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1947-08-19 第1回国会 衆議院 労働委員会 9号 公式Web版

  1. 昭和二十二年八月十九日(火曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 加藤 勘十君    理事 辻井民之助君 理事 山下 榮二君    理事 川崎 秀二君 理事 原   侑君    理事 三浦寅之助君       荒畑 勝三君    菊川 忠雄君       島上善五郎君    館  俊三君       土井 直作君    前田 種男君       山花 秀雄君    天野  久君       寺本  齋君    山下 春江君       栗山長次郎君    村上  勇君       河野 金昇君  出席國務大臣         國 務 大 臣 米窪 滿亮君  出席政府委員         厚生事務官   上山  顯君     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  職業安定法案(内閣提出)(第三六號)     ―――――――――――――
  2. 加藤勘十

    ○加藤委員長 これより會議を開きます。  前會に續きまして、職業安定法案に對する疑義竝びに御意見がありますれば、疑義なりあるいは御意見なりをお述べ願うことにいたします。
  3. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 職業安定法ができましたことは、まことに結構なことで贊成する一人でありますが、その中で一つ私疑義をもつている問題があるので、この機會に伺つておきたいと思うのであります。先般の局長の説明によつて、大體法案の内容もわかつたのでありますが、從來殊に神奈川縣、兵庫縣、大阪府等に多かつた勞務供給事業のことについて伺つてみたいと思つておるのであります。今ここにもらつた印刷物のなかにも、それらの統計も出ているようでありますが、非常に勞務供給事業というのが多數に上つておるのであります。殊に戰爭中の仕事の多いときには、この勞務供給事業が一番繁榮いたしておつたと思つておるのであります。職業安定法によつてこれらが全面的に廢止されることに相なつたのであります。そうして全部あげて公共職業安定所によつてこれらが處置されることに相なるのでありますが、この單なる報告書を見ただけでも、今日ある公共職業安定所だけでは、これが十分賄いきれるかどうかということが私ははなはだ疑問だと思つております。それらに對しては何か適切なほかの方法を考えられるお考えがあるのかどうか、この點をまずさきに伺つてみたいと思つております。
  4. 上山顯

    ○上山政府委員 勞務供給業につきましては、ただいま御質問の中にありましたように、お手もとに資料が差上げてございまして、本年の四月末現在の調査におきまして、業者數は約二千七百、その所属勞務者數は約七萬三千八百という數字に上つておるのであります。もつともこの數字は一年前あたりの數字に比べますと、大分數が減つておるのでありまして、當時は一年前あたりの數字を見ますと、業者の數から申しましても約三千五六百ございます。所属勞務者の數から申しましても十三萬ばかりの數があるのでございます。さようにこの勞務供給業といたしましては、最近食糧事情とかいろいろな事情がございまして、數がだんだん減つているというような状況になつております。それでこの供給業者二千七百の中でも、休業をしておる者も若干あるのではないかと私たちも考えております。しかしとにかく相當の數を占めておりますので、これの廢止につきましては若干の影響がありますことは、私たちも認めるのでございます。しかしこの制度につきましては、勞働の民主化という考えからいたしまして、おもしろくない制度だというので、實は進駐軍勞務に關します限りでは、昭和二十年の十月からすでにこの制度を廢止いたしまして、その職能は勞働安定所で現に果しているわけでございます。それで今度これが全面的に禁止されるわけでございますが、そういう方針は大分前から業者には通じてもおりますので、なお本法施行後もごく短期間ではございますが、經過期間もございますので、その間にいろいろな準備ができてまいると思うのでありますが、大體對策といたしましては、この間申しましたように、今までこういう日雇い關係でおりました者を、なるたけ從來の供給先へ常雇として雇傭してもらうように指導いたしたいと思つております。それでただいまでも勞務者の供給先としましては、工業が四一%を占めておりまして、その多くの分が工場の雜役をやつておるわけでございますが、こういうものは工場の側からいいますと、勞務供給業者に依頼する方が便宜の點もございます。その建前から申せば、なるたけこういうものは常傭化をはかりたいものだと考えておるのでありまして、この機會にそうしたいと考えております。  それから第二は、それは特に派出婦等につきまして組合を結成いたしまして、組合の形によつて、今までの供給事業をやつておりましたような機能を果さしていきたいと考えております。  第三といたしましては、安定所の活動によりまして適當なところへ紹介就職させたい。殊に日雇い的なものにつきましては、ただいまの公共勞働安定所の方へ登録いたしまして、進駐軍勞務でありますとか、公共事業等へ斡旋いたしたいと考えております。  それから第四といたしましては、勞務供給業者については、相當土木請負等の兼業者もございまして、その土木請負等の仕事の方へ、常傭的な使用人として雇傭させるというようなことも相當できてまいるじやないかと思います。そういう方法によりまして、過渡期に若干の摩擦はあるかと思いますが、大體から申せば支障なくやつていけるじやないかと考えております。
  5. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 工場の雜役のようなものが、常傭工として工場へ雇傭關係を結ぶという體制になることは、まことに好ましいいいことであると私も贊成するのであります。さらに今言われました土木建築業のものも、それぞれ常傭工として、親方ないじは會社にそれが正式に雇傭關係を結ぶということも、これはなかなか理想的なことであると思つておるのであります。ただ私はそういう場合に、從來同じような關係から、建築土木請負が杜絶して場合は、勞働問題が起きてきはしないかというこしを非常に心配いたすのであります。そういう方面に對するお考えは、どういうふうに考えておられるかということと、それかもう一つは、この法文で見ますと、四十四條に今のこの問題は「何人も、第四十五條に規定する場合を除くの外、勞働者供給事業を行つてはならない、」という規定があるのに、四十七條にまいりますと、「勞働者供給事業に關する許可の申請手續その他勞働者供給事業に關し必要な事項は、命令でこれを定める」ということが書かれておるのであります。そうすると、何か片一方で法文で禁止しておきながら、次の條項へまいりますと、何かかげに濳んでいるような感じをもたざるを得ないのであります。どういうわけでこういう法規があるのですか。ちよつと伺いたいと思います。
  6. 上山顯

