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2019-01-31 第198回国会 参議院 本会議 3号 公式Web版

  1. 平成三十一年一月三十一日(木曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第三号   平成三十一年一月三十一日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第二日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、日程第一  一、議員鴻池祥肇君逝去につき哀悼の件      ─────・─────
  2. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣演説に関する件(第二日)  去る二十八日の国務大臣演説に対し、これより順次質疑を許します。榛葉賀津也君。    〔榛葉賀津也君登壇、拍手〕
  3. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、国民民主党新緑風会を代表して、ただいま議題となりました政府四演説に対し、総理並びに関係閣僚に質問します。  平成の時代も残すところあと三か月となりました。いかなるときも国民に寄り添われた今上天皇の御退位と皇太子殿下の御即位がつつがなく執り行われますことを衷心より御祈念いたします。  さて、年末年始にかけて、国民の信頼を裏切る信じられない事態が露呈しました。厚生労働省の毎月勤労統計の不正調査に端を発した基幹統計の不適切な事例と、それに対するずさんな対応です。  厚生労働省は、本来全数調査とすべきところを長年にわたって不正な抽出調査に置き換え、昨年一月からは全数調査に近づけるための加工処理を行った上に、その事実を隠していました。そもそも、必要な手続を経ずに不正に調査手法を変えた動機は何なんですか。さらに、二〇一八年分の調査から復元加工をした理由は何ですか。厚生労働大臣の説明を求めます。  厚生労働大臣は、政府が二〇一九年度予算案を閣議決定した昨年十二月二十一日の前に不正処理の事実を認識していたにもかかわらず、これを隠し、予算案を閣議決定したばかりか、誤った統計を最新統計として発表する暴挙に出たのです。これは確信犯であります。  不正な調査手法の発覚以降、問題は次々と広がり、現時点で統計法違反の可能性のあるのは、五十六基幹統計のうち二十三統計三十四件にまで拡大しました。大事な統計が信用できないという事態に国民はあきれています。  基幹統計が正しくないということは、それを前提にした景気や物価動向の分析並びに政府判断への信頼が根底から覆ることであり、日本の信頼そのものを揺るがす極めて深刻な問題であります。これでは総理が施政方針演説で列挙された幾多の数字も本当に正しいかどうか信用できず、予算審議ができないではないですか。  国家の基である基幹統計でこの有様です。一般統計を含めれば、ずさんな統計調査の問題はどこまで広がるか分かりません。政府には猛省を促すと同時に、総理の見解を求めます。  毎月勤労統計の問題によって、アベノミクスが重視する賃金の動向に対しても疑義が生じています。  厚生労働省が昨年一月に統計を復元加工したことが原因で、二十一年ぶりの高い伸び率と騒がれた昨年六月の現金給与の総額の伸び率は、今般の再集計によって三・三%から二・八%に下方修正され、さらに、実態は一・四%まで言われ、今朝の報道では、伸び率はマイナスではないかとの報道もありました。賃金の伸び率を実際より高く見せかけるために恣意的にやったのではとの疑いの声がそもそもありましたが、先日の厚生労働委員会で、これは統計局だけの問題ではなく行政全体として考えなければならないなどという厚生労働大臣の答弁は、これを認めるようなもので、到底看過できません。総理の見解と厚生労働大臣の説明を求めます。  特別監察委員会は検証結果を一月二十二日に発表したものの、真実の解明には程遠い内容でした。報告書をめぐっては、担当職員に対するヒアリングを、官房長や次官級審議官の同席の下、厚労省の職員が行い、報告書の原案も厚労省の職員が作成していたことが判明しました。しかも、調査期間は僅か一週間、開かれた会議はたったの二回、東京都への職員の聞き取り調査もなし。このようなやらせとも言えるお手盛りの調査で真実の究明ができるわけがありません。  さらに、大臣は、調査報告書の発表と同時に、厚生労働省職員二十二名を処分しました。一連の経緯や動機、組織関与の有無など、全容解明が明らかになっていないこのタイミングで、なぜ慌てて幕引きを図ろうとしたのですか。事実、新しい問題が連日、次から次へと出ているではありませんか。厚労大臣、お伝えください。  大臣は調査の抜本的やり直しを表明しましたが、遅きに失しています。そもそも、問題を引き起こした当事者である厚生労働省が調査に関与すること自体が問題ですし、国会対策のために名ばかりの第三者委員会でお茶を濁そうとしたことが誤りなのです。今回の不正で多くの国民はあの消えた年金問題を思い出していますが、今回の対応は、消えた年金の教訓が生かされていないばかりか、それ以下であります。最初から真の第三者委員会で徹底的な調査をすべきだったのではないですか。総理の見解をお伺いします。  厚生労働省は、雇用保険等の過少給付分を追加で支払う方針ですが、住所データ等がない当事者は延べ一千万人以上に及ぶとされています。これらの方々への追加給付の方法については、対象者に問題を周知して自己申告してもらうとしていますが、そのようなやり方で一体どれだけの人に給付ができると考えていますか。いつまでに被害に遭われた方々全員の給付を完結するおつもりですか。厚生労働大臣、明確な答弁を求めます。  追加給付に対応するための経費をサラリーマンや企業が支払う保険料を原資とする労働保険特別会計から支出することにも、国民は怒っています。約八百億円掛かる追加給付のうち、今回の問題がなければ発生しなかったシステム改修費、人件費、コールセンターの委託料などの事務費約百九十五億円も国民が負担することになります。自らの不正を棚に上げ、負担だけを真面目に働く国民が拠出した保険料から賄おうなどということは全く理解できません。経費負担の在り方を見直すべきではありませんか。厚生労働大臣の見解を求めます。  次に、消費税等についてお伺いします。  二〇二五年問題に伴う超少子高齢化時代の到来と財政再建の現状を鑑みれば、社会保障と税の一体改革は待ったなしです。  しかし、消費税引上げの前提として、国会は身を切る改革を約束したはずです。しかし、実態は、与党の事情で参議院の定数がなぜか六名増員されました。これでは、国民の皆さんとの約束違反で、消費税の増税の前提が根底から覆されていると言わざるを得ません。  また、今回の勤労統計の不正で、本当は国民所得が増えていないのではないかという疑念が生じています。これは、アベノミクスの評価に直結する大問題です。もし国民所得が増えていないとするならば、今年の十月に本当に消費税を引き上げることができるのですか。総理の見解を求めます。  消費税を引き上げる上で重要なことは、低所得者対策であることは言うまでもありません。このために政府は軽減税率を取り入れる方針ですが、これは高額所得者にも恩恵が被ることになり、必ずしも低所得者対策になっていません。  景気の腰折れを防ぐためのプレミアム商品券は、ばらまきと評され、多額の財政支出を伴うことになるので、増税するそもそもの意味が半減してしまいます。クレジットカードなどによるポイント還元も、高額な消費をする金持ち優遇政策と言われ、そもそも、クレジットカードを持たない、持てない方々や、クレジットサービスを行っていない地域の商店には何の恩恵もありません。  低所得者対策は、国民民主党が主張しているように、直接、該当する方々の税を控除したり、現金をお渡ししたりする、いわゆる給付付き税額控除が公平で分かりやすく、最も効果的であると考えますが、総理の見解を求めます。  八%と一〇%の二種類の消費税が恒常的に存在するという初めての試みに国民は戸惑っています。  医薬部外品のアリナミンVは一〇%なのに、オロナミンCは八%。みりんは一〇%で、みりん風調味料は八%。屋台のおでん屋では、屋台の椅子で食べれば一〇%ですが、すぐ横の公園のベンチで食べれば八%。ホテルのルームサービスは一〇%で、ホテルの備付けの冷蔵庫のものなら八%。消費者を混乱させるべきではないと思います。  消費者のみならず、小売店などの事業者、税理士、会計士の皆さんなど多くが、制度の曖昧さ、不公平さ、事務事業の煩雑さから、軽減税率に反対をしています。  更に懸念されるのは、子供たちの税に対するモラルの問題です。  ハンバーガーを店内で食べれば一〇%でも、テークアウトするとうそを言ってお店で食べれば八%になってしまいます。子供たちが知らず知らずのうちに税金はごまかせるものだなどという体験を国の制度が助長させるなどということはあってはならないと思います。  今からでも遅くありません。軽減税率は見直すべきではありませんか。総理の見解を求めます。  消費税引上げの際には、車、住宅など経済への影響が大きい高額な買物への対策も鍵となります。  しかし、特に自動車への対策は問題が多いと言わざるを得ません。九種類、八・四兆円にも及ぶ自動車関連諸税は、従来から複雑で簡素化が求められてきました。今回提案されているものは複雑な税制を更に複雑化させるものであり、理解するにも一苦労です。税の原則は、公平、中立、簡素であるはずです。大都市に比べ自動車に依存せざるを得ない地方に税負担が重くなる自動車税の仕組みや、消費をしていないガソリン税に消費税が掛かるタックス・オン・タックスと言われる二重課税など、どれを見ても公平で中立的とは言えません。自動車関連諸税に関する財務大臣及び総務大臣の見解を求めます。  今回の政府案も、ユーザー間の負担の付け替えにすぎず、大半のユーザーは負担が増えると思われます。我々は、自動車重量税の当分の間税率は廃止をし、自動車重量税の国分の本則税率は地方税化し、それぞれの税目を統廃合して、新自動車税、新軽自動車税に集約をすることで、ユーザーの負担の軽減、地方財源の確保、簡素化を図ることを提案いたします。財務大臣と総務大臣に答弁を求めます。  次に、外交問題についてお伺いします。  