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1947-11-11 第1回国会 衆議院 文化委員会 13号 公式Web版

  1. 昭和二十二年十一月十一日(火曜日)     午前十一時三十七分開議  出席委員    委員長 福田 繁芳君    理事 佐藤觀次郎君 理事 最上 英子君    理事 鈴木里一郎君       太田 典禮君    榊原 千代君       馬場 秀夫君    森山 武彦君       成島 憲子君    平澤 長吉君       田口助太郎君    川越  博君       受田 新吉君    木村  榮君  出席政府委員         遞信政務次官  椎熊 三郎君     ――――――――――――― 十一月十日  ラヂオ放送に關する陳情書(千葉縣野田町高木  虎尾)(第五五四號)  ホテル事業擴充整備に關する陳情書(東京都麹  町區社團法人日本ホテル協會理事長高久甚之  助)(第五七九號) を本委員會に送付された。     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  放送事業に關し説明聽取の件     ―――――――――――――
  2. 福田繁芳

    ○福田委員長 打合會はこれで終えまして、これより會議を開きます。  本日はかねて委員諸君のお申し出によりまして、放送事業に關して椎熊逓信政務次官から説明を聽取いたしたいと思うのであります。政府委員諸君も御承知の通り、わが文化委員會は、文化國家再建の一大責任を背負つて貢獻いたしたいというので、國會法改正直後、約二十囘ほども委員會を開いて、そうして文化國家再建はいかにすればよいかということについて、あらゆる角度から文化委員會の所管事項の檢討に邁進してまいつたわけであります。文化國家再建ということは、御承知の通り、何というても一般國民の文化水準を高めるということが大きな一つの仕事であります。しかしながら、一般國民の文化水準を高めるにはどうするかということが、大きな問題でもとよりこれは新聞だとかあるいは、映畫だとか、あるいは放送事業、こういうようなものが少くとも大衆文化水準を高める大きな武器である。こういうところに歸著するのですが、他の問題はいろいろ小委員會をつくつてやつておるのだが、今日まで手をつけずにおつたのは放送事業であります。もうこの邊で放送事業ということも取り上げて、一刻も早く事實大衆文化向上に役立たしめなければいけないというので、實は過般來委員諸君から熱心なる御希望があつて、この段階に達したわけなのであります。もとより現在の放送制度というものも、はたしてこれでよいものか、なおまたこれに對してどういう角度からどういうふうに檢討せなければいかぬかということも、委員諸君からよりより御意見が出ておるようでありますが、本日はまず所管政府として、逓信政務次官より、今日の段階に基くところの放送事業に關連して、一應の御説明を拝聽できれば、委員諸君として非常に參考になる、かように考えて本日お願いしたわけなのであります。一應御説明願いとうございます。
  3. 椎熊三郎

