運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2018-12-06 第197回国会 参議院 財政金融委員会 3号 公式Web版

  1. 平成三十年十二月六日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十一月二十二日     辞任         補欠選任      足立 敏之君     林  芳正君      朝日健太郎君     宮沢 洋一君      辰巳孝太郎君     小池  晃君  十一月二十六日     辞任         補欠選任      松川 るい君     鴻池 祥肇君      礒崎 哲史君     古賀 之士君  十一月二十七日     辞任         補欠選任      長峯  誠君     山田 俊男君  十一月二十八日     辞任         補欠選任      鴻池 祥肇君     岡田 直樹君      羽生田 俊君     武見 敬三君      山田 俊男君     長峯  誠君      古賀 之士君     榛葉賀津也君  十一月二十九日     辞任         補欠選任      岡田 直樹君     松川 るい君      武見 敬三君     羽生田 俊君      榛葉賀津也君     古賀 之士君  十二月三日     辞任         補欠選任      藤末 健三君     野上浩太郎君      古賀 之士君     石上 俊雄君  十二月四日     辞任         補欠選任      野上浩太郎君     藤末 健三君      松川 るい君     岡田 直樹君      熊野 正士君     西田 実仁君      石上 俊雄君     古賀 之士君  十二月五日     辞任         補欠選任      岡田 直樹君     松川 るい君      西田 実仁君     熊野 正士君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中西 健治君     理 事                 長峯  誠君                 羽生田 俊君                 古川 俊治君                 三木  亨君                 風間 直樹君     委 員                 愛知 治郎君                 大家 敏志君                 西田 昌司君                 林  芳正君                 藤末 健三君                 松川 るい君                 宮沢 洋一君                渡辺美知太郎君                 熊野 正士君                 杉  久武君                 大塚 耕平君                 古賀 之士君                 小池  晃君                 大門実紀史君                 藤巻 健史君                 中山 恭子君                 長浜 博行君                 渡辺 喜美君    副大臣        財務副大臣    鈴木 馨祐君    事務局側        常任委員会専門        員        前山 秀夫君    政府参考人        金融庁総合政策        局長       佐々木清隆君        金融庁監督局長  栗田 照久君        総務省自治行政        局長       北崎 秀一君        財務省理財局長  可部 哲生君        財務省国際局長  武内 良樹君    参考人        日本銀行総裁   黒田 東彦君        日本銀行理事   前田 栄治君        日本銀行理事   衛藤 公洋君        日本銀行理事   吉岡 伸泰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○参考人の出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく  通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件  )     ─────────────
  2. 中西健治

    ○委員長(中西健治君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、足立敏之君、朝日健太郎君、辰巳孝太郎君及び礒崎哲史君が委員を辞任され、その補欠として林芳正君、宮沢洋一君、小池晃君及び古賀之士君が選任されました。     ─────────────
  3. 中西健治

    ○委員長(中西健治君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中西健治

    ○委員長(中西健治君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に長峯誠君及び羽生田俊君を指名いたします。     ─────────────
  5. 中西健治

    ○委員長(中西健治君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、金融庁総合政策局長佐々木清隆君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中西健治

    ○委員長(中西健治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 中西健治

    ○委員長(中西健治君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会日本銀行総裁黒田東彦君、同理事前田栄治君、同理事衛藤公洋君及び同理事吉岡伸泰君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 中西健治

    ○委員長(中西健治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 中西健治

    ○委員長(中西健治君) 財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件を議題といたします。  日本銀行から説明を聴取いたします。黒田日本銀行総裁
  10. 黒田東彦

    参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、我が国経済の動向と日本銀行金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。  まず、我が国の経済金融情勢について御説明します。  我が国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働く下で、緩やかに拡大しています。七―九月期の実質GDPは小幅のマイナス成長となりましたが、これについては、自然災害などの一時的な要因の影響が大きいと見ています。やや詳しく見ますと、海外経済が総じて見れば着実な成長を続ける中、輸出は増加基調にあります。設備投資は、企業収益が改善基調をたどり、業況感も良好な水準を維持する下で、増加傾向を続けています。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加しています。先行きの我が国経済についても、緩やかな拡大を続けると考えています。なお、先行きのリスクについて見ると、保護主義的な動きの帰趨とその影響など、海外経済の動向を中心に下振れリスクの方が大きいと考えています。  物価面では、消費者物価の前年比はプラスで推移していますが、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると、弱めの動きが続いています。その背景として、長期にわたる低成長やデフレの経験などから、企業の慎重な賃金、価格設定スタンスや家計の値上げに対する慎重な見方が根強く残っていることが大きく影響しています。加えて、非製造業を中心とした生産性向上余地の大きさや近年の技術進歩などが、経済が拡大する中にあっても、企業が値上げに対して慎重なスタンスを維持することを可能にしている面もあります。もっとも、先行きを展望しますと、消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、二%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられます。このように、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されていますが、なお力強さに欠けていますので、引き続き注意深く点検していく必要があると考えています。  次に、金融政策運営について御説明申し上げます。  日本銀行は、二〇一六年九月に導入した長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの下で、強力金融緩和を推進しています。このうち、長短金利操作については、二%の物価安定の目標の実現のために最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促すよう、短期政策金利をマイナス〇・一%、十年物国債金利の操作目標をゼロ%程度とする金融市場調節方針を掲げ、市場において国債の買入れを実施しています。  七月の金融政策決定会合では、こうした強力金融緩和を粘り強く続けていく観点から、現在の政策の枠組みを強化することを決定しました。第一に、当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持するという、政策金利のフォワードガイダンスを導入しました。これは、将来の政策金利の水準をあらかじめ約束することにより、強力金融緩和を継続する姿勢を明確にすることを狙いとしたものです。第二に、金融市場調節や資産の買入れをより弾力的に運営することを決定しました。これにより、金利形成の柔軟性が高まるなどして市場の機能度が向上すれば、政策の持続性強化につながると考えています。  日本銀行としては、こうした政策対応は、経済金融情勢の安定を確保しつつ、二%をできるだけ早期に実現することにつながると考えています。今後とも、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済、物価、金融情勢を踏まえながら、適切な政策運営に努めてまいります。  ありがとうございました。
  11. 中西健治

    ○委員長(中西健治君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 藤末健三

    藤末健三君 おはようございます。自由民主党国民の声藤末健三でございます。本日は、中西委員長、そして委員会の委員の皆様にこのような貴重な機会を与えていただきまして、誠に御礼を申し上げたいと思います。  私は、先ほど黒田総裁からお話がございましたレポートの中におきまして、例えば政策金利のフォワードガイダンス、あとイールドカーブコントロール、オーバーシュート型のコミットメント、そして資産買入れ方針などが挙げられておりますけれど、これらの政策につきまして、すごく、ある意味もうオーソドックスになってきたんではないかと思っております。このような日銀の政策ツールだけでは、私は二%という物価安定目標を達成するのは難しいというふうに考えるわけでございますけれど、その既存の政策では限界があるんではないかということについて、まず総裁のお考えを端的にお聞かせいただきたいと思います。お願いします。
  13. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 御案内のとおり、日本銀行は長短金利操作や資産買入れなどの手段を駆使することで強力な金融緩和を実施してきております。この間、経済は大幅に改善し、物価もデフレではない状況を実現しております。また、物価安定の目標の実現にはなお時間を要しておりますけれども、二%に向けたモメンタムはしっかりと維持されていると考えております。  したがいまして、日本銀行では、こうした強力な金融緩和を粘り強く続けていくことによって、消費者物価の前年比が二%に向けて徐々に上昇率を高めていくというふうに見ておりまして、現在の政策に限界があるというふうには考えておりません。
  14. 藤末健三

    ○藤末健三君 私、限界とは言いませんけど、相当政策効果が薄れていってないかと思っております。私、お願いしたいのは、是非日銀から財政と金融の包括的なビジョンみたいなものを提案いただけないかと思っておりまして、実際にドイツの中央銀行でありますブンデスバンクは、政府に対してどのような財政政策を行うべきかというのを提案しているというのがございます。  ですから、私は、日銀法の四条に政府との関係ということでございまして、日銀は、その行う通貨及び金融の調整が経済政策の一環を成すものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的になるように常に政府と連携を密にし、十分な意思疎通を図らなければならないという項目がございますので、日銀が金融政策という自分の限られたフィールドだけで政策を実施するのではなく、私は、新しい方向として、中立である日銀が全体的な財政も含めた経済政策を提案していただくということはもうそろそろ必要じゃないかと思っております。  特に、来年におきましては消費税が一〇%に上がるという中におきまして、今、日銀が目先の金融政策、正直申し上げて、これ消費税について全く触れられていないんですよね、総裁。  ですから、もう一年切ったという消費税の増税について、この今の金融政策だけという話じゃなく、もう財政金融を含めたこの日本の金融、そして経済の在り方を示すようなビジョンを示すべき時期に来ていると思うんですが、総裁のお考え、いかがでしょうか。
  15. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) マクロ経済政策の運営に当たって、政府と中央銀行が十分な意思疎通を図るということは極めて重要であると私も考えております。  実際、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けて政府と日本銀行が二〇一三年に公表した共同声明もこうした考え方に基づくものでありまして、先ほど申し上げたように、この間、我が国の経済・物価情勢は大きく改善しておりまして、共同声明の下での両者の取組は着実に成果を上げているというふうに考えております。  委員御指摘の消費税率の引上げも含めた財政運営につきましては、やはりこれは政府、国会の責任において行われるものであると認識しておりまして、具体的にコメントすることは差し控えたいと思いますが、確かに我が国の政府債務残高が極めて高い水準にありまして、政府が中長期的な財政健全化について市場の信認をしっかりと確保することは極めて重要であるというふうに考えておりますし、また一方で、政府においてこの消費税引上げの影響を緩和するため、特に駆け込み反動減といったことを緩和するための様々な措置が検討されているということも承知しております。  私ども日本銀行としては、政府のそうした政策も踏まえつつ適切な金融政策運営を行ってまいりたいというふうに考えております。
  16. 藤末健三

    ○藤末健三君 黒田総裁、私は、日本銀行ってすごい大きな力をお持ちだと思うんですよね。職員数で四千六百人を超えますし、あと、調査部隊だけでも五、六十人の方々がおられると。そして、博士号を持っている方も三十人、四十人おられるというので、実は調べているんですよ。それだけの人材を抱えている日本銀行がその知恵を使わないのはもったいないと思っています、正直申し上げて。  今、もうありていに言うと、政府の方も大分体力を失って、信頼も失っている状況にある中において、日本銀行がやはり金融政策の短期的な視野だけではなく長期的な金融政策を、そしてまた同時に財政政策、そして、今から、後で申し上げますけれど、様々な規制の問題も含めて議論していただくべきじゃないかと私は考えております。  特に消費税につきましては、先ほどお答えいただきましたけれど、四月の日銀のレポートにおいて実は消費税のいろんな、五%から八%の引上げに比べたら影響は小さいとするものの、シミュレーションみたいなことをなさっているわけですよね。  私は、是非とも、この二〇一九年の消費税の引上げに関しまして、やはり日本銀行がある程度のシミュレーションを示し、どういう選択肢があるかと、そういう中でどういう政策があるかということを、道しるべみたいなものをより中立的に、そして科学的な立場から示していただくことは必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
  17. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 二〇一九年の十月に消費税率を二%引き上げる、その際、軽減税率を導入して食料品については増税をしない、あるいは年金生活者支援給付金を給付する、あるいは教育無償化を進めるといった対応策も含めた消費税の増税の影響につきましては、既に今年の四月の展望レポートにおいて分析をしておりまして、前回の二〇一四年の増税のときの家計負担額の増加額が八兆円だったのに対して、今申し上げたような政府が検討している対応策も含めたところで見ますと、家計の負担額は二・二兆円ぐらいであるということで、数字的に見ますと四分の一ぐらいになっているわけです。  さらに、その後、政府は、自動車税の引下げ、住宅ローン減税の拡充、それからすまい給付金の拡充、住宅ポイントの付与、キャッシュレス決済時のポイント還元、あるいはプレミアム商品券の発行なども検討しておられるようですが、これらは先ほど申し上げた計算に入っておりませんので更に影響は小さくなり、駆け込み、その反動減というものに対応する対策も講じられようとしておりますので、そういった面では影響は小幅なものにとどまるというふうに考えられますけれども、ただ、こういったことが消費者のマインドであるとかその他にどのような影響が出るかということはやはり不確実性は残っておりますので、その辺り、十分私どもとしてもよく注視して適切な対応を取っていきたいというふうに考えております。
  18. 藤末健三

