれを要求する、また内閣が要求することが正しいと判断なさいましたけれども、現在の日本の法律の中には、これを根拠とすべき條文が一つもないということであります。ただ刑事訴訟法の緊急措置法の第八條は、一般犯罪の規定でありまして、憲法の規定においては、一般われわれ普通の國民におきましても、この逮捕の條文は、憲法の第三十三條に「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。」とまで保障されておるのであります。これほど保障をされておる國民の代表であるところの國会議員が、ただ單に行政府の長官である内閣総理大臣からの一片の要求によつて、この許諾を云々するという問題が、慣例として今後の國会に残るといたしましたならば、何をもつてわれわれ國会議員の憲法五十條の身分の保障が保たれるかというのであります。これはまことにゆゆしき問題でありますので、もし現在の法の解釈を、現司法当局並びに民主党の小島君あたりが解釈する以外に解釈する方法がないとするならば、まことにこれは立法上の、また三権分立原則を乱すゆゆしき法律上の大欠点であります。これは今後われわれ議員においても相当なる檢討を加えて、今後は行政の長たる内閣総理大臣、あるいは司法大臣が、みだりに國会議員の逮捕を要求する手続がとれるようなことは、絶対に禁止しなければならぬと私は考えております。この点を私は特に特に主張をいたしましてしかもこの問題についてもし司法当局において、この逮捕を拒絶されるというような場合があつたときには、内閣全体の責任であるという司法大臣の言明を信頼いたしまして、先ほど前提として申し上げたジレンマに陷りつつ、わが國民協同党の多数の意思をここに発表して、原君の逮捕の許諾に同意を與えるものであります。以上をもつて私の討論といたします。
  12. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 工藤鐵男君。
  13. 工藤鐵男

