運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2018-12-05 第197回国会 参議院 法務委員会 7号 公式Web版

  1. 平成三十年十二月五日(水曜日)    午後二時開会     ─────────────    委員の異動  十二月四日     辞任         補欠選任      片山さつき君     藤木 眞也君      山谷えり子君     朝日健太郎君  十二月五日     辞任         補欠選任      松川 るい君     進藤金日子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         横山 信一君     理 事                 福岡 資麿君                 元榮太一郎君                 伊藤 孝江君                 有田 芳生君     委 員                 朝日健太郎君                 進藤金日子君                 徳茂 雅之君                 長谷川 岳君                 藤木 眞也君                 丸山 和也君                 柳本 卓治君                 小川 敏夫君                 櫻井  充君                 仁比 聡平君                 石井 苗子君                 糸数 慶子君                 山口 和之君    事務局側        常任委員会専門        員        青木勢津子君    参考人        千葉大学名誉教        授        多賀谷一照君        移住者と連帯す        る全国ネットワ        ーク理事        大阪大学大学院        人間科学研究科        准教授      高谷  幸君        神戸大学大学院        国際協力研究科        准教授      斉藤 善久君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の  一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送付  ) ○外国人労働者等の出入国及び在留の適切な管理  に関する法律案(櫻井充君外一名発議)     ─────────────
  2. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日、片山さつき君及び山谷えり子君が委員を辞任され、その補欠として藤木眞也君及び朝日健太郎君が選任されました。  また、本日、松川るい君が委員を辞任され、その補欠として進藤金日子君が選任されました。     ─────────────
  3. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案及び外国人労働者等の出入国及び在留の適切な管理に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  本日は、両案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。  本日御出席いただいております参考人は、千葉大学名誉教授多賀谷一照君、移住者と連帯する全国ネットワーク理事・大阪大学大学院人間科学研究科准教授高谷幸君及び神戸大学大学院国際協力研究科准教授斉藤善久君でございます。  この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  参考人の皆様方から忌憚のない御意見を賜り、今後の審査のための参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事の進め方について申し上げます。  まず、多賀谷参考人、高谷参考人、斉藤参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。  それでは、多賀谷参考人からお願いいたします。多賀谷参考人。
  4. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 千葉大学名誉教授多賀谷ですけれども、今回国会に上程されている入管法改正案等について、参考人として意見を述べさせていただきます。  それでは、レジュメは簡単なものですが、それに従って陳述させていただきます。  改正入管法の趣旨、目的ですけれども、従前の入管法での外国人労働者の状況というのは、既に御存じと思いますけれども、狭い意味での就労資格、例えば教授とか経営管理、高度専門職といったような狭い意味での就労資格で在留している外国人はおよそ二十三・八万人であります。これは、平成二十九年末の外国人労働者数総数百二十八万人の約五分の一にすぎません。他方、就労資格以外での資格の外国人労働者としましては、日本人配偶者等、日系人などの定住者から成るいわゆる身分に基づく資格者が四十五・九万人、全体の三五・八%、技能実習生が二十六万人、全体の二〇・二%、留学生、家族滞在者などの資格外活動三十万人、二三・二%であります。  有効求人倍率等からも人手不足は深刻で、外国人材受入れの社会的ニーズは高いところから、このように、狭義の就労資格以外の在留資格を用いての労働に我が国は大量に依存している実態であります。日本人配偶者、日系人など身分に基づく資格者には就労職種に制限はありません。また、留学生などの資格外活動についても時間的制限等があるのみです。それゆえ、これらの外国人は、単純労働を含め、様々な職種で外国人人材として働いております。  次に、逸脱的な利用ですけれども、このように、狭い意味での就労資格以外の在留資格での外国人が労働力不足の社会的ニーズを受け止めるために変節的に使われていることから、御存じのように、教育機関としての実態が希薄な日本語学校の問題、日本人配偶者との関係で偽装結婚、あるいは偽装中国残留孤児などのゆがみが顕在化しつつあります。  また、技能実習制度も、技能の実習ではなく、主として就労人材の導入目的で逸脱的に利用されてきた面があることは、最近の技能実習生の失踪問題が示すところであります。  次に、新制度の必要性ですけれども、新制度は、労働力不足を正面から受け止めるために外国人に特定技能なる新たなる在留資格を認めると、ただし、無制限に受け入れるのではなく、上限を設け管理をする制度を設けるという趣旨であります。  すなわち、人材が不足する一定の産業分野においてその産業が必要とする人材として一定の専門能力を有する外国人の登用を図ることとし、その意味においては、人材不足が客観的指標で評価される分野においてのみ受け入れると。受け入れる人材は、ある程度以上の日本語能力を有し、日本人労働者と互いに連携を取り、チームの一員としてその産業分野で必要とされる多様な諸業務をこなしていく能力が必要であるとされます。  五年間で上限値を最大三十四万五千人として受け入れるとのことでありますので、その点で急速な拡大は回避されると思います。また、特定技能一号の場合、通算五年を上限とすると。他の狭義の就労資格の場合には更新の仕組みがありますけれども、特定技能一号の場合、特定技能二号にランクアップする場合を除いては滞在期間に上限があります。すなわち、そのことは、特定技能資格一号は、通算五年間我が国で働いて、一定の収入を得て本国に戻ってもらうという趣旨の資格であり、いわゆる移民を認めるものではありません。  本国に戻るのを原則とする資格である以上、家族の帯同は認めないということになります。ただし、途中帰国の可能性を認めることにより、後で述べますけれども、外国人が家族生活を過度に犠牲にしないように配慮をするという趣旨も入っております。  このように、労働者としての就労資格で在留を認め、最大三十四・五万人受け入れるということで、人数として従来の外国人労働者数を三割程度拡大するという制度改正であります。このような制度改正は省庁レベルでは踏み出せなかった新たな一歩であり、私が見るところ、それは政治的な決断と言えます。私もこれ、従来そういう問題について携わってきましたが、省庁レベルではそこまではとてもできなかったということです。それゆえ、閣議決定である骨太の方針二〇一八で方針として制度の骨組みが示され、法案としてなってきたという経緯があります。  そして、そのことは、現行法制の下で、上記のような実態、すなわち、就労資格でない資格による逸脱的な労働者の確保というものが批判の対象になっているという、そのことをいつまでも放置することはできないだろうと。その意味において、新たな導入の一歩を踏み出したという、そういう政治的判断があったと私は推察いたします。今後は、省令でそれを具体化していくということになるのでありましょう。  第二、技能実習制度と新しい制度の比較。  従来の技能実習制度の問題点は、固有の意味での労働者としても受け入れていないのに、実質的に労働力確保的に用いられている面があることでありますけれども、そのほかに、いわゆる監理団体に、支援のみならず本来は公的機関が行うべき受入れ機関の監理を委ねたこと、また、転職や一時帰国を許さず、事実上実習生を受入れ機関での実習に拘束したこと、それは逃亡の原因になりましたけれども、また、外国の派遣団体と監理団体が民民で連携し、一部でブローカー的な活動を行い得る可能性があったことが指摘されております。  従来、技能実習制度についても、二年前の平成二十八年の法改正で、このような批判を踏まえて特別法を定め、監理団体を許可制にし、技能実習計画の認定を行い、外国人技能実習機構という認可法人を置くなど、その適正化を図っているところでありますけれども、今回の法改正は、そのような技能実習制度とは別に就労を正面から認める新しい仕組みを求め、問題点を抜本的に改めようとするものであります。  新しい制度は、そもそも就労目的での一定の専門性のある外国人材の受入れを拡充するものであり、転職可能、一時帰国可能とする点で技能実習制度とは明確に異なるものであります。  転職可能性につきましては、転職を例外にしか認めない技能実習制度とは異なり、日本人労働者と同じように、受入れ企業等のニーズと外国人労働者の希望に沿って同一産業分野内で転職することができるようにしてあります。また、出入国在留管理庁という新たに定められるとする機関は、外国人管理のために転職の届出を求めるけれども、一定の要件の下、転職を可能とし、転職そのものを制約することはしないということだろうと思います。  次に、一時帰国ですけれども、技能実習の場合、プログラムどおりに技能実習するため、一時帰国は事実上困難であります。一年若しくは三年継続して在留することを原則とする場合は、このようにして家族との離反を招く人権問題となりかねないことがアメリカ等で指摘されているところであります。これに比べ、特定技能の場合、期間途中、一時帰国することを可能とするとなっております。また、農業や何かの場合で需要がある季節労働的な業務の場合には、一年に数か月のみ滞在して本国に毎年帰り、滞在月数が通算五年に達するまでは五年だろうと十年だろうとわたって入国するという、何度も入国するという、そういうパターンもあり得るだろうということになります。  次に、受入れ機関、登録支援機関による支援が実施されます。  登録支援機関は、生活ガイダンス、日本語の習得支援、相談、苦情対応、各種行政手続の情報提供など支援をする役割に徹し、監理機能は有しないと。技能実習制度における監理団体のような監理機能は有しませんと。受入れ状況の適正さ、その監理的な機能は出入国在留管理庁を中心に公的機関が責任を持って担保するという、そういう区分けになっております。そのようにして、それがうまく機能すれば、技能実習制度で起こったような問題は回避されるだろうと思います。  現在、技能実習生として入国している者については、本来の意味での技能実習をしている者はそのまま技能実習資格に残留するということになるでしょうけれども、逸脱的な利用を行うブローカー的な監理団体の下での、本当は労働目的、労働をすることが目的で入ってきたような技能実習生はおのずと特定技能に移行することになろうと。この移行を円滑にするというのが今回の制度の一つの注目点、重要な点であります。  第三に、新しい制度と在留管理等ですけれども、一定数の外国人材を労働力として適正に受け入れるため、出入国在留管理庁という新たな庁を設け、在留管理を公的機関が主体的に行うこととしております、この法律は。入国時だけではなく、在留期間中も継続的に管理するという、点の管理から線の管理への移行を図るものであります。入国時のみならず、五年後にチェックするのではなく、毎年更新するということになります。具体的には、受入れ機関からの届出についても、契約変更、締結、活動状況等届出を要する事項を拡充し、届出義務を努力義務から法的義務へとしております。  また、技能実習制度のように監理団体経由ではなくて、受入れ機関を出入国在留管理庁が直接規制するという仕組みになっております。具体的には、受入れ機関に対する報告の徴収、立入調査に係る規定、改善命令を罰則で担保していること。  また、受入れ人数のコントロールも、これも正面からは書いてありませんけれども、法七条の二で認定証明書新規交付の停止という仕組みがあります。外国人の上陸許可は在留資格認定証明書の交付を受けてなされるのが通例でありますけれども、七条の二によりますと、産業分野単位で労働人材不足という状態が解消した場合には、その分野については資格認定証明書の交付を行わないという定めになっております。この仕組みを使えば、言わば蛇口を閉めることになり、人数制限が事実上可能となるということになります。  最後に、実効性確保のための課題ですけれども、受入れ機関と外国人のマッチング、新しい特定技能で入国する外国人に対してはブローカーの関与を排除し、日本人の就職、転職と遜色のないような就労環境をつくることが望ましいわけです。転職可能とすることにより、劣悪な就労環境からの離脱可能性を外国人に認める必要はありますけれども、そのためには、就労先についての情報提供、ある種のハローワーク的な仕組みをこれらの者に対しても認める必要があります。  第二に、支援体制の実効化。事業者組合等が登録支援機関として中心的な役割を果たし、営利目的でのブローカーの参入を抑止すべきだと思います。例えば農業分野においては、北海道で若干先例があるそうですけれども、農協などの協同組合が全国的に責任を持って支援する必要があると思います。  また、地方公共団体などの地方組織も支援の一翼を担うべきであります。地方単位で地方公共団体とも連携して外国人を支援する仕組みをつくり、地域に外国人をつなぎ止める方策を講じる必要があると思います。  最後に、制度的な担保。現在、外国人を受け入れている事業所は二十万弱、そして、五年間の上限値を最大三十四万五千人受け入れる可能性があるわけですから、これらに新しい制度で付与された権限等を活用するためには、受入れ事業所に調査に赴く等、書類審査でない方策が重要であります。そのためには、調査人員の増強等、体制整備が不可欠でありますし、関係省庁の情報連携、情報活用による不法就労の把握が必要であります。  また、制度の運用について、地方単位で省庁の地方支分部局、地方公共団体が連携していく必要性があります。特にまた、技能実習生から特定技能への移行においては、二年前に定められた特別法により整備されている外国人技能実習機構との間で重複規制にならないように相互連携を密に行う必要があります。  以上が新法案についての私の意見であります。  これで一〇〇%問題が解決するということにはならなく、今後も運用の改正が必要であるかもしれませんけれども、この法案は、我が国の外国人法制の問題点を改正する新たな一歩を踏み出すものであり、その意味で意義のあるもので、是非とも成立するべきだろうと考えます。  以上であります。
  5. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) ありがとうございました。  次に、高谷参考人にお願いいたします。高谷参考人。
  6. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) ありがとうございます。  移住者と連帯する全国ネットワーク理事・大阪大学大学院人間科学研究科の高谷と申します。  本日は、このような意見を述べさせていただく貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。  一方で、非常に論点の多いこの法案が余りにも短い時間でしか審議されないこと、議論を避けるかのような一部の国会議員の方々の発言には残念に感じました。この法案は、選挙権のない外国籍の方々の生活に大きな影響を与える法律です。だからこそ、より公正で慎重な審議をお願いしたいと考えています。  法案審議の中で外国人技能実習制度の問題点が注目され、野党の議員の方々の書き写しによって、法務省の調査の間違い、技能実習生が置かれた深刻な状況が改めて明らかにされました。御尽力いただいた議員の皆様に御礼申し上げます。  私自身、十数年前になりますが、大学院生の頃に在日外国人のテーマに関心を持ち、移住者と連帯する全国ネットワークの前身の団体にインターンとして関わり始めました。ちょうどその年、当時はまだ研修・技能実習制度の時代でしたが、岐阜県の縫製業で働く研修生の大規模な労働問題が明らかになるという事件がありました。移住連の関係団体に相談があり、救援活動が行われました。時給三百円の労働者という言葉がつくられ、研修・技能実習制度が社会問題として一定程度認識されるきっかけになった事件でした。それから二度の法制度改正が行われましたが、やはり根本的な問題は変わっていないのかなと認識しています。  過去四半世紀にわたり、技能実習制度という本来は趣旨も目的も異なる制度を日本の人手不足を解消するために使いつつ、単純労働者は受け入れないとの建前を維持してきたことから考えると、今回、外国人労働者の受入れを政府が提案したことには、政府もやっとこの問題に向き合う姿勢を示したのだなという思いを抱いています。  これまで、海外の研究者と話をすると、日本はなぜ移民政策を取らないのか、正面から受け入れないのかと質問されてきました。日本では、欧米の状況を見て、移民受入れがリスクになると捉えられがちですが、彼らから見ると、これだけ人口減少がしているにもかかわらず、かたくなに移民を拒否しようとしている日本の姿勢の方が奇異に映るといいますかリスクに見えるのですね。外から見れば日本はそうした状況なのだというのは認識しておいてもいいのかなと思います。  しかし、問題は今回の受入れ方です。結局、この在留資格、特定技能の創設による受入れは技能実習制度による受入れと酷似しており、しかも、技能実習から相当程度の移行が見込まれるということで、技能実習で生じている問題がより拡大してしまうのではないかと大変危惧をしております。  既に国会でも様々な指摘がされていますが、労働条件、ブローカー、登録支援機関の問題など、多数の課題があります。また、統合あるいは包摂政策という、本来は外国人の生活をサポートする制度の確立が急務であるにもかかわらず、そちらの議論が国会ではほとんど議論されていないということにも問題を感じています。  さらに、現在の入管局が出入国在留管理庁として在日外国人に関わる課題の司令塔的役割を果たすという制度設計も問題だと感じています。というのも、労働問題あるいは子供の教育というような問題は、出入国在留管理庁がその役割を担うことができないからです。結果として、こうした政策がより一層不十分になってしまうおそれがあります。  しかし、本日は、時間も限られていますので、もう少し大枠の、日本の外国人労働者の受入れ方、あるいは移民政策ではないという主張に表れている姿勢が、可能な限り定住、永住につながらないようにするものであること、それがどのような不合理を今までもたらしてきたのかについて考えを述べさせていただきたいと考えます。  今回、特定技能一号には家族帯同が認められません。当初は、特定技能二号に道が開け、これまでの政府の姿勢の転換のようにも思いましたが、二号の創設を求める声がしぼみ、現時点では、介護を加えても非常に少数の業種だけが定住、永住につながる形になるとされています。また、一号で働く期間は永住許可要件の就労資格要件にも該当しないとの答弁もなされています。  ここには、定住、永住を可能な限り阻止するという日本政府の姿勢が端的に表れています。それは、技能実習制度を維持してきた姿勢と同じです。しかし、この定住、永住をできる限り阻止するという姿勢は何をもたらしてきたのでしょうか。  まず、その帰結の一つが外国人労働者の生活面の様々な形での介入と権利の制限です。手元の資料にも入れさせていただきましたが、先日、実習生は恋愛も妊娠も禁止され、妊娠が分かった時点で中絶か帰国を迫られるという報道がありました。こうした措置は認められるものではないというのが政府の見解のようですが、このような例は後を絶ちません。私も、技能実習生が多く働く地域でフィールド調査をした経験がありますが、そこでも同様の例を聞きました。  なぜこのようなことが起きるのでしょうか。それは、技能実習制度は、技能実習生を可能な限り労働力としてしか存在しないようにするものだからです。人間である技能実習生を労働力としてしか存在しないようにするには何が必要か。それは、彼、彼女らに、家族との生活、恋愛、妊娠という労働を離れた生活の部分を制限するしかありません。つまり、この制度を維持するには、労働力が人間として暮らす局面を最大限制限するほかないのです。  私の考えでは、定住の阻止もこの延長上にあります。というのも、定住あるいは永住とは、労働市場から離れて生きられる局面が増えることを意味するからです。定住、永住とは、単に日本に長く住めるということだけを意味するのではありません。外国人労働者が労働市場から離れても生きていける場面が増えることを意味するのです。例えば、家族を連れて子供を産み育てることができるというのは、労働市場から出て生きる権利を認めるということです。