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2018-05-31 第196回国会 参議院 文教科学委員会 13号 公式Web版

  1. 平成三十年五月三十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月二十九日     辞任         補欠選任      太田 房江君     赤池 誠章君      自見はなこ君     今井絵理子君      森屋  宏君     衛藤 晟一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高階恵美子君     理 事                 上野 通子君                 大野 泰正君                 神本美恵子君                 吉良よし子君     委 員                 赤池 誠章君                 石井 浩郎君                 今井絵理子君                 衛藤 晟一君                 小野田紀美君                 橋本 聖子君                 水落 敏栄君                佐々木さやか君                 新妻 秀規君                 伊藤 孝恵君                 大島九州男君                 蓮   舫君                 高木かおり君                 木戸口英司君                 松沢 成文君    国務大臣        文部科学大臣   林  芳正君    副大臣        文部科学副大臣  丹羽 秀樹君    事務局側        常任委員会専門        員        戸田 浩史君    政府参考人        文部科学省高等        教育局長     義本 博司君        文部科学省高等        教育局私学部長  村田 善則君        文化庁次長    中岡  司君        国土交通大臣官        房審議官     眞鍋  純君        観光庁観光地域        振興部長     米村  猛君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○文化財保護法及び地方教育行政組織及び運営  に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 高階恵美子

    ○委員長(高階恵美子君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る二十九日、太田房江君、森屋宏君及び自見はなこ君が委員を辞任され、その補欠として赤池誠章君、衛藤晟一君及び今井絵理子君が選任されました。     ─────────────
  3. 高階恵美子

    ○委員長(高階恵美子君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学省高等教育局長義本博司君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高階恵美子

    ○委員長(高階恵美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 高階恵美子

    ○委員長(高階恵美子君) 文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 上野通子

    ○上野通子君 自由民主党の上野通子でございます。質問の機会いただき、ありがとうございます。  本日は、文化財保護法等の改正案について御質問させていただきます。  まず、日本においては、文化財は、長い歴史の中で生まれ、育ち、守られてきた財産の総称だと思います。そして、意外と私たちの身近に存在しながら知られていなかったり、また、余りにも身近過ぎて知らなくて、あっ、これは文化財だったんだと思うこともあると思います。でも、中には残念ながら時代とともに風化が進んで継承者がいなくなったりしているところもあり、様々な事情によって消滅するという、そういう危機に瀕しているものも少なくないと思われます。  そこで、今回の法改正によって、地方の文化財保護のその制度がどのように変化するのか、また今回の文化財保護法改正の目的は何なのかを大臣にお伺いしたいと思います。
  7. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 我が国には、地域の風土や生活、また他国の文化との交流等を通じて育まれ、守り伝えられてきた多様な文化財が数多く存在をしておるわけでございます。こうしたものは、我が国の文化的な発展や地域のきずなの維持などにおいてなくてはならない国民の宝と言っていいと思いますが、近年、今先生からお話があったように、過疎化ですとか少子高齢化、こうした背景で、文化財の滅失や散逸、また担い手不足と、こういうことへの対応、これは喫緊の課題となってきておるわけでございます。  その一方で、文化財を町づくりの核に据えてその活用を図ったり、いまだ価値付けのされていない地域の文化財も掘り起こす、こうしたことによって地域活性化を進めたいと、そういうニーズも多く見られるところでございます。  こうした背景の中で、今回の改正は、地域における文化財の計画的な保存、活用の促進、地方における文化財保護行政の推進力の強化、これを図りまして、未指定を含めた地域の様々な文化財を町づくり等に生かしながら次世代に確実に継承することができるように、地域社会総掛かりでの取組、広く推進することを目指すものでございます。
  8. 上野通子

    ○上野通子君 ありがとうございます。  ただいまの御答弁にもありましたが、今までなかなか、未指定のものなどもあって、文化財を地方で守るのが厳しかった、それをより効果的に、また活用しやすいようにするために市町村に権限を移譲していくための改正法でもあり、また、保護中心の文化、今大臣からもお話がありましたが、それを活用していくという、保護と活用の両立をしていくという大きな転換をするための改正でもあると思います。  ただ、心配なのは、文化財は一度壊れてしまったら元には戻せないものもあります。もし、適切な管理や注意を怠れば、その価値を失う可能性もあります。  そこで、大事な保存と活用のバランスについて、どのように取っていくのか、大臣にお伺いします。
  9. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 文化財保護法は、その一条で目的を定めておりまして、「文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献する」と、こういうふうに規定をしておりまして、保存と活用、これは文化財保護の重要な柱だと捉えられておるところでございます。  保存が十分でない文化財というのは、もうそもそも活用すること自体が困難でございまして、また、文化財の後世への継承には文化財の活用を通じてその大切さを多くの人々に理解いただくということが不可欠であるわけでございますので、この文化財の保存と活用の関係というのは単純な二項対立ではないと、こういうふうに考えております。  今回の改正案は、個々の文化財に係る現行の規制等の仕組み、これを維持した上で、計画的な取組の制度化によって中長期的にどうして取り組んでいくかということを見える化をする、住民、NPO団体、文化財保護指導委員など多様な人材の参画を得た取組の推進によって地域社会全体で文化財を毀損等から守る監視の目を強化する、文化財の毀損等の場合の罰金刑を引き上げる、こういうことを盛り込んだところでございます。  我々としては、文化財を次世代に確実に継承していくために、文化財の保存、活用の両面から適切に取り組んでまいりたいと考えております。
  10. 上野通子

    ○上野通子君 ありがとうございました。  文化財の保存と活用、このバランスを保つために、やはり大臣のお話にも、今の答弁にもありましたが、一番大事なのは人、人材だと思います。  そこで、改正によって文化財保護指導委員が、この指導委員が市町村に置くことができるようになったとのことですが、どのような人材を想定しているのか、また、人材の育成や確保、そして財政支援などは国としてどう考えているのか、副大臣にお伺いします。
  11. 丹羽秀樹

    ○副大臣(丹羽秀樹君) 文化財保護指導委員におきましては、文化財の巡視や所有者等への指導、助言等を行う非常勤の職員でございます。文化財保護法におきましては特段資格等を定めているものではございませんが、現在制度化されている都道府県における実例といたしまして、大学教員やまた学芸員、郷土史家や地方公共団体の文化財担当職員OBなどが委員となっている例が多いというふうに認識いたしております。  今回の法改正によりまして、市町村における文化財保護指導委員を置くことが可能となり、その配置につきましては都道府県と類似の運用がなされるものと考えておりますが、委員御指摘のように、様々な人材が積極的に活用されるように市町村に対する助言に努めていきたいと考えております。また、このような文化財保護指導委員を育成、確保するために、文化庁におきましても専門的人材に対する研修を実施しているほか、文化財保護指導委員を置く地方公共団体におきましてもそれら職員に対する研修等を実施する例が見られるなど、その資質向上を図っているところでもございます。  今回のこの市町村への指導委員の配置拡大を踏まえまして、国の研修の一層の充実に努めていくとともに、都道府県が行う研修に参加したり、また市町村自らが研修を実施することなど、取組の充実に努めていきたいというふうに思っております。
  12. 上野通子

    ○上野通子君 副大臣、ありがとうございました。  今のお話にもございましたが、様々な人材を確保して、地方で地方に合った指導委員を育ててほしいという思いが込められていましたが、これからは市町村でやることがたくさん出てくると思うんですね。保存活動計画作成、さらには未指定のものの対応、さらには今あるものとコラボしながら活用、運営をどうしていくかという計画、いろんなことでこれから動く指導委員にならなければならないと思うんですけれども、くれぐれも今回の法改正によって地方自治体の負担が更に増えないように、そこのところをよろしくお願いしたいと思います。そしてまた、産官学共同の連携強化とか、地域の高校生、また地元の大学生等の人材育成も一緒に図っていただけたらよろしいんじゃないかと提案させていただきます。  次に、現在、国内には国宝と言われるものが千百十件、重要文化財は国宝も含みますが一万三千百六十六件あるとお伺いしています。この国宝、重要文化財に合わせて全国の件数比較をしてみますと、一番重要文化財が多いのは東京、二千七百八十七件、二位が京都、二千百八十件、三位が奈良県と続くわけですが、では、少ないところはというと、別に少ないから駄目というわけではないんですが、一番少ないのが宮崎の十八件、そして沖縄の三十四件と続いているわけです。次は鹿児島となっていますが、これって別に文化の差ではなくて、やはり文化財を利用しなくても観光客が来てうまく経済効果があるところもあります。でも、この差は大きいと思うんですよね。  そこで、今回、指定文化財の少ない地域に対しては、この機会に未指定の文化財の掘り起こしをどんどん進めてくださいというのは言えると思うんですが、このようにたくさんある東京とか京都、奈良は、これ以上できないよという声もあるんじゃないか。また、未指定を含めた文化財の調査、地域計画の作成をやれと言われても、事務の負担がとても多くて間に合わないよという声もあるんじゃないかと。この困難な声、上がってくる、また上げられていると思うんですが、それに対して文化庁としてはどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  13. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 委員御指摘のように、東京には東京国立博物館を中心に美術工芸品を中心とした文化財が集積しておりますし、京都には、大変長く続いた古都ということもございまして、建造物を中心といたしまして多くの文化財があると。  今回は、その地域計画を策定することができるということでございますけれども、文化財を把握するための調査に関する事項について記載する必要があるということのために、市町村は未指定も含めた地域内の文化財の総合的な調査、把握を行うことになりますけれども、これによりまして地域の文化財の掘り起こしが進むということもございます。しかしながら、これは必ずしも計画の作成時に文化財の網羅的な把握を求める趣旨ではございませんで、今後の計画も含めまして、保存、活用に係るどのような取組を行っていくかについて記載を求めるものでございます。  文化庁といたしましては、このような点を含めまして、今後、地域計画を策定する際の留意事項等を示した国の指針を示したいと考えております。多くの文化財が集積する地域への配慮など、地域の実情を踏まえた対応が可能となるよう留意するとともに、提出書類の厳選、簡素化など、事務負担が事務体制に比して過大とならないよう意を尽くしたいと考えております。
  14. 上野通子

    ○上野通子君 くれぐれも事務処理に追われて大変なことになるというようなことにならないようにお願いしたいと思うんですが、文化財行政に詳しい自治体の幹部からは、既存の指定文化財の保存と活用の方策づくりだけでも物すごい作業となる、その上に未指定のものへの対応までは作業が追い付かないんじゃないかとの不安とか、文化財が集積する自治体への別の対応策を考えてほしいなという声も上がっているというのを聞いております。是非とも、今後、しっかりとそこのところは検討して、掘り起こしとともに、今たくさんあるところに対しての何らかの支援もしていただきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、二千四百八十件、この数字は何だと思いますか。国宝、重要文化財のうち、建造物の件数です。文化財建造物がたくさんありまして、この公開により多くの人が文化財の魅力に触れられるようにすることは大変重要です。まずは来ていただきたい。でも、観光客、また来訪者が集まるからといって、安全確保しないというわけにはいきません。そのためには、文化財建造物の耐震化もこれから必要ではないでしょうか。  もちろん、全くないということではなく、文化庁としてもこれを進めているわけだと思いますが、ちなみに、京都には重要文化財の建造物が全国最多六百六十三棟、二百二十九件。このうち、国宝七十二棟、五十一件あるようです。そのうち、耐震診断を行ったのは七十六棟、工事実施済み若しくは実施中はこの中の一割にも満たないようで、大変厳しい状況が続いているようです。京都でもそうなんですね。  記憶に新しいさきの熊本地震では、これは文化財とは関係なく、熊本県内の寺社およそ千二百が被害を受けたということでもございます。もちろん熊本城もやぐらが崩れたり石垣が崩れたりもしました。  このようなこと、いつどこで同じ被害が発生するとも限りません。現在、全国の建造物によっては、もちろん老朽化も進んでいまして、老朽化対策も行われていると思いますが、あわせて、文化財となっている建造物の修理、修復と併せ耐震補強工事、どう進めているのか、どう進めていくのか、そのために予算確保はどうしていくのかを参考人にお伺いします。
  15. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) お答え申し上げます。  文化財建造物につきまして、地震災害の際に来訪者等の安全を確保するためには、日頃より文化財所有者等が適切に当該文化財の状況を把握しておくことが重要でございます。  このため、文化庁では、重要文化財建造物の耐震診断指針を策定するとともに、所有者等が行います耐震診断への支援を行っております。耐震診断の結果、補強等を要すると判断された重要文化財につきましては、文化庁の文化財調査官が専門的な見地から補強方法について指導、助言を行うとともに、補強等に係ります経費につきまして必要な国庫補助を行っております。  文化庁といたしましては、今後とも所有者等への適切な支援を行うための必要な予算の確保に努めたいと考えております。
  16. 上野通子

    ○上野通子君 国として、今年度、保存活用計画に基づく事業として特別交付税で優遇する取組を始めたと伺っております。文化財保護に関わる地域の自治体の職員からは、そもそも交付税は文化財事業への直接補助であるのか、他事業の財源に回される可能性もあるのではないかと不安の声も出ているとお伺いしますが、この国庫補助事業、今年度からの補助予算として出ています。保存、活用における地方財政措置についての御所見をもう一度文化庁にお伺いしたいと思います。
  17. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) お尋ねの交付税の関係でございますが、平成三十年度、御指摘のように、個別の文化財の保存活用計画に基づきますソフト事業に対します特別交付税措置、また、国庫補助を受けて行う保存修理や便益施設整備などのハード事業に対する地方債の適用の拡充が図られることとされております。  委員御指摘のように、この交付税措置の取扱いにつきましては、地方公共団体の方でこれしっかり取り組んでいかないと、そちらの方に回っていかないということもございます。地方公共団体に対しまして今回の地方財政措置を適切に活用していくよう周知を行うなど、国としてもその促進を図ってまいりたいと考えております。
  18. 上野通子

    ○上野通子君 ありがとうございます。  是非ともしっかりと地方にも言っていただいて、ほかの方に回してしまったりして活用と保護のバランスが崩れないように御指導よろしくお願いいたします。  次に、日本遺産についてお伺いします。  現在、世界的に文化遺産のブームであると言われていて、どの国でも観光客が世界遺産に集まる状況が現れています。  今年度、一応日本として、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産が、年間一つしか候補に挙がらないので、候補とされ、六月下旬から七月に開催される予定のユネスコ世界遺産委員会にて審議される予定と伺っております。  ところが、先ほども言ったように、一年間に一か所だけしか日本でも選んであげられない。まさにほかはウエーティング状態。でも、やはり地方をしっかりと元気付けたい、文化財をどんどんと掘り起こしてもいきたい。そのためにも、これから地域活性化の目玉となっていくのがこの日本遺産への登録かもしれません。  文化庁は、文化財の地域一体的な保存、活用を進めるための日本遺産の認定を現在も進めているところでございますが、今後更に日本遺産の知名度を高めるとともに、日本遺産を観光資源として磨き上げてめり張りを付ける支援を行っていくべきと考えますが、副大臣にお伺いします。
  19. 丹羽秀樹

    ○副大臣(丹羽秀樹君) 日本遺産は、地域の魅力ある有形、無形の文化財群を地域が主体となって、また総合的に整備、活用し、国内外に戦略的に発信することによって、その地域の活性化や観光振興を図ることを目的といたしております。  文部科学省におきまして、この日本遺産の知名度を高めるために、マスコミ等のメディアと連携した新規日本遺産に認定された地域に関わる認定交付式の開催や日本遺産ポータルサイトによる日本遺産認定地域の魅力の国内外への発信、さらには、国内外で知名度があり発信力がある著名人を日本遺産大使に任命するなどの取組を行っております。  めり張りを付けた支援を行うために、認定地域が抱えている個別の課題等に対応した専門家を派遣して指導、助言を行うとともに、平成二十九年度に外部有識者から成る日本遺産フォローアップ委員会を立ち上げて、PDCAサイクルによる事業の改善を促してまいります。  今後とも、この日本遺産を通じた地域の活性化、観光振興や促進など、国内外への戦略的な発信につきまして、関係省庁と連携しつつ、積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  20. 上野通子