    ○藤末健三君 私は、消費税のインパクトはこのレポートに書いているほど小さくないと思っています、正直申し上げて、マインド的にですね、これは。と同時に、この報告書にございますように、保護主義的な海外の経済リスクが、下振れリスクがあるというふうに書いておられますけど、これは非常に大きいんじゃないかと私は思っています。例えば、この報告には輸出は増加基調にあるとございますけれど、実際に輸出のカーゴ、輸出の荷台の数を見ますと減少傾向にもう入り始めています、正直申し上げて。特にアジアに向けてのものが。  そういう中で、恐らく輸出も強含みな状況ではないという状況でございまして、何が問題かと申しますと、一つはやはり米と中の間の交渉がどうなるかということ、そしてアメリカのマクロ経済運営がどうなるかもまた見えないというところ、そしてイギリスがEUから離脱する、そしてまた中東そしてアジアにおいても地政学的リスクが非常に高まっているという中におきまして、ここに経済、海外の動向を中心に下振れリスクがあると簡単に一行しか書いていませんけれど、これが非常に大きいのではないかと考えます。  そういう海外のリスクについてどのようにお考えですか。
  19. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) この点につきましては、十月の展望レポートでも示しましたとおり、我々も海外経済をめぐる不確実性が増している、我が国の経済の見通しについても、海外経済の動向を中心に下振れリスクの方が大きいというふうに判断をしております。特に、この米中間の貿易摩擦を始めとします保護主義的な動きには注意が必要だと考えております。  最近の企業のヒアリング調査などを見ますと、この問題の影響はこれまでのところ限定的なものにとどまっているように見えますが、一方で、企業からは、現在のサプライチェーンというのが非常に複雑、相互依存関係が高まっていますので、この米中の貿易摩擦の影響がどのように出てくるかというのが必ずしも正確に見積もれないということも企業の中で言われているようでございます。  また、この先、この貿易摩擦が長期化するようなことがありますと、直接的な輸出入のような貿易活動に加えて、企業や家計のマインド、あるいは金融市場の不安定化といった経路を通じて影響が広がる可能性もあるわけでありまして、私どもも、現在の海外経済におけるリスクの中で最も大きなリスクがこの貿易摩擦、そのアジアあるいは世界経済への影響、そういったものであるというふうに見ております。  したがいまして、先ほど申し上げたように、我が国経済は先行き緩やかな拡大を続けると見ておりますけれども、この貿易摩擦の帰趨、あるいは御指摘の英国のEU離脱等々の海外経済をめぐるリスクについては引き続き注意深く点検し、必要に応じて適切な対応を取っていきたいというふうに考えております。
  20. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、外国の情報もそうですけど、先ほども申し上げたように国内の政策もですけれど、私は、日本銀行の力というのは、やっぱり職員の方々がおられるし、調査部隊を持っている。そして、もう一つ大きいのは、国内の支店はすごく強いと思うんですね。様々な役所がやっぱり地方に支店を持っていますけど、結局は局、九州であり、あとは中部とか関東というユニットになっていますけれど、日銀は新潟であり名古屋であり熊本にも支店を持っている、そこから吸い上げられるやはり現場の情報というのは非常に大きいものがあると思いますし、同時に、日本銀行は、恐らくほかの地方銀行は余り持っていないと思うんですけれど、例えば北京であり、ワシントンDC、ロンドン、外国に支店を持っているわけじゃないですか。そういう情報をやはりもっと総合的に集めて国内に発信する義務が私はあると思うんですね。  私は、政府よりも日本銀行の方が調査分析力が高いと思いますし、それを将来的な政策、そしてシミュレーションみたいなものを見せながら、中立に、そして科学的に根拠に基づき発信していくということを今こそしていただくべきではないかと思うんですが、いかがですか、総裁。
  21. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 確かに日本銀行は、国内にたしか三十二ほど支店を持っておりますし、御指摘のように海外にも駐在員事務所のようなものを持っておりまして、内外の様々な情報を収集する、あるいはそれを分析するという能力は十分あると私も考えております。  そういったことを踏まえた上で、特に国内の各支店からは常時情報を入手するだけでなく、支店長会議というものも開催し、さらには、支店の力を借りて短観その他様々なアンケート調査等の調査を行って、そのデータ、結果も広く公表して、御指摘のような国内の経済金融状況に関する分析も幅広く公表して、我々の政策に役立てるだけではなく、民間の方々にもお役に立っているのではないかというふうに思います。  ただ、海外のことにつきましては、確かに様々な情報は得ておりますけれども、海外のことについて我々が余り評価的なことを申し上げるというのはやや僣越かなと思って、慎重に海外の情報についての、あるいは海外の状況についての分析について幅広く国内で情報を提供して訴えるということは余りしておりませんが、確かに、最近の海外経済をめぐるリスクが非常に複雑になり、また深刻化するおそれもあるわけですので、そういった点も含めて更なる努力はしてみたいというふうに思っております。
  22. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、海外からの情報もうまく国内の産業や金融のために発信していただきたいと思います。実際に、FRB、アメリカなんかを見ていますと、やっぱり大使館の一機能なんですよね。ヨーロッパセントラルバンクも、ECBもやはり大使館に置いている。一方で、日本銀行は独自につくって活動されているわけですよね。それだけの価値がやっぱり私はあると思いますので、是非その情報を収集し、そして分析して発信していただくことをもっと前のめりにやっていただくことをお願いしたいと思います。  私が今日ちょっと議論させていただきたいのは、皆様のお手元に資料を配らさせていただいていますけれど、地域別の最低賃金の推移というのがございます。これを見ていただきますと、東京は今九百八十五円になっている、それが平成二十四年は八百五十円だったと。全国の加重平均を見ますと、平成二十四年七百四十九円が平成三十年度は八百七十四円。ところが、一方で、これ私の地元の熊本でございますが、ほぼ最低でございまして、平成二十四年が六百五十三円、そして平成三十年度は七百六十二円、東京よりも二百円以上安く、全国加重平均よりも百円安いという状況になっていると。  ただ、一方で、着実にこの最低賃金は上昇しているわけでございますが、この最低賃金の上昇が物価安定目標に対して与えた影響はどのようなものがあるかというふうなことをちょっとお聞かせいただきたいということと、私は、もう是非国会議員の皆様に御提案したいんですけれど、この最低賃金、都道府県が決めているわけでございますけれど、実は、最低賃金法の十条に厚生労働大臣も決めれるという規定がございます。厚生労働大臣又は都道府県労働局長となっておりまして、国が決めることもできるという。私は、この最低賃金を千円までに上げることができれば大きなインパクトがあるんではないかと思っております。  ちなみに、ドイツとかイギリス、フランスなどを調べますと、大体最低賃金が千百円になっている。隣の韓国ももう八百円ぐらいに上がっているという状況でございますので、その点について総裁のお考えをお聞かせください。お願いします。
  23. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 最低賃金の引上げというものがパート労働者の時給を中心に賃金の上昇を後押ししているというふうには私どもも考えております。実際、パート労働者の時給はこのところ二%台の高めの伸びを続けております。  これにつきましては、ただ、景気拡大に伴う労働需給の引き締まりも影響しておりますので、最低賃金引上げの影響だけを取り出して定量的にこのぐらいということは非常に難しいと思いますが、やはり最低賃金が上がりますと、その少し上の方々の賃金もやはり上がりますので、確かにパート労働者の中でも比較的時給水準が低い方を中心に相応の押し上げ寄与があるというふうに考えております。  また、こうしたパート時給の上昇というものは、家計部門の所得の増加につながって我が国の消費を下支えしておりますし、また、外食を始めとするパート比率の高いサービス部門を中心に、この労働コストの上昇を通じた直接的な物価上昇圧力としても作用していると思いますので、この最低賃金の引上げということは十分様々な効果をもたらしているというふうに考えております。  私どもが承知している限りでは、政府も三%程度の最低賃金の引上げを毎年やっていくという方針のようでございまして、現在のような労働需給が引き締まっている下でそういったことを続けていくということは非常に重要なことであるというふうに思っております。  具体的なその千円という水準が適切かどうかということは、私ども特別な知見もありませんけれども、当然その千円を超えていくことになるのではないかというふうに思っております。
  24. 藤末健三

    ○藤末健三君 これはもう日銀というか委員会の皆様にお伝えしたいんですけれど、実は、四%ちょっとでこれから上げていきますと、平均率が三年で千円超します、実は。  ちなみに、カナダも今は最低賃金が千円超しておりまして、イギリスも大体千百円、ドイツが千百円、フランスに至ってはもう千三百円近いです、最低賃金が。  なぜかと申しますと、マクロンであり、メルケルであり、そしてトランプ大統領、そして韓国は今約七百五十円という状況でございまして、それぞれの新しい代表がこの最低賃金を上げるということを選挙公約に掲げて戦い、そして実際に上げているということでございますので、我々も、政府の方というより国会の方からこういう最低賃金を上げるというメッセージを送ってはどうかと。実は法改正要りませんので、これは、調べましたら、ということを御提案申し上げたいと思います。  続きまして総裁にお聞きしたいのは、日銀の出口戦略について御質問したいと思います。今、どういう状況になれば金融政策の正常化が行われるかということが非常に曖昧な状況になっておりまして、市場参加者の疑心暗鬼を高めているんではないかというふうに私は思っております。  同時に、もう一つお聞きしたいのは、金利の引下げ余地を確保する必要があるんではないかということでございます。  内閣府の景気基準日付を見ますと、景気循環で、日本経済は二〇一九年、二〇二〇年頃から景気が減速するんではないかということを書いてございまして、これは政府の方ですね、発表は。私は、油断できないんではないかと。このレポートは非常に明るめに書いておられますけど、政府は暗めに書いていると。  欧米におきましては、もう既にその金利の引下げ余地を今からつくっておくべきではないかという議論がもう起きているわけでございまして、この二%の物価目標との関係もございますが、先ほど総裁がおっしゃったように、既にデフレは脱却しつつある状況と私も考えておりまして、この金利の引下げ余地の確保、そして出口戦略についてお考えか、お聞かせください。お願いします。
  25. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 御指摘のこの金利引下げの余地云々ということについては、最近国際的にかなり広く議論をされております。  ただ、米国を中心に、特に米国の場合が典型的ですが、成長率は三%、物価上昇率は二%ということで、言わば物価安定目標を既に達成しているわけですね。そこで、正常化が進んでいるというところで将来の金利引下げの余地の議論も出てきているわけですが、やはり欧州と日本の場合はまだ物価安定目標に達しておりませんし、まだそれまでの幅もかなり残っているということで、今直ちに、その将来の緩和の余地を残すために今から、まだ物価安定目標を達成されていない段階で金利を引き上げるということは、むしろ物価安定の目標の実現を遠ざけることにもなりかねませんので、現在は長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で需給ギャップがプラスの状態ができるだけ長く続くような環境を整えるということが必要な対応であるというふうに考えております。  なお、出口戦略につきましては、従来から公表文などでも申し上げているわけですけれども、二%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続するということを申し上げていまして、この点は市場参加者も理解しておられるのではないかと思いますが、他方で、確かにいずれかの時点で出口の進め方について金融政策決定会合で議論して情報発信していくということが必要になると思いますが、まだ現在は物価安定の目標の実現までなお時間を要する状況ですので、具体的にこの出口の進め方について説明するということはかえって市場との対話という面でも混乱を招くおそれがあると思いますので、まさに委員御指摘のとおり、出口戦略というのは議論し、また市場に伝える必要がありますけれども、それはあくまでも物価安定の目標の実現に近づいた際に具体的に政策委員会で議論して市場に発信するということになると思います。
  26. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、総裁におかれましては、私は、今の、完全雇用状態に近いじゃないですか。恐らくアメリカであればFRBの目的は雇用という形で、ただ、日銀の場合は物価安定を目的にしている。それで、ちょっと目的が違うので議論は同じにできませんけれど、私は、完全雇用状況に近いということは非常に大きな経済的なメッセージだと思いまして、やはり人手不足から賃金が上がっています。私は、最低賃金を上げれると思っています、例えば。そういう新しいメッセージを是非日本銀行の方から包括的に発信していただきたいと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  残された時間ございますので、財務省に御質問申し上げたいと思います。二つございます。  一つは、政府のインバウンド政策ということでございまして、一五年に約二千万人、二〇年に四千万人、三〇年に六千万人という、外国人の訪問旅行客を受けようということをしておりますけれど、なかなか機械化だけでは入管の手続等、関税の手続等ができないような状況でございまして、やはり定員を増やすことが必要でないかということが一つ。  そしてもう一つ、国際的な話で言いますと、今JBICを中心に、日本国際協力銀行を中心にインフラ輸出などのハードウエアの展開をされているわけでございますが、物だけ出してもしようがないんじゃないかという、法的な問題、会計的な問題、いろんな日本の企業が外国に物を出すと同時にそういうソフトウエアの展開もできるように配慮すべきだと考えますが、その二つをお答えください。お願いします。
  27. 鈴木馨祐

    ○副大臣(鈴木馨祐君) お答え申し上げます。  先日、私も横浜税関の現場の方々とも意見交換してまいりましたけれども、御指摘のように非常に大変な状況になっています。インバウンドの状況も非常に右肩上がりで増えている中でありますけれども、同時に、例えば覚醒剤等の不正薬物であれば、実は平成二十八年、二十九年と二年連続で一トン、押収量は超えているという状況ですし、あるいは金の地金の輸入、密輸というものが急増しております。そうした状況を考える中で、あるいはまたテロの脅威等もありますので、しっかりそこは、機器等の充実も必要ですけれども、同時に人員というところも御指摘のとおり非常に大事だと思っております。  そうした中で、我々といたしましても、三十一年度につきましては昨年度と同じ水準の四百二十九人の増の要求というものを行っておりまして、しっかりとそこは人員の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。  JBICのことについては、参考人から答弁させていただきます。
  28. 武内良樹

    ○政府参考人(武内良樹君) ソフトインフラについて御質問いただきました。  委員御指摘のとおり、ハード面だけではなく、法務や会計を含むソフト面からの海外展開推進も重要であると考えております。  日本政府としましては、未来投資戦略二〇一八及びインフラシステム輸出戦略におきましてソフトインフラ支援等を通じた投資の拡大を掲げてございまして、ソフトインフラの海外展開に関する取組を一層充実させるとともに、ソフトインフラの支援からハードインフラの展開へとつながる戦略的な取組が必要だと考えているところでございます。  引き続き、政府全体といたしまして、ソフトインフラの海外展開を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  29. 藤末健三

    ○藤末健三君 どうもありがとうございました。  是非、総裁にお願いしたいのは、職員の数、そしてPhD、博士号を持った人の数、そして国内のネットワーク、海外のネットワークをお持ちである日本銀行が、新しいステップとしてこの総合的なビジョン、金融と経済のビジョンをお示ししていくことをお願いしまして、私の質問を終わらさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  30. 杉久武

    ○杉久武君 公明党の杉久武でございます。  本日は日本銀行に対する質疑ということでございますので、質問の通告に従いまして順次質問をしてまいりたいと思います。  まず、日銀に何点かお伺いをさせていただきます。  先ほど、冒頭、総裁から今回の報告がございましたけれども、今、日本がここ何十年か抱えてきている大きな課題というのはやはりこの長期にわたっての低成長、そしてデフレ、今はまあデフレではないという状況までは回復をしてきたわけでございますけれども、その状況が長く続いているというところでございます。  私が大学を卒業したのが一九九八年になりますので、まさにその年からデフレがスタートしたわけであります。したがって、私、もう社会に出て二十年たつわけでございますけれども、やはりこの物価が上がるということを余り体感、実感したことがない世代でございます。  二〇一二年十二月からアベノミクスがスタートいたしまして、黒田さんが翌年の三月に総裁になられて、金融政策大きく変更されたわけであります。その中で、今回、インフレターゲットを決めてインフレ率を基準にマネーの供給量を調整する金融政策に変えて、そこから株価が大きく上昇し、失業率が低下をしてきた、こういう経緯をたどってきたわけでございますけれども、先ほどの質疑の中でもございましたとおり、やはり二%の物価安定目標、これにはまだ時間が掛かるという状況でございます。  また、そういった中で、この金融緩和政策ももう六年目ということでありますが、そういった中で、先月日銀が公表されました展望レポートにおきますと、ちょっと今日、私は様々御質問したいことあるんですけれども、金融機関に焦点を当てて少し何点か御質問したいと思っております。その中で、金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検をしたときに、金融機関の収益下押しの長期化、これが懸念されるわけでございまして、そういった中で、やはり低金利環境と厳しい競争環境、こういったものが要因として挙げられておりますけれども、これがこの経済、物価面の先行きに対してどういうふうな影響を与えているのか、まず日銀に確認をしたいと思います。
  31. 衛藤公洋

    ○参考人(衛藤公洋君) ただいま御指摘ございましたように、金融機関の基礎的収益力につきましては、低金利環境が長期化していることに加えまして、我が国の人口、それから企業数が減少しておりまして、これを受けた金融機関間の競争の激化ということが構造要因として継続的に働いているということでありますので、基礎的収益力が低下傾向にあるということでございます。  もう少しかみ砕いて申し上げますと、低金利環境の長期化といいますのは、貸出金利、それから有価証券の運用利回りの低下ということを通じまして地域金融機関の収益を低下させてきております。加えまして、構造要因と申し上げました人口、それから企業数の減少でございますけれども、これはやはり地域の資金需要の減少という形で圧力として働くということでございます。  こうした下で、金融機関間の競争がどうしても激化していくということで貸出し利ざやが一段と縮小しているということでありますので、こういった要因が比較的長い期間にわたって続いているということが実態であるというふうに認識しております。
  32. 杉久武

    ○杉久武君 今御説明いただきましたとおり、この超低金利の環境の中、また人口減少、こういったものも進んで地域の法人数も減っている、なかなかやはり厳しい環境が続いているわけでございますけれども、ただ、この金融機能が、やはりこれが円滑に進んでいかなければ日本の経済に対しても悪影響を与えてくるわけで、この時間が、私、六年という期間を考えますと、やはり非常に長期化してくることによって経済に与える悪影響というものをどうしてもこれは心配、懸念をするわけでございます。  こういった中で、金融機関がこういった厳しい競争環境を克服をして、更に収益力をこれ拡大をしていく必要があろうかと思うんですけれども、そういった収益を向上させるためにはやはり金融機関にどういったことが求められるのか、この点について黒田総裁の御意見をいただきたいと思います。
  33. 黒田東彦

    参考人(黒田東彦君) 先ほど御説明申し上げたように、確かに高齢化の進展とともに地域企業数や人口が減少しておりまして、資金需要に趨勢的にこの下押し圧力が掛かるということはそのとおりなわけですけれども、他方で、家計において、高齢化あるいは長寿化に対応した資産形成あるいは相続ニーズの増加ということも考えられるわけであります。また、企業におきましては、新たな環境に対応した事業展開、さらには技術開発といった前向きな企業活動を生み出すという面もありますので、これを支える幅広い金融サービスへの潜在的な需要は小さくないというふうに考えております。  したがいまして、金融機関、特に地域金融機関におきましては、そういった家計や取引先企業の新たな金融ニーズに的確に対応し、言わばこの金利競争でなく金利以外の面で差別化を図って収益性を高めていくということが重要ではないかと思っております。  また、もう一つ重要なことは、業務プロセスあるいは経費構造の見直しなどを通じて経営の効率を抜本的に高めていくということが重要だと思いますし、その際には、最近の様々なデジタル技術、IT技術といったものを活用していくということも重要ではないかというふうに思っております。  私どもといたしましても、引き続き、考査、モニタリングなどを通じまして、さらにはセミナーなども通じて、こうした金融機関の収益力強化あるいは業務改革などの取組につきましてもそれを側面から促していくようなことも続けてまいりたいというふうに思っております。
  34. 杉久武

