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2015-06-10 第189回国会 参議院 国際経済・外交に関する調査会 7号 公式Web版

  1. 平成二十七年六月十日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  五月二十八日     辞任         補欠選任      小見山幸治君     福山 哲郎君  六月九日     辞任         補欠選任      羽生田 俊君     大沼みずほ君      牧山ひろえ君     石上 俊雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         柳田  稔君     理 事                 上野 通子君                 滝沢  求君                 中泉 松司君                 小林 正夫君                 河野 義博君                 柴田  巧君                 紙  智子君     委 員                 赤石 清美君                 石井 浩郎君                 石井みどり君                 大沼みずほ君                 長峯  誠君                 二之湯武史君                 福岡 資麿君                 三宅 伸吾君                 山田 修路君                 石上 俊雄君                 大野 元裕君                 加藤 敏幸君                 谷合 正明君                 市田 忠義君               アントニオ猪木君                 浜田 和幸君    事務局側        第一特別調査室        長        松井 一彦君    参考人        みずほ総合研究        所株式会社政策        調査部上席主任        研究員      菅原 淳一君        NPO法人アジ        ア太平洋資料セ        ンター(PAR        C)理事・事務        局長       内田 聖子君        慶應義塾大学経        済学部教授    金子  勝君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国際経済・外交に関する調査  (「国際平和と持続可能な国際経済の実現に向  けた我が国外交の役割」のうち、我が国の経済  連携への取組の現状と課題について)     ─────────────
  2. 柳田稔

    ○会長(柳田稔君) ただいまから国際経済・外交に関する調査会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、小見山幸治君、羽生田俊君及び牧山ひろえ君が委員を辞任され、その補欠として福山哲郎君、大沼みずほ君及び石上俊雄君が選任されました。     ─────────────
  3. 柳田稔

    ○会長(柳田稔君) 国際経済・外交に関する調査を議題といたします。  本日は、「国際平和と持続可能な国際経済の実現に向けた我が国外交の役割」のうち、「我が国の経済連携への取組の現状と課題」に関し、参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  本日は、みずほ総合研究所株式会社政策調査部上席主任研究員菅原淳一参考人、NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)理事・事務局長内田聖子参考人及び慶應義塾大学経済学部教授金子勝参考人に御出席いただいております。  この際、一言御挨拶を申し上げます。  各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。  本日は、各参考人から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いをいたします。  本日の議事の進め方でございますが、まず、菅原参考人、内田参考人、金子参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、菅原参考人から御意見をお述べいただきます。菅原参考人。
  4. 菅原淳一

    ○参考人(菅原淳一君) 菅原淳一でございます。本日は、本調査会で発言する機会を頂戴いたしまして誠にありがとうございます。  私は、みずほ総合研究所で通商政策の調査研究に従事している者でございますが、本日は、所属組織を離れまして私一個人の立場で発言させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  本日のテーマ、我が国の経済連携の現状と課題ということでございますが、中でもTPPに絞ってお話しせよという御指示を頂戴しておりますので、TPP参加の意義と課題について二十分程度でお話をさせていただきます。話はお手元の配付資料に沿ってお話をさせていただきますので、そちらを御覧ください。また、時間が二十分と限られておりますので、細部に入ることなく、大枠のみのお話というふうにさせていただきたいと思います。  では、一ページ目、配付資料下段を御覧ください。  御案内のように、WTOのドーハ・ラウンド交渉がいまだ終わりが見えないという状況の中で、グローバルな貿易投資の自由化、またルール作りというものがもう十年以上停滞しているという状況にございます。そんな中で、世界の各国、各地域は、二〇〇〇年代にFTA、EPAへの取組を積極化いたしました。日本もその一国でありまして、これまでに十五件のEPAを締結しておりますのは皆さんよく御存じのことと思います。  こうした動き、今も続いておりますが、二〇一〇年代に入りますと、その中でもメガFTAと呼ばれるものが中心となってきております。メガFTAにつきましては厳密な定義はございませんけれども、参加する国の数が多い、また経済規模や人口が大きいFTAということでございまして、その地域、またグローバルなレベルで域内外に与える影響が大きいFTAというふうに言えるかと思います。  そうしたメガFTAの動きが最も活発なのがアジア太平洋地域ということになるかと思いますが、左下の図を御覧いただきたいんですけれども、アジア太平洋地域におきましては、本日の主議題でありますTPPに加えまして、日中韓FTA交渉、さらにRCEP交渉と、これらを発展させる形で行く行くはFTAAPにつなげていこうということが現在議論されているところでございます。  また、こうしたアジア太平洋地域の動きに対して外部からの参入もございまして、特にEUがそうした動きを活発化しており、日本との間での日・EU・EPA交渉、またアメリカとの間でいわゆるTTIP交渉も現在進められているという状況にございます。したがいまして、アジア太平洋地域で作られるルールというものが、このEU等の参加も得まして、いずれはグローバルルールへと発展していく可能性も秘めているという状況にございます。  