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2019-02-01 第198回国会 参議院 本会議 4号 公式Web版

  1. 平成三十一年二月一日(金曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第四号   平成三十一年二月一日    午前十時開議  第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。福山哲郎君。    〔福山哲郎君登壇、拍手〕
  3. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 立憲民主党・民友会・希望の会の福山哲郎です。  会派を代表して、総理に対して質問をいたします。  本年、今上天皇陛下が譲位をされ、皇太子殿下が御即位されます。平成の時代が幕を閉じようとしています。新しい時代の始まりです。  立憲民主党は、結党して一年三か月が経過しようとしています。一昨年の臨時国会では私一人だった参議院の仲間が、昨年の通常国会開会時には六人、今年の通常国会では有り難くも二十七人の野党第一会派で臨むことになりました。この間御支援いただいた国民の皆様に心から感謝申し上げます。  これまでに四十二の都道府県連を設立、この一年間の中間選挙では、公認候補の約九割が当選をさせていただきました。国民の御期待を謙虚に受け止めながら、真っ当な政治を地方、中央から共に実現していきたいと思います。  立憲民主党は、日常の暮らしや働く現場の声に立脚した、多様性を認め合い、お互いさまに支え合う社会をつくりたいと考えています。そのために、介護人材確保法を始め、LGBT差別解消法、選択的夫婦別氏法、性暴力被害者支援法、手話言語法などの議員立法を提出、検討しています。成立に向けて全力を尽くす決意です。  一方、昨年は、安倍内閣は国会で真実を語らないことを国民に知らしめた一年でもありました。立法府と行政府の関係が完全に壊れています。森友学園での財務省の文書改ざんと国会での虚偽答弁、加計学園問題、働き方改革関連法のデータ不備、防衛省の日報隠し等々、どの問題一つを取っても、本来なら内閣総辞職に値するものです。  自らに向けられた批判をひたすら否認するばかりで積極的に検証を進めるそぶりすら見せない、安倍内閣の姿勢は悪い意味で一貫をしています。否認とは、精神分析用語で、不快な事実に直面した際に、圧倒的な証拠があるにもかかわらず、それを真実だと認めず、拒否することを言います。  残念ながら、野党の議席が少ない、自民党の自浄作用が全く働かない等々が相まって、安倍内閣の否認が続いており、内心じくじたる思いでいっぱいです。  政府に反省の色はありません。相変わらず誰も責任を取らず、丁寧に説明するとうそぶくばかりです。  政策決定、行政監視機能の実効性を高めるためには、公文書の適切な管理と公開が欠かせません。立憲民主党は、公文書管理法改正案や公文書記録管理院設置推進法案を提出しています。法案の審議と早期の成立を求めますが、総理の認識をお答えください。  そんな中、またもや毎月勤労統計の不正が発覚しました。正直申し上げて、うんざりです。  総理は、今年十月からの消費増税に当たり、アベノミクスが着実に成果を上げつつあることを重ね重ね強調されてきました。しかしながら、経済に対する現状認識に大きな疑問符の付く事態が生じています。毎日、信頼を損なう事実が次々と明らかになっています。二〇一八年は、何と実質賃金が実態はマイナスになる可能性すら出てきています。まさにアベノミクス偽装そのものです。  総理に伺います。昨年一月から十一月の実質賃金の実態はマイナスになるという認識かどうか、お答えください。精査中などという答弁でごまかさないようにお願いします。  厚生労働省は、五百人以上の事業所に対して本来全数調査を行うべきところを、二〇〇四年以降、そのルールを無視して、東京都内の約千四百の事業所について三分の一のみを抽出した調査をしていました。これによって、延べ二千十五万人もの方々への雇用保険や労災保険等の支給額が少なくなりました。  抽出調査を始めた理由が、特別監察委員会の報告書では全く明らかになっていません。抽出調査を行おうとした理由、意思決定したのは誰か、なぜそのことを発表しなかったのか、お答えください。  延べ二千万人以上の方々への過少給付に対して、総理は、不足分の速やかな支払や再発防止に全力を尽くすことで政治の責任をしっかりと果たしてまいりますと述べておられます。  総理、現在の受給者は約八十万人、現在の受給者以外の人にはどのように支給するのか、速やかな支払とは、いつ、どのような形で行うのか、具体的にお答えください。  一方で、二〇一八年以降、データの復元処理、調査対象の入替え等をして、給与水準の伸びが大きくなりました。復元処理を行うことは、いつ、誰の指示で行ったのか、そのことをなぜ公表しなかったのか、お答えください。また、給与水準が大きく伸びたことについて、官邸には報告があったのかなかったのか、併せてお答えください。  一昨日、総理は、今回の再集計により下方修正となった平成三十年の各月の伸び率の数値のみをお示ししてアベノミクスの成果であると強調したことはありませんと答弁をされました。しかしながら、国会の答弁で、したことがあるか否かなどは問題のほんの一部にすぎません。事態を矮小化しないでいただきたい。ましてや、数値のみなどと限定して否定しても責任は免れません。いつものごまかしです。  二〇一八年六月の現金給与総額について、三・三%増という公表値があり、実態は二・八%若しくは一・四%とも言われています。三・三%増を前提にあらゆる経済指標が作られ、参考に資しています。総理の答弁があったか否かではなく、経済全体でアベノミクスを実態より大きく見せようとしたと言わざるを得ません。このことについて総理はどう認識されているのか、お答えください。  特別監察委員会では、結局、厚労省職員の身内によるヒアリングが行われ、官房長や厚労審議官が同席して質問したり、報告書原案を厚労省職員が作成したり等々、第三者性が全く確保されていません。  そもそも、不正を始めた動機や背景等、多くのなぜが何も明らかになっていません。それにもかかわらず、組織的な関与や隠蔽だけを否定するようなお手盛りの中間報告書になっています。真相解明よりも事態の鎮静化を優先しようとした政府の意図があったと言わざるを得ません。  特別監察委員会による再調査について、メンバーを総入替えをした上で、第三者委員会を改めて立ち上げ直すことも含めて、徹底した調査と原因分析の実施を求めますが、総理の見解を伺います。  根本厚労大臣は、昨年十二月二十日に事務方から報告を受けながら、それを公表しないまま、翌日、来年度予算案の閣議決定に署名をし、不正な調査方法による勤労統計調査の十月確報値の発表を放置しました。それこそ、ただ漫然と不正を放置して隠蔽しようとしていたと言われても仕方がありません。  説明の度重なる訂正、身内によるお手盛り監察、そして来年度予算案の閣議決定への対応、これらを見ても、根本厚労大臣は大臣の任にふさわしくありません。総理が根本大臣を罷免しないのであれば、その理由をお答えください。大臣を入れ替えて、信頼を取り戻して全容解明に努めるべきであると考えますが、総理の認識を伺います。  大規模な統計不正が明らかになり、我が国の統計全体に関する信頼が揺らいでいるところですが、SDGsについても統計の関係で指摘をしなければなりません。  政府は国連に対して、国連がSDGsの進捗把握に必要とする指標の四〇%しか提出できないと回答していると言われています。我が国の統計能力自体が疑われる事態ですが、総理、それは事実でしょうか。お答えください。  二〇一六年に閣議決定された政府SDGs実施指針の改定が来年度に予定されています。改定のプロセスにおいて、どのように様々な関係セクターの参加を図り、全員参加型での改定を実現するのでしょうか。総理、具体的にお答えください。特に、地方の声や、誰一人取り残さないというSDGsの精神にのっとり、子供、若者、女性、障害者、LGBT、限界集落に住んでおられる方々などの声をどのように反映するのか、併せて伺います。具体的にお答えください。  金融緩和と出口戦略についてお尋ねします。  アベノミクスの柱として行われている異次元の金融緩和は、既に導入から間もなく六年を経ようとしています。マネタリーベースは導入時の三倍を超えています。にもかかわらず、目標としてきた二%の物価安定目標の達成には至らない状況が続き、とうとう物価安定目標の達成時期をあえて明示しないことにしました。なぜでしょうか。  実質賃金が上がらず、可処分所得が増えない中で、消費が縮んでいることが理由ではないでしょうか。株価の高騰など、企業業績は上向き、株価は一定程度高値を維持しているものの、内部留保が増え、賃金に反映されない中で、経済の好循環が進んでいないことが原因なのではないでしょうか。この結果、過去最長の景気拡大局面と政府は言い続けていますが、何ら国民には実感がありません。  世界的に見れば、アメリカのFRBは二〇一五年から利上げを再開し、欧州中央銀行も昨年六月に年内の量的緩和政策の終了を決めるなど、市場との対話を慎重に行いながら、世界経済全体は、金融緩和からの脱却、出口戦略を見据えた市場の誘導を進めています。  異次元の金融緩和から六年。前にも後ろにも行けず立ち往生している金融緩和の出口戦略をどのようにお考えか、時期と戦略について総理の見解を求めます。  消費税率の引上げについてお伺いをします。  実質賃金の実態がマイナスなら、本当に本年十月から消費税率を引き上げるような経済環境になっているのでしょうか。  ポイント還元、すまい給付金や次世代住宅ポイント制度、住宅ローン減税の拡充、自動車の税負担の軽減は、結局のところ、税率引上げによって本当に生活が苦しくなる人々に手が届く施策とは思えません。プレミアム付き商品券も、その効果はいかほどか、お答えください。単なるばらまきではないでしょうか。  それに加え、軽減税率の導入です。国民にも企業にも極めて分かりにくい制度で、天下の愚策そのものです。  国費で二兆円の経済政策を計上し、軽減税率を導入することで、これほどの政策を行い、事務コストを掛け、中小企業に負担を掛け、国民に混乱をもたらしかねない消費税率の引上げは撤回すべきだと考えますが、総理の見解を伺います。  総理は、一昨日の衆議院本会議において、立憲民主党の枝野代表から、新たに導入される幼児教育の無償化では高所得者ほど恩恵を受けるのではないかという問いに対して、所得の低い方の保育は既に以前より公費を投じ負担軽減を図っているため、そのような指摘は当たらないと答弁をされました。  しかし、低所得者がその所得に応じた負担軽減を受けていることと、今回の幼児教育無償化に伴う格差の議論は、全く質を異にするものであります。意図的、悪質な議論のすり替えであり、不誠実な答弁です。幼児教育の無償化が導入をされることに伴い、これまで負担を軽減されることのなかった高所得者もその負担から逃れることになれば、高所得者の可処分所得は増え、結果、格差が拡大することは当然の論理です。更に言えば、保育園に入れなかった方は、この無償化の対象から外れることになります。  なぜその事実を認めようとしないのでしょうか。改めて、幼児教育無償化が格差の拡大につながるのではないかという点について、総理の見解を求めます。  昨年の夏は、国内各地で最高気温が観測史上一位を記録するなど、猛烈に暑い年でした。一方で、台風が頻繁に上陸し、西日本豪雨を始め各地で豪雨災害をもたらし、土砂災害も多発しました。本当に被災地には心からお見舞いを申し上げます。  気象庁によると、昨年の世界の年間平均気温は一八九一年以来四番目に高くなる見込みで、世界の年平均気温は百年当たり〇・七三度のペースで上昇しています。パリ協定における削減目標を各国が達成できても、二一〇〇年には三度以上上昇するとの指摘もされており、現在の削減目標の引上げは各国の喫緊の課題です。  しかしながら、我が国のエネルギー基本計画では、天然ガス発電の二倍ものCO2を排出する石炭火力発電が依然としてベースロード電源として位置付けられています。一方、世界では脱石炭の動きが広がり、欧州では二〇三〇年までに石炭火力を全廃すると表明し、我が国でも石炭などの化石燃料投資から金融業界が撤退する方針を発表しています。  G20諸国は世界の温室効果ガス排出の約八割を占めています。二〇一九年サミットの議長国である日本は、率先して削減目標を引き上げた上で、サミットで各国の目標引上げを提起すべきと考えますが、総理の認識を伺います。  トランプ大統領のパリ協定離脱は全く理解できません。安倍総理はトランプ大統領に、例えば、パリ協定からの離脱はやめた方がいいなどと説得したことがありますか。総理、お答えください。  トランプ大統領は、米国第一主義を更にエスカレートさせ、パリ協定ではなく、ユネスコ、万国郵便連合、国連人権理事会からも離脱するとしています。こうした国際場裏での米国の姿勢をどのように認識しているのでしょうか。戦後の世界の国際体制が揺らいでいます。総理に伺います。  一方で、安倍政権は原発ビジネスの国際展開を積極的に進めてきました。しかしながら、ベトナムは二〇一六年に国会が撤回決議を可決、リトアニアも計画凍結、トルコでは事業費が当初の見積りから倍増して計画が頓挫という状況です。直近では、日本の企業が英国での計画を凍結し、原発輸出は完全に行き詰まっています。原発の経済合理性が失われている現実を直視するべきです。それでも原発輸出を進めるのでしょうか。総理、お答えください。  立憲民主党は、他の野党と共同で原発ゼロ基本法案を国会に提出しています。全国各地でタウンミーティングを開催し、言わば国民との対話を経て提出したものです。今必要なのは、原発ゼロを決める政治決断です。総理は、原発ゼロというのは責任あるエネルギー政策とは言えないと言われますが、全く説得力がありません。  立憲民主党の枝野代表と私は、三・一一東日本大震災、原発事故のときの官邸メンバーです。原発事故に向き合った政治家として、一度暴れ出したら人間の手ではいかんともしようがない原発をこれ以上日本で稼働することはやめたいと考えています。これは、イデオロギーとか左や右ではなく、信念に近いものです。今から処理に数万年掛かる核廃棄物を未来に大量に残すなどという権利は、現在生きている私たちにはありません。  原発廃炉と省エネ、再生可能エネルギーへの転換は、原発輸出ではない新たな輸出産業となるものであります。不可能ではありません。なぜなら、二〇一一年に導入したFITによって、現在まで僅か八年弱で原発約二十基分に相当する再生可能エネルギーの設備容量が日本で生まれました。系統強化、燃料電池の普及等で新しい国づくりを加速するべきです。  原発のない新しい社会、町づくりをスタートさせ、原発輸出をなくし、再生可能エネルギーの普及拡大を進めることについて、総理の認識を伺います。  また、原発ゼロ基本法案の審議を行い、賛同いただきたいと考えますが、総理、いかがでしょうか。原発ゼロを参議院選挙の争点にするべきだと考えますが、重ねて見解をお伺いします。  就労外国人問題について伺います。  この問題は、日本の社会に大きな変革をもたらします。拙速ではなく、国民の合意を形成しつつ制度を練り上げていくべきと考えます。ところが、政府は、法案を数の力で無理やり成立させた上、様々な懸念に蓋をして、その実施を強行しようとしています。  問題点は山積しています。政府間文書の作成程度で、送り出し国の悪質な仲介業者の介在を本当に防止することができるのでしょうか。大都市に集中して就労をすることが想定できるのですが、必要な措置を講じるように努めるというだけで偏在を防ぐことができるのでしょうか。人手不足で悲鳴を上げている中小企業の人材は本当に確保されているのでしょうか。大企業とのすみ分けはどうするのでしょうか。結局、人手不足のところに人材は行かないのではないでしょうか。  これらの懸念事項への対応策は、我が党の議員が法案審議の際に繰り返し指摘したにもかかわらず、昨年末の基本方針には何も書かれていません。総理、これらの問題、疑問点について、一つ一つ具体的にお答えください。  北方領土問題についてお伺いします。  単純な疑問です。北方四島の領土交渉について、総理は我が党の枝野代表に、我が国が主権を有する島々と述べられました。河野外務大臣に至っては、交渉中だから何も言えないの一点張りです。片やロシア側は、南クリル全島の主権がロシアにあることを含めて第二次世界大戦の結果を完全に認めるべき、北方領土という呼称は認めない等々言いたい放題です。  外交的に今少し考えられない状況が続いています。総理、なぜ自国のポジションすら自国内で表明できないのでしょうか。理由があるのなら、お答えください。  沖縄における在日米軍基地問題についてお聞きします。  総理は、施政方針演説の中で、沖縄県民に寄り添うというこれまでの表現を使われませんでしたが、なぜでしょうか、お答えください。  昨年九月の沖縄県知事選挙において、自公推薦の候補は、普天間飛行場の一日も早い返還、危険性の除去、基地の負担軽減と訴えておられました。これは、いつもの安倍総理の発言と同じです。県知事選挙では、その主張が沖縄県民からノーを突き付けられたのです。民主国家として、玉城デニー知事を圧勝に導いた沖縄県民の民意を総理はどのように受け止められるのか、改めて伺います。  総理も地盤改良工事が必要であると答弁されたように、辺野古沖の埋立予定区域に軟弱地盤があることを政府も認識されています。そうすると、軟弱地盤の存在が埋立承認時には明らかになっていなかったという事実に基づいた沖縄県の埋立承認の撤回は、逆に正当性を持つのではありませんか。総理、お答えください。  さらに、その後、国交大臣が、防衛省が申し立てていた沖縄県の埋立承認撤回の執行停止を決めましたが、沖縄県の正当性ある承認撤回を止めることは逆に不適切だったのではないでしょうか。総理の認識を伺います。  また、総理は、沖縄防衛局において地盤改良に係る具体的な設計等の検討を行うと答弁をされていますが、設計変更が必要であるとの認識でよいでしょうか。併せて総理にお伺いします。  護衛艦「いずも」等の事実上の空母化については、専守防衛に関する従来の政府答弁を逸脱するものであり、事実上の敵基地攻撃能力の保有になると考えており、重大な懸念があります。  これまで政府は、専守防衛に逸脱するため、大陸間弾道ミサイル、長距離爆撃機、攻撃型空母の保有を禁じてきました。しかし、新たな大綱では、長射程のスタンドオフミサイルの整備が盛り込まれ、さらにF35B戦闘機の導入を打ち出し、現有の艦艇からの運用を可能とするような措置を講ずるとして「いずも」型の空母化に踏み切りました。  岩屋防衛大臣は、攻撃型空母について、戦闘機を常時搭載するわけではなく、多機能、多用途の護衛艦として運用する、専守防衛の範囲内と述べています。  では、皆さん、例えば、米国の空母ロナルド・レーガンでは、戦闘機等は通常、岩国基地に置かれていて、出航時にのみ空母に搭載されます。それでもロナルド・レーガンは攻撃型空母ではないというのでしょうか。まさに詭弁です。  それでも、専守防衛は維持していると強弁し、「いずも」は攻撃型空母ではないというのでしょうか。総理の見解をお伺いします。  立憲民主党は、男女半々の議会を意味するパリテ・ナウと称して、女性候補者の擁立を積極的に進め、パリテカフェ、パリテスクールを各地で開催しています。ジェンダー平等を進めていき、政党の体質改善を目指していく所存ですが、自民党におかれてはどのように取り組むおつもりですか。  また、我が党は、多様な人材が立候補しやすくなるような立候補休職制度、議員の出産、育児のための環境整備についても法制化の検討を始めました。各党にも御検討いただきたいと思いますが、このことについても総理の見解をお尋ねします。  結びに、赤ちゃんを授かった三人の私の友人の話を御紹介します。  トランスジェンダーのふみのさん、そのパートナーのあいさん、そしてゲイのゴンちゃんです。昨年、三人に待ちに待った赤ちゃんが生まれました。  ふみのさんは、生まれたときの性と自らの性別の認識が異なるトランスジェンダーです。男性として生きているふみのさんとあいさんは、パートナーとして暮らしています。あいさんは異性愛者の女性です。つまり、男女の恋愛です。あいさんの両親は、二人のことは当初は反対でした。生物学的には、二人には子供はできません。  二人は何度も話し合い、信頼できる親友から精子を提供してもらうことを決意しました。ゴンちゃんは、ふみのさんのLGBTの活動を共にする仲間でした。ゴンちゃんから精子が提供されて、何度かのチャレンジの後、妊娠。昨年、赤ちゃんを授かりました。そして、ゴンちゃんは月に何回か赤ちゃんの顔を見に行く生活をしています。そして、ふみのさんとあいさんと赤ちゃんとで今は暮らしています。今は三人の御両親もそれぞれ理解を示してくれています。  このプロセスには、長年の三人の葛藤やつらさ、どれほどの痛みと決意が重なり合って、今、その赤ちゃんが存在し、育っているのか。そして、家族を始めて周辺の皆様は、どれほど自らと向き合い、本当に苦しんでこられたか。そして、今現在はどれほどの喜びに包まれているかを、どうか想像してみてください。  彼ら三人の記事が一週間ほど前、インターネットで公開され、祝福のメッセージがあふれんばかり届きました。  日本には、子育て中のレズビアンカップルなど、他にも声を上げられていない多様な家族がたくさん存在しています。先般、国が滅びるなどという暴言を発した議員もいましたが、これでも自民党の杉田議員のように、生産性がないと切り捨ててしまうのでしょうか。  彼らは特別のことを求めているわけではありません。人として生きていく上で、普通に彼らのことを伝えられ、自然体にいられる環境をつくってくれればという願いです。LGBTカップルではなかなか住居が借りにくい、手術のときに身内としてサインができない、こんなことですら偏見や差別が存在します。  政治の役割はLGBTだけではありません。障害者もお年寄りも女性も含めて多様性を大切にし、当事者に寄り添い、法整備など制度改正等できることから始めることなのではないでしょうか。  先日発表された民間調査では、LGBTの人は全国の約八・九%、十一人に一人存在するという調査が出ています。これは、身の回りにおられる、例えば佐藤さん、鈴木さん、高橋さんなど、多い名字の一位から九位を合わせた数に匹敵をします。LGBT差別をなくすための法整備が必要と考える人の割合は七二%という結果も出ています。  社会は少しずつ変わってきています。いや、変えなければなりません。全国で十一の自治体がパートナーシップ制度を導入し、同性婚での違憲訴訟も始まっています。  立憲民主党は、LGBT差別解消法の制定や同性婚が可能になるような動きを支えていきたいと考えています。LGBT差別解消法について総理の見解を伺います。  安倍政権の一強多弱の状況が続き、乱暴な国会が常態化しています。その要因の一つは、約六年前、民主党政権が自壊し、国民の期待を大きく裏切ったことであると考えます。本当に申し訳なく思います。  だからこそ、立憲民主党は、その反省の上に立って結党しました。平成の次の時代に、自民党に代わる新しい価値、今後の新しい社会の在り方を提示し、国民に御期待をいただき、社会を変えていく、その役割を担わせていただきたく思います。もう一度、政権交代への山を一歩一歩登り始める決意です。  多様性を認め、お互いさまに支え合う、そんな社会を一人一人の皆様と共につくっていきたいと考えます。立憲民主党は、これまで同様、右でも左でもなく前へ進むことを誓いまして、私の質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
