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1947-11-19 第1回国会 衆議院 財政及び金融委員会公聴会 1号 公式Web版

  1. 昭和二十二年十一月十九日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 塚田十一郎君    理事 中崎  敏君 理事 梅林 時雄君    理事 吉川 久衛君       赤松  勇君    川合 彰武君       川島 金次君    河井 榮藏君       佐藤觀次郎君    林  大作君       松尾 トシ君    大上  司君       栗田 英男君    後藤 悦治君       中曽根康弘君    原   彪君       細川八十八君    青木 孝義君       島村 一郎君    周東 英雄君       鈴木 正文君    苫米地英俊君       宮幡  靖君   山口喜久一郎君       内藤 友明君    石原  登君  出席公述人       栗原  修君    上川名義雄君       安藤 政吉君    中村 秀男君       林  弘高君    野村 千秋君       岡田 四郎君    岸 喜二雄君       荒木 光子君    高垣寅次郎君       小笠原光雄君  委員外の出席者         專門調査員   氏家  武君         專門調査員   圓地與四松君     ――――――――――――― 本日の公聽會で意見を聽いた案件  所得税法の一部を改正する等の法律案  非戰災者特別税法案     ―――――――――――――
  2. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 これより會議を開きます。  ただいま本委員會に付託され審査中の所得税法の一部を改正する等の法律案及び非戰災者特別税法案につきまして公聽會を開きます。御承知のごとく所得税法の一部を改正する等の法律案は、最近における財政需要の増大に對應し、收支の均衡をはかり、經濟諸情勢の推移に應じ、國民租税負擔の公正を期する等のため、所得税法等の一部を改正せんとするものでありまして、インフレ利得者等に對する重課、勤勞所得者等に對する負擔の輕減等々の問題が含まれ、また非戰災者特別税法案は、戰災者と非戰災者のと間における犠牲の不均衡を是正するとともに、臨時緊急な財政需要に應ずるため創設せられんとするものでありまして、これも具體的な問題になりますといろいろな矛盾があるのであります。そこであらゆる角度から十分檢討さるべき問題であり、本委員會におきましてもかかる見地から重要なる歳入法案と認めまして、本日公聽會を開き、利害關係を有せらるる方々、または學識經驗を有せらるる方々から廣く意見を聽くことといたした次第であります。公聽會は本日と明日の二日開きまして、本日は大體學識經驗を有せらるる方々の忌憚なき御意見の御發表をお願いすることといたした次第であります。それでは最初に栗原修氏にお願い申し上げます。
  3. 栗原修

    ○栗原公述人 ただいま御紹介にあずかりました栗原でございます。しばらく御清聽を煩わしたいと存じます。  今囘の税制の改正は所得税、法人税の直接税と、酒税以下の間接税の税率引上げ、それと一囘限りの非戰災者特別税の創設でございまして、この春根本的の税制が行われましたことに對しましては、手を觸れるところがないようでございます。追加豫算に計上の租税増加額をみますと、六百三十七億圓でございまして、本豫算の六百九十五億圓を加えますと、千三百三十二億圓になつておるのであります。私の推算によりますと、今囘改正税法によりまする直接の關係しておる増收というものは、そう大きなものでないように見受けらるるのでございます。大體は自然増收的の増加であろうかと思うのであります。大體私の推算によりますと、百五十億ないし二百億足らずのものが税制改正によるところの増收ではないかと思うのであります。今囘の改正案につきましては、改正そのものに對しまするよりも、むしろ豫定の歳入がはたしてあげ得るかどうかという點に注意が注がれておるようでありまして、これは健全財政がこの歳入の缺陷から收支の均衡を失つて崩壊するのではないかという懸念から生ずるのであろうと思うのでありますが、この點は注目に値すると思います。私はごく簡單に改正税法を一通り檢討いたしまして、何がゆえに歳入確保について懸念があるかという點を考え、最後に一つの提案をいたしてみたいと存じます。  第一は所得税の改正について一通り見ますると、税率の引上は所得七萬圓超の百分の二から、最高三十萬圓超の百分の十七という引上げでございます。他方におきまして、給與所得におきましては收入金額から控除せらるべき金額は、五萬圓までの金額につきまして二二%五、これは最高一萬一千三百五十圓の控除になるわけでありますが、二・五%の引上げになつております。平年度におきましては二五%の引上げになるわけであります。それと扶養親族の控除でありますが、これの控除税額は三百六十圓、平年度におきまして四百八十圓、現行の二百四十圓に對しまして、本年度におきまして百二十圓、平年度におきまして二百四十圓、倍額になるわけでございます。この控除の引下げは減税の方面と考えられるのであります。そうして第三には基礎控際の四千八百圓というものはすえおいてございます。これを實際に當つてみますと、扶養親族三人の場合すなわち今日の生活におきまして大體基準の家庭ということを目安にしてみますと、給與所得におきまして本年度におきましては十五萬三千五百圓というところが減税の分界點になるようであります。事業所得におきましては九萬二千八百圓、ここまでが減税になる。またどこまでが税を拂わないで濟むかという分界點を考えますと、給與所得におきまして同じく扶養親族が三人の場合でございますが、給與所得におきましては一萬三千四百圓、事業所得におきましては一萬四百圓という程度のものが税を拂わないで濟む、こういうことになつておるようでございます。そうしてこの税率の増減歩合を見ますると、給與所得の場合におきましては五萬圓のところにおきまして二二%の減税になります。十萬圓のところにおきまして八・一%の減税になる。それから少しずつ殖えまして三十萬圓のところで一〇%七、五十萬圓のところで一八%二、百萬圓で八%九、二百萬圓で六%、事業所得におきましては五萬圓のところで二・六の減税になります。それから十萬圓のところで一・二、三十萬圓のところで一三・六、五十萬圓で一九・一、百萬圓のところで一九・六、二百萬圓のところで一四・四、これはおのおのパーセンテージであります。そういう増減の状況を示しておるのであります。しかしながらこれを達觀いたしまして、私の推算によると、今囘の改正によりましては、控除引下げによる減税と、税率引上げによる増税とを比較すると、減税の方が多いのであります。でありますから追加豫算において二百五十六億圓の増收を見こんでおるけれども、これは物價の騰貴であるとか、賃金の引上げであるとか、税務機構の擴充による調査の充實、こういうところから生ずる自然増收であると考えられるのでございます。結局當初豫算の四百十三億と合計すると、本年度の所得税は六百六十九億でございますが、これは今度の所得税法によると所得税は豫算納税ということになつております。しかし來年の一月の確定申告においては、その年の所得の實績課税となるのであります。結局においてこの追加豫算だけをこの際取上げるということはできないのでありまして、年分の六千六十九億を對象にして考えてみたいと思います。これを國民所得の方面から觀察いたしますと、當初豫算編成當時においては國民所得に三千億ないし四千億と推定されておつたのでありますが、追加豫算の編成當時においては九千億と言われておるのであります。從つて二倍ないし三倍の所得の増加が、豫算の編成のときにおいて違つておるのであります。かりに當初豫算編成當時において國民所得が四千億といたしますと、所得税の四百十三億というのは一割三厘にあたります。追加豫算編成當時の九千億を押えますと、所得税の追加豫算、本豫算合計の六百六十九億に對しては、七分四厘になるのであります。もちろん所得の分布の状態または所得階級の變動によりまして、國民所得が所得税に反映する比率は同一ではございませんけれども、この推算が正しいといたしまならば、追加豫算における所得税の増收見込みはそう過大ではないと思います。しかるに實際の施行にあたつて、歳入の確保が可能であるかどうかという懸念が生ずるのはなぜであるか。これはいろいろ理由がありましようけれども、私は大きな理由が二つあると思います。一つは所得税が實際上はなはだ負擔が過重となつておる點である。その二つは所得税の申告納税制試の成績が良好でなかつたという點であります。そうしてこの二者は現下の經濟情勢と生活の窮乏と相まちまして、脱税競爭の現象を現出せんとしておるからであります。第一の所得税の負擔増加につきましては、二、三の例をここにあげてみますが、所得税の基礎控除の据置と、税率の据置及び引上げてございます。國民所得は年々増加しております。昨年度は四千億、二十二年度は九千億、こういうふうに年々二倍程度に増加しておると見積られておるのでありますが、しかし所得の増加は大體におきましてインフレ高進による増加でございます。のみならず物價の騰貴率が所得の増加歩合より遥かに上まわつておるという事實がありまして、實質所得は減退の一途であると言つても、差支えはないではないかと思うのであります。しかるに基礎控除の四千八百圓は据置であります。まさに基礎控除の引下げに等しい。また税率は据置でありましても、引上げをした結果になり、また税率の引上げをいたしますと、一層その引上げは實質上の高度の引上げになるのでありまして、この點は實質上所得税の負擔は、意想外に過重になつておるということが言われるではないかと思います。今囘の給與所得の基礎控除の引下げ、これは、勤勞所得は擔税能力が一番弱いという點から見て、私は當然の措置と思いますが、しかしこれらの一般的の情勢を見まして、中小商工業の所得その他につきましても、愼重の考慮をすべきではなかつたろうかと思うのであります。その二は累進率適用の所得區分であります。これは現行所得税におきましては一萬圓以下、一萬圓超、一萬五千圓、二萬圓、三萬圓、四萬圓、五萬圓、七萬圓、十萬圓、二十萬圓、五十萬圓、百萬圓、こういうような累進率の適用區分になつております。今囘の改正におきましては、この區分をそのままにしておるのであります。またこれをさらに細分しておることであります。しこうして從來通りまた引上げたところの累進率を適用しております。贊幣價値の下落によりまして、貨幣の名目的數字が著しく増大したにかかわらず、舊態依然として適用區分を維持することは、それ自體が税率を引上げたことになるのであります。このインフレによる所得は、個々について増大するばかりでなく、一般的に水準が上るのでありますから、この貨幣價価の下落に原因しますところの所得の増大というものは、かりに申しますと、今年の十萬圓は昨年の十萬圓と同價値ではないのであります。しかるにかかわらず累進率適用の所得區分におきまして、同一の扱いをしておるのでありますから、今年の價値の下落した十萬圓に對しまして、昨年の價値の下落しない時代の十萬圓の累進率が適用になる。これは實質上非常に高率の累進率が適用される結果になるのであります。大體税率の引上げによる増税というものは、從來もずつとやられてきておるのでありますが、一般的の經濟情勢に十分適應したところのものをやらなければ、税法が彈力性を失いまして、すぐ行き詰つてしまう原因になります。  また次に事業所得について考えてみますると、インフレの高進のために、短期間に豫想以上の物價の騰貴が生ずるのであります。そうしてたとえば設備の處分をいたしまして、これが帳簿價格に對して非常な利益を生ずる。また商品におきましても、仕入價格に對して大きな益金が生ずる。しかし飜つて事業の立場から見まして、設備をまた新たに入れる、更新する。または新たなる商品を仕入れるという場合に、その價格が前の處分價格よりも遥かに上まわるという事實が常に起るのであります。この場合には資本及び利益金の合計額たる金は増加いたしておりますけれども、しかし前と同樣な設備を備える。あるいは同樣な商品を購入して備えるということはできないのであります。結局において事業を縮小してやる。あるいはもし同樣な事業をやつていこうと思いますならば、借入金を増加していかなければならぬ。こういうことになるのであります。しかるに前の益金に對しましては、遠慮なく所得税が課税されてまいりますから、その苦痛ははなはだしいという事例が相當多いのであります。この二、三例を考えてみますと、第一番の例では生活基準に食い込んでくる。第二番の例については負擔の重壓を豫想外に加えてくる。第三の場合においては事業は縮小される。あるいはそのためについには消滅、破滅に至る。こういうことを意味するのでございます。この終戰後の經濟の混亂とインフレの高進と鬪つて、自己の生活權を維持する、あるいは事業經營の必要上、あるいは道義に顏をそむけたり、あるいは民主主義にほおかぶりをする。そうして結局脱税競爭が現出するというのではないかと思うのであります。  今囘の所得税の改正にあたりまして、これらの點に何らかの考慮をなす必要はなかつたかどうか、また考慮すべき時期ではなかつたかどうかということは、私は問題であると思います。もちろん國家財政の事情は急であります。從つて今さら税の輕減に類するところの施策を施す餘地はないかもしれません。しかしながら形の上では輕減になるように見えましても、負擔の適正を得まするならば、かえつて増收をあぐるということはむつかしくないと思います。租税が今日民主化されまして、課税の適正、負擔の公平、これが得られますることは、國民の十分なる納得を得ることであります。むしろ増收の要諦ではあるまいかと思います。國民に對して十分納得させ得ないところの税は、ただ國民の抵抗を増すばかりであたと思います。  第二に歳入確實性、歳入が十分とれるかどうかという點に、懸念をもたれます點は、今年行われました税制改革によつて採用いたしましたところの、申告納税制度の成續が、非常に悲觀的であつたという事實でございます。この所得税の自主納税というものは、今年の六月に最初に實際上行われたのでありますが、六月末日の申告納税の成續によりますと、全國において豫想税額の二割に達しないという状態でございます。その後の豫定申告書または修正申告についての成續は、まだよくわかりませんけれども、おそらく大してよくなつていないのではないかと思われます。從つて當初豫算の四百十億圓の約八割程度の税額が今殘つておるわけであります。これに今囘の追加豫算の二百五十六億圓を加えますと、五百億以上の所得税を今後において徴收しなければならぬ、こういう状況になつております。しかしながらこの税をとるということは、政府の更正決定をするにいたしましても、その時期あるいは徴税技術の上から時間的には問題があるのであります。そう急に徴收できるものではないのでありまして、今後主として來年の一月から三月までに、これらの大きな租税が完全に徴收されるかどうかに懸念の要點があると私は思うのでございます。これをとるにつきまして、政府が全面的に政府決定をする、あるいは更正決定をする、これは相當の摩擦を生ずることを覺悟せねなばらぬと思うのでございまして、望ましいことではございません。またかかる一般的の權力の發動は、税法本來の自主納税の精神に破綻を來すことになるのであります。こういう手段に出ずることは、あるいは萬やむを得ないかとも思うのでございまするけれども、しかしそれにいたしましても時間的にズレがまいります。そこで私は最後に申したいと存じますが、國民が國家財政を認識して、税法を理解し、自主納税を完遂して健全財政に協力するという用意をもらわなければならぬと思うのでございます。この六月の申告納税の成績が悪いと申しましたが、この成績の悪いということにつきもしては、率直に申しまして、政府の方にもあるいは十分の用意ができていなかつたかもしれないと思います。また税制改正の趣旨及び手續の徹底に缺くるところがあたつのではなかろうか。もちろん國民の用意は缺けておつたと思います。でありますから、この不成績をもつて今後を律するわけにはいきません。政府は徴税機關を整備充實するとともに、他面國民的の納税運動を起しまして、國民の協力を求むる必要かあると私は考えます。  次に法人税について見ますると、これは所得税の税率引上げに伴いまして、同族會社の加算税特別率につきまして五%の引上げを行つたにすぎません。この改正におきまして、私は普通所得及び超過所得に對する税率を現行のままにおいて、引上げなかつたということは非常に意味が深いと思います。元來臨時資金調達法の制定によりまして、資本金二十萬圓未滿の會社が續出したのでございます。これらは事業運營の資金を借入金によつている結果、厖大なる超過所得税の負擔をいたしておつたのが非常に多いのであります。これは小資本の運營によつて巨額の利益を上げておるということではございますけれども、これは事實上わが國の産業状態から見まして、また税法の關係から見ますと、非常に悪影響のあつた點でございまして、税法關係におきましてはこのために脱税競爭が起つたという結果になつておるのでございます。これは直接には資金調整法の問題でありまするけれども、同時に税法の側からも觀察さるべきものと考えます。次に間接税の税率引上げについて申しますが、所得税が増減税を行つたに反しまして、間接税の方は相當の税率の引上げを行いました。酒税は税酒におきまして一〇二%、果實酒は二一五%というような大幅の引上げをやり、また物品税におきましても、マツチは十割、あめ類が二十割、サツカリン等は四十割というような引上げをいたし、また入場税は五割を引上げました。酒税には自然増收はないと思います。しかし他の税につきましては、やはり税率の引上げによるところの増よりも、自然増收の方が多いのではなかろうかと私は思います。しかるにタバコの値上げが大きかつたために、これと相まちまして不當なる大衆課税であるという問題が生じたように思います。直接税と間接税の比率はどうあるべきかということは、これは一概には言えないことでありますが、追加豫算だけ見ますと、タバコの値上げを除外いたしますと、大體七、三の割合になつております。タバコの値上げを含めて見ますと半々になつている。タバコを除外しますと、直接税中心であることは同じでございます。本豫算と追加豫算と通觀いたしますと、タバコの値上げを除外いたしますればむろん直接税中心でございます。直接税には、詳しく申しますと地方税の負擔額というものを加味して考えなければなりませんが、直接税中心になつているわけでございますが、タバコを含めますと、とんとんよりは少し直接税の方が多いという程度でございます。しかし今囘の所得税法の改正の實體は以上申しましたごとくで、間接税の増税というものは非常に大きい。殊にタバコの値上げを含めて考えますと非常に大きい。この意味におきましては、今後の改正は大衆課税に偏したということは、あるいは否定することはできないと思います。またタバコが生活必需品であるかどうかということは別といたしまして、生活基準に食いこむということも否定できないと思います。  それからもう一つ間接税につきまして税率引上げが高過ぎはしないかという問題でございますが、間接税が擔税力に比準しない、一率に大衆に課税せられる缺點を有するのでありますから、一般の社會的情勢からみまして、非常に高率なる引上げをするということは、もちろん望ましいことではございません。しかし最近の國民所得は、特別の例外は別といたしまして、比較的一般に水準化している。また經濟界の秩序が十分整つていない現状でございまして、所得税の納税階級と目せられる階級がこれから脱落し易いのであります。これは經濟界の秩序が十分整つていないために、自然的に脱落していく階級が多いのでございます。こういうことを考えますと、大衆の購賈力を吸收する意味におきましても、この程度のものは是認せらるべきものではないかと私は思います。一般に經濟秩序の整備せざる現状に鑑みまして、むしろ高遠なる租税理論にあまりとらわれない、實情に即した方針をとることが、あるいは全體的に見て課税の適正を得られるのではないかと思うのであります。しかし財政收支の均衡を得るに急なるために、酒税やタバコの益金に餘計もつていつたという印象を與えているようでございます。これは一考を要すると存じます。  なお間接税が相當高率なるために、關係事業の經營が困難であるという事實が出てきているようでありますが、これは私はやむを得ないことではないかと思います。むしろこの大衆に課せられたところの間接税について、この方面にも若干の脱税競爭が現われてくるのではないかということは、むしろ歳入確保の上に一抹の不安を與えるものではないかと存じます。所得税率等につきましては、これだけにいたしまして次に戰災者特別税について簡單に申し上げます。  この税はすでに財産税において課税濟みではないかということが一つの難點であると思います。しかし今度の立法理由を見ますと、戰災者と被戰災者との間に權衡を得るために必要だということになつておるのでありますが、そういう特別の意味からいたしまして、兩者の權衡を是正するということでありまするならば、あるいはこれは實際上の理論なり何なりと離れまして、多少感情的の點があると思いますけれども、この程度の課税の形式をとるのは妥當ではないかと思います。ただしかしながら課税の技術につきましては相當難點があるように思います。課税技術の上から見ますと、機械的にまた一律的に、しかも今日の状態から見まして非常に低率になつている家屋の賃貸價格を課税標準としておる點に難點があると思います。また經濟界の混亂變動によりまして、家屋というものは所有者の全體の財産を推定するだけの價値がない。價値が乏しくなつてきておるにもかかわらず、こういうものに課税の基礎をおいておるということは、これまた課税の公平から見て大なる缺點があると思います。いわんやこの税率またこれらの事情から見まして、戰災者と被戰災者との權衡を得るということについきましては、この輕微な税率では、また輕い低い課税基準につきましては、是正せられるところがないと思います。またもう一つ戰災者同志間の複雜な事情を一切無視しておる。これは深い考慮が拂われてしかるべきであつたかと存じます。  最後に一言いたしたいと存じますることは、このインフレ防止の礎石となるべき國家財政の健全性を保持するために、この際納税に關する國民的の運動を起したらどうであろうかということを申し上げてみたいのでございます。私はこの國民運動は、この春の税制改革のときに當然起すべきものであつたと思います。この税法の民主化、自主的の申告納税ということはなかなか頭の切替えを要求することはむずかしいことでありまして、原則的に申しますと、國民文化の非常な高度化がなければ行われるものではないと私は思います。しかし文化の高度化と申しましても、これは一朝一夕にできるものではございません。しかし思いつき程度の、今歳入確保に必要があるからという急場の思いつきの、一時の運動ではとうてい成功はおぼつかないと思います。一つの大きな組織をもつた強力かつ恒久的の運動をやつていく必要があると思うのであります。ただしかしさしあたり本年度の歳入確保の上におきまして、眞先にやらねばならぬと存じますることは、國家財政の對する國民の關心を高める、租税法の理解を深める。こういう方策を講じまするとともに、租税の手續を周知せしめるところの運動をしなければならぬと存じます。從來の長い間の習慣によりまして、税というものは税務署からくる納税令書によつて納めるという習慣になつておりますのは、自分で自分の税を計算して、自分で納税告知書を書いて、郵便局なり、銀行なりにもつていくという習慣をつけること、これにはまずそういう手續、書く紙なり書式なり、卑近なる例、卑近なる事柄をこの際急速に實行いたしまして、そうして民主化されたる税法の完遂ということを國民に要求する運動を起さなければならぬと思うのであります。たいへん御清聽をわずらわしてありがとうございました。(拍手)
  4. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 ありがとう存じました。ただいまの栗原氏の御意見に對し、委員各位にもし御質疑があれば、この際栗原氏に御答辯願うことにいたしたいと思います。何か御質疑はございませんか。別に御質疑もないようでありますから、引續きまして日本酒造組合中央會の常務理事でいられる上川名義雄氏にお願い申し上げます。
  5. 上川名義雄