    ○上野通子君 ありがとうございました。  現在、日本遺産登録件数、今年度も合わせて六十七件とお聞きしております。そして、目標、二〇二〇年までに百件程度を認定するということですが、順調に進めていただきたいと思います。  副大臣の御答弁にもありましたが、期待するのは日本遺産プロモーション事業を拡充するということですね。やっぱり専門家に見てもらう、専門家の御指導、御指示をいただくということは、地域にとっても重要だし、有り難いことだと思います。是非とも進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。  次に、文化GDPについてお伺いします。  文化GDPの定義や算出方法、呼称については、各国で異なっております。しかしながら、おおむね各国とも総GDPの約三から四%を占めている。一方、我が国はというと、我が国の文化GDP推計は、総GDPの約一・八%、お金にすると約八・八兆円となっているということです。他国に比べ、まだまだ文化GDPが低い日本でございます。  しかしながら、平成二十八年度閣議決定された日本再興戦略二〇一六では、文化財活用・理解推進戦略プログラム二〇二〇を策定して、二〇二五年までに文化GDPを十八兆円、GDP比三%程度に拡充を目指すということを打ち出していますが、あと二年でございます。  文化GDPの拡大に向けて今どのように取り組んでいるのか、大臣にお伺いします。
  21. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 文化芸術資源を一層活用いたしまして、観光地の魅力とか産業の付加価値の創出等につなげることによりまして、文化芸術産業の経済規模、文化GDPの拡大に貢献するような経済波及効果を生み出していくことが重要であると考えております。  委員から今お話がありましたように、我が国では、出版、放送、デザイン・サービス、映画、ゲーム、その他ということで、そういう算定の方式をしておりますし、また、算定そのものについても、更に各国の例を分析しながら、並行して調査研究を進めていこうということになっているわけでございますが、今お話がありましたように、この対総GDP比で、二〇一五年ですが、八・八兆円、一・八%、こういうことでございますので、欧米並みの三%程度、この比率でいくと十八兆円ということですが、拡大することを、これは二〇二五年に目標を掲げて拡大することを目指すと、こういうふうになって各般の取組を進めているところでございます。  引き続き、関係府省庁との連携を強化しながら、今年の三月に文化芸術推進基本計画というのを閣議決定をしておりますが、これや、さらに内閣官房それから文化庁により策定されました文化と経済の好循環、これを実現する省庁横断の政策パッケージである文化経済戦略、こういうものに盛り込まれました各施策を着実に推進していくことによりましてこの文化GDPの拡大を目指したいと考えております。
  22. 上野通子

    ○上野通子君 大変失礼しました。訂正します。二〇二五年まででしたね。ありがとうございます。二〇二五年までに文化GDPを十八兆円、あと七年ございます。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  二年後の東京オリンピック・パラリンピックですが、御存じのように、オリンピックはスポーツの祭典ばかりじゃなくて、その開催する地域、また開催する国の教育、文化の祭典でもあります。このチャンスを最大限に活用して、日本の文化を世界にアピールするということができるわけでございます。  そこで、文化財を含めた日本の文化の発信強化につなげていくために、今回の文化財保護法改正案も一つの契機となると考えておりますが、文化プログラムの推進を一層盛り上げていくために、これからの大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  23. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) この二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会、これは、オリンピック憲章にもございますように、スポーツの祭典であるとともに文化の祭典であると、こういうことでございますので、この機会を捉まえて、魅力ある日本文化を世界に発信をするとともに、地域の文化資源、これを掘り起こして、地方創生や観光振興、この実現につなげる絶好の機会であると、こういうふうに考えております。  このため、文科省では、国際文化芸術発信拠点形成事業、それから戦略的芸術文化創造推進事業等によります全国各地の様々な文化芸術活動への支援、国立文化施設における事業等、こういうのを通じまして文化プログラムを推進していこうと、こういうふうに考えております。  また、今回の文化財保護法改正によりまして、地方公共団体による文化財の保存、活用のための計画的な取組の推進等を図ることとしておりますが、これによりまして文化財の公開機会の拡大、掘り起こし等が進むことになりまして、地域の様々な文化財を生かしたこの文化プログラムの実施の促進、こういうものにも寄与していくものと考えております。  今後とも、今回の文化財保護法改正も一つの契機としながら、関係機関と連携しつつ、この文化プログラム、積極的に推進してまいりたいと思っております。
  24. 上野通子

    ○上野通子君 大臣、ありがとうございます。  今回の法改正が地方にとっても、国にとっても、またオリパラの文化プログラムにとってもいい契機になって更に文化活動が進みますことを期待して、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
  25. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。  今日の審議は文化財保護法等の改正案ということでございます。  この文化財保護法というものは、第一条に法律の目的を規定しております。「この法律は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。」と、これがこの文化財保護法の目的であります。  文化財の保護とそして活用ということが掲げられているわけでありますけれども、様々な技術の進歩ですとか、それから近年の外国人観光客の増加等々、いろいろと時代の変化がある中で、今後の文化財の保存と活用の在り方、これをどうすべきかというところからのこの法改正であるというふうに理解をしております。  これまでは、保存ということについてしっかりとやっていくとともに、この活用というところでありますけれども、必ずしも十分ではなかったといいますか、まだまだいい意味での活用の方法があるのではないかという観点での今回の改正であるというふうに理解をしております。稼ぐ文化財という言葉もございますけれども、これは非常に大事な点であるなというふうに思う反面、やはりこの保存というところ、そして確実な承継をしていくということがこの法律の先ほど申し上げた目的の最初にも書かれているとおりでありまして、このバランスをどのように取っていくのか、この点も含めまして、改めて本改正の内容や趣旨、そして背景について大臣にまず教えていただきたいと思います。
  26. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 我が国には、地域の風土や生活、他国の文化との交流等を通じて育まれまして、守り伝えられてきた多様な文化財が数多く存在をしているわけでございます。こうしたものは、我が国の文化的な発展や地域のきずなの維持などにおいてなくてはならない国民の宝でございますが、近年、過疎化、少子高齢化、こういったことを背景に、文化財が滅失、散逸する、また担い手が不足すると、こういうことに対する対応が喫緊の課題となってきております。  その一方で、やはり文化財を町づくりの核に据えてその活用を図ったり、いまだ価値付けのされていない地域の文化財、これを掘り起こしたりすることによりまして地域活性化を進めたいと、こういう地域のニーズも多く見られるところでございまして、こうした背景の中で、今回の改正は、地域における文化財の計画的な保存、活用の促進、地方における文化財保護行政の推進力の強化、これを図りまして、未指定を含めた地域の様々な文化財を町づくり等に生かしながら、次世代に確実に継承する、これができますように地域社会総掛かりでの取組を広く推進することを目指すものでございます。  今、佐々木委員からも御紹介いただきましたように、この文化財保護法第一条の目的で、保存と活用、文化財保護の重要な柱と、こういうふうに捉えているわけでございます。この点については今回の改正で何ら変更を加えるものではなく、文部科学省としては、引き続き、この文化財の保存、活用の両面から、そのバランスを適切に取りつつ、取組を進めてまいりたいと考えております。
  27. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 人口減少等々、この保存の担い手も少なくなってきている中で、しっかりと地域ぐるみで次世代に大切な文化財を継承していくということであります。  そして、それとともに、この活用に力を入れるということは、何も経済的に活用するということだけではなくて、より多くの方に、その地域の方も含め、文化財を、また我が町の歴史と文化を知っていただくということでありますので、地域での再発見ですとか、そういった人と人とのきずなのつながりがまた更に再生していくということにも私はつながるというふうに思っております。  他方で、この稼ぐ文化財という観点で申し上げますと、確かに世界を見ますと、世界で最も来館者が多いと言われるのはルーブル美術館でございますけれども、年間の来館者数は約八百六十万人。大英博物館が六百八十万人、メトロポリタンミュージアム等々、この世界の主要都市では、こういった美術とか文化とか、そういったものが観光の大きな拠点というふうにもなっているわけであります。この日本の文化芸術というものは、こういった西洋のものに負けずすばらしいということでありまして、これをもっと多くの方に知っていただく、海外に発信していくということも非常に重要だと思っております。  こういった点からも、昨年の未来投資戦略二〇一七では、日本遺産を始め文化財を中核とする観光拠点、これを二百拠点程度整備すると、このように掲げて取り組んでいただいているわけでありますけれども、この進捗、取組状況について教えてください。
  28. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) お答え申し上げます。  昨年六月に閣議決定されました未来投資戦略二〇一七におきましては、日本遺産を始め文化財を中核とする観光拠点を二百拠点程度整備することとされております。  これは、具体的には、文化庁が予算事業で実施しております日本遺産の認定及び歴史文化基本構想の策定、この二つの事業がございますが、二〇二〇年までにそれぞれ百件程度進めることを目指すものでございます。現在、日本遺産につきましては国におきまして六十七件認定をし、歴史文化基本構想につきましては市町村において八十五件策定されているところでございます。  このように計画は着実に進展しておりまして、文部科学省といたしましては、未来投資戦略を踏まえて、引き続き文化財を中核とした観光拠点の整備を進め、地域の活性化に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。
  29. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 歴史文化基本構想については八十五件ということで、目標まであと少しというところかなと思います。  ただ、この歴史文化基本構想、全ての自治体でやっていただければ一番いいわけですが、策定していない市町村の多くが、例えば現状業務で精いっぱいであるとか、人材不足、予算不足等々、こういったことがあって策定ができていないようであります。また、策定したものの、その先に具体的な施策が特に打ち出せていないといった課題も指摘されているようであります。  こういう構想をせっかく作ったわけですので、どのようにこの具体的なものとして行っていくのかと、こういった観点も含めて、地方の文化財行政への支援の拡充というものは必要かなと思っております。今回の法改正もそういったことの後押しになるというふうに理解しておりますけれども、力を入れていただくようによろしくお願いいたします。  次の質問でありますけれども、新しい技術、こういったことを活用して文化財の公開を行っていくということ、こうした動きがございます。例えばVRといった映像技術、こういうものは、観光客に立体的に楽しんでもらうとか、エンターテインメント性という点でも効果はあると思いますけれども、作品の良さを分かりやすく伝えて理解を深めていただく、こういう観点でも非常に有益ではないかと思っております。  それから、非常に精巧な文化財、美術品のレプリカを作って、それを展示、公開をするという動きもございます。私が実際に話を聞きましたのは、日本のびょうぶ絵について、それを全く今の状態と同じ色合いとかそういったものを作って、それを公開するという取組でございます。  日本の美術品というのは、和紙に描かれてあって、非常に繊細で、美術館等に展示をして公開するのも、それだけでも傷んでしまうというようなおそれもあって、非常に公開できるのも限定的で、眠っている、そういった美術品が多いと聞いております。  そういう観点からも、レプリカでありますので、それは全く公開しても問題ない、何なら触っていただいてもいいですし、本当に近くで本物と同じような感動を感じていただけるということであります。また、例えば目に障害のある方が、見ていただけないけれども触ることで美術品、文化財を感じていただくということもできるわけであります。  こういったいろんな可能性を持った新しい技術を活用した文化財の公開ということ、これを是非進めていくべきだと思っておりますが、この点についての取組について教えてください。
  30. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。  委員御指摘のとおり、文化財の中には、既に失われている部分があったり、材質が脆弱なため公開、活用になじまないものがあったりすることから、その文化財本来の姿を手で触ってみる、そういった体感して理解を深めるため、VRや高精細レプリカ等の最新技術を活用して整備を進めることは有効な手法だと考えております。  文化庁におきましては、地方公共団体等におきますVR等の技術を活用した整備の参考に資するよう、平成二十九年度に文化財の観光活用に向けたVR等の制作・運用ガイドラインを策定をし、周知を図っているところでございます。  また、世界遺産や日本遺産等を対象といたしまして、VR等の技術による情報発信等の取組を行う地域に対しても支援を行っているところでございます。  さらに、独立行政法人の国立文化財機構が本年開設予定でございます文化財活用センター、これはまだ仮称でございますが、そこにおきましては、企業等と連携をいたしまして、文化財のVRや高精細レプリカ等の公開などを行うこととしてございます。
  31. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 自治体での取組が進んでいくことを是非期待したいと思います。  次に、二問ほど、外国人の訪日された皆さんへの公開という点でお聞きしたいと思います。  まず、外国人観光客の声として、日本に来ていただくわけですけれども、夜の時間に文化芸術を楽しめる場所が少ないという声が多くあるそうであります。確かに、美術館ですとか博物館というのは、大体夕方の五時とか六時くらいで閉まるものというふうに私も認識しているんですけれども、海外では、国にももちろんよりますが、夜遅くまで美術館とか博物館が開いているとか、劇場で九時から公演が始まるとか、そういうところも多いそうであります。  夜遅くまで全てのそういった施設を開けるということになると、いろいろと同時に考えなきゃいけないこともあるんですが、そうはいっても、確かにこの五時、六時というと、例えば私たち日本人としても、仕事が終わった後にそういう文化芸術を楽しもうと思ってもなかなか見に行けないということにもなりますので、こういう美術館、博物館等の開館時間を今後少し延長していくということも非常に検討すべきではないかと思っております。  国立の施設もそうでありますし、また地方の自治体等々にも呼びかけていくべきではないかと思っていますが、この点の考えを聞かせてください。
  32. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 委員御指摘のように、海外の美術館、博物館でそういう長い開館時間を実施しているところがございます。  私どもといたしましては、そういうものも参考にいたしまして、外国人からの観光客だけではなくて、日本人の方でも仕事の合間にそういったことが鑑賞できる機会をできるだけ増やすという観点もございますし、そういう観点で美術館、博物館の利便性の向上を図っていくということが大切でございます。  現在、国立の美術館、博物館におきましては、例えば毎週金曜日、土曜日は二十時、午後の八時でございます。ゴールデンウイークや夏季には更に二十一時まで開館時間を延長するとともに、更なる魅力の向上も重要でございまして、どうしても夜間の時間帯というのは入れ込み数が少なくなるということがございますので、そういったところで更なる魅力の向上に向けまして、専門家や学芸員によるギャラリートークや施設を活用した野外シネマなどの取組も併せて行っております。  文化庁といたしましては、美術館、博物館の利便性の向上や魅力を高めるための取組を支援するとともに、地方の自治体の博物館、美術館等におきましても同様な趣旨で取組が進みますように、来館者のニーズに応えるような取組を文化庁が主催する会議等を通じまして地方公共団体に周知を図ってまいりたいと考えております。
  33. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 美術館や博物館が地域の皆さんにとってもより身近なものになればいいなと思います。ニーズを把握していただくというのは非常に大事かなと思います。  それからもう一点、外国人の皆さんに文化財を楽しんでいただくという観点で多言語化が重要であります。しかしながら、英語を始めとして、もちろんいろんな解説は付けていただいているんですけれども、これを実際にその母国語の方が読んだ場合に、よく意味の分からない翻訳になってしまっているというふうに指摘がございます。  直訳というだけではなくて、やはり本当に文化財、美術品の良さを伝えるための多言語化においても更なる工夫が必要かなと思っておりますが、その点はいかがでしょうか。
  34. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 委員御指摘のように、観光立国を標榜する我が国におきましては、外国人旅行者が文化財の魅力を十分に感じ、楽しめるような環境整備を進めることは喫緊の課題と考えております。  このため文化庁では、これまで文化財の解説や案内板、標識等の設置、公開のための展示設備等の便益施設の整備、ホームページやパンフレットの作成等の情報発信や普及啓発等の取組に対して補助を行っているほか、昨年九月には、文化財の国際発信力強化に向けた方策について有識者会議の提言の取りまとめ、多言語解説の質的改善に係る留意事項等をお示ししたところでございます。こういった中に、まさに委員御指摘のように、単に直訳ではなくて、日本にわざわざいらっしゃった観光客の方がしっかりと理解をしていただくというような工夫をできるように取り組んでおるところでございます。  また、新たに平成三十年度からは、観光庁と密接に連携をいたしまして、国際観光旅客税を活用した文化財多言語解説整備事業を開始をし、日本語の単純な翻訳ではなく、ネーティブの専門人材が書き起こしたコンテンツをVRやAR等の先進的かつ高次元な技術を活用して、文化財の多言語環境を整備していくこととしてございます。
  35. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 次に、文化財の保存という観点でお聞きしたいと思います。  この文化財、我が国には重要なものが千とかまた一万というような単位であるわけでございまして、同時に、修理が必要なものもたくさんございます。その修理を進めていくためには、担い手の問題ですとか、それから材料ですとか、そして費用など、こういった課題があるわけであります。  ところで、この費用の観点で、文化財の修理を行う場合に一般競争入札、これを今取っていると。そして、それは、趣旨としては費用を適正に抑えるという観点があるわけですけれども、他方で、ほかに二つとない非常に重要な文化財について修理をするということで、非常にその質を確保することも重要だというふうに思います。  この競争性と質の確保というバランスについて、しっかりと確保、バランスを取っていくことが重要だと思いますけれども、この文化財修理の入札等の手続について、考えをお聞きしたいと思います。
  36. 中岡司