逆に言えば、定住、永住を認めないということは、労働市場を離れて生きる権利は極力認めないということです。  そして、これこそが、日本がこれまでも外国人労働者にできる限り制限しようとしてきた権利です。その背景には、定住を認めると教育などにコストが掛かり、また社会問題も引き起こされるという認識があります。当初は日系人が増えましたが、二〇〇〇年代半ば以降は、定住させずに済む外国人技能実習制度の方が使われるようになりました。  しかし、今の状況はどうでしょうか。むしろ、定住を認めない、労働力が人間として生きることを制約しようとすることこそが様々な人権侵害を引き起こしています。つまり、技能実習生の人権問題が教えるのは、定住を認めないことこそが社会問題を引き起こしているという事実です。  同時に、この発想は、教育や出産、子育てをコストとして見る発想に根差しています。私は、この発想は、外国人の問題に限らず、出産や子育て、教育に十分な公的支援がなされていないという日本社会全体の問題と地続きであるように感じています。その意味では、外国人技能実習制度、そして今回の特定技能一号の創設は、人が生まれ、育つことを大事にしないこの国の姿勢が象徴的に表れるように考えています。そうした社会で、誰が安心して幸せに暮らすことができるでしょうか。  家族帯同が認められず、永住許可要件の就労資格にも該当しない、失業しても在留資格が切れてしまえば帰国させてしまえるような制度、言い換えれば、労働力としてのみ存在が許されるというような制度は認められてはなりません。技能実習制度は廃止すべきですし、特定技能一号の家族帯同要件は見直すべきです。  また、定住を認めないという問題が引き起こすのは、外国人労働者の人権侵害に限りません。この姿勢は、仕事を通じて熟練していくという、従来は日本の製造業が得意にしてきたはずの人の育て方と矛盾します。つまり、技術を身に付けたと思ったら帰国しかないという不合理です。もちろん、技能実習からの移行を想定している特定技能の創設は、こうした不合理を一定程度解消することを目指したものと言えます。しかし、本当にこれは不合理の解消になるでしょうか。私にはそう思えません。  現時点の推定では、多くの場合、技能実習と特定技能一号だけで帰国してしまうことになります。そうすると、最大十年間働き、かなり熟練した人が帰国してしまい、また新たな外国人労働者を受け入れ、一から育て上げなければいけないという、より一層不合理な制度になります。こうして、日本ではますます熟練した労働者が育たず、技術の継承もできないということになってしまうでしょう。  さらに、このような定住を阻止された外国人労働者は、地域にとってどのような存在か考えてみましょう。日系人や技能実習生など多様な外国人が暮らす自治体の方にお話を伺ったことがあります。そこでは、技能実習生は日系人以上に見えない存在だと言われます。また、地場産業で技能実習生を受け入れている地域で伺った話からは、技能実習生を受け入れている企業の方以外の住民にとって、実習生とは接点が少なく、つながりを築くことが難しいことが分かりました。そうした地域にとって、技能実習生はよく分からない、見えない存在になりがちです。  そこに一定の人数で存在しているにもかかわらず、名前の付いた存在としては認識できず、実質的な関係性もない、言わば集合としての他者です。そして、数年ごとに、彼、彼女らは入れ替わります。人口減少の中、実習生がいなくては地場産業が成り立たなくなっている地域はたくさんあります。しかし、そうした地場産業の貴重な支え手が、地域生活の中では顔が見えない他者なのです。地域にとって、これほど難しいことはあるでしょうか。  定住をできる限り阻もうとするのが日本の外国人労働者に対する一貫した姿勢であること、その背景には生活をコストとして捉える発想があること、一方で、定住を認めないことが企業や地域にとっていかに不合理であるのかをお話ししてきました。  しかし、こうした中で、言わば例外的に地域で定住してきたのが日本人と国際結婚した方々や日系人です。定住した外国人に対する政策はほとんどないと言って過言ではなく、生活のための基本的なインフラは整えられていません。  ただ、そうした制限の中でも、地域社会を支え、活躍している方がいます。配付資料にも関係資料を入れていますが、岡山県総社市は、そうした定住した外国人への積極的なサポートを行ってきた自治体の一つです。自動車産業が盛んで、元々日系人が集住していましたが、リーマン・ショックで大量解雇に直面しました。自治体が相談窓口をつくり、そこで雇った外国人がつなぎ役になることで、コミュニティーと自治体の連携がうまくいくようになりました。市も外国人のコミュニティーづくりを支え、地元のNPOも連携を支えました。今や、自治体、外国人コミュニティー、NPOが連携して地域づくりを共に行っています。  私、今日、写真も持ってきましたが、(資料提示)これは西日本大豪雨の、ちょっと少し小さいので見えるか分からないんですが、西日本大豪雨の際にボランティアした地域の総社市やその周辺地域の外国人の姿です。このように、外国人コミュニティーのメンバーが、大豪雨の際にも地域のお年寄りの家の泥かきや避難所などでボランティアを行いました。外国人は地域社会の構成員、担い手として生活しているというのが現状です。それは、今私が暮らしている大阪でも大いに実感してきたことです。  社会に貢献したいと考えている外国人は少なくありません。しかし、日本社会は、彼、彼女らが貢献できる場、活躍できる土台をつくってきたでしょうか。今、地域で中心的な役割を担っているのは、既に二十年、三十年、その地で暮らしているという方々が多いです。皆多大な努力をして、生きる場、力を発揮できる空間を築いてきました。様々なサポートがあれば、もっと多くの人が安心して自分らしく生き、地域の担い手としても活躍できるのではないでしょうか。  国会審議で、特定技能で転職の自由を認めたら賃金の高い都市部に移ってしまうのではないかという質問があり、衆議院の修正でも、人材が不足している地域の状況に配慮し、都市部等に過度に集中しないよう必要な措置を講じるとの規定が設けられました。もし、外国人労働者を労働力として見れば、経済的利害のみを考慮してより賃金の高い場所へ移動するという発想になるでしょう。もちろん、それは労働者としての権利で、健全に市場を機能させるという意味でも否定されるべきことではありません。  しかし、同時に、人は経済的利害だけで生きているわけではないことも確かです。暮らしてきた地域で家を購入し、子供を育て、老いていく、そうした人間としての生活をできることこそが地域に定住する契機になるのではないでしょうか。人間としての生活を制限し、労働力としてしか生きられないような制度にしておきながら、労働者としての権利まで否定するのは認められません。地域に定住してほしいならば、定住の権利を認め、その地域で人間として暮らすことができるような制度設計をする必要があります。  私たちは何から目を背けようとしているのでしょうか。何を恐れているのでしょうか。外国人労働者、移民、外国にルーツを持つ人々は既にここにおり、共に社会を支えています。彼、彼女らは、人間としてそれぞれの地域、この日本で暮らしています。  統合政策がない中、彼、彼女らの権利は制限され、差別による尊厳の毀損、格差、貧困による潜在能力の発揮の困難という状況に置かれがちです。彼、彼女らが人間として暮らせるための権利と尊厳を保障しなくてはなりません。外国人住民基本法、差別禁止法など、多文化共生社会のインフラが必要です。外国人の人権の保障は在留制度の枠内で与えられるにすぎないという、難民条約や国際人権規約を締結する前に出された最高裁判決の見直しも必要です。こうした時代錯誤的な考えを変えられるのは政治の力だけです。  一方で、こうした状況の中でも、地域社会で積極的な働きをしている方も少なくありません。私は、共生社会のインフラ、政策のサポート、安心して生活できる場や活躍できる空間があれば、より多くの方が自分らしく生き、また潜在能力を発揮できると考えています。多文化共生社会の土台づくりに向け、十分な審議をお願いする次第です。  以上で私からの意見陳述を終わります。御清聴ありがとうございました。
  7. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) ありがとうございました。  次に、斉藤参考人にお願いいたします。斉藤参考人。
  8. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) 神戸大学の斉藤です。  私は、外国人技能実習生の支援に携わりながら、関係する法制度を研究し、また、彼らの母国であるアジアを中心とする発展途上諸国から日本に学びに来ている公務員、役人などに、法治国家日本、民主国家日本の法制度を教えている、そういう立場からこの法案に対する意見を述べさせていただきます。  法務大臣は、この法案に言う特定技能と既存の外国人技能実習制度は無関係な別個の制度である旨を述べておられたと思いますが、すかすかと批判されている法案を読んでみても、また、この法案に関する政府の説明を聞いてみても、特定技能は技能実習制度の存在を前提として、その屋上に屋を重ねる、全体として連続した制度であると言うほかありません。  例えば、技能実習二号ないし三号を修了した者については日本語や技能の試験を免除するといった制度の立て付けについてもそうですし、初年度のこの在留資格取得者の大半が技能実習からの移行組になると見込まれているなどの実態面についてもそうです。  家族の帯同とか永住権とかももちろん大切なんですが、それ以前に、この制度案の基本構造は、国際貢献という誰ももうもはや信じていない技能実習制度の建前をようやく取り外した、この点を除くほかは問題の多い技能実習制度の言わば劣化コピーで、技能実習三号ダッシュとか四号とか呼んでも過言ではないものとなっています。したがって、このような制度案を出してくるのであれば、まずは現在の外国人技能実習制度に関するファクトに基づいた問題点の検証と改善が行われるべきです。  ところが、安倍首相は、技能実習制度について、九割の実習生は制度趣旨どおりにやっていると思いますよと、つまり、九割の人がつつがなく日本で技能を修得し、その技能を母国で活用し、母国の発展に寄与しているんだと思いますよという趣旨の答弁をなさっている。  無責任にも程があります。この制度に少しでも関わっている人、少しでも関心を持って勉強している方、ここにいらっしゃる方は皆さんすごく勉強していると思いますが、誰でも御存じだと思いますが、技能実習生のほとんどは母国で活用できる技能など学べていないし、当然、帰国後にそのような技能を生かした仕事などしていません。妄想というか幻想というか分かりませんが、九割なんという荒唐無稽な思い込みを前提に新しい制度を設計されては困ります。  もっとも、外国人技能実習生の中には、技能は身に付かないにしても、せめて日本語を上達させて、将来より良い仕事、楽に稼げる仕事に就こうとする人もいます。送り出し機関や監理団体で、今度はスタッフなどに立場を変えて働くなどがその典型です。中には、送り出し機関を自ら設立して非常に成功して、意見参考人になるような人もいます。  しかし、他方で、非常に多くの実習生が、技能はもちろん、日本語すら身に付かないまま帰国を余儀なくされています。例えば、私が支援に関わった中でも、言葉を覚えようにも職場には牛しかいなくて母国語も忘れそうだとか、週に一回しか工場から出られず、日本人と挨拶することも禁じられている。日本人にこんにちはと言われたら走って逃げろ、話しているところを見付けたら国に帰すぞと、そういった事例が枚挙にいとまがありません。こうして、技能もなく、日本語はむしろ下手になって帰国の日を迎える実習生が少なくないのです。  しかし、特定技能については、技能実習二号ないし三号の修了者は無試験でこれに移行できることとされています。これは何を意味するのか。二つの見方ができると思います。  一つはスクリーニング。つまり、技能や日本語はどうでもいいから、とにかくつらいこと、理不尽なことも多い技能実習の三年間ないし五年間を辞めもせず失踪もせずに働き抜いて、更になお日本で働こうというおとなしくて我慢強くて多分親日な人は無試験で受け入れましょうということ。もう一つはインセンティブですね。つまり、更に五年間働かせてやるから技能実習生になれ、そして辞めるな、逃げるなということですね。  いずれにせよ、特定技能をインセンティブとし、あるいは特定技能のためのスクリーニング装置として、外国人技能実習制度がその根本的な問題点を改善されないまま維持されようとしているところに問題があります。  根本的な問題点とは、すなわち民間人材ビジネスの介在が一つ、それから転居の自由がないこと及び転職やアルバイトの自由がないこと、この三点です。  このために、技能実習生の皆さんは、高額な経費を支払わされ、何重にもピンはねされ、最低賃金又はそれ以下の給料から高額な家賃、水光熱費を回収されても文句が言えず、暴力やセクハラにさいなまれても職場から距離を置くことができず、監理団体や機構の同意と支援がなければ次の職場を探せず、緊急避難的に職場を離れると失踪と言われ、そのままビザが切れたら不法滞在と言われ、生活のためにアルバイトをしたら不法就労と呼ばれて、犯罪者扱いされてテレビに追い回されるわけです。  このような状況を改善するために、技能実習法の下で技能実習機構は、転職が必要な場合にこれを支援し、また必要に応じてシェルターを提供することとされました。もしこの二つが十全に機能していたら、失踪の多くはその必要性を失っていた可能性もあります。しかし、実態はどうでしょうか。  機構は、会社が倒産した場合などにほかの実習実施機関に関するデータベースの閲覧を許可するだけでマッチングは行いませんし、シェルターにしても、必要が生じた段階で初めて、協定を結んでいる、提携しているホテルに電話をしてくれて、おたく空いていますかと空室状況を問い合わせてくれます。で、旅行客なんかでそのホテルが満室だったらアウト。そんなものがシェルターと呼べるでしょうか。  こうして民間人材ビジネスが介在し、転居の自由も転職の自由もない中で、入管行政当局の煩雑なばかりで実態を見ない審査を経て、職務経験の有無も怪しいような多くのアジアの若者たちが、運悪くブラックな監理団体や会社に当たってしまっても声を上げることもできず、じっと三年間を耐え忍ぶか、あるいは耐え切れずに逃げ出して犯罪者扱いを受けるかの二択を迫られているわけです。年間のいわゆる失踪者が七千人とか八千人とかいう数字が取り沙汰されていて、実際それは物すごい数字ではありますが、しかしその背後には、逃げることもできずにひどい環境の中でじっと耐えている人たちがもっともっと存在しています。  そもそも、入管行政や労働行政がちゃんと本人と受入先を審査せず、入国後もちゃんと職場の監督や生活のサポートを行わないからこんな問題が発生するとも言えます。そんな審査やサポートのためのマンパワーがないというのであれば、つまりこの国には彼らを受け入れる資格がないということですから、ほかの道を探すしかありません。例えば、ただでさえ災害復興で建設を始めとする人材が足りないときに、オリンピックとか万博とかやっている場合じゃないということになるんだろうと思います。  さて、ここで改めてこれまでに示された特定技能の制度案を見ますと、さきにも述べましたとおり、技能実習制度の劣化コピーです。つまり、技能実習制度の根本的な三つの問題点が更に危ない形で引き継がれています。  まず、民間人材ビジネスの介在については、技能実習制度の下では、監理団体は、実態はともかく制度上は非営利とされていますが、特定技能における登録支援機関については特にそういった縛りがありません。また、監理団体がさきの技能実習法で許可制とされたのに対し、登録支援機関は届出制になっています。自分は暴力団じゃありませんと言えばいいみたいな、簡単な手続ですよね。大手の人材派遣会社がすぐに乗り出してきそうな感じがしますね。もう目に浮かぶようですね。また、資料として北海道新聞の記事をお配りいただいていると思いますが、暴力団などによるピンはねビジネスとしてすぐに悪用されてしまいそうだと思います。  また、住居については、会社ではなく登録支援機関が用意する場合も出てくるでしょう。これは、労働基準法上の規制対象である寄宿舎ではなくなるという意味でもあると思います。  また、転職は認められやすくなるようなことが言われていますが、このことも併せて、結局、民間人材ビジネスが手元で管理している外国人労働者をあちこちの会社や現場に送り込んで、そして経費とか家賃の形でピンはねするという、ある意味古典的な搾取構造のお膳立てをわざわざしてあげているような気がしてなりません。  他方で、例えば社長のセクハラに耐えかねた労働者がほかの会社に移ろうとしても、行政も登録支援機関も誰も助けてはくれないという、そういう制度になっています。  政府は、外国人技能実習制度の問題点、その功罪をちゃんと検証し、その反省に立った抜本的な外国人労働者政策を練り直すべきです。そして、その中で、技能実習制度については廃止する方向で進めるのがベストだと思います。この間の政府当局者の答弁などからも、政府自身、外国人技能実習制度の制度目的なんかもうどうでもいいんだと考えていることが明らかです。  例えば、特定技能の対象となる宿泊業について、技能実習二号にはないから、移行してくれる人材確保のために技能実習二号の対象として入れ込んでほしいとか入れ込もうとか、あるいは、法務大臣がこの法律の施行を急ぐ理由としておっしゃった、半年遅れたら数万人の実習生が帰ってしまうじゃないかという御発言。つまり、技能移転の建前のために技能実習生を一旦母国に戻すことすらせず、そのまま特定技能に移行させようということですよね。  このように、政府は、外国人技能実習制度の制度目的、国際貢献、技能移転、これらを自ら葬り去っている、捨て去っている。要するに、もう国際貢献はどうでもいいんだと、語るに落ちた状態です。だったら、こんな技能実習制度はやめた方がいいです。  外国人技能実習制度にしてもこの度の特定技能のアイデアにしても、要は若い労働者の使い捨てです。日本人労働者に対しても、非正規、低賃金労働の拡大や社会保障の切下げなどが進められてきましたが、外国人なら使い終わったら母国に送り返してしまえばいいから楽だとでも考えているんでしょうか。  例えば、養子が欲しい、かわいくておとなしくて反抗しない養子が欲しい、病気にならない子がいい、御飯食べなかったらもっといい、そして大きくならなかったらもっといい、大きくなったら取り替えたいとか、そんなような話ですよね。  しかし、これは、持続的発展が望めない斜陽産業とか不人気産業の延命措置にすぎません。このままでは、後継者が育成されないまま、早晩そういった産業自体がこの国から消えてしまいます。高齢の経営者の引退が先か、あるいは外国人労働者から日本が見放されるのが先か、そういった違いでしかないと思います。  保護すべき産業は国がしっかり保護し、大企業による下請工賃の切下げとか無理な納期の押し付けといったことを規制して、日本人自体に対する適正な労働条件を確保していかない限り、外国人労働者もいつまでもは来てくれません。  最後に、冒頭にも述べましたように、私は、所属する神戸大学大学院国際協力研究科において発展途上国の役人に日本の法制度を教える機会をたくさんいただいておりますが、特にこの数年、日本の行政とか立法過程における文書やデータの改ざん、国会における不誠実な答弁や強行採決が目に余るために大変恥ずかしい思いをしています。なかなか、これが日本だ、これが民主国家だ、法治国家だというふうに自信を持って教えることができないというジレンマを抱えています。そして、そういった学生たちからも、先生、これは十年前、二十年前の自分たちの国と同じですね、独裁政権だったあの頃と同じですねというふうに言われる始末です。  どうか、まあここにいらっしゃる先生方に申し上げてもしようがないですけど、どうかちゃんとやってくださいと言いたい。よろしくお願い申し上げます。  以上です。ありがとうございました。
  9. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) ありがとうございました。  以上で参考人の意見陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 自由民主党の福岡資麿と申します。  今日は、三人の参考人の先生方、貴重なお話を伺う機会をつくっていただきましたことを心から感謝を申し上げさせていただきたいというふうに思います。  まず、多賀谷先生の方にお伺いをさせていただきたいと思います。  この委員会の審議の中でも、失踪技能実習生の個票の問題等がかなり議論になりました。当然、新しい新法の下で厳格な管理をしていかなければいけないということは、もうこれ言うまでもない話でありますが、そういう方がいらっしゃる一方で、私の周辺見回しましても、来られた実習生の方と企業がうまくマッチして、引き続きそういった環境の下で働きたいという思いの方がたくさんいらっしゃるということも一方では事実なわけでございます。  これまではなかなかそういった方々がとどまるということが制度的に難しい状況だったわけですが、今回そういった道を開くことができたということについては、働く方々の希望ということの意味においても、新たな制度を設ける意義というのは大変大きいものがあろうと思いますが、先生のお考えをお聞かせいただければと思います。