こうした状況を踏まえまして、アメリカのオバマ大統領は、今年一月の一般教書演説におきまして、世界で最も成長の速い地域において中国がルールを作りたがっている、しかしルールを作るのは我々なんだという御発言をされ、似たような発言をこれまで繰り返しなさっていらっしゃいます。つまり、アジア太平洋地域においてルール作りをめぐる協調と競争の時代を現在迎えているというふうに言うことができると思います。そして、その新たな時代の中でいかにして日本の国益を確保するのかというのがまさに今問われているという状況にあると思います。  こうした文脈にTPPを位置付けますと、TPP交渉への参加とは新たなルール作りへの参画という意義があるというふうに言えると思います。それは、ここ二十年、冷戦終結以後続いているアジア太平洋地域の構造変容への対応ということにも当たるかと思います。日米のパワーや影響力の相対的な衰退、中国の急速な台頭、ASEANの地域経済統合といったような形でアジア太平洋地域の構造変容が続いている、その中で日本としてはいかに国益を確保していくのか、その一つの手段がTPP交渉への参加であったというふうに言うことができると思います。  では、次のページでございます。  そうしたTPPにおいて、特に経済面に限って見ますと、TPP参加によってどのような効果が期待されるのかということでございますが、ここでは三点にまとめてございます。  まず一つは、一番分かりやすいものでございますが、やはり貿易投資の自由化という効果が期待されるということでございます。御案内のように、TPPには日本を含め十二か国参加しておりますので、日本の相手国は十一か国ということになるわけですが、その十一か国の市場が開放される、関税の撤廃や投資の自由化によって市場が開放されることによって日本企業や製品の相手国市場への参入が容易になる、それによって輸出の増大や相手国市場での事業活動の円滑化が期待できるということでございます。そこで上がった利益が日本国内に投資される、若しくはまた外資が日本に参入してきて対内直接投資を行うというようなことを通じて日本の国内経済全体の活性化にも資するのではないかというところが期待されているところでございます。  二点目といたしましては、共通ルールの策定というふうに書いてございます。これはどういうことかと申しますと、先ほども少し申し上げましたが、アジア太平洋地域の重要なルールメーキングに日本が参画する、そのことによって、日本にとって望ましい域内共通のルールを策定することで国境をまたぐ事業活動の円滑化、活発化が期待されるということでございます。  これまでやはり日本企業が様々な国で事業活動を行うに当たっては、それぞれの国に応じて、その国の法令等に従って事業を行わなければならなかったわけですけれども、TPPのようなメガFTAによって域内共通のルールが策定されるということは、これは域内全域で事業活動を行っている日本企業にとっては大きなメリットがあるというふうに期待されているところでございます。  また、日本はとかく、ルールは守るのは得意だけれどもルールを作るのは不得手であるということが指摘されるわけでございますが、TPP交渉参加によって今回日本はルールを作る側に回るんだと、そして、そのルールというのは、先ほどFTAAPの話もございましたが、将来的には中国などの新興国も守ることになるような、そうしたルールへと発展させていくんだということを現在目指しているということでございます。  そして、三点目といたしましては、国内改革の進展ということでございます。TPPへの参加がこれまで進展を見なかった国内改革を進める契機、起爆剤となるということでございます。  このように申し上げますと、結局、それは日本にとって望ましくもない、やりたいとも思っていない改革というか改変を無理やり押し付けられるということじゃないかというふうに言われることが多いんですけれども、ここで申し上げたいのはそういうことではなくて、むしろ日本にとって望ましい、実行が求められている改革、だけれども様々な事情によってこれまでなかなか進んでこなかった改革をこのTPPによって進めようということであって、いわゆる外圧というものとは違うものというふうに私自身は捉えております。その典型例が農業分野における改革というふうに言うことができると思います。  これは、改革というのは、農業分野もそうですけれども、やらなければならないということは分かっているんですが、なかなかこれが進まないという状況にある。そういうときに効果的なのは、やはり改革の締切りをつくる、期限を設けるということなのではないかと思います。皆様方は違うかもしれませんが、私のような怠惰な人間は、いつやってもいいと言われるとなかなか手が着かないんですけれども、締切りが設けられると、やはりそこまでにやらなきゃならないということで一生懸命やろうとするわけですけれども。例えばTPPに参加することによって、ある農産物について、十五年後若しくは十八年後にその農産物の関税が撤廃されるということになれば、そこまでにしっかりとその分野の改革を行ってその農産物が競争力のあるものにしておかないと大変な打撃を被ることにもなりかねないということになるわけですから、TPP参加ということで明確な改革の期限を設けて改革を加速させていこうと、そういう考え方であります。  こうした三つの柱がそろいますと、そのことによってTPPの域内市場の一体化が進展するということが期待されるわけです。そうしますと、TPP域内全域にわたる事業活動を行っている日本企業としては、そうした全域に張り巡らせているサプライチェーン、バリューチェーンを再編することによって域内分業体制の効率化、最適化を図ることができる。それは、つまり日本企業の競争力の向上につながるということでありますし、日本国内の拠点をそうしたサプライチェーン、バリューチェーンに位置付けて、今後もその事業活動を続けていくことを可能にするということを意味します。これは、日本企業にとっての新たなビジネスチャンスにつながっていくとともに、日本経済全体から見れば成長の機会の創出につながるというふうに考えております。  したがいまして、TPPの経済的な意義というのは、一言で申せば日本の立地競争力の向上にあるというふうに私自身は考えております。それは、つまり日本でビジネスを行うことの魅力を高める、日本を拠点とした事業活動の活性化が実現されるということであります。  これは言うまでもないことですが、残念ながら現在の日本は少子高齢化、人口減少の時代を迎えて、国内市場というのは成熟化若しくは一部ではもう縮小という状況に入っております。一方で、日本を取り囲む新興国は更にまだまだ成長を続け、所得水準も向上し、今後もますます購買力を向上させていくということが見通されているわけでございます。そうなった場合に、日本企業、特に製造業は、生産拠点を国内ではなくて海外に置くということが経営上の合理的な判断というふうにならざるを得ないということかと思います。  こうした状況の中でTPPに入らないということは、そうしたサプライチェーン、バリューチェーンからはじき出されるということになってしまいますので、TPP参加によってしっかりと国内の立地拠点をサプライチェーン、バリューチェーンの中に位置付けていくということが必要である。そのことによって空洞化を抑止し、雇用を維持、また新たにつくり出し、そしてイノベーションを触発する、これがまさに成長戦略の一つとしてTPPが位置付けられるゆえんというふうに言うことができると思います。  続きまして、三ページ目でございますが、しかし、TPPへの参加については非常に強い懸念が示されております。  ここでも三つにまとめてございますが、まず一つは、やはり国内農業への打撃ということでございます。