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2019-10-08 第200回国会 参議院 本会議 2号 公式Web版

  1. 令和元年十月八日(火曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第二号   令和元年十月八日    午前十時開議  第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 山東昭子

    議長(山東昭子君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)  去る四日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。長浜博行さん。    〔長浜博行君登壇、拍手〕
  3. 長浜博行

    ○長浜博行君 立憲・国民.新緑風会・社民の長浜博行です。  会派を代表して、総理の所信について質問をいたします。  今年も夏から秋にかけて度重なる台風や集中豪雨等により各地に大きな被害が生じました。質問に先立ち、お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。被災地が一日も早く復興するように、私どもとしても全力で支援に取り組んでまいります。  まずは、千葉県を中心として広範囲に被害が生じた台風第十五号について、千葉県民の一人として政府の初動対応の遅れについてお伺いをいたします。  台風第十五号は、九月八日にかけて伊豆諸島付近を、九日朝にかけて関東地方を襲いましたが、千葉市で毎秒五十七・五メートルの最大瞬間風速を記録するなど、場所によっては観測史上最大となりました。  この暴風によって各地で約二千本もの電柱が倒れました。このため、千葉県内では広域にわたる停電により通信網が遮断され、地方自治体は軒並み混乱に陥り、被害状況の把握もままならない事態が続きました。さらに、停電の解消までに二週間以上を要する事態となり、多くの被災者が電気も水道も電話も使えない不自由極まりない生活を余儀なくされました。  その際の政府の初動対応について、菅官房長官が初閣議後の記者会見で台風第十五号について一切触れていないことからも明らかでございますが、新内閣は十一日の組閣の対応に忙殺され、全て官僚任せで後手に回っていたと断ぜざるを得ません。全閣僚出席の閣僚懇談会についても、第一回目は十三日であり、台風の通過から四、五日も経過をしております。  そこで、お伺いをいたします。  閉会中に開会された衆参の災害対策特別委員会において、政府の判断として非常災害対策本部や関係閣僚会議を設置、開催しなかったと答弁していますが、新旧大臣間における台風第十五号に係る災害対策の引継ぎについて時間や余裕がなかったために、これらが設置、開催されなかったのではないですか。そのため、官僚任せの関係省庁災害警戒会議や関係省庁災害対策会議の開催を政府一体の対応として殊更強調しているのではないですか。  内閣改造と災害への対応と、この場面でどちらが国家にとって重要事であったと判断されているのか、総理の見解をお伺いをいたします。  また、政府、千葉県、各市町村と東京電力の間の連絡はどのように行われていたのでしょうか。特に、東京電力の復旧見通しが二度も修正されることとなりましたが、政府としても確認、チェックする必要があったと思います。今回の見通しの甘さについて、単に検証するだけではなくて、国として電力事業者が迅速かつ正確に公表できるような態勢づくりを早急に行っていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。政府の答弁を求めます。  次に、台風第十五号の復旧に係る今後の政府の対応についてお伺いをいたします。  今回は、一部損壊住宅への修理費に対して地方自治体が被災者に交付する補助金に対し、特例的に防災・安全交付金と特別交付税により財政支援すると伺っております。  先日の本院の災害対策特別委員会において、武田大臣は、一部損壊等に係る地方自治体への財政支援について各種制度の柔軟な適用に努めると述べられましたが、そもそも現在の損害基準は現実の被災状況の分類として適切なのでしょうか。今後同様の災害が生ずることを想定して、新たに基準を見直し、恒久的な支援措置を制度化することもお考えでしょうか。総理の見解を伺います。  加えて、送電線を始め老朽化したインフラへの対策、そして、間伐も行われず溝腐れ病等に侵されるなど手入れの行き届かない森林をどうするのか、先月末に各自治体に初めて配分された森林環境譲与税との関連を含めて、御答弁を願います。  以下、内政、外交等の個別の課題について御質問をしてまいりますが、時間の制約上、昨日の衆院での枝野代議士との重複をなるべく避けて行います。  外交、安全保障に目を転じますと、安倍政権の重視する外交政策は八方塞がりの状態であります。ロシアとの北方領土返還交渉や北朝鮮による日本人拉致問題はいずれも進展が見られず、日韓関係は最悪の状況に陥り、米国との貿易交渉では一方的な譲歩を行ったようにも見受けられます。  まず、中東情勢についてお伺いします。  九月十四日、サウジアラビアの石油施設が攻撃を受け、石油の生産が一時止まるという事態が発生をいたしました。イギリス、ドイツ、フランスの各首脳はこれをイランの責任とする声明を既に発表しておりますが、声明について政府の認識を伺います。  また、米国が提唱しているホルムズ海峡における有志連合構想、海洋安全保障イニシアチブですが、これについて伺います。  まず、政府として中東ホルムズ海峡の現状についてどのような御認識を持っておられるのか、総理の答弁を求めます。  また、現行法上、自衛隊は有志連合に参加できるのでしょうか。あるいは新たな法整備が必要となるのでしょうか。総理の答弁を求めます。  次に、日ロ関係についてお伺いをいたします。  昨年十一月、総理はロシアのプーチン大統領との会談において、一九五六年の日ソ共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させることで合意されました。その後、総理も河野前外務大臣も、北方領土は日本固有の領土であるとの我が国の基本的立場を公の場で発言することを封印してしまいましたが、肝腎の領土交渉での進展の道筋は全く見えておりません。  総理は、プーチン大統領との個人的な関係を過度に重視し、ロシア側の出方を見誤ったのではないですか。領土交渉で何ら進展がないままに、北方領土に対する我が国の主張の基本ラインを大きく後退させてしまった総理の対ロシア外交は稚拙のそしりを免れないと考えますが、総理の認識を伺います。  次に、北朝鮮の核・ミサイル問題と今後の日朝交渉の方針についてお伺いをいたします。  この問題については、米朝プロセスを中心に、北朝鮮の非核化を実現するための交渉が進められています。この間、北朝鮮は短距離弾道ミサイル等を日本海に向け繰り返し発射しており、このような挑発行為は我が国にとって直接的な脅威であり、かつ、地域の安全保障環境を不安定にするものとして看過できません。  しかも、十月二日には、北朝鮮が発射した弾道ミサイルが日本海の我が国排他的経済水域、EEZ内に落下をしました。その際、自衛隊のイージス艦は日本海に一隻も展開していなかったとの報道がありますが、我が国政府として、北朝鮮の弾道ミサイルの発射探知、追尾などは万全であったと言い切れるかどうか、総理の明確な答弁を求めます。  また、昨日、水産庁は会見で、漁業取締り船「おおくに」が大和堆において北朝鮮の漁船と衝突したと説明をしています。最近の大和堆周辺水域における漁業取締り方針と今回の衝突事案に関する事実関係の詳細について、今分かっている範囲で結構でございますので、政府に伺います。  さらに、日朝関係における最大の懸案事項である拉致問題は全く進展を見せていません。総理は、金正恩委員長と条件を付けずに向き合わなければならないとの考えを表明しておりますが、金正恩委員長は、米国、韓国、中国、ロシアの各国と首脳会談を既に開催しており、日本だけが取り残されているのが現実であります。  安倍外交は、これまでどのような成果を得たのでしょうか。そして、今後、どのように対北朝鮮外交を進めるおつもりなのでしょうか。拉致被害者問題も含めて、総理のお考えを拝聴したいと思います。  アフリカ外交についてお伺いをいたします。  八月末に横浜で第七回アフリカ開発会議、TICAD7が開催をされました。一九九三年にスタートしたこの会議は諸外国に先駆けてアフリカの成長を目指したものですが、現在までの成果はどのように評価をされておられますか。アフリカに対する直接投資残高及び年間輸出額でも日本は十位以内に入っていないのではないですか。お答えをお願いします。  また、我が国としては、国連加盟国の約四分の一を占めるアフリカ諸国との関係を今後どのように構築していこうとされておられますか。総理はアフリカ各国に対する日本からの民間投資を拡充させたいと発言をされておりますが、ODAとの連携も含め、どのような戦略をお持ちか、そして、中国の対アフリカ外交、戦略をどのように認識しておられるかも併せて、総理の御所見を伺います。  地球環境問題についてお伺いをいたします。  先月、スウェーデンの十六歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんが国連本部で開催された気候行動サミットで演説し、若者世代を裏切るような選択をするならば絶対に許さないと各国の指導者らに温暖化対策の実行を迫りました。あのトランプ大統領も着席をされておられたようでございます。次代を担う若者により良い環境を引き継いでいくことは現世代の責務であります。  グテーレス国連事務総長は、温暖化が進む現状を気候非常事態と捉え、二〇五〇年までの温室効果ガスの実質排出ゼロなどを各国に求めており、サミットでは六十五か国がその求めに応じたとのことであります。  このように、各国の対策が加速する一方、総理はこの会議に参加しませんでした。温暖化への危機感、温暖化対策の重要性を認識するのであれば、日程を最優先して総理の認識を示すべきだったのではないですか。  総理の気候変動問題に対する御認識及び気候行動サミットを欠席した理由、経緯について総理の説明を求めます。  次に、我が国の温室効果ガス削減のための対策についてお伺いします。  我が国は、長期戦略の目標が大きく見劣りするだけではございません。ESG投資の流れもあり、国際的にダイベストメントが広がり、特に石炭火力の削減が強く求められているにもかかわらず、政府は、環境アセスメントなど既存の政策の寄せ集めで何とかしのごうという姿勢でございます。  