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2019-02-13 第198回国会 参議院 資源エネルギーに関する調査会 1号 公式Web版

  1. 平成三十一年二月十三日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員氏名     会 長         鶴保 庸介君     理 事         青山 繁晴君     理 事         赤池 誠章君     理 事         石井 浩郎君     理 事         矢田わか子君     理 事         江崎  孝君     理 事         熊野 正士君     理 事         儀間 光男君     理 事         山添  拓君                 井原  巧君                 石井みどり君                 石田 昌宏君                 金子原二郎君                 そのだ修光君                 松山 政司君                 森 まさこ君                 渡辺 猛之君                 渡邉 美樹君                 田名部匡代君                 浜野 喜史君                 山本 太郎君                 鉢呂 吉雄君                 竹内 真二君                 中山 恭子君                 市田 忠義君     ─────────────    委員の異動  一月二十八日     辞任         補欠選任      田名部匡代君     片山 大介君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         鶴保 庸介君     理 事                 青山 繁晴君                 赤池 誠章君                 石井 浩郎君                 矢田わか子君                 江崎  孝君                 熊野 正士君                 儀間 光男君                 山添  拓君     委 員                 井原  巧君                 石井みどり君                 石田 昌宏君                 金子原二郎君                 そのだ修光君                 松山 政司君                 森 まさこ君                 渡辺 猛之君                 渡邉 美樹君                 浜野 喜史君                 山本 太郎君                 鉢呂 吉雄君                 竹内 真二君                 片山 大介君                 中山 恭子君                 市田 忠義君    事務局側        第三特別調査室        長        山内 一宏君    参考人        公益財団法人地        球環境産業技術        研究機構システ        ム研究グループ        グループリーダ        ー・主席研究員  秋元 圭吾君        東京大学公共政        策大学院教授   有馬  純君        特定非営利活動        法人気候ネット        ワーク理事    平田 仁子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人の出席要求に関する件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○原子力エネルギー資源に関する調査  (「新たな時代に向けた我が国の資源エネルギ  ー像」のうち、我が国資源エネルギーの展望(  気候変動と資源エネルギー))     ─────────────
  2. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) ただいまから資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、田名部匡代君が委員を辞任され、その補欠として片山大介君が選任されました。     ─────────────
  3. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  原子力エネルギー資源に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  原子力エネルギー資源に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人の出席を求め、その説明を聴取することとし、その手続につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  8. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) 原子力エネルギー資源に関する調査を議題といたします。  「新たな時代に向けた我が国の資源エネルギー像」のうち、「我が国資源エネルギーの展望」について調査を行うに当たって、本日は「気候変動と資源エネルギー」について参考人から意見を聴取いたします。  御出席いただいております参考人は、公益財団法人地球環境産業技術研究機構システム研究グループグループリーダー・主席研究員の秋元圭吾君、東京大学公共政策大学院教授有馬純君及び特定非営利活動法人気候ネットワーク理事平田仁子君でございます。  この際、参考人の方々に御一言御挨拶を申し上げたいと思います。  本日は、御多用のところ当調査会に出席をいただきまして誠にありがとうございます。  皆様方から忌憚のない御意見を賜り、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  議事の進め方でございますが、まず秋元参考人、有馬参考人、平田参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、秋元参考人からお願いをいたします。秋元参考人
  9. 秋元圭吾

    ○参考人(秋元圭吾君) それでは、私の方から、エネルギーと気候変動関連の状況分析と今後の対応の在り方として御説明させていただきます。(資料映写)  まず、こちらのグラフでございますけれども、世界の経済成長とCO2排出量の関係を示しております。横軸に世界のGDP、縦軸にCO2排出量を取っております。  見ていただいて分かるように、GDPとCO2排出量は非常に強い相関が見られるということでございます。一方、二〇一三年から一六年にかけて世界のCO2排出量はほぼ横ばいになってきていたという状況がございまして、これはGDPとCO2排出量のデカップリングが成功したのではないかという意見もあったわけでございます。  ただ、我々の分析からしますと、これの要因を見てみたということでございます。そうしますと、実は、世界のCO2排出量、大きな直線のトレンドと比べて、リーマン・ショック以降の二〇一一年から一三年辺りにかけて急激な伸びを示したということでございます。この要因は何かといいますと、中国の鉄やセメントを大量に造ったという状況でございます。ただ、余剰に造り過ぎましたので、その生産調整が必要で、二〇一三年から一六年にかけて横ばいになったという動きが大きな要因の一つでございます。  もう一つの大きな要因は、米国のシェールガスの影響でございます。シェールガスは安価に使えるようになったということでございまして、経済自律的に石炭から天然ガスへ米国ではシフトが行われてきたということが影響しまして、世界のCO2排出量は大きく横ばいの傾向が見られたということでございます。  ただ、それではこの傾向が将来も続くのかといいますと、我々の見方はそう甘くはございませんで、これから、今後、中国等非常に経済が発展する中で、世界のCO2排出量は潜在的にまだ伸び続ける状況にあるだろうというふうに見られるわけでございます。  さらに、直近の動きとしましても、二〇一六年までは横ばいでしたけれども、二〇一七、一八年とまた増える傾向が出てきております。なぜかといいますと、中国の生産調整が一段落したという状況で伸びてきているということでございます。結局、なかなかこの世界のCO2排出量は止められていないということはよく理解しておく必要があるかと思っております。  続きまして、こちらは電力を見たものでございます。横軸、同じく世界のGDPでございますが、縦軸は電力消費量を取っております。先ほどのグラフ以上に非常にGDPと電力消費量の強い正の相関関係が見られるということでございます。言い換えますと、GDPを伸ばすには何らかの形で電力消費を伸ばしていく必要がある、逆に言いますと、電力消費が伸びることによってGDPが伸びていると。これは、近代国家である以上、何らかの経済活動にはエネルギーが使われ、特に電力というのは非常に重要な財であるということでございます。  それでは、国別に見たらどうなるのかということがこちらのグラフでございます。先ほどは非常に単純な直線になっておりましたが、ここは、横軸、一人当たりGDP、縦軸に一人当たりCO2排出量を取りまして、世界の主要国について記載したものでございます。望ましい姿は、右下の方に動いていくということが望ましいわけでございます。要は、GDPは伸びるんだけれども、CO2排出量は減っていくという姿でございます。  日本はどこにあるかといいますと、真ん中辺りに赤い線で記載しておりますが、横ばい傾向を続けながら、どちらかというとGDPが増えながらCO2排出量も緩やかに増加しているという状況でございます。  一方、右下辺りにスウェーデンやスイス、そしてもう少し手前の方でいくとフランス等があるわけですけれども、こちらはCO2排出量は一人当たりでは小さい割にGDPが高い国ということになっていますし、右下の方に少しずつ移行しているようなふうにも読めるわけでございます。  ただ、一方で、世界は非常に多様でございまして、米国なんかは非常に高いところにいますし、中国はまだ左の方におりますけれども、急激にCO2排出量を伸ばしているということでございます。これは一人当たりにしていますので少し小さいように見えますけれども、中国は人口が多うございますので、相当大きなCO2排出量となって、世界で最大のCO2排出量を出しているということになっております。  続きまして、それでは、右下の方にあったスイスやスウェーデン、フランス、ノルウェーといったような国がどういう電源構成になっているのかということでございますが、暖色系の色が化石燃料でございます。そのほか、水力が薄い水色、真ん中辺りに薄い黄緑色のような色で表示した部分がありますけれども、ここが原子力でございます。  見て分かるように、これらの国は水力と原子力に非常に大きく依存して低炭素の社会をつくっているということでございます。日本は、一番右に記しておりますが、化石燃料等バランス取れたような形になってきておりましたが、震災以降、化石燃料に大きく依存するような形にならざるを得なかった、今そういう状況にあるということでございます。  よって、今よく議論があるのは、炭素プライスを付けて、炭素税等を入れてこの脱炭素化の方に移動させようという動きがありますけれども、これらスイスやスウェーデン、フランス、ノルウェーといった国は炭素価格が入っているわけでございますが、元々こういう低炭素なエネルギー構成になっているのでそういう炭素税とかそういうものを入れやすいという構造があるということを御理解いただかないといけなくて、化石燃料にある程度依存せざるを得ない日本において、余り大きな炭素税とかそういうものを入れてしまうと非常に経済に大きなインパクトが出てくるということでございます。  次のグラフでございますが、こちらは欧州の排出量の動きを示したものでございます。  少しグラフ複雑で申し訳ございませんが、生産ベースCO2と書いてある水色の棒グラフの方をまず注目していただきたいと思いますが、欧州は、皆様御承知のように、CO2排出量は減ってきております。この水色のグラフでいきますと一九九五年から二〇一一年にかけて八%減っているという推計でございます。ただ、これは、普通の言うCO2排出量、要はその国の煙突から出ているCO2排出量をカウントしたものが生産ベースCO2でございます。  一方、オレンジの部分、これが非常に注目すべき排出量でございますが、これは専門用語では消費ベースCO2というふうに呼んでおります。何かといいますと、例えば欧州が中国で鉄を造ってもらって、そうすると、鉄を造るときにCO2が出ますので、そのCO2カウントは、生産ベースCO2では中国にカウントされるわけでございますが、鉄を欧州が輸入したり、若しくはほかの製品に変えた形で、電気製品とか若しくは自動車とか、ほかの製品に変わった形で輸入して、最終的に欧州でその製品を使ったとすると、欧州が排出したというふうにみなすということで計算したものでございます。すぐ分かるように、世界全体で足し合わせますと生産ベースCO2も消費ベースCO2も一緒になるということですけれども、どこで生産したかによってこの動きが違ってくるということです。  そうしますと、欧州は、消費ベースCO2で見ますと二〇〇七年から八年ぐらいには一一%も増えていた、二〇一一年の推計でも二%しか減っていないということでございます。何かと申しますと、製造業、エネルギー多消費の製造業を外の、海外に押し出して、代わりにサービス産業等に転換することによって見かけ上CO2が減っているということでございます。ただ、世界のCO2に対しては全く削減に貢献していないということでございます。  一方、日本はどうかということでございますが、同じグラフになります。日本の場合は、生産ベースCO2もほぼ横ばい、消費ベースCO2もほぼ横ばいということでございます。消費ベースCO2で見ると欧州と同じ二%減ということで、生産ベースCO2の削減率は欧州に比べ見劣りがしますけれども、消費ベースではほぼ同じということでございます。何かと申しますと、日本の場合は、しっかり製造業を国内にそれなりに維持しながら労働者の雇用を維持して対策が取れてきているということでございまして、欧州は、一方で、製造業を潰すような形になって、雇用が失われる形になって、代わりにサービスのところで稼いでいるということでございます。典型的には次のグラフで申し上げたいと思います。  こちらは、同じことでございますが、原単位を見たものでございまして、GDP当たりのCO2排出量ということで、日本と米国、欧州、スウェーデンということを比較したものでございます。上のグラフでいきますと、こちらが生産ベースCO2でGDPを見たものということになりますが、そうしますと、赤いラインが日本になりますが、余り下がっていないように見えるかと思います。一方、スウェーデンに関しては急速に改善してきていると。要は、CO2の生産性を上げているというような形に見えるわけでございます。  一方、下のグラフ、消費ベースCO2で同じグラフを作り直してやるということをしますと、ここで表示した四つの国はほぼ同じラインを通っているということでございます。一つだけ違うのは、日本が二〇一一年以降、原発が停止したことによって化石燃料に代替せざるを得なかったことでCO2が増えているということが見えますけれども、それ以外の部分に関してはほとんど同じペースで下がってきているということで、全然スウェーデンや英国、ほかの国と見劣りしているような動きは示していないということでございます。  それでは、コストの話を少し申し上げたいと思います。済みません、このグラフは非常に複雑で細かいのでピンポイントでポイントだけ申し上げたいと思いますけれども、これは、英国の産業部門別にエネルギーコストをどれぐらい負担しているのか、そしてその産業がどれぐらい成長しているのかを示したものでございます。横軸が部門別の成長率、縦軸がその部門のエネルギーコストの負担率ということでございます。  そうしますと、見て分かるように、右下の方に下がっているということが見えます。要は、エネルギーコストを負担していない産業部門については成長率が高いと。一方で、エネルギーコスト負担が大きい産業、例えば素材産業みたいなものがそうですけれども、鉄とか化学製品とかそういうものは原材料から造らないといけませんので、エネルギーの消費量が大きいわけでございます。そういう産業は低成長になって、マイナス成長の方になっているということでございます。右の方にある産業はどういうところかといいますと、金融とか保険とか人材派遣業とか、そういうところはエネルギーの消費が少ない産業ですので、成長が割と高いような状況になっているわけでございます。  英国はどうして成長しているかというと、欧州の統合の中で、そういう金融とか保険業という部分がシティーのところで非常に成長する形をつくることができて、代わりに製造業がエネルギーコストの負担を受けてかなり苦しんでいるという状況でございます。  同じことはドイツでも言えるということでございます。ちょっと時間の関係上、詳細は割愛させていただきます。  続きまして、今申し上げたことを少し全体解釈させていただきますと、英国は電力コストが非常に上昇してきています。ただ、その負の経済影響を金融とか保険を含んだサービス部門での競争力の強化で補ってきたという背景がございます。これは、欧州の統合によって、さらにそこで高度な人材が移民として流入してきているという部分で成長を押し上げてきたということでございます。一方で、御承知のように、製造業の労働者が雇用環境が悪くなって失業等が起こって、この不満がブレグジットを一つの引き金として引き起こしているという実態がございます。  一方、ドイツについては、電力コストは大きく上昇してきたわけでございますが、ここは家庭部門に電力コストの上昇を、負担を押し付けている部分もありますが、それ以上に欧州統合という枠組みの中で足を引っ張っている国があるわけです。南欧の諸国は、イタリアとかギリシャとかスペイン等は成長率が非常に低くて足を引っ張っているので、欧州のユーロが相対的に安い形になっているわけです。そうすると、ドイツがその安いユーロを使って製造業の競争力を高め、海外に輸出することができるようになっている。ただ、日本にはそれは当てはまらないということをよく理解する必要はあるかと思います。  イタリアは、余り製造業の競争力もありませんし、サービス産業の競争力も少ないので、非常に低成長、そして失業が多くなっているという状況でございます。  フランスについては、御承知のように、燃料税増税ということを行おうとしましたけれども、イエローベスト運動の抗議活動が非常に高まって、一旦、事実上撤回しているという状況でございます。これも、サービス産業が大きいパリ辺りの都心部と、田舎の方の、地方の実際にはもう車を使わざるを得ない、公共交通機関整備できていないようなところとの認識のギャップが非常にある中でこういう問題が起こってきているということですので、例えば日本全体でどういう状況なのかということをよく理解した上で政策を打たないといけないという、非常に大きなメッセージを発しているのではないかというふうに思います。  米国は、シェールガスで少しうまくいきつつあるということでございます。  日本は、こういうことを学びながら適切な政策を打っていくということが重要でしょうというふうに思うわけでございます。  続きまして、二〇三〇年、日本は、国別貢献ということで、パリ協定の下でNDCと呼ばれるものを提出しているわけでございます。排出削減目標です。  御承知のように、二〇一三年度比で二六%減というのが日本の削減目標でございますが、これを米国は二〇〇五年比で二六から二八%減、EUは一九九〇年比で四〇%減という数字を出しておりますが、二〇一三年比でそろえますと、日本の二六%減というのは最も厳しい数字を出している、最も意欲的な数字を国際的にコミットしているという状況でございます。  更に申し上げますと、中国、一番下でございますが、中国もNDCというものを出しておりますが、これは二〇三〇年CO2排出原単位を二〇〇五年比で六〇から六五%削減するというもので、数字だけを見ると日本よりも相当大きい意欲的な数字を出しているように見えるわけでございます。ただ、こちらは原単位目標と呼ばれるものですので、GDPが成長すれば自動的にこれは改善していく形になりますので、我々の推計では大体、排出量に直しますと、二〇〇五年比で一〇五から一二九%増えるということで、二倍から二・三倍ぐらいに増えるような目標しか出していないということでございます。  続いて、それではもう少しコストの面で各国の目標を評価しましょうということです。コストは評価が非常に難しいので不確実性があるということは御理解いただきたいと思います。ただ、これはRITEの我々のモデルを使って詳細に評価したものでございます。  そうしますと、日本の排出削減目標というのは、スイスに次いで二番目ぐらいに非常に厳しいコストの掛かる対策目標を出しているということでございます。一方、下の方に行っていただくと、インド、ウクライナ、中国等はゼロということでございますが、ゼロというのはどういう意味かといいますと、経済の成り行きに従っていれば目標を達成できるような目標しか出していないということでございます。  この費用に差があるということはどういうことかと申しますと、日本の製造業、特に製造業の国際競争力を損なってしまうという可能性があるということでございます。この負担を製造業は背負いながら国際競争に立ち向かっていかないとということにならないといけないわけでございますので、非常に慎重に目標の議論ということは引き続きやる必要がありますし、世界の、特に中国等低いところの目標に関しては引上げを求めていくということは必要だろうというふうに思うわけでございます。  長期の目標でございますが、パリ協定の下でも二度目標等が定められているわけでございますが、これはIPCCのグラフでございます。非常に厳しい排出削減目標を二度目標というものはプレッジしているわけでございます。そう簡単にできる目標ではなくて、やはりイノベーションがなければ到底できるような削減目標ではないということを御理解いただきたいと思います。数字の議論は飛ばしますけれども、非常に大きな限界削減費用が生じるような目標になっているということでございます。  そうすると、我々が考えていかないといけないのは、もっと、費用を掛けなくても、経済自律的にCO2を下げるようなイノベーションを生み出していくということは何より重要で、そうしなければ二度目標といったような非常に厳しい国際的な目標を達成することは不可能だろうということでございます。  こちらはそのイメージ図でございますが、左のグラフ、普通は、ベースラインシナリオと破線で描いているところ、CO2排出量は普通に放っておくとかなり伸びていきますので、二度目標等の赤いラインのように非常に厳しく削減していかないといけない。そうすると、ギャップがありますので、ギャップを例えば炭素価格のような価格シグナルとかそういう政策によって埋めていかないといけないという議論があるわけでございますが、こういうふうに国際競争力に配慮しないといけない中で、国際協調ができればいいですけど、パリ協定の下で、先ほど見たように限界削減費用が非常に違うような状況でそれほど協調ができるかというと、現実には非常に厳しいんだろうと思っております。そうしますと、右の形にありますように、ベースラインでもCO2が減っていくようなイノベーションを誘発しないといけないということでございます。  それでは、イノベーションというのは何なのかということを申し上げたいと思いますが、今、IT、AI等の革新が物すごく速く進んでおります。このAIとかITというのは、一見温暖化対策技術やエネルギー技術だという感じはしないかと思いますけれども、実は、これがいろいろな形で製品に体化され、物に変わっていくことによってエネルギー消費が下がっていく可能性を大きく秘めているわけでございます。  右側の絵でいろいろな家電製品描いておりますけれども、それを使うと消費量が相当大きいわけです。しかも、その製品を作るのにまたエネルギーが掛かるわけでございます。ただ、左側にあるようなスマートフォンのような形になってくると、相当小さいエネルギーの消費になりますし、体化されたエネルギーといいますけれども、その作るためのエネルギーも小さくて済むということでございますし、さらに、完全自動運転で自動車がシェアリングされるというような社会がこのAIとかITによってやってきたとすると、自動車の稼働率が非常に高くなりますので、自動車の台数が少し少なくても済むようになる。しかも、ライドシェアというものになりますと、CO2の排出量が、エネルギー消費量もCO2の排出量も減っていくということになるので、それを誘発するのはAIとかITといったようなイノベーションですし、さらにそれを制度的に支援するような政策というものは非常に重要だということでございます。  ちょっと時間そろそろだと思いますので、飛ばして総括意見ということを申し上げますが、最初の部分、気候変動は深刻な被害をもたらす可能性があって、リスクを認識して対応に当たっていく必要があると。ただ、温暖化の影響被害というのは、それだけがリスクではなくて、対応するためのコストもリスクなわけでございます。余りに非常に大きな経済負担を持ってこれに当たってしまいますと、日本の製造業の競争力が失われ、コストが上がって、これがまたリスクを生んでくるということでございますので、総合的なリスクマネジメントが重要だと。  長期的には正味でCO2排出量をいつかゼロにしないといけないということでございますが、ただ、そこに至る間に関しては不確実性を持って、うまくやっていく必要があるだろうというふうに考えております。ただ、長期的には、再エネの拡大、そして原子力も、やはり難しい問題は抱えていますけれども、気候変動対策という面で非常に重要なオプションだというふうに考えているところでございます。  一方、製品等をどういうふうに展開していくのか、製品、サービスをどう展開していくのか。これは、エネルギーが直接ではないんですけれども、我々は、別にエネルギーを使いたくて使っているわけではなくて、製品やサービスを受けたくて結果としてエネルギーを使っているわけなので、いい製品、そしていいサービスをつくっていくということが大事だということでございます。  最後、やっぱりエネルギーは経済の血液なので、健全なエネルギーが極めて重要だということで、気候変動は重要ですけれども、Sプラス3Eのバランスを保持したエネルギーを志向しながら、国際協調の中で低炭素化を図っていくことが重要だと。  あと、ソサエティー五・〇というのは、政府も出しておりますけれども、この概念は非常に重要で、それを是非推し進めていっていただいて、結果としてエネルギーを減らし、CO2を減らしていくということをやっていくということが大事だろうというふうに考えているところでございます。  どうもありがとうございました。
  10. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。  次に、有馬参考人にお願いをいたしたいと思います。有馬参考人。
  11. 有馬純

