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1947-08-26 第1回国会 衆議院 労働委員会 11号 公式Web版

  1. 昭和二十二年八月二十六日(火曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 加藤 勘十君    理事 辻井民之助君 理事 山下 榮二君    理事 川崎 秀二君 理事 橘  直治君    理事 原   侑君 理事 三浦寅之助君    理事 相馬 助治君       荒畑 勝三君    田中 稔男君       館  俊三君    天野  久君       小川 半次君    寺本  齋君       橋本 金一君    伊藤 郷一君       小澤佐重喜君    栗山長次郎君       村上  勇君    吉川 久衛君       河野 金昇君  出席國務大臣         國 務 大 臣 米窪 滿亮君  出席政府委員         厚生事務官   上山  顯君     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  職業安定法案内閣提出)(第三六號)     ―――――――――――――
  2. 加藤勘十

    ○加藤委員長 これより會議を開きます。  前會に引續き質疑を行います。荒畑勝三君。
  3. 荒畑勝三

    ○荒畑委員 政府に第一に伺いたいことは、本法案第四條第一項には「勞働力の需要供給の適正な調整を圖ること及び國民の勞働力を有效に發揮させるために必要な計畫を樹立すること」が、この安定所の業務と規定されておりますが、この第一項の勞務の需給計畫ということは、これはただ單に切り離して、それだけを考えることはできないのでありまして、全體的な産業計畫が樹立されていなくては、勞務の需給計畫も實現は不可能であると思うのであります。從つて第一項の規定を滿足に行いますためには、安本の勞働局を強化する――強化するということは、もちろんただ役人を殖やして、役人の權限ばかり大きくするという意味ではないのでありまして、これを徹底的に民主化する、そういうことが第一に必要になるのではないか、そう考えられる。從つてこの安本の勞働局を強化し、かつ民主化いたしまして、全體的な總合的な産業計畫を立てるというために必要な總合的な産業計畫を立てるというために必要なことといたしまして、政府はこれは勞働組合代表者竝びに、いわゆる知識階級代表者を参畫せしめて、そうして本法の遂行を可能ならしめるということが必要であると考えるのでありますが、この點に對して政府はどうお考えでありますか。まず第一にそれをお聽きしたい。
  4. 上山顯

    ○上山政府委員 總合國策の一つといたしまして、勞働局の需給計畫を確立しなくてはならないという、ただいまの荒畑委員の御質問に對しましては、私も全然同じ感想をもつております。ただこれについては、先般の委員會で安本の勞働局の木村次長からもお答えがございましたように、ただいまとしては、いろいろな計畫を立てるための要素の未確定なものが非常に多いために、今すぐにはなかなか具體的な計畫が立たないというお話もあつたのでございますが、私これにはむしろ、若干私見になるかと思いますが、いろいろな假定條件を置きながら勞働局の見地からの一應の計畫を立てて、それを關係の人にお示しをし、檢討を受け、ほかの條件を睨み合わせて、だんだん具體的なものにまとめ上げることが、ぜひとも必要ではないかと考えております。從いましてこういう計畫を立てますことについては、安本が總合計畫をやるのに最もよい立場にございます。勞働行政の立場からも非常に關心のある問題でございますので、ともども協力してぜひともそういう計畫が最初から完全なものとはまいりませんでも、まず最初は樂な點から、漸次具體的な精密な計畫ができるように努力いたしたいと思います。そしてこれらの計畫をできるについては、もちろん勞働組合代表なり、その他こういう方面の有識經驗の士のお知惠を十分拝借することがぜひとも必要でございまして、そういう點についても御意見の點が早く實現いたすように、安本と連絡をとつて十分努力いたしたいと思います。
  5. 荒畑勝三

    ○荒畑委員 同じ第四條の第三號に「求職者に對し迅速に、その能力に適當な職業に就くことをあつ旋すること。」こういう條項がございますが、現在政府は求職者の能力に適當な職業の斡旋が可能であるという見透しが、はたしておありであるかどうか。政府失業對策を見ますと、たとえば公共事業の計畫などにおいては、土木建築業あるいは港灣勞働というような内體勞働、特に重勞働というものに對する對策は相當に認められますが、しかしいわゆる知識階級というものに對する對策には、考慮が非常に足りない點がしばしば認められるのであります。現在職業安定所であり重視されず、むしろ閑却されている方面は、この知識勞働者の就職斡旋であると思うのであります。實際に港灣勞働とかあるいは土建というような方面では、その點は便宜は比較的に多いのでありますが、知識階級失業者が能力に適當な職業に就くという機會がはなはだ乏しい。またそういう施設も足りないように思うのであります。しかしこういう階層の失業者は、なるほど數の上から言えばむしろ少くて、單にその點だけでは餘り重要な問題ではないかもしれませんが。しかし思想的に社會に與える影響はむしろこの方が大きいのではないか。從つてこういう階層に對する對策というものが、その數に比してはより一層必要なのではないかと思うのであります。こういう對策に對して政府は、もつと具體的な考えをもつべきではないかと思うのでありますが、この點についてはいかがでありますか。それをお聽きいたしたいのであります。
  6. 上山顯

