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1947-10-14 第1回国会 衆議院 労働委員会 20号 公式Web版

  1. 昭和二十二年十月十四日(火曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 加藤 勘十君    理事 辻井民之助君 理事 山下 榮二君    理事 川崎 秀二君 理事 原   侑君    理事 三浦寅之助君 理事 相馬 助治君       荒畑 勝三君    菊川 忠雄君       島上善五郎君    田中 稔男君       館  俊三君    山花 秀雄君       小澤佐重喜君    倉石 忠雄君       栗山長次郎君    吉川 久衛君       河野 金昇君  出席國務大臣         勞 働 大 臣 米窪 滿亮君  出席政府委員         總理廳事務官  伊藤 五郎君         勞働事務官   上山  顯君  委員外の出席者         專門調査員   大橋 靜市君         專門調査員   濱口金一郎君     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  失業手當法案(内閣提出)(第五二號)  失業保險法案(内閣提出)(第五三號)     ―――――――――――――
  2. 加藤勘十

    ○加藤委員長 これより會議を開きます。荒畑君。
  3. 荒畑勝三

    ○荒畑委員 三つお尋ねしたいことがございます。第五章、失業保險委員會、第三十九條に「勞働大臣の諮問に應じて失業保險事業の運營に關する重要事項を審議させるため、失業保險委員會を置く、」この失業保險事業の運營に關する重要事項を審議させるためという規定でありますが、この失業保險委員會の權限というものは、どういうものでありましようか。審議ということはどういう範圍、程度をいうのでありましようか。ただ審議をして、その結果を勞働大臣に答申する、この諮問に應じてというのでありますから、單なる諮問機關でありますか。それともこの重要事項を審議した結果は、拘束的な力を有する權限をもつものでありましようか。その點をお伺いしたい。
  4. 上山顯

    ○上山政府委員 失業保險委員會の權限につきましては、この三十九條にはつきり規定してございますように、諮問に應じて重要事項を審議するためでございますので、法律上の嚴格な意味で申しますと、結局諮問機關ということになると思います。ただしただいままでにも申し上げてきたと思いますが、失業保險の運營に當りましては、十二分に關係者の御意向を聽いてやつてまいりたいという考えでございまして、重要事項につきましては、すべてこれにお諮りし、またその御決定になつたことにつきましては、十二分に尊重いたしまして運營してまいりたいと思います。それでたとえば保險料率というような問題につきましても、これは失業保險委員會の意見を聽くことになつておるのでございますが、ただし保險料率の變更自體を決定いたしますのは、國會が法律改正の手續をもつて、これの變更を決定するというようなことになつておるようなわけでありまして、保險料率につきましても決定は國會がやるというようなことに建前上なるのでありますが、しかしそれについては必ず失業委員會の意見を聽かなければなりませんし、聽くとなる以上は十二分にそれを尊重するというつもりでございます。
  5. 荒畑勝三

    ○荒畑委員 私はこの條文の趣意がさようなものであるならば、むしろ明白に失業保險事業運營を管掌する最高機關として失業保險委員會をおくというように、その權限、位地というものを明白に規定したらばどうかと思うのでありますが、この點政府の御意向をお伺いしたい。それに關連いたしまして總則の第二條に、「失業保險は、政府が、これを管掌する」とありますが、これを失業保險委員會が管掌するということに規定するのが、政府の意向をも明白にするという意味において妥當であると思いますし、また失業保險は申すまでもなく、最も勞働者にとつて利害關係をもつ法律でありますから、この失業委員會が管掌するということが時宜に適していると思いますし、從つてまたこの失業保險委員會の構成も、勞働代表が過半數を占めるような組織にすることが適當ではないかと思うのでありますが、この點に關する御意見を一應伺つておきたいと思います。
  6. 上山顯

    ○上山政府委員 ただいまお尋ねの點は、こういう行政措置全般に關連いたす問題とも思いますが、保險というような仕事は、どういう保險をこしらえるかという立法の場合には、これは非常にいろいろ問題があると思いますし、それから施行したあとにおきましても、いろいろ重要な一般の御意向を聽かなければならぬ問題も多々あるとは思うのでございますが、しかしあとの執行の業務全體としましては、むしろ自律的の色彩が非常に強いものじやないかと思うのであります。それで、これはいろいろ御意見があつたとは思いますが、むしろ普通の行政組織と同じように、政府が管掌するというやり方でやります方が、かえつて簡單に運ぶのじやないかとも考えておるのであります。ただしかし、そのうち重要な事項につきましては、十分關係各方面の御意向を聽いて運營してまいりたい。こういうことで大體目的を達するのではないかと思うのでありまして、ただいまあります健康保險、厚生年金、勞災保險等々にもやはりこういう建前で進んでおります。そういうことも考え合わせまして、私たちの考えでは、やはり政府が管掌いたしまして、強力な有效に働いていただく委員會ではございますが、諮問委員會という形で關係の方々の御參加を願いたい、こういう考え方でございます。  それから勞働者代表が過半を占めるように組織したらどうかといい件でございますが、この件も、今までのこの種の委員會等におきましても、もちろん勞働者、被保險者の利害は非常に大きな利害でございますが、事業主といたしましても同じように保險料を納めているものでもございますし、なお一般公益を代表する者の、いわば第三者的な公平な見地からのいろいろな意見も聽く必要があるかと思いまして、その數につきましては一應三者同數ということ適當じやないか、こう考えてこの案ができておる次第であります。
  7. 荒畑勝三

    ○荒畑委員 もう一つお伺いしたいのは、第八章罰則の五十三條の事業主に對する處罰の規定でありますが、これは一から四までの項目に違反した事業主に對しては一萬圓以下の罰金に處するというのでありますが、現在では一萬圓というような金額は事業主にとつては大した意味をなさないと思いまするので、この中には事情によつては罰金以外の體刑を料するというような嚴重な規則を設ける必要があるのではないかと考えるのでありますが、この點について伺いたいと思います。
  8. 上山顯

    ○上山政府委員 第五十三條の規定の内容といたしましては、大體今まで罰金刑をもつて臨んでまいつたような規定でございまして、ただいままでの健康保險、厚生年金におきましても、こういうものにつきましては罰金のみを科しておるだけでございます。なおこういう法令の勵行につきましては、單に刑罰のみをもつて臨むということでありましては、かりに少々重い刑を科しましても、必ずしも目的を達することはできないと思うのでありまして、そういう意味では、勞働組合方面の御協力がありまして、そういう方面からも、監視と言えばあるいは言葉が不適當かとも思いますが、十分法令違反のないように御注意いただくことが、むしろ法令勵行の上に役に立つのではないかと思います。しかし體刑を科することがよいかどうかという點につきましては、私たちは一應その必要はないと思つておりますが、なお十分の御檢討をいただきたいと思つております。
  9. 加藤勘十

    ○加藤委員長 三浦君。
  10. 三浦寅之助

    ○三浦委員 私は第一に、この失業對策に對する根本思想とでも申しましようか、根本的態度につき政府の御方針をお聽きしたいのであります。何となれば、ある階級的立場をとる人々から言わせれば、失業問題の根本解決は、いわゆる資本主義制度を認めてはいけないんだ、社會主義制度のもとにおかなければ失業問題の根本的解決はできないというような考えをもつておるのであります。私どもは必ずしもそうは思つておらないのであつて、やはり資本主義制度を認め、その範圍内において十分にこの問題が解決できると考えておるのでありますが、政府はいかなる根本的なお考えをもつておるか、その點をまず明瞭にしてもらいたいと思います。
  11. 上山顯