    政府参考人(中岡司君) 文化庁におきましては、国指定等文化財の所有者等が行う保存修理事業等に対しまして国庫補助を行ってございます。補助事業遂行に当たりましては、補助金の適正かつ効率的な使用が求められていること、また、補助金という性質上その使用手続の透明性を確保するということが重要であることから、補助事業者が公共団体以外の者である場合には、地元行政の会計規則などの定めに準拠して工事契約手続を実施するよう指導しております。  一方で、委員御指摘のように、文化財の修理等につきましては独特の技術といいますものが必要でございます。そういった意味で、伝統技術の継承を図るという観点で、工事内容によりまして、国の選定保存技術者、保存団体に属する者など同種工事の経験のある技術者を使用することを入札の条件等とするよう指導するなど、文化財の保存修理工事の質の担保にも努めているところでございます。  引き続き、都道府県教育委員会を通じまして、国指定文化財の所有者に対しまして適切に補助事業が遂行されますよう指導してまいりたいと考えております。
  37. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 質の担保についても是非よろしくお願いいたします。  それから次に、文化財の防災、防犯という点で一問お伺いします。  国宝とか国の重要文化財も含むものに対する例えば落書きですとか毀損というような事例、残念ながら毎年相当数起こっているようであります。例えば、二〇一五年ですと五十七件、二〇一六年は三十件というような件数で起こっております。本当に、これをまた元に戻す、修理をするということは非常に大変なことでありますし、犯罪でありますけれども、こういった毀損ですとか、それから火事等、防災も含めて対策が必要だと思いますけれども、この点の取組はいかがでしょうか。
  38. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 文化財の防災・防犯対策についての御質問でございます。  自然災害や人為的な損壊から貴重な文化財を守るためには、災害等が発生する前の平常時からの防災・防犯対策が重要であると考えております。  文化庁におきましては、文化財建造物の耐震化、消火設備、監視カメラ等の設置や、美術工芸品や民俗文化財を安全に保管する収蔵庫の整備などに対しまして補助を行っております。  また、今回の法改正によりまして、文化財の巡視等を担います文化財保護指導委員を、現行の都道府県だけではなくて市町村にも置くことができることといたしまして、文化財の日常的な監視体制の充実を期することとしております。さらに、今回、文化財の損壊の防止等のため、重要文化財等の毀損等に対します罰金の額を三十万円以下から百万円以下に引き上げるなどの措置を講じることとしておりまして、これらの取組を総合的に実施することにより、かけがえのない文化財の保護の充実に努めてまいりたいと考えております。
  39. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 毎年一月二十六日というのは文化財防火デーということだそうです。私も今回勉強したんですけれども、やはりこの文化財を守っていくためには、今おっしゃっていただいたようないろいろな体制も重要でありますけれども、やはりその地域での皆さんの御協力、ふだんのいろいろな見回りですとか、そういったまさに地域ぐるみでの活動、お力をいただく必要があるかなと思います。  こういう文化財防火デーというようなこともまだ余り国民に知られていないかもしれませんので、そういったことの広報等も含めて、この意識が高まるように取組を進めていただければなと思います。  最後にちょっと一問お聞きしたいと思いますが、本改正に直接ではないんですけれども、先ほど申し上げた未来投資戦略二〇一七年では、古民家を観光まちづくりの核として再生、活用する取組、これも進めていただくわけであります。古民家は、文化財としての指定を受けているもの、受けていないもの、いろいろあると思いますけれども、古民家自体、やっぱり地域に根差した文化であり伝統であり、本当にいいものだなというふうに私も思っております。  観光という観点からは、最近は再生した古民家に泊まるということもできますし、それからフォトツーリズムとか、古民家でウエディングをしていただくとか、いろんな活用が行われておりますし、また地域の再生という観点でも、数年前に金沢に行ったんですけれども、そこは、学生のまち・金沢といって、地域の中心にある古民家を再生をして、学生の皆さんが中心地からちょっと郊外に大学が移転することに伴って行ってしまったと、その学生を呼び戻そうということで市内の中心にある古民家を再生したそうですが、そういう成功例もあって、この地域への愛着とか、そういう若い人たちの定着なんかにも役立っているというふうに聞いております。  この古民家を観光まちづくりの核として再生、活用する取組、この進捗状況について教えてください。
  40. 米村猛