    ○上川名公述人 ただいま御指名を受けました上川名義雄であります。ただいままでその筋の權威であらせられる栗原氏より各般にわたりまして詳細の御意見が述べられましたので、限られた時間でありますから、全般的にお話申し上げることを省略いたしまして、自分が主として携わつておりますところの酒について一言お話申し上げたいと存じます。  酒税について申し上げます前に、酒税の今囘の増徴がはたして適當であるかどうであるか、と言いますのは、結局酒ははたして生活必需品なりや奢侈品なりやということをきめていく必要があるのではないかと思うのであります。すなわち生活必需品でありますれば、極力重課を避くべきであり、奢侈品であるならば、重課もまたやむを得ないという結果になるのではないかと思われるのであります。この問題につきましては、從來からしばしば論議せられているのでありますが、未だに結論には達しませんで、結局ある部分は生活必要品てあり、ある部分は奢侈品である。兩面があるということになつているようでございます。この點から見まして、今囘の増税案が、この消費面を通じまして奢侈的傾向を有する消費に對して増徴をしようという根據に對しましては、贊成せざるを得ないと存ずるのであります。しかしこれもいわゆる必需的需要を充たして餘裕がある場合に、これを特別の用途に振向けて重課するというのでありますればまことに結構でありまするけれども、酒の生産高は年々減少いたしまして、本年度のごときは許されている原料米の使用高は平年度の比べまして、わずかに八・五すなわち八分にも過ぎない状態でございまして、はたしてこの方面に振向ける餘裕があるかどうかということが疑問ではないかと思うのであります。私のただいま申し上げました通りに、必需的方面にのみ配給せらるるものでありますならば、増收の目的にはならないと存じますが、またこれをいかんともして増收をせんとするようにいたしますと、タバコのようにさなきだに不足がちな一般配給を減らして、特別用途にまわすというような結果になりはしないかと思われますので、この點は運用にあたりましてくれぐれも深甚の御留意をお願いしておきたいと存ずるのであります。私の見解をもつてしますれば、現在の食糧下で酒の生産が少いながらも許されておるというのはよくよくのことでありまして、われわれ常に米を減らすたびに政府當局からは、奢侈的方面の消費部分に振り向ける分は切つて、必需的方面るのみ配給するよう生産させるのだということを常に聞いておるのであります。從つてこれが増收の目的に用いられる酒は何らかの方法をもつて、計畫的に生産されねばならないと存ずるのであります。それにはどうすればよいかと申しますと、現在街には密造の酒が氾濫しております。その數量はやみでありますがために正確にその總計をつかむことはできませんが、常識として米にして二百萬石あるいは三百萬石程度ではないかと申されております。そうしてこの濁酒の密造は最近は第三國人等によつて大規模に密造されておる事實もありますけれども、おおむね密造する者は米を持つておる農民でありまして、これらは全然課税を免れて安い酒を飲んでおるのであります。同じ勞務者でありながら一方では米を持たない炭鑛勞務者その他の重勞働者は重課せられた酒を飲んでおるというような状態でありまして、租税の負擔という點から申しましても非常に均衡を失しておると存ずるのであります。また中には密造ばかりもしておりませんで、まじめな農民もあります。こういう方々はその消費量、絶對量が少い。それで供米の完了後には一定量を集めまして、正式に酒造業者に委託してその酒を飲みたいというような申入もありますので、この際増收の目的を兼ねまして、供米を完了いたしました農家より一定量を集めましてその數量に應じまして生産された酒を配給する。すなわちわれわれは俗に委託釀造と言つておりますが、こういう方面の酒をつくりまして配給することが最もいいのではないかと存ずるのであります。その實行方法といたしましては、米を二升なり三升なり持つてまいりましたならば、それを町村なり農業會なりがとりまとめまして、政府の御承認を得て一定の釀造所に運びこみ、それをあらかじめ酒にしておきまして、必要の都度米竝びに引取りの際に税金だけを持つてまいりまして、それを還元して配給するということにいたしたならば、一石二鳥、三鳥の増收目的を達することができると存ずるのであります。そうして大體において米一升より一升五合の酒を得られますので、その餘裕の五合程度のものは炭鑛とかその他の重勞働者に配給し、必需方面の酒を充たしまして、それでなお酒の餘裕が生じました際には、その酒を自由販賣にまわして増收をはかるということが、最もいいのではないかと存ずるのであります。先ほど二百萬石、三百萬石の米が消費されると申し上げましたが、かりに百萬石といたしまして、たとえば百萬石の酒の造石ができたといたしますと、特別の價格によらず普通の税率によりまして四百九十八億、特別の用途に向けまして加算いたしますと四百九十八億の増收を得られることになりますので、こういう方法で消費者の需要を充たし、併せて税の増收をはかることにいたしたいと存ずるのであります。かような意味合におきまして、今囘の統制といたしましては、増税もやむを得ないのではないかと存じます。
  6. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 ありがとうございました。ただいまの上川名氏の御意見に何か御質疑はありませんか――御質疑もないようでありますから次にまいります。  第三番目にはお越しの順序で日本税務代理士會連合會專任理事中村秀男氏にお願いいたします。
  7. 中村秀男

    ○中村公述人 私はただいま御紹介に相なりました中村秀男でございます。暫く御清聽をお願いいたします。今囘税制改正の内容を見ますと、所得税、物品税、その他の間接税の税率の引上及び非戰災者特別税の新設であります。これらの改正及び新設によります國庫増收増加額は六百三十六億圓であります。二十二年度の豫算税收入に合算いたしますと、一千三百二十三億圓に達するのであります。本年度の國民所得推計九千億圓でありますので、租税の負擔は國民所得に對しては一割五分ということに相なるのであります。なお地方税を加えれば一割八分程度であります。戰勝國の米國においては一九四五年にすでに三割を超えております。英國におきましては四割を突破しておる状態であります。これらに比較いたしますといちじるしく低いので、日本國民の租税負擔は比較的に輕いと考えられるのであります。  今囘の改正の内容を二三檢討いたしますれば、まず一時所得であります。一時所得を今囘課税の對象となすことに相なつたので、國民所得のことごとくが課税されることに相なるのであります。改正の要點を見ますと一時所得の計算はその年中の總收入金額から、その收入を得るために支出したる金額を控除したる金額と相なつております。その支出したる金額の中におきまして、利息はいかにするかという問題でありますが、この利息はその收入に必要なる資金を借り入れました場合はもちろん明らかになつておるのでございますが、數年前であるとか、あるいは親の代よりこれを借りておるというような場合に對する借入金の利息が、非常にあいまいである場合は、この利息はいかにして計算するか。なおこの借入金に對する利息を支出金に包含するかという問題であります。これに對しては常識的に見ますのに、當然借入金に對する利息を支出金に見込むべきであろうと思うのであります。  第二番に所得税の税率の改正でありまして、所得七萬圓の超過より税率を引上げておるのであります。現在の國家財政より見ればその以下五萬圓程度より税率を引上ぐべきものでないかと存ずるのであります。  第三番といたしまして非戰災者特別税の新設であります。御承知の通り非戰災者特別税の新設の理由は、戰災者と非戰災者との間における犠牲の不均衡を是正するとともに、臨時緊急な財政需要に應ずるためにやむを得ざる處置であろうと思ふのであります。つきましてはこの非戰災者特別税が非常に大衆課税であるというきらいがございますのでまず、非戰災者家屋税におきましては賃貸價格を標準にしておるようでございますから、この賃貸價格をまず三十圓程度未滿の家屋というのを百圓未滿の家屋と訂正してはいかがかと考へるのであります。なお非戰災者税におきまして、戰災者の定義、すなわち戰時災害により家屋または動産につき一定割合(三割程度)を超える損害を受けたる者と相なつておりますが、これを五割程度に訂正してはいかがかと考へるのであります。非課税において賃貸價格百圓程度未滿の家屋のみを使用していた世帶というのを、二百圓程度に訂正してはいかがと存ずるのであります。なお第一に、増税が國民經濟に及ぼす影響を考えねばならないと思うのであります。今囘増税をされますと、増税と價格改訂により物價が一段と騰貴しまして、その結果千八百圓ベースを維持することができるや否やということに相なるのであります。第二に税收豫算一千三百二十三億圓がはたして、徴收できるかどうか疑問であります。政府は健全財政確立のために歳入歳出豫算を、租税が計畫通り徴收できることを前提として編成しておられますが、萬一豫算通りに徴收ができなかつたならば、明らかに赤字財政と相なつて、結果におきまして不健全財政と相なるのであります。しからば豫期の通り徴税を行ふにはどうすればよいか、まず第一に國民の納税觀念を高めることはもちろんでありますが、國民に國家財政がいかに危機に直面しておるかをよく知らしめ、國民各自の所得税及び物品税その他を公正に該當者は漏れなく申告納税せしむるように、特段の努力をなすべきであると思うのであります。風聞するところによると、本年度所得及び増加所得の申告と納税は、政府の豫想に對しきわめて不良であるとのことでありまして、まことに遺憾にたえない次第であります。この成績不良の原因は本年度より實施されました豫算申告納税制度に非常に慣れないことと、一般に納税觀念が低下していることと、大口新圓階級の所得の無申告によるものと思います。いずれにいたしましても、最も公正なる徴收を行いまして、税收入を確保しなければならないのであります。最も公正に徴收するには最も悪質な大口新圓階級の所得を捕促しなければならないのでありまして、ややもすると善良なる中小所得者が過重に追求せられる結果となるのであります。これが對策としては戰時中、弱體化せられました税務機構の擴充強化、税務官吏の待遇改善を行いまして、所得の調査を十分に行い、また本年新たに採用せられたる第三者通報制を大いに活用いたしまして、公平なる課税ををするとともに悪質脱税者に對しては、容赦なく處罰を行い、かつ税の滯納者に對しても容赦なく滯納處分を強行すべきであります。しかしながら今すぐにその成果をあげることは困難でありますから、容易に捕促しがたい新圓階級所得の調査には大いに民間の協力を得て、やみ物資の出所等より新圓階級者の調査を行うべきであると思うのであります。萬一新圓階級者の所得が十分に調査できなければ、ここに善良なる者にむりな所得決定をなすことと相なるのでありまして、國家財政に應ずる公正なる課税は目的を達することができないと思うのであります。せつかく税制の改正を行つても結局豫算通りの徴税ができないとすれば、さらに新圓階級者の所得に重點をおきまして、財産税調査に類する方法を選び、國家財政に對する萬全なる對策を講ずる必要があるのではなかろうかと思うのであります。以上であります。
  8. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 ありがとう存じました。ただいまの中村氏の御意見に對して御質疑はありませんか。
  9. 大上司

