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2019-04-25 第198回国会 参議院 文教科学委員会 6号 公式Web版

  1. 平成三十一年四月二十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月二十三日     辞任         補欠選任      松川 るい君     小野田紀美君  四月二十四日     辞任         補欠選任      小野田紀美君     大野 泰正君      大島九州男君     柳田  稔君  四月二十五日     辞任         補欠選任      徳茂 雅之君     小野田紀美君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         上野 通子君     理 事                 石井 浩郎君                 江島  潔君                 神本美恵子君                 吉良よし子君     委 員                 赤池 誠章君                 今井絵理子君                 小野田紀美君                 大野 泰正君                 徳茂 雅之君                 橋本 聖子君                 藤末 健三君                 水落 敏栄君                 斎藤 嘉隆君                 伊藤 孝恵君                 柳田  稔君                 山本 太郎君                 新妻 秀規君                 浜田 昌良君                 高木かおり君                 松沢 成文君    事務局側        常任委員会専門        員        戸田 浩史君    参考人        関西学院大学学        長        村田  治君        中京大学国際教        養学部教授    大内 裕和君        奨学金問題対策        全国会事務局        長        弁護士      岩重 佳治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件 ○大学等における修学の支援に関する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 上野通子

    ○委員長(上野通子君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、松川るいさん及び大島九州男さんが委員を辞任され、その補欠として柳田稔さん及び大野泰正さんが選任されました。     ─────────────
  3. 上野通子

    ○委員長(上野通子君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案について、内閣委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 上野通子

    ○委員長(上野通子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 上野通子

    ○委員長(上野通子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 上野通子

    ○委員長(上野通子君) 大学等における修学の支援に関する法律案を議題といたします。  本日は、本案の審査のため、参考人として関西学院大学学長村田治さん、中京大学国際教養学部教授大内裕和さん及び奨学金問題対策国会事務局長・弁護士岩重佳治さんに御出席をいただいております。  この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただき、本案の審査の参考にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、議事の進め方でございますが、まず、村田参考人、大内参考人、岩重参考人の順でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。  なお、参考人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず村田参考人から御意見をお述べいただきます。村田参考人
  7. 村田治

    参考人(村田治君) ありがとうございます。関西学院大学の学長の村田でございます。  本日は、大学等における修学の支援に関する法律案について、御審議に際し、参考人として意見を述べる機会をいただき、感謝申し上げます。専門家会議の副座長として、また私立大学の学長としての意見を述べさせていただきます。  まず、本法案は低所得者層への配慮された制度、特に授業料等の減免に加え、学生生活費への給付型奨学金制度を取り入れ、これまでの制度に比べ、計算の仕方に若干違いございますが、約四倍近く額が多くなってございます。その点、高く評価できると考えてございます。  また、対象が住民税非課税世帯から年収三百八十万円未満の世帯まで拡大したことや、対象を大学短期大学だけでなく専門学校をも入れたことが評価されると考えてございます。  さらに、支援対象者に関して、従来のように高校時代の成績だけで判断せず、大学に入ってからの成績で判断する点は重要なポイントと考えてございます。  御存じのように、住民税非課税世帯高等教育進学率は約四割程度でございまして、全世帯平均の八割に比べますと半分ほどになってございます。このことは、高校時代に進学を諦め、高校での学習意欲の低下につながっていると考えられ、この点、高校時代の成績ではなく、大学等への進学意欲を重視した今回の法案は意義のあることだと考えてございます。  また、法令にのっとり財務・経営情報の開示を入れた点は、支援を受けた学生の入った大学等が経営悪化によって潰れることを防ぐことは当然のことであるというふうに考えてございます。  次に、今後の運用面での検討が必要と考える点について申し上げたいと思います。  まず、三百八十万円以上の所得層について、従来は、大学によって金額は異なりますが、授業料減免措置がございました。それが今後どうなるのかというのは、一つの大きな検討事項だと考えてございます。特に、本法案大学生にも適用されるため、在学中に制度変更がなされるということが起こります。年収三百八十万円未満の家庭の対象学生への周知徹底と、三百八十万円以上の家庭での授業料減免を受けていた学生に対する措置をどうするかということが重要と考えてございます。  次に、対象となる大学等の要件について申し上げます。  実務経験のある教員の配置については、ほとんどの大学で要件を満たすような形にはなっていると考えますが、大学専門職大学あるいは専門学校では教育目的も異なっており、特に大学に関しては、学問の自由を侵さないよう運用面での工夫が必要であると考えております。  次に、外部人材理事への任命に関しましても、大学についてはほとんどの大学で要件を満たしていると考えてございますが、専門学校等につきましては理事会が置かれていない例もあり、運用面で慎重にこれに対応していくことが必要であると考えます。  厳格な成績管理を実施、公表するということに関しましては、新しい政策パッケージの文書の中に、高等教育は、国民の知の基盤であり、イノベーションを創出し、国の競争力を高める原動力であるとされていますように、本法案の支援制度によって対象者が充実した高等教育を受けることが前提であり、そのために厳格な成績管理を実施、公表しているのは当然のことと考えてございます。  最後に、奨学金制度全体につきまして私の意見を述べさせていただきます。  冒頭申し上げましたように、本法案の支援制度は、支援額の大幅増加、対象者の拡大等の観点から評価できるものと考えてございます。確かに、今回の制度消費税を財源として使途が社会保障関係費に制限されており、だからこそ、真に支援が必要な低所得世帯が対象となっているものと理解をしてございます。  他方、二〇一七年度から始まりました新しい所得連動型奨学金返還制度は、あくまでも貸与奨学金であり、目的も低中所得層の教育費用の負担軽減であり、今回の制度とは目的が違います。しかしながら、例えば今回の制度で対象となる非課税世帯であれば、所得連動型奨学金返還制度を利用する必要がなくなる場合も起こり得るわけでございまして、今後、貸与・給付型奨学金の体系全体を社会保障の観点をも考慮しながら見直していくことも必要かと考えてございます。その際に、日本型HECS、ハイアー・エデュケーション・コントリビューション・システムの導入の検討を是非お願いをしたいと考えてございます。  以上でございます。
  8. 上野通子