    ○上山政府委員 過渡期につきましては、ただいま御質問がありましたように、いろいろなことも心配されますので、私たちとしましては、前からこういう方針はだんだん漏らしてはおりまして、準備をさせておるつもりでございますが、なお本法の施行後におきましても、三箇月間の餘裕がありますので、そういう期間に業者、また關係の勞務者の團體等に十分話合いをいたしまして、すでにこれは進駐軍勞務の場合に、むずかしいながらも、とにかく一應經驗したことでありますので、十分關係方面にも御理解を得て、やつてまいりたいと考えとおります。  第二點でございますが、第四十四條には全然行つてはいけないとしながら、あとの條文で許可のことが書いてあるという點でございます。これは一應四十五條に規定する場合を除くのほかということで、四十四條では禁止しておるわけでございます。四十五條の勞働組合がやります場合だけは認められているわけでございます。從つてその四十五條で認められております例外の場合につきまして、いろいろな許可の申請手續でございますとか、その他のことがございまして、そういうものを四十一條で規定したのでございます。結局第四十五條に規定してございますところの、勞働組合法による勞働組合が、勞働大臣の許可を受けてやります以外は、全然これを認めないという方針でございます。
  7. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それでは一番先伺いました勞務供給は、公共職業安定所だけで、今までの供給が完全に行われ得るという見透しでございますか。もつと増設しようというお考えがあるのでうか。
  8. 上山顯

    ○上山政府委員 公共職業安定所の數なり位置の點につきましては、失業保險法等の關連もございまして、再檢討はいたしておりますが、大體今までの數で原則としてはやつていきたいと考えております。勞働者供給事業の點につきましても、大體今までの數でやつていけるのではないか。かような見透しをもつております。
  9. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 最後にもう一つだけ伺つておきたいと思うのであります。この法案を見ますと、大體勞務者を雇う場合には、その事業場から通勤のできる範圍ということが書かれてあつて戰時中にも勞務者を雇う場合には一つの雇うブロックがあり、そのブロック以外に雇傭する場合は、當時は厚生大臣の認可を受けなければならぬという實情にあつたわけでありますが、それとやや同じことになるのではないかと想像いたしておるのであります。これらの實情はなかなかそう簡單ではないのでありまして、たとえば私の働いておる久保田鐵工所におきましては、仕事の關係もあつて、仕事が非當に高熱度のところで作業する關係から、寒いところに住んでおつた人は、なかなか勤めにくいという關係もありまして、案外暑い方面に育つた、從來であつたならば沖繩、あるいは大島方面からの勞務需給の方が多かつたのであります。法律でこういうふうに定めてまいられると、なかなかそういうことが困難になつてまいると思うのであります。從つて仕事がそういう關係で、暑い方面からとるということになりますと、古くからおる者があつて、いろいろな縁故關係でもつて來る人が相當あつて、それをさいわいにして、その方面に向つて、募集するという方法もとつておるのであります。しかし新たにこういう法規が定められてまいるということになると、そういうようなことがなかなか困難になつてくると思つておるのであります。しかし理想としては、ここへ書いてあるようにその事業場に對して、通勤のできるところから勞働者を求めるということが、一番理想であり、いいことであるとわれわれも考えるのであります。しかしながらたとえば、私が住んでいる尼崎に在住する者、その附近に在住する者は、なかなか仕事の選り好みをしまして、重勞働というものには雇いにくいのであります。そういう困難のあることもむろん考慮に入れられて、これは作成されたものであろうと思うのであります。そういう需給困難になつたような場合におきましては、何か特別なことをお考えになるのでありますか。その邊を伺いたいと思うのであります。
  10. 上山顯

    ○上山政府委員 ただいまの點はこの間の御説明にも申しましたように、一つの原則でございます。從いまして將來工場立地というようなことをお考えになります場合には、こういう原則であるということを一つの大きなフアクターとしてお考え願いたいと思つております。なお現在の事情としましても、工場がたくさん集中しておりまする大都市の附近等におきまして、一方今後失業者がどんどん出てくるというような状態になつたときを考えました場合、失業者がたくさんいる、また食糧難がはなはだしいというのに、ほかの事情が特にあればまた別でございますが、そうでない場合に、わざわざ遠方から勞務者を募集するよりも、まず地元で募集をできるだけしてもらいたいという希望をもつております。しかしこれは原則でございまして、今すぐ通勤地以外の者は認めないということは考えておりませんし、また特殊の事情ある者につきましては、特殊の取扱いをもちろんしなければならぬと考ております。極力こういう原則に副いますように努力してまいります。これは實際の運用につきましては十二分に彈力的に考えていきたい。かように考えております。
  11. 加藤勘十