  4. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 福山哲郎議員にお答えをいたします。  公文書管理についてお尋ねがありました。  政府としては、一連の公文書をめぐる問題を踏まえ、昨年七月、文書管理の実務を根底から立て直すべく、公文書管理の適正化に向けた総合的な施策を決定したところです。決定した施策については全て着実に実行に移しているところであり、引き続き適正な公文書管理の徹底に万全を期してまいります。  なお、御指摘の法案については、その取扱いも含め、国会において御議論いただくべきものと考えています。  昨年の実質賃金についてお尋ねがありました。  昨年一月から十一月の実質賃金の算出が可能かどうかについては、担当省庁において検討を行っているものと承知しています。  毎月勤労統計の平成十六年の抽出調査の開始についてお尋ねがありました。  毎月勤労統計について不適切な調査が行われ、セーフティーネットへの信頼を損なう事態を招いたことについて、国民の皆様におわび申し上げます。  平成十六年から東京都の五百人以上規模の事業所について抽出調査とされた理由は、規模五百人以上事業所は東京都に集中しており、全数調査にしなくても精度が確保できるためだったと当時の担当者が説明していると承知しております。  厚生労働省の特別監察委員会においては、先般、それまでに明らかになった事実等について報告を取りまとめていただいたところですが、さらに、独立性を強める形で関係自治体へのヒアリングなども行い、厳正に検証作業を進めていくものと承知しております。  雇用保険、労災保険等の給付の不足分のお支払についてお尋ねがありました。  雇用保険、労災保険などの給付の不足分については、できる限り速やかに、簡便な手続でお支払いできるよう、万全を期して必要な対策を講じていきます。  具体的には、現に雇用保険等の給付を受給している方については、三月中には本来支給すべき金額での支給を順次開始できるよう準備を進めているところです。過去の給付の不足分については、システム改修時の準備を進めており、速やかに国民の皆様にスケジュールをお示ししてまいります。  毎月勤労統計の事案について、平成三十年以降の調査における復元処理についてお尋ねがありました。  平成三十年から実施されたサンプリング等の見直しは、毎月勤労統計の改善に向けて、統計委員会を始めとする専門家の検討を経て統計的な観点から行われたものであります。  同時期において厚生労働省の担当者が復元処理を行うようシステム改修したのは、こうしたサンプリング等の見直しがうまく機能するようにしたためなどと説明していると承知しています。  また、毎月勤労統計調査の公表内容については、公表の都度、厚生労働省の事務方から官邸に対し事務的にその内容の連絡がなされているものと承知しています。  いずれにいたしましても、引き続き、特別監察委員会において、より独立性を高めた形で厳正に検証作業を進めていただいております。  政府の経済情勢の認識についてお尋ねがありました。  まず、私は、今回の再集計により下方修正となった平成三十年の各月の伸び率の数値のみをお示ししてアベノミクスの成果であると強調したことはありませんし、この数値のみを使って雇用・所得動向を判断しているわけではありません。御指摘の昨年六月の伸び率三・三%は再集計により二・八%に修正されておりますが、再集計値においても増加傾向が続いていることには変わりはありません。  また、念のために申し上げておきますが、御指摘の一・四%という数字は参考指標として公表されている共通事業所の前年比であって、三・三%から修正された値ではありません。なお、この参考指標については、従前の公表値で一・三%であったものが、従前の公表値で一・三%であったものが今回の再集計で一・四%に修正されており、再集計でそれほど大きな影響を受けていないと承知しています。  いずれにしても、これらの状況を総合的に勘案すると、雇用・所得環境が着実に改善しているとの判断に変更はありません。  特別監察委員会の調査についてお尋ねがありました。  厚生労働省の特別監察委員会においては、先般、それまでに明らかになった事実等について報告書を取りまとめていただいたところですが、さらに、事務局機能を含め、より独立性を強めた形で更に厳正に検証作業を進めていくものと承知しています。  今回のような事態が二度と生じないよう徹底して検証を行い、信頼を取り戻すことが何より重要であり、再発防止に全力を尽くすことで政治の信頼をしっかりと果たしてまいります。  毎月勤労統計の事案に関する根本大臣の対応や責任についてお尋ねがありました。  根本大臣は、十二月二十日に事案を把握した後、必要な指示を行いつつ、全力で対応に当たってきたものと認識しております。根本大臣には、不足した給付の速やかな支払や今回の事案の徹底した検証、再発防止に引き続き全力で取り組んでいただきたいと考えています。  SDGsについてお尋ねがありました。  本年予定されているSDGs実施指針の改訂に当たっては、誰一人取り残さないとの理念の下に、市民社会、経済界、国際機関を始め幅広い関係者で構成されるSDGs推進円卓会議において、地方の声や、子供、若者、女性、障害者、LGBT、限界集落に住んでおられる方々など、様々な方々の声を反映するように努めてまいります。  また、国際連合が掲げるSDGsの進捗を測定するための指標のうち、現在我が国から報告が可能である見込みのものは約四〇%となっています。残りの指標には、国際的にも作成方法や定義が定まっていないものや、我が国における作成について検討する必要があるものも数多く含まれております。引き続き、政府内で協議を進めていくこととしております。  なお、米国は三三%、イタリアは四五%、フランスは四六%、ドイツは五四%となっており、必ずしも我が国の統計能力が疑われるような水準であるとは考えていません。  金融政策についてお尋ねがありました。  二%の物価安定目標の達成時期については、日本銀行が昨年四月に公表した展望レポートにおいて、二%程度に達する時期の見通しに関する記述が削除されました。この点については、黒田総裁は、市場の一部では、達成時期の見通しを二%の達成期限と捉えた上で、その変化を政策変更に結び付ける見方も根強く残っているところ、金融政策スタンスを誤解されるおそれがあるため削除した旨を説明しています。  また、黒田総裁は、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを目指すという点は何ら変わるところはないものと説明しており、政府としては、引き続き、日本銀行が、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、二%の物価安定目標の実現に向けて努力されることを期待しています。  経済の好循環については、政権交代後、金融政策を含めたアベノミクスの三本の矢で取り組み、名目GDPは一割以上成長し、もはやデフレではないという状況をつくり出しました。  そうした状況の中で、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しており、この五年間で生産年齢人口が四百五十万人減少する中にあっても、就業者数は二百五十万人増加し、賃上げも、連合の調査によれば、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが実現するなど、確実に経済の好循環が生まれています。  引き続き、政府、日本銀行で緊密に連携しながら、あらゆる政策を総動員して、デフレ脱却、そして力強い成長を目指してまいります。  なお、出口戦略については、金融政策の具体的な手法は日本銀行に委ねられるべきと考えており、私は黒田総裁の手腕を信頼しております。  消費税率引上げについてお尋ねがありました。  消費税率の一〇%への引上げは、全世代型社会保障の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するために必要なものです。  これまでも、反動減等に対する十二分な対策を講じた上で、法律で定められたとおり、十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定であると繰り返し申し上げており、この方針に変更はありません。  その上で、消費税率引上げに当たっては、所得の低い方々など、真に支援を必要とする層にしっかりと支援の手が行き届くことが重要です。  まず、消費税率引上げに伴い、所得の低い方々への配慮として、食料品等を対象に軽減税率制度を実施します。  また、消費税率引上げによる増収分を活用して、所得の低い方々に対して、介護保険料の軽減の拡充、年金受給者への給付金の支給等の措置を講じることとしているほか、ゼロ歳から二歳までの住民税非課税世帯の子供の幼児教育を無償化するとともに、来年四月から真に支援を必要とする所得の低い世帯の高等教育の無償化を実施することとしています。  加えて、所得の低い方々等に対しては、税率引上げから一定期間使用できるプレミアム付き商品券を発行、販売します。  こうした措置を総合的に勘案すれば、所得の低い世帯に手厚く、全体として逆進性に対して十分な緩和策になるものと考えています。  また、今回の消費税率の引上げに当たっては、消費税率八%への引上げ時の反省の上にあらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応することとしています。いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じ、景気の回復軌道を確かなものとしてまいります。  幼児教育の無償化についてお尋ねがありました。  今般の幼児教育の無償化は、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るという少子化対策と、生涯にわたる人格形成の基礎やその後の義務教育の基礎を培う幼児教育、保育の重要性に鑑み、未来を担う子供たち、子育て世代に大胆に投資するものです。これは、小学校、中学校九年間の普通教育無償化以来、実に七十年ぶりの大改革であります。  高所得者ほど恩恵を受けるとの指摘については、元々所得の低い方の保育料は既に公費を投じ負担軽減を図っており、さらに、安倍政権では、低所得世帯を中心に先んじて段階的に無償化の範囲を拡大してきており、今回の無償化による公費負担額のみをもって高所得者層ほど大きな恩恵を受けるとする御指摘は当たらないと考えています。  さらに、格差の拡大につながるとの御指摘については、三歳から五歳までの子供の無償化に加え、ゼロ歳から二歳までの子供たちについて、住民税非課税世帯を対象として進めるほか、平成三十二年度から真に支援を必要とする低所得世帯を対象とした高等教育の無償化を実施することとしています。このように、今般の教育の無償化は、全体として見れば低所得世帯に十分配慮したものとなっています。  こうした次元の異なる政策を実行することにより、子育てや教育に係る負担を大幅に軽減し、日本を子供たちを産み育てやすい国へと大きく転換してまいります。  温室効果ガスの削減目標についてお尋ねがありました。  パリ協定が掲げる、今世紀後半に温室効果ガスの人為的な排出と吸収を均衡させるとの野心的な目標の達成に向けて、削減目標について、実効性に裏打ちされない数値の引上げを論ずるより、目標達成への具体的な道筋、すなわち大幅な排出削減を実現するために必要なイノベーションを生み出すための方策を論ずることが重要です。世界の英知を結集して、人工光合成や水素利用の技術など、革新的なイノベーションを起こすことが目標達成への最短の近道であると考えます。  本年六月のG20大阪サミットでは、二十か国の科学技術のリーダーたちを日本に招く新たな国際会議の創設を提案し、イノベーションの創出に向けた国際協力を抜本的に拡大したいと考えています。  さらに、ESG投資がこの五年で九兆ドル拡大する中で、こうした分野でのイノベーションに向けた民間投資が一層積極的に行われるような企業の情報開示の在り方も大きなテーマであると考えます。  あらゆるイノベーションの可能性を世界と共に追求しながら、G20サミット議長として気候変動問題への対応にリーダーシップを発揮したいと考えています。  米国のパリ協定脱退等についてお尋ねがありました。  パリ協定については、G7タオルミーナ・サミットの際に、私から、時間を掛けて他のG7首脳と共にトランプ大統領に対して協定から脱退しないよう働きかけましたが、結局、米国がパリ協定からの脱退を表明したことは残念です。  気候変動問題は国際社会が取り組むべきグローバルな課題であり、その後も、米国の関与が引き続き重要であることにつき、私自身も含め、様々なレベルで米国に対し働きかけを行ってきています。  国際機関と米国の関係についてコメントすることは控えますが、国際社会が直面する主要な課題に対処していく上で米国の関与は不可欠であり、トランプ大統領との揺るぎない信頼関係の下、日米で緊密に連携し、地域や国際社会の平和と繁栄に積極的に貢献してまいります。  原発輸出、原子力政策についてお尋ねがありました。  経済合理性があらゆるプロジェクトの大前提であることは言うまでもありませんが、原発の建設などに伴うコストは、各国の立地環境や国内制度、経済情勢などによって異なるものであり、一概に申し上げることはできません。  その上で、我が国の原子力技術、人材の基盤を維持強化しながら、世界における原子力の平和利用、気候変動問題への対応などにしっかりと責任を果たしていくとの観点から、今後とも、原子力に関する国際協力を推進していく考えであります。  同時に、我が国においては、現在、多くの原発が停止している中で、震災前に比べて一般家庭で平均約一六%電気代が上昇し、国民の皆さんに経済的に大きな御負担をいただいている現実があります。  議員提出法案の扱いについては国会がお決めになることであり、また、参議院選挙について内閣総理大臣としてお答えする立場にはありませんが、資源に乏しい我が国にとって、こうした経済的なコストに加え、気候変動問題への対応、エネルギーの海外依存度を考えれば、原発ゼロということは責任あるエネルギー政策とは言えません。  いずれにせよ、徹底した省エネ、再エネの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能な限り低減する、これが政府の一貫した方針であります。  新たな外国人材の受入れについてお尋ねがありました。  まず、悪質なブローカーの排除については、現在、九か国との間で情報共有の枠組みの構築を内容とする二国間取決めの締結を目指しているほか、外国人材が保証金を徴収されているなどの場合には、特定技能の在留資格での受入れができないこととする方針です。新設される出入国在留管理庁は、このような観点から、受入れ機関や外国人材について厳格な審査を実施してまいります。  また、大都市圏等に外国人が過度に集中することを防止する観点から、政府としては、地方で就労するメリットの外国人への周知、外国人の地方定着を促進する優良事例の受入れ機関や地方自治体への紹介、地方自治体の外国人受入れに係る先導的な取組に対する地方創生推進交付金による支援などの取組を行ってまいります。  受入れ機関が参加する分野別の協議会を設け、地域ごとの外国人の就労状況を把握するとともに、過度な集中が認められた場合には、受入れ機関に対して受入れ自粛の要請を行うなどの措置を講じることにより、地域の人手不足にも適切に対応してまいります。  また、今回の制度を施行することにより、人材の充足率の低い中小・小規模事業者においても外国人材の受入れが進むと考えておりますが、大企業への偏在が生じた場合には、特定地域への過度な集中が見られた場合と同様に、協議会の場を活用するなどして、中小・小規模事業者の受入れが確保されるよう対応してまいります。  これらの取組を推進することにより、四月からの新たな外国人材の適切な受入れに努めてまいります。  北方領土問題についてお尋ねがありました。  北方領土は、我が国が主権を有する島々です。この立場に変わりはありません。  その上で、我が国の交渉方針や考え方について、交渉以外の場で言うことは交渉に悪影響を与えることになるため、お答えすることは差し控えます。  戦後七十年以上残された課題の解決は容易ではありません。しかし、私たちはこれをやり遂げなければなりません。平和条約は、日本側にとってもロシア側にとっても受入れ可能なものでなければなりません。  政府として、領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、引き続き粘り強く交渉してまいります。  施政方針演説の表現及び沖縄県知事選挙についてお尋ねがありました。  今後とも、沖縄の方々の気持ちに寄り添い、基地負担の軽減に全力を尽くす、その思いには何ら変わりはありません。  今回の施政方針演説では、二十年以上に及ぶ沖縄県や市町村との対話の積み重ねと申し上げ、そのような思いを込めたつもりであります。  沖縄県知事選挙の結果については真摯に受け止めています。  その上で、地方自治体の首長選挙の結果について政府の立場で見解を述べることは差し控えたいと思います。  住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、政府と地元の皆様との共通認識であると思います。  今後も、地元の皆様と様々な形で意見交換、意思疎通を図りながら、基地負担の軽減に全力で取り組んでまいります。  埋立承認の撤回、執行停止、埋立予定海域の地盤についてお尋ねがありました。  沖縄防衛局が行った審査請求及び執行停止の申立てについては、公有水面埋立法の所管大臣たる国土交通大臣により、関係法令にのっとり執行停止の決定が行われたものと承知します。  これは、法治国家として法律に基づき必要な法的手続が行われたと認識しており、これを尊重すべきものと考えています。  また、埋立承認の撤回については、現在、審査請求の手続中であり、公有水面埋立法の所管大臣において関係法令適用の見地から判断されるものと承知しています。  このため、私の立場で評価を申し上げることは差し控えたいと思います。  米軍キャンプ・シュワブの北側海域については、地盤改良工事が必要であるものの、一般的で施工実績が豊富な工法により護岸や埋立て等の工事を所要の安定性を確保して行うことが可能であることが確認されたと聞いており、設計を変更し、地盤改良工事を追加することに伴い、まずは沖縄防衛局において必要な検討を行っていくものと承知しております。  今後とも、普天間飛行場の全面返還を一日も早く実現するため、移設を進めてまいります。  「いずも」型護衛艦の改修についてお尋ねがありました。  政府としては、従来より、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的兵器を保有することは憲法上許されず、そのような兵器の例として、いわゆる攻撃型空母を挙げてきたところです。  「いずも」型護衛艦における航空機の運用と所要の改修は、新たな安全保障環境に対応し、広大な太平洋を含む我が国の海と空の守りについて、隊員の安全を確保しつつ、しっかりとした備えを行うものであり、今後の我が国の防衛上、必要不可欠なものです。自衛のための必要最小限度のものであり、憲法上保有が許されない攻撃型空母に当たるものではありません。  我が国憲法上保有が許されない攻撃型空母についての考え方は、あくまでも我が国が自ら保有する艦船についてのものであり、他国が保有する艦船についてこれを当てはめるべき性格のものではないと考えています。また、このため、他国が保有する艦船について、かかる考え方を当てはめて評価することは適当でないと考えています。  なお、我が国は、いわゆる敵基地攻撃については、日米の役割分担の中で米国の打撃力に依存しており、今後ともこうした日米間の基本的な役割分担を変更することは考えておりません。  また、スタンドオフミサイルは、専守防衛の下、隊員の安全を確保しつつ、我が国の防衛に万全を期すために必要不可欠なものです。  専守防衛は、憲法の精神にのっとった我が国防衛の基本方針であり、今後とも堅持してまいります。  政治におけるジェンダー平等についてお尋ねがありました。  自民党の取組について、私が内閣総理大臣としてこの場でお答えをすることは差し控えます。その上で、一般論として申し上げれば、価値観が多様化する時代にあって、女性の参画、女性目線での政策立案は、これからの政治にとって不可欠であると考えます。  他方、我が国においては、国会議員に占める女性の割合が国際的に見ても低い現状があります。昨年、自民党の議員も加わった超党派議連の皆さんの御尽力により、政治分野における男女共同参画推進法が成立したところであり、女性候補者の積極的擁立など、政治における女性活躍の推進に向けて、今後もリーダーシップを発揮していく考えであります。  多様な人材が立候補しやすくするための取組についてお尋ねがありました。  議員立法について内閣総理大臣としてコメントすることは差し控えますが、一般論として申し上げれば、価値観が多様化する時代にあって、お年寄りも若者も、女性も男性も、障害や難病のある人も、多様な人材が政治に参画できる環境を整えることは極めて重要であると考えます。  こうした考え方の下、立候補の際の休職については、現在でも労働基準法に一定の規定が置かれているものと承知しております。さらに、政府としても、地方議会において出産に伴う欠席を認めるよう要請するなど、取組を進めてきたところです。  その上で申し上げれば、国会議員やその立候補者の身分はまさに民主主義の土俵に関わる課題であることから、各党各会派の間で積極的かつ建設的な議論が行われることを期待しております。  LGBT差別解消法についてお尋ねがありました。  LGBTと言われる性的少数者に対する不当な差別や偏見はあってはならないことであります。多様性が尊重され、全ての人がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に政府としてしっかりと取り組んでまいります。  なお、御指摘の法案については、その取扱いも含め、国会において御議論いただくべきものと考えています。(拍手)     ─────────────
  5. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 山口那津男君。    〔山口那津男君登壇、拍手〕
  6. 山口那津男

