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2019-06-06 第198回国会 参議院 法務委員会 18号 公式Web版

  1. 令和元年六月六日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  六月五日     辞任         補欠選任      進藤金日子君     佐藤  啓君  六月六日     辞任         補欠選任      片山さつき君     小野田紀美君      佐藤  啓君     岡田 直樹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         横山 信一君     理 事                 福岡 資麿君                 元榮太一郎君                 有田 芳生君                 伊藤 孝江君     委 員                 小野田紀美君                 岡田 直樹君                 佐藤  啓君                 徳茂 雅之君                 長谷川 岳君                 丸山 和也君                 柳本 卓治君                 山谷えり子君                 小川 敏夫君                 櫻井  充君                 石井 苗子君                 山口 和之君                 仁比 聡平君                 糸数 慶子君    国務大臣        法務大臣     山下 貴司君    副大臣        法務副大臣    平口  洋君    大臣政務官        法務大臣政務官  門山 宏哲君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   村田 斉志君        最高裁判所事務        総局家庭局長   手嶋あさみ君    事務局側        常任委員会専門        員        青木勢津子君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      小田部耕治君        法務省民事局長  小野瀬 厚君        法務省刑事局長  小山 太士君        法務省人権擁護        局長       菊池  浩君        文部科学大臣官        房審議官     森  晃憲君        厚生労働省子ど        も家庭局児童虐        待防止等総合対        策室長      藤原 朋子君        防衛省地方協力        局次長      田中  聡君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○民法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日、進藤金日子君が委員を辞任され、その補欠として佐藤啓君が選任されました。     ─────────────
  3. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  民法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長小野瀬厚君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 民法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 おはようございます。自由民主党の徳茂雅之でございます。  さきの民事執行法改正による子の引渡し制度の改正の際にこれ申し上げた点でありますけれども、こういう制度の見直しに当たっては、まず子の利益、子の福祉を第一に考えた仕組みにすべきであるということでございます。そういう仕組みになっているかどうかを含めて、改正の内容に従ってまず確認させていただきたいと思います。  今回の改正の第一のポイントは、対象年齢範囲の拡大ということであります。現行制度下では、養子候補者の多くがゼロ歳あるいは一歳児ということで、事実上子供の意向、意思、これ確認する必要はなかったということでありますけれども、今回の改正によりまして、例えば思春期を迎えた高学年の小学生あるいは中学生も対象になってくるということでございます。  そこで、対象年齢の拡大に伴って、特別養子となるべき子の意思の確認など、子に対する配慮、これがどのように行われるのかをお伺いします。
  7. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  特別養子縁組の成立の審判手続におきましては、家事事件手続法上、家庭裁判所は養子となる者の意思を把握するように努め、審判をするに当たっても、その意思を考慮しなければならないこととされております。家庭裁判所におきましては、家庭裁判所調査官による調査等の適切な方法により子供の意思を把握するように努めておりまして、審判をするに当たりましては、子供の年齢や発達の程度に応じてその意思を適切に考慮しているものと承知しております。子供の意思の把握は、家庭裁判所調査官が養子となる者と面接したり家庭を訪問して、養子となる者の様子を観察して養親となる者との適合状況を分析したりすることによって行っていることが多いものと承知しております。  また、子供が十五歳以上である場合には、特別養子縁組の成立につきましては子供の同意が必要になります。特別養子縁組は実方の父母等との親族関係が終了する等の重大な法的効果を生じさせるものでありまして、重大な決断を迫られる子供の精神面に十分な配慮をしながら、特別養子縁組の制度やその効果について分かりやすく説明した上で、真摯に同意したものであるか否かを確認することになるものと考えられます。この点の確認につきましても、心理学等の行動科学の専門的知見を有して、子供の年齢や発達の程度に応じた面接技法を身に付けている家庭裁判所調査官において行われることが多くなるものと考えられます。
  8. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 さきの参考人質疑の際にも参考人の方からお話ありましたけれども、今回の特別養子縁組の候補となる子、これは施設養護にされている子というより、むしろ、例えば里親委託されている子が中心になるんじゃないかというようなお話もございました。  養育里親については、いろんな手当が出ています。例えば、里親手当、あるいは生活費でありますとか教育費、こういったいろんな手厚い仕組みがある一方で、養子縁組になれば、当然のことながら、そういう特別な手当制度というのはなくなるわけでございます。  本来、養子縁組をすれば法的にも安定した環境下で子供を育てることができたような、そういうケースもあろうかと思いますけれども、こういった制度の違いによって、例えば、今回年齢を引き上げることによって養子縁組、特別養子縁組にできたにもかかわらず、そのまま養育里親だということで、縁組の移行が遅れるケースもあるんじゃないかと、こういう懸念に対してどのように対応するのか、お伺いしたいと思います。
  9. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) 委員御指摘のとおり、この特別養子縁組につきましては、縁組の成立後は一般の家庭と同様の法律上の親子関係を有することとなりますために、養子縁組成立後の養親子に対しては里親手当のような手当が支給されないということを承知しておりますが、このような手当の問題から里親による特別養子縁組の申立てが遅れることが懸念され、法制審議会におきましても同様の指摘がされたところでございます。  この特別養子縁組をする必要があると考えられる子供については、できる限り早期に縁組を成立させて養親との間に安定的な関係を築かせることが望ましいわけでございまして、養親候補者の特定や特別養子縁組の成立の審判の申立て等についてもできる限り速やかに行われる必要があると考えられます。  そこで、厚生労働省におかれましては、児童相談所運営指針あるいは養子縁組あっせん法に基づく民間あっせん機関の業務の指針等におきまして、この趣旨を明確にして、これらの機関に情報提供をするなどの方策を講ずるものと承知しておりますけれども、法務省といたしましても、特別養子制度が適切に利用され、子供の利益が最大限図られるように必要な協力をしてまいりたいと考えております。
  10. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 次に、今回の改正の二つ目のポイントは、特別養子縁組の適格性の審判、それとマッチングの審判を分ける二段階手続を取るということでございます。  この手続を取ることによりまして、まず第一に、特別養子縁組の適格性を確認する審判が行われます。その際には、実親の養育状況あるいは養子となる子の同意の有無、こういったところを確認する必要があろうと思います。そして、先ほども民事局長から答弁ありましたとおり、特別養子縁組というのは実親子関係を断ち切るということでありますので、例えば実親が未成年者の場合、こういったところの確認は重要だろうというふうに思います。その確定後、今度は養親候補と養子候補のマッチングの審判が行われるわけであります。その際に、六か月以上の試験養育が行われる、こういう仕組みになっています。  その申立てについては、現行制度では養親候補者のみでありますけれども、今回は児童相談所長も申立てが可能になるということでございます。今回、児童相談所長による第一段階手続の申立て、これを導入することによって、児相所の役割、これがますます高まるというふうに思いますけれども、人材育成あるいは体制整備の面で今後どのように対応していくのか、これは厚労省にお伺いしたいと思います。
  11. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  平成二十八年の児童福祉法改正によりまして、児童相談所の業務として、養子縁組に係る必要な情報の提供、助言などが業務として明確化をされたところでございます。加えまして、今回の法案が成立すれば、特別養子縁組に関しまして、先ほど御指摘いただきました児童相談所長による申立てが新設をされること、それから年齢要件の緩和による件数の増加ですとか年齢の高い養子とその養親に関する支援ニーズが増大をするといったことが考えられますので、児童相談所の業務が増えるということが想定をしております。  このため、厚生労働省といたしましては、養子縁組に関する児童相談所長の関与が適切かつ十分に行われるよう、昨年十二月に策定をいたしましたプランでございますけれども、児童虐待防止対策体制総合強化プランと申しておりますけれども、このプランに基づきまして児童福祉司の増員を予定をしております。この中で、里親養育支援担当の児童福祉司を新たに配置をしていくということにしております。また、養子縁組に関する児童相談所職員等向けの研修についても充実をしていくこととしております。  また、各都道府県においては、今年度中に社会的養育推進計画を策定をいただきまして、その中でこの養子縁組の相談支援体制の構築についても盛り込んでいただくということになっておりますので、国としても都道府県のこの計画策定の進捗状況を毎年度把握、評価、公表し、必要な支援策を検討することとしております。  また、今般のこの改正法案が成立した場合には、児童相談所長による申立ての運用の在り方などについて法務省とも連携をして整理をして周知をするということ、また、実際の事例において生じた課題などを必要に応じて分析をして共有するなど、改正法の円滑な施行に努めてまいりたいと考えております。
  12. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 是非、国としての支援、それから法務省との連携、よろしくお願いします。  さきの参考人質疑の際に、特別養子縁組の実例というのが少ないということで、児童相談所のノウハウ、この蓄積の問題が指摘されています。また、養親候補者の確保という観点から、児童相談所が単独、個別に対応するのではなくて、広く児童相談所間の連携、これをやっていったらいいんじゃないかという御指摘もありました。  そこで、児童相談所間の連携あるいは児童相談所と民間あっせん団体との連携についてどのように取り組んでいくのか、お伺いします。
  13. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  厚生労働省におきましては、家庭養育優先原則に基づく取組の一環といたしまして養子縁組制度の利用促進を行っているところでございまして、児童相談所と民間あっせん機関共に養子縁組制度の利用促進において重要な役割を果たしておりまして、御指摘のように、児童相談所間の連携や民間あっせん機関も含めた連携を推進していくことは非常に重要であるというふうに考えております。  このため、児童相談所の運営指針や民間あっせん機関の指針におきまして、児童相談所間のほか、児童相談所と民間あっせん機関についても相互に連携を図るように定めているところでございます。また、昨年度から民間あっせん機関が児童相談所と連携をして、子供との事前のマッチングや養子縁組後の相談援助を行ったり、養親同士の交流の場を提供したりするなど、養親希望者等の負担軽減に向けた支援体制を構築するためのモデル事業を実施しているところでございます。  厚生労働省といたしましては、こうした取組を通じまして、児童相談所や民間あっせん機関が連携をして必要なときに情報交換や援助を行えるようなそういった協力関係づくりを促して、養子縁組制度の利用促進に努めていきたいと考えております。
  14. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 ありがとうございます。  これは民事執行法改正の審議の際にも議論になった点でありますけれども、子の引渡し、民事執行法改正の子の引渡し強制執行の事前準備に当たって、家裁調査官の役割、これが重要じゃないかという御指摘がございました。  先ほど民事局長からも答弁ありましたけれども、養子候補者の年齢拡大、その対象年齢が拡大され、また二段階手続という手続を導入されるということで、養子候補者の意思の確認等、いろんな面で家裁調査官の役割は高まってくるというふうに思います。  そこで最高裁にお尋ねするんですが、今後、家裁調査官の果たすべき役割についてどのように対応していくのか、伺います。
  15. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。  改正法が成立した場合には、これにより年齢の高い子についても特別養子縁組の対象となりますところ、年齢が高い子の場合ですと、その子の発達状況ですとか置かれた環境などが様々であることを踏まえまして、二段階手続のいずれにおいても子の意思等をより慎重に把握することが必要になるというふうに考えております。  こうした点で家庭裁判所調査官の役割が高まることはもう御指摘のとおりでありまして、家庭裁判所調査官において、これまでの他の事件類型において年齢の高い子について調査を行ってきた調査の知見なども活用しながら、その子に応じた方法で聴取をするなどの工夫をしていくことになろうかというふうに存じます。  最高裁判所としましても、改正の趣旨も踏まえ、今後とも的確な調査が行われるよう協議などの場で取り上げるなど、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
  16. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 特別養子縁組が成立しますと、実親子関係と同じような関係がスタートするということで、これまでの児童相談所との関係も終了するわけであります。そして、例えば里親委託されていた子については経済的な支援も終了するということであります。  養子縁組関係が成立した後に、養親子、養子と養親との間の関係が結構行き詰まって養育困難になるとか、あるいは、極端なケース、養子が養親に虐待されるというようなケースもあるというふうに承知しております。  さらに、民間あっせん団体が関与した養子縁組については、地域における児童相談所との接点も少ないということで、養子縁組後に養親がいろんなところで相談する機会も少なくなると、養親が孤立するケースもあろうかというふうに思っています。  そこでお尋ねするんですが、特別養子縁組後の養親子に対する支援についてどのように取り組んでいくのか、特に民間あっせん団体があっせんした縁組についてはどのように支援していくのかお伺いします。
  17. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  その養親子に対する支援に関しましては、平成二十八年の児童福祉法改正によりまして、児童相談所のあっせんにより成立した特別養子縁組については都道府県が養親子に対して必要な援助を業務として行う旨の規定が設けられております。  民間団体のあっせんにより行われる縁組につきましても、昨年四月に施行されましたいわゆる養子縁組あっせん法におきまして、民間団体は、養子縁組成立後の養親子に対し、その求めに応じて必要な援助を行うよう努めるものとする旨の規定が設けられたところでございます。また、厚生労働省におきまして、養子縁組民間あっせん機関助成事業を実施して、養子縁組成立後の相談援助など、養親の負担軽減に向けた民間あっせん機関による支援体制の構築を支援していくものと承知しております。  養親子に対しましては、こういった法律の趣旨に沿って必要な支援がされるものと考えておりますけれども、法務省といたしましても、これらの法律を所管する厚生労働省に必要な協力をしてまいりたいと考えております。
  18. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 特別養子縁組は、法制度上は実親子関係を断ち切る仕組みということでありますけれども、当然のことながら元の実親子関係、これは生物学的にはもちろんつながっているわけでございます。参考人の意見陳述の中にもありましたけれども、養親が元の実親を意識する余り、逆に養親子関係が悪化するケースということもあろうということでございます。そこで、特別養子縁組後も実親子関係の間を交流を行うオープンアダプションということを行っているケースもあるというふうに聞いております。  そこでお尋ねしますけれども、特別養子縁組後の実親子間の交流、あるいは実親へのいろんな面での情報提供、これについてどのように対応していくのか、お伺いします。
  19. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  特別養子縁組が成立いたしますと、法律上の実親子関係は終了いたしますので、実親子間の交流ですとかあるいは実親への情報提供等は、制度上は保障されてはおりません。もっとも、事案によりましては、特別養子縁組が成立した後も実親子が交流することが子供の利益の観点から望ましいということはあり得るものと考えられるわけでございまして、実際に養子縁組成立後の実親子間の交流等を支援している、そういった団体も存在していると承知しております。  しかしながら、我が国には、縁組が成立した後も実親子間の法的な関係が終了しない普通養子制度といいますものもありますことからいたしますと、縁組が成立した後も実親子間の交流を続けるのが相当な事案につきましては、通常は普通養子縁組が利用されるものと考えられるところでございます。また、特に実親の虐待によって子供が深刻な心理的外傷を負っているような事例につきましては、特別養子縁組成立後に実親とその子供との面会交流を認めることは子供の利益の観点から望ましくない場合が多いと考えられます。  このように、特別養子縁組成立後の実親子間の交流等の在り方につきましては、子供の利益の観点から慎重な検討が必要であると考えておりますけれども、縁組成立後の支援を所管いたします厚生労働省とも連携しながら、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
  20. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 最後に、子の出自に関してお伺いしたいと思います。  特別養子縁組について、養親が養子に配慮して真実告知を行うことで、自らが養子であることを知るケースがあろうかというふうに思います。その一方で、これは参考人の意見陳述の資料にもありましたけれども、養親子関係が破綻したときに突然真実告知をするということで、養子が心理的にいろんなダメージを受けるケースもあるということでございます。  子供は、成長するに従って自らのアイデンティティー、これを確認する欲求というのは高まってくると思います。真実告知をすることが本当に養子にとって良いのか、そして、真実告知をするとして、いつどのような状況になったらその告知をするのか、これは養親にとってもかなり悩ましい問題だろうというふうに思います。その結果として、言い方は悪いかもしれませんが、ずるずる真実告知が遅れて、突然養子が自分が養子であることを知るということもあろうかと思います。  そこで、子の出自を知る権利に関して、養親による真実告知についてどのように対応していくのか、これは厚労省にお尋ねしたいと思います。
  21. 藤原朋子