    ○加藤委員長 館君。
  12. 館俊三

    ○館委員 ちよつと御質問いたしたいと思います。職業安定法が審議されておる場合に、完全雇傭の問題を取上げて言うのは、現在の經濟上の立場、あるいは現實の日本の立場から、めんどうなことであるとは思いますけれども、ちよつと質問さしていただきたいと思います。それは、さきに政府當局から説明があつたごとく、たとえば土建の雇傭關係については固定化してしまいたい。常傭化してしまいたいということはわかるのですが、現在の産業の規模からいつて、安定所が完全に能率をあげて、そうして現在の産業機構が包容しきれるだけの人間を包容してしまつたという飽滿状態、そういうことは技術的にはなかなかあり得えないが、観念的にまず飽滿状態になつた場合には、就職者というものは全部きれいに固定してしまつて、從つてまた反面、失業者の固定ということが生じはしないかということを考えられるのであります。そういうことになつてくると、現在の状態では安定所の働く限界というものは、非常に小さいものであるというふうに考えられるのでありますが、これに伴つて職業安定所というものを、最も能動的に働かせる場合においては、今後における産業の吸收力がどれくらいと御見當をつけておられるかということ、あるいは今後直ちに起きるだろう、現在も起きておるだろうと思われる企業整備による失業者の量、あるいは企業整備が目的とするところの、最後には産業を非常に擴張するのだ、産業を再建するのだという進行過程の状況、そういうものについて一つの希望というか、見透しをもつていないと、この職業安定所の活動というものが、非常に消極的なものに限界されるように思われる。そういう點について、今とにかく完全雇傭ということはなかなかめんどうなのでありますけれども、そういう状態について非常に心配をしておるのであります。  それからもう一つ簡單に項目だけ申し上げますが、これに伴つて失業救濟事業というものを政府が考えていらつしやる。この失業救濟事業の範圍についても、與えられたものによつてみますと、ほとんど吸收される者は農村關係の失業者にのみ多くて、最も失業問題が深刻をきわめるであろうと思われる都市失業者を吸收するような意味の救濟事業が、見當らないような氣がいたすのであります。こういう點からだんだん考えていつて、職業安定法案によるところの活動というものが、きわめて消極的になつてしまつて、現實の實情から言えば、單に今盛んに唱えられておるところの、企業整備を遂行するための一つのカバーとして、これがやられるのではないか、そういう印象を多分に受けるような氣がするのであります。これについて御説明を願いたいと思います。
  13. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 お答えいたします。詳しいことは失業保險法竝びに失業手當法の出たときにお答えしたいと思いますが、大體職業安定法は、第一條にきめてあるその精神に副うて制定實施されると思うのでありまして、館さんの今御心配のような點も、もちろん政府としても考慮しておりますが、その影響を受けて職業安定所で扱う事務が固定化し、あるいは非常に縮小化するようなことのないように、公共事業の新設あるいは擴充とにらみ合わせて、政府は努めて就職の機會を失業者に與えるように努力したい、こういうぐあいに考えております。
  14. 館俊三

    ○館委員 企業整備がだんだん行われてくるということと、それから政府の施策として、やみ物資の取締りが非常に徹底することによつて、潜在失業者というものが非常に顯在になつてくる、その點を私は非常に心配するのであります。そういうことになつてくると、失業者の群というものは、今政府が考えておられるような數字でなくて、もつと非常に大量になつてくるという心配があるのですが、これは安定所の問題ではないかも知れませんが、そういうことになつて、安定所がいよいよ忙しくなるということにはなりますけれども、しかし安定所法の目的とするところの、就職を十分にいきわたらせるということには、ますます縁が遠くなるような感じになるのではないか、こういう點を考えるのでありますが、この資料によるところの數字でみますと、求人が非常に多くて、求職の率が非常に少いという數字が出ておりますけれども、これも政府の附加えられたいろいろの諸原因というもので、政府當局もわかつておられるでありましようけれども、この企業整備なり、やみ物資の取締り、經濟機構の取締り強化ということにつれて、求職の要求が與えられた表より以上に、今度ははなはだしく出てくるのじやないかという氣がいたします。
  15. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 御説の通り、企業整備が行われてくると、潜在化している失業者が顯在化する傾向はあると思うのです。昨年度の職業紹介所の調査によりますと、求職者が二百二十萬、これに對して求人者が三百萬以上でありまして、約八十萬ばかり求人の方が多い。これによつて成立した職業紹介は百二十八萬人でございますが、これはおそらく本年度は、政府の緊急對策が豫定の通りルートに乘つてまいりますと、相當この數字が逆轉するのじやないかということを考えております。從つて職業安定所は相當忙しくなるだらうと思うのでありますが、まだまだ職業安定所の働きによつて求職を與える餘地はあるというぐあいに私は考えております。
  16. 館俊三

    ○館委員 それからもう一つお聽きしたかつたのは、都市勞働者の失業というものについては、どうお考えになつていらつしやるか。たとえば失業救濟事業を見ても、ほとんど土木方面のみの救濟事業になつておりまして、都市勞働者、土木方面以外の勞働者というものに對する失業救濟の方法が見當らないような關係になつております。
  17. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 その點は政府委員からお答えいたさせます。
  18. 上山顯

    ○上山政府委員 昭和二十二年度の公共事業といたしましては、既定豫算では、既に前に大臣からも申し上げたと存じますが、九十五億でございまして、豫算を編成いたしました當初の使用豫定人員といたしましては、百七十一萬ということになつております。もつともその後の豫算單價、特に實際賃金の高騰によりまして、この使用人員は九十五億の豫算では、六割ないし七割になるだろうと思つております。一應その當初計畫の百七十一萬という數字で申し上げますと、その中に、都市計畫關係といたしまして六萬一千ばかりの人が使用されることになつております。それから、特に厚生省がもつておりますところの簡易公共事業でありますとか、知識階級の失業救濟事業等によりまして十九萬三千ばかり吸收できる、かような計畫でございます。なおほかに、港灣でありますとか、住宅でありますとか、そういうものにつきましても若干は都市部で事業が行われるという計畫になつております。但し全體を通觀いたしまして、ただいま御質問にもありましたように、農村方面に多いことは御指摘の通りでございまして、私たちただいま、この九十五億の豫算に對しましてのある程度の追加豫算の計上を考えておりますので、その場合には、なるたけ、今まで農村の方に偏つておりましたのを、訂正するという方向で再檢討をいたしております。
  19. 館俊三