    ○山口那津男君 公明党の山口那津男です。  私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました施政方針演説等四演説に対し、安倍総理並びに関係大臣に質問します。  二〇一九年、平成が終わります。振り返れば、平成の始まり一九八九年は、ベルリンの壁の崩壊など国際社会が激しく揺れ動く中でのスタートでした。東西冷戦が幕を閉じ、新たな国際秩序が模索される中で、我が国が国際社会の平和と安定にどう臨んでいくのか、世界の中の日本の在り方が問われた重大な転機であったのです。そして、日本は、PKOへの参加を始め、国際社会の平和と安定に向けた貢献に大きな一歩を踏み出しました。  あれからおよそ三十年、平成が終わろうとする足下はどうでしょうか。  国際社会は、政治、経済、地球的な課題への対応など、まさに大きな岐路にあります。世界各国では、保護主義やポピュリズムの危機などにさらされています。  本年から、我が国を舞台に、G20サミット、TICADⅦなど政治や経済の国際会議、ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックといったスポーツの祭典など、国際的なイベントが続きます。また、十月には、新天皇陛下の即位礼正殿の儀及び饗宴の儀にも海外から多数の来賓が来日されます。  このようなときだからこそ、日本が国際社会において対話による多国間協力の道を開き、協調をリードする役割と責任を担う重要な機会であり、そうした期待もあるのではないでしょうか。  昨年、世界人権宣言が七十年の節目を迎えました。近年は、SDGsの取組も大きく進んでいます。こうした普遍の理念や価値を更に現実の政治にも反映させることが重要です。そして、人類益あるいは地球益にも通じる国際的な取組は、即、日本の国益にも相通ずるものであります。  公明党は、生命、生活、生存を最大限に尊重する人間主義の理念、中道主義を掲げ、平成のその先の時代にあっても、分断のない社会へ、世界の平和と安定へ全力を挙げてまいります。  以下、当面する課題について具体的に質問いたします。  経済の再生と好循環を実現する、六年前の自公連立政権発足時の最も重要な政策課題でした。それが今やどうでしょうか。日本経済は着実に回復を続け、女性や高齢者を含め雇用環境は大きく改善、賃上げも五年連続して高水準で推移しています。連立政権で進めてきた働き方改革も、本年いよいよ本格的に動き出します。有言実行、確かな成果を収めつつあります。  しかし、気を緩めてはなりません。まだまだ課題は残されています。また、米中間の貿易摩擦など世界経済の先行きにも注視が必要です。  経済の好循環に向けて、賃上げの更なる拡大など、確かな経済財政運営を総理には求めたい。総理の答弁を求めます。  子供からお年寄りまで安心の全世代型社会保障を構築しなければなりません。本年十月の消費税率引上げ分の一部を活用し、教育無償化や年金の福祉給付金、介護保険料の軽減などが図られ、その基盤は大きく強化されます。万全な準備を求めます。  持続的な社会保障を守るためには、安定した財源が欠かせません。全ての世代が将来にわたって安心して暮らせる日本をつくるため、そして将来世代に負担を先送りしないため、総理が施政方針演説で述べられたとおり、消費税率引上げはどうしても必要です。  改めて、消費税の意義と税率引上げについて、総理の明確な答弁を求めます。  その上で、政府には、消費税がなぜ必要なのか、国民の理解を得るとともに、引上げによる景気への影響を最小限に抑える対応策が求められます。  まずは、税率引上げと同時に実施される軽減税率制度です。  買物の都度、痛税感の緩和を実感でき、低所得者ほど効果を発揮する軽減税率制度は、国民生活を守る最大の支援策です。  しかし、税率の線引きが分かりにくい、納税事務が煩雑になるといった懸念の声をいまだに耳にします。また、税率引上げ先送り願望などもあり、中小企業や小売店を中心に、システムやレジの更新などの準備が思うように進んでいません。  懸念の払拭、支援策の周知徹底など、準備を加速化すべきです。また、政府広報、テレビなどを活用した国民への一層の周知も重要です。  第二に、駆け込み需要、反動減対策についてです。  公明党は、税率引上げ後の家計を応援し、消費の下支えのため、低所得者や子育て世帯に配慮したプレミアム商品券を提案、政府の対策にも盛り込まれました。プレミアム商品券は、前回の実績から、消費喚起効果があると報告されています。発行する自治体が、地域の実情に合わせ、効果を最大限に発揮できる最も適切な方法を実施できるよう強く求めます。  また、景気への影響が大きい自動車や住宅への対策も重要です。  自動車については、長年の課題であった自動車税の恒久減税を決断するとともに、消費税対応として新たに導入される環境性能割の税率を臨時的に軽減するなどの措置を講じることとしています。また、住宅については、住宅ローン減税の控除期間の三年間延長、すまい給付金の拡充、次世代住宅ポイントの付与といった予算、税制両面による総合的な対策を講じるなど、それぞれ税率引上げ後の購入にメリットがある環境をつくり出しています。  さらに、ポイント還元対策を含め、政府は、消費税率引上げによる影響二兆円に対し、これを乗り越えるため、総額二・三兆円の対策を講じると説明しています。  こうした対策も国民の皆様の理解がないと効果を発揮できませんが、各種対策について国民の理解、認知度を高め、一層浸透を図っていかなければなりません。  消費税引上げまで九か月。制度設計を急ぐとともに、国民への周知を含め、準備を急ぐべきです。  軽減税率制度の円滑な実施及び平準化対策について、総理の答弁を求めます。  少子高齢、人口減少の大波を乗り越えるために成長力を底上げすること、特に日本経済を支える中小企業、地域経済が元気であることが重要です。  人工知能やロボット等の第四次産業革命の社会への組み込みを通じた大胆な生産性向上に取り組むとともに、女性や高齢者など多様な人材が活躍できる環境を整備し、また、そのマッチングを支援し、人手不足に対応する必要があります。さらに、それを物づくりを支える地域の中小・小規模事業者まで波及させていかなければ、日本の未来は見えてきません。  中小企業の新たなチャレンジを応援してきたものづくり補助金。公明党は、当初予算化を含む拡充を強く後押しし、中小企業投資促進税制等の拡充と併せ、生産性向上を支援してきました。  ものづくり補助金は、これまでに採択が約六万四千件を超え、数多くの事業者で活用されており、新製品の開発、販売によって売上高が増えるなど、着実に効果が表れています。引き続き、制度の周知徹底や手続の簡素化、ワンストップ化などを通じて、より多くの企業に活用されるよう、事業者の立場に立った改善を進めるべきです。  日本の成長力底上げについて、総理の答弁を求めます。  後継問題に悩む中小・小規模事業者への事業承継支援策が大きく前進しました。  昨年四月から大幅に拡充された法人版事業承継税制は、想定をはるかに超える申請件数となり、爆発的な伸びを見せています。また、個人事業者の事業承継についても、来年度税制改正において、事業用の土地や建物を引き継ぐ際に相続税や贈与税を今後十年間全額猶予するなどの措置を盛り込み、四月から施行される予定です。  政府においては、引き続き円滑に事業承継が進むよう、伴走型で、税制を含めた支援に取り組むよう求めます。  本年四月から大企業の働き方改革が順次実施されることに伴い、そのしわ寄せが下請事業者に及ぶことが懸念されます。下請Gメンの調査でも、短い納期で発注すること等への懸念、金型管理の適正化などの課題もなお残っています。  昨年末、下請事業者と親企業の望ましい取引関係に関する振興基準が改正されましたが、引き続き、望ましくない商慣行などに厳正に対処し、日本特有の下請の概念を取り払うような公正な取引環境を実現すべきではないでしょうか。あわせて、消費税の転嫁対策にも万全な体制で臨むべきです。  中小・小規模事業者への支援について、総理の答弁を求めます。  本年六月、我が国が初の議長国を務めるG20サミットが大阪で、またテーマごとの関係大臣会合も今年いっぱい日本各地で開催されます。  世界経済の先行き不透明感が増す中、議長国である日本が、ルールに基づく国際協調の枠組みを維持しつつ、世界経済の安定と繁栄に主導的な役割を果たしていくべきです。特に、自由貿易の推進については、昨年末発効したTPP11や本日発効の日本とEUの経済連携協定など自由で公正なルール作りを主導してきた日本が、両協定を通じてその恩恵や価値を改めて世界に発信するとともに、TPP参加国の拡大やRCEP交渉の加速化に取り組むべきです。  自由貿易体制の堅持と我が国が果たすべき役割について、総理に伺います。  東日本大震災から今年三月で丸八年を迎えます。大きな節目となる復興・創生期間が終わるまでの二年間、まさにここからが正念場です。  公明党は、これからも被災者に寄り添い、人間の復興を目指し全力を挙げてまいります。  多様化する被災地の課題解決に一つ一つ向き合いながら、復興を大きく前進させていく。未曽有の災害を経験した東北だからこそ、震災前より、より安全で快適に過ごせる復興、活力あふれる世界が瞠目するような復興、まさに創造的復興を目指すべきです。  総理の決意を伺います。  昨年は、自然災害が相次ぎました。近年の気候変動など、自然災害が人間の安全保障への大きな脅威となっています。  国土強靱化、防災・減災に向けて、七兆円規模の三か年緊急対策を含め、継続的な対応策を講じるよう強く求めます。  昨年九月、私は公明党として訪中した際に、中日友好協会会長の唐家セン氏とお会いしました。  その際、唐会長は次のように発言されました。日中は、災害について協力できることがいっぱいあります、特に日本は経験、技術が進んでいるので、学ばなければならないことがたくさんあります、是非この分野は協力していきましょうと。  私は、まさに防災の分野が日中関係の強化につながる重要なテーマの一つではないかと感じました。  世界的にも、近年の異常気象等による自然災害のリスクは深刻な課題です。様々な災害を経験し、防災・減災対策、復旧復興の取組を重ねてきた防災先進国日本が、世界の強靱化で国際社会をリードし、防災・減災について国際協力、国際貢献で果たす役割と使命はますます大きくなっていると確信します。  防災・減災への国際貢献について、総理の見解を伺います。  防災・減災にとどまらず、我が国が国際社会で果たすべき課題は多岐にわたります。貧困、平和構築、保健、女性、防災等の地球規模課題の解決を目指す国際社会の共通目標、SDGs。誰一人取り残さないとの理念は、一人の声を大切にしてきた公明党の姿勢とも合致します。  また、分断や対立によって不透明感が高まる中で、人間の安全保障の理念に基づいた、人に焦点を当てるSDGsの取組はますます重要であり、国際社会の隅々まで浸透するよう努めていくべきです。  我が国はSDGs先進国を目指し、政府、自治体、NGO、企業などがそれぞれの持ち味を生かし、国民の意識を高めながら目標達成へ向けて果敢に挑戦すべきです。  SDGsを通じて世界を変えていく、日本の本気度が試されています。  政府が掲げる人間中心の未来社会の実現に向けて、経済発展と社会的課題の解決を両立する持続可能な日本のSDGsモデルを世界に発信すべきではないでしょうか。  SDGsの取組について、総理の答弁を求めます。  総理は、ダボス会議において、気候変動に立ち向かうには非連続的なイノベーションが必要であると強調されました。水素、人工光合成など、大きな技術革新への取組を一層強化することの重要性は私も大いに賛同します。  その上で、パリ協定に基づく我が国自身の目標、すなわち温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに八〇%削減、この目標達成に向けた長期戦略の策定も急がれます。  気候変動問題で国際的なリーダーシップを発揮していくためには、高い目標を掲げた長期戦略を今夏のG20に先立って策定し、国内外に発信していくことが重要と考えますが、総理の見解を伺います。  また、総理は、海洋プラスチックごみ対策をG20の主要テーマに取り上げるとしています。生物や生態系、漁業や観光への影響が懸念される問題であり、地球規模での取組が欠かせません。廃プラスチックのリユースを含む有効利用率を高めるなど、資源を最大限有効に活用する循環型社会に向けた取組を急ぐべきです。  私は、昨年の代表質問でも取り上げましたが、世界的にも関心が高まり、企業を含めた取組が始まりつつあります。G20では、我が国が旗振り役となり、海洋プラスチックごみを減らし、処理する技術支援など、実効性のある国際協力を進める大きなチャンスと考えます。  総理の決意を伺います。  外交・安全保障問題について質問します。  先日、日ロ首脳会談が開かれ、特に平和条約締結問題について、引き続き交渉を更に前進させるよう両国外相に指示されました。この問題は、戦後七十年以上たっても解決せず残されてきた大きな課題です。両首脳が築き上げてきた信頼関係の上に日ロ関係を前に進めてきましたが、本格的な交渉を行う絶好の機会が巡ってきています。  政府には、平和条約締結交渉に当たって、まず北方四島の元島民の納得、そして国民の理解が得られるよう可能な限り丁寧に説明を尽くしていただきたい。日本とロシアが平和条約を結ぶことは、二国間だけでなく、地域や国際社会の平和と安定、発展にも貢献することでしょう。  あわせて、元島民の方々に対して航空機墓参を始めとする北方四島へのより自由な往来や、双方の法的立場を害さない形での共同経済活動の実現に向けた取組にも力を注いでいただきたい。私たちも与党の立場から政府をしっかり支えたいと思います。  総理の北方領土問題解決に懸ける決意と今後の取組を伺います。  我が国を取り巻く安全保障環境の急速な変化に応じた防衛力を整えるため、昨年末、平成三十一年度以降の防衛大綱、中期防衛力整備計画が閣議決定されました。  公明党は、与党協議にて、憲法の下、専守防衛に徹し、軍事大国にならないとの基本理念を堅持しつつ、必要な防衛力を整備するとの視点で議論に臨みました。その結果、公明党の提案により、「いずも」型護衛艦を改修しても、憲法上保有が許されない攻撃型空母の能力を持たないことなどを含む確認書を与党間で交わし、その趣旨をそのまま閣議決定された本文にも明記させました。  政府は、不要な懸念を与えないため、国会を含めあらゆる機会を通じて国民に対して丁寧な説明をすべきです。  また、厳しい財政状況の中、社会保障など全体の予算とのバランスも十分考慮しつつ、防衛費の抑制にも努め、予算の透明化、そして約二兆円の削減目標も設定されました。  防衛大綱、中期防衛力整備計画の改定について、総理の答弁を求めます。  人間の判断が介在せずAIが自律的に標的を選択、攻撃する自律型致死兵器システム、LAWS、これが現実のものとなれば、銃の発明、核兵器の開発に続く戦争における第三の革命となってしまいます。これに対し、NGOや科学者等から深刻な懸念の声が上がっています。公明党としても、国際人道法や倫理上の観点からLAWSの開発は看過できません。  LAWS開発についての総理の見解を求めます。  ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピック、そしてワールドマスターズゲームズ。本年、来年、そして再来年は、日本において世界のトップアスリートたちと、時間と空間、そして感動を共有できる絶好の機会となります。日本、日本人の活躍を大いに期待するとともに、平和と文化の祭典として成功裏に終えなければなりません。  また、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、スポーツを通じ、我が国の共生社会、ユニバーサル社会の実現への重要な好機です。健常者も障害者も共に一緒にスポーツを楽しむことができるよう、地域でのスポーツ環境の整備を進めることも重要です。  さらに、東京五輪に先立ち、東京都豊島区で国も支援する東アジア文化都市イベントが本日から開催されるなど、来年にかけて各地で文化芸術プログラムが実施され、五輪期間中は日本博も開催されます。日本の文化芸術を広く世界に発信し、訪日客にも親しんでもらえるまたとない機会になるでしょう。  スポーツ、文化芸術には、人種や言語などの壁を越えて人々の心と心を結ぶ絶大な力があります。  スポーツ、文化芸術の振興について、総理の答弁を求めます。  また、パラリンピックに向けて、バリアフリーのまち、日本の姿を世界の方々に示していくために、自治体とも足並みのそろった取組を加速すべきです。  昨年は、バリアフリー法の改正で、地域の町づくりや鉄道、バスなど、公共交通機関でのバリアフリー施策が拡充しました。  しかし、まだまだ課題もあります。  例えば、車椅子に乗ったままで乗り降りができるユニバーサルデザインタクシーは広く普及しましたが、車椅子の方を乗せるのに二十分以上掛かることなどから、車椅子の方が乗車を断られたと感じる事例などもあるようです。また、ホテルによっては、トイレや浴室の入口の幅が狭いため、電動車椅子などは利用ができないなどの事例もあります。  バリアフリー社会の実現に向けた、石井国土交通大臣の答弁を求めます。  障害者手帳について質問します。  障害を持たれる方に交付される障害者手帳については、都道府県、政令市、中核市が交付しますが、現在は紙の手帳が基本です。障害者の方は、公共交通機関で割引を受ける場合には乗り降りのたびに窓口で手帳を提示することが求められるなど、日常生活での使用する機会は多いものの、持ち運びの不便さや汚損のおそれなどがあることから、以前からカード化を求める声が出ており、私も国会で取り上げさせていただいたこともあります。  昨年十月、社会保障審議会で自治体の選択によりカード化できる方向で了承され、ようやく厚生労働省でカード化に向けた省令改正の準備が進められているとのことです。しかし、来年の五輪・パラリンピックに向け、政府を挙げてユニバーサル社会の実現に取り組んでいるときであり、一日も早く実際に障害者の方の手元に届くよう、自治体での発行手続が加速化されることを強く期待します。  カード化することによって、障害者の方の心のバリアが除かれるとともに、さらに、マイナンバーカードとの関連も視野に入れることにより、飛躍的に利便性が高まる社会の形成にも通じるものと確信します。このように、利用する側の視点から課題の解決に取り組むことで、世界に誇れるユニバーサル社会の実現が可能になるのではないでしょうか。是非、国が地方の協力も促しながらスピード感を持って対応していただきたい。  あえて総理の答弁を求めます。  最後に一言申し上げます。  妊婦の方が公共交通機関等を利用する際に身に付けているマタニティーマーク。今では誰もが知るようになり、電車などで妊婦の方に席を譲り合う光景は当たり前となりつつあります。  未婚の一人親に対する支援策は地方自治体が独自に実施してきましたが、保育料の軽減等、厚労省の各種の施策にも寡婦控除のみなし適用が実施されるようになりました。さらには、税制上の措置も、まずは個人住民税の非課税措置の拡充という形で今後適用されます。  現場の声、利用者の声、地方の声、こうした小さな声を拾い上げ、国と地方の役割をきちんと精査し、分担しながら必要なことを国政に反映していく。これこそがネットワークを生かした政策を推進する公明党の重要な役割の一つです。常日頃小さな声に真摯に耳を傾ける地方議員があればこそ、国政を大きく動かす力ともなるのです。  公明党は、こうした原点を忘れず、日本の政治を前に進めていくことをお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
  7. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えをいたします。  今後の経済財政運営についてお尋ねがありました。  政権交代後、アベノミクスの三本の矢で取り組み、名目GDPは一割以上成長し、もはやデフレではないという状況をつくり出しました。  特に、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しており、この五年間で生産年齢人口が四百五十万人減少する中にあっても、就業者数は二百五十万人増加しました。中でも、正規雇用者数は、政権交代前は減少していたわけでありますが、政権交代後は七十八万人増加。マイナスから大きくプラスへと転換したわけであります。景気回復により仕事が増加したことにより、正社員の有効求人倍率は調査開始以来初めて一倍を超えました。賃上げも、連合の調査によれば、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが実現するなど、確実に経済の好循環が生まれています。  この成長の果実をしっかりと分配に回すことで次なる成長につながっていく。特に、過去最高の企業収益を更なる賃上げにつなげ、経済の好循環をより確かなものとしてまいります。  デフレマインドが払拭されようとしている今、アベノミクスの更なる強化に向けて取り組んでまいります。  具体的には、我が国の持続的な成長にとって最大の課題である少子高齢化を克服し、全世代型社会保障制度への転換を成し遂げてまいります。また、未来へのイノベーションを大胆に後押しし、ソサエティー五・〇を世界に先駆けて実現することで、我が国の未来を開いてまいります。  安倍内閣は、本年も引き続き経済最優先。通商問題の動向、中国経済の先行きなど海外経済の不確実性には十分留意しつつ、経済運営に万全を期してまいります。  消費税の意義と税率引上げについてお尋ねがありました。  消費税は、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定しており、勤労世代など特定の者への負担が集中しないことから、世代を超えた支え合いである社会保障の財源としてふさわしいと考えております。  少子高齢化を克服し、全世代型社会保障を築き上げるために、消費税率の引上げによる安定的な財源がどうしても必要です。国民の皆様の御理解と御協力をお願いいたします。  その上で、増収分を活用し、教育無償化や低年金者への給付等の社会保障の充実策をしっかり実現することで、国民の皆様に還元してまいります。  軽減税率制度と平準化対策についてお尋ねがありました。  消費税率の引上げに当たっては、前回の八%への引上げの際に耐久財を中心に駆け込み需要と反動減といった大きな需要変動が生じた経験を踏まえ、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応することとします。いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じ、景気の回復軌道を確かなものとしてまいります。  軽減税率制度につきましては、円滑な実施に向けて事業者の理解や準備を促すため、これまでも、説明会の開催や事業者からの相談対応、軽減税率対応レジの導入等を支援する補助金の拡充など様々な取組を進めています。  そのほか、プレミアム付き商品券の発行を通じて所得の低い皆さんなどの負担を軽減します。また、思い切ったポイント還元や、自動車、住宅への大幅減税といった駆け込み需要、反動減対策でしっかりと消費を下支えします。  今回の消費税率引上げへの対応には国民の皆様の御理解が重要であり、各施策の周知徹底を図ることが極めて大切であると認識しております。引上げ前後で事業者に混乱が生じないよう、また消費者が安心して購買できるよう、引き続ききめ細かな対応を行ってまいります。  中小企業への支援、日本の成長力の底上げについてお尋ねがありました。  山口議員御指摘のとおり、我が国の成長力を底上げするためには、日本経済の屋台骨を担う全国三百六十万者の中小・小規模事業者の皆さんの生産性を高めていくことが必要不可欠です。  そのため、来年度予算では、公明党のお力も得て、ものづくり補助金を初めて当初予算化したところです。中小企業投資促進税制についても、適用期限を二年間延長することとします。二次補正予算に盛り込まれた持続化補助金、IT導入補助金などと併せ、ビッグデータ、ロボット、IoTなどの活用による中小・小規模事業者の皆さんの生産性革命を力強く後押ししてまいります。  その執行に際しても、全国二千か所を超える商工会、商工会議所を通じた情報提供を新たに行うなど、事業の周知徹底を図ります。また、各種情報の取得から申請手続までをワンストップで簡便に行うことができるホームページの運用を今後順次開始してまいります。  こうした取組を通じ、様々な支援策をより多くの皆さんに御活用いただき、全国津々浦々、我が国の成長力の底上げにつなげてまいります。  中小・小規模事業者の事業承継、取引条件の改善についてお尋ねがありました。  今後十年で中小・小規模事業者の経営者の六割が七十歳を超えるという現実があります。黒字廃業が相次ぐような事態は我が国経済にとって大きな損失であり、事業承継問題は待ったなしの課題です。  この強い危機感の下に、今年度から、法人事業承継税制を抜本的に拡充し、承継時の贈与税、相続税の支払負担をゼロにしました。既に、昨年十二月までの九か月間で、従前の年間申請件数の五倍、二千件近い申請をいただいているところです。この流れに更なる弾みを付けるため、来年度は、こうした税制を個人事業主に拡大するとともに、マッチング機能の強化、後継者支援の補助金などにより切れ目のない伴走型の支援を行うことで、円滑な事業承継を後押ししてまいります。  また、安倍内閣では、これまでも、近年の下請いじめの実態を踏まえ、下請法の運用基準を十三年ぶりに抜本改定するなど、下請取引の条件改善に取り組んできました。  さらに、今後、大企業の働き方改革に伴う下請企業への影響が懸念されることから、昨年末、振興基準を改正し、納期負担のしわ寄せの是正などを盛り込んだところです。消費税率の引上げについても、新たなガイドラインを策定し買いたたきの禁止などの周知を徹底することで、転嫁しやすい環境の整備を進めます。  