    ○上山政府委員 ただいま三浦委員からお尋ねの點は、むしろ大臣からお答えする方が適當じやないかと思いますので、大臣が來られたときに御質問願いたいと思います。
  12. 加藤勘十

    ○加藤委員長 大臣は今來られるそうですから。
  13. 三浦寅之助

    ○三浦委員 それでは、不服申立の所ですが、第四十條の「失業保險金の支給に關する處分に不服のある者は、失業保險審査官の審査を請求し、その決定に不服のある者は、失業保險審査會に審査を請求し、この決定に不服のある者は、裁判所訴訟を提起することができる。」という規定であります。なるほど規定上においてはこの通りでいいかもしれませんが、實際の失業者の立場を考えるならば、不服のある場合に、この決定に不服があるということで裁判所訴訟を起すというなことは實際には不可能だと思うのであります。何となれば、今日の訴訟上においては手續が非常に煩雜である。費用も非常にかかる。同時に裁判所の救濟を受くるまでは相當の時間がかかる。半年なり一年なり、あるいは二年なりかかるというようなことでは、實際に失業者の立場から、この不服申立をいたしましても救濟はできないと思うのでありまして、何とかこれは簡單に、こういうような不服の申立を解決するのに、裁判所までいかなくても、もう少し簡單な方法でこの不服の申立をなすことができるような方法を考えてあるかどうか。その點を承りたい。
  14. 上山顯

    ○上山政府委員 第四十條の規定は、裁判所訴訟を提起いたまします前に審査官なり審査會に審査を請求して問題を解決いたしたいという趣旨でありまして、もしもこの規定がございませんと當然これは裁判所の方へ行かざるを得ないということになるのでございますが、それを簡單に解決する機關といたしまして、從來の健康保險、厚生年金等におきましては、審査會という會議體の審査機關ができておつたわけでございます。ところが先般制定になりました勞災保險以來、審査官という制度をやりまして、審査會というような會議機關よりももつと簡單な、一人だけの審査官が一應事をてきぱきと解決してまいる、こういう仕組にしたわけでございます。それで、裁判所よりももつと簡單な審査會という組織、その審査會よりももつと簡單な審査官という組織、そういうものを設けまして、それで一應具體的に適切な處置がやられます限りは解決してまいりたい。どうしても最後まで裁判所まで訴える必要がある人だけが裁判所に訴えるということにしたのであります。實際の事例としましては、裁判所まで行くような事例はほとんどないのじやないか、かように想像いたしております。
  15. 三浦寅之助

    ○三浦委員 それから、二十一條において「受給資格者が、公共職業安定所紹介する職業に就くこと又はその指示した職業の輔導を受けることを拒んだとき」は、この支給をしないということになつておりますが、こういう場合におきまして、紹介された職業がたとえ適當であつても、今日のような勞働者の住宅が非常に拂底しておる場合において、殊に勤務する場合においては、住宅はほとんどないというような状況の場合において、そこに通勤することは非常に困難であります。であるから通うことは非常に困る、また通うためには御承知の通り電車賃なり、あるいは汽車賃が非常に高いということであつては、せつかく適當な職業であつても、事實上勤務が不可能だと思うのでありますが、こういうような場合においていかなる對策をとらたるか、その點をお伺いいたします。
  16. 上山顯

    ○上山政府委員 お尋ねの點、もしも紹介されましたところで、滿足に通勤してまいりますためには、住所、居所の變更を要する場合は、この二十一條の第二號に書いてございますように、正當な理由で就業を拒むことができる、かようにいたしておるのであります。
  17. 三浦寅之助

    ○三浦委員 二號にはそう書いてございますが、實際問題として勞働者の住宅は、少くともそういう勤務所の近所に建設されるのでなかつたら、今後幾多のこういう問題が起きるし、失業者の就職の場合においては非常に大きな問題が起きる、殊に住所、居所の變更が困難だという認定を、どの程度に認定するかということが、非常に困難だと思うのであります。それでその困難であるという認定の仕方について、非常に爭いが起き、これがいろいろ不服の理由になり、問題の理由になつて、爭いのもとになると思いますが、こういう場合にはどういたしますか。
  18. 上山顯

    ○上山政府委員 第二十一條全般を通じまして認定の問題がいろいろあるかと思うのでありますが、御説のように、この問題は非常にむづかしい問題でございまして、おそらくこの法律を實施しました上で、一番問題が多いのは第二十一條ではないかと思います。從いまして私たちは公共職業安定所長が、その認定を間違えませんように、一つの基準をこしらえておきたいと思うのであります。その基準をつくるにつきましては、先刻申し上げました失業保險委員會等にも十分お諮りをいたしまして、妥當なる基準をつくつてまいりたいと思つております。しかしかりに基準をこしらえましても、いろいろ問題があると思うのでありまして、そういうことは好ましいことではありませんが、問題が起れば審査官のところでさらに解決をするというような仕組にいたしいたと思います。
  19. 三浦寅之助

    ○三浦委員 これは非常に小さいことになるかもしれませんが、失業者にとつては非常に重大な問題であると思うのであります。そういうように一度職業安定所に就職を申込むと、今のような住所の問題とか、いろいろな正當の理由で拒んだ場合に、二囘も三囘も出頭することになるだろうと思うのであります。そういう場合に、相當の距離のところから、職業安定所に出頭することになれば、今日一囘出頭すれば、近いところから行つても十圓や二十圓はかかる。かりに三囘出頭すれば六十圓かかる。失業者とすればその負擔が相當困難じやないかと思うのでありますが、これは非常に細かいことかもしれませんが、この正當の理由において拒む得る場合の出頭の車馬賃などについて實費の支給を考えておられますか。
  20. 上山顯

    ○上山政府委員 大體全般の問題としまして、失業者は失業の認定を受けますために、原則としまして週に二囘、公共職業安定所に出頭する建前をとつております。ですから拒んだとか、何とかいう問題が起るのは、そういうときに起るにではないかと思うのでありまして、そういう出頭につきましては、實は一々の車馬賃等は考えておりません。但し交通不便でございますとか、そういう場所につきましては、場合によつては出頭の囘數を週に一囘とか、月に二囘に減ずることもできるし、まち必要によりまして安定所がこちらから出張して參りまして、たとえば月の何日にどこへ出張していくというふうに場所と日をきめまして、こちらから出張して參つて、そこで失業の認定をくだすことにいたしまして、關係者にはできるだけ迷惑を少くするようにいたしたいと考えております。
  21. 三浦寅之助

    ○三浦委員 それから今學校等において、ときにいろいろ問題になるのですが、學校の自治會とか、あるいはその他の團體等において、意見をまとめて學校當局に出すような場合もありましようし、あるいは校長の排斥運動をするようなこともありましようし、學校の教職員等が結束して、組合の後援等によつて校長の排斥運動をするというような場合に、校長はそれに對して拒否する權限があるのかどうか。あるいはそういう場合の學校長としての態度は、どういうような處置をとられるものかというような點について、どうお考えになつておりますか。殊に、あるいは學生ばかりではなく、何か學校に問題が起きますと、父兄會というような團體もでき、そうして父兄會がいろいろ決議して、學校當局者の排斥運動をするということもあるのでありますが、そういうような場合には、どういうような處置を講ぜられるのか。これは勞働省の管轄かどうか存じませんが、そういうような點に對して、幾分爭議の關係に似通つておるのでありまして、もし御答辯が願えれば、お願いいたします。
  22. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 きわめてデリケートな問題でありまして、これは教職員組合校長不信任というような、あるいは父兄會が校長不信任というような運動をすることは、そういう運動をする動機がどこにあるかということが、まず問題になるのでございまして、一概にそういう運動はいけないとも言えませんし、いいといつてこれを認めるわけにいかないと思います。これは不信任される學校長の動機が問題になるのであります。しかしそういうことは現實の問題ですが、理論的に言うと、公務員法によつて一應、官公廳の勞働組合は、人事に關與する權限はないのでありますから、表向きはそういうことはよくない、そういうぐあいに考えておりますが、しかし校長が排斥されるような現實の問題があつたときには別問題であります。それから父兄會とか學生とかは、もちろん公務員法の埓外にあります。その場合においては、先ほど申し上げた通り、その原因、動機のいかんを考えないと、勞働省の關係しておる範圍内では、これを認めるとか、あるいはいけないとかいう原則を立てにくいのであります。これは當然社會問題になつてきますし、關係官廳は文部省でございますから、それは一々具體的事實にあたつてみないとわかりません。
  23. 三浦寅之助