  11. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) それは、おっしゃるとおりだろうと思います。今までほかの、この場でも技能実習制度を全廃すべきだという御意見が一部ありますが、私はそうは思いません。本来、技能実習制度というのは、物づくりの日本の技能を学ぶという、そういう意味でつくられてきて、そして、特に企業が行う技能実習はその意味で非常に機能してきたと思うんですけれども、世の中は物づくりからサービスに移りますが、サービスにおいても日本のサービスというものは非常にレベルが高いといいますか、ただ、技能実習とは違いますが、例えば介護のようなもののサービスとかいろんなものについて、やはり外国からそれを学びに来る人はいると思います。その意味において、そういう人々を受け入れる、そしてこの技能実習制度から特定技能の制度へ延長することにより、その人たちが日本で働きながら暮らすという、そういう仕組みを設けるということは意味のあることだろうと思います。  ただ、一方において、ただ働くだけ、要するに、日本に五年いて、それで帰ってくると。これは、言ってみれば、何か日本と東南アジアの発展途上国との間で隔絶あるような議論が元々ありますが、私は、次第に東南アジアの諸国も生活レベルが上がってきて、国力も上がってきて、それほど変わってこない。そうすると、東南アジアの若者が来るのは、日本の技能を勉強するということだけではなくて、例えばほかの制度でワーキングホリデーみたいな感じで日本でちょっと働きつつ日本の文化に接してみようという、そういう目的で来るような人もいると思うんですね。  そういう様々な目的での来日を可能とする制度としてこの新しい新法が、要するに技能を実習する、あるいはワーキングホリデー的に使うという、そういういろんな可能性を開く、運用によっては開くことができるだろうと思います。
  12. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 先ほど先生おっしゃいましたように、技能実習制度の下では転職とか一時帰国というのが非常に制度的に難しくて、そういった制度もあって、事実上合わない方がもう失踪してしまわなきゃいけない状況になってしまっていたというような状況があるとすれば、今回のこの制度の下で転職とか一時帰国を設けたということの意義、それはどうしてもやっぱり人間同士ですから、合う合わないってきっとあると思うんですね。そういった中で、そういった道を開いたということは非常に大きいことだというふうに思います。  その御評価を聞きたいのと、あわせて、ただ一方で、この委員会でも議論になっていましたように、自由に転職ができるようになれば、やはり働く方もより条件のいいところに移りたいというふうに思うのが人間のさがでございまして、そうすると、どうしても大手企業とか都市部とかに人材が偏ってしまって、人材に枯渇している地方の人材確保が難しくなってしまうのではないかというような声も一方でありますので、その点についてもどうお考えかを併せて教えていただきたいと思います。
  13. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 最初の方については、そもそも技能実習制度というのは、一年若しくは三年間継続的に技能を教えるという、そういう仕組みですので、途中で帰国したりとか、そういう仕組みというのは合わないと。  ところが、例えば農業の例、農業とか牧畜とかは、忙しいときは一年のうちで限られているわけです。そうすると、例えば一年のうち農繁期等三、四か月働いたとしても、あとは、現実には、必要ないと言ったら申し訳ないですけれども、その農業としての需要は低くなってくる。そのときにあえて拘束するからやはり問題が起こるんであって、そのことは、要するに、その期間だけ日本にいて、あとは別のところに行くとか、あるいはさっきのワーキングホリデー的に使うとか、いろんな可能性がこれでもって開かれると思うんですね。そういう意味において、技能実習ではない形での入国に意味を、新しい制度ではそれができると思うんです。  済みません、後半は何でしたっけ。済みません。
  14. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 外国人が転職を可能にするということは、今おっしゃったような道を開くというのもあるんですが、逆に、都市部とか大企業とかに人材が偏ってしまうという問題を生んでしまうのではないかということです。
  15. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) その点は確かに懸念のされるところであります。というのは、この制度は基本的に日本人と同じように転職を可能とすると。要するに、ハローワーク的な仕組みでやってくれと。だから、その仕組みが本当に機能すれば、都市部に移ってしまうんじゃないかという、そういう懸念がされることはもっともだと思うんですけれども。  ただ、日本人を考えてみてください。今、地方活性化の話ですね。大都市から若者を地方に移すといってもこれはなかなか難しい。それは要するに、人を強制的に移住させることはできないという、その点同じで、じゃ、今までは技能実習制度は強制的に地方に縛り付けていたわけですね。それを、じゃ、新しい制度でまた地方に縛り付けるという仕組みにするということは、やっぱりそれ、ある意味では人権侵害だろうと。  したがって、しかし、考えてみるに、じゃ、都市部がいいのかというと、都市部は、それは時給は高いかもしれませんが、同時に住宅コストとかその他生活コストが高いわけです。それに対して、地方はそうではないというところがあると。それから、恐らく若者の中には、都市部で楽しく遊ぶ、そのために日本に来たというのではなくて、特定の地域でもってじっくり働いて稼いで、そしてそこの地域の文化に触れて帰るという、地方文化に触れるというか、そういう若者もいるはずだと、落ち着いて暮らしたいという方も。  その点で、先ほど私言いましたように、地方公共団体と地方の機関が、例えば外国の、東南アジアのある国のある地域と連携を結んで、そこから恒常的に一定の人材を引き受けるというような、そんな仕組みをつくれば、地方に外国人人材がつなぎ止められるという、そういう仕組みもできるんじゃないかというふうに考えます。
  16. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 続きまして、高谷参考人にお伺いさせていただきます。  いろいろ、何というか、入管法の問題点について指摘をされたというふうに思います。受け止め方としては、いろいろ問題点は指摘されましたが、現行の技能実習生の問題も様々指摘される中で、今回のこの制度を設けることが今までよりも少しでも前進することになるのかどうかという部分の認識についてはどう思っていらっしゃるのかというところが一つと、もう一つが、先ほどのお話の中で、定住、永住というお言葉を何回も使われていましたが、参考人のお考えとしては、そうやって日本に来ることを希望されている方はもう全てそういったことをお認めしようというお考えの下で御発言されているのかどうかということについて併せて教えていただければと思います。
  17. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) 御質問ありがとうございます。  一点目ですが、今までより前進するかということですが、私は、特定技能の創設というものが技能実習制度からの延長という形で捉えていますので、むしろ問題が、現時点の、特に特定技能一号についてですけれども、一号だと技能実習制度がより拡大する方向になってしまうのじゃないかと危惧しております。  二番目の質問で、じゃ定住、永住を全員認めるべきかという御質問だったと思うんですけれども、これは、私、今申し上げたのは、特定技能一号の家族帯同要件を外すようにという主張でございました。
  18. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 じゃ、確認でございますが、特定技能一号の設け方については、今疑問向けられましたが、そういったその制度の下で家族帯同も認めていくということがお考えだということですか。
  19. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) そうですね、一つには、この入管法案全体の問題としては慎重な審議をして、より、何というか、生活全般のサポートも含めたような議論をして考えるべきだということなんですが、特定技能一号に関しましては、家族帯同要件を認めるという形で考えていただきたいということです。
  20. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 済みません、改めまして多賀谷参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。  今回、技能実習二号から特定技能一号への移行ということが可能な形というのが予定されているわけですが、当然その技能実習も三号というのもあるわけです。技能実習二号から三号に行くという道もあれば、そこから特定技能一号に行くという道も当然あるということですが、今後の技能実習三号の意義みたいなところについてはどうお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。
  21. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 技能実習三号の仕組みは、基本的に、技能実習の本来の仕組みといいますか、技能実習を、そのまま技能を高めたいという、その特定の分野での技能を高めたいという、そういう外国人について認められるというところだろうと思います。  だから、先ほど申し上げましたように、特定技能と技能実習とは違います。特定技能の場合には人材不足の分野について認めるわけですけれども、技能実習三号というのは、そういう人材不足とは別に、要するに技能を高めたいという、そういう人材に向けてのカテゴリーだと思います。
  22. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 最後、斉藤参考人にお聞かせをいただきたいと思います。  先ほどいろいろ問題点御指摘された技能実習にしても今回の入管法改正にしても、日本に来ていただく外国人の方に対してどういった支援をしていくか、その支援が現行で十分でないという部分をいろいろ御指摘されたというふうに思いますが、そういった特定技能一号であったり技能実習であってもそうですが、今後、そういった外国人に対しての支援の在り方とか、そういったものについてのお考えとかがあればお聞かせいただきたいと思います。
  23. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) 問題点は、民間人材ビジネスに丸投げしている点がすごく多いということで、いずれも国策として入れるわけですから、ちゃんと国が前面に出て、日本語教育であるとか生活のサポートをするということが必要だろうと思います。
  24. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 では、以上で終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  25. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。  今日は、三人の参考人の先生方、大変お忙しい中、貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。  まず、多賀谷参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。  先ほどの福岡議員の質問とも少しかぶるところがあるんですけれども、今回の改正入管法の趣旨、目的のところで、新制度の必要性についてお話をいただきました。技能実習の法の趣旨を潜脱するような実態がある中で今回新しく法律を作る意味があるんだということもおっしゃられておられたわけですけれども、技能実習の制度を廃止する、あるいは技能実習生の制度を含んで一体化するような法律ではなく、改めて別の法律として今回の入管法改正という形で制度をつくることの二つ、技能実習と今回の資格付与と併存させることの意味についてどのようにお考えなのか、お教えいただけますでしょうか。
  26. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 技能実習制度というのは元来が、まさに日本の持っている、日本の事業が持っている技能を、まあ国際貢献というのはどこまで国際貢献かという御意見もありましたけれども、しかし、やはり物づくりとかサービス産業についても日本の技能を学びたいという人はいるわけですから、受入れ機関側も責任を持ってそれについて教えるという、そういう仕組みというものは、それはほとんど機能していないか、あるいは九割であるかとか、いろんな御意見がありましたけれども、やはり一定の割合でそういう存在はあると思うので、それを全くやめてしまうという議論はやはりちょっとそれは無理だろうと思います。  他方において、今回の制度は、基本的に要するに労働力として受け入れる、そして労働力として受け入れる場合には、技能実習ではない、要するにただ単に、単にというか働く人を受け入れるという制度でありますから、考え方が根幹的に違うと思うんですね。  それで、こちらの方、その意味において、両方を一緒にするとまた同じような話が出てくるという、あるいは国として運用するにおいても、技能実習の方の運用の話と、それからこちらの運用の仕方は全然違うと思うんですね。技能実習の場合には、この技能実習法もかなり、技能実習であるということで、それは労働力として入れるというわけではなくて、監理団体がそこの技能実習が適正になされているかというものを監理するという、そういう仕組みなわけですけれども、他方、この特定技能の方は基本的に労働者として受け入れるのであると。  したがって、労働者としてどのように就労環境が維持されるかというのは基本的には民民間の話であって、そこに監理団体的なものが監理するものではないと。公権力的な機能がそこに入らなくて、ただし、もちろんその場合において、日本人と違って外国人の場合には弱者的な面があるので、その弱者的な面を支援するという、そういう仕組みという形で出てくる。そういう意味において、仕組みの考え方がやはりかなり違うと思います。
  27. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 もう一度多賀谷参考人にお伺いをしたいんですが、今おっしゃられた技能実習制度が元々持っている国際貢献というその趣旨を、本来の目的を更にきっちりと機能していくようにするために今一番何が必要というふうにお考えになられますでしょうか。
  28. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 技能実習制度が逸脱的に利用されていることを改善するために、国会では平成二十八年に改正法を定めまして、それに基づいて、御存じのように外国人技能実習機構というものをつくりました。  その外国人技能実習機構が昨年からは監理団体に対する許可制度を全部見直して、許可をして、許可権限は法務大臣、厚生労働大臣ですけれども、それから実習機関が作る技能実習計画というものを全部認定をしているということ。その仕組みが、先ほど、要するにまだ、昨年一年掛けて許可をし終わって、今年度から、実習計画どおりに実習しているか、実習計画の中には、例えば賃金がどのぐらいであるかとかどの程度実習をしているかということが入りますから、それについて今年度から立入検査等具体的な運用をしていると。したがって、それを、その運用をたしか、多分全国で三百五十人ぐらいで十八くらいの地方支部、地方部局でやっていると思いますけれども、その運用をより高めることによって技能実習制度を本来のやり方の方へ持っていくと。  問題は、先ほど来ありますけど、ブローカー的な監理団体、営利的な監理団体をどのように排除するか、あるいは押さえ込むかという、それはやはりその機構に委ねるしかない。まあ、元々は機構の背後には当然両大臣がいますけれども、そういう仕組みだろうと思います。
  29. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 三人の先生方にお伺いしたいと思います。  今の技能実習の課題の中で、また新たな制度においても懸念の中で、実際に受け入れた会社なり企業なり機関なりがどのような形でその外国人の方に接するのかという、単に労働者という側面だけではなく人間という面もあって、生活という面もあって、いろんな形での支援が必要だというお話もありましたけれども、本当に、労働条件を担保するにしても、生活支援をするにしても、またその会社の中での人間関係をつくっていくにしても、一番その基となる受入れ機関がどのような手だてを取るのか、取れるのか、またどのような意識で外国人の方を受け入れるのかというところが一番直接的には影響するところの一つとしてあるのではないかと思うんですが、その受入れ機関の意識改革というのか、その部分についてどのようにしていくことが必要だというようなことで、もしお考えがありましたら教えていただければと思います。
  30. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) それは、技能実習制度に関して言うと非常に難しい話で、制度自体が使用者にそういう意識を持たせないような仕組みになっていると思います。あの制度の中で使用者が、これは自分の会社の後継者だとか大事な日本人と同じ従業員であるとか、そういう意識を非常に持ちづらい構造になってしまっていると思いますので、あの制度はもう廃止する方がいいと思う。あの制度の中でどうしたらいいですかという話ではなかなか解決が見付かりません。
  31. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) 私も斉藤参考人と同様の意見ですけれども、意識改革で何か改善できるというような問題ではなく、やはりこれは制度の構造的な問題なのかなというふうに考えております。
  32. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 技能実習といってもいろんな確かにカテゴリーがありますけれども、本当に教える技能がある企業は誇りを持ってそれを教える仕組みとなって、今でもそういうのは存在していると。それ以外に、実際には労働力確保のために受け入れていると、そこのところが本来は、私は特定技能の方に移るのが本来の筋だろうと思います。
  33. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 済みません、私、今、ごめんなさい、聞き方がちょっと悪かったかも分かりませんが、技能実習の制度に限ってということではなくて、次の新しい制度においても受け入れるところでの意識がという思いで聞いたんですけれども、もしそれでお話が変わるようであれば、済みません、再度お願いできればと思います。
  34. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) 特定技能の制度が、技能実習制度を前提としない連続しない別個の制度になるとか、技能実習制度を廃止した上で特定技能であるとかであれば話は変わると思います。後継者をつくりたいとかですね、という意識で関わる使用者が増えるだろうと思います。
  35. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) 特定技能は一号と二号があると思いますけれども、二号は従来の専門技術的な労働者と同じような、同様の扱いになるとされていまして、まだこちらの、そちらでも問題がないことはないですけれども、技能実習生に比べれば、専門技術的な労働者として働いている方の方が労働環境が良いと。  これはどういう違いがあるかというと、もちろん給料の面もありますけれども、例えば、転職の自由が実質的に保障されているだとか、あるいは家族の帯同が見られて、先ほど私の主張とも重なりますけれども、労働市場から離れた部分での生活はできる、例えば住居も自分たちで決めることができるというような形で、そういう形で、仕事に依存しなくても生きられるという権利が保障されて初めて労働者としての権利も保障されるんじゃないかなというふうに考えております。
  36. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 特に技能実習だけじゃなくて特定技能全体も含めてということになりますけれども、これは企業単位の話とは、ちょっと私はお答えにくいんですけれども、日本社会において、そういう労働力不足の中で外国人を受け入れることはどういう意味を持っているかということをやはり地域単位で考えなきゃいけない時期になっているかと思います。  例えば、従来は技能実習生でもって、長野とかそういうところでキャベツとかレタスの朝取りをやらせていたということ、しかし、それはそういう形での技能実習生、外国人がいないと我々は新鮮な野菜を食べられないという、そういう状況になってくると。将来的に日本社会において、特に地域の労働力をどう確保するかということを、当該企業だけではなくて地域社会全体で考えなきゃいけない問題だろうと思います。  そして、今回、十四の業種が置かれましたけれども、業種の中には、例えばビルのクリーニングみたいにどうしても日本でなきゃいけないような業種もありますけど、中には製造業みたいなもので、ほっておくと外国に容易に転出していくといいますか、より人件費の安いところでですね。それに対して、やはり我が国で業として存続するためには、やはり外国人の人材にも頼らなければいけないということを地域全体として考えて、その人たちを支えるような仕組みをつくるべきだろうと思います。
  37. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 斉藤参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。  事前に資料としていただいたものを読ませていただきました。その中で、技能実習の関係でベトナムにも実地調査に行かれて、実際に応募してこられる方にどういう説明をしていたのかと。要は、虚偽の説明をして、本来何もやったことがないような作業をさせるために日本に連れてくるというようなことが行われているというようなことがあったんですけれども、送り出し機関が適正に機能するためにもっとここを変えていくべきではないかというような御意見ありましたら、是非お伺いしたいと思うんですけれども。
  38. 斉藤善久