    ○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  養子縁組が行われた子供が自分の出自を知るということは大切な権利というふうに考えております。このため、児童相談所に対しては、児童相談所運営指針におきまして、児童相談所の援助を通じて養子縁組が成立した児童の記録を永年で保存すべき旨や、養子や養親の求めに応じまして必要な情報の提供を行うべき旨を定めているところでございます。  また、民間のあっせん機関に対しましても、養子縁組あっせん法に基づく指針におきまして、同じくあっせんに係る帳簿を永年保管すべき旨や、児童が自ら養子であることについて確実に養親から告知されるような必要な支援を行うこと、また、養子から相談があった場合には、丁寧に応じながら、年齢等の状況を踏まえて適切な助言を行いつつ対応すべき旨を定めているところでございます。  養親子に対する支援を推進する中で、各機関におきましてこういった規定を踏まえた適切な支援が行われるように、私どもも支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  22. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 ありがとうございました。  今回の改正が多くの子供の幸せにつながることを期待いたしまして、質問を終わります。
  23. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 立憲民主党の小川敏夫です。  今日は大臣といろいろなお話合いをさせていただきたいというふうに思っておりますが、この特別養子制度を別に私は反対するものではないわけでありまして、大変に有効に機能しているという部分もあるわけでありますけれども、ただ、そういう制度があるから、もうその制度それでいいんだと。もっと使い勝手が良くする、あるいはきめ細やかにいろんなケースに対応できるというような仕組みの構築を検討するとか、様々な検討が必要だというふうに私は思いますので、そういう観点からいろいろ議論させていただきたいというふうに思います。  まず、そもそもこの特別養子縁組ですけど、これ委員会の議論でいろいろ聞いていますと、子供のためだと。典型的な例として、子供が虐待を受けている、大変に子供の養育、健全な成長を妨げる、あるいはそうした事情がある、そうした子供を守るために、そうした実親から離して、それで養親子関係を結んで実親子関係と同じような法的関係を与えて、そうした親があるような、そうした養子縁組をするんだというお話を聞いておりまして、特に子供が虐待を受けるという例が少し強調され過ぎているんじゃないかと思うんですね。  特別養子縁組を利用している中で、私も別に数えたわけじゃありませんから数字的に割合は示せませんけれども、別に子供が虐待を受けるという場合だけじゃなくて、様々なケースがあると思うんですね。赤ちゃんポストに入っていた子供、これは虐待じゃないんで、そもそも実親が分からない、事実上分からないからいないという状態、あるいは、よく一つの例とされるのは、女子高校生のようなまだ年齢が大変若い女性が生活力がないという中で子供を産んでしまったと。とても養っていけないし、また、そうした女子高校生の親から見れば、養っていけないどころじゃない、これからの人生、父親がよく特定できないような、あるいは分からないような、そうした子供を抱えて人生を送っていけるのかと。専ら子供のためよりも、母親であるその女子高校生のためにという利益がかなり多く働いて特別養子に出すということもある。様々なケースがあると思うんですね。  ですから、虐待をされた子供を守るんだということで、そのことを強調して、子供が虐待をされるから、だから実親とは完全に切り離すことがいいんだというだけでは私は説明が足らないというふうに思うんです。  まず、基本的なことですけれども、特別養子を利用して養子となる子供、これはどういう子供、もう法律上は経済的な理由も入っておるわけでありますから、大体どういうような子供が実際に特別養子になっているのか、その実情についての大臣の御理解をいただきたいんですが。
  24. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) お答えいたします。  この特別養子制度というのは、制度開始の当初から実親による養育が著しく困難又は不適当であること等ということが要件になっておりまして、これは、例えば実親の養育能力がない、これは委員御指摘の、実親が非常に若年で経済的な事情から養育できる状況にない、そうした実親の下に生まれ落ちた子供であったり、あるいは虐待というのももちろんそれはあり得ることだろうと思います。実親によって虐待を受けている、その虐待というのが、例えばネグレクトも含んで全く養育がなされていないというふうな状況もあり得るかと考えております。
  25. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 どういう例が多いのか、その傾向、ある程度の正確な数字でもなくてもいいですけれども、今大臣がいろんなケースをお話しされた中でどういう例が比較的多いのか、これは把握できるでしょうか。
  26. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) お答えいたします。  例えば、様々な例として見られるのが、予定外の妊娠などのために実親に養育の意欲が欠ける場合であるとか、あるいはその実親が行方不明になった場合、赤ちゃんを置いて、まあ棄児の場合ですが、行方不明になるような場合であろうとか、あるいは実親による虐待のために家庭に戻すことができない場合ということ、様々な場合があるということでございます。
  27. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 じゃ、様々な場合があるという中で、虐待というのはどのくらいなんでしょう、比較的多いんでしょうか。そんな正確な数字じゃなくてもいいですけれども。  私の感じでは、全体から見れば多数ではないような印象を持っているんですが、どうでしょう。
  28. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) ちょっと手元には具体的な数値がないわけでございますが、もちろん委員が御指摘のとおり、虐待ばかりではないということではございます。
  29. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 ちょっと話は少し横にそれますが、昭和六十二年に特別養子の制度ができたときに、一つの説明として、養子であることを簡単には第三者に知られないようにするということが大きな目的の一つだというような説明がされていたというふうに思います。  要するに、まだ養子というものに対する偏見というものがあって、それで第三者が簡単に戸籍を見て養子だと分かってしまうというようなことで、養親子関係が社会から偏見の目で見られるというようなことがあってはいけないから、だから、そういうことが第三者からたやすく分からないようにすると。それで、そういう目的の一つとして、戸籍上の記載を養子という記載をしないで実親子というような記載に改めたんだというような意見がございました、そういう説明がありました。これは別に大臣に質問しませんから、別に聞いていていただければいいです。  ただ、私思いますと、昭和六十二年あるいはそれに近い頃って、戸籍や本籍地が入った住民票、身分が入った住民票の閲覧といいますか、これが非常に緩かったですよね。私自身も記憶がある、まあ司法修習生の頃だから昭和四十年代後半頃、もう他人の戸籍謄本自由に取れましたもの、いや、本当に。それから、住民票を閲覧に行ったら、紙の住民票ですから、ある人間の住民票を閲覧しようと思ったら、その地域の一束をどおんと出してくれて、さあ、必要なもの幾らでも見てくださいなんて、こんな状態でしたよ。  ですから、すごく簡単に他人の戸籍を見れるという、そうした状況があった。それがだんだんだんだん正当な理由がなくてはいけないということになって、今現在はかなり、もう事実上他人の戸籍は見れないというような状況になっておるわけでありまして、簡単に戸籍が取れるから、そこで第三者に養子であることがたやすく知れてしまうという状況は、相当その戸籍の方の管理の厳格化で解消されているのかなというふうにも思います。  またもう一つは、社会状況が大分変わりまして、まだ昭和の時代は、例えば身元調査なんというのがあって、結婚はお見合いがまだ全盛の頃ですから、簡単に身元調査がいて戸籍謄本調べまくって、いろいろ身分関係調べるとすぐ養子であることが分かってしまうとか、あるいは、そもそも就職で応募するときに戸籍謄本出せというのが当たり前でありました。今は就職の際に戸籍謄本の提出を求めていませんけれども。学校に入学する、私立学校に入学しようとすると、戸籍謄本出せというのが当たり前のような状況で行われていた。  そういう状況の中で、戸籍を見ればすぐ養子であることが分かってしまうと。特に、まだ養子に対して養子であることの告知をしていないのに第三者の耳から入ってしまうとか、そうしたことで不利益があってはいけないし、その養親子関係を傷つけてはいけないという、そういう配慮から戸籍上の記載も実親子であるような記載がなされる、そういう養子制度をつくったんだと、こんな説明を聞いたふうに思います。  そうすると、これはかなり解消されているのかなと。戸籍や住民票の管理が厳格になったと。それから、養子というものに対する社会の理解もかなり進んできて、養子というのが、言葉は悪いですけれども、もらい子だといって差別されるような、そういう社会の状況も相当改善されてきたんじゃないかというふうに思っておりますが。  そうした面での議論もあって、果たしてこの法案制定するときに、ここから質問に入っていきますけれども、どうもこの特別養子縁組、親子と同じような養親子関係をつくるんだから、だから実親子関係は終わるんだよというこの制度の仕組みについて、どれだけ深い議論がなされたのかなというふうにも思うわけでありまして。それで、私は、もう当然、実親子関係を断ち切って、それがごく例外的な離縁がなされた場合以外には全く復活しないしという仕組みが固過ぎるんじゃないかというふうに思っておるわけであります。  それで、質問しますけど、この特別養子縁組制度が子供のためだ子供のためだというふうにしか説明が出てこないんですけれども、養親のためでもあるんではないですか。  具体的には、実親と実子、要するに実親子関係として、親の方から見れば実子と同じように一生懸命育てて愛情を尽くしたのに、しかし親が年取ったら、あるいは子供が成人したら、はい、御苦労さま、あなたとはもう親関係は終わりますというふうに簡単に終わってしまっては、養親が子供に対する期待というものが損なわれるんではないかということで、親は実子のようにしっかり育てなさいと、しかし育てた分、今度は老後は扶養というものを当然期待できるんですよという、そういう親の利益もこの特別養子縁組制度の中には入っているんではないかというふうに私は思うんですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  30. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) この特別養子制度におきましては、これは専ら子の利益ということで、子の利益のための制度でございます。子の利益のために特別養子に基づく養親子関係が法律上唯一の親子関係ということになることの反面、そうした養子を、養親において、将来的に例えば扶養を受けることができるような、そういった実の親子と同様の副次的な効果があるわけでございますが、この特別養子の縁組を認めるという制度の根幹は、これは子の利益、専ら子の利益のために行うということでございます。
  31. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 専らって専門の専という字を書いて専らですよね。だから、そうすると、それは子供の利益だけを目的としていると、こういうことですか。
  32. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) だけという、その利益というのが、目的はやっぱり専ら子供の利益でございますが、養親においてそれに基づく実の親子関係、法律上の実の親子関係同様の権利義務が生じるというところで副次的な効果というものがあり得ると考えております。
  33. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 多少理屈の世界になりますけど、子供の利益のためだと。すなわち、子供の養育が十分にできない、期待できない、あるいはいないという実親から離して、実親のような、実質的に実親と同じ養育をその子供のために整えて子供が健全に成長するということが目的だというんであれば、それであれば、私は、子供が独り立ちするまで、この子供たちが独り立ちするまでそれが養親からおっぽり出されないような仕組みをつくればいいんで、子供が独り立ちして自分で物事を判断して行動できるという状況になった場合には、そのような固い仕組みは、固い仕組みというのは、養親子関係を継続するか、実親との関係をどうするかということは、独り立ちした子供が自分の判断で決めればいいと思うんです。子供の利益だけが特別養子縁組制度だというならですね。  しかし、実際にはこの法律は、子供の養育が終わって、子供がそうした立派な成人になって、自分で自活できる、自分で自分の人生をどうするかを決めることができるということになっても、養親との関係は解消できない、実親との法律関係は持つことができないということを固定しているわけです。  ですから、私は、子供が健全な家庭環境の中で育てられるんだという専ら子供の利益のためだけだというんなら、私は、子供が成人した後もそうした子供の判断を入れないで身分関係を固定するというのは論理的に理屈付けが足らないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  34. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 委員の御指摘、これ特別養子制度全体に関わる、あるいはもう特別養子のみならず養子制度も含めた制度の全体に関わる御指摘であろうかと受け止めております。  他方で、今回の法律案につきましては、これ参考人の御意見にもございましたように、喫緊の課題に対応するために必要最低限の三点、養子となる者の上限年齢やあるいは実親の同意撤回制限、手続の見直しといった点について改正をさせていただくというものでございます。  委員御指摘の、特別養子となった子が成人した後、それを、例えば扶養義務をどうするのかというのは、例えば実親子関係にもあります扶養義務というのをどう考えるかといった家族の在り方全体に関わる問題でございまして、そういったものにつきましては、今後、国会の御議論であるとか国民の意見、こういうものを慎重に受け止めながら検討すべきものであろうと考えております。
  35. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 今回の法改正は、そうした年齢を上げるとか必要な事情に応じてそこまで拡大するだけであって、実親子関係とか離縁の要件とかそうしたことについて改正するものじゃないから、そこを議論されては困ると、議論は必要ないというような趣旨に私は受け止めたんですが、ただ、法律の改正でその特別養子の要件を緩和するというのは、新たに別のものをつくるんじゃなくて今ある制度を要件を広げるわけですから、だから当然、今ある制度がそのままでいいのかという議論は、これは当然しなくてはいけないわけであります。  また話は戻りますけど、私は、実親子関係を完全に遮断してもらって、それで、子供が成人した後にもそれについて、それを全く禁止していると。それを、法的な手だてを与えないというのは、私はこれ憲法に違反してくるんじゃないかと思うんですね。  なぜかというと、この養子は自分で選んだんじゃ、自分で決めたんじゃないんですよ。赤ん坊が、あんな自分が何にも判断できないときに親なり養親になろうとする人なり家庭裁判所が決めたんであって、自分で決めたんじゃないんです。自分が決めたんじゃないけど、実の親という絶対に無視できない親子関係というものがあるものを、法律上の親子と認めないという仕組みをつくって、それを許さないというのは、私は憲法十三条の幸福追求権なり、あるいはそういう環境に置かれた人について実の親との親子関係を認めないというのは法の下の平等に反するという、私は憲法にも違反する仕組みじゃないかというふうに、重大な認識を持っております。  ですから、子供はその養子になることを自分で判断したんじゃないんだから、そこに子供の意思が全くない、つまり、その本人の意思が全くない。そして、決められた後、自分が判断できるという状況になった成人の段階でもその判断というものが全く考慮されない、自由が与えられないという仕組み、これはおかしいんじゃないかと思うんです。  じゃ、どうでしょう、余り私がくだくだしゃべってもしようがないんで、私は、そういう意味で、そもそも子供が選んだ道ではない、子供が判断した道ではない中で、しかし、判断できる年になったときに全くそうした、成人になったその子供の自由というものが完全に与えられていない、あるいは実親子関係を結ぶという道が与えられていないのは、私は憲法十三条、憲法十四条違反だというふうに思うんですが、こういう指摘に対して大臣はどのようにお考えですか。
  36. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) お答えいたします。  委員の御指摘は、これは特別養子制度そのものに対する御指摘なんだろうと思います。  昭和六十二年、制度開始以来、この特別養子制度がございます。この特別養子制度も、制度の開始以来、六歳未満ということではありましたけれども、子供の意思とはかかわらずにその特別養子縁組がなされてきたということがございます。そして今、こういった制度が今まで続いているわけでございます。  その特別養子制度そのものの全体的な御議論ということはもちろん様々御指摘はあり得ようとは考えますが、今、制度が根付いておりますし、また制度当初においても、憲法違反だというところはないだろうということで法案が成立し、今まで運用されているものであろうというふうに考えております。  もとより、委員御指摘のような、その特別養子が成人した後、例えば実親とどのような人間関係を結ぶのかということに関しましては、これは出自を知る機会、手掛かりというのは残されておりまして、それを任意の形で継続するということは排除されていないというわけでございます。そしてまた、この養親との親子関係をどうするかということについては、例えば実の親子関係でも成人した後にどういう関係があるかというのは様々な親子の形態があり得るんだろうと思っております。  これは、どうすべきかということについては、法律でどうすべきかという問題なのか、あるいは法律でどうすべきかということであれば、法律がどの程度までやるべきかということについては、家族の在り方に関する様々な御議論、これをやはり国会やあるいは国民においてしていただくということを注視しながら、我々も考えていきたいと思っております。
  37. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 私は、この特別養子制度が憲法違反だと言っているんじゃないんですよ。健全な養育を受けられない子供がいる場合に、それを親に代わって社会が健全に、子供が健全に育てられるよう社会がそれを支える、そういう手当てをするということは、私、何にも憲法違反だとも何とも思っていません。  だけど、子供の健全な養育のためだというんであれば、もう子供の養育の段階終わって子供が成人になったときに、自分の親との関係を法的に結びたいと思ってもそれが認められないということに絞って、私はそれは憲法上おかしいんじゃないかと。つまり、子供の養育、子供の健全育成のために必要な仕組みなんだというんなら、子供が健全に育成する成人までのことを考えればいいんで、成人になった後は、そこで自分自身の意思というものをやっぱり尊重しなければいけないんで。  この特別養子縁組、今度十五歳まで広げますけど、今の仕組みだと、自分自身の意思で養子になったんじゃないんですから、自分自身の意思で親子の法律関係を断絶したんじゃないんですから。ただ、社会が子供のために健全な養育をしようとするという幅広い意味では、公共の福祉あるいは社会全体の利益のために、そういう子供が健全に成長するという仕組みをつくった。私は、そこの点について何の異論もありません。  ただ、どうしても実親子関係というもの、これは人間の生物的な関係で、切っても切り離せないし、これは、ただ単に機械的に、はい、もうなしですよということで済む話じゃないんで、世の中には様々なことがありますから、それから人の考えも様々な考えがありますから。だから、私がいろいろこういうふうに言ったところで、とんでもない、実の親なんて金輪際誰が関係を持つかと、全くそういう関係を持たないでうれしいといって、私の意見なんか余計なお世話だという人もいるかもしれません。  だけど、そうじゃなくて、やはり、いや、実の親との関係も持ちたいと。養親との関係も、大変感謝しているから養親との関係も継続したいけど、でも、実の親は実の親なんだから、みんなは実の親とは実の親子として法律関係を持っているのに、自分は自分の意思で決めたんじゃないところで勝手に断ち切られちゃった、でもこれを回復したいと思う人もいるはずです。その道を完全に塞いでしまったというのは、私は、憲法上おかしいんじゃないかなというのが私の考えです。  今、優生保護法というのがあって、あれも一つの理屈は、そうした知的障害があったり何らかの障害を抱えている人は、子供を産めば同じような子供ができて、生まれた子供もそういう子供を育てる本人も、親もかわいそうだからというそういう価値観だけで言わば断種してしまったわけでありますけれども、それはとんでもない、個人の自由を、個人の尊厳を害したということで、明らかに今憲法違反だということで国全体が反省しておるわけであります。  私は、この特別養子縁組制度がそれと同じようにひどいものだとは思っていませんよ。ただ、社会の価値観で、つまり、特別養子縁組制度というもの、実親関係で縁組した方がいいよという社会の価値観で、それで子供のためだといってそういうふうに決めてしまったこの仕組みを、子供が自分で判断できるというときになったときでもその子供の判断に任せない、子供の判断というものを全く無視して固定化しているというその部分がおかしいのではないですかというふうに私は考えているわけです。  例えば、ですから、私がこんなに心配しているのは大きなお世話で、実の親とはとんでもないと、自分を捨てた親なんかと絶対に会いたくないとか、そういう人もいるでしょうし、だけど、そうじゃないケースだって例えばあると思うんですよね。  いろいろ考えて、例えば、実両親がいて、父親が性的虐待をしたとか、子供に、別に性的な虐待じゃなくても様々な虐待をしたと。母親自身は何の虐待もしていない、ただ、残念ながら父親の虐待を止められなかったということがあれば、それで特別養子に入ったと。それで、成人になって、大人になって、虐待した父親が死亡していなくなった、残ったのは母親だと。  子供から見れば、母親は父親の虐待を止められなかったということはあったかもしれないけれども、母親自身は子供に対して何の虐待もしていないという中で、やはり母親に会いたいなと、あるいは母親としっかり親子関係というものを正常に、法律的にも持ちたいなということだって、子供持ちたいし、母親の方も子供との関係を持ちたいということだってあり得るんじゃないか。  私、世の中いろんなケースがある。実親関係を持ちたいし、あるいは持った方がいいのではないかというケースだってあり得るわけで、そうした場合にそうした道が完全に閉ざされているということが私は問題だと思うんですが、例えば、この議論について、実親子関係を、また関係を持つと、扶養の関係で厄介だとか相続で煩わしいとかということから認める必要がないというような御意見もございましたけど、いやいや、子供の方が積極的に、実の親を、困っているんだから、私は扶養したいんだと、法律上の扶養義務をしっかり果たしたい、そういう責任も負いたいというときにも、法律上の親子関係は与えないわけであります。  こういうふうに言うと、法律上の親子関係は与えなくたって、面倒見たいなら勝手に面倒見ればいいじゃないかと、別に法律は面倒見ることを禁止していないんで、法律上の親子関係は与えないだけであって、面倒を見ることは与えていないと、面倒を見ることまで禁止していないというふうにお答えになるかもしれませんけれども、しかし、やはりどうしても親子の関係というのは、これは他人が断絶してそのままでいいということで私は解決できる問題じゃないというふうに思うんです。  ですから、大変しつこいようでありますけれども、私は、この世の中様々なケースがあるから、成人になってから実親関係を法律的に復活すると子供が迷惑だとか、例えばそれまで養子を実の子供のように育てた養親との関係で複雑なものがあって、そこが迷惑だとか、そういうふうにおっしゃることもあるけれども、そういうケースもあるかもしれないし、だけど、いやいや、養親も大賛成ですと、私もこの養子との間の関係はしっかり築いて良好な関係を持っていますけれども、実の親は実の親ですから、実の親との間でもどうぞしっかりとそうした親子関係を築いてくださいというふうに皆が歓迎する人間関係だってあるわけですよね。だけど、そういう関係があったとしても、この法律ではそれはできないことになっている。  だから、私は、その部分について、親子の断絶という、親子を法律上断絶したまま、それを固定化するということのこの重大な問題についてすごく、いや、法律上そういうふうにしたんだからもうそうなっているんだよという一言で片付けてしまって、簡単に考え過ぎているんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  38. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 今回のその特別養子制度、これは制度開始以来のものでございますけれども、まず、この特別養子制度というのは、期限を切った親子関係というものではなくて、養親子の間で永続的かつ安定的な養親子関係を構築すると、これが子供の福祉のために望ましいのだというところからきております。したがって、その期限を切ってであるとか、成年になるまでという考えは取っていないところでございます。  委員御指摘のとおり、長じて実親と会いたいあるいは実親の面倒を見たいということ、これは今の特別養子制度、また改正案によってもこれは否定はしていないところでございます。  ただ一方で、仮に委員の御指摘が、成人にすれば当然に法律上の親子関係を復活させるべきだ、あるいは親子関係に伴う義務、例えば扶養義務とかあるいは相続、そういったものを復活させるべきだということになると、これは、親族法というのは、そういった身分を有するがゆえに、そういった権利義務を法律上規定するというところにこの意味があるわけでございます。  私どもとしては、そういった養子が自分の思いで実親を面倒見たいということであれば、これは個々の自由判断に基づいて、親族法の規定ということではなくて、個々の判断に基づいて、場合によってはそれは扶養契約をするということもあり得るかもしれません。そういったところで実際の調整を図っていくというのが現在の制度ではないかと考えているところでございます。
  39. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 私は、成人になったら当然に復活すべきだと言っているんじゃないんですよ。成人になった後、本人が自分の判断で求めるならば、そういうことができる道をつくりなさいと言っているわけで、別に全部、成人になったら全部復活しろとは言っていないんでね。ただ、今は全部禁止しているわけだから。だから、必要な場合に、あるいは求めた場合にそれができるような道をつくるべきではないかと言っているんで。ですから、大臣は、委員のように成人になったら当然実親子関係を復活するのはそれは認められないような答弁でありましたけど、私は当然復活しろと言っているんじゃないんで。  それから、実親の関係のところを随分長く議論しましたけど、例えば離縁もかなり厳しく制限されていますね。これも同じなんですよ。  子供を養育する、子供の利益ということを考えると、いや、特別養子、実親から離して特別養子にしたのに、突然大した理由もないのにおっぽり出されちゃ困るから、離縁というものは厳しく制限してもいいと思うんです。だけど、子供の利益、特に子供がしっかりとした養育を受けるということが制度の目的なら、子供が成長した後、そんなに厳しく、離縁も厳しく制限する必要があるのかなと。  でも、これは非常に厳しくしているから、だから私は、この制度は子供の利益のためだ、専ら子供の利益の制度だと言うけれども、しかし、子供の利益を守る、子供の利益のためであると同時に、やはり親の方も、実の子供のように育てたんだから、自分の老後はやはり子供に面倒見てもらいたいという、その子供が親、養親に対する扶養義務を果たすということ、その養親の期待というものもこの法律は考えているんじゃないですかと。ですから、専ら子供の利益のためだけじゃなくて、プラス親の利益も考慮しているんじゃないですかという観点からお尋ねしたわけです。  これはやはり、子供のように養子を育てたんだから、自分の老後もしっかり今度は子供に面倒見てもらいたいという養親の思いもしっかり応えるためにこの特別養子縁組制度というのは制度設計されているんじゃないんですか。
  40. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) まず、特別養子制度としては、これは永続的かつ安定的な養親子関係を形成する、それが法律上の唯一の親子関係であるということで、そこから様々な権利義務が生じるというところでございます。  そういった権利義務が生じる、これはもう反射効ではございますけれども、それを期待する人はいないと申すまではございませんけれども、それが、その扶養が実際行われるかどうかというのは、これは実親子関係でもあり得るところでございます。私も子供がおりますけれども、将来どうなるか分かっていないし、期待しているかというと、期待していないわけでございます。  そういった様々な親子関係がある中で、済みません、ただいまのはちょっと言い過ぎましたが、それを法律上どうするかということになると、特別養子においては、これまで、昭和六十二年、施行は六十三年の一月でございますけれども、これまで三十年間運用されてきた特別養子縁組の法律関係、これを喫緊の課題について、より利用を促進するというところで改正案を出しているところでございます。  委員御指摘の点につきましては、今後の国会の御論議等も踏まえながら、我々も慎重に検討してまいりたいと考えております。
  41. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 少しまた話はそれますけれども、例えば夫婦関係でも、今の法律は有責主義で破綻主義じゃないけれども、もう駄目になった夫婦をいつまでも夫婦という枠に縛り付けてもしようがないだろうということで、破綻主義的な考え方もかなり強いわけであります。  この養親子関係も離縁というものを厳しく制限している。ですから、子供を育てるということが専ら目的なら、もう子供が成人になったら子供を健全に育てるという目的は達したんだから、その後、離縁というものを厳しくして、人間関係はもう完全に壊れてしまっている養親子関係なんだけれども、しかし離縁を認めないということが合理的なのかなと。  やはり、子供の利益のためだから、子供が成人するまでは簡単におっぽり出されちゃ困るから離縁というものを厳しくしてもいいというのはかなり分かるけれども、子供が成人した後になって、例えばの話、親、養親も養子ももういいやと思っているのに、しかし、離縁の理由が、法律上の理由がないから認めないというのも少し堅苦し過ぎるんじゃないかなと。もっと言葉を厳しくすれば、かえってそれがますます陰湿な対立関係を深めるんではないかというふうにも思うわけでありますけれども。  どうでしょう、子供が成人した後の離縁というものは、やはりもうそれぞれが自由に判断できるんだから、離縁の要件は、子供が成人した後は子供が成人する前と比較して少し緩和してもいいのではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  42. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 制度全体に関わるお話でございます。そこについては、その特別養子縁組が根幹としております子供とその親子関係、実親子と同様の永続的かつ安定的な養親子関係を構築するということがどういうことであるのかということに関わってくるんだろうというふうに考えております。  現在の制度において、この離縁を委員の御指摘のような形で認めないということについて、私どもとしては、永続的、安定的な養親子関係を形成するという子の福祉の観点から、一定の合理性を持つものであろうというふうに考えておりますが、なお、国会における議論あるいは国民における家族の在り方における議論、こういったものも注視してまいりたいと考えております。
  43. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 是非、後ろにいらっしゃる法務省の職員の方がうんうんとうなずいて納得する答弁じゃなくて、質問している私がうんうんと納得するような、そういう答弁をいただきたいと切にお願いする次第でありますけれども。  今回は要件を広げるという改正案ですから、今ここで、根本的にこの法律をどうするこうするということをこの法案審議の場でというのは無理でしょうけれども、例えば、参考人の意見からも出ました。ある一人の参考人は、養親子関係は非常に強固にするけれども、それに実親が協力していただけるのが非常に理想的だというような意見も出されましたし、私も全くそのとおりだというふうに思うわけであります。  この特別養子縁組の制度、今こういう仕組みだからこの仕組みのままでいいのだ、このままでいいんだと、今回年齢広げたから数も増えるだろう、それでいいんだということではなくて、やはり様々なケースがあるわけでありますから、この特別養子縁組制度というものもより様々なケースに柔軟に対応できるようにというような観点から更なる検討を加えて、大臣もこれから議論していただきたいと言っておるわけですから、ただ、法務省の方がむしろその議論を主導して、使い勝手がいい、そうした養子縁組制度というものをしっかり構築していただきたい、検討していただきたいというふうに思っております。  今、多少時間が、数分ありますので、余り難しい話じゃないんですけれども、今のこの特別養子縁組の制度の実情は、養親希望者の方が数が多いようで、養子の数がむしろ少ないと。これをどういうふうに見るかですね。制度が非常にうまくいって、もう養親希望者が多いから、養育を必要としている子供が減少しているんだから、それでいいと、もう本当にこの仕組みは機能しているんだというふうに見るか、それとも、養子になりたい希望者はいるんだけれども、ただこの特別養子縁組制度が実は親から見て厳し過ぎると。だから、本当は養子になって養親に育ててもらえればうれしいんだけど、でもやっぱり特別養子のこの要件が厳し過ぎる、親子の関係を完全に断ち切らなくちゃいけないということで、そこまで踏み切れないということで、本来ならもう少し柔軟な対応をすれば養子というものが数が増えてもっと機能するんじゃないかというふうな考え方もできると思うんですが。  私は後者の方の考えなんですけれども、大臣としてはどうですか。今非常にうまく機能しているから、養親の養育を必要とするような子供はもうみんな行っているから十分なんだというふうにお考えになるか。本当は、潜在的にはもっとそうした養親の保護を、養育を必要とする子供が潜在的にはたくさんいるんだけれども、制度が少し固過ぎて全部を救済できていないんじゃないかというのが私の考えですけれども、大臣のお考えはどこら辺にありますか。
  44. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) お答えいたします。  現行法の特別養子縁組制度、これについて改善点はまだあろうかと考えております。  今回の改正案におきましては、その改正が必要だと考えられるもののうち喫緊の課題というところで、例えば二段階手続の導入であるとか同意の撤回制限、児童相談所長の関与が第一段階ではできることなどの手続を改善することなどによりまして、より利用が促進するのではないか、委員御指摘の、本来養親によって養育されるべき特別養子がこれによってより利用ができるようになるのではないかということも考えているところでございます。上限年齢の引上げもその一つでございます。  他方で、様々な改善点、これはあり得ると考えておりますので、本法律案が成立し施行された場合には、まずは改正後の特別養子制度の運用状況を注視してまいりたいと考えておりますが、養子制度の在り方についても必要に応じて引き続き検討してまいりたいと考えております。
  45. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 終わります。
  46. 櫻井充

