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2019-01-28 第198回国会 参議院 本会議 1号 公式Web版

  1. 平成三十一年一月二十八日(月曜日)    午前十時六分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第一号   平成三十一年一月二十八日    午前十時開議  第一 議席の指定  第二 国務大臣の演説に関する件     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、日程第一  一、常任委員長辞任の件  一、常任委員長の選挙  一、特別委員会設置の件  一、情報監視審査会委員辞任の件  一、情報監視審査会委員の選任  一、日程第二      ─────・─────
  2. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 第百九十八回国会は本日をもって召集されました。  これより会議を開きます。  日程第一 議席の指定  議長は、本院規則第十四条の規定により、諸君の議席をただいまの仮議席のとおりに指定いたします。      ─────・─────
  3. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) この際、お諮りいたします。  懲罰委員長溝手顕正君から委員長を辞任いたしたいとの申出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。  よって、許可することに決しました。      ─────・─────
  5. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) この際、欠員となりました懲罰委員長の選挙を行います。  つきましては、本選挙は、その手続を省略し、議長において指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、懲罰委員長に室井邦彦君を指名いたします。    〔拍手〕      ─────・─────
  7. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) この際、特別委員会の設置についてお諮りいたします。  災害に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名から成る災害対策特別委員会を、  沖縄及び北方問題に関する対策樹立に資するため、委員二十名から成る沖縄及び北方問題に関する特別委員会を、  政治倫理の確立及び選挙制度に関する調査のため、委員三十五名から成る政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会を、  北朝鮮による拉致等に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名から成る北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会を、  政府開発援助を始めとする国際援助・協力に関する諸問題を調査するため、委員三十名から成る政府開発援助等に関する特別委員会を、  消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策を樹立するため、委員二十五名から成る消費者問題に関する特別委員会を、  また、東日本大震災からの復興に当たり、その総合的な対策樹立に資するため、委員四十名から成る東日本大震災復興特別委員会を、 それぞれ設置いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。  よって、災害対策特別委員会外六特別委員会を設置することに決しました。  本院規則第三十条の規定により、議長は、議席に配付いたしました氏名表のとおり特別委員を指名いたします。     ─────────────      ─────・─────
  9. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) この際、お諮りいたします。  仁比聡平君から情報監視審査会委員を辞任いたしたいとの申出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。  よって、許可することに決しました。      ─────・─────
  11. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) この際、欠員となりました情報監視審査会委員一名の選任を行います。  情報監視審査会委員の選任は、参議院情報監視審査会規程第六条の規定により、議院の議決によることとなっております。  情報監視審査会委員に石井章君を選任することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。  よって、選任することに決しました。  これにて休憩いたします。    午前十時十分休憩      ─────・─────    午後三時五十一分開議
  13. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  日程第二 国務大臣の演説に関する件  内閣総理大臣から施政方針に関し、外務大臣から外交に関し、財務大臣から財政に関し、茂木国務大臣から経済に関し、それぞれ発言を求められております。これより順次発言を許します。内閣総理大臣安倍晋三君。    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
  14. 安倍晋三

    ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 平成最後の施政方針演説を、ここに申し述べます。  本年四月三十日、天皇陛下が御退位され、皇太子殿下が翌五月一日に御即位されます。国民こぞってことほぐことができるよう、万全の準備を進めてまいります。  内平らかに外成る、地平らかに天成る。  大きな自然災害が相次いだ平成の時代。被災地の現場には、必ず、天皇、皇后両陛下のお姿がありました。  阪神・淡路大震災で全焼した神戸市長田の商店街では、皇后陛下が焼け跡に献花されたスイセンが、復興のシンボルとして今なお地域の人々の記憶に刻まれています。  商店街の皆さんは、復興への強い決意とともに、震災後すぐに仮設店舗で営業を再開。全国から集まった延べ二百万人を超えるボランティアも復興の大きな力となりました。かつてスイセンが置かれた場所は、今、公園に生まれ変わり、子供たちの笑顔であふれています。  東日本大震災の直後、仙台市の避難所を訪れた皇后陛下に、一人の女性が花束を手渡しました。津波によって大きな被害を受けた自宅の庭でたくましく咲いていたスイセンを手に、その女性はこう語ったそうです。  このスイセンのように、私たちも頑張ります。  東北の被災地でも、地元の皆さんの情熱によって、復興は一歩一歩着実に進んでいます。平成は、日本人の底力と人々のきずながどれほどまでにパワーを持つか、そのことを示した時代でもありました。  「しきしまの大和心のをゝしさはことある時ぞあらはれにける」。  明治、大正、昭和、平成。日本人は幾度となく大きな困難に直面した。しかし、そのたびに、大きな底力を発揮し、人々が助け合い、力を合わせることで乗り越えてきました。  急速に進む少子高齢化、激動する国際情勢。今を生きる私たちもまた、立ち向かわなければならない。私たちの子や孫の世代に輝かしい日本を引き渡すため、共に力を合わせなければなりません。  平成のその先の時代に向かって、日本の明日を、皆さん、共に切り開いていこうではありませんか。  この六年間、三本の矢を放ち、経済は一〇%以上成長しました。国、地方合わせた税収は二十八兆円増加し、来年度予算における国の税収は過去最高、六十二兆円を超えています。  そして、この成長の果実を、新三本の矢によって、子育て支援を始め現役世代へと大胆に振り向けてきました。  児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で、一人親家庭の大学進学率は二四%から四二%に上昇し、悪化を続けてきた子供の相対的貧困率も、初めて減少に転じ、大幅に改善しました。平成五年以来一貫して増加していた現役世代の生活保護世帯も、政権交代後、八万世帯減少いたしました。  五年間で五十三万人分の保育の受皿を整備した結果、昨年、待機児童は六千人減少し、十年ぶりに二万人を下回りました。子育て世代の女性就業率は七ポイント上昇し、新たに二百万人の女性が就業しました。  成長の果実をしっかりと分配に回すことで次なる成長につながっていく。成長と分配の好循環によって、アベノミクスは今なお進化を続けています。  