    参考人(斉藤善久君) 送り出し機関が自分たちの考えでうそをついているとかだましているとかいうことばかりじゃなくて、それは日本側のニーズに対応するためにやっている面も大きいので、向こうのことは二国間協定とかきっちりやっていけばいいと思いますが、それはなかなかうまくいっていませんけど、いっていませんけどやればいいと思いますが、やはり問題は日本の方のニーズですよね。この制度をどういうふうに使っているか、それが向こうに反映されていると思います。
  39. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 ありがとうございました。  以上で終わります。
  40. 有田芳生

    有田芳生君 立憲民主党・民友会の有田芳生です。今日はありがとうございます。  私は、政府がようやく人手不足ということを認めて、それに対処するために新たに外国人労働者を拡大して受け入れるという方向性は大きくは賛成なんですけれども、しかし一方で、本来やるべきは少子化対策であろうと。そのことが貧弱な下でとにかく技能実習生の延長として新たに外国人の方に来ていただくというところで、大きな問題が解決しないまま今議論が進んでいるんだというふうに考えております。  そして、その中でも、今、斉藤参考人ベトナムのお話をされましたけれども、三人の参考人の方に、多賀谷参考人からお一人お一人伺いたいんですが、大きなポイントの一つになるかも分からないなと思っていますのは、日本語能力があるというふうに思うんですよ。  今、斉藤参考人ベトナムのお話されましたけれども、ベトナムで選抜をされて日本に来る技能実習生たちというのは、選抜をされて国元に帰って荷物をまとめて、例えばハノイだったらトレーニングセンターに来て、日本に来るまでに日本の習慣なんかを学んで、そこで日本語を三か月、約三か月、大体、学びますよね。だけど、三か月で日本に来たって、これはベトナムだけではありませんけれども、会話ができる程度が圧倒的だというふうに思うんですよね。  そこで伺いたいんですけど、多賀谷参考人が今のお話の中で、十四業種新しい制度では出てくるという政府のお話なんですけれども、いろんな、介護から宿泊から建設からありますけれども、それぞれ日本語能力の水準というのは違うと思うんですよね。だけど、押しなべて、どこの国であろうが日本語を三か月学んで日本にやってきたって挨拶程度で、今日も皆さんと日本語学校の視察に行ったんですけれども、話を聞いても、やはり三か月程度では指示とか引受けとか、そういうことを理解するのはなかなか難しいというお話だった。そこに大きな課題があるというふうに思うんですよね。  技能実習生だってあるわけだから、新たに制度をつくるにしたって同じだと思うんです、そこは。何が今必要だとお考えかを、多賀谷参考人からお一人お一人伺えればというふうに思います。
  41. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 日本語能力ということですけれども、私も外国に留学するときに、あらかじめ一年、二年掛けて外国語を勉強しましたけど、やはり、それで現地に行っても一年近く、ある程度受け答えができるにはやっぱり数か月掛かると。基本的なところは、文法とか語彙については教わっても、実際には日本社会の中で、母国語がないところで勉強しなきゃいけないということだと思う。  ただし、この仕組みの中で、もし技能実習制度や何かの、そういう取扱いがされているかもしれないということは先ほど来から指摘されていますけれども、およそ日本人としゃべらせないでずっと機械とばっかり、あるいは物とばっかり付き合っていて、それで帰してしまう。それでは日本語はできない。だから、日本に来て、そういう実習だけじゃなくて日本人と常時話し合えるような、そういう環境をつくることは日本語能力を高めるためには必要だろうと思います。
  42. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) 日本に来る前に日本語をどの程度準備するかというのは、日本の国だけでできる問題ではないと思うんですね。それよりも、やはり日本に来てからきちんと国の責任の下で日本語教育というものを、何というか、準備していくということがやはり必要なのかなと思います。  今はそれがもうNPOとかボランティア任せになっていまして、その辺りが十分ではないということがありますので、もちろん、技能実習生や今度来られる特定技能の方以外も含めて、今既に日本にいらしている、暮らしている方も含めて日本語教育を十分に受ける機会がなかった方がほとんどですので、その方も含めて日本語教育を国の責任としてやっていくという形がやはり必要ではないかなと考えています。
  43. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) 日本語の特徴というのは日本でしか通用しないということですね。中国語であるとか英語であったら、皆さん多分もっと一生懸命勉強して将来いろんな国で働けるチャンスにつなげようと思うと思います。ところが、日本に来るためだけに日本語を勉強する、しかも三年とか五年で切られている、それでは本気で勉強しようとする気は起きません。ですから、日本に限られているにしても、日本の中でもっと長く働けるんだよというふうなことであれば、勉強する方ももっと勉強すると思います。  今の送り出し機関で勉強している人たちは、とにかく面接をパスするために、何があっても頑張りますとか、そういうことばっかり勉強していると思うんですよね。あるいは、将来送り出しビジネスの方に転じようと思って、先生になろうとか、それで日本語勉強する方もいるかも分かりませんけれども、純粋に働こうと思って、労働者として日本語勉強しようとする方は、もっとビジョンがちゃんと構築できるような制度じゃないと勉強しないと思います。
  44. 有田芳生