米国トランプ大統領の常識にとらわれない言動に世界が一喜一憂しています。欧州や日豪韓といった同盟国との関係ですら自国の損得で割り切るトランプ大統領のやり方は、今後も変わらないと思います。いや、それどころか、来年十一月三日の大統領選挙に向けてのその傾向は更に加速することが予測されます。  アメリカは、九・一一同時多発テロ以降、過去に経験のない二十年間という長期にわたって中東やアフガニスタンで戦争をしており、国内が疲弊していることを我々は認識すべきであります。トランプ大統領が我々に気付かせてくれたこと、それは、従来の同盟関係の在り方が当たり前の時代は終わろうとしているということではないでしょうか。今後の日米の同盟関係の在り方について、総理にお伺いします。  総理は、施政方針演説で日韓関係に触れませんでした。元徴用工やレーダー照射の問題に関しては、韓国側に理はなく、私自身、文在寅大統領に言いたいことは山ほどあります。他方、東アジア安全保障や拉致問題、今後の米朝・日朝会談を考えると、日韓関係がこのままでよいとは思いません。今後の日韓関係について、総理にお伺いします。  北方領土問題と日ロ平和条約の締結交渉が一気に動き出しています。安倍総理は、今年十一月十九日を越えると、桂太郎元総理大臣を超えて、通算在職日数が憲政史上最長の総理大臣となる見込みです。御自身のレガシーづくりのためでなく、全ての国民の、とりわけ平均年齢八十三歳になる旧島民の皆様の念願である領土の返還と、平和条約の締結のために全力を尽くしていただきたいと思います。  しかしながら、両国の認識の溝は余りにも深いと言わざるを得ません。総理と、交渉責任者である外務大臣にお伺いします。  択捉、国後、歯舞、色丹のいわゆる北方領土は我が国固有の領土であるという認識に変わりありませんね。また、平和条約の締結の前に四島の帰属の問題を解決するという従来の政府方針は一貫していますか。最近の政府答弁から我が国固有の領土の文言が消え、領土問題を解決して平和条約を締結するという表現に変わっているのが気になります。総理の答弁を求めます。  一九四五年のヤルタ協定でも、一九五六年の日ソ共同宣言でも、領土の引渡しという言葉が使われています。これは、日本が不法に奪われた領土を返還してもらうという意味だと私は解釈しておりますが、外務大臣の見解を求めます。  メディアでは二島決着の文字が躍っています。これは、歯舞、色丹の先行返還で、国後、択捉は後の交渉なのか、歯舞、色丹で最終決着なのかによって大きく異なります。歯舞、色丹は北方領土全体の面積の七%にすぎず、日経新聞の調査でも、歯舞、色丹だけの返還でよいとしたのは僅か一一%でした。いずれにせよ、国民に対して徹底した説明責任が求められると考えますが、総理の見解を求めます。  一般的な平和条約の要素は、戦争状態の終結、賠償請求権の問題の処理、国境線の画定の三つでありますが、三番目の国境線の画定は、両国が接する国境線のことだけではありません。平和条約締結交渉の際には、当然のことながら尖閣諸島や竹島は我が国固有の領土であるとロシアにも承認してもらえますか。他方、我が国は、ロシア側が自国の領土と主張するクリミア、ウクライナをロシアの領土と認めるのでしょうか。外務大臣、お答えください。  最後に、自然災害への対応についてお伺いします。  平成三十年七月豪雨を始め、昨年は大規模自然災害が相次いで発生しましたが、世界規模の気候変動に伴い、今後はこのような激甚災害の発生が常態化する可能性があります。  道路、港湾、河川、電力や情報通信施設など多くの都市基盤が甚大な被害に遭いましたが、中でも、障害者や学生、お年寄りや通勤者など庶民の足である鉄道の被害は全国の広範囲の路線に及び、長期間の運休も余儀なくされました。  道路や港湾、空港と異なり、被災した鉄道施設の復旧は原則的に鉄道事業者が行います。鉄道基盤の復旧工事費に加え、人流においてはバスの代替輸送、鉄道貨物などの物流においては迂回列車やトラック、船舶の代替輸送が実施されるなど、公共交通を担う各社にとって大きな負担となりました。  加えて、何よりも、公共交通を利用するユーザーや荷主の方々に大きな御負担と御不便を強いたことや、この数年で東京オリンピック・パラリンピックなどに伴うインバウンドの急増等を考えると、国として災害時の危険予測箇所を事前にチェックし安全対策を講じることが防災・減災上重要です。  公共事業における鉄道関係予算の占める割合は全体の僅か一・七%、一千一億円のみであります。安全基盤の確立のための予算を確保するとともに、点検、予防を徹底することで災害に負けない交通基盤を確立するべきだと思いますが、総理の決意をお伺いします。  四方を海に囲まれた風光明媚な我が国ですが、資源に恵まれず、エネルギーの自給率は七%、食料自給率は三八%という低い水準です。にもかかわらず、アメリカ、中国に次ぐ世界第三位の経済大国であるのは、エネルギーの安定供給を基盤に物づくり日本を現場で支えてきた全ての働く人たちの努力のたまものにほかなりません。  私たち国民民主党は、野党ではありますが、真面目に働く人たちのための政治を国のど真ん中に据えた政策を実現したいと思っています。集めた税金を使う側ではなく、働いて税金を払う側のための政治を具現化するために、我々国民民主党は、「つくろう、新しい答え。」の旗の下、全国の仲間とともに前進してまいりますことをお誓い申しまして、私の代表質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
  4. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 榛葉賀津也議員にお答えをいたします。  今般の毎月勤労統計に関する事案についてお尋ねがありました。  毎月勤労統計について不適切な調査が行われ、雇用保険、労災保険といったセーフティーネットへの信頼を損なう事態を招いたことについて、国民の皆様におわび申し上げます。  高い専門性と信頼性を有すべき統計分野において長年にわたって誤った処理が続けられ、それを見抜けなかった責任については重く受け止めています。  また、今般、その他の基幹統計についても緊急に点検を行いましたが、手順の誤り等の問題があったことは遺憾であり、速やかに是正の措置を講ずることとしています。  さらに、統計の信頼回復に向け、統計委員会には新たに専門部会を設置いただき、基幹統計に加えて一般統計についても徹底した検証を行うことにしました。  このような取組を通じて、今回のような事態が二度と生じないよう徹底して検証を行い、信頼を取り戻すことが何より重要であり、不足分の速やかな支払や再発防止に全力を尽くすことで政治の責任をしっかりと果たしてまいります。  毎月勤労統計の賃金の伸び率についてお尋ねがありました。  御指摘の根本厚生労働大臣の発言は、統計部門のガバナンス等に関し、統計部門だけの問題として捉えるのではなく、他の部門や組織全体で再発防止や信頼回復に取り組む必要があるとの趣旨であると理解しております。  また、今回の再集計の結果により下方修正となった平成三十年の毎月勤労統計の各月の伸び率の数値のみをお示しして、アベノミクスの成果であると強調したことはこれまでありません。  いずれにしても、連合の調査においては、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが連続しており、雇用・所得環境は着実に改善しているとの判断に変更はありません。(発言する者多し)
  5. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。
  6. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君)(続) 特別監察委員会による調査についてお尋ねがありました。  厚生労働省の特別監察委員会においては、先般、それまでに明らかになった事実等について報告をまとめていただいたところですが、さらに、より独立性を強める形で厳正に検証作業を進めていただいております。  いただいた御批判は真摯に受け止めた上で、今回のような事態が二度と生じないよう徹底して検証を行い、信頼を取り戻すことが何より重要であり、再発防止に全力を尽くすことで政治の責任をしっかりと果たしてまいります。  消費税率引上げについてお尋ねがありました。  消費税率の一〇%への引上げは、全世代型社会保障の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するために必要なものです。  これまでも、反動減等に対する十二分な対策を講じた上で、法律で定められたとおり、十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定であると繰り返し申し上げており、この方針に変更はありません。  なお、連合の調査においては、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが継続しており、所得環境は着実に改善しているという判断には変わりはありません。  消費税率引上げに際して……(発言する者多し)
  7. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 静粛に願います。