    ○委員長(上野通子君) ありがとうございました。  次に、大内参考人にお願いいたします。大内参考人
  9. 大内裕和

    参考人(大内裕和君) 中京大学の大内と申します。教育社会学を専門としています。  参考人として、大学等における修学の支援等に関する法律案について意見を述べさせていただきます。簡単な資料を作ってまいりましたので、それに基づいてお話をさせていただきます。  この法案は様々なメディアで、これも私が見ている中日新聞ですけれども、大学の無償化という法案として報道されています。しかし、この法案はやはり高等教育無償化の法案とは呼べないと考えます。  なぜかといえば、これは支援の対象が真に支援が必要な低所得世帯の者に限定されています。無償化というのは世界各国の高等教育で行われておりますけれども、私の知る限り、このような内容を無償化と呼んでいる国は知りません。やはり、今回の法案については低所得世帯の学生を対象とした学費負担軽減法案というふうに呼ぶのが適切であって、正しく呼びませんと正しい内容が主権者あるいは教育の受け手に伝わらないという問題点があると思います。国連人権規約でも無償化ということは批准をしているわけですから、そういう国際的な観点からも法案の名称について考えることが大事であると思います。  二つ目です。今回の法案は、低所得世帯の学生を対象とした学費負担軽減法案です。これ自体は極めて重要なことで、低所得世帯の進学を可能にすることはとても重要です。ただ、今起こっている高等教育学費問題の中心はここにはないと考えます。  二番目です。中位所得者層を対象から除外したことで、近年の高等教育における学費問題の中心的課題に対応しているものになっていません。それは、年収三百八十万以上の中位所得世帯の学生への支援が存在していないからです。  この間、学費と並んで奨学金制度がこれだけ大きな問題になったのは、奨学金の利用者が急増したことにあります。一九九〇年代後半以降に奨学金の利用者は急増しました。日本学生支援機構の調べでも、一九九六年の二一・六%から二〇一二年には五二・五%と大幅に増加しています。これは、数が増えたということにとどまらず、明らかに質が変わったと言っていいと思います。二〇%台というのは、やはりそれは全体の学生の中では少数派、特に低所得の人々に奨学金が利用されたということになります。しかし、これ、五〇%を超えるといいますと少数派ではありませんし、明らかに真ん中の層の人たちまでが学費の負担が困難になっていることをこの数字は示しています。  背景には、この間も学費が高騰したこと、二つ目にこの時期に親、保護者の所得が減少したこと、この二つが重なり合って一気に奨学金の利用者が急増しました。ですから奨学金が社会問題になったんです。  ポイントは、九〇年代後半までは大学学費を、これは高かったんですけれども、かなり多くの世帯がそれを支払うことが可能だった、そういう状況が難しくなった。それまでは学費負担をすることができた多くの中間層世帯学費を支払うことが困難となったことからこの問題は起こっているので、今回のような低所得世帯の学生を対象とした学費負担軽減策は重要なんですけれども、今起こっている問題、特に高等教育に通っているボリュームゾーンはここですから、ここの人たちが、それこそ学費が払えないとか、アルバイトばかりしていてとても学ぼうと思っても学べないということが問題になっているんですね。ですので、是非ともここの問題を併せて考えていただきたいというのが二番目のポイントです。  三番目です。年収三百八十万世帯と年収三百八十万以上世帯の分断が激化する危険性です。  今回は所得世帯を限定して、そこに集中的に支援をするという法案内容になっています。それは、そもそも低所得世帯の学生を対象とした学費負担軽減策なんですから、それ自体はどこかで線引きをしなければならないということは、法案の特質上よく分かります。ただ、これは、年収三百八十万未満世帯学費減免プラス給付型の奨学金となっているのに対して、年収三百八十万以上世帯について言うと、学費減免は行われず、しかも原則的には貸与型奨学金、卒業後返済必要となっていますので、とてもこの線を引いたところでの差が大きく出てしまいます。  私はこれは、ふだん学生たちを教えていますから、年収三百八十万以上でとても困っている学生は大勢いるわけですね。その学生たちがこの法案の内容を聞いたときに、三百八十万未満の世帯について言うとこのようなことが起こって、自分たちには何もというか、そういういいことはないとなった場合に、非常に分断や対立、あの人たちは何かああいうことがあっていいなみたいなことになる危険性があると考えます。  修学支援の法案によってこのような分断や対立が強まることはとても悲しいことですし、それは起こしてはならないと考えます。特に三百八十万以上から六百万ぐらいの世帯について言うと、とても高等教育の費用負担が厳しいことは統計上も分かっています。しかも、今回は財源が消費税ですから、この中でも所得の低い人ほど逆進性で税が重くなっているのに、この線引きのところでこの線引きから下の人たちと上でくっきりと分かれてしまうとなるので、やはりその辺りの危険性を考慮する必要があると考えます。  四番目です。機関要件を課している問題です。  今回の法案の中で、実務経験のある教員による授業科目が標準単位の一割以上配置すること、また、学校法人の理事に産業界等の学部人材を複数任命していることということが書かれています。これは、修学支援によって大学の自治や学問の自由への介入を引き起こす、そういう危険性を持っていると考えます。やはり大学というのは、自治権を持っていること、それから、何といっても、学問研究の発展のためには学問の自由が何よりも尊重されなければいけません。修学を支援するということは、そういう価値ある大学での研究や教育ということを受ける権利を拡張するための法案ですから、このことについてはとても慎重に考える必要があると考えます。  また、こういう形で機関に要件を定めてしまいますと、支援対象者は、進学する大学学部を、修学支援が行われないからそこの大学は選べない、選ばない、そのような学部は選ばない、選べないというような形になってしまって、選択する自由を狭めてしまう可能性が存在します。修学支援の法案というのは、支援対象者が進学する機会を拡大することが目的なんですから、このようなことが起こってしまうと自由に進学先やあるいは学ぶ学問というものを選べなくなってしまうので、機関要件というのはその点でも慎重に考えるべきであると考えます。  五番目です。急速な少子化の進展への対処、教育の機会均等になるのかということです。  これはとても大きな問題です。この大学等における修学の支援等に関する法律案には、その目的の中に急速な少子化の進展への対処というのが明記されています。ただ、この少子化問題は日本社会を揺るがす大問題でありまして、確かに今回の低所得世帯の学生を対象とした学費負担軽減策はその一つでしょうけど、でも、本当にその少子化というものを何とかするためには、幾つか越えなければならない大きな課題があります。  とりわけ高等教育の関係について言うと、先ほど言った奨学金利用者が一九九〇年代後半以降急増いたしましたので、その返済負担が非常に少子化問題につながっていることは様々な調査で明らかとなっています。労働者福祉中央協議会がこのテーマに関して調査を行っておりまして、奨学金返済の負担の額の大きさというものが結婚や出産をちゅうちょする、結婚や出産をすることができないと考えてしまう、そういう人が大量にいるということが明らかとなっています。  確かに、低所得世帯に対してこれからは学費は掛かりませんよということで、その人たちが懸念がなくなって子供を産みやすくなるということはありますけれども、懸念どころか、もう実際に今返済をしているので、このもう掛かっている額が大きいので、これは結婚しようと思うとちょっと難しいという。特に今回の調査では、もう貯蓄に多大な影響が起こっているんですね。若いときに貯金ができないというのは、特にそのライフコースには大きな影響を与えます。ということは、もう実際に支払っている奨学金の返済によって結婚が難しい。日本の場合は未婚化が少子化と直結しますので、未婚化傾向を強めると本当に子供が生まれない。  ですから、急速な少子化の進展への対処というのであれば、やはりこの大きな問題である奨学金返済の負担軽減ということを何らかの形で入れないと、この法案の目的部分というものは十分に達成され得ないと思います。急速な少子化の進展への対処ということであれば、是非ともこの奨学金返済の負担軽減を入れることが大事だろうと。  もう一つは、教育の機会均等です。  教育の機会均等というのは法案の中には明記はされておりませんけれども、やはり学費の負担を軽減するとか、あるいはそうした奨学金を充実させるというのの根本部分は、教育の機会が均等でなければならないという理念に支えられているわけですから、教育の機会均等というのは重要な論点であると考えます。  しかし、今回の支援の財源は、逆進性の強い消費税が財源となっています。教育の機会均等を今以上に実現するということのためには、やはり教育の財源については応能負担の税が財源であることが重要で、これは、この法案に限らず、今後の日本の高等教育の在り方や教育機会を考える上でとても重要な論点であると考えます。  私の方からは以上です。
  10. 上野通子