今後、下請や転嫁のGメンを六百名体制へと強化することで、取引慣行の監視、取締りを徹底し、望ましくない商慣行には厳正に対処してまいります。  こうした施策を通じ、政府を挙げて我が国の宝である中小・小規模事業者を力強く応援するとともに、次の世代へとしっかりと引き渡していく決意であります。  自由貿易体制と我が国が果たすべき役割についてお尋ねがありました。  戦後、天然資源に乏しい我が国が目覚ましい経済成長を遂げることができたのは、自由貿易体制のおかげです。日本は、自由貿易体制の最大の受益者として、現在の繁栄を実現してまいりました。  世界のグローバル化による急速な変化への不安や不満が、時に保護主義への誘惑を生み出し、国と国の間に鋭い対立も生み出しています。だからこそ、様々な不安や不満に向き合い、公正なルールを打ち立てることで、自由貿易を進化させていくことが必要です。  我が国が主導して、昨年末にTPP11が、そして本日、日EU・EPAが発効したことは、自由で公正なルールに基づく経済圏を力強く広げていくとの揺るぎない意思を全世界に示すものです。  大阪G20サミットでは、データガバナンス、電子商取引に焦点を当てて議論する大阪トラックの開始を提案し、WTO改革に新風を吹き込みたいと考えています。  今後とも、我が国は、自由貿易の旗手として、TPP参加国の拡大やRCEP交渉の加速化を主導し、自由で公正なルールに基づく貿易体制の強化を積極的に推進してまいります。  東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。  東日本大震災からの復興は、政権発足以来、安倍内閣の最重要課題です。発災から間もなく八年が経過し、復興の総仕上げ、福島の本格的な復興に向けて確固たる道筋を付ける重要な局面を迎えています。  復興は一歩一歩着実に進展している一方で、被災者や被災地の置かれた状況は多様化しており、よりきめ細やかな対応が必要です。引き続き、生活再建のステージに応じた切れ目のない被災者支援、住まいと町の復興、なりわいの再生、そして、福島イノベーション・コースト構想の推進や風評の払拭を含む福島の復興再生など、現場の課題に一つ一つ丁寧に対応してまいります。  東北の復興なくして日本の再生なし。この決意の下に、創造と可能性の地としての東北をつくり上げるべく、まさに創造的復興に向けて、政府一丸となって取り組んでまいります。  防災・減災への国際貢献についてお尋ねがありました。  我が国は、様々な災害を経験し、防災・減災対策、復旧復興の取組を重ねてきた防災先進国であり、世界の強靱化に大いに貢献できる立場にあります。  四年前には、仙台において国連防災会議をホストし、我が国が中心となって仙台防災枠組を取りまとめました。また、国連においては、我が国が主導して世界津波の日を制定し、津波対策の普及啓発を推進してきています。  六月に大阪で開催するG20サミットや八月に横浜で開催するTICADⅦでは、防災・減災もテーマとして取り上げ、日本の知見と技術を生かしつつ、国際社会における防災の主流化の推進に指導力を発揮してまいります。  SDGsについてお尋ねがありました。  人間の安全保障の理念を国際社会に提示した我が国にとって、SDGsが目指す誰一人取り残さない社会の実現は重要な課題であり、政府、自治体、企業、NGOなどがそれぞれの持ち味を生かし、オールジャパンでSDGsの達成に向けて尽力していくべきと考えています。  六月に大阪で開催するG20サミットや八月に横浜で開催するTICADⅦでは、質の高いインフラ、防災、海洋プラスチックごみ対策、気候変動、女性、保健、教育等をテーマとして取り上げ、国際社会における取組をリードしていきたいと考えています。  九月に国連総会で開催される予定のSDGs首脳級会合において、これらの成果や日本国内の取組を発信し、SDGsの力強い担い手たる日本の姿を国際社会に対して示してまいります。  気候変動及び海洋プラスチックごみについてお尋ねがありました。  パリ協定に掲げられた野心的な目標の実現に向けて、世界の脱炭素化を牽引するためには、国が主導して義務的な対応を求める従来のやり方では対応できません。環境と成長の好循環を回転させ、ビジネス主導の技術革新を促す形へのパラダイム転換を図ることが必要です。  このため、企業の情報開示を進めることで、グリーンファイナンスを活性化し、人工光合成や水素利用技術などの革新的なイノベーションにつなげていく、こうした方向性の下、できる限り早期に長期戦略を策定し、国内外に発信していく考えです。  海洋プラスチックごみによる汚染もまた、生態系への大きな脅威となっています。その解決のためには、G7のような先進国のみならず、プラスチックごみを多く排出する新興国も含めた世界全体での取組が不可欠です。  ごみの適切な回収、処分、海で分解される新素材の開発など、世界の国々と共に、海洋プラスチックごみ対策に取り組んでまいります。  本年六月のG20大阪サミットでは、こうした気候変動や海洋プラスチック汚染といった地球規模の課題についてしっかりと取り上げ、世界全体の取組を大きく進めることができるよう、我が国としてリーダーシップを発揮していく考えです。  日ロ平和条約締結問題についてお尋ねがありました。  二年前の長門会談で私とプーチン大統領が自らの手で平和条約を締結するとの真摯な決意を表明して以来、新しいアプローチで問題を解決するとの方針の下、日ロの間でこれまでにない協力を進めてきました。  長門での合意を受けて、元島民の方々の航空機によるお墓参りが歴史上初めて実現しました。先般のモスクワでの会談では、こうした取組の重要性を確認し、その上で、本年の航空機墓参をこの夏にも実施することで合意しました。  四島における共同経済活動については、現地調査等やプロジェクト候補のロードマップにより、具体的道筋が明確になってきました。先般の首脳会議では、早期実現のために、共同作業を着実かつ迅速に進展させるよう関係者に指示しました。  平和条約の問題については、プーチン大統領と二人だけで、じっくり時間を掛けて突っ込んだ議論を行いました。その上で、二月中に次回の外相間の交渉を行うとともに、首脳特別代表間の交渉も行い、平和条約交渉を更に前進させるよう指示しました。  戦後七十年以上取り残された課題の解決は容易ではありません。しかし、私たちはこれをやり遂げなければなりません。  六月のG20大阪サミットにプーチン大統領をお招きし、併せて首脳会談を行います。日本国民とロシア国民がお互いの信頼関係、友人としての関係を更に増進し、相互に受入れ可能な解決策を見出すための共同作業を力強く進めて、平和条約交渉をでき得る限り前進させてまいります。  新たな防衛大綱及び中期防についてお尋ねがありました。  我が国を取り巻く安全保障環境が格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増していることを踏まえ、新たな防衛大綱及び中期防を策定しました。  もとより、憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、防衛力を整備していく方針には、いささかの変更もありません。  また、「いずも」型護衛艦の改修については、与党で大変充実した御議論をいただきました。与党間の確認書の内容は政府としても同じ考えであり、その趣旨は閣議決定にも反映されています。  今後とも、防衛力の整備に当たっては、国民生活に関わる他の予算の重要性等を勘案し、一層の効率化、合理化を図り、経費の抑制に努めるとともに、国の他の諸施策との調和を図ってまいります。透明性を確保し、国民の皆様の一層の理解を得られるよう、丁寧な説明に努めてまいります。  自律型致死兵器システムについてお尋ねがありました。  現在、自律型致死兵器システムについては、その使用における人間の関与、国際人道法上の課題等について国際的な議論が行われている途上にありますが、各国の立場にはいまだ大きな隔たりがあり、共通の認識を得られる状況には達していません。  我が国としては、有意な人間の関与が必須であるとの立場であり、人間の関与が及ばない完全自律型の致死性兵器の開発を行う意図は有していないとの立場を表明してきています。  政府としては、国際社会において共通認識が得られるよう、規制対象となるシステムの特徴、人間の関与の在り方等について議論を更に深めていく必要があると考えており、日本の安全保障の観点も考慮しつつ、引き続き、国際的なルール作りに積極的かつ建設的に参加していく考えです。  スポーツ、文化芸術の振興についてお尋ねがありました。  今年から、ラグビーワールドカップ二〇一九、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会、ワールドマスターズゲームズ二〇二一関西と、世界的スポーツイベントが相次いで我が国で開催されます。政府としては、これらのイベントが成功裏に実施されるよう、組織委員会や開催自治体と緊密に連携しながら全力で取り組んでまいります。  とりわけ、二〇二〇年東京大会に向けて、日本人アスリートが大いに活躍できるよう、競技力の向上を図ることはもとより、子供から高齢者、女性、障害者など、誰もがスポーツに親しめる環境の整備が重要です。大会後のレガシーとして、共生社会の実現を目指し、総合型地域スポーツクラブの活用等も図りつつ、地域スポーツの活性化に取り組んでまいります。  さらに、オリンピック・パラリンピックは文化の祭典でもあり、二〇二〇年に向けて、日本博を始めとする文化プログラムを全国津々浦々で展開するなど、我が国の文化芸術の魅力を世界に発信するとともに、文化芸術による地域活性化の取組を力強く進めてまいります。  スポーツや文化の持つ人と人とを結び付ける力が最大限に発揮されるスポーツ立国、文化立国の実現に努めてまいります。  障害者手帳のカード化についてお尋ねがありました。  障害者手帳については、カードでも交付が可能となるよう関係法令の整備を行い、本年四月の施行を目指して準備を進めているところです。  政府としては、マイナンバーカードとの連携も視野に入れつつ、障害者の利便性の観点から、カード化が円滑に進むよう自治体と連携し、スピード感を持って対応を行います。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣石井啓一君登壇、拍手〕
  8. 石井啓一

    国務大臣石井啓一君) 山口那津男議員にお答えをいたします。  バリアフリー社会の実現についてお尋ねがありました。  国土交通省におきましては、昨年、バリアフリー法を改正をいたしまして、市町村がバリアフリーの方針を定める移動等円滑化促進方針制度を創設するなど、ハード、ソフト両面のバリアフリー施策の拡充を行いました。  御指摘のユニバーサルデザインタクシーにつきましては、昨年に車両の改善や運転者等への接遇研修を関係事業者に要請をいたしまして、具体的な措置が順次講じられているところであります。  また、ホテルなど宿泊施設につきましては、今年度中に設計者等向けのガイドラインを改定をいたしまして内容を充実させる予定であります。このガイドラインを踏まえまして、地方公共団体において、より積極的な取組がなされることを期待をしております。  国土交通省といたしましては、バリアフリー社会の実現に向けまして、地方公共団体や民間事業者等の関係者と連携して取り組むことが重要と考えており、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機といたしまして、我が国のバリアフリー化を一層推進するようしっかりと取り組んでまいります。(拍手)
  9. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) これにて午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      ─────・─────    午後一時一分開議
  10. 郡司彰

    ○副議長(郡司彰君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  国務大臣の演説に対する質疑を続けます。片山虎之助君。    〔片山虎之助君登壇、拍手〕
  11. 片山虎之助

    ○片山虎之助君 日本維新の会・希望の党の片山虎之助です。  私は、会派を代表して、安倍総理に質問いたします。  今国会において日本維新の会と希望の党は、参議院において統一会派を組むことにしました。健全な第三極として、政府に対しては厳しいチェックを行いつつ、是々非々路線に立ち提案型野党として合意形成に努力していく姿勢は、新会派でも同じです。  また、現在、身を切る改革として実行中である、第一に、月額報酬の二割分、十八万円を拠出、被災自治体等へ寄附する、二、企業・団体献金は受け取らない、三、文書通信交通滞在費、月額百万円の使途を公開する、四、選挙区支部に寄附をし税額還付を受けない等々は、新会派でも当然に続けます。改めて、国会議員や国家公務員の身を切る改革やあるべき姿について、総理の御所見をお伺いします。  我が党は、二〇一六年三月に憲法改正原案をまとめ、公表しました。それは、一、教育の無償化、二、地方分権、国の統治機構改革、三、憲法裁判所の設置の三項目です。希望の党も四項目を提案し、共に憲法審査会の論議を待っています。  現憲法については、制定過程から今日まで、七十年以上も国民が参画せず、国民投票もされなかったことが最大の欠陥です。論議をしたがらない憲法審査会は何のためにあるのか、私には疑問です。衆参の憲法審査会という国民に開かれた場で徹底した議論を行い、国民に憲法を理解できる十分な素材を提供することは、発議とともに国会の重要な役割と考えますが、総理の御所見をお伺いします。  昨年は、自然災害が集中して発生、日本は災害列島と化し、多くの犠牲が出たことは誠に残念でした。昨年の教訓から、速やかにもろもろの対策を講ずる必要を感じます。  まず、多数の主体がばらばらに出す予報、警報等を分かりやすく整理しなければなりません。適切な自主的避難のために種類も限定し、危険を知らせる警報には必ず行動してもらう仕組みにすることが肝要です。また、情報弱者になりやすい高齢者への周知の手段として何が適当か、早急に方策を検討すべきです。総理、いかがですか。  また、避難した場合の避難所の質の向上が問われています。避難所での温かい食事、きれいで衛生的なトイレ、少なくとも雑魚寝でない睡眠環境の確保等が必要ですが、これを小さな地方自治体だけで提供することはなかなかに難しい。自衛隊ないし消防緊急援助隊などが主導して実行又は支援する仕組みをつくることができないかと私は考えています。総理の御所見を伺います。  毎月勤労統計調査の不適切な取扱いをめぐっては、どうしてこんなことになったのか、原因は何か、誰かの意図があるのか、どうすれば防げるのか、あるいは元々改善すべき点があったのか、給付が足りなかった分改めて払うことになった事務の費用を誰が払うのか等々、国会審議を通じて明らかにすべきことは山のようにありますが、まず総理に伺っておきたいことを挙げます。  今回の問題では、厚労省の報告書が出ている現時点で、ともかく次の二つの点が明らかです。  一つは、事実と明らかに異なることを政府として公表していたことで、しかも担当職員は、そのことを認識していながら十五年の長きにわたり放置していました。二つ目として、サンプル調査という一部を見た結果から全体を判断するための当然必要な推計や処置がなされないままの数値を政府が公表し、これも長期間放置されていました。前者は、もはや過失でなく、国民に対してうそをついたことになります。後者は、政府の専門職員が、必要な当たり前のことをせず、いいかげんな仕事をしていたことになります。国の基幹統計五十六のうちの二十三で誤りが見付かっています。厚労省の特別監察委員会の調査のずさんさについては今触れません。  かつて、日本の官僚は一流だと言われ、国民から信頼を得ていました、うそをつかないし、いいかげんなことをしないと。それが全く覆ってしまった。これは、霞が関の致命的な劣化です。総理は、行政の長として、この事態をどのように受け止め、どう対処するおつもりか、御答弁を求めます。  また、国会で人事権を含む権力の官邸への集中が論議され、それがそんたく政治、側近政治を生んだと指摘される一方、今回のように、官邸から見れば末端の現場で、専門を極め精励することが軽んじられ、事なかれ、前例踏襲が蔓延しているとすれば、どのようにお考えか、総理の見解を伺います。  二〇一六年一―三月期及び四―六月期のGDP成長率は実質、名目ともプラス成長であるにかかわらず、六月一日に消費税率引上げの延期が表明されました。最近の二〇一八年一―三月期はマイナス、四―六月期はプラスなものの、七―九月期はマイナスです。さらに、OECD、世界銀行、IMFは、米中貿易摩擦の影響等により二〇一九年の世界経済見通しを下方修正しており、一月二十九日に発表された月例経済報告では、世界の景気判断を三十五か月ぶりに下方修正しました。  日本経済は、世界経済、特に米中の景気の影響を強く受けますが、世界経済に陰りが見える中、今必要なのはGDPの六割を占める民間消費を上向かせる経済政策です。消費抑制となる消費増税を行うべきときではないと考えます。  二〇一八年にようやく一九九〇年のバブル期の税収を超える税収に回復しました。五%から八%に増税したときの税収は増えていますが、消費税導入後と、三パーから五パーへ増税したときは税収が減っています。消費増税が景気に及ぼす影響を通じて他の税目の税収に及ぼすマイナス効果を考慮すると、消費増税によって税収全体が増加するという保証はどこにもなく、消費増税に伴うばらまきではなく、景気を本格回復させることこそ今重要ではないでしょうか。総理の見解を伺います。  一方で、国会議員等の身を切る改革、行財政改革などは全く進んでおらず、逆に自民、公明両党は昨年参議院の定数を六増しました。また、国民には復興所得税・住民税が二〇三七年十二月まで課せられており、さらに、今回は消費増税分が付け加えられます。国民負担を強いる前に、国会議員、国家公務員等の身を切る改革がなければ説得力はありません。  軽減税率の導入にも反対です。  既に長い実施の歴史を持つヨーロッパ諸国でも反省が広がっています。軽減税率は高所得者ほど恩恵を受け、逆進性対策にならないというのが定説です。また、複雑で区分が曖昧、国民の生活に直結する電気、ガス、水道は対象でなく、新聞は対象となるなど、分かりにくい。外食が不利となるなど消費者の選択にも影響を及ぼし、さらには消費者、事業者、税務当局に多大なコストを掛けます。二%の軽減のためにこのような多大の手間とコストを掛けるのは、財政状況から見て、一〇%引上げの後も更なる消費増税を考えているからとの臆測が国民の間からは消えません。  また、軽減税率の財源は細切れの寄せ集め、さらにはインボイス導入は増税四年後であり、四年間少なくとも二千億円穴が空いたままなど、軽減税率には問題点、矛盾点ばかりです。  低所得者対策ならほかにも幾らでもやりようがあり、カナダなどで採用されている給付付き税額控除という方法もあります。総理、いかがですか。  そもそも、消費税は、もとよりメリットは大きいけれども財政に期待される所得再配分機能は弱く、景気の自動安定化機能も小さい、応能負担原則、公平の原則にも反するとされています。  以上から、我が党は今消費税を増税することには反対であり、凍結すべきです。  現在の社会を覆っている閉塞感を打破するためにも、全世代型社会保障を目指すことには賛成です。しかし、その負担については、年齢ではなく、全ての世代がその能力に応じて支え合わなければなりません。一定以上の所得や資産を保有する人は、その負担能力に見合う医療費等を自己負担ないし税負担とすべきです。  一九年度マクロ経済スライドは制度創設十五年間でやっと二回目の発動となりますが、今春の財政検証を踏まえ、その実施の在り方を検討すべきです。  また、在宅医療の充実と介護との連携強化が求められている中で病床再編が進んでいない現状について、総理の御所見を伺います。  人生百年時代を見据え、働く意欲と能力を持つ全ての高齢者が働ける環境づくりを急ぐ必要があります。そのためには、年金受給者の労働意欲をそぐ在職老齢年金制度は廃止すべきです。また、継続雇用では賃金が大幅に下がり、これも働く意欲を阻害するので、定年年齢を六十五歳に引き上げる必要があります。  一方で、勤務時間や勤務地など、個人の体力や事情に合わせた多様な働き方の提供も求められます。その上で、成長産業等への転職、再就職が円滑に進むような措置と解雇の金銭解決制度の創設が望まれます。  政府は、参院選への影響を恐れ、国家公務員の定年延長法案を先送りするようですが、制度設計のひな形を政府が示すことで民間への波及効果が期待されます。本当に全世代型社会保障を目指すなら、逃げずに国会で論議すべきと考えますが、いかがですか。  入管法の改正案でも、我が党は与党と修正協議で何点か合意しました。例えば、外国人材が大都市圏に過度に集中しないようにと修正しましたが、地域の状況の把握に努めるだけでそれが可能なのか、技能実習制度の見直しの進捗状況はどうなのか、三年後見直しをこれも二年後と前倒ししましたが、知事会などからは業種の拡充の要望もあります。  制度の運用を見ながら、実態に合った柔軟な見直しをすることが求められますが、どうお考えでしょうか。  私は、いわゆる移民政策は取りませんが、地域や業種の実情から、一定の外国人材のなだらかな受入れにより共生社会の実現はやむを得ないと考えています。人口減少をこのまま手をこまねいていると、地方は衰退し続け、日本は消失の危機に至ると心配します。  外国人材の移入につき、真正面から根本的な議論をすべきときが来ていると考えますけれども、総理の御所見を伺います。  米国がTPPから離脱して、日米物品貿易協定の交渉が始まっています。日米双方の言い分を聞いていると、話がなかなか合わないところがあります。例えば、日本は農産物の聖域はTPP並みで守られたと説明しますが、アメリカは違う。また、アメリカは日本に為替条項の導入を求めていると伝えられていますが、日本は否定している。総理、どちらが本当ですか。  昨年十月に日本の総理としては七年ぶりとなる訪中を行い、対中ODAを平成三十年度でやめることに合意しました。しかし、経済規模が日本より大きい中国に対して、技術協力を中心と言いながらODAを継続してきたことはいろんな議論がありました。中国に対して行ってきた総額三兆六千億円にも上るODAには、日本にとってどのような意義があり、中国はどういう評価をしていると総理は総括されていますか、お答えを願います。  昨年は、韓国の大法院におけるいわゆる徴用工判決がありました。私は、この判決は理不尽極まりないものと考えています。  日韓請求権協定の交渉において、日本政府は個人補償を進めることを提案しましたが、韓国政府は、個人補償は韓国政府が行うので、個人への補償金を一括して政府に渡すように要求したと理解しています。いかがですか。  韓国政府が韓国国民に補償を行わなかったことで生じた慰謝料は、日本政府の個人補償を肩代わりしている韓国政府が行うべき事柄であり、日本政府は韓国政府にその実行を要求することができると理解しています。どうですか。  日本政府の要求にかかわらず実行していない場合、日本政府から既に補償費用を受け取っている韓国政府を国際司法裁判所に提訴できるものと考えますが、それに対する見解と提訴の意思についてお答え願います。  能登半島沖の日本の排他的水域内を飛行する海上自衛隊の哨戒機が韓国海軍の駆逐艦から火器管制用レーダーの照射を受けた事件の問題は、北朝鮮の漁船と韓国海軍の駆逐艦と警備救難艦が日本の排他的水域内のすぐ近くにいたことであります。韓国海軍が北朝鮮に対する国連安保理決議に違反した可能性がささやかれています。これを否定できますか、お答え願います。  北方四島は、終戦直後、日ソ中立条約に違反して占領され、それ以降、ソ連、ロシアによる不法占拠が続いていると、私もそういう見方です。しかし、現状においてそれを言い立て四島返還を訴えてもロシアが応じるわけはなく、現状のままのゼロか、二島プラスアルファかの選択しかありません。現状のままのゼロで、四島、四島と言い続けることも一つの在り方でしょう。しかし、二島だけでも排他的経済水域や元島民の往来などのメリットがあるという考え方もあります。  このままだと、国後、択捉、色丹はどんどんロシア化するとともに、中国や韓国等の人や資本が入っていきます。  今、プーチン大統領と良好な人間関係を持つ総理に期待することは、ロシアでは約七割の人が返還に反対の中、二島の上にどのようなプラスアルファが可能なのか。また、ロシアが問題とする在日米軍の駐留についてはいかがお考えか、総理の御所見を伺います。  本年は御代替わりの年です。光格天皇以来、二百年ぶりとなる御退位を、陛下のお気持ちに沿いたいという国民の思いによって実現できたことは誠に喜ばしい限りです。皇位継承も伝統にのっとった形で粛々と進めていくことを希望します。  御代替わりの準備が順調に進んでいるのかどうか、御答弁をお願いします。  そして、私たちも、平成の御代を惜しみつつ、御代替わりをしていかなければなりません。これからの時代を乗り切るためには、教育の無償化や地方分権、統治機構改革を含め、抜本的な改革が必要です。日本維新の会は、その先頭に立つことを約束して、私の代表質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
