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2019-05-09 第198回国会 参議院 法務委員会 11号 公式Web版

  1. 令和元年五月九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      青山 繁晴君     岡田 直樹君  五月八日     辞任         補欠選任      岡田 直樹君     藤木 眞也君  五月九日     辞任         補欠選任      片山さつき君     今井絵理子君      藤木 眞也君     岡田 直樹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         横山 信一君     理 事                 福岡 資麿君                 元榮太一郎君                 有田 芳生君                 伊藤 孝江君     委 員                 今井絵理子君                 岡田 直樹君                 徳茂 雅之君                 長谷川 岳君                 藤木 眞也君                 丸山 和也君                 柳本 卓治君                 山谷えり子君                 小川 敏夫君                 櫻井  充君                 石井 苗子君                 山口 和之君                 仁比 聡平君                 糸数 慶子君    国務大臣        法務大臣     山下 貴司君    副大臣        法務副大臣    平口  洋君    大臣政務官        法務大臣政務官  門山 宏哲君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   村田 斉志君        最高裁判所事務        総局民事局長   門田 友昌君        最高裁判所事務        総局家庭局長   手嶋あさみ君    事務局側        常任委員会専門        員        青木勢津子君    政府参考人        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  藤村 博之君        金融庁総合政策        局参事官     中村  修君        法務省民事局長  小野瀬 厚君        法務省刑事局長  小山 太士君        外務大臣官房審        議官       高橋 克彦君        文部科学大臣官        房審議官     丸山 洋司君        文部科学大臣官        房審議官     森  晃憲君        厚生労働大臣官        房審議官     田中 誠二君        厚生労働省子ど        も家庭局児童虐        待防止等総合対        策室長      藤原 朋子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側  面に関する条約の実施に関する法律の一部を改  正する法律案(内閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、青山繁晴君が委員を辞任され、その補欠として藤木眞也君が選任されました。     ─────────────
  3. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長小野瀬厚君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 自由民主党の徳茂雅之でございます。元号が平成から令和に変わりまして、トップバッターの質問ということで、横山委員長、理事の皆様には深く感謝申し上げます。  まず、前回の委員会におきましては、同僚の小野田議員から主に財産開示の制度についての質問ございましたので、今日は国内における子の引渡しについて中心に質問させていただきたいと思います。  前回の参考人質疑におきまして三名の参考人の方から、主に制度を審議する立場、それから学術研究の立場、それから元家裁の調査官として執行現場を預かる立場から、本当に今回の審議に当たっての有意義な示唆が得られたんじゃないかなと、このように思っております。  とりわけ、子供の引渡しにつきましては、動産と異なって、親と異なる人格を持っているということで、何より子供の立場、子の福祉、あるいは子の利益を第一に考えるということについては三名とも共通であったと、このように思っております。  今回の民事執行法の改正案がこのような趣旨に合致しているのかどうかについて確認させていただきたいと思いますが、その前に、今回の改正に至る経緯についてお尋ねしたいというふうに思っております。  現在の運用につきましては、民事執行法上の動産の引渡しに関する規定を類推適用しているということでございます。子の引渡しについて意思や感情のない動産の規定を類推適用せざるを得ないと、かなり無理があるというふうにも思えますけれども、その以前は人身保護法に基づく人身保護制度を活用されていたというふうに理解しております。  国内における子供の引渡しにつきまして、今回の改正に至るまでの経緯について法務省にお尋ねします。
  7. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  委員御指摘のとおり、これまでは国内の子の引渡しの直接的な強制執行に関しましては明文の規定は存在しませんでした。その理由といたしましては、子の引渡しを求める請求権の性質についての考え方が必ずしも明確ではなかった、そういうことから、間接強制のほかに直接的な強制執行の方法によることがそもそも許されるかどうかについて解釈が分かれていたということが挙げられます。また、委員御指摘のとおり、人身保護法に基づく人身保護手続が子の引渡しの事案に利用されるなど、実務の運用も確立していなかったことが挙げられます。  ただ、現在では、子の引渡しの強制執行は、委員御指摘のとおり、間接強制の方法のほか、動産の引渡しの強制執行に関する規定を類推適用して直接強制の方法によって行うとの運用が定着しているものと承知しております。  そして、国際的な子の返還の強制執行につきましては、平成二十五年に制定されましたハーグ条約実施法の中で規律が整備されたため、国内の規律を明確化する必要性が強く、より強く意識されるようになったということでございます。そのため、この法律案では、国内の子の引渡しの強制執行に関する規律を整備することにしているものでございます。
  8. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 ありがとうございます。  それでは、今回の改正が子の福祉、立場にかなうものになっているのかどうかの確認ということでさせていただきたいと思います。  今、民事局長からもお話がありましたとおり、現在の子の引渡しの執行方法については、民事執行法上に間接強制かあるいは直接強制かの規定はありません。現行のハーグ実施法につきましては間接強制が前置主義ということでございます。  それぞれにメリット、デメリットがあるというふうに思っていまして、間接強制については、ソフトである反面、その実効性については若干欠けるんじゃないかと。一方、直接強制については、実効性は高いものの、関係者、特に子供に対するいろんな面での影響、これが大きいというふうに思っております。  今回の改正につきまして、間接強制を原則としつつ、例外的に直接強制を認めるということにした理由についてお伺いします。
  9. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  民事執行法におきましては、ある請求権について複数の執行方法が認められている場合には、債権者がそのいずれかを自由に選択して申し立てることができることとされております。しかしながら、子の引渡しに関しましては、強制執行が子の心身に与える負担を最小限にとどめる観点から、できる限り、債務者に自発的に子の監護を解かせる間接強制の方法によることが望ましいと考えられます。このため、先に直接的な強制執行を選択することができるのは、その相応の必要性が認められる場合に限るべきであると考えられるわけでございます。  そこで、この法律案では、子の引渡しの直接的な強制執行の申立ては、間接強制があらかじめされていたとき、あるいは間接強制を実施しても債務者が子の監護を解く見込みがあるとは認められないとき、あるいは子の急迫の危険を防止するため直ちに強制執行をする必要があるときのいずれかに該当するときでなければすることができないとしているものでございます。
  10. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 ありがとうございます。まさに、子の立場を配慮した規定ということでございました。  それから、強制執行のときに債務者の存在が必要なのかどうかということにつきまして、これも現行ハーグ条約実施法におきましては、同時存在、これが条件とされています。債務者が同席する場合には、ある意味、強制執行の際に抵抗を受ける可能性もあります。一方で、親がいない、不在であれば、子供もその執行に際して不安を感じることもあろうかというふうに思っております。  今回の改正につきましては、債務者の同時存在、これは必要としておりませんけれども、一方で、債権者の出頭、これを原則としております。これについての理由についてお尋ねします。
  11. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  現在の実務では、委員御指摘のいわゆる同時存在ということを前提とした運用がされているものと承知しております。しかしながら、そういった運用の下で、債務者が子を祖父母に預けるなどして意図的に同時存在の状況を回避しようとする事案があるほか、債務者側が執行の現場で執行官による説得等に応じずに激しく抵抗するといった事案が少なからず存在しております。また、執行の現場で子供が債務者からどちらの親と生活したいか意見を述べるよう迫られるなど、同時存在の要件が子の心身に過度な負担を与えるような状況を生じさせているとの指摘がされているところでございます。  そこで、この法律案では、国内の子の引渡しの強制執行について同時存在の要件を不要とした上で、ただ、債務者が不在ということになりますと、子が執行の現場で不安を覚えるということがありますので、そういった不安を覚えることがないよう、原則として債権者本人の出頭を要件とすることとしているものでございます。
  12. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 ありがとうございます。今回の改正、この改正につきましても、子の立場を配慮したものだということでございます。  それから、百七十六条に新たに執行裁判所と執行官の責務の配慮規定が設けられました。子の引渡しを実現するに当たっては、子の年齢及び発達の程度その他の事情を踏まえ、できる限り、当該強制執行が子の心身に有害な影響を及ぼさないよう配慮しなければならないという規定でございます。  これまでも執行実務におきましては、執行官はそれぞれの場面場面に応じて、子供への配慮、これしっかりとやってこられたというふうに理解しておりますが、今回このような本条が追加されたことは極めて大きな前進だろうというふうに思っております。この規定が単に精神規定にとどまることではなくて、執行現場における具体的な方針、指針となることが期待されるというふうに思っております。  そこで、この配慮規定について、具体的に例えばどのような事情を配慮していくのかということについてお尋ねしたいと思います。
  13. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  この法律案におきましては、これまでの執行実務において行われてきた子の心身の負担に配慮した様々な工夫やそれを実現するための執行官と執行補助者等との適切な連携に向けた工夫といった運用を一層促す趣旨で、子の心身の負担への配慮を求める規定が設けられております。  その具体的な配慮の内容につきましては、これは個別の事案に応じた運用に委ねられるところではございますけれども、法制審議会における議論を踏まえますれば、例えば、執行を実施するための事前の打合せにおいて、児童心理の専門家を執行補助者として立ち会わせることの要否を吟味すること、また、実際に児童心理の専門家を立ち会わせるとして、執行官、専門家の役割分担、子への声掛けの順序、子を安心させるための話題、現場にいる債務者への説得事項や方法等について綿密な打合せを行うこと、あるいは執行現場において、子の心理状態をよく見極めながら、債権者側と債務者や子とを対面させるタイミングに意を払うこと、また、執行官が債務者に対する説得を行っている際には、児童心理の専門家が子の相手をするなど、臨機応変に対応しつつ、子の心理の平穏を保つための工夫を行うことなどが考えられるところでございます。
  14. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 ありがとうございます。  今回の改正案は、今申し上げたもののほかに、例えば子に急迫した危険がある場合について、債務者に対する審尋義務、これを外している規定でありますとか、あるいは執行官が子に対して威力を行使してはいけないといった、いろんな子の立場、子の福祉、子の利益に配慮した規定が盛り込まれているというふうに理解しております。そういう面では、今回の改正案は全体として子供の立場に十分配慮したものになっているというふうに理解をしております。  こういった法制度面での整備、これは極めて大切でありますけれども、子供の引渡しに際してやはり重要なのはその執行の実務だろうと、このように思っております。いかに良い制度をつくっても、実務、現場が伴っていなければ、それはまさに絵に描いた餅でありまして、最終的に元々の審判あるいは裁判制度についてもその信頼に関わってくる可能性もあるかというふうに思っています。  執行実務につきましては、まずはその執行体制をしっかり整備すること、これが重要だと思います。さらには、今民事局長から御説明ありましたとおり、執行に当たっての事前準備、これを用意周到に行うと、最終的には円滑な執行を行うという、このプロセスが重要だろうと、このように思っております。  執行体制の整備の面につきましては、現在の執行官の人数が、これ、不動産執行が随分減ってきていることに伴いまして、平成二十一年、これ五百四十六名おられたようでありますが、平成三十年には三百十八名ということで、約六割程度に減ってきております。  また、具体的なこの執行を行うケース、これは年間大体百件程度ということで、必ずしも多くないということでありまして、まさに執行官一人一人の執行に当たるレベルアップを図っていくことが重要だろうというふうに思います。前回の質疑の際にも、政府の方からはその研修をしっかり行っていくというような答弁がありましたけれども、この点につきましては引き続きレベルアップを図っていただきたいというふうに思っております。  それから、参考人質疑の場面におきまして、家裁の元調査官の方からお話をいただきました。特に、具体的な執行に当たっては、執行関係者による事前のミーティングを行う、あるいはその執行現場を想定したシミュレーション、こういったものをしっかり行う、ある意味事前準備を用意周到に行うことが重要であるということでございます。  特に、家庭裁判所においてその案件を担当した調査官、これの債務者、債権者、この関係でありますとか現在の置かれた状況、あるいはなぜ債務者が子供を引き渡さないかといった理由、こういったことについてはしっかり把握されているというふうに思っております。そういう面では、調査官の作成した調書の活用、あるいは先ほどありました事前ミーティングで調査官にも同席してもらうなど、積極的な関与が私は大切だと、このように思っております。  そこで、執行前のミーティングの実施状況、事前準備の状況、それとともに家庭裁判所の調査官の関わり状況について、これは最高裁にお尋ねしたいと思います。
  15. 門田友昌

    ○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。  執行官は、子の引渡しの強制執行の事前準備としまして、まず、債権者から本案事件における家庭裁判所調査官の調査報告書を含みます記録の写し等の提供を受けるなどして資料を収集しているものと承知しております。  また、いわゆるハーグ条約実施法に基づく子の解放実施に関する最高裁判所規則の規定に準じまして執行官と家庭裁判所との事前ミーティングを行っておりまして、その際には、家庭裁判所調査官も参加して、債務者や子の性格、その生活状況等、執行に当たって特に留意すべき事項について情報提供するなどしていることが多いものと承知しております。  本法案成立後におきましても、引き続きこのような運営がされるものと考えております。
  16. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 ありがとうございます。  それから、具体的には、執行現場におきましてはいろんな関係者、当事者がいらっしゃいます。まずは、当事者としては子供、債権者、債務者、それから債権者の代理人でありますとか債務者の親族、それから立会人、執行補助者、それから警察官と、多くの方がその執行現場に立ち会うということになります。  先ほど民事局長からもお話ありましたとおり、例えば子供の立場を考えた場合に、子供の心理や感情をよく熟知しておられる臨床心理士や児童心理の専門家のアドバイス、こういった方が執行補助者として活用されることが大切だと思います。  それとともに、民事執行法、現行の執行法の六条には、警察官の援助を得ることができるというふうな規定があります。いろんな場面で警察官の援助を受けることがいいのかどうかということはあろうかと思いますけれども、例えば警察官の制服を見れば抵抗している債務者の方も諦めることもあろうかと思いますし、逆に頑強に抵抗される際に、執行官の皆さんも警察官が後ろに控えておられれば安心して引渡しの執行もできるんじゃないかなと、このようにも思えます。  そういう面で、執行現場における臨床心理士等の執行補助者の活用、あるいは警察上の援助の活用についてどうなっているのかということについてお伺いしたいと思います。
  17. 門田友昌

    ○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。  まず、臨床心理士等の子の心理の専門家の執行補助者としての活用状況ですけれども、平成二十九年におきましては既済件数百七件のうち五十七件で、平成三十年におきましては既済件数八十三件のうち三十七件で、子の心理の専門家が執行補助者として関与しております。  次に、警察に対する援助の請求につきましては、統計がございませんで具体的な件数までは把握しておりませんけれども、個別具体的な事案におきまして、例えば事前の情報収集の結果、債務者から強度の抵抗が予想されるような場合には、あらかじめ警察に対して援助の請求をしているものと承知しております。
  18. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 ありがとうございます。  本当に、幼児の場合は不要かもしれませんけれども、子供の心理に配慮した対応を是非ともお願いしたいと思います。  いかに用意周到に準備を行って現場に臨んだとしても、最終的には債務者の抵抗によって執行できないケースもあろうかと思います。こういった場合に、その後の対応をどのようにされているのかということについてお尋ねしたいと思います。
  19. 門田友昌

    ○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) 債務者の抵抗等によりまして子の引渡しの強制執行が不能となった後にどのように対応されるのかにつきましては、債権者において検討されるということになりますので、裁判所として必ずしも正確な実情を把握しているわけではございません。  なお、そのような場合に裁判所が関わる手続としましては、債権者から裁判所に対し人身保護の請求がされることがございます。そして、この手続を通じて、子の引渡しが実現する例もあると承知しております。
  20. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 できる限り本来の債権者に子を引渡しできるような取組をお願いしたいというふうに思います。  今回の法改正につきまして、経過措置についてお尋ねしたいというふうに思います。  新制度の適用については、附則の第四条によって、本法施行日以前の申立て事件には適用されないということになっております。本法改正の施行日は政令で別途定める日ということでございますので、引渡しの申立て日が本法施行日の前後によって結果的に法律効果が異なってくるんじゃないかなというふうに思っております。そういう面では、本法の施行日の周知が極めて重要だというふうに思っておりますけれども、どのように取り組まれるのか、お尋ねします。
  21. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  御指摘のとおり、この法律案では、子の引渡しの強制執行に関する規定につきましては、この法律案が成立し施行された後に申し立てられた事件に適用することとしておりまして、施行前に申し立てられた事件についてはこれらの規定を適用しないこととしております。  この法律案では、国内の子の引渡しの直接的な強制執行について、執行の場所で子が債務者とともにいること、いわゆる同時存在と言われているものですが、同時存在の要件を不要とするなど、現在の運用とは異なる規律を採用することとしておりますことから、この法律案が成立した際には、その施行までの間に、関係機関とも連携してその趣旨を含め新たな規律の内容を適切に周知するなど、必要な環境整備に努めてまいりたいと考えております。  具体的には、例えば法務省のホームページにおきまして改正法の内容等を紹介するほか、最高裁判所ですとか日弁連と連携して、必要に応じて裁判所職員や弁護士会に対する説明会の実施、あるいはパンフレットの配布を行うなどして、その趣旨を含めて新たな規律の内容について適切に周知を図ってまいりたいと考えております。
  22. 徳茂雅之