    ○櫻井充君 国民民主党・新緑風会の櫻井充です。  今、小川委員と大臣の議論をお伺いしていて非常に興味深い発言がありました。ちょっとそれをもう一度聞かせていただきたいんですが、子供に期待していませんという発言がございまして、正直申し上げて、私も子供に実は期待していないんですよ。それはなぜなのかというと、もう少しちゃんと丁寧に言えば、親の希望に沿って別に子供がこういうふうになってほしいという思いは私は持っていないので、その意味を込めて子供に対して期待していないと申し上げているんです。  でも、同級生と話をしていると、かなり厳しく子供さんを育てているので、子供の頃にはあんなに親に反発していたのに、何で親になったらこうやって自分がされて嫌なことを今やるんだと言ったら、やっぱり親になると別なんだと、そう言われたことと、もう一つは、櫻井君は自分のなりたいものになれたから子供に託すことはないんでしょうと、私は人生失敗したので子供に託すものがあるんだと言われて、人生失敗した人がそうやって教育してうまくいくのかなと思いながら、いや、同級生ですから、まあここでぶっちゃけ申し上げますが、ですが、そういう話をしているんです。  その前に、もう一つ。今、僕は、親子関係の余りうまくいっていない人たちをずっと診てきています。どういうふうにしていったら親子関係が良くなっていくのかというのがこれ私の日々の課題でして、今回のこのことについても、両親が離婚していくとか、それから養親に育てられるとか、親子関係これからどういうふうに構築していくのかということをもう少し具体的に考えていかないと制度設計ってうまくいかないんじゃないだろうか、仮に制度設計があったとしても運用上うまくいかないんじゃないんだろうかと、そう思っているんです。  そこで、済みません、こういう質問していいかどうか分かりませんが、大臣の子育て論についてまずお伺いさせていただきたいと。
  47. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) お尋ねでございますが、答弁者でありますが、それは私が櫻井委員にお尋ねしたいぐらいの話ではございます。ただ、親として日々悩みながらやっているところではございます。  ただ、他方で、委員会ということで、法務委員会ということでございますので、法律が常識を、一番守らなければならない常識を規定したものだというふうな考えからすると、例えば民法で、親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をするということが書いてございます。また、子ども・子育て支援法におきましては、一人一人の子供が健やかに成長することができる社会の実現に寄与することを目的としておりまして、こういった表現、これは法律用語ですから硬めではありますけれども、その意を体して子育てをすると。  子育ては子供の健やかな成長のために行われるものでありまして、私としては見返りを求めずにやっているのだろうとは思っておりますが、それは愛情というのかどうかは分かりませんが、子の健やかな成長を願って監護及び教育、教育も教え育てるということでございますから、自分の型にはめるというものではなくて、その個性がございますから、そうした個性に従って健やかに成長することができるというのが子育てであろうと思っておりますし、そういった社会の実現に努めてまいりたいと考えております。
  48. 櫻井充

    ○櫻井充君 ありがとうございます。  今のお話、今の御答弁で、結局型にはめないようにという、僕はすごく大事なことなんだと思うんですが、親子関係ってどうあるべきだと思いますか。  もうちょっと申し上げておきましょう、私の方から。うちのおふくろは私に対していまだに、親だから子供に言う権利があると言って、いろいろ言ってまいります。髪型が悪いからです。もういろんなつまらないことをぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ言ってくるので、親子関係は必ずしも良くありません。まあ行けば文句を言われるんだろうと思っていて、この間も、具合が悪いのでちょっと訪ねていったらいきなり、あんたの本には私はさんざんひどいことを書かれていると怒られましたが。まあ本当に、何というんでしょうか、余り行って会話をしたくないような気になってしまうんです、これ正直申し上げておきますが。  それが嫌だったので、自分自身は子供に対してどうしているかというと、一個人としてずっと接してまいりました。つまり、一人の人格者として見ていて、親だから子供に対してこうするべきだということについてほとんど言ってまいりませんでした。一、二回言いましたが、言っても子供から違うと言われたので、まあ無条件降伏して、あとは子供の人生なので、子供は子供として育っていくべきだと。  ただ、親は養育義務を負っているので、憲法で、義務教育というのは、そこまでは自分たちがきちんと育てなきゃいけないし、成人になるまでは親が責任を取らなきゃいけないので、この点についてはちゃんと見ていかなければいけないとは思うんです。  ただし、必ずしも、必ずしも、今大臣がお話しになったように、親の価値観に沿って子供を全部がちがちにはめていこうとしていくと、必ずしもうまくいかなくなるんじゃないだろうかと。私が診ている患者さんたちは大概がそうなんですよね。  そういう意味で、親子関係とは一体どうあるべきだとお考えでしょうか。
  49. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 本当に親子関係は、親子それぞれの年齢や置かれている状況によって異なると思います。子供が成人しても、私の父親は最近でも私のことをこの子はというふうに言って、答弁の仕方を見て礼儀がなっていないとか叱られるわけでございますが、そういった、それがいい親子関係かどうかは分かりません、ただ、そこは極めて主観的な問題なんだろうというふうに思っております。ですから、周りから見てうまくいっている親子関係でも、うまくいっているように見える親子関係でも本人たちはそうでもないと思っていたり、とてもうまくいっているとは思えないけれども本人たちは非常にうまくいっているということであろうと考えております。  その上で、親としては子供の心身の成長を第一に考えて、子供もそういった思いを感じながら成長しているということが共通に認識できるというふうな関係になることが望ましい親子関係ということだと考えておりますが、私の家庭も含めてそうなっているかどうかは自信の限りではございません。ですので、非常に難しい問題であろうと思っております。
  50. 櫻井充

    ○櫻井充君 ありがとうございます。  自分自身で診療していて、例えば不登校とか引きこもりとか摂食障害になる患者さんたちって共通した考え方を持っているんです。こういう考え方を持っているから全員がなるわけではありませんが、非常に真面目で頑固で融通が利かないといいますか、こだわりが強いと言った方がいいのかもしれません、それが一つ、それから、周囲の評価を気にするというか、周りに対していい子でいたいと、見えを張ると言った方がいいのかな、そういうことを考えている人と、それから否定的なので、結局自分に対しても肯定的になれないから自信を持てなくなるということと、それから白黒決着付けたがると。この五つの要素がそろうと、全員が患者さんになるわけではありません、でも患者さんたちの大半がそういう考え方です。  ですから、そういうことにならないようにどういうふうに子育てをしていくべきなのかということを僕はちゃんと議論していかないと、外形的なものを幾らそろえていったとしてもなかなかうまくいかないんじゃないだろうかと。ここのソフトの部分というのは、厚生労働省や関係省庁と話をしてもなかなか見付かっていないことです。私が言っていることが全て正しいとは今思っていませんが、でも、ある程度のことというのは確立していろいろ制度を組んでいかないとうまくいかないんじゃないのかなと、そう思っています。  その上で、おとといの参考人質疑で参考人の方に質問させていただいたことがあるんですが、養親とはどうあったらいいんでしょうかと、養親と実の親との関係でいうとどうですかという質問をした際に、三人の参考人の方々、異口同音に、養親は実の親と競争しちゃいけないんだと、そういう答弁でございました。であったとすると、やはり養親とはどうあるべきなのかと、ここら辺のところをもう少しきちんと整理しておかないと、養親の方々に対して、実の親と競争したらかえって子供さんが苦しむんだとか、そういうことに僕は結果つながるんだと思っていて、ある程度の養親の方に対する教育も必要なんじゃないかと思っているんです。  そういう意味で、養親とはどうあるべきなんでしょうか。
  51. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) この養親どうあるべきかというのは難しい御質問ではございますが、ただ、特別養子制度の制度趣旨からすれば、家庭に恵まれない子に温かい家庭を提供してその健全な養育を図ることを目的として創設させているものでございます。そして、養親というのは、こういった温かい家庭を提供する、家庭環境、家族関係を与えることができる、そして健全な養育を図ることができるということであろうと思っております。  確かに、実親と競争するというようなことは、なかなか、それはよろしくない結果をもたらすことがあるというふうな御意見があるのは私も承知しております。それは、あるべき親はこうなのだという型にはまった考えなのかもしれません。ただ、そういったものに、型にはめることなく、養親としては先ほど申し上げた温かい家庭を提供し健全な養育を図るということ、こういったものを提供するのが養親なのであろうというふうに考えております。
  52. 櫻井充

    ○櫻井充君 ですから、その温かい家庭を提供するために、家族って一体何なのかという、もう一回返ることになるんだと思うんです。  今、再婚している方で、要するに家族関係がちょっとうまくいかない方も診療させていただいているんですけれども、子供さん一人いらっしゃって、その子供さんと今三人で生活されています。男性は父親になりたがります。でも、子供は父親として受け入れられない。ですから、仲のいい同居人になったらいいのにねとお母さんと話をすると、その方が今は有り難いと、同居人としては受け入れてくれるけれど父親としては受け入れてもらえないんですという、そういう話をされていたんですよ。  ですから、無理にやはり親になろうとするということではなくて、家族の形態でもいろいろあると思うので、いろいろあると思うので、時として仲のいい同居人ということである家族を構成していくというのも一つの考え方じゃないかなと、そう思っているんですが、この点についていかがでしょう。
  53. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 御指摘のとおり、特別養子はそもそも、当事者の心情の面でも強固な親子関係をつくり出し、養子に安定した養育環境を与えるものではありますが、必ずしも養親に実親と同様の存在になることを求めているものではございません。実際にも、実務運用として、養子に対してはなるべく早い時期から養親が実の親ではないという真実告知をすることが推奨されている場合もあるというふうにも聞いているところでございます。また、御指摘のように、養親が実親のように振る舞おうとすることにより問題が生じる場合があるとの指摘も参考人質疑ではされたところでございます。  そういったことからすると、なかなか、これはもう委員御専門の発達心理学の知見等、様々御指摘があるところで、私が一概にお答えすることは困難でございますが、少なくとも養親子に安定的な家庭環境を与えるという特別養子制度目的に鑑みると、養親となる者は少なくとも養子にとって家族として最後に頼ることができる存在、精神的にも支えになってくれる存在であることが期待されているというふうに考えております。
  54. 櫻井充

    ○櫻井充君 ありがとうございます。  この点、すごく難しい点なんですが、是非もう一度、抜本的、根本的に考えていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  前回のこの委員会で、福祉政策だという答弁が民事局長からありました。ですが、参考人質疑では子供さんの権利だという、そういうお話もございました。  その意味で、まず最初にちょっと定義を聞いておきたいんですが、福祉とは一体何でしょうか。
  55. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  福祉という言葉については、一般には幸せとか幸福といった意味があるというふうに考えております。また、それを実現を図るために、公的な支援サービス、例えば福祉事業とかですね、そういった公的な福祉サービス、支援を指し示すというふうなことで使われることもあるかと思います。  じゃ、子供の福祉といったことでどうかと考えますと、児童福祉法では、その第一条で、児童の福祉を保障するための原理という規定がありまして、適切に養育をされ、その生活を保障されること、愛され、保護されること、それから心身の健やかな成長や発達、自立が図られること、これらを例示をした上で、全て児童は福祉を等しく保障される権利を有するというふうに規定をしてございます。  ですので、子供にとっての幸せというのはそういった点が非常に重要な要素になるのかなと思っております。
  56. 櫻井充

    ○櫻井充君 今の答弁のとおりだと思うんですよ。  要するに、公的な扶助の場合に、公的な扶助で生活の安定とか充足を図られるようにしていくことであって、それは子供さんに権利があるから初めて福祉を受けることができるという話になるんだろうと思っていて、この間のようにただ福祉ですではなくて、やはり根本は子供さんに権利があるから、結果的には政府として、政府だけじゃありません、地方自治体も全部含めてですが、公的な扶助を行ってくるということになるんだろうと思います。  改めて大臣、お伺いしておきますが、これは子供の権利に基づいて福祉は行われるということでよろしいんでしょうか。
  57. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) もとより、個々の権利、それは憲法で言うのであれば幸福追求権であるとか、あるいはそういったものに帰着するんだろうというふうに考えますけれども、それは具体的権利であるのか、あるいは抽象的な権利なのかということについては、個々の法律によってなってくるんだろうというふうに考えております。
  58. 櫻井充

    ○櫻井充君 ありがとうございます。  今回、この法務委員会ずっと議論させていただいていて、やはり子供さんの権利がどうあるべきなのかという話がすごく大事なことなんだと思うんですよ。  特に、特にですね、普通のと言ったらいいのか、こう言うと怒られるのかもしれません、一般的に御両親がいらっしゃってという子供さんと違う一人親の家庭で育っていく子供さんの権利というのは、例えば養育費を受け取る権利であるとか、それから面会交流であるとか、そういう権利があるという御答弁をいただきました。今度は、その養親に育てていただくようになった子供さんにとってもまた別の権利があるんだろうと、そう思っています。  ですから、若しくは、縁組されるようなことになった際に、子供さんにも権利があって、子供さんの権利に対して社会がどう向き合っていくのかというふうに変えていかないと、今までだと何となく主語が、離婚する両親がいてとか、それから特別養子縁組で養親の方がいらっしゃってということのような感じがしていて、主語はやはりその子供さんがということにしていかないと政策自体はうまくいかないんじゃないのかと、そう思っています。  その上で、この養子縁組制度で問題が起こっているとすると、一体どういう問題が起こっているんでしょうか。
  59. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  厚生労働省の検討会におきまして実施をした調査がございまして、平成二十六年度と二十七年度の二か年で、特別養子縁組又は普通養子縁組の成立後に、養親による養育困難ですとか虐待等の問題が生じた事案がどのぐらいあったかということを調査したものがございます。この調査結果によりますと、問題が生じた事例が、特別養子縁組の場合が五十八件、普通養子縁組では五件ということで、合計六十三件ございました。  その内容でございますけれども、こちらから選択肢を提供して回答を求めたものなので幾つかの類型でお聞きしているわけですけれども、養親からの養育困難の訴えがあったものが十件、養親等による虐待があったというふうに把握をされたものが六件、児童の問題行動があったというふうなものが三十六件、それから児童の病気や障害が明らかになったもの八件、また、それ以外に養親が離婚されたなどその他の問題があったというのが八件、こんなふうな結果を私どもは把握をしております。
  60. 櫻井充