    杉久武君 今総裁からお話しいただきましたとおり、一つはやっぱり貸出しの収益性を高めるということと非金利収入を増やしていく、そして今はデジタル技術等も活用した構造改革、これを金融機関に求めていくということでございますけれども、やはり私も議員になるまで長年会計士としていろいろな現場を見てくる中で、なかなかこの日本金融機関、私も、海外でも仕事をする経験を考えると、今金利が低い状況でありますけれども、やはりその目利きというか、どうしても日本的な貸出しというのはどうしてもいまだに担保ありきのようなところもまだまだ多いのかなと。  一方で、私がアメリカで仕事をしていく中では、やはり財務状態を見て、収益性を見て、成長性を見て、しっかりそこで判断をしていくというのが非常に強いという、私が見た範囲はごく一部だとは思うんですけれども、そういった印象を受けておりますので、やはり日本の銀行の皆様にもそういった面で収益性を高めていただくとともに、今おっしゃっていただいた非金利収入を増やす、また構造改革、これは是非進めていけるような環境づくりが必要ではないかというふうに思っております。  少し話を変えまして、次に指定金融機関について今日は少し何問か質問をさせていただきたいと思います。  今日は総務省にもお越しいただいておりますけれども、まず総務省に、この指定金融機関制度、この制度そのものについて少しまず御説明いただきたいのと、制度の背景及び変遷、また現時点において全国の地方自治体でどれぐらいの自治体がこの指定金融機関制度を採用されているのか、その全体像についてまず伺いたいと思います。
  35. 北崎秀一

    政府参考人(北崎秀一君) お答えいたします。  現在の指定金融機関制度は、昭和三十八年の地方自治法改正により規定された制度でございます。普通地方公共団体の会計事務は会計管理者が行うものとされておりますが、その分量が多く、また複雑多岐にわたり、その全てを会計管理者において処理することは困難でございますので、出納事務の効率的運営と安全を確保する観点から、公金の収納又は支払の事務について特定の金融機関に取り扱わせることとしたものでございます。  なお、都道府県においては金融機関の指定が義務付けられておりまして、また市区町村においては金融機関の指定が任意とされているところでございます。市区町村において指定金融機関を指定していない団体は、平成二十六年四月一日現在で三十九となってございます。  また、指定金融機関の指定の状況については、平成二十六年四月一日現在で、都道府県においては全ての都道府県が普通銀行を指定している状態でございます。また、市区町村においては、普通銀行を指定しておりますものが七一・三%、農業協同組合が一六・七%、信用金庫が一〇・七%、信用組合が〇・七%、漁業協同組合が〇・四%、それから信用農業協同組合連合会が〇・二%となっている状態でございます。  以上でございます。
  36. 杉久武

    杉久武君 今総務省の方から御説明いただきましたとおり、昭和三十八年からということで古い制度でありますけれども、そういった中で、指定金融機関は各地方自治体公金の収納の事務を会計管理者から委託というか任されて担っていくという、こういう役割を果たしていただいておりまして、都道府県では必須で、市区町村では任意であるけれども、少し前のデータになりますが、今お話しいただいたとおり、平成二十六年四月現在だと全国の約千七百ある自治体のうち三十九だけが指定をしていないという状況でありますので、ほぼ全国自治体でこれが指定されているわけでございます。  この指定金融機関というのは、そういう意味では本当に各自治体事務において重要なこれは役割を長年にわたって果たしてきていただいたわけでございますけれども、ただ一方で、金融緩和がこれだけ続く中で、先ほど日銀の方と議論させていただいたとおり、金融機関の収益性も悪化している面があると。そういった中で、一部だとは思うんですけれども、やはり昨今、この指定金融機関としての自治体からいただく手数料、こういった部分について値上げを要求している金融機関があるというふうに聞いております。  もちろん、ここは相対でやる話でありますし、政治が、また政府がこうあるべきだという、決め付ける話ではないとは思うんですが、ただ、ちょっと聞いて話をいろいろと確認をしておりますと、やはり、多分いろいろこれまで自治体との関係もあって続いてきた中だとは思うんですけれども、何割アップとかいう話ではなくて何倍にという値上げの議論がなされているということも聞いておりまして、その辺りについて政府としてどのように把握をしているのか、総務省金融庁にそれぞれ確認をしたいと思います。
  37. 北崎秀一

    政府参考人(北崎秀一君) 答弁申し上げます。  個別の地方公共団体と指定金融機関の間で先生御指摘のとおりその契約内容の見直しについての動きがあることについては承知をしてございます。ただ、公金の収納又は支払の事務を取り扱うための手数料の扱いについては自治法上特に定めのあるわけではございませんで、私ども、各地方公共団体と指定金融機関との相対の契約により定められているものと承知をしているものでございます。  総務省といたしましては、住民サービスに支障が生じないよう、契約条件などについて指定金融機関地方公共団体の間で丁寧に話合いを行っていただく必要があると認識をしているところでございます。
  38. 栗田照久

    政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。  指定金融機関の業務に係る手数料につきまして網羅的に把握しているものではございませんけれども、一部の金融機関におきまして、例えば派遣職員の人件費をお願いするといったような形で値上げの動きがあるということは承知してございます。  一般論としては、金融機関サービスに対する手数料金融機関の経営判断に属する事項ではございますけれども、各金融機関においてはその公共性が高いということも認識いただいて、地方公共団体などのお客様からの理解が得られるように丁寧に説明する、それとともに個別の取引先とよく話合いをしていただくということが重要であるというふうに認識しております。
  39. 杉久武

    杉久武君 今それぞれ御答弁いただきましたが、私自身も適正な手数料の水準というものは当然あるとは思いますし、当然、金融機関側も採算が取れないことをやらなきゃいけないというふうに私自身も申し上げるつもりはありません。  ただ一方で、自治体での公金の取扱いというのは、やっぱりこれは市民生活に非常に大きな影響を与えるわけでありますので、様々、これも相対での交渉ではあるんですけれども、これまでの経緯、成り立ち等も含めてやはりこれは丁寧な議論がなされていくべきではないかなというように思っておりますし、最終的にこの指定金融機関での掛かる費用というのは各自治体の財源の下で捻出をされるわけでありますので、先ほども申し上げましたように、何割アップとかという議論なら分かるんですけど、何倍という議論になるとちょっとそれは行き過ぎがあるんではないかなというふうに思いますし、どことは言いませんけれども、こういった議論をしている金融機関の中には公的資金を入れて国が支えて立ち上げた、回復をした銀行もあるわけですので、やっぱりそういったところはしっかりとバランス感を持った対応が必要だということを今日はちょっと問題提起をさせていただければというふうに思っておりますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。  続いて、ちょっとまた少し角度を変わりまして、最後に日銀の財政状態についての質問をさせていただきたいと思います。  大規模な金融緩和策が二〇一三年から続けられました。その間、私、半期ごとに公表されている財務書類、これに目を通させていただきましたけれども、やはり、当然バランスシートで着目すべきは保有している国債の残高、これが右肩上がりに上がって増えていくわけでございます。  そういった中で、二〇一三年三月の段階では、保有国債の帳簿価格、いわゆる簿価は約百二十五兆円でありました。それが、直近の決算書で言うと、二〇一八年九月末では簿価が四百六十二兆円という形で三百四十兆円、百二十五兆円だったものが四百六十二兆円まで増えているという状況でございます。  この簿価というのは、日本銀行はこれ満期保有だ、満期まで保有する目的だということで、ちょっとテクニカルな話になりますけれども、償却原価法で評価をされています。償却原価法というのは、簡単に言いますと、買った価格と額面との差額、この部分については保有期間にわたって収益であったり費用であったり、その向きによって変わりますけれども、償却をしていくわけでございます。  日銀保有の国債の残高について、先ほど、二〇一三年三月末では簿価が百二十五兆円ということだったんですけれども、そのときの額面は百二十四兆円、約一兆円額面より簿価の方が高い、割増しで購入している国債の割合が相対的に多かったということだと思うんですけれども。それが、直近の二〇一八年の九月末では、先ほど簿価が四百六十二兆円とありますけれども、額面は四百五十二兆円なんですね。ということは、割増しで買っている額が全て合わせて十兆円の額にまで膨らんでいるということになります。時価は今それよりも高いという状況だとは思うんですけれども、要は割増しで買っているもの。十兆円という規模を考えますと、もうかなり大きな数字になりまして、日本企業で売上げが十兆円を超える会社というのは数えるほどしかございませんし、そういったもう本当に大きな規模になっているわけです。  この十兆円というのは、要は額面よりも今買った額が高いわけでありますから、この十兆円という額は日銀の損益計算書においては将来にわたって費用となっていくわけでございまして、今、日銀の自己資本はそれより小さい八兆円程度だというふうに思っておりますけれども、保有国債の割増しで買っていく分がどんどん割合が上がっていって、この日銀の将来の財政に与える影響というのはやっぱり懸念される部分があるんではないかなというように思っておりますが、この辺りについて日銀の御見解をいただきたいと思います。
  40. 前田栄治

    参考人(前田栄治君) お答えいたします。  今委員御指摘のとおり、今、簿価と額面の差というのがかなり大きくなっておりまして、これ、将来にわたって毎年毎年いわゆるアモチ損という形で出てくるわけでございますけれども、国債に係るその毎年毎年の収支というのは、こういうアモチ損のみならず、やはりクーポン収入を含めた国債利息収入全体として評価するというのが一般的かというふうに考えております。御指摘のとおり、アモチ損によって今現在も保有国債の利回りは低下しておりますけれども、プラスを維持しておるということであります。  また、委員御指摘ございましたように保有国債自体がかなり増加しておりますので、国債利息収入全体としては、例えば昨年度は約一・二兆円、今年度上期は年率で約一・三兆円と、これ、量的・質的緩和を始める前の平成二十四年度は約六千億円ということでございましたので、足下はその倍程度ということで高めの水準となっているというのが実情でございます。
  41. 杉久武

    ○杉久武君 今、国債のクーポンの収入があって、それが当然アモチゼーション、アモチ損を上回る状況の中で収益体質は確保されている、それは私もそのように評価をしておりますが、それの利回りを見るとやはり悪化をしております。これ、私が財務書類を概要で見ると、アモチ損まで入れると、当初〇・二五ぐらいの利回りだったものが今は〇・一四ぐらいまで、半分近くまでやっぱり下がってきている。ちょっと私、手元の計算なので、多少概算にはなりますけれども。  そういった中で、今、長期の国債の方に保有割合が上がっているにもかかわらず、なかなか、利回りは悪化をしてきているんではないかという現状がありますので、先ほどの質疑の中でも今後の出口という話もありましたけれども、この辺りの財政的な負担というものについてもやはり若干これは心配をせざるを得ないのかなというように思っております。  いずれにしても、これまで日銀としても保有したことのない国債の残高の水準にはなってきておりますが、やはり出口をしっかり見定めた議論をこれからしていかないといけないと思います。  先ほども総裁の方からは、出口、しっかり議論をして市場に伝えていかないといけない時期が来ると。それは当然いつか来るわけでございますけれども、やはりそういったものも含めてしっかりとしたこれはメッセージを出していかないといけないんじゃないかなというように思っておりますので、またこの点についてもしっかりと質疑をさせていただきたいというように思います。  ちょっと少し時間が余っておりますが、以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  42. 風間直樹

    ○風間直樹君 今日は久しぶりに黒田総裁との質疑、よろしくお願いします。  最初に総裁に伺いますが、ちょっと細かい数字は後にしまして、量的緩和政策始めてから五年がたちましたが、なかなか物価が上がりません。そろそろこの金融をめぐる論壇、いろんな論考を読んでいましても、将来の日銀の財務ですとかあるいは国家財政に対する影響を心配する指摘が随分出てきております。  そこで、今日は最初に総裁に、この五年間の金融政策を受けてなぜ物価が上がっていないのか、その理由を端的にお尋ねしたいと思います。一時は原油価格の低迷がその理由だという説明をされていたわけですけれども、最近随分原油価格も上がってきました。現在、この物価が上がらない原因をどのように認識されていらっしゃいますでしょうか。
  43. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) この点につきましては、展望レポートあるいは金融政策決定会合後の公表文、さらには私の記者会見等でも繰り返し申し上げておりますけれども、現時点で一番大きな要因としては、幾つか挙げられると思いますが、一つは、賃金が、労働需給が引き締まっている割にはやや弱めの上昇にとどまっていると。もちろん雇用はどんどん増えていますので雇用者所得は増えているわけですけれども、時間当たり賃金の、あるいは年俸の上昇率が労働需給の引き締まりに比べるとやや弱めであるということが一つあります。  それからもう一つ、さらには、そういうことがあっても賃金コストは上がっているわけですけれども、それを価格に転嫁するということを、特に労働生産性がこれまで国際的に見て低かったサービス産業を中心に様々な省力化投資、あるいはビジネスモデルの見直し等によって労働生産性を上げているわけです。最近のG7の中では日本の労働生産性の上昇率が一番高いというふうに言われていますけれども、それ自身は非常に好ましいことであるわけですけれども、当面、賃金コストの上昇を価格に転嫁しなくて済むということでもありますので、労働生産性の上昇率が非常に高くなっているということが物価がやや上がりにくくなっているというもう一つの要因であろうと思います。  そして、さらにもう少し長い目で見て全体を見ますと、やはり先ほど冒頭申し上げたとおり、企業の側で賃金あるいは価格の上昇について非常に慎重な対応をする、さらには家計の方も価格の引上げについて慎重な対応をするということが、言わば一九九八年から二〇一三年まで十五年間デフレが続きましたので、一種のデフレマインドというか、そういうものがやや根強く残っているということもあろうかと思います。  様々な要因があろうと思いますけれども、そういうことを含めて物価の上昇率が、実体経済の好調な状況、あるいはGDPギャップもプラスになり、雇用もほぼ完全雇用という状況にありながら、物価が現在一%程度の上昇というところにとどまっているということではないかと思いますが、これも冒頭申し上げたとおり、プラスのGDPギャップを続けることによってこのモメンタムが更に強化されて、徐々に二%に向けて物価上昇率が高まっていくというふうに見ておるところでございます。
  44. 風間直樹

    ○風間直樹君 仮に、この物価上昇率が上がらずなかなか二%に到達しないという場合、総裁のお考えではどういう弊害なり悪影響が日本の経済にあるいは日銀の財務に及んでくるのか、その辺はいかがでしょうか。
  45. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) まず、経済自体につきましては、金融緩和が大幅でかつ長く続いた場合の一般的なあり得る問題としては、金融機関を中心に収益率が低下する可能性があると。その場合には、金融機関の方がいわゆる金融仲介機能を十分に果たせなくなるという、あるいは果たさなくなるという影響、あるいは逆に、そういう下でややもう投機的というか、リスクを十分考慮しないでリスクを取り過ぎるといった問題が生じ得るということは一般的に言われているわけであります。  ただ、足下で、金融システムレポートを年に二回公表しておりますし、展望レポートでもかなり詳しく触れておりますけれども、現時点で日本の金融機関が金融仲介機能を低下させているという状況にはないと。銀行の貸出しも三%前後で増加しております。  また、他方で、金融の行き過ぎがないかというのは、これもまた相当詳しく分析しておりますけど、今のところそういった金融面の行き過ぎというものも見当たらないということでありますので、長い目で見た場合に金融システムに対する影響というものを十分考慮していかなければならないということはそのとおりでありますけれども、現時点ではそういった状況になっているというふうには考えておりません。  なお、日本銀行の財務に対する影響につきましては、こういった大幅な緩和を大量の資産の買入れで行っている時期には日本銀行の収益が拡大するわけですけれども、逆に、出口に差しかかってくるということになると収益が減少するということになるわけでありますので、そういったことに対応するために債券買入れ損失準備金などの拡充を図って、そういった日銀の収益の振れを小さくするような努力もしているというところでございます。
  46. 風間直樹