また、世界の潮流となっているカーボンプライシングについては、ヨーロッパ諸国はもちろんですが、中国も段階的な導入を開始をしております。我が国は、何度も政府部内で同じような検討を繰り返すばかりで、いつになったら導入は実現するのでしょうか。低炭素化、それに続くカーボンニュートラルの実現のためには、イノベーションに過剰な期待をするのではなく、カーボンプライシングなどの具体的な対策の早期の導入が必要と考えますが、総理の御認識をお伺いします。  次に、廃プラスチック問題についてお伺いをいたします。  六月に大阪で開催されたG20サミットでは、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を二〇五〇年までにゼロにすることを目指す大阪ブルー・オーシャン・ビジョンが合意をされました。これについては、主要国が共同して海洋プラスチック問題の解決を目指す第一歩として評価する声がある一方で、三十年先という目標設定では遅過ぎること、プラスチックの使用削減について触れていないこと、法的拘束力のある国際的枠組みではないことなどから、不十分との批判もございます。この内容で果たして十分な効果を上げることができるのでしょうか。総理の御見解を伺います。  我が国の廃プラスチック処理は、欧州ではリサイクルに位置付けられていない焼却処理による熱回収の割合が高いことが指摘をされております。これは、循環型社会形成推進基本法に定める3R、リデュース、リユース、リサイクルですが、これの優先順位と異なっており、地球温暖化問題の観点からも問題と言えます。また、これまで我が国は廃プラスチックの一部を輸出してきましたが、中国等の輸入規制、バーゼル条約における規制強化などにより、国内の廃プラスチック処理が逼迫し、熱回収優先から脱却できないことも懸念をされます。  我が国は、環境先進国として、過剰に使われているプラスチックの使用抑制や代替製品の利用を促進することでプラスチックに依存した社会からの脱却を目指すべきと考えますが、総理の御見解を伺います。  次に、財政、金融に関してお伺いをいたします。  いわゆるアベノミクスの失敗により、財政健全化も後退をしております。非現実的な高い成長率を想定してもなお目標の達成は困難と見込まれており、また、百兆円超えの予算規模が既成事実化する中、政権が本気で財政健全化に取り組むのであるならば、堅実な具体策を提示すべきではないでしょうか。総理の御見解を求めます。  アメリカではFRBが二会合連続で政策金利の利下げを決定し、欧州ではECBが量的緩和の再開を表明いたしました。こうした中、日銀が金融政策方針を現状維持としたことへの評価について、政府の見解を伺います。  米中貿易摩擦の影響により海外経済は減速し、下振れリスクが高まっている中、安倍政権は消費増税を断行しました。今後、消費が大きく落ち込むことが危惧をされております。日銀は、物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれるおそれが高まる場合、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講ずるとしております。増税後の内需の状況次第では更なる追加緩和を行うべきであるとお考えでしょうか。総理の認識をお伺いをいたします。  一方、普通国債発行残高に占める日銀の保有割合が五割を占めるなど、日銀の資産買入れは限界に達しつつあります。また、銀行業界からは、マイナス金利の深掘りに対し、企業の投資行動に与える効果を疑問視する声が上がっています。日銀による追加緩和の余地、有効性について、総理の見解を伺います。  大規模な金融緩和により、様々な副作用が現れております。貸出金利の低下により銀行の収益は圧迫され、特に体力の弱い地方銀行は経営が苦しく、スルガ銀行等が不正融資に走る一因になったとの指摘がございます。また、約六割の地方銀行が十年後の二〇二八年度に最終赤字になるという日銀の試算もあります。地域金融の現状に対する総理の認識、健全な地域金融に向けた課題について、政府の見解をお伺いをいたします。  二年連続で基準地価が上昇しています。超低金利による資金調達コストの低下等を背景に、内外の投資マネーが国内投資を過熱しているとの見方があります。基準地価の上昇や地域間格差に関する総理の御見解を伺います。  また、人気観光地等における外資による不動産取得の動きを警戒する指摘もあります。こうした海外マネーの流入に対する総理の考え方をお伺いをいたします。  さらに、銀行による不動産向け融資が過熱状態にあり、貸出残高ももう既にバブル期を超え、最高水準となっております。これは実需によるものなのでしょうか、それとも投機によるものなのでしょうか。総理の御認識を伺います。  次に、同一価値労働同一賃金の実現に向けた取組についてお伺いをいたします。  昨年六月、働き方改革関連法が成立し、来年四月から正規、非正規といった雇用形態による不合理な待遇差を禁止する改正規定が適用されることとなります。しかしながら、企業の準備は必ずしも整っているとは言えない状況にあり、制度の周知もまだ不十分な状況にあるのではないでしょうか。政府は、施行日を前に、どのような対策と周知を図っていくのでしょうか。その進捗状況及び把握状況について政府の説明を求めます。  パワーハラスメント対策については、さきの通常国会において、企業に対して措置義務を課す改正労働施策総合推進法が成立をいたしました。しかし、ハラスメント行為そのものの禁止規定がない点や、当事者、被害者の範囲が限定的である点で不十分な内容であると言わざるを得ません。私どもは野党共同で、セクハラ行為自体を禁止する対案や社外からのパワハラも規制する対案を提出をしましたけれども、与党の賛同を得ることができませんでした。  しかし、本年六月には、ILO総会において仕事の世界における暴力とハラスメントに関する条約が採択をされ、日本政府も賛成票を投じました。今後は、条約の批准に向けた更なる国内法の整備に早急に取り組む必要がありますが、その検討状況について政府に説明を求めます。  また、今もハラスメントに苦しむ労働者の方々がいる現状を踏まえ、日本企業の九九%は中小企業とも言われる中で、大企業、中小企業に関係なく早期に法律を施行する必要があるとの指摘もございますけれども、政府の御見解はいかがでしょうか。  次に、女性と就職氷河期世代に対する就労支援についてお伺いをいたします。  近年、女性の就業者数は約三千万人となり、今や女性の労働参画は我が国の成長を支える重要な柱であります。総理はしばしばアベノミクスの成果として就業者数が増えていることを強調されておりますが、女性についてその雇用形態を見ると、就業者の五五%がパート、アルバイトなど不安定な非正規雇用でございます。また、出産を契機に離職する割合は五〇%近くと、依然として高い状況にございます。さらに、賃金など構造的な男女間格差がいまだに存在する中、その是正に向けた政府の取組もまだまだ不十分です。働く意欲のある女性のキャリア形成やキャリア継続のため、従来の施策を検証した上でより実効性のある就労支援を図る必要があると考えますが、総理はどのようにお考えでしょうか。  就職氷河期世代に対しては、政府は、骨太の方針二〇一九において、非正規雇用者や長期無業者など百万人に対して三年間の集中的な支援を行い、正規雇用者を三十万人増やすことを目指すとしております。しかし、その内容は総花的で、各省の従来からの施策の延長線という感が否めません。三十万人の正規雇用化の根拠とその実行可能性、その後のフォローアップなど、どのように考えているのか、総理の御見解を伺います。  みんなちがって、みんないい。  新しい時代の日本に求められるのは、多様性であります。みんなが横並び、画一的な社会システムの在り方を根本から見直していく必要があります。多様性を認め合い、全ての人がその個性を生かすことができる。そうした社会をつくることで、少子高齢化という大きな壁も、必ずや克服できるはずです。  私の言葉ではありません。四日にこの議場で行われた第二百回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説の中の一節でございます。感激をいたしました。やっと気付いてくださったのか。しかし、幾らほえても張り子の虎、すなわち中身がない、では演説を聞かれた国民は失望をしてしまいます。不言実行、有言更なりであります。  これからが私の質問でございます。  来年の東京オリンピック・パラリンピック大会に向けてユニバーサルデザインの町づくりや心のバリアフリーの取組が行われていますが、価値観やライフスタイルの多様化が進んでいる現状からすればまだまだ不十分です。共生社会の実現のため、誰一人取り残さないという強いメッセージを政治の側が発することが求められております。  私どもは、誰もが個人として尊重される多様性ある社会を目指して、手話言語法案、情報コミュニケーション法案、LGBT差別解消法案等の法案を衆議院において共同提案しております。しかし、与党は一切審議に応じておりません。  手話は、コミュニケーション手段であると同時に、日本語と同等の第一言語です。聾者が手話言語を習得する機会を拡大し、手話文化の継承、発展を図る手話言語法案、そして、全ての視聴覚障害者等に対し、情報の取得やコミュニケーション手段についての選択の機会を確保、拡大していく情報コミュニケーション法案の制定が今こそ求められていると考えます。総理のお考えをお聞きを申し上げます。  民間の調査によりますと、日本ではLGBTなどの性的マイノリティーに該当する方の割合が八%以上に達すると言われております。いわゆるソジハラスメント、SOGIハラスメントですね、対策については、さきの通常国会において女性活躍推進法等改正案に対する両院の附帯決議にも盛り込まれ一定の前進が見られましたが、その進捗状況について政府の説明を求めます。  さらに、性的指向や性自認にもかかわらず、誰もが差別されることなく自由に生きる社会を実現するため、行政機関、事業者による不当な差別的取扱いの禁止やハラスメントの防止についてはしっかりと法律で定める必要があると考えますが、総理の御所見を伺います。  性別を問わずその個性と能力を十分に発揮することができるジェンダー平等社会を実現するため、野党会派共同で選択的夫婦別姓法案や性暴力被害者支援法案等の法案を提案をしておりますが、これまた与党は一切審議に応じておりません。特に、選択的夫婦別姓については、本年七月に日本記者クラブで開かれた七党首討論会で、制度導入に賛成かとの質問に対し、ただお一人、自民党総裁であられる総理だけが手を挙げず、大きな話題となったところでございます。  