    ○上山政府委員 第四條の第三號を中心といたしましての御質問でございますが、この點についてはなお、あとの條文の第十九條にも紹介の原則として「公共職業安定所は、求職者をその能力に適合する職業紹介するように努めなければならない」ということがございまして、その趣旨をもう一度繰返しているわけでございます。  なお關連いたす條文をもう一つ申し上げますと、第十七條の求職申込のところに「公共職業安定所は、必要があると認めるときは、求職者に對し、その就職先、勞働條件、就職地その他求職の條件について、指導することができる」という規定がございます。そこでわれわれ職業行政に携つている者としては、極力本人の能力に適合する仕事を紹介することに努力いたしているわけでございまして、安定所に對しましても、その原則を明かに示しているわけでございます。ただその適當なということにつきましては、もちろん私たちとしましては前職等は十二分に尊重しまして、從來事務的な仕事に從事しておりました者については、やはりその經驗、技能を十二分に活用さすように努力をいたしておるわけでございます。ただ安定所に出てまいります求人、求職の状況から見ますと、一般的には求人の方がむしろ多くて、求職の方が少いということを度々申し上げておりますが、事務系統につきましては、むしろ求人よりも求職の方が多いのが通例の事態でございます。すなわち知識階級といわれるような人につきましては、安定所の窓口から見ましても、相當就職が困難な状況になつているわけでございます。從いまして私たちとしては、前職も非常に重視いたしまして、できる限りそういう方面には斡旋に努力するわけでございますが、ただいまの日本の國状からいたしまして、必ずしも前職通りの就職ができない場合も考えられますので、體力なり、その他の點が許しますならば、必ずしも前職に拘泥せずに、むしろ新たなる職種に轉換をして新生面を開いてまいるというような努力も、またやつていただきたいと考えておるわけでありまして、制刻申し上げました第十七條の第二項に規定しておりますものは、そういうようなことにつきましても、職業の相談に應ずるということを書いておるようなわけでございます。なお一般の民需方面の知識階級求人が求職よりもむしろ少い状況でございますので、公共事業といたしましても、ある程度は知識階級のために特別の公共事業を設けております。しかしそれだけでは全部の知識階級の就職をなさしめることができないというような状況でございます。
  7. 荒畑勝三

    ○荒畑委員 次に第九條の條文についてお伺いをしますが、第九條、公共職業安定所その他の職業安定機關の行う業務の效果あらしめるために、この事業に從う官吏その他の職員は、勞働大臣の定める資格または經驗を有する者でなければならない、これは一應わかるのでありますが、またその必要も當然のことと思うのでありますが、職業安定所の職員に任用その他の人事に關しましては、任命時における職員の質の問題、竝びに今後の質の向上が重要視されなければならないことはもちろんであります。そこで職業行政に關する官吏の問題は、一般行政官廳における官吏資格とか、あるいは年限とか、そういうことにとらわれないで、廣く一般から適材を採用するということが非常に重要であらうと思うのでありますが、現在すでに職業安定所なんかで、雇員には缺員がないが、事務官の方では缺員があつて、そのために非常に惱んでおるということを聞き及んである状態であります。從つて安定所長が適材を採用する、また適材採用の推薦を行いましても、任命の資格上のいろいろな問題があつて、適材を得るのに困難に遭遇することが、しばしばあるということを聞き及んでおりますし、またそれが實情であろうと思うのでありますが、こういう點についてはあまり資格とか、年限とかいうことに拘泥しないで、そういうことにしばられないで、適材を採用して、職業行政の能率化をはかるということが必要ではないかと私は考える、こういう點については政府はどうお考えになりますか。
  8. 上山顯

    ○上山政府委員 職員の任用の點でございますが、一方では官吏でさえあれば、全然經驗ない者でもどんどん上の方の地位についてまいるというようなことを制限したいと思いますとともに、必ずしも官吏の經驗がなくても、あるいは産業界の實務におきまして、あるいは勞働組合運動の實務におきまして、客觀的にみまして優にこの仕事をやつていけるというような經驗がございますれば、そういう點も十分尊重した上でこの資格經驗というものを考えてまいりたい、かような考えでございます。
  9. 荒畑勝三

    ○荒畑委員 次に第十二條職業安定委員會の構成でありますが、この職業安定委員會は、單に諮問機關というものとして形式の完備だけに終らしめては、私は效果がはなはだ薄いと思うのであります。むしろその權限を強いたしまして、それと同時に實際の職業行政面に参晝させるようにして、實際上の活用をはかるべきではないか、かように考えます。それでなくては單に形式を整えたというだけであつて、實質のないものに終つてしまうおそれがありはしないか、むしろ單に諮問機關というだけでなくして、もつと權限を強化することが必要ではないかと考えるのであります。こういう見地からいたしまして、安定委員會は勞働組合代表を常時その業務に参加させる、あるいは失業者に對する相談等に當らしめる、そしてこうすることがまた安定所の民主化をはかるゆえんではないかと考えるのでありますが、この職業安定委員會の權限あるいはその構成というものについて一應のお考えを伺いたい。
  10. 上山顯