  12. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 片山虎之助議員にお答えいたします。  身を切る改革についてお尋ねがありました。  我々政治家は、政策を実現するため、真摯に努力を続け、国民の負託に応えていかなければなりません。国民の皆さんに様々な御負担を求める以上、我々政治家も常に自らを省みる必要があることは当然です。  日本維新の会・希望の党においても、そうした観点から、率先垂範して身を切る改革を続けていかれていることについては敬意を表したいと思います。  その上で、政治に要する費用の問題は、議会政治や議員活動の在り方、すなわち民主主義の根幹に関わる重要な課題であることから、国会において国民の代表たる国会議員が真摯な議論を通じて合意を得る努力を重ねていかなければならない問題であると考えております。  また、国家公務員については、厳しい財政事情を踏まえ、これまで給与制度の総合的見直しや定員合理化などの取組を行ってきており、国家公務員の総人件費に関する基本方針に沿って引き続き人件費の抑制を図ってまいりたいと考えています。  憲法改正についてお尋ねがありました。  日本維新の会・希望の党が憲法改正について具体的な考え方を示し、各論に踏み込んで真摯に議論されていることに、まずもって敬意を表したいと思います。  憲法審査会の運営については、国会でお決めいただくことであり、内閣総理大臣としてお答えすることは差し控えさせていただきます。  その上で、お尋ねですので、あえて申し上げれば、憲法改正は、国会が発議し、最終的には主権者である国民の皆様が国民投票で決めるものです。それゆえ、まずは憲法審査会に政党が具体的な改正案を示した上で、議論を重ね、国民の皆様の理解を深めていくことが、私たち国会議員の果たすべき重要な役割ではないかと考えています。  今後、憲法審査会の場において、各党の議論が深められることを期待しています。  災害対策についてお尋ねがありました。  昨年の西日本豪雨では、住民の方々が災害リスクを十分認識できていたか、行政が発信した避難に関する情報や防災気象情報が受け手である住民に正しく理解されていたかなど、様々な課題があったと認識しています。  このため、政府としては、災害時に住民が避難行動を容易に取れるよう、様々な機関が発信する防災情報を災害の切迫度に応じて五段階に整理し、分かりやすく提供するとともに、高齢者等に対する情報伝達手段として有効と考える戸別受信機の配備を促進するなど、住民の主体的な避難を支援してまいります。  また、避難所における生活環境を良好なものとすることは、被災者を支援する上で極めて重要であると認識しております。  政府の防災基本計画においては、指定避難所の運営管理等は市町村が行うこととされておりますが、避難期間が長期に及ぶことが想定される大規模災害の場合等には、政府において、被災地のニーズや市町村の対応状況を確認しながら、人的な支援を検討するほか、被災者の命に関わる生活必需品等のプッシュ型支援を実施してまいります。  今後とも、被災者に寄り添ったきめ細かな支援を切れ目なく行ってまいります。  今般、毎月勤労統計に関する事案についてお尋ねがありました。  毎月勤労統計について不適切な調査が行われ、雇用保険、労災保険といったセーフティーネットへの信頼を損なう事態を招いたことについて、国民の皆様におわび申し上げます。  高い専門性と信頼性を有すべき統計分野において、その正確性に対する余りにも軽い認識の下で、長年にわたって誤った処理が見直されることなく漫然と続けられていたことは言語道断でありますが、それを見抜けなかった責任については重く受け止めています。  また、今般、その他の基幹統計についても緊急に点検を行いましたが、手順の誤り等の問題があったことは遺憾であり、速やかに是正の措置を講ずることとしています。  今回のような事態が二度と生じないよう徹底して検証を行い、信頼を取り戻すことが何より重要です。統計の信頼回復に向け、統計委員会には新たに専門部会を設置し、基幹統計に加えて一般統計についても徹底した検証を行います。  こうした取組を通じて、再発防止に全力を尽くすことで、政治の責任をしっかりと果たしてまいります。  消費税率の引上げについてお尋ねがありました。  消費税率引上げについては、法律で定められたとおり、十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定であると繰り返し申し上げており、この方針に変更はありません。  今回の引上げに当たっては、前回、八%への引上げ時の反省を踏まえ、反動減等に対する十二分な対策を講ずることで景気の回復基調を確かなものとした上で、同時に、全世代型社会保障制度の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保してまいります。  軽減税率制度及び給付付き税額控除についてのお尋ねがありました。  軽減税率制度は、ほぼ全ての人が毎日購入している飲食料品等の税率を八%に据え置くことにより、消費税の逆進性を緩和しつつ、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるという利点があることから、低所得者への配慮として実施することとしたものです。  既に制度が導入されている欧州諸国においては、適用税率の線引きの問題が取り上げられるケースもありましたが、それを乗り越え、制度として定着し、円滑に運営されていると承知しています。  我が国においても、こうした諸外国の例も参考にしながら、政府を挙げて軽減税率制度の周知、広報に全力を尽くしていくことで、多くの方々に御理解をいただき、円滑に実施できるようにしてまいります。  なお、軽減税率制度の導入に当たっては、安定的な恒久財源を確保するため、税制の見直しなど制度的な対応等を行ったところです。  また、御指摘の給付付き税額控除は、消費税そのものの負担が直接軽減されるものではなく、消費者にとって痛税感の緩和の実感につながらないという問題、所得や資産の把握が難しいといった問題等があるものと承知しており、消費税率引上げに伴う低所得者対策としては、実施することは考えておりません。  全世代型社会保障制度、マクロ経済スライドと病床再編についてお尋ねがありました。  少子高齢化が急速に進む中、全ての世代が安心できる社会保障制度を構築するため、改革を進めることとしました。既に未来投資会議において生涯現役時代の雇用制度改革に向けた検討を開始しており、その上で、医療、年金も含めた社会保障全般にわたる改革を進めていく考えです。こうしたシステム全般にわたる改革を進める中で、給付と負担のバランスについてもしっかりと検討してまいります。  また、マクロ経済スライドについては、既に平成二十八年の年金改正法において、マクロ経済スライドの調整期間の長期化を防ぎ、将来世代の基礎年金の給付水準を確保するため、マクロ経済スライドの未調整分を持ち越し、できる限り早期に調整する仕組みとしました。次期財政検証においては、こうした仕組みの有効性も含め、長期的な年金財政の健全性を検証してまいります。  病床再編については、限られた医療資源で、急性期から慢性期、在宅医療、介護まで切れ目のない医療提供体制を確保するため、地域医療構想の実現に向けた取組を進めていきます。昨年度からの二年間を集中的な検討期間とし、医療機関ごとの具体的対応方針の策定を進めており、来年度以降は更なる合意形成を進めるとともに、具体的な再編につなげていきたいと考えています。  国家公務員の定年の引上げについてお尋ねがありました。  高齢期の職員は、公務において培った豊富な知識、技術、経験等を持ち、平均寿命の伸長や少子高齢化の進展を踏まえれば、意欲ある高齢期の職員の方々に最大限活躍いただくことは重要な意義を有することと考えています。  このような観点から、国家公務員の定年の引上げについて検討を進めているところであり、昨年八月には、人事院より、国家公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げることが必要とする意見の申出が国会及び内閣に提出されました。  定年引上げに際して検討すべき事項は多岐にわたることから、引き続き政府において、人事院の意見も踏まえつつ、国民の理解が得られるよう更なる検討を重ね、結論を得てまいりたいと考えています。  新たな外国人材の受入れについてお尋ねがありました。  本年四月に施行される新たな受入れ制度においては、大都市圏等に外国人が過度に集中することを防止する観点から、政府としては、地方で就労するメリットの外国人への周知や地方創生推進交付金による自治体への支援を行うほか、受入れ機関が参加する分野別の協議会を設け、地域ごとの外国人の就労状況を把握し、過度な集中が認められた場合には、受入れ機関に対して受入れ自粛の要請を行うなどの措置を講じてまいります。  次に、技能実習制度の見直しに関しては、法務省内に設置されたプロジェクトチームにおいて、技能実習制度の運用上の改善を図ることを目的として必要な調査、検証が行われており、本年三月末までにその結果を取りまとめて公表する予定と承知しています。  なお、知事会等からいただいている業種の拡充の要望や、外国人材の移入について真正面から根本的な議論をすべきとの御指摘については、今回の受入れ制度は、現下の深刻な人手不足に対応するため、一定の専門性、技能を有し即戦力となる外国人材を真に必要な分野に限って受け入れようとするものであり、当面、その運用状況を検証していくことにしたいと考えております。  日米物品貿易協定交渉についてお尋ねがありました。  昨年九月に私とトランプ大統領の間で合意した日米共同声明において、農林水産品については過去の経済連携協定で約束した内容が最大限である、この大前提を米国と合意しました。この点が最大のポイントであり、当然、この合意の上に今後米国と交渉を行ってまいります。  また、為替については、二〇一七年二月の日米首脳会談においてトランプ大統領と合意したとおり、専門家たる日米財務大臣間で緊密な議論を行うこととなっています。  これから始まる交渉は、まさに国益と国益のぶつかり合いであり、その過程において双方から様々な発言が出ることは外交の常であります。  ただし、日米は、今般、共同声明に合意したとおり、今後の交渉の共通の基盤であり、この共同声明を大前提に今後交渉を行い、日本の国益をしっかりと確保してまいります。  対中ODAについてお尋ねがありました。  対中ODAは、中国の改革・開放政策の維持促進に貢献するとともに、日中関係を下支えする主要な柱の一つとしての役割を果たしたと考えています。  昨年秋の訪中の際、習近平国家主席からは、我が国のODAによる貢献を高く評価する旨の発言がありました。  朝鮮半島出身労働者問題についてお尋ねがありました。  日韓請求権協定の交渉において、日本側から個人に対する支払を提案したのに対し、韓国側は、日本に対し、国として請求した上で韓国内での支払は国内措置として行う旨述べた経緯があることは事実です。  また、実際に韓国政府は、日本政府が日韓請求権協定に基づき供与した五億ドルの一部を使用する形で、旧朝鮮半島出身労働者に対する補償を支給したと承知しています。  この問題については、先般、日韓請求権協定に基づく協議の要請を行ったところであり、韓国側に対し、誠意をもって協議に応じるよう粘り強く働きかけてまいります。  今後とも、政府としては、国際裁判も含めあらゆる選択肢を視野に入れ、国際法に基づき毅然として対応していく考えであり、我が国の一貫した立場に基づき、主張すべきは主張し、韓国側に適切な対応を強く求めてまいります。  韓国の軍艦によるレーダー照射事案についてお尋ねがありました。  この事案に関する認識については、これまで岩屋防衛大臣や防衛省が累次明らかにしているとおりであります。  韓国軍艦によるレーダー照射事案の発生時に韓国の軍艦がいかなる活動を行っていたかについて、臆測に基づき評価を述べることは差し控えます。  いずれにせよ、北朝鮮問題については、米国、韓国と緊密に連携していくことが必要であると考えています。  北方領土問題についてお尋ねがありました。  北方領土は、我が国が主権を有する島々です。この立場に変わりはありません。  二年前の長門会談で私とプーチン大統領が自らの手で平和条約を締結するとの真摯な決意を表明して以来、新しいアプローチで問題を解決するとの方針の下、日ロの間でこれまでにない協力を進めてきました。  長門での合意を受けて、元島民の方々の航空機によるお墓参りが歴史上初めて実現しました。先般のモスクワでの会談では、こうした取組の重要性を確認し、その上で、本年の航空機墓参をこの夏にも実施することで合意しました。  四島における共同経済活動については、現地調査等やプロジェクト候補のロードマップにより、具体的道筋が明確になってきました。先般の首脳会談では、早期実現のために、共同作業を着実かつ迅速に進展させるよう関係者に指示しました。  さらに、八項目の協力プランの具体化を含め、経済分野での協力進展を歓迎するとともに、肯定的な流れを加速すること、安全保障分野での信頼醸成を深めることで一致しました。  議員御指摘の安全保障に関する問題を含め、交渉内容に関わることや我が国の交渉方針、考え方については、交渉に悪影響を与えないためにも、お答えすることは差し控えます。  いずれにせよ、政府として、領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、引き続き粘り強く交渉していきます。  皇位継承の準備についてお尋ねがありました。  天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位が同時に行われるのは憲政史上初めての事柄であり、現在、関係省庁が連携して準備を進めているところです。  昨年十月には、私を委員長とする式典委員会を設置し、各式典の次第や参列者の範囲など必要な事項について順次着実に検討を進めるとともに、内閣官房長官を本部長とする式典実施連絡本部を設置し、政府一丸となって実施の準備に取り組んでいます。  政府としては、この度の皇位の継承を国民こぞってことほぐことができるよう、準備に万全を期してまいります。(拍手)     ─────────────
  13. 郡司彰

    ○副議長(郡司彰君) 小池晃君。    〔小池晃君登壇、拍手〕
  14. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  会派を代表して、安倍総理と厚生労働大臣に質問します。  厚生労働省の毎月勤労統計の不正により、雇用保険、労災保険などで二千万人を超える被害が生じています。給付を受けていた方は、失業で収入の道を断たれ、あるいは労災で一家の大黒柱を失うという、最もつらく厳しい状態にありました。それなのに、労災で死亡された遺族年金などで二十七万人、一人平均約九万円も給付が少なかったのです。  過労自死で夫を失った寺西笑子さんは、労災認定には高いハードルがあり、被害者なのに何年も闘わないと認定されない、その上、国が数字をごまかして補償額を減らし、十五年も放置し、分かっても秘密裏に修正していた、二重三重に国に裏切られた、怒りが抑えられないとおっしゃっています。当然の怒りです。総理はこの声にどう応えるのですか。  厚労省の特別監察委員会は、組織的な隠蔽の意図までは認められなかったとしました。しかし、その報告書の原案は厚労省が作成し、職員らの聞き取りの七割は身内である厚労省職員が行い、その場には厚労省審議官と官房長が同席して質問し、今行われているやり直しの調査にも人事課長が同席しているといいます。  こうした調査そのものが、まさに組織的隠蔽ではありませんか。総理は、これで真相が解明され、国民の納得が得られるとでも思うのですか。  厚労大臣に伺います。  大臣は、参議院厚生労働委員会の閉会中審査で、しっかり第三者委員会としてやっていただいたと答弁しましたが、第三者委員会の体を成していないではありませんか。答弁を撤回すべきではありませんか。  総理には昨年十二月二十八日に報告したと言います。なぜこの日になったんですか。この日は統計不正が初めて報道された日です。隠し切れなくなって報告したのではありませんか。  根本大臣の下で国民の信頼を取り戻すことは不可能であります。  総理、今の特別監察委員会による再調査ではなく、厚労省から完全に独立した組織をつくり、調査を一からやり直すべきです。国会に全ての資料を提出し、関係者を招致し、徹底した真相解明を行うべきであります。明確な答弁を求めます。  昨年の実質賃金は、実際には大幅マイナスだった可能性が指摘されています。しかし、総理は、毎月勤労統計の数字のみを示したことはないと述べ、毎勤統計の代わりに連合の調査結果にすがりついて、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げと開き直りました。しかし、これは、物価の上昇を織り込んでいない数字、名目の賃上げ率です。この五年間には消費税の増税を始め物価の上昇があり、その分を差し引いた実質にすると一%程度にすぎません。これは逆に、今世紀に入って最低になるのではありませんか。  偽りの数字を基に賃上げを誇り、消費税増税を決めた安倍政権の責任は極めて重大ではないでしょうか。  総理の施政方針演説には、家計消費という言葉がついに一度も出てきませんでした。賃金統計は都合のいいように偽装しながら、消費の落ち込みという都合の悪いデータは抹殺するんですか。経済の六割を占める家計消費を無視して、まともな経済対策など成り立ちません。実質賃金と家計消費が落ち込んでいるときに消費税増税を強行すれば、暮らしも経済も破壊されてしまうのではありませんか。  総理は施政方針演説で、いただいた消費税を全て還元する規模の十分な対策を講じると述べました。最初から戻すぐらいなら、増税しなければいいではありませんか。  総理は、消費税率の引上げによる安定的な財源がどうしても必要だと言います。しかし、増税分を戻さなければならないほど景気に深刻な打撃を与えるような税のみに社会保障の財源を頼ることが根本的な間違いではないでしょうか。安定的な財源にはなり得ないことの証明ではありませんか。  今年度末で消費税導入から三十年です。この間の消費税収は三百七十二兆円ですが、その期間に法人三税は二百九十兆円、所得税、住民税は二百七十兆円も減りました。消費税が法人税や所得税などの穴埋めに使われ、財政再建にも社会保障の拡充にもつながらなかったことは明らかではありませんか。  増税するなら、逆進的な消費税ではありません、アベノミクスでさんざんもうけた富裕層ではありませんか。富裕層の株のもうけに欧米並みの税率で課税をし、四百兆円を超える内部留保を抱える大企業にせめて中小企業並みの税負担率を求めれば、消費税一〇%増税分の税収は確保できます。この道を進むべきではありませんか。  日本共産党は、負担能力に応じた負担で経済も財政も両立させ、社会保障を充実させる本当の改革実現に全力を挙げるものであります。  総理は、全世代社会保障への転換とは、高齢者の皆さんへの福祉サービスを削減するとの意味では全くありませんと述べました。しかし、実態はどうでしょうか。  下流老人、老後破産など、高齢世代の貧困と不安の増大が日本社会の深刻な問題となっています。その大きな原因が、少ない年金給付であります。現在、国民年金のみの受給者の平均年金額は月五・一万円。厚生年金受給者でも女性の平均額は月十・二万円です。年金受給者の七割は年金額が年二百万円未満にすぎません。  こうした中で、安倍政権は何をしようとしているか。昨年の物価指数はプラス一・〇%であり、生活水準を維持するためには年金改定率も同じにしなければなりません。ところが、マクロ経済スライドなどが発動され、来年度の年金改定率はプラス〇・一%に抑えられます。物価は一%上がっても年金は〇・一%しか上げない。つまり、来年度だけでも〇・九%の実質減額であります。その結果、安倍政権発足後の七年間を見ると、物価が五・三%上昇したのに対し、年金は〇・八%の引下げとなり、七年間で物価と年金は六・一%も乖離いたしました。総理は、これで年金生活者の、高齢者の生活水準が維持できるとでもおっしゃるのでしょうか。  総理は施政方針演説で高齢者の就業人口増加を誇りましたが、内閣府の調査によれば、高齢世代が就労の継続を希望する理由について、ドイツスウェーデンでは、仕事そのものが面白い、自分の活力になるから、これが回答の一位です。日本では、収入が欲しいから、これが断トツの一位です。年金だけでは生きていけない、年金が減らされ、これからの暮らしが心配だ、だから多くの高齢者が無理をしてでも働かざるを得ない、これが日本の現実ではありませんか。  年金給付を抑制しながら、他方で生涯現役の社会を掲げれば、それは年金に頼らず死ぬまで働けというメッセージにしかなりません。これが総理の言う一億総活躍社会なのでしょうか。  全世代社会保障を実現すると言うなら、今すぐ解決するべき問題があります。高過ぎる国民健康保険料、税の問題です。  協会けんぽ、組合健保など、被用者保険の保険料は収入に保険料率を掛けて計算しますから、家族の人数が保険料に影響することはありません。ところが、国保には世帯員の数に応じて加算される均等割があり、子供の多い世帯ほど保険料が高くなります。まるで人頭税だ、そういう批判の声が上がり、全国知事会、全国市長会など地方団体からは子供の均等割の軽減を求める要望が再三再四出されてまいりました。  二〇一五年、地方との協議の場で政府は検討に合意しましたが、その後、一体どうなっているんですか。合意してから既に四年がたとうとしています。地方との約束を果たすことは待ったなしではありませんか。  地方団体は、国庫負担引上げによる国保料の抜本的軽減を一貫して求めています。国保の一人当たり保険料水準は公的医療保険の中でも最も高く、協会けんぽの一・三倍、組合健保の一・七倍です。全世代社会保障と言うなら、全世代にわたり重過ぎる国保負担の軽減は急務ではありませんか。お答えください。  米国通商代表部、USTRが、昨年十二月、日本との通商交渉に向けて二十二の交渉項目を発表しました。USTRは今回の協定を米日貿易協定と呼んでおり、安倍政権が強調する物品貿易協定ではありません。物品貿易は二十二項目のうちの一つにすぎず、通信、金融を含むサービス貿易、知的財産、投資など広範囲にわたり、為替まで入っています。  昨年の本会議で、総理は、アメリカと交渉するのは物品貿易協定であり、包括的なFTAではないと答弁しましたが、USTRが掲げた二十二項目はまさに包括的なFTAそのものではありませんか。安倍首相が事実と異なる説明をしてきたのか、USTRが合意にないことを発表したのか。