アメリカやオーストラリアなどの農産物輸出大国が参加するTPPに日本も参加することになれば、国内農業は壊滅的な打撃を受ける、そのことによって食料自給率は大きく低下し、安心、安全な食料の確保は困難になるといったような懸念が既に示されているところでございます。ここについて私は異論もありますが、こうした懸念が実際のものになりかねない状況にあるということは確かだと思いますので、ここについてはやはりしっかり対応しておかなければならないということかと思います。  また、二番目として、地域経済の疲弊と書いてございますが、農業が打撃を受ける、農業だけではなくて、林業、水産業も含めた一次産業が打撃を受けるということになれば、その加工業等関連産業も打撃を受けることにつながる。そうしますと、それらが重要産業である地域の経済、社会全体の疲弊にもつながりかねないということが懸念されている。そのことで地方議会等からTPPへの反対の声が上がっているということかと思います。したがいまして、やはりこういったことにもしっかりと応えていかなければならないということかと思います。  また、三番目といたしましては、国民生活への悪影響というものが懸念されているということでございます。先ほどルール作りということを申し上げましたが、やはりルールを作るとなれば、日本としても当然のことながら国内の様々な規制や制度の改変を求められるということになります。そうした結果、例えば食の安心、安全が脅かされるのではないかといったような、国民生活に悪影響が及ぶといったことが懸念という形で表明されているところでございます。  実際には、政府はTPPによって食の安心、安全が脅かされることはないというふうに説明しておりますし、私も、例えばネットなんかで、TPPに入ると盲腸にかかったら数百万円払わないと手術が受けられなくなるんだなんてことがまことしやかに書かれているわけですが、そうした意見に私は賛同するものではありませんけれども、やはりTPPによって国内の制度や規制が改変を伴うということは確かですので、一体どんな影響があるのかというのはしっかりと見ていく必要があるということでございます。  これまでのまとめというところになりますけれども、したがいまして、TPPというのは、これまで日本が結んできたEPAに比べて、相手国により高水準の自由化を求めることができる、また、より高度な国内規制の規律を求めることができるといった点で、これまでのEPAに比べてはるかに大きなメリットが期待できるということであります。しかし、その反面で、日本も農産物市場の開放や国内規制の変更を迫られることになりますので、何ら対策を講じることなく入るようなことになればデメリットも大きくなる可能性があると。  このように、メリットもデメリットもこれまでのEPAに比べてはるかに大きいということが、TPP交渉参加若しくはTPP参加をめぐって国論を二分すると言われるような激しい論争につながったというふうに私自身は捉えております。したがいまして、日本がTPPに参加するに際しては、こうしたTPPへの懸念、国民が持っている懸念というものをしっかりと払拭する必要というものがあるということかと思います。  そのために、やはり政府にはしっかりと対応していただきたいわけですけれども、ここでは、私としては大きく三点についてはしっかり対応していただきたいというふうに考えております。  まず一つは、やはりまだ交渉中でございますので、交渉においてしっかりと日本の主張を反映させる、駄目なものは駄目だと、国内に悪影響がありそうなものというものはしっかりと排除する。もちろん日本の意見が一〇〇%通ることはあり得ませんので、互いに歩み寄って、日本としても譲歩が必要なことは言うまでもありませんが、これだけは譲れないというものに対してはしっかりと守っていかなければならないということでございます。  それから、二番目といたしましては、国民への正しい情報の提供と十分な説明ということでございます。やはり人間というものは、見えないもの、よく分からないものは恐れるものですから、一部にあるTPPへの誤解を解くためにも、正しい情報の提供と十分な説明が必要であるというふうに考えております。  ただ、残念ながら、この点が非常に不十分である、TPPは秘密交渉であるという批判が強くあるわけでございますが、一つ事実として申し上げておきたいのは、日本のこれまでの十五件のEPA交渉、また今現在行われているメガFTA交渉の中で、交渉過程においてTPP交渉ほど政府が説明に努めた例というのはほかにない、今までで一番政府は説明に気を遣っているということだけは事実として申し上げたいと思います。  事務局から配付された事前の資料の中の六十一ページ以下にありますけれども、TPP交渉では、重要な交渉会合の際は毎日のように担当官が記者ブリーフィングを行って、質問にも答える形を取っています。そして、その内容が全てTPP政府対策本部のホームページで公開されております。私のような一般の人間でも閲覧できるようになっているということで、こんなEPAはこれまでになかった、現在進んでいるEPAでも、それほどまでに情報を公開しているものはないということでございます。したがって、私自身としては、政府としては外交交渉上許される範囲で精いっぱい情報公開に努めていらっしゃるんだというふうに評価はしております。  しかしながら、さはさりながら、それで十分かといえば、そうではないということでございます。国民が真に求めている情報が開示されているとは言い難いと言わざるを得ません。通商合意の国民生活への影響がますます広く深くなっているという中で、通商交渉をいかに民主的コントロールの下に置くかという問題は、日本だけではなくて世界的な課題というふうになっております。現在アメリカ議会で審議されているTPA法案も、過去のものに比べまして交渉過程の透明性の向上と交渉への議会の関与を深める内容になっております。  今以上の情報公開を政府に求めるには、必要な法整備を行うとか、若しくは一部秘密会でといったような話もあったと思いますが、やはり国会がイニシアチブを取る必要があるのではないかというふうに私は考えております。実際には法案の提出といったような動きもあるというふうに承知しておりますので、是非国会の場でこの情報公開については議論が深まることを期待しております。  そして、三番目といたしましては、やはりTPP参加によって生じる痛みに対しての補償措置、また、そうしたものも含めた適切な国内対策の立案と実行というものが必要ということかと思います。  TPPに参加したからといって、バラ色の世界が待っているということは決してありません。やはり、物事が変化するときには、その変化に伴う痛みというものが伴います。そうした痛みに関しては、その痛みによる出血がそれこそ出血多量で死んでしまうようなものであれば、これはTPPに入らないという選択肢も出てくるかと思うんですが、そうでない限りはしっかりとこの痛みに対する対応をする、それには財政的な補償措置も含めたものも考えなければならない。もちろん、ばらまきは問題外でございますが、そうした補償措置も含めた適切な国内対策というものがなければ、やはり国民の懸念、不安というものは払拭されないということだと思いますので、こうした国内対策の立案というものも早急に取りかかる必要があるということかと思います。  簡単ではございますが、冒頭、私からの説明は以上とさせていただきます。  ありがとうございました。
  5. 柳田稔

    ○会長(柳田稔君) ありがとうございました。  次に、内田参考人から御意見をお述べいただきます。内田参考人。