    ○徳茂雅之君 ありがとうございます。  今回の改正につきましては、まさに引き渡される子の立場に立った制度改正になっているということでありますので、是非とも執行実務におきましても円滑な執行ができるようなお取組をお願いします。  以上で質問の方は終わります。
  23. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 立憲民主党の小川敏夫です。  まず初めに、財産開示手続がかなり強化されたということで、それに関連してお尋ねするんですけれども、債務者は陳述しなければならない、自分の財産を明らかにしなければならないと、それを拒絶すれば刑事処罰に処せられるということで、強制的に財産状況を開示させられるわけでありますけれども、この開示させられた情報というのは本来プライバシーに属する、あるいは個人の情報で、自分の意思に反して漏えいされる、公表されるということはあってはならないわけでありますけれども、この情報漏えい、つまり債権者が入手した債務者の財産状況というこの情報の漏えいの防止策が何一つ従前と変わっていない、非常にアンバランスというか、債務者の保護に欠けているんではないかというふうに思うわけであります。すなわち、過料、過ち料ですね、刑罰ではなくて過ち料が三十万円というのがこれまでの規定でしたけれども、これが全く変わっていない。  言わば、債務者は法律上もう刑罰をもって自分の財産状況を明らかにしなければならないのに、そして債権者に知らせた情報が他に流布されるということのリスクを防止しなければならない、その点が非常に不十分だと思うんですが、大臣はそういうふうには思っていただけませんでしょうか。
  24. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) まず、財産開示手続につきましては、小川委員御指摘のとおり、債務者にそのプライバシーや営業秘密に属する事項を開示させるものであるため、この手続を行う必要性が高い場合に限り手続を実施するのが相当であると私どもも考えておるところでございます。  その前提として、そのため民事執行法においては、財産開示手続を実施するには、知れている財産に対する強制執行を実施しても、請求債権の完全な弁済が得られないことの疎明等が要求されておりますし、再実施の制限として、民事執行法において、財産開示手続の実施に伴う債務者の負担をできる限り少なくする観点から、過去三年以内に財産開示期日においてその財産について陳述をした債務者については、原則として財産開示手続を実施することができないこととされているところでございます。  さらに、その他の規律として、民事執行法において、財産開示手続の実施決定に対しては執行抗告が認められており、債務者が陳述義務の一部免除を求める仕組みも設けられているところでございます。  こういった形で債務者の保護というのが図られているということを前提にして、委員御指摘の目的外の、この入手した情報の目的外利用についてのお尋ねというふうに解しましたので、それについて防止策を講じるべきではないかという点に関しましては、この財産開示手続が創設された際に悪質な貸金業者が執行証書を悪用して不当な取立てを行っているという指摘がございましたが、これは、平成十八年の貸金業法改正によって執行証書の作成に関する委任状を取得することが全面的に禁止されて、執行証書の悪用事例が大きく減少したというところがございます。また、そうした濫用防止ということも一方では取られているというところでございます。  また、目的外の濫用につきましては、今般は、そういった目的外の濫用について処罰すべきだというふうな指摘について、これは債務者の不出頭をしっかりと対応しなければならないということで今回の改正があるわけでございますけれども、この目的外利用についてはそのような指摘は特に見当たらなかったということでございます。  ただ、本法案が成立し施行された場合には、御指摘も踏まえて、債権者による情報の目的外利用の有無等についても注視をしてまいりたいと考えております。
  25. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 大変多岐にわたる答弁をされたので、一つ一つ反論したいんだけれども、それやると午前中全部時間使っちゃうような気がしますので、ですから、私は大臣の答弁に納得したんじゃないということをまず言いますけど、私が指摘しないから納得したんじゃないということは御理解いただきたいんですけれども。  私が質問した情報漏えいの防止ということに関しては、最後の方で、最後の十五秒ぐらいでよかったんですけれども、これまでそういうような弊害が生じていないということが一つのお話でした。  ただ、それは、これまでこの財産手続制度そのものが余り実効性がないので利用されていなかったと。制度そのものが利用されていないんだから、まして、強制的に全てを明らかにするというところも、単なる過料で済むわけですから、そんなに真実を述べなきゃならないという強制もなかったというような状況があるので、つまり、制度が機能していなかった、実際の数が少ないからそういう漏えいの問題が起きなかったというだけでありまして、今度はこの財産開示制度が非常に強化されて刑罰をもって開示しなければならないということになりますので、私は、飛躍的に数が増える、とりわけ債権の買取り、取立て業者などが、それが仕事ですから、どんどん事務的にやってくるのではないかというふうに思いますし、あるいは金融業者、あるいは金融業者じゃないただのお金を貸している人だってあるわけでありまして、様々な人間が利用する、飛躍的に増えますので、これまではなかったというだけでは理由にならないというふうに思います。  それから、るる大臣述べて、制度が限定的だとかいろんなことがありましたけど、そういう要件に乗って債権者が手順を踏めば財産開示制度が利用できるわけで、それで出た情報を漏らしてもらっては困るということについて不十分じゃないかというふうに質問しただけでありまして、端的に言えば、過料三十万円というようなこれまでの規定を、それを全く変えていないわけで、この陳述拒否あるいは虚偽陳述に関しては、これまで過料三十万円だったのを懲役六月と刑事罰に、をして陳述を強制するということになった。やっぱりそれに見合って、債権者が入手した情報を不正に流布する、利用するということについては刑事罰をもって臨むべきではなかったか。  例えば、情報が明らかに流布されたけれども、それは世の中には、自分が、債権者自身が流布したんだということが分かるような方法で流布するようなどじもいるでしょうけれども、しかし、大体はこっそり週刊誌に売ったりとか、あるいは関係する業界に売ったりとかして、流布したことが明らかだと思うんだけれども、しかしなかなか調べようがないということがあります。これ、過料は刑事罰じゃありませんから警察の捜査権は及ばないんです。もしここで刑事罰というものがあれば、これは被害を警察に申告してその捜査を依頼することができる。  そういう意味で、私は、これだけ債権者の地位を強くして、債務者に強制的に、刑罰をもって強制的に財産状況を明らかにさせるということであれば、やはり債権者に対して、入手した情報を不正に利用する、不正に流布すればそれは刑罰をもって処せられるんだというぐらいのバランスの取れた規定が必要だったと思うんですが、法務大臣、どうでしょう、債権者に対して、こうした刑罰をもって臨むということも含めて、厳しく臨む方向で検討していただけませんでしょうか。
  26. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  財産開示手続について、この不開示について罰則を導入したのは、この運用状況で債務者の不出頭が少なからず生じているということでございます。  ただ、目的外につきましては、委員御指摘のとおり、確かに財産開示自体の件数が少ないわけでございますけれども、そのような指摘が、特にその罰則を強化すべきというような指摘が特に見当たらないということを踏まえたものでございます。  先ほど大臣からの答弁がありましたけれども、今後、財産開示の件数というものが増加していくということは見込まれるところでございますので、本法律案が成立し施行された場合には、御指摘の点も踏まえて、債権者による情報の目的外利用の有無等についても注視してまいりたいと考えております。
  27. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 率直な感想を言いますと、この改正もそうだし、これに先立つ民法の改正、消滅時効が全部一律五年になって非常に債権管理会社は債権の管理がしやすくなったとか、成人年齢が十八歳になって学生が保護されないとか、何かその、金貸し業者とかそういう業者にばっかり、都合がいいようにばっかりこの法律が改正されて、本来のその生活する人を守るという観点の理念が非常に欠如した方向で流れているんじゃないかというふうに思うわけであります。バランスが欠けているんじゃないかと。  私は、そうした観点で、この情報漏えいの防止ということについて全く不十分であるということでありますので、その点について重ねてこれからの運用をしっかり注視して、そうした情報漏えいということがなされないような対策を講じていただきたいというふうに思います。  それで、その債務者には、まさに出頭拒否あるいは陳述を拒否すると懲役六月という刑罰が科せられております。条文を読みますと、正当な理由があればそれは処罰されないということなんですけれども、何が正当な理由なのか分からない。これ、犯罪の構成要件として非常に不明確で、私は、この規定の仕方として欠陥があるんじゃないか、少なくとも、例えば例示があって、こういう場合、こういう場合等の正当な理由がある場合を除きというぐらいの規定をしなくちゃいけないと思うんですが、正当な理由がなければ処罰される。じゃ、陳述の拒否に関して正当な理由がある、陳述の拒否をできる正当な理由というのは具体的には何なんですか。
  28. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  正当な理由でございますけれども、例えば、本当に健康を害していてその期日に出頭することができなかったといったようなことが例えば具体的には考えられるところでございますが……(発言する者あり)あっ、失礼しました。  陳述の拒絶の正当な理由でございますけれども、この正当な理由の点につきましては、例えば有罪判決を受けるおそれがあることを理由としてその財産に関する陳述を拒絶したというような場合、これはその正当な理由の有無の判断の中でこの点が考慮され得ることにはなるものと考えております。
  29. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 刑事訴訟法では、被疑者、被告人は自己に不利益なことは陳述しなくていいということが明文の規定で定められておるわけであります。この財産を公にすることが直ちに犯罪を明らかにする、あるいは犯罪があるという疑いを招いてしまう、誤って捜査、起訴がされてしまうというような場合もあり得るわけであります。例えば、非常に価値がある絵画を持っているけれども、その絵画が盗難品であったという場合には、それを公にすれば直ちに疑われるわけであります。  あるいはまた、全然その黙秘権じゃなくて、職務上の守秘義務があるような場合がある。例えば、弁護士が、ある依頼者から何らかの問題を解決して、ただ報酬をまだもらっていないんで報酬債権があるという場合に、しかし依頼者の方は、弁護士に依頼したこと自体がそもそもその人の名誉に関わるような場合もあり得るわけであります。  大変、大臣のような高潔な政治家が、何か小川弁護士に、何か弁護士依頼したなんということが分かれば、それは評価も下がるでしょうし、トラブルとは無縁であるかのような芸能人が、実はまた弁護士に何か相談したなんということが公になれば、それはそれでその評価が下がるわけでありまして。ですから、弁護士が債務者になって云々というのは余りないかもしれないけど、理屈の上で考えれば、そうした守秘義務に関わる財産、債権ですね、報酬債権、その結果、弁護士から見ての報酬債権の債務者、つまり弁護士に事務を依頼した債務者のプライバシーが公にされてしまうというようなケース、つまり職務上の守秘義務がある場合があると。  この財産開示制度で呼び出された債務者が、そうした職務上の守秘義務を持っている、その守秘義務に関わる債権について、もうこれは当然正当な事由に、陳述を拒否する正当な理由には入るんでしょうね。
  30. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  今御指摘のその職務上の秘密といったような要素も正当な理由の有無の判断の中で考慮され得ることとなるとは考えられますが、あくまでもその犯罪の成否につきましては、個別の事案における事実と証拠に基づいて判断されるべき事項でございますので、なかなか一概にお答えすることは困難であると考えられます。
  31. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 いやいや、それは個別の事案って一概に答えられると困るんですけど、これ。刑罰ですからね。罪刑法定主義で、どういう場合が犯罪になるんで、どういう場合が犯罪にならないんじゃ、はっきり基準がないと困るじゃないですか。債務者が行って、どういう基準で陳述を拒否できるのか分からなかったら拒否できない。あるいは、誤って拒否して犯罪に処せられちゃったりするということで。  ですから、これは犯罪ですから、陳述拒否権が。ですから、陳述を拒否できる正当な場合と書いてあるんだけど、何をもって正当かということが分からないから、私はこの罪刑法定主義の観点からいって非常に問題があるということを指摘したわけであります。  本来ならこういう法律は撤回するか修正しなくちゃいけないんだけど、もし万が一、今日採決されちゃうようでしたら、法案成立後も、あるいは施行後も、そうした正当事由の解釈について紛議が起こるような、あるいは債務者の権利が侵害されるようなことにならないような方策なり対策、あるいは指針を明確にしていただきたいと思いますが、そのお考えは大臣、いかがでしょう。
  32. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) お答えいたします。  まず、罪刑法定主義の観点からということで、正当な理由ということについて、こういった構成要件については、例えば刑法に言う住居侵入罪等見られるところでありまして、今回のこの財産開示手続に関する陳述拒否については、直ちに構成要件の明確性に反するというものではないということを考えております。  他方で、この正当事由の判断というのは、やはり様々な要素を考慮した個別判断ということになりますので、そういったことについて一定のガイドラインが可能かどうかということも含めて、運用をしっかり見させていただいて、検討してまいりたいというふうに考えております。
  33. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 私は、憲法の規定の趣旨からいって、犯罪に関わることを明らかにするということ、あるいは犯罪ということの嫌疑を招くようなことは、憲法上当然に拒否できると思うんですがね。あるいは、法律上守秘義務が認められているような場合は当然含まれると思うんですけれども、やはりそういうことは明確にする必要があると思いますので、その明確化についての対応をよろしくお願いいたします。  次に行きますけど、不動産競売において暴力団は買受けできないと、何か気持ちとしては、そんなけしからぬ、暴力団が競売で買った不動産物件をそこで事務所にして付近住民を困らせている、困るじゃないかという、そんな何か気持ち的には分かるような部分もあるんだけれども、ただ法律としてそれがふさわしいのかどうか。基本的なことを聞きますけれども、普通の人が暴力団員に不動産を売却することは何の制約もないですよね。
  34. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  法律上の規制というものはないと承知しております。
  35. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だから、この競売というのも、別に国有財産を売るんじゃないんですよ。普通の人が持っているけど、借金返せないから、あるいは担保に供しちゃったから売るわけで。だから、例えばこの競売物件の所有者、これ競売じゃなくて、競売手続を離れて、所有者として暴力団員に売ることは別に何の規制もされていない、合法なんですよ。何にも禁止されていない。  だから、本来、売ることが禁止されていない自由にできるものを、ただ競売という手続を取る場合にだけ買ってはいけないというのはどうも据わりが悪いなと思うんですけれどもね。何で、普通なら売れるものを競売の場合にはそれは売買はいかぬと、こういうふうな規制がされるんでしょうか、必要なんでしょうか。
  36. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  先ほど法律上の規制はないというふうに申し上げましたけれども、ただ、企業活動、民間の取引におきましても、暴力団を排除する取組というものが非常に今行われているところでございまして、民間の不動産取引の分野におきましても暴力団排除の措置が講じられるようになってきたものと承知しております。  この法律案は、そういった民間における暴力団排除の取組と相まって、暴力団への不動産の供給源を断つことに寄与するということで市民生活の平穏の確保につながるものと考えております。
  37. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 私は、暴力団を排除することはけしからぬと言っているんじゃないんですけどね。ただ、一個人が、例えば私が借金払えないで不動産を競売に掛けられちゃったと、でも、私自身は一人の人間として、暴力団員であっても不動産を売却することは別に何にも法律上禁止されていないので。だけど、それが差押えされて、あるいは担保権の実行で競売になっちゃったら、暴力団に買えない、暴力団は買っちゃいけないというのは、どうも本来的に自由な部分をそこだけ禁止するというのが法律の規定としてどれだけ合理性があるのかなと。別に、暴力団を私守ろうというんじゃないんですけど、それは排除しなくちゃいけないけれども、排除の仕方としてどうも据わりが悪いなというのが実感です。  それからもう一つは、そもそも実効性があるのかなというふうに思います。  それで、実効性があるかないかの議論の前に、今度の法律の規定は非常に普通の競売手続に参加する人に迷惑なんですよね。つまり、第一順位の競落人が決まったと、そうしたら全部その競落人が暴力団員かどうかを警察に照会状を出して、回答が来て、それでそれから許可決定するわけです。だから、文書を作って、警察に送って、警察が調べて、警察がその文書を回答して裁判所に送るというので、私は、早くたって一週間、もしかしたら二週間ぐらいは掛かると思うんですよね。  だから、今度の手続を導入したことによって、その競落の許可決定が今の手続よりも全部、当然一週間、二週間遅くなってしまうわけで、この法律によると、明らかに暴力団じゃないことが分かっているという場合はいいと言うけれども、そうじゃない、例えば私が買ったら、私が暴力団員かどうか分からないから調べなくちゃいけないというわけで、一般の人は駄目なわけで。  ですから、基本的に、裁判所はそういう事務をしなくちゃいけないし、警察もその事務をしなくちゃいけないし、それから、競売手続は今の手続よりも一週間も二週間も決定が先送りされてしまう、当然に。それだけのことをやる上において、本当に実効性があるのかなということを議論したいんですけれどもね。  例えば、この法律では暴力団員に該当するかどうかは調査しろということになっていて、それは案外回答は早いと思うんですよね、警察はその資料をもう既に持っているわけだから。ところが、もう一つなのは、この入札者の買受人自身は暴力団員じゃないんだけれども、実はその買受けの計算が暴力団員だと。つまり、暴力団員に頼まれて、名義貸しだとかそういうのを想定しているんでしょうけれども、これは調査したってすぐには分からないですよ。だって、私が暴力団員に頼まれて競売に参加した、札を入れたとしますよね。私自身が暴力団員じゃないんだから、警察が調べたってすぐには回答できない。じゃ、私が暴力団員に頼まれたかどうかということは、調べるといったらそれ調べられるかどうか。あるいは、調べるための日数って物すごい掛かる。その間、競落許可決定出ないんですよね。だから、ひどく遅延するんじゃないかと思う。  それでもう一つ、余り長々としゃべって聞くと何答えていいか分からないからあれですけど、端的にお尋ねしますけれども、暴力団員の計算で暴力団員じゃない人が買受人になったという場合は、どういう調査を誰が行うんですか。
  38. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  この第三者の計算において不動産の買受けの申出をする場合でございますが、これは裁判所の運用に委ねられるところではございますけれども、資金提供者の有無やその氏名等について、まずは執行裁判所が買受けの申出をしようとする者から確認すると、こういったような運用が考えられるところでございます。したがいまして、そういったような確認の結果この資金提供者というものを把握した場合には、その者について警察の方に照会を掛けていくということが考えられるわけでございます。  もちろん、その計算においてということにつきましては、暴力団員の計算において申出をする者ではないということを事前に陳述した上で入札をするわけでございますので、それが虚偽であったということになりますればそれは刑罰が科せられるわけでございますので、そういったその刑罰による抑止的な効果というものも期待できるものと考えております。
  39. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だから、暴力団に頼まれて名義を貸していると、その人間が初めから、実は私は名前は書きましたけど暴力団員に頼まれて暴力団員のお金で今回入札に参加しますって書いてきた人は分かりますよ。だけど、そうみんなが書いてくるわけじゃないじゃないですか、あんな悪いことするんだから。だから、書いてこなかった人、でも、それが本当は自分のお金なのか暴力団員の計算のためにやっているのか、暴力団員のためにやっていますということを書いてきたというまれなケースはすぐ分かるけど、そうじゃなくてそういうことを全く隠してきた、書いてきた人について、それをどうやって調べてそれを判定するんでしょうか。その調査する責任を持っているのは誰で、そしてそれを判定する人は誰なんでしょうか。
  40. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  最終的に判断するのは裁判所でございまして、その裁判所の判断におきましては、警察からの回答のほかに、例えば債務者を審尋するですとか、あるいは現場の当該不動産の状況というようなものを勘案して判断するということもあり得ようかと思います。ただ、もしそういったものが仮に虚偽だったという場合には、先ほど申し上げましたとおり刑罰が事後的に判明した場合には掛かるわけでございますので、そういった刑罰の抑止力といったものが一つは考えられるところでございます。
  41. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 いや、だから、調査するといったって、どれだけ時間が掛かるかって想像が付かないんですよね。だから、私が暴力団員に頼まれて、それでそのことを隠して札を入れたと、それを調べる、調べようがないんじゃないですか。で、それの調べが付いて結論が出るまでの時間、その許可決定が棚上げになるんですよね。全くこの事務が混乱する。いや、うそついたり何かしたら刑罰に処せられると言うけど、元々暴力団員ってそんな犯罪なんていうのもやっていても、うそついてずっとやっている人なんじゃないですか。そういう人たちに対して余り効果がないと思うんですがね。だから、私は、元々この法律の規定そのものに、元々民間人同士で自由にできるものをこの競売だけ禁止するということで、どうも根本的に釈然としないんですが。  それからもう一つは、結局実効性がないんですよ。例えば、実効性がないものとして、この法律では暴力団員がいかぬと、それから暴力団員が会社の役員になっているものの会社はいかぬと言っておるわけで。だけど、暴力団員が会社の役員になっていないけれども、会社そのものが、株主、支配株主が暴力団員だった場合、これは要件に入ってこないわけですよね。  あるいは、暴力団員の計算とは言えない、例えば不動産屋さんが買ってくると。で、不動産屋さんが暴力団員に売ればもうける。まあ不動産屋さんじゃなくても誰でもいいですよ、誰かが、これを買ってくれば、暴力団員に売れば金もうけできると思って、その人の計算で買ってくると、ただ暴力団員に売って金もうけしようというだけだというような場合には、暴力団員の計算とはなかなか言えないと。  だから、最近は暴力団員も大変そこら辺は法律も研究をされているでしょうし、何か優秀な顧問弁護士も持っているというようなことですから、私ぐらいが思い付くようなことは簡単に思い付くと思うんですよ。すなわち、暴力団員が直接買っちゃいけない、暴力団員の計算の人間は買っちゃいけない、暴力団員が役員をしている会社は買っちゃいけないといっても、それを逃れる買い方は幾らでも考えられるんですよね。だから実効性がない。  その上、競売手続について裁判所は事務量が増えるし、それから競落の許可決定に日にちを要するということで一般の競売参加者が不利益を被るという、全く法律の在り方として非常に検討が足らない。何か暴力団員に、買っちゃいけないから、そうだそうだと何か群衆が集団心理で作ったような法律で、非常に吟味が足らないというふうに私は思うんですけれども、質問としては、大臣としてはそういうふうに、私のこの思いについてそういうふうには思っていただけませんでしょうか。
  42. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) まず、御質問を大きく二つに分けてお答えいたしますと、まず、民間取引、民間の不動産取引で認められるのに今回暴力団を排除するのはどうかというふうな御指摘に対しましては、これは先ほど局長も答弁させていただいたとおり、近年、公共事業や企業活動等から暴力団を排除する取組が官民を挙げて行われていると。民間の不動産取引の分野においても暴力団排除の措置が講じられるようになってきたということもございますし、例えば、平成二十三年十月までに全ての都道府県において暴力団排除条例が施行されておりまして、暴力団員に対する利益供与の禁止や取引の相手方が暴力団員でないことを確認する努力義務等が設けられているというところがございます。  そして、さらに、警察庁が平成二十九年に行った調査によると、全国にある千七百か所の暴力団事務所のうち不動産競売手続で売却された経歴のある不動産が利用されている件数がその一一・八%を占める二百件に上るということも踏まえて、今回において暴力団の買受けということを防止する必要があるのではないかということで規定を設けたところでございます。  そして、二段目の実効性につきましては、これは、その陳述の内容として暴力団員でないこと、あるいは暴力団員等の計算において行うものでないことということについて陳述をさせるということと、この、今回、法案の中で、調査嘱託ということで都道府県警察に迅速に調査をさせると、そしてその結果を踏まえて対応するというふうな規定を設けているところでございまして、この規定の迅速な運用も期待しているところでございます。  そういったところも踏まえて、この実効性についてしっかり確保しながら運用されていることを私ども法務省としても期待しているところでございます。
  43. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 まあ押し問答してもしようがありませんけど、私は別に暴力団を守るために言っているんじゃなくて、実効性がないようなことで裁判所の事務が増えて、警察の事務が増えて、なおかつ競売手続に参加する人が不利益を被るという視点から、こんな実効性がないことで何でこんなことを、法律を作ったんだという観点から指摘させていただいたわけで、決して私は暴力団の擁護者じゃありませんから。  ただ、暴力団の擁護者じゃないんだけど、この法律は、暴力団員をやめた人についても規定していますよね、五年間は同じに扱うと。これ、どうでしょう。それは、やめたふりをするのもいるからもういろいろ問題かもしれないけれども、暴力団をやめた人を排除するのは、逆にその暴力団員が更生することの妨げになるんじゃないでしょうか。
  44. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  この法律案では、確かに、現に暴力団員であるほかに元暴力団員といった者の買受けも制限しておりますけれども、これは、現在の実態として、やはり暴力団の事務所等で元暴力団員が買受人になったというふうなことがあると、こういう指摘を踏まえたものでございます。なかなかそういったものを規制いたしませんと、やはり元暴力団を使って買受けといったようなことができてしまうということを踏まえたものでございます。
  45. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 暴力団の組事務所の一一%が競売であると言うけど、八九%は競売じゃなくて普通に購入できているわけですよね。それから、暴力団の元組員が買ったケースもあるというけど、まあそういうケースもあるでしょうけど、だからといって一律にやめた人も競売に参加できないと。例えば、事務所じゃなくて住居も競落できないわけですよね。  しかも、五年間というのは何か長過ぎるんで、私は、そうした、暴力団員は許せないけど、暴力団員をやめた勇気ある更生者の更生を妨げるんじゃないかというふうに思いますので、そこら辺の運用についても適正にしていただきたいし、暴力団をやめた、本当にやめた人をこうして五年間も差別するというのは、私は、逆に憲法上の合理性がない差別だと、これ国の事務ですから、民間の事務じゃなくて、国が、裁判所が行う事務ですから、むしろそちらの方の問題が生じてくるんじゃないかということを指摘させていただきます。  もう議論は言い合っても尽きませんので、また次の質問に行きますけれども。  第三者からの情報取得手続、これは執行法ですから執行関係に入っての場合でしょうけれども、私、一つの法律の立法論として、この第三者からの情報取得というものを設けた方がいいんではないかというのがあると思うんですね。  具体的に言わせていただきますと、例えば財産分与、離婚した夫婦の財産分与請求権、これが、財産分与というものが話合いが決まって、具体的に一方が他方に金幾ら払うというふうに債権が確定して、その債権が執行ということで確定していればこの手続に乗れるんでしょうけれども、今実際に財産分与の現場において起きている問題の多くは、離婚したけど相手の財産が把握できない。多くは、離婚した側の妻が夫に対して財産分与を請求したいんだけれども、夫が持っている預金とか株とか何か、夫が持っている財産を隠しちゃって、財産分与を請求できる立場にあるんだけど、実際には財産が発見できないんで財産分与権を行使できないという場面が私はよくあるように思うんですね。  ですから、やはり財産分与というのは正当な権利でありますし、夫婦間ですから、夫婦という特別な身分関係に基づくんであって、余り濫用されるおそれもないと思うんですけれども、しかし一方、本来正当に請求できるはずの財産分与請求権が、他方の配偶者が隠している、夫だけが隠すんじゃなくて、妻が多額なへそくりで、妻の方が多額な資産があって、夫が元妻に対して請求できるケースも世の中にはあるでしょうけどね。いずれにしろ、財産分与が、離婚した相手方配偶者、元配偶者の財産が把握できないということで、財産分与請求が事実上行使できないというケースが私は日常よくあるケースだというふうに思うんです。  それで、どうでしょうかね、この第三者からの情報取得手続ということで、銀行預金とか不動産とか、これは照会すればすぐそれが回答できるというシステムができるわけですから。であれば、新たな立法政策として、やはり財産分与請求権を行使するその前提段階として、離婚した元配偶者の財産についてこの情報を取得するということを認めるようなことを考えたら私はかなり有意義だと思うんですが、そうした方向で是非検討していただきたいと思うんですが、これはいかがでしょうか。
  46. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) お答えいたします。  これはあれですよね、債務名義を得る前の段階ということでございますね。債務名義を見れば、この今回の開示の手続を利用できるということでございますが、例えば家事調停において、確かに財産分与やあるいは遺産分割において相手の財産を知りたいと、手続、それが促進するのではないかという御指摘はございます。  他方で、一般に通常の生活を共にしない、あるいは契約関係同士というふうな債権者、債務者の関係と考えると、そういった債権者が債務者の財産を把握することと対比すれば、例えば生活を共にしていたであるとか、あるいはそういった住居の状況が分かるであるとか、そういったところが考えられる夫婦や被相続人が所有する不動産などの財産についてこれを把握することの困難性というのは、一般の債権者と債務者との関係に比べると相対的に相当程度低いのではないかと、その必要性というのが低いのではないかとも考えられます。  そして、加えて、家事事件手続法によれば、家庭裁判所は銀行等に対して関係人の預金の有無及び額等の必要な情報について報告を求めることができるということなど、調査の手段も設けられているところでもございます。  そうしたことを踏まえますれば、現行法の下でも、財産分与や遺産分割の家事事件については、裁判所は第三者からその必要な情報を取得することができることとされているということもございまして、現状では、御指摘のような制度を新たに設ける必要は必ずしも高くないものと考えているところでございます。
  47. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 大臣のお話の前段部分ですと、通常の債権ですと債権者、債務者は他人だからなかなか分かりにくいと、他人の財産を把握しにくいということでしたけれども、夫婦だから分かりやすいというのは、それは円満にいっている夫婦の場合はそうでしょうけれども、世の中にはいろいろありますから、もう離婚というものを覚悟してずっと準備する人もいるでしょうし、それ以前からそもそも俺の財産は女房なんかに教えるかとか、あるいは夫にないしょでしっかりためたものは私のものよという、こういったケースもあるでしょうし、様々なことがありますから、夫婦だから把握しているということはないと思うんでね。むしろ、離婚に至る夫婦だからこそ、取られるということがあるんで隠されることが多いんじゃないかというふうに思いますけど。  後半部分の、家事調停手続でできるということでしたけど、今度の法律で認められたようなこの情報取得手続とこれは同じようなことが家事審判官が認めればできるということなんでしょうか。
  48. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  まず、預金等につきましては、現在でも銀行の方でそういったような本店の方で預金を把握するシステムが整備されているのが通常でございますので、今回と同じような情報が得られるのではないかというように考えております。  ただ、不動産につきましては、言わばその債務者がどのような不動産を持っているかという情報を得るためのシステムをこれから構築していくということになるわけでございますが、この検索機能といいますか、これはやはり登記のシステムに非常に大きな負荷を掛けるものでございます。したがいまして、多数の検索を実施することはかなり物理的に限界があると考えておりまして、現段階におきましては、今回のこの改正法といいますか、この民事執行法の規定に基づく検索の要請を超えて対応することは困難な状況であるということが想定されます。  したがいまして、この民事執行法の改正法案が成立した場合におきましても、なかなか不動産については、こういった裁判所からの調査嘱託で回答するということは、システムの状況からするとかなり難しいということになるものと考えられます。
  49. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 ちょっと答弁が分かりにくかったんだけれども、この法が成立すれば、登記の場合ですけど、この法に基づいた情報提供がなされるわけですよね。それと同じ程度のことは、家事調停で審判官がそうしたことを許可すればできるということにはならないんですか。
  50. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  そのシステムをどう構築するかという際に、言わばその処理能力を、どの程度の件数といいますか、そういうものを想定してシステムを構築するかという点が問題になるわけでございます。  そうしますと、非常にこの検索機能がシステムに大きな負荷を掛けるものでございますので、この改正法の規定に基づく検索の要請を超えて対応するほどの能力といいますか、そういったもののシステムをつくるということは現在では想定していないということでございますので、回答の内容は同じでありましても、その処理と能力の点から難しいということでございます。
  51. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 私もできないことをやれと言っているのじゃなくて、この法律が施行されたら、この法律の規定に基づいた情報提供の要求が法務局に来るわけですよね。で、それに応えるわけですよね。だから、それと同じ程度の、同じ程度というか、同じ情報の提供なら家庭裁判所の方にもできるんじゃないですか。
  52. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) その提供する内容は同じでありましても、結局、そのシステムの負荷の問題で、どの程度の量的なものを処理し得るようなシステムにするかという点が問題になるわけでございます。  したがいまして、現段階においては、この改正法に基づく検索の要請を超えた数、数量的な、量的なものを対応することは困難になるというふうに想定されますので、そういう点から、この改正法によらない裁判所からの嘱託については応じることは難しいということになるものと考えております。
  53. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 そうかな。コンピューターシステムでシステムを構築しちゃえば、数的には余り能力をということはないように思うんですけどね。  私、そういうシステムができたときに、数的にというと、もっと問題なのは警察の捜査関係事項照会で、今度はそういうシステムができれば、そういうシステムから得られる情報を、捜査関係事項照会ということで、捜査の都合があれば裁判所の令状もなしに捜査側の判断でできるわけですよね。それは、今法務省応じているわけですから。私は、そういうシステムができれば、この法律に基づく情報提供というのは余り、かなり限定的な数でしょうけれども、それを圧倒的に上回る数の捜査関係事項照会というものが来ると思うんですよね。  だから、量的にというのはちょっと納得できないですけれども、ただ、民事局長の答弁を善意に解釈しまして、この法律に定められた情報提供の登記システムが構築できるんだから、数的に応じられるんであれば家庭裁判所、つまり技術的に応じられるんであれば家庭裁判所からの照会にも応じるという趣旨の答弁だと私は理解しまして、時間が来ましたので、今日は終わります。
  54. 櫻井充