    ○政府参考人(米村猛君) 地域に眠る古民家などの歴史的資源を観光まちづくりの核として面的に再生、活用する取組は、交流人口の拡大を通じました地域の活性化に大いにつながるものだと思っております。  このため、政府では、昨年の五月ですけれども、歴史的資源を活用した観光まちづくりタスクフォース、こういうところにおきまして、四つの課題、すなわち、人材、自治体との連携・情報発信、金融・公的支援、それから規制・制度改革でございますが、こうした四つの課題につきまして支援策を取りまとめまして、二〇二〇年までに全国二百地域での取組を目指すことといたしました。  この取組といたしまして、昨年の一月三十日より、地域での歴史的資源の活用に係る政府全体の相談窓口を設置しております。いろんな支援の仕方がございますので、今回設置をしたわけでありますけれども、現在、全国から百件を超える観光まちづくりに関する御相談を受け付けまして、具体的な事案に応じまして専門家の派遣などを行っているところでございます。  これらの御相談いただいた地域に加えまして、重要伝統的建造物群保存地区ですとかDMO法人が形成されております地域ですとか、また農山漁村地域、こうしたところでの古民家の活用の取組ともしっかり連携をしながら、目標に向けて一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。
  41. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 そういった古民家の再生、活用のための人材の育成ということもお願いをいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  42. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 おはようございます。国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。  大臣、おとといの一般質疑で、森友学園問題に関する資料でまだ出てきていない相談メモ、近畿財務局から本省に相談した内容が書かれていると思われるメモがあるはずだと申し上げました。御確認いただけましたか。
  43. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) そのときも申し上げたように、この森友学園については、我々どもの所管ではございますのでなかなかお答えはしにくいのではないかというふうに答弁を差し上げたというふうに思っております。
  44. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 政府の一員として、是非一度御確認ください。  安倍総理は、森友学園に対する国有地売却問題について、昨年二月、私や妻が関係したということになれば首相も国会議員も辞めると明言されました。しかし、今週月曜日の予算委員会で、突然、金品の授受がないから首相も国会議員も辞める必要はないとの認識を示し、関与の範囲を金品の授受に絞り始めました。授受があれば、それは逮捕です。収賄罪です。辞めるのではなくて辞めさせられるんです。  こういった森友、加計学園問題について、アメリカのロイター通信やイギリスのガーディアン紙など海外メディアは、クロニズムスキャンダル、えこひいきスキャンダルと報じています。  えこひいきが行われたのではないかという疑惑を持たれること自体が公正であるべき行政の信頼を根本から毀損する事態であり、その疑惑の中心にいる行政府の長として、安倍総理は一連の問題に対する説明責任、また政治的、道義的責任を果たすべきだと思いますが、大臣の御所見をお聞かせください。
  45. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 私も昨日、閣僚としてクエスチョンタイムですか、出席をしておりまして、今委員がお尋ねになった件に関しては、たしか枝野先生と総理のやり取りがあったというふうに記憶をしておりまして、総理からは枝野先生の御質問に対して総理の所見をお答えになったと、こういうふうに承知をしております。
  46. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 お答えになったという御認識でいらっしゃると。文科大臣におかれましては、ありとあらゆる説明責任、政治的、道義的責任についても御説明されたという認識でいらっしゃるということでしょうか。
  47. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 御質問に対して、ああいう討論の場でございますから時間も限られていたと思いますが、これは安倍総理のみならず、我々政府におる者は常に説明責任を果たしていかなければならないと、こういうふうに思っております。
  48. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 是非、説明責任、果たしていただきたいというふうに思います。  法案について伺います。  今回の法改正の趣旨は、保護中心から保存と活用の両立への大きな転換であります。参考文献や衆議院での審議を拝見しておりますと、法隆寺火災による壁画焼損を契機として、もう二度とこの国の宝を失うまいとこの法案が議員立法として生まれ、今日の文化財行政の基本になってきた、その意義を鑑みた意見が数多く見られました。  本日も上野委員や佐々木委員の指摘にもありましたけれども、文化財はやはり一旦壊れたら元には戻らないと、適切な管理を怠って価値が失われたのであれば本末転倒だというような指摘もありました。  保存と活用のバランス、観光と伝統、伝説又は神事などとのバランス、繊細な懸案事項が数多くございます。識者からは、まずは文化財保護があり、研究や修復を経て活用できる、保存に優先される公開はあり得ない、文化財を消耗させるようなことがあってはならないといった意見が寄せられていますし、以前、山本幸三前地方創生大臣は、一番のがんは学芸員と、文化財を守り伝えてきた学芸員の職務を軽んじ、文化財を観光のツール、お金もうけの道具にせよとばかりの物言いをされましたが、そういった感覚がこの改正案の根底に流れていては困ると私も思うわけでございます。  とはいえ、伝統、文化への関心は年々失われているというのは現実でありますし、少子高齢化による文化財を残す資金又は担い手が不足するなど、保護をめぐる危機的状況が法改正の背景にあることや、又は、地域の歴史や文化の特徴を踏まえ、幅広く文化財を把握して多面的な魅力を可視化したいという文化庁の心意気も理解できるので、今回の法改正、保存と活用はどちらが欠けても成り立たず、保存を前提にした活用が進むように取り組んだという内容であるそうなので、どういった活用をイメージしているのか、本当に活用という領域に入っていけるのか、文科大臣に伺わせていただこうと思っております。  まずもって、活用のイメージの大部分を占めているのはやはり観光、地域振興の側面でありますので、であれば、まず文化財の、国が指定しているとか県指定、市指定など、今どれくらいあって、現状それらが観光にどの程度寄与しているのかを知りたくて、文化庁に事前に伺いました。  配付資料を御覧ください。一枚目が文化財の体系図になっております。二枚目が平成二十九年八月一日時点のそれぞれの数であります。私、国宝というのはそんなたくさんないだろうと思っていたんですが、実は、これによりますと千百一件ありますし、重要文化財も一万三千百二十八件あります。県指定や市町村指定物に至っては把握できないぐらい多いとのことでした。今回の法改正では、この二の図でいくと一番下、緑色の部分の登録と書かれたところに、市町村からこの文化財を是非というふうに提案できるようになります。  登録するとどんなメリットがあるのかを知るために、政府参考人に伺います。登録が調うと、例えば補助があるとか直接の集客要因になるとか、あるのでしょうか。この登録文化財が観光資源として既に活用されている例などがあれば教えていただけますでしょうか。
  49. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) お答え申し上げます。  今回の法改正によりまして市町村からの登録文化財の登録提案ができることになりますが、各市町村におきましては、この仕組みを積極的に使いまして、その文化財としての価値の継承を図るとともに、地域の宝たる登録文化財を観光資源として地域の活性化に活用することも考えられます。文化財登録されることによりまして、文化財としての価値が再認識されまして、来訪者にとって特別な感覚を味わうことができることによりまして、当該地域の魅力向上にもつながることとなると考えております。  こうした取組は全国各地で見られるところでございまして、例えばでございますが、平成二十一年に文化財登録をされました旧大野銀行の本館、これは愛知県でございますが、そこにおきましては、大正時代の銀行の建物を生かして、喫茶やギャラリー、貸しホール等としての活用がされておるところでございます。また、平成十五年に文化財登録されました寺西家阿倍野長屋というものがございますけれども、これは大阪府でございますが、長屋を改修をいたしまして、軒ごとにレストランやギャラリーなどの多様な店舗が入居し、多くの来訪者が訪れるスポットとして活用されております。  この登録制度でございますけれども、非常に緩やかな保存、活用というための制度でございまして、結局、登録につきましては、事前に関係市町村の意見聴取をして、登録の通知を所有者にしていくということになるわけでございますけれども、例えば、その登録後には現状変更の届出をしてもらったり、現状変更に関する指導、助言、勧告という形で文化庁としては関わってくるというわけでございます。  登録有形文化財建造物になりますとどういうようなメリットがあるのかということでございますけれども、保存、活用に必要な修理等の設計監理費の二分の一を国が補助しているということがございますし、地方公共団体などが行う地域活性化事業に係る費用の二分の一を国が補助をしているということがございます。また、相続税につきましては、相続財産としての評価額を十分の三を控除をしているというようなこと、また、固定資産税につきましては、家屋の固定資産税を二分の一に減税をしているというような措置がされているところでございます。
  50. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 今回ポイントになってくるのは、未指定文化財、つまり、まだ発見されていない又はそこにあるんだけれども様々な事情でお蔵入りしているというようなお宝をいかに探してくるか、そして、それがもし出てきたら、その文化財について調査して、それらの歴史というか物語を把握してどう観光資源にまで昇華させていくか。  郷土資料も整理されていないような地域も現実として多くございます。大臣、この点についてのアイデア、また人的、金銭的支援等はあるのでしょうか、教えてください。
  51. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今回制度化をいたします地域計画、この作成に当たって、市町村において未指定のものを含めた域内の文化財の総合的な調査、把握を行っていただくこととしておりまして、地域の知られざる文化財の掘り起こしが進むことが期待をされるわけでございます。  この地域計画に先行して、従来より文化庁が予算事業として取り組んでまいりました歴史文化基本構想、ここにおきましても未指定文化財の把握を行ってきたところでありますが、この中で、例えば、全住民を対象としてアンケート調査を行ったりとか、ワークショップ等をやって聞き取り調査をやったり、また地方公共団体の専門職員とか文化財の専門家によります実地調査、こういうこと等を通じて把握を行っている例が歴史文化基本構想にはあるということでございまして、今後、地域計画を作成するに当たって、こうした先行事例における方策が参考になるものと考えますけれども、国が今後策定をすることになっております指針等の中で、未指定文化財の調査、把握の在り方についても分かりやすく示してまいりたいと考えております。
  52. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 アンケートとか聞き取り調査等を行われているとのことだったんですが、私も以前、テレビ東京ネットワークのテレビ局に勤務しておりまして、「開運!なんでも鑑定団」という番組があるんですけれども、その中にコーナーで「出張!なんでも鑑定団」というものがあります。日本全国に出張してお宝を発掘してくるというコーナーなんですけれども、そのオーディションというか事前審査会に、その地域の方たちが我が家のお宝を持って、本当に大勢の方たちが持ち寄ってくださいます。そういう仕組み次第でというか、お宝というのはどんどんどんどん発掘できる、そういう仕組みを構築していただきたいなと、あぶり出すことできるんじゃないかなというふうに思います。  さて、文化財が単体でそこにあっても、なかなかそれのみで観光資源や地域振興の発火点になることは難しいのではないかなというふうに思います。指定文化財だけを守ってきた文化行政の限界はそこにあったとも言えます。  文化財を生かすには、景観や周辺環境までも含めてお宝と捉えて保護したり、点在する文化財をまとめて、お宝が持つ背景や強みを十分理解した上で、物語性を加味して地域振興につなげたりする必要があります。  例えばですけれども、今、明治百五十年記念、ほにゃららゆかりの逸品ツアーみたいなものの中の一パーツとして幾つかの文化財を組み入れていけないかななんというふうに考えるとき、広域的な視野でマーケットのニーズに合わせてそれを企画できる総合プロデューサーのような方の存在というのは不可欠だというふうに思います。実際、観光キャンペーンは市町村単位実施だと大変負担が大きいですし、市町村単位で分断してしまうのはもったいないというような考え方があります。これ、今私が手にしているのは、毎年春と秋に二回分けて行われている京都非公開文化財特別公開というものの新聞の広告なんですけれども、この催しは京都市のみならず、近隣の八幡市と協力して文化財を公開し、好評を博しています。  そもそも、文化財自体が県をまたいでいる。例えば、重要有形民俗文化財の生駒十三峠の十三塚は奈良県と大阪府をまたいでおりますし、重要無形民俗文化財の室根神社のマツリバ行事は岩手、宮城の両県に、同じく豊前神楽は福岡、大分の両県にまたがっているので、そもそも単体としてキャンペーンも行えません。  本改正案では、市町村は、国の指針に基づいて地域にある文化財の保護、活用策をまとめた地域計画を作って国に申請して、都道府県は総合的な施策の大綱を作ることができるので、市町村はそれを考慮するようにというような立て付けになっています。あくまで主体は市町村だと。法文の第百八十三条の九に定められている協議会の構成員にも、まず市町村があって、次に都道府県となっています。  もちろん、そういった先ほどの総合プロデューサー的な推進団体も協議会の中に入っていいことになっていますが、なかなかこういった自治体や教育委員会に総合プロデューサーをやるようにといっても難易度が高いので、どうしても民間の知恵を入れていくことになると思うんですが、大臣に伺います。その団体を指定する際の要件定義やガイドラインのようなもの、この法文上に何か定められているんでしょうか。
  53. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 文化財の保存、活用に当たりまして、今お話がありましたような、地域で活動する民間団体と積極的に連携を図る、これ極めて重要なことだと思いまして、これまでも民間団体が、例えば地域で空き家となっている未指定の古民家群を発掘して、宿泊施設や店舗などとして再生、活用したり、情報発信や人材育成のための講座、研修を開催したりする事例、こういうのが見られております。  こうした取組を今回の法改正では更に後押しするために、文化財や地域住民に最も身近な行政機関であるまず市町村が民間団体を文化財保存活用支援団体として指定することができる仕組みを設けることとしておりまして、文化財の保存、活用の担い手として制度上位置付けることで、所有者と行政と民間団体等の関係者が連携した取組が円滑化されるということを定めておるところでございます。  市町村がこの支援団体を指定するに当たっての基準でございますが、団体が担う機能や行政との役割分担など、これなかなか地域の実情で様々であると、こういうふうに考えますので、国が余り一律に定めるということは適当でないと考えますが、今後は国が定める指針等の中で指定を行う際の留意事項などについてお示しをしたいと考えておるところでございます。
  54. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 その留意事項を定めて、どこが検討して指定をするという仕組みになるんでしょうか。参考人でも構いません。
  55. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 私の方で御答弁させていただきます。  この指定を行う主体でございますけれども、これは市町村でございます。先ほど法令に根拠があるのかということでございますけれども、文化財保護法の支援団体の指定という条文が百九十二条の二というところでございまして、市町村の教育委員会は、法人その他これに準ずるものとして文部科学省令で定める団体であって、次の条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを指定することができると書いております。  その中で様々、保存、活用を行うこととか、業務を法文上は書いておりますが、先ほど委員御指摘のように、やはりやる気がないとなかなかこういうものは進みませんので、そういったところはまさに大臣が御答弁ありましたように、指針の中で留意事項としてきっちりと示していくということが重要だというふうに考えております。
  56. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 市町村が指定をするということだったんですが、指定をするに当たっては、やはり何かこちらにも知見がないとというか、この人ならできる、この実績ならできるというような判断材料が市町村に今あるのかなというような疑問があるんですが、それについてはいかがですか。
  57. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 文化庁におきましては、様々なこういった地域活性化の取組の中で、そういったNPO法人だとか様々な活動につきましては事例を集めております。こういったことをしっかりと市町村にまで伝わるように、我々としては普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
  58. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 おっしゃった百九十二条の二の次、三には、支援団体の業務というのがしっかり定められております。これらを遂行して、あらゆる人に文化財と歴史の理解を深めてもらえるような施策を立案できる団体、文化財本来の姿は、地域の資産として使いながら残すと言いますから、文化財の活用を通じて理解が深まり、保存への機運も高まるような仕組みをつくる志向を持った団体に預けて、大事に文化財を扱っていただきたいなというふうに思います。  さて、活用の時代であればこそ、保存技術というのはますます重要になります。地域での技術者育成策と職人の修復実績の把握の必要について伺います。  最近耳にするのは、修復を申し込んでも、職人さんの仕事が、腕のいい職人さんは仕事が立て込んでいて数年待ちであるとか、この人が駄目なら別の人を探したいのに、なかなか探す手段というのがないといったようなお話です。  大臣にお伺いします。我が国の大事な職人さんたち、その実績などを含めてリスト化などしているのでしょうか。さらには、日本にはない技術の場合、世界の職人さんを探すルートなんというものはあるんでしょうか。
  59. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 文化庁では、文化財の保存のために欠くことのできない伝統的な技術、技能、これを文化財保護法に基づきまして選定保存技術として選定をしまして、その保持者や保存団体が行う伝承者の養成、技術の向上等に要する経費を補助しておりますが、これら保持者、保存団体については従来より公表をしてきているところでございます。  文化財の修理に携わる全国各地の技術者を対象に、文化財建造物や美術工芸品などの種別に応じた講習会を実施しましてその資質向上に努めておるところでございますが、これら受講者の状況についても、地方公共団体の求めに応じて情報共有を図っているところでございます。  また、今般の文化財保護法改正案によりまして、市町村の地域計画や個々の文化財ごとの保存活用計画の作成、これが制度化されますが、こうした仕組みを通じて、地域においても文化財の保存修理に係る人材確保が更に進むよう、文化庁としても必要な支援に努めてまいりたいと思っております。
  60. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 活用を進ませれば、もちろんトラブル等もあるかと思います。トラブルがあったときにすぐに修復というのを手当てできるような、そういった仕組みですとか、やはりそういった技術者、職人さんというのは時間が掛かりますので、先手先手で手を打っていただければというふうに思います。  次に、文化財活用における映像についての考え方について伺います。  文化財をデジタルデータ化して残す、そうしておけば、災害で破損などが起こったときもデータを参照することにより復元を容易にできる、またその修復技術も、職人の手先とか視線とか力の入れ具合などを8Kで残すなど、映像が文化財の継承に有益であるのはもちろんなんですが、今日私がお伺いしたいのは、今既にある文化遺産オンラインなど既存の映像、画像データアーカイブのマネタイズというのも活用の一つの形ではないかという点であります。  委員の皆さんもこれ御覧になったことあるか分からないんですけれども、非常にこの文化遺産オンラインというもの、リッチコンテンツです。こういったものを、ディアゴスティーニじゃないですけれども、分冊百科とかパートワーク形式の雑誌にして例えば販売したり、それこそ、外国人観光客向けのお土産の開発を航空各社と共同開発して機内で売るとか、そういった試みの検討というのは過去されたことあるんでしょうか。
  61. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 文化遺産のオンラインにつきまして、大変評価いただきましてありがとうございます。  私どもといたしまして、文化遺産オンラインにつきましては、その画像の質につきましてはより高精細なものにする必要がございます。いろんな映像につきましては公開されているものがございますけれども、サムネイルレベルのものであって、引き伸ばすと非常に粗くなるというようなものもございますし、また、その映像につきましてオンラインに載せていただくことについては了解は得ても、それを二次利用することの了解までは得られていないものも多うございます。  そういったことも含めまして、やはり先ほど委員の御指摘はそういったものをより活用をしていくという観点でございましたので、私どもといたしましては、そういう方向に向けて取り組んでいきたというふうに考えています。
  62. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 多分、データの容量の大きさじゃないんですよね。  例えば、高精細ではないというんだったら、ボールペンにポイントで付けるのであればそんな高精細要らなかったり、先ほどのレギュレーションの問題もおっしゃいましたけれども、ネットにアップするときのレギュレーションの取り方で二次利用、三次利用ということも十分可能かと思います。  先ほど審議の中でありましたけれども、二〇一五年時点で八・八兆円だった文化関連のGDP、二〇二五年までに十八兆円まで成長させるというふうに目標を掲げられております。十年で倍以上です。東京オリンピック・パラリンピックを挟むとはいえ、この目標を達成するというのは本当にあらゆるチャレンジが必要だと思います。  先ほど大臣の答弁には、具体的な取組例に関しては余り言及がありませんでしたが、今現在、具体的な取組というのはあるんでしょうか、具体例というのはあるんでしょうか。
  63. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 先ほど大臣の答弁でも触れられましたけれども、文化芸術推進基本計画におきまして、そういう具体的な取組を現在掲げておるという状況でございます。  この文化芸術推進基本計画を着実に実施していくわけでございますけれども、この中身といたしましては、例えばクールジャパンの戦略もございますし、放送コンテンツの海外展開だとか、外務省、国際交流基金の文化、日本語事業だとか、スポーツ文化のツーリズムの事柄とか、様々な事業を掲げておりますけれども、そういったものを全体としてフル稼働することによりまして、こういった文化GDPの押し上げといいますものを図っていきたいというふうに考えております。
  64. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 では最後に、幼児や児童教育における文化財の活用の仕方について伺います。  私、以前、まちの保育園という保育園に見学に行ったことがあるんですが、その名のとおり町ぐるみの保育園、保育園を地域に開園することで多様な出会いが生まれ、子供にとって、地域にとってもいい影響を与える、インフラのような存在になることを目指しているそうなんですけれども。なぜ見に行ったかというと、近年、騒音を理由にした近隣住民の反対運動で保育園建設が頓挫したなんていうニュースをよく耳にする中で、ここはちょっと違うんだよというふうに聞いたからです。  驚いたのは、この保育園の一階にパン屋とかバールを併設していたり、コミュニティーコーディネーターという、子供や保育園と近隣、地域の人をつなぐ、子供にとっての出会い、多様な実体験を提供するための専門職を置いていたりするところです。  例えば、角の家に年期の入ったすばらしいこいのぼりが掛かっていたりすると、このコミュニティーコーディネーターが地域の方にピンポーンって出かけていって、そのこいのぼりどうしたんですかってすると、いや、これはおばあちゃんの時代から、いやいや、もっと前の時代からで、こういう歴史があって、この人が作ってというような、そういうことを聞いてきて、実際にその方が交渉して、地域の方にこいのぼりを持ってきてもらって保育園で子供たちに説明しながら触ってもらったりして、地域だったりその文化財、お宝ですね、そういったものに触れてもらうというような試みもしているということでした。  大臣に最後お伺いしたいのは、文化財というのは、小さい子、何するか分かりませんので、小さい子には触れさせてはならないというふうに、物によってはですけれども、もちろんそういったものを選んでですが、小さい子には触れさせてはならない、文化財というのは大切なものなんだ、保存するものなんだ、遠くから眺めるものなんだというふうに考えるのか、幼い頃から文化財に触れることで価値を感じるトレーニングになっていると評価するのかで施策の方向性というのは随分違ってくると思います。文化財行政のトップである大臣は、どちらの思考をお持ちか、最後お伺いします。
  65. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) その御質問はもう後者だというふうにお答えしたいと思いますけれども。  やはり、文化財に慣れ親しませること、子供たちをですね、これはやはり子供たちが自分の地域に残る文化財と、その文化財を育んだふるさとへの理解やふるさとへの愛着を深めることができると。また、そういう子供たちが大きくなってその継承の担い手になってもらうという意味でも大変大事だというふうに思います。  文化庁においては、これまでも、子供たちが民俗芸能ですとか伝統工芸といった地域の伝統文化を体験、習得する機会を提供する伝統文化親子教室とか、伝統音楽の正しい知識や技能を教員等に教授する取組に対して支援する伝統音楽普及促進支援事業、こういうものを行ってきております。  今回制度化する都道府県の大綱や市町村の地域計画においても、文化財の保存活用に係る学校教育と連携をした取組ですとか、文化財部局と学校教育担当部局との緊密な連携協力体制の構築を盛り込むことも極めて有効と考えておりまして、今後国において作成する指針等の中でそのことを柱の一つとして位置付けるなど、各地方公共団体の実情に応じた取組が一層進むように指導、助言を行ってまいりたいと思っております。
  66. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 後者と断言していただいて安心しました。  終わります。
  67. 神本美恵子

    ○神本美恵子君 おはようございます。立憲民主党・民友会の神本美恵子でございます。  法案の質疑に入る前に、加計学園問題についてやっぱり聞かなければいけないと思います。  今週の月曜日の予算委員会、そして火曜日の本委員会、そして昨日のQTでも加計学園問題に繰り返し野党から質問が出ておりますけれども、総理の答弁は、二〇一五年二月二十五日会っていないということの繰り返しでありますし、その間に、この前、蓮舫議員も紹介されましたけれども、加計学園側からそれは事実ではないというような文書が出されました。しかし、愛媛県が参議院の予算委員会に提出した文書なんですよね。だから、愛媛県が虚偽のことを書くということはちょっと考えられないんですけれども、その動機も必要性もないと思いますし、自らも補助金を出す立場にあるところですから、県民の理解を得るために、あるいは県民にきちんと説明責任を果たして、県民の税金からこうやって補助金を出して大学設置、自分たちは、を認めてもらうように努力をしているんだという説明しなきゃいけない公文書あるいはメモだったというふうに私は思っております。  ところが、それを、その中に書かれていることを総理は一部、会っていないと否定していますし、加計学園も、実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出して県と市に誤った情報を与えてしまったと思うというふうに報道機関にファクスで表明されております。つまり、特区申請の主体である今治市や補助金を出す愛媛県をだましていた。これは詐欺的行為ではないか、これは詐欺に当たるのではないかというふうに普通の国民、市民は思う。私もそう思います。  こういうでっち上げ会談を基に申請され、特区として認定をされ、文科省の設置審に持ち込まれた案件であります。  私学法人を文科省が所管しているんですけれども、私学助成を出している文科省として、加計学園に、このファクスはどういう意味なのか、事実関係はどうなっているのかということを確認する必要が私は所管省としてあると思うんですけれども、その件についてはどうお考えですか。
  68. 義本博司

    ○政府参考人(義本博司君) お答えいたします。  五月二十一日に愛媛県から提出された文書につきましては、私ども、その中身等についても、当時の関係者に、例えば内閣官房に出向した職員に対して聞き取りをするなりして、一定の御答弁をさせていただいたところでございます。また、愛媛県等に対しましても、その文書があればその事実等について照会しているというふうな状況でございます。  いずれにせよ、この問題については、その対応についてはしっかりさせていただいたところでございまして、特区全体あるいは設置認可については、その段階を踏みまして、手続的には適正に行われておるものと認識しているところでございます。
  69. 神本美恵子

    ○神本美恵子君 新たな、新たな展開になっているわけですよ。  五月二十一日に愛媛県が出したその書類に基づく内容の審議をいろいろやるというのは、まあそれはそれでいいんですけれども、今回、加計学園がでっち上げた、まあでっち上げという言葉は使っていませんけれども、実際に会っていないのに、それを引き合いに出して誤った情報を与えたというふうに言っている。そのことについて、私立学校法人を所管する文科省として、これはどういうことなのかという、これは当然問合せをしないと、これから私学助成もしていくでしょうし、これまでもほかの加計学園が経営している大学に対する私学助成しているでしょうから、これは当然、国民には詐欺的行為ぐらい思われているような事態になっているわけですから、これが事実かどうか、本当に言っていることが事実かどうかを文科省としてはきちっと確認をする、事実確認をする必要があるというふうに思いますが、大臣、ああ、大臣は後で聞きます。どうですか、担当として。
  70. 村田善則

    政府参考人(村田善則君) 御指摘の加計学園のファクスの件につきましては、これは加計学園と愛媛県あるいは今治市との間の関係でございますので、文部科学省として直接ということではないんだろうと思ってございます。  その上で、私学助成についてお尋ねがございましたけれども、これも私学振興助成法の規定に基づきまして適切に対応をしていくということだろうと存じます。個別の件については基準に照らして判断をされるものでございますので、私どもとしては適切に対応をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  71. 神本美恵子

