運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2017-03-09 第193回国会 参議院 法務委員会 2号 公式Web版

  1. 平成二十九年三月九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         秋野 公造君     理 事                 西田 昌司君                 山下 雄平君                 真山 勇一君                佐々木さやか君     委 員                 猪口 邦子君                 古川 俊治君                 牧野たかお君                 元榮太一郎君                 柳本 卓治君                 有田 芳生君                 小川 敏夫君                 仁比 聡平君                 東   徹君                 糸数 慶子君                 山口 和之君    国務大臣        法務大臣     金田 勝年君    副大臣        法務副大臣    盛山 正仁君    大臣政務官        法務大臣政務官  井野 俊郎君        財務大臣政務官  杉  久武君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局家庭局長   村田 斉志君    事務局側        常任委員会専門        員        青木勢津子君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      白川 靖浩君        警察庁刑事局長  吉田 尚正君        総務省自治行政        局長       安田  充君        法務大臣官房審        議官       高嶋 智光君        法務大臣官房司        法法制部長    小山 太士君        法務省民事局長  小川 秀樹君        法務省刑事局長  林  眞琴君        法務省矯正局長  富山  聡君        法務省保護局長  畝本 直美君        法務省人権擁護        局長       萩本  修君        法務省訟務局長  定塚  誠君        法務省入国管理        局長       和田 雅樹君        外務大臣官房審        議官       水嶋 光一君        厚生労働大臣官        房審議官     中井川 誠君        農林水産省農村        振興局次長    室本 隆司君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○法務及び司法行政等に関する調査  (法務行政基本方針に関する件)     ─────────────
  2. 秋野公造

    ○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房特定複合観光施設区域整備推進本部設立準備室内閣審議官中川真君外十五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 秋野公造

    ○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 秋野公造

    ○委員長(秋野公造君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 山下雄平

    ○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。今国会でも、またこの委員会で質問を、機会をいただきましてありがとうございます。  それでは、早速、質問に移らせていただきたいと思います。  大臣所信に対する質疑ということで、まず金田大臣が所信表明で、東日本大震災に関連して、土地、建物の相続登記の促進策についても積極的に取り組んできたというふうにおっしゃいました。これは、被災地の復興のために、土地の権利が複雑だったり、そもそもこれは誰の土地か分からないといった例がかなり多数に上るということで、これが復興の妨げになってきたということの背景があるんだろうと思います。  ただ、この問題というのは被災地だけの問題ではありません。そもそも相続登記がきちんとされなかったり、財産放棄された土地がスムーズに国有地に編入されていなかったりとか、そもそもその土地が誰のものか分からなくなってしまっているということが、日本全国、特に地方部では多数あります。今後、少子高齢化、地方の人口減少が進む中で、こうした問題というのは増えていくんだろうと私は考えております。これは、土地の有効利用を妨げるだけではなくて、空き家の増加につながるというふうに私は考えています。  未登記の土地の改善に向けて、法務省は法定相続人の証明書の発行など、相続登記の円滑化に向けて施策は打っていらっしゃいますけれども、相続登記を促すような制度だったりインセンティブを与えるような制度はつくっていらっしゃらないというふうに私は認識しております。  法務省として、未登記の土地の問題についてどのように捉えて、どのように対策を打っていこうと考えていらっしゃるのか、大臣のお考えをお聞かせください。
  6. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 山下委員の御質問にお答えをいたしたいと思います。  近時、いわゆる所有者不明土地問題あるいは空き家問題が大きな社会問題として取り上げられております。そういう中、これらの問題の要因の一つといたしまして、相続登記が未了のまま放置されているということが指摘されているわけであります。法務省といたしましても、これらの問題の拡大を防ぐということは非常に重要でありまして、相続登記を促進することが重要であると認識をしておる次第であります。  昨年の六月二日でございましたが、閣議決定されておりますいわゆる骨太の方針におきましても相続登記の促進に取り組むことが明記されまして、政府の方針として示されているところであります。そして、その具体的方策としまして四つ努力をしようと、このように考えているわけであります。  具体的な方策の一つ目は、相続登記の必要性についてまず理解が進むように、平成二十七年の二月から相続登記の促進に関する記事を法務省のホームページに掲載をいたしまして、広報を開始をいたしております。  そして、二つ目には、昨年の五月に法務省において関係資格者団体と共同してリーフレットを作成いたしまして、市区町村の窓口へ備え付けるほか、各地の法務局におきましては相続登記を促すポスターを掲示をするというふうにいたしております。  三つ目には、以上のような広報活動に加えまして、昨年三月には相続登記の添付書面に関する通達の一部見直しを行いまして、手続を簡素化する、そして申請手続の負担を軽減するということを開始いたしております。  そしてまた、四つ目なんですが、一つには相続人の相続手続、これにおきます手続的な負担軽減を図る、そしてまた、新たな制度を利用する相続人に対します相続登記の直接的な促しのきっかけといいますか契機を創出するという、そういう趣旨で、新たな制度として法定相続情報証明制度の創設を準備をいたしているところであります。  以上のような四点を核として、法務省としては、こうした各種取組を通じることによって、関係省庁とも連携をしながら、引き続き相続登記の促進に向けて取り組んでいきたいと、このように考えている次第であります。
  7. 山下雄平

    ○山下雄平君 所有者が分からなかったり、そもそも相続人が存在しなかったりする土地について、家庭裁判所に申し立てて財産管理人を選任して、最終的に国有地に編入されるという制度があります。  もちろん、誰も使っていなくて誰も住んでいない不動産について国有地に入っていく、国庫に入っていくというのは至極当然だと思うんですけれども、財産放棄など相続人がいなくなった土地、建物が国に引き継がれた件数という、直近の数字を教えていただけますでしょうか。お願いします。
  8. 杉久武

    ○大臣政務官(杉久武君) お答えいたします。  今、山下委員御指摘の相続財産管理制度に基づきまして国庫に帰属した土地、建物については、財務省財務局において引き受け、適切に管理、処分を行っているところでございます。  土地、建物の状態で国庫帰属した件数につきましては、平成二十七年度に土地で三十七件、建物で二件となっております。  以上です。
  9. 山下雄平

    ○山下雄平君 三十七件と二件、全国的に問題になっている中でこの数しかないというのは非常に少ないなという印象なんですけれども、では、売却されて現金化されて国庫に入れられた件数というのはどのぐらいあるんでしょうか。また、財務省として、財産管理人に現金化して国庫に入れてくださいというふうに指導されているんでしょうか、お聞かせください。
  10. 杉久武

    ○大臣政務官(杉久武君) まず、売却して現金化した件につきましては、相続財産であります不動産の売却及び現金の国庫帰属につきましては、これは裁判所の監督下で手続が進められているところであり、国庫帰属した土地、建物と異なりまして財務省財務局が所掌するものではありませんので、お尋ねの件数については財務省としては承知をしておりません。  また、続いて、現金化して国庫に入れるように指導しているのかというお尋ねでございますけれども、家庭裁判所の許可を得て相続財産管理人が自発的に相続不動産を売却するケースも多くあると聞いております。相続財産管理人から財務局に事前に御相談があった場合には、例えば隣地の土地所有者への不動産の売却を助言するなど、個々の不動産の状況を踏まえ対応しております。  このように、財務局においては、相続財産管理人からの御相談には個々の不動産の状況に応じて対応しており、画一的に現金化について指導していることはございません。  以上です。
  11. 山下雄平

    ○山下雄平君 画一的ではないかもしれないですけれども、やはりいろいろ話を聞いていると、現金化した方がいいんじゃないかとか現金化してほしいという話を受けたという例も聞いたことがございます。もし現金化をという話になっても、地方部は土地を売ろうと思ってもなかなか売れるという状況にはないと思います。  なので、そうした中で、この制度の中で宙ぶらりんになっている案件も少なくないんじゃないかなというふうに私は考えるんですけれども、この相続財産管理制度の資料を見ても、財産管理人が選定されて、そして国庫まで引き継がれるまでどのぐらいの期間だということが定められていなかったんですけれども、大体、この制度を使って国庫に引き継がれるまでの平均的な期間がどのぐらいあるのか、また、かなり長く掛かっているという案件については大体このような例があるというふうに具体的に示していただけませんでしょうか。
  12. 村田斉志

    ○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。  委員から御質問いただきました事項につきましては、いずれも最高裁判所事務総局において調査をしておりませんので、そのような統計については持ち合わせておりません。  なお、御指摘のとおり、相続財産管理事件の中には不動産の売却等に時間を要している事件もあるものというふうには承知をしておりますが、各家庭裁判所におきましては、相続財産管理人から定期的に報告を受けるなどして財産管理事務の進捗状況を把握しているものとは認識しております。  ですので、いたずらに財産管理期間が長期化することのないようには努めているものと承知をしております。
  13. 山下雄平

    ○山下雄平君 今のところ、政府としてどのぐらい掛かっているのかというのを、実態を把握されている役所がないという状況にあります。今、国庫に編入されている数が三十七件と二件しかないということを考えると、一つの問題としては非常に長く掛かっているかもしれないという問題があります。  また、家庭裁判所に申し立てるときに予納金というものを、お金を払わなくちゃいけないということで、それが高いからやっぱりなかなかちゅうちょしてしまうという問題があろうかと思います。  また、この制度というのは、申し立てて国に編入することができるという制度なので、別にそれを促す制度ではないので、そもそも申立てに行っていないということで止まっていってしまっているということもあろうかと思っております。  この土地の所有者の不明の問題については非常に大きな問題があって、一つには、これを一義的に所管している役所がないということも大きな問題だろうと思っております。すぐに全てを解決できるわけではないですけれども、非常に重要な問題なので、一つずつ解決、改善に向けて努力していただきたいと思いますし、また、この問題に関しては、例えば財産管理人になられる弁護士さんだったりとか司法書士さんだったりとか、現場のことをよく事情を把握されている法律の専門家もいらっしゃると思うので、そうした方の力を借りながら問題の改善に努めていただければと思いますし、また、地方においては、一時よりは改善されたと思いますが、司法過疎という問題もございます。  やはりこうした問題というのは地方で今後増えていくので、司法過疎の問題というのは我々田舎の出身としては非常に大きな問題であり続けております。  この司法過疎の改善のために司法書士による簡易裁判所の訴訟代理権が設けられているというふうにも認識しておりますけれども、その利用の推移について実態を教えていただけますでしょうか。
  14. 小川秀樹

    ○政府参考人(小川秀樹君) 今御指摘いただきました司法書士の簡易裁判所における訴訟代理権は、まさに国民の司法サービスへのアクセスを確保し、国民の権利擁護を十分にすることなどを目的といたしまして、規制改革推進三か年計画あるいは司法制度改革審議会の意見書に基づいて付与されたものでございます。  この司法書士の簡易裁判所における訴訟代理権の制度は平成十五年四月に始められておりますが、その翌年の平成十六年に司法書士が関与した簡易裁判所における第一審通常訴訟の既済事件は一万七百三十七件でございましたが、平成十七年には一万九千二百五件に増加し、その後、過払い金返還請求訴訟事件が増加したこともございまして、平成二十二年には十三万二千二百六十二件となっております。しかし、その後は過払い金返還請求訴訟事件のピークが越えたことなどの影響もございまして、平成二十三年以降は減少しております。  現在、平成二十七年で数字を取ってみますと、二万九千六百六十八件というのが現状でございます。
  15. 山下雄平

    ○山下雄平君 二万件以上利用されているということですけれども、この制度の今日的な意義について法務省としてどのように評価していらっしゃるでしょうか、考えをお聞かせください。
  16. 盛山正仁

    ○副大臣(盛山正仁君) 今し方、小川民事局長の方からお答え申し上げましたけれども、司法書士に簡易裁判所における訴訟代理権を付与いたしましたのは、国民の司法サービスへのアクセスを確保し、国民の権利擁護を十分にすることなどを目的としたものであります。  そして、先ほども御説明ありましたが、平成二十八年の四月現在、全国に四百三十八簡易裁判所がございますけれども、そのうち訴訟代理権を有している司法書士は四百三十二か所に存在しております。つまり、約九九%のところに司法書士が代理行為をしているということになります。  直近の統計であります平成二十七年においても、三万件程度の第一審通常訴訟既済事件を取り扱っておりますので、こうした実績に鑑みますと、国民の司法サービスへのアクセスを確保し、国民の権利擁護を十分にするという司法書士による簡易裁判所の訴訟代理権の目的は十分果たしているところであり、今日においてもその意義は大変大きいと我々は考えているところでございます。
  17. 山下雄平

    ○山下雄平君 続きまして、大臣所信で大臣が触れられました介護における外国人技能実習制度について取り上げたいと思いますけれども、去年の臨時国会で法律が成立いたしました。  大臣は所信の中で、法律の趣旨を踏まえて適正な運用及び円滑な施行に向けて必要な準備を進めていくというふうにおっしゃいました。さきの国会で私も質問をさせていただきまして、技能実習の中で初めての対人サービスということで、日本語の能力について不安の声があるという話をさせていただきました。大臣からは、介護特有の要件を課すことを予定していて、介護の質の低下などの問題は生じないというふうにお話しされました。  この介護特有の要件の一つが、日本語の能力だと思います。外国人の方が介護の技能実習で入国される場合、日本語の能力がN4程度、そして一年目を修了したときにはN3程度というふうに要件を課すというふうに聞いております。本当であれば、時間があれば、このN4程度、N3程度ということの意味についても役所の方からお聞かせいただきたかったんですけれども、時間の関係もあるのでそこは省略したいと思うんですけれども、N4、N3と同等の日本語の能力だという意味だというふうに私も考えておりますけれども、では、N4程度、N3程度といった能力は具体的にどのような試験で測るんでしょうか。  また、実習生の日本語能力を測る試験として何を認めるか、これをどこで定めるんでしょうか。省令なのでしょうか。これについては、やはり新たに定められるものが非常に中立的じゃないものが採用されるんじゃないかとか、例えば、日本語を教えている学校がそのままそこで試験してしまうんじゃないかとか、客観的な指標になるのかといった不安の声もあるので、是非考えをお聞かせください。
  18. 中井川誠

    ○政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。  日本語能力試験のほか、これがN3、N4でございますけれども、それ以外に同試験との対応関係が明確な日本語能力を評価する試験として、例えばJ.TEST、実用日本語検定、それから日本語NAT―TESTが現在考えられているところでございます。具体的に用いる試験につきましては、今後具体的に更に検討を進めてまいりたいと考えております。  それから、お尋ねの二点目、法令との関係でございますが、介護の技能実習生に求める日本語能力要件につきましては、技能実習法の主務省令に基づきまして、介護の事業所管大臣である厚生労働大臣告示において、例えば、これはまだ案になっていませんけれども、日本語能力試験その他これに相当するものというような内容を規定して、その他これに相当するものにつきましては大臣告示の運用解釈通知においてお示ししたい、このように考えております。
  19. 山下雄平

    ○山下雄平君 今回、その介護の分野で受け入れた技能実習生の日本語能力のレベルの到達に向けて、受入れ企業、団体、受入れ機関がどのような取組をするように求めるのか、また制度としてそれをどのように担保していこうと考えていらっしゃるのか、考えをお聞かせください。
  20. 中井川誠

    ○政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。  技能実習制度につきましては、原則三年を掛けて段階的に技能を移転するものでございまして、技能実習生が一年経過後に日本語能力要件を満たさず帰国を余儀なくされることがないよう、実習実施機関におかれましても、技能実習生の日本語能力の向上のための取組を実施していただくことが重要であると認識しているところでございます。  このため、実習実施機関における日本語学習につきまして、技能実習計画書に日本語学習を盛り込むことで実習生の継続的な日本語学習の実効性を担保することとしているところでございます。  さらに、技能実習生の日本語学習が効果的に行われるよう、実習実施機関で行う日本語学習における標準的なプログラムの策定、介護用語の共通テキストや実習実施機関における日本語学習指導者向けの手引の作成などにより、実習実施機関における実習生の日本語学習を支援してまいりたい、かように考えております。
  21. 山下雄平

    ○山下雄平君 実習計画に日本語の学習計画も盛り込むということでしたけれども、関係者の中には土日や夜間の勉強だけというのはなかなか厳しいんじゃないかと、勤務時間にもこの学習計画に盛り込まれたものには対応するようにという声も上がっておりますけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。
  22. 中井川誠

    ○政府参考人(中井川誠君) 技能実習計画に盛り込む日本語学習といたしましては、例えば介護の現場で実践で必要な会話、例えば申し送りの書き方でございますとか声の掛け方等の介護現場での業務に必要となる日本語学習であれば、勤務時間中に実習として実施していただくことは可能であると考えております。  ただ、制度の趣旨から申し上げますと、先ほど先生もおっしゃったように、介護業務とは全く独立した日本語学習のみを技能実習計画に記載するということは想定されておらず、これは勤務時間外に実施していただかざるを得ないということになります。  ただ、実習実施機関が実習生に必要な配慮などをしていただいた上で勤務時間外に日本語学習を実施していただくことなどの対応を含めまして、実習実施機関の判断によって個々の実習生の状況に応じて必要な工夫をしていただきたいと、かように考えておるところでございまして、これにつきましては、また関係者の御意見を聞きながら具体的な内容を検討してまいりたい、かように考えております。
  23. 山下雄平

    ○山下雄平君 さらに、その受入れの企業や法人に対して監理団体がまた責任を持って日本語の能力がどのように向上しているのかというのをチェックしていかれるんだというふうにも思っております。  本当はその監理団体の意義についてもお聞かせいただきたかったんですけれども、監理団体が日本語能力をチェックするに当たって、私なんかも感じるのは、日本語能力を、この前この委員会で視察したときに、外国人の方がどのぐらい日本語の能力があるかというのを私に判断しろと言われてもなかなか難しいなというふうに感じました。  監理団体の中にやはり日本語教育の専門家を入れるべきではないかというような指摘もありますけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。
  24. 中井川誠

    ○政府参考人(中井川誠君) 先生御指摘のとおり、監理団体は実習生の日本語能力の向上に関して非常に大きな役割を果たすものというふうに考えております。  このため、先生御指摘のとおり、監理団体に日本語教育の専門家を入れるということは大変重要な視点であるというふうに考えておりますので、監理団体に日本語教育の専門家を配置し、実習実施機関に対する定期巡回ですとか相談を行うことを推奨する等の対応について検討してまいりたいと考えております。
  25. 山下雄平

    ○山下雄平君 また、この制度をつくったのはそもそも政府なので、日本語能力の向上について政府も責任が大きくあると思います。  いろいろお聞かせいただいている中で、政府としても、e―ラーニングのアプリなんかを作ってパソコンや携帯電話で使えるようにするとか、介護特有の用語集を政府としても作ろうというふうに考えていらっしゃるという話もお聞きしました。  ただ、外国人の方が、日本語しか書いていない用語集だったりe―ラーニングのシステムを使っても、なかなかそれは理解できないんじゃないかというふうにも考えますけれども、政府が考えていらっしゃるそのe―ラーニングだったり介護の用語集というのは、ほかの現地の言葉も付記されたり翻訳されたりすることを考えていらっしゃるんでしょうか。また、何か国語ぐらいでそれに対応するというふうに考えていらっしゃるんでしょうか、お聞かせください。
  26. 中井川誠