  8. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君)(続) 消費税率引上げに際して、所得の低い方々への支援策についてお尋ねがありました。  御指摘について、まず、軽減税率制度は、ほぼ全ての人が毎日購入している飲食料品等の税率を八%に据え置くことにより、消費税の逆進性を緩和しつつ、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるという利点があることから、低所得者への配慮として実施することとしたものであります。  プレミアム付き商品券については、所得の低い方々や小さな乳幼児のいる子育て世帯に対して、税率引上げ直後に生じる負担増などによる消費への影響を緩和するために実施するものです。  このほか、教育無償化や低年金者への給付等の社会保障の充実策を実施することも総合的に勘案すれば、政策全体として、所得の低い世帯に手厚く、逆進性に対して十分な緩和策になるものと考えています。  なお、ポイント還元が富裕層への優遇であり、地域の小売店に恩恵がないとの御指摘については、第一に、誰でも簡単に加入できるプリペイドカードもポイント還元の対象とし、クレジットカードを持たない幅広い方々を支援します。また、必要な端末を負担なく導入できるようにするなど、中小・小規模事業者の皆さんが利用しやすい環境を整えます。  今回のポイント還元は、中小企業に支援対象を限定し、消費税増税の下でも売上げを伸ばすことで、その従業員の方々まで幅広く恩恵が行き渡ることが期待され、富裕層優遇との御指摘は当たらないと考えています。  また、御指摘の給付付き税額控除は、所得が低い方に焦点を絞った支援ができるといった利点はあるものの、消費税そのものの負担が直接軽減されるものではなく、消費者にとって痛税感の緩和の実感につながらないという問題、所得や資産の把握が難しいといった問題等があるものと承知しており、消費税率引上げに伴う低所得者対策としては実施することは考えておりません。  軽減税率制度についてお尋ねがありました。  軽減税率制度は、先ほども申し述べたとおり、低所得者への配慮として実施することとしたものです。既に制度が導入されている欧州諸国においては、適用税率の線引きの問題が取り上げられるケースもありましたが、それを乗り越え、制度として定着し、円滑に運営されていると承知をしております。  我が国においても、こうした諸外国の例も参考にしながら、政府を挙げて軽減税率制度の周知、広報に全力を尽くしていくことで、多くの方々に御理解をいただき、円滑に実施できるようにしてまいります。  日米同盟の在り方についてお尋ねがありました。  米国は我が国の唯一の同盟国であり、私とトランプ大統領との強固な信頼関係の下、日米同盟はかつてないほど盤石です。この同盟の基盤を維持していくためには、お互いの不断の努力が必要です。  日本の外交安全保障の基軸である日米同盟を平和安全法制に基づく取組等を通じて更に強化していくとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、互いに緊密に協力し、地域や世界の平和と繁栄に貢献してまいります。  日韓関係についてお尋ねがありました。  旧朝鮮半島出身労働者の問題を始め、これまで日韓両国が築き上げてきた関係の前提すら否定するような動きが続いていることは大変遺憾です。政府としては、国際法に基づき毅然として対応していく考えであり、我が国の一貫した立場に基づき、主張すべきは主張し、韓国側に適切な対応を求めていきます。  その上で、今般の施政方針演説では、非難合戦のようになることは適切ではないと考え、韓国についての言及は北朝鮮問題に関する連携のみにとどめました。二月末に予定される第二回米朝首脳会談に向け、米国、韓国と緊密に連携してまいります。  なお、韓国軍艦によるレーダー照射事案等については、専門的、技術的観点から防衛当局間で協議が行われたところであり、この事案等に関する認識及び今後の対応については、これまで岩屋防衛大臣防衛省が累次明らかにしているとおりであります。  北方領土問題についてお尋ねがありました。  北方領土は、我が国が主権を有する島々です。この立場に変わりはありません。  日ロ間では、これまで多くの諸文書や諸合意が作成されてきており、これらの諸文書や諸合意を踏まえた交渉を行ってきています。  その中でも、一九五六年の日ソ共同宣言は、両国の立法府が承認し、両国が批准した唯一の文書であり、現在も効力を有しています。一九五六年の共同宣言の第九項は、平和条約交渉が継続されること及び平和条約締結後に歯舞群島色丹島が日本に引き渡されることを規定しています。  従来から政府が説明してきているとおり、日本側は、ここに言う平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるとの一貫した立場です。  いずれにせよ、政府として、領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、引き続き粘り強く交渉してまいります。  平和条約は、日本側にとってもロシア側にとっても受入れ可能なものでなければならないわけであります。戦後七十年以上残された課題であり、ロシアとの交渉は容易ではありませんが、政府としては交渉に悪影響を与えない範囲内で国民の皆様への説明責任を最大限果たしてまいります。  鉄道における災害対策についてお尋ねがありました。  集中豪雨地震台風など、昨年の自然災害は鉄道にも甚大な被害を及ぼしました。私たちの生活や経済活動に欠かせない交通インフラである鉄道が災害時においてもその機能を維持できるよう、平時から万全の備えを行うことが重要です。  このため、昨年、インフラ総点検を行い、その結果を踏まえ、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策を取りまとめ、必要となる経費を本年度補正予算及び来年度予算にも計上しているところです。  鉄道については、河川橋梁の流失対策や斜面からの土砂防止対策などを三年間集中で着実に実施し、災害に強い国づくり、国土強靱化を進めてまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣根本匠君登壇、拍手〕
  9. 根本匠

    ○国務大臣(根本匠君) 榛葉賀津也議員にお答えをいたします。  毎月勤労統計調査について、必要な手続を経ずに抽出調査に変更した動機や、昨年一月に復元処理をした理由についてお尋ねがありました。  政策立案や学術研究、経営判断等の礎として常に正確性が求められる政府統計について、今般の事案、事態を引き起こしたことは極めて遺憾であり、国民の皆様に御迷惑をお掛けしたことを深くおわび申し上げます。  今般の事案については、事実関係等の究明を行っていただいている特別監察委員会の報告の中で次のような事実が報告されています。  平成十六年調査以降、東京都の五百人以上規模の事業所について、全数調査とすべきところが抽出調査で行われ、かつ適切な復元処理がなされていないという不適切な取扱いが継続しておりました。  この動機について、報告書においては、規模五百人以上の事業所から苦情の状況や都道府県担当者からの要望等を踏まえ、規模五百人以上事業所が集中し、全数調査にしなくても精度が確保できると考え、東京都について平成十六年一月調査以降、抽出調査を導入したものと考えられるとされています。  また、平成二十七年以降、毎月勤労統計の改善に向けて、統計調査委員会等の専門家の検討を経て、平成三十年調査からサンプリングの見直しが行われ、毎年、サンプルを部分的に入れ替えることとなりました。  これに伴い集計プログラムを改修しましたが、この理由について、当時の担当者によれば、この際、復元処理を行うようシステム改修したのは、こうしたサンプリングの見直しがうまく機能するようにしたためなどと説明しています。  毎月勤労統計の賃金の伸びについてのお尋ねがありました。  毎月勤労統計調査の調査対象事業所については、平成三十年調査から、事業所の入替えによる調査結果の段差を小さくするため、部分的に入替えを行うローテーションサンプリングを導入することとしました。こうした見直しは、平成二十七年以降の毎月勤労統計の改善に向けた統計委員会を始めとする専門家の検討を経て、統計的な観点から行われたものであります。  また、事実関係等の究明を行っていただいている特別監察委員会の報告によれば、当時の担当者は、復元処理を行うようシステム改修したのは、こうしたサンプリング等の見直しがうまく機能するようにしたためなどと説明しているとされています。  御指摘の一月二十四日の衆議院厚生労働委員会における私の答弁については、今回の事案は、統計部門だけの問題として捉えるべきではなく、厚生労働省や行政全体で再発防止や信頼回復に取り組んでいく必要があるとの趣旨で答弁したものであり、賃金の伸び率を実際より高く見せかけるための恣意的行為を裏付けるとの御指摘は全く当たりません。  なお、平成三十年六月分の現金給与総額は、従来の公表値が三・三%でしたが、再集計値は二・八%となっております。御指摘の一・四%は共通事業所の現金給与総額の前年比であります。  職員の処分についてのお尋ねがありました。  特別監察委員会には、今般の事案について、厚生労働省の監察チームの調査を引き継ぎ、統計の専門家、弁護士等の外部有識者による第三者の立場から集中的に検証を行い、事実関係と関係職員の動機、目的、認識など、さらに責任の所在を明らかにする報告書を二十二日におまとめいただきました。  この報告書の提出を受け、それまでに明らかになった事実関係において法令に違反する行為等が認められたため、速やかに対処を行うべく、関係者について厳正な処分を行ったものであります。その上で、その後の国会における議論等も踏まえ、関係職員や関係自治体へのヒアリングなどを通じ、引き続き徹底した検証を行っていただいているところであります。  住所情報が特定できない方に対する雇用保険等の追加給付の方法や今後のスケジュールについてお尋ねがありました。  ハローワークシステムで住所情報を保有していない、転居により現住所が変更されている等の理由により、住宅情報の特定が困難な方がおられるのは事実です。こうした方々については、住基ネットやハローワークで保有している求職情報等の活用も含め様々な手法を検討し、できる限り多くの方々の住所を特定できるよう最大限努力してまいります。  一方、住所が最終的に特定できない方がいらっしゃればお申出を呼びかけることになりますが、これらの方法についても、より簡便な方法で本人確認等の手続ができるよう検討してまいります。  こうした対応により、できる限り速やかに、簡便な手続で、できる限り多くの方にお支払いしていくよう万全を期して必要な対策を講じてまいります。  追加給付により生ずる事務費の費用負担の在り方についてお尋ねがありました。  今般の追加給付に関する事務費については、これにより被保険者などの負担する保険料の将来的な上昇につながらないよう、所要の財源について、複数年度を掛けて、引き続き既定の事務費の削減を行うことにより確保していきます。  労使の皆様の理解が得られるよう、引き続き丁寧な説明に努めてまいります。(拍手)    〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
