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2016-11-21 第192回国会 参議院 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 7号 公式Web版

  1. 平成二十八年十一月二十一日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十一月十八日     辞任         補欠選任      青山 繁晴君     佐藤  啓君      今井絵理子君     平野 達男君      小川 克巳君     藤木 眞也君      堂故  茂君     中西  哲君      徳茂 雅之君     山田 俊男君      中西 祐介君     元榮太一郎君      江崎  孝君     伊藤 孝恵君      野田 国義君     斎藤 嘉隆君      宮沢 由佳君     浜口  誠君      谷合 正明君     平木 大作君      青木  愛君     福島みずほ君     薬師寺みちよ君     行田 邦子君  十一月二十一日     辞任         補欠選任      堀井  巌君     小川 克巳君     渡辺美知太郎君     松川 るい君      藤末 健三君     平山佐知子君      大門実紀史君     山添  拓君      片山 大介君     浅田  均君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         林  芳正君     理 事                 石井 準一君                 二之湯武史君                 福岡 資麿君                 三宅 伸吾君                 山田 修路君                 小川 勝也君                 大野 元裕君                 浜田 昌良君                 紙  智子君     委 員                 小川 克巳君                 古賀友一郎君                 佐藤  啓君                 佐藤 正久君                 進藤金日子君                 高野光二郎君                 高橋 克法君                 滝波 宏文君                 中西  哲君                 平野 達男君                 藤木 眞也君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 松川 るい君                 元榮太一郎君                 山田 俊男君                 吉川ゆうみ君                 渡邉 美樹君                 相原久美子君                 伊藤 孝恵君                 石上 俊雄君                 斎藤 嘉隆君                 徳永 エリ君                 浜口  誠君                 平山佐知子君                 河野 義博君                 熊野 正士君                佐々木さやか君                 平木 大作君                 辰巳孝太郎君                 山添  拓君                 浅田  均君                 儀間 光男君                 福島みずほ君                 行田 邦子君                 中山 恭子君    国務大臣        財務大臣     麻生 太郎君        法務大臣     金田 勝年君        外務大臣     岸田 文雄君        文部科学大臣   松野 博一君        厚生労働大臣   塩崎 恭久君        農林水産大臣   山本 有二君        国務大臣        (内閣府特命担        当大臣(消費者        及び食品安全)        )        松本  純君        国務大臣     石原 伸晃君    副大臣        国土交通副大臣  田中 良生君    大臣政務官        内閣府大臣政務        官        豊田 俊郎君        外務大臣政務官  滝沢  求君        農林水産大臣政        務官       矢倉 克夫君        経済産業大臣政        務官       井原  巧君    事務局側        常任委員会専門        員        藤田 昌三君        常任委員会専門        員        宇佐美正行君        常任委員会専門        員        大川 昭隆君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       澁谷 和久君        内閣府食品安全        委員会事務局長  川島 俊郎君        消費者庁次長   川口 康裕君        外務大臣官房審        議官       大菅 岳史君        外務省経済局長  山野内勘二君        財務省主税局参        事官       吉田 正紀君        文化庁次長    中岡  司君        厚生労働大臣官        房総括審議官   勝田 智明君        厚生労働省医薬        ・生活衛生局長  武田 俊彦君        厚生労働省医薬        ・生活衛生局生        活衛生・食品安        全部長      北島 智子君        厚生労働省職業        安定局雇用開発        部長       坂根 工博君        厚生労働省保険        局長       鈴木 康裕君        農林水産大臣官        房総括審議官   山口 英彰君        農林水産省食料        産業局長     井上 宏司君        農林水産省生産        局長       枝元 真徹君        農林水産省農村        振興局長     佐藤 速水君        経済産業大臣官        房政策評価審議        官        森   清君        経済産業大臣官        房審議官     赤石 浩一君        経済産業大臣官        房審議官     佐藤 文一君        経済産業大臣官        房審議官     土田 浩史君        経済産業省商務        情報政策局長   安藤 久佳君        中小企業庁長官  宮本  聡君        国土交通大臣官        房審議官     七尾 英弘君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○環太平洋パートナーシップ協定の締結について  承認を求めるの件(第百九十回国会内閣提出、  第百九十二回国会衆議院送付) ○環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関  係法律の整備に関する法律案(第百九十回国会  内閣提出、第百九十二回国会衆議院送付) ○派遣委員の報告     ─────────────
  2. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) ただいまから環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、薬師寺みちよ君、谷合正明君、青木愛君、宮沢由佳君、江崎孝君、野田国義君、中西祐介君、青山繁晴君、堂故茂君、今井絵理子君、小川克巳君及び徳茂雅之君が委員を辞任され、その補欠として行田邦子君、平木大作君、福島みずほ君、浜口誠君、伊藤孝恵君、斎藤嘉隆君、元榮太一郎君、佐藤啓君、中西哲君、平野達男君、藤木眞也君及び山田俊男君が選任されました。  また、本日、藤末健三君、渡辺美知太郎君、片山大介君及び大門実紀史君が委員を辞任され、その補欠として平山佐知子君、松川るい君、浅田均君及び山添拓君が選任されました。     ─────────────
  3. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 松川るい

    ○松川るい君 おはようございます。自由民主党の松川るいです。本委員会で質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。  まず、私のTPPに関する基本認識をお話しした上で質疑に入らせていただきたいと思います。  私は、TPPは、日本のみならず世界の歴史にも大きな影響を与え得る意義のある協定であると考えております。そしてまた、トランプ大統領が今選出を、次期アメリカ大統領として選出をされ、世界にいろんな意味で激震が走っておりますが、私はTPPについても必ずしも、最終的には時間は掛かるかもしれませんが、トランプ氏がイエスと言う可能性は十分あると考えております。  そのような中で、TPPを殺さないでおくということが極めて大事であり、本委員会において、日本が今国会でTPPを承認することがその成立に向けて極めて重要である、もしもここで成立しない場合には日本自身がTPPの成立そのものを雲散霧消させる、そういうことになりかねないと考えます。その意味でも、今国会、大変重要な責務を負っていると感じるところでございます。  まず、前の委員会からこの数日、次期トランプ大統領と安倍総理の会談、そしてまたAPEC首脳会議、TPP締約国会議と、世界の注目を集める会議が多く開催されました。APEC首脳会議については、報道では保護主義にしっかり対抗していくのだということで認識が一致し、TPP締約国会議においても安倍総理から、早期承認を、早期国内手続を求める、そういったことについて努力をするようにという呼びかけを行い、TPP締約国間ではその認識で一致をしたと報道されております。  まず、世界も注目したこの安倍総理とそして次期米国大統領トランプ氏との会談についての評価をお伺いいたします。
  5. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 御質問の十七日の安倍総理とトランプ次期大統領との会談についてですが、両者間の信頼関係を構築するため、こうした会談が持たれました。そして、結果として、しっかりと時間を掛け、当初四十五分間の予定でしたが、一時間半に及ぶ会談となりました。こうした時間を掛けて様々な課題について率直な意見交換ができたと報告を受けております。  トランプ大統領は、今現在まだ就任前であります。これはあくまで非公式的な会談ではありましたが、強い信頼関係を築いていく上で大きな一歩を踏み出すことができた会談であったと考えています。
  6. 松川るい

    ○松川るい君 ありがとうございます。  私は、強いリーダー同士であると思われるトランプ次期大統領と安倍総理、非常にウマが合うということもあるのではないかと感じております。是非、ロン・ヤス時代のようになることを期待しているところでございます。中曽根総理とレーガン大統領も、最初から個人的信頼関係があったわけでも、全てのイシューについて見解が一致していたわけでもありません。是非、これからしっかりと、個人的信頼関係の下に、日米同盟の重要性であったり、アジアのリバランシングについての重要性であったり、そしてまたTPPの意義についてもしっかりお伝えをしていっていただきたいと考えます。  さて、保護主義の時代に戻らないために、自由貿易の恩恵を受けてきた我が国がこのTPP発効を主導するという、言わば日本のノーブレスオブリージュについては、総理からも衆議院においても参議院の本委員会においても何度も御答弁もありました。私も全く同感であります。  そしてまた、私はもう少し掘り下げて俯瞰して考えてみますと、この資料一を御覧いただきたいんですけれども、地政学的にもTPPは非常に意味があるのではないかと考えております。地政学的観点からいえば、TPPはシーパワー、海の勢力の連合であり、その成否は、開かれた世界をつくっていくという時代にするのか、それともランドパワーに世界を明け渡すかという岐路を分ける要素となり得ると思います。  ユーラシア大陸でモンゴル族が馬で闊歩をしたのは十三世紀ですけれども、大体十一世紀からはランドパワーの時代。そして、コロンブスが大航海を始めた一四九二年、ここら辺から十九世紀の大英帝国、そして二十世紀の米国はシーパワーの時代が続いてまいりました。  そこで、昨年、中国は一帯一路構想を提唱し、AIIBを設立し、そういった一見建設的な動きとともに、南シナ海での一方的行動に見られるように、地域のみならず、世界的にも新しい秩序をつくろうと、そしてまた勢力を拡大しようとしています。さらに、シーパワーの英国はEUから離脱をし、その結果、EUは弱体化して、相対的には中国とロシアの存在感が増しています。米国がもしもアジア太平洋への関与を減らしてしまえば、シーパワーの時代は終えんに向かってしまうのではないかと危惧しております。  日本はシーパワーです。シーパワーの特徴というのは、開かれた自由貿易と、海洋を始めとする航行の自由を重視する点にございます。まさに日本は戦後、自由貿易体制の下で発展をしてまいりました。ランドパワーというのは、例えば戦前のドイツやソ連のように、領土の拡張と内陸交通を重視して安全を守ろうとする傾向のある国々を一般的に指します。  日本の国益は、シーパワーのこの時代ができるだけ長く続くことにあると思うわけです。しかし、もしその希望に反して、世界が仮に保護主義化し、考えたくありませんがブロック経済化し、閉ざされた世界になる傾向が仮にあるとすれば、我が国はどうしたらいいのでしょうか。  急激な人口減少で国内の市場は縮小してまいります。TPPは世界のGDPの四割、人口の一割を占める巨大経済圏です。私は、日本の生存圏の確保のためにもTPPは大変重要性が高いと思うわけです。  もう一回まとめてみますと、シーパワー時代が続く上でもTPPの成立は鍵であり、また、そうならなかったとしても、開かれた経済圏であるTPPは我が国にとって最適な生存圏として必要不可欠な存在と考えております。  以上、私はこのように思っておりますけれども、政府としてはTPPにどのような意義があるとお考えでございましょうか。
  7. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 松川委員が御自身の外交官としての経験の中から見たTPP、またこのシーパワーの時代、この時代を途切らせてはならない、そういう意味でのこのTPPの意味のお話を聞かせていただきましたが、やはりこのアジアンパシフィックに共通のルールを作り上げ、自由で公正で、そして委員が御指摘されたとおり、GDPで四割、人口で八億人、巨大な一つの経済圏を構築する、さらには、その地域が経済的にも政治的にも不安定な状況の中で、自由、民主主義、法の支配、基本的人権といった基本的な価値を有する国々が地域の経済のきずなを深めていく、その輪を広げていくことで更なる地域の安定を図るといったような戦略的意義、この点については総理もAPECの首脳会議で強く申し述べられていたと聞いております。  交渉結果がどういうものであるのかということについては、関税が原則撤廃という厳しい条件の中で、関税率の撤廃については、我が国以外の十一か国は九九%あるいは一〇〇%となった一方で、我が国は九五%にとどめることができたのではないか、外交交渉でありますので、もっともっとというお声はよく委員会でも聞かれますけれども、よくできたのではないかと思っております。  そして、国会決議を後ろ盾に、粘り強い交渉の結果、特に不安の強いこの農業分野におきましては、農林水産品のおよそ二割について、関税などによる保護あるいは国家貿易制度、セーフガードなど有効な措置をとることができたのではないかと思っております。  そしてもう一つ、自動車部品の対米輸出額の八割以上が即時関税撤廃になる、こういったようなことや、進出先での技術移転要求の禁止といったような、これはもう再三当委員会で議論されておりますが、投資のルールを確立していく、強化していく。また、中小企業が輸出等々を行ったときに港で荷物を据え置かれるといったような不安が、また事実としてもそういうケースが何件かあったわけですけれども、通関手続の迅速化、こういうものをこのルールとして定めたということは国益にかなうものが得られたのではないか、こんなふうに政府としては認識をさせていただいているところでございます。
  8. 松川るい

    ○松川るい君 ありがとうございます。本当に私もそうだと思います。  資料二を御覧くださいませ。  今大臣からお答えがありましたように、私は率直に言って、このTPP、日本にとっては相当有利な条件でディールが成立することができたのではないかと思います。私は過去に日タイ、日フィリピン、日シンガポールのFTA交渉をしてまいりましたが、マルチの協定であればこそ、いろんなものがやり取りをしながら、ガラス細工と言われておりますけれども、日本にとってかなり他国と比べてもぎりぎりの線で、壊れない中での最上限の利益が得られるような交渉ができたのではないか、政府、各省のエースを投入しただけあるなと思うわけでございます。  さて、このTPPの発効の話に戻りますと、TPPの発効には二年以内に全締約国が締結、国内手続を終了しない場合には、GDPの八五%に該当する国の批准が最低限必要ですので、日米の両国の批准というのが最低の必要条件となっております。トランプ氏選出に絡めて様子見をしてはという御意見もございますが、もしも今国会で承認できない場合には、米国がTPPを承認する流れになるとは到底私には考えられないわけでございまして、したがって、日本がTPPを殺してしまうことにもなるのでないかと考えますが、御見解を伺いたいと思います。
  9. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) TPPの発効要件ですが、今委員の方からもありましたように、加盟国のGDP全体の八五%あるいは加盟国の六か国以上、こういった要件が設けられています。アメリカがGDPの約六〇%、日本が一七%程度ですので、結果としましてこの日米両国が国内手続を終えない限り発効しない、こういった仕組みになっております。こういったことから、他の参加国は、米国のみならず我が国のこの国内手続の進捗状況、これも注視している、これが現実であると考えます。  我が国が率先して動くことで米国の動きを後押しする、こういった効果もあると思いますが、他の国々の国内手続を促していく、こういった効果もあります。こういったことから、早期発効に向けての機運を高めていく上において日本の取組は大変重要であると認識をし、我が国としましてしっかりと努力を続けていかなければならないと考えています。
  10. 松川るい

    ○松川るい君 ありがとうございます。  それでは次に、FTA、このTPPがなかったらという場合のデメリット、その世界を考えてみたいと思います。  FTAというのは、本質的には競争条件の整備にあります。米国市場において、韓国とアメリカの間にFTAがあるのに日本にない場合は、当然日本企業は米国において不利に置かれると。要するに、得をするためではなく、その前に損失を防ぐために必要になるのがFTAだという側面がございます。  日本のFTAカバー率は、資料二にも書いておきましたが、率直に言って低いと思います。日本のFTAカバー率は現在二二・七%、韓国は六七%、中国は三八%、米国三九・六%です。ところが、TPPを締結すれば日本のFTAカバー率は三九・五%まで上がる。要するに、一発逆転という、そういうツールであるわけでございます。  この競争条件と絡めまして、韓国や中国、そういった他国との競争条件を含めて考えた場合の、TPPが成立しない場合のデメリットをどうお考えでしょうか。
  11. 山野内勘二

    ○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。  TPPが成立しなかった場合の日本のデメリットということについてのお尋ねでございました。  アベノミクスの重要な柱になっております構造改革、さらにそれを踏まえた日本再興戦略というものがございまして、その改訂版の二〇一六年のものにおいては、TPPを含む経済連携交渉の推進が海外の成長市場の取り込みのための鍵となる施策というふうに位置付けられているところでございます。  その中で、貿易総額に占めるFTA締結国の貿易額の割合、いわゆるFTAカバー率でございますけれども、日本再興戦略においては二〇一八年までに七〇%を達成するという目標を掲げているところでございます。したがって、仮にTPP協定が発効しない場合には、こういう目標としている七〇%の達成というものについて相当な負の影響があるというふうに考えております。
  12. 松川るい

    ○松川るい君 ありがとうございます。  今のFTAカバー率を高めるという目標からしますと、仮にTPPが発効しない場合には、実質、日米FTAの側面があるわけですから、日米FTAを結ぼうかという話になる可能性は当然あると思います。  というのが、また、TPP締約国でバイのFTAがないのは米国、ニュージーランド、カナダですけれども、圧倒的に米国の存在が大きいということですので、その可能性があるというふうに思うわけですけれども、まず米国の入らないTPPは意義が私は薄いと考えますが、どう思われますか。そしてまた、日米FTAを仮に交渉を締結しようと思う場合には、現在のTPPのような高いレベルの日本にとって有利なディールは難しいと私は思いますが、どのように思われますでしょうか。
  13. 山野内勘二

    ○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。  今議員御指摘のとおり、TPP国の間のGDPを比較すれば、米国はTPP十二か国のGDPの中の六割を占めるわけでございまして、そのGDPの六割を占める米国が仮にTPPに入らないというか、を含まないということになれば、TPPの協定の意義を大きく減じることになるわけでございます。  したがって、我々としては、米国を含む十二か国によるTPP協定の早期発効、これが非常に重要だと考えておりまして、各国の国内手続の早期完了を引き続き粘り強く働きかけていくということでございます。
  14. 松川るい

    ○松川るい君 ありがとうございます。  さらに、トランプ政権下のアメリカについては、対日政策も不透明なわけですけれども、対中政策も不透明だと思います。私は、一九七一年の突然のニクソン・ショックのことを思い出すわけですけれども、米中FTAの可能性も我々としては念頭に置いておく必要があるのではないかと思います。なので御質問しようかと思ったんですが、時間がないので飛ばさせていただきます。  次に、もう一つのアジア太平洋の非常に重要な核となるRCEP、そしてまた、難しいと言われていますが、日中韓FTAの成立見通しについてお伺いいたします。
  15. 山野内勘二

    ○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。  アジア太平洋地域におけるルールを作っていくという観点に関しまして、先ほど行われましたAPECですけれども、アジア太平洋地域における包括的な自由貿易構想というものがございまして、これはFTAAP、エフタープと呼んでおりますが、そういう議論が活発に行われておるところでございます。このFTAAPに至る道筋として、APEC諸国は、一つはTPP、もう一つはRCEPというものを位置付けているわけでございます。  その上でTPPに関して申し上げれば、先ほど、またこの特別委員会でも累次政府側から答弁させていただいていますが、アジア太平洋地域における自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々とともに、二十一世紀にふさわしい新たな自由、公正で開かれた国際経済システムをつくり上げ、経済面での法の支配を抜本的に強化するものということでございます。したがって、我が国としては、このTPPの早期発効に向けて引き続き粘り強く取り組んでいるわけでございます。  また、議員御指摘のRCEPについてですけれども、ASEAN各国、さらに中国、インドなどが参加しているRCEPについても、RCEP首脳による迅速な妥結に向けた指示を踏まえて、我が国のリーダーシップを発揮しながら、質の高い内容となるように取り組んでいるところでございます。
  16. 松川るい

    ○松川るい君 ありがとうございます。  RCEPは、次期ASEANの議長国であるドゥテルテ大統領も非常に熱心でありまして、粛々と成立するんだろうなと私は思っています。そうなりますと、やはりこの地域のルールを誰が書いていくのかという話にもなりますし、私としては、是非TPPとそれからRCEPの両方が成立するということを追求するのが日本の国益だと考えます。  特に経済面で申し上げても、日本は特定農産品を除けば自由化率が非常に高いわけでありまして、日本がFTAで経済的に利益をルール以外で得ようとすれば、他国に対して非常に高い自由化率の関税を設けさせる、そしてまた、日本企業が行きやすいようなルールを他国に対して強制する、そこが重要なわけでありまして、RCEPはそのような高い自由化率であったり透明度の高いルールというのは望めないと私は思いますので、是非このTPPとRCEPの両方が大事だということを強調させていただきたいと思います。  次に、これはちょっと記録の観点というか、是非お伺いしたいのですが、日中韓でございます。  日中韓FTAの現状について今教えていただきましたけれども、そもそも日中韓首脳会議を始めとする日中韓協力はどの国が主導して始められたと御承知でしょうか、教えていただきたいと思います。
  17. 大菅岳史

    ○政府参考人(大菅岳史君) お答えいたします。  日中韓協力、様々な側面ございますが、委員御指摘の日中韓首脳会議、これにつきましては、一九九九年、フィリピンのマニラで開かれましたASEANプラス3首脳会議の機会に、当時の小渕総理の提案により、日中韓三か国の首脳、当時は中国は朱鎔基首相、韓国は金大中大統領でございますが、この三首脳の朝食会、これが開催されたことによって開始されたという経緯がございます。
  18. 松川るい

    ○松川るい君 ありがとうございます。  実は私、韓国に駐在して仕事をしていたことがあるんですけれども、韓国では、韓国が始めたといって喧伝をされております。私は、是非、もちろんいろんな思いがあって成立してきて、誰が、一人がということではなくて、三首脳がそろって始めたのでしょうが、あくまでも日中韓協力というのは日本にとって非常に意味がある、地域のためになると考えて小渕総理が元々始められたということは、記録にとどめておきたいということでお伺いいたさせていただきました。  さて、資料三を御覧いただきたいと思います。これはイメージが多いんですけれども、是非これからTPPの内容についてお伺いしたいと思います。  私は、本委員会で、TPPというのは多国籍企業、特に大企業だけが得をする協定だと、弱肉強食の協定ではないかという角度からの御質問がなされることも多かったと思うんですけれども、私から見ますと、TPPは、見れば見るほど中小企業ややる気がある農業に関わる方々にとって意味がある協定ではないかと思います。また、全てのサプライチェーンに携わる方々にとって意味がある協定だと考えます。  私の地元の大阪も、中小企業の集積率では日本一です。こうした中小企業の方々や農家の方々、いろいろな思いを持ってTPP眺めていらっしゃると思うんですけれども、先ほど石原大臣からも少し今お話がありましたが、是非具体的に、どういうところでメリットがあるんですか、関わりがあるんですかということについて、自分に余り関係ないなと思っている方々が多いものですから、よりTPPのその具体的なメリットについて啓発していただきたいと思いますし、具体的に御説明いただければと思います。
  19. 井原巧

    ○大臣政務官(井原巧君) 松川議員にお答え申し上げます。  具体的なメリットということでありますが、TPPにより我が国から輸出される工業製品の九九・九%が関税が撤廃されるということになりますが、これは、輸出の拡大という直接の効果だけではなくて、取引先企業の輸出拡大を受けた受注増加を通じても、中堅・中小企業に大きなメリットをもたらします。  具体的にということでありますので一例を挙げますと、自動車部品の関税が撤廃されることによりまして、自動車部品メーカーの輸出機会が拡大いたします。一般に、完成車一台で三万点の部品が必要とされている中でありますから、これらの自動車部品メーカーに部素材などを納入する裾野の中小企業の受注拡大も大きく期待できるということになります。また、国内企業に納入するだけでなく、直接海外の企業に輸出をするチャンスも拡大をするということになります。  さらに、TPPにおいては原産地規則というのがございまして、完全累積、すなわちTPP締結国十二か国内であれば、どこで製造や組立てをしても、メード・イン・ジャパンじゃなくてメード・イン・TPPとして関税引下げのメリットを受けることが可能になるルールが導入されております。非締結国は関税が掛かるわけでありますから、おのずと我が国の中小企業への引き合いが増えるということになろうと思います。部品などを供給する中堅・中小企業は、我が国にいながらにして海外展開をすることができるということになると思います。  また、関税撤廃に加えて、TPPにより新たに整備される域内統一のルールは、流通の業者とかあるいは電子商取引を行う中堅・中小企業にとっても大きなメリットがあると考えます。  TPPによりまして域内貿易が増加し、輸送貨物が拡大をすることにより、流通業者のまずビジネスチャンスが増えると考えられます。また、貨物の到着から四十八時間以内、急送貨物の場合は六時間以内に引取りを許可することを原則とするルールが盛り込まれておりますから、物流コストの削減に加え、海外の納入先への納入遅延リスクの軽減にもつながり、オンライン通販にもメリットがあると考えられます。  さらには、情報の国際的な移転の自由化、サーバーなどの自国内設置要求の禁止、ソフトウエアの設計図とも言えるソースコードの開示要求の禁止といった電子商取引に関する先端的なルールが導入されたことによりまして、ITを活用して日本にいながら商品を販売する中小企業にも大きくメリットがあると考えられます。  こうしたTPPのメリットを全国の中堅・中小企業が最大限活用できますように、委員御指摘のとおり、何より広報啓発が大切と考えておりまして、経産省といたしましては、これまで経産局、ジェトロ、中小機構の六十五か所の拠点に相談窓口を設置し、全国四十七都道府県で百二十回以上の説明会を開催するなど提供を行っておりますが、是非引き続き、委員御提言のとおり、丁寧な情報提供を中堅・中小企業に行ってまいりたいと考えております。
  20. 松川るい

    ○松川るい君 大変分かりやすい御説明、誠にありがとうございます。  私、この資料三に書いておりますイメージの中の写真は、実は地元の企業でとても面白いことをいろいろやっているところが一つありまして、工業で有名なところなんですが、チョウザメもつくって、キャビアも加工して出そうかなというようなところです。そういう技術があるところは、いながらにして、今御説明がありました様々な制度を使って、世界中を、それからTPP締約国全体を市場として、いながらにして活用ができる。  また、日本は、ちょっと個別名を挙げるのはどうか分からないですけれども、大変流通業においても、運送、クール何とかも含めて非常に発達をしておりまして、これが更に海外においても活躍するチャンスをこの通関手続の短縮化によって得られるのではないかと感じているところでございます。  また、ちょっと時間の都合でここはもう意見を述べるにとどめたいと思っておりますけれども、伝統産業の振興というのは非常に私は大事だと考えておりまして、日本の伝統工芸品は、単にもうける、その方がもうかるということだけじゃなくて、世界中に出ていって、例えばフランス人のおうちに行ったら備前焼が置いてある、日本の会社の社長さんに行ったらリモージュの陶器とか人形が大体置いてあるんです。フランスだなと皆さん思うと。マイセンのお皿を使われたりもしている。  もっと日本の陶芸、陶芸が特に私は好きではございますけれども、陶芸だけじゃなくて、いろんなものが世界中に出ていくことがソフトパワーの増進という意味でも意味があると思っておりまして、是非、大使館も含めて、オールジャパンの取組で、TPPも活用しながら、日本の伝統産業品の世界展開、進めていただきたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。これはちょっと意見ということで収めさせていただきます。  次に、農業でございます。  我が国の農業は、もうかる農業となって若者が夢を持って入ってこないと将来はないということは、多々いろんな先生からも御指摘をされているところでございます。  先週金曜日の公聴会でも、輸出国であり、かつ輸入国であるというのが割と普通の姿なんだけれども、日本は輸入国であるが輸出国ではない、ここは大いに輸出を拡大する余地があるという御指摘が参考人の方々からもございました。  せっかく日本食がユネスコの世界遺産にも登録をされましたし、日本酒もお茶もいろんな日本の高品質の野菜も大きなチャンスに恵まれてきていると思いますし、東京オリンピックという機会もございます。海外展開についてTPPが果たし得る役割につきましてどのようにお考えになるか、お伺いしたいと思います。
  21. 山本有二

    ○国務大臣(山本有二君) まず、今般のTPP交渉で関税撤廃等を獲得し、輸出促進において大きなチャンスを得たことは事実でございます。  まず、ルール分野におきましては、通関手続の円滑化、あるいは流通サービスにおける外資の導入規制の緩和、こういったことで輸出促進にかなりなるだろうというように思っております。  さらに、現在、輸出額は七千四百五十一億円、二十七年でございまして、一兆円足らずでございますけれども、今の輸入額は六兆円を超えています。このアンバランスを何とか近づけたいと、こう思うんですが、TPP参加国向けは千九百八十三億円、全輸出額の約二六・六%でございます。  また、世界に目を向けますと、EU市場におけるオランダの輸出額は九兆円、農業分野だけですが、ノルウェーは水産物だけで一兆円、オーストリアは林産物だけで一兆円。言わば大きな市場のメリットを生かすと、かの国のような輸出額になり得るだろうということは言えようかと思います。その意味におけるTPPというものの重要さは、これは私が申し上げるまでもなく、松川委員がつとに御承知おきのとおりでございます。
  22. 松川るい

    ○松川るい君 ありがとうございます。  また、私は同時に、大変今分かりやすい御説明いただいて希望が少し出たなと更に思うところでございますが、農業というのは、やはり我が国の美観や伝統文化を揺籃する場所でもある。大規模化や企業の参入とか促進も含めて、今言ったような一兆円を目指すということも大事だと私は思っておりますが、同時に、小規模でも光る農業、景観を守るための農業など、多様な農業の在り方ができるようにすべきだと考えております。  ヨーロッパにしばらく駐在していたことがあるんですけれども、そのときに、フランスやイタリアの農業というのは、とても美しい風景をつくり、かつ農家の方々が割と豊かな生活をしていらっしゃるという感じを非常に受けて、日本も美しさにおいては全く劣らないんですけれども、どこか違うところがあるなと、非常にそこが印象に残ってまいりました。  私は、大規模化を進める農業と、景観や伝統のために、そのための農業とはもう区別して考えるべきではないか、区別して支援や補助もすべきではないかと考えております。例えば総理がおっしゃっていたようなはっと息をのむような美しい棚田は、もうそこにいて暮らしていただき、耕していただいて、棚田が美しくあるだけで私は価値があると思うんです。  そういう景観を維持するためとか伝統を守るための農業と割り切って制度をつくるとか政策をつくるといったことについては、現在どのような取組がありますでしょうか。それとも、今なければ今後取組を考えていただけますでしょうか。
  23. 山本有二

    ○国務大臣(山本有二君) 中山間地域は、傾斜地など条件不利というように言われておりますとともに、鳥獣被害等々、過酷な農業生産の条件がございます。しかし、反面、御指摘の景観形成、あるいは人間の健康、さらには地域の連帯、そうしたメリットがかなりございます。  そんな意味で、農林水産省としましては、この地域に日本型直接支払制度でもって、地域の共同活動を通じて営まれる農地等の資源の維持、継承を図るとともに、収益性の高い農産物の生産、販売等を図ろうとする地域ぐるみの取組を支援する中間地域所得向上支援対策、これを補正予算等で実現したところでございますが、さらに、都市農村交流を進めるとともに、現在ゴールデンルートのみに集中しているインバウンドを農村にも呼び込んで農林水産物の消費等の拡大を図るとともに、さらには、このインバウンドの受入れ体制の整備をこれから充実し、地域資源を活用した体験プログラムの開発とか実施、こういうものを、地域の取組を支援させていただくために農山漁村振興交付金等を活用させていただきたい。さらには、インバウンド誘致に向けた特に優れた取組を食と農の景勝地として認定し、農村の魅力を一つのパッケージとして効果的に海外へ発信するということもしていきたいと思っております。  今後とも、中山間地域の農業を振興することによりまして、日本のかけがえのない農業の魅力を発信していきたいというように思っております。
  24. 松川るい

    ○松川るい君 ありがとうございます。  最後に、私、TPPの先進性と社会的公正の側面についてお伺いしたいと思います。資料の四と五を適宜御覧いただきたいと思います。  資料五のところに載せておきましたが、開発の章に、包摂的な経済成長を目指すこと、そして、それにより雇用の創出、貧困の軽減を通じてより広い、成長の利益の幅広い配分を目指すことが規定されております。  私は、TPPは二十一世紀型協定ということで、今、英国のEU離脱もトランプ氏の選出も格差に対する怒りじゃないかとか、グローバリズム、行き過ぎたグローバリズムに対する反感という表現がされていますが、その点にもTPPは意識的な配慮をしていると思います。  時間の関係で、女性の分野について特にお伺いします。  女性の能力開発の規定が設けられておりますが、ここでは、この前ここの委員会でも、日本が一番実はTPP国の中では活躍、国内では遅れているという御指摘がありました。そのとおりだと思います。しかし、国際的な女性の支援に関して申し上げれば、日本は非常に、世界女性会議WAW!を開催したり、またUNウイメン日本事務所を誘致したり、JICAを通じた支援の取組、いろんなことをやっております。  私は、是非、女性活躍や世界の女性のエンパワーメントに向けての決意を改めてお伺いしたい。また、具体的には、十二月の十三、十四に今年のWAW!があるわけですけれども、TPP締約国からの参加者を優先的に認めるなどして履行に活用してはいかがかと思っております。御見解をお伺いします。
  25. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 女性の能力開発あるいは女性への支援、委員御自身、外務省の女性参画推進室の初代室長をお務めになられたという経験から大変お詳しいと承知しておりますが、これ、TPP協定の第二十三・四条におきましても、女性の経済への参画あるいは能力向上を目的とする協力、こうしたものが規定されています。世界の経済の成長を考えますときに、女性の活躍、そしてエンパワーメント、ますます不可欠になっているという認識の下に、TPP協定のような二十一世紀型の経済ルールを作る上においても女性の果たす大きな役割に焦点を当てて包摂的な経済成長を達成すべきである、こうした考えが根底にあるものであると考えています。  そして、委員の方からも御紹介がありました、委員御自身も関わられました国際女性会議WAW!、これ、二〇一四年から我が国が開催しているわけですが、こうした取組においても先頭に立っております。G7議長国としても、伊勢志摩サミットで、女性を優先アジェンダに掲げるとともに、女性の主流化を分野横断的に後押しするためのメッセージを発出したわけですし、女性に関する国際機関でありますUNウイメンにおきましても、二〇一三年、拠出額二百万ドルでありましたが、二〇一五年には二千万ドルを超えて、加盟国五番目のドナーとなっております。  TPPとこのWAW!の参加について関連付けたらどうかというお話もございましたが、TPPをまず発足させて、これをしっかりと盛り上げていくことが戦略的に地域の関係を深めていき、WAW!の参加にも資するというふうに思いますし、WAW!の参加を盛り上げることがTPPに対する理解にもつながる、こういった関係にもあるのではないか、こんなふうにも思います。  いずれにしましても、是非、この女性の活躍と参画を一層推進するべく、TPP協定においても他の締約国と緊密に連携していきたいと思いますし、それ以外の取組においても、女性の能力向上、ネットワークの拡大、是非我が国としまして主導的な役割を果たしていきたいと考えます。
  26. 松川るい

    ○松川るい君 ありがとうございます。  最後の質問になります。ちょっと時間がありませんので、意見ということで申し上げさせていただきます。  TPPの第十九章六に、強制労働の中で児童労働についての禁止も設けられております。禁止といいますか、それぞれの国で児童労働についての物品を輸入しないようにという形での規定が設けられております。我が国では、この児童労働を我が国企業に対して行わせないようにするための国内措置は特に設けられていないと承知しております。  是非、東京オリンピックも三年後に迫っております、日本がハイモラルグラウンドの国であることを示す上でも何らかの措置をとっていかれることを希望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  27. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 おはようございます。民進党・新緑風会の石上俊雄でございます。  参議院では、十一月の十一日から、TPP協定、そしてそれに関する関連法案の審議が始まっているわけでございます。  今日は、高いレベルでの経済連携については私は否定するわけではありませんし、しっかりと進めるべきだと、そして、FTAAPを目指していろいろな対応をしていくべきだということについては全然異論がないわけでありますが、一方で、今のTPP協定、審議されているものにつきましてはまだまだ解明されていない多くの課題がある、そして、ちょっと分からないなという部分も多くありますので、それをしっかりと今日はお聞きしたいなというスタンスで質問をさせていただきたいと思いますので、今までずっと細部にわたってすごく真摯な議論が進んでおりますので、それをしっかり止めないように頑張ってまいりますので、よろしくお願いします。  まず、岸田大臣に御質問させていただきますが、先ほどちょっと出ましたけれども、十一月の八日にアメリカの大統領選が決着をしました。その後、TPPに対してもいろいろな各国からの考え方の表明がありました。そして、先週末、安倍総理が行かれて、トランプ氏と会談をされたりAPECの会合で参加国の皆様方といろいろ会合をしたりと、いろいろな状況があるわけであります。そこでまたいろいろな国々が考え方を表明している、それを受けて、学者さんとか専門家さんがそのことに対して様々な意見の発信をしていると。いろいろ新聞報道を見ると、今どんな状況になっているのかなというふうに思っておりますので、外交的な方向性等も含めて、岸田大臣からお聞かせいただけますでしょうか。
  28. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、十七日には安倍総理とトランプ次期大統領の会談が行われました。また、十九日にはTPP首脳会合も開催されました。  トランプ次期大統領と安倍総理のこの会談については、先ほども答弁させていただきましたように、信頼関係構築における第一歩だと考えておりますし、TPP首脳会談におきましては、各国の発言を通じてTPP協定の経済的、戦略的重要性及び各国がそれぞれの国内手続を進めるべきなどが確認をされたものであると承知をしています。  そして、それを受けて、国内外で有識者、学者等においてどんな意見があるのか、そしてその上で我が国としてどう対応していこうとしているのか、こういった御質問だったと思いますが、国内においては、この有識者の方々、学者の方々、いろんな立場の方々がおられます。委員も御承知のとおり、今の状況の中で、日米FTAを考えた方がいいのではないかという方もおられます。また、米国抜きでTPPを考えるという方途はないんだろうか、こういった方もおられます。また、一方で、是非、このTPPは重要であるからして、引き続き粘り強く取り組むべきだ、こういった意見もあります。  例えば、今年九月に外務省に日米経済研究会二〇一六という有識者会議を立ち上げました。今後の日米関係を中心にどうあるべきなのか、有識者の方々に意見を承る、こうした研究会が立ち上がったわけですが、その中においてTPPに関しては、早期発効に向け日米両国はリーダーシップを発揮しつつ努力すべきであること、また、TPP協定の経済的、戦略的意義について次期大統領及びその関係者の理解を得られるよう粘り強く取り組んでいくべきである、こういった意見も提出されているところであります。  その上で我が国はどうするかということでありますが、TPPにつきましては、まず、先ほど御紹介させていただきましたTPP首脳会議におきまして、各国は国内手続をしっかり進めるべきであるということが首脳間で確認をされていますので、我が国としましては、まずは国会において御承認をいただけるよう全力で取り組んでいきたいというふうに思いますし、そして、それをもって国際社会の取組、米国を始め各国の取組を促していく、こうした効果につなげていかなければならないと思います。  TPPの経済的あるいは戦略的な価値、そして二十一世紀型の経済連携のモデルをつくるんだということで取り組んできたわけですが、他の経済連携に対する影響等を考えますときに、まずはこのTPPにつきまして早期発効に向けて全力を尽くしていかなければならないと思いますし、引き続き各国の理解を得るべく粘り強く取り組んでいくのが我が国のあるべき姿だと考えております。
  29. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。  いろいろお話をいただきましたが、今、日本で要は承認をしたとしても、結果的にはアメリカのトランプさん待ちという感じになるんじゃないでしょうか。下手すると、もしその動き方によっては漂流してしまうような報道もあったり、今回、一部、参加国会合では出ていなかったようでありますけれども、先ほどちょっと大臣からも意見がありましたが、アメリカを抜いた形でのTPPも進めるべきではないかとか、いろいろな各国間では話しているようですが、そういったこと全体を含めて今後何か動きをするというタイミングが出てくるというふうに思うんですけれども、そういう動きを今後する考えがあるのか、その辺について石原担当大臣から答弁をお願いします。
  30. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 石上委員が自由貿易を推進すべきであるという立場から、今、岸田大臣と御議論をいただいたところでございますが、我が国の進むべき方向については岸田大臣から今お話がございました。我が国が主導することでTPPの早期発効に向けた機運を高めていくという姿勢に何ら変わりはない。  なぜこの立場を取るのか、いま一度振り返って世界を眺めますと、やはり一部の場所で保護主義やあるいは孤立主義といったような動きが広がりつつあるということは紛れもない事実だと思っております。そして、私どもがここまで戦後発展をしたその根底には、自由な貿易制度によりまして日本のすばらしいプロダクツ、石上委員は日本を代表する企業の労組出身でございますが、この重電メーカーのものというものも今でも世界では大変評判のいいものでございます。こういうものを輸出することによって国富を蓄えてきた。やはり私たちは、自由貿易体制の維持、国際的な枠組みづくりに主導的な役割を果たす上でも、やはりこのTPPを推し進めていく、そういう重要性はどのような事態になろうとも変わらないのではないかと思っております。  今後も、政府全体といたしましては、様々な機会を通じてアメリカや他の署名国に国内手続の早期完了を働きかけていく、これはもうTPPの参加国首脳によるTPP首脳会合でも確認されたところでございますし、そのためにも今国会での協定承認と整備法案の成立を目指してまいりたいと考えております。
  31. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 入口のところでちょっと時間が過ぎると後に続かなくなっちゃうので、次行っちゃいますが、資料二にちょっと付けさせていただいていますけれども、上の方ですね、今まで政府の答弁で、効果はというと、要はGDP十四兆円程度押し上げる効果があるんだ、あと雇用は八十万人規模で増やすことができるんだということを申されているわけであります。その一方で、農業、農産品、この辺の対応をされている方のところについては生産額がマイナスになってしまうということも出てきているわけであります。  そういうことも含めまして、政府は、各業界団体が今審議されているTPPの条約、協定についてどういうスタンスでおられるかというのを多分聞かれたり分析されているというふうに思うんですね。それをちょっとこれからお聞かせいただきたいというふうに思います。  まずは、各種業界団体です。例えば医師会とか農協さんとか自動車関係の業界とか、私がいる電機産業の業界とか、そういったところがこのTPPの協定に対してどういうふうなスタンスでいるのか、それぞれその業界がそういうことに至った、そういう考えになっているということについて、その受け止めを、政府としてどういうふうに考えておられるかを、これは多分内閣官房だと思いますが、よろしくお願いします。
  32. 澁谷和久

    ○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。  大筋合意以降、御指摘のように様々な団体から御意見なり御要望なりをいただいているところでございます。幾つか御紹介をいたしますが、例えば日本鉄鋼連盟、それから日本化学工業会からは、関税撤廃、外国の関税が撤廃されるということによる輸出への効果が期待されるという、そういう御意見でございます。日本物流団体連合会でございますが、物の往来の活発化を通じた物流量の増加、輸出入許可手続の透明化などを通じた我が国物流事業者の業務あるいは海外展開の円滑化などが期待されるという御意見でございました。それから、日本自動車工業会は、関税の話もさることながら、やはり新しい大きな市場ができる、協定によってビジネス環境の整備がされることで競争力強化に重要な役割を果たすと、こういう御意見をいただいているところでございます。電子情報技術産業協会からは、電子取引章の規定が新しいルールとして確立されることを期待していると、こういう御意見でございました。  それぞれ、TPP協定が各業界のグローバルな事業展開にプラスになると評価しているところでございます。いずれも協定の早期発効を希望しているところでございます。  一方、全国中小企業団体中央会からは、新輸出大国コンソーシアムなどによる中小企業の海外展開への積極的な支援を求める要望が出されているところでございます。全国で多くの中小企業が支援を求めて相談に来られたり、既に支援対象になっているわけでございますが、こうした実際のニーズを踏まえてこうした要望が出されたものと承知しているところでございます。  それから、JAグループからでございますが、これも大筋合意直後でございますが、農産品の品目別の経営安定対策など、将来にわたって再生産が可能となる政策を確立すべきと、こういう御提案、御要望をいただいているところでございます。これは生産現場における切実な声を背景としたものでありまして、政府としては、こうした御提案を十分踏まえまして、昨年の十一月、総合的なTPP関連政策大綱を取りまとめたところでございます。
  33. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。  一方で、業界団体と対峙するところで労働組合という組織があるんですが、ここの多分御意見も話によるとお聞きしているというふうに聞いております。どういうふうな把握でおられるのか、先ほどの人のように、その判断が、どういう背景というか、どういう考え方でそこに至っているのかということについて、それぞれお聞かせいただけますでしょうか。
  34. 勝田智明

    ○政府参考人(勝田智明君) 労働組合からの評価についてお答え申し上げます。  私ども厚生労働省では、連合と日頃から様々な機会を通じていろいろな意見交換を行っております。その中にはTPPに関するものも含まれております。この中で、連合さんの方からは、例えばTPPの労働関係規定につきまして、現時点で、貿易・投資に推進する目的で、自国の労働法令について免除等を認めない規定が明記されていると、こういったことを踏まえ、一定の評価をできる、ただし引き続き留意が必要といった御意見をいただいているものと承知しております。  このような評価いただいた背景には、TPP協定の労働章が貿易・投資に影響を及ぼす形で労働条件を切り下げることを防止することを目的とし、締約国がILO宣言における働く方々の四つの権利を採用、維持することを定めてあること、こういったものを踏まえた評価であるものと考えております。  厚生労働省としては、引き続き労働章の趣旨に踏まえた取組を進めてまいりたいと思っております。
  35. 赤石浩一

    ○政府参考人(赤石浩一君) お答えさせていただきます。  個々の団体のやり取りについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、経済産業省といたしましても、産業団体や労働団体にはTPPも含めて様々な政策課題について御説明させていただいているところでございます。  TPPにおきましては、自動車部品の対米輸出の八割の関税が即時撤廃されるなど自動車産業に大きなメリットがありますし、電機産業にとっても、様々な関連製品の関税撤廃のみならず、電子商取引関連のルールの整備、それから通関の円滑化、知的財産の保護強化など、IoTなど今後の第四次産業革命の進展を後押しする高いレベルのルールが盛り込まれておりまして、幅広いメリットがあると考えております。  TPPが自動車産業や電機産業にもたらすメリットは、当然それぞれの産業で働く労働者の方々にも大きなメリットをもたらすものと御評価いただけるものと考えております。
  36. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。  何でこういう話を聞いたかというと、それぞれの団体、もういろいろ微妙にこのニュアンスが違うんですね、温度差があるというふうに思います。労働組合もそうですし、業界団体もそうなんです。それはというと、農業系の皆様は、資料の二の下の方にも書いてありますけれども、要は負の影響を受けるんです。あとは、工業的なところは、電機産業は、あれですね、関税ほとんどないので将来に対する期待ですよ。自動車は一部、部品の関税がなくなる、さらには普通自動車は関税の廃止までは時間が掛かるとか、いろいろ微妙なんです。  したがって、その微妙なバランスで多分今回そういう表明をされていると思うんです。ここを私は大事にしないといけないと思うんですね。要は、負の影響を受けるところ、もしかしたら少数かもしれません。しかし、そこをしっかりとした手当てを政府がしていかないとやっぱり理解は先に進まないというふうに私は思うんですが、今のそれぞれの業界団体の対応の内容をお聞きをして、石原国務大臣はいかがお考えでしょうか。
  37. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま厚労省そして経産省から、労働界並びに自動車あるいは電機、この皆様方と話して、どういうことがこのTPPで話されたのか、またTPPにおけるメリット、デメリット、そういうものについての意見の御開陳がございました。  私も、生の声をということで地方に伺わせていただいて、中小企業の方々やあるいは農業関係の方々ともお話をさせていただいてまいりましたし、やはり委員が御指摘されましたとおり、間違いなく不安を抱いている方がいらっしゃいますので、そういう方が地方にいらっしゃる以上はしっかりと話を聞いてくるようにということで人を派遣させていただいたりして、いろんな話を聞いてまいりました。  やはり農林水産業のようなところでTPPに対する懸念、不安が多く寄せられているということは事実だと思います。こういう方々の不安を真摯に受け止めさせていただきまして、これも山本農林水産大臣から御答弁させていただいておりますように、政策大綱を作ってそういう方々に、今委員は光が当たらないというような表現をされておりましたけれども、そういう方々にも十分な配慮ということをしていくということは、やはり委員の御指摘のとおり、私も非常に重要なことだと思っております。  これからも不安の声にはしっかりと寄り添って審議を深めてまいりたいと考えております。
  38. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ここが重要なところなので、是非よろしくお願いします。  三百か所で説明会をしたとか四千ページの資料を作ったと言うんですけど、やっぱり理解されないとこれ意味ないので、是非、しっかりとした予算も取ったというんですが、農業をされている方の本当の痛みのところにそれが行き着くのかというところですね、ここをしっかりと見ていただきたいというふうに思います。  それでは、ちょっと具体的なところというか、もうちょっと細かなところから次質問をさせていただきますけど、先ほど電機産業は関税がほとんどありませんということが言わせていただきました。具体的に電機産業で関税の削減のメリットというのはどれほどなのかなというふうなことをお聞きします。  電機産業のその項目が十六に分かれているんです。要は、集積回路、半導体・LED、液晶デバイス、あとはコンデンサーとか、半導体ウエハーデバイスとか、電機計測器とか、デジタルカメラ・カメラレコーダーとか、カーオーディオビジュアルコンピューターとか、あとプリンター複合機とか、産業用ロボットとか、あとCT、医療機器とか、エスカレーターとか、あと電線・ケーブル、蒸気タービン、発電機、原子炉などというふうに分かれているわけです。  それぞれの日本からの輸出額と、あと日本の関税支払額はどれほどかといったところを経産省から説明をお願いします。
  39. 赤石浩一

    ○政府参考人(赤石浩一君) お答えいたします。  全てのTPP参加国のデータが入手できるのが二〇一〇年でございますので、その時点のデータを基に計算いたしますと、以下のとおりでございます。  まず最初に、集積回路につきましては、輸入額が八千二百二十九億円、関税支払額が〇・二〇億円。それから、二つ目の半導体・LEDにつきましては、輸入額、日本からの輸出額になりますが、三千五百三十六億円、関税支払額は三百万円。液晶デバイス・有機ELについては、輸入額千七百五十七億円、関税支払額は七・三億円。コンデンサーにつきましては、輸入額が千三百四億円、関税支払額は〇・二五億円。それから、半導体ウエハーデバイスそれからFPD製造用機器につきましては、輸入額が三千二百六十八億円、関税支払額は〇・二一億円。電機計測機器につきましては、輸入額は六百十三億円、関税支払額は一・四億円。デジタルカメラそれからカメラレコーダーにつきましては、輸入額は三千百四十九億円、関税支払額は十九億円。カーAVC機器につきましては、輸入額が六百十億円、関税支払額は〇・五八億円。プリンター複合機につきましては、輸入額は六千八百五十四億円、関税支払額は七・二億円。産業用ロボットにつきましては、輸入額は八十九億円、関税支払額は〇・六六億円。CTなど医療機器につきましては、輸入額は五百三十八億円、関税支払額は一・五億円。エスカレーター・エレベーターにつきましては、輸入額は二十億円、関税支払額は一・〇億円。電線・ケーブルにつきましては、輸入額が四百九十六億円、関税支払額が三十六億円。蒸気タービンにつきましては、輸入額は二百五十億円、関税支払額が十一億円。それから、発電機につきましては、輸入額が九百六十二億円、関税支払額は二十七・九億円。原子炉などにつきましては、輸入額が四十二億円、関税支払額は一・四億円となります。  これは、家電、産業用機械全体で見てみますと、輸入額は六兆三千五百十六億円でして、関税支払額は総計で四百八十四億円になります。  なお、今申し上げました関税支払額は、従価税品目のみを対象としまして、二〇一〇年の日本からの輸入額に各輸入国がWTO加盟国に適用する税率を乗じた機械的な試算であることを申し添えさせていただきます。
  40. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 今、ちょっと細かくて本当に恐縮ですが、御説明をいただきました。  私も事前に説明をいただいて、計算をさせていただきました。そうすると、多いところというのは発電機のところと蒸気タービンのところと、あと電線・ケーブル、やっぱり重電分野が多いんですね。これ、ちょっと軽めのところの電機産業というのはもう関税がほとんどありませんということになるわけでございます。  そこで、質問なんですが、このTPPがもし導入された場合、この重電分野の関税というのは今後どうなるのというところと、その資料の下にも付けてありましたが、さっき、電線・ケーブル、日本電線工業会からの要望も出ていますし、私は労働組合ですから、全電線の仲間からもどうなるんだということを聞かれていましたので、そこについて経産省から答弁をお願いします。
  41. 赤石浩一

    ○政府参考人(赤石浩一君) お答えいたします。  最初の御質問のございましたいわゆる重電分野につきまして、発電機、蒸気タービンを含めまして、産業用機械全般では、例えばアメリカ向けの輸出額の九九%以上が即時撤廃となるなど、多くの国で即時撤廃することになっております。  それから、電線・ケーブル関連の品目につきましては、平成二十五年に、TPP政府対策本部宛てに日本電線工業会から要望書が提出されております。その中では、八か国、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、豪州、マレーシア、メキシコ、ペルー、ベトナムで課されている関税の撤廃が求められております。このうち五か国、豪州、マレーシア、メキシコ、ペルー、ベトナムの関税は、その大部分についてはもう既に締結したEPAにより撤廃されておりまして、残る三か国、アメリカ、カナダ、それからニュージーランドの関税につきましては、TPP協定によって全て即時撤廃となっておりまして、一定の成果が上げられたものと承知しております。
  42. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。多分安心していると思います。  続きまして、我が国の対米輸出品で、資料の四の上の方にも付けさせていただきましたが、電機産業的には、四位の電気計測機器と六位の科学光学機器三千百四億円ですね、さっきの電気計測機器は三千三百七十三億円ですが。七位の半導体等電子部品が三千三十三億円、八位の電算機類の部分品、これが二千八百八十八億円、ここが大きいんです、ベストテンに入っていますから。しかし、これはよく分析すると、既に関税ゼロなんです。そこで、電機産業は関税がゼロなのでということをさっきから言っていたんですが。  安倍総理はTPPは成長戦略の柱ということでよく言われるんですが、実際もう関税がないので柱にならないんじゃないかなというふうに思うんです。電機産業は今大変苦しくて、物づくり産業がこのTPPによって復活するのか、そこがやはりポイントだというふうに思っていまして、要は、TPPよりもよっぽど為替の変動の方が、これも資料を付けさせていただきましたが、上の右側に、一円動くと相当動くんです、利益が。だから、そこをどう考えられているのか。やっぱり成長戦略の柱というのはちょっと言い過ぎだというふうに思っているんですけど、そのことについて石原国務大臣から答弁をお願いします。
  43. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 今、資料四の対米輸出品目上位十品目の、私もトレースさせていただきますと、関税でいうならば、なるほど、こういうふうになっているのかなと改めて認識したところなんですけれども、TPPの合意内容というのは、関税だけに限らず、投資やサービスのルール作りを含めて三十章から成っている。各章について参議院ではかなり奥の深い議論がなされていると思いますけれども、こういうふうに多岐にわたる分野についてルールを定める、そして、そうした共通の貿易・投資ルールというものは、個々の企業に影響を与えるとともに、実際にはそこに関連する企業にも影響を与えていく、そういう側面もやはり見ていただきたいと思っております。  また、マクロ面で見ましても、TPPのこの発展モデルを見ますと、将来的には間違いなく貿易・投資を拡大する、それによりまして、各国のイノベーション、生産性が向上して新たなグローバルなバリューチェーンを生み出していくという効果もある。そういうときにまた、今委員が御指摘された電機産業の皆様方も新たな局面に私は入る可能性が期待できるのではないかと思っております。  このように、TPPは、言ってみるならば産業間、企業間の連携、ひいては各国間の経済連携そのものに大きな影響を与えるものと認識をしているところでもございます。  そして、資料四の右端に想定ドルレートが付いておるんでございますが、私もこの為替レートというものが企業活動に、この表を見させていただいても、影響を及ぼすことは否定をいたしませんけれども、TPP本体とは一体何なのか、関税だけではなくて新たなルール、投資やサービスについてもルールを作る、貿易の慣行についても四十八時間原則で物を入れなきゃいけないといったルールを作る、やはりTPPによる影響と為替変動の影響とは分けて考えるべきではないかと、こんなふうに認識しているところでございます。
  44. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございます。  そうなんですね。いろいろなところで考えていかないと、将来的な、そのルールによってもしかしたらプラスになっていくんでしょうけれども、そこをしっかりとちょっと見ていく必要があるのかなという気がします。  ちょっと視点を変えると、今、企業活動が活発なのはやっぱり東南アジアなんです。その中で、今回TPP加盟国を、十二か国なんですけれども、やはりその東南アジア全域に、中国も含めて、ちょっと広げていく。そのときに、やはり今回、TPPの協定の中に三十章の加盟条項というのがあるわけです。要は、全加盟国がよしとしないと新たなところが入れない。  今まで、貿易協定というのがなかなか、こういう協定があるものですから新規に入ってくるところがこれはまれだというふうに言われているんですね。ですから、そういった中では、更に進めるにはやはり柔軟な対応も、要は、二国間で何か成立しなかったらそこの部分だけはその国は除くとか、そういうような柔軟な対応も必要なのかなというふうに思うわけです。  こういうことについてお考えになられることはあるのか、石原国務大臣のお考えをお聞きします。
  45. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 石上委員が御指摘になりましたのは、いわゆるTPP協定の三十章の四条、すなわち新規加盟の点についての御懸念の御開陳ではなかったかと聞かせていただきました。  関税交渉というものはやはり、先ほど資料四でお示しいただいたように、影響のある分野も薄い分野もある。それだけ分かりやすいですから、そこにフォーカスが行くということは間違いないんですけれども、先ほどもお話をさせていただきましたけれども、それ以外の分野についても同時並行で交渉を行って、全体的にバランス配慮して、各国の、国営企業を抱えている国々もございますので、そういう中でぎりぎりのところで合意に至ったと認識をしております。  ですから、一つの合意と他の合意とが複雑に絡み合っておりまして、その一部、例えばその新規加盟のところだけ取り出すみたいなことをしますと全体が崩れてしまう。俺はいいと思うけど、あの国とは個別的にもめていることがある、まあこれは仮定の話ですけれども、そういう事態も想定されるわけでございます。  そうしますと、加入を含めて何らかの見直しを認める際は、いずれの国からも反対がないことを条件とすることでこのコンセンサス方式の合意がなされているんだと思います。そうしますと、その観点から見ますと、加入要件のみを柔軟な制度とするということは、やはり利害関係が錯綜いたしますので、全体のフレームが壊れてしまう懸念が生じるという観点からなかなか難しいのではないか、こういうふうに御理解をいただきたいと思っております。  TPPによって新たに作られるルールは今後の経済連携協定でモデルになり得るものでございまして、参加を希望する国や地域も相次いでいることは十分に承知をしております。基本的価値を共有する国々が経済のきずなを深めて、更にその輪を広げていくことで地域を安定させる力にもなる。そういう意味で、TPP協定への新規加入を広げる取組については努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  46. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 そうですね。でも、今までなかなか広がらないと困っていたわけですから、何か工夫が必要だなというふうに思います。  ちょっと次なんですが、第十一章の金融サービスのところなんですけれども、マレーシアの外国銀行の支店数の上限が倍増される、さらには新規ATMの設置制限が撤廃されるということが今回TPPが導入されると実現するということですね。したがって、ATMをやっているメーカーにとってはビジネスチャンスというところなんです。  国内で大きいのが沖電気さんのところのATM、まだあるんですね、日立オムロンさんもやっているらしいんですが、中国で今、沖電気さんは五万台もATMを入れているらしいんですけれども、そこでちょっと困ったことがありまして、要はソースコードを開示しろというそういう要求があって、いろいろ経産省も動いていただいて、何か、それはちょっと待てというふうになっていて、今回のTPPの内容にはソースコードの開示の禁止ということが盛り込まれているわけでございますが、やはりTPPが導入されなくても、そもそもプログラムのソースコードの開示というのは禁止させていくべきではないかなというふうな認識で私はいるわけですけれども、このことについて答弁を求めます。
  47. 井原巧

    ○大臣政務官(井原巧君) 御質問にお答えを申し上げます。  参加国以外にもこのような考えを広めるべきとの御質問でございますが、中国においてこのようなことがございました。二〇一四年、サイバーセキュリティー強化のため、銀行が調達するATM機器等に対してソースコード開示を求めること等を内容とする中国銀行業IT機器セキュリティー規制が策定されたということがございました。  この規則が施行された場合、日本を含む海外製品に対する貿易障壁となるおそれがありました。お話ありました先ほどの日本の二社についても、大変技術流出につながるおそれがあったということでありまして、そこで、金融、総務、外務、経済産業の四大臣連名で中国に対しまして本規制に関する懸念を表明するとともに、米国政府や日米欧加の産業団体等からも懸念を表明するなど、各国と連携しつつ見直しを求めてきたところでございまして、この結果、二〇一五年四月、中国政府は施行延期を公表し、現時点では本規則は施行されておりません。  また、本年四月に日本で開催されましたG7情報通信大臣会合におきまして、貿易・投資を阻害するような動きを牽制しつつ、世界経済の成長を目指していく観点から、我が国が主導してソースコードの開示要求の禁止を含むデータの自由な流通の原則に合意をしたところでございます。  御指摘のように、電子商取引のソースコード開示要求の禁止がこのTPPには盛り込まれておりますが、この潮流を是非大切にさせていただいて、各国と連携をしつつ自由なデータ流通を確保するための環境整備に努めてまいりたいと考えております。
  48. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。  もうちょっと細かいやつをこれから二問やるんですが、ちょっと時間がないので、一つは意見ということで言わせていただきますが、半導体なんですけれども、半導体の関税はアメリカも中国も台湾もほとんどゼロなんです。TPPによっても余り変わらない。じゃ、何が変わっているかというと、要は、優遇税制とか、あとは国の投資によってその優位性ができてくるというところなんです。ここをしっかりやっていかないと、TPPとかというルールを作っても何ら半導体の産業が元気にはなれないので、是非ここをやっていただきたいというのは意見です。  次が、もう一つは、今すばらしい技術を持っている電子部品メーカーってたくさんあるんです。この前、報道で、アイフォンの製造を、要は中国で今アイフォンの製造をほとんど二社が独占してやっているわけであります。台湾のメーカーなんですが、そこで数万台を作っているわけであります。そこに入っているアイフォンの部品というのはほとんど日本製が占めているわけで、そこの、村田製作所の超小型の、世界最小と言われているんですが、積層型のセラミックコンデンサーとかフラッシュメモリーとか、こういうやつがあるんですが、ここでポイントは、このすばらしい技術の製品をいかにコモディティー化させないで延命させるか。この技術というか、この戦略を国としてもつくっていかないといけないと思っているんですね。オープン・アンド・クローズド戦略、ここも学者さんたちもよく言っているので、そういうことを今までやってきていなかったので衰退の一途をたどってきているわけなので、是非そこに注力をいただきたいというのが一つで、このことについてお考えをお聞きしたいというのが一つ。  さらには、もう一つ、これも報道ですけど、アイフォンとかの液晶を、液晶から有機ELに転換をするということで、韓国、中国がこぞって有機ELに今シフトしているんです。そこに日本も乗り遅れちゃいけないので、コスト的に要は優位性が保てる印刷型技術というすばらしい技術があるんです。これはジャパンディスプレイのところと一緒にやっているJOLEDというんですけれども、ここをしっかりとやっぱり国としても支えていくべきだと私は思うんですが、このことについて経産省からお聞かせいただけますでしょうか。
  49. 安藤久佳