    ○政府参考人(中井川誠君) e―ラーニングにつきましては、日本語能力試験N4程度の取得者を対象に日本語の理解を問う練習問題、テストに日本語で解答するものでございますので、基本的には外国語を付記することは想定しておりませんが、先生の御指摘の御懸念もございますので、外国語の付記により学習効率を高めると考えられる部分につきましては、付記できるかどうか検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、あと、何か国語かということでございますが、介護の日本語テキスト、これ介護の用語集のようなものでございますが、につきましては、介護現場で必要な用語を日本語で覚えるテキストでございますので、外国語を付記する予定でございます。  何か国語にするかにつきましては、今後入国する実習生数等を参考にしながら今後検討してまいりたいと考えております。
  27. 山下雄平

    ○山下雄平君 是非、非常に重要なことなので、対応をお願いしたいというふうにも思います。  すごくマイナス思考でネガティブなことばかり言って本当に申し訳ないんですけれども、やはりそういった懸念があるということを是非受け止めていただければと思いますし、また、もう一つネガティブな話をさせていただくと、かなり一年でN3まで上がるのは難しいという懸念の声もあります。今の制度のままだと、N3一年で到達しなかったら多分母国に帰っていただかなければいけないと思うんですけれども、大量にもし一年後にそういう事態になったら政府としてこれは大問題だ、国際問題になるというふうにも多分判断しなくちゃいけないことが、ないことがいいと思いますけれども、仮になった場合、現行法のままでは一年たったらもう強制的に全員帰らなければならないのか。例えば、政策判断として、しばらく日本にいてもらって勉強してもらって、そしてまた、一年目を修了した後の二年目のコースに後から入ってもらえるみたいなことを法改正をしなければできないのかどうかということについて考えをお聞かせください。
  28. 和田雅樹

    ○政府参考人(和田雅樹君) 質問にお答えいたします。  ただいまの件でございますけれども、運用開始後に見直しが必要になった場合にどうするかということのお尋ねだと思います。  運用開始後に介護の技能実習の要件について改めるという形でございます場合には、新たな技能実習制度では法務省及び厚生労働省が共同で制定する主務省令で技能実習計画の認定基準等の具体的な内容を定めることとなっており、特定の職種及び作業についての特有の事情に鑑みたいわゆる上乗せ基準などを定める必要がある場合には、事業所管大臣が主務大臣と協議の上、告示でこれを定めることができるという仕組みになっております。したがいまして、介護の技能実習につきまして日本語能力の要件を定めるということにつきましては、事業所管大臣の告示であります厚生労働大臣の告示で定めることとなります。  したがいまして、御質問の運用開始後の見直しが必要になった場合ということにつきましては、介護の技能実習の固有の要件を定めた告示の内容を改めるという形で、法改正を行わないでの告示改正という形での対応ということも可能かと承知しているところでございます。
  29. 山下雄平

    ○山下雄平君 ありがとうございました。よく分かりました。  では、最後のテーマに移らせていただきます。  大臣が所信でおっしゃられました、国の利害に関係する訴訟に対する指揮権限をより適切かつ効果的に行使するというふうにおっしゃいました。この最たる例が、この委員会で私が累次取り上げています諫早湾干拓の開門訴訟ではないかというふうに思っております。何度もここで取り上げておりますけれども、相反する、開門しろ、開門するなという訴訟が並び立つ非常に難しい案件でございますけれども、現在、長崎地裁で和解協議が行われております。  一昨日、和解協議において、開門に代わる基金案と、また開門を含めた議論を並行して行うという長崎地裁の提案に対して、開門派の漁業者の方々が受け入れるというような意見書を提出されました。これをどのように評価されますか。また、一刻も早く法的な結論を出すために法務大臣としてどのような姿勢で臨まれるのか、考えをお聞かせください。
  30. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) ただいま山下委員から御指摘のございました諫早湾干拓開門問題に関します御質問でございますが、和解協議の当事者である国としては、和解協議に関わる他の訴訟関係者の意見等については何らかの評価を申し上げることは差し控えたいと思っております。  その上で、御指摘のとおり、諫早湾の堤防の開門問題をめぐりましては裁判所の相反する判断が存在すると。そのような中で、長崎地裁は開門によることなく全体の解決を図るための和解協議を勧告し、さらに、本年一月に、国が提案した有明海の漁業振興に関する基金案を前提として、より具体化した和解勧告を発出された。そして、本年一月の長崎地裁の和解勧告は、一年以上掛け、十三回もの和解協議を踏まえた上で裁判所が本件の解決の方向性を示したものとして、国としても重く受け止めておるところであります。  そこで、国としましては、諫早湾干拓事業に関します一連の訴訟全体の解決を図るため、長崎地裁の和解勧告に沿って問題の早期解決に向けて真摯に努力をしていきたいと、このように考えている次第であります。
  31. 山下雄平

    ○山下雄平君 これに関して、昨日から今日にかけて報道で、農林水産省が開門を求める漁業者を説得するための想定問答を作って漁協の幹部に示したというような報道がありますけれども、この事実関係についてお聞かせいただけますでしょうか。
  32. 室本隆司

    ○政府参考人(室本隆司君) 今委員がおっしゃったような報道があったことは承知してございますが、諫早湾干拓の開門問題につきましては複数の訴訟が現在進行中でございます。そして、長崎地裁の訴訟指揮の下、和解に向けた関係者の交渉が行われているところでございます。  このような和解協議の下での三県の漁業団体との交渉に係る内容を申し上げることは、今後の交渉に支障を及ぼすなど交渉当事者としての地位を不当に害するおそれがあり、お答えを差し控えさせていただきたい、このように思っております。
  33. 山下雄平

    ○山下雄平君 じゃ、想定問答を作ったかどうかということではなくて、開門を求める漁業者の説得について農水省が漁協の幹部とお話をしたということはございますでしょうか。
  34. 室本隆司

    ○政府参考人(室本隆司君) 漁業団体と私ども農林水産省との間におきましては、問題の解決に向けて様々なやり取りを行っているところでありますが、先ほど申し上げたとおり、和解協議の下でのこの交渉に係る内容を申し上げることは、今後の交渉に支障を及ぼすおそれがあり、回答を差し控えさせていただきたい、このように思っております。
  35. 山下雄平

    ○山下雄平君 最初、基金を提示されたときは、この開門の問題とは、訴訟の問題とは切り離してという形で漁協さんとテーブルに着いたと思うので、そういう意味でいうと、その中の漁業者の開門を求めていらっしゃる人に対してどういう対応をしたかというのは訴訟の案件とは言えないというふうにも思うんですけれども、それについてどのようにお考えでしょうか。
  36. 室本隆司

    ○政府参考人(室本隆司君) 委員御指摘のとおり、漁業団体というのは本件の訴訟当事者ではないというふうに考えております。しかしながら、長崎地方裁判所での和解協議の下で国が提案した基金におきましては、漁業団体はその管理運営等を担うということが想定されておりまして、長崎地裁から漁業団体に対し、基金の受入れの可否について現に求意見がなされたところでございます。そのような関係におきまして、漁業団体及びそこに所属する漁業者は和解協議に係る訴訟に関連を有する者というふうに考えてございます。
  37. 山下雄平

    ○山下雄平君 この報道、昨日は東京でも報道されましたけれども、地元ではかなり大きく報道されて、むしろ話題これ一色というふうにも思うので、否定された方が、そんなことやっていない、そんなの作っていないと否定された方が裁判には影響しないんじゃないかというふうにも思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
  38. 室本隆司

    ○政府参考人(室本隆司君) この和解協議の下で、これまで交渉を積み上げてまいりました。そういう意味では、私どもと漁業団体との交渉において信頼関係に基づいてこれまでやってきたということでございまして、これは繰り返しになりますが、その交渉の内容に係る部分については今後の交渉に支障を及ぼすということで、そうした事実関係の当否を含めまして回答を差し控えさせていただきたい、このように考えております。
  39. 山下雄平

    ○山下雄平君 信頼関係を継続するためには、その答弁のラインだけでずっと続けるのは特に地元では大変厳しいということを申し添えて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  40. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。  今日は所信に対する質疑ということで、私の方では大きく二つのテーマを取り上げたいと思います。  一つは、山下委員からも御質問があったんですけれども、相続登記の促進というテーマでございます。そして、後半もう一つ取り上げたいのは家事事件についてなんですけれども、中でも児童虐待の問題における裁判所の役割というテーマを取り上げたいと思っております。  まず、相続登記の推進についてでありますけれども、山下委員からもございましたので少し重なるところがあるところは御容赦をいただきたいと思いますが、私の方では法定相続情報証明制度、この制度の内容について御質問しようと思っております。  この相続登記の問題といいますのは、相続が発生をした場合に、遺産の中に不動産があった場合に、それを遺産分割ですとか法定相続分に従って相続登記をしていただくということが本来なわけですけれども、特段法律で登記が義務付けられているとかそういうわけではございませんので、そのままにしておいても実害がないといいますか、特に困らないということでそのままにしてしまっているという場合があるわけでございます。  そうしておくとどうなっていくかというと、相続人、関係者がどんどんどんどん増えていくわけですね。十年、二十年どころではなくて、例えば明治時代からそのままだったりとかいたしますと、非常に権利関係者が何十人、また百人とか増えていくと。そうなると、いざというときに、その不動産を活用をしようという場合に、その権利者、関係者を全て探し出さなきゃいけないと、その同意ですとかを取るのに非常に手間が掛かる。そういったことから、例えば公共事業、町づくりを進めていく上で問題になったりですとか、また、先ほどもお話ありましたけれども、東日本大震災の被災地で、高台移転ですとか災害公営住宅の用地確保、こういったところで非常に言わば足かせになってなかなか進まなかった原因ともなりました。  災害の関係で申し上げますと、これまでの財産管理制度の手続の迅速化ですとか土地収用制度の手続の迅速化等の措置も行ってきた結果として着実に進んでいるとは思いますけれども、今後こういった災害が発生をするということも可能性はあるわけですし、また、先ほども申し上げたように、不動産の有効活用と、また空き家の問題ですとか、そういったことからもこの相続登記の促進ということをどのように行っていくかということが、法務省としても是非力を入れて取り組んでいただきたいテーマであるというふうに思っております。  こういったことから、法定相続情報証明制度という新しい制度を今検討していらっしゃるというふうに聞いております。パブリックコメントも終わりましたので、恐らく近々この制度が始まるのではないかというふうに思っておりますけれども、まず、そもそもこの制度をつくる趣旨、それから具体的にどのような内容を検討しているのか、説明をお願いします。
  41. 小川秀樹

    ○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。  委員御指摘のとおり、相続登記が未了のまま放置されておりますことがいわゆる所有者不明土地問題などの大きな要因の一つであるとされておりまして、骨太の方針などにおいても相続登記の促進に取り組むこと、あるいは日本再興戦略などで相続登記の促進のための制度を検討するということとされております。  これを受けまして、相続人の相続手続における手続的な負担の軽減と、新たな制度を利用する相続人に対する相続登記の直接的な促しの契機をつくり出すということによりまして、今後生じる相続に係る相続登記について、これが未了のまま放置されることを防止して相続登記を促進するという観点から法定相続情報証明制度を創設することとしたものでございます。  この制度の内容でございますが、登記官が相続人からの申出とともに提出されました法定相続情報一覧図というものと戸籍関係の書類に基づく法定相続人が一致しているかどうかを確認した上で、法定相続情報一覧図の写しを作成、認証いたしまして相続人に必要な通数を交付するというものでございます。この法定相続情報一覧図の写しは、相続登記を始めとする様々な手続において、言わば戸除籍の束の代わりになるものとして利用されることを見込んでいるものでございます。
  42. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 この制度をつくる趣旨、二つあると。まずは相続登記を行う場合の手続の負担の軽減ということだったと思いますけれども、それからもう一つとしては相続登記の重要性について促す契機にしたいと、こういうことでございました。  この負担の軽減というところについては、要するに、相続登記をする若しくは相続に基づいて銀行預金の払戻しをしたり、そういった相続に伴う手続をする場合には、権利関係者の戸籍を取り寄せて、それを束にして、多い場合には何十通にもなったりしますけれども、それを提出をして手続をするわけですけれども、その戸籍の束の代わりに、今回この新しく検討していただいている法定相続情報証明制度による証明書を一枚出せばその戸籍の束の代わりになると、そういった意味で負担が軽減されるということだと思います。  様々なところでその証明書を使えるということでしたけれども、つまり、相続登記をする場合に限ってこの証明制度を使えるというわけではなくて、相続登記をする必要がない方であっても、つまり遺産の中に土地とか建物とか不動産がない方、特に相続登記をする必要がない方であっても、この法定相続証明制度を利用して申請をして戸籍の束に代わる証明書を取得して、それを銀行の預金の払戻し手続ですとかその他相続に関係する手続において使っていただけると、こういうことを予定をしているというふうに私としては説明を受けております。  ということで、今申し上げたように、相続登記をする必要がない場合でもこの制度を利用ができるので、例えば相続登記をした場合の特典としてこの証明書を利用できるとか、そういうわけではないわけであります。なので、この制度によって相続登記の促進にどういう効果があるのかと、特典というわけではないということで少し分かりにくいのではないかなと思うので、この相続登記の促進に対する効果がどのようにあるのかというところについて、もう一度御説明いただきたいと思います。
  43. 小川秀樹

    ○政府参考人(小川秀樹君) 先ほど申し上げましたように、この制度の趣旨、相続登記にとどまりませんで、相続手続全体に手続の簡素化を招くというものでございます。ただ、やはり相続登記の促進も、先ほど申し上げていますように非常に大きなテーマでございまして、それに対する一定の効果を期待しているところでございます。  とりわけ、手続の煩雑さによりまして相続手続を円滑に行うことが難しかったり、あるいは不動産を直ちに売却する必要がない場合などは相続登記がされないまま放置されてしまう傾向があると考えられます。また、昨年三月に国土交通省が公表いたしました所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策最終とりまとめにおきましても、戸籍、住民票関係の手続に来た相続人に対し、必要な相続手続の促しを行った結果、行政庁への相続関係の届出件数が増大したという、これは京都府精華町の取組でございますが、こういった事例も紹介されております。このことは、相続登記を促進するためには、手続のその負担の軽減に加えまして、相続登記の必要性についての意識を高めていただくということも重要であるということを実証するものというふうに考えております。  そこで、本制度では、先ほど申し上げましたように、各種の相続手続の際に戸籍関係書類一式を提出する手間を省力化するという部分と併せて、本制度に基づく証明書の取得のために登記所においでになった相続人の方々に対しまして、相続登記をするメリットですとか、あるいは逆に、放置することによるデメリット、こういったことを登記官が直接説明することなどを通じまして相続登記の必要性についての意識を高めていただくということで、相続登記の促進を図るものでございます。
  44. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 恐らくその点がこの制度に効果として期待できるところなのかなというふうに私としては思っております。  先ほど紹介をしていただいたように、京都府の精華町では、死亡届を役所に提出をしていただく際に、相続登記が必要な場合にはこういう書類が必要ですよとかいろいろな案内をそのときにしていただいていると。それの効果として、一定程度、相続登記ですとか、農地の関係の手続ですかね、そういったことが進んだ成果が見られるということで、それも参考にしてこの制度を検討されたということでした。  ですので、登記所に来ていただいて、法定相続情報証明書を取っていただくときに相続登記についてもお話をしていただくことで、ああ、やらなきゃいけないんだなという意識を持っていただけるのではないかと、こういうことを期待をしたいというふうに思います。  こういった制度ができた場合に、これまでも御説明もいただいていますけれども、改めて、じゃ、これを利用した場合に具体的にどういうメリットがあるのか、また、この制度によってどういう社会的な利益が生じるというふうに考えているのか、この点はいかがでしょうか。
  45. 小川秀樹

    ○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。  先ほどから申し上げておりますように、相続人は相続手続ごとに戸籍関係の書類の一式を提出するということがこれまでは必要でございますが、この制度によりましてその手間を、まあ一回は必要でございますけれども、その手間を省くことができて、利用者にとって手続負担が軽減されるということが考えられます。  例えば、相続財産であります不動産が複数あって異なる登記所の管轄に分かれている場合は、今の制度上はそれぞれの申請ごとに戸籍関係書類一式を提出する必要がございますが、この制度の施行後は、それぞれの登記申請において法定相続情報一覧図の写しを添付すれば、書類一式を提出せずとも相続登記の申請が可能となります。その他、例えば銀行の預金の払戻しなど、法定相続情報一覧図の写しを持ってきていただければ、他の相続手続の提出書類に使用、預金の払戻しの手続などにも用いることができるということでございます。  このようなメリットがありますほか、登記所や金融機関などにおける相続人の特定に要する作業のこれまでは重複があったわけですが、その重複が不要ということになりますので、我が国における相続関係手続全般の社会的なコストも削減され、このこともメリットとして挙げることができようかと思います。  法務省といたしましては、幅広く本制度を利用してもらえますよう、本制度の広報を十分に行ってまいりたいというふうに考えております。
  46. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 これまで金融機関に例えば戸籍謄本一式を出した場合に、銀行の職員の方がその書類をチェックをして、たくさんにわたる場合には時間も掛かっていたかと思いますが、その間、申請した相続人の方も手続が終わるまで待っていなきゃいけないわけですので、そういった点も時間の短縮ということでメリットになるのかなと思っております。  ちょっと通告の質問の順番を変えますけれども、じゃ、この制度を利用しようと思った場合に、誰が申請をできるのかと。例えば相続登記でしたら、司法書士さんですとか弁護士さんが依頼を受けて申請をするということがありますけれども、この制度ができた場合にはどういう形になるのか、予定をしているのか、教えてください。
  47. 小川秀樹

    ○政府参考人(小川秀樹君) もちろん、相続人本人が申出をするということは当然でございますが、それ以外にということで申し上げますと、法定相続情報一覧図の写しは、先ほども申し上げましたように、戸籍の束に代替するものというふうに考えられますので、戸籍法上、戸籍を取り扱うことができる方も申出人の代理人として本制度を利用することが相当であるというふうに考えております。  そこで、本制度の申出を代理人によってする場合には、弁護士、司法書士以外にも、これは戸籍法第十条の二第三項に士業者が掲げられておりまして、この同項に掲げております士業者、すなわち、弁護士、司法書士以外には、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士及び行政書士、これらの皆さんも申出をすることができるとすることを考えております。
  48. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 ちょっとまた順番が変わりますけれども、この制度を検討していただいているということで、パブコメはもう終わったというふうに申し上げましたが、この制度が実際にスタートするのはいつぐらいからなのか、状況について教えていただきたいと思います。
  49. 小川秀樹