  10. 麻生太郎

    ○国務大臣(麻生太郎君) 榛葉議員から、ガソリン税の二重課税、自動車重量税の当分の間税率の廃止等について、計二問お尋ねがあっております。  まず、ガソリン税の二重課税についてですが、揮発油税が消費税との間でいわゆるタックス・オン・タックスとなっているという御指摘につきましては、これは揮発油税等の個別間接税は原価の一部を構成するものであり、消費税の課税標準である価格に個別間接税を含むという取扱いは、これはもう国際的に確立した共通のルールとなっておりますといったことを踏まえれば、このこと自体に特段の問題があると考えているわけではありません。  なお、日本のガソリンに係る税は、アメリカに比べては高い等々御指摘があるのはよく分かっておりますけれども、欧米などのいわゆる産油国ではないそういった主要国に比べて必ずしも高い標準にはないというものだと考えております。  次に、自動車重量税の当分の間税率の廃止等についてのお尋ねがありました。  自動車重量税のいわゆる当分の間税率につきましては、これは平成二十二年度、民主党政権下において暫定税率を廃止する際に、地球温暖化対策等の観点から、期限を定めず車体課税の環境負荷に応じた税率を設定することにしたという経緯があり、現時点の国の厳しい財政状況や、また、今後も道路の老朽化対策のため多額の財源を確保していく必要があるということを踏まえますと、御提案の内容は適切ではないのではないかと考えております。(拍手)    〔国務大臣石田真敏君登壇、拍手〕
  11. 石田真敏

    ○国務大臣(石田真敏君) 榛葉議員から、自動車関係諸税の在り方と車体課税の見直しについてお尋ねがございました。  まず、自動車関係諸税は、取得、保有、走行の各段階においてバランスよく課税しているものであり、道路整備などの社会的なコストを自動車ユーザーに御負担をいただいています。  近年、社会資本の老朽化が進行しまして、地方において、道路や橋梁等の整備、維持管理等に多額の財源が必要となる中で、自動車税を始めとする車体課税は貴重な地方財源となっております。  次に、今回の車体課税の大幅見直しは、まず一つとして、自動車税の恒久減税を実現するとともに、特例措置の見直しや国から地方への税源移譲によりまして減収額に見合った地方財源を確保し、あわせて、需要平準化対策として環境性能割の臨時的軽減を行うとともに、その減収は全額国費で補填することといたしておりまして、自動車ユーザーの負担軽減と地方財源の確保の双方に配慮した内容となっております。  今後の自動車関係諸税の在り方につきましては、与党税制改正大綱におきまして、国、地方を通じた財源を安定的に確保していくことを前提に、中長期的な視点に立って検討することとされている、そのように承知をいたしております。(拍手)    〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕
  12. 河野太郎

    ○国務大臣(河野太郎君) 平和条約交渉に関する日ロ両国の認識についてお尋ねがありました。  安倍総理は、領土問題を解決して平和条約を締結するという戦後七十年以上残されてきた課題を次の世代に先送りすることなく、安倍総理とプーチン大統領の手で必ずや終止符を打つという強い意志をプーチン大統領と共有しています。  一月二十二日の日ロ首脳会談では、平和条約締結問題について、両首脳は、私とラブロフ外相との間で、昨年十一月のシンガポールでの日ロ首脳会談での合意を踏まえた具体的な交渉が開始され、率直かつ真剣な議論が行われたことを歓迎した上で、交渉を更に前進させるよう指示しました。  政府として、領土問題を解決して平和条約を締結するという基本方針の下、引き続き粘り強く交渉してまいります。  ヤルタ協定と日ソ共同宣言についてお尋ねがありました。  我が国の交渉方針や考え方について、交渉以外の場で申し上げることは交渉に悪影響を与えることになるため、お答えすることは差し控えます。  平和条約の要素についてお尋ねがありました。  我が国の交渉方針や考え方について、交渉以外の場で申し上げることは交渉に悪影響を与えることになるため、お答えすることは差し控えます。  その上で、あえて一般論として申し上げれば、一般に言う平和条約は、主として、戦争状態の終結、それに伴う領土問題の解決及び戦争賠償等に係る問題の解決等に関する事項を含むものであると承知していますが、ここに言う領土問題の解決とは、当該平和条約の締約国間の戦争状態の終結に伴う領土問題の解決を指しているものと考えます。(拍手)     ─────────────
  13. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 橋本聖子君。    〔橋本聖子君登壇、拍手〕
  14. 橋本聖子

    橋本聖子君 自由民主党橋本聖子でございます。  私は、自由民主党国民の声を代表して、安倍内閣総理大臣施政方針演説について質問をいたします。  昨年は、七月豪雨、大阪北部地震、台風二十一号、北海道胆振東部地震など、非常に多くの自然災害がありました。お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表します。被災された皆様にも心よりお見舞い申し上げます。引き続き、政府・与党一体で一日も早い生活や産業の再建に向けて全力を尽くしてまいります。  今年のえとは、つちのといです。同じえとであった六十年前の昭和三十四年は、外交・安全保障環境が極めて緊迫していた冷戦時代において、日米安保条約の改定交渉が行われた年です。まさに、我が国の外交・安全保障政策の基盤がつくり上げられた年です。  振り返れば、平成の三十年の間も、我が国を取り巻く外交・安全保障環境は大きく変化をいたしました。平成元年の冷戦終結時にはこれほどの変化は全く予想ができませんでした。そして、今、新しい時代に向けて、総理は、我が国の平和と繁栄を守るため、地殻変動ともいうべき国際情勢の激変の中、日本外交のかじを取っております。  昨年も、朝鮮半島情勢が緊張する中で、総理は、史上初の米朝首脳会談に向けてトランプ米大統領と緊密な連携を取り、北朝鮮に朝鮮半島の完全な非核化への決意を確認させることができました。また、九月の日米首脳会談でも、米国側が求める自動車の追加関税の凍結を確約させることができました。安全保障、経済外交共に将来への道筋を付けることができたと考えております。本年は、日米物品貿易協定、TAGの交渉もいよいよ始まります。  一方、昨年十月、安倍総理は約七年ぶりに日本の総理として中国を公式訪問し、習近平国家主席や李克強国務院総理と会談し、今後の両国の道しるべとなる三つの原則を確認しましたが、いよいよ本年は、この公式訪問の成果の下、日中関係を新たな段階へと押し上げるときでもあると思います。  米国と中国の間の貿易戦争は依然として予断を許さない状況にあり、その影響を受け、過日発表された中国のGDPは二年ぶりの減速傾向、世界経済全体にも不透明感が漂い始めています。また、米国、中国共に東アジア安全保障環境に対して大きな影響力を持っており、地域の安定のためには、新冷戦と言われるような状況は避けなければなりません。  そこで、米国と同盟関係にあり、かつ、中国との間でも深い関係を持つ我が国の総理として、自由貿易体制の発展と我が国の経済産業の成長のために、さらには地球規模で見た安全保障環境の改善のために、米中それぞれとの外交にどのように挑むお考えか、総理に伺います。  総理は、昨年、北方領土問題を解決して平和条約を締結するという戦後七十年以上残されてきた課題に必ずや終止符を打つとの決意をロシアのプーチン大統領と共有し、首脳会談を重ねてきました。先週もモスクワで日ロ首脳会談を行いました。通訳のみで五十分間、一対一の話合いも行われ、時にはプーチン大統領が総理を自分の執務室に招き入れるなど率直な意見が交換なされたことと存じます。  これまで残されてきた課題であるからには、解決が簡単であるはずがありません。ロシア国内の厳しい世論も伝わっています。その点からすれば、今回の首脳会談で、相互に受入れ可能な解決策を見出すための共同作業を日ロ両首脳のリーダーシップの下で力強く進めていくという決意が確認されたことは意義深いと考えます。  今後、経済活動などの緊密化や四島での共同経済活動、そして安全保障分野での信頼醸成などを進めながら、大阪G20サミットなどの機会を生かし、戦後日本外交の総決算としてのこの課題に取り組んでいただきたいと思います。  そこで、今回の首脳会談の成果を踏まえ、総理はどのように今後の日ロ交渉を進めていくお考えでしょうか、お尋ねをいたします。  我が国周辺の安全保障環境を見ると、軍事力の近代化や脅威の多様化が進んでおり、不安定要因はより深刻化していると言わざるを得ません。宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域における脅威も指摘されています。一方、隣国が軍拡を進める中でも、我が国は専守防衛に徹してきました。その考えは大切にしなければなりません。その中で、軍事力が近代化していく流れの中で、我が国の装備が古いままでは国民の生命を守れるかという思いもあります。  新たな環境の変化に即して、どのような方針で防衛力を整備し、我が国と我が国国民を守り抜いていくのか、総理にお尋ねをいたします。  平成の時代において、我が国は、本格的な人口減少、高齢化社会に突入いたしました。まさに国難ともいうべき大きな問題です。  このような状況の中、昨年、政府において、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針を堅持しつつ、団塊世代の全てが七十五歳以上となるまでに財政健全化の道筋を確かなものとするため、二〇二五年度の国、地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化を打ち出しました。財政再建に向けた大きな一歩です。そして、ここから大切なことは、この着実かつ継続的な実行です。  人生百年時代を迎える我が国の社会に対応した持続可能な医療、介護、年金制度の確立、これまでに経験したことのないような規模やパターンで発生する自然災害から国民の生命と生活を守る国土強靱化対策の完遂などを考えれば、ただただ財政再建を唯一の旗印にして進んでいけばよいというわけではありません。