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2019-06-13 第198回国会 参議院 経済産業委員会 13号 公式Web版

  1. 令和元年六月十三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  六月十一日     辞任         補欠選任      山口 和之君     石井  章君      大門実紀史君     辰巳孝太郎君  六月十二日     辞任         補欠選任      こやり隆史君     北村 経夫君      宮本 周司君     徳茂 雅之君      吉川ゆうみ君     松川 るい君      木戸口英司君     石上 俊雄君  六月十三日     辞任         補欠選任      磯崎 仁彦君     足立 敏之君      徳茂 雅之君     宮本 周司君      丸川 珠代君     元榮太一郎君      辰巳孝太郎君     武田 良介君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         浜野 喜史君     理 事                 井原  巧君                 佐藤  啓君                 浜口  誠君                 石井  章君     委 員                 足立 敏之君                 青山 繁晴君                 磯崎 仁彦君                 北村 経夫君                 滝波 宏文君                 徳茂 雅之君                 松川 るい君                 松村 祥史君                 宮本 周司君                 元榮太一郎君                 渡辺 猛之君                 斎藤 嘉隆君                 真山 勇一君                 石上 俊雄君                 谷合 正明君                 平木 大作君                 岩渕  友君                 武田 良介君                 辰巳孝太郎君    国務大臣        国務大臣        (内閣府特命担        当大臣)     宮腰 光寛君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      杉本 和行君    事務局側        常任委員会専門        員        山口 秀樹君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      菅久 修一君        公正取引委員会        事務総局審査局        長        南部 利之君    参考人        JXTGホール        ディングス株式        会社取締役副社        長執行役員    川田 順一君        一般社団法人全        国消費者団体連        絡会事務局長   浦郷 由季君        早稲田大学法学        学術院教授    土田 和博君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法  律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院  送付) ○政府参考人の出席要求に関する件     ─────────────
  2. 浜野喜史

    ○委員長(浜野喜史君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、山口和之君、大門実紀史君、木戸口英司君、こやり隆史君、吉川ゆうみ君及び宮本周司君が委員を辞任され、その補欠として石井章君、辰巳孝太郎君、石上俊雄君、北村経夫君、松川るい君及び徳茂雅之君が選任されました。  また、本日、丸川珠代君が委員を辞任され、その補欠として元榮太一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 浜野喜史

    ○委員長(浜野喜史君) 理事の補欠選任を行います。  去る十一日の本委員会におきまして、一名の理事につきましては、後日、委員長が指名することとなっておりましたので、本日、理事に石井章君を指名いたします。     ─────────────
  4. 浜野喜史

    ○委員長(浜野喜史君) 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、JXTGホールディングス株式会社取締役副社長執行役員川田順一君、一般社団法人全国消費者団体連絡会事務局長浦郷由季君及び早稲田大学法学学術院教授土田和博君でございます。  この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、川田参考人、浦郷参考人、土田参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知ください。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず川田参考人からお願いいたします。川田参考人。
  5. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) 私、経団連で競争法部会長を務めておりますJXTGホールディングス副社長の川田でございます。本日はこのような意見陳述の機会を設けていただき、誠にありがとうございます。  私から、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、本法案に賛成の立場から経団連の考え方を御説明申し上げたいと存じます。  初めに、本法案に対する意見を申し上げます前に、経団連といたしまして、法令遵守に対する基本的なスタンスを御説明申し上げたいと存じます。  経団連では、一九九一年に企業行動憲章を定めまして、その前段におきまして、企業は、公正かつ自由な競争の下、社会に有用な付加価値及び雇用の創出と自律的な責任ある行動を通じて持続可能な社会の実現を牽引する役割を担うとしており、その実現のための原則といたしまして、公正かつ自由な競争並びに適正な取引、責任ある調達を行う、また、経営トップは、実効あるガバナンスを構築して社内、グループ企業に本憲章の精神の実現を周知徹底を図る、そして、万一、本憲章の精神に反し社会からの信頼を失うような事態が発生したときには、経営トップが率先して問題解決、原因究明、再発防止等に努め、その責任を果たすと宣言しております。  以上の経団連のスタンスを御理解いただきました上で、本法案に関する私どもの考え方を御説明申し上げます。  まず、本法案におきましては、事業者と公正取引委員会による協力型の事件処理の実現が図られております。独占禁止法違反被疑事件に関しましては、早期に実態解明を行い、速やかに事案の解決を図ることが公正取引委員会、事業者双方にとって有益であると存じます。  そのためには、従前のような、調査をする公正取引委員会と調査を受ける事業者とが相対立して、また時間を掛けて解明を行うのではなく、事業者自らが責任を持って調査あるいは証拠収集等を行い、公正取引委員会と協力して早期に解決を図る、このようなスキームを創設することが必要であると考えております。  この観点から、経団連といたしましては、公正取引委員会との議論の中で、事業者にとって調査に協力するインセンティブがより付与されるような制度設計を要望していたところでございますが、本法案はこのような我々の考えに即したものとなっており、その内容に賛同いたしたいと存じます。  また、協力型の事件処理を有効に機能させるものとしまして、弁護士・依頼者間秘匿特権制度が導入される予定でございます。同制度に関しましても、従来から私どもが要望していたものでございまして、その創設を歓迎いたしたいと存じます。  以上、本法案賛成を申し上げました上で、本日は、課徴金制度の見直し及び弁護士・依頼者間秘匿特権につきまして、要望も含めまして若干の補足の意見を申し上げたいと存じます。  まず、課徴金制度についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、協力型の課徴金減免制度の導入は私どもからも具体的に提言したところでございまして、積極的に評価させていただいております。単に申請順位だけでなく、申請後の調査への協力度合いに応じた課徴金の減免が受けられることによりまして、減免申請後の調査に対する事業者の協力が促進されると考えております。  他方、この協力型の課徴金減免制度に関しましては、協力度合いをどう評価するのかという課題が残されております。これに関しまして、経団連といたしましては、かねてより、予見可能性、透明性、公平性の確保が重要と申し上げてまいりました。  どのようなものを証拠として提出し、どのように調査協力を行えば、どの程度の減免が受けられるのか、これらが明らかになることによりまして、事業者として行うべき調査の手法や対象が明確となり、事業者が積極的かつ早期に効率的に調査、実態解明に乗り出しやすくなると考えております。  本法案が成立した後、事業者の協力度合いの具体的な評価方法等につきましてガイドラインが制定されると承知しておりますが、事業者がより積極的に調査に協力できるように、課徴金制度の制度設計、特に証拠の評価やそれに基づく減算率の決定に関しましては、衆議院の附帯決議にもありますとおり、是非とも分かりやすく、事業者の予測可能性の確保に資する内容としていただきますようお願い申し上げます。  次に、秘匿特権につきまして申し上げます。  協力型の課徴金減免制度が導入されますと、事業者が調査協力を効果的に行うために、事業者から弁護士に相談するニーズは今以上に高まるものと考えております。その際、弁護士との間の相談の内容の秘密が保障されていなければ、事業者が弁護士に相談することをためらい、結果として調査への協力が進まない可能性がございます。秘匿特権制度は、事業者が法律専門家の助言を得ながら主体的に公正取引委員会と協力して実態解明を行い、早期の事件解決を行うための制度でございまして、協力型の事件処理に不可欠な仕組みと申せます。  また、国際的なカルテル事案等におきまして、他国で秘匿特権の対象となっている事項が日本ではその対象ではないとされますと、国際的な日本の競争法制の信頼を損ねる結果となる懸念がございます。  これらのことから、経団連は、秘匿特権の導入を重要な課題と位置付け、実態の伴った秘匿特権制度、諸外国から見て日本に秘匿特権があると評価され得る制度の創設を強く要請してまいりました。この度の案につきましては、事業者の目線から見させていただいて、大きな違和感のない制度であると評価しております。  制度の詳細につきましては、今後、規則、指針等で決定されると承知しておりますが、ここでは、企業実務の観点から、特に次の三点につきまして意見をお伝えしたいと思います。  まず一点目は、判別手続に対しての訴訟救済でございます。  秘匿特権該当性に関しまして、諸外国では最終的に司法裁判所の判断を仰げる制度となっており、司法審査が受けられるかどうかは諸外国から見た制度の信頼性に大きく影響いたします。  これに関しましては、公正取引委員会より、判別官の判断に対しては司法救済はない、しかしながら、秘匿特権該当性がないと判断され審査官に移送された物件に対しまして、公正取引委員会が、秘匿特権に該当すると主張する事業者の還付請求を拒否する旨の決定を行った際には、事業者は、その決定につき、行政事件訴訟法の規定による取消し訴訟を提起できるとの見解をお示しいただきました。是非この見解を海外当局や実務家に分かりやすい形で明確化していただきたいと存じます。  二点目は、秘匿特権の対象物件の範囲でございます。  今回、相談・回答文書に含まれる事実が唯一の証拠となる場合であっても、弁護士の評価、整理が介在するものは制度の対象となる旨の整理をいただきました。これは諸外国の制度と比較して遜色のない水準であると理解しておりますが、このような整理は必ずしも現在の公正取引委員会の資料からは読み取ることができませんので、こちらにつきましても、今後何らかの形で対外的に明確化いただきたいと存じます。  三点目は、電子メールの取扱いについてでございます。  現在、弁護士とのやり取りの大半は電子メールでございますが、公正取引委員会の資料には電子メールの取扱いに関する記載がございません。実務の観点からは、紙の文書や報告書、メモと同様に、電子メールも弁護士と事業者との間の通信内容、記録でございますので、今後、この取扱いについても具体的な検討をお願いしたいと存じます。  その際には、膨大な量などの電子メールの特殊性を踏まえまして、プリビレッジログ、すなわち秘匿特権の対象物であることを示す文書の提出時期や記載内容につきまして、実務上対応可能となるよう調整いただければ幸いでございます。  以上、今後整備される予定の課徴金減免制度と秘匿特権の細部事項につきまして意見を申し上げましたが、冒頭申し上げましたとおり、繰り返しになりますが、経済界としては本法案の内容に賛成でございます。我が国の産業競争力の強化とより豊かな国民生活の実現のためには、公正かつ自由な競争環境を整備し、事業者間での競争を促すことが不可欠でございます。  他方、グローバル化、デジタル化が加速する中で、競争政策の在り方をめぐっても様々な変化や新しい課題が生じております。国際基準に劣らない競争制度を整え、グローバル化、デジタル化に対応しつつ、公正、自由な競争を一層促進する観点からも、法案の早期の成立をお願いいたしたいと存じます。  私からは以上でございます。
  6. 浜野喜史

    ○委員長(浜野喜史君) ありがとうございました。  次に、浦郷参考人にお願いいたします。浦郷参考人。
  7. 浦郷由季

    ○参考人(浦郷由季君) 一般社団法人全国消費者団体連絡会事務局長の浦郷由季でございます。  本日は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の御審議に際し、意見を申し述べる機会をいただきましたことを御礼申し上げます。  この意見を申し述べるに当たりまして、まずは、私たち全国消費者団体連絡会、全国消団連について御説明させていただきます。  全国消団連は、一九五六年に設立された消費者団体の全国的な連絡組織です。二〇一三年に一般社団法人に移行し、消費者の権利の実現と暮らしの向上、消費者団体の活動の活性化と消費者運動の発展に寄与することを目的として活動しています。この活動の一環としまして、消費者問題、食の安全、表示、環境、エネルギー等、暮らしに関わる様々なテーマについて、国の審議会への参加やパブリックコメントでの意見の提出などを通して、消費者の立場からの意見発信を進めています。  今回の独占禁止法改正法案について言えば、一昨年、二〇一七年四月に公表された独占禁止法研究会報告書の提言を受けて検討が進められたものと承知しております。そして、この報告書の公表に際して実施された意見募集において、全国消団連として独占禁止法の強化を求める意見を提出しております。また、本年三月、今回の独占禁止法改正法案が閣議決定された際にも、独占禁止法改正を求める意見を提出しております。  このように、今回の独占禁止法改正法案について、消費者の利益の確保を求める立場から私たちの意見を申し述べてきたところです。  本日は、今申し述べました意見の内容に沿ってお話をさせていただきます。  まず、独占禁止法に対する基本的な認識を申し上げます。  独占禁止法とは、市場における公正で自由な競争を促進することにより、一般消費者の利益の確保と経済の健全な発達を促進することを目的とする法律です。現に、独占禁止法違反行為によって生じる価格の引上げやサービスの低下等によって被害を受けるのは消費者、国民です。そのため、独占禁止法は消費者の利益を守る重要な法律であると考えています。  次に、今回の独占禁止法改正法案に対する意見を申し述べます。  まず、改正法案では、課徴金の算定期間の上限を三年から十年に延長したり、現行法では課徴金を課すことができない、いわゆる談合金など違反行為により生じた不当利得について算定基礎に追加するなど、違反行為を行った事業者が相応の課徴金を支払うことになるよう、課徴金制度の見直しが行われています。  独占禁止法違反行為とは、日本の経済、市場に悪影響を与えるのみならず、消費者の利益を損なうものです。そのような行為によって事業者によるやり得を許してしまうような制度のままであると違反行為の抑止効果が発揮されないことにもなります。そのような観点からすれば、改正法案による課徴金制度の見直しは適切なものであると評価いたします。  他方で、日本に売上額のない海外の事業者に対して課徴金を課せるようにするなど、独占禁止法研究会報告書において提言があったものの、改正法案では実現に至らなかった点もあると承知しております。より適切な課徴金制度のために改善すべき点があるとすれば、その改善に向けた対応が今後も必要と考えます。  また、改正法案では、課徴金減免制度の機能を拡充することとしています。  カルテル、談合といった事件は基本的に密室において行われており、違反事実の発見や真相解明が容易でないと思われます。そこで、違反事実を自ら報告してきた事業者に対する措置を免除あるいは課徴金を減額することによって、実態解明を促進し、違反行為の防止を図るという観点から、課徴金減免制度が導入されたと承知しております。  しかしながら、現行の課徴金減免制度では、調査への協力度合いが課徴金の算定に反映されないため、事業者の調査協力インセンティブが不十分であり、事業者から事実の報告や資料の提出を十分に受けられていないとの問題が生じているとも承知しています。  改正法案が実現すれば、公正取引委員会による調査への協力度合いに応じて事業者に課される課徴金の減算率が算定されることとなります。この新たな課徴金減免制度によって、しっかりと調査に協力した事業者ほど課徴金が減額されるような仕組みとなれば、調査協力インセンティブが高まることになります。これにより、事件の真相解明や違反状態の解消が迅速的、効率的に行われることが期待されますので、結果として消費者の被害回復や利益確保につながるものであると評価しております。  次に、改正法案とともに議論されていた、いわゆる弁護士・依頼者間秘匿特権への対応について申し述べます。  今回、公正取引委員会は、新たな課徴金減免制度をより機能させるといった観点から、カルテル、談合といった不当な取引制限の行政調査手続を対象に、事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の内容を記載した文書に審査官がアクセスしないものとする制度、つまり、いわゆる秘匿特権、これを導入することとしています。  私たちとしては、改正法案に合わせてこのような制度を導入することには慎重であるべきとの立場ですが、仮に導入されるとしても、その範囲がカルテル、談合の不当な取引制限以外に拡大することについては懸念があります。  例えば、独占禁止法の違反行為類型の一つには、自社の商品が実際の商品よりも良いものであると相手に誤解させて契約を結ばせようとする行為がありますが、独占禁止法以外にも、様々な消費者関連法、これは景品表示法や特定商取引法などになりますが、これらにおいても似た規制があります。そのような消費者関連法に基づく調査を行政が行う際、顧客勧誘マニュアルなど違反行為を立証するために重要な証拠となり得る文書について、事業者が、当該文書は独占禁止法に関する弁護士との相談文書であり、独占禁止法では秘匿特権で保護されているという旨を主張して開示を拒むおそれがあります。  このように秘匿特権が濫用され、事業者が調査に協力しない、また事業者から証拠を得られにくくなるといったことがあれば、消費者庁などによる調査実務に支障が生じ、消費者利益が損なわれてしまうことが懸念されます。消費者団体としては、景品表示法や特定商取引法の執行はまだまだ不十分と捉えており、更なる執行力の強化を求めております。そのため、制度の拡大を検討する際には、他法令の執行に影響を及ぼすことがないよう慎重な検討が必要と考えております。  これまでの改正法案の議論においては、ややもすると秘匿特権が論点になりがちでしたが、消費者団体としては、今回の独占禁止法改正の眼目は課徴金制度の見直しであると認識しています。この秘匿特権に関する議論によって昨年の通常国会において改正法案提出が見送られていますが、この間も大きなカルテル、談合事件などが続いております。消費者利益の保護を図るためにも、是非この国会の場で十分な御審議をいただきまして、一日も早い成立を消費者団体として心から願っております。  最後に、重ねて今国会での成立をお願いいたしまして、私からの意見表明とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  8. 浜野喜史

    ○委員長(浜野喜史君) ありがとうございました。  次に、土田参考人にお願いいたします。土田参考人。
  9. 土田和博

    ○参考人(土田和博君) おはようございます。早稲田大学で経済法、独占禁止法を担当しております土田と申します。  本日は、独占禁止法改正案につきまして意見を述べる機会をいただきまして、誠にありがとうございます。お礼申し上げます。時間が限られておりますので、早速ですけれども、管見を述べさせていただきたいと思います。  今回の独占禁止法改正案は、課徴金制度導入から四十年以上、不当な取引制限に対する課徴金の算定率を引き上げ課徴金減免制度を導入した二〇〇五年の改正から数えますと十四年が経過して、現れてきました様々な問題に対処しようという重要な改正であると考えております。  結論を先に申しますと、このような改正案は、多少積み残しとなる課題もありますけれども、現れてきた種々の問題に対応して独禁法の違反抑止力を強化しようとするものでありまして、基本的に賛成いたします。  以下三点、その理由を述べたいと思います。  まず第一に、二〇一七年四月に公表されました独占禁止法研究会報告書は、課徴金制度や課徴金減免制度をめぐる問題を洗い出しまして対応を必要とするものを指摘したわけですけれども、そのうちかなりの項目が今回の改正案に盛り込まれているということであります。  改正案は、不当な経済的利得さえ徴収できていない場合に対応するため、課徴金の算定期間を十年に延長するとともに、業種別算定率を廃止したり、談合金ですとか下請として仕事をする形で不当に得た協力金を算定の基礎に含めたりしております。  また、改正案は、調査協力度合いに応じて課徴金を減額する一方、他の事業者に対して資料を隠蔽させるなどした場合に課徴金を増額することとして、調査協力へのインセンティブを高め、あるいは調査妨害を行わないよう動機付けることとしております。  さらに、企業グループ単位での事業活動が増えているということから、グループ単位で違反の繰り返しを認定したり、不当な取引制限の禁止に違反した親会社に売上げがない場合でも、完全子会社が親会社からの指示を受けて販売していた場合等に親会社に課徴金を賦課できるようにしたりしています。  これらはいずれも、二〇一七年の報告書が求めていた事項に改正案が対応しているものでございます。  他方、国際市場分割協定に対する課徴金、外国の競争当局が制裁金等の算定の基礎とした売上額は控除する旨の規定の導入、あるいは、入札談合は具体的な競争制限効果が発生することを要件としないで課徴金を課せることとするといったようなことは、報告書が求めていたものでありますけれども、今回の改正案には盛り込まれていないわけでございます。  このように、二〇一七年の報告書が指摘していた項目で改正案に取り入れられたものとそうでないものとがあるわけですけれども、報告書が指摘しました相当多数の項目が改正案に取り入れられており、また、積み残しとなった事項の中には改正の必要性ですとか緊急性が他の事項に比べますと必ずしも大きいとは言えないものも含まれていましたので、そういったことを考えますと、全体としては、重要な事項はおおむね改正案に盛り込まれているものと言うことができると思います。  これが改正案に基本的に賛成する第一の理由でございます。  第二に、改正案は、密室の犯罪と言われるカルテルを早期に発見し、その立証を容易にして、違反が認められた場合には厳正に対処しようという方向、すなわち、独禁法の違反抑止力を強化する方向で一段ギアを引き上げるというものだと思います。  違反抑止のためには不当な経済的利得を上回る課徴金を課すことが理論的には必要になりますけれども、先ほど申しましたように、これまで不当な経済的利得さえ徴収できていない場合があったわけであります。その典型例は、五年、十年と続いたカルテルであっても三年分の売上額をベースにしてしか課徴金を課せないというものでありますけれども、改正案は課徴金の算定期間を十年に延長いたしまして、その間の売上額に基づいて算定することによりまして違反抑止に必要な課徴金を課すことができるようにしております。  また、現行の小売業の算定率三%、卸売業の算定率二%というのは、通常の事業活動によって得られる売上高営業利益率を基に定められたものですので、通常の事業活動ではないカルテルという違法行為の利益率とは無関係であります。したがいまして、これを廃止するということにも合理性があると考えます。  さらに、カルテルの一種であります入札談合の場合、現行法では、談合によって受注予定者に決まった事業者が発注者と契約をして売上げが生じたときに、課徴金はその事業者に課されるだけでございますけれども、改正案は、入札談合に参加しまして受注予定者が受注できるように協力をした事業者が談合金を受け取っていたり、落札者の下請として仕事をすることで不当に協力金を得たりした場合には、課徴金の算定対象とすることとしております。それによりまして、課徴金が賦課される事業者の範囲を拡大しているということでございます。これらは、いずれも違反抑止力を改善し強化する方向の改正でございます。  もっとも、課徴金を課すためには、当然のことですけれども、違反行為が発見されなければなりません。この点、今回の改正案は、調査協力度合いに応じた課徴金の減算を可能とすることによりまして、違反行為の発見、立証をより容易にしようとしています。  現在は、公取委への申請順位だけでほぼ自動的に課徴金の減算率が一〇〇%、五〇%、三〇%と決まるわけでありますけれども、これは私の理解では、日本の風土には必ずしもなじまないのではないかというふうに言われていた課徴金減免制度を定着させるために、あえて自動的、機械的に申請の順位だけで免除や減額を決定してきたものでございます。  しかし、リニエンシー制度の導入から十四年がたち、この制度が相当によく利用され、ほぼ定着をしたと考えられます現在、提出する証拠の価値にかかわらず、基本的に公取委への申告の早さだけで課徴金の減算率が決まってしまうということになってしまっております。あるいは、一定の順位を確保すればあとは調査に協力しないという事業者も現れるようになってきたため、調査協力の度合いによる減算ができることといたしまして、公取委の実態解明への協力を促そうとしているものであります。  繰り返しますけれども、これらはカルテルの発見、立証を容易にし、違反行為が存在する場合にはより広い範囲でより重い課徴金を賦課しようという重要な改正案であると考えております。  第三に、弁護士・依頼者間通信秘密保護制度の取扱いについてでございます。  これは、弁護士・依頼者間秘匿特権、あるいは長いので単に秘匿特権とも申しますけれども、この言葉はややミスリーディングであります。実は、弁護士ではなく依頼者の利益を保護する制度的保障であります。  これにつきましては、二年前の報告書では、秘匿特権は、課徴金減免制度の利用を促す観点から、公取委の運用で、新たな課徴金減免制度の利用に関する依頼者と弁護士のコミュニケーションに限定して配慮することが適当であるとされていたわけでございます。  これに対しまして、今回の改正案が成立した場合には、公取委の運用ではなく、公取委を拘束する規則に明記することとし、またリニエンシー制度を利用するという観点だけではなくて、適正手続を確保するという観点も加えることによりまして、課徴金の減免を申請しない事業者についても通信の秘密を保障することとしたわけで、報告書よりは手厚い手続保障になっていると思います。  しかし、秘匿特権は規則ではなくて法律に書くべきだという御議論もあるかと思います。  この点につきましては、仮に法律に規定するとしましたならば、いろんなことを書き込む必要が出てくるように思います。例えば、そもそも依頼者とは正確には誰のことか、対象物件の範囲はどのようなものか、弁護士には社内弁護士を含むのか等々、細かな点を詰める必要があると思います。  また、仮に法律に規定を設けるとしますと、単に依頼者が弁護士との交信の一部を国などに対して秘匿できるということだけではなくて、どのような場合に依頼者が秘匿特権を放棄したと認められるか、あるいはいかなる場合に秘匿特権が認められない例外に当たるかということも書き込まざるを得ないかと思います。そのことを強調しておきたいと思います。  この秘匿特権と言われるものは、主に英米等の判例法国で、判例の積み重ねでルールが形成されてきたものであります。したがいまして、国によりましてその内容は完全に同じではありませんけれども、今も申しましたように、秘匿特権の放棄ですとか秘匿特権が認められない例外も秘匿特権に関するルールを構成しているわけでございます。  多少具体的に申しますと、秘匿特権をどのような場合に放棄したと考えられるかにつきましては、依頼者が対象物件を開示することに同意した場合だけではなく、依頼者が故意又は自発的に対象物件を開示するなど秘匿と矛盾した行動を取った場合には秘匿特権を放棄したものとされるのが一般的でございます。  また、秘匿特権の例外ないし限界につきましては、犯罪・詐欺例外、お手元に資料が行っているかと思いますけれども、クライム・フロード・イグゼンプションというふうに書いてしまいましたけれども、これは、クライム・フロード・イクセプション、イグゼンプションではなくてイクセプションの間違いでございます。失礼しました。犯罪・詐欺例外というものがございます。  これは、過去に行われた被疑行為に関する交信は秘匿特権の対象になりますけれども、現在行われている違反行為あるいは将来行われる可能性のある違反に対する通信は秘匿特権の対象にならないというものでございます。要するに、現在違反行為が行われているならば弁護士さんはそれをやめさせなければならないわけで、それにもかかわらず違反行為を継続させるというような助言をした場合には、それは秘匿特権の対象とならないわけでございます。  以上言いました点、今申しました点は、言い換えますと、事業者の手続保障と公正取引委員会の実態解明機能の確保は互いにバランスの取れたものでなければならないと言えるわけで、そのような観点からいたしますと、具体的に何をどのように規定すべきか、改正に至るまでのプロセスにおいては表立っては議論されることはほとんどなかったと承知しております。  そのようなわけですので、法律に書くということにするためには議論が残念ながら不十分なのではないか、そのように考えております。したがいまして、今回提案されておりますように、公正取引委員会の規則に必要最小限の規定を設けるというやり方には一定の合理性があると思います。  まとめますと、第一に、この改正の出発点ともいうべき二〇一七年の報告書が求めていた事項の相当多くのものが改正案に反映されているということ、第二に、独禁法の違反抑止力を一層強化する方向の改正案であるということ、第三に、現状では提案される秘匿特権の取扱いに合理性が認められるということから、私は、この改正案に賛成するものでございます。  以上でございます。
  10. 浜野喜史