    ○風間直樹君 金融の仲介機能の低下ということをおっしゃいましたけれども、ちょっと余談ですけど、私、自分がそれをちょっと最近経験したことがありまして、少し前なんですけれども、ある財閥系の都市銀行に自分の普通預金口座を開設しようと思いまして、久しぶりに、丸の内の方の支店に出かけたんです、ある財閥系都市銀行の。口座開設の窓口に行きまして普通預金口座を開きたいんだと言いましたら、驚いたことに断られました。こういう経験は初めてでした。何と言われたかというと、今はインターネットで普通口座を開設できますのでそちらでやってくださいと言われました。これは事実です。あえてその銀行の名前はここでは申しませんが、非常に衝撃を受けました。ここまで都市銀行がもう預金を欲しがっていないんだなと。これはまさに今総裁がおっしゃった仲介機能の低下ということになるんじゃないかと考えています。  それで、総裁、ちょっと視点を変えまして、では、この物価が二%という水準が達成された場合、この点につきまして、最近随分そのケースでの日銀の財務なり国家財政に与える影響を懸念する論考が出てきています。  それで、私、以前、平成二十七年六月に同じ議論を当時の岩田副総裁としたことがあるんですけれども、このとき岩田副総裁の答弁では、そういうケースでの影響の試算はしているんだと、全く問題がないという認識を持っていると、こういう答弁でありました。  現在も日銀は当然その試算をしていると思うんですが、現状どのような認識を持っていらっしゃるか。この物価上昇率二%に達した場合、つまり長期金利が上がりますから、それが日銀の財務なり国家財政に与える影響というのはやはり問題ないという認識でいらっしゃるのか、その点、簡単に御答弁お願いします。
  47. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、量的・質的金融緩和というものは、実施中はバランスシートの拡大によって収益が押し上げられる一方で、出口の局面では例えば日銀当座預金に対する付利金利の引上げなどによって収益が減少しやすいという特徴がございます。  もっとも、将来、経済・物価情勢が好転して日本銀行がこの付利金利を引き上げる場合には、長期金利も相応に上昇すると考えられますので、当座預金に対する支払利息が増える一方で、日本銀行の保有国債についてはより高い利回りの国債に順次入れ替わっていくということで、受取リスクは、受取利息は増加することになるわけでございます。  このように、出口の過程における収益面の影響というものは、受取リスクも含めたバランスシート全体について考える必要があるということでございます。  その上で、先ほど申し上げたとおり、日本銀行は、二〇一五年度から、収益の上振れの局面ではその一部を積み立てて、収益が下振れる局面では取り崩すことができるように、債券取引損失引当金を拡充したわけでございます。こういったことで、事前の対応としては十分な対応ができているというふうに考えております。  なお、長期金利その他様々な金融市場の変動によって日本銀行の財務にどのような影響が与えられるかということについては、内部的には確認を行っておりますけれども、具体的にどのようになるかということについては、先ほど来申し上げているとおり、そもそも出口で、どういう出口戦略で行うかと。  それは、当然のことながら経済・物価情勢あるいは金利環境に依存するわけですので、その結果としての日銀の収益あるいは財務についての影響も変わり得るわけでございまして、二%の物価安定の目標の実現になお時間が掛かるということを踏まえますと、具体的な出口戦略、様々な手段の順序とかやり方、さらにはその結果としての財務、収益に関する先々の状況を現時点で具体的に示すということは、かえって市場との対話でも混乱を招くおそれがございますし、言わばいろんなことがあり得るということにすぎないわけでございますので、やはりもう少しこの二%の物価安定目標の実現に近づき、そして出口戦略を金融政策決定会合で議論し、それを市場に発信していくという中で、日銀の財務に対する影響についての議論も具体的にできるのではないかというふうに考えております。
  48. 風間直樹

    ○風間直樹君 時間になりましたので、終わります。また次の機会に続けたいと思います。
  49. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。  今日、総裁に、金融政策の今後について、あるいは現状について少しお伺いをしたいと思いますが、先ほど風間議員が金融緩和の弊害について聞かれまして、私もちょうどそれをお伺いしようと思っていたんですけれども、金融機関の収益あるいは仲介機能に影響を与えるということをお答えになりました。  そうした中で、今日通告をさせていただいているんですが、そういう問題が既に起き始めている中で、金融緩和の今後の見通し、つまり物価上昇率を実現するための手段でもありますけれども、やっぱり総合判断で金融政策はやらなくてはいけませんから、金融システムの安定化という目的もこれあるわけでありますので、弊害としてそういうことを認識されていて、既にその弊害は具現化しつつあるというのはもう多分多くの皆さんが感じていらっしゃる中で、それも踏まえると、金融緩和の今後の見通しについてどのようにお考えになっているかをお伺いしたいと思います。
  50. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 御案内のとおり、日本銀行は物価安定の目標の実現を目指し、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの下で強力な金融緩和を推進しております。  こうした中、景気は、先ほど申し上げたとおり、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働く下で緩やかに拡大しております。また、企業収益は過去最高水準で推移しておりますほか、労働需給も着実な引き締まりを続けておりまして、いろんな計算があると思いますけれども、ほぼ完全雇用の状態になっていると思います。  ただ、物価安定の目標の実現にはなお時間を要しているわけでありまして、そうした下でマクロ的な需給ギャップがプラスの状況が続く、あるいはそれを続ける下で二%へ向けたモメンタムはしっかり維持されていると思いますけれども、なおまだ距離がございますので、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていく必要があるというふうに考えております。  もちろん、その際、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検は行う必要がありますし、その際には経済、物価、金融情勢を踏まえながら適切な政策運営に努めていくという方針でございます。
  51. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 適切な運営に努めるというその最後の部分はそのとおりで、そうあっていただきたいと思うんです。  これ質問は、やはりほかの委員の皆さんの質問も、またその答弁も踏まえながら、積み重ねていってよりいい質疑にさせていただきたいと思うのでこういう聞き方をさせていただいているんですが、適切に対応をしていただくのは当然のこととして、もし、物価目標だけが達成されていない中での金融緩和の今後の見通しと、しかし、弊害があるかと聞かれて弊害が現にあるとおっしゃったので、その弊害が生じ始めている中での金融緩和の今後の見通しと、そこにはおのずから差があってしかるべきだと思うんですが、今の御答弁はその差を認識し得る御答弁ではなかったんですが、その点についてどのようにお考えになりますか。
  52. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、大幅な金融緩和が長期的に続いた場合にあり得るリスクというものを、一方で金融仲介機能が損なわれる、あるいはもう一方で金融の行き過ぎというものが起こり得るということでありますが、現時点では仲介機能に障害が生じておりません。金融機関は三%程度の貸出しの増加を続けておりまして、その内容も全国的に、また様々な産業に向けてそういったことが行われておりまして、金融仲介機能に現時点で何か障害が出ているということではないと思います。  それから、金融システムレポートでも半年に一回公表しておりますとおり、行き過ぎがないかどうかというのをかなり、十数項目にわたってかなり細かく分析し検討しておりますけれども、今のところ行き過ぎがあるというふうには見ていないということでありますので、現時点で金融システムに問題が生じているということではないというふうに考えておりますが、ただ、今後も中長期的な動向を見る場合には、やはり金融機関については構造的な問題というのがあるわけでして、人口減あるいは企業数の減、それからくる構造的、長期的に見た融資に対する需要の減というものがある中で競争はますます激化していくという面があることは事実ですので、低金利環境の下でそういった競争が更に激化していくということになると、金融機関の収益面に大きな影響が出るおそれがあるということで、そこはよく注視していくつもりですし、その辺りの分析は常に明らかにしてまいりたいというふうに思っております。
  53. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 この点だけずっと質問しているわけにもいきませんので次に移りますが、現時点で金融仲介機能にあるいは金融機関の経営に弊害が出ていないという認識は私は違う立場を取っております。もう既に弊害は出ていると思います。例えばスルガ銀行の問題とか商工中金の問題とか、なかなか収益環境が厳しくなってきている中で、貧すれば鈍すというようなことが起き始めているという認識でいますので、それはお伝えをしておきます。  それから、せんだって沖縄に行ったときに、沖縄の地方銀行の皆さんからも話を聞いて、聞いた内容は那覇支店長にもお伝えしておきましたけれども、沖縄の不動産のブームというのは、ちょっと内地とはまた一味違ってかなり過熱をしていると。沖縄の地銀の役員の方にかつてのバブル時の経験もおありの方もいらっしゃって、どうもちょっと内地と違った不安を感じているということもおっしゃっておられましたので、それは那覇支店長にお伝えしておきました。そういうことも含めて、総裁は、今、現時点では金融機関経営に関する、あるいは金融仲介機能に関する弊害は生じていないという御認識でありましたが、それは少し、更に深くリサーチをして認識を改めていただく必要があると思うということを申し上げておきます。  その上で、今日冒頭にこの報告書の概要説明いただきまして、今も最初の御答弁の中でありましたが、この今日の報告書の概要でいうと二ページ目の前段のところで、先行きの展望ということで、マクロ的な需給ギャップはプラスの状態で、中長期的な予想物価上昇率も高まると、こういうことで、今も御答弁の中でこれをおっしゃったんですが、最新の日銀の経済・物価情勢の展望、いつも拝見しているんですけれども、例えば、今日お手元にこれはもちろんお配りしていないんですが、多分全部頭に入っていらっしゃると思いますので、図表、この図表五のマクロの需給ギャップ見ると、確かにそのとおりです。マクロの需給ギャップは確かに大分改善していると思います。しかし、この中長期的な予想物価上昇率が高まると、これ実は五年前から、ああ、六年前ですね、もはや、ずっとそういう趣旨のことをおっしゃり続けていて、今回もまたこれおっしゃっているんですが、この中の図表四十七というBEIを見ると、全くそういうグラフにはなっていないんですね。何を根拠にこの中長期的に予想物価上昇率が高まるというふうに国会で繰り返しおっしゃるのでしょうか。
  54. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 中長期的な予想物価上昇率については常に私どもも注視しているわけですけれども、量的・質的金融緩和を導入して一年半ぐらいたった二〇一四年の夏頃には実際の物価上昇率も一・五%ぐらいになり、予想物価上昇率も上がっていたわけですけれども、その後、石油価格が百十ドルぐらいから最終的には一年半掛かって三十ドル割るぐらいに下がったときに、実際の物価上昇率もどんどん下がっていったわけであります。そのときにやはり中長期的な予想物価上昇率自体も下がっていったと。最近は、物価上昇率自体が一%ぐらいになり、予想物価上昇率も少し回復したんですが、このところはずっとフラットな状態で予想物価上昇率は上昇しておりません。  ただ、その背景には、実際の物価上昇率も一%まで来たわけですけれども、それが今のところまだ、来年には一%台半ばになるというふうに我々は見通しておりますけれども、まだ足下では一%ぐらいということで、中長期的な予想物価上昇率もまだ上昇する状況になっていないということはそのとおりであります。  ただ、今申し上げたことから非常に強く言えることは、我が国の予想物価上昇率というのは、どうしても適合的期待というか、実際の物価上昇率に合わせて動いてくるという傾向が、御承知のようにアメリカなどの場合は、予想物価上昇率が二%の物価安定目標にかなり強くアンカーされていますので、実際の物価上昇率が下がっても予想物価上昇率は余り下がらないという傾向があるんですけれども、我が国の場合は、やはり適合的期待の要素が強いわけですので、展望レポート等でも申し上げているとおり、現在のプラスの需給ギャップを続けていくことによって、あるいは非常にタイトな労働需給の状況を続けていくことによって、実際の賃金、物価が上昇していけば予想物価上昇率もそれに合わせて上昇していく、言わばその両方相まって二%に向けて徐々に物価上昇率は高まっていくという見通しを持っているわけでございます。
  55. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 なかなか解釈が難しい御答弁をしていただいているような気がするんですが、二点指摘しておきます。  今御答弁いただいた中で、言葉尻を捉えるつもりは全くありませんけれども、途中で中長期的な予想物価上昇率が高まるという状況には確かにございませんがということをおっしゃったんですよ。しかし、それは、冒頭や答弁でおっしゃったり、ここに書いてあることと全く逆のことをおっしゃっているわけで、やっぱりこういうところの発言の整合性は、日銀総裁は特別な存在であられますので、是非できるだけ整合性のある発言を維持していただきたいということをお願いをしておきます。  それから、もう一点、今の点で指摘をさせていただきたいのは、その適合的期待形成というのは、これも総裁の任期中の途中から繰り出してきた新しい変化球なんですけれども、過去の経験から企業もあるいは国民もなかなか物価に対する行動パターンがそこから抜け切れないという文脈でこれをお使いになっているんですけれども、ところが、これいつまでやはりそのロジックを駆使されるのかなと。  もはやデフレではないということを政府とここは認識を一致させて、そういう表現をされ、そして、今日お手元にお配りをしている資料の二枚目に読売新聞の九月の総裁のインタビュー記事があるんですが、例えばこれの一番下のところには、読売新聞が正確に引用していたかどうかはもちろん定かではありませんが、デフレでは全くなくなりと、ここまで断言しておられるわけですね。  そうなると、中長期的な物価上昇がこれだけの金融緩和をやってもなかなか思うとおりにならないということについて、いつまで、過去の経験に影響された適合的期待形成の傾向があるので日本ではなかなか物価が上昇しないという説明をなされ続けるのかということについて、何か御感想があればお聞きしたいと思います。
  56. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 先ほどから申し上げているとおり、今の足下では、中長期的な予想物価上昇率は、かつてのように石油価格がどんどん下がって実際の物価上昇率が下がっていく過程で下がっていたものが、少し上昇したわけですけれども、その後、このところフラットな状況にあるというのは現実にそうなっているわけです。  他方で、私どもが申し上げているのは、その中には適合的期待形成の要素があるわけですので、実際の物価上昇率が上昇した場合には中長期的な予想物価上昇率もそれに合わせて上昇していくわけですので、その両者が相まって物価上昇率は二%に向けて近づいていくという見通しを立てているわけでございます。  それから、現在デフレではないという状況はそのとおりでありまして、デフレはマイナスの物価上昇率が持続するという状況ですので、そういう状況では全くないということは事実なのですが、私どもは二%の物価安定の目標を達成するということを我々の使命として行っておりますので、まだ二%には達していないという中で大幅な金融緩和を粘り強く続けることによって、GDPギャップ、需給ギャップをプラスのまま続け、労働需給もタイトな状況を続ける、そして、その中で実際の物価上昇率が徐々に上がっていき、中長期的な物価上昇率、予想もですね、これに合わせて上がっていく中で、両者が相まって二%に向けて徐々に物価上昇率が上がっていくということを見通して、また、そういう見通しに立って現在の金融緩和を粘り強く続けていくというふうに申し上げているわけです。
  57. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今のやり取りに関連しても一つ指摘を申し上げておきますけれども、多くの議員が今日だけじゃなくて様々な機会で問題提起をされていると思うんですが、つまり、なかなか物価が上がらない理由というのは、何か構造的な要因で上がらない可能性もあるので、もうもはやその二%の物価上昇率の目標を維持する合理的根拠がないのではないかという趣旨の問題提起は随分、これは与野党関係なくされていると思うんですね。だから、その点については総裁におかれても虚心坦懐に一度レビューをし直してみていただきたいということを、お願いであり、指摘はしておきたいと思います。  つまり、一点目の指摘もそうですし、二点目の指摘もそうなんですが、それ、国会で、あるいは有識者がそれに類する指摘をさせていただいている中で、いやいや、大きな方針は変わらず二%実現するまで金融緩和は当面続けるんですということを本当にずっとやっていていいんだろうかという、みんな、疑問からこういう質問をさせていただいているわけなので。  そこで、三点目の質問に移りますけれども、通告もしておりますが、金融緩和の手法ですね、更なる金融緩和の手法。つまり、まだまだ中長期的な物価上昇率は二%に達しないので緩和は続けると言っているわけですから、更なる緩和の手法なんですが、例えば、お配りしている資料のこの一枚目は、毎月末にまとめて月初に財政金融委員会の委員の皆さんにお配りいただいている、これ大変貴重な資料だと私は思っていまして、この一枚だけからでもいろんなことが言えるんですが、例えば、まず日銀が基本的にやり続けていることは、一枚目の裏を見ていただくと、マネタリーベースの対名目GDP比をどんどん上げていくと。総裁の就任時は三〇%弱だったのが、もう今やこれ九一%まで来ています。それから、日本銀行の総資産の対名目GDP比、これとうとう一〇〇を超えました。  先ほど、杉さんの御質問にも、こういう状況になるといろいろ日銀のバランスシートに対する懸念も出てくるということで、これも関係あるんですけれども。  以前総裁は、これ、どこまでこの数値を上げていかれるおつもりですか、上限はありますかと質問させていただいたら、上限はありません、青天井だとおっしゃいました。それは今でも変わりありませんか。
  58. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 青天井という意味ではなくて、上限はありませんと申し上げているので、ですから、何か一〇〇%になったらそれで終わり、あるいは一五〇%になったら終わりとか、そういう上限というものはないと、あくまでも二%の物価安定の目標をできるだけ早期に達成するために必要な金融緩和政策を行っていくという趣旨でございます。
  59. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今日も上限はないという御答弁だったというふうに理解しておきます。  表面を見ていただくと、これは日銀の保有国債の残存期間です。これも総裁の就任時から約倍の長さになっているわけでありまして、これについても、より長期にわたって金融緩和のモメンタムを維持するというために一つの手法だということは理解ができますが、これについても残存期間がどこまでも長くなることについて上限はありませんか。
  60. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 別に特別な上限があるわけではないと思いますが、実際の国債の買入れを御覧になっていただくと、フローでは余り残存期間、平均残存期間は長くなるという感じではないんですけれども、ストックではまだ、徐々にですけれども、上昇していく可能性は高いと思っています。  なお、これも御承知と思いますけれども、FEDとかそのほかの中央銀行の国債とかその他の債券の買入れによって生じた平均残存期間というのはもうちょっと、例えばFEDなんかはもっと長かったと思います。ただ、他方で、FEDの買い入れた国債等の資産の残高はGDP比で日銀よりもずっと小さいわけですから、一概に言えませんけれども、平均残存期間というのは、平均的には、買入れをストップすれば平均的にそのぐらいで拡大したバランスシートが縮小していくということを示しているという意味では米国の方がより平均残存期間は長かったと思います。
  61. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今御答弁の中で、ストックベースでは更に長くなっていく可能性があるというか、そういう見通しのような趣旨のことをおっしゃったんですが、それはなぜそうなるんですか。
  62. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 現在のフローベースの買入れの平均残存期間が八年程度だと思いますので、それをずっと続ければ八年になるわけですけれども、私どもとしても無限に続けるつもりもありませんし、二%の物価安定の目標が達成されるような場合には当然出口戦略ということになりますし、その前でも、御案内のとおり現在のフローでの買入れ額は縮小してきています。ただ、ストックの効果によって十年国債のゼロ%程度の金利というのが維持されているということだと思います。
  63. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今日の指摘をさせていただく点の三点目ですが、手法としてこのマネタリーベースや総資産を増やしていくとか残存期間を長くしていくというのも分かりますけれども、これについても少し限界的な局面が近づいているという御認識はお持ちいただいた方がいいのではないかということは指摘をしておきたいと思います。  その上で、更なる金融緩和、目標達成まで続けると言っているわけですから、それはそれで結構なことなんですが、このマネタリーベースや総資産を増やす、あるいは保有国債の残存期間を延ばすということ以外にどういう手法をお考えでしょうか。
  64. 黒田東彦