    ○三浦委員 それから失業の根本の問題から言うと、特に勞働者の數とか、あるいは人口の問題とかいうようなことと就職の問題も、いろいろ關係してくるのでありますが、そういう點からきますると、人口が多くなり、あるいは勞働者が多くなつて仕事がないというような場合には、これが失業の問題を起すわけでありますから、人口の問題ということも非常に大きな原因をなしてくると思うのであります。殊に日本のような現状におきまして、海外の引揚者あるいは復員等によつて非常に人口が殖えた。國土が非常に狹くなつたという場合においては殊にそうであります。こういうような問題に對てまして考えることは、第一は産兒制限の問題というようなことも、失業問題と關連して相當考慮すべき問題ではないかと思います。もう一つは、これは敗戰國の現状でありますが、將來の問題としては、移民の問題ということも大きな問題として今後考えなければならぬ問題だと思うのでありますがこういう點に對する御意見を承りたい。
  24. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 失業對策は前の委員會にも私がお答えしたように、大別すると失業防止と失業救濟でありますが、今お諮りしている失業保險とか失業手當は失業救濟の方であります。失業防止という面から考えると失業對策は非常に廣い意味で、今三浦さんの御指摘のような、いわゆる總人口と勞働調整をどうするか。從つて産業で吸收し得る勞働力と總人口との關係ということに掘り下げていきますと、いきおいバース・コントロールが問題になる。その效果は三十年後ではないと現われてこないと思いまするが、私は今日にこの七千五百萬人という人口は、千島を失い、臺灣を失い、朝鮮を失い、そうして琉球を失い、しかも滿州その他へ移植民ができないというときにおいては、もちろん多過ぎるので、ある學者は三千萬人くらいが適當ではないか、こういうぐあいに考えております。しかしこの七千五百萬人を一遍に三千萬人に縮小するということはとうていできないのでその一つの方法として、アメリカが中華民國に對しては移民法を改正して自由に入國できる。もちろんこれはアメリカの全體であるか、あるいは、サンフランシスコだけであるか、それはわかりませんが、御承知の通りアメリカは各州によつてそれぞれ法規が違つてくるのであります。私の聞いたのは、カルフオルニア州だけは有色人種に對する移民の禁止ということを撤廢したと聞いておるのであります。講和會議において日本の一つのこれに對應する提案としては、これなども當然すべきであると考えておりまするが、敗戰國であるからなまいき言うなと言われればそれまでですが、やはりそういうことも當然失業問題と絡んで見るべきではないか。そういうわけで、こういうことはやはり政府としても失業救濟という面からして、今後強力に賠償を取り立てる國に對して條件をつけて、交渉する餘地がある、こういうぐあいに考えております。
  25. 三浦寅之助

    ○三浦委員 それから、ちようど勞働大臣のいないときにちよつと觸れておつたのですが、失業對策の根本的な考え方であります。社會主義、共産主義の立場に立つておる人々は、失業の根本的解決は社會主義政策を斷行しなければ、根本的解決はできないという強い意見をもつておるように私は考えるのであります。私は必ずしもそうは思つておらないのであつて、私の意見から言うならば、現在の資本主義制度と認め、その範圍内において十分にこの問題を解決し得ると私は考えておるのであります。こういうように少くとも思想的には對立しておると思うのでありますが、勞働大臣はいかなる考えをもつておられるか。すなわち社會主義政策でなければ根本的に解決できないと考えておられるか、資本主義制度を認めて、その範圍内においても十分にこの問題を解決でき得るものとお考えになつてるか、その點の御意見を承りたいと思います。
  26. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 たびたびこの委員會で論議されたいわゆる完全雇傭、フル・エンプロイメントというものを理論通り實行に移すことができるかどうかということについて考えますと、例の資本主義國家であるアメリカのルーズヴエルトがニユー・デイールをやつた時でさえ、なおかつ三百萬の常時失業者があつたのでございます。從つて、フル・エンプロイメント、一人も失業者を起さない状態を現出するためには、やはり資本主義國家ではむずかしい。しかしこういうことははなはだ理想論でありまして、失業問題というものはやはり現實の問題として取上げなければならない。そういう何年か先に現出しなければならない理想論を振りまわしておるべきではないと思いまして、私はフル・エンプロイメントというものは、理想的にこれを解決しなければならないという前提でない限りは、現在の資本主義國家體制でも相當の效果がある、こういうぐあいに考えております。
  27. 三浦寅之助

    ○三浦委員 それから失業保險委員會の委員の選定ですが、これは實は前にも申し上げたので、繰返すようではなはだ恐縮であります。繰返さない範圍において申し上げますけれども、失業保險委員會の委員を選任するのに、被保險者を代表する者、事業主を代表する者、及び公益を代表する者、この公益の代表者でありますが、私の狹い考えから見たところによりますと、こういう勞働行政に關する委員の選任は、いずれも大體この方針でやつておるのでありますけれども、この公益を代表する委員というものを見ますと、政府は大體において公益を代表する人の考え方が、いわゆる階級的な社會主義的な考えをもつておる人を進歩的なりとし、あるいはこれも最適任者なりとして、そういうような學者、そういう方面の考えをもつている人が多くこれにはいつておるように考えられるのであります。それで私は伺いたいのでありますが、こういう公益を代表する者の思想的な考えが、そういうように社會主義的考え、社會主義的思想を最も進歩的なりとして考えておる人を中心として選任するのか、それともそういうようにこだわらずに選任するのか、その點御説明願いたいと思います。
  28. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 三十九條の點でございまするが、これは失業保險委員會のほかに、勞働問題に關する各種の委員會、たとえば勞働委員會、そういつたものは經營者及び勞働者、使用者、被使用者のほかに、いわゆる第三者委員というものがあるのであります。この第三者委員というもののカテゴリーのわれわれの解釋は、今三浦君が御指摘になつたような、社會主義理念をもつておるものに限るというような考えは毛頭もつておりません。經營者及び勞働者の利益を代表する委員は、それぞれの階級的利害を代表するものであつて、中立というすなわち第三者側を代表する委員は、いわゆる國民的立場に立つて、そうして經營者に偏らず、勞働者に偏らない立場をとり、またそういう意見をもつておる人から選考して委員を任命するというのであります。
  29. 加藤勘十