    ○有田芳生君 先ほど斉藤参考人が、一日牛と一緒にいるだけで日本語を話す機会がないとか、私も長野県の川上村のレタス農家のベトナム人の実態なんかを見ていると、やはりずっとレタスを収穫しているだけで日本語を会話するような状況にはない。その下で、やはり日本語というのはうまくなるはずがないですよね。  だから、もう一度お聞きしたいんですけど、今度は斉藤参考人から伺いたいんですけれども、だけど、現実としてそういう状況がある中で、制度としてこれから日本にやってくる外国人に対してどういう仕組みをつくれば日本にやってくる人たちが日本語能力が発達していくのかという、何かプランなんかをお持ちでしょうか。  その前に一つ。たしかドイツなんかは国として、ドイツ語を学ぶ人たちのために海外に国として派遣をしてドイツ語を学ばせて、そしてドイツに来てもらうという仕組みがあると聞いたんですけれども、そういうことも大きな意味があると思うんですが、そういった今後日本がなすべき課題というのはどうお考えでしょうか。
  45. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) 言われてしまいましたけど、そういうことだと思いますね。  国が責任を持って、来日する前の方、あるいは来た後にもちゃんと日本語教育を施して、ある一定の日本語レベルが本当に必要なんだったら、その試験をクリアした人だけを入れるということにすればいいと思います。
  46. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) 私も今の意見とほぼ同じなんですけど、やはり国の責任でやるということと、やはり学んだからにはそれがちゃんと生かせるような何か環境を整えるということも必要なのかなと思います。
  47. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 先ほどの川上村のような場合ですけれども、基本的に、ずっとそれこそレタスばかり取らせてほかの時間がなければ、それは日本語は習熟できませんけれども、やはり一定の休みを与えると。それから、基本的に、私も外国で一番、特に、しゃべる方は別として、耳の上達というのは要するにテレビを見ると、テレビは日本語しか出てこないというそういう環境の中では、かなりそれでもって日本語能力は上がると思うんですね。だから、そういう環境に接するとか、あるいは日本人とともかく話す機会を、複数の日本人と話す機会を与えるという、そういう十分な時間を与えるということが必要だろうと思います。
  48. 有田芳生

    ○有田芳生君 今度は多賀谷参考人からまたお聞きをしたいんですけれども、もう一つ、政府によると、今度の新しい制度ができた場合、技能実習生から大体五割が一号に移っていくだろうと、業種によっては、素形材なんかは一〇〇%というような話もありますけれども、そうした場合、家族帯同なしで技能実習生が日本にやってきて、そして試験なしに一号に移ったとして、まあ五年間として、ざっと十年間家族がいないまま、例えば一歳の子供さんがいたとしたら、十年たてば十一歳、そういう仕組みというのは、これは人権上問題があると思うんですよね。  そうした仕組みが海外では、ほかの国ではあるんでしょうか。そしてまた、そういうこと自体が国際的にも人権問題にならないかという危惧を覚えるんですが、いかがお考えでしょうか。
  49. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 外国でそういう制度があるかどうかというのは、ちょっと私自体調べたことはないから分かりませんけれども、ただ、先ほど申し上げましたように、新しい特定技能の場合には一時帰国というものをかなり認めると、あるいは、例えばやり方によっては、一年の半分ぐらいは母国にいて、それから残りの半分は日本で働くという、そういう形で働くということもあり得ると。その場合には、人権侵害的な意味は、そういう意味では限界だろうと。  それで、もう一つは、確かに家族、人権問題といいますけれども、これは当該方々が要するに日本に移民として入ってくると、定住を前提とする、先ほど来定住という話もあります、定住として入ってくるという、そういう方々かということなんですね。この仕組みは定住への移行ではないと、定住に移行するのであれば、ほかの就労資格でもって入ってきてくださいというそういう仕組みなわけですから、確かに人権の問題ありますけれども、家族については、今言いましたように一時帰国を認める。そして、私は、東南アジアの人々は、これからは自分の国がどんどん発展していくわけですから、別に日本に定住するつもりはそんなにないというような方々も結構いるんではないかと思います。
  50. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) どこの国と比べるかということにもなると思いますけど、東南アジアの例えば家事労働者だとかは家族帯同が認められないという、それで数十年間、例えば香港だったりシンガポールだったりで単身で滞在されているというか、働かれているという形にはなっているかなと思います。しかし、それは国際的にもやはり人権侵害という批判の大きい制度でして、あえて日本でそのような形をまねする必要があるのかなというふうには考えています。  また、じゃ、何と比べるかというときに、日本では、やはり今まで認められてきた就労資格というのが専門技術労働者だと思うんですが、専門技術的な労働者の場合は最初から家族帯同が認められているわけです。しかし、今度も、特定技能一号も技能実習とは違う就労という形で正面から受け入れるというのであれば、なぜその専門技術労働者の在留資格の受入れ方と一緒にしないのかなと思うわけです。  そうしますと、ある意味で、学歴とかあるいは業種、恐らく業種で分けられるということになるんですが、ある業種で働いている人にはなぜ家族帯同が認められなくて、別の業種で、専門技術労働者に該当するような業種で働いている方は家族帯同が最初から認められる、これはある種の職種差別じゃないかなというふうに考えるんですが、それが私の考えです。
  51. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) 同じです。海外のことをそれほど、ほかの国のことは存じませんが、既に技能実習の二号から三号に移る段階ででも、そこで一か月だけアリバイ的に、技能移転のためか分かりませんけれども、本国に帰るようにということでそこで帰って、そこから再び日本に来ようとしたら、家族に止められて三号として来れなくなってしまいましたという人が結構私の周りにいます。  やっぱり、技能実習生とか、あとこの特定技能で来てくださるような国の人たちというのは、すごく家族の結び付きの強い国が多いですね。何のために働いているんだと、この家族の元にいられないのに何のために働くんだということを考える人たちがやっぱり多いと思います。  既に二号から三号でもそのことで諦める人がたくさん出ているように見ておりますので、非常にその人たちの文化と相入れない制度だと思います。
  52. 有田芳生

    ○有田芳生君 時間ですので。ありがとうございました。
  53. 櫻井充

    ○櫻井充君 国民民主党・新緑風会の櫻井充です。  今日は、三人の参考人の先生方、本当にありがとうございます。  今も話題になっていましたが、家族のことについて多賀谷参考人にお伺いしたいと思います。  私は元々内科の医者でして、医局の人間も二年とか三年に限って、区切って海外に留学しておりました。海外に年限を区切って留学しています。でも、そのときに、家族の帯同を認めないということを言われることはないわけですよ。  そうすると、先ほどの御説明の中で、年限が区切られて来ているから家族の帯同を認めないというのは当然であるかのようにおっしゃっていましたが、我が国ではそういうことになっていないんですよ。我が国の人たちが海外に行く場合にはそうなっていないのに、海外の方が日本に来られたときにそういうふうなことを強いること自体、私はおかしいと思っています。  もう一点申し上げれば、家族が来てくだされば、それだけ人口が増えることになりますから、そうすると、個人消費も伸びてくることになりますし、医療費の問題についても、国内に来ていただいている方と今海外にいる方とどうしようかという議論をしていることを考えてくると、私は家族の帯同を認めていった方がいいんじゃないかと思っているんですが、改めていかがでしょうか。
  54. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 櫻井委員の場合には医師ということですけれども、お医者さん、日本でも、医師資格という形で外国から来る場合には、それについては家族の帯同が当然認められるということになります。それは、就労資格、狭義の従来からの就労資格の場合には家族の帯同は認めるという仕組みになっています。  そして、ただ、特定技能の場合においては一号については認めない、しかし、二号になればほかの就労資格並みに家族の滞在を認めるという、そういう仕組みになっている。それは資格として差別ではないかという御意見がありましたけれども、そういう区別をしている。  ただ、これは、どういう場合に家族滞在を認めてどういう場合に家族滞在を認めないかというのは、実は、ヨーロッパでの外国人の流入を受け入れるときに、どの範囲で家族を帯同を認めるかどうかというのは非常に政策的な問題として大きな問題になっている。ヨーロッパの場合には、特に入ってくる人がイスラム教徒の場合もありますので、その場合に何人認めるかというそういう話になって、当然に家族滞在を認めるという話じゃなくて、どの程度、どの範囲で家族滞在を認めるかというのは常に政策的な問題であって、この場合にも、その政策的判断を一応この法案ではしているというふうに考えます。
  55. 櫻井充

    ○櫻井充君 それは、ヨーロッパの場合には難民の方が流入してくると、つまり、そういう人たちも含まれていますよね。その難民の方々を引き受けることと労働者として今不足していてその方々を引き受けるというのは、根本的に僕は考え方が違うと思うんですよ。  それと、私が心配しているのは、恐らく韓国もそうです、シンガポールもそうですが、多くの国々で外国人労働者に頼らないと産業が成り立たないという国がもう出てきていて、そうなってくると、国同士で外国人労働者の取り合いになっていくんじゃないのかと思っているんです。  そうすると、日本の制度が複雑で、ましてやいろんな問題点を抱えてくるとすると、逆に言うと、日本に私は外国人労働者の方が、幾ら日本で絵を描いたとしても入ってこなくなるんじゃないかと。そうなってくると、生産年齢人口がこれだけ減少していったら、あとは縮小均衡で日本がまあいいとお考えであればそれで構わないと思いますが、私はそのことについては全然考え方が違っているので、外国人を受け入れていく、そのための整備としては、ある程度他国の方々が納得してくださるような制度設計にしなきゃいけないんじゃないかと、そう思っているんですが、その点についてはいかがでしょう。
  56. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) その家族滞在を認めるかどうかというのは、例えばフランスの入管法では二十年前か三十年前から問題になっていて、今回の難民対応ではありません。ただし、その場合においても、フランスの場合には家族滞在を一定程度認める形に、労働者的に入ってくる人についても家族滞在を一定程度認めることになっているんですね。実際にはそれによって人口の一割以上が外国人となっていて、今それに悩んでいるところがあります。  したがって、確かにおっしゃるように、韓国とかほかの国でも外国人を流入させると、それで外国人労働者を国によって取り合いになるという、そういう状況があり得るということは、私もそれは認めますけれども、しかし、だからといって日本が積極的に外国人を受け入れるということは政策としてそれが妥当かどうかというのは私は即答できません。  確かに人口減少というのはありますけれども、私は、人口減少ということで、一部には一千万人外国人を入れるという勇ましい議論がありますけれども、人口減少に対応するためには、女性の労働市場への進出とかあるいはIT技術の利用とか、そういう様々ないろんな面でもってそれに対応しなきゃいけないので、ただ単に外国人を入れるということでこの問題を解決するべきだろうとも思いませんし、その意味において、今回の判断はその意味で、門戸を開いたけれどもその門戸は直ちに全面的に開放しなかったという、そういう判断だろうと思います。
  57. 櫻井充

    ○櫻井充君 おっしゃることは理解した上で、私は宮城県選出で、被災地はもうそんな余裕はありません。相当ほかの地域と違って、あの震災の後に多くの方々が流出されてしまっていて、地元の商工会議所の会頭やそれから首長さんからは、もうとにかくなるべく長く定住してもらえるようなそういう制度を実現してほしいと、私はそういうふうに言われてきています。そういう立場でもあるので御理解をいただきたいと、そう思います。  多賀谷参考人、ありがとうございました。  ごもっともだなと思いながら高谷さんの話を聞かせていただきましたが、その中で一点だけ、これはもう全て同意した上で申し上げておきたいのは、私は、労働者として見ているから都市部に集まるというのを防ぐべきではないと、そういう考え方だと、そうおっしゃっていました、この中でですね。  しかし、日本人の行動はどうでしょうか。日本人もみんな田舎を捨てて都会に集まっているんですよ。その日本人の行動を見ていれば、いろんな情報が集まってきたときに、私は都市部に集まってくる可能性が非常に高いんじゃないだろうかと。ましてや、長年暮らせば、長年暮らしてほしいんですよ、我々は、長年暮らしていただければ多分移ることはないとは思っているんですね。  ですから、最初の受入先は私はすごく大事だと思っていて、最初に田舎に来てくださった方は田舎に残る確率は非常に高いと思います。一方で、都会に入ってきた方が田舎に来てくださるかというと、非常に難しいと思うんですよ。ですから、日本人ですらそういうことで行動しているわけですから、何らかの施策でやはり地方に外国人労働者を受け入れるような制度をつくるべきだと思っていますし、私は衆議院での修正はよかったと思っているんですが、改めていかがでしょうか。
  58. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) この衆議院の修正が具体的に運用としてどのような形の修正になるのかというのが見えない中で発言させていただいたということを御理解いただければなと思います。  私自身の考えとしては、これはやはり地域の創生だとか、日本人の話が出たから同じですけれども、やはり日本人でも、定住支援政策だとか、そういう様々な地域の政策をされていると思います。同じような形で、地域に定住するような形、より良い地域を皆でつくっていくという視点から考えていただければなと思っています。
  59. 櫻井充