    ○参考人(有馬純君) それでは、私の方から意見陳述をさせていただきたいと思います。(資料映写)  私自身、政府の一員として気候変動交渉に長く関与してきたということがございまして、この温暖化の問題というのは非常に難しいなということを実感しております。  それで、なぜ温暖化問題が難しいかということですけれども、一つはいろいろな不確実性があると。温室効果ガスが温暖化をもたらしているということは科学的にほぼ確実であるとしても、温室効果ガスの濃度が産業革命以降倍増したときに一体何度温度が上がるのか、あるいは温度上昇に伴う損害額がどれぐらいなのか、あるいは削減コストがどうなるのか。それは当然、技術開発のスピードにも影響を受けてきますし、それから将来の化石燃料の価格はどうなるのか、更にもっと言えば地政学、地経学がどうなるかといった、いろいろな不確実性があるということがまずあるということでございます。  先ほど秋元先生からもお話がありましたが、温室効果ガスというのはほぼ全ての経済活動に起因しております。温室効果ガスの削減あるいは抑制ということには当然コストが掛かってくるということになるわけです。温室効果ガスの削減が経済にプラスになってウイン・ウインのソリューションになるということであれば、私が関与してきた温暖化交渉がかくも難航するはずがないということがあるわけでございます。  さらに、一番難しい問題というのは、温室効果ガスの削減のベネフィットというのはこれはグローバルであると。地球温暖化の防止ということですからグローバルな便益が生ずるわけですけれども、そのための、削減のためのコストというのは各国で生ずるということでございます。そうなると当然ながらフリーライダーというものが発生をするわけであって、米国のトランプ政権はまさにその典型になるわけでございます。地球レベルで外部不経済、温暖化問題というのは外部不経済になるわけですけれども、それを内部化するためのコストをどう国の間で分担するかということを合意するのが極めて難しいという性格があるわけでございます。  加えて、温暖化問題というのは非常に長期の課題であると。長期にわたって行動しなきゃならないわけですけれども、それは要するに将来世代のために現在の世代がどれぐらいのコストを負担するのかということにつながってくるわけであります。他方で、各国の政治サイクルというのはもっと短いということになる。これも非常に難しい問題であります。  加えて、温暖化といったときに、温室効果ガスの削減という緩和の問題と、それから温室効果ガスが増えてしまったことによって生じた温暖化にどう対応するかというその適応、この対策のバランスをどう取っていくかという問題がございます。  また、ほかの地球規模の課題、例えば食料生産であるとか貧困の撲滅、保健、エネルギーアクセス、こういった問題がある。我々が持っている資金あるいは人材のリソースというのは限られているわけであります。その中でどうやってプライオリティーを付けていくかという問題になってきます。  こちらがパリ協定の枠組みということでございますけれども、ざくっと申し上げますと、世界全体の目標として産業革命以降の温度上昇を一・五度から二度以内に抑えるということになってございます。これが地球全体の目標でございます。  他方、各国の行動といたしましては、国情に応じて、これは先進国、途上国問わずですが、温室効果ガスの削減、抑制のための目標を設定し、その進捗状況を定期的に報告をし、多国間のレビューを受けると。それから、その目標は五年ごとに見直すと。それから、この目標というのは大体二〇三〇年を念頭に置いたものでありますけれども、より長期の二〇五〇年の長期戦略も作りましょうということになっていて、まさに日本は今この長期戦略を策定する途上にあるということであります。  そうなりますと、地球全体のその温度目標というものが片方であり、片方では各国の行動というものがあると。この両者が本当にマッチするんだろうかという疑問が当然生ずるわけでありまして、そのための枠組みとしてグローバルストックテークという真ん中の黄色い四角があるわけでございます。これは、二〇二三年から五年ごとに世界全体の目標に向けた進捗状況をチェックする、そのチェック結果を各国が持ち寄ってその五年ごとの目標の見直しに反映させていくと、こういう設計になっているわけでございます。  パリ協定の下で各国が出した目標については先ほど秋元先生の方からお話がありましたので割愛をいたしますけれども、この目標が、じゃ、十分なのかというと、実は全然十分じゃないということでございます。  一番上のライン、この赤いラインというのが温暖化の危険性を高める高排出パスと、これは何も温暖化対策を講じない場合ということになります。それで、この青い線、これは二度目標と整合的な排出のパスということになります。それで、今我々がいるのはその真ん中の点線。パリ協定の下で各国が出した目標というものを総計してみますと、この赤い線よりは下だけれども、青い線よりは全然上である、むしろ今よりも増え続けると、こういったことになっているわけであります。この差がどれぐらいあるかということですけれども、二〇三〇年時点で約百五十億トン、これは今の中国の全排出量の一・五倍という量になっているわけでございます。  パリ協定の中では、この二度目標以外にも一・五度という更に野心的な目標も設定をされていて、このために昨年の十月にIPCCが特別報告書を採択しております。この報告書によりますと、そのIPCC、一・五度を達成しようとすると、もう二〇五〇年の時点で世界全体でネットゼロエミッションになっていないといけないと。そのためには、二〇三〇年には現在と比べて世界全体で四五%排出削減をしなければいけないと。削減コストは、先ほど秋元先生からお話がありましたけど、その二度目標に比べて更に三、四倍に拡大をするということになっているわけでございます。  国際エネルギー機関、IEAは、このギャップをどう埋めるかということを分析したものがありまして、上の青いラインがパリ協定の目標をビルトインした標準シナリオということであり、下の緑色のラインというのが一・五度、二度と整合的な持続可能シナリオというものであります。このギャップを埋めるために、省エネ、それから再エネ、原子力、それから炭素貯留隔離、こういった全ての対策を総動員するということが必要だというのがIEAの見解でございます。  それから、これを達成するために、じゃ、世界の電力構成というのはどうなる必要があるかというのが次のグラフでございますけれども、二〇一七年は化石燃料のシェアというものが全体の六五%ぐらいあるわけなんですけれども、これを二〇四〇年の持続可能シナリオに寄せようということになりますと、二〇%ぐらいまで、つまり三分の一以下に下げる必要があると。他方、再エネのシェアあるいは原子力のシェアというものを今よりも拡大する必要があると、こういうことになっております。  特にこの中で注目を要するのは石炭のシェア、これは、石炭はCO2の排出量が最も多い化石燃料でありますので、石炭のシェアを僅か五%まで下げなきゃならないと、こういうことが示唆をされているわけでございます。  ただ、これはなかなか容易なことではないと。なぜならば、世界は持続可能目標ということで十七の目標を掲げております。その中には、貧困撲滅、あるいは飢餓の撲滅、あるいは保健、あるいは教育、そういったものが多数あるわけでありまして、気候変動はこの十三番目ということで、十七の目標のうちの一つということになっております。気候変動が全てに優先する目標ということにはなっていないということで、当然、気候変動の防止を推進することと、それからほかの目標との間でシナジーもあればトレードオフも存在するということになります。  より敷衍して申し上げますと、十七の持続可能目標というのは、やはり特に途上国にとっては国が豊かにならないとこの目標は達成できないということになります。国が豊かになるということは、安価で信頼できるエネルギー供給というものに裏打ちされた確固たる経済成長というものが必要になってくるということになります。この度合いは、途上国であればあるほど高まるということでございます。  ということを考えますと、これまで途上国は、エネルギーへのアクセスがない、電力が通っていないというものを、徐々に電力アクセスを改善してまいりました。  右側の人の形をした図がございますけれども、これは二〇〇〇年から二〇一五年までに約一億六千五百万人の人が新たに電力アクセスを得たということを言っておりますけれども、この中で、じゃ、どういう電源で電力アクセスを得たのかというと、茶色が石炭、それから灰色が天然ガス、それから赤が石油ということになります。全体の約七割が化石燃料によって新たに電力アクセスを得てきたということであり、しかも、その化石燃料の中で圧倒的な多数を占めるのは石炭であるということになります。  左側のグラフを見ていただきますと、世界の石炭資源の賦存量というものが示してございます。これからエネルギー需要あるいはCO2排出というものが大幅に伸びてくるのは何といってもアジア地域ということになりますが、このアジア地域には膨大な石炭資源が存在すると。仕事柄、ASEANあるいはアジア地域のエネルギー政策の担当者と話をする機会がありますが、彼らにとって域内で存在をする石炭資源というものを使わないオプションというのはあり得ないということを明確に言っております。したがって、石炭というものをそう簡単に捨て去るわけにはいかないというのが残念ながら実情であるということであります。  また、一・五度―二度目標というものを達成しようと思いますと、先ほどの秋元先生のお話にもありましたが、炭素価格の引上げというものは必要だというふうに言われます。昨年のIPCCの一・五度の報告書を見ますと、二〇三〇年時点で、モデルによっていろいろな数字が違いますが、トン当たり百三十五ドルから五千五百ドルぐらいの炭素価格が必要だと、しかも世界レベルで必要だというようなことを言っております。  これがCOPあるいはIPCCの世界での議論ということになりますが、他方、足下で何が生じているかといいますと、昨年の秋、これも先ほど秋元先生からお話がありましたが、フランスのマクロン政権が炭素税を約十ユーロ引き上げようとしたと、そうすると、イエローベストが国中で抗議行動を起こして、炭素税の引上げを断念せざるを得なかったというところがあります。右側の写真の上に、エリートは世界の終わりについて語っているが、自分たちは月末の支払が問題であるというようなことを言っていると。これは、トラック運転手にとって燃料課税という形で価格が上がってしまうということは月末の支払に影響する、温暖化問題というのはエリートたちのアジェンダであるというようなことを言っているわけでございます。  これがパリ協定の発祥の地であるフランスで生じたというのは極めて皮肉なことでありまして、先進国ですらこんな状態なんだから、一人当たりのGDPが低く、それから、これから生活レベルを上げていかなきゃならない、しかもエネルギーのアクセスがまだない人がたくさんいるといった途上国においては、この炭素価格の引上げに対する抵抗度というのは更に高いということになるのではないかと考えるわけでございます。  以上の点を考えますと、世界がどの程度脱炭素化に向かうのかということですが、私自身はパリ協定によって世界が低炭素化、脱炭素化に向かっていくということは間違いないと思っております。ただ、パリ協定が想定するように、今世紀の後半にネットゼロエミッションが実現し、一・五度―二度目標が達成できるかというと、現時点では大きな疑問があるというふうに言わざるを得ないと。一・五度―二度目標というのはパリ協定に定められているではないかというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、これはある意味グローバルな目標であって、誰も責任を負わない目標であるとも言えてしまうわけでございます。  特に途上国の事情を考えますと、各国の直面する問題というのは温暖化だけではない、いろいろな多様な問題を抱えていて、特にその度合いは途上国であればあるほど高いと。そういった問題を解決するに当たっては、潤沢で安価なエネルギー源というものが必要になってくると。一・五度―二度目標を達成しようという観点からだけいえば、石炭というものは存在を許されないエネルギー源ということになってしまいますけれども、今後排出量が急増するアジア地域では、より安価で潤沢な石炭資源というものを使わないオプションというのはなかなか考えられないのではないか。また、炭素価格に対する抵抗値というものが強いというのも、これまたCOPの世界とそれから現実の世界の間に大きな乖離があるということではないかと思うわけでございます。  加えて、温暖化問題というのはある意味グローバルコモンズということでありますので、国際協調を何よりも必要とするわけでございます。他方、現実に生じていることは、トランプ政権のパリ協定からの離脱という話がありますし、それから米中貿易戦争というような動きもございます。こういった一国主義というものが台頭いたしますと、こういった何よりも国際協調を必要とするような温暖化防止のアジェンダということにとってはどうしてもマイナスの影響が出ざるを得ないというふうに考えるわけでございます。  引き続きまして、日本の課題について申し上げたいと思いますけれども、これは皆様よく御承知の日本の二六%目標の根拠となったエネルギーミックスということであります。このエネルギーミックスを作るに当たりましては、福島事故以降、大幅に低下をしてしまったエネルギーの自給率というものを震災前に戻す、あるいはそれを上回る水準にする、それから、すっかり上がってしまった電力コストを引き下げる、それから、欧米に遜色のない目標を掲げる、この三つの要請を満たすような形でエネルギーミックスを作ったわけでございます。  その柱というのは、一つは、省エネルギー、自然体に比べると電力需要というものを一七%引き下げる。それからもう一つは、非化石電源のシェアを増やすということであります。一つは、再生可能エネルギーを電力発電量の二二から二四%に、原子力については二〇から二二%にするということにしてございます。  このエネルギーミックスというのは割合よく考えられておりまして、震災以降非常に増えてしまった化石燃料の輸入額というものを、原子力の再稼働とそれから再エネの拡大とそれから省エネということによって燃料費を抑え、その結果浮いてきたお金を再生可能エネルギーの拡大に必要な固定価格買取り制度の買取り費用に充てる、全体として電力コストを現在よりも引き下げると、こういう設計になっているわけでございます。  ただ、この目標、これが日本の二六%目標の根拠になっておりますが、これは先ほど秋元先生からお話があった限界削減費用ですけれども、日本は主要国の中でも最も高いという限界削減費用になっております。この中では、原子力の再稼働というものも全部ビルトインされていると。したがいまして、原子力の再稼働が予定どおり進まない、でも二六%を達成しなければならない、そのために再エネを上乗せしましょうということになると、この限界削減費用というものは更に大きく膨らんでくるということになるわけでございます。  なぜコスト、コストというふうに申し上げるかと申しますと、日本の産業用電力料金というのは主要国の中で最も高いわけでございます。特に、日本と貿易競争関係の強い中国、韓国、あるいは米国といったアジア太平洋地域の国々の電力コストと比べると、日本の場合は一・五倍から二倍ぐらいの高さになっているということでございます。これをこれ以上引き上げるということになりますと、先ほどお話があった産業空洞化につながってしまうおそれが高いというふうに懸念をするわけでございます。  それから、長期の対策につきましては、八〇%という日本は目標を掲げてございます。ただ、先般のエネルギー基本計画では、この八〇%に相当するエネルギーミックスというものは示さずに、いろいろなオプションというものをオープンにする、多様性を加味したしなやかな複線シナリオという形でやっていくと。左側は、確固たるエネルギーミックスに基づいて、二〇三〇年に向けては一歩一歩それに向かって進んでいくと。ただし、右側につきましては、いろいろな技術の不確実性、更にもっと敷衍すると、地政学、地経学上の不確実性というものを、その都度チェックをしながら、末広がりのような形でいろいろな可能性を考えながら進んでいこうというのが長期戦略の考え方ということになってございます。  そういう中で、長期にもし本当に日本が脱炭素化、特に八〇%になりなんとする脱炭素化を目指そうということでありますと、じゃ、IEAはどういう見通しを持っているかというと、二〇四〇年のSDS、持続可能シナリオというのがありますけれども、これ、先ほど世界全体の電力構成をお示ししましたが、主要国についても電力構成が示されていて、これを見ると、再エネのシェアというものを二〇一七年から二〇四〇年に大幅に拡大するということが示されておりますが、同時に、原子力につきましても三%から三〇%ということで大幅に拡大をするということになっております。これは、現在止まっている原発を再稼働するということにとどまらず、新増設というものを当然に考えた数字になっているということだと思います。  ただ、温暖化問題ということを考えますと、いずれにしても、先ほど秋元先生からお話がありましたように、既存の技術で解決をするということにはどうしても限界があると。特に、人々の利便性を損なわずに脱炭素化を行うというためには、何といっても革新的な技術開発が必要になってくると。  ここに挙げてございます技術のリストというのは、二〇一六年に内閣府が出しました革新的なエネルギー環境イノベーション戦略に挙げられた、日本が強みを持っており、かつその技術が実用化されれば世界全体の排出削減にも大きく貢献すると思われる技術のリストでございます。こういったものにやはり日本としては技術開発の形で貢献をしていくということが必要なのではないかと思いますし、そうなってまいりますと、既存の技術に補助金をどんどんつぎ込むという形でお金を使っていくのがいいのか、あるいは将来の技術に対してRアンドD予算という形でお金を使っていくのがいいのか、どうやってお金を使うのがいいのかということも考えなければならないというふうに思います。  それから、温暖化問題というのは、これはもうグローバルな問題ですから、日本の排出量というのは世界全体の排出量の約三%ぐらいにしかすぎません。これから排出が非常に増えてくるのは、何といっても途上国なわけでございます。したがいまして、日本が考えるべきは、日本国内の排出削減はもちろんのことですが、むしろ海外の排出削減をどうやって日本の技術をもって助けていくかということを考えるべきではないかと私は考えます。  この三つのベン図がございますけれども、一番上の国際貢献でカーボンニュートラルへと。これは、日本が持っている優れた低炭素技術というものを途上国に移転することによって、ベースラインに比べると排出を削減していくということでありますし、その右下の赤い、グローバルバリューチェーンというのは、日本が率先をして優れた中間財あるいはサービスというものを開発をし、それをグローバルバリューチェーンの中に投入をしていくことによって、全体として、世界全体の温室効果ガスが削減することに貢献をしていく。それから、左下、これは、今まだ商業ベースに乗っていないような技術を積極的に開発をすることによってその技術の実用化を一刻も早く進め、それによって人々の利便性を損なわない形で温室効果ガスの削減に、世界全体の温室効果ガスの削減につながるような技術での貢献をしていくということを示しているわけでございます。  まとめのスライドでございますけれども、温暖化というものは進行しております。したがって対策が必要であると、これは確実でございます。ただ、同時に、温暖化対策にコストが掛かる、しかも各国の対応に応じてコスト負担が異なる、それが国際競争力の相対関係に影響を与えるという現実は是非直視する必要があるのではないかと思います。  また、日本のエネルギーコストというのは主要貿易相手国であるアジア太平洋地域に比べて非常に高い、これもまた事実でございます。更なるコスト増を、日本の政策によって自分に高いエネルギーコストを課することになりますと、日本の産業の国際競争力に悪影響が出てくると。  いろいろな不確実性があるという中で、将来に向けて不確実性がある中で我々が今取り組むべきは、費用対効果の高いエネルギーミックス、温暖化対策というものを考えなければならないと。そういったときに、日本のように資源のない、しかもほかの国とグリッドで結ばれていない国において、原子力と再エネというものをあたかも二者択一のように捉える、対立概念で捉えるということは私は生産的ではないと思っております。両方が日本にとっては必要だというふうに思っております。  また、再エネの主力電源化というのがこの間のエネルギー基本計画で初めて打ち出されましたが、これはあくまで経済的に自立した、つまり補助金に頼らない非化石電源、これは、化石燃料のバックアップに頼らない、つまり蓄電池なども加えても従来型の電源と十分競争できるようになるということが再エネの主力電源化になるための条件ということでございます。いずれそうなると思いますが、そこになるまでの間のコストをどうやって抑えていくかということが大事でございます。  最後に、やはり経済と温暖化防止を両立しようとしますと、技術による対応が不可欠でございます。野心的な削減を可能にするのはどうしても低コスト高パフォーマンスの技術というものであって、重要なのは、人為的な削減目標というよりも、むしろその技術のパフォーマンスをどう高めていくか、あるいは技術コストをどう低めていくかということだと思います。この点において技術立国日本というのは大きな貢献ができるのではないかと考えております。  私からの意見陳述は以上とさせていただきます。  ありがとうございました。
  12. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。  次に、平田参考人にお願いをいたしたいと思います。平田参考人。
  13. 平田仁子