国際社会の共通目標である持続可能な開発目標、SDGsでは、ジェンダー平等の実現を掲げております。総理は、さきの通常国会で、SDGsの達成に尽力し、SDGsの強い担い手たる日本の姿を国際社会に対して示す旨述べておられました。にもかかわらず、選択的夫婦別姓の導入を求める国連の勧告は放置したままでございます。  総理は、先月の国連本部の会合で、SDGsに関する実施指針を年内に改定し、新たな取組を示す方針を表明されましたが、その取組に選択的夫婦別姓を入れるつもりがあるのか、また、婚姻後も姓を変えない権利を認めることこそが、SDGsが目指す誰一人取り残さない社会の実現につながるのではないでしょうか。総理の御見解を伺います。  天皇陛下が五月一日に即位をされ、御即位に伴う式典が間近に迫ってまいりました。国民の一人としてお喜びを申し上げますとともに、今年三月の予算委員会でも私は同様の質疑をさせていただきましたけれども、幾つかの課題に対して政府の対応は遅きに失すると言わざるを得ません。  まず、皇族、とりわけ男性皇族の減少に伴う問題でございます。  平成二十九年の退位特例法の附帯決議では、安定的な皇位継承、女性宮家の創設等が先延ばしすることのできない重要な課題と位置付けられ、皇位継承後、政府は速やかに検討を行うこととされています。  我々野党としても、この問題について党内議論を進めてきました。一方、これまで政府は、一連の式典に全力を尽くした上で対応するとの見解を示すにとどまっております。速やかに本格的な検討を進めていくべきだと考えますが、今後の検討スケジュールはどのようになっておられるでしょうか。総理の御答弁を求めます。  また、象徴天皇の在り方を今後とも堅持し、安定的な皇位継承を確保していくためには、国民のコンセンサスを得ながら進めていくことが重要でございます。そのためには、国民の総意を探り、現実的な解決策を導き出す、国民の代表が集う場であるこの国会において真摯な議論を行うことが求められているのではないでしょうか。総理の見解をお伺いをいたします。  次に、このことも予算委員会でやりましたが、恩赦についてお伺いをいたします。  政府は、天皇陛下が即位を宣言される今月二十二日の即位礼正殿の儀に合わせて恩赦を実施する方向で調整を行っていると報道をされています。皇室の慶弔事に伴う恩赦としては、一九九三年六月の天皇皇后両陛下の御結婚以来、二十六年ぶりとなるそうでございますが、国民には正直、なじみのない制度です。  そこで、まずお伺いしますが、国民にはなじみのない恩赦という制度について、歴史的意義について、政府の説明を求めます。国民に分かりやすいようにお願いをいたします。  また、恩赦は、更生への励みになるという意見がある一方で、三権分立の原則から、行政の権限で司法の判断を変えるのが適切なのかという疑問も指摘をされており、恩赦の実施についてはどのように国民の理解を得るおつもりなのでしょうか。政府の答弁を求めます。  加えて、今回の恩赦は、被害者への配慮や再犯防止推進の観点から、罰金刑を受けた人の資格制限などを回復する復権だけを対象に実施する方向で調整が進められているとも伺っておりますが、その過程では、公平性や透明性を確保し、国民への十分な説明が必要ではありませんか。今後、恩赦が実施される場合、その対象となる罪や刑の種類をどのように定め、どのような手続によって実施されることになるのか、政府の説明を求めます。  最後に、耳の痛い話かもしれませんが、長期政権の弊害について申し上げなければなりません。  森友学園への国有地売却問題、加計学園の獣医学部新設問題、毎月勤労統計の不正疑惑、金融庁審議会の報告書受取拒否事案、イージス・アショアの配備候補地への説明の不手際等々、政権の緩み、おごりは枚挙にいとまがございません。そして、ここが重要なところでもありますが、官僚のそんたくが行政の中立公平性をゆがめていると言われるような事態に、残念ながらなってしまっております。また、憲法、法律、規則にのっとって要求する言論の府である国会、予算委員会の開催要求を無視するなど、その強権的体質は看過できません。長きをもってよしとせず、というよりは、権力は腐敗をする、絶対的権力は絶対に腐敗をするというジョン・アクトンの言葉で本日の質問を閉じさせていただきたいと思います。  御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
  4. 安倍晋三

    内閣総理大臣(安倍晋三君) 長浜博行議員にお答えをいたします。  政府においては、台風の接近前から防災担当大臣が出席して関係省庁災害警戒会議を開催したほか、停電の解消に時間を要している状況等を踏まえ、九月十日には防災担当大臣も出席して第一回関係省庁災害対策会議を開催し、その後、これまでに同会議を合計十四回開催するなど、対応を強化してきたところです。  十一日の組閣後の私の記者会見では、冒頭において、災害の初動対応の状況等を踏まえ、自衛隊も派遣し、昼夜を分かたず停電の復旧作業を進めていること、現場主義で住民の方々へのきめ細かな支援を行っていく方針であること等を表明いたしました。  また、翌十二日には新任の武田防災担当大臣も現地入りし、十三日には閣僚懇談会においてその報告も聴取の上、改めて私より必要な指示を行いました。  このような政府全体で切れ目のない対応を行ってきており、内閣改造により台風第十五号に関する政府の対応が遅れたという指摘は当たりません。  また、今回の停電対応においては、台風第十五号の上陸直後から、東京電力千葉県内の自治体に政府職員を派遣し、政府、自治体東京電力の間で緊密な連携を図ってまいりました。  しかしながら、停電の復旧について、当初の見通しから大幅な遅れが生じたことは事実です。停電の復旧見通しを迅速かつ的確に公表することは重要であり、政府全体の検証チームや経済産業省の審議会において、被害状況を把握するための体制面の課題を含め、徹底的かつ客観的に検証してまいります。  台風十五号による災害からの復旧対応についてお尋ねがありました。  今般の台風第十五号による暴風雨により、極めて多くの家屋に被害が生じ、被災者の方々の日常生活に著しい支障が生じたことから、災害救助法の制度を拡充して、一部損壊の住宅のうち、屋根等に日常生活に支障を来す程度の被害が生じた住宅については、恒久的な制度として支援の対象とすることといたしました。  また、今回の停電への対応に関しては、送配電設備の保守点検や設備投資の状況などについて、専門家により構成される経済産業省の審議会において客観的かつ徹底的に検証してまいります。  被災した森林の復旧整備に当たっては、森林整備事業として支援を行うとともに、所有者のみでは手入れが行き届かない森林については、森林経営管理法に基づき、市町村が公的に管理する制度を円滑に運用してまいります。  さらに、今年度から森林環境譲与税が市町村に譲与されているところであり、補助事業と併せ、市町村等による森林整備が進むよう取り組んでまいります。  これらの対応を含め、台風第十五号による災害からの復旧について、政府として全力で取り組んでまいります。  中東ホルムズ海峡の現状についてお尋ねがありました。  我が国政府は、先般のサウジアラビアの原油施設への攻撃を強く非難しています。ホーシー派の能力に鑑みれば、本件攻撃がホーシー派によってなし得るものと考えることは困難ですが、本事案の評価については、引き続き、関係国と連携しつつ、情報収集、分析を進めていきます。  我が国の原油輸入の約八割が通過するホルムズ海峡における航行の安全を確保することは、我が国のエネルギー安全保障上、死活的に重要です。ホルムズ海峡付近では、六月の我が国関係船舶への攻撃事案を含め、航行の安全に影響を及ぼすような事案が複数発生しており、同海峡を含む中東地域における緊張の高まりを懸念しています。我が国としては、今後も関係国と緊密に連携しつつ、地域の緊張緩和のため、粘り強い外交努力を継続していきます。  米主導海洋安全保障イニシアチブについては、関係国とも連携しながら情報収集及び分析を行いつつ情勢を注視しているところであり、予断を持ってお答えすることは差し控えます。  いずれにせよ、中東における我が国関係船舶の航行の安全を確保するためにどのような対応が効果的かについては、原油の安定供給の確保、米国との関係、イランとの関係といった点も踏まえつつ、様々な角度から検討を行い、総合的な判断を行ってまいります。  日ロ平和条約交渉についてお尋ねがありました。  私は、北方領土返還要求全国大会のたびに元島民の代表の方々とお会いし、元島民の皆様のお気持ちに寄り添いながらロシアとの交渉を進めています。  長門会談では私とプーチン大統領が自らの手で平和条約を締結するとの真摯な決意を表明して以降、新しいアプローチで問題を解決するとの方針の下、航空機による元島民の方々のお墓参りが三年連続で実現し、本年はこれまで何年も訪問できなかった場所にも訪れることができました。北方四島における共同経済活動についてもパイロットプロジェクトが始まっています。このように、北方四島において日ロのこれまでにない協力が実現しています。  北方領土は、我が国が主権を有する島々です。政府としてこの立場に変わりはなく、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるというのが日本側の一貫した立場です。北方領土に対する我が国の主張は基本ラインを大きく後退させたとの指摘は全く当たりません。  十月二日の弾道ミサイル対応についてお尋ねがありました。  我が国に飛来する弾道ミサイルへの対処を含め、我が国の防衛や緊急事態への対処に直接必要となるような情報については、我が国独自の情報収集に加えて、同盟国である米国との情報協力により、万全の態勢を取っているところ、十月二日の北朝鮮による弾道ミサイル発射に際しても、政府としては情報収集、警戒監視に万全を期したところです。  政府としては、今後とも、一層の緊張感を持って情報収集及び分析と警戒監視に全力を挙げ、いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしを守り抜いてまいります。  大和堆周辺水域における漁業取締り方針と今回の衝突事案に関する事実関係についてお尋ねがありました。  日本海大和堆周辺の我が国排他的経済水域における北朝鮮漁船等による操業は、違法であるのみならず、我が国漁業者の安全操業の妨げにもなっており、極めて問題であると考えております。