    ○櫻井充君 国民民主党・新緑風会の櫻井充です。  前回に引き続いて、子供の権利についてまず質問させていただきたいと思います。  一般的な子供の権利は結構です、もう分かり切っていることなので。そうではなくて、離婚したことによって新たに子供に権利が発生する、例えば養育費の支払であるとか、多分面会交流もその一つだと思うんですが、それ以外に発生してくるような子供の権利というのはあるんでしょうか。
  55. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  基本的には、離婚した場合には、扶養を請求する権利、御指摘のような権利が発生するというふうに考えております。
  56. 櫻井充

    ○櫻井充君 ありがとうございます。そのぐらいの答弁にしていただくと、議論が深まるので助かります。本当に感謝申し上げます。その調子でお願いします。  その上で、今回の改正でこういった子供さんの権利というのはどれだけ反映されることになったんでしょうか。
  57. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  養育費につきましては、今回、財産開示制度、債務者の情報の取得手続ができますので、債務者の勤務先の情報が得られるようになりますので、養育費の支払の強制執行が容易になるということがございます。
  58. 櫻井充

    ○櫻井充君 本当にそれだけで果たして良くなっていくんですか。  いろいろ調べてみたら、明石市で非常に面白い取組をしているんですが、そのことについては法務省として御存じでしょうか。
  59. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) そのような取組をされているということは承知しております。
  60. 櫻井充

    ○櫻井充君 どういう取組なのかと申し上げますと、保証会社と組んで、保証会社に対して、例えば養育費を月三万円支払いますということであれば、明石市が三万円を保証会社に年間の保証料として支払うと。親が支払わなかった場合には保証会社が立て替えてくださって、その上で後で取立てを行うと。確認したところ、今のところ六件の方の登録があって、まだ始まったばかりで、その取立てがあったかどうかということについては明らかではないという話でした。  私は、これかなり画期的な取組ではないかと思っているんですが、これに対する法務省の評価はいかがでしょうか。
  61. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) 明石市の取組につきましては、今後、その状況につきましてもしっかりと見てまいりたいと思っております。
  62. 櫻井充

    ○櫻井充君 こういういい事例があったとすれば、先ほどのような情報開示だけの問題ではなくて、執行の在り方として御検討いただきたいと思っていますし、別に民間の保証会社のコマーシャルをするわけじゃありませんが、こういう商品を開発したんだそうなんです。  自分自身も地元に帰って仙台市を始め多くの市町村の首長さんたちと一度話をしてみたいと、そう思っていて、やはり子供さんに対する、子供の権利ですから、養育費というのは、それがきちんと確保できるような手だてが、今のような民間のノウハウがもしこれから生きてくるんであれば、それは前向きに取り入れていただきたいということは御要望申し上げておきたいと、そう思っています。  その上でですが、前回は、改めてこれは今日、裁判所の方にも来ていただいているので確認したいと思いますが、まず、取決め、養育費についての取決め、これの契約、契約と言っていいのかな、それについて、引き上げてくるというのは法務省の仕事だということは分かりました。その執行されることについて、きちんとやられているかどうかについては一義的には裁判所だというのが大臣の答弁でございました。それでいいのかどうか。  それから、裁判所として、この執行についてきちんとやってもらえるようにするために今後どういう取組をしたいのか、その点について御説明いただきたいと思います。
  63. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。  執行手続については裁判所の所管であることは御指摘のとおりというふうに思っております。  権利が裁判手続を通じて定められたものについては的確に実現できるように必要な対処を裁判所としても行っていくということかと思っております。
  64. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みませんけど、それって今までもやってきたんでしょう。今までやってきて低いからこそどうするんですかと。  改めて、この法律、今回こうやって議論しているわけであって、裁判所として今みたいなことないでしょう。もう少し、どういうことを具体的にやってちゃんとそこを引き上げていくようにするんですか。
  65. 村田斉志

    ○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) まず、質と量と両面からの家裁の充実が必要かというふうに考えておりまして、審理の質ということに関しましては、今国会の審議状況も含めまして十分に情報提供するとともに、裁判官の研修、それから家裁調査官等裁判官以外の職員の研修、こういったものももちろん充実をさせていきたいと思っております。  量の面につきましては、事件動向を踏まえまして、必要な体制整備、人的体制の整備をしていきたいと考えております。
  66. 櫻井充

    ○櫻井充君 じゃ、そうすると、これ、家裁で一人の方が抱えている件数が多過ぎるからなかなかうまくいかないことであって、例えばですよ、全部が全部その理由だとは申し上げません、人数が増えてくれば一人当たりの件数が減ってきて、その分養育費の支払をちゃんと増やすことというのは可能になるんですか。
  67. 村田斉志

    ○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 家裁の体制につきましては、本年度も裁判官、書記官の増員を認めていただいておりますので、そういった形でそれを有効活用することによって適切な審理、判断ができるというふうに考えております。
  68. 櫻井充

    ○櫻井充君 いや、簡潔に答えてくださいよ。  人が増えたら実現は可能になるんですか。
  69. 村田斉志

    ○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 事案に応じた適切な解決を図っているというふうに考えております。
  70. 櫻井充

    ○櫻井充君 法務省はちゃんと答弁してくれているんですよ。聞いていることはそういうことじゃないんです。そんな、適切にやりますなんて、そんな逃げないでくださいよ。  私は家裁の強化必要だと思っているんですよ。なぜ必要なのかということについてはこれからまた質問させていただきますが、強化が必要だと思っている人間にそういう答弁ですか。ちゃんと子供のことを考えてくださいよ。考えていないからそういう答弁になるんだよ。  親の犠牲者でしょう、子供は。その子供が養育費ちゃんと支払われなかったら、真っ当な生活できないかもしれないんですよ。貧困率どのぐらいか知っていますか、一人親の。
  71. 村田斉志

    ○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 済みません、今手元にデータがございませんで、お答えできません。
  72. 櫻井充

    ○櫻井充君 手元にデータがないから答えられないような人じゃ駄目なんだよ。そのこと自体をちゃんと理解していないから今みたいな答弁になるんだよ。  養育費がちゃんと支払われていたらもっと改善するんでしょう。勉強してきたらどうですか。そして、あなたのように無責任な人がそういう役職に就くべきではないよ。おかしいよ。一人親世帯って一体どういうことになっているのかの理解もしていないから今みたいな答弁になるんだよ。もう少しきちんと対応してもらいたい。  貧困率五〇%ですよ。一般的な家庭はどのぐらいか知っていますか。
  73. 村田斉志

    ○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 申し訳ございません、数字が出てまいりません。
  74. 櫻井充

    ○櫻井充君 あなた方がやっているから駄目なんだ。  後で、済みませんが、もう少し具体的に、どういうことをやって執行率を上げるのかについてこの委員会に御報告いただきたいと思います。
  75. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
  76. 櫻井充

    ○櫻井充君 今みたいなことだと、人だけ増やしたからといって良くなるとはとても思えません。なぜならば、現状を知らないからです。現状を知らない人たちが、自分たちのただ仕事を形だけやればいいようなことになっているからこういうことになっているんだと思いますよ、私は。  じゃ、子供の聞き取り調査についてお伺いしたいと思います。子供の聞き取り調査は一体どのぐらいの体制でやっているんですか。
  77. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。  聞き取りにつきましては、主として家庭裁判所調査官による調査、子の陳述の聴取等が行われておりますが、事案に応じまして一人又は必要な場合は複数ということで対応をしております。
  78. 櫻井充

    ○櫻井充君 これって、どのぐらいの時間掛けてその子供さんから聞き取りを行っているんでしょうか。
  79. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) これも事案に応じてというところがございまして、なかなか一般的にお答え申し上げるのが難しいところがございますが、子供の年齢とか発達の程度等にも応じて、どのように意思を確認をできるかというところも違ってまいります。  ですので、言語的な表現で確認をする場合、それからそれが難しい場合には、どういう状態にあるかということを、子供の状態を観察する、若しくは関係者、親族等からの聴取、その他いろいろな手続を総合して確認しております。
  80. 櫻井充

    ○櫻井充君 子供さんの心理をきちんと把握できるような方は一体どのぐらいいらっしゃるんでしょうか。
  81. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) 家庭裁判所調査官につきましては、行動科学の知見、これは社会学ですとか心理学ですとか、そのような素養をきちんと積んで、それから調査の手法等についても面接の技法等を含めて習得をした者ということになっておりますので、基本的には調査官誰でも対応できるというふうに考えております。  ただし、いずれにしましても、若手の調査官はいるわけですので、その場合には複数で対応するなど必要な対応を現場で行っているというふうに理解しております。
  82. 櫻井充

    ○櫻井充君 その調査官の方って何人ぐらいいらっしゃるんですか。
  83. 村田斉志

    ○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 平成三十年度、三十一年度で申し上げますと、千五百九十六人の定員をいただいております。
  84. 櫻井充

    ○櫻井充君 その方が一人何件ぐらい抱えていらっしゃるんですか。
  85. 村田斉志

    ○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 家事事件の場合で申し上げますと、一人当たり、調査の命令を受けて担当している事件は大体二百数十件というふうに把握しております。
  86. 櫻井充

    ○櫻井充君 それって、年間二百数十件ですか。そうすると、例えば一月当たり一体何件ぐらいその方は持つことになるんですか。たしか家事事件って四か月か五か月ですよね、平均すると。それで計算してくると、一月で見ると相当な件数になるかと思いますが、その認識で、私の認識でいいんでしょうか。
  87. 村田斉志

    ○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 数字といたしましては、月に割りますと確かに二十件、二十数件ということになろうかと思いますが、その中には、調停の期日に単純に立ち会うもの、あるいは履行の勧告を受けて書類を発送するだけで終わるもの、こういったものも含まれておりまして、軽重様々でございます。
  88. 櫻井充

    ○櫻井充君 いや、違いますよ、それ。二百何件を単純に割ると月二十ですけれども、その一つの家庭調査について数か月掛かるわけですよ。そうすると、一月間で関わらなきゃいけない案件は二十件じゃないですよ。  例えば、四か月であったとすると八十件ぐらいを、新規のものから今の立ち会うようなものまで含めれば八十件ぐらいを持つことになるんじゃないですか。
  89. 村田斉志

    ○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 平均審理期間四、五か月掛かる調停等に関しましては委員御指摘のような計算になろうかと思うんですが、先ほど申し上げたように、一回の書類の発送で終わるもの、あるいは一回立ち会うだけでその事件からは離れるものなどもございますので、なかなか平均して何件というふうに申し上げるのは難しいところでございます。
  90. 櫻井充

    ○櫻井充君 いや、私は、そうじゃないんですよ、これじゃやっぱり人手が足りないなと思っているから申し上げているんですよ。もう少し絞ってやらないと、普通どの程度の業務だったらきちんとやれるのかという話だと思うんです。  自分自身、今診療はほかの病院よりは絶対に長くカウンセリングの時間取っていると思うんです。一人当たり必ず三十分ずつ取らせていただいた上で予約を取っていますから。だけど、ほかの病院はそれができないんですよ。なぜかというと、それだと収入が減ってしまって病院が成り立たないからです。ですから、ほかの病院でなかなか自分の気持ちを伝えたくても伝えられない方が私の外来に来られて、随分いろいろ話をして帰られる方がいらっしゃいます。そういう意味合いでは、十分に時間を取らないとその子供さんの気持ちというのを把握することは難しいと思うんですよ。  ここからなんですが、なぜそんなことを申し上げるかというと、結局親のエゴで子供に、例えば父親なら父親には会わせたくないとか、母親なら母親に会わせたくないとか、そういう問題が起こってくるわけですよね。子供は本当は会いたいのかもしれないです。子供というのは、元々は親に愛されたいとか親を大切にしているとか、そういうのを生まれ持ってきているわけですから。  ですから、そういう人たちに対して、きちんと把握してあげて、両親を説得するというのが僕は一番大事な仕事なんじゃないかと、そう思うんですよ。この点についていかがですか。
  91. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、両親に対する働きかけについても大変重要だと思っております。
  92. 櫻井充

    ○櫻井充君 その上で、大臣、これちょっとどこの省庁がやるべきことなのか悩みがあるんですが、世界はこうやって離婚した後の子供さんの心理的調査を行っているんですよ。この心理的調査って一体どこがやるべきでしょうか。つまり、この間も、養育費のことについて言うと、所管省庁どこですかって聞いた際になかなか明確にお答えいただけなかったんです。離婚した子供さんのその心理的な分野などについてフォローしていくというのは、これは法務省の仕事ですか、それとも厚生労働省の仕事になるんですか、それとも、どこの仕事になるんでしょうか。
  93. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) まず、養育費の履行の確保に向けた取組というのは、児童福祉行政等を所管する厚生労働省や民事執行制度を所管する法務省を中心として取り組むべきものということで考えております。  まず、法務省の考えから申しますと、御指摘のとおり、夫婦間の事情により離婚や別居に至り、様々な紛争が生ずることがあると、こういった紛争を解決するに当たって、あるいは履行の確保を見るに当たって、やはり子供の幸せを第一に考えるという視点、これは重要であろうというふうに考えております。  現在、家事事件手続法では、例えば、養育費の部分ではあれでございますが、子の引渡しを命ずる債務名義の成立過程において子の意思を考慮することとされているというところもございます。  また、養育費の判断に当たって、そういった事情を、先ほど家裁の調査官等によって把握していくというところ、これは裁判所の役割でございますが、我々もそういったところで法改正の要等があればしっかり協力していきたいと考えておりますし、また、こういった制度の整備をし、また、今回法案が成立いたしますれば、こういった養育費について、債務名義があればその財産開示の対象となるのだという周知につきましては、これは法務省の所管でもございますので、こういったことをしっかりと周知をしていきたいというふうに考えております。  さらに、その離婚後の子供さんの精神的な安定等、これは委員の御指導もございまして、公認心理師法ということで議員立法等もございます。そういったところの履行を踏まえて、そういった心理の専門職の活躍等をどのように行政の場面で生かしていくかということについては、そういった裁判手続もそうでございますし、子の福祉の点でも関係省庁と協力し合って検討していきたいと考えております。
  94. 櫻井充

    ○櫻井充君 ありがとうございます。  今の最後の点で、子の福祉という点でという話になりました。子の福祉ということになれば、これは厚生労働省ということになるんでしょうか。
  95. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) まず私から、我々はやはり人権擁護という部分も持っておりますので、そういったところで我々見ていきたいと思いますし、その子供が不幸にして非行に走る場合もあると、そういった場合には、例えば保護局、例えば少年鑑別所の中で見ていくという部分はあります。それに至る前の子の福祉というところは、所管は厚生労働省、今日もおいでになられておると思いますので、必要があれば御答弁をお願いしたいと思います。
  96. 櫻井充

    ○櫻井充君 今回、調べさせていただいて、かなり海外はその心理的なことについて言及していました。それで、今、欧米はどうやら単独親権から共同親権というんですか、それに移りつつあります。要するに、面会交流などをきちんとしていた方がどうやら安定、子供さんは精神的に安定しそうだとか、いや、一概に言えないとは書いてありました、結論としては。ですが、欧米は共同親権です。それから、お隣の韓国はたしか選択的な共同親権だったと、そう理解しています。  日本だけいまだに単独親権ということになっていますが、なぜ日本は単独親権なんでしょうか。
  97. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  その共同親権の議論があるのは承知しておりますけれども、なかなか、離婚後の共同親権につきましては、適時適切に、その離婚した父母が子の監護について適切に決めることができるかといったような問題がありまして、そういったことも含めて慎重な検討が必要であると考えております。
  98. 櫻井充