    ○上山政府委員 職業安定委員會の權限といたしましては、第十二條に書いてございますように、諮問に應じてということにはなつておるのでございます。ただしかし、これをいかに運用いたしますかは、法律の字句以上に、實際上どういう氣持で政府當局が運營し、また關係の方々が御協力いただくかによつてきまると思うのでありまして、私たちといたしましては、この委員會によりまして眞に關係各方面の意向を反映させていただきたい、そして十分そういう方々の御意向を酌んで運營いたしたいという熱意をもつておるのでございまして、言葉の上では諮問でございまきが、實際は十二分に御尊重し御協力を願つて運營いたしたい、かように考えているわけでございます。それで從來ややともいたしますると、こういう委員會が名前だけに終るきらいが今まではございましたので、そういうことのないように、ぜひともこれは定例的にも開いていきたいという氣持の現れが、先日の委員會で御質問がございました月一囘以上とか、三月に一囘以上とかいうような規定にもなつたわけでありまして、こういう規定はむしろ法律としましては例が少いかとも思いますが、私たちとしましては十二分に御活動願いたいという氣持をもつておりましたのが、こういう規定に現われたような次第でございまして、その邊のところを御了承いただきたいと存じます。
  11. 荒畑勝三

    ○荒畑委員 次に第二十條の爭議行為不介入の問題であります。特に問題となると思いますのは、第二項の「公共職業安定所は、その紹介する業務の部門が、前項に規定する部門以外のものである場合においては、爭議行為發生中であつても、その部門に求職者をあつ旋することができる。」これが私は相當問題があると思うのです。一定の部門、つまり工場あるいは企業内の部門と部門がわかれておる場合には、Aの部門に爭議が發生しておつても、Bの部門あるいはCの部門に爭議がない場合には、その爭議のない部門に求職者を斡旋することができるという意味でありましようが、しかしこういうことは實際上は不可能であるか、あるいは不可能でないまでも、非常に困難なデリケートな問題を含んでまいるのではないかと思います。一定の工場内、一定の部門内では、もちろん言うまでもないことでありますが、一定の工場内のきわめて一部に爭議が起つておるという場合には、間接にか直接にか、多かれ少なかれ、これは全體に爭議が影響をもつことは明白でありまして、そういう場合にただ單に、この部門には起つている、この部門には起つていないとかいう表面上の形だけで、實際上區別はつけられるものではないと私は思う。たとえば一定の部門に爭議が起つておりまして、他の部門に爭議が起つていない。しかしその起つていないところに求職者をどんどん斡旋して差支えないか。表面的には、形式上には、斡旋して差支えないでありましようが、しかしおよそ爭議には不介入の態度をとつて、爭議には全然中立の態度をとるという立場が原則となつておりますからには、こういうことは當然避けなければならぬと思います。なぜならば、他の爭議の發生しない部門に求職者がどんどんはいつていくということは、その部門以外の部門に起つておりますところの爭議を弱めることにも、失敗させることにもなる結果が起るのでありまして、直接と間接とを問わず、そういう結果というものは、これは現在の産業制度が錯綜しておつて、どこをどこと切離すことができないような關係にある以上は當然なことであります。また他の部門に求職者を入れる、これが爭議の起つておりまする部門に轉用させまして、安定所の意圖のいかんにかかわらず、實際上においては罷工破りのような結果にならないとも限らないのであります。もう一つ考えられることは、同じ工場内の勞働部門でなく、勞働部門と事務部門というふうに、たとえば勞働部門の方で爭議がある、事務の方には爭議がない、事務の方の人を入れてもこれがただちに勞働の方に轉用されて罷工破りのような結果は起こらないと一應考えられるのであります。しかし必ずしも、そうばかりは言えない。たとえば前年東京市の電車從業員が爭議を起しましてストライキになりましたときに、事務の方の者がどんどん實際に電車に乗つて運轉をやりまして、實際上において爭議破りの行為もやつた。そういう點を考えますと、私はこの條文というものは、公共職業安定所は爭議行為における中立の立場を維持するためという原則が、この第二項の規定によつて實際上は空文化してしもうおそれがあるんじやないかと考えられるのであります。むしろこの第二項の規定は削除してしまつた方がいいんじやないかと私は考えるのでありますが、この點に關する政府の御見解を伺いたいのであります。
  12. 上山顯

    ○上山政府委員 ただいまの點はいろいろ御意見がある點だとは思うのでありますが、ただ第二十條の第一項におきまして、現に為議行為が發生していることが明らかな業務の部門だけでございませずに、發生するおそれがあることが明らかな部門にも、求職者を紹介してはならないということが書いてあるのでございまして、いろいろ例におあげになりましたような場合には、その結果として結局また新たな爭議が發生するというような機會も相當多いと思うのでありまして、そういう場合におきましては、それは爭議行為の發生するおそれがあるという意味で、その業務の部門には求職者を紹介してはならぬわけでございます。從いましてこれは實際問題として非常に微妙な關係もございますので、安定所としましては、爭議行為の状況等につきましては、勞政事務所等と密接な連絡をとりまして、その紹介をしましたために、かえつて爭議行為が新たに紹介した部門にも波及することがないかどうかというような點を十分確かめまして、そういう心配が全然ないというような場合に限りまして、爭議行為が發生していない部門にも斡旋ができるというふうに、運用につきましては十分慎重にしてまいりたいと思うのでございまして、そういう心配が全然ない場合、たとえば非常な大工場におきまして、一部の研究所だけが爭議行為にはいつておりまして、諸般の情勢を察知しましたところが、それ以外の爭議というような心配が全然ないという場合も考えられると思うのでありまして、そういう全然心配のない場合におきましては、爭議行為が發生していない部門には求職者を斡旋することができるという扱いにしまして、この條項の取扱につきましては特に慎重を期してまいりたいと思つておりますので、その邊御了承をいただきたいとおもいます。
  13. 荒畑勝三