    ○櫻井充君 この後のここからの分析が必要だと思うんですよ。要するに、どういう親の場合にこういう問題が起こってきているのか、その点の分析はされているんでしょうか。
  61. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  ただいま申し上げた調査結果でございますが、この六十三件につきましては個別の内容までは把握をしておりませんで、問題の背景は養親子の家庭における個々のケースごとに様々な事情があると考えられますけれども、現時点で分析はできておりません。  委員御指摘のとおり、こういったことをしっかりと把握をしていくということも重要であると考えておりますので、本法案が成立をして年齢要件の緩和が行われれば当然六歳を超えるような養子縁組も可能となるわけですし、年齢が高ければそれだけ養親との関係形成難しくなるというふうなケースもあるだろうというふうに考えております。  こういったことも踏まえますと、縁組成立後のより適切な支援の体制構築に向けまして、縁組成立後にどのような問題が発生をするのか、詳細な分析の実施につきまして、その方法も含めて検討していきたいというふうに考えております。
  62. 櫻井充

    ○櫻井充君 是非検討していただきたいと思うんです。  特に、例えば、子供さんが虐待を受けている例もあるというお話でした。虐待を受けていて保護されて、今度は養親のところに行ってまた虐待を受けることになったらどれほど心に傷を負うのか、もうこれ明らかなことだと思うんですよ。一度社会で裏切られというか傷つけられて、さらに、別なところに行ったら幸せになれるのかと思ったらそうでなかったと。多分、こういう子たちは人を信用することができなくなってしまうんじゃないかと思うんですね。  その意味で、子供の幸せのためにどういうふうにしていったらいいのかと。僕は特に、是非、要望は、親の性格というのを分析していただきたいと、親の考え方というんでしょうか、そういうことを是非分析していただきたいと思いますので、これは結構です、要望しておきたいと思います。  それで、その上でもう一つです。これ、特別養子縁組の場合と一般家庭の場合でこういう問題行動というのが起こる割合というのは比較されているデータがあるのかどうか。なければ、アバウトな数字で結構ですが、どの程度でしょうか。
  63. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  特別養子縁組後の家庭において問題が生じる割合と一般家庭の場合とを一概に比較するということは非常に難しいものでございますが、アバウトなものでもというふうな御指示でございますので、虐待関係に限ってごく粗く機械的に捉えてみますと、養子縁組後の家庭で虐待があったとされる、ただいま申し上げた二年間で六件、一年間で三件になるわけですが、これまでに特別養子縁組が成立した家庭の概数を母数として単純に割合を出せば、年間で〇・一%以下ぐらいになる計算になります。  じゃ、一方、一般家庭はどうかということで、ちょっと数字の取り方によっていろいろあるかと思うんですが、例えば、虐待に関する相談件数が、平成二十九年、年間十三万件ございます。これをベースに、十八歳未満の子供の約二千万人、千九百五十万人ぐらいなんですが、これを母数で単純に割ってみると年間〇・七%。あるいは、今の数字は相談件数で割っていますので、相談件数ではなくて、例えば一時保護の件数が大体年間二万件ぐらいございますので、二万件をベースに十八歳未満の子供で母数として割り算をしてみますと年間〇・一%というふうになっておりますので、そういう意味では大きな差は見られないのではないかなというふうには考えております。
  64. 櫻井充

    ○櫻井充君 ありがとうございます。  是非この辺のところもきちんと取っていただきたいと思いますし、それから、繰り返しになりますが、やはり養親からまた虐待を受けるということになってしまうと相当心に傷を負うことになるので、この点、そういうことのないような養親を選んでいただきたいと、その点だけ要望申し上げておきたいと、そう思います。  あと、まだ通告していてずっと質問できていなかったことについて、多分今日が最後になるんですか、よく分かりませんが、ざっと質問させていただきたいと思うんですが、養育費の支払がなかなか十分行われていないという現状を考えてくると、養育費をちゃんと支払うということを義務化すべきではないかと思うんですが、この点についていかがですか。
  65. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  抽象的には、離婚した親につきましては養育費の支払義務があるわけですが、例えば、協議離婚の際に養育費について取決めをしておくということを要件にする、これは一つの考え方というふうに思われます。ただ、その取決めということを要件ということにいたしますと、例えば、離婚に消極的な一方が不当に、例えば自分は、安い、もうこれしか払わないといって、不当な言わば額を提示して、相手方が受け入れ難いような額を提示し続けるといったようなことで協議離婚ができなくなるといったようなことも生じることもございますので、そういったことも含めて慎重に検討する必要があろうかとは思っております。  ただ、いずれにしましても、養育費についての取決めをするということは必要でございますので、法務省といたしましても、そういったことが進むように、これ引き続き取り組んでいきたいと考えております。
  66. 櫻井充

    ○櫻井充君 しかし、それは一つの考え方ですが、この間文部科学省に一応数字出していただいたので、今日文科省来ていただいていると思いますが、これ、一人親家庭の子供さんとそれから一般の家庭の子供さんの奨学金の借入れの割合ってどのぐらい違っていますか。
  67. 森晃憲

    政府参考人(森晃憲君) 先月の本委員会での御質問を受けまして、私どもで推計いたしましたところ、平成二十八年の大学、短大への進学者についての推計ということでございますけれども、全世帯の奨学金の貸与率、これが四七%に対しまして、一人親世帯の奨学金の貸与率は八六%ということで、かなり大きな割合になってございます。
  68. 櫻井充

    ○櫻井充君 要するに、八六%も借りているということは、一人親家庭の大半の人が実は奨学金借り入れているんです。これ多分、母子家庭と父子家庭とを分けてくるともっと違う数字になると思っていて、是非そういう調査もしていただきたいと思うんです。  さて、大臣、そうすると、この子たちは借金背負って社会に出ることになるんですよ。原因は幾つかあるとは思います。その中で、結果的に言えば、収入が少ないからなんですよ。今母子家庭がと申し上げたのは、母子家庭の方が多分比較すれば収入が少ないからです。しかも、ここで養育費の支払が十分でなければ、結果的には子供さんはそうやって借金を背負って社会に出ていかなければいけないと。こういうハンディキャップを背負って社会に出ていくということはすごくかわいそうなことであって、こういう点を踏まえてくれば、養育費をきちんと支払わせる、これは子供さんの権利ですから、その親が離婚する離婚しないということを今民事局長お話しされましたが、結局、主語は両親なんですよ。両親じゃないですよ、主語は。そこが間違っているんですよ。子供を主語にして考えてくださいよ。養育費を、別に別居したっていいじゃないですか。別々に、いいんですよ、生活はさせりゃいいんだから、同居なんかしていなくていいんですよ。ただ、別々に暮らしたとしたって何にしたって、養育費はちゃんと支払わせるようにしないといけないと思うんです。  だから、私は義務化すべきだと思っているんですが、大臣、いかがですか。
  69. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) まず、養育費支払を義務化、これは、離婚の要件とすることに関しては様々な検討が必要であるというのは民事局長もお答えしたとおりでございます。  また、その養育費の支払については、これ、そういった債務名義がある場合にはそれをしっかりと執行できるような形をつくる必要があるということで、例えば、今国会においてもこの委員会で御審議いただきました民事執行法の改正案などで第三者の財産開示ということが養育費に関して特に強化されているというところでございます。  さらに、養育費、これの支払について、これを確保していくということについて私どもも周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
  70. 櫻井充

    ○櫻井充君 いや、でも大臣、それで本当に子供さんは借金を背負わないで社会に出れるようになるんですか。  これ、例えば、強制執行権を、強制執行できるように養育費について書面を交わしているという人たちは一体何%いるんですか。
  71. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  二十八年度時点で、未成年の子がいる一人親家庭で、調停審判、公正証書等によって取決めされた方は約二五%ということでございます。
  72. 櫻井充

    ○櫻井充君 大臣、結局、この人たちだけは、最高裁というか裁判所で、裁判所が後でいろいろ指導して、ちゃんと支払いなさいと、それから強制執行できるんですよ。だけど、残り七五%はそうなっていないんですよ。  法務省として、この間の大臣の御答弁は、きちんと養育費を支払えるようにするためにその契約書を交わす、こういったことについてちゃんと、どう言ったらいいんでしょうか、割合を引き上げていくんだという御答弁でしたよね、そういう趣旨の御答弁でした。  じゃ、具体的にどうするんですか、具体的にどうやって養育費の支払をさせるんですか。
  73. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) まず、私どもとしては、今回、今国会で成立した法制度も含めて、その今ある手続の周知をしっかり図ってまいりたいと思います。  ですので、例えば離婚時において協議が調って、それが執行力のある公正証書によってできるのであれば、これは例えば執行もできますし、また第三者に対する財産開示ということで養育費の確保ができるというふうに考えておりますし、また、あるいは調停審判ということで養育費の請求も図っていけるのであろうというふうに考えております。  だから、そういったその権利があるのだということ、その権利の執行をしっかりと図っていくということをまず我々としても周知する、あるいはそういった現行ある制度の運用をしっかりと注視していきたいと考えております。
  74. 櫻井充

    ○櫻井充君 これ、子供さんが成人した場合、要するに子供さんの権利ですから、子供さんの権利で、子供さんの権利で、残念ながら、小さいから自分では権利を主張できないから結局親が代行すると。親の関係が悪いからなかなか徴収することができない、受け取ることができないということなんだと思いますが、子供さんが成人になった場合には遡及して養育費の請求というのはできるものなんでしょうか。
  75. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  お子さん、子供自身が過去に遡って扶養料の未払分を請求することはできると一般的には解されております。ただ、いつの時点からの扶養料を請求することができるかという点につきましては、例えばその請求したときを始期とするというようにいろいろありますが、一般的に遡及はできると解されております。
  76. 櫻井充

    ○櫻井充君 これは何年ぐらい遡って請求できるんですか。
  77. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  様々なその始期につきましては考え方がありますけれども、その請求したときというときから請求できるといったような考え方などがあるところでございます。
  78. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません、要するに、十八になって請求しますよね、何年前までできるんですか。その請求できるというのは、親同士がその契約を結んだときからですか。しかもその契約というのは、行政文書が難しいので何とも言えないんですが、さっきの強制執行権を持たないような形で文書で契約しているのもありますよね。そういう場合も遡って全部できるんですか。
  79. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  契約をしていれば、その契約によって具体的な権利が発生しますので、それは、契約したときからのその養育費は請求できるというふうに考えられます。
  80. 櫻井充

    ○櫻井充君 その契約はですね、その契約は、一般的に、一般的に強制執行権、強制執行ができないような文書の契約でもそれはできるんですか。そこは違うと言われているのは、これはちょっと正式な言葉がどういうふうに言っていいか分からないので、それから口約束もあるんですよね、この間いろいろ説明を受けた。これも含めて請求できるんですか。
  81. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  まず、公正証書といいますか執行証書で作っている場合にはそれをもって強制執行できますけれども、そうじゃない場合でも一応請求はできます。ただ、強制執行をするためには、その請求を言わば裁判所に認めていただいて、それによって、例えば審判ですとか、そういったようなものを得た上で強制執行をするということ、そういう手続を一旦かませる必要はございます。
  82. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうすると、大臣、これ、請求権だけあるだけなんですよ。請求権あるだけで、実際にそのお金を受け取ることができるかどうかは分からないんですよ。大学に入るときに一番金掛かりますよね。そうすると、繰り返しですけど、そのときに奨学金借り入れるんですよ。だったとしたら、このときに、このときに、子供の権利ですから、成人になったんですから、この人たちがきちんと受け取れるようにしてあげるという、そういう制度をつくっていくべきだと思いますけど、いかがですか。
  83. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 養育費の法的性格についてはありますけど、この養育費は監護者、監護を行う親が他方の親に請求する権利というふうに狭義では解されております。これに、さらに子供の扶養請求権を入れる広義の養育費という考え方もございますけれども、先ほど言った狭義の片方の親が請求する権利につきましては、これはそういった執行力ある公正証書等がない場合、これは審判を受けることができるわけでございまして、私どもとしても、そうした審判が受けることができるのだということを様々なツールを通じて周知してまいりたいというふうに考えております。そういったことで実現を図っていくということ。  また、お子さん方が扶養請求権を請求する場面が、母親が請求する場面以外にどれだけあるのかということも把握した上で必要な周知の方法を図っていきたいと考えております。
  84. 櫻井充

    ○櫻井充君 その審判はいいんですけど、もう少し簡単に、子供さんの権利ですからね、これは。子供さんの権利が守られるようにちゃんと考えていただきたいと、もう時間がないので、お願いしておきたいと思います。  最後に、家裁でいろいろ離婚調停などが行われた際に、子供さんの意思の確認というのは本当にきちんと適切にできているんでしょうか。現場では相当苦労されているという話を参考人質疑で、相当前でしたがお伺いいたしました。この点についてはいかがでしょうか。
  85. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。  子の気持ちを引き出すこと、それから子の意思を確認すること、これが重要であることは御指摘のとおりというふうに考えておりますし、現場の家庭裁判所調査官においても全く同様の認識であるというふうに承知しております。  実際、子の面接調査を行う際には、面接の技法を活用しまして子の話しやすい環境を整えたり、言葉に表れない表情やしぐさを観察するなどして、行動科学の知見に基づき子の意思を総合的に理解するよう努めているものと承知しております。
  86. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう時間が来たので終わりますが、大臣、改めて、これはお願いだけです。やはり、子供さんが幸せになっていくって当たり前のことだと思うんです。子供は、別にそこの親を望んで生まれてきているわけではありません。そして、親が替わる場合もあります。もう今や当たり前の時代になってきました。こういう子たちが、例えば貧困率でいえば一人親だと五〇%になる、奨学金は八六%も借り入れていく、こういうような、お金だけで見る社会ではないかもしれないけれど、ハンディキャップを背負って生きていくというのは本当におかしな話だと、そう思います。ですから、こういう子供たちがちゃんと幸せに生活できるように制度設計をしていただきたいし、それから運用していただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  87. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 今日もよろしくお願いいたします。  まず、前回の質問に関連して少し確認をさせていただきたいんですけれども、今回、法務省の方からいただいている改正法に関する資料の中で、改正の目的の中で、厚労省の検討会が全国の児童相談所、民間の養子あっせん団体に対して実施した調査の結果として、要件が厳格等の理由で特別養子制度を利用できなかった事例が平成二十六年から二十七年において二百九十八件、うち実父母の同意を理由とするもの二百五件、上限年齢を理由とするものが四十六件ということで御説明をいただいております。  この調査結果に基づいて今回改正の要点等が決せられていったということになるのかと思うんですけれども、前回、この件数に関して私の方で質問をさせていただいて、具体的に、養親候補者が現れて特別養子縁組をしようと思ったけれどもできなかったというような事案を対象として件数を出したものなのかどうかというところを確認させていただいたときに、そういう具体的な検討をした、養親候補者が現れたというような事案ではなく、特別養子縁組を利用するのがよいのではないかと思われる子供のうち要件を満たすことができない子供の数を表しているというような御説明だったかと思います。  そもそも、厚労省の検討会において二百九十八件できませんというふうに挙げられているんですけれども、その元々の母数として考えておられる特別養子縁組制度を利用するのがよいのではないかと思われる子供を、どういう状況にある子供を前提に、何人ぐらいを前提に考えたうちのこの二百九十八件なのかということを含めて、まず教えていただけますでしょうか。
  88. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  委員御紹介いただきました調査でございますが、平成二十六年度から二十七年度までに社会的な養護の措置をとった児童の中で、何かその障壁がなければ選択肢として特別養子縁組を検討すべきと考えられる児童というふうな聞き方をしておりまして、そういった児童がどれだけいたかと。その具体例として、注釈を付けてアンケートをしているんですが、長年にわたって親との面会交流がない子供ですとか、将来的にも家庭復帰が見込めないと、そういったことも例示として挙げて、その上でお聞きをしたというものでございまして、その結果が二百九十八件、かつ、その中で年齢要件が障壁であったというふうなものが四十六件、全体の一五%程度であったというふうな調査の内容になっております。
  89. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 その二百九十八件の元の数というのは分かるんですか。何件中二百九十八件というのはお分かりになるでしょうか。
  90. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) 交流がない子供というものを把握をしているのが、少し古い数字になってしまうんですけれども、平成二十五年二月一日現在の数字になってしまいますけれども、家族との交流がない子供の割合を見ますと、児童養護施設の場合で約二割、それから里親の場合ですと七割以上、厳密に言うと七二%程度なんですが、それだけの方がいらっしゃるということを把握しております。
  91. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 そこは件数としては分からないということでいいんですかね。何件中二百九十八件が駄目かということがもし分かればというところなんですけれども。
  92. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  二百九十八件の背景となるその母数という御指摘だと思うので、この調査自体は、平成二十六年度と二十七年度に措置をしたお子さんの中でこういう子がいましたかというふうにお聞きをしているわけですので、そういう意味で言いますと、二十六年度に社会的養護に措置をした件数が二十六年度は九千七百五十一件、二十七年度は九千百八十八件ですので、それを足し合わせれば一万八千九百三十九件ということになりますので、約一万九千件というものが母数としてはあって、そこで、児童相談所やあっせん機関が本当は検討、できればできたというふうにおっしゃったのが二百九十八件だったというふうなことが言えるかと思います。
  93. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 前回のときにも、実態調査というところは本当に今後のいろんな制度を考えるに当たってのまず前提となることにもなりますので、しっかりと徹していただきたいということもお願いさせていただいたところですけれども、今御説明いただいたようなところも含めてしっかり対応いただければと思っております。  今回の改正法で、手続としては二段階方式に変更すると。その中で、児童相談所長が新たに関与できることになりまして、児童相談所長が第一段階の方の特別養子の適格の確認の審判の方で手続の申立人又は参加人として主張、立証することが可能になると。実親との紛争状況を養親との間に不当に生み出さないために、また早期に判断をすることができるようにするためにというような趣旨かと思うんですけれども。  この児童相談所長の参加ということに関して、ただ、前回、参考人質問のところでも出てきたところなんですが、児童相談所ごとに里親制度や養子縁組制度に対する関与体制や取組、大きく異なると。非常に熱心に専従の職員を置いて関与しているところもあれば、全く関係もしていないというような児童相談所もあると。そういうような状況の中で、児童相談所における体制、取組に関して格差があるのではないかという指摘なんですけれども、この点についてはどのような御認識をお持ちなんでしょうか。
  94. 藤原朋子

    ○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  参考人質疑のときに林先生が御紹介された調査結果を私どもも承知をしております。二〇一四年の厚生労働科学研究でその体制について把握をされたということだというふうに承知をしております。  児童相談所における養子縁組の支援でございますけれども、平成二十八年の児童福祉法の改正でこの養子縁組の支援を都道府県の業務として位置付けたと。さらに、今回のこの改正法によりまして業務が新たに加わるということもございますので、現在、都道府県に対して今年度中に社会的養育推進計画を策定いただくというふうにお願いをしておりまして、里親委託ですとか養子縁組の推進の体制についても計画の中に盛り込んでいただくということをお願いをしているところでございます。  ちょうど現在、厚生労働省におきまして、この計画の進捗状況について都道府県に対してヒアリングを進めているところでございます。その中で、担当者の配置状況ですとか、今後の配置の見込みとか、そういったこともヒアリングをしておるところでございますけれども、やはり御指摘のように、児童相談所によって、あるいは地域の状況によって相当、里親委託や養子縁組に対する取組状況、かなりばらつきがあるなというふうに承知をしております。  厚生労働省といたしましては、今後、各都道府県における社会的養育推進計画の策定、これに基づく進捗をしっかり管理をしながら、進捗管理をしながら取組をしっかり支援をしていきたいというふうに考えております。
  95. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 今現在はそういう実態の確認をしているというところなのかと思うんですけれども、その上で、児童相談所長が積極的に今回の改正法に基づくような方向で関与をしてもらうようにするために、厚労省としてどのような取組をしていくというふうなことなんでしょうか。
  96. 藤原朋子