    ○櫻井充君 本当にそのとおりだと思うんですよ。  私は、定住していただく方が増えることについては何の抵抗もないし、基本的には、先ほど申し上げたとおり、被災地では人が足りなくなって町として成り立たなくなる危険性をはらんでいるし、三十五の市町村のうち消滅可能都市と言われるところが二十三、宮城県の場合にはあります。ですから、そういう意味合いでは、町を成り立たせていくためには私は仕方のない選択肢なんじゃないのかなと、そう思っているんです。  あともう一点、もしこの法案で改正すべき点があったとすれば、どういう点を改正されたらいいでしょうか。まあ一点じゃなくても結構ですが。
  60. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) 済みません、ちょっと繰り返しにこれはなってしまうんですけれども、これをもし前提にいくとしたら、やはり特定技能一号の家族帯同を外して最初から、もちろん、先ほど御意見がありましたように、その外国人労働者の方は別に定住を考えていないかもしれませんし、数年たったら本国に帰ろうと思っていらっしゃる方もいます。しかし、人生何があるか分からないというのが人生であろうと思いますし、当初はそうでなかった、そういう、数年たったら帰ろうと思っていた人でも日本に定住しようかなと思う場合も出てくるかなと思います。そのときに、選択肢として定住ができるのかどうか。  これが日本人であっても、例えば、それこそ都会に出まして東京に大学に行きましたと。大学に行ったら地元に帰ろうかなと思っていたけど、そこの大学生活の中で考えが変わると。そのときに、まだ東京で働き続けるのか地元に帰るのかということが、選択肢ができるということが重要なのであって、ですので、それと同様の方に考えますと、やはり特定技能一号で家族帯同要件を外して、家族を連れてきたいと思えば連れてこれるような、もちろん単身で来たいと思えば単身で来れるような、そんなような形で、その本人に選べるような制度という形がいいのかなというふうに思っています。
  61. 櫻井充

    ○櫻井充君 どうもありがとうございました。  また、あした委員会があるので、その点について質問させていただきたいと、そう思います。  それから、斉藤参考人にお伺いしたいことがあります。  冒頭、ファクトが大事だと、本当にそのとおりだと思っていて、ファクトが十分でないから、想像でみんな議論されてきていることです。ただ一方で、先ほど斉藤参考人から、母国に帰って技能実習生が学んだことを生かして生活している人は一人もいないと。(発言する者あり)いやいや、でも、極端に言うとそういうふうにおっしゃっていますよ、いないと。それは、僕はファクトに基づいていないんじゃないだろうかと。逆に言うと、失敗している例を随分挙げていらっしゃいました。  斉藤参考人から見ると、実際総理は九対一だと言っています、うまくいっているのが九割で、そうでない人たちは一割ぐらいだと言っていますが、実際肌感覚で見てくると、本当はファクトが一番いいんですけど、どのぐらいはやはりある程度はうまくいっているなとお認めいただけるんでしょうか。
  62. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) 多賀谷先生もおっしゃっていたみたいに、一部、ごく一部は恐らくこの制度はうまくいっている、技能実習制度ですね、面はあるんだろうと思います。何かというと、企業単独型ですよね。団体監理型、今問題になっている団体監理じゃなくて企業単独型。一つの企業グループとかの中で、例えばベトナムの支社から日本の本社に来て、そこで幹部候補として養成して元に戻すとか、そういう面ではうまくいっている部分もあろうと思います。  そういう人たちは、全体の恐らく三・数%ですね。その三・数%が全部がうまくいっているかどうか分からないからちょっと減らして、さらに、団体監理型の中でも少しはうまくいっている人もいるのかも分からない、見たことはないけれども。それを合わせると多分五%ぐらいかなと思います。
  63. 櫻井充

    ○櫻井充君 ありがとうございます。  実は、中小企業の社長さんたちから陳情を受けているんですが、技能実習生を残してほしいと言われているんです。それは何かというと、技能実習生には派遣労働者のシステムがないと。つまり、先ほどブローカーのお話とかがありましたが、このシステムだと今のところは派遣というシステムが起こらないので、その点では企業にとっては非常に有り難いんだと。そして、もう一つは、これをきちんとやれるかどうかは企業側に責任があるのであって、この企業側をちゃんと選択すれば制度としてはうまくいくんじゃないかと、そういうふうに中小企業の社長さんたちから言われているんですが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  64. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) 問題のある制度のうまい使い方というところかも分かりませんが、うまく使っても問題は残っているので、やっぱりこの制度自体はやめて、今おっしゃったような内容が実現できるようなもっとまともな制度をつくるべきだと思います。
  65. 櫻井充

    ○櫻井充君 時間が来たので終わります。  ありがとうございました。
  66. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  三人の参考人の皆さん、ありがとうございます。  最初に、多賀谷参考人の先ほどの御意見、一点だけ確認をさせていただきたいんですけれども。私が伺った限りで、これまでの技能実習制度の問題点として、転職の自由や一時帰国ができないという点をお挙げになって、そういう下で実習先に縛り付けるというそういう仕組みが、今大きな問題になっている失踪ということの原因にもなっているのではないのかと、そうした御指摘だったということでよろしいですか。
  67. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) そのとおりです。
  68. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 その認識が、恐らく高谷参考人、斉藤参考人は共通するものがあるんだと思うんですけれども、そうした技能実習生を移行させていくという今回の法案ないし受入れ拡大策における特定技能一という在留資格について、斉藤参考人、高谷参考人の順にお尋ねしたいと思うんですけれども。  例えば、私の対政府質疑の中で法務大臣は、合意と自由意思に基づくものであると、つまり自立した労働者として権利行使をするものであると、そうした存在として特定技能一というのを認識をしておられるようなんですね。私は、実態を脇に置いた空論ではないかと批判をしておるんですけれども。  つまり、自立した労働者として、就職に当たって、つまり受入先とのマッチングですね、それから、実習生時代以来、送り出し機関や監理団体の影響下にある、そこにはブローカーが介在している可能性だって十分あると、それが日本の公的機関に確認をされずにそのまま権利侵害状態に置かれているということもあり得るのだと思うんです。そういう実習生が、自己責任においてその不当な受入れ機関だったりブローカーに対抗できるのかと。  それから、セクハラといいますか、ハラスメントなどで解雇、職を失うということになった際に、再就職、転職ということが本当に可能なのかと。私も、日本語がなかなかおぼつかないという技能実習三年目を修了する方というのはお会いすることはありますし、何より外国人の就職差別というのは厳然としたものがあるわけで、その中で、そうした労働生活において、特定技能一と想定される方々がそうした自己責任ということを果たせるものなのか、自己責任を求めていいものなのか。  斉藤参考人、高谷参考人、それぞれお願いします。
  69. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) 現実の技能実習二号修了者の方々と接する中で、彼らが自分でちゃんと支援計画も作れるような新しい受入先を見付けて、そこと自分で交渉してそこで就職新たにできるとかいうことはちょっと考えにくいと思います。あと、ハローワークとかがもし前面に出てくるとしても、まず言葉の問題もあるでしょうし、難しいと思います。実際に何らかの形でブローカーを通じて生活、就労せざるを得ない状況に陥る人が大多数だろうと思います。
  70. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) 御懸念のとおりで、私も同じような考えで、実際には、その自由意思というのを発揮できるような環境があるかというと、やはりそこはないのかなというふうに考えております。
  71. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 今の点を多賀谷参考人どうお考えかということと、あわせて、先ほどの御意見の中で、今度、これからの新制度においては出入国在留管理庁に組織替えがされますけれども、提案をされていますけれども、公的機関が責任持って対処するというふうにお話があったのではないかと理解したんですが、その公的機関による責任ある対処という、その対処の中身が法案や今の政府の提案でどう説明されているという御理解か、教えてください。
  72. 多賀谷一照

    参考人(多賀谷一照君) ちょっとややこしい話になると思うんですけれども、今までは、私は、技能実習制度において監理団体、これ監理という難しい字を使っていますけれども、監理団体というものが事実上公権力的な権限を仕切ってきたと。要するに、公権力に代わって外国人労働者を支配してきたという面があると思うんです。そういう仕組みを民間、つくってきたと。  元々は、それは監理団体は事業者組合と。職業別の事業者組合が自律的な、内部的な規律をして、企業でお互いに余りひどいことはやらないという、そういう仕組みであったわけですけれども、現実に問題を起こしている監理団体は異業種協同組合という形で、本来の協同組合ではなくて、ビジネスとして異業種に、様々な業種技能実習労働生を割り当てていく、そういう仕組みであったわけです。それがやはり問題の根源であったわけです。  今回は、私の理解することによれば、特定技能という仕組みによってその監理団体が持っていた権限をまず取っ払わなきゃいけないという、そういう意識が多分法案にあったんだと思うんです。要するに、取っ払った場合に、そこはもう特定技能外国人とそれからそれを受け入れる民間企業の間は雇用者と被雇用者の関係になるということ。  ただ、おっしゃるように、じゃ、そこでもう対等な労働関係になるかというと、これなかなか難しいわけですけど、確かに外国人は弱者でして、十分な情報がないだろうと。しかし、そこについて、支援機関としての役割をしていただいて必要な情報を与えると、できるだけそれは日本人と同じように転職の可能性を認めるという、そういう仕組みという考え方だと思います。  ただ、確かにそれがうまく機能するのはなかなか難しいといいますか、それは省令で、十分なその意味での省令を作らなきゃいけないだろうと思いますけれども、しかし、今の状況の場合においては、監理団体がある種の公権力的規制をしていて、それがやはり外国人自由労働する権利を奪っているわけですから、それよりはましだろうと思います。ただ、これでそれが機能するかは今後の運用に懸かってくると思います。  以上です。
  73. 仁比聡平

    仁比聡平君 多賀谷参考人も、実質、技能実習制度を廃止せよと言っているのと近くないかと私には聞こえましたけど、そうではないと首は振っておられますけれども、今後の特定技能一というのがうまく機能するのかというのは、これなかなか難しいという御発言も中にありました。  高谷参考人にお尋ねしたいんですが、御意見の中で、出入国在留管理庁の働き方として、政府方針は司令塔的役割を果たさせるんだという、ここの点について、労働問題あるいは子供教育というような問題は出入国在留管理庁がその役割を担うことができないではないかという正面からの指摘をされているんですが、その意味についてもう少し伺えれば。
  74. 高谷幸

    参考人(高谷幸君) 例えば、今の特定技能の労働問題ということに直面したときに誰ができるかというと、やはりこれは労働基準監督署の問題ではないかなと思います。出入国在留管理庁の方が企業に行って何かできるかというと、それはできない。  ですので、その意味で、労働問題は、やはり厚生労働省あるいは労働基準監督署が実質的に責任を果たせるような体制になるのかというと、やはり出入国在留管理庁が司令塔的役割ということで、結局、ほかのところの分野の権限が曖昧になってその機能を果たせないんじゃないかなというふうに考えております。
  75. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 斉藤参考人、同じ問題といえば同じ問題なんですけれども、先ほど特定技能一在留資格者の再就職に関して、ハローワークがあるとしても言葉の問題などありという御指摘もあって、例えば、現在ハローワークで母国語での相談ができるということで、例えば二か国語程度話せる人がいるというところを広くしているというんだけれども、例えば、私、地元九州でいいますと、福岡市と別府市にあるだけで、例えば仕事先には牛しかいないとか、あるいはトマトをずっと取っているとか、そうした大方の九州の実習生たちは、外国人労働者たちは、そういう母国語での求職活動なんかできる場なんてないんですよね。  そういうことも含めて、日本の公共機関に、先ほど御意見の中では、審査やサポートのためのマンパワーがないというのであれば受け入れる資格はないということではないかという御指摘もあったんですが、どんなふうにお考えでしょうか。
  76. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) そうですね、まず、本人たちはなかなか公共の窓口に行くことができません、存在も知らないし。じゃ、電話をするかというと、電話持っていませんし、会社と関係が悪化したときに会社の電話借りられませんから、そういう時間もないですし。じゃ、WiFiだけ何とか拾ってネットで通報するとか相談しようとしても、何ですかね、労基署もハローワークも入管もOTITも、インターネットをつないでくれないんですよね。Eメールなしで、できない。辛うじてメールで相談できるかと思っても、写メを撮って送るというあの人たちのいつもやる手段が使えないんですよね、添付ファイルできないからというようなことがあります。行く時間もない、行っても言葉が分かる人がいない、そういう状態ですよね。  ただ、機構の方から、今調査に入っているという話がありますよね。数万か所に対して一年間で数千か所、多分十分の一ぐらい回りましたよというふうに言っているわけですけど、じゃ、次来るのは十年後かという話ですよね。もう今いる人が働いている間は二度と来ない、だから会社は安心、そして実習生は絶望ということですね。一回来てくれた、でも、そこで自分たちの本当のつらい状況をちゃんと分かってもらえなかった、自分たちはそれを伝えられなかった、会社が怖くて言えなかった、言葉が分からなくて言えなかった。これでもうチャンスは終わった、次は十年後だから、自分たちはもう救われないと思ってしまうわけですね。  同様の問題は、保証金払っていますかとかいうことをどうやって確認するかというときに、聞きますという答弁がありましたね。それを聞くのは非常に残酷なことです。本人に払っていませんと言わせる、うそをつかせるわけですね。それを言わなかったら今までの苦労が全部無駄になる、借金が返せなくなる、だから被害者が自ら被害に遭っていませんと、それを言わせるわけです。言ったために、本人は、自分にもう救済はないというふうに絶望する。  そういうふうなことで、それがクリアできるほどの言葉とか調査能力のあるマンパワーを備えた機関が必要だと思います。
  77. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 様々問題がまだあるんですけれども、ちょっと残り一分なので、斉藤参考人に最後お尋ねしたいんですが、二年前、この委員会に技能実習適正化法案の参考人としておいでいただきました。そのときと今日とお会いさせていただいて、ちょっと相当いら立っていらっしゃる、そんな印象を受けるんですけれども、今回の法案やあるいは国会のありようについてどんな御意見でしょうか。
  78. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) 人間、普通、年を取ると丸くなると思うんですけど、この問題に関しては本当に腹が立っています。ちゃんとしてほしいの一言に尽きると思います。議論もちゃんとしてほしいし、運用もちゃんとしてほしい、そう思います。
  79. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 終わります。
  80. 石井苗子