    ○櫻井充君 いや、その主語が間違っているんですよ。親がどうじゃないんですよ。そこで発想するから間違いであって、仲の悪くなった親なんだから、だからそんなの、共同親権なんか認められるって議論させること自体がナンセンスなんですよ。そうじゃないんですよ、子供を主語にしてくださいよ。子供にとってみたらどうなのかということですよ。  片側の親、例えばお母さんならお母さんに引き取られて、もうお父さんなんか会うのやめなさいと言われ、ごたごたに巻き込まれたくないから素直に従っているだけですよ。父親に会いたいと思うときだってあるかもしれないじゃないですか。だから、そういうときにどうするかですよ。そうやって、そういうことによって、その精神的なストレスから何かいろいろ抱えていくことになるんですよ。  いいですか、今みたいな主語両親、やめた方がいい。主語は子供ですよ、子供。子供にとって何が最適なのかということをもうちょっと考えていただかないと僕は変わってこないと思うんですよ。  そういう意味合いで、是非、これ大臣、お願いがあります。面会交流をきちんとしている家庭、それから養育費をきちんと支払っている家庭、それからそうでない家庭と、一体子供の発達がどう違うのかということについて、これは法務省でなければ政府の中のどこか、担当の役所で構いませんから、そういう調査をきちんとしていただけないでしょうか。
  99. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) まず、共同親権の比較法的な場面におきましては、本年三月に、家族法に関する調査ということで調査対象国を幅広く求めて海外調査を行っておりまして、そういった中で、いわゆる共同親権というふうにカテゴライズされている国が具体的にどういうふうに物事を決めていて、どういうものを決めているのかということをしっかり把握していきたいと思いますし、先ほど御指摘の点について、実際子の福祉にどうなっているのかという部分まで、海外調査でどこまでできるかというところはございますけれども、可能であればそういった関連情報として入手する努力はしていきたいと思います。  国内においてどういうふうな対応が可能かについては、関係省庁ともそういった問題意識、委員の御指摘も踏まえて、しっかり共有しながら、どういった対応が可能かということを検討してまいりたいと考えております。
  100. 櫻井充

    ○櫻井充君 ありがとうございます。  海外のことについて調べてくださいとは思っていません。むしろ宗教的なものが一番大きいんじゃないかと思うんですけれど、やはり欧米諸国とアジアの国々は僕は違うと思っていますので。ただ、日本国内で一体どういうことになっているのかと。  子供さんたちは、繰り返しになりますが、やっぱり犠牲者なので、その子たちがちゃんと健全に成長できるようにどうしていったらいいのかということを、その立場から検討していただきたいということはお願い申し上げておきたいと改めてお願いしたいと思います。  縦割りの弊害でこういうことがあるので、是非一例知っておいていただきたいことがあるんですが、前回、シングルマザーの家庭の収入の話をさせていただきました。というのは、例えば、できちゃった婚で、高校中退で中卒の人たちもいらっしゃるんですと。このことについて、厚生労働省は厚生労働省として取り組んでいるんです。文科省は文科省として取り組んでいるんです。だけど、お互いに何をやっているか実は知りませんでした。文科省の方がより確実にそのシングルマザーのお母さんの学歴を付けられるような政策を打っているにもかかわらず、それが厚生省の中では分かっていなかった。  だから、こういうその縦割りの弊害があるので、今日、是非文科省のちょっと取組を聞いていただきたいと思いますので、文科省がシングルマザーの学歴を付けるためにやっている政策について簡潔に説明していただきたいと思います。
  101. 丸山洋司

    ○政府参考人(丸山洋司君) お答えを申し上げます。  委員の御指摘いただきました一人親家庭の親が高校を卒業できるような環境を整えるということは非常に重要であるというふうに考えておりまして、文科省の方では、高校等に在学する生徒の授業料に充てるための就学支援金や、また低所得者世帯を対象とした授業料以外の教育費負担を軽減するための奨学給付金、さらに、高校等を中退した後、再び高校等で学び直す方に対する授業料の支援等を行っておりまして、今後とも、厚生労働省を始め関係省庁としっかり協力をしながら、高校等における教育に係る経済的負担の軽減に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  102. 櫻井充

    ○櫻井充君 ありがとうございます。  貧困からの脱出のためには、やはり、学歴要件掛けないとはいいながら、学歴は必要なんですよ。なぜかというと、高校を卒業しないとほとんどの資格が取れないんです。  調べてみると、済みません、私の範囲で申し上げれば、准看護師さんは高校を卒業しなくても取れました。でも、あとほとんどの資格は高校を卒業しないと取れないんですよ。高校に行きたくないと中学で不登校の子供さんが来られて、どうしようかと議論した際に、子供さんの意思を尊重しようと思っていろいろ話はしたんですが、子供さんの将来を考えたときに、通信制でも何でもいいから、資格を取るためにはやはり高校を卒業しないとどうしようもなかったので、御本人説得して、普通高校には行かないけれど、通信制の高校に行ってもらうようにしたことがございます。そういう意味合いでは、貧困から脱出するためには、いかに学歴を付けてあげるのかというのはすごく大事なことなんだと思っているんです。  その上でです、この取組って、一体どこに周知しているんでしょうか。誰がこのことについて、シングルマザーがここにアクセスできるんでしょうか。
  103. 丸山洋司

    ○政府参考人(丸山洋司君) お答えを申し上げます。  先ほども申しましたように、各種施策につきましては、各都道府県の教育委員会等を通じまして関係の通知、あるいは担当の課長を集めた会議等におきましてしっかり周知をして、域内の市町村教委等も通じまして、その施策の周知ということを図っているということでございます。
  104. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません、教育委員会はシングルマザーの学歴を把握しているんですか。
  105. 丸山洋司

    ○政府参考人(丸山洋司君) お答えを申し上げます。  シングルマザー、先ほど私説明しましたのは、あくまでも、家庭の経済状況にかかわらず誰もが希望する教育を受けられるような、そういった観点からの施策ということでございまして、その中に、当然シングルマザーに対する支援ということにもなっていくわけなんですけれども、教育委員会としてそういった実態をつかんでいるかということでいえば、網羅的にそういった数字というのはつかんでいないと思います。
  106. 櫻井充

    ○櫻井充君 つかんでいないと思うんですよ。  今飲食店で働いている方なんかも、だんだん年を取ってきて、何か資格を取りたいと、実は自分は中卒なのでといって話になった際に、その方は准看護師の免許を取ろうかなという話をされていたんですよ。やっぱり、現実は現実として自分でどうすればいいのかというのは相当調べられているんですね。だけど、こういう制度があるにもかかわらず、残念ながら知らないんですよ。  この広報活動をどういう形で広めようと思われますか。
  107. 丸山洋司

    ○政府参考人(丸山洋司君) 各施策については、繰り返しになりますけれども、文科省としては、教育委員会という組織を通じての周知ということになるものですから、福祉の担当の部局等々、関係の省庁とも連携を図りながら取り進めていく必要があるなというふうに考えております。
  108. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうなんですよね。縦割りの問題が大きくて、実はこれ、僕、調べ始めてから、厚生労働省はこういう制度があるということを知らなかったんですよ。ここに最大の問題があると思っているんです。  多分来週になるんでしょうけど、まあいいや、来週は来週で別に話をしよう、もう時間がないので。  とにかく、文科省でこれを幾ら持っていたとしても残念ながら限界なので、ちゃんと厚生労働省と共有してくださいよ。そして、学歴を付けたいと思っているけど諦めている方々がいっぱいいらっしゃるので、その人たちに対してきちんとした対応をしてくださいよ。多分今数字がないので、もし数字が分かればの話ですけれど、一体シングルマザーがこのような補助金をどの程度使っているのか、この委員会に御報告いただきたいと思います。
  109. 丸山洋司

    ○政府参考人(丸山洋司君) 今現在、網羅的な数字を持っておりませんので、そういった点について確認をしていきたいと思います。
  110. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みませんが、委員会に提出を望みたいと思います。
  111. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
  112. 櫻井充

    ○櫻井充君 さて、それから、進学率についてお伺いしておきたいと思いますが、ざくっと申し上げればですけれど、高校卒業の方の生涯賃金は一・九億、大学卒業の方の生涯賃金は二・五億で約六千万の差があります。そうすると、貧困から脱出するためには子供さんが大学を卒業できる方が私はいいんじゃないかと思っているんですが、大学の進学率について一般家庭と一人親家庭でどの程度の差があるんでしょうか。
  113. 藤原朋子

    ○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  大学等への進学率でございますが、まず一人親家庭の方でございますけれども、厚生労働省の全国ひとり親世帯等調査の最近の、直近の二十八年度のデータで申し上げれば約四二%。一方、全世帯の子供についての文部科学省における調査になりますけれども、学校基本統計、これは直近が平成三十年度の数字になるので時点のずれはございますけれども、そちらで申し上げれば、大学等への進学した者の割合は約五二%でございます。
  114. 櫻井充

    ○櫻井充君 最近、随分改善したんですよ。ただ、平成二十三年ぐらいの数字はそうじゃないですよね。平成二十三年度ぐらいは一体どのぐらいの進学率でしたか。
  115. 藤原朋子

    ○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  前回の調査、平成二十三年度の調査になりますが、二三・九%でございました。
  116. 櫻井充

    ○櫻井充君 二三・九%か。僕がもらっているやつだともうちょっと違う、これ、ごめんなさい、全体のものですね、済みません。  この平成二十三年から急激に増えているんですよ、実は。なぜこれは急激に増えていったんですか。
  117. 藤原朋子

    ○政府参考人(藤原朋子君) 一概にこの施策によってこれだけ上がったということはお答えすることは難しいのでございますけれども、この間、一人親世帯の就労収入が増加をしているですとか、それから、一人親の親の子供の学歴に対する意向調査の結果を見ますと、大学まで行ってほしいと思う親の割合が上がっているとか、そういったこともございますし、あるいは児童扶養手当などのこれまでの改善ですとか、文科省における奨学金の改善、こういった様々な施策が影響しているのではないかというふうに考えております。
  118. 櫻井充

    ○櫻井充君 その分析ができなくて、どうして改善したといって喜んでいらっしゃるんでしょうか。  つまり、何らかの政策を打ったから良くなってきている。急激にですよ、だって。これ、資料見てみると、平成十五年が二四・六%、平成十八年が二六・二%、平成二十三年が二三・九%なんですよ。ずっと変わっていないんですよ。ずっと変わっていないけれど、ここに来て、平成二十八年になったら四一・九%に上がっているんです。  別に、済みません、僕らのことを自慢するわけでも何でもありませんが、実は我々の政権になってから高校の無償化になっているんですよ。高校の無償化になってきているから、恐らく家庭としての余裕ができてきて大学進学に対してお金を回せるようになっているところもあるんじゃないかと思っているんです。今、残念ながら御答弁の中にありませんでした。  ですから、別にこれを自慢するわけでも何でもありません。それ以上に大事なことは、こういう方々に対してどういう手当てをしたから良くなってきたのかということを分析をしてもらわないと正しい政策が打たれないんだということなので、きちんとした分析をしていただきたいと、そのことだけは要望しておきたい、そう思いますし、分析した結果を後で、後刻委員会に報告していただきたいと思います。
  119. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
  120. 櫻井充

    ○櫻井充君 最後に、奨学金についてお伺いしたいと思います。  一人親世帯で奨学金を受けている、借り入れている子供さんたちと、それから一般家庭で奨学金を借り入れている方々と、どのぐらいの差があるんでしょうか。
  121. 森晃憲

    ○政府参考人(森晃憲君) 日本学生支援機構の貸与奨学金につきまして、平成二十九年度採用者の平均貸与月額を比べますと、両親がいる世帯の無利子奨学金では五万九百八十三円、有利子奨学金では七万二千十四円に対しまして、一人世帯の無利子奨学金では五万一千百四円、有利子奨学金では七万八千四百六十六円と若干高くなってございます。
  122. 櫻井充

    ○櫻井充君 これ、件数分かりますか。要するに受け手、それは、平均すれば大体ほぼ同じに決まっているんですよ、こんなものは。そうじゃなくて、受けている割合がどのぐらいかは分かりますか。
  123. 森晃憲

    ○政府参考人(森晃憲君) 人数で申し上げますと、両親がいる世帯の無利子奨学金ですと約十万人、それに対して、一人世帯の無利子奨学金ですと四万七千人という状況でございます。
  124. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません、それ、割っていただくと、一体何人に一人になるんですか。よく出してくるのは、だって全体の数を言ったら、両親いらっしゃる子供の方が多いわけであって、一体それが何人に一人なのか、その数字、すぐ分かりますか。
  125. 森晃憲

    ○政府参考人(森晃憲君) 今すぐには出ませんので、それは計算していきます。
  126. 櫻井充

    ○櫻井充君 後でこれも報告していただくことにして、いずれにしても、最後に、大臣、もう御答弁は結構です、お願いは、主語は子供にしてください。両親ではありません。子供のために何ができるのかということを考えていただきたいと、そのことをお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  127. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。よろしくお願いいたします。  今日は、ハーグ事案における子の返還の代替執行に関連をしてお伺いをさせていただきたいと思います。  このハーグ事案におきましては、子供の監護に関する手続は子供が元々居住していた国で行うことが望ましいということで、子供を元々いた国に返還をするという手続になります。このハーグ条約におきましては、この子供の返還に関連をしまして、友好的解決をするために全ての適切な措置をとることが義務付けされております。その中で、日本への子の連れ去り等につきましては、友好的解決、当事者の合意、ADR、また裁判内調停が挙げられると思いますが、この友好的解決をした事案が約七割と。日本におけるこれが解決の特徴と、七割というのが高いということで解決の特徴とされているところですけれども、どのような要因に基づいてこのような約七割という友好的解決に至っているのか、その点についてお教えいただきたいと思います。
  128. 高橋克彦

    ○政府参考人(高橋克彦君) お答えいたします。  委員御指摘のとおり、日本から外国への子の返還が求められた事案において、これまでに子の返還又は不返還との結論に至った事案のうち、約七割が当事者間の話合い、裁判所における調停などによって友好的に解決されております。  ハーグ条約上の中央当局であります外務省としては、子の連れ去り問題は、両親が自発的に話し合った結果としての合意により解決することが子供の福祉の観点から望ましいと考えております。そのため、当事者間の連絡仲介を行っているほか、当事者間の協議のあっせんを行う裁判外紛争解決手続機関の利用支援などを行っております。このような取組の結果もありまして、日本では友好的解決に至った事案が約七割を占めることになったと考えております。
  129. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 一般的にというか、外務省が支援をされているというのはそのとおりなんですけれども、具体的な支援というか要因を言っていただけると有り難かったかなと思っております。  ハーグ事案というのは、国内でのもちろん子供の引渡しと違う、海外に子供が行ってしまうと。そうなると、元々一緒に住んでいた、日本で住んでいた親の方は、もしかしたら会えないかもしれないというような不安がより強くなってしまうというような中で、私がお聞きした、ハーグ事案で代理人をされている先生にお聞きしたところでも、やはりかなりの皆さん尽力をされていて、友好的解決ができるようにですね。例えば、連れ去って日本に帰ってきた親御さんが一緒に帰ることができるように、例えば、元々いた国で刑事訴追されていればそれを取り下げるような手続を取るとか、又は、帰国した場合に、元のいた国に行く場合には経済的援助をするとか、日本に里帰りをすることも約束するとか、本当に具体的な個々の事案でかなりの努力をされながら友好的解決に至っていると。もちろん、いろんな形で背面的な、背後でのサポートという形で外務省もしていただいているんだと思いますけれども、そういうような分析も是非していただければというふうに思います。  ただ、そうはいっても、うまくいかないときに、話合いが解決しないときに代替執行という形で子供を連れて帰る形になるんですが、そういう場に、外務省の支援におきましても、子供の心理の専門家をそこに同席をさせるということもされているというふうにお聞きしております。  この執行の場に子供の心理の専門家の関与を認める目的と、具体的にどのような人が同席をするのかということについて御説明ください。
  130. 高橋克彦

    ○政府参考人(高橋克彦君) お答えいたします。  中央当局の児童心理の専門家は、代替執行の際に生ずる子供の心理的負担を軽減し、安全に子の返還を実現するとの目的の下、代替執行の現場に立ち会っております。  中央当局の児童心理専門家としては、臨床心理士や公認心理師などの資格を有する者や、子供に関わる相談援助業務などの実務経験を有する方を想定しております。
  131. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 そういう意味では、国内の場合と同じような方を想定をされているのかなというふうに思いますけれども、実際に、このハーグ条約事案において、子供の心理の専門家が事前準備の打合せの段階からずっと一連の流れで関与をされているということですけれども、一般論として、どのような形で手続に関与をして支援をしていくのか、子供の心理の専門家がですね、その点についてお教えいただけますでしょうか。
  132. 高橋克彦

    ○政府参考人(高橋克彦君) お答えいたします。  今委員御指摘のございました事前の打合せに関与するということがございますし、あとは、執行の具体的な計画を事前に調整する際に、必要に応じて子供の心理の観点からこのようにしたらどうでしょうかという助言を行うなど、円滑な執行の実施のための支援を行っております。  また、執行現場における役割分担として、例えば、執行官が債務者の説得を行っているときに児童心理の専門家が子供の対応を行うという業務分担も行っております。
  133. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 このハーグ事案の場合には、例えば、執行の現場において子供の心理に有害な影響がなるべく少なくなるようにというようなことに加えて、速やかに返還することによってそれを上回る利益をもたらす、あるいは放置すれば悪い影響が出てくるかもしれないことを防止すると。それを、ひいては、また、子の連れ去りを全体的な視点として防止することにつながっていくというハーグ条約のそもそもの目的というのもあると思います。このハーグ条約の目的を踏まえた視点というのが執行する側にも求められるところでもありますし、また、実際にも専門家が関与するのをより有意義にするためには、当然どんな役割が与えられているのかということを明確にしていく必要があるんじゃないかと思います。  今、先ほどの話の中では、例えば、子供に対応すると、子供の心理の専門家が子供に対応するということもありましたけれども、嫌がる子供を説得するのが仕事なのか、あるいは嫌がる子供を見て、いや、ここでもうやめてくださいというのを執行官に言うのが仕事なのか、この子供の心理の専門家が具体的にどのような役割をすること、それが求められ、しなければならないのかということについてお教えいただけますでしょうか。
  134. 高橋克彦

    ○政府参考人(高橋克彦君) お答えいたします。  執行の現場においてはいろいろな事態がございますので、ケース・バイ・ケースな部分ございますけれども、中央当局の児童心理専門家は、子供に対して、その心理状況を踏まえながら、その子が置かれた状況や今後の手続の流れについて分かりやすく説明を行うということがまず求められます。  また、当事者全般に対しては、代替執行が子供の心理にどのような影響を与えるかということ、それから、求めに応じてになりますけれども、ハーグ条約上の手続ですね、実際日本から外国に帰ったときにその後どうなるのか、それを知ることによってある意味心の安定というのを得られますので、そういうものについても説明をすることによって返還が安全かつ速やかに実現するように努めると、これが役割でございます。
  135. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 それは、その執行の現場で、子供に対して、今おっしゃられたような、例えばハーグの目的であるとか、帰ったらどうなるよということを説明するということですか。
  136. 高橋克彦

    ○政府参考人(高橋克彦君) 制度上の話は主に親御さんに対して行うということがメーンになると思いますけれども、もちろん、お子さんから聞かれた場合にも、それは親に話すことだから答えないということではなくて、できるだけ寄り添って対応するということだと理解しております。
  137. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 具体的に、その現場での判断というのは、当然状況を見て何が一番適切なのかということを即時に判断をしながら、ここで続けるべきなのかやめるべきなのか、その中で、子供の意向に加えて、そのハーグの目的であるとか裁判所の判断とかというような判断をしていかないといけないと思うんですけれども、そういうようなことをその現場で、臨床心理士、また公認心理師というお話も先ほどありましたけれども、このような方がそこで責任を持って判断をする立場に置かれるということについて、具体的に、大丈夫なんでしょうかというか、子供の心理の専門家ということと、その場で即時にそういう法的なことも踏まえた判断をするということについて、どのようにお考えでしょうか。
  138. 高橋克彦

    ○政府参考人(高橋克彦君) 今、児童心理の専門家の話に特定しておりましたので触れておりませんが、実際の代替執行の場では、執行官及び児童心理専門家、さらには中央当局の担当が参りますので、そういう、基本的には児童心理の専門家は担当する分野があるわけでございますので、そこにいる者たちが話し合いながらそこは最終的に対応を決めるということになります。
  139. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 分かりました。ありがとうございます。  次に、子供のパスポート、旅券の確保について御質問したいと思っております。  これも実際にハーグ事案で代理人として取組をされている先生からお伺いをした話です。子供が海外から日本にどちらかの親と帰ってきた場合に、元々、一緒に帰ってきた、連れ去り親と言われるかと思うんですけれども、そちらの親が子供のパスポートを持っていると。海外に住んでいる親の方が子供の返還命令を申し立てた時点で、通常はその旅券の提出命令ですね、それを申し立てることになると。この旅券の提出命令が認められれば、元々持っていた、日本に住んでいる旅券を持っていた親は、それを外務省にパスポートを提出することになる。その後、その子供の返還命令が仮に認められた場合には、その後には、日本に住んでいる連れてきた親の方が外務省にパスポートを返してくれと求めることができると、外務省は日本にいた親の方にパスポートを返すことになっているという、こういう手続だというふうに聞いております。  これは、子供を海外に返すためにはパスポートを一緒に渡さないといけないので、元いた日本の親の方にパスポートを返すということに手続上なっているんだと思うんですけれども、これがあるために、本当に話合いがうまくいかなくて代替執行まで至った場合に、子供を海外に住んでいる返還命令を申し立てた債権者の親の方に返すことと、ただ、そうはいっても、パスポートを一緒に返さなければ子供を海外に連れて帰ることができない、そのような事態に陥ってしまう。このようなおそれが多くて、実際には代理人の先生方の方でかなり努力をしながら、パスポートも一緒に渡してもらうということを事実上今取組をされているというふうに聞いております。  例えば、日本に住んでいる家で代替執行した場合に、執行官が子供と一緒にパスポートも渡してくれというようなことをそもそも言えるのかどうか、あるいはパスポートが外務省にあるとき、あるいは債務者の代理人の弁護士のところにあるときに債権者側でパスポートを直接こちらに渡してくれというようなことが言えないのかどうかというようなことも含めて、債権者が子供のパスポート、旅券を確保する手段についてどのように外務省としてお考えなのか、お教えいただけますでしょうか。
  140. 高橋克彦