    ○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  厚生労働省といたしましては、養子縁組に関する児童相談所長の関与が適切かつ十分に行われますように、まずは、昨年十二月に策定をいたしました児童虐待防止対策体制総合強化プラン、このプランに基づきまして児童福祉司を増員をするという計画を立てておりますが、その中で里親養育支援の担当の児童福祉司を新たに配置をしていくこととしております。それから、養子縁組に関する児童相談所の職員等向けの研修につきましても、充実を図っていきたいというふうに考えております。  また、先ほど来答弁申し上げております各都道府県における社会的養育推進計画の策定、こちらについても、我々としても進捗管理をしながら支援を進めていくということだと思います。  また、特に今般の改正法案が成立をした場合には、児童相談所長による申立ての運用の在り方について、これまでやったことのない業務になりますので、この運用の在り方について法務省とも連携をして整理をし、周知をする。そして、実際の事例について生じた課題についても、必要に応じて分析をして児童相談所や関係者と共有をしていくと、そういったことを取り組むことによりまして改正法の円滑な施行に向けても努力をしていきたいというふうに考えております。
  97. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 今の児童相談所長の関与に関して、厚労省と法務省とで連携を取りながら進めていくと。どちらが責任というのか、リーダーシップを取って進めていく作業になるわけですか。
  98. 藤原朋子

    ○政府参考人(藤原朋子君) 恐らく厚生労働省と法務省でしっかり連携を取りながら進めていくということになろうかと思うんですが、私ども厚生労働省の業務としては、養子縁組に関する支援とか助言とか相談とか、そういった業務が児童福祉法上の都道府県の業務というふうに位置付けられておりますし、昨年から施行しております民間養子縁組のあっせん法によっての適切な運用も私どもの所管の業務というふうになりますので、こういった観点から厚生労働省としてしっかり取り組むと。取り組むに当たっては、やはり法務省としっかり連携を図っていくということが必要だろうというふうに思っております。
  99. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 今までは連携という、この改正法に関してということではなくて、連携をしていくというような中で、やっぱり省庁の縦割りというのが本当に大きく課題として毎回毎回ピックアップをされてしまうというのが現状だったと思います。そういう意味では、本当に子供の権利というか子供の生活を、人生を守っていく、つくっていく大切な仕事にもなりますので、どちらがどうということではなくてもう本当にしっかりとやっていただきたいですし、法務省の方も、もし、厚労省がリードすると言っているけれども、やらないんだったらうちがやるというぐらいのつもりでしっかりと関わっていただきたいということをお願いをしたいと思います。  今回、改正法におきましては、限られた時間の中でとにかくしっかりとまずできる範囲での改正をするというようなことなのかと思うんですけれども、今後、特別養子縁組、また普通養子縁組、里親制度など、その他の社会的養護における制度に関しても見直しを含めた検討を行っていくのかどうか、その方向性についてお教えいただけますでしょうか。
  100. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  委員御指摘のとおり、社会的養護に関する制度の充実を図ることは極めて重要であると認識しております。この社会的養護につきましては、平成二十八年の児童福祉法の改正におきましていわゆる家庭養育優先原則が明確化されたところでございます。これを受けて、厚生労働省では、都道府県に対して、今年度中にこの原則を踏まえて社会的養育推進計画を策定するよう依頼していると承知しておりまして、今後はその計画に沿って必要な取組が進められていくものと考えております。  法務省としましては、今後も厚生労働省等の関係府省庁ともよく連携して、養子制度など社会的養護に関する制度がより充実したものとなるように尽力してまいりたいと考えております。
  101. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 最後に大臣にお伺いをいたします。  必要な子供に対してこの養子縁組の制度、また里親制度などがしっかりと適用されて、子供にとっていい形にしていくことができるように、この社会的養護の充実に向けての、最後、大臣の決意をよろしくお願いいたします。
  102. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 私も、就任後、実は児童養護施設参らせていただいて、本当にいろいろな子供と接しているところでございます。また、先ほど来、民事局長や様々な方がおっしゃっているように、児童養護施設に入所するなど、社会的な養護を必要としている子供はもう相当多数に上っていると、その中には養子縁組によって家庭と同様の養育環境において継続的に養育を受けられる可能性のある者もいるとの指摘がありまして、もしそういう選択肢が提供できるのであれば提供したいという思いは私も強く持っているところでございます。  本法律案は、こうした子供たちに温かい家庭的な環境を提供する機会を拡大することを意図して特別養子縁組の要件を緩和し、その利用を促進するものであります。  法務省としては、これは法務省の仕事、これは厚労省の仕事ということではなくて、これは各府省庁連携して、誰一人取り残されることのない社会の実現に向けて、養子制度が適切に利用され、社会的養護がより充実したものとなるように尽力してまいりたいと考えております。
  103. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 今の御決意のままに進んでいっていただきたいと思いますので、私たちも見ておりますので、どうかよろしくお願いいたします。  以上で終わります。
  104. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  105. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、佐藤啓君が委員を辞任され、その補欠として岡田直樹君が選任されました。     ─────────────
  106. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 休憩前に引き続き、民法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  107. 石井苗子

    ○石井苗子君 日本維新の会・希望の党の石井苗子です。  本日ですけれども、日本維新の会はこの民法の一部を改正する法律案につきまして反対の立場を取っておりますが、本日はその反対する背景にある点を整理して質問させていただきます。  今回、三十年以上掛かって民法の見直しがなされたということであれば、現時点での日本社会において子供の幸せを考え、特別養子縁組制度がどうあるべきかということについて質問してまいります。その中には、我が党の反対について疑問を感じた点が含まれていると思いますので、よろしくお願いいたします。  今回の改正の第一の目的が、虐待に遭っている子供たちをとにかく速やかに救っていくことができるかどうかなんでございますが、そこの点について、そのデータの取り方で質問させていただきます。  厚生労働省政府参考人の方にお伺いしますが、先ほど、午前中に小川敏夫議員からも質問が出ておりましたけれども、虐待のデータの取り方なんですけれども、児童養護施設等に虐待を受けていた児童が多数入所しているということが今回の民法改正の背景にあるわけですけれども、先日の参考人の方からの御意見を聞いておりますと、まず、児童虐待自体が過去より増えているのか、あるいは相談件数が増えているだけなのか、もっと言えば、以前から児童虐待は多かったと言えるのか、児童養護施設に入所している子供たちが虐待が多いのか、こういうのの一つずつデータがあるのかどうか、お知らせいただきたいんですけれども、通告してありますので、よろしくお願いします。
  108. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  まず、児童虐待自体が増えているのか、相談件数だけが増えているだけなのかというふうなお尋ねがベースとしてあったかと思いますが、平成二十九年度の児童相談所における児童虐待相談対応件数は過去最多の十三万三千七百七十八件でございまして、これ平成十二年、児童虐待防止法が施行されたわけですが、その前の直前、平成十一年度と比べまして約十一・五倍となっております。  ただ、虐待自体が増えているのかというふうなことについては必ずしも確かに明らかではなく、引き続き分析が必要ではあると考えておりますけれども、平成二十七年七月から開始をした児童相談所全国共通ダイヤルの三桁化、いわゆるいちはやくの一八九の広報ですとか、マスコミなど事件報道によって国民の皆さんや関係機関の意識が高まったことですとか、あるいは警察を始めとした関係機関との連携が強化をされたということに伴う通告の増加なども影響して、重篤な状況に至る前の早期につながっているケースも増えているのではないかというふうには思っております。  ただ、その一方で、子供の安全確保のために一時保護にまで至ったケース、これを見ますと、相談件数の伸びほど急激な伸びではございませんけれども、過去十年間で、十年前は一万八百六十九件でございましたけれども、直近では二万千二百六十八件、約二万件強というところまで増えてきているというところでございますので、こうした状況から見れば、なおやっぱり深刻な状況であろうというふうに考えております。
  109. 石井苗子

    ○石井苗子君 現在において、日本社会が虐待に関しての関心が高まっているということ、それから意識が高まっているということ、そして深刻に至る前に救出することが必要であるということのそういう意識が高まってきているので、今回の法の改正はそれに押されて変わってきた、社会的な意識の変化に伴って民法が変えられたということである、これはそうだと思うんですが。  最後の質問ですが、養護児童施設に入所している今の子供たちは、虐待によって入所した、パーセンテージでもいいんですが、数が多いのか、全国的にどうでしょうか。
  110. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  現在、児童養護施設に入所をされている子供のうち、虐待を受けているお子さんが約六割おられます。乳児院の場合では、同じ数字ですけれども、乳児院の場合では約四割というふうになってございます。
  111. 石井苗子

    ○石井苗子君 六割、乳児院が四割。この統計から見ますと、物すごく日本で、実親から虐待が増えている、子供たちが、急にここに来て増えてきたから、これは社会の変化に伴って何とか民法も変えていかなきゃならない。皆様よく御存じだと思いますが、法律の中で基本になる法律ですので、そうちょくちょくは変えられないのではないかと、私、大変素人なんですが、そう思うんですね。ですので、今回はこういった社会意識の高まりから変わってきたものだと考えていきます。  そうなりますと、今度は厚生労働省政府参考人の方にお聞きします。  虐待の定義です。身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、これ無視ですね、心理的虐待と、こう書いてある中の、民法八百十七条の六、虐待、括弧閉じ、悪意の遺棄というのは、これは定義はどうなっていますでしょうか。あっ、ごめんなさい、厚生労働省の方じゃなくて、これは法務省の政府参考人の方にお伺いいたします。
  112. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) 私の方から民法における虐待の、あるいは悪意の遺棄の定義について申し上げますと、今御指摘いただきました民法八百十七条の六でございますけれども、これは虐待というのがございますが、これは身体的又は精神的に過酷に取り扱うことを意味するものでございます。また、その悪意の遺棄といいますのは、これは正当な理由がないのに著しく監護養育の義務を怠ることを意味するものと解されております。
  113. 石井苗子

    ○石井苗子君 そうなりますと、やはり同じく八百十七条の六に書かれております、その他養子となる者の利益を著しく害する事由というのは、これまでどんな事由がございましたか。
  114. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  先ほど述べました八百十七条の六の父母による虐待や悪意の遺棄がある場合、これは養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合の典型例であると言えますけれども、その他の場合として考えられるものといたしましては、虐待あるいは悪意の遺棄にまでは該当しないけれども、子供の健全な養育の著しい妨げとなる事由がある場合でございまして、例えば、子供が父母から放任されていて、その結果、子供の利益が著しく害されている場合などが考えられるということでございます。
  115. 石井苗子

    ○石井苗子君 放任ですね。  そうしますと、実の親から今度は虐待を予防する施策というのがあるはずなんですが、実の親からの虐待を予防する施策というのをちょっと整理してお願いしたいんですが、厚生労働省政府参考人の方に、どのようなものがあるか御紹介いただけますか。
  116. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  そもそも虐待をする親の背景でございますけれども、私ども、自治体職員向けに作っております子ども虐待対応の手引きの中では、保護者が子供を虐待する要因といたしまして、子供時代に大人から愛情を受けていなかったとか、生活でのストレスが積み重なって危機的状況にあるとか、あるいは社会的に孤立化をして援助者がいないとか、それから予期せぬ妊娠など親にとって意に沿わないような妊娠であったとか、そういうふうな状況の要因があるというふうなことですとか、それから、私ども社会保障審議会の下で専門委員会を立てておりまして、その中で死亡事例の検証も毎年行っておりますが、死亡事例における加害親、養育者の心理的、精神的な問題といたしまして、やはり育児不安とか養育能力の低さ、こういったところがかなりの割合を占めているということが分かっております。  このような観点から、児童虐待を減らすというためには、やはり予防の観点が重要だろうというふうに考えておりまして、孤立しがちな子育て家庭をできるだけ早期に発見をして、具体的な支援につなげていく必要があろうかというふうに考えております。  こういった観点から、妊娠期からの必要な支援につなげられるように、切れ目のない支援を行う子育て世代包括支援センターの設置促進ですとか、予期しない妊娠で悩む妊婦さんに対しまして、女性健康支援センター事業ということで産科の同行受診も含めた支援を行っております。また、まずはお子さんが生まれたときの乳児の全戸訪問ですとか、こういったことについても取り組んでいるところでございます。先ほど申し上げました全国共通ダイヤル一八九の周知ですとか、こういったことについても取り組んでいるところでございます。  こうした取組によりまして、子育てに悩み、孤立しがちな家庭を早期に発見をしまして、適切な支援につなげていきたいというふうに考えております。
  117. 石井苗子

    ○石井苗子君 そういったことがなかなか効果を出していないから、こういう状態になっているんだと思いますが。  午前中にも伊藤孝江議員や小川敏夫議員からも御質問が出ておりましたけれども、子供が親を選べるかということについて、子供の権利がなければ親を選べないのだという、この視点に基づいて質問をさせていただきます。個人的な興味があるところでもあるんですが。  法務大臣、趣旨説明で、特別養子縁組を成立させることにより、家庭において養育することが適切な子供も少なくないと指摘されておりますと、こう書かれてあるというか、述べていらっしゃるんですが、ちょっと文章がよく分からない。家庭において養育することが適切でない場合というのは、どういう場合なんでしょうか。
  118. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) お答えいたします。  例えば、社会的養護を要する子供のうち、既に相当長期間施設において養育を受けて、施設職員やほかの子供との間に家族的な信頼関係がもう既に形成されていると、学校等を含めその地域との関係も密になっているような子については、里親や養親の下での養育を開始するためにそれまでの養育環境から引き離すことが必ずしも適切でない場合があるんだろうと。そういった場合には、この家庭において養育することが適切でない場合にも当たろうというふうに考えられます。
  119. 石井苗子

    ○石井苗子君 分かりました。  そうしたら、今度は、子供が虐待をされていた場合において、子供の方が親を替えたいと思った場合、現法律上ではどのような手段がありますか、ないですか。
  120. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  まず、法律上の親を替えるという意味では、特別養子縁組ということが一つ考えられるわけでございますが、現行法では、この特別養子縁組は養親となる者の請求によって成立させることができるものでございまして、子供自身が特別養子縁組の成立の申立てをすることはできないわけでございます。  ただ、虐待されている親の言わばその監護から逃れると、こういう意味でその親を替えるといいますか、そういう方策があるかということになりますと、これは、子供の方は虐待されている場合には家庭裁判所親権の喪失又は停止の審判を申し立てることができまして、その請求を認める審判がされて親権を行使する者がなくなった場合には未成年後見人が選任されるということになりますので、こういった手段によりますと虐待をしている親の監護下から逃れることはできるわけでございます。  またさらに、虐待を受けている場合には、子供の方は学校の先生ですとか地域の住民に助けを求めるということが考えられるわけでございますが、児童虐待防止法におきまして、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は速やかに児童相談所等のしかるべき機関に通報しなければならないこととされております。したがいまして、これによって児童相談所等による保護を受けて、虐待を受けている状態から脱するということもできるというふうに考えられます。  また、御指摘のような事案では、このような手段により子供が児童相談所等に保護された後に、児童相談所のあっせんによって養子縁組がされて新たな家庭で養育されるようになることも考えられるところでございます。
  121. 石井苗子

    ○石井苗子君 やっぱり、子供の方から助けてくれというように言い出していって、それを誰かがすくい上げない限り助けてもらえない。よく、父親が外に出ていっているときに、学校に行けと、母親が、学校に行って先生に助けてくれと言えと、その方法を選ばせようとするんだけれども、なかなかこの母と子供が怖くてそれができないというような、いろいろなところでそういう話も聞くんですけれども、子供がイニシアティブを持って親を替えるということは妥当ではないというのがこの養子制度の背景にあるのではないかと。いや、ここがすごく引っかかっているところなんですが、想定、温かい家庭である者を選んでいるのだから、そこでちゃんとこれから幸せになれるのだと、これを子供がイニシアティブを取って親を替えることと一緒ではないと思うんですけれども、この子供がイニシアティブを持って親を替えるというのは妥当でないというのが養子制度の背景にある考え方なのかどうか、これは法務大臣にお伺いいたします。
  122. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 子供がイニシアティブを持ってというのは、まあ多義的な意味はございますけれども、仮にこれ、親を替えるということが、これは法律上の親子関係を終了させるということにもなりまして、それを子供の意思のみに基づいて行うということであれば、これは法律上の効果としては非常に重大であって、その判断を、判断能力が必ずしも十分でなく精神的にも成熟していない子供の意思のみに基づいてそういった重大な法律関係、法律効果をもたらすということは、逆に子の利益の観点から適切でないのではないかと考えられます。  他方で、これが子供の意思も尊重しつつということなのであれば、例えば、今回の改正後は、児童相談所長が子供の意思を確認した上で特別養子適格の確認の申立てをするということが可能になるということであるということで、この場合には、児童相談所長は適切な養親候補者を探すという手続に乗ることになります。  そういったことから、もとより子供の意思というのは当然尊重され、確認されるわけでございますけれども、その子供の意思のみによって親子関係、法律上の親子関係を終了させるというところは、なかなか我々も慎重に考えなければならないということで考えているところでございます。
  123. 石井苗子

    ○石井苗子君 そこなんですよね。諸外国は何で子供の同意なんというのを、アメリカなんか書面で求めているんですけれども、どうしてそんなことをしているんだろうかと、なぜ日本はしないんだろうかという。  これはやっぱり、今大臣がおっしゃったように、十五歳未満、まあ十二歳でも十三歳でもいいんですが、ここでいいかということを子供の同意で決めてしまうと、そこでは法律は担保されたことになりませんですよね。考え方として、子供の意見で変わってしまうので、親に対して、法律を担保して完全に特別養子縁組として成立できますからということができなくなってしまうので、子供の同意というのは、その子供の、その子の判断でころころ変わるようなことにはしないようにしていると。  となりますと、養子となる者が十五歳に達しているときはその者の同意が必要ですというふうに書かれていますが、審判において同意が真意に基づくということをどのようにして確認するのでしょうか。法務省の方、お答えください。
  124. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  今委員御指摘のとおり、この法律案では、改正後の民法八百十七条五の第三項でございますが、十五歳に達している者については、その者の同意がなければ縁組を成立させることができないとしております。この同意が真意に基づくものであることにつきましては、基本的に、裁判官が特別養子縁組の成立の審判の手続の期日において確認するか、あるいは家庭裁判所調査官が調査の手続を通じて確認することとなるものと考えられます。  この点につきまして、特別養子縁組が成立した場合には、実親子関係の終了という重大な効果が生じることからいたしますと、家庭裁判所は、十五歳に達した養子となる者が特別養子縁組の成立について同意をしている場合には、その同意が普通養子縁組との違いや親族関係の終了といった特別養子縁組の法的効果を的確に理解した上でされていることを確認する必要があるものと考えられます。そのため、事案ごとの判断にはなりますけれども、家庭裁判所は、同意の有無を確認する過程で、普通養子縁組との違いですとか親族関係の終了といった特別養子縁組の法的効果を説明することになるものと考えられます。
  125. 石井苗子

    ○石井苗子君 これはやはり親が裁判官や調査官のその今の真意の判断に基づいてどう思うかであって、子供がイニシアティブというのは多義にわたるとおっしゃいましたけれども、やっぱり子供がどう思うかということについては、陳情を聴くとか意見を十分に尊重するとかということであって、子供の権利はそこには関与していないということになるんですが、実親の同意というのがありまして、その同意の撤回が二週間に制限されています。この根拠は、根拠といいますか、理由は何でしょうか。
  126. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 御指摘のとおり、特別養子縁組の成立には原則として実親の同意が必要でございまして、現行法では、実親は一旦同意をしても特別養子縁組の成立の審判が確定するまで撤回することができるものと解されておりまして、このような現行法の下での取扱いについては、養親となるべき者が実親による同意がいつ撤回されるか分からないまま養子となるべき者の試験養育をしなければならないという問題があるということが指摘されていたところでございました。  そこで、本法律案では、まず第一に、同意の時期に特段の期限を設けず、実親は熟慮を重ねた上で同意をするか否かの決断をすることを可能とした上で、まず十分な熟慮をしていただいた上で、そして第二に、撤回が制限される同意というのは、実親が裁判所の審問期日においてした同意か、又は家庭裁判所の調査官の調査を経て書面でした同意に限定するという限定的な手続によることとした上で、そのような手続によってした同意については、同意した日から二週間が経過した後は撤回することができないこととしたものであります。  この二週間という期間というのは、家事事件手続における不服申立ての期間等を考慮して定めたものでございますが、先ほど申し上げたように、同意までの期間を設けておらず、熟慮等の期間が確保されるということと、あと同意については厳格な手続によるということとしているところから二週間ということで、それを前提に二週間にしているというところでございます。
  127. 石井苗子