    ○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。  三人の参考人の皆様、大変御丁寧にありがとうございます。大変勉強になりました。  それでは、多賀谷参考人の方にお伺いしますが、二つお伺いします。  この技能実習制度の目的というのは国際貢献だったはずです。でも、今日お伺いしていますと、あらゆる事実が、これ国際貢献と言えないんではないかと思うような事実がたくさん出てきているわけですが。この技能実習生という方々は、外国人労働者の二〇%でございます。ということは、この制度の目的とは違う方向に来ているのではないかと思うんですけれども、それが事実だと思うんですが。  制度が、技能実習生の問題というのが、失踪とかあらゆる、資料を読んでいればいろいろあるということが分かります。それをそのままにして新しい制度を入れるものではないでしょうか、これ。そうだとすると、人権侵害だったり、それから失踪の問題というのは今後も起こるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  81. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 確かに、技能実習制度というものを利用して、国際貢献とは言えないような形での外国人の日本への招聘があったのは事実であります。しかしそれは、言葉を換えれば、今回の新たな特定技能という資格によってそういう人たちの流れを特定技能の方へ導いていこうと。そうすると、技能実習制度は本来の国際貢献の方へ純化していくんじゃないかという、そういうふうに考えております。
  82. 石井苗子

    ○石井苗子君 これは大変都合のいい理論展開ではないかと思いますし、私は人道的な問題解決の配慮に欠けていると思うのですが。  多賀谷先生は、平成二十七年の四月十五日のインタビューの中で、技能実習生の制度の適正化ということについていろいろとコメントをいただいておりますが、その実習生の受入れを認められなくなった事業所は労働力確保が難しくなり、事業が立ち行かなくなる事実も考えられると述べていらっしゃいます。  一方で、この平成二十七年度の時点で十六万人もの実習生が働いているという事実があると。国際貢献ではなく十六万人もの実習生が働いている事実があると。しかしながら、機械関係や金属関係といった職種では制度が比較的うまく機能していると聞いておりますというふうにお答えになっていらっしゃいますが、やっぱりこの技能実習制度、私も、一度、一旦仕切りを置いて廃止すべきなんではないかと、元々の目的から逸脱、乖離し過ぎているという個人的な見解を持っておりますけれども。  片や、制度に関して全面的廃止は非現実的ですというふうにおっしゃっていますけれども、その後に、韓国のような雇用許可制に切り替えるべきだとも思いませんというふうにコメントを述べていらっしゃいますが。  そこで、お聞きいたします。この韓国のような雇用許可制というものは、どこが一番日本の制度と日本の社会になじみませんでしょうか。
  83. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 三年前ですが、私も今言われてそういうふうなことを思い出しているところでありますけれども、その当時、韓国は、当初は日本の技能実習制度と似たような制度をつくっていたわけですけれども、それに対して雇用許可制という新しいものをつくったんだと、だからもう日本の制度とは違う仕組みをつくるんだというふうに聞いていました。  ただ、その当時、じゃ、それでもって完全に問題は解決したのかということでしたけれども、やはり韓国でも、結局、雇用許可制というふうにしても、不法滞在、途中で逃げて辞めていってしまうといいますか、脱走してしまうという、そういう例がそれなりにあるので、じゃ、やっぱり基本的に韓国の制度でもうまくいっていないんじゃないかと、そういうことでそういう発言をした覚えがあります。
  84. 石井苗子

    ○石井苗子君 失踪や脱走が多いという事実というのは、どちらの制度でも免れていないというふうに理解いたしました。  高谷参考人にお聞きいたします。  ここに資料がございまして、「中絶か帰国か 迫られた実習生」というタイトルが付いている資料をいただいております。よく読みますと、ベトナムの北部の貧しい地域の出身でいらっしゃり、日本に来たのは病気の母の治療費で多額の借金があったからと。渡航費の約百万円は親戚の祖母から、あるいは親戚から多く借りてきたということで、妊娠をしたのは帰る一か月前であり、来日前にベトナムの、母国のですね、ベトナムの男性との子供であるが、母国に帰ってもその男性は自分の子ではないと言っていると。  こういうようなケースは、その後どうなるんでしょうか。
  85. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) この場合ですと、ですので、多くの場合は帰国を迫られて帰らざるを得ない、あるいは中絶をしてそのまま働き続けるか、どちらかだというふうに考えています。
  86. 石井苗子

    ○石井苗子君 ということは、この人の場合は、技能実習生、何の、どのような場合だったか御存じですか。
  87. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) ここに書いている以上のことは分かりませんが、西日本の製紙工場で実習をするためと書いていますので、そのとおりかと。
  88. 石井苗子

    ○石井苗子君 そうなりますと、これは別に低賃金だとかセクハラを受けたとかそういう問題ではなくて、妊娠をしたという女性特有の問題も別にあるということで理解正しいですか。
  89. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) 中絶をするか強制帰国をするか選べと言われるのは、セクハラではないでしょうか。
  90. 石井苗子

    ○石井苗子君 これもセクハラであるということで理解できました。  こうした問題で、新制度が、悪質なブローカーというのが介入していることが多々ありますけれども、政府はこれを排除できると思うがと言っております。  高谷参考人はどのように思われますか。
  91. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) 基本的には排除できないんじゃないかなと考えております。
  92. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。今の制度では全く排除できないと。
  93. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) 技能実習制度とほぼ同じような形で機能すると予測、推測しておりますので、その形ですと、技能実習制度と同様、ブローカーは排除できないと考えております。
  94. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。  それでは、斉藤参考人にもお聞きいたしたいと思います。  お聞きしておりますと、外国人の、日本にいらしてくださって労働力として働いていらっしゃる方々の劣悪な環境が見えてくるようなお話がたくさんありましたけれども、やはり同じように、私たちのこの法務委員会でも、民間と民間の間で悪質ブローカーというものが介在していることを大きな問題点だと思っております。  この悪質なブローカーがなくならない、送り出し側の、その構造的な要因とはどういうものが考えられますか。
  95. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) ブローカーがどこから悪質になるのか、私は定義を知りませんけれども、ブローカーは必ず介在してくると思います。それは送り出しに限らず日本の国内でもそうですが、先ほどの雇用許可制、韓国のですね、あの場合ですらブローカーは入ってきています。実際に、本来お金はほとんど掛かるはずがないのに、平均四千ドルくらい掛かると韓国の当局者が言っていました。そういうふうに、どんな形を取ってもブローカーは多かれ少なかれ入ってくるであろうと思います。
  96. 石井苗子

    ○石井苗子君 ということは、日本が制度を変えても、そのブローカーの、送り出し側の構造的なものを変えるには限界があるとお考えでしょうか。
  97. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) どんなに民間の人材ビジネスを排除しようとしても、何かの形では入ってくるんだろうと。それは、文化的なものもありますし、入ってくるだろうと思いますが、今回のこの法案の問題点は、そういうブローカーを、悪質かどうかはともかく、どんどん入れてあげようという形になっているように見えて、そこが不安なんです。
  98. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございました。  それでは、最後になりますけれども、各参考人の方々にお聞きしたいと思います。  もう本当に時間的余裕が全くないほど地域においては人手不足であるというのは、私も東日本の震災支援に毎月行っておりますので、切実に迫っている問題であろうとも思いますし、それから、政府が新しい制度を導入したのですから、必ず外国の方を人材として人手不足のところに持ってくるんではないかと思うんです。それもできなければ、政府が新しい制度を入れたと言えないと思うんですね。その際に、受入れ側の日本国として果たして制度がきちんとできているかどうかというのは、今後二年を通してやってみなければ分からないというような、そんな感じが今しております。  皆さんにお伺いしたいのは、やはりここで大きな問題は、地域にどれだけの人が、どの仕事で足りないのかということを全く政府は把握しておりません。皆様方は、職種ごとに計画的に、地域に外国の方がいて仕事を手伝ってくださるようになるためには何が必要と思っていらっしゃるか、御三方にお聞きいたします。
  99. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 先ほど来、ブローカー、ブローカーという悪口がよく出てきますが、私はある意味でブローカー的な、要するに仲介的な存在は不可避だろうと思います。その場合に、そしてそれを国が全部計画的に地域に配分するという、そういう計画経済的な仕組みもうまくいかないと思います。  基本的に私は、要するに、そういうブローカー的な仕組みであれば、地域単位で、地域の地方公共団体と、あるいは地域の経済界が自らブローカー的な役割をして、要するに外国に直接行って、そこで、自分たちのところにこれだけの人を要るんだけれどもここに来てくれないかということで、それを毎年やっていって、継続的な感じでブローカー的な役割を地方の機関がやるべきだろうと思います。国が全部やるというのは、それは無理だろうと思います。
  100. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) 地域それぞれのニーズがあるということはもちろんそのとおりだと思いますが、やはり、これまでの日本の政策を考えてみますと、国が受入れという入口、出口の出入国以外のところで国が関与してこなかったということも、また一つの事実かなと思います。  ですので、生活を支えるようなそのようなサポート、総合的な対応、政策というものを確立して、その中で地域のニーズにどうやって応えていくかということを考える必要があるかなと思います。
  101. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) 労働力の話をする前に、労働条件のことをちゃんと考えて、日本人でも働きたくなるような労働条件がどうやったら確保できるのかということで、効率を上げるばかりではなくて、やっぱり、不当な下請工賃の安さとか無理な納期の押し付けとか、そういうことを規制していって、日本人でも働きたくなるようなところには外国人も来てくれる。そして、さらに家族も一緒に来るとそこのコミュニティーに根差して生活するようになりますので、やっぱり、労働者だけが、お金を稼ぐために来るんじゃなくて生活をするためにも来ると、そういう環境を整える必要があると思います。
  102. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございました。終わります。
  103. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。  参考人の皆様には、貴重なお話をお伺いすることができまして、大変感謝申し上げます。  私は、移住連の高谷参考人にまずお伺いしたいと思います。  技能実習生が抱える問題に様々に今まで取り組んでこられておりますが、この実態を一番御存じの移住連の高谷参考人には、率直に本法案の具体的な課題を改めてお伺いをしたいと思います。
  104. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) 問題点は多岐にわたるのですが、やはり技能実習制度との関係ということで申し上げますと、技能実習制度と特定技能の一号がかなり連続した制度になっているというところに根本的に制度設計として問題があるのではないかと考えております。それは、先ほど言いましたように、職種もほぼ移行が認められていますし、恐らく現状では監理団体を担っているところが登録支援機関になると。  そうしますと、一つの企業で考えてみますと、一つの職場で考えてみますと、技能実習生もいれば特定技能一号の方もいるという形の職場が増えていくんだろうと思います。そのときに、技能実習生と特定技能は違うんだといっても、その監理団体あるいは企業の方が、この方は技能実習生、この方は特定技能という方で対応を変えるのか。三年あるいは五年、技能実習生が終わった方が特定技能になった場合に、じゃ、あしたから特定技能だからこう変えますというふうには絶対ならないと思うんですね。  そういう意味での連続性、一つの企業を取っても連続性ということで、ほぼ同じ、ほぼ十年間の技能実習制度のような形に実質的には機能してしまうんじゃないかなと考えております。
  105. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 続きまして、斉藤参考人に伺います。  斉藤参考人はベトナムの技能実習生問題の専門でいらっしゃいますが、韓国の外国人受入れについてもお詳しいと仄聞をしております。韓国の制度で日本の制度に反映させる一番のポイント、何でしょうか、伺います。
  106. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) これはもう端的に、民間人材ビジネスの介在を排除している点です。
  107. 糸数慶子

    糸数慶子君 報道でも大きく報じられておりますけれども、現在の技能実習生の約七割が最低賃金を下回っていたということが一昨日の野党の七会派の聴取票の集計で明らかになりました。さらに、労働法に違反するひどい事例が次々に明らかになっております。  そこで、三人の参考人にそれぞれ伺いますが、このような我が国の社会の在り方を大きく変えようとするそういう法案がこのまま成立した場合、今後どのような問題が出てくるのか、あるいはその懸念などがありましたら、まず多賀谷参考人から、高谷参考人、斉藤参考人と、お三方にお伺いしたいと思います。
  108. 多賀谷一照

    参考人(多賀谷一照君) 技能実習制度が本来の技能実習から逸脱的に利用されてきて、おっしゃるように、低賃金とかそういう状況であったのは否定し難いところであります。その根本は、先ほど斉藤さんがおっしゃったように、間に複数のブローカー的存在、送り出しのところと、それから監理団体のところと、それぞれが本来は技能実習生に払われるべきお金を何割かあらかじめ抜き取って、したがって最低賃金以下のお金しか払われなかったという、そういう実態があると思うんですね。  それで、新しい法律はそれを取っ払うと。要するに、そういうブローカー的な、営利目的のブローカー的な存在をできるだけなくすことによって、その意味において普通の労働関係のような形で改善するという、そういうもくろみがあるんだと思います。  ただし、確かに、ほかの参考人がおっしゃるように、その場合に、じゃ、本当に雇用主と非雇用主、雇用主と労働者との関係になって、日本のように労働関係として、日本人同士の関係のようにうまくいくかというのは、確かにそれは懸念があるところでありまして、その点については、確かに高谷参考人がおっしゃるように、具体的に省令ベルになると、やはりそれは厚生労働省の、労働関係についての厚生労働省とも協力を得ざるを得ないんだろうと思います。そういう形でうまくいけば今みたいな状態は避けられるだろうけれども、運用がうまくいかなくて更なる修正を必要とするかもしれないということだろうと思います。
  109. 高谷幸

    参考人(高谷幸君) 私は、繰り返しになりますけど、やはりその特定技能一号は技能実習制度とほぼ同じような形の立て付けになっていますし、実質的にも連続した形で使われるという形が多くなると予測しておりますので、そうしますと、今、技能実習生の、何というか二倍とか、そういう形で技能実習生に依存している産業がよりますますそこに依存し、さらにその範囲も広がるという形になるのではないかなと考えております。
  110. 斉藤善久

    参考人(斉藤善久君) 私は、この制度案は、問題の多い技能実習制度をこの特定技能の予備校的な扱いにしてそのまま固定化してしまう、そしてその悪いところを全部引き継ぐばかりか、さっき多賀谷先生おっしゃったこと、ちょっとおかしいと思ったんですが、建前上は、技能実習制度の中で監理団体は非営利団体機関になっていますが、今度はこれを民間人材ビジネスにも解禁するというふうに読めると思います。それが非常に大きな問題だと思っています。
  111. 糸数慶子