このため、我が国漁業者が安全に操業できる状況を確保することを第一に、水産庁漁業取締り船及び海上保安庁巡視船を重点的に配備し、放水等の厳しい対応によって我が国排他的経済水域から退去させています。  今回の衝突事案については、十月七日午前九時七分頃、日本海大和堆の我が国排他的経済水域内において水産庁取締り船と北朝鮮籍と見られる船舶が接触し、漁船が沈没しましたが、水産庁取締り船が救助に当たり、漁船の乗組員によれば全員が救助されたとの返答を受けました。  救助された乗組員については、北朝鮮籍と見られる他の漁船に移乗しており、また、今回沈没した漁船による違法操業は確認されていないこと等から、身柄の拘束といった強制措置は行わず、水産庁取締り船が厳重に警告の上、我が国排他的経済水域から退去させております。また、北朝鮮側に対し、北京の大使館ルートを通じて抗議を行っております。  政府としては、引き続き、我が国排他的経済水域内での外国漁船による違法操業の防止のため、毅然として対応してまいります。  拉致問題についてお尋ねがありました。  昨年六月及び本年二月の米朝首脳会談において、トランプ大統領が私の考えを直接金正恩国務委員長に伝えてくれたことは、大きな成果でありました。  五月にトランプ大統領が国賓として訪日した際には、拉致被害者の御家族と再び時間を取って会ってもらい、御家族の皆様の話にじっくりと耳を傾けていただきました。その際、拉致被害者の御家族から手紙をお渡しし、それに対し、後日、トランプ大統領から御家族を勇気付ける直筆の返事が送られてきました。これを御家族は大変温かい気持ちで受け止めておられます。  九月の国連総会の際の日米首脳会談では、私からこのことに言及しつつ、大統領の拉致問題への一貫した支持に謝意を表し、今後とも日米間で緊密に連携していくことを確認しました。  また、G20大阪サミットの際に行われた日中首脳会談においては、習近平主席から、六月の中朝首脳会談において日朝関係に関する私の考えを金正恩委員長に伝えたとの発言があり、その上で、習主席から、拉致問題を含め、日朝関係改善への強い支持を得ました。  韓国も、昨年四月の南北首脳会談を始めとする累次の機会において、北朝鮮に対して拉致問題を提起しています。  拉致問題の解決に向けては、我が国自身が主体的に取り組むことが重要です。私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。御家族も御高齢となる中、一日も早い解決に向け、引き続き米国等と緊密に連携しながら、冷静な分析の上に、あらゆるチャンスを逃すことなく果断に行動してまいります。  今後とも、我が国として、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を目指してまいります。  アフリカ外交についてお尋ねがありました。  TICADは、一九九三年のスタートから現在に至るまで、アフリカのオーナーシップを尊重しつつ、国際社会とのパートナーシップを促進し、国連の関連機関やNGOも広く参加する、他に例を見ない透明性が確保された開かれたフォーラムとして高く評価されていると認識しています。  アフリカに対する直接投資や年間輸出は十位以内に入っておらず、今後拡大していく大きな潜在性があることを踏まえ、今回のTICAD7では、TICAD史上初めて政府首脳と民間企業が直接対話するセッションとして官民ビジネス対話を開催しました。  アフリカは、世界の四分の一以上を占める五十四か国を擁する二十一世紀最大のフロンティアです。我が国は、アフリカとの関係を強化し、アフリカ自身が主導する発展を力強く後押ししていきます。そのため、経済分野においては、ODAも戦略的に活用しながら、アフリカにおけるビジネス環境改善に貢献し、アフリカへの民間投資を促進していく考えです。  政府として、第三国のアフリカに対する外交戦略についてお答えする立場にはありませんが、我が国としては、引き続き、日本の強みや日本らしさを生かした取組を行っていく考えです。  気候変動問題に対する認識についてお尋ねがありました。  国連気候行動サミットについては、宮中行事のため出席することがかないませんでしたが、我が国は、パリ協定に基づき本年六月に策定した長期戦略において、今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を実現することを目指す旨公表しています。  国連総会の機会にグテーレス事務総長と会談を行った際には、私から、日本政府は、パリ協定の下で果たすべき責任はしっかりと果たし、気候変動問題に対し貢献していく旨表明しました。我が国は、長期戦略に基づき、イノベーションに光を当て、環境と成長の好循環を加速し、気候変動対策を推進し、世界の脱炭素化を牽引してまいります。  低炭素化やカーボンニュートラルの実現のための具体的な対策についてお尋ねがありました。  昨年十月のIPCC一・五度C特別報告書によれば、二〇五〇年前後にカーボンニュートラルを実現する必要があるとされています。  こうした脱炭素社会の実現は、これまでの延長線上の発想や取組では困難であり、人工光合成や水素社会の実現など、非連続なイノベーションを起こすことが不可欠です。  このため、先般の大阪サミットでは、G20の研究機関を結び、世界の英知を結集するRD20の創設に合意するとともに、環境投資を一層促進するための情報開示に向けた国際スタンダードづくりなどの具体的な取組を進めています。まさに今週、世界トップレベルの研究者、産業界、金融界が一堂に会するグリーンイノベーションサミットを我が国で初めて開催いたします。世界の脱炭素化という究極の目標の実現に向かって、我が国はこれからもリーダーシップを発揮してまいります。  プラスチックについてお尋ねがありました。  海洋プラスチック問題の解決については、世界全体での取組が欠かせません。大阪ブルー・オーシャン・ビジョンについて、様々な御意見があることは承知しておりますが、先般のG20サミットでは、新興国も参加する形で、二〇五〇年までに新たな汚染をゼロにするとのビジョンを共有できたことは大きな一歩であると考えています。さらに、今回は、具体的な実施枠組みでも合意し、今後、各国の取組をフォローアップすることでビジョン実現に向けて効果が生まれるよう道筋もつくることができたと考えています。その際、プラスチックの海洋流出をいかに防ぐかが必要であり、使用を過度に抑制するのではなく、ごみの適切な回収、処分、海で分解される新素材の開発などに重点的に取り組んでまいります。  その上で、持続可能な社会を実現する観点から、本年五月に策定したプラスチック資源循環戦略に基づき、使用の合理化やバイオプラスチックへの転換、リサイクル設備の増強などにも取り組んでまいります。  財政健全化についてお尋ねがありました。  安倍内閣では、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、財政健全化に大きな道筋を付けてまいりました。この結果、政権交代前と比較して、国、地方を合わせた税収は約二十八兆円増加し、今年度予算における国の税収は過去最高、六十二兆円を超えるとともに、新規国債発行額は約十二兆円減少し、安倍内閣発足以来七年連続で減少しているところです。今後とも、経済再生と財政健全化の両立を図り、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指してまいります。  金融政策についてお尋ねがありました。  金融政策については、各国の中央銀行が経済情勢を含む様々な状況を踏まえ判断するものであると考えており、具体的にコメントすることは控えたいと思います。  我が国においては、日本銀行が経済、物価、金融情勢を踏まえつつ十分に議論した上で適切に判断されるものと考えており、黒田総裁は、追加緩和についても、政策のベネフィットとコストをしっかり比較考量した上で適切な措置を考えていく旨、説明されております。政府としては、引き続き日本銀行が二%の物価安定目標の実現に向けて努力をされることを期待しております。  地域金融の現状と健全な地域金融に向けた課題についてお尋ねがありました。  現時点において地域銀行の資本基盤は充実しておりますが、その経営環境は低金利環境の継続や人口減少等の影響により年々厳しさを増しています。政府としては、地域銀行が将来にわたる健全性を確保し、金融仲介機能を継続的に発揮することが重要と考えており、地域銀行に対して地域経済への貢献に向けた取組を促してまいります。  地価上昇の要因などについてお尋ねがありました。  今般の地価上昇は、景気回復などの背景にオフィス需要が堅調であることと、訪日外国人の増加などにより店舗やホテルの建設需要が高まっていることなどによるものであります。地方圏においても商業地の地価が平成三年以来二十八年ぶりに上昇に転じ、地価の回復傾向が地方にも広がっています。  このように、現下の地価上昇は、土地の利便性、収益性などを反映した実需に基づくものであり、現時点において外資による不動産取得が懸念される状況にあるとは考えていません。  銀行による不動産向け融資についてお尋ねがありました。  銀行による不動産向け貸出しについては、足下の貸出残高は過去最高水準にある一方、貸出残高の伸び率は低い水準であり、一九八〇年代後半に生じた不動産バブル時とは異なっています。銀行による不動産向け融資が実需か投機かについて一概に申し上げることは困難ですが、政府としては、将来にわたり金融システムの安定性が確保されるよう、銀行の貸出動向等を注視し、適切な対応を行ってまいります。  同一労働同一賃金についてお尋ねがありました。  同一労働同一賃金の施行に向け、大企業のみならず、特に中小企業・小規模事業者に対し、周知や支援を図ることが重要と認識しています。このため、全都道府県に設置した働き方改革推進支援センターにおいて、中小企業そして小規模事業者へのセミナーや個別相談を実施するほか、都道府県労働局において事業主向け説明会を開催する等の支援を行っております。このような取組を通じ、同一労働同一賃金の実現に向けた取組を政府として全力で支援してまいります。  仕事の世界における暴力とハラスメントについてお尋ねがありました。  仕事の世界における暴力とハラスメントはあってはならないことであり、新たな国際労働基準の必要性、意義は大きいと考えられたため、日本政府としてもこの条約に賛成したところです。条約批准との関係では、国内法制との整合性を今後更に検討する必要がありますが、まずは、先般成立したハラスメント防止対策を強化する改正法の着実な実施等を通じ、暴力とハラスメントのない世界の実現に向けて引き続き尽力してまいります。  改正労働施策総合推進法についてお尋ねがありました。  