    ○政府参考人(安藤久佳君) お答え申し上げます。  今委員御指摘のオープン・アンド・クローズ戦略は、これは大変大切なものだというふうに認識をさせていただいております。コア技術に知的財産を集中をして外部に漏れないようにブラックボックス化をして、そして売るときにはしっかりと従来の縦割りの系列を外れて世界に売り込んでいくと、こういった戦略だというふうに認識をさせていただいております。今委員御指摘のメーカーさん含めて、日本でも大変そういった試みを行っている会社がおられます。先ほど申し上げましたような様々な研究開発税制あるいはNEDOなどを通じました御支援、こういったようなことを通じてこういった試みを最大限応援をさせていただきたいと、かように思っております。  また、印刷の有機ELについては、これは日本が持っております、大変優れた可能性を持っておる技術だというふうに認識をさせていただいております。今御指摘のJOLEDにつきましては、産業革新機構がパナソニック及びソニー、こういった既存の会社とも協力をしながら開発に専念をしておるといったところでございます。  これから更に企業努力を行っていただき、今申し上げましたような政策支援を総動員をさせていただいて世界に冠たる技術を確立をさせていただきたい、このように思っております。
  50. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 是非お願いします。  最後ですが、今まで車の議論というのは関税の話が主だと思います。しかし、今後の車というのは自動運転、いろいろなぶつからないとか完全な自動運転とかになって、要は次のテクノロジーと、様々なものが来ている、そのことを日本としてリードしていかないといけないわけです。そのときに、TPPと新たに出てくる様々な技術、テクノロジーとの関係はどういうふうなことになっていくのか、そこを、お考えがあるのかどうかを最後に石原国務大臣にお聞かせいただけますでしょうか。
  51. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 私もこの点はこれから非常に重要だなと思いまして、二社ほど実際に試乗をしてまいりました。フェーズ2まででございますけれども、かなりのところまで来ているような気がいたします。それ以外にもIoTやAIロボット、日本の産業が国際競争力の観点から極めて強いものがある、これをやはりしっかりと後押しする。これは未来投資会議という中で、スピードアップとパワーアップを図った体制でこのイノベーションの社会実装を後押ししていこうと、今政府を挙げて取り組ませていただいております。  そして、TPPとの関連でございますが、先ほどお話をさせていただきましたように、御指摘のように、イノベーションを加速していく上で、やはり巨大市場になるアジア太平洋地域において、こういう、今オープン・クローズの話がその前にございましたけれども、こういう戦術、タクティクスみたいなものもしっかり確立していかないと、どんどんどんどん科学技術の進歩ですばらしいものが陳腐化していってしまう。こういうことを守るために知財や投資保護などの共通ルールができるということは意義が大きくて、やはりTPPというものは様々な分野で、いきなりにはダイレクトには響いてきませんけれども、委員の御指摘をかなえていく上でも私もツールになると認識をしているところでございます。
  52. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。終わります。
  53. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 民進党・新緑風会の伊藤孝恵でございます。  私、この週末も地元で、発効なんてしないTPPにどうしてそんなに参議院では時間を掛けるんだ、なぜ急ぐんだ、無駄じゃないかという声を多数いただきました。私の本音といたしましても、ほかにもっと議論することがあるんじゃないかと、そういったことも思ったりもいたします。今朝の朝刊にも、南スーダンに向かう自衛隊の方々と家族の別れの記事がございました。我が子を抱き締める隊員の写真に、御本人も家族も不安だろうなと胸が詰まりました。  我々が提出した、海外で活動する自衛隊員が負傷した場合、迅速に治療できる体制を整備するための自衛隊員救命救急法案、これこそ今急いで議論する必要がありますし、長時間労働の規制だってあります。そして、子供の貧困の問題、これは今、六人に一人の子供たちが、おなかがすいて眠れないと言っている子供たちがいます。この現状を何とかするために本当は今この時間を使いたい気持ちでいっぱいではありますけれども、安倍政権は今国会においてあくまで協定発効を目指されるということですので、それであれば、我々は二十一全ての作業分野で、あらゆる角度で質問をすることで、世の中の今ほとんどの皆さんがまだよく分かっていないとおっしゃっているTPPのフォルムをあぶり出して、これが皆さんTPPです、私たちの生活にこんな影響がありそうですと、そして、私たちの生活に影響がありそうなのであれば、この課題を解決するために必要な措置を確実に講ずるようにしっかりと政府に求めていきたいと思っております。  冒頭、石原大臣にある数字を紹介したいと思います。  番組平均視聴率、これ関東の数字ですけれども、一・七%、これは参議院のTPP特別委員会のNHK中継、十一月十四日の番組平均の数字ですけれども、テレビマンでいらした大臣はよく御存じかと思いますが、関東における世帯視聴率一%はおよそ十八万四千世帯です。すなわち三十一万二千八百世帯で、人数にすると全国で推定百七十万人の方がこの委員会でTPPについて議論するのに耳を傾けてくださったことになりますが、改めて思うのが、TPPについて、まだやはり興味喚起も含めて説明不足、理解を深める必要があるということだと思います。  今国会において継続審議という判断を下し、トランプ次期大統領の動向も見ながら、必要に応じて次の国会で再度審議するのが適当かと思いますが、石原大臣のお考えをお聞かせください。
  54. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 政府の立場を説明させていただきますと、合意内容を正確かつ丁寧に御説明をさせていただく、そして、委員が御指摘されましたような国民の皆様方の中にあると言われる懸念や不安というものを払拭するために、これまでも最大限の努力を図らせていただいてまいりました。  前段、委員が御指摘されましたいろいろな問題があるということも、私もそのとおりだと思いますし、国会にも様々な委員会がございまして様々な議論がなされているんだと思っております。  後段の法案の取扱いですね、これにつきましては、私どもは政府を代表して今御答弁させていただいておりますので、審議、運営に従って引き続き誠実に、御質問いただきましたことを、今同僚の議員からは、産業界、分野別、そしてまた、この日本のデファクトスタンダードをどうやって守っていくのかといったような意味のある御議論もいただきましたので、引き続いて丁寧に御答弁させていただきたいと考えております。
  55. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 ほかの協定参加国、リマで声明を出せないほどほかの国は慎重に行っているんだというふうに思います。そんな中で、安倍総理は、各国を説得するためにだと思いますけれども、日本では既に参議院で承認目前であるやの説明をされたそうですが、強行採決して参議院に送ったにもかかわらず、あたかも日本国内では順調に審議が進んでいますと、そういうふうに参議院を呼び水に使われるのは本当に心外でございます。  そして、石原大臣、十月末時点で六六・五%、これは共同通信が行った世論調査ですけれども、TPPについて今国会の成立にこだわらず慎重に審議すべきだと回答した方の割合です。トランプ次期大統領の当選前でも六六・五%もの人が慎重な審議を求めています。  もう一つ、この数字は産経新聞社とFNN、十一月十二、十三に、すなわちトランプ次期大統領の当選が決まってからの数字でございますけれども、TPPを今国会で成立させることに反対は四八・五%、前回よりも八・四%も上がって、賛成と逆転いたしました。この民意を是非、石原大臣は受け止めていただき、審議の継続を御検討ください。  さて、塩崎大臣にお伺いします。  TPPによって国内の農林水産物の生産額にどういった影響があるのか、国内の生産者が被るダメージについて多くの時間を割いてまいりましたが、今日は、TPPによって我々の健康にどういった影響があるのか、国内の消費者が被る健康のダメージについてお伺いしたいと思います。  TPPによって交渉参加国から、農林水産物のみならず、それらの加工品も数多く入ってくることになります。加工品には、加工、製造した国と日本の安全基準が異なったり、衛生レベルや添加物の問題もございます。  ところで、大臣は、油脂に含まれる3―モノクロロプロパンジオールとその脂肪酸エステル、今後3―MCPDと略させていただきますが、その危険性についてどの程度御認識されていらっしゃいますか。
  56. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 今、いわゆる3―MCPDというこの点についてパーム油に関連して御指摘をいただきましたが、パーム油に含まれる物質は今おっしゃった3―MCPDとは異なる3―MCPD脂肪酸エステル、後段でおっしゃった、こちらが入っている物質と言われておりまして、パーム油の製造時に食品中の成分が化学反応を起こすことによって意図せずに生成され得る物質というふうに言われております。  パーム油に含まれ得るこの3―MCPD脂肪酸エステル、こちらの方につきましては、動物実験においては体内で分解をされて3―MCPDになり得るということが認められたことから、この3―MCPDと同様の健康影響が及ぼす可能性が指摘をされ、現在、各国において安全性についての知見の収集が行われているというふうに理解をしております。  しかし、国際的にもいまだ知見が十分ではないことから、現時点におきましては、国際的なリスク評価機関でありますJECFA、ジェクファと言うんでしょうか、による摂取許容量の設定はなされておりません。本物質について基準値を設定している国もございませんで、国際基準も設定されていないというふうに承知をしております。  なお、委員前段で御指摘になった3―MCPD、これにつきましては、国際的なリスク評価機関、今のJECFAが二〇〇七年に、一日当たりの摂取許容量二マイクログラム、一日当たりの摂取許容量の二マイクログラム・パー・キログラムですが、を設定をしています。  二〇〇七年に日本の食品安全委員会が実施をした摂取量調査によりますと、日本人の平均摂取量は一日当たり〇・〇〇二から〇〇六マイクログラムとなっておりまして、国際的なリスク評価機関が設定をいたしました今の一日当たりの摂取許容量を大きく下回っておりまして、健康への懸念は低いと考えているところでございます。
  57. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 ありがとうございました。  今の御説明だと、危険かもしれないけれども、今直ちに危険だという認定はできないと、そういった御説明だったかと思いますけれども、実はそれは違いまして、既に腎臓への悪影響、発がん性、精子運動機能の低下という因果関係が数々の論文で既に立証されておりますし、国も認識しています。  こちらの平成二十六年十二月十七日付け、農林水産省の消費・安全局発表の資料なんですけれども、3―MCPDは油脂の脱臭精製工程でというその作り方、それは今大臣が御説明いただいた限りなんですけれども、おっしゃるとおり、国際的なリスク評価は今後予定されているとしながらも、農林水産省が優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質のリスト及び食品の安全性に関する有害化学物質のサーベイランス・モニタリング中期計画の中でその毒性の可能性を示唆しています。  お配りしている資料の一ページ目を御覧ください。  これは、EFSA、欧州食品安全機関から発表された数字ですけれども、乳幼児の3―MCPDの摂取量が安全量を大幅に超えているとの懸念が表明されました。一方、日本でも同様の調査が行われましたが、内閣府食品安全委員会は推定摂取量は問題ないと、何と欧州と二桁も違う数字を報告し、また年齢別の調査もしておりません。  名古屋市立大学の奥山名誉教授ら脂質栄養学の専門家らが日本の六か月の赤ちゃんの推定摂取量を計算したところ、安全とされる値の五・八から八・七倍も超過しており、健康への影響は無視できないという結果が出たそうです。  そこで、もう一度大臣にお伺いします。3―MCPDの摂取量の再調査、そして年齢別、特に乳幼児への油脂の摂取量の調査をしていただく、そのおつもりはございませんでしょうか。
  58. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 今お配りをいただいたこの資料の一番下にある数字をお示しになっておられるんだろうというふうに思いますが、厚生労働省として現時点において詳細この数字について根拠など把握はしているものではないために、この場においてこの数値に対して詳細な考え方をお答えすることは差し控えたいと思います。  いずれにしても、今委員おっしゃったように、引き続いて我々としても諸外国の動向や最新の知見をしっかりと注視していかなければならないというふうに考えておりまして、一般論としては、一日当たりの摂取許容量は一生涯摂取し続ける想定の下に設定されるものでありますから、乳幼児などの一時期、摂取量が一日当たりの摂取量を上回ることのみをもって直ちに健康へ悪影響があると評価することは難しいものと考えてはおりますけれども、いずれにしても、しっかり諸外国の動向や最新の知見、研究を見てまいりたいというふうに考えております。
  59. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 今の御答弁、本当に日本中のお母さんたち心配になっちゃうと思います。欧州では健康を害すと言っているのに、日本では、年齢別に調べてもくれていないし、大丈夫だと、これから調べる気もないとおっしゃいます。赤ちゃん、ちっちゃいんです。そして、大人の何倍も影響を受けます。だから、これから体ができていくその過程で有害物質なんて取らせたくないんですよ。大臣、どうか持ち帰っていただいて、再度御検討をお願いします。  ここからは政府参考人にお伺いいたします。  この3―MCPDが最も高濃度なのは、こちらの先ほどの農林水産省の資料によるとパーム油であります。このパーム油を主にどこから輸入してきているのか、教えてください。
  60. 北島智子

    ○政府参考人(北島智子君) お答えいたします。  平成二十三年度から二十七年度における日本への食用パーム油の輸入量につきましては、多い順から、平成二十三年度はマレーシア、インドネシア、コロンビア、二十四年度はマレーシア、インドネシア、コロンビア、二十五年度もマレーシア、コロンビア、インドネシア、二十六年度もマレーシア、インドネシア、コロンビア、二十七年度はマレーシア、コロンビア、シンガポールでございました。
  61. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 そうなんです。マレーシア、マレーシア、マレーシアと。本当にマレーシアとインドネシアが二大生産国でございますし、TPPの協定参加国でありますマレーシアは国策としてこのパーム油を精製して輸出しております。私の手元にも二〇〇二年からのデータがございますけれども、年々右肩上がりに日本への輸入量を増やしております。  このパーム油については、農林水産省が実施したマウスの生存率に及ぼす油脂の影響で、パーム油を与えたマウスの短命を指摘しています。そして、食品分類の観点でも、パーム油は植物性油脂ではなく、その他の油脂なんですよね。何ででしょう、植物じゃないんです。  そして、こちらのお配りした資料二を御覧ください。  私も一歳と三歳を育てておりますので、この資料を見たときは本当に血の気が引きました。育児用の粉ミルクにパーム油が使われている、ほぼ全てで。そして、なぜ危険性の高いと認識されている油脂が育児用粉ミルクに選ばれているのか、こちら政府参考人にお伺いします。
  62. 北島智子

    ○政府参考人(北島智子君) 先ほど大臣の方からお答えを申し上げましたとおり、パーム油につきましては、3―MCPDとは異なる3―MCPD脂肪酸エステルが含まれております。この3―MCPD脂肪酸エステルにつきましては、現在各国で安全性についての知見の収集を行っている段階でございまして、現時点において、いずれの食品につきましても国際基準や諸外国の基準は設定されないと承知しております。
  63. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 そうでしたね。あくまで3―MCPDもパーム油も大丈夫だというスタンスでいらっしゃるという御答弁だったと思いますので、永遠にこの議論はかみ合わないんだなというところで。  でも、これだけは知っておいてください。こちらは各育児用粉ミルクメーカーに問い合わせたアンケートです。皆さん堂々と、安定調達の観点から遺伝子組換えの原材料を使い続けます、添加物も油も厚生労働省で安全性が確認されています、使用が認められていますの一点張りです。だから国のかじ取りが問われると思うんです。安全に対するすさまじい執着を持っていただきたいと思っています。  これ、例えばパーム油じゃなくてバターだったら何の問題もないんですよ。先ほどの農林水産省の報告資料では、バターの3―MCPDの含有量は定量限界未満の濃度なんです。お母さんたち、私もそうですけれども、我が子にミルクをあげながら、栄養が取れると思ってあげているんですよね。骨が強くなるといいな、健康に育ってくれるといいなと思ってあげているんです。そうやって飲ませているんです。  先週ですけれども、十五日、福島議員の方からも、粉ミルクの遺伝子組換え作物が含まれている事実、その改善を求めたという質疑がございましたけれども、その後、何か会議開かれたんですか、例えば検討するもの立ち上がっているんですかというふうにお伺いしたところ、会議さえも開かれず、メールの一本も飛び交った事実もないということでした。  この委員会、何のためにやっているんでしょうか。課題が見付かったら、政府として、よく見付けてくれた、じゃ、どうしようと、物事を進めるためにこの委員会やっているんだと私は思っていますし、審議時間を積み上げるためだとか、ガス抜きをしているとか、そういうためにこの委員会があるのではないと思っておりますので、このパーム油の件、お願いですからしっかり受け止めていただいて、御検討いただければというふうに思っております。  それでは、角度を変えて質問させていただきます。  安全性は経年で調査して初めて分かるものだというふうに思いますけれども、3―MCPDの調査も継続しておりません。年齢別にも先ほどの御答弁のとおり行っていただいておりません。  3―MCPDというのは、近年その存在が明らかになった有害化学物質の有力候補でございます。それでどうして安全だと言い切れるのでしょうか。政府参考人、お願いします。
  64. 北島智子

    ○政府参考人(北島智子君) お答えいたします。  御指摘の3―MCPDにつきましては、食品安全委員会において平成十九年度に実施した調査結果によりますと、日本人の3―MCPDの平均摂取量は国際的なリスク評価機関が設定した一日当たりの摂取許容量の三百三十分の一から一千分の一と基準を大きく下回っており、健康への影響は低いと考えているとの見解を示しているということでございますけれども、最新の知見を収集して対応したいと思っております。
  65. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 方法というか手法というか、最新の知見をという話ではなく、私は経年で調査して初めて分かると思うんですけれども、一回しか調査をしていないのはどうしてなんでしょうかというふうにお伺いしております。
  66. 川島俊郎

    ○政府参考人(川島俊郎君) お答えいたします。  3―MCPDの日本人の推定暴露量の調査につきましては、今お話にございましたように、平成十九年度に私ども食品安全委員会が調査を行ってございます。この調査の対象におきましては、いわゆる3―MCPD等が大豆、小麦粉等の植物性たんぱく質を塩酸で加水分解して製造されるたんぱく加水分解物に多く含有されているということから、こうした食品を対象に調査を行ったところでございます。この際の分析対象には今先生御指摘のパーム油は含まれてございません。  食品安全委員会といたしましては、国民健康・栄養調査、こういったことを行っておられます厚生労働省等とよく御相談をして、その実施について検討してまいりたいと考えております。  十九年の時点の調査におきまして、直ちに健康に影響があるというようなことは認められておらないということでございます。
  67. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 違うんです。健康に影響がありそうな物質だというふうに農林水産省の安全局もおっしゃっているんです。にもかかわらず、経年で調査もしていない、年齢別に調査もしていない、そして、さらに欧州と比べて二桁も低い数字。こちら、専門家から見てあり得る事態なんでしょうか。
  68. 川島俊郎

    ○政府参考人(川島俊郎君) 繰り返しの御答弁になりますけれども、3―MCPD脂肪酸エステルにつきましては、農水省の調査におきましては含有量は諸外国と比べて低い傾向にあり、私ども食品安全委員会におきましてもこれによる健康被害の報告は現に確認されていないということで、現在の科学的知見に基づきますと、これまでと同様に日本人における健康への懸念は低いというふうに考えているところでございます。
  69. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 何度も恐縮です。その健康への影響は低いと考えられますというものの前提にはやはり経年の調査が必要だというふうに思うんですけれども、それらをしていなかったという事実は了解いたしました。  では、今後していただけるというおつもりはございますでしょうか。こちら、大臣にお願いします。
  70. 川島俊郎

    ○政府参考人(川島俊郎君) 3―MCPDについての、パーム油等、こういったものを含みます油脂を対象とした暴露量の調査につきましては、諸外国の動向ですとか、あるいは最新の科学的な知見、こういったものを踏まえまして、国民健康・栄養調査を実施しておられます厚生労働省等いわゆる関係府省と連携をしつつ、その実施について検討してまいりたいというふうに考えております。
  71. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 では、塩崎大臣にお伺いします。  今、検討してまいりたいと思っておりますと政府参考人にも言っていただきました。では、今後、経年で年齢別に再調査をお願いできるというふうに認識させていただいてよろしいでしょうか。
  72. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 今お話があったように、元々食品安全委員会が調査をしていただいて、そこから間が空いているじゃないかということでございました。  安全委員会とやはりよくこちらも連携をして、判断をしていく中において引き続きしっかりとウオッチをしていかなければいけないというふうに思いますので、食品安全委員会とよく連携をしてやっていきたいというふうに思います。
  73. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 大臣、農林水産省の発表資料にもはっきりと書いてあるんです。3―MCPD濃度の低減技術に関する情報を集めないといけないと思っていると。健康に悪影響を与える可能性のある物質については、その濃度を低減していくことが重要で、早い段階から低減対策についての情報収集や検討を進めておくことは国際標準だというふうにこちらにもはっきり書いております。なので、恐らく政府参考人も諸外国のデータを、諸外国の先進事例をというふうにおっしゃっているんだと思いますけれども、そういうふうに情報を集めること自体、これが有害である可能性があるということを認識されているということだと思います。  大臣御存じか分かりませんけれども、母乳でない場合、赤ちゃん、離乳食始まるまで、およそ半年の間ずっと栄養を粉ミルクで、母乳でない場合は粉ミルクで取るんです。女性活躍推進などもうたわれている中で、この粉ミルクの存在、それらの健康被害というのを無視しているというのは、働くお母さん、母乳が出しづらいお母さん、そのお母さんたちの活躍も阻んでいると言っても過言ではないと思います。だから、本当になおさら、欧州のように予防原則に立って調査を行い、そして制限を行い、そういった検討をしていただきたいというふうに思っております。  最後に、大臣、先ほどの、連携を取ってというふうにおっしゃっておりましたけれども、今後、欧州のように予防原則に立って調査そして検討を進めていただけるお約束していただけたという御認識でよろしいでしょうか。
  74. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 予防原則の問題については随分たくさんの御指摘もいただいておりますけれども、いずれにしても、科学に基づいたきちっとした安全分析ということが大事だというふうに考えておりますので、そういう形で、特に一義的に専門性のあるところは食品安全委員会が御判断をされるということなので、そことしっかりと連携し、なおかつ、今委員からいただいたような御指摘も踏まえて今後のことを決めていきたいというふうに思います。
  75. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 ありがとうございます。  このパーム油を育児用の粉ミルクの原料に使用することを制限するというお考えは直ちにないと。難しいということだというふうに思うんですけれども、EU始め各国で行われているような、例えば、しょうゆに含まれる3―MCPDの残量基準のように、最大基準値を設けている、そういう国があるわけですけれども、今、粉ミルクにも、そして油にもそういった基準は設けられていません。基準値が一つもないんです。そういったところも含めて御検討いただければというふうに思います。  続いて、では、乳児用の液体ミルクについて、これも本当にお母さんの関心が高いものでございますけれども、今、製品の規格基準の検討を始めており、安全性が確認されれば食品衛生法に基づく省令を改正する方針との報道がありますけれども、現状、開封後の微生物の増殖、それから食中毒の危険性の検証が中心というふうな報道がございます。ここに、成分の見直し、特に遺伝子組換え原材料やパーム油の安全性調査を検討項目に入れていただくことは可能でしょうか、塩崎大臣、お願いします。
  76. 北島智子

    ○政府参考人(北島智子君) 一般的に、食品の安全性につきましては日本で承認をされたものしか国内では使えないという原則がございますので、輸入するものも国内で流通するものもひとしくそういった審査を経て安全の確保に努めてまいりたいと考えております。
  77. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 新しい国内で作られる商品でございますので、そこの、今まで使っていたものの、今安全ではないんじゃないかという懸念があるわけでございますので、遺伝子組換えの原材料、それからパーム油の安全性、それらを検討項目に加えていただきたいというふうに申し上げております。  その御答弁、済みません、今理解できなかったので、もう一度お願いします。
  78. 北島智子

    ○政府参考人(北島智子君) ただいま申し上げましたとおり、輸入食品も国内で流通しているものにつきましても、しっかりと審査を経て流通しているものしか国内で使用できないということでございますので、遺伝子組換え食品にいたしましても、その原則にのっとって対応してまいりたいと考えております。
  79. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 塩崎大臣、今後、お母さんたちが待ち望んでいる新しい商品です。それから、大切な子供たちの口に入る大事な商品です。今後、そういった成分の見直し、それから油の安全性調査も一緒に検討いただけないでしょうか。大臣、お願いします。
  80. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 私の周りでも、この乳児用の液体ミルクについての期待を持っていらっしゃる若いお母さんたちがたくさんおられるわけで、既に済んだ方々も、あったらよかったのにという方がたくさんおられます。  ところが、中身を見てみますと、今までの経緯を見てみますと、平成二十一年の四月に、御存じかも分かりませんが、平成二十一年、ですから今から七年前に、一般社団法人の日本乳業協会から食品衛生法に基づく規格基準の設定について要請があったわけです。これを受けて、その二十一年の四月及び同じ年の八月に、薬事・食品衛生審議会、厚労省の、の乳肉水産食品部会というのがあって、ここにおいて速やかに審議を行いました。厚生労働省からも事業者に対して、規格基準の設定に必要となる微生物の増殖とか、それから保存性などのデータの提出を求めました。ところが、この液体ミルクにつきましては、災害時における有用性とか育児負担の低減等の社会的ニーズが高まっている中で、いまだ実は事業者からのデータの提出がなされていないんです。ここ数年、厚生労働省としても事業者に対してデータの提出を促してきております。  こういう中で、今年の十一月に開催をされました内閣府男女共同参画会議で、男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会というところで、事業者から製品の開発には最低でも二年程度を要するとの発言が出てまいりました。厚生労働省へのデータ提出についても相当の時間を要する見込みと私たち聞いたのが今年の十一月でございまして、十月十九日に菅官房長官の方から、液体ミルクの取扱いについては政府全体で検討していきたいと、こういう発言をしているわけでありますけれども、業界はそんな感じであります。  厚生労働省としても、データの提出を受け次第、関係省庁と連携の上で、今のような問題意識も踏まえて速やかな規格基準の設定に向けた作業を進めて、子育て支援を応援をする立場からも検討させていただければというふうに考えておりますけれども、何分にも、データを何しろ早く出していただいて検討俎上に上げるということが最も大事じゃないかというふうに思っております。
  81. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 今いいニュースがありました。時間がたっぷりあるというようなことでしたので、そのやはり検討をして、七年前はまだ分かっていなかった危険性についても今分かったわけですので、それも含めて検討する時間がある、そういった開発までに時間があるということだと思いますので、しっかり持ち帰っていただいて検討をお願いできればと思います。  さて、最後に、遺伝子組換え食品についての質問でございます。  アメリカでは、加工食品、例えば遺伝子組換え大豆油などですけれども、表示義務がないので、今後、日本が遺伝子組換え表示を義務化したとしても、これだけ消費者ニーズが高いのでそうなっていくんだろうというふうに思いますけれども、アメリカ側からの情報伝達がされず、日本国内で表示漏れが生じる事態が大いにあると思われるのですが、松本大臣、いかがでしょうか。
  82. 松本純

    ○国務大臣(松本純君) 我が国の遺伝子組換え食品の表示制度は、実効性を担保するため、当該食品を分析し、遺伝子組換え農作物を含んでいるかどうか科学的に検証できるものを表示義務の対象としております。今は表示義務の対象となっていないものにつきましても、分析技術が向上して組み換えられたDNA等の検出が可能になった場合には、新たに表示義務の対象とすることとしております。  現在、最新の分析技術を用いて、組み換えられたDNA等が検出できる食品が更に存在していないかを検証する調査を実施しているところでございまして、調査終了後、速やかに有識者等による検討の場を設けることを考えております。
  83. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 ありがとうございました。  たくさん聞きたいことはあるんですけど、もう時間が参りましたので。  私の最後、素朴な疑問なんですけれども、このTPP協定の投資の条項は遺伝子組換え食品を除外しておりません。今大臣に御答弁いただいた表示の観点、それから情報開示の観点、未知の添加物もきっとあるかというふうに思います。そして、ISDS条項による訴訟、そういったTPPに関するトラブル全般というのは、今後本当にたくさん、多様、多数、本当に想像を超えるものが出てくるかと思うんですけれども、どこの部署が担当されるんでしょうか。そういったものを想定されているのはどこになるんでしょうか。
  84. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) これ、総理が御答弁されているんですけれども、消費者庁を中心に厚労省としっかりタイアップして、未知の遺伝子組換え食品あるいは防腐剤等々の問題についても取りまとめるという形に整理をさせていただいております。
  85. 伊藤孝恵

    ○伊藤孝恵君 そういった専門的なことも含めて、じゃ、消費者庁がまず受けるということになるんでしょうか。働き方改革を進めていらっしゃる政府の御答弁には非常に無理があるような気がいたしますけれども。  時間が参りましたので、こういったあらゆる分野、あらゆる角度から質問をし、TPPの課題点をこれからも民進党として明らかにしていこうと思います。  終わります。
  86. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  87. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) ただいまから環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、堀井巌君が委員を辞任され、その補欠として小川克巳君が選任されました。     ─────────────
  88. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 休憩前に引き続き、環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  89. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 民進党・新緑風会の斎藤嘉隆です。  今日は、このTPPに関わって、特に私は文教の関係の理事を仰せ付かっていますので、その関連法ということで著作権法の改正、整備について数点確認をしたいというふうに思います。  今回のこの改正、柱は幾つかあって、もう既に、実は先般、我が党の杉尾議員からも幾つかの論点については言及があったところです。その中でも、特に保護期間の延長ですとか非親告罪の課題、それからアクセスコントロール規制とか、様々な中身を含んでおりまして、実は余り話題になっていませんけれども、我が国のこの知的財産あるいは海外との収支等々を考えたときに非常に大きな私は論点であるというふうに思っています。追加して、少し確認の意味もあって議論をさせていただきたいというふうに思います。  まず、大きな柱であるこの著作権等侵害罪の非親告化の問題について少しお伺いをさせていただきたいと思います。  今回のTPPの合意の中では、国内においてこれまで親告罪であった著作権等侵害罪を著作者の告訴がなくても第三者の告発、捜査機関の判断によって摘発ができると、いわゆる非親告罪の対象とするもの、これが実は含まれております。いわゆる海賊版と言われるようなコピーをしてそれを違法に販売をする、こういったものはいいのでありますけれども、私も若干興味ありますけれども、いわゆるコミケなどで流通をしている漫画、同人誌、こういったものを、オリジナルを基にした二次創作、これについては、もう御案内のように、先般の議論でもありましたように、非常にファンも多いし、有能な、何というか才能を開花をさせるような一つの場ともなっているというように私は思っておりまして、これがどうなるかというところについては実は今年の初めぐらいから随分様々な議論がなされてきたし、一部の愛好者の中ではいまだに非常に不安が大きいということであります。  十月の十九日の文科大臣答弁ということで、この同人誌などの二次創作については非親告罪の対象外ということでありましたけれども、再度この点について基本的な考え方を確認をしたいと思います。
  90. 松野博一

    ○国務大臣(松野博一君) TPP協定においては、委員御指摘のとおり、著作権等侵害罪を非親告罪とすることが求められていますが、その範囲については、二次創作活動への萎縮効果を生じさせないよう、市場における著作物の利用のための権利者能力に影響を与える場合に限定をするということとされております。これを踏まえて、改正法案では非親告罪を悪質な侵害行為ということに限定をするということとしております。  具体的には、対価を得る目的又は権利者の利益を害する目的があること、有償著作物等について原作のまま譲渡、公衆送信又は複製を行うものであること、有償著作物等の提供、提示により得られることが見込まれる権利者の利益が不当に害されることとなる場合であること、これらの全てに該当する場合に限り非親告罪とすることとしております。  同人誌などの二次創作は、一般的には原作のまま著作物を用いるものではないこと、また、市場において著作物の正規品の販売等と競合するということでもなく、権利者の利益が不当に害されることとなる場合との要件には該当しないと考えられることから、非親告罪には当たらないと考えております。
  91. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 二次創作といってもいろいろあります。それから、コミケで流通をしている同人誌なども、中身を見るといろいろなものが実はありまして、多くが原作を引用したパロディーであるとか、そういったものもあるんですけれども。  例えば、例えばです、大臣、まあ何でもいいです、頑張れ松野大臣というオリジナルの漫画があって、それを、それをですよ、髪型とか立場の背景などを変えて、頑張れ松野君、こういうパロディー版でコミケで流通をすると、これはいいと思います。恐らく、今大臣がおっしゃったような形で非親告罪の対象外ということだと思いますけれども、例えばキャラクターのデザインがほぼ同じ、ほぼ同じで創作をされたパロディーであって、例えば立場も松野大臣そのもののお立場を活用をしたパロディー版の二次創作ということになると、これは若干グレーになってくると思います、グレーになってくると思います。  こういうものが例えば非親告罪によって第三者から告発をされるということになってきますと、やっぱりどうしてもこの分野で創作意欲の萎縮というものが起きてくるのではないかというところが今大変話題になっていて、もう一度確認だけさせていただきますが、現在コミックマーケットで流通をしているような同人誌については、中身はどうあれ、どうあれ、流通の形態等々から対象外である、対象外である、つまりは現状以上に摘発の対象が広がるようなものでは一切ないと、このことをこの委員会で明らかにちょっとしていただきたいと思います。
  92. 松野博一

    ○国務大臣(松野博一君) この個別具体的な事例に関しましては、これはもう最終的には裁判所によって個別具体の判断がなされるということでありますが、今委員の方からお話をいただいたような内容に関してでは、権利者の利益が不当に害されるということが考えにくいと思いますので、一般的に言って、非親告罪とはならないと考えております。
  93. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 今の御答弁であると、確認させていただきますが、冒頭あったように、全てに該当する場合は対象外ということですので、今コミックマーケットで流通をしているようなものについては、例えば悪質な侵害行為であるとか、あるいは対価とか、あるいは原作者の利益を損なうとか、こういったものではないというふうに思われるので、現状においては、コミケなどでの流通については、個々の判断は、最終的な判断はそれは裁判所がということになると思いますけれども、現状においては摘発の対象外と、もう一回、こういう確認でよろしいでしょうか。
  94. 松野博一

    ○国務大臣(松野博一君) 先ほど答弁をさせていただきました三つの条件全てが該当する場合が非親告罪になるということでございますから、今委員から挙げられた例示に関しては非親告罪となるとは考えにくいということだと思います。
  95. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 これ、著作権の侵害罪というのは、いろいろ調べますと、今、刑事罰で十年以下の懲役ということになっておりますし、一千万円以下の罰金ということになっています。法人ですと実はこれ三億円以下の罰金という。これ、実は二〇〇六年の改正によって、この罰則については、世界でも私はある意味では最も重い、今、刑罰を伴うものになっているというふうに認識をしているんです。  ただ、これは、その当時の議論の経過などを見ても、やっぱり親告罪であるから、親告罪であるので、あくまでこの著作権というのは私の権利、私権であって、被害者の、著作者の判断に委ねるものであったからこそ、私は、このような重い罰則が容認されてきたというふうに私自身は思っています。私は、このことをやっぱりしっかり受け止めて、今後の最終的な議論をやっぱりしていくべきだというふうに思います。  私は、いわゆる海賊版、こういったものに対象を絞る、本当に悪質性の高いものに対象を絞るなどして、創作意欲の保護を前提にした更なる議論をお願いをしたいというふうに思っております。この点については答弁を求めませんが、要望を一点させていただきたいというふうに思っております。  この著作権の問題について、私もう一点、漫画など以外に、以外に、映像や音楽などのコンテンツについて、これは一般の方がやっぱり視聴する機会も多くて、第三者による告発が乱発するんじゃないかと、こんな懸念を持っている私、一人であります。  ちょっと余り例としていいかどうか分かりませんけれども、例えばピコ太郎さんがネット上で配信して世界中で今話題となっている楽曲の映像があります。著作権はもちろん本人にこれは帰属をしているということだと思いますが、この楽曲を他人がまねをして、改作をして、何らかの場で発表をした場合、これ、現在はどのような取扱いになるのでしょうか。
  96. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。  二次創作活動でございますけれども、先ほど、いわゆる動画、音楽等のように、映像コンテンツで二次創作を流されるというような事案でございますけれども、今回の改正案につきましては、先ほど申し上げましたように、対象となる著作物が動かないようないわゆる図画であるのか、動画、音楽であるかにはかかわらず、同様の条件になっております。  いずれにいたしましても、先ほど大臣の方からるる御説明申し上げましたように、二次創作活動は、一般的には原作のまま著作物等を用いるものではないということ、また、市場において著作物等の正規品の販売等と競合するものではなくて、有償著作物等の提供又は提示によって著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合との要件に該当しないと考えられますことから、非親告罪とはならないというふうに考えられるわけでございます。  具体的な状況といいますか、そういったものについては個々様々でございますので、そういったものについて一概に申し上げられないわけでございますけれども、そういった態様を見まして、この三要件全て該当するかどうかといったところは非常に重要な点ということでございます。
  97. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 これ、中岡さん、今、ピコ太郎の例を挙げたんですけれども、これはいわゆる図画などと同じよう、同様だということでありましたけれども、ただ、実は判断はやっぱりかなり難しいと思うんです、こういうコンテンツの方が。  これ、現状を少しお話ししますと、これ、楽曲が著作権管理団体などに登録をされている、登録をされていて、こういうコンテンツをユーチューブとかニコ動とかユーストリームとか、こういったところに流す、このことについては、実は許可をする代わりに、今言いましたような媒介が利用料を払っているんですよ、利用料を払っている。だから、PPAPを歌ってみましたとか踊ってみましたという一般の方々がユーチューブ上にそういうのを出す、これは適法なんです、これは適法なんです。  ただ、例えば、ユーチューブじゃなくて、それを自分の個人のホームページでアップしたような場合はどうなのかとか、あるいは、そのまねをした楽曲が本当に管理団体などに登録がなされているのかどうかとか、こういったことによって、実は違法、適法の判断が変わってくる、変わってくるんです。これは、一般の方には本当に分かりづらいんですね、分かりづらい。だから、違法、適法の判断が難しいということは、そのために第三者による告発が乱発するんじゃないかという私自身は懸念を持っているんですけれども、お分かりいただけたでしょうか。  こういう懸念に対してどのように考えられますか。
  98. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 先ほど御質問いただきましたことにつきまして、事前にそういう著作権者に了解を下にそういったことをやっているという例でございますけれども、私どもといたしましては、この二次著作物、二次創作活動につきまして様々な態様があろうと思っております。  それで、先ほど委員が御指摘ございましたようなことにつきましては、やはり積極的に私どもとしては、この法律のターゲットとしているところの中身につきまして、しっかりと具体例も挙げまして広報をしていくというようなことが非常に重要になると考えておりますので、そういったところにしっかり取り組んで、そういったところが不安をあおって二次創作活動自体が萎縮することのないようにしたいというふうに考えております。
  99. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 本当にこれ、また個別具体のいろんな例示については委員会でも詰めたいと思いますけれども、ちょっと時間がないのでこの点についてはこれぐらいにしますが、やっぱり告発の乱発というのはかなり危惧をされる、これは事実ではないかなというふうに思いますので、ここのところの認識は文化庁さんもしっかりしていただく必要があるというふうに思っています。  もう一点、大きな論点で、保護期間の延長、これもこの委員会でも議論されたと思います。七十年への保護期間延長ですけれども、これ、日本とアメリカとの二国関係の中においてはやっぱり日本のマイナスが極めて大きいのではないかと、こういう指摘があります。この分野のアメリカ収支の状況を見てもやはりそう思うんです。つまりは、アメリカは、自国の七十年保護に対して日本の保護期間が五十年であって、言い換えると二十年分の巨大な著作権料を今取り損ねている、だからこれからは取り損ねないようにしっかり取っていこうと、こういう意図もあるんではないかというふうに思うんですね。  これ、日本はこれまで交渉の中で保護期間延長については、私は、反対をしてきた、このことについては慎重だった、このように認識をしています。交渉時の姿勢はどうであったのかということと、これは結局、アメリカなどに押し切られてこういうような結果に今なっていると、こういう認識でよろしいでしょうか。
  100. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。  先ほど、保護期間の延長の御質問がございました。  保護期間の延長におきますメリットにつきましては、まず、現在、OECDへの加盟国三十四か国中、著作物の保護期間が著作者の死後七十年未満であるのは我が国とカナダ、ニュージーランドのみであるところでございますけれども、TPP協定の締結によりまして、これらの国も含めまして全てのOECD加盟国において保護期間が著作者の死後七十年以上となりまして、国際的な調和が図られるということになるわけでございます。  また、保護期間の延長によりまして長期間にわたり得られる収益によりまして新たな創作活動や新たなアーティストの発掘、育成が可能となりまして、文化の発展に寄与するという意義もあるわけでございます。  さらに、我が国の著作物が海外においてより長期間にわたりまして保護されるということとなるため、特に我が国のコンテンツの国際的な競争力が高い漫画やアニメといった分野を中心に長期にわたり人気コンテンツが利用されることで中長期的な著作権料収入の増加が期待されるということ、そういう意義があるということでございます。
  101. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 いやいや、それは分かりました。それは分かりましたが、今はその見解であって、これは交渉をしている段階では、同じように、このことは日本から進んで五十年を七十年にしようと、そういうスタンスであったんでしょうか。ちょっとそこを確認したいんです。
  102. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。  TPPの対応につきまして、どのような制度設計とするかということにつきましては、文化庁におきまして、文化審議会の著作権分科会におきましての議論をしてまいったところでございます。そういったところの中で様々な意見を団体の方から聴取をしたわけでございますけれども、保護期間の延長につきまして、延ばした方がいい、あるいはこのままでいい、様々な議論がある中で、このOECD、先ほども申し上げましたように、世界的な調和、そういうようなところを図っていくといったところに着目いたしまして、そういったところにつきましてはそういう著作権の保護期間の延長をしていくというような判断に至ったわけでございます。(発言する者あり)
  103. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  104. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 速記を起こしてください。
  105. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 交渉の段階でございますけれども、私どもとしては、保護期間を延長するべきである、あるいはしないでほしいというような両方の意見が出てまいりましたけれども、そういったことを十分勘案をいたしまして、最終的にはそういう判断をしたということでございます。
  106. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 いや、これ、僕は明らかに押し切られたんだと思います、今の御答弁を聞いても。だから、この課題についてやはりもう少し真摯にきちんと確認をすべきだと思います。  最後に、もう時間がないので、大臣にちょっと一点お聞きをしたい。  十月十九日の委員会で、TPP協定の発効に先立ってこの協定に関連する著作権法の改正については行うことは考えていないというように明言をされました。明言をされつつ、一般論として、TPPの発効を待たずに関連する著作権法の改正を行うかどうかは、改めてその必要性等について検討を行うことになるものと考えているというように御答弁をされたんです。  私、恐縮ながら、この答弁の真意が分からない。分からないんです、何度議事録を読んでも。トランプ氏が今後大統領になってTPPの発効の見通しがなかなか明確に見通せないという今、TPPの発効のないままこの著作権法の改正を行うことはない、ない、これでいいでしょうか。端的にお願いします。
  107. 松野博一

    ○国務大臣(松野博一君) 今回の著作権法の改正は、TPP協定により著作権に関する国際的な共通ルールを構築されることを踏まえて、国際的な制度の調和を図る観点からということで行われるものでありますから、TPPが発効しない時点において今回この著作権法の改正を行うことは考えておりません。
  108. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 終わります。ありがとうございました。
  109. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  午前中から大変内容の充実した、また引き締まった審議になってきております。私もしっかりと気持ちを引き締めて、生産者の皆様また消費者の皆様の心配、不安にしっかりと寄り添った質疑、やっていきたいというふうに今決意をしております。  今日は、TPPの農林水産品に対する影響ですとか、あるいはどうやってその競争力を高めていくのか、この点を中心にお伺いしていきたいんですが、その前に、今日午前中の質疑でもございましたけれども、食の安心、安全に関して少し、何問かまず確認をさせていただきたいというふうに思っております。  これまで衆参両院で、この食の安心、安全、様々な懸念について政府の方針等、答弁でも明確になってきたわけでありますけれども、改めて、このTPP協定が発効したときに、例えば残留農薬ですとかあるいは食品添加物、また遺伝子組換え食品、あるいはホルモンですとか、そういった様々なものに関してアメリカなどからの要求で日本の基準自体がそもそも緩和されてしまうんじゃないか、こういうことが指摘をされてきたわけであります。  この点については、先週の地方公聴会におきましても、水戸会場で例えばこういう声がありました。日本で許可されていない農薬を使った食品が入ってくるんじゃないか、あるいは、原産地や遺伝子組換え表示が外国産の購入を抑制するとして表示できなくなるおそれがある、食品の検査体制もおろそかになり危険な食品が流入するんじゃないか、こういうことが実際に指摘をされました。  そこで、改めて確認をしたいんですけれども、我が国独自の食品の安全基準、緩和されることはないということを確認したいんですが、政府からの答弁を求めます。
  110. 北島智子

    ○政府参考人(北島智子君) お答えいたします。  消費者の健康を守るため、国産品であれ輸入品であれ、安全性が確保されたものでなければ流通は許されません。これは食品行政上の大原則であり、今後もこの原則は堅持していく考えでございます。  TPP協定における食品安全に係るルールは、従来からのWTOのSPS協定に基づく権利、すなわち締約国が自国の食品の安全を確保するために科学的根拠に基づいて必要な措置をとる権利を認めており、我が国の食品の安全に関する制度に変更を強いられるものではございません。  食品中の残留農薬などの安全基準の設定や遺伝子組換え食品の安全性確認などにつきましては、国際的な基準や食品安全委員会によるリスク評価などの科学的知見を踏まえ、食品衛生法に基づき厳正に対応しております。こうした対応はTPP協定の発効によっても変わることはなく、今後とも最新の科学的知見に基づく適切な対応を行い、食の安全を確保してまいります。
  111. 平木大作

    ○平木大作君 今御答弁の中でも、この日本のルール自体が海外からの要求によって緩和されるようなことはないんだということを確認していただいたわけですが、私、先ほども少し引用させていただいた発言の後段の部分、しっかりこれやっていただきたいと思っています。  要するに、食品の検査体制って本当におろそかにならないのかということ、ここについては、これ運用面の問題なわけですね。TPPには、第七章にSPS、衛生植物検疫措置というところがありまして、ここの中で、結局、各国が実施する検疫措置に関しては貿易に対する不当な障害がないように措置しなければいけないということが明確に規定されているわけでありまして、これは、より具体的に申しますと、可能な限り貨物の到着から四十八時間以内にちゃんと引取りを許可しなきゃいけないと、そういう形で規定されているわけですが、これ当然、出す側、日本が輸出する側であれば、これ当然通関のスピードアップということでありますからすばらしいんですけれども、一方で、じゃ、輸入したものを日本としてしっかり検査していかなければいけないというときに、このモニタリングが四十八時間という時間に追われておろそかになってしまっては絶対にいけないわけであります。  ここについてきちんと、これ、例えばこれから物がもっともっと行き来するようになったときに、じゃ、どれだけの体制が必要なのか、そういったところを含めてきちっとここは対応していただきたいということをお願いしたいと思います。  今、日本のルールは変えないんだということで御答弁いただいたわけですが、もう一問。  これ、食の安心、安全に関しては、総合的なTPP関連政策大綱の中でも、残留農薬、食品添加物等の規格基準の策定を推進するというふうにありまして、先ほどの答弁の中でも、日本はきちっと日本独自の基準でいくんだということもあったわけでありますが、そもそも、この我が国の基準が他国と比べて緩かったり甘かったりしては全く元も子もないわけですね。この点についても実はこれまでの質疑の中で少し指摘がありましたので、確認したいと思います。  我が国の食品安全基準、食品安全に関する国際基準を決めております政府間組織、コーデックス委員会の基準よりも甘いんじゃないか、こういう指摘がなされました。この点について政府としての御見解をお伺いしたいと思います。
  112. 北島智子

    ○政府参考人(北島智子君) お答えいたします。  食品中の残留農薬や食品添加物などの安全基準につきましては、国際的な基準や食品安全委員会によるリスク評価などの科学的知見を踏まえ、薬事・食品衛生審議会の審議を経て、人の健康に悪影響を及ぼさないことを確認して設定をしております。  一方で、新規の農薬が開発されたり既存の農薬について新たな科学的知見が確認されたりするなど、国際的な動向や科学的知見は常に更新されるため、最新の科学的知見に基づき必要に応じて基準の設定や見直しを進めることが重要であります。このため、基準設定の迅速化や必要に応じた再評価を進めるため、平成二十八年度には安全基準の設定のための人員を増員するなどの体制強化を実施しているところでございます。  今後とも、国際基準や最新の科学的知見に基づく基準の設定を推進し、食の安全確保に努めてまいります。
  113. 平木大作

    ○平木大作君 もう一、二問ほど関連の質疑続けたいんですけれども、この点についてはあえて言うと、TPPの発効と直接の影響、関係はないわけでありますが、食品における表示の在り方について確認をさせていただきたいと思います。  これも先ほど午前中の質疑の中でございました遺伝子組換え作物、日本の消費者の皆さんも大変ここは関心が高いセンシティブなものかなというふうに思うんですが、今、日本におけるこの遺伝子組換え作物の表示のルールってどうなっているかというと、これ明確でして、食品の中にもし使用していれば使用と書かなきゃいけない、そして、分からなければ不分別と書かなければいけないということでルールになっているわけであります。ただし、実はこれはいわゆる小売店で棚の上に並ぶときのルールでありまして、実際にレストランなどのいわゆる外食で出されるときというのは実はこの表示義務がないんですね。  二〇一一年以降、実は米国ハワイ産のパパイヤに関しましては、我々の口に直接入る遺伝子組換え食品として今唯一実はもう輸入が開始をされておりまして、これ、大半が実は外食向けでありますので、ほとんどの消費者がこれが遺伝子組換え食品だと分からないままに実は消費をしているという実態がございます。  どういうことかというと、日本にパパイヤを持ってくるときは、一個一個にこれは遺伝子組換え食品ですとシールだったり箱に表示だったりというのをしてちゃんと送っているんです。ところが、じゃ、実際に提供されるときには、レストランでこの箱を開けてシールを剥がして切ったり調理をしたりして、結局、消費者の皆さんには何の情報もないまま実は提供されてしまっているということでありまして、これ、食の安心、安全に対する懸念を払拭する意味でも外食におけるこの表示義務、これは私、もっと強化していくべきじゃないかと考えるんですが、この点について政府の御見解をお伺いいたします。
  114. 川口康裕

    ○政府参考人(川口康裕君) お答え申し上げます。  遺伝子組換え農作物につきましては、食品安全委員会が行う厳正な科学的評価により、安全性について問題がないとされたもののみ食品衛生法に基づき食品としての流通が認められております。このため、国内で流通する遺伝子組換え食品につきましてはパパイヤも含め安全性が確保されております。  こうした前提の下、外食で作られる食品につきましては、営業形態が対面販売であることから、購入前にあらかじめ消費者が店員に食品の内容を直接確認できると、また、提供される料理の種類が多く、使用される原材料も日々頻繁に変わることから、その都度表示を切り替えることが一般に困難であることから、遺伝子組換え表示も含め、食品表示法に基づく表示の義務付けの対象外としているところでございます。  一方で、こうした情報は消費者の商品選択における関心事項の一つでございますので、事業者においてはできる限り情報提供に取り組んでいただくことを期待しているところでございます。  以上でございます。
  115. 平木大作

    ○平木大作君 今の答弁、国としては安全性はきちんと確保しましたよ、確認をしましたよということでありました。ただ、一方で、じゃ、外食どうなのですかという質問に対しては、事業者が開示していくことを期待するということでありまして、ちょっとぬるいんじゃないかなという気が正直いたします。  これ、科学的な根拠なしに何となく嫌だから入れさせないみたいなことはやっぱり基本的には通らないわけです。ただ、一方で、じゃ、この安心、安全といったとき、さっき安全面はきちんと確保しましたよ、確認しましたよということ、これ当然やらなきゃいけないことなんですが、もう一方のこの安心というのは、必ずしも国がこれ安全ですからと言ったからといって消費者の皆さん安心になるかというと、そうではないわけですね。  こういう中にあって、特にこの遺伝子組換え食品というのは消費者の関心は極めて高い。ですから、じゃ、どうやって安心つくっていくかといったら、基本的には、これは遺伝子組換え食品ですよということをやっぱりきちっと開示していくということに私は尽きるんではないかと思っております。この点きちっと、もう更問いしませんけれども、ちゃんと政府の中で検討していただきたいと思います。  もう一問、食品の自主的かつ合理的な選択の機会を確保するということで、現在、加工食品の原料原産地制度について大幅な見直しが検討されているところであります。  これ、委員の皆様、詳しい方もいらっしゃるかと思うんですが、従来の制度が大変ちょっと複雑でありました。平成十三年に八つの品目に対してこれ対象として始まって、順次少しずつ少しずつ増えて今に至るんですが、現在、二十二の食品群及び四つの品目、だから合計二十六の加工食品についてこれ原料原産地表示しなきゃいけないとなっているんですね。  じゃ、二十六ってどういうふうに決まっているかというと、基本的にルールが二つありまして、一つ目が、原産地に由来する原料の品質の差異が加工食品として品質に大きく反映されると一般的に認識されている品目であること、そして、その品目のうち、二つ目でありますが、製品の原材料のうち単一の農畜水産物の重量の割合が五〇%以上である商品、これに対して義務付けすると。  このルール自体は結構リーズナブルに聞こえるんですが、じゃ、さっきの二十六、何かというと、その一つ一つ見ていくと、ちょっと首をかしげたくなったりするわけですね。その一つが例えば餅だったりコンニャクだったり昆布巻きだったりして、この二十六が、本当にこの一と二の二つの条件を満たしていくとこの二十六に落ち着くのかというと、やっぱりちょっと納得感がない実は今まで表示の制度でありました。  これを今大きく見直そうということで検討を進めていただいているわけですが、まず、私、食のバリューチェーンというんでしょうか、極めて今複雑になってきているという状況の中で、この原料原産地制度について、きちっとやるにしてもある程度のやっぱり割り切りは必要なんだというふうに思っております。冷凍ハンバーグ一つ取っても、この一つのハンバーグの中に実はひき肉として十か国から来たお肉が使われていたりするということが実態としてあるわけでありまして、なかなかこれをきちっと一つ一つ出せと言われても、これは事業者としても対応が難しいんだろうなというふうに思うわけであります。  ただ、先ほどもありましたけれども、じゃ、何のためにこの原料原産地表示していくのかという原点に立ち返ると、その心は、これ、先ほども一つ目のルールのところで御紹介しましたけれども、その原料の品質の差異というものが加工食品としての品質に大きく影響しているかどうかというところが、ここをきちっと消費者の皆さんに判断の材料として提供していくということがやっぱりその趣旨なわけですね。  そう考えますと、例えば、先ほど来の答弁でもありました、農薬だとか食品添加物だとか、あるいは遺伝子組換え食品、ホルモン、こういうのは輸入したものを調べても実際はなかなか本当に使ったかどうか検出できないみたいなことが今一つ壁として立ちはだかっている、それが不安につながっていたりするわけであります。  だったら、少なくとも国内で作っているものに関しては、どの農薬使っているのか使っていないのか、ホルモン使っているのか使っていないのか、こういうことがきちっと明確に分かるわけでありますし、調べられる、規制できるわけでありますから、やはり原料原産地表示するという上において最低限目指さなければいけないのは、きちっと国産のもので作ったものに関しては国産と分かるように書いていく、ここが守られないと、これやっていく意味が余りないんじゃないかなというふうに思うわけであります。  この点について、現時点での見直しの方向性等を含めて御紹介いただきたいと思います。
  116. 川口康裕

    ○政府参考人(川口康裕君) 現在、輸入された加工食品には、原産国名を必ず表示するように義務付けているところでございます。  お尋ねの原料原産地でございますが、この表示につきましては、農林水産省と消費者庁で共同で有識者の検討会を開催しておりまして、去る十一月二日の検討会におきまして方向性、基本的方向について合意が得られたところでございます。  具体的には、全ての加工食品について、重量割合上位一位の原料の原産地を義務表示の対象とすること、また、義務表示の方法といたしまして、国別重量順表示を原則としつつ、消費者の誤認を防止するための方法を明確にした上で、実行可能な例外的な表示方法を整備することということにつきまして合意が得られたところでございます。  この例外的な表示方法におきましても、国産と輸入は区別した表示となります。また、消費者は、原料が国産か輸入か、また国産の重量割合が多いのか少ないのか、あるいは国内で製造した原料なのか等の情報を得ることが可能となり、こうした情報に基づいて加工食品を選択できるようになると考えております。  いずれにいたしましても、今後、この取りまとめを踏まえまして新しい原料原産地表示制度の具体化のための検討を進めまして、消費者の自主的かつ合理的な選択機会の確保に資する制度としていきたいと考えております。  以上でございます。
  117. 平木大作

    ○平木大作君 よろしくお願いいたします。  それでは、続きまして本論の方、つまり今度は消費者ではなくて生産者の皆様の不安を払拭する観点から幾つか質問の方を進めさせていただきたいと思います。  このTPPの合意ができましてから、私、常に関心を持って見てまいりましたのが影響試算であります。  政府の方から、まず、この合意ができてからではなくてこれから交渉に入るという段階、二〇一三年の段階で一度、農林水産物の生産額への影響額、これについては二〇一三年の段階で一度発表された。このときには、全ての関税を撤廃したという仮定の下に、大体国内の農林水産物の生産額というのは三兆円減るんじゃないかという数字が出て、大変衝撃的だったわけであります。そして、今度、合意後、昨年でありますが、大筋合意の内容を反映させて、その影響額というのは大幅に小さくなりまして、千三百億円からあるいは二千百億円の減産ということで結局最終的に落ち着いたわけであります。  大分この二つの数字が乖離していたということが話題になりまして、私もちょっとこの数字が独り歩きしているなという感触を持っている一人であります。  ここでお伺いしたいんですが、算出における基本的な考え方、これをちょっと分かりやすく御説明いただきたいんですね。特にその中でも、この試算の中にはどういうものが入っているかというと、十九の品目の農産物とそれから十四の品目の林水産物、合計三十三の品目、ここが主な数字として対象となっているんですが、まず、何でこの三十三なのか。そしてもう一つは、生産の減少額というのが試算されているわけですが、そこには実は、単純にいわゆる関税を下げたらどうなるかということだけではなくて、いわゆる国内対策を入れて加味した上で、かつ、一方で輸出の拡大分は含めないという、ちょっとこういう操作がなされているわけですね。この理由についても併せてお示しいただきたいと思います。
  118. 山口英彰

    ○政府参考人(山口英彰君) 昨年十二月に公表いたしましたTPPの農林水産物の生産額への影響試算につきましては、まず、試算の対象品目について、これは農林水産物全体への影響度合いを考慮いたしまして、これは前回、平成二十五年三月の試算とも比較できるようにするという観点で、これは前回と同様でございますが、関税率が一〇%以上かつ国内生産額十億円以上、こういった品目を対象とすることにいたしまして、これが三十三品目あるということでございます。  具体的な生産額への影響の算出に当たりましては、TPP協定の合意内容や国内対策の効果を前提といたしまして、品目ごとに輸入品と競合する部分と競合しない部分とに区分いたしまして、競合する部分につきましては関税削減相当分の価格が低下し、競合しない部分は競合する部分の価格低下率の二分の一の割合で価格が低下すると見込んでおります。これがいわゆる下限値ということにしておりまして、それに、品目によっては国内対策により品質向上や高付加価値化等を進める効果があるということを勘案いたしまして、その競合する部分につきましては関税削減相当分の二分の一の価格低下分、これを上限値といたしております。また、競合しない部分につきましては、先ほどの下限値の更に価格低下率の二分の一の価格低下ということを見込んだところでございます。  そういった形で品目ごとに積み上げた数字につきましては、先生からも御指摘がございましたように、生産減少額が約一千三百億から二千百億円となるという試算をいたした一方でございますが、国内生産につきましては、その品目ごとに国内対策、こういったものを講ずるということになっておりますので、その効果を考慮いたしまして、生産量は維持されるということとしたわけでございます。  なお、お尋ねのように、輸出の拡大分については見込んでいないということでございますが、これにつきましては、その試算の時点で品目ごとにどれだけ国外の需要量が増加するかを見込むことが難しいという中で、できるだけ堅めな試算見積りをするという方が適当であろうと考えたことでございまして、そういったことで輸出増加に伴う国内生産量の増加分は試算に織り込んでいないという状況でございます。
  119. 平木大作

    ○平木大作君 今、技術的なところも含めて詳細に解説をいただきました。  私、まず、この試算自体は、仮定も含めて実は大分情報が開示をされておりまして、私は大変高く評価しているんです。その上で、多分これ一番大事なところを私は答弁、今いただかなかったのかなと思っているんですが、この試算についての文書をいろいろ読んでいくと、総括のところにこう書いてあるんですね。この影響試算の分析って何のためにあるかというと、GDP増等の数字をはじくことのみが目的ではなく、TPPによる成長メカニズムを明らかにすることで、我が国経済を新しい成長経路に乗せるための官民の行動が重要であることを示すものということでありまして、ここのところに、最後、数字作っちゃってから、なかなかもうちょっと、あと一歩、二歩足りないのかなというのを私正直思っているんです。  より工業製品についてはここの絵が描きやすいというところは確かにあると思うんですが、農林水産物についても同様でありまして、じゃ、貿易が活発になることでどうやって農林水産物の生産性って上がるのか、あるいはそれに合わせて実質賃金がきちっと上昇して、また、新規就農する人が増えてという、この好循環みたいなものが結局最後は生産者の皆様も含めて腹落ちして、それこそ官民の行動につながるというところがゴールにならなきゃいけないわけですね。ここの部分が残念ながら、この試算のところには今御説明いただいたような極めてテクニカルな説明がしてあるんですが、恐らく生産者の方というよりも、その大きく何歩も手前の、多分都道府県の農政課の皆様の辺りでもいまいちまだちゃんと理解し切れていないんじゃないかなというのを正直思います。  ですから、国としてきちっと農水省としても数字出したわけでありますが、それと関係ない数字が都道府県からまた出てきてしまったりするというわけでありまして、ここ、最後数字の精度を高めるみたいなところはもう私そんなに大事じゃないと思うんですね。ここの数字を出した、これはちょっと大変そうだなとか、いけるなみたいなところから、じゃ、生産者の皆さんは、今後その作物作っていくに当たって何を気を付けたらいいのか、どういう将来が描けるのか、ここにやっぱりもう一歩これ踏み出して頑張っていただかないと、なかなかこの影響試算というのは生きていかないんじゃないかと思います。  そして、今御答弁の中でもいただきました、何で輸出を含めないのか。私、これは本当、最大の謎でありまして、今答弁の中では、この試算の時点ではまだ大綱が出ていなかった、だから堅めで作りましたということであります。だったら、これ、是非これから作っていただきたいんです。結局、こういう試算、最後は個々の農林水産品作っている方たちが、自分の作っているものが今どういう状況なのかというのをやっぱり注視いたします。そのときにこういう数字が出てきて、いわゆるアップサイド、伸びしろの部分がきちっと示されているかどうかってやっぱり大きく力になるんですね。  例えば自分の作っているイチゴだとかメロンだとかそういったものが、今海外にもしかしたらマーケットないかもしれないけれども、潜在市場として規模としてどのくらいあるんだ、その一%のマーケットシェア取っただけでどれぐらいの輸出になるのか、例えばこれが少し見えるだけでも、実は、じゃ、輸出やってみようかなという気に、やっぱりぐっと背中を押してもらえることになるわけでありまして、今、例えば日本で作っているものの市場がなかったとしても、この潜在市場、じゃ、どのくらいありそうか、どういったものに取って代わって日本からこれから輸出できるのか、こういったところを是非、これ別に時間の定めないわけでありますから、きちっとやっていただきたいと思います。  次の質問に移りたいんですが、この影響試算出た後に、更に細かくということで試算をしていただいていまして、これがいわゆる品目別の農林水産物への影響についてというものでありまして、今度はもう少し品目を増やして、六十一の品目について影響分析を実施しています。  これ、一ページ一ページ品目ごとにいろいろ細かく分析をしていただいているんですが、私、若干その分析結果は首をひねって読ませていただいたというところでありまして、例えば六十一品目いろいろやっているんですけれども、最終的な結論は私から見ると三つしかなくて、特段の影響は見込み難いと書いてあるか、影響は限定的と見込まれると書いてあるか、あるいは輸入の増大若しくは急増は見込み難いと、基本的にこの三つしか出てこないんですね。そんなものかなと思うわけですが、同時に、この三分類に対応する形で対応方向というのも示されていまして、そこには何と書いてあるかというと、大体、更なる競争力の強化が必要と書いてあるか、生産性向上等の体質強化策の検討が必要と書いてあったりすると。  なかなか、細かくせっかく一つ一つ品目について分析しているのに、何か結論がみんな同じになっちゃうってちょっとおかしいなと思うんですが、この点について、これそれぞれ、結論の意味と対応方向を分かりやすく説明していただきたいと思います。
  120. 山口英彰