    ○参考人(平田仁子君) 本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。  私は、まず、気候変動の話から始めさせていただきたいと思います。(資料映写)  この世界地図、御覧いただきたいんですが、二〇一七年に起こった人の移動、すなわち住む場所を奪われて移動を迫られた人の数を示しております。オレンジは紛争で、青が災害が要因で起こったものです。アフリカや中東では紛争が要因の方が多いのですけれども、アジアやアメリカ大陸では、熱波やハリケーン、干ばつ、洪水などの気候災害を伴って難民の数が増えております。そして、世界情勢が更に不安定になる状況をもたらしています。  気候変動問題とは、このような事態による日本の安全保障や経済への広範な影響を考慮する必要がある問題です。  昨年の西日本豪雨を始めとした様々な災害は、日本もまた気候災害に脆弱であることを指し示しました。二〇一八年の自然災害の統計では、ここには地震の被害も含まれているわけですけれども、死者、被災者数共に日本は上位にありまして、災害に多く見舞われるリスクの高い国の一つとなっています。このまま気候変動が加速しますと、昨年同様あるいはそれ以上の厳しい災害に見舞われることになります。気候変動の被害を未然に防ぐということは、地域コミュニティーの基盤を守るという観点で重要な取組であると思います。  現在、地球の平均気温は、産業革命前の水準から一度ほど既に上昇したということです。二〇一五年に採択されたパリ協定、先ほどお話ありましたが、この気温上昇を二度よりはるかに低く抑え、一・五度を目指すという目標です。そして、そのために、今世紀の後半に世界の温室効果ガスの排出をゼロにするということに合意したものです。もちろん日本もこのパリ協定に締結しています。  図を御覧いただきたいのですが、一八〇〇年から現在まで世界は温室効果ガスの排出を急速に増やしてきてしまいました。二度未満を達成するためには、この排出を、増やしてきたスピードよりも速いぐらいのスピードで急速にゼロに向かわせなければいけないと、まるで富士山の尾根を滑り落ちるようなスピードでございます。  しかし、世界の対策は全く今ここに届いておりません。このままでは三度、四度の世界を招いてしまいます。パリ協定は、これまでの行動の延長では決して達成できるものではありません。社会、経済の大きな革命とも言えるような転換を成し遂げる必要があり、そのための行動をどう引き上げるのかというのが命題になっております。  今日、地中には石炭を中心にまだ化石燃料が埋蔵されております。それらを掘り出して燃やしてしまうと、たくさんのCO2を更に出してしまいます。二度未満に気温上昇を抑えるという目標を達成するためには、そのうち七割から八割は掘り起こさずに地中に埋めておく必要があると試算されています。そのため、パリ協定の実施は脱化石燃料とほぼ同義だと言っていいと思います。  特に問題になるのが、最大の排出源、排出部門である発電部門、そのうちの発電当たりのCO2排出が最も大きい石炭火力発電の在り方です。図の右の黒い棒線ですが、二〇一五年の時点の既存と計画中の石炭火力発電所からの発電量の合計を示しています。それに対して、左側のピンク色の幅は二度未満目標と整合的な石炭火力発電所からの発電量で、平均値はかなり下の方に点線で示されています。ここから新規に計画を進めるということは、二度未満の目標をはるかに超えてしまいパリ協定に全く矛盾するということ、さらに、既存の石炭火力発電も廃止していかなければならないということが導き出されます。こうした知見から、石炭火力発電の削減は、パリ協定の目標達成の上で最も重点を置くべき取組の一つだという認識が共通として国際的に広がっております。  先ほど御案内ありましたIPCCの一・五度報告書は、一・五度に気温上昇を抑制することに関する新たな科学的知見を示しました。その結果、一・五度と二度の気温の差は決して小さくなく、一・五度に気温を抑制すれば生態系や気候災害への影響はより小さく抑えられることが明らかになりました。しかし、早ければ二〇三〇年にもこのレベルに到達してしまうと。本当に時間がないことも明らかになりました。また、一・五度の達成には、二〇五〇年という、もっと早く温室効果ガスの排出をゼロにしなくてはならないということも示されました。このようなことから、気候変動対策はもはやこれ以上の先延ばしは許されず、今すぐ大胆に行動をしなければならないと言うことができます。  現在の取組では全く不十分だということは、気候変動枠組条約の交渉会議でも常に強調されていることでございます。今各国には、自国の目標を引き上げ、また対策強化することが要請されています。昨年末の民間の調査では、五七%の国や主体が何らかの形で目標や行動を引上げを検討していると回答しており、行動の強化の機運が高まりつつあります。  原田環境大臣は、昨年のCOP24の会議で、このIPCC特別報告書を歓迎し、世界全体が排出削減の取組をより強固なものとする必要があると述べられました。しかし、国内では、温室効果ガス排出削減の目標を引き上げる具体的な検討には着手されていない状況です。  政府による目標の引上げや対策強化の動きはまだ不十分なままですけれども、それをよそに、非政府の様々なアクターが行動を加速しています。その幾つかを御紹介させていただきます。  まず、企業の対応が大きく変化し始めました。  パリ協定の目標に沿ってビジネスも変わらなくてはならないという理解と決意の下に、日本語では企業版二度目標とも言われますが、サイエンス・ベースド・ターゲットのイニシアティブに世界の多数の企業が参加するようになっています。これは、脱炭素化時代に突入する中で、国際競争力を確保しビジネスチャンスを最大限に活用しようという企業の生き残りを懸けた取組であり、そのうねりでもあります。現在までに五百十五社が参加し、このうち日本の企業は七十社を占めています。  企業行動に強いシグナルを与えているのは、投資家の行動の変化です。  機関投資家らは、投資行動を通じて脱炭素社会を牽引し始めています。左側のインベスター・アジェンダは、グローバルな機関投資家が気候変動に関する課題に取り組むための指針を提示しています。その共同声明では、運用資産総額三千二百兆円に上る四百十五の機関投資家がパリ協定の目標を支持し、低炭素への転換の民間投資の加速を要請しています。その中には、化石燃料補助金の撤廃や石炭火力発電の全廃も含んでいます。  右側のダイベストメント、これは投資、インベストメントの反対で化石燃料への投資からの撤退を意味しますが、これを宣言した金融機関、機関投資家は世界で千以上に増えています。運用資産総額は八百兆円に上っています。化石燃料を進める企業にお金が回ってこないようになってきているということです。  日本の機関投資家にダイベストメントを発表したところは今のところまだありません。しかし、欧米の投資家が化石燃料事業を実施する日本の電力会社や商社への融資を取りやめる例も出てきておりまして、転換が遅れる日本企業にも影響が出始めています。  さらに、世界の脱炭素化への移行において、より適切な資本配分をすることにより金融の安定化を確保することが必要性として認識されるようになっています。  金融安定化理事会が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース、TCFDは、投資家の理解を助けるために、企業に対して、気候関連のリスクと機会によるキャッシュフローと資産、負債への影響の情報開示の枠組みを提示しています。これには既に日本の経済産業省、環境省、金融庁も賛同しており、こうした情報開示は気候変動へのリスクの高い企業への資金配分を変えていくことにつながっていきます。  また、エネルギーの需要側の様々なアクターが再生可能エネルギー一〇〇%を目指す宣言をし始めました。少し前まではこのような目標は夢物語のような話でありましたが、パリ協定の脱炭素化はすなわち再生可能エネルギー一〇〇%を目指すことでもありますので、当然の流れと言えます。  大企業版のRE一〇〇には百六十二のグローバルな企業が参加し、自らの目標として、使う電気の全てを再生可能エネルギーで賄うことを宣言しています。地方自治体の動きも目覚ましく、二〇一五年には七百の自治体が再生可能エネルギー一〇〇%を目指すと宣言し、百以上が既に一〇〇%に到達しつつあります。  日本国内の動きは世界に比べて随分遅れてしまっているのですけれども、それでも今日までにRE一〇〇に名を連ねた企業は十四社、中小企業、大学、自治体の宣言も十五団体になっています。化石燃料から再生可能エネルギーへという流れは、需要側の消費行動からも加速されています。  石炭をめぐる動きも大きくなっています。  イギリス政府とカナダ政府が主導してつくった脱石炭国際連盟と呼ばれるイニシアティブには、これまでに三十の政府、二十二の自治体が参加し、脱石炭火力の方針を宣言しています。このうち幾つかの国では法制化などの制度化も進められています。  また、先月、石炭がたくさん掘れるドイツにおいても、二〇三八年までに国内の石炭火力発電を全廃するという方針が政府の諮問委員会から勧告されました。これに基づいて、ドイツ政府は脱石炭火力の制度をつくる段階に入っています。  このように、石炭火力のフェーズアウトはパリ協定の下で加速する大きな国際トレンドになっています。  それでは、日本に目を移したいと思います。  これまでの排出トレンド、実績を見ますと、このままではまだまだ難しく、急速に削減を進めていかなければならないことは明らかです。目下の二〇三〇年二六%削減目標を定めておりますけれども、まだ二〇五〇年の脱炭素化への明確な道筋とビジョンが描けているとは言えないのではないかと思っております。  国際的には、日本の二〇三〇年目標はパリ協定と照らしてかなり不十分であると評価されています。全ての国が日本と同様の行動水準にとどまれば気温上昇は三度、四度になってしまうと指摘されています。また、海外のNGOが実施する他のランキングでも、日本の気候政策は六十か国中四十九位、石炭火力をめぐる政策はG7の中で最下位と、厳しい評価になっています。日本は国際トレンドから大きく取り残され、後れを取っているというのが世界の見方なのです。  その日本の取組で最も問題視されていることは、今も続く石炭火力の推進です。  福島原発事故後、政府の政策転換もありまして、新規の石炭火力発電所が御覧のように全国に五十基も計画されました。その規模二千三百万キロワット、大型原発二十三基分に相当します。このうち小規模の石炭火力の十基は既に運転を開始しました。また、現在、大規模な石炭火力を含む十七基が建設中です。さらに、環境アセスメント中の案件もあります。日本は今まさに石炭火力発電の建設ラッシュを迎えています。計画のうち十一基は事業性が認められないとして中止になりましたが、なお二十九基が新たに建設されようとしています。石炭火力フェーズアウトが国際トレンドになっている現状におきまして、先進国でこれほどの新設に突き進んでいるのは日本だけになっています。  この方針は海外支援においても同じです。中国、日本、韓国の三か国は、この青いところに行き着く東南アジアやその他の国々へ石炭火力発電の技術の輸出に公的支援を継続しています。しかし、これらの多くの国では既に再生可能エネルギーの方が安価になっているという実態があるにもかかわらずです。このことは、気候変動の観点から問題になる時代遅れの技術を輸出しているという批判と疑念が日本に向けられる要因となっています。  国内の石炭火力の新設は原発の行方が不透明な中では必要ではないかという声もあります。しかし、新規建設の規模は、ここに御覧いただけますよう、既存の発電所、青いところの規模と比べても膨大です。また、この間、高効率の天然ガス火力発電所もかなり建設されています。現在の供給力に問題がないこと、そして、これからの人口減少による需要減、再生可能エネルギーの導入拡大を考えれば、これだけの石炭火力発電の増強は過剰でありまして、もちろん気候変動の観点からは全く逆行するものであります。  現在の石炭火力は高効率だから良いという指摘もございます。高効率の石炭火力発電所でも、しかしながら大量の二酸化炭素を排出します。LNGコンバインドサイクルの二倍の量です。現在、福島で建設中の最も高効率のIGCCと呼ばれる石炭ガス化複合発電所は、年間五百二十四万トンの二酸化炭素を排出すると推計されます。これは百万世帯分の年間のCO2排出量に匹敵します。そして、一度建設されれば何十年とCO2を排出し続けます。  パリ協定と整合的にするためには、日本でも二〇三〇年に石炭火力発電をフェーズアウトする必要があります。古いものを新しいものに置き換えるのではなく、全廃が必要ということです。しかし、現在、古いものから新しいものまで百基以上ある既存の石炭火力発電所に加えて、このピンク色のところ、新しい発電所をこれだけ追加しようとしています。日本の電力会社は廃止計画を示してはいないのですが、仮に四十年で運転を停止すると見込んだとしても、二〇三〇年にも多数の既存の石炭火力発電所が運転していることになります。また、新規に建設される石炭火力は、二〇五〇年を超えて運転し続ける可能性がございます。  政府は、CO2を回収して地中に埋める、あるいは再利用するというCCS、CCUという技術の開発も進めていますが、現在、新規の発電所のいずれにもこの技術は準備されていません。技術開発は間に合っておりません。このまま建設を容認し、順次廃止するという対策を取るだけでは、パリ協定とは矛盾したままということになります。  そこで、私たちは、お手元に別冊子をお配りさせていただいておりますが、二〇三〇年石炭火力フェーズアウト計画を提示しています。ここにピンクの絵が見当たらないよう、新たな石炭火力はもはや新設するべきではないという考えに基づいています。さらに、今年から毎年、効率の悪い古いものから順次廃止していく必要性を提示しています。  現在、四千万キロワットを超える容量があり、政府が重要なベースロード電源と言う石炭火力を今後十年余でゼロにするということには、電力の安定供給への懸念もあろうと思います。私たちの分析では、様々な取りまとめ、分析、統計を踏まえましても設備には余裕があり、さらに電力需要の伸びがないことを踏まえれば、原発の再稼働を経ずとも供給力は足り、この計画は十分実現可能だと見ています。  取るべき方針は、今から新たに建設することによって数十年もCO2を排出し続ける設備を抱え、その削減に多額のコストを掛けるのではなく、既存の設備を使いながら省エネの取組を加速させ、再生可能エネルギーへと転換していく道筋だと考えています。  そのような道筋に妥当性があるもう一つの理由は、再生可能エネルギーのコストが急速に低下しているということがあります。特に太陽光と風力の発電コストの低下は目覚ましく、世界では既に石炭や天然ガス火力と比べても最も安い発電方式となっています。日本ではまだ再生可能エネルギーが高く、石炭火力の方が優位にありますが、二〇二五年にはその転換点が訪れ、再生可能エネルギーの方が安価になるという分析もあります。その分析では、この図に示されておりますように、運転中の石炭火力発電所は、現在は一〇〇%採算取れていますけれども、二〇三〇年にはその全ての発電所が採算割れすると見込まれており、経済合理性を喪失すると指摘されています。  現在、日本では、化石燃料の輸入に二十兆円ものお金を費やし、国外に支出しています。石炭を使い続ける限り、燃料費は掛かり続けます。石炭火力は、近い将来、採算性が危ぶまれ、座礁資産になることが見込まれることも視野に入れなければなりません。それを回避するエネルギー選択は何なのか、今考える必要があります。  以上より、私からは、気候変動の観点から、そして経済合理性の観点から、石炭火力フェーズアウトにかじを切ることが今必要だと強調したいと思います。現在検討中の低炭素発展長期戦略にもこれを盛り込む必要があると考えます。また、日本の二〇三〇年の温室効果ガス排出削減目標も、パリ協定の目標に沿うよう引き上げる検討を早々に始めることが必要です。  本日は、電力、特に石炭火力のことを中心にお話をさせていただきましたが、脱化石燃料というとき、熱利用や運輸部門においての化石燃料からの脱却も併せて考える必要があります。本日は時間がありませんで、そこまで申し上げることはできませんが、その対策の強化も必要だということも付け加えさせていただきます。  最後に、三点、まとめさせていただきます。  気候変動がもたらす甚大な被害を回避するためのパリ協定の一・五度から二度未満の気温上昇の抑制は、世界全体の共通目標であります。温室効果ガス実質排出ゼロへの脱炭素化は、もはや逆行することのない流れです。  それを受け、非政府アクターに大きな脱炭素化の潮流が生まれ、お金の流れ、経済の質が転換しつつあります。これに対し、日本の投資家、企業には出遅れがあると見ています。その要因には、政治、政策が脱炭素化へ向かうべきという明確なシグナルを発信していないことにあるのではないかと考えています。  そこで、経済戦略としても、石炭火力からの脱却を急ぎ、脱炭素への道筋を長期戦略の中に明確に位置付ける必要があります。もちろん、そのためには産業構造の転換が必須となり、労働、雇用の移転、そして、再生可能エネルギー、省エネのビジネスを日本の国際競争力を高める上で育成していくという観点での備えと対応が必要です。  もはやこの問題は、できるできない、難しいからやらないではなく、経済戦略と統合しながらどうやって実現するかの課題です。これはダボスでも安倍総理がおっしゃっていたことと一致すると思います。そのための日本の行動が求められていると思います。  ありがとうございました。
  14. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いたいと思います。  質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いをいたします。  また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくようお願いをいたします。  なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力をお願いをいたしたいと思います。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  赤池君。
  15. 赤池誠章