パワーハラスメントの予防、解決に向けた事業主の取組を推進するため、本年五月末に成立した改正法では、事業主に対し、パワーハラスメントの防止のための相談体制の整備等の措置を義務付けました。改正法の施行日は、中小企業については、その負担に配慮し、十分な準備期間を設けるため、大企業の施行から二年間程度は努力義務としていますが、その間も可能な限り早期にパワハラ防止措置を講ずることができるよう、十分な支援措置を講じてまいります。  働く女性の就労支援についてお尋ねがありました。  安倍内閣では、女性活躍の旗を高く掲げて政策を打ってきており、この六年間で子育て世代の女性就業率は八・八ポイント上昇し、過去最高、今や二十五歳以上の全ての世代で米国を上回っています。正規雇用で働く女性の就業者数も着実に増加しています。政府としては、さきの通常国会で成立した改正女性活躍推進法の円滑な施行や、育児休業などの両立支援制度の普及等を通じて、引き続き女性の継続的な活躍を進めるための環境を整備してまいります。  就職氷河期世代についてお尋ねがありました。  雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った就職氷河期世代の方々の活躍の場を更に広げるため、三年間の集中プログラムに基づき、きめ細かな伴走型の就職相談体制の確立や、受けやすく即効性のあるリカレント教育の確立といった支援策により、これまでの二倍のペースでの就業促進を目指すとともに、社会参加への支援が特に必要な方々には、息長く寄り添った支援を行ってまいります。また、実績のフォローアップについても、内閣官房に設置した就職氷河期世代支援推進室と関係府省が連携し、定期的に施策の進捗状況を確認しながら、また民間ノウハウも活用しつつ、政府を挙げて支援に取り組んでまいります。  共生社会の実現についてお尋ねがありました。  視覚や聴覚に障害のある方など、障害者の自立と社会参加の支援は、共生社会を目指す上で重要であると考えています。  御提案の法案については、その取扱いも含め、国会において御議論いただくべきものと考えていますが、政府としては、昨年三月に策定した第四次障害者基本計画に基づき、手話通訳者の派遣や点訳等による支援を行うとともに、それらを担う人材を育成、確保するなど、情報アクセシビリティー、意思疎通支援の充実に向けた取組を進めています。  障害や難病のある方々がその個性を発揮して生き生きと活躍できる社会をつくり上げるため、今後とも障害者施策の充実に取り組んでまいります。  SOGI、ソジハラスメント対策についてお尋ねがありました。  本年五月末に成立したパワーハラスメント防止対策の法制化等を内容とする改正法の附帯決議においては、その指針の策定に当たり、性的指向、性自認に関するハラスメントも雇用管理上の措置の対象になり得ること等を明記することとされています。  現在、指針等については附帯決議の内容も踏まえた検討を進めており、今後、年内を目途に策定し、改正法の円滑な施行に向けて取り組んでまいります。  性的指向、性自認への差別やハラスメントについてお尋ねがありました。  性的指向、性自認に対する偏見や差別はあってはならず、多様性を受け入れる環境づくりが重要と考えます。  政府としては、性的指向、性自認に関する啓発の充実や適切な相談対応、人権侵害の疑いのある事案への迅速な救済、パワハラ防止対策に関する改正法の着実な施行などを通じて、全ての人がお互いの人権や尊厳を大切にし、不当な差別やハラスメントのない社会の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。  SDGsと選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。  まず、御指摘のSDGsについては、人間の安全保障の理念に基づき、誰一人取り残さない社会を実現すべく、教育や保健の分野を始めとして国際社会の取組をリードし、SDGsの達成に向け貢献してまいります。  他方、夫婦の別氏の問題については、家族の在り方と深く関わるものであり、国民の間に様々な意見があることから、その対応についてはSDGsの議論とは別に慎重な検討が必要と考えております。  安定的な皇位継承に関する今後の検討スケジュールと議論の在り方についてお尋ねがありました。  安定的な皇位の継承を維持することは、国家の基本に関わる極めて重要な問題です。男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討を行う必要があります。  また、女性皇族の婚姻等による皇族数の減少等については、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であると認識しています。この課題への対応等については様々な考え方、意見があり、国民のコンセンサスを得るためには十分な分析、検討と慎重な手続が必要です。  政府としては、まずは、天皇陛下の御即位に伴う一連の式典や行事が国民の皆様の祝福の中でつつがなく行われるよう全力を尽くし、その上で、衆参両院の委員会で可決された附帯決議の趣旨を尊重し、対応してまいります。  恩赦についてお尋ねがありました。  現行憲法下の恩赦は、犯罪をした者の社会生活上の障害を取り除き、社会復帰を促すといった刑事政策的意義が重視されています。  国家の慶弔禍福の際に恩赦を実施するかどうかや、実施する場合の内容については、内閣において、このような恩赦制度の趣旨や先例、社会情勢、国民感情等の諸般の状況を総合的かつ慎重に勘案して判断すべきものと考えています。  恩赦を実施する場合には、その内容は閣議で決定し、天皇の認証、官報掲載等の手続を経ることとなります。実際に恩赦を実施する場合は、政府として、その内容及び趣旨を国民の皆様に御理解いただけるよう、真摯に説明することとなります。(拍手)     ─────────────
  5. 山東昭子

    ○議長(山東昭子君) 世耕弘成さん。    〔世耕弘成君登壇、拍手〕
  6. 世耕弘成

    世耕弘成君 自由民主党世耕弘成です。  私は、自由民主党国民の声を代表して、安倍総理大臣所信表明演説について質問をいたします。  冒頭、八月の九州北部豪雨、先月の台風十五号など、相次ぐ自然災害の猛威にさらされた全国の皆様に、心からのお見舞いを申し上げます。特に、過去最高クラスの勢力で関東に上陸した台風十五号の被害は甚大でありました。政府には、千葉県を始めとした被災者の皆様に対して柔軟な支援を継続いただけますよう要請を申し上げます。  昨日は、我が国EEZ内で北朝鮮漁船が水産庁の船に衝突、沈没するという事案が発生しました。我が国の主権がしっかりと行使されたのか、今後、政府には説明を尽くしていただきたいと思います。  さて、私の座右の銘は臨済録にある随処作主という言葉であります。どのような立場になっても主体的に行動することの大切さを説いた言葉であります。  私は、官房副長官、経産大臣として六年八か月余、内閣の内側から政権を支えてまいりました。内閣を離れ、参議院自民党幹事長という新たな立場となった今、改めて随処作主の精神で、今度は熟議の参議院という立場から、支えるべきは支えつつも、申し上げるべきことはしっかりと申し上げさせていただくという姿勢で臨んでまいります。  私は、安倍総理と約二十年もの長きにわたって政治行動を共にしてまいりました。その根底には、総理の政治理念への共鳴があることはもちろんですが、どのような難局に直面しても冷静沈着で余裕を失わず、人の意見によく耳を傾ける。数え切れないほど同席をさせていただいた外国首脳との会談では、相手の提起した論点一つ一つ丁寧に応答し、相手の心をわしづかみにしていく。そして、難病を経験されたからでしょうか、人に対して何とも言えない優しさを示される。そういう総理の人柄に強く引かれたという面もまた大きいものがあります。  しかし、国会審議の現場では、時々私の知る総理とは異なった一面がかいま見えることがあります。私は、安倍政権に否定的な立場の方にお会いすることがあると、その理由を尋ねるのですが、答弁のときの居丈高な態度が気に食わない、やじに一々反応するところが嫌いだといった理由を挙げる方が少なくありません。総理のふだんの人となりを知る者として、これほど残念で、もったいなく感じることはありません。  総理、これからの国会審議では、是非、謙虚で丁寧な対応に徹していただくよう、強くお願いしたいと思います。  さて、私たちは直近、選挙を経験いたしました。私は、自分の選挙は脇に置いて、全国三十都道府県を仲間の応援に回り、多くの有権者と触れ合いました。そこで聞かれたのは、政治の安定の継続を求める声であり、そのとおりの選挙結果が出たと思っています。  しかし一方で、国民各層が将来に関して漠然とした不安を持っていることも痛感しました。配偶者が亡くなった後、一人でどう生活していけばいいのか、幼い子供が成人するまでの教育費を負担できるのだろうか、四十歳を超えた子供が正社員として就職できていないがどうすればいいのかといった、人それぞれの不安の声を数多く聞かせていただきました。  こういった不安こそが、数字には明確に表れているアベノミクスの成果を国民が実感できない、消費にお金が回らない大きな原因だと考えます。  全世代型社会保障改革を単なる制度論、予算論に終わらせることなく、国民が持つ将来への不安に政治がしっかりと向き合うことこそが重要だと考えますが、総理の御見解をお伺いします。  直近の選挙を経験してきた参議院自民党としても、これら不安の声を集約し、政策的なスポットライトを当てる活動を充実させていくことを宣言したいと思います。  特に不安の声が強く聞かれたのが、人口減少に苦しむ地方です。もちろん安倍内閣でも、地方に希望を持ってもらえるよう、地方創生の旗印の下、様々な取組を進めてまいりました。単に地方への再配分を進めるのではなく、それぞれの地域の自主性と独自の戦略を後押しするという地方創生の考え方は決して間違ったものではなかったと考えております。しかしながら、それぞれの地域の経済的な自立という最終的な目標には残念ながらまだ至っていないということは事実として受け止めなければなりません。  私は、経産大臣の立場から、地域の経済的自立を目指した様々な取組を進めさせていただきました。例えば、スタートアップ企業一万社から百四十一社を選んだJ―Startup事業です。有力なスタートアップ企業というと、どうしても大都市に集まってしまいますが、なるべく幅広い地方から発掘するよう腐心をいたしました。  例えば、山形県鶴岡市のスパイバー社は、世界で初めて人工合成のクモの糸を量産し、革新的な素材企業として注目を集めています。