    ○椎熊政府委員 最近日常の放送協會のやつておる事業について、世間幾多の論議がございます。私どもの役所におきましても、今日の新憲法下における民主的なる放送事業として法的の根據を明らかにし、いかなる放送内容、いかなる組織をもつてこれを運營するかということには、目下鋭意研究中でございます。しかしてこの問題は、ひとり當局の考案のみならず、關係方向におきましても、實に重大なる關心を拂われておりまして、今囘關係方面との間に、逓信省當局その他現實に放送事業に携わつておる人も招致せられまして、幾多の相談をしておるのでございます。本日はこれら問題について明細に報告する段階に立到つておらないのであります。先般衆議院の參議院の文化委員會においてもそのことを御了承願いましたが、われわれの考えといたしましては、この關係方面の示唆によつて、次の議会には放送事業に關する法律案を提出して御審議御協贊を得たいというように考えるのであります。本日はそれらについても、多少いろいろの御論議の種になると思いますから、詳細の點は申し上げることはできませんが、大體概要だけは御報告申し上げることができるかとも思われます。よつてただいま委員長のお話によりまして、まず順序として現段階における日本放送協會の概要についてお話し申し上げたいと思います。  第一に、わが國の放送事業の沿革について申し上げます。わが國の放送事業の開始せられましたのは六九年十一月でございます。アメリカのピツツバーグにおいてウエスチングハウス電氣會社、KOKA局より世界最初の實用放送が開始せられたのであります。これを受信いたしましたのがわが國における最初でございます。次いで大正十二年十二月には無線電信法に基きまして、逓信省令放送用私設無線電話規則を公布施行いたしました。今日の放送事業を逓信局が監督しておるという實際の問題は、この逓信省令に基くものでございます。越えて大正十三年の十一月には社團法人の東京放送局というものが設立せられまして、翌大正十四年の一月には社團法人名古屋放送局が設立せられました。同年二月には大阪放送局が設立せられたのであります。一四年の三月には東京放送局試驗及び假放送が開始せられたのであります。わが國で獨自に放送を開始したとい言うのは、これが最初でございます。次いで十五年の八月には東京、大阪、名古屋の三放送局を解散いたしまして、社團法人日本放送協會が設立せられたのであります。日本放送協會の監督については、社團法人として民法により逓信大臣の設立の許可、監督の實施を行つております。第二には、放送の施設、これは無線電信法によりまして逓信大臣の許可、監督實施をしております。  次に、日本放送協會による放送事業の獨占經營について申し上げますと、無線電信法、放送用私設無線電話規則は、複數の事業者のあるべき形で規定されておるのであります。すなわち獨占的でなく、法規の上で規定されておるのであります。さきに申しましたように過去においては東京、名古屋、大阪の三事業團體があつたことは申し上げた通りでございますが、しかしながら、日本放送協會の設立後は、行政方針として他にこれを許可しないという方針をとつておるのでありまして、從つて目下は獨占事業のごとく見える形になつておるのであります。  次いで今日の日本放送協會の組織について申し上げますると、會員組織になつておりまして、一口五百圓――昭和二十一年六月までは二百圓でありましたが、現在では五百圓でございます。それから會長の承認を要する。これはだれも金をだせばなれるかというと、そうではなくて、會長が承認をしなければ、金を出しても會員にはなれない。一口につき總合の表決權一個をもつ、そういつ現状であります。現在は六千五百四十一人、出資總額が五百五十八億八千圓、こういうことになつております。この組織構成は、役員は理事三十名以内、これは評議員會において選擧するものであります。うち會長、專務理事一名、常務理事四名を互選しております。監事は三名以内、これは評議員會において選擧いたします。評議員が六十名ございまして、總會において選擧いたします。ただし、會長はこの六十名のうち十五名以内を推薦できることになつております。そうして評議員會を組織しております。そのほか參與が五名以内をおくことができることになつております。しかも理事、監事、評議員はことごとく會員たることを要する。すなわち一口五百圓の納付者にして會長が承認したる、會員から出るということになつております。  現在の役員は、會長は高野岩三郎君、専務理事古垣鐵郎君でございまして、常務理事その他がそれぞれ任會されております。  業務機構から申しますと、會長の下に専務理事があり、その下に審議室、庶務部、經理部、渉外部、編成局、事業局、技術局、放送文化研究所、技術研究所、職員養成所、監査部、甲府、長野、松本、新潟放送局、中央放送局というのがありまして、それに札幌、仙臺、名古屋、大阪、廣島、松山、熊本、これだけの放送局をもつておるのであります。放送の施設について申しますと、放送局が四十五箇所でございます。中繼放送所が五十箇所ございます。第二放送實施局が十五箇所あるのでございます。  次には從業者でございますが本年四月一日現在で、七千三百七十三名ございます。これが新聞通信放送勞働組合放送支部を組織しておりまして、支部執行委員長が松原義雄君であります。  事業と財政の面を申しますと、収入の大宗は聽取料でございます。昭和二十二年度収入總豫算が三億一千六百萬圓餘でございます。現在行聽取料は、月額五圓、これは去年八月より許可實施をみたのでありますが、その後物價状況によりまして事業の經營がきわめて困難になり、そこで目下料金の改正について物價廰、逓信省において審議を行つておるのであります。  聽取料の現在までの變遷は左の通りであります。すなわち大正十五年には一圓でございまして、この一圓という期間が昭和二十年四月まで續いております。そのほか今日では進駐軍向けの放送というものをやつておりまして、その第一は、協會が進駐軍に施設及びその保守を提供しておるもの、これが東京大阪、名古屋敦賀、仙臺、札幌等にございます。進駐軍施設であつて協會が保守を提供しておるものは佐賀にございます。右のほか協會に何ら關係なく進駐軍において施設し運用しておるものが福岡と山口の數局があるのでございます。これらの細かい點は、皆さんのお手もとに資料として差上げておいたと存じます。  そこで今日は、終戰後間もなく進駐軍の示唆によりまして放送委員會というものがつくられております。昭和二十年の十二月、連合軍總司令部の覺書によりまして、日本放送協會を再組織するため、國民の各層より選出した委員會を設け、協會々長候補者の推薦を行い、新會長の決定後は、これらの諮問機關となつて協會の政策決定につき必要な助言を與え、また協會の再組織及び放送の倫理規範の決定につき考慮すべきことが、當時の逓信院總栽に通達せられたのであります。よつて逓信院では總司令部と打合せの上、右委員會委員十七名を決定いたしまして、昭和二十一年一月二十二日第一囘委員會を開きました。委員會はまず信會長の選出を行い、その後協會事業の改善のために努力しておるのでございます。現在の委員等の氏名はお手もとに差上げました資料によつて御了解を願いたい。  あらまし現在の放送事業はこういうことになつておりますが、第一の問題は、この放送事業というものを逓信省が監督しておるという法規上の根據であります。これがはなはだ薄弱なものでございまして、無線電信法の何條かの中に、その他の事業をも經營することができるというような項目がございます。それに基いて、これは古い法律でございますから、こういう事業が興るということを豫想しないときに、できた法律でございます。それによつて今日逓信省が所管しておる、こういう状態なのでありまして、はなはだ法的根據においては薄弱な點があると思われます。なお今日は放送の内容等におきましては、ただいま申し上げた放送協會獨自の機構の内部に一切お任せしておきまして、逓信省としてはこれに干渉しないという建前をとつておるのであります。しかるところ、最近逓信省におきましても、これが法的根據を有して、もつと新憲法下に適合したる民主化されたる放送事業を實施したいという意圖から、いろいろ今春來研究しておりまして、でき得べくんばこの議會にもそういう法律を出したいというつもりでおりました。先般一、二の新聞には、逓信省がかんがえておる放送事業の法案の内容というがごときのものが一部分報道せられましたが、これはまつたく逓信省内部における、その研究の途中にある一試案にすぎないので、確定案でも何でもございません。そうしてこれはもとより逓信省としても外部に發表すべき筋合いのものでもなかつたのでありまするが、當時新聞記者諸君の非常なる御注意等によりまして、どういう次第でこれが外部に出ましたものか、逓信省正式の發表でないために、かえつて新聞に記載せられた點は實情と違つた點などもありまして、私どもはそのために世間にたいへん御迷惑をかけているのではないかと心配したほとでございます。