    ○大上委員 栗原氏竝びに中村氏の御熱心なる御意見竝びにわれわれの及ばざるところの御調査を聽きまして、ありがとうございました。つきましては最初栗原氏にお尋ねしようと思つておりましたのですが、さいわいにも同じ關係の中村氏も出られましたので、私も過去に税務署におつた關係から、少し聽きたいと思いますが、再三再四この問題を繰返して伺つたのですが、兩方ともその論旨はどちらも國民の所得額が九千億圓ということを冒頭に述べられて、これから御研究を續けられたのだろうと考えます。この國民所得の九千億から、われわれとしては現在の政府において考えておる税法、税の負擔が何パーセントかという問題が出てくるのですが、過般大藏大臣も財政演説において、國民所得を九千億と言うておりましたが、お二人方はどんな研究をもつて、どういう方法でこの九千億圓ということを推定なさつたか。その根據を承りたい。中村さんでも栗原さんでもどちらでも結構ですが、特に論旨からみて中村さんにお伺いいたしたいと思います。
  10. 中村秀男

    ○中村公述人 今御質問になりました國民所得の推定でありますが、その數字をどういうふうに計算したかということでありますが、率直に申しますと、自分はそういう專門的な者ではありませんので、ただ政府の各大臣が演説せられる内容とか、あるいは大藏省でいろいろ參考資料を出していられる。その點から九千億という數字をうのみにしておるので、その内容をこまかく御説明申し上げることは不可能であります。ただ國民所得が推定九千億圓であるというのみにしておるのであります。
  11. 宮幡靖

    ○宮幡委員 公述人中村秀男さんにお尋ねします。中村さんのお立場はここに書いてあります通り、税務行政の公的補助機關であられる税務代理士會の連合會の專務理事であられるのですが、ただいま口述せられた内容を伺つておりますと、はなはだ失禮ではございますが、公述人のほんとうの心持が述べていないような感じがいたします。なぜかと申しますと、一時所得の點でありますが、一時所得に課税することになつて、あらゆる所得に課税の機會が與えられてよかつた、かようなことを申されております。またその一時所得を得るに必要な經費の中に、利息の算定をいかにすべきであるかというようなことに思い及んだ御説明がありましたが、事實において一時所得を把握することは、現在の税務行政機構においては至難なことであります。これを公正に、しかも公平に把握してまいることは非常に困難が伴うと思います。これは公述人中村さんはよく御存じのはずだと私は推察できるのでありますが、さような意味におきまして、一時所得の税收入の見込額はあまり大きな數字でなくて、この一時所得を把握するために、税務行政の先端に現われまするいろいろなトラブルが豫想されるのであります。強いて一時所得を把握するのを強行いたしますると、かつての舊憲法時代の警察か、あるいは檢事局のようなものに税務署がなつてまいることは、想像にかたくない。よつてわれわれといたしましては、この一時所得の把握の方法について、大藏當局にもつと綿密周到なる用意があつてから實施すべきものであつて、この場合に早急に一時所得が課税の對象となることは、はなはだ間違いではなかろうかと思うのであります。この點はおそらく公述人中村氏も御同感のことと存じまするが、ただいまの御説明では、その點に及んでおりません。はなはだ失禮でございまするが、その點について率直なる公述人の御意見を承りたい。
  12. 中村秀男

    ○中村公述人 ただいま御質問のございました一時所得の課税の技術の困難性ということでございまするが、これはそう申せばそうかもしれませんが、現在税務署としては各種の資料をもち、その資料に基いて課税いたしておるような次第であります。この所得は一時所得でありましても、一般所得でありましても、調査の上においては何ら困難ないものじやないと思うのです。  第二番に、先ほど私が申し述べたのは、措置に申しますると、いわゆる一時所得に對する經費の問題であります。その經費の中に借入金の利息、むろんその一時所得を得るための費用が借入れてあつた。これは措置に申しますと所得のために借入をした、その計算が明らかであれば、利息はもちろん支出としてあるのでありまするが、その利息においては數年前借りていた場合、あるいは親の代、すでに二、三十年も前から借りていた金を包含していた場合、總體的にこれが利息を拂つているのだ。その資金がたまたま預貯金であつたとか、あるいはほかの財産になつている、それを元手にして一時所得を得たという場合において、それに對する利息を拂つておるのでありまするが、それを資金の割合に應じて、利息を支出として計算すべきものであるか、もちろん私支出としてこの利息を計上すべきものであると思いまするが、それが明らかにならなかつた場合においては、税務官吏としていかにするかということであります。
  13. 宮幡靖

    ○宮幡委員 私のお尋ねした意味と少し違うのでありますが、大體御意見は承つておきます。  それではもう一つお尋ねいたしますが、一時所得を把握することはさして困難でないという御意見であります。一時所得を得るそのもとの資金の問題でありますが、一體それらをどういうふうにしてお考えになつておるか。初めに御説明のように、これがその一時所得を得るに必要な元本に對する利息であつたかということが言えるわけでありますが、それをどんな範圍で把握していこうという氣持でおられますか、その點を申し述べていただきたい。なお一時所得をつかまえることは、そんなに困難でないという概念的の御説明でありますが、私どもとして考えますと、おそらく一時所得の百のうちの二十か、三十しかつかめないのが、現在の税務機構の實際ではなかろうかと思います。もしさような事實が出てまいりますと、一時所得というものは一番不公平なものになる。せめて百のものなら、そのうちの五十なり六十なりをつかみ得る確信がなくては、これをやるのを差控えた方がいいように思われますが、一面においては、一時所得で全所得に課税される機會があるにかかわらず、あるものはほとんど全部一時所得によつて脱税しておる。かような實相が現われてくると思います。この點についての御意見を、ぜひ措置にお聽かせ願いたいと思います。
  14. 中村秀男

    ○中村公述人 最後の御質問でありますが、一時所得を得るための資金の計算、これはまずわれわれ會計あるいは税務に關係する者にありましては、わけなくできるようでありますが、またものによつては困難な場合があります。その結果いくら資金を出しておるかという問題であります。一時所得といつても、現在どういうものを一時所得と見るかという點でありますが、いずれにしても、先ほど申したような一時所得を得るために必要であつた資金というものはごく簡單にできるのではないかと思うのであります。その程度であります。
  15. 宮幡靖

    ○宮幡委員 結局一時所得は、そんなに簡單につかまえることはできないと私どもは考えておりますが……。     〔「進行々々」と呼ぶ者あり〕
  16. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 それでは次に紅稜大學の學長であられる高垣寅次郎先生にお願い申し上げます。
  17. 高垣寅次郎

    ○高垣公述人 先ほど來各口述人の方方から、専門にわたる御意見の開陳がございまして、私は何ら専門的のそういう用意をもつておりませんので、きわめて概括的に所見を述べまして、お呼出しにあずかつた責を塞ぎたいと存じます。負擔の衡平ということが租税制度上の原則でありますことは、申すまでもないことでございます。その點から考えて、今度政府の御提案になつております所得税、その他税制の改革の問題竝びに非戰災者特別税の問題などは、若干の技術上の點は別といたしまして、大局の問題といたしましては、日本の今日の財政の急迫に應じます處置としてやむを得ないことではないか、このように考えております。所得税その他の問題といたしまして、一般に酒税その他の間接税の引上が大衆課税になる結果として、そのような税率の引上は、今日のように國民大衆が生活に惱んでおります場合には適切でないという意見も一部には聽かれるようでございますが、私の考えますには今日の現状におきまして所得の階級というものはまことに混亂いたしておりまして、はたしてどこに高額所得者があるのか、昨日までの高額所得者は今日すでに低額の所得者となつており、日に日にその情勢をかえておりますような今日の現状におきましては、どのような税制を立てることが大衆課税にならないことになるのかというような點がはつきりつかめないのじやないかと思うのでございます。芝居なりあるいは歌劇なりの高い入場券が、しかも非常なプレミアムをつけて長蛇の列をつくつて多數の人が爭つて買い求めておる、こういう情勢なぞを見ましてもどこにほんとうの高額所得者があるのか、私ども不思議に思うくらいでございますが、こういう現状におきましては、一見大衆課税と思われるような税制も、これはやむを得ないことじやないかと思うのでございます。一面高額所得者に對しましては所得税の方で押えるといたしまして、大衆課税に類するこのような税率を引上げることも當然なことだと私は思うのでございます。また一部にはマツチとかサツカリン、ズルチンというようなものに對しまして專賣を行つたらばという意見も出ておるようでございますが、私はこれは適切でないと考えます。あのような比較的單純な設備、比較的少い資本でもできるようなものを專賣にいたしますれば、必ず他にもぐりのものが出て、的確に專賣を實施することはできないことだと思います。日本で何かかりに專賣を行うとしたならばタバコ、鹽のほかに何であろうかと考えてみますと、あるいは私はビールなどは一番適切なものじやないかと思うのでございますが、しかしこれも今日の情勢から申しますと、專賣に劣らないだけの統制が強化され、實績をあげておりますので、今何も好んで專賣にする必要はありません。そこでマツチでありますとか、サツカリンでありますとか、いうものに對する專賣の制度ということは、今日本では考えるべき問題でないように私は存じております。  非戰災者特別税の問題でございまするが、これはすでに今春の特別財産税の場合に、一應片付いた問題であり、今再び非戰災者に對する課税を行うということは、重複を來たす結果になるという意見もあるいはあるだろうかと存じますが、しかし日本のただいまの現状を見ますと、戰災によつて家を燒かれ、財を失つた人と、そうでない人との間には、よほど負擔の公平が失われておると思うのでございます。もちろんあるいは戰爭のために自分の子供を失い、自分の夫を失つた人々對する考慮をどうするのかという點になりますと、もう一言もありませんが、そういう問題は例外的な問題としてここに取上げますのにはなはだ不適當と思いますので、その點は、しばらく論外におきまして、非戰災者に對して特別の課税を行うということは、今日の情勢といたしましてやむを得ないことではないかと思うのでございます。財政當局の方でできるだけ公平を失しないように、技術的の考慮を拂つていただくならば、こういう租税を課することもやむを得ないことと私は思うのでございます。  一體今日のように經濟が急激な變化をいたしております場合には、適初と考えて立てまする財政豫算の制度も、やがて時の經過とともに不釣合いになつてまいりますことはやむを得ないことでございますので、形式的に收支の釣合を保つておきましても、それがいつの間にか實質的に釣合がこわれていく。現に一般豫算に當らない追加豫算を政府は今日また組まなければならなくなつたということも、その情勢を反映しておるのでございまするが、今日のこの情勢がこのままに進行していくといたしますれば、日本の經濟にとりまして、非常に悲觀すべきことだと私は憂慮いたしておるのでございます。何をおいてもまず日本の經濟を安定させることがあらゆる經濟政策、財政政策はもちろんのこと、すべての政治の根本であると思うのであります。何がゆえに今日のような――インフレーシヨンは進行する、物價は勝貴する、經濟界は安定しない、こういう情勢がなぜ改善されないのであろうかという根本を考えますれば、これは結局國民の時局に對する認識が足りないということじやないかと考えます。現に政府が今春せつかく苦心して發表されました經濟白書さえも、輿論調査の結果を見ますと、これを讀んだ國民の數はきわめて寥々であるものであるという、これではどうにもならないと思います。國民みんなが今日本はどのような情勢の下におかれておるのか、このままに推移したならば日本の經濟はどうなつていくのか、國民すべての生活はどうなつていくのかということをみんな反省しなければならないことじやないかと思うのでございます。政府といたしましても一囘出した白書を讀まなければそのままということでなく、一囘で徹底しなければ二囘でも三囘でも問題をかえ、機會をとらえてあらゆる場合に日本の現状が今どうなつておるかということを、みんなが自分のこととして考えてくるのでなければ日本の急迫した情勢は救えない。非觀のほかはないと考えるのでございます。國民がみんなその氣になつて、あらゆる生活の面において政府は行政を合理的にやつてもらう。企業者は自分の企業を合理的にやつていく。勞働者も自分の立場を合理的に考え、みんなでこの難局を切拔ける方法を考える。それを人のこととしてでなく、自分のこととして考えていくということにみんなの氣持が向わなければならないと思うのでございます。まことに説教めいたことを言うようでございますけれども、ほんとうにそう信じております。議會におきましてもそれらの點をお考えいただきまして、一度あつたことはどこまでも結末をつけていくというふうに――ただ白書を出せばそれでよろしい。緊急對策を發表すればそれでよろしい。隱退藏物資の摘發に著手すればそれでよろしいということでなく、どこまでもその事柄の結末をつけていただくように、國民全般にそのことをゆきわたらせて、國民みんな心でそう考えて時局を擔つていくようにお考えを願いたいと思うのでございます。きわめて一般的な所見を述べましたが、これで私のお呼出しに預かつた責めにかえたいと存じます。
  18. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 ありがとう存じました。ただいまの高垣氏の御意見に對して御問はございませんか。――御質疑がないようでありますから、次に日本生活問題研究所長の安藤政吉氏にお願い申し上げます。
  19. 安藤政吉