    ○政府参考人(山口英彰君) TPPの影響分析についてお答えいたします。  TPPのこの影響分析につきましては、TPP交渉の結果が品目ごとに異なっていたということで、昨年十月の大筋合意後、まず最初に、直近の国内価格や国際価格、輸入量などのデータや客観情勢を基に品目ごとの定性的な分析を行った、これ自体が影響分析でございます。その結果を十一月に公表したものでございます。  その影響分析を踏まえまして十一月末にTPPの関連政策大綱を取りまとめ、先ほど先生から御質問のございました影響試算につきましては、その大綱も踏まえまして、国内対策も踏まえて、その試算、影響、生産減少額を出したという状況でございます。したがいまして、定性的な分析でございましたので、この内容につきましてはある程度抽象的な部分があったということでございます。  この影響分析につきましては、まず、現在TPP参加国やその他の国からどの程度輸入され、国内産品との代替性があるかという点、また、関税の引下げ幅がどの程度で、これが国内産品の価格にどう反映されるかという点、また、国家貿易制度や関税割当て制度が維持された中での輸入量がどれだけ増えるのかと、こういった観点を踏まえましてカテゴリーを分けまして、大体大きく四つのカテゴリーに分けております。  少々細かくなりますが、内容について御説明しますと、第一の分類でございます小豆やインゲン、こういったものについては関税割当て制度が維持されておりまして、国内生産で不足する分だけの輸入がされるということになりました。また、お茶とかコンニャクイモなどについてはTPP参加国からの輸入量が僅かでございまして、輸入の増大が見込み難いというものでございまして、これらを特段の影響は見込み難いという整理をしたところでございまして、また、これらの品目については、そういった点で国内産品に影響が出るとは想定しておりませんけれども、将来の環境の変化に備えて競争力を強化しておく必要があると、こういった方向性を示しているものでございます。  第二の分類につきましてはリンゴ、ブドウなどでございまして、これはTPP参加国からの輸入はございますけれども、国内産品が品質面で高い競争力を有しているなど、板物などが該当いたしまして、影響は限定的と整理したところでございますが、相手国の状況の変化により長期的には国産価格の下落も懸念されますので、生産性向上等の体質強化対策が必要ということで整理しております。  第三の分類としましては、米、小麦など、国家貿易や枠外税率が維持されたという一方で、関税割当てでの輸入枠の拡大やマークアップの削減がなされたものなどが該当いたしまして、これらについては、国家貿易以外の輸入の増大は見込み難いなどと整理したところでございます。これらの品目のうち、お米につきましては備蓄運営による外国産米の主食用米生産に対する影響の食い止めを検討していく、小麦につきましては国内産品の安定強化が図られるための環境整備の検討、こういったものが必要としたところでございます。  第四の分類は、牛肉・豚肉など、長期の関税削減期間やセーフガードが措置されたということで、当面は大きな影響はないと考えておりますが、長期的に見れば影響が懸念されるものなどが該当いたしまして、当面輸入の急増は見込み難いが、長期的には関税引下げの影響の懸念と整理しております。これらの品目の対応方向としては、体質強化対策とともに、経営の継続、発展のための環境整備が必要ということで整理をさせていただいております。  このような定性的な影響分析を踏まえて国内対策の検討に入りまして、十一月下旬に総合的なTPP関連政策大綱を取りまとめたということでございまして、この影響の出るものに対しましては、産地パワーアップ事業や畜産クラスター事業の拡充など、また米の備蓄制度の見直しなど、こういったいろんな措置を講じているというところでございます。
  121. 平木大作

    ○平木大作君 今御答弁いただいたように、最後はきちっと各施策の中で、大綱を受けて作った施策の中で、生産者に寄り添いながら一緒にこの生産性の向上ですとか競争力の強化というところに取り組んでいただけるということでありました。  分析結果についてはまた少し後段の問いの中で触れていきますので、次の問いに行きたいんですけれども。  今回のTPPの特に農林水産物に対する影響の中で、やっぱり最も実は戸惑いが今でも大きいのは、ここまで見てきたような、例えば三十三の品目だとか六十一の品目だとか、いわゆる個々別々に分析をしてもらったようなものじゃなくて、それ以外の農林水産品の生産者、ここのやっぱり受け止め方というのがなかなかまだ定まらない。結局、特にTPPの交渉に入っていく中で重要五品目というところにぐっと注目が集まったものでありますから、いざ協定出てきたときに、あっ、自分の作っているものもこれ関税なくなっちゃうんだみたいなことがばっと目の前に突き付けられたということがありまして、やっぱりここがなかなか、まだまだ受け止め、どうしたらいいのか分からないということであります。  また、先ほどのように、例えば三十三の品目どうやって選んだかというと、関税が一〇%以上とそれなりに高くて、かつ生産額は十億円以上ということでありますから、生産の規模もあるものということでありますから、このいわゆる大きくインパクトのあるところをきちっと分析していただいた。これはこれでいいわけでありますけれども、同時に、逆に言うと、今、関税が例えば八%ですとか六%ですというところが実際に即時なくなりますと聞いても、ううん、どのぐらいの意味があるのかなというのはやっぱり生産者の方は直接なかなか自分の頭で考えることが難しい。  先般も、メロンの出荷量が日本で一番多いのは茨城県の鉾田市なんですけれども、鉾田のメロンの生産者の皆さんのところへ行ってお話を伺ったんですが、これ、鉾田の皆さん、メロンの関税が今何%で、TPPでどうなるかということを御存じありませんでした。今六%で、即時撤廃なんですけれども、これはやっぱり現場の生産者の皆さん自身がまだ知らないというところにある。ですから、こういうある意味このTPPで関税が撤廃される品目というのは本当にあまたある中で、これ一つ一つの農家の皆さん、生産者の皆さんに不安払拭のためにきちっとやっぱり情報提供を続け、そして納得していただくということが必要なわけであります。  ここについて、どうやって政府として取り組んでいくのか、改めて問いたいと思います。
  122. 枝元真徹

    ○政府参考人(枝元真徹君) お答え申し上げます。  今、メロンとかレタス等につきまして御指摘ございました。  まず、影響の方でございますけれども、メロンは国内消費量の約一五%の約三万トンがメキシコとかアメリカとかから輸入されてございますけれども、これは、例えば国産は五月から八月に比較をして、メキシコ産は三月から五月、アメリカのやつは八月から十月というふうに時期的なすみ分けがなされております。また、御指摘がございましたとおり、関税率は六%ということに、既に低率でございます。  また、レタスにつきましては、輸入量、国内消費量の二%程度でございますけれども、その少ない輸入の中でも八割は台湾等のTPP非参加国からの輸入であると。また、関税率は三%というようなことで、これらの関税撤廃の影響というのは限定的だというふうに見込んでございますけど、先生御指摘のとおり、様々な、各国も技術開発とかいろんなことをやってくるということも含めて、生産者の方々に懸念を払拭していただいて、安心して再生産に取り組んでいただけるように万全の国内対策を講じていくということが必要だと思っております。  そういう意味では、代表的な事業として産地パワーアップ事業等ございますけど、この事業はなかなか、これまでそういう情報を一生懸命御説明しているつもりでございますが、自分のものとしてまだよくあれされていないということは、このパワーアップ事業の例えば説明会等で、産地の実情に精通している県なんかとも連携をいたしながら、収量の増加ですとか、高品質化のためのハウスの導入ですとか、作業を効率化するための機械の導入ですとか、鮮度維持のための集出荷、貯蔵施設の整備等々、様々な高付加価値化、生産コストの削減、それに向けた取組を一緒に話し合うようなことも含めて、情報提供を一生懸命やっていきたいと思います。
  123. 平木大作

    ○平木大作君 済みません、通告のときにはちょっと具体例を挙げてということで私がメロンとレタスと言って、質問の中はちょっと時間なくなってきたのでメロンだけ触れて今お伺いして、レタスについてもきちっと今御答弁いただきました。ありがとうございます。  少しここから残りの時間を使って各論に入っていきたいなと思っております。  先ほどもありました影響分析の中で、条件付ながら特段の影響は見込み難いとされた品目の一つが砂糖であります。いわゆる重要五品目の一つなわけですね。砂糖については、特に生産規模だけで考えると、アメリカにもはるか遠く及びませんけれども、そもそもオーストラリアと比べてしまうと勝負には全くならないわけであります。  ただ、甘味資源作物、砂糖を国内できちっと作っていくということの意義について、まずは確認のためにお伺いしておきたいと思います。
  124. 山本有二

    ○国務大臣(山本有二君) まず第一に、国民生活上の意義というのがございます。基礎的食品でありまして、国内で安定的に供給が確保できる体制を維持するということが国民生活を守る立場では必要でございます。  また、次に、産地の事情でございますが、甘味資源作物であるサトウキビというのは、台風常襲地帯でございます沖縄及び鹿児島県南西諸島におきまして、他作物に代替不可能な基幹作物でございます。また、北の北海道のてん菜、これは地力確保のために不可欠な輪作体系を支えておりまして、製糖工場とともに地域の雇用と経済を支える重要な役割を果たしております。こういう産地の事情がございます。  他方、国際的に見ますと、土地条件あるいは労働費等の違いから国内産の砂糖と輸入粗糖等との間には大きな生産コストの差が存在しておりまして、この差を生産者あるいは製造事業者、その自助努力のみによって解消することはおよそ困難でございます。  このため、安価な外国産粗糖等を原料として使用する精製糖企業、こういった企業から調整金を徴収いたします。また、この調整金を主たる財源といたしまして、サトウキビ、てん菜生産者と製糖工場等に対して交付金を交付するということで、国内産の砂糖と輸入糖との価格差を調整する、いわゆる糖価調整制度というのを取っておるわけでございます。  国内産の砂糖の安定供給とともに、地域経済、雇用の維持というものをしっかりと守るという立場がこの意義でございます。
  125. 平木大作

    ○平木大作君 今大臣の方から、代替が利かない、また輪作体系に極めて重要な作物であるということ、そして、それを守るために糖価調整制度があるんだというところまで御紹介をいただきました。  改めて、この糖価調整制度が存在するわけですが、TPPによってこれが具体的にどう変わるのか、特に、私のような素人から見ますと、今回のTPPによって糖度九九・三度までの高糖度の精製糖用の原料については関税がこれで撤廃になると書いてありまして、九九・三度だと、もう何かすぐにでも砂糖になってしまいそうだな、精製糖になってしまいそうだなと、このようにも読めるんですが、これについて御説明いただきたいと思います。
  126. 矢倉克夫

    ○大臣政務官(矢倉克夫君) お答えいたします。  今般のTPP協定におきまして、砂糖につきましては、輸入糖と国産糖の価格調整を通じて国内生産の安定を図る糖価調整制度、これはしっかり維持されているところでございます。  その上で、今御指摘ありました高糖度原料糖のうち、糖度九九・三度未満の精製用の原料糖に限りましてでございますが、今回の関税を無税として、そしてそこに掛けられていた調整金もこれ削減することといたしました。これによる影響でございますが、影響といたしましては、現在輸入されているタイ産の粗糖、これは無税であるわけですけど、こちらの一部が今回のTPP参加国であるオーストラリア産の高糖度原料糖に代替される可能性があるにとどまる、量の点ではこのように考えております。  つまり、今、日本は輸入原料糖はほぼ粗糖の形でタイとオーストラリアのみからこれ輸入はしているわけでございますが、オーストラリアなどは、例えば高糖度の原料糖、精製はできるんですけど、それを日本の税体系に合わせて、粗糖にした上で、糖度を下げた上で入ってきているという、そういう事情もございます。  今回、粗糖は無税であり、そしてまた高糖度原料糖も無税にするわけですが、それによってどうなるかというと、従来、オーストラリアが高糖度のものを粗糖にしていた、そういった手間がなく、そのまま高糖度の形で入ってくる。そしてタイ、これはTPP不参加国でありますが、こちらの粗糖と入ってくるものが代替をされる、そういったものでありまして、つまりは、入ってくる量はこれは特段変わりはなく、ただその内訳が変わる、こういった結果になる、その結果、影響はないと、こういうふうに試算をさせていただいております。
  127. 平木大作

    ○平木大作君 御説明いただいて、精製糖についてはきちっと国内で再生産できる、いわゆる入ってくる量について影響がないんだと今御説明いただきました。  ただ、砂糖というのは、代替材となるものにいわゆる加糖調製品というものもあります。  ここで、もう一度お伺いしたいんですが、加糖調製品ってそもそも何なのか。このTPPによって、取扱いどうなっていくのか。加糖調製品についても、直接、ある意味砂糖の代替材になってしまうようなものでありますから、私は、これきちっと守っていかないと、国内における再生産、危うくなるんじゃないかと思うんですが、この点について影響をどう考えるか、政府の御見解を示していただきたいと思います。
  128. 矢倉克夫

    ○大臣政務官(矢倉克夫君) お答えいたします。  加糖調製品とは、砂糖にココア粉や粉乳などを混合したものでございまして、特に、砂糖の代替糖なるものは、加糖ココア粉やココア調製粉など、大体こういうものは砂糖の含有量が非常に高いものでございます。こういったものが菓子類やパン、飲料等の原料として使用され、砂糖と直接の競合関係にある、こういったものをいうと考えております。これ、現在は先ほど申し上げた糖価調整制度の対象外となっておりまして、調整金が課せられていないところでございます。  今回、TPP協定では、この加糖調製品につきましては、協定発効後十一年目において約九・六万トンの形で関税割当て枠を設定をしたところであります。こういう関税割当てでございますので、税率としては無税又は低税率という形になる。その部分が安価な加糖調製品の輸入が増加をして国産の砂糖の需要が奪われることとなり、競争力が低下をするのではないかというような御懸念があるところであり、この部分についてはしっかり対策を取らせていただいているところであります。  具体的には、製品原料であるなど、国内産糖との競合度合いが大きい加糖調製品につきましても、これまでは調整金の対象としてはおりませんでしたが、これをまず対象といたします。それで生まれました財源を通じまして、砂糖の国内の生産の支援に充当するなどを通じ、国産の砂糖の競争力、これを強化をいたしまして、糖価調整制度を安定的なものとする、そのような対策を取らせていただいているところでございます。
  129. 平木大作

    ○平木大作君 今二つの問いを通じて、精製糖はきちっと守った、そして代替材となるような加糖調製品についても手を打ったと、こういう答弁だったわけですね。  ただ、もう一問、問いたいんです。これで本当に安心していいのかというところを、私は疑り深いので聞いてみたいんですね。この委員会でも、例えば安倍総理が答弁に立たれたときに、かつてお米を日本の国内に一粒たりとも入れないんだといって座込みをされたんだと、こんなお話をされました。まさに一粒たりとも入れないみたいなことを果たして砂糖でできるのかなということをやっぱり考えてみたときに、いろいろ大丈夫だろうかという問題意識が湧いてくるわけであります。  そこで、ちょっと事例一つ御紹介したいんですが、今委員の皆様のお手元に配付資料一として配らせていただきました。  これは、今年の三月二十五日の朝日新聞夕刊に載っておりましたインタビュー記事であります。今春、日本でも公開をされました「あまくない砂糖の話」という映画でありまして、私、この記事を読んで、ちょっと是非これ見てみようということで行ってまいりました。残念ながら、東京全域の中で公開していた映画館は一つだけ。行ってみますと、大体、席の数として数えましたけど、百席ぐらいしかないという本当にミニシアターだったんですね。ただ、関心の高い方が本当に外に列を成して御覧になっているという状況でありまして、なかなか面白い映画でありました。  どういうものかというと、この映画の出発点というのは、オーストラリア人は毎日ティースプーン四十杯分の、つまり百六十グラムらしいんですが、ティースプーン四十杯分の砂糖を摂取してしまっているという、そういう事実が、データがあるそうでありまして、これは本当かと。当然、これ、ティースプーンで四十杯毎日ばくばく食べているわけではありませんで、また、料理のときに四十杯分入れているというわけでもないんですね。これ実はほとんどが加工食品の中に入ってしまっている砂糖を知らず知らずのうちに実は摂取してしまっていると、こういう指摘をしてあったということでありまして、この映画の監督が、たまたま自分自身で自然素材を加工して自分で調理して食べるという食生活を続けていた方なので、じゃ、これ一回自分の体を使って実験してみようということで、食生活を加工食品中心にがらっと変えました。  ただし、ただし書がありまして、総カロリーは増やさない、それから菓子類は避ける、そして、加工食品のパッケージに低脂肪とかヘルシーとかと、こういってうたっているものを基本的に食べ続けると、かつ運動習慣もやめないと。こういうある意味一般の方からすると大分健康的だなと思われる生活を続けながら、でも、この加工食品のパッケージを読み解いて、ここには今、砂糖にして何グラム入っているなということを計算しながら、ちゃんと百六十グラムずつ取れているように食べ続けるという、そういうのを自分の体で実験してみましたというドキュメンタリーなんですね。  これ、ネタバレになりますので結果は申し上げませんが、一応このインタビュー記事にも書いてありますとおり、別にこの映画は砂糖を食べてはいけませんということをうたっている映画ではありません。食品についてきちんと知識を持って自分で選択をしていきましょうということをうたっている映画なんですが、ただ、この映画の示唆というのはやっぱりいろいろありまして、結局、加工食品の中にはかなりの量の砂糖やその代替物というものが入っていますねということが分かるわけであります。  そこでお伺いしたいんですが、結局、国内における精製糖の再生産ということをきちっとつくっていく上において、ある意味大量に糖分、必ずしも精製糖に限らないわけでありますが、糖分を含んでいるようなお菓子ですとか飲料、健康食品、こういったものの流入みたいなものもある意味きちっと見ていかないと、実は砂糖を守れないんじゃないかなというふうに感じたんですが、この点について、これ国として実際に流入、どれだけ今入ってきているのか、あるいはそれを必要に応じて止めることができるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  130. 矢倉克夫

    ○大臣政務官(矢倉克夫君) ありがとうございます。  こちら見させていただいて、甘い物好きの私としては、この太り方を見るとかえって別の意味で脅威を感じるところでもあるわけでございますが。  加工食品につきましては、まず、先ほど申し上げたような高糖度のものとはまた違い、直接原料としての砂糖に代替されるものではまずないという違いはあるかと思います。  その上で、加工食品につきましては、例えばチョコレートであったり、これ砂糖菓子などでございまして、加工食品の中でも砂糖の含有率が高いものにつきましては、こちらについては無税又は低税率した場合であってもその数量をしっかりとこれ限定する、そういう形での関税割当ての設定をこれはしっかり取らせていただいたところでございます。チョコレートにつきましては十一年目に一・八万トンのみ入ってくるような形にする、砂糖菓子につきましても同じく十一年目に六千トンのみ入ってくるような形にいたしているところであります。それによりまして、無制限に入ることはなく、量はしっかりと抑えられる。  また、他方で、直接的に代替にはならないとしても、砂糖が入っていることには変わりございませんで、国内需要に一定程度の影響はあり得るというところでありますので、その点も考えまして、先ほど来も申し上げておりますが、まず、国内のチョコレートや砂糖の菓子を含めた加糖調製品、製品全体で約十万トンの関税割当てを設定し、その上で、この加糖調製品を新たに糖価調整法に基づく調整金の対象にいたします。そして、それもまた財源として一部使いまして、体質強化対策や経営安定対策等、所得安定対策等によりましてコスト削減対策を適切に実施をする。こういうような政策を通じまして国内をしっかり守っていく、これをしっかり続けていきたいというふうに思っております。
  131. 平木大作

    ○平木大作君 今、御答弁でもいただきました、しっかり、加工食品も含めて、このいわゆるインパクトがありそうなところについては手当てをしているということでありました。  砂糖というのはなかなか本当に難しいなといろいろ勉強してみて改めて思いました。人工甘味料のようなある意味工業製品も日々開発されておりまして、これがしかも砂糖とある意味代替するというわけでありまして、ある意味そういったところもきちっと見ながら対策を打っていただきたいと思います。  残りの時間を使ってもう一つ、豚肉についてもお伺いをしたいと思います。  これ豚肉については、先ほどの影響分析でいくと、長期的な懸念が付されながら、輸入の急増は見込み難いと、こう結論されたわけであります。  端的にお伺いしたいんですが、この豚肉のある意味再生産を支えているのは私は差額関税制度であると思うんですが、これきちっと守り切ることができたんでしょうか。
  132. 山本有二

    ○国務大臣(山本有二君) 御指摘の差額関税制度は守ることができました。  まず、差額関税制度及びキロ当たり五百二十四円の分岐点価格、それで我が国の豚肉生産を守る上で非常に重要な仕組みでございます。つまり、国内産の豚肉の言わば五百円以上の高価な豚肉は競争力がございます。したがいまして、安い豚肉が入ることに対する措置が絶対に必要だという観点から差額関税制度が設けられているわけであります。  鮮度の高さや消費者の嗜好から国産豚肉が競争力を持つ高価格部位に適用されている従価税、これはなるほど四・三%でございましたが、これを十年後に撤廃するということになりました。しかし、四・三%でございますから、比較的他の関税よりも低いということが言えようかと思います。国産豚肉に価格競争力がない低価格部位に適用される従量税、これにつきましては関税削減にとどめた上で十年という長期の関税削減期間を交渉で獲得しておりまして、なお、従量税は維持することができました。そして、その間、体質強化対策を活用するなどしまして、更に国産豚肉の競争力の向上を努力をしているところでございます。  こうした措置によりまして、大きな影響はないと考えておるところでございますが、我が国以外の豚肉需要が急激に伸びる中で他の輸入国との買い付け競争が激しくなるという可能性も踏まえますと、当面豚肉の輸入急増は見込み難いものの、長期的には、従量税の引下げに伴いまして低価格部位の一部がコンビネーションによらずに輸入される可能性も否定することができません。したがいまして、国内産豚肉価格の下落も懸念の一つでございます。したがって、総合的なTPP関連政策大綱におきまして、生産コスト削減など体質強化策を講じるとともに、セーフティーネットとしての経営安定対策の充実強化を図るということとしたわけでございます。  このことから、交渉により獲得した措置と併せまして、発効後におきまして、国産豚肉が外国産豚肉と競争し、確実に再生産を確保していくということが可能になる努力をしているところでございます。
  133. 平木大作

    ○平木大作君 質問の前に資料二を提示すべきだったんですけれども、済みません、今御答弁の中で様々、この資料で説明されているような差額関税制度の維持ができたというところを中心に御説明をいただきました。  ちょっと時間がなくなってまいりましたので、最後一問、これも端的に問いたいと思います。  こうやって、差額関税制度、きちっと維持できたわけでありますけれども、やはりこれ養豚されている方とお話しすると、なかなか本当に不安だなという声をやっぱり聞くわけでありまして、飼育の規模ですとかそういったところを見ると、実は結構頑張っているんですね、日本の養豚というのは。米国にも決して規模で負けなかったりするわけでありますが、一方で、牛肉に比べますと輸出の実績等はやっぱりまだまだというわけでありまして、これ養豚の今後のいわゆる継続あるいは経営の発展の姿として今後どのようなものが考えられるのか、最後にお伺いをして、終わりたいと思います。
  134. 枝元真徹

    政府参考人(枝元真徹君) お答え申し上げます。  養豚経営の継続発展のためには、やはり規模の拡大ですとか生産コストの低減によります収益性の向上、二点目として、差別化ですとか高付加価値化等による需要の拡大等を図っていくことが重要ではないかと考えております。  現在、畜産クラスター事業等によりまして様々な取組を支援してございます。事業開始間もないので具体的な成果はこれからでございますけれども、例えば千葉県では、エコフィードなどの利用によって生産コストを低減して、出荷頭数を大幅に増やして収益性の向上を図るですとか、香川県などでは、オリーブの残渣を飼料として使うことによりまして、うまみとか甘みが増したオリーブ豚の出荷頭数を大幅に増やしてブランド力を強化すると、様々な取組を行っており、また我々も支援しているところでございます。  今後とも、意欲のある地域の取組に対する支援等を通じまして養豚経営の発展に取り組んでまいります。
  135. 平木大作

    ○平木大作君 終わります。ありがとうございました。
  136. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。  TPPへ参加すれば、今後、我が国の法制度に対しても大きな影響があるということになりますけれども、実はこのTPPを批准、発効する前から既に我が国の政策決定に影響を与えているという問題について今日は取り上げます。また、後半では、TPPが多国籍企業の租税回避を助長するものになるのではないかということを指摘していきたいと思います。  このTPPでは、WTOのGATSにはない規定が第十章、国境を越えるサービス貿易に盛り込まれております。どのようなものですか。
  137. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま委員がお示しをいただきましたTPP協定の第十章六条でございますけれども、TPP協定第十章における六条は、この委員が線を引いてくださっておるところを読ませていただきますと、「いずれの締約国も、他の締約国のサービス提供者に対し、国境を越えるサービスの提供を行うための条件として、自国の領域において、代表事務所若しくは何らかの形態の企業を設立し、若しくは維持し、又は居住することを要求してはならない。」と規定されております。すなわち、当該規定は、他国においてサービスの提供を行うに当たりまして、現地に拠点を設置したり、あるいは居住することを要求することを禁止するものであると解釈させていただいております。  第十章の第一条に定義されます国境を越えるサービスの提供に当たり、現地に拠点の設置を要求してしまうと、結局、実質的に国境を越えるサービスの提供を禁止したことと同様の効果が生じてしまうと。そのため、サービス貿易を制限する目的で現地拠点を設置要求されないことを確保するために本規定が設けられたものと承知をしているところでございます。
  138. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 この規定はいわゆる現地拠点設置要求の禁止と言われるものでありまして、これ、NAFTAにおいては導入された規定でありますけれども、これは九〇年代以降、海外への投資の自由度を高めるために置かれてきた規定でありまして、主に多国籍企業、大企業ですけれども、が発展途上国への進出の際に求めてきた規定でもあります。  そこで、このTPPへの参加をにらんで政策決定がゆがめられてきた典型的な例を今日は紹介をしていきたいというふうに思います。  これが民泊新法というものであります。この民泊について、まず、どういうものかということを説明いただきたい。
  139. 田中良生

    ○副大臣(田中良生君) お答えいたします。  現在、法律においてはこの民泊というものは定義されているものではないと承知をしております。他方、法律以外では、本年六月二日に閣議決定されました規制改革の実施計画において、民泊サービスを住宅を活用した民泊サービスの提供と定義をしております。  国土交通省としては、関係省庁また関係者間の意見調整進めつつ、次期通常国会にこの法案提出へ向けて準備を進めていきたいと、そのように考えております。
  140. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 民泊というのは、住宅、戸建て住宅や共同住宅の全部又は一部を活用して宿泊サービスを提供するものであります。インターネットを通じて空き家を短期で貸したい人とそして旅行者をマッチングする、こういうビジネス、いわゆるシェアリングエコノミーの一業態だと言われているものであります。  ところが、この民泊には法令違反も含めて様々な問題が起こっている、指摘をされておりますけれども、どういうものでありますか。
  141. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 民泊についてのお尋ねがございましたが、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行う場合には、原則として旅館業法に基づいて旅館業の営業許可を取得する必要がございます。したがって、住宅などを活用したいわゆる民泊サービスであっても、現状では、旅館業の許可を得ずに宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行えば、旅館業法に違反、無許可営業というふうになると考えられるわけでございます。
  142. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 通常であれば、ホテルや旅館であれば旅館業法に基づいた許可ということになりまして、感染症や伝染病などについても対応すると。また同時に、建築基準法や消防法、これに準じたものにホテルや旅館というのはしていくわけでありますけれども、民泊ということになれば、そういう許可は得ていないということになりますと、建築基準法、消防法にも違反するということで、ホテル、旅館業界から様々な反対の声が出されているわけであります。  つまり、この建築基準法、消防法など様々な条件をクリアすることによって営業を認められているのがホテルや旅館であって、他方、民泊はそれらの条件なしに営業するわけですから、競争条件、これが不公正だというような声が出ているわけですね。  本年四月に、この民泊営業のために必要な旅館業法上の簡易宿所とするための要件が緩和をされました。許可件数というのは今現在どれぐらいになっているでしょうか。
  143. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 民泊サービスが旅館業法の許可の下に適切に提供されるように、本年四月に旅館業法施行令を改正をいたしました。簡易宿泊所営業の面積要件を緩和をいたしまして、営業許可を取得しやすくいたしたところでございます。この要件緩和に伴う簡易宿所営業の許可件数は、五月末現在で五十一件でございます。  その後の状況については現在調査中でございますけれども、引き続いて増加をしているというふうに考えております。
  144. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 五十一件しかないということなんですね。  このシェアリングエコノミー、民泊の世界最大の仲介業者であるエアビーアンドビーという会社がありますけれども、ここは二百か国近くで二百万件を超えるリストを保有する仲介業者であります。日本では四万五千件がこのエアビーアンドビーというところに登録をされているわけです。  先ほどあったとおり、民泊をやろうと思えば簡易宿所としてのそういう許可を受けなければなりませんけれども、しかしそれが五十一件しかされていないということでありまして、今実態としては、日本で民泊が行われているそのほとんどが違法営業ということになるのではないかというふうに思います。  京都市が公表した民泊施設実態調査においても、京都市内の民泊施設数二千七百二件のうち旅館業法上の無許可と推測される施設は千八百四十七件もあって、約七割が無許可でやっていたということであります。  マンションの一室を使った民泊が横行して、ごみ収集日ではない日にごみが出されているとか、オートロック機能の意味がない、鍵を渡すわけですからとか、騒音がひどいとか、見知らぬ人が敷地内に出入りして不安だなどの声が出されております。  この民泊は、世界においても大きな問題が起きております。  ニューヨーク市は、二〇一四年、このエアビーアンドビーによる民泊営業の実態に関する報告書を発表いたしました。報告書では、エアビーアンドビーにリストされている物件のおよそ四分の三がニューヨーク州の集合住宅法とニューヨーク市の建物用途指定条例、ゾーニングローといいますけれども、これに反した違法営業だと断定をいたしまして、この違法営業によってホストが得た収入の総額は三億四百万ドル、約三百億円に及び、エアビーアンドビーも約四千万ドルの手数料収入を得ていたということを明らかにいたしました。  世界で規制強化の動きが次々と起こっておりまして、シェアリングエコノミー発祥の地と言われているサンフランシスコでは、宿泊できる日数を当初の年間九十日から六十日に制限しようとしております。スペインのバルセロナでは、これも取締りを強化すると。ドイツのベルリンでは、民泊が急増することによって、逆にアパート、これが不足するということになりまして、大家さんが全部民泊に登録しちゃって、長期で借りたいという、こういう賃貸が不足するという事態になりまして、ベルリン市では民泊の原則禁止を今年決めたということであります。  我々は、シェアリングエコノミーというこの考え方そのものに反対するわけではありません。しかし、今旅館業法を遵守することで防災や衛生面がホテルや旅館ではクリアされるということになっているわけで、とにかく観光客二〇二〇年に四千万人というような掛け声の下で国民の安全や衛生の規制が緩和されていくということには我々は反対をしなければならないと思っております。むしろ、安全ルールの確立こそがこの分野では必要ということであります。  そこで、ここからが本題なんです。政府は、この間、この民泊規制について議論を重ねて、昨年の十二月の十日に内閣官房IT総合戦略室は、IT利活用を行う新たなサービス(シェアリングエコノミー)ですけれども、の適正な運営の確保のための対応を中間整理としてまとめております。シェアリングエコノミーの適正な事業運営の確保のためのルール整備の在り方、どういう中間整理が出されたのか、紹介してください。
  145. 豊田俊郎

    ○大臣政務官(豊田俊郎君) お答えを申し上げます。  昨年十二月、内閣官房IT総合戦略室が開催してきたITの利活用に関する制度整備検討会において、シェアリングエコノミーの適正な事業運営の在り方について中間整理としてまとめ、公表したところでございます。  この中間整理の内容については、シェアリングエコノミーの適正な事業運営の確保に当たり、消費者保護を図る観点から、一つ目として、既に業法の規制がある分野についてのルール整備の必要性、二つ目として、サービス利用者や第三者からの苦情相談窓口の設置、三つ目として、事業所の国内設置を含めた海外事業への域外適用の在り方等について提言をいただいたものでございます。
  146. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 これを資料に付けております。二でありますけれども、課題四への対応ということで下の部分にあるわけですが、今紹介をしていただきました事業所の国内設置をその要件とする等ということで、様々なトラブルに対応するために、つまり仲介業者は日本国内に事業所を設置するということが考えられてきたということであります。これは国民の安全や衛生の確保にとって必要だからこそ、この中間整理では事業所の設置を検討してきたということであります。  ところが、本年五月二十日の第二期中間整理では、これは資料三になりますけれども、事業所の設置などの方針はごっそりと抜け落ちてしまいました。これはなぜですか。
  147. 豊田俊郎

    ○大臣政務官(豊田俊郎君) お答えを申し上げます。  ITの利活用に関する制度検討会の第一期では、主に民泊を念頭に置きつつ、シェアリングエコノミー全般に係るルール整備の在り方について検討したところでございます。この第一期中間整理の公表後、民泊については、厚生労働省及び観光庁の検討会において特別の法整備を含め検討を行うことと政府内部で整理されたところでございます。  これを受け、第二期では、既存の業法と関係のないものを含め、現行法上適法なものを対象に検討することとしたところでございます。その上で、第二期では、業法と関係のないものを対象に、民間業者による創意工夫を阻害しないよう、自主的ガイドラインによる対応を前提として検討をいたしました。この民間団体等による自主的ガイドラインについては、国が一定の公権力をもって規制するものではないため、諸外国との主権関係について問題が生じるものでないことから、第二期では域外適用については整理の対象にならなかったものでございます。
  148. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 事務所の設置がTPPの現地拠点設置要求の禁止に抵触するということでこの要項は削除されたということではないんですか。
  149. 豊田俊郎

    ○大臣政務官(豊田俊郎君) お答えを申し上げます。  先ほども申し上げましたとおり、民間団体等による自主的ガイドラインについては、国が一定の公権力をもって制限するものではないため、諸外国との主権関係について問題が生じるものではないことから、第二期では域外適用については整理の対象にならなかったものだと理解をいたしておるところでございます。  なお、昨年十二月、取りまとめた中間整理についてパブリックコメントを募集したところ、事業所の国内設置はTPPに反対する旨の意見が寄せられ、また同様の趣旨が報道されたことについては承知をしておりますが、自主的ガイドラインはあくまでも民間の自主的な取組であることから、TPPとは直接関係なく整理されたものと理解をいたしております。
  150. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 それでは、続けて聞きますけれども、この国内設置、事業所の国内設置を残していれば、これTPPに違反するんじゃないですか。これ聞かせてください。
  151. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) どなたがお答えになりますか。(発言する者あり)  速記止めてください。    〔速記中止〕
  152. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) それでは、速記を起こしてください。
  153. 豊田俊郎

    ○大臣政務官(豊田俊郎君) 不動産に関するものについてはという御質問として……(発言する者あり)その他のサービスということについてという、その他の、仮に駐車場の管理だとか賃貸だとか、もっと幅広く言えば、その他ということになりますと、子供の子守の見守りだとか、そういうものについてはTPPには関与をしないものと理解をいたしておるところでございます。
  154. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 ちょっと変な限定を付けてあれですから、もう一度聞きます。  この仲介業者、エアビーアンドビーなどの民泊のシェアリングエコノミーに関して聞きます。もしTPPが結ばれていれば、先ほど中間整理にあったような事務所の設置するという要求はできないんじゃないんですか。どうですか。
  155. 豊田俊郎

    ○大臣政務官(豊田俊郎君) お答えを申し上げます。  旅館業法にマッチしたものであれば、これは旅館業法に基づく手続が必要だというふうに理解をいたしておるところでございます。(発言する者あり)
  156. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  157. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) それでは、速記を起こしてください。
  158. 豊田俊郎

    ○大臣政務官(豊田俊郎君) 再度お答え申し上げます。  旅行業等に関しての規制であれば、これはTPP違反になるということになりますし、その他であれば、不動産等に関するものであれば、これは留保しておりますのでTPP違反にはならない。
  159. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 具体的に聞きます。エアビーアンドビーというシェアリングエコノミー、民泊の仲介業者に関して日本国内の事務所設置を求めてしまうと、これはTPP違反になるんじゃないですか。はっきりお答えください。
  160. 豊田俊郎

    ○大臣政務官(豊田俊郎君) そのことにおいては、今制度設計を検討しているところでございます。(発言する者あり)
  161. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  162. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 速記を起こしてください。
  163. 豊田俊郎

    ○大臣政務官(豊田俊郎君) 旅行業に対してでございますけれども、厚労省、観光庁で民泊について検討をしており、海外事業者の取扱いについても厚労省、観光庁で検討しているものと承知をいたしておるところでございます。(発言する者あり)
  164. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  165. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 速記を起こしてください。
  166. 豊田俊郎

    ○大臣政務官(豊田俊郎君) 何回も大変どうも申し訳ございません。  民泊の設置に関する問題は、問題があることは承知をいたしておるわけでございますけれども、いわゆる現地拠点、現地に拠点を設置する義務でございますけれども、TPPで初めて約束するものではなく、これらについてはサービスの貿易に関する一般協定や我が国が結んだEPAに既に約束されているものであり、TPPがあろうとなかろうが、我が国として遵守すべき事項であると認識しているところでございます。  いずれにせよ、これらに抵触しないよう制度設計を進めてまいります。
  167. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 今の答弁はちょっと違うと思います。  GATSの話をされたと思いますけれども、これはあくまでポジティブリストなんですよ。しかも、このGATSのときは、当然、このエアビーアンドビーのような業態は考えられていませんから、そこで留保もされていません。されていないんですよ。  これは、レクの過程で、IT戦略室がこの事務所の設置を求める中間整理を出した際に外務省に確認をすれば、外務省からこの事務所の設置はTPPに違反するので削除してください、駄目ですという、そういう答弁もらったから、IT戦略室は次の第二期で削ったとはっきり言っているんですよ。  外務大臣、そうでしょう、どうですか。外務省が言っているんですから。
  168. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のやり取りについて、済みません、私自身、承知しておりませんので、確認させていただきます。
  169. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 今確認していただけますか。  委員長、今確認していただけるようにお願いします。(発言する者あり)
  170. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  171. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 速記を起こしてください。
  172. 豊田俊郎

    ○大臣政務官(豊田俊郎君) 大変貴重な時間を使っての答弁ということになりまして、大変申し訳ございません。  明日以降、時間を取った中で再精査をした中でこの質問にお答えをしてまいりたいというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいというふうに思います。
  173. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) それでは、政府におかれましては、整理の上、後刻改めて答弁を願いたいと思います。
  174. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 先ほど申し上げたとおり、外務省の方は、TPPに抵触するから現地の事務所の設置要求はできないよということをちゃんと言っているんですね。まさにTPPの批准、発効前から政府の政策決定への影響が出ているということなんですよ。当初、政府が中間整理で仲介業者に求めた事務所設置は、これは、安全や衛生に関して必要だから事務所の設置を求めるということをやったわけですよね。それが取り払われちゃったわけですよ。  石原大臣、今の議論を聞いていて、これは、このTPPの規定によって安全や衛生などに関して必要な規制措置ができなくなったということをお認めになりますか。どうですか。
  175. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 民泊についての整理は、先ほど豊田政務官がお話をさせていただきましたとおり、省庁またがっておりますので、整理をして御回答させていただきたいと思います。  それともう一点、今外務大臣が確認をしていただいておりますが、委員が御指摘のとおり、外務省が仮にTPP協定に影響があるということでその文言を削除するようにということが、仮にそうだとするならば、委員の御指摘は正しいのではないかと考えております。
  176. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 そういうレクを受けております。  この必要な事業所を置かせることができないがために適正な行政措置をとれないという事態も起こり得るんですね。  現在、政府は、民泊新法の次期通常国会への提出を検討しております。民泊サービスのあり方に関する検討会最終報告書では、民泊新法制定についての考え方が示されております。資料の四でございます。  ここでは、住宅提供者は行政庁へ届出、管理者は行政庁へ登録、仲介業者は行政庁へ登録することになっております。そして、仲介業者が法令に違反した場合は、行政庁による報告徴収、立入検査、業務停止、罰則などが科されることになっております。  ちなみに、世界最大のこのエアビーアンドビーという会社ですけれども、本社はアメリカ、そして営業拠点はアイルランドに置いてありますので、ゲストやホストはアイルランドの法人と契約することになるんですね。ちなみに、アイルランドという国は法人税の低い租税回避地と言われております。  そこで、聞きますが、拠点を日本に持たない外国法人の立入検査というのはできるんですか。
  177. 田中良生

    ○副大臣(田中良生君) お答えいたします。  委員御指摘の点につきましては、一般的には、海外に事業所またサーバーがあったりして日本国内に実体を持たない仲介業者に対して、立入検査や罰則の執行を行うことはやはり困難を伴うものと考えられます。  一方、本年六月に取りまとめました民泊サービスのあり方に関する検討会、この最終報告書においては、外国法人に対する取締りの実効性確保のために、法令違反行為を行った者の名称ですとか違反行為の内容等を公表できるようにするということが盛り込まれております。  これらを踏まえて、法案、検討を進めてまいりたいと思います。
  178. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 今、立入検査はできないということを認めたわけですね。  逆に、仲介業者というのは外国法人ばかりではありません。日本の法人、日本の会社もあるわけですね。この日本に拠点のある仲介業者、日本法人は、これ、罰則、立入検査も含めて行政措置は滞りなく科されるということになるわけですね。だから、そもそも政府が当初中間整理で考えていた事務所の設置をさせていれば、こういうことにはならなかったわけであります。これは、TPPをにらんで事務所の設置を置けないことで派生する問題だと、こう言わなければなりません。  石原大臣、ちょっとお聞きします。  政府は、TPPではイコールフッティングを実現するものなんだと、こう言ってきたわけですね。イコールフッティングというのは、双方が対等の立場で競争が行えるように、そういう条件を同一にすることだということを政府言ってきたわけですよ。これ、イコールフッティングと違うじゃないですか、どうですか。
  179. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) この問題は、先ほど豊田政務官がお話をさせていただいたとおり、各省にまたがっておりまして、そしてまた塩崎厚労大臣の御答弁の中にありましたとおり、また委員の御指摘のとおり、京都でも無届け業者みたいなものがはびこっていると。また、ベッド数からして、先方の言っているベッド数と我々が把握しているものには大きな乖離があると。そこにやはり問題がありますので、これは政府としてしっかりと、どのようにあるべきかということは、今ちょっと秘書官に話をしておきましたので、関係省庁の意見を取りまとめてこの委員会でも報告をさせていただきます。
  180. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 質問に答えておりません。  もう一度言いますね。外国法人は日本法人が科せられるような立入検査は科されることはないんです。これはイコールフッティングとは違うんじゃないですかということを言っております。
  181. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ですから、この民泊をめぐって、シェアリングエコノミーをめぐっては問題が多々あります。それはもう既に厚労大臣の答弁の中にも、届出しているものと実体数に乖離がある以上は様々な問題がございますので、整理して今の点も含めて御答弁をさせていただきたいと話をさせていただいているところでございます。
  182. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 民泊にも問題は確かにあります。しかし、私が申しているのは、大臣言っているように、それを民泊の問題ということではなくて、私が言っているのは、TPPの問題、イコールフッティングの問題ではないかということを言っているんです。外国法人は罰則が十分に科されない、日本法人は科されてしまう。これはTPPの問題じゃないですか、根源的な問題じゃないですか、イコールフッティングじゃないんじゃないですか。お答えください。
  183. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 今委員が、アイルランドに本籍地を置いている企業の代表がある場所は違う、税率が低い、こういうことを含めてここには多くの問題がある。今日も御議論いただくBEPSの問題にしても、そういうものをどうやって開示をしていこうか、こういうところから世界各国が始めている取組でございます。こういうことを考え合わせたときに、政府として、TPPよりも、この民泊を結んで様々な問題、そしてまた自由化との間で様々な問題が起きておりますので、政府として責任を持って御答弁させていただきたいと思っております。
  184. 辰巳孝太郎

    ○辰巳孝太郎君 まあ正面から答えないわけですね。  これは、TPPの大原則である内国民待遇というのがありますね。これ、自国民と同様の権利を相手国の国民や企業に対しても保障すると。これ、こんなことになりますと多国籍企業優遇じゃないですか、内国民待遇じゃないじゃないですか。規制のための、安全、衛生のための拠点設置の要求であるにもかかわらず、その拠点を求められないからこういう矛盾が起こってしまうんです。まさにTPPの欠陥だと言わなければなりません。  実は、冒頭申し上げたように、私は、今日の質問で租税回避の問題も取り上げようということで質問も用意しておりましたけれども、麻生大臣にも来ていただきましたが、これは次回の質問に移らさせていただくということで、私の質問をまず終わりたいと思います。
  185. 山添拓

    ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  私からは、十六日に続きまして、ISDS条項に関わって改めて質問をさせていただきたい。  そもそも、なぜ国内の司法手続、裁判手続とは別にISDS条項を盛り込む必要があるのか、このことについて外務省の資料の中にはこういうふうにあります。投資家には、投資受入れ国との間で紛争が起こった場合、投資受入れ国の裁判所が投資受入れ国の政府等に対して不当に有利な判断を下しはしないかという中立性に対する不安があるのだと、こう書いてあります。  基本的には、先進国の企業の投資先となる発展途上国の司法制度の不備を理由として、投資先国の司法権を排除するために導入されたのがISDS条項だと言えます。このISDS条項そのものは一九六〇年代から投資協定に盛り込まれてきましたが、八〇年代後半までは利用すらされてきませんでした。ところが、NAFTAが先進国同士の自由貿易協定で初めて導入し、アメリカのエチル社がカナダ政府に対して九八年に仲裁提起をした。これをきっかけに利用が急増し、二〇一五年に至っては年間七十件も提訴されるに至っています。  そこで、ISDSの濫用防止、むやみに提訴されない仕組みをつくろうと求められるようになりました。十六日に質問した際に、大臣は、NAFTAなどにはない濫用防止の規定として、TPPには、法的根拠のない申立て等を迅速に却下できる規定、その場合の申立て費用を投資家に負担させることができるという規定、これを挙げました。これは私は必ずしも正確ではないと思います。  TPPで新しく規定されたもの、NAFTAで利用できる規則や、あるいは日本がほかの国と締結しているEPAなどで規定されていないTPPに固有の規定というのはどんなものか、これを外務省に御説明いただきたいと思います。
  186. 山野内勘二

    ○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。  TPPにおいて、濫訴防止につながる規定として、投資章の中に幾つかございます。一つは、第九章の二十三条にあります法的根拠のない申立て等については迅速に却下することができる規定。二つ目は、第二十四条にございますけれども、仲裁廷において、全ての事案の審理、裁定等を原則として公開することを義務付ける規定。三つ目に、これは二十一条でございますけれども、申立て期間を一定の期間、この場合は三年六か月でございますが、に制限する規定。四つ目として、懲罰的損害賠償を命じることはできないとする規定、これは二十九条でございます。さらに、申立てに根拠がないと認められる場合、仲裁手続費用等を投資家に負担させることができる規定。こういうものがございますが、御質問のNAFTAに関しては、裁定の公表、申立て期間の制限、さらには懲罰的損害賠償を禁止する規定、こういうものは定められておりますけれども、審理の公開というものについてはNAFTAには規定がないものと承知しております。
  187. 山添拓

    ○山添拓君 請求が明白に法的根拠を欠いている旨の異議が出せるということもおっしゃったんですけれども、これに類する申立てを迅速に却下できる規定自体はほかの協定などにも入っています。しかも、明白に法的根拠を欠いている訴えですから、速やかに却下されるのは当たり前のことです。この場合に申し立てた側が費用を負担するというのも、アメリカの国内の契約書などでは通常は入っているものだと聞いています。ですから、それでもアメリカは訴訟社会だと言われていますので、特に濫訴防止の効果が大きいということではないと。今、審理の公開についても濫訴を防止するものだと説明がありましたけれども、これも、全事案を原則として公開するというのが新しいだけで、NAFTAにおいても公開すること自体は可能な規定となっているかと思います。結局、いずれも目新しい規定とは言えないのではないかと指摘したいと思います。  そこで、さらに、このISDSと司法との関係を問題としたいと思います。  ISDSが国内裁判所と別に国際仲裁を認めることから、国内の司法判断を仲裁判断が否定するような事件が起きています。アメリカの石油会社のシェブロンとエクアドルの事件について、どんな事件か、御説明をお願いします。
  188. 山野内勘二

    ○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。  御指摘のシェブロン社とエクアドル政府との仲裁でございますけれども、実はこれは米国とエクアドルの間の投資協定に基づくISDSによる仲裁手続だと承知しています。我が国はこの協定の当事者ではございません。さらに、この事案についての当事国でもございません。さらに、まだ最終的な裁定も下されているわけではございません。したがって、正式なコメントをするということは非常に難しいということをまず御理解いただいた上で、御質問でございますので、事案の概要ということをお答え申し上げます。  これは、米国企業のシェブロン社がエクアドル政府を相手に、環境への影響をめぐるエクアドル政府の対応について、先ほど申し上げました米・エクアドル投資協定に基づくISDSによる仲裁手続を提起したものであるというふうに承知しております。  この事案においては、仲裁廷は、エクアドル国内で提起されたシェブロン社を被告とする環境破壊に対する損害賠償請求訴訟に関して、暫定的な保全措置として百八十億ドルの支払を命じる国内判決の執行停止を命じたところでございます。ただし、この暫定的な保全措置命令は、エクアドルの国内裁判が適正手続に反して進められ、その判決は国内法にも明白に反する不公正なものであるというシェブロン社の申立てを受けて仲裁廷が判断したものであるというふうに承知しております。また、この暫定的な保全措置命令は、仲裁廷の最終的な裁定が発出されるまで、あくまでも暫定的に効力を有するものというふうに承知しております。  いずれにしても、本事案は現在係属中であるというふうに承知しております。
  189. 山添拓

    ○山添拓君 この事件では、御説明があったとおり、国内裁判で環境や健康に対して被害を受けてきた住民側が石油会社に対して裁判を起こした、そこで勝訴したと。にもかかわらず、その判決の停止、暫定的な措置だとありましたが、いずれにしても判決の効力を停止するような命令をされているわけです。司法判断を否定するものです。しかも、政府に対して判決の効力を停止するように求めるということですから、行政権が司法権に対してその効力を止めろと命じるように求めるんだと、三権分立にも反する事態が生じています。  TPPにおいても同様のことが起こり得ると考えます。十六日にも少し伺いましたが、外国投資家がまず日本政府に対して日本国内で裁判を起こす、日本ではその主張が認められずに投資家が敗訴をする、その判決が確定した後にISDSで仲裁判断を求めたところ、仲裁廷では投資家が勝訴する判断が出される、逆転するということが起こり得るわけです。  国内で勝って仲裁で負けた場合、日本政府がそのような立場に立った場合、投資家に対して賠償金を支払うんでしょうか、支払わない場合があり得るんでしょうか。これは石原大臣にお答えいただきたいと思います。
  190. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 今のエクアドルの話とは別に一般論としてお話しさせていただきたいと思いますけれども、委員の御指摘は、同一の紛争についてISDS手続による仲裁判定と国内審の裁判の判断の両方が存在して、なおかつその双方の判断が異なって、賠償を払うのか、払わないのかと、そういう御指摘だと聞かせていただきましたが、それはその国の司法制度がどの程度のものであるか、これは他国について言及することは控えさせていただきますけれども、仮に我が国の、委員は法曹界に身を置く方ですから、一番、私などよりも日本の法曹界の中立性、厳正性というものは御承知されていると思いますけれども、透明、公正な法制度、そして、そういうものがなされているこれまでの判例、すなわち行政側が訴えても日本の裁判というのはよく負けるわけですね、行政側が。それは、ある意味では極めて公正中立な判断がなされている。そういうものと外国のものとを単純に比較してどうかと私が答えることはなかなか難しいということは是非御理解いただきたいと思います。
  191. 山添拓

    ○山添拓君 いや、そういうことを前提として、基本的には支払うということなのか、それとも支払わない場合もあり得ると想定しているのか、これをお答えいただきたいんですが。
  192. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 先ほど、くどいようですけれども、エクアドルの件とは全く別に、日本国内でというような仮定になってしまうのですけれども、仮にISDSによる仲裁判断と我が国のこの判断が違って、そういう例外的なことが仮に起こったとして、我が国の立場は、やはり条約を遵守するという立場から仲裁判断に従うということが考えられるんじゃないでしょうか。
  193. 山添拓

    ○山添拓君 そうですね。TPP協定の中には、一方の紛争当事者は遅滞なく裁定に従うとなっていますから、支払を拒否するということは考えていないということではないかと思います。  そこで、最もよく利用されているICSIDという仲裁廷を利用する場合、TPPでもそれが想定されていると思いますが、その仲裁裁定の日本国内における効力はどのようになるのか、これを外務省にお答えいただきたいと思います。
  194. 山野内勘二

    ○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。  委員御指摘のICSIDと申しますのは、国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決に関する条約に基づいて設立されています投資紛争解決国際センターのことであるということでございます。  このいわゆるICSID条約の第五十三条におきましては、紛争の各当事者は、原則として、仲裁判断の条項に服さなければならないというふうに規定されているところでございます。したがって、我が国が紛争当事者となったICSID条約に基づく仲裁において、仮に我が国が賠償義務を負う旨の仲裁判断が出された場合には、我が国はこれに従うということになるわけでございます。
  195. 山添拓

    ○山添拓君 先ほど石原大臣の答弁の中では基本的には従うということがありましたけれども、従わないケースがあることも前提として、二月に法務省、外務省、内閣官房の方で政府統一見解というものを出されています。裁判所と仲裁廷とで異なった判断が出された場合、それは執行手続に進むのだということが書かれています。その際には、仲裁法に基づいて国内で承認という手続がされるんだと。これは間違いないでしょうか。外務省、お答えください。
  196. 山野内勘二

    ○政府参考人(山野内勘二君) 仲裁法の話でございますので外務省に有権解釈があるとは思いませんけれども、この法律を見ますならば、その第四十五条におきまして、仲裁判断は確定判決と同一の効力を有するということが書かれてございます。この確定判決と同一の効力を有するということで、それによって執行決定がなされなければならないということが第四十五条の第一項に書かれております。
  197. 山添拓

    ○山添拓君 仲裁法の適用があるのかどうかということは外務省の方でお答えいただくということで事前に伺っていますので、お答えいただけますか。
  198. 山野内勘二

    ○政府参考人(山野内勘二君) 我が国が、先ほど申しましたように、この仲裁判断に従うということになって、投資家が我が国の裁判所において執行を求めるということを希望する場合には、この判断は我が国の仲裁法に規定されるところの仲裁判断として扱われ、仲裁法第八章の規定に従った執行手続が取られることになるというふうに承知しております。
  199. 山添拓

    ○山添拓君 仲裁判断というのは裁判官がするものではないので、その承認という形で裁判所が権威付けをするんだということだと思います。  日本政府が負けても支払わない場合があり得るということを前提にしている、先ほど紹介した政府統一見解はそういうものだと思いますが、政府が支払わない場合には投資家が日本の裁判所に執行手続を申し立てることになります。民事執行手続を裁判所に申し立てることで当該裁判所で決することもあるとしているのが政府の統一見解です。  この執行手続の中では、日本政府はどのようなことを主張できるんでしょうか。法務大臣、お答えください。
  200. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) ただいま委員が御指摘になりました点については、TPP協定のISDS条項に基づきます仲裁判断が仲裁法上の承認及び執行の対象となる場合において、仲裁法では、仲裁判断の内容が日本における公序良俗に反するときなどにその仲裁判断は承認及び執行されないと。したがって、一般論としましては、個別の事案により裁判所においてこのような事由があるものとされれば執行決定はされないということになります。
  201. 山添拓

    ○山添拓君 公序良俗に反する、こういう主張ができるということなんですけれども、日本国内で例えば最高裁が投資家の請求は認めないという判断を下しているのにISDSで逆の判断がされたという場合に、それは国内の公序良俗違反じゃないんでしょうか。最高裁の判決が公の秩序を構成するものじゃないかと思いますけれども、法務大臣、この点はどうでしょうか。
  202. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 個別の事案ごとに裁判所が判断するものでありまして、法務大臣としては一概にお答えすることは困難であります。
  203. 山添拓

    ○山添拓君 個別の事案によっては最高裁の判決ですら否定される場合もあるということなんでしょうか。法務大臣。
  204. 金田勝年

    ○国務大臣(金田勝年君) 裁判所が個別の事案ごとに判断する、まあ一般論として言えば、我が国の確定判決と矛盾する仲裁判断が公序良俗に反するとされることも事案によってはあり得るということであります。
  205. 山添拓

    ○山添拓君 公序良俗に反すると最高裁判決が出ているわけですから、それと矛盾するような仲裁判断というのは、そういうこともあり得るだろうという答弁かと思います。  結局、今の答弁の流れを整理しますと、最終的に投資家が執行したときに執行裁判所でどっちにするか決めるんだと、執行の段階でISDSの判断が覆ることもあり得るんだと、こういうことになっているわけです。そうすると、ISDSの判断に遅滞なく従うという協定上の規定には反することになるんじゃないかと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
  206. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) これはあくまで理論上で申し上げるならば、理論的可能性として申し上げるわけですが、これは国内裁判所の判断によって仲裁廷による裁定の執行が認められない場合についてですが、その場合には、政府として裁定の執行を求める外国人投資家と協議するなど、その裁定の趣旨と国内裁判所の判断と、この双方を踏まえた代替的な対応を図ることによって、ISDS手続そのものを無意味にしないよう確保することになると考えられます。
  207. 山添拓

    ○山添拓君 結局、それはISDSを優先するんだと、仲裁の裁定を優先するんだということだと思います。  日本の最高裁で企業側が負ける判決が確定しても企業としては仲裁廷で紛争を蒸し返す、そこで勝訴を収めるというケースは十分に考えられますが、その場合にISDSを尊重して解決を図るということであれば、これはまさに主権の侵害ではないかと思います。  国内裁判の判断と仲裁廷の判断、これ異なる場合に、仲裁判断を受け入れるかどうか、その都度執行裁判所で考えて、あるいは協定を尊重して投資家と協議をするということになれば、初めから日本の裁判手続のみにしておけばいいわけです。ISDS条項など意味を成さないと思いますが、最後に石原大臣、お答えください。石原大臣にお答えいただきたい。
  208. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げましたのは、御質問いただきましたので、理論的な可能性として申し上げた次第であります。  そもそも現実においては、このISDS条項、我が国はこれまでの経済連携のときと同様に、TPPの場合においても厳密に国内法との調整を行って、そして留保等の例外を設けて、提訴に至らないようしっかり万全の体制で臨んでいます。そして、TPP自体も従来の経済連携以上に重い条件を課している。先ほど委員が質疑の中で確認していただいたとおりであります。  こういったことから、現実問題、我が国が提訴される可能性はないということを申し上げさせていただいております。その上で、御質問いただきましたので、理論的な可能性として先ほど申し上げた次第であります。  よって、結論としましては、御指摘のような心配、懸念はないと考えております。
  209. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 時間が参りましたので、まとめてください。
  210. 山添拓

    ○山添拓君 懸念される事態は世界各地で既に起こっていますので、決して納得できないということを述べて、質問を終わります。
  211. 浅田均

    ○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。  TPPに関していろいろ議論がされておりますが、私どもは大阪の出身でありまして、大阪、ほとんどが中小零細企業であります。そういう中小零細企業にとってどういうメリットがあるのか、あるいはデメリットがあるのか、今まで余り議論の対象になってきておりませんので、TPPと中小企業に関してまずお伺いしていきたいと思います。    〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕  TPP協定で、金型や手工具の関税、これは最高で八・四%あるいは三・一%だった関税が即時撤廃されます。ところが、私の知り合いの金型屋さんに話をしても、こういう話は知らないということであります。  こういうTPP協定によってもたらされるメリットを中小企業にどのように伝えていくのか、まずお伺いいたします。
  212. 井原巧

    ○大臣政務官(井原巧君) 浅田委員にお答えを申し上げます。  御案内のとおり、例えば、地元ということで、金型、手工具については、特に日本からはアメリカへの輸出が非常に多いというふうにお伺いしておりまして、例えば金型は米国へ約二百億輸出しております。また、手工具については米国へ五百三十六億という、そういう大きな輸出をしているところでありますが、その金型については、我が国から米国への輸出額の約九割についての関税が即時撤廃され、また手工具については、米国の全ての関税が即時撤廃されるということになります。  金型や手工具を生産する我が国の企業には中小企業が非常に多くなっておりまして、直近のデータだったら、金型、手工具の事業所は七千八百二十ありまして、従業員は約八万三千人いらっしゃいます。そのうち二十人未満の事業所は八七・九%というように、まさに中小企業の産業体でございまして、先ほど述べたようなTPPによる関税撤廃は、こうした金型産業や手工具産業の輸出機会の拡大につながることが期待されております。  加えて、TPPは、自ら輸出を行うというだけではなくて、取引先である中堅・中小企業の受注拡大にもつながります。例えば、先ほどもお話し申し上げましたが、TPPにより自動車部品の関税が撤廃されることによりまして取引先の自動車部品メーカー等の輸出が拡大することで、自社の受注も拡大することに期待を寄せている金型メーカーもいるというふうにお伺いをいたしております。  また、もう一つのメリットといたしまして、TPPによる新たなルールの下では、自由で公正な世界の四割経済圏が新たに生み出されて域内各国のルールが統一されることによりまして、各国ルールに対応することが難しい、大企業はすぐに対応できますけれども、そういうことができない中堅・中小企業にとっても各国に進出するチャンスが増大するというふうに考えております。先ほど関税のメリットをお話ししましたけれども、加えまして、模倣品の対策とかあるいは通関手続の円滑化などのルールが整備されましたので、中堅・中小企業の海外展開にも大きなメリットをもたらすものというふうに思っております。  次に、周知と支援ということでありますけれども、これまで海外展開に取り組んだことのない企業も含めて積極的に市場獲得を目指すことは我が国にとっても大変重要というふうに考えておりまして、まず周知につきましては、これまで経済産業省といたしましては、経済産業局、ジェトロ、中小機構の六十五か所の拠点にまず相談窓口を設置しております。また、全国四十七都道府県で百二十回以上の説明会を開催し広く情報提供を行っておりますが、引き続き、先生の御指摘のように、できる限り丁寧に広く情報提供を行ってまいりたいというふうに思っております。  また、ジェトロ、中小機構などの機関の参加をいただきまして今年二月に新輸出大国コンソーシアムを設立し、海外ビジネスに精通した専門家による海外事業計画の策定、支援機関の連携の確保、現地での商談のサポートなどの支援を行うこととしておりまして、これまで支援申込みのあった企業は実は二千百六十九社に現在及んでおりまして、また、先生お知り合いの方がいらっしゃいましたら周知をよろしくお願い申し上げたいと思います。  このコンソーシアムには、これまで全国各地の九百八十八の支援機関が参加しております。支援を希望される企業には、全国四十九か所に設置している窓口を始め、支援機関の相談窓口に御相談いただければ真摯に対応をさせていただきたいと考えております。また、幅広い分野における三百九名の専門家を確保しておりますので、支援対象となった場合には担当の専門家が張り付いて支援をしていくこととなっております。是非、身近な窓口に気軽に御相談にお越しいただければというふうに思っております。  今後とも、TPPを契機として、引き続き中堅・中小企業の海外展開に全力で取り組みたいと考えております。
  213. 浅田均

    ○浅田均君 ありがとうございますと言いたいんですが、例えば大阪の中小企業にとって、近畿経産局とかジェトロというのがあるんですよ言うても、はあ、何ですかというような多分反応を示すと思うんです。だから、その先の対策です。その先、私に頼まれても、それはやれと言われたらやりますけど、もうごく範囲が限られております。もっと役所を使って広く周知徹底していただきたいと思います。  それで、ジェトロとか近畿経産局とか、出先ありますよね。そこから先の話はどういうふうになっているんですか。
  214. 井原巧

    ○大臣政務官(井原巧君) 先生の御指摘のとおりでありまして、私も首長出身でありまして、経産局とか、なかなか遠くて近いような、そんな感じもありました。  今回、私どもの方は、できる限り商工会議所とか商工会にしっかり下ろそうということにしておりますので、まずはそこを身近な相談窓口としてお尋ねいただければ、対応できるように取り組みたいと考えております。
  215. 浅田均

    ○浅田均君 続いてお伺いします。  この三十章のうち、あえて二つの章を使って中小企業に関することが書かれてあります。協定書の二十二章、競争力及びビジネスの円滑化、そして二十四章が中小企業そのものとなっております。二十二章では、中小企業のサプライチェーンへの参加を支援すること等について定めるとありますが、どのようにして参加を支援していくのか、これは具体的なことですので、御答弁お願いいたします。    〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕
  216. 宮本聡

    ○政府参考人(宮本聡君) お答え申し上げます。  中小企業の方々が実際に海外に進出する、あるいは海外のサプライチェーンの中でしっかりした役割を果たしていくためには、やはりまず海外の市場あるいは規制に関するいろいろな情報について丁寧に提供することが必要かと思います。  それから、実際に海外に展開するに当たっては、いろいろな事業計画を立てる、あるいは専門家の知識をサポートしてもらう、こうしたことについて、ジェトロ、中小機構、その他関係機関が連携を組みながら、しっかりと支援していきたいと思っております。  また、具体的に海外に出るに当たっては、やはり中小企業そのものの経営力を強化する、あるいは幾つかの中小企業がネットワークを組んで海外に進出する、こういうことも必要だと思いますので、そうした点についてもいろいろな支援策を用意してサポートしていきたいと思っております。
  217. 浅田均

    ○浅田均君 また先ほどと同じ返事で、例えば近畿経産局、各管区の経産局とかジェトロを通じて事業計画とか市場とか規制について教えて、事業計画なんかも見ていくということですが、これはなかなか末端まで及んでいないんですよね。全国でいろいろ説明会をされたとおっしゃっていますけれども、現場ではなかなかそういう声を聞いている人が少ない。そこが一番の問題なんですね。  だから、TPPといって、確かに農業とか問題のあるところはいろいろあって、それは正していくところ、必要なところはあるんですけれども、もたらすメリットというのはたくさんあるんですよ。それが全然周知されていない。だから、俺はTPP賛成やという町の工場主とかが現れないという原因になっていると私は思っております。  だから、この点につきまして、もう一つ、二十四章のところですか、例えば金型や手工具を製造している中小零細企業が単独で海外進出するのは難しいと思われます。だから、今質問しました中小企業のサプライチェーンへの参加とか、中小企業が協定によってできる商機を支援せよという規定があるんだと思います。  それで、質問させていただきますが、小委員会を設置して、中小企業が本協定による商業上の機会を利用することを支援する方法を特定することを規定しております。ここにある中小企業支援で、どのような方法を考えておられるのか、再度お尋ねいたします。
  218. 井原巧