この新聞の報道によりまして、いろいろの陳情等が參り、あるいはいろいろな請願等も出てくるというような状況でございます。そこで眞相を申し上げますると、逓信省としてひとまずそういうことをも考えてはおりましたが、それとは別個にこの夏以來關係方面から非常に強力な一つの示唆を受けたのでございます。これらにつきましてもわが國の憲法上あるいは行政機構上はなはだ私どもとしては納得いたしかねるふしぶし等もございまして、向こうの指示に對しては一々こちらからこの内容意味いかんというようなことを傳達して、向こうの意思を明確に知ることにしておるのであります。そうして大體今向うとの話がまとまりかかつておりまして、これに基きまして放送事業法案というものをつくり上げて、次の議會に御審議を願いたい、こういう段取りになのであります。  しからばどういう趣旨であるか御參考までに申し上げておきたいのであります。これに對しましては、逓信省といたしましては、逓信事務次官、あるいは法令審議室における主査あるいは電波局長、そういう逓信省におけるこの問題の關係者の最高責任者だけが寄つております。そうして今日の放送協會からも古垣專務、金川庶務部長、それから技術局の庶務課長といつたような協會側の權威者も立ち合つて、向うの放送班長その他係官の御一同の集まりを願つて相談しておる。あちらにもいろいろ意見がありまして、いろいろ違つた考えをもつておるようでございましたが、この交渉も日本内部が一致した意見になるまで非常に時間次官がかかりまして、先月の十六日に至りまして、これは關係方面の一致した意見であるというので、ある意味における厳格な示唆を受けたのであります。このことはつい先週の參議院の文化委員會に參りました時は、その程度をも發表することができないような状況にありましたために申し上げませんでした。本日は關係方面の御了解もえて、この程度は申し上げてもよいということになつておるので、今後實施さるべき放送事業法案に對する新たなる構想として、逓信省が責任をもつて外部に發表するのは、この席上が初めてでございます。そういうつもりでひとつお聽取りを願いたい。  向うの示唆の根本の原則の第一は、新法律はすべて放送技術、すなわち國内放送、海外放送、周波數變調、それからテレヴイジヨン、寫字放送の四つに分けるということが第一であります。もつと詳しいことは後ほど係官から具體的に申し上げます。     〔委員長退席最上委員長代理着席〕  それから第二の點は、この基本立法は次の諸點に關し重要なる一般原則を反映すべきだということであります。第一は放送の自由、第二は、不備不黨、黨派に累されてはいかぬ。第三は、公衆に對するサービスの責任の充足、次は技術的の諸基準の遵守、技術的にはいろいろ國際的な關係等もあるのでございまして、それを嚴格に嚴守しなければならぬ、そういうことが第一條件。  次に基本法はあらゆる種類の放送形態、すなわちすべての放送技術を管理し、また國内放送、海外放送を運用する機關の成立を規定しなければならぬ、そういう法規でなければならぬ。しからばその機關はどういう機關かというと、ここに非常な問題があるのでございまして、その機關というものは自治機關でなければならぬ。その自治機關というものは、管理期間と實施機關の二つにわけなければならぬ。しからばこの自治機關というものは、どういう性格の機關かといいますと、この機關はすべての日本政府の行政官廰から離れて、獨立していなければならぬ、ここに重大なる問題がございます。これだけの事業をやるのに、日本政府の行政官廰からまつたく獨立するということ、そうすると國民の代表たる國會あるいはそれを基礎として立つておる内閣というものは、この自治機關に對して、何ら官關連性をもたぬということになりますと、これは一體誰が監督にするか。そうすると内閣に獨立した、内閣の力の及ばざる一つの自治機關ができるということになるでしようか。それだと私は憲法上において非常に重大な疑義が存するのではなかろうか、この邊は非常に今度の事業法案をつくる上において、困難と複雜性が伴うのではないかと思うのであります。この問題につきましては、なお関係方面と幾多の折衝をいたしまして、徹底的の了解のもとでなければ、こういうことが日本の憲法上ではできるかどうか、はなはだ私は疑問をもつております。しかもその機關をどういう形において、これをつくりあげるのか。國民の選擧選挙にまつのか、政府の任命ではもとよりできないのであります。選擧の型式というものは、どういうことでできるのか、幾多の派生した重大なる問題ができますが、しかしながら、これは向こうの指示しておるところの重大なる一つのポイントなのでございまして、斷じてこの自治機關は、政府、政黨、その他のあらゆる力、行政機関からは獨立して、權威ある存在でなければならぬと向うが張く主張しておるのであります。とにかくそれは何と言いましても、自治機關でなければばならぬ。それは逓信省からも、文部省からも、大蔵省からも、その他のいかなる省からも、完全に獨立し、いかなる役所に對しても、責任を負うてはならないと向うが申しております。いかなる政府の閥からも、いかなる政府の團體からもまたいかなる個人の集團からも、いかなる個人の會からも支配を受けてはならない種類の機關だというのであります。そういうことをあなた方ひとつ文化委員會として、慎重にこれを御檢討願いたい。そういうことができれば大理想である。よいことには違いないが、いかにしてそれをつくり得るか。日本の國内事情、日本の憲法治下において、そういうものをどうして具體的にでつちあげるか。言葉ははなはだ下賤でございますが、こういうものを組立てていくということには、非常なる御研究を願わなければならぬ。當面の責任といたしましては、われわれ逓信省としては、これをいかにこの趣旨に適つた機關をつくるかということに全力を傾注して、皆さんの御滿足のいくような趣旨に、提出までには練り上げて見たいと目下苦心中でございます。  それからこの機關が法律により、國内及び會議放送において獨占を唱道しておるのでなくて、實際その反對を唱道しておる。獨占事業でやれという意味じやないのです。従いまして、こういう機關が整備いたしていきましたときには、あるいは獨立機關の認定によつて、獨立機關事態の考え方によつて競争放送を許してもよいということになれば、それは許し得るということになる。現在は日本は獨占事業のような形になつておる。獨占事業がよいか惡いかということは、世間で大いに論議がありまして、先般參議院では、競争放送を許せという請願がありました。その請願に對する政府側の意見を吐露せよというときには、私がただいま申し上げることの前提として、今向うから、内容は言われぬが、ある種のことを言われてきておるので、そういう法案が出ない以上は、これは獨占がよいとか、競争放送を許してよいとかいうことは、政府は言われない。目下は競争放送をしたいという請願に對しては、不同意であるということを、私は参議院で述べてまいりました。しかしながらその意味は放送事業というものは獨占ではければならぬというのではならないのでありまして、ここに向うからの示唆に言われるように、この機關が法律により國内及び海外放送における獨占を唱道しているのではなく、實際はその反對を唱道しているというのですから、なかなか考え方が複雜にして、かつめんどうになつてくるのであります。從つてほんとうにこれが運營されていく前に、自治機關が完全に獨立したる、先ほど申し上げたようなものが、法的に根據ある存在としてできあがらなければ、日本放送事業というものは、關係方面の指示通りには實施できないという現状にあるということを、御了解ねがいたいのであります。  まだいろいろのことを言われておりますが、ただいま申し上げた範囲以上には目下發表することは許されておりませんので、今申し上げた範囲におきましての、法律專門家も來ておりますし、關係官も來ておりますので、いろいろ御質問等がございますれば、ただいま申し上げた範囲内においてはいろいろ御答辯申し上げても差支えないと思うのであります。要するにこれらの嚴重なる示唆によりまして、逓信省は目下法案組立の上に鋭意努力しておるのでございまして、來議會には、ぜひともその法案を議會に提出して御審議をねがいたい、こういうつもりでおるのであります。  概略現在までの日本の放送事業についての沿革、あるいは今日の状態、組織の内容等についてご説明申し上げて、續いて今日の關係方面との關係、來るべき議會に出そうとする法案の内容の中心をなすほんの一端を御報告申し上げた次第でございます。御了承を願います。
  4. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 今の放送協會の事業を改組しなければならぬと言うのは、何か理由があるのですか。
  5. 椎熊三郎