    神本美恵子君 前回の蓮舫議員質問に大臣が答えられているんですけれども、私学振興助成法というのがあるので、ここには、学校法人の設置する大学等の教育条件又は管理運営に適正を欠くなどの場合などについて、私学助成の減額又は不交付とするような規定があるので、ということがありますよね。  ですから、これから出そうとする私学助成もありますし、これまで出している私学助成もありますが、その管理運営する加計学園がでっち上げをしているのかもしれないと、自分たちでやっているって言っているわけですから、これはどっちなの、本当なのということ、当然やらないと、私学助成をこれから交付するのに、あるいはこれまで交付したことを見直していくという意味で、これは文科省として必ずやらなければ私はいけないと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  72. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今、先生から私立学校振興助成法を御紹介いただきましたが、まさに先生がおっしゃったように、学校法人の設置する大学等の教育条件又は管理運営に適正を欠くなどの場合などについて、国は私学助成の減額又は不交付とすることとできると、こういうふうになっておるところでございます。  過去に、例えば管理運営の不適正により不交付、減額となった事例というのは、役員詐欺及び業務上横領による逮捕、理事会と教学側の対立による管理運営不適正、違法な廃棄物処理の継続による法人職員の逮捕、設置認可申請書類の虚偽記載と、こういったものがございますので、こういった過去の例も踏まえながら、先ほど私学部長から答弁いたしましたように、適正に対応してまいりたいと考えております。
  73. 神本美恵子

    神本美恵子君 設置を認めてもらうために愛媛県や今治市に対して虚偽を言っていたというふうに言っていることについて、今、例としては逮捕された事例を挙げられましたけれども、逮捕以前の問題として、これは本当なのかということをきちっと調べる必要が私はあると思うんですけれども、また次にやります。今日はどうもお答えもらえないようですから。今日法案もありますので。  私としては、直ちに事実確認ぐらいすべきだと思いますけれども……(発言する者あり)何ですか、不規則発言やめてください。これは是非やる必要があるということを申し上げておきたいと思います。  次に、法案に移りたいと思います。  文化財保護法の改正ですけれども、先ほど来大臣も答弁されているように、今回の改正の趣旨は、もう繰り返しません、時間がないので、文化財の計画的な保存、活用を促進すると、それは未指定も含めた新たな掘り起こし文化財も含めて町づくりに生かし、その継承に取り組むためだというふうにされております。  この中で、都道府県が大綱を作り、市町村は計画を作成し、国の認定を申請できる、これにより、市町村が国の登録文化財とすべき物件を提案できるというふうにされておりますけれども、これまでの文化財指定登録を受ける手続とどう変わるのか、端的に御説明をお願いしたいと思います。
  74. 中岡司

    政府参考人(中岡司君) お答え申し上げます。  国は、保存及び活用のための措置が特に必要とされるものを登録文化財として登録することができますが、今回、地域計画の認定市町村の教育委員会は、区域内における文化財の調査によって把握された未指定の文化財について、国に対して登録の提案をできることとなります。認定市町村の教育委員会が登録の提案を行う場合、あらかじめ地方文化財保護審議会の意見聴取が必要となります。これは、現在でも、市町村において文化財を指定するに当たりましては地方文化財保護審議会に諮問等することが通例となっていることを踏まえ、国に対する登録提案についても同様の扱いとするものでございます。  また、通常の手続により国が登録文化財の登録を行う場合、国から当該文化財が所在する地方公共団体に対して事前の意見聴取を行うこととされておりますが、認定市町村につきましては、認定市町村の側から登録の提案をした場合につきましては意見聴取を不要といたしまして、手続の簡素化を図っております。
  75. 神本美恵子

    ○神本美恵子君 ありがとうございます。  手続の簡素化を図って、未指定のものも文化財として認定ができるようにしているというふうなお話でした。  先ほどから文化財保護法の目的について委員の皆さんからもただされておりますけれども、その目的は、「文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて」、私は、ここのところが重要だと思うんですが、「もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献する」、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献するというふうにされております。つまり、何のために、何を文化財として保存し、どのように、誰に還元するために活用するのかという点から、ちょっと、この資料をいろいろ読んでみまして、疑問に思うところがありました。  これ、改正と直接関係ないんですけれども、昨年の六月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針二〇一七では、新たな有望成長市場として、文化経済戦略を策定し稼ぐ文化への展開、日本遺産を始めとする文化財等の観光資源を保全、活用。同じく閣議決定された未来投資戦略二〇一七でも、文化芸術、観光、産業が一体となり稼ぐ文化への展開。まあ、やたら、全否定するものではありませんけれども、観光客をどのように引っ張ってくるかとか、経済成長など、GDPの話もありましたけれども、稼ぐ文化としての位置付けが強調されているように私には感じられます。  改めて、文化財保護の目的に照らして考えると、この国民の文化的向上に資するとともに世界文化の進歩に貢献するという点がおろそかになっているのではないかというふうに危惧するんですけれども、大臣、いかがですか。
  76. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今御紹介いただきましたように、この文化財保護法は、その目的を「文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献すること」と規定をしておるところでございまして、この条文、第一条でございますが、今回は改正をしておらない、このままでございます。  今回の改正によりまして、市町村において、未指定のものを含めた域内の文化財の総合的な調査、把握を行った上で、これらを継続的、計画的に保存、活用していくための地域計画を作成するということを推進するわけですが、これによって、例えば、これまで地域で眠っていた文化財の価値が顕在化されまして、その公開、活用等の取組が充実することによって、国民の文化財に係る鑑賞機会の確保を図られる契機となる。また、地域に所在する文化財の普及啓発への取組が充実をいたしまして、文化財、先ほど議論ありました多言語解説の整備ですとか、地域の伝統文化の国内外での実演とか展示等をすることによって文化財を介した国内外の人々との交流の機会がつくられると、こういうことを期待しておるわけでございまして、今回の法改正によってこうした取組が全国的に推進されることによって、この文化財保護法の目的規定に当たる国民の文化的向上とか世界文化の進歩と、この貢献に資することとなるというふうに考えておるところでございます。
  77. 神本美恵子

    ○神本美恵子君 稼ぐということが第一義的になり過ぎてはいないかということを指摘させていただいておりますけれども、国民の文化的向上ということを考えたときに、文化的、歴史的な価値というものをどう見るかということが非常に重要だと思います。  その継承をし、それを新たな文化的な価値の創造につなげていく、あるいは世界文化の進歩への貢献という観点から、世界文化遺産にもなっている広島の原爆ドームについて質問をしたいと思います。  まず、この世界遺産登録には国内での文化財としての位置付けが必要だということで、この文化財保護法も一九九五年に改正されたというふうに聞いておりますけれども、原爆ドームはどのような文化的、歴史的価値の評価で文化財指定になったのか、この経緯を御説明願いたいと思います。
  78. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 原爆ドームにつきましての文化財指定となった経緯の御質問でございます。  原爆ドームが文化財保護法に基づく史跡として指定されるに当たりましては、まずは平成五年に原爆ドームの世界遺産化をすすめる会が結成されまして、署名活動を行った結果、平成六年に参議院及び衆議院におきまして原爆ドームの世界遺産化を求める請願が採択されております。  文化庁におきましては、同年、平成五年でございますが、平成五年の九月に近代の文化遺産の保存・活用に関する調査研究協力者会議を設置をして検討を行いまして、翌平成七年に、済みません、先ほど申し上げました九月につきましては平成六年でございます、平成六年の九月に協力者会議を設置して検討を行い、翌平成七年に、協力者会議の報告を踏まえて、文部科学大臣が原爆ドームの史跡指定について文化財保護審議会に諮問をしておるところでございます。この審議会の答申を経まして、平成七年六月二十七日でございますが、原爆ドームを史跡に指定する旨の官報告示を行ったところでございます。  そこで、文化財としての価値でございますけれども、原爆ドームは、第二次大戦末期における原爆投下の歴史的事実と人類史上初めて使用された核兵器の惨禍を如実に伝える遺跡であり、核兵器の究極的廃絶と世界の恒久平和希求のシンボルとなってきたといったところで、日本の近代のみならず、世界の歴史を理解する上で欠くことのできない重要な遺跡として史跡に指定されたという経緯がございます。
  79. 神本美恵子

    ○神本美恵子君 私が調べたところでは、一九九五年に文化財保護法をなぜ改正しなければいけなかったかと。それまでは、これを世界文化遺産にしようという広島市や広島市議会、それから住民、住民の中でも賛否いろいろ、まだ被爆者がそこにいらっしゃるわけですから、耐えられないと、あの原爆ドームがあることはというような声も含めながら市民の間で様々な議論をして、しかし後世に伝えるべきだと、世界遺産にということを登録申請をしたら、国の位置付けがないとこれはできないということで、じゃ、それまでの文化財保護法はどうなっていたかというと、明治以前のものしか指定されない、まだ歴史が固まっていないからということでなっていたんですけれども、これも当時の国会の中あるいは政府のいろんな働きかけの中で保護法が改正されて世界遺産になったというふうに私が調べたところではあります。  それで、恐らく、これから市町村もそういう史跡あるいは文化財を登録を申請できるというふうになったとすれば、こういう市民や自治体がどういう考えを持って、どういう思いで史跡指定を申請するかということは非常に重要だと思うんですね。  時間がないけれども、簡単に、この広島の原爆ドームを指定するに当たって、どのような市民の運動や市議会、自治体の努力があったのかということを教えていただきたいと思います。
  80. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 当時、原爆ドームの世界文化遺産の登録を目指して、原爆ドームの世界遺産化をすすめる会が原爆ドームの世界遺産を求める国会請願のための署名活動を行い、多くの市民から署名があったと承知をしております。また、当時の広島市及び広島市議会が、原爆ドームを世界文化遺産に登録するための検討や要望活動等を行ったものと承知しております。  原爆ドームの史跡指定に当たりましては、世界文化遺産の登録を目指すという目標の下、市民や自治体が大きな役割を果たしたものと考えております。
  81. 神本美恵子

    ○神本美恵子君 文化財を指定する、その申請をするというときには、本当に住民の中で、どういう文化的あるいは歴史的価値を後世に伝えていくのか、国民の文化的な向上に資するのかというようなことをしっかりと議論がされて、反対、賛否ありながら、その中で指定をしていくということが私は重要ではないかと思います。  さっき、閣議決定された国家戦略を幾つか紹介しましたけれども、稼ぐということのみで、のみではないでしょうけれども、結果的に稼げるものをというような価値基準で文化財がこれから新たに指定されたり活用されたりということに対しては、変化球かもしれませんけれども、私は一石を投じておきたいと思います。  つまり、世界の国々には、いわゆるこういう負の遺産、賛否いろいろありながら、負の遺産だけれども次の世代にこれは残しておかなければいけないということで、例えばドイツなどではホロコーストに関するアウシュビッツ収容所やザクセンハウゼンと、私も幾つかそういう史跡見てきましたけれども、一夜にして村ごと消滅させる無差別銃撃、それによって村が全部、村民が殺されてしまうというようなことも戦争の中で起きています。それをそのまま残しておくことは本当につらいことだと。その村民の生き残った人は、隣に新たな村をつくって今でも生存していらっしゃるというようなことも聞きましたけれども。つまり、文化的、歴史的な価値を、被害者に思いをはせる場所、未来のための回顧というような位置付けで、次の世代に絶対にこういうことをやってはいけないという警告の場、あるいは次の世代への教育の場として活用している国々が幾つもあります。  日本はどうかというと、文化庁にお聞きしましたところ、そういう戦跡、戦争に関連した国指定文化財ありませんかと聞いたら、四件教えていただいたんですけれども、そのうちの一つは長崎の原爆投下による遺跡群があります。あと三つは陸軍、海軍の施設跡で、その建築技術や土木技術が評価されたという、それはそれでもちろん、明治以降、軍を強くするということで土木技術や建築技術がそのおかげで進歩したということを残すということも、それは否定はしませんけれども。  私は、もっともっと、例えば沖縄の南風原ごうとかは指定されているというふうに聞いていますけれども、たくさん申請されても、なかなかそういう文化的、歴史的な戦跡というようなことでの指定が少ないのではないかと。先ほど上野議員が各県の指定の状況をおっしゃいましたけれども、見たら、沖縄は、本当にあそこで戦争が行われたのにもかかわらず、下から四番目ぐらい少ないんですね。国指定の史跡、文化財が少ないということを先ほど表を見て知りました。  ですから、稼ぐ文化、それから経済成長のための文化という側面での活用に偏ることなく、このように、次世代、後世に何を残し、何を伝えていくのかということが、新たな文化創造につながっていくという観点から、私は是非そういう観点からの文化財の指定なり保護なり活用なりということを強調して皆さんにお願いしたいと思いますけれども、大臣、今までのを聞いて、いかがでしょうか。
  82. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 先ほど次長が文部科学大臣と言いましたが、あのときは文部大臣でございましたので、ちょっと訂正をしておきたいと思いますが。  ちょうど私、平成七年に国会に参りましたので、ちょうどその直前まで、今ちょっと資料を見ておりましたら、いろんな方の御努力等があって、いろんなことが動いて、今先生がおっしゃったようなことができたと、こういうことであろうと、こういうふうに思います。  やはり文化財というのは我が国の歴史、文化等の正しい理解のために欠くことのできないものでございまして、文化財保護法というのは、こうした文化財を保存して、かつその活用を図って、先ほどの、国民の文化的向上に資するとともに世界文化の進歩に貢献するということが目的であると、これ一条に定めてあるわけでございます。  こうした目的に照らしますと、今先生がおっしゃったように、過去の戦争に関連した様々な文化的所産も含めて、やはり、この地域にしっかりと残された多種多様な文化財を把握をすると、そして学術的な調査研究を通じて、その歴史上、学術上の価値が明らかにされまして、指定、登録等の適切な保護措置が講じられると、これが重要であると考えております。  今回制度化をすることになっておりますその地域計画の策定に当たっても、市町村において、未指定のものを含めた域内の文化財の総合的な調査、把握を行っていただくことにしておりまして、こうした地域文化財の掘り起こしが進むということが期待をされるところでございます。  地域計画の認定を受けた市町村は、把握をした未指定の文化財について国の登録文化財の登録が提案できると、こういうふうに新しくなりますので、こうした枠組みの活用を促していきたいと考えております。
  83. 神本美恵子

    ○神本美恵子君 先ほどちょっと紹介しましたドイツのザクセンハウゼンという強制収容所、ここはユダヤ人の収容所ではなくて、政治犯とかそういう人たちを収容して何万人もの人がそこの強制収容所で殺されたというようなところだったんですが、そこを私たちを案内してくれたドイツの若者がいたんですけれども、彼に聞くと、自分のおじいちゃんがSSだった、ナチス親衛隊だったと。その話を小さいときから聞いてきて、自分は平和に貢献しなければいけないと、逆の、何というんですか、そういうおじいちゃんの話を聞きながら、自分は平和に貢献する人間になりたいと、福祉大学に通いながらボランティアでその収容所で外国人の観光案内をしているんですね。ですから、こういった負の遺産と言われながら、そういったところが、国がきちっと位置付けてやっていけば、教育的な側面もありますし、観光としても、その日もたくさんの人が外国からも国内からも訪れておりましたし、私は、是非そこは力を入れてやっていただきたいと思います。  そういう点から、この文化財について、今回は地教行法を変えて、地方自治体の方、首長の方も所管できるというふうになっておりますが、これについては、昨年の十月の文化審議会の企画調査会で、地方自治体ヒアリングが行われたときに、私、福岡県ですが、の太宰府市が意見として述べられているのが、首長部局が所管した場合、事業ばかりを推進するのではなく、文化財の教育的側面の重要性に鑑み、両者が連携できるようにしてほしいという意見があります。これは非常に重要な指摘だと思いますので、先ほどから繰り返しになりますけれども、是非、文化財の保護行政を行う上に当たっては、今回の改正がされた後、特に教育的側面、次の世代に何を残していくのか、何を伝えていくのかということを、教育委員会所管ではなくなった場合にはその部分が薄まるのではないかという懸念、危惧をしますので、是非お願いしたいと思います。  その点について最後にお聞きして、あと、いっぱい用意していたんですが、また次の機会に回したいと思いますので、教育的側面、首長部局になっても薄まらないようにという点について、最後にお願いします。
  84. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 御指摘のとおり、学校教育や社会教育との連携は文化財保護に当たって大変重要でございまして、首長部局で文化財保護を所管する場合には、文化財部局と学校教育、社会教育担当部局との日頃からの緊密な連携協力の関係の構築などに取り組むことが必要と考えております。  例えば、子育てや福祉などといった他の行政分野と教育との連携につきましても、従来から総合教育会議というようなものも制度化されておりますけれども、それを活用した教育長と首長の連携、教育委員会と首長部局職員の人事交流、教育大綱や様々な行政計画の中で教育との連携の在り方等を明確化するなどを通じて積極的に進められておりまして、文化財分野についても同様の対応が考えられるところでございます。  文化庁といたしましても、学校や公民館等と連携した普及活動、普及啓発などを進めることは重要であると考えておりまして、地方公共団体の実情に応じて適切な取組が一層進みますよう、指導、助言を行ってまいりたいと考えております。
  85. 神本美恵子