  6. 内田聖子

    ○参考人(内田聖子君) よろしくお願いいたします。アジア太平洋資料センターの内田聖子といいます。本日はこのような機会をいただきまして誠にありがとうございます。  私ども、アジア太平洋資料センターという団体は、NGO、NPOでして、主に九〇年代半ば以降のWTOそれから多国間の投資協定など、グローバル化と言われる自由貿易投資協定の流れが進んできているわけですが、この中で企業の活動というのは国境を越えて拡大をしてきたわけです。しかし、一方で、その裏側で起こってきた貧困や格差の問題、環境破壊や人権侵害など、そうした様々な課題を国内外に発信をしてまいりました。二〇一〇年以降はTPPの問題が出てきましたので私たちもTPPに取り組んでまいりましたけれども、私自身は、日本のNGOとして、また海外の市民社会とのネットワークということを基盤に、基本的にはTPPに反対をするという立場から交渉をウオッチしてまいりました。海外の市民社会というのは非常に幅広くて、労働組合や市民団体、それから医療関係者、環境団体、消費者団体など実に多岐にわたります。  二〇一三年に日本が交渉に入りましたが、その直前から、私自身、交渉の会合の現場に合計三回参りまして、日本が参加した二〇一三年七月にもマレーシアのコタキナバルというところにも行きまして、当時はステークホルダーという登録をすれば一日だけ交渉官のブリーフィングを受けて質問ができる、全ての国の交渉官にですね、という機会もありましたので、そうした活動も行ってきました。  御存じのとおり、日本国内では今も粘り強い反対や、それから懸念の声というのが続いています。私自身そうした場でお話しする機会もありますので、今日はNGOの立場、それから全国各地でやはり今も心配されている方々の声を代弁するという立場でお話ししたいと思います。  レジュメと、それからパワーポイントを刷っていただきました。それから、参考資料というのも六点付けさせていただきました。全てはお話しできないと思いますが、始めます。  まず、なぜTPP交渉がこんなに長々と交渉しているにもかかわらず妥結をしないのか、これは皆さんも疑問ではないかと思います。一言で言ってしまえば、私は、これはアメリカがTPPに入った二〇一〇年以降、早期妥結を目指してきましたが、幾つかの点での失敗、これに起因するものだと思います。  既に御指摘のように、TPPは非常に幅広い分野で、基本的に関税撤廃、それから非関税分野、これは制度や法律、ルールのところですね、これをグローバル化していくというものですけれども、各国の利害というものは非常に複雑です。日本にももちろん守るべきものがありというように、各国それぞれある。  これが、参加国全てが対等、平等な中で議論していればまだ駆け引きで最終的に妥結ということもあり得るのでしょうが、やはりずっと交渉を見てきた経験としては、アメリカが一貫して大企業に優先するようなルール、これを交渉の中で主張しているという実態が見えてきています。ですので、こうしたアメリカの主張と、例えばマレーシアのように医薬品のジェネリック薬、安い薬品を国内の国民に提供したいとする政府との間での亀裂は相当深刻で、永遠にまとまらないという構造になっているわけです。それから、TPAの問題というのもありますが。ですので、妥結をしない大きな理由というのはアメリカの失敗。  それから、やはり日本も遅れて入るという非常に不利益を抱え、矛盾を抱えたまま入ったわけですね。元々関税ゼロにすると決まっている交渉の中に、聖域は守ると国内的には決議をして入る、これは交渉の中では通用しない。つまり、徹底してゼロにしろという圧力が掛かっていますので、こうした矛盾が今私たちの目の前に露呈しているというふうに思っています。  それから、後半に述べますけれども、各国の議会や市民社会からの意見を見ていますと、もはやTPP交渉というのは、単に経済的な指標でどの産業がどれだけ利益を得るか、GDPがどう上がるかというような議論はもちろんありますが、それを超えて、命や健康、国民の主権、それから民主主義というものの価値の問題として議論されているという実態であると思います。ちょっと、これはまた後で述べます。  二点目ですけれども、今日資料をお付けしましたが、私は交渉を見ていく中で一番驚いたのは、アメリカの企業、これが交渉会合に常に常にたくさん来ていて、自国の政府はもちろんですが、他国の交渉官にも非常に強いプレッシャーを与えているという実態でした。  参考資料で、TPPのための米国企業連合一覧というものを付けました。非常に幅広い分野での企業の名前、よく知っている企業がずらずらと並んでいます。こうした企業は、日本が入る前からもう日本は入るということは織り込み済みで、日本が入った後には、日本の農業、輸出産業はもちろんですが、保険や金融という業界、それから運輸等々、やはり日本を大きなマーケットとして進出をするということをもう準備をしてきているという実態は、いろいろなデータからも明らかです。  ちょっと飛ばしていきますけれども、ですからこういう実態を見て、私自身、日本は守るものばかり強調して入ったという印象がやはりあるんですね。一体何を攻める分野として入ったのかということが、交渉が長引くにつれて非常に疑問として強くなってきています。  それから、秘密交渉のお話も後でいたします。  次に、レジュメの二点目ですけれども、懸念事項、これは様々な分野があることは御承知だと思いますし、金子先生の方で農業ですとか医療保険ということは御指摘あると思いますので、私は一点、雇用のことを御指摘したいと思うんですね。  これ、日本の中では、TPPがもたらすメリット、デメリットという中で、雇用の問題というのはほとんど議論されていないんですね。  ところが、今アメリカでは、大きな労働組合なども挙げて、TPPが妥結すればアメリカからたくさんの雇用が失われるという激しい反対の声というのが巻き起こっています。これは全く根拠がない不安ではなくて、NAFTAという、アメリカ、カナダ、メキシコが結んだ、一九九四年ですけれども、自由貿易協定の結果、直接、間接的な影響も含めて四百万人から五百万人のアメリカ国内の雇用が失われたというデータも出ています。これは、アメリカの大企業が海外に進出をしたことが一つ、それからメキシコなどからやはり移住労働者がアメリカ国内に入ってきたということで雇用が失われた。この経験をアメリカの人たちは非常に鮮明に覚えていて、TPPは新しいNAFTAだというふうにも評されていまして、ですから、もう二度と政府の自由貿易で雇用が増えるという宣伝文句にはだまされないぞという形で反対運動が巻き起こっているわけですね。  ですから、日本に置き換えてみるとどうなのかという話です。政府は、中小企業も含めて、TPPによって海外進出というのを非常に積極的に推進しようとしています。大企業ももちろん、海外に工場を移転したり、更に投資を進めて外に出ていくという流れが確かにTPPでできるのだろうと思います。  では、雇用という面ではどうなんでしょうか。私は、特に地方への打撃というのは大きいと思います。農業をやっている方々の雇用ももちろん喪失してしまうでしょうし、サービス業や製造業というものでも雇用が減ってしまうんじゃないかというふうに思います。そう言うと、政府の見解としては、いや、海外の企業が日本にたくさん投資をして進出をするので働き場は増えるというふうにおっしゃるんですが、それはごく限られた大都市の話であって、例えば農山村地域、それから中規模以下の都市に海外からの進出企業がどんどんやってきて雇用を生み出すでしょうかというような疑念があります。  