    ○椎熊政府委員 現在の放送事業に對しては、第一世間が幾多の批判があるのでございます。世間の批判の一番重點をなすものは、放送のないようでございましよう。これらについては、非常に大衆的な關係をもつているわけですから、個人々々それぞれの意見がありますけれども、これを一々何百萬の聽取者の意見をことごとく聽くというわけにはいきませんが、監督官廰といたしましては、輿論の力を尊重しなければならぬ。それから放送内容がすべて公正でなければならぬ、正義でなければならぬ、そういうことを私ども本質に考えているのですが、議會等でしばしば論議せられますことは、今日の放送の、ことに議會で論議の中心となるのは時事解説等の問題でございます。これらはどうも何か公正妥當を缺いておつて、ある種の政黨の影響などを受けているのではないだろうか。露骨に言えば、赤化的の運動に利用されているような傾きがあるのではなかろうかというような疑問を抱かれる方々があるのでございます。     〔委員長著席、最上委員長代理退席〕  それからこれは逓信省で目下監督しているということについての、法的根據も薄弱だ、こういうものも新憲法下におきましては明確にしたい。そうして國民の輿論に從つた、公正妥当なる放送を完全にかつ文化國家建設のための基礎として非常に重要な使命をもつておるのですから、これをますます高揚發展せしめて、そうして國民諸君の納得のいくような放送事業にしたいということが、改正したい趣旨です。これは關係方面の示唆のない前に考えておつたのですが、それと相前後してほとんど同じような觀點から、ただいま申し上げたような厳重な示唆が來ているわけでございます。
  6. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 現在放送協會が、ある種の政治的の力に利用されていると言われたが、そういう懸念のないように、監督官廰としてこれを指示することはできないのですか。
  7. 椎熊三郎