    ○工藤委員 まことにりつぱな討論を拝聽いたしました。石田君の立場のまことに苦しいことをお察しいたしますとともに、與党はまたこれを守るがために急にして、國会を忘れておるということを遺憾といたします。今日私は何がためにこれを拒否したいというのであるか。新憲法の最も特色ある点は何があるか、いろいろあります中に、われわれの自由の権利を擁護することにおいては、百三箇條の憲法の中に、ほとんど四十箇條にわたつておる。從つて明治憲法以來、藩政時代とは違いまして、國民の権利は保障せられたと申しながら、天皇の大権のもとに隱れて、ややもすれば第一には藩閥の勢力、第二には官僚の勢力、第三には軍閥の勢力、後には軍閥と官僚が互いに提携して、軍権と行政権とを握つて数十年間、われわれの友人並びに先輩は不当なる苦しみを受けてきた結果が新しいこの憲法になつたのであります。過去においてわれわれが責任を果すことのできなかつたのは、まことに遺憾であります。すなわち日本をここまで導く前に、國民並びに國民の代表者が眞に國民の意思をその当時の帝國議会に反映することができたならば、われわれはかようなる終戰の悲しみを受けなかつた、またこの憲法もここまで極端なる改正をする必要もないのです。かくのごとく権利と自由に対して、ほとんど世界の憲法に類がない。日本の憲法はまさに人権擁護の上においては至れり盡せり、微に入り細にわたつているのであります。要するに過去の官権の横暴なる、國権を濫用して國民の権利と自由を侵したからであります。しからばわれわれはこのときにあたつて考えますのに、この國民の権利と自由を擁護するものはたれであるか。裁判官もいたしましよう、あるいは檢事もいたしましよう。けれども終局においてその源をなしておる國会こそ、眞劍にわれわれはやらなければならない。從つて憲法には何とあります。過去において幾多の試錬に耐えたのであるから、現在及び未來にわたつて大いに奪鬪して、これを擁護するの義務を國民がもつということを、憲法のおしまいの方にうたつてあるのであります。また憲法中で一番大事な点は、人権の擁護であります。從つて個人の権利は尊重しなければならない。この個人の権利を尊重するとともに、個人の集りであるところの集團の権利も、これを尊重しなければならぬのであります。すなわち國会は、個人の権利を、個々の基準を保護するとともに、國会全体に與えられているところの、少くとも明治憲法より一轉いたしまして、天皇のおもちになつておつた國家統治の大権は國会に移されたのであります、かつて官延を取囲んで不当なる政治を行い、國民の権利を蹂りんしたものありとするならば、われわれはそれらに向つて口を極め、筆を極め、ある場合には暴動まで起してもこれを防いだのであります。その時代は去つて、今やわれわれはこの憲法によつて與えられた國家統治の大権を、最も適正公平にこれを施行するにあらざれば、再びかつて盛んなりし軍閥官僚の権力濫用を繰返すことになるのです。形は変りました。すなわち多数党は、いたずらに権利を濫用して、多数党をも束縛して、その個性を尊重するというその事柄をも無視して、まことに石田君の苦衷を察するような問題が今日政党に行われているのでありまして、大小の問題ことごとく党議をもつて縛つておる。この政党の現状におきましては、何としてもわれわれが國会の権威の上において、これを保護していかなければならぬのであります。先刻來、いろいろ議論がありましたが、司法大臣の言明によつてみても、まだ新憲法のこれらの條規に関するところのほかの法律ができておらない。だれがこしらえないのでありますか。法律をつくるの権能は國会に與えられている、また政府もその権能をもつている。この生れたばかりの新しい憲法のもとにわれわれは棲息をして、一面においては憲法もでき、新しい考えも起つてき、民主國家をつくらなければならぬという形は整うたけれども、依然として官廳においては、行政府においては昔ながらの人でもあり、司法でもあるということであります。危險千万なのであります。この新法律をつくることなくして、早くいえば立法手続は十分に行届いておらぬ。このときにあたつて依然としてこの昔の勢力は國会に向つて攻勢をとつてきたのであります。國会議員の権利を蹂りんするものであります。國会の憲法上與えられたるところのこの防壁を破らんとするのであります。この防壁一たび突破されたときに來るものは何であります。多数党の名において、國会に輿論は集まつているという形式的な議論によつて、この障壁が破られたときには、内閣は多数党に擁せられているからというので、結果としてその横暴を続けることであつたならば、國会はその名あつて実を失いまして、永えにわれわれは明治以來楠ましからざる行政のもとに生活してきたところの幾多の先輩諸氏に対して、まことに申訳ないじやありませんか。われわれは幸か不幸か、この終戰時代に國家の大難を担うて、何とかしてこれは改めていかなければならぬ。これを改めるところの根本は何であるかと言えば、新憲法をこしらえて、これを國民とともに守つて、永久にこれを擁護するとこにある。この意味において、私はこの法律の不備に乘じて、しかして彼らはいち早くその関門を突破して、ここに無理を強いてやがて來らんとすることはどういうことであるかしらぬけれども、私は一たびこの牙城を失つたときにおいては、必ずやこれが惡例となつて、他日政界に幾多の好ましからざる現象を起すということをおそれるのであります。政党法でもできまして、政党のこの党議の拘束を緩和する場合以外は、今度は多数党によつて憲法は蹂りんせられるという結果になる。私どもは他日多数党になりまして、必ず天下をとる時代がある。しかしながらこの道を開いて、この前例を残して、われわれはこれにならおうとは欲しません。いずれの内閣であつても、何とかしてこれをここにおいて食い止めることが私どもの義務なりと考えます。先日來司法大臣の意見もいろいろ聽いた。司法大臣いわく、未だ起訴せられるだけの材料はないのだ。ゆえに自由を拘束する方法によつて証拠を集めるのである。普通の事件であり、非訟事件であり、國家に対する犯罪、社会の秩序を破壞するような犯罪――かつての憲法には内乱と外思に対しては現行犯と同樣これをただちに逮捕することができた。今度はそれを除いてあるのであります。それを取除いてあるから、許諾さえ得れば何でもできるということになる。これは私どものすこぶる遺憾とするところでありますが、司法官憲は國家の権力を握つて、いくたの人を使つて、スパイ網にしても何にしても至れり盡せりの網を張つておる。昨年の五月からこの一月に至るまで全力をあげて捜査をしても、未だこれを起訴することのできないような事態は、何を物語るのでありますか。聞くところによれば、檢事も実はこれをもてあまして、何ともしようがないから、司法大臣に伺いを立てたところが、なに多数党の内閣だ、君やつてくれ、わが輩もある点までは責任をもつからやりたまえといつて激励したということが、ちまたに傳わつておるくらいである。  