    ○大臣政務官(井原巧君) 御質問にお答えを申し上げます。  先生がおっしゃるように、中小企業では、海外に進出する話、なかなか情報も入っていないよという心配をされる懸念もあります。先般の答弁でもお答えいたしましたけれども、日本の中小企業にアンケートを取ると、八割ぐらいが、やっぱり言葉の壁とか地理的要因とか制度の壁とか、始めていくことについてちゅうちょもしているし、情報もないしと、こういうことでありますから、今回、先ほど輸出コンソーシアムの話をしましたけれども、縦割り行政を排除して縦横無尽にできる限り連携をして寄り添うようなことで輸出産業として成長できるようにと、海外展開を検討しているところであります。  そういう中で、今先生がお話あったのは、中小企業として海外に進出するに当たって、規模拡大とか健全な育成とかいうことについてどう取り組んでいるのかということでありますが、一つには、まず個々の中小企業の経営力を強化するということが必要だと思います。そこで、本年七月に中小企業等経営強化法を施行したところでありますが、この法律では、生産性向上策をまとめた事業分野別指針に基づいて中小企業の皆様に計画を作成していただいた場合には、固定資産税の減税による設備投資支援とか、あるいは外国金融機関に対する信用状の発行、スタンドバイクレジット制度というのですが、などで支援をさせていただいているところであります。これは企業単体としてどう強化するかということです。  次に、企業の連携ということでお話を申し上げますと、高い技術力を持つ中小企業同士が連携することでコストの効率化や高度な技術開発を可能にしている例も出てきておりまして、経産省では、中小企業におけるイノベーションの創出を図るため、中小企業による革新的な物づくり開発支援や産学官と連携して行う研究開発や販路開拓等を支援しておりまして、引き続きこのような取組を続けてまいりたいというふうに思っております。  また、海外進出体制の補完ということでありますが、海外展開の戦略策定や、あるいは当該戦略に基づく商品開発を支援するとともに、例えば複数の中小企業がまとまって海外の展示会に出展したいんだというようなことがあればそれを支援するなど、きめ細やかな支援を講じているところでもあります。また、九月に私もメキシコに訪問いたしましたが、中小企業海外展開現地支援プラットフォームというのを今度は外国に、世界十五か国二十一か所に設置しておりまして、ビジネスの相談とかマッチングとか、海外進出先におけるサポート体制も今般構築をしているところであります。  引き続き、中小企業の経営力の強化や複数企業による展示会出展支援等を通じて、海外進出の支援に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
  219. 浅田均

    ○浅田均君 今いろいろおっしゃいましたけれども、経営力強化とか、単体では難しいので複数の企業が共同してやってもらうというのは、別にTPPがあろうがなかろうが、そういう支援はもうされているわけであって、TPPの二十四章にあえて、特定せよと、支援する方法を特定することを規定しております。ここで、あえて何で支援する方法を特定というふうな書かれ方がされているのかを聞いているんです。
  220. 宮本聡

    ○政府参考人(宮本聡君) お答え申し上げます。  ただいま政務官の方から答弁ございました支援措置については、もちろん今一部やってございますが、この度、TPPを活用して中小企業が具体的に海外展開をし、サプライチェーンの中で重要な役割を果たす、あるいは海外の市場を取っていくに当たりまして、よりこうした支援措置を充実させる、あるいは、さらに今までにはないような形で、海外展開の例えば計画の策定とかその強化をするに当たって重点的に支援するという、こういう必要があると思っております。そうした形をもってこのTPPの中での中小企業の役割をより強化していきたいと思っているところでございます。
  221. 浅田均

    ○浅田均君 支援する方法を特定というのはそういうことでいいんですか。何も特定していないように、今の答えでは特定された内容についてお答えいただいているようには思えないんですが、いかがですか。
  222. 宮本聡

    ○政府参考人(宮本聡君) お答えいたします。  具体的にどのような形でどこまでその支援策を特定していくか、あるいはそれを各国でどういうふうに共有していくかというところについては更に今後議論が、事務的な議論も含めて必要だと思っております。  ただ、我々としては、今申し上げたように、中小企業が海外に展開するに当たっては、まず必ずその情報提供ということが必要になってきますし、その後の海外展開の計画策定などの支援、あるいはそれに当たっての経営力を含めた体制の強化、あるいは海外に出ていった後の相談体制の強化、こうしたことは必ず必要になってきますし、TPPの活用に当たっては更にそれを充実していきたいと思っているという意味で、一つはこういう形での特定といいますか支援の明確化というのがあると思っているところでございます。
  223. 浅田均

    ○浅田均君 これから更に議論を続けていくということですので、一つお尋ねいたします。  金型メーカーが困っていることに、設計図が保護されないという点があるんです。大阪でも多くの金型工場が廃業しております。もちろん3Dプリンターとかいうものの普及もあるんですが、理由の多くは、製品とともに、金型とともに設計図を添付することになっており、そのために金型のコピーが簡単に作られてしまうことが原因となっているようです。  そこでお尋ねしたいんですが、金型の設計図に著作権はあるのかないのか、お答えください。
  224. 井原巧

    ○大臣政務官(井原巧君) お答えを申し上げます。  著作権そのものは文科省の所管ということになるんですけれども、金型の設計図ということでお答え申し上げますと、まず一つは、創作性が認められる等の一定の要件を満たせば著作権法上の保護を受け得るものと承知をいたしております。また、創作性がなくても、創作性、工夫というか独自性がなくても、秘密として管理されている等の場合には、不正競争防止法上の営業秘密として保護されていると考えております。  営業秘密である金型技術が、例えば金型の顧客を通じて、金型メーカーに無断でその図面を介して海外に流出しているというケースがございまして、金型産業の競争力低下につながるのではないかという懸念がある点につきましては、先生同様、認識もしているところでございます。  このため、政府といたしましては、平成十四年に金型図面や金型加工データの意図せざる流出の防止に関する指針を策定いたしまして、金型事業者向けに、契約内容の明確化、あと、マル秘マークの付与、機密保持契約の締結などにより適切に管理するよう促しているところでございます。  金型業界に対する知的財産取引法制セミナー等を通じた知識の普及啓蒙を行うことにより、意図せざる技術流出を防ぎ、我が国金型産業の競争力の維持に努めてまいりたいと考えております。
  225. 浅田均

    ○浅田均君 著作権は一応はあると、条件を満たせばある、創作性とか営業秘密ですね。創作性というのはこれ極めて、何というのかな、主観的な判断で、これ、この金型に創作性があるかないか、これどないやって判断するんですか。
  226. 井原巧

    ○大臣政務官(井原巧君) 判断ということですけれども、まず、金型の設計図については、さっき申し上げたとおり、創作性が認められる等の一定の場合には著作権としての保護が与えられると。この場合には、TPPの締結国においても協定上に定められた保護が与えられるものというふうに理解をいたしております。  また、権利行使手続、民事等の確保についてこういうふうに規定をされておりまして、各締約国は、協定にて対象とする知的財産権の侵害行為に対し効果的な措置がとられることを可能にするため、知的財産の権利行使に関する訴訟等に関する規定や著作権侵害等の事案の法定損害賠償等、権利行使の手続を自国の法令において確保する旨を規定されているところでございます。
  227. 浅田均

    ○浅田均君 次、そういう質問をしようと思っていたんですが、そうしたら、金型の設計図の著作権は創作性があるものに対しては相手国から保護が与えられるということで、ある種の金型の設計図の著作権はTPP協定で認められている、保護されるというふうに理解してよろしいですか。
  228. 井原巧

    ○大臣政務官(井原巧君) 再度ということになります。今、TPP協定でということでありますが、TPPの締結国においても協定上定められた保護が与えられるというふうに御理解いただければと思います。
  229. 浅田均

    ○浅田均君 今の御認識というか決まりは非常に重要なことだと私は思います。といいますのも、金型を輸出して、もう簡単にというか、模造されてしまうわけですね。それはほとんどは、国の名前出していいのかどうか、事実として中国がやっていると。これは、そういう保護を与えられるという協定をTPPで定めてしまうことによって、これからどうなるか分かりませんけれども、日中韓FTAとか、それから更に進んでRCEPというEPAが考えられておるわけであって、そういうマーケットの広がりを見据えたときに特に重要になってくると思いますので、そういうことに関しての知識の普及というものをとりわけ中小企業相手によろしくお願いしたいと思います。  それで、今ちょっと著作権のことになりましたので、著作権のことを議論したいと思います。質問したいと思います。  まず、著作権の非親告罪化、これは先ほどの議論、やり取りの中にもありましたが、非親告罪化をめぐっては、柔軟に海賊版対応を行うには非親告罪の方が適しているという意見がある一方で、これも議論になっております、非親告罪化することにより、刑事罰を恐れ、二次創作文化やビジネス活動が萎縮すること等が懸念されます。  そこで、改正法案では、TPPでの合意を受けて、海賊版のように正規品市場と競合する罪質が重い行為を非親告罪化すべく、非親告罪化の対象を、先ほどのお話でも出てきましたけれども、三要件を満たす行為に限定しております。これ、改正法の百二十三条です。  その結果、映画の海賊版の販売あるいはインターネット配信は非親告罪の対象とされますが、小説を基に同人誌等の二次創作作品を作り販売する行為や、漫画のパロディーをインターネットに投稿するといった、原著作物を原作のまま提供しない行為は親告罪のままとなると一応整理がされております。しかし、コミック一話分や漫画全部をコピーしなくとも、例えばミッキーマウスや、古いですが、ポパイの絵を一枚書いただけでも著作権侵害になっております。  原作のまま提供しなくとも、原作を含む二次創作を、この条文、申し上げました百二十三条で完全にクリアできているのか、お尋ねいたします。
  230. 松野博一

    ○国務大臣(松野博一君) 非親告罪となる要件に関しては、委員から御指摘をいただきました三要件全てに該当をするということでございますが、原作のままとは、原作の著作物等をそのまま再現をするということを意味をしております。  委員御指摘の例において、原作の絵をそのまま利用する部分については、原作のままという要件を満たす可能性があると考えられます。しかしながら、一般的には、二次創作活動は市場において著作物の正規品の販売と競合するものではないということであり、権利者の得ることが見込まれる利益を不当に害する場合には当たらないと考えられることから、非親告罪には当たらないと考えております。
  231. 浅田均

    ○浅田均君 大臣、もう一回、原作のまま提供しなくても、原作の一部を含む二次創作に対してこの条文で完全にクリアできているのかとお尋ねしたんです。
  232. 松野博一

    ○国務大臣(松野博一君) 全体の中で一部が原作のままということであれば、その部分に対して、これは原作の絵をそのまま利用する部分についてはその要件を満たす可能性があるということでありますが、これは全体として、作品として一般的に二次創作活動、市場において著作物の正規品と、販売と競合するというものではないので権利者の得ることが見込まれる利益を不当に害する場合には当たらないと、これは先ほど述べたとおりの判断から非親告罪には当たらないんではないかと考えております。
  233. 浅田均

    ○浅田均君 断定していただいたわけではないですけれども、それに限りなく近いということで、次の質問に移らせていただきます。  今の著作権、親告罪、非親告罪、それから原作ということに関して、日本にはフェアユースという包括的な権利制限がないんです。私人の家庭内複写、例えば家でテレビをビデオに録画するとか、雑誌を個人的にコピーするとか、引用ならオーケーとか、個別の権利制限規定があるだけです。個別規定ですので汎用性がありません。応用が利きません。だから、新しい態様の使い方が出てきたときに法律がなくて、そういう利用の仕方をすれば全部違法になってしまうおそれがあるわけです。  そもそも、アメリカではこんなことは問題になりません。といいますのも、フェアユースという規定があります。正当な利用については著作権が及ばないことが法定されているからです。  このフェアユース規定というのはTPP合意の中には含まれていないのか、お尋ねいたします。
  234. 松野博一

    ○国務大臣(松野博一君) 米国のフェアユース制度は、米国の判例法理によって確立され、後に米国の著作権法によって成文化をされたものであり、一定の要素を考慮した上で公正な利用と認められれば著作権者の許諾なく著作物の利用を認めるという、一般的、包括的な権利制限規定であると承知をしております。  TPP協定においては、このようなフェアユース制度について特段の規定は設けられておりません。
  235. 浅田均

    ○浅田均君 アメリカにフェアユースという規定があって日本にはそれがなかったというところで、検索エンジンの問題が出てくるんですね。  検索エンジン、今ですと日本だったらグーグルとかヤフーとか、これはウエブにあるホームページのデータを一回読み込みます。この時点で自分のところのコンピューターにコピーができます。これは家庭内複写ではなくて、企業がそういうことをやると企業による複写になるので、日本法上では違法となるリスクがあるということでありました。そのウエブ上に転がっているホームページのデータを一回読み込んで、そのデータを解析してインデックスを付けて自社のサーバー上で検索エンジンとして運営している、これがグーグルとかヤフーです。これができなかったので著作権法を改正してできるようにした、それが二〇〇八年のことでした。検索エンジンは、一九九六年、ウィンドウズ95というのができて、その後頃には既にできておりました。  この遅れを生じてしまった、それが米国と中国の制圧を許すことになってしまったと。すごい、こういうフェアユースという規定がなかったがゆえに、グーグル、検索エンジンという大きなビジネスチャンスを逸することになってしまったと私は言わざるを得ないと思います。  著作権というのは、議論になっておりますが、非常に難しい法律で、権利者の権利を強めるだけでは必ずしも法の目的を達成することはできず、著作物の利用がうまく進むように権利を制限することも大事。今回のTPP改正法案は主に米国並みに著作権者の権利を強めるものでありますが、米国並みに著作物の利用を認めるための権利制限という観念が完全に欠落しております。  日本でも、TPPの中にはフェアユースという考え方は導入されなかったというお答えでありましたが、日本の中で包括的な権利制限規定、例えば、申し上げておりますようなフェアユースを認める旨の法改正をするべきだと私は考えます。でないと、また同じような態様のネット利用が出てきたときに、アメリカあるいは中国ではそういう巨大産業を成立せしめたようなことが日本では不可能になるからです。  この点に関しまして大臣の御見解をお尋ねいたします。
  236. 松野博一

    ○国務大臣(松野博一君) 委員御指摘のように、TPP協定によって、権利保護の強化だけではなくて、著作物の利用円滑化を図るということも重要な観点かと存じます。文部科学省では、政府の知的財産戦略本部の方針等に基づきまして、デジタルネットワークの進展に対応した柔軟性のある権利制限規定について、現在、文化審議会において集中的に審議を行っているところであります。米国のフェアユースのような柔軟性のある権利制限については、立法を待たずに新たな利用行為に対応できるという反面、法規範の予測可能性が低下をするというメリットとデメリットの両面の指摘がされておりまして、関係者の賛否が分かれているところであります。  こうした指摘も踏まえながら、委員のお話の中にありましたとおり、社会のニーズに的確に応え、将来の変化に適切に対応ができるよう、権利保護と利用円滑化のバランスに留意しつつ、我が国において最も望ましい制度、このことについて検討を進めてまいりたいと考えております。
  237. 浅田均

    ○浅田均君 今、検索エンジンのことでお伺いいたしましたが、同じような著作権に関わることにつきましてでありますので、カラオケについてちょっとお伺いしておきたいと思うんですが、カラオケというのは歌ですね、ミュージックソングを著作権から見ると三つのパーツに分かれると思います。普通の歌手さんが歌を歌うというのは三つのパーツに分かれて、これ、一番目が歌詞です。歌詞は文学に属する著作権。これ、ボブ・ディランがノーベル賞を取ったように、文学に属する著作権。それから二番目がメロディー、これは音楽に属する著作権。それから三番目、これは歌手の歌声、実演家のパフォーマンスという、これは著作隣接権です。カラオケというのは、歌い手さんが歌う歌の一番目の歌詞と、それからメロディー、それから三番目がお客さんの歌の三つの部分に分解して理解できます。  それで、カラオケ屋さんというお店は何をやっているのかというと、これは特に何もやっていない、機械を置いているだけです。著作権を利用している主体はというとお客さん。客が機械を操作してメロディーを流す、客が歌詞を歌う。これは著作物を朗読するということであります。したがって、客は著作権を侵害している。しかし、店は箱を提供しているだけなので著作権侵害にはならない。この理解は正しいですか、間違っておりますか。
  238. 松野博一

    ○国務大臣(松野博一君) カラオケにより音楽を利用するカラオケ店等の事業者は、その利用の態様に応じてこれらの著作権者等の許諾を得る必要が発生をいたします。例えば、カラオケ店が通信によってその音楽をカラオケ店内で流すということになりますと演奏権が発生をいたしまして、この演奏権につき著作権者と契約を行う必要が発生をすると承知をしております。
  239. 浅田均

    ○浅田均君 ちょっと何の話をしておるんやと言われかねませんが、我が国におきましては、ポップカルチャーというか、規制のないところで、漫画にしてもアニメにしても全然規制のないところで一大文化、日本の文化として育ったというところがありますので、今カラオケのことについてお尋ねしているわけであります。  カラオケのついでに、例えば物まねというのがありますね。物まねというのは職業として成立しております。物まねする人がオリジナルの歌をまねして歌うと、これは著作権を侵害しておりますか。
  240. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 物まねということでございます。  基本的に著作物をそのまま利用しているということでありましたら、基本的に著作権を侵害をしているということになりますけれども、基本的に著作権者がそれをどう判断されるかということになろうかと思います。
  241. 浅田均

    ○浅田均君 これは、そうしたら、親告罪の対象ですか、非親告罪の対象ですか。
  242. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 基本的に今のお話は、原作のままではないということとか、あるいは、要すれば、本来の著作物の市場における流通の価値、そういったものを侵害しないという三つ目の要件がございますけれども、そういったものに基本的には引っかかってこないということでございますが、非親告罪にはならないということでございます。
  243. 浅田均

    ○浅田均君 カラオケの場合と違って、歌詞ですよね、それからメロディー、それから三つ目の著作隣接権を持っている歌手、この歌手に限りなく近いというのが物まねなんですよ。だから、似てるな、うまいなというのが物まねの芸人さんの価値を高めるわけですね。それで、限りなく似てしまったら、絵さえ見えなければ本人と同じになってしまうわけで、これは非親告罪になるのと違うんですか。
  244. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。  非親告罪、いわゆる著作権侵害であるのかどうかということと、いわゆる非親告罪であるのかどうかという話については分けて考えなきゃいけないと思っております。  非親告罪になるのかというお尋ねでございましたので、先ほど大臣の方からるる御説明いたしましたように、いわゆる限りなく似ているわけでございますけれども、ある意味二次著作物でございますけれども、こういったものが、本来の歌手の例えばレコードとかそういったものの売行きが、いわゆるそういったものが少なくなるのかということがございますれば、基本的には本来の歌手の歌を聞きたいというのが本来的な考え方だと思いますので、そういうことになりますと、先ほど申し上げましたような、いわゆる正規品のですね、本来の歌手が歌ってレコードを販売していると、そういった正規品の販売等と競合することではないということでございます。これは三番目の要件。そういったものに該当をしませんので、非親告罪にならないと、そういうことでございます。
  245. 浅田均

    ○浅田均君 これ、議論すれば限りなくややこしい議論になってしまって、あえてこういう議論をさせていただいているわけです。コロッケさんという有名な物まねの人が、委員長御存じですよね、おられて、この人が日本で五木ひろしさんのまねをやると。これは別に罪の対象にはなりませんけれども、アメリカでエルビス・プレスリーの、もう亡くなりましたけど、まねをすると、これはフェアユースで認められると。だから、あの人がアメリカでやったら合法で、日本でやったらちょっと分からぬと。  こういうルールを統一するのがTPPではないのかということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  246. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  トランプ次期大統領が当選直後にTPPから離脱すると言いました。また、先日も共同宣言で、TPPの承認は困難になったと言われています。であるにもかかわらず、なぜ日本でこういう形でTPPの議論をし、かつ承認に向かおうとしているのか、全く理解することができません。  先日は遺伝子組換え食品と公共調達などについて御質問しました。今日は、薬の承認、薬価、中医協、そして共済などについて御質問をいたします。  まず、薬の承認について製薬会社が納得しない場合、行政不服審査を行うシステムになっており、TPP発効後もその仕組みは変わらないと政府は説明をしております。  ところで、政府は外資系企業の行政不服審査件数について現在どのように把握しているでしょうか。
  247. 武田俊彦

    ○政府参考人(武田俊彦君) 医薬品の承認に関しましては、行政不服審査法に基づく審査請求につきましては、当該処分を行った行政庁である厚生労働省に提出することとされております。このため、厚生労働省では審査請求の有無及び件数につきまして通常の業務の中で把握しているところでございます。
  248. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 その件数について、どう把握しているでしょうか。
  249. 武田俊彦

    ○政府参考人(武田俊彦君) 過去五年間、医薬品の承認に関して、内資、外資問わず、製薬会社から厚生労働省に対する行政不服審査法に基づく不服申立てはなかったと承知しております。
  250. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 これはレクの段階では把握していないというお答えだったので、把握していないとすれば、TPP発効後どのように変化するか分からないじゃないかということを質問しようと思っていたんですが、今後、TPP発効後、薬の承認に関して外資系製薬会社の態度がどのように変化すると考えているでしょうか。
  251. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 我が国では、TPP発効による医薬品に関する制度変更は特にないと思っております。  また、医薬品の承認に当たっては、従来から製薬会社と申請内容に関する確認などを入念に行いながら科学的な審査を進めていくということをやってきておりまして、TPP発効を契機に、外資系を含めて製薬会社から不服申立てが大幅に増加するというような懸念はないというふうに考えております。  厚生労働省としては、引き続いて、大事なことは、科学的事実に基づいて綿密にこの確認をしながら、医薬品の有効性、安全性の確保に努めるということだと思います。
  252. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 薬価算定組織において、二〇一二年度から二〇一六年度、十月末までの間に、当初算定案に対して企業から不服意見が出され、再検討を行ったのは十三社十五回とされております。このうち、再検討により薬価に変更があったのが七社七回あり、変更がなかったのが七社八回です。ほぼ同数に近いものと思われます。これを外資系と日本企業で分けてみると、外資系では薬価に変更があったのが四社四件で、変更がなかったのが五社六件です。日本企業では薬価に変更があったのが三社三件、変更がなかったのが二社二件となっております。  この数字で間違いがないでしょうか。
  253. 鈴木康裕

    ○政府参考人(鈴木康裕君) 薬価算定組織、それから企業から提出された不服意見についてお尋ねがございました。  二〇一二年度から二〇一六年十月末までの間、薬価算定組織における当初の薬価算定案に対して企業から不服意見が提出された件数及びその内訳につきましては、今御指摘になったとおりでございます。
  254. 福島みずほ

    福島みずほ君 この数字について企業側から計数ベースで眺めた上であえて勝敗を付けると、外資系四勝六敗に対して日本企業三勝二敗という言い方ができます。  TPP発効を好機と捉えた外資系製薬会社が日本の薬価算定システムに対してより攻撃的姿勢で臨む可能性が高いのではないでしょうか。
  255. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) このTPPの協定医薬品等に関する附属書第三条(c)におきまして、申請者に対して、意思決定の過程の適切な時点において意見を提出するための時宜を得た機会を与えることが求められております。  これに関しましては、既に我が国の薬価算定プロセス、ここにおきましては、内資企業か外資企業かにかかわらず、薬価算定の原案を策定する薬価算定組織において申請者の意見陳述の機会を設けるとともに、意見を聞いて検討され策定された薬価算定の原案、これにつきまして不服意見の提出、陳述の機会を設けております。それはまさに我が国の薬価決定プロセスと整合的でありまして、したがいまして、TPP協定によって我が国の薬価算定プロセスが特段変更を求められることはございませんで、内資企業、外資企業を区別なく取り扱っていることから、外資企業が我が国の薬価算定システムに対してこれまでより今おっしゃった攻撃的な姿勢で臨むようになるといったような御懸念は当たらないのではないかと思います。
  256. 福島みずほ

    福島みずほ君 薬価算定組織において不服意見が聴取されるのに対して、中医協においては文書提出のみとなっております。  今、塩崎大臣がおっしゃったように、附属書では意見提出の機会を与えるという規定があります。そうだとすると、中医協の扱いはどうなるんでしょうか。中医協の中に、例えば製薬会社が、とりわけ外資系が、自分たちがオブザーバー参加を認めてほしい、あるいは文書だけではなくて自分たちのヒアリングをその中でちゃんとやってくれ、そういうことが起こり得るのではないですか。つまり、意見表明の機会を与える、現在では中医協では文書提出のみとなっているが、それが変わるんじゃないですか。
  257. 鈴木康裕

    政府参考人(鈴木康裕君) 中医協における薬価決定のプロセスでございますが、中医協におきましては、審議の結果、薬価収載を行わないということになった場合には、申請者から書面で不服意見を提出するという機会を設けておりまして、再度審議を行うこととなっております。これは附属書に規定されている内容と整合的であり、TPP協定によって我が国の制度を変更する必要はないというふうに考えております。
  258. 福島みずほ

    福島みずほ君 附属書では意見表明の機会を与えるとなっています。意見表明の機会であれば、書面だけではなくて、私がもし製薬会社あるいはそこの弁護士であれば、意見表明、オブザーバー参加を認めろとか、ちゃんと自分のヒアリングを認めろというふうに、より積極的に自分たちの意見の表明を求めるんじゃないですか。
  259. 鈴木康裕

    政府参考人(鈴木康裕君) 意見表明でございまして、これ、書面による意見表明もございますし、基本的には書面による意見表明はいけないというふうに言っているわけではございませんので、我が国では書面による意見表明をしていただいているということでございます。
  260. 福島みずほ

    福島みずほ君 済みません、私の質問の意図は、意見表明が書面では足りない、きちっとオブザーバー参加を認めて発言させてほしい、あるいは自分たちのヒアリングを公式にやってほしいということを、意見表明の機会を与えるとなっていれば、そう要請されることが、可能性があるんじゃないかという質問です。
  261. 鈴木康裕

    政府参考人(鈴木康裕君) 私どもの理解としては、書面により意見表明の機会を与えているということで十分にそれが保障されているというふうに考えております。
  262. 福島みずほ

    福島みずほ君 それは日本政府の考えであって、相手方は、意見表明が書面だけでは足りない。オブザーバー参加を認めろというのは国会の中でも重要なことですが、参加を認めてほしい、意見表明の機会を与えてほしい。やっぱりそれは書面と違うじゃないですか。直接出て参加をするということは大きいことで、様々な審議会でもそれはいつも議論になることじゃないですか。日本政府は書面による意見表明しかないと言うけれども、書面に限っていないじゃないですか。
  263. 鈴木康裕

    政府参考人(鈴木康裕君) 先ほど委員からも御指摘いただきましたように、薬価算定組織においては出席をしていただいて意見を表明していただく機会はございます。中医協においては、それに不服がある場合に書面において不服を提出することはできるという状況になっておりますので。
  264. 福島みずほ

    福島みずほ君 もう一回確認させてください。  もしTPP協定を日本が批准した場合、中医協の中で製薬会社が自分たちの意見表明を直接聞いてほしい、そのことは可能ですよね。
  265. 鈴木康裕

    政府参考人(鈴木康裕君) 繰り返しの答弁になって恐縮でございますけれども、意見表明の機会を与えるということで、これ書面によって保障しているということで十分我々としては保障できているというふうに考えております。
  266. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、駄目ですよ。私たちは書面によって十分だと考えている。しかし、相手方があるわけで、相手方が書面による意見表明では不十分だと考える可能性はあるんじゃないですか。
  267. 鈴木康裕

    政府参考人(鈴木康裕君) 繰り返し答弁、大変恐縮でございますけれども、書面による意見表明による機会を設けているということで、十分我々としては機会を保障しているというふうに考えております。
  268. 福島みずほ

    福島みずほ君 だから問題だと思います。  製薬会社、外資系企業、あるいは顧問弁護士であれば、自分たちの意見が十分表明されない、これはTPP委員会の中で議論が出るかもしれませんし、中医協で意見表明ができると書かれたら、それは大きな権利じゃないですか。意見表明させろと言いますよ。書面では不十分だと、ちゃんと聞いてくれとなるし、ISDS条項で、意見表明が不十分だと、不十分だったために自分たちの薬価が下げられたと訴える可能性があるじゃないですか。日本政府が幾ら、私たちは書面で十分機会を保障しておりますと言うけれども、それは相手方から見れば日本政府の理屈であって、相手方が納得しないということもあり、訴えられる可能性があるということを強く申し上げたいと思います。  文書には意見表明の機会を与えると書いてあるんですよ。書面と書いていないわけだから、幾らでもこれで意見表明させろという可能性があるというふうに思っています。私たちはそう考えていないというのでは、全くこれは納得がいきません。  次に、共済制度についてお聞きをいたします。  というか、その前に、水戸の公聴会に私も出席し意見を述べさせていただきました。与党推薦二人、野党推薦二人、合計四名ですが、与党の側の公述人からも、TPPに積極的に賛成、あるいはTPP協定を早く批准承認してくれ、そんな意見は出ませんでした。そして、野党推薦の二人の公述人からは、岡野公述人と原中公述人の方からは、とりわけ岡野公述人からは共済についての懸念が示されましたので、質問をいたします。  石原大臣は、十月二十八日の衆議院TPP特別委員会で、TPPの金融サービスに関する小委員会、第十一・十九条において日本の共済制度が検討課題になったり投資紛争になったりする可能性について、小委員会で問題に挙げることは何でもできるわけですね、全ての問題について取り上げることは理論的にはあり得るということが前提でございますと答弁をしていらっしゃいます。  TPPにおいて、確かに共済制度は章としては立てられておらず、交渉経過から見ても、そんなにこのことが大いに議論をされたわけではありません。しかし、TPP下で共済が保障される、保護されるという根拠は全くないんじゃないですか。
  269. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) もう委員が御指摘いただきましたとおり、TPP協定における金融サービスの章には共済というものはございませんし、特に共済が議論をされたということはございません。  もう既に、我が国の共済制度というのは、WTOのときからでございますけれども、何ら様々なことに抵触するような形で運営はされてきておりません。  そして、私の発言は、小委員会で取り上げられて制度変更を求められるのではないかという御質問だったと思うんですけど、それに対しまして、共済に関連する内容が議論されることは理論上排除されるものではないというふうに御答弁をいたしました。  第二十七章第三条に明記されておりますとおり、TPP協定に規定する小委員会等の決定は、いずれの国の反対がないことが条件とされておりますいわゆるコンセンサスでございます。したがって、小委員会において我が国の国益に反するような形で共済についての制度変更が求められることはないと御答弁をさせていただいたと御理解いただきたいと思います。
  270. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 日本が耐えられるのか、あるいはISDS条項で訴えられる可能性があるのではないかということについて御質問をいたします。  在日米国商工会議所は、外資系を含む保険会社と共済等が日本の法制下で平等な扱いを受けるようになるまで、共済等による新製品の発売や既存商品の改定、准組合員や非構成員を含めた不特定多数への販売、その他一切の保険事業に関する業務拡大及び新事業への参入を禁止すべきであると言っています。全ての共済等は、保険業法下で金融庁監督下の保険会社と同一の監督下に置かれるべきであると主張しています。  ということは、今、共済制度はそうなってないわけですが、外資系、いろんな生命会社が全て金融庁監督下の保険会社と同一の監督下で同様に扱われるべきだと主張する可能性は十分あるんじゃないですか。
  271. 山野内勘二

    ○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。  今議員御指摘のACCJは在日の米国商工会議所でございますけれども、このACCJは、定期的に会員企業の意見を取りまとめ、その意見書を公表しているところでございます。御指摘の共済に関する意見書もその一環というふうに承知しております。  協同組合による共済について申し上げますれば、共済はそれぞれの組織の特徴を踏まえて各組織の所管官庁において適正に監督されていると承知しておりまして、ACCJの主張は当たらないというふうに考えております。  また、そもそもTPP協定における金融サービス章においては、先ほど石原大臣からの答弁もございましたけれども、共済特有の規定は存在しておりません。保険などの非関税措置に関する日米間の書簡においても、共済に関する記述はございません。  TPP協定の金融サービス分野における共済の位置付けは、WTOのサービス貿易に関する一般協定や我が国が締結済みの経済連携協定と同じでございます。我が国の共済制度はこれらと整合的に運用されているというふうに考えておりまして、TPP協定によって我が国の共済制度の見直しが求められることはないというふうに考えております。
  272. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 日本は見直しを迫られることはないと言っているけれども、ACCJは言っているじゃないですか、駄目だって、同じに扱えと言っているじゃないですか。このことが生命保険会社の利害を、というか投資の章で、アメリカの、例えばですよ、生命保険会社の投資が侵害されている、日本の制度が駄目だということは十分あるわけです。現にそう言っているじゃないですか。同じように監督せよと、同じにせよと言っているじゃないですか。  かんぽ生命は、アメリカの生命保険会社と連携することになりました。まさにJA共済、コープ共済、全労済、様々な共済、私はこれはとても重要だと思っています。国際協同組合年も国連でありました。だから守りたいんです。だけれども、ここが狙われているんじゃないか、JA共済など狙われているんじゃないか、いかがでしょうか。
  273. 山野内勘二

    ○政府参考人(山野内勘二君) 先ほども申し上げましたとおり、このACCJはACCJの意見として申し述べたというふうに思いますけれども、政府として特定の団体が公表している意見書に逐一反論する立場にはございませんけれども、TPP協定、さらにはWTOのサービス貿易に関する一般協定等において、我が国はこの共済制度について適切にやっているというふうに考えております。
  274. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 私も日本は適切にやっていると確信をしていますが、しかし、投資の章で、これがアメリカの生命保険会社の侵害であるとなれば訴えられる可能性があるじゃないですか。現に言っているじゃないですか。だから狙われているんですよ。だけど、私たちはそう考えないということでは余りに牧歌的だというふうに思います。駄目ですよ。こういうことでTPP承認は駄目だと。だって、狙い撃ちするぞと言っているんだったら、狙い撃ちされるじゃないですか。守らないといけない、そう思います。  TPPは、港湾労働者の労働条件など処遇全般や港湾関連諸法令に影響を与えるでしょうか、どうでしょうか。
  275. 七尾英弘

    ○政府参考人(七尾英弘君) 港湾関係諸法令に対する影響についてお尋ねがありました。  港湾労働者の皆様に係る事業として港湾運送事業がございまして、港湾の機能を十分に発揮させるため、港湾運送事業は極めて重要な役割を果たしております。同事業につきましては、合意されたTPPにおける第十章、国境を越えるサービスの貿易における規律に服することとなります。国境を越えるサービスの貿易につきましては、内国民待遇、最恵国待遇、市場アクセス等が規定されているところでございます。  我が国では、港湾運送事業法等の国内法令上、国籍にかかわらず、一定の要件を満たした場合に事業の許可をしております。また、許可数等について制限をしておりませんので、追加的な法的措置等は求められておりません。
  276. 坂根工博

    ○政府参考人(坂根工博君) 港湾労働者の労働条件などに影響を与えるかどうかについてお答えを申し上げます。  TPP協定の第十九章、労働におきましては、労働者の保護の観点から、一九九八年の国際労働機関、ILOによります労働における基本的な原則及び権利に関する宣言並びにその実施に関する措置、いわゆるILO宣言でございますが、この宣言も踏まえまして、この宣言に述べられている労働者の権利を自国の法律等において採用し維持すること、また、貿易又は投資に影響を及ぼす態様により、この宣言に関係する法律の免除等を行ってはならないことなどが規定されております。  こうしたTPP協定第十九章の規定で定められている労働者の権利の確保につきましては、既に国内法令などによって担保されておりまして、TPP協定によって追加的な法的な措置は求められていない、こうしたことから港湾労働者の労働条件などに影響を及ぼすものではないと考えております。
  277. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 食料自給率について農水大臣と話を少ししたいと思います。これは質問通告していないのですが、根本的なことなのでよろしくお願いします。  農水省は長らく食料自給率を五〇%にすると言ってきました。私は、それはとても必要なことだというふうに思っています。今の食料自給率は約四五%、しかし、政府はこのTPP協定、承認すれば食料自給率が下がると言っています。どれぐらい下がると見通していらっしゃいますか。
  278. 山本有二

    ○国務大臣(山本有二君) これは影響評価の物の考え方の中から食料自給率の方程式、すなわち国内生産と輸入、輸出、そして更なる要件を分母といたしまして、国内生産を分子に置いて考えていくわけでございますが、おおよそ一%未満でございまして、食料自給率にほぼ影響はないと考えております。
  279. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 私は食料自給率が下がるという統計も見たことがあるんですが、今四五%が三九%台になる、あるいは下がるというふうなことではないでしょうか。外国から安いものや関税を撤廃して輸入品が多くなる。どうして食料自給率が一%の前後なんですか。
  280. 山本有二

    ○国務大臣(山本有二君) これは、影響評価におきまして、このカロリーベースあるいは生産額ベース、それぞれ方程式に入力をしたところ一%未満であったということでございまして、どうしてと、こう言われましても、方程式がございますので、この方程式にただ数字を加えるだけでございます。影響評価試算における数字を加えるだけでございますので、その意味においてひとつ御了解をいただきたいと思います。
  281. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 どう考えてもその方程式間違っていると思います。だって、関税なくすんですよ。外国から安いものが牛含めて入ってくるという段階で、どうして食料自給率が変わらないんですか。食料自給率、下がるでしょう。
  282. 山本有二

    ○国務大臣(山本有二君) 自給率と申しましても、先ほど申しましたように、分母に輸入と輸出と両方の数字が相殺されるわけでございまして、TPPにおけるGTAPモデルにおきましても双方が成長するわけでございますし生産量が上がるわけでございまして、その意味においては相殺されていくというように考えております。
  283. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 おかしいですよ。今、日本の食料は輸入が多くて輸出が少ないと。攻める農業というのがやれる人は一部ですよ。攻める農業は大事かもしれないが、そんなに多くありません。今のはでたらめですよ。食料自給率が変わらないなんという答弁はおかしいというふうに思います。これについては更に追及をしていきます。  また、ISDS条項で企業に、つまり投資が害されているということでしかISDSは訴えることができませんから、必然的に企業しか訴えることができない。日本は、個人通報制度、人権条項については世界でかなり批准していても批准をしません。なぜ企業が投資が害されたということでやれるのか。  この新自由主義、まさに企業のためのTPPは問題であるということを申し上げ、私の質問を終わります。
  284. 行田邦子

    ○行田邦子君 無所属クラブ、行田邦子です。よろしくお願いいたします。  今日は午前中、午後と、何人かの委員から著作権についての質問が続いていますけれども、私も、今日はまず著作権の保護期間延長に対応した著作物の利用円滑化について伺いたいと思っております。  まず、基本的な質問でありますけれども、大臣に伺いたいと思います。  この度のTPP交渉におきましては、著作権の保護期間が著作者の死後五十年から七十年に延長するということで合意をいたしました。このことが著作権ビジネスやまたコンテンツ産業、文化芸術産業など日本の産業に与える影響をどのようにお考えになっていますでしょうか。
  285. 松野博一

    ○国務大臣(松野博一君) 現在、OECD加盟国三十四か国中、著作物の保護期間が著作者の死後七十年未満であるのは我が国とカナダ、ニュージーランドのみであるということでありますが、TPP協定の締結により、これらの国も含め全てのOECD加盟国が保護期間が著作者の死後七十年以上ということになり、国際的な制度調和が図られるということがございます。  また、保護期間の延長によりまして長期間にわたり得られる収益によって、新たな創作活動や新たなアーティストの発掘、育成が可能となり、文化の発展に寄与するという意義があるものと考えております。  さらに、我が国の著作物が海外においてより長期間にわたり保護されることになるため、特に我が国のコンテンツの国際的な競争力が高い漫画、アニメといった分野を中心に、長期にわたり人気コンテンツが利用されることで中長期的な著作権料収入の増加が期待をされます。
  286. 行田邦子

    ○行田邦子君 今の御答弁ですと、五十年から七十年に延長されることによって長期にわたって日本の著作物が収益を得られることができるということでありますけれども、希望的観測としてはそれでよいのかもしれませんが、私、著作権の保護期間、五十年から七十年になることというのは日本にとっては余りメリットが、余りというか、ほとんどないなと、このように思っております。  なぜならば、著作権料収入の国際収支を見ますと、七千五百億円の赤字ということです。平成二十七年の著作権等使用料は、二千四百十二億円の収入、支出が約一兆円ということになっています。ですから、日本のコンテンツ産業は、また著作物に相当の劇的な飛躍とか変化が起きない限り、私は、七十年延ばすということは日本の経済的なメリットということではほとんどないというふうに思っております。  ただ、先ほど大臣が御答弁されたように、著作権の保護期間が七十年未満の国というのは、OECD三十四か国でもカナダ、ニュージーランド、そして日本と、この三か国だけに残ってしまっているという、世界的な潮流を見れば著作権の保護期間は七十年ということが趨勢でありますので、それに合わせるということはTPPという考え方では一つ意味があると思いますし、また、この著作権の保護期間を何が何でも五十年死守するんだという、ここにエネルギーを費やすよりかは、むしろ、著作権等の侵害罪の非親告罪化で対象範囲を限定することができるということを、日本としては日本の懸案事項を勝ち取ったということが言えるかなと思っています。  ですから、著作権の保護期間を七十年に譲って押し切られたという考えもありますけれども、一方で、非親告罪化の対象範囲の限定ということを逃げ切った、勝ち取ったということで、トータルで著作権に関する交渉ということでいえばこれでいいのかなというふうに私は理解をしております。  ただ、これでいいということではなくて、やはり著作権の保護期間が更に長くなるということで、今の体制だと大変なことになると私は思っております。今ですら著作権の権利処理というのは本当に煩雑、複雑、そしてまたコストが掛かると。私もかつて広告代理店にいたときに、著作権の許可を得る側でもあり、また許諾の権利処理をする側でもありまして、非常に大変な思いをしました。  これが更に七十年になると、特にいわゆるオーファンワークス、著作者が不明あるいは著作者の連絡先が不明という孤児著作物が増加することが予測をされます。しっかりと対策を講じる必要があると思いますけれども、現在、著作権者不明、オーファンワークスの権利処理についてどのような対策を講じていますでしょうか。
  287. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 委員御指摘のとおり、TPP協定によります権利保護の強化に加えまして、権利者不明の著作物を含めました著作物等の利用円滑化を図るといいますことは、我が国の文化の発展のためにも重要な課題であると考えております。  権利者不明の著作物につきましては、著作権法による裁定制度というのがございますが、権利者の不明等の理由によりまして、相当な努力を払っても権利者と連絡することができない場合には、文化庁長官の裁定を受けまして、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を供託することにより適法に著作物を利用することができるという制度がございます。  これまで、この裁定制度につきましては、より簡便に裁定を受けられますよう改善を行ってきておりまして、例えば平成二十一年には著作権法を改正をし、裁定申請中でも著作物を利用できることといたしましたし、また平成二十六年及び本年二月には権利者捜索に係る要件を緩和するなど逐次改善を行ってきているところでございます。
  288. 行田邦子

    ○行田邦子君 お手元に文化庁長官裁定制度の流れについてお配りをしておりますけれども、窓口が文化庁著作物流通推進室という、文化庁の本庁の一室でやっているということでありまして、なかなかこの手続の流れを見ていても、時間も掛かるしお金も掛かる、かなりこの敷居、ハードルが高いんではないかなと、このように思っておりますが。  そこで、続いて伺いたいんですけれども、それでは、この文化庁長官の裁定制度の利用実績はどのようになっていますでしょうか。
  289. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) お尋ねの著作権者不明等の場合の裁定制度の実績でございますけれども、現行著作権法が施行されましたのが昭和四十六年でございますが、それから平成二十七年度末までの累積裁定件数は二百五十九件で、裁定を行った著作物等の累積数は約二十七万となっております。平成二十七年度の裁定実績は、裁定件数が四十八件でございまして、裁定を行った著作物等の累積数が約四万六千五百でございます。  また、主な利用者でございますけれども、裁定の件数では出版社、放送事業者等が多うございまして、裁定を行った著作物等の数におきましては国立国会図書館が最も多いというふうになっております。
  290. 行田邦子

    ○行田邦子君 この制度ができたとき、最初は年間七件だったのが今は四十八件と、少しずつ使い勝手を改善しているようではありますけれども、非常に今ごくごく一部の常連客しか使っていないというような状況でありまして、その最も常連が国会図書館ということであります。  これでは、私は一般の利用者にとって利用しやすいものとはとてもとても言い難いものであると思いますが、よりこれを利用しやすい仕組みに改善するべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
  291. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 先ほども御説明申し上げましたが、これまでも改善を行ってきているわけでございますけれども、更に権利者団体の協力を得まして、権利者の捜索に係る負担軽減のための方策について検討を行っているところでございます。  具体的には、権利者団体が利用者のために権利者の捜索だとかあるいは文化庁への裁定申請を行うということで利用者の負担の軽減を図ろうとするものでございます。この取組につきましては、文化庁が権利者団体に委託をし、本年十月から来年三月までの実証事業といたしまして実験的に始めることといたしております。裁定制度に係ります利用者のニーズや負担軽減の効果、あるいは運営体制の課題などにつきまして検証を行うこととしているところでございます。  文部科学省といたしましては、利用者負担軽減方策の本格実施に向けまして、権利者団体と十分に連携を図りながら実証事業に取り組みたいと考えております。
  292. 行田邦子

    ○行田邦子君 この実証事業、私もたまたまこれをNHKのニュースで見まして、なるほど、なかなかこれはいい試みだなというふうに思いました。JASRACなどの著作権管理団体が、九団体が協力しまして一般の利用者の申請代行をするという試みであります。是非、これは著作権管理団体が主体となりますけれども、文科省におきましても後押しをしていただきたいと思います。  私、この度、著作権の保護期間、五十年から七十年になる、仮にならなかったとしてもなんですけれども、やはり著作権の保護体制、そしてまた利用の円滑化の制度というのを、既存の制度を一部改善するということだけではもう足りないというふうに思っています。何か新しい制度、画期的な改善というものをしていかなければいけないんだろうというふうに思っていますけれども。  なぜならば、著作権というのは、これは音楽とか文芸とか漫画とか写真とか脚本とか、ジャンルごとにそれぞれ著作権の管理団体が分かれて管理をしています。それだけじゃなくて、音楽の場合はJASRACなどがほぼほぼ商業ベースのものについてはカバーをしていますけれども、そうでないジャンルもあります。著作権管理団体に管理を委託していない著作物というのも結構あるということであります。  ですから、これを機に、著作権の保護期間七十年ということでTPPでは合意をしたわけでありますので、これを機に何か著作権の権利情報を集約をし、そしてまたデータベースの構築をすべきではないかなと、このように私は思っていますけれども、いかがでしょうか。
  293. 中岡司

    ○政府参考人(中岡司君) 先ほど裁定制度の御説明を申し上げたわけでございますけれども、やはり委員御指摘のように、一体この著作権は誰が持っているのかといったところがすぐに分かるというふうにするということは、その著作物を利用するということで非常に重要な点でございます。  権利処理のために権利情報を集約したデータベースの構築ということでございますけれども、権利処理の円滑化の上で重要な方策の一つだと私ども考えております。  他人の著作物を利用する際には、実際に著作権者から許諾を得る必要がございますが、著作権者が誰なのか、連絡先はどこかなどの権利情報が十分に集約されていないという今の現状がございまして、権利処理のための負担が大きいという課題がございます。このような課題に対応いたしまして、著作物の利用円滑化に資するべく、文部科学省におきましては、各著作権等管理団体が管理する権利情報や、これらにより管理されていない権利情報を集約したデータベースの構築を図ることといたしまして、そのための実証事業につきまして所要の経費を来年度の概算要求に盛り込んでいるところでございます。  文部科学省といたしましては、このような権利情報の集約化に向けました取組を含めまして、引き続きまして、著作物の利用円滑化のための方策につきまして検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
  294. 行田邦子

    ○行田邦子君 イギリスでは著作権ハブということだったと思いますけれども、それからまた韓国でもこのような著作権の権利情報のデータベース化という試みが行われているようであります。やはり、きっかけは、著作権の保護期間、五十年から七十年に延びるということも各国で一つ大きくあろうかと思っております。  なかなかいろいろ難しい課題多々あるかとは思いますけれども、是非取り組んでいただきたいと思っております。  著作権の話をしますと、どうしても著作物というのは商業ベースということが前提に話をしがちであります。特にこういうTPPのような経済連携協定の話ですと、そこに話が中心となってしまうんですけれども、私は、もちろん著作物によってその収益を得ると、あらかじめそういうことを意図した商業ベースという在り方ももちろんありますし、それによって日本もこれからもっと更に著作権ビジネスで稼ぐ、またその後押しを政府がするということ、これは経済の活性化ということでもちろん必要だとは思いますけれども、ただ、著作物あるいは著作行為というのはそれだけではないと思っております。  例えば、私の友人でアマチュアのカメラマンがいるんですけれども、その方は結構いい写真を撮っていまして、例えば埼玉県内の様々な行事とか、あるいは風景の写真を撮っていて、自分のホームページに掲載して、でも自由に使ってください、自分はもう著作権料とか一切要らないから使ってくれ、より多くの皆さんに自分が撮った写真を使ってもらうことが自分の喜びなんだと、そういうことをやっている方も実際にいます。その方の写真は結構クオリティーが高いので、週刊誌の表紙に使われたりとかあるいはカレンダーに使われたりということもしています。レベル的には相当高いんだと思います。  ですから、著作物あるいは著作行為というのは、必ずしも商業ベース、収益を上げるということを意図しないものもあって、そしてそうした様々な、収益ベースのものもあれば収益ベースでないものもあるというその様々な著作物があって、そしてそれが利用しやすいようになることが、それがこの日本の文化の裾野を広げたり、また奥行きを深めていくことにつながるというふうに思っておりますので、是非大臣、よろしくお願いをいたします。  そして、次、また文化の話なんですけれども、伝統文化の保護について伺いたいと思います。  TPPにおきましては、第二十九章八条におきまして、このようなことが書かれております。「伝統的な知識及び伝統的な文化的表現」という八条なんですけれども、「各締約国は、自国の国際的な義務に従い、伝統的な知識及び伝統的な文化的表現を尊重し、保護し、及び奨励するための適当な措置を定めることができる。」となっております。  そこで、大臣に伺いたいと思います。この第二十九章八条の解釈はどのようなものなのか、また、どのようなことを想定しているのでしょうか。
  295. 松野博一

    ○国務大臣(松野博一君) 委員御指摘のとおり、グローバル化が進む中において、それぞれの国においての多様な文化を保存、継承していくということは、もう極めて重要なことであるというふうに考えております。  我が国においても、例えば能であったり歌舞伎であったり、先人の努力によって伝えられてきたもの、これを無形文化財として保護に努めているところであります。無形文化財の保護制度について、昭和二十五年の文化財保護法制定時から設けられており、現在までに我が国において四百四十四件指定をされております。  これらに対して文化庁では、重要無形文化財の保持者や保持団体が行う伝承者養成への支援、公開事業に対する補助を行っているほか、用具の修理等に関して支援を行っているものであります。これらに関して平成二十九年度概算要求においても、無形文化財の伝承、公開等に十五・九億円を要求をし、より一層無形文化財の保護に努めているところでありますが、それぞれの国において自国の文化をしっかりと守りながらそれを継承していく、このことの重要性を改めて認識をしながら、今後とも文化財の保存、活用の充実に努めてまいりたいと考えております。
  296. 行田邦子

    ○行田邦子君 済みません、一つ先の質問の答弁だったのかなと思うんですけれども。  石原大臣に伺いたいと思います。じゃ、ちょっと仕切り直して、石原大臣に改めて伺いますけれども、先ほどの第二十九章八条なんですけれども、石原大臣はどのように解釈をされるのか、また、どのようなことを想定しているのでしょうか。
  297. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 松野大臣は我が国の取組について詳しくお話をさせていただきましたので、私は、そのTPPの協定上、ただいま行田委員が御指摘になった伝統的な知識あるいは文化的表現についてどのようになっているかということを簡単に説明させていただきたいと思います。  実は、この言葉のTPP協定上の定義というものはございません。国際的にもこれまでこれらについて確立された定義は、外務大臣の方が詳しいのかもしれませんが、存在しないものだと思っております。  その上で、伝統的な知識と申しますと、これは、ペルーのリマでAPECの会議がございました。ペルーにも、先住民族、インカ帝国があった等々のすごい長い歴史がございます。ある部族が先祖代々、特定の例えば木の根っことか実とか、そういうものをすり潰したものを傷や煎じて飲んだりして、そういう知識というのはやっぱりあるんだと思います。それが伝統的な知識の例でございます。また、伝統的な文化的表現については、民族特有の絵画、彫刻、モザイク、歌、そんな中で、先ほど松野大臣が能などを例に出されてお話をされていましたが、このほかにも音楽もございますし、また踊りもあるんだと思います。  TPPの委員御指摘の二十九章八条は、こういうものを保護し、奨励する制度を各国が制定できることを確定的に規定したものだと理解をさせていただいております。ある民族の伝統的知識を研究や商業的目的で使用する場合に、その民族の事前の同意を取得し、合意した条件で利用するといった制度がこれからは考えられるのではないかと考えております。
  298. 行田邦子

    ○行田邦子君 第二十九章八条、これ、伝統的な知識、伝統的な文化的表現という確たるこの定義はないということでありますけれども、この八条読みまして、そしてまた今の石原大臣の答弁をお聞かせいただきまして、このTPPでもよく使われる言葉ですけれども、また貿易交渉でもよく使われる言葉だと思いますけれども、各国のセンシティビティーあるいはセンシティブ品目ということをよく言いますけれども、やっぱりセンシティビティーというのは、有形のものとか品目、日本でいったらば重要五品目だったり、あるいはある国にとっては自動車だったり乳製品だったりという、こういった有形のもの、品目だけにあるのではなくて、むしろこういう無形の、その国の培ってきた伝統文化とか、あるいは国家が形成するまでの歴史とか経緯といった形になっていないような無形の、そういったものにこそむしろセンシティビティーというのはあって、だからこそ、こういう多国間での経済連携を結ぶときにはそういったそれぞれの国の無形のセンシティビティーに対して敬意を表し、また尊重し、また保護することができるという、このような条文が重要なのかなということを思っております。  そして、先ほど文部科学大臣がお答えされたような日本ではということですけれども、恐らくこの第二十九章八条というのは、ペルーの先住民族のようなことを意図して、意識しての盛り込まれたものだと思いますけれども、日本がこの八条を直接的に何か使うということでなかったとしても、やはりグローバル化が進む中だからこそ、私たちの国の、そしてまた地域の文化をしっかりと守っていくということが必要で、そしてまた日本は、元々は無形文化財ということについては、ほかの国、どこよりもそれを保護していくという意識が非常に高い国だったと私は認識をしておりますので、これまで以上に国としても無形文化財の保護について取り組んでいただきたいと思います。  最後の質問、文部科学大臣に伺います。  ユネスコの無形文化遺産について伺いたいと思うんですけれども、この登録状況をお聞かせいただけますか。そしてまた、登録することの意義についても併せてお聞かせいただけますでしょうか。
  299. 松野博一

    ○国務大臣(松野博一君) グローバル化の進展により、文化の画一化、均一化が危惧される中、無形文化遺産を保護するために、平成十八年、ユネスコの無形文化遺産保護条約が策定をされております。条約の策定に当たっては、文化財保護法によって無形の文化財保護制度を他国に先駆けて整備し、先ほどお話をさせていただいたとおり、日本は昭和二十五年以来取り組んでおります。その豊富な知見と経験を有する我が国が大きな役割を担ってまいりました。  現在、我が国からは二十二件の無形文化財がユネスコ無形文化遺産として記載をされております。さらに、昨年度我が国から提案した山・鉾・屋台行事はユネスコの評価機関から記載の勧告が出されており、今月末から開催される政府間委員会において審議をされる予定となっております。  このように、ユネスコの無形文化遺産として記載されることは、各地域で受け継がれてきた無形の文化財の多様性について国内外での認識をより一層高めるとともに、担い手の方々の大きな励みになるものと考えております。
  300. 行田邦子

    ○行田邦子君 今御答弁いただきましたユネスコの無形文化遺産の中で、山・鉾・屋台につきましては、十一月二十八日から十二月二日まで開かれる政府間委員会におきまして恐らく登録が決まるだろうということで、私の埼玉でも、川越の氷川祭、そしてまた秩父の夜祭など該当するものでありまして、昨日たまたま川越に行って、本当に盛り上がっていましたし、今度、十二月三日、秩父祭、私も行ってきますけれども、本当に地域は盛り上がっています。  グローバル化が進む中だからこそ、しっかりと何かこう、根っこを確認したいという意識が高まるかと思いますので、こうした無形文化遺産、無形文化財の保護、併せて政府としても後押しをしていただきますことをお願いを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  301. 中山恭子

    ○中山恭子君 日本のこころ、中山恭子でございます。  安倍総理とトランプ次期大統領との会談が非常に友好的な雰囲気の中で進められたとのことでございまして、よかったなと素直に喜んでおります。  先日も当委員会で申し上げましたが、国と国の関係は人と人との関係に尽きると言えます。今後、米国の共和党を始め他の関係する方々との友好関係を、政府はもちろんですけれども、国会議員も大いに関係構築に努めていくことが大事であると考えます。さらに、米国のみならず、例えばTPP参加国などと議員外交を進めることも重要であると考えますが、この点については、大臣、どのようにお考えでしょうか。
  302. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、十七日開催されました安倍総理とトランプ次期大統領の会談、両者の信頼関係を構築する上で大変意義ある会議であったと思っております。そして、今後、新政権との間において様々なレベルで信頼関係を構築し、その上に具体的な政策を積み重ねていく、こういった努力を続けていかなければならないと思います。  そして、御指摘のように、政府間だけではなくして、議員外交を始め様々なレベルでの関係構築、大変重要だと思います。米国のみならず、他の国々、TPP関係国を始め、多くの国々との間において議員外交を展開していくということ、これは信頼関係を多角化する上で、そして重層化する上で大変重要な取組ではないか、このように考えます。
  303. 中山恭子

    ○中山恭子君 議員外交、積極的に進められたらいいなと考えております。もちろん、議員、政治家だけではなくて、文化人や科学者や一般の旅行者の方々、一人一人に至るまで友好関係をつくっていく上では大きな役割がある、果たしていくものと考えております。  安倍総理は、アジア太平洋経済協力会議、APECの機会にも、ペルーのクチンスキー大統領ほか多くの首脳と個別に会談なさったと伺っております。また、十九日にはペルー・リマでTPPに参加する十二か国の首脳会合が開催され、TPPの経済的意義に加え、アジア太平洋地域の安全保障上も重要であるとの認識で一致したと報道されております。この点につきましては、大臣、いかがお考えでしょうか。
  304. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、十九日に開催されましたTPP首脳会合におきましては、オバマ大統領から、TPPの重要性について今後も国内での理解を求めるべく尽力を続ける旨の発言があり、また安倍総理からは、TPP協定の経済的、戦略的意義に加え、各国とも厳しい状況にひるむべきではなく、我が国も国内手続に全力で取り組んでいる、こうした発言を行いました。  会合全体における各国の発言を通じまして、委員の御指摘になられました経済的な重要性、そして戦略的な重要性、そしてそれに加えて各国がそれぞれ国内手続を進めるべきであること、こういったことが確認された会議であったと受け止めています。  我が国としましても、引き続き我が国が主導することでTPPの早期発効に向けた機運を高めていきたいと考えます。
  305. 中山恭子

    ○中山恭子君 確認ですけれども、日本政府は、日本自らが米国を説得するとともに、米国を除くTPP参加国が、いずれもそれぞれが承認の国内手続を完了すれば米国も加盟する方向で動き出すであろうと期待してそれぞれの国が努力していると考えていらっしゃるのでしょうか。そうであれば、日本も他の加盟国とともに行動すること、つまりTPP協定を早期に承認することに大きな意義があると考えられます。この点についてはいかがでしょうか。
  306. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 今申し上げましたように、TPP首脳会談におきまして各国がそれぞれの国内手続を進めるべきであることを確認したわけですが、委員今おっしゃるように、米国以外の国々が我が国も含めて国内手続を進めていくということは、米国のこうしたTPPに対する取組を促していく、こうしたことにもつながっていくと考えます。  そして、合わせて行われましたTPPの首脳会合、このAPECに合わせて開催されたわけですが、私もAPECの閣僚会議に出席をしました。そして、その際に米国ケリー国務長官と日米外相会談を行いましたが、その際にケリー長官からも、我々はまだ諦めていない、米国の経済界はTPPを支持している、こうした発言がありました。こうした米政府の取組を促していくためにも、我が国も引き続き率先してTPPの国内手続を進め、こうした国際的な機運を高めていくことは重要であると認識をいたします。
  307. 中山恭子

    ○中山恭子君 ついでと言ってはなんですけれども、中国の習近平主席が、平等な立場で話し合い、共同で参加でき、利益を享受できる枠組みをつくるべきだ、閉鎖的な対応は正しい選択ではないと述べたという報道がございますが、これに対してはどのように対応していくおつもりでしょうか。
  308. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 安倍総理と習近平国家主席の間のやり取りですが、十一月二十日午前、現地時間ですが、約十分間会談を行ったと報告を受けております。  日中関係改善に向けての取組を確認したということでありますが、今委員の御指摘になった内容について、そのやり取りがあったかどうか、ちょっとまだ報告を受けておりません。十分間の会談ということでありましたので、その内容をいま一度確認をしたいと思います。
  309. 中山恭子

    ○中山恭子君 TPPがまとまった後に中国やロシアとの関係を構築していく、貿易的にですね、貿易関係でまずはTPPグループで自由貿易の枠組みをつくって、多分ですが、その後で中国などとも関係していくという考え方で進められているのであろうと想像はしておりますが、そういうところでよろしゅうございますか。
  310. 岸田文雄

    ○国務大臣(岸田文雄君) 中国においても、TPPを始めとするこうした大きな経済連携の枠組みに関心を持っているということだと思います。我が国としましても、中国がもし高いレベルでこのTPPに参加するという意思を正式に表明するとしたならば、これは歓迎すべきことであると考えます。
  311. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございました。  先週金曜日、十八日に開かれましたTPP特別委員会の参考人質疑で農業問題が議論されました。議論を聞きながら、TPPが成り立とうと成り立つまいと、日本の農業はいずれ開放せざるを得ないとの思いをほとんどの皆様がその考えのうちに既に持っていらっしゃるとの感じを受けました。  であれば、日本の農業を開放しても十分対応できる産業につくり上げるために、個々の農産品ごとに世界の状況をより詳細に調査し、より工夫し、日本の農業関係者にそういった情報をより的確に伝えるなど、今しなければならないことが山ほどあると考えます。農業産品の輸出について、地道な動きが他の国に比べ現在日本では不足しているように見えます。直接的な支援ではなく、輸出についての支援の一般的な仕方などについて国全体の動きもまだまだ不十分であると考えられます。  岐阜大学教授の荒幡参考人が、農業貿易についても双方向、輸出もすれば輸入もする、こういった貿易が進んできている、もちろんまだ同じ水準ではないとのことですけれども、こういった双方向の貿易が進んでいると述べておられました。  この農産品に関する考え方について、大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  312. 山本有二