    ○神本美恵子君 終了しておりますが、首長は政治家ですから、中立性をしっかりと守っていくようにお願いをして、終わりたいと思います。
  86. 吉良よし子

    ○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。  では、法案に関わって、まず、文化庁予算に占める文化財の保存修理、整備等に関する予算について伺いたいと思います。  本年度予算に占める文化財の保存修理等の関係予算は三百七十六億円と。文化全体の予算が一千七十七億円なので、うち約四割ということですが、ここ数年、同水準の規模を維持しているということだと思いますが、これでその文化財の保存修理、整備に十分足りているという認識でよろしいのですか。大臣、いかがでしょう。
  87. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) この国民共通の貴重な財産であります文化財、これを確実に次世代へ継承するために、平成三十年度予算におきましては、文化財の保存修理、防災・防犯対策等を支援する経費として、今委員から御紹介いただきましたように三百七十六億円を計上しております。これ五年前と比べますと二十五億円ほど増えております。また、対前年度では十億円増となっておりまして、文化財所有者等が適切に文化財の保存修理に取り組めますように、その充実を図ってきているところでございます。  文化庁としては、今回の法改正も踏まえまして、引き続き文化財を次世代に継承していく上に必要な予算の確保に取り組んでまいりたいと思っております。
  88. 吉良よし子

    ○吉良よし子君 必要な予算の確保をしていきたいということでしたけれども、様々現場では本当に予算が足りないという悲鳴が上がっているわけですね。  お配りした資料を御覧いただきたいんですけれども、二〇一五年七月の朝日新聞大阪版では、修理コスト苦しい寺社、法隆寺は拝観料値上げということを報じていまして、二〇一五年の一月に法隆寺が拝観料を大人千円から千五百円へと値上げしたと。五重塔や釈迦三尊像など国宝、重要文化財だけで三千点近くあり、毎年のように修理が続く、国宝には国と県から半額余りの補助が出る一方で、修学旅行生は減少傾向で、どうしても修理費用を確保する必要があったから値上げをしたんだ、拝観料の、という理由だということなんですけれども、この記事では、公益財団法人京都古文化保存協会の話として、未指定だが貴重な文化財を持つ小規模な寺社が多い中、資金難で修理に手が回らなかったり、応急処置で済ませたりするケースがあるとして、所有者だけで守り伝えるのは限界だ、国としても手厚い補助で守ってほしいと、そういった声が紹介されています。  また一方、本改正案に関わって、関係者からは、いわゆる稼ぐ文化には予算が付くけれども、そうじゃない文化財には予算が付かないのではないかという懸念の声も出ているわけです。  先ほど充実させていくというお話があったわけですけれども、我が国の貴重な文化財、維持し、次世代に継承していくためには、たとえ未指定であっても、また稼ぐかどうかというのは関係なく、保存修理を必要としている文化財全てに計画的に補助を付けられるような予算を確保していくべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  89. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今回の法改正によりまして、地域社会総掛かりで文化財の保存、活用、これを総合的、計画的に進める仕組みが整備されることとなると。このことを踏まえまして、この仕組みが円滑に運用されまして、文化財を次世代に確実に継承していく取組につきまして、引き続き必要な予算の確保に取り組んでまいりたいと思っております。
  90. 吉良よし子

    ○吉良よし子君 もう一つ資料も用意しました。二〇一五年十二月の朝日新聞大阪版ですけれども、文化財保全、ネットで資金集めをしたというものですけれども、これ目標額、三千万円を目標にして奈良県の王寺町の達磨寺の方丈の修復費を集めようとしたんですけれども、実際には七十二人から三十三万円しか集まらなかったということで、国や県の補助金拡充してほしいと、もう本当切実な声が出ているわけなんですね。  先ほど仕組みはつくったという話で、未指定のものも含めて保存、活用の計画を持つということですけれども、であれば、それを可能とするだけの予算措置というのは当然必要なわけですから、国は保存、修理に係る予算、文化予算そのものもですけど、抜本的に増やすように強く求めたいと思います。  そして、次に移りたいと思うんですけれども、先ほど来、稼ぐ文化に関する懸念があると私も申し上げましたし、ほかの委員らからも懸念が申し上げられております。また、保護中心ではなく活用を位置付ける大きな転換だというような話もありましたけれども、この本法案における文化財の活用の考え方について伺いたいと思います。  では、まず、政府、文科省というのはこの文化財の活用についてどのようにこの間述べているのかというところで、二〇一六年四月に策定された文化財活用・理解促進戦略プログラム二〇二〇、前書きの最初四行分、そして二〇一七年十二月の文化経済戦略の文化財の活用の部分の事前に通告で指定した部分、御紹介いただければと思います。
  91. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 御指定の部分だけを読み上げさせていただきます。  文化財活用・理解促進戦略プログラム二〇二〇には、「全国各地において長く守り伝えられてきた有形、無形の文化財は、地域の誇りであるとともに、観光振興に欠かせない貴重な資源である。ついては、観光資源としての戦略的投資と観光体験の質の向上による観光収入増を実現し、文化財をコストセンターからプロフィットセンターへと転換させる必要がある。」と記載されております。  文化経済戦略には、「文化芸術資源の活用については、その特性や適切な保存に十分配慮しつつ、積極的な公開・活用を推進するため、文化財保護制度の見直しを行う。」、また、「文化財の観光やまちづくり等への積極的な活用を促進するため、文化財を中核とする観光拠点の形成や、史跡等の大型文化財の公開や活用の機能充実のための整備を促進する。」と記載されております。
  92. 吉良よし子

    ○吉良よし子君 その文化財の活用に関わる部分、読み上げていただいたんですけれども、もう全部、文化財を観光資源として位置付ける、そして活用するんだということばかり言っているわけですね。まるで文化財とは観光資源としてでしか価値がないようにも読めると思いますし、今年一月の施政方針演説で安倍総理自身も、「我が国には、十分活用されていない観光資源が数多く存在します。文化財保護法を改正し、日本が誇る全国各地の文化財の活用を促進します。」と。文化財イコール観光資源で活用だということを繰り返しおっしゃっているわけで、やはりそこはおかしいんじゃないかと思うんですね。  改めて、私も文化財保護法五十年史というのを読んでみました。そうしたら、この文化財保護法、できたのは背景に何があったか。戦中戦後の混乱の中で文化財の保存が軽視されて文化財が失われてしまった、そういう痛苦の反省の下で、当時の参議院の文部委員会で議員立法としてできたのがこの法案と。それで、中で言われているのが、建造物や絵画、彫刻などの有形文化財、演劇や工芸技術などの無形文化財、史跡や天然記念物などの文化財を統一的に保護しようと、そしてその修理や維持に国庫支出を認めるなどの内容を盛り込むとして作られたと記されているわけで、つまりこの法律は、第三条にあるように、我が国の歴史、文化等の理解のために欠かせない文化財の保護と維持、保全を何よりも重視して作られたものなわけです。  先ほど第一条の御紹介もありましたけど、その活用をする場合であっても、国民の文化的向上や世界文化の進歩に貢献するために活用するんだということが書かれているけれども、今回の改正では何か観光資源としての活用ばかりが前に出てきてしまっているのではないか。これではこの第一条に言われる国民の文化的向上、世界文化の進歩、これが大きくゆがめられてしまうのではないかと思わざるを得ないわけですけど、この改正によって法律本来の目的、ゆがめることはあってはならないと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  93. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今御紹介いただきましたように、この文化財保護法第一条において、「この法律は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。」と、こう規定しておりまして、この目的は今回の改正において何ら変更を加えるものではありません。  一方で、過疎化ですとか少子高齢化、こういったことを背景として、文化財が滅失したり散逸したりする、また、担い手不足が起こってこれへの対応が喫緊の課題となっておりまして、やはり未指定を含めた地域の様々な文化財を町づくり等に生かしながら次世代に確実に継承することができるように、地域社会総掛かりで取り組むことが必要となっております。  今回の改正は、こうした社会状況の変化を踏まえまして、新たに地域における文化財の計画的な保存活用の促進、地方文化保護行政の推進力の強化、こういうものを図るものでございまして、この文化財保護法の目的を達成するための仕組みを充実させるものでございます。
  94. 吉良よし子

    ○吉良よし子君 ゆがめるものではないということでしたけれども、例えば二〇一七年の骨太の方針でも、稼ぐ文化への展開を進めるということがうたわれている。一方で、保存という言葉はほとんど出てこないんですね。先ほど来の質疑の中では、保存、保護があってこその活用というお話もありましたけれども、もちろん保護あってこその活用なんですけど、活用できないものは保護しないというふうにも聞こえなくもないわけで、だから、関係者から、稼ぐ文化にしか予算が付かないのではという懸念の声も上がっていると思うんですね。  そこは看過できないと私は言いたいと思いますし、最後に、この文化財保護行政を首長部局に移管することを認める点についても、先ほどもありましたけれども伺いたいと思うんですけれども、これ二〇一三年に、今後の文化財保護行政の在り方についてというのが出されておりまして、その中では、文化財保護行政については、その専門的、技術的判断が実際の運用においても担保されるよう、首長部局や開発事業者などが行う開発行為と文化財保護との均衡を図る必要があるというふうに書かれているわけです。つまり、ここでいえば、首長部局というのは開発行為を行う側として分類されているわけですけれども、その首長部局に文化財保護行政を移した場合に、どうやってその開発行為と文化財保護との均衡を図っていくのかと。そこが私どうしても納得いかないんですが、この首長部局に移行された場合、開発行為と文化財保護との均衡、どうやって保たれるというのでしょうか、大臣、お答えください。
  95. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 地方におけます文化財保護の所管につきましては、今委員もお触れになりました平成二十五年の文化審議会の検討におきまして、どういった部署が所管するとしても、文化財保護に求められる専門的、技術的判断の確保等の留意事項、いわゆる四つの要請でございますが、これに対応できるような仕組みが必要であるとされたところでございます。  一方で、近年の地方公共団体における景観、町づくりや観光など、ほかの行政との一体的な施策推進の必要性や地方公共団体からの要望等を踏まえまして、文化審議会と中央教育審議会において専門的な見地から検討が行われたところでございます。この審議会において、地域資源を活用して地方創生に取り組むなど地方の状況が変化してきておりまして、地方の判断により事務を選択制とすることに賛成であると、こういった意見、それから、開発行為と文化財保護はこれまでの調整の歴史も長く、開発関係者にも一定の理解が得られてきているといった意見がございました。  また、審議会における地方公共団体へのヒアリングにおいても、地方の判断によって選択的に実施することを可能としてほしいと、こういう意見があったところでございます。  このほか、地方公共団体に対する調査において、政治的中立性、継続性、安定性の確保がどのようにして図られるのか不安であると、こういう意見もあったところでございまして、こうした審議の結果、昨年の文化審議会第一次答申及び中央教育審議会地方文化財行政に関する特別部会報告におきまして、文化財保護に関する事務を首長部局に移管する場合には、現在任意設置とされている地方文化財保護審議会、これを必置とするとともに、地域の実情に応じて、専門的知見を持つ職員の配置促進や研修等の充実、情報公開など文化財行政の透明性の向上、さらには、学校教育、社会教育との協力関係の構築などに総合的に取り組むことによって、この四つの要請に対応できるような環境の整備を図ることが必要である、この旨が提言をされたところでございます。  今後は、国において、こうした趣旨を各地方公共団体に周知をいたしまして、適切な対応が図られるよう指導、助言に努めてまいりたいと考えております。
  96. 吉良よし子

    ○吉良よし子君 長々おっしゃられたわけですけれども、地方文化財保護審議会などを必置するし大丈夫だということであったと思うんですけれども、この審議会というのは首長部局がその人事を決めるということであって、やはり一方的な判断、偏った判断になりかねないと思うんですね。文化財保護と開発行為というのは必ず対立するんです。  今お配りした資料があるわけですけれども、配付した名勝及び史跡に指定された小石川植物園周辺の道路拡幅なんというのはその一例で、七十一本の江戸時代から続く植生、樹木が伐採されて開発が行われていると。もう本当にそういう中で、開発と保護というのが対立する中で、慎重な議論が必要なわけです。  だから、先ほどの保護行政の在り方についてでも首長から独立した機関でという、そういう結論だって出ているはずなわけで、やはりそれと矛盾した結果だと言わざるを得ないと。やはり……
  97. 高階恵美子

    ○委員長(高階恵美子君) 吉良君、申合せの時刻が過ぎております。おまとめください。
  98. 吉良よし子

    ○吉良よし子君 文化より開発みたいな形になることは認められないことを申し上げまして、質問を終わります。
  99. 高木かおり

    ○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりでございます。  本日は時間もございませんので、早速質問に入らせていただきたいと思いますが、朝から様々議論がなされておりました。文化財は、所有者、それから地域住民の力によって現代まで守り抜かれてきたと。ただ、近年、過疎化ですとか少子高齢化、この影響は本当にこの継承が危うくなっている、こういった現状かと思います。  今回の法改正によりまして、文化財と指定されているかされていないか、また有形か無形か、そういったことを問わず、文化財を次世代に継承していくための、この文化財を継承する人材それから組織の確保、これは可能となるんでしょうか、お聞かせください。
  100. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 無形の文化財は、この文化財を伝承する人や団体、地域がなければ消滅の危機に陥るものでございまして、後継者の育成ですとか伝承活動等の計画的な実施、これが特に重要になってくるわけでございます。しかし、このような無形の文化財の保護につきましては、国による選定や財政支援等の措置はあるものの、基本的にはいわゆる技の保持者、個人ですとか保護団体、いわゆる保存会のようなものですが、こうした皆さんの自主的な取組を頼みにしてきたと、こういう問題があったわけでございます。  そこで、今回制度化されます都道府県の大綱ですとか市町村の地域計画におきまして、無形の文化財について、その価値や伝承者の養成等、保護のための取組を明確に位置付けることで、地域住民や関係者等に当該文化財の価値が再認識をされまして、地域全体でその継承に取り組んでいく、このことが可能になると考えておるところでございます。  現に地域全体の取組により無形の文化財が復活した事例としては、例えば四百年以上引き継がれてきた綱引きの行事、これは普通の運動会でやっている綱引きではなくて伝統的な行事でございますが、保存会の高齢化等によって開催中止に一度陥ったものの、行政、商工会議所、NPO等で構成いたします伝承協議会、これが立ち上がって運営を引き継いだことで行事が再開されたということがあると承知をしております。  また、地域計画と同様に制度化される保存活用計画を個々の無形の文化財ごとに作成することによりまして、従来は主に対象としていた直接の後継者の養成にとどまらず、一般への普及啓発ですとか発信等の取組が保存活用計画に位置付けられると、こういうふうになりまして、より幅広い人々に対して文化財の価値を伝えていくことが期待をされる、こういった効果がありまして、その継承に大いに資するものとなると、こういうふうに考えております。
  101. 高木かおり