我が国の持続的な成長にとって最大の課題は、少子高齢化です。平成の三十年間で、出生率は一・五七から一・二六まで落ち込み、逆に高齢化率は一〇%から三〇%へと上昇しました。  世界で最も速いスピードで少子高齢化が進む我が国にあって、もはやこれまでの政策の延長線上では対応できない。次元の異なる政策が必要です。  子供を産みたい、育てたい。そう願う皆さんの希望をかなえることができれば、出生率は一・八まで押し上がります。しかし、子供たちの教育に係る負担がその大きな制約となってきました。  これを社会全体で分かち合うことで、子供たちを産み育てやすい日本へと大きく転換していく。そのことによって、希望出生率一・八の実現を目指します。  十月から、三歳から五歳まで全ての子供たちの幼児教育を無償化いたします。小学校、中学校九年間の普通教育無償化以来、実に七十年ぶりの大改革であります。  待機児童ゼロの目標は、必ず実現いたします。今年度も十七万人分の保育の受皿を整備します。保育士の皆さんの更なる処遇改善を行います。自治体の裁量を拡大するなどにより、学童保育の充実を進めます。  来年四月から、公立高校だけでなく、私立高校も実質無償化を実現します。真に必要な子供たちの高等教育も無償化し、生活費をカバーするために十分な給付型奨学金を支給します。  家庭の経済事情にかかわらず、子供たちの誰もが自らの意欲と努力によって明るい未来をつかみ取ることができる。そうした社会をつくり上げてこそ、アベノミクスは完成いたします。  子供たちこそ、この国の未来そのものであります。  多くの幼い命が、今も虐待によって奪われている現実があります。僅か五歳の女の子が死の間際につづったノートには、日本全体が大きなショックを受けました。  子供たちの命を守るのは、私たち大人全員の責任です。  あのような悲劇を二度と繰り返してはなりません。何よりも子供たちの命を守ることを最優先に、児童相談所の体制を抜本的に拡充し、自治体の取組を警察が全面的にバックアップすることで、児童虐待の根絶に向けて総力を挙げてまいります。  女性比率僅か三%の建設業界に、女性たちと共に飛び込んだ中小企業があります。時短勤務の導入、託児所の設置などに積極的に取り組み、職人の三割は女性です。  彼女たちが企画した健康に優しい塗料は、家庭用の人気商品となりました。女性でも使いやすい軽量の工具は、高齢の職人たちにも好んで使われるようになりました。この企業の売上げは三年で二倍、急成長を遂げています。  女性の視点が加わることにより、女性たちが活躍することにより、日本の景色は一変する。人口が減少する中にあって、次なる成長の大きなエンジンです。  女性活躍推進法を改正し、このうねりを全国津々浦々の中小企業にも広げます。十分な準備期間を設け、経営者の皆さんの負担の軽減を図りながら、女性の働きやすい環境づくりに取り組む中小企業を支援してまいります。  パワハラ、セクハラの根絶に向け、社会が一丸となって取り組んでいかなければなりません。全ての事業者にパワハラ防止を義務付けます。セクハラの相談を理由とした不利益取扱いを禁止するほか、公益通報者保護に向けた取組を強化し、誰もが働きやすい職場づくりを進めてまいります。  働き方改革。いよいよ待ったなしであります。  この四月から、大企業では、三六協定でも超えてはならない罰則付きの時間外労働規制が施行となります。企業経営者の皆さん。改革の時は来ました。準備はよろしいでしょうか。  長年続いてきた長時間労働の慣行を断ち切ることで、育児や介護など様々な事情を抱える皆さんが、その事情に応じて働くことができる。誰もがその能力を思う存分発揮できる社会に向かって、これからも働き方改革を全力で推し進めてまいります。  障害者の皆さんにも、やりがいを感じながら、社会でその能力を発揮していただきたい。障害者雇用促進法を改正し、就労の拡大を更に進めます。  人生百年時代の到来は、大きなチャンスです。  元気で意欲ある高齢者の方々にその経験や知恵を社会で発揮していただくことができれば、日本はまだまだ成長できる。生涯現役の社会に向かって、六十五歳まで継続雇用することとしている現行制度を見直し、七十歳まで就労機会を確保できるよう、この夏までに計画を策定し、実行に移します。  この五年間、生産年齢人口が四百五十万人減少する中にあっても、多くの女性や高齢者の皆さんが活躍することで、就業者は逆に二百五十万人増加いたしました。女性も男性も、お年寄りも若者も、障害や難病のある方も、全ての人に活躍の機会をつくることができれば、少子高齢化も必ずや克服できる。  平成のその先の時代に向かって、一億総活躍社会を、皆さん、共につくり上げていこうではありませんか。  少子高齢化、そして人生百年の時代にあって、我が国が誇る社会保障の在り方もまた大きく変わらなければならない。お年寄りだけではなく、子供たち、子育て世代、さらには、現役世代まで、広く安心を支えていく。全世代型社会保障への転換を成し遂げなければなりません。  高齢化が急速に進む中で、家族の介護に現役世代は大きな不安を抱いています。介護のために仕事を辞めなければならない、やりがいを諦めなければならないような社会はあってはなりません。  現役世代の安心を確保するため、介護離職ゼロを目指し、引き続き全力を尽くします。  二〇二〇年代初頭までに五十万人分の介護の受皿を整備します。ロボットを活用するなど現場の負担軽減を進めるとともに、十月からリーダー級職員の方々に月額最大八万円の処遇改善を行います。  認知症対策の強化に向けて、夏までに新オレンジプランを改定します。認知症カフェを全市町村で展開するなど、認知症の御家族を持つ皆さんを地域ぐるみで支え、その負担を軽減します。  勤労統計について長年にわたり不適切な調査が行われてきたことは、セーフティーネットへの信頼を損なうものであり、国民の皆様におわび申し上げます。雇用保険、労災保険などの過少給付について、できる限り速やかに、簡便な手続で、不足分をお支払いいたします。基幹統計について緊急点検を行いましたが、引き続き、再発防止に全力を尽くすとともに、統計の信頼回復に向け、徹底した検証を行ってまいります。  全世代型社会保障への転換とは、高齢者の皆さんへの福祉サービスを削減するとの意味では全くありません。むしろ、高齢者の皆さんに引き続き安心してもらえることが大前提であります。  六十五歳以上の皆さんにも御負担いただいている介護保険料について、年金収入が少ない方々を対象に、十月から負担額を三分の二に軽減します。年金生活者の方々に新たに福祉給付金を年間最大六万円支給し、所得をしっかりと確保してまいります。  こうした社会保障改革と同時に、その負担を次の世代へと先送りすることのないよう、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化目標の実現に向け、財政健全化を進めます。  少子高齢化を克服し、全世代型社会保障制度を築き上げるために、消費税率の引上げによる安定的な財源がどうしても必要です。十月からの一〇%への引上げについて、国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。  八%への引上げ時の反省の上に、経済運営に万全を期してまいります。  増税分の五分の四を借金返しに充てていた消費税の使い道を見直し、二兆円規模を教育無償化などに振り向け、子育て世代に還元いたします。軽減税率を導入するほか、プレミアム商品券の発行を通じて、所得の低い皆さんなどの負担を軽減します。  同時に、来るべき外国人観光客四千万人時代を見据え、全国各地の中小・小規模事業者の皆さんにキャッシュレス決済を普及させるため、思い切ったポイント還元を実施します。自動車や住宅への大幅減税を行い、しっかりと消費を下支えします。  来年度予算では、いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じ、景気の回復軌道を確かなものとすることで、戦後最大のGDP六百兆円に向けて着実に歩みを進めてまいります。  平成の日本経済はバブル崩壊から始まりました。  出口の見えないデフレに苦しむ中で、企業は人材への投資に消極的になり、若者の就職難が社会問題となりました。設備投資もピーク時から三割落ち込み、未来に向けた投資は先細っていきました。  失われた二十年。その最大の敵は、日本中に蔓延したデフレマインドでありました。  この状況に、私たちは三本の矢で立ち向かいました。  早期にデフレではないという状況をつくり、企業の設備投資は十四兆円増加しました。二十年間で最高となっています。人手不足が深刻となって、人材への投資も息を吹き返し、五年連続で今世紀最高水準の賃上げが行われました。経団連の調査では、この冬のボーナスは過去最高です。  日本企業に再び未来へ投資する機運が生まれてきた。デフレマインドが払拭されようとしている今、未来へのイノベーションを大胆に後押ししていきます。  世界は、今、第四次産業革命の真っただ中にあります。