    ○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。  本年五月下旬の制度開始を目指して現在所要の準備を進めているところでございます。
  50. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 五月ということで、間もなくスタートできるように準備をしていただいているということでありました。  この制度のメリットについてはこれまでも説明をいただきましたけれども、先ほど申し上げたように、登記所に来ていただく、その証明書を取得をしていろんなところで活用していただくと。その際に、相続登記というものがありまして、これをやっていただくことが重要ですと、そのように啓発をしていただくと。それによって相続登記の促進が促されていくのではないかと期待したいと思いますけれども、しかしながら、これだけで十分かといいますと、なかなか、義務付けるものではもちろんありませんし、この法定相続情報証明制度を必ず利用しなきゃいけないわけじゃなくて、もちろんこれまでのように戸籍謄本を取ってそれぞれ手続をしていただくこともできるわけですので、この窓口に全ての方が来てくださるわけではないと思います。  そういった意味で、この制度に合わせて様々な促進のための施策を取っていくということが重要だと思いますけれども、この点についてはどのように考えているんでしょうか。──じゃ、大臣にお答えいただきたいと思います。
  51. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 佐々木委員から相続登記の促進に向けた今後の取組をお尋ねいただきました。  先ほど山下委員のときにも私からお答えをしておりましたが、そしてまた政府参考人の民事局長の方からも御説明があったと思いますが、法務省としては四項目にわたる具体的な方策を取ってはきております。そういう中で、先ほどからお話にございました法定相続情報証明制度というものを一番、これを通じて相続登記が未了のまま放置されることを防止していかなければいけないと。相続登記を促進する効果を期待することはもちろんでありますが、法務省としては、こうした制度のほかにも様々な観点から相続登記の促進のための方策というものを検討していかなければいけないと。  法定相続情報証明制度によっては、所有者不明土地問題が抜本的に解決されるというわけではないのかもしれませんが、やはりこの制度は相続登記の促進に寄与するものと考えておりますし、今までのその四項目を進めるに加えて、また相続登記の促進のための方策を様々な観点からしっかりと検討していきたいと、このように考えております。
  52. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 ありがとうございます。是非よろしくお願いをいたします。  この制度ができますと、不動産登記規則の改正で行っていくというふうに聞いております。戸籍に関する制度ではありますけれども、やはり相続登記の促進という趣旨ですので、不動産登記規則の改正によって作っていくと。  また、登記官の方が、戸籍の係の方では本来はないのかもしれませんけれども、登記事務を通じて戸籍について調査をする能力も持っていらっしゃる、そういう登記官の方を言わば資源として活用をして迅速かつ正確な戸籍の調査をする、それによって相続手続の負担の軽減ですとか様々な社会的なメリットを目指していくと、こういったところを意図した制度であると理解をしております。  まだ具体的な実務上の細かい点ですとか、そういったところは恐らく検討中だと思いますけれども、関係士業の皆さんですとか現場のことをよく御存じの皆さんの声をよく聞いていただいて、良い制度にしてスタートをしていただければと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。  次に、先ほど申し上げましたとおり、家庭裁判所家事事件というのは年々件数が増えておりまして、裁判所の役割の中でも家事事件というのは国民の期待というものも大きくなっているのではないかというふうに思っております。  その中で児童虐待のことを取り上げたいんですけれども、といいますのも、先日ある法案が閣議決定をされました。虐待を受けている児童等の保護を図るための児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律案ということであります。これは、虐待を受けている児童等の保護を図るために、里親委託、施設入所の措置の承認の申立てがあった場合に、家庭裁判所が都道府県に対して保護者指導を勧告することができることとするなど、児童等の保護についての司法関与を強化する措置が講じられている法律案でございます。  これから審議がされていく法律案でございますのでまだもちろん成立はしていないわけですけれども、この法律案の内容を見ますと、児童虐待という問題についても家庭裁判所の果たす役割が大きくなっていくのではないかというふうに思っております。  具体的にどういうことかというふうにいいますと、司法関与という観点では二つの改正が盛り込まれておりまして、一つは、今申し上げましたけれども、虐待を受けている児童等の保護者に対する指導への司法関与ということであります。虐待を受けている児童がいて、その保護については児童相談所が関与するわけでありますけれども、その児童を里親さんに委託をするとか、それから児童養護施設に入所をさせるとか、そういった場合に、親権者の同意が得られればその措置をとれるわけですけれども、仮に同意が得られなかった場合に現行法でどのような制度になっているかというと、家庭裁判所に申立てをいたしまして、その審判をもって措置を行うということになっております。二十八条の措置の承認の審判といいますけれども、この申立てがあった場合、これまでというのは、それを家庭裁判所が審判をして承認をするか若しくは却下をするか、この二つに一つだったわけですけれども、この法律案ではそれに加えて、家庭裁判所の勧告の下で保護者指導、施設に入所をさせるということを判断する前に家庭裁判所の方から勧告が出て、その下で保護者指導が行われるという選択肢が増えると、こういう内容でございます。  この前提として、私が問題意識として持っているのは、こういう法律案が今後成立をするということにもしなりますと、家庭裁判所としても新しいまた役割が増えるわけですので、それを十分に果たしていけるような体制を取っていかなければならないと思っているんですけれども、その前提として、この児童福祉法二十八条一項の審判というのは、今もあるわけですが、どれぐらい利用をされているのかということをお聞きしたいと思いますので、この申立て状況、件数ですとか、このことについてお聞きしたいと思います。
  53. 村田斉志

    ○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。  委員の御指摘の児童福祉法二十八条一項の事件の申立て件数につきましてはおおむね年間二百件から三百件の間で推移をしておりまして、最近の統計ということで申し上げますと、平成二十五年には二百七十六件、平成二十六年には二百七十九件、平成二十七年には二百五十四件が申し立てられております。
  54. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 近年、児童虐待の通報とか対応の件数、全体でいいますと十万件を超えるというようなことが言われておりますので、それに比べるとこの審判の申立ての件数自体は、少ないと見るか多いと見るかはありますけれども、二百件から三百件、年間ということでありますけれども、一つ一つが要するに困難なケースが多いですし、慎重な判断とともに、また、子供の権利関係、またその地位の不安定さというのがありますので、それをなるべく早く確定をして安心して暮らせるようにするということで、非常に大切な手続、審判ではないかなと思っております。  また、ひとつ参考にするためにお聞きをしたいんですけれども、この年間、現在二百件から三百件行われている二十八条一項の審判というのは、審理期間というのは大体どれぐらい掛かっているんでしょうか。
  55. 村田斉志

    ○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。  児童福祉法二十八条一項の事件の審理期間につきましては、平成二十七年に既済となった事件の中では二か月から四か月という形で終わっているものの割合が多いというところでございまして、平均審理期間にいたしますと約四か月となっております。
  56. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 御説明ありましたように、平均をすると四か月ということであります。  裁判の迅速化ということについては、これまでも法務省、裁判所取り組んできていただいておりますけれども、平均して四か月というととても、これが離婚とか相続の手続であるかどうかというのと、また、先ほど申し上げたように、子供の、児童の生活をどこでするのか、どういう環境でするのか、また現に虐待を受けている子供をどのように保護するのかと、こういう事件の性質から申し上げますと、やはりできる限りこの審理というのは、慎重である必要もありますけれども、迅速に行っていただいて、できるだけ早期に決着が付くようにしていただかなければいけないのではないかなと、こう思っております。四か月というのは、子供にとっては非常に恐らく長いのではないかなと思いますし、その点について是非問題意識を持っていただきたいと思います。  それで、現行のこの審判において四か月ぐらい掛かるということで、仮に今提出されている法案が成立をして新しい制度が始まるということになりますと、先ほど申し上げたように、その二十八条、審判の手続の中に裁判所による勧告というものが入ります、新しく。それに対して、児童相談所から報告を受けたりとか、勧告を出すに当たって様々調査をすることも必要になると思います。ですので、そのことによって審理期間がいたずらに延びたりとかすることがないようにしないといけないと思っておりますし、それから、もう一つこの法案の中に新しい制度が入っておりまして、それは家庭裁判所による一時保護の審査の導入ということでございます。  一時保護というのはどういうことかというと、子供、児童虐待を受けている児童などを保護する必要がある場合に、一時保護といって、一時保護所と言われるようなところに親から分離をしてそこで保護をすると。その手続というのは一時のものですし、また、一時保護所というのはなかなか、児童養護施設ですとか里親さんの家庭のようにゆっくりと落ち着いて生活をできるという場所ではありません。ですので、この一時保護の期間が余り長くなるということも、私は子供の、児童の保護にとっては良くないのではないかなと思っております。  この一時保護の審査の導入というのがどういう制度かといいますと、児童相談所長等が行う一時保護について、親権者の意に反して二か月を超えて行う場合には家庭裁判所の承認を得なければならないことにすると、こういう法律案の内容になっております。つまり、一時保護という措置がなされて、それについて親権者が同意をしていない、その場合に、二か月を超えて更に一時保護期間を長くするという場合には、親権者の同意も得ておりませんし、その審査、妥当性について家庭裁判所が審査をしましょうと、こういうことが新しく導入をされるという法律案になっております。  この一時保護というのは、さっきも申し上げたように、より迅速さが求められると思います。二か月をそもそも超えてなされるものについて審査をするわけですから、審理期間を四か月とか掛けているわけにはもちろんいきませんし、この点についても今後新しい制度が始まった場合に検討していく必要もありますけれども、こういったことを見込みながらも、その家庭裁判所の体制というものをしっかりとしていく必要があると思います。  そこで、質問としましては、この提出されている法律案の新制度が始まった場合に、いたずらに審理期間が延びたりすることがないようにする必要があると思いますけれども、この点についてどのように考えているのか、教えていただきたいと思います。
  57. 村田斉志

    ○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。  児童福祉法等の改正法案は今国会に提出されたばかりというふうにお聞きをしておりますので、もちろん国会での御審議の結果をお待ちして、その結果を踏まえて対応する必要があるというふうに考えておりますけれども、仮に国会での御審議の結果、提出された法案のとおりに改正法が成立したというような場合になりますと、委員の御指摘のとおり、新たに設けられる制度の運用に当たっては迅速な審理が求められることになるというふうに考えております。  迅速な審理運営のためには、児童相談所等から適時的確に裁判資料を提出していただくということが極めて重要と考えてはおりますが、裁判所といたしましても、もちろん必要な体制の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。
  58. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 是非よろしくお願いをいたします。  最後に大臣に一問お聞きしたいと思いますけれども、今まで私が申し上げたように、こういった新しい制度を盛り込んだ法律案も提出をされておりますし、そのほかについても、成年後見事件ですとか離婚ですとか相続ですとか、家事事件については増加の一途をたどっております。そういったことからも、今、家庭裁判所の役割というものは増大をしていて国民の期待も大きいと思いますけれども、それに応えられるだけの体制の充実というものを今後も行っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  59. 金田勝年

    国務大臣金田勝年君) 佐々木委員のお話を伺っておりました。家庭裁判所における事件が適正に審理、迅速に審理そして処理されるために、裁判所の人的体制、そういうものが非常に充実されることが重要であるというふうに認識をいたしました。  ところで、私どもは裁判所職員定員法というものを所管する立場でございます。そうはいいながらも、最高裁判所において、裁判所の人的体制の充実につきましては最高裁において判断されるというところもございます。そういうところを踏まえながら、私ども法務省としましても、裁判所職員定員法を所管する立場から引き続き適切に対応をしていきたいと、このように考えておる次第であります。
  60. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 ありがとうございました。定員法についても今後この委員会で審議ができればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  61. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  質問に入ります前に、先ほど自民党の山下雄平議員が取り上げられました農村振興局の文書問題、これ大臣、大臣が先ほどおっしゃったような相反する義務に板挟みになっているのではなくて、農水省が干拓ありきで、豊かな有明海を壊して、今開門は絶対にさせないと、そうした立場でこの訴訟や問題に臨んできたんだという正体がむき出しになった重大問題だと思うんですね。これ、裁判を担当している訟務当局がこれ知っていてやっているのか、これも含めて徹底して明らかにする必要があると思うんです。  そこで、委員長、朝日新聞の昨日一面など、報道されている資料を農水省からこの当委員会に提出をさせるよう取り計らっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  62. 秋野公造

    ○委員長(秋野公造君) 後刻理事会において協議いたします。
  63. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 昨日の予算委員会に続けて共謀罪について伺います。  まず、刑事局長、計画という文言が犯罪の成立要件、処罰条件に使われた例はありますか。
  64. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) 計画という行為、計画文言を使ってその行為を例えば犯罪の成立要件のように用いている罰則の例というものについては承知をしておりません。
  65. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 計画というのは、広辞苑によりますと、物事を行うに当たって方法、手順などを考え、企てること。つまり、思い立ち、考え、もくろむことなんですよね。それを処罰するという、この過去に例がないというのは、罪刑法定主義行為主義に反するからなんですね。人々が話し合うことそれ自体はプライベートで自由なことです。これを処罰するとなれば、警察が嫌疑を掛ける、疑いを掛ける、その対象というのは人々の話合いの中身、内容ということになる。そこに合意処罰する共謀罪の恐ろしさがあるわけですね。  もう一つの準備行為というのはどうか。これ大臣は、合意処罰しない予備ではTOC条約批准できないからテロ準備罪が必要だという趣旨の答弁をずっとしてこられていて、その答弁と併せて、予備は客観的に相当の危険性がなければ処罰の対象とならないという答弁も併せておっしゃっています。大臣、ということは、そうした危険性、つまり客観的に相当の危険性がない実行準備行為を伴う合意、計画、これが処罰対象と、そういうことですね。──いやいや、大臣。大臣の答弁ですから。
  66. 秋野公造

    ○委員長(秋野公造君) まず、林刑事局長。
  67. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) 実行準備行為という言葉、これについては立案段階での方針という形でお示ししているところでございます。一方で、その予備という言葉、これについては現行法上の予備罪における予備とは何かという形でこれまでお答えしているところでございます。  その意味で申し上げれば、この現行法上の予備というものにつきましては、予備という言葉が使われている予備罪におきましては、その予備というものは構成要件実現のための客観的な危険性という観点から見て、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性が認められる程度の準備が備えられたことを要するという、これが東京高裁の昭和四十二年の判決で示されておりまして、予備というものはそのように客観的な相当の危険性を含むものというふうに理解していると、このようにこれまで申し上げておるところでございます。  それで、実行準備行為というものはどのようなものとして観念するかというものについては、これを現在立案しているわけでございまして、この点で予備行為と実行準備行為はどのように違うのかと、こういった問題になろうかと思いますが、少なくとも、予備行為、現行法上の予備というものとこの実行準備行為というものは次の点で異なると考えております。  一つは、その現行法上の予備というものは、今申し上げた客観的に相当の危険性のある程度の行為であるというふうに考えておりますが、ここにおきましては、合意でありますとか計画でありますとか、そういったこととの関連性は全く入っていない概念でございます。  他方で、実行準備行為というものにつきましては、これは、現在の立案の段階で、国際組織犯罪防止条約第五条の一(a)の(i)が認めておりますところの、「国内法上求められるときは、その合意参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為」というふうに書かれておりまして、これを念頭に置いて今立案しているわけでございます。  そうしますと、この実行準備行為は、少なくとも合意の内容を推進するための行為という観点から、合意との関係でこの実行準備行為を考えていく、概念をつくっていくと、こういうことになります。その点におきましては、この予備行為、あるいは実行準備行為というのは異なるというふうに考えております。
  68. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 今局長がるる述べられましたけれども、そんな大して難しいことをおっしゃっていない。予備の相当の危険性というのは、これ、相当な幅を持ってこれまでの刑事法上扱われてきていますから、そんなに危険なものなのかというものも予備に含まれていることがあるんですが、それはちょっとおいておきます。  私が大臣にそんな難しい認定の話を聞いているんじゃないんですよ。大臣は、客観的に相当の危険性がある予備では駄目、そうした危険性はという、おっしゃっているわけだから、だから、そうした危険性はない実行準備行為を伴う合意が処罰対象になるということになりますねと。そうでしょう。
  69. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) まず、私どもは、テロ等準備罪として現在検討しておりますが、成案を得た段階で説明をしっかりとしたいと申し上げているのはそのとおりであります。テロ等準備罪、対象となる団体を重大な犯罪を行うことを目的とする組織的犯罪集団に限定をした上で、このような組織的犯罪集団が重大な犯罪を行うことを合意をして、その実行準備行為が行われた場合に初めて処罰するという、その考え方を持って現在検討を、ぎりぎりの段階を進めておるところであります。  このように、実行準備行為というものは、組織的犯罪集団が重大な犯罪を行うことを合意した上で、その合意の内容を推進するために行われるものであると、これは今刑事局長が申し上げたわけですけれども、その重大な犯罪の実行を未然に防止するためにこれを処罰の対象とすることは、罰則の在り方として問題はないというふうに考えているところであります。
  70. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 何言っているんですか、大問題じゃないですか。行為に出ていないのにこれを罰すると、それは罪刑法定主義に反するんですよ。その憲法論は改めての機会にしますけれども。  大臣、もう一回聞きますよ。昨日、下見か散歩かどう区別しますかと、私の質問に、犯罪のために散歩しているのか、花見しているのか、そうではなくて、その下見のために歩いて散歩をしているのか、そういうところの違いだと思いますとおっしゃって場内爆笑になりましたが、その上で、目的が違うという状況を踏まえて、それを慎重に受け止めて、しっかりと調べるということだと思うと、踏み込んだ御答弁をされたんですね。  下見か散歩か、これは外見上は違いはないわけです。だから、内心であるところの目的で区別する、先ほどの御答弁の言葉で言えば、計画を実現するためのものなのかということが争点になるという、そういう御理解だと思うんですけどね。大前提ですよ。つまり、下見か散歩や花見なのかというのは外から見たら分からないでしょう。外から見て分からないというのは、つまり危険性がない行為だということですよ。予備だったら、拳銃を買ったとか刀を持ったとか分かるじゃないですか。それが分からない行為でしょう。客観的に相当の危険性がない行為を実行準備行為を伴う合意というんでしょう。違いますか。
  71. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 私が申し上げておりますのは、実行準備行為を含むテロ等準備罪の具体的な内容につきましては、何度も申し上げておりますように現在検討中でありますが、私どもが検討しておりますテロ等準備罪は、組織的犯罪集団による合意に加えて、実行準備行為があって初めて処罰されるものであります。  したがって、組織的犯罪集団による合意、組織的犯罪集団の要件というのは、合意や実行準備行為とは独立した要件とすることを検討をしているわけでありまして、組織的犯罪集団に入っております方が花見をする、あるいは散歩をする、そういう前提でお話をしていただいているものとした場合に、私は、それはこの対象となるというふうに、なる要件をその部分では持っているという前提のお話をしておるのかどうかという点を、昨日は私は申し上げたかったわけであります。
  72. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 いや、だって、暴力団以外は花見しちゃならぬってならないでしょう。あらかじめ組織的暴力集団と分かっているところの構成員だけを対象になる罪だというんだったらそうした議論になるかもしれないけれども、分かっていない一般の人も含まれている人たちが対象になるから、一般の人は対象にならないなんていう一々弁明をしなきゃいけないようにあなた方なっているわけじゃないですか。だから、下見と散歩の区別はどうなるのかという昨日は例に出したし、総理の御答弁でいえば切符を買うということが問題になっているし、それはホームセンターなんかでお買物をするとかATMで出金するとかというのと全部同じじゃないかということになるわけです。  これら客観的な相当の危険がない行為、それ自体はですよ、それが問題なんでしょう。
  73. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 繰り返しになりますが、私どもはテロ等準備罪、検討しておりますが、対象としては、組織的犯罪集団の構成員である、この要件を満たす者に対してのみこの罪というものが、犯罪というものが対象になるという前提を置いていますので、そこの前提を超えた議論は一般の方々であろうかと思いますが、それは全く想定しているところではないわけであります。(発言する者あり)
  74. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 西田議員がそうおっしゃるので、刑事局長に聞きます。  検討されている案は暴力団だけですね。
  75. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 今回、組織的犯罪集団という要件というものを独立した要件として加えているということでございまして、この組織的犯罪集団というものの中身につきましては、基本的に考えておりますのは、これまで例示として挙げておりますのは、テロリスト集団、テロリズム集団、また、そのほかの組織犯罪集団ということを考えております。  そのほかの組織犯罪集団というものは、例えば暴力団等がございますし、例えば振り込め詐欺というものを目的として組織が結成されるとすれば、そういった振り込め詐欺集団というようなものも入っております。
  76. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 局長も例示だと、例えばと言うじゃないですか。あらかじめ指定されている広域暴力団などの構成員だけじゃないでしょう、大臣。西田議員が暴力団だけだというこの発言は間違いですよね。
  77. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 今回、組織的犯罪集団というものが独立した要件とするということの意味でございますが、これは、当該事案が問題になるときに実際にその組織的犯罪集団がそこに存在していると、また、そして存在しているその集団の団体の意思決定に基づいてそうした犯罪の合意、計画がなされ、さらに準備行為がなされたと、こういう全体をもって犯罪の成否が決まるわけでございます。  したがいまして、犯罪の事実の認定の中で、その組織の結合の目的がそもそも犯罪の実行の目的にある、そういった団体が存在しているのかどうかということがその時点で問われ、その時点を立証できなければ処罰はできないわけでございますので、そういった意味において、組織の結合の目的が犯罪の実行の目的にあるということ、こういった団体というものは全く一般の団体とは異なるものであります。
  78. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 組織的犯罪集団をどのように考えるのかというのはいろんな議論があるんでしょうけれども、ちょっと今日確認したいのは、今局長の御答弁に出てきた、大臣が昨日御答弁なさっている言葉で言うと、当該事案の時点において、この意味なんですけれども、これ当該事案と、今何だかばくっと曖昧におっしゃっているんですけど、新設しようと皆さんがしている共謀罪というのは実行準備行為を伴う計画なんだから、計画の時点という理解をするしかないんですけど、大臣、違うんですか。
  79. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 今回の考えております法案というのは刑事罰則を定める法案でございます。その中に組織的犯罪集団という独立の要件を設けようと、こう考えているわけでございます。  したがいまして、刑事罰則についてのこの事実認定の時点というものは、犯罪の成否が問題となっているその当該事案の時点でございます。例えば公訴事実、起訴した場合には公訴事実というものがございますが、公訴事実の中でその事案の問題とされる時点というのが特定されますが、その時点において組織的犯罪集団というものが存在していて、その組織的犯罪集団が団体の意思決定に基づいて犯罪を計画していると、こういったことが認められるかどうかというのがその時点において認定されるわけでございます。  実際に組織的犯罪集団が、じゃ、どの時点から存在していたかというものについては、それはもちろんその事案ごとによってございましょう。その時点よりももっと前の段階で組織的犯罪集団が成立しているということもありましょうが、いずれにしても、ここで問題とされますのは、犯罪の成否が問題とされる当該事案、これについて、その事案の時点において組織的犯罪集団としての活動であったかどうかというものが事実認定をされるということになります。
  80. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 私が聞いているのは、組織的犯罪集団がいつからあるのかの話じゃない。当該事案の時点においてという、その時点というのは何かということなんですよ。今、犯罪構成要件のという趣旨のことをおっしゃいましたけど、これ実行準備を伴う計画が犯罪である、これを処罰する必要があるんだということであれば、その計画、つまり合意、話合いの結論でもいいし、意思の合致と言ってもいいですけど、その時点が当該事案の時点、そういう意味でしょう。
  81. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 先ほど申し上げましたように、処罰の要件というものを定めます。要件というものが、例えばその組織的犯罪集団というのが一つの要件であり、そしてもう一つ、計画というものがある、その他の要件があると、こう仮定しますと、この犯罪の成否を考えるときに、例えば計画というものがなされた時点において組織的犯罪集団というものが存在していなければ、これは処罰の対象となりません。そういった意味において、この要件が全部そろっているかどうかということは、その当該事案の犯罪の成否が問題とされているその時点において判断されるということを申し上げたわけです。
  82. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 今局長がおっしゃったのは、お認めになっていることなんだと思います。つまり、組織的犯罪集団かどうかは別の要件で考えるけれども、対象となる、処罰対象ですよね、これは計画だと、合意だということになれば、この時点ということじゃないですか。  これは、普通は、話合いなんだからプライベートで自由なことなんですよ。だけれども、これが実行準備行為を伴い、その組織的犯罪集団が主体であれば、そうしたら処罰するということは私もうはっきりしたと思うんですけど、その実行準備行為というのは、昨日大臣が、下見と散歩、あるいは花見を、先ほど紹介をしたような御答弁で表現をされたように、よく分からない、外からは、普通は。  その下で、今日警察庁においでいただいているんですが、大臣が、目的が違うという状況を踏まえてしっかりと調べるという趣旨の御答弁をされました。警察の皆さんが、犯罪が発生しているのか、発生した後の犯人を捜すとか証拠を捜すとかいう、そういう司法警察活動とは別に、犯罪発生させない、あるいは予防する、そうした行政警察活動、あるいはテロを警戒するなどに典型的ですけれども警備警察活動ですね、こうした行政警察活動を行っておられるわけです。その中で、警らやあるいはテロ警戒警備などに就いている警察官がどんな場合に職務質問を行うか、この職務質問の言わば考え方について教えてください。
  83. 白川靖浩