    ○委員長(浜野喜史君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 佐藤啓

    ○佐藤啓君 自由民主党の佐藤啓でございます。  本日は、貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。また、お忙しい中、日程調整いただきまして感謝を申し上げたいと思います。  それでは、初めに川田参考人に伺います。  今般の独禁法の改正案の主な内容は課徴金制度の見直しでございますけれども、その中で、調査協力減算制度ということで、事業者と公正取引委員会が、対立した関係ではなくて協力をしてこの独禁法の違反行為を摘発し、正していくという意味で、目新しい制度ということになると思いますけれども、参考人の御説明の中でも協力型の事件処理というような言葉が用いられておりましたけれども、経済界の要望に沿った制度ではないかなとの印象を受けました。  この新たな調査協力減算制度によって事業者の行動に何らかの変化が生じるのかどうか、また、変化が生じるとすればどのような変化があると考えられるのか、お伺いをいたします。
  12. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) ありがとうございます。  私から御回答を申し上げます。  まず申し上げたいのは、現在におきまして事業者といいますのは、CSRの観点あるいはESGの観点から、法令違反行為、これを未然に防止するということは非常に大きな課題になっておりまして、それについて経営としては社内における徹底をしているというところでございます。  その中で、その法令遵守、違反未然防止を図るためといたしまして、遵法教育でありましたり、あるいは遵法点検でありましたり、あるいは内部通報制度の充実でありましたり、内部監査の充実であるということをやっております。  万一、違反行為が見付かった場合、これは、先ほど申し上げたようなESGあるいはCSRの観点から速やかに解明をするというのは、これは経営者の新たな役割でありますし、責務であろうかと存じます。  今回の改正でございますけれども、減免が調査協力度合いによりましてかなり大きくなるということから、先ほど申し上げたような未然防止のためのまずは遵法点検を今以上に強力にやっていく必要があるだろうと、それから内部監査につきましてもより以上に充実させる、そういうことによって、まず違反行為が社内あるいはグループ会社内にあるかないかという調査、それを相当進めていくというように変化があると存じます。  また、そこで仮に違反行為が見付かった場合でございますが、その場合には、弁護士とも協議し、どのような証拠を集めるのか、どのようにそれを分析するのかということを行いまして、そして違反行為であるということになれば速やかに公正取引委員会に申請をしていくと、こういう形になりまして、そして公正取引委員会とともに調査、解明をより一層進めていくというような変化があろうかと存じます。  それが、私、先ほど申し上げたような協力型の事件処理ということで考えているところでございます。  以上でございます。
  13. 佐藤啓

    ○佐藤啓君 ありがとうございました。  次に、川田参考人、浦郷参考人、土田参考人の三人にお伺いをいたします。  この調査協力減算制度についてですけれども、公正取引委員会は、事業者が行うこの協力内容の評価方法に関してガイドラインを整備するというふうにしております。このガイドライン、非常に重要であると思いますけれども、このガイドラインを整備するに当たっての留意すべき点をそれぞれにお答えいただければと思います。
  14. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) ありがとうございます。  まず重要なのは、事業者による解明が促進されるものでなければならないということで、評価の対象となる証拠は何なのか、そしてそれがどのように評価されるのか、そしてその減算率がどのように決定されるのか、これを明らかにするということは重要であると私は考えております。  以上でございます。
  15. 浦郷由季

    ○参考人(浦郷由季君) この調査協力減算制度は、事業者の調査協力インセンティブを高めるために導入されるものと思っております。  一方で、現行制度では僅かでも公正取引委員会にその情報を提供すれば減算率が最大となってしまう、こういうようでは調査協力のインセンティブを高めることができないと考えております。  そのためにも、ガイドラインの策定に当たりましては、公正取引委員会に必要十分な情報を提供して初めて最大の減額が行われる、そうでなければ相応の減額にしかならないと、そこら辺をきちんと明らかにする必要があると考えております。
  16. 土田和博

    ○参考人(土田和博君) なかなか難しいところがあろうかと思います。  調査開始前は最大四〇%、調査開始後は二〇%までで協力度合いによって減算をするということでございます。EUにも同様の制度がございますけれども、これ、EUのものを見ましても余り詳しいことは書いていないと承知しております。どのような証拠をどのタイミングで出したか、競争当局が立入調査を可能にするような証拠価値の高いものなのかどうかとか、どのタイミングで出したか、追加的な価値のある資料なのかどうかというようなことは書いてありますけれども、EUのものにもそれほど詳しいことは書いていないわけでございます。  したがいまして、公正取引委員会がどのようなものを作られるか分かりませんけれども、少なくてもその証拠の価値ですとかタイミングですとか、それによってどの程度の減算をするのかということをきっちり書く、そしてそれを公正に適用していくということが重要かと思います。
  17. 佐藤啓

    ○佐藤啓君 ありがとうございます。  次に、川田参考人にお伺いをいたします。  今回の課徴金制度の見直しでは、課徴金のこの基本的な算定率の一〇%は改正しないということになっています。一方で、今回の改正に先立って開催されました独占禁止法の研究会では算定率の引上げを行うべきという意見もあったというふうに聞いております。  今回の法改正でカルテルですとか入札談合等の独禁法違反行為に対する抑止力は高まっているのか、抑止力として十分な水準を確保できているのかという点についてお伺いできればと思います。
  18. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) ありがとうございます。  今回の改正におきましては、先ほど先生の御説明ありましたとおり、算定期間が延びている、あるいは算定基礎が拡充されているという問題もございます。さらには、割増し率算定の対象となる類型の追加などもされておりますので、私どもとしては十分に抑止力があると考えております。  また、刑事罰、日本において刑事罰も科されることになっておりますので、それも引き続き非常に重いものになっておりますので、抑止力は十分高いという判断をしております。  以上でございます。
  19. 佐藤啓

    ○佐藤啓君 ありがとうございました。  次に、土田参考人にお伺いをいたします。  土田参考人は、独占禁止法の外国事業者に対する域外適用について研究をされているというふうに私は認識をしておるんですけれども、今回の独禁法改正案では、独占禁止法研究会報告書で提言されていた国際市場の分割カルテルへの課徴金の賦課が盛り込まれていないということがあります。公正取引委員会は法制上の課題をなかなか解決できずに改正を見送ったということなのかもしれませんけれども、この点、どういう課題があるというふうに参考人は考えていらっしゃいますでしょうか。また、この課題解決に向けてお考えがあれば、お聞かせ願えればと思います。
  20. 土田和博

    ○参考人(土田和博君) ありがとうございます。  国際市場分割協定で日本市場、日本の領域に一定の影響があるものでありましたら日本の独占禁止法は適用できるというのが、大まかに言いましてその域外適用の考え方でございます。ちょっと不正確でございますけれども、そういうことでございます。  国際市場分割協定というのは、例えばヨーロッパに本社がある事業、例えばイギリスならイギリスに本社のある事業者は、イギリスの発注者、イギリスでの仕事だけを取る、発注者が発注した仕事だけを取る、それに対して日本の事業者は日本の発注者が発注した事業だけを取るということで、お互いのホームマーケットは荒らさない、そこへは進出していかない、こういうものでございますけれども、これが日本国内で売上げがあった場合には、これは不当な経済的な利得もはっきりあるわけですから、はっきりした形であると言えるわけですから、日本市場で売上げがあった場合には課徴金の対象になるということでございますけれども、国際市場分割協定というのは、外国の事業者は日本国内には入ってこない、日本市場では売上げがないわけですので、その売上額に一〇%を掛けて、ゼロに一〇%を掛けてもゼロだと、課徴金はゼロだということで、現在の公正取引委員会は掛けておられないということなのではないかと思います。  これは、現在の独禁法の解釈論として無理なのかという問題と、それから立法論として、見送られましたけれども、二年前の報告書が求めていたような何らかの形で課徴金を課すべきだという、二つのものがあるだろうと思います。  今お尋ねになりましたのはその後の方、立法論としてどうするべきかということだと考えますけれども、仮に外国の事業者の世界シェアというものが分かったとしますと、それに対しまして、もし、それを日本の当該商品の売上額に掛けてみなし売上額というものを算定する、つまり、イギリスならイギリスの事業者が日本に参入していたならばこれぐらいの売上額はあったであろうというようなみなし売上額を推計しまして、それに一〇%を掛けるというようなことは不可能ではないのではないかというふうに思いました。  ただ、今回の改正案はそこまでいかないで、日本市場では不当な経済的利得は生じていないんだからやっぱり無理なんではないですかということで、課徴金、この点は見送られたものと思いますけれども、将来、日本の課徴金制度ももう少し、行政制裁金と申しましょうか、不当利得だけではなくて、ややそれを超えた課徴金を取るという行政制裁の方にもう半歩あるいは一歩踏み出せば、こういうところも課徴金の対象になるということになるのではないかと思っております。  以上です。
  21. 佐藤啓

    ○佐藤啓君 ありがとうございました。  では、最後の質問をさせていただきます。  川田参考人に、済みません、簡潔に、時間が余りないので、お答えいただければと思いますが、秘匿特権制度ですね、経済界としては歓迎する立場なのかなと思いましたけれども、どの点を歓迎されているのか、簡潔にお答えいただければと思います。
  22. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) ありがとうございます。簡潔にお答え申し上げます。  協力型の課徴金減免制度を導入されますと、事業者の弁護士に相談するニーズはより高まるものと考えております。そうしますと、その弁護士に相談する内容を全て提出するとなりますと、弁護士への相談が萎縮される可能性がございます。事業者が主体的に実態解明を行い、早期に事件解決を図るためには必要不可欠な制度と認識しております。  以上でございます。
  23. 佐藤啓

    ○佐藤啓君 ありがとうございます。  時間も参りましたので、以上とさせていただきます。ありがとうございました。
  24. 真山勇一

    ○真山勇一君 立憲民主党・民友会・希望の会の真山勇一と申します。  今日は、三人の参考人の方、お忙しい中、本当にありがとうございました。  早速質問に入らせていただきたいと思うんですが、この独禁法の改正というのは、かなり専門的に細かい点がいろいろ問題があるということを三人の方から指摘も受けました。その一方で、やはり現状を少しでも改善する、公正、自由な取引というのを守っていくためには必要な改正ではないかという評価の御意見というふうに伺っておりますけれども。  まず、今回、公取の少し権限が大きくなってきているんではないか、やっぱり不正取引をなくすためには公取の権限強化ということが必要じゃないかということが言われるわけですけれども、その中で、例えば課徴金でも、減免率というのは一〇%ということがありますけれども、これも一〇%でいいのかどうかという議論とか、特に、今回導入した協力度合いに応じた減算率というのが、こういうものが適正に運用できるのかどうかということ、それから、今回比較的大きな問題になっている秘匿特権の部分で、どこが除外される文書かどうかというところというのは非常に判断が難しいんではないかと思うんですが、こういう辺りで、公取の裁量が強くなったというか、逆に言えば、恣意的な運用もされる可能性もあるという、そういう両面があると思うんですね。その辺をどんなふうに考えておられるか、川田参考人、浦郷参考人、土田参考人、お三方から伺いたいと思います。
  25. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) ありがとうございます。  公正取引委員会の裁量が大きくなるという点につきまして御説明、御回答申し上げますと、企業の立場からいたしますと、法執行の透明性、公平性、これが重要になろうかと思いますし、一方においては、行政権力の濫用防止という観点からもしっかりと見ていかなくてはいけないという考えでおります、立場でございます。  今回の裁量につきましては、これは何度も先ほど申し上げましたとおり、要は実態解明のインセンティブをより大きく持つというための裁量でございますので、経済界としては歓迎申し上げたいと思います。企業にとりましては予見可能性の高い課徴金制度になりますと、これはこれで私どもは評価させていただきたいという意見でございます。  以上でございます。
  26. 浦郷由季

    ○参考人(浦郷由季君) 公正取引委員会の権限強化というお話でしたが、やはり独占禁止法というのは、市場における公正で自由な競争を促進する、それがひいては一般消費者の利益の確保につながるというところで、その法律をつかさどっているというか、そこが公正取引委員会だと思っております。やはりここには、公正取引委員会にはきちんとそういう違反があったときの実態解明をしていただきたいと思っておりますので、私は、今回のところで特に権限が強化というよりは、もっともっときちんとやっていただきたいなということを考えております。
  27. 土田和博

    ○参考人(土田和博君) ありがとうございます。  今回の独占禁止法の改正案、あるいは従来からもそうだったかと思いますけれども、かなり法律で細かく規定がされているように思います。例えば、課徴金の算定の基礎になるような売上額の範囲、相当今回も改正案、細かく書いてあるように思います。それから、リニエンシー、課徴金減免制度のところも、協力度合いに応じたリニエンシー、減額のところもかなり細かく書いてあるように思います。  その法律の枠の中で更に規則を作り、あるいはガイドラインを作りということで対外的に事業者の方らに明らかにするという部分もありますので、その枠内で公正かつ透明な運用をしていただければ、公正取引委員会の権限の濫用ということには必ずしもならないんじゃないかと私も考えております。
  28. 真山勇一

    ○真山勇一君 ありがとうございます。  それから、川田参考人と土田参考人にお伺いしたいんですが、課徴金の額の面ですね、決められるその額が、土田参考人は、利得を上回るような課徴金、これで取れるのかどうかというちょっと疑問を呈されたというふうに思うんですが、もっと多くてもいいんじゃないかというようなふうに私は伺ったんですが、そういう取り方でよろしいのかどうか。それで、それだったらこれをもう少し将来的には強化した方がいいというふうにお考えなのかどうかという点を伺いたいのと、それから、川田参考人は、これで、つまりこのぐらいの課徴金ならば許容ができるのか、あるいは取られ過ぎじゃないかとか、その辺りの数字的な評価をお二人から伺いたいと思います。
  29. 土田和博

    ○参考人(土田和博君) ありがとうございます。  算定期間を十年にまで延長したというのは、ある意味では画期的なことかと思います。それから、売上額についても、先ほど言いましたような談合金も算定の対象にするとか協力金も対象にするとかいったようなところは、不正不当な利得については算定の基礎に入れるということで拡大しているんだろうと思います。  他方、算定率のところですけれども、これは現行法の一〇%を維持するということでございます。二〇一七年の報告書だったかと思いますけれども、比較的最近行われた価格カルテルですとか入札談合の不正不当な利得率というものの数字がちょっと出ていたと思いますけれども、これは平均してその一〇%をちょっと超えていたんではないかというふうに承知しております。したがいまして、算定率のところはもうちょっと上げてもよかったのかなというふうに私は思っております。  以上です。
  30. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) ありがとうございます。  私どもの立場から申し上げますと、今回の改正におきましては、算定期間が延びた、あるいは算定基礎が拡充された、拡大された、さらには割増し算定率に新たな類型が付加されている等々の非常に重い率になっておりまして、十分抑止力があると考えております。  加えて申し上げるならば、独禁法違反事件を起こしますと刑事罰がございます。また、行政上の様々な処分がございますし、あるいは消費者の信用を失墜するというような無形の損害もございますので、額の問題としては、ちょっと私、論評は避けたいと思いますけれども、相当な抑止力があると私は考えております。  以上でございます。
  31. 真山勇一

    ○真山勇一君 ありがとうございました。  引き続き川田参考人にお伺いしたいんですが、今回のこの改正で、今の御意見も踏まえて、やっぱりカルテルとか談合というと、密室の犯罪というふうに言われていますね。なかなか見付けにくいということもあるし。それから、実際にそのカルテルとか談合する事業者の側からいうと、意図的にやるのか結果的にそういうことになっちゃったのかというところはあると思うんですが、やっぱりそういうことをやろうという意思があるのかないのかという辺りはとても難しいところで、今回のこの改正でそうした辺り、つまりカルテル、談合をやるかやめようかという抑止力という意味でいうと、今回の改正というのはどんなふうに事業者側として評価していらっしゃいますか。
  32. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) ありがとうございます。  残念ながら、カルテルあるいは談合事件があるということは事実でございまして、その要因につきましては私も詳しくは存じ上げませんけれども、やはり一番大きな理由は、独禁法に対する知識不足であったり、あるいは商慣行、昔からの商慣行、みんなで一緒に渡ろうという、そのようなことが多いかと思います。  ただ、これは、法律違反というのは、これは先ほど申し上げたように、相当罰する、罰せられる、被害の大きいものでございますから、経営といたしましては、独禁法違反行為はしてはいかぬと、独禁法も含めて法令違反は行ってはいけないということを徹底しているわけでございますけれども、残念ながら、まだ一部にはそういうことが散見されるとなりますと、やはり、先ほど申し上げましたとおり、やっぱり点検、業務のそれぞれの自己点検をしていく、あるいは法令教育を徹底する、あるいは内部通報制度を充実させる、さらには内部の監査を充実させるということで早期発見に努めるということも必要かと存じております。  そして、抑止力でございますけれども、先ほど来ありますけれども、課徴金だけではなくて刑事罰、さらには行政の様々な処分、それから株主、消費者からの信用失墜というのもございますので、私は抑止力は高いと判断しております。  以上でございます。
  33. 真山勇一

    ○真山勇一君 それから、土田参考人にお伺いしたいんですけれども、今回のこの改正、やはり企業のビジネスのグローバル化ということが背景にあると思うんですね。その中で、今回、比較的議論の対象になっております秘匿特権、これについては賛否両論がかなりいろいろあるというふうに御意見を伺って感じるんですけれども、実際に海外、アメリカ、ヨーロッパにあって日本にこれまでなかったものが今回こうやって導入されるということ、つまり、こうした私的独占というものに対しての国際標準、世界標準ということについては必要なものなのかなというふうな感じも受けるんですけれども、研究している立場から、この秘匿特権というもの、賛否両論いろいろあるところをもう一回これを改めてお伺いしたいと思います。
  34. 土田和博

    ○参考人(土田和博君) ありがとうございます。  これ、国によりまして、先ほども申しましたように、秘匿特権という形である国、つまりこれは私の理解では英米、判例法国が中心で、依頼者の権利として、あるいは権利や利益を保護する制度として規定されているというのが、コモンローの国といいましょうか、英米を中心にしました判例法国であるかと思います。  他方、大陸法国といいましょうか、ドイツやかつてのフランス等々は、弁護士の守秘義務ですとか、依頼者の秘密に対する守秘義務とか、依頼者の秘密を弁護士が明らかにしてはならないというような形で、弁護士に対する一定の義務付けをするという形でこの問題に対応してきたのかなというふうに思います。  秘匿特権はどの範囲で認めるのか、あるいはどういう形で認めるのか、なかなか難しいところでありまして、正直に申しまして、今回、この不当な取引制限の行政調査に限って規則に書く、あるいはガイドラインを作るということで、そこの運用を見て濫用等がないということであればあるいは少し拡大していくという方向が出てくるのかもしれない。  しかし、その判別官が判別するのがもう大変なぐらい、何万件もあるいは何十万件もそのメールも含めて判別しなきゃいけなくて、とてもこれは、その公正取引委員会の執行力が低下するというような形になってしまうとこれはちょっと問題があるということで、正直申しまして、不当な取引制限の行政手続に限って認めるという今回の運用を見て考えてみたいというふうに思っております。
  35. 真山勇一

    ○真山勇一君 ありがとうございました。  終わります。
  36. 浜口誠

    ○浜口誠君 今日はありがとうございます。国民民主党・新緑風会の浜口誠でございます。  参考人の皆さんにはそれぞれのお立場から大変貴重な御意見いただきまして、本当ありがとうございます。  まず、私から三名の参考人の皆さんに、先ほど来少し議論にもなっておりますけれども、企業の防御権に関してお伺いしたいと思います。  浦郷参考人の方からは、消費者団体のお立場からやはりそこは範囲は限定的にすべきだという御意見ございました。また、川田参考人は、企業の立場からいろいろこの防御権に関しては御意見あろうかと思いますので、それぞれのお立場で、土田参考人には、専門家というか中立的なお立場からこの防御権に関しての基本的なお考えをそれぞれお伺いしたいと思います。
  37. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) ありがとうございます。  私の意見を申し上げますと、防御権は、弁護士・依頼者間秘匿特権の防御権をつくる、これは当然の権利ではないかという理解をまずしております。  我が国においては導入されておりませんが、これは当然、弁護士との会話内容、相談内容につきましては、事業者側は秘密を保障されるべきである、そうでないと安心をして弁護士、法律専門家との相談はできないというおそれがあるのではないかと。したがいまして、これは、防御権というのは、秘匿特権の話でございますけど、当然の権利ではないかという認識にございます。  この今回の秘匿特権につきましては、先ほど来申し上げたように、防御権というよりも協力型の事件処理ということで、弁護士に相談しやすいような、そして実態解明、さらには再発防止というところまで行けるような、そういう法律的な助言を得るということでございますので、これは防御権の要素よりもむしろ協力型の事件処理のための必要不可欠な制度であるという理解をしております。  以上でございます。
  38. 浦郷由季

    ○参考人(浦郷由季君) 今回のその防御権、秘匿特権のところにつきましては、私どもとしましては、やはり実態解明が阻害されるおそれがある、またほかの法令の執行の方に影響を及ぼすおそれがあるということで、慎重にということをずっと申しておりました。  今回の改正で、そこのところをより機能させるために限定的にということでありましたので、それも法で定めるのではなく規則でということでございますので、その範囲のところでまずはやっていただいて、状況を見ながら今後のところは慎重に対応していただきたいということを思っております。
  39. 土田和博