人工知能、ビッグデータ、IoT、ロボットといったイノベーションが、経済社会のありようを一変させようとしています。  自動運転は、高齢者の皆さんに、安全、安心な移動手段をもたらします。体温や血圧といった日々の情報を医療ビッグデータで分析すれば、病気の早期発見も可能となります。  新しいイノベーションは、様々な社会課題を解決し、私たちの暮らしをより安心でより豊かなものとする大きな可能性に満ちている。こうしたソサエティー五・〇を世界に先駆けて実現することこそ、我が国の未来を開く成長戦略であります。  時代遅れの規制や制度を大胆に改革いたします。  交通に関わる規制を全面的に見直し、安全性の向上に応じ、段階的に自動運転を解禁します。寝たきりの高齢者などが、自宅にいながらオンラインで診療から服薬指導まで一貫して受けられるよう、関係制度を見直します。外国語やプログラミングの専門家による遠隔教育を、五年以内に全ての小中学校で受けられるようにします。  電波は国民共有の財産です。経済的価値を踏まえた割当て制度への移行、周波数返上の仕組みの導入など、有効活用に向けた改革を行います。携帯電話の料金引下げに向け、公正な競争環境を整えます。  電子申請の際の紙の添付書類を全廃します。行政手続の縦割りを打破し、ワンストップ化を行うことで、引っ越しなどの際に同じ書類の提出を何度も求められる現状を改革します。  急速な技術進歩により経済社会が加速度的に変化する時代にあって最も重要な政府の役割は、人々が信頼し、全員が安心して新しいシステムに移行できる環境を整えることだと考えます。  膨大な個人データが世界を駆け巡る中では、プライバシーやセキュリティーを保護するため、透明性が高く、公正かつ互恵的なルールが必要です。その上で、国境を越えたデータの自由な流通を確保する。米国、欧州と連携しながら、信頼される、自由で開かれた国際データ流通網を構築してまいります。  人工知能も、あくまで人間のために利用され、その結果には人間が責任を負わなければならない。我が国がリードして、人間中心のAI倫理原則を打ち立ててまいります。  イノベーションがもたらす社会の変化から誰一人取り残されてはならない。この夏策定するAI戦略の柱は、教育システムの改革です。  来年から全ての小学校でプログラミングを必修とします。中学校、高校でも、順次、情報処理の授業を充実し、必修化することで、子供たちの誰もが人工知能などのイノベーションを使いこなすリテラシーを身に付けられるようにします。  我が国から新たなイノベーションを次々と生み出すためには、知の拠点である大学の力が必要です。若手研究者に大いに活躍の場を与え、民間企業との連携に積極的な大学を後押しするため、運営費交付金の在り方を大きく改革してまいります。  経済活動の国境がなくなる中、日本企業の競争力、信頼性を一層グレードアップさせるために、企業ガバナンスの更なる強化が求められています。社外取締役の選任、役員報酬の開示など、グローバルスタンダードに沿って、これからもコーポレートガバナンス改革を進めてまいります。  中小・小規模事業者の海外輸出は、バブル崩壊後、二倍に拡大しました。  下請から脱し、自ら販路を開拓する。オンリーワンの技を磨く。全国三百六十万者の中小・小規模事業者の皆さんは、様々な困難に遭っても、歯を食いしばって頑張ってきました。バブル崩壊後の日本経済を支え、我が国の雇用の七割を守ってきたのは、こうした中小・小規模事業者の皆さんです。  新しいチャレンジをものづくり補助金で応援します。全国的に人手不足が深刻となる中で、IT補助金、持続化補助金により、生産性向上への取組も後押しします。  四月から、即戦力となる外国人材を受け入れます。多くの優秀な方々に日本に来ていただき、経済を担う一員となっていただくことで、新たな成長につなげます。働き方改革のスタートを見据え、納期負担のしわ寄せを禁止するなど、取引慣行の更なる改善を求めます。  後継者の確保も大きな課題です。四十七都道府県の事業引継ぎ支援センターでマッチングを行うとともに、相続税を全額猶予する事業承継税制を個人事業主に拡大します。  TPPやEUとの経済連携協定は、高い技術力を持つ中小・小規模事業者の皆さんにとって、海外展開の大きなチャンスです。総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、海外でのマーケティング、販路開拓を支援してまいります。  安全でおいしい日本の農産物にも、海外展開の大きなチャンスが広がります。農林水産品の輸出目標一兆円も、もう手の届くところまで来ました。  同時に、農家の皆さんの不安にもしっかり向き合います。二次補正予算も活用し、体質改善、経営安定化に万全を尽くします。  すばらしい田園風景、緑あふれる山並み、豊かな海、伝統あるふるさと。我が国の国柄を守ってきたのは、全国各地の農林水産業です。美しい棚田を次の世代に引き渡していくため、中山間地域への直接支払などを活用し、さらに、総合的な支援策を講じます。  農こそ、国の基です。  守るためにこそ、新たな挑戦を進めなければならない。若者が夢や希望を持って飛び込んでいける、強い農業をつくります。この六年間、新しい農林水産業を切り開くために充実させてきた政策を更に力強く展開してまいります。  農地バンクの手続を簡素化します。政権交代前の三倍、六千億円を上回る土地改良予算で、意欲と能力ある担い手への農地集積を加速し、生産性を高めます。  国有林野法を改正します。長期間、担い手に国有林の伐採、植林を委ねることで、安定した事業を可能とします。美しい森を守るため、水源の涵養、災害防止を目的とした森林環境税を創設します。  水産業の収益性をしっかりと向上させながら、資源の持続的な利用を確保する。三千億円を超える予算で、新しい漁船や漁具の導入など、浜の皆さんの生産性向上への取組を力強く支援します。  平成のその先の時代に向かって、若者が自らの未来を託すことができる農林水産新時代を、皆さん、共に築いていこうではありませんか。  田植、稲刈り。石川県能登町にある五十軒ほどの農家民宿には、直近で一万三千人を超える観光客が訪れました。アジアの国々に加え、米国、フランス、イタリア、イスラエルなど、二十か国以上から外国人観光客も集まります。  昨年、日本を訪れる外国人観光客は、六年連続で過去最高を更新し、三千万人の大台に乗りました。北海道、東北、北陸、九州で三倍以上、四国で四倍以上、沖縄では五倍以上に増えています。消費額にして、四兆五千億円の巨大市場。  観光立国によって、全国津々浦々、地方創生の核となる、たくましい一大産業が生まれました。  来年の四千万人目標に向かって、海外と地方をつなぐ空の玄関口、羽田、成田空港の発着枠を八万回増やします。世界一安全、安心な国を実現するため、テロ対策などの一層の強化に取り組みます。国際観光旅客税を活用し、主要な鉄道や観光地で表示の多言語化を一気に加速します。  来年三月の供用開始に向け、那覇空港第二滑走路の建設を進めます。発着枠を大幅に拡大することで、アジアと日本とをつなぐハブ機能を強化してまいります。  北海道では、昨年、フィリピンからの新たな直行便など、新千歳空港の国際線が二十五便増加しました。雄大な自然を生かした体験型ツーリズムの拡大を後押しします。広くアイヌ文化を発信する拠点を白老町に整備し、アイヌの皆さんが先住民族として誇りを持って生活できるよう取り組みます。  観光資源などそれぞれの特色を生かし、地方が、自らのアイデアで、自らの未来を切り開く。これが安倍内閣の地方創生です。  地方の皆さんの熱意を、引き続き一千億円の地方創生交付金で支援します。地方の財政力を強化し、税源の偏在を是正するため、特別法人事業税を創設します。  十年前、東京から地方への移住相談は、その半分近くが六十歳代以上でした。しかし、足下では、相談自体十倍以上に増加するとともに、その九割が五十歳代以下の現役世代で占められています。特に、三十歳未満の若者の相談件数は、五十倍以上になりました。  若者たちの意識が大きく変わってきた今こそ、大きなチャンスです。地方に魅力を感じ、地方に飛び込む若者たちの背中を力強く後押ししてまいります。  地域おこし協力隊を、順次八千人規模へと拡大します。東京から地方へ移住し、起業、就職する際には、最大三百万円を支給し、地方への人の流れを加速します。  若者たちの力で、地方の輝ける未来を切り開いてまいります。  集中豪雨、地震、激しい暴風、異常な猛暑。昨年、異次元の災害が相次ぎました。もはや、これまでの経験や備えだけでは通用しない。命に関わる事態を想定外と片付けるわけにはいきません。  七兆円を投じ、異次元の対策を講じます。  全国で二千を超える河川、一千か所のため池の改修、整備、一千キロメートルに及ぶブロック塀の安全対策を行い、命を守る防災・減災に取り組みます。  四千キロメートルを超える水道管の耐震化、八千か所のガソリンスタンドへの自家発電の設置を進め、災害時にも維持できる、強靱なライフラインを整備します。  風水害専門の広域応援部隊を全ての都道府県に立ち上げ、人命救助体制を強化します。  