    ○石井苗子君 いや、もうちょっと根拠がはっきりしているのかなと思ったんですけれども。  実親というのが精神的に不安定だったような場合、動揺しているような場合、二週間に制限するというのが期間が短いように思うんですが、なぜ二週間なんだろうかと。期間短くないでしょうか。これはどうですか。
  128. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 先ほど申し上げたように、実親には同意する前に熟慮する機会がございます。そしてまた、その同意の手続というのは厳格な、例えば裁判所の審問期日においてした同意か家庭裁判所の調査官の調査を経て書面でした同意に限定されるということで、そういった同意の過程において、これが真意に基づくものか、あるいは精神的に不安定なものではないものかどうかということも検討され、当然考慮されるものと考えております。  そうしたことからすれば、こういった厳格な要件を満たす同意に限って二週間の経過をもって撤回を制限することには合理性があるものと考えておりまして、期間が短過ぎるということはないのではないかと考えております。
  129. 石井苗子

    ○石井苗子君 何かもうちょっと、心理学的にどうだとか医療的に治療をする場合はどうだとかということ、何かエビデンスに基づいたお答えがあるのかなと思ったんですけれども、この点につきましてもお答えがないのと、それから、子供がそこで、その間子供はどうしているのかというようなことの、なぜ二週間かと、この辺もよく分からないんですね。  父母に虐待があった場合です。次の質問に移りますけれども、父母の虐待があった場合、特別養子縁組の成立に父母の同意は不要となると書いてありますが、虐待があったかどうかというのはどのように判断しているのか、現状で、最高裁の方にお答えいただきます。
  130. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。  家庭裁判所におきまして、実父母による同意を不要とする前提としまして、養子となる子に対する実父母による虐待があったかどうかを認定するに当たっては、養子となる子やその実父母から丁寧に事情を聴取しますほか、児童相談所、病院、警察等の関係機関からも客観的な資料を取り寄せるなどいたしまして、多角的な観点から慎重に判断しているものと承知しております。
  131. 石井苗子

    ○石井苗子君 第一義が虐待に遭っている子供を救うということであれば、このように、実の親、養子になる者、今のお答えでしたね、児童相談所からもいろいろ事情を聞いて、総合して、総合的に判断していらっしゃるというふうに理解しましたけれども、こういうふうに一つ一つ丁寧にやっていけばいいのではないかと思うんです。  その意味におきまして、虐待がなかったのにあったと判定された場合、親の、実の親の同意なしに特別養子縁組がされ、親子関係が終了してしまう事態もあると、そう考えることができると思うんですが、その場合、先ほど実親というのは非常に精神的に不安定だと私申しましたけれども、そういったこともあると思うんですが、なかったのにあったと判定されたような場合、その場合の実の親の救済方法というのはございますか。
  132. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  委員御指摘のとおり、家庭裁判所は、実親による虐待があるとの認定をした場合には、その実親の同意がなくとも特別養子縁組を成立させることができるわけでございます。  ただ、その手続の制度といたしまして、実親の同意なく特別養子縁組を成立させるには、裁判官が審問の期日において当該実親から直接陳述を聴かなければならないとされております。ですから、制度上、実親に意見を述べる機会が保障されているわけでございます。家庭裁判所は、このように、実親の意見を聴いた上で、先ほど最高裁判所の方から答弁がございましたとおり、証拠を適切に評価して、虐待の有無について事実認定をしているものと承知しております。  また、その特別養子縁組成立の審判の確定後に、例えば偽造の証拠等によって不当な事実認定がされたというような場合、すなわち民事訴訟法に規定するような再審事由、こういうものがある場合には、この審判に不服を申し立てる方法としては、再審という手続はございます。
  133. 石井苗子

    ○石井苗子君 特別養子縁組の制度というのは、いいところもありますけれども、非常に慎重に考えなきゃいけないのは、やはり実の親との縁を切断されてしまう。これ、兄弟がいたら兄弟とも会えなくなる、祖父母がいたら祖父母とも会えなくなるということ、そしてそれを子供が知らないというような状態であるという、一人の人間に対してそういう環境を、片っ方では法律的な担保を確保しなきゃならないという理由がありますが、片方では間違いということがあったときに非常に大きな精神的に負担になるわけなんです。  こういったことをもう少しきめ細かに考えていかなければいけないのではないかという意味で政党としては反対という立場を取っているわけですけれども、私どもは、決して施設の子供たちを虐待から救うことに反対しているわけでもございませんし、それから虐待を受けている子供たちを救える範囲を広げる法案に反対しているわけでもないのです。ただ、この縁を絶縁するということが及ぼす社会的な影響ということについてもう少し議論を重ねて、例えば日本の単独親権というものも考えていってからではいけなかったのかなというところで反対の立場を取ったということなんですけれども。  まだ二分ぐらいありますけれども、ちょうど時間がいいので、ここで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  134. 山口和之

    ○山口和之君 日本維新の会・希望の党の山口和之です。  本日は、初めに、特別養子縁組における兄弟姉妹の分離について質問いたします。  まず確認なのですが、兄弟姉妹のある子について、その子に関してのみ特別養子縁組が行われた場合、他の子との間で法律上の兄弟姉妹関係がなくなるという理解でよろしいでしょうか。
  135. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  特別養子縁組が成立いたしますと、養子と実方の父母及びその血族との親族関係が終了することとされております。  したがいまして、養子となる者に兄弟姉妹がいる場合につきましても、特別養子縁組の成立によって法律上の親族関係が終了することとなります。これによりまして、養子となる者と従前のその兄弟姉妹との間の扶養義務ですとか、あるいは相続権というものも消滅するということになります。
  136. 山口和之

    ○山口和之君 兄弟姉妹でなくなるというのは、子にとって少なからぬ影響を及ぼすことになるはずです。特に兄弟姉妹間の関係が良好である場合、その影響は非常に大きなものとなり、子の成長にとって無視できないこともあるのではないかと思われます。  特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合に成立させるものとされておりますが、兄弟姉妹との関係等については明文では規定されておりませんが、特別養子縁組において兄弟姉妹の存在は子の利益の観点からどのように考慮すべきとお考えでしょうか、法務省の見解を伺います。
  137. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  特別養子縁組は、養子となる者の利益のため特に必要があると認めるときに限りその成立が認められるものでございます。  先ほど述べましたとおり、特別養子縁組が成立いたしますと、実親子関係のみならず、兄弟姉妹を含めて実方の親族関係も消滅することとなりますので、養子となる者に兄弟姉妹がいる場合には、特別養子縁組の成立によってその者との親族関係を終了させることが養子となる者の利益に反することにならないのかといった点についても考慮されることになるものと考えられます。  養子となる者の兄弟姉妹の存在が子の利益の観点からどのように考慮されるかは、これは個別具体的な事案によって異なると考えられますので一概にお答えすることは困難でございますが、例えば養子となる者がその兄弟姉妹と非常に仲が良くてお互いに支え合っていたと、こういったような事案におきましては、特別養子縁組の成立を否定する方向で考慮されることがあり得るものと考えられます。  また、養子となる者が十五歳に達している場合には、特別養子縁組の成立にその同意を要することとなりますから、その意思に反して兄弟姉妹との親族関係が終了することはないということになります。  また、養子となる者が十五歳未満である場合につきましても、家庭裁判所はその意思を考慮した上で特別養子縁組を成立させるか否かを判断することになりますから、その判断をする際には、養子となる者が兄弟姉妹との関係を終了させるということについてどのような意向を有しているのかといった点も考慮することになるものと考えられます。
  138. 山口和之

    ○山口和之君 今回の法改正の目的は、児童養護施設に入所中の児童等に家庭的な養育環境を提供するため、特別養子縁組の成立要件を緩和するということなどにより制度の利用を促進することにあるとのことですが、養子となる者の置かれた状況次第では、特別養子縁組が必ずしもその子やその子の兄弟姉妹の利益にならない場合もあります。制度の運用に当たっては、何が子の利益にとって最善か慎重に判断してほしいと思います。  次に、特別養子縁組の成立刑法親族相盗例についてお伺いします。  特別養子縁組が成立した後、特別養子縁組が成立した後、実親が子の財物を盗んだ場合、当該実親について刑法二百四十四条一項の適用はあるのでしょうか、お教え願います。
  139. 小山太士

    ○政府参考人(小山太士君) お答えをいたします。  犯罪の成否等は捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断される事柄でございまして、一概にお答えすることは困難ではございますが、あえて一般論として申し上げれば、刑法二百四十四条一項におきまして、配偶者、直系血族又は同居の親族との間で窃盗などの罪を犯した者について、その刑を免除すると規定されておりまして、民法八百十七条の九本文において、特別養子縁組が成立した場合、養子と実方の父母との親族関係は終了すると規定されているところでございます。そして、刑法二百四十四条一項の親族関係について、犯罪行為のときを基準とすることを前提といたしますと、特別養子縁組が成立して養子と実親との間に親族関係がなくなった場合、養子は実親の直系血族に該当しないため、刑法二百四十四条一項は適用されない、すなわち刑は免除されないこととなります。
  140. 山口和之

    ○山口和之君 つまり、実親が子の財物を盗んだ後に特別養子縁組が成立した場合、例えば実親が子の財物を盗んだ後に特別養子縁組が成立した場合、当該実親について刑法二百四十四条一項の適用があるということでしょうか、確認。
  141. 小山太士

    ○政府参考人(小山太士君) 実親が子の財物を盗んだ後に特別養子縁組が成立した場合でございますね。  このケースにつきましても、個別に判断されるべき事柄で一概にお答えすることは困難ではございますが、一般論として申し上げれば、刑法二百四十四条一項の親族関係について犯罪行為のときを基準とすることを前提といたしますと、特別養子縁組が成立する前には子は実親の直系血族に該当するため、刑法二百四十四条一項が適用される、すなわち刑が免除されることとなります。
  142. 山口和之

    ○山口和之君 それでは、特別養子縁組が成立した後に実親が子の財物を盗んで、その後、離縁が成立した場合、当該実親について刑法二百四十四条一項の適用はあるのでしょうか。
  143. 小山太士

    ○政府参考人(小山太士君) 引き続き、一般論として申し上げます。  刑法二百四十四条一項の親族関係について犯罪行為のときを基準とすることを前提として考えますと、特別養子縁組の離縁前には子は実親の直系血族に該当しないため刑法二百四十四条一項は適用されない、すなわち刑が免除されないこととなります。  なお、犯行の後、特別養子縁組の離縁により子が実親の直系血族に該当することとなったとしても、刑法二百四十四条一項が適用されないことに変わりはございません。
  144. 山口和之

    ○山口和之君 関連してお伺いしたいのですが、親の財物を盗んだ子や子の財物を盗んだ親について、推定相続人の廃除は可能なのでしょうか。民法八百九十二条の著しい非行の意義及び具体的内容とともにお教え願います。
  145. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  委員御指摘の民法第八百九十二条でございますけれども、これ、遺留分を有する推定相続人を相続人から廃除する、こういう要件といたしまして、推定相続人が被相続人に対して虐待をし、又はこれに重大な侮辱を加えたときのほか、推定相続人にその他の著しい非行があったときというふうに要件を定めております。  ここで言うこの著しい非行という要件でございますが、一般に、推定相続人が被相続人との間にある家族としての共同生活関係を破壊する言動を取ったことをいうと解されておりまして、犯罪行為ですとか財産を浪費する行為などがこれに当たるものと考えられます。もっとも、この廃除は、推定相続人に最低限保障されている遺留分、これを失わせるという重大な効果を生じさせるものでありますので、そのような効果を生じさせることが社会的かつ客観的に正当とされるほどの理由が必要であるというふうに解されております。  したがいまして、子が親の財物を盗む行為ですとか親が子の財物を盗む行為が著しい非行に該当するか否かは、その財物の価額、あるいはそのような行為に及んだ動機等を総合的に考慮して判断されることになるものと考えられまして、一概にお答えすることは困難ということでございます。
  146. 山口和之

    ○山口和之君 民法八百九十二条は、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときに廃除の請求ができると定めています。刑法上、侮辱罪は、どれだけ重大な侮辱をしても拘留又は科料が科せられるのみですが、窃盗罪は十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金とされており、どれだけ軽くても罰金刑が科せられます。  このように、刑法上、侮辱罪の上限よりも窃盗罪の下限の方が重いことに鑑みれば、窃盗があった場合には廃除の請求を広く認めてよいような気がします。民法と刑法は違うということなのかもしれませんが、可能な限り、統一的に整合性の取れる形で法制度の解釈を行っていくべきと考えます。  親族相盗例については四月十六日の本委員会でも質問させていただきましたが、私の考えとしては、一定の親族関係という形式的な要件さえ満たせば刑を必要的に免除するという規定には合理性がなく、法改正すべきということになります。それに対して山下大臣には、この刑法二百四十四条一項の規定は、いわゆる謙抑主義に基づくものであり、一定の合理性があるので、現時点でこれを見直す必要はないとおっしゃっております。  しかし、刑が必要的に免除されるとすれば、刑罰による抑止力、抑止効果が全く働きませんが、親族間における窃盗をどのようにして防止するのでしょうか。親族間での窃盗は珍しくなく、被害に苦しんでいる方も少なくないと聞いておりますので、決して野放しにしてよいはずがなく、防止策を講じる必要があるのは当然だと思います。  山下大臣には、親族間における窃盗をどのようにして防止すべきとお考えでしょうか、御見解をお伺いしたいと思います。
  147. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 親族相盗例に関する刑法二百四十四条一項の趣旨につきまして、これは、最高裁判所の決定によれば、親族間の一定の財産犯罪については、国家が刑罰権の行使を差し控え、親族間の自律に委ねる方が望ましいという政策的な考慮に基づくものとされておりまして、これは私は不合理ではないというふうに考えておるわけでございます。  刑法の謙抑主義、刑法はあらゆる違法有責行為を対象とすべきということではなくて、必要やむを得ない場合においてのみ刑罰は科されるべきだということからしても、先ほどの親族相盗例の規定は不合理ではないと考えられます。  他方で、親族間における窃盗については、これは親族間の自律、話合いということで期待しているところでございますし、また、家庭や教育における教育により規範意識を涵養するということ、あと当事者間の話合いなどにより防止、解決していただきたいと、としていただくということが今考えられますし、また、先ほど指摘がありましたような不法行為に基づく損害賠償請求権もあり得ると。また、個別の事案にはよりますし、当てはめ次第ではございますが、場合によっては民法八百九十二条の著しい非行に該当する場合には推定相続人から廃除されるというところでもございます。そういった民事上の責任が問われることも一定の抑止力になるのではないかと考えております。
  148. 山口和之

    ○山口和之君 現在、犯罪被害者の支援制度は、加害者の適正な処罰が科せられることを前提としているように思われます。そのため、刑が必要的に免除される場合、被害者の支援がなされず、また処罰感情が充足されることもないため、被害者の救済ができないのではないかと懸念されますが、山下大臣は親族に財物を盗まれた被害者の救済はどのようにして行うべきとお考えでしょうか。
  149. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) これは、まず民事上の権利行使ということで、親族間において窃盗等の被害が生じた場合であっても、被害者は民事上、所有権に基づく財物の返還請求や不法行為に基づく損害賠償の請求をし、被害を回復することが可能でございまして、これによって救済がなされるものと考えております。  いずれにしても、親族間における窃盗等の被害者の救済の在り方については、先ほど申し上げた刑法の謙抑主義のほか、社会情勢の変化や家族の在り方など、幅広い観点から検討されるべきものと考えております。
  150. 山口和之

    ○山口和之君 聞いておりましても、刑の必要的免除に合理性がないとの考えは変わりませんでした。刑法二百四十四条一項を維持したままでは、親族間における窃盗を起きないようにすることもできず、起きてしまった場合に被害者を救済することもできません。改めて改正を検討していただきたいと思っております。  最後に、家庭内暴力についてお伺いします。  まず、法務省におけるDV対策についてお教え願います。
  151. 菊池浩

    ○政府参考人(菊池浩君) お答えいたします。  家庭内暴力のうち配偶者に対する暴力につきましては、法務省の人権擁護機関におきまして、女性の人権ホットラインという専用の相談ダイヤルを設けるなどして、配偶者間の暴力を含め、女性をめぐる様々な人権問題に関する相談に応じております。そして、相談等を通じて被害を認知した場合には、被害者の安全を最優先とし、警察や配偶者暴力相談支援センター等の関係機関と連携して被害者の保護を図るなど、事案に応じた適切な措置を講じているところです。  さらに、法務省が所管する日本司法支援センター、通称法テラスにおきましては、総合法律支援法に基づき、現に配偶者からの暴力被害を受けている疑いがある方を対象に、被害の防止に必要な法律相談援助を実施しております。  一方、配偶者間の暴力の発生を未然に防止することも重要であることから、啓発ビデオを活用するなどして、配偶者に対する暴力は許されないとの認識を高めるための活動も行っているところであります。
  152. 山口和之

    ○山口和之君 次に、法務省におけるDV以外の家庭内暴力対策についてどのようなことを行っているのか、お教え願います。
  153. 菊池浩

    ○政府参考人(菊池浩君) お答えいたします。  家庭内暴力に関する人権相談等の中には、配偶者間の暴力以外に親子間の暴力に関するものもございます。この場合でも、相談等を通じて被害を認知した場合には、被害者の安全を最優先として、警察や関係機関と連携して被害者の保護を図るなど、事案に応じた適切な措置を講ずることとしているわけですけれども、大事なことは早期発見、早期対応であると認識しております。  そこで、法務省の人権擁護機関におきましては、全国に合計三百十一か所ございます法務局、地方法務局及びその支局において人権相談に応じているほか、市区町村役場などに特設の相談窓口を設ける取組を通じて、配偶者間の暴力に限らず、虐待等の人権侵害の兆候を早期に認知し、救済を必要とする方々を見逃すことがないよう努めているところでございます。  今後とも、人権相談や調査救済活動を通じたきめ細やかな被害救済等に努めてまいりたいと思いますし、人権擁護機関が行う各種啓発活動を通じまして、こうした相談窓口の存在についても一層の周知を図ってまいりたいと考えております。
  154. 山口和之

    ○山口和之君 練馬区で起きた父親が長男を刺したという事件では、その父親が犯行の動機について、長男の家庭内暴力があり身の危険を感じたと話しているとの報道もあります。被害が第三者に及ばない家庭内暴力はなかなか外部の人に相談しにくいかもしれませんが、気軽に相談できる体制を強化して、そして、相談を受けた場合には、必要に応じて積極的に家庭に入って調査や処分を行って、家庭内暴力自体も、それに起因する悲劇もなくしていかなければなりません。引き続き対策の強化をお願いしたいと思います。  DVでもそれ以外の家庭内暴力でも暴行罪や傷害罪に該当することが明白な場合が存在し、そのことが相談を受ける中で判明するケースもありますが、そういった場合の加害者処罰はどうあるべきでしょうか。報復を恐れて刑事処分を望まない家族もいますが、その場合、加害者が処罰されないとしてもやむを得ないのでしょうか。犯罪行為が行われた以上、必ず処罰するべきなのでしょうか。山下大臣の見解を伺いたいと思います。
  155. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 委員御指摘のように、DVや児童虐待といった家庭内暴力として暴行罪や傷害罪に該当する事例が相当数あるということは、私どもも承知をしているところでございます。  一般論として申し上げれば、家庭内暴力に関わる犯罪につきまして、捜査当局において、特に検察当局において、個別事案ごとに犯行態様やその結果、犯行の背景となった家庭内における具体的な事情であるとか、あるいは再犯の可能性であるとか、その後のその家族関係の修復の可能性や、刑事処分を望まないというふうな指摘がありましたけれども、その理由ですね、改善更生を祈って望まないのか、そういった様々な事情を総合的に考慮して処分を決するというものでございまして、その処罰の在り方を一概に申し上げるということはなかなか困難であろうというふうに考えております。
  156. 山口和之