    ○安藤公述人 こまかい問題につきましてはいろいろ皆さんからも出たようでありますので、私の專門の立場から大體生活費賃金問題を主として取扱つております關係上國民生活費から見た勤勞所得税といつたような意味において述べていきたいと思うのであります。  御承知のように戰爭の始まつた昭和十二年は内閣の家計調査をごらんになりましてもわかりますが、大體四人半ぐらいで八十圓から九十圓しかかかつておりません。最近の調査はすでに皆さんは大抵見ておられると思います。例の千八百圓ベースという問題を中心にしまして放送局から依頼を受けたときに算定しました九月現在の最低生活費が約五千圓であります。最近はさらにそれより上昇しておりますが、こうした生活費の高騰が勤勞階級の生活をますます困難にしていくことは御承知の通りであります。食物費の割合で見てみますと、十二年當時は御承知のようにサラリーマンの方が三八%前後、勞働者の高いところでも四〇%を超えておりません。ところがその後消費規正が非常に強化されまして、漸次われわれの生活費は高騰したのであります。戰爭中の消費規正が非常に強化されてわれわれが窮屈だと感じた時代でありましても、實は調べてみますと、それほどの上昇率を示しておりません。驚異的な數字を示したのはむしろ終戰後でございまして、終戰後の例の生鮮食料統制撤廢を機會に、あれから猛烈な勢いで上昇を始めたのであります。それまでは昭和十九年前後で約二倍でありましてほとんど問題にならない。ところが二十年の暮になりますと、すでに四百圓から五百圓、二十一年の一月中央賃金委員會におきまして最低賃金制の設定をすべく、それの基礎になる最低生活費の設定をいたしましたが、私が算定したときにいわゆる六百二十圓は、大藏省の五百圓生活という問題でついに實現しなかつたのでありますが、その後の生活費の調査は厚生省にもございますし、四月から、物價廳にもございますが、その他の事業場におきましても競つてこの問題を中心に調査をしておりますが、大體申しましたように急上昇を始めたのは二十年の暮からでございます。そうして今言つたように食物費の幅は、四〇%以下でありましたものが六〇%になり、六五%になり、七〇%になつてまいつたのであります。七〇%というと、これはもう最高でありまして、これ以上はいかなる事情があつても、普通の状態では上げられないと見ておる一人でございます。そのうち負擔費はどういう状態になつておるかと申しますと、昭和十二年度の負擔費は全額で公課負擔を入れて六十四錢でございます。一世帶平均サラリーマンは七十四錢、勞働者が五十九錢、平均六十四錢でありまして、この中でいわゆる公課負擔費は十八錢に過ぎません。その他は市會費だとかそういうものが四十六錢でございます。それから最近までを見てみますと、私のところの先ほど申しました九月の算定によりまして四百五十四圓二錢という公課負擔費が出てきておるのであります。これは全生活費の割合で見ますと九・一九%に當ります。十二年を一〇〇として見ますと驚くべき上昇率を示しておるのであります。もちろんこうした公課負擔費の増加は、いろいろな情勢におきましてやむを得ないのでありましようが、それにしましても現在この公課負擔費が、生活の保障のない勤勞階級にとつてどんなに大きな負擔になつておるか、私がここで縷々述べるまでもございません。賃金の指數あるいは實數をごらんになりましてもわかりますが、大體昨年度の平均が三百圓から六百圓の赤字であります。こういうような生活を保障せざるところの實情におきながら、なお公課負擔費におきまして勤勞者の源泉課税として一錢一厘の間違いもなく、假借なく今日血税として取立てられておるのであります。そのいわゆる生活費の現状は今言つたようにほとんど自分のものを割く、いわゆるたけのこ生活といつたきわめて緊迫した生活事情の中から、なおこの税金は納めなければならないという、實情は、いろいろな意味においてここに問題が發生しておるのであります。たとえば事業場におきましてもこの公課負擔費には相當手を燒いておりまして、いわゆる賃金値上の要求としましては手取が大體主になると思います。手取を中心にしておけば當然税額は會社負擔という形になりますので會社側もこれの會法的脱税行為を考えるというのが今日の實情である、この脱税の方法は事業場によつていろいろな形がとられておりますけれども、少くともこういうような合法的な脱税行為をせざるを得ない現状に追いこんでおる。今日の勤勞所得税、こういう問題は十分考えていかなければならないと思うのであります。物給の面から見ましても、この問題は考えられることでありますし、あるいは貸與という形において行われることもまた問題になりますし、とにかくいろいろな方法においてこの問題が取上げられておるのであります。試みに今日の税負擔、生計調査その他を通じてごらんになればわかりますが、少くとも全收入から今日の税率で割出したならば、もう少し支拂われておらなければならないと思われる事業場が、實は實態調査においては、われわれが考えたよりも皆低い現状であります。ただ官公廳におきましては、比較的こういうことが不可能なために、税額が相當高まつておるのであります。もう一つ考えなければならないのは、今度の改正によりまして、多少緩和されたというものの、相當の賃金をとる者は、働けば働くほど税金を拂わなければならないという現状で、この面から働くことが十分なされないということは、この間の朝日か、毎日でしたか、北海道の炭鑛の記事を通じて報道されたことだけでも明瞭であります。私も二十年來工場、鑛山をまわつておりまして、勞働者の生活實態は相當知つておるはずですが實際不合理千萬な状態が今日現出しております。今度の税率を見ますと、七萬圓が中心になつておるようでありますが、インフレの高進してやまない現状下におきまして、賃金がスライドされておりませんけれども、それにしましてもなお上昇しつつある現状から見まして、はたしてこういうような方法で、今言つたように働く者ほど税金にとられてしまうような現象が出ないでしようか。これはいろいろ課税の技術上の問題もありましようが、われわれはそういう點については素人である、だが私の考えによりますと、最低生活費の基礎的な研究があり、これが家族構成別その他の方法によつて基準が算定されておつて、少くとも最低生活費以上の收入に對して課税されるというような科學的、合理的な根據をもつならどこういう矛盾はなくなると思うのであります。今言つたように、食えないにもかかわらず、三百圓、五百圓と税金を拂わなければならないような矛盾は、私たちから見ますと、きわめて遺憾に思うのであります。直接課税の問題はいろいろまだございますが、いわゆる物品税その他の直接われわれの生活に影響を及ぼす問題は、また相當の値上げになつております。こういう問題についても、ほとんど一般はこれを考慮しておらないのでありますが、こういうような改正を通じましてすぐさまわれわれの生活費に大きく響くのでありますけれども、この問題につきましても、ただ單なる税率がどうこうということよりも、今言つたようにほんとうに勤勞者の生活確保が中心になされて課税されるようになららなければならないのではないか。數字的にいろいろなものをもつておりますが、時間が制限されていることと、もう一つはすでに畫になつておりますので、御迷惑でしようから數字は申し上げませんが、たとえば最近の酒、タバコ、茶、菓子、果物、こういう問題につきましても、大體八月の生計調査を見ますと、酒、タバコが大體百八十圓から二百圓前後ずつ用いられております。茶にしましても二百圓から百三十圓ぐらい、菓子、果物は三百七十圓から三百八十圓前後、つまり嗜好品費と稱されるものが八百圓から九百圓前後支拂われておるのであります。私は酒、タバコが生活必需品だとは考えておりませんが、しかし今日の生活習慣その他から見まして勤勞大衆には、これが必需品でなくても、實際生活費に及ぼす影響は相當大きいのであります。だからもしこういうものを値上げするというような場合には、ちようど子供からおしやぶりを取つたならばほかのおもちやを與えるように、少くとももう少し健全な面において、あるいは生活必需物資の面において値下げするとか、配給量を殖やすとかいうような對策が具體的にとられない限り、どう理論的に説明をつけようとも、大衆課税として響くのは當然であります。そういう意味において、この問題は私はいろいろな角度から取上げていかなければならないのではないか、こう思うのであります。もう一つわれわれが問題にしなければならないのは、血税をしぼり上げたこの税金がどういうふうに國費に使われるかという問題であります。これに對してはほとんど一般には考えられておらない、だがわれわれはこの使途について十分な吟味と監視がなされなければならないと思うのであります。たとえば今日まで議員諸君が立てられたところのあの大きい費目ではわれわれが檢討の餘地がないけれども、それを細目にわたつて、われわれの日常生活において及ぼす諸費目について檢討するならば、われわれにはきわめて納得のいかない費用が多くあるのであります。例えば一例をあげてみますと、電燈の問題であります。私のところではこの十五日から五分つけて十分消し、五分つけて十分消すというようなことを九時までやる、完全な神經戰であります。こういうような節電行為が行われている。この現状について日發その他について調べて見ますと、四百何十箇所の發電所の中の約四割以上が今日停止されているということであります。しかもそれはわずかのダムが壊れているとか、タービンが壊れているとか、こういうような事情であつて、それをもし全部直すならば、今日相當電熱器を使つてもなお大體においてまかない得る發電能力があるということをこの間も承つたのであります。一體そうならば、今申し上げましたようにわれわれ勤勞者が國民の一人として必要なる税を拂うことは當然だと思います。われわれはただ單に何でも所得税撤廢を叫ぶのではない。しかしこの税がほんとうにわれわれの納得のいく方面に使用されるというならば、今言つたように喜んで出すでありましよう。今の節電によりまして、今日燃料費は二百圓から三百圓、それの八割ぐらいはやみによつている。御承知のように都市において標準家族で最も上手に使いまして、炭に換算して二十一俵要るのであります。この二十一俵の配給を確保したのは、東京では昭和十八年だけです。それ以後は十五俵に減り、十四俵に減り、最近はせいぜい四俵、あとは全部やみによつてまかなわなければならないとするならば、今言つたような三百圓、四百圓の薪炭代が出るのは當然であります。これを今言つたような方法によつてなすならば、百や二百の税金を拂いましても、かえつて生活費に響くところの面は切下げが可能なのであります。だからほんとうに政治を國民のためにするならば、たとえば特別工作隊とか、工作突撃隊のようなものをわれわれがつくつて、そういう箇所に專門家勞働者を派遣し、一日も早くこういうものを直して、國民が一番惱み抜いておる電力の解決をすることによつて、あるいは事業場の生産の増強に役立つような方法にもなるものであります。具體的にあげればいくらでもしてもらわなければならぬ問題があるにかかわらず、こういうことについてはほとんど手がつけられておらない。電力が今日足りない、われわれがこんなに暗い生活をしなければならないということは、今始まつたことではございません。こんなことはとつくに前からわかつていることである。にもかかわらずこういう點について十分なされておらない。ですから私はとつた税をどういうように使うか、どういうようにしてほんとうに國民の納得のいくような方向に使つていただかなければならないということを、ここで強調しておきたいのであります。もしそうならば、今言つたようにわれわれとしましては、相當の負擔であるにかかわらず、今言つたように喜んで同調できると考えます。今日勤勞所得税という問題は、私は少くとも五分の一にする必要を認めておるものであります。五分の一というのは科學的根據をもつ意味ではございませんが、大體平和時における生活費の面から考えて、公課負擔の比率を考慮した場合に、大體今日の五分の一、金額の實額で申せば今の最低生活費の面から見て、大體百圓以下に切下げらるることが大事だと考えるのであります。そういう點でぜひとも考慮を煩わしたい。大衆負擔としての勤勞所得税あるいはその他の面につきまして、十分今囘の改正を期としてそういう點についての御考慮を煩わしたいのであります。
  20. 石原登

    ○石原(登)委員 安藤さんに二、三お尋ねいたしたいと思いますが、ただいまのお話の中に源泉課税の問題で、勤勞者は給料の中から給金が借籍なく引去られておる。こういうようなお話であつた。この意味は言いかえれば正しい收入の中から、正しく課税しようとして、正しくとられたものに對する、何か變な言いがかりのような氣がいたします。正しく税金をとるのが間違つておる。どうもこういうような印象にしかとれない。私は安藤さんが逆の立場から、それならむしろそういう人でない、いわゆる所得がはつきりつかめない人の税金を、いかような方法によつてとるか、こういう面に對する御意見を聽きたいのでありまして、正しい税金を正しくとることに對しては私どもはちつとも間違つていない。近時どうも國民の考え方が、悪の面ばかりを見まして、その面に自分たちの生活を結びつけていこうとする。たとえて言いますならば、何かやみ屋がもうかる。その不當なもうけの中で不當な生活をする。その面をすべての人が見てそれを今日の日本の生活だ、こういうような見方をする面があるのではないか。私はこれを非常に殘念に思う。私は今日勤勞者がやつているところの最低生活、これは正しい日本の生活である。一部のやみ生活は不當な生活である。それをいかような税制の改革によつて是正するか。こういう面の御研究を安藤さんには特にお願いを申し上げて、次の機會においてその點からの御意見を承りたいと考えております。それからただいまでの公述人のお話の中に、どうも大衆課税を忌避するような御意見がある。これはただいまでは新聞とか、各方面で大衆課税はいけないいけないと簡單に言つておりますが、大體税金はだれが拂うものであるか、私は税金は全般の國民が拂うものだと考えております。そういう見解からいきますならば、あなた方は今たびたびおつしやいましたところの大衆課税がいけないという御發言はすべての國民に對して税金を忘避させるような思想を助長することになりはしないか。皆さんはただいまでたびたび納税思想の昂揚ということをおつしやいましたけれども、今度大衆課税はいけないということは、多くの人にお前たちは納税をしなくてもよろしいと言うような結果になると私は考えるのであります。こういうような見解からただいま安藤さんからお話がありました點に對して、具體的にこういう面はこうしたならば、一般勤勞者とやみ所得者との間の均衡がとれるというような御意見がございますならば、承つておきたいと思います。
  21. 安藤政吉

    ○安藤公述人 お答えいたします。私は大衆課税に反對ではございません。言うまでもなく先ほど前提としまして、生活保障のなきところに一體課税ということがあり得るかということです。生活を保障するということを前提にし、だから最低生活費をベースとして、これによつて課税せよと言つたのは、そういう意味であります。私は取れるもの、持つておるものに課税されることは、少しも差支えございません。大いに勞働者でもサラリーマンでも拂うこと、むしろ餘計に拂えるような状態になることを、私は切望してやまない。  もう一つ、いわゆるやみ屋その他についての問題が出たのでありますが、これは私から申し上げる必要もないと思つたから、申し上げなかつたのでありますが、私は逆にこういうことを申し上げたい。まずそこらをずつとお歩きになつたらいい。いわゆる高級飲食店、キヤバレー、劇場というようなものがどんどん殖え、喫茶店と稱するものも到るところにあるのであります。そこで現實においてどういうことがなされているか。私は現在家族が非常に多く、生活に困窮しておる一人である關係から、コーヒーなどを飲むことはめつたにございません。しかしたまにおつきあいで飲む、私は銀座の松屋からこつちへ來たところのある喫茶店へはいりました。どうです白晝堂々、コーヒーが二十圓、ケーキが四十圓で、しかもその傳票には四囘分、いかにも飲んだような方法にして、拂わしておるのであります。さつそく私は京橋の警察署長宛に、はつきりとそれを申し込んだ。だが、もう三月近くになるけれども、返答一つないのであります。そこらにやみの物價がいくらもあるけれども、これに對して價格表示一つしてないのであります。これに對してどうしてもう少しはつきりした 國民に納得のいくような方法がとれないのでありましようか。こういう根本的な問題を取り上げずして、今日課税がいろいろやみ商人には技術的にできないのだとか何とか言われるけれども、もう少しスケールを大きくして、現在個々のやみ商人だけではございません。もつと大きく網を張つておるところのこのやみ屋を徹底的に取締まる。徹店的にいわゆる流通秩序の確立について、むしろこういうところを御研究になつてやつていただくことの方が大事だと思うのであります。われわれはただ單なる個々の店や何かを申し上げるのではない。むしろその背後が大きな問題になつておると考えるのであります。
  22. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ちよつと簡單ですが 一つ解せない點があるのです。電燈が暗い、電燈が切れることに對しましては、國民だれもが感じております。ところが安藤さんは電燈が切れる理由はダムの手入れをしないからだと言われました。これについて私はちよつと調査したのですが、現在電燈に必要なのは鐵とセメントだ。これが非常に不足しておるということは安藤さんも御存じだろうと思います。そういう點でむしろ私は勞働力が減つておる意味で電燈が消えるのでないと思いますが、そういう點で御調査になつたかどうか、お伺いしたい。
  23. 安藤政吉

    ○安藤公述人 一、二の例を申上げます。秋田縣の荒川という川の奥に温泉がある。そこに約五萬キロの發電能力のある發電所があります。これはまだ一箇月前私の親しくしておる人が實際に行つて見てきた話でありますが、わずかの水害のためにダムが壊れている。それをもう少し何とかならんかということで聞いてみると、約五人の人夫が川の中の石を拾つてモツコで擔いでやつておる程度だつた、もしこれに技術者を入れてやるならば相當早く進捗するはずである。しかし日發あたりで聞いてみますと、今いわゆる重要度からいきますと、石炭、鐵というように漸次發電關係は下げられて、勞務加配なども少いし、やみの勞働力を買うというようなこともございまして、なかなか思うにまかせない。殊に政府は終戰を機會に、三千八百萬圓それまで補助金を出しておつたのも中止したし、なかなか經營の上からいつて、殊に火力發電などは御承知のように焚けば焚くほど損をするという現状にある。ですから實際そういうことが相當可能な部分があつても、急速にやることはなかなかできないのだ。もちろん今おつしやいますように、材料その他の點がございますけれども、それに全力を注ぐことによつて一箇月掛るものが二十日で濟むというようなことがあつて、またそういう事實がわれわれ國民の前にはつきりと計畫的にされるならば、われわれはこの困難な情勢を十分認識して耐乏生活を甘受すると思うのであります。こういう點はほとんど一般にはわかつておりません。ただ今日のこのいやな暗い空氣だけを呪つておるわけでありますから、もしかりにこういう事情があれば、御承知のように進駐軍關係の資材の問題も、あるいは電力の問題も、いろいろございます。そういう點に國民が十分なる認識をもつておりません。そういう點を併せて皆さんの方から十分納得のいくように御説明があれば、一般は相當その點について緩和されるのでないかと考えます。
  24. 後藤悦治

    ○後藤委員 この機會に委員長に議事進行上希望しておきたいのでありますが、われわれこの公聽會をもちますことは、もつぱら今國會に提出されております所得税法の一部を改正する等の法律案竝びに非戰災者特別税法案についての一般の意見を聞きたいためであります。ところがややもいたしますると、論理が飛躍してただいま伺つておりますると、電燈が消えなければこの案を鵜呑みにしたらよいというようなことですが、私どもは少くともかような見地で公述人の意見を求めておるのではございません。現在の國家財政とにらみ合わせて、いかなる税體系を確立するがよろしいか、これらについて具體的な公述人の意見を聞きたいのであります。この趣旨に副いまするように、公述人の發言を整理されんことを望みます。
  25. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 御意見よくわかりました。不慣れのために手落ちであつた點も多々あると思いますから、午後からは十分に注意して委員會を運行いたしたいと思います。これをもつて休憩いたします。午後は一時半から開會いたします。     午後零時三十五分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十七分開議
  26. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 これより會議を開きます。  午前に引續きまして、所得税法の一部を改正する等の法律案及び非戰災者特別税法案についての公聽會をいたします。日本興業組合連合會の委員であられる林弘高氏にお願いいたします。
  27. 林弘高