    ○館委員 この救濟事業について今お話があつたので了解いたしましたが、大體この割振から見ますと、ほんとうに失業している勞働者を救濟するというような、勞務の調整を非常にうまくやつてもらわぬと、大體農村だとか、普通の土建業者に使われておるところの、今度常傭化すると言われた部類の日傭者、とにかく仕事をもつておる人、それらの勞働者のみが食い物になるというふうな形が多分に考えられるのであります。これは、この表では使う人員も出ておりますから、申上げにくいのでありますけれども、大體こういうような失業救濟事業というものは、おもに土木建築業者の方にのみ割振りされるということでありまして、人間に對して割當せらるる豫算の監督と申しますか、そういうものを嚴重にやつていただかないと、非常に失業救濟事業の目的を達しないという形が、去年度においても現われておるのじやないかという氣分が多分にあるのであります。その點に十分な留意をしていただきたいと私は考えております。  それからこれはこまかいことなのですが、從來の職業紹介所が營利事業としてやつておつた、それを今後はすつかり改めるということでありますが、その場合において、この職業安定所の仕事をする人、それを縣知事が選ぶとか、あるいはその他のことが委員會においても、そういうことがありますが、その場合に最も注意していただかねばならぬことは、大體この職業紹介所というものは、最初警察關係の指導訓練を受けておつたという從來の歴史から考えて、警官の古手だとかいうものがよくこの土木請負業者の特殊な兼業の社會にはいつてくる、あるいはまた特別に自分が職業紹介所をこしらえるというようなことがあつたのでありまして、これが今一年なり二年なりの猶豫期間をおいて、それをやめさせるべくつとめておるということでありますが、それらの人の行く場所が、またぞろこの安定所の中に潛り込むというような形ができたのでは、非常に困つた問題ができると思います。その點について十分なる考慮を拂つていただきたいということをお願いします。
  20. 上山顯

    ○上山政府委員 御質問の前段の件でございますが、公共事業は經濟の再建の目的とともに、失業救濟という大きな使命を帶びておるわけでございますが、ただ率直に申し上げまして、前年度等におきましては失業者が比較的表へ出なかつたというような關係もございまして、失業救濟の點では低調であつたというような批評を甘受しなければならぬ面がありましたことを率直に認めるものでございます。今後失業者も多く出るわけでありまして、私たち眞に失業救濟事業をしまして使命を果しますように、また御指摘になりましたような弊害がございませんように十分監督いたしたいと思います。  それから有料營利の職業紹介事業でございますが、有料營利の職業紹介事業としましては、今まで認められておりましたものも、今囘三箇月の猶豫期間をもちまして全面的には禁止されるわけでございまして、ただ特殊の美術、音樂、演藝などの特別な技術を、必要とする職業に從事しまする者の紹介事業だけを、特に勞働大臣の許可をもちまして認めてまいりたいというわけでありまして、一般的には有料營利の職業紹介事業は認められないわけでございます。なお御質問の點は、あるいはこういうことも思うのでありますが、無料の職業紹介事業につきましては、勞働大臣の許可を受けて認めることに今度はいたしたのでありますが、その無料職業紹介事業という美名のもとにおいて、今までの御指摘の存在が事實上やつていくというようなことを御心配になつてのことではないかと思うのでありますが、そういう點には十分注意いたしまして、第三十三條の無料職業紹介事業の認可につきましても、これは本省に權限をもつておりまして、勞働大臣が中央職業安定委員會の諮問を得て許可をするという慎重な手讀で許可することになつておりまして、御指摘のことが萬々ないように十分注意をいたしていきたいと思つております。
  21. 加藤勘十

    ○加藤委員長 河野金昇君
  22. 河野金昇

    ○河野委員 問題は小さいけれども、具體的な問題を聽きたいと思います。國立病院におる手のない、足のない、こういう不具者に對する職業補導、あるいは指導というようなものは、具體的にどういうようなことをやつておられますか。
  23. 上山顯

    ○上山政府委員 國立病院の傷痍者の補導の件でございますが、今度の新しい法律でうたつておりますように、補導にあたりましては、特にそういう特別の注意をいたさなければならぬものにつきましては、特別に力を入れましてやつてまいる建前におつておるわけでございます。それで國立病院の傷痍者の補導につきましても、從來關係の部局と相談いたしまして、いろいろやつておるわけでございますが、卒直に申しなして、今までまだ徹底しない點もございます。こういう點は十分力を入れてやりたいと思つております。なおこの職業補導協會というのでは、九州に特に傷痍者の職業補導所をもつておりまして、こういう仕事をやつておるのでございますが、そういう方面の活動も一層今後促しまして、こういう方面に十分力を入れてやつていきたいと思つております。
  24. 河野金昇

    ○河野委員 きのう實は相模原の國立病院に行つてきたのでありますが、戰爭が敗けて特殊の援助を受けようとは、彼らも思つておらないのであります。あの中では義足や義手もつくつておりますが、義足なんか關節の曲るのと曲らないのとでは、非常に本人にとつては差だと思いますが、わずか百萬圓の豫算を――現在は厚生省でありますが、分れても兩方とも關連するから質問しますが、わずか百萬圓の豫算を厚生省が認めてくれないために、曲る義足をつくるべきであるのに、曲らないようなのつぺりしたものをつくつておるという事實をきのう見てびつくりしたのであります。いかに豫算のない今日といえども、あなた方がもう少し――それは戰爭指導をした軍閥は悪い、あるいはあなた先輩の官僚は無責任で、なつちやいなかつたでありましようけれども、それに踊らされたこの罪なき兵隊たちに、わずか百萬圓の豫算を計上してやれないということは、あまりに親心がないと思います。事實を知つておやりにならないというのなら、これは親心がないし、あるいは知らずにただ下の方でそれを握りつぶしていたとすれば、これは無責任だと思うのであります。今度の追加豫算は出てしまつておると思いますが、來年度は少くとも百萬圓や百五十萬圓ぐらいのものは計上される御意思があるかどうか。たとえ勞働省が獨立したとて、厚生省にいくか勞働省にいくか知らぬけれども、こういう働こうとする意思をもつておる人たちに便宜を與えなければならぬと思うが、今年できないならば、來年計上される御意思があるかどうか承りたいと思います。
  25. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 お尋ねの點は國立病院關係でございまして、これは厚生大臣と大蔵大蔵からお答えすることが適當だと思いますが、せつかくの御質問でございますから、國務大臣の一人として、今河野さんのお述べになつたような事情であるとすれば、まことにこれは國として、やはり責任を感じなければならぬと思うのであります。この點は適當な機會に閣議等において厚生大臣、大蔵大臣、その他の關係閣僚に私からよくお傳えして、少くともこの次の追加豫算には、御趣旨の點が實現するようにあつせんするつもりでございます。
  26. 河野金昇