    ○参考人(土田和博君) いわゆる防御権の中で今回の改正に伴って対応が予定されているものとしては、今議論になっておりますいわゆる秘匿特権と、それからメモ取りの問題かと承知しております。  どちらも、基本的なスタンスといいますか考え方というのは、事業者の手続保障と公正取引委員会の実態解明、これはどちらも重要であって、そのバランスが確保されるかということが基本的に重要なんではないかと思います。なかなかこれ、具体的な場合にどうするのがバランスが取れるかというのは、非常に具体的に申し上げるというのは難しいんですけれども、今回提案されているようなものは比較的バランスが取れているのではないかというふうに考えております。
  40. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  土田参考人に、資料の中に、先ほども御説明ありましたけれども、供述聴取手続時、現時点の制度ではメモ取りは認められておりませんけれども、この中に、仮にメモ取りが認められると徹底抗戦の手段に用いられてしまうんじゃないかというような記載がありますけれども、これ、具体的にどのような事態が起こることを懸念されているのか、もう少しこの部分詳しく教えていただけますか。
  41. 土田和博

    ○参考人(土田和博君) そもそも、供述聴取が今後の公正取引委員会の調査においてどれぐらいのウエートを占めていくかというのは、むしろ減っていくかも分からないというふうに思います。  ちょっと遠いところからお話しさせていただいて恐縮ですけれども、必ずしも、事業者の従業員等を公正取引委員会に呼んで、そこで供述を取るというような調査の仕方が、今後は少しウエートが下がっていくかもしれないというふうに思います。先ほどから出ているような協力型の調査ということになりますと、公正取引委員会に対して事業者が報告を積極的に行うというような形で、従業員の供述というのはそれほどウエートが置かれない可能性も出てまいります。  例えば、最近の制服の談合の事件などは、これは事業者が積極的に、報告命令はもちろん公正取引委員会から四十七条で出しているわけですけれども、その命令に積極的に応えるという形で事件の解明をしていくということですので、何といいましょうか、少し穴を埋めるような形で供述を取る必要はあるにせよ、今後、供述聴取のウエートが下がっていくかもしれないというふうに思います。それが一つです。  それから、お尋ね、それでも供述聴取というのは全くなくなるわけではないだろうと思いますけれども、これまであったとされている戦術といたしましては、公正取引委員会の場におきまして一切供述をしないですとか、それから、もしもその途中でメモ取り等が行われますと、メモを取るということに集中して十分な供述が行われないとか時間ばかり掛かってしまうとかいったようなことが意図的に行われるのではないか。そうなりますと、実態解明という面では若干問題が残るのではないかというふうに考えております。
  42. 浜口誠

    ○浜口誠君 その供述聴取に関連して、川田参考人にお伺いしたいんですけれども、今後、協力型、調査協力型の課徴金制度に変わってくると供述のウエートが下がるかもしれないという、今、土田参考人の方からの御意見ございましたけれども、とはいえ、従業員の方等が供述聴取を受ける、で、いろんな話を公取にするということもこれからもあると思うんですけれども、そういった場合に、従業員の方に事業者の方から一方的に責任の押し付けがなされたり、あるいは不当な不利益な扱いがなされるようなことがあってはならないと、弱い立場の方に対してですね、というふうに考えておるんですけれども、経営者のお立場として、そういうことが起こらないための様々な対応というのをこれまでもやっていただいているというふうに認識はしておりますけれども、この点に関してどのような御所見がおありなのかというのをお伺いしたいと思います。
  43. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) まず、立会いメモでございますけれども、それにつきましては先ほど土田参考人からお話があったとおりでございまして、今後協力型の事件処理が進みますと、その供述そのものが重要度といいますかが減るんではないかというように我々は期待しているところでございます。  今先生がおっしゃった、その従業員に対して何か不利益なことを経営者として強要するのではないかという御懸念のお話ございましたけれども、私どもが供述された従業員でメモを要求するのは、その従業員を責めるためのものではございません。むしろ、何か公正取引委員会と見解の違いがある、あるいは事実に関して何かそごがあるというようなことについてしっかり会社側で把握をし、そして防御していく必要があるという観点からでございますので、何も一方的にその従業員に責任を押し付けるような、そんなことはしませんし、元々独禁法違反事件というのは法人、個人もそうです、法人が罰せられるものでございますので、その従業員個人に責任を押し付けるような、そのようなことはないと確信しております。  以上でございます。
  44. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。そういうことがないように、今の御意見いただきましたので、経営者の皆さんのお立場でもしっかりとした対応を是非お願いしたいなというふうに思います。  あと、浦郷参考人にお伺いしたいと思いますけれども、最近、いわゆる巨大IT企業、GAFAを始めとするいろんな巨大IT企業に対していろんな規制が必要ではないかと、こういう議論が、これは日本だけではなくて、グローバルにそのような議論が展開されていますけれども、消費者団体のお立場で、こうした巨大IT企業に対しての様々な規制強化に対してどのようなお考えをお持ちなのか、今日の段階で御意見として伺えることがありましたらお願いしたいと思います。
  45. 浦郷由季

    ○参考人(浦郷由季君) いわゆるデジタルプラットフォーマーの関係かと思いますけれども、現時点で、私どもの方でもそれについて検討をしたりとか提言とかはまだ出しているところではないので、確たることは申し上げられないんですけれども、やはり一般論として、デジタルプラットフォーマーが消費者利益に資する面がある、皆さん便利に使っていますので、そういう面もあると同時に、例えばデータが収集されてしまうとか、そういう懸念を抱く消費者もいるということは承知しております。  消費者利益の確保の観点から今後規制が必要であれば、それも適切に規制すべきということを考えております。
  46. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  土田参考人にお伺いしたいと思いますが、今回、いろいろ独禁法の改正行われます。先生は研究者のお立場で、今回の独禁法の改正後の姿、これは、グローバルに他の国の競争法と比べたときにどこまでの水準に今回の改正でなるのか、グローバルスタンダードにより近づくのか、まだこの点がやっぱりグローバルに見るとちょっと抜けているよとか、もう一段我が国として強化すべき必要があるんだというような点がありましたら、是非参考までにお伺いしたいと思います。
  47. 土田和博

    ○参考人(土田和博君) ありがとうございます。  かなりの水準のところまでグローバルスタンダードに近づいているんではないかと思いますけれども、なお、何といいましょうか、EUやらアメリカなどに比べますと、少し今後に課題として積み残したところもあるんではないかと正直思います。  そこはどこかといいますと、先ほどから御質問に出ておりますけれども、不当な、あるいは不正不当な経済的利得がない、あるいは必ずしもはっきりしないという場合に、あるのかないのかはっきりしないという場合に、今回の改正案は慎重に、そこは課徴金を課さないということにしているのだと思います。  国際市場分割協定ですとかいうのはその典型でございますけれども、こういうところは、委員の先生方御案内のとおり、EUなどは積極的に、領域内に売上げがなかったとしてもかなり非常に重い制裁金科しているわけですので、そういうところから見ますと、ちょっと今後の課題として残っているのかなというふうに思います。  それから、算定率も一〇%ですけれども、ここももうちょっと引き上げてもいいのではないか。ただ、EUは行政制裁金だけですし、アメリカは基本的には刑事罰だけですので、日本はちょっと違うわけですけど、つまり刑事罰と課徴金とが併科される場合があるわけですけど、ただ、これも、刑事罰は、不当な取引制限罪は二年に一回ぐらいの告発かと思います、公正取引委員会が告発されているのは二年に一回ぐらいなんではないかと思います。  ですから、全部の事件で課徴金と刑事罰とが併科されるというわけではありませんので、そのことも含めて考えますと、算定率のところも、やや見劣りがすると言うと語弊があるかも分かりませんけれども、改善の余地があるんではないかというふうに考えております。
  48. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございました。  今日の御意見を踏まえまして、今後の議論につなげてまいりたいと思います。  本当にありがとうございました。
  49. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  今日は、参考人の皆様、大変貴重な御意見をいただきました。ありがとうございます。  私の方からは、まず川田参考人にお伺いをしたいというふうに思っております。  この自主申告による課徴金の減免制度、始まったとき、二〇〇五年に決まって二〇〇六年から始まっているわけですけれども、始まったときには、先ほども少しありましたが、そもそもこうした企業間の密告合戦を促すような制度自体は日本にはなじまないんだということが言われてスタートしているわけですけれども、実際にやってみると、申請件数というのは、この数年、年間百件を超えているということであります。一八年の三月末までで千百六十五件ということでありますから、蓋を開けてみたら結構出てきたという話だと思っています。  こういう、そもそもなじまないぞと言われてきたものの中からなぜ実際にこれだけの申告が出てきたのかということについて、現場の声として、もし、こうなんじゃないかというものが、思い当たるものがありましたら教えていただきたいというのが一つと。  それから、改めて、今度はまたちょっと制度が変わるわけですね。今度は、実態解明への貢献度に応じて金銭的なペナルティーを決めていくというまた別のやり方が入ってくるわけでありますけれども、これ、日本の企業文化の中でうまく機能していくのかどうか。この点について、二点お伺いできたらと思います。
  50. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) ありがとうございます。  確かに、リニエンシーの導入当初はそのような声があったことは承知しております。  ただ、昨今の状況といたしまして、先ほど来申し上げていますように、企業はESGあるいはCSRの観点から法令遵守という意識がより一層高まっていることと思います。特に、その法令遵守をきちっと機能させるための措置としまして、自主点検であるとか遵法点検であるとか、あるいは内部通報制度の充実であるとか、あるいは内部監査の充実であるとか、あるいは遵法教育の充実であるとか、そういうようなことを行っておりますので、当然、独禁法違反行為が行っているとなりますと、その段階で経営まで話が出てくると、このように考えております。  それで、一旦、法の違反行為を行っているということは、これは昔でありますといろいろな考えあったかもしれませんけれども、今やそれを放置するということはできないと、先ほど申し上げたCSR、ESGの観点からです。そうしますと、速やかにその事実を把握した段階で公正取引委員会に報告、申請をしていく、そういうことで最近件数が多くなっているのかなというように感じてございます。  また、今回の実態解明でございますけれども、これも先ほど来申し上げたとおり、一旦そういう違反行為が発見されますと、その実態解明というものが非常に重要でございまして、私ども、これは公正取引委員会と協力をしまして実態解明に乗るわけでございます。それは、単に順位ではなくて、内容はどこまでなのか、証拠がどういうものなのかというのがどう評価されるのかということを勘案しつつ実態解明をするわけでございますので、そういう意味で、貢献度の高い企業が減免されるということについても私どもは歓迎したいと、このように思っております。  以上でございます。
  51. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  それを受けて、ちょっと関連するところ、これは是非三人の参考人の皆様から意見いただきたいんですが、この制度によってある意味実態解明に資する制度になっているわけでありますが、同時に、独禁法というのはそもそもの違反に対する抑止力というものを担保するための制度でありまして、そういうことを考えると、先ほどの件数があるというのも、こんなにあるんだというのが一つはあるわけでありまして、もう一つは、割と大きな案件がここ最近出てきているわけですね。名古屋市が発注している地下鉄の工事の話ですとかリニアみたいな巨大なもの、あるいは自動車輸出の海運カルテルですか、そこも課徴金が百億円全部で超えているということがありますし、一番最近ですと、道路関係で八社で六百億円という、ある意味過去最高の課徴金みたいなものも含めて結構規模の大きなものも出てきている。  そうすると、ある意味抑止力を確かに効かせるための制度ではあるんだけれども、結局のところ、不当利得に対する誘引というんでしょうか、それはある意味その抑止力を上回ってしまうのかなということも同時に感じるわけであります。  改めて、ある意味これだけいろいろ出てきているというのは、今まで出てこなかったものが出てくるようになったみたいなことでもあるのかなとは思うんですけれども、改めて今の現行制度のその抑止力についてもう一度、どう評価されているのか、今回の改正で算定期間が延びたりということもあるわけでありますが、この抑止力って実際にどの程度強いものとして効いてくるとお考えなのか。これ、川田参考人から順にお話しいただけたらと思います。
  52. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) ありがとうございます。  先ほど申し上げましたとおり、今回の改正におきましては、算定期間が三年から十年に延びている、あるいは算定基礎が拡大されている、さらには割増し算定率の類型が追加的になっているということから、私の考えといたしましては抑止力はあるというふうに考えております。  さらには、先ほど申し上げましたとおり、刑事罰が我が国においては科せられるということになっておりますし、さらには、行政の様々な処分、例えば入札をできないであるとか、そのような処分もあります。あるいは、株主、消費者からの信用失墜という目に見えない形でのリスク問題もございますので、私は、課徴金としましては抑止力は十分あると、このように私は考えております。  以上でございます。
  53. 浦郷由季

    ○参考人(浦郷由季君) やはり現行の制度ですと、違反行為によって得た利益の平均額すらその課徴金を課すことができていない、そういう状況ですが、今回の改正によりまして、やはり、今までも出ましたように、算定期間延長とか算定基礎の追加等によりまして課徴金の水準は随分高まったのかなと思います。ですから、結構抑止力にはなっているかと思います。  独占禁止法研究会の報告書の中に提言されたもので実現できていないこともありますけれども、今回、まあ一歩前進というんですか、課徴金制度の減免のところでも新たに法ができますので、その部分では抑止力になると思っております。
  54. 土田和博

    ○参考人(土田和博君) ありがとうございます。  私は、カルテル、どうやって抑止するかということでお話を始めさせていただきますと、課徴金だけで抑止するというのはなかなか難しいんではないかと正直思っております。  つまり、刑事罰ですとか、これは二年に一回の告発ぐらいだというふうに申しましたけれども、刑事罰、あるいは価格カルテル、入札談合等によって被害を受けた被害者が損害賠償を請求する。独禁法は二十五条で、排除措置命令等が確定したときには無過失損害賠償請求ができるということがございます。あるいは、それがない場合には民法で損害賠償請求できるわけですけれども、こういう損害賠償請求をするということも違反抑止につながり得るというふうに思います。  それから、もう一つ重要なことは、唱道活動と申しますか、カルテルというのは取引相手に対して非常に大きな被害を及ぼすのであって、あるいはカルテルに入れないアウトサイダーにとっては、インナーサークルに入れないアウトサイダーにとっては全く意味のないものであります。それから、会社の内部では従業員の方たちというのはかなり苦しい立場に置かれるというようなことを、全体として、唱道活動、アドボカシーというふうにいいますけれども、そういうことをもっと広く積極的にやっていって、そうやって全体でもって、課徴金、刑事罰、損害賠償、唱道活動、いろいろな形でもって抑止をしていくということが必要なのではないかと思っております。  今回の改正案は課徴金のところだけですけれども、それにつきましては先ほどから申していますように欧米並みと言うにはやや足りないところがあると思いますけれども、それなりにギアを上げたのかなというふうに考えております。  以上です。
  55. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  次は、浦郷参考人、土田参考人にお伺いしたいと思うんですが、お二人の方からは秘匿特権に関して少しちょっと踏み込んだコメントをいただいているのかなと思っていまして、浦郷参考人の方からは、そもそものこの導入に対して慎重であるべきという観点、そして、特に拡大をしたケースにおいて濫用のおそれがあるんじゃないかという御指摘をいただきました。また、土田参考人の方からは、ここの部分についてはある意味法律に書くにはちょっと議論が不十分という御指摘がありました。  ただ、一方で、制度としては、限定的な形でありますけれども規則の中に書きながら導入されるということでありますから、ここもやはりちょっと積み残した論点とかいろいろ実はあって、この中でいろんなある意味マイナスに働いてしまう可能性というのも私も当然あるのかなというふうに思っています。  実際に議論の中でも、例えば企業の側から悪用をもししようとすると、何でもいわゆる社内弁護士を出席させて、弁護士との相談なんだからということで議事録を非公開にするとか、いろんな悪いことを考える人はやっぱり出てくるんじゃないかなと思います。  そういう意味でいくと、先ほどもいわゆる運用を見てからもう少し議論を深めていく必要があるんじゃないかという御指摘もありましたけれども、あらかじめ、こういう場合は駄目ですよといったものも含めて類型化して示しておくということがとても大事なんじゃないかというふうに思っているんですが、この点、いわゆる濫用防止のルールみたいなことについてもし御意見がありましたら、お二人からお聞かせいただけたらと思います。
  56. 浦郷由季

    ○参考人(浦郷由季君) 冒頭私の方から申し上げましたように、独占禁止法の違反行為の一つに、やはり景品表示法とか特定商取引法などと似たようなそういうものがあるということで、あらかじめ決めておけばそこは明快なのではないかと思いますけれども、秘匿特権全体で、法体系全体で認めればという、そういう意見もありましたけれども、本当に他法令への影響というのが懸念されます。  欧米で秘匿特権があるから日本でも導入してほしいという、そういう議論があったと思いますけれども、やはり、欧米の方でそういうのがあるという、それとともに、そちらの方では消費者の権利や消費者を救済するようなそういう仕組みもきちんとあるというところでバランスが取れていると思います。  今回、一部の部分に限定してということですので、運用してからということになっていますが、そこをはっきり特定した方がいいのかどうか、ちょっと私の方では分かりませんけれども、とにかく消費者の権利が損なわれることがないようなものにしていただきたいということは考えております。
  57. 土田和博

    ○参考人(土田和博君) ありがとうございます。  この秘匿特権の制度化ということも恐らく本邦初ということになるんだと思います。ですので、これやってみないとどうなるか分からないというのが正直なところなんですけれども、そうはいっても、公正取引委員会の規則に書く、あるいはガイドラインも作るということなんだと思います。ですので、ガイドラインに対象物件の例を少し具体的に書く、どういう場合であれば秘匿特権の対象になるのか、あるいはならないのかというようなことを例示するというようなことが一つあるのではないかというふうに思います。  それから、社内弁護士の話、さっきちょっと出ましたけれども、EUは御案内のとおりこれは駄目だと。これは非常に厳しくて、独立性のない社内弁護士との交信、通信というのはもう形式的に秘匿特権の対象にならないということですけれども、今回の公正取引委員会の扱いは、絶対駄目ということにはされていないんだと思います。社内弁護士の方であっても、独立性が担保されているということであれば、その方との通信、交信というのも対象になると読めるような書き方だったと思います。  その辺り、例えば社内弁護士の方との交信、通信の扱いをどうするのかという辺りも、ちょっとやや曖昧なところが残っているように思いますので、その辺りもはっきりさせるということが必要ではないかと思います。  以上です。
  58. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございました。  終わります。
  59. 石井章

    ○石井章君 日本維新の会・希望の党、石井章でございます。  本日は、三名の参考人の皆さん、貴重な御意見、ありがとうございます。また、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  まず、私からは川田参考人にお伺いをしたいと思います。  今回の改正案につきましては、調査協力のインセンティブを高める課徴金減免制度の改正内容が中心となっておりますけれども、法の改正後の施行と合わせて、規則において秘匿特権を実質的に認めていくとするということも併せて併記されております。その中で、経済界から要望の強い弁護士とのやり取りについて、それらを利用する社内調査文書については、判別官を新設して弁護士とのやり取りを認めると、そしてそれらの内容を返却するものとするということになっています。  しかし、同じ公取の組織の中で、その線引き、秘匿が確保されているものについては、私も疑念を払拭することができないわけでありまして、その点についてどのようにお考えか。  また、政府は、課徴金の減免申請を行わなかった場合については秘匿特権を認めない方向ということになりますけれども、その辺を、あればお伺いしたいと思います。
  60. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) ありがとうございます。  まず、秘匿特権の判別官が、これは秘匿特権の対象でないという場合の措置についてでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、行政事件訴訟法上の取消し訴訟の対象になるという整理をいただきましたので、まずそれで司法の判断は少なくとも入るという整理をいただいたのかなというふうに思っております。  それから、先ほどの減免の趣旨は、済みません、ちょっとどういう御趣旨だったのか。
  61. 石井章

    ○石井章君 課徴金の減免制度の内容についてのお考え。
  62. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) 課徴金の減免制度につきましては、先ほど申し上げたように、調査協力、実態解明に資する内容だということで、今回の課徴金減免制度については賛成をしたいと思います。  ただ、秘匿特権の関係で、先ほど先生おっしゃるように、この減免申請をしない事業者の秘匿特権をどうするかという問題が残っておりますので、これは引き続き私ども事業者としては公正取引委員会にお願いを申し上げていきたいと、このように考えております。  以上でございます。
  63. 石井章

    ○石井章君 ありがとうございます。  引き続き川田参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、独禁法の手続保障に関して残る大きな課題の一つが、調査事案の関係者に対する供述聴取手続における防御権の整備ということになると思いますが、欧米などでは認められている供述聴取時の弁護士の立会いはもとより、供述聴取過程の録音、先ほどから出ていますけれども、録音、録画といったことが認められるべきだと私は思っておりますけれども、少なくとも任意の供述聴取においては早急な改善が必要ではないかと思います。  経団連としても同様に要望されている中で、直ちに録音や録画が認められないとした場合に、当面の対応として供述聴取時のメモ取り、さっきも出ていましたメモ取りなどを認めることを要望されておりますが、そのほかにどのようなことが可能であるか、現場の担当としてどのようなことが可能であるか、お伺いしたいと思います。
  64. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) ありがとうございます。  今回の改正におきましては、聴取後のメモ取りについてはこれは構わないという整理をいただいております。ただ、私どもお願いしていますのは、先ほど先生御指摘のとおり、録音であるとか録取であるとか、あるいは弁護士の立会いであるとか、あるいは供述聴取時のメモの許可をいただくということをお願いしているわけでございますので、それが認められなかったことについては非常に残念に思っております。  ただ、先ほど申し上げましたとおり、今度協力型の事件処理になりますと、従業員への供述調書というのはむしろ減ってくるのかなと。むしろ、会社側がきちっと当該従業員に対して調査をし、それを記録を残し、それを公正取引委員会に提出するということになりますので、もちろん弁護士も立ち会うわけでございますので、そうなりますと、先ほど申し上げた公正取引委員会による供述調書の在り方というのは、その重要性あるいは頻度というのは減ってくるのかなという思いがしておりますので、そういうものに期待をしたいと考えております。  以上でございます。
  65. 石井章

    ○石井章君 前向きな答弁ありがとうございます。  また引き続き川田参考人なんですけれども、課徴金について、改正案では、従来は減免が認められなかった申請順位の下位のものでも対象に加わるということであります。実態解明に役立つ協力があった場合には課徴金を上乗せして減らす、そして、今後の課題は減額幅を決める基準作りなどとなるわけであります。  しかし、改正案ではどの程度の協力で減免率が上乗せされるのかというのは基準がまだ明確でないと、不透明であることが非常に危惧する声も多いわけでありますが、順位別の減免については残されることとなりましたけれども、透明性を確保して企業の協力へのインセンティブなどを運用する基準とはどのようなものが理想なのか、具体的に経団連の立場としてそのイメージについて教えていただければと思います。
  66. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) ありがとうございます。  私どもは、先ほど申し上げましたように、重要なのは予見可能性、それから透明性、公平性というふうに考えております。  それで、具体的に申し上げますと、どのような証拠を集めるか、あるいはどのような手段によってそれを評価するのか、それがどのように公正取引委員会は御評価いただけるのかということを具体的に重ねていく、具体的にそれについての事例を詳しく列挙いただくということが多分私どもにとっては有り難い内容だなというふうに思っております。  以上でございます。
  67. 石井章

    ○石井章君 それでは、続きまして浦郷参考人と土田参考人に併せて、私、これ最後の質問なので簡潔にお答えいただきたいんですが、GAFAなどのデジタルプラットフォーマーが個人データを世界規模で寡占しております。それを消費者の同意なくターゲティング広告などに利用していることが国際的に今問題になっておりますが、国内でも様々な問題が顕在化しておりまして、昨年には、御案内のとおり、アマゾンジャパンが国内の食品や日用品メーカーに対して、同社の通販サイトで販売した金額の一%から五%を協力金として支払うようメーカーなどに強要するといった内容がありました。優越的地位の濫用にも相当する事案だと思います。  元々、日本の独禁法は、公正かつ自由な競争を促進する、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることということがうたっておりますけれども、市場の公正さを保つために、不当な取引制限、私的独占、不公正な取引方法などが規制されております。  しかし、GAFAなどが個人データを収集しているのは企業活動の結果であり、現在の独禁法で規制することは非常に難しいということになっております。また、SNSサービスやネット販売によって個人情報を集めることはデジタルプラットフォーマー以外の国内の企業ももちろん行っておりますが、規制は独禁法だけではなかなか対応できないと。  現在、政府もこれらの問題について、いろいろな問題を取り締まりながら今やっているわけでございますけれども、この問題は、申し上げることもなく非常に難しい問題であるということが言えると思います。  今後のデジタルプラットフォーマー対策の肝は何なのか、今の御両人の参考人に順次お答えいただければと思います。
  68. 浦郷由季