デフレ脱却の歩みを止めることなく、プライマリーバランス黒字化目標達成に向けてどのように前向きな経済財政の循環を巻き起こしていくのかというお考えと、来年度の政府予算案においてどのような工夫がなされているのかという点について、総理から伺います。  我が国が直面する人口減少により国内市場の厳しさは増していくのではないかという懸念が指摘されております。しかし、我が国の外に目を転じてみると、世界の経済成長の中心であるアジア太平洋地域など可能性にあふれる国々がたくさんあります。昨年末、TPPが発効し、明日二月一日には日EU・EPAも発効します。現在、RCEPについても交渉中です。このような協定は世界の経済成長力を我が国に取り入れていくために欠かせない枠組みでありますから、日本の国益をしっかりと守りつつ、その成果を最大限に生かしていただくことを期待をしております。  一方、経済連携協定に対しては、日々額に汗して農作業に取り組んでおられる皆様が依然として不安を持っていることも確かであります。  今年は、TPPが、日EU・EPAが発効する中、中長期的な農政の方向性を示す食料・農業・農村基本計画の見直しに向けた議論が本格化していくことが予想されますが、いずれにしても、農業政策とは生産現場あってのものであるということを忘れてはなりません。そこで、生産性を向上させつつ、人口減少時代においても希望を持って農業に飛び込んでいく新規参入者や、代々大切に耕してきた田畑を受け継ぐ後継者が増えるような環境づくりをどのように進めていくつもりなのか、そのお考えを総理に伺います。  あわせて、浜で頑張る漁業者の所得向上と浜の活性化を目指して、現役の漁業者や、未来の漁業を担う若者にとってやりがいのある魅力的な産業にすることは、我が国の食料資源の確保、地域や文化の発展、ひいては領土、領海の保全という観点からも重要です。改正漁業法に基づき、漁業者の声にじっくりと耳を傾けて、まずは漁業者本位の制度を展開していくという決意について、総理にお伺いをいたします。  先頃、厚労省から、今から約二十年後、二〇四〇年の日本の就業者数は現在に比べ約二割も減る可能性があるとの長期推計が発表されました。現時点でも、人口減少に伴う人手不足は深刻で、事業が頓挫する事例も発生しております。短期的にも中長期的にも、景気回復の火を絶やさず、成長力を維持するためには、働く意欲のある女性や高齢者が働き手として活躍できる環境の整備、働き手一人当たりの生み出す付加価値の向上などが必要です。人口減少が進展する中、我が国産業の生産性を向上するために、新技術を活用した新たなビジネスモデルづくりや業務効率化などに取り組む民間企業の努力を政府全体で支えていただきたいと思います。  同時に、中小企業・小規模事業者における働き方改革も必要です。  日本商工会議所の働き方改革関連法案に対する調査によれば、中小企業では時間外労働の上限規定の内容や年次有給休暇の取得義務化はまだまだ浸透しておりません。労働者にとって働きやすい職場を実現するために、中小企業・小規模事業者における働き方改革をどのように後押しをしていき、就労者に魅力的な職場環境をつくり上げていくお考えなのか、総理からお聞かせください。  また、中小企業・小規模事業者の経営者も高齢化が進み、代替わりや若返りを考えなければならない時期となっております。  昨年、事業承継時の贈与税、相続税の納税を猶予する事業承継税制が改正され、大きな後押しとなりましたが、法人のみが対象でありました。今回の税制改正により、中小・小規模事業者の半分以上を占める個人事業主にも事業承継時の贈与税、相続税の納税が猶予されることとなりましたが、円滑な世代交代が進むよう行政手続の円滑化など様々な対応が必要です。関係機関と連携して、政府を挙げて中小企業・小規模事業者の事業承継をどのように支えていくか、そのお考えを総理からお尋ねをいたします。  昨年、外国人観光客は初めて三千万人を超えました。この五年で三倍という急増ぶりです。東京オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年には四千万人とする目標です。しかし、大都市圏の人気のある観光地に集中してしまう傾向もあり、観光客の集中による様々な問題の発生が指摘される一方、受入れ環境の遅れなどがあり、外国人観光客をうまく取り込めていない地域もあります。  本年一月七日から導入された国際観光旅客税の財源を生かしながら、外国人観光客を地方創生に一層結び付ける工夫が必要と考えますが、いかがでしょうか、総理のお考えを聞かせてください。  総理はこれまで、まさに国難ともいうべき急速に進む少子高齢化という課題に対して、現代の私たちも真正面から向き合い、未来への改革を進めると力強く訴えてきました。  その未来への投資として、本年十月からは幼児教育が無償化されます。来年四月からは真に必要な子供たちの高等教育も無償化され、給付型奨学金が拡充されることとなります。教育は我が国の発展の原動力であり、自己実現のために欠かせない土台であることから、しっかりと進めていく必要があります。  一方、人工知能など革新的な技術の浸透により世界の産業地図があっという間に変わってしまう時代です。さらに、未来を支える子供たちの勉学への熱意や意欲、関心を損ねることがないような学校制度、入試制度等を検討していくことも不可欠です。我が国の将来を担う子供たちの未来を切り開くためにどのように教育行政を進めていくつもりか、総理のお考えをお聞かせください。  この教育無償化の財源としての消費税率引上げについてお伺いいたします。  平成二十六年の五%から八%への消費税率引上げでは、駆け込み需要の反動により消費の落ち込みがありました。同様の事態に陥れば、現在の景気回復基調を損ねることとなり、財政再建も遠のくこととなります。  一方、米中貿易戦争に代表される相次ぐ関税引上げの報復合戦や英国のEU離脱交渉の遅れなどから経済の不透明感が高まり、それが年明け早々、これまで好調であった株価の大きな下落につながりました。ただですら経済の先行きが不安な中、消費税率引上げがなされれば景気の腰折れを招くのではないかと心配する声が聞こえてきます。とりわけ、景気回復の温かい風がまだ十分に届いていない地域では、このような厳しい声が耳に入ってくることがあるのも確かであります。  また、食料品の軽減税率適用や現金を使わないキャッシュレスでの買物へのポイント還元策についても、消費者、事業者から分かりにくいという声がまだまだあります。  もちろん、私たち、全世代型の社会保障制度への転換には消費税率引上げが必要であること、消費税率の逆進性や消費需要の平準化、消費の底上げといった観点から思い切った対策が講じられること、これについて改めて説明しているところです。しかし、まず、消費税の引上げに伴い腰折れしない強い経済が全国津々浦々で感じられるようになること、その上で、消費者にも中小企業・小規模事業者にも分かりやすく使いやすい軽減税率であることや、ポイント還元策についても小売業者の負担を極力少なくする工夫、悪用、濫用されない工夫が凝らされていることなど、なお一層周知徹底すべきと感じていますが、この点について、総理のお考えを伺います。  今般、毎月勤労統計調査において長年にわたり不適切な取扱いが行われてきたことが判明いたしました。また、第三者委員会が行った調査に対する厚労省の関与の仕方も、調査の中立性、独立性を損ねるものであり、統計を扱う機関として体制や能力について大きな疑義を持たざるを得ません。組織のガバナンス、そして組織風土から根本的に立て直さなければならないのではないかと感じております。  また、今回の不適切な統計調査により大きな影響が出ていることに、真摯に対処、説明すべきであります。雇用保険、労災保険などの過少給付について、早期かつ確実に不足分を支払うべきことはもちろん、厚労省側に全面的に起因して発生した過少給付であることは明らかですから、可能な限り国民の皆様に手間が掛からない方法で対応すべきです。  根本厚労大臣には、強力なリーダーシップの下、調査の中立性、独立性を担保し、全容の解明と徹底的な対策を講ずることで、厚労省の統計調査と厚労行政への信頼回復に努めていただきたいと考えます。  さらに、昨年一月以降の毎月勤労統計の賃金上昇率についても疑念の声が出ています。統計は国の政策の基本です。いささかでも疑念を持たれるようなことがあってはなりません。今回の不適切な統計調査や調査手法の見直しなどにより賃金上昇率の数字などにどのような影響があるのか、これについて政府の見解を示していただくことは大切だと思います。この点について、根本厚労大臣に伺います。  また、今回の毎月勤労統計調査以外の二十三に及ぶ国の基幹統計においても不適切な手続がなされていたことが発覚をいたしました。当初、二十二の統計調査で不適切とされていましたが、今週、更に厚労省の賃金構造基本統計にも本来とは異なる調査手法が行われていたなど、誤りが判明したところです。基幹統計の点検すらしっかりできないのかと、怒りと同時に落胆すら覚えます。  統計の信頼性が崩れるということは、我が国への信頼が崩れることにつながりかねません。政府全体において統計の重要性を再認識するとともに、信頼性回復のために各省庁の横串を通した体制の検討など思い切った対応を講じて、政府統計への信頼性を回復すべきではないかと考えます。総理のお考えをお尋ねいたします。  最後に、平成の次の時代に向けた地域づくり、国づくりについて取り上げたいと思います。  島根県雲南市、ピンチをチャンスにした自治体として、昨年、総理の所信表明演説で紹介された地域です。そして、今、全国の地域を見渡すと、危機感をばねに新しいチャレンジに取り組む自治体が増えていると感じています。  人口減少と超高齢化社会に直面する鳥取県南部町では、病気になってからの治療から病気の予防へのシフト、住民全体の介護予防と生活支援の融合を進めるために、町内の保健、医療、福祉資源を最大に活用して、高齢者の運動習慣や社会参加を向上させる通いの場づくりや、誰もが気軽に健康相談できるまちの保健室、ボランティアポイントを貯金できる、あいのわ銀行という仕組み、世代を超えたボランティア意識を育てるための小学生高学年と中学生を対象とした夏休み期間中のヘルパー体験と資格の付与といった様々なユニークな取組が広がっています。