    ○加藤委員長 勞働大臣は餘儀ない用事で出かけるそうですが、もうほかに御質問はありませんか。
  30. 三浦寅之助

    ○三浦委員 それでは住宅に關連してただ一點だけお伺いします。實はこれは戰災復興院の方にお尋ねすべきでありますが、現在の勞働者住宅を考えてみると、實際において今のやり方では勞働者の住宅問題は一つも解決しない。しないのみならず、實際において不可能の状態にあると考えます。その理由は、戰災復興院の方が來た場合に答辯を求めますが、現在勞働者の中には、燒トタンのバラツクあるいは壕舎等において、越冬のできないような氣の毒な生活をしておる者がたくさんある。そういう勞働者は建築はもちろんできない。それから庶民住宅等を建設しましても、實際に家賃は四百圓も五百圓もとられるというような状態である。また自分が許可を受けて建築しようとしても、いろいろな條件で一坪一萬圓以上もかかるというような状態で、實際においてこれら勞働者は、住宅を建築することができないことになつておる。こういうようにバラツク、壕舎等の生活をして越多のできない勞働者に對して、勞働相はいかなるお考えをもつておられるか伺いたい。
  31. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 詳しいことは係の方から御説明があると思いますが、私の記憶しておる本年度の住宅の新築及び改造豫定の數は、二十一萬何千戸だつたと思います。そのうち勞働者向けの家屋が、約十二萬五千戸だつたと思うのですが、もちろんこれは新築、改造を含んでおるのです。その比率をもつてみてもわかるように、勞働者に對する住宅は、政府としては相當に關心をもつておるのであります。そこで私としては、石炭増産が非常に喧しく言われておるにかかわらず、人員を殖すことができないのは、住宅問題が一つの癌になつておる。こういうことから考えてみましても、勞働者用の住宅の建設ということは急務中の急務だと考えておりまして、建築材の優先的配給を私は關係官廳に要求したいと考えておる次第でございます。しかし當面の問題としてなかなか間に合わない場合において、寺であるとか、神社であるとか、あるいは大邸宅であるとか、そういうものをひとつ特別の政令なり法規をこしらえて非常徴收したい、そのくらいの處置をしなければならぬというふうに存じております。
  32. 三浦寅之助

    ○三浦委員 今の勞働大臣のおつしやつた別莊とか大邸宅の開放というようなことが、住宅の應急處置として當然考えられることであるし、また當然やるべきことであると思いますが、この問題はすでに戰爭中から叫ばれていたにかかわらず、政令とか何とかいうものは一向に進行していない。それでこういうような今後の對策については、もう少し具體的に御答辯を求めたいのであります。
  33. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 この點はさつきちよつと申しました特例、政令でもしいかなければ、單行法律案を出して非常徴收をやらなければいかぬと思つております。
  34. 三浦寅之助

    ○三浦委員 全國の罹災者の家屋數と、それから強制疎開の家屋數、それから海外引揚者、復員者等によつて來した不足家屋數、それから現在まで建設いたしました家屋の數、またこれからの住宅の建設計畫というようなものをお伺いいたします。
  35. 伊藤五郎

    ○伊藤(五)政府委員 簡單にお答え申し上げます。空襲によつて燒滅いたしました戸數が二百十萬戸であります。強制疎開によつてとり壊わしたものが五十五萬戸。それから海外引揚者による需要、これは私どもは六十七萬戸と推定いたしております。その他戰爭中の住宅供給不足、こういうものを合せまして住宅不足數四百五十萬戸、その後建設せられましたものを差引きまして、現在における住宅不足數を約四百萬戸というふうに推定をいたしております。それから終戰以來建設せられました住宅の數を申し上げます。住宅その他住宅以外のものも合せましてこの八月末までの統計がありますが、それによりますと、七十一萬二千五百四十七戸であります。そのうち純粹の住宅、店舗を併用しております住宅などを合せまして住宅が五十八萬八千四百三十五戸となつております。これは民間において自由に建設せられましたものなどを合せました數字であります。そのうちで特に勤勞者のために政府が計畫いたしましたものの内譯を申上げますと、これも終戰以來今年の八月末までにでき上りましたものの數字を申上げてみますと、國が二分の一の國庫補助を出してまして、公共團體などに建てさせておりますものの新築の戸數が七萬五千六百九十戸となつております。補助金の合計は今年度は七億七千七百萬圓でありまして、それから既存の建物、兵舎であるとか工場というようなものを住宅に改造いたしましたものが六萬八百七十七戸であります。そのほかに勤勞者の住宅としましては、炭鑛勞務者の住宅が二十一年度下期から始めて八月末までに七千六十九戸新築し、それから改造いたしましたものが一萬七百三戸、これが勤勞者の住宅を最重點と考えまして計畫を進めておるものでございます。そのほかに硫化鑛山の住宅、これも肥料關係でありますが、これが三千三百四十九戸できました。そのほか寄宿舎が五十八棟。それからこれは農林省の關係でありますが、開懇地の入植者の住宅が五萬九千五百一戸であります。これらを全部合計いたしますと、新築されましたものが二十一萬千七百五十二戸、それから改造いたしましたものが七萬千八百二十九戸となつております。これが先ほど申しました全體の建設戸數になつております。
  36. 三浦寅之助

    ○三浦委員 ついでに政府において、住宅難のために別莊とか大邸宅の開放のために處置を講せられたはずでありますが、現在までそういう邸宅や別莊を開放して、現實にそこに居住せしめた數がおわかりならお知らせ願います。
  37. 伊藤五郎

    ○伊藤(五)政府委員 住宅緊急措置令を先ごろ改正いたしまして、餘裕住宅に對しては知事が同居者を入れることを勸奬する場合によつては貸付命令を出すということにいたしております。それによりまして餘裕住宅として調査いたしましたものが、八月三十日現在で全國で三萬九千三百七十一戸であります。そうして知事がこれに對して貸付の勸奬をいたしましたものが一萬七千二百五十四戸、それによりまして成立いたしましたのが一萬二千五百七十三戸であります。
  38. 三浦寅之助

    ○三浦委員 結局調査したのが三萬九千三百七十一戸とすると、かりにこれだけの餘裕住宅があるとしますれば、實際成立したものが一萬二千五百七十三戸とすれば、相當の數が殘つておるわけでありますが、これに對してどういうような措置を緊急にとられるつもりでありますか。先ほど勞働大臣から御答辯がありましたが、改めて復興院の方からもお答え願います。
  39. 伊藤五郎

    ○伊藤(五)政府委員 この三萬九千と一萬二千の差でありますが、これは日本住宅の構造などからみまして、同居世帶を入れるに不適當なものなども相當數ありますので、そういうものがこの數字の差になつて現われて來ておるものと思います。しかしそればかりではありませんので、多少はまだ強力にこれを進める餘地はあるだろうと考えております。またこの三萬九千戸の數字自體が届出主義をとつておりまして、現實の餘裕住宅の發見ということは、實は十分にまいつておらぬのでございまして、これらの點につきましては知事の權限になつておりますので、たびたび厚生省とも打合せをし、知事にいろいろ指示をいたしておりますが、何分ただいまの生活状態から申しまして、同居世帶を入れるということがなかなか計畫通りにいかぬという事情がいろいろあるのでございまして、成績が十分にあがつておりませんことは、まことに遺憾に思つておる次第であります。根本は餘裕住宅を發見するということに對して、もう少し知事なりあるいは市區町村などに、強力に勸獎していつてもらうという措置を講じなければならぬと思つております。このために特別の市區町村ごとに委員會をも設けまして、そういうものを中心に推進するということがよいのではないかと考えまして、それに要する豫算の要求をしております。またいろいろ具體的の方法を研究中でございます。
  40. 三浦寅之助