    ○委員長(上野通子君) ありがとうございました。  次に、岩重参考人にお願いいたします。岩重参考人。
  11. 岩重佳治

    ○参考人(岩重佳治君) 岩重と申します。今日は、お時間いただきましてありがとうございます。  私は、六年前に奨学金問題対策全国会議というのを立ち上げまして、実際に返還に困っている人の相談を受けてそれを救済するという活動にずっと携わってまいりました。この間、本当に超党派でこの問題に取り組んでいただいて、社会問題としてこの案件が注目され、少しずつですけれども前進してきたということについては、大変感謝をしております。今回の法案を第一歩として、本当の無償化と返還困難者の救済が実現されるように心から願っております。  今回、現場から法案について一言意見を述べさせていただきます。  まず、気になっている点、幾つかあります。  一つは、大内先生がおっしゃっていましたけど、対象が限られているということですよね。この問題が社会問題化したのは中間層が苦しんでいるからで、私のところに日々たくさんの相談が来たというのもそれが背景にあって、現場の実感です。そうしますと、支援の対象というのは中間層まで広げていくという確実な道筋というのを明らかにしていただきたいというのがまず一点目です。  二点目ですけれども、財源の問題です。消費税の増税分が財源になっていることが気になります。経済的な理由で学びを諦めないための制度ということであれば、所得の再分配ということによって実現すべきであろうと思います。そういう意味では、逆進性のある消費税で賄うというのは矛盾だというふうに考えております。何よりも、こういうふうに財源を指定してしまいますと、今後、支援の対象が拡大されないのではないかという懸念を持っています。そういう意味では、この財源の指定に対する規定を外していただきたいというふうに考えています。  それから、先ほどからお話がありました機関要件の問題ですけれども、大学の経済事情ですとか学ぶ内容で学生が差別されるというのはおかしいのではないかと思いますので、この規定は外していただきたいと思います。  そもそもの問題が学費の高騰にあるということがこの問題の一番大きな問題だと思います。私たちの時代、国公立の初年度納入金は大体一万六千円だったんですが、今八十万円を超えて、もう九十万円を超えようとしていますよね。この間、物価の上昇率は三倍であるのに、約五十倍以上の高騰ということが背景にあるということを考えれば、是非、無償化というのであれば、学費の引下げに踏み切っていただきたいと思います。  それから、これ予定になかったんですけど、先ほど成績要件の問題が出ました。実は、これ重要な問題だと思っています。  今学生さんの生活というのは大変苦しい状況にあるんですよね。九割ぐらいの学生さんがアルバイトをしています。しかも、長時間のアルバイトです。なぜかといえば、学費が高いから、それから生活が苦しいから、それを稼ぐためにアルバイトをしています。それと、なるべく奨学金を借りたくないということでアルバイトをしています。それなので、勉強をできる環境にはないのです。その中で成績要件を課すということは、本人の責任ではない問題を本人に押し付けるということになりかねないので、この成績要件は外していただきたいというふうに考えております。  その上で、私が今日一番お話ししたいということについてお伝えしたいと思います。  先ほど中間層の問題というのが出てきましたけど、私の立場からいうと、この中間層の問題が取り残されていると思うのは、肝腎の返還制度というものに手が着けられていないということにあります。  実は、今日皆さんたくさんお集まりいただいていると思うんですが、皆さん自身が奨学金を借りていらっしゃるまだ方もいらっしゃると思いますし、それから御子息が奨学金を借りていらっしゃる方もいると思いますし、あるいは奨学金を借りている方の保証人になっている方もたくさんいらっしゃると思うんですね。あるいは、息子さん、お嬢さんが奨学金借りていなくても、その結婚相手が奨学金を借りているという方はたくさんいると思うんですね。  ここで申し上げたいことは、そういう方があるのであれば、皆さんが返還困難の苦しみの中に巻き込まれる危険があるということをお伝えしたいと思うんですね。これはよく借りるときに気を付けなさいというふうに言われますが、断言をしますが、本人がどんなに努力をしても絶対に防ぐことはできません。それがこの返還制度の不備ということになります。  時間が限られていますので、私が実際に扱った事件を参考にお話ししたいと思います。レジュメの一ページの四角の中を御覧になってください。Aさんという方の例を引かせていただきます。  Aさんが私のところに相談に来たのは、かなり冬だったんですけど、北東北の方でした。彼、四十代の男性で年収が三十万なんですね。というのは、月三万収入がないんです。どうやって暮らしているんですかというふうにお話をしましたところが、御親族がたまに食料を持ってきてくださる。それから、御親族が生活保護を受けているんですけど、その生活保護でぎりぎりの生活をなさっている親族の方のおうちに行って、御飯を食べ、お風呂に入り、やっと生活しているんですね。暖房はというと電気毛布一枚です。なぜかといえば、それが一番電気代が安いからですね。  この方は、精神的な病気で入退院を繰り返している方です。その人に対して、日本学生支援機構から二〇一一年に三百万ぐらいの請求が来たんですけど、彼は法律の知識があったんですね。奨学金というのは返還するときから十年たつと時効に掛かるんですけど、半分ぐらいは時効に掛かっているということで、時効ではないかと言っていたら、裁判を起こされたというのが彼のケースです。生きていくのが本当に精いっぱいだなというふうに思うので、実は、奨学金の相談に来られる方は、こういう方がとても多いんですね。  皆さんは、このAさんが救済されるべきだと思われますか、それとも救済されなくていいというふうにお考えですか、いかがでしょうか。多くの方は救済されるべきだというふうにお考えだというふうに信じておりますが、実際には救済されません。なぜならば、救済制度が不備だからです。  年収が三百万以下の人に対しては返還を猶予する制度があります。返還猶予といいます。しかし、彼は使えませんでした。なぜならば、延滞があるからです。延滞があるとこの制度は使えないのです。規則には書いておりません。運用でそういうふうになされていると聞きました。おかしいですね。返還が困難だから延滞が生ずるのに、延滞があると使えないという運用がなされているのはどういうことでしょうか。  ところが、制度が変わりました。皆さんのお力で二〇一四年の四月から、本当に収入が少ない方、年収二百万円以下の場合は延滞があっても猶予ができるという制度ができました。延滞据置猶予できます。二〇一四年四月にできて、彼は二〇一四年の十一月にこの制度を知って、裁判を起こされている最中にこの制度を申請したいということで機構に申入れをしました。私、お手伝いをしていたんですが、これでもう終わったと思っていました。違うんです。  彼が申請した一か月後に日本学生支援機構は、この新たな制度に利用制限を掛けました。どういう利用制限か。例えば、裁判を起こしたケース、あるいは時効を主張したような人に対しては新しい制度を使えなくするようにするというんです。よく分かりません。返還制度と関係ないですね。しかし、皆さん、疑問に思いませんか。この制限をなされたのは彼が申請した後、一か月後なのです。したがって、大丈夫だと思っていました。違うのです。遡って適用するというのです。そして、制度が使えないというのです。これが実態なのです。  私は、なぜそんなおかしいことができるのかということで裁判で争ったらば、機構の代理人の準備書面の書面はこういうことです。規則には猶予できる、免除できる、できると書いてある、したがって、猶予するかしないかは機構の裁量なんだ、これが正式な答弁です。  今日はお時間がないので申し上げませんが、こういう返還制度の問題点というのは、返還困難に陥った人を救わない制度になっています。ということは、先ほど申し上げた、誰でもこの問題が起こり得る可能性があるということ、それが中間層の問題だというふうに申し上げた一番大きな理由なのです。  レジュメの二ページにもお書きしましたけれども、最近、保証人への請求が問題になっていますね。  日本学生支援機構は、保証人、個人の場合は二人取ります。連帯保証人といって、全額支払義務のある保証人と、それから単純保証人といいますが、半額しか支払義務のない保証人、二つ取るんですね。ところが、本来半額しか支払義務のない保証人に対して全額の請求を日本学生支援機構が組織的に続けていたということが明らかになりました。  私の相談者も、実際、四百五十万の支払義務しかないのに九百万を払わないと裁判にするというふうに強硬に迫られて、九百万を払って非常に怒っております。これについては、これから裁判を起こして、機構に対して過払い金の返還請求訴訟を起こそうと思っています。過払い金というと消費者金融の問題だと思っている皆さんがいらっしゃると思いますけど、私は今回、日本学生支援機構に対して過払い金の返還請求訴訟を起こしたいと思っています。  問題は、そもそもなぜこういうむちゃなことをするかなんですね。今日、資料にもお書きしましたけど、日本学生支援機構に、返還をする保証人に請求を求めるときに、半額しか支払義務がないんだということを伝えたらどうかということを皆さんがおっしゃいました。しかし、日本学生支援機構の理事長さんの遠藤さんは伝えないと言っています。それはなぜかというと、伝えると事実上半額しか回収ができなくなって、税金での負担が多くなるからだというふうにお話をなさっています。これは、言ってみれば、借り手が法律知識がないのに付け込んで回収をしているということと同じではないでしょうか。  こういう問題がなぜ起こるかということです。それは、借主さん御本人が返したくても返せないのに、無理な取立てをしている。本人から無理な回収をする。つまり、十分な救済制度ができていない、ここに諸悪の根源があるのです。そういう意味では、保証人の問題も借り手の返済能力の問題とつながっているというふうに考えていただければというふうに思います。  最近では、個人の保証を取らずに、保証料を払ってもらって機関保証に変えるべきだというような考え方が出ています。一つでは歓迎する面もあります。というのは、この返済に困っている方は、最終的には救済制度は自己破産という方法しかありません。それなので、自己破産をすべき案件がほとんどなのですが、皆さん、破産をしないで無理をして返しています。なぜならば、半分ぐらいの方は個人の保証人を取られている。お父さん、年取ったお父さんとか、中にはおじいさん、おばあさん、それから奨学金を借りている御兄弟が保証人に取られているケースもあります。したがって、自己破産に踏み切れないわけですね。という意味では、機関保証をするということは、ある意味で自己破産による救済を実現するという意味で前進なのですが、ここにも大きな問題があります。  日本学生支援機構が回収に邁進する理由は、回収率を維持しろということを要求されているからです。したがって、今高い回収率が実現されていますが、もしこの機関保証になれば、保証会社が全部返してしまえば一〇〇%回収になるのです。しかも、その財源は利用している方の負担で、保証料という形で実現しますよね。利用者に負担をさせて自分たちが簡単に一〇〇%回収できるということになれば、どういうことが起こるかお分かりだと思います。つまり、柔軟な対応はしないで厳しい回収をして、そして回収が滞れば、保証会社に返してもらえば一〇〇%が達成できるのです。そういう意味では、機関保証化ということは一つではいい面もあるんですが、問題点もあるということを御理解ください。  実は、レジュメの二ページの真ん中ぐらいにお書きしていますこの繰上げ一括請求というのも問題なのです。奨学金というのは月々あるいは毎年払うわけですけど、返済が滞ると将来分も一括して請求される、これが繰上げ一括請求といいます。  しかし、規則を見てみると、こう書いています。繰上げ一括請求できるのが、学資金の貸与を受けた者が、支払能力あるにもかかわらず割賦金の返還を著しく怠ったと認められるときというふうに限定をされています。つまり、ごく例外的な場合に一括請求が許されるのです。  しかし、実際には、借り手の返済能力を調査もせずに、連絡をしない人は返済能力あるんだという理由で繰上げ一括請求が濫用されています。機関保証ということになって、保証会社から回収してもらえば一〇〇%回収率が達成できるということになれば、この繰上げ一括請求による貸し剥がしというのはますます強まっていく危険もあります。  私が申し上げたいことはそういうことなのです。真の無償化とか負担の軽減ということであれば、多くの人が利用しているこの返還制度の改善ということに是非取り組んでいただきたいというふうに考えております。  この問題はたくさんの人に影響しますので、私たちにとっても大事な制度だということになれば、恐らく国民の皆さんも市民の皆さんも、それならば税金を負担しようという、税の負担に対する抵抗感がなくなるのではないかというふうに考えております。  ということで、現場からいうとこの返還制度ということがとても重要ですので、是非皆さんにもこの問題にこれから集中的に取り組んでいただきたいと、そういうふうに願っております。  私の発言は以上です。
  12. 上野通子

    ○委員長(上野通子君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。     ─────────────
  13. 上野通子

    ○委員長(上野通子君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、徳茂雅之さんが委員を辞任され、その補欠として小野田紀美さんが選任されました。     ─────────────
  14. 上野通子

    ○委員長(上野通子君) これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 赤池誠章

    ○赤池誠章君 自由民主党の赤池誠章でございます。  今日は、御多用の中、参考人の先生方から貴重な御意見を頂戴をいたしました。  まず、村田参考人に御質問をさせていただきたいと思います。  村田参考人は、支援の拡大約四倍、それから対象者の拡大ということで、本法案、高く評価をなさっていただいたということをお伺いいたしました。その中で、高校生の時代に成績要件だけではなくて意欲ということを入れているというのは大変重要な視点だということであります。  村田参考人、関西学院大学の学長というお立場で、実感で結構なんですが、成績が良くて関西学院に入ってきてそのまま卒業する、一方、成績は若干厳しくても意欲があった生徒が、やっぱり意欲というのがどれだけ重要かというのを、大学の今までの経験の中で、この意欲があれば若干成績にいろんな課題があってもこれだけ伸びるんだという、そういう実感がありましたら、是非御紹介を頂戴をしたいと思います。
  16. 村田治

    ○参考人(村田治君) お答えになるか分かりませんけれども、ほとんどの私立大学、今は国立大学もそうだと思いますが、いわゆる指定校推薦等々で入学者を取っている場合がございます。この場合はいわゆる高校のときの評定平均値で取っているわけなんですけれども、さらに一般入試ではいわゆる学力試験で取りますけれども、この学力試験あるいは評定平均と大学に入ってからの勉学あるいは将来就職してからの活躍度合いというのは、全く相関をしていないんですね。  むしろ、高校時代の勉学がどれだけできるか云々よりも、大学に入って、ちゃんと本当に意欲を持って、将来を見据えて自分のしたいことをしていくことの方が重要であって、特に高校生はまだまだ未熟ですから、その段階で成績だけを一生懸命取る、あるいは逆に、今回の法案のことで申し上げますと、先ほど来話も出ておりますように、アルバイトをしないといけない、あるいは所得が低いために初めから大学進学を諦めて、そのために勉強意欲がない、そういった学生もいるわけで、むしろ高校の成績を見るのではなくて、意欲そして大学での成績をちゃんと見ていくことが重要と、こんなふうに考えてございます。
  17. 赤池誠章