    ○参考人(浦郷由季君) 本当に現在、様々な方がインターネットを利用して商品を購入したりとかしています。デジタルプラットフォーマー、そういうところがあると本当に多くの商品やサービスを選ぶことができるということで、また、SNSなどではいろんな情報を得ることができるということで、消費者にとっては利益になる部分もたくさんあると思われます。  その一方で、やはり、先ほどもありましたように、個人情報を利用されたりとかデータを収集されてしまったりとか、そこのデータがどういうふうに利用されて管理されているのかというのも私たちの目に見えないところで行われているというところで、そこにはとても不安を感じます。  やはり消費者利益の確保ということを考えますと、これはもうグローバル社会で国際的に行われていることですので、そういうことも考えて、グローバルな観点からいろんなところと協力しながら、国際的にも協力しながら、規制が必要であれば今後のところで適切に規制を行っていくことが必要だと思っております。
  69. 土田和博

    ○参考人(土田和博君) ありがとうございます。  このデジタルプラットフォームの問題は、世界中いろいろ注目されているところでございます。  肝は何かという御質問でございましたけれども、私はスピードだと思います。その実態調査はしっかりする必要がある、実態調査はしっかりする必要があるけれども、このデジタル産業というのは非常に技術革新が速くて、企業のその事業の環境も物すごく速く変わるということで、重い課徴金を課すということも重要でないとは言いませんけれども、それよりも早く競争を回復する、もし問題があるのであればですね、ということが重要で、そのスピードが重要なんではないかというふうに思います。  今年の四月か五月だと思いますけれども、イギリスとそれからEUから二つ重要な報告書が出ました。どちらも言っていることは同じでありまして、重い制裁金を科すというよりも、こういう産業についてはいかに早く競争を回復することできるかということを考えるのが重要だということでございます。  日本でももちろん、これは経産省と公正取引委員会と総務省、三つの役所が中心になって検討がされてまいりました。あるいは、個人情報保護委員会や総務省の方でも検討がなされているというふうに承知しておりますけれども、慎重に実態調査はした上でいかに早く競争回復をするための措置がとれるかということだと思います。  そういう意味では、独禁法と、それから来年の通常国会だと思いますけれども、独占禁止法を補完する法律の新法を来年の通常国会に提出される予定だということを新聞などでは承知しておりますけれども、その法案の内容がどうなるかということで私も注目しているところでございます。  いずれにしましても、いかに早く問題があれば対処できるかということではないかと思います。
  70. 石井章

    ○石井章君 ありがとうございました。
  71. 岩渕友

    ○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。  三人の参考人の皆様、今日は本当にありがとうございます。貴重な御意見をいただいております。  まず、川田参考人にお伺いしたいんですけれども、陳述の冒頭に経団連の法令遵守についてのスタンスということでお話があったかと思うんですけれども、ただ、一方で、経団連の役員企業によるカルテルであるとか談合が後を絶たないという残念な事態が続いているという実態もあります。  独占禁止法違反を繰り返さないということで、経済界を挙げてカルテルや談合を根絶させる、なくす、そのために経団連が果たす役割というのは非常に大きいと、重いというふうに考えているんですね。それで、自浄能力を発揮して是非とも防止していただきたいという思いでいるんですけれども、参考人、いかがでしょうか。
  72. 川田順一

    ○参考人(川田順一君) ありがとうございます。  残念ながら、経団連会員企業における独禁法違反事件というのがあるのは事実でございまして、非常に残念に思っておりますが、経団連といたしましては、まずは、その独禁法を遵守するという独禁法の教育であるとか、あるいは独禁法改正になったときのその解説を、公正取引委員会の係員に出席いただいて、それを会員企業に知らせるであるとか、そのような活動をしておりますし、また、先ほど冒頭申し上げました経団連の憲章でございますけれども、これを会員各社に対しまして遵守しようという呼びかけ、これを毎年行っているという状況でございます。  ただ、先ほど申し上げたように、会員企業はそれをかみ砕いて今度は社内に展開するわけでございますけれども、経団連というよりも、各企業が責任持ってそのESG、CSRの観点から社内で起こさないという運動を起こすということが私どもは重要かなと思っております。  以上でございます。
  73. 岩渕友

    ○岩渕友君 ありがとうございます。  次に、浦郷参考人にお伺いしたいんですけれども、課徴金制度は違反行為を抑止するために導入をされたもので、先ほど来もあるように、そうはいっても基本算定率が原則一〇%ということになっていて、現行の制度では平均的な不当利得さえも徴収することができないと、こういう実態もあります。  今回の改正について、先ほど参考人が一歩前進だというふうにおっしゃられて、そういう側面もあると思うんですけれども、今後の課題として算定率を引き上げるということもあり得るのかなというふうに思うんですね。先ほど土田参考人からも、算定率もうちょっと上げてもよかったんじゃないのかなという御意見もあったんですけれども、この算定率を引き上げる必要ということについて、参考人、お考えがあればお聞かせいただければなと思います。
  74. 浦郷由季

    ○参考人(浦郷由季君) 今回の改正で随分課徴金の水準は高まったとは思っておりますけれども、やはり海外での課徴金が大分多額なものがあるというのも聞いております。ですから、この一〇%が十分であるとは思っておりません。  今回新たな制度になりましたら、その制度の運用状況を見てやはり引き続き検討していっていただきたいと思います。
  75. 岩渕友

    ○岩渕友君 ありがとうございます。  海外の話もありましたけれども、本当にちょっと大きな差があるのかなというふうに思います。  もう一問、浦郷参考人にお聞きするんですけれども、課徴金減免制度が適用をされた事業者について、制度がスタートした当初は申請者が公表してくれと言ったときにだけ名前の公表をしていたんですけれども、法の運用の透明性を確保するという観点で、免除事実と減額率などを一律に公表するということになりました。  その透明性を持った制度にするという観点から、調査協力減算制度の運用実績についても、事業者の同意があるかないかにかかわらず公開をして、実績を評価して検証に生かす必要があると思うんですけれども、参考人がどのようにお考えか、お聞かせください。
  76. 浦郷由季

    ○参考人(浦郷由季君) そこの透明性ということで公表ということですよね。  できるならば公表すべきと思います。大事なのは、違反を認めて協力して実態解明する、その後、やはりそこの事業者が自分たちの事業をどのように改善していくかというところだと思います。その後の事業者の姿勢かなというところも消費者はきちんと見ていると思いますので、そういう部分で、事業者名も含めて明らかにできるところは公表していただきたいと考えております。
  77. 岩渕友

    ○岩渕友君 この調査協力減算制度に関わる規定については、公正取引委員会がパブリックコメントを経てガイドラインを整備するというふうに聞いているので、国民の皆さんの意見をしっかり聞いて、やっぱり国民から見て透明性が確保されるということが重要だなというふうに、今の意見も聞いて改めて思います。  次に、土田参考人にお伺いするんですけれども、先ほど来出ているいわゆるGAFAと呼ばれる巨大なデジタルプラットフォーマーのデータ独占に関わってお伺いしたいんですけれども、欧州委員会がグーグルに対して、二〇一七年の八月には、検索エンジンによって市場支配的地位を濫用することで、自社の比較ショッピングサービスを違法に有利にしたということで二十四・二億ユーロの制裁金の支払命令を行うと。そして、二〇一八年七月には、スマホメーカーに対してアンドロイドOSと自社検索アプリやブラウザアプリの違法な抱き合わせを要求をして、市場支配的地位を濫用したということで四十三・四億ユーロの制裁金の支払命令を行うと。そして、二〇一九年の三月には、市場支配的地位を濫用して、競合他社が第三者のウエブサイトに検索連動型広告を掲載することを妨げたということで十四・九億ユーロの制裁金支払命令が行われています。  これを受けて、五月十四日付けの日本経済新聞の中で京都大学の川浜昇教授が、これらは、支配的地位をてこに隣接市場での競争を制限して、排他契約や抱き合わせを通じて参入などを阻止する行為であり、市場支配的地位の濫用の排除型に属すると、日本の独占禁止法上も規制されているというふうに書かれておりました。  EUで起きていることは日本でも同じことが起きているし、EUと同じように対応することができるんじゃないかなというふうに考えるんですね。  公正取引委員会が、情報は財だと、そしてデジタルプラットフォーマーと消費者の間に取引が生じていると、独占禁止法の対象になり得るんじゃないかということで、今、その考え方の整理であるとか実態調査が行われています。杉本公正取引委員長も、この間の雑誌であるとか新聞のインタビュー記事なんかを読みますと、優越的地位の濫用に当たるんじゃないかというふうにおっしゃっているんですけれども。  この優越的地位の濫用という言葉が出てくるわけなんですけれども、もちろんケースによると思うんですが、これに限らず、私的独占とかいろんなケースが考えられると思うんですね。これについてちょっと参考人の御意見を、見解をお聞かせいただきたいんですけれども。
  78. 土田和博

    ○参考人(土田和博君) ありがとうございます。  欧州委員会がグーグルに対しましては、今先生おっしゃったとおり三件決定を出して、制裁金も科しております。これは、欧州運営条約の百二条の禁止に違反したということで、市場支配的地位濫用ということでございます。市場に一定の、まあ八〇%、九〇%ですね、一定の市場において支配的地位を占めるグーグルが、他のより競争的な市場においてその力を濫用する、地位を濫用するということで、抱き合わせ等の行為、濫用行為があったということで、違反を認定して制裁金を科した、こういうことだと承知しております。  同じことが日本でできないのかという御趣旨かと思いますけれども、まさに先生がおっしゃるとおりケース・バイ・ケースということになるかと思います。  つまり、市場支配的地位濫用に相当する日本の独禁法の規定は私的独占というものでございます。これは、二条五項に定義がありますけれども、他の事業者の事業活動を支配する、あるいは他の事業者の事業活動を排除するという行為要件が入っております。ですので、対事業者に対してですね、そういうプラットフォーマーが対事業者に対して支配するとか排除するとかいうことがあれば適用する可能性はあるわけでございますけれども、消費者に対して、ユーザーに対して個人情報を不当に収集するということになりますと、これは相手方が事業者ではありませんので、そこのところは私的独占では適用できなくて、そして優越的地位濫用でいくしかないんだと思います。優越的地位濫用の場合は取引の相手方ということですので、要件的にはいけるということだと思います。  ただ、公正取引委員会は今まで消費者に対する優越的地位の濫用というのはやってこられていない、そういう形では公正取引委員会は事件取り上げておられませんので、今回もしも消費者、ユーザーに対する個人情報の収集を優越的地位濫用ということでやるとすれば、これはかなり画期的なことになるんではないかというふうに思っております。  お答えになったかどうかちょっと分からないんですけれども、以上です。
  79. 岩渕友

    ○岩渕友君 ありがとうございます。  次に、浦郷参考人と土田参考人にお聞きするんですけれども、いわゆる弁護士・依頼者間の秘匿特権についてお聞きしたいんです。  これまでになかった制度だということで、今後、本制度の対象範囲の拡大について早急に検討するというふうになっているんですね。ただ、その今後の在り方として、先ほどお二人からも、運用を見てという御意見もありましたし、慎重にという御意見もあったかなというふうに思うんです。  今後の在り方として、拡大ありきということではなくて、検証そして総括がまず必要なんじゃないかなというふうに思うんですけれども、どのようにお考えか、お聞かせください。
  80. 浦郷由季

    ○参考人(浦郷由季君) 先ほども申し上げましたように、やはり欧米の方で秘匿特権が一般的な権利として法全体で認められているというところで、そのようになった場合、やはり悪質商法のところでそういうのが濫用されてしまって消費者被害の回復が遅れたりとか、本当、私たちの生活に悪影響が出ると思います。  やはり欧米の方では、消費者の権利救済の仕組み、例えばクラスアクション制度とか三倍額訴訟制度というものが整備されているということを聞いております。その意味でバランスが取られているということですので、今後、拡大していくという場合には、やはり法全体のところでのバランスというのをきちんと見ていただくということが重要ではないかなと思います。  本当に消費者関連の法律の方にも影響が及ぶようなことになりますと消費者の権利が損なわれることになりますので、そこら辺を慎重にということでお願いしたいと思います。
  81. 土田和博

    ○参考人(土田和博君) ありがとうございます。  この不当な取引制限の行政調査に対してだけ秘匿特権が導入される予定だということだと承知しております。それを独禁法の中でも私的独占とか不公正な取引方法というところまで広げていくのか、あるいはもう独禁法だけではない他の法令にも広げていくのか、いろいろどこまで広げるかという議論はないわけではないと思いますけれども、今先生おっしゃったとおり、私は、この不当な取引制限に導入されて、そしてどういう運用がなされるかということを慎重に見ていく、その上で判断するということが必要ではないかというふうに思っております。
  82. 岩渕友

    ○岩渕友君 ありがとうございました。  以上で終わります。
  83. 浜野喜史

    ○委員長(浜野喜史君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時五分休憩      ─────・─────    午後一時十五分開会
  84. 浜野喜史

    ○委員長(浜野喜史君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、磯崎仁彦君、徳茂雅之君及び辰巳孝太郎君が委員を辞任され、その補欠として足立敏之君、宮本周司君及び武田良介君が選任されました。     ─────────────
  85. 浜野喜史

    ○委員長(浜野喜史君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、公正取引委員会事務総局経済取引局長菅久修一君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 浜野喜史

    ○委員長(浜野喜史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  87. 浜野喜史

    ○委員長(浜野喜史君) 休憩前に引き続き、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  88. 真山勇一

    ○真山勇一君 立憲民主党・民友会・希望の会の真山勇一です。どうぞよろしくお願いします。  早速、今日の独占禁止法改正案の質問に入らせていただきます。  先日の委員会での答弁の中で、これまでの法改正、それから強化ということで独禁法の運用は機能しているという答弁があったと思うんですけれども、今日午前中に参考人をお呼びしていろいろ御意見を伺いましたけれども、その中で、今後の運用を見ていかないと分からない、あるいは課徴金が少し安過ぎるのではないかなどといういろんな意見が出ましたけれども、おおむね評価をされているという印象を受けました。  そういうことで、まずお伺いしたいんですが、今回の法改正で、いわゆるなかなかなくならないカルテル、談合、こうしたものを防ぐ、防止する効果というのがあるかどうか、どのぐらいの期待を掛けておられるか、まずこれから伺いたいと思います。
  89. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 独占禁止法の課徴金制度は、昭和五十二年に導入をされまして、平成十七年の独占禁止法の改正による現行の課徴金減免制度の導入を含め、数次の改正が行われております。その運用につきましては、例えば平成二十六年度から平成三十年度までの五年間では、延べ二百四十一業者に対して計約三百七十億円の課徴金納付命令を行い、課徴金減免制度の導入以降、平成三十年度末までに三百四十八事業者に対して課徴金減免制度が適用されております。このように課徴金制度は全体的には機能しているものと承知をいたしております。  他方、現行の課徴金制度は、一律かつ画一的に算定、賦課されるため、事業者による調査協力が促進されず、また違反行為の実態に応じた適切な課徴金を賦課することができない場合が生じております。そのため、事業者が公正取引委員会の調査に協力するインセンティブを高め、また、事業者の経済活動や企業形態の変化が進む中で、多様化、複雑化した独占禁止法違反行為に対しても適切な課徴金を課すことができる制度とする必要があります。  今回の本法案によりまして課徴金制度等を見直すことによって、独占禁止法違反行為が一層抑止されると考えております。そして、これにより、独占禁止法の目的規定にもあるとおり、公正で自由な競争による我が国経済の活性化と消費者利益の増進が図られるというふうに考えております。
  90. 真山勇一

    ○真山勇一君 やっぱりこれから公取の方も、今回の改正でより効果的な調査ができるということで期待を掛けているんじゃないかというふうに思うんですが。  それでは、早速、課徴金制度の方から質問をさせていただきたいと思うんです。具体的に、いろいろ数字もありますので、間違えるといけないので、お配りしております資料を御覧いただきたいと思います。公取で出されている数字なんですけれども、これを見ながら質問させていただきたいというふうに思っております。  まず、今回の改正で、課徴金制度の業種、これが一本化されると伺っております。ということは、この表で見ますと、この上の表ですね、分類が上のところに、製造業等、小売業、卸売業と書いてありますが、これが一本化されるということは、この製造業等というところに集約されるというふうに理解しておりますが、それでよろしいんでしょうか。
  91. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) これまで小売業と卸売業に対する算定率は、これらの業種が取引を媒介し、それに対する手数料的なものとして対価を受けるという側面を持ち、結果として利益率が小さくなる特色があることなどを踏まえ設定されたものであります。  しかしながら、近年では、事業活動の多様化に伴い小売業、卸売業とその他の業種との相違が不明確になりつつあります。また、大規模な企業グループに属している違反行為者の場合、企業グループ内の他の事業者が製造した商品を購入して第三者に転売しているなど、実態としては製造業と言える者がおります。それにもかかわらず、卸売業として低い算定率が適用されてしまい、違反行為の抑止として十分でない場合があるものと承知をいたしております。  そのため、業種別算定率は廃止し、基本算定率一〇%に一本化することといたしております。
  92. 真山勇一

    ○真山勇一君 確かに、本当に現在のところを見ていると、やはり事業、ビジネスというのが非常に変わってきているというふうに思いますので、どれが製造業でどれが小売業、いろんなことをやっている業態があるというふうに思うので、この一本化というのはそれなりの理由があるかなというふうに考えております。  それと同時に、課徴金の算定期間が現行は三年ということが、これが十年前まで遡るというふうに今回改定されるということなんですが、十年前まで遡るその理由ですね、それをまず説明していただきたいのと、十年前までその証拠を集めるというのはなかなか大変じゃないかと思うんですが、この辺りはどんなふうに考えておられるか、お願いします。
  93. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 現行の課徴金の算定期間は、平成三年の独占禁止法改正における課徴金の基本算定率の引上げの際に三年間とされました。これは、当時、それまでの課徴金納付命令対象事件の実行期間が平均して一年二か月であり、三年を超えるものは例外的であって、算定期間を限定しても抑止力は低下しないこと等が総合勘案されたものであります。  他方、近年、措置がとられた事件で見ますと、違反行為期間の平均年数は約四年となっているものと承知をいたしております。また、五年を超える事件も少なくなく、中には十年近い事件も存在するものと承知いたしております。このように違反行為期間が長期化していることから、算定期間について最長十年まで調査開始日から遡れることといたしました。  この十年という期間を設定いたしましたのは、違反行為期間が十年近い事件が存在することのほか、商法や会社法等のほかの法律で帳簿書類の十年間の保存義務が課されていること、これを踏まえたものであります。
  94. 真山勇一

    ○真山勇一君 やっぱり、算定するにはそれの基になるものがないとなかなか難しいということだと思うんですね。十年間そういうものが保存してあれば、それを基に算定できるというふうに考えられるということだと思います。分かりました。  それで、もう一回また資料の表に戻っていただきたいんですけれども、その課徴金の基本算定率は原則一〇%、これは一〇%のままで改定をされないということですけれども、現行のこの算定率、不当利得がこれで正しく罰金という形で取れるのかどうかという意見があります。今回、午前中の参考人の中でも、やっぱりこれではちょっと少ないのじゃないか、算定率がもう少し高くあるべきではないかというような意見も出たんですね。  その辺を踏まえて、その算定率を今回一〇%据え置く形に、改定しなかったその理由を説明してください。
  95. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 課徴金の基本算定率は、カルテルや談合などの独占禁止法違反行為によって違反事業者が得る不当な経済的利益、すなわち不当利得をベースとして違反行為の抑止に必要な割合を定めているものであります。  今般の課徴金制度見直しに当たりまして、過去に公正取引委員会が措置をとった事例における不当利得の推計を行った結果、平成十七年の独占禁止法改正におきまして算定率を六%から一〇%に引き上げたときと比較いたしまして、不当利得相当額の推計値が増加したような状況は認められませんでした。  具体的には、平成十七年改正時の推計平均値が約一六・五%であったのに対しまして、平成十六年から二十六年度措置事案における推計平均値は約一三・五%というふうになっております。今回はこのため基本算定率の一〇%は維持しているということであります。
  96. 真山勇一

    ○真山勇一君 そうすると、やはり、意見の中には不当利得をなかなかこれではそれにふさわしい金額を課すことができないんではないかということが、そういう意見も強いようですけれども、それについてはどんなふうに考えておられますか。
  97. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) 御指摘のように、その課徴金の水準をどう考えるかということでございますが、この法案によりましては、算定期間を三年から十年に延長するということにしておりますし、算定基礎を追加する、それから軽減算定率の廃止、こういうことを行っておりますので、これにより、課徴金制度全体としての違反行為の実態に応じたより適切な課徴金を賦課することができるようになると考えておりまして、違反行為に対する抑止効果は高まるものであると考えておるところでございます。
  98. 真山勇一

    ○真山勇一君 やっぱりやり得になってはいけないので、その辺りをどういうふうにこの不当利得の回収の金額を算定するかというのは大事な点だというふうに思います。これが機能的にやれることを期待したいというふうに思っておるんですけれども。  同様に、この表で見ますと、中小企業の方のですね、中小事業者というふうに書いてありますが、中小事業者に対する算定率というのはここに書いてあるこの四%ということでよろしいのか、これも改正されないで四%なのか、それからその理由というものを説明していただきたいと思います。
  99. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 中小企業算定率は、平成三年の独占禁止法改正時に、課徴金を一定率引き上げると小規模企業等にとって相対的に大きな経済的負担が課されること等を踏まえ、通常の算定率を軽減する制度として設定されたものであります。  その適用対象が資本金の額及び従業員の数によって判断されることによる問題点を解消するため、本法案におきまして、実質的な中小企業に限定して中小企業算定率を適用する規定に改正をすることといたしました。  近年の独占禁止法の執行におきましては、大企業グループに属する違反事業者であっても中小企業算定率が適用される事案が見られております。他方で、中小企業を取り巻く経済環境は依然として厳しい状況にあると承知しています。また、課徴金納付命令の対象となった事業者の総売上高に占める課徴金の額の比率は、大企業に比べて中小企業の方が高くなっております。  したがいまして、軽減された算定率による課徴金であっても、中小企業に対する違反抑止効果は相対的に見て機能していると考えられます。これらを踏まえ、中小企業算定率自体は維持することとしているわけであります。
  100. 真山勇一

    ○真山勇一君 それから、ちょっと細かいことなんですけれども、このお配りした資料を見ていただくと、現行制度のところの算定率の下のところに、括弧内は中小事業者に対する算定率と書いてありますね。中小事業者に対する、事業者ということになっているんですが、この場合のこの中小事業者というのは、実は中小企業基本法を見てみますと中小事業者という言葉はなくて中小企業者と書いてあるんですが、これ、違いはあるんでしょうか。それとも同じ意味だというふうに解釈してよろしいんでしょうか。
  101. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  独占禁止法におけます中小企業、この中小事業者、これは中小企業基本法等と同様に規定されております。違いはないということでございます。
  102. 真山勇一

    ○真山勇一君 そうすると、言葉で中小事業者と書いてあるけれども、基本法で言う中小企業者と同じ意味であるというふうな解釈でよろしいんですね。もう一回確認です。同じですね。
  103. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  同じでございます。独占禁止法ではどうしても事業者という言葉が出てくるものですから、こういう資料でこういうふうに書いておりますが、中身としては同じでございます。
  104. 真山勇一