問題は、アメリカでは今、自由貿易によって雇用が奪われた場合どうするかという救済措置に関しての議論をまさにTPAの中でやっているんですね。つまり、これは言い換えれば、アメリカ政府自身が、自由貿易の結果、ある程度雇用が奪われるだろうということを認めているに等しいわけですね。TAAと言われる救済措置ですが、例えば失業した人へのトレーニングですとか一定期間の医療保険の給付ですとか、そうしたものについて議論されています。  翻って、日本ではどうかという話なんですね。私は、やはりいろんな意味でマイナスというのは非常に大きい、ですから反対しているわけなんですが、ただ、そこを現実として認めて、アメリカでさえと言うと変ですけれども、やはりこういう形でケアしていくという議論をしているわけですので、政府それから国会議員の皆さんの中でも、どうした措置をとるのかという現実に沿った議論を是非していただきたいというふうに思っています。  それから、レジュメの三点目ですが、日本にとってメリットは一体この段階で何だろうかという疑問です。  交渉が進展するにつれてビジネスの環境も変わってきていますし、交渉の中で、当初予定していた利益というものの形や量も変わってきているんじゃないかというふうに思います。二〇一三年三月の時点で、政府はGDPがこれぐらい伸びるという試算を出していますが、これは大変に大ざっぱなもので、どの産業でどのぐらいの見込みなのかということもはっきりしていませんし、特に今日挙げました自動車の原産地規則問題ということなど、これはちょっと詳しく申し上げられませんけれども、資料を付けておきました。  要するに、TPPの参加国の中で部品や労働力を調達する、これが原産地ルールですけれども、この基準を、NAFTAで導入された並みの六五%とか七〇%、それ以上でないといけないという提案をアメリカはしているようで、もしこれが適用されれば、中国やタイなどTPP以外の国から部品調達や製造を受注しているような国の日本の自動車は日本産ということにはならない、つまり関税撤廃、削減の対象にならないというような話までごく最近出てきているわけですね。元々、自動車というのは日本にとって攻めの分野であったはずなんですが、これは一体どういうふうになっているのかということが挙げられます。  それから、今アメリカの議会で議論になっていますけれども、為替操作ですね。これは、日本のこれまでの円安誘導政策、金利政策なども含めてやり玉に上げられています。これは、日本が入る前からアメリカの自動車産業ではもう徹底して、不当に貿易をゆがめている措置だということで攻撃されてきたわけですね。これがもしTPAの中で今後の議論で入って、強い拘束力や罰則規定を伴って可決されて、そしてTPPが妥結されてしまえば、これ日本の今後の為替政策、金利政策というものにかなりの縛りが掛けられる、ないしは、もしやってしまった場合、元に戻したり、あるいは罰則ということにもなりかねないわけですね。  このように、交渉が長くなるに伴って、そもそも日本が何をメリットとしてきたかというところは非常に危うくなってきているというのが私の見方です。もちろん日本の企業が海外に進出をして利潤を上げていくということは私も否定はいたしませんけれども、幾つかの企業が利潤を上げるということは、すなわち国益なんだろうかという問いが直ちに立つわけですね。  ですから、例えばコストベネフィットの問題でいけば、マレーシアはこの七月に改めて、自分の国の国益、マイナスとプラスというものを測る調査を今厳密にしていまして、この結果を待って改めてその交渉に反映させるというふうに言っていますし、ごく最近、カナダでも元外務省のチーフエコノミストの方が、TPPで関税撤廃をしていった場合、中長期的な経済メリットについて、果たして本当にカナダにとってこれはメリットなのかというような発表もいたしまして、大変議論を呼んでいるところなんですね。  ですから、日本にとって何がいいのかということを改めてこの機会に見直していくべきではないかと思います。  そして、四点目の秘密交渉のことですね。  これは私、この間、一貫していろいろと調べて国会議員の方々にも申し上げてきましたが、元々TPPほどの秘密交渉を強いた貿易協定というのは過去に例がありません。先ほど、政府は頑張って説明しているというふうにおっしゃっていたのですが、たしかこの調査会でと思いますが、共産党の紙智子議員が外務省の齋木尚子経済局長に御質問されていますね。このような秘密保持契約があるような交渉が過去にあったのかと問われた際に、齋木経済局長は、TPP以外に例はないと答えています。  ですから、ずっと貿易交渉を見てきた我々からしても、少なくともWTOの頃はいろんなステークホルダー、農業団体や市民団体、労働組合を含めて、政府の交渉担当官の方と顔を見て、突き合わせて、今交渉はこうなっている、テキストはこうだ、相手国はこういうふうに主張しているというようなことを話す場がありました。場合によっては交渉会合に我々も行って、今交渉してきたという担当者の方にすぐブリーフィングを直接受けて、ある種作戦を練るというような場面もありました。そうした経験からすれば、TPPの秘密交渉というのは大変異常な状態なんですね。このことはまず強く指摘したいと思います。  かつ、この秘密主義自体は、やはりWTOがなかなかまとまらないという、推進している人にとっての失敗、この経験を受けて、次にやるときには絶対に見せない、秘密にしてみんながいろんな意見を言わない間にまとめてしまおうという、主にアメリカなどの意図が反映されているものだと私自身は思っています。  ですから、私は、日本が交渉に参加する際に、この秘密主義は廃止するということを条件に入ればよかったとつくづく思います。そうすれば、今政府の方も苦労されているということは存じ上げていますが、周辺の説明だけして肝腎な中身は言わない、ですから何回説明やブリーフィングの場を持っても一向に核心に迫った情報が得られないという非常に非民主的な在り方というのが払拭できたのではないかというふうに思っています。  それから最後に、五点目、これは、国際社会の中で今TPPのような貿易協定がどのような位置付けをされているか、どういう批判をされているかということをちょっと御紹介したいと思います。  つい最近ですけれども、国連の人権高等弁務官事務所が、貿易が、これは自由貿易という意味ですが、人権侵害を引き起こす危険性があるという声明を出しました。ちょっと英語のままで恐縮ですが、原文も付けておきました。  これは、国際社会の中では極めて重要な、そして、これまでにこうした指摘というのは幾つかありましたが、具体的にTPPやTTIP、アメリカとEUの交渉、それからTiSAといって、新サービス貿易協定といって、日本も入っているサービス貿易の自由化協定ですね、この三つを具体的に挙げて、こうした貿易協定が行き過ぎてしまえば、これは途上国、先進国を問わず、人々の生きるための最低限のニーズ、人権ですね、に悪影響を及ぼす危険があるという指摘をしています。最低限のニーズというのは、例えば水であったり、それから医療、それから教育を受けるという権利等々、国際社会が長い間築き上げてきた社会的な指標なんですね、という指摘があります。  それからもう一つは、世界医師会による、同じような趣旨なんですが、やはり貿易協定が人々の健康や医薬品へのアクセス、これを阻害する危険性があるという声明も、これは四月に出されています。これは各国の政府に対する要請ということで、日本政府にも届いているはずですし、日本では日本医師会が提起してプレスリリースなんかもされています。  