    ○国務大臣(山本有二君) 御指摘の日本の農業、まず、先生は現状について憂えられているということがベースにあろうかと思います。  実際、基幹的農業従事者は百七十五万人で、減りつつございます。また、その平均年齢が六十七歳、六十以上の方々が約六五%を占めております。そうした中で、耕地、つまり作るベースの農地でございますが、五十年間で二五%、百五十九万ヘクタール減少しております。こういう中で、何とかしなきゃならぬという、そういう発想が先生にもおありになるだろうというように思っております。そこにTPPという、一つの大きなこれをチャンスと見るのか、あるいはこれをデメリットと見るのかという二つの物の考え方の分かれ際があるだろうというように思います。  今、日本の農産物は六兆五千億円輸入しております。しかし、輸出は一兆円に足りておりません。そういうアンバランスから考えますと、日本の農業は世界の第十位の生産額でございますので、輸出におきましても十位ぐらいにはほぼなれる実力があるだろうというように我々も思っております。しかし、今六十位ですから、その意味においては輸出というものが大変重要なファクターになってくるわけでございます。  そこで、海外市場のニーズの把握、需要の掘り起こしに向けたプロモーションをしていかなきゃなりません。二〇一三年には二万軒の日本食レストランがTPP加盟国十一か国にありました。それが二〇一五年には三万軒といって、一万軒も二年で増えております。そうした拠点を活用しながら輸出を促進していきたいというように思っております。  さらに、国内の農林漁業者や食品事業者の販路開拓のための相談体制の強化、商談会への出展等を支援しているところでございますが、農林省とジェトロとの相談窓口には既に一万人の方々が一年間に相談に見えておられるわけでございまして、意欲ある農業者が一万人いるということは我々にとりましても大変力強いエンジンになるだろうというように思っております。  さらに、コールドチェーンの整備など、生産物を海外に運ぶ物流の高度化への支援とか、あるいは輸出先国・地域の輸入規制の緩和、撤廃に向けた交渉など、政府が主体的に行う輸出環境の整備等を積極的に取り組んでいるところでございます。  そんな意味で、我々にとりまして、この輸出というものをきっかけにいたしまして日本の農業が成長産業化するというところへ持っていければというように願っております。  以上です。
  313. 中山恭子

    ○中山恭子君 今大臣おっしゃられましたように、日本の農業は輸出についての実力があると見ていらっしゃるということ、また、その相談件数が一万件くらいあるというようなことを伺いますと、日本の農業も輸出についてそう捨てたものではないと言うと、言葉がもし違っていたら失礼、語弊があったら問題ですけれども、済みません、決して諦めてはならない日本の農業であると考えております。  荒幡参考人がオーストラリアの牛肉について話をしていらっしゃいました。  平成二十五年九月二十二日、二十三日に、参議院重要事項調査団がオーストラリアに派遣されました。その一員として私もシドニーで食肉家畜生産者事業団等を視察いたしました。豪州産牛肉を日本に売り込むためのマーケティング活動など説明を受けましたが、オーストラリアでは国を挙げて日本への牛肉輸出について頑張っているという強い印象を受けたところでございました。  オーストラリアでは、申し上げるまでもありませんが、オージービーフ、オージーラムなど、食肉が主要な輸出産業となっております。オーストラリアではWAGYUという肉が最高級の肉との評価が定着しておりまして、シドニーの町の中でも、高級レストランの店先にはWAGYU、KOBEと書かれた大きなポスターが貼り出されております。決してここで使われているのが日本で作られているあのおいしい神戸牛ではないんですけれども、オーストラリアの中では、オーストラリア国内で飼育した和牛の肉、これが非常に高級であるという形で使われておりました。日本の霜降りとは全く違うんですけれども、そのような状況を見ることができました。  視察する中で非常に強い印象を受けましたのは、牛肉の輸出が日本での工業産品の輸出と全く変わらない輸出産業であることを実感いたしました。手続の規定、生産に関する規定、見事に整備されておりまして、マーケティングの活動も非常に大きな形で行っておりました。自動車が一台ずつ厳しい管理の下で生産され輸出されるように、牛肉もそれぞれの牛が厳しい管理の下で飼育され、その牛肉が生産され、輸出されております。  このような、例えば牛肉ですが、農産品について、当初から国際規定などを盛り込んだ形で日本の農業が行われることが望まれると思われますが、大臣はいかがでございましょうか。
  314. 山本有二

    ○国務大臣(山本有二君) 輸出を促進するためには、相手国の市場や、あるいは食味、好みみたいなところをよく調査して、それで戦略を立てながらやっていかなきゃなりません。例えばノルウェーは、EUの中のレストランにおけるサーモンの需要の多いことを、それを特徴的といたしまして、サーモンの養殖に特化した漁業を始めました。その結果、今現在、一兆円の輸出額にほぼ上っております。そうしたことからすると、日本の農産物の輸出も相手国のニーズに合わせた形でやっていかなきゃなりません。  委員おっしゃる日豪の関係、大変牛肉はセンシティブな話でございました。日豪EPAが平成二十七年の一月に発効いたしました。これは、従来冷凍が三八・五%の関税率であったものを三〇・五%にしたわけですから、八%関税を引き下げました。この引き下げた結果、我々は八%ぐらい輸入量が増えるだろうというように予測しておりました。しかし、結果から見ますと、輸入量は逆に六%減少しております。これは、牛肉の海外市場の動向と日本の国産牛における競争力、そういったものも併せて、必ずしも我が国の農畜産物が弱いということではなくて、我々も頑張ればできるというような一つの、まだ短期的な結果でございますから即断はできませんけれども、我々にとりましては、これにおいて負けないぞという力を得たような気がしております。
  315. 中山恭子

    ○中山恭子君 日本の農産品、非常に質も高く、おいしいものだということは世界の中でも知られているものであろうと考えておりますが、その農産品の輸出についてはやはり相当戦略的に、直接的な支援ではないにしても、輸出環境を整えるための支援というのはいろんな方法があるわけでございまして、そういった支援の仕方をもっともっと国内で考えて進めていく必要があるであろうと考えております。  オーストラリアで聞きましたところ、日本の牛肉は、当時は狂牛病の話もありまして、狂牛病については、日本で私たちも毎日食べているんだから全く問題ありませんということを言ったんですけれども、そのときはまだ解除してもらえませんで、翌年、財政金融委員会でこのテーマを申し上げて、その後、きちんとした形で、日本の狂牛病は問題がないということが世界に知らされたと聞いておりますが、その狂牛病の話は別にしましても、オーストラリアでの、牛が生まれたときから厳しい管理下で飼育され、そして国際規格に合わせて輸出していく、自動車産業と同じような形の牛肉産業、輸出産業というものがあるわけでして、日本ではまだまだそういった形の国際規格を全て品目ごとにクリアしているとは言えないのではなかろうかと考えております。  日本の農産品が輸出可能となるための方策を整えることが喫緊の課題であると考えております。農業に携わっている方々がこのような動きについて十分な認識があるというふうにも見えませんし、そのことも意識改革をしていく必要があると思われますし、農産品の輸出について、いずれ国際化されるという流れであることを皆が認識した上で、輸出について個々の農産品ごとにきめ細やかな対策をつくって、農業関係者の方々と協力して動いていくことが必要であると思いますが、一言こういったことについてお考えを。
  316. 山本有二

    ○国務大臣(山本有二君) ここは大事なことでございまして、食品安全あるいは環境への配慮、そうしたものを実現するためにも、国際的な工程管理、これが重要視されておりまして、国内でもGAPやHACCPの普及を推進しているところでございます。  なお、それ以外にも、TPPによって得られる輸出規制、こちらからすると輸出規制、これを解除できる方策も一つ盛り込まれているというように思っております。
  317. 中山恭子

    ○中山恭子君 日本が農業輸出国になるということを期待しております。  ありがとうございました。
  318. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  政府側は御退席いただいて結構でございます。     ─────────────
  319. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 次に、去る十七日、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。  まず、第一班の御報告を願います。徳永エリ君。
  320. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 民進党・新緑風会の徳永エリでございます。  本日も審議お疲れさまでございました。  委員派遣第一班について御報告を申し上げます。  去る十一月十七日、環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査に資するため、北海道に委員派遣を行い、帯広市において地方公聴会を開催いたしました。  派遣委員は、林芳正委員長を団長として、石井準一理事、小川勝也理事、浜田昌良理事、紙智子理事、佐藤啓委員、高橋克法委員、中西哲委員、吉川ゆうみ委員、熊野正士委員、石井苗子委員、中野正志委員及び私、徳永エリの計十三名で、四名の公述人より意見を聴取した後、委員からの質疑が行われました。  まず、各公述人の意見の概要について申し上げます。  最初に、株式会社十勝家畜人工授精所代表取締役・畜産農家の吉川広司公述人からは、国際競争の中で和牛の高品質をアピールするべきであること、安心、安全なおいしい肉を国が担保していく方策を検討すべきであること、国際競争に勝ち抜くため国の総意で和牛改良を進めるべきであること等について意見が述べられました。  次に、株式会社アミノアップ化学代表取締役会長の小砂憲一公述人からは、北海道に集積するバイオ産業が北海道の基幹産業となるべく輸出の促進が必要であること、このためには、関税撤廃による環境整備に加え、模造品対策や特許の有効期間に係る各国法制度の統一など輸出の障壁撤廃が必要であること等について意見が述べられました。  次に、全十勝地区農民連盟委員長の西原正行公述人からは、TPP協定については特に重要五品目をめぐって大多数の農家が不安を覚えていること、TPP協定における農林水産物の関税撤廃、削減は、国会決議との整合性の問題があり、また、農家にとり現実に痛みを伴うものであること、組合員勘定制度の廃止や指定生乳生産者団体制度の見直し等の農政改革への懸念等について意見が述べられました。  最後に、北海道大学大学院農学研究院准教授の東山寛公述人からは、TPP協定の合意内容と国会決議との整合性に大きな疑問符が付くこと、TPP協定による関税撤廃、削減などの国境措置の後退は国内農業保護財源の喪失をもたらすこと、米国の次期政権によるTPP協定への出方を見極めるべきであり、国会承認手続を進めることは得策ではないこと等について意見が述べられました。  公述人の意見に対し、各委員より、日本の農畜産物にとって環太平洋の経済成長を取り込むこととそのための国際競争力や海外展開戦略の必要性、農協改革など政府が進める農政改革に対する評価、特許侵害・模造品問題の実情と中小企業の海外展開における支援体制の在り方、TPP協定など自由貿易への批判が国際的に広がっている現状への認識、北海道十勝の農業や地域経済に与える影響、農業に雇用を呼び込む攻めの農業に向けた具体的方策、我が国農業における環太平洋の市場の可能性とTPP協定反対の論拠等について質疑が行われました。  会議の内容は、速記により記録をいたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。  最後に、今回の地方公聴会の開催に当たりましては、公述人及び関係者の方々に多大な御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。  以上で第一班の報告を終わります。
  321. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) 次に、第二班の御報告を願います。滝波宏文君。
  322. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 自由民主党の滝波宏文でございます。  委員派遣第二班について御報告申し上げます。  去る十一月十七日、環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査に資するため、茨城県に委員派遣を行い、水戸市において地方公聴会を開催いたしました。  派遣委員は、福岡資麿理事を団長として、二之湯武史理事、大野元裕理事、進藤金日子委員、堀井巌委員、渡邉美樹委員、川合孝典委員、藤田幸久委員、高瀬弘美委員、井上哲士委員、福島みずほ委員、行田邦子委員及び私、滝波宏文の計十三名で、四名の公述人より意見を聴取した後、委員からの質疑が行われました。  まず、各公述人の意見の概要について申し上げます。  最初に、有限会社横田農場代表取締役の横田修一公述人からは、米作りにおいてはTPP協定よりも高齢化等がより深刻な問題と考えていること、経済社会の変化等に対応して栽培技術や農業経営を高度化することが重要であること、米作りが将来的に海外と価格競争できる可能性があること等について意見が述べられました。  次に、ミナトゴム株式会社代表取締役社長の田口昌也公述人からは、自動車産業の構造変化に対応してベトナムに工場進出したこと、TPP協定はベトナムからの海外展開に有利となること、ジェトロ等による中小企業の海外展開支援が重要であること等について意見が述べられました。  次に、前日本医師会長の原中勝征公述人からは、TPP協定が日常生活全般に関わる内容でありながら情報開示が限定されてきたこと、TPP協定が食料自給率を低下させ食料の多くを輸入に頼ることになる懸念があること、輸入食品中の添加物や残留農薬によって食の安全に悪影響を及ぼすことへの懸念があること等について意見が述べられました。  最後に、農民運動茨城県連合会会長の岡野忠公述人からは、中長期的な米価の低下を踏まえて所得補償や価格維持が必要であること、TPP協定が発効すれば国内農業に大きな影響を与える懸念があること、十分な国会審議によって協定の本質を国民に示すことが必要であること等について意見が述べられました。  公述人の意見に対し、各委員より、TPP国内対策として期待する施策、地方の中小企業が海外展開するに当たっての支援策、TPP協定が我が国の医療保険制度・薬価等に及ぼす影響、農家が行う農産品輸出に対する支援策、TPP協定が農業の持つ多面的機能等に及ぼす影響、遺伝子組換え食品等の危険性を証明することの困難性、農業における流通改革の在り方等について質疑が行われました。  会議の内容は、速記により記録をいたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。  最後に、今回の地方公聴会の開催に当たりましては、公述人及び関係者の方々に多大な御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。  以上で第二班の報告を終わります。
  323. 林芳正

    ○委員長(林芳正君) これをもって派遣委員の報告は終了いたしました。  なお、地方公聴会の速記録につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十三分散会      ─────・─────    〔参照〕    帯広地方公聴会速記録  期日 平成二十八年十一月十七日(木曜日)  場所 帯広市 ホテル日航ノースランド帯広    派遣委員     団長 委員長      林  芳正君        理 事      石井 準一君        理 事      小川 勝也君        理 事      浜田 昌良君        理 事      紙  智子君                 佐藤  啓君                 高橋 克法君                 中西  哲君                 吉川ゆうみ君                 徳永 エリ君                 熊野 正士君                 石井 苗子君                 中野 正志君    公述人        株式会社十勝家        畜人工授精所代        表取締役・畜産        農家       吉川 広司君        株式会社アミノ        アップ化学代表        取締役会長    小砂 憲一君        全十勝地区農民        連盟委員長    西原 正行君        北海道大学大学        院農学研究院准        教授       東山  寛君     ─────────────    〔午前十時三十一分開会〕
  324. 林芳正

    ○団長(林芳正君) ただいまから参議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会帯広地方公聴会を開会いたします。  私は、本日の会議を主宰いたします環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会委員長の林芳正でございます。よろしくお願いいたします。  まず、本日の地方公聴会に参加しております委員を紹介させていただきます。  私の右隣から、自由民主党の石井準一理事でございます。  同じく高橋克法委員でございます。  同じく吉川ゆうみ委員でございます。  同じく中西哲委員でございます。  同じく佐藤啓委員でございます。  次に、私の左隣から、民進党・新緑風会の小川勝也理事でございます。  公明党の浜田昌良理事でございます。  日本共産党の紙智子理事でございます。  民進党・新緑風会の徳永エリ委員でございます。  公明党の熊野正士委員でございます。  日本維新の会の石井苗子委員でございます。  日本のこころの中野正志委員でございます。  以上の十三名でございます。  次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。  株式会社十勝家畜人工授精所代表取締役・畜産農家の吉川広司公述人でございます。  株式会社アミノアップ化学代表取締役会長の小砂憲一公述人でございます。  全十勝地区農民連盟委員長の西原正行公述人でございます。  北海道大学大学院農学研究院准教授の東山寛公述人でございます。  以上の四名の方々でございます。  この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。  皆様には、大変御多忙中のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。  当委員会におきましては、目下、環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査を行っておりますが、本日は、両案件について関心の深い関係各界の皆様方から貴重な御意見を承るため、本公聴会を開会することとなった次第でございます。  皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の両案件審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、公述人の方々からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。  なお、御発言の際は、その都度、恐縮ですが、委員長の指名を受けてからお願いいたします。また、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。  まず、吉川公述人にお願いいたします。吉川公述人。
  325. 吉川広司

    ○公述人(吉川広司君) 吉川です。  私が今経営している内容、概要が一枚目の資料の方で渡していると思います。有限会社で生産法人である十勝ライブストックマネージメントの内容でございます。乳牛飼養頭数が、経産牛百六十頭、そして未経産百二十頭、計二百八十頭を経営しています。また、年間出荷乳量が一千六百二十トン、また一頭当たりの乳量が一万二千キロでございます。またほかの、遺伝子を作っている場所として十勝家畜人工授精所、これ全国的な販売をしております。種雄牛が、ホルスタインの場合百二十頭、和牛が十頭、そして計百三十頭で、それからほかに繁殖用和牛が、経産が七十頭、育成が三十頭で、百頭を持っています。また、年間の精液販売本数が、全国的に販売しております。その中で、乳牛が十五万本、年間、また和牛が十万本、計二十五万本、これは日本の遺伝子の約一三%のシェアを占めております。  今日、このTPPの問題につきまして私から申すことは、やはり、畜産関係のことだけを今話しましたけど、畜産の方に関して、酪農業界は、昭和五十八年に海外産の乳肉凍結精液の自由化が行われ、国内遺伝子の改良が海外から比べて非常に遅れていたということで、日本の改良を進めるために後代検定事業、そしてまた牛群検定事業を中心に乳牛改良を進めてきた、また、結果、国際競争力を高めてきました。その結果、今現在の日本の遺伝能力がトップクラスであるということになっております。  それにつきまして、資料の一をちょっと見ていただければ、別紙の方で。この資料一の方、これ時期的なものが抜粋がちょっとずれましたので、申し訳ございません。一九八三年から輸入凍結受精卵、そしてまた一九八四年から国と一体化となって乳牛改良に進んできた。そういった結果、九四年に後代検定事業、牛群検定事業というものが発足されました。その後、ようやっと並び始めてきたのが一九九九年からでございます。それから大体、年率、遺伝率の改良度でいきますと、約百キロの乳量改良が進んできました。実乳量では八十キロぐらいです。そしてまた、特に二〇〇五年から六年にかけては急激に上がっていますけれども、これは百二十キロの乳量の増加を求めて右肩上がりで改良が進んできたと。そしてまた、この後もずっと今続いてきております。ここ最近になって少しダウンをしてきている状況でございます。  また、次のページで、これがどのぐらいの水準であるのかということが書かれている。世界の主流の乳牛のことを書いてあります。オーストラリアを始め、そしてまた、特に主流国につきましては、やはりカナダ、またアメリカ、そしてオランダ、そして日本、これのレベルがどういう形の改良度を進んでいるかということを表しております。  そしてまた、一年間にヤングブルがこれだけ、後代検定に掛けている頭数が左側に書いてあります。例えば、カナダの場合二百八頭、そしてまた育種価で百九十九キロが伸びております。また、アメリカの場合は、一年間に後代検定に掛けてくる頭数が千二百三頭、そして育種価で二百六十一キロの改良度を持っております。そしてまた、日本は後代検定、非常にパイが少ないので、小さい国ですから、百八十六頭ですけれども百八十五頭です、これ、百八十五頭で四百三十八キロの改良度を持っております。また、オランダにつきましては、後代検定に四百六十三頭のうち、改良度がマイナスの五十六キロという、そういった形の中の数字でございます。  それからまた、次の下の方に行きまして、乳量、そしてまた乳脂量、たんぱく量、肢蹄、こういった形の中で、世界にどういうような形でなっているかと。今、インターブルに日本が参加しております。その中のICARから発表されたこれは数字でございます。ヨーロッパの方にあるんですが、ICAR、それから出た形で、しかも、この順位で書いてあります牛の名号の横に、今度右側に順位①というところが、これがランキングでございます。日本の牛が、これを選抜している段階は、これは赤本といいまして、日本に入ってくる遺伝子、衛生条件だとかそれから防疫関係と、それともう一つは流通、いろんなそういったものの条件が全てそろっている牛、それが今、注意書きの方で、下の方で見ていただければ、①の場合は、この順位のときに赤本のやつを掲載ですから、一千三百二十二頭の牛の中のランキングがここの①の日本の牛のランキングです。七位、九位、十位、九位、十位、五位というふうになっております。  そしてまた、順位②の方は、世界中のいろんな形、ICARですから世界中の牛をやっておりますので、ランキングを付けていますので、その中で、頭数が十四万五千三百三十八頭中の中の、日本で三十八番目、四十八番目、五十番目、六十二番目、四十六番目、十番目と。これ、百位以下のやつを一応抜粋してきたものです。詳しいところは名前を省かさせていただきます。  そういった形の中で、乳牛の場合に、改良度をそういった形の中で持っていく、これは世界から比べてももっともっと今現状は伸びてき始めてきています。そういった関係で、これからも、今後ますますこれを継続していかなければならないと思います。  また、次、和牛についてですけれども、国際競争という形の中でも、この和牛について、品質、そういったものが、日本の和牛の品質を非常にアピールするべきじゃないかと思います。その品質の在り方ですけれども、やはり安心で安全でおいしい肉というものが国はどう担保していくのか、また方策を検討すべきでないかというふうに思っております。  その中で、もう一つ、資料二というところを見てください。これは、資料二につきましては、これ私のところで提供してやっているデータでございます。和牛のデータで、肉の味だとかそれから分析をやっております。これ非常に高い金額を払っております。  この右側の方には、分析した結果。和牛の肉の、上から説明していきますと、A5番のBMS、ナンバー11番です、この牛は。個体識別番号がここに下の方に書いてあります。そして、横に血統が書いてあります。それで、また次の、左上の下側の方に、味と香りだとか、それから脂肪の質だとか、それから食感、そういったものが、分析した結果のコメントを書いてあります。このコメントを書いてくれている、味を見ている方々は、六名でやっている形でございます。その中で、総合評価として、ここに書いてあるように、非常にすばらしいコメントを書いていただいております。  また、右側のこれが分析表。これは、各一頭一頭違う、そして血統によっても違う、いろんな中、人間の言わば血液検査と同じような形の中で検査をされております。オレイン酸がどのぐらい入っていて、そしてまた脂肪酸がどのぐらい入っているのか、アミノ酸がどのぐらい入っているか、そういったものを細かく分析をしてもらっております。これを、和牛という特質というものがどういうものであるかと、そして海外から入ってくる肉がどういうものであるか、こういったものをしっかりと製作していかなければならないんじゃないかと。  そういった意味で、私は、これ一頭八万円掛かっています、今はもう十何頭やっています、こういう検査をやはり国がきちっとやっていくべきじゃないか。そして、やはり海外のものと日本のものが違う、また日本の中でも品種によって違っていくということをきちっと出していくべきじゃないかと。そして、付加価値、安心感、そういったものを持たす必要性があるんじゃないかということで思っております。  また、時間がありませんので、将来酪農の、畜産業界は家族経営でこの労働を中心でやってきました。その中で、今回の、ここ三年前からのクラスター事業というものが活用することによって規模拡大が進み、生産性を高めることができました。そのコストをどこまで下げれるか、減少できるかが重要だと思います、この事業。そういった関係で、やはりこれもきちっと政策の中で、規模幾らのコストダウンをするのだと、この事業でということをはっきりと出してもらいたかったと思います。  それと、また和牛につきまして、非常に、搾乳農家もそれから和牛農家も、この和牛という遺伝子は今貴重な形になっております。和牛も、ホルスタインに三分の一付けていい肉を作りましょうという形を今やっているので、非常にそういうことが大切な遺伝子という形になっております。この遺伝子を守っていくがために、やはり、歴史的に各都道府県で個々に改良を進めてきたが、今後、国際競争を勝ち抜くためには、将来的に日本の総意で改良を進めていくべきであるということを、僕は、これは非常に今、先生方がいろいろ現状分かっていると思うんですけれども、こういう和牛の状況が出ていると思うんです。ですから、重要なのは、どの県もみんな和牛は重要であって、そして和牛のおかげで今畜産農家はかなり潤っている状況、そういったものがやはり消されないような形を持っていくためにこれをしっかりと僕は進めてもらいたいというふうに思っております。  ざっくばらんで、間違っているかもしれぬ、また大変訂正しなきゃならぬところありますかもしれぬけれども、私の方から一部のコメントをさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  326. 林芳正

    ○団長(林芳正君) ありがとうございました。  次に、小砂公述人にお願いいたします。小砂公述人。
  327. 小砂憲一

    ○公述人(小砂憲一君) 今御指名にあずかりました小砂でございます。  私の会社、アミノアップ化学は、北海道の農産物を活用しました、そういったものから機能性成分を取り出しまして、それを製品化にしている会社でございます。主に最近の重立った研究開発といたしましては、アスパラガスですね。市場に出るときにはきちんとそろえられて出ていますね。そうしますと、農家で取るときには、適当にカットしてアスパラガス出てくるんですけど、それをカットして、その切れ端に非常に有効な成分が見付かりまして、というのは、これはストレスを解消するとか睡眠を促進させるといった効果があるということが分かりまして、一例を申し上げますとそういったものを作っております。あと、シソもそうです。大豆からもそういった成分を取り出した機能性食品等を作っている会社でございます。  それで、今私どもは海外輸出を重点的に行っておりまして、というのは、国内需要というのは年々、少子高齢化に向けての人口減少に伴って、やはり海外に向けての営業展開というのが急務であろうというようなことで、今当社では約三〇%ほど海外輸出を行ってきておりますけど、これを五〇%までに近々上げていきたいなというふうに考えておりまして、その対策といたしましても、いろんなことに行っておりますけど、今の各国のいろんな法律、特許、その他税金等々の関税等の問題が山積みされておりまして、その都度そういったものに対応するために時間と費用というものが掛かっておりまして、なかなか輸出するための障壁、各国にそれぞれに対応していく障壁がたくさんございます。  これから説明する中におきまして具体的にその辺を御説明いたしまして、今後、このTPPをいかに促進させていくか、そしてまた北海道経済にそういったものを大きく寄与できるものにしていこうかといったことをお話しさせていただきたいと思います。  それでは、北海道のバイオ産業と言われる企業が現在百六十一社ございます。そのうちの四十八社がもう海外展開を行っておりまして、現地に法人をつくったり研究所をつくったりしている会社がその中で約今もう九社も出てきております。全国的に見ましても、バイオ産業が百六十一社もある、集積されているといったところは北海道だけだと思うんですね。そのうちの四十八社がもう海外進出を行っていると。そしてまた、現地にそのような事務所を置いたり営業所を置いたりしているところも非常に数少ないんじゃないかなというふうに思っております。  そのように、今後、この北海道バイオ産業といったものが北海道の基幹産業になっていくべきことを今考えておりまして、今現在、北海道バイオ産業の総売上げが年間で六百四十億円ほどあるんです。それを一千億台に持っていこうといったことを考えておりまして、そのためにやはり国内需要だけでなく海外需要も含めて展開していきたいというふうに考えておりまして、その辺のやっぱり障壁等をある程度撤廃することによって輸出がもっともっと促進されるんじゃないかというふうに考えております。  また、そういった対策を取ることによって、北海道ブランドといったら、皆様方も御存じのとおり、非常に評価が高く各国でされております。それに対してのきちんとした我々が対応すべくもの、そしてまた、関税比率等も非常に困っている点がございます。  例えば、製品でその国に輸出した場合、一例ですよ、一例として、アメリカでは約四〇%の関税が掛かってくるんですね、製品としてパッケージにしたものですと。ところが、原料で出した場合、原材料として出した場合は約二〇%の関税率で済むわけです。約半分ですね。ところが、そうしますと、製品で出した方が利益率が高いわけなんですよ。でも、それに対してはやっぱり四〇%の関税が掛かってくる。また、原料で出した方が利益率が低くて、二〇%の関税だと。  やはり我々としましては、北海道ブランドをもっともっと強調していくためにはやっぱり製品として出していく、また、利益率を高めるにはやっぱり製品の方がずっと優位に進められるわけですね。そういった面での関税の撤廃といったものが、製品として出していけるような環境づくりをやっていただきたいというふうに考えております。  そしてまた、もう一点としましては、各国の特許の問題がまだまだ足並みがそろっていないと。また、模造品の問題、それから特許の有効期限の問題等もまだなかなか調整取れていないという現状にありますけど、その辺を早急に、特許の有効期限、それからまたレギュレーションを、法整備を各国統一されたものにしていただかなければ、いろんな国のそれぞれのレギュレーションのための資料作りをやっていく、そのためにはまた莫大な費用が掛かってくると。現地調査もそれもまた必要となるといったことで、非常にその辺の法律そのものの、輸出入の法律、それからまた製品に対する法律がそれぞればらばらになっているということが非常に輸出の障壁にこれなっております。だから、その辺を早急に統一感を持ったものにしていただくことによって、お互いに双方の貿易がまた活発になるんじゃないかなというふうに考えております。  当社といたしましても、この特許問題というのも、模造品の問題、それをまたなくすための対策等もいろいろと講じておりますけど、なかなか、モグラたたきみたいなもので、そう簡単にはいかない現状にあるわけで、その辺を各国がきちんと対応できるような体制を取っていただきたいのと、また、特許の有効期限等も統一感を持ってやってもらうことによって、そういった模造品もある程度減少するんじゃないかなというふうに考えております。  それから、我々北海道におきましては、フード特区、北海道フード・コンプレックス国際戦略特区といったものを六年前に取得いたしまして、五年前ですか、それによって北海道の農水産物の輸出が昨年、二〇一五年には七百七十三億円まで引き上げられました。これは、要するに、そういったフード特区を活用した食品の輸出を促進させていこうといった狙いでもって国際戦略特区に指定を受けたわけでございますけど、それでまた、二〇三〇年までには一千億円を北海道としては食品の輸出を目指しております。  ただ、この中におきまして、農産物の輸出額というのは僅かまだ八十四億円なんですよね。それで、水産物が六百八十九億円といった数字で、まだまだ農産物の輸出も僅か一〇%ぐらいしかないという現状にあります。それをもっともっと有効に輸出できるような、こちらにあります川西農協のナガイモのようなものを海外にどんどんどんどん持っていけるようなシステムづくりをやっていただきたいなと。また、そういったものをスムーズに税関が通れる、そしてまた、そういったものの輸出を容易にできるようなシステムづくりといったものがこれは北海道の農業といったものをまた促進させる、また付加価値を付けて販売できるといったことに大きな寄与をしていくんじゃないかなと。  皆様方御存じのとおり、何度も申し上げますけど、北海道は農水産物の日本一の生産高を誇っております。ただ、そこでまた一番問題なのは付加価値率ですね。食品の付加価値率が、全国平均で三四%の付加価値を付けているわけなんですね。ところが、北海道の食品の付加価値率というのは僅か二七%、全国平均に比べますと七%の開きがあるわけなんです。  ただ、我々、今まで原料出荷みたいな形でもって本州や海外に輸出してまいりました。ただ、そのためには、やはり高付加価値を付けていくためのそういった、北海道で採用されましたヘルシーDo、北海道機能性食品認定制度、これは、今から三年前にフード・コンプレックス特区の認定を受けた中におきまして、この食品に関しては北海道道庁が健康になる体づくりに対する科学的な根拠のあるものだといった認定をする制度でございます。そうすることによって、その認定を受けたことによって、例えば卸価格が高く販売できる、そしてまた値段も高く販売できるといった制度でございまして、非常に今中小零細の、また農家の販売促進に役に立っているし、また、売上げの金額がたとえ同じであっても、今までは出しても出してもなかなか利益が上がらない部分が、そこの中でまた利益が出てきているといったことで、北海道独自のそういった取組も現在行っております。  ですから、我々北海道の者といたしましても、今後の北海道の農水産物をいかに高付加価値を付けてまた輸出を促進させていくかといったことに大きな今期待を寄せておりまして、また、北海道というのは、今まで農水産物の加工品や、またはね品とかそういったものがもうたくさん出てくるわけですね。それを、今までは畑に埋めているか、どこかの川に流しているかしておったわけですよ。それをいかに無駄をなくして未利用な部分を活用していくかといった研究開発というものが、日本でも有数な研究機関として、また地元の大きなテーマとして、課題として、数十年前から取組を行ってまいりました。それをいかに有効活用できるようにして海外にまた持っていけるか、また国内販売にもそういったものを持っていけるかといった今取組が急務とされまして、我々はそれに取り組んでいる次第でございます。  是非、このTPPに関しまして皆様方のお力添えを得まして、全世界に北海道の商品がたくさん売れるように御尽力願いたいというふうに考えております。  今日はどうも御清聴ありがとうございました。
  328. 林芳正

    ○団長(林芳正君) ありがとうございました。  次に、西原公述人にお願いいたします。西原公述人。
  329. 西原正行

    ○公述人(西原正行君) 私、全十勝地区農民連盟の委員長をしております西原です。よろしくお願いいたします。  私たちの組織は、十勝地区で約四千戸弱の農業者で組織されている組織でございます。農業の営む生産者自らの声を国に届けようということが発端で始まって、戦後すぐから始まっている組織でございます。今年で単組によりますと七十年の歴史があるところもございます。そのような組織でございます。  私たち組織は、政府がTPP交渉への参加検討を表明しているその時点から断固反対の運動を展開させていただきました。今でもその立場は変わらず、その立場からの意見を述べさせていただきます。  本題に入る前に、私の経営概況と十勝の農業について若干御説明をさせていただきたいと思います。  私の農場は、十勝の本当に大雪山の麓の上士幌町というところで、最近ふるさと納税で有名になっている町なんですけれども、そこで畑作農業、野菜をメーンに作っております。祖父が上士幌の地に入植してから、そのときは五ヘクタールぐらいの面積から始まった。私の父が、今、法人化をしまして有限会社にして、昭和五十五年に法人化組織にしまして、その段階で、私が帰った段階で約三十ヘクタールの面積。現在、約六十ヘクタールの面積の農地で、小麦やジャガイモ、あとナガイモ、ゴボウ、ニンジンなどの野菜類も含めて九品目作付けし、販売先はJAが中心。大体パーセンテージでいうと、ちょっと数字詳しく把握はしていないんですけれども、約七五%。あと残りの二五%ほどを自ら販売をさせていただいております。取引先は日本全国津々浦々という形で、個別といっても個人までではないんですけれども、様々な全国各地に販売をさせていただいております。  十勝の農業でありますけれども、農家戸数が五千八百四十三戸、耕地面積が二十三万五千二百六十八ヘクタールということで、一戸当たりに換算いたしますと約四十ヘクタールの面積で農業を展開しております。広大な農地を利用した農業を展開させていただいておりますけれども、昨年は気候に恵まれまして史上最高の売上げということで、大変喜びもつかの間、残念ながら今年は史上最悪の災害ということで、実はこの十勝の地というのは決して肥沃な土地ではないんです。私の父親が昔、林を刈って開墾したときの土壌分析の値があるんですけれども、窒素、リン酸、カリの値、当時は窒素の数字は出ていないんですけれども、リン酸の数値がゼロという数字が残っているんです。そのような土地なんです。まあそういう土地ばかりではないですけれども、そのような土地で何度も何度も冷湿害の災害にも遭遇しながら、そのような中で先人たちが築き上げたのがこの十勝の地だというふうに思っております。  先ほど言いました今年の災害ですけれども、長雨、四度の台風によって考えられないような災害がございました。政府に至っては、国会議員の皆様に至りましては、迅速な対応、また激甚指定を早急にしていただいたということで、ほっと胸をなで下ろして、全てが元に戻るわけではないですけれども、一つの力になっているということを本当に心から感謝を申し上げたいと思います。  その中で、TPPに関してですけれども、これ、私たちは農家の末端でどんなことが話し合われているかという声を本当に皆さんに聞いていただきたいんですけれども、いろいろな方がいます。メンバーの中にあっても、輸出やっている方もいますし、様々な方がいるんです。ただ、その中にあって、大多数の方がやはり不安を覚えるんです。  その中で、特にやっぱり重要五品目に関して、一番最初に、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること、また、十年を超える期間を掛けた段階的な関税撤廃を含め認めないとの決議がなされた。正直、その段階でちょっと胸をなで下ろした、いいな、何とかなるのかなというふうに思ったというのが実感でございます。ただ、やっぱり現実、全てが一〇〇%の回答ではなく、例えば小麦のマークアップの引下げ、砂糖の関税に関して、また例えば牛肉に関しても十六年掛けて九%に関税を下げるという、そのような事柄が出てまいりました。  いろいろな説明会に行きますと、守りました、関税の一部撤廃であり、また関税削減という言葉で、関税撤廃ではなかったという言葉に置き換わっているとしか私たち取れなかったんです。現実にやっぱりそのような痛みを伴う事柄にもつながっているということを御理解いただきたいと思います。  実は現実に、強い農家だけではなく、本当に、昨日、実は私、農産物を取りにちょっと違うある町村に走って行ったんですけれども、今年、ビート、砂糖の原料になる作物ですけれども、掘りたくても収穫できていない畑が山ほどあるんです。昨日、道路を走っていると、手で収穫をしているんです、いまだに。実はもうとっくに終わっていなくちゃいけないんですけれども、そのような畑は結構まだあるんです。なかなか思ったようにいかないというのが農業で、気象条件によってあっという間に今まで良かった事柄がなかなか思ったようにいかないというのが、現実の姿が農業なんです。そういう状況の中で、やっぱり少しでも不安を覚えるような事柄が出ると、ある年配の方は、まだあと五年あるけれど、いい機会だからもうやめてしまおうか、そういう声が出るのが当然なんです。  是非、これいろんなところで言うんですけれども、この間ずっとテレビでやっていた大臣の言葉、国会議員の言葉というのはすごく影響力があるんです。たった一つの過ちの言葉で、そのぎりぎりで考えていた人たちがやっぱりやめてしまうということが現実的にはあるんですね。是非、言葉の重要性を認識していただいて発言をしていただきたいなというふうに思っております。  TPP協定、もし発効した場合に、メリットを受ける方、デメリットを受ける方、本当にあると思いますけれども、是非そういうことも、メリットを受ける方は、それで頑張ろうとしている方はいいんですけれども、決してそういう方だけではないということを御理解いただきたい。余りにも不謹慎な言葉と自分で言っていましたから、そういう言葉はやっぱり慎むべきだというふうに思っております。そういう事柄一つ一つが農家のやる気をどんどんそいでいってしまうということにもなりかねないということを御理解いただきたい。  また、私、こういう場ですので、この間、テレビ、委員会を見ていると、小川先生も質問されていたんですけれども、開国して農業を変えなくちゃいけないという言葉がよくあるんです。強い農業にしなくちゃいけない、私、大賛成なんですよ。今、小砂さんからも海外に打って出る話も出ていました。私、すごくやる気を覚えるんですよ。  実は私、先ほど説明したように、自分で農産物売ったりしたくて、若いときからいろいろチャレンジしたんです。実は一時期、売上げの四〇%ぐらいまで自分で売ってやっていったんですよ。今現実どうなっているかというと、自分で売っている、数字的に言うと、大体二五%ぐらいまで落としたんです。なぜかというと、私、家族で経営して、一人雇っていますけれども、その中でやっているとどうしても負担が大きくなり過ぎて、一個人ではなかなかやり切れなかったというのが正直なところなんです。  そういう中で、じゃ、どうしていくのかと。その分、自分で売れなくなった分は、実は農協さんと相談して、一緒になって物を販売することにしたんですよ。今も、実はうちの農協、野菜いろいろやっているんですけれども、私がきっかけで、自分がちょっとやりたくてやっていた事柄がたまたま、前に、何ですか、毒ギョーザ事件というのがあったじゃないですか、あのときにゴボウを買い付けに全国飛び回っていた業者さんがいて、たまたま私のところに来たんですよ。それがきっかけでうちの農協がゴボウに進出、その後、またある縁でナガイモにも手を染めて、今どんどん増えていっている状況です。そのように私たち農家も農協と手を組みながら行っております。  実は、今回、農協に関しての事柄について、特に金融関係について出ましたけれども、特に北海道の地においては組勘制度が主流でございます。実は、その出た後に、私の知っている酪農家、畑作、津々浦々いろいろ電話してみていたんですよ。いっぱい聞こうと思ったんですけれども、全然進まなかったんです。なぜかというと、みんな何でこういうことになるんだという声がすごく多くて、まあ簡単にどうだいって聞こうと思っていたのが、実はもう一人十分、二十分、ある人は三十分以上語られたと。それだけ何でこういう発言が出るのか私たちには分からない。大臣の発言の中で畜産農家の例が出ておりましたけれども、畜産農家の人に聞いたんですけれども、何でそういうことになるんだ、私たちはもうそれをちゃんと全てを理解した上で利用しているんだ、それが前提がなくなってしまうとまた一から組み直しかって、そんなことにはならないって。西原、おまえ、是非こういう場で言ってこいと何人もに言われたんです。  農協の取組、またいろいろな農業の発展が決して反発することにはならないということを御理解いただきたい。それを理解しないと、特にこの北海道のような農協の取扱高、十勝のように集約率が高いところは今回の改革で割を食ってしまうというのが現実です。是非そのことを御理解いただきたいと思います。  指定団体制度についてもそうです。決して地理的に有利なところにいる強い農家だけではないということ。北海道の酪農家の五〇%は、五百トン以下で酪農をやっている方です。そういう方々が、一人一人がいろいろなところに独立してやっていくというのはなかなか現実的に難しいこともありますので、是非そういうことも御理解いただきたいというふうに思っております。  これで終わらさせていただきます。ありがとうございました。
  330. 林芳正

    ○団長(林芳正君) ありがとうございました。  次に、東山公述人にお願いいたします。東山公述人。
  331. 東山寛

    ○公述人(東山寛君) お手元に四枚とじのペーパーをお配りしておりますので、それを読み上げる形で意見陳述いたします。  私からは、まず農業分野を中心に、第一に、TPP合意の内容と国会決議との整合性、第二に、TPPの影響試算並びにTPP対策の妥当性、さらに、トランプ政権の発足が確実になった下で、第三に、我が国においてTPPの国会承認を進めることの是非について意見を述べます。  まず、第一の問題です。  申し上げるまでもなく、二〇一三年四月の国会決議、参議院農林水産委員会の決議は二〇一三年四月十八日でありましたが、農林水産物の重要品目について除外又は再協議の対象とする、さらに、重要五品目などの聖域の確保ができないと判断した場合は脱退も辞さないと明記しておりました。  我が国は、この重要品目について、あらかじめその品目、タリフラインを具体的に特定した上でTPP交渉に臨んだと理解しています。それが当時の関税分類のベースでは八百三十四ライン、重要五品目は五百八十六ラインであります。  私の意見は三つありますが、このTPP合意の結果は大筋合意以降初めて明らかになったわけでありますけれども、一つ目として、この八百三十四、五百八十六ラインをベースとすると、重要品目全体の四七%、五品目でも三〇%の関税撤廃に踏み込んでいること、二つ目として、我が国の譲許表、それに添付された説明文書を見ますと、関税の扱いについて六十三種類の記号を説明しているわけですが、そこには国会決議で掲げた除外や再協議という区分がそもそも見当たらないこと、三つ目として、やや長くなりますが、全品目では九五%という関税撤廃率をTPPでは実現しようとしているわけでありますが、そのためには重要品目の関税撤廃に踏み込まざるを得ないこと、また、TPP協定には我が国がこれまで締結したFTA、EPA、直近の日豪EPAにすらあった除外や再協議という扱いがないということ、これらのことは恐らくは交渉のかなり早い段階で明らかになっていたと思われるにもかかわらず、その時点で脱退という判断をしなかったという、以上三点におきまして、国会決議との整合性については大筋合意から一年以上経過している現時点でも大きな疑問符が付くと言わざるを得ません。  国会のTPP審議においては、TPPの合意内容と国会決議との整合性について、決議を行われた国会御自身が正しい判断をすべきと考えております。  次に、二つ目の問題であります。  政府のTPP影響試算は、農畜産物については十九品目を対象としており、その影響額を約一千五百十六億円、小さく見積もった場合は約八百七十八億円と試算しております。国境措置の後退がもたらす農業への影響はゼロではないということを政府自身も認めているわけであります。  この影響額は、TPPによる国境措置の後退、つまり関税の撤廃や削減、ゼロ関税の輸入枠の新設などによる国産品の価格低下から生じるものであります。特に、政府試算の限りでも、牛肉・豚肉、乳製品といった畜産物の影響額が全体の影響額の実に八二%を占めているため、今回の関連法案においても、畜安法改正という形でマルキン制度の法制化が提案されているところであります。これ自体は価格下落への補填対策でありまして、このことがTPP対策の一つの柱にならなければならないということは間違いありません。  しかしながら、私が申し上げたいのは、国境措置の後退は、もう一つの側面として、国境措置と国内農業保護のバランスを取ってきたまさに要石であります保護財源の喪失をもたらすということであります。その意味で、TPPの農業に対する影響は二重のものであり、価格の低下と財源の喪失を同時にもたらすものであります。したがって、TPP対策の一つの焦点は、このような財源の喪失と対策の充実というものが果たして両立するのかという点にあると考えます。  政府のTPP試算は、対策を前提に生産量への影響はゼロと見積もっており、その意味が非常に重いと私は考えます。なぜなら、この場合の対策には、価格低下への補填対策だけではなく、現在の国境措置で確保している財源が間違いなく縮小する下でも現行制度を維持、存続させるという大変重たい役割を背負っていると理解しています。  そこで、現行制度について申し上げますと、畑作物については平成十九年に創設された経営所得安定対策、さらに、今回の関連法案としても出てきておりますけれども、砂糖、でん粉の価格調整制度、乳製品は補給金制度、牛肉・豚肉はマルキンなどが措置されております。  国境措置で現在確保している保護財源の規模に注目しますと、政府資料をいろいろ見渡す限り、牛肉関税の一千二百十億円、小麦のマークアップ八百九十四億円、砂糖の調整金約五百億円というものが非常に大きく、これらが言ってみれば御三家であります。  それぞれの問題について簡単に申し上げますと、牛肉については最終年、十六年目に関税を九%まで引き下げる、これによる関税収入の減少は六百八十億円であるということが別な形で試算されております。この規模感なんでありますけれども、これだけでも直近の二〇一六年度予算で国庫から農畜産業振興機構に交付されている五百七十一億円をはるかに超える額が失われるということがイメージされます。  小麦については、マークアップを最終年の九年目に一キロ当たり九・四円まで引き下げるということを約束済みでありまして、これが四百二億円の喪失をもたらすとされています。農水省の公表資料によりますと、直近の二〇一四年度の国内産麦の振興費、経営所得安定対策に充てているお金でありますけれども、これは九百七十四億円であると。このうち小麦は八百六十億円程度と推定しますが、それを賄う外国産麦の売買差益は七百七十二億円で、これは現在の数字でありますけれども、現状でも差引き二百億円程度の赤字になっております。したがいまして、このままでいきますと、先ほどの財源喪失分が加わり、麦の保護財源は毎年恒常的に数百億円の赤字を抱えながら運用しなければならないということにもなりかねません。  このような数字を一例として出すことで何を申し上げたいかと申しますと、現行制度の維持、存続に対する深刻な懸念があるということであります。同時に、TPPの農業に対する影響は政府試算が示している最大一千五百十六億円にはとどまらないということであります。言い換えますと、TPPの下で現行制度を維持、存続させるためにはどれほどの追加的な財源が必要なのかという規模感が全くイメージできません。TPPの影響は、私の意見としてはこの部分も含めて考えるべきであり、当然のことながら国民に対する説明も必要だと思います。  今回の関連法案の対象になっている砂糖につきましても、TPP対策の一環として、チョコレート、ココア粉などの加糖調製品から新たに調整金を徴収するということが提案されております。それによる新たな財源は、一年目で七十億円とか、最終年で、十一年目でしょうが、百億円とも言われております。  一方で、TPPにおいては、既に締結しております日豪EPAを超えて、高糖度の粗糖、いわゆるハイポールと呼ばれるものですが、これを優遇することになっており、現在の一般粗糖からハイポールへの転換が進めば、調整金収入はその分減少します。さらに、これは関連法案の中でさりげなく明記されておりますが、加糖調製品からの新たな財源を原資として既存の一般粗糖の調整金を引き下げるということも検討されているようであります。  したがいまして、増収と減収の両方がありまして、具体的には水準は分かりませんが、それらの程度によっては増収と減収が相殺されるという可能性も否めないわけであります。現在、農畜産業振興機構の調整金収支、砂糖勘定自体が、直近の平成二十七年年度末においても依然として二百億円を超える累積赤字を抱えているわけでして、その意味では減収は鬼門でありますが、ここでもやはり制度の存続に対する懸念というものは払拭されません。  最後に、米についても、隠れたTPP対策のコストとして備蓄米の買い増しがあります。アメリカ、オーストラリアに対する七万八千四百トンは、これが全量精米だとすると玄米換算で八万六千トンほどになりますが、それに関わる財政負担、一万トン当たり約二十億円と政府は公表しておりますので、百七十億円程度の売買差損を新たに発生させることになります。  繰り返しになりますが、国境措置の後退に伴う財源の喪失を追加的な財源でカバーする、それを場合によっては一般財源から調達するということであれば、国民への説明が必要であります。政府が策定した大綱もこの予算の確保の問題に触れており、この点を文言として盛り込んでいることは私も承知しておりますが、それだけでは不十分と考えます。  私の意見は、現時点ではTPP対策を評価する材料が極めて不足していると言わざるを得ません。  最後に、TPPの国会承認を進めることの是非であります。  トランプ氏がTPPに否定的な発言を繰り返してきたことは知られていますが、現時点で決定的なものと言えるのは、十月二十二日に発表した百日行動計画であります。これはトランプ政権の事実上の政権公約と受け止めざるを得ません。トランプ氏はこの中でTPPからの離脱を表明すると明記しているわけであり、これが事実上の政権公約に含まれている意味は大きいと考えます。  しかしながら、日本への圧力がこれで収まったと見るのは早計でありまして、例えば、トランプ政権の重要ポストを担うと見られているマイケル・フリン氏、元国防情報局長官も、去る十月十二日に日本経済新聞のインタビューに答えて、私は多国間の貿易協定より二国間の協定の方がよいと考えており、日本との二国間協定も議論すべきだと発言しております。もし日米FTAを進めるという事態になりますと、日本がTPP協定の国会承認をしてしまえば、それがスタートラインとして確定し、その上で更なる譲歩の圧力が加わってくるという事態が現時点でも間違いなく想定できます。  私の意見は、今はトランプ政権の出方を見極めるべきときであり、国会承認を進めることは得策ではないと考えます。参議院における慎重審議を強く願うものであります。  以上、意見陳述といたします。どうもありがとうございました。
  332. 林芳正

    ○団長(林芳正君) ありがとうございました。  以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。  これより公述人に対する質疑を行います。  質疑の時間が限られておりますので、御答弁は簡潔に行っていただければ有り難いというふうに思っております。  なお、質疑及び御答弁は着席のままでお願いをいたしたいと思います。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  333. 佐藤啓

    ○佐藤啓君 自由民主党の佐藤啓と申します。よろしくお願いを申し上げます。  私、今こういう立場ですけれども、前職は十三年間国家公務員をしておりまして、その中の約二年間、二年弱を北海道庁で仕事をさせていただいておりました。また、近い親戚も北海道に多くおりまして、非常に縁のある地域でございます。今日は久しぶりにこちらの方に参ったんですけれども、小麦畑の上に雪がかぶったきれいな景色を横目に見ながら来させていただきました。非常に感激をしています。  そして、私がいつも北海道に来まして、ああ、本当に改めてすばらしいなというふうに思いますことは、やはり北海道のいつどこで、常に安全で安心な新鮮な農畜産物が食べられる、北海道は本当にどこで食べてもおいしいなと、これが私のやはり北海道の印象でございます。これは今、日本の国内外の多くの方々に味わっていただいているというふうに思うんですけれども、これをもっと世界の方にも味わっていただけるのではないかと、そういう思いが非常に私は強くございます。  そういう中で、今回のTPPの一つの目的でございますけれども、既に御案内のとおり、環太平洋の国々の経済の成長を取り込んでいくということだと思います。人口規模で八億人、そして経済規模で三千兆円を超えるマーケットなわけですけれども、今日の御出席の公述人の皆様方から見て、この環太平洋の非常に大きなマーケット、皆様から見て魅力的、また非常に可能性のある市場だというふうに捉えていらっしゃるのかどうか、それぞれのお立場で御意見をお聞かせいただけますでしょうか。
  334. 吉川広司

    ○公述人(吉川広司君) 私は、TPPだとかそれからいろんな言葉は、僕はこれは余りナンセンスな話でないかなと思います。  TPPというよりも、やはり全て国際競争、日本のこれ作っている、我々が作っているものは国際競争に勝ち得ていかなきゃならない、生き残るために。これは環太平洋だけでなくに、これからインドなりいろんなそういう、ヨーロッパなりいろんなところが出てくる、そういった中でこれは勝ち得ていくためにはどうしたらいいのか。我々の品目、そういったものが、どう説明して海外に出て進出していけるのか、そういったものをきちっと分析して、そしてまた、これはその国に勝てるというものをより生産性を高めていくということを、僕は国がやるべき問題でないかと。一部を捉えて僕はどうこうという形じゃないと。  それと、やはり、こんなことを言っちゃちょっと問題になるかもしれぬけど、私は大臣だとかいろんな方たちの、人方の言葉というのは、僕はそれほど重く受け止めておりません。やはり総理大臣の言葉というのは非常に重い言葉、決議で長くそういったことに行く。ここには大臣いて、元大臣経験をしている、私のところにも来ていただいて、だけど、大変申し訳ないんですけど、ただ、やはり今の閣僚の方々は一年で終わる。一年、せいぜい替わっても二年。その中で、これからもっと今大事なことは、誰がどうやって約束事を取っていくか。僕は総理大臣だと。これをしっかりと内閣できちっと取ってもらいたい。だから、方針を、やること全てをもう少し明快にするべきじゃないかということで、私はちょっと言いたいと思います。
  335. 小砂憲一

    ○公述人(小砂憲一君) 今言われた環太平洋の国々は、今後、人口がどんどんどんどん増え続け、食料不足になってくるだろうというふうに今言われております。二〇五〇年には今の食料の供給体制では賄っていかないのだろうと。  そういった中において、こういった自由貿易協定を結ぶことによって自由にそういった国々に食料を供給できる体制ができることが、今後の地球全体と言っていいんじゃないでしょうか、世界中のそういったものに対する、日本ではまだまだ人口減少がどんどんどんどん進んでまいります、ところが他の国ではまだ人口増加といったものが見込まれると、そういった食料の供給体制といったものは自由貿易しかないんじゃないかなと思うんです。ですから、是非その辺の促進を進めていただきたいというふうに思っております。
  336. 西原正行

    ○公述人(西原正行君) 魅力があるかどうかというと、あると思います。それははっきりしているんです。ただ、そこに、吉川さんが言ったように、どうやって売り込むかなんですよ。  農協のことをいろいろ言ったときに、農協はもっとマーケット・インの発想をしなさいと言ったじゃないですか。それは海外に打って出るときも全く同じだと思うんですよ。まず、自分たちが持っているもの、それが売れるかどうか、どうつなげていくか、そういう視点がやっぱり一番大事であろうと思います。
  337. 東山寛

    ○公述人(東山寛君) 日本は、TPP参加国、日本以外の十一か国について言いますと、アメリカとニュージーランドを除いて既にFTAを結んでおります。これASEAN全体とも結んでおります。したがいまして、成長するアジア市場に売り込んでいくということについては当然ターゲットにしているわけでありますけれども、あえてTPPでなくともよいのではないかと考えます。
  338. 佐藤啓

    ○佐藤啓君 ありがとうございました。  ただ、おおむね、このやはり市場に対する魅力、可能性はあるという認識だというふうに感じました。  そして、それぞれ、国際的に、海外に北海道また日本の農畜産物を展開していくという観点でお一人お一人にお聞かせいただきたいんですけれども、まず吉川公述人にお聞かせいただきたいと思います。  先ほど、やはり国際競争力をとにかく高めていかなければいけないというお言葉がありました。大変力強い言葉だと思います。吉川公述人のまさに業務の関係では、昭和五十八年に海外からの精液の自由化が行われたと、こういうことをやはり契機に非常に競争が激しくなって、ただ、それにとにかく打ち勝とうということで頑張ってこられたということだと思います。高品質なものをつくるには国際競争、やはり競争というものが必要だということに関して、改めて御見解をお願い申し上げます。
  339. 吉川広司

    ○公述人(吉川広司君) 私が言っている、そのとおりなんですけれども、国際競争、これTPPであろうが、先ほども言ったように、何でも関係ないんですよ。ただ、国際競争で日本のものがどうやって売るのか。そして、しかもコスト、世界と比べたときに確かに品目ごとにコストが非常に高くなっております。金額も高いと思います。だけれども、それをどこまで縮めれるのかということが、やはりもう少し戻って計算してもいいんじゃないかなというふうに思っています。  というのは、私が先ほど言ったように、八三年に精液が自由化になった。それ以降に、自由化になってから私は会社をつくった。それはなぜかといったら、一歩外へ出れる、これでようやく出れるということでこれをつくって、そして今現在、海外から非常に欲しがられている状況です。幾らでもお金をもうけれる状況に今入っています。  ただし、それは日本の生産者にダメージが起きる。やはり自分の身だけでなくに、それを助けるためには我慢しなきゃならない。そのためには日本がもっと改良を続けていかなきゃならない。そういったものをきちっと精査してやっていく。例えば乳牛の改良、先ほどこういう乳牛改良事業、後代検定事業があって乳量が進んできましたよ、改良が進んだよと言ったのは、あの当時は四千キロです、できたのが。一頭当たりの四千キロ。今八千三百キロですよ。あの事業がなかったら、恐らく日本もほかの産地の国と同じように五千、六千キロの乳量であったでしょう。  だから、やはりその改良というものは、先ほど農民連盟さんの方から言われたように、畑の方もやはり土壌改良、いろんな形の中で改良を進めて、その品目に合うものを作ってきた。そういった努力の中で、研究の中で、分析の中で生まれてきた結果がそうである。だから、もっともっと日本は、政府はそういった研究、そういったものに対して助成をしていく必要性が僕はあるんじゃないかと。それによって生産者が品目、どういうものが生まれてくるのかが理解してくるだろうし、それをターゲットに攻める農業というものがつくれていくんじゃないかというふうに思っています。  言葉足らずだけれども、申し訳ございません。
  340. 佐藤啓

    ○佐藤啓君 ありがとうございました。  では次に、小砂公述人にお聞かせいただきたいと思います。  既にもう海外への展開をされておりまして、例えばタイであったりフィリピンであったり、各国の違うルールの中で様々な御苦労をされてきたというお話がございました。やはり今回のTPPは、この一つのルールを作るということで、そういうコストが大幅に下がるということでございますけれども、その話と、また同時に、先ほど北海道内のバイオ産業が、百六十何社かある中でも、かなり多くの会社が海外へ展開されているとお話がありました。  分かる範囲で結構ですけれども、公述人が、ほかの会社が海外へ展開される際に同じようなやはり悩みを抱えていらっしゃるのかどうかということについての認識をお聞かせいただければというふうに思います。
  341. 小砂憲一

    ○公述人(小砂憲一君) 今御指摘ありましたとおり、私どもと同じような、やはりそのレギュレーションをクリアするための費用と時間ですね、これに大半を費やしていると。そしてまた、その国々によって、例えば半年で下りる国と、二年、三年たっても認可の下りない国がまちまちなんですよね。そういったことで、その相手国の認可が下りない限りはそこで販売できないわけですから、いつ下りるか分からないものに対してどのように対応していくかと。そういった時間と労力をかなり軽減できるんじゃないかなというふうに、私どもバイオ産業企業も、全て私どもと同じ考えをしております。  また、こういった調査も、各国のレギュレーションを徹底的に調査して、そしてそういった情報提供を共有できるような仕組みも今つくっております。
  342. 佐藤啓

    ○佐藤啓君 ありがとうございました。やはり小砂公述人が感じられていることがほかの方々も幅広く感じられていることなのかなというふうに感じました。  西原公述人にお聞かせいただきたいと思います。  済みません、私も事前に西原公述人がどんなお仕事をされているかということを読んできたりしたんですけれども、ナガイモを先ほど作られているというお話がございました。ナガイモを海外に輸出されている、台湾に輸出されているというようなお話をちょっと私聞いたんですけれども、その海外への輸出ということに関しては西原公述人はどのようなお考えをお持ちでしょうか。また、その辺りの御苦労とかもしあれば教えていただければと思います。
  343. 西原正行

    ○公述人(西原正行君) 私のところでは、実は私、ナガイモの青果用の種を作っている立場なので、直接販売には携わっていないですし、私がグループをつくっているある農協に、音更農協というところに出荷しているんですけれども、そこでは直接販売はしていないんです。ただ、十勝においては川西農協さんがもう全面的に立ってやっていらっしゃいますけれども、大変最初苦労されたという話は聞かせてもらっています。  私、実はナガイモがどうしてあのように海外に行ったのかというのは、やっぱりその地域の食文化と結び付いたからだろうなといつも思うんですよ。今まで食べたことのないものを食べると、どうしてもそこになかなか根付くまですごく時間が掛かりますし、もしかすると一瞬で終わってしまうかもしれませんけれども、そこの食文化と結び付くことによってやっぱりあのようにすごく広がっていくんだなというのを私すごく感じるんですよ。  日本人がなぜこんなにパンを食べるようになったのかということも考えてみますと、やっぱり小さいときから私も学校給食でパンを食べた口ですので、やっぱり小さいときから食べたものというのはこの年になっても食べるんですよね。まあ私のときは御飯もいっぱい食べましたので御飯も大好きですけれども、やはりそういうことがあってここまで伸びてきたんじゃないかと、個人的な意見ではありますけれども。ただ、そこに至るまではすごくやっぱり苦労しているというふうに聞いております。
  344. 佐藤啓

    ○佐藤啓君 ありがとうございました。  海外に展開していく際のいろんな在り方についてお聞かせいただきました。それぞれからまた違った御回答をいただいたんですけれども、吉川公述人からは、やはり研究開発、しっかり国で支援をしていくべきだというお話がございました。  小砂公述人にお聞かせいただきたいんですけれども、TPPによってルールを一つにしていくということのメリット以外に、例えば政府が直接的な支援という形で海外展開を後押ししていく、政府がやれることというのはどういうことがあるというふうにお考えでしょうか。  同じ質問を西原公述人にもお願いを申し上げます。
  345. 小砂憲一

    ○公述人(小砂憲一君) 私ども、最初に海外進出するときにジェトロの力を借りているんですよ。その国のいろんな状況、そしてまたどんなニーズがあるかといったことをジェトロでもって調査をしていただいております。また、どのようなところに私ども売り込んでいったらいいのかと、情報をそういうようなところで得て今まで海外展開をしてまいりました。  よろしいですか。
  346. 佐藤啓

    ○佐藤啓君 はい、ありがとうございます。
  347. 西原正行

    ○公述人(西原正行君) 私も、海外まで展開しているわけじゃないので、ちょっと詳しくは分かりませんけれども、やっぱり基本になるのは先ほど言ったようなマーケット・インの考え、要するに、相手先に何を売り込むのか、相手が何を求めているのかということをよく理解すること。もし売りたいものをもう本当に売りたいというのであったら、そこの国の食文化にどうそれを溶け込ませられるのかということがすごく大事になってくるんじゃないかなというふうには思います。  今、日本食が世界でブームと言っていますけれども、ある意味、日本の例えばおすしなのか、その日本食が何を指すのか、私、詳しくは分からないですけれども、やっぱりそういうことも一つ一つ、じゃ、これが、日本で作っているものどこに入れるのかとか、そういう細かいやっぱり分析が必要になってきますし、それは各その販売先、販売業者が、一つ一つがアタックするのではなくて、やっぱり日本がまとまって何かをやっていくという、まとまるところがないとなかなか、向こうでバッティングしますし、売り先でバッティングすることもあるでしょうし、そういうことがやっぱり大事になってくるんじゃないかなと。そういうところでやっぱり国がある程度関与していく余地があるんじゃないのか。  で、ごめんなさい、もう一つだけ。そのための、多分、日本にはそういうことに携わっていたような人材がやっぱりいっぱいいると思うんですよ。商社とかそういうところで働いていた人が、私も聞いているところによりますと、日本のためにそういう自分が得た知識とか経験を生かしたいという人がやっぱりいっぱいいますので、そういう人たちの力も借りたりとかしていくことがやっぱり大事になってくるんじゃないかというふうに思います。
  348. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 北海道の皆さん、十勝の皆さんにはいつも大変にお世話になっております。民進党の参議院議員、徳永エリでございます。参議院農林水産委員会の野党の筆頭理事をさせていただいております。  四名の公述人の皆様におかれましては、今日は平日の大変にお忙しい中を御出席をいただきまして、それぞれのお取組、御苦労、大変貴重なお話を聞かせていただきましたことに、まずは心から感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。  そして、八月の台風でございます。私も四度、十勝に入らせていただきました。全道各地の被災地も回らせていただきました。特に十勝の被害はひどいです。農業関係だけで三百億円を超えるということでございまして、来年本当に営農を再開できるのか、十年たっても元の生産量にはなかなか戻らないのではないかと大変心配している方々がたくさんおられます。  政府もしっかりとそういった農家の皆さんを支えていただけるということでございますが、時間の掛かることもございますので、私たちも皆さんと力を合わせてしっかりと一日も早い再開に向けて頑張っていきたいということを改めてお誓いをさせていただきたいと思います。  さて、それでは質問させていただきたいと思いますが、先ほど吉川公述人からもお話ございました、総理大臣の言葉は重たいと。私も本当にそう思っているんです。ただ、総理の言っている意味がよく最近分かりません。何を言っているんだろうと。  特に私が一番印象に残っていて、よく農家の皆さんとお話しするときに言うんですけれども、TPP交渉、日本は何としてでも農業を守っていかなければならないという中で、アメリカの議会で総理が演説をしたときに、この二十年で日本の農業は衰退してしまった、平均年齢は六十六歳で、後継者もいない、このままにしておいたら日本の農業は駄目になるんだと、国際社会に向かってそう言ったんです。私、耳を疑いました。北海道の農業、日本の農業は頑張っているんだ、高い技術で安心、安全な農作物を作っているんだと、そういったことを世界にアピールをしていただきたかったのに、衰退をしたと。そして、自分がこれまで誰もできなかった改革をしていくんだと、そう言ったんです。  確かに、農業生産額、ピーク時は十一兆円でした。今、三兆円ほど減少しています。しかし、なぜ減少したか。それは、猫の目農政と言われたように、ころころ農政が変わっていった。そして、自由化、関税の削減、こういった中で離農を余儀なくされた農家がたくさんいるんです。農家戸数が減ったら農業生産額も減ることは当たり前のことであります。ですから、衰退したんだとしたら、誰のせいなのかということをしっかり考えなければいけないと思っています。  そして、今農家の皆さんはこのTPPの問題で大変に大きな不安を抱いておられますが、今政府が進めている農業改革、これが果たして農家の皆さんが意欲を持てるのか、希望を持てるのか、そんな農業政策になっているのかということであります。  このところ、新聞の記事などを見ながら、農家の皆さんも本当に驚いたり怒ったりしていると思いますけれども、農協改革から始まりました。自己改革ということでありましたけれども、とんでもない、自己改革になっておりません。規制改革会議が農協改革を主導して進めています。そして、今度は全農改革です。生乳の指定団体制度の見直し、さらには全農の委託販売の廃止、全量買い取れと。そして、先週の金曜日、道新の一面に記事が載りました。私も大変心配していたんです、以前から。北海道独自の制度である組合員勘定制度を廃止すると。これが本当にTPP対策なのか。農家が希望を持って営農を続けていけるのか。  そこで、こういった今の農政について、まずは西原公述人、そして続いて東山公述人に御意見をお伺いしたいと思います。
  349. 西原正行