    ○赤池誠章君 自由民主党の赤池誠章でございます。  今日は、三人の参考人の皆様方、貴重な根拠あるデータを示した御発言、本当にありがとうございました。  全体的に、気候変動は、三参考人とも、本当に深刻な被害であり、その対応のためのパリ協定始め国際協調の枠組みと国内対策、それぞれ貴重な御意見を頂戴をいたしました。  まず、秋元参考人に御質問させていただきます。  国内対策として、昨年七月、第五次エネルギー基本計画、改定させていただきました。秋元参考人の御意見を聞かせていただくと、再エネ、原子力は重要ということで、この政府の基本計画について評価をしているということでよろしいでしょうか。
  16. 秋元圭吾

    ○参考人(秋元圭吾君) これは、私もこのエネルギー基本計画案を策定する基本政策分科会の委員を務めさせていただきましたが、私は、このエネルギー基本計画は妥当なものというふうに評価しているところでございます。
  17. 赤池誠章

    ○赤池誠章君 その中でやはり重要になってくるのは原発再稼働の問題だと思いますが、秋元参考人に、改めて原発再稼働の意義についてお伺いさせていただきたいと思います。
  18. 秋元圭吾

    ○参考人(秋元圭吾君) 要は、温暖化問題を対応しないといけないという課題があり、そしてエネルギーコストも削減しないといけないという課題があり、そしてエネルギー安全保障も拡大していかないといけないという、この3Eというバランスをどう図っていくかということが非常に重要なキーになっております。  そういう意味で、この三つ共に利くという意味でこの原子力の再稼働というのは非常に重要なオプションだというふうに考えておりますので、もちろん安全性がなければ駄目なわけでございますが、安全をしっかり確認しながら再稼働を進めていくということは極めて重要なことだというふうに考えているところでございます。
  19. 赤池誠章

    ○赤池誠章君 有馬参考人にお伺いをしたいと思います。  今日の話の中には出てこなかったんですが、事前に有馬参考人の資料をいただいておりまして、その中で読まさせていただく中で、原発再稼働を含めて我が国内のエネルギー政策に関して世論に右顧左眄すべきではないと、エネルギー政策というのは長期的な問題であるのでやはりきちっと考えるべきだという御発言の資料を見せていただいたんですが、その視点から、日本のエネルギー五次基本計画や原発再稼働について御意見をお伺いさせていただきたいと思います。
  20. 有馬純

    ○参考人(有馬純君) ありがとうございます。  まず、原発の再稼働ということにつきましては、現在の政府の方針として、安全性の確認された原発を再稼働するという方針が出ております。私は、それはそのまま進めていただきたいというふうに思っております。  他方で、中長期的に脱炭素化を目指すということであるならば、やはり非化石電源である原子力というものをオプションから排除するわけにはいかないというふうに思います。  エネルギー基本計画の中でも、原子力の人材あるいは産業の維持ということがうたわれておりますけれども、新設あるいはリプレースということについては一切含まれていないというところがございます。これはやはり原子力についてのいろいろな世論を配慮した結果なんだろうと思いますけれども、本当に真面目に脱炭素化を目指すのであれば、これを排除したことは考えられないのではないかというふうに考えております。
  21. 赤池誠章

    ○赤池誠章君 平田参考人にお伺いをいたします。  平田参考人は、原発再稼働をしなくても石炭火力からの脱却はできるという、まあ今日は時間がないので説明は細かくは聞いていないわけでありますが、ちょっとにわかに信じられ難いところがあるわけでありますが、なぜ原発再稼働を排除しなければいけないのか、その一点だけお聞かせ願いたいと思います。
  22. 平田仁子