    ○荒畑委員 そういう非常に注意深い、間違いのないような政府の心遣いは、ここにはちつとも現われていない。もしそういうふうにして、あれだけに十分な注意をして、萬全を期するならば、はなはだ結構でありますが、しかしそれならそれで、そういうことがここにうたわれていなければ、ただ條文だけをつくつたのでは、實際にこれが運營されるときには、とんでもない、かえつて政府の意圖と反對な結果を生ずるかもしれない。そういうことは必ずしもこの法律の案文ばかりではなく、いつの場合にもそうでありまして、實際にこれを扱う者は、條文だけによるのでありましようから、そう一一政府の肚の底までくんでやるわけじやないでありましよう。もしそういうふうな萬全の策を講じて、綿密な注意を拂つて、いやしくも爭議に介入するようなことがないようになさるとおつしやるならば、どこかにそういうことをちやんと、きちんとうたいこんだらどうですか。
  14. 上山顯

    ○上山政府委員 この第二十條の一項に、發生するおそれがあるという言葉が使つてあるのでございまして、おそれがあるということは、こういう場合もおそれがあるじやないかというふうに、ずいぶん廣く解釋されるのではないかと思うのでございます。こういう件の扱いにつきまして、第二十條第二項の但書にも書いてございますので、そういう規定からもこの問題については慎重な、むしろ神經質な態度で臨んでおるということは、おくみとりを願えるのではないと思います。
  15. 荒畑勝三

    ○荒畑委員 第四十五條の勞働組合法による勞働組合が、勞働大臣許可を受けた場合は、無料の勞働供給事業を行うことができる。こういう場合に、許可を受ける必要があるのでございましようか。むしろ届出主義でやつた方がよろしいではないでしようか。
  16. 上山顯

    ○上山政府委員 この勞働者供給事業といたしましては、四十四條にも書いてございますように、原則としては禁止ということにいたしまして、認めます場合を、非常に例外的に考えておるわけなのでございます。從いまして勞働組合法による勞働組合でございますので、いろんな指導なり、監督なりがあるかもしれませんが、特にこの仕事をやろうという場合には、勞働大臣許可に諮らせまして、特にこの勞働者供給事業については十二分の監督をいたしてもらいたい。かような考えで、特に許可を條件にいたしておるような次第でございます。
  17. 荒畑勝三

    ○荒畑委員 この禁止するのは營利事業としての勞働者供給事業でございましよう。勞働組合はもちろん營利事業としてではなく、實際に自治的に勞力の配置轉換、あるいは就職の斡旋という方法を自治的に行いまして、失業者が多く出て、勞働者の賃金を削り合うような結果となることを防ぐためにやろうというのですから、全然性質の異つたものなので、無料の勞働者供給事業であることはもちろんでありますし、勞働者が自治的に自己の生活水準賃金水準、一切の勞働条件の中の水準を維持するためにも、失業者を少くする、その救濟を行うということは當然なことでありますから、それを規則や何かであまりしばらないで、できるだけ自治的にそういう方面に力を盡させる、むしろこれを奨勵させるという意味で、私は届出主義でやつた方がいいのではないかと思うのでありますが、いかがですか。
  18. 上山顯

    ○上山政府委員 私たちが具體的に、この勞働者供給事業がたくさんできるのではないかと豫想しておりますのは、今まで派出婦の業者あたりがあるわけでありまして、ある程度の社會的な使命を果しておるわけでありますが、そういうものは今後勞働者供給事業として禁止される。しかし今後は自主的な勞働組合の形でやれば結構だ、かように考えておるわけでございます。ただこういうような場合にもどうかいたしますと、勞働組合の美名のもとに、今までの關係者がやはりボス的な存在をつくるというようなことも、絶無ではないと思うのでありまして、許可の手續といたしましては、できるだけ簡單に行うという點は、私たちも御質問の御趣旨に同感でありますが、やはり許可を要することにいたしておく方がいいのではないかというのが私らの考えであります。
  19. 荒畑勝三

    ○荒畑委員 最後に第五十六條の都道府縣知事に對する監督の問題でお伺いしたい。これは先だつても前田委員から御質問がありましたが、私は少し違う意味で御質問したい。地方自治法の規定によりますれば、地方の事業は都道府縣知事の權限内にあるということであります。職業安定所というものは、地方的にいたして差支えないと私は思う。地方で行われて少しも差支えないと思う。そういう場合には、これは都道府縣知事の權限のもとに監督されて行われていたと思いますが、そういう場合に一々勞働大臣の監督に服するということになりましたならば、都道府縣知事の權限、あるいは地方自治制度とかいうものと、非常な間隔がしばしば起りはしないかということを私はむしろおそれるのであります。そういう點で政府の御所見を伺いたい。
  20. 上山顯

    ○上山政府委員 ただいまお尋ねの點でございますが、いずれにしても、この法律なりこの法律に基いてやるところの使命處分に對しまして、知事がはつきり違反したというような場合には、やはり何らかの是正が必要だと思うのでございます。ただ地方の自治の立場を認めるがゆえに、簡單な手續きじやなしに、むしろ反對の立場の考えから言えば、非常にまぎらわしい手間のかかるようなことさえ考えられます愼重な手續きをもつて是正してまいりたい。かようにいたしておるわけでございまして、一方知事の立場を認めながら、最小限度これだけの愼重な手續きをもつて是正してまいろう、かような趣旨でこの規定ができているわけでございます。
  21. 荒畑勝三