    ○林公述人 ただいま御紹介にあずかりました日本興業組合連合會副會長林弘高であります。  すでにわれわれは去る七月中旬、映畫演劇興行の業種別引上と、入場料値上竝びにフイルム税撤廢と入場税を五割引下げていただきたいという請願を文化委員會を通じて國會に提出し、福田文化委員長の紹介によりまして、八月中旬、業種別引上と入場料値上は文化委員會の付託になり、フイルム税撤廢と入場税引下の請願は本財政金融委員會付託となつたのは御承知のことと思いますが、殘念ながら、税の引下どころか、税の引上が急激に起つてまいりまして、九月二十六日にわれわれは日本劇場で、まず全團に率先しまして、入場税引上絶對反對大會を、日本興業組合連合會、日本映畫演劇勞働組合、全國映畫演劇勞働組合の三者で合同主催しまして、各派の政黨人の御意見を徴したのであります。第一議員倶樂部からは堀江代議士、農民黨からは北代議士、自由黨からは上林山代議士、田口代議士、民主黨からは並木代議士、社會黨からは松谷代議士、共産黨から林代議士、こもごも御出席になりまして、本運動は當然であり、同時に文化面における大衆課税は非常に悪税である、われわれはこぞつて議會でこれに反對するという熱辯を頂載したのでありますが、殘念ながらその聲と反對に十割というものが確定したのであります。われわれはこの増税に對しましてどこまでも反對するという氣勢のもとに、十一月一日本議院に對しまして約五千の大衆デモを動員したのであります。そして片山首相に私個人お會いしまして絶對反對であるという決議文を手交したのであります。われわれは何がゆえにかく入場税の増税反對を叫ぶかといいますと、どこまでもこの重税の国民に及ぼす影響、いわゆる文化を通じて國民に及ぼす影響がどんなに悪いかという結果を一應皆さんとともに御檢討したいと思うのであります。いろいろな意味におきまして、敗戰後日本の映畫というものは殘念ながらよくないというようなことも聞くのでありますが、映畫政策の結果論は別にしまして、まず十五割の増税によりましてほんとうにこのデスク・プランが四十五億五千萬圓までに完金に徴收できるかどうかということを一應われわれの手で検討した面で御報告したいのであります。昨年の八月から本年の七月までの映畫動員數は約五億七千六百八十餘萬人であります。これが去る九月四日の入場税五圓が十圓になりましたことによりましてどういうような動員數の影響があつたかと申しますと、約三割五分の減少であります。これを六割五分方に換算しますと、三億七千四百九十二萬人という數字が出るのであります。これは最近の電氣事情を何ら考慮しない數字であります。完全に配電されるということによる動員數が三億七千四百九十二萬人、こういう數字なのであります。十圓で二十圓に上ることによつて、三割五分の動員數の減ずることを推定しまして、政府が提出しました。もし十五割を決行するならば、どういう數字になるか、われわれは經驗上、勘のゆきどころから考えまして、これがまた約二割五分減るであろうということを推定するのであります。すはわち五億七千六百八十萬人から三割五分と二割五分を減ずることによりまして、二億八千百十九萬人とわれわれは推定するのであります。九月から十月にかけまして、興業及び映畫は十圓アトラクシヨン十五圓、演劇は三十圓に物價廳の査定によりまして、これを一率に換算しますと、一人當りが八圓五十錢になるのであります。これをまず十五割の増税によつて減る動員數にかけますと、二十三億九千十一萬五千圓となる。もしこれに三五割を決行するとなれば、三十五億八千五百十七萬二千五百圓となるのであります。これはもちろんただいま申しましたように、完全な配電關係下の算定であります。最近の電氣事情はわれわれが痛切に困つておりますように一番悪い方向をたどつておるのであります。興行場もこれに洩れませんで、ひどいところでは一週間二日しか興行できません。普通三日ないし四日であります。これを一箇月に計算しますと、開場できるのは、いわゆる波状的に點滅をされまして、漸く完全に興行できるのは八日間であります。その最高は十六日であります。われわれは今までよく戰爭といい、戰後といい、統制經濟というものはただ數字だけを計上して辻褄を合せるものだと聞いておりましたが、この十五割の増税の内部を暴露しますと、電氣のついておつたときの數字の計算でありまして、停電を豫想しない計算そのものがここに出てきたのであります。完全に四十五億というものはとてつもない漠然たる數字であるということをはつきり皆さんの前に確言できるのであります。もし最悪の場合一週二日、最高の場合一週四日開場としまして、これを一月フルにやれない、いわゆる半月興行をした場合どうかと考えますと、先ほど申した三十五億八千五百十七萬二千五百圓、これのいわゆる半月興行でありますので、十七億九千二百五十八萬六千二百五十圓となる、これを四十五億に算定しております政代の數字と、逆の推定の數字が出てきやしないかとわれわれ興行の經驗から考えるのであります。お互いがほんとうに四十五億の數字が要るならば、二月の納税期までにいわゆる十億圓をほんとうに要するならば、かくのごとく辻褄の合わない數字を國民の前に披瀝して、これができるのであろうか、もつともつとわれわれの力を協力さして、今一應われわれにほんとうのことを言つてもらえば、もつともつとほんとうの數字をわれわれが出したのであると思うのであります。この點われわれがどういうふうに協力するかという點は、あとの部門で申し述べたいと思うのであります。いわゆる電氣を考えない入場税の増額、われわれ今日まで商工省あるいは大藏省の横の面に十分連絡のない日本政府に對しましては憤懣のきわみでありますが、これが事實今日まで行われた政治の面でありまして、われわれはかくのごとき税金の根源である業界になぜ電氣が送られないのであるかと申しますと、もちろん第一番に考えなければならぬ點は、文化の水準文化國家と言いながら、映畫が待合、料理屋、かつての女郎屋と同じように丙種の産業に押しこめられておる。これが税源の一番根本である入場料の上らない原因であり、そうして入場税の上らないということ自體は、この丙種産業によつてわれわれは禍いされておるのであります。今日映畫、ラジオ、新聞というものがともに世界各國同じような業種別に織込まれておるのに、敗戰日本は殘念ながら戰爭中といい戰後といい未だにこれに對して政府から甲種にあげようという運動が出ておらぬのでありますが、われわれはこれに對して眞向からどこまでも甲種にせよという運動を續けておるのであります。ようやく最近終戰後において甲種の處置がされた面が一つあります。御承知のように先般追放のパージパージは甲種別のものと同じように、われわれ映畫界、興行界のものはその面だけにおいては甲種の扱いをされたのであります。こういうように非常におもしろい面も政府當局としてはお考え願いたいのであります。もしこの電氣の面、業種別の面が開拓されるのであれば、興行に面はあながち十五割にせなくても當然に四十五億二千萬圓は、一人割にして八圓五十錢、先ほどの五億七千萬圓というものを算定しますとその數字が完全に出てくるのであります。このような數字を考えますときに、ただ漠然といつもながらただ數字の辻褄を合わすという趣旨でおることが完全にわかるのであります。なおもし十五割引上げることによりまして、ただいま申しましたように、約三割五分ないし二割五分というものは興行の收入面から減るのであります。減つたことによつて映畫製作の面と興行面がどういうように影響されるかということをみました結果、もう一遍皆さんに御報告してみたいと思うのであります。いわゆるこの二割五分を減ずることによりまして先ほど申したように二十三億九千十一萬五千圓、これにいわゆる興行收入の面の五〇%が映畫製作面にもつていかれるのであります。われわれがしこみと申しまして五割映畫の上映料にもつていかれるのであります、これを數字的に現わしますと、約十一億九千五百五萬七千五百圓であります。今洋畫配給をやつているセントラルを加えて、東寶、松竹。大映、セントラル、この四社が等分に配給することによつてどういうふうに各製作會社が受けるかという數字を檢討いたしますと、一社あたりが一箇年約二億九千八百七十六萬四千三百七十五圓。大體日本の興行館というものが、封切館が、百九十館、二番館、いわめるセカンド館が、現在千六百八十館、それから三番館が百五十館、約二千館ありまして、これをおのおの東寶、松竹、大映、セントラル各社が配給しているのであります。大體各四分の一あたりと見當つけられば間違いなのでありますし。そうすると一箇年の一社の收入約二億九千八百七十六萬四千三百七十五圓、これを一月に割りますと、約二千五百五十萬圓になるのじやないかと思うのでありますが、この收入の面におきましてほんとうに映畫製作ができるかということを檢討しますと、現在映畫製作を專門にやつておりますのは大映株式會社であります。大映株式會社は現在三千百萬圓、この數字がなければどうも經營ができない。この數字を基礎におきますと、大體約五百萬ないし六百萬が各社の赤字であります。セントラルは配給面だけでありますので、製作面に赤字は全然ないのであります。この面から考えまして、大映、東寶、松竹は當然に映畫製作の面では赤字であると、はつきりこれは申せるのであります。同時に興行の面では、從來の慣習によりまして、興行の經營というものには、基畫と、ニユースと、文化映畫というものをもちまして興行收入の五三%を充てております。家賃を一五%、宣傳、諸がかりは一〇%、人件費を一〇%ないし一五%、その他雜費を三%といたしまして、九一%ないし九六%が現在の日本の興行會社における數字であります。獨立興行者もこの例にならいまして、大體興行收入面の九一%ないし九六%を經營に充てておつたのであります。利益と申しますのは辛うじて四分ないし五分であります。そうすると、どういうふうにしてほんとうの經營ができておるのかと申しますと、インフレに對する人件費の向上、これに對する安定というものは大會社は別としまして、小さな獨立興行會社は、人件費の約一〇%あるいは一五%、そのうち何パーセントかをさいて自分の方の利益に充てる、あるいは自分のもつている家賃というものの償還をみないで、これに對して當然に自分らの利益をば算定しているのでありますが、いずれにしましても、完全にもこれをやりましたところで、現在の面では業者を一割の利益しかありません。しかしそれに對するインフレの高進による人件費の向上、資材の暴騰、その他あらゆる修繕費の暴騰を考えますと、利益面は辛うじて一五%の自家家賃をみる以外にはないのであります。その他は殘念ながら、いろいろな面における不正行為がありはせぬかというのでありますが、その面は赤字赤字の補填ではつきり申せませんが、一部においては經營の困難による一つの不正行為がありはせぬか、これはわれわれもはつきり黙認するのであります。いずれにしましても、興行の面、製作の面から考えまして、現在十五割がそのまま決定されるとなりますと、二割五分の減收というものが、仕込みに關係なくて、興行の收入面によつて經營のアンバランスが次から次に起つてくるのであります。こういうふうな面から考えましても、どうしても十五割は絶對に無理である。もし十五割が無理であるならばどうすればよいか、非常に困難な状態でありますが、税の根源である興行收入の面に對する電氣の配給、同時にこれに對して萬が一これができずともこれを緩和していただいて、それに伴う現在十割でありますが、十割による三割五分の動員數が自然に解除されて、われわれの現在考えておりますのは一割五分減ではないかと思うのであります。さすればいわゆる五割の増税をも二割ぐらいに抑えておつても無理ではないのじやないかと考えるのであります。その場合におきましても、今度の税制改革で免税點が約三圓ということになつておりますが、三圓では見るものも、あるいはこれに對する映畫製作面、あるいは興行面全部が無理であります。こういう面を考えましても、國税の文化の向上、その他映畫に對するもつともつとよいものをつくるというような面からする免税點におきましても、三圓を五圓まではどうしても上げてもらいたいというのが業者の聲であるのであります。  映畫以外に、しからば十五割上げた場合に演劇はどうなるかということを考えますと、この十一月におきまして押すなすなの東劇の忠臣藏の三一月興行でありますが、これが現在推定しておりますのが、一箇月二十五圓といたしまして、四百四十五萬圓、仕込が四百十七萬圓で、あの初符さえも取り得ない東劇で辛うじて二十八萬圓ぐらいの黒字でないかと思うのであります。東劇のモデルだけでは演劇の興行がどうこうと言えませんから、試みに七月、八月、九月の帝劇の威績を見ますと、入場税拔きで四十圓の帝劇が、藤原義江君のタンホイザーで上りが九十一萬九千圓、これに對する仕込が百二十八萬九千圓、差引三十七萬圓の赤字であります。八月は新生新派でありますが、これまた税拔き四十圓で、百二十一萬圓の上りでありまして、仕込が百六十四萬四千圓、差引四十三萬三千三百圓の赤字であります。七月は八犬傳の通し歌舞伎で、この上りが百二十三萬五千圓、これに對する仕込が二百十六萬四千圓、差引九十二萬九千圓の赤字であります。この赤字に對するいろいろな仕込、この面に對する檢討の要がありますが、あらゆる面で芝居というものは現在赤字々々で追われている。辛うじて松竹と東寶のみが純演劇を目指して、できる限り日本の演劇方面を殘したいということで專心しておりますので、この赤字克服をしながらも、演劇の一つの本筋道をたどつているのであります。他の演劇方面におきましては、大體において東京における演劇場というものは、現在淺草の松竹座、常盤座、新宿第一劇場、これはすでに映畫に轉向いたします。東劇、帝劇、三越劇場は辛うじて六軒であります。地方においては、すでに運賃の値上、資材の面からしまして、芝居小屋というものは刻々となくなつてきているのであります。芝居のなくなることがよいか悪いかは別といたしまして、演劇に從事しているあらゆる俳優、從業員の面におきましては、とにかく演劇のよい悪いは別にしまして、客の來る、來ぬということのいわゆる營利主義に傾いて、たとえ一圓でも十圓でもほんとうに思想的な、あるいは情操教育になるということも今日考えないで、營利本位に現在演劇そのものは進んできておるのであります。こういう面を考えましても、映畫といい演劇といい、あらゆる面からこの五割の増税によつて現在は刻々として赤字により以上の拍車をかけておるのであります。この面から考えても、われわれが先ほど申しましたように、どこまでも五割の増税は絶對に反對であります。できうる限りわれわれとしてはまずこのデスク・プランを一擲していただいて、電氣の緩和、同時にこれに對する免税點の引上げ、三圓ということでなく五圓にまで引上げてもらいたい、同時に五割の免税點でなくて、どこまでも五割という點を二割で止めていただきたい。決して今日の追加豫算に對するあらゆる面において全部に反對しておりません。でき得る範圍において、いわゆる數字の上から見て電氣の緩和と、三割五分の動員數が一割五分になることを豫想しておりますので、まず二割の増税により十二割程度に置いてもらうことがいいのではないか。これによる益金も興行の面に從事している約四萬五千の從業員、一家族全部四人パーといたしまして十八萬、この全部の今日の生活の面を考えるならば、あらゆる大衆課税の面からしましても、從業員の面からしましても、政策の面からしても、今日の五割はむりである。このような面でどこまでも押し進むならば、むしろ今日の配電關係をもつと悪化させて、同時に十割の税金を二十割でも三十割でもとつて、當然に日本の今日の敗戰の國民には映畫も演劇も要らぬ。當分の間は芝居を見ずとも、映畫を見ずとも、どこまでもやつていけ、というような一つの斷固たる方針をとつてもらう方がいいのじやないか、生殺しにされるよりも、業者全體の聲としては十五割の中途半端なものよりも、配電がうまくいかないならば三十割――三十割と言えばもうすでに興行はできません。興行ができぬことを豫想して、當然に映畫演劇は敗戰國民にはむだであるから止めろと言つて、いただく方がわれわれ業者としても死にこたえがいい。諦めがいいと思うのであります。どうか皆様におきましても、この面においてもう一遍檢討していただきまして、五割の増税に對するあらゆる増税には反對しませんが、五割の面に對するこの意見を考慮されまして、最高十二割という點でやるならば、われわれは決してこれに反對はしないということを確言しまして意見にかえたいと思うのであります。
  28. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 ありがとうございました。
  29. 後藤悦治

    ○後藤委員 公述人に伺いたいと思います。ただいまの入場税に關する業者としての御意見をいろいろ伺つたのでございます。私午前中の際にも發言をしておいたのでありますが、私どもの本日の公聽會において最も伺いたいと思うことは、いわゆる陳情的な御意見でなく、建設的な御意見竝びに最もと肯き得る妥當な御批判を伺いたいと考えておつたのでございまして、少くとも議員はこれを國家財政、當面追加豫算の關係からいたしまして、どう處理するかということを現實に議了していかなければならない責務をもつておることは御承知の通りであります。少くとも私ども自身たちおのおのが大藏大臣の觀點からものを見ていきたいと考えておるのでございまして、その立場の私どもが公述人の皆さん方から伺いますることは、むしろ陳情でなくして、國士として私どもがその立場で審議をいたします上に、さらに世間の輿論の批判にどう映つておるか、こういう點が最も伺いたい點でございまして、少くとも今後述べていただく方からはその大所高所から私どもを稗益すべき御意見を多く聽かしていただきたいと思うのであります。なおただいまの林公述人の御意見でございますが、文化國家の建前から入場税が過度に多額に失するということについとは私どもも必ずしもいいことであるとは考えておりません。もつぱら國家財政という點から申しましての不可避な手段と考えておるのでございまして、もとより文化の面から、あるいは國民慰樂の面から考えまして、これに高率の税を課すべきでないという原則論としては私どもは承知できるのであります。しかしながらただいまの御意見を伺つて痛感いたしますことは、一方的な御意見のように陥つてはいないが興行界自體だけを私どもは考えられないのでございまして、文化の高揚竝びに國民慰樂という點から映畫演劇を私どもは重視はいたしますけれども、さらに電力事情から考えますと、積極的な生産面ということとにらみ合わせなければなりません。しからば消費部面に對しまして、おのずから電力を供給し得るところの限度もあることになつてくるのであります。もうひとつは演劇界の將來の消長について言及されたのでございますけれども、私どもはしからばかりにただいま公述人の御意見の十二割に引下げました場合に、これの企圖いたしましたこの分野からの歳入減をいかなる他の方途に求めるか、あるいはもしかりにただいまの御意見を敷衍いたしますと、十二割にしても人數が増せばすぐに金額が上るではないか、十五割にしても入場者數が減れば金額が減るのではないか、こういう御意見のようにも推察することができるのでございまするけれども、この點に關しまして、もしも今日の業界はしばしば私どもが聞くところによりますと、入場税に對しても必ずしも完全納付をいたされておらないやの噂もしばしば聞くのであります。また演劇界の赤字につきましても、ただいまるる御説明がありましたが、私ども一面を見ますると、他の生産事業株に比しまして、演劇映畫の株が非常に優位にある。こういう現象も私どもはその反面として見ておるのでございます。これらの見地からいたしまして他の部面に財源を求めないで演劇映畫の入場料限りにおいて考えるならば、はたして公述人の方におかれては國家が狙つておるところの歳入を狂わせない他の建設的な方法があるか、ただいまお述べになりました點から考えられますような十二割にすることによつて人數が殖えるのではないか、こういう御論據であると思いますが、その根據の點について一應承つてみたいと思うのであります。
  30. 林弘高