    ○赤池誠章君 本法案で文部科学省は、その高校時代の意欲をどう見るかということの中の事例として、レポート、作文とか面談とかということを事例としてこの委員会でも答弁をしておるんですが、村田参考人としたら、こういう視点で意欲を確認してもらうと、大学側として入ってきてから、先ほど御紹介いただいたように、更に志といいますか、意欲を持って勉学して将来活躍できるんだと。この作文、レポート、面談、それ以外に何か、これをもっとしっかりやってくれということなのか、何か参考になる御意見ございましたら頂戴したいと思います。
  18. 村田治

    ○参考人(村田治君) 個人的な意見なんですけれども、これまで大学教育を携わった者といたしましては、例えばその生徒が大学に入って何をしたいか、更に言うなれば社会に出てからどう生きていきたいかということを問うことが一番重要で、それぞれの高校生がどういう夢を持っているか、あるいは持たせるか、そこを聞くのが一番重要ではないかと考えてございます。
  19. 赤池誠章

    ○赤池誠章君 是非そのような、具体的な運用になったときに、村田参考人の御意見も是非文部科学省に反映をすべく、我々もちょっと協力したいなと思っております。  それから、村田参考人に引き続きお伺いいたしますが、関西学院大学で既に授業料減免とか特別な奨学金とか、それと今回の新制度が入ったときに、先ほどちょっと、在学生にも対象になったときに、文部科学省の答弁では学生に不利益を被らないようにと。既存の制度と新制度が入ったときに、新制度の方が対象学生にとっては額が大きいのでという一方で、やっぱり不利益になってしまわないようにというところで、具体的に村田参考人が、御自身の大学だと新制度が入ったときにどういうことが起こるのかということを、何か懸念とかそれから課題とか、移行に当たっての留意点みたいなものがございましたら、教えていただきたいと思います。
  20. 村田治

    ○参考人(村田治君) ありがとうございます。  恐らく、在学生が、先ほど申し上げましたように、奨学金の制度が変わることによって、そのことの情報をちゃんと周知できているかどうか。そして、学生によっては額が変わってきます。特に三百八十万以上の学生に対しては、今後、これまであった授業料減免の額がどうなるか、今検討中だとお聞きしておりますが、その額次第によっては大学が、一年生のときにはもらっていた額が二年生からもらえないということはできませんので、そこを大学として補填をしていく必要があろうかというふうに思ってございます。  これ、恐らく大学あるいは短期大学によってかなり違ってくると思います。国立、私立によっても違ってくると思いますが、その額が今回の授業料の減免、あるいは授業料の減免で下りてくる額との比較でどうなるかと。これ、今少し計算をしていただいているところですが、関西学院大学について言うならば、それほど大きな変更はないのかなと、ただ、国立は若干変更があるかなというふうには考えてございます。
  21. 赤池誠章

    ○赤池誠章君 先ほども村田参考人の方から、経済的な問題とこの意欲の問題と。この意欲ということが非常に勉学そして将来社会の活動にとって重要な視点、志ということをしっかり持って勉学に取り組むかということだと思うんですけれども、関西学院大学の場合は、経済的な事情で支援をするという今回の制度やそれに類するものがあるのと同時に、別にいわゆる従来の特待生、つまり所得ではなくて、本当にこの学生はこの分野、あらゆる分野、まあ特定の分野で意欲と能力があるのでもっと伸ばしたいみたいな、こういういわゆる特待生制度というのはお持ちなんでしょうか。
  22. 村田治

    ○参考人(村田治君) もちろん本学もそういう奨学金制度を持ってございます。奨学金制度、一般的にいわゆるメリット型とそれからニード型と両方ございまして、ニード型というのはいわゆる低所得層等々に対して経済的な支援を主に行っていくもの、それに対してメリット型と申しますのは優秀な学生に対して奨学金を出していくと、こういうものでございますが、本学両方持ってございます。  ただ、今回のこの法案が通りました場合に、大きく国の制度が変わりますので、それに合わせて大学の奨学金体系も当然見直していかなければならないと考えてございまして、この法案が通ること自体は、恐らく全ての大学で、どういった奨学金制度をしていくか、大きな制度変更を考えるきっかけになってくるんだろうと考えてございます。
  23. 赤池誠章

    赤池誠章君 そういう面では、今回の趣旨は、村田参考人のお言葉をお借りすればニード型ということになるんでしょうから、やっぱり今後、中間層の問題と同時に、いわゆるメリット型ですかね、やっぱり本当に国家を担う又はそれぞれの地域を担う優秀な学生を国として、また大学として連携してしっかりどう支援するかということは、今回ではまだこの先の課題だというふうに思っておりまして、そういう面では、その一つとして村田参考人はJ―HECS、後払い制度の御提案もなさっていると思うんですが、そのメリット型をもっともっと進める何か参考があればお聞かせ願いたいと存じます。
  24. 村田治

    参考人(村田治君) メリット型と言ったのは、どういったところにそのメリットを置くかということだと思うんですね。本学の場合は、成績の面、学業成績の面、それからスポーツで優れた面、これは特に教育の目標を、大学教育目的をどう捉えるかに大きく関わってくると思いますが、単に大学知識技能だけを植え付けるわけではなくて、得るわけではなくて、むしろ一般的なコンピテンシーレベル能力をというふうになってきますと、その辺りどういうふうにしていくか。特にこれからグローバルな時代ですから、外へ、海外に出ていく学生に奨学金を出していくとかいうふうなことも考えていかなければならないと考えてございます。
  25. 赤池誠章

    赤池誠章君 終わります。
  26. 斎藤嘉隆

    斎藤嘉隆君 立憲民主党斎藤嘉隆です。  お三方、今日はどうもありがとうございました。  私は、今回のこの新制度の導入については、もちろんメリットは認めますけれども、それ以上に中間層を中心にデメリットが大きいのではないかというふうに思っています。そのときにやっぱりどうしても議論の中心に据えざるを得ないのは、既存の減免制度がどうなっていくのかと、この点にまずは尽きるだろうというふうに思うんです。これ、文科省さんに委員会の場で幾ら問いかけをしても、明確な答えがいただけません。  これ、元々この新制度は、消費増税財源ですから内閣府予算として計上されるものであって、従来の減免は、これは文科省予算で、本来もう全く別のものなんですね。新制度を導入したからといって、この従来の減免制度が縮小されたり、あるいは廃止をされるというようなことが絶対にあってはならないというふうに思うし、それから、例えばモデルケースで三百八十万円という世帯年収で、ここに大きな支援の崖をやっぱりつくるのは望ましくない、先ほど大内先生もおっしゃったとおりだというふうに思います。  そこで、まず村田参考人にお伺いをしたいと思いますが、これ、従来の既存の減免制度が縮小を仮にされるということになった場合、私は、やっぱり全体の進学率が下がるのではないかと、将来的に、こういうことを心配しています。そうすると、大学の経営にも大きく影響してきますし、そうすると、恐らく関学さんも含めて、先ほどの答弁にもあったように、学校独自の奨学金制度とか減免制度を更に充実をさせていく必要がある。そこにはお金が必要ですから、独自の予算が。そうすると、そのことを実行するために学費を値上げせざるを得ない状況が来るのではないかと、こういう想定もしておるんですけれども、先生、こういう指摘に対して、現場を預かるお一人として、いかがでしょうか。
  27. 村田治

    参考人(村田治君) ありがとうございました。  先ほども申し上げましたように、関西学院大学について、奨学金の今の現行の減免制度がもしなくなった場合、あるいはなくならない場合含めてシミュレーション事務方にしていただきまして、この新しい法案が通ってもし減免制度が、今のものがなくなった場合、先ほど申し上げましたように、本学の財政に対する影響はそれほどないというふうには今のところは判断をしてございます。  ただ、議員おっしゃいますように、いわゆる三百八十万以上の学生に対してこれまであった減免がなくなるということに関しては、やはりそれは崖の問題がございます。そこはもう少し、先ほど最後の方に申し上げましたように、この制度を含めて、今回の法案も含めて、体系的に奨学金制度を見直していく、構築していく必要があろうかと考えてございます。
  28. 斎藤嘉隆

    斎藤嘉隆君 ありがとうございます。  じゃ、大内先生にお伺いをしたいというふうに思います。  これ恐らく、今回、消費増税財源で七千六百億円という財源が想定をされているんですね。私は、最終的にはそこまでは到底使われないというか、対象者がそこまでは行かないという想定をしています。これ、幾ら非課税世帯やそれに準ずる世帯が、学費がゼロになるとか奨学金が大幅に増えるといっても、そのことによって単純にその世帯進学率が増えるとは到底思えないので、恐らくそこまで行かないだろうなと。そうした場合に、ある程度の財源の余裕ができるということも考えられないでもない。ところが、これ消費税財源なので、このこと以外にはもう使えないと、こういう姿勢なんですね。  仮にそこの枠を取っ払ったとして、ちょっとざっくりお伺いしますが、先生、七千六百億円あったら、今の大学生、もうまさに指導されている立場として、どんなことにその財源を振り向けられますか。
  29. 大内裕和