    ○高木かおり君 今、無形文化財について様々答弁をしていただきましたけれども、確かにこの無形文化財につきましては、これまで計画行政というのがなかなか厳しくて、今回の法改正でようやくこの市町村の地域計画に位置付けられるという点に関しては一歩前進していると評価はしているんですけれども、やはり余りに遅過ぎたのではないかなというふうに私は感じています。  私の地元には無形文化財で上神谷のこおどりというのがありまして、これ民俗芸能なんですが、秋祭りのときにそのこおどりというのを地元の神社に奉納する、そこに地元の地車が集結してくるというような行事があるんですけれども、このこおどりの担い手というのが小学校から中学、高校という若い世代が担っているわけですね。  そういったことで、今、先ほど冒頭申し上げたように、過疎化だったり、これ村での話なんですが、過疎化だったり少子高齢化ということで、少子化ということで、なかなかこの担い手という部分で大変厳しい状況であると。そういった保存会の方々にお話を聞きましても、やはりなかなか、この担い手をどういうふうに少子化が進んでいる地域の中で、まあ機運の醸成ももちろんしていくんですけれども、実際にどういうふうにこの担い手の確保というものをやっていくのかというのはなかなか考えが思い付かないというようなお話もございましたけれども、この点について再度お伺いしたいんですが、この担い手の確保という点に関しては具体的な方策等ありましたら、先ほど大臣、成功例というのもおっしゃってはいただいたんですけれども、具体的にこの担い手の確保という点に関して何か対策等ありましたらお伺いできますでしょうか。
  102. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 担い手の確保についての御質問でございます。  無形の文化財につきましては、伝統芸能や工芸技術など、特定の型や技術を特定の個人や団体が相伝をして体現している技や、風俗慣習や民俗芸能など、国民の生活様式そのものであって地域社会で伝承されているものがございました。これらの確実な継承のためには、伝承者等の担い手の養成、確保が不可欠でございます。  今回の改正によりまして、重要無形文化財や重要無形民俗文化財につきましても保存活用計画の認定制度を新設するわけでございますが、計画の作成過程で、保持者、保持団体、地方公共団体の関係者が文化財としての価値を再認識をするということとともに、伝承者の養成など、その継承に向けた課題の共通認識を図ることができるということ。また、関係者がどのような活動を行っていくのか、役割分担が見える化されまして、また、国の認定を受けることによりまして、行政や民間団体からの支援が得られやすくなる効果が期待されると。さらには、従来、主に対象としておりました技の直接の後継者の養成だけではなくて、先ほど大臣から答弁ございましたように、一般の普及啓発、発信等の取組がされるということで、幅広く文化財の価値を伝えるということが期待されると。そういったもので、総合的にこの人材の養成ということができてくるというふうに考えております。
  103. 高木かおり

    ○高木かおり君 なかなかこの担い手の確保というのは、これだけの問題でなくて、いろいろな問題がはらんでおりますので、大変難しい問題かとは思いますけれども、今御答弁でおっしゃっていただいたように、これからしっかりと、見える化ということもおっしゃっていただきましたので、是非とも前進させていっていただきたいと思います。  続きまして、有形文化財ですと、きちんとその保存のスキーム等があれば次世代に伝えていくということは可能なんですけれども、この無形文化財というのは本当に、繰り返しになって大変恐縮なんですけれども、難しいということで、その地域の方々が今一生懸命、自分で、金銭的にも持ち出しをしながら現状頑張っているところですので、こういったこともきちんと、無形文化財特有の様々な伝承部分も記録に残すとか、そういったこともしっかりとやっていかないといけないというふうに思いますので、その点も是非お願いをしたいと思います。  それから、この次世代への継承というのでもう一つポイントになるのが、文化財の、今日もお話に出ていましたけれども、保存とか修復、それをする技術、技能を持った人材だと思います。  これ大変重要な役割を担うと思うんですけれども、もちろんその人材育成にも時間が掛かりますし、先ほど少しお話の中にありましたが、秋祭りのこおどりのときに地車が地元の神社に集結するというお話を先ほどいたしましたけれども、例えば地車も文化財の一つだと思うんですが、例えば、今、この地車の一部の、木でできた、木で彫ったような部分の大変精巧な部分、ここを例えば修復をしたいといっても、なかなかこの伝統技能、技術を持った方が大変少ない。結局、金銭的にも高額だというような様々な要因で、これは聞いた話ですので、例えばそういった場合にはもうその技術の部分を外国に、例えば中国とかに修復の作業をお願いせざるを得ないというような現状ということをお聞きしたこともございます。  先ほども議論もございましたけれども、この国指定の業者に修復作業をお願いすることを、先ほど答弁の中で、そういったことは指導をしているとおっしゃっておられたと思うんですが、私の問題意識としましては、文化財というのは日本の伝統文化を継承していくということだと思うんですけれども、それがなかなか、技術者が少ないですとか金銭的にも高額だというような様々な問題で、これを例えば中国等の外国へ修復作業をお願いしないといけないというようなことがあるようでしたら、これは大変問題なんではないかなというふうに思うんですね。  そういった部分に関して、先ほど伊藤委員からも質問の中で、なかなかそういう人がいない場合は外国にお願いするようなルートなんかもあるのかどうかみたいな、そういったお話も少しあったかと思うんですけれども、この点に関して、この日本の伝統文化の技術の継承という観点から、こういった点、大臣、どのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
  104. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 文部科学省では、文化財の保存のために欠くことのできない伝統的な技術技能を、これを文化財保護法に基づいて選定保存技術ということで選定をいたしまして、その保持者や保存団体が行う伝承者の養成、技術の向上等に要する経費を補助しておるところでございます。また、文化財の修理に携わる技術者を対象に文化財建造物ですとか美術工芸品など、この種別に応じた講習会を実施してその資質向上を図ってきておるところでございます。  これに加えて、今回の改正によりまして、市町村の地域計画や個々の文化財ごとの保存活用計画の作成が制度化されまして、こうした仕組みを通じて、文化財の保存修理に係る人材確保、育成が更に進むように必要な支援に努めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  105. 高木かおり

    ○高木かおり君 是非とも、この技能技術の継承に関しても併せてしっかりとやっていただきたいと思います。  時間が迫ってまいりましたので、最後の質問でございますけれども、この中で、やはり地域でしっかりとこの文化財を保護していくという中で中核となるのが学芸員さんの存在なんではないかなというふうに思うんですね。歴史文化基本構想が今までありましたけれども、今回、この法案の改正によりまして、文化財の保存や活用に係る具体的なアクションまで盛り込んだ実効性のあるマスタープランとして発展をさせていくというようなことが衆議院の文科委員会の中でもあったかと思いますけれども、この学芸員さんに限らず、そういった専門家の方が、例えば指定都市ですとか、そういう都道府県にも配置されている数というのが非常に私、少ないというふうに感じております。  学芸員の方々に少し私もお話を聞いたんですけれども、やっぱり自分たちには厳しいことではありますけど、この学芸員さんの方々の質の向上ですとか、これはしっかり図っていくべきだと。また、こういった学芸員さんの増員ですとか人材育成、こういったことも非常に重要になってくると。やはり、この文化財の価値を地域で醸成していく、保存、活用を進めていかなければならない。  今日は、ほかの先生方から保存と活用のバランスといったようなお話も多々ありましたけれども、やはり地域でしっかり中心となって様々そういった文化財の価値を高めていく存在という意味では学芸員さん大変重要になってくると思いますので、その点、時間がございませんので簡潔に、人材育成の件とそれから増員の件、その辺りのことを含めて御答弁お願いします。
  106. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) やはり、歴史文化基本構想もそうでしたし、今度作ります地域計画も、これらの策定に当たっては学芸員等を始めとする文化財に関する専門的人材の役割が重要であると思っております。  歴史文化基本構想の策定に当たっては、学芸員等の文化財に関する専門家が地域の文化財の総合的な把握調査に参画したり掘り起こされた文化財の価値付けを行ったりするなど積極的な役割を果たしてきておりまして、この度の地域計画の作成に当たっても、こうしたこれまでの取組を踏まえまして、各地域において学芸員を始めとする文化財の専門的な人材の活用が図られるように地方公共団体に対して指導助言していきたいと考えております。
  107. 高木かおり

    ○高木かおり君 時間が参りましたので、これで終了させていただきます。  ありがとうございました。
  108. 木戸口英司

    ○木戸口英司君 希望の会、自由党の木戸口英司です。  それでは、早速質問に入らせていただきます。  先ほど来質疑があるところですけれども、文化財を保護する取組を行うには十分な予算が必要であります。これは、都道府県、市町村、それぞれ大きな悩みを抱えているところです。  文化財に関する予算の推移を見ますと、近年、保存修理、整備に係る予算は若干伸びてきているということを見ております。さらに、今年度から文化財に関する地方財政措置が拡充されていますが、その具体的な内容、今回の法改正にどのような効果を持つのか、お伺いをいたします。  あわせて、文化財関連予算の一層の充実、この法案通った暁ということでもありますけれども、その充実に向けての大臣の決意、思いをお聞かせいただきたいと思います。
  109. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 平成三十年度より、個別の文化財ごとに作成する保存活用計画に基づいて実施をされます案内板の多言語化ですとか、情報発信、普及啓発、こういったソフト事業について市町村が財政支出を行った場合に、その対象経費の一部に対して新たに特別交付税措置が講じられることとなったところでございます。また、国庫補助を受けて行う文化財の保管施設やガイダンス施設、トイレ等の便益施設の整備、また史跡の買上げ等のハード事業における地方負担分につきましても、従来よりも交付税措置率が高い地方債の適用が可能となったところでございます。こうした措置を踏まえまして、各地方公共団体においては、保存活用計画の作成、また計画に基づく取組の充実が図られることとなると考えておるところでございます。  また、文科省としても、少し触れていただきましたけれども、平成三十年度予算において、文化財の保存修理、活用、整備等を支援する経費として前年度比で七億円増の四百七十六億円、これを計上させていただいておりまして、今回の法改正を踏まえて、引き続き、文化財を次世代に確実に継承していく上で必要な予算の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  110. 木戸口英司

    ○木戸口英司君 この地財措置も、どちらかといえば、活用というところ、少し力が入っているのかという感じがいたします。バランスの話は先ほど来あるわけですけれども、いずれ文化財の保存活用地域計画の作成等に取り組む市町村には様々な対応が必要となってくると。予算は伸びてきておりますけれども、まだまだ資金の不足ということは言えると思います。地財措置を含む文化財関連予算の拡充ということを是非力を入れていただきたいと思います。  今回の改正で、市町村は、文化財の保存、活用に関する総合的な計画である文化財保存活用地域計画を作成、国の認定を申請できるとしています。市町村は、地域の実情に応じて、地域住民の意見を反映しながら地域計画の作成を進めることになるということですけれども、地域住民によって文化財に対する思い、また評価というものは多様であります。時として対立を生む構図ということ、地方にいるとよくあることであります。調整に困難が生じることも予想される。  現状でも、市町村によって文化財に対する取組はそれぞれ異なっています。文化財の保存、活用に熱心な市町村、歴史文化基本構想や日本遺産といった地域の文化財を、周辺環境も含めて幅広く保存、活用していく既存の施策に取り組んでいる市町村もあります。そういう中で、文化財保存活用地域計画が法定化されることによって、文化財の保存、活用に熱心な市町村、そしてまだこれからというところの市町村、更に取組に差が開く懸念があると考えます。  今回の法改正で多くの市町村が、文化財の保存、活用の取組が広がっていく、そういう効果を得られるためにと、大臣の所見をお伺いいたします。
  111. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今回、地域計画を制度化するということになります。文化財やその所有者に最も身近な行政主体である市町村において、未指定のものを含めた域内の文化財の総合的な調査、把握、これを行った上で、これらを継続的、計画的に保存、活用していくための枠組み、これを整備しようということでございます。市町村による地域計画の作成、認定申請等はこれ義務ではなくて任意でございますので、今回の制度改正の趣旨を踏まえて、できる限り多くの市町村において計画作成が行われることが望ましいと考えております。  今後は、計画の作成等に関する指針を策定したり、それから先進的な取組事例を集めてこれを周知すると、こういうことをやっていくとともに、計画作成に要する経費への支援ですとか文化庁からの専門的、技術的助言などによって、より多くの市町村において計画作成がスムーズに進みまして、文化財の保存、活用のための取組が広がっていくように積極的に促してまいりたいと思っております。
  112. 木戸口英司

    ○木戸口英司君 積極的な支援、直接的な支援ということが必要だと思います。  思いは、この文化財の保存、活用ということ、それぞれ強いものがあると思いますけれども、やはり現実、今、市町村も非常に職員も数が少なくなっているという現状、予算も非常に厳しい状況がございます。こういった支援について力を入れていただくことをお願いしたいと思います。  その意味で、ちょっと質問を一つ飛ばしますけれども、この文化財保存活用地域計画の作成に当たり、地域住民の意見を反映することは当然大切なことですけれども、文化財を市町村が作る公的な計画に位置付ける以上、住民の意向だけではなくて、その価値が学術的見地から客観的に評価されることが必要だと考えます。地域には、未指定を含めた有形無形の様々な文化財がありますが、公的な計画に位置付け価値を認めるに当たっては、それぞれの分野ごとに専門性を有した人材が客観的に価値を判断した上で行うべきだと考えます。  今回の法律案では、地域計画を作成する市町村は、文化財に関して優れた識見を有する者により構成される地方文化財保護審議会の意見を聴くこととされています。  そこで、この構成員、文化財に関して優れた識見を有する者とは具体的にどのような方を示しているのでしょうか。また、そのような人材は地方の小規模な市町村であっても確保可能にする必要がある、適切な人材を見付けられず困っている市町村があった場合に県や国に相談できる体制を構築する必要があると考えますが、学識経験者等の専門性を有する人材確保が可能となるようなネットワークを整備する用意があるのか、お伺いをいたします。
  113. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) お答え申し上げます。  地方文化財保護審議会の構成員につきましては、これまで明文化されておらず、各地方公共団体がその実情を踏まえて判断してきたところでございますが、実態としては、大学教授や学芸員等の博物館関係者、教育委員会等の文化財担当者、OBなど、文化財に関して優れた識見を有する者が任命されているものと承知をしております。  こうした状況を踏まえまして、今回、その旨を法律におきまして、文化財に関して優れた識見を有する者ということでしっかり位置付けるとともに、こういった人材を育成確保するために、従来から文化庁では専門性向上のための研修を実施しておりますが、それを実施するとともに、国や都道府県における市町村からの相談窓口の明確化、これは都道府県の大綱でしっかりと位置付けるということも考えられると思います。日頃の意思疎通を図っていくということが非常に重要だと思います。  今後も、こうした連携協力を更に強化するとともに、文化財活用センターも活用しながら相談機能を充実をし、各地方公共団体において適切な人材が確保されるよう、意を尽くしてまいりたいと考えております。
  114. 木戸口英司

    ○木戸口英司君 この法律案の認定の効果、地方文化財保存活用計画の認定の効果として、市町村から登録文化財の提案ができるということが挙げられています。  計画を作成する市町村には行政や住民が登録文化財となることを期待している文化財があると思いますが、文化庁は、提案を受けた際には、住民への説明責任をしっかりと負いながら、登録について前向きに対応していくことが求められると考えます。その際、文化庁は、書面での提案等での審査、市町村から意見を聞くだけではなくて、実際に現地に足を運ぶなど、文化財を視察するなどして丁寧に対応していくことが求められるのではないかと思います。  市町村から登録すべき文化財の提案を受けた際の対応方針について、大臣の御見解をお伺いいたします。また、提案の制度が導入されたことにより、登録文化財の基準が変更になったり、また急激に件数が増えたりということ、こういったことがあり得るのか、この点もお伺いいたします。
  115. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 登録の主体はあくまで文部科学大臣でございまして、市町村から登録文化財として登録すべきと提案があった場合には、文化庁の文化財調査官が個別の物件の状況について実地で調査を行うなど、当該文化財に関する丁寧な対応を通じて文化財的価値を適切に評価した上で登録をすることとしておるところでございます。  また、登録の基準でございますが、これについては、今回の法改正によって基準自体が変更されるというものではございませんけれども、地域計画認定市町村から新たに把握をされました未指定文化財等について多くの登録提案がなされることが予想をされるということでございますので、文化財の登録件数も増加をするということが期待をされるところでございます。
  116. 木戸口英司

    ○木戸口英司君 それでは、ちょっと話題を変えて、文化財レスキューについてお伺いをしたいと思います。  文化財保護の観点から、災害時の対応、これは重要であります。東日本大震災により被災した美術工芸品等を緊急に保全し、廃棄、散逸や盗難の被害から防ぐため、文化庁は文化財レスキュー事業を立ち上げました。この文化財レスキュー事業、この活動を通じてどのような課題が明らかになったでしょうか。また、今後発生が懸念される首都圏直下型地震、南海トラフ巨大地震等の広域的な災害にも即時対応できるよう、文化財レスキューの全国的な支援体制を構築すべきと考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。
  117. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 東日本大震災ですとか熊本地震等によって被災した文化財につきましては、これまで、文化財保存に係る多くの専門家や学芸員を現地に派遣をいたしまして、未指定の文化財も含めて、文化財の一時避難や洗浄、剥落止めの応急処置を行う文化財レスキュー事業を進めてまいったところでございます。  こうした活動を通じて明らかになった課題としては、発生時の即時対応、それから文化財救出に係る体制づくり、さらに被災文化財等の劣化診断、保存環境及び修理に関する調査研究と被災現場でのその成果の適用、そして文化財等の防災、救援を実践する専門人材の育成や地域住民の皆さんの理解促進の必要性、こういったことについて、この文化財レスキュー事業に実際に参加されました多くの専門家から報告をいただいているところでございます。  文部科学省といたしましては、これらの課題に対応するため、手引の作成ですとかシンポジウムの開催等に取り組んできたところでございまして、また、今後発生が懸念される広域的な災害にも対応できるよう、東日本大震災の文化財レスキューに参画した団体や専門機関を中心とした文化遺産防災ネットワークの形成、これを支援をしております。  また、応急処置されました文化財の修復については、平成二十四年度から被災ミュージアム再興事業を実施しまして、被災した古文書や歴史資料、民俗資料等の文化財からの汚泥やカビの除去、脱塩や修理について支援をしておるところでございます。
  118. 木戸口英司