    ○真山勇一君 やっぱり細かいことですけれども、何か書いてあるのが違うと中身が違っちゃうのかなというのが気になることもありますので、確認をさせていただきました。  あと、今度は資料の下の表、見直しの内容の方へ移りたいというふうに思うんですが、この減免制度、課徴金の減免申請では、右が現行制度、左が今度改正後の新しい制度になるわけですが、大きく違うのが、この協力度合いに応じた減算率というのが新たに加わった。より細かく的確な、きっとこの課徴金を、減算のことをやるということでこうした対応が取られたというふうに思うんですけれども、この協力の度合いの基準ですね。この辺りが、最大四〇%、それから事件後ですと最大二〇%というふうになっておりますけれども、この辺り、基準の考え方というのはどういうものであって、それはいつ示されるのかどうか、その辺りを具体的にお答えいただきたいというふうに思います。
  105. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) 御指摘の調査協力減算制度につきましては、公正取引委員会が本法案の施行までに減算率の評価方法や評価基準に関するガイドラインを整備するということを考えております。その際、運用の透明性、事業者の予見可能性の確保という観点は大変重要と考えております。ガイドラインにおいては、調査に協力するインセンティブを高めるという目的に照らしまして、また、運用の透明性及び事業者の予見可能性を高めるという観点から、事業者の提出資料等の内容等によりまして事件の真相解明に資する程度を評価すること、また、その評価方法を分かりやすく明らかにしてまいりたいと考えております。  また、本法案が成立した場合、課徴金減免制度の改正規定について、改正公布後一年六か月を超えない範囲内において政令で定める日に施行されることになっております。ガイドラインについては、この施行までの間に、周知期間を確保することも考慮しながら、パブリックコメントを実施した上で策定していくことを考えておるところでございます。  今回導入する調査協力減算制度では、事業者と公正取引委員会の間で協議する仕組みを置いております。この協議におきまして、公正取引委員会は、事業者の協力内容を十分確認しまして、事業者との間で協力の内容及び減算率について共通認識を形成した上で合意することとなると考えております。  このように、調査協力減算制度に資するガイドラインを整備するとともに、事業者の間で共通認識を形成した上で運用することとなるため、御指摘のような懸念は生じないものと考えております。
  106. 真山勇一

    ○真山勇一君 今ガイドラインという言葉が出てきましたけれども、その協力度合いを測るのはそのガイドラインに基づいてということになりますけれども、もう少しお伺いしたいんですが、そのガイドラインというのは具体的にどんなようなものを例えばガイドラインということで見ていくのか、この辺りを具体的にちょっと教えていただきたいと思います。
  107. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) ガイドラインの具体的な内容についての御質問だと思います。  ガイドラインの具体的な内容につきましては、違反行為の対象に関するもの、どういった違反行為、違反行為の対象はどういうものになっているか、それから違反行為の態様、違反行為がどういう態様、カルテルなのか談合なのか、そういったもの、それから違反行為の内容に関するもの、どういう合意があるかとかそういうことでございますが、そういうもの等が評価対象になる事項でございます。  こうした事項につきまして、事件の真相究明に資するかという観点から、それらの全てについての情報が具体的かつ詳細に含まれている事実や資料を提出する場合には、調査開始日の減免申請者であれば先生の提出した表にございますような四〇%、調査開始日以後の減免申請者であれば二〇%という法定された最大の減算率になることになります。他方、一部の事項に関して資料の提出のなかった場合や事実の報告が不明確だった場合には、その内容に応じまして減算率は最大よりも低くなることになります。  こういうことにつきましても、それらの具体例、具体的に、今までの具体例で、どういうものであればどういうものになるかということを具体例を示すことにより、分かりやすく示したいと考えておるところでございます。
  108. 真山勇一

    ○真山勇一君 是非、その具体例で分かりやすく示すということは大事だと思います。公正さ、それから透明性ですね、そうしたものをどうやって保つかという意味で大変大事じゃないかというふうに思うんですが、そういうことで難しさもあると思うんですね。  課徴金の算定基礎となる売上げの情報ですけれども、これもどこまで、公正取引委員会が何に基づいてその売上額の情報を推計していくのかということもありますけれども、こうしたことで、この運用がどうしても、柔軟で弾力的な運用ができるという反面、その分今度は、今回のこの改定で、公正取引委員会側の恣意的にというか、そうした面も心配される懸念が出てくるわけですね。  こうしたことが強まるのではないかという懸念についてはどんなふうに考えておられるでしょうか。
  109. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) 先ほど申しましたように、課徴金の減免制度における調査協力減算の例につきましては、ガイドラインにつきましては、先ほど申し上げましたように、具体的に透明性のある形でガイドラインを公表しようと思いますので、そこに恣意的な余地が入らないようにしたいと考えておるところでございます。  それから、課徴金の算定の基礎になる売上高の情報に推計規定が入るということもございますが、この推計方法については、例えば税法による推計規定の運用を参考にすることを検討しております。  例えば、違反事業者本人や関係する他の事業者の違反行為に係る取引実績や生産量、販売量、その他の取扱量、その他事業の規模等を用いて、合理的かつ適切に近似する数値を推計することを想定してございます。具体的な推計方法については、運用の透明性や事業者の予見可能性を確保するため、公正取引委員会の規則で明確に定めることとしております。  したがいまして、こうした推計に当たりましても、公正取引委員会の恣意的な裁量が入るというか、余地はないものであると考えておるところでございます。
  110. 真山勇一

    ○真山勇一君 この辺りは、これを決めるに当たって、例えば事業者との関係でいうと、どうなんでしょうか。事業者からいろいろな意見が出されたり、あるいは注文が出された、あるいは不満が出されたということになった場合、こうしたことについての協議というか話合い、そういうことなどは考えておられるんでしょうか。
  111. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) そうした推計値を求めるに当たりましても、事業者から資料を出していただきまして、事業者と十分なコミュニケーションを図ってその推定値を算出するということになると考えておるところでございます。
  112. 真山勇一

    ○真山勇一君 それから、次へ行きたいと思うんですけれども、よく言われることで、つまり罰金として、罰として科せられる金額の話なんですけれども、日本では刑事罰のいわゆる罰金とそれから課徴金、いわゆる併科、両方とも科せられるということがあるわけですね。  例えば、アメリカの場合は刑事罰のみしかないと。それから、EUの場合は課徴金、行政制裁金というふうに呼ばれていますけど、この課徴金しかないということなんですね。両方の、刑事罰でも罰金がある、それから課徴金も掛けられるという、いわゆる併科というのがあるのは日本のシステムということなんですけれども。  これについては、二重に処罰、罰則を受けるということになるので、ちょっとこの辺は問題ではないかという疑念、疑義が指摘されているわけですけれども、この辺りの考え方はどういうふうに見ておられるんでしょうか。
  113. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) 課徴金制度が導入されましたのは昭和五十二年でございますが、その昭和五十二年の独占禁止法改正の際にも、課徴金と刑事罰の併科に関しまして、二重処罰の関係についての議論があったと記憶しております。  しかしながら、刑事罰というものは、違反者の不正行為の反社会性、反道徳性に着目して、これに対する制裁として科されるものでありまして、道義的な非難というものを目的とするものでございます。  これに対しまして課徴金は行政上の措置でございますが、違反行為を抑止するために、独占禁止法の定める手続に従いまして、違反事業者に対して金銭的不利益処分を課すものでございます。違反行為に対する経済的利得を徴収することによって違反行為抑止の実効を図るというものでございます。  したがいまして、このように、課徴金と刑事罰とは趣旨、目的、手続を異にするものでございまして、刑事罰と併科しましても二重処罰の問題に当たるという憲法上の問題を生じるものではないと考えております。この点は、今までも裁判所の判決においても示されている考え方でございます。
  114. 真山勇一

    ○真山勇一君 分かりました。  それから、次の質問なんですが、これは今回の改正とは直接は関係しないんですけれども、もう一回その資料の上の方の表を見ていただきたいんですが、一番下のところに不公正な取引方法ということで、(優越的地位の濫用)というのがありますね。これは一%ということになっております。  お伺いしたいのは、最近ちょっとコンビニのことで優越的地位の濫用ということが非常に言われてきております。下請企業ならばこの優越的地位の濫用というのは比較的はっきりと適用がされるというふうに理解しているんですけれども、そうでない場合、優越的地位の濫用というのはなかなか難しいというふうに伺っております。  最近、この独占禁止法の中で課徴金が課せられた例というのはどんなものがあるか、ちょっと具体的に教えていただきたいと思います。
  115. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) 優越的地位の濫用に関しましては、これが課徴金の対象となりましたのは平成二十二年一月でございまして、それ以降の事案に関しては課徴金が掛けられることになっております。  その平成二十二年一月の優越的地位の濫用が課徴金制度の対象となった以降で見ますと、スーパーマーケット、家電量販店、玩具量販店による納入業者に対する代金の減額や、納入業者の従業員を店舗に派遣させていた、商品の陳列等の作業を行わせるといった行為に対しまして、合計五件の課徴金納付命令を課したところでございます。また、課徴金納付命令以外にも排除措置命令や警告など、優越的地位の濫用に対して積極的な法執行を行ってきております。  先生御質問のコンビニに関しましても、これは課徴金導入の前でございますけれども、優越的地位の濫用を適用した例がございます。  今後とも、公正取引委員会としましては、優越的地位にある事業者がその取引の相手方に不当に不利益を与えるような独占禁止法違反行為に対しては厳正に対処してまいりたいと考えております。
  116. 真山勇一

    ○真山勇一君 この委員会でも取り上げられているコンビニのいわゆるフランチャイズ方式に関しては、何となく私の印象では、公正取引委員会がコンビニに対して優越的地位の濫用というのを適用するのは非常に慎重な感じがしておりますけれども、やっぱり現在のいろんな情勢見たり、それから客観的に見ていても、その優越的地位の濫用というのは比較的そういう感じではない、まあ感じで適用しちゃいけないんですけれども、そういう形が強まっているような気がするんですが、この辺り、優越的地位の濫用というのをもう少ししっかりと、これからいろんなビジネス、企業の形が変わってきていますので、これを適用するかしないかというのはとても私は大事なことだと思うんですけれども、その辺りのいわゆる意気込みはどういうふうに持っておられるでしょうか。
  117. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) 先ほど御答弁いたしましたように、コンビニに対しましても、これは平成二十一年でございましたが、フランチャイズチェーンの加盟店が経営するコンビニストアで廃棄された商品の原価相当額の全額が加盟店の負担となる仕組みの下で、推奨商品のうちデイリー商品に係る見切り販売を行おうとし、また行っている加盟者に対して、見切り販売の取りやめを余儀なくさせ、もって、加盟者が自らの合理的な経営判断に基づいて廃棄に係るデイリー商品の原価相当額の負担を軽減する機会を失わせていたという案件について対応したところでございます。  現下の情勢でいろいろフランチャイズチェーンについて御指摘もございますし、問題点の指摘もございます。私どもとしましては、個別の案件について具体的にコメントするわけではございませんが、その優越的地位にあるコンビニのフランチャイザーの方が具体的に正常な商慣習による利益でないような不当な不利益を課していると認められる場合には、優越的地位の濫用になりますので、そういう案件に関しては厳正に対応するという姿勢は従来から貫いているところでございます。
  118. 真山勇一

    ○真山勇一君 ありがとうございました。  それでは次に、秘匿特権について伺いたいというふうに思います。  今回導入された新しいシステムですけれども、やっぱりこの秘匿特権については非常に様々な議論がこれまでにもされてきて、まあここへ来てようやく導入というか、こういうふうに新しい改正案の中に出てきたということだと思うんですが、その中で、まずちょっと伺っておきたいのは、今回カルテルだけに限定されているということですけれども、その理由について伺いたいと思います。
  119. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 独占禁止法で禁止しておりますカルテル等の不当な取引制限は、秘密裏に行われるものであって、物証が乏しく、違反事実を明確に示すようなものを得ることは困難であります。こうした不当な取引制限に固有の事情に鑑み、今般の法改正によって課徴金減免制度が見直されることとなれば、調査協力を行うか判断するために、また、調査協力を効果的に行うために外部の弁護士に相談するという事業者のニーズがより高まると考えられます。  本制度は、このようなニーズに対応し、新たな課徴金減免制度をより機能させる等の観点から整備するものであるため、その対象を同制度の対象違反行為であるカルテル等の不当な取引制限の行政調査手続としていると承知しております。  我が国では、いわゆる秘匿特権を認める明文上の規定はなく、このような中で、今般の法改正に合わせて、独占禁止法上の固有の事情に鑑み、カルテル等の不当な取引制限の行政調査手続に限定したものというふうに承知をいたしております。
  120. 真山勇一

    ○真山勇一君 行政手続に限定してということでしたけれども、ただ、これ、どうなんでしょうか。例えば、やっぱり協力してもらう、業者に協力してもらうということから見ますと、やっぱりこうした、まあ秘匿特権といいますかプライバシーというか、調査に関係のないところの部分については秘匿特権を掛けるということを、これをもう少し広い範囲でやるべきではないかというような見解、意見もあるんですけれども、この辺りについてはどんなふうに考えておられるでしょうか。
  121. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) いわゆる弁護士・依頼者間秘匿特権が導入されることによりまして事業者が弁護士に安心して相談することで、結果として事業者のコンプライアンスの向上が期待されるという意見がある一方、証拠となり得る物件を使えなくなりまして、公正取引委員会の実態解明機能、真実発見機能を阻害するといった懸念も示されているところでございます。  今般の独占禁止法改正法案に当たりまして、新たな課徴金減免制度が導入されますと、事業者が調査協力を効果的に行うために外部の弁護士に相談するニーズがより高まると考えられます。  本制度は、このようなニーズに対応いたしまして、新たな課徴金減免制度をより機能させる観点から整備するものでございますので、その対象を同制度の対象違反行為であるカルテル等の不当な取引制限の行政調査手続と考えているところでございます。このため、不当な取引制限以外の独占禁止法に関する弁護士との相談は、本制度の対象とはなりません。  しかしながら、公正取引委員会や審査官は、不当な取引制限の行政調査におきましても違反被疑行為に関する資料の提出を求めることになりますが、調査に必要のない不当な取引制限以外の違反行為に関する事業者と弁護士との間の通信を記載した物件は、通常、提出を求めることはないと考えられます。  そういったことで、この制度はスムーズに運用できるんじゃないかと考えているところでございます。
  122. 真山勇一

    ○真山勇一君 ただ、やっぱり、じゃ調査に必要なものかどうかといういわゆる仕分ですね、これ初めて導入されるということで、これからだと思うんですが、その辺りの仕分というのは、例えば必要なものかどうかという仕分はどんなふうにしてやることになるんでしょうか。
  123. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) この制度の適用につきまして、この制度の適用を求める物件については、公正取引委員会の審査官が提出命令の際に内容を確認せずに、判別官、判別する者でございますが、所定の手続により一定の条件を満たすものかどうかを確認することになると考えております。  この判別官が行う判別手続については、迅速に処理するためには、独占禁止法の実務に精通した公正取引委員会の職員により実施することが適当だと考えております。  その上で、その判別手続の中立性、公正性を確保するために、判別手続は、事件調査を担当する審査局の職員ではなく、事件調査に関係ない官房の職員が実施することを考えているところでございます。また、調査に従事したことのある職員は、自らが従事した事件の判別手続にも従事しないなどのことを考えております。さらに、判別手続を実施する職員には、弁護士等の法曹資格を有する人材を充てることも含めて検討していきたいと考えているところでございます。  このように運用することを考えておりまして、こうした運用は今後整備する規則、ガイドライン等で明らかにすることにいたしますが、そういうことによりまして、判別手続の中立性、効率性というものを確保してまいりたいと思っているわけでございます。
  124. 真山勇一

    ○真山勇一君 新しい制度なので、これからどういうふうに運用していくかということになると思うんですけれども、ただ、やっぱり今回この秘匿特権が導入されたということでは、少し世界標準というんですか、これに近づいたのかなというふうなことも言えますけれども、その辺の評価ですね。今回の改正で独占禁止法というのが、このグローバル化の時代を迎えて、世界標準と比べてどんなふうなところまで行っているかという評価をしているか、最後にお聞かせください。
  125. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) 世界的には、制度の違いがございまして、諸外国、欧米では判例法によりまして弁護士の秘匿特権ということが確立してきたと思っておりますが、これは司法制度全体に通ずる話でございます。  それに対しまして、我が方の司法制度、行政調査の制度においては、明文で、成文で秘匿特権を規定したものはございませんでして、我が方の司法制度、行政調査制度の全般として秘匿特権を認めることには現在はなっていないと思います。  そうした中で、今回、独禁法の手続において、いわゆるこういう秘匿特権を実質的に不当な取引制限について確保しようということにしたわけでございますけれども、それは、先ほどから申し上げているように、今回の協力減算制度等も導入しまして課徴金の減免制度を改正することにおきまして、弁護士さんからの相談というものが非常に必要になってくる事態が考えられるわけでございますので、そういったことに対して対応しようというものでございます。  そういった意味で、このところに実質的に秘匿特権というものが担保をされるといいますか、この限りにおいてできるわけでございますので、そういう意味では、国際的な要請にできるだけ知恵を出して対応しようとしているというふうにも評価していただいてもいいんじゃないかと思っております。
  126. 真山勇一

    ○真山勇一君 時間になりました。  ありがとうございました。終わります。
  127. 浜口誠

    ○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠でございます。  今日は、宮腰大臣、杉本委員長を始め御対応いただきましてありがとうございます。  私からも、独禁法に関連しまして質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、課徴金制度に関してお伺いします。  課徴金制度、欧米諸国の課徴金制度と日本の課徴金制度、今回見直しは図られますけれども、どんな違いが主な違いとして現状あるのか、その点と、あわせて、日本の課徴金制度はこういう利点、メリットがあるんだと、ここは欧米と違って、いいところなんだというところがありましたら、今回ですね、御説明いただきたいなと思います。
  128. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 欧米等の諸外国で採用されている制裁金等の制度は、当局に広範な裁量を認め、個別の違反行為の内容や違反行為者の事情等に対応して、違反抑止のために必要な制裁金等を事案に応じて賦課する仕組みとなっております。  他方、我が国の独占禁止法における課徴金制度は、一律かつ画一的な算定方式により算定、賦課する非裁量的なものとなっておりますが、これによりまして、比較的簡明な制度として課徴金の額の算定に当たっては機動的、効率的に運用できるという利点があるものと考えております。
  129. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございました。  今委員の皆さんのお手元に現状の課徴金制度の概要をお配りしています。いろんな違反行為がこの課徴金制度の中には含まれておりまして、算定率も違うと。大きく言うと四つあるんですね。不当な取引制限と、あと支配型の私的独占、あと排除型の支配独占、そして不公平な取引方法。  それぞれ、どういった定義でこの四つが分類されているのか、分かりやすくそれぞれの定義を御説明していただきたいと思います。
  130. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  不当な取引制限、私的独占、そして不公正な取引方法ですが、これらはそれぞれ独占禁止法二条に規定をされております。  不当な取引制限は、事業者が、他の事業者と共同して、価格の引上げや生産、販売数量等について他の事業者と合意し、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいいまして、いわゆるカルテルや入札談合がこれに当たるというものでございます。  また、私的独占は、事業者が、単独であるか、他の事業者と結合、通謀してであるか、どのような方法であるかは問わず、他の事業者の事業活動を排除したり、支配したりすることで、一定の取引分野における競争を実質的に制限する行為を私的独占と申します。  こうした行為のうち、事業者が、不当な低価格販売や排他的取引等の手段を用いて競争相手を市場から排除したり、新規参入者を妨害して市場に入れないようにする、そうした行為は排除型私的独占と呼ばれておりまして、一方、事業者が、役員の派遣でありますとか取引上の地位の不当利用などによって、他の事業者の事業活動についての自主的な決定ができないようにして自己の意思に従わせる、そういった行為が支配型私的独占と呼ばれております。  また、不公正な取引方法は、取引拒絶、不当廉売、再販売価格の拘束、優越的地位の濫用、そうした公正な競争を阻害するおそれのある行為でありまして、課徴金の対象となるものは独占禁止法二条九項一号から五号に規定されておりまして、その他の行為は同項の六号に基づいて公正取引委員会が指定しているものでございます。
  131. 浜口誠

    ○浜口誠君 非常にそれぞれの定義も異なっているので、一つ一つしっかり理解した上でこれ対応していくことが非常に重要だというふうに思っております。  先ほど来議論ありましたけれども、今回、算定基礎の算定期間については、最長三年だったものが十年に延びましたと。いろいろ直近の違反事例なんかも踏まえた上での算定期間の十年までの延長という御説明ありましたが、一方で、除斥期間についても、今は最大五年ということになっておりますけれども、見直し後は七年ということで、これも二年間延長になります。  この除斥期間を五年から七年に延ばすその背景、そして何で七年なのかと。先ほどの、算定期間は十年ぐらいの違反もあるからということで十年というのが一つのガイドになったという御説明ありましたけれども、今回の七年というところで除斥期間の延長期間を区切ったその理由も併せてお聞かせいただきたいと思います。
  132. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  御指摘のその排除措置命令、課徴金納付命令の除斥期間につきましては、平成二十一年の独占禁止法改正の際に三年から五年に延長されたということでございますが、これは、公正取引委員会が違反行為の端緒を得た事案の中には、三年間の除斥期間が経過しているため排除措置命令、課徴金納付命令を行うことができないものがあったという、それが理由で延長したということでございます。  一方、近年、除斥期間を五年と今しているわけですが、この規定のために、違反行為は認定できたにもかかわらず処分を行うことができないものがあったということから、今回の改正によりまして更に七年に延長することとしたものでございます。  この七年につきましては、他法令の例というものを見ましたところ、他法令におきまして除斥期間を七年とする例があるということに鑑みまして、七年であれば我が国の法制上許容されるものと考えたためということでございます。
  133. 浜口誠

    ○浜口誠君 じゃ、これ、今七年ということで見直しますけれども、将来的に更にその除斥期間が延びるようなことも場合によっては検討の範囲に入ってくると、そういうスタンスを持たれているのかどうかというのをお聞かせください。
  134. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  今回、延長を検討しましたのが、五年という定めでは命令ができなかった事案があったということでございます。今後、もしこれを延長しても更に措置をとるべき事案についてとれなかったということが、例が出てきた場合には、委員御指摘のような点も更に検討することがあり得ると考えております。
  135. 浜口誠