    ○河野委員 ぜひとも實現していただくようにお願いしておきます。それから職業補導のことであります。やはり傷痍の人に關連してでありますが、非常に室材が足りない、設備が少くて、もう體は大體治つて、早く世の中に出たいけれども、世の中に出た途端に、その人たちは食うに困るというわけで、病院から出るのを、普通の勞働者諸君が首を切られるごとくに戰々競々としておるのであります。自分にできる職業を身につけたいと重つても、資材が足りない、設備が不十分のためにやれないということを歎いておるのでありますが、もう少しこれを殖やして、働く意思のある者には、その體の障害もありましようけれども、それに適當する職業を授けるようにしていただきたいと思いますが、すぐにでも實現していただきたいと思いますが、お考えいかがでございましようか。
  27. 上山顯

    ○上山政府委員 職業輔導所の豫算といたしましては、先刻もちよつと觸れました公共事業の追加豫算もございますので、關係方面に相談もしなければなりませんが、私たちといたしましては、できるだけ努力いたしまして、最も近い機會にこちらの方の擴充ができますように努力いたしたいと思つております。
  28. 河野金昇

    ○河野委員 傷ついた人が一番惱んでおるのは、目がつぶれたとか、足がなくなつたというよりも、むしろ手のなくなつた人が、一番に困つておるようであります。足がなくても手さえ間に合えば手でできる仕事がある。目が見えなくても何か仕事があるけれども、手のなくなつた者が一番困つておるのでありまして、しかもこの者に對して何ら職業指導、補導の途がないようであります。こういう人々に希望を與えるためにも、手がなくても、何らか職業に、仕事につけるという光明を與えてやりたいと思うのでありますが、この手のない人に對して何らか職業指導、補導のことでお考えがありましようか。
  29. 上山顯

    ○上山政府委員 非常に専門的なことは、私不敏でよく存じないのでありまするが、ある程度の手の障害に對しましては、やはり義手等の方法によりまして、相當仕事ができるような研究もできておるように承知しております。なお具體的には十分研究いたしまして、できるだけそういう人も、何かの職業につけてやりたいと思つて努力いたしております。
  30. 河野金昇

    ○河野委員 相模の病院は、ほかの障害の人には、たとえ少いなりにも、職業補導が行われておるが、手のない人には何にも實はないのであります。院長に聽いてみても、また手のない人々に聽いてみても、何にも考えておつてくれない。また自分たちも考えてみても、なかなかいいのが見つからない、こう言つておるのであります。大將とか中將で手を失つた人は、これは依然として恩給なんかと別なものを受けておるそうでありますが、兵隊でこうなつて者こそ最もみじめなものであります。勞働者諸君が、あるいは市民諸君が、この戰爭の犠牲を受けておる以上に、この人々は惱んでおるのでありますが、どうぞただ一片の答辯とせずに、ほんとうに親心をもつて手のない人にも何らか生きる途を見出すように、われわれももちろん努力いたしますけれども、當局も積極的に考えていただきたいと思います。  もう一つ、この法文から少し外れるかもしれませんが、第三條に、勞働組合の組合員であることを理由として、職業紹介や補導を斷つてはいかぬということをうたつておりますが、それは當然のことであります。しかし最近往往にして、われわれが會社や官廳へ行つて聽くことは、勞働組合が勢力を得て來てからというものは、會社で就職させようとしても勞働組合の意向を聽かなければいかぬ、官廳においても職員組合がほとんど權限をもつておつて、大臣や局長というものはロボットに等しいものだ、會社等においても重行部長はロボットに等しいものでというようなことを時々聽かされるし、また具體的の例もあるのでありますが、勞危組合員であることを理由として斷わることはもちろんいけないと同様に、勞働組合の幹部諸君がそこまで乘り出してくるということも、これも行き過ぎでないかと思いのであります。今後ますますこういう問題はあらゆる面において出てくると思いのであります。たとえばわれわれ國會議員は國の許されたる豫算の中において、わずかの手當をもらつておるのでありますが、ある組合の幹部諸君で、その組合から推されて代議士となつた人には、その組合の費用から毎日數百圓づつが支給されておるというようなことであり、あるいはこれは前吉田内閣の責任の一部であるとは思いますけれども、勞働攻勢に押しまくられて、勞働協約にどんどん盲判に等しいものを捺してしまつたような傾向があるのであります。たとえば官廳なんかにおいても、五百人に一人の割合で組合の仕事を専門にやる人をおくことができるということを協約にうたつて、その協約に政府は判を捺しておられるようであります。そうすれば國鐵なり全遞なりというところにおいては、何百年千という人が國の仕事に従事せずに、ただ組合の事業と組合の仕事に携わることによつて、俸給を食んでおるという事實があるのであります。この第三條とは懸け離れるかもしれませんけれども、勞働組合並びにその組合の幹部諸君がそこまでやることが、今度の内閣においてもいいと思つておられるかどうか、前内閣はおそらくいいとは思われない。悪いと思いつつも、力なくしてだんだん押しまくられたと思いますが、勞働運動を正しく指導していただかなければならない今日の内閣において、こういう問題をどういうふうに考えておられるか、これは米窪さんからお聽きしたいと思います。
  31. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 これはきわめて重要な點でございまするが、第三條の精神は憲法の第十四條に通ずるものでございまして、何人といえども、いわゆる門地その他の特權的觀念によつて、政治上、經濟上、社會上の權利に何らの差別を與えちやいけないというこの精神から來ておると私は考えております。從つて第三條においては勞働組合員等の理由をもつて、完全なる職業紹介を受けることを拒んではいけない。だから勞働組合員であるからという理由をもつて、特別なる優遇を受ける權利があるとわれわれは解釋しておらない。すなわち勞働組合第一主義というような考え方は、私は憲法の第十四條の精神からみても、これは行過ぎだと考えております。從つていわゆる民主主義というものは、その人たちが權利を享受するために、他の者が犠牲になるということは、ほんとうの民主主義ではない。また勞働組合運動からいつても、健全なる勞働組合主義に背くと考えておるのでありまして、この點は河野さんの御趣旨をよく勞働政策の基本的な觀念の上に織り込んでまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  32. 河野金昇