    ○政府参考人(高橋克彦君) お子様の旅券の扱いについては、今委員の方から御説明があったとおりであります。  子の返還命令を受けて連れ去り親が自発的に子を返還する場合には問題とならないわけですけれども、まさに委員御指摘の強制執行によって債権者が子の返還を実施する場合は問題になり得るというところはございます。この場合でも、現在の制度の想定では、当事者やその代理人の間で連絡調整することによって債権者が子の旅券の引渡しを受けることが想定をされております。  実際のケースでは、やはり当初、このような協力を拒否するような事案もあったということは認識をしております。しかし、これまでのところ、当事者間の調整などを行った結果、旅券の問題により子の返還が妨げられなかったことはなかったと承知をしております。  ただ、委員御指摘の問題というのは確かにございますので、今後ともハーグ条約の着実な実施に向け、関係機関と緊密に連携しながら、どのような対応が可能なのか、今後も検討してまいりたいと考えます。
  141. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 これまでなかったといっても、そこに至るまでの本当に時間を掛けての、労力を掛けての説得であったり話合いであったりというようなことがあって結果的にうまくいっていたということですので、この点は、そうなる前にしっかりと円滑に実施していくことができるように、子供が帰ることができるように、パスポートの確保の点、手続上の問題として、課題として考えていただきたいと思います。  最後の質問にさせていただきます。  このハーグ事案におきましては、返還申立てがなされて決定が出されるまではおおむね六週間をめどに判断をしていくというような形で努力目標として設定をされています。ただ、実際には、この決定が確定をしてから執行に至るまでというのはそういう期間の目標というのも定められていない。元々、決定まで六週間というのが定められた目標も、普通に考えると、やはり十歳未満ぐらいのお子さんが多いと思うんですが、対象となる子が、そういう子供たちにとって二か月、三か月、四か月という期間というのはやはり長期、そういう不安定な状況の中に置くのではなくて、元いた国で安定してしっかりと調整を、話合いをしていくというためのものだと思うんです。  そうなると、決定から執行までについても、いつまでも掛かってもいいですよというふうに考えることは到底できないと。となると、ここでも期間設定を例えば考えるであるとか、あるいはできる限り早く執行に至るまでの取組をしていくとかということを考えないといけないと思いますが、この点、法務省、いかがでしょうか。
  142. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  この法律案における取組といたしましては、この間接強制の前置あるいはいわゆる同時存在の不要といったような見直しをしているものでございます。この改正によって、その返還命令が確定してから執行に至るまでの期間、具体的にどの程度短縮されるかは、個別の事案によりますので具体的にお答えすることは困難でございますが、これによりますれば、個別の事案に応じて、間接強制を経ることなく、また債務者の抵抗を受けることなく、より迅速に代替執行を実施することも可能となりますことから、子の迅速な返還の実現に資するものと考えております。  この改正後には、関係機関において改正の趣旨に沿って一層迅速な、より一層迅速な返還が可能となるよう運用の工夫がされるものと期待しておりますが、法務省においても必要な協力をしてまいりたいと考えております。
  143. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 以上で終わります。ありがとうございました。
  144. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  145. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、藤木眞也君が委員を辞任され、その補欠として岡田直樹君が選任されました。     ─────────────
  146. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 休憩前に引き続き、民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  147. 石井苗子

    ○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。  今日は採決までありますので、ちょっと私も、一般労働者から見ましてこの法案の改正に関しまして分からないところは全部教えていただきたいので、十六問ほど用意してまいりましたので、速急で参ります。  まず、改正案の二百六条でございますけれども、裁判所が情報の提供を命じた場合において、裁判所から情報提供を命じられた事実が市町村や年金機構から債務者の勤務先に伝わるということがあるんではないかと、これ読んでいて不安に感じたんですけれども、市役所が裁判所に対して給料の情報とかその情報を出すんですけれども、例えば勤務先に、あなた、こんな情報が来たんですけれども何かトラブルに巻き込まれていますかなんというようなことがあるんじゃないかと思って質問しております。  債務者の勤務先に伝わるということはありませんか。これ、法務省の方に、お答えください。
  148. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  この法律案によりまして新設されます債務者の給与債権に関する情報取得手続でございますが、債権者からの申立てによりまして、裁判所が、その勤務先ではなくて市町村に対して債務者の給与債権に関する情報の提供を命ずるものであります。  市町村の方は、この情報提供は裁判所に対して行うものでございますので、この手続の過程で御指摘の事実が債務者の勤務先に対して伝わることはないというふうに考えております。
  149. 石井苗子

    ○石井苗子君 普通にいけばそうなんですが、例えば勤務先が市町村に私の給与の報告書を出していなかったなんという場合でも、どのような扱いになりますか。
  150. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  この法律案によりまして新設されます給与債権に関する情報取得手続でございますが、情報提供を命じられた市町村が陳述すべき事項は、当該市町村が債務者の市町村民税に係る事務に関して知り得たものに限られております。  したがいまして、債務者の勤務先が地方税法の規律に違反して債務者に関する給与支払報告書の提出を怠ったため市町村が債務者の勤務先を知り得なかった場合には、これは情報は提供しなくていいと、すなわち、当該市町村からは債務者の給与債権に関する情報は得られないということになります。  ただ、事案によりましては、給与支払報告書が市町村に対して提出されていない場合でありましても、市町村が債務者の市町村民税に係る事務を行う過程で、ほかの資料から債務者の勤務先を把握することはあり得ると承知しております。そのような場合には、市町村は、養育費等の債権者からの申立てにより裁判所から情報提供を命じられたときには、債務者の給与債権に関する情報を陳述すべきことになります。  ただ、ただいま申し上げましたとおり、給与支払報告書が提出されている場合ですとか、あるいはほかの資料から把握している場合に提出するというものでございますので、そういったものが知らない場合に、勤務先に何か照会するとかそういったことはないということでありますので、先ほどのとおり、この手続の中で勤務先の方に伝わるということはないものと考えております。
  151. 石井苗子

    ○石井苗子君 そうなんですけれども、二百六条の一項の一号ですね、提供する情報は既に知り得たものに限ると、こう書いてあるんですけれども、要するに、市町村が勤務先に新たに問い合わせることは想定はしていないということなんですが、ちょっと安心していられないんですよね。  そのような扱いになると、安心していられるという根拠規定のようなものがあるのかどうかということと、それから、市町村が勤務先に問い合わせることを禁止するというような規定というのは、この二つはないんでしょうか。
  152. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  この根拠規定といたしましては、今委員の御指摘のとおり、二百六条の一項一号の下段でございますが、当該市町村が債務者の市町村民税に係る事務に関して知り得たものに限られているということでございますので、そこは法的な根拠があるというふうに考えております。  なお、市町村につきましても、この新しい制度につきましては、仮にこの改正法が成立した暁には、きちんとその内容につきまして周知徹底を図りたいと考えております。
  153. 石井苗子

    ○石井苗子君 私のような者が読んでいると、これは一体何を指しているのかという、曖昧な書き方があると大変不安になるんですけれども、ここはきちんと、勤務先に連絡が入ってきて上司から指摘されるなんというようなことがないように、また、そういうことが起きますとまたクレームが出てきますので、注意してやっていただきたいと思います。  同じく、改正案の百四十五条に行きます。これ、百四十五条の四項とか百五十五条の二項なんかを読んでおりますと、差押禁止債権というのが出てくるんですけれども、これ、差押命令の取消しを申し出ることができるというような、こういう段落なんですけれども、まず、差押禁止債権というのはどういうものがあるのかということと、差押禁止債権というこの趣旨を教えていただきたいんですが、これ、法務大臣にお願いできるでしょうか。
  154. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) まず、差押禁止債権の種類について御説明申し上げます。  まず、民事執行法上の差押禁止債権としては、給料、賃金等の給与に係る債権や、次に、民法上の扶養請求権など債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権、そして、三つ目のカテゴリーとして、退職手当等に係る債権がございます。  差押えが禁止される趣旨については、民事執行法においては、これらの債権が債務者の生活を維持する上で特に重要であることに鑑み、権利の実現を求める債権者と生活の維持を要する債務者との間の相反する利益を調整するため、原則として、これらの債権に基づく給付の四分の三に相当する部分については差押えを禁止することとされております。  このほか、民事執行法上ではなくて、例えば年金の給付を受ける権利や生活保護費を受ける権利など個別の法律において差押えが禁止されている権利がございまして、その趣旨はその法律に規定されているところでございますが、受給者の生活維持への配慮など、それぞれの法律の趣旨によるものでございます。  具体的な差押禁止の効果につきましては、要すれば民事局長に答弁させたいと考えております。
  155. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。  大体、その給料や年金、生活保護費など債務者側の生活を維持するためということなんですが、もうちょっと突っ込んで考えますと、年金や生活保護の費用などの差押禁止債権が、銀行の預貯金口座に振り込まれた直後に差し押さえることは、制度上これできることになるんでしょうかしら。これは法務省の方に伺います。
  156. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  給与債権等の差押禁止債権に基づいて給付された金銭が預貯金口座に振り込まれた場合には、原則としては、その振り込みによって生じた債務者の預貯金債権を差し押さえることはできるというふうに考えられます。
  157. 石井苗子

    ○石井苗子君 そうすると、改正でこういうことがあるんですけれども、ちょっと調べたところ、百五十三条の差押禁止債権の範囲の変更というところがあるんですけれども、これ細かいですね、十六ページ辺りにあるんですけれども、この改正で情報取得手続というのがあるんですが、その情報取得手続が設けられると、差押禁止債権が預貯金債権になった直後に差し押さえられるんですね、今の話だと、ちょっとややこしいんですけど。ということが確認されたので、そうなると、先ほどの債務者の生活の維持が困難になってしまうということが私考えられるんじゃないかと、そういう事態起きるんじゃないかと思うので、それで、百五十三条の差押禁止債権範囲の変更というところの規定を読んだんですが、これ余り活用されていませんよね。うなずいていらっしゃるから、多分そうなんだろうと思うんですけれども。  そうすると、利用実績はどのようになっているのか、ちょっと教えていただけますか。最高裁の方、お願いします。
  158. 門田友昌

    ○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。  民事執行法第百五十三条の差押禁止債権の範囲変更の申立て事件につきましては、全国的な統計はございませんけれども、東京地裁、東京地方裁判所の本庁における平成二十九年の状況について調査した数字がございまして、これによりますと、差押禁止債権の範囲変更の申立て事件の既済件数は十六件ということになっております。
  159. 石井苗子

    ○石井苗子君 十六件なんですね。  実際に申立てが認められた、範囲が変更されたことはどのくらいの割合であったのかも教えていただけますか。
  160. 門田友昌

    ○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) 平成二十九年の一年間で東京地方裁判所本庁で既済件数十六件ございましたけれども、そのうち、一部でも認容されたものは五件でございました。
  161. 石井苗子

    ○石井苗子君 私はゼロかと思っていたら、あったんですね。  ということは、しつこいようですが、改正案の百四十五条の四項で、その差押命令の取消しの申立てというのを教示できるということになっておりますけれども、これはこれまでは、改正案ですから、教示していなかったという、大変これ不親切だと思うんですが、これまでは教示していなかったんでしょうか。
  162. 門田友昌

    ○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。  現行法の下におきましては、民事執行法百五十三条第一項又は第二号に規定されております差押命令の取消し等の制度につきまして、差押えを受けた債務者から問合せがあった際には、制度の説明や申立てに必要な資料等の説明を行っているものと承知しておりますけれども、裁判所の方から積極的に債務者に御説明するということまでは行っていないのではないかと思われます。  本法案が成立しました暁には、その趣旨を踏まえて適切な教示を行ってまいりたいと考えております。
  163. 石井苗子

    ○石井苗子君 これ、私のような人間からすると、どのようになっていますかってわざわざ言うというのはとても勇気が要ることで、面倒くさいことでもありますので、これまでは非常に不親切だったけれども、この改正で少し親切になるようにしていただけますね。うなずいていらっしゃいますから、次の質問に移ります。  今度は、改正案の方の七十一条の、先ほどから出ております暴力団関係なんですけれども、これも私もちょっと気になるんですけれども、まずそういうことはないだろうと思って読んでいると、ありそうな感じがしてきて不安になるというところなんですが、暴力団関係者が例えば繰り返し入札に参加すると、これ、売却、その不許可決定も同時に繰り返されることになるんじゃないかというふうに読めるんです。  不動産競売手続が長引くことになってしまうんじゃないかという、これ素人の考え方なんですが、このような執行をするときの妨害ですね、何でこんなに長引いてしまう、毎回手続が繰り返されているという。これ、執行妨害を防ぐ方法というのはあるんじゃないかと思うんですけれども、刑事罰以外に考えていらっしゃいますでしょうか。法務省の方、お願いします。
  164. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  暴力団員があえて入札をして売却許可決定がされた場合に、どこまでその競売手続、どこからその競売手続をやり直すべきかという点については、これは解釈に委ねることとしております。これは、現在の法律の下におきましても、例えばその最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格がなかったような場合がございますが、そういった場合にどこからやり直すかという点と、そういう取扱いと同様でございます。  したがいまして、例えば、もう一回入札期間を定めて入札からやり直すのではなくて、当初の入札までの手続を前提に、再度開札期日、これを開くこととするなど、執行裁判所が個別の事案に応じて競売手続に係る規律の趣旨に沿った運用をすることによってそういった執行妨害の繰り返しを回避することが可能になるというふうに考えております。
  165. 石井苗子

    ○石井苗子君 つまり、最初の人じゃなくて二番目の人からやってくれるという解釈でいいですか。そこをもう一回お願いします。
  166. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) 先ほど申し上げましたように、当初の入札までの手続を前提にということでありますれば、そういったケースがあるということでございます。
  167. 石井苗子

    ○石井苗子君 要するに、刑事罰による抑制というか抑止はあるんですよね。あるけれど、厳格ではないけれども、暴力団関係者を排除する仕組みを設けているという理解で正しいでしょうか。
  168. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  刑罰による担保は虚偽の陳述をした場合でございますので、そういう意味ではそれも一つの担保でございますけれども、手続的にそういった繰り返し入札をして妨害されるという点につきましても、先ほど申し上げましたような運用による回避ということが可能であると考えられます。
  169. 石井苗子

    ○石井苗子君 運用による回避ということで、読んでいて、今御説明していただくと、何となくちょっとは詳しく分かるんですけれども、こういう法律の文章というのは非常に曖昧な表現があると、一般の方、私も含めてだんだん不安になってくるという文章が多いんですが。  続きまして、先ほどから出ておりまして、子供の引渡しの強制執行についてなんでございますが、これは改正案の方の百七十五条の八項を見ていただきたいと思うんですが、曖昧な表現があると一般の人間にとっては非常に迷惑なんですね。子の引渡しの強制執行において、「子に対して威力を用いることはできない。」と書いてあるんですけど、威力というのはどういうふうに定義をしていらっしゃいますか。
  170. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  ここで言う威力でございますけれども、人の意思を制圧する程度の有形力の行使をいうものでございまして、一切の有形力の行使が禁止されるわけではないものと考えられます。  具体的には、例えば子供が口頭で拒絶の意思を示していても身体的な抵抗までは示さないと、こういう場合におきまして、例えば執行官が子供の手を引いたり肩を押したりするなどして子供を誘導することは、子の意思を制圧しない程度の有形力の行使として許されるものと考えられます。
  171. 石井苗子

    ○石井苗子君 つまり、そこは、強制か暴力かというところは、済みません、具体的な話でいうと、誰が判断するんですか、現場で。
  172. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  実際にその現場で執行を行う執行官の判断でございます。
  173. 石井苗子

    ○石井苗子君 分かりました。  ちょっと法務大臣にお伺いしますけれども、この執行時点で、子供のことですから、変わったと、あのときはそう思ったけど今は違うというのがあると思うんですね。子供の意思が変化していて、執行官が説得に当たって、あくまでも子供が拒否するときでも、あのときそう決まっていたんですからということで、子供の意思に反して執行するということがあっていいのか。いや、ない方がいいのかもしれませんが、子供の意思が現場で変わっているんだから、それはもう、じゃ、現場で変えましょうということはしないのか。そこら辺は、お伺いしたいんですけど、よろしくお願いします。
  174. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) まず、意思が変わった場合にどうかということでございますが、一般論として、子の引渡しを命ずる裁判がなされた後に事情の変更があった場合には、債務者が家庭裁判所に対して親権者、監護権者の変更の審判の申立てをすることが考えられます。こういった変更の審判の申立てがされた場合には、家庭裁判所は、改めて現時点での子の意思も考慮に入れた上で当該申立ての当否について判断することになります。  他方で、親権者の変更の審判等がなされず、従前の債務名義が維持されている場合には、一般には、その債務名義の内容というのを実現するということが子の利益に資するということで判断されていると考えられるところでございまして、現行の執行実務においても、子が単に口頭で債権者の元に行くことを拒否していることだけでは執行不能とはならないとされているものと承知しております。  ただ、本法律案では、子の利益保護の観点から、執行官が子に対して威力を行使することを禁止していることから、執行官が執行を拒絶している子を威力を用いて押さえ付けてまで執行を継続することはできないということになります。そのため、個別事案における具体的な事情にもよりますけれども、子供が肉体的、身体的に抵抗を示している場合には、執行不能とされる場合もあり得るものと考えられます。
  175. 石井苗子

    ○石井苗子君 あらゆる資料とか論文を読んでいると、そこの問題が随分上がってきているんですね。法律では威力というふうに書いてあって、先ほども手を引くとか肩を押すとかと書いてありましたけれども、果たして子の引渡しの強制執行において有形の形の力の行使というのはどの程度まで許されるというふうになっているのか。もう一度お聞きいたします。どの程度まで許されることになっているんですか。
  176. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  先ほど申し上げたとおりでございまして、威力といいますのは人の意思を制圧する程度の有形力の行使をいうものでございますので、それに至らない有形力の行使が禁止されるわけではないものと考えております。  具体例としましては、先ほど申し上げましたような、子を誘導するために子の手を引いたり肩を押したりするなどの行為なんというものはこの威力というものには当たらないというふうには考えられます。
  177. 石井苗子

    ○石井苗子君 もう少し表現を変えた方がいいんじゃないかなと私は思うんですけれども。手を引くでも肩を押すでも大分違うので、誘導するとか手を差し伸べるとか、優しく肩に触れる程度ならこれは威力ではないというぐらいが、どの程度まで許されるというところをもう少し細やかにしないと、この報告書の中に書いてあるような問題がなかなか解決できないんじゃないかと。定義付けるということは、ある意味においてはとても大事だと思うんですが。  前回の質問で私聞き逃したところをこれからフォローさせていただきます。  先ほどから出ております調査官と執行官という、こういう関係でございますが、各々のコミュニケーションをそれぞれが交わして現場に向かうとか、調査官でしたら、家庭裁判所の中で子供の状態、親の状態を把握するということはとても大事なことだと思うんですが、私はちょっと、心理学や教育学などの専門的知見及び技法というふうに書いてあるんですが、具体的にどのようなものでしょうか。  例えば、私どもがやっております心理テストというのは十六種類ございまして、細かく言いますと。家庭裁判所の調査官という方々は非常に優秀な方々ですよね、なかなか試験が難しいというのもよく分かったんですが、人間の行動にまつわる専門的な知見、それから面接の仕方、相手の真意を探るとか察する方法としての心理テストの方法、具体的に技法とはどのようなものをやっているんでしょうか。心理テストでしたら何使っていらっしゃいますか、教えてください。
  178. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。  家庭裁判所調査官は、親と子の関係性や非行のメカニズムを解明するため、臨床心理学、発達心理学等の心理学や家族社会学、教育学等の行動科学に基づく専門的知見を身に付けております。また、こうした知見を踏まえまして、調査面接のための適切な質問の仕方ですとか観察のポイントといった面接の技法や、言葉のやり取りだけでは理解が困難な場合にも対応できるような心理テスト等の実務上の知見や技法も身に付けて活用しているところでございます。  子の意思を把握する際を例に取りまして少し敷衍させていただいてもよろしゅうございましょうか。面接の技法を活用して子の話しやすい環境を整えたり、言葉に表れない表情やしぐさを観察したりしました上で、発達心理学等の知見を用いて、これらと背景事情とを総合的に考察して評価しているということになります。
  179. 石井苗子

    ○石井苗子君 例えば箱庭療法でしょうか、それともロールシャッハだとか、そういうことを聞いているんですけれども。
  180. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) 今御指摘のような心理テストについては、事案に応じて採用しているというふうに承知しております。
  181. 石井苗子