生活の質を高めるという視点で医療、保健、福祉、介護が連携し、地域の力を高め、地域も人も健康を維持し、かつ財政も健康にしていくという前向きなベクトルの政策を見ることができます。  もう一つ、引きこもりの若者を地域の力に変える取組が成果を上げている事例であります。秋田県藤里町です。平成二十七年の内閣府調査では、全国に五十四万人の引きこもりの若者たちがいます。藤里町も、今から十数年前、当時三千八百人の人口のうち百人以上が家に引きこもっていたといいます。レクリエーションイベントなども開催されましたが、効果があったのは、高齢者の生活をサポートする役割など就労体験の場を提供することでした。今では、引きこもりが二十人前後に減り、多くの地元企業で就労されております。地域が元々持っていた顕在化していなかった力が呼び起こされ、活性化に貢献している事例です。  私は、島根県雲南市、鳥取県南部町、秋田県藤里町のように、コミュニティーの力を生かし、住民の協働により、住民も地域も健康に、元気になる姿が、人口減少、高齢化に直面する我が国にとって目指すべき一つの形であると確信をしております。  そのような思いを持って、私は、現在、個人の健康の保持増進のための主体的な取組、地域のコミュニティーへの参画など、様々な社会参加を通じて国民が生涯にわたり健康で生きがいを持って生活できる社会、一言では、生涯健康活躍社会と言えると思います。このような社会の実現を目指して、日夜議論を続けております。  そこで、厚労大臣に伺いますが、個人と地域コミュニティーが結び付くことで個人も地域も心身共に健康となり、健全となり、しかも、医療費の抑制等が図られると考えられる生涯健康活躍社会について、どのような保健医療面や財政面でのメリットがあるとお考えでしょうか。  その上で、人口減少、高齢化が進んでいく我が国において、国民の皆様の健康を保持増進し健康寿命を延ばしていくためには、個人だけに着目した医療だけではなく、教育、スポーツ、コミュニティー形成など、地域社会全体を包括した取組が必要ではないかと考えますが、総理はこの点についてどのようにお考えでしょうか、お伺いをいたします。  いよいよ、本年五月一日、改元の日を迎える年となりました。御代替わりを喜びを持って迎える歴史的な日であります。  振り返れば、平成の時代、内外の情勢は大きく変わりました。我が国を取り巻く外交・安全保障環境、地球温暖化や大規模な地震、津波の発生、経済のグローバル化や情報社会、新たな革新的技術の誕生と普及、そして東京の一極集中と地方の人口減少の更なる進展など、かつて経験がないほどの大変動と言ってもよいほどであります。  平成という元号は、歴史書である「史記」の「五帝本紀」及び「書経」の「大禹謨」の一説、内平らかに外成る、地平らかに天成るから引用されたものです。この平成の年号が発表されたとき、誰がこれほどの情勢変化が起こると予想できたでしょうか。  そして、このような激動に襲われたにもかかわらず、内外、天地共に平和が達成されるという平成に込められた願いをかなえるために、平成を生きてきた私たち日本人は、知恵を絞り議論を尽くして、考え得るあらゆる政策を講じて幾多の困難を乗り越えてきました。  平成の時代に起きた我が国を取り巻く環境の大きな変化はこれからますます大きくなり、複雑化していくことでしょう。であるからこそ、なおさら、新しい時代を迎えようとする今、時代の変化に応じた国の姿である憲法はどのようなものであるべきかということについて議論することがこの国会でも求められていると確信をしております。  安倍総理、厳しい道ではありますが、新しい時代に向けた新しい国づくりのためにひたむきに邁進していけば、理解は広まり、様々な立場からの考えが寄せられ、憲法改正に向けた議論の輪は広がると信じております。その点を申し上げ、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
  15. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 橋本聖子議員にお答えをいたします。  米国及び中国との外交についてお尋ねがありました。  米国は我が国の唯一の同盟国であり、私とトランプ大統領との強固な信頼関係の下、日米同盟はかつてないほど盤石です。この同盟の基盤を維持していくためには、お互いの不断の努力が必要です。  日本の外交・安全保障の基軸である日米同盟を平和安全法制に基づく取組等を通じて更に強化していくとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、互いに緊密に協力し、地域や世界の平和と繁栄に貢献してまいります。  中国とは、昨年、七年ぶりに中国を公式訪問し、日中関係は完全に正常な軌道へと戻りました。習近平主席と確認した今後の両国の道しるべとなる三つの原則の上に、首脳間の往来を重ね、あらゆる分野、国民レベルでの交流を深めながら、日中関係を新たな段階へと押し上げてまいります。  米中間の貿易摩擦は、日本を含め、国際社会の大きな関心事項となっています。貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもなりません。我が国は、いかなる貿易上の措置もWTO協定と整合的であるべきと考えています。  こうした日本の基本的な立場については、これまでも、トランプ大統領や習近平主席を始め、米国及び中国の双方に対しても、私自身を含め、様々なレベルで伝えてきています。引き続き、米中間の協議の動向や日本も含めた他国への影響について注視してまいります。  日ロ平和条約交渉についてお尋ねがありました。  二年前の長門会談で私とプーチン大統領が自らの手で平和条約を締結するとの真摯な決意を表明して以来、新しいアプローチで問題を解決するとの方針の下、日ロの間でこれまでにない協力を進めてきました。  長門での合意を受けて、元島民の方々の航空機によるお墓参りが歴史上初めて実現しました。先般のモスクワでの会談では、こうした取組の重要性を確認する上で、本年の航空機墓参をこの夏にも実施することで合意しました。  四島における共同経済活動については、現地調査等やプロジェクト候補のロードマップにより、具体的道筋が明確になってきました。先般の首脳会談では、早期実現のために、共同作業を着実かつ迅速に進展させるよう関係者に指示しました。  さらに、八項目の協力プランの具体化を含め、経済分野での協力進展を歓迎するとともに、肯定的な流れを加速すること、安全保障分野での信頼醸成を深めることで一致しました。  平和条約の問題については、プーチン大統領と二人だけで、じっくり時間を掛けて突っ込んだ議論を行いました。その上で、二月中に次回の外相間の交渉を行うとともに、首脳特別代表間の交渉も行い、平和条約交渉を更に前進させるよう指示しました。  戦後七十年以上残された課題の解決は容易ではありません。しかし、私たちはこれをやり遂げなければなりません。  六月のG20大阪サミットにプーチン大統領をお招きし、併せて首脳会談を行います。日本国民とロシア国民が互いの信頼関係、友人としての関係を更に増進し、相互に受入れ可能な解決策を見出すための共同作業を力強く進めて、平和条約交渉をでき得る限り前進させてまいります。  今後の防衛力整備の方針についてお尋ねがありました。  政府の最も重大な責務は、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことであります。これは独立国家として第一義的に果たすべき責任であり、自らの主体的、自主的な努力によってその責任を果たしていくことが安全保障の根幹です。  また、専守防衛は、憲法の精神にのっとった我が国防衛の基本方針であり、今後とも堅持してまいります。  今、国際社会のパワーバランスは大きく変化しつつあり、我が国を取り巻く安全保障環境は格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増しています。  また、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域が死活的に重要になっており、陸海空での対応を重視してきたこれまでの安全保障の在り方を根本から変えようとしています。  このような中にあって必要なことは、我が国として、自らを守る体制を主体的、自主的な努力によって抜本的に強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図っていくことです。  同時に、これこそが日米同盟の抑止力と対処力を一層強化していく道であり、各国との安全保障協力を戦略的に進めていくための基盤となるものです。  防衛力の強化に当たっては、従来の延長線上ではない、真に実効的な防衛力を構築するため、防衛力の質及び量を必要かつ十分に確保していく考えです。  特に、陸海空という従来の発想から完全に脱却し、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域を含む全ての能力を有機的に連携させ、新たな防衛力を構築してまいります。  未来の礎となる国民を守るために真に必要な防衛力の構築に向け、従来とは抜本的に異なる速度で変革を図ってまいります。  プライマリーバランス黒字化目標と来年度予算案についてお尋ねがありました。  安倍内閣では、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、財政健全化に大きな道筋を付けてまいりました。  この結果、政権交代前と比べて、国、地方合わせた税収は約二十八兆円増加し、来年度予算における国の税収は過去最高、六十二兆円を超えるとともに、新規国債発行額は約十二兆円減少し、安倍内閣発足以来七年連続で減少しているところです。  平成三十一年度予算については、全世代型社会保障制度への転換に向け、消費税の増収分を活用して、幼児教育の無償化を始め、社会保障の充実にしっかり対応するとともに、消費税率の引上げに当たり、景気の回復軌道を確かなものとするため、いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じます。同時に、社会保障関係費の実質的な伸びについて、高齢化による増加分に収めるなど、歳出改革の取組を継続するものとしています。  