    ○政府参考人(白川靖浩君) お答え申し上げます。  警察官職務執行法第二条第一項の規定によりまして、警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者に対して停止させて質問することができるとされておりまして、こうした場合に職務質問を行っているものでございます。
  84. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 テロを警戒して要人警護をする、あるいは、ローンウルフが町の中で、これ注意をしなきゃいけないというようなことになる場合は、今おっしゃった警職法の挙動不審その他という、こうしたものだけを気を付けているだけではちょっと足りないということもあろうかと思うんですけど、そういう注意はないんですか。
  85. 白川靖浩

    ○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。  実際に職務質問を行うかどうかにつきましては、個別具体的な状況に照らして職務質問の要件を満たしているかにより判断されるということでございますので、一概にお答えすることは困難でございますが、先ほど申し上げましたとおり、警職法第二条第一項の規定によりまして、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、また犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者に対して職務質問を行っているところでございます。
  86. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 この職務質問が、つまり司法捜査とは別に、事件は現場で起きているわけですから、現場の警察官の皆さんは始終そうした立場で、あるいは任務を負って活動をしておられるわけですが、これが、所持品検査や、あるいは腕をつかんで制止する、あるいは車のエンジン止めてキーを抜く、そうしたことが許されるのかなどということは、これはもう様々大問題になってきたわけなんですね。  その職務質問に当たって、例えば犯罪が行われていないかという、そういうことを確かめていくというプロセスにもなるわけで、実行準備行為を伴う合意、計画ですね、これが罪であるという、これ仮にそうした罪が新設されたら、窃盗とか殺人を念頭に置いて日頃任務に当たっておられるのと同様に、共謀罪あるいはテロ等準備罪というのも念頭に置いて警らや警護に当たることになるのが当たり前だと思いますけど、いかがですか。
  87. 白川靖浩

    ○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。  先ほど御答弁申し上げましたとおり、警察官は、何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由の者に対して職務質問を行うこととされておりますことから、特に犯罪についての限定というのはございません。
  88. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 だから、林局長が、もうちょっと御答弁いただく機会なくなったのは申し訳ないですけど、捜査もすることができませんというふうに繰り返しておっしゃっている御答弁の趣旨は、司法警察活動あるいは令状を取っての強制捜査などのことなのであって、警察が一般的に、共謀罪じゃないか、あったら大変だといって行政警察活動を行うというのは、これ当たり前のことになるんだということを確認をしたということを申し上げて、今日は質問を終わります。
  89. 東徹

    ○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。  今日は、質問では、テロ等準備罪、それから法務省の天下り先、それから難民認定、そして高齢者の犯罪ということで、大きく四問用意させていただいておりまして、質問させていただきたいと思います。  まず最初に、テロ等準備罪についてでありますけれども、なかなかこれ成案として出てこないんですが、今回、テロ等準備罪を新たに設けるための組織犯罪処罰法改正案ということで検討されているというふうに思うんですけれども、そこでまず、今回のこの改正案の趣旨について、まず大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
  90. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) ただいま御指摘がございましたテロ等準備罪、新設するその考え方だと思います。したがいまして、私の方からお答えしますが、世界各地で重大なテロ事案が続発をしている昨今の状況がございます。我が国もテロの標的として名指しをされ、邦人にも多数の被害者を出すテロ事件が発生している。こうしたテロを敢行する犯罪組織というのは、テロを通じて組織の威力を誇示をして賛同者というものを集めるとともに、薬物犯罪や人身に関する搾取犯罪を始めとする様々な組織犯罪によって資金を獲得し、組織の維持拡大を図り、国内においても暴力団等が関与する対立抗争事犯や市民を標的とする殺傷事犯、高齢者等に対する特殊詐欺事犯といったような組織犯罪をすることも後を絶たないと、こういう状況にあって国民の平穏な生活を脅かしている状況にあると、このように認識しております中で、テロを含む組織犯罪を未然に防止をして、これと闘うための国際協力を可能とします国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約、これは平成十五年の五月に国会においてその締結について承認されましたが、その後、既に百八十七の国と地域が締結済みでありますけれども、我が国はこの条約を締結するための国内法が未整備でありますため、いまだこれを承認はしたものの締結はしていないのであります。  そこで、テロを含む国際的な組織犯罪を一層効果的に防止をし、これと闘うための協力を可能とします国際組織犯罪防止条約を締結することが現在検討中の組織的犯罪防止法改正案の目的、考え方であるということを申し上げたいと思います。
  91. 東徹

    ○東徹君 今大臣の方から説明がありました。確かに、これからやっぱりテロ対策というのは非常に大事だというふうに思いますし、そしてまた、麻薬、覚醒剤、こういったものの取締り、こういったものは非常に大事ですし、マネーロンダリングであったり、そういったことも取り締まっていくことは非常に大事だというふうに考えております。  そんな中で、御答弁いただきましたが、大臣からも答弁がありました、その国際組織犯罪防止条約、TOC条約でありますけれども、これの締結には重大な犯罪の合意罪、まあ共謀罪ですね、組織的な犯罪集団への参加罪のいずれかの整備が条件ということになっておりますけれども、今回の改正案ではTOC条約を締結するために必要というふうに言われておりますが、TOC条約を締結することでどのような効果があるのか、これは外務省にお伺いしたいと思います。
  92. 水嶋光一

    ○政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。  先ほど大臣からも御答弁ございましたが、この条約は、テロを含みます国際的な組織犯罪を一層効果的に防止をし、これと闘うための協力を促進するための国際的な法的枠組みを創設する条約でございます。  この条約の締結に必要な法整備を我が国が行うことによりまして、この条約が犯罪化を求めております重大な犯罪の合意罪、これに関しまして、他国に対して、逃亡犯罪人引渡し、あるいは捜査共助を要請する、又は他国からそれらの要請を受けることが可能になります。したがいまして、本条約を締結することによりまして、本条約に従ってそのような国際協力を更に効果的に行うことが可能となります。  具体的に申し上げますと、例えば捜査共助に関しましては、現状におきまして、捜査共助に関する条約を締結していない国との間では、我が国が捜査共助を要請をして、あるいは捜査共助の要請を受ける場合には外交ルートを通じて行う必要がございます。これに対しまして、本条約を締結した場合には、本条約第十八条十三に基づきまして中央当局の指定がなされることになります。これによりまして、外交ルートによることなく、中央当局間において迅速に相互に捜査共助を実施することが可能になります。  この条約は、百八十七の国、地域が締結してございます。そういう中で、我が国がこの条約を締結することによりまして、国際的な組織犯罪の抜け穴となることを防ぐと同時に、国際協力を強化する、この意義は極めて大きいというふうに考えてございます。
  93. 東徹

    ○東徹君 これまでも、議事録を読んでいますと、そういう答弁をなされてこられておりますけれども、平成二十三年十一月九日の衆議院の予算委員会で、当時はこれ民主党政権でありましたけれども、そのときの平岡法務大臣が「我が国の今の法制上のもとで、私は、共謀罪、新たに自民党政権時代に提案していたようなものをつくらなくても、条約は締結できる」と、こういうふうに答弁をされております。  法務大臣として当時このような答弁がされておりましたけれども、結局、民主党政権ではTOC条約もこれ締結はされませんでした。当時、TOC条約への締結には共謀罪等が必要であるという方針を法務省がこれ変更したのかどうか、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
  94. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 法務省はこれまで、この国際組織犯罪防止条約の締結のための国内担保法の整備の在り方につきましては、当然のことながら条約を所管する外務省と協議しながら進めてきたところでございます。  この点におきまして、民主党政権下におきましても、例えば平成二十三年五月二十七日の衆議院法務委員会において、当時の外務省政府参考人が、この国際組織犯罪防止条約第五条の一につきまして、重大な犯罪を行うことの合意又は組織的な犯罪集団の活動に積極的に参加することの少なくとも一方を犯罪とすることが義務付けられておりますので、この条約を締結するに当たりましては、上記行為のうちのいずれか一つを犯罪とする必要があると理解しておりと、このように述べていたものと承知しております。  いずれにいたしましても、民主党政権当時におきましても、政府としてTOC条約を締結するために新たな立法措置は不要であるという結論に至ったことはなかったものと承知しております。
  95. 東徹

    ○東徹君 そういう御答弁でありますけれども、これ私は実は大臣にお伺いをしたかったんです。法務大臣として、先ほどの同じ質問になりますが、TOC条約の締結には共謀罪等が必要であるという方針、これ法務省として変更していたのかどうか、大臣として御見解をお示しいただきたいと思います。
  96. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) これまでの経緯をお尋ねだと思います。これにつきましては、ただいま政府参考人として申し上げましたが、刑事局長から申し上げました、その考え方のとおりに私も思っております。
  97. 東徹

    ○東徹君 それでは、このTOC条約ですけれども、長期四年以上の自由刑を科し得る犯罪、これを重大な犯罪とした上で、二人以上の者がそれを行うことに合意することを処罰の対象とすべきということで求めております。そこで、政府の方では、当初、このテロ等準備罪の対象犯罪を長期四年以上の自由刑を基準に六百七十六の犯罪を全て対象にしないとTOC条約は締結できないと、これは政府の方が主張してきました。  一方で、平成十七年頃、共謀罪の審議が行われたとき法務副大臣を務めておりました自民党の河野太郎衆議院議員は、今年三月四日の御自身のホームページで、六百七十六個を精査すれば、過失犯などの罪は共謀罪のときにも対象から外すことができたはずでした、当時の法務副大臣として力不足をおわびしなければなりませんと、こういうふうに書かれております。また、外務省もうそをついていたわけではなく、もし対象犯罪を削って、批准後にこれでは不十分であるということになったら大変だと、水増ししたまま主張したというふうに書かれておるわけですけれども。  そこで、今回、対象犯罪を絞り込んだとしても条約の締結が可能と考えている理由や、過去の答弁との整合性についてお伺いをしたいと思います。
  98. 水嶋光一

    ○政府参考人(水嶋光一君) ただいま検討いたしておりますテロ等準備罪につきまして、これは過去の法案審議の過程等で受けました御指摘を踏まえまして、一般の方々が処罰の対象とならないことを一層明確にするために、御指摘の点を含めてその在り方を慎重に検討しているところでございます。  この条約の第五条一項では、締約国が重大な犯罪の合意を犯罪化するに当たり、その対象となる重大な犯罪について、各国の法律で組織的な犯罪集団が関与するとの要件を付加することをオプションとして認めてございます。これを踏まえまして、我が国においてテロ等準備罪を創設するに当たり、国内法において、犯罪主体として組織的犯罪集団を明確に定義をし、その対象となる犯罪を組織的犯罪集団が関与することが想定される重大な犯罪に限定することが可能なのかどうか、そういうような観点からも慎重に検討しているところでございます。
  99. 東徹

    ○東徹君 質問に的確にお答えいただいていないように思うわけですけれども。  そもそも法務省も外務省もこれまで答弁してきたことが今回違っているじゃないですか、整合性がないんじゃないですかと、そういうことを申し上げたいというふうに思います。こういった法務省も外務省も言っていることがころころ変わるから非常に混乱をしてくるわけで、この法案の審議もなかなか進まないんだろうというふうに思っております。  我が国では、テロ等準備罪について、テロという文言を入れるかどうかという議論が報道でもありました。ここで言うテロとはどういうものか、まずお伺いをしたいと思います。
  100. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) テロの定義といいますか、お尋ねだと思います。  テロ等準備罪は検討中の罪の呼称でありますが、定義を定めて用いているものではありません。なお、一般には、テロリズムというのは、特定の主義主張に基づいて、国家等にその受入れ等を強要し又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものと承知をいたしております。
  101. 東徹

    ○東徹君 そうしたら、例を挙げさせていただきますので、これがテロに該当するのかどうかお伺いしたいと思います。  例えば、二〇一三年のボストン・マラソンであった爆発事件、これはテロに該当するのかどうか。そして、二〇一五年にありましたフランスのシャルリー・エブド襲撃事件、これについてもテロに該当するのかどうか、お伺いしたいと思います。
  102. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 今の御質問につきまして、今法案を検討しておりますテロ等準備罪、それとの関係でのテロに該当するのかとか、法案の概念との中でこれが当てはまるのかどうかとか、そういった御質問に対してではお答えすることは現在困難でございますけれども、一般にこの二〇一三年の事案あるいは二〇一五年の事案、こういったものについては、もちろん外国で発生した事案でありますし、法務当局として全てを詳細把握しているわけではございませんので正確な意味ではお答え困難でございますけれども、一般にはこれはテロに該当するものとして認識はしているものでございます。
  103. 東徹

    ○東徹君 ということは、法案が出てきたら、これについてはテロかどうかきちんと答弁できるということでよろしいんでしょうか。
  104. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 法案提出の段階での当方の考え方というものはもちろん御説明できますが、一方で、法案自体がそのテロリズムというものを定義しているのかどうか、あるいはその定義に当たるのかどうかということになれば、それは法案がどのように作られているかということになりますので、その時点でお答えしたいと思います。
  105. 東徹