ハードからソフトまであらゆる手を尽くし、三年間集中で、災害に強い国づくり、国土強靱化を進めてまいります。  九月二十日からいよいよラグビーワールドカップが始まります。五日後には、強豪フィジーが岩手県釜石のスタジアムに登場します。  津波で大きな被害を受けた場所に、地元の皆さんの復興への熱意とともに建設されました。世界の一流プレーヤーたちの熱戦に目を輝かせる子供たちは、必ずや次の時代の東北を担う大きな力となるに違いありません。  東北の被災地では、この春までに、四万七千戸を超える住まいの復興がおおむね完了し、津波で浸水した農地の九割以上が復旧する見込みです。  原発事故で大きな被害を受けた大熊町では、この春、町役場が八年ぶりに町に戻ります。  家々の見回り、草刈り、ため池の管理。将来の避難指示解除を願う地元の皆さんの地道な活動が実を結びました。政府も、インフラ整備など住民の皆さんの帰還に向けた環境づくりを進めます。  福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。復興が成し遂げられるその日まで、国が前面に立って、全力を尽くして取り組んでまいります。  来年、日本にやってくる復興五輪。その聖火リレーは福島からスタートします。最初の競技も福島で行われます。東日本大震災から見事に復興した東北の姿を、皆さん、共に世界に発信しようではありませんか。  昨年末、TPPが発効しました。来月には、欧州との経済連携協定も発効します。  いずれも単に関税の引下げにとどまらない。知的財産、国有企業など幅広い分野で、透明性の高い、公正なルールを整備しています。次なる時代の自由で公正な経済圏のモデルです。  自由貿易が、今、大きな岐路に立っています。  WTOが誕生して四半世紀、世界経済は、ますます国境がなくなり、相互依存を高めています。新興国は目覚ましい経済発展を遂げ、経済のデジタル化が一気に進展しました。  そして、こうした急速な変化に対する不安や不満が、時に保護主義への誘惑を生み出し、国と国の間に鋭い対立をも生み出しています。  今こそ、私たちは自由貿易の旗を高く掲げなければならない。こうした時代だからこそ、自由で公正な経済圏を世界へと広げていくことが我が国の使命であります。  昨年九月の共同声明にのっとって、米国との交渉を進めます。広大な経済圏を生み出すRCEPが野心的な協定となるよう、大詰めの交渉をリードしてまいります。  国際貿易システムの信頼を取り戻すためには、WTOの改革も必要です。米国や欧州と共に、補助金やデータ流通、電子商取引といった分野で、新しい時代の公正なルール作りを我が国がリードする。その決意であります。  平成のその先の時代に向かって、日本外交の新たな地平を切り開く。今こそ、戦後日本外交の総決算を行ってまいります。  我が国の外交・安全保障の基軸は、日米同盟です。  平和安全法制の成立によって、互いに助け合える同盟は、そのきずなを強くした。日米同盟は今、かつてなく強固なものとなっています。  そうした深い信頼関係の下に、抑止力を維持しながら、沖縄の基地負担の軽減に取り組んでまいります。これまでの二十年以上に及ぶ沖縄県や市町村との対話の積み重ねの上に、辺野古移設を進め、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現してまいります。  自らの手で自らを守る気概なき国を誰も守ってくれるはずがない。安全保障政策の根幹は、我が国自身の努力にほかなりません。  冷戦の終結とともに始まった平成の三十年間で、我が国を取り巻く安全保障環境は激変しました。そして、今この瞬間も、これまでとは桁違いのスピードで、厳しさと不確実性を増している現実があります。  テクノロジーの進化は、安全保障の在り方を根本的に変えようとしています。サイバー空間、宇宙空間における活動に各国がしのぎを削る時代となりました。  もはや、これまでの延長線上の安全保障政策では対応できない。陸、海、空といった従来の枠組みだけでは、新たな脅威に立ち向かうことは不可能であります。  国民の命と平和な暮らしを、我が国自身の主体的、自主的な努力によって守り抜いていく。新しい防衛大綱の下、そのための体制を抜本的に強化し、自らが果たし得る役割を拡大します。サイバーや宇宙といった領域で我が国が優位性を保つことができるよう、新たな防衛力の構築に向け、従来とは抜本的に異なる速度で変革を推し進めてまいります。  我が国の平和と繁栄を確固たるものとしていく。そのためには、安全保障の基盤を強化すると同時に、平和外交を一層力強く展開することが必要です。  この六年間、積極的平和主義の旗の下、国際社会と手を携えて、世界の平和と繁栄にこれまで以上の貢献を行ってきた。地球儀を俯瞰する視点で、積極的な外交を展開してまいりました。  平成のその先の時代に向かって、いよいよ総仕上げのときです。  昨年秋の訪中によって、日中関係は完全に正常な軌道へと戻りました。国際スタンダードの下で競争から協調へ、互いに脅威とはならない、そして、自由で公正な貿易体制を共に発展させていく。習近平主席と確認した今後の両国の道しるべとなる三つの原則の上に、首脳間の往来を重ね、政治、経済、文化、スポーツ、青少年交流を始め、あらゆる分野、国民レベルの交流を深めながら、日中関係を新たな段階へと押し上げてまいります。  ロシアとは、国民同士、互いの信頼と友情を深め、領土問題を解決して平和条約を締結する。戦後七十年以上残されてきたこの課題について、次の世代に先送りすることなく、必ずや終止符を打つとの強い意志をプーチン大統領と共有しました。首脳間の深い信頼関係の上に、一九五六年宣言を基礎として、交渉を加速してまいります。  北朝鮮の核、ミサイル、そして最も重要な拉致問題の解決に向けて、相互不信の殻を破り、次は私自身が金正恩委員長と直接向き合い、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動いたします。北朝鮮との不幸な過去を清算し、国交正常化を目指します。そのために、米国や韓国を始め国際社会と緊密に連携してまいります。  北東アジアを真に安定した平和と繁栄の地にするため、これまでの発想にとらわれない、新しい時代の近隣外交を力強く展開いたします。  そして、インド洋から太平洋へと至る広大な海と空を、これからも、国の大小にかかわらず、全ての国に恩恵をもたらす平和と繁栄の基盤とする。このビジョンを共有する全ての国々と力を合わせ、日本は、自由で開かれたインド太平洋を築き上げてまいります。  中東地域の国々とは、長年、良好な関係を築いてきました。その歴史の上に、中東の平和と安定のため、日本独自の視点で積極的な外交を展開してまいります。  TICADがスタートして三十年近くがたち、躍動するアフリカはもはや援助の対象ではありません。共に成長するパートナーです。八月にTICADを開催し、アフリカが描く夢を力強く支援していきます。  世界の平和と繁栄のために、日本外交が果たすべき役割は大きなものがある。地球規模課題の解決についても、日本のリーダーシップに強い期待が寄せられています。  我が国は四年連続で温室効果ガスの排出量を削減しました。他方で、長期目標である二〇五〇年八〇%削減のためには非連続的な大幅削減が必要です。環境投資に積極的な企業の情報開示を進め、更なる民間投資を呼び込むという、環境と成長の好循環を回すことで、水素社会の実現など革新的なイノベーションを我が国がリードしてまいります。  プラスチックによる海洋汚染が、生態系への大きな脅威となっています。美しい海を次の世代に引き渡していくため、新たな汚染を生み出さない世界の実現を目指し、ごみの適切な回収、処分、海で分解される新素材の開発など、世界の国々と共に、海洋プラスチックごみ対策に取り組んでまいります。  本年六月、主要国のリーダーたちが一堂に会するG20サミットを、我が国が議長国となり、大阪で開催します。  世界経済の持続的成長、自由で公正な貿易システムの発展、持続可能な開発目標、地球規模課題への新たな挑戦など、世界が直面する様々な課題について、率直な議論を行い、これから世界が向かうべき未来像をしっかりと見定めていく。そうしたサミットにしたいと考えています。  これまでの地球儀俯瞰外交の積み重ねの上に、各国首脳と築き上げた信頼関係の下、世界の中で日本が果たすべき責任をしっかりと果たしていく決意です。  平成のその先の時代に向かって、新しい日本外交の地平を開き、世界から信頼される日本を、皆さん、勇気と誇りを持って、共につくり上げていこうではありませんか。  二〇二五年、日本で国際博覧会が開催されます。  一九七〇年の大阪万博。リニアモーターカー、電気自動車、携帯電話。夢のような未来社会に子供たちは胸を躍らせました。  驚異の世界への扉をいつか開いてくれる鍵、それは科学に違いない。  会場で心震わせた八歳の少年は、その後、科学の道に進み、努力を重ね、世界で初めてiPS細胞の作製に成功しました。ノーベル生理学・医学賞を受賞し、今、難病で苦しむ世界の人々に希望の光をもたらしています。  二〇二〇年、二〇二五年を大きなきっかけとしながら、次の世代の子供たちが輝かしい未来に向かって大きな力を感じることができる、躍動感あふれる時代を、皆さん、共に切り開いていこうではありませんか。  憲法は、国の理想を語るもの、次の時代への道しるべであります。私たちの子や孫の世代のために、日本をどのような国にしていくのか。大きな歴史の転換点にあって、この国の未来をしっかりと示していく。国会の憲法審査会の場において、各党の議論が深められることを期待いたします。  平成のその先の時代に向かって、日本の明日を切り開く。皆さん、共にその責任を果たしていこうではありませんか。  御清聴ありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  15. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 外務大臣河野太郎君。    〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕
  16. 河野太郎

    ○国務大臣(河野太郎君) 第百九十八回国会に当たり、所信を申し述べます。今回が私の二度目の外交演説となりますが、昨年の外交演説の中で申し上げた六本の柱を、引き続き外交政策の中心に据えてまいります。  第一に、日本の平和と安全を確保していく上で、日米関係を一層強化し、日米同盟の抑止力と対処力を一層向上させます。同時に、普天間飛行場の一日も早い辺野古移設を含め、地元の負担軽減に全力で取り組むとともに、沖縄の一層の成長につながる国際化支援を進めます。さらに、米国の協力を得て英語教育を推進します。  加えて、自由、民主主義、基本的人権、法の支配、国際法の尊重など共通の価値観を持つ国々との連携を強めていきます。インド、豪州、EUや欧州主要国等、戦略的利益を共有する各国との枠組みや、ASEANを含めたアジア太平洋の地域協力等、同盟国、友好国のネットワーク化を推進します。  第二に、我が国周辺の安全保障環境を踏まえつつ、近隣諸国等との関係の強化を進めます。ロシアとは、一九五六年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させるとの首脳間の合意を踏まえ、領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、交渉責任者として粘り強く交渉に取り組みます。  大局的観点からの中国との安定的な関係構築は極めて重要です。首脳間を含めたハイレベルの往来を通じ、経済関係のみならず、国民レベルの交流を深め、信頼関係の強化を図ります。他方、東シナ海における一方的な現状変更の試みは、断じて認められません。引き続き、冷静に、かつ毅然と対応してまいります。  国際社会は核武装した北朝鮮を決して受け入れません。核・ミサイル問題を解決し、正しい道を歩めば明るい未来を描くことができるということを北朝鮮の現体制に示し、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及び弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄まで国際社会の団結を維持するとともに、拉致問題の早期解決に向けた努力を続けます。  韓国に対しては、日韓請求権・経済協力協定、慰安婦問題に関する日韓合意など、国際的な約束事をしっかりと守ることを強く求めていきます。また、日本固有の領土である竹島については、日本の主張をしっかりと伝え、粘り強く対応します。  第三に、WTOを中心とするルールに基づく多角的貿易体制をしっかりと守り、改革する努力の旗振り役を務めます。また、官民連携の推進による日本企業の海外展開支援、再生可能エネルギーの利活用を含めた資源外交、インバウンド観光の促進、日本産商品への風評被害対策、海外で日本企業が直面する知的財産侵害対策、鯨類を含む生物資源の持続可能な利活用等の取組等、積極的な経済外交を進めていきます。本年、日本で開催されるG20の議長国として、世界経済の成長を牽引するためにリーダーシップを発揮していきます。  第四に、地球規模課題の解決への一層積極的な貢献をしていきます。  国連の安保理は、もはや二十一世紀の現実を反映していません。安保理を改革していくことは、日本だけでなく国際社会の喫緊の課題です。まず、改革のための正式な交渉を始めることを目標にします。  唯一の戦争被爆国である日本にとって、核軍縮・不拡散は重要な問題です。核兵器のない世界の実現に向け、核兵器不拡散条約の維持強化や核軍縮の実質的な進展のための賢人会議の開催等を通じ、核兵器国と非核兵器国といった立場の異なる国々の橋渡しに努め、核軍縮・不拡散の現実的かつ実践的な取組を主導します。  地球規模課題への対応が急務となる中、SDGsの達成に向けて、日本が主導してきた人間の安全保障の考え方に基づき、誰一人取り残さない社会を実現するための取組を進めていきます。  気候変動問題は最も重要な課題の一つです。気候変動は北極にまで影響を及ぼしており、環境変化のメカニズムの解明、その影響を理解することが重要です。また、我が国の知見や技術を生かし、パリ協定の着実な実施を始め、気候変動の影響にしっかり立ち向かいます。  このほか、海洋プラスチックごみ対策やユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進にも取り組みます。G20大阪サミットを見据え、これら諸課題に対しリーダーシップを発揮します。  イラク、シリアにおけるイスラム国の支配地域が大幅に縮小したものの、外国人テロ戦闘員が出身国や第三国へ帰還、移転したことにより、テロ及び暴力的過激主義の脅威もアジアも含めて世界中に拡散しています。関係各国とテロ対策に関する協力を強化し、穏健化の促進等に取り組みます。また、在外邦人の安全確保に万全を期してまいります。  第五に、引き続き対中東政策を強化していきます。中東の平和と安定は、日本を含む世界の平和や経済の繁栄に直接関わってきます。それゆえに、中東地域における政治的な関与の強化が必要です。日本は、宗教、宗派や民族的な観点から中立であり、中東地域に何ら負の歴史的足跡を残したことはありません。また、中東に影響力のある米国と強固な同盟関係にあります。このような強みを持つ日本だからこそ果たせる役割があります。ようやく日本も中東におけるプレーヤーの一つと認識されるようになりました。引き続き、日本の中東への関わり方を示す河野四箇条、すなわち、知的・人的貢献、人への投資、息の長い取組、政治的取組の強化の四箇条の下、中東の平和と安定に向け一層の役割を果たしていきます。  第六に、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて努力を続けます。法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序とシーレーンの安全は、国際社会の安定と繁栄の礎です。そのために、航行の自由や法の支配の普及、定着、国際スタンダードにのっとった質の高いインフラ整備による連結性の向上、海洋安全保障分野の能力構築支援の三つを、ASEAN諸国、米国、豪州、インド、ニュージーランド等、関係国と緊密に連携しながら、具体的に進めます。  今回は、これらに加えて幾つかのことを申し上げたいと思います。  日本は、軍事力を背景とした外交を行うことはありません。一方、我が国外交の大きな柱であるODAは、ピークからほぼ半減しています。知恵と工夫による我が国の裸の外交力が試される時代になりました。裸の外交力を高めるためにも、外交活動を支える足腰を強固にする必要があります。  そのためには、外務省に良い人材を集め、更にその人材に磨きを掛けなければなりません。外務省では、全職員の約三割、来年度入省する職員の約半数が女性であります。また、全職員の約六割、約三千五百名が在外公館で勤務しています。共働きの職員、介護を抱える職員など、様々な事情を抱える職員がそれぞれの持ち場で活躍しています。  しかしながら、現在、外務省の業務は飛躍的に増大しているため、一部の外務省職員の残業時間は、これまで累次の機会に述べているとおり大変深刻な状況にあります。このような状況が続けば、外務省に優秀な人材が集められないという状況にも陥ります。  それぞれの職員が、普通に家族と時間を過ごし、育児休業などの休業や休暇制度を活用し、子育てや介護など、家庭と仕事を持続的に両立できる体制の整備により一層取り組む必要があります。立法府にも、是非このような状況を御理解いただきたいと思います。  さらに、多様な人材が活躍できる組織とする上で、障害者の雇用にも全力で取り組み、障害者が活躍できる環境を整えていく所存です。  もちろん、外交の責任者としての外務大臣の責任も重大です。  国連安保理の非常任理事国選挙を始め、国際司法裁判所の裁判官の選挙、北朝鮮に関する安保理決議の完全履行、あるいは国連改革など、国際場裏で日本への支持を獲得するためにはトップセールスが欠かせません。