    ○公述人(西原正行君) 今、農業改革のことですけれども、先ほどもちょっとお話をさせていただきましたけれども、やはり規制改革推進会議の話は、農家の中では驚きでまず第一声取られました、なぜこういうことになるんだと。冠言葉のように、農家の人も、いや、農協も変えなくちゃいけないんだという言葉がなぜそっちの方に行かなくちゃいけないか。農家が考えている変えなくちゃいけないポイントと国が出してくるポイントが何か余りにも違い過ぎて、戸惑いしかないんですよ。  こんなことをやっていたら、貴重な農業を営む、長年苦労されていた人たちが離れていくスピードがどんどん速くなっていくんじゃないかと。特に北海道のような専業で農業を営む者にとっては、やっぱり収入に直結することにもなりかねない。今まで生活基盤であった事柄に対してノーと言われたら、そこまで言われるんだったらもう早めにやめちゃおうかという気分になるということは、これ当然なんです。若くて生きのいい連中は、だったら俺は違う方向でやってやりましょうという方もいらっしゃいます。ですが、そういう方ばかりではないということなんです。是非そのことを理解していただきたいなというふうに思います。
  350. 東山寛

    ○公述人(東山寛君) 農協改革については、これが第二弾ということになるかと思っています。昨年、農協法、農業委員会法、農地法、三法改正ありまして、その改正理由、非常に驚きましたが、農業を成長産業にするためという一言でありました。農業を成長産業にするというのは、今の政府全体の非常に大きな成長戦略の中で位置付けられているものと思いますし、その成長戦略自体がTPPを前提にしているということだと押さえております。結局、TPPを前提に農業を成長産業にしなければならず、そのために必要な、どなたかが考えている改革を農業サイドとの合意形成を一切抜きに進められているという、その進め方にまず問題があるというふうに思っております。  それから、我が国はこのTPPの国会承認というものに大変固執しているわけでありますけれども、恐らくこのままいけば、日本はTPPをやるんだということだけが残って、蜃気楼のように残って、そのために改革をしなきゃいけないという路線が後戻りできずに進められていくのではないかということを、実は今一番懸念していることの一つであるということを申し上げたいと思います。
  351. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 東山公述人に続けてお伺いいたしますが、ずばり、今の安倍政権の農政改革によって、これまで頑張ってきた北海道あるいは日本の小規模家族経営農家を守っていけると思われますか。
  352. 東山寛

    ○公述人(東山寛君) まず、TPPの影響について先ほど意見陳述させていただきましたが、関税とか対策とかそういうものが出てくる前に、真っ先にまず先行き不安というのが出てくるわけですよね。今、北海道農業についても、一番多い農家の年齢層は六十代前半になっていますから、その人たちやそれに続く五十代の人たちがどれだけ後継者を確保できるかということにある意味北海道農業の未来、希望が懸かっていると思っております。  TPPに加えて、現在、農業サイドとの合意形成抜きに進められている農業改革も、更に先行き不安というものを加速させている要因になるというふうに思っております。少なくとも北海道については、家族経営とそれからその家族経営が結集している農協の取組の力というものを信じていただき、何か強引におやりになるとしても一国二制度で考えていただきたいというふうに思います。
  353. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 せっかくですので、先ほども少し御本人のお話から触れておりましたけれども、組合勘定制度です。  この組勘制度については、農協が要するに農家を縛っているとか、あるいは農家が自立できない理由なんだとか、高く飼料や資材を買わされているんだとか、そんな意見もありますけれども、一説ではこの大規模な十勝の農業の発展を支えてきたのはまさにこの組合勘定制度だというお話も聞こえてきますが、西原公述人、この辺りはいかがでしょうか。
  354. 西原正行

    ○公述人(西原正行君) まず、長い歴史を見て見ますと、間違いなくこの組勘制度というのは十勝の農業を支えてきたということには間違いないと思います。その中で、どんどんどんどん離農者が出ていって、図らずも大規模化がどんどん進んでいったというのがこの十勝の地区なんですよ。  そうすると、やっぱりその中でいろいろな力を持った、何と表現したらいいのか分からないんですけれども、本当に力を持ってどんどん違う方向に進んでみたいという方も出てくるんです。そういう方にとっては、組勘制度じゃなく違う方向でいくというのも、良い方法もあろうかと思います。  ただ、大多数の方々は、これ資料によりますと、何というのかな、八〇%以上の農産物を農協に出荷しているという、出荷先の第一位は何ですかというのを調べると、十勝においては九五%という数字が出るんですよ。そのうちの大多数の方々はやっぱり組勘を利用していきたいというふうに考えているのは間違いないです。私が先ほど言ったように、何人かに電話したらもう熱く語られました。そのことは是非知っていただきたいなというふうに思います。
  355. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 是非とも与党の先生の耳にお留め置きいただきたいと思いますが。  そして、吉川公述人、小砂公述人にも端的にお伺いいたしますけれども、お二人はある意味で北海道農業の応援団として今まで御尽力いただいたわけでございます。私たちも自由貿易には反対ではございません。しかし、TPPはやはり、農家の皆さんもそうですけれども、国民の安全、安心が守れないという不安な要素がたくさんあります。  今の農業者の皆さんの声を聞いてもいろいろお感じになったことがあると思いますけれども、それぞれお感じになったことをお伺いしたいと思います。
  356. 吉川広司

    ○公述人(吉川広司君) その件につきましては、私も同意できる部分とできない部分があるんですけれども、農協関係というのは、私が農家をやり始めたときに、学校を出てやり始めたときは、組勘制度、組勘を利用しました。それから、組勘を使って十年もたたないうち、ちょうど僕が大正の方に、今のところ、現地に移ったとき、この大正農協ですけれども、私は組勘を今持っておりません。  ということは、私はどう計算しても、組勘制度というのは非常に良くない制度だと思っています。それはなぜかというと、お金がないから借りている、その借りたお金が金利が非常に高い、日本一高い。サラ金は別ですよ。そういう状況の中の、僕はあれに対しては、そういう形は、組勘制度を設けたというのは、いつかは農家は、生産者は自分たちの自力でやっぱり脱皮していかなきゃならないというふうに思っています。それをしなければ、やはり借りたお金でやるだけしかなくなってしまう。  それと同時に、この農協のシステムは、そういった形で私は余り利用していません。利用していないというのは、お金を借りることに対して利用していない。だけれども、牛乳の出荷、それから牛の出荷、市場、私の経営の中では一〇〇%そこを通しています。でも、そういった形の中でやはりもっと、自分たちが経営をやるのであれば僕はもっと、ということは、中小企業の方々にこの話をすると、我々仲間の中で話をすると、そういう農協みたいな甘い感じのところはありません。ただ、だけど、甘いんじゃないんですね、実際は。実際は辛いです。だから、僕は余りそういうものに頼らずに自分の形の中でやっていきたいという形で来ています。
  357. 小砂憲一

    ○公述人(小砂憲一君) 私も、この北海道農業というのは、全国的な兼業農家と専業農家をはっきり仕分して、先ほど東山さんがおっしゃっていましたけど、一国二制度というような、そんな制度づくりも必要じゃないのかなと。やっぱりそういった農家補償といったものをただ一律に兼業農家も専業農家も一緒にしてしまうというのはいかがなものかなというふうに感じております。  また、ヨーロッパのように、フランスやその他、あの辺の周辺の諸国と同じように、きちんとした補償制度、農家が安心して安定した生活、そしてまた農業環境がつくれるようなきちんと補償制度をある程度政府としてもお示ししていただきたいなと。  今の戸別補償制度だけではいろんな問題が生じております。これ全国的に一律な制度となっておりますので、その辺をきちんと整備をされて、専業農家と兼業農家の仕分、そういったものをされたらどうかなというふうに考えております。  以上です。
  358. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございます。  経営力の強い農家、それから弱い農家もあります。自分でどんどん販売できる農家の方もおられれば、高齢の家族経営農家なんかは自分たちではなかなか販売まではできないという方もおられます。やっぱり多様な農家があってこそだと思います。ですから、是非とも多様な農家が生き残っていけるような、そんな農政にしていきたいというふうに思っております。  それから、TPPは、北海道はかつてはオール北海道で反対しておりました。JAの皆さんも、それから医師会の皆さんも、経済界の皆さんも、労働界の皆さんも、私たちも、オール北海道で断固反対というふうに運動してまいりました。もう反対してもTPPは決まってしまうんだろうからということで、だんだん運動が萎縮していったのがとても寂しく感じます。  しかし、大統領選挙でトランプ氏が次期大統領に決まったということ、誰も思っていないことが起きることもあるわけでございますので、最後まで諦めることなく、やっぱり駄目なものは駄目だと。そして、問題点をしっかり皆さんの前に明らかにしていって、いいところはあるけれどもやっぱり悪いところもある、そして影響のあるところはやっぱり政策でもってしっかりとその影響がないようにしていかなきゃいけないよねという、時間を掛けた本当に慎重な議論が必要だと思っておりますので、参議院のTPPの特別委員会では、二十一分野三十章、なるべく多くの分野の問題点に触れながら、国民の多くの皆さんにこのTPPがどういうものなのかということをしっかり知っていただく、そのために頑張っていきたいというふうに思います。  今日は本当に貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。終わります。
  359. 熊野正士

    ○熊野正士君 公明党の熊野正士でございます。  本日は貴重な御意見を伺いまして、大変にありがとうございます。  まずは、本当に大変な台風被害に対しまして、被害に遭われた皆様方に心からお見舞いを申し上げますとともに、この復旧復興のために尽力されている皆様方に改めて敬意を表したいと思います。私も国会議員としてしっかりと支援に取り組んでまいる決意でございます。  それでは、質問の方に移らせていただきたいと思います。  まず、東山公述人の方にお伺いをいたします。  先ほど公述人の方からいろいろとお話を伺いまして、今回の財源保護の規模ということでお話がございました。牛肉関税で大体一千二百十億円、小麦のマークアップで八百九十四億円、砂糖の調整金で五百億円と。これだけのいわゆる今まで関税で得られていたお金がもう得られなくなるということに加えて、また、その対策をどうしていくのかという、この両立が問題ですよというお話がございました。そうすると、それは国民にしっかりと説明をしなければならないというお話を伺いまして、ああ、そのとおりだなと真摯に受け止めさせていただきました。  その上で、今回、総合的なTPP関連政策大綱ということで、攻めの農業と、それから経営安定、安定供給のための備えと、今こういった大きな柱の下でやっているわけですけれども、是非先生の方にお伺いしたいのは、攻めの農林水産業というところに、体質強化だというところの取組について御意見を賜れればと思います。
  360. 東山寛

    ○公述人(東山寛君) どうもありがとうございます。  攻めの農業については、国内農業の体質強化、それから輸出というものが特に目玉として取り上げられているわけであります。  体質強化については、既に二度の補正予算が組まれておりまして、畜産それから耕種ですね、それぞれ数百億円規模の基金が積まれて実施に移されており、かなりの執行状況にあると認識しております。この土地利用型農業の体質強化につきましては、これはもう不断の取組として進めていかなければいけないわけで、あえてTPP対策としてやっていただく必要はないというふうに基本的には理解をしております。  それから、輸出につきましても、実は北海道農業は戦前期において輝かしい輸出農業の歴史を持っておりましたが、戦後においては一転して食料増産に貢献するということでやってまいりました。その中で輸出という発想を持ったことは実は余りありません。その取組が遅れていることは確かでありますけれども、他の輸出国並みに我々の力を付けていくということになりますと、まず輸出のためのインフラが様々な形で必要だと思っております。それから、他国が、かつては輸出補助金という形で価格競争力を付けており、現在は直接支払にかなり転換しております、特にアメリカについてもそうでありますけれども。そのような施策を、例えば輸出競争力を付けなさいということであれば、逆に政府としてやはりお考えになっていただきたいというふうに思います。
  361. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。輸出をするのであれば、しっかりとしたインフラ整備が必要であるということだと思います。よく分かりました。  続きまして、西原公述人の方にお伺いをさせていただきたいと思います。  先ほど、ちょっと僕も聞き逃したのかもしれないんですが、ビートの今回不作というか、そういう話がございまして、何か手作業でやっているというふうな、収穫を、その辺の例も、結構やっぱり農産物なので年によって気候とかいろいろ変動があるということで、今年のビートの状況というか、そういうのをもうちょっと教えていただいてよろしいでしょうか。
  362. 西原正行

    ○公述人(西原正行君) ビートでいえば、長雨そして四度の台風によってかなり生育も停滞した、その上に大量の雨がずっとたまっていたということで、今まで余り見られなかったんですけれども、葉っぱは丈夫なんですけれども、下が腐り始めたり、滞水したところはどんどんビートがなくなっていっちゃうような、そのような現象が見られて、ちょっと今までにないほどのやっぱり水の害が大変多かった年だったんです。ふだんだったら機械でみんなそれぞれ収穫するんですけれども、そこもできないような状況の畑が見受けられるような年です、今年は。
  363. 熊野正士

    ○熊野正士君 機械が使えないというのは、それはなぜなんでしょうか。
  364. 西原正行

    ○公述人(西原正行君) 機械が使えないというのは、畑が水が余りに含み過ぎていて、機械が沈んじゃって動けなくなっちゃうんですよ。そういう状況で、昨日見たところはもうビートもかなり水につかっていたということで、すごくちっちゃい、葉っぱもやられちゃって、多分あそこは機械が入れないんだろうなというような状況でした。
  365. 熊野正士

    ○熊野正士君 よく分かりました。  要は、いわゆるてん菜というかビート、非常に不安定であると。今回、本当に長雨というか、北海道は今まで経験したことのないような雨の中で、そういった被害も起こり得るということを十分対策の中に入れていかなければいけないかなというふうに感じました。ありがとうございます。  それと、先ほど強い農業が必要だというふうにおっしゃられていまして、ただ、いろいろ販売をしたいということで一生懸命取り組んだんだけれども、やっぱり家族経営の中で負担が大きくなってしまってということでございまして、今、国の方としては、こういった集約化というかクラスター化というか、産地パワーアップとか、そういうことでやっていこうというふうに考えているわけですけれども、西原公述人の方からその辺の、強い農業のために何が必要なのかということを教えていただいたらなと思うんですけれども。
  366. 西原正行

    ○公述人(西原正行君) 強いといってもいろいろなレベルがあるんですよ。私の経営では、例えば今持っている販売先のために働く人が欲しいとか、もうちょっと効率よくできる方法はないだろうかということ。また、ある方にとっては、そういうものをやってみたいということで、そういう最初のスタートするための取っかかりの何か、スタートをするための何かが必要な方もいらっしゃいます。また、ある人にとっては、今一生懸命やっている、そういうのを広げている人にとっては、もうちょっとインフラをどうにかできないのか。様々なレベルがあると思うんですよ。  私は、そのための第一歩はやっぱり農協と一緒に歩むのが一番いいというふうに考えているんですよ。なぜか。そのための今地域によっては公器にもなっているという、公の器にもなっているということが言えると思います。
  367. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  例えば新規就農の方に対する支援であるとか、あるいは後継者の方で、規模を大きくしたいんだけれども、そういうインフラ整備に対する支援であるとか、そういったところがしっかりできればいいんじゃないかということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。  続きまして、小砂公述人の方にお伺いしたいと思います。  先ほどいろいろ、海外に進出するので、今それが経営の安定化にもつながるんだということで、今三〇%なんだけれども、それを五〇%に引き上げていくために今努力をされているということで、ただ、その中で関税であるとか障壁がいろいろあるということで、一つは特許の問題とか、それから模造品ですかね。取り扱っていらっしゃるいわゆる健康食品であるとか、そういったところでの、実際問題、特許で御苦労なされたこととか、そういう模倣品で困ったこととか、具体的にその辺のことをちょっとお教え願えたらなと思うんですけれども。
  368. 小砂憲一

    ○公述人(小砂憲一君) 特許侵害だとか模造品の問題なんですが、今ネットの情報が氾濫いたしまして、国境を越えてどんどんどんどん世界中にこれ蔓延してきているんですよね。ですから、今、全世界でもって、そういった国々でもって、ある程度きちんとしたそういった規制なり罰則強化をしてもらわなければ、今このインターネットというやつは本当に我々も手に負えない状況で、商標権から何からもうめちゃくちゃな、そういったものが蔓延している状況でございます。  また、特許の有効期限が各国まちまちでして、その辺もきちんと統一性を持たせていただきたいなと。以前、特許の有効期限については国会でも政府の方でもいろいろと論議がなされましたけど、まだその辺が統一されていないということなものですから、早急にこの辺をまとめていただきたいなと。これはTPPに限らず、今後の世界貿易に関して必要なことだと思います。  以上です。
  369. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  その辺もっと対策をしっかりやりながらということで、一つの今回TPPで大きなルールができるので、それは一歩前進なのかなというふうには思いますけれども。  あと、御社ではもう既に海外に進出をされていまして、先ほど佐藤委員の方からも、そういういろいろ御苦労があってというお話であったんですけれども、今回、このTPPに関連して、経産省とかがいわゆる新輸出大国というふうな、コンソーシアムというふうなことで、中小企業、特に中小の企業に対する支援を一生懸命頑張ってやっているわけですけれども、聞くと二千五百社とかぐらいが既に登録をして、なかなか今まで不慣れだった、本当に英語も使えないとかそういうふうなところで、もう伝票の書き方も分からないというか、そういうふうなところからを一からずっと支援をしていって、中小企業の皆さんが海外で進出していけるようにというふうな取組をしているんですけれども、御社では既にもう海外に進出をして成果を上げていらっしゃるわけですけれども、そういった、今ちゅうちょしているじゃないですけれども、そういった中小企業の方々には、こうやったらいいよとか、こういうところがすごく注意しないといけないよとか、こういうところを頑張ればすごくいいよとか、そういったことを経験も含めて是非お教え願えればと思うんですけれども。
  370. 小砂憲一

    ○公述人(小砂憲一君) やはりジェトロを私どもも本当に活用させてもらって、その国の情勢なりそういったマーケットの回り方なりを先に情報収集しているわけですね。ですから、やっぱりそういった国の出先機関でありますジェトロの活用といったものをもっともっと皆さん方に知っていただきたいなと。  ただ、ジェトロがなかなかPR不足で、まだまだ周知されていないものがあるものですから、その辺を、そういった輸出入に関する情報等をジェトロが積極的にやっていただきたいなと。  また、国内におきましても、北海道に、今五人ほどの職員でもって運営しているんですけど、こんな広域的なところですと、五人ではとてもじゃないですけど、我々はそういった情報、ジェトロが言わんとしていることがなかなか物理的に言っても難しい状況にあるわけですね。  以上です。
  371. 熊野正士

    ○熊野正士君 五人というのは、アドバイザーというか。
  372. 小砂憲一

    ○公述人(小砂憲一君) ええ。
  373. 熊野正士

    ○熊野正士君 なるほど。じゃ、ちょっとそれ増やすような方向で是非。はい、分かりました。ありがとうございます。  じゃ、最後に、吉川公述人に御質問させていただきたいと思います。  先ほど、乳牛等を例に引かれながら、遺伝的な優位性を高める努力をずっとしてこられたということで、本当にすごいなと思いながらお話を聞かせていただきました。ただ、最後のところで、各都道府県で個々に改良を進めてきたんだけれども、オールジャパンでというか日本でというふうな御意見がございました。この辺もう少し詳しくお教え願えますでしょうか。
  374. 吉川広司

    ○公述人(吉川広司君) 今の質問ですけれども、私がその部分を言ったのは和牛についてなんですよね。ホルスタインについては一本化されています。和牛の遺伝子作り、改良、そういったものはやはり日本が一本化されていないと。  例えば各都道府県の、まあこんなことを言っちゃこうやって書いた意味がなくなっちゃうのかもしれないけれども、軟らかく書いたつもりなんですけれども、今日ですからここをちょっと話しさせていただきますけれども、この和牛については、各都道府県、我が県の遺伝子だといって隣の県にも融通しないという習性が昔からあるんですね。これは、今の状況では、和牛を抜いて日本の酪農業はもう語れない状況。ですから、ここはやはり一本化して日本の遺伝子を高めていく。それによって国内の肉生産が、より安い生産費、そしてまた非常に高い価格で販売できる、そしてしかも海外にも出せる、そういう形になりますから、やはりここは遺伝子をしっかりと作っておくということが大事だと思うんです。そこでその件を言ったんです。  ただ、ホルスタインにつきましては、僕は、JICAを通じてバングラデシュの方に三十万本ほど精液は輸出している経験を持っています、これはJICAを通じてですけど。ですけど、やはりこれも皆さん、みんな分かっていないと思います、JICA。だから、日本でお金を、どんどんお金を政府は出しても、そのお金が日本の国民のために使われていない状況、特にJICAの場合は海外、アメリカの企業が使い込んでいっているという状況が僕は大きいと思うんです。ここら辺も僕はもう少し整備する必要性があるんじゃないかなというふうに思っています。
  375. 熊野正士

    ○熊野正士君 よく分かりました。ありがとうございます。  何か聞きましたら、たしか和牛ということを、ここは和牛で、要するにオールジャパンでということで、よく分かりました。  たしか、何か昨日も伺いますと、いわゆる、今どんどん輸出をしていこうということで、結構、一兆円かな、何か規模でずっと目標でやっている、農産品とかですね。畜産関係でも、今、牛の、いわゆる肉用だと思いますけれども、これが、平成二十五年には九百八トンだったものが、平成二十七年には約倍増の千六百十一トンということで、これが確かに、和牛をしっかりと輸出をしていくというのがすごく大事かなというふうに思いましたので、その辺のことも含めまして、しっかりこれから私も勉強して検討させていただきたいと思います。  それと、ちょっと最後これだけ、今TPPで食の安全ということで言われていまして、いわゆる肥育ホルモンの話がございます。最後にちょっと、畜産の御専門でございますのでお聞きしたいんですけれども、聞きましたら、肥育ホルモンですね、今日本では使われていないんだけれども、以前は日本でも使っていたというふうにお聞きをしました。ただ、そういう需要がないので申請していないだけで、海外では使っているけれども日本では、だから申請があれば許可していた時代もあったというふうなことなんですけれども、その辺のことをちょっと説明いただいてよろしいでしょうか。
  376. 吉川広司

    ○公述人(吉川広司君) 肥育ホルモンだとか、ホルモンだとか、それから遺伝子組換えだとかいろんな形、これ日本はやっているところはないと思います。我々畜産、僕らが記憶している中でも一切そういうことはございません。安全です。安全と言ってもいいのかなということ。  ただし、僕は、今から二十日ぐらい前に、アメリカに行っていて帰ってきました。アメリカの方を見ますと、ホルモンはほとんど肉は使っております。使わないところはほとんどありません。ですから、このチェック能力をどういうふうにするのかということが僕は重要だと。だから、そのためには成分表を調べていかなければならないという形は僕はなるんじゃないかと。  それと、牛乳の生産についてもホルモンを使われています。牧場に、ファームに行ったら、我々は牧場に回っているときにはそういった管理状況を見ます。それが、日本にその牛が、遺伝子が合うか合わないかを見るためにも見なきゃならないんです。そういうのを確認していきますと、非常にその牛舎の中にそういう注射器だとかいろんなそういったものがたくさんあります。これはいろんな形をやっていると思います。  ですから、食の安全というのは、だから僕が先ほど言ったのは、日本はこうなんだと、だから日本と同じものなら買うけれども、そうでないものは買えないんだという形は僕は取るべきだと。僕は、TPPを反対又は反対するような意見というのじゃ、そういうのじゃないです。これは、日本の安全をもってこれを、だからTPPとかそうでない、国際評価というそれだけでなくに、やはり日本の食の安全、国民を守るためにどうあるべきかということをまずやる。そのための基本的な分析を僕はしてほしいと。  ですから、世界で何を、これから日本に入ってくるか全然分かりません。そういう学者それから研究者、物すごく向こうの方には、農産物に対して、また家畜に対してというのは日本の数十倍の人数はいます。そういった人方が研究してやってきています。それを対抗はできるんですかと。  だから、僕は先ほど、肉の成分きちっとしなさい、それによって形を変えましょうということを言ったのは、対抗できますよと言ったのは、そこが日本は一つもやっていませんので、僕はこれはしっかりやってもらいたいなということを言っているんです。
  377. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございました。
  378. 紙智子

    ○紙智子君 四人の公述人の皆さん、本当に貴重な御意見、ありがとうございます。  日本共産党の紙智子でございます。  それで、私も十勝には度々お邪魔をいたしまして、そのたびにいろいろ学ばされることがたくさんあります。先月は、徳永さんとも一緒に、災害特別委員会で台風被害の調査に参りました。  それで、私は、北海道が食料基地という位置付けで、そしてその中でもやっぱり十勝の農業というのは本当に全体を支えているという役割を果たしてきているというふうに思うんですね。非常に、一次産業を土台にしながら、関連する製造業や各分野にわたってやっぱり経済を支えていく形というのがバランスよくつくられている地域なんじゃないかなということをかねがね思っていました。  そういう中で、先ほど西原公述人からもお話がありましたけど、こういう十勝の農業が普通に当たり前にというか、前からあるわけじゃなくて、やっぱりこういう農業をできる土地にしてくるまでにどれだけの苦労や努力があったかという話も随分聞かされてきました。開墾から入って、やっぱり土地の質を本当に生産できるように切り替えていくという努力や、それから、私、本当に感心したのは、連作障害というのが物って作り続けると出ますけど、連作障害が出ないように輪作体系というのも生産者皆さんの知恵や工夫の中で生み出してきたと。これがあちこちに広がるということでもあったわけですけれども、そういうやっぱり本当に貴重な成果を生み出しながら支えてきているということに対して本当に敬意を感じているわけです。  それで、その上に立って今日はTPPのことでお話をしたいんですけれども、まずは少し目線を世界に向けながら感想をお聞きしたいんですけれども、参議院のTPPの特別委員会は、十五日、今週から実は審議に入って、ちょうど三日間、この間審議してきました。それで、先週はアメリカで大統領選挙の結果が出たということで、トランプさんが大統領になって就任した初日にTPPから離脱するという発言もされたと。それから、敗北をしたクリントンさんの方も実はTPPに反対をしていて、アメリカ全体がそういう意味では世論がTPPから離脱の方向ということが言われているわけです。  こういう動きはアメリカだけではなくて、EUの関係でも、アメリカとの自由貿易、これが欧米版と言われていますけれども、環大西洋貿易投資連携協定、これは、多国籍企業の利益のために農業が破壊されたり食の安全や環境や雇用が脅かされる、そういう懸念があるということで、そういう反対の動きも出てきていると。それから、今回のTPPの中にISDS条項、投資家が国家を相手取って裁判に訴えることができる中身も入っているわけですけれども、そういったことに対する批判も含めて広がってきていると。  それで、国会の議論の中でも、自由貿易というのは、自由というんだけど、それをめぐってもいろいろ議論がありました。誰のための自由なのかみたいなこともありましたけれども、そういうやっぱりTPPに対するいろんな動き、アメリカにも象徴されるような、そういう国際的な動きに対してはどんなふうに御覧になっているのかなと。東山公述人は先ほど最後のところでそんなことも含めてお話しされましたけれども、これについて四人の方からそれぞれお聞きをしたいと思います。
  379. 吉川広司

    ○公述人(吉川広司君) 僕も何回も言うようですけれども、余りTPPとかいろんな形じゃなくに国際競争をしていくこと、やっぱり日本のそういった製品をどうやって売るかと。だから僕は、一つ一つの問題、先ほどちょっと言葉が足りなかったかもしれぬけれども、防疫問題、それからまた肉の言わば成長ホルモンとかいろんな形の中で、遺伝子の組換えやいろんなことがある。それは海外では今研究者がいっぱいやっている状況です。  だけども、それを本当にどういうふうにしてこれをチェックしていくのか。そして、そういう形で入れない。そしてまた、逆に我々は攻めていかなければならない。だから、そういった形で、やはり貿易というのは僕は自由でいいと思います。だから、僕はそこは賛成なんですよ。だけども、そのためには、このTPPをやるためには、もう少し各分野にいろんなことがあるのにそれを議論されていない、我々国民が見えていないと。  ただ、議論しているんだと思います。でも、専門委員会だとか、また非常に上のレベルの中で、やはり生産者なり消費者が入った中でもう少し委員会的にきちっと議論されて、そして方向性が出てくれば僕はかなり信憑性が出てくると思うんですけれども、今の段階では非常にそういう面では、不安というよりも、どう解決するんだべな、ここ、今TPPやるからってあしたからやるわけではあるまいし、これから年数掛かって、五年、十年掛かって解決していくんだろうけれども、でも、その間にどう政府は動いてくるのか、やるのかということが僕は一番大事じゃないかなと。だから、そこのところを僕はお願いしていきたいなというだけで、答えになっていないかもしれぬけれども、そういうことです。
  380. 小砂憲一

    ○公述人(小砂憲一君) 今回、アメリカのように保護主義的な政策を取っていこうといった声明を出しておりますけど、まあそれはそれでもういいんじゃないですか。どんどんどんどん、これは別な形でもって、我々日本でこれだけの論議を重ねてきておりまして、各国でいろんな論議を重ねてきて、ニュージーランド政府もペルー政府もやっていこうといった意思表示もされてきているわけです。これだけ国会でも日本でも論議をされてきたわけですから、その論議が無駄にならないように何らかの形でこういった自由貿易制度といったものを構築されていくべきじゃないかなというふうに思っております。  よろしいでしょうか。以上です。
  381. 西原正行

    ○公述人(西原正行君) なかなかちょっと難しい質問ではありますけれども、アメリカの前に、似たような形でイギリスがEUから離脱という話も出ました。その中で、アメリカも同じような、まあ違いますけれども、同じような何か動きで、今世界ってどっちの方向に向いているんだろうって正直思っちゃうんですよ。  今、総理なんかはもうグローバル化の方を推進して、今世界がグローバル化なんだからそっちの方に日本も先陣を切っていかなくちゃいけない。ところが、イギリスにしてもアメリカにしても何か逆の方向に行っている。その中で、そういう声で当選した方がTPP離脱と言うのは当然といえば当然なのかなというふうに感じざるを得ないんです。  もう一つ突っ込んで話をすると、TPPがもし駄目になった場合、これ例えばTPP再交渉しませんよと言っていたけれども、アメリカとしないと言ったのかどうか分からないですけれども、アメリカが言ったからしないと言ったのかもしれないですけれども、どうなるか分からないけれども、TPP参加国がもう一度みんなで再協議やりませんかとなったとき、そういう話も、みんなが統一するんだったら日本どうするんですかねというちょっと疑問もありますし、アメリカがTPPやめました、じゃ今度二国間でというのを何か言っているじゃないですか。じゃ、そういう場合、日本の対応はどうなっていくんだろうか。すごくそういうことが最近は気になっておりまして、TPPに関しても多分野にわたっているので、本来であれば、その一つ一つについてある程度時間を取って専門的に、まとめてじゃなく分けてやるともっと分かりやすく一般国民に理解されたんじゃないかなというふうにちょっと思いますけれども、そういう感じでよろしいでございましょうか。
  382. 東山寛

    ○公述人(東山寛君) TPPのような協定をメガFTAと言っているわけですね。日本とアメリカとEUとという三角形があったとすれば、日本とアメリカの間は今はTPPです。日本とEUとの交渉も並行してこれまで進められてきました。それから、アメリカとEUとの間がTTIPというもので、この三角形でもし同じようなルールを作ったとしたら、それは物品だけではなくて、サービスとか投資とか政府調達とか知的財産などで同じようなルールを作ったとしたら、それが国際基準になったかもしれない、国際ルールになったかもしれないと思うわけであります。  一つはそのようなことを意図していたと思われるのですが、TPPについても、これはもうアメリカ大統領選挙をきっかけとして、アメリカの国民的な反対運動の盛り上がりというのがベースになっていると思いますし、TTIPについてもEUの中から今待ったが掛かっているという状況で、今の世界の流れを見ますと、メガFTAにはやっぱり待ったを掛けるという流れが主流になっているというふうに見た方がよいのではないかというふうに思います。
  383. 紙智子

    ○紙智子君 私も、だからちゃんとよく見極める必要があると。そんな先を急ぐ必要はない、逃げていくわけじゃないわけですからね。ちゃんと見極めるということを落ち着いてやらないといけないんじゃないのかというふうに思います。  それで、今ちょっとお話の中にも出てきたんですけれども、TPP協定の交渉過程というのは秘密にされていたわけです。だからみんなはよく分からないというのが随所にあると。それで、でき上がってきた協定を見ますと、書いてあることは、関税については漸進的に撤廃するということが決まっていると。オーストラリアカナダ、チリ、ニュージーランド又はアメリカ合衆国が要請をすれば更にそのアクセスというか増やしていくという視点になっていて、再協議をするということにもなっているわけです。  それから、TPP委員会って、これおととい私質問したんですけど、要するに、TPP協定の中でTPP委員会というのをつくることになっているんですね、これ十二か国ですけど。それで、まだどこに本部つくるかも話決まっていないし、どういう体制でやるのかも決まっていないんですけれども、そのTPP委員会の下に二十二の小委員会とか作業部会がざっと並ぶんです。関税に関わる、農業の関係というのは二つあるんですけれども、あとは全部非関税障壁と言われている分野で、中小企業だとか開発だとか環境小委員会だとか労働評議会だとか政府調達だとか電気通信小委員会だとか、ばあっとあるんですね。  それで、全体を網羅していく委員会の中に規制整合性小委員会というのもつくられることになっていて、ここには、やっぱり書いてあることは、三年以内、その後少なくとも五年ごとに貿易及び投資を一層拡大するために見直すということになっているわけですね。それで、しかも、このTPP委員会でいろいろもめたりなんかして決まらなかったとしても、業を煮やしてというか待ち切れないという大手の投資家なんかはISDSを使ってやるということもあり得ると。  そうやって見ていくと、TPPというのは、結局のところ生きた協定と言われていて、どんどん動き続けるという形になるんですけど、問題は、そのときにいろんな国際社会の中の投資家なんかが、利害関係者がそこに出席して、日本に対してもっとこれを要求したいということを言える場がつくられるんですけれども、そういったあらゆる分野に関わる問題を国会との関係でどうなるのかということも質問したんですけれども、国会がどれだけ関われるのかと。条約を変えたりするときは、もちろんそれは国会通さないわけにいかないんですけれども、国会にかけないで決まっていく中身も実はあるんじゃないのかということを見ますと、先ほど食の安全、安心の問題とか、やっぱりいろいろ輸出したり輸入したりするときにもちゃんとチェックしなきゃいけないという話があるんだけれども、それさえもどうなるのかということがなかなか明確になっていないという問題があるわけなんです。  それで、私は、ちょっと最初の話に戻るんですけれども、北海道というのは農林漁業を基幹産業に位置付けて、やっぱり日本の食料基地ということで農業を軸にして地域経済をつくってきたということがあるわけですけれども、このTPPが動き出したら北海道十勝のこの地域経済がどういうふうに影響を受けるんだろうかと、その辺りのところがちょっと心配でもあるんですね。そういうちょっと、これまでどうも秘密ということを言われてきたTPPに対しての皆さんの感想や、それから地域経済で不安に思うというところで出されていることなんかも含めてお話をいただけたらと。四人の方からお聞きしたいと思います。
  384. 林芳正

    ○団長(林芳正君) 全員にお尋ねですか。ちょっと時間が。
  385. 紙智子

    ○紙智子君 済みません、じゃ、東山先生と西原先生に。
  386. 東山寛

    ○公述人(東山寛君) 農業というのは実は非常に裾野の広い産業でありまして、特に畑作物についていえば原料農産物ですから、それを工場に運ぶ運輸業者さんもいますし、工場そのものがその地域においては基幹的な製造業になっている場合もあります。そういう意味で、やはり農業を基軸にして農村地域においては裾野の広い産業の連関をつくり出しているわけでありまして、やはりTPPによる農業の影響は、農業そのものに対する影響だけには決してとどまらないということだろうと思います。
  387. 西原正行

    ○公述人(西原正行君) 影響という意味では、その分野によってもう様々変わってくると思います。  私たちの中で一番影響が出ると言っているのは、やっぱり肉関係であろうというふうに言われているんですね。それも、海外から輸入するのとバッティングする品質の肉が、そこがかなりのボリュームがありますので、じゃ、そこをどうするんだと。まだ説明では十何年後ですからそれまでにとは言われるんですけれども、そのものを、例えばホルの肥育の人たちを、じゃもっと上位のやつに転換していくにしたって、そう簡単にできることじゃないんですよね。私、ちょっといとこが肉関係をやっているので聞いたら、一言、おまえ、そんな簡単に転換できないぞ、牛自体の丈夫さも全く違うから、同じ頭数を肥育しようと思ったら同じやり方じゃできないんだと、もうはっきり言われました。  だから、やっぱりそういう意味ではそういうところがすごく影響が出てしまう。その人たちがどういう選択するかに関わりますけれども、そういう人たちが方向転換をせざるを得ない状況になっていくと思います。その中でやめていく人も出てきますし、違う方に移る人も出てくると思いますけれども、そういった意味では、一つ一つ取り上げれば時間がなくなりますけれども、例えば肉の例としてはそういうことが言えると思います。
  388. 紙智子

    ○紙智子君 時間ですね。ありがとうございました。  二人の方にちょっと時間なくて聞けなくて、申し訳ありませんでした。
  389. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。日本維新の会の石井苗子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  私の持ち時間が一時十分までですので、手短にやりたいと思います。  私、この前の職業がアメリカと日本の漁業の二百海里交渉の通訳をやっておりまして、一年のうちで北海道アラスカ州にしか住んでいないという二十代でございました。このような公聴会が二百海里について毎月二回あるということで、おまえはもう帰ってくるなというような生活をしていたんですけれども、大変北海道懐かしく思いますし、台風の被害に遭われた皆様、お見舞い申し上げたい気持ちでいっぱいでございます。  私は、まだ農業とかこういうことに関して、数か月前までは国会の外にいた人間でございまして、中に座っていますとかなり違和感を感じるものがございます。  コミュニケーションということについてちょっと視点を変えてお聞きしたいんですけれども、本会議場に座っていますと、このTPPに関してどのくらい国民の方に説明をしたんでしょうかという御意見が各党から出てくるんですけど、毎回同じ答えが返ってきまして、千ページ以上の報告書を書いたと、三百回か何百回以上の説明会をしたというふうにおっしゃるんですけれども、四方の方にどのような、先ほどの私のアラスカの経験じゃないですけれども、頻繁に説明会があったのか、お聞きしたいと思います。
  390. 吉川広司

    ○公述人(吉川広司君) 私は余りそういう観点から物を考えたことがないので答えにならないかもしれないけれども、TPPに対しては、先ほども何回も言っているように、先ほどと同じ意見です。  ただ、国民に安心してもらうために、やはりもうひとつ趣向を凝らしてくれた方がいいのかなと、分かりやすく。そういう形を取ってほしいのと、それと同時に、やはり、じゃ、本当に昔の時代から戻ってみると、物すごい品目作っているんですよね。今の方が農業は簡素化しているんですよね、何品目かに。その前は何十品目も作っているんですよね、野菜は。それが効率的ないいものをだんだんだんだん選んできて、そういった形で主力になってきた。しかも、政府が援助するものが主力になってきたと。米についても、僕はそう。僕も米を作っていました。それに減反調整ももらっていました。だけれども、休ませるだけでお金が当たる、そういう制度だった、そして農地が荒れてしまったと。作らせて、転換させてお金を出すべきだったと僕も思うんです。  それは別として、取りあえず僕はPRをきちっと、やはりどういうスタイルでも国民に、生産者に、そしてまた消費者に分かるように、やはりやるんであれば安全であるよと、そしてまたいいものだということをきちっと仕分して僕は説明してもらいたいということだけです。これはまだ時間があるから、それは十分できると思うんです。
  391. 小砂憲一

    ○公述人(小砂憲一君) あらあらな概要につきましては承知しております。特に私どもの関連する、例えば特許関連とかいろんな国のレギュレーション等の法律等々につきましては、また関税率の問題、その辺については私どももそれなりに勉強してきたつもりですけど、全体像としてまだまだ分からない部分があると言っていいのか、つかめていない部分も確かにございます。  以上です。
  392. 西原正行

    ○公述人(西原正行君) 正直、全体分かるかといえば、全然分かりません。自分の関連するところはやっぱりよく調べます。それが現実だと思うんですね。それは私たちだけに限らず、一般消費者に関しても、やっぱり自分の興味のあるところ、気になるところを見るというのが普通じゃないかなというふうには思います。
  393. 東山寛

    ○公述人(東山寛君) 昨年十月五日に大筋合意しまして、今の時点から一応一年以上経過しているわけですけれども、やはり進め方が非常に迅速でして、十月五日に大筋合意してから、影響試算なども二か月ぐらいで出ているわけですよね。アメリカなどは、もっともっとやっぱり時間を掛けて影響分析、公的機関がしておりますし、それから議会のスタッフや委員会なども、本格的に動き始めましたら、モックスマークアップといいまして、逐条審議をやると聞いております。  そのようなプロセスも、これだけの中身の協定であるにもかかわらず、専門家がきちんと時間を掛けてチェックをするというプロセスがやはり日本の場合は基本的に欠落しているのではないかというふうに思っています。
  394. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございました。  どの方からも、私は何月何日、どこそこで何々のを聞きましたというお答えが来ないということが大体私もよく分かりまして、アメリカですと、先ほど東山先生がおっしゃったように、興味のある分野の人たちを集めて、リージョナルカウンセルというカウンセラーが集まって、APというアドバイザーがいるパネルというのをつくって、もう本当に不満、不安、そういうのを全部そこでぶちまけて答えを返していくということを一か月に二回やっているんです。だからそれが民主主義の違いかなと思ったんですが、TPPに関しましては、その十二か国が十二か国通りのTPPの不安と不満と理解を持っているんじゃないかと思っているんですが。  このアメリカですけれども、トランプさんが次期の大統領になるということで、もう速攻、安倍総理はお会いしているんですね。今日、明日にでも会っているんですが、本会議では、ここで何を言うかは皆さんの前では言いませんという、さっき総理大臣の言葉は重いと言いましたけど、何を言うかは皆さんの前では言いませんというのを十何回も私は聞いてきまして、そうなのか、この国はと思っている次第なんですが。  ちょっと具体的な話をしますと、何はともあれ、総合的なTPP関連政策大綱というのがございまして、体質の強化対策ということで、次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成とか国際競争力のある産地のイノベーションの促進という話がありまして、アメリカというところを、私、アラスカ州だけ見てきたんですけど、カリフォルニア州に日本の全部がすっぽり入ってしまうというぐらいアメリカは広いんだなという感覚を持っていまして、そういうところで牛作られてもかなうわけないと思うんです、すごく素人な考え方なんですけれども。  私、この間ちょっと調べましたら、和牛と国産牛というのは違うということで、質問させていただきたいんですけれども、吉川さんに質問させていただきます。  ちょっとマニアックな発想なんですが、イノベーションということで、和牛の遺伝子、某、例えばアメリカへ持っていって、アメリカで作ったって和牛だと。つまり、牛に向かってあなたは何人って聞くみたいなもので、和牛ですということで、向こうで、この国のように少子高齢化が進んでいるところで何とかしてもうけて、切り抜けて勝ち抜いていこうと思ったら、遺伝子をアメリカで作っても和牛、オーストラリアで作っても和牛ということで、これに大きな付加価値を付けてもうけていくというようなことは可能でしょうか。
  395. 吉川広司

    ○公述人(吉川広司君) その件につきましては、和牛というのは、ちょっと時間があれかもしれぬけれども、もう昔、相当前に、中川昭一大臣のときに、ヨーロッパの方に行って和牛のステーキを食べさせられたと。和牛という品目が何でここにあるんだということでかなり激怒して、帰ってきて、和牛というものは日本の宝だから知的財産にすれと、そういった形でかなり農水委員の人に、大分役員さんに無理難題を言ったときに、委員会がつくられた。そして、その委員会のときに、諮問委員会をつくられたときに、私、知的財産の諮問委員になったんですけれども、そのときに、生き物は知的財産にはならないですよね、生き物、植物は、これは世界的な協定の中で。だから、どうやって守るかということで納得してもらったという例があるんですよね。  そのときに、和牛というものは、先ほど言われたように、アメリカだとかカナダだとかヨーロッパ、EUで作られたと。といっても、資源が、原種が出されていないのにこれは作ることは絶対できません。ですから、今持っている日本の和牛というものは日本固有の財産なんですよ。ですから、僕は、先ほど言ったように、和牛をきちっとやるべきじゃないかいということを言った。  それと、アメリカという国は僕は物すごく恐ろしい国だと。僕は若いときから、二十八歳のときからアメリカや何かへ行ったんですけれども、非常に危険な国なんですよね。というのは、何が危険かといったら、世界にとって、全てアメリカ文化というのは、約二百何十年しかまだたっていない国が、世界の遺伝子、そして世界の改良、犬でも何でも全てが全部リーダー権を取ってしまう、そして改良を進めてしまう。ですから、もし日本からそういった、米でもそうですよね、米ももう向こうで負けないようなものを作ってしまうという。このアメリカの恐ろしさというのは、僕はそこに、農業を全部、全て乗っ取られてしまいますよと。  ですから、日本のこういった貴重な財産、貴重なものはきちっとお互いに守っていくルールを作って、お互いに申し合わせていきましょうよということが僕は大事じゃないかと。そのために守るものは何かということを僕は研究してほしいなということを先ほどから言っていたんです。  どうも済みません。
  396. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。  小砂さんに御質問させていただきます。  サプリメントというのは、やっぱりイノベーションの中で強く日本がやっていけるのではないか。生産性を上げるということは、人数少なくても、年齢関係なく、何かの技術でお金を取ってこれるということなんですが、実は、博多のめんたいこですか、すごい高く売れて、ブランドで、外国の方が買っていかれるんですよね。  北海道は、私、アスパラガスはどうでしょうか。アスパラガスをブランドにして、しかもそのアスパラガスエキスでサプリメントを作るということはできますでしょうかね。
  397. 小砂憲一

    ○公述人(小砂憲一君) 私ども、アスパラガスの端切れを活用しましてストレス解消物質を抽出いたしまして、それで精神的なストレスを低減させる、それから快眠を促進させる、レム睡眠を促進させる物質を開発いたしました。  それから、このサプリメント、機能性食品というのは、私どもなぜこれを作っているかといいますと、今要するに健全な労働者を育成していこうといった意味合いなんですよ。ですから、未病な方をそのまま未病のままに、予防的なものでサプリメントで補われるものはして、そして健全な生産労働者をつくっていこうと。これは元々はアメリカの発想なんですよ。日本ではまだまだその辺の発想がなされていない。健康長寿という言葉は出ておりますけど、その辺の考え方ですね。  ちょっと私どもの機能性食品について、サプリメントについて言ってしまいましたけど、そういった意味での、今後、健全な生産労働者をいかに育成していくかと。だから、医療費の削減だけではなく、日本の、また国のGDPを上げていこうというのがこういったサプリメントの本来の在り方というふうに私は考えております。  ですから、こういった考え方はどこの国に対してもこれ適用される考え方でして、やっぱりそういった、健全である、健康である、そして一生懸命働ける、そして税金を一生懸命その国に払っていくというのが本来のサプリメントの在り方だというふうに私は考えております。  以上です。
  398. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。  あらゆる努力が報われるあらゆる産業の実現というのがTPPの大綱なんだそうでございまして、外務省の人にちょっと聞いてきたんですけれども、これを読んでくださいと言って持ってこられたら七十センチもありまして、申し訳ないけどあさってまでに七十センチもあるのを読めないんですけれどと言ったばかりなんですけれどね。  やっぱり、私は心療内科というところでまだ非常勤勤務をしておりまして、サプリメントで睡眠とかそういうもの、ストレス緩和というようなことを是非強化して、強い商品を作っていっていただき、高度なレベルのルール内での自由貿易、だから、今やっていることは、アメリカも、あなたも入らないと損ですよというふうに持っていくにはどうしたらいいかと、外務省の人は頭の体操をしているということをおっしゃっていまして、あれは白人世界を取り戻したいんだとトランプさんは言っただけであって、別にTPPのことまで深く考えていないはずだというようなこともおっしゃっていましたので、これからアメリカが抜けるか抜けないかで随分変わってくるんですが、その前にやはり強く攻めの農業をやっていかなければいけないと思うんです。  少子高齢化の中で何とかして日本はまた強くなりたいと私も思っていて、私も高齢者なので、何とか次世代につなげていきたいと思うんですが、西原さんに御質問させていただきます。  農業に人を呼び込むというのは、これから農業の現場の雇用を考えると、何をしていったら現状一番いいとお考えでいらっしゃいますでしょうか。それについて私たちができることも考えていきたいと思っていますので、是非、農業に人を呼び込んでくるというのには、何かキーポイントになることがあったら教えてください。最後の質問にさせていただきます。
  399. 西原正行

    ○公述人(西原正行君) ちょっと考えただけでいろいろな方法があろうかと思います。  どこにターゲットを絞るかで全然変わってきちゃうんですけれども、例えば女性をこの農業の現場に呼び込むにはどうしたらいいか。そう考えると、女性が、例えばですよ、華やかな、何かぱっと見てすごくきれいな服装で農作業をやっているよということ一つだけでも全然変わるんですよ。あと、例えば、よくあるんですけれども、私の友達もやっているんですけれども、どっちかというと細かい作業がやっぱり女性の方は得意な方が多いんですよ。だから、そういうものにちょっと特化をして、そういう人たちに、こういうのあるけどどうだいという方法をやってみたりとか、あと、例えば男の人を、何か将来農業をやってみたいという人を呼ぶためには、例えば一つの例ですよ、この現地に来て、例えば私のところに来て、例えば二年間、三年間やると農業の基礎的なことが全部学べることができるようなカリキュラムをちゃんと作って、そこから何か巣立つことができるようなシステムをつくり上げるとか、やっぱりそういう何か一工夫をしていく必要があろうかと思うんですよ。  だから、どういうところにターゲットを持っていくかによっていろいろな方法が考えられると思うんですよ。
  400. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございました。  イノベーションでやはり働き方を変えて、あらゆる人を呼び込んで、安く、しかし日本しか作れなくて、高く売り付けていくという強気の政策になっていくといいと思います。  ありがとうございました。
  401. 中野正志

    ○中野正志君 どうも今日はお忙しい時間、大変ありがとうございます。  私は、日本のこころの中野正志と申します。元々の地盤は宮城県であります。あの五年八か月前、皆様方から厚い御支援、御協力をいただきました。こういう場ではありますけれども、心から感謝、御礼を申し上げます。  それにしても、先ほど来お話をお伺いをしまして、北海道農業と私たち宮城県農業、規模についてはもう五倍、十倍、二十倍、それぐらいの違いがあるな、羨ましいなという気持ちもある反面、土壌の問題が出ましたけれども、いろいろたくさんの御苦労がおありだったんであろうな、そうは思います。  そう思いつつ、最初に西原公述人と東山公述人にお伺いをいたしますが、私は正直、政治の立場も、また農林省を始めとする行政の立場も、農協も、やっぱり日本の農業のかじ取りを大分に、悪くとは言いませんけれども、良くない格好で進めてきてしまったなという思いひとしおであります。  やっぱり、私たちがちゃっこい頃に米二俵半食べておりました。二俵半といえばもう、六十キログラムが一俵でありますから、百五十キロ。今、ところが、一俵も食べていない、五十八キロ平均ぐらいかなと思うんであります。百五十キロ食べていた日本人が五十八キロしか食べなくなったとすれば、当然ながら米作りというその基本もとうの昔に変えていかなければならなかったんですが、結局は減反政策ということで逃げてしまいました。  それはそれといたしまして、先ほど来、TPP反対と西原さんおっしゃいましたけれども、肉の例だけは挙げていただきました。そのほか、何がゆえにTPP反対なのでしょうか。  私たちの認識でいえば、今私たちの日本全土に野菜たくさん輸入されているのも事実でありますけれども、TPPの加盟国からはほとんど来ていないんです。来ているのは中国、TPP加盟国ではありません。あるいはその他のいわゆるTPPに加盟していない国から野菜が輸入しているだけでありますから、野菜でTPP反対と言われるのはちょっと分からないなと。  それから、東山先生、原稿の最後にありましたけれども、例えばSBS米、去年二・九万トンです。おととしは一・二万トンです。日本の米の流通量が八百万トン以上あるのに、僅か二・九万トン、一・二万トンで国産米の価格を引き下げたと主張する人たちもおりますけれども、そんなことはない。そういう事実は私はほとんどないと思います。  よしんば、これから十三年掛かって、アメリカオーストラリアから七万八千四百トン、確かにSBS米ということで増える。しかし、消費者が私は選ばれる、選択するとは思えない。恐らくその数量だって結果的には予想よりずっと下がるんではないかな。そうすると、やっぱり私たち日本の米農家、安全、安心、うまい米ということで私たちの宮城県も一生懸命頑張ってきた。昔、北海道産の米なんか食えるかいと、こう強がりを言っていた私たち宮城県の人たちも、この頃、サラリーマンの奥様方中心に、北海道の米がうまい、こうあるわけでありまして、やっぱり自信を持っていただきたい。  確かに一千何百億という試算はありますけれども、どっちにしたってそういうふうにして米は自然となくなってしまった、食べなくなってしまった。まして、人口だってこれから少子化社会、そうすると、マーケットどうするといったら、国内だけで農業だって続くわけないんですよ。海外展開せざるを得ない。そうすると、この環太平洋、パシフィック含めて八億人のマーケットといったら、農業にとったってでかいはずだと私は思うんですね。  こういった考え方に、西原さん、東山さん、御見解改めてお伺いをいたします。
  402. 西原正行

    ○公述人(西原正行君) まず、TPPに関しましては、一番最初に出てきたときに、全ての関税をなくすということがまず第一に出てきました。そういうことは、私、実は当時の一番最初に言われた、菅総理でしたっけ、言われた二日後ぐらいに農業新聞が取材に来まして、ちょっと取材させてくれと言われて取材を受けたんですけれども、その当時、さっぱり分からずに新聞記者から説明を受けたんですけれども、まず関税をなくすということは成り立つわけがない。それは、小麦にしても何にしても、関税だけを抜かされただけじゃ絶対無理なんです。なぜかというと、競争力がないんですよ、海外との。重要五品目と言われているものを中心に、ただ、それは私たちが生活するために基礎的なものなんですよ。小麦にしても米にしても全部そうなんです。まずそこから始まりました。  で、勝ち取った勝ち取ったと言いますけれども、やっぱり全てにおいて少しずつ関税が引き下げられているんですよ。それは決議と違うんじゃないかということもあります。  それと、もう一つ、これ農業分野だけじゃないんですよね。みんながまだ、本当に政府が言っている、説明しているとおりに全てが守られるのかという不安は誰しも持っているんですよ。それは私たち、じゃ、大手を振って賛成ということには絶対ならないということなんですよね。  あと、十勝、ちょっと米が多分片手の面積、片手ぐらいしかない。五百じゃなく五十じゃなく、五か十だか二十だか忘れましたけれども、それぐらいしかないので、なかなか分からないところもあるんですけれども、北海道の米がおいしくなったという、本当有り難いお言葉なんですけれども、それと同時に、全国のおいしい米どころと熾烈な競争が始まっているということ。その中で、切磋琢磨することによってどんどん良くなっていけばいいんですけれども、ただ、米の生産者の声を聞くと、逆に米の価格が下がり過ぎて原価割れを起こしている年も出てくるということではとてもやりきれないということで米地帯の方々はおっしゃっておりましたので、申し添えていただきます。
  403. 東山寛

    ○公述人(東山寛君) 私、申し上げたいのは、TPPについては、先生がおっしゃるように、日本の農業はこのぐらいのことをやってもへっちゃらなんだという形で話が始まっていればそうなのかもしれないと思うんですけれども、要するに、大事な品目は守る、聖域は確保しますというところから話がスタートしているので、それは話が違うんじゃないんですかということを申し上げたかっただけです。  それから、米の問題につきましては、SBS米の価格偽装問題があって、農水省の調査結果も出ましたけれども、あれはやっぱり八百万トンではなくて業務用米の、要するに中食、外食の二百万トンとか二百五十万トンとか言われている世界の中で比べていただかないとやはり正確な比較にはならないのではないか。中食・外食産業は国産米の割と下の銘柄の方から調達をしているわけでありますけれども、その値段もかなり動きますので、国産のその部分が上がると途端に輸入米が欲しいというような声が上がってくる世界だと聞いておりまして、その辺りは、SBSについては、おっしゃるようにこれまで国産米が割と手当てできたものですから輸入枠は満たさずに推移してきたわけでありますけれども、今はその部分の国産米の調達が非常に厳しくなっているというふうに聞いておりますので、逆にやはり輸入米を手当てしたいという要望がこれから高まるのではないかというふうに思っております。  あと、日本の米輸出についても、私は決して否定しているわけではありませんけれども、アジアの人に食べていただくということであれば、やはり中国との通商改善というのを真っ先に考えた方がよろしいのではないかというふうに思います。
  404. 中野正志

    ○中野正志君 ありがとうございます。  やっぱり誤解をされていると思うんですけれども、SBS米の輸入が国産米の価格を押し下げているという理解ではなくて、国産米の価格に応じてSBS米の需要が決まっているのが現実です、こういうことが実は農家の皆さんから誤解をいただいているんではないのかな、そのことがいわゆるこのTPPについての大いなる相変わらずの誤解があるのではないかなと、そんな認識を持っておるものでしたから、あえて東山公述人にお伺いをいたしました。  先ほど小砂公述人からもいろいろ前向きなお話をいただいて、ありがとうございます。  私もかつて経産省の副大臣やらせていただきましたので、ジェトロの問題、スタッフの充実の問題はしっかり頑張らさせていただきたいと思っておりますが、そういう中で、やっぱり私たち、日本の各種製造業がありますけれども、バイオ関連の製造業、大きく期待をいたしておりますけれども、そういう中で、中小企業、本当に頑張っていただいているんでありますが、産学連携の形というのはうまく取れているんでしょうか。あるいは、大学のみならず研究機関ということでお聞かせをいただければ幸いだと思いますが。
  405. 小砂憲一

    ○公述人(小砂憲一君) 分かりました。  北海道では、言われていますように、農水産物が豊富に取れるといったことで、いろんな野菜や水産物の、何といいますか、残渣がたくさん出てくるわけです。ですから、そういった面で、これはもう数十年前から、そういった残渣をいかに付加価値を付けたものにしていこうか、また食用に持っていけないのかといった研究が、あらゆる研究機関なり大学なり民間企業が研究してまいりました。  そういった面では、非常に全国的にモデルになるような連係プレー、各研究機関とのですね、連携がありまして、そしてまたヒト介入試験等、ヒト介入試験といいますと要するに臨床試験ですわね、それが北海道は江別方式と言われるものがありまして、非常に安く、それからまた正確なヒト介入試験をやってくれるといったことで、これは全国的にもきっとモデルケースにもなっております。これは市民参加でやっております。臨床対象の人たち、江別市の市民がボランティアとしてみんな登録しているわけですね。ですから、そういった費用が掛からないで、そして江別市立病院がそんな臨床試験をきちんとやっていると。また、その論文等も北海道情報大学でもって書かれているといったことで、非常に査読付きの論文等もきちんと出ておりまして、それらは世界でも認められている内容になってきております。  北海道のバイオ産業というのは、私思うのは、この北海道は製造業というのが非常にほかの地域から比べると少ない地域なんですよ、比率的に。それを一つの新産業としてこの北海道に根付かしていきたいなというようなことで、今後のまた一千億の売上げ規模にしていこう、また北海道の農水産物の輸出も一千億台に平成三十年までに持っていこうといった一つの担い手になっていければいいなというふうに考えて、今はこういった事業を促進しております。  以上です。
  406. 中野正志

    ○中野正志君 大変、小砂公述人、心強い限りであります。頑張ってください。  先ほど、あとまた吉川公述人から大変これまた力強いお話がありました。和牛についても、安全、安心、おいしい肉、生産コストをどこまで削減できるかだと、そういうことでありますし、大切な遺伝子をしっかり守って国際競争を勝ち抜くためには、各県ごとのいろいろバリアは現実ありますけれども、越えて一つ心になってやるのでなければならないという、全くそのとおりでありまして、やっぱり農業界全体の皆さんの、こういうときだからこそ意識改革をやっぱり嫌われながらも迫っていくのでないとなかなかチェンジできないなという気持ちも正直あります。私も米作り農家の人たちからもいろいろ文句は言われておるんでありますが、正直、率直にお話はさせていただいております。  吉川公述人のとおり、もうこのとおりやれば日本の酪農、畜産は大丈夫だと太鼓判押せますよね。
  407. 吉川広司

    ○公述人(吉川広司君) 先ほど先生が言われたように、先ほど米の話しましたね、今、米離れをしてきている、子供たちが食べていない。僕は、改良というのは常に、家畜であろうが野菜であろうが、それから今の五品目、いろんな形の中でも、改良というものがやっぱりうまくかみ合っていないんでないかなというふうに思うんですよね。  というのは、宮城県、もうササニシキの非常にすばらしい米を、私のところにも研修生が来ていました。送られて食べていましたけれども、でもすごくおいしい。でも、その当時は、北海道の米がおいしいというのは、北海道の米が十何年間掛けて品種改良をしてきた、この努力が僕は北海道のおいしさを生んだ。そういったものが、やはり子供たちが離れるんであれば、子供たちに引き付ける、そういった米を作るべきだと僕は思うんですが、それは研究して、どういうものが改良していかなきゃならないかということをやっていってもらいたいなと。  だから、先ほどから僕は、改良というものは大事なものである、それが生産コストを下げるものである、そして世界と戦う最大の道具であるということを言いたかったんであって、肉についても、分析をしていけば絶対に日本は、向こうが和牛と言っても、交雑種が入ってくる肉ですから、これはDNAそしてまたゲノム、そういった解析で完全に分かる。そうすると、店頭の表示に対して表示方式をきちっとさせるということで防御はかなりできると。そして、しかも海外に自分たちが作っているものはこういう品物だということもはっきり言って攻めていくことができる。それを僕は望んでいる形で、本当にここが強く皆さん方に、今日、先生方にお願いしていきたいなと、逆にお願いしたいというふうに思っております。  どうもありがとうございます。
  408. 中野正志

    ○中野正志君 この間、本で読んだのですが、七十五歳以上のいわゆる高年齢者の方々にアンケート調査をしました。長生きをするためには米を食べる、肉を食べる、魚を食べる。たまにパン、そば、ラーメンを食べる。基本はやっぱり米、肉、魚だそうであります。一円でも高い所得が各農家にもしっかりと生まれ出るように、共々頑張り合っていきたいと思います。  ありがとうございました。
  409. 林芳正