どちらが真実なのか、はっきりさせるべきではありませんか。  日本農業を破壊し、経済主権をアメリカに売り渡す日米FTA交渉は、直ちに中止すべきであります。総理の明確な答弁を求めます。  沖縄県知事選挙では、八万票の大差で玉城デニーさんが当選し、辺野古新基地建設反対の圧倒的な民意が示されました。しかし、安倍政権はそれを一顧だにせず、辺野古で土砂投入を強行しています。  大浦湾のマヨネーズ並みと言われる超軟弱地盤の存在について、政府は三年前に報告を受けながら隠蔽していましたが、地盤改良の必要性をようやく認めました。そして、総理は、地盤改良を行う場合の今後の工期や費用について確たることを言うのは困難と述べました。工事がいつまで掛かるのか、費用がどれだけ掛かるのかも分からずに赤土を含む違法な土砂投入を続け、新たな護岸まで建設するのは言語道断ではありませんか。直ちに工事を中止するべきではありませんか。  日米両政府が普天間基地の返還を合意してから二十三年になりますが、いまだに実現していません。なぜか。代替基地を沖縄県内に求めてきたからであります。しかし、普天間基地は一九四五年四月、米軍が住民を強制収容している間に民有地を囲い込んで造ったものです。基地の九一%は私有地でしたが、対価も全く支払われておりません。  ハーグ陸戦法規は、戦争中といえども私有地を没収することを禁じており、たとえ軍の必要で収用する場合であっても、その場合は対価の支払を義務付けております。住民を収容所に入れている間に土地を強奪し、対価も払わないというのは、どんな弁明も通用しない国際法違反の行為にほかなりません。総理には、これが国際法違反だという認識はあるのですか。国際法違反で建設された普天間基地は、無条件返還が当然ではありませんか。  総理は、これまで二十年以上に及ぶ沖縄県や市町村との対話の積み重ねの上に辺野古移設を進めると述べました。しかし、安倍政権が一体どんな対話を行ったというのですか。問答無用で強権を発動しているだけではありませんか。  亡くなられた翁長雄志前知事は、沖縄には魂の飢餓感があるとまで述べられました。対話を積み重ねるどころか、対話を一方的に破壊し、沖縄の人々の思いを踏みにじっているのが安倍政権ではありませんか。沖縄県民に新基地を押し付けるのではなく、米国に普天間基地撤去を求めることを強く要求するものであります。  あわせて、屈辱的な日米地位協定の抜本改定を強く求めます。  安倍政権は昨年十二月、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画を閣議決定いたしました。安保法制と日米新ガイドラインに基づき、日米同盟を一層強化するとともに、従来とは抜本的に異なる速度で防衛力を強化することを強調し、最新鋭ステルス戦闘機F35Bを搭載できるように「いずも」を空母に改造しようとしています。  しかし、これは、攻撃的兵器を保有することは自衛のための最小限度を超えることになるから、いかなる場合にも許されないとしてきた従来の政府の立場をもじゅうりんするものではありませんか。  岩屋防衛大臣は、「いずも」を改造しても攻撃型空母には当たらないと述べながら、同じ記者会見で、米原子力空母ロナルド・レーガンや中国の空母遼寧が攻撃型空母に当たるかと問われて、攻撃型空母という定義ははっきりとないと回答を避けました。攻撃型空母の定義はないと言いながら、「いずも」改造艦船は攻撃型空母に当たらない。通用するはずがないではありませんか。詭弁そのものではないでしょうか。  「いずも」を空母化してF35Bの離発着が可能になれば、明らかに他国に打撃を与える能力を持つことになります。専守防衛の建前すら投げ捨てる安倍政権の憲法破壊を断じて許すわけにはまいりません。  総理は、施政方針演説で改めて改憲議論を呼びかけました。しかし、総理が改憲を声高に訴えれば訴えるほど、改憲を求める世論は逆に減少を続けています。総理は、その原因が一体どこにあると考えますか。  昨年、私も出演したテレビ番組で、自民党の萩生田幹事長代理はこうおっしゃいました。不思議なことに、世論調査で、安倍首相が進める改憲と聞くよりも、ただ改憲について聞く方が賛成が多いと。でも、これは不思議でも何でもないのではないでしょうか。憲法をじゅうりんし、専守防衛の建前も投げ捨て、戦争する国に向かう総理が改憲の旗を振ることに、多くの国民が不安と懸念を強めているからではありませんか。  どんな世論調査を見ても、国民の圧倒的多数は改憲を国政の最優先課題とは考えておりません。国民が望んでもいない改憲を、憲法尊重擁護義務を課されている総理が、自らの権力行使の抑制を緩めるための改憲論議を国会に求める、そんなことが許されるはずがないではありませんか。このこと自体が立憲主義の乱暴極まる否定ではありませんか。  統計不正も、裁量労働制や外国人労働者データ捏造も、森友文書の改ざんも、イラク日報の隠蔽も、その根底にあるのは安倍政権の政治モラルの大崩壊であります。こんな政治には未来がありません。  日本共産党は、市民と野党の共闘で、うそのない当たり前の政治を実現し、立憲主義を回復し、憲法を守り生かし、暮らしに希望を取り戻すため、安倍政権の一日も早い退陣を求めて闘い抜く、その決意を表明をして、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
  15. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小池晃議員にお答えをいたします。  毎月勤労統計の事案に対する認識についてお尋ねがありました。  毎月勤労統計について不適切な調査が行われ、雇用保険、労災保険といったセーフティーネットへの信頼を損なう事態を招いたことについて、国民の皆様におわび申し上げます。  長い、専門性と信頼性を有すべき統計分野において長年にわたって誤った処理が続けられ、それを見抜けなかった責任については重く受け止めております。  このような事態が二度と生じないよう徹底して検証を行い、信頼を取り戻すことが何より重要であり、再発防止に全力を尽くすことで政治の責任をしっかりと果たしてまいります。  雇用保険、労災保険などの給付の不足分については、できる限り速やかに、簡便な手続でお支払いできるよう、万全を期して必要な対策を講じていきます。  また、過労死等の労災認定については、認定基準に基づき適切に対応してまいります。  特別監察委員会の調査と今般の事案の報告についてお尋ねがありました。  厚生労働省の特別監察委員会においては、先般、それまでに明らかになった事実等について報告書を取りまとめていただいたところですが、さらに、事務局機能を含め、より独立性を強めた形で厳正に検証作業を進めていくものと承知しています。  今回のような事態が二度と生じないよう徹底して検証を行い、信頼を取り戻すことが何より重要であり、再発防止に全力を尽くすことで政治の責任をしっかりと果たしてまいります。  賃金の動向についてお尋ねがありました。  これまで御答弁してきたとおり、毎月勤労統計の各月の伸び率の数字のみをお示ししてアベノミクスの成果を強調したことはありません。  その上で、御質問ですので、この間の毎月勤労統計の動向について御説明しますと、実質賃金は、再集計後においても、それ以前に公表されていたデータと同様、二〇一七年にマイナス〇・二%となった後、二〇一八年に入ってからは月によってプラスとマイナスに振れながら推移しています。これは、賃金が増加する中で同時にエネルギー価格も上昇してきたこと等によるものであって、今回の再集計の前後でこの傾向に重立った変化はありません。  こうした状況において、直近では、昨年の通常国会で毎勤統計の実質賃金を引用された御質問があったことから、私は、引用があったことから、私からは二〇一七年に入ってからおおむね横ばいで推移しておりますと答弁したところであり、その後においても毎月勤労統計を根拠に実質賃金の上昇を強調した御説明をしたことはありません。  他方、名目賃金について見れば、再集計後のデータにおいても増加傾向が続いていることに変わりはなく、また、この場でも申し上げてきたとおり、連合の調査においては、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが続いています。  なお、通常、春闘の場において物価上昇を差し引いた数字で交渉が行われているとは承知していません。  さらに、国民みんなの稼ぎである総雇用者所得については、雇用が大幅に増加する中で、名目でも実質でも増加が続いています。このように、雇用・所得環境は着実に改善しているとの判断に変更はありません。  消費税引上げについてお尋ねがありました。  家計消費について、世帯当たりの消費を捉える家計調査の家計消費支出は、世帯人員の減少などから長期的に減少傾向となっています。一方で、一国全体の消費を捉えるGDPベースで見ると、二〇一六年後半以降増加傾向で推移しており、持ち直しています。  また、就労者数は二百五十万人増加し、賃上げも五年連続で今世紀最高水準の賃上げが続くなど、雇用・所得環境は着実に改善しています。経済の好循環は確実に回り始めています。  消費税率引上げについては、法律で定められたとおり、十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定であると繰り返し申し上げており、この方針に変更はありません。  今回の引上げに当たっては、前回八%への引上げ時の反省を踏まえ、反動減等に対する十二分な対策を講じることで景気の回復基調を確かなものとした上で、同時に、全世代型社会保障制度の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保してまいります。  なお、社会保障の安定財源については、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定していること、勤労世代など特定の者への負担が集中しないことから、消費税がふさわしいと考えております。  消費税率引上げと富裕層と大企業に対する税制の在り方についてお尋ねがありました。  今回の消費税率の引上げは、全世代型社会保障の構築に向け、安定財源を確保するために必要なものであり、法律で定められたとおり、十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定です。  企業に対する税制については、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から、成長志向の法人税改革に取り組んでまいりましたが、同時に、租税特別措置の縮減、廃止等による課税ベース拡大により、財源をしっかり確保しております。  また、これまで、再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率の引上げや金融所得課税の見直し等の施策を既に講じてきたところであります。  今後の税制の在り方については、これまでの改正の効果を見極めるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ検討する必要があるものと考えています。  マクロ経済スライド、高齢者雇用と一億総活躍社会についてお尋ねがありました。  マクロ経済スライドは、平成十六年の改革により、将来世代の負担を過重にすることを避けつつ、制度を持続可能なものとするため、将来の保険料水準を固定し、その範囲内で給付水準を調整する仕組みとして導入しました。これにより、物価等の上昇率ほどに年金額は上昇しないこととなりますが、現役世代と高齢世代のバランスを確保しつつ制度の持続可能性を高めることになりました。  なお、低所得の高齢者の方への対策については、既に年金受給資格期間の二十五年から十年への短縮や、医療、介護の保険料負担軽減を実施したほか、今年の消費税率の引上げに合わせて、低年金の方への年金生活者支援給付金の創設、介護保険料の更なる負担軽減を実施するなど、社会保障全体で総合的に講じることとしています。  さらに、人生百年時代の到来を見据えながら、元気で意欲あふれる高齢者の皆さんが、希望すれば、年齢にかかわらず、学び、働くことができる環境を整えることが必要です。既に未来投資会議においてこうした観点から生涯現役時代の雇用制度改革に向けた検討を開始しており、この夏までに計画を策定し、実行に移す考えです。引き続き、一億総活躍社会の実現に向けた施策を進めてまいります。  国保の保険料についてお尋ねがありました。  本年から施行された国保改革において、交付金制度を見直し、子供の被保険者数が多い自治体への財政支援を強化しました。  御指摘の子供の均等割保険料の今後の在り方については、財政支援の効果や国保財政に与える影響などを考慮しながら、国保制度に関する国と地方の協議の場において引き続き議論してまいります。  また、今般の国保改革においては、国保の財政状況に鑑み、年約三千四百億円の財政支援を行い財政基盤を大幅に強化したところであり、今後とも安定的な制度運営に努めてまいります。  日米物品貿易協定交渉についてお尋ねがありました。  今後の日米交渉が、あくまで、昨年九月に私とトランプ大統領の間で合意した日米共同声明に沿って行われることについては、交渉を担当する茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で直接確認しています。  そして、この日米が合意した共同声明では、サービス全般の自由化や幅広いルールまで協定に盛り込むことは想定しておらず、その意味で、これまで我が国が結んできた包括的なFTAとは異なるものであると考えます。  また、この共同声明では、農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した内容が最大限である、この大前提を米国と合意しました。この点が最大のポイントであり、当然、この前提の上に、今後、農林水産業に関わる皆様の不安なお気持ちにしっかりと寄り添いながら米国と交渉を行ってまいります。  普天間飛行場の辺野古移設に係る地盤改良についてお尋ねがありました。  米軍キャンプ・シュワブの北側海域については、地盤改良工事が必要であるものの、一般的で施工実績が豊富な工法により、護岸や埋立て等の工事を所要の安定性を確保して行うことが可能であることが確認され、今後、沖縄防衛局において地盤改良に係る具体的な設計等の検討を十分に行うものと聞いております。  他方、キャンプ・シュワブの南側海域については、埋立承認に基づき施工することができるため、埋立工事等を進めることは問題ないものと承知しています。  普天間飛行場の全面返還を一日も早く実現するため、移設を進めてまいります。  普天間飛行場と国際法についてお尋ねがありました。  沖縄における米軍施設・区域の形成過程については、普天間飛行場を含め、国際法に照らして様々な議論があることは承知していますが、いずれにせよ、これらの沖縄の米軍施設・区域は、昭和四十七年の沖縄の本土復帰以後、米国が日米地位協定の下で我が国から適法に提供を受け、使用しているものです。  一方、住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場については、その固定化を絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、政府と地元の皆様の共通認識であると思います。  政府としては、現行の日米合意に基づき、抑止力を維持しながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため、全力で取り組んでまいります。  普天間飛行場の返還に係る沖縄県等との対話及び日米地位協定についてお尋ねがありました。  普天間飛行場の全面返還のための移設については、これまで二十年以上に及び、地元の皆様と対話を積み重ねてきており、翁長前知事の時代にも集中的に協議を行いました。また、玉城知事の御就任後も、官房副長官と副知事の間で話合いを重ねたところです。  私も、玉城知事とお目にかかり、今後とも様々な形で意見交換を行っていくことが大事であるとの認識で一致したところであり、政府・沖縄県協議会や普天間飛行場負担軽減推進会議などの協議の場を通じて対話を続けていく考えです。  政府としては、引き続き、現行の日米合意に基づき、普天間の全面返還に向け、移設を進めてまいります。  日米地位協定は大きな法的枠組みであり、政府として、事案に応じて、最も適切な取組を通じ、具体的な問題に対応してきています。  安倍政権の下では、環境及び軍属に関する二つの補足協定の策定が実現しました。国際約束の形式で得たこの成果は、日米地位協定の締結から半世紀を経て初めてのものです。  また、例えば、日本側に第一次裁判権がある犯罪の被疑者たる米国人、軍属の拘禁についても、日米合意に基づき、実際に起訴前に日本側への移転が行われてきています。  今後とも、このような目に見える取組を一つ一つ積み上げていくことにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。  「いずも」型護衛艦の改修についてお尋ねがありました。  政府としては、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられるいわゆる攻撃的兵器を保有することは、自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるため憲法上許されないと考えており、これは一貫した見解です。  いわゆる攻撃型空母とは、空母のうちこのような兵器に該当するものと考えています。  「いずも」型護衛艦における航空機の運用と所要の改修は、新たな安全保障環境に対応し、広大な太平洋を含む我が国の海と空の守りについて、隊員の安全を確保しつつ、しっかりとした備えを行うものであり、今後の我が国の防衛上必要不可欠なものです。自衛のための必要最小限度のものであり、憲法上保有が許されない攻撃型空母に当たるものではありません。  専守防衛は憲法の精神にのっとった我が国防衛の基本方針であり、今後とも堅持してまいります。  憲法改正についてお尋ねがありました。  御指摘の国民の皆様の声については、私もしっかりと耳を傾け、真摯に受け止めたいと思います。  他方、各種報道機関の世論調査においても、憲法を改正することに賛成する方々が一定程度認められる現状において、議論することを否定すべきではなく、今後、憲法審査会の場において各党の議論が重ねられることとなれば、国民の皆様の理解も更に深まっていくものと考えます。  次に、内閣総理大臣は、憲法第六十三条の規定に基づき、議院に出席し、国会法第七十条の規定に基づき、議院の会議又は委員会において発言しようとするときは、議長又は委員長に通告した上で行うものとされています。  憲法第六十七条の規定に基づき国会議員の中から指名された内閣総理大臣である私が、議院の会議又は委員会において、憲法に関する事柄を含め、政治上の見解、行政上の事項等について説明を行い、国会に対して議論を呼びかけることは、禁じられているものではありません。  加えて、憲法第九十九条が憲法遵守義務を定めているのは、日本国憲法が最高法規であることに鑑み、国務大臣その他の公務員は、憲法の規定を遵守するとともに、その完全な実施に努力しなければならない趣旨を定めたものであって、憲法の定める改正手続による憲法改正について検討し、あるいは主張することを禁止する趣旨のものではないと考えています。  なお、私は、大きな歴史の転換点にあって、この国の未来をしっかりと示していくとの観点から憲法に関して一石を投じたものであって、自らの権力行使の抑制を緩めるための改憲論議との御指摘は全く当たりません。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣根本匠君登壇、拍手〕
  16. 根本匠

    ○国務大臣(根本匠君) 小池晃議員にお答えをいたします。  第三者による特別監察委員会と総理への報告についてお尋ねがありました。  特別監察委員会は、平成二十三年に設置され、任命された厚生労働省監察本部の外部有識者の五名に加え、統計の専門家であり、総務省の統計委員会の前委員長を務めた樋口美雄氏を委員長とするほか、統計の専門家等を加えた構成です。  特別監察委員会では、ヒアリングから得られた供述内容や関係資料の精査等を通じて、第三者の視点から集中的に検証し、事実関係と関係職員の動機、目的、認識など、さらに責任の所在を明らかにしていただきました。  その上で、現在、先日の国会における御議論等も踏まえ、事案に関連した職員等に、特別監察委員会の委員のみが質問する形式での更なるヒアリング、東京都など自治体へのヒアリングなど、更なる調査を行っていただいているところです。  厚生労働省としては、統計に対する信頼、厚生労働省という組織に対する信頼を回復していくため、今後とも、特別監察委員会において第三者の視点から厳正な調査を賜り、事実解明を進めてまいります。  本件について、私は、昨年十二月二十日に事務方から事案の一報を受け、経緯、原因等について速やかに徹底的に調査するよう指示いたしました。  その後、十二月二十七日までに、統計上の賃金額が低めに出ていた可能性があり、国民経済計算や経済見通し、雇用保険、労災保険給付等への影響の可能性が明らかになったため、翌二十八日に事務方から秘書官を通じて総理に報告したものであります。本件を隠し切れなくなって報告したという御指摘は全く当たりません。(拍手)     ─────────────
  17. 郡司彰

    ○副議長(郡司彰君) 山本太郎君。    〔山本太郎君登壇、拍手〕
  18. 山本太郎