    ○河野委員 どうぞ、いろいろな嵐が吹くかもしれないけれども、毅然たる態度で、ただ押しまくられるとか何とかいう態度でなしに、あくまでも信念をもつて正しき方向に勞働組合を指導していただきたいことを希望して終ります。
  33. 館俊三

    ○館委員 今河野委員の發言の中に、勞働組合から選ばれた代議士が、いろいろの特權をもつておるというがごときお話がありましたので、これは座談のうちに一度お會いして、十分に話をしてみたいとは考えておりましたけれども、こういう公式の席上でありましたので、ちよつと辯解をしておきます。私は国鐵の勞働組合から推されて衆議院に立候補し、當選をいたしてここに出てまいつたのでありますが、當選すると同時に國會法の規定によりまして、官吏であるがゆえにというわけで、官吏の職を離れなければならないことになつた。二十八年ばかりの官吏生活といいましても、ほんの鐵道の一助役が最高の水準でありましたが、その生活においていただいたところの退職賜金は、わずかに四箇月しか食うに足りないところの退職賜金であります。しかしわれわれ階級を代表するところの人間が、誰かが代議士なつて、われわれの言ういわゆる無産者の解放運動の先頭に立たなくちやいけないという意思が燃え上つておるのであります。その場合にそれを推しておるところの國鐵組合員が、後顧の憂いなくするために、われわれの年間生活費として五萬圓を給與したということを論議になつておるのでありましようが、これは首になつた途端に、われわれはその日から家族が食うに困るのであります。現實の國民の大多數を占めるところの無産階級の人間が、今まで代議士に立ち得なかつたというのは、そういうところにあつたのであます。そこでわれわれは組織の力において、そういうことをなからしむるために家族の給料としてそれを出しておるのであつて、それを決して勞働遺族であるの何のと、そういう觀念から出ておるものでないことを十分に御認識を願いたい。國民の大多數を占めるところのものの代表が、今まで議會に何人おつたかということをお考えを願いたい。何がゆえにそうであるかということも十分にお考えを願いたいと思います。いずれ後で組合の問題、その他の問題については、十分河野さんの理解を求める場所があるだろうと思いますけれども、簡単ながらこれだけのことをお話いたしておきます。
  34. 加藤勘十

    ○加藤委員長 ほかに質疑なり御意見なりのある方はございませんか。
  35. 島上善五郎

    ○島上委員 私は今の河野さんの質問に關連して、自分の意見を述べ、さらに勞働大臣の意見を伺つておきたいと思います。河野さんの質問の勞働組合の幹部が雇主に對してくちばしを入れるのは行過ぎではないかという點と、勞働攻勢によつて押しまくられて五百人に一人の組合専從者を認めたということは、これは間違いではないかというようなことに對しては、御答辯がなかつた。それで米窪國務大臣は、この點に對してどのような御意見をもつておるか、私の考えを申し述べて伺いたいと思うのであります。  勞働組合が勞働協約によつて勞働者の採用に關しては、勞働組合との了解なしに行つてはいけないという勞働協約を結ぶということは、これを當然の話だと思う。何となれば、在來資本家は高給な、給料の高い勞働者をところてん式に押し出すために、大して必要もないのに安い勞働者を採用する。そうして高給勞働者をところてん式に押し出してしまうというようなやり方をしばしばやつておるのであります。それを知つておる勞働者は、勞働組合をつくつた機會に、そういうことを防止するために、勞働者の採用については勞働組合と協議の上行う、すなわちほんとうに必要であるかどうかということは職場の勞働者が一番よく知つておるので、そういう點協議の上採用するということを勞働協約において協約するということは、これは當然の話であると思う。從つてそういう協約である場合に、事業主がその協約を無視して勝手に採用するということは、これは勞働協約の違反であつて、當然勞働組合の了解を得た上で採用しなければならぬ。それは決して勞働組合の幹部の行過ぎでもなんでもない。これに對してどういうふうに考えておるか、伺いたい。  第二に、勞働協約によつて五百人に一人の組合の専從者を認めたことは、これは勞働攻勢によつて押しまくられたのであつて、正しくないという御意見であるようでありますが、これまた勞働組合が今日法律上認められた存在であり、しかも日本の民主化のために、産業再建のために、健全なる勞働組合の觀念ということがきわめて必要であるということは、何人も認めるところでありまして、從つてその勞働組合が組合の仕事をする際に、相當數の組合専從者が必要であるということも當然の話であります。そのときに組合の専從者が、その職場の勞働者と關係のない外部の者が専從者となるか、それとも職場の中で勞働者から選び出された者が専從者となることが適當であるかということを考えますならば、それは勞働者の中から選び出された現場の勞働者が組合に専從することが最も正しいと思う。そういうことを考えますならば、これまた勞働協約によつて適當數の組合事務専從者を事業主が認めるということは、これはむしろ勞働組合の健全なる發達を促するために必要でこれあれ、それが間違いであるなどということは、私ははなはだしく認識不足だというが、考え違いではないかと思う。五百人に一人が適當であるか、千人に一人が適當であるかということについてはなお疑問の餘地がありますが、相當數の組合專從者を組合員の中から組合員が適當であるとして選擧し信頼された人々の中から專從者を事業主が認めるということは、これは勞働攻勢のために心ならずも、間違いであるとは思いながら認めたのだというものではない。そういう點についてこの機會に問題が出ましたので、勞働大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  36. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 この問題はいわゆるクローズド・シヨップを原則とすべきか、オープン・シヨップでもよろしいかという問題に結局は根本はなる。この點についてはまだ政府としては、勞働政策としてどちらがよいか、あるいはその中間のユニオン・シヨップがよいかということは、まだ態度をきめておりません。從つて島上さんの御指摘のような、そういうことを團體協約の内容において、組合がそういうところまで入り得ることをきめてある場合、あるいは經營協議會においてそういうことが許されておる場合においては、その前提のもと、そういう條件のもとにおいては私はよいと思うのでありますが、これはいわゆるコレクチーブ・アグリメントということでありまして、團體的協約でありますから、團體ごとに事をきめることは私はよいと思うのでありますが、一人々々個々に立入つていくことはいかに團體協約があつても、それは行過ぎではないか、一人一人の資格その他のことについて勞働組合員が、雇主にいろいろの意見を延べていくということについては、あるいは少し行過ぎではないかというふうに考えております。また五百人に一人という例の問題でありますが、これは健全なる勞働組合からいつて、勞働組合の原則として勞働組合の專任者は、やはり勞働組合費でもつて賄うべきがほんとうではないか。會社なり工場の仕事をせずに、勞働組合の仕事に專稔していく者の給與は、勞働組合費をもつて賄うのが健全なる勞働組合主義ではないかと思います。
  37. 島上善五郎