また次にこの犯罪の動機はどうしてでき上つたかというと、被害者と認むべき者すなわち小川です。これが警視廳に親告したのである。およそ犯罪捜査の着手は、告訴か告発か、あるいは投書か、親告かいろいろありましよう。この小川某なる者のこの親告がものをいうて、いわゆる謀慮であるとは断言はできませんけれども、何かそこにわれわれの理解すべからざるところの暗い影があるということは爭い得ない。それであるから一片の親告によつて國家の捜査権が活動して、遂に憲法の障壁を突破して、もつてわれわれが自由を奪われて、檢察官の手に渡るということは、まことに情ない議員の生活ではありませんか。何がためにわれわれの先輩は血を流して鬪つたのですか、何がためにわれわれの先輩政治家が暴動まで起してこの権利荘擁護したのであるか。この先輩の遺産を守ることこそ、われわれの責任であると考えておる。ゆえに、たとえ今の内閣と反対の者が政府をとつても、この道さえふさいでおけば、司法官憲すなわち檢察官憲のほしいままなる行動はできない。もしこの前例を一つつくつてこの関門を破つてしまいますと、これはすなわち議会の先例になると同時に、司法官憲の前例になるのではありませんか。ゆえにわれわれはこの点を憂うる。一片の親告によつて、一片の投書によつて、この問題をかくまでに展開せしめた。これは世界注目の問題である。日本の新憲法はどう運用せられるかということは、世界の大問題であります。微々たる原侑君の問題ではないのであります。いかに民主政治、民主憲法を守るかということについて、彼らが注目しておるのである。この列國環視のもとにあるところのわが再建日本のこの姿は、國会のいくじのないこと、與えられた権利さえも擁護することができないということであつたならば、あるいは日本國民たのむに足らず、民主政治を強行するだけの力がないということを言われないとも限らないのである。この点に私は深に憂えをもつておる。しかるに現在われわれは占領下にあるのでありますから、この占領治下にあるわれわれとしては、至上命令権をもつておるところの方面に対しては、きわめて從順なる敬意をもつてこれに服從することは、あえてはばからない。しかしながら、われわれの責任ある者がその至上命令者と会つて話を聽いた時分には、何で議会は議会自体の力によつてこういうものを処理しないのかということを、委員長の加藤君がしばしば言われたのであります。そこでどうしてもできない、というのは、法律をもつて強制力を與えてもらわなければできないということの結果は、遂に昨年の最終の晩に、不当取引問題に関するところの特別委員会をつくつたのではありませんか。われわれは議員の自主権によつて國会を清めることを行い得るだけの権能を與えられておる。本日その会が成立したのであります。しかして自主権によつて、われわれは先刻社会党の方が申されたことく、議会の体面を害するような行動によつてすこぶる議会が迷惑をしたということは、これをも含めて議会の自主権によつて審査することができる。しかして犯罪すでに疑うべき余地がなくなつた場合においては、司法官憲によつてこれを処分してくれということを求めることができるではありませんか。何を苦しんで、官僚の攻勢がこの國会の関門を破らんとする時分に、よろしゆうございます、おはいりなさいといつて、われわれの座席を土足でもつてけられるような態度で、何としてわれわれは國会議員たるの任務を全うすることができるのであるか。この点を私は遺憾に思うのです。ゆえに、このひざ一たび屈すれば、やがてはわれわれは朝に一城、夕に一城を拔かれ、ついに多数党によつて擁せられた政府の名によつて、われわれの権利は再び過去のごとき状態になつて、この行政権のために立法権の荒されるということを、われわれはすこぶる憂うるのです。私は本会議においても、多少ここで申し上げない点をあらためて申すという決心をもつておりますけれども、本会議に至らざる前に、どうぞ諸君は、反省してください。何も私一個の問題ではない。原君が何であります。原君であろうが、総理大臣であろうが、いやしくもこういうような問題があれば、公平に処置しなければならぬが、われわれの護るべきものはすなわち憲法であります。憲法の條章の問題もいろいろありまするが、この精神解釈からいつても、断じてわれわれは應ずることはできないのであつて、もし政府がこの憲法擁護に忠実であり、國会がこれに対して主張したならば、この憲法五十條もしくは三十三條によるところの、議員の逮捕の手続に関しては、いま一層明瞭になつたでありましようが、先刻申した通り、この不備に乘じてもつて、官僚の攻勢にわれわれが屈從するということは、工藤鐵男の生命のある限りは、断じて私はこれに應ずることはできないのである。  どうぞ、先輩もおる、また同僚諸君もおる。殊に若い人々は、これからこの國家再建を担うていくときにあたつて、こんな態度でこの國家をどうして背負つていけるか。赤松君は冷笑するかもしれんが、冷笑するのは赤松君一人ぐらいのものだ。(「冷笑じやない」と呼ぶ者あり)けれどもその覚悟はどうですか。昔は二十歳にして郷党に身をつなぎ、三十にして一般につなぎ、四十にして時の天下に身をつないだという、当時の志士の魂をわれわれは今にしてもたなければならぬのに、三十にして國会議員になつたから、おれは名誉だというような顔をして、この抱負がなかつたら、何でこの日本を背負つていけます。工藤鐵男老いたりといえども、なお國家を背負つて立つだけの意氣をもつております。しかしながらぼく一人だけでやれるものではないから、諸君の御協力を求めるのであります。この正しい道によつて、諸君の御協力を求めたい。議論をしても、もはや大政党の態度はきまつている。常に正論をはいてまことに心強いなと思いましたところの三十二名の國協までも、進まんか、党議に從わなければならぬ。退かんか、自分の意見を行わなければならぬという哀れなる境遇に陷る人がたくさんあるだろうと私は思います。このときにあたつてこの道を開くものは――多数党はこの問題を自由問題にしなさい。この問題を自由問題にすることはもちろんのこと、第二にはすでにわれわれの自主性によつてできた委員会がある。そこで先日私が司法大臣に、これは例の隱匿物資に関係があるかどうかを聽いたのは、すなわちそのためであります。今日までわれわれの怠慢によつてできなかつたのであるが、今日これができたのであるから、この問題は速やかにその委員会に移して、そうして物資問題と関連してこれを調べて、犯罪あるならばこれは司法官憲に任すがいいでしよう。どうぞ自由問題にすること、並びに委員会を速やかに開いてこれに対するところの審査を開始すること、しかして本件に対しては断じて許諾することはできないということの結論を得たいために、ここに数言を費したわけであります。
  14. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 田中久雄君。
  15. 田中久雄