    ○椎熊政府委員 私が今申し上げたのは、現在の放送がある種の影響を受けていると斷言したのではなく、議會などで影響を受けているのではないかという議論が交されているということです。われわれとしては、國家の最高機關たる議會内における論議等を、馬耳東風に聽き流すわけにはいかないのでありまして、こういうことも胸において、もしそういうことがありとすれば、ないようにしなければならぬ。ないようにするには、どういう形をつくるか、あるいはどういう法律によつて取締つていくか、監督していくか。またそういう方法で考えて行くべきだと思つております。私は必ずしも今の放送が共産黨から累されていると斷言したのではありません。誤解のないように願います。
  8. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 さらに質問いたします。向うの方の考えでは、放送事業を、たとえば株式會社にするとか、あるいは財團法人にするかというような、大衆的な、いわゆる商社とかいうような形にしようという意味ですか。
  9. 椎熊三郎

    ○椎熊政府委員長 先ほど申し上げたように、政府からも、民間の團體からも、あらゆるものから超越した累せられない自治機關をつくれとは申されておりますが、その自治機關をどうしてつくるか。株式會社とか、組合とかいうようなことは言つて來ておらぬのでございまして、それらの點は、われわれの責任として考案していかなければならぬのではないかと思います。
  10. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 絶對に公正といつても、神様でない限りは、どこでもやはり多少の偏りはあるので、そういう點についての嚴密な區分は無理ではないかと思いますが、政府ではどういうふうに考えておりますか。
  11. 椎熊三郎