また、多くの国際会議はますます各国の利害が激しくぶつかり合う場になっており、日本の立場を反映させるためには、事前の連携、事後の調整が欠かせません。  外務大臣就任以来、日本の外務大臣として初となる国々九か国を含め六十三の国と地域、延べにして九十四の国・地域を訪問しましたが、ノー・カントリー・シャル・ビー・レフト・ビハインド、どの国も取り残さないという精神で、身を粉にして職務に努めてまいります。そのためには、外務大臣の海外出張を効率化すると同時に、ロジを簡素化する必要があります。  今、日本外交の大きな武器になりつつあるのが、二〇一三年にユネスコでも無形文化遺産に登録された和食です。現実に、多くの国で、大統領や首相が積極的に大使公邸に足を運んでくださっています。そのためには、腕の良い公邸料理人を確保し続けることが大切です。  日本外交の最大の課題は、自由、民主主義、基本的人権、法の支配、国際法の尊重といった基本的価値に基づいた国際秩序を様々な方面からの挑戦から守り続けることにあります。  ある国で経済が発展すれば、その国民は次に民主主義を求めるようになると私は信じています。しかし、最近の国際的な経済の発展に比べ、民主化の遅れが見受けられます。基本的価値に基づく国際秩序に対抗する秩序をつくり上げようとする動きとは、断固戦わなくてはなりません。  他方、民主化を目指すならば、その道筋は一つではありません。その国なりの民主化の道筋、速度があるはずです。押し付けではなく、その国に寄り添った民主化支援を目指します。G7などの場で、基本的価値に基づいた国際秩序の中でそれぞれの速度で民主化を目指すアジアの声をしっかりと代弁していきます。  サイバー空間においても、近年、一部の国が管理、統制する潮流が出てきています。過度な管理、統制に対し、我が国は、民間や学術界、市民社会から幅広い参加を促す国際的なマルチステークホルダーの取組に基づき、自由、公正かつ安全なサイバー空間を堅持していきます。  また、人工知能、IoT、第五世代移動通信システム等の技術の発展は、新しいサービスを生み出し、社会的価値を創出する一方、サイバー攻撃に対する社会の脆弱性を増しています。こうした脅威に一国のみで対応することは容易ではなく、国際社会全体との連携が不可欠です。こうした認識の下、日本は、法の支配の推進、信頼醸成措置の推進、能力構築支援を三本柱としてサイバー外交を推し進め、自由、公正かつ安全なサイバー空間を実現していきます。  自律型致死兵器システム、LAWSと呼ばれる、人工知能を搭載し、人間の関与なしに人を殺傷する兵器に関しても、国際的な議論が始まっています。かつて、火薬や核兵器が戦争の在り方を変えたように、人工知能も戦争の在り方を根本から変える可能性があります。映画「ターミネーター」のように人工知能が人間の関与なしに自ら判断し人間を殺りくするリスクもあれば、人工知能の活用により、低コストで兵隊を置き換えられる可能性もあります。既に多くの国では開発競争が始まっており、我が国は有意な人間の関与が必須であるとの立場から、日本の安全保障の観点も考慮しつつ、国際的なルール作りに積極的に関わっていきます。  ODAに関しては、背伸びをせず、身の丈に合った、人間の安全保障を中心とする日本らしいODAを目指します。  ODAに対する理解を国民の間で深めていくためにも、ODAの効果を明確に示していく必要があります。保健、教育、女性又は農業などの支援に関しては、国際的にも効果を数字で示せるようになりつつあります。税金を使う以上、ODAも結果にコミットすることが必要です。  今年は、横浜で第七回アフリカ開発会議が開催されます。アフリカでは、選挙、議会、法律、司法、治安、徴税、入国管理など国家の制度に対する国民の信頼が低く、国家の公式な統治機構よりも民族や文化や宗教的な結び付きが重視されてしまう国がまだあります。それが温床となって、内戦や宗教的対立、テロが頻発し、開発が遅れます。アフリカにおける平和構築、特に国家の制度構築の取組に対し積極的に手を差し伸べていきます。その一方、成長著しいアフリカは二十一世紀最後のフロンティアとも言われ、大きな潜在力を持っています。TICADⅦへ向けて、官民の連携を通じた日・アフリカ間の貿易投資、アフリカの経済成長のための人材育成、質の高いインフラ整備の一層の促進を図る考えです。  今や、世界的に難民、避難民の数は約七千万人に達し、第二次世界大戦後、最多となっています。気候変動の影響で台風や集中豪雨などの自然災害は激甚することが予想されています。二〇三〇年までにSDGsを達成するためには、毎年二兆五千億ドルの資金ギャップを克服しなければならないと言われていますが、我が国を始め、先進国の多くは厳しい財政制約に直面しています。そのため、革新的な資金調達メカニズムが必要です。グローバリゼーションから利益を得た者が、その利益の一部を人道支援のために国際機関に提供することが求められます。国際的な取組の進展状況等を踏まえつつ、グローバリゼーションがもたらす利益の一部を活用し、それを地球規模課題の対策に充てる国際的な資金調達の方法は、議論を深める価値のある一つのアイデアです。日本はこうした議論の先頭に立ってまいります。  OECDのDACルールの下では、一人当たりGNIが一定水準を超えた国はODAカウントの対象から外れます。しかし、気候変動の中、島嶼国のように災害のリスクが高まっていく国もある中で、柔軟な対応が求められています。ODAにカウントされるか否かにかかわらず、支援を必要としている人をしっかり支援してまいります。  発展途上国の経済の多くは、ODAだけでなく、日本からの投資を求めています。ODA予算が限られている中で、民間の投資を動員することも今後の日本外交にとって大変重要です。大企業だけでなく中小企業も積極的に海外に出ていけるように、情報提供やODAを活用した海外展開支援をしっかりと行っていきます。  また、昨年末に発効したTPP11の拡大や発効が確定した日EU・EPA、さらにはRCEP交渉の早期妥結のように大規模な自由貿易の取組を進めるだけでなく、経済規模が小さな国・地域とのFTAや投資協定も戦略的に進めていきます。北京やソウルと比べると、東京から直行便が飛んでいる国、都市の数は限られています。民間活力を外交に生かすためにも、国交省と連携し、直行便を増やし、投資や観光の交流を増やしていく必要があります。  今や、漫画やアニメを入口として日本語や日本の文化にも興味を持つ若者が世界中に増えています。ドラえもん、ハローキティやピカチュウは今や国際的キャラクターですし、すしやラーメンのレストランは世界中で見ることができます。漫画やアニメだけでなく、日本のテレビ番組や映画、音楽、和食や飲物、ゲームなど、様々な形で日本の文化を世界に向けて発信し続けていく必要があります。残念ながら、文化予算は、フランスはもとより、韓国と比較しても少ないのが現状であり、日本も一層力を入れる必要があります。一方、国の予算だけでは限界があります。官民協力に取り組みつつ、文化で稼げるようにすることも大切です。  日本の自然、文化は多くの外国人観光客を引き付けています。二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会、さらに二〇二五年の大阪万博に向け、被災地の復興ぶりも積極的に国際社会に発信し、インバウンド観光促進にも貢献していきます。  日本が様々な外交政策を推進し、基本的価値に基づく国際秩序を実現していくためにも、日本の政策、取組の戦略的な対外発信により努めます。特に、歴史認識や領土保全における日本の立場を発信していくことは極めて重要です。  日本を理解し、支持、応援してくれる親日派、知日派を発掘し、育てていくことも極めて重要です。また、日本語教育は、外国人材の円滑な受入れや外国人と日本人の共生社会の実現のためにも重要であり、その観点からも海外における日本語教育に取り組んでいきます。しかし、残念ながら、英語はもとより、フランス語、スペイン語、中国語等にも学習者数において大きく後れを取っています。地道な取組が必要です。日系社会との連携も重要です。日系社会とのきずなを一層深められるような取組を一層強化していく必要があります。  外交は、外務省だけ、政府だけで行うものではありません。日本全体の力を使った外交が必要です。無償資金協力や技術協力にもっとNGOの力を活用しなければなりません。いや、活用できるNGOを育てていかなければなりません。そのために、ODAに関する有識者懇談会から提出された提言も踏まえて、日本NGO関連予算をまずは三割程度積み増し、実施状況を見つつ、段階的に引き上げてまいります。その中で、NGOの一般管理費の引上げについては、最大一五%を見据えて検討していきます。  JICAのガバナンスを確立すると同時に、ODAの実施に関してもJICAと競争できる実施主体を養成していきます。健全な競争関係を確保しつつ、ODAの全体像の中でNGOや開発コンサルティング等の実施主体の特性を踏まえ、日本全体としての顔の見えるODAを実施してまいります。