    参考人(黒田東彦君) 繰り返し申し上げておりますとおり、現在、今の大幅な金融緩和を粘り強く続けていくということで十分であるというふうに考えております。  なお、その仮定の話ですが、何らかの経済、物価に対する大きな下押し圧力が出た場合に追加的な緩和というものが考えられるかということであれば、それはこの新しい長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入した、二年ほど前ですけれども、そのときに公表しておりますとおり、短期政策金利の引下げとか長期金利操作目標の引下げとか、あるいは資産買入れの拡大、あるいはマネタリーベースの拡大ペースの加速などが抽象的には考えられるわけですが、先ほど申し上げたとおり、現時点では今の大幅な緩和を粘り強く続けていくことによって物価上昇率は徐々に二%に近づいていくというふうに考えております。
  65. 大塚耕平

    大塚耕平君 最後に、もう一つ指摘と質問をさせていただいて終わりにしますが、今日のこの報告概要でも、所得から支出への前向きの循環メカニズムとか、それから個人消費は着実な改善と書いてありますが、一昨日の日経新聞一面の所得のグラフを見ても全然伸びていませんし、それから個人消費もこの日銀の経済・物価情勢の展望を見る限りはそれほど伸びておりませんので、所得消費に対する各種公表物の表現や総裁の御発言の内容については更に精査をしていただきたいということはお願いし、指摘をしておきたいと思います。  最後に質問ですが、読売新聞のこの記事ですが、九月に日銀総裁は利上げを長期間しないと、これは長期間しないということを決定したということですか。
  66. 黒田東彦

    参考人(黒田東彦君) 七月の金融政策決定会合で金利についてのフォワードガイダンスを導入したわけですけれども、その際、当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持するということを政策委員会で決定し、その際の議論を踏まえて御説明したわけでございます。  なお、この当分の間というのは、別に何か月とか何年とかいうことを決めているわけではありませんが、やはり現状、我が国の経済、物価の先行きについては様々な不確実性もありますし、物価上昇率、今足下では一%でありますので、やはり相応に長い期間を想定しているわけでございます。その英訳につきましても、かつてFRBやECBが用いていたフォー・アン・エクステンデッド・ピリオドというのを使っておりまして、当分の間というのについての時間的な長さのイメージを示しているのではないかと思います。
  67. 大塚耕平

    大塚耕平君 終わります。
  68. 大門実紀史

    大門実紀史君 日銀質疑の前に、一点だけ金融庁質問をさせていただきます。  この一年半、損保代理店が大手損保から一方的にひどい扱いを受けている問題を繰り返し取り上げてきました。まさに優越的地位濫用ということで好き放題に、地域で頑張っている損保代理店をいろんな点で苦しめてきた問題でありますが、手数料を一方的に減らすとか他社の損保商品を扱うなという乗り合い拒否の問題を取り上げてきました。  これは麻生金融担当大臣の御指示の下で、遠藤監督局長、今長官ですね、また今の横尾課長、補佐の中里さん含めて大変尽力していただいて、いろいろ改善が進んでおります。  先日も超党派の院内集会が開かれております。ニュースも出ておりますけれども、どういうわけか、私じゃなくて西田昌司さんが一番の写真が載っておりますけど、超党派の集会ですからそれで結構なんですが、たくさんの自民党議員の皆さん、大塚耕平さん含めて、前原さんも出てもらって、みんな元気付いたところでございます。  一点だけ、その院内集会で出た問題の質問をさせていただきます。  根本問題ですね、大手損保と代理店の委託契約の中身が余りにも一方的ではないかというようなことが院内集会でもたくさん意見が出ておりました。今日は名前出しませんが、ある大手損保の委託契約書を見ますと、大手損保の方で勝手な基準代理店を格付をすると、それに応じて手数料を払うと。これ、一方的に決めているんですね。こんなものは保険業法のどこに書いてあるのかとか、何の関係もないというふうに思いますし、ただの優越的地位濫用ではないかと思います。  いずれにせよ、この件で金融庁にお願いしたいのは、現在の大手損保が一方的に作成している代理委託契約書、これが一体どういう法的根拠に基づいて作られているのか、顧客保護を定めた保険業法上の監督指導責任に基づくものなのか、その根拠をちょっと調べてほしいなと思いまして、ヒアリングも含めて。議論は来年、麻生大臣のおられるこの委員会の場でやりたいと思うんですけれども、まず大手各社の代理委託契約書の法的根拠について、今のうちにヒアリング含めて調べておいていただきたいという、今日はその一点だけですけど、いかがでしょうか。
  69. 栗田照久

    政府参考人(栗田照久君) 今御指摘がございましたように、保険業法におきましては、保険会社は、業務に係る重要な事項のお客様への説明、顧客情報の適切な取扱いが求められておりまして、その業務を第三者委託する場合においても、業務の的確な遂行その他健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じなければならないというふうにされております。  他方で、保険会社と損保代理店との委託契約は、これは事業者であります民民の契約でございまして、代理手数料を含めましてその在り方については当事者間でよく話合いをしていただくべきことであるというふうに考えておりますけれども、今先生御指摘がありました実態につきましては、保険契約者保護の観点を踏まえまして、しっかりと把握してまいりたいというふうに考えております。
  70. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非よろしくお願いいたします。  それでは、日銀の関係の質疑をしたいと思います。  黒田総裁、読まれたと思うんですけど、白川前日銀総裁が書かれた「中央銀行」という本でございます。(資料提示)七百五十八ページという膨大な本でありますけど、私のことも二か所で触れていただいて評価していただいていますけど、だからというわけではありませんが、二回読みました。  私、白川さんは学者肌で誠実な方で、お人柄大変好きでございましたし、総裁としての評価は、何といいますか、もうちょっと日銀マンのプライドに懸けて政治に対してもっと頑張り抜いてほしかったという面と、あれだけの政治的プレッシャーがある中でよく頑張られたと、最後までよく頑張られたという面も思います。どちらかというと後者の、あれだけのプレッシャーの中でぎりぎりよく頑張られたかなと思って、そういうことを思い出しながら読んだ本でございます。  黒田さんとは立場が違うかなと思いますけれど、黒田総裁の感想、意見も聞いておきたいと思うんですが、異次元の金融緩和との関係で見ますと、この本の随所に貫いているのは二つあるんじゃないかと思うんですね。一つは、中央銀行独立性というのは一体何なんだろうと、一体何をもって独立性を堅持するんだろうという点でございます。  もう一つ、こちらの方を今日は質問として聞きたいんですけれど、そもそも論なんですが、こういう金融緩和というのは何なのかと、一体どういうときにやるべきなのかと。特に、大規模な量的な異例の金融緩和というのは一体どういうときに発動すべきものなのかというそもそも論を白川総裁は問題意識としてずっと持っておられたような気がいたします、この本を読んでいてですね。  つまり、ああいう大胆な大規模なとかいうのは、欧米の例を見ても、リーマン・ショックを含めて大きな経済パニックとかショック起きたときに発動すべきものであって、幾らデフレが長く続いたといっても、一定平時のときにそういうものを発動すべきなのかと。それは取りも直さず、これは白川さんの、実はこの議論を私国会で、この場で、委員会でやったことあるんですね、平時の政策なのかどうかということを私もやったことあるんですけれども、白川さんはこの点では、こういうことを平時でやりますと、結局これは需要の先食いになると、需要の先食いになるんで、将来の需要を現在に持ってくるようなものだと、この大胆な金融緩和というものはですね。したがって、数年は続くけど長くは続かないと。これは非常に分かりやすい論だというふうに思いますし、今も議論がありましたけれど、結局長く続かないと、一時のカンフル的なものはありましたけど、長く続かないジレンマに今現在もう日銀は既に陥っているんじゃないかと思うんですね。  そういう点で、この一点、この大胆な金融緩和というのは本来はやっぱり経済パニックのときにやるべきものであって、需要の先食いですから、そういうところの最初のボタンの掛け違いがあって今ジレンマに陥っているんじゃないかと思いますが、基本的な話ですね、大胆な金融緩和の発動というのはやっぱりこういう経済パニックのときに本来やるべきものではなかったのかという点は白川さんと私同じ意見なんですけれど、黒田総裁はいかがお考えでしょうか。
  71. 黒田東彦

    参考人(黒田東彦君) 需要の先食い論というのは、非伝統的金融政策について特に言われているというわけじゃなくて、伝統的な金融政策についても同じことが一部の経済学者から言われています。財政政策についても全くそう言われているわけですね。国債を発行して、そこで需要を増やしても、将来その償還が必要になるので需要の先食いにすぎないという議論が、つまり財政政策とか金融政策は単なる需要の先食いだという議論は一部の経済学者にあるんですけれども、余り意味のある議論とは思わないんですね。  というのは、あくまでも財政政策金融政策も、景気循環を回避して経済が持続的ななだらかな成長を続けられるようにするために、まさにマクロ政策として財政政策金融政策を活用しているわけでして、今言ったような議論というのはマクロ政策を全て否定する議論で、全く無意味な議論だというふうに私は思っております。  その上で、日本銀行の使命というのは、やはり物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資するということでありますので、物価安定の目標の実現という責務は、これは日銀の責務であるというふうに考えております。  そうした面で見ますと、一九九八年以降二〇一三年まで十五年間にわたってデフレが続いてきた我が国では、やはり物価安定の実現を目指すためには強力金融緩和の実施が不可欠であったということであります。また、その際、短期金利は既にゼロ%になっていたわけですので、短期金利の引下げの余地はほとんどないということで量的・質的あるいはそういう金融緩和を行ったわけで、これは実は米国も欧州も、みんなそういうことで非伝統的と言われる金融緩和政策をやったわけです。  そういった面で、既に経済は回復しておりますけれども、やはりまだ二%の物価安定の目標には達しておりませんので、日本銀行としては、これを実現するため、現在の強力金融緩和を粘り強く続けていく必要があるというふうに考えております。
  72. 大門実紀史