    ○三浦委員 さきの勞働大臣の意見と、今の復興院の方の意見では、大分違うようにも考えるのですが、勞働大臣の先ほどの御意見は、相的強硬な考えをもつておるというように聽いたのであります。殊にこの問題についてはただ届出主義をとつておつて、非當に緩慢であるというような意見のようでありまして、もう少し十分の調査して、そうしてこの問題を勞働大臣の意見のように、もう少し強力にすれば相當住宅の問題が緩和できるように考えるのでありますが、その點は十分御考慮を願います。  次に、政府が七百億七千七百萬圓も國庫の補助をして、住宅の建設費の二分の一もやつておられるということは至極結構でありますが、しかし實際問題を考えてみますると、國庫金額で二分の一の補助をして住宅を建設させることも結構でありますが、しかし實際にこれを利用するという立場を考えますと、ほんとうに困る勞働者がはたしてこれを利用できるかどうかということになれば、實際上利用ができないのではないかということを考えます。何とならば、二分の一の補助を貰つて、そうしてこれを建設しましても、できたものの家賃を考えてみますると、四五百圓も出さなければこの使用ができないというような結果になると思うのでありますが、毎月四五百圓も勞働者がこの家賃のために、家屋のために負擔するということであれば、實際に勞働者や、殊に失業者の利用はできないと思うのでありますが、これはどういうぐあいにお考えでありますが。
  41. 伊藤五郎

    ○伊藤(五)政府委員 家賃が四五百圓に、ただいまのところではならぬのでございまして、東京あたりが一番建築費も高く、從つて家賃も高くなつておりますが、今まで計畫しておりますものは大體月三百圓止りになつております。しかし建築費というものは資材費が六割以上を占めておりまして、資材がこの新物價體系で非常な大幅な値上りがあつたわけであります。一般の民間でやつております建築は、新物價體でマル公の値上りが直接響きませんけれども、私どもの方でやつておりますものは全然マル公でやつております關係で、資材が二倍になれば、その中の資材費が二倍になるとはつきり出てまいります。建築費は相當大幅に値上りになつております。今までのところでは手持資材などがありまして、物價よりは下まわつてやつております關係で、家賃が三百圓程度におちついておりますが、手持がだんだん枯渇してまいりまして、來年あたりからはおそらく建築費が相當高くなつてくると思うのでありまして、お話のように家賃が二分の一補助といたしますと四百圓くらいになるのじやないか。これは今の千八百圓ベースの階級の人たちに對する家賃といたしましては、法外に高いということもわれわれも認めておりまして、來年度の計畫には、少くも補助率を引上げていただきたいものと戰災復興院としては考えております。それによつて、できることなら二、三百圓程度に家賃を引上げるようにいたしたい。これはまだ安本や大蔵省などとも折衝いたさなければなりませんし、財政の問題に關係がありまして、簡單にお答えできませんけれども、私どもとしては、何とかこの點を解決しませんと、せつかくつくりましたものが、やはりお話のように勤勞者に供給できないという結果になるおそれが多分にあると思つております。
  42. 三浦寅之助

    ○三浦委員 政府が一生懸命庶民住宅として莫大な國庫補助をしてやつた結果が、ほんとうに利用すベき階級に利用されないというような住宅政策では非常に困ると思うのでありまして、この點の對じて十分に御考慮を願いたいと考えるわけであります。それから普通の建築をする場合におきましても、許可を受けるに非常に手數がかかる。許可の手續をしてから二月も三月もかかつて、あとは抽籤か何かでだめになるというようなことで、實際の建築はほとんどできない。ほんの十坪か十二坪の住宅を個人で建築しようとする場合においても、許可の手續が非常に煩雜であるということを考えるのでありますが、どういうわけでこんなに煩雜にこの許可の制限をしているのか、もう少しこれを緩和して、少しでも多く建物をこしらえさした方が住宅の緩和になるのではなかろうかと思うのであります。當局が建築制限を非常に強化する結果は、どういう結果を生んでおるかということを十分に考えてもらいたいのであります。それは金をもつておる人が、この建築制限のために非常の許可が困難なために、既存の家屋を非常に高い金で買受ける。その結果現在居住しておる人に向つて、あらゆる方法で立退きを要求をしておるのが現状なのであります。であるから政府の許可制度は、方針といたしましてはあるいは勤勞者のためを考えてやるのでありましようけれども、結果から見ると現在の居住者の居住權を非常に脅やかされておる。勤勞者、勞働者が居住しておる家屋が、家屋の明渡しを受けて、そうして現在裁判所や調停のために、自分の職場に働きにくいこともできないというようなことが、あらゆる方面に非常に起きておる。この事實を當局者は知つておるかどうか。知つておるならば、これに對するところのいかなる對策を考えられておるか。この點に對する御答辯を願いたいと思います。
  43. 伊藤五郎

    ○伊藤(五)政府委員 まことにごもつともな點が多いのでございますが、臨時建築等制限規則というものを公布いたしまして、この二月八日からさらにこれを強化いたしまして、全面的に建築の許可制をとつております。これはもちろん資材と建築の需要というものが非常にアン・バランスでありますために、これを統制いたしませんと、いろいろと營業用の建築、映畫館とか、料理屋とか、マーケットとか、そういうものばかりが優先的にできるという結果になりますので、資材のわく内で許可をするということになつておりまして、小住宅などは優先的に許可をする。そのために一般の建築を制限する、こういう目的でやつております。ところが、住宅に對する資材の割當も十分でありませんために、どうしても出願のものを全部許可はできないということのために、これをある期間溜めておきまして、そうして抽籖等によつて許可をするものを決していくというようなことがありますために、半月一月は溜めておいて一遍に許可する、それで許可漏れになつたものはまたその次に繰越すというようなことで、若干日がかかります。ただ二月も三月もかかるということは、これは非常に例外的の場合でありまして、何か住宅以外のものなんかで、そういうような許可できないものを出願してきて、ぜひ許可してもらいたいというようなことで長くかかつておるものございます。また二月八日から制限されるということで、二月八日前に非常にたくさん出願がありまして、そういうものがまだ處理せられずに殘つておるというような關係がありまして、それが非常に長い間かかつておるというのもありますが、現在は一般の住宅についてはそう長くかかるというようなことはないつもりでございます。それから、こういう關係から一般の借家人が非常に追立てを食う。こういう規則があるために、家を建てる資力のある人も家を建てることができない。その結果追立を食うというお話でありますが、その方は、借家法によりまして居住者のことは十分に考えて、不當の追立てをするというようなことのないようにしておるつもりでありますし、これは實際は借家法より以上に借家人の保護をいたしておるような實情になつております。
  44. 三浦寅之助

    ○三浦委員 まだ當局者が非常に認識が足りない。そういうような認識のもとに住宅政策をやられては、私は勤勞者の住宅というものは非常に不安心だと思うのであります。なるほど借家法によつて居住者の住居權を保護するようなことにはなつております。しかしながら實際の取扱を考えてごらんなさい、現在の借家法の運用上におきましても、ほとんどこれは顧られない。むしろ相當資力のある人が家屋を買受けて、新家主になつた人がこれを悪用して、そうして明渡しの請求、明渡しの調停、明渡しの訴訟がいかに多いかということを、實際について御調査願いたいと思うのであります。そのために、殊に從來寮のような大勢住つておるような所、あるいは大きな工場等の住宅が他に賣買されて、訴訟外においても強力な明渡しの請求を受けておる。それで法律上の救濟を求めることのできない居住者がいかに怯えているかということは、實情をお調べ願えばよくわかることだと思うのであります。このままに放任しておき、また現在のような當局の住宅政策では一層こういうような事件が起きるわけであります。であるから私は何とかして現在居住しておる人を保護するような方法を、もう少し當局に考えてもらいたいと思うのであります。現在の家屋明渡しの調停の實情をみても、調停委員の取扱は、少くとも私の知る範圍内においては、借りているのだから明渡すのが當然だというような調停の仕方で、半年か一年くらいで明渡すような調停がいかに多く行われているか、現實の情況を見ていただきたい。裁判所がそういう判定をしても、現在一年や半年で行くべき家があるかというと、家は全然ない。現在住まつている家は安いけれども、これから新しく家を借りようとすれば、庶民住宅ですらも四百圓も五百圓も出さなければ借りられない。こういうことでは勞働者の住居權が、だんだん脅やかされる傾向が實に濃厚であるということをお考え願つて、今のうちにこれに對する強力な方法を考えなければ、今後この問題は一層不安になると思うのでありますが、その點についてもう一度御答辯を願いたいと思います。
  45. 伊藤五郎