    ○参考人(平田仁子君) 現在、何基か原子力発電再稼働しておりますが、既存の設備が十分ございます。これを運転していくことによって、既存のというのは原子力以外の火力の、主に火力の発電設備でございます、これをもって私たちは、三・一一の直後を除けば停電なく電気を供給することができております。ですので、ここから再稼働に戻ることなく、脱石炭、そして脱原発を両方実現することはできると考えています。
  23. 赤池誠章

    ○赤池誠章君 そこがよく理解ができないわけでありまして、廃炉も含めて実現できるというお考えでしょうか。平田参考人にお伺いいたします。
  24. 平田仁子

    ○参考人(平田仁子君) 廃炉は、原子力とそれから石炭の両方という意味でございますか。
  25. 赤池誠章

    ○赤池誠章君 それはどちらでも構いませんので、改めて、原子力の廃炉であったり石炭の廃炉も含めて、現在の経済成長や脱炭素化ができるという根拠を端的にお聞かせ願いたいと思います。
  26. 平田仁子

    ○参考人(平田仁子君) 原子力発電はここまで、再稼働しなくても電力を供給することができておりました。そして、これから電力の需要は下がっていきます。今から進むべき道は、原子力発電の再稼働に戻るのではなく、ここから再生可能エネルギーへシフトしていくことが最も脱炭素化に近づいていく道であると思います。  原子力発電は、いずれにしましても既存の原子力発電をどこまで運転できるかということに懸かっておりまして、仮に再稼働したとしても、それにつきまして、そこが気候変動対策に寄与する寄与度というのは限られます。  日本が脱炭素化を目指していくためには、原子力発電を再稼働することだけでは全く足りません。その先の大きな削減を進めていくためには、原子力、石炭というベースロード電源から柔軟な再生可能エネルギーへエネルギーシステムを転換していくことが必要で、この両方を維持していくことはその転換を遅らせることになると考えています。
  27. 赤池誠章

    ○赤池誠章君 改めて、原子力の廃炉も含めてできるというお考えでよろしいでしょうか。
  28. 平田仁子

    参考人(平田仁子君) 原子力の廃炉そのものは、福島の現状を見ましても大変難しい問題でございます。ですけれども、廃炉ができるできないという技術的な問題は既に運転している私たち日本における全ての国民が考えなければいけない問題でありまして、これができるできないではなく、引き続き運転し続けるのか、それよりも早くエネルギーシステムの転換にシフトしていくのかという選択肢の問題だと考えています。
  29. 赤池誠章

    赤池誠章君 国内から国際的なアプローチに少し質問を変えたいと存じます。  まず、有馬参考人にお伺いしたいと思います。  協定の実務経験もおありだということなんですが、全体のCO2の波形を考えると、米中ロ、それから今後インドというものが相当な比重を占めると思うわけでありますが、発展途上国の場合は様々な日本技術的な支援やアプローチである程度のことが、それでも大変難しいとは存じますが、アプローチはできると思うんですが、その大国である米中ロ、これからのインドに対してどういうアプローチが有効か、お考えをお聞かせ願いたいと存じます。
  30. 有馬純

    参考人(有馬純君) まず、中国インドにつきましては、彼ら自身がやはり再生可能エネルギーの導入ということを一生懸命やっていると、これは非常にいい材料だと思います。ただ、やはり根っことしての石炭火力のシェアというのは物すごく大きくて、最近増えている増分の部分の一部が再エネで賄われているのは事実ですが、それで全体を判断するのは私は誤っていると思います。  したがいまして、やはりそういった化石燃料をたくさん使っている大排出国の排出量を大幅に減らそうと思ったら、やはり、CCSあるいはCCUS、こういったものを実用化していくことが私は必要だと思います。  化石燃料が引き続き使われるということをベースラインとして考えるのであれば、そこから出てくるCO2を有効活用するということによってCO2の削減をしていく、そのための技術開発に日本として貢献をしていく、必要があれば、G20の議長国としての立場を活用して、国際共同研究あるいは実証プログラムといったものでリーダーシップを取っていくということが考えられるのではないかと思います。
  31. 赤池誠章

    赤池誠章君 最後に秋元参考人にお聞かせ願いたいと存じますが、有馬参考人技術力が大事だという御意見の中で、ソサエティー五・〇、それから自動運転のお話も資料の中にもありました。来年、オリンピックを契機に、レベル3の自動運転を高速道路で、地域限定でレベル4をということで、世界に先駆けて実用化をオリンピックを契機にやろうとする我が国にとって、自動運転が一つのソサエティー五・〇の突破口になりやしないかという期待感を持っておりますが、その点、エネルギー気候変動を含めて、秋元参考人から御意見をお聞かせ願いたいと存じます。
  32. 秋元圭吾

    参考人(秋元圭吾君) 意見陳述でも申し上げましたけれども、このソサエティー五・〇、そしてこの自動運転の実現というのは、我々の利便性を非常に高めるという部分が多くあって、結果としてエネルギーが減り、CO2が減る、これこそがまさにグリーン成長であって、経済と環境の好循環であると。コストを追加してやっていく問題ではないという意味で非常に重要なポイントになりますので、是非、政府一体となって、政府、そして国会もサポートする形の中でこれを推し進めていっていただきたいというふうに思います。
  33. 赤池誠章

    赤池誠章君 ありがとうございました。
  34. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) それでは、山添拓君。
  35. 山添拓

    ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  今日は、三人の参考人の皆さん、大変貴重な御意見をありがとうございました。  パリ協定合意をされた脱炭素化、CO2の排出削減目標について、いずれの参考人からも目標と現実とのギャップがあるということが指摘されているかと思います。しかし、温暖化による海面上昇気候変動による大災害の多発など、事は地球上の人類の生存に関わる問題だ、そのために各締結国がギャップをいかに埋めていくか、これが課題であろうと思います。  そこで伺いたいのですが、一方で、私、今日お話も伺って気になりましたのは、平田参考人からも御指摘がありましたように、日本は、国内では石炭火力の新増設を進めて、国外に対しても石炭火力発電所への公的融資を行い、しかもこれは、最新型ではなくCO2の排出量も多い旧式のものを建設していくという計画だと伺っています。有馬参考人からも、日本技術を通じて国境を越えた削減に貢献をするべきだ、こういう御指摘がありまして、私もそのとおりだと思いますが、しかし、現実にはそうではないという実態もあると。  この点は、二月一日に国連の児童の権利委員会日本政府に対して、海外石炭火力発電所への政府の公的融資を見直し、持続可能なエネルギーへの転換を確保することを要求するという事態にもなっています。  パリ協定と相反する国内外での態度というのは、これは自ら掲げた目標とも反するようなものであり、パリ協定合意した以上は、その約束をした以上は改めるべきだと考えますけれども、この点、有馬参考人はいかがでしょうか。
  36. 有馬純

    参考人(有馬純君) ありがとうございます。  まず、日本石炭火力の新設計画があるということの背景を考える必要があると思います。  やはり日本エネルギーミックスを考えるに当たって、温室効果ガスの削減ということと、それから電力コストの抑制ということと、自給率の回復という三つを目標として掲げてエネルギーミックスを作りました。  それで、石炭火力の新設プログラムがある一つの大きな背景というのは、原子力の再稼働の見通しが全然立っていないというところが一つ大きな要因としてあるのではないかと思います。したがいまして、日本での石炭火力の新設というものを最小限に抑えるという意味で最も効果が高いのは、原子力の再稼働というものを着々と進めていくということではないかというふうに私は考えております。  それからあと、海外への技術移転ということでございますけれども、要はベースラインをどう考えるかということだと思います。要するに、日本が高効率石炭あるいは効率の高い石炭火力技術輸出しなければ、じゃ海外は、発展途上国は石炭を使わないのかというと、やはり石炭が一番安いエネルギー源である以上、彼らはどっちにしても使ってしまう。その場合には、恐らく中国の更に質の悪い石炭火力技術を使うことになるでしょうし、あるいは今ある効率の悪い石炭火力を引き続き使うということになると。それと比較して、日本輸出した技術によってどれだけCO2の削減が図れるかということで考える必要があると考えております。
  37. 山添拓

    ○山添拓君 次に、平田参考人に伺いますが、例えばヨーロッパの脱石炭連盟に見られるように、国内では石炭火力の新規建設を停止をして、そして既存の石炭火力も段階的に全廃を目指していく、また対外的には途上国への支援も停止するという合意がされると。これは日本とは、今、有馬参考人からもお話あったような日本の国内の動きとは異なる動きがあるかと思います。これは、温暖化対策を一段上に置いたようなエネルギー政策の転換を進めている、そういう姿勢ではないかと思います。  日本が、パリ協定締結し、国際社会に対して脱炭素化目標を約束しながら、これとは逆行しかねないような姿勢を示し続けている、その最大の要因は平田参考人は何だとお考えでしょうか。また、その解消には何が必要だとお考えでしょうか。
  38. 平田仁子

    参考人(平田仁子君) 最大の要因は、エネルギー基本計画で原子力石炭火力発電所をベースロード電源と位置付け、引き続き石炭火力を使い続けることができる、それが重要だという政策方針が発表されている、それが市場にシグナルを送っているということが最大の問題だと思います。
  39. 山添拓

    ○山添拓君 ありがとうございます。  パリ協定締結した国の中には、その目標と現実とのギャップを埋めるために、様々困難がありながらも努力を重ねている国もあるかと思います。  先ほども平田参考人から御指摘ありましたが、今年の一月二十六日にドイツ政府の諮問委員会が二〇三八年までの脱石炭を宣言したと報じられております。その内容と、また平田参考人の評価、また日本の脱炭素化目標との関係などについて、御意見ありましたら是非お聞かせください。
  40. 平田仁子

    参考人(平田仁子君) ドイツは、褐炭が掘れる石炭の産出国でありまして、現在、電力の三八%を石炭火力に依存しているということで、日本よりも石炭への依存度が高い国であります。しかし、二〇三八年までに段階的に石炭火力発電をゼロにすると。もう脱原発を決めているドイツが脱石炭も決めるということは、これがパリ協定に基づいて取るべきドイツの選択としてほかに取りようがなかったということを示していると思います。  この二〇三八年という時間はパリ協定に比べればまだ遅過ぎるということで、既にドイツヨーロッパではこの方針に対しても大きな批判が上がっているほどでありまして、これに比べると、日本の計画、現在ある計画は、政府の二六%削減もエネルギー基本計画も上回る勢いで計画が進んでおりまして、環境大臣も環境アセスメントの中で日本の目標と整合しないということを言っている、それぐらいの勢いで進んでおり、しかし、それにもかかわらず何らかの政策的な抑止が働かないということは極めて問題だと思っております。
  41. 山添拓

    ○山添拓君 私もその矛盾があるだろうと思っています。  今、ドイツが脱原発を掲げ、かつ脱石炭にも大きく踏み出した、その点の評価がありました。原発は、世論調査で、国内では再稼働反対が六割に達しています。この世論は、福島第一原発事故によるふるさととなりわいの喪失あるいは放射能汚染の危険という、ほかのどの公害とも質的に異なる深刻な被害が国民的な経験となっているからにほかならないと考えます。  一方で、原発が必要だというときのその主張の主な論拠はコストとされます。政府も、原発が低コストであることを前提に、再稼働で電気料金は下がると、こう主張しています。  しかし、果たしてこの原発というのは低コストなのかと。この間、政府を挙げて推進をしてきた原発の海外輸出が相次いで破綻をしております。安全対策費の増大による建設費の高騰がその背景にあるとされ、日立製作所は、イギリスの原発建設プロジェクトについて、経済合理性の観点から凍結だと決定をしています。  二〇三〇年エネルギーミックスで原発二〇から二二%という目標は再稼働どころかリプレースや新増設を前提としますけれども、福島事故以後の新設原発というのは、これはメーカーの想定をはるかに上回るようなコストが掛かり、したがって民間事業として成り立たないということがこの海外の事例からも明らかになっていると思います。もちろん、事故対応費やバックエンドコストも未知数です。コスト面でさえ今原発の優位性は乏しくなっており、補助金に依存するような状況です。  私は、温暖化、気候変動への対応というのは、コストが著しく下がっている再エネを政策の柱にすることが世界的な趨勢でもあり、また、日本もその方向へ思い切って転換するべきだと考えますけれども、この原発の海外輸出の破綻を踏まえて、この点についての御意見を有馬参考人と平田参考人にお伺いいたします。
  42. 有馬純

    ○参考人(有馬純君) 海外で日本の原発輸出プロジェクトが次々に頓挫しているというのは、私は個人的には非常に残念だというふうに思っております。私は、日本にとって日本が営々と築いてきた原子力技術というものを維持するということは大事だと思っておりますし、そのために、海外での原発輸出プロジェクトというのは、国内で当面新増設が難しいという中で一つの方法としてあり得るんではないかというふうに思っておりました。  今回、イギリスその他でうまくいっていない一つの理由というのは、特にイギリスの場合にはやはり過去三十年にわたって全く原発の新設をしてこなかったと、したがって計画とか工程管理についてのノウハウというものがもうイギリスの方でほとんど消滅をしていたというところがあり、それで非常に時間が掛かってしまったというところも大きな要因としてあるというふうに承知をしております。また、これは日本の事例とは違いますが、例えばEPRとかAP1000とか新しい炉型ということになりますと、運転実績がないので予定よりもコストオーバーラン、長期に掛かってしまうというふうなところがあるんではないかと思います。  それで、原子力は確かに安全対策によってコストがアドオンされたところはございますが、やはりその発電する量の膨大さということを考えますと、追加的なコストがキロワットアワー当たりのコストの上昇分ということになると小さくなります。  再生可能エネルギーについては、その発電コストが下がっているのは事実でありますが、そのための系統安定費用というものも併せて考える必要があるというふうに考えております。
  43. 平田仁子

    ○参考人(平田仁子君) 原子力の新規の建設がコストがかさむということは、もはや、気候変動の問題で原子力が一つの重要なオプションになるのではないかという議論が出たときに、全く相手にされない議論になっていると思います。新規の原子力発電所は極めて高コストである、山添先生がおっしゃった論点に尽きると思います。  また、既存の再稼働でございますけれども、現在においては、先ほど私がお示ししました石炭火力と同じように、再生可能エネルギーよりもコスト面で優位にあるのが現状だと思います。しかし、これから二〇五〇年に向かって、更に太陽光や風力は五割から七割コストが下がっていく、もうキロワットアワー五円をはるかに下回るような規模で発電ができるようになると。  そういったときに、原子力発電が幾らコストが安いといってもそれに打ち勝つことはもちろんできませんし、先生がおっしゃったように、バックエンド対策ですとか様々なコストで十分に検討ができていないことでコストがかさみ得る原子力発電と比べれば、今、再生可能エネルギーに転換することが最善のオプションでありまして、原子力発電の再稼働という回り道をすることが日本の脱炭素化の実現を遅らせるのではないかと思っております。
  44. 山添拓

    ○山添拓君 ありがとうございました。
  45. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) 他に御発言はございませんか。  矢田わか子君。
  46. 矢田わか子