    ○林公述人 お答えいたします。電氣の面におきましては當然に興行の面だけではありません。今日國家苦難のときにおきまして、當然な面と思いますが、御參考までに申し上げます。現在映畫館二千人に對する電力がどれくらい使えるのかと申しますと、一箇月當り日本の隅々までの小さな小屋をまぜまして、平均的十二キロ・ワツトでございます。二千館で二萬四千キロ・ワツトであります。これを終戰前の興行用に六五%、一般の需用が一三%七というような數字から考えまして、割當てますと、一日の二千の小屋がフルに開館しまして、十時間の興行による電力量が全國の二分四厘であります。非常にわずかな面であると思うのであります。それからただいま御質問になりました財政のあらゆる面から、いわゆる十五割による動員減と、これを十二割にした場合の動員増、これによつてどうなるか、御承知の通りその説明が私どものねらいであります。四十五億五千萬圓、これの四箇月に對する數字が三億圓になるじやないかというのがわれわれの實際の計算であります。もしそれを減額するというようなことに對しましては、われわれはどこまでも減額しない、いわゆる豫算にあげられた數字に到達するのではないかということがわれわれの計算でありまして、この少くなつたことをどの財政面で補うということは、はなはだ菲才淺學で他の財政の面から補うということ自體の案はもつておりません。
  31. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 なおこの際後藤委員の先ほどの御發言に對して私の考をちよつと申し上げておきたと存じます。公述人の方の御公述願う範圍をどうするかという問題で午前中にも後藤委員からお話があつたのでありますが、私はもちろん大きくは本日議題になつております所得税法の一部を改正する等の法律案非戰災者特別税法律案について御公述を願うことでありますけれども、その範圍におきましてそれぞれ御公述人のお立場から御意見を十分におつしやつていただくことは一向差支えないじやないか。私どもがいろいろに伺わせていただいた上で、これを適當に判斷して、どういう工合に税法の上に反映していくかということは私どもが判斷といたすのでありますから、それぞれの方々の御意見はむしろ忌憚なくお聽かせ願つて、それを取捨選擇させていただくのがいいじやないかと考えております。その意味で時間の制限の許す限り忌憚なくおつしやいましていただくことを希望いたします。  それでは次に全國農業會の農政部長であられる野村千秋氏にお願いいたします。
  32. 野村千秋

    ○野村公述人 全國農業會の野村でございます。私は農民經濟の立場から本日の案件に對して若干御意見を申し上げてみたいと思います。  最初に申し上げます點は農民の擔税力の問題に關連しまして、最近の特にインフレーシヨンの激化しつつある條件の下における農民經濟の模様をごく概略申し上げてみたいと思います。實は資料が十分手にはいりませんために思うような實情の御報告ができないのでありますか、私どもの手にはいり得る限りについての一つの傾向を申し上げて御參考に供したいと思います。それは最近の農家經濟の收支の状況はどうなつているかという問題でございますが、これは便宜上昨年の一月から六月までと、本年の一月から六月までの中間的な數字を申し上げまして、その同じ期間における一つの數字を比較することによつて、私どもが現在農民經濟の動向を判定すべき一つの指標にしたいと思うのであります。これによりますと、農業の收入は昨年に比較して六〇%の増加を示しております。農業以外からの收入も大體六〇%の増加をいたしております。從つて農家の總收入と稱すべきものはやはり六割の増加となつておりますが、これに對して農業關係の支出は約二、七倍、三倍近い増加となつております。家計費は別に申し上げますが、農業以外の支出が大體昨年と同樣であります。租税公課は昨年の十一倍半になつております。これは臨時的な國税の徴收があずかつて力あると思うわけでありますが、以上合計しますと、農業關係あるいは農業以外の支出竝びに租税を入れた支出の合計をみますと、昨年の三倍強になつております。先ほど申し上げた農業收入から農業支出を差引きました農業所得の合計は、昨年に比べてわずかに三割五分の増加に過ぎません。この農業所得でまかなうべき家計費の増勢振りはどうであるかと申しますと、家計費は、生活上の支出は約二、三倍という形になつているわけであります。これはいわゆる農家の手から口への自給的な部面も考慮してのものでありますが特に擔税力の問題の直接の基礎となる現金の部分現金收支のみについて考えてみますと、農業收入は前年に比べて六〇%の増、農外の收入は五〇%の増 合せて五五%の増加になつております。現金についての農業の支出は昨年に比べて二、九倍、約三倍に近い増加となつております。租税公課は、これは全部が現金で納付されているようでありまして、前に申し上げた十一倍半の増加になつております。總支出をみますと三・六倍の増加になつておるのであります。農業經營關係の收支、すなわち農業所得の概算をいたしてみますと、收入における六〇%の増に對して支出における三倍近い増の結果、農業所得の概算はわずかに八%の増加に過ぎないのであります。これによつてまかなうべき家計費の支出の増加振りは、自給の部分までも含めた場合におきましては二倍とわずかでありましたが、現金についてのみ申し上げると三倍強の増加となつておるのであります。これらの事情を御説明申し上げますと、いわゆる手から口への犠牲的な一種の家庭によつて行います價値評價を除いた現金の部面だけについて申し上げますと、これは農業收入の六〇%の増加に對して農業支出は三倍に近い増加振りを示しておる。農業所得の概算はわずかに八%の増加にすぎない。この所得によつてまかなうべき家計費の増加率は、昨年に比べて三倍を超える増加の趨勢を示しておるのであります。これを見ますと、農民經濟におきまする經營及び生活の總結果というものは、昨年においては約二千六百圓程度の黒字となつておつたわけでありますが、本年は逆に五千圓程度の赤字を出しておる現状であります。これは六月における中間結果でございまして、その後における收支の模様は判明いたしませんので、數字そのものについての判断はできないわけでありますが、一つの傾向として見ると、われわれはここに重大な問題の潜んでおることを考えさせられるのであります。このような事實は何を物語つているかと申しますと、インフレーシヨンの進行によつて農業收入は名目的には明らかに増加しておる。しかし農業方面の支出竝びに家計上の支出は、より急テンポの増加を示しておるのでありまして、しばしば指摘されまする鋏状價格差がインフレの進行とともにますます擴大いたしまして、突極においては農業所得の相對的な減少。ときには絶對的な減少をも來す可能性があるということを示しておると思うのであります。特に先ほど申し上げました農業所得の性格でございますが、これは乙種事業所得の場合においても相當問題となるべきものでありますが、日本の農業におきまして、いわゆる農業所得というものは、實は見かけ上の所得である。すなわち所得は、先ほど申し上げました農業支出の中には家族の勞働は全然評價されてはいつていないのでありますが、この家族の勞働報酬になる部分、これは農業所得の約八〇%に當つておる。家族の勞働報酬になる部分と農業資産からの所得と見るべき部分――これは約二〇%と見ておりますが、この兩方から減つておるのでありまして、いわゆる利潤と申しますか、企業益というものに相當するものは、日本の農業においては成立し得ない事情にあることは申し上げるまでもないのであります。しかもこのような農家の家族の勞働報酬はその地方の普通の日傭勞賃に比して七〇%程度にしか當つていない實情であります。從つてもし農民が附近の一般の農業日傭勞賃竝の報酬を要求するとすれば、農民經濟は絶對的な赤字になることは明らかであります。すなわち農業所得の實態は、農業日傭勞賃の七〇%前後しか當らないところの勤勞所得であつて、決して事業所得としての性格はもつていないのであります。さらにただいま申し上げましたような關係を、同じ農民と申しましてもピンからキリまであるわけで、大きい農民と小農あるいは貧農と申しますか、そういう農民の階層別に考えてみますならば、インフレの影響は、先ほど申し上げましたような事情は、小農なり貧農ほどはなはだしいのであります。それはなぜかと申しますと、農業支出なり家計費の支出におきまして、自給生産に依存する部分が小農によればなるほど少いのであります。また物々交換的な物資もきわめて少い。從つて家計取引にさらされる面が非常に多いわけでありますから、インフレーシヨンの影響は、よきにつけ悪しきにつけ非常に直接的であり、先ほど申し上げましたインフレーシヨンの農村に及ぼす影響は、農業が小さくなればなるほど露骨に出るものと見なければならないのであります。農業所得の勤勞所得的な性格――農業所得が勤勞所得であると私申し上げたのでありますが、そういう性格はさらに小さい農家において一層判然といたしておるのであります。ただいま申し上げましたような擔税力の問題を判斷する基礎としての農家經濟の實情を要約いたしてみますと、現在の農民經濟に對しましては、農民がインフレーシヨンによる利得者であるというような見方が一方において相當あるのでありますが、それは實は一部の特殊の地方であるとか、あるいは相當裕福な農民であるとか、そういう特殊な事例に對する評價をもつて、全農民の經濟を類推しておるという誤りを犯しておるものでありましようし、また名目上の農産物の値上り、あるいは農業收入の若干の増加をもつて、ただちにそれが農業所得の増加であるというような臆測をすることから來るのでありまして、その實態は決してそうでないことは以上申し上げた通りであります。農民經濟の中に新しい税源を見出そうとする意圖は、右のような誤つた觀測に基いて、農民の擔税力が増加しておるという認識によるものとするならば、このような考えには私どもとしては贊成し得ないのであります。  次にそれでは農民の負擔の現状はどうであるかと申しますと、これは官廳方面の統計を申し上げるわけでありますが、昨年一箇年の租税と本年度における推算租税とを比較いたしてみますと、二十二年度は農家の所得が一五〇%に對して、租税公課の率は二八八%、二倍強の増加になつておる。農民の所得に對する租税公課の割合は三割六分の多きに達しておるのであります。さらに同じ官廳方面の統計から業態別の租税公課の比較をいたしてみますと、給料生活者が所得に對して租税公課の割合が一二%、商業者が三三%、農業者が二九%、こういうような數字を得られるのであります。これはここ約一箇年間における租税公課が三倍近く上つておる、そうして所得の増加率五〇%をはるかに引離しておるという事實、またもう一つは、このような税負擔の急増が、農産物價格の問題と相まつて、農業經營を一層縮小するような傾向をますます助長いたしておると見なければなりませんし、農地改革によつて行われつつある自作農化への一つの危惧となつて現われていることについても、私どもはいろいろな方面から聞いております。給料生活者と農業生活者との負擔の不均衡の問題でございますが、これは特に重視すべき問題で、先ほど農業所得が勤勞所得としての實態をもつているのだということを申し上げたのでありますが、その點から見ると、農業者の税負擔は給料生活者に比べて著しく不均衡であるということが言えると思います。  そこで次に本日問題になつている所得税改正の問題について、意見を結論だけを先に申し上げてみたいと思います。所得税については新圓階級への重課という趣旨に照して、原案よりも累進傘を一層引上げていく必要がある。そして税額の最高限度をさらに引上げていく必要がある。その一面給與所得に對する控除額を最高限度に引上げる必要がある。扶養家族の控除額の引上けをもう少し考えていただきたい。農民の立場から見ての勤勞所得の問題に觸れるゆえんは、ただいまの都市の勤勞者は農村からの二男、三男が相當多いわけでありまして、これらの人々の生活の窮乏は、ただちに農民自體に影響をもつものが多いのであります。この意味において勤勞所得の問題につき、私どもは農民の立場からこのような意見を申し上げるわけであります。  酒税の問題は、農民なり一般勤勞者に對するいわゆる大衆課税的な性質をもつていることは申し上げるまでもないのでありますが、特に農民の立場から考えますならば、清酒については租税の總額をもつと低いものにしていく必要がある米の値段が非常に安いことを農村では強調しておりますが、その安い米と高い酒とが時價に比較されることにより、最近とみに普及しつつある自家用酒の密造を助長する危險となるのではないか。これはもとよりいろいろな方法によつて防いでいかなければならぬわけでありますが、少くともそのような農民の行為を現實に解決し得ない實情を考えると、酒税の増徴がさらにこの傾向に拍車をかける危險なしとしないのであります。  さらに税制問題の一つの項目として、租税の賦課徴收について適性な運營をはかるための措置を考えるというのがございますが、私どもとしてはこれはぜひ實現するように御心配をいただきたいと思います。特にそれと關連して乙種事業所得の問題について、二、三賦課徴收の運營を適正化する場合の希望を申し上げますと、農業所得決定の方法を法規において明白にする。實は農業所得の算定は非常にむずかしい問題でありますが、これが税務署の管區により非常にまちまちである。われわれは少い租税を負擔することによつて、當然の義務を免れようとするのではないのであつて、要するに合理的な基礎によつて租税を出していこう。客觀的な均衡の上に立つて納めるべき租税を納めていこうという考えが根本をなさなければならないわけでありますが、農業所得の調定をする場合におきましては、その具體的な徴税技術その他調定の問題を技術的にも法規の上に明確ならしめる必要がある。それから所得の調査委員會がありますけれども、これは各種税別に委員會を構成する必要があるし、さらにその委員は公選によつて職能代表的な性格に切り替えていく必要かある。すでに各地の所得調査委員の方々の職業なり、それらを見ますと、直接農民的でない人たちによつて占められている面が非常に多いのでありますが、そういう點をこの際の改正において考慮する必要があろうと考えるのであります。それらの事情と關連しまして課税の基礎となるべきいろいろな數字が必ずしも公開的に扱われていない。このことは無用に問題を複雜にし、摩擦を起させる途にもなつておりますので、これらはいつでも公開できるような形にする必要があるのであります。ある税務署においては、官廳が調査に行きましても、祕密主義を守つて見せないというような状況であります。これでは適正な租税の賦課を期し得られないわけでありまして、今後いろいろな意味において、相當租税が多くなつていくということを豫想します場合におきましても、その點をはつきりする必要があると思うのであります。  それから非戰災者特別税についての問題を申し上げますと、私どもの關係しておる農村においては、ほとんど全部が非戰災者というふうに假定できぬわけであります。賃貸價格をかりに五十圓と假定いたしてみますと、非戰災家屋税で百五十圓、非戰災者税で百五十圓、合せて三百圓の負擔となるのであります。これは前に申し上げた農村の擔税力の現状に照して、私どもは決して農民の納得のいく新税ではないと思うのであります。それからこの税の創設の趣旨は、犠牲の不均衡を是正しようというところにあるようでございますが、農民はたまたま家こそは燒かれなかつたわけでありますが、從來國民一般の共通的な戰爭の犠牲は當然負つておつたわけであります。そのほかに農業特殊の犠牲を今までいろいろ甘受して來たわけであります。その大きいものは馬等の徴發であります。形はただいま殘つておりませんが、大きな犠牲であつたわけであります。もう一つより普遍的な問題は、地方の消耗、これは掠奪農業をやつてきておりましたために、非常に大きな地方の消耗を來しているわけでありますが、これは數字の上にも現われないし、國民の常識にも通りにくい問題でありますが、農民としては實に重大な問題であるわけであります。こういうことを考えますると、農民の家屋というよりも、一種の作業小屋に等しいような、あのような家屋に對して、この際新税を創設するということについては、税率のいかんにかかわらず、私どもとしては贊意を表し得ないのであります。要するにこの問題に關しましては、國民の犠牲の均衡をはかろうとすることが相當大きなねらいになつておるようでありますが、私どもがかりに建設的な政策をこの場合に創定し得るとしますならば、このような税制の體系とは逆な方向が考えられると思うのであります。それはむしろ戰災によるところの――たとえば家屋の燒失に對する住宅問題を積極的に解決することによつて戰爭の犠牲を解決する。輕減する。こういう方向をとらずして、この政策におきましては、より低い、より犠牲の多いものを標準にして、そうしてわずかな作業小屋に對して課税をする。こういうやり方は私は非常に重大な問題であると思うのであります。このような方向で今後の問題を處理していくとするならば、より犠牲のひどい、よりみじめなものがだんだんと新らしい基準になつて、そうして無限に税源が見つけられる危險があると思うのであります。これは私は決して建設的な政策ではあり得ないと思うのであります。  もう一つは、國税が地方税に對する指導的な役割をもつ。かりに國税がいろいろとこのような方向において新たな税源を求めるというふうな方向に向いますると、地方においてはそれに右へならえをしたり、あるいはそれに類するような方向にいくことは當然考えられるわけであります。從つてその意味においても、特に今囘のような場合におきましては、租税體系全體とのにらみ合わせも考えて、十分新税の創設には十分愼重な考慮を拂う必要があると思うのであります。私どもは先般問題になりました土地の登録税でありまするとか、使用税の問題については反對をいたしたのでありますが、傳えられるところにおいては、地方税としてそういうようなものを取上げようという動きもあるようでありまして、これらについても、私どもとしては相當重大な關心をもたざるを得ないのであります。ちよつと長くなつて恐縮でございましたが、以上で終ります。
  33. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 ありがとうございました。野村氏の御意見に對して、何か御質疑はございませんか。――御質疑もないようでありますから、次に日本興業銀行總裁岸喜二雄氏にお願い申し上げます。
  34. 岸喜二雄