    ○石井苗子君 これもやっぱり決めておいた方がいいと思います。もう少しちゃんとしないと、相手の行動にまつわる専門的知見、面接の仕方というのはこれ曖昧で、どういうものなのか、相手の真意を察する方法というような望洋としたのじゃなくて、これこれの方法を用いてやりますというようなことで書かれなきゃいけないし、そういう人を集めなきゃいけないと思うんです。  公認心理師のこの間の国家試験は、大体二十四分野にわたって、その一分野が十七セクションにわたって試験が行われるわけで、専門的知見とか技法というのは調査官採用試験で判定できるようになっているということなんですけれども、裁判所職員総合研修所で一体どのように習得するようになっているのかというようなことも知りたいので、研修の内容について最高裁判所の方からちょっとお聞きしたいんですが。研修の内容です。
  182. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。  採用の在り方から少し敷衍して御説明させていただきたいと存じますけれども、家庭裁判所調査官につきましては、裁判所職員採用総合職試験家庭裁判所調査官補というものに合格をしまして家庭裁判所調査官補に採用された後に、約二年間の家庭裁判所調査官養成課程を修了した者、これを任命しております。  家庭裁判所調査官には、法律学に加えまして社会学、心理学、教育学等の行動科学に基づく専門的知見が求められておりますことから、この採用試験におきましては、調査官に必要な専門的知識や技法をこの養成課程で習得し任官するための基本的な素養が身に付いているかどうかということを問うための試験が含まれておりますほかに、人柄、資質などについての人物試験を実施しているところでございます。  また、採用後の二年間の養成課程でございますけれども、こちらにつきましては、裁判所職員総合研修所における約九か月の合同研修のほか、各地の家庭裁判所におきまして約十四か月の実務修習をいたしておりまして、行動科学の最新の知見及び家庭裁判所調査官の実務上の専門的な知見や技法を習得させているところでございます。
  183. 石井苗子

    ○石井苗子君 すごい教育課程で、これ、お給料ってどのくらいで働いていらっしゃるんですか。
  184. 手嶋あさみ

    ○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。  大卒程度区分の総合職試験ということに対応する者としての初任給といたしまして、二十二万円余りということになっております。
  185. 石井苗子

    ○石井苗子君 ちょっと専門職とは言えないと思うんですが、次の質問に行きます。  改正案の百七十四条です。子の引渡しの強制執行の場合、現場でということですけれども、家庭裁判所の調査官の意見を聞いたり調査官の同行をお願いしたりという仕組みがあるのかどうかということなんですが、これはあるということでよろしいでしょうか。もしあるとしたら、どういう形なのかということと、調査官と執行官にその情報の提供というのはあり得ると思うんですが、調査官が執行官と家庭裁判所の会議に同席したりというようなことでその一件につき話し合うということは、どのくらいのケースでやっていらっしゃいますでしょうか。
  186. 門田友昌

    ○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。  いわゆるハーグ条約実施法に基づく子の解放実施に関しましては、最高裁判所規則によりまして、子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所は、執行官に対し、情報の提供その他の必要な協力をすることができるというふうにされておりまして、その際、家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができるものとされております。  国内の子の引渡しの強制執行におきましても、この規定を踏まえまして、執行官と家庭裁判所とで事前のミーティングを行いまして、その際には家庭裁判所調査官も参加して、債務者や子の性格、その生活状況等、執行に当たって特に留意すべき事項を情報提供するなどしていることが多いものと承知しております。本法案成立後も、引き続きこのような運用がされるものと考えております。  他方、執行現場への家庭裁判所調査官の同行につきましては、家庭裁判所調査官は基本的には家庭裁判所における家事事件の手続において調査等を行うものとされておりまして、先ほど述べました執行官に対して意見を述べるという役割は、例外的に特別に認められたものとされております。  したがいまして、意見を述べさせる以上に執行の現場に同行させるということは認められておりませんで、そのような仕組みを設けることは困難であろうというふうに思われます。
  187. 石井苗子

    ○石井苗子君 調査官は同行しないということで理解しました。  執行官もただのオブザベーションだけにならないように、心理的なこともちゃんと観察して意見ができるように、それはその調査官の意見や情報交換に基づいたものになっていくようなことを期待します。  最後の質問ですが、家庭裁判所調査官の役割の重要性というのが増していくと思いますけれども、増員を要求することは考えていらっしゃいますでしょうか。家庭裁判所。
  188. 村田斉志

    ○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。  家庭裁判所調査官の役割の重要性につきましては、私どもも非常に重要なものというふうに考えておりますけれども、この子の引渡しの執行の場面に関して考えてみますと、今ほどの答弁にもございましたとおり、既に現状の実務におきましても執行官に対して意見を述べるといった役割はこれまでも担ってきておりますので、本改正がなされた後も、基本的には現有人員の有効活用によって引き続きその役割を果たすことができると考えてはおります。  ただ、いろいろ様々な法改正もある中で、事件動向は変わっていくということもあり得ますので、そうしたことも含めまして、事件動向、事件処理状況等を踏まえまして、必要な人的体制の整備には努めてまいりたいと考えております。
  189. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございました。終わります。
  190. 山口和之

    ○山口和之君 日本維新の会・希望の党の山口和之でございます。  本日は、まず、不動産競売における暴力団員等の買受け防止についてお伺いいたします。  今回の改正では、暴力団員及び暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者が不動産競売から排除されることになります。不動産競売において、暴力団員による買受け防止のみならず、暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者による買受け防止を行う必要性を裏付ける立法事実はあるのでしょうか、またその許容性を裏付ける立法事実はあるのでしょうか、そもそもなぜ五年という期間にしたのでしょうか、それぞれお教え願います。
  191. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  この法律案では、暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者による買受けも制限することとしております。このように、買受けを制限する者の対象に元暴力団員を含めることといたしましたのは、現に暴力団員である者の買受けを制限しただけでは元暴力団員による買受けを通じて暴力団への不動産の供給がされてしまう、こういうおそれがあること等を考慮したものでございます。  御指摘の五年という期間でございますけれども、免許の欠格要件等を定めておりますほかの法令における元暴力団員の取扱いのほか、暴力団事務所として利用されている不動産の中には、暴力団員でなくなってから三年以上五年未満の者によって不動産競売を通じて買い受けられたものがあるとの指摘があること、こういったことを踏まえまして、暴力団員でなくなった日から五年としたものでございます。
  192. 山口和之

    ○山口和之君 それでは、暴力団員でなくなった日とは具体的にいつのことか、お教え願います。
  193. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  この暴力団員の定義でございますけれども、これは、暴力団員による不当な行為の防止に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員のことをいうものでございます。したがいまして、この法律案におきます暴力団員でなくなった日とは、今申し上げました暴力団員に該当しなくなった日をいうものでございます。  ただ、この日が具体的にいつなのかにつきましては、これは個別具体的な事案に応じて、警察への調査の嘱託に対する回答のほか、執行裁判所においてされる証拠調べの結果を踏まえて、諸般の事情を総合考慮して実質的に判断されることとなるものでございます。
  194. 山口和之

    ○山口和之君 例えば、暴力団員であった者が暴力団から抜けたいと考えたものの、離脱に対する報復を恐れて、暴力団に対して離脱する旨を伝えずこっそりと遠くに引っ越すなどして暴力団とは無縁の生活を送り始めたような場合、警察に暴力団として登録されたままでも暴力団員でなくなったということでよいのでしょうか、お教え願います。
  195. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  最高価買受申出人が暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者に該当するかどうかにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、個別具体的な事案に応じて執行裁判所がその該当性を判断することになりますので、一概にお答えすることは困難でございます。  その上で、一般論として申し上げますれば、執行裁判所は、都道府県警察に対して調査の嘱託をするだけでなく、必要に応じて現況調査報告書等の記録を参照するほか、最高価買受申出人に対する審尋を行うこともできるものでございます。そして、この執行裁判所においては、こういった手続から得られた結果も踏まえて最高価買受申出人が暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者に該当するか否かを実質的に判断することとなると考えられます。
  196. 山口和之

    ○山口和之君 それでは、いわゆる暴力団情報データベースに登録されると、本改正による影響のみならず多大な不利益を被ることになりますが、警察においては、どのような証拠に基づきどれだけの確証を得た場合に暴力団員として登録しているのでしょうか、お教え願います。
  197. 藤村博之

    ○政府参考人(藤村博之君) お答えいたします。  暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律においては、暴力団を、「その団体の構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」と規定しており、その構成員であるか否かについては、犯罪捜査その他の活動を通じて得た客観的な事実を総合的に勘案して判断しているところであります。  具体的には、犯罪捜査その他の活動を通じて得られた本人の活動状況、暴力団が作成した挨拶状等の書状への氏名等の記載状況、検挙時における本人の供述などを総合的に勘案して、暴力団の構成員であるか否かを判断しているところであります。
  198. 山口和之

    ○山口和之君 暴力団情報データベースに登録された者にはその旨の通知がなされたりするのでしょうか、また、自分が暴力団データベースに登録されたことを知りたい場合、どうすればよろしいのでしょうか、教えてください。
  199. 藤村博之

    ○政府参考人(藤村博之君) お答えします。  警察の保有する暴力団員に係る氏名等の情報については、これを対外的に明らかにすることにより、暴力団による各種活動が潜在化、巧妙化するなど警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、本人に対して通知したり、本人から尋ねられて回答することはございません。
  200. 山口和之

    ○山口和之君 それでは、真実に反して暴力団情報データベースに登録された者に対する救済措置はどうなっているのでしょうか、お教え願います。
  201. 藤村博之

    ○政府参考人(藤村博之君) 警察においては、犯罪捜査その他の活動を通じて得た客観的な事実を総合的に勘案して暴力団の構成員であるか否かを判断しており、各都道府県警察においてかかる判断を適切に行っているほか、構成員として把握した後も継続的に構成員であることの確認に努め、正確性に万全を期しているところであります。
  202. 山口和之

    ○山口和之君 機密性の高い情報であり、本人に対してもなかなか通知などできないという事情は分かっておりますが、また、警察において間違いがないようにやっていらっしゃるということも信じておりますが、しかし、どんなに細心の注意を払っても間違いは起こってしまうということを前提に制度を考えなくては取り返しの付かないことにもなりかねません。やはり、間違いがないようにやるということだけでは、間違いが生じた場合にはこのような救済をするといったところまで考え、具体的で実効性のある救済手続を用意することは不可欠であると思います。是非、御検討のほどよろしくお願いいたします。  次に、暴力団員のみならず、暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者までも不動産競売手続から排除することが、暴力団員でなくなった者の更生に悪影響はないのかについてお教え願います。
  203. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  この法律案は、競売手続において暴力団員等による不動産の買受けを制限するものでございまして、一般の不動産取引を禁止するものではございません。したがいまして、例えば暴力団員等が建物等を借りることまで制限するものではございません。したがいまして、元暴力団員でありましても、例えば公共住宅などを借りることは可能であるというふうに承知しております。  ですから、このように、この法律案は直ちに暴力団員等が社会生活を営むことを困難にするものではなく、元暴力団員の更生に悪影響を及ぼすものではないというふうに考えております。
  204. 山口和之

    ○山口和之君 それでは、再犯防止推進計画では、再犯防止においては住居の確保が重要とされておりますが、暴力団員でなくなった者の住居の確保についてはどのような取組を行っているのでしょうか、お教え願います。
  205. 藤村博之

    ○政府参考人(藤村博之君) 警察においては、関係機関、団体等と連携して、暴力団員の暴力団からの離脱、社会復帰に向けた支援を実施しております。暴力団から離脱した者について、個々の事情に応じて、住居の確保について相談があれば必要な指導、助言を行う場合もございます。
  206. 山口和之

    ○山口和之君 私人間の賃貸住宅契約においても、暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者を排除しているケースが多くあります。このような条項を設けることは、不合理な差別的取扱いを定めたものとして、民法九十条違反により無効となるといったことはないのでしょうか。
  207. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  個々の契約条項が民法第九十条の定める公序良俗に反して無効とされるかどうかは、個別具体的な事情を踏まえて裁判所が判断することになりますことから、一概にお答えすることは困難でございます。  その上で、一般論として申し上げますれば、私人は基本的に誰とどのような契約を締結するかを自由に決定することができるということから、賃貸人の側において、暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者について、反社会性が危惧される者であるなどと考えてそのような者との契約の締結を拒絶するとか、あるいは事後的に賃借人がそのような者に該当することが判明した場合には契約を解除し得ることにしたとしましても、そのことのみから公序良俗に反すると判断するのは困難ではないかというふうに考えられるところでございます。
  208. 山口和之

    ○山口和之君 暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者は、今回の改正で不動産競売によって住居を買い受けることができなくなりました。また、一般的な私人間での賃貸借契約からも排除されることが多々あります。  実は、依然として暴力団員である者、暴力団員ではないと言いながら暴力団と密接な関係を続けている者などであれば別ですが、真に暴力団から離脱し更生を考えている者が、住居の確保ができないことによって再び暴力団に戻ったりすることのないよう、しっかりとした支援制度を検討していくことが必要だと思います。是非よろしくお願いします。  不動産競売における暴力団員等の買受け防止に関して最後にお聞きしたいのですが、私人間の賃貸住宅契約では、暴力団員又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者を排除する旨の条項がある場合、それらの事実を隠して契約すると詐欺罪として起訴されております。  今回の改正後、暴力団員に該当しないことを陳述において虚偽の陳述をし、かつ警察による調査も擦り抜けて裁判所の売却許可決定を受けて不動産を買い受けた場合、詐欺罪は成立するのでしょうか、それとも新民事執行法二百十三条一項三号の罪しか成立しないのでしょうか、お教え願います。
  209. 小山太士

    ○政府参考人(小山太士君) お答え申し上げます。  犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄でございまして、一概にお答えすることは困難でございますが、あくまで一般論として申し上げれば、人を欺いて財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、あるいは他人にこれを得させた場合には詐欺罪が成立し得るところでございまして、例えば、暴力団員が競売手続において暴力団員等に該当しない旨の虚偽の陳述をして当該不動産を買い受けるに至った場合につきましても、今申し上げた構成要件に該当する場合には詐欺罪が成立し得るものと考えられるところでございます。
  210. 山口和之

    ○山口和之君 ありがとうございました。今回の法改正によって不動産競売手続がクリーンなものになるよう、運用を期待しております。  次に、今回新設される第三者からの情報取得手続制度についてお伺いします。  この新制度と弁護士会照会制度の関係はどうなるのでしょうか。代理人弁護士がいる場合、裁判所を通さずに弁護士会照会によって金融機関、登記所、年金機構などから情報提供を受けることができれば、執行の対象となる債務者の財産をより簡易かつ迅速に把握することができますが、今回の法改正は、金融機関、登記所、年金機構などが弁護士会照会に応じて情報提供を行うことを否定する趣旨を含むものなのでしょうか、お教え願います。
  211. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  この法律案によります第三者からの情報取得手続は、執行裁判所が、債務名義を有する債権者からの申立てにより、銀行等の第三者に対し債務者の預貯金債権等の財産に関する情報の提供を命ずるものでございます。  他方で、今御指摘の弁護士会照会は、弁護士が、受任事件について所属弁護士会に対して、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる制度でございまして、弁護士法第二十三条の二の規定に基づくものでございます。  以上のように、この第三者からの情報取得手続と弁護士会照会とは異なる制度でございまして、その目的も異なりますことから、この法律案は、金融機関等が弁護士会照会に応じて情報提供を行うことを否定する趣旨を含むものではございません。
  212. 山口和之

    ○山口和之君 ありがとうございます。  強制執行の実効性向上は、司法に対する国民の信頼を確保する上で欠かすことができません。民事執行法だけではなく、他の法律、制度と併せてより確実に、そして簡易、迅速に強制執行のために第三者からの情報取得ができるよう、制度の運用をお願いいたします。  以上で質問を終わります。
  213. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  まず、養育費の履行確保の問題についてお尋ねをしたいと思います。  前回の参考人質疑は、今日も他の委員も取り上げられました元家裁調査官の伊藤さん始め、松下先生、それから今津先生とお話をお伺いして、問題を、子の福祉、子の権利という原点に立って、これを理念として捉え直さなきゃいけないという意味で、とても貴重な質疑を行うことができたなと思います。  そこで、民事局長に、ちょっと通告していなかったんですけれども、この参考人質疑で、法制審もお務めになった松下参考人は、研究者なので自戒を込めて言えば、民事の問題だったから理論的にこうしかないという思考停止をするのではなくて、諸外国の立法例なども参考にしながら、まさに子の福祉、子供の福祉のためにどういう制度がよいかということを考える必要があり、今後も不断に制度の改正、改善というのを検討すべきであるとお話しになりました。  また、今津参考人は、その松下先生の御意見を前提に、検討の方向性についてこんなふうにお話しになられました。子と暮らす親と子と暮らしていない親とどちらの生活も守りつつ、最終的に子が一番幸せになるような形というのを考えていく必要があるかなと思いますと。  私、それぞれそのとおりだと思うんですが、局長、お聞きになっておられて、御感想ありますか。
  214. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  委員の御指摘のとおり、私も今の御意見はまさにそのとおりだというふうに考えております。  やはり、子をめぐる制度につきましては、子の福祉、子の利益というものを第一に考えていくということでございますし、そういった制度を考える際には、諸外国における様々な制度、こういったものも参考にしながら検討していく、そういう必要があるものと考えております。
  215. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 そこで、お手元に、皆さんに資料をお配りいたしましたのは、二〇一八年の十一月二十日付けで国立国会図書館が「レファレンス」で出してくださっている「諸外国における行政による養育費の確保」というレポートなんですけれども、それの要旨の部分だけをお配りいたしました。  これも見ながらお聞きいただければと思うんですが、まず、民事局長に、諸外国における養育費確保の仕組み、特に立替払制度、これはどのようになっているんでしょうか。
  216. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  諸外国におきましては、養育費の履行確保のために様々な工夫がされていると承知しております。  例えば、公刊されている文献によりますれば、ドイツなどでは、債務者が養育費の支払をしない場合には、行政機関がその一部を立替払して、その後に行政機関が当該債務者に対して求償するという仕組みがあると承知しております。また、アメリカでは、行政機関が債権者に代わって債務者から養育費の取立てをするという仕組みですとか、あるいは養育費の履行を怠った債務者に対して運転免許の停止等の制裁を科す制度などがあると承知しております。
  217. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 ドイツとアメリカの例を御紹介になられたんでしょうか。  少し詳しくお尋ねしたいと思うんですけれども、その前提として、法務省として、あるいは日本政府として、この諸外国における養育費確保の仕組み、特に立替払や今の取立て、こうした仕組みについての調査というのは行っているのか、それから、この今回の法改正案を提出されるに当たって法制審においてそうした議論はされたのか、いかがですか。
  218. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  法制審の議論では、この養育費の履行確保の必要性についても議論がされております。特に近年では、子供の心身の健全な発達のために養育費の履行確保の必要性が強く認識されていると。そういったことから、給与債権を対象とした強制執行がやりやすいようにすると、こういったような議論の下に、債権者が市町村等から債務者の勤務先に関する情報を取得する手続を新設することなどが盛り込まれたものでございます。
  219. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 つまり、法務省として各国の制度を調べているというわけではないんだと思うんですよ。  先ほどの局長の答弁でも、公刊物におきましてはということで、言ってみれば文献の紹介をかいつまんでされたということなんだと思いますし、法制審において、養育費履行確保の必要な債権はどれかという議論はされているけれども、民事執行法を離れて養育費の確保のためにどんな制度があり得るかという議論はこれはできていないと、これ、そういうことですよね。
  220. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  今回の法制審議会は民事執行法制についての見直しの議論でございますので、そういった制度を離れて一般的な履行確保のものにつきまして議論されているということではございません。
  221. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 私が今日提起したいのは、それでは駄目でしょうということなんですよ。  民事執行法で、給与債権も含めてこの差押えを活用するという方向は、それはあるんだけれども、実際に養育費が約束をされ、あるいは裁判所によって定められているというものが履行されているかというと、これは履行されていない。  どれぐらい履行されていないかについて、この国会図書館の「レファレンス」が、今日午前中も御答弁ありました厚労省の平成二十八年度全国ひとり親世帯等調査結果報告から引用しているんですけれども、通告していなかったので答えられればでいいんですが、この「レファレンス」によると、室長、お聞きいただいた方がいいかもしれません、母子家庭のうち、離婚した父親からの養育費を現在も受けていると回答した方は二四・三%。つまり、養育費の約束なり審判なりあるんだけれども、母子家庭で養育費を払ってもらっていると回答したのは二四・三%にすぎない。父子家庭のうち、離婚した母親からの養育費を現在も受けていると回答したのは三・二%。  そういう結果だと思いますが、お分かりになれば、イエス、ノーでお答えください。
  222. 藤原朋子