    ○島上委員 勞働組合費でもつて專從者の給與を支拂うということについては、私は原則的にはそうあるべきだと思います。ただしかしながら組合員の中から選出されち人々が、その職場の現業員として組合の仕事に專從するということ、もしそれが現業員として專從することができないということになれば、その事業場をやめなければならぬ、そういう點です。私たちは現場をやめることなしに、現業員として組合の事務に專任することが必要である、こういうように考えている。この專從者の給與を會社が負擔するか、組合が負擔するかということについては今は過渡的な現象でございますが、原則として將來は勞働組合が負擔する、そういう點については私もそう思いますけれども、現場の從業員として從業員の地位をやめる、首を切られるとか、もしくはやめるとかいう形で組合に專從することは、組合の健全なる發達のためによろしくない。そういう點をお伺いしたいと思います。
  38. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 團體協約あるいは經營協議會で、會社側及び從業員側との話合いにおいてそういう專從者が勞働團體のために、會社と協議していくことが、勞働團體というよりも會社に雇われている者、從業員がいわゆるワン・ブロックになつて能率を上げ得るという點から、會社側がこれに賛成した場合においては、私は島上さんの御意見の通りであります。これはあくまでも會社側と協議して、兩者の間に意見が一致した場合においては、おつしやる通りの方法でいつていい、こういう工合に考えております。
  39. 島上善五郎

    ○島上委員 この點は會社と協議の上、賛成した場合にはということでしたが、それはそれでいいと思いますけれども、現在の状態はほとんどこの勞働組合においても、會社がそれを承諾の上、現業員が組合に專從している。この現状を、私たちはこれでよろしいと思う、これでなければならぬとも思う。これをつまり今大臣が、將來のことに對して會社とり了解の上と言われたようでございますが、すでに會社が了解を與えて現業員が組合の事務に專稔していく、この事實を私は正しいものとしてお認め願いたい、こういう點をお伺いしたいと思います。
  40. 米窪滿亮

    ○米窪國務大臣 過渡的な處置としては、現状を認めることに政府の方も異議がございません。しかし將來はなるべく早く、會社とそういう點においては十分なる了解を得てやつてゆくことを望むものであり、また政府としてはやはり立法的に何かきめたいと考えております。將來は健全た勞働組合主義からいつても、やはり勞働組合に專稔して、そうしていわゆる雇傭契約の丙容とした業務に携わらないものは、やはり勞働組合が賄うべきがほんとうだと私は考えます。
  41. 館俊三

    ○館委員 こういう所でこういう論をしようとは思わなかつたので、河野君に對しても、あまりに幼稚なお話であつたので、ものを申し上げるべきでないと私は考えておつたのでありますが、この勞働協約の問題、あるいは五百人に一人をどうする、あるいは國鐵なら國鐵の給與をもらつておきながら、組合事務の專任者を置くというような問題については、その個々の勞働組合とその相手方の經營者、あるいは資本家との兩方の自主性にまつたところの協定によつて、現實的に解決されているのでありますから、これはもう勞働組合が押しまくつたとか、あるいは資本家がこたえたというような、單純な考えで延べられたのでことが始つたのでありまして、このへんの勞働法規なり、あるいは今日まで來たところの、明治、大正、昭和を通じての勞働階級が、いかなる状態にあつたかという御研究なりその他を十分にやられたら、ここでこういうふうなあらわに取上げられるような筋合のものでなかつたと思つておつたのであります。この點十分最初の發言者において考えていただきたいと考えるのであります。專任者の問題でも、結局經營者が押まくられたのではなく、極端に言うならば、國鐵の勞働組合、あるいはその他の勞働組合をして、正常な道を誤まらしめぬがために、かえつて現業におる者を組合の專任者にするということは、最もよく鐵道の事情を理解した者を專任者にするということは、これは經營者にとつても最も大事なことであります。それを鐵道の現業にあらざる者をひつぱりこんで組合の指導部にするとか、いろいろなことがそれから派生して發展するのでありましようが、そういうことであつたならば、當局の考えるような健全なる勞働組合というものは、どういうふうに考えておられるかしりませんが、とにかくそういうことは望み難いと思うのであります。いろいろの派生する問題が起きてくるだろうと思います。もちろん組合の自主性からいつて、組合の經費は組合が負擔する。日本の勞働組合は自主的といつておりながら、專任者は為政者から、または經營者から金をもらつておる、きわめて非自主的ではないかという批評もありますが、現段階においてはやむをえぬことであるとも考えられますし、また別途の考え方をもつていくと、これが日本の現状として當然のことであると思います。ここでこれは論議すべき筋合でなく、これは組合と經營者側との兩方の自主的立場によつて十分に協議してでき上つた勞働組合の協約權、それを尊重していけばこと足りるのではないかと私は思います。非合法的にこしらえたのではなく、勞働組合法というものが立派にあつて、それに引續く關係法規によつて動いておるのが組合である。それ以外に一歩も組合は活動しておらぬということを認識していただきたい。決して組合の活動は非合法でもなければなんでもない。全部法令なり政令なりに基いての活動であるということを十分認識していただきたい。また經營者側においても、政府當局においても、大體組合の問題については、決して組合から非合法的に壓迫されたり、またその立場において法令から擁護されていないというようなことはない。兩方とも皆一つの法規に基いて、その法規に擁護されながら兩方が折衝しておるということもよく認識していただきたいと思います。
  42. 河野金昇