    ○伊藤(五)政府委員 今の追出しの問題は、私どももよく聞いておりますし、これについての認識は十分もつているつもりであります。この借家法の關係は司法省の關係にもなりますし、私どもの方としては住宅問題を擔當している關係で、司法省ともいろいろ話合いをしておりますので、十分御趣旨の點は考慮に入れまして、何とかもう少し對策を考えていきたいと思つております。
  46. 三浦寅之助

    ○三浦委員 これはちよつと勞働大臣にも觸れた點ですが、この庶民住宅等におきまして、政府が少くとも七千萬圓以上の補助金を出すために、それだけ骨折つているということはまことに結構ですが、私はさらにこの冬越冬できないバラツク住宅、壕舎住宅の改造のために資材なり、あるいは補助金を交付して改造のための處置を講じなければ、多數のこれらの氣の毒な勤勞者の住宅は非常に困る。殊にこれからだんだん寒さに向い、あるいは終戰後二年も經過して非常に壞れておる。雨が漏り、あるいは風が吹けば飛ぶような現状にあるこれらのバラツク對して、政府は少くとも資材くらいは無料で配給してもらえないか。無料で配給すれば、居住者は自分の手で何とか修理くらいはできると思うのでありますが、そういうお考えはありませんか。
  47. 伊藤五郎

    ○伊藤(五)政府委員 ただいまそういう資材を壕舎生活者に無料で配給することはやつておりませんが、若干の修繕資材を用意しておりまして、そういう方面に優先的に修繕用資材の割當をするようにやつております。壕舎生活者個人に國庫補助を與えるようなことは、ただいまのところ考えておりません。
  48. 三浦寅之助

    ○三浦委員 壕舎やああいうようなバラツクの居住者は、失業しているとか、あるいは非常に困つている人であつて、たとえそういう資材の割當があつても、それを買受けることのできない人々である。こういうような人にこそほんとうに、政府が金を出すなり、あるいは適當の方法ででき得るだけの處置を講じなければならない。ところが補助金が出なければ、いくら資材を優先的に割當てても、その必要な資材をそういう人々は買うことができないというようなことでは、何らそういう人々の救濟にならない。庶民住宅の多額の補助金は結構ですが、この補助金をさらに増して、その一部をむしろこういう方面に利用するならば、現在ほんとうに困つている人々も、それによつてバラツクや壕舎を修理改造して、この冬を越すことができると信ずるのであります。であるからそういう資材を無料で配給するような緊急對策を講じてもらいたいと思うのでありますが、その點をもう一度御答辯を願いたいと思います。
  49. 伊藤五郎

    ○伊藤(五)政府委員 それはよく研究さしていただきたいと思います。われわれとしては、住宅をやはり生産復興に役立つ勤勞者の方に優先的に考えておりまして、壕舎生活者でも、やみ商賣とかルンペンとかいうようなものは第二次的に考えております。生産復興に役立つ勤勞者を對象としているわけでありますから、壕舎にはいつている人は非常に氣の毒ですけれども、それだけでなしに、もう一つ條件を入れて考えていきたいと思つております。
  50. 三浦寅之助

    ○三浦委員 壕舎の氣の毒な生活者必ずしもやみ屋でない。やみで金を儲けている者はどんどんやみで建築しておる。だから失業している人や、燒トタンのバラツクにはいつている人こそ優先的に取扱うべきで、これを優先的に取扱わない政府住宅政策は、私はまことに遺憾だと思うのであります。十分考えていただきたいと思います。
  51. 河野金昇

    ○河野委員 ちよつと關連して、建設局長にはつきりしておいていただきたいと思います。今三浦君のおつしやられたよりも、農村あたりでは、どういう復興院の指令が行つているのか知りませんが、地震で傾いた家の柱一本直しても、役場がくるとか、巡査が一々まわつてきてうるさく言う。しかし壞れたものを修理する程度のことは、あまり規則ずくめでやらないように願いたい。現に愛知縣では、そういうことで農民は非常な恐慌を來しておりますから、この席上で、復興院は果してそういう意向をもつておられるか、そうでないならそうでないと、はつきりしておいていただきたいと思います。
  52. 伊藤五郎

    ○伊藤(五)政府委員 わずかの資材を使つてやる場合の建築許可ですが、それをあまり初めからルーズにいたしますと際限がない。わずかな資材だといつて、それをだんだんよけい使つて、りつぱな改造をするというようなことも、ありますために、そういうことになつておつたのでありますが、これはちよつと行き過ぎの點も、ただいまお話のような點も、確かにあると思いますので、最近わずかな資材で修理するものは全然許可をはずすように今研究しております。
  53. 辻井民之助

    ○辻井委員 保險金の基礎になつておる標準報酬、これは政令できめるということになつていますが、大體どういうふうなきめ方をされるつもりか。それから標準報酬というものと實收との間に大體どういう違う點があるのか、これをちよつとお聽きしたいと思います。
  54. 上山顯

    ○上山政府委員 報酬の範圍等につきましては、第四條で政令で定めることになつておるのでありますが、大體は健康保險、厚生年金等におきましても、名義の如何を問いませず勞働の對償として受けますものは原則的にははいる。失業保險におきましてもさように考えておるわけであります。ただ健康保險、厚生年金におきましては家族手當がはいつております。それをはつきり私たちの方は入れる考えでおります、それから拔きたいと考えておりますものとしては、臨時に支給されます給與、たとえば危機突破資金というような、ほんとうの一時限りのようなもの、それから三箇月の期間を越えて支給されますような賞與、年末賞與でありますとか、半期末賞與というようなものも拔きます。それから現物給與につきましては、大體これは勞働基準法と同じ調子に考えまして、特に定められましたようなものだけは賃金に入れまして、そうでないものは賃金から除外いたします。さように考えております。それで實質賃金をとりましても、標準報酬をとりましても、その政令の定め方によりまして大體一致さすこともできるのでございますが、もしも實質賃金をとるということになりますれば、傾向としましては、すべての賃金がはいるということになりますので、若干事實問題として標準報酬の場合よりも範圍が廣いと思います。
  55. 辻井民之助

    ○辻井委員 それから次に保險期間の給付額についてですが、これも政令によつて四十パーセントから八十パーセントまでに決定ができることになつておるのですが、報酬額の多い者ほど率が低くなるのであろうと思います。そういうことになると、保險掛金は同じ率で、給付の率が低くなるということになると、結局多くかければ損だ、ある程度以上かければ損だというふうなことになると思います。こういう點について、ずいぶん健康保險その他從來の保險でも、收入を偽つて――と言うとどうかと思うが、とにかくその事實通り申告せずに掛け込んできているということは、これはもう明らかなことなのであるが、將來もそういうことになるのではないかと思いますが、こういう點についてお考えをお聽きしたいと思います。
  56. 上山顯