    ○椎熊政府委員 公正とか正義といつても、時代によつて變りますし、絶對ということは、私はどんな場合にでもあり得ないと思います。何と申しましても、その時代、その時の環境において、これが公正だと常識的に考えられる以上はどうも神ならぬ身の、われわれとして公正の絶對性を批判することは困難だと思います。
  12. 榊原千代

    ○榊原(千)委員 椎熊政府委員の御意見では關係方面の示唆に對しまして、この示唆以外に、われわれが動く可能性の餘地があるとお考えになりますか。
  13. 椎熊三郎

    ○椎熊政府委員 わが國の現在置かれている運命的な環境は、この示唆を無視する状況になつておらぬと思います。
  14. 榊原千代

    ○榊原(千)委員 そうしますと、公正だとか正義と言うことを實現させますために、獨占形態でなくもつていく。二つなり三つなりの競争者を設立してよいというような御見解でありますか。
  15. 椎熊三郎

    ○椎熊政府委員 先ほど申し上げたように、この示唆の中には獨占を禁止しておらず、むしろこの反對を慫慂していると思うのです。ですから、この組織が完全にできた上で結局自治機關の獨自の見解によつて競争放送を許すという御決定に相なれば、それはその自治機關の自治適見解によつてやつてもよいわけであります。自分個人の見解はありますけれども、これができ上つてもいないないは、そこまで私どもの見解を申し上げることはかえつて自治機關の自治性を束縛することになると思います。
  16. 平澤長吉

    ○平澤委員 先方からのわくが指示されたということから、一應椎熊政務次官からのお話によつて限界が示されておりますが、その線に沿つた法律ができるまで、ただいまの放送協會の放送内容等について、政府は協議等をする餘地はないか。いま一つは目下それぞれ審議中だと承つておる自治機關の内容というものは、おそらくこちらから數次にわたつていろいろ折衝せられたことに對する考えでありましようから、こちらではなにかその自治機關の形態について、現在の課程においてお考えになつておるか。その二點をお伺いいたします。
  17. 椎熊三郎