コンサルティングの分野も抜本的に改革し、国際的な競争力を強化していきます。  国連を始めとする国際機関で活躍する日本人を増やすことも急務です。国際機関に対して、日本人の職員、幹部の数の増加を日本の拠出金とリンクさせることを明言していますが、そもそも、応募者の絶対数が足りません。若手でも英語力などの問題で国連の採用試験に受かる者がほとんどおらず、JPOからの採用しかほぼ道がないため、国連機関に採用される若手の人数はJPO予算に制約されます。短期的な対策として、海外に留学している日本人学生に対して国際機関に関するガイダンスを強化していきます。国家公務員をJPOとして国際機関に派遣することを復活させます。  また、国際機関の職員の幹部登用を後押しするため、上を狙う国際機関の日本人のために外務省のポストを活用していきます。  日本で高等教育を受けても英語ができるようにならないことが、国際機関だけでなく、日本人が様々な場面で活躍する際の障壁となっています。美しい日本語か英語かの選択ではありません。どちらも必要です。英語教育の抜本的な改革は急務です。文科省と連携していきます。  国際機関の中でも重要な組織のトップを取るために、各国は、首相や閣僚経験者を始め、政治家の候補者を擁立してきています。これに対抗し、国際機関のトップを取るためには、日本も政治家を候補者として擁立していく必要があります。そのためにも、与野党の枠を超え、適材を適所に擁立することが必要です。我こそはと思う方は是非名のりを上げていただきたいと思います。外務省は全力で御支援申し上げます。  私は、これからも日本の国益や平和をしっかり守りながら、世界の平和と安定に貢献していく考えです。  議員各位そして国民の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  17. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 財務大臣麻生太郎君。    〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
  18. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 平成三十一年度及び平成三十年度第二次補正予算の御審議に当たり、財務政策等の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、予算の大要を御説明させていただきます。  日本経済につきましては、企業部門の改善が家計部門に広がり、好循環が進展する中で、今回の景気回復期間は、昨年十二月時点で戦後最長に並んだと見られ、緩やかな回復を続けております。  このような状況の下、引き続き、経済再生と財政健全化に着実に取り組んでいく必要があり、その鍵となりますのは、少子高齢化への対応であります。その一環として、全世代型社会保障制度の確立とその持続可能性の確保が極めて重要であります。この観点から、新経済・財政再生計画に沿った歳出改革等を行うとともに、本年十月の消費税率の引上げを実施することにより、安定的な財源を確保いたします。  消費税率の引上げに当たっては、需要の変動を平準化するための十分な支援策を講じるなど、あらゆる施策を総動員し、経済の回復基調が持続するよう、全力で対応してまいります。  世界経済につきましては、緩やかな回復を続けている一方、下方リスクも存在をしております。その中で、本年、日本は、G20議長国として、G20財務大臣中央銀行総裁会議を日本で初めて開催いたします。議長国としての機会を積極的に利用し、世界経済の持続可能で包摂的な政策の実現のための基盤づくりに向けて、活発で建設的な議論を主導していく所存であります。  続いて、平成三十一年度予算及び税制改正の大要を御説明させていただきます。  平成三十一年度予算は、現下の重要な課題に的確に対応しつつ、経済再生と財政健全化の両立を実現するものといたしております。  具体的には、本年十月に予定される消費税の増収分を活用し、全世代型の社会保障制度への転換に向けて、幼児教育、保育の無償化を始め、社会保障の充実のため、約七千二百億円を計上いたしております。  次に、消費税率の引上げに伴う需要変動を平準化するため、通常分の予算に加えて、臨時特別の措置を講じることとし、中小小売業等に対するポイント還元や、低所得、子育て世帯向けのプレミアム付き商品券などの対策に合計二兆三百億円を計上いたしております。  こうした特別の措置の一環として、防災や国民経済、生活を支える重要インフラの機能維持を図るための防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策のうち、平成三十一年度に行う事業に対し約一兆三千五百億円を計上いたしております。  一方で、新経済・財政再生計画の初年度として、その方針に沿って歳出改革の取組を継続するなど、歳出全般にわたり見直しを行い、新規国債発行額を約一兆三百億円減額いたしております。この結果、新規国債発行額は安倍内閣発足以来七年連続で縮減することとなり、平成二十四年度当初予算と比較して約十一兆五千八百億円の減額となっております。  歳出につきましては、通常分の予算と臨時特別の措置との合計で、一般歳出が約六十一兆九千六百億円であり、これに地方交付税交付金等約十五兆九千九百億円及び国債費約二十三兆五千百億円を加えた一般会計総額は、約百一兆四千六百億円となっております。  一方、歳入につきましては、租税等の収入は過去最高となります約六十二兆五千億円、その他収入約六兆三千億円を見込んでおります。また、公債金は約三十二兆六千六百億円となっております。  次に、主要な経費について申し述べます。  社会保障関係費につきましては、新経済・財政再生計画に沿って様々な歳出抑制努力を積み重ねた結果、実質的な伸びを高齢化による増加分に収めるといった方針を達成させていただいております。また、消費税増収分を活用し、幼児教育、保育の無償化のほか、低所得高齢者の介護保険料の更なる軽減強化、年金生活者支援給付金の支給などを行うことといたしております。  文教及び科学振興費につきましては、教職員定数において効率化と必要な分野の充実を図るほか、幼児教育や高等教育の経済的負担の軽減、大学改革、安全、安心な学校の施設整備等を推進することといたしております。また、若手研究者に重点的に資源配分を行うなど科学技術基盤を充実するとともに、イノベーションを促進することといたしております。  地方財政につきましては、地方の一般財源総額を適切に確保しつつ、臨時財政対策債の発行を大幅に縮減するなど、地方財政の健全化に資する内容となっております。  防衛関係費につきましては、新たに作成されました防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画を踏まえ、現下の厳しさを増します安全保障環境に対応するための防衛力の充実強化を図るとともに、防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底することといたしております。  公共事業関係費につきましては、地方公共団体に対して計画的、集中的な支援を行うための個別補助化や、老朽化対策のほか、生産性向上のためのインフラ整備への重点化を推進することといたしております。  経済協力費につきましては、戦略的外交を後押しする観点から、自由で開かれたインド太平洋の具体化に重点化しつつ、ODAは予算、事業量とも必要な額を確保いたしております。  中小企業対策費につきましては、生産性向上のための設備投資等への支援や事業承継支援を充実するほか、資金繰り対策にも万全を期すことといたしております。  エネルギー対策費につきましては、水素社会の実現に向けたイノベーションを促進するほか、電力インフラや燃料供給インフラの強靱化に取り組むことといたしております。  農林水産関係予算につきましては、水産資源管理の強化と成長産業化を推進するために必要な支援を充実するほか、農林水産業の輸出力強化に取り組むことといたしております。  東日本大震災からの復興につきましては、復興のステージに応じた課題に対応するため、平成三十一年度東日本大震災復興特別会計の総額を約二兆一千三百億円といたしております。  平成三十一年度財政投融資計画につきましては、成長力強化に向けて、低金利を利用した高速道路整備と関西国際空港の防災機能強化の加速、産業投資を呼び水とした民間からのリスクマネー供給強化等、真に必要な資金需要に適切に対応するため、総額約十三兆一千二百億円といたしております。  国債管理政策につきましては、借換債等を含みます国債発行の総額が約百四十九兆円と依然として極めて高い水準にある中で、引き続き市場との緊密な対話に基づき適切に運営いたしてまいります。  平成三十一年度税制改正につきましては、消費税率の引上げに際し、需要変動の平準化等の観点から住宅と自動車に対する支援を講じるとともに、デフレ脱却と経済再生を確実なものとするため、研究開発税制の見直し等を行うことといたしております。  