    ○浜口誠君 分かりました。ありがとうございます。  続きまして、売上高に関して、先ほども真山委員の方からも質問ありましたけれども、資料等がもうなくなっちゃって、紛失しちゃって、売上高が不明な場合について、今回、算定基礎の推定規定というのが新たに導入されると。類推していいよということだと思うんですけれども、今回、その推定規定を入れた背景、先ほど、十年に延ばしたからというのが大きな要因だと思いますけれども、その背景と、並びに、じゃ、具体的にその推定規定に基づいてどのような売上高の推定をしていくのか、具体的な推定のやり方、これについて御説明いただきたいと思います。
  136. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  委員御指摘のように、今回、算定期間を十年に延長することにしておりますが、十年に延長するわけでございますけれども、一方、帳簿書類の十年間の保存義務が課されているということで十年ということを考えたわけですけれども、そうであったとしても、例えば、事業者の帳簿書類の一部が欠落している場合も考えられますし、また、公正取引委員会の調査に応じなくて算定基礎資料を提出しなかったりする場合、そういうことも考えられます。そのように、適正な算定基礎の把握ができない事態が生じ得ますので、本法案におきましては、あわせて、その算定基礎の実額が把握できない期間について算定基礎を推定できる規定を整備しようということでございます。  具体的な方法につきましては公正取引委員会規則で定めることとしておりますが、税法におけます推計規定の運用を参考にしまして、例えば、違反事業者本人や関係する他の事業者の違反行為に係る取引実績又は生産量、販売量その他の取扱量、その他事業の規模等を用いて合理的かつ適切に近似する数値を推計することを現段階で想定しているところでございます。
  137. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非、新たな規定ですので、しっかりとした推計が公平に、そして明確にできるような体制とやり方をしっかりとやっていただきたいなというふうに思います。  次に、違反行為に伴う不当利益として、今回新たに算定基礎の対象に談合金だとか、あるいは下請受注等による売上げとか、グループ企業の売上げとかが追加されることになります。  午前中の参考人の質疑の中で、いい改定だと、そういう不当利益として談合金なんかが含まれたことというのはグローバルな目線で見てもいい方向の改正だという御意見もいただきましたけれども、今回、そういったものが不当利益の対象とした理由、そして、なぜこれまでは談合金等が不当利益としての対象になってこなかったのか、これまで除外されていた背景も含めて御説明いただきたいと思います。
  138. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  独占禁止法の現行の課徴金制度は、法定された算定方式に従いまして一律かつ画一的に算定、賦課されるものでございますが、事業者の経済活動や企業形態の変化が進む中で独占禁止法違反行為も多様化、複雑化してきておりまして、現行の課徴金制度では違反行為に対して適切な課徴金を賦課することができない事案が増加してきております。  このために、違反行為の抑止を図るという課徴金制度の趣旨、目的を効果的に達成するために、複雑化する経済環境に応じて適切な課徴金を課せるよう、課徴金の算定基礎に談合金などの経済的利得でありますとか下請受注等による売上額、また一定のグループ企業の売上額、これらを追加することとしております。  我が国の課徴金制度が導入されたのは昭和五十二年でございますが、その当時は事業者の事業活動が現在ほど複雑ではなく、そのような経済環境を前提といたしまして、違反抑止の必要が高いものを対象とするということ、また、不利益処分を課すということでございますので、その対象となる算定基礎を限定するということから、違反行為の対象となった商品又は役務の売上額等から生じる不当な利得、これをベースとして制度設計され、課徴金が算定されてまいったということでございます。  しかし、違反行為の多様化、複雑化が進む中で違反行為をより一層抑止していくために、今回の改正によりまして、違反対象商品等の直接の売上額ではない談合金なども算定基礎に追加したいというものでございます。これによりまして、違反行為の実態に応じてより適切な課徴金を課すことができるようにしたいと、このように考えております。
  139. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  いろんな企業を取り巻く環境の変化あるいはこういった独占禁止法に係る事案の中身の変化を踏まえつつ、法律もそれに合わせて見直していくということは非常に重要だというふうに思っておりますので、引き続き、いろんな事案が出てくる、中身も精査した上で、法改正が必要であれば円滑かつスピーディーに対応していっていただきたいなと、このように思います。  続きまして、違反事業を承継する場合ですけれども、事業承継する場合、これまでは調査開始前に違反事業を承継した子会社に対しては課徴金の賦課というのはなされていなかったんですけれども、今回の改定で、調査開始前の違反事業を承継した子会社等への課徴金の賦課がなされるという見直しが行われておりますが、これについても、なぜこのタイミングで調査開始前を見直しの対象に入れたのかどうか、その点について説明をお願いします。
  140. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  現行の独占禁止法では、違反事業者が違反対象事業を譲渡等によって子会社等に承継した後、消滅した場合、事業譲渡等がその調査開始日以後に行われた場合にはその子会社等に対して課徴金を課すことができますけれども、その一方、調査開始日前に行われた場合にはその子会社等に課徴金を課すことはできないということでございます。  これまで調査開始前を対象としなかった理由でございますが、これは、この規定を導入する際に、自ら違反行為を行っていない会社に対しまして他社の違反行為に係る課徴金の納付を命ずるということになりますので、これについてその対処の必要がある範囲にとどめるという慎重な制度設計がなされまして、調査開始日以後に分割又は譲渡が行われているという、こういう要件が付されたということでございます。  しかしながら、近年では企業の事業再編、活発化しておりまして、公正取引委員会による調査開始日前に違反事業者がその違反対象事業を譲渡等しておりまして、そして消滅した、そのことによって、違反事業者に対しましても、また、その事業を承継した子会社などに対しましても課徴金を賦課できない事態が生じております。  このように、事業譲渡等の時期によって課徴金の徴収の可否に差異が生じるということは、課徴金対象事業者間の均衡を失するものと考えられます。  そこで、今回の改正によりまして、このような問題点を解消するため、事業譲渡などが行われたのが調査開始日の前か後かを問わず、違反事業者が違反対象事業を子会社等に承継した後、消滅した場合には、当該事業を承継した子会社等に対し課徴金を課すこととしたいということでございます。  現行の規定におきましても、違反事業者が合併により消滅した場合には、合併が行われたのが調査開始日の前か後かを問わず合併後に存続した事業者に対して課徴金を課すことができることとされておりまして、今回の改正はこの合併の場合と同様の取扱いとするというものでございます。
  141. 浜口誠

    ○浜口誠君 分かりました。  次に、今日、参考人の方、午前中やったんですけど、今回の独禁法の改正でどこまで我が国の独禁法がグローバルスタンダードに近づいたんですかと、グローバルスタンダードと比較したときにどういう点がまだまだ見直しの必要性があるんでしょうかということを参考人のお一方にお伺いしたときに、今回の改正でもまだできていないところということで御指摘があったのが国際市場の分割カルテルですね。ここで日本の国内に売上げのない事業者に対して課徴金の賦課ができない、ここはまだ日本の独禁法ではカバーできていない部分なので、ここはグローバルスタンダードからするとちょっと一歩足らざる部分だという御指摘がございました。  この日本国内に売上げのない事業者に対する不当な取引制限に対しての課徴金の賦課に対して、今後、日本政府としてどのような対応を、今回の法改正ではその点については何ら措置はされておりませんけれども、今後どう対応していくお考えを持たれているのか、その点に関して、ここは宮腰大臣にお伺いしたいと思います。
  142. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 日本企業が国際市場分割カルテルに参加していた場合、当該日本企業は売上額のない外国地域の当局から高額な制裁金等が課される可能性があります。一方、公正取引委員会は、日本国内に売上額がない外国企業には課徴金が課せません。こうした状況では、違反企業の間で不合理、不平等な結果が生じる可能性があると承知をいたしております。  そこで、公正取引委員会におきまして、このような国際市場分割カルテルにおける日本国内に売上額のない外国企業にも課徴金を課す制度を導入できないか検討を行いましたが、法制上の課題の解決になお検討を要することから、本法案に盛り込むことを見送ったものと承知をいたしております。  現状においても、違反事業者に対しましては、日本国内における売上額の有無にかかわらず、排除措置命令により違反行為を排除することが可能となっております。  さらに、違反行為を抑止するために課徴金を課す仕組みにつきまして、どのような方法があり得るか、今後の課題として検討する必要があるというふうに考えております。
  143. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非、有識者からもその点は課題だという御意見も今日ございましたので、大臣の方も今の御答弁の中で課題認識は持っていただいているというふうに思っておりますので、引き続き、どういった対応をしていく必要があるのかどうか、検討を重ねていただければなというふうに思っております。  では、続きまして、算定率に関しましてお伺いします。  先ほど中小企業の算定率についてはより実質的な中小企業に絞り込んでいくというお話もございましたし、あと、業種別の算定率についても廃止していくということでの御説明がありました。  もう一点、算定率に関しまして、早期離脱した場合の軽減算定率、これも今回の見直しによって廃止するということになりましたけれども、なぜ早期離脱の軽減算定率を今回をもって廃止するのか、その背景と理由についてお伺いしたいと思います。
  144. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  公正取引委員会によります調査開始前に短期間で違反行為をやめた者に適用されるのが軽減算定率でございますが、これは、仮にその事業者が違反行為を開始したとしても、自発的に早期に違反行為を解消させるインセンティブを高めるということを目的として、平成十七年の独占禁止法改正時に導入されたものでございます。  しかしながら、これまでの適用を見ますと、例えば入札資格を失ったという外部的要因によって違反行為に参加できなかった者など、自発的に違反行為をやめた者ではない事業者に対しまして軽減算定率が適用されるなど、本来の制度趣旨にそぐわない結果となっております。このために、早期離脱に対する軽減算定率は今回廃止することとしたいというものでございます。
  145. 浜口誠

    ○浜口誠君 では、引き続き、算定率に関してお伺いしますけれども、割増し算定率について伺いたいと思います。  今回、割増し算定率については主導的な役割の類型を追加するということで、調査妨害行為の要求等が新たな主導的役割の類型の中に追加されることになります。どういう問題意識の下にその調査妨害行為の要求というのが入ってきたのかどうか、その背景も含めて御説明いただきたいと思います。
  146. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  カルテル、入札談合などの不当な取引制限を行った違反事業者が他の違反事業者に対しまして、違反行為の発覚やその証拠の確保を困難にする目的で、公正取引委員会による調査の際に、隠蔽、仮装行為を行うことを要求したり指示したり又は唆す場合には、隠蔽、仮装行為によって違反行為の実効性が高められ、また違反行為の継続が容易になると考えられます。  また、現行の主導的役割の規定では違反行為をやめないことの要求等が規定されておりますが、課徴金減免制度に基づく減免報告や調査協力減算制度による協議の申出を行わないことの要求などが行われた場合、違反行為が継続する蓋然性が高くなりますので、これらの要求などは違反行為をやめないことを要求する行為と同様と考えられます。  このため、違反行為をより実効的に抑止する観点から、割増し算定率の適用対象となる主導的役割を果たした事業者の対象範囲を拡大いたしまして、第一に、隠蔽、仮装行為の要求等をした事業者、第二に、課徴金減免制度による事実の報告や資料の提出、また、調査協力減免制度における協議の申出を行わないことの要求等をした事業者に対しましても割増し算定率を適用することとしているものでございます。
  147. 浜口誠

    ○浜口誠君 じゃ、今回追加された類型に該当するような調査妨害行為というのはこれまでもあったという認識でよろしいんでしょうか。いや、これまではなかったんだけれども、こういうことも想定されるからその範囲を、スコープを広げておこうということでの対応なのか。その点に関してお伺いしたいと思います。
  148. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  今回対象になりますのは、カルテルをまさに計画する段階でこういうことを要求するものを対象にしております。  独占禁止法研究会の中では、ここに限りませんで、調査の中で様々なその妨害行為というのは、行われた仮装行為などがあるのではないかという問題は意識されておりました。その中で、今回の改正の中で、現行の課徴金制度の中で対応できる行為について、今申し上げた二つの点を追加して規定したということでございます。
  149. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  あわせて、繰り返し違反ですね、繰り返し行為による違反の対象についても、繰り返し違反の適用対象についても今回整理が行われるということになっているというふうに承知しておりますが、具体的なこの繰り返し違反に対する制度の見直し内容と、なぜその見直しを行うのか、その背景も含めて御説明をお願いします。
  150. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  違反行為を繰り返すなど複数の違反行為を行う事業者、これは課徴金を納付してもなお違反行為を行うインセンティブが生じるほどの利得を得ていると考えられます。したがいまして、そのような違反行為を抑止するために必要な課徴金を賦課するという観点から、平成十七年の独占禁止法改正におきまして、繰り返し違反に対する割増し算定率が導入されたというものでございます。  本改正法案では、さらに、企業グループ単位での違反行為についても、抑止効果を及ぼす観点から、過去十年以内に完全子会社が課徴金納付命令等を受けている場合、また課徴金納付命令等を受けた違反対象事業を承継している場合も繰り返し違反に対する割増し算定率を適用することとしております。  また、現行規定におきましては、同時並行的な違反行為に対しましても繰り返し違反に対する割増し算定率が適用されますが、本法案では、最初の課徴金納付命令が出されるより前に同時並行的な違反行為をやめている場合には、割増し算定率の対象とはしないこととしております。  これは、さきに述べました割増し算定率の適用対象を追加して抑止力を高めることと併せまして、このような改正をすることによって、違反事業者が自発的により早期に違反行為を取りやめることが一層期待できるためでございます。
  151. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  では、続きまして、課徴金の減免制度の方に移りたいと思います。  今お手元には、委員の皆さんのところにも減免制度の内容について資料をお配りをしております。この減免制度、今までは申請順位に応じた減免率しかなかったんですけれども、より調査協力へのインセンティブを働かせるということで、調査協力度合いに応じた減算率という考え方が新たに付加されております。  もう先ほど来この制度の目的は御質問あったので、大臣に聞こうかと思いましたがちょっとパスさせていただいて、次の質問に移りますけれども。  この第一位の申請順位のところは全額免除というのは変わっていないんですね、ここだけは。なぜこの一位の申請順位の全額免除というのを維持しているのかどうか、その理由をまずお聞かせください。
  152. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  公正取引委員会が調査を開始する前の最初の減免申請、これは新たな違反行為の発見、摘発につながる重要な情報となるものでございます。いち早く減免申請を行うインセンティブを高める観点から、現行の課徴金減免制度と同様、新たな制度についてもこの申請順位一位については全額免除するということとしているものでございます。  また、なお、海外の主要国におきましても、申請順位が一番目の事業者に対しましては全額免除といたしまして、違反行為の申出をするインセンティブを高めているということでございます。
  153. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。最初に、正直者にはちゃんとインセンティブを与えるということなのかなというふうに思いましたけれども。  そんな中で、今回、その申請者についても、これまでは上限で五社ということで明確にここまでというのが決まっていたんですけれども、今回の見直しでその上限が撤廃されて、五社に限らず六社目、七社目もこの制度の対象になるということですけれども、その上限撤廃した理由についてお聞かせください。
  154. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  今回、新たに調査協力減免制度が導入されるわけでございますが、これと併せて考えますと、事業者の調査協力インセンティブを高めて、より効率的、効果的なカルテル、入札談合の発見、また事件の真相解明を図るためには、できるだけ多くの調査対象事業者に真実の報告と資料の提出の機会を与えることが課徴金減免制度の改正の趣旨にかなうものと考えまして、このため減免申請者数の上限を今回撤廃することとしているというものでございます。
  155. 浜口誠

    ○浜口誠君 じゃ、もう何社でもあれなんですね、もう上限ないですから、申請があって認めれば、もう何社でもこの制度の適用対象にはなると、そういう理解をいたしました。  その上でですけれども、先ほど来少し議論がありましたけれども、今回は調査前と調査後でその調査協力減算率というのが変わっています。調査前は最大四〇%、調査後は最大二〇ということになっていますけれども、これ調査前と調査後でそれぞれ最大の減算率を変えていますけれども、なぜ変えているのかということと、四〇と二〇のこの数字の根拠がもしあればお聞かせいただきたいと思います。
  156. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  減免申請順位に応じた減算率とその調査協力に応じた減算率の数値の合計につきましては、例えば、その調査開始日前の二番目の減免申請者に対しましては、現行の五〇%、現行は五〇%でございますが、これを引き上げまして最大で六〇%まで付与することとしております。その上で、減免申請後においても調査に協力して必要な資料等を提出するインセンティブを確保するために、調査協力の度合いに応じた減算率の方を四〇%、減免申請順位に応じた減算率を二〇%として、二倍の差を設けることといたしました。  また、この調査協力の度合いに応じた減算率につきましては、減免申請順位と関連付けて設定する必要性はないと考えられますので、同程度の調査協力をした者には同程度の減算率を追加することが適当であると考えまして、調査開始日前の減免申請者の減算率の上限は一律に最大四〇%としております。  他方、その調査開始日前の減免申請者が提供する情報につきましては、課徴金に係る違反行為を立証する情報と立入検査を行う上で必要となる情報、この両方が含まれております。一方、調査開始日以後の減免申請者が提供する情報には、立入検査を行う上で必要となる情報というのは含まれていないことになりますので、調査開始日以後の減免申請者の調査協力の度合いに応じた減算率の上限につきましては、調査開始日前の減免申請者の半分といたしまして、一律に最大二〇%としているものでございます。
  157. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございました。現行との違いは今の説明で理解することができました。ありがとうございます。  その中で、今回、減算率をどう評価するか、どう減算率を決めていくのかというのがやっぱり非常に重要だというふうに思っています。  先ほど来、ガイドラインも作って、その基準であったり、信頼性、透明性、あるいは予見可能性も含めて担保していきたいという御説明もございました。しっかりやっていただきたいんですけれども、その実際の協議する場、どういった体制でこの減算率を最大四割、調査開始前だったら四割付与するわけですけれども、どういう協議体制でやっていくのかどうかというのをまず知りたいというのと、あと、今日、参考人の、これ経営者団体の方からは、より具体的なその事例をガイドラインに列挙してほしいと。こういう場合はこういう評価をしますよと、こういう減算率に値しますよみたいな、具体的なものを是非ガイドラインには織り込んでほしいという要望を持っているという意見もお伺いしましたので、そのガイドラインを分かりやすくしていくという観点でどのような工夫を今後されていこうと思われているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  158. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) お答えさせていただきたいと思います。  まず、この協議体制の御質問でございましたけれども、協議体制につきましては、公正取引委員会の審査担当部門が担うことになると思います。具体的な体制は今後適切に検討してまいりたいと思いますが、当事者との円滑なコミュニケーションを図る、その上で、制度の円滑な効率的な運用を図るという観点を重視して対応していきたいと考えているところでございます。  それから、ガイドラインの具体的内容でございますが、違反行為の対象に係るもの、違反行為の態様、内容に関するもの等の評価対象となる事項につきまして、事件の真相解明に資するかどうかという観点から、それらについての全ての情報が具体的かつ詳細に含まれている事実や資料を提出する場合には、調査開始前の減免申請者であれば四〇%、調査開始日以降の減免申請者であれば二〇%という法定された最大の減算率になります。  他方、その一部の事項に関して資料の提出がなかった場合やその事実の報告が不明確であった場合には、その内容に応じて減算率は最大よりも低くなることになりますが、これらにつきましては、それらの具体例を示すことによりまして、それによりましてできるだけ分かりやすく明らかにしてまいりたいと考えているところでございます。
  159. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非、杉本委員長を先頭にリーダーシップ取っていただいて、ガイドライン、非常に重要な道しるべになると思いますので、しっかりとしたものを作っていただきたいなというふうに思っております。  あわせて、その調査協力ですとか供述に関連して、今日の午前中でも有識者の方には、参考人の方には質問したんですけれども、従業員の方に対して企業側からその供述内容等を踏まえて不当な不利益な取扱いを行ったり、あるいは一方的に弱い立場の従業員の方に責任を押し付ける、こういったことはあってはならないというふうに思っておりますので、そういった行為にならないための政府としてどのような対応を考えておられるのかということと、あわせて、企業側に対してもコンプライアンスをしっかり守っていただく、あるいは従業員の方にもそういう違反行為をしないということの社員教育、社内教育みたいなものもこれ非常に重要になってくるんではないかなと、未然防止という観点からもですね。そういった面での政府としてのサポート体制をどのようにやっていくのか、その二点について宮腰大臣にお伺いしたいと思います。
  160. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 個々の企業におきましてコンプライアンスが推進されることは、独占禁止法違反行為の未然防止につながり、市場における公正かつ自由な競争を一層推進するものであると考えております。  このような観点から、公正取引委員会は、企業におけるコンプライアンスの状況について数次にわたる実態調査を行いまして、コンプライアンスの実効性を高めるための方策を提言をいたしております。また、独占禁止法上の指針など種々のガイドラインの整備により独占禁止法上の考え方を明確にするなど、従来からコンプライアンスに関する企業の取組の支援、唱道活動に積極的に取り組んできておりまして、引き続き、企業のコンプライアンスを向上させるべく適切な対応を行うものと承知をいたしております。  さらに、今般の改正は事業者の公正取引委員会による調査に協力するインセンティブを高めることを意図したものでありまして、結果として事業者のコンプライアンス体制の整備を促すことなどにも資するものというふうに考えております。
  161. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非しっかりとした対応をお願いしたいと思います。  続きまして、調査妨害に対するディスインセンティブですね、インセンティブの逆ですけど、ディスインセンティブを高めるという観点から、独禁法の研究会報告書の中では、検査妨害罪と同じような行為を行った事業者に対しては課徴金に対して一定率の加算をするような制度、これを入れたらどうかという、そういう内容の報告書が出されているというふうに承知をしております。  ただ、今回の法改正においては、そういった一定率の課徴金に対して加算をするという制度は見送られたというふうに認識をしておりますが、なぜ報告書にはあったそのディスインセンティブを高める制度が見送られたのか、その背景も含めてお伺いしたいと思います。
  162. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 御指摘の独占禁止法研究会報告書におきましては、調査妨害行為が行われた場合には、カルテル等の違反行為に対して課される課徴金について、算定率を割り増して賦課する制度が提言されていたと承知をいたしております。  公正取引委員会はこれを受けて検討を行ったものの、現行独占禁止法の課徴金は違反行為により生ずる不当利得をベースとして課されるものである一方、調査妨害行為はカルテル等の違反行為そのものではなく事後的な行為であります。こうした事後的な行為の評価を加えて課徴金の割増しを行うことについては、現行の課徴金制度の枠組みとの整合性についてなお慎重な検討を要するとの結論となったものと承知をいたしております。  他方、本法案においては、その提言を踏まえ、違反行為において主導的役割を果たした事業者の対象範囲を拡大をし、他の違反事業者に隠蔽、仮装行為を要求した事業者や、課徴金減免制度を利用した資料の提出等や調査協力減算制度を利用した協議の申出等を行わないことを要求等した事業者に対しても割増し算定率を適用することにより、調査妨害行為を伴う違反行為の抑止が図られるものというふうに考えております。
  163. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。引き続き、検討も深めていただきたいなというふうに思っております。  続きまして、資料に、皆さんの方にもお配りしているんですけれども、検査妨害等に係る刑事罰の今回厳罰化を行っていくということで、いろいろ、法律の第九十四条、九十五条等での見直しが行われることになります。この検査妨害罪あるいは一般調査の拒否等の罪ということで、とりわけ、これまで行為者が処罰の対象だったのに、今回は法人という、新たな法人等が加わったりしていますし、その刑事罰についても、法人については三百万円以下から今回見直しによって二億円以下という非常に大きな額にまで厳罰化が行われることになります。  こういった厳罰化によって具体的に抑止力がどこまで高まるという認識を政府として、公取として持たれているのか。その厳罰化に踏み切った背景と、抑止力という観点でどこまで抑止力を高まるという認識を持たれているのか、その二点についてお伺いしたいと思います。
  164. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 御指摘のとおり、本法案におきましては、独占禁止法第四十条に規定される調査に対する妨害等の行為に科せられる罰金額の上限を二十万円以下から三百万円以下に引き上げまして、第四十七条に規定される強制処分に対する検査妨害罪における法人等に対する罰金額の上限を三百万円以下から二億円以下に引き上げることとしております。  公正取引委員会の調査権限は、独占禁止法違反被疑事件の調査や一般調査を行うに当たり、証拠収集等のために必要不可欠な権限であります。この権限の実効性を確保するため、刑罰が規定をされております。  しかしながら、公正取引委員会が事件調査を行うに際しまして、検査先の事業者等によって証拠破棄等の妨害行為がなされる事例が存在すると承知をしております。また、今後、公正取引委員会が一般調査の権限を行使する機会も生じ得ます。  他の経済法令における検査妨害等に対する罰則の水準、例えば金融商品取引法第二百七条におきましては、立入検査の妨害行為に対し二億円以下の罰則を設けておりますが、これらに比して独占禁止法における罰則は低い水準にとどまっているため、調査権限の実効性の十分な確保が必要であるというふうに考えております。  今回、これらの罰則規定を改正することによりまして、公正取引委員会による調査の実効性が高まり、検査妨害行為等の発生が抑止され、調査権限の行使による実態解明が円滑に進むことを期待をいたしております。
  165. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。厳罰化することによって少しでもこういった違反行為がなくなることにつながっていけばいいかなというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、課徴金の延滞金の利率についても今回引下げを行うという見直しがなされる予定になっておりますけれども、今回そういう延滞金の利率の見直しを行う理由と、具体的にどれだけの引下げを今回実施する予定になっているのか、その点について御説明をお願いします。
  166. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  現行の独占禁止法では、課徴金を納期限までに納付しない者に対しまして課徴金の納付について督促をしたときは、その督促に係る課徴金の額につきまして年一四・五%の割合で、その納期限の翌日からその納付の日までの日数により計算した延滞金を徴収することができると定められております。  この延滞金の割合につきましては、現在の低金利の状況を踏まえまして、今回の法改正を機に事業者の負担を軽減する観点から、その時々の金利の状況に応じて政令で定めて引き下げることができるものとするということでございます。  具体的には、今般の改正におきまして、延滞金の割合を年一四・五%を超えない範囲内において政令で定める割合とすることにしております。政令の規定の内容につきましては、今後検討の必要はございますが、国税の延滞税の割合を参考に、それと同水準にするということを想定しているところでございます。
  167. 浜口誠