また、新潟県妙高市のコネクテックジャパン社は、独自の半導体チップ基板実装技術を誇る半導体ベンチャーですが、この技術もまた世界初のものであります。  地域経済が真に自立をしていくためには、こうした革新的な企業が次々と生まれ、地域活力の源、そして雇用の場となっていかなければなりません。地域経済の中心的な担い手となる地域未来牽引企業の選定を全国で進めさせていただいたのも、この思いからであります。  必要は発明の母とも言いますが、地域の厳しい状況は、裏を返せば、新たなテクノロジー活用に向けた格好の舞台であるとも言えます。過疎地における自動運転の走行実験の進展などが今後期待されます。  来年度から地方創生は第二期のスタートを迎えるわけですが、こうした観点から、地方の真の自立に向けた地方創生のあるべき姿について、総理のお考えをお聞かせください。  しかし一方で、最低限の医療体制すら整っていないのに、地方の自立、地方創生と立派なことを言われても困る、運転免許を返納して買物にも満足に出かけられない、後継者がおらず、年齢的に体力の限界で、地域にとって重要な事業を廃業せざるを得ないといった痛切な声が聞こえてきます。  これらの問題は、過疎地に限った問題ではなく、いずれ近い将来都市部も直面する問題です。足下では人口流入の続く東京も、二〇二五年には人口のピークを迎え、その後にはピークアウトの局面に入っていきます。東京も含めた全国で確実に対処を迫られる問題として捉え、国民の不安の声に向き合っていく必要があります。  そこで無視できないのが、国の財政支出の在り方であります。  アベノミクス三本の矢については、第一の大胆な金融政策が我が国経済の大きな転換点となったのは周知のとおりであります。また、第三の矢、成長戦略についても、経産省で担当させていただいた様々な政策のほか、観光、農業などの分野に至るまで、道半ばとはいえ、内閣としてかなりのことをやってきたものと評価をしております。  他方、第二の矢、機動的な財政政策は、果たして本当にやり切ったと言えるのでしょうか。大胆な金融緩和が続く中でも、国民の間のデフレマインドは根強く残っています。十二分の対策を講じてはいるものの、先日から実施された消費税率の引上げや、さらには不透明さを増す世界経済の情勢を踏まえれば、もう一段機動的な財政政策に目を向けることも必要ではないかと感じております。  また、先ほどから申し上げている国民の将来への不安や地方の痛切な声に向き合っていくためにも、ある程度の財政出動は必要なのではないでしょうか。そして、将来への不安を解消することが消費を促進し、真のデフレ脱却につながると考えます。  日本の財政には決して余力がないわけではありません。  昨年の新経済・財政再生計画では、二〇二五年度の国、地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化、債務残高対GDP比の安定的な引下げという目標を堅持することになりました。確かに、この二つの指標を見れば、我が国の財政状況はG7諸国の中でも最悪です。  一方、単純な財政収支の対GDP比を見ますと、我が国の赤字は三・七%と、フランスの三・六%、米国の三・九%などと比較しても大差のない水準であります。すなわち、足下では、我が国の財政運営は諸外国と比べて極端にアクセルを吹かしている状況にはないと言えます。先ほど触れました再生計画では、財政再建目標と併せ、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針も確認されました。  国の財務の健全性を見る場合、債務残高対GDP比率を重視するのが国際的な常識であります。本年七月の中長期の経済財政に関する試算においても、経済成長が実現されたケースでは、債務残高対GDP比の安定的な引下げが予想されています。経済の再生、下支えと国民の不安解消に必要な支出は大胆に行うべきとの方針は、政府とも共有できるものと考えます。  現下の不安定な経済情勢や国民の不安を考えれば、更なる財政出動を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。総理の御見解を伺いたいと思います。  冒頭、台風十五号の被害について触れました。二週間以上を掛けてようやくおおむね解消されるに至った今回の停電は、電力の安定供給というふだんは意識もされないテーマについて、国民に大きな問いを投げかけてきたように感じております。  今回の事案では、人口密度が低く迂回して送電できるネットワークがないエリアで停電が長期化しました。経営コストを下げ、料金を下げれば消費者は喜びます。そのためには、インフラ投資は当然最小限に抑えられます。しかし、それ一辺倒で本当に消費者のためになるのか。我々はもう一度しっかり考えなければならないのではないでしょうか。  他方、関西電力の事件でエネルギー業界の在り方に国民から疑念を持たれたことは、残念の極みであります。  ポピュリズムではなく、しかしながら村の内輪の論理でもないバランス、国際的な議論にも堪えられる現実性、こうした観点を備えた責任のあるエネルギー政策が今こそ必要だと言えるのではないでしょうか。  昨年、私は、経産大臣として、第五次エネルギー基本計画の策定を担当しました。そこでは、二〇三〇年の再エネ主力電源化を明確に宣言するとともに、バランスと現実性を考慮し、CO2排出ゼロの電源として再エネと原子力を合わせて四四%、CO2を排出する電源として化石燃料由来のものを五六%とする二〇三〇年のエネルギーミックス目標を維持をいたしました。  化石燃料を用い続ける我が国の計画は、海外から批判を受けることもあります。しかし、教条主義的に化石燃料を排除するだけではなく、現実的にCO2効率を改善をしていくという我が国の姿勢には、そのような批判は全く当たりません。  例えば、蒸気を高温高圧にしてCO2排出を抑える超超臨界圧発電を途上国で導入することは、世界の環境改善に大きく貢献します。  日本がやらなければ、質の低い石炭火力発電所が各国で増えてしまうだけという現実もあります。しかも、この技術については、我が国のオペレーション能力は世界でも指折りです。中国も着手し始めていますが、単に製造できるということと運営できるということは大きく違います。運営も含めた総合的な技術力を生かして効率化を進めていくことは、我が国から世界への大きな貢献となるのではないでしょうか。  もちろん、石炭火力への資金を絞るダイベストメントの潮流も無視できない中、世界におけるレピュテーションリスクにも目を向ける必要はあります。  バランスの取れた現実的なエネルギー政策を目指していくということについて、総理のお考えをお聞かせください。  冒頭、参議院選挙について触れましたが、選挙において、国民の皆様から寄せられる不安、その裏返しとしての自民党への期待として私が数多く耳にしたのが、緊迫する安全保障環境への対応です。  去る十月二日、北朝鮮から弾道ミサイルが発射され、我が国の排他的経済水域内に落下しました。北朝鮮の弾道ミサイル発射は関連する安保理決議に違反するものであり、我が国としても厳重に抗議の意思を示さなければなりません。  ただし、今回のミサイル発射の脅威は、単にEEZ内に落ちたというだけではありません。日米両国政府を始めとする各国当局等の発表では、今回のミサイルは、迎撃が困難なロフテッド軌道で、しかも、沖合から発射されたとのことです。北朝鮮は、近年、ミサイルによる攻撃能力を迅速かつ着実に上げています。昨今、入手できる画像では、発射台付車両を用いて同時に多数のミサイルを発射することができるようになっています。固体燃料を用いたミサイルを発射台付車両や潜水艦から発射されると、事前に燃料注入等を把握し、迎撃に備えることができないので、我が国への脅威は格段に高まっています。  これまで、弾道ミサイルへの対処能力の向上を図るために、政府ではイージス艦の追加配備などに努めてまいりましたが、船である以上、整備や補給の関係で港に戻る必要があり、二十四時間三百六十五日休みなく対応することにはかなり無理が掛かっています。  日本全土を二十四時間三百六十五日守り抜くためには、陸上から弾道ミサイルににらみを利かせるイージス・アショアの配置が不可欠であることは間違いありません。イージス・アショアの配備により、弾道ミサイル攻撃に対する抑止力も大きく向上します。  しかし、配置される地元住民の皆さんへの不安に寄り添う説明がなされなければ、地域で理解が深まることもありません。イージス・アショアが我が国国民の安全、安心を守り抜くために不可欠であることや、しっかりとした調査結果に基づいて候補地選定の理由を説明することはもちろん、住民の皆様の不安が解消されるよう、親身になって誠実に対応していくことが大切ですが、安倍総理のお考えをお聞かせください。  今お伺いした北朝鮮問題に関して無視できないのが、韓国との協力関係であります。  最近、韓国は、日韓軍事情報包括保護協定、GSOMIAを更新しないという理解に苦しむ決定を行い、北朝鮮に誤ったメッセージを送っているという現実があります。対ロシア、対中国を含め、日韓の結束を国際社会に示していくことは死活的に重要だと考えます。  一方、GSOMIA破棄に至る動きの引き金となった韓国側の不誠実な対応、すなわち、旧朝鮮半島出身労働者問題に関して国と国との約束を守らないこと、そして、兵器に転用されるおそれがある物質についての韓国側の管理体制に不十分な点がある中で、日本からの申入れにもかかわらず、十分な意見交換の機会が長年なくなっていたことについては、毅然たる対応が必要であることは論をまちません。各種世論調査でも、こうした政府の姿勢は国民の支持を強く受けています。  こうした難しい状況の下、韓国とどのように向き合い、どういうきっかけで両国関係を健全な関係に戻していくのか、総理の御見解を伺いたいと思います。  次に、日本外交の基幹ともいうべき日米関係、特にその貿易関係についてお伺いをいたします。  現地時間の九月二十五日、日米首脳会談において、総理とトランプ大統領は、日米貿易交渉の最終合意を確認し、共同声明に署名をされました。また、先刻、ワシントンで協定への署名が行われました。昨年九月の日米首脳会談において交渉を開始することで一致してから僅か一年、米国側の要求事項が相当強いものであったにもかかわらず、安全保障上の脅威を理由に導入をちらつかせていた自動車への追加関税を回避するとともに、米国産米の輸入枠も設けず、さらには日本の農業輸出を後押しする成果を得る形でまとめられたことに、交渉に当たられた茂木大臣始め関係者の努力は高く評価されるべきだと考えます。  