    ○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおりの数値というふうに承知をしております。
  223. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 その理由というのはもちろんいろいろあるけれども、私どもが実際、生活や法律相談の場で伺う多くの場合というのは困窮ですよね。もちろん、子供を監護する側の多くの場合、お母さんがシングルマザーとしてとても苦労されるというのはもうこれ容易に想像の付くところですけれども、子を監護しない父の方も、就職がなかなか安定しないとか、そんな中で生活の本拠も転々とするとか、これ逆に、母の側からすると、どこに行ったか分からない、行方不明とか、どこで働いているかも分からないから督促のしようもないとか、そういうようなことが現実になっていて、約束したけれども払われない。  その背景の大きなところに双方の生活の困窮というのがあるというような下で、当然、支払義務者、扶養義務なんですから、これを履行してもらうという方策を検討し、充実させていくというのは当然のことだと私は思います。けれども、それを充実させたから、そうしたら民民の問題でいいのかと。そうではないでしょうということが現実に浮き彫りになっているし、前回の質疑で参考人の皆さんからもそうした御意見が出ているんだということだと思うんですね。  そうした下で、大臣の御見解は少し制度を聞いていただいてから伺いたいと思うんですけれども、ドイツではどうなのかと。先ほど局長からもかいつまんだお話があったんですけれども、この国会図書館の「レファレンス」を見ますと、一九七九年に養育費立替え法という立法がされて、この申請を親がしてくるということに対して連邦と州が養育費を立て替えるという仕組みになっているわけですね。この立替え額の財源については、四〇%を連邦、残余が州が負担すると。金額については、十二歳から十七歳は日本円でしておよそ三万五千五百円程度という月額が子供の権利として渡されるということなんですね。  類似の制度がスウェーデンでございまして、スウェーデンでは養育費補助という制度なんですけれども、この受給権を持っているのは、両親が同居していない、つまり一人親の十八歳未満の子と、子供が受給権を持っていると。十八歳に達しても、結婚をしておらず、かつ就学中であれば、養育費補助の受給を延長することができる。これ、二十歳まで延ばすことができるし、十八歳以上の学生で受給期間を延長した者については、学生自身にこの養育費補助が支払われるという仕組みなんだそうです。十五歳超えるそうした子の養育費補助の額というのは日本円でおよそ二万七千円程度ということのレポートなんですね。  そうした立替払をされた養育費について、ドイツでもスウェーデンでも、支払義務者に求償する、あるいは返還を支払義務者はしなければならないという仕組みになっているわけですが、このスウェーデンの制度によれば、養育費の支払義務者の個人的、経済的な事情によっては、国は返還義務を猶予したり免除したりすることもできるようになっているというんですね。  これ、局長、ざっと紹介しましたが、そういう制度なんでしょうか。
  224. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) 委員の御紹介されたとおりだというふうに承知しております。
  225. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 つまり、親と子の間の、つまり子供の親に対する権利として扶養を求めるという権利があって、これが養育費として具体化をされる。その算定は、前回も議論をしたように、家庭裁判所、特に家裁調査官の調査も入って、子供と別れる父親の方、父親というか子供と別れる親の方が、分かった、苦しいけれども約束しますということで調停が成立をしたり、あるいは、調停が成立しない場合も、これは家庭裁判所としてはこの金額が相当でしょうということで審判をしたりということで決まっていくわけじゃないですか。  この子供の親に対する権利、これが決まっていくわけだから、子の養育費の請求権という、つまり子の親に対する権利という捉え方をする、それにすごくなじむのはドイツやスウェーデンの考え方だと思うんですよね。これ払われなかったら子供は生活できないわけですから、だから国や行政が立て替える。で、本来の支払義務者である親に、これは後で、あるいは同時に求償をしていくと。これ、極めて合理的だと思います。  確かに、先ほど民事局長から御紹介あったように、アメリカだとかイギリス、あるいはオーストラリアも、英米法系というんでしょうか、支払義務者から強制的に取り立てると。で、その制裁、払わないときの制裁を、運転免許を停止したりパスポートの発行の拒否をしたりという形で支えていこうとしているわけですけれども、そうした制度の枠組みはあるけれども、このドイツ、スウェーデン型というのは、私たち日本の法制度とも、分かりやすい制度の仕組みかなというふうにも思うのですね。  そこで、大臣に、私、こういう立替払の制度を日本でもしっかりつくっていったらいいと思うんですよ。実際、約束した養育費が払えないという状況になることはあり得るでしょう。例えば、三万円という約束をしたけれども、いや、三万円はもう払えないんだと、仕事がなくなってしまって月に十万円届きませんという収入しかないという方があったとする。五千円は親の責任として絶対に払いますと。だけど、子にとってみると、二万五千円分なければ生活ができないわけですよね。それ立て替えて、子供が成人するまでは国が頑張る。その後になっても、残余の部分は親に求償していけばいいじゃないですか。  そういう制度をつくることを考えて、法務省として、あるいは政府として、調査研究を行って意義や課題を明らかにすべきではないかと思いますが、いかがですか。
  226. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 委員御指摘のとおり、養育費の取決めが適切に行われ、その取決めが確実に履行されることは、子の利益を図る観点から極めて重要なものであると認識しておりまして、そういった養育費の履行確保も含めた子供の貧困対策というのは、政府全体で取り組むべき重要な課題であるというふうに認識しております。  そういった意味もありまして、例えば、児童扶養手当法の一部を改正する法律案における附帯決議などを受けて、養育費が安定して支払われるための取組についても検討することが盛り込まれておりまして、これを受けて、厚生労働省が平成二十八年八月に、児童扶養手当の支払方法、養育費確保の仕組みに関する関係省庁連絡会議を設置しておりまして、この構成員に当省の担当者も出席しているというところでございます。  また、加えて、諸外国の法制につきまして、本法律案の衆議院における審議の際に、四月十二日の法務委員会において、公的機関による養育費の履行確保に関する諸外国における法制度や運用状況に関する調査研究を実施し、我が国におけるそれらの制度の導入の是非について検討を行うよう努めることとする附帯決議がされたところでございます。  また、そうしたことから、これをしっかりと踏まえて対応する必要があろうかと思いますが、ただ、その養育費の支払に公的機関が関与する措置を講ずることにつきましては、その是非、あるいは具体的内容としてどういうふうな法的性質の下で支給がなされるのかどうか、あるいは所管官庁、例えば、ドイツにおきましては連邦家族高齢女性青年省であったり、スウェーデンは社会保険庁が所管であったり、あるいはイギリスにおきましては労働年金省等が所管しているという部分もございます。  そういったことを、また様々な意見があることも考えられますけれども、我々法務省としては、先ほど申し上げたように、附帯決議の趣旨を踏まえ、関係省庁とともに必要な検討をしてまいりたいと考えております。
  227. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 是非も含めて、今大臣がおっしゃった法的な性格をどのように捉えるのか、所管官庁をどうするのか、そこには当然、予算、財源をどういうふうに確保するのかなど、課題があることはもちろんそのとおりでしょう。だからこそ、法務省として、あるいは政府としてのこのテーマでの調査検討ということが私必要だと思うんですよね。  元々、先ほどおっしゃった児童扶養手当に関しての検討会といいますか、厚労省の、そこに参画はしておられるけれども、そこで養育費の立替払制度についての、これがメーンテーマでやっているわけではないじゃないですか。今日、こうやって委員会で議論をしていますので、各国の制度について大臣も少し踏み込んでお答えになっておられますけれども、法務省としての調査検討があるわけじゃないんですよね。実際には、在外公館に法務省からも出向しておられたり、裁判官がいらっしゃったりしています。ですから、本気でテーマを定めて調べれば、どんな制度がどんなふうに運用されているか、そのことを日本として調査することは可能なのであって、これまでそれがされていないものをこれすべきだと私は思うんです。  例えば、外国人技能実習生問題で、政務官トップにしたPTってすぐ置かれたじゃないですか。あるいは、大臣の私的な諮問というか勉強会なんかをされるということはあるじゃないですか。そうやって新たな法改正なり新たな制度というのにつなげてきているじゃないですか。養育費の履行確保、中でも行政、国による関与なり、あるいは立替払についてどうするのかについて、大臣、そういう具体的な検討をこの場でお聞かせいただきたいと思うんですが、いかがですか。
  228. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) まず、附帯決議が衆議院においてなされております。その趣旨を踏まえ、関係省庁とともに必要な検討をしてまいりたいというふうに考えているというところでございます。
  229. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 今日はそこまでにとどまるんだとおっしゃりたいのかもしれないんですけど、先ほど大臣がおっしゃった児童扶養手当、私、ちょっと矛盾をやっぱり抱えていると思います。  今日、厚労省にもおいでいただいていますけれども、先ほども御答弁いただきましたけれども、養育費とこの児童扶養手当の関係について、支給要件を満たすかあるいは支給額がどうなるかということを判断する前の年に受け取った養育費、これが所得として算入されることになっています。けれども、養育費というのは、私たちが議論しているように、払われなくなるものということなんですよね。児童扶養手当の額が算定をされた後に払われなくなっても、その後、児童扶養手当が増額されるというわけでは、これ厚労省、そうじゃないですよね、されませんよね。
  230. 藤原朋子

    ○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  児童扶養手当でございますけれども、養育費につきましても、児童扶養手当を算定をするに当たっての所得を計算をする場合に養育費の八割相当分を算入をするという仕組みになっておりまして、そのときに、毎年八月の現況届の際にその前年の所得の把握をした上で算定をするということになりますので、その前年の養育費の状況について算入をするということになります。
  231. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 つまり、八月以降払われなくなれば、その翌年の八月が来るまでは同じ額になってしまうということなんですよ。  もう一つ、この児童扶養手当ですね、私ども断固として反対しましたが、二〇〇二年の改定で、受給開始から五年がたったら、あるいは支給要件、例えば離婚をしたと、一人親家庭になったというようなときから七年たつと支給額が半減されるという、そういう仕組みになっていますよね。確認です。
  232. 藤原朋子

    ○政府参考人(藤原朋子君) 委員御指摘のとおりでございます。
  233. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 ですから、別れて子供育てるって、例えば二歳の子がいて一人親になったと、五年たったら支給額半減、半分ですと言われたって、まだその子は七歳ですよ。いや、ちょっとそれでは生活できないじゃないですか。一方で、養育費払うべき父の方は、これ職を転々としたり、もう行方不明になって払えないと、払えない、あるいは払わないと。やっぱり、そこをそのまま放置していたら駄目でしょう。だから、私、これをきちんと政府として、法務省として調査研究をすべきだと思うんですね。  そうした民事上の債務を国が立替払するというのは日本でも既にあるんです。もう一枚資料をお配りしておりますが、未払賃金の立替払という制度で、企業が倒産をして未払賃金が払われないときは、ざっと言えば八割が立替払されるということになっています。  労働基準局、この制度においては、当然こういう制度があるということと、それから、企業が倒産する場合なわけですから、これが国が求償するということがかなわない場合というのがありますよね。どれぐらい求償できなくても、それでも立替払をする意義というのはどこにありますか。
  234. 田中誠二

    ○政府参考人(田中誠二君) 御指摘の制度は、昭和五十一年、賃金の支払の確保等に関する法律が制定されまして、未払賃金立替払制度が創設されております。  この内容につきましては、企業倒産により賃金未払のまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を政府が立替払をする制度であります。この立替払をした場合には、民法第四百九十九条に基づいて、政府が賃金請求権を代位取得して求償をするという仕組みになっております。  その実態、実情ですけれども、未払賃金立替払事業における過去三年間の実績を見ますと、平成二十七年度立替払額が九十五億三千三百万円に対して回収額が三十五億七千五百万円、二十八年度が立替払額八十三億六千百万円に対し回収額が三十億八千百万円、平成二十九年度の立替払額が八十六億六千四百万円に対し回収額が二十億八千七百万円ということでありまして、回収率は大体二割から三割強ということになっております。  元々、こうした制度の趣旨は企業倒産の場合の立替払でございますので、事業主からの回収が見込める状況ではありませんけれども、労働者保護の観点からこういう制度を運用させていただいているという状況でございます。
  235. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 給与債権が生活の基盤として極めて重要だと、当然のことです。養育費が子の生育にとって極めて重要だと、これも当然のことでしょう。  大臣、これしっかり検討をすべきじゃありませんか。一言だけお願いします。
  236. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) 関係省庁とも共有した上で政府を挙げて検討していくということは、先ほど附帯決議のところで申し上げたとおりでございます。
  237. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 是非しっかり検討をお願いしたいと思います。  ちょっと残る時間、金銭債権の強制執行に関連して、金融庁においでいただいております。それは、バブル崩壊の後大問題になった融資型変額保険についてなんですね。  そもそも変額保険というのが何かと。これ、バブル時代に、相続税がどんどん上がるよと、その対策だという大宣伝で、大銀行が大手の生命保険と提携して、異常な過剰融資、そのための抱き合わせのローンとともにこの変額保険を販売したと。これによって多くの人たちが、この保険さえあれば妻や子供たちに安心して家を渡してやれると思い込まされて、家や土地を抵当、担保にして融資型変額保険を契約するということになったわけですね。  ところが、実際は全く違っていました。バブルも崩壊したと。それで、説明された保険の運用益は、説明とは反対に全く上がらない。だから、抱き合わせ融資の利息だけは複利方式で雪だるま式に膨れ上がっていくと。これによって、数千万円あるいは数億円単位の被害を多発させた商品で、この国会でもその銀行の貸し手責任、保険会社の責任ということが問われてきたわけですが、これ、金融庁、大体ざっとそういう問題でしょうか、変額保険。
  238. 中村修

    ○政府参考人(中村修君) かつてバブル時代におきまして、変額保険の販売、それにまつわる融資ということでいろんな形での事案が出てきたということはそのとおりであろうかと思います。
  239. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 結局、保険契約をした御本人が亡くなる、つまり、保険金が出れば元本は減るけれども、長生きすればするほど利息は雪だるま式に膨らむばかりだと。だから、自殺して返すという方が続発して、死に急ぎ保険などと呼ばれました。  元々、商品の設計として、保険を解約した返戻金で、あるいは保険金そのものでも、土地を売っても返せないという高額な複利が発生していく。だから、相続税対策どころか悪魔の保険だと当時言われたんですけれども。ところが、銀行は、高齢者の自宅まで次々と競売に掛けて、血も涙もない取立てをして社会問題になってきたわけですが、その債務に苦しめられ続けてきたある家族の土地、建物が今強制執行を掛けられています。  五月の二十三日、再来週に開札期日を迎えて、このままでは家、土地を取り上げられるということなので、ちょっとお話を伺ったら、お父さんとお母さんが、今申し上げている変額保険の契約をされた。そのお父さんは平成二十六年に九十三歳でお亡くなりになったそうです。ここで一億五千万円という元本を返済した。お母さんは平成二十八年に亡くなられて、一億円の保険契約だったそうですけれども、これを元本返済された。ところが、複利の約定利息というのは、これはずっと家族で払い続けてきたわけです。お父さんが亡くなってからお母さんが亡くなるまでのところの遅延損害金、一四%の遅延損害金が発生しているのだというので、お手元の資料の最後のページにあるダイヤモンド信用保証株式会社が平成三十年に家、土地の競売を申し立てているというケースなんですが、これは弁護士さんが、約定利息は完済しますと、百一万円だそうです、これは何とか完済しますと、これで話合いで解決していきましょうと提案をしているさなかのことなんですね、強制執行の申立てというのは。遅延損害金だけというので、これ二千六十二万円にもなるんですよ。もう元本も返している、約定利息も返している、ほぼ。なのに、この遅延損害金だけで平成三十一年間ずっと苦しめ続けて、土地、建物を最後に取り上げると。  こんなあこぎなやり方はないんじゃありませんか、金融庁。
  240. 中村修

    ○政府参考人(中村修君) ただいまの議員の事案の御説明ですけれども、個別金融機関の個別の取引についてでございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。  一般論で恐縮ですが、金融機関が債権の回収等の取引関係の見直しを行う場合には、まず第一に、顧客の知識、経験、財産の状況等を踏まえること、それから第二に、法令にのっとり一連の各種手続を順を追って適切に執行する体制が整備されていること、それから、手続の各段階において顧客から説明を求められればその理由を説明することが必要であり、その旨を我々は監督指針等において明示しているところでございまして、金融庁としましては、金融機関が、法令ですとかこのような監督指針も踏まえながら顧客に対しまして適切に説明をしていくということが非常に重要だというふうに考えておりまして、こうした観点から、監督に引き続き努めてまいりたいと考えております。
  241. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 こうしたことを、問題が、平成を通じてこんな被害に苦しめられ続けてきたのかということが明らかになりながら、その監督責任を本当に果たそうとしているのかと。そもそも金融庁が出発したのは、このバブル期の重大な事態、これへの反省からだったんじゃないんですか、個別のことは答えられないというのでその責任果たせますか、そんなことをやっているから、同様のことでしょう、結局スルガ銀行で起こっていること、そういうことになるじゃないですかと思うんですが。  最後に、このダイヤモンド信用保証株式会社というのは、このホームページにあるとおり、三菱UFJ住宅ローン保証株式会社の支配する子会社です。その三菱UFJ住宅ローン保証株式会社は三菱UFJ銀行の子会社だと、これは明らかですよね。これ、三菱UFJがバブル期にこうした事態を起こして、三十年以上たってこの孫会社にこうした強制的な取立てをさせているんですよ。これが先ほどおっしゃった顧客本位だとか合理的だとか言えるはずがないんじゃありませんか。  これ、きちんと指導すべきだと思いますが、最後、いかがですか。
  242. 中村修

    ○政府参考人(中村修君) 個別の事案についてはコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、銀行に対しましては、銀行及びその子会社を含めた銀行グループ全体の業務の執行が法令に適合することを確保するため、体制をしっかり整備することなどの経営管理が義務付けられておりまして、金融庁としましては、そうした銀行グループの経営管理体制という観点含めまして、監督に努めてまいりたいというふうに考えております。
  243. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 もう強制執行を是非取り下げていただいて、話合いによる解決を指導していただきたいと思います。  終わります。
  244. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。  最後ですので重なる質問もあるかと思いますが、御答弁をよろしくお願いしたいと思います。  四月二十五日の法案審議で、小野瀬民事局長が、離婚届出用紙に養育費と面会交流の取決めのチェック欄のことについて言及されました。二〇一二年当時、私も大変関心を持っておりました。そこで、養育費について質問させていただきます。  民法では、父母は親権の有無にかかわらず離婚後も子の養育費の支払義務があり、子は父母に養育費を請求することができると規定しています。しかし、実際には養育費を受け取る子はごく僅かで、取決めすらしていないケースが大半で、諸外国と比べても日本の養育費の支払状況は極めて低く、母子家庭の貧困化が社会問題になっておりました。  虐待防止のため、親権の一時停止等の改正民法が二〇一二年四月一日に施行されるのに伴い、法務省は、二〇一二年二月二日、離婚届のその用紙に養育費と面会交流の取決め状況をチェックする欄を設ける様式変更の民事局長通達を全国の法務局長に出されたと記憶しております。  法改正の前年の二〇一〇年人口動態統計では、離婚件数は二十五万千三百七十八件で、そのうち未成年の子がいたのは五八・五%でありました。  厚生労働省は、全国ひとり親世帯等調査、当時は母子世帯等調査と言っておりましたが、五年に一度行っておりますが、法案審議の直近の調査だった二〇〇六年度では、養育費の取決めをしている母子世帯の割合は四割弱、養育費を受けていた母子世帯の割合は二割にも届いていませんでした。離婚時に養育費の取決めがほとんど行われていないことが最大の要因でしたが、離婚するカップルの多くが、養育費を離婚時に決めるものという認識に欠けていたものと思われます。  二〇一一年六月の民法改正で、協議離婚において定めるべきものの具体例に、監護費用の分担、養育費の支払が条文上明示されることになり、その法案審議で、当時与党であった民主党の委員が最も効果的な周知徹底の仕方として離婚届出用紙にチェック欄を設けることを強く求めたことに対して、法務省が検討されたものと承知しております。  そこで、厚生労働省に伺いますが、直近のひとり親世帯等調査において、養育費の取決めをしている割合と養育費を受けている割合をそれぞれお答えいただきたいと思います。
  245. 藤原朋子