    参考人(大内裕和君) なかなか難しい質問ですけれども、しかし、七千六百億円というのはかなり大きな数字ですね。例えば、現在の貸与型奨学金、第一種、第二種合わせても約一・一兆円ですから、それの半分を優に上回る額ということになります。それが足されれば、現在の貸与型奨学金のかなりの部分を給付型奨学金に切り替えることができます。  また、無償化とかいうことが話題になっている一方で、何と国立大学の値上げが始まっていますけれども、あれも、今のような財源があれば国立大学学費の値上げなんということはしなくて済みますので、それに振り向けることも可能であると考えます。  それから、私立大学奨学金制度についてちょっと言いたいんですけれども、確かに私立大学が独自に自分のところの学生に対して給付の奨学金を出していることが広がったことは一定の成果だと考えます。しかし、私立大学のそういう財源の八割から九割は授業収入ですから、これは他の学生が払った学費がその学内の別の学生の奨学金になっているわけですね。要するに、ほかの学生たちは高い学費に苦しんでいるわけですよ。  ですから、やはり私は、大学が独自の奨学金をつくっていくということを余りにやることは、それは学生間の公平、不公平に関わりますし、また、それが可能なのはある一定規模以上の財政を持っている大学に限られます。ですから、反対はしませんけれども、それは事態全体の改善にはならないのですね。そういう点でも、そういう補助ですよね、今の七千億円はね、各大学の独自の奨学金をどんどんつくるのではなくて、外側からの支援によってそういう財政力がなかったりするところにも可能にする、他の学生の負担ではなくて奨学金が入るということにも使えると思います。  以上です。
  30. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 ありがとうございます。  貸与型の利子分を負担をして、国費で、それで有利子を全て無利子に転換する、これ三百五十億程度の予算でできるという話もありますので、今の先生の御意見も参考に、またちょっといろいろ意見反映をしていきたいというふうに思います。  岩重参考人にもお伺いをしたいというふうに思います。  奨学金制度に大変お詳しいというふうに思いますが、現在、いわゆる延滞、滞納者が全国で三十万人以上いらっしゃって、一万人ほどのブラックリストに名を連ねるような若い皆さんがいらっしゃいます。今回の新制度は非課税世帯の学生さんを対象にしたものですが、もしデータがあれば教えてください。延滞者の中に占めるいわゆる低所得者世帯の出身のお子さんの割合というのは大体どれぐらいであって、何がお聞きしたいかというと、今回の新制度によってこの滞納者というのは減っていくんでしょうか。
  31. 岩重佳治

    ○参考人(岩重佳治君) 正確な数字というのはちょっと記憶にないのですが、たしか三か月以上延滞している方の八割が年収が三百万円以下程度であったのではないかというふうに認識をしております。したがって、返還困難は経済的理由から当然生じているわけですけど、今回のことによって滞納が減るかという御質問については、効果は限定的だというふうに申し上げたいと思います。  というのは、規模が小さいですので、ほとんどの方が先ほど申し上げた貸与型奨学金に頼らざるを得ない、しかも相当部分を貸与型で利用するということになります。そちらの制度が先ほど申し上げたように救済制度が不備であるということになりますと、やはり限定的ということになります。  そうしますと、皆さんが今回新しい制度をせっかくつくっていただいたんですけど、先生おっしゃったように、その効果が本当に限定的なものになってしまうのではないかと、むしろ私はそちらを心配しているというふうにお答えしたいと思います。
  32. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 時間ですので、終わります。ありがとうございました。
  33. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。山本太郎です。  貴重なお話、参考人の先生方、ありがとうございます。一問目と二問目は少し短めに答えていただけると助かります。  現在、日本では、少子化が国難と言えるほどの状況になっているとお考えになりますか。順番に先生方にお聞きしていいですか。
  34. 村田治

    ○参考人(村田治君) 一番大きな一つの課題であるというふうに考えてございます。
  35. 大内裕和

    ○参考人(大内裕和君) とてつもなく重要な問題だと考えております。
  36. 岩重佳治

    ○参考人(岩重佳治君) 私も大変大事な問題だと思っています。
  37. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  二〇一七年の秋、安倍総理は、少子化が国難であるとして衆議院を解散、選挙になりました。少子化というのは五十年前から懸念されていたんですよね。それでもこれまでの政治が有効な施策を打ってこれなかった、その結果が今であると、しわ寄せがやってきた、そう思います。  本法案の目的、「我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与することを目的とする。」とあるんですけれども、ここも短くお答えいただけると助かります。本法案は少子化対策に資するとお考えになりますか。
  38. 村田治

    ○参考人(村田治君) 今の少子化の一つの大きな要因は、教育費が大きな問題だと思っております。特に高等教育が額が大きいわけで、今回それに対しては資するというふうに考えてございます。
  39. 大内裕和

    ○参考人(大内裕和君) 効果は極めて限定的であると考えます。
  40. 岩重佳治

    ○参考人(岩重佳治君) 今回の法案に限って言えば、効果は限定的だというふうに考えます。
  41. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  本法案の財源、消費税増税分の一部のみなんですよね。  今月二十三日の参議院の質疑で我が会派伊藤孝恵議員が、仮に消費税増税が凍結された場合、本法案に規定された施策はどうなるのかと質問したところ、文科大臣が、延期になるということでございますと答弁されました。  先生方にお聞きしたいんですけれども、少子化が国難と衆議院まで解散をしておきながら、消費税増税が延期になれば少子化対策は延期ということに対してどう思われますか。
  42. 村田治

    ○参考人(村田治君) 今回の法案は消費税を使うということを前提に我々は議論してきておりますので、今の問題については私はお答えする立場にないと思ってございます。
  43. 大内裕和

    ○参考人(大内裕和君) 問題の重要性からいって、大変問題があると考えます。
  44. 岩重佳治

    ○参考人(岩重佳治君) 大変難しいんですけど、制度が早く導入されるということが大事なのか、それとも中身を充実させるべきだということを私は考えるべきではないかというふうに思っています。
  45. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  ここまではテンポよくお答えいただきまして、ありがとうございます。ここからはそれぞれお考えになることを十分にお話ししていただいて結構です。ありがとうございます。  これ、先ほど、中身の問題なのか、それともすぐに対応するのかということに対して、その考え方も変わるかもしれないというお答えもいただきました。  この法案目的の部分では、真に支援が必要な低所得世帯の者に必要な教育を実施する支援を行い、少子化対策を行うというふうにあるんですけれども、少子化対策と低所得対策というようなものが盛り込まれた部分なんだろうというふうに考えるんですが、増税が延期された場合にはこの真に必要な人たちへの支援までも延期することになると、そのような立て付けの法案制度ということに関してはどうお考えになりますか。
  46. 村田治

    参考人(村田治君) 先ほど申し上げましたように、私はこの専門家会議の副座長としてこれ議論しておりましたが、その大前提が消費税増税ということでございます。  ただ、個人的な意見として言わさせていただきますと、財源につきましては、消費税だけでなくても、例えば建設国債の発行は今認められております。これはあくまでも物的な資本に対する建設国債ということで、便益が他世代、次の世代にも行くということで認められておりますが、そういう意味では、高等教育を受けると今度はヒューマンキャピタル、人的資本になりますから、同じように、これについて国債で賄うということの考えはありかと思ってございます。  ただ、今の国債GDP比率、世界一高いことを考えますと、それはなかなか難しかろうと。その辺は、この問題だけでなくトータルで考えていく問題だと考えてございます。
  47. 大内裕和

    参考人(大内裕和君) その点では、元々のこの制度設計自体に問題があったということだと思います。消費税増税によってこれをやるということが問題だったと考えます。
  48. 岩重佳治

    参考人(岩重佳治君) 私は、その財源の問題というのは、一つの選択肢が示されてどうかという問題ではなくて、多様な選択肢が議論されるべきだと思うんですね。例えば、消費税というのが全くないということではないんだと思うんですけど、まだ教育機会均等がちゃんと実施されていない段階で消費税を導入するというのが矛盾だというふうに申し上げているわけですね。  それから、所得税の問題も、累進的な所得税、これによってやっぱり応能負担というのをやらないといけないと思うんですね。というのは、例えば所得の多い方というのは、もちろん努力をされているということは認めますが、いろんな社会資源を使っていると思うんですね。その中に教育を受けた人材というのもあるということを考えると、応分の負担をすべきではないかと思います。  それは企業活動にとっても同じであって、法人税の負担というのも当然そこに出てくる問題だと思いますので、いろんなことを考えるべきだと思うんですね。その場合に、消費税の増税ができなければこの問題を先送りするといってバーターにされてしまうと、どうしても反対できなくなってしまうということがあるのはよくないと思っていまして、いろんな議論をやる、国民がその税金の議論を身近なこの教育費の問題でやるということが重要だと思っていますので、一つに絞って選択を迫られるというのは好ましくないのではないかというふうに考えております。
  49. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  野党側は、衆議院の段階で修正案を出させていただいたということなんですね。消費税以外でも、別の財源をもって修学支援を実施することを提案したんですけれども、これ否決されてしまったわけです。どうしても消費税増税によってその一部を使いたいということが与党側にあるようです。  これ、少子化が国難であって、真に支援が必要な低所得世帯に必要な教育を支援するということならば、これ消費税増税ができなくとも別財源で実行できることを本法案担保する必要があると私は考えるんですが、先生方はどうお考えになりますか。
  50. 村田治

    参考人(村田治君) 先ほども申し上げましたように、消費税が大前提でこれ議論してきたわけなんですが、一方で、今先生がおっしゃいましたように他の財源といった場合には、この法案だけが政策の全てではないわけで、全ての政策を考えた上でどういう財源をしていくかということを考えなければならないので、この政策、本法案だけを他の財源でと言われましても、それは全ての政策を考えた上で考えるべきものであって、なかなかここでお答えにくいというふうに考えます。
  51. 大内裕和