    ○岸公述人 このたびの追加豫算におきましては、要求額千數百億に上るというように承りましたが、それを九百億臺に止め得まして、ともかくも一應赤字なしの健全財政の形をとることができましたことは、國民といたしまして當局の勞苦を多とするものでございます。しかしながらそのために歳出歳入兩方面におきまして、相當の無理があることを感ずるのであります。特に財政の赤字を金融面に轉嫁されたきらいがあるように思われます。この點につきましては、いわゆる歳出歳入のタイミングを合せるという點につきまして、さらにさらにわれわれは萬全の策を要求したいのであります。上半期におきまする税收は二百六十億ありまして、總額千三百億の税收中の二割に過ぎないのであります。下半期におきまして千五十億以上の税收を必要とするのでありまして、特に第四四半期におきまして八百億以上の税收をあげなければならないというに至りましては、はたしてうまくこれが實現できますかどうか、疑問なきにしもあらずであります。特にこのために金融の引締りを來すということが豫期されるのでありまして、この點につきまして生産の増強に響くことがありはしないかということをおそれるのであります。  さらに個々の税金の問題でありますが、まず法人税について申し上げます。當初案によりますと、超過所得税の税率の引上を計畫されたようでありましたが、それが中止になりまして、同族會社の税率の引上だけに止まりましたことは、資本蓄積上賢明な措置であると信ずるのであります。株式市場の打開ということは、今の日本の經濟におきまして、最も喫緊なことの一つであります。さらに財閥の解體、あるいは閉鎖機關の整理、あるいは財産税の物納によりまするところの株式の處理、これらの株式の大量處分は、百五十億かあるいは二百億にも餘ると想像されるのであります。そのほかに集中排除の計畫があります。また企業最建整備におきまして、再建企業が自己資本中心主義をとられますために、これらを合わせますと、先ほど申し上げました百五十億あるいは二百億のほかに三百億、つまり總計四百五十億かあるいは五百億の大量の株式を市場で消化しなければなければならないということになつております。こういう状況を考えますと、法人が配當をなし得る状態にできるだけ置いてやらなければならないのだと思います。政府におきましては、法人の配當制限令を緩和することにきまつたそうであります。この點は一つの障害が除かれたものと思いますが、さらに法人税につきましても、なお考慮すべき餘地があると思います。本案によりますると、法人税は歳入總額につきまして三・二%というようなパーセンテージを示しております。想像以上に歳入全體におけるウエートは小さいのであります。從いまして多少ここに税人税の税率引上が行われましても、これは他の行政整理その他によりまして、補填する途があると考えられます。のみならずただいまのところでは、會社が五分の配當をいたしまするにつきましては、一割五分以上の利益をあげなければならないのであります。現在そういう利益をあげておる會社は、經濟情勢上非常に少いのであります。しかしながらまた一面におきましては、あまりに税が高いために、會社におきまして浪費が行われるというふうなきらいもあるのであります。ここに法人税の税率が多少遞減されまして、先ほど申し上げました配當制限の緩和と相まつて、會社が配當することがより以上容易になりますならば、大量の株式處分も一層容易になるわけであります。この點におきましてさらに本案よりも一歩進めて、法人税の税率の遞減を考えていただきたいと思うのであります。さらに法人の課税につきまして、現在は賦課が非常に低い法人があるとともに、また新しくできましたものにつきましては、非常に賦課が高いというような、非常な不均衡な状態を呈しております。これにつきましてその償却の方法につき、税務署の認容範圍につきまして、均衡をもとる必要があると考えられるのであります。  次に非戰災者特別税につきまして意見を申し上げます。本税は戰災者の精神的な打撃を幾分でも緩和する、やわらげるというふうな意味をもつておるのであります。個人におきましてはこの點は非常に意味が深いと思いますが、法人におきましては、それほど大きな意味をもたないと考えます。のみならずこの税の課け方につきまして、課税標準が現在の賃貸價格をそのままとりまして、それの三倍とか、あるいは六倍というふうな課け方をされます。これははなはだ適當でないと思われるのであります。もし財源が許しますならば、この適當でない課税標準を、なるべく低廉な課税にしていただきたいのであります。特に法人の課税につきましては、當面の運轉資金にも困つておりまする現在の會社と現状に鑑みまして、本税は諸會社の生産資金を壓迫し、原材料の手當にも支障を來のおそれはないものかということをおそれるのであります。さりとてこれを金融機關の融資で賄うことは、實際上不可能でございます。こういう場合が非常に多い。ある會社につきましては千萬圓の賃貸價格をもつておりますが、これの六倍、六千萬圓という税金を拂うことはとうていできないのであります。結局は金融壓迫の折柄、さらに日本銀行の貸出しを請わざるを得なくなりはしないか。從つてインフレをその面で促進することになりはしないかということをおそれるのであります。またこの場合税納負擔額をもつて特別損失としまして、資本あるいは債券の負擔によつてこれを處理するといたしましても、その結果は金融機關、從つて從來の預金者の負擔を増大せしめ、あるいは國家補償をさらに増加させるような結果にもなります。擬制資本の打切でもつて、インフレ促進の刺戟を緩和しようとした目的にも、また反するものが生ずると思います。そこでできるだけ税率を低くしてもらいまして、この弊害を少くされんことを希望するのであります。  なお本税を實施するに當りまして、經濟團體連合會におきましては、次に申し上げるような諸點につきまして、愼重配慮をせられるように希望しておるのであります。第一は非戰災者税については戰災者、引揚者のほか在外資産、あるいは賠償指定物件について、一定割合以上を失つたものは免税することといたしまして、また特經會社で特別損失がすでに資本、債權に及ぶような状態にある場合には、減免されたいこと、非戰災家屋税についても、特經會社の特別損失がすでに資本、債權に及ぶ状態にある場合には、これを減免されたいこと、さらに進駐軍接收建物竝びに終戰後火災、水害等によりまして失つた建物につきましては、非戰災家屋税を減免することとし、かつ同樣の理由ありと認められる物件につきましては、納税者側から事情を具して減免の申請をなしてもらいたいのであります。災害によりまして喪失したものにつきましては、政府案におきましても減免税をするようになつておりますが、さらに今申し上げた點につきまして考慮を要すると思うのであります。  次に法人課税上の經理措置につきましては、これまたこの措置のいかんによりまして、企業は重大なる影響を受けるのであります。法人の非戰災家屋税は當該建物が負擔する一囘限りの課税でありますから、會社の選擇によりまして不動産取得税、登録税等と同じく、税額をその記帳價額に加算し得るごとくの經理上の特別の措置を講ずることとせられたいのであります。さらに納税資金につきまして、これを金融機關に負うことは、實際上困難であるものが非常に多いのであります。從つて延納、あるいは國債、公債その他そういう有價證券による代納、あるいは増資株あるいは新發行社債によりまして代納するように認められる必要があるのであろうと思います。延納につきましては政府案にも考えられておるようでありますが、なおこれでは十分でない、たとえ決定されましても、實際上收入にならない面が多分にあるように考えられるのであります。この點につきまして、先ほど申上げた適當な措置を必要とすると考えます。  さらに少し細かくなりますが、法人課税上の經理上の措置につきまして、なお特別經理會社における税の負擔を新舊勘定いずれに屬せしめるかによりましては、今後の産業金融に及ぼす影響もまた非常に違つてくるのであります。この點については經濟團體連合會におきましては愼重檢討を加えました結果、左のような結論を得ております。これにつきまして考慮を願いたいのであります。  特別經理會社並びに金融機關に對しては次のごとく措置する必要があると思います。第一に非戰災者家屋税については、指定時現在の舊勘定に所屬する家屋の分は舊勘定で負擔し、新勘定に所屬する家屋の分は新勘定で負擔するようにされたいのであります。  次に非戰災者税はその本質が動産税であることに鑑みまして、實際上動産の大部分を所有しておる新勘定が、原則として金額を負擔するものとしたいのであります。但し事業轉換等の理由によりまして、舊勘定の動産所屬割合が特に大きい場合には、動産の所屬比率に應じて舊勘定が負擔することとしたいのであります。次に金融機關の非戰災者税については、金融機關經理應急措置法の經費分擔の原則によりまして、總額の二割を舊勘定、八割を新勘定の負擔とせられたいのであります。次に法人の非戰災家屋については先ほど申上げたように、會社の選擇によりまして、税額をその記帳價格に加算し得るごとく特別の措置を講ぜられたい。かように法人の非戰災者税は會社經理の現状から見て、これを一時に損失に計上することは適切でないと思われます。よつてこれを繰越經理を認められたいのであります。以上のような點につきまして、經濟團體連合會におきましては、各團體の意見が一致しておるのであります。これらの諸點につしまして議院の御審議にあたりましては、十分お考えを願いたいのであります。  なお時間が許しませんからこの點に止めますが、最後に一言申し上げたいことは、政府の諸政策の有機的總合化を思切つてさらにはかる必要があるということでありまして、先ほど、述べました法人税につきましても、單に税源を追うて收入をはかることばかり考えますると、總體として總合的に見ますると、非常な不備が出てくる、こういう點につきましては大所高所から、さらに有機的に總合化をはかられたいのであります。思い出しますのに、かつて贅澤税を課したことがありますが、その場合にダイヤモンドにつきまして十割の課税をしたと記憶しております。その場合にほとんど關税につきましては、ダイヤモンドの輸入は關税收入は上らなかつたのであります。しかしながら實際問題においては、密輸入等が相當行われておつたのであります。そこで政府は次に關税を引下げた、その結果はかえつて歳入が上つたという實例があるのであります。今の話は極端でありますが、法人の課税につきましては、かような點も考えられるのでありまして、必ずしも税率の大なることを要求されないで、實際上大きく收入がとれるように、確實に收入がはいるようにお考えを願いたいのであります。財政におきまする經費の先行性と申しまするが、あるいは出ずるをはかつて入るを制すというような原則につきまして、今やその實行は非常に困難になつておりまして、むしろ私經濟的原則のごとく、入るをはかつて出ずるを制するというような状態になつておるのでありまするが、今申し上げましたような總合性という點につきましては、特に議員諸君の御配慮を煩わしたいと思うのであります。以上をもつて私の話を終ります。
  35. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 ありがたうございました。何か岸さんの御意見に對して御質疑はございませんか。――それでは次にまだ四人殘つておられますが、他のお方々の御了承を得て、御婦人の代表であられる荒木さんに先にお願いしたいと思います。荒木光子さん。
  36. 荒木光子

    ○荒木公述人 私は別に專門的知識は何ももつておりませんから、ただ單に一市民として、また税を納める一人の國民としてだけの自分の考えを申し上げたいのでございます。いただきました資料の中に、非戰災者特別税要綱というのがございます。非戰災者、戰災者ということをよく區別されておりまして、私も戰災者の一人にはいつておりますから、お氣の毒な事情もよくわかつておりますけれども、今度の税の問題に關しましては、この相手として非戰災者、戰災者という區別できめられるというのが、何やらちよつとわかりかねるような氣がいたします。戰爭が濟みましてこの二年の間に、いろいろ社會や個人生活に變化がございまして、その人たちの生活状態も變つておりますし、戰災者であつたのが必ずしも今一番みじめな生活をしておるというわけでもなし、また非戰災者として相當生活を保障されていた者がやはり裕福な生活をして、人より樂な暮しをしておるとも考えられないのであります。むしろ今日の税を取立てる相手と申しまするが、そういう人たちの區別をいたしますと、私どもの考えられるのは、むしろ沒落階級と新興階級、この二つにわかれてきたような氣がいたします。税負擔を一般國民に輕く感じさせて、そうしてできるだけ實際的に、能率的の税を取り立てるということになつたら、むしろ取りいいところから取るのが一番簡單なのではないかと思われるのであります。取りいいところと申しますと私もよくいろいろな事情に詳しくございませんけれども、一應世間で申します新圓階級、たくさんの現金をもつておつて、どうしてもよくその場所が、あるいはその額がわからないために税が取りにくいと言われている階級から取り立てていただくことを、むしろ研究していただきたいと思うのであります。それでここにございます第一の昭和二十年八月十六日調査日と書いてございますが、この時代の家をもつておりました人は、大概財産税でほとんど何もかも身ぐるみ出した。最後に家がなければ一番生活に困りますから、家だけはやつともつていたという程度の人でございますが、これもその後やはり生活がだんだん苦しくなつて、今のいわゆる新興階級の手に續續と渡つていくらしいのであります。それでこの時代に家をもつていた人が今課税をされまして、これから納めるということになりましても、實際できない問題ではないかというふうに考えられます。むしろこれでございましたら、現在その家に住んでいる人から取り立てていただく方が合理的のように考えます。  それからもう一つ、いろいろな新しいお酒とか、そういつたものの税でございますが、酒税、清涼飲料税とだんだん書いてございますが、これらと一緒にいつでも問題になつてくるのはタバコなのであります。お酒とかタバコとかいうものは、生活必需品でないと言えばそれまででございますけれども、やはり一番大事がられておつて、お米や何かと同じように、人に始終關心をもたれておるものでございまして、こういうものがちよつとでも税が上ると、何やらそれに引ずられてすべての物價がみんな上るような氣がいたします。私ども素人考えかも存じませんけれども、お酒とか、タバコとか、お米とかが高くなれば、必ず一般物價が全部ひとりでに意味なく上つていくように思われるのであります。それでございますから、こういうものの税はなるべく上げていただきたくない。何やらインフレーシヨンを起していく。いつもこれが一番先のきつかけになるような氣がいたします。お酒やタバコというものが非常に有害であつて、生活必需品でなくして、これから高い税をとつて差支ないものでございましたら、むしろ遊興なんかに供されるときのお酒とか、あるいは宴會場のお酒とか、料理屋のお酒とか、そういう所で飲む者に極端に高い税を課けていただいた方が、むしろとられる方もとる方も氣樂じやないかと思われます。今日高級料理店というものがみんな閉ざされているようでございますけれども、やはり實際においてはどつかで、何かの方法で、高級料理店でかつてやつていたことと同じことをしているように始終聞いております。そうすれば一口に申しますと、もぐりというようなものがだんだんはやつてまいります。實際においてどうしてもとめられないものならば、もぐられて脱税されるよりは、堂々とさせて、高い税をとられた方がいいのではないかというふうに考えられます。もしかこのお酒とか、タバコとか、そういう一勞働者でもだれでもみんな共通に大切なものだと思いているようなもので、割合お米のように、必需品と同じようにみんなに關心をもたれているものの税は、なるべく上げていただきたくなく、同じものならとりいいところでもつとたくさん實際的に取り立てていただきたいと思います。たいへん簡單でございますけれども、私は別に專門的の知識もございませんし、今日お呼びいただきましたから、ただ一應ふだん考えておりましたことをほんの一言申し上げます。
  37. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 ありがとう存じました。何か荒木さんの御意見に對して御質疑はございませんか。  次に商工會議所議員の立場で、淺草仲店商店會長でいられる岡田四郎さんにお願いいたします。
  38. 岡田四郎