    ○田中(久)委員 私は第一議員倶樂部を代表いたしまして、この問題についてごく簡單に一言申し上げます。  すでにいろいろ議論が盡されましたので、議論はいたしませんが、私どもの方も石田君のお説のように、総理大臣が逮捕の許諾を求めることは間違いであると考えます。もつとも、法律の技術家から見れば間違いでないと言われるかもしれないが、われわれは裁判所が逮捕状を出すについて、國会法の第三十三條の許諾を求めたいというのが正しいと思う。こういうふうな意味から、総理大臣がこれを求めて來たということは間違いである。これはお前の方がとるべきものでないということで、返すのが妥当であるという意味から、われわれの方は許諾を與えることに反対いたします。
  16. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 中野四郎君。
  17. 中野四郎

    ○中野(四)委員 大分各党の代表から討議がありました。重複を避けまして、昨日來私は十二分にこの委員会で意見を述べておりますから重ねては申上げません。結局、農民党といたしまして愼重に審議の結果の結論を申し上げますれば、國会開会中に國会議員を逮捕すべからずという憲法のあり方に從いまして、われわれはこの原則を確立する意味におきまして、断じて許諾を與えることに反対を表明いたします。さらにいろいろとお話を申し上げたい点がありますけれども、特に昨日の原君の陳述の内容の中に、はなはだ穩やかでない点がありますのと、非常に大きな食い違いの存しております点がありますのは、三月二十五日に奥田という人が摘発指令君をもらつたお礼のような意味をもつて、非常に喜んで五十万円というものを旅行にあつたて原君に富えたという一言が、かなり今日世上に流布されている問題と関連するところが多いのでありますから、特に昨日も山口君にお願い申し上げ、原君自身が國会の名誉のために相当善処されんことを希望したのでありますが、私は今日においても原君の善処方を心から希望しておきます。現にこの國会において、國会開会中に議員を逮捕するという前例を残すことを断乎排撃するために、反対を表明いたします。きわめて簡單でありますが、結論を申し上げておきます。
  18. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 討論は終結いたしました。これより採決をすることになるのでありますが、委員外の方は退席を願います。それから委員の方は御着席を願いたいと思います。
  19. 工藤鐵男