    大門実紀史君 簡潔に答弁をお願いしたいと思うんですけど、黒田さんが言われるような、そんな軽い一般論ではございません。ならばなぜ二%がまだ達成できないのかと、ならばなぜ日銀が供給したお金が世の中に回らないのかということが問われることになるんじゃないかというふうに思いますので、そういう、余り何か全部人の言うことを否定するのじゃなくて、いろんな意見を聞きながら政策は組み立てるべきで、もっと謙虚にいろんな意見を受け止めるべきだと思いますよ。そう簡単に、そんな意見、そんな論はどうこうとか、それは黒田さんの意見であって、そうじゃない学者の意見、研究者の意見もいっぱいあるわけですから、もう少し謙虚に受け止めるべきだというふうに申し上げておきたいと思います。  もう一冊御紹介したいのは、ちょうど今日発売ですが、私の本でございます。(資料提示)アベノミクスじゃなくて「カジノミクス」という名前でございまして、もう既に売り切れ状態になっております。黒田さんの分は一冊取ってございますので、後で謹呈したいというふうに思っております。中身は、黒田日銀を厳しく批判した、もうぼろかすのほど批判したものでございますけど、是非参考にしてもらいたいと思いますけど。要するに、私が見てきた十八年間、速水元総裁以来の日本銀行の十八年の変遷といいますか変質といいますか、日銀が政治に翻弄されてきた経過、今の日銀とは百八十度立場は違うと思いますけど、ただ、白川さんまでの日銀総裁ならばほぼ同じような考えを持たれてきたんじゃないかというような中身でございます。  ただ、この本の中で、出口といいますか、日銀の正常化に向けて何をすべきかということを黒田さんのために提案をしております。ちょっとその点について意見を聞きたいと思いますが、四つの点が正常化を考える点で重要じゃないかと思うんですけど、第一に、前も申し上げましたけど、二%という目標をもう取り下げることです。これがあるうちは、もう自分で自分の首を絞めるように自縄自縛でこのことを続けるしかないと。二%という目標を取り下げるべきですね。  その上で、国債の保有残高を減少させるという方向を、方針を明確に打ち出すことだと思います。  さらに、今日も後で取り上げますが、空売り規制などを含めた特別措置を設けて、国債暴落、日銀が政策変更のときに狙ってくる、国債暴落を狙う投機筋の動きを牽制するということです。  第四に、巨額に保有した日銀の国債とETF、株などについては長期的な市場への売却計画をもうはっきり示していくべきだと。その上で、市場や国民との意思疎通、理解の促進に尽力すべきであって、そういう対話を率直に始めるべきだと思いますし、その点では長期保有をしてくれるという投資家を優遇すると、優遇して日銀が持っている株を保有してもらうというような、これもまた特別措置になりますが、よほどいろんなことを考えていかないと大変危ない事態になっていると思うわけでありますけれども。  答弁は先ほどと同じになるかも分かりませんが、何かのときの参考にしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  73. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 委員の御提案のうち、まず物価安定の目標については、日本銀行としては引き続き二%の実現を目指すことが適当であるというふうに考えております。御案内のとおり、消費者物価指数といった統計には上方バイアスがありますので、さらにはデフレに陥らないための政策対応力の確保などを考慮いたしますと、小幅のプラスの物価上昇率を目指すことが重要であると、これは言わば国際的なコンセンサスだと思います。  こうした観点から、主要先進国では、具体的には二%の物価安定目標といういわゆるインフレターゲットを設けて金融政策を運営しておりまして、これがグローバルスタンダードになっていると。我が国が同じ物価安定目標を目指すということは、長い目で見た為替レートの安定にも資するだろうというふうに思っております。  第二の国債保有残高を減少させる方針を今打ち出すということについては、現在、強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが不可欠でありまして、そのためには幅広い年限の金利を低位に安定させるために必要な国債を買い入れることが必要であるというふうに考えております。  また、保有国債あるいはETFの売却計画というものを示すということは、これは一種の出口戦略の議論でありますので、これは、出口戦略については適切な時期に金融政策決定会合において議論し、市場にも発信するということが必要だと思いますが、まだ時期尚早であるというふうに考えております。  なお、空売り規制云々ということについては日本銀行としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、もちろん、この一部の市場参加者の国債空売りなどが国債利回りに特段の影響を及ぼす動きにつながるかどうかという点については、国債市場のきめ細かい把握に努めて、引き続き関係当局と連携を密にしてまいりたいというふうに考えております。
  74. 大門実紀史

    ○大門実紀史君 とにかく、何かの参考にと思います。  今申し上げた、その三点目で申し上げたことなんですけれども、国債暴落を狙う投機筋の動きを牽制するという点なんですが、これは五月のこの委員会でも、日銀の出口を狙っていますよという話で、具体的に国債の空売り問題、質問いたしましたが、その関連で、あの質問の後、新聞記事の資料を配付させてもらいましたが、七月の末から八月初めに起きた事態に関連して質問といいますか、警鐘を鳴らしておきたいと思います。  新聞記事一枚目、二枚目なんですけれど、ちょっと時間も少なくなりましたので、一枚目のリードを読んでもらえれば全体の話は分かると思うんですけど、要するに、七月末の政策決定会合の後、国債市場には売り圧力が掛かったと。で、日銀が売りの影響を抑えるために国債を買うと。ところが、その売りの圧力を掛けている投機筋が利用したのは日銀から借りた国債だというようなことで、投機筋と日銀の駆け引きを日銀が貸した国債が支えるといういびつな構図が鮮明になっているということであります。  要するに、全体像を申し上げますと、日銀が国債の価格を維持しようと思って国債を買う、金利を下げるために買うと。投機筋の方は、国債を売って価格の下落を仕掛けると。その際、空売りをやるわけですね。借りて売るわけですね。その借りるのが、市場から、もうレポ市場も含めて借りられなくなってきて、誰から借りるかというと、当の日銀から借りて、日銀と対抗するというようなことをやっているという。何といいますかね、日経新聞はいびつと言っていますが、もうブラックジョークですね。もう滑稽な構図になっているということでございます。  記事にあるのは、その前の問題も触れられております。七月三十日の日銀の指し値オペ、このときに大量に応札をした、つまり市場関係者が日銀の指し値オペに応じて売ったと、一・六兆も売ったと。そのときにも空売りが行われていたということからも、全部連動して、要するに日銀から国債を借りて国債市場で売るというようなことが、もうとんでもないことが起きているということでございます。  その日銀から借りる制度というのが国債補完供給オペでございますけれど、ちょっと時間がないので簡潔にこの制度を説明してもらえますか。
  75. 前田栄治

    ○参考人(前田栄治君) お答えいたします。  委員御指摘の国債補完供給制度でございますが、これは市場において個別の国債銘柄の需給が逼迫した場合に、国債決済の円滑確保に資する観点から、日本銀行が保有する国債を市場参加者に対して一時的かつ補完的に供給するということを目的として行う国債の買戻し条件付売却でございます。
  76. 大門実紀史

    ○大門実紀史君 総裁にお聞きしたいんですけど、この国債補完供給オペというのは今説明あったとおりなんですが、これを、この利用を前提にして国債の空売りを行うというのは、今説明あった趣旨からいって違うんじゃないかと思いますが、総裁、一言。
  77. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) この制度の趣旨は今当方から説明したとおりでありまして、あくまでも個別の国債銘柄の需給が逼迫した場合に一時的、補完的に供給するということが目的でありますので、国債補完供給の利用を前提とした国債買入れの応札などはもとより受け入れられるものではありません。
  78. 大門実紀史

    ○大門実紀史君 二つの問題点がございまして、一つは、まず指摘しなきゃいけないのは日銀トレードとの関係でございます。  つまり、大手銀行などが政府から国債を買って、そして日銀に売ると。これは、国債価格が上がっていて金利が下がっている、下がる状況、つまり日銀が大量に買っている状況ですね、このときでしたら政府から安く買って日銀に高く売るということで、そういう、プライマリーディーラーといいますけど、そういう人たちに利益が生むわけです。ところが、これからそうなっていくと思うんですが、この間もそうですけれども、価格は下がって金利が上がると、この状況になりますと、そういう大手メガバンクを含めて、プライマリーディーラーは逆になって損をしちゃうわけですね。政府から安く買って日銀に高く売るということができないわけですね。安く買って、更に安くなってしまうと。  そこで何をやったかというと、この国債の補完供給オペを使って、簡単に言いますと、七月三十日に先に、これは実はまだ借りる前に、借りる予定の段階で空売りをすると、日銀に先に空売りをすると。後で、八月二日に、国債発行される発行日でしたから、政府から買うと。実は、この一日二日の空白ありますので、それを利用してこの空売りをやりますと、安く買って高く売るというのがこれできますので、それで差益を得ていたということにこれなるわけですね、どう考えても。これ、国債が手元にないのに後で借りるつもりで先に売ると、これいわゆるネイキッド・ショート・セリングといいますけれど、こんなことまで行われるようになってきているというふうに思うんですね。  時間がないので財務省の方に聞きますけれども、これを、日銀トレードを主にやった、日銀トレードをやったのはこのプライマリーディーラー、資料でいえば三枚目ですね、国債の消化に責任を持つ、その代わりいろんな情報交換もやるというような選ばれた人たちでございますが、この人たちが借りる前から先に売ると、一日二日の空白を利用してですね、これまでやってきた可能性があるわけです。こんなことやっていいのかというふうに思いますけれど、いかがでしょうか。
  79. 可部哲生

    ○政府参考人(可部哲生君) お答えいたします。  国債の安定的な消化のためには、国債の売買が活発に行われる、そうした流動性の高い国債市場であることが必要でございます。そのために、今委員御指摘のとおり、プライマリーディーラーが流通市場において十分な流動性を供給する責任を果たしていただくことが必要でございますけれども、その際には、ただいま日銀から御説明がございましたように、国債補完供給についての趣旨も踏まえた上で行われることが重要だと考えております。  このため、国債発行当局といたしましては、今後とも金融政策を所管される日本銀行とも密接に連携して国債市場の状況などを注視してまいりたいと考えております。
  80. 大門実紀史

    ○大門実紀史君 もう一つそこはちょっと厳しく、こんな状況までとにかくもうけようとすると、しかも日銀の制度を使ってもうけようとするこの貪欲なやり方というのはちょっと厳しく指摘してもらいたいのと、冒頭申し上げたように、この仕組みを、後で日銀が政策変更、出口、正常化というふうに入ってきたとき、つまり金利が上がる、国債価格が下がるという局面で投機筋がこれを使うということは、あったらまさに本当に漫画でして、日銀の暴落を投機筋が日銀の制度を使ってやると、日銀から国債借りてやると。市場にはもう国債少ないですから、やろうとすると、日銀の制度使って、借りて、国債の暴落を仕掛けるというようなことも、もう将来の心配じゃなくて今現在こういうことが起きているわけですから、きちっと、何といいますかね、注意をしていく必要があるというふうに思うんですね。  そういう点で、この補完供給オペ制度、むしろ何か緩和をしようみたいな話もありますけれど、そうではなくて、元々は何が悪いかというと、日銀が大量に国債を買い過ぎるから、市場に国債がなくなってきたから、空売りするときも市場から調達できなくなって日銀から借りると。まあ、いびつもいびつ、漫画も漫画みたいなことになっているわけですけれども、そうかといって、日銀が持っているからといって、日銀の国債補完供給オペをそういう投機に使われる心配も現実味が帯びてきたわけですから、この制度について本当にきちっと検討されるべきではないかと思いますが、黒田総裁、いかがでしょうか。
  81. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、この制度の趣旨というものを十分理解してもらう必要がありますので、国債補完供給の利用先の金融機関に対してはしっかり説明をしておりますし、利用先においても理解していると考えておりますが、引き続きその点は十分注視していきたいと思います。  その上で、日本銀行としては、金融政策の重要な手段である金融調節を円滑に実施するためには、やはりオペレーションの趣旨の理解、浸透を含めて対象先の金融機関とのコミュニケーションを日頃から密に行っておりますけれども、その必要性は更に増していくと思います。  今後とも、その時々の金融政策の効果が円滑に発揮されるよう、国債補完供給オペを含め、適切なオペレーション運営に努めてまいりたいと考えております。
  82. 大門実紀史

    ○大門実紀史君 終わります。
  83. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 日本維新の会の藤巻健史です。よろしくお願いいたします。  黒田総裁とは三時間とか四時間でも議論したいんですけれども、十四分しかありませんので、ごく一部を質問させていただきたいと思います。  まず、各中央銀行、日本銀行、それからアメリカ中央銀行、そしてヨーロッパ中央銀行、英国中央銀行のバランスシートが対GDPで何%あるのかをまず教えていただきたいと思います。どのくらい国力に比べてお金をばらまいているかの指標だと思いますので、その辺の数字を教えてください。
  84. 前田栄治

    ○参考人(前田栄治君) お答えいたします。  日本銀行、そしてアメリカのFRB、ヨーロッパのECBにつきましては、二〇一八年十一月時点の資産規模の計数が利用可能でございます。これと各国における直近のGDPの計数を用いて資産規模の対名目GDP比率を計算いたしますと、日本銀行は一〇一%、FRBは二〇%、ECBは四〇%となっております。英国のBOEにつきましては、直近で確認可能な二〇一八年二月末時点における資産規模でございますけれども、GDP対比で二九%となっております。
  85. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 今数字を聞きましたように、日本銀行が抜群にというか、桁違いにバランスシートがでかいわけですね。お金をばらまいているということだと思います。  先日の十一月二十六日の予算委員会で私が質問したときに黒田総裁が、出口に関しては、バランスシートの縮小は非常に重要であるけれども、海外の中央銀行の先行事例を参考にしながら考えるとおっしゃっていました。  私とか黒田総裁がダイエットに成功したとしても、小錦さんとかあの碧山がダイエット、同じ方法が適用できるとは思わないわけですよ。もう小錦さんなんか物すごい過激なダイエットをやったと思うんですけれども。こんなにメタボになった、要するにバランスシートを膨らました日本銀行が他の中央銀行と同じようにバランスシートを縮められるんでしょうか。
  86. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますとおり、出口に当たって、いわゆる出口戦略としては、拡大したバランスシートをどのように取り扱うかということと、短期の政策金利をどのように引き上げていくかというこの二つが出口における変数というか課題というか、ツールになるというふうに思います。  そうした面で諸外国の例を見ますと、アメリカの例が一番最近の例ですけれども、国債についてはネットの買入れ増を止めて、それからかなりの期間バランスシートをずっとフラットに保っていて、その意味は、償還される分に応じた分を新たに国債を買い入れていたわけですけれども、それをやめて買入れを減らしていった結果として、だんだんバランスシートが減ってきているという形でバランスシートの調整を行っておりまして、そういった調整自体は十分参考になるというふうに思います。  ECBは年内に新たな買入れをやめるということですけれども、その先どのように拡大したバランスシートを減少させていくかというのは今後の課題だと思いますけれども、十分ECBの状況を見ていきたいと思っております。
  87. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 私はかなり難しいと思いますけど、お手並みを拝見したいと思います。  次に、テーパリングについてお聞きしたいと思いますが、今おっしゃったように、買入れ増を止める、すなわちバランスシートをもう大きくしないというのがテーパリングの完了ということなわけですけれども、先ほど来聞いていますと、景気は大分良くなってきているとか、二%に近づいてデフレは脱却したとか、かなりいい状況だと思うんですが、それを聞いていて思ったんですが、昔の伝統的金融政策でしたら、政策金利を例えば二・五から二・〇%にとどめて、次の政策金利を下げるまでは金融政策って一定なわけですよ。しかも、目標に近づいてきたらば、二・五%にまで下げたものを更に下げるなんということをせずに、ひょっとすると二・七五ぐらいまで上げていますよ。  ところが、今やっている異次元の量的緩和というのは、毎月毎月追加的に強烈に、より強烈に緩和をしているということですからね。なぜ、それほど目的が近づいているなら買い増し額を増やすのか。バランスシートが増え続けているということは量的緩和を加速させていることですから、もし二%に近づいている、もうちょっとだというのだったらば、もうバランスシートを増やす必要ないじゃないですか。どうしてテーパリングの完了をさせないんでしょうか。これ、一点お聞きしたいと思います。  それと、あともう一つお聞きしたいのは、どこまでテーパリングを進めていくのかと。今ステルステーパリングということはあります。正式には八十兆円買い増しだというところを四十兆円増まで買い増しを減らしているという話を聞きますけれども、これ以上減らしてテーパリングの終了状況まで持っていけるつもりでいらっしゃるのか、お聞きしたいんですね。  というのは、なぜかというと、この前、参議院の調査会である大学の先生をお呼びしたらば、国債なんか暴落するわけがないと、みんな自分で売ってしまえば自分で自分の首を絞めることになるから誰も売らない、だから暴落しないなんておっしゃって、全くマーケットを知らないかなと思いましたけれども。  それは別としましても、全員が満期が来たものを買換えをする、それだけじゃ国債は暴落しますよね。なぜかといいますと、毎年毎年赤字が、例えば今年度でしたらば三十四兆円の赤字国債が新たに発行していますから、皆が売らないでも、売らない状況であっても、誰かが三十四兆円分買い増さないとこれは国債の需給バランス崩れちゃうわけですよ。だから、売らなければいいという問題じゃなくて、買い増さなくちゃならない人が必要なわけです。  ところが、今、日銀が、四十兆であれば来年度の新規国債は確かに買えますよ。ですけど、もし日銀が三十四兆円を、例えば初年度の赤字分を買わなかったら誰が買うんですか。今基本的にはみんな売っていると思っていますけれども、誰か新規に買わなかったら国債暴落ですよ。それで、これ予算なんかも組めなくなりますよ。藤巻の給料、誰が払ってくれるんだというような状況になってしまうわけですよね。もし日銀が更にテーパリングを進めたら誰が買ってくださると思っているんでしょうかということをお聞きしたいと思います。  前、白川総裁時代に、多少の緩和をやりました、量的緩和をやりました。でも、あのときは、出口は外国人が買ってくれたんです。今〇・一%が〇・〇五%で誰が買ってくれるのか。みんなが売っているときに誰が、買い増しをしてくれる人がいるのか、お聞きしたいと思います。
  88. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) この非伝統的金融政策と言われる政策は米国も欧州も日本も行ってきたわけでございますが、その際の金利に対する影響についてはいろいろな議論がありまして、フローとしての買入れ額が金利に非常に大きな影響が出るという説とストックが大きな影響を持つという説とあって、いろんな議論があった挙げ句ですけれども、やはりこのストックの効果は大きいということにはなっているようです。  そういった意味では、委員御指摘のとおり年間八十兆ではなくて今四十兆割っていると思いますけれども、そのぐらいのペースに落ちている中でも依然としてゼロ%程度の十年物国債の金利が維持されているということは、やはりストックの効果が十分出ているんだろうというふうに思います。  他方で、御指摘のように、国債市場全体を見たときに、一体、国債の需給あるいはその価格、裏側でいえば利子ですけれども、利子率がどうなるかというのはいろんな状況にもよるわけでして、金利については御承知のように金利構造の期待理論というのが最も有名な理論ですけれども、さらには、タームプレミアムが相当利くとか等々いろんな議論がありますので、単純にその国債市場の規模、国債が新規に発行されていくということによって直ちに国債価格が下落するというふうにも言えないと思います。  ただ、御指摘の点は十分、ここにはいませんけれども財務省は認識していると思いますし、当方としては、あくまでも国債の買入れというものはイールドカーブコントロールをする上で必要なことをやっているわけでして、その上で必要なだけの買入れをしているということで、それ以上でも以下でもないと。  したがいまして、二%が達成されるような時期になれば当然出口戦略というのは議論になってきて、バランスシートをどうするかという問題も当然議論になってくると思いますが、そうした場合でも、何かその金利が経済の実態を離れて大きく跳ねて経済や物価にマイナスになるようなことがないように適切な金融政策を行うという点は変わりないと思いますけれども、基本的には、二%が達成されるような時期になれば当然出口戦略について議論が行われ、それが実行されていくことになるというふうに思います。
  89. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 今四十兆、新規発行額よりも購入額増が割っても大丈夫なような、今は一応四十兆円ペースでも、年間四十兆円増ペースでも金利は低位安定しているじゃないかとおっしゃっていましたけれども、それは四十兆円ペースだからね、ペース、これ一年間四十兆円とか新規発行額より少なく、日銀しか買わなかったらば、これは物すごい影響があるし、それが分かった段階で、さっき、大門さんじゃないですけど、先物市場で売りが巨大に入ってくると思いますけど、そんな楽観的なのでいいのかなと私は思っております。  最後に、時間がないのでお聞きします、コメントだけになっちゃうかもしれませんけれども。  先ほど来、地方銀行の経営が悪いとおっしゃった理由として、人口減の問題だとかそれから経費率が高過ぎるとか、そういうような末梢的なことをおっしゃっていますけれども、それは、例えば藤巻家が苦しくなった、それは息子たちのお年玉が減ったせいだというようなことを言っているようなものであって、幹の部分は私の収入が上がるか下がるかなんですよ。  なぜ地方銀行の業績が悪かった、これマイナス金利でもありません。要するに、日本銀行が長期国債を爆買いして、それがゆえに長期国債の値段が上がって長期金利が下がった、要するに長短金利差が全くなくなってしまったことが根本的な問題ですから、これをやらない限り、地方銀行は大変なことになります。それ、大丈夫なんでしょうかね。それがもう一つ。  それで、かつ、逆に言うと、長期金利を上げておきますと、地方銀行の国債は大体九六%、この前金融庁長官にお聞きしましたけれども、九六%が時価会計の国債ですから、もし長期金利が上がったら、みんな評価損でばたばたですよ。大丈夫でしょうか、お聞きしたいと思います。
  90. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 私どもも、地方銀行を含めた金融機関の状況については考査、モニタリングを通じて把握をしておりますけれども、御指摘の点は、その点だけ取って国債価格が下落するという、金利が上がるということだけ取っていえばそういうファクターがあるということはそのとおりなんですが、そういう状況というのは、経済が更に前進して、物価上昇率も上がっていって、名目金利もそれに合わせて上がっていくという状況の下であるわけですので、地方銀行も含めた銀行の収益全体の状況というのは、御指摘のファクターも含めて全体を見ていかなければならないと。  そういった場合に、現時点ですぐに地方銀行がそういう重大な時期に差しかかるというふうには見ておりません。ただ、趨勢的にやはり人口が減少し、企業数が減少する、特に地域がそうですけど、そういうことはどうしても地方銀行に対する影響が長期的には出てくるということは避けられないわけですし、それに対応して何らかの対応策を取らなければならないということだと思います。
  91. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 時間がないので一言だけ申し上げますと、最後の部分は単なるエクスキューズにしか聞こえません。やっぱり地方銀行が苦しいのは、長短金利差がなくなっていること、異次元の量的緩和のせいだと私は思います。  以上です。終わります。
  92. 中山恭子