    ○荒畑委員 私の質問はこれで終ります。
  22. 加藤勘十

    ○加藤委員 三浦寅之助君。
  23. 三浦寅之助

    ○三浦委員 勞働基準法の施行と同時に、婦人の勞働者も男と平等な取扱いのもとに、すべての點において男子と平等に取扱われるということは當然であり、まことに結構なことでありますが、ただ實際問題を考えてみますると、從來の日本の婦人の就職状況、また婦人の立場というものは非常に不利益であつたのであります。同時にまた、それだけあるいは雇主の方からは利用され得る餘地が十分にあつたとも考えらるるのであります。婦人が男と勞働條件その他の待遇がすベて平等ということになると、雇主の方でいざ使用する場合においては、男の方を優先的に使用して婦人の就職の機會がそれに阻まれるということが考えられるのではないかと思います。こういう點から考えてまいりますと、男に比べて婦人の失業者というものが多くなり、それを職業安定所において就職斡旋しようとしても、雇主の方でそれを好まない。また婦人を求めることが少い。求めないということがあると、せつかく婦人の勞働者の待遇は向上したが、實際の就職の場合においてはきの機會を失うということになります。これは結果から見ると、婦人のためのも非常に不利益なる結果になるようにも考えられるのでありますが、こういうような點に對して、いかようにお考えになつているか御答辯を願いたいと思います。
  24. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 今の場合は憲法で定めた精神、すなわちすべての點で男女が同じように待遇されるということから、しばしば能率が上る男の方を雇主が好むということになつて、かえつて憲法における男女差別を撤廢して、女子に對とても男子と同様に取扱うということが逆作用を起すのでありますが、憲法においては、勞働の價値が同じ場合においては同じ給料をやる、こういうぐあいに實質的に、男女においての價値が平等であるかどうかを調べて、それによつて待遇の差別をしてはいけないということを述べているのでございます。從つて勞働價値の上らない場合においては、やはり賃金その他の待遇も男女必ずしも同一でなければならないことはないのでございます。從つてこういう大前提から論じていきますと、いわゆる女子が能率が上らぬからといつて、女子を使用しないという結果にならないのではないか。また女子でなければならないような業務もあり得るのでありまして、從つて三浦さんの御心配のように、女子たるがゆえに就職の機會を失う者が多いという心配はたぶんないと思います。また職業安定法を實際に施行する場合においては、その衝にあたる者はそういう弊害の起らないように善處してまいりたい。そう考えております。
  25. 三浦寅之助

    ○三浦委員 國務大臣の御答辯はまことに結構でありまして、そうなければならぬと思うのでありますが、基準法の施行において、婦人の産前産後であるとか、育兒であるとか、あるいは生理休暇というような支障を考えて、殊に婦人でなければならないところのものについては、もちろん問題はないのでありますが、どちらでも差支えないというような程度、殊に同等に待遇するという根本から、そういうことが論ぜられることになると、婦人が長く同一勞働に從事する機會が少くなるというような、あらゆる面から見て、實はそういう心配を起すのでありますが、當局においてそういう心配のないように善處するということであれば、それで結構であります。  同時に私は今後の婦人の勞働、就職を考えてみますと、婦人は男と比べて、どうしても家庭の用事をしなければならない。主婦の役目を考えてみますと、今後の婦人の職業指導なり補導は副業的なもの、あるいは家内工業式なもの、家庭において主婦が簡單に仕事をなし得る機會を與え、またそういう方面の指導をする職を與えることが非常に重要になつて來るのではなかろうかと思うわけであります。そういうように家庭において簡單にやるか、近くの一つの場所で時間に制限なしに家庭の餘暇に出かけて行つて仕事をして賃金を得ることに、これから重點をおくことが實際に即しているのではなかろうかと思うのであります。そういうことに對する指導方法に對してのお考えを御答辯願います。
  26. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 非常にごもつともな御質問でございまして、そういう問題も將來相當起つて來ることが豫想されるのでございます。從つて勞働省設置法案の中にも、第七條の婦人少年局において、その第三號に家族勞働問題ということを取扱つてまいりたい。その具體的なことについては、今直ちにここでお答えするまでに至つておりませんが、三浦さんの御指摘になつたような、家庭によつてなされるところの勞働問題などは、よく考究いたしまして善處してまいりたいと考えております。
  27. 三浦寅之助

    ○三浦委員 ただいまの御答辯で結構でありますが、私どもの調査した範圍においては、家庭の主婦がそういうように簡單になし得る仕事の範圍というものは、非常に大きいように思つておりますし、またその實情等も多少知つておるつもりでありますが、その役割はまた非常に大きいと思います。殊にそういう家庭婦人の勞力によつて、輸出品等の仕事においても相當なし得る餘地があると確信とておりますから、十分御考慮願つて善處せられたいことをまずお願いしておきます。  次に失業救濟等においての就職の場合において、これは國務大臣も御承知の通り、十数年前におけるあの不況時代においては、失業救濟の事業等においては、失業手張を發行して、一週間に一囘あるいは二囘というようなことで、就職の機會を與えておつたのでありますが。將來において失業者がたくさんできるということになつた場合においては、この職業安定所の仕事として、そういうようにかつてしたような、一週間一囘とか二囘とかいうような方法によるところの職業の斡旋をやはりやるのか、そういう場合においていかなる方法で取扱うつもりか、それともまたそういうことをせずに、失業手當とか、いろいろな面があるから、一度就職の世話をした者に對しては、一週間に二度とかいうことをやらずに、繼續的にいつまでも永久的な勞働に從事し得るような取扱をするのか、そういう點に對して念のために聽いておきたいと思います。
  28. 上山顯