ですから、もはやTPP交渉というのは、単なる貿易の話という域を超えて、ともすれば人々の健康や民主主義、知る権利というものを脅かしかねないというのが国際社会の世論として上がっています。  一つ紹介すると、ヨーロッパでは今、TTIPというアメリカとEUの貿易協定に対して非常に大きな議論が巻き起こっていますし、反対の声も非常に強いです。これもやはり反対の趣旨はTPPに反対している方々と同じなんですけれども、例えばイギリスなどでは、国家が運営している医療保険制度、これが民営化されてしまうんじゃないかというような懸念も非常に強いですし、アメリカの中でさえ、郵便事業がフェデックスとかUPSというようなアメリカの大手民間の運輸会社に取って代わられるんじゃないか、そうすれば困るじゃないかというような声さえ上がってきているという状態なんですね。  そろそろ最後にいたします。ISDのことは金子先生も述べられると思いますので。  今私が最大懸念しているのは、TPPが漂流するかもしれないと言われている状況の中ですけれども、仮に漂流をした場合、その後の日本の貿易、それから経済協力体制についてはかなりの打撃になると思いますし、いろいろな面で考え直さざるを得ないという状況があると思います。  既に中小企業などで、TPPを見越して海外進出しようとか、それから高付加価値の農産物を作って売ろうという事業変更しているようなところもあると聞いています。そうした方々への打撃というか、ケアの措置も含めて、一体どうするつもりなのかということは非常に大きな問いとして問わざるを得ませんし、ごく最近、昨日ですかね、アメリカのケリー国務長官とカーター国防長官が、TPPはアジアの安全保障の問題であると、つまり、中国を抑え込んでアメリカ自身がイニシアチブを取るためにも絶対に妥結しなきゃいけないというようなことまでおっしゃって、記事を書いているんですね。つまり、アメリカ自身がもうTPPは貿易問題じゃないとまでも言っている。これは中国への牽制であると同時に、日本に対しても、日本は必ずアメリカに付いてきなさいよというふうにくぎを刺しているように私は思えるんですね。つまり、端的に言えば、日本はこうしたアメリカが作るようなルールにどこまでお付き合いをしなければいけないのかという非常に深い問いも問われているんだと思います。  ですので、国会議員の皆さんには、TPPだけではなくて、それが漂流した後のことも見越した日本があるべきアジア太平洋地域での貿易、経済協力の在り方、それから本当の意味で豊かな、国民が安心して暮らせるような社会、それから法律、制度というものを是非積極的に御議論いただきたいと思います。私たちも市民社会として御協力、そして参加もしていきたいと思います。  済みません、長くなりまして。終わります。
  7. 柳田稔

    ○会長(柳田稔君) ありがとうございました。  次に、金子参考人から御意見をお述べいただきます。金子参考人。
  8. 金子勝

    ○参考人(金子勝君) 慶応大学の金子でございます。  ほかの方のようにカラフルではなく非常にアナログな三枚の紙が配られておりますので、主たる趣旨はそこに書かれておりますので、追いかけていただきたいと思います。  最初に、TPPに対して、それだけが選択肢ではないと。しかし、世界的にはFTAなりEPAが次々と進められている状況の中で何らかの判断を求められているというのが正確な状況だと思うんです。  それはもちろん、アジアの問題でいえば、タイやインドネシアなどの東南アジアの一番大きなマーケットも入っておりませんし、片方では、TPPでは日米がGDPでは圧倒的な比重を占めている。その中で日本がルール作りに参加するといっても、圧倒的に軍事も含めて、経済的な力も含めてアメリカが優位であるということは暗黙の前提になっているので、それに引きずられていくという状況はある程度多くの人は避けられないと思っているわけですね。  そこの中で必要なことは、自国が自立した判断の下で、国民の利益を考えながら、長い将来、プラスになるかマイナスになるか、メリットやデメリットについて一つ一つ冷静に判断をしていくということが大事だと思うんです。特に、アジアをめぐってはRCEPとTPPのせめぎ合いになっているので、アメリカに付いていくか中国に付いていくかという選択肢ではなくて、一つ一つの交渉の内容についてきちんとした判断をするということが一番求められていることなんだというふうに私は今考えているわけです。そういう意味では冷静な議論が必要だろうと。  そこの中で、残念ながら、先ほどから出ているように、秘密協議にされてしまいましたので、情報が非常に断片的であると。しかし、断片的な中からも見えてくる判断すべき材料は今の時点でもあるだろうと。  これから申し上げるのは、最近のアメリカのTPAをめぐる状況の中でどういうことを考えるべきなのか、二番目はISDS条項、三番目が知的所有権、四番目が農業、五番目が安全とルールについて、それから、TPP本体の交渉ではなくて、実はTPPに引きずられて日本側が自主的に譲ってしまっていることがたくさん発生していますので、これらの問題について意見を述べさせていただきたいというふうに思います。  第一点は、五月二十二日にTPA法案が上院を通過して、懸念されていた為替操作禁止条項は一応否決はされたんですが、下院ではなおまだTPAの法案が通るかどうか分からない状況が続いていると。とりわけてオバマ大統領の基盤である民主党において、報道も既になされていますけど、二〇〇六年から輸出が一番伸びている十の選挙区でも、アメリカ国内でもTPPに賛成しない議員が圧倒的にいると。共和党内部でも反対があるので、上院ほどすんなりはいかないのではないか。  そこの中で問題になっている為替操作禁止条項というのは、もちろんこれが入れられれば恣意的に運用されてしまう危険性をはらんでおりますので、とても交渉にはならないんですけど、このことが出てきたことの意味を考える必要があります。  一つは、実はこれは、TPPは関税を引き下げて自由貿易だということに主眼があるのではなくて、実は自国に有利な制度やルールをいかに実現するかというせめぎ合いになっているということだと。だから、関税の問題だけに焦点を合わせるのではなくて、つまり、ルールを握った方が自国の利益になるということをめぐるせめぎ合いだということを認識しなければいけないということを示しているわけです。  もう一つは、今のを補足すれば、関税よりもそういう為替の方がはるかに影響が高いということなので、そこのところが大事だということと、それは裏を返して言うと、オバマ大統領は二百万人の雇用創出計画を立てているので、アメリカにとって雇用が創出されるものを追求しているのがTPPである。  じゃ、日本側は、そういう明確な意図を持って、どこでどのように雇用を増やすという国益を守るような態度に本当に立っているのかどうなのか、アメリカに付いていくことが利益なのか、そこのところの判断の違いはしっかり一つ一つについてすることが大事だろう。これは、安全保障のためにTPPを結ぶのではなくて経済的な問題なので、それに従ってシビアにきちんと見る必要があると。  それから、TPPに関しては、先ほどから出ていますように、秘密協議なので情報が出てこないと。アメリカは、ロビー団体はかなり内容を知っている。日本の国会議員はほとんど何も知らない。アメリカの国内でも、TPAに関して国会議員には少なくとも情報を開示しろという動きが出ている。  こういう国のルールや制度を変えていくようなことが実際に秘密のまま決まっていく、非常に批准に対しても長いしっかりした議論がされないまま決まるということは、ある意味では民主主義的なルール、議会制民主主義の根幹を崩すことになるので、なるべくこれを広く公開をし、そして議論をしていくというプロセスが必要であると。