    ○中山恭子君 希望の党、中山恭子でございます。  現在の日本を見ますと、やはり出生率が低く、高齢化が進展している、この問題が非常に大きなテーマであると考えております。人口動態の変動は日本社会に大きな影響を与えます。しかも、このテーマは今後長期間にわたって確定された与件でございます。あらゆる分野で人口動態についてその影響を分析し、対応を検討していかなければならない問題であると考えています。  先月、十一月十九日、黒田総裁が、パリ・ユーロプラス主催フィナンシャルフォーラムで人口動態の変動と金融セクターの課題と題して御講演なさったと伺っております。人口減少と高齢化が金融セクターにどのような影響をもたらしているのか、このことを検討するのは、もちろん先進国、その他の諸国でも大事でございますけれども、日本にとってこそ必要なテーマであると考えております。人口減少、高齢化が金融セクターに与える影響について、非常に貴重な講演であったと思いますので、その概要を御説明いただけますでしょうか。
  93. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 御案内のとおり、この少子高齢化というものは、一般的には働き手の減少によって経済の長期的な成長力、いわゆる潜在成長率を低下させる要因になり得るわけでございます。もっとも、ここ数年、我が国では高齢者の労働参加が着実に増加していることに加えまして、政府の成長戦略が推進される下で企業の生産性向上に向けた取組が進められておりまして、こうした取組が続いていけば、成長力が高まるということも期待されないわけではないと思います。  他方、金融政策の面では、高齢化の進展がこの潜在成長率とともに景気や物価に対して中立的な金利水準を低下させるという可能性が問題になり得るわけでして、この点は、最近欧米でも中立金利が低下しているのではないかという議論が盛んになっております。  一般的に、金融緩和の効果というのは、中央銀行がこの中立金利よりもどのくらい低い金利を実現するかによって、景気の刺激あるいは物価の上昇をもたらす効果があるというふうに見られておりますので、この中立的な金利が大きく低下、つまり潜在成長率の低下とともに中立金利も低下していきますと、金融政策の効果、特に金融緩和の効果が低減するという影響が考えられます。  もっとも、日本銀行の場合は、二〇一三年の量的・質的金融緩和の導入以降、大規模な資産買入れあるいはフォワードガイダンスなどいろいろな手段を駆使しまして長短金利をかなり大きく引き下げておりますので、中立金利に比べてかなり低い状況にあるというふうに見ております。  ただ、やはり高齢化が進み、中立金利が低下していくということになりますと、金融緩和の効果を十分に発揮することがだんだん難しくなってくるおそれがありますので、その面で、政府が推進している、成長戦略でしょうか、高齢者や女性の労働参加を進める、そのために様々な支援をするということ、さらには省力化投資、新しいIT技術を活用するような企業に対して促進措置をとるといったことを通じてこの潜在成長率を押し上げていくと、中立金利の低下ということも起こらず、金融政策が引き続き有効的に、効果的に持続できると思いますけれども。  やはりこの少子高齢化というのは、委員御指摘のとおり、日本のみならず欧米諸国も、実は中国も既に生産年齢人口がもう低下し始めていまして、これは一人っ子政策を二人子供政策に変えても二十五年ぐらいはずっと続いてしまうわけでして、中国も含めて、やはりその潜在成長率の低下、それが中立金利を引き下げていくのではないかという問題意識は持っておられるようでして、来年のG20の議長国は日本ですけれども、その一つのテーマに、高齢化社会における様々なチャレンジについて議論するというのも非常に時宜を得たものではないかというふうに思っております。
  94. 中山恭子

    ○中山恭子君 大きな問題、日本だけではなく、世界的にも大きな影響のある問題であろうと思っております。  この高齢化の問題が例えば非銀行部門等へ与える影響というのはどのようにお考えでしょうか。
  95. 黒田東彦

    参考人(黒田東彦君) 我が国の場合を取ってみますと、やはり高齢化の進展とともに人口減少あるいは成長率の低下が起こりますと、どうしても貸出需要あるいは金融機関の収益に下押し圧力として作用することになるわけであります。  確かに、この過去五年間は実は失業が減って、さらにそれだけでなくて女性や高齢者の労働参加が高まったために、実際に仕事に従事している人がたしか三百万人ぐらい増えているんですね。だから、生産年齢人口が毎年、まあ百万人まで行きませんけど、数十万人単位で減っているのにこういうような状況があり、さらには設備投資、省力化投資等が進んでいるために、一時非常に低下していた中期的な潜在成長率も少し上がってきているわけであります。  ただ、そうはいっても、やはり地域の場合にはどうしても人口減少とか企業数の減少というものが非常に大きいわけですので、そういった高齢化、それから人口減少ということの中でやはり新たな金融サービスへ向かっていかないと、なかなか地域銀行は難しい状況に長期的にはなり得るわけであります。  先ほど来申し上げているとおり、家計ではやはり長寿化に対応した資産形成あるいは相続ニーズが、高まりが予想されますので、そういった金融サービスを提供するということも必要でしょうし、企業の場合は新しい技術開発その他で新しい金融のニーズというものはあり得ますし、MアンドAの支援、創業支援、これは最近、地域銀行も相当熱心に行っておられて、進んでおるようでございますけれども、そういった企業に対しても多様な金融サービスを供給するということによって地域金融機関の経営をきちっとした形で持続できるということは可能であるとは思いますけれども、やはりこれは相当大きなチャレンジであるということはそのとおりだと思います。
  96. 中山恭子

    中山恭子君 やはり利回りの高い業種というんでしょうか、そういったことに動いていく、ある意味では金融リスクも高まるという可能性があるであろうと思いますので、この点についても対応をお考えいただけたらと思っております。  また、家計といいましょうか、今、大都市の方へ人口が多く移動しているということも含めますと、地域での人口減少というのは極端に強くなっていることだと思います。  例えばということで、相続に伴って預金が地方から都市へ流出している動きがあるというふうに聞いております。高齢化の問題を含めて人口動態というのがやはり地域金融に非常に厳しい形で影響しているのであろうと考えておりまして、この講演の中で総裁は、地域金融機関について、人口企業の数の継続的な減少や低金利環境の長期化に伴って、地域金融機関では基礎的収支力の低下が続いており、自己資本比率も緩やかな低下傾向にありますとおっしゃっていらっしゃいます。  日本経済の中で地域の銀行が果たしている役割というのは非常に大きなものであると考えておりまして、このような人口減少、高齢化が進む中で地域銀行の、地方銀行というんでしょうか、の健全性を支えるために、やはり日銀としてもあらゆる手だてを打ってほしいと思っておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
  97. 黒田東彦

    参考人(黒田東彦君) 確かに、地域金融機関の動向を見ますと、いわゆる基礎的収益力は趨勢的に低下してきております。  ただ、この五年間を見ますと地域金融機関もかなり良い最終利益を上げてきていたわけですが、それは、景気が拡大する中で、金融機関にとっての信用コストがどんどん低下してきたということと、保有していた株式とか国債とかを売ったときに売却益が出たというこの二つの要因でありまして、その結果として収益状況はそんなに悪くないんですけれども、中身を見ると、今言った二つの要素がありますので、この二つの要素はいつまでも続くことではありませんので、やはり基礎的収益力が低下していっているということは、これは実はこの五年間というよりもずっと、十五年、二十年ぐらい続いている話でありますけれども、大きな課題であるというふうに考えております。  そうした中で、御指摘の、今のところはそんなに預金が地域から都市部に流出しているということはないんですが、貸出しの面では、企業数とか人口が減っているために、むしろ預金は十分あるけれども、貸出しについてある程度リスクを取って、いわゆるミドルリスクというんでしょうか、そういう企業に貸そうという傾向が出ているわけですけれども、そこはもちろん、きちっとリスク管理体制はしっかりさせてやっていかなければならないということはそのとおりだと思います。  なお、御指摘のように、もし仮にこういった全体としての人口減少から特に地域人口がどんどん減っていくということになっていくと、相続の話も含めて、子弟が都市部にみんな住んでいるとすると、預金も地域から都市部に集中してしまうということが起こり得るわけです、今のところはまだ起こっていませんけれども。  ただ、そうなってくると、ますます地域金融機関の経営というのは大変だということで、それに対応するための様々な工夫は既に行われつつありますけれども、御指摘の、高齢化の下で地域金融機関が引き続きその地域に対して適切な金融サービスを提供していくためには様々な改革も必要でしょうし、投資も必要でしょうし、それを支えるような政府政策というか、それも必要だと思いますし、日本銀行としても引き続き様々なチャネルを通じてそういった動きをサポートしていきたいというふうに考えております。
  98. 中山恭子

    中山恭子君 ありがとうございました。
  99. 長浜博行

    ○長浜博行君 今日は、委員長から、日銀法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件ということで質疑が行われているというふうに思っております。総裁からは、通貨及び金融の調節に関する報告書の概要説明をいただいたところでございます。  最初に、毎年六月と十二月にこの報告書を国会に提出しているということでありますが、この概要説明のときにおっしゃられた通貨及び金融の調節に関する報告書ということに関してでありますが、私ども委員のテーブルの上には平成二十九年六月、日本銀行という書類が載っておりますんですが、特に、当然この質疑に入る前に二十九年の十二月とそれから三十年の六月も拝見をしておりますけれども、この報告書の年次について何か意識をされておられて発言をされたんでしょうか。
  100. 吉岡伸泰

    参考人(吉岡伸泰君) お答え申し上げます。  日本銀行法第五十四条でございますが、委員御指摘のように、おおむね六か月に一回、金融政策に関する報告書を国会に提出するとともに、その報告書について国会に対し説明をするよう努めることなどを定めたものでございます。  私どもといたしましては、当該日銀法の趣旨を踏まえまして、日本銀行金融政策運営について国会に対して十分な説明を行うようこれまでも努めてまいったところでございますし、これからも努めてまいる所存でございます。  ただいまテーブルの上に二十九年六月のものがあったと、そしてまた、総裁の方がどういうふうな趣旨で最初の概要説明をしたのかという御質問でございました。  私どもとしましては、委員会の質疑に関しましては委員会の御決定に従っていつも報告をさせていただいております。今回は二十九年の六月に提出した報告書に基づく質疑ということで、テーブルの上に置かせていただいているのが二十九年六月のものと理解しておりますけれども、私どもとしましては直近の状況を踏まえまして総裁が最初に概要の御説明をさせていただいたと、こういうふうに理解しておるところでございます。
  101. 長浜博行

    ○長浜博行君 そもそも論なんですけれども、確かにこの五十四条というのは日銀については大変大事な、国民のために作られた法律ですけれども、日銀の業務に関して大変重要なところで、この報告書も国会に提出しなければならないということになっておりますし、また第二項においては、前項の報告書について国会に対し説明をするように努めねばならないという努力義務も課されているためであります。もちろん第三項は、総裁含めて国会の要請があれば国会に出なければならないというまたこの義務なんですが、なぜこのように第七章で、五十四条と五十五条ですが、国会に対する報告等があえてこの法律には書かれていると思われますか。
  102. 吉岡伸泰