    ○上山政府委員 實は社會保險制度調査會で失業保健研究をやる場合にも、日雇だけについては、ただいま三浦さんからお話のありましたような、いろいろな例などを斟酌しまして、輪番就業制を加味した失業保險というものをいろいろ研究したのでありますが、なかなかむずかしい問題がありまして、ただいままで實は本案を得ていないような次第であります。實際仕事がなければそういう場合もあるかと思いますが。實際問題としましては、昭和五、六年頃でありましたか、その時分としますれば、月に二囘働きましても、どうにか米代にはなつたという事例もあるのでありますが、今の食費だけでもなかなかかかつて、週に二日ぐらい動くのでは、なかなか食つていけないというむずかしい問題もあります。そういう點をいろいろ考え合わせて、なお研究いたしたいと思つております。
  29. 三浦寅之助

    ○三浦委員 私はこの問題は、これから失業救濟事業あるいは公共事業等において大量に勞働者、失業者を消化するという場合においては、相當重要性があると思うのであります。昭和五、六年頃のある失業手張によつてやつたことも、私ども實際に知つておるわけでありますが、一週間に一囘、月に四囘なり五囘の就職率が辛うじて生活しておつたこともあるのであります。しかしそういうこともやはり失業者が大勢になつて、收容しきれないという場合においては、また相當に考える途があるのではないかと思うのでありまして、念のために聽いたのであります。  それからもう一つ、一度職業安定所で紹介して、就職の機會を得たが、せつかく就職してもその職業が適しておらないということで、二日か三日でそれをやめてしまうという例が、かつてはいくらもあるのであります。それで結局その場合には、職業安定紹介所等にいくことができないので、そのままにされておる。統計的にみるとそういうものでも就職したという統計の表になつておるけれども、實際は二、三日でやめたという幾多の例があるのであります。そういう場合においては、安定所では一度紹介して就職さしたけれども、その職業が適正ならざるものと認めるか、あるいは勞働者がその職業が勤まらないということで、その職をやめる場合においては、さらに適當なる職業紹介するのか、その場合の取扱をどういうふうにするのか、念のために聽いておきたい。
  30. 上山顯

    ○上山政府委員 安定所で實際に仕事の紹介をいたしてから二、三日でやめるという例も相當あるようでございます。今手もとに全般的な藪字をもつておりませんので、藪字的に御説明することができませんが、それは認めなければならぬと思います。ただそのやめます理由といたしましては、客觀的にみましても、これは安定所の紹介が十二分に行届いていなかつたという場合も、もちろん中にはあると思うのでありますが、ただ一方ただいまの求職者の希望といたしましては、少しでも賃金の多い方を求めてまいりまして、いいところだと思つてはいつたが、案外ここもだめだというので、轉々する人もあるようでありまして、その原因等についてもいろいろあると思いますが、私たちとしては安定所の職業指導の方針としては、できるだけ長續きのできますような見透しをもちまして、就職斡旋をするのは當然のことだと思います。その方面については今後一段と努力いたしたいと思います。
  31. 三浦寅之助

    ○三浦委員 そういうような問題が起るということも、安定所が仕事を取扱う場合に、ただ事務的に取扱つて、そうして求人の申込みをした場合に事務的に申込みを受ける。そうして人を求める方の雇主側に對しては、本人の言うことだけで、實際の實情というものの調査をほとんど從來やつておらないのではないか、だから實際問題になると、申込んできたが實際についてみると非常に相違があるということは、この安定所はただ機械的に仕事をやるのであつて、實情を十分に把握しなかつたということが、私はそういう結果を生むのではないかと思います。從來の取扱方はそういう求人側の實際の調査というものがまことに粗漏であつたと言つても、過言ではないかと確信しております。それで今後は求人側實情調査ということに對して、どういうふうにおわかりになるつもりか、御答辯を願いたいと思います。
  32. 上山顯

    ○上山政府委員 ただいま三浦さんから御指摘になりました點は、職業行政の痛いところをなすわけでありまして、私どもといたしましても、職業行政の最も大事な問題の一つは、職員教養訓練だと考えておるのであります。今度の安定法の趣旨にうたつておるように、公共のために奉仕するということで、實際適當な就職の斡旋をやつてもらいますためには、お互いまだまだ勉強しなければならぬと感じておるようなわけであります。從いましてこの教養訓練については、特に力を注ぎたいと思うのでありまして、ごらんになる通り、安定法案の五十二條にも特に教養訓練のことをうたいましたようなわけであります。これも從來の法律から申しますと、こういうことを法律にうたうということはむしろ例が少いかと思いますが、私どもとしましてはこの點いわば國民にお約束して、こういう方面には特別の努力をいたしてまいりたいという覺悟を示したことにもなると思つておるわけでありまして、その邊の氣持を御了承願いたいと思います。
  33. 三浦寅之助