    ○椎熊政府委員 第一點は、現在の放送に對して、逓進省が何か指示したり、指導してはどうかという御意見のように承りましたが、終戰後、放送協會の内容があちらの命令で改組せられ、放送委員會ができまして以來は、逓信省は、放送内容については關係してはいけないということになつておりまして、私どもは技術的方面、行政上の部面で、勞働運動などで放送が停止された場合などには、監督官廰としての考え方を發動するのでございますけれども、放送内容は目下まつたく自治的にやらせております。その方が今日の時勢とも合致しておるように思うのであります。  それから自治機關の内容について折衝したのだから、こつちにも案があるのかというお説のようでございますが、私どもは事務的にこういうものをつくるには、どういう機關を通してつくるか、あるいは國民の代表的なものを選ぶとすればどういう選擧の方法がよいのか、研究を遂げておるのでございまして、それでやらなければならぬという固定した意見は、今のところございません。
  18. 田口助太郎

    ○田口委員 ちよつとお尋ねしますが、この自治機關と言うのは、今の放送協會のような放送事業を據當するものの内部につくるのですか。それとも一種の監督あるいは指導という意味で全然別個の獨立の機關をつくるように指導されておるのですか。
  19. 椎熊三郎

    ○椎熊政府委員 これは政府やその他の團體とは、まつたく獨立ではございますけれども、放送事業という大きな一つの事業形態の中核體をなすもので、中核體にして、しかも最高の執行機関をなすものであります。それが政府の監督をも受けず、その委員の任命も内閣の任命でもなければ、議會の任命でもないというわけで概念的にも、實に今の日本の行政機構の上からいつては、困難なものであろうと思います。こういうものは今なでの日本にはない、新たにできるものであります。それを新憲法にぴつたり合うようにつくるためには、非常な苦心が要ると思います。
  20. 田口助太郎

    ○田口委員 ちよつと私の伺つている趣旨と違うのですが、つまりこれは放送事業をおこう機關の内部に自治機關をつくつて、それが管理するのか。それとも、全然放送事業を行う機關以外に別個の獨立の自治機關をつくつて、その機關が第三者として放送事業を行う主體を管理あるいは指導監督するというかつこうになるのかとお尋ねしているのです。
  21. 椎熊三郎

    ○椎熊政府委員 この自治機關は放送事業を行うものなのです。第三者ではございません。
  22. 田口助太郎

    ○田口委員 そういたしますと、結局別個に放送事業をやりたいという他の放送團體ができた場合において、その自治機關が認めるか認めないかということはおかしいのではないか。たとえば、現在の放送協會を管理する自治機關ができると、その機關があとからできる放送事業團體を認めるとか認めないとかいうことになると、結局競争機關ではなくて、やはりそれに從屬する關係になつてしまうと思うのですが、そういう場合に、あとからできる團體というものがそれと同じような自治機關を持ち組織をもつならば政府は容喙せずにどんどんみとめるということになつて、これを抑える機關はなくなつてしまうと思います。從つてこれからは、新しくできた事業法に則るものは、自由設立ということになると思うのですが、大體そう解してよろしゆうございますか。
  23. 椎熊三郎

    ○椎熊政府委員 その點はちがうのです。私の今言つている自治機關というのは、先ほど説明申し下げたように、管理期間と實施機關の二つに分かれて、管理機關の方は放送事業の競争を許すとか許さぬとかいうことを判斷していいのであるが、實施機關は現實に實施していくという方になる。それから現在の放送協會がやつているものをそのまま繼承するということを前提としての考え方ではないのです。おそらくこれが實現する時分には、現在のものを含めて、何らかの形によつて繼承することになるかもしれませんが、現在の放送協會とはまつたく別個に、新たなる構想として考えられ、これに、新たなる構想として考えられ、これを實施するために現在のものがどうなるかということは、次の段階になるのであります。
  24. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 時間もありませんので本日はこれで打ちきりにして、次囘に繼續されんことをお願いいたします。なお放送事業は非常に重大な問題でありますから、次囘には放送協會の理事に出席願つて説明を聽きたいと思うのでありますが、さような動議を提出いたします。
  25. 福田繁芳

    ○福田委員長 諸君にお諮りいたしますが、ただいまの佐藤君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 福田繁芳

    ○福田委員長 御異議ございませんから、さようにいたします。  次會は公報をもつてお通知することとして、本日はこれにて散會いたします。     午後零時二十三分散會