    参考人(吉岡伸泰君) 御説明申し上げます。  委員が御指摘のありました日銀法五十四条でございますが、これは一九九七年二月の金融制度調査会、こちらの答申におきまして、日本銀行の行う金融政策独立性向上に伴い、国会への説明責任が高まることから、国会への報告等の規定を明確にする必要があるとされまして、諸外国のケースを踏まえて規定されたものと私どもとしては理解しております。  したがいまして、繰り返しになりますけれども、私どもとしては、日銀法の趣旨を踏まえまして、日本銀行金融政策運営について国会に対し十分に説明をしてまいったつもりでございますし、これからもさせていただければと思っているところでございます。
  103. 長浜博行

    ○長浜博行君 この三十年十二月というのはいつ頃出ますんでしょうか。
  104. 吉岡伸泰

    参考人(吉岡伸泰君) 三十年十二月でございますか。  私ども、委員の御指摘になりましたのは、恐らく三十年度上期分の報告書の国会提出がいつの時期になるのかということでございますが、これにつきましては、私ども、法律に書いてありますように、日銀が、要するに財務大臣を経由してというふうになっておりまして、私どもから勝手にその点を申し上げることはできないのですけれども、毎年六月、十二月というふうに提出時期は慣行としてやらせていただいておりまして、諸準備は整いつつありますので、十二月中に国会の方に提出させていただくことになると理解しております。
  105. 長浜博行

    ○長浜博行君 総裁にお尋ねしますけど、この今の質疑で、今日も様々な立場からいろんな議論が出ているというふうに思います。こうやって法律にも書かれて、国会に提出義務があって、かつ説明努力責任もあるという状況の中においては、適宜、こういった報告書が作られた後においては様々な立場から議論をした方がいいというふうに国民のために思われますでしょうか。
  106. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) はい、私もそのように思っております。
  107. 長浜博行

    ○長浜博行君 委員長、よろしく御手配をいただければと思っております。
  108. 中西健治

    ○委員長(中西健治君) 後刻理事会で協議したいと思います。
  109. 長浜博行

    ○長浜博行君 次に、今日はこの報告書の中にありました資産買入れ方針について、今、中山先生は人口の観点からお話をされましたけれども、私もESG投資絡みでお話を伺ってみたいというふうに思っております。  御承知のように、二〇〇六年、国連でPRI、責任投資原則が確立をされて、ESGに配慮された責任ある投資を行うことが宣言をされたわけでございます。二〇一五年の九月の国連サミットでSDG、持続可能な開発目標について採択が行われ、政府においては、二〇一六年の五月に、総理大臣が本部長となって、全ての大臣がメンバーで、持続可能な開発目標推進本部が既に設立をされて、年に二回ほど開催をされているところでございます。  せっかくの機会でありますので、このSDGに関して日銀の基本的な考え方を拝聴できればと思っております。
  110. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 私、以前、アジア開発銀行の総裁というのをやっておりまして、その当時、このSDGの議論が非常に盛んでございました。これはミレニアム・ディベロップメント・ゴールというものが途上国を対象にして、途上国の貧困削減とか経済開発を目標にしたゴールであったわけですけれども、このSDGはそれと違いまして、先進国も含めて、国連全加盟国について持続可能な開発目標というものを掲げたわけでありまして、その中には途上国の開発のような話よりも、御指摘のように、環境あるいは持続可能な社会、そういった各種の目標が定められておりまして、当然日本も国連加盟国としてこれの達成に努力しなければならないということになっております。  なお、金融界の中では当然こういう動きもよく承知しておりますし、特に経団連はこのSDGのことについて非常に注目して、これの達成に企業として努力しようということも言っておられます。  日本銀行としては、具体的に何かこのSDGの目標と結び付けて特定の政策をやるということはしておりませんが、いわゆる成長基盤強化支援資金供給制度の下では環境・エネルギー関連などの投融資への金融機関の取組を支援しているということで、間接的ではありますけれども、そういったこともやっております。  また、地域金融機関などを対象としたセミナーなどで地域振興活性化を支援する事例を紹介しておりますけれども、そうした中では当然まさに持続可能な経済発展、社会発展ということが重要なファクターになりますので、そういったことも議論をされております。
  111. 長浜博行

    ○長浜博行君 総裁がおっしゃるとおり、先進国も発展途上国もということで、十七の目標と百六十九のターゲットの中には、八番の働きがいも経済成長もの中で、各国の状況に応じて一人当たり経済成長率を持続させる、特に後発開発途上国は少なくとも年率七%のということで、先進国との切り分け、状況も見ているというふうに思いますが。  これも通告をさせていただいておりますが、日本銀行としてはというお考えの中において、パリ協定や環境と金融に関するG20及びFSB・TCFDの取組等を背景に、イギリスやフランスや中国やオランダなどの中央銀行、金融監督八機関が金融システムのグリーン化に向けた協働ネットワークを既に立ち上げている状況にあります。いわゆる金融システムグリーン化のための中央銀行・監督機構ネットワーク、これに関しては日銀はどういう立場、スタンスなのでございましょうか。
  112. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 今御指摘の金融システムグリーン化のための中央銀行、監督機関のネットワークというものができ上がっておりまして、現在、日本からは金融庁が参加をしておられます。  ほかのところもざっと見ますと、基本的に中央銀行が参加しているところもありますが、それは恐らく金融規制監督を担当していることから参加していると思いますので、基本的には金融規制監督当局がこの金融システムのグリーン化のためのネットワークをつくってやっているということでありますので、金融庁がそれに参加して、様々な議論に貢献しているということだと思います。  なお、オブザーバーとしてはBISとかOECDとか世銀グループなども参加しているようでありまして、それらも基本的には金融システム、金融規制、金融監督といった観点から参加しておられるようであります。  ただ、私どもも当然、必要に応じて金融庁とも協議をしながら、こういったことの前進に努めてまいりたいと思っております。御案内のとおり、G20のFSBではこれかなり熱心でして、言わばCO2を減らす環境に優しいプロジェクトに金融機関が投融資をする、そうでないものにはなるべくしないようにというような、ガイドラインとまでは行きませんが、そういった方向を議論したりしておりますので、御指摘のように、我々としても十分この問題については関心を持って注視していきたいと思っております。
  113. 長浜博行

    ○長浜博行君 日銀の資産買入れの中においても、ETFとかJ―REIT、あるいはコマーシャルペーパー、社債等々、こう書かれているわけでありますが、ESG指数連動ETFも上場していることでもありますし、あるいはグリーンボンド、ソーシャルボンドも多数プラットフォームも開設をされている状況の中で、この資産買入れ方針の中におけるある種の理念とか哲学とか、そういったものはどうなんでしょうか。
  114. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 確かに、日本銀行が現在実施しておりますETF買入れにおきましても、いわゆるESG指数と位置付けられている指数に連動するETFの一部を既に買入れの対象としております。  なお、ボンドの方につきましては、現在は国債の買入れを大量に行っておりますし、社債はかつては買い入れていたわけですけれども、今は新たな買入れはしておりませんで、残高を維持するということでございますので、いわゆるグリーンボンドというものを現在買い入れるという予定はございません。  ただ、御指摘のような点も含めて、今後とも金融機関や企業が民間のSDGあるいはESGに取り組んでいくものを間接的にサポートできればと思っております。
  115. 長浜博行

    ○長浜博行君 ありがとうございました。終わります。
  116. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 渡辺喜美であります。  昔聞いた話でありますが、日本銀行には星取り表というのがあるんだそうで、金融引締めをやると白星、金融緩和をやると黒星、何でこんな星取り表になるのかなといろいろ考えてみました。お金の価値が高くなった方が日銀の人たちにとってはいいんだろうかと。でも、そんな金融政策をやられたら、とんでもない円高、そしてデフレになっちゃうよね。現にそうなったわけですね、日本は。  元財務官であられる総裁には釈迦に説法でありますが、日本がアメリカから随分貿易黒字削減を迫られ、そしてプラザ合意以降、超円高になりまして、バブル発生。あの頃、このバブルがけしからぬというので、金融引締めによって資産価格を調整しようとした。一般物価はほとんど上がっていないのに、資産価格を抑制するために金融引締めをやった。これが日本の経済敗戦の最大の原因ですよ。  今この国会の議論を聞いておりまして私が非常に心配するのは、日本銀行の伝統的な発想を持っている人たち、あえて名前は言いませんが、物すごい巻き返し工作やっていますよ。ヘッジファンドから始まって、金融機関、マスコミ、シンクタンク、そして与野党の国会議員の皆さんですよ。いかに出口戦略に持っていくか、そういうレールを引こうと、このおぞましい世論刷り込み工作。是非、黒田総裁には負けないでやってほしい。こういうエールは多分私だけしか言わないでしょう、この委員会の中でね。ですから、黒田総裁には、是非、二%の目標達成、何といったって黒田総裁は三期目ですからね、三期目の日銀総裁なんてのは私知りませんよ、昔はいたのかもしれませんがね、三期目の総裁なんですから、プライドを持って、是非、目標達成お願いいたします。  各論でお聞きいたしますが、今、別の委員会で外国人労働者の規制緩和やろうという話になっています。私が驚いたのは、キックオフの会合で出てきた内閣府のペーパー、先ほども御議論がありましたけれども、人口減少、少子高齢化で生産年齢人口が減ったのが人手不足の原因だと、そう書いてありました。  ちょっと待てよと、それが原因だったら、何で民主党政権のときに人手不足が起きていないんだと。それは、黒田総裁になられて異次元の金融緩和をやった。だから、人手不足が起きたんですよ。実質金利が下がり、結果として円安、株高もたらし、人、物への投資が起きた、そうじゃありませんか。いかがでしょうか。
  117. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 最近、労働需給が非常に引き締まっておりまして、有効求人倍率もバブル期のピークを超える水準まで上昇しておりますし、失業率が二%台前半まで低下するということで、確かに労働需給が引き締まって人手不足が広がっております。  その背景としては、生産年齢人口の減少といった供給面の要因もあったと思いますが、やはり何といっても、我が国の景気が改善を続ける下で、企業活動が活発化して労働需要が増加しているということが大きく影響しているというふうに考えております。
  118. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 人手不足というのは決して悪いことではないんですね。金融緩和の副作用でも何でもない。これは正しい経済の反応であります。  問題は、労働分配率が上がっていない、残念ながら安倍内閣の五年間の間に労働分配率は下がりっ放し、ここのところなんですよ。実質賃金は底を打って、ちょこっと上がり始めております。  この間、先ほども御指摘ありましたけれども、三百万人、安倍政権になって雇用は増加をしている。外国人労働者でいうと六十万人増加をしていると、七十万人が百三十万人になった。その内訳は、留学生アルバイト三十万人、技能実習生二十五万人、それぞれ二十万、十万増加をしたと。  こういう言わば低賃金の労働者が増えたということが実質賃金の上昇を遅らせている理由になっているのか、なっていないのかと、こういった検証が必要だと思いますが、実質賃金がなぜ伸びが非常に遅いのか。いかがでしょうか。
  119. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 全体として労働需給の引き締まりに比べますと、毎勤統計の一人当たりの実質賃金が伸び悩んでいるということは事実であります。  この点につきましては、やや長い目で見ますと、やはり、消費者物価が緩やかに上昇している一方で、正規雇用者を中心とする企業の慎重な賃金設定スタンスがまだありまして、名目賃金の上昇ペースが緩やかなものにとどまっているということが影響しているのではないかと思います。  他方で、御案内のとおり、パートあるいは契約労働者の時間給は二%台に伸びていると、正規労働者の賃金は一%弱ということでありますので、それをトータルで平均値を計算しますと、アベノミクスの初期には非正規の人が増えたんですね。というのは、今委員御指摘のような外国人労働者も含めて、新しく女性その他が労働市場に入ってきたときに、パートで入ってきた人が多かったんですね。そうすると、パートの人たちの賃金自体は二%から三%に上がっても、レベルが低いわけで、全体を平均したときには、実質賃金あるいは名目賃金が余り上がらないという状況が続いていたわけで、むしろ一時的には下がったこともあったと。  ただ、ここに来て非正規から正規へというふうに変わる、企業の方も、人を引き続き確保していくために正規化するとか、そういうことが起こっていますので、今言ったその比率の影響はだんだんなくなってきていると思いますので、計算された実質賃金というのもだんだん上がっていくとは思うんです。  ただ、我々が考えなくてはいけないのは、やはり、雇用は三百万人増えているわけですから、雇用者所得自体は実質でもずっと増えてきているんですね。ですから、実質賃金がなかなか上がらないことについてはいろんな要因がありますけれども、一つはそういった統計的な要因も考えていかなければならないというふうに思っております。
  120. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 今日は大変寒い日になりましたね。小春日和が続いて、この間のG20も、ああ、インディアンサマーだな、休戦になってよかったなと一瞬思ったんですけど、突然、史上第四番目のダウ大暴落。やっぱり米中の溝は相当深いなということが分かりました。  FRBは日本銀行のように二刀流でやっていませんので、短期金利だけですから、この長短金利逆転現象というのが起きると、これは非常に不吉な予兆だと、リセッションの前兆だと。二年と十年物国債、今、〇・一ぐらいですかね、〇・一一ぐらいですか、までフラット化していると。五年と二年物ではもう既に逆転が起きている。この辺りはどう見ておられますか。
  121. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) 確かに、直近で二年物国債と五年物国債の金利が、若干ですけど逆転したということで逆イールドになったということがかなり話題になっていまして、これまた御指摘のように、過去において逆イールドになったときにはその後に景気後退が来ることが多かったということで、これについて警告する向きもありますけれども、他方で、FRBの中でそういうことが大分議論されているらしく、FRBの公表文の中でも、必ずしも過去におけるそういう逆イールドが景気後退の前兆だったときというのは、結局、景気が過熱したり物価が上昇し過ぎたということで金融をがっと締めるときに、短期金利はがっと上がりますので長短金利が逆転して、そしてその後に景気後退が起こって物価インフレも収まるということなんでしょうけど。  そういうことが過去においてかなりあったかもしれないけれども、今回はそういう状況にないんじゃないかということで、FRB自体はそれほど長短金利の一部が若干逆転したということについて強い懸念は持っておられないようですが、御指摘のような議論が米国の金融市場であることは事実であります。  ただ、私も、そちらよりもやはり米中貿易摩擦の動向が一番気になるということであります。
  122. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 中国が日本の経済敗戦の教訓に学んでいるというんですね。習近平が今、金融リスクの遮断、これを指示をしておるということですよ。日本の失敗の教訓をもう簡単に言ってしまえば、金融緩和をやらなかったということ、結果として円高を招いた。人民元がちょっと暴走ぎみに切り下げられた一五年、一六年、お手元のグラフで円高になっているときですね。  究極の貿易戦争、最悪のシナリオの中で中国が取るのはまさに人民元の切下げではないかと思いますが、どう見ておられますか。
  123. 黒田東彦

    ○参考人(黒田東彦君) なかなかよその国の為替政策について具体的にコメントするのは難しいわけですが、その上で申し上げると、確かに人民元は六月以降減価してきたわけですけれども、足下では若干反発しているようであります。  こうした今年に入ってからの人民元の動きにつきましては、人民銀行自体は、これは管理変動相場制の下で参照している通貨バスケットに対しては安定的に推移していると、対ドルだけで見ないで、言わば各国の通貨との関係でバスケットで見れば安定しているというふうに評価しているようであります。  ただ、今後の先行きについては何とも申し上げられませんので、注視していくということだけだと思います。
  124. 渡辺喜美

    ○渡辺喜美君 とにかく、テーパリングがFRB、続いております。日本がいかなる事態に遭遇をしても、きちんと二%の物価目標は達成をする、この強い決意でやっていただきたいと思います。  以上、質問を終わります。
  125. 中西健治

    ○委員長(中西健治君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十一分散会