    ○浜口誠君 今の金利の状況を考えれば、これまで一四・五%ですから、非常に高い利率で対応していたということなので、見直しの必要性はあるのかなというふうに感じております。  今回、いろいろな改正が行われます。課徴金の見直しもありますし、先ほど、これから議論しますけれども、秘匿権の話もございますし、いろんな改正が行われる中で、公取の皆さんの対応工数が今回の改正前と後でどのような変化があるのか、その点をどう見ておられるのか。実際、いろんな変化がある中で公取の皆さんの対応工数が増えたときに、しっかりとした要員管理も含めて、要員体制も含めて対応するような計画をなされておるのかどうか。  ちょっと変化点が非常に大きいんではないかなというふうに思っているものですから、その点どのようなお考えを持たれているのか、確認をさせていただきたいと思います。
  168. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 今般の調査協力減算制度の導入によりまして、事業者と公正取引委員会との間で調査協力の内容等について協議、合意する仕組みを導入をいたします。  これによりまして、その協議、合意のために要する業務量は追加することが見込まれますが、一方で、事業者から調査協力が得られることにより、これまでの供述聴取等のために要していた業務量は減少することが見込まれます。これらによりまして業務量が総体として増加するか減少するかは、事業者の調査協力がどの程度得られるか等によるため一概にお答えすることはできませんが、業務量が増加する場合であっても、まずは公正取引委員会において必要な業務量に対応できるよう効率的な業務遂行に努めていくものと承知をしております。  その上で、必要に応じて、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用等に必要な人員及び体制の確保、充実に努めてまいりたいと考えております。
  169. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非、公正取引委員会として、見直し後の対応工数がどう変化するのか、これはしっかりと押さえていただいた上で、必要な措置をお願い申し上げたいというふうに思っております。  あわせてですけれども、今回の改正内容は非常に多岐にわたっておりますし、実際に、企業を始めとする事業者の方に変更内容をしっかりと周知徹底していくことも非常に重要かというふうに思っております。これまでも独占禁止法の内容が変更になったときにはそういった周知徹底というのは行ってこられたというふうに思っておりますが、今回の変更内容についてどのような形で事業者の皆さんに周知徹底を図っていくのか、その手法についてお伺いしたいと思います。
  170. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 改正法案が成立した場合には、その改正内容とともに、法運用の考え方等についても十分周知していくことが重要であると考えております。  本法案におきましては、一部を除き、公布から一年六か月を超えない範囲内で政令で定める日から施行することとしております。そのため、公正取引委員会においてその施行までの間に、政令、委員会規則、ガイドライン等の整備を行いつつ事業者向けの説明会を開催するなど、関係者の理解を得られるよう、十分な周知活動を行っていくものと考えております。
  171. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非、十分な周知活動をしっかりと行っていただいて、法改正の内容であったり目的についても是非事業者の皆さんと共有化していただくことをお願い申し上げたいと思います。  では、続きまして、秘匿特権に関連して質問させていただきたいと思います。  まず最初は、この秘匿特権についても、欧米の秘匿特権の制度と日本の制度の違い、欧米の方も非常にこういった制度は進んでいるという認識を私自身は持っているものですから、欧米の制度と日本の制度の違い、もし違いがあるとすればその違いはなぜ日本の方にあるのかという、その違いが生まれている背景も含めて、欧米との違いについてお伺いしたいと思います。
  172. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) いわゆる弁護士・依頼者秘匿特権とは、英米を中心に判例法により形成されてきた権利であるものと認識しております。したがいまして、その解釈や運用等は国や地域によって異なっているところがあるものと承知しております。他方、我が国におきましては、秘匿特権を認める明文上の規定はなく、独占禁止法上においてもこうした秘匿特権は認められていないところでございます。  外国との法制度の相違点やその理由等としては様々なものがあると考えられますが、そしてまた独禁法だけに関わる事柄ではございませんでして、法制度一般に関わることでございますので一概にはお答えできないことでございますけれども、今申し上げましたように、欧米においては判例法から形成された権利であるのに対しまして、日本におきましては、やはりその司法制度のつくられ方といいますか、全般の体系が異なっておりますために、法制度の中において秘匿特権を明文で認めるということが行われていないというふうに考えております。
  173. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  今回、弁護士・依頼者間秘匿特権については、独禁法第七十六条に基づいた規則、指針に基づいて制度を整備していくということになりますけれども、そもそも、こういう弁護士・依頼者間の秘匿特権について、こういう制度をつくろうと、そういう動きになった背景、あわせて、今回の制度ができることによって事業者にとってどのようなメリットがあるのか、この点について御説明をお願いしたいと思います。
  174. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 今般の法改正によりまして課徴金減免制度が見直されることになれば、事業者が公正取引委員会の調査に協力するかを判断するために、また、調査協力を効果的に行うために外部の弁護士に相談するという事業者のニーズがより高まると考えております。  お尋ねの制度はこうしたニーズに対応するものであり、新たな課徴金減免制度をより機能させる観点とともに、外部の弁護士との相談に係る法的意見等についての秘密を実質的に保護し、独占禁止法第七十六条第二項に基づく適正手続を確保する観点から整備するものと承知をいたしております。  また、事業者にとりましては、外部の弁護士に安心して相談を行うことで、効率的な社内調査の実施による課徴金減免制度の利用促進などのメリットが期待されるものと考えております。
  175. 浜口誠

    ○浜口誠君 今回、秘匿特権が、運用に当たって、やはり手続の透明性ですとか信頼性、こういったもの、あるいは予見性、これをしっかり担保していくことが非常に重要ではないかなというふうに思っております。  こうした信頼性だとか透明性を担保していくに当たって、どのような対応をやろうと考えておられるのか、この点に関して御説明をお願いしたいと思います。
  176. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) お尋ねの制度を整備するに当たりまして、その具体的な取扱いについては公正取引委員会が整備する指針等において明確化をいたしまして、制度の透明性や予見性を確保することとしたいと考えております。  この指針等の作成に当たりましては、関係省庁、関係団体と意見交換を行いますとともに、本制度の導入までの間に、周知期間も考慮した上で、指針等についてのパブリックコメントも実施して広く意見を求めた上で策定したいと考えているところでございます。
  177. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非パブコメ等で幅広い意見も聞いていただきながら、指針の取りまとめはお願いしたいというふうに思っております。  今回の制度を運用するに当たりまして、濫用防止措置もとられるということになっていると思います。そもそも、この濫用防止措置をとらなきゃいけない、どういう懸念点があるからこういった措置を規定することにしたのか、その点をまず伺いたいのと、実際、その濫用防止措置を実務で実施する、対応される方は判別官の方がなされるというふうに思いますけれども、この判別官の方がどのような対応を今回の制度運用に当たって行っていくのか、この二点、御説明をお願いします。
  178. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  仮に事業者が、お尋ねの制度、この制度を理由としまして、例えば、他者との会合の内容が記載された文書などを弁護士との相談が記載されたものと主張しまして、その内容の確認でありますとか提出を拒んだ場合には、審査官はその違反行為を立証するための事実の収集が困難になると、そういった懸念があるということでございます。このため、審査官は提出命令の際に、そうしたその主張があった文書についてですが、内容の確認はいたしませんが、判別官が所定の手続によって、そうした文書について一定の条件を満たすものであるかどうか、これを確認する濫用防止措置を設けることとしているものでございます。  この場合に、判別官は一定の条件を満たすことを確認いたしまして、それが確認できた物件については事業者に還付することとなります。一方、一定の条件を満たしていないということが確認された物件につきましては審査官に移管するということになりまして、審査官はそうした文書については事件審査の証拠に利用できるということになるということでございます。
  179. 浜口誠

    ○浜口誠君 あわせて、制度の運用面でもう一つ聞きたいと思います。  今回の秘匿特権の対象については、事業者の方と弁護士の間での秘密の通信内容を記載した物件が対象になっておりますけれども、供述は対象外ということになっておりますけれども、物件だけが対象で供述は対象から外しているその理由についてお伺いしたいと思います。
  180. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、今回、この制度は事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の内容を記載した物件、この物件の取扱いが対象でございまして、したがって、その物件の取扱いについて整備するものでございますから、供述は対象ではないということでございます。  ただ、本制度は新たな課徴金減免制度をより機能させる等の観点から整備するものでございますので、供述聴取をする場合におきまして、本制度の対象となる物件に記載されております事業者と弁護士とのやり取りについては原則として質問しないと、そうしたことを指針等においてはっきりと示すことにする予定にしております。
  181. 浜口誠

    ○浜口誠君 では、続きまして、デジタルプラットフォーマーに関連してお伺いしたいと思います。  本会議の質問でも宮腰大臣にお伺いしましたけれども、デジタルプラットフォーマー、この適正な取引、中小企業との間でも適正な取引をしていくためにもしっかりとした対応が必要だなというふうに思っております。  今回、公正取引委員会として、こうしたデジタルプラットフォーマーと呼ばれる皆さんに対して、取引の公平性だとか透明性を担保するために今後どのような対応を行っていく予定にしているのか。  今日、参考人の方に聞いたら、スピードが大事だとおっしゃっておられました。スピード感を持ってやるのが非常に、デジタルの世界もどんどん技術も進歩しているから、スピード感を持ってやるのが非常に重要ですというような御指摘もありましたけれども、今後のデジタルプラットフォーマーに対しての公正取引委員会としての対応、スタンスについて、まずはお聞かせいただきたいと思います。
  182. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 公正取引委員会は、本年一月からデジタルプラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査を開始をいたしております。内容は、オンラインモール運営事業者の取引実態に関するアンケート調査、それからアプリストア運営事業者の取引実態に関するアンケート調査、そしてデジタルプラットフォームサービスの利用者、これは消費者でありますが、に対するアンケート調査であります。  当該実態調査は本年四月に中間報告を行ったところでありますが、引き続き公正取引委員会において、プラットフォームの運営事業者がプラットフォームを利用せざるを得ない利用事業者に対して不当な不利益を与えていないかなどといった観点から実態の把握を行い、独占禁止法上の考え方の整理を進めていくものと承知をいたしております。  また、本年三月に内閣官房にデジタル市場競争評価体制準備室が設置されたところでありまして、当面はこの準備室を中心に取引環境の透明性、公正性確保に向けたルール整備等について具体的な検討が進められ、公正取引委員会としても、このような検討に積極的に参画していくものと承知をいたしております。
  183. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  あわせて、そのデジタルプラットフォーマーのデータの移転ですとか開放に関連してどのような課題認識を政府として持たれているのかどうか。そうしたデータの移転や開放に対して今後どのような対応を公正取引委員会としてやろうと考えておられるのか。  これ、通告していないんですけど、今日の午前中の参考人質疑の中で、来年の通常国会で独禁法を補完するような新法を政府は考えているんじゃないかというような御指摘も今日はあったんですけれども、何かそのような動きも来年の通常国会へ向けては予定されているのかどうか。その点についてお伺いしたいと思います。
  184. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) デジタルプラットフォームに集積されたデータにつきまして、利用者の安全、安心を確保しつつ、自由、円滑、簡易に再利用できるような仕組みが重要となっておりまして、データの移転、開放のための取組を検討する必要があります。  本年五月には、デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会が取りまとめたデータの移転・開放等の在り方に関するオプションが公表されております。  今後は、内閣官房に設置されたデジタル市場競争評価体制準備室を中心に具体的な検討が進められていくものと承知をしておりまして、先生の最後の御質問については、まだ今の段階でどうのこうの言えるようなことではないのではないかと思っております。
  185. 浜口誠

    ○浜口誠君 以上で終わります。ありがとうございました。
  186. 石井章

    ○石井章君 日本維新の会・希望の党、石井章でございます。  通告に従いまして御質問したいと思います。  日本の経済状態も、世界的なグローバル化に伴いまして国際的なカルテル案件なども急増しております。そういった中での独禁法の調査事案も当然ながら国際化しながら、そのための今回は法改正になっていると思います。  そうした中で、独禁法の核を成す部分に関しましては国際的な整合性が大変重要でありまして、これまでも経済界などからはこれを求める声が上がっておりました。もちろん、企業の国際競争力にも多大な影響を及ぼすものであると思います。  これまで我が国では弁護士と依頼者間の秘匿特権が認められていなかった。この権利は、欧米はもとより、新興国あるいは中国、韓国でも認められておるわけでありますけれども、現下では日本企業は他国の企業と比べまして国内外の調査事業や訴訟案件においては非常に不利な状況となっております。海外における事業活動に悪影響を及ぼしていた側面は否めません。  例えば、先ほど委員会で川田参考人がおっしゃっておられましたけれども、米国の民事訴訟では、当該の外国企業がその母国で秘匿特権が保障されていない場合には秘匿特権が認められない傾向にあると。弁護士への相談内容等がディスカバリー制度の対象になり得るために、弁護士への相談もままならない要素があるとのことであります。これは午前中の参考人質疑でそうおっしゃっていましたけれども、経団連の参考人の方でありますけど。  目まぐるしく進むグローバル社会では、国内の法整備の不備は日本企業の不利益となることにとどまらず、海外資本の呼び込みや対内直接投資の推進などへの影響も、大きく影響します。また、本案の改正後の新しい課徴金制度への推進の障害ともなり得ます。そのような中で、今回の法改正において、私は基本的には非常に意義深いと高く評価するものであります。  本改正案は、調査協力インセンティブを高める課徴金の減免制度の改正を核としておりますが、あわせて、規制等によって秘匿特権も実質的には認めていくこととされました。秘匿特権については、先ほどから御質問出ていますが、法体系全体への影響が著しいという理由から法制化は見送られまして、規制や指針に止めることになったことは承知しております。  そこで、今後は、法制化はもとより、適用対象を不当な取引制限に限定することなく優越的地位の濫用にも拡大することや、犯則手続においてもその保護が図られるよう更なる検討を行っていくべきと考えますが、宮腰内閣府特命大臣、御答弁お願いいたします。
  187. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 仮にお尋ねの制度の対象を独占禁止法の全ての違反行為類型に拡大をした場合、例えば、特に中小企業が被害者となることが多い違反行為類型である優越的地位の濫用においては、新たな課徴金減免制度のような調査協力インセンティブを高めるその制度が整備されていないため、従前と比較して審査期間の長期化を招くことが想定をされます。そのため、被害を被っている中小企業の利益の迅速な確保が困難となるおそれがあり、この点、中小企業や消費者関係団体から御要望をいただいているところであります。  また、カルテル等の不当な取引制限が新たな課徴金減免制度の対象となっているといった独占禁止法固有の事情を離れて、対象範囲を独占禁止法の他の違反行為類型に拡大をしたり犯則調査手続にも拡大した場合、本制度は一般的、普遍的なものとして位置付けられることとなります。しかし、その場合には、我が国ではいわゆる弁護士・依頼者間秘匿特権を認める明文上の規定はないこととの整合性が問題となるほか、他の行政調査手続や司法手続に及ぼす影響についても懸念されます。  公正取引委員会においては、本制度の運用開始後の状況を踏まえ、対象範囲の拡大について早急に検討するものと承知をいたしております。その際には、他法令への影響を及ぼすことがないよう留意するなど、以上のような懸念を踏まえ、慎重に対応していくものと承知をいたしております。
  188. 石井章

    ○石井章君 ありがとうございます。今回の法改正に関しては、意義深いものとして大変高く評価しております。  先ほど来、こういったものを周知徹底するという御答弁もいただいておりますけれども、その周知徹底の方法なんですが、幾ら叫べど末端の企業までにはなかなか届きにくいし、例えば地方自治体に任せる案件でもないし、例えば商工会議所とか商工会を通すのか、そういった、具体的にどういった方法で周知徹底をするのか。これは質問内容の項目に入っていないんですが、まずそこで御答弁いただきたいと思います。
  189. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  もちろん法改正、今回成立して以降ということでございますが、その場合には、前回の法改正が成立した場合には、全国で公正取引委員会実施の説明会のほか、求めに応じて説明会を開催するなど、大きなものでも二十か所程度で説明会を開催しております。したがいまして、そうした公正取引委員会主催の説明会に加えて、各種団体での説明会に職員が赴いて説明をする、そうした形で広く周知を図っていきたいと考えております。
  190. 石井章

    ○石井章君 ありがとうございます。そういった要望があれば出向いて説明すると。各種団体、こっち来いよじゃなくて、御自分から説明に行くということでありますね。ありがとうございます。  そこで、今回の改正によりまして秘匿特権を実質的に認められたことは、海外からの投資の促進、あるいは外国企業の資本の呼び込みや対内直接投資などの推進、我が国のイノベーション創造の技術集積の高付加価値化を促進させるための日本の成長戦略にも大きく寄与するものと思われます。  そこで、特に経済界からは、本改正法が成立後速やかに、独禁法の規則において実質的に秘匿特権が認められていることを迅速に、明確に、かつ具体的な形で海外に向けて発信してもらいたいという要望が出ておりますが、その点についていかがでしょうか。
  191. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  この制度は、独占禁止法七十六条に基づく規則、指針などによりまして審査手続の一環として整備するものでございますが、この規則等の策定に当たりましては、周知期間も考慮した上でパブリックコメントを実施することにしておりますが、その際には、英訳したものも示した上で、海外諸国も含めて広く意見等を求めることにしたいというふうに考えております。また、規則等の成案を公表するに当たりましても英訳したものを併せて公表する、そのことによって海外への周知も図っていきたいというふうに考えております。  こうした取組によりまして、海外諸国においても本制度の内容が適切に理解されるようしっかりと周知を行っていきたいと考えておりますし、また、公正取引委員会は各種の意見交換などを行っております。既に、日米の意見交換ではこうした制度が導入されるということをアメリカ司法省や連邦取引委員会にも伝え、こういう制度が導入されることをアメリカ側からも評価を受けているところでございますので、これからも引き続きしっかりとこうした周知活動を行っていきたいと考えております。
  192. 石井章

    ○石井章君 ありがとうございます。  今回の独禁法改正案において、公取は、事業者と当局、いわゆる公取が対立、対峙する関係じゃなくて協力し合っていくということをずっと、答弁の中でもその答えが聞けるわけなんですが、同じ方向を向いて努力していく、いわゆる事業者に寄り添いながら違反を取り締まっていくと。違反者に寄り添うんじゃなくて、そういったまともな事業者さんのいろんな意見があればそれに寄り添うというような考えでありまして、それはすばらしいことだと思います。  現在の供述聴取に依存したクローズな調査からは転換して、より報告命令を活用する方向とすべきであり、中身はですよ、独禁法の手続保障に関する調査事案の関係者に対する防御権の整備は喫緊の課題であると思います。  この際、欧米などでは当然のごとく認められております供述聴取時の弁護士立会いはもとより、供述聴取過程の、先ほどから出ていますけれども、録音、録画なども認めていくべきではないかと。特に任意の供述聴取については早急な検討が必要だと考えておりますけれども、いかがでしょうか。
  193. 南部利之

    ○政府参考人(南部利之君) お答えいたします。  御指摘ございました供述聴取時の弁護士の立会いであるとか、供述聴取過程を録音、録画するといったことにつきましては、全ての場合ということじゃないんでしょうけれども、それを認めますと、調査対象事業者の従業員の方がその供述内容を弁護士を通じて、あるいは録音、録画されるという形で記録されることによって雇用者であるところの事業者などに伝わって、その結果、例えば、社内で懲戒処分等と不利益を受けるということを懸念して従業員の方が供述することをちゅうちょしてしまうというおそれをやはり払拭できないということがございますので、これまで認めてきておらないところでございます。  また、平成二十六年十二月に報告書が取りまとめられております内閣府の独占禁止法審査手続についての懇談会でも、供述人に萎縮が生じるということによる実態解明機能への影響が懸念されるということなどから、供述聴取時の弁護士の立会い、あるいは供述聴取過程の録音、録画を認めるべきとの結論にはその時点では至っていなかったということでございます。  競争法違反行為に対します調査手続、これは各国それぞれ様々でございますので、現状においてはなかなか、欧米などで認められているということをもって我が国でも同様の取扱いをするということは必ずしも適当ではないのではないかというふうに考えてございます。  いずれにしましても、公正取引委員会としては、今後とも適切な供述聴取の実施を行ってまいりたいと存じます。
  194. 石井章

    ○石井章君 ありがとうございます。  時間ないので、最後の質問なんですけれども、GAFAなどの、先ほど浜口先生の方からもデジタルプラットフォーマーについて質問ありました。  個人データを世界規模で寡占しておる、それを消費者の同意なくターゲティング広告などに利用していることが世界的な問題となっております。  アマゾンジャパンが食品や日用品メーカーなどに対して、同社の通販サイトで販売した金額の一%から五%の協力金を支払うよう強要、無理やりよこせというような内容で、それを断った企業には協力金相当額の販促費用を納めるように要請したケースなども現実的にあるわけであります。  政府も、これからのデジタルプラットフォーマー問題への対策、その大切さを認識し、現在調査を進めているところだと思いますけれども、切迫したこの問題への迅速な対策が必要でありまして、独禁法の見地からも何らかの規制を早急に加えるべきだと考えております。  業界などからは、GAFAの契約において、不当な圧力を受けないような、現在は秘匿、非公開となっている取引契約の重要事項について開示の義務付けなどの対策が求められておりますけれども、いかがでしょうか。質問いたします。
  195. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  御指摘の開示の義務付けなどにつきましては、経済産業省、公正取引委員会と総務省が事務局となって開催しました有識者検討会において検討を行いまして、今年五月に取引環境の公正性、透明性確保に向けたルール整備の在り方に関するオプションを公表しております。その中では、独占禁止法違反の未然防止のための規律、利用者の合理的選択を促すための規律、また利用者のスイッチングコストを下げるための規律といった観点から、プラットフォーマーに対して一定の開示、明示義務を検討するということを提言しているところでございます。  今後は、内閣官房に設置されましたデジタル市場競争評価体制準備室を中心に更に具体的な検討が行われていくものと承知しております。
  196. 石井章

    ○石井章君 ありがとうございました。
  197. 岩渕友

    ○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。  独占禁止法の改正案についてお聞きをいたします。  まず、課徴金制度について伺います。  本法案で、中小企業算定率を適用する事業者が実質的な中小企業に限定をされるということになります。中小企業算定率は一九九一年に行われた改正で設けられたもので、中小企業の算定率は四%となっています。  それでは、中小企業とは一体どういう定義なのかというと、中小企業基本法の資本金三億円以下、従業員三百人以下を援用しているということで、大企業の子会社であるとかグループ会社にもこの中小企業算定率が適用をされるということになります。  この中小企業算定率が適用をされている中小企業のうち、大企業の子会社やグループ会社が何件あるでしょうか。
  198. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  平成二十一年度から二十七年度までの間でございますが、大企業グループに属しているにもかかわらず中小企業算定率が適用された事例は、事業者数にして延べ四十三件でございます。
  199. 岩渕友

    ○岩渕友君 実際の中小企業算定率の適用事例が独占禁止法研究会の報告書の中にも掲載をされていますけれども、この中身を見ますと、住友電気工業グループであるとか昭和電線ホールディングスグループだとか、あとは古河電気工業グループ、こうしたところが名前を連ねております。  大企業の子会社など、実質的には中小企業と言えない事業者にまで中小企業算定率が適用をされているこの実情を踏まえて、今回の本法案の中では、中小企業算定率を適用する事業者を課徴金制度の趣旨、目的に合致する範囲に限定されることになると、これは当然のことだというふうに考えています。  また、これまで早期離脱に対する軽減措置が講じられていましたけれども、研究会の報告書を見ますと、適用実績を見ると、入札資格の喪失によって違反行為に参加できなくなった場合など、自発的に違反行為をやめたものではない事業者に対する適用例がほとんどだというふうにして、見直しが必要だということが報告書の中で指摘をされていました。  実際、この報告書の中に適用事例が一覧表になってあるんですけれども、それを見てみますと、指摘されているとおり、違反対象事業を譲渡したためとか、ほかの同種案件の立入検査があったため違反行為を取りやめたものなどがいろいろ書かれていて、ちょっと自発的とは言えないという実態があります。早期離脱も今回の改正で廃止となりますけれども、これも実態に合ったもので、廃止は当然だというふうに考えます。  本法案では、割増し算定率の適用が検討をされています。繰り返し違反及び主導的役割に対する割増し算定率は現行ではそれぞれ原則一五%で、いずれにも該当する場合は原則二〇%ということになっております。  研究会では、企業グループ単位での繰り返し違反について三つ書かれているんですけれども、一つ目は、昨今はグループ単位でのコンプライアンスが求められていること、二つ目に、諸外国では繰り返し違反に対する割増し算定率はグループ単位で適用されていること、三つ目に、課徴金減免制度でも同一企業グループ内の複数の事業者による課徴金減免共同申請が認められていることなどから、企業グループ単位で繰り返し違反の割増し算定率を適用する制度を導入することを検討することが適当と考えられるというふうにされています。  日本における企業グループ単位での繰り返しの違反事例が何件かということと、不当利得の平均値が幾らなのか、お答えください。
  200. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。    〔委員長退席、理事浜口誠君着席〕  平成十六年度から平成二十六年度までの間でございますが、企業グループ単位で見た場合、繰り返し違反に該当する事業者が含まれる事件、これが九件でございます。また、この不当利得の平均値は二一・九%でございました。
  201. 岩渕友