    ○矢田わか子君 国民民主党の矢田わか子です。  本日は、参考人の皆さん、御教示いただきありがとうございます。  改めてお話をお聞きしまして、やはり地球の温暖化対策として脱炭素が必要であり、そのために脱石炭火力というような流れはよく理解ができました。  ただ、一方で、それを進めていくための課題も多々あると思います。特に民間企業の立場からすれば、エネルギーコストが増大していることによって日本の産業として国際競争力に大きなダメージが与えられていくのではないかという懸念があります。加えて、秋元参考人もおっしゃったとおり、経済と環境の両立を可能とするためには、サイバーフィジカルとおっしゃいましたような一定程度の技術革新をやはり進めていかなければいけないという問題とともに、有馬参考人からは、脱炭素へのイノベーションというお言葉を使われたと思いますけれども、革新的な技術開発への投資というものがやはり必要なのではないかと。  なかなか、電力料金が実質的に上がることを想定した場合に、個別企業としてはRアンドDに対する投資が難しいという現状があるかと思います。本来であればもっと革新的な技術革新を、RアンドDへ投資をしてやりたいという思いがありながらもできていないというその現状も含めて、国がどのようにそれを後押しすべきなのかという問題について、お二人の参考人に意見を伺いたいと思います。
  47. 有馬純

    ○参考人(有馬純君) ありがとうございます。  今、矢田先生の方からお話がございましたように、企業がRアンドDに投資をするということは極めて重要であって、政府のRアンドD予算というのもありますが、何といっても民間企業の努力というのが必要になると。そうなった場合に、やはりマクロ経済環境が良好でないと、どうしても、企業の収益が左前になってしまうと、リスクのある革新的な技術の開発よりも今ある技術の改善ということになってしまうということになると思います。  したがって、まずは良好なマクロ経済環境が必要であり、そのためには電力料金の大幅な引上げということは回避すべきだと思います。
  48. 秋元圭吾

    ○参考人(秋元圭吾君) 有馬参考人と御意見一緒でございますが、やはりその投資環境、そしてRアンドDへの投資というのは、民間企業が促進するには非常に良い企業環境がないといけないということだと思います。  その中で、先ほども御説明いたしましたように、電力コスト負担が大きくなっている産業が非常に低成長になっているという状況がありまして、そうすると、新しい投資も生まれないし良い経済活動も生まれない、悪循環に入ってしまうということで、いかにこれを好循環化していって低炭素化につなげていくかということが極めて重要だというふうに思います。
  49. 矢田わか子

    ○矢田わか子君 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。  なかなか一企業が、もちろん意識をしてRアンドD投資していかなければいけないんですが、電気料金が上がれば当然のことながら事業にも大きく影響を与えるわけで、半導体等の撤退等も含めてですね、やはり今、そういう産業が衰退するというような事態も起こってきているのではないかなというふうに思っております。  一方で、そのほかにも、切替えをしていくということについては当然、秋元参考人が議論されているような、排出削減に伴う膨大な費用というものが発生するという現実があります。これをどのような形で負担をしていくのか、なかなかそういう論議が政治の場でも行われておりませんし、国民レベルでもそういう認識が薄いのではないかというふうに思います。  どのような対策、戦略が必要となってくると思うかということで、秋元参考人にお伺いをしたいと思います。
  50. 秋元圭吾

    ○参考人(秋元圭吾君) 私、いろいろなところで講演しても、特に主婦層などに講演しても、意外とその再エネの賦課金が相当大きな形で家計の負担になっているということを御存じない方がかなりいらっしゃいます。大体標準家庭では今一年間で再エネの負担が一万円ぐらいになっていると思いますが、そのことを御存じないという方々が多くて、こんなに負担しているんですかということをおっしゃいます。それはびっくりされます。  ただ、そういう状況を、やっぱり知らず知らずの間に家計を圧迫して、そうするとそのほかの消費に行かなくなっているわけですね。そうすると、もしそれがなければもっと消費を行ってもっと経済が良かったはずなんだけれども、実際には経済が下がってきてしまっているという状況があります。  これは我々認識できていませんけれども、本来であれば、この再エネ賦課金等がなければ恐らく今の一・三倍ぐらい経済は良かったという試算ぐらいは出てきますので、そういう状況があるにもかかわらずそういう負担をしている。要は、それをなくしていかないと、解消していかないといけませんので、やはり私は、イノベーションを推進しながら、ただ、そこに至るまでは時間が掛かりますので、やはりバランスを取った対策を取って脱炭素化の道を探っていくということが重要だというふうに思います。
  51. 矢田わか子

    ○矢田わか子君 ありがとうございます。  最後に有馬参考人にもう一つお聞きしたいんですけれども、現実的に、今いろんな論議がある中で、政府が示している原子力発電二〇から二二%という数字がありますけれども、それが、やっぱり原発、この目標を維持をしながらやっていくべきだという論議と、目標数値変えていくべきじゃないかという、そんな国民世論もあります。  その意見が対立する中で、有馬参考人としては、先ほども新たな技術革新という話もありましたけれども、現実的に、今この数値を置いてここに突き進むべきだと思われるのか、ベストミックスという中でどのような数値目標を持っていけばいいというふうに思われているのか、御意見をお願いしたいと思います。
  52. 有馬純

    ○参考人(有馬純君) ありがとうございます。  現在、再稼働しているものが九基ございまして、それから原子炉の設置変更許可済みのものが六基あって、それからあと新規制基準への適合審査中のものが十二基ございます。二〇から二二%の根拠として大体三十基ぐらいの原発が稼働していることが必要だという試算がございますけれども、今申し上げた数字を合わせると二十七基ぐらいになると。まだ二〇三〇年まで時間がございますので、やはり引き続き再稼働に向けての努力を続けるということだと思います。  まあ、電力消費についても思ったほど伸びないかもしれないと、いろいろな不確定要素がありますので、その都度立ち止まりながら考えるということではあると思いますが、やはり今の時点で原子力のシェアの目標というものを取り下げるという状況では私はないだろうというふうに思います。
  53. 矢田わか子

    ○矢田わか子君 もう一問行きます。時間がありました。済みません。  有馬参考人、もう一問だけお願いします。  原発輸出の問題です。  先ほどもお話ありましたけれども、過去、やはりアベノミクスの成長戦略の柱の一つとして、開発途上国における大規模な火力発電所の建設等を掲げてきました。ところが、今国際的にも、トルコ、イギリスの原発の挫折、東南アジアにおける石炭火力発電のプラント輸出に対する住民の反対運動の高まりなどがあって、状況が大きく変わりつつあります。  こうした状況下の下で我が国が今後海外の発電事業の開発に貢献するとすれば、どのような分野が有力と考えられますか。
  54. 有馬純

    ○参考人(有馬純君) ありがとうございます。  原子力の輸出については、当然相手のある話でありますし、それからあと事業環境の問題もございますので、なかなか大規模プロジェクトであるがゆえに難しいところがございますけれども、やはり海外の発電プロジェクトということでいいますと、これから増えてくる石炭火力をどれだけきれいな石炭火力として使ってもらうかということがあり得ますし、それから中長期的には、CCS、CCUSを使った技術で海外の石炭火力からの排出の大幅削減に貢献をしていくということが考えられるんではないかと思います。  中期とそれから長期と、両にらみの対策が必要だと思います。
  55. 矢田わか子

    ○矢田わか子君 ありがとうございました。  終わります。
  56. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) 鉢呂吉雄君。
  57. 鉢呂吉雄

    鉢呂吉雄君 立憲民主党鉢呂吉雄と申します。  今日は、三人の参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。  有馬参考人にお聞かせをいただきます。  私、北海道で先般の大地震の被災をしたんですけれども、まあ三日弱電気がなくて、電気の有り難さ、それから、なぜああいうふうに、全道全部、北海道も島だというのがよく分かったんですが、電気が通じない事態でございました。ただ、一か所、奥尻島は単独電力ということで停電はしませんでした。  その中で、やっぱり集中型の大型電源から地域再生、分散型のエネルギーに変えていくべきだという形で、私ども、枝野代表、先般の通常国会冒頭、本会議代表質問でもこのことを質問しましたら、安倍総理も賛成いたしました。また、私ども、この国会、分散型エネルギー社会推進四法案を出す予定にしていますが、この考えはいかがでしょうか。
  58. 有馬純

    参考人(有馬純君) ありがとうございます。  方向性として、再生可能エネルギーの増大をしていく、そのために分散型電源の役割を増やしていくということについて私も賛成でございます。  あとは、それのためのタイムフレームをどの程度に考えるのかと。やはりエネルギーインフラを置き換えていくということは膨大なコストが掛かると。そのコストというのは、結局のところ電力料金という形で最終消費者が負担をしなければならないということになります。  私が先ほどから何度も申し上げているのは、やはり日本エネルギーコストというものは物すごく高いという現状があると。そういう中で、どの程度の電力コストの上昇というものを甘受していくのか、あるいはどの程度以上であったらそういった上昇を抑えていかなきゃならないのかと、そういったことを考えながら進めていく必要があるのではないかというふうに考えております。
  59. 鉢呂吉雄

    鉢呂吉雄君 その中で、固定買取り制のFITは、そういう面では技術革新がどんどん太陽パネルだとか風力発電もコストダウンをさせていますから、固定的にずっと行く問題点は私はあると思います。同時に、今それが契約されているからということで送電線が使えないと。今、北海道なんかは、ふん尿のバイオガスですとか、あるいは風力でも太陽光もどんどんつくりたいという方が多いんですが、むしろ送電線の空きがないということでこれがネックになっておると。  ですから、もっともっと再生可能エネルギーは普及する余地が十分あると。あるいは、先ほどもお話あったように、もうキロワット五円、四円程度に下げるんではないかと。この考えはどうですか、有馬参考人
  60. 有馬純

    参考人(有馬純君) ありがとうございます。  まず、送電線の空き容量につきましては、これは経産省の方でも、私が承知している限りでは、コネクト・アンド・マネージという形で、今ある送電線の空き容量というものをできるだけつくっていって、従来のような非常に硬直的な対応ではなく、できるだけ空き容量を活用させるということで今方針を作っているというふうに承知をしてございます。  それからあと、再生可能エネルギーのコストが下がっているではないかということについてはおっしゃるとおりなんですけれども、再生可能エネルギーを導入するに当たってのやっぱり系統安定コストというものはやはり無視できないというふうに思います。  特に、再生可能エネルギーのシェアというものが総発電量の中で相当程度増えてくるということになると、恐らくその系統安定コストというものは膨大になってくるという可能性があるので、単に発電コストだけを見るのではなくて、再生可能エネルギーを導入するための、例えば送電線のコストであるとか、あるいはバッテリーのコストであるとか、あるいはバックアップ電源のコストであるとか、そういったものを全体として評価をしながら再エネの導入を考えていく必要があるというふうに考えております。
  61. 鉢呂吉雄

    鉢呂吉雄君 秋元参考人にお尋ねをしますが、今回の第五次のエネルギー計画に携わったというふうにお聞きしましたから、今回は前回を踏襲して何ら変更ない形で原子力発電についても石炭火力についても固定的であって、非常に私ども残念で、今言ったようなその技術革新を含めてコストダウンはもうかなり変化しておると、私はそういうふうに思います。  そういう中で、例えば石炭火力についてもベースロード電源というふうにしていますが、環境省は一方でこの石炭火力の新規あるいは更新は反対すると明確にしています。政府の中でもちぐはぐな対応なんですが、これはどういうふうに見ていますか。
  62. 秋元圭吾

    参考人(秋元圭吾君) 先ほどの前の御質問のときに有馬参考人が御説明になられておりましたけれども、私の考えでは、やはり石炭火力と原子力というものは非常に似た特性を示すわけでございます。何かと申しますと、燃料費が非常に安価で、一方で設備費が高いという仕組みでございます。そうしますと、ベースロード電源というふうに決めているわけではなくて、結果として、経済合理的に動かそうと思うと両方ともベースロードで動かすことが経済合理的なので、そういう形になるということでございます。  よって、原子力が再稼働しないと石炭火力を造るということが経済合理的になりますので、そういう意味で各事業者が石炭火力を造ろうとしているという状況でございます。よって、原子力の再稼働が進んでくると自動的に石炭火力の方は経済合理性を失っていきますので、石炭火力は退出していくような形になってくると思います。  そういう意味で、非常にその経済合理的な行動が何なのかということをよく理解した上で考える必要があって、その意味で、原子力はそういっても大幅に今の状況で再稼働ができないとなると二〇%ぐらいがせいぜいかなという思いがありますし、それに対して見合いという形で考えますと石炭火力の比率が自動的に決まってくるということでございます。  そして、やはり再生可能エネルギーのコストは非常に低減はしてきていますけれども、ベースロード電源を置き換えるような能力はないというわけです。非常に負荷変動が多くありまして、夜もずっと運転するということができませんので、そういう面でベストミックスが必要だと。  よって、このエネルギー基本計画はそういうコンセプト、よくエネルギーの中身を理解した中で決まっているということで、それで今の状況の中でまだ原子力の二〇%という目標は変えなくても実現できる可能性があるので、そこに向かって頑張っていきましょうというのが今回のエネルギー基本計画になっていますので、私も支持しているというところでございます。
  63. 鉢呂吉雄

    鉢呂吉雄君 例えば、石炭火発は更新なり新規をかなり今やっていますね。これは、先ほどお話あったように四十年の耐用年数とすれば、今後四十年後までその石炭火発、一部では九州電力のようにそれを液化ガスに換えるというような動きも出ていますから、やっぱりその国の計画、方向性というのは非常に大事で、現状を固定的に見るのか。  例えば、ドイツはもう既に再生可能エネルギー四〇%ですよ。これがいわゆる過半を占めるような電源にならないというのはよく分からない話で、今は非常に家庭の負担が多いといっても、それは先ほど、改善をしていけばいいことであって、必ずしも、もっともっと多くする場合に国の支援というものは下げる、ゼロにするということは私はあると思いますから、そういう点でやっぱり我々の考えは固定的にする必要はないと思います。まあ、あなたに意見を言う必要はないわけで、聞く側でありますから。  原子力発電の問題に行きますけれども、先ほどもいろいろお話ありました。英国が日本の日立を受け入れない。じゃ、トルコ三菱重工業原子力発電を受け入れなかった理由、それから東芝がこの原子力発電から撤退した理由。私は、そこからいけば、やはり原子力発電安全対策を含めてかなりコストアップになる、あるいは様々後処理を含めれば、必ずしも、これが全くの民間ベースでこのエネルギーを賄うコストを考えるとすれば、私は、原子力発電、例えば一九八〇年代、九〇年、二〇一〇年代も五十七基世界で原子力発電が開始されたといっても、中国ロシアで四十三基、もうほとんど国策としてやっていますから、これ自体大きな課題はありますけれども、私は、原子力発電が安定したものとして日本が持っていくという形にはならないと。  どうしても、昨年のあのような北海道地震でも、もしか泊の原発の直下にあのような地震が起きたらどうだったのかなと。これは我々、災害が多い中ではこの政治の段階では考えなければならないと、こう思うんですが、有馬参考人に、その辺の形、教えてください。
  64. 有馬純

    参考人(有馬純君) まず、世界で原発がもう高くなって競争力を失っているんではないかという鉢呂先生の御指摘でございますけれども、今いみじくも鉢呂先生がおっしゃいましたように、日本海外の原発プロジェクトでなかなかうまくいっていないところはあるわけですけれども、ロシア中国、韓国は非常に海外の支持を取っているということで、世界の国が原発から撤退しているわけではないという事実がまずあると思います。  それからあと、北海道で、泊原発の直下で地震が起きたらどうなるかと、そういった仮定の御質問にはなかなか私もお答え難いところがあるわけですけれども、そういったことがあって、原発の安全基準というものも非常に格段に強化をされて多重の防護システムというものができているんではないかというふうに理解をしてございます。
  65. 鉢呂吉雄