    ○三浦委員 實際從來の職業紹介所の取扱状況を見ましても、ただ求人の申し込みがあり、同時に職を頼みに行くと、ただ申込表か何かを見せて、そうして紹介状を出して勝手に本人をやるというような程度であつてその結果が必ずしも適當なる所に紹介したとは考えられない點のみが多かつた、私の知る範圍においてはそうであるのでありますが、そういうようなことではせつかく就職の申込みをし紹介を受けてもただ安定所がそこに行きなさいというような紹介だけでは、そこへいつて結局この求人、雇主の方に行つて、それが調査されて、あるいは會つてはねられるというような實際問題としてたくさんあるのであります。こういうようなことで、せつかく紹介を受けても就職することができなかつた、話合いをすることができなかつたということはそういう點にあると思うのでありますが、今後においては、もう少し安定所が就職者の事情を聽いて紹介したならば、必ずそれが就職し得るという見込みのついたものに對して、これを紹介してやるというようなことにしていただかないと、ほんとうに機械的な紹介なにるのではなかろうかと思うのであります。そのためには安定所は、あるいは庸主則との十分なる打合せ、あるいは雇主側のある程度の權限を受けてくるということも一つの方法でありましようし、そういう權限を受けている以上、安定所において就職者の適否をみずから檢査するというところの考査方法を考えるというとこまでつかなければ、ほんとうの職業紹介にはならぬじやなからうかと思うのであります。この七十條の三項には、「特殊な業務に對する求職者の適否を決定するため必要があると認めるときは、試問及び技能の檢査を行うことができる。」とありまして、この特殊な業務に對する求職者の適所に對しては、試問及び技能の檢査を安定所で行うようでありますが、少くとも私はこういうような檢査をもし行つて合格したならば、これは確實に就職できるという責任をもたなければなりませんし、また特殊業務でないところの求職者でも、職業紹介所が紹介する以上は十分に、必ず全部とは申しませんが、大體において就職可能の取扱いをするということにまで御努力願うべきものだと思いますが、どうでしようか。
  34. 上山顯

    ○上山政府委員 御意見の點、まことにごもつともでありまして、從來の安定所の活動が十二分でない點も非常にあつたのでありますが、ただいまの御意見等十分に尊重いたしまして、この點御希望に副い得ますように努力いたします。
  35. 三浦寅之助

    ○三浦委員 次は、先ほどの質問にもありました職業安定委員會の問題でありますが、この勞働行政民主化のためにも、職業紹介民主化というような點から見ましても、この職業安定委員會ということの重要さは、もう議論の餘地がないのであります。ただ私は重複しない範圍において、職業安定委員會の委員の任命についての御意見を承りたいのであります。この條文では「職業安定委員會は、勞働省を代表する者、雇用主を代表する者及び公益代表する者でこれを組織する。」「中央職業安定委員會の委員は、勞働大臣がこれを命じ、都道府縣職業安定委員會、特別地區職業安定委員會及び地區職業安定委員會の委員は、關係都道府縣知事が推薦した者について、勞働大臣がこれを命ずる。」とある、この委員の任命の方法であります。結論から申しまするならば、勞働行政職業安定の仕事の最も中心であり、民主化の線に沿うべき重要なるこの委員會の委員の選任は、勞働大臣が握つているということであります。もちろん實際の場合においては、勞働團體の代表者から推薦も受けるし、相談も受けるであろう。また雇主側の方ともいろいろ相談をされるものとは思いますが、しかし事實において勞働大臣がこれを任命するということは、私は相當考えるべき點があると思うのであります。もつとも勞働行政に理解のある現米窪大臣のような方であれば問題はないかもしれませんが、今後のことを考えますると、この結論としては官僚的色彩が濃厚による、結局官僚の考えによつてこれらの人々が命令されるようになるとも考えられるし、またこの條文から見ましても、勞働大臣が任命するということが重要なる中心をなす。この點において、非常に官僚的色彩が濃厚であるというようにも考えられるのであります。それで私はこの任命方法に對しまして、もう少し民主的な方法はないかということに對するお考えをまずお聴きしたいと考えます。
  36. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 職業安定委員會の構成竝びに任命の方法についてのお尋ねですが、大體これについて御参考までに申し上げたいことは、各種の諮問委員會の一つの例を言いますと、中央地方の勞働委員會の構成竝びにその委員任命の方法が、大體これと同じように今日はなつているのであります。それでその場合はどうするかというと、勞働組合に對してまずその候補者を勞働組合の方の自主的方法できめてもろう。それは政府で何ら關與せずに、勞働組合から推薦された者をもつて最後の決定とする。經營者側に對しても同様でございまして、經營者側の各團體の推薦した者をもつて最後の決定とする。それからいわゆる學識經驗者から出す中立側の方については、政府定員の大體倍數の候補者、あるいは定員に對して若干を加えた數の候補者を兩者の間に提示して、そして兩者の推薦によつてきめるという、きわめて民主的の方法をとつていると政府は考えておりますが、大體職業安定委員會の方も、こういつた既存の實例に準じてやつてまいりたいと思います。勞働大臣が任命するといつても、勞働大臣が勝手に、獨裁的にだれだれといつて任命するわけではないのでありまして、勞働大臣が任命することは形式にすぎない、その任命に至るまでのいわゆる選定方法は、今申し上げたような民主的な方法によつておるのであります。おそらく職業安定委員會もそういう方法でまいりたいと考えております。
  37. 三浦寅之助