    ○上山政府委員 御意見の點はこの十七條に闕してでございますが、保險料の方ではひとしく同じ保險料率が適用されまして、支給の方で報酬の多い人は給付率が少いということになりますので、ただ公平と申しますか、保險料と保險金との均衡だけを申しますとそういう問題が起るのでございますが、保險料と失業保險としましては、社會連帶と申しますか、相互扶助というような考えからいたしまして、なるたけ報酬の低い人には厚くしたい。報酬の多い人は薄くとも御辛抱願いたい、こういう趣旨でございます。なお御懸念のような點がございますことは、私たちとしても全然想像しないわけでもないのでございますが、十分御理解を得まして、極力實際に近いものを申告してもらうことにしたいと思います。
  57. 辻井民之助

    ○辻井委員 現在の勤勞所得税が非常に問題になつておりますように、そういう點で高額者は非常の不利益になるというような事實があると、いきおいごまかしたりする結果になると思います。ある率から上ると非常に不利益になるというような線が必ずあると思います。こういう點について特別に何か研究され、お考えになつたことがあるか、もう一應伺いたいと思います。
  58. 上山顯

    ○上山政府委員 先刻申し落しましたが、標準報酬の場合はもちろんございます。かりにこれを實質賃金を認める場合におきましても、最高限度の制限ということは當然あるべきだと思います。たとえば一萬圓とつておりましても二萬圓とつておりましても、同じような保險料率を適用されるのではありませずに、五千圓なら五千圓という最高限度以上の者につきましては、標準報酬の場合、もちろんそういうことになります。かりに實質賃金をとるという場合を豫像して考えましても、最高五千圓以上の者は五千圓とみなしまして、五千圓で切るということは當然しなければならぬ問題じやないかと思います。それから保險料の料率の段階としましては、できるだけ一ところで急に上つたり下つたりしませんように、十五とか二十というような等級をきめまして、保險料率の變りますのがなるたけスムースになりますように工夫いたしております。
  59. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 この法案の幾つかの條文におきまして細かいことを政令に讓つているのでありますが、それはもちろん結構でありますけれども、二つの點につきまして政令で規定することなく、法律としてこの法案の中に明記した方がよくはないかと考える點があります。そういう點につきましてお尋ねいたしたいと思います。  それは第三十九條の第三項であります。「前二項に定めるものの外、失業保險委員會に關し必要な事項は、政令でこれを定める。」こうなつております。先ほど荒畑委員の質問に對しまして、政府委員から失業保險委員會は非常に重要である、從來ありましたような形式的な委員會というようには考えない、その答申には十分重きを置いて考えるというようなお話もありましたが、私どもも失業保險委員會というものは、非常に重要な機關であると思いますので、この失業保險委員會に關し必要な事項は政令でこれを定めるというようにしないで、失業保險委員會で審議いたします事項及びその審議の方法というようなことにつきして、大綱はその法案のうちの明記すべきではなかろうか、こう考えます。  それからもう一點は第四十六條でありますが、「この章に定めるものの外、失業保險審査官及び失業保險審査會に關し必要な事項は、政令でこれを定める。」こうなつております。こういう審査を被保險者が求めるというような場合は、これは被保險者に對して非常に重大な利害問題が發生した場合でありまして、その場合に被保險者の立場に立つて利益を失わないためには、ただ審査官の個人の獨斷であるとか、あるいは失業保險審査會の一方的な判斷によりまして事が審査されます場合に、非常に弊害も起ろうかと思いますので、この審査官なり審査會が審査いたします場合の、およその基準というようなものをば政令できめないで、この法案のうちに明文をもつて規定した方がよくはなかろうかと考えます。以上二點についてお伺いします。
  60. 上山顯

    ○上山政府委員 失業保險審査會、失業保險委員會の政令に任せます事項でありますが、まず審議事項につきましては、法律に出てまいつておりますのは、先刻もちよつと申しましたが、保險料率の決定のことだけでありますが、およそ重要と認められますようなことは、かれこれと限定いたしませずに、すべてお諮りをいたしたい。かようなことを考えておりまして、特に具體的に法文に規定がございませんでも、委員會にもいろいろ御要求願えるわけでありまして、特に法律に書かなくてもいいのではないか、こんな考えで政令にお任せすることに、原案としては考えておるわけでございます。  それからあとの審議方法といたしましては、委員會は委員長をもつて組織されますとか、あるいは會議の定足數であるとか、あるいは過半數の議決であるとか、幹事、書記を置きますようなことでありますとか、大體他のこの種の會議體から考えまして、普通考えられておりますようなことを書きたいつもりでございます。そういう趣旨でございますので、これまた大體政令で間に合うのではないかというふうに、實は私たちとしては考えておるような次第であります。  それから審査會、審査官につきましても、事業主などに義務を命じますとか、申立の期間でありますとかいうようなことにつきましては、特別の規定を設けておりますがあとの細かい政令で書きたいと思つておりますことについては、訴訟手續が決して成立すべきものと考えておりませんが、若干技術的な、細目的なことでありますのでこれまた大體政令で規定しましてもそう不當ではないのではないか、こんな考えで原案としては考えておるわけであります。
  61. 菊川忠雄

    菊川委員 この條文の中で逐條的に二、三お尋ねいたします。  その一つは、先ほど辻井さんのお尋ねに對する御説明でわかりましたが、第四條の「賃金又は給料に準ずるものの範圍及び評價に關しては、政令でこれを定める。」とあるのでありますが、今御説明の中に危機突破資金のごときものは入らないということでありますが、ところがそれとは違つて、最近差額金を後で支拂うということがあるわけであります。たとえば最近の例にとりますと、今年一月から九月までの賃金差額を後で拂つて一、二、三月をとつてみても、一人當り千五百圓平均といつたものが出ておりますが、これは事實前にとるべきものを後で拂われたというようなものであります。これはおそらくは今日のような經濟情勢では、相當將來もないとは限らない。こういうものをお含みになるのかどうか、これが一點。  次に第十條には被保險者の缺格條項を言つておるわけですが、そのうちの五號、六號の點であります。五號には「十四日以内の期間試みに雇用される者」とありますが、これは從來よく問題がありましたように、十四日をもつて切つて、二、三日おいてまた雇う、こういうことがしばしば問題になつた。もしこれを悪用しようとすれば、保險料を納めることを避けるために、十四日を切つてまた四、五日して雇入れるというようなことをやり得るのであります。こういう場合のことをお考えになつておるかどうか。  その次の第六號で「事業所の所在地の一定しない事業に雇用される者、」これは私ちよつとこの文句だけでは了解に苦しむ。どういう事業が現實にあるか、あるとすれば、どういうわけで一體これが被保險の對象として捕捉できないのかという點であります。  次は第二十一條であります。ここには「受給資格者が、公共職業安定所紹介する職業に就くこと又はその指示した職業の補導を受けることを拒んだときは、」というのでありますが、その場合に第一號の場合において「紹介された職業又は補導を受けることを指示された職業が、受給資格者の能力からみて不適當と認められるとき」それから二號、三號、四號ともに認定の場合があるが、その認定はだれがやるのかという點であります。  それから第二十二條にもやはり同様の問題で、「被保險者が、自己の責に歸すべき重大な事由によつて解雇され、又はやむを得ない事由がないと認められるにもかかわらず自己の都合によつて退職したときは」、こういうふうにあるわけでありますが、この場合においてはやはりこの認定の標準あるいは認定はだれがやるか、あるいはこれについてのいろいろの紛爭とかのある場合にはどうされるか、それについての何かあらかじめ對策があるかという點であります。  次は第三十一條にあります保險料率は千分の十一というようにおきめのようであります。そこでこの案でいきますと、大體この最初の年度において被保險者の負擔するところの總額はいくらになるか。それは一人あたり平均いくらになるかという點を、わかりますならばお示しを願いたい。  それから最後の一點は、この條文にはありませんけれども、この保險事務の取扱いについて、登録の手續竝びに支拂いの事務取扱いにあたつて、便宜上その基礎が十分できておるような場合においては、勞働組合にこれを委託するような用意があるかどうかという點であります。たとえば英國の失業保險事務をみますると、御承知のごとく保險金の支拂いは、毎金曜日に勞働組合員は勞働組合を通じて事務所から支拂つているという状態であります。このために組合員はわざわざ非常に遠隔な不便な地に行かなくても、組合の書記を通じて一括委託されて受取ることができる。こういう點で非常に便宜をしております。こういうふうに勞働組合の本部、あるいは各地區の支部、こういうところにこの事務を委囑されるのが非常に便利な方法である。言うまでもなく勞働組合は、勞働者の住居地帶にそれぞれの事務所をもつているわけであります。こういう點はすでに例があるわけであります。こういうことについてのお考えがあるかどうかお伺いしたい。以上であります。
  62. 上山顯