    ○河野委員 言葉じりをとらえるわけではありませんから、一々言葉じりをとらえませんけれども、なにもただ思いつきで言つた問題じやないのであります。日本の勞働組合、敗戰後の日本勞働組合のあり方、また今館君ですか、昨年の國鐵爭議以來の日本ゼネストの傾向なんかを考えまして、私たちはただ、敗戰によつて組合が權利を得た、權利を得たがために、その權利をあくまでも行使していくんだという態度ではなしに、もう一遍日本の勞働運動、勞働者のあり方というものを、日本の國情と照し合わせて眞劍に考えてもらいたいと、絶えず思つておるものであります。日本の勞働組合が正しく發達するためには、米窪さんもおつしやつたように、相手方から給料をもらつたり手當をもらつたりしておつて、それで正しい形で勞働組合運動ができるかどうか私は疑問に思つております。議論はありましようけれども、私はそう思つております。過渡的の現象とおつしやるけれども、それは勞働組合の組合費によつて賄えないような小さな職場なり、何かにおいては專從者をおくほどの必要もなかろうと思います。何千何萬とおるような職場において專從者をおくのは、もちろんそれはその仕事に携つている人の中から選ぶことはよいけれども、選ばれて組合の仕事に專任することになつたならば、もちろん私は國からなり會社からなりの給料というものは遠慮して、組合員自身が盛りあげていくのが當然だと思います。いずれ何かの機會にこういう問題はまた論議になろうと思いますけれども、決して組合の選出の方々が考えておられるように、ただ思いつきで言うのではなしに、眞劍に日本の勞働組合、勞働運動のあり方を考えての私の發言であります。單なる言葉じりをとらえることは、この場合私も遠慮しますけれども、ほかの方がとらえられるならば、いつでももつと問題を展開していつてもよいと思いますが、これはわれわれの中心目的とははずれるのでありますから、これで遠慮しますが、日本の勞働組合が正しく發展するためには、自主的に、他からいろいろなものを得ずに、自分の力において發展していかれることを私は望む一人であります。
  43. 原侑

    ○原(侑)委員 職業安定法案がえらいところへ發展したようであります。先刻の米窪國務相の答辯はまつたく勞働運動に對する御理解があるという點におきまして、まことに共鳴をするところであります。組合は組合の費用をもつてこれを負擔するということは、これは當然なことだと思うのであります。しかるにいろいろな問題がありまするが、國鐵のごときも各組合運興に對して、國費を費していること、まことに大なるものがあるということを私は認識するのであります。一囘電話をかけてもいくらとるかということははつきりわかる。おそらくあの爭議に多大の國費を費したことについては、まことに遺憾千萬だと私ははつきり申し上げます。この點につきましては、いかに辯解せられましても、この問題の辯解は成り立たないとはつきり明瞭にここで申し上げておきます。今河野君が、他の方面におきましてもどんどんと展開して、この問題を究明したいことがあるという言外には、大きな國費を費したという問題があるだろうと思うのであります。組合の健全な運動は、組合の自主性によつて立つということはもちろんのことであります。しかるに國會に出て自分の生活費を五萬圓ずつ一年にもらつているということを、今明白に述べられました。私は驚いたのであります。家族の手當を組合からもらつて國會議員に出されておる。これをいぶかしくも思つておられぬような代議士が御發言になりましたが、私はまことに遺憾とするところであります。將來かくのごとき自主性をなくした代議士の輩出につきましては、われわれは一大反對をしていきたいと思うのであります。自由黨の立場といたしましても、かくのごとき勞働者の面のひとつのやりくりに對しましては、斷々固として排撃したいと思うのであります。これだけは明確に申し上げたいと思います。いつかはこれもはつきりした態度をとりまして、自由黨としての發表をいたしたいと思うのであります。今日はただ希望條件といたしまして、すべて勞働組合は自主性によつて立つていけ、こういうことを希望として申し上げておきたいと思います。
  44. 加藤勘十

    ○加藤委員長 今の問題は、原君ちよつと誤解があると思うので、委員長として申し上げる。國鐵の組合の仕事をしておつた人が議員に出られて、やはり組合の仕事をするのです。これはあたかも勞働組合以外の何かの會社なり、組合なりに職業をもつておられる人が、今までは常務であつたものが、あるいは非常務になるというような關係で、やはり今まで自分の所属しておつた團體なり、會社も一つの團體ですが、そういう職業をそのまま維持されるのです。ある意味からいけば、今までは鐵道員として、官吏として國家から月給をもらつておつて、組合の仕事をやつておつたのであるが、今度は官吏として國国からの給料はなくなつたために、組合の仕事を專任するわけであります。從つて組合からの月給もしくは手當という意味で、組合から支給されるので、これは組合自主性の上には何も關係のないことでありまして、ちようど、もしあなたが今まであなたの會社の重役で常務取締役をやつておられたならば、常務としては組合の仕事でいろいろ差しつかえるから、普通の平取締役になるということと同じ意味でありまして、その點はちよつとあなたの誤解があつたかと思いますから、ほかの點は別ですが、ただ給與關係だけのことはそういう關係ですから、その點誤解のないようにしていただきたいと思います。
  45. 原侑

    ○原(侑)委員 そうしますと、今の五萬圓ははつきり組合から生活費として出しておるというのは間違いないですな。
  46. 加藤勘十

    ○加藤委員長 間違いないです。  それではほかにきようは御質疑ございませんか――前田君のは法制局長官もしくは商工大臣に對する同質疑でありますから、この次に出席してもらうように手配してあります。  ほかに御質疑がなければ、次會は公報をもつて御通知することとして、今日はこれをもつて散會いたします。    午後零時十三分散會