    鉢呂吉雄君 終わります。
  66. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) 竹内真二君。
  67. 竹内真二

    ○竹内真二君 公明党の竹内真二です。  本日は、三人の参考人の皆様、貴重な御意見をお忙しい中聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。まずは感謝申し上げます。  初めに有馬参考人にお聞きしますけれども、日本のようなエネルギー自給率が極端に低くなっている国では、それぞれのエネルギーの長所と短所というものを考えながら、長期的にやはり安定した電力供給というものを冷静な観点からしっかりとつくっていくと、こういうやっぱり姿勢が大事だと思うんですけれども、二〇三〇年のこのエネルギーミックスの中でも、やっぱり原子力発電とそれから再生可能エネルギーのこの二つというものがあって、なかなかこの原発の再稼働というものが今国内でなかなか政治的にいろんな意味で難しいというのがあって、その中で、やっぱり再生可能エネルギーは期待し過ぎてはいけないとは思うんですけれども、やはりこの伸び代があるところを伸ばしていくというような、そういうことはやっぱり大事だと思うんですね。  ただ、先ほど秋元参考人と有馬参考人がもう本当に強調していらっしゃるように、温暖化は重要なんだけれども、やっぱりコストはすごく掛かると。  例えば電力というところでいえば、低所得者の御家庭の皆様というのは、ある意味では電力というものが非常に敏感に、値上げというものには身近に肌で感じるわけですね。あるいは、中小企業でやっぱり電力のそういう、かなり仕事で電力を大量に使うとこれもまた、電気料金が上がっていると一般の家庭よりはかなり打撃を受ける。  そういう、ある意味では非常に生活に又は社会に大きなインパクトのあるものだというもので、だからそのコストというのを考えなくちゃいけないという面があると思うんですね。で、国際競争力という大きな面ではつながっていくと。  そこで、ただ、この再生エネルギーというものを、この比率をもうちょっと伸ばしていく、当初のエネルギーミックスのパーセントよりも。そのときに、やっぱりこの導入に伴う賦課金みたいな部分の直接的なコストみたいなものと送電ネットワークみたいな間接的なコストみたいなもの、この両面を考えて、これだけコストがやっぱり掛かるんだなと。これは先ほど秋元参考人おっしゃったように、なかなかこれ国民には理解されていないという面もあると。  これもしっかり御理解をいただきながら、しっかりと、やっぱりこの再生エネルギーというのは、コストは掛かるんだけれども、ただ、必要な面もあるんだと。そこのバランスが非常に重要だと思うんですけれども、この辺、有馬参考人の御見解をお伺いしたいんですけれども。
  68. 有馬純

    参考人(有馬純君) ありがとうございます。  今もう竹内先生のおっしゃったとおりではないかというふうに思うんですが、まさにベストミックスというものを考えるということと、それから再エネについてももちろんコストが更に下がるということもあると思いますし、それから再エネを増やす場合の、系統に吸収させるためのコストがどれぐらいかということをきちんと考えて、それからその時点での化石燃料のコストというものも考えて、全体として電力価格が上がらないような形でどうやって二六%目標に近づけていくかということは常にやはり考えなければいけないと思います。
  69. 竹内真二

    ○竹内真二君 ありがとうございます。  それで、なかなか難しい問題なんですけれども、お二人の参考人の方がやっぱり強調していたのはイノベーションであり技術革新という観点だと思うんですけれども、やっぱりこの電力という面でいっても、やっぱり原子力の安全性の向上というのも技術ですし、再エネのコストの低減という面でもやっぱり技術ですし、化石燃料発電のCO2発生を抑えるというのも技術だと思うんですね。幸いなことにこの日本というのは非常にこの技術というものを武器にした国家であって、非常にやろうと思えばここに、国際貢献につながるようなことはできると思うんですけれども。  有馬参考人とそれから秋元参考人にお聞きしますけれども、そうすると、それぞれ先ほどの意見表明のときに、例えば有馬参考人は、十八ページのところのイノベーションが鍵ということで、ここにたくさんの様々なイノベーションの種類があるんですけれども、一体この先、特に日本という国において、やっぱり全部投網のようにやっていけばいいのか、それとも、ここが結構日本では得意分野だと、このイノベーションというのに少し政府も力を入れるべきだというような、そういう焦点となるような分野があるのかということを少しお聞かせ願いたいんですけれども、お二人の参考人、順に聞いてもよろしいでしょうか。
  70. 有馬純

    ○参考人(有馬純君) ありがとうございます。  まず、ここにございますリストの中で特に日本にとって重要だと思われるのは、一つは水素だと思います。これについては、昨年、水素閣僚会議というものもやって、日本として是非リーダーシップを取っていきたいという意思を明確にしております。  それから、もう一つはCCUだと思います。出てきたCO2をどう活用していくのかと。これが単に大気中に出ていってしまうんではなくて、それを使って例えばメタンを作るとか、あるいはプラスチックあるいは建設材料を作っていくと、こういった技術のめどというのがあります。そうなると、化石燃料の利用というものとCO2の排出削減というものは両立できると。  こういった点で、しかも国際的にも非常に波及可能性が高いということですので、そういったところを中心に私は突っ込んでいくべきではないかというふうに考えております。
  71. 秋元圭吾

    ○参考人(秋元圭吾君) 私の所属している研究機関はCCSを技術開発している研究機関でございまして、私のやっている仕事は少し違うんですけれども、研究機関で、そういう面でCCSは非常に重要な技術だというふうに思っております。  ただ、全体を眺める必要がございまして、要は温暖化へのリスクの対応ということが重要で、コストが安い技術で削減が大きくできる技術であるとか、コストが安いんだけれども量は余り稼げない技術とか、コストは高いんだけれども物すごく大きく削減できる技術等、いろいろあるわけでございます。要は、我々は温暖化のリスクがどこまで大きいのかということを見極めながら、そして技術がどれぐらい進展するのかということを見極めながら、その技術のポートフォリオをつくっておく必要があるというふうに思うわけでございます。  そういう面で、どれかに懸けるということではなくて、今の段階では、全部懸ける、いろいろ懸ける必要があると。ただ、余りに大きく全部、ディプロイメントといいますけれども、展開し過ぎると、要は導入し過ぎると非常にコストが、政策的なコストが掛かりますので、技術開発の部分にとどめておいて研究開発を進めていくものと、安くなったものを大きく展開するサポートをしていくものとちゃんと技術を分けながら、しかも温暖化のリスクを見極めながらやっていくということが重要だろうというふうに考えているところでございます。  ただ、もう一度強調ですけど、私のプレゼンの中でAIとかITの可能性というものは物すごく大きいというふうに申し上げましたけれども、これが有馬参考人の資料の中では十八ページ目の一番上のところにあるエネルギーシステム統合技術というところに当たると思いますけれども、そういうものは特に経済合理的に大きく削減できる余地があるという意味で重要だというふうにまずは考えているところでございます。
  72. 竹内真二

    ○竹内真二君 そうすると、最後ですけれども、今言ったIoTとかAI、この部分で電力の消費というものは、済みません、最後に秋元参考人にお聞きしますけれども、この技術革新みたいなものが社会にインパクトを与えて、最終的には電力とかそれから地球温暖化にも貢献していくと思うんですけれども、これ、どのぐらいのスピードの中でどのぐらいのインパクトがあるようなものなのか。ちょっと難しいのかもしれないんですけれども、国民の方でも分かるような形で教えていただければ有り難いんですけれども。
  73. 秋元圭吾

    ○参考人(秋元圭吾君) AIとかITの効果というのは物すごく社会に幅広く普及する場合がありまして、この効果を読めれば私はベンチャー企業を立ち上げて大金持ちになっているかもしれない。非常に難しい問題でございますが、ただ、例えば我々、自動車、マイカーは五%ぐらいしか稼働しておりませんので、それが完全自動運転になって稼働率が例えば四、五倍になればそれだけ自動車の数が要らなくなりますので、そうすると、波及して鉄の使用量が減るとかプラスチックの使用量が減るという形になってくるわけです。しかも、我々はマイカーという所有が前提だったわけですけれども、そうではなくてシェアしながらユーザーとなっていくという社会に変わりますので、全然、今の社会が変わっていく可能性がある。  これは、自動車だけではなくて、例えば食料システム全体で考えても無駄が非常に多いわけです。これも無駄を削減するというのは今の状況ではなかなか難しいわけでございますが、ITとかAIによって自動的にその需給のバランスを取って無駄を省いていくというのは、これは技術のコストが安くなってそれが実現できるという形になりますので、そういうイノベーションの機会というのは物すごく大きいというふうに思いますので、社会としてこれの重要性というものを認識して取り組んでいくということが大事だと思います。
  74. 竹内真二

    ○竹内真二君 ありがとうございました。  終わります。
  75. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) 儀間光男君。
  76. 儀間光男

    ○儀間光男君 日本維新の会と希望の党の共同会派でございます儀間と申します。以後、維希会派ということで呼称を変えていきたいと思いますから、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  今日は、三名の参考人の先生方、知見の高いお話をいただきまして、感謝と御礼を申し上げます。基本的なことからお尋ねしたいと思いますから、お三名の先生方に共通の質問を一つ差し上げたいと、こう思います。  温暖化問題等を含めて、恐らく前提は京都議定書やパリ協定書などを中心にしてこの問題がグローバルの問題として取り扱われて、それぞれ国々がCO2の削減等も含めて課題を持ってやっているところです。  先ほどから三先生方の話の中で、GDPの上昇とCO2の上昇は同時変化をしていく、上がっていくと。GDP高めたらCO2も今の状況では自然に高まっていって、相反する部分があるというようなことでございましたが、思うに、例えば再生可能エネルギーや原発やあるいは化石燃料やその他いろいろ燃料ありますけれど、日本が、国際的にもそうですけれど、日本国内自身のその温暖化対策の課題として、そのエネルギーミックスをどういうような構成でやっていけば課題達成に近づいていくのか。  三名の先生方はそれぞれ違った点がありましたけれども、例えば電力依存度の話、あるいは再生エネルギーの話、あるいは化石燃料のCO2を増税していく話、これいろいろみんな対立点があって、どこでこのエネルギーミックスを調整して、電源構成というか、こういうものをうまくしていったら理想的なというか目標の達成のスケジュールができて、具体的に実施して成功を収めていくかということをちょっと聞きたいんですね。  例えばCO2だと、これは化石燃料だとCO2がよく出る、それから原発だとゼロエミッションにならないですね。例えばそうだと思うんです。核燃料、使用済みのごみが残って、これの最終処分どうするんだということはゼロエミッション型に反していると思うんです。それから、再生可能エネルギーはたくさんありますけれど、その中で、これはCO2を全く排出しないというような、三者違ったような、経済効果とCO2の増税と対立するように、この三者三様でいろんな特性があって、これミックスしてどこにどう位置付けてやった方が手っ取り早く、一番スピードよく目標に達成するのか。  それを先生方、平田先生から順にお話しいただければと思いますから、会長、お願いいたします。
  77. 平田仁子

    ○参考人(平田仁子君) ありがとうございます。  日本は資源のない国でありますし、化石燃料も、原子力を使うにしてもウランも有限な資源であります。そのことから考えますと、長期といっても、二〇五〇年には日本は再生可能エネルギー一〇〇%を目指すというまず大きな方向性を示す必要があると思います。  その過渡的な道筋として、二〇三〇年の今のエネルギーミックスは再生可能エネルギーを大きく引き上げ、四〇%以上に引き上げる必要があると思いますし、それは今計画中のものも含めれば十分可能だと思います。その分を原子力発電所はゼロに、そして残るところを石炭ではなく過渡的に天然ガスを利用して再生可能エネルギーに向けていくという方向を取るべきです。そうした方向性が示されることによって、先ほど来主張されていますコスト削減の努力、技術開発の方向性というものが明確に見えてくることになります。  現在のままだと、企業は、石炭火力に投資していいのか、再生可能エネルギーに投資していいのか、原子力にどこまで頑張ったらいいのか、皆目、むしろ方向性を見失うようなシグナルしか発出されていないと。ここを明確に方向性を示すことによって、むしろ進むべき方向に、気候変動にも資する脱炭素化へのコスト削減と技術開発こそが生まれてくると思います。
  78. 有馬純

    ○参考人(有馬純君) 私は、まず、二〇三〇年につきましては現在の政府が出しているエネルギーミックスというのがある意味で最適解であるというふうに考えております。それから、二〇五〇年ということになりますと非常に不確実性が高いと。我々として脱炭素化を目指すという方向は分かっているわけですが、それが例えば次世代の原子力技術で実現されるのか、あるいはCCS、CCUSで実現されるのか、あるいは水素で実現されるのか、あるいは再エネ、こちらのコストは間違いなく安くなるでしょうが、そのバッテリーが本当にそんなに安くなるのかといったいろいろな不確実性があります。  それであるがゆえに、二〇五〇年についてエネルギー基本計画でエネルギーミックスを示していないというのはいろいろな技術の可能性というものを引き続き探るということだと思っておりますし、これから三十年先ということを考えますと、やはりそういった形でその都度立ち止まりながら考えていくということが、日本の置かれた状況、それからコストの上昇というものをミニマイズしながらやっていく上で極めてプラグマティックなやり方ではないかというふうに考えております。
  79. 秋元圭吾

    ○参考人(秋元圭吾君) まさにおっしゃられたとおり、電源には長所と短所があるということでございます。どんな電源であっても長所と短所を持っていると。よって、ミックスが必要であるということでございます。エネルギー基本計画でも3EプラスSと言っているのは全くそういう状況でございまして、ただ、この3EプラスSの中のバランスをどう考えるのかということに関しては、人によって考え方が違うということでございます。  3EプラスSは大前提でございますが、原子力の危険性を物すごく強く認識される方と、経済的なインパクトを物すごく強く認識される方、そして気候変動問題を非常に強く認識される方、みんなそれぞれ違っているわけでございます。これは正しい議論でございまして、ここにいらっしゃる方も当然皆さん違っていると思いまして、それは正しい議論だと思います。  だから、私も一つの解を持っているわけではございません。私の自分の見解でしかないので、それを絶対的な正しい解だというふうには思っておりません。ただ、二〇三〇年のエネルギーミックスということを考えますと、政府が出している数字はおおよそ妥当なものではないかなというのが私の感覚でございます。  ただ、超長期、超長期と申し上げているのは二一〇〇年とかそんなイメージですけれども、そういった意味では脱炭素化が必要ですので、技術の動向、そして国際情勢を踏まえながら、そちらに向かっていくということは必須だというふうに思います。  ただ、さらに二〇五〇年という断面で見ると、やはりこれも同様でございまして、国際情勢がどうなるのか。要は、みんなが協力できるような形になっているのかどうかとか、技術の動向がどうなのかということをよく見極めながら決めていかないといけないので、だからエネルギー基本計画も複線シナリオと言っているわけで、これも正しい方向だというふうに考えているところでございます。
  80. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  先生方、もちろん学者、研究者の中で意見が違うのはいいんです。また、僕らは、それを取って参考にして勉強を重ねて、国会ですから、ある時点で、ある程度のことで導き出して決着を付けなければならないと思います。先生方、専門方がばらばらとおっしゃるから素人は困っちゃうんですね。だから、取りあえずどの辺がまとめる場所だということをやはり提示して、専門の先生方が提示していただいた方が国も我々も、ああ、そうなのかということで理解してまとまる可能性、可決される可能性があるんですね。  それで、有馬先生、教えていただきたいんですが、ゼロエミッション、これ現在どういう状況にあるんでしょうか。ゼロエミッション社会をつくろうといって相当前からやってきて、私も行政におった頃、最終処分場をなくすことをやって成功しましたけれど、現在どの程度、原子力のごみも全然最終処分できていませんし、ゼロエミッションとしては適用されていないんですが、現在あれはどういう地域に、どういう地位にそれが分類されているのか。微量プラスチックの話もありますね。そういうのを、時間ですけれど、少し教えていただければ。
  81. 有馬純