    ○東徹君 では、またその時点でお聞きしたいと思います。  次に、現在検討中のテロ等準備罪の主体として想定されております組織的犯罪集団でありますけれども、その組織的犯罪集団とはどのようなものなのか、またどのようにしてある団体が組織的犯罪集団だと認定されるのか、併せてお伺いしたいと思います。
  106. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 今回、組織的犯罪集団というものは、この犯罪の要件の中の一つとして独立して定義をいたしまして、そこの要件を満たさなければ処罰ができないと、このような形で立案することを考えております。  そうしますと、この組織的犯罪集団というものは、犯罪を成立させるための要件の一つということになります。したがいまして、ほかの要件と併せまして、結局は刑事訴訟法の各段階において認定されていくこととなります。  具体的に申し上げれば、例えばそれが捜査段階でありますれば、ほかの要件と併せてこの組織的犯罪集団が成立しているのかどうかということにつきましては、その捜査機関においてまずは認定をし、ただ、同じ捜査段階と申しましても、例えば逮捕状を請求したり、あるいは捜索差押えの令状を請求したりすることがありますので、そういった場合には、その令状審査の中で裁判所が認定をすることになります。  また、裁判の段階、これは、こういった犯罪を満たすとして起訴がなされた場合におきましては、最終的に裁判所がほかの要件、いわゆる組織的犯罪集団であること、あるいはその他具体的な犯罪の合意があるかどうか、あるいは実行準備行為があるかどうか、こういったことの要件と併せて認定をしていくということになります。
  107. 東徹

    ○東徹君 今の答弁からすると、裁判所による審査がこれ機能しているから捜査機関による恣意的な運用ができないと、裁判所の方で認定するんだというふうなことだと思うんですけれども、先ほども答弁にありました逮捕状、この逮捕状取るには裁判所の方に発付してもらわないといけないわけですけれども、通常逮捕の場合、検察官や司法警察員が請求して、裁判官が逮捕の理由や逮捕の必要性をチェックすることになるわけですけれども、平成二十七年度、逮捕状の請求件数、これが九万二千七百六十六件ありまして、却下になったものが三十六件、取り下げたもの、数は千三百七十三件、却下とか取下げとなったものは全体の一・五%しかならないわけでして、裁判官のチェックがこれ働いているのかどうか、機能しているのかどうか、これ非常にどうなのかなというふうに思うわけですが、これについてお伺いしたいと思います。
  108. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 個々の裁判にわたることではございますけれども、一般論として申し上げれば、やはり被疑者の逮捕状などの令状発付の決定につきましては、裁判官におきましてはこれは刑事訴訟法の規定に基づいて審査をしているわけでございます。具体的な事案に応じて適切に判断されているものと法務省としては承知しております。  その上で、捜査機関におきましても令状請求に当たりましては当然その要否を慎重に検討しているわけでございますので、逮捕状請求の却下率というものが低いという数字からだけで、その裁判官による審査機能が適切に働いていないというふうには私どもは考えておりません。
  109. 東徹

    ○東徹君 仮に、組織的犯罪集団を認定するに当たって、過去犯罪をしたことのある集団をというのであれば、今まで犯罪を行ったことのない集団がこれから新たに犯罪を計画しているものはこれに該当しないということとなって、テロ対策としてこれは機能しないんではないかというふうに思うんですが、この点についてはいかがですか。
  110. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪への具体的な内容を検討するに当たりまして、私どもといたしましては、ある団体が組織的犯罪集団に該当するか否かにつきまして、お尋ねのように、過去に犯罪を行ったことをその要件とするというふうなことは考えておりません。  したがいまして、あくまでもその団体が組織的犯罪集団に該当するかは、当該事案についてその時点で収集された証拠に基づいて、その当該事案の時点において、構成員の結合の目的が犯罪を実行することにあるか否かということについて判断されるものでございまして、それまでの間の過去の犯罪歴、犯罪の回数、そのようなことがその認定の要件としているものではございません。
  111. 東徹

    ○東徹君 じゃ、次に、取調べの可視化についてお伺いしたいと思います。  テロ等準備罪を創設するに当たって、処罰が早期化される分、捜査機関の権限の濫用の可能性があることから、テロ等準備罪について取調べの可視化、これを必須としてはどうかというふうに考えますが、これに対してはテロ等の準備罪のみを必須とする理由は希薄との意見もあります。  国民の不安を軽減するためにテロ等準備罪では取調べの可視化は必須のものとしてはどうかと考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  112. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) この取調べの録音、録画に関しましては、これまでの刑事訴訟法改正の点で次のように整理がなされております。すなわち、平成三十一年六月までに施行される予定であるところの改正刑事訴訟法における取調べの録音・録画制度のまず対象事件は、裁判員制度対象事件と検察官独自捜査事件となっております。  そのうちで裁判員制度対象事件といいますのは、死刑又は無期の懲役、禁錮に当たる罪の事件などでありますので、現在のところ、テロ等準備罪についてはそのような法定刑とするとは考えておりませんので、こういった改正刑事訴訟法における録音・録画制度の対象事件の中には含まれないということになろうかと思います。  そうしますと、それ以外、この法律で義務付けられているという意味での対象事件の外側の類型になろうかと思いますので、これにつきましては、改正刑事訴訟法の議論の中におきましても、当面これについては運用の世界で、運用の中で録音、録画を行っていくということ、しかも、それも運用の結果を踏まえて、その後に、一定の期間後にその制度の在り方を見直すと、こういった法的な整理がなされておりますので、テロ等準備罪につきましてもそういった形の中で、例えば新設された場合には事案の内容等に照らして必要と考えられる事案、事件であれば、検察等において実務上の運用としての録音、録画は実施され得ると思います。しかし、それは法律上の義務として行われるものではなかろうかと思っております。そのように現在考えております。
  113. 東徹

    ○東徹君 時間がなくなってまいりましたので、最後に一問だけちょっと質問をさせていただきたいと思います。  高齢者の犯罪についてでありますけれども、高齢者の犯罪、今高齢者の犯罪がどんどんとこれ増えてきておりまして、平成二十七年度で四万七千六百三十二人と非常に多いんです。窃盗の割合が七二・三%なんですけれども、このことについて、高齢者の犯罪、抑止策、どのようにお考えなのか。  そして、もう一点。高齢者の犯罪に至りましては四八%が、再犯者率が、なっておるんですね。ということで、起訴猶予が六〇%を超えているということで、この点について併せて御見解をお伺いできればと思います。
  114. 井野俊郎

    ○大臣政務官(井野俊郎君) 高齢者の犯罪者の増加についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、今大変高齢者の検挙者、犯罪者数が増えておりまして、その特徴的なものが、やはり五三%がまず万引きによるものだということでございます。こういった高齢者については、やはり福祉や医療などの支援を必要とする者が多いというところがまず一つの特徴なのかなというふうに思っておりますので、こういった福祉・医療機関等につなげて適切に支援を受けていけることができるようにすることが高齢犯罪者等の再犯防止と社会復帰を図る上で重要ではないかと、そういった課題を認識しているところでございます。  ですので、法務省としては、検察庁、矯正施設、保護観察所等の刑事司法関係機関における福祉・医療機関等との調整機能の充実などであったり、また高齢化などの環境変化に対応した、例えばバリアフリー化などの刑務所などの環境整備を推進していくと、こういったことであったり、また、再犯防止に向けては関係省庁、特に厚労省などの省庁と連携して取組を推進していくこと、こういった活動を通じて再犯防止に取り組んでいきたいというふうに思っております。  さらに、先ほどの起訴猶予の比率等についてでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、万引き等が圧倒的に多く、特に女性高齢者にあっては万引きが約八〇%、検挙者のうち八〇%が万引きということもありますので、そういった様々な事情をそれぞれ個別具体的に検察官が判断しているかと思いますけれども、そういった事情が多少背景の一つにあるのかなというふうに考えているところでございます。
  115. 東徹

    ○東徹君 時間になりましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
  116. 秋野公造

    ○委員長(秋野公造君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  117. 秋野公造

    ○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政基本方針に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  118. 有田芳生

    有田芳生君 民進党・新緑風会有田芳生です。  共謀罪について質問をさせていただきます。  今朝のワイドショーで、共謀罪、その番組ではテロ等準備罪という表現でしたけれども、特集が行われておりました。そこで自由民主党の法務部会副部会長若狭勝さん、副部会長若狭勝さんが出演をされておりました。自由民主党の法務の副責任者と言ってよろしいわけですよね。副部会長の若狭勝議員がこう質問されました。今度政府が準備している法案、これで果たしてテロを未然に防げるんですかと、端的な質問だったんです。それに対して、若狭法務部会副部会長はこう答えられました。テロは未然に防げるんですかと、かなり効果は乏しい。効果が乏しいだけではなくて、かなり乏しい、そういうふうにおっしゃっている。  だから、自由民主党の中にもそういう方がいらっしゃるという、今度準備されている法案についてお聞きをしたいんですが、総理は最近、非常に答弁でお好きな言葉として、印象操作、印象操作と、事あるごとに使われる傾向がありますけれども、私たちからすれば、政府与党が準備しているこの法案については相当な印象操作が行われているであろうと私は判断しております。  そもそも今年の一月五日の自民党の役員会で安倍首相は、準備している法案について、テロ組織犯罪準備罪、そのように表現されております。一月の終わりにはもう菅官房長官が、テロ等準備罪というふうに表現をされておりました。  自由民主党・無所属の会の二月二十八日の政調、法務部会では、テロ等準備罪についてというふうにもう定められて、略称として、いる、そういう経過がありますけれども、私たち民進党が三月二日にヒアリングを行ったときに、法務省刑事局参加者は、一体誰がテロ等準備罪の名付け親なんですかという質問に対して、全く分かりませんという発言をされました。  この件について、私たちは印象操作だと思うものですから、いろいろ質問をして、大臣にも衆議院の法務委員会あるいは参議院の予算委員会でも質問があったと思いますが、一体このテロ等準備罪という名付け親というのはどなたなんですか。
  119. 金田勝年

    国務大臣金田勝年君) 有田委員の御質問にお答えをいたします。  テロ等準備罪という呼称、呼称でございますが、法務省内部においてTOC条約担保法案の内容を検討していく過程で、法案の実態を踏まえた呼称として徐々に使われ始めて、やがて収れんして用いられるようになった呼称でありまして、いつ誰が使用し始めた呼称であるかは不明であります。  いずれにしましても、テロ等準備罪という呼称は、本罪を新設する趣旨や本罪が対象といたします犯罪を端的に表すものとして適切であると考えておる次第であります。
  120. 有田芳生

    有田芳生君 ところが、三月八日の読売新聞によりますと、テロ等準備罪という呼称は首相官邸の幹部が考案したものだと。食い違っているのは仕方がないにしても、いずれにせよ、自由民主党の法務部会の副部会長さえ、この法案ではテロを未然に防ぐにはかなりの効果は乏しいというもの、であるにもかかわらず、テロ等準備罪、テロ等準備罪という、こういう印象操作はもうやめていただきたいということをまず初めにお伝えをいたしまして、法務大臣にお聞きをしたいんですけれども、かつての、過去の共謀罪についてお聞きしようと思ったんですけれども、時間との関係で、かつての共謀罪がなぜ三度も廃案になったのか、その理由をお聞かせください。
  121. 金田勝年

    国務大臣金田勝年君) 過去の国会の審議過程におきまして、一般の国民の皆様の不安あるいは懸念というものについて審議の中で御指摘があったと、このように思っております。そういう不安や懸念というものに応える努力は当時もされたんだろうとは思いますが、そういう経緯の中で廃案になったと、こういうふうに私は考えて受け止めております。
  122. 有田芳生

    有田芳生君 国民の不安や懸念とは具体的にどういうことだったんでしょうか。
  123. 金田勝年

    国務大臣金田勝年君) それは、やはり一般の方々に、当時の共謀罪というその罰則が、場合によってそれが適用になるような可能性があるのではないかということに対する十分な説明と理解が足らなかったのかなという感じをいたしております。
  124. 有田芳生

    ○有田芳生君 二〇〇六年四月二十五日の衆議院法務委員会では、当時の大林宏刑事局長は、一言だけで言うと、犯罪として処罰されるのは共謀自体と。つまり、共謀自体で処罰されるという、それが暴力団とかそういう組織犯罪集団だけではなくて一般の人たちにも網が掛かるおそれがあるという批判が高まったから三度も廃案になったわけですけれども、当時、自由民主党は、強行採決やる条件も整っていたのにやらなかった、小泉政権時代ですけれども。小泉さんの公式の発言はありませんけれども、やはりこの法律は作ってはいけないんだという判断をなされた。恐らくそこにはあの作家の城山三郎さんなんかの働きかけもあったというように言われておりますけれども、共謀罪は駄目なんだと当時の自由民主党、小泉総理はそう判断をなさっていた。だけど、今、皆様方が準備をされているのは、この共謀罪と本質的に変わらない。正確に言えば、当時の共謀罪の延長線上にあると言わざるを得ない。そのことを今から証明をしていきたいというふうに思います。  まず、大臣にお聞きをしたいんですけれども、テロあるいはテロリズムというのは、先ほども質問がありましたけれども、もう一度どういうものかお答えいただけますか。
  125. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) ただいまお尋ねのテロ、テロリズムというその用語の意義につきましては、一般に、特定の主義主張に基づいて、国家等にその受入れ等を強要をし、又は社会に恐怖等を与える目的で行われます人の殺傷行為等をいうものとされていることから、私もそれがテロリズムではないかという理解をしておる次第であります。
  126. 有田芳生

    ○有田芳生君 特定の主義主張、これは言葉を換えて言えば政治的、宗教的イデオロギー、そう捉えてよろしいですか。
  127. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) それに限られるものではないと、このように考えております。
  128. 有田芳生

    ○有田芳生君 二〇〇八年に秋葉原で、ある男がトラックで歩行者に突っ込んで、そして車から降りてサバイバルナイフを出して、七人死亡、十人重軽傷という、いわゆる秋葉原事件がありましたが、これはテロでしょうか。
  129. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 個別の事案の詳細について、私がその件について申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  130. 有田芳生

    ○有田芳生君 特定の主義主張、それを、具体的な事件でなく、先ほど質問しましたけれども、政治的、宗教的イデオロギーに基づく行為、テロ行為、そういうくくり方をしても大臣の御認識と違わないですか、それとも違いますか。
  131. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 先ほどもお答え申し上げましたが、それのみに限られるものではないと、このように考えております。
  132. 有田芳生

    ○有田芳生君 それでは、例えば海外で言えばIS、具体的に、私たちが経験した一九九五年の地下鉄サリン事件などを起こしたオウム真理教。オウム真理教はテロ組織でしょうか。
  133. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) テロ組織に該当するかどうかというお尋ねであります。  オウム真理教の関係者によります一連の事件はテロに当たるものではないかなというふうに私としては受け止めております。
  134. 有田芳生

    ○有田芳生君 そのとおりだと思います。オウム真理教の地下鉄サリン事件というのは、人類史において初めて都市部でサリンという化学兵器がまかれた唯一のテロ事件です。オウム真理教は、したがって、今でも多くの人たちがテロ集団だという判断をしております。  ところが、一方、その政治的、宗教的なイデオロギーに基づく組織だとすれば、これはオウムということで今お聞きをするのではありませんけれども、TOC条約との関わりで、これはもう国会でも大臣、質問があったかも分かりませんけれども、二〇〇五年の南野国務大臣、法務大臣の答弁の中で、「御指摘のような宗教目的や政治的目的でつくられた団体が純粋な精神的な利益のみを目的として犯罪を行う場合には、この条約に言う」、つまりパレルモ条約ですよ、TOC条約に言う「「組織的な犯罪集団」には当たらないこととなると考えられます。」と当時の法務大臣は答えていますけれども、大臣は今でもこの当時の法務大臣のお答えを踏襲されておりますか。
  135. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 条約の解釈としては変わりはありません。
  136. 有田芳生

    ○有田芳生君 当時の大臣の見解と今も同じ立場をお取りになりますか。もう一度お答えいただけますか。
  137. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 先ほど申し上げましたとおり、条約の解釈としては変わっておりません。
  138. 有田芳生

    ○有田芳生君 そうしたら、今度のテロ等準備罪と皆さんがおっしゃる中に宗教的、政治的イデオロギーに基づく団体があるんだったら、TOC条約は入れないんじゃないですか。
  139. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) この国際組織犯罪条約の中での今回の条文の定義といたしましては、非常に広い概念でこの条約の射程を掲げております。したがいまして、テロ組織による、テロリズム集団による組織犯罪というものはこの条約の中にほとんど含まれるということがこれまで解釈しております。  ただ、純粋にその政治的、宗教的、政治的な、精神的なもの、これについてがこの条約の射程に入るかということについては、それは、これまでそれは入らない。ただし、そういうものが現実的に想定されるのかということについては、これまで、この条約が射程に入れているのは非常に広い概念であるので、組織犯罪対策のためのこの条約の中にテロリズム集団による組織犯罪というものは入ってくると、このように理解していたわけでございます。
  140. 有田芳生

    ○有田芳生君 もう一度お聞きします。  それでは、刑事局長、純粋な政治的な利益のみを目的として犯罪を行うことと、政治的、宗教的イデオロギーに基づくテロリズムというのは違うということですか。
  141. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 政治的な目的で行われるテロリズム犯罪、テロリズムにつきましても、今回のこの組織的犯罪防止条約の中での条文との照らしでいきますと、そういったその目的がその団体の効果として帰属する範囲というものは非常に広い概念としてこの条約は捉えておりますので、テロリズムが、その目的が政治的な目的であっても、組織的犯罪条約における直接、間接の目的でというところの間接の目的というものは非常に広い問題がございますので、結果的には全て含まれるというように考えているわけであります。
  142. 有田芳生

    ○有田芳生君 条約については、もし仮にこの法案が提出をされた場合には徹底的に質問をしてまいりますけれども、今日は、先ほど大臣もおっしゃっていたように、これまで三回廃案になった理由として、やっぱり一般の方々にも大きな影響があるんじゃないかという不安が、そこが決定的だと私も思っております。  そこで、今日の中心的なテーマとしてお聞きをしたいのは、例えば衆議院の本会議で総理は、一般市民は対象になることはあり得ないと。これは、大臣もそのように答弁されておりますよね。その根拠というのはどういうことなんでしょうか。なぜ一般の市民は対象にならないんでしょうか。
  143. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 私どもが申し上げておりますのは、これまでも何度もお耳に入っているかとは思いますが、テロ等準備罪を創設する目的、そしてその具体的内容、これについては成案ができたときに改めて申し上げることは申し上げているとおりですが、この要件として、テロ等準備罪を創設する際の要件として、組織的犯罪集団を対象としている。ですから、重大な犯罪をする組織的な犯罪集団を対象とする以上、その対象に構成員として一般の方が入っているということは想定し難いわけであります。  それから、要件としてもう一つ、もう一つ、合意、それからもう一つの実行準備行為というこのいずれの要件も厳しく、当時の三回にわたる廃案になったときの経験を踏まえて、そしてそのときの皆さんの不安や懸念を踏まえてその要件を厳しく設けているということを御理解賜れば、一般の方々の心配はないんだという思いを国民の皆さんにお持ちいただけるんではないか、こういうふうに思っている次第であります。
  144. 有田芳生

    ○有田芳生君 果たしてそうでしょうか。具体的にお聞きをしてまいります。  大臣は、団体の目的が犯罪の実行に一変したと認められる場合には組織的犯罪集団に当たると、そのように判断されておりますね。よろしいですか、それで。
  145. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 結構です。
  146. 有田芳生