    ○岩渕友君 今二一・九%とありましたけれども、不当利得率の平均値が高くなっています。  それで、諸外国では繰り返し違反に対する割増し算定率が企業グループ単位で適用をされていると。日本においても企業グループ単位で割増し適用をするべきではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
  202. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) 今般の課徴金制度の見直しにおきまして、企業グループ単位での違反行為についても抑止効果を及ぼすこととしております。  具体的には、過去十年以内に完全子会社が課徴金納付命令等を受けている場合、課徴金納付命令等を受けた違反対象事業を承継している場合も、繰り返し違反に対する割増し算定率を適用することにしております。他方で、今回、違反事業者の完全子会社が過去に納付命令を受けた場合に限定しております。  一方、完全親会社が過去に納付命令を受け、その後、完全子会社が命令を受ける場合を対象としていないのは、違反行為による利得と課徴金による不利益を確実に認識できるのが違反事業者の財務及び事業の方針を把握している完全親会社と考えるからでございまして、このため、この点については慎重な制度設計としているところでございます。
  203. 岩渕友

    ○岩渕友君 範囲を広げて、グループ全体への適用というのを今後も検討するべきだということを指摘をしておきたいと思います。  次に、宮腰大臣に確認なんですけれども、現行の課徴金制度の目的、これを確認します。    〔理事浜口誠君退席、委員長着席〕
  204. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 独占禁止法における現行の課徴金制度の趣旨、目的は、違反行為に基づく不当利得相当額をベースとしつつ、不当利得相当額以上の金銭を徴収する仕組みにより、行政上の措置として、違反行為を抑止するために違反事業者に対して金銭的不利益を課すものであります。
  205. 岩渕友

    ○岩渕友君 今答弁の中に違反行為を抑止するためのものだという文言ありましたけれども、目的はこの違反行為の抑止だということです。  課徴金の基本算定率は原則一〇%となっています。けれども、二〇〇四年から二〇一四年度の措置事案における不当利得の平均値は一三・五%と推計をされています。現行の課徴金制度では平均的な不当利得さえも徴収することができないということです。これでは違反やってくださいと言わんばかりじゃないのかと、違反をした方が得だということになってしまうんじゃないかと思うんですね。  今日午前中の参考人質疑でも、早稲田大学の土田参考人から、この一〇%ということについてはもうちょっと上げてもよかったんじゃないのかという意見があったり、消団連の浦郷参考人からも、一〇%では十分ではないと、引き続き検討してほしいと、こういう意見もありました。  それで、資料の一を御覧いただきたいんです。これは日本とアメリカとそしてEUの課徴金、罰金、制裁金の比較をグラフにしたものです。これを見ていただければ分かるように、アメリカとEUと、そして日本との差がもう非常に大きくなっているということが一目で分かると思うんですね。  それで、宮腰大臣にお伺いするんですが、この制裁金の水準が諸外国と比較して余りにも低いんじゃないかと思うんですけれども、見解をお聞きします。
  206. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 我が国で課された課徴金の額は、その総額、また一事業者当たりの平均額共にEUや米国に比べると低い水準となっております。  外国の競争法においては、違反行為者に対して制裁金や罰金等の措置がとられますが、その額の算定に当たり、不当利得相当額にとらわれず、競争当局等が広範な裁量によって決定することが許容されております。このため、事案によっては高額になる場合があると承知をしております。  他方、先ほどもお答え申し上げましたけれども、我が国の課徴金制度は、違反行為に基づく不当利得相当額をベースとし、不当利得相当額以上の金銭を徴収するものであるため、EUや米国とは算定方法が異なっております。  我が国の独占禁止法については、違反行為の実態に応じ、違反行為の抑止に必要な水準とする観点から見直しが行われてきております。今後もその必要に応じて見直しを検討していくこととなるというふうに考えております。
  207. 岩渕友

    ○岩渕友君 実態を踏まえて検討していくということだと思うんですけれども、衆議院の参考人質疑で、研究会のメンバーである泉水参考人から、消費者や社会に利益以上の損害を与えることがしばしばあるので、それらも含めて本人に負担させなければ十分抑止できないのではないかということで、委員の中から一〇%を超えて引き上げるべきだという主張が出たと、こういう発言がありました。また、不当利得に拘泥してそれで抑止力を弱めているという面があるので、不当利得と切り離して、どのような措置が抑止力を高められるのか、高めるのかという観点で、今回見送られたものも含めて迅速に導入してほしいと、こういう意見も述べられています。  このように、課徴金制度の性格について、東京高裁の二〇一二年十一月三十日の判決ではどう述べているのか、これ報告書でも紹介をされているので、その部分を読み上げてください。
  208. 菅久修一

    ○政府参考人(菅久修一君) お答え申し上げます。  委員御指摘の東京高裁判決でございますが、これでは、独占禁止法の課徴金制度につきまして、「違反行為者が得た不当な利得の剥奪を直接の目的とするものではなく、飽くまでも違反行為の摘発に伴う不利益を増大させて、その経済的誘因を減少し、違反行為の予防効果を強化することを目的とする行政上の措置」というふうに示しております。
  209. 岩渕友

    ○岩渕友君 基本算定率が一〇%になった以降も繰り返し違反が見られています。現行の水準では、違反を抑止する、これに必要十分なものとは言えないと思います。違反行為を抑止できる算定率に引き上げるべきだということを指摘しておきたいと思います。  次に、課徴金減免制度、リニエンシーに関わってお聞きをします。  この制度は、カルテルや談合を行っていた事業者が違反行為を自主的に公正取引委員会に報告をしてきた場合に、その時期や順序に応じて本来課せられる課徴金を減免するというものです。  この課徴金減免制度が導入をされた趣旨、そして目的について、宮腰大臣に確認をします。
  210. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) カルテル、入札談合は発覚しにくく、摘発が困難であるという特性があります。このため、平成十七年の改正で、現行の課徴金減免制度、リニエンシー制度を導入をいたしました。  その趣旨は、違反事実を自ら申し出た事業者に対して課徴金を減免することにより、事業者が違反行為から自発的に離脱しようとするインセンティブを付与し、違反行為の発覚、摘発を容易にすることで、事件の真相解明を効率的、効果的に行うというものであります。
  211. 岩渕友

    ○岩渕友君 今、真相解明という言葉がありましたけれども、実態解明機能、そして公正取引委員会の執行力を強化するための制度だということです。  この制度がどのぐらい適用をされているのかということで、二〇〇六年から二〇一七年までの法的措置の件数と、そのうち課徴金減免制度が適用された件数が何件あるのか、お答えください。
  212. 南部利之

    ○政府参考人(南部利之君) お答えいたします。  課徴金減免制度が導入されました平成十八年一月以降平成二十九年度末までにおきましては、不当な取引制限に対する法的措置の件数が百六十二件、また、同期間におきまして課徴金減免制度が適用されたことが公表されている事件数が百二十九件となります。
  213. 岩渕友

    ○岩渕友君 今の数字を聞いても分かるように、約八割で制度が適用をされているということになります。これは、事業者が自主的に自らの違反行為を申し出る機会として機能しているということを示しているのではないかと思います。違反行為の排除に貢献をしているということになります。  本法案で、事業者の実態解明への協力度合いに応じて減算率を付加する調査協力減算制度が導入をされることになります。現行では申請順位に応じた減免率となっていると。調査開始前であれば、申請順位一位は全額免除、二位は五〇%、三位から五位は三〇%で六位以下はなしと、固定された減免率ということになっています。これが協力減算制度では、一位の全額免除はそのままですけれども、二位は二〇%、三位から五位は一〇%、六位以下は五%という減免率をベースにして、違反行為の実態解明への事業者の協力度合いに応じて最大四〇%という幅のある減算率が加わるということになります。  これ、協力度合いが高ければ、申請順位が六位以下の事業者であっても二位の事業者を上回ることができる、こういうことになります。申請順位が下位の事業者にこそインセンティブが働くということになるのかなと思います。  杉本委員長に確認したいんですけれども、これ、申請の早さではなくて協力度合いが評価をされるということは、実態解明機能を高める狙いがあるということでいいですね。
  214. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) お答えさせていただきます。  現行の課徴金減免制度は、法令が規定する一定の事項を報告しさえすれば、その内容にかかわらず一律に一定の減免率が得られることになっております。このため、減免申請したものの、必要最低限の報告しか行わず、非協力的な対応を取る事業者が少なからず発生するという問題が生じているわけでございます。  今回の改正におきましては、減免申請順位に応じた減算率に加えて、事業者の調査協力の度合いに応じた減算率を付与することにより、事業者の調査協力インセンティブが高まり、事業者と公正取引委員会の協力による効率的、効果的な真相解明、処理につながると考えております。  公正取引委員会としては、このような調査協力減算制度を活用しつつ真相解明を進め、カルテルや入札談合等の違反行為が行われた場合には引き続き厳正に対処してまいりたいと思っておりますので、こういった制度は私どもの効果的、効率的な事案解明につながると考えておるところでございます。
  215. 岩渕友

    ○岩渕友君 調査協力減算制度のガイドラインの策定に当たってはパブリックコメントが行われるというふうに聞いていますけれども、このガイドラインの策定過程が公平であること、そして透明性が必要です。加えて、制度についても公表や検討を行って、国民に明らかにするということが必要になってきます。  本法案には、アメリカで協調的法執行と呼ばれる、規制対象となる企業の協力を得て法執行を進めるという手法、考え方が含まれています。独占禁止法の第二十八条では、「公正取引委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。」というふうに規定をされています。公正取引委員会が事業者の言いなりになるようなことがないように、なれ合いになるようなことがないようにしなければならないというふうに思います。  次に、秘匿特権について伺います。  本改正の施行と併せて運用で措置するというふうにしているのが、いわゆる弁護士・依頼者間の秘匿特権です。これは、協力の度合いに応じた減算率を付加したものを効果的に機能させるために認めるというものです。  中小企業団体からはこの秘匿特権の拡大に慎重な検討を求める声が出ています。消費者団体の皆さんからも強い懸念が寄せられています。複数の事業者が行うカルテルや談合とは異なって、事業者が単独で一方的に行うものにまで認められるということになれば、違反事実が明らかにならないんじゃないかというような、そういう懸念が寄せられているわけですね。  そこで、確認をしたいんですけれども、秘匿特権の対象は、カルテル、そして談合といった不当な取引制限に限定されるということでいいですよね。
  216. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) 独占禁止法で禁止しているカルテル等の不当な取引制限は、これは秘密裏に行われるものでありまして、物証に乏しく、違反行為を明確に示すようなものを得ることは困難でございます。  こうした不当な取引制限に固有の事情に鑑みまして、今回の法改正によりまして、公正取引委員会に対する事業者の調査協力インセンティブを高めるため、事業者の自主的な調査協力度合いに応じて課徴金の減算額が決定されるような、課徴金減免制度が見直されることとなりますれば、調査協力を行うか判断をするために、また、調査協力を効果的に行うために外部の弁護士に相談するという事業者のニーズがより高まると考えられるところでございます。  したがいまして、お尋ねの制度は、このようなニーズに対応しまして、新たな課徴金減免制度をより機能させる等の観点から整備するものでございますため、その対象を同制度の対象違反行為であるカルテル等の不当な取引制限の行政調査手続としているところでございます。  我が国ではいわゆる秘匿特権を認める明文上の規定はなく、このような中で、今般、法改正に合わせて、独占禁止法上の固有の事情に鑑み、カルテル等の不当な取引制限の行政調査手続に限定したものでございます。
  217. 岩渕友

    ○岩渕友君 衆議院の参考人質疑で、泉水参考人が、今後は公正取引委員会規則での運用により経験を蓄積し事例を積み重ねて、生じる課題を解決していくということになる、その蓄積の上において、独占禁止法上のいわゆる単独行為について、そしてさらには、我が国の司法制度全体における秘匿特権の制度設計の在り方や運用の在り方について慎重に検討していくということだというふうに述べているんですね。  この秘匿特権が今までになかった、これまでになかった制度だということで、今後の在り方として、拡大ありきということではなくて検証、総括されることが必要だと考えますが、どうでしょうか。
  218. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) お尋ねの制度の対象範囲の拡大につきましては早急に検討することとしておりますが、この検討に当たっては、本制度の運用開始後の状況を踏まえまして、中小企業に不当に不利益を与えることにならないよう、また、他法令への影響を及ぼすことがないように十分留意することが必要だと思っております。  仮に本制度の対象範囲を独占禁止法の全ての違反行為類型に拡大した場合、例えば、特に中小企業が被害者であることが多い違反行為類型でございます優越的地位の濫用においては、新たな課徴金減免制度のような調査協力インセンティブを高める制度が整備されていないため、従前と比較しまして審査期間の長期化を招くことが想定され、被害を被っている中小企業の利益の迅速な確保が困難となるおそれがございます。  また、カルテル等の不当な取引制限が新たな課徴金減免制度の対象になっているといった独占禁止法固有の事情を離れて、対象範囲を独占禁止法の他の違反行為類型に拡大したり犯則調査手続にも拡大した場合には、本制度は一般的、普遍的なものとして位置付けられることとなります。しかし、その場合には、我が国ではいわゆる弁護士・依頼者間秘匿特権を認める明文上の規定はないこととの整合性が問題になるほか、他の行政調査手続や司法手続に及ぼす影響についても懸念されるところでございます。  このように、本制度の対象の拡大を検討するに当たりましては、以上のような懸念を踏まえつつ、運用開始後の状況を慎重に検証、評価して対応することが必要になると考えております。
  219. 岩渕友

    ○岩渕友君 十分留意する必要がある、検証が必要だということでしたけれども、拡大ありきということがあってはならないし、検証、総括が必要です。  消団連が三月十二日に出している独占禁止法改正を求める意見、今日の午前中の参考人質疑でも資料として配られていましたけれども、あの中で、消費者関連法の執行は現状でも不十分であり、秘匿特権的な制度が拡大することで消費者利益が損なわれることにつながるおそれも十分想定されることから、秘匿特権的な制度が拡大することには反対だという意見がありました。こういう意見をよく聞いていただきたいというふうに思います。  資料の二を御覧いただきたいなと思うんです。これは、日本経団連の歴代役員企業のカルテル、そして談合事件及び課徴金等の一覧ということで、二〇〇九年度から二〇一八年度までの十年間をまとめたものです。この、じゃ、歴代役員というのは誰のことを言っているのかというと、会長、副会長、議長、副議長ということなんですけれども、こういう一覧表です。経団連の役員企業によるカルテルや談合事件が後を絶たないという残念な事態が、見ていただければ分かるように続いています。特に現会長の出身企業である日立製作所のグループ企業が目立っているということです。  秘匿特権というんですけれども、そもそもはカルテルや談合をしなければいいじゃないかということです。経済団体や企業が自浄能力を発揮するのが当然だと思うんですけれども、宮腰大臣、いかがでしょうか。
  220. 宮腰光寛

    ○国務大臣(宮腰光寛君) 独占禁止法は、公正かつ自由な競争の促進を通じて国民経済の民主的で健全な発達及び消費者の利益の確保を目的とする法律であり、これに違反する行為は許されないものであると考えます。そのため、事業者は、公正かつ自由な競争を阻害する行為、なかんずく、独占禁止法違反行為に対する自浄能力を発揮すべきであると考えます。  今般の改正は、事業者の公正取引委員会による調査に協力するインセンティブを高めることによりまして、事業者と公正取引委員会が、対立した関係ではなく、協力して独占禁止法違反行為を排除することを後押しするものであります。そのため、今般の改正は、事業者のコンプライアンス体制の整備を促し、自浄能力を高めることに資するものと考えております。  また、公正取引委員会は、事業者におけるコンプライアンスの状況について数次にわたる実態調査を行って、コンプライアンスの実効性を高めるための方策を提言をいたしております。また、独占禁止法上の指針など種々のガイドラインの整備により独占禁止法上の考え方を明確にするなど、従来からコンプライアンスに関する事業者の取組の支援、唱道活動に積極的に取り組んできていると承知をしております。  法案が成立した場合におきましても、公正取引委員会において、引き続き、事業者のコンプライアンスを向上させ、自浄能力を高めるべく、適切な対応を行うものと承知をしております。
  221. 岩渕友

    ○岩渕友君 カルテルや談合をした事業者の防御権を強める必要があるのかと、抑止効果、事件の真相解明機能とのバランスで考えられる必要があると思います。秘匿特権はあくまで実態解明機能を損なわない観点から考えられるべきものだということです。  最後に、GAFAと呼ばれる巨大デジタルプラットフォーマーに関わってお聞きをします。  資料の三を御覧ください。これは、GAFAへの競争法当局による主な規制の動きです。  この一番上のグーグルのところを見ていただければ、二〇一七年の六月に欧州委員会はグーグルに対して、買物検索で自社サービスを優遇したということで二十四・二億ユーロ、これは日本円にすると約二千九百億円ということだそうですが、制裁金を支払うように命令をしました。  それで、資料の一をちょっともう一度見ていただきたいんですけれども、資料一に示したグラフの二〇一七年度のところのEUの制裁金のところにグーグルとあるんですけれども、この中にその二十四・二億ユーロが含まれています。このグラフを見ていただければ分かるように、かなりの部分を占めているということになります。  グーグル、これだけではなくて、二〇一八年七月には、その下にあるように、スマホメーカーに対してアンドロイドOSと自社検索アプリやブラウザアプリの違法な抱き合わせを要求して、市場支配的地位を濫用したとして四十三・四億ユーロの制裁金の支払命令を受けていると。さらに、二〇一九年の三月には、市場支配的地位を濫用して、競合他社が第三社のウエブサイトに検索連動型広告を掲載することを妨げたとして十四・九億ユーロの制裁金の支払命令を受けるということになっています。  こうしたグーグルの中身を受けて、五月の日本経済新聞で京都大学の川浜昇教授が、これらは支配的地位をてこに隣接市場での競争を制限し、排他契約や抱き合わせを通じて参入などを阻止する行為であり、市場支配的地位の濫用の排除型に属すると、日本の独占禁止法上も規制されているというふうに述べています。  そこで、杉本委員長にお聞きするんですけれども、この紹介をしたようなグーグルの例というのは日本でも同じことが起きているんじゃないかと思うんですけれども、EUでは制裁金を科していると。では、日本ではどうしてできないのでしょうか。
  222. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) お尋ねございましたいわゆる巨大プラットフォーム、GAFAに対しまして、公正取引委員会では、アマゾンが取引先との契約で価格等の同等性条件を定めていた件や、アップルが大手携帯電話会社との取引で端末購入補助等につき事業活動を制限した件などについて、積極的に調査を行ってきたところでございます。  これらの事案では、審査の過程におきまして、調査の対象である事業者から契約の一部を改定する等の申出がございました。公正取引委員会は、その内容を検討いたしまして、独占禁止法に違反する疑いが解消されることを確認しており、また、法運用の透明性や事業者の予見可能性を高める観点から、事案の概要については公表しているところでございます。  現在もプラットフォーム企業の実態調査をやっているところでございまして、今後とも、デジタルプラットフォーマー等ITデジタル関連分野において独占禁止法に違反する行為があった場合には、これに対しては厳正に対処してまいるという姿勢は崩しておらないところでございます。
  223. 岩渕友

    ○岩渕友君 三月三十日付けの週刊ダイヤモンドであるとか六月六日付けの読売新聞で、杉本委員長がインタビューに答えていらっしゃいます。このことに基づいたやり取りがおとといの質疑の中でもあって、委員長、答弁されているんですけれども、個人情報は重要な財だと。プラットフォーマーと個人の間にも取引が生じるということで、これまで企業間取引にのみ適用されてきた優越的地位の濫用をプラットフォーマーと個人の関係でも活用していく方針だというようなことがあったんですね。  午前中の参考人質疑で土田参考人がこれは非常に画期的なことだというふうに述べておられたんですけれども、こういう見解を持っているということでいいでしょうか、確認をします。
  224. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) これまで優越的地位の濫用規制というのは事業者間取引にのみ適用されてきておりまして、事業者と消費者との取引について適用された例はございません。しかし、公正取引委員会としては、デジタルプラットフォーマーと消費者との取引に対して優越的地位の濫用の規制を適用することは、独占禁止法を執行していく上で排除されないと考えているところでございます。  デジタルプラットフォーマーがサービスをたとえ無料で提供している場合でありましても、消費者はデジタルプラットフォーマーに対して情報を反対給付していると言えるわけでございまして、こうした情報は投入財として位置付けられ、サービスの対価として見られるものでございます。デジタルプラットフォーマーは、こうした情報を投入財として活用しましてターゲット広告を打つ等のビジネスモデルを構築しているところでございます。したがいまして、デジタルプラットフォーマーと消費者は取引をしていると認めることが可能であると考えているところでございます。  その上で、適用に当たりましては、デジタルプラットフォーマーの取引上の地位が消費者に優越していると言えるかどうか、デジタルプラットフォーマーが消費者に対して不当に不利益を与えていると言えるかどうか、デジタルプラットフォーマーの行為が競争に悪影響を与えていると言えるかどうか、すなわち公正な競争を阻害するおそれがあると言えるかどうかという点について、個別のケースに応じて判断していく必要があるんじゃないかと考えているところでございます。  公正取引委員会としては、これらの論点を含めて、デジタルプラットフォーマーと消費者との取引に対して優越的地位の濫用規制を適用することについての基本的な考え方を整理しているところでございます。
  225. 岩渕友

    ○岩渕友君 今、優越的地位の濫用についていろいろ聞いたし答弁いただいたんですけれども、これだけではなくて、先ほど紹介をしたグーグルの事例のように、市場全体に影響を及ぼしているということであれば、私的独占というようなものに当たるんじゃないかということも考えられますし、ほかにも不公正な取引方法だとか抱き合わせ、条件付取引とかいろんなものに当たるということが考えられると思うんですけれども、委員長、見解をちょっとお聞かせください。
  226. 杉本和行

    ○政府特別補佐人(杉本和行君) 独占禁止法の適用に当たりましては、行為者の市場における地位や行為の態様など、認定された事実に基づき適切な規定を適用することになります。デジタルプラットフォーマーの行為に適用される規定は、したがいまして優越的地位の濫用に限定されるものではございません。  例えば、デジタルプラットフォーマーの運営事業者が自らもデジタルプラットフォームにおいて商品を販売を行う際に、競合する商品を販売する利用者を不当に排除している場合だとか、デジタルプラットフォームの運営事業者が利用事業者との間の契約において、価格等に関する同等性条件を定めることによりまして利用事業者の事業活動を不当に拘束する場合、こういった場合には、競争者に対する取引妨害とか拘束条件付取引として問題となる場合があると考えられるところでございます。  また、これらの行為は不公正な取引方法ということでございますが、行為者の市場における地位によっては私的独占となる場合もあると考えております。  公正取引委員会といたしましては、今後とも、事案ごとの特性を踏まえまして、独占禁止法違反行為に対しては厳正に対処してまいりたいと考えているところでございます。
  227. 岩渕友

    ○岩渕友君 今の答弁にあったとおり、いろんな可能性があるということだと思います。もちろんケースに応じてということだと思いますけれども、いろんな可能性があるということだと思います。  最後に、EUでは、昨年五月に施行された一般データ保護規則で、忘れられる権利であるとかデータポータビリティーが盛り込まれるということになりました。  個人情報を守る制度があってこそ、デジタル市場の健全な発展につながると考えます。このことを述べて、質問を終わりたいと思います。
  228. 浜野喜史

    ○委員長(浜野喜史君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十一分散会