    ○山本太郎君 自由党共同代表、山本太郎です。  自由党は国民民主党と会派で合流。政府四演説に対し、会派、国民民主党・新緑風会を代表し、質問いたします。  総理、日本以外でデフレが二十年続いた国があれば教えてください。  なぜ日本ではデフレが二十年も続くんですか。恐らく総理は、二十年続いたデフレを安倍政権でデフレでない状態にしたと答弁を逃げることが予測されます。現実を見れば、インフレとは言えない状況です。これまでのデフレの二十年を真摯に総括する答弁を求めます。  総理、日本で続く二十年のデフレ、この責任は誰にあると考えますか。民主党も政権を担当しましたが、たった三年三か月。二十年のデフレの原因は、間違いなく自民党の経済政策です。  IMF、国際通貨基金、世界百八十か国以上のデータから、戦争、紛争をやっている国々を除いた百四十か国以上、一九九七年から二十年間の政府総支出の伸び率、日本は堂々の最下位です。つまり、世界で一番人々に投資をしない、どけち国家が日本です。  同じIMFのデータ、二十年間の名目成長率を見ると、最下位は日本。投資がなければリターンもない、当然です。世界一のどけち国家は、二十年、世界一成長しない国家だったということ。  二十年続くデフレの原因は、その期間のほとんど政権を担っていた自民党の間違った経済政策です。緊縮政策で人々の生活を苦しめ続け、人生を狂わせ、生活困窮から命まで奪った。  少子化が問題になると考えたのは議員になって何年目ですかという以前の私の質問に対して、一年目、総理はそうお答えになりました。この答弁、間違いありませんか。  二〇一七年、少子化が国難であると衆院を解散した総理ですが、少子化がなぜ国難なのか、お話しください。  少子化克服にはどれくらいの財政出動の規模、期間が必要と構想されていますか。  役所が閉まる年末年始、この期間は、生活困窮状態であっても新たに福祉にはつながれません。その期間、炊き出しなどで命をつなぐ越年越冬が各地で開かれており、私も、この四年間、毎年年末に参加。世の中は好景気である、テレビが垂れ流すそれとは全く正反対の現実。  ある炊き出しの列にスーツ姿で並んでいた男性、大きなリュックを背負い、紙袋を両手に抱え、ぱんぱんになったスーツケースを転がし、炊き出しの年越しそばを手にした途端、バランスを崩して転んでしまったのですが、手にしていた年越しそばだけはこぼれないように耐えていました。  話を聞いてみると、東京に来ればいい仕事にありつけると故郷を出て、短期での仕事を繰り返しながら何とか生きていたが、体調を崩し、数日仕事ができない状態になり、収入も途絶え、住まいにしていたネットカフェにもいられなくなり、路上に出た。料金も払えず携帯電話は止まり、仕事探しも厳しい状況に置かれた。路上には出たものの、彼には真冬の路上で生きるスキルはなく、夜の公園で寒さに眠れず、夜通し歩いて、落ちているお菓子などを拾い食いし、数日命をつないだといいます。  この四年間、そんな同世代にたくさん出会いました。もし、彼ら、彼女らが炊き出しに偶然出会っていなかったら、お正月、東京の路上で凍死、餓死していたかもしれない。ロスジェネ世代の貧困を目の当たりにした話です。    〔副議長退席、議長着席〕  総理、ロスジェネについて御存じのことを教えてください。  ざっくり言えば、ロスジェネは現在四十代周辺の者たち。社会人のスタートと二十年のデフレが完全に一致する世代。  この国で少子化が大きな問題にならないようにするためには、私のような第二次ベビーブーム生まれの若い世代に家族をつくれるような施策を国が積極的に行い、九〇年代後半から二〇〇〇年代に新たなベビーブームが起きるような戦略を取る必要がありましたが、実際に行われたのは緊縮政策、いわゆるどけちです。その中でも大きな影響を与えたのが、九七年の消費税五%増税が引き金、翌年から本格的デフレに突入。超就職氷河期が訪れた上に、雇用の流動化も合わさり、将来が見通せない人生を歩むことになったロスジェネ世代。  安倍総理は議員生活二十五年。そのキャリア一年目には少子化問題に危機感を持った。総理大臣も二回経験。総理は、一方で、議員としてのキャリア二十四年目に、つまり二年前に少子化が国難で解散・総選挙。問題解決能力がないとしか言えません。総理大臣に向いていないのではなく、国会議員に向いていないんじゃないですか。  この国における貧困は、ロスジェネ世代に限りません。平成二十八年国民生活基礎調査は、三年置きに行われる大規模調査でした。その中の生活意識の状況の調査結果では、生活が苦しいという世帯は五六・五パー、子供のいる家庭では六二パー、母子家庭では八二・七パー。この国の子供約七人に一人が貧困。これで先進国って名のっていいんですか。紛れもない衰退国家じゃないですか。二十年続くデフレが日本を弱らせたんですよ。  安倍政権でいっとき景気は良くなりそうになったが、タイミングを間違った消費税八%への増税。これにより、景気拡大の最大のエンジン、個人消費が八兆円も下落。これはリーマン・ショックによる個人消費の下落六・三兆円を大きく上回る影響、インパクト。  総理、二〇一四年四月、八%への増税、後悔していますか。  麻生大臣、消費税一〇%への増税、もし凍結する場合の判断はいつがデッドラインになりますか。参議院選直前ですか。  これは、会派ではなく私個人からの意見と提案です。  消費税増税、あり得ない、凍結、あり得ない、消費税は減税しかないだろうというのが私の考えです。野党は消費税五%への減税を共通の公約として次の選挙を戦うべきだと私は考えます。議論しましょう。  安倍政権は、増税ではなく、凍結という最後のカードを切ってくるおそれがある。その際、野党も同じ凍結では話になりません。消費税五%への減税を旗印に、野党が大きな固まりとなり政権交代を目指す。  立憲民主党の皆さん、生活に苦しむ多くの方々を救うためにも、野党の固まりに集結し、真っ当な政治を目指すという立憲民主党のカラーに野党を染め上げていただきたい。是非お力を貸していただきたい。期待しています。  今必要なのは、本当の意味で将来世代にツケを残さないための、異次元の財政出動による人々への救済と生活の底上げ、資産形成できるバックアップ。  二〇一三年六月、横浜、日本の財政危機論について、日本は自国通貨で国債を発行している、お札を刷って返せばいい、簡単だろう。麻生大臣の御発言。  金融政策と財政政策を組み合わせる。世界では普通に行われている真っ当な施策であり、二十年のデフレを終わらせるためには必要不可欠。  先ほどの発言の仕組みについて、麻生大臣、解説をお願いいたします。加えて、お札を刷ることができる上限についてもお答えください。  麻生大臣には、財政危機宣言ならぬ、財政健全化宣言を今ここで出していただき、日本の財政には問題がないことを国民に説明してください。  奨学金で苦しむ五百五十五万人を九兆円でチャラにできます。麻生大臣、奨学金徳政令、やってくださいよ。  特に、野党時代に強くデフレからの脱却方法として大規模な財政出動を主張されていた麻生大臣。安倍政権では、財政出動のための新規国債発行額は、二〇一二年度には四十七・五兆円でしたが、一九年度には三十二・六兆円と、約十五兆円も減少、これは、その分、財政出動の金額が抑制され続けたとも言えます、プライマリーバランスの黒字化をアピールするためだけに。安倍政権も立派な緊縮、つまりはどけちです。  麻生大臣、少子化克服には今後大規模な予算投入が必要です。新規国債には頼らないということでしょうか。  昨年末、内閣官房参与を辞任された藤井聡京大教授も、増税と歳出拡大の抑制によって、プライマリーバランスの黒字化目標を目指し、財政規律を守るという目的を着々と達成している安倍政権は、同時に、極めて優秀な緊縮内閣であると著書の中で皮肉られている。  麻生大臣は、野党時代の訴えから比べると随分とトーンダウン、スケールダウンしたように思います。なぜでしょう。  麻生大臣、政権を取ったから手のひらを返したんでしょうか。それとも、財務省からの圧力があるんでしょうか。加えて、麻生大臣、明確に安倍政権が反緊縮であると主張できる根拠をください。  総理、異次元の金融緩和、機動的な財政出動という看板を揚げておきながら、金は刷るが金が回るような施策は打たない。超絶中途半端。その理由は何でしょうか。  財務省とマスコミによる洗脳、借金けしからぬに迎合、その上で経済成長を目指すという安倍政権。全く矛盾した話。本当の景気回復に必要な仕事はやっていない。この程度で好景気、ばかにするのはやめていただきたい。バブル世代、高度経済成長期を知る人々はだませません。  テレビを御覧の皆さん、今のままじゃあなたの下には好景気の風は届かない。大胆な政府支出、あなたの将来への不安を払拭してくれる野党勢力に力をください。力を合わせて景気回復を前に進めましょう。  ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
  19. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山本太郎議員の代表質問に対してお答えをいたします。  デフレの原因についてお尋ねがありました。  少なくとも、戦後、先進国でデフレを二十年以上経験した国は、我が国のほかにはありません。  失われた二十年、その最大の敵は、日本中に蔓延したデフレマインドでした。企業は賃金を抑制し、消費者も将来への不安などから消費を減らさざるを得ず、その結果、需要が低迷、デフレを加速するという悪循環から抜け出せずにいました。  この経験を踏まえ、安倍内閣では、政権交代後、長引くデフレから脱却し、日本経済を力強く成長させていくため、これまでとは次元の違う政策として、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢に一体として取り組んできたところであります。  こうしたアベノミクスの取組によって、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは一割以上成長しました。  今後も、デフレ脱却、そして力強い成長のため、三本の矢の政策を継続していく考えに変わりはありません。  少子化問題についてお尋ねがありました。  昨年の予算委員会において、一年生議員当時から少子化が大きな政策課題であった旨答弁したことは御指摘のとおりであります。  少子化は、地域社会の担い手の減少、現役世代の負担増加、経済や市場の規模の縮小や経済成長率の低下など、個人、地域、企業、国家に至るまで、多大な影響を及ぼします。このような我が国の社会経済の根幹を揺るがしかねない危機的な状況をもって国難と申し上げたところであり、長期的な展望を持って少子化対策を進めていく必要があると考えています。  こうした認識の下、消費税の使い道を見直し、二兆円規模の恒久財源を子供たち、子育て世代に大胆に投じ、教育無償化や待機児童の解消に取り組んでいくこととしています。  今後も、あらゆる政策手段を総動員し、継続的かつ総合的な少子化対策を推進してまいります。  いわゆるロストジェネレーション世代についてお尋ねがありました。  この世代は雇用環境が厳しい時期に就職活動を行っていた方々であり、その中には、希望する就職ができず、現在も、不本意ながら不安定な仕事に就いている、無業の状態にある、生活に困窮しているなど、様々な課題に直面する方々がいらっしゃいます。  政府としては、この世代の方々がより安定した仕事に就くことで自立していけるよう支援することが重要と考えており、その観点から、マンツーマンによる相談支援、個々のニーズに即した職場体験、就職後の定着、ステップアップ支援などの就労支援を行ってきております。  さらに、来年度予算案においては、地域若者サポートステーションと生活困窮者自立支援制度の一体的な支援を行うモデル事業を盛り込んでおり、生活支援も含めた支援の強化を図ってまいります。  二〇一四年の消費税率八%への引上げについてお尋ねがありました。  消費税率の八%への引上げについては、単なる増税ではなく、これを財源として、基礎年金国庫負担割合の二分の一への引上げや、所得の低い方々に対する国民健康保険料等の軽減の拡充など、社会保障の充実を実施したところです。  これらの施策を全体として見れば、消費税率八%への引上げの判断が誤りであったとは考えていません。  しかしながら、その際には耐久財を中心に大きな駆け込み需要と反動減が生じ、その後の回復にも遅れが見られるなど、結果として見れば、需要変動に対する対策が必ずしも十分ではなかったと考えています。  今回の消費税率の一〇%への引上げについては、前回の反省の上に、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ばさないよう全力で対応することとしています。いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じ、景気の回復軌道を確かなものとしてまいります。  経済政策についてお尋ねがありました。  六年間のアベノミクスの三本の矢の取組により、もはやデフレではないという状況をつくり出す中で、国民生活にとって最も大切な雇用・所得環境は大きく改善しており、確実に経済の好循環が生まれています。  この成長の果実をしっかりと分配に回すことで、次なる成長につながっていく。デフレマインドが払拭されようとしている今、アベノミクスの更なる強化に向けて取り組んでまいります。  具体的には、我が国の持続的な成長にとっての最大の課題である少子高齢化を克服し、全世代型社会保障制度への転換を成し遂げてまいります。また、未来へのイノベーションを大胆に後押しし、ソサエティー五・〇を世界に先駆けて実現することで、我が国の未来を開いてまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
  20. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 山本議員から、消費税率一〇%への引上げ判断、財政運営、少子化対策等についてのお尋ねがあっております。  まず、消費税率一〇%への引上げの判断についてのお尋ねがありましたが、本年十月の消費税率引上げにつきましては、リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、法律で定められたとおり、本年十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定であります。  いずれにいたしましても、消費税率の引上げに当たりましては、前回八%への引上げの際の経験を生かし、反省も含め、予算、税制、総動員し、消費税率引上げによる経済への影響に対しても十二分な措置を講じることといたしており、経済の回復基調をしっかりと持続させることができるものだと考えております。  次に、金融政策財政政策組合せについてお尋ねがありました。  日本の財政につきましては、公的債務残高がGDPの約二倍というほどに累積するということなど、厳しい状況にありますが、今までのところ、預金等の潤沢な国内の家計金融資産の存在等を背景に、低い、極めて低い金利水準で安定的に自国通貨建ての国債が大部分国内で消化をされておりますという誠に幸運な状態が続いてきたということであります。議員御指摘の私の発言は、こうした状況を踏まえたものであります。  しかし、こうした状況がいつまでも続くかということはなかなか難しいのであって、財政運営に対する信認が失われ、金利が急上昇するというような利払い費が増加することになれば、財政の対応力が失われ、経済財政、国民生活等々に重大な影響が及ぶおそれがあります。したがいまして、引き続き、経済再生を図りながら、財政健全化の取組を続けていく必要があろうと考えております。  なお、通貨供給を含めた金融政策の具体的な手法につきましては、これは日銀に委ねられるべきものでありまして、私の方からコメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。  次に、日本の財政状況に対する認識についてのお尋ねがありました。  日本の財政につきましては、プライマリーバランスの赤字が続いて、公的債務残高がGDPの二倍という程度に累積するなど、厳しい状況にあります。  こうした中で、現政権では経済再生と財政健全化に取り組んで、過去最高水準の名目GDPを背景に、国、地方を合わせた税収を七年間で約二十八兆円増加させるとともに、歳出改革の取組を継続させていただいて、新規国債発行額は二〇一二年の当初予算と比較して約十二兆円減少し、七年連続で縮減してきておるということであります。税収の分だけ公債を減らしたということです。  引き続き、新経済・財政再生計画に沿って経済再生を図り、歳出と歳入両面の改革を続けていくことになります。まずは、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化を実現し、債務残高GDP比の安定的な引下げを目指していくということになろうと存じます。  次に、奨学金返済を免除すべきとのお尋ねがありました。  貸与型の奨学金というのは、希望する学生に貸し付けられて、学生が大学で勉学にいそしみ、社会に出てから返済をいただいていた分は、次の学生にそのチャンスを与えるべく新たな奨学金の原資として活用されておりますのは御存じのとおりです。  したがいまして、政府としては、無利子奨学金を拡充するほか、返済が困難となっていられる方々については、返済期限の猶予や将来の収入に応じて返済ができる制度を導入するなど、きめ細かな対応や措置を講じておりますが、国民からお預かりした資金等の返済を議員御指摘のように免除するということを考えているわけではありません。  次に、少子化対策ということについてのお尋ねがありました。  日本のこれは最大の長期的な課題である少子高齢化の克服に向けて、子育て世代や子供に大胆な政策資源を投入する必要があろうと存じます。このため、例えば消費税率引上げの使い道を大きく変更し、本年十月より三歳から五歳までの全ての子供の幼児教育を無償化することといたしております。  これは、社会保障を全世代型に変更していくということになるために重要な第一歩であり、本年十月に消費税を引き上げることにより、こうした少子化対策や社会保障に対する安定財源をしっかりと確保してまいりたいと考えております。  なお、FMSを通じた調達というものにお尋ねがありましたが、米国しか製造できない能力の高い装備品などを調達できる点で、日本の防衛力強化の上で必要と考えております。(発言する者あり)質問が違っていますか。(発言する者あり)聞いていない……(発言する者あり)失礼しました、飛ばします。御了解いただいて、飛ばします。失礼しました。  最後に、財政政策に対するスタンス及びその推移についてのお尋ねがありました。  安倍内閣では、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針を掲げており、私も政権交代前より同じ考えを持っているところであります。この方針の下、安倍内閣においては、経済再生につながる分野に予算の重点配分を行いつつ、その時々の経済状況を見極め、必要に応じ機動的な財政運営を行ってきたところでありまして、緊縮とは全く考えておりません。  こうした安倍内閣の取組の結果、御存じのように、GDPや企業収益は過去最高水準となっております。雇用・所得環境の改善を背景に経済の好循環が着実に回り始めてきていると考えております。  同時に、持続的な経済成長を実現するためには、財政の健全化を着実に進めていくことも極めて重要であろうと存じます。  引き続き、経済・財政再生計画に沿って歳出改革に真摯に取り組み、デフレ脱却、また経済再生と財政健全化の両立に向けて取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)     ─────────────
  21. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 岡田直樹君。    〔岡田直樹君登壇、拍手〕
  22. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹です。  自由民主党・国民の声を代表して、安倍内閣総理大臣の施政方針演説について質問いたします。  とりわけ、本日、私は、日本国憲法をめぐる現状をどう認識し、その課題にどう対処すべきかという観点でお尋ねしたいと思います。  第一のテーマとして、安全保障環境について質問します。  平成元年は、天安門事件、ベルリンの壁崩壊、そして米ソ冷戦終結宣言という大事件が相次ぎ、冷戦からポスト冷戦へと転換した歴史的な年でありました。平成の時代、日本を取り巻く安全保障環境が改善するという期待もありましたが、現実はそうではありませんでした。北朝鮮は、平成三年の朝鮮半島非核化に関する南北共同宣言を無視して、核実験の強行、弾道ミサイル発射を繰り返し、アジア太平洋地域の緊張をかつてないレベルにまで高めてきました。  昨年六月、史上初の米朝首脳会談が行われたこと自体には少なからぬ意義があったと思います。しかし、そこで再確認された朝鮮半島の完全な非核化に至る道筋はまだ不透明と言わざるを得ません。北朝鮮は、使えなくなった一部の核実験場の廃棄に着手したかもしれませんが、主要な核施設などは査察もさせていないのではないでしょうか。核実験やミサイル発射は一時中断していますが、既にその開発が一定水準に達したため小休止しているにすぎないようにも見えます。  そこで、北朝鮮の核の脅威を現時点でどう捉えているのか。また、二月末にも二度目の米朝首脳会談がある見通しですが、朝鮮半島の非核化は具体的に進むのか。あるいは、米国が経済制裁を緩和して、なおかつ北朝鮮が核を持ち続けるおそれが相当あるのではないか。政府の認識と日本の対応について、総理の答弁を願います。  北朝鮮の憲法についても一言お尋ねします。  二〇一六年六月に改められた朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法の前文は、先代の金正日総書記を称賛していわく、我が祖国を不敗の政治思想強国、核保有国、無敵の軍事強国と変貌させ、社会主義強国建設の明るい大通路を切り開いた、こう明記しています。  こうした北朝鮮憲法の根幹を成す軍国主義は、日本国憲法の平和主義と到底相入れません。とりわけ問題なのは、自らを核保有国と宣言し、日本を始め周辺諸国を脅かしていることであります。北朝鮮がその憲法においてまで核保有国を自任することについて、日本政府の立場、見解はいかがでしょうか。総理に伺います。  一方、韓国はどうでしょう。分断された民族の心情を察するとしても、文在寅政権の南北融和一辺倒とも言える政策を見れば、かえって周辺地域の安全保障を危うくするのではないかという懸念を覚えます。中韓関係においても同様のことが感じられます。  日米同盟と米韓同盟は、その目的、性格を異にしてはいますが、相互に補完してアジア太平洋地域の要石となってきました。しかし、今、米韓同盟に亀裂が生じていると指摘する論者は少なくありません。その上に、旧朝鮮半島出身労働者の請求に対する韓国大法院判決の問題、韓国駆逐艦が海上自衛隊哨戒機に火器管制レーダーを照射した事件があり、一衣帯水の大切な隣国であるはずの韓国の日本に対する姿勢は全くもって不可解と言うほかありません。  韓国政府に断固たる態度で臨むことが必要でありますが、特にレーダー照射問題は、本来、日米韓の協力関係を支える柱として重要な日韓の防衛協力を困難にするものであり、デリケートな対応を迫られると感じます。日韓の諸問題に対する政府の見解、また打開策をどう考えておるのか、総理にお尋ねします。  なお、レーダー照射を行った韓国駆逐艦は北朝鮮の小型船舶に寄り添うようにしており、人道主義的な救助活動中であったと主張していますが、その海域は石川県能登半島沖の我が国排他的経済水域、EEZの内側にあります。北朝鮮船舶の目的が密漁か、いわゆる瀬取りかはさておき、以前も私は代表質問で、日本海大和堆周辺における北朝鮮漁船の大規模な違法操業によって日本の漁業者が身体の危険まで感じ、怒りの声を上げていることを伝えました。より強力で実効性ある手段で北朝鮮などの違法操業を取り締まっていただくよう、総理の決意を伺います。  また、他国の違法操業から日本の排他的経済水域や漁業者を守ることは、本来、海上保安庁や水産庁の任務でしょうが、今回のような自衛隊機の哨戒活動を厳重にし、海保や水産庁と情報を共有し、連携して日本の海を守ることはあってしかるべきと考えますが、総理の見解をお聞かせください。  また、中国の軍備増強にも歯止めが掛かりません。尖閣列島周辺や沖ノ鳥島周辺の接続水域などで中国海警局の船や海洋調査船が何度も確認されています。我が国の主権を脅かす行為であり、断じて看過できません。中国は人工の島を建設し、領土、領海をめぐってフィリピンやベトナムとも対立しています。  総理にお伺いします。中国の太平洋進出の意図及びそのパワーとなる海軍力、空軍力の増強をどのように認識しているのでしょうか。尖閣列島や沖ノ鳥島の周辺での中国の行動についての認識、対応もお聞かせください。  我が国は、戦後一貫して日本国憲法の平和主義の下、日米同盟を基軸に、国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保ってきました。しかし、今日の安全保障環境は、冷戦時代と同等か、それ以上に緊迫し、複雑化しております。私たちは、ここにこそ自衛隊の存在を憲法上揺るぎのないものとし、もって日本に対する侵害を未然に抑止する必要性があると考えています。  我が党の憲法改正推進本部では、現行の九条一項及び二項を堅持した上で自衛隊を明記することの意義を認める意見が多数を占め、新たに九条の二を追加する条文イメージ、たたき台素案を取りまとめました。  すなわち、九条の二では、前条の規定は、我が国の平和と独立、国と国民の安全の確保のために必要な自衛の措置をとることを妨げないとして、九条一項、二項及びその解釈を維持することを明確にした上で、そのための実力組織として自衛隊の保持について規定するとともに、内閣総理大臣を最高の指揮監督者とし、自衛隊の行動は国会の承認などの統制に服する旨を定め、シビリアンコントロールを明記することとしております。  党内の議論の中でも、九条をめぐっては様々な意見が交わされました。今申し上げたものは、あくまでも条文イメージとして両院の憲法審査会などで議論され、各党から十分な御意見もいただくためのたたき台と考えております。  第二のテーマとして、緊急事態対応に関連して質問します。  