    ○有田芳生君 法案が出ていない段階ですけれども、総理は、例えば、二月十七日の衆議院の予算委員会で山尾委員の質問に答えて、その一変した例示としてこう答弁されております。例えばオウム真理教がそうでありますね、当初はこれは宗教法人として認められた団体でありましたが、まさに犯罪集団として一変したわけであります。その後でまたこう答弁されております。犯罪集団に一変した段階でその人たちは一般人なんですか、私は今大変驚いているんですが、一般人であるわけがないじゃないですか。  大臣もそのような認識でいらっしゃいますか。
  147. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 一変するということの、どのようなことをいうのかという、そういう趣旨であろうかと思います。  個別具体的な事案における証拠関係踏まえた事実認定の問題であれば一概にお答えすることはできませんが、あくまで一般論として申し上げるとすれば、具体的な事案において、ある団体が組織的犯罪集団に該当するか否かというのは、当該事案の時点において、構成員の結合の目的が犯罪を実行することにあるか否かによって判断されるものであると、こういうふうに考えているわけでありまして、その上で申し上げますと、元々正当な活動を行っていた団体につきましては、通常、団体の意思決定に基づいて犯罪行為を反復、継続するようになるなどの状態にならない限り、組織的犯罪集団に該当するということが認められるというのは想定し難いのではないかと考えられます。
  148. 有田芳生

    ○有田芳生君 もう一つ大臣に確認をしておきます。  これは、一月二十六日の衆議院予算委員会、安倍総理の答弁ですけれども、その一変することに関して、実行準備行為について、時間があればお尋ねをしますけれども、準備をする、そしてチケットの予約、資金の調達などなどの答弁をされているんですけれども、その後でこう総理は答弁されております。飛行機をハイジャックする人もいる、そしてその予約をした、これは準備とみなす、そしてこれはもう構成されて、そしてここで我々としては、ほかの人も含めて、つまり実行準備行為をした以外のほかの人も含めてこれを一網打尽にできるわけであります。つまり、テロを未然に防ぐことができる。  大臣もこの総理の答弁の認識でいらっしゃいますか。
  149. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 先ほど申し上げましたが、組織的犯罪集団の構成員が、組織的犯罪集団の皆さんが合意をする、重大な犯罪を行うその合意をする。合意をするということは、その意思の合致があるということであります。そのときに、それを実行、合意に加えて実行準備行為に移る、移るときの人間がその中の全員であるケースは少ないと思います。そのときに、その意思の合致があった構成員がいっぱいいるんだけれども、その中の誰かが実行準備行為に入っているということが明らかであれば、最初に申し上げた組織的犯罪集団であり、合意が、意思の合致があって実行準備行為に移ったというこの三つの要件がしっかりとあるのであれば、それはほかの構成員を許すというわけにはいかないのではないでしょうか。
  150. 有田芳生

    ○有田芳生君 それは、先ほど午前中も答弁されておりました、組織的犯罪集団の構成員、総理の言葉で言えば一網打尽にする、そのような流れでよろしいわけですよね、今の御答弁も含めて。実行準備行為をした人だけではなく、組織的犯罪集団と認定された集団は、その実行準備をした以外の者も一網打尽にする。うなずいていらっしゃいますけれども、それでよろしいんですね、まだ質問言っていないんだけれども。  つまり、総理が予算委員会でオウム真理教を例示して、犯罪集団に一変した段階でその人たちは一般人なんですか、一般人であるわけがないじゃないですか。オウム真理教は、一九八〇年代にオウム神仙の会で発足をして、ヨガの団体でした。八〇年代に東京都の認証に基づいて宗教法人になりました。それが、総理の答弁だと、どこかで一変した。いつ一変したんですかと聞きたいところだけれども、それは省略をしますけれども、一変したら、このオウム真理教というのは信者は一網打尽なんですか。  大臣の言う組織的犯罪集団の構成員は全て摘発の対象ですか。端的にお答えください。
  151. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 総理の言われたその一網打尽という言葉との関連でお答えすることは、私、総理の言葉を正確に把握しているわけではないので言えませんけれども、少なくともそこでは二つのことが述べられていると思います。一つは、組織的犯罪集団というふうに認定される場合に、それは一般の方々と言えるのかという問題。それから、一網打尽というものが、これはその構成員なのかどうかということではなくて、具体的にその計画には加わった、しかし実行準備行為というのはそのいずれかの一人がやればいいということになりますと、いずれかの人がその実行準備行為に至れば、その計画に加わった人たち、これについては処罰の対象になり得るという意味でのことで、そういった二つの側面があると思います。  したがいまして、一網打尽という言葉がもし、処罰の対象ということが、あらゆるその時点での組織的犯罪集団の構成員全部に対して処罰の対象になるということでは全くないと考えております。
  152. 有田芳生

    ○有田芳生君 なら伺いましょう。  組織的犯罪処罰法の下で、ある元々適法な取引をやっていたリゾート会員権の販売会社がありました。経営が厳しくなって詐欺的な取引を行うようになったんですね、普通のリゾート会員権販売会社が。そして、それについての平成二十七年九月十五日付けの最高裁判例があります。こう述べられている。その組織が元々は詐欺罪に当たる行為を実行するための組織でなく、また、その組織の中に詐欺行為に加担している認識のない者が含まれていたとしても、これは組織的犯罪処罰法三条一項九号に言う詐欺罪に当たる行為を実行するための組織として、別異、異なったものとして解すべき理由はない。関わっていなくたってそういう集団として判断されるわけですよね。  そうしたら、大臣の言う構成員に当たるんじゃないですか。当たらないんですか。
  153. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のその判例というのは、現在の組織的犯罪処罰法における解釈を示したものでございます。  現在の組織的犯罪処罰法は、ある一定の行為が団体の活動として、その団体の中の組織によりある一定の犯罪が行われた場合に、その場合に、ある一定のその犯罪行為を加重して処罰ができると、こういう今構成要件になっておりまして、そのことについての判示されたものでございます。結局、そこで申し上げられていたのは、その時点で問題となった行為は団体の活動として組織により行われたものと認めるということでございます。  今回、法案を立案している場合に、構成要件として更に独立して組織的犯罪集団というものを掲げることとしております。この組織的犯罪集団というのは、これまでの組織的犯罪処罰法における要件に更に加えて新たにつくるものでございます。この場合に、組織的犯罪集団と認められるかどうかということは、当初の団体の構成員との範囲とは別異に考えられるものでございます。すなわち、当初の団体が一般の団体として存在しておりましても、この当該事案におきまして今のこの組織的犯罪集団が成立しているのかどうか、その構成員は誰かということは、その時点でまた認定されることであります。
  154. 有田芳生

    ○有田芳生君 具体論に落とさないと、一般の人には理解できないんですよ。  もう一度大臣にお聞きをします。一九九五年に地下鉄サリン事件が起きたときの彼らは組織的犯罪集団で、その構成員というのは誰だったんでしょうか。
  155. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 組織的犯罪集団という概念は、この度、法案の中で初めてつくる概念でございますので、まず成案を見て、それについて構成要件についての判断というものの質疑がなされるべきだと思います。
  156. 有田芳生

    ○有田芳生君 大臣の答弁に、もう一度お聞きをしております。地下鉄サリン事件が起きたときの構成員というのは誰ですか。
  157. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 組織的犯罪集団という概念が当時はありませんでしたので、お答えは差し控えたいと思います。
  158. 有田芳生

    ○有田芳生君 そんな詭弁が通りますか。  地下鉄サリン事件が起きたときの、もう時間がありませんから結論だけを言いますけれども、重大事件に関与して逮捕、起訴されたのは百数十人ですよ。メンバーずっと重なっていますから、たかだか六十三人ですよ。当時のオウム真理教、出家信者千人、在家信者一万人、加えて、さらにロシアでは五万人、いろんな形で一般の全く事件に関わっていない人たちが逮捕されているんですよ、何人も何人も。無罪ですよ。そういうことが起きるでしょう、そういう一くくりにして、組織的犯罪集団としてくくってしまえば。  だから、今分かりやすいオウムの問題を言ったんだけれども、労働組合にしてもNGOにしても、組織的威力業務妨害罪であるとか組織的な強要罪であるとか、そういうことを認定されてしまったら多くの人たちがからめ捕られてしまう、一網打尽になるおそれがあるから、だからそういう質問をしているんですよ。  もう一回お答えいただけますか。
  159. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 私から申し上げますが、有田委員の今の御質問ですが、テロ等準備罪の内容検討中は申し上げてまいりました。対象となる団体を重大な犯罪を行うことを目的とする組織的犯罪集団に限定することを検討中であります。具体的には、構成員の結合の目的が一定の重大な犯罪を実行することにある団体とすることを考えております。  いずれにしても、厳格な要件を定めることによりまして、一般の方々がテロ等準備罪の適用対象とならないような法案を現在検討しているわけであります。
  160. 有田芳生

    ○有田芳生君 じゃ、大臣、こういう綱領がありますけれども、五つの綱領のうち三つをちょっとお示ししますので、これはどういう団体だと思われるか。  内を固むるに和親合一を最も尊ぶ、中を固めるには和親合一を最も尊ぶ。外は接するに愛念、愛の気持ちを持し信義を重んず。あるいは、先人の経験を聞き人格の向上を図る。  これはどういう団体だと思われますか。
  161. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 私には直ちには分かりません。
  162. 有田芳生

    ○有田芳生君 山口組なんですよ。だから、現象と実体と本質というのがあるわけで、オウム真理教だってヨガの組織から始まって宗教法人になって、だけど、その中身を圧倒的に持ちながら、麻原彰晃たちごく一部の人間が凶悪事件を起こしたんですよね。  だから、圧倒的に、日本でいえば一万一千人の当時の信者の中で事件を起こしたなんというのは百人もいないんですよ。せいぜい百人ですよ。ほかの人たちは全く事件も知らないし、関与もしていないつもりだった。だけど、サリンを作ろうということになったときに、ダミー会社をつくって、そして原材料を集めたんですよね。そのダミー会社なんというのは一般の信者がいっぱいいる。だけど、一くくりに包括的な共謀罪になってしまえば、その人たち全体が組織的犯罪集団と認定されないんですか。されない、おそれがあると私たちは思うからそういう質問をしているんです。現実が問題なんだから、概念じゃないんだ。現実があるから概念があるんでしょう。だから現実を聞いているんですよ。
  163. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 組織的犯罪集団の構成員は、先ほどから申し上げておりますが、一定の重大な犯罪を実行することを目的として結合をしている者であります。その結合目的を認識をしていない者は組織的犯罪集団の構成員とはなり得ないと、このように考えております。
  164. 有田芳生

    ○有田芳生君 じゃ、更に具体的に聞きましょう。  地下鉄サリン事件が内部で謀議をされたのは、サリンを作ろうと決めたのは、地下鉄サリン事件は九五年の三月二十日だけれども、教団の内部でごく数人が共謀したのは九二年の十二月ですよ。実際に九三年からはサリンを作り出した。だけど、その計画があったことは、もしこの法案ができた場合は、どこかで、どのように、密告がなければ盗聴とかそういうことをやるしかないんだけれども、その計画を知っていた、計画をしていた人物たちとは別に、知っていた人物は組織的犯罪集団の構成員になるんですか、ならないんですか。
  165. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) オウム真理教のお話でございます。いわゆるオウム事件を起こした当時のオウム真理教が現在検討中の法案の組織的犯罪集団に該当しただろうか否かというのは、個別具体的な事件についての評価を伴うものですから、お答えは差し控えさせていただきます。
  166. 有田芳生

    ○有田芳生君 総理が具体的に予算委員会でオウム真理教を取り上げたから具体的に聞いているんですよ。  じゃ、一般論として言いましょう。これから、例えばサリンを作ろう、様々なテロ事件を起こそうという集団ができたとする、数人で例えば計画をしたとする。だけど、その計画をした人たちとは別に、その計画を知っていた人は組織的犯罪集団の構成員になるんですか、ならないんですか。
  167. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 入らないと思います。
  168. 有田芳生

    ○有田芳生君 現実の犯罪というのは、皆さん見詰めていただければ、本当に概念の世界ではないんですよ。  例えば、今のケースでいえば、地下鉄サリン事件でいえば、計画したのは、九三年の八月の段階では、麻原彰晃を含めて六人で第二サティアンの三階でサリン七十トン作ろうということを決めた。だけど、九二年の十月の段階ではもっと抽象的な段階だった。だから、そういう重大犯罪が準備されることを、直接その会議には出ていない、構成員じゃないけれども、すぐ近くで知っている人はいるわけですよ。いて、実際にその人物はサリンを作る、坂本弁護士一家殺害事件にも関与をするなど、そういう行為をする人、これ普通考えて組織的犯罪集団の構成員じゃないんですか。具体的に計画していない、だけどすぐ近くで知っている人は構成員じゃないんですか。
  169. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 単に知っているだけではそのようにはならないと、このように考えております。
  170. 有田芳生

    ○有田芳生君 現実の犯罪というのは、例えば、大臣が午前中に、そういうテロリスト集団以外にも振り込め詐欺集団というのを例示されましたよね。  だから、振り込め詐欺の事件なんというのは、本当に具体的に皆さん知れば、振り込め詐欺集団、今いっぱいありますよ。だけど、犯罪の形態を具体的に見れば、そこには一般の何にも関係ない人たちが組み込まれているんですよ。振り込め詐欺集団がある。じゃ、具体的に言いましょうか。例えば、携帯電話をお金を借りたいという人に買わせるんですよ、何台もね。そして、それを持ってこさせる。名義はいろんな人、普通の人ですよ、お金貸してほしいという。その人たちがお金を借りたいがために、携帯電話何台か買ってください、それで買って持ってきて、振り込め詐欺集団の犯罪の中に組み込まれるんですよ。だから、そのことを知った警察なんかは、あなた逮捕しますよと実際にやっているのが現実の犯罪なんですよ。  だから、概念的な、逃げたって、実際のところでは関係のない人が組み込まれる。オウム真理教の事件だって、いっぱい関係ない人が組み込まれて、化学物質運んだだけで、サリン作ったんじゃないかといって、ある女性信者なんというのは十数年も逃げ続けたわけでしょう。だけど、無罪ですよ、関係ない、知らないんだから。だけど、犯罪の中に組み込まれている。組織的犯罪集団の構成員ですよ。これが現実なんですよ。どうお考えですか。
  171. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) いずれの委員の御指摘も全て事実関係に基づいてこの成否を判断するときにはやはりその証拠に基づいて認定する必要がございますので、そういった意味で、それが当たる当たらないということはお答えすることはできないわけでございます。  その上で、今回の組織的犯罪集団というものは、先ほど申し上げましたが、刑事罰則の中の要件の一つでございますので、この団体、いわゆる一般の団体の範囲とこの刑事罰則として認められる組織的犯罪集団という概念の範囲は異なります。これは刑事の中で考えます。その上で、組織的犯罪集団の中にも、今回、その中に組織がございまして、組織によって計画がなされ、計画がなされあるいは合意がなされた上で実行準備行為がなされて初めて処罰ができると、このような形での立案を考えておりますので、そういたしますと、やはり一般の団体の構成員の中にもまた組織的犯罪集団と認められるものの範囲があり、さらにその中に、組織に属して組織の中で実際にその犯行を計画する、こういうものがございます。実際に起訴、不起訴の対象、あるいは有罪、無罪の対象になるのは、その計画をした者について、それが組織的犯罪集団の構成員であるのか、あるいはそれがその集団の中の組織によって計画がなされているものかどうか、こういったことが吟味された上で、また立証を尽くせた上で初めて処罰ができると、このようになるわけでございます。
  172. 有田芳生

    ○有田芳生君 よく分からないですね。もう一度、じゃ局長にお聞きしましょう。大臣が答弁された組織的犯罪集団の構成員というのは誰のことなんですか。
  173. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 刑事罰則の中の一つとして今回組織的犯罪集団という概念を置いて、それを定義しております。これは、必ずしもこの法律は団体規制法ではございません。団体が、構成員が誰であるかとか、そういうことを認定した上でその刑事罰則を考えるわけではございません。誰がどうかと言われましても、それに対しては具体的な事実認定への刑事罰則の当てはめの問題になりますので、具体的な証拠関係なければお答えできませんけれども、少なくともこの組織的犯罪集団というためには、その結合の目的が一定の犯罪を実行することにある、それが結合の目的となっている、これがその組織的犯罪集団の定義として置く予定でございますので、基本的にはそういった目的の下に集まっていない者については構成員とはならないと、このようになります。
  174. 有田芳生

    ○有田芳生君 そうしたら、例えば宗教的共同の意思で結合した団体があった、それがテロを起こした、だけどそのテロを起こした根拠としては宗教的イデオロギーであった、その場合にはその組織は犯罪集団として認定されるわけですよね。結合の根拠が宗教的イデオロギーでみんながそれを信じていた場合、その団体そのものはテロ集団、組織的犯罪集団と認定されますよね。されないんですか。
  175. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) 宗教的な目的で集まっている団体があると仮定しますが、その団体が当該事案においてこのテロ等準備罪の犯行の対象になるためには、組織的犯罪集団と認められなければできません。今回、その要件を置くというのはそういうことでございます。したがって、そのときのその団体の実態として、それが、そこに構成員たちは犯罪の実行の目的を持って集まっているということを立証し、それが認められなければ処罰できないというふうになるかと思います。
  176. 有田芳生

    有田芳生君 その立証するのは捜査当局ですよね。違うんですか。そうですよね。(発言する者あり)いや、西田さんが答弁されているんだけど、刑事局長、そうですよね。捜査当局ですよね。
  177. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) これも申し上げましたが、今回、刑事罰則でございますので、それの適用場面というのは、捜査段階、それから公判段階とございます。  例えば、捜査段階であれば、捜査機関は、当然、犯罪があるかどうか、その犯罪の嫌疑があるかどうかを考えるときに、その犯罪の中に組織的犯罪集団という要件があり、また計画という要件があり、また実行準備行為という要件があれば、その全てについて満たしているかどうか、またそこの嫌疑があるかどうかというのをまず捜査機関が考えます。  ただ、捜査段階におきましても、当然、裁判官が関わる場合がございます。これは令状、逮捕状を請求する場合、あるいは捜索差押令状を請求する場合、こういった場合には捜査機関のみならず裁判所もその認定に関わります。  最後には、起訴されてから、起訴されてからは当然その立証するのは検察官が立証いたします。立証した上で、十分であるかどうかは裁判官が判断する、裁判所が判断すると、こういうことになります。
  178. 有田芳生