    参考人(大内裕和君) この法案でどうかということはあれですけれども、本当に必要なのであれば多様な財源を検討すべきだと考えます。
  52. 岩重佳治

    参考人(岩重佳治君) 私も多様な財源を検討すべきだと思います。  そこで大事なのは、そのお金が出ていくという発想だけなんですけど、これだけのお金を使ったらこれだけの効果があるということは日本では調査されていませんね。いろんな国ではその調査を徹底的にやっています。今このお金が掛かるけど、例えばそれによって将来その人たちの所得が増え、税収が増え、あるいは社会保障に係る経費が減るというふうなことで、どれだけの効果があるかということを考えると、実はそういう観点からも、どれだけのお金を出すとこれだけの効果がある、だからその財源はここで負担すべきだという議論を併せてやらないと、なかなか正しい答えにならないのではないかというふうに考えております。
  53. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  大学生の二人に一人が奨学金を借りてまで大学に行こうとする現在で、どうしてそこまでして大学に行くのかと。大学に行った後もアルバイトに明け暮れて、勉強する暇もないぐらいで寝不足でというような状況が続くというのは、やっぱりこれ生涯の賃金という部分にも関わってくるからこそ、勉強したいという人もいるでしょうけど、やっぱり賃金ということを考えた上でも行っておくべきだろうというような選択肢になる時点で、ちょっといびつな形にもなってしまっているのかなというふうには思うんですが。  どの部分に対してどれだけお金を掛けるかということに関してなんですけど、この今回の提議に関して七千億円程度がつぎ込まれる、その財源を消費税という考えなんですけど、もっと大きな枠組みで考える必要があるだろうということだと思うんですね。例えば、財源をもっと大きく、教育基本的に国がしっかりと支出をしていく、OECDの中で見ても本当最低レベルということを考えるならば、大内先生がこれまでも御主張されているような例えば応能負担という部分、例えば累進性という部分を強めていくというような、法人税であったりとか所得税を強めていくという部分であったり、しっかりと財源を確保するということだったり。  村田先生がおっしゃっているような教育国債という部分も私、今やるべきだと本当に思っています、これだけ低金利が続いており、アベノミクスと言っているぐらいですから。第二の矢が放たれていないということなんですよね。その原資、だって、借金してもそれを日銀が買い取って事実上は借金ではないという状況を続けながら借金減らし続けているわけですから、どうして今やらないのという話なんです。どうして自民党側からもっと声出ないんですかという話なんですよね。これは自民党の方自身がアベノミクスを理解されていないのか、それとも分かった上で黙っているのか、私、どちらかだと思うんですよ。  これ、教育国債という部分に関してもっと現実的に話合いを進めていくべきだと村田先生はお思いになりますか。
  54. 上野通子

    ○委員長(上野通子君) 山本太郎さん、質疑時間は終了しておりますので、お一方でよろしいですか。
  55. 山本太郎

    山本太郎君 村田先生だけで。
  56. 村田治

    参考人(村田治君) 非常に難しい問題なんですけれども、今申し上げましたように、今の国債GDP比率の下でこれをすぐできるかというと、なかなか財務省の方は難しいだろうなと個人的には考えております、私も経済学者なものですから。そういう意味では、いずれ、少し国債GDP比率が安定的に推移したどこかの段階で教育国債ということは考えていただければいい。ただし、そのときに、HECSを導入することによって各個人が自分の学費は将来自分で返すんだというようなことでないと、支給奨学金だけでは制度は多分破綻するだろうと思っておりますので、そういうことを考えていただければと思ってございます。
  57. 山本太郎

    山本太郎君 終わります。
  58. 新妻秀規

    新妻秀規君 まず、三人の先生方にお伺いをしたいと思います。  大内先生と岩重先生から中間所得層への支援の必要性について御言及がありました。私自身も、石川県におきまして子育て中のお母さんから、お子さん四人いらっしゃるお母さんでした、教育費負担が本当に大変なんだというお声を現に伺ってきたところです。やはりこの中間所得層への支援ということをしっかり考えていかなくちゃいけないなと私は思うんですけれども、その点、支援をどのように進めていくのがよいとお考えか。じゃ、村田先生からお願いいたします。
  59. 村田治

    参考人(村田治君) 中間層につきましては、先ほど来問題になっているわけなんですけれども、例えば、これ必ずしも正しい、正確かどうか分かりませんけれども、二〇二八年の生活実態調査、これ厚労省データですが、四百万以下の世帯の比率、四六・五%でございます。三百万から四百万の年収の世帯が一三・五%だったかと思いますから、大体四百万以下の世帯というのは四〇%強が世帯だと思います。  そういう意味では、今回の三百八十万というのは、世帯だけでいいますと約四割をカバーをしている。もちろん、このデータ大学生に行っている世帯に限っておりません、いろんな世帯が入っておりますので、必ずしもこのことが一対一で対応しているとは言えませんけれども、少なくとも世帯数だけでいいますと、割合からいいますと四割の世帯をカバーをしている。特に中位層につきましては、先ほど来申し上げていますように所得連動型、一七年度に導入されましたもの、それから利子の問題等含めて体系的な奨学金制度をやはり考えていく必要がある。  しかしながら、今回の制度、この本法案が導入されたことは大きな一歩だと私は考えてございます。
  60. 大内裕和

    参考人(大内裕和君) 中間層にとってベストな政策は、富裕層に対する課税によって学費を引き下げること、これが一番いいことだと考えます。
  61. 岩重佳治

    ○参考人(岩重佳治君) やはり返還制度だと思うんですね。返還制度の改善というのは大変多くの方に影響を与えます。それと、給付をする、あるいは授業料を減免するということも大事ですけど、私は財政の専門家ではないですけど、恐らく猶予の期間を延ばしたりですとか、それから利用を緩やかに、救済制度をできるようにするということを考えた場合に、少ない財源でできるのではないかと思うんですね。そういう意味ではとても重要だと思います。  所得連動返還型というのができたのは御存じだと思いますけど、諸外国ではある一定の収入以下の人には払わせないんですけど、私たちの国の制度は返還猶予ができる三百万円以下の世帯にも払わせているんですね。しかも、非課税の世帯にも払わせているんですよ。収入がゼロの人も毎月二千円払うという分からない制度なんですけれども、その理由というのが、非課税世帯の人に少しでも払わせないと年間十億の赤字が出るという話をなさっているわけです。  先ほど何千億という話が出た中で、十億でできるということで効果が大きいということを考えてもお分かりだと思うんですけれども、中間層も含めて返還制度にお金を掛けるということは大変大きな効果があるのではないかというふうに私自身は考えております。
  62. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 次に、機関要件について村田参考人には二問伺います。  まず、先ほど大学、専門学校などの高等教育機関は教育の目的がそれぞれ違いますよということで、今回機関要件を課すことでどのようにして学問の自由を壊さないようにできるのかという、そういう工夫が大事だというふうにおっしゃいました。どんなような在り方というのが考えられるのか、お考えをお示しください。
  63. 村田治

    ○参考人(村田治君) ありがとうございます。  学問の自由と申し上げましたけれども、学部あるいは専門によって、大学の場合いろんな専門がございまして、例えば、私のように経済学部あるいは経営学部の学生であれば民間企業に直結していくというようなことも考えられますし、文学部あるいは自然科学系、特に理学部等々では、むしろ直接企業にすぐに入るんではなくて、大学院に行ったり、あるいは自分のしたい勉強を大学院でしていくという形で、かなり条件が違ってきます。特に文学部辺りでありますと、実務家、実務経験のある教員が授業をするというのはぴんとこないんですね。そういう意味では、今回この運用の中でもかなりそこのところは配慮して行われると聞いておりますので。他方、専門学校の場合はむしろ、国家資格を取ったり、あるいはいろんな資格を取って職業に直結をしているわけですから、その辺りはむしろ実務経験のある教員が来て授業をするという、極めて重要だと思います。  そういう意味では、各学校によって目的が違いますから、そこは弾力的に運用していく必要があると、このように考えてございます。
  64. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 次に、二問目なんですけれども、同じく今後の検討課題として、専門学校の中では理事会が置かれていないところもたくさんありますよと、どういうふうに対応していくのかと、これをしっかり検討していかなくてはいけないとおっしゃいました。どのような検討の方向性があるのか、これについてのお考えをお示しください。
  65. 村田治

    ○参考人(村田治君) 難しいんですが、今回の機関要件の中に、大学等につきまして理事が複数入っているという条件がございます。これは理事会が構成されていることを前提に考えているわけなんですけれども、今回は、冒頭申し上げましたように、今回の本法案が大学、短大だけでなくて専門学校まで拡張していることは非常に意義があると私は思ってございまして、ただし、そこに今度は理事会が構成されていないような専門学校も多々あります。  じゃ、その場合、それに準ずる形でどう考えていくのか。理事会に準ずるような制度あるいは会議体をその学校で持っているのであれば、それをどう位置付けて、そこにどのようにしていくか。基本的な問題は、外部からの目がちゃんと入っているということが今回のこの制度の要件の一つの狙いだと思いますから、そういった外部の目がちゃんと入っている、ウオッチできているということを担保できればというふうに考えてございます。
  66. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 最後の質問にいたします。これは村田先生と大内先生に伺います。  岩重先生から、現に返していらっしゃる方への様々な貸し剥がしなどの問題について詳しい御言及がありまして、負担軽減ということもお話があったところです。  現に返していらっしゃる方への負担軽減、また、それを含めまして、既存の返さなくちゃいけない奨学金の制度については改善点がどういうようなものがあるのか、村田先生、また大内先生の御所見をお願いいたします。
  67. 村田治

    参考人(村田治君) 今回この本法案制度についてと思っておりましたので、既存の制度につきましては、例えば、これはあくまでも私の私見ですけれども、有利子、これは無利子にすべきだというふうに考えております。やはり教育に関わるものですから、これはやはり無利子にすべきだというふうに考えてございます。  それから、先ほどの現行制度での機関保証あるいは個人保証保証人の問題ございますが、これにつきましては、機関保証をしたとしても、そのいわゆる保証料につきましては、言わばJASSOができればちゃんと担っていった方がいいのではないかとは考えてございます。  より根本的なことを申し上げさせていただきますと、先ほど来申し上げておりますように、HECS型奨学金が、これがもし導入されたならば、こういった問題一切起こらなくなります。ある一定の所得層までは奨学金その返還を求めなくて、ある程度収入が出てきたときに大学時代の授業料を返してもらうという形になりますから、今こういったローンの問題が出てくるのは、これは経済学で言うところの流動性制約があって、個人が自分の将来を担保にできないんですね。ですから、親を保証人にしたり、親が担保を持ってという形になりますから、個人が自分の将来を担保にして、各個人が、学生が自分の将来を担保にして学費を国から得ると、そしてそれを将来稼ぎによって返していくということをすれば、今議論になっている問題一切なくなると、こう考えてございます。
  68. 大内裕和