    ○上山政府委員 お尋ねの點お答え申し上げます。まず第一の差額支給の點でございますが、あとから追給になりますような種類のものにつきましても、それが新しい標準報酬にはいつてまいるわけでありますから、そういうものはこの中の賃金に入れたいというわけであります。  それから第十條の第五號の點でありますが、實は一號ないし三號につきましては、所定期間を超えて引續き雇用されるに至りました場合には、そのときから被保險者になるという規定がございますが、五號にはそういう規定は設けてないわけであります。大體そういう脱法というようなものもあまり考えられないのじやないかということで、そういう規定を設けなかつたわけでございますが、どうしてもそういう機會が多くて困るということでございますれば、それに對應しましての法律の改正等も將來必要かと思います。一應はそういう事態はないのじやないかというので考えておりません。  それから第六號の點は、實はこういうこまかいことは、ただいまの健康保險、厚生年金では、たしか省令に規定しているのでございますが、こういうことは法律に入れようというような趣旨でここにもつてまいりましたが、事柄自體としましては非常に例外的なものじやないかと實は思つております。こういうようなものが實際あるかどうか存じませんが、何か屋臺店のようなもので仕事をやつてまわつておるというような、所在地の一定しないものがありとしますれば、そういうものは第六條に該當しましても、實際上そういう者に保險を適用して保險料をとるということであれば非常に不便でございますので實用から除外したわけでありまして、實際のケースはいずれとしてもあまりないのではないかと考えております。  それから二十一條、二十二條の認定の問題でありますが、これはたびたび御説明申し上げておりますように、實際問題としてはこの邊の規定の運用が、この保險法の運用の中で一番むずかしいのだと思つておりまして、私どもも愼重にこれが取扱いをしたいと思つておりますが、認定自身は職業安定所長がこれを行うということに考えております。しこうしてその基準についてはなるだけ具體的なものを考えて失業保險委員會にもお諮りしまして、地方に指示をいたしたいと思つております。それで問題になりましたものは、まず失業保險審査官に訴えるということになるわけでございまして、先刻三浦委員からも御質問がありましたように、訴訟ということになるとこれは非當に大層な手續でございますし、また今まであつたような審査會というような會議體のものに訴えたことになりますと、これまた非常にめんどうなことになるかと思います。審査官という一人の人が扱つております言わば失業保險相談というようなかつこうのものにすぐ飛びこんで訴えているというようなことにしまして、職業安定機關としましても、もちろん公平な立場で扱うつもりでございますが、さらに第三者的な目で見まして十分監督もし、不都合なものに對しましては是正もしてまいりたい、かように考えております。  第三十一條の保險料率のところで、一體一人當りどれだけの保險料を現實に支拂うかという問題でございますが、標準報酬平均額を千八百圓と一應假定いたしますれば、それの一一%でございますから、毎月十九圓八十錢という保險料になるわけでございます。  それから次に、保險料の支拂等の事務を勞働組合委託してはどうかというお尋ねでございますが、保險全體の運用につきまして勞働組合の御意見も聽き、また關係者にいろいろな意味で協力願うということは、私ども非常に望んでおりますが、保險金の支拂については、職業安定所の失業認定ということと密接不可分な關係がございますので、少くとも當初においては職業安定所がやつてまいりたい、かように考えております。但し先刻も申し上げたように、非常に交通不便等のところにおいては、必ずしも職業安定所に出頭してもらうということにいたしませず、こちらから出張して失業認定をするという場合も考えております。そういう便利な方法等も考え合わせて將來可能だと認めますれば、勞働組合委託するということも考えられると思うのでございます。これはいずれにしましても將來の問題として十分研究いたしたいと考えております。
  63. 菊川忠雄

    菊川委員 大體わかりました。そこで第十條の第六號でありますが、實際のケースが思い當らないというお話は、實は私もそうで、嚴密に考えてあり得ないものじやないかと思うのであります。どこかに營業する以上はやはり届け出て營業しておるわけであります。かりにその營業の場所があるいは他に移動いたしましても、その營業を届けてやつているところがあるわけであります。だから私は、この條項はおく必要はないのじやないかという感じがするので、お尋ねしたわけであります。御一考を煩わしたいのであります。  それから勞働組合が保險の事務の一部の委託を受けるということにつきましては、將來御研完なさるということであります。外國にはその例があつて、すでに現に十年以上、相當のりつぱな成績をあげておるわけですから、これは將來そう長く研究なさる必要もなく、外國の例をお調べになればわかるのであります。そうすることによつてあまりこういう仕事のために役人を殖やし、あるいは役所關係の事務員を殖やすという必要もなく、またこの保險に要するところの事務經費を節約するという趣旨が立つのでありますから、これは研究をなさるのも結構でありますが、ひとつ實行をされる建前から、外國の諸例を直ぐにお調べになることを切望申し上げる次第であります。
  64. 加藤勘十

    ○加藤委員長 今の菊川君の十條の第六號の場合、これは事務所となつておりますが、これはもし作業所ということであつたならば、たとえば屋外製罐作業のように、あるいはある驛のブリツジの修繕を請負うとか、あるいは橋梁の一部を請負うというような、移動作業所をもつておるという場合があるのですね。それは作業所であつて、事業所ではない。事務所ということになれば、どこかに一定の店舗なり事務所なりをもつておつて、作業所の轉々とする場合があると思いますが、これはどうなんです。
  65. 上山顯

    ○上山政府委員 かりにあちこち出張作業をするというような場合でございますれば、これは事務所というような、とにかくどこかに本據がありまして、そこが一定しておりますから、もちろんこれは適用を受けるわけであります。ですから十條の六號のような場合は、事實問題としてはあまり例が少いのじやないかと思いますが、ただ觀念的には一應考えられることでございまして、今までのほかの法令も一應こういう場合を考えて規定しておりますので、特に除外する必要もないじやないか、この程度に考えております。
  66. 加藤勘十

    ○加藤委員長 大體質問は終つたのじやないかと思いますが、もし御異議がなければ、質問をこの程度で打切つて本案に對する各黨の態度を御決定顧いたいと思いますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 加藤勘十

    ○加藤委員長 それでは質問を打切りまして、次囘の理事會までに、ひとつ各黨の本案に對する修正なりその他の態度をお持ち寄り願つて、御協議願いたいと思います。そのように取計ろうことにいたします。  本日はこれをもつて散會いたします。    午後零時五十分散會