    ○木戸口英司君 もう時間になりましたので、質問は終わりにいたしますけれども、今回の都道府県で作る大綱、そして市町村で作る地域計画と、それぞれやはり災害時の対応、防災上の措置など、しっかりと位置付けていくべきだと考えます。この点もしっかりと指導していくことを求めて、終わりたいと思います。
  119. 松沢成文

    ○松沢成文君 希望の党の松沢成文です。  大臣、今週三回目の質疑になりますが、どうぞよろしくお願いをいたします。  文化財保護法の改正案に関連して、私はちょっと城郭の問題をまた取り上げたいと思うんです。何度もこの委員会でも質問してきましたが、私は、江戸城天守閣の復元運動、NPO活動でもう六年ぐらい取り組んでいるんですが、その目的の一つが、日本の歴史的というか伝統的な木造建築技術、すばらしいものあります、この伝承を図っていかなきゃいけないという目的があるんですね。  実は、そういうことを勉強する中で、六年前に、国宝に指定されている姫路城の平成の大修復というんですか、この修復現場を視察をしてまいりまして、そのとき改めて思いを強くしたのが、城郭の復元や修繕、修復にはいろんな職人さんが参加するわけですね、当たり前ですが。もちろん、宮大工さん、それから瓦を焼く職人から瓦を敷く職人、そして石垣、石積みの職人、さらには、しっくいなんかを塗りますから左官職人など、多くの職人の伝統技術が欠かせないわけでありますが、こうした職人さん、後継者不足でどんどんどんどん今減っちゃっているんですね。  経験を積む機会が減ってしまっているので、後継者もなかなかつながらないということなんですが、このままだと世界最高の日本の木造建築技術が途絶えてしまう可能性すらも否定できないというふうに思うんですが、大臣は、こういうことに対する大臣の認識と対策、どんなことを考えられるか、見解を伺いたいと思います。
  120. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今お話のありました城郭を含む国宝、重要文化財など、文化財建造物の保存修理においては、今御紹介いただきましたように、高度な専門的調査ですとか特殊な技法による再現、修復を要するということで、文化財保存のために欠くことのできない建造物木工、本瓦及び左官、これしっくい塗り等の伝統的技術者、技能者による施工、これが不可欠になってくるわけでございます。  文部科学省においては、こうした技術のうちで保存の措置を講ずる必要があるものを選定保存技術として選定するとともに、その保持者ですとか保存団体を認定して、当該保持者、保存団体が行う伝承者養成、それから技術技能の錬磨、記録の作成、こういった事業に対して国庫補助を行っておるところでございます。今後とも、こうした技術者、技能者の確保とともに、継承者養成にも積極的に努めてまいりたいと思っております。
  121. 松沢成文

    ○松沢成文君 多くの職人の皆さんに仕事がないと、どんどん減っちゃうんですね。ですから、文化財の修復だけじゃなくて、私は、文化財の復元という大きなビッグプロジェクトもやっていけば職人さんも集まってくるわけなんで、さあ、そこで、名古屋城です。  先般、伊藤委員の方からも質問がありましたけれども、名古屋城は河村市長のリーダーシップで、今、木造に完全復元しようと。古くなった鉄筋コンクリートの天守閣ではもう耐震ももたないし、一挙にここは木造で造り直そうと。  名古屋城は、昭和実測図始め、もう資料はたくさん残っていますので、完全復元が可能な最右翼のお城、天守なわけでありますけれども、さあ、ここで、困ったことに、完全復元をすると障害者や高齢者の皆さんが上に上がれなくなるわけです、昔のままの造りの城を造るわけですから。そこに対して、障害者の団体の皆さんから、もうこういう時代なのに上に上れないなんていう城は許されないということで、今対立をしているわけなんですね。  これ、文科省の方にも相談も来ていると思うんですが、今の、昭和実測図あるいは金城温古録という昔の設計図や資料に従って完全復元をした場合に、例えば、今の科学技術ですごく小型のエレベーターとかこういうもので対応すれば、柱やはりの構造を変えないで、完全復元する天守と、科学技術の力によって障害者が上に上れる、こういう技術の両立ができないものなのか、この辺りは文化庁として検討はしているんでしょうか。
  122. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 委員御指摘の名古屋城跡は特別史跡でございますので、天守閣の復元等を行う場合には、文化財保護法に基づきまして、その手続といたしまして文化庁長官の現状変更の許可が必要となるわけでございます。  この現状変更につきましては、現在、名古屋市におきまして検討中でございます。具体的な相談をまだ受けておりませんので、具体的な内容の適否についてお答えすることは控えさせていただきたいと思います。
  123. 松沢成文

    ○松沢成文君 なかなか難しいんだと思うんですね。ただ、これ、完全復元を実現するということと障害者の皆さんにも上に上れるような技術を、できればこれはもう両立するのが一番いいわけですよね。  さあ、そこで、河村市長もいろいろ努力していて、例えば超小型のエスカレーターみたいなのを開発して、急な階段を、何というか、復元の柱とかはりを傷つけずに造れないかということも名古屋市は検討しています。  それから、急な階段も昇降できる車椅子。これは難しいですけど、もう具体的に車椅子を作っている中小企業に研究させているんですね。  それから、補助ロボット。これもどういうものを具体的にイメージするか分かりませんが、補助ロボットを活用できないかとか、あるいは、障害者の皆さんを、上に上っていただくために、中に施設は造れないので、外からはしご車のような形で障害者の皆さんを上に上げて一番上まで上ってもらうとか、こんなことも考えて、あの地域の中小企業の技術を生かしてどうにかこの両立ができないかという努力をしているんですね。  ここで提案なんですけど、大臣、城郭だけ見ても、今、十二現存天守、昔からのオリジナルが残っているのは十二あるんですよ、天守閣。多分、国宝も四天守から、松山城かな、増えたんで五天守になったんですか。これ、みんな同じ問題を抱えているんです。国宝であり重文であるから、やはり中をいじくれないわけですね。障害者のための施設を、バリアフリーの機械を造れないわけなんです。  ですから、どうにか技術革新によってこれを両立させなきゃいけないと思うんですが、私は、文化庁は古いものを守る、あるいは復元する、活用するだけじゃなくて、このバリアフリーの技術革新についても、これ、文化財の活用につながるわけですから、これを研究開発するぐらいの積極姿勢があってもいいと思うんですね。これがこの問題を救う唯一の道なんですよ。そういうところに予算を付けたり事業化する、これまた財務省の主計局がすぐ認めるか分かりませんけど、そういうチャレンジがないとこの文化財の活用というのがなかなか成就できないと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  124. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 文部科学省は、車椅子等の利用者も含めて、やはり広く国民の皆様に文化財を実際に見てもらったり活用してもらうということが重要な取組であると考えております。  このため、文化財の価値に鑑みて、必要に応じてスロープの整備をするとかバリアフリーに対する整備、こうしたものに対する支援を行ってきておるところでございます。また、車椅子利用者用の案内看板の整備ですとか映像を活用した解説ビデオの作成等も支援いたしまして、より多くの人が文化財への理解を深められるような取組の支援を行っておるところでございます。  今先生おっしゃったように、新しい技術の開発については、文化財に限らず、広く公開されている施設で求められる技術であろうと、こういうふうに思いますので、我々としても今後の技術開発の進展を見守ってまいりたいと思っております。
  125. 松沢成文

    ○松沢成文君 是非とも積極的に取り組むぐらいの意欲が欲しいんですね。  次に、江戸城天守閣の復元の問題なんですが、実は江戸城も建地割図という設計図が残っておりまして、これに忠実に木造で復元できれば将来重文や国宝になれるのではないかということで、NPOを始め今財団法人もできて様々運動が進んでいるんですけれども、ただ、難しいのは、今残っている天守台が四代目の天守台なんですね。ただ、上の天守閣は造らなかったわけです、火事で焼けちゃった後。ですから、この天守台だけしか造れなかったところに意義があって、それで史跡になっているわけなんですけどね。  ただ、三代目の天守閣、これ寛永度の天守閣で家光が造った天守なんですが、この設計図は残っているわけなんです。それで、三代目と四代目はほぼ同じだったということが文献で分かっているわけなんですね。  さあ、そこで考えるのは、四代目の天守の上に三代目の天守閣を造ってしまうということは、文化財保護法上の復元ということに照らすとどんな問題点があるのかということと、もし四代目の天守台はそのまま残して、三代目の家光の造った設計図の残っている天守台と天守閣を元あった場所、三代目、四代目は同じ場所にありましたから、元あった場所から違うところに造っちゃった場合には、これは文化財保護法上の復元というふうにみなされるのは難しいとは思うんですが、この辺りの問題点は文化庁はいかがお考えでしょうか。
  126. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 松沢先生からこの江戸城の天守閣の復元については過去も様々な御指摘をいただいております。  御提案の江戸城の天守閣復元を実現するためには、歴史的建造物の復元は所有、管理する自治体が行うのが通例だが、この場合、誰が実施主体となるのか、建築資金をどう確保するのか、当時の建築様式で建造する際の耐震等の問題や遺構保存への影響、皇室用財産の使用に係る問題といった様々な課題があると承知しております。  また、文化財保護法等の関係におきましては、江戸城跡が特別史跡でございますので、天守閣の復元を行う場合には文化庁長官の現状変更の許可が必要となりますが、天守台の所有者である宮内庁の同意が前提となることに加えまして、先ほど史実の関係との整合性の話がございますが、現在の天守台は実在した天守閣のための台よりも大きく造られておりまして、歴史的事実との関係をどのように整理するのか、天守閣が実際は再建されなかったわけでございますけれども、それをどう考えるのか、復元した場合に基礎の設置など、遺構を損傷せずに建設ができるかといった課題があると認識しております。  文部科学省といたしましては、歴史的建造物の復元を目指す取組につきまして、引き続き専門的知見を生かした技術的指導、助言を行ってまいりたいと考えております。  また、委員からは、江戸城四代目天守を現状のまま保存するために……(発言する者あり)天守台をです、天守台を現状のまま保存するために、新たに三代目天守の天守台と天守閣を近隣の他の場所に復元した場合どうなのかということでございますが、今は失われました歴史的建造物等の復元展示を行うに当たりましては、その価値を次世代に確実に伝えなきゃいけないという観点で、往時の規模、構造、形式で原位置に、原位置に再現することが重要であると考えております。このため、史跡近隣の他の場所に設置することは、江戸城天守の価値を確実に伝えるために適当ではないと考えられることに加えまして、天守台が二つ併存する状態となることから見学者に誤解を与えるというような懸念もございます。  また、四代目の天守台の所在する皇居東御苑は、江戸時代までは天守台のほかに本丸御殿とか大奥があった場所でございます。これらの地下遺構があると考えられますので、三代目天守を近隣の場所に復元するといたしましても、地下遺構の保存というのが必要というふうに考えております。
  127. 松沢成文

    ○松沢成文君 ここからが面白い質問だったんですが、時間が来てしまいましたので、また次やらせていただきますので、ひとつよろしくお願いします。  ありがとうございました。
  128. 高階恵美子

    ○委員長(高階恵美子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  129. 吉良よし子

    ○吉良よし子君 日本共産党を代表して、文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  反対する第一の理由は、本改正案が文化財保護法の理念を大きくゆがめるものだからです。  我が国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできない文化財を保護し、その上で国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献するための活用をと制定されたのが文化財保護法です。  しかし、安倍政権は、文化財を観光資源として位置付け、稼ぐ文化として活用を進めるとし、本改正案でその制度的な枠組みを整備しようとするものです。文化財の保護、保存よりも観光資源として利益を追求すれば、短期的かつ金銭的な利益を生む稼ぐ文化以外の文化財は切り捨てられてしまう危険性があり、それを容認することはできません。  反対する第二の理由は、本改正案が地域の文化財保護、保存を担ってきた自治体の仕組みを壊すものだからです。  自治体における文化財の保護、保存は、教育委員会が所管しています。それは、文化財の保護、保存には専門的、技術的な判断、継続的な保護、保存の取組、地域の開発行為との均衡、学校教育や社会教育との連携などが必要で、開発行為を行う首長から独立している教育委員会でそれらを担保することが求められているからです。  しかし、本改正案では、地教行法を改正し、文化財の保護、保存を首長部局に移管させることを可能にします。この場合、設置するという地方文化財保護審議会についても、その人事は首長部局が決めるとされている。これでどうやって開発行為と文化財保護との均衡を公正に保つのか。それが担保できない下でのこの改正を認めることはできません。  最後に、かけがえのない公共財産である文化財を保護、保存し未来へ継承していく上で、学芸員など専門職員の配置を始めとする体制の整備、そして保存、修復などに必要な予算の確保こそ緊急に求められている課題であるということを申し上げて、討論といたします。
  130. 高階恵美子

    ○委員長(高階恵美子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  131. 高階恵美子

    ○委員長(高階恵美子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、大島九州男君から発言を求められておりますので、これを許します。大島九州男君。
  132. 大島九州男

    ○大島九州男君 私は、ただいま可決されました文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・こころ、公明党、国民民主党・新緑風会、立憲民主党・民友会、日本維新の会、希望の会(自由・社民)及び希望の党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一、文化財保護行政においては、文化財の保存と活用の双方が共に重要な柱であり、文化財の次世代への継承という目的を達成する上で不可欠になることを踏まえ、国及び地方公共団体は、文化財に係る施策を推進するに当たっては、保存と活用の均衡がとれたものとなるよう、十分に留意すること。  二、文化財の保存及び活用が適切に行われるためには、文化財に係る専門的知見を有する人材の育成及び配置が重要であることを踏まえ、専門人材の育成及び配置について、国及び地方公共団体がより積極的な取組を行うこと。  三、文化財の確実な継承のためには、適切な周期による修理及び修理に必要な原材料・用具の確保が必要であることを踏まえ、国及び地方公共団体は、文化財継承のための十分な支援を行うこと。また、文化財の修理においては、国が必要な予算を安定的に確保し、計画的な修理の実施が行われるよう努めること。  四、重要文化財等の保存活用計画のうち、文化庁長官の認定を受けたものに認められる「美術工芸品に係る相続税の納税猶予の特例」については、美術工芸品の一般公開を目的とせずに節税等の目的で濫用されることがないよう、運用に十分に留意すること。  五、本法律案による罰則の見直しについて、文化財の毀損等の行為に対して被害の現状に応じた実効性のある抑止力が整備されるよう、十分に周知徹底をするとともに、文化財保護法における罰則の在り方等について、不断の検討を行うこと。  六、地方公共団体の長が文化財の保護に関する事務を担当する場合に当たっては、文化財の本質的な価値が毀損されないよう十分に留意するとともに、地方文化財保護審議会の役割の明確化及び機能強化、文化財保存活用地域計画の作成並びに文化財保護法第百八十三条の九に規定する協議会の設置が図られるよう、国の指針等においてその方向性を示すこと。  七、文化財保護の推進は我が国の観光基盤の拡充等に資することに鑑み、国際観光旅客税法(平成三十年法律第十六号)により創設される「国際観光旅客税」について、文化財を保存しつつ活用する取組の財源としても活用できるよう検討を行うなど、文化財保護の財源の更なる拡充に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  133. 高階恵美子

    ○委員長(高階恵美子君) ただいま大島君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  134. 高階恵美子

    ○委員長(高階恵美子君) 多数と認めます。よって、大島君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、林文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林文部科学大臣。
  135. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
  136. 高階恵美子

    ○委員長(高階恵美子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 高階恵美子

    ○委員長(高階恵美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会