今回の日米貿易協定の主な成果を改めてお示しいただくとともに、それがどのように我が国の経済産業にメリットをもたらすかという点について、総理の御見解をお伺いいたします。  同じく貿易関係では、我が国はRCEPの交渉にも臨んでいることを忘れるわけにはいきません。  日中韓やASEAN、インドオーストラリアニュージーランドを含み、妥結をすれば、世界人口の約半分、世界の国内総生産、そして貿易額でも約三割を占めるアジアで最大の自由貿易圏となるRCEPは、メガ経済連携協定であります。同時に、アジアを中心とする参加国の経済活性化だけではなく、関税自由化に今まで後ろ向きであった中国やインド自由貿易圏へと組み込む点でも大きな意義があります。  そのような背景もあって、私自身、経産大臣当時、RCEPの交渉には並々ならぬ決意を持って臨んでまいりましたが、関税引下げ交渉が大きく進んだこともあって、目標とする年内妥結も不可能ではない状況になりつつあると認識をしております。  世界において保護主義の流れが強まる中、TPP11、日EU・EPA、日米貿易協定、そして、そこにRCEPが加われば、世界の主要な貿易協定に主導的立場で参加をしている日本は、今や世界の自由貿易の要となっているということになるわけであります。  総理は、このRCEP交渉を我が国の国益という観点からどのように位置付けておられ、早期実現に向けてどのような方針で交渉に臨むお考えか、御見解を伺いたいと思います。  続いて、日中関係についてお尋ねします。  既に両政府間で合意をされていますが、来年春には習近平国家主席の国賓としての来日が決まり、日本と中国との間に良好な関係構築の機運が高まっています。中国ではちょうど建国記念日である国慶節を迎えましたが、安倍総理のお祝いメッセージがテレビやネットで広く視聴され、話題になっているとの報道もあります。  日中関係の安定及び深化は、東アジアはもちろん、世界全体の繁栄に寄与することは明らかですが、一方で、世界各地での中国の影響力の拡大、特に港湾の権益などの中国国有企業などへの売却には注意を払う必要があります。  このような情勢下、中国が推進する一帯一路政策についても、アフリカやタイにおけるいわゆる第三国協力など、我が国の国益を一つ一つ慎重に検討しながら、是々非々で進めていくことが肝腎だと考えます。  こうした中、総理はどのように対中外交を進めていかれる御計画か、見解を伺いたいと思います。  外交に関しては、ロシアとの関係も無視できません。  安倍総理とプーチン大統領の会談は通算二十七回にも及び、私も、官房副長官として、またロシア経済分野協力担当大臣として、そのほとんどに間近で同席をし、両者の強固な信頼関係を目の当たりにしてまいりました。  いまだ両国間で平和条約が締結できていないという不幸な状態から脱却するために、まず求められるのは、言うまでもなく、北方領土の返還に向けた動きであります。プーチン大統領であっても、現下のロシア国内での支持率低下状況などを踏まえると、大きな決断はできないという見方もありますが、強力な指導者であるプーチン大統領でなければ、この問題は難しいと私は考えます。  この動きを加速させるべく、また、我が国企業のロシア市場への展開などを促進させるべく、八項目の協力プランをベースとして、対ロシア経済関係構築に努めてまいりました。北極圏における巨大なLNGプロジェクトの実現から、平均寿命の短いロシアに対するヘルスケア分野での協力など、数多くの成果が生まれてきています。  一方で、八月のメドベージェフ首相の択捉島訪問や七月の竹島上空へのロシア空軍機の領空侵犯など、我が国として看過し難い事案も継続的に発生しています。  こうした状況下、総理は、現在のロシア側の姿勢をどのように分析しておられるのでしょうか。また、どのような道筋で北方領土の返還や平和条約の締結を思い描かれているのでしょうか。御見解をお聞かせください。  今年六月には、日本がホスト国となったG20サミットが開催され、総理は、データの自由な流通や電子商取引に関するルール作りを目指す大阪トラックを宣言されました。我が国やアメリカなどがデータの自由な流通を訴え、プライバシーを重視するEUはむしろ規制を強化することに熱心である一方、中国は国家主導によるデータの管理を主張するなど、国によって様々な考え方がある中で、来年六月に予定されているWTO閣僚会議までに実質的な進展を目指すと安倍総理が強調されたことは、政治的な推進力を与えたものとして評価をされます。  大阪トラックのコンセプトを実現するためには、信頼性のある自由なデータ流通、すなわちデータ・フリー・フロー・ウイズ・トラスト、DFFTを確立させなければなりません。本年一月のダボス会議で安倍総理は、経済成長のエンジンはもはやガソリンではなくデジタルデータで回っていると主張されましたが、消費者や企業行動が生み出す膨大なデータについて、国をまたいで活用できる体制構築が今後の課題となります。ウイズ・トラストの信用の部分については、どこの国であればデータを共有できるのか、外交的な見極めが必要となってきます。  我が国が標榜するコネクテッドインダストリーズの構築に関しては、企業と企業、機械と機械、人と人がデータを通してつながり、様々な製品やサービスが遠隔地で相互に連携する世界が描かれています。日本を支えてきた物づくり産業は、コネクテッドインダストリーズにより、ロボット、自動走行、ヘルスケアなどの次世代ビジネスへと発展する可能性を秘めています。  日本の製造現場には正確なデータが大量に蓄積をされており、これらの利活用によって価値創出ができれば、日本が新たに強みを発揮していける領域を持つことができます。  今後、どのような方向で大阪トラックを進めながら国際的なルールを創設し、それを我が国の経済産業の発展にどのように生かしていくのか、総理の戦略をお聞かせください。  来年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。  東京オリンピック・パラリンピックが日本にもたらす経済効果は三十兆円を超えるとも言われています。現在、ラグビーワールドカップが我が国で開催され、日本代表の三連勝もあって大きな盛り上がりを見せていますが、東京オリンピック・パラリンピックはこれを上回る盛り上がりを見せるものと思われます。  ただ、肝腎なのはその後であります。この盛り上がりの火を消さないためにどのようにすべきか。そうした観点から、私は経産大臣当時、文字どおり身命を賭して二〇二五年の大阪・関西万博の誘致に取り組み、政府、国民が一丸となって何とかこれを実現することができました。  東京オリンピック・パラリンピック、そして「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとして実施される大阪・関西万博、これらを通じて、総理はどのように日本全体の活性化につなげることを考えておられるのか、特に冒頭お尋ねした地方創生との関係も踏まえて御見解を伺いたいと思います。  我々自民党は、さきの参議院選挙において、改憲議論を進める候補者か議論しない候補者かを選ぶ選挙であると訴えてまいりました。そして、参議院選挙の結果は、憲法改正について少なくとも議論すべきだという国民の審判があったことは明白であります。  参議院選挙後の八月末から九月初めにかけて行われた世論調査でも、憲法改正に向けて各党が国会で具体的な議論をすべきという回答は七七%、内閣支持層では八四%、内閣不支持層でさえも七〇%となっています。選挙直後の別の新聞社による緊急世論調査では、今後、国会の憲法審査会憲法改正に向けた議論が活発に行われることを期待するとした人は六六%となっています。各種世論調査国民の声憲法改正については少なくとも議論はすべきだということを示しています。  しかし、忘れてはなりませんが、憲法改正の発議はあくまでも国会自身が行うものであります。行政府が行うものではありません。また、憲法改正は安倍政権のレガシーづくりにあるわけでもありません。憲法の審議を進めていく責任は国会にこそあります。熟議の院たる参議院として、建設的な議論を進める環境を我々は整えていかなければなりません。  憲法改正の最後の判断は国民のものであります。この臨時国会において各党が憲法改正に対するそれぞれの意見をしっかりと開陳をし、さすがは参議院だと言われるような審議を進めようではありませんか。  そこで、最後に、総理に参議院における憲法改正に関する議論に期待するところをお尋ねをし、私の代表質問を終わらせていただきます。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
  7. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 世耕弘成議員から御質問をいただきました。  質問の冒頭、厳しい、友情のゆえだと思いますが、厳しい御忠告もいただいたところでございますが、この忠告を拳々服膺し、そして、野党の皆様からも謙虚で丁寧な総理大臣だと言っていただけるように努力を重ねてまいりたいと、このように思います。  全世代型社会保障改革についてお尋ねがありました。  全世代型社会保障への改革は、安倍内閣の最重要課題です。これまでの社会保障システムの改善にとどまることなく、システム自体の改革を進めることで、子供からお年寄りまで全ての世代が安心できる社会保障制度へ改革を進めてまいります。  その大きな第一歩として、消費税の使い道を見直し、十月一日から、三歳から五歳まで全ての子供たちの幼児教育、保育を無償化しました。来年四月からは、真に必要な子供たちの高等教育の無償化を行います。  今後、国民の声にしっかりと向き合いながら、年金、医療、介護、労働など社会保障全般にわたって人生百年時代を見据えた改革を果断に進め、令和の時代にふさわしい誰もが安心できる社会保障制度を大胆に構想してまいります。  地方創生についてお尋ねがありました。  地方が真に自立するためには、未来への可能性あふれる産業、若者にとって魅力あふれる雇用の場をつくり上げることが必要です。  地域社会に根付き、地域経済のバリューチェーンの中心的な担い手である地域未来牽引企業は、その核となるものです。さらには、特色ある農林水産物、観光資源など、それぞれの地方ならではの強みを生かすことで引き続き地方創生を力強く進めてまいります。  ベンチャー企業の柔軟な発想力と行動力も、地域経済の活性化に向けた大きな力となっています。J―Startup事業による海外展開などの支援、地方へ移住し起業する際には最大三百万円を支給する制度など、地方にこそチャンスがあると考える若者たちの新しいチャレンジを後押しすることで魅力と活力あふれる地域経済をつくり上げてまいります。  