    有田芳生君 じゃ、もう一度刑事局長に更にお聞きをします。共謀罪のときの当時の大林宏刑事局長、二〇〇六年四月二十五日の衆議院法務委員会での答弁ですけれども、当時の共謀罪ですね。犯罪として処罰されるのは共謀自体。準備行為の要件は処罰条件として付加。準備行為のない段階での逮捕などは、その後の準備行為が想定できず、起訴できなくなるので、現実問題として行えない。だから、準備行為のない段階での逮捕などは、その後、準備行為が想定できず、起訴できなくなるので、現実問題としては行えないという、その次に、準備行為を、だから先ほどの仁比委員の質問だとしたら、まあそれが下見なのか散歩なのか花見なのかというような話ですけれども、準備行為を現認しても、つまり確認をしても、犯罪の現認ではないので現行犯逮捕できない。これがかつての共謀罪のときの刑事局長の答弁なんですが。  林刑事局長にお聞きをしたいんですけれども、準備行為というのは構成要件なんでしょうか、処罰要件なんでしょうか。
  179. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のかつての刑事局長の答弁、これにつきましては、当時、まず政府側からとしては組織的犯罪の共謀罪というものを提案しておりました。その中で、一時期、与党修正案というものが出たわけでございます。  与党修正案というのは、当時、政府案としては準備行為までは要求していなかったわけでございますが、その中での与党修正案は準備行為まで必要とするという案でございました。その中で、また、提案者の方でこの準備行為の部分については処罰条件というふうに考えるということを前提にその与党修正案が出てまいりました。その上での刑事局長の当時の答弁でございます。  今回、私どもといたしましては、実行準備行為というものがないと処罰できないという形に考えております。そこで、今法案検討中でございますが、少なくとも今立案の方針として考えているのは、その計画だけがあって、あるいは合意だけがあって、まだ実行準備行為に進んでいない、こういったときに例えば逮捕ができるのかどうかということについては、立案の方針としてそういう場合には逮捕はできない、そういうものとして法律を作りたいと、このようにこれまで申し上げております。そのときの理屈として、さて、その実行準備行為が何に当たるのか、処罰条件なのかどうかということについては、これまでも私もお尋ねを受けたことございますが、少なくとも、そういった法令上の概念ではない講学上の概念について、現在のところそれについてこうであるということを申し上げる段階にはないと、こう申し上げておりました。  そういうことで、今後、法案の立案方針としては、計画だけで、合意だけで、次に実行準備行為あるいはその推進行為、こういったものに移っていない、そういった現象の下では逮捕すること、強制捜査することはできない、こういった内容の法律として立案しようと、こう考えております。
  180. 有田芳生

    ○有田芳生君 更にお聞きをします。  そうしたら、実行準備行為、例えば下見に行くであるとか、あるいはいろんな物品を調達しに行くという場合を想定した場合、そうした実行準備行為の場合、現行犯逮捕はできるんですか、できないんですか。局長です。
  181. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 実行準備行為をもってその構成要件とし、かつ全体として犯罪が成立するということになって、そういった場合に実行準備行為だけで逮捕できるのかどうか、現行犯逮捕ができるかどうか。現行犯逮捕というのは、基本的に令状を取るまでもない明白性、そして必要性というものがその段階で備わっていないといけませんので、どのような段階でそれが備わっているのかということの方が現行犯逮捕ができるかどうかという問題になりますので、そこは一概にはお答えできなくなると思います。(発言する者あり)
  182. 有田芳生

    ○有田芳生君 仁比さんが質問しているわけですけれども、そのとおりなんですよ。  どこの段階を言っているのか。準備行為、何が準備行為なのか。散歩なのか下見なのか、銀行に生活費がなくなったから下ろしに行こうとしたのか、飛行機のチケットを買うために、テロをやるためのチケットを買うために銀行に行ったのか分からないじゃないですか。内心でしょう、それは。心の中でしょう。どうやってそこに入り込むんですか。
  183. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 今回るる申し上げているのは、犯罪の成立の要件として、例えば実行準備行為だけが犯罪であるということになれば今の言われたような問題が生ずると思いますが、今回、実行準備行為だけで犯罪が成立するわけではございません。その前の段階で合意というものがなければなりませんし、更に言えば、その前の段階で組織的犯罪集団というものの存在というものがあります。これ全体でその犯罪の要件でございますので、一部分を捉えて、これだけで逮捕ができるのか、これだけでどうなのかということは、それはもうちょっとその問題設定が明確にならないとお答えはできないと思います。  その上で、例えば通常の普通の犯罪でも、例えば通貨偽造の準備という罪がございますが、これは紙幣を造るための原料を準備した場合これを罰すると、こうなっていますけれども、これは当然、紙幣を造る原料の準備というのは、一般には紙のいろんな材料を集めて作るというようなことでございますので、これ自体ではもちろん危険性というものは全くうかがわれないです。だからこそ、刑法の中ではこれを偽造の目的でやった場合にのみ処罰するというふうに、これは目的犯ということを言いますが、目的が加わっていないと犯罪にならないというふうにやっておるわけでございまして、基本的に、そういった既存の法律の中でも、一定のその行為だけを見れば危険性がないような行為でも、やはりそのほかの要件、今でいえば目的という要件、今回、テロ等準備罪の考えでいけば計画あるいはその上にある組織的犯罪集団という要件、こういったものを全部考えた上で判断しなくちゃいけないということでございます。それは、通常の刑事訴訟法の許されている捜査手法によって証拠を収集して、その立証するのは検察官に責任があると、こういうことでございます。
  184. 有田芳生

    ○有田芳生君 よく分かりません。  時間が来ておりますので終わりますけれども、金田大臣を困らせようと思って質問しているのではありませんので、そのことだけは最後に発言をしておきます。
  185. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。  金田法務大臣の所信、そして来年度予算案の御説明を伺って、まず率直な感想を申し上げますと、治安・テロ対策、出入国管理、公安調査庁を中心とする取組の強化など、社会防衛的な考えが強力に打ち出されている、そのように受け止めました。金田大臣は、国の機関として人権擁護に取り組む最高責任者でもあるわけですから、そちらにもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  そこで、本日は人権問題を中心に質問したいと思います。  まず、質問に入ります前に二つの司法判断について言及したいと思います。  米軍嘉手納基地周辺の住民二万二千四十八人が、深夜、早朝の米軍飛行機、つまり米軍機の飛行差止めと損害賠償などを求めた第三次嘉手納爆音訴訟において、那覇地裁沖縄支部は二月二十三日、飛行差止めの請求を棄却した一方で、騒音が受忍限度を超えていると認定をし、過去最高となる総額三百二億円の損害賠償の支払を命じました。  藤倉裁判長は判決理由で、第一次訴訟の判決確定から十八年以上経過したが、米国や国による対策に特段の変化は見られず、違法な被害が漫然と放置されていると批判をし、騒音によって会話やテレビ視聴、勉強などの妨害のほか、高血圧症のリスク増大も生じていると厳しく指摘いたしました。にもかかわらず、米軍機の飛行差止めについては、日本政府には米軍の行動を規制する権限はないとする第三者行為論などを理由に退けました。沖縄県民の生存権を脅かす違法な被害を漫然と放置しているこの責任は司法にもあるということを申し上げておきたいと思います。  そしてもう一つは、基地建設に反対する抗議行動に絡んで逮捕、さらに起訴された沖縄平和運動センターの山城博治議長が長期勾留されている問題であります。  最高裁は二月二十日、保釈を認めない決定をいたしました。これは、基地があるゆえに引き起こされる騒音や環境破壊、米軍関係の相次ぐ事件、事故により、沖縄県民は長い間苦しんでまいりました。命と暮らしを脅かす基地建設に抗議することさえも許さない政府に追随するような司法判断に怒りを覚え、強く抗議いたします。  検察の対応、そして司法判断については、反対運動の現場だけでなく、元裁判官、刑法学者、国際人権団体など、各方面から疑問視する声が上がっています。  木谷明元高裁判事は、厳し過ぎる、精神的な支援を遮断して自白を迫る人質司法の手法だ、重大事件でもないのにいつまでも勾留しておくような判断は残念だと指摘をしています。  また、明治大学のローレンス・レペタ特任教授は、山城氏に対する警察、さらに日本政府の対応は国際人権法に反していると批判しています。自由権規約第九条では、恣意的な逮捕と長期の公判前勾留を禁じ、勾留者は妥当な期間内に裁判を受けるか保釈される権利を有するとあります。レペタ教授は、恣意的な逮捕は世界中で独裁政府が反対派を黙らせるための常套手段として使われている、このため、八八年の国連総会で長期勾留を禁じる原則が採択された際には、拘禁された者又は受刑者と外部、特に家族や弁護人との間のコミュニケーションを数日以上拒否してはならないと明記している、これに違反していると指摘をしています。  最高裁元判事の泉徳治氏は、国民の基本的人権、民主的な政治過程、少数者の権利を守ることは司法の役目であり、この役割を果たすことは裁判官の使命であると述べておられます。  最高裁の判断も近い将来断罪されるものと確信をしているということを強く申し上げて、質問に入りたいと思います。  まず、質問について、一番目でございますが、民法改正等について伺います。  成人年齢の十八歳引下げの民法改正案の審議が見送りという、このような報道がありますが、これは事実でしょうか。もしそうであれば、その理由を、金田法務大臣、お聞かせください。
  186. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 成年年齢を十八歳に引き下げるという内容の民法改正案につきましては、これまでも私も記者会見等で述べてまいりましたが、早ければ今国会に提出することも一つの選択肢であると申し述べてきました。そういう状況に変わりはないのであります。  いずれにしましても、法務省としては適切な時期に民法改正案を提出する考えであります。従前どおりであります。
  187. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 適切な時期にということなんですが、この適切な時期とはいつなんでしょうか。
  188. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 私から法務省の所管事務を全体を見渡しておりまして、今、法案に係る課題が非常に密集しているというんでしょうか、たくさんございます。そういう中で、しっかりとそれらを仕上げていくという思いを持って拝見しておりますので、そういう思いを込めた、そして今国会に早ければ提出するということを述べてまいりましたが、そういう中で御理解を賜りたいと思います。
  189. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 民法というこの基本法は通常国会でしっかり議論すべきであるというふうに思います。  婚姻年齢については、法制審答申から二十一年が経過をしております。国連からも、男女差別の解消、児童婚を解消すべきとして改正が求められているということを強調しておきたいと思います。  次に、ハーグ条約について質問いたします。  ハーグ条約に加盟してから三年が経過いたしました。ハーグ条約は、監護権の侵害を伴う国境を越えた子の連れ去り等は子の利益に反すること、どちらの親が子の監護をすべきかの判断は子の元の居住国で行われるべきであること等の考慮から、まずは原則として子を元の居住国へ返還すること、そのことを義務付けています。ところが、米軍基地が集中する沖縄では、米軍人の夫が妻に無断で基地から本国に連れ去るという解決が困難なケースもあるわけです。  先日、ハーグ条約に基づき、アメリカで暮らす一歳の娘の返還を求めていた母親の訴えが認められました。これは、米国で妊娠中にDVを受けたことなどから帰国し、沖縄で出産をし、三か月後に夫の親族の結婚式で渡米をした際に娘と引き裂かれたケースであります。母親がフロリダ州連邦地裁に申し立て、返還命令が出されたものであります。  沖縄では国際結婚が年間二万件を超しています。離婚も増えており、子の連れ去りも深刻な問題になっているわけですが、条約加盟から三年がたち、条約がどのように運用され、子供の利益がどう守られたかの検証が必要だと思いますが、今後の取組について伺います。
  190. 小川秀樹

    ○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。  ハーグ条約を実施するために必要となる手続などを規定しております国内法のいわゆるハーグ条約実施法でございますが、これにつきましては、衆参の法務委員会における附帯決議によりまして、政府は、ハーグ条約実施法の施行状況等について、当分の間、一年ごとに国会に報告するとともに、施行後三年を目途として施行状況を検討し、検討結果に基づいて必要な措置を講ずることとされております。  したがいまして、法務省といたしましては、引き続きハーグ条約実施法の運用状況を見ながら、関係機関などとも適時適切に連携しつつ、先ほど申し上げましたような措置を講ずる必要性を含め、検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  191. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 よろしくお願いいたします。  次に、選択的夫婦別姓と通称使用についてお伺いいたします。  今年一月三十一日の参議院予算委員会での選択的夫婦別姓に関する答弁で、安倍首相は、直近の内閣府における世論調査では反対が三六・四%、容認が三五・五%と答弁をされました。しかし、政府は、二〇一四年三月十三日の参議院法務委員会では、政府広報室長が、人口を補正すると賛成は三六・六%、反対は三四・六%と答弁されています。  委員会で訂正されたのですから、その後の答弁もそうするべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  192. 小川秀樹

    ○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。  御指摘いただきました内閣府の答弁は、平成二十四年の選択的夫婦別氏制度の導入に関する世論調査について、議員からの求めに応じて、性・年齢別の回答結果に総務省人口推計による性・年齢別の人口構成比率を掛けて、その上で試算したものというふうに聞いておりまして、これによりますと、制度の導入に賛成する旨の回答が公表数値よりもやや増加することになるものと承知しております。  また、世論調査では、若い年代の女性の方が選択的夫婦別氏制度の導入に賛成する方が多い傾向にあるということが言えようかと思います。もっとも、世論調査の全体を見ますと、選択的夫婦別氏制度に賛成すると答えた者の割合と同制度に反対すると答えた者の割合は拮抗しておりまして、選択的夫婦別氏制度の導入について国民各層の意見が分かれていることが示されたものと認識しております。  答弁におきまして、世論調査結果を御紹介するに当たりましては、基本的には世論調査を実施した内閣府から公表されております客観的な数値を利用すべきものというふうに考えております。
  193. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今の答弁によりますと、特に若い人たち、若い女性がやはり求めているという、これから結婚する人たちがそういうことを求めているわけですから、是非積極的に進めていただきたいと思います。人口補正するとその賛否が逆転するため、これは今、私あえて言及したわけですが、いずれにいたしましても、少数者の権利を世論の多寡に委ねることについては、この件に関して国連からも厳しく指摘をされているということを強く申し上げて、次の質問に参りたいと思います。  先ほども申し上げましたけれども、いわゆる夫婦別姓訴訟では、最高裁法廷では、二〇一五年の十二月十六日、現行民法について、選択的夫婦別氏制度に合理性がないと断ずるものではないとした上で、国会で論ぜられ判断されるべき事柄であると、議論を立法府に委ねるという判断をいたしました。  しかし、国会で法案をきちんと議論する場はなく、政府は、個別の議員の質問に、判を押したように、この問題は我が国の家族の在り方に深く関わるものであり、国民の間に様々な意見があることから、最高裁判決における指摘や国民的な議論の動向を踏まえながら慎重に対応する必要があるという、このような答弁を繰り返しています。  慎重に対応するとは、これは議論を封じることになるのでしょうか。国会で論ずる場を設けるべきだと思いますが、金田法務大臣、いかがでしょうか。
  194. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 民法第七百五十条の規定で、夫婦同氏を定める規定がございます。  平成二十七年十二月十六日の最高裁判決において合憲との判断が示されたわけでありますが、他方で、その判決におきまして、選択的夫婦別氏制について、制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄であるとの指摘がされたと、このように承知をいたしております。御指摘の国会での議論の場というものをどのような形で設けるかという点につきましては、立法府において御判断をいただくべき事柄であると考えている次第であります。  この問題は、委員もただいまお話に引用されていましたが、我が国の家族の在り方に深く関わるものでありまして、国民の間にも様々な意見があるということではあります。法務大臣としては、私といたしましては、最高裁判決における指摘を踏まえて、まずは国会における議論の動向を注視しながら慎重に対応を検討していくべきものと考えております。
  195. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 先ほども御質問の中で、国会で論ずる場を設けていただきたいというふうに申し上げておりますし、さらに、今、安倍総理大臣は女性の活躍に対する大変関心をお持ちの方です。昨日、三月八日、国際女性デーで、多くの女性たちがその活躍の場をあらゆる形で設けていただきたいという、そのような運動もあったわけですが、そのことに関連して、きちんと論ずる場を設けていただきたいというふうに申し上げたわけですが、再度御決意を伺いたいと思います。
  196. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) ただいまもございましたが、国会での議論の場というものをどのような形で設けていくのかという点が重要だと思います。  糸数委員の御指摘は私も理解している一人でありますが、その国会での議論の場の設け方につきましては立法府において御判断をいただくべき事柄であろうかと思いますので、その点も前提として踏まえて、またお考えも教えていただきながら検討を進めていきたいと、このように思います。
  197. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 検討していただくとはおっしゃっていらっしゃいますけれども、具体的にどのような形でやっていただけるのかと私は伺ったつもりなんですけれども、それに対する御答弁はございません。前向きにきちんとやっていただくということをお約束していただきたいと思います。
  198. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 糸数委員のこの課題に対します御熱意は私も理解しているつもりでありますが、この問題は何分にも、最高裁のこの中で出ておりますように、国会で論ぜられ判断されるべき事柄であるという、その国会での議論の場というものを踏まえて対応していく必要があるということは理解していかなければいけないのではないかと考えております。
  199. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 まさにこの場できちんと論じていただくということで質問しておりますけれども、立法府でやるべきことだというふうに最高裁でも委ねられているわけですから、積極的に取り上げてやっていただくということを強く要望したいと思います。  次に、最高裁大法廷では、女性に関わる不利益を認めながら、これらの不利益はその氏の通称使用が広まることにより一定程度は緩和され得るといたしました。しかし、通称使用が認められない職場もあり、不利益が緩和されるどころか訴訟になる事案もあるわけです。  そこで、通称使用についてお伺いいたします。  今、お手元に資料としてお配りをいたしておりますのは、実はこれ、私の地元の沖縄県と県内四十一市町村の旧姓の通称使用の状況を調査した一覧であります。これを見てもお分かりのとおり、都市部で認める自治体が多い一方で、離島などでは認めていない自治体が多いことが分かりました。  これは全国的に見ても同じ傾向ではないかと思いますが、そこで総務省に伺います。都道府県及び政令指定都市で通称使用を認めていない自治体はあるのでしょうか。
  200. 安田充

    ○政府参考人(安田充君) お答えいたします。  地方公共団体における職員の旧姓使用の実態についてでございますけれども、総務省におきまして個別に聞き取ったところでございますが、都道府県及び政令指定都市におきましては全団体で旧姓使用が可能となっているところでございます。
  201. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 政府は、二〇〇一年七月の十一日に、国の行政機関での職員の旧姓使用について、各省庁人事担当課長会議、これは課長会議の申合せを行って、同年十月一日より国家公務員の旧姓の通称使用を認めています。また、昨年五月二十日に決定した女性活躍加速のための重点方針二〇一六において、地方公務員が旧姓使用しやすくなるよう地方公共団体に働きかけると明記しています。さらに、総務省は、昨年八月二十五日に開催した全国人事担当課長・市町村担当課長会議におきまして、職員が旧姓使用しやすくなるような環境づくりに向けた取組をしっかり進めるよう要請したと承知をしております。  しかし、政府の働きかけは地方自治体に十分に届いているとは言えません。政府の方針を文書等で周知することも一つの方法と考えますが、今後の取組についてお伺いいたします。
  202. 安田充