    参考人(大内裕和君) 一つは、岩重先生言われたように、返済能力がない人に無理やり返済させるということは一刻も早くやめるべきだと、そういうことはやらないと。プラス少子化ということを本当に考えるのであれば、更に抜本的に返済負担を軽減しないと、もう大変なことになっちゃっているんですけど、生産年齢人口の減少がこの経済に与える影響は甚大だというふうにとても憂慮しております。
  69. 新妻秀規

    新妻秀規君 終わります。
  70. 高木かおり

    ○高木かおり君 本日はお忙しい中、三人の参考人の皆様、ありがとうございました。  先ほどからお話を聞かせていただいておりますと、本当に今の若者たちがすごく経済的に厳しい状況に置かれていて、実際に給付型奨学金がもらえたとしても、これ、本当に光が見えたということでは一歩本当に前進だとは思うんですけれども、逆にこれが大々的に発信されることによって、なかなかこの給付型奨学金だけでは学生生活が厳しいですけれども、これに光を見て大学へ進学していく若者たちも多いんではないかなというふうに私は思うんですね。月に二万から四万ぐらいで、結局はほかの奨学金を使う又はアルバイトに明け暮れなければいけないというような大学生活が待っている状態なのではないかなと思っています。  この奨学金の問題というのは、大学改革と一体的にやっていかなければいけない問題だと私は思っております。よく昔は、大学レジャーランド化しているですとか、遊びに行っているんじゃないかとか、そういったイメージがあって、なかなか国民への理解、税金を使って学生さんたちを支えていくというこの理解がまだまだ進んでいっていない状況なんですけれども。  まず、先に大学の先生でいらっしゃる村田参考人、それから大内参考人にお聞きしたいんですけれども、今の学生さんたち、いろいろ私がお聞きしている中では、大変勉強も昔と比べて熱心に、また大学の先生方に関しましても教員の皆さんも熱心になってきているというふうにはお聞きするんですが、参考人のお二方から見て今若者はどういう状況なのか、お答えいただけますでしょうか。
  71. 村田治

    参考人(村田治君) 今、私が大学生の頃と今の学生と比べれば、非常に今の学生はよく勉強しているんだと思います。  と申しますのも、これは大学の問題ではなくて、むしろ企業の在り方、あるいは先ほど来生産性の問題も少し出ましたけれども、かつては、いわゆる高度成長期のときにはいわゆる新卒一括採用、これ今回撤廃することが、ハイブリッド型になることが決まってきましたけれども、言ってみれば各企業はそれぞれの企業人材育成をする。大学時代の勉学に対しては、特に社会科学系の場合は何も問わなかったわけなんですね。むしろ、どの大学に入ったかが必要であると。経済学で言うところのシグナリング理論というわけですが。  今はむしろヒューマンキャピタル、人的資本が極めて重要で、大学時代に、それもいわゆる知識技能というものではなくて、そういったものはすぐ陳腐化します、むしろコンピテンシーレベル、これはOECDのいわゆるハイアー・エデュケーション・フレームワークなんかにもありますように、コンピテンシーレベル能力をいかに大学時代に付けておくことが極めて重要で、今後はいわゆる個性的な、個性を持った人材イノベーションを起こしていく必要があって、まさにそういう人材大学がどう育てていくかということは今問われております。  そのことが、今まさに大学教育の質ということを言われているわけで、それに対しては、やはり各大学が様々なプログラム、それぞれの大学生が個々の個性に合って、いろんなプログラムを自分で組み合わせて取っていける、そういうプログラムを用意していかなければなりません。そういった学生を育てるためには当然お金も要るわけなんですが、逆に言うと、学生は自分たちの個性、自分の強みを出すためにいろんな活動をしている、そういう時代だというふうに思います。  そういう意味では、全く二十年前、三十年前とは様変わり。これは大学だけの問題ではなくて、むしろ経済社会雇用形態、あるいは日本企業がこれから世界の企業と戦っていく、日本の国が戦っていくためにはそういうものでないと、変わっていかなければならないというところからきているんだと思ってございます。
  72. 大内裕和

    参考人(大内裕和君) 短い時間で答えるのは大変難しいのですけれども、レジャーランドというのは完全に死語というか、そんなことは全くなく、大学も極めて熱心に教育をするようになり、学生も講義に本当に出るようになりました。  しかし、仕送り額の減少から分かるように、一日に使えるお金の額は二千四百円台からもう六百円台になっていますから、恐らく三百円の学食に入ることにちゅうちょする学生の方が多いと。ですから、どこもお昼の学食が入らなくなっているというのが実情だと思います。  課題を出したいと思っても、当然毎日アルバイトがあるわけですから、アルバイトから帰ってくる後にやると眠れませんので、学生の健康状態を考えると、とても重量級の課題は出せないと。だから、常に熱心にやりたいんですけど、学生の経済状況が厳しいから、勉強させようと思ってもさせられない。あるいは、できる学生は少数の経済的にゆとりのある学生ですから、むしろ熱心にやればやるほどそういう学生が有利になってしまうので、それもまた問題ですよね。  ですから、経済的な支援を、これだけ大学がきっちりやるようになっているんですから、今大事なことは学べる環境をつくることであって、学生自身の問題ではなく、学ぼうと思っても学べない状況、もう学ぼうとしているし、学んでいますから、でも、それでも学ぼうと思っても学べないという人たちが多数派になっているというのが現状だと考えます。
  73. 高木かおり

    ○高木かおり君 ありがとうございます。  村田参考人の方から、学生たちも様々イノベーションを起こすために、参考人のお言葉を借りれば、社会構造が変化していて、日本のもうこれから力になっていくような人材をどう育成していくかということでございますけれども、そういった中で、やはり国がもちろん学生を支えていくという考え方もあると思いますし、もちろん自分自身がやはり働いて社会貢献、社会に還元していくということもあると思いますし、先ほど産業界という話がありましたけれども、やはり産業界の方々、企業の方々ですよね、企業の方々がやはりその自らの力で人材、学生さんがですね、人材育成されてきた、その人材企業は活用して、そして利益を生み出すということを考えれば、産業界、企業が学生を支援していくという考え方もあるのかなと思うんですけれども、その点、簡潔にお答えいただけますでしょうか。
  74. 村田治

    参考人(村田治君) もちろんあるかと思いますが、日本の企業は今本当に様々で、昔ながらの大企業病のような企業もあれば、新たなベンチャーで本当に新しい企業もあって、今産業界の方も悩んでいるんだと思うんですね。そういう意味では、企業が人材を育成する、あるいは学生に対してといってもどういうふうに、企業も産業界もなかなかそこは悩んでいるところなのではないかと思います。  そういう意味では、ですから、リカレント教育一つ取ってもマッチングがうまくいっていないわけで、もう少しこれから大学と企業の間でのそういうマッチング等々については考えていく必要がある、その中で奨学金の問題を考えていく、あるいは今回は授業料減免と生活費に対する奨学金がセットですから、そういう意味では大きな成果であると私は考えてございます。
  75. 高木かおり

    ○高木かおり君 ありがとうございます。  時間がなくなってきました。最後に岩重参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほど機関保証の問題がありました。この機関保証、そもそも個人保証をしようにも、例えばシングルマザーだったり、そもそも身内の方になかなか頼めない、こういった状況の方もたくさんいらっしゃいまして、個人保証はもうそもそも無理だ、じゃ、機関保証にしよう。でも、結局、これも毎回の奨学金からその保証料が引かれていってしまうということで、結局はその負担が学生さんに掛かってくるというような現状で、まあ仕方がないとはいっても、この機関保証について何か御見解がございましたら、お答えいただけますでしょうか。
  76. 岩重佳治

    ○参考人(岩重佳治君) 私は、個人保証をなくすということは実は大きな前進だと思っているんですね。ただ一方で、先ほど申し上げた機関保証に頼って回収を強化するということがあってはいけないと思っていて、それを歯止めを掛ける一つのやり方というのは幾つかあるんですけれども、先ほど申し上げた安易に繰上げ一括請求をして貸し剥がしをしない、これがまずなければならないと思っています。私は、今の繰上げ一括請求は違法だと考えていますので、それをまずやめることが大事です。  それからもう一つは、保証会社が代位弁済、つまり返した後に学生さんに請求するんですけれども、この救済制度というのがよく見えてこないんです。猶予制度とか免除制度もあるんですけれども、明確な制度になっていないので、保証会社が返すということは、言ってみれば事故ですよね。したがって、日本学生支援機構の救済制度よりも充実した救済制度が保証機関に適用されるべきだと。そういう手当てをした上で移行するというのであれば、非常に効果があると思うんですね。  そして、将来的には結局その本人が返す制度にすれば保証人要らないわけですよね。そういう制度に持っていってもらいたいというふうに思いますので、手当てをした上で是非、機関保証にするのであれば、御対応いただければ一定の効果があるのではないかというふうに考えています。
  77. 高木かおり