    ○山口和之君 刑罰権の行使を謙抑的に行うことは非常に大切だと思いますが、報復を恐れて刑事処分を望まない家族がいる場合は処罰されないということになると、抑止力が働かなくなるおそれもあります。また、逮捕や起訴が恣意的になされているとの疑いを持たれ、刑事司法への信頼が損なわれるおそれもあります。かといって、一律に全て処罰するということになれば、起訴便宜主義と矛盾するおそれもあります。是非、家庭内暴力をなくしていくためにベストな刑罰権の行使の在り方を御検討いただき、できる限りその基準について分かりやすく国民に示していただきたいと思います。  最後に、家庭内暴力の根絶に向けた山下大臣の決意をお聞かせ願います。
  157. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 家庭内暴力につきましては、時間の経過とともに深刻化し、重大な事態に発展する可能性もある一方で、家庭内のことということで表に出さないということで、第三者が察知しにくいということがございます。いずれにしても、早期の段階で被害を把握し、速やかに対応することが重要であると考えております。  いきなりその家族を警察にというふうなことについて非常に抵抗を覚えられるようなこともあるというふうにも聞いておりますけれども、そうした際に、人権相談等は早期の被害の把握の一つの選択肢として有用な機会となり得るのではないかというふうに考えております。  先ほど人権局長も答弁させていただいたとおり、法務省としても様々な取組をやっておるところでございまして、そうした様々な機会を通じて、家庭内暴力の根絶に向けて全力を尽くしていきたいと考えております。
  158. 山口和之

    ○山口和之君 是非よろしくお願いします。  以上で終わります。
  159. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  本法案の審議もいよいよ大詰めになっておりまして、今日は、前回の質疑に続いて、改めて、本改正の上限年齢の引上げによってどのようなケースで特別養子縁組を成立させ得るということになるのかについてお尋ねをしていきたいと思います。  前回、最高裁家庭局長との議論が少し時間が足りなかったところもありまして、まず家庭局長にお尋ねしたいと思うんですが、お手元にお配りいたしましたのは、前回の質疑の最後に御紹介した、最高裁が平成二十八年四月から平成二十九年の三月の特別養子縁組の成立の審判事件等の実情についてお調べになった資料です。  この資料にありますとおり、養子となる者の平均年齢が、特別養子縁組の成立が認容された事件において一歳半というのが平均年齢ということになっているわけです。一方で、却下、取下げとなった子の年齢というのは四・三歳、それから取下げで四・二歳ということで比較的高く出ているわけですが、この調査を見ましても、これまでの特別養子縁組の審判の積み重ねというのが、わらの上からの養子を念頭に特別養子縁組の成立の可否が判断されてきたのではないかと思われるわけです。  なぜこういう差が出てくるのかと。ここには、私などは、やっぱり四歳超えていくような子供たちの愛着形成の上でも難しさがあるのではないか、そんなこともうかがわれるんですが、いかがでしょうか。
  160. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。  まず、この統計資料でございますが、本法案に関する検討が開始され、その検討上必要ということで、この平成二十八年四月から二十九年の三月の一年間について詳細な実情調査をしたものということでございまして、この中で、審判の申立てが却下され、また取り下げられた理由については調査をしていないために、認容事案と比べまして養子候補者の平均年齢に差異が生じる背景等については把握をしていないところでございます。
  161. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 最高裁としては今のようなお答えぶりになるのだろうと思うんです。裁判官としてのお考えを御答弁されるわけにもいかないということなのではないかなと思うんですけれども。  一方で、その下の参考というグラフを見ていただきますと、現行法でも上限六歳という、例外規定がありまして六歳、七歳、八歳でも特別養子縁組成立の認容例があるわけですね。もちろん、認容されない、申立てされて却下、取下げということに至る例もあると。この認容されている例についてなんですが、この年代の子供は普通、実親の存在や、あるいは実親がそもそもいないということや、養親になろうとする方との自分との関係だとかというのは、これは大体認識しているお年頃になると思うんです、もう小学校にも入っている年ということなんですよね。  この年代の子供の特別養子縁組の成立の可否を判断する上で、これは一般論で結構なんですけれども、どのような調査に基づいてどのような事実を裁判所は判断するんでしょうか。
  162. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。  養子となる子の年齢が高い場合に、その実親との関係、養親との関係についてどこまで主観的に認識をしているかというところまでちょっとよく把握ができないところでございますけれども、一般的に申しまして、子の年齢が高い場合には、その子のそれまでの生育歴をまず十分に把握する必要があると考えております。また、子の意思を考慮するに当たっても、その子自身の発達状況ですとか置かれた環境などが様々であるということを十分に踏まえる必要があるというふうに考えられるところでございまして、そのような意味で、より慎重かつ多角的な観点からの審理が求められているというふうに言えるかと存じます。  そこで、家庭裁判所におきましては、養子となる子の年齢が高い事案における調査を行うに当たりましては、子の生育歴ですとかその中での虐待の有無、生活状況、それから心身の状況などにつきまして実父母などから丁寧に聴取をするとともに、児童福祉機関、病院などの関係機関からも資料を取り寄せるなどして判断の資料としているところと認識をしております。  また、家裁調査官、家庭裁判所調査官が子の意思を把握するために子と面接をする際には、子の発達などに応じました聴取方法を工夫し、子の表情やしぐさなど言葉以外の情報をも十分に観察しながら、子の意思を総合的に理解するよう努めているものと承知しております。
  163. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 今家庭局長がお答えいただいたことについて、衆議院参考人質疑で、前回、別の法案、子の引渡しの関係の法案、民事執行法の改正について本院の当委員会の参考人としてお招きした元家裁調査官の伊藤さんが、この法案、本法案の衆議院参考人として意見をお述べになっておられまして、その中で、養子となる者の年齢、発達段階、性格や行動傾向などは多様であり、その言動は必ずしも安定したものではなく、それぞれ個性に応じた調査が必要となりますと。例えば、親に不当に叱られたとして家出の代わりに一時保護を求めてきた子供が、三日後にはおうちに帰りたいと泣いて暮らすといったことはよくあることです、すなわち、親子関係の中で、子供の気持ち、意思や意向は揺れ動く、同時にその父母の気持ちも揺れ動くと思いますと述べていらっしゃるんですが、こうした現場で、先ほど局長がおっしゃったような角度あるいは方法によって事実を見極めていく、その中で判断していくと、そういう理解でよろしいでしょうか。
  164. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) 御指摘のとおりと存じます。
  165. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 そのときに、実際にその子の、実際認容されている六、七、八歳という子の事例がどんな事例かというのはもちろんここでは分からないわけですけれども、前回の本委員会での参考人質疑の結果を踏まえても、実際には里親さんなどの委託を受けていて、実の親じゃないんだけれども、実際の親子関係といいますか、実質的な親子生活が安定的に継続しているという場合に学齢期の子供でも特別養子縁組を成立させようというようなことが多いのではないか、そういう場合は考えられるのではないか。逆に、全く見知らぬ養親候補の夫婦のところにそれまで全く縁がなかった子供が試験的な養育をいきなり始めて特別養子縁組の成立に至るというケースはちょっと考えにくいなと。  つまり、実際の親子関係が継続している、家庭生活が安定している、そういうケースがこの特に年代の上の子ということでは大事になってくるのではないかなと思うんですが、家庭局長、何らか御感想がいただけますか。
  166. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) 本法案成立後にどのような事件が申立てがされることになるのかについては、施行後、成立しますれば、施行後の状況をよく見させていただきたいというふうに思っております。
  167. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 裁判所としては今はそういうお立場になるんだろうと思います。  通告していたのか、通告されていないとおっしゃるか分かりませんけど、厚生労働省にちょっと今の問題意識でお尋ねしたいと思うんですけれども、現行法の下でも特別養子縁組の成立というのはとても複雑で、慎重なんだと思うんです。この角度からいいますと、先ほどもちょっと議論にあった悪意の遺棄の場合、あるいは虐待としてネグレクトをずっと受けてきた、あるいは性虐待を受けてきたという子の発達とか人格形成、その下での心理状態には、これは深い影響がその虐待によって及ぼされているということが当然想定されると思います。  ですから、例えば児童相談所のケースワーカーが対応する中で、明るく楽しそうに振る舞っていても実は深いところに葛藤があり、その表で見える言動、行動というのは生きていく上での子供の自己防衛と、そういうふうに振る舞わなければ御飯も食べられない、寝るところもないというような深層心理ということがあり得て、そのことが、少し長じての学齢期だとかあるいは思春期だとかいう時期に、虞犯だったり触法だったり、少年法に言う非行というような意味での要保護性となって爆発的に現れるということだってあるのではないかと私は思うんです。  潜在的に虐待あるいは悪意の遺棄を受けてきた子が抱えさせられてしまっているそういう状態をしっかりと見極めて、特別養子縁組の成立との関係でいいますと、監護の著しい不能などのこの要件だったり、特に特別養子縁組を成立させる必要性だったり、ここを判断するというのはちょっとなかなか大変なことなのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  168. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、様々なケースがあるかと思います。例えば、施設の中で比較的長い間養育されている子供の中にも、養子縁組を選択することが適当であろうというふうに考えられる子供もおられるでしょうし、まだ実親との親子関係を修復する可能性が残っていて、家族再統合に向けた支援を模索すべきお子さんもいるでしょうし、あるいは、今委員がおっしゃったみたいに、子供自体が非常に、虐待を受けた傷によってかえって、表面的に出てきたものは問題行動であったり非行だったりということで一見外側から見えるのは非行だけれども、実は内面では非常に心の傷を負っているようなケースに対する処遇をどうするのかとか、様々なケースがある中で、その子供に応じて、施設入所がいいのか、里親という選択肢がいいのか、あるいは養子縁組という選択肢があるのか、どういう対応を取るのがその子供にとって最もいいのかということを、家庭養育優先原則の下で個々に十分に調査をしながら、アセスメントをしながら決定をしていくということではないかというふうに考えております。
  169. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 児童相談所を中心にした児童福祉の現場の児童福祉司の皆さんも、あるいは心理判定に関わる専門家の皆さんも、それを総合的に取り組みながら、近年でいうと市町村とも力を合わせながら、子の福祉を本当に最善の利益を実現していくと。この児童相談所の役割というのは、今、本当に極めて重要になっていると思うんです。  今回の改正で、その児童相談所長が特別養子適格を求める審判を申し立てることができるようになるわけなんですが、ちょっとそこの問題に入る前に、もう一度厚生労働省にお尋ねしたいと思うんですけれども、現行法でも、民法の規定による親権喪失だったり親権停止などの親権制限するという制度があります。加えて、児童福祉法二十八条、よく言われますけれども、一時保護という、つまり、親子関係というか家庭生活から、例えば虐待を受けている子を離してケースワークに臨んでいくというその一時保護には、原則といいますか、徹底して親に同意してもらって任意で行うというふうにしてきているんだけれども、どうしてもそれに応じないという場合があり得て、そうした際に、家庭裁判所承認を求めるという審判事件を児童相談所が申し立てるという場合があるわけですよね。  そうした親権制限という申立てを、あるいはその事件への関与を児童相談所が行うときというのは、当然、極めて慎重な検討を重ねて行われるべきでもあるし、現にそう行われていると思うんですが、いかがでしょうか。
  170. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  まず、児童福祉法の第二十八条、委員最初に御指摘いただいた二十八条でございますけれども、裁判所承認を求める申立てにつきましては、厚生労働省において各児童相談所に示している子ども虐待対応の手引きにおきまして、家庭養育優先の原則を踏まえてもなお早急に親子分離が必要である場合であって、親権者施設入所の措置に同意をしない場合にこの申立てを行うべきであるというふうに示しているところでございます。  またさらに、この二十八条による措置では不十分である場合、例えば、子供が親権者から物理的に離れるだけでは安定した生活を送ることができないような、そういった心理状態にあるような場合ですとか、親権者が子供の進学や就職等に関して強く干渉してくるというようなことが予想される場合には、親権停止の申立てを選択すべき場合として検討しなさいということを手引きで規定をしているところでございます。  またさらに、親権喪失の申立てを選択すべき場合といたしまして、親権停止では目的が実現できないという場合にその利用を検討するというふうなことを手引きでこれも明らかにしておりまして、相当慎重に判断をしていただくということをお願いをしているところでございます。  児童相談所において、このようなことを考慮しながら、こうした申立てを行うべきか否かについて適切に個々に判断をしていただくということだと思っております。
  171. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 今御紹介いただいたような考え方を的確に行っていく上での様々な体制づくりという問題については、これ別の大きな問題ですから、本法案の話にちょっともう一回戻りたいと思うんですけれども。  そのように慎重に行っている親権制限などの事件を、言ってみれば質的に超えるのが特別養子縁組の適格があるという、児童相談所が申し立てるという場面だと思うんですよ。つまり、実の親子との関係を、親権は停止するにしたって家族の統合の可能性というのはまだ残る、再統合の可能性は残るわけだけれども、実の親子関係を断絶すべきであると行政裁判所に求めるという、この申立てというのを今度設けることになったわけですが、厚生労働省としてはどのようなケースが念頭にあるんでしょうか。
  172. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  御承知のとおり、現行ではこの申立てをできるのは養親候補者に限られているわけですが、今回のこの改正法案によりまして、第一段階の適格の審判の申立てにつきましては児相長も行えるということになり、ある意味、そういう意味では児相長としての新たな業務ということになるわけでございます。  この改正の趣旨からいいますと、まだ前例がありませんので想定されるケースということでの御説明になってしまいますけれども、児相長が申立てを行うということが想定されるケースとしては、例えば、養親候補者がいて、養親候補者が申立てをするということはもちろん理論上はできるんだけれども、主張や立証について負担を軽減をするために、例えば実親の養育状況をよく把握しているのがやっぱり児相長でもございますので、そういった意味で児相長が申立てをするということが一つはあり得るんだろうというふうに思います。  それからもう一点は、実親が同意をしていない場合で、児相長が、そうはいってもやっぱり特別養子縁組が適当であろうというふうに判断をされるケースですとか、あるいは、実親が同意はしているんだけれども撤回のおそれがあるということで、養親候補者の方が試験養育の開始をためらっているようなケース、そういったケースはあるんじゃないかということ。  それから、三点目としてまた考えられ得るのは、先に特別養子適格の審判を確定をさせて、そのことによって養親候補者を確保をすることに資するようなケース、こういったことが考え得るのではないかと現時点では想定をしております。
  173. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 今のようなケースを想定をしておられるということなんですけれども、大前提としては、対象の子の実親との家庭的な安定した生活を取り戻すとか、そういう意味での再統合を図るということは、これはもう断念せざるを得ないと、全く無理という判断が大前提としてはあるということでしょうか。
  174. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  特別養子縁組の実施に当たって、この支援の業務を行うのが児童相談所であったりあるいは民間のあっせん機関だったりするわけですけれども、私どもの児童相談所の運営指針ですとかあっせん機関の指針の中で、この辺りの手続、丁寧に支援をするようにということを求めているところでございます。  具体的に申し上げますと、そもそも実親に対する支援というもの、まず重要であるということで、養子縁組に関する意思決定に向けて、自ら養育することの可能性をきちんと模索をしなさいということで、自ら養育することの可能性の説明をしっかりすると。そのために、様々な公的な支援があり得ると、経済的な問題ですとか子育ての問題ですとか、様々自治体福祉事務所からの公的な支援を受けるということもあり得るというふうなことをしっかり説明をして、その上で、本当に養子縁組について同意をされるのかどうかということを丁寧にカウンセリングをして手続を進めるようにということでお願いをしているところでございます。
  175. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 今の御答弁の流れとの関係で、先に厚労省にお尋ねしたいと思いますけれども、前回の参考人質疑で、早川参考人紹介された国連児童の代替的養護に関する指針について、林参考人も、子供の喪失感をできるだけ緩和する上で、子供にとってどういう選択肢をどういう優先順位でもってまず考えていかなければならないかという順位を、ある意味グローバルなスタンダードとして提示してくれているものという評価をされ、まず生みの親、それが無理ならば身近なところでの親族、それが無理なとき社会的養護というそうした大きなお話をされて。  そこに関してちょっと紹介して御認識を伺いたいんですが、早川参考人がお配りになった資料に基づいて紹介をしますと、この指針の百六十六パラグラフには、家庭復帰の妨げを禁止するという理念が掲げられている。それは、児童とその家族との関係の有効性及び再び一つになりたいという希望の確認というのは、これ、それぞれの児童について検証しなければならないと。あらゆる追跡の努力、これは家庭復帰への努力ということですが、失敗に終わるまで、養子縁組を含めて最終的な家族への復帰を妨げるような行為を行うべきでないと。これは再統合を目指すんだということかと私は受け止めました。  十五パラグラフには、貧困のみによる家族からの離脱禁止という理念があって、貧困によってのみ生じた状態が児童を親の養護から離脱させ、児童を代替的養護下に置き、又は児童の家族への復帰を妨げる唯一の正当化事由であるべきではないと。いわゆる家庭と子供の貧困だけが家庭から子供が引き離されなければならない理由になっちゃいけないんだということだと思います。  最後、十一パラグラフで、子供の主体性についてというふうに捉えて私はいるんですけれども、地域生活の継続という理念が掲げられていて、原則として児童の通常の居住地のできるだけ近くで養護を行うのが望ましいと。この件について早川参考人は、家庭、学校、地域という三つの柱を挙げられまして、子供にも人生があるので、その地域で培ってきたアイデンティティーあるいは友人関係あるいは学校というような基盤というのはとても大事なのであって、これを引き離すというのはこれもうよほどのことなんだとお話ありましたけれども、厚生労働省の児童福祉の現場での取組というのは、おおむね私こういう理念で行われていると思うんですが、いかがですか。
  176. 藤原朋子

    政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、児童福祉法の三条の二、これは平成二十八年の児童福祉法改正で規定が盛り込まれておりますけれども、家庭養育原則の規定を三条の二の規定として盛り込んだところでございまして、その趣旨は、家庭を第一に検討し、それができない場合にはできるだけ家庭的で温かな環境の下で暮らせるようにするということで、里親の推進ですとか施設の小規模化や地域分散化を進めていくというふうな大きな考え方で、現在、社会的養護の施策を推進しているところでございます。  また、貧困のみによるその家族の関係の離脱を認めてはいけないのだというふうな指針の御指摘については、先ほど私御答弁申し上げましたとおり、やはりこの特別養子縁組の検討に当たっては、実親に丁寧に説明をして、どうしても自分で育てることができないかどうか、あるいは経済的な問題だけであれば、様々な公的な支援を受けて、そういった支援につなげて、それでもなお自分で養育することができないのかどうかということを模索をしなさいということをお願いをしていると、こういった点を踏まえまして、丁寧に個別のケースに寄り添いながら支援をしていくということが重要なんだろうというふうに考えております。
  177. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 そこで、民事局長に法改正についてお尋ねしたいと思うんですが、児童福祉の現場の実情というのは、今、少し可能な限り御答弁いただいたつもりなんですけれども、それから、これまでの現行法の下における家庭裁判所での様子ということは先ほど少し議論させていただいたわけですが、そこに例外も含めれば十八歳までというこの上限年齢を引き上げて特別養子縁組を成立させ得るという法改正の下で、一体どんな、せめて理念だとかこういうニーズなんだとかいうことがないと、八百十七条のこれまでの法的な意義と随分変わるというよりも、質的にちょっと変わるんだと思うんですよ。  言ってみれば、わらの上の養子が中心の法制度から、もちろんわらの上の養子もこれからもある、続くんですけれども、それに対して子の養護のための特別養子縁組ということが判断の対象になっていくということになると思うんですが、法改正後のこの特別養子縁組の趣旨なり、その判断の基準、判断の基準というと裁判所みたいになりますが、法の趣旨というのはこれどうなるんでしょうか。
  178. 小野瀬厚