我が国は、常に大地震や津波の脅威にさらされており、特に南海トラフ地震や首都直下型地震などについて憂慮すべき予測がされております。万一の大規模な自然災害に備えて思い切った国土強靱化を進めるとともに、地方創生の観点からも、人口の地方分散や都市機能の移転などを政策的、重点的に図ることが求められます。総理の御所見並びに対応策を伺います。  次に、東日本大震災の教訓を踏まえた対応についてお聞きします。  災害対策基本法では、非常災害が発生し、その災害が国の経済や公共の福祉に重大な影響を及ぼすような場合に災害緊急事態を布告できると定めていますが、当時の政権の下ではその布告は行われませんでした。そして、大震災の経験や反省を踏まえ、大規模な自然災害が発生した際、実質的、機動的に対処するため、災害対策基本法などを改正し、災害緊急事態への対応の拡充が図られてきたことは一定の評価ができます。  しかしながら、例えば、首都直下型地震などにより、国会の会期中であっても物理的に国会が開かれず、立法機能が確保できない場合などに、現行の災害対策基本法では、災害緊急事態を布告して緊急政令を定めることはできないのではありませんか。この点について、山本防災担当大臣に伺います。  そして、より一層災害緊急事態法制の整備を図るべきではないかと考えますが、その必要性についても、山本大臣、お聞かせください。  他方、大規模災害による緊急事態についても、国会の機能ができるだけ維持されるようにしておくことが重要です。しかし、衆議院が解散されているとき、また参議院通常選挙の前やさなかに大災害が発生し、国政選挙が執行できない場合はどうでしょうか。国民の命や生活を守り、復旧復興を急ぐためには、迅速果敢な立法措置が必要ですが、そのためには国会が十分に機能せねばなりません。現行憲法にも、唯一の緊急事態条項として、五十四条に参議院の緊急集会の定めはありますが、最も厳しい想定をすれば、参議院の半数のみで緊急の立法を行わなければならない事態も考えられます。  東日本大震災の際は、地方議員の任期は法律による延長で対処しました。しかし、国会議員の任期は憲法に明記されており、法律改正で変えることはできません。そして、大災害時の憲法改正など、およそ非現実的であります。あらかじめ憲法に、選挙実施が困難な場合における国会議員の任期延長等を規定しておくことが必要と考えます。この論点は、国会における憲法論議の中で幾つもの党派から指摘されたところであります。  そこで、我が党の議論の中では、七十三条の二として、大地震など大規模災害により、国会による法律の制定を待つ時間的余裕がない特別な事情がある場合に限り、内閣が、国民の生命、身体、財産の保護のため、その制定後速やかに国会の承認を求めることを条件に政令を制定できるとする案、さらに、六十四条の二として、大規模災害により、衆議院総選挙や参議院通常選挙の適正な実施が困難な場合、国会は、各議院の出席議員の三分の二以上の特別多数で、その任期の特例を定めることとできる案を条文イメージとしてまとめておるところであります。  党内議論では、海外の憲法を参考に、外部からの武力攻撃や大規模テロなどの緊急事態も対象にすべきという意見もありました。しかしながら、緊急政令による内閣の立法権限の代替は、一時的とはいえ極めて抑制的でならねばならないという意見もあり、災害列島と言われる国情に照らして、大規模災害に対象を絞ったところであります。  第三のテーマとして、人口減少社会における選挙制度や地方自治体の在り方を質問します。  ある新聞の新年の連載記事の中で、人口減少を指して、静かに進む有事と表現した言葉が胸に響きました。まさに有事とも国難とも言うべき人口減少であるとともに、人口の偏在、偏りが更に大きな問題をもたらしています。東京圏の一都三県だけで全国の四分の一以上の人口を占める現状です。推計によれば、二〇四五年には日本の総人口は現在の八割程度まで減少しますが、大都市圏と地方との格差は更に拡大します。  かつての国土の均衡ある発展という言葉は、一時期ほとんど使われなくなりました。確かに、このスローガンは人口も経済も量的に拡大していった時代の象徴かもしれませんが、人口の減少や偏在が進む中、近年の政府の骨太の方針などで再び用いられるようになったこの言葉を再評価し、これからの時代にふさわしい国土の均衡ある発展を目指すべきであると考えます。  先ほど国土強靱化や地方創生についてもお尋ねしましたが、大都市と過疎地のバランスをどう考え、いかなる政策を講じていくのか、総理から是非ぬくもりのある答弁をいただきたいと思います。  人口の減少と偏在は、民主主義の根幹を成す選挙制度にも大きな影響を及ぼします。  衆議院選挙では、衆議院議員選挙区画定審議会設置法により、直近の国勢調査に基づき小選挙区の改定が行われますが、人口比例が追求されてきたことで、大都市では自治体が細分化され、住民が戸惑うような複雑で変形した小選挙区が生じたり、逆に地方では多数の自治体にまたがる広大な小選挙区ができるなど、有権者の意思の適切な集約や反映が困難となりかねないところが数多く見受けられます。  そこで、行政区画が切り分けられて人工的な選挙区ができたり政治に対するアクセスの機会が減少したりすることにより、有権者の国政参加意欲が損なわれかねない状況などをどのように認識しているのか。小選挙区の区割り法は内閣提出の法律でありますので、あえて総理の認識を伺いたいと思います。  平成二十九年九月に出された参議院選挙での一票の較差についての最高裁判決では、二十七年改正公職選挙法に基づき行われた参議院選挙は合憲とされました。その中で特に注目すべきは、最高裁が、選挙制度の仕組みとして、政治的に一つのまとまりを有する単位である都道府県の意義や実体等を一つの要素として考慮すること自体は否定されないとしたことであります。  我が国の地方自治制度は、基礎的地方公共団体である市町村と、それを包括する広域的地方公共団体である都道府県の二層制を取っております。しかし、人口減少と人口偏在が著しいところ、小規模な市町村独自の力によっては、あるいは市町村間の広域連携によってもなお行政事務を処理することが困難なケースも増えています。このため、都道府県が市町村の行政事務を代行できるように地方自治法も改正されました。地方自治を守るためにも、現実的な分権改革を進めていくためにも、都道府県の持つ意義は従来にも増して重要になっていると考えます。  そこで、これまでの都道府県制度をどのように評価するか、さらに、広域的地方公共団体としての都道府県が今後果たすべき役割をどのように考えているのか、総理の認識をお聞かせください。  平成二十八年参議院選挙では、一票の較差の縮小のため四県二合区が導入されました。しかしながら、一たび合区による選挙が執行されるや、地域住民の不平等感は殊のほか大きく、合区対象県では投票率が低下するなど、国政参加や民意集約の面で問題点が浮き彫りになりました。全国知事会など地方六団体においても、早急な合区解消を求める決議が再三行われております。  以上述べてきた衆参両院の選挙区をめぐる問題は、代表民主制の在り方として、人口のみを尺度としてよいのか、地域の持つ意味に目を向ける必要はないのか、あるいは絶対的な条件不利地域からは一人の代表も出せなくてもよいのかという根源的かつ現代的な問題が、我々立法府、国会に突き付けられているのです。  そこで、我が党がまとめた条文イメージでは、四十七条において、両議院議員の選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して定めるとした上で、さらに、参議院議員の選挙について、広域的地方公共団体である都道府県を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区で少なくとも一人を選挙できるように規定しております。  他方、選挙区の基盤ともなる市町村と都道府県については、分権型社会の在り方も念頭に置きながら、憲法に明記して、地方自治の強化につなげるため、九十二条に、地方公共団体は、基礎的地方公共団体と、これを包括する広域的地方公共団体を基本とする旨を追加しております。  第四のテーマとして、教育の充実について質問します。  教育は、国民の一人一人の自己実現に向けた大切な権利であります。そして、今日、世界規模で経済構造や社会構造が変化し複雑化していることに伴い、身に付けるべき知識や技術も高度化、複雑化し、国民の知の基盤となる高等教育の重要性はますます大きくなっています。しかも、高等教育を受けたことと所得の間に相関関係が見られることから、教育による格差の固定化も指摘されています。格差が固定化され、ダイナミズムを失った社会に未来はないと思います。  この点について、総理はどのようにお考えでしょうか。  あわせて、幼児教育についても、近年、その重要性から、諸外国では様々な無償化の取組が進められています。総理は施政方針演説で幼児教育の無償化という七十年ぶりの大改革を進めると決意を示されましたが、改めて、現代において幼児教育が果たすべき役割、重要性についても伺います。  私ども自民党では、情報化やグローバル化など急速な進展に対応するためにも、国家百年の計である教育の重要性については、国の理念として国民の共通理解を図ることが重要と考えました。また、現行憲法二十六条には、教育を受ける権利が規定されているものの、教育の理念や義務教育の無償化以外には国の責務に関する記述がないことから、条文イメージでは、二十六条三項として、教育が国民一人一人の人格の完成を目指し、その幸福追求に欠くことができず、国の未来を切り開く上で極めて重要な役割を担うものであることに鑑み、経済的理由にかかわらず教育を受ける機会の確保を含め、国が教育環境の整備に努めるべき旨の規定を追加しております。  あわせて、憲法八十九条にある、公の支配が及ばない慈善、教育という文言について、これが私学助成を禁ずるものではないという憲法解釈が定着しているとはいえ、公の支配という文言は適当ではなく、私立学校の建学の精神とも相入れないことから、これを公の監督と改めることも提案したところであります。  最後に、憲法論議の在り方について申し上げます。  日本国憲法は前文及び第一条で国民主権の原理を宣言しておりますが、憲法を制定する権利は国民にあり、そしてこの権利は憲法制定後には憲法改正権へと転化して、主権者国民が持ち続けます。  最高法規である憲法を自らの意思で定め、また改める、これが国民主権の根本的な意義であり、憲法改正の主人公はもちろん国民であります。その手続法である憲法改正国民投票法が、憲法制定から六十年もの間、存在すらしなかったことは、長年にわたって国民の最大の権利を損なってきたと申して過言ではないでしょう。  アメリカ独立宣言を起草した第三代合衆国大統領トマス・ジェファソンは、いかなる社会といえども不朽不滅の憲法を定めることはできないという言葉を残しました。彼の石碑には、私は法律や憲法を頻繁に変えることを提唱しているわけではない、けれども、法律や制度は人間の精神の進歩と手を携えて変わらねばならないのだという自らの文章が刻まれています。  日本国憲法の制定から七十年余りがたちました。制定の経緯について様々な意見や批判があるのも事実ですが、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、こうした日本国憲法の原則が深く定着しております。憲法の原則を尊重し、擁護していくことは当然です。しかしながら、時代は変化し、現代的な、あるいは将来的な要請が様々に現れてまいります。近代立憲主義を尊重すると同時に、憲法の現代的発展というものも視野に入れて間断なく憲法論議を重ね、国民の生命、自由、幸福追求といった価値を実現するため、状況に応じて改めるべきものは改め、加えるべきものは加える必要があると信じます。  憲法それ自体によって憲法改正の発議機関と定められた国会の使命は、誠に重大であります。各党がそれぞれの憲法に関する考え方を述べ合い、国会の両院に常設された憲法審査会で充実した憲法論議が行われることを望み、私の質問を終えたいと存じます。  御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
  23. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 岡田直樹議員にお答えをいたします。  北朝鮮は、核実験場の爆破を公開する等の動きは見せたものの、全ての大量破壊兵器及びあらゆる弾道ミサイルの完全、検証可能、不可逆的な方法での廃棄は行っておらず、北朝鮮の核・ミサイル能力に本質的な変化は見られません。  昨年六月の歴史的な米朝首脳会談で、米朝首脳が朝鮮半島の非核化に合意し、共同声明に署名した意義は大きいものと考えます。重要なことは、米朝首脳間の合意が完全かつ迅速に履行されるよう後押しすることです。  我が国として、北朝鮮を核保有国として認めることは決してありません。  二月末に予定される第二回米朝首脳会談に向け、日米、日米韓で緊密に連携し、中国、ロシアを始めとする国際社会と協力しながら、引き続き朝鮮半島の完全な非核化を目指してまいります。  日韓関係に関するお尋ねがありました。  旧朝鮮半島出身労働者の問題を始め、これまで日韓両国が築き上げてきた関係の前提すら否定するような動きが続いていることは大変遺憾です。政府としては、国際法に基づき毅然として対応していく考えです。  日韓関係は、現在、大変厳しい状況でありますが、我が国の一貫した立場に基づき、主張すべきは主張し、韓国側に適切な対応を強く求めていきます。  また、韓国軍艦によるレーダー照射事案等については、専門的、技術的観点から防衛当局間で協議が行われたところであり、この事案等に関する認識及び今後の対応については、これまで岩屋防衛大臣や防衛省が累次明らかにしているとおりです。  日本海大和堆周辺での北朝鮮等による違法操業対策についてお尋ねがありました。  日本海大和堆周辺の我が国排他的経済水域における北朝鮮漁船等による操業は、違法であるのみならず、我が国漁業者の安全操業の妨げにもなっており、極めて問題があると考えています。  このため、我が国漁業者が安全に操業できる状況を確保することを第一に、水産庁漁業取締り船及び海上保安庁巡視船を重点的に配備し、放水等の厳しい対応によって我が国排他的経済水域から退去させています。  現時点でこのような対応は効果を発揮していると認識しており、今後とも、政府として、我が国排他的経済水域内での外国漁船による違法操業の防止のため、毅然と対応してまいります。  他国による違法操業と自衛隊の役割についてお尋ねがありました。  外国漁船による違法操業に対しては、水産庁と海上保安庁が連携して対処していますが、自衛隊も、警戒監視活動で得られた情報を海上保安庁等に適時適切に提供するなど、平素からその能力を生かして関係機関と緊密に協力しています。  また、不測の事態に対しても政府機関を挙げて対処をできるよう、共同訓練を通じて自衛隊と海上保安庁との連携強化を図るなど、いかなるときにも国民の生命、財産を守るべく、万全の体制を整えてまいります。  中国の軍事力や海洋進出の動向についてお尋ねがありました。  中国は、東シナ海のみならず、太平洋や日本海の海空域においても軍事活動を拡大、活発化させており、特に太平洋への進出は近年高い頻度で行われ、その経路や部隊構成が多様化しています。こうした活動は、一般論として申し上げれば、海洋における運用能力の向上やプレゼンスを目的としたものと指摘があります。  このような中国の軍事動向等については、国防政策や軍事力の不透明性と相まって、我が国を含む国際社会の安全保障上の強い懸念となっており、今後も強い関心を持って注視する必要があると考えています。  また、我が国固有の領土である尖閣諸島周辺においては、我が国の強い抗議にもかかわらず、公船による断続的な領海侵入や海軍艦艇による恒常的な活動が行われており、沖ノ鳥島周辺の我が国排他的経済水域においては、中国海洋調査船が我が国の同意を得ずに科学的調査と見られる活動を行ったことも確認されています。  政府としては、引き続き、冷静かつ毅然とした対応を継続し、万全を期してまいります。  同時に、日中両国は、地域の平和と繁栄に大きな責任を共有しており、昨年秋の訪中の際には、習近平主席との間で、互いに脅威とならないことを確認しました。また、昨年、李克強総理との間で、十年来の懸案であった海空連絡メカニズムにも合意しました。完全に正常な軌道へと戻った日中関係を新たな段階へと押し上げていく考えです。  人口の地方分散や都市機能の移転についてお尋ねがありました。  岡田議員御指摘のとおり、災害リスクの軽減や地域経済の活性化の観点からは、東京への過度な一極集中を是正することが必要です。  このため、現在、文化庁の京都移転のほか、研究機関、研修機関など政府関係機関の地方移転を進めるとともに、東京に集中している民間企業の本社機能の地方移転を税制などにより支援しています。  これに加え、本年四月から、東京から地方へ移住し、起業、就業する際には、最大三百万円を支給する新しい制度をスタートし、地方への人の流れを太くしていく考えです。  全国津々浦々、魅力あふれる地方創生を進めていくために、引き続き、人口の地方分散、都市機能の移転などに取り組んでまいります。  大都市と地方のバランスについてお尋ねがありました。  国土の均衡ある発展は、全国総合開発計画を貫く基本理念でありました。戦後の経済成長や人口増加の下、産業立地政策や鉄道、道路、港湾等の交通ネットワークの整備を全国で展開してまいりました。本格的な人口減少社会を迎えている今、各地域の個性を生かした、これからの時代にふさわしい国土の均衡ある発展を目指す必要があります。  このため、我が国の活力の源泉となる大都市については、世界に直結し、世界から直接成長の息吹を取り込むとともに、自動運転、人工知能など、ソサエティー五・〇の革新的技術を実装した世界最先端の都市再生を進めてまいります。  また、地方には、豊かな自然、特色あるふるさと名物、地場企業のオンリーワンの技術力、固有の歴史、文化、伝統など、魅力ある観光資源にもなり得る様々な強みがあります。その地方ならではの魅力を最大限に引き出す。そのため、一千億円規模の地方創生推進交付金や国際観光旅客税などを活用することにより、全力で後押ししてまいります。  このように、大都市、地方それぞれの特性を的確に踏まえながら、バランスのある国土づくりを進めることが重要であると考えています。  衆議院小選挙区の区割りについてお尋ねがありました。  選挙制度に関する問題は、民主主義の根幹に関わる重要な課題であることから、国会において、国民の代表たる国会議員が真摯に議論を行うことが重要です。  衆議院小選挙区の区割りを行うに当たっては、現在、議員立法により成立した衆議院選挙制度改革関連法に基づいて、選挙区間の較差を二倍未満とすることとされているほか、地勢、交通等の事情も総合的に考慮して合理的に行うこととされております。  現在の区割りは、衆議院議員選挙区画定審議会においてこうした基準を踏まえて十分な検討が行われた上で、その勧告に基づき改定がなされたものと認識しております。  なお、現行の区割りについて、有権者の国政参加意欲に関する御指摘がありましたが、政府として、区割り改定の趣旨や内容について、今後も有権者の方々への周知を図っていきます。  都道府県制度についてお尋ねがありました。  我が国は、今後、急速な少子高齢化、深刻な人口減少により、二〇四〇年頃には六十五歳以上の人口がピークを迎えるなど、歴史上経験したことのない事態に直面することになります。  都道府県は、広域の地方公共団体として、広域事務、連絡調整事務及び補完事務を処理し、住民福祉の増進を図るため相当の機能を担っていますが、今後、行政サービスを安定的、持続的、効率的かつ効果的に提供する観点から、市町村間の広域連携が困難な地域で補完機能を発揮するなど、都道府県が果たすべき役割の重要性は増していくことになるものと考えています。  高等教育の充実と幼児教育の重要性についてお尋ねがありました。  高等教育は、国民の知の基盤であり、イノベーションを創出し、国の競争力を高める原動力であることから、高等教育へのアクセス機会の確保、教育機関の質の向上などの改革に取り組む必要があります。  また、どんなに貧しい家庭に育っても、意欲あれば大学等に行くことができるようにすることで、貧困の連鎖を断ち切り、格差の固定化を防ぐ必要があります。  このため、真に支援が必要な子供たちの高等教育を無償化し、学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金を支給できるよう、今国会に関連法案を提出することとしています。  あわせて、社会で活躍できる人材を育成するため、多様な教員の登用や、大学に学位の取得状況や卒業後の状況の公表を義務付けるなど、教育研究の質の向上を図る高等教育改革を推進してまいります。  幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な役割を果たしており、子育て世代の経済的負担の軽減を図り、少子化対策を推進するため、本年十月から、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼児教育を無償化いたします。  また、質の高い幼児教育を提供するため、昨年四月から、健康な心と体、思考力の芽生えなど、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を明確にした新しい幼稚園教育要領に基づき教育活動を展開しており、そのために必要な推進体制の整備に向けた取組を充実してまいります。  子供たちこそ、国の未来そのものであります。こうした取組を通じて、子供たちの誰もが自らの意欲と努力によって明るい未来をつかみ取ることができる社会をつくり上げることを目指してまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣山本順三君登壇、拍手〕
  24. 山本順三

    ○国務大臣(山本順三君) 岡田直樹議員にお答えをいたします。  岡田議員より、まずは、緊急政令は国会が開会中には制定できないかについて御質問をいただきました。  災害対策基本法第百九条において、緊急政令は、「国会が閉会中又は衆議院が解散中であり、かつ、臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求めてその措置をまついとまがないとき」としていることから、国会が開会中には制定できません。  この理由としては、例えば、供給不足となった生活必需品の配給などは本来法律で決めるべきところ、そういう法律がない場合、これを補完する最低限度の措置として、憲法に違反しない範囲内で設けた特例が緊急政令であり、国会との関係でもあくまでも慎重な手続を必要とするためであります。  次に、災害緊急事態法制の整備の必要性について御質問いただきました。  災害緊急事態に際しては、国民の生命、財産を守るため、政府全体として総合力を発揮して対処することが重要です。このため、政府としては、災害緊急事態に対処するための制度及び体制の整備を行っており、時々の情勢に応じ、その充実に努めております。  大規模災害が発生した際には、災害対策基本法などに基づき、避難指示等の災害応急対策や災害復旧などに取り組むことになりますが、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、緊急災害対策本部設置の要件を緩和、東日本大震災の教訓を踏まえ、内閣総理大臣の指揮監督の下、政府が一体となって対処するため、対処方針の作成、閣議決定を義務付けなどの法改正を行い、所要の見直しを適時に行ってまいりました。  政府としては、今後とも、災害緊急事態法制の在り方について不断の見直しを行っていくとともに、いかなる事態にあっても、国民の生命、財産、そして幸せな暮らしを守るため、万全を期してまいります。(拍手)
  25. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十八分散会