    ○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。  厚生労働省で実施しておりますひとり親世帯等調査でございますけれども、平成二十八年度全国ひとり親世帯等調査が直近のものでございまして、母子世帯につきましては、養育費の取決めをしている世帯が約四三%、それから、現に、現在も支払を受けているというふうに回答した割合で見ますと約二四%でございます。  一方、父子世帯でございますけれども、父子世帯につきましては、養育費の取決めをしている世帯が約二一%、現在も支払を受けていると回答したものの割合で見ますと約三%というふうになってございます。
  246. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今のお答えでもかなり少ないことが分かりましたが、それで、法務省に伺いたいと思います。  二〇一二年度と昨年度の未成年の子がいる夫婦の離婚届出件数と、協議離婚の届出の際に養育費の分担欄の取決めをしているにチェックした件数と割合をそれぞれお答えください。
  247. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  まず、平成二十四年度の未成年の子がいる夫婦の協議離婚届出総件数でございますが、十三万千二百五十四件であります。そのうち、養育費の分担について取決めをしているにチェックのある件数は七万三千二件でございました。これは、未成年の子がいる夫婦の協議離婚届出総件数の五五・六%を占めるものでございます。  次に、平成三十年度につきましては、平成三十一年一月から三月までの数値については現在集計中でありますので現時点で集計結果をお答えすることができませんので、最新の平成三十年十月から十二月までの四半期の集計結果に基づきましてお答えさせていただきますと、この期間中の未成年の子がいる夫婦の協議離婚届出総件数は二万六千八百六十五件でございまして、そのうち、養育費の分担について取決めをしているにチェックのある件数は一万七千二百八十五件でございました。これは、未成年の子がいる夫婦の協議離婚届出総件数の六四・三%を占めるものでございます。
  248. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今の結果を伺いますと、この取決めのチェック欄を設けたことは大きな第一歩だったというふうに思いますが、養育費が確実に支払われるためには更なる取組が必要だということを当時も言われておりました。本来支払うべき人が支払わないことで児童扶養手当や生活保護に頼らざるを得ない状況は、国にとっても負担が大きいですし、手厚くすべき人に十分に支払えないということにもなりかねません。  何より、子にとって、別れても自分のことを心配してくれる親と思えることは、子の成長にとってとても大切なことだと思います。養育費が確実に支払われるためにどのように周知等を取り組んでいかれるのか、お答えいただきたいと思います。
  249. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  法務省では、養育費の取決めが適切に行われるようにするために、平成二十八年十月から、養育費等に関する合意書のひな形あるいは記入例などを掲載したパンフレットを作成して、全国の市町村で離婚届書と同時に配布をしたり、法務省のホームページに掲載したりするなどの周知活動に取り組んでいるところでございます。  なお、成年年齢を二十歳から十八歳に引き下げること等を内容とする民法改正法が成立したことを受けまして、平成三十一年二月にパンフレットの内容を一部改訂しまして、養育費の支払期間の終期として具体的な日付を定めることが相当である旨の記載も加えております。  また、法務省では、離婚の届書の様式改正を行って、届書に養育費の分担に関する取決めの有無をチェックする欄を加えまして、平成二十四年四月からその使用を開始しているものでございます。
  250. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、財産開示手続の申立て債権者の拡大について伺います。  今回の改正法案では、裁判や公正証書などによって金銭を支払う義務があるにもかかわらず支払わない債務者に対して、その財産の開示制度の実効性を向上するための方策が取られることになりました。現行の財産開示手続では支払督促や執行証書での申立てをすることができませんでしたが、今回の改正により、財産開示手続も情報取得手続も申立てができることになります。  そこで、支払督促についてお伺いいたします。  支払督促という手続では、債権者は書面審査で手続を進めることができることから、金融機関や貸金業者などから既に時効を迎えている債権について破格の値段で譲渡を受けたサービサーが、支払督促を申し立てて時効を中断させ、債務名義を取得するケースが少なくないと聞いております。  債務者としては、裁判所に異議を申し立てて、その後に行われる正式な裁判においても時効の主張をすれば時効が認められるケースであっても、既に記憶が薄れていることから詐欺的請求なのではないかと思い込み、ほっておく債務者もいると思います。また、弁護士に相談したくても、このような債務者の多くは貧困に苦しんでいる人も少なくないことから、その費用が心理的な負担となり、誰にも相談できないことが多々あります。  今回の改正では、支払督促であっても、情報取得手続により預貯金等の差押えが容易になる可能性があることから、時効が認められるような債権を安く買い、書面審査だけで債務名義が取得できる支払督促を利用して時効を中断させるようなサービサーの手法には問題があるのではないでしょうか。  民事執行法の所管省庁であり、かつサービサーの所管省庁でもある法務省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  251. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  その支払督促の申立てと時効中断との関係でございますけれども、支払督促の申立てによりまして消滅時効の中断の効力を生じさせるためには、所定の期間内に仮執行の宣言の申立てをする必要があります上に、委員の御指摘もありましたとおり、債務者としては、督促異議を申し立てて訴訟手続内で消滅時効を援用することも可能であると考えられます。  そしてまた、今回は、その財産開示の関係での支払督促による悪用のおそれといいますか、そういう点につきまして申し上げますれば、まず、このサービサーが債権回収等のために財産開示制度を多用しているという、そういう実態は現在はないと承知しております。また、民事執行法におきましては、財産開示手続を実施するためには、知れている財産に対する強制執行を実施しても請求債権の完全な弁済を得られないことの疎明等が要求されておりまして、この点は債務者の預貯金債権等に係る情報取得手続においても同様でございます。  このような仕組みは、悪質な業者による財産開示手続や預貯金債権等に係る情報取得手続の濫用の防止にも資するものと考えておりますが、いずれにしましても、法務省としましては、本法律案が成立し施行された場合には、関係機関等とも連携しながら、これらの手続の運用状況等を注視してまいりたいと考えております。
  252. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、情報取得手続について伺います。  新たに債務者の財産の情報を第三者から取得する手続が創設され、金融機関から預貯金等に関する情報を、登記所である法務局から不動産に関する情報を、市町村や日本年金機構等から勤務先に関する情報を取得できるようになりました。これが養育費等の債権を有している一人親の貧困の問題を解消する一助になることが期待されます。  しかし、一人親の貧困問題では、一人親は、養育費等の債権を有しているものの、貧困がゆえに他からの借金を抱えていることも少なくありません。そのような一人親の給与が振り込まれる預金口座が差し押さえられてしまうと、途端に生活に困窮し、破産をせざるを得ない状況に陥るのではないでしょうか。債権回収の実効性を確保することは、一方で生活のための資金となる養育費の確実な支払を確保するも、他方では貧困に苦しむ社会的弱者の生きる道を閉ざすことにつながる、言わばもろ刃の剣とも言えると思います。  債務者財産の開示手続の実効性の向上を図ることによって破産者が急増するなど、債務者の生きる道を閉ざすことにつながる可能性があることについての対策をどのようにお考えなのか、法務省に伺います。
  253. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  委員御指摘のとおり、この法律案では、養育費の支払について債務名義が存する場合には、市町村等から債務者の勤務先に関する情報を取得する手続を新設することなどが盛り込まれておりまして、この給与債権の差押え、養育費のような継続的な給付を内容とする債権の実現のために極めて有力な手段となり得ることというふうに考えられます。  また、その債務者の給与が振り込まれた預金口座が差し押さえられたことによって債務者がその生活を維持することが困難になる場合には、その債務者は、差押禁止債権の範囲変更の申立てをすることが可能でございます。  この法律案では、債務者が差押禁止債権の範囲変更の制度を知らないことによって御指摘のような事態が生ずることを回避するために、裁判所書記官が差押命令を債務者に送達するに際して、差押禁止債権の範囲変更の申立てをすることができる、こういった旨を債務者に対して教示する旨の規定を設けております。そのため、御指摘のように、この法律案の施行により、一人親である債務者による破産の件数が急増するといったような事態が直ちに生ずるものとは考えておらないところでございます。  いずれにしましても、法務省としては、関係機関等とも連携しながら、本法律案による改正後のこれらの手続の運用状況等を注視してまいりたいと考えております。
  254. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 御答弁いただいた差押禁止債権に、範囲変更についてあるわけですが、確かに、今回の改正で、債務者が範囲変更の申立てがしやすいよう、裁判所書記官による手続教示を明文で定めたり、差押えから実際の取立てまでの期間を一週間から四週間に延ばしたりすることが盛り込まれています。この点は債務者の最低限の生活を保障する観点からも評価すべきことだと思います。しかし、改めて考えてみますと、預金についても、最低限差押えできない金額を定めることで債務者の最低限の生活を保障することが必要なのではないでしょうか。  この点、破産手続では、九十九万円以下の現金については、破産法第三十四条第三項第一号により、自由財産として破産財団の対象から除外されることで債権者への配当には回されず、破産者が自由に使えるものとされています。これは、破産者及びその家族の最低限の生活の保障のため、民事執行法第百三十一条第三号及び民事執行法施行令で定める標準的な世帯の二か月分の生活費である六十六万円を基準に、支払不能の状態にある破産者においては、更にその一・五倍を自由財産としたとされています。  このように、破産法においても民事執行法においても最低限の生活保障を考慮して自由財産や差押禁止財産が定められているにもかかわらず、銀行預金や郵便貯金ではそれが全く考慮されていません。最高裁判例では、本来、差押禁止債権ですら、一旦預貯金口座に振り込み等がされますと差押えが認められてしまうこととされているなど、憲法第二十五条が認める生存権を脅かすものと言えると思います。  そこで、法務省に提案ですが、給与が振り込まれている口座に関しては、六十六万円又は九十九万円まで差押禁止としてはいかがでしょうか。法務省の御見解を伺います。
  255. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  この法律案では、委員御指摘のような給与等の振り込まれた預貯金債権に対する差押禁止の範囲に関しまして、一定額に満たない部分を一律に差押禁止とするなどの見直しはしていないところでございます。これは、その債務者が給与等が振り込まれた預貯金債権の差押えによって生活を維持することが困難になるかどうかはその預貯金債権の額だけで判断することができるものではなく、その他の財産状況も踏まえて判断する必要があること等を考慮したものでございまして、給与が振り込まれている預貯金口座について一定額まで一律に差押禁止とするのは相当でないものと考えているところでございます。  ただ、御指摘のとおり、債務者が給与等の振り込まれた預貯金債権等を過当に差し押さえられてその生活を維持することが困難となる、こういった事態が生じないようにすることは重要であると考えておりまして、先ほど申し上げましたとおり、この法律案では、債務者が差押禁止債権の範囲の変更の手続を利用しやすくするための方策を講ずることとしているものでございます。  法務省としましては、今後、この本法律案の施行後における差押禁止債権の範囲の変更の手続の運用状況を注視しながら、関係機関等とも連携しながら必要な検討をしてまいりたいと考えております。
  256. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 範囲変更に関してもお答えございましたけれども、今後とも、是非あらゆる方法で御検討をお願いしたいというふうに思います。  次に、執行官採用試験、これは女性の受験者の状況についてでありますが、改めて伺いたいと思います。  先日の参考人に対する質疑におきまして、今津参考人に対して女性執行官がいない現状について質問いたしましたところ、今津参考人からは、女性が一人もいないことにびっくりしたとの発言がなされました。将来的には家事事件だけを専門に扱うような家事執行官のようなものを新たに設けるなど、女性執行官を受け入れるための今後の検討について示唆がありました。  それに先立ちまして、最高裁に対して女性執行官の採用を検討すべきではないかと尋ねましたところ、門田民事局長からは、執行官採用試験において女性の受験者はいて、男女の別なく合否の判定をしているものの、結果的に女性の合格者がいないという趣旨の答弁がありました。  そこで、改めて最高裁にお尋ねいたします。過去十年間の全国の執行官採用選考における受験者数、筆記試験の合格者数及び最終合格者数をお答えいただきたいと思います。それぞれの人数における女性の数も併せてお答えください。
  257. 門田友昌

    ○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) 最高裁の方で把握しておりますのは過去二年分の実績でございますので、それについてお答えさせていただきます。  平成二十九年の執行官の採用選考の受験者総数は八十三人でございます。筆記試験の合格者は三十八人、最終合格者は十人となっております。そのうち、女性につきましては、受験者数が一人、筆記試験の合格者数が一人、最終合格者はゼロということになっております。また、平成三十年の受験者総数ですけれども、八十九人となっておりまして、筆記試験の合格者数は三十一人、最終合格者数は九人でございます。そのうち、女性につきましては、受験者数が四人、筆記試験の合格者数は一人、最終合格者数がゼロとなっております。
  258. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 合格者に女性がいないこと以前に、受験者に対する女性の割合が低過ぎるということがあるわけですが、かつて男性の仕事とされていたような仕事、例えば自衛官あるいは警察官などにおいても、やはり完全な男女平等が実現しないまでも、女性の進出が目立ってきている近年の状況において、今御答弁ございましたけれども、一人から四人に受験者が増えたというその状況を判断いたしましても、極めてこれは遅れているものというふうに思います。  今津参考人もおっしゃったように、現状の制度のままで女性に来てもらおうというのでは、やはり男女共同参画など男女平等の視点からも不十分であると言わざるを得ません。男女共同参画基本計画などでは、年次を区切って一定割合を女性に対すると決めて取り組んでまいりました。執行官の世界でも、女性が来るのをただ待つだけではなく、例えば二〇三〇年までには五%は女性にするなど、目標を定めて取り組むべきではないかというふうに思いますが、この点につきまして、改めて最高裁の御決意をお聞かせください。
  259. 門田友昌

    ○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。  執行官の採用選考におきましては、これを実施する地方裁判所及び最高裁判所のウエブサイトに受験案内を掲載するほか、日本弁護士連合会や不動産鑑定士協会等の法律事務を取り扱う職種の団体等に採用選考が実施される旨の通知を行って、男女を問わず、受験者を募集しているところでございます。また、裁判所書記官を始めとします裁判所職員に対しましても、採用選考が実施される旨の周知を行っているところでございます。  裁判所としましては、このようにして採用選考の周知に努めるなどしておりますけれども、今後も引き続き、男女を問わず、執行官としての適性が認められる有為な人材を確保するよう努めてまいりたいと存じます。
  260. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 消防なども女性を増やすための取組をして、数値を出して頑張っています。女性を増やすための積極的な広報の努力についてもしっかりやっていただきたいということを申し上げまして、次の質問に入りたいと思います。  子の引渡しの強制執行における家裁調査官の関与についてお伺いいたします。  昨日の新聞報道におきまして、妻が別居中の夫に対し子を引き渡すまで制裁金を支払うように求めた裁判で、最高裁第三小法廷は、四月二十六日付けで、制裁金によって引渡しを強制するのは過酷で許されないとして、支払を命じた家裁と高裁の決定を破棄し、妻側の申立てを却下したということであります。このケースでは、執行官が債務者の自宅を訪れたところ、当時九歳の子が呼吸困難に陥りそうになるなどの経緯があり、子に深刻な悪影響を及ぼすケースとして、例外的に間接強制による制裁金を科すことを認めない判断を示したものと報じられています。  今回の改正によれば、執行裁判所と執行官が子の心身に配慮することとされましたが、現実には執行裁判所も執行官もそのような配慮をすることが難しいことを明らかにしたケースであると言えます。  また、先日の参考人に対する質疑におきましても、子の引渡しの強制執行の手続において、子の利益の観点から家庭裁判所の関与について質問いたしましたところ、元家裁調査官でもある伊藤参考人から、家裁と地裁の違いがあるというそういうところで、家裁調査官を兼務みたいな形にできればいいと思うものの制度上難しいという趣旨の発言がありました。  しかし、今回の改正によって、子の引渡しの強制執行における執行裁判所は、代替執行に関する第百七十一条第二項の規定が準用され、第三十三条二項第一号又は第六号に定める裁判所とされています。その結果、家裁の審判については第一審裁判所である家庭裁判所が、調停については調停が成立した家庭裁判所が執行裁判所となります。そして、子の引渡しの強制執行は、執行裁判所が決定により執行官に実施されることとされ、執行機関はあくまでも執行裁判所である家庭裁判所ということになります。  そうであれば、家裁調査官が、執行裁判所である家庭裁判所の命を受けて執行現場に同行することも可能ではないかと思いますが、最高裁の御見解をお伺いいたします。
  261. 門田友昌

    ○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。  子の引渡しの強制執行におきましては、いわゆるハーグ条約実施法に基づく子の解放実施に関する最高裁判所規則の規定に準じまして、執行官と家庭裁判所との事前のミーティングを行っております。その際には家庭裁判所調査官も参加して、債務者や子の性格、その生活状況等、執行に当たって特に留意すべき事項について情報提供をするなどをしていることが多いものと承知しております。  もっとも、家庭裁判所調査官は、基本的には家庭裁判所における家事事件の手続において調査等を行うものとされておりまして、今ほど申し上げました執行官に対して意見を述べるという役割は、例外的に特別に認められたものとされております。  したがいまして、先ほどのような意見を述べさせる以上に、家庭裁判所調査官を執行の現場に同行させるというようなことは認められていないというふうに理解しておるところでございます。
  262. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今、認められないという御答弁ではございましたが、これは不可能ではないと思います。検討すべきではないでしょうか。改めて伺います。
  263. 門田友昌

    ○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) 繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたとおりで、家庭裁判所調査官の本来の業務というのは、家庭裁判所における家事事件等の手続におきまして調査等を行うことというふうにされております。  したがいまして、先ほど申し上げたような例外的な定めがない以上は、家庭裁判所調査官を執行の現場に臨場させるということは認められないというふうに理解しておるところでございます。
  264. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今後、是非検討していただきたいということを強く申し上げたいと思います。  次に、債務者審尋が必要なケースについて伺います。  子の引渡しの強制執行については債務者審尋が原則的に採用されることになるものの、子に急迫した危険があるときその他の審尋をすることにより強制執行の目的を達することができない事情があるときには、審尋をせず強制執行を命じることができることとされています。  そもそも子の引渡しをしない債務者だから強制執行の申立てをしているのですから、審尋をして強制執行の申立てがされたことが分かれば、債務者は子の居場所を変更するなどの対応をすることは明らかであり、審尋をするケースは想定できないと思われますが、法務省の御見解を伺います。
  265. 小野瀬厚

    ○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。  この法律案におきましては、審尋をすることにより強制執行の目的を達することができない事情があるときには、例外的に債務者を審尋しないで決定することができることとされておりまして、例えば債務者が子を虐待しているなど子に急迫した危険があるときのほか、債務者を審尋することによって債務者が子の所在場所を変更するなど適正かつ迅速な強制執行の実施を妨げる行為を行うおそれがあるといった事案では、債務者が子の利益に配慮した適切な主張をすることを期待し得ないことから、こういう要件を満たす場合があり得るものと考えられます。  もっとも、御指摘のような、債務者が子の引渡しに応じないために強制執行手続に至っていると、そういうことの一事をもちましてこれらの要件を満たすとまでは言い難いのではないかというふうに考えております。  したがいまして、債務者審尋の要否につきましては、最終的には個別の事案における具体的な事情を踏まえて裁判所が適切に判断することになるものと考えられますが、法務省としては、関係機関等とも連携しながら、この法律案の施行後における運用状況等を注視してまいりたいと考えております。
  266. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 執行手続の中で審尋によって債務者の意見を聞くことがほとんどないのであれば、ますます家庭裁判所における審判、調停の中で双方の話をしっかり聞いて当事者双方を納得させることが重要になってくると思われます。そのためには、やはり家裁調査官が当事者間に積極的に介入することが重要であり、そのような任務を果たすためには人的な体制整備が不可欠だと思われます。  それ以外でも児童虐待の問題などもあり家裁の役割が増えているにもかかわらず、最高裁は裁判所職員定員法の質疑で、家事事件の数が増えているのに対し少年事件が減少していることを理由に家裁調査官の定員を据え置いております。家庭裁判所が国民に期待される役割を果たすためには、家裁調査官を始めとして職員の増員が不可欠だと思いますが、改めて最高裁の御見解をお伺いいたします。
  267. 村田斉志

    ○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。  家庭裁判所におきまして当事者の納得性の高い手続を実現することが重要だという点は、委員の御指摘のとおりであるというふうに考えております。家裁調査官を含めます家庭裁判所の人的体制の整備につきましては、これまでも事件動向や事件処理状況に照らして検討してきたところでございます。  子供をめぐる事件の審理の充実強化の必要性ですとか家裁調査官が果たすべき役割といったものも踏まえまして、引き続き必要な人的体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
  268. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 引き続き考えていきますというふうにおっしゃいましたが、今、多くの委員からも質問がございました。私ども、やっぱり家庭裁判所が国民に期待されるその役割、そこを何としても、やはり職員を増員して、体制的にも、子の権利、あらゆる部分で応援をしていきたい、そういうある意味応援団としての質問でございますので、今後とも、是非増員に関しては、御配慮といいましょうか、考えていただきたいということを強く申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。     ─────────────
  269. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、片山さつき君が委員を辞任され、その補欠として今井絵理子君が選任されました。     ─────────────
  270. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  271. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、有田君から発言を求められておりますので、これを許します。有田芳生君。
  272. 有田芳生

    ○有田芳生君 私は、ただいま可決されました民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主党・民友会・希望の会、国民民主党・新緑風会、公明党、日本維新の会・希望の党、日本共産党及び沖縄の風の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。  一 第三者からの情報取得手続に関し、金銭債権についての強制執行の実効性を確保する観点から、以下の事項について留意すること。   1 近年における夫婦の離婚後の養育費の支払率が改善されていない現状を踏まえ、子の福祉に資するため、養育費が適切に支払われるよう、本法施行後における第三者からの情報取得手続に関する実務の運用状況を勘案し、第三者から情報の提供を求めることができる債務者財産の範囲やその申立ての要件などについて、申立人の制度の利用のしやすさを考慮し、必要に応じて検討するよう努めること。   2 債務者の給与債権に係る情報の取得ができる「生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権」について、本法施行後における実務の運用状況を勘案し、その他の損害賠償請求権を含め債務者の給与債権に係る情報の取得ができる損害賠償請求権の範囲について、必要に応じてその見直しを検討するよう努めること。  二 不動産競売における暴力団員の買受け防止に関し、本法施行後における実務の運用状況を勘案し、競売手続の円滑性を確保しつつその実効性を図るため、必要に応じて、刑事罰による虚偽陳述の抑止以外の更なる対策について検討するよう努めること。  三 国内の子の引渡しの直接的な強制執行に関し、子の福祉の観点から、以下の事項について留意すること。   1 子の引渡しの直接的な強制執行については子の心身に有害な影響を及ぼさないよう、本法施行後における運用状況を勘案し、必要に応じて更なる改善を図るよう努めること。   2 執行裁判所や執行官の責務として、当該強制執行が子の心身に有害な影響を及ぼさないように配慮する義務規定を設けた趣旨を踏まえ、子の引渡しを実現するに当たり、執行補助者として児童心理学の専門家等を積極的に活用できるようにするため、当該専門家等の確保のための方策を講じるよう努めること。   3 執行官に女性がいない現状を踏まえ、女性の登用の在り方などを検討するとともに、執行補助機関である執行官の負担が増大することを考慮し、執行官の適正な職務の環境整備や個々の執行官の質の更なる向上を図るための研修の充実など執行官制度の基盤の更なる整備を行うよう努めること。  四 差押禁止債権の範囲変更の制度に関し、債務者の財産開示制度の見直しにより、債権者の地位の強化が図られることに鑑み、以下の事項について留意すること。   1 差押禁止債権の範囲変更の制度をより適切に運用することができるよう、裁判所書記官の教示に当たってはその手続を分かりやすく案内するとともに専門家による支援を容易に得られるようにするなど、債務者に当該制度が周知されていない現状を改め、債務者に配慮した手続の整備に努めること。また、これらについて、本法施行後における運用状況を勘案し、必要に応じて更なる改善を図るよう努めること。   2 給与債権の差押禁止の範囲の定めに関する諸外国における法制度や運用状況に関する調査研究を実施し、必要に応じて、我が国において給与債権の差押禁止の最低限度額の定めを設けることの是非を含め、我が国における法定の差押禁止の範囲についての見直しを検討するよう努めること。  五 国際的な子の返還の代替執行が子の心身に与える負担を最小限にとどめる観点から、本法施行後における国際的な子の返還の代替執行に関する実務の運用状況を注視し、必要に応じて更なる改善を図るよう努めること。  六 公的機関による養育費や犯罪被害者の損害賠償に係る請求権の履行の確保に関する諸外国における法制度や運用状況に関する調査研究を実施し、我が国におけるそれらの制度の導入の是非について検討を行うよう努めること。  七 近年、面会交流、監護者の指定、婚姻費用の分担など家庭裁判所における離婚に関わる調停・審判などの家事事件の件数が増加傾向にある現状を踏まえ、家庭裁判所が丁寧な審理を行えるよう、その体制の整備について検討すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  273. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) ただいま有田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  274. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 全会一致と認めます。よって、有田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、山下法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山下法務大臣。
  275. 山下貴司

    ○国務大臣(山下貴司君) ただいま可決されました民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。  また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその旨を伝えたいと存じます。
  276. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  277. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時六分散会