財政出動についてお尋ねがありました。  安倍内閣としては、引き続き、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、経済最優先で国民生活の安定に取り組んでいます。  足下の我が国の経済については、輸出を中心に弱さが続いていますが、雇用・所得環境の改善や高い水準にある企業収益など、内需を支えるファンダメンタルズは引き続きしっかりしていると認識しております。  その上で、米中間の貿易摩擦、英国のEUからの離脱など不透明さを増す世界経済の先行きをしっかりと注視し、下振れリスクが顕在化する場合にはちゅうちょすることなく機動的かつ万全の対策を講じ、経済の成長軌道を確かなものとします。  バランスの取れた現実的なエネルギー政策の実現についてお尋ねがありました。  エネルギー政策については、かねてより、安全性という大前提の下、いわゆる3Eの重要性が強調されてきましたが、安定供給の確保、経済効率性の追求、地球環境問題への対応といった視点について、世耕議員御指摘のとおり、バランスよく考慮することが必要と考えます。  まず、資源の乏しい我が国においては、エネルギー源を多様化することで、化石燃料だけに依存しないエネルギーミックスを実現することが必要です。  第二に、東日本大震災以降多くの原発が停止する中で、震災前と比べて電気料金が家庭用で約二三%アップしている現状を踏まえれば、経済効率性も踏まえた責任あるエネルギー政策を進めなければなりません。  さらに、地球環境問題への対応も必要です。我が国自身、徹底した省エネと再エネの主力電源化などに取り組むと同時に、新興国においても、火力発電の高効率化などのイノベーションで世界全体での気候変動対策をリードしてまいります。  3E、そして海外における潮流など様々な観点について、世耕議員御指摘のとおり、バランスをしっかりと取りながら、今後とも、責任あるエネルギー政策、現実的なエネルギー政策を展開してまいります。  イージス・アショアの配備についてお尋ねがありました。  厳しい安全保障環境の中、弾道ミサイルの脅威から我が国全域を二十四時間三百六十五日、長期にわたり切れ目なく防護することを可能とし、国民の命を守り抜くため、イージス・アショア二基の導入はどうしても必要です。  こうした安全保障政策については、国民の皆様や地元の方々の御理解がなければ進めていくことはできないところ、イージス・アショアについて、説明資料の誤りや緊張感に欠けた不適切な対応があったことは極めて遺憾です。  イージス・アショアの配備の決定に当たっては、あくまでも正確なデータに基づく客観的な検討が前提です。今後、調査の外部委託や専門家による検証などを通じ、不適切な調査を徹底的にやり直し、住民の皆様の不安が解消されるよう、正確で丁寧な説明を行うべく全力で取り組んでまいります。  日韓関係についてお尋ねがありました。  韓国は重要な隣国であり、北朝鮮問題を始め日韓、日米韓の連携が重要であります。日韓関係の根本を成す日韓請求権協定の違反状態を放置するなど、信頼関係を損なう行為を続ける韓国に対し、まずは国際法に基づき、国と国との約束を遵守することにより、日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけをつくることを求めます。  日米貿易協定についてお尋ねがありました。  本協定は、まさに本日未明、米国ワシントンDCにおいて署名が行われました。  我が国の幅広い工業品について、米国の関税削減、撤廃が実現します。日本の自動車、自動車部品に対しては、二三二条に基づく追加関税は課されないことを直接トランプ大統領から確認しました。  農林水産物については、過去の経済連携協定で約束したものが最大限であるとした昨年九月の共同声明に沿った結論が得られました。とりわけ、我が国にとって大切な米について、関税削減の対象から完全に除外いたしました。さらには、米国への牛肉輸出に係る低関税枠が大きく拡大するなど新しいチャンスも生まれ、国益にかなう結果が得られたと考えています。それでもなお残る農家の皆さんの不安に対しても、万全の対策を講じてまいります。  そして、今回の協定を、全国津々浦々、我が国経済の更なる成長につなげるため、年末に向けて、与党のお力も借りながら、総合的なTPP等関連政策大綱を改正する考えであります。  具体的には、日本企業、日本産品等による新たな海外展開への支援、国内産業の競争力強化、農林水産業の生産基盤の強化、新市場開拓の推進の三つの柱に沿って万全の対策を講じてまいります。  RCEP交渉についてお尋ねがありました。  世界的に保護主義への懸念が高まる中で、これまでも我が国は、自由貿易の旗手として、TPPを始め自由で公正なルールに基づく経済圏を世界へと広げるために力を尽くしてまいりました。  そうした中で、RCEPは、TPPに参加していない中国やインドを含めた十六か国が参加する枠組みであり、こうした国々の間で二十一世紀の経済ルールが共有されることは、この地域の安定と更なる繁栄に大きく寄与するものであると考えます。  世耕議員にも大臣時代には強いリーダーシップを発揮をしていただき、常に議論をリードをしていただきました。その結果、RCEP交渉は大詰めを迎えております。関税引下げにとどまることなく、知的財産や電子商取引などのルールを含めた野心的な協定の早期妥結に向けて、引き続き我が国は主導的な役割を果たしてまいります。  対中外交についてお尋ねがありました。  昨年、日中関係は完全に正常な軌道に戻りました。来年の桜の咲く頃には習近平国家主席を国賓としてお迎えし、首脳間の往来だけでなく、経済交流、青少年交流など、あらゆるレベルでの交流を拡大し、日中関係を新たな段階へと押し上げ、日中新時代を切り開いていく決意です。  御指摘のあった一帯一路については、インフラの開放性、透明性、経済性、債務の持続可能性といった国際社会共通の考え方を十分に取り入れた形で実施されることで、地域と世界の平和と繁栄に前向きに貢献していくことを期待しています。  また、日中第三国市場協力については、このような国際社会共通の考え方に合致する形で、第三国の利益となるようなウイン・ウイン・ウインの企業間協力を推進していく考えです。  日ロ平和条約交渉に関してお尋ねがありました。  これはもう世耕議員御承知のとおり、ロシアとの交渉がうまくいくかは、静かに交渉できるかに懸かっています。交渉に悪影響を与えないためにも、現在のロシア側の姿勢をどのように分析しているかについて述べることは差し控えます。  その上で、長門での会談で、私とプーチン大統領が、自らの手で平和条約を締結するとの真摯な決意を表明して以降、新しいアプローチで問題を解決するとの方針の下、航空機による元島民の方々のお墓参りが三年連続で実現し、本年はこれまで何年も訪問できなかった場所にも訪れることができました。元島民の方々からも高い評価をいただいております。  北方四島における共同経済活動についても、パイロットプロジェクトが始まっています。このように、北方四島において、日ロのこれまでにない協力が実現しています。  政府として、八項目の協力プランを含め、幅広い分野で日ロ協力を進めていく中で、領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、引き続きロシアとの交渉に粘り強く取り組んでいく考えです。  大阪トラックについてお尋ねがありました。  AI、IoT、ビッグデータが世界を一変させようとしている時代において、データこそが新しい付加価値の源泉です。世耕議員御指摘のとおり、とりわけメード・イン・ジャパンの信頼に裏打ちされた我が国の物づくり現場が有する豊富なデータは、我が国にとって大きな強みとなるものです。そして、このデータの国境を越えた自由な流通、活用を促すことで、ソサエティー五・〇時代のイノベーションを大きく加速し、我が国産業に新たな成長の可能性を生み出すことができると考えます。  ただし、そのためには、自由な流通の前提となるプライバシーやセキュリティーの適切な保守、保護について、透明性が高く、公正かつ互恵的な国際ルールを整備することが必要です。こうした考え方の下、本年一月のダボス会議で、私から、データ・フリー・フロー・ウイズ・トラストという考え方を提唱しました。そして、六月のG20大阪サミットでは、米国のトランプ大統領、中国の習近平主席を始め二十七か国の首脳、WTO事務局長らの参加を得て、大阪トラックを立ち上げたところです。  国際的な新たなルール作りに向けて、WTOの屋根の下、日本として引き続き主導的な役割を果たしてまいります。  東京オリンピック・パラリンピック競技大会、大阪・関西万博についてお尋ねがありました。  世界の注目が集まるオリンピック・パラリンピック、万博の開催は、全国の地域の魅力、日本の科学技術を世界にアピールし、地方創生、地域活性化等を通じた強い経済の実現につながる絶好の機会です。このため、東京大会では、参加国・地域と自治体との相互交流を図るホストタウンの取組等を通じて、開催地のみならず地域性豊かな日本各地の魅力を世界に発信し、地方創生、地域活性化につなげてまいります。  また、大阪・関西万博は、成長戦略と連携させて、特に日本各地の観光地や地域資源を活用しながら、SDGsへの貢献、イノベーションの促進、インバウンド拡大による地域振興を進めてまいります。  政府としては、地方の強みや魅力を最大限に引き出すため、今後とも、地方の皆様の情熱、独自の創意工夫を後押ししてまいります。  憲法改正についてお尋ねがございました。  憲法審査会の運営を始め参議院での憲法改正議論の在り方については、まさに参議院において、国会においてお決めいただくことであり、内閣総理大臣としてお答えすることは差し控えたいと考えております。  その上で、お尋ねですのであえて申し上げれば、御指摘のとおり、さきの参議院選挙や最近の世論調査を通じて示された国民の皆様の声は、憲法改正について議論を行うべきであるというものであります。自民党は、既に憲法改正のたたき台を提示しています。立憲民主党を始め野党各党においても、それぞれの案を持ち寄っていただき、憲法審査会の場で国民の期待に応える活発な議論を行っていただきたいと思います。  良識の府たる参議院において、与党、野党の枠を超えた議論が深められることを期待しております。(拍手)
  8. 山東昭子

    議長(山東昭子君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 山東昭子

    議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十二分散会