    ○三浦委員 これは實はこの法案にあるからこれだけに止めたのでありますが、私の考えは、勞働行政全般の問題として考えても、すベて重要な民主化をなす勞働行政の中心である委員會というものが、ただいま國務大臣の申されるように、同じような線できておるのであります。私はこれを根本的に考えてもらいたいのであります。なるほどこの勞働行政全般、各委員會と同じような形式をとつておりますが、ただいま國務大臣の申されまする通り、あるいは勞働組合代表、あるいは資本家の代表というようなことで、その方から選ぶということでありますが、實際の勞働組合がそれを選ぶということにつきましても、ただ私はそのどの勞働組合に御相談されるかは、まだ實際には聞いておりませんけれども、實際において勞働組合があるいは全部組織され、あるいは完全に全部の勞働者に勞働者の代表として認められるかどうか、現在組織された勞働組合だけに選ばれた者が、これが全部の勞働者の代表として適當であるかどうかということに對しても、私は一つの疑いをもつておるのであります。現在組織されたところの組織勞働者は、少くとも勞働者という立場からいうならば、半分にも足らなかろうかと思うのであります。しかもこの勞働者を代表するという政府の取扱う組合からみましても、おそらく半分以下だと思うわけであります。またその點におきましては、雇主という側からみても私は同様に考えられるわけであります。であるから、もし勞働者を代表するというのならば、もう少し、工場組織勞働者以外にも、未組織勞働者、各方面の勞働者を代表するような考慮を、この選ぶところの認定方法に對して佛つてもらいたい。また雇主代表につきましても、現在雇主代表と考えられるような人によつての代表といつても、これは一部であります。全部の雇主を代表するとも考えられないのでありまして、これもなるべく全部の雇主を代表するとみられるような方法を、もう少し考えてもらえないかどうか。いわんや中立の代表に至つては、もし政府が原案を示してやるということであれば、ただ學識經驗者というようなことは、言葉は學識經驗者であるけれども、實際において、いかなる人が眞の學識經驗者として妥當であるかどうかということは、非常にむずかしい問題でありまして、その認定を、ただ政府だけにこれが原案作成を任せるというようなことでは、中立委員の選任というものは、その實際の意見というものが、政府の意見に指導的に働くということにおいて、私はこの點においても官僚的色彩というものは、まだ相當に濃厚に考えられるわけであります。そういうように考えてきますと、この委員の任命に對しましては、ひとり職業安定委員會ばかりではありません、他の委員會でも、もう少しお考えを願いたいというのが私の結論であります。そういうような點に對しまして、もし御答辯が願えれば結構であります。
  38. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 三浦さんの言われたのは、常識論としてはもつともでございまして、政府としても、その御趣旨に副うような方法が見つかれば、そういうことにしたいのでありますが、今のところなかなか困難であります。この問題は國際勞働總會へ勞働代表を派遣するとき、今から二十年も前からこれが問題になつて、當時の日本組織率は、はるかに今日よりも下であつたにかかわらず、一般の勞働者の利害を代表する者をもつて勞働代表とすべしというような聲があり、經營者側からも、そのときに桝本卯平氏が第一囘の勞働代表として行つたのでありますが、これはけしからぬ、いやしくも勞働代表というものは、組織勞働者から選ぶべきであるという、いわゆる勞働者側の意見が通つて、まだ組織率の非常に低かつた友愛會、それの後進である日本勞働總同盟、あるいはその他の勞働團體から、未組織組織の率を比べると、未組織の方が多かつたにかかわらず、組織勞働者から勞働代表が派遣されたという、歴史的なそういうことから考えてみて、今日勞働者の代表という意味から考えると、組織されておるものがやはり勞働者を代表するものとして、まず優先的に考えなければならぬというのが常識論ではないか。世界各國の法制、あるいはそういう行政を考えてみましても、やはり大體において、組織勞働者を代表とするということが、おそらく常識論になつておる。組織以外の未組織の勞働者は相當あります。しかしながら今日のように五百萬、六百萬という組織率をもつておる日本においては、一應はやはり組織勞働者からその代表者を選ぶことが、まず時勢に適しておるのではないかと考えるのであります。また經營者の側においても同様でありまして、やはり經營者の方において團體のある場合には、その團體にその代表者の選考を一任するということも、當然ではないかと考えております。それから中立側の問題については、これはなるほどおつしやる通り、官僚的であるという意見も成り立つでしようが、使用者側及び勞働者側に、たれでも君の好きな者を選べといつても、基準を示さなければなかなか困難でございますから、一應政府はその定員の倍くらいの候補者を示して、しかしてその中から經營者側、勞働者側から選定してもらう。しかしその候補者が、勞働者側及び經營者側から、たれも好む者はない、皆落第であるということであれば、政府はまた考え直すという餘地は殘されておるのであります。
  39. 三浦寅之助

    ○三浦委員 時間がたつておりますから、これで私の質問は終ります。
  40. 加藤勘十

    ○加藤委員長 それではこれにて本法案に對する質疑は一應終了したことになるのでありますが、質疑を打切るに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 加藤勘十

    ○加藤委員長 なければそのように決定いたします。つきましては本法案に對しては、次の金曜日午後一時から委員會を開きまして、そこで本法案に對する討論を行いたいと存じます。できればそれまでに、各黨の御意見をまとめておいていただけば結構だと思います。二十八日午後一時から理事會を開きまして、もし修正等の御意見がありますれば、そこで一應打合わせたいと存じます。どうぞそのようにお取り運びを願います。  本日はこれをもつて散會いたします。    午後零時二十八分散會