    政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  現行法の下で特別養子縁組を成立させるかどうか、これは実親の存否ですとか実親による虐待等の有無、実親の養育の意欲及び能力の有無、実親子の関係等といった事情を総合的に考慮して、実親子関係の終了が子供の利益に合致するか否かといった観点から判断されているものと認識しておりまして、この点につきましては養子となる者の年齢の上限を引き上げた後も変わるものではないというふうに考えております。  年長児童について想定されるケースといたしましては、例えば実親から虐待を受けているなど、子供の養育のために実親との法的関係を終了させた上で養親との安定的な関係を築くことが必要であると認められる者、こういった者につきましては、普通養子縁組ではなく特別養子縁組を利用することが想定されるものでございます。確かに、零歳、一歳のような子供と年長の子供という観点からしますと、実の親に対する認識といいますか、そういうものは違うところがございます。  ただ、その安定的な関係を築く、心理学的に、本当にこれが、どんなことがあっても最終的には受け入れてもらえる、そういったような安定的な親子関係を築く、こういったことが、やはり実親子と同じような関係、そういうことがこの特別養子縁組の特徴だといたしますと、そういった観点から年長の養子におきましても、この特別養子縁組を利用するという点では、現代の考え方と基本的には変わらない、そういったものについてニーズがあるというのであれば、そういった選択肢を広げていこうというのが今回の改正の狙いだというふうに考えております。
  179. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 局長も、えらくまた慎重に提案理由をそのままお述べになっているなという感じなんですけれども。  大臣、ちょっとこれまでの議論聞かれた上で、私、特に年長といいますか、例えば分かりやすい年代層でいうと小学校の高学年とか中学生とかいう年代の、深刻な虐待で実親との家庭生活はもう望めないということで児童養護施設から学校に通っているというような子、長くその時間もわたっているというような子ということを想定したときに、そうした子ほど安定した家庭的環境における社会的養育を保障してあげたいという思いはすごく強くあるわけなんですね。  けれども、一方で、その子が抱えている葛藤、あるいは養親になろうとする者が将来本当に温かい親子関係を継続していくことができるかどうか、これは極めて難しい判断で、葛藤を抱えている子ほど愛着関係も、それから新しい家庭生活も、途中で何か大きく損なわれてしまう可能性も、あるいは懸念もあるじゃないですか。だから、マッチングというのは極めて大きなジレンマを抱えている。わらの上からの養子という赤ちゃんと違うジレンマを抱えていると。  その子たちの利益を保障していくための法改正ということであれば、先ほど少しだけ紹介した国連のガイドラインにも掲げられているような理念を、法の趣旨としても、それから裁判所のこれからの運用に当たっても期待すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  180. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 御指摘のとおり、特に虐待を受けた子というのは、非常に心理的にも人間的な不信感であるとか、一番最も守ってもらえるべき人にそういった虐待を受けたということであればなおさらでございます。そういった意味で、特別養子縁組におきましても、そのマッチングについてなかなかセンシティブなところはあろうかというふうに考えております。  先ほど委員御紹介の、これ早川参考人紹介の国連の児童の代替的養護に関する指針というのは、その趣旨については、例えば児童福祉法であるとかこの特別養子制度においてもしっかりと念頭に置いた上で運用されるべきものであると考えておりますが、なお具体的に妥当な結論が得られるよう、家庭裁判所等によるこの第二段階のマッチングにおける審理においても、そういったところの委員御指摘のようなところ、心理状態も踏まえた判断をしていただけることを強く期待しているところでございます。
  181. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 何にせよ、動き始めたら本当に子の福祉のためになるように関係の皆さん頑張ってもらいたいと思いますけれども、最高裁の村田総務局長、おいでいただきながら御答弁いただけないんですけど、もうずっとうなずいて聞いていただいていたんですけど、これ担う家裁職員、とりわけ調査官をずっと増員しないというのはもうあり得ないと。そこでうなずかれたらまずいと思うんですけど、やっぱりこれはもう抜本的に増員をしなければ駄目ですよということを強く申し上げまして、今日は質問を終わります。
  182. 糸数慶子

    糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。  今朝の通告になって申し訳ございませんが、法案の質疑に入る前に、防衛省に伺います。  一昨日、浦添市の浦西中学校に米軍機から部品が落下するというあってはならない事故が起きました。地元紙にはこのように大きく報じられています。二〇一七年の十二月に宜野湾市の緑ケ丘保育園、そして普天間第二小学校にもこのようなことがありました。改めて県民はその当時の事故の恐怖を思い出したと思います。  今回は米軍のものだということが分かりましたが、政府はあろうことか飛行停止を求めていないと報じられています。なぜ飛行停止を求めていないのか、防衛省に伺います。
  183. 田中聡

    政府参考人(田中聡君) お答え申し上げます。  委員御指摘の本件は、六月の四日十五時三十五分頃、沖縄県浦添市の浦西中学校のテニスコートに普天間基地所属のCH53Eのブレードを保護するためのテープの一部が落下したというものであると承知しております。  米側に対しましては、改めて点検整備及び安全管理を徹底するとともに、実効性のある再発防止策を講じるよう申し入れたところでございます。米側からは、今般の部品落下を受けまして、次回の飛行前にブレードテープが付いている全てのCH53Eを点検いたし、劣化が見付かったブレードテープを取り除くあるいは取り替えるといった説明を受けておりましたが、既にこれらの作業等は完了したという連絡も受けておるところでございます。  いずれにいたしましても、米軍の運用に当たりましては安全の確保が大前提でございます。事件、事故はあってはならないものでございます。引き続き、米側に対しましては、安全確保に万全を期すよう求めてまいりたいというふうに考えております。
  184. 糸数慶子

    糸数慶子君 本当に県民の思いからいたしますと、今の御答弁、再発防止、安全確保、何度聞いたか分かりません。でも、現実はこうやって落下物があるというこの現実を考えていきますと、本来でしたら今年の二月、政府が沖縄県と約束したこの普天間飛行場の五年以内の運用停止、これ二月が期限でありましたけれども、それが実現していないということが、つまりは危険性の放置がなされているという、そういう事実であります。  その中で起こったことであり、私は、一九六五年の六月に、私のふるさとである読谷村でパラシュートの投下訓練をしている、そのパラシュートのトレーラーが落下して小学校五年生の女の子が亡くなったというその事件を思い出すと、本当に怒りと新たな悲しみが湧いてまいります。  子供たちの安心、安全を、本当に命を守るというその観点に立つのであれば、米軍に直ちに飛行停止をしていただくよう強く求めていただきたい、そのことを申し上げまして、質問に入りたいと思います。  六月四日の本委員会で、特別養子制度について小野瀬民事局長は、家庭に恵まれない子供に温かい家庭を提供して、その健全な育成を図ることを目的として創設されたものと答弁されました。  そして、今回の特別養子制度の改正は、児童虐待の増加に対して、要保護児童に家庭的環境の下での養育を保障するため特別養子縁組を利用しやすくするという趣旨で、対象年齢を六歳から十五歳に引き上げるということですが、年齢要件の緩和によって虐待を受けた子供たちがどれくらい救われるのか尋ねたところ、どの程度増えるのか一概に答えるのは難しいとしつつ、養子となる者の年齢要件のために特別養子縁組の利用を検討することができなかった事案として、二年間で四十六件が報告され、その中には今回の法改正により特別養子縁組を成立させることが可能となる者が相当数含まれているということでした。  少数であっても救われる方がいらっしゃるのですから、今回の民法改正に反対するものではありませんが、養子制度全体の抜本的な見直しが必要であることは参考人からも指摘がありました。  そこで、山下大臣に伺いますが、今後、養子制度全体の見直しを検討されるつもりがあるのか、伺います。
  185. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) お答えいたします。  今回の改正は、委員御指摘のとおり、これ六月四日の参考人質疑において棚村参考人も述べておられましたように、特別養子制度に関する喫緊の課題について見直しを行うものでございまして、法制審議会の議論においても、養子制度に関しては、未成年者を普通養子縁組によって養子とする場合を含め、検討すべき課題が残されているとの指摘がなされたところでございます。  法務省といたしましては、この法律案が成立し、施行された場合には、まずは改正後の特別養子制度の運用状況を注視してまいりたいと考えておりますが、なお、養子制度の在り方については、必要に応じて引き続き検討してまいりたいと考えております。
  186. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 親子の縁を断ち切るという選択を余儀なくされる、それが経済的な理由なら、生活保護や経済的な支援をすることによって防ぐことができる、また児童虐待であるならば、虐待を防止することで回避できるのですから、虐待防止の対応をすることこそが大事であると改めて強調いたしたいと思います。  これまで繰り返し求めてまいりました民法の懲戒権規定の見直しについても、山下大臣から、今月二十日の法制審の臨時総会で諮問する予定であると御答弁がありました。時間が掛かりましたが、一歩踏み出すことを歓迎し、次の質問に入ります。  四日の本委員会で山下大臣は、家庭的な環境が必要な子供に対してどのような環境を与えるかということは、これはやはり政府を挙げて考えなければならないであろうとした上で、年齢要件の引上げは選択肢を広げるものと繰り返し答弁されました。たとえ対象者が少なくても選択肢を広げることは、少数者の人権を守る上で重要なことだと思います。  その論理でいうと、選択的夫婦別姓が実現しないために事実婚を余儀なくされている家庭の子供の法的安定のために選択肢を広げるべきだと思いますが、改めて山下大臣の御見解を伺います。
  187. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 婚姻を考えている当事者の双方が共に氏を変えたくないとの理由で、法律婚をすることを断念し、あるいは事実婚にとどまっている方がいるとの指摘があることは承知しておるところでございます。他方で、選択的夫婦別氏制度の導入については、我が国の家族の在り方に深く関わる重要な問題であると考えております。  また、平成二十七年十二月十六日の最高裁大法廷判決においても、夫婦同氏を定める現行制度は合憲であるとの判断が示されたところであります。この判決においては、選択的夫婦別氏制度の導入の是非については、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄であるとの指摘がなされました。  さらに、平成二十九年の世論調査の結果を見ても、選択制を取ることの是非やその影響を含め、いまだ国民の意見が分かれている状況にあると認識しております。  法務省としては、今後も引き続き、国民各層の意見を幅広く聞くとともに、国会における議論の動向を注視しながら、慎重に対応を検討してまいりたいと考えております。
  188. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 山下大臣、何度質問いたしましても、そして何を聞いても、もう壊れたテープレコーダーのように、これは我が国の家族の在り方に深く関わる事柄である、いまだ国民の意見が分かれている状況にある、今後も引き続き国民各層の意見を幅広く聞く、国会における審議の議論の動向を注視しながら慎重に対応していくというふうに答弁をされております。  山下大臣は、二〇一八年十月二日に法務大臣に就任されました。それ以来、本会議、決算委員会、法務委員会で、この夫婦別姓に関する質問で計五回、本日で六回、同様の答弁をされております。  そこで、山下大臣に伺いますが、選択的夫婦別姓を求める国会請願が初めて提出されたのは何年であるか認識されているでしょうか、伺います。
  189. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 法務省で現在把握している限り、選択的夫婦別氏を求める国会請願が初めて提出されましたのは昭和五十年であると認識しているところでございます。
  190. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 選択的夫婦別姓を求める請願は、婚氏続称を求める請願とともに一九七五年に参議院に提出されました。その年、その請願は切り離して、婚氏続称だけが採択され、翌七六年に民法改正が行われました。それから四十四年間も選択的夫婦別姓を求める請願が出されながら採択されることはなく、国民の請願権は踏みにじられたままとなっています。  夫婦別姓が実現しないために、事実婚や通称使用している人がいること、自分が使ってきた名前を名のりたいだけなのに裁判までしなければならない状況にも、大臣は様々な意見があるという言葉で切り捨てられるつもりでしょうか、伺います。
  191. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 御指摘の点は、そういった指摘があることは承知しております。  また、法律婚を選択した者が氏を変えることによる社会的不利益を回避するために、社会生活においては婚姻前の氏を通称として使用し続ける場合も少なくないということも承知しております。  他方で、選択的夫婦別氏制度の導入については、家族の氏が異なると家族の一体感が弱まるのではないかといった意見や、あるいは子供の姓をどのように決めるのか、子供に好ましくない影響が生ずるのではないかといった意見もあるところでございます。  こうした制度の導入の是非を検討するに当たっては、こうした意見も含めた様々な国民各層の意見を考慮する必要があるものと考えております。  法務省としては、国民的な議論の動向を踏まえながら、引き続き対応を検討してまいりたいと考えております。
  192. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 四日の参考人質疑で棚村参考人は、日本の家族法や民法全体が、割合と、白地条項というので一般的、抽象的に定めて運用であとはやろうというので、改正をしないで済んだけれども、さすがに百二十年以上たって明治時代のものが残っているとして、親権という言葉についても、ほかの国では親の責任とか親の配慮という言葉に変わっていると紹介されました。私は委員会質疑で、事実婚カップルにも共同親権を認めるべきだと訴えてまいりましたが、親権という言葉そのものの見直しが参考人から示唆されました。嫡出という言葉も同じです。  民法の用語の見直しを行うべきだと思いますが、法務大臣の御見解を伺います。
  193. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) お尋ねの親権という用語につきましては、民法八百七十条において、「親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」という規定をしておるところでございまして、親権にはこういった法律上の意味付けをされた親の義務としての側面があるということ、そして、それが子供の利益のために行使されなければならないということを明らかにしているところでございます。先ほど八百七十条と申し上げたのは八百二十条の誤りでございますので、訂正いたします。  もっとも、法令用語一般について、親権も同じでございますけれども、こうしたものは、その法律において使用されていた経緯あるいは立法趣旨等もございますし、また、社会情勢の変化等も踏まえ、必要な見直しをしていく必要もあるものと考えております。  参考人の御指摘、委員の御指摘もこの点についての問題意識として受け止め、必要な検討をしてまいりたいと考えております。
  194. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 参考人から、成年養子についても、家を継ぐとかお墓を継がせるとか親の面倒を見てもらうという、家のため、親のため養子という色彩から、戦後、民法は大きく変わり、家制度や家督相続を廃止したけれども、まだまだ意識の中には残ってしまっているところがあるというお話がありました。  確かに、選択的夫婦別姓に反対の背景にはそうした考えがあるのだと思います。今お手元にお配りしている資料を御覧いただければすぐお分かりになると思いますが、この資料の年表を見ていただきますと、法改正が実現しない背景と経緯が分かりやすく見て取れます。大方の意見というより、家制度が継続していると考える一部の方々の意見ではないかと言わざるを得ません。  そこで、山下大臣に伺いますが、山下大臣は、国家、社会の最小単位は家族だと思われるでしょうか、個人だと思われるでしょうか、伺います。
  195. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 先日の参考人質疑において、参考人の方から御指摘のような発言があったことは承知しているところでございます。  他方で、国家、社会の最小単位は何かというお答えについては、一概にお答えすることは困難と考えておりますけれども、家族は確かに社会を構成する基本単位でございまして、選択的夫婦別氏制度の導入の是非を検討するに当たっては、そうしたことがこの家族の、社会を構成する基本単位である家族の在り方に大きな影響を及ぼし得るものであるということでございます。したがって、そういったことを考慮する必要があるものと考えているところでございます。
  196. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 私は山下大臣に対して、国家、社会の最小単位は家族だと思われるでしょうか、個人だと思われるでしょうかと伺いました。改めて伺います。
  197. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 私は、国家、社会の最小単位が何か、どこまで要するに細分化できるかという考え方をこれまで取ったことはございません。個人も大事でありますし、家族も大事であろうと考えております。  そうした中で、家族というのはこの社会を構成する基本単位であるという考えを持っておるところでございまして、先ほどの答弁は、そういった認識に基づいて答弁をさせていただいたものでございます。
  198. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 私がこの問題にこだわるのは、家族の問題と国と沖縄の関係が重なるからであります。  二〇〇四年に自民党の憲法改正プロジェクトチームは、家族や共同体の価値を重視するその観点から、家族や共同体の価値を重視する観点から憲法二十四条は改正すべきであると盛り込みました。家族の一人一人が大切というより、家族という共同体が大切という考え方です。国家全体のために沖縄が切り捨てられる構造と同じです。  夫婦が同等の権利を主張する、例えば選択的夫婦別姓を求めると家族のきずなが壊れるとか家族が崩壊すると、いろんな形でのバッシングを受けることがあります。例えば沖縄の基地問題でも、負担は国全体で考えるべきとか沖縄の基地負担軽減を求めて新基地建設反対を訴えますと、県民を愚弄する言葉で批判を受けます。我が国が国全体と沖縄のどちらを重視するかという問題は、夫婦別姓で家族と個人のどちらを重視するかという問題と重なります。  山下大臣は、夫婦別姓を家族の在り方に関わると答弁されますが、山下大臣がお考えになる家族の在り方はどのようなものでしょうか、伺います。
  199. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) まず、私の答弁において家族という言葉を使っておりますが、これは、民法では家族という言葉は用いられておらず、その定義規定もないため、これ民法の観点ということではなくて、一般用語としての家族ということでございます。  今日の社会においては、事実婚を選択する方がおられるなど、一般用語としての家族の在り方というのは、様々、多様化しているというふうに私は考えております。その事実婚であっても、相互の親愛の情や信頼関係等がその基礎にあるものと考えているというところでございます。  そうした人的関係にあるものの、それをどこまで法律上、民法上の親族関係として捉えるのか。この親族関係というのは、当然に、権利でもあれば義務にもあるわけでございます。そうしたところを、どの法律をどのように取り扱うかということにつきましては、これらの国民の間にも様々な意見があると考えております。  そうしたことから、こういった家族の在り方という一般用語を用いましたが、そういったものも踏まえて、それをどこまで、民法という、家族法という、権利義務を伴う法律関係に投影するかということに関しましては、慎重に検討する必要があるというのが私の考えでございます。
  200. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 憲法十三条は、「すべて国民は、個人として尊重される。」と規定しています。家族単位で尊重されるわけではありません。  参考人から、子供は保護する客体ではなく権利の主体というお話がありました。子供であっても個人として尊重されるのは当然であります。  憲法十三条で個人の尊厳を規定した上で、両性の平等を十四条と二十四条で二重に規定しています。家族領域の平等が最も難しかったからこそ二十四条が規定されたのだと思います。  どのような家族であっても、家族の一人一人が個人として尊重され、平等に扱われるべきであり、家族を構成する一人一人の権利が制約されていいはずがありません。  国家と地域も同じです。原発の危険性を一部の地域が担わされる、あるいは一部の地域に危険な米軍の基地の負担が負わされる、担わされる、危険と隣り合わせの生活を強いられる。健康で文化的な最低限度の生活すら保障されないことが許されていいはずがありません。  私は、本委員会質疑で取り上げた無戸籍の実態調査や、裁判官の旧姓使用は、当初難しいと言われましたが、実現できたことに関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。  恐らく本日の委員会が参議院議員として私の最後の質問となるかもしれませんので、思いの一端を述べさせていただきながら質問させていただきました。  最後に、山下大臣に改めてお伺いしたいと思います。  本日も、実は院内集会で、各政党、とりわけ野党の皆さんが集まりまして、国際的に本当に一人一人の人権をしっかり守っていく、そういう状況の中にあって、やはり選択的夫婦別姓も含めて、これは選択的夫婦別姓でございます、そういう個人の自由を何とか実現をさせていきたいという集会がございました。その件も併せまして、私がこれまで伺ってまいりました選択的夫婦別姓、今後どのような形で法務大臣として解決をしていかれるか、進めていかれるか、一言お伺いしたいと思います。
  201. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) これにつきましては、累次述べさせていただいておりますように、今後も引き続き、国民各層の意見を幅広く聞かせていただいた上で、国会における議論の動向を注視しながら慎重に検討を対応してまいりたいということでございます。
  202. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 残念ながらなかなか前向きな御答弁はいただけませんでしたが、先ほど申し上げましたように、この委員会におきまして無戸籍の実態調査や裁判官の旧姓使用、本当に難しいと言われたことが実現をいたしましたこと、改めて、繰り返しになりますけれども、感謝を申し上げ、そして、家裁の調査官に関しても増員の要求も何度もしてまいりましたが、是非ともこのことも併せて実現していただけるように強く要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。     ─────────────
  203. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、片山さつき君が委員を辞任され、その補欠として小野田紀美君が選任されました。     ─────────────
  204. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  民法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  205. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十二分散会