    ○高木かおり君 ありがとうございます。
  78. 吉良よし子

    ○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。  今日は三人の参考人の皆様、本当にありがとうございます。  先ほど来、本法案の財源について議論になっております消費税増税についてですが、この消費税増税というのは、やはり学生の皆さんにも、そして大学の経営にも大きな影響を与えるものだと考えております。先日の委員会では、消費税増税に伴って大学の経費が掛かることで、結局は大学の学費を値上げせざるを得ない状況もあり得るんじゃないかという話も出てきているんですが、その点について、村田参考人、その消費税増税による大学経営への影響、学費への反映どうなのかというところを聞きたいのが一点。  それから、大内参考人、そして岩重参考人には、学生、また若者へのこの消費税増税の影響、特にその生活実態に照らしての影響について、是非お話しいただければと思います。
  79. 村田治

    ○参考人(村田治君) ありがとうございました。  まず、消費税増税につきましては、消費税増税だから学費をという考えは持ってございません。  ただ、先ほども少し申し上げましたように、今教育の質が問われておりまして、欧米の大学と比べまして、特に国立大学と私立大学比べた場合に一番重要なポイントはいわゆるST比、学生教員比率というようなものがございまして、これが大きな教育の質を見る一つの客観的な指標となってございます。  当然、これを改善するためには教員一人当たりの学生数を減らしていかないと、当然一人の先生が見る学生数が少なくなればなるほどいい教育ができるわけです。当然、一方で、全体の支出というのはある程度決まっておりますので、そうなりますと、この教育の質を改善していくためには、私立大学の場合は九割が学費で賄ってございますので、当然のことながら学費を上げざるを得ない、上げていかざるを得ないと、こういう状況にあると御理解いただければと思います。  消費税云々よりも、むしろそれが大きいと考えてございます。
  80. 大内裕和

    ○参考人(大内裕和君) 先ほど述べましたように、一日に使えるお金が六百七十七円まで来ているわけですから、ちょっと逼迫した状況にもうなっているということですから、そこに消費税が加わりますと大変だというふうに考えます。六百七十七円と言いましたが、今日は一日、大学で一円も使っていませんという学生と日々接していますので、そこまで大変なんだということから出発しないと駄目なんじゃないでしょうか。  ですから、ここでの消費税値上げは、学生生活に与える影響は大きいと思います。
  81. 岩重佳治

    ○参考人(岩重佳治君) 本当に学生さん大変なんですよね。みんなおなかすかせているんですね、成長するべき時期に。それから、やっぱり仕送りができないということで、遠くから三時間掛けて通っているという学生さんもいらっしゃるんですよね。そういう中で消費税の負担が増えるということは、学生さんの生活に対する負担がかなり厳しくなるということは確かにあると思います。
  82. 吉良よし子

    ○吉良よし子君 ありがとうございます。  やはり、学生を支援するという目的のこの法案で消費税を財源にすることの矛盾というのがよく分かったと思いますし、また、大学の質を向上するためにも大学への予算を増やすということがまず真っ先にやるべきことなのだなというお話がよく分かったと思います。  次に、機関要件についても伺いたいのですが、これ、大内参考人に伺いたいと思うんです。  やはり、機関要件を課す中で、収容定員割れしている大学等を支援対象から外すということが挙げられているわけですが、収容定員割れしている経営が厳しい私立大学の多くは、地方の中小規模の大学だと思うんです。それを対象から外してしまうと、まさに学生が集まらず定員割れ更に加速するのではないかと、地方で奮闘している中小規模大学を更に苦境に立たせる、今以上に大都市圏と地方の教育格差が拡大しかねないのではないかと思うのですが、その点についてどうかという点が一点と、もう一点、やはり、こういう機関要件を課す理由について、社会で自立し活躍するには大学等での勉学が職業等に結び付くことが必要であるというふうにされているわけですけど、こうした職業に直結した勉学、実学を重視するような機関要件を課すというのは大学の教育の在り方としてどう思うか。その二点、お伺いできればと思います。
  83. 大内裕和

    ○参考人(大内裕和君) 両方ともとても大事な問題だと思います。  定員割れの問題というのは、これは大学の研究、教育の水準と無関係とは言いませんけれども、しかし、大学の研究や教育の水準と定員が埋まる埋まらないが直結しているかというと、そんなことはないんです。それは、大学の立地であるとか、そこでの人口規模とか、あるいはこの間の社会の変化とかということが影響しているわけで、定員が埋まっていないことイコールその大学自体の質がなっていないとか、あるいはその努力が不足しているというふうにイコールで結ぶことはできないですね。  実際に、これは明らかに、人口の点からいっても、また進学率の点からいっても、都市圏と地方には差がある。しかも、今言われたような形での定員割れの大学に対する厳しい措置がとられますと、都市と地方との格差は大学が持っている経済効果も含めて拡大するでしょうし、また、先ほど述べたように仕送り困難な状況ですから、とても自宅から通うという状況は強まっていますので、そういう高等教育機関が少ないところでなおかつそういう措置がとられれば、地方の学生たちの進学機会が制約されるという問題を持っていると考えます。  二つ目の実学についてですけれども、これは、先ほど村田参考人の方からも学部による違いがあるという話が出ましたが、本当にそうでありまして、実学と結び付きやすい学問とそうでない学問とがあって、しかもその両方によって大学というのは成り立っているんですね。  特に指摘したいのは、実は日本は諸外国と比べれば極めて学部構成は実学に偏っているわけです。東京大学でこの間、女性学生の比率が低いということがメディアで報道されていますが、あれは東京大学の問題というよりも、東京大学で最大の学生数を持っている学部が女性比率が少ない工学部であるということが影響しているんですね。これは、工学部になぜ女性が行かないかということはまた別の問題ですけれども、これはもう統計的に、日本の最も技術や実学と近い工学部というのは女性比率が低い。七つの帝国大学でも、東大と京大はやや文理のバランスが取れていますが、他の五つの帝国大学は、定員も予算も圧倒的に理科系、しかも最大は工学部という、そういう学部構成になっているんですよ。それは、もうそもそも日本が近代国家をつくったときから大学の中に工学部を入れていて、ヨーロッパよりもはるかに実学重視の構造をつくっているわけですね。  でも、世界的には大学というのは実学と虚学というものの両方によって成り立っていて、例えばアメリカのマサチューセッツ工科大学というのは、工科大学を名のっていますが、当然大学内に極めて虚学、優秀な人文学部門を持っているんですね。それが大学なんですよ。  だから、日本の大学が実学にすごく弱いことが大学の問題点であるのであれば、そのようなことはまだ分かるんですけれども、ヨーロッパやアメリカと比較してはるかに実学部門が大きいという特徴を持っているのに、なおかつそれを言うというのは、ちょっと国際比較から考えてバランスを欠いているというふうに考えます。
  84. 吉良よし子

    ○吉良よし子君 大変重要な御意見いただいたと思っております。ありがとうございます。  それで、最後になると思うんですけれども、岩重参考人に伺いたいと思います。  先ほど来、この奨学金の返済というのが中間層に対する重い負担になっているというお話が出ておりますし、私もこの間、質疑でこの問題取り上げてまいりましたけれども、ただ一方で、この奨学金の返還、回収率は全体としては九割を超えているから、そんな言うほど大変な事態にはなっていないんじゃないかという意見も散見されるわけです。いや、しかし、実際には本当に大変な思いして返しているという話を私はたくさん聞いているんですけど、この回収率九割という数字をどう見るべきか、岩重参考人からお話しいただければと思います。
  85. 岩重佳治

    ○参考人(岩重佳治君) 極めて不思議に高い回収率ですよね。  奨学金がほかの借金とどこが違うか、皆さんどうお考えになりますでしょうか。例えば、私が一億円の家を買おうと思うと、通らないんですね。私の所得証明出したら、無理だということで銀行で断られるわけです。つまり、返還能力を考えて貸すというのが普通なんですけれども、奨学金はそうはいかないですよね。将来の仕事や収入が分からないで借りるので、いつでも返還困難に陥るリスクがあるわけです。  それなのに、なぜこの高い回収率が実現されているかと考えると、無理な回収や無理な返済をしているのではないかというふうに考えることができると思います。実際、いろんな国で貸与型奨学金は二割あるいは三割ぐらいのデフォルト、つまり延滞とか貸倒れを制度に組み込んで制度ができているんですね。私たちの国だけが高い回収率なんです。これも問題点があるのではないかと。その背景には、先ほど申し上げたような返還困難な人に対して、だって、年収が三十万の人も許さないわけだから、そうなってくる中で返しているということがありますよね。  中央労福協が昨年アンケート調査を実施したんですけど、返済がかなり苦しいとか苦しかった、少し苦しい、苦しかった、これ非正規で五八・七%、正規でも四〇・六%もの方が苦しいと言っているわけですね。それから、この奨学金の返還が人生に与えた影響ということでは、仕事や就職先が二六・六%、結婚三四・八%、出産二七・五%、子育て三〇・一%、貯蓄に至っては六一・六%。それから、ここに入っていませんけど、恐らく親元から独立できないんですね。そういうようなことをしながら返しているということを御理解いただきたいと思います。  実は、学生さんのグループでこの奨学金の問題に取り組んでいるグループが、学生さんの気持ちを表しているようなこういう言葉があるんですけど、こういうふうに言っているんですね。耐える強さを変える力にというのは彼らの運動のキャッチフレーズなんです。つまり、耐える強さが大き過ぎるんですよね。  みんな頑張っているんです。頑張っている中で返している。私の依頼者も、もういいでしょうと言って救済制度を示すんですけど、借りたものは返すのが当たり前だと言って、頑張って頑張って返しているんですね。その気持ちを和らげて救済手段に乗っけるのは大変なんです。  この今の制度というのは、一言で言えば、この耐える強さというのに乗っかって甘えているからこの高い回収率が達成されているというふうに私は認識をしています。
  86. 吉良よし子

    ○吉良よし子君 貴重な御意見ありがとうございました。終わります。
  87. 上野通子

    ○委員長(上野通子君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表しまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十六分散会