    ○団長(林芳正君) 以上をもちまして公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人の方々に一言御礼申し上げます。  皆様には、長時間にわたり大変有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  これにて参議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会帯広地方公聴会を閉会いたします。    〔午後一時三十一分閉会〕      ─────・─────    水戸地方公聴会速記録  期日 平成二十八年十一月十七日(木曜日)  場所 水戸市 水戸京成ホテル    派遣委員     団長 理 事      福岡 資麿君        理 事      二之湯武史君        理 事      大野 元裕君                 進藤金日子君                 滝波 宏文君                 堀井  巌君                 渡邉 美樹君                 川合 孝典君                 藤田 幸久君                 高瀬 弘美君                 井上 哲士君                 福島みずほ君                 行田 邦子君    公述人        有限会社横田農        場代表取締役   横田 修一君        ミナトゴム株式        会社代表取締役        社長       田口 昌也君        前日本医師会長  原中 勝征君        農民運動茨城県        連合会会長    岡野  忠君     ─────────────    〔午前十時開会〕
  410. 福岡資麿

    ○団長(福岡資麿君) ただいまから参議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会水戸地方公聴会を開会いたします。  私は、本日の会議を主宰いたします環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会理事の福岡資麿でございます。よろしくお願いいたします。  まず、本日の地方公聴会に参加しております委員を紹介させていただきます。  私の右隣から、自由民主党の二之湯武史理事でございます。  同じく渡邉美樹委員でございます。  同じく堀井巌委員でございます。  同じく滝波宏文委員でございます。  同じく進藤金日子委員でございます。  次に、私の左隣から、民進党・新緑風会の大野元裕理事でございます。  同じく藤田幸久委員でございます。  同じく川合孝典委員でございます。  公明党の高瀬弘美委員でございます。  日本共産党の井上哲士委員でございます。  希望の会(自由・社民)の福島みずほ委員でございます。  無所属クラブの行田邦子委員でございます。  以上の十三名でございます。  次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。  有限会社横田農場代表取締役の横田修一公述人でございます。  ミナトゴム株式会社代表取締役社長の田口昌也公述人でございます。  前日本医師会長の原中勝征公述人でございます。  農民運動茨城県連合会会長の岡野忠公述人でございます。  以上の四名の方々でございます。  この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。  皆様には、御多忙中のところを御出席をいただき、誠にありがとうございます。  当委員会におきまして、目下、環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査を行っておりますが、本日は、両案件について関心の深い関係各界の皆様方から貴重な御意見を承るため、本公聴会を開会することになった次第でございます。  皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の両案件審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、公述人の方々からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。  なお、御発言の際は、その都度団長の指名を受けてからお願いいたします。また、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。  まず、横田公述人にお願いいたします。横田公述人。
  411. 横田修一

    ○公述人(横田修一君) では、横田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  まずは、私の自己紹介からさせていただこうと思います。  私は、茨城県の龍ケ崎市というところ、茨城県の南部の方になりますけれども、そちらでお米を作っている農家でございます。有限会社という名前が付いていますので会社組織でやっておりますけれども、法人の設立が平成八年でございます。ですから、二十年たちます。  二十年たちますけれども、当初、法人といっても設立した平成八年当時は父と母と基本的に二人でやっておりまして、私が大学を卒業してからは私も加わって三人ということで、私が農業を始めたのは平成十年ですけれども、それぐらいの頃から、まあ小さい、その当時でも二十ヘクタールぐらいで三人の規模でやっておりました。三人でやっておりましたけれども、その後、全国どこでも同じなように農業の高齢化が進んでおりますので、土地の集約化が進んでおります。  私、今現在でいいますと、今年の平成二十八年の作付けが百三十二ヘクタール、全て水稲の作付けになります。それを社員が、私の方は生産と精米、販売それから加工、六次産業ですね、といったことにも取り組んでおりますので、正社員は全部で十名おりますけれども、主に生産を行う者は五名ですね。あと、精米とか販売を主に担当する者が二名、それから加工を行う者が二名、それからあと、研究開発みたいなものも今行っていますので、それを主に担当する者が一名というメンバーでやっております。  全て水田で水稲の作付けを行っております。生産調整は、加工用米とか飼料用米それから政府備蓄米などをやらせていただいて、水稲の作付けですけれども、生産調整を行っているということ、食用米と加工用、生産調整の方とですね、やっております。  先ほどもお話ししましたけれども、急激な規模拡大をしているということがございます。これは、全国どこでもそうなように高齢化によってやめていく方が多い。一方で、担い手が非常に少ないという。特に龍ケ崎市は比較的東京にも近いものですから、若い方はやっぱりもう東京に勤めることもできますし、意識が皆さん東京に向いてしまうということもあって、農業をやろうという意識が特に少ないということもありまして、私のように、私の世代ぐらいで農業をやる人がほとんどいないという地域もありまして、毎年十ヘクタールから多いときは十五ヘクタールぐらいずつ規模拡大をしているというのが特徴です。  そういう形で、急激な規模拡大なんですけれども、以前は、米農家が規模拡大というと、積極的に規模拡大をしようとしてもなかなか農地が集まらないということで、どんどん範囲を広げていって、耕作するエリアを広げていく形で規模拡大をしていったわけですけれども、私のところは、そういった形で自分が積極的に規模拡大しようとしなくても、むしろ規模拡大には消極的だったんですけれども、農地が集まってくる。つまり、狭い範囲の中で農地が集まってくる。私のところは今二・五キロ四方ぐらいの範囲の中にその百三十二ヘクタールほとんどの水田が、田んぼが収まっていますけれども、そういったところで規模拡大が進んでいるというのが一つ大きな特徴です。  そういった、エリアが狭い、それから元々区画が小さいところが、元々十アール区画の田んぼがほとんどですので、必ずしも区画が大きい、若しくはパイプラインや暗渠みたいなものが整備されている圃場ばかりでは、そういう圃場も三十ヘクタールほどはあるんですけれども、残りの百ヘクタールはかなり条件の必ずしも良くない湿田だったりというところなんですけれども、比較的エリアがまとまっているということもありまして、横田農場は、よく一番特徴的に言われるのが、一台の田植機、一台のコンバインでその百三十二ヘクタールの水田を耕作しているということが言えます。  一般的には、大体、もちろんこれも地域によって違いますけれども、二、三十ヘクタールぐらいで大体田植機、コンバイン一セットというのが当たり前で、だから、私の規模になれば田植機、コンバインがもう四台、五台あって当たり前のところが、私のところは一台しかないというのが非常に特徴的であります。それは、つまりそれだけ、お米の場合には特に機械の減価償却費とか、生産コストに占める機械の減価償却費が非常に高いわけですけれども、うちはそこはかなり圧縮できているということが言えます。  それから、一台体制で百ヘクタール超える面積できるもう一つの理由は、作期の分散になります。この茨城県でいうと、お米の作付けはほとんどコシヒカリが中心になりますので、単一のコシヒカリだけを作付けしていると作期が限られますので、そこに集中して人も機械も投入しなきゃいけないわけですけれども、私は今現在七品種、早いものからおくてまで七品種組み合わせて作期を分散させることで、田植も二か月間、稲刈りも二か月間、作期を分散させております。  これは、単にやみくもに七品種を入れればいいというわけではなくて、当然今度販売戦略、売れない品種を作っても仕方ありませんので、きちっとこの販売戦略、販売先を、私は、作ったお米はほとんど自分でお客さんを見付けて販売をしておりますので、その販売先に合わせた品種、販売先の求めるニーズにマッチした品種で、かつ作期分散ができる品種というものをバランス良く組み合わせることで二か月の作期を分散することができていると。それによって一台体制でコストが下がっているということになります。  販売の方もバランスよく、ネット販売みたいな、若しくは地元のスーパーとか、そういった一般の家庭、消費者向けといっても、一般の家庭で炊飯していただくようなお米、従来のお米のようなスタイルもありますし、業務用としてレストランや中食、外食・中食関係ですね、そういったところで使っていただくもの。それから、先ほどもお話ししましたけれども、加工用米、生産調整の枠ですけれども、私は、地域流通ということで地元の加工業者さん、お酒とかお煎餅とかそういった業者さんにも使っていただくという、そういったところと契約をさせていただいて、そういった向けの販売をするということで、それぞれやっぱり品種も、ニーズが違いますので、そういったものをうまく組み合わせて作期分散をしていると。それによって少ない機械でやっているというのが横田農場の一番の特徴になります。  今回はTPPの地方公聴会ということですので、私のTPPに関する考えをお話しさせていただきますけど、私も一応農業をやっておりますけど、特に私のところは米しかありませんので、今まで私がいろいろ承知している内容でいくと、必ずしも今回のTPPの話でお米が直接どれほど影響を受けるかというのは、必ずしもほかの分野、いろんな分野、影響を受けるかなというふうに私も感じていますけれども、お米はそれほどでもないのかなというふうに私は正直感じておりまして、それ以前の問題として、今私がお話ししたような地域の、まあこれも地域によって全然違うわけですけれども、やはり高齢化が進んで大量のリタイアが進んでいくと。その中で、残された担い手がそこでどういった経営を行っていくかというのは非常に課題ですね。  私は私なりにやってきたつもりで、それなりにこれからもやっていけるんじゃないかなというふうに、そういう道を僕なりにつくってきたつもりではありますけれども、そのために私が実は結構重要だなと思っているのは、やっぱりこれまで特にお米、まあ農業全般かもしれませんけれども、それこそ私が農業を始める前ぐらいまでは、とにかく田んぼで汗水垂らして作業を一生懸命やることがいいことだとされていましたけれども、やっぱりそれじゃ駄目だねと、経営をやらなきゃいけないねと。  つまり、経営をやらなきゃいけない、販売もやっていかなきゃいけないねというのが恐らくこれまでの流れだったんだろうというふうに思うんですけれども、一方で、そういうものをある程度やり尽くしたとは言いませんけれども、そういうものがある程度、もう二十年、私も農業を始めて十八年になりますけれども、そういうものをある程度できるようになってきて、じゃこの先はどうかと考えたときに、僕は一回また栽培の技術をこれから特に注目してやっていかなけりゃいけないんじゃないのかなというふうに思っていまして、それは、一つは、こういった気候の変動みたいなものが非常に大きくなっていて、そういった気候の変動に対応するような栽培方法だったり若しくは品種の組合せだったり、若しくは、私も今は米しかやっていませんけれども、ほかの作物を組み合わせていくとかという、そういったことも必要だと思っていますし。  また、それと規模拡大が急激に進んで、一方でこれは地域によってもう本当に全く違うので、中山間では難しいんですけれども、私の地域は比較的平場で農地が集約してきて、中間管理機構なんかもかなり活用させていただいていますけれども、そういった状況があるところはやっぱりある程度省力化して省コストで作れる可能性が出てきます。そうなれば、それこそ今問題になっているような価格、日本の米が海外に行ったときに価格競争力がないと言われていますけれども、そういった問題すら、現状はちょっとまだ難しいというふうに私も感じていますけれども、そういった問題を変えるような、価格競争力ができるような可能性も僕は出てきている地域もあるんじゃないか。私のところは少なくともそうなりつつあるんじゃないのかなというふうに思っていますので、そういう状況が、これ日本あまねくそうかというとそうではない、地方によって本当に全く違うのでこれは注意が必要ですけれども、ただ一方では、そういう平場でまとまっているようなところは可能性も出てきていますので、そういった状況になってくる。  一方で、じゃ今度更に省力化、今もいろんな低コストみたいな栽培技術、それは農研機構でもかなり一生懸命開発されていますけれども、一方で経営全体として、今、何というんですかね、僕らはよく要素技術とかというんですけど、単品のいろんな、直まきみたいなものとか、いろんなそれぞれの技術は実は結構いいものができてきているんですけれども、それを経営の中で組み合わせて経営全体を効率化させていくような、そういった実は研究というのはまだまだ少なくて、そういったことに積極的に取り組むことによって大幅なコスト削減ができるかもしれない、そうすれば、いよいよ海外とも価格競争力があるような米が地域によってはできる可能性が出てきていると。それ、そういうことが恐らく実現できるようになってくれば、これはやはりTPPの後の世界で、日本に米は輸出できないんだという方はもちろん多くいらっしゃると思いますけれども、一方ではできる地域もできてくるんじゃないのかなというふうに思っております。  ちょっと簡単ではありますけど、時間も大体しゃべったようなのでこれぐらいで終わりにさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  412. 福岡資麿

    ○団長(福岡資麿君) 次に、田口公述人にお願いいたします。田口公述人。
  413. 田口昌也

    ○公述人(田口昌也君) ただいま御紹介にあずかりましたミナトゴム株式会社の田口でございます。よろしくお願いいたします。  弊社は、一九六九年創業ということで、来月十二月でちょうど四十八年目を迎える企業になります。私で社長をやらせていただいたのが三代目ということで、初代が私の父ということで脈々と、我々ではゴム屋と言うんですが、ゴム屋をやっている会社になります。工業用のゴム、樹脂製品の製造販売を主に行っている企業となります。  資本金に関しましては二千万、従業員は国内外合わせて約六十五名程度ということで、売上げは五億円になります。本社は千葉県船橋市にありまして、国内の工場として、今日私もお邪魔している茨城県の稲敷というところにあるのと岩手県の二戸市、この二か所に国内工場を有しております。また、一〇〇%独資という形で二〇一四年の四月、海外工場として初めて、ベトナムのハノイ近郊、北部なんですが、のハナム省というところのドンバン工業団地にミナトラバーベトナムという会社を初めて設立して、今現在操業しております。  弊社主力部品に関しましては、自動車用の部品、またFA関係、建築資材、その他ということになります。自動車部品では、創業当時からやらせていただいている重要保安部品という位置付けになるんですが、パーキングブレーキ、いわゆる今ですとサイドブレーキだったり足踏みブレーキという形になっているんですが、パーキングブレーキ関係の部品を長年生産させていただいております。また、FA関係では、半導体製造ライン又は自動車の製造ラインなどに使われているいわゆる産業用の機材に使われるゴム又は金属とゴムを、一体成形という言葉になるんですが、接着をしてお納めするようなものをやらせていただいたり、また建築資材では防振ゴムと呼ばれるものを主に作らせていただいております。  今回、TPPということで、まず、海外に我々の規模で出ているというところのきっかけになった話をちょっとさせていただきたいんですが、主力分野である先ほど申し上げた自動車市場の、海外シフトをどんどんしていったということで受注が大幅に減少していった時期があります。これは、少なからず今現在も続いていることと私は認識しております。  自動車産業は、日本の高度成長とともに急激に加速して、我が国を代表する産業になったと私も感じております。弊社も創業当時よりこの自動車産業の成長の波に乗ることができました。しかしながら、近年、これはもう市場の原理なんですが、よりいいものをより安くということから価格競争が加速し、自動車メーカーの先ほど申し上げた海外化が進みました。また、その一次メーカーと呼ばれる、俗に言うティア1と呼ばれるメーカーさんも海外工場化が加速しております。  当社は、現在もミナトゴムからお客様経由で海外へのゴム、樹脂部品の輸出は行っておりますが、部品の現地調達化、これに関してはとどまるところがないということで、先ほど申したとおり生産数及び売上げが減少しております。  特に、弊社の場合、お客様が設計されたゴム、樹脂を要求された要求事項と呼ばれるものに適合させて製品を提供する、平たく言うと、図面があって、その図面に基づいて我々は物を作って提供することを要求されているメーカーになりますので、いわゆる今まではQCDと呼ばれる品質、納期、価格、これによる発注先の競合というか格付をされてきました。ただ、グローバル化が進む中で、この常識だけではお客様との関係が維持できないということが今現在与えられていることだと思っております。  この状況に対応すべく、弊社としては、一つとしては工法、材料開発などによるコストの削減、あとは物づくりをしている上で出てくる不良の削減などを徹底してやってきたんですが、やはり今の経済下の中では魅力ある企業という形にはなかなか行き着いていないというところが認識しております。また、自動車、私にも子供おりますが、自動車なかなか買ってくれないということで、市場の縮小化に歯止めが掛かっていないということも事実だと思います。  この影響で、我々が購入するゴム、樹脂、いわゆるゴム、樹脂の材料を買って生産をさせていただくんですが、これも一時的には、日本の我々に売るより海外のメーカーさんに売った方がもうかるから海外に売るよ、値上げをしてくれなければ売らないよということが度々ありました。また、その後、どうしようもないことかもしれませんが、リーマン・ショックということがあって、やはり御存じのとおり、我々産業界というのは大打撃を受けました。またその後、円安、円高という為替のリスク、また我々どうしても、樹脂、ゴムはナフサという原油をもとにする材料から作っているので、ナフサ価格というものが非常に大事になります。このナフサスライドと呼ばれるものに対しての価格上昇、また俗に言う固定費、ユーティリティー費の値上げ、もう様々な値上げが全て来て、我々は全てそれをのんで生産をしてまいりました。理由は単純な話、先ほど申したとおり、材料が手に入らなくなって会社として存続ができなくなるからです。これらの出来事は、ゴム、樹脂を取り扱う事業者にとっては、仲間内でも話をしておるんですが、経験のしたことのないことでした。これは諸先輩方に聞いても同様の御意見をいただいております。  その対応策として弊社が導き出した答えというものが海外展開ということになりました。先ほど申し上げたベトナム、ハナム省の、ベトナムに工場を造ったということは、我々規模でやはり工場を造るというのは、正直資金的な問題を含めてかなり大変です。ですから、私は、遠戚筋にベトナム人の留学生がいたということを利用させてもらって、この人間と二年間私の下で働いてもらって信頼関係を築き、最終的には海外工場設立のパートナーということになっております。  弊社の場合、当初より海外操業ということは正直考えておりませんでした。先ほど申し上げたとおり、身分相応という形がありますので、海外での技術提携による部品の購入ということをやっていったんですが、なかなかその結果も多く出ないということもありまして、見聞は多く広げることができました。  弊社が海外工場の設立に至るステップとして、国内で日本貿易振興機構様、ジェトロ様の御支援というものを正直いただき、大きな力となりました。所在地が千葉県ということで、たまたまジェトロさんは千葉にあるということから、当時私がベトナムに行くときの一つの保険というか、経験を補う意味で海外ビジネス塾という制度を利用させていただき、その中で、異業種の方であり、ジェトロさんであり、いろんな形の人脈づくり、情報づくりを入手し、努めてまいりました。また、その後、二〇一三年に専門家派遣事業、また本年には輸出大国コンソーシアム事業などの認可をいただいて、今現在も、専門家の先生と昨日も、どうしようかということで腹を割った話で議論を深めております。  弊社の規模で海外操業をするにはこれらの施策は大きなメリットであり、また進出規模においても小規模工場ということから、私の中では、ローリスク・ローリターンということで、損益面に重点を置いた工場経営をせざるを得ませんでした。ベトナム工場も、二〇一四年、創業開始時は、自動車、先ほど申し上げたゴム部品、パーキングブレーキの部品三点のみで生産をするという非常に限定的なものだったんですが、その後、国内のお客様、また海外のお客様から徐々に認知をされて、建築資材とか住宅設備関係とか生産品目が増え、今後、FA関係の方のお客様からも高付加価値製品の受注をお願いするよということで打合せを進めている最中になります。  これら、私としては精いっぱい背伸びをして経営してきた中で話題に上がってきたことがTPPでございます。現在のところ、TPPについて弊社に対しては直接的なメリットはございません。十年後、関税撤廃によるベトナムとメキシコの取引に関して関税が撤廃になるのであれば、今からおたくに頼んで物づくりをしたら、将来もっといいものを安く提供できないかということのお話は非常に多くいただいております。この点では私は素直にTPPのメリットということを感じております。  御存じのとおり、メキシコは北米自動車産業の部品の集積地になりつつあり、自動車メーカーさん、ティア1メーカーさんも数多く進出されております。そのような観点からも見積り依頼が増えているかと思います。TPP関税撤廃によるビジネスチャンスは拡大であるとは思うんですが、その反面、今度、我々の競合メーカーさんに当たるメキシコであり、ほかのTPP各国に入っているゴム、樹脂のメーカーさんといわゆる価格の競争をしなきゃいけないという不安要素もあると思います。  事業者がこれに関しては考える大事な問題だと思うんですが、我々としては、まず、デメリットを避けるよりメリットを今優先して、やはりベトナムに出したという会社の方針を何とか成就させたいということで邁進しております。それにはリスクを最小限にする準備をしつつ、サプライヤー・チェーン・マネジメント、これをより強固なものとして、お客さん、協力工場、それと社員と一体となって信頼関係を築いていく必要はあるかと思います。  簡単ではございますが、以上でございます。御清聴ありがとうございました。
  414. 福岡資麿

    ○団長(福岡資麿君) 次に、原中公述人にお願いいたします。原中公述人。
  415. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) 私は、政治あるいはこういうTPPとか外国との協約というのは、あくまでも最終目的というものが国民の幸せ、平和で平等な生活を、日本をつくるということが目的でなければいけないと思っていろんな活動をしております。  このTPPに関しては、四年間の秘密事項があるということを言っておりますが、実際、ニュージーランドではこの二十四項目のTPPの今までの交渉が五千五百ページによって発表されております。しかし、我が国では、残念ながら国会に、国会議員に対する開示すらしていない。しかも、内容は農業を中心としたもので、実はもう日常生活全てにおける問題が入っているということでございます。  今日は十五分という限られた時間でございますので、私は食の安全とそれから医療問題についてお話をしたいと思います。  食の安全、確かに、例えば量的な問題でございますが、現在、日本では四〇%は自分の国で作っている食物を取っておりますが、これは政府からの発表によっても、もしTPPが締結されたら一三%に落ちるということが言われております。しかし、東大の鈴木教授のデータによりますと、八%に落ちるというようなデータもございます。  今、地球の温暖化によって、例えば今年フィリピンで米騒動が起こった。大雨と台風によって田んぼができなくなっちゃった。ベトナムでも日本に輸出していた飼料米がほとんどできなくなった。そういう地球の温暖化のときに、もし日本が一四%以下、国、政府のおっしゃっている一三%にしても、あとの八三%という食べ物が輸入されなきゃいけないというような状態に陥るだろうと思います。  今、日本がだんだんと国債の発行、一千兆を超えまして、政府の発表とは違いますが、実際は一千兆を超しております。一人当たり一千万の借金をしていながら、円の変動によって物が高く買わざるを得なくなる。特に、温暖化によってできなくなった作物がどれだけ高く日本人が買わなきゃいけないか。食の問題というのは全てに優先する問題だと思います。  現在でもどういうことが起こっているかということをちょっとお話し申し上げますが、いろんな危険物ということからすると、百六十から百八十ございます。しかし、私、今日しゃべるのはカビの問題と四つの危険な状態を述べてお話をしたいと思います。  カビというのは、皆さん御存じのとおり、アフラトキシンというほんの僅か入っていても肝臓がんを人間に生じるというものでございます。これはトウモロコシだけではなくて、米それから大豆、小麦に入っております。こういうものが今、日本で今までは検査をして、入っていれば返すことができる。しかし、TPPが締結されると、検査すらしてはいけないというようなことになってしまいます。  今現在を見ても、トウモロコシや、アメリカの、自動車のガソリンに代わる燃料を作っております。これは発酵させないとできないものですから、カビが生えていると発酵が悪くて、カビの生えていないものを使います。ところが、カビの生えているものはどういうふうに使っているかというと、はっきり私アメリカに行って確認してきました、ほとんど輸出でございます。日本にほとんど輸出しているわけです。  その輸出しているカビの生えたトウモロコシがどういうふうなルートで行っているかというと、確かに食品に使うのは比較的少ないんです。でも、動物の餌がほとんどです。農業をやっている方なら分かると思いますが、最近とっても牛のお産に関して流産が多くなった、それから死産が多くなった、それから親の牛まで死ぬ、死亡率が高くなってきた、何だろうという問題が今起こっております。そのぐらいアフラトキシンというのは難しい問題でございます。  それからもう一つは、御存じのように、製品となって、あるいは商品となったものに対して、輸送のときにカビが生えない、あるいは腐らないということのためにポストハーベストと、でき上がったものに殺虫剤というものを振りかけることが日本では禁止されております。しかし、以前、日本は小麦の運送は船底でやってきたものですから、ほとんど売り物にならなかった。それで、今アメリカでは船底、冷凍機械を使って生えないようにして送っておりますが、やはり今言われているのは、牛肉とかオレンジあるいはかんきつ類に対しては、農薬、食品の保存料という名前を変えて日本が許可してしまっているんです。こういうことが国民に知らせられないで使われているというのは非常に危険だと思います。  それから、例えば今どういうものにそういうものがあるかというと、実際、日本で許可している濃度と製品の比率を比較してみますと、小麦に関しては大体五十倍、大豆に関しては二百倍、米に関しては六十から八十倍、グレープフルーツ、オレンジ、レモン、ライムなどに関しては五、六倍、それからイチゴに関しては十六倍、サクランボに関しては百倍というような、日本で許可する濃度の倍数でアメリカが作ったものを日本は輸入しているんです。  どうして水際でそういうことを検査しないかというと、だんだんと検査の件数が少なくなってきた。それから、以前は、例えば百箱が輸入されて一箱から出てもそれは全部返してしまった。ところが、今のやり方は、百あるとすると三つぐらいの検査をして、よその検査しないものは輸入許可をしてしまうというようなことが実際起こっているわけです。そういうことを考えると、やはり大変なことだなと思うわけです。  それから、もう一つ大切なのは牛肉の問題でございます。成長ホルモンを注射すると、どんどん体重が太って高く売れる、それから牛乳もいっぱい出てくる。ということで、今問題になっているのは、私は思うんですが、最近、日本の女性の一番発生するがんは乳がんになりました。ところが、実はこのホルモンというのは性ホルモンでございまして、エストロジェンという薬でございます。これを注射すると大体一・五倍の牛乳が出るわけですけれども、この牛乳で日本に入っているのはほとんどチーズであるとかバターであるとかというもので入っております。それからもう一つは、本当は入っちゃいけない老化した牛肉が焼き肉屋で売られてきております。この牛肉の中にも、特に赤身の中にこのホルモン、エストロジェンというのが非常に高く残っているわけです。そうすると、うがった見方になりますが、女性のがんが一番乳がんが多くなったというのは、このものが恐らく影響しているのではないかと私はいつも心配しているわけです。  それから、男性もだんだんと前立腺がんが出てきました。性ホルモンですから、男性だって影響を受けるんです。ある研究、これは外国の研究ですが、女性の乳がんが八倍、それから男性の前立腺がんが三倍から四倍多くなる、これを食べている地域ではよその地域よりも多くなっているという論文が出ております。  そういうことを考えると、やはり確かに農業というのはいろんな問題があります。たった、たったと言ってはいけないんですが、GDPからいえば農業の生産量というのは一%にもなりません。ところが、食料ということから考えると、私は絶対に、このTPPで検査をしてはいけない、あるいは日本で許可していないいろんな危険な農薬を使ったものが入ってくる、これを何とか抑えなきゃいけない。  恐らく、そのほかに、どこで作ったかということの表示をしてはいけないんです、今度は。例えば、今、韓国は、国民が大統領辞めろというデモがありましたけれども、韓国ではTPPに入ること反対の大デモンストレーションが続きました。それで、それをTPPに入らないで二国間協定、FTAに変えたわけです。しかし、その内容は結局はTPPとほぼ同じだったということで、今の大統領がアメリカに行ったとき上下院の合同会議で演説をさせられたというぐらい非常にアメリカから優遇されたことがございました。今、韓国ではどうなっているかと。御存じのとおり、三大財閥の株はほとんどアメリカです。それから、地産地消という学校給食、これもやめてしまいました。地産地消という言葉を使うとアメリカの輸入品を抑えるということになります。  そのほかに、アメリカのたばこ会社がオーストラリアを訴えています。これは、その国の最高裁判所が合法的だと言っても、このTPPに入るとTPPの決まりがその上に立つという、国家主権を侵すようなことになりますので、全部有効になってしまうということがあります。  時間がないのでまとめますが。  次に、医療に移りますが。  医療でもしTPPに入ったらどうなるかといいますと、現在でも、皆さん御存じだと思いますが、今、国民年金で最終、最後に安心して生活を送れる場所として特別老人ホームができました。これは医療とは違いますが、医療と介護は一緒のボーデンでございますのでお話し申し上げますが、私のところで一人亡くなられて、四十人待っている方の順番を付けて選定委員会というのを、地域の人たちが集まって点数を付けるわけですが、それで入っていただこうと思っても入れない。なぜかというと、前は国民年金で入る施設だった、ところが国にお金がなくなってくると、部屋代は別である、食事は別である。自分の家として入ったところに何で食事代とか部屋代を取るんですか。だんだんそういうことが厳しくなってきました。  今、医療でいえば、薬代がどんどん伸びて、二兆八千億円だった薬代が今十兆を超しました。医療費全体としては、民主党が二千二百億円を計上した二年間だけ、このときだけ上がりましたけれども、あとは一銭も上がっていません。毎年老人が多くなってきます。老人は五・五倍の労働者の医療費が掛かります。でも、毎年毎年多くなってきました。その分が二千二百億だということで予算を請求しても。  私はやっぱり考え方としては、北欧、特にドイツは日本と同じ敗戦国でありながら、国の予算の六四%が社会保障です。これは、社会保障をする、国民を守ることが政治の目的であるというふうな意識を持ってくれている。ところが、日本はどうですか。経済を活性化すること、アベノミクスを成功させること、これが目的になっちゃっている。目的はあくまでも国民の生活です。平和で、それで安心して送れる日本の国をつくるのが政治の目的であるはずなのに、しかも、TPPを反対するということで総選挙をやって、三分の二の人数のいる与党から誰一人としてTPPを、うそをつかない自民党、TPPは絶対反対という、あの約束で当選した人たちが誰一人として反対を言わない。私は、これはやっぱり政治家の劣化だと思いまして、アメリカの上下院のTPP関係の十五人と会ってきまして、いろんな話をしました。その問題を今日の資料に載せました。  とにかく、このTPPというのはあらゆる面、これはほんの僅かです。全体においていろんなことがありますので、絶対に反対することが私は国民に対する今生きている人間の責任だと思って頑張っている次第です。  ありがとうございました。
  416. 福岡資麿

    ○団長(福岡資麿君) 次に、岡野公述人にお願いいたします。岡野公述人。
  417. 岡野忠

    ○公述人(岡野忠君) 岡野でございます。よろしくお願いします。  農民運動茨城県連合会の岡野忠と申します。私は、茨城県南部の稲敷市で稲作をしております。  日本の農業に甚大な不利益と、また、日本国民にも大きな損害を及ぼすであろうTPPには反対の立場で意見を述べさせていただきます。  異常な秘密主義で、国会には黒塗りの資料しか出せないというだけで国民にとっては不利益なものであるということの証明だと思います。TPP協定文は、日本語に訳されたものだけでも数千ページあるうちの三分の一程度と聞いております。日本はどんな交渉をして、何を得て何を失ったのか、今後はどうなるのか、よく分からないというのが私たち農家の実感です。  限られた資料、報道の中から分かることは、重要五品目、米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖など、それらは地域経済、国土保全、国民生活に大きな影響を与えるため、国会決議で関税の撤廃をしないように求めたものです。この決議に反し、重要五品目の二九%、約百七十品目で関税撤廃に合意しました。即時撤廃を免れたものでも様々な条件を付けられ、牛・豚肉の関税は大幅に引き下げられ、壊滅的な影響を受けるのではないかと思われます。  米に関しては、日本は水田面積の四割で減反しながら、WTOの下でミニマムアクセス米七十七万トン輸入しています。その上に輸入枠新設で八万トン近く増えるわけです。米価下落圧力はかなり強くなるでしょう。  更にとどめを刺すのが、日本だけが農産物輸出国五か国と約束した発効七年後の見直し協議です。更に厳しい譲歩を強いられるでしょう。譲歩を一手に引き受けて大筋合意をしたと言われています。明らかに国会決議違反であり、認められるものではありません。  十分な審議時間を取り、真剣な議論をして、TPPの本質を国民の前に明らかにすべきです。時間が来たから強行採決で通してしまおうなどはもってのほかです。国民の大多数は十分な審議を望んでいます。民主主義は議会内の数の力だというのでは将来に大きな禍根を残すことになるのではないでしょうか。  私は、食料は可能な限り政府が責任を持って国内で生産するようにすることが重要だと考えています。いつでも農産物が外国から幾らでも輸入できると考えるのは間違っていると思います。毎年のように気候変動が伝えられ、世界中で洪水や干ばつがニュースになります。また、紛争地の難民なども含めると物すごい数の人が飢えています。そのような人たちに少しでも食料を回してあげるためにも、日本の自給率を上げることは世界に貢献することだと思っています。そのために、アメリカやヨーロッパ諸国でも行っている所得補償、価格保証を行い、方法は様々であると思いますが、再生産が続けられるようにする農政が必要であると考えます。  今、私の周りでは、一九九三年の凶作以来、また一九九五年のWTO協定批准、発効以来、一九九四年の米不足によるパニック状態になって以後、二十年にわたる米価下落で経営は大変厳しくなっています。中曽根総理時代から米の自由化といって政策的に引き下げてきたからです。農家潰しの始まりです。数年前より、農水省の計算した生産費約一万六千円よりも大きく下回っています。機械が壊れたら辞めると言っている人が大勢います。  耕作を委託したくても、谷津田や超湿田など条件の悪いところも多く、先に放棄されていきます。引き受けてくれる人もなく、年々荒廃が進んでいきますと、大規模経営を目指す人にとっても大変なことになっていきます。あぜや水路、農道などの維持管理も行き届かなくなり、また、多面的な価値が失われてしまうでしょう。  農地の維持管理を行う土地改良区という農家の組合の存続さえも危うくなってくるのではないかと思います。大規模だからやっていけるというのは一面だけしか見ていないとしか言いようがありません。  畑作経営でも、ほとんどの野菜が三%の関税ですが、TPP発効で関税が撤廃されれば輸入が増え、暴落につながり、経営が苦しくなるでしょう。  若い後継者がいなくなり、人口減少が進み、地方創生は難しくなるでしょう。茨城新聞の報道で、JAグループ茨城のTPPの影響額の独自試算が発表されました。国内で対策が講じられなかった場合、農畜産物で六百四十九億円の減少、特に豚肉は二百二十四億七千万円で、生産額に対する減少率は五九・九二%。鶏卵は百二十六億九千三百万円、減少率三一・五七%。米、五十八億六千三百万円、減少率六・七%です。レタスも十六億四千百万円。ネギ、十三億六千五百万円の減少です。林産物、水産物も加えると七百二十億五千万円もの影響が出るという試算が出ています。全国第二の農業県茨城において、影響は甚大なものと言わざるを得ません。  SBS米の価格偽装は、政府ぐるみと言っても過言ではありません。以前からそうでしたが、今でも安い大衆向けの米を作ってほしいと米屋さんから言われます。その原因は、SBS米の調整金、これを米屋さんに還元するところに安い米の原因があったということがはっきりしました。TPPで新たな輸入枠、アメリカ、オーストラリアから七万八千四百トンが増えるとなると、大暴落は必至でしょう。  国産米を備蓄に回すといっても、財政的にできるとは思えません。下落させるために、やってもすぐやめるでしょう。飼料米の作付けが増えていますが、いつまで補助金が出るか分からないと農家は思っています。経営に長期的展望が描けない状況です。  また、私たちは産直運動をやっておりまして、直売所を持っています。一部の学校給食に野菜を入れています。消費者の皆さんと直接つながり、地産地消で低農薬、減化学肥料の安全、安心な農産物を届けるために努力しています。  国産表示や産地表示はできなくなる可能性が大であることから、地産地消とは言えなくなるでしょう。国が進めて各地にある道の駅なども、地元の野菜といって売ることができなくなるのではないでしょうか。  また、私たちは、遺伝子組換え食品要らないということで、地元の農家と協力して、二十年ほど前から大豆畑トラスト運動をしてきました。遺伝子組換えとはどういうものかという学習をする中で、アメリカの学者が動物実験をしたその資料を見せていただきました。その中では、雄がきちっとした雄にならない、雌がきちっとした雌の体にならないというような、そういう写真も見ました。そういう中で、いかに遺伝子組換え食品が危険なものであるのかということを学びました。  食品添加物の使用基準、残留農薬についても規制緩和が進んでいます。輸入食品は平均九十二時間余り掛けてチェックしていたものが、四十八時間以内に検疫を終えて流通させることとなりました。現在でも検査率一〇%程度のところを、更に検査体制がおろそかになることでしょう。企業の意のままに制度が変えられ、消費者の健康や権利は後回しになってしまいます。  輸出が増えるといいますが、幻想的だと思います。加工品の輸出ばかりで、日本の農産物の増産につながるとは思えません。TPPによる経営困難で農業離れを利用し、戦後農政の枠組みを突き崩し、農地制度を解体し、企業による農地の支配に道を開こうとしています。農協を解体し、金融、共済など、これらをアメリカに差し出し、販売や購買事業など、これらをアグリビジネスのチャンスとして育成強化を図っているのではないかと思います。国連でも協同組合年ということで農協など協同組合の大切さをうたっていましたが、政府はどこ吹く風です。  TPPの先取りかと思えるアベノミクスでは、企業が活動しやすい国づくりを進めると総理が言っていました。資本の論理で何事も進められています。外国から労働者を入れ、日本人労働者も含め、低賃金、長時間、無権利状態で消耗品同様にこき使うという大企業の論理が見えてきます。電通の事件が証明しているのではないでしょうか。  特に農民の一人として感じることは、アメリカのブッシュ前大統領の言葉が思い起こされます。食料自給できない国は国際圧力と危険にさらされている国だ。また、アメリカの大学教授は、食料は戦略物資と言ったそうです。日本の農業を守ることは、日本の独立を守ること、国家の主権に関わることであると思います。安倍総理は日本の富をアメリカに差し出すつもりでしょうか。  アメリカの企業や投資家の意のままに規制緩和がどんどん進められます。再交渉、再協議などで、自由化に向けてのエンドレスゲームであるといいます。アリ地獄と表現する人もいます。審議を十分尽くして、全面的に資料を開示して、TPPの本質を国民に示していただくことが最も大切なことと思います。私の得た少ない情報からだけでも、TPPはアリ地獄であり、一度入ったら出ることは不可能であり、大資本、大企業の餌食ではないかと思います。絶対批准はするべきではないと思います。  以上です。
  418. 福岡資麿

    ○団長(福岡資麿君) 以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。  これより公述人に対する質疑を行います。  質疑の時間が限られておりますので、御答弁は簡潔に行っていただくよう御協力をお願いいたします。  なお、質疑及び御答弁は着席のままで結構でございます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  419. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 自由民主党、福井県選出の滝波宏文でございます。本日は、公述人の皆様、貴重なお話聞かせていただきまして、ありがとうございました。  茨城県はいろいろな形で来させていただいているんですが、水戸は実は親戚を訪ねて小さい頃に来て以来でありまして、こういった機会でまた訪れることができまして大変うれしく思ってございます。  本日は地方公聴会ということで、福井もそうでありますけれども、今、日本の地方が抱える問題、もちろんTPPの影響ということもあるかと思いますけれども、恐らく人口減少ですとか都会の方に人がどんどん行ってしまう、こういった問題の中で、ふるさとを次世代にどういうふうにつないでいくのかということについては、恐らく皆様同じ思いでいらっしゃるのではないかなと。そういう意味で、地方の声を是非聞かせていただきたいと思ってございます。  そういう観点から、今のこのTPP、ほかのこういった国際交渉の際にもそうですけれども、どういう影響が国内にあるのか、それに対して国内対策をどうするのかということは常々ポイントになってまいるわけでありまして、先ほど申したような地方の抱える問題ということについて、公述人それぞれのお立場から、このTPPの国内対策ということでポイントになってきております政府の対策についてどういったことを期待されるかということについて、それぞれのお立場からお聞かせいただきたいと思います。四人の方からお願いできれば。じゃ、順番に横田様から。
  420. 横田修一

    ○公述人(横田修一君) 期待する対策ということですかね。
  421. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 はい。
  422. 横田修一

    ○公述人(横田修一君) いろいろ、たくさんあると思いますけれども、私の中では、一つ私の米でいえば、やっぱり一番大きいのは中間管理機構の大きな活用ということが言えると思います。  これは地域によって、うまく活用できている地域もあればなかなかうまくできないんだというような方もいるんですけれども、私が、先ほどもお話ししましたように、比較的生産効率を上げて少ない機械、少ない人で効率よくやってきて、また肥料、農薬もなるべく無駄なものを使わずに必要な時期に必要なものをあげていくという形でかなり投入資材のコストを下げてきたわけですけれども、それによって残ってくるのが、生産コストに占める四分の一ぐらいが地代なんですね。この地代をどうやって下げていくかと。  今、私はほとんど、百三十二ヘクタールほとんど中間管理機構を通じて利用権設定させてもらっているんですけれども、その地代は、まだ、中間管理機構に地代を支払っているわけですけれども、その地代の決めていくプロセスというか、これはやっぱり中間管理機構はまだ担当レベルでもなかなか、地代の話は地主さんと耕作者の間で決めてほしいというようなことになっていて、これ地域によって地代も全然違っていて、高い地域もありますし、私のところは十アール当たり一万二千円なんですけれども、もっと安い、ただとか、場合によっては地主さんから管理料をもらう、耕作者がもらうみたいな地域もあったりするんですけれども、それはやっぱり、僕らとしては、短期的に見れば安ければ安いほどいいとかという、あるんですけれども、やっぱり持続性がありませんから。  やはり、その地代を、適正な地代を払っていく、米の価格なり収量なり、そういったものに合わせます。つまりは、その田んぼから得られる収益というか、に合わせてその地代をしっかりと、僕らとしては地域の皆さんから農地を預かっていますので、その期待に応えるためには地代を僕は払っていきたいと思っていますし、じゃ、でもそこが、どこが適切なのかというのは非常に難しくて、やっぱりそれは全国横断的に農地の中間管理機構というのができてきているわけですから、そこにある程度関与して、地代をある程度やっていただきたいなというのが私は一番大きな期待をしているところです。
  423. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 ありがとうございます。
  424. 田口昌也

    ○公述人(田口昌也君) 正直なところ、今のところ、私どものような会社というのは十分だと考えております。  ただ、本日もそうですが、アメリカ政権が替わっていくという中の動向というのは、正直、先ほど申し上げた、お客様からの追い風というものがどういうふうに変わっていくのかなというのは非常に注目をしているというか、不安要素も抱えているというところがございます。  済みません、以上でございます。
  425. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) 基本的には、このTPPをどう考えるかというこれだけじゃなくて、外交あるいは貿易、全ての関税に関しても、まず国内がどうなっているのか、国内をどうしなきゃいけないのかということを基本に考えていかなきゃいけないと思うんですね。  ただ、今まで見てみると、国債の発行が小泉さん以来ぐんと伸びているわけです。これを何に使われたかというと、国内ではほとんど使われていないんですよね、国民のために。だから、外交というのは大切かもしれないけれども、しかし、私は、例えばがん保険、入院保険というようなものでも、ちょっとあれと違うかもしれませんけれども、政治家の人たちがどこを目指して政治をやっているのか。それから、これだけの人間がいるのに、誰一人約束を破って返事もあれもしない、何かこう専制君主の時代に戻ったんじゃないかというふうに私は考える。  今の農業にしても関税にしても、確かに日本のトヨタも日産もホンダも、自動車というのは七五%が部品代です。ですから、あの三大自動車会社の部品が、アメリカの部品会社がみんなメキシコに移ってしまった。これは、そこで利益を上げて日本に送ってくれて、日本の会社ですから、日本の国民のためにということであればそれでいいと思うんです。  ただ、私、やっぱり守らなきゃいけないのは食の問題、それから年金の問題、こういうことをきちんとどんなときでも政治家は考えてくれなきゃ困るというふうに思っています。
  426. 岡野忠

    ○公述人(岡野忠君) 基本的に、政府は農業を守る、そういう姿勢が大事だと思います。そのために、所得を補償する、それから価格補填、そういうものをして農家が安心して農業を営むことができる、それが大事じゃないかと思います。  小さい農家は近くの大規模化を目指す農家に土地を委託して耕作してもらうというのは、この時代、機械化もされていますし、生産性が高まっているわけですから、それは必要だと思いますが、企業が入ってきてやるのではなくて、農家が主体となった組合組織、法人化などを進めていって、それとちゃんと所得、価格が得られるというような立場で政府は農政を進めていっていただきたいというふうに思います。  規模が小さいから、自分で機械を持ってやっているんですけれども、兼業農家で勤めに行かなくちゃならない、そういう人が大勢いるんですけれども、勤めに行っても昼間の八時間労働くらいで帰ってこれるのではなく、夜通し働いていたり、本当に夜勤をやって次の朝帰ってきて、ちょっと休んでまた田んぼを見回るとか、そういうような、本当に相当、過労死するんじゃないかというような形で働いている人もいます。それもせいぜい五十代くらいでしょうけれども、そのようにかなり苦労して農業を続けているわけですから、本当に過労死するほどじゃなくて、もっとゆとりを持って、当たり前の人間の生活ができるような、そういうふうに農政を確立していただきたいというのが私のお願いです。
  427. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 それぞれお答えありがとうございます。  ちょっとそうしましたら個別にお聞かせいただきたいと思ってございますが、まず横田代表に対しまして御質問させていただきたいと思います。  米の価格競争力、頑張れば相当いけるんじゃないかというふうなお話もございましたけれども、横田代表の方で、すばらしく今生産コストを下げて頑張っていらっしゃる中で、TPPが最初のきっかけになるかどうかは別として、将来的にまさに価格競争力を自分でつくられて海外に輸出していこうと、そういうふうなことは考えられたりするか、あるいは同じように頑張っているような同志の方でそういうことも考えていらっしゃるような方、知っていらっしゃったら教えていただきたいなと思いますが、よろしくお願いします。
  428. 横田修一

    ○公述人(横田修一君) 私の周りにも、若手で、特に最近はそういうことに注目をしていますし、輸出を積極的に取り組もうという方も出てはきていますけれども、まだ数としてまとまっているという状況ではなくて、まだまだ少ない取組というか、ということだと思います。  それの一つやっぱり大きいのは、日本の価格が、日本からの玄米の例えば価格、六十キロ当たりの価格でそのまま、じゃ、海外に行ったときどうなるかといったら、かなり向こうでは買えない価格になってしまったり、それは一方では日本の中での求められている品質の水準と海外で求められている水準が違うというのが一つ大きなものだろうと思いますので、例えば先ほど、横田農場でいえば、いろんな販売先に合わせて品種なりを選んでいるわけですけれども、当然、今度海外向けを作っていくのであれば、積極的にそういったものに合わせた品種なり栽培方法をしていくというのは、これ重要な視点じゃないかなというふうには思います。  あと、先ほど私、中間管理機構が重要だという話をしましたけれども、あと、何でしょう、私実は昨年度それから一昨年度と、農水省の技術会議の方の事業で、これは九州大学の南石先生と一緒に農匠ナビという研究プロジェクトに参画させていただいて、分かりやすくいうと、一俵、六十キロ当たりでいうと九千円の米をどうやって作るんだということをずっと実は研究してきて、それはどれも、何でも全部九千円にできるという話ではちょっとないんですけれども、おおむね達成できそうだという話になっているんですが、ただ一方で、本当に輸出で価格競争力を持つのであれば、六十キロで七千円だろうというふうなことを言われているわけですね。  これ、じゃ七千円はもうちょっと頑張ればできるんですかといったら、これ実はもうなかなか厳しいところまで来ていて、例えば先ほど言った、それは経営の中だけでの努力ではやっぱりもうかなり難しいところがあって、一つはだから先ほど言った中間管理機構の問題とか、あとは土地改良、水利費みたいなものも、今、横田農場の私の生産コストの中に占める割合でいうとやっぱり一〇%ほどもありますので、これ、土地改良区も、今電気代も高くなって非常に厳しくなっているという中で、施設の老朽化で更新もなかなか難しいとかということもありますので、そこをどう変えていくか。それも、いろんな技術開発も進んでいますので、そういったものをうまく取り入れていく、圃場整備みたいなものをやっていくということが一つ重要かなと。  あと、当然一番コストの中で大きいのは人件費ですので、横田農場でいえば、やっぱり少ない人数でいかにたくさんの面積をやっていくか。今、うち、横田農場でいうと一人当たり二十ヘクタール弱ぐらい管理している計算になるんですけれども、私はこれを一人当たり五十ヘクタール管理できる技術を、大学の先生とか農研機構も含めてですけれども、つくっていきたいなというふうに考えてやっております。  それを実現することができれば、恐らく六十キロ七千円ぐらいも何とかできるんじゃないかなというふうには考えております。
  429. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 是非横田農場でも輸出に向けていっていただける日が来ることを期待してございます。  続きまして、田口社長にお話を聞かせていただきたいと思います。  今、日本の中では、やっぱり国内の人口が減っていく中でどうしても市場が小さくなっていく。そういう意味で、特にTPPが標榜しているのは、アジア太平洋の伸び行く成長の市場を取り込んでいかなきゃいけないというふうなところにあるかと思います。  一方で、先ほど冒頭申し上げたように、やはり地方創生、今政府も取り組んでおりますけれども、日本の地方が衰退していくのをどうカバーするかというふうな大きな問題がある中で、私自身は、ある意味世界に直結した地方というのをどんどんつくっていかなきゃいけないんじゃないかと。  ただ一方で、どうしても海外に行くときには東京、大阪、名古屋と、そういった大都会を通じないと行けないというふうな頭の、思考の制約があるように思っておりますが、私は地元の福井の企業の人たちには、もう直接行ったらいいじゃないかと、あなたはどこから来たかと言われたときに、福井ですというふうなことを言っても、そんなことは聞いていない、どこの国だというふうに聞かれるんでしょうから、そうなれば日本からだと、ジャパン・ブランドというのを使って海外で勝負できるんではないか、そんなことを、是非頑張ってほしいというのを地元の企業の方々にも申し上げております。  そんな中で、田口社長、非常にベトナムにも進出されて国際的な勝負もなさっている中で、ある意味この茨城の工場も持ちながら地方からそうやって世界に直結していく、世界市場と勝負していくという中で、どういった点がその鍵になっているのか、逆に御自分が海外へ進出されたときに、先ほどジェトロの話もございましたけれども、どういう政策が良かったのか、あるいは政策で更に埋めてほしいところ、そういったところについてお聞かせいただければと思います。
  430. 田口昌也

    ○公述人(田口昌也君) 答えになるかどうか分からないんですが、先ほど申し上げた茨城の稲敷にある新利根工場と呼ばれる我々の工場、これは操業してメーン工場ということでやっております。その後、岩手県の二戸市というところに岩手工場というのを設けてやっておるんですが、正直なところ、今、茨城の稲敷市に関してというと、今日別の公述人の方もいらっしゃるのであれなんですが、正直、我々、人が集まらなくて今苦労しています。俗に言う派遣さんというものを採ったりとか、短時間のパートさんに助けていただいたりとか、何とかそれで国内のお客さんのお仕事を回しているという形になっているのが現実です。  また、岩手の方に関しては、おかげさまでお客様からお仕事がある程度いただけているという中で、岩手に関しては更に雇用を増やして頑張っていこうということで、社員の方には掛け声を掛けているというところになります。  先ほど先生から言われた話になりますと、私もベトナム行って、数多く行かせていただいたんですが、ベトナムという国だけを見ると、日本に対してのすごく尊敬の念、親日感が非常に強い国で、私自身も正直大好きです。まず、そういったところが非常にあの国というのは身近に感じさせてくれる国だなということでやっております。  我々としては、やはり日本のミナトゴムの商品をベトナムでも作れるということをスローガンに最初から掲げていますし、また、向こうのパートナーには、ミナトゴムを超える物づくりをしない限り、私はあなたとは縁切るよということも正直最初から申し上げています。ですから、向こう、まだまだ非常に平均年齢二十九歳という若い国ですから、今は何を言っても素直に聞いてくれる、いい、いいというか、かわいい年代の若者が多くおります。  我々、今現在、留学生も二人こちらの方に採って、日本に留学していた子を採って今度うちの社員として十一月から二名、茨城県の方で働いていただいたりとか、また、向こうから、短期のビザなりを取ってこちらにまた来てもらうというプロジェクトも今いろいろ動いておるんですが、やはり私は、先ほど言った部分で、ミナトゴム全体として、サプライヤーチェーン、グループとして、やはりお客さんの信頼、取引先の信頼、それと、一番社員の信頼を持っていかないと私はまずいと思っておりますので、その辺りを常に自分の中では自分に言い聞かせてバランスを取っていきたいというふうに考えてやっております。  以上です。
  431. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 ありがとうございます。  続きまして、原中会長様にお伺いしたいと思います。  時間が余りないので簡潔にお答えいただければと思いますけれども、御専門のこともあります。財政の話、御懸念の点ございましたけれども、従来、日本の中でずっと伸びてきたのはやはり社会保障の費用であります。少子高齢化の中ですごく増えてきた。この問題について、先ほどドイツの例ございましたけれども、どういうふうにしたら、社会保障を維持して財政問題を解決していくのにいい方法があるかということについて御意見をお伺いできればと思います。
  432. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) 大変それが今の、これからの日本のネックになると思いますね。  若い人たちの現在の非正規職員のパーセントが四〇%を超した。この四〇%の方は、確かに定年を迎えた人たちが非常勤という形で勤め続けているということも少量あるんですが、しかし、一番大切な若い人たちで、数年前までは社内の給与規程、それに準じて将来ずっと昇給を続けられるような正規職員、その職員が多かったんですが、派遣法が改正されて、どんどん会社にお金を残すようにした。しかし、そのお金は、今までは労働分配率が五二、三%だったのが、今度、今は四〇%です。これが将来どうなるかというようになると、保険料も、それから介護、そのほかの年金のお金も全然納めることが少なくなってしまう。  現在の国内の財政を見ても、税金の収入が五十五兆円、しかし国債の返済が二十四兆円、残ったもので何ができるかというと何にもできないという、これがずっと今後続いていくだろうと思います。国債がどんどんどんどん増えていくと、これをどうやって解決するかということがこれからの問題だと思います。  過去から見れば、社会保険料が無駄遣いされたということはもう終わっています。これ言ってもしようがないんで、今後どうするかということを考えたときに、今現実に、年金は毎年一万円下がってくる、ところがその掛金はどんどん上がってくる、こういうことが続いていった場合にどういうふうなあとやることがあるかというと、やはり外国のように消費税を上げるとかあるいは所得税を上げるとかということになると思いますが。  しかし、今回の三%の消費税も、五兆円入っていながら、社会保障のために上げるといいながら、実際は二千八百億円しか使っていない、あっ、八千二百億円しか使っていない。こういうことをしているから国民は上げること反対なんです。もし一〇〇%自分のところに使ってもらえるというのなら、私はみんな賛成するだろうと思うんですよ。  これがもう、自民党の先生方は笑っておるけれども、国民を本当に思っているんですか、将来のことを。国民のことを思っていないから、自分が議員であること、自分が議員の中でどうやって生きていくか、偉くなっていくかということを考えていることばっかりじゃないですか。本当に国民のことを考えたら、国会だって、このTPPだって、どこが悪くてどこがいいんだということをちゃんと区別すべきなんですよ。それが、僅かな時間でこれだけの大きな要素のものを、一つ一つ条約になるようなものを一括して、それで何十時間、九十時間論議したから採決だ。  それからもう一つ、民主主義というものをもう一度考えて……
  433. 福岡資麿

    ○団長(福岡資麿君) 恐縮ですが、時間を大幅に超過していますので、おまとめいただければと思います。
  434. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) はい。  多数決は民主主義じゃないんですよ。それを今の人たちは多数決が民主主義だと考えているところが大きな間違いだと思います。
  435. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 参議院議員の藤田幸久でございます。  今日は、出席の国会議員の中で私がただ一人茨城でございますが、公述人の皆様、茨城の関係者の皆様、お越しいただきまして本当にありがとうございます。  まず、原中公述人にお聞きしたいと思いますけれども、御専門の関係で、国民皆保険、形は残るんだろうと思いますけれども、いわゆる知的財産権保護それから薬剤価格の値上げと、あるいは特許の長期期間保護というような形で、結果的に、韓国で起こったように、例えば日本では薬価を決定するのは中医協、中央医療協議会ですけれども、それに代わって例えば製薬メーカーとか医療機器メーカーが発言力を持つような形で韓国行っていますけれども、日本でもそういう可能性が出てくるんじゃないかと。  そうすると、結果的に、その医療機関あるいは施設が、これ高額医療費、高額の医療機械ということになりますから、この日本の医療機関そのもの、先ほど施設の話されましたけれども、相当厳しくなるんじゃないかと思うんですけれども、その辺、専門的な見地からお答えをいただければ幸いでございます。
  436. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) 今は中医協というところで医療費を決めております。ところが、実際問題として、この前のC型肝炎の薬なんかは、その会議の朝に来て、前もっての情報が全然なくてそのまま九万円、八万円、これを九十日やる。これ、日本でC型肝炎が五十万人いる。合わせてみるとどのぐらいか。それから、今度の新型制がん剤ですが、七十四万円、一か月に恐らく二百五、六十万掛かるだろうと。これを年間にすると一兆円超すだろう、両方合わせると。ところが保険料が上がっていない。これをどこにいくんだというと、私はやっぱり、高額医療制度があって十万とか二十万戻ってくる、それであとは全部組合から戻ってくるという制度があります。ところが、恐らくこれがどんどん上げられていくだろうと、恐らくそれで枯渇してしまいますから、だからそういうものは上がるだろうという。  それから、保険料が収入によってもっと上がってくるだろう。私は思うんですが、今医療費が四〇%です。ところが、高い薬がどんどん入ってきた場合に、私は、TPPは日本の国民保険を壊さないだろう、なぜならこれを利用するだろうということを書いたことがございます。まさに今そういうことになってきているのではないかというふうに思います。  高額医療費のことは恐らくこれから問題になると思いますが、新型制がん剤の値段を一つ見ても、イギリスの値段の五倍、アメリカの値段の二倍しているんですよ。今度五〇%落とすと今日テレビに出ていましたけれども、もっともっと高い。  それから、薬が一般的には物すごく、外国と比べて三割以上高い。これをやっぱり考えなきゃいけないだろう。今、入院料に全部薬を含めるというので、例えばうちの病院なんかの場合は、保険から落ちる薬の総額と薬屋さんに納める総額を比べると約二百万円損しています。損してというか、それは入院料に入っているよと言われてしまう。そういう時代になってきている。これがだんだん広がってきたときに、私は倒産する病院がいっぱい出てくるだろうというふうに危惧しております。
  437. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 先ほど、農業は日本のGDPに比して一%とか二%、しかしながら、それが実際に庶民あるいは患者さんになってくると大変だということで、乳がんあるいはほかのがんの話もされましたけれども、そもそもこの遺伝子組換え食品、アメリカのモンサントとかデュポンとかいうところが話題になっておりますが、これ元々農薬のメーカーですね。その農薬のメーカーが結局種子とか種の特許を持っていて、これ、ほかの国でそういういろんな農家の方々が種子の情報を共有するということが禁止されてしまう、場合によっては犯罪になってしまうと。  そういうことになってしまうと、これ元々農薬から始まって、そういう形で庶民のところに、先ほど表示も十分されていないという話でございますけれども、その辺のことについてもう少し詳しくお話しいただければと思います。
  438. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) はい、あの……
  439. 福岡資麿

    ○団長(福岡資麿君) 済みません、指名を受けてから御発言ください。
  440. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) はい。  遺伝子組換えですけれども、今、遺伝子組換えを使った実験がフランスで行われまして、遺伝子組換えの大豆を使ったマウスが八〇%がんが出る。それから、今、日本に入っているものは、トウモロコシ、大豆、カナダの菜種、それからオーストラリアの綿花、これが遺伝子組換えで入っていますが、食べ物にした場合に非常に免疫力が落ちる、それでがんの恐らく促進因子になっている。いろんな問題が起こっております。  これをもし駄目だというと、TPPではISDS、ISDの条件があって、じゃ、本当にその薬で、その食べ物でがんに出たかという証明しろと、証明しなければ損害賠償しろということになってしまう。だから非常に、モンサントの場合には、今度は北海道に今農場をつくりまして、国内品だと言って売り出しています。こういう危険なものをどういうふうに抑えるかということはやはり大変なことで、TPPに入ったら非常に抑えることが難しくなるだろうという危惧はしております。
  441. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 少し保険関係のお話をお聞きしたい、これも原中公述人にお聞きしたいと思っておりますけれども、結局、公的保険料が、今自己負担がだんだん高くなってしまう可能性があるという部分と、それから例えばかんぽ生命が金融庁の下で民間の保険会社と同じような規制を受けるというような形になってきますけれども、そうすると、そういういわゆる医療関係の保険と、それから例えばかんぽ生命なんかもそうですけれども、そういう様々な保険の分野においても影響が出てくるんではないかと思います。その辺について。
  442. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) 過去に、日本に生命保険会社がいっぱいあるにかかわらず、まず入院保険、それからがん保険というものがアメリカンファミリーとアリコジャパンだけに十年間売らせたんです。日本の国は入っちゃいけない。今度の恐らく高額医療に関しては、同じようにアメリカの会社が私的保険を売るに違いない。というのは、今は健康保険でやっていますけれども、やがてパンクしてしまう。そうすると、この薬はもう保険には入りませんという薬がどんどん出てくる、そして混合診療が認められてくる。そうした場合に、当然、お金の持っている人は私的な保険に入ってきます。そのときに邪魔になるのが、要するに共済保険の安い保険料です。だから、共済関係は全部潰してしまえということが郵政省が一番最初やられたことなんですね。  そういうことをずっと考えてくると、私は、医療費もやがて枯渇してくる、もう枯渇直前ですが、それをどうするかということを本当に真剣に今考えないと続かなくなると思います。物すごく質が悪くなってくる、幅が狭くなってきて、混合診療がどんどん多くなってくる、そんな気がいたします。
  443. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ありがとうございます。  じゃ、横田さんにお聞きしたいと思いますが、横田さんが書かれた論文あるいは引用されている論文の中で、JAへの出荷では割高な農薬とか販売手数料、農協の改革が必要だということをおっしゃっておるんですが、実は、最近、政府の規制改革会議の方で農協改革について提言が出ていますけど、それに対して農協の方は、真に農業者の立場に立った改革ということについてやっていると。  基本は、農協というのは御承知のとおり民間企業であります。そうすると、例えば茨城でいうと、例えば住友金属とか日立製作所に対して分社化しようというふうに政府が言っているような話だろうと思うんですが、そうすると、民間企業に対して分社化しろと言われているということについてどうお考えになりますか。
  444. 横田修一

    ○公述人(横田修一君) 私もちょっと全体的なことはよく正直分からないところもあるんですけれども、ただ少なくとも、今議論されているようなJAの分社化とか、若しくは肥料、農薬が少し高過ぎるんじゃないかみたいな議論は、僕はちょっと必ずしもそうじゃないんじゃないのかなというふうには思っています。  私も、一方でJAへの出荷は実はお米はしていないんですけれども、決してけんかしているわけではなくて、やっぱり自分の経営の中でどこがより有利なのか、自分の経営にとってどこが、どういう人と付き合うのがいいのかということを私なりに選択をさせていただいてお付き合いさせてもらっているところもありますので、そういう考えで付き合えばいいというのもありますし、JAさんも、それは現場の単協の担当者から全農の方までいろんな立場の方いらっしゃいますけど、それぞれの立場で頑張っていらっしゃって、もちろん変えていかなきゃいけない部分もあるんだと思うんですけれども、必ずしも、大きい組織なので自分たちの力だけでなかなか変えにくいところもあるんでしょうが、周りからの圧力も大分高まっています。  それは、国からもそうかもしれませんし、農家側からの圧力も掛かっているんじゃないかと思いますので、それは僕は非常に、中にいる人たちもかなり問題意識を持っているので、こういう状況になってくれば変わってくれるんじゃないのかなというふうに僕は期待して見ているところです。
  445. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 そうしますと、期待して、農協の方もそうおっしゃっていると。  そうすると、先ほどから横田さんがいろいろ大変なサクセスストーリーを、経験言っていただいて大変感動したわけですが、TPP、今回これが成立するか否かということ以外の次元のお話の方がかなり多くを占めていて、ですから農業の関係者、横田さんのような六次産業化的な経営能力を持った方、あるいは農協、あるいは個々に、おじいさん、おばあさんでやっているようなところも含めて、農業者全体としていろいろ協力しながら自助努力をしていただくということが一番重要かなというふうに印象で伺ったんですが、そういうことでしょうか。
  446. 横田修一