それは簡単ではありませんけど、議論をほっぽらかして、非常にそれぞれに影響の大きいようなことが勝手に決まってしまうということは望ましくないんじゃないかということを示している。それは、アメリカ国内にも似たような懸念が存在しているということだと思います。  それから、二番目はISDS条項なんですけど、日本の政府の説明では法制度が整備していない国への処置としてISDS条項が入れられて、そのことは日本の国益にもなるんだという説明なんですけど、これは北米自由貿易協定でアメリカがカナダに向かってこのISDS条項を使ってからは全く意味が転換していて、その説明は妥当ではないというふうに考えられます。  これは内田さんの事前資料の中でもカナダとメキシコの事例が取り上げられていますけれども、それは幾つも事例が発生をしておりまして、その国が民主主義的なプロセス、つまり皆さんのような国会議員の方々が議論をして決めた法律や規制を、いわゆる世界をまたがっている多国籍企業が相手国政府を訴えて裁判のプロセスでひっくり返すということを意味しているわけです。ある意味で国の主権を脅かすような側面を持っている。このことにはやはり注意をしなければいけない。つまり、法整備が未熟な国に対して、例えばいきなり国有化されてしまったとか、契約を履行しないとか、損害が発生するとかいうことをいわゆる正すための条項ではなくなりつつあると。特に、幾つかの事例を見ると、NAFTAのケースを見ると、多額の賠償支払を強いられたり、特に当該国の安全や環境規制を引き下げてしまうようなケースが間々見られると。  特にこのことが重要なのは、日本の製造業や農業の分野において、安全や環境というのは極めて重要な競争力の源泉なんだということです。日本の自動車が何よりも世界で売れているのは、環境や安全に対して非常に強いからなんですよね。もし本当に日本の農産物を輸出しようというふうに戦略を立てているならば、環境や安全のところでしか勝負ができないはずなんですね。もちろん味の問題もありますけど。  そうすると、ISDS条項の問題は、政府の説明と違って、途上国的な国々が相手ではなくて明らかに米国が相手である、アメリカが相手であるというふうに判断をした上で考えなければいけない。そう考えると、日本企業がしばしばアメリカ国内で多額の損害賠償を求められるような訴訟を引き起こされている、その事態が国境を越えて適用されるというのがISDS条項だというふうに考えられると。そうすると、とりわけてアメリカのような訴訟社会でない日本が、十分にこれに対処するだけの能力があると考えられるかどうかです。いや、法律家の方々はあると言う人もいるかもしれませんが、私はとても堪えられない状態だと思う。  ここで問題になってくるのは、一部のアメリカの、今会計事務所がそうなっているように、アメリカのいわゆる弁護士事務所なりなんなりを雇って、日本の国内で弁護士もそういうものに非常に従属して、そこに多額の金が流れて、そこがサービス業になっていくということが予想されるのが一つでありますし、それから、次々とそういう形でアメリカ国内の国内法の基準が通っていくような事態が、一つや二つ裁判が起きて突破口が切り開かれるとどういうことが起こるかというと、ISDS条項に基づいて訴えられないように、アメリカの国内法に準じた法律や規制を定めるように日本の国会も含めて動くようになる危険性があるわけです。米韓FTAでさえ、韓国は自国の国内法を何十と変更を余儀なくされたわけですので。私は、そういう意味では、このISDS条項についてはきちんと国の主権の問題として、それからいわゆる訴訟費用、訴訟社会のルールの違いを甘く見ないできちっと検討するべきだろうというのが一つであります。  それから、知的所有権の問題なんですけど、残念ながら日本の企業は国際競争力を非常に低下させておりますし、日本の産業構造は極めて古い、財界の構造を見ても重厚長大の産業が依然として中核を占めていて。これらの企業の利益と、実はアメリカがもう既に、情報産業、バイオ産業、あるいは薬を含めた生命特許を必要とするような産業分野は圧倒的な優位を持っている、そちらが伸びていくということを考えたときに、アメリカが競争力を持つ情報通信やバイオテクノロジーなどの分野で知的所有権保護の名の下に特許権の囲い込みをやることは、日本企業にとっては競争上決定的に不利になるおそれがある。で、日本の産業構造の転換を遅らせる可能性を持っている。  特に、情報通信産業の特色は、オペレーティングシステムとネットワークを握ると独占的な利益を発生させます。日本の国内で、インターネットの書店や情報検索サイトを含めて、膨大な日本人の個人情報を管理者の名前で集積してそれを利用しておりますから、恐らくこのまま伸びていけば独占的な利益が得られるようになるだろうし、それから、幾つかの遺伝子組換え作物でもこういう生命特許が発生して、そういう農業が横行すると種子の独占と利益ということが発生しますし、後で述べます環境や安全という問題でも大きく関わって利益を損ねていくことになります。  具体的に、もちろん肖像権の問題とかいろんな問題が絡んで、表現の自由にも絡むんだという議論はあるんですけど、一応あくまでも産業の問題でいうと、製薬産業の特許権を五十年から七十年に延長することにニュージーランドが非常に反対をしているのは、保険財政を圧迫するおそれがあるからなわけです。  日本政府は、一方で、聖域なき改革と称してジェネリック医薬品を使うんだということを非常に強調しているんですけど、これは全く矛盾する側面を持っていて、特にアメリカはファイザー始めとして非常に強い製薬産業の力を持っていますので、それが特許権を非常に保護された形でその国の保険財政を圧迫していくということは十分にあり得る事態なんですね。これは、後でも述べるTPP外の問題、TPPに引きずられていろんなことが起きていることと重なってきますと、日本の国内で非常に大きな医療の荒廃、特に地域、大都市圏以外のところで非常に医療の荒廃を生んでいく可能性を持っているということをあえて強調しておきたいと思います。  農業についてなんですけど、一応、二〇一三年四月の十九日に衆議院の農林水産委員会は、重要五品目を守るということを、これを関税撤廃の例外とするということを決議をしております。ところが、その後、死守ラインが五項目五百八十六品目というタリフラインにおっこってきて、本当の意味で国会決議の守るべきラインが非常に曖昧化されている状況にあります。ここはやはり最低限守らなきゃいけないところは守るべきだろうというふうに思います。それは、こういう五百八十六に部分的に分解してしまうと、全体に、あるところを落とすと、例えば乳製品のところを少し外してしまうと実は酪農が成り立たないとか、いろんな波及効果を持つことになります。  今、政府は減反政策を見直して、それに関連して、飼料米も所得補償の対象にすることによって農家経営を成り立たすという方向が打ち出されているんですけれども、例えば肝腎の豚肉や牛肉の関税を大幅に引き下げると、報道では何%になるという、ちょっと確定した数字ではないのですけれども、幾つか出ていますけれども、それは日豪EPAの影響もあって更にそれから下げる、どこまで下がるのかも合意のラインがよく分からないですけれども、かなり大幅に下げられるということになると、大量の外国産の豚肉や牛肉が入ってきた場合に、こういう飼料米はただでさえ市場ができていませんので、個別の豚肉業者がブランドをつくるために個別の米農家から買っている、契約したりするケースが圧倒的なので、まず政府の立てている農業政策は破綻をいたします。