    ○政府参考人(安田充君) お答えいたします。  地方公共団体における職員の旧姓使用についてでございますけれども、御指摘ございましたように、平成十三年七月に国において旧姓使用に関する各省庁の申合せがなされたことを受けまして、総務省から各地方公共団体に対しましてこの申合せについての周知を行ったところでございます。  また、平成二十八年五月に決定されました女性活躍加速のための重点方針二〇一六におきまして、これも御指摘ございましたように、地方公務員が旧姓使用をしやすくなるよう地方公共団体に働きかける、この旨が明記されたことを受けまして、昨年八月及び本年の一月にもでございますけれども、全国の地方公共団体の人事担当課長・市町村担当課長会議におきまして、職員が旧姓を使用しやすくなるよう、各団体において取組を進めていただくよう要請したところでございます。  今後も、総務省といたしましては、地方公共団体における取組が進むよう各種会議の場などを通じた働きかけを行うとともに、職員が旧姓使用をしやすくなるような環境づくりを促す通知の発出についても検討してまいりたいと思っております。
  203. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  是非ともこの文書等での通知をお願いをしたいと思います。  時間がありませんので、私、あと二問ほど通告をしてございましたけれども、金田大臣に関しましては、これからは、まだ、この通常国会の中で、先ほど申し上げましたように、是非とも女性が活躍できる、そのような状況を積極的にこの場でしっかりと議論できるような対応をしていただくことを強く要望して、私の質問は終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  204. 山口和之

    ○山口和之君 無所属の山口和之でございます。ありがとうございます。  大臣所信の質疑ということで、再犯防止対策についてお尋ねいたします。  政府は、平成二十四年に再犯防止に向けた総合対策を決定して、策定後十年間の取組における数値目標として、刑務所出所後二年以内に再び刑務所に入所する者などの割合を今後十年間で二〇%以上削減するということを掲げております。  今年は折り返し地点の五年目でございます。これまでの取組で再犯率がどうなっているのか、また、これまでの取組に対してどのように評価しているのか、金田大臣に御見解を伺いたいと思います。
  205. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) ただいま山口委員からのお尋ねでございます。  再犯防止に向けた総合対策では、刑務所出所者の二年以内再入率について、この対策が決定されました、ただいまのお話にありました平成二十四年七月当時の基準値であります二〇%、この数字を十年間で一六%以下に減少させるという目標を掲げておるわけであります。刑務所出所者の二年以内再入率というのは、平成二十七年には一八・五%という数字になっておりまして、減少傾向にあるわけであります。再犯防止に関する一連の施策は一定の成果を、皆様の努力で上がってきているのではないかなと、このように考えておる次第であります。
  206. 山口和之

    ○山口和之君 ありがとうございます。  二十四年に再犯防止に向けた総合対策は少しずつ効果を示して、目標に向かっているということだと思います。  この再犯防止に向けた総合対策は五年後を目途に見直すとされておるんですけれど、どのような見直しを行うつもりなのか、また、これまでに判明している問題点などを踏まえてお答えをお願いしたいと思います。
  207. 高嶋智光

    ○政府参考人(高嶋智光君) お答えいたします。  委員御指摘の平成二十四年七月におけます再犯防止に向けた総合対策、これは犯罪対策閣僚会議において決定されたものでございます。これはおおむね五年を目途に見直すものとされていることはもう委員御指摘のとおりでございまして、今年の七月でちょうど五年になるところでございます。  一方、昨年の十二月に再犯の防止等の推進に関する法律というのが成立、施行されたところでありまして、同法律により、政府としては、再犯の防止等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための再犯防止推進計画を定めなければならないというふうにされております。これは法務大臣が作成することになっております。  今後、再犯防止推進計画を策定するに当たりましては、これまでの再犯防止に向けた総合対策によります一連の取組の成果や課題等を考慮しまして、再犯防止推進法の趣旨をも十分踏まえながらやっていきたいと思っておりますが、具体的には、不起訴処分となりました者や満期出所者等をも含む刑事手続のあらゆる段階における指導、支援、それから医療・福祉的支援を必要とする高齢者、障害者の社会復帰支援、地方公共団体と連携した再犯防止施策の推進、保護司や協力雇用主等の民間協力者による活動への支援、こういったことにつきまして、再犯防止に関する施策をより一層推進するための方策を検討していきたいと考えているところでございます。
  208. 山口和之

    ○山口和之君 是非、今、より一層という話が出ましたけれども、そうすると、目標は、二〇%から下げて一六%以下にするという目標を、加速的に行くというふうに考えれば、この目標ではない目標、もうちょっと高い球を投げてもいいのかなというふうに思いますし、それを総合的にあるいは推進してもっと少なくしていくという何か気概が必要だと思いますので、この二十四年に作られたときの目標よりもはるか上のところで行っていただきたいなと思います。  次に、昨年六月から始まった刑の一部執行猶予制度は、ある程度長期の保護観察を行うことが再犯防止につながるという考えに基づくものだと理解しておりますが、有罪判決後に保護観察を受けた者と受けなかった者では再犯率はどれぐらい違うのかということをお伺いしたいと思います。
  209. 畝本直美

    ○政府参考人(畝本直美君) 刑務所出所者のうち、仮釈放となる者につきましては刑期が満了するまでの間必ず保護観察が付される一方、満期釈放となった者は保護観察は付されないこととなっております。そこで、これらを比較いたしますと、例えば平成二十三年に刑務所を出所した者の五年以内の刑事施設への再入率を見ますと、満期釈放された者が四九・五%である一方、仮釈放者が二八・七%でありまして、保護観察処遇を受けた仮釈放者の方が再入率が低くなっております。  これを踏まえますと、保護観察処遇は再犯防止及び改善更生に一定の効果を上げているものと考えております。
  210. 山口和之

    ○山口和之君 ありがとうございます。  その執行猶予制度の中で社会復帰をしっかりすることによって再犯を防げるということであるならば是非進めていただきたいし、これが都道府県やあるいは地域によって違いが出てくると思いますので、その辺はしっかりデータを集めて、どういうようなアプローチが正しい、いい方向に持っていけるのか、是非検討していただきたいと思います。  次に、保護観察官、保護司は再犯防止にどのような役割を果たしているのか、確認したいと思います。
  211. 畝本直美

    ○政府参考人(畝本直美君) 保護観察所の保護観察官と保護司は、協働して保護観察対象者の指導監督、補導援護や矯正施設から出所した後の生活環境の調整などを行っており、刑務所出所者等の再犯防止に大きな役割を果たしております。  具体的には、保護観察官は心理学、教育学、社会学などの専門的知識を活用する一方で、保護司は法務大臣から委嘱を受けたボランティアとして、まさに地域の隣人として対象者に関わっておりまして、両者の特性を生かしながらその改善更生を促しているところであります。
  212. 山口和之

    ○山口和之君 先ほどの再犯防止には非常に貢献しているところだと思っております。  となると、刑の一部執行猶予制度は保護観察官、保護司の業務にどのような影響を及ぼしているのか、また及ぼすことになるのか、またその対応としてどういった取組を行っていくのかをちょっとお伺いしたいと思います。
  213. 畝本直美

    ○政府参考人(畝本直美君) 刑の一部執行猶予制度の施行に伴いまして、薬物事犯者を始めとする保護観察対象者の数がこれまでよりも増加し、また、保護観察に付される期間も二年あるいは三年といった長期に及ぶと、そういうことが見込まれております。また、薬物事犯者が大半を占めますので、保護観察官が行う専門的処遇プログラムを充実強化する、あるいは薬物依存の回復支援に関する地域の医療、保健、福祉などの関係機関との連携も強化する、こういうことが必要になってまいります。このように、今後、保護観察官や保護司の負担は質、量とも増加することが見込まれております。  そこで、法務省におきましては、保護観察所の保護観察官四十二人を増員し、薬物処遇を担当する統括保護観察官を十二庁に新設するなどのために必要な経費を平成二十九年度予算に計上したところでございます。また、保護司の負担感あるいは不安感を軽減するために、保護観察所が行う保護司研修で薬物事犯者に対する保護観察処遇の在り方などをテーマに取り上げているほか、保護司同士の処遇協議の場所として使うことができる更生保護サポートセンターの設置を進めているところでございます。
  214. 山口和之

    ○山口和之君 つまり、刑の一部執行猶予制度によって保護観察官や保護司の負担は増加するんだろうというふうに見込んでいらっしゃるということだと思います。四十二人増やすということですが、それが妥当な数字なのかどうかということも含めてしっかり検討していただきたいと思いますが。  一方、再犯防止推進法では、保護観察官、保護司の業務にどのような影響を及ぼすことになるのか、またその対応としてどういった取組を行っていくのか、こちらの方についてもお伺いしたいと思います。
  215. 畝本直美

    ○政府参考人(畝本直美君) 先ほど官房審議官が申しましたように、再犯防止推進計画の具体的な内容は、今後、政府内において検討が進められることになりますが、刑務所出所者等の特性に応じた指導や支援の実施、就労や住居の確保といった多様な施策が盛り込まれることになり、社会内においてこれら施策の中核を担うこととなる保護観察官と保護司はいずれもその役割がますます大きくなるものと考えております。  今後、法務省として、これらの施策を円滑に実施できるように、保護観察官の更なる体制整備や保護司に対する支援策の充実強化に努めていきたいというふうに考えております。  また、地方公共団体に対しましても、この法律の趣旨について御理解を求めまして、保護司に対する支援策を含めた再犯防止施策の実施について一層の連携強化を図ってまいりたいと考えております。
  216. 山口和之

    ○山口和之君 再犯防止推進法による再犯防止推進計画は、矯正施設における収容及び処遇と保護観察が二本の柱と思われますが、計画達成のために保護観察官、保護司が過大な職責を負わされる可能性もあります。保護観察制度が持続可能なものにするように配慮していかなければならないと思います。  先ほども数字出ましたけれども、保護観察官の人数はここ十年でどれぐらい推移してきたのか、また、昨今の法整備などを踏まえると本当はもっと必要なんじゃないかというふうにも思うんですが、この点についてどう考えているのか、お伺いしたいと思います。
  217. 畝本直美

    ○政府参考人(畝本直美君) 保護観察所で保護観察対象者の処遇に当たる第一線の保護観察官の数は、平成十九年度において八百四人であったところ、その後、再犯防止施策の取組を強化するための増員がなされておりまして、平成二十八年度においては九百六十人となっております。  近年、刑務所出所者等の再犯防止策を一層推進しているところでありますけれども、今御指摘のあった刑の一部の執行猶予制度を円滑に実施する、あるいは再犯防止推進法に基づく各種施策を確実に実施する、こういう観点からは、これらに適切に対応するための必要な保護観察官の確保を含めまして、体制の整備に一層努めてまいりたいというふうに考えております。
  218. 山口和之

    ○山口和之君 再犯防止には、就労であったり、あるいは住まいであったり、それから社会的な安心が必要であったり、いろんなことがあるんだと思いますけれども、保護観察官の現場の声をしっかり聞いていただいて、必要であれば数値目標をクリアする更に高いレベルのものを目標とするというふうに考えた場合、更に検討を加えていただきたいと思います。  また、保護司の人数はここ十年どのように推移してきたのか、また、昨今の法整備などを踏まえると更に多くの人材が必要になると思うんですね、先ほど来質問していると思いますが。この点についてはどう考えていますか。
  219. 畝本直美

    ○政府参考人(畝本直美君) ここ十年の保護司の数の推移につきましては、平成二十一年の一月一日現在四万八千九百三十六人、これをピークにいたしまして、以降減少傾向にございまして、平成二十九年の一月一日には四万七千九百九人、ピーク時より千二十七人減少しております。  新しい制度、特に刑の一部の執行猶予制度の施行に伴いまして薬物事犯者に対して長期の保護観察を実施する事例が増えていくなど、保護司の負担の増加が見込まれますことから、今後一層、保護司適任者確保の取組を強化していくことが必要であると考えております。
  220. 山口和之

    ○山口和之君 どんどん確保していかなければいけないし、その質も高めていかなければいけない、そうすることによって再犯防止につながってくるということなんですが、人数が減っているということですと、新たな確保策等々、いろいろ必要になってくると思います。  保護司の人数は減少傾向ですね。さらに、現在、定年制度があって、十年後、団塊の世代、約二万三千人が退任するということだというふうにも聞いております。新たな担い手を確保することが喫緊の課題となっていますが、保護司の確保はどういうふうに行っていくのか、もう一度お伺いしたいと思います。二万三千人の退任者が出ても人数を確保することができるのかということを伺いたいと思います。
  221. 畝本直美

    ○政府参考人(畝本直美君) 新たな保護司の適任者の確保は、更生保護にとっての最重要課題となっております。法務省では、保護司の安定的確保のために様々な取組を進めております。例えば、幅広い人材から保護司の候補者を得ることを目的とした保護司候補者検討協議会の設置や、地域の方々に保護司活動を体験していただいて保護司候補者の間口の拡大を図ることを目的とした保護司活動インターンシップ制度の導入など、新たな担い手を確保するための取組を推進しているところであります。  また、保護司が更生保護活動を推進するための拠点となる更生保護サポートセンターにつきましては、平成二十九年度には新たに四十二か所の新設をするための経費を計上するなど、保護司活動に対する負担感や不安感を軽減するための取組を強化しているところであります。  今後とも、保護司の確保が困難化している実情や要因などをよく見極めつつ、安定的確保のための効果的な方策を検討し、実施してまいりたいと考えております。
  222. 山口和之

    ○山口和之君 目標達成には保護司の確保がすごい重要だと思っておりますし、保護観察制度の根幹にも関わることだと思いますので、しっかり対策を講じていただきたいと思います。  また、質の問題も非常に大きなところだと思います。質の確保についてどのような取組が必要なのか、伺いたいと思います。
  223. 畝本直美

    ○政府参考人(畝本直美君) 保護司は保護観察処遇において大変重要な役割を担っておりまして、その職務を行うために必要な知識や技術を習得いただけるよう研修などの充実に努める必要があるというふうに認識しております。  そこで、保護観察所において、新任保護司向けの研修だけではなくて、全ての保護司を対象に時宜を得たテーマを設定して、定時研修などを実施しているところであります。  また、経験の浅い保護司が処遇に必要な知識や技術を習得するために、一定の経験のあるベテランの保護司からそういったものを学ぶことができるように、一人の保護観察対象者を複数の保護司で担当する複数担当制の積極的な活用を図っているところであります。  さらに、先ほど申しました更生保護サポートセンターでは、実際の事例に基づいた協議をする地域処遇会議を始め、それぞれの保護司の処遇活動の支援に資する活動を展開しているところでございます。  今後とも保護司の能力、そして資質の向上に資する様々な支援、そういった取組の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
  224. 山口和之

    ○山口和之君 保護観察制度を維持発展させるためには、ボランティアである保護司に対してしっかり支援していくことが大事だと思いますが、地方公共団体がどのように支援しているのか、そこら辺のしっかり体制ができているのかということについても少し伺いたいと思います。
  225. 畝本直美

    ○政府参考人(畝本直美君) 保護司の活動というのは、まさに地域の安全、安心に資する活動でございます。そこにおきましては、地方公共団体の協力が極めて重要であります。これまでも地方公共団体におきまして、社会を明るくする運動などの推進に重要な役割を果たしていただいているほか、自治体の施設内に更生保護サポートセンターを設置していただいたり、あるいは地域の方々に保護司活動を広く知っていただくための広報などにも御協力いただいているところでございます。  先ほど申しました再犯防止推進法の中には、地方公共団体が民間の団体等に対する援助を含む再犯防止施策を講ずるべき努力義務が規定されておりまして、今後この法律の趣旨を踏まえて、サポートセンターの設置場所の提供など、保護司活動に対する一層の支援、協力を得られるように地方自治体の方に働きかけたいと考えております。
  226. 山口和之

    ○山口和之君 是非、加速的に目標が達成できるように、またもっと高い目標が設定できるように、この辺の整備をしっかりやっていただきたいと思います。  次に、性同一性障害の受刑者についてお伺いしたいと思いますが、性同一性障害の受刑者の処遇は現在どのようになっておりますでしょうか。
  227. 富山聡

    ○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。  刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の規定で、被収容者は性別によって互いに分離することとされております。したがいまして、現在、私どもは男性を収容する刑事施設と女性を収容する刑事施設を原則として分けております。また、同じ刑事施設に男性と女性を両方収容する場合にも、男性を収容する区画と女性を収容する区画を分離しております。  そして、その場合の性別というのはあくまでも戸籍上の性別によるということにしておりますので、性同一性障害を有する方について、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律による性別取扱いの変更の審判を受けて、性別変更している場合には、その方のジェンダーアイデンティティー、いわゆる心理的な性別に従った収容がなされるわけですが、そうでない場合には、心情的には女性の収容者が男性の施設に、心情的に男性の受刑者が女性の施設にと、真逆の収容状態になってしまうのが現状でございます。  そういったケースにつきましては、その方の羞恥心などに配慮する観点から、医療上の措置、処遇上の配慮などを行って必要な対応を行うこととしており、具体的に申し上げますと、例えば入浴を監視する場面、あるいは直接体に触れて身体検査をするような場面について、外形的な修正が終わっている方、男性の生物学的な特徴を持っていながら心情が女性の方について既に外形変更が終わっている方などについては、原則その方の心情的な性別と同じ性の職員、女性の職員による入浴監視や身体検査を行うよう配慮をしております。  また、受刑者が着用する衣類や日用品などについて、性別による違いがあるものについて、例えば下着であるブラジャーなどについても、身体的には男性であっても乳房を豊胸する手術をしているといった受刑者については使用を認めるといった配慮もしております。  そのほか、髪の毛を刈る調髪につきましても、心情的に女性の受刑者が髪を長く伸ばしたい、あるいは逆に心情的に男性の受刑者が髪を短く切ってほしいといったような要請があった場合にも、処遇上有益と認めれば、これの希望に沿った調髪を行うといった配慮をしております。  そのほか、職員による面接、カウンセリングなどを行うことによって本人の心情に配慮をするということとしておりまして、今後とも可能な範囲で適切な処遇がなされるよう取り組んでいきたいと考えております。
  228. 山口和之

    ○山口和之君 配慮はされているんでしょうけれども、戸籍上でしかいけないわけですよね。それは、事情があって戸籍上まだ男性であるという人だっているわけで、そういったことを配慮しないというのはどうなのかなというふうに思います。戸籍未変更者についても、一定の要件を満たした場合に心の性別による処遇を可能にするといった制度は一考に値すると思われるのですが、この点について大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  229. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 山口委員のお尋ねにお答えいたします。  刑事施設に収容されます受刑者等は、法律の規定に基づいて、戸籍上の性別に応じて男子又は女子の施設に収容をいたしております。したがいまして、委員御指摘の戸籍上の性別の変更を伴わない者につきましては心理的な性別とは異なる施設に収容をすることになるわけでありますが、矯正局長がただいま御説明をいたしましたとおり、その身体的、精神的状況などの個別の事情を踏まえまして、衣類や日用品、調髪等、可能な範囲で各刑事施設において、その羞恥心等に配慮をした処遇を行っているものと承知をいたしております。  山口委員の御指摘も踏まえながら、今後とも、性同一性障害を有する受刑者等に対しましては、適切な処遇が行われるよう努めてまいりたいと考えております。  以上であります。
  230. 山口和之

    ○山口和之君 是非、司法の場で判断するとか、そういったことも検討していただきたいなと思いますので、よろしくお願いします。  以上です。
  231. 秋野公造

    ○委員長(秋野公造君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時四十八分散会