    参考人(有馬純君) 先生の御質問は、最終処分のお話ということでよろしいでしょうか。はい。  最終処分につきましては、経産省の方で適性マップみたいなものを作って全国の中で地質学的に見て可能性があるところというものを選んで、四十七都道府県、一応一巡して説明をし、さらに関心を持っているところに対して二巡目の説明をしているというふうに承知をしております。  これは非常に時間の掛かるプロセスであって、スウェーデンでもフィンランドでも三十年以上時間を掛けてやっております。したがいまして、すぐに結論が出る話ではありませんが、根気強い地元との対話が必要ではないかと考えております。
  82. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。
  83. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) 他に御発言はございますか。  浜野喜史君。
  84. 浜野喜史

    浜野喜史君 国民民主党浜野喜史でございます。  三人の参考人の方々に一問だけお伺いをしたいと思います。カーボンプライシングについての賛否及びその理由をお伺いしたいというふうに思います。  CO2の大幅削減に関しては、イノベーション技術革新が必要だということはこれはおおむね意見の一致するところだと思うんですけれども、それに向けての方策については意見が分かれていると私は認識をしております。炭素税とか排出量取引、これが後押しをして技術革新に結び付くんだという意見もありますし、一方では阻害要因になるという意見もあるところであります。  大体、環境省が前向きであると認識しておりますし、一方、経済界、産業界は否定的という構図だと思うんですけれども、それぞれの先生方のお考え、そして賛否のその理由ですね、御説明をいただければと思います。  以上、一問お願いします。
  85. 有馬純

    参考人(有馬純君) ありがとうございます。  論理的に言えば、外部不経済である温暖化対策に対して、炭素に価格を付けるというのは経済学的に合理的な手段だと思います。問題は、世界全体で統一的なカーボンプライスというものが導入されていない、各国で対応がまちまちになっている、それによって各国の競争力に与える影響もまたまちまちになっていると。加えて、日本の場合には、エネルギーコストがそもそも各国と比べ非常に高いという問題がございます。  したがって、日本でカーボンプライシングを導入するということになった場合に、それが国際競争力に悪影響を与えないような形の十分な配慮が必要で、そういう議論をまずやっていくべきだというふうに考えております。
  86. 秋元圭吾

    参考人(秋元圭吾君) 基本的には私も、全体像としてのカーボンプライシング、カーボンプライスというのは、炭素税と排出量取引という、こういう明示的なカーボンプライスと言われるものがありますけれども、それ以外にも暗示的なカーボンプライス、規制とか自主行動計画みたいなものもそれになりますけれども、そういういろいろなカーボンプライスがあるわけでございます。  要は、ベースライン、ベースラインという成り行きに任せておくとCO2が増えてしまうので、それに対して、二度目標とか排出を抑えていくという意味ではカーボンプライスは必要だというわけでございます。そういう面では、カーボンプライスには賛成しているということでございます。  ただ、これはもう有馬参考人と意見一緒でございますが、国際協調がこの場合何より重要だということでございます。特に、明示的、炭素税や排出量取引でカーボンプライスを明示的に引き上げようというふうに考えた場合には、特に日本製造業が強いわけでございますけれども、製造業エネルギーコストを上げてしまうことになりますので、競争力に影響が出てくる。  結局、日本は削減できるかもしれないけれども、削減できた場合には今度は海外で、別のところでつくってしまうということで、世界全体でCO2は全然減らない。若しくは、日本の方がエネルギー効率が高いので、日本で減らした分、海外で出る、世界全体で見るとむしろ排出が増えてしまうという事態になりかねないので、そういう面で、国際協調があれば賛成ですけれども、国際協調が今の状況を考えるとかなり難しいという前提の下では反対だということでございます。
  87. 平田仁子

    参考人(平田仁子君) カーボンプライシングという制度は、二酸化炭素を排出することを抑制するために、その排出に対して、二酸化炭素を排出する行為や二酸化炭素を排出をする製品にコストを掛けていくというような仕組みでありますので、これは削減を経済の仕組みから牽引していく非常に重要なツールだと思っています。  また、このカーボンプライシングを入れると非常に大きなコストになってしまうんだということがありますけれども、実際に事業者に対して追加的なカーボンコストが掛けられると、単純にそれを負担するという選択肢を取るということではなくて、むしろそれを回避するためにより大きな投資を起こしたり、あるいは技術開発だけでなく様々なソフト面での取組で削減を進めようという試みが生まれたり、あるいはもっと安い、今まで発掘されていなかった費用対効果のいい対策を掘り起こすというような、様々な知のイノベーションも生み出すということであります。  日本は、その意味で、カーボンプライシング、炭素価格が低いがために、限界削減費用は押しなべたら高いかもしれませんが、あちらこちらに存在する、まだ費用対効果のいい対策すら見出されていない状況があります。こうしたことを底上げしていく仕組みとしても、カーボンプライシングによって炭素価格を上げていくというのは、新しい経済をつくっていく、脱炭素の経済をつくっていくために必要な制度です。  むちゃに導入して、乱暴に導入してエネルギーコストを押し上げて特定の産業に激変を起こすようなカーボンプライシングには私も反対でございますけれども、国際状況も踏まえながら、適切な制度設計を行い、カーボンプライシングを導入していくということは今必要なことだと考えております。
  88. 浜野喜史

    浜野喜史君 終わります。
  89. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) 片山大介君。
  90. 片山大介

    ○片山大介君 日本維新の会・希望の党の片山大介と申します。  私は、まず、パリ協定の各国の削減目標についてお伺いしたいんですが、去年の年末にあったCOP24のタラノア対話で各国がその目標の上乗せを言及する中、日本は何も言わなかったんですよね。それで、御存じのように、日本の目標は二〇三〇年度に二〇一三年度比で二六%。これ、先ほどは、たしか秋元さんでしたっけね、世界で見ても高い方だからとおっしゃっていたんですが、これ、二六%からの上乗せは可能なのかどうかというのを聞きたいと思っています。  それで、特に二〇三〇年のときにはやっぱり人口減少だとか、それから経済が余り成長しないんじゃないかと、こういう要素もあるんだけど、そういうのは余り考えられていないですね、この数字の中には。それも含めてどうか、お伺いしたい。
  91. 秋元圭吾

    参考人(秋元圭吾君) お答えいたしますが、我々の分析では人口の減少等も踏まえて分析をしております。  ただ、その経済の成長率については、政府がその当時、長期エネルギー需給見通しを作った段階での一・六%程度の経済成長を見込んでいるということでございます。もしこの経済成長率が低くなれば、先ほど分析した限界削減費用というものがもう少し小さくなる可能性はあると思います。ただ、普通に一%以上ぐらいの成長が少なくともあった場合には、少なくとも欧州レベルぐらいの限界削減費用にはとどまるだろうというふうに見ております。  そういう面で、これ以上深掘りするというのはそう容易ではなくて、特に今、原子力の再稼働がなかなか進まない中で原子力二〇%を前提としておりますので、そこが難しいという中で、じゃ、逆に、それを再生可能エネルギーで補うのかとなると更にコストが上がるということになりますので、非常に難しい目標だというふうに思っているところでございます。
  92. 片山大介

    ○片山大介君 お三人ともにもちょっと聞きたいので、簡単に、もしいただければ。
  93. 有馬純

    参考人(有馬純君) ありがとうございます。  私も、二六%というのは、まず二六%の達成に最大限の努力をするということが先決だと思います。今、足下の状況を考えると、原発の再稼働というものが順調に進んでいるとはなかなか言い難いという状況の中でそれを上乗せをするということは、どうしても再エネの上乗せという話になっていって、それは間違いなくコスト増につながってくるということなので、まずは二六%をきちんと達成することを見込みが立ったところで、それを更に上乗せできるかということを検討すべきだと考えております。
  94. 平田仁子

    参考人(平田仁子君) この二六%削減の根拠になっている活動量を見ますと、先ほど秋元さんもおっしゃったように、政府の高い経済成長を前提にしておりますし、素材の生産量などについても現状のまま生産をしていくというような前提になっておりまして、ここが崩れればこの目標の前提は大きく崩れるのかなとまず思っております。しかしながら、私が問題視しました石炭火力発電所の新設というのは更に政府の目標を上回るスピードで進んでおりますので、これが排出増加をする要因になり得るということは懸念しておりまして、ここは今、分かれ道だと思います。  しかし、今、石炭火力発電所の新設を見直していくという転換を図っていくということがあれば、再生可能エネルギー、今接続をできずに困っている事業者さんもいるぐらいニーズはあるわけで、需要側のニーズもあるわけなので、そこを引き出していく目標引上げということは可能であり、それをすることによって達成をすることはできるようになると思います。
  95. 片山大介

    ○片山大介君 それで、続けて、今、原発の話をされたからちょっと原発も聞きたいんですけど、原発は新基準になって、延長するにもいろんなコストが掛かるようになったわけですね。先ほど有馬先生は温暖化の削減のためにはコストが掛かると言っていたけど、そのあらゆるコストの中で原発を再稼働させるために今これから掛かるコストというのは、それが見合うものなのかどうなのか、それをちょっとお伺いしたいんですが。
  96. 有馬純

    ○参考人(有馬純君) 原発の再稼働に伴う安全対策のコストというものをアドオンしたとしても、原子力が発電する膨大な発電量というものに割り戻しますと、それは、再エネの新たな投資、それに伴う固定価格買取り制度のコストというものと比較をすると、疑いなくそちらの方が、つまり原子力を再稼働させる方が費用対効果は私は高いというふうに考えております。
  97. 秋元圭吾

    ○参考人(秋元圭吾君) 電力会社は経済合理的に畳むのかどうかという判断をしているというふうに思います。要は、残り期間が、寿命が短いと思うと、安全対策、追加安全対策を行っても、例えば残り十年ぐらいしかないということになりますと、追加対策を行ってもコストが高いのでペイしないので、だから廃炉の選択をするというようなことをするわけでございますが、ただ、全体として見ると、やはりまだ追加対策を、安全の追加対策をしても経済的に見合うので、非常に特に再稼働の場合は安価にできますので、そういう面で経済合理的な行動を取っている結果、再稼働をできるだけ進めていくというような方針にもなっていますし、民間企業もそういう動きを取っているということだと思います。
  98. 片山大介

    ○片山大介君 そうすると、やっぱり再生可能エネルギーというのがこれからやっぱり伸びないと思うんですよね。だから、私は、さっきカーボンプライシングの話が出ていたんですけど、やっぱりカーボンプライシングを導入して、それで、デカップリングも何か成立しないんじゃないかみたいなことを言っていましたけど、世界のトレンドはどちらかというとデカップリングも可能なんじゃないかという、今がトレンドなんじゃないのかなと私は思っているんですが、言わばそれをもっとやっていく努力をしないと二〇五〇年八〇%減というのは絶対無理だと思いますけれども、そこはどうでしょうか。
  99. 秋元圭吾

    ○参考人(秋元圭吾君) まさに、努力をしていくということに関しては賛成だし、デカップリングを実現していくという方向性を見出していくという努力は非常に重要だというふうに思います。  ただ、現状でそうなっているのかといいますと、そうなっていないというのが今の状況でございます。一部の国はなっているように見かけ上見えるわけでございますが、それは産業を移転してほかの国に付け替えているだけなので、世界全体で見ると全然デカップリングができていないという、そこを変えていくのがイノベーションだということでございます。
  100. 有馬純

    ○参考人(有馬純君) 今私が申し上げようと思っていたことを秋元先生に言われましたので、これで終わりにしたいと思います。
  101. 平田仁子

    ○参考人(平田仁子君) 今あるコスト、それから今ある経済合理性がどうであるのかということについては、お二方の先生がおっしゃることが恐らく正しいのかもしれませんけれども、今私たちが、まあエネルギーインフラを置き換えるのには時間が掛かるというお話もありましたように、どの時点での経済合理性を見るのかということは非常に重要かと思います。  再生可能エネルギーの普及のスピードやコストの低下は、あらゆる研究機関が行っている予測を上回るスピードで進んでおります。そして、日本では二〇二五年にその転換点が来るといったときに、同じような言葉で経済合理性が同じように語れるのかというと、もう既に世界は大変なスピードで変革を遂げているということを見据えた選択が必要だと思います。
  102. 片山大介

    ○片山大介君 最後に。  今、先ほど、その二〇三〇年のエネルギーミックスでいろいろな、複数考えているというか、オプションを考えているとおっしゃっていたんですが、それで二〇五〇年の八〇%減というのは本当に可能だと思いますか。その連続性がきちんと保てるのかどうか、私、これ疑問に思うんですが、どうでしょうか。
  103. 秋元圭吾

    ○参考人(秋元圭吾君) 政府、少なくとも地球温暖化対策計画に書かれている八〇%削減は、いろいろな条件が付いております。日本国内で単独で八〇%削減をやるというふうには書かれていないというふうに思います。要は、海外への貢献等も含めて八〇%減をやる可能性も含んでいるというふうに思います。  私の考えは、そういうふうに八〇%をやれる技術等がちゃんと開発してやれれば国内で八〇%削減をやればいいというふうに思いますけれども、そうじゃないときには、海外を含めて、日本のいい優れた技術で海外に貢献することによって海外で削減した部分に関しても、日本のCO2排出削減への、CO2削減のコントリビューションだということで、八〇%の内数として考えることだってできるフレームになっていると思いますので、我々、余り厳格に国内でこの二〇五〇年にタイムフレームを切って八〇%削減だけを考えると、コストが非常に負担になったり、そういうことを考えられますので、全体としての戦略として八〇%を目指していくという姿が必要ではないかというふうに思います。
  104. 有馬純

    ○参考人(有馬純君) 八〇%という目標の性格なんですけれども、元々、世界全体で温室効果ガスを半減しましょうと、そういう中で先進国としてリーダーシップを取って八〇%としましょうと、これがあの八〇%という数字の根拠なんですけれども、世界全体でCO2の削減を、半減するという国際的な合意ができているかというと、なかなかそれがまだできていないという状況でございます。  日本でその中で八〇%をどれだけやるかということは、結局のところ、それを可能にする技術が我々の手元にあるかということが決定的に重要であって、やはり重要なのは、八〇%という数字よりも、八〇%あるいはそれに準ずるような大幅削減を可能にするような技術を手にする、それが我々が目指すべき目標であって、その技術のコストをどれだけ下げるのか、あるいは技術のパフォーマンスをどうやって上げていくのかと、そこをこそ我々は目標を設定してやっていくべきではないかというふうに考えております。
  105. 片山大介

    ○片山大介君 分かりました。  ありがとうございました。
  106. 鶴保庸介

    ○会長(鶴保庸介君) 他に御発言はございますか。──他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。  秋元参考人、有馬参考人及び平田参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。本日お述べいただきました御意見は、今後の調査の参考にさせていただきたいと思います。本調査会を代表いたしまして、改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十九分散会