    糸数慶子君 今それぞれ御意見伺いましたが、改めまして、多賀谷参考人にお伺いいたします。  修正が必要だということをおっしゃいましたけれども、具体的に。
  112. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 今段階で修正が必要だとは言っておりません。要するに、これで制度をつくってみて、おっしゃるように、二年以内に改正する、二年以内、二年後には恐らくその間の運用を見て修正しなきゃいけないでしょうし、その前に省令レベルで、おっしゃったような危惧がないように、他省庁の、あるいは地方自治体の連携を受けていかに運用するかということで、この制度が生きるか死ぬかということ、生きるかうまく運用できるかというのに懸かってくると思います。  それで、今、斉藤参考人が、人材ビジネスが入ってくるんじゃないかと。私は、人材ビジネスが入るのはある意味で仕方がないところだと思う。その場合に、人材ビジネスが、要するに派遣、派遣とは限りませんけれども、人材ビジネスがそれなりにうまく機能すれば、それはそれで、要するに、外国人労働者を収奪的に使うんではなくて、それなりに仲介的なビジネスをしてやれば、それはそれで一つの在り方だろうと思います。  要するに、外国人労働者を、何といいますか、その人権を侵害するような形ではなくて、何らかの意味で間に入る存在がなければこんな仕組みはできるわけないわけですから、まあ地方自治体がやってもいいですし、それから、そういう大手の人材ビジネスが入るということはあり得るだろうと思います。それは私は否定しません。
  113. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 改めて、ただいまの御意見に対して斉藤参考人の、もし補足といいますか、違うというその相違点というのがありましたら伺いたいと思います。
  114. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) 多賀谷先生もお認めになったように、この制度は何らかのブローカーなり中間団体が入ってこないとうまく回らない制度だと思います。そこで、営利団体が入ってくるわけですから、必ず搾取が起こってくると思います。今よりも状況が悪くなる面もあると思います。
  115. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ただいまいろいろございましたけれども、賛成の立場に立っていらっしゃると先ほどおっしゃいました多賀谷参考人の方からもそういう御懸念が今ございました。ブローカー的な存在が、本当に外国人労働者のしっかりと人権を守るような状態で動くのかどうかというのも大変疑問があるわけですけれど。  それでは、改めまして、移住連の高谷参考人に伺います。これまで様々な問題点が御指摘されてきました。そして、多賀谷参考人もお話ございましたけれども、御指摘をいただいておりますけれども、今までの中で言い足りないことがもしございましたら、おっしゃっていただきたいと思います。
  116. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) そうですね、言い足りないというか、ちょっと繰り返しになると思いますけれども、やはりこの特定技能一号というものが非常に今問題になっていると思いますけど、これがやはり今までの入管局が認めてきた就労資格とは異なる形で就労資格をつくろうとしている、そこにやはり一番の問題があるといいますか、それより更に何か下に位置付けられるような就労資格をつくろうとしているというところに問題があるんじゃないかなと思います。  元々の専門技術労働者に認めてきたような形でそもそも特定技能の就労資格もつくると、それが外国人労働者を受け入れるというのであれば、やはり筋ではないのかなというふうに考えております。
  117. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 改めまして、同じ内容で斉藤参考人にも伺いたいと思います。  これまでいろいろ御指摘いただきましたけれども、言い足りないことがございましたら、お願いいたします。
  118. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) 仁比先生にも指摘されたように、この制度に余り関わっていくとどんどん人間が悪くなっていくんですね。それは使用者の方もそうだと思います。人のいい田舎の中小企業のおじさんがどんどん悪いことを覚えていくんですね。どんどん悪くなってしまう。  この制度は、ちゃんと一回やめて根本から、どういうふうな外国人の労働者なり外国人の受入れを考えるのかということをもう一遍考え直した方がいいと思います。
  119. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 終わります。
  120. 山口和之

    ○山口和之君 無所属の山口和之でございます。  今日はありがとうございます。  三人の参考人の方々に同じ質問をさせていただきます。順番としては斉藤参考人からお願いいたします。  肌感覚で結構なんですけれども、技能実習のつもりで来ている実習生はどの程度いるんだろうというふうに参考人の方々は感じていらっしゃるのかということと、技能実習制度が成功したのか失敗したのか、また、存続させる意義があるのかないのか、それぞれ率直な感想をお教え願いたいと思います。
  121. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) 最近、特にカンボジアの技能実習生の方のことでよく聞く話ですが、そもそも本人が技能実習生として来ていた事実を知らないというふうなことも起こってきております。それは極端であるにしても、私が専門にしているベトナムの人たち、日本に来る瞬間までは日本の文化とか技能とかもろもろ含めて学びたいというふうに本当に思っている人も一割、二割はいるんだろうと思います。ただ、日本に来て早々にそういう夢は打ち砕かれていくという人が大半を占めているように思います。  この制度を今後どうしていったらいいかということについては、何度も申し上げたように、即刻廃止した方がいいと思っています。
  122. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) どの程度いるかというのは、数というのは分かりませんけれども、ほとんどは技能実習という目的とは違って、働くという形で来られているんだろう。  そして、日本のもちろん文化とかというのに関心を持つということはありますけれども、それと別に働くということは矛盾しておりませんので、働くことが目的で稼ぎたいということがある中で、何というか、同時に、送り出し国から考えれば、送り出しの社会から考えれば、例えば韓国に行くか台湾に行くか日本に行くかというので、ちょうど空いているところがあったから行くだとか、あるいは関心がある国に行くとかという、もちろん、そういう中で日本の文化に関心があるということはありますけれども、それと同時に、やはり稼ぎたいということももちろんあるんで、そこは別に矛盾するものではないのかなというふうに考えております。  成功か失敗かというと、当初の目的から考えると、もう逸脱というか、逸脱が通常になっていますので、これはやはり廃止すべきだと考えております。
  123. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 私自体は、自分で調べたことは、あるいはその調べた資料がないので明確なことは申し上げられません。ただ、一般的に、こういう問題について、問題点がある事例が例えば数%だったらそれは数十%のように扱われるので、その情報を信じることはできないだろうと。  私は、あえて暴論を言いますと、多分、本来の意味での技能実習の仕組みが機能しているのは数割であり、それから機能していないのも数割であって、しかし、大部分についてはグレーといいますか、ある意味で技能実習的な仕組みが機能しているけれども、労働力としても使っているという、そういう中間形態がかなりの部分あるんだろうと。したがって、それについて、それをどっちかというふうに区分けすることはできないというのが実情だろうと思います。
  124. 山口和之

    ○山口和之君 存続させる意義はあるのかということについては、多賀谷参考人。
  125. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 今までそういう形で現実に、グレーも含めてそういう形で維持されてきた、そういう形でもう何十年も使われてきたものをいきなり廃止するというのはやっぱり乱暴だろうと思います。そして、今回の法改正が、そのグレーあるいはブラックになってしまった部分については、それを別の制度へ置き換えるということで、この仕組みは、その技能実習制度のブラックな部分、問題のある部分を修正して制度を維持しようという、そういうことだろうと思います。
  126. 山口和之

    ○山口和之君 じゃ、そこでまた、斉藤参考人からお伺いしたいんですけれども、ブラックな監理団体、ブラックな実習施設を減らすためにはどうしたらいいのかを三人の参考人の方にお伺いしたいと思います。
  127. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) これはもう、制度的にそういう方向に誘導されざるを得ないような制度ですから。  多賀谷先生は、何割か、何%か、そこでけんかしてもしようがないですけれども、一部はうまくいっているところもあるんだから、あと、あるいは、グレーなりに何十年もやってきているんだから、まあじわじわやめたらいいじゃないかというふうにおっしゃるかも分からない。で、今度の新しい制度でもっと良くなるんだからとか言うけれども、置き換えられるとおっしゃるけれども、申し上げたように、置き換えられません。むしろ固定化されます。そして、もっと悪くなります。だから、やめた方がいいというふうに思っております。
  128. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) 元々は、この制度は研修・技能実習制度だったわけですね。それで、それが変わるときにも同じような議論がありまして、要は、本当の研修なのかそうじゃないのかということで、いわゆる本当の研修は、そのときは研修という在留資格の方にそのまま行ったわけですね。  ですので、技能実習というのは、そのことから考えますと、そもそもがやはり日本の人手不足を解消するための制度として使う方にそのときにより純化されたんだろうと思いますし、その後人数も非常に増えておりますので、ますますその方向性に強まっているんじゃないかなと考えております。  ですので、この制度を解決するというのは、そういうふうにして何度も制度改革はしてきたわけですが、常にやはりその目的とは違う方向に行ってしまうと。もうこうなりますと、やはりこれはもう制度として一旦やめまして、新しく違う形のきちんとした受入れという形の制度をつくるべきじゃないかと考えております。
  129. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) これはもう、やめてもそれは同じことだろうと思います。  基本的に、そういうことを言っては申し訳ないんですが、現実に、そういうブローカー的な仕組み、悪い意味でのブローカー的な存在は日本人であって、実は日本人であって外国人じゃないわけです。そして、日本社会において、日本人同士の雇用関係においてもそういう仕組みは実は存在していて、それをほっておいてもそういう仕組みは入ってくるんですね。  だから、私は、先ほど言いましたように、先ほど私はブローカーを認めたというようなことをおっしゃいましたけれども、それはちょっと趣旨が違って、基本的に、そういう間に入るのが、どこのどういう雇用関係においても必要であると、ただし、その場合には、要するに白いブローカー、白い介在者を増やせと。  それで、私に言わせれば、地方機関や地方自治体や何かも、ある意味において、その意味において、白いブローカーってあれですけれども、要するに、介在について、そういう悪質なブローカーに任せることなく自分たちでほかの国の地域と間を取ってやるべきであって、それは、全体としてそれで、外国人、技能実習なりあるいはこの特定技能における外国人の雇用環境を全体として良くしていくというしかないだろうと思います。ただ廃止しても、現実には非公式に同じような仕組みが維持されるだけだろうと思います。
  130. 山口和之

    ○山口和之君 じゃ、次に、特定技能一号、二号、これから法律が通っていくのだろうと思うんですけれども、その特定技能一号の方々も、支援機関や受入れ機関、ブラックは発生すると思うんですね。それを止める方法、減らす方法をお伺いしたいなと。
  131. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) 何度も申し上げるように、どんな制度をつくっても、どうせ何かの形で民間人材ビジネスとかあるいは何かの利権は入ってくるだろう、だからもうしようがないじゃないかというお話も、あっ、しようがないって、ごめんなさいね、あるかも分からないけれども、少なくとも今、制度をつくろうとしているときには、少しでもこの民間人材ビジネスの介在を許さないという、そういう制度を明確につくっていくべきだと思います。
  132. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) もちろん、そのブローカーの問題というのは非常に大きいと思うんですが、特定技能一号の問題はそのブローカーだけには限らないんですね。  ブローカーも一つの問題ではあるんですが、そのようにして、なぜそのブローカー的な存在に頼らざるを得ないのかということを考えますと、もちろん、先ほど出たような言葉の問題とかそういう、情報へのアクセスの問題ということもありますが、やはり働かないと生きていけないような立て付けになっているので、そこで何を言われても働かないといけないという形になる、あるいは借金なり在留資格の面でそういう形になっているわけですね。  ですので、例えば、失業してもその後しばらく安心して職探しをできるだとか、家族との生活がきちんとできるだとか、そういう形の労働以外の生活の面のサポートを十分にすることによって、より安定した働き方ができるんじゃないかなというふうに考えています。  ちょっと付け加えになりますけれども、家の問題にしても、今だと、技能実習生の場合は家もその協同組合、監理団体や企業が準備するという形になっているわけです。それと、専門技術労働者の場合だと、家探しは自分で行うという形になっているわけです。そうすると、少なくとも家の部分は雇用主に頼らなくて済むような形になるわけです。  そういう形で、ある種の分離といいますか、職場から離れた生活で、権利というのが一定程度保障されるということがやはり必要なんじゃないかなと考えております。
  133. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) 繰り返しになりますけれども、技能実習制度の場合の監理団体というのは、本来は事業協同組合が非営利で行うということを想定していたわけです。ところが、異業種協同組合というのが実質上のブローカー的に入ってきたということ。  今回のも基本的に同じ話でして、要するに、こういう分野についても、その当該事業分野で、もう少しやはり協同組合、事業者協同組合みたいなものが非営利でその分野において外国人人材を保護する役割をしなきゃいけない。例えば、農業の場合だと、農協がやらなきゃいけない話なのを農協がやっていないというのは、私は前から問題があるというふうに思っていました。
  134. 山口和之

    ○山口和之君 ちょっと訂正します。通ったとしたらというところでの質問です。  それから次に、一定の技能レベルが必要なのかと、ゼロからスタートじゃ駄目なのかと。つまり、特定一号のところなんですけれども、ある程度のレベルが必要だというふうに言って、外国でも試験をしたりはするんですけれども、日本人も最初は仕事を知らないところから始まったりはするわけですけれども、そういった感覚でいくと、一定の技能レベルから始める、これは本当に必要なのかということをちょっと簡単にお伺いしたいと思います。
  135. 斉藤善久

    ○参考人(斉藤善久君) でも、これは、技能実習二号、三号修了者は誰でも入れるみたいなことを言っているのから分かるとおり、誰でもいいんですよね、と国自体が言っている、法案提出者自体がそう言っているのに等しいと私は思っています。  それでいいのかどうかというのは別問題で、私は、日本語がある程度やっぱりできる人じゃないとこっちに来てから苦労すると思うので、ちゃんと国が送り出しの方できちんと教育をしてテストもして、それから受け入れていく制度がいいかなと思っています。
  136. 高谷幸

    ○参考人(高谷幸君) 私も、これは非常に形骸化するのではないかなと思っていますので、余りそこについては意見がありません。
  137. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) やはり、一定程度の能力を求めるというのは、それほど高いレベルではないけど、しかし日本社会において労働力として活動するということは、の技能は必要、求めているんだと思うんです。  また、我々は余り普通だから感じませんけれども、日本人は非常に勤勉な人間でして、それは、ほかの国の人たちが同じような形で一生懸命働くとは限らない。そういう人たちをいきなりばっと日本に入れてきても、日本語ができない、そして、必ずしも日本人的な勤勉さに、それまで接していなかった、を持っていなかった人がいきなり入ってきたら、それはどうしてもドロップアウトしてしまうだろうと。その意味において、何らかの能力を持っているということは必要だろうと思います。
  138. 山口和之

    ○山口和之君 最後に、多賀谷参考人にお伺いしたいんですが、技能実習一号、二号とあるんですけれども、給料は全部一緒でしょうか。給料、どういうふうな間隔になるでしょうか。技術が、レベルが違うと思うんですけれども。
  139. 多賀谷一照

    ○参考人(多賀谷一照君) それは企業によって違うでしょうから、ちょっとそこまでは知りません。
  140. 山口和之

    ○山口和之君 ありがとうございました。
  141. 横山信一

    ○委員長(横山信一君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。  本日は、長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。大変にありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十六分散会