このほか、国際的な租税回避に効果的に対応するための国際課税制度の見直し、経済取引の多様化を踏まえた納税環境の整備等を行うことといたしております。  次に、平成三十年度第二次補正予算の大要について申し述べます。  一般会計につきましては、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策のうち初年度の対策として速やかに着手すべきものを始め、喫緊の課題に対応するための追加的な財政需要について約三兆四百億円の歳出の追加を行うことといたしております。また、国債整理基金特別会計や交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入れを行っております。  この財源面につきましては、歳出において、既定経費を約一兆二千九百億円減額しております。また、歳入において、税収約八千五百億円及び税外収入約一千四百億円の増収のほか、前年度剰余金約七千百億円を計上し、建設公債約一兆三千百億円を発行するとともに、特別公債金三千億円を減額することといたしております。  この結果、平成三十年度一般会計第二次補正後予算の総額は、一般会計第一次補正後予算に対して歳入歳出とも約二兆七千百億円増加し、約百一兆三千六百億円となります。  また、特別会計予算につきましても、所要の補正を行っております。  以上、財政政策等の基本的な考え方と、平成三十一年度及び平成三十年度第二次補正予算の大要について御説明を申し上げた次第です。  新しい時代に向かって、経済再生と財政健全化の両立を実現するとともに、世界経済の動向などの先行きに十分に目配りをし、経済の回復基調を持続させる必要があります。こうした状況を踏まえると、本予算及び関連法案の一刻も早い成立が必要であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただくとともに、財政政策等について、国民の皆様及び議員各位の御理解と御協力を切にお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  19. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 国務大臣茂木敏充君。    〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
  20. 茂木敏充

    ○国務大臣(茂木敏充君) 経済財政政策担当大臣として、我が国経済の現状と課題、政策運営の基本的考え方について所信を申し述べます。  日本経済は、六年にわたるアベノミクスの推進により、大きく改善しています。名目GDPは五百五十兆円と過去最大、企業収益も過去最高の八十三兆円を記録しました。雇用環境も大幅に改善し、有効求人倍率は四十四年ぶりの高水準、失業率は二十五年ぶりの低さとなっています。アベノミクス開始とともに始まった今回の景気回復は、昨年十二月で七年目に入り、戦後最長期間に並んだと見られます。  本日閣議決定した政府経済見通しでは、来年度の日本経済についても、十月に予定される消費税率の引上げに対して万全の対応を図ることなどにより、経済成長率は、実質で一・三%程度、名目で二・四%程度と、内需を中心とした堅調な景気回復を見込んでいます。  ただし、通商問題が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等のリスク要因には十分注意しながら、経済運営に万全を期してまいります。  その上で、経済成長を更に持続させ、加速させていくためには、日本経済が直面する大きな壁、少子高齢化の進展、経済成長と財政健全化の両立、そして保護主義と通商問題、これら三つの課題に全力で取り組んでいくことが必要であると考えています。  一つ目の壁は、急速に進む少子高齢化です。教育無償化やリカレント教育の充実で質の高い人材を育成するとともに、健康長寿に向けた取組を進めます。さらに、人生百年時代に対応し、これまでの雇用制度や社会保障制度全体を見直し、誰もが幾つになっても安心し活躍できる全世代型社会保障へと改革していきます。  まず、本年夏までに、働く意欲のある高齢者が何歳になっても働き続けられる社会を目指して、六十五歳以上への継続雇用年齢の引上げに向けた検討を進めます。また、新卒一括採用の見直しや中途採用、経験者採用の拡大を図り、誰もがその能力を十分に発揮できる社会を目指します。  これらの改革は、人材の質を高め、人生の再設計を可能とするための改革であり、その実現は全世代型社会保障制度の基盤となります。こうした基盤を整備した上で、本年夏頃から、負担と給付の見直しも含めた社会保障制度全体の改革を本格的に検討していきます。  また、日本経済の課題である潜在成長率の向上に向け、成長戦略を更に加速させる必要があります。今、世界では、AI、IoT、ビッグデータなど、第四次産業革命の技術革新によって、より高度な経済、より便利で豊かな生活、いわゆるソサエティー五・〇が実現しつつあります。  人手不足感が高まる我が国においても、これを労働生産性向上のチャンスと捉え、例えば、車の無人自動走行といった次世代モビリティー、ビッグデータに基づく最適な予防、ケア、医療サービスを提供する次世代ヘルスケアシステム、さらに、金融分野でのフィンテック、キャッシュレス化など、ソサエティー五・〇の実現に向けた取組を一気に進めます。  二つ目の壁は、経済成長と財政健全化の両立です。政府として、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、経済・財政一体改革に着実に取り組み、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化、債務残高GDP比の安定的な引下げを目指します。  本年十月に予定されている消費税率の引上げは、財政健全化だけでなく、幼児教育、高等教育の無償化など、人づくり革命の実現、社会保障の充実、安定化に不可欠なものです。  ただし、引上げ前後に駆け込み需要、反動減といった大きな需要変動が生じると、景気の回復力は弱まり、結果的に経済、そして財政にも悪影響が及んでしまいます。前回の引上げ時の経験を生かし、あらゆる施策を総動員して万全の対応を図ってまいります。  今回、消費税率引上げの実質的な負担は、幼児教育の無償化や軽減税率の導入など、既に決められている負担軽減措置により二兆円程度に抑えられます。これに対し、新たに低所得者や中小・小規模事業者に対する支援策、自動車、住宅といった耐久消費財の需要平準化措置、防災・減災、国土強靱化を通じたマクロの需要下支え策など、合計二・三兆円程度の予算、税制措置、消費税率引上げによる経済への影響を乗り越える十二分の対策を講じてまいります。  三つ目の壁は、保護主義と通商問題です。今、世界で保護主義の動きが広がる中、我が国が主導して自由貿易システムを守っていかなければなりません。  昨年十二月三十日に、TPP11が発効しました。一昨年一月の米国のTPP離脱以降、まさに我が国が主導して交渉を進めてきましたが、それが今、結実したわけです。また、本年二月一日には日EU・EPAも発効します。TPP11と日EU・EPAの経済効果を合算すると、GDP押し上げ効果十三兆円、七十五万人の雇用増と大きな効果が見込まれ、日本経済の新たな成長エンジンとなることが期待されます。  そして、保護主義や海外経済のリスクが懸念される今だからこそ、我が国には、自由貿易の旗手として、TPPや日EU・EPAなど、二十一世紀型の自由で公正な共通ルールを世界に広げていく動きを主導していく役割が求められています。  米国ともこれらの課題について議論を進めます。昨年九月の日米首脳会談で、日米物品貿易協定の交渉を開始することに合意しました。その日米共同声明には、農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であることなど、日本の立場が明記されています。この共同声明に基づき、我が国の国益に沿って今後の日米交渉をしっかりと進めてまいります。  以上、日本経済が乗り越えるべき三つの壁は、日本が直面する課題であると同時に、やがて先進国や世界各国が直面していく課題でもあります。日本がフロントランナー、課題先進国として世界に向けて解決モデルを示していく、このことに全力で取り組んでまいります。国民の皆様、議員各位の御理解と御協力をよろしくお願いいたします。(拍手)
  21. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) ただいまの演説に対する質疑は後日に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 伊達忠一

    ○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十五分散会