○山添拓君
日本共産党を代表し、
国際観光旅客税法案について質問します。
法案に先立ち、森友問題について伺います。
証人喚問で佐川前理財局長は、疑惑の核心を一切語らず、
刑事訴追のおそれと関係のないことまで証言を拒否し、一方で、安倍首相や安倍昭恵氏、官邸については、関与も影響もなかったと、根拠も示さず繰り返し断言しました。
佐川氏は、国有地売却の交渉当事者ではなく、前任の迫田氏からは引継ぎを受けなかったと証言しています。ならば、迫田氏に
国会で説明させるべきではありませんか。
財務大臣の答弁を求めます。
読売新聞の世論調査で、佐川氏の説明に納得できないが七五%に上りました。首相官邸前の抗議行動に初めて
参加したある男性は、この問題が長引いている責任は政府にあると怒りを示しています。これが多くの
国民の率直な思いではないでしょうか。
特例扱いで
土地の貸付け、売却を認めた決裁文書を、いつ、誰が、誰の指示で、何のために
改ざんしたのか。
財務省は、
改ざん問題が報じられて一月がたつにもかかわらず、こうした疑問に全く答えていません。十四もの決裁文書で
改ざんがあったことは動かぬ事実です。僅か一年前のことです。なぜいまだに
改ざんの経緯や理由を一切明らかにできないのですか。そのこと自体、
財務大臣の重大な責任ではありませんか。
麻生
大臣は、先日、森友の方がTPPより大事かとの暴言を吐きました。
改ざん文書を
国会に提出、虚偽答弁を重ね、
国政調査権をじゅうりんし、
国民と
国会を欺き続けてきた、
国民主権と
議会制民主主義という
憲法の
基本原理を根幹から揺るがす歴史的犯罪を起こした事態の重さをどう受け止めているのですか。改めて反省と謝罪を求めます。
そもそも、なぜ
国民の財産である国有地がただ同然で森友学園に売却されたのか。
佐川氏は、不
動産鑑定に掛けた価格であるから適正だと述べました。
大阪航空局が行った、ごみの撤去費用の見積りを前提とした鑑定です。ところが、その見積りは今やあらゆる面で根拠を失っています。
近畿
財務局と
大阪航空局が同席する場で口裏合わせでごみを捏造した事実が、音声
データによって明らかです。調査を行った業者も、国や学園に求められ虚偽の報告をしたと証言しています。
航空局がごみの深さを示す証拠だという
写真も、目盛りすら読めない代物です。そのため、
航空局の見積りは、十分な根拠が見出せず慎重な調査検討を欠いていたと、会計検査院から指摘されるに至っています。
国交省は、ごみの撤去費用の見積りが正しかったのかどうか、なぜ自ら調査しようとしないのですか。この問題がいまだに解明されないのは、調査、検証をかたくなに拒否する国交
大臣の責任ではありませんか。答弁を求めます。
政府・与党からは、
政治家らの関与について、疑いが晴れた、首相夫人が関与していないことがはっきりしたなどと
国民の
意識と懸け離れた発言も聞かれますが、これで幕引きなど到底許されないことを強く主張した上で、法案について質問いたします。
国際観光旅客税は、観光先進国の実現に向けた整備のための財源確保を目的とするといいます。
日本の文化や歴史、自然などの魅力が広がり、訪れる
外国人が増えることは歓迎すべきであり、何度でも訪れたいと思うような魅力を広げる努力も必要です。問題は、現在進められている施策が本来求められる観光政策の理念に即していると言えるのか、新税は本当に必要なのかという点です。
安倍政権は、訪日
外国人客を二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人へと目標を掲げ、観光を
成長戦略の柱の一つに位置付けました。その中身は、もうけ本位の観光ビジョンであり、大規模開発と
規制緩和で、住民生活への配慮なく受入れ体制をひたすら拡充しようというものです。
文化財も保護よりもうけを優先する活用を推進し、文化的、歴史的価値を損ない、中長期的に見れば観光資源を失うおそれさえあります。
首都圏空港の
国際線を増便するため、二〇二〇年までに羽田、成田で合計八万回の発着枠を拡大するといいます。都心上空の低空飛行ルート、夜間飛行
制限の更なる緩和や新滑走路の
建設により、周辺住民に、騒音や落下物、事故の
危険など、新たな負担をもたらすことをどう考えるのですか。住民や
自治体から懸念や反対の声が多数上がっている事実をどう認識しているのですか。
さらに、六月からは民泊まで解禁するといいます。管理人が常駐せず、管理体制もない密室で、殺人事件や麻薬密売の隠れ家に利用されたというニュースが相次いでいます。京都市の民泊通報・相談窓口には悲鳴のような苦情が押し寄せ、一
自治体では対応できない状態だといいます。
違法民泊の指導や取締りもままならず、住環境の悪化や火災の
危険など、既に住民生活が脅かされています。見切り発車で民泊解禁など、やめるべきではありませんか。
観光立国推進基本法に定める観光の
基本理念は、住んでよし、訪れてよしの観光まちづくりです。もうけ優先で大規模開発や
規制緩和を推し進め、
地域住民が不安や迷惑を感じ、住み続けられなくなるようでは、観光客にとっても魅力が失われてしまいます。住んでよしでこその訪れてよしだと考えますが、政府はこの立場を投げ捨てたのですか。
以上、国交
大臣に答弁を求めます。
本法案による新税は、国税としては二十七年ぶりのものです。本来なら、十分な意見集約と議論の上で提案されるべきものです。なぜこれほど拙速に導入を進めるのですか。しかも、新税は、政府自身が無駄遣いの温床になるとしてきた特定財源とされます。なぜ特定財源にしなければならないのか、
財務大臣、明確にお答えください。
特定財源による新税の導入を急ぐのは、使い勝手の良い財源を安易につくろうとするからにほかなりません。この間、観光振興の名目で大型開発絡みの予算が増大してきました。新税も、結局、従来型の
公共事業を拡大するために使われるのではありませんか。
昨日の
国土交通委員会での私の質問に、
大臣は、新税がカジノを含むIRの整備に使われる可能性を否定しませんでした。世論調査では、カジノ解禁反対という
国民の声が六割、七割に達しています。それは、賭博が
刑法で禁じられた犯罪であり、
ギャンブル依存症を蔓延させ、青少年にも悪影響を及ぼすからです。
改めて伺います。賭博場のために新税を使うというのですか。国交
大臣、明確にお答えください。
なお、出国時に課税するやり方は、
国際連帯税の一方式として長年にわたり検討されてきました。
国際連帯税は、その財源を温暖化や飢餓、
感染症など、
地球規模の課題の対策に充てようというもので、超党派の
国会議員と市民
団体の間で議論が重ねられてきました。今回の新税は、その課税方式だけをこそくにも借用し、
国際連帯税の崇高な目的をないがしろにしようとするものであり、多くの市民から怒りの声が上がっています。
財務大臣、この声にどう応えますか。
もうけ本位のゆがんだ観光
戦略のために拙速な議論で安易に新税を創設しようとするなど、何重にも誤りを重ねるものです。
日本の文化や自然を大切にし、住む人も訪れる人も気持ちよく過ごせる観光政策への転換を求めて、質問を終わります。(拍手)
〔
国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