今度とも、経済再生と財政健全化の両立を図り、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指してまいります。  農業政策と水産政策についてお尋ねがありました。  安倍内閣においては、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現するため、農地バンクによる農地集積や輸出促進、若者の新規就農の支援など、生産性を向上させ、マーケットを内外に広げる農政改革を進めてまいりました。  これにより、生産農業所得は、三年連続で増加し、九千億円も拡大し、四十代以下の新規就農者も四年連続で二万人を超えています。農林水産品の輸出目標一兆円も、もう手の届くところまで来ました。  TPP11や日EU・EPAに対しても、農家の皆さんの不安にしっかり向き合い、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、きめ細かな体質強化策と経営安定対策を講じてまいります。  また、水産業については、昨年成立した改正漁業法に基づき、収益性をしっかりと向上させながら水産資源の持続的な利用を確保することで漁業者の所得向上の実現を目指します。加えて、三千億円を超える予算で、新しい漁船や漁具の導入など、浜の皆さんの生産性向上への取組を力強く支援します。  我が国の美しい田園風景、そして食を支えているのは、農林水産業に従事する皆さんであります。こうした政策を生産現場の皆さんの声を真摯に伺いながら進めていくことで、次世代を担う若者が将来にしっかりと夢や希望を持てる農林水産新時代の構築に全力で取り組んでいく決意です。  中小企業・小規模事業者への働き方改革と事業承継に向けた支援についてお尋ねがありました。  働き方改革は、高齢者も若者も、女性も男性も、誰もが活躍できる社会を目指す一億総活躍社会の実現に向けた最大の柱であり、働く人や労働力不足に悩む中小企業・小規模事業者の視点に立って、その実現を図っていく必要があります。  このため、四十七都道府県に設置した働き方改革推進支援センターにおいて、上限規制を踏まえた業務プロセスの見直しなどの助言を行うとともに、年次有給休暇の取得促進を支援するための助成金などを活用して、働き方改革に取り組む中小企業・小規模事業者に対し全力で支援してまいります。  また、今後十年で中小企業・小規模事業者の経営者の六割が七十歳を超えるという現実があります。黒字廃業が相次ぐような事態は我が国経済にとって大きな損失であり、事業承継問題は待ったなしの課題です。  この強い危機感の下に、今年度は、法人の事業承継税制を抜本的に拡充し、承継時の贈与税、相続税の支払負担をゼロにしました。来年度は個人事業主に拡大します。さらに、事業のマッチング機能の強化や後継者支援の補助金などにより、切れ目のない支援を行ってまいります。  こうした取組によって、政府を挙げて、我が国の宝である中小企業・小規模事業者を次世代へしっかりと引き渡していく決意であります。  外国人観光客の地方への誘客についてお尋ねがありました。  観光は、我が国の成長戦略の柱であり地方創生の切り札です。安倍内閣では、できることは全て行うとの方針の下、観光立国の実現に向け、精力的に取り組んでまいりました。  この結果、昨年、日本を訪れる外国人観光客は三千万人の大台に乗り、その消費額は四兆五千億円となるなど、観光は、全国津々浦々、地方創生の核となるたくましい一大産業となりました。  地方を訪れる外国人観光客も着実に増えていますが、来年の四千万人目標の達成に向けて、地方への更なる誘客が鍵となります。  国際観光旅客税も活用しながら、観光地における町ぐるみでの観光客受入れの取組を支援するなど、地方への誘客を進めてまいります。  教育行政の進め方についてお尋ねがありました。  子供たちこそ、この国の未来そのものです。家庭の経済事情にかかわらず、子供たちの誰もが自らの意欲と努力によって明るい未来をつかみ取ることができる社会をつくり上げていくことが必要です。  このため、本年十月から、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所等の費用を無償化するとともに、来年四月から、公立高校だけでなく、私立高校も実質無償化を実現します。  さらに、真に支援が必要な低所得者世帯の子供たちの高等教育も無償化し、学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金を支給するため、今国会に関連法案を提出することとしています。あわせて、大学入試改革や教育研究費の質の向上を含めた大学改革を推進してまいります。  来るべきソサエティー五・〇において、子供たちの誰もが人工知能などのイノベーションを使いこなすリテラシーを身に付けられるようにすることが重要です。  このため、新しい学習指導要領では、来年から、全ての小学校でプログラミング教育を必修とし、中学校や高校でも、順次、情報処理の授業を充実し、必修化します。また、専門家による遠隔教育を五年以内に全ての小中学校で受けられるよう取り組んでまいります。こうした取組を学校現場において円滑に実施するための環境整備や学校における働き方改革を進めることで、教育の質を高めてまいります。  子供たちの誰もが、自信を持って、学び、成長できる環境の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。  消費税率の引上げに伴う経済や、対策の周知についてお尋ねがありました。  消費税率の引上げについては、八%への引上げ時の反省の上に、経済運営に万全を期してまいります。来年度予算では、いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じ、景気の回復軌道を確かなものとすることで、戦後最大のGDP六百兆円に向けて着実に歩みを進めてまいります。  御指摘の軽減税率制度については、具体的な税率の適用の事例も含め、消費者や事業者に対する周知、広報等に全力を尽くし、円滑に実施できるようにしてまいります。  また、ポイント還元についても、必要な端末を負担なく導入できるようにするなど、中小・小規模事業者の皆さんが利用しやすい環境を整えるとともに、決済事業者とよく連携し、不正対策に万全を期してまいります。  今回の消費税率引上げへの対応については、国民の皆様の御理解が重要であり、各施策の周知徹底を図ることが極めて大切であると認識しております。引上げ前後で事業者に混乱が生じないよう、また消費者が安心して購買ができるよう、引き続ききめ細やかな対応を行ってまいります。  政府統計の信頼回復に向けた取組についてお尋ねがありました。  毎月勤労統計について不適切な調査が行われ、セーフティーネットへの信頼を損なう事態を招いたことについて、国民の皆様におわび申し上げます。  高い専門性と信頼性を有すべき統計分野において長年にわたって誤った処理が続けられ、それを見抜けなかった責任については重く受け止めています。  また、今般、その他の基幹統計についても緊急に点検を行いましたが、手続の誤り等の問題があったことは遺憾であり、速やかに訂正等の対応を取ることとしています。  昨日の統計委員会において、点検検証部会が設置され、各府省の所管する統計について徹底した検証が行われることとなりましたが、そうした結果も踏まえつつ、信頼回復に向け総合的な対策を講じてまいります。  健康増進に向けた地域社会全体を包括した取組についてお尋ねがありました。  個人の健康は、家庭、学校、地域、職域等の様々な社会環境の影響を受けることから、社会全体として、個人の健康を支える環境づくりを進めることが重要です。  このため、平成二十五年より進めている第二次健康日本21においても、地域のつながりの強化などを目標に掲げ、国民の健康増進に向けて総合的に取組を推進しており、例えば、各地域において、地域ボランティアが個人宅を訪問し減塩を促す活動、公園を活用した、地域住民が気軽に参加できる運動プログラムの提供など、地域における取組が進んでいます。  スポーツや地域活動への参加の促進などを通じ、国民が健やかで心豊かに生活し、健康で長生きできる社会の実現に努めてまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣根本匠君登壇、拍手〕
  16. 根本匠

    ○国務大臣(根本匠君) 橋本聖子議員にお答えをいたします。  毎月勤労統計の賃金上昇率などへの影響についてお尋ねがありました。  政策立案や学術研究、経営判断等の礎として常に正確性が求められる政府統計について、今般の事態を引き起こしたことは極めて遺憾であり、国民の皆様に御迷惑をお掛けしたことを深くおわび申し上げます。  毎月勤労統計については、平成三十年一月からサンプリング等の見直しを実施しています。これは、毎勤統計の改善に向けて、統計委員会を始めとする専門家の検討を経て統計的な観点から行われたものであります。  また、東京都の五百人以上事業所において抽出調査を開始した平成十六年以降の期間のうち、必要なデータ等が存在する平成二十四年以降については、復元処理と呼ばれる抽出調査を行った際に行うべき統計的処理を行い、再集計値として公表しました。この結果、平成三十年一月の賃金については、調査手法の見直しによるものに加えて、復元処理を正しく行っていなかった影響があったことが分かりました。  今後とも、こうした点について、国民の皆様に丁寧に説明をしてまいりたいと思います。  私としては、今回の問題を統計部門だけの問題として捉えるのではなく、厚生労働大臣として、統計に対する姿勢を根本から正し、再発防止の徹底に努め、厚生労働統計に対する国民の皆様の信頼の回復に全力で努めてまいります。  個人と地域コミュニティーが結び付いた健康づくりのメリットについてお尋ねがありました。  厚生労働省においては、平成二十五年より進めている第二次健康日本21において、高齢者の社会参加の促進や地域のつながりの強化など、地域コミュニティー等の社会的資源を活用した健康づくりを推進しているところです。これらの取組は、議員御指摘の生涯健康活躍社会につながるものと考えます。  これらの取組を更に進めれば、健康寿命の延伸が図られ、国民の皆さんがより長く元気に活躍できるようになるとともに、その結果として、社会保障制度の支え手の増加による好影響が出てくることが期待されるものと考えています。  今後とも、地域コミュニティー等の社会資源を活用した健康づくりを推進してまいります。(拍手)