ですので、何かを数字を一項目妥協しているだけでは問題が玉突き状に発生してしまうことを防げないんですね。そこのところを深く考えていく必要があると思います。  規模拡大ももう一つの対策になっているんですけれども、北海道の農業でさえ、アメリカは平均二百ですし、牧草地含まれていますけれどもオーストラリアは三千ヘクタールですので、日本はおよそ二ヘクタールですので、規模拡大はほとんど、二十にしようが三十にしようが、誤差の範囲にすぎないわけです。それで競争するというのは不可能なんですね。  それが求められている理由は別にあって、担い手が少なくなっているので農地が荒れないように担い手に集中するという意味での規模拡大はある一定意味があるんですが、米なんかでも、家族経営でやっていれば十五ヘクタールで大体生産のコストの引下げは止まってしまうという指摘もあるように、やたら規模拡大しても、経営そのものを変えなければいけない。極端に言えば、遺伝子組換えの作物を植えて、農薬に強くして、ヘリコプターであるいは飛行機で農薬をまいて、真っ平らなところを大型の機械で耕す、そして移民労働者を雇って安上がりな農業で同じものを大量生産する農業というのが本当にいい農業なのかということは問わなきゃいけないと思うんです。  そこのところは実際に規模拡大で単純計算しちゃいけないんですけれども、行ったこともないのに規模拡大すれば耕作放棄地がなくなるとかいうようなばかげた議論をしているんですけれども、耕作放棄地は大体日本の場合には段差がありますので、機械が入らないので、そんなものを集めても耕しようがなくなってしまうわけですね。  そうすると、日本の小規模な農業をどうしたら生かして、どういうふうに競争するかというのは、別の戦略が必要になってくると。むしろ、安心、安全をベースにしながら六次産業化したり、エネルギー産業を農家に兼業として営ませたりという所得を発生させる具体的な方法をきちんと考えないうちに、このTPPで軽率な判断で妥協と称してやることの影響範囲をきちんと見定めないままやることは非常に危険であると。そこもきちんとした検証をしていきながら交渉に臨むべきであるというのが私の意見です。  もう一つ、安全のルールが重要なんですけれども、これは先ほど言ったように、日本の競争力の源泉です。今、自動車で部品で安全規制を緩めろというアメリカ側の要求出ていますけれども、これは、どんな交渉でも、自国の利益を倫理的、道義的、社会的な正義の名の下に正当化して交渉して勝っていくというのが交渉事です。  そういうふうに考えると、アメリカで実現できなかったマスキー法をいち早く先取りしてCVCエンジンを開発して、最も燃費の効率の高いエンジンを開発した日本車がアメリカ市場を席巻するという、そういう事態の流れを考えてみれば分かるように、むしろ私たちは安全や環境のルールを強めるように独自の自国の交渉をするべきだと思う、妥協ではなくて。むしろ、遺伝子組換え問題もそうですし、農薬の規制もそうですし、ここで強く自分たちの国が道義的に主張をすることに、訴えることによって、自国の農業を守り、自国の産業の優位を生かすように交渉するべきであるというのが私の考え方です。それは小規模農業や日本の物づくりの優位を生かしていく道であるはずなんですが、少なくとも、そういうところでむしろ妥協をしていくような姿勢になっていることに私はちょっと懸念を覚えております。  もう時間も過ぎておりますので、最後に。  TPP交渉の参加の過程で麻生財務大臣が、日本生命と組んでかんぽ生命がいわゆる医療保険分野に進出しようとしたことを止めてしまって、結果としてアフラックの代理店になってしまったという経緯を覚えていらっしゃる方もいらっしゃると思うんです。  これは交渉事ですので、日米構造協議の過程で、日本は国民皆保険なので、医療保険分野は日本の生命保険や損害保険会社は出られなかったわけですね。そこをアメリカに譲ったわけです。この状況の中で、アメリカは、医薬品、医療機械、医療保険という分野は競争上優位を持っていると考えているわけですね、戦略的に行動しているわけです。  そこで、混合診療みたいなことをやって、もう神戸の国際フロンティアメディカルセンターで大失敗をしていますけれども、こういうやり方をしていけば、自分たちでそっちへ突っ込んでいることが問題だと。そうすれば、保険外で診療する機関にお金を持っている人は行ける、そうじゃない人は行けない。大都市にそういう機関ができれば、みんながそういう医療を受けたいと思ったら医療保険に入らざるを得ない。すると、ほとんどそれが外資系の保険であるという状態。  一方で、保険財政をジェネリック医薬品に替えるといっても、特許権どんどん長引かせて、そういう医薬品の方で財政を圧迫してくる。そうすると、国民負担を増やすか。そうすると、真面目に医療をしている地方の中核病院になっているような総合病院とか公立病院とかいうのは、もう経営が成り立たなくなるわけですね。片方は救急医療に協力しないで、保険外診療でもうけ至上で走るわけですから。もう少し、産業の競争力といっても、国民全体の生活の向上を考えながら判断をするべき問題はたくさんあるだろうと。  そうすると、TPPでは今医薬品の知的所有権だけで、日本側が逆に医療保険分野をどんどん譲ったり混合診療みたいなのを積極的にやったりしておりますけど、幾つかの大手の病院見ていただければ分かりますけど、日本の医療機械は優秀な機械なんですけれども、かなり外国製がたくさん入るようになってきています、ドイツ製、アメリカ製。  そういうのを見ておりますと、本当に国益というものを口にするならば、産業の実態と利益をもう少し考えた行動や戦略を打ち出してほしいというふうに私は希望しております。  以上でございます。
  9. 柳田稔

    ○会長(柳田稔君) ありがとうございました。  これより質疑を行います。  質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。  委員の一回の発言時間は答弁を含め十分以内となるよう、また、その都度答弁者を明示していただきますよう御協力をお願い申し上げます。  質疑及び答弁とも、御発言は着席のままで結構でございます。  まず、大会派順に各会派一人一巡するよう指名いたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  山田修路君。
  10. 山田修路

    ○山田修路君 参考人の皆さん、どうもありがとうございます。石川県の山田と申します。  TPPについて御説明いただきましたけれども、内田参考人、それから金子さんからもちょっとお話があったんですが、お三人にまず一つ。  二つ質問があるんですけれども、菅原さんも含めて三人にまずお聞きしたい第一点は、先ほどもちょっとお話がありましたケリー国務長官とカーター国防長官が論文を載せたということですね。アメリカにとっては、中国と安全保障の面でアジアで闘っていくためにTPPをやらなくちゃいけないという趣旨の話です。それからまた別の論者は、AIIB、アジアインフラ投資銀行ができてアジアが中国ベースの経済圏になってしまう、これと対抗するためにはTPPが必要なんだと、こういうことを言う方もおられるわけですけれども、このことについてそれぞれどう思われるか、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、もう一回お聞きをしたいと思います。  アメリカにとっては中国というのが確かにそうかも分かりませんけれども、先ほど金子先生もおっしゃいましたけれども、日本はTPPもやり、