    ○岡田公述人 ただいま御紹介を受けました岡田四郎でございます。二、三私も申し上げてみたいと思います。先ほど入場税の問題が出たようですが、私ども入場税はもう少し免税點を引上げて、そして五割の均一増税でなく、二段階なり三段階なり段階をつけて、一般大衆の文化向上をはかるように、でき得れば全部免税にしたいですが、國家非常の際ですから、かりに徴税するとしても現在のまますえおき、三段階とすれば中ほどは五割増税、演劇のようなものは十割増税、いわゆる二十割にしても國家收入において大なる變化はなくおちつくのではないか、こういうふうな考えをもつております。簡單に入場税の問題について申し上げます。  それから非戰災者特別税でありますが、私どもは戰災に遇いました方と、非戰災者と、あまりにも政府の方においての區別が少な過ぎる、こういうふうにふだん考えております。私どもは非戰災者特別税は相當負擔してもらつてよろしいものだ、こういうふうに考えております。     〔塚田委員長代理退席、川合委員長代理著席〕 ただし世俗で言う、卑近の例でありますが、證文の出し遲れのような感じがあると思います。これは昨年の春あたりであるならば、相當徹底した徴税もでき得たかもしれません。少し時期を失しておると思います。特に民主化を叫ばれている今日ですから、申告課税になつておりますが、これは徴税技術の上において、よほど細密な注意を用いてもらわぬと、政府の豫想通りになるかどうか杞憂する一人であります。非戰災者特別税は、私どもは氣の毒ではありますが、今日やむを得ざることと思つております。  それから今日の公聽人會は主としていわゆる所得税にあるようでありますが、所得税については、いろいろと長い間私どもの體驗から、よほど衆議院の方々、參議院の方々には深甚なる考慮をお願いしたいと思います。今度提案されたものは、最低七萬圓から、高額の方はさらに率を上せるというので 最高が八十五という率になつております。私どもは國民として國の負擔をし、都民として東京都の負擔をする。また本年から新しく規定されましたが、區民として區の税を負擔するということは、覺悟はしておりますけれども、税率について私どもは特に御考慮をお願いしたいというのは、ただいま申し上げた最高の八十五、これは地方税の負擔を合しますと、收益以上の率を義務者が納入しなければならぬという結果に相なるのであります。たとえば最高が八十五の税率、單價は百圓として申し上げます。百圓の收益で八十五圓の所得税を納入する。それと同じ收益で、東京都の方では地方税法にうたつてあります一ぱいをとります。府縣税として七、五、市町村税として七、五、合わせて東京都は十五、それに都市計畫税、その税の高に二〇%、税率に換算すると三ということになります。十八を課せられます。ただいまの國が八十五とり、都が十八をとりますと、合わせて百三という課率になつております。同じ收益を目標としたもので、國は國で八十五とつて、都は都で十八とる。こういうふうな數字は小學校の生徒でもわかりきつたことなんで、百圓の收益から百三という徴税をされるということは、おそらく世界中どこにもないのじやないかと考えます。どうぞ衆議院、參議院は、かりに大藏當局がどういうものを出そうとも、ほんとうの實情に即したそういう點をよく御調査くださいまして、そうして納税義務者の事實上超過するような數字の出し方は、ぐんぐん修正して、決定を願いたいと思います。本年の所得税法の最後に、總額實際の收入から八割を超えたものは打切るように出ております。かりに國の方へ八割としても、本年から地方に委讓された地方税の營業税も十八でありますから、九八%に確寶に相なるのであります。そうすると百の收入で二というものが殘る計算にはなりますが、さらにその所得税が基本となりまして、賃貸を加えて都民税と區民税が課せられます。これを加えますと、私の計算ではこれに出ております最後の八十いわゆる八割までとしましても、百一という數字が出ます。これは税の種類も變り、税の種目も變り、體系が變つて納めるのは別ですが、同し收益から區にとられ、都の方に納入する。その所得税が基本になつて都民税、區民税を換算しますと、やはり百一という數字が出るのであります。こういう點はどうぞ地方税法を修正するなり、また大藏省の提案をそれぞれの方々でよく研究をしていただきまして、こういうでたらめのないように、納税義務者のほんとうの實質のところを御調査いただいて、そうして適正に課税されんことをお願いするわけであります。特に商業の立場から申しますと、税の體系その他私の知り得る限りの調査では、商業者が税というものを一番多く負擔させられておる。こういうことがはつきり私は言い得ると思います。ただいま申し上げた數字は、商業者にとつての私の數字であります。いかなる方法かひとつ御考慮をしていただきたい。こういうふうに考えております。このままでは結局國の方が先にとる形になりますから、地方の財政がどうにもならなくなるということははつきりわかつております。かりに本年の春、二十一年度の増加所得税最高は九十、これへ十八を基準として課せられることで私どもたびたび大藏省へも伺いまして、税率の數字の矛盾のことを主税局長さんその他にもたびたびお伺いしました。何とかしますと言うておりましたが、まだ私どもは何も聽いておりません。地方自治體も非常に財源に困難を來しております。結局最高は、東京都において八を減ずるよりほかにやむを得ないことに相なるのじやないかと思つております。どうぞそういうことのないようにしていただきたい。私どもは増加所得税も國民としてはなはだ不滿であります。あの増加所得税のとり方は、讀んで字の通り戰災に遇わない人のは、二十年度の所得と二十一年度二箇年ダブるといけないというので、二十年度を差引いて免税になつております。戰災者はわずかに一萬圓の控除しか恩典にあずかつておりません。私どもはこの點についてもいろいろ大藏省へお願いをしましたが、聽き入れていただけませんでした。いかに戰災者が不憫なものであるかということは、數字で今申し上げた通り、そうして戰災に遇わぬ方のは二十年度は免税となつて、二十年度の決定より増加したものだけが増加所得税という基準に相なつたのですから、そういう矛盾を來しております。私ども財産税調査委員、所得税調査委員を勤めさせてもらつておりますが、いろいろ大藏省へ直接お願いしたのでは、何にもでき得ません。どうぞ實情を十分御調査願いまして、税率の矛盾のないように御配慮を特にお願い申し上げたいと思います。時間もありませんそうですから、私はこの程度で終りといたします。どうぞよろしく。     〔川合委員長代理退席、塚田委員長代理著席〕
  39. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 ありがとう存じました。岡田氏の御意見に何か御質疑はございませんか。  次に全國銀行協會連合會のお立場として、三菱銀行の專務取締役でいられる小笠原光雄さんにお願いいたします。
  40. 小笠原光雄

    ○小笠原公述人 ただいま御紹介を受けました小笠原でございます。先ほど興業銀行の岸總裁から御意見が陳述されましたが、大體私も、同じ立場におりまして物を見ております、いろいろの社會の方面と接觸しております關係上、考えは同じでございます。重復するかもしれませんが、できるだけ簡單に、大體結論のようなものだけを申し上げます。ただ私、税法のことに專門でございませんので、あるいはそういう方面から適當でないという點があるかもしれませんけれども、職務上から判斷しました考えとしまして、そのおつもりでお聽きを願いたい。  第一番に非戰災者特別税はいい法律だと思つておりません。大體財産税そのものを私は感心いたしませんでした。この非戰災者特別税も財産税の一種だと思います。財産税は一囘限りということでやつたのでありますが、これもまた一囘限りという言葉で規定されておりますが、財産税を繰返して課税することは感心できないと考えております。財産税のときには法人は課税されておりませんでした。今度は法人に課税されることになつておりますが、財産税で法人に課税せられなかつたと同じ理由で、やはり課税すべきものではないように思つております。もちろんこれについては相當論議を盡された上で上程せられることになつたのですから、やむを得ないとしたならば、できるだけ税率を低くなさるように希望いたします。また實際問題として法人は非常に多くの財産税がかかつてくるのがかなりありまして、帳簿上の處理とかなんとかいうことにつきましても、特に考えていかなければならない問題があると同時に、現金の支出に非常に困るのではないか。實際上おとりになれないような問題がかなり出てくるのではないかと考えております。六十五億の税收をお見込みになつておりますけれども、はたしていくばくとれるか、私たち疑念をもちます。  それから税制改正に關する法律案要綱の中にはないのでございますが、この際ぜひお考えを願いたいと思うことを若干申し述べます。先ほど岸さんの言われたのと大體同じでございます。まず法人税でありますが、今度の改正では法人税の同族會社に對する加算税の税率を引上げることだけがはいつておりますが、法人税を引下げることをお考になることが必要ではないかと考えます。戰爭中、戰後にわたりまして、どうも資本があまりに虐待され過ぎております。最近經濟再建が非常に言われるについて、何が必要かというと、資本の蓄積の問題が一番大切な問題になつてきております。これはだんだんわかつてきたようでございますが、資本を蓄積し増加するのに、今どういう方法をとるのが一番いいかということになりますと、法人税を下げることが一番必要だと私ども考えております、非常にたくさんの會社が、今後新しく資本をつくり、また資本をなくしてしまつた會社が今後新しく資本を蓄積していくについて、法人税の高いのが非常に邪魔になるのではないか。何とか法人税をもう少し下げて、蓄積を内部保留する。あるいは償却を樂にする。さらに配當をしやすくして、多くの人が増資なり、新會社の設立の場合に、資本を引受けやすくして經濟再建を樂にしていかないと、これからなかなかたいへんではないかということを痛切に感じております。税率を下げると、政府の收入が減るようにも一應考えられますけれども、必ずしもそうではないと思うのであります。それは今方々の會社では、どうやつたら税を囘避できるかということが、非常に重要なこととして始終考えられておるように推測されます。そういうふうな税はよくないので、やはり拂いやすいようにして、みんなに拂わせる方法をとつていつた方がいいのではないか。法人税のどのところで税を下げるかということは、私もどうやるのが一番いいかわかりませんが、超過利得のようなところで下げていくのが一番いいのではないかと考えます。これは御研究を願いたいと思つております。  さらに證券處理調整協議會から今後出す株が非常にたくさんあります。こういうのを政府はどういうふうに處分していかれるか、私は疑うのであります。これも株式をみんながもてるようにしていかなければ、とても處分ができないのではないか。せつかく會社がある程度の利益をあげましても、非常に高率な税がかかつて配當ができない。配當をしてからも、個人の方の配當所得の税率が相當高いですから手取りがない。二百億あるいは二百五十億を今後どういうふうにして處理していかれるか非常に心配されます。法人税を下げることによつて配當も相當の配當ができ、會社の内容もよくなる。株の値段も上る。そうすれば新しくできる會社の株を引受ける者も殖える。從つて生産もだんだん殖えるという積極的方向にもつていかれた方が賢明ではないかと私ども考えております。殊に今までは會社の株を法人がもつことができたけれども、今後はそれができなくなりますから、個人がもつ以外に方法がない。法人がもつ場合には採算關係をはずして、會社の政策上もつ場合がかなりあつたのでありますが、今後は個人がもつのですから、どうしても採算關係が主になります。そから法人税の輕減に續きまして、受取の方の個人の配當所得に税がかなりかかります。これも何とかもう少し輕減をして、株をある程度もちやすくすることが必要ではないかと思います。  もう一つ、個人の給與所得に對する課税が、今のところかなり負擔が多いように私ども考えております。七萬圓くらいの所得に至るまでの累進率を、もう少し低くしてやるようにお考えになつたらどうかと考えます。先ほど一つ申し落しましたが、法人税の中で清算所得に對する税率も下げていただきたいと考えます。現在株の値段が上らないのは、もちろん配當ができないこともありますが 非常に大きな資産をもちながら 株が上らないのは解散價値を買うことができない點にございますから、清算所得に對する課税をもう少し下げることが必要だと思います。法人税につきましては、政府は六十億餘を課税しておられますが、先ほど申し上げたような理由で、絶對額は餘り減らないで濟むのじやないかと思います。それから個人の給與所得あるいは配當所得などの税率を下げることによつて減少します税收入は、ほかの方法で十分埋め合わせがつく。それは根本的の問題でございますが、税務官吏の素質をもう少しよくする。それと適正な徴税をする。相當いい加減に税がとられているように思います。これは十分に政府でもお考えになる必要があるのじやないかと考えます。  もう一つこれは全般的の問題でありますが、新税をつくるときはよほど愼重に出していただきたい、新しい税を次々につくつても、存じなければどうしても税收があがりません。殊に今度の申告制度などはどれだけの税收が上るか、私たち疑問に考える。これはわからない人が大部分だと思つております。今後もよんどころなく新税をつくられる場合には、十分愼重にやられるように希望いたします。  それから私、具體的に何も考えがないのですが、今までの租税の立て方が、安定經濟のもとにおける租税の立て方なのです。こういうふうにかなり上向線をたどつているインフレの場合には、租税の立て方も根本的に考える必要がある。支那のようなところは所得税に依存することが少く、間接税に非常に重點がはいつている。もつとも日本の現状のように、間接税をとるにも非常にむずかしい場合には、十分考究を要するでしようけれども、インフレのこういう状態では、相當根本的に考える必要があるのじやないかと考えます。簡單でありますが、以上で終ります。
  41. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 何か小笠原氏の御意見に御質疑がありましたら、どうぞ。
  42. 川合彰武

    ○川合委員 ただいまの小笠原さんのお話、ごもつともな點が多々あるのでありますが、私たちも一般企業の社會化という見地からいたしまして、株式が一般人に廣くもたれる。また閉鎖機關の株の處分によりまして、一般の人がたくさん株をもつてもらいたいと、少くとも私は個人的な希望をもつているのであります。そういう株式の未消化の原因が、法人税というような税の關係だけによるのでありましようか。そうではなくして私は、現在の經濟が非常な混亂期にあること、あるいは賠償の範圍が未決定であるというような點、從つて事業の内容、會社の内容によつては非常に株が變つておる。たとえば名古屋の日本陶器などは上り過ぎているというようなことから考えますれば、現在の株式の未消化、あるいはまた株式が實體價値より以下にあるということは、單に税金だけではないという氣がいたします。
  43. 小笠原光雄

    ○小笠原公述人 もちろん株の民主化をはかる上において、税だけが最も重要なものであることを申し上げたわけじやありません。賠償の未決定の問題であるとか、その會社の今後の經營がどうなつていくかということによつて、皆がよくわかつていないというような問題もあります。またそれもいろいろありまして、集中排除法の結果、どういうふうに會社が分立されていくか、または閉鎖機關にいきはしないかという心配もあり、複雜な理由があります。今後分立していく場合に、新しい會社が非常にたくさんできる。それは大體自己資本でやつていくことが要求せられているわけでございます。そして固定的の運轉資金は資本金でいけというのでありますから、非常に多くの資本金を必要とすることになる。現在大體三百億ないし五百億くらいを必要とするのじやないかと推定されている。もちろん一時は舊會社がその株をもつ場合もかなりあります。すぐには一般には賣られない場合もありますが、それは早晩市場に出していかなければならぬ。それからアメリカの方の例を見ますと、まず使用人に株をもたせる。あるいはローカルの人にもたせることが順位からいつても希望されております。そういうような希望に從つてやつていくためには、もち得るようにしていかなければならない。今後分立していく幾多の會社、あるいは分立しないまでも新しくできていく會社の株を、つまり資本をどうやつてつくつていくかという場合に、税法の問題がぶつかつて來るかと思うのであります。ですからそこのところを解決していくことは、もちろんそのほかにたくさん直さなければならない、あるいははつきりさせなければならない要件はありますけれども、法人税及び配當所得に對する税金を修正していくことが、非常に大きな點になるのではないかというような意味で意見を申し上げたのであります。
  44. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 ほかに何か御質疑はありませんか。――これをもつて本日御出席願つた公述人の御陳述を終ります。  終りに委員長より一言申し上げます。各公述人のお方々にはそれぞれきわめて重要な職務をおもちになり、御多忙な中を本委員會のために御出席いただきまして、私どもといたしましては氣のつかないような重要な御意見を種々お聽かせ願いまして、今後委員會の審議の上に、非常に裨益するところが多かつたということを感じておる次第であります。厚く御禮を申し上げます。本日はいろいろ議會内の都合がありまして、委員諸君の出席が十分でなかつたために、せつかくお越し願つてかえつて恐縮に存じておるような次第であります。この際お詫び申し上げておきます。まことにありがとう存じました。(拍手)  本日はこれにて散會いたします。    午後四時四十八分散會