  17. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 御異議ないと認めます。      ─────・─────
  19. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 議員鴻池祥肇君は、昨年十二月二十五日逝去されました。誠に痛惜の極みであり、哀悼の念に堪えません。  同君に対しましては、議長は、既に弔詞をささげました。  ここにその弔詞を朗読いたします。    〔総員起立〕  参議院は わが国 民主政治発展のため力を尽くされ 特に院議をもって永年の功労を表彰せられ さきに予算委員長 決算委員長等の要職に就かれ また国務大臣としての重任にあたられました 議員正三位旭日大綬章鴻池祥肇君の長逝に対し つつしんで哀悼の意を表し うやうやしく弔詞をささげます     ─────────────
  20. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 福山哲郎君から発言を求められております。この際、発言を許します。福山哲郎君。    〔福山哲郎君登壇〕
  21. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 昨年六月八日、鴻池先生が最後に本会議に出席されたあの日、偶然、本会議場入口のソファーで休んでおられた先生と二人きりで話す機会をいただきました。ひざまずき、先生、お元気で、早く治してくださいねと声を掛けた私を見て、うんうんとうなずいておられた先生の姿が忘れられません。まさか、あれが先生との最期のお別れになろうとは、余りにも寂し過ぎます。  本院議員鴻池祥肇先生は、国際経済・外交に関する調査会長として精力的に職務に邁進しておられたところでした。御体調が優れない中、吸入器を付けながら調査会を主宰され、先生らしい責任感の下、気丈に采配を振るわれるお姿を拝見し、頭が下がる思いでいっぱいでした。しかしながら、その後体調が戻られることはなく、去る平成三十年十二月二十五日未明、間質性肺炎により、都内の病院で逝去されました。享年七十八歳。誠に痛惜哀悼の念に堪えません。  私は、ここに、皆様のお許しを得て、議員一同を代表し、故鴻池祥肇先生の御霊に対し、謹んで哀悼の言葉をささげます。  鴻池先生は、昭和十五年十一月二十八日、兵庫県尼崎市にお生まれになりました。経営者であり、県議会議員であった鴻池勝治というお父上の存在が、先生に大きな影響を与えたと伺っています。物心が付いたときには、周りに芸事を稽古している人が何人もいた、お父上はまさに義太夫の稽古に励みながら、多くの人の面倒を見、先生の言葉を借りれば、真っ正直に、義侠心を持って生きていた、徳を残した、わしはおやじの徳という舞台で舞わしてもらっている。  そんな先生が、おやじのような政治家になると志を立てられたのも自然のことだったのでしょう。神戸大学附属住吉小学校・中学校、神戸高等学校を経て、昭和四十年に早稲田大学教育学部を御卒業。尼崎港運株式会社に入社し、昭和四十六年には代表取締役社長に就任、併せて青年会議所の活動に取り組まれました。昭和五十五年には、日本青年会議所の会頭に御就任。そして、昭和五十八年暮れの総選挙で、原健三郎先生、土井たか子先生ほかそうそうたる政治家が居並ぶ中選挙区兵庫二区から果敢に立候補されました。初戦は苦杯。三年後の昭和六十一年の総選挙で見事四十五歳での初当選を果たされたのであります。そして、衆議院で二期七年御活躍の後、平成七年の第十七回参議院議員通常選挙で当選され、以来、連続四回の当選を果たされ、平成二十五年四月には永年在職議員として院議をもって表彰を受けられました。本年一月には正三位旭日大綬章が追贈されました。  この間、先生は、建設委員長、国旗及び国歌に関する特別委員長、決算委員長、予算委員長、国家基本政策委員長、国民生活・経済・社会保障に関する調査会長、我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員長、国際経済・外交に関する調査会長等の要職を歴任されました。  また、政府においても、小泉内閣で防災担当大臣、構造改革特区担当大臣、麻生内閣で内閣官房副長官など、数々の要職を歴任され、沖縄の開発、被災者生活再建支援制度の充実、規制改革、政権の中枢における様々な調整等に大きな役割を担われました。  党におかれましても、参議院自由民主党国会対策委員長、自由民主党参議院改革本部長など、国会、参議院の運営に深く関わられ、野党との間でも強い信頼感の下で公正な議会運営を追求されました。  最も印象的な先生のお言葉を御紹介します。  我々参議院は、衆議院の下部組織でも、官邸の下請をやっているのでもない。三権分立、議院内閣制を冒涜されたままこれを見過ごせば、参議院不要となってしまう。  平成十七年、郵政民営化に反対をされたとき、そして、その十年後、平成二十七年、我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会、いわゆる安保法制特別委員会の委員長として、少なくとも二度にわたって先生はこの言葉を述べられています。与野党を超えて我らが参議院に対する先生の強烈な叱咤激励であります。  安保法制特別委員会に私自身は理事の一人として関わらせていただきました。与野党の緊迫した協議が続く中、可能な限り野党の立場をおもんぱかり、終始公平な運営を進められました。先生が委員長であったからこそ深まった審議、明らかになった資料なども数多く、尊敬すべき立派な委員長であられたとの思いは、いささかも変わることはありません。  中でも、先生と野党側筆頭理事だった北澤俊美元防衛大臣とのやり取りは、単なる与野党対立を超え、長い政治経験を経たお二人の、えも言われぬ信頼感と駆け引きがぶつかる、とても興味深い味のあるものでした。  さらに、参議院改革において先生の特筆すべき御功績があります。長年の大きな課題であった参議院の行政監視機能の強化、特に決算審査を重視した改革の実施段階において大きな役割を担われたことであります。先生が委員長を務められた平成十五年九月からの約二年間、決算委員会で、鴻池組と言われるほどの与野党の強固な意思統一の下、迅速かつ充実した決算審査が進められたことは、改革に対する院としての強い意思を内外に示すことになり、今日に至る決算重視の参議院に向けた道筋は確たるものとなりました。  政治を志して以来、河本敏夫先生の御指導を受けられた先生、その流れは、昭和十五年二月、衆議院本会議におけるいわゆる反軍演説で罷免された地元兵庫県の斎藤隆夫先生の反骨精神を受け継ぐものであり、周囲を照らしてその身の消え行くことをいとうな、政治家は一本のろうそくたれとの御薫陶でした。まさに先生の生きざまそのものであります。  先生は、筋の通らないことに対しては、歯にきぬ着せず鋭く問題点を指摘され、時には政府・与党幹部に対しても苦言を呈されるなど、気骨ある行動も度々示されました。一方、様々な社会の問題に対する率直な語り口は、時には暴言として受け取られ、世間を騒がせたこともありました。しかしながら、このような言動は、先生が政治をより国民に親しみやすいものにしようと努められてきたあかしでもありました。  さて、義太夫、歌舞伎、舞踊、文楽、そば、剣道、落語、かばんに手帳、革製品、料理、そして葉巻、先生がお好きだったものを挙げると切りがありません。剣道は六段。  義太夫、歌舞伎などはお父上の影響があったのでしょう。子供の頃から義太夫がわしの血に流れているんや、そう言われていましたね。特に、先生の大好きな歌舞伎十八番、勧進帳。源義経と知りながらそれを見逃す富樫左衛門の情に、先生が自らの生きざまを映しておられたことは容易に想像が付きます。安保法制特別委員長として、官邸や国対の意向を超えて野党に配慮され続けた先生は、あたかも富樫左衛門のようでした。忠臣蔵も幡随院長兵衛も、同様にお好きな演目でしたね。  晩年、先生が好まれた葉巻。平成十七年当時、郵政民営化反対を翻意させようと説得に来た盟友、麻生太郎副総理から勧められたことがきっかけで葉巻党になったと、そのときの様子を酒の席でうれしそうに語っておられましたね。  結びの前に、少し個人的なことを言わせてください。  先生は、自らの死期を悟られていたのでしょう。私に一本のお酒を下さいました。先生の大好きだった「義侠」という日本酒です。先生、このお酒を一体誰と飲めというのでしょうか。先生と御一緒に飲む「義侠」だからこそ、味わいが深くなるのではないでしょうか。とても寂しい。  また、先生がよくいらした京都の招猩庵という小料理屋さんで酒を酌み交わしながら、私の小学生の息子について、先生と流派を同じくする藤間流の舞踊が大好きで稽古をしています、落語が大好きでとても変わった男ですと紹介すると、そいつはいい、まるでわしの生き写しみたいな男だ、福ちゃんの息子ならわしの孫みたいなもんだ、その子の踊りをわしは必ず見に行くからなと、とても喜んでくれましたね。でも、今となってはもう息子の踊りを見てもらえなくなりました。とても残念です。  義理と人情と痩せ我慢、日本の保守政治家としての矜持を持っておられた先生のまなざしには、弱い者へのいたわり、厳しさの中にもあふれんばかりの優しさがございました。平成の世が終わろうとする今日、先生を亡くしたことは、参議院だけでなく、国全体にとっても大きな損失です。我々参議院議員としても先生の生きざまを深く胸に刻み、会派を超えて、政治家としての使命を精いっぱい果たしてまいりたいと存じます。  先生は、死生観の話になると、死はびっくりするほどの嘆き悲しむことではないで、いずれまた会えるんやとおっしゃっていましたよね。先生、是非またお目にかかって、日本を、天下国家を論じ合いたいと存じます。先生、大変お世話になりました。心から感謝申し上げます。  ここに、皆様と共に謹んで在りし日の故鴻池祥肇先生のお人柄と数々の御功績をしのび、御冥福と御遺族の御多幸を心よりお祈り申し上げ、哀悼の言葉といたします。
  22. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会