    ○工藤委員 その前にちよつと。――これはやはり將來のわれわれの立場に関係がありますから、どうぞひとつ指名点呼で記録をとつておいてください。これは私の意見です。
  20. 石田一松

    ○石田(一)委員 委員会において指名点呼で決をとるというような採決の方法があるかどうか。衆議院規則か國会法の何條によつてそういうことをやるのか、法的根拠をひとつ示してもらいたい。
  21. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 ちよつと速記をやめて、この点を懇談したいと思います。     〔速記中止〕
  22. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 速記をとつてください。  これより採決をいたします。議員原侑君の逮捕に許諾を與えるに贊成の諸君の起立を求めます。     〔贊成者起立〕
  23. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 起立多数、よつて本件は許諾を與うることに決定をいたしました。(拍手)
  24. 工藤鐵男

    ○工藤委員 異議があります。工藤鐵男はこれに反対でありまするから、初めから反対の意思を表明しておりましたが、この採決のしかたは、從來の先例及び会議の原則に違つております。元來を言えば、まず少数派からとるのがあたりまえであつて、多数派からとつたのはそれは顛倒した会議の原則である。
  25. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 それではもう一遍明確にいたします。出席総数二十二名、委員長を除いて二十一名、そのうち贊成者十一名、從つて多数可決となりました。(拍手)從つて工藤さんの問題が解決したら、取扱い方についてあらためて御相談をいたしたいと思いますが、今異議があつたから重ねて宣告を申し上げました。
  26. 工藤鐵男

    ○工藤委員 異議あるから申し上げたのですが、本來採決は少数派からとるのがあたりまえで、多数派からとるのは会議の原則にも反するし、從來の慣行にも反するのだから、私は委員長を補佐する意味において警告する。從つて君に良心があるなら、反対の起立を求めますと言つたらいいじやないか。
  27. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 それでは私もこういうような重大問題を取扱つておる際に、何か取扱い上疑義を残すようなことがありましては、將來のためにならぬと思いますので、私は宣言をするにあたつては事務当局と打合せの上、先例にならつて宣告をしたつもりでありますが、一應かかる委員会の取扱いについて事務当局からの説明を願つて、問題を明らかにしておきたいと存じます。
  28. 工藤鐵男

    ○工藤委員 先例は兩方あります。
  29. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 先例は二つありましても、先例としてよりよく用いられた先例と、ごく少数なる先例と兩方あります。それはあなたの言われる通りであります。從つて慣例としては数多きものをとつて慣例とするのが当然でありますから、数多きものをとつてこれを適用したということに御了承を願いたいと思います。
  30. 工藤鐵男

    ○工藤委員 委員長、それは事柄によりであつて、この憲法上の重大問題を決するにあたつて、多数の先例というものは、およそあらずもがなの先例というものが多いのである。
  31. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 工藤さんの御注意の点は、私よく承つておきます。  つきましては、これで本件に対する議事は全部終了したわけであります。從いまして、本件の取扱いについて御相談申し上げたいと思いますが、ただ今まで委員会において質疑應答されたことと、討論されたことを、委員長報告の形において御報告することが一つと、それ以外に委員会として何か適当な人を選んで討論するべきものがあれば、委員会で選んだものが先決になりますから、ここで決定をいたして、議長まで通告するということもできます。その扱い方について御相談いたします。ちよつと速記を止めてください。     〔速記中止〕
  32. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 それでは本件の取扱いに関しては、討論をすることにいたしまして、明日午後一時から本会議に上程する、こういうふうに議長に報告することにして、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員長 では、そのように取計らいます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十六分散会