    ○公述人(横田修一君) おっしゃるとおりだと思います。  農業、本当に多様性があって、以前はそれこそ農地解放みたいなときに、恐らく小さいたくさん農家ができて、ある意味スタートライン一緒だったのかもしれませんけれども、やっぱりそれは地域性とか、若しくは経営者の経営戦略などによって規模も変わってきたり、個人経営や法人経営、いろいろ多様性があって、若しくは生きがいとしてやる農業も僕は非常に大事な農業だと思っていますけれども、いろんな多様性があってこれしかるべきで。  ただ、それをそれぞれがやっぱり自分の立場で、自分のできることで最大限努力していくということが僕は絶対に求められていると思っていますので、それの上で、もちろん自分たちの努力だけでできない部分は、それは行政だったりJAでもそうですけれども、いろいろなところに手助けしてもらう必要あると思いますが、基本的には僕は自分で、それぞれの立場で頑張っていくべきではないかなというふうに思っています。
  447. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ありがとうございます。  原中公述人にもう一つ。今日、アメリカの議会の皆さんに出された手紙を拝読して、大変感動いたしました。先ほど来、水戸黄門様から何かお叱りをいただいているような、国会議員の一人として感じておりますけれども、その最後の部分ですね、手紙の、我が国の問題は民主主義が成長しない風土と政治の世界の貧困さ、私も大変反省をしておりますけれども、次の行で、TPP始め海外派兵は決してアメリカにとっても得策ではないことを理解されることをお願いいたしますとあります。  私、たまたま七月の末にアメリカの民主党大会に出席をいたしました。トランプさんに対してサンダースさんが戦っている戦いの印象が強かったんです。サンダースさんのいろんな政策、例えば最低賃金の引上げとか、あるいは大学の無償化とか。最後はヒラリーさんも、その大会の後は、TPPは自分が大統領になって、後でも反対をすると。TPPがそのモンサントとかそういう形で、保険会社とかアメリカのそういう意向で動いてきた面に対して、デトロイトを見てもやっぱり雇用が失われてしまう、これはFTAの関係とかNAFTAの関係とか。そういう中で、庶民の生活が苦しんでしまうと。したがって、そういったものには市民の皆さんが反対していこうという部分でのトランプさんとサンダースさんの戦いのような印象を受けたんです。  それを踏まえてこの文章を読みますと、このTPPを始め、ということは、アメリカにとっても得策ではないことを理解されることをお願いいたしますというこの手紙が、サンダースさんなり、あるいは今回のトランプさんなんかにも通じた面があるのかなという印象を持っているんですが、手応えはいかがでしょうか。
  448. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) アメリカに行きましたときに、日本の農協の会長に当たる人、数団体に分かれておりまして、日本とちょっと違いましたけれども、米を生産する組合の会長さん、それから、そのほかに、さっき言いましたように十五人の民主党、それから共和党、それから通商代表部、そういう人たちと話をしたときに、本当にTPPはあなた方の発案かと聞きました。こんなことやっていいのかと聞きました。あなた方がこのままいったら、CIAの研究所ですら日本はアジアの真ん中ぐらいより下になると言っているじゃないかと、そこまで日本を苦しめて日本から搾取することが正しいと思うかという質問をしました。  そのときに、国会議員の人たちは、そこまで落ちるか、日本はもっと強いじゃないかという意見が強かった。でも、農業の会長さんと、それからもう一人、ちょっと忘れましたけど団体の会長さんは、はっきり言ったのは、最終的に、さっき岡野公述人が言いましたように、食べ物がなくなったら一番弱くなるのはおまえらだと、自分たちは、ウィスコンシン大学の教授が言ったように、食べ物をまずアメリカから一〇〇%輸入するような形を取ろうじゃないかと、そうしたら日本はアメリカの言うことをもっと聞くようになるということを言っているよという話をしていました。  だから、私は、本当に我々すら知らないことがアメリカでどんどん起こっている。それで、それを日本が、アメリカが提案したことを、アメリカというのは数人の、恐らく日本と同じように政権を動かしている人がいると思うんですが、そういう人たちの案を、一生懸命になってそれを実現しようとするのは日本だということをはっきり言っていましたので、私は非常に危険だというふうに感じました。  このことは、私が行くちょっと前に安倍さんが総理大臣に選ばれて、何か月前かに行ったそのときにワシントン・ポストは僅か一行しか書かない。ところが、朴大統領に関しては五段抜きで書いた。わざといつも脅すという手法を取ったんだろうと。私が行った記事はワシントン・ポストの四段記事で載りました。やはり、国を、独立国として自分たちの歴史を守るというのは当然のことだというふうなことを同意していただきました。  これがどういうふうになるか分かりませんが、こういうことを理解してくれということを帰ってきてこの手紙を書いた。例えば、沖縄の地位協定にしたって、ドイツもイタリアも独立したときにもう廃止したんですよ。だから、あんなことは起こらない。だけど、どうして日本はそれを廃止しないんだということもずっと話をしてきましたので、この手紙に書かせていただきました。
  449. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 それで、その結果、今回、トランプさんの勝利あるいはサンダースさんの人気はこういう流れかなという印象を持ったんですが、その辺の手応えはいかがでしょうか。
  450. 福岡資麿

    ○団長(福岡資麿君) 原中公述人、時間が参っておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。
  451. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) はい、分かりました。  今、世界中が閉塞感に襲われていると思います、経済的にも、全てにおいて。だから、私は、世の中が変わらなきゃいけないというムードが出てきている、それがやっぱり日本にだけが届いていないという気がいたします。
  452. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 公明党の高瀬弘美でございます。  公述人の皆様、今日はお忙しい中、貴重なお話を聞かせていただきまして、大変にありがとうございます。私の方からは、それぞれの公述人の皆様に一問ないし二問ずつ質問をさせていただきたいと思っております。  まず、横田公述人にお話をお伺いしたいと思います。  今日のお話の中で、効率化に向けて様々工夫をされてこれまで挑戦されてきた御様子、大変よく分かりまして、非常に感銘をいたしました。そうした中で、先ほど、ほかの公述人の方からもお話がございましたが、日本として自給率を上げていくこと、これはもう大変重要なことだと思っております。今の状況のままでは、農家の皆様、生計が成り立たず、どんどんその数が減っていってしまう、それを食い止めていくためには、やはり農業に就労していただける環境をつくっていくことが非常に重要であると思っております。そうした中で、横田公述人の御実感としまして、若い方の就農が増えているのかどうかということと、もし増えているあるいは減っているのであれば、その理由をお聞かせ願いたいというのが一つ目の質問でございます。  もう一つの質問は、先ほど、今後、海外との価格競争ができる状況をつくっていきたいという御決意をお聞かせいただきましたが、それを政府として後押しするために何かできることがあるのかということを教えていただきたいなと思っております。それぞれの農家様におかれて、例えば製品のブランド化ですとか海外展開のためにいろいろ努力はされていると思いますけれども、一般の、高齢の農家の皆様も含めてこれから海外に輸出したいと思われている方に対して、政府としてどのようなお手伝いができるかということをお教えいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
  453. 横田修一

    ○公述人(横田修一君) まず、農業者の数の問題ですけれども、ちょっと、もし間違っていたら本当に申し訳ないんですけれども、農水省の統計、農業センサスとかの中で、農業法人に勤めている人の数というのは必ずしもこれ多分把握できていない、若しくは年齢みたいなものも実は把握できていないというのが実態として、なかなか把握しにくいということもあるんだと思うんですが、実はそういうこともあると思っています。なので、必ずしも統計上出てきている数が少ないことが実は物すごく全体として影響があるかというと、必ずしも僕はそうじゃない、全体として減っているのはもちろん問題なんですけれども、その数字をそのまま認識するのはちょっと違うのかなというふうに僕はちょっと個人的には感じています。  その上で、数年前ぐらいですね、恐らく五、六年前、もう少し前かもしれませんけれども、一時期メディアなんかでもかなり取り上げられて、今まで余り農業って仕事として選ぶという感覚がなかったのが、農業を仕事として、例えば農業法人に就職するみたいなことが比較的メディアなんかにも取り上げられて注目をされて、一時期物すごくそういう新しく入ろうという方が増えたんですけれども、もちろんそのままずっと残っている方もいれば、やっぱりちょっと定着しなかったという方もいますし、また今、雇用の状況が変わってくると、必ずしも農業を目指していこうという人が、実は最近ではちょっと厳しくなっているという現状もあると思います。  私は、これも農業の分野によって全然違うので、僕がやっている土地利用型といわゆる労働集約型みたいな農業で人に求める技術や性質みたいなものが全く違うのでこれは一概には言えないんですけれども、私のところはやっぱり、先ほども言ったように少ない人数でかなり高度な作業をやっていかなきゃいけないので、かなりレベルの高いというか、意識の高い人をこれからも雇用していく、増やしていく、育てていくということが実はすごく重要だなと思っていますので、むしろ数というよりは実は質というか、それは専門の教育を受けるということもそうかもしれませんし。  だから、何というんでしょうね、単なる、これはちょっと言い方失礼ですけど、現場でただ働く人、労働者が欲しいというよりは、いわゆる番頭というか、従来でいえば農業、農家という資質を持っているような人が農業法人の中で育っていく、若しくはそれがいずれは例えば自立していくということも含めて、そういった実は人材の確保と育成が物すごく重要なんじゃないのかなというふうに考えております。  あともう一つ、海外の話ですけれども、この当地茨城でいえば、やはりまだ放射能の問題なんかも実は残っていて、輸出できない国もかなり残っているというのは、これは茨城県としても実は結構大きな問題かなというふうには思っています。なかなかこれは難しい問題なので簡単にはいかないと思うんですが、それがあるのと、全体としても、米でいえばやっぱり薫蒸の問題などがあって、輸出、港のどこからでも出せるというわけではないということもありますので、やはりその、何ですかね、輸出できるところを増やしていくということはまず、これももう努力されているという話も私も聞いていますけれども、そこは重要なのかなというふうには思います。  それから、輸出を一農家でやっているとかというのも当然あるんですけれども、これはやっぱり継続的にやっていく、ビジネスとしてつなげていくというにはまだまだ実はかなり難しい状況があって、それは、海外に今輸出しているもののやっぱりほとんどは、個人消費というよりは、ボリュームとして大きいのは海外のレストランとか外食で使っていただくところが多いと。そうするとかなりのボリュームが求められて、ロットが求められて、それを一農家若しくは農家が何人か集まってとかというのではなかなか難しいということもあるので、僕はやっぱりかなりまとめて、単協全部とか、かなりまとめてやっていく必要があるんじゃないのかなというふうに思っています。  ですから、農家の方、先ほどおっしゃったような高齢の農家の方が、じゃ自分で輸出をしようといったら、これは簡単じゃないと。私自身もそういう難しいことがあって輸出に個人的には取り組んでいないわけですけれども。  むしろ、例えば、何ですかね、輸出向けのお米は何を作ります、それは今までと同じように例えばJAなり卸なりに出荷していきます、実はそれはまとまりとして海外に持っていきますみたいな、そういう大きな流れをつくっていくことが重要かな。例えば、もう私の地元、龍ケ崎の農協は全部輸出向けの米を作っていますみたいな、そういう何かまとまりをつくっていくことの方が僕は重要なのかなというふうに、それは輸送のコストみたいな問題もありますけれども、大きいんじゃないのかなというふうには思っています。
  454. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 ありがとうございました。  では、続いて田口公述人にお話をお伺いしたいと思います。  先ほど、様々、海外で事業される中で難しいところもあるというお話を頂戴いたしました。自動車メーカーの海外化ですとか、また原料の価格の向上等、予期できぬものもたくさんあるというお話であったと思います。そうした中で、今後、今ベトナムにお持ちの御社の工場からメキシコに輸出というような話となった場合に心配されていることとして、競合メーカーと価格の競争をしなければならなくなるのではないかというお話がございました。  私の方から質問としましては、まず一つ目は、競合メーカーが安く製品を作れる理由というのはどのようなものがあるのかなというのをお伺いしたいと思います。もちろん人件費の問題はあるかと思いますが、御社の場合はベトナムで生産をされているということでもありますので、人件費についてはそれなりに価格競争できるのかなと、素人考えですがそのように思いまして、他国のメーカーが安く作れる理由を教えていただければと思います。  そして、二つ目の質問としましては、それを踏まえた上で、御社のように本当に海外展開に挑戦されている会社を支援していくために日本政府としてどのようなことができるのか。先ほど、ジェトロの支援ですとか輸出大国コンソーシアムの事業も御利用されているということでございましたが、それにプラスする形で何かこういうことを政府にやっていただけるともっとやりやすくなるというようなことがあれば是非お教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
  455. 田口昌也

    ○公述人(田口昌也君) 他国メーカーさんとの競合というのは日本の、今、進出する前の時点から実はありました。お隣の国だったりとか大国だったりとか、あえて国の名前はこの場では伏せさせていただきますが、ありました。やはり、最終的に我々物づくりしているメーカーが相手様の物と見比べたときに何が違うかというと、一番違うものは、先ほど農業のお話もされていましたが、材料です。原材料のいわゆる物性というものが違います。  これは、皆さん御存じのとおり、ゴムというとタイヤとかそういったものをすぐ想像すると思うんですが、タイヤですとやはり長く乗った方がいいとかスタッドレスであれば止まる方がいいとか、よく某社さんもいろいろCM打たれていますけど、やはりそういった考えでやっていくんですが、やはり他国様のものに関しては、正直もちが悪かったりとか一時的に効きは良かったりとかということはないわけじゃないです。  やはり、そこをどっちが取るかというのは、もうこれはお客様の考え方、先ほど言った、お客様が価格を優先するのか、いや、ブランド力を優先するのかというのは、我々はお客様の代わりにゴムを作っているメーカーにすぎませんので、もうそこはお客様の判断という形になるんですが、一番やはり違うというものは原材料という形になります。  弊社の場合も、日本から材料を全てベトナムの方に輸出をしているんですが、もう一か国お隣の国から材料を調達して日々そういったもののチェックということはやっておりますが、大きな問題は正直今のところ生じていません。ただ、価格に一番反映されるものはやはり原材料だよということは間違いないです。  それともう一つ、政府の支援についてのお話ですが、これに関しては先ほど来申し上げたジェトロさんの輸出大国コンソーシアム、ハンズオン支援ですね、この辺りというものはまた今年も受けて、本当、専門家の先生から叱咤激励含めて貴重な御意見を毎度頂いております。経験されて海外でいろんなことをやられている先輩から物事を聞くと、やはり私がこれからやっちゃいけないこと、またこうなるであろうということを全てある程度網羅して教えていただいていますから、まずその点というのは今後も続けていただく、一回やったから終わりだよということではなくて、できれば複数回やっていただいて、やはり小さい会社でも、小規模な会社でも出ていって維持できるということの安心感というのはいただけたら幸いかなと思います。  それと、一番企業の中で大事なことはやはり人材育成の部分になるかと思いますので、先ほど言った、ベトナム人をこちらで雇用するとかこちらに呼ぶとかということを私生意気にも申し上げましたが、やはり人材育成がなければ日本の我々の企業も継続することは難しいですし、また向こうのベトナムの工場の方も更にスキルを上げて、いいものをやはり日本に、我々に売ってもらいたいということが私の願いですので、是非その点では、人材育成に関わる支援、なかなか人は正直言って集めづらいというか情報がないです。いろんな形で、JITCOさんとかいろんな形の団体さんに声を掛けたり勉強会行ってはいますが、なかなかそれが行動に移せないというのが本音です。なかなか中小・小規模事業者は時間が限られていますし、人材も限られているので、その辺りを何とか、何か優しいというか手軽に使える支援があると幸いでございます。  以上です。
  456. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 ありがとうございます。  それでは、続きまして、原中公述人にお話をお伺いしたいと思います。  先ほどのお話の中で、食の安全がとても大事だというお話ございました。私も本当にそのとおりだと思います。  この食の安全に関する話で、検査の件数が減っているというお話がございまして、検査の体制を強化していくことが大事なことだと思いますけれども、この食に関する検査体制の強化のほかに食の安全を守っていくために日本政府としてできることがあるとしたらどのようなことがございますでしょうか、お教えいただければと思います。
  457. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) 日本では、例えばクロロマイセチンというのが非常に広範囲にいい抗生物質だったんですね。どこでも使っていたんですよ。ところが、今それがいろんな外国で、家畜が死なないように大量に打っている。それが残留抗生物質としてどんどん入ってきている。それは人にいっぱい入りますと、骨髄の、抑えることになって貧血が起こってしまう。ですから、特に老人になられて骨髄の中が脂肪に変わってきた御老人に対しては大変危険なものというふうに思います。  そのほかに、日本では許可になっていない、動物だけにしか使っていないようなものが、結局人には害があるということでストップしますね。採用しない。そういうものが動物にどんどん売られて、今一番多く入っているのは牛肉だというふうに言われています。  だから、それがどういうふうに今後きちんとした検査をすればいいかということは考えていかなきゃいけないと思います。
  458. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 ありがとうございました。  続きまして、岡野公述人にお話をお伺いしたいと思います。  先ほどのお話の中で、若い農業の従事者がどんどん減っていくという状況になったときに地方創生ができないというお話がございました。その関連として、地産地消ということをやろうとしていても、それがもしこういうTPPという形になった場合にできなくなるのではないかという御不安をお話しされたかと思います。  この地産地消のことにつきまして、私も地元、福岡なんですけれども、福岡でも地産地消の運動というのを大きくやっておりまして、大変大事な運動だと思いますし、また、食の安全という面からも進めていくべきことだと思っておりますが、この地産地消をより一層進めていくために政府としてできることが何かあるかどうかということをお教えいただければと思います。
  459. 岡野忠

    ○公述人(岡野忠君) 消費者の選択として、どこで作られたものかというのが分かるというのは非常に大事なことだと思います。  そういうことで、アメリカでできたものであっても、それをきちっと表示できない、遺伝子組換えであるかどうかというのもきちっと表示できない、そういうことでは、先ほども原中先生からも、私も述べましたけれども、遺伝子組換えの危険性、そういうことが言われているわけですけれども、そういう、きちっと、どこでどんなものが、どういうような添加物があったり農薬が使われたりというのがきちっと表示されれば消費者は選択できると思うんです。それがやっぱり健康であるとか命であるとかそういうものに関わってきますので、そういう選択できるようにするということが大事だと思うんです。  やっぱり地域振興の面からも、地産地消、地元のものを食べたい、やっぱり地元の人も、低農薬それと減化学肥料、私たちやっていますけれども、そういうものを作って新鮮なものを消費者の皆さんに届けたい、これは当然なことではないかというふうに思います。
  460. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 大変貴重なお話をありがとうございました。  最後、もう一問だけ横田公述人にお話を伺えればと思います。  先ほど、生産の効率化のために様々な工夫をされているというお話がございました。これは、横田公述人御自身がいろいろ考えられて、また自分自身の御経験から様々工夫をされていったことだと思いますが、これから若い方、農業の分野に入っていかれた場合に、公述人と同じように様々生産性の工夫をしたいと思っても、なかなかそれができないというか、どこから手を着ければいいか分からないという方も多くいらっしゃるのかなと想像いたします。  そういう中で、政府として何か支援できるようなことがあれば、是非お教えいただければと思います。
  461. 横田修一

    ○公述人(横田修一君) つまりは技術、農業の生産技術、栽培技術、経営技術、そういった技術に関わることだと思うんですけれども、これまで農業の技術というのは、農研機構のような国を代表する研究機関もございます。それから、各県にも農業試験場みたいなものもあります。それから、大学などでも技術開発をしております。  それを例えば農業改良普及制度みたいな、普及員の方が技術普及をしていく、若しくは農協の営農指導員の方などが普及していくというのがこれまでの普通の流れだったわけですけれども、やはりもうそれだけ。それも、実際その現場で動いている普及員の方も農協の営農指導員の方も、実際担当も少ない中でやっていて、しかも相手にしている農家はいろんな多様性がありますのでなかなか全てを対応し切れないという、非常に実は苦労しているところもあって、農家からは勉強不足だという批判されたりすることもあるぐらいなんですけれども。やっぱり、そういった仕組みが実はそろそろもう限界に来ている。これは日本だけではなく世界的な流れでもあるんですけれども。  そういった中で、やっぱり農業者を中心にその技術を、また、現場の起きている課題を現場がきちっと、自分たち農業者が整理をして、それに使える技術を例えば研究機関、それからメーカーもそうでしょうけれども、若しくは農協みたいな団体もそうですけれども、そういった人たちを巻き込みながらその課題を解決していくというのは実はすごく大事な仕組み、取組だと思っていまして、そういったことに若い農業者がどんどん積極的に取り組むということ、それによって、私自身も研究に関わって研究者の方から教えてもらって自分の課題解決、直接の研究が実は直接は役に立たなくても、研究者の方といろんな取組をすることで自分自身が勉強になって成長につながるということが、私だけじゃない、うちの社員もそうですけれども、そういうことは非常に大きいので、やっぱりそこを研究者と農業者と分けずに、一緒になって現場の課題を直接解決していくというふうな枠組みというか取組が増えていくということが僕は一番の現場の人材育成になっていくんじゃないかなというふうには思っています。
  462. 井上哲士

    ○井上哲士君 今日は四人の公述人の皆さん、ありがとうございます。日本共産党の井上哲士です。  参議院のTPP特としては、三日間の審議を経まして、今日初めて国民の皆さんから直接お話を聞く第一回目の地方公聴会ということになりました。先ほど、原中公述人、岡野公述人からは徹底審議を求めるという御意見がございました。  そこで、国会の審議に求めることについてまずお聞きをしたいんですが、世論調査を見ましても、よく分からないというのが国民の多くの声だと思いますし、今国会で急ぐ必要はないというのも世論調査でも多数という事態になっています。そういう中で、アメリカではトランプ氏が当選をして離脱を表明をしていると、どういう展望があるのかという中で衆議院では採決が強行されたと、こういう今日は経過をたどったわけですね。  そこで、横田公述人と田口公述人にお聞きいたしますけれども、皆さん方は一定TPPなどには関心を持たれている方が周りには多いんだろうと思うんですけれども、そういう皆さんの中も含めて国民的な理解が進んでいるとお感じかということと、それを踏まえて国会の審議に何を求められるか、この点をまずお二人にお聞きしたいと思います。
  463. 横田修一

    ○公述人(横田修一君) 確かに、おっしゃるように非常に難しい問題なので、必ずしも全てを理解できている人がどれほどいるのかというのは難しいと思います。  ただ、私もすごく興味深いというか、実は私、余談ですけれども、私、子供が六人おりまして、今日はこういう場に出てくるんだよという話を子供としたところ、TPP知っている、学校でもそういう話題を先生からもよく聞く、非常に難しい問題だよねと、子供なりに、小学生とか中学生、高校生もそれぞれそういうことを言うんですね。ちゃんとしっかりと、僕たちの未来のためにちゃんと話をしてきてくれと僕も今日言われました。  だから、必ずしも議論が深まっていて進んでいるか、理解が全てに進んでいるかといったらそうではないんですけれども、子供たちでさえやっぱりそこに関心を持っているというのは僕はすごく期待を持っていますし、僕は、今ここでこういう話もさせてもらっています立場としては、発言それぞれが非常に大事なんだなというふうには感じております。  なので、結論はもちろんこの議論を経て出てくるんだと思いますけれども、いずれにしても、関心は高まっているんじゃないのかなというふうに僕は感じて、私の家族の話で申し訳ないんですけれども、感じてはおります。
  464. 田口昌也

    ○公述人(田口昌也君) 先ほどの御質問なんですが、まず周りが理解どの程度という、興味があるかということですが、それに関しては、やはり今横田さん申し上げたとおりです、私の周りも。やはりアメリカ政権が替わったということだけを取ってみると、その一面だけを見ると、TPPどうなるのという言い方をする方も正直多くいらっしゃると思います。  ただ、皆さん業種が違うので立場が違うんですが、やはり我々仲間内、ゴム屋の中でいくと、やはり一つ海外というものは無視できない存在であるということは、大きなことにはいつも話題になっています。海外からのゴムの輸入はやるのかやらないのかということもよく審議の、審議というか話題に出て、統計取ったりとかもしていますが、やはりそういったものは無視できないというのが事実で、理解というより興味はかなり皆さんあるかと思います。  それと、国会審議に関しては、私から思うのは、何事も透明さを持って国民にやっぱり分かりやすい説明だけはしていただきたいな。私もそう学があるわけじゃないんであれなんですが、私が分かれば周りの方かなり分かると思いますから、是非分かりやすい説明をお願いしたいと思います。
  465. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございました。  続いて、原中公述人と岡野公述人にお聞きしますが、トランプ氏が大統領に当選をしたという中で、私たちは今立ち止まってこれは考え直すべきだということも申し上げてきましたけれども、安倍総理や政府は、今、日本がむしろこれを率先して批准をしてアメリカを説得すべきだというようなことの議論もされております。  ただ、単純にそのアメリカの大統領選挙によってTPPが困難になったというだけではなくて、逆に、日米の二国間の協議、FTAなどで一層日本が譲歩されるような中身になっていくんじゃないかと、こういう懸念の声もあるわけですね。ですから、今むしろ日本が先んじて批准をするということが、そういうところにむしろ入っていくんじゃないかと。これ、TPPの交渉参加をするときに、いわゆる牛肉、保険、自動車の三分野で入場料を払ったということが当時言われたわけでありますが、今後追加料金を更に払わされるんじゃないかと、こういう懸念もあろうかと思うんですね。  ですから、こういう今の状況の下で日本の方が前に進むことがそういう一層の譲歩を迫られるという、こういう懸念について、これまでの経過も踏まえてそれぞれからお考えをいただきたいと思います。
  466. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) このTPPの内容が物すごく広いんですよね。  ですから、私なんか見ていても、将来どういうふうに変わるかということ、将来変わらなきゃいけないものはやっぱり相当あると思うんですよ。今は農業が中心ですけれども、やはり私の近くでは農業をされている方がみんな年を取られてきている。こういうことをどうするのかという問題を現実に感じております。  それから、人の交流にしても、トランプさんはなぜ一番反対しているかというのは、アメリカの南部の十万都市が消えてしまったと、それはメキシコ人が勝手に入れるようになったということで、メキシコ人の労働者がずっと入ってきた。会社としては当然賃金の安い人を雇う。そのために、白人の今まで勤めていた人が職を失ったということがはっきりと述べているわけで、メキシコの間を今までのような自由にしないようにしようとか、あるいはそれが発展しちゃって宗教から人種まで出ていましたけれども。  私は、やっぱりこのTPPは、将来的にもし伸びていくなら、本当に、ちょうど藤田先生が訳された「日本の進路を決めた十年」という本がありますが、ああいうふうに日本人が利口になって、世界の平和を一生懸命、過去の戦争、三千万人死んで、日本も三百十万人亡くなっている、やっぱり戦争というのはいけないんだ。だから、このTPPとかそういうものが平和に、あるいはいろんな食べ物の多いところ少ないところ、お金のあるところないところ、そういうところにうまく寄与すればいいなというふうな感じは個人的に持っています。  ですから、このTPPが全て悪いということじゃなくて、今のままで全部このまま締結したら日本が潰れてしまう、その心配をしているわけです。
  467. 岡野忠

    ○公述人(岡野忠君) 簡単に言って、アメリカがTPPに批准しなくても、もっともっとアメリカは日本にいろんな要求をしてくると思います。農産物もしかり、いろんな問題で、政治的に私たちの分からないところでいろんな日本への要求を突き付けてくるというふうに私は思っています。詳しいことはちょっと頭にはないですが、そういう歴史がずっと流れてきています。そういう中で、日本の富をアメリカに差し出してしまうと、さっきも言いましたけれども、そういうことがどんどんどんどんやられていくんじゃないかというふうに思っています。
  468. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございます。  次に、田口公述人にお聞きいたします。  いろんな御苦労、大変よく分かりました。ベトナムにも進出もされて様々な工夫、御苦労をされてきたわけでありますが、国会での審議の中で、このTPPによる自由貿易圏ができますと、部品産業などがわざわざ海外に行かなくても、関税がなくなることによって日本国内にいながらいろんな供給ができるようになるというような議論もあるんですが、ただ、お話を聞いておりますと、むしろ現実に安い労働力がありそこでいろんな訓練をしてきたということになりますと、むしろTPPというものは、海外進出をやりやすくなるという点でいいますと、国内企業の流出、いわゆる空洞化という、国内における雇用減少にもつながるんじゃないかなという思いもしたわけでありますけれども、その点どのようにお考えでしょうか。
  469. 田口昌也

    ○公述人(田口昌也君) 弊社に限った話をさせていただきます。  弊社の場合は、先ほど来申し上げたとおり、自動車その他の分野の成形をやらせていただいておるんですが、やはり正直なところ、茨城の工場に関しては今、人が足りない、何とか頭下げてでも働いてくださいというのが私の今気持ちで、諸先輩方に残業してもらったりとかいろいろお願いしてやりくりしていっている最中ですし、また岩手の方もおかげさまで増産ということで、いろいろ有り難いお仕事いただいてやっています。  空洞化の心配は、私も社内でさんざんしました。ほかの役員等、やったらどこかの工場閉めるんじゃないのということをさんざん言われました。ただ、私の中で、海外に出るというのはあくまでもこれからのビジネスチャンスを探すという形で、どこかの仕事を持っていくということでは正直考えておりませんでした。ですから、進出に関しては、とにかく小さく小さく産んで、ローリスク・ローリターンというのは、会社にとって、社員にとってリスクのないものにするという約束を私は社員の前で説明させてもらって、社員一応総意の中でベトナムに工場を造ったということを常日頃自分には自信を持って言っておりますから、うちに関して言えば、社員をなくすとか工場を閉鎖するということは全く考えたことはございません。  以上です。
  470. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございます。  次に、農業問題で横田公述人と岡野公述人にお聞きしますけれども、先ほども、本当に横田公述人もいろんな御苦労をされて、そして非常に積極的な成果を上げていらっしゃると思うんですが、米の価格については余り変わらないというお話もありましたが、TPP自身のメリット、デメリット、そのもの自体はどのように公述人はお考えでしょうか。
  471. 横田修一

    ○公述人(横田修一君) 米の価格、米以外も含めて農産物全体のという意味ですかね。当然、米以外でいえば、やっぱり大きな影響を受けるところも出てくるというふうに私も伺っていますので、そこをどうしていくかというのは非常に大きな課題なのかなというふうには思っています。  ただ、これもちょっと厳しい言い方をすれば、それは全体の話としても、これまで本当に、先ほどからの話の中でやっぱり農業を守らなきゃいけないというのは、私、農業に携わっている者としては非常に有り難い言葉なんですけれども。  もちろん、食料安全保障の問題でいえばしっかりと日本の国内の農産物を守っていくというのは重要な視点なんですけれども、ただ、それをどこまで守れるのかという話と、一方で、国内の消費も減っていくのと国内の生産量が減っていくのがどこが拮抗する部分なのかが、これはもうもはや誰にも予想付かないんじゃないのかなと僕は思っていますので、自然に任せると言ったらちょっと余りにも乱暴ですけれども、僕ら元々農業って自然の中でやっているものでもありますし、それは全体の流れの中でそこに合わせていくという考えも必要な、そんなことを言ったらちょっと乱暴なんですけれども、そういうものに対して僕らがどういう、経営の中で努力できるものはどこなのか、若しくは、それをあと経営で、どうしてもそれは、だから前提としてはもちろん、経営の中で最大限努力するというのはもちろん前提として必要で、それでできない部分は政府なりに国民の理解を得て支援してもらうという、何かそういうきちっとした考え方を僕らが特に持っていないと、何か最後は国頼みですみたいになってしまう。  とにかく、僕らが自分で守ってもらえる存在だと思ってしまうようなのは、僕は基本的によくないんじゃないのかなというふうには思っています。
  472. 岡野忠

    ○公述人(岡野忠君) 米価が下がったということで農家の生活が苦しくなった。それから、私も横田公述人の近くなんです。ミナトゴムさんの工場も近くにあって知っています。そういうことで、米価が下がったことによる、近くの町がシャッター通りになってしまいました。大きなショッピングセンターが出てきてみんなそちらへ流れてしまうということで、それでも大きなショッピングセンターなんかでも経営が苦しいという状況です。  そういうふうに地域の経済がだんだんしぼんでしまう。お店や何かやっていた人もどこかへ勤めに行かなければならない。まあ年配の人はそこで何とかなるにしても、若い人は仕事がないからよそへ行ってしまうというようなことでだんだんだんだん寂れてきています。また、農機具屋さんなんかも統合、統合で数が少なくなって、それでも経営が苦しい。  また、農協さんなんかでもそうだと思いますけれども、農協さんも努力することは必要でしょうけれども、やっぱり地域の経済を支える農協であると思っていますし、私とすれば、JA綱領がありまして、その綱領に沿って努力して、地域の農家のために働いてもらいたいというふうに思います。  ですから、やっぱり米価が下がることでもって経営が苦しくなる、これをやっぱり所得を補償するとか価格保証であるとか、そういうふうにしていかないと日本の農業は守れなくなって地方も疲弊してしまうということになってくるんじゃないかというふうに思います。
  473. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございます。  今も農業が地域経済の中で非常に大きな役割を果たしているというお話がありました。それだけでなく、様々な多面的な機能を持っているということは、今日もありましたし、国会でも政府が認めるんですね。総理も、息をのむような美しい棚田の風景を守るとか、こんなことは言われるわけでありますが。  これまでの例えばウルグアイ・ラウンドのときの対策などを見ましても、結局、コスト削減と規模拡大というやり方がずっと続いてきたわけでありますけど、やはり、国土の保全であるとか地域経済の問題などを考えますと、家族経営そして中山間地農業などは非常に大事だと思うんですが、こういうものが今回のTPPそしてその関連法の中でどのようになっていく、そういう危惧をお持ちなのか。そもそもそういう多面的機能の意義も含めまして、岡野公述人からお願いしたいと思います。
  474. 岡野忠

    ○公述人(岡野忠君) 私の住んでいる稲敷市というところは利根川に沿ったところで、横田公述人のところもそうですけれども、全国的にも恵まれた地域じゃないかというふうに思っています。その中でも、横田さんの地域はWTOの頃に対策を立てて、一反歩、二反歩の田んぼを一町歩区画くらいの田んぼに大きくしました。その隣の稲敷市になる根本という地域もその前に一町歩区画の田んぼをつくりました。そういうことで、そういうWTO対策の中で耕地整理を新たにやって大区画の田んぼをつくったわけなんですが、その中でも横田さんの努力、これは私もいろいろうわさは聞いていまして、大変な努力をされているということは伺っています。  しかし、大規模化したくても、農家の力だけではなかなかできない。だから、その組合形式、法人化みたいなのをつくるにしても、それなりに政府の補助金や何かを入れてもらうということが必要ではないかというふうに思います。  そういう条件のいいところはいいんですが、ちょっと悪いところへ行きますと、私の田んぼはその北側の小野川という地域の田んぼなんですけれども、湿田が多くて、あと台地からの地下水が湧くようなところもあって思うように機械が動けないというところ、そういうところがやっぱり放棄されて、荒れ地になっているところがどんどん増えています。それはやっぱり値段が安くて機械も買えない。機械買えないから、近くの人に頼もうかといっても近くの人もやってくれない、そういうことで、やっぱりあぜも荒れる、水路も雑草で覆われる、道路も草だらけということで放棄されるところが年々増えています。  私、土地改良の監査をやっているんですが、いろんな話を聞きますと、もう田んぼ要らないよと、相続権があっても、俺、相続しないというような話もあって、じゃ土地改良区の賦課金や何かどうするのかという問題が発生していまして、土地改良区自体も大変な状況になっています。ですから、やっぱり所得補償、価格保証、一〇〇%の農家にというのは難しいですけれども、意欲ある農家にはそういうふうにして農地を守ってもらいたいというふうに考えています。
  475. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございました。
  476. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  今日は四人の公述人の皆様、本当にありがとうございます。経験と見識を話していただきまして、大変ためになっております。ありがとうございます。    〔団長退席、二之湯武史君着席〕  今日は、原中公述人とそれから岡野公述人の方から添加物や遺伝子組換え食品の危険性のことの指摘がありました。ISDS条項で訴えられる可能性があると、規制を強化したりする場合に。あるいは、そこまで行かなくても、仲裁手続、あるいは国と国との間の関係。  TPP委員会の下での議論の中で、さらに遺伝子組換えや添加物や、さらにはゲノム操作といったいろんなものも入ってくる可能性が議論されて、促進される可能性があります。そして、これ問題なのは、ヨーロッパ、EUは遺伝子組換えノー、アメリカはオーケー、日本もオーケー、ヨーロッパは予防原則に立っています。この入れるかどうか、どうするかというときに、TPP協定上は、客観的、科学的という言葉が使われています。でも、問題はあるかもしれないが、遺伝子組換えであれゲノムこれから操作のものであれ、すぐさま影響があるわけではないと。予防原則に立ったら危険だけれども、客観的、科学的に証明せよと言われると、もうこれは極めて大変で、結局ISDSでも負ける可能性が大変高いですし、政府間の交渉においても客観的、科学的に危険であるという、客観的に立証できなければ防御できないということで、ここにそれがすごく、止められないんじゃないかという不安を、大変危惧を持っております。  この点について、原中公述人、いかがでしょうか。
  477. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) まさにそのとおりで、証明できない限りにおいては、ISD条項を使われて世界銀行に訴えられれば負ける可能性が非常に強いものになります。    〔団長代理二之湯武史君退席、団長着席〕  しかし、さっき申しましたように、危険的なもので、集団的に、公衆衛生学的に証明はかなりされてきているわけです、危険性を。ところが、会社の方は、誰が死んだかちゃんと証明しろというふうに言われてしまうと、裁判官になる人は会社の弁護士さんであったり職員であったり、本当に裁判ということに関しては素人の人たちの集まりで、感覚で物を言ってしまうわけですね。それで、しかも一審制ですから、何か証明しようとしたってなかなか認めてもらえないということがあります。  今までいろんなことを言われていますが、本当に、今後、このTPP締結されたら、例えば、日本の最高裁判所が合法ですよと決めたこと、それが、一アメリカの会社、株式会社から国を訴えることができる。そうすると、日本の主権である、最終的に決めた最高裁判所の判決が覆されるということがどんどん起こってくると思います。  ですから、私は、そういうところにこのTPPの限度というものを、是非、このISDの中に込まない限りは調印してはいけないというふうに思っています。
  478. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 ありがとうございます。  原中公述人は前日本医師会長でいらっしゃいますので、また改めてお聞きをいたします。  TPP協定によって、中医協や薬価の審議会に外資系や、その者が意見表明できる機会を与えると。政府の答弁は、今までと変わりませんと言いますが、今まで別に出席したりはしていませんでした。ただ、ISDSというのは、要するに大企業に与えられた牙なわけですよね。政府間交渉ではなくて、企業が自分たちの権益、投資が害されるとしてがばがばっと牙を持ってかみついていけるわけですから、より攻撃的に手段を企業サイドでできるわけです。  そうだとすると、中医協、これは極めて重要なところで、本当に重要なことを決めるとても権威のある場所ですが、そこに外資系が意見表明の機会を与えろ、これがISDSやTPPによって力を与えられるとなると、今までと激変するんじゃないかというふうにも思いますが、いかがでしょうか。
  479. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) 実は、同じようなあれを二国間協定で決めた韓国での例を我々はいつも引用するんですが、日本の中医協に当たっているところは適応症であるとか薬価を決めております。ところが、韓国ではもっと別な組織をつくれということで日本の中医協に当たる組織が解散をされて、アメリカの製薬会社とアメリカの医療器具屋さんが、会社の代表がその価格を決めるところに入っちゃいました。  ですから、そういう意味では、いろんな大切なことがその国で決めることができない、我が国だけで決めることができなくなってくるというおそれは十分考えられます。
  480. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 国民皆保険制度はどうなっていくでしょうか。現在でも、患者申出があれば未承認の薬も使うことができると。少しずつ混合診療に向かって進んで、少しずつ壊れていっているわけです。  中医協の中、今、中医協の問題もおっしゃいましたけれども、国民皆保険制度、TPPでどう変わるでしょうか。
  481. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) 私は、この制度そのものは残るだろうと思います。しかし、形骸化する危険性というのは十二分にあって、むしろその方に向かっていくだろうと思います。  今回は高価薬を一応保険の中に入れました。しかし、アメリカの目指すところは金融ですから、だから、金融ということからすれば私的保険、アメリカにある私的保険、これは医療そのものに対する考え方がアメリカとヨーロッパ型、日本も含めて、全く違うところは、アメリカは医療はビジネスなんです。だから、お金のない人はないなりの薬しか使わない、治療もできない。ですから、世界一お金を使っている、世界で一番医療費を使っているのはアメリカなんですよ。ところが、平均寿命がすごく低い。日本の方が半分ぐらいのお金で寿命が二十年も長いわけです。それを考えてみますと、なぜかというと、お金のない、保険に入れない国民は約五千万人アメリカにいると言われています。それは医者にも一生涯かかれないで亡くなっていく。そういう人たちの寿命が非常に低いから、平均寿命にすると低いと言われているわけです。  ですから、私は、日本の共栄、お互いに助けるという共生ということをこの国に残さなきゃいけないということを本当に考えていきます。ただ、そのためにお金が必要になってくる。そのお金をどういうふうにするかというのは、やっぱり政治の力だと思っています。
  482. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 先ほど岡野公述人から共済の話もありましたし、国際協同組合年の話もありました。日本の協同組合やあるいは共済制度はとても大事だと思います。  ただ、日本で投資をしているアメリカの生命保険会社が、JA共済やコープ共済、全労済や様々な共済の制度が、実は組合外にもやっているかもしれないし、これが生命保険会社のアメリカの側の利益を害している、あるいはそれの障壁になっているとして問題にし得るのではないか。あるいは、ここが壊されていくのではないか。岡野公述人、いかがお考えでしょうか。
  483. 岡野忠

    ○公述人(岡野忠君) 郵政民営化のときもかんぽ保険、これが、かんぽでがん保険を売り出そうと思っていたら、それがストップになって、そのうちアフラックの看板が郵便局に貼ってあります。  そういうふうなことが農協の共済なんかにも象徴されるんじゃないかというふうに思うんですけれども、農家が助け合ってやっている共済、相当大きな金額だと思うんです。それを、農協なんかも民営化みたいな形にして、アメリカの保険会社がそのお金を利用しようと、そういう方向になってくるのではないかと。それが資本というか、そういうことじゃないかというふうに思っています。ですから、農協でやっている金融業務から共済から、それから購買事業やなんかまでその資本に利用されるんじゃないかというふうな、そういう感じを持っています。
  484. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 TPPは誰のために行われるのか、TPPは誰の利益なのか。  二〇一〇年十二月、アメリカの最大労組に行きました。御存じ、アメリカの労働組合、断固TPPに反対です。今までの様々な条約によって雇用が本当に奪われて、格差拡大して貧困が生まれてしまった。まさにバーニー・サンダースさんとトランプさんの躍進の理由ですよね。格差拡大し、雇用が奪われてしまった。労働組合はそれも心配しているし、アメリカは各種アファーマティブアクションの制度や公共調達の様々なアファーマティブアクションの方策を取ってきました。それらが将来思わぬところで障壁だと言われるのではないか。  バーニー・サンダースさんが上院でTPP反対の演説をしているのを聞きました。一つ、やはりアメリカは労働組合も宗教団体もNGOも反対をしている。ほとんどの国の労働組合も反対している。誰のためのものか。グローバル企業のためのものじゃないかということが一点。  二点目は、やはり公共調達も問題にします。地域政府、地方政府、地方の公共調達も問題にしているのがTPPです。そうだとすると、先ほど原中公述人が米韓FTAで韓国の給食の地産地消が条例を変えたという、訴えられるんじゃないかというのでという例を話していただきましたが、政府が法律を作る、自治体が条例を作る、先ほど裁判所の判決をおっしゃいましたが、要するに、政府と自治体の条例、法律が問題になるのであれば民主主義が破壊されるというのがバーニー・サンダースさんの持論でした。  民主主義が、民意でつくったものが何でグローバル企業の投資の害だということでそれが壊されて、あるいは改変させられるのかという、これについて、原中公述人、いかがでしょうか。
  485. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) アメリカと日本の国の制度が違うということは、アメリカは連邦制度であって、各州が、一つの国が集まったという、そういう組織でございます。だから、州法も全て違うところがあります。例えば医師免許にしても、ニューヨークでは通じない、だけどオレゴン州なら通じるというような州の違いもございます。  ただ、今回のいろんな層からの発言を聞いていますと、私が米国に行って国会議員の人たちと話をしたときを思い出すんですけれども、国会議員の先生方は政党に属していても考え方というものもみんな違う、その違うことを、党議拘束よりも自分が選んでくれた国民の代表だという意識が非常に強かった、だからいろんな意見が出てきたんだと思います。  私、このTPPによって我々も考えなきゃいけないのは、本当に最終的に国民がどうなるかということの結論と、それからこれを結んだらどうなるかという結果を是非国民に教えていただきたいというふうな気がいたします。
  486. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 横田公述人と田口公述人にお聞きをいたします。  今日、それぞれがとても苦労したり知恵を使って、本当に頑張ってビジネス、企業を広げ、雇用を拡大し、貢献していらっしゃることにとても感銘を受けました。しかし、今日のお話はTPP以前の話であって、自分のところで工夫しているということであって、TPPをより推進した方が自分にとっていい、あるいは日本の社会にとっていいという話ではなく、まだ不安材料や懸念もあるというふうにお二人のお話をそれぞれ聞いた次第です。いかがでしょうか。
  487. 横田修一

    ○公述人(横田修一君) 当然、不安はあると思います。私も、それは事業をやっている以上、今年も台風がたくさん来て農業は大変でしたけれども、そういったことはいつ起こるかまた分かりませんので、非常にリスクも当然あるわけですけれども。  そういう中、一方で、先ほど農業も、私の発言、ちょっと言い過ぎたかなと思いましたけど、やっぱり守るというのをこれどこまで、もちろん守る仕組みも必要なんですけど、やっぱり一つは、自分がそれぞれ、僕の経営でもそうですけれども、やっぱりそれを高めていって、いろんなリスクなり変化なりに対応するということがまず僕は重要なのかなと思っていて、じゃこれ、TPP全体見たら、国全体で見たときにはどうかなと考えたときには、もうこれは僕はやっぱり国民一人一人というか、教育なんじゃないのかなと僕は思っている。  ちょっと話がそれちゃうかもしれないんですけど、僕、農業の話でいうと、福島県喜多方市の農業科の取組が僕はすごくすばらしいなと思っていて、皆さんもしかしたら御承知かもしれませんけれども、子供たち、今度は小学校にプログラムの教科が入るなんて聞きましたけど、福島県喜多方市では農業科という授業があるんですね。年間三十五時間使ってやっているそうですけれども、そこで、農業の楽しさだけじゃなくて、苦労とか、大変な思いもたくさん子供たちがすることによって、その農産物がいかに大変な思いをして農家が作っているのかということを子供たちみんなが体験をもって知っていると。それであれば、その喜多方市の担当の方が、受け売りで本当に申し訳ないんですけれども、その方がおっしゃっていたのは、いや、TPPでもし仮に安い農産物が入ってきても、喜多方市の子供たちは絶対外国産のものは買いませんと、それは、自分たちが経験をもってその農産物が作られていることの価値というか大切、大変さを知っているからそういうものを自然と買うようになるはずだということをおっしゃっていました。僕は、そういう教育って非常に重要なんじゃないかなというふうに思っております。
  488. 田口昌也

    ○公述人(田口昌也君) 福島先生おっしゃるとおり、私が先ほど発言させていただいたのは、TPP以前のことであるのはもう事実でございます。  先ほど私も最初の冒頭の挨拶でさせていただきましたが、TPPというのは本当に考えておりませんでした。その中で、TPPがまさかベトナムも加盟している、非常に驚きでした、私は。隣の国の自動車の集積地であるタイは入っていなかった。ああ、これは何かの、正直、縁というかチャンスなんだろうなというのがまず私のTPPの情報を聞いたときの頭です。  ですから、この先、TPP、先ほど皆さん言われているようにいろんな大きいテーマあるのは存じ上げていますが、やはり審議すべきことは私は審議すべきだと個人的に思っています。ただ、やはり後々やっておけばよかったということが私は嫌なものですから、できることは今のうちから全て対応して、考えて、想定して経営していきたいなというふうに考えております。
  489. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 岡野公述人にお聞きをします。  私は、生まれた十二月二十四日の新聞の見出しが米の取れ高史上最高とあったので、両親が大喜びして瑞穂と付けてくれました。私は、TPPに反対で、瑞穂の国が壊れると、瑞穂の国を守れというふうに思っているわけですが、食料の自給率を下げ、先ほどからも岡野公述人おっしゃっていただいていますが、やっぱり地域を破壊する、農業を破壊する、地域の民主主義も破壊すると思うのですが、いかがでしょうか。
  490. 岡野忠

    ○公述人(岡野忠君) とにかく、農家が生活できるということが大事なことで、先ほど言いましたけれども、一九九四年、米不足で、その前年が凶作だったんですけれども、その次の年の九四年、米不足で大パニックになったのを記憶にあると思いますけれども、その頃は、通常だと、食管法もありまして大体一俵当たり二万円くらいの米価がしていたんです。その頃は農家も結構景気良くて、秋になると機械を買ったとか、そういう話でもって明るい話題がいっぱいだったんですけれども、米価が下がってきて、だんだんだんだん機械も買えなくなってきたと。  前には、米価が良かった頃は、息子さんにも農業を継いでもらったりして、一緒に生活するんだと、要するに二代、三代とそろってそこのうちで生活できるというのを今の年配の人は夢見ていたんではないかと思うんですが、立派な入母屋造りを造っても年寄りだけが暮らしている、それから空き家になっちゃったというのがいっぱいあります。  ですから、若い人が、仕事がないからよそへ行っちゃう、よそへうちを買っちゃうというのが相当ありまして、そういうふうにして人口減少、それから活力のないそういうような地方が生まれているということで、やっぱりこれはその地域だけじゃなくて日本全体で起こっていると思うし、相当の日本にとってのマイナスになっているんじゃないかというふうに思います。  ですから、国の安全保障にも関わると思いますが、食料は自分の国できちっと自給すると、備蓄をしておくというのが大切だと思います。
  491. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 どうもありがとうございました。
  492. 行田邦子

    ○行田邦子君 無所属クラブの行田邦子です。よろしくお願いいたします。  今日は、四人の公述人の皆様方には大変貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。  私は、お隣、埼玉県でございまして、同じ北関東といっても、やはりそれぞれ地域の特徴やまた課題があるのではないかなという思いで先ほどから聞かせていただいております。私が最後の質疑者ですので、できるだけ重ならないようにと思いながら努めてまいりたいと思います。  まず、横田公述人と田口公述人に伺いたいと思います。  お二人とも先ほどのお話の中で、TPPの影響はない、あるいは変わらないというようなことをおっしゃっていたかと思いますけれども、それでは、あえて、TPPが発効されて御自身のビジネスに生かせるとしたらばどこが生かせられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  493. 横田修一

    ○公述人(横田修一君) 生かせるとしたら、それはやはり農産物の輸出、私でいえば米の輸出ということになろうかと思います。  やっぱり、国内の消費はどんどん減っています、人口も減って、一人当たりの消費量も減っている。そこで、ほかの作物を作って自給率を高めていくという視点も当然必要ですけれども、私のところも残念ながら湿田地帯で、米以外の作物を作ってもなかなかいい作物ができないというところで、これを例えば無理してほかの作物を作って、収量は低いんだけど補助金で何とかなりますとかというのはやっぱりビジネスとしても持続性が全くありませんので、一番向いている米を作るのがやっぱり効率もいいですし、生産性も上がると。その代わり食べる人がいない。でも、一方で世界を見れば、それを欲しがっている人もいる、また日本食が注目されて、すしが世界中で食べられているのに実はそのすしの米は実は国産じゃない、日本のものじゃないというのがもう常識みたいになっていますから、やはりそういうところで求められるところがあればそこに出荷していく、できる可能性が出るという意味では、僕はそこに可能性があるのかなというふうには思っております。
  494. 田口昌也

    ○公述人(田口昌也君) 弊社の場合は、やはり先ほど来申し上げている自動車というところが一つ大きいテーマになると思います。  御存じのとおり、中国、タイ、最近ではインドネシア、古くは北米、先ほど来ずっともめているメキシコ、この辺りが自動車の集積地になりつつあるんですが、やはり我々、輸送一つ取っても、運賃、ばかになりません。さっき言った材料を日本から送るのでも運賃を掛けて送っていますし、やってから分かったことは、消費税をちゃんと納めなきゃ材料がベトナムに送れなかったということを初めて実は実施してから分かりました。そういうこと一つ取っても、やはり会社として予想していた以上に粗利益というものが出ないんだなというのが今現在非常に勉強になっております。  ですから、ベトナム、それと先ほど言った二か所の工場というのは、地域の特性を生かした形で、私はやはり、輸送コスト、設備の性質ですね、そういったものも全て見ながら生産性を高めていって、会社として最終的にやはり粗利益を確保して継続していきたいと。TPPはそういう意味で捉えております。
  495. 行田邦子

    ○行田邦子君 ありがとうございます。  それでは、原中公述人と岡野公述人に伺いたいと思います。  先ほどからTPPに対しての問題点、御指摘をされていらっしゃるわけでありますけれども、私自身の理解を深めるためにお聞かせいただきたいんですけれども、TPPは様々な問題があるということで反対だということだと思いますけれども、それでは、TPPを、これはまずなければいいと、それ以外は現状維持でいいんだというお考えなのか、あるいは、そうではなくて、アメリカ抜きでもっとより緩やかな経済連携協定だったらやるべきだとお考えなのか、それともアメリカ抜きで、あるいは中国を中心としたRCEPのようなものを進めていく方が先なのではないかというお考えなのか、そこら辺の、TPPがなかったらばどうすればよいのかということについて、それぞれの御意見を伺いたいと思います。
  496. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) 実は、一番最初、四か国でこのTPPが結成されたときと、それからアメリカが入ってきてからのTPPの内容が変わってしまったんですね。  それで、どこが違うかというと、アメリカは知的財産、要するに薬であるとかそういう特許を応用したことと、それから金融、この金融を動かすことによってこのTPPを運用しようと、もう基本的に変わってしまった。実際は、いろんなものを読むと、内容としてはいろんなことが出てくるんですが、例えば医療において一番違ったのは、後発品を作れなくなるんじゃないか。要するに、一番最初に作って特許を取ったところが、エバーグリーン法といって日本がそれをやっていたわけですけれども、一つの抗生物質ができると、そこにちょびっとちっちゃな分子をくっつけて新しいものだと。あるいは、一番最初、この薬はこういう病気に効きますよということで許可になった、ところがやっているうちにもうちょっと違う病気にも効きますよというようなことで、一番最初にできた薬がいつまでもその特許を持てるという、エバーグリーン法という、いつまでも緑でいられるという、そんな法制度ができた。それで、そういうことで薬の価格をずっと、例えば後発品を作る会社に対しても特許料を取る、いろんなことが変わってくることがあります。  一番私がかわいそうだと思うのは、エイズにかかっている非常にお金のない後発国ですね。そういう人たちがエイズの薬を使えなくなるというおそれが出てきた。私たちは、あくまでも今まで許可の出たもの、それはそのまま続けさせられるようにという努力をしていますけれども、TPPが締結されると、民間の意見ではなくて国同士の、協定国の中になりますから、非常に難しくなるだろうというふうに思います。  それからもう一つは、さっき言い忘れたんですが、ISDSという、要するに決められたことを、会社が訴えれば通ってしまう。これの割合から見ると、アメリカは今まで負けたのは一回しかないんです。あと何百というのは全部アメリカが勝っている。一番有名なのは、カナダが公害物質を含んでいる石油を輸入ストップした、そうしたらアメリカのエチル会社というのが訴えて、何と十億円の補償を取ったのと、それから今後は輸入を禁止しないという判決が出たんですね。それから、エクアドルなんかの場合には、国民の一年間の収入、それの三倍を国に要求されたというようなことがあって、この法律は物すごくアメリカが有利であるということ。  それから、本来ならば加盟国が全部平等な、約束を守らなきゃいけない。ところが、いつでも、ラチェット条項といって抜けることができないという条項すらアメリカだけが例外なんです。それから、いろんな形でアメリカだけが例外、例外ということが中に入っていますので、本当に日本がアメリカにそういう抗議をしないでいいのかということを私は希望しているわけです。  だから、本当にこのTPPというのは、このまま入ることは絶対反対ということを言わざるを得ない。
  497. 岡野忠

    ○公述人(岡野忠君) 私は、端的に言って、大企業とか資本家の論理でもってこのTPPはつくられているというふうに思います。  ですから、そうじゃなくて、TPPもそうですし、ほかのいろんな経済連携協定、FTAとか何かいろいろありますけれども、そういうものでさえも不平等なものがいっぱいあると聞いていますし、ですからそういうものをなくすために、各国が平等な立場、平等互恵という立場で、まず国民の利益、命、健康を第一にしていろいろ経済を考えていく、それが一番大事だと思います。  そういう命、健康を第一にということから考えると、TPPは非常に問題があると、批准するのはやめてほしいというふうに考えています。
  498. 行田邦子

    ○行田邦子君 ありがとうございます。  原中公述人に伺いたいと思います。  先ほどのお話の中でも少し出ましたけれども、医薬品の知的財産の保護についてです。  このTPPの知的財産の第十八章におきまして規定がされていますけれども、医薬品の特許の期間を長くするとか、あるいは保護を強化するということになっているわけでありますけれども、そのことが日本の医療、そしてまた日本の公的医療保険制度に与える影響をどのようにお考えでしょうか。
  499. 原中勝征

    ○公述人(原中勝征君) 今、日本は薬代自体がこんなに使っているのに三割ほど高いんですよ、外国から。それで、そのまま外国は、保険のない国は個人が薬局から買っている。だから、個人的には本当は高くならなきゃいけないのに、全く努力をしないで保険に採用されると、そのまま日本が、国がお金を払う。そういうことがあるにかかわらず、今我々が、さっき言いましたように、二兆五千億から十兆までこの間に薬代が増えてしまった。そうすると、働いている人たちの技術料から月給から全部下がってしまう。それで政府が、後発品を何%以上使わないと罰を与えるという制度までできたんです。  私たちも、患者さんが初め使わなかったのは、粗悪品が多かったんです。それで非常に皮膚炎が出たりなんかしたから使わなかった。ところが、今はもうほとんど先発品と同じもの、あるいは先発品の会社から買って後発品として売っている会社すらあるんです。  だから、今は全く安心して使われるわけですけれども、もしこれが使われなくなったら、さっき言った知的財産を理由に後発品に対してアメリカの特許料を更に加えるということになれば、当然上がってくる。大体、特許料というのは一割、二割、古くなっても一割以上は取りますから、多くは三割ぐらい取りますので、そのぐらい上がっていくだろうというふうに思います。
  500. 行田邦子

    ○行田邦子君 ありがとうございます。  横田公述人に伺いたいと思います。  様々な努力をされて取り組まれているということ、お話を伺いまして、非常にすばらしいなというふうに思って聞かせていただいていますけれども、これからの農業の将来、未来を考えると、流通をどのようにしていくべきなのか、変えていく、改革していく必要があるんではないかと考えておりますけれども、横田公述人は、御自身はITを駆使したり、また直販ということで取り組まれていると思いますけれども、農業全体の流通という視点において変えていくべき点、また改革していくべき点があればお聞かせいただけますでしょうか。
  501. 横田修一

    ○公述人(横田修一君) 流通に関しては様々な方法があります。  私も、農業を始めた当時はJAに出荷をして、それでJAからまた全農、全農からいろんな実需に回ったりというルートだったと思うんですけれども、今は私は直接消費者の方に販売するのがほとんどになっている。消費者、最終消費者もいますし、外食、中食のような業者さんもいますし、加工業者さんもいますし、いろんなところ、使ってくれるところに直接販売をさせてもらっていますけれども。  そういういろんな流通の経路があるのはもちろんいいと思いますし、ただ、これ以上やっぱりコストを削減していったりとかというときにはやっぱり流通をより効率化していく必要があると思いますし、そのためには恐らく、私たちは、今までの流れでいえば、稲を栽培します、収穫します、玄米にして、例えば紙袋なり一トンのフレコンなりに入れて農産物検査を受けて出荷していくというところまでが僕らの仕事だったわけですけれども、恐らく、収穫まではこれ当然、季節もありますので私たちが責任持ってやらなきゃいけないんですけど、その先のもしかすると乾燥とか調製、貯蔵みたいなところまで、流通、これも流通の専門の方が当然いますから、私も今まで自分でほとんど販売するようになっていますけど、じゃ、横田農場がこれから更に規模拡大をしていって七百ヘクタールとなったときも全部自分でやるんですかと言われたら、恐らくそれはもう専門の方に任せた方が本来効率が良くて、自分ではリスクを抱え切れないという問題もありますけれども、そういう方々と、今までであれば、できました製品としたものを流通に乗っけてという形だったんですけれども、よりそこを一緒になって、流通の方若しくは実需の方と一緒に取り組んでいくような形で、僕はもしかするとこれからの米の流通というか、つまり田んぼから実際の消費者若しくは加工の原料となるところまでの道筋を一緒になってやっていくということがもしかしたらこれから取組として必要なんじゃないのかなというふうには考えております。
  502. 行田邦子

    ○行田邦子君 続きまして、田口公述人に伺いたいと思います。  田口公述人は、先ほどのお話の中でも、やはり御自身のビジネスの中で海外というのは無視ができないということを同業者の皆さんとも話されているということでありましたけれども、海外需要を取り込んでいくために、その競争力を高めるための人材育成ということをいろいろと問題意識を持っていらっしゃるかと思いますが、事前にいただいた資料の中で、田口公述人の会社におきましては外国人の留学生の採用を始めたということでありますけれども、その外国人の留学生を実際に採用してみての御感想、そしてまた何か課題、あるいは政府で何か後押しをすることができるかどうか、お聞かせいただけたらと思います。
  503. 田口昌也

    ○公述人(田口昌也君) ありがとうございます。  今回、初めてベトナム人留学生二人雇用してみました。二人はベトナムのやっぱり北部のバクニン省という比較的我々の工場から近いところの出身で、南部と北部ですとやっぱり何かちょっとギャップがあるようなんですが、北部同士なのでいいかなと思って採ってみたんですが、やはり非常に性格は全く違いまして、一人は覚えがいいし黙々とやる、もう一人は比較的日本語も堪能というかあれなんですがなかなか覚えない。いろいろ個性あるなということを現場の責任者と話しているんですが、やはり一番難しいのはコミュニケーションになってきます。  うちの茨城の工場に今二人入れているんですが、今ベトナムでパートナーやっているマネジャーの人間もそこで二年間勉強して帰って、非常に我々の会社というのはベトナムというのは皆さん何の抵抗もなく受け入れてくれているんで私としても雇用しやすいんですが、ただ、やはり言っているのは言葉ですね。最後、分かったというのが、彼らは半分ぐらいしか実は分かっていなくても、はいという必ずいい返事をしてくれる人たちなんで、まあ信じないでね、信じないというか疑ってみなさいよということは日頃から言っているんですが、徐々にそれが分かってきた。  ただ、今いろいろインターネットとかソーシャルネットワーク、ああいったものが大分普及していますので、比較的フェース・ツー・フェースでタイムリーにベトナム側と打合せしたりとかやれる状態にもなってきていますので、その点は徐々に埋まってきているのかなと。  ただ、やはり先ほど言った、人がないと会社というのはどうしても維持できない、また、ベトナムであり日本も若手がだんだん減っているという現実もありますので、我々の中でも、仲間内でも話するんですが、タイ人を雇用したとかアメリカ人を雇用したとか、皆さん、海外進出というより海外との取引を最低限意識しながら先を見てどの若手社長も動かれているような話をよく打合せの場で出てきますので、是非そういった、何というんですかね、人のマネジメントに関わるようなところの後押しというか、方策がもっと分かりやすく情報が入ってくると我々でも情報をキャッチしやすいのかな。なかなか、インターネット上どこどこのホームページへ行けば分かるよということが比較的皆さん言っていただくんですけど、行かないと分からないというのはなかなかきつうございますから、是非そういった部分のPRというものを考えていただくと有り難いです。
  504. 行田邦子

    ○行田邦子君 ありがとうございました。
  505. 福岡資麿

    ○団長(福岡資麿君) 以上をもちまして公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人の方々に一言御礼申し上げます。  皆様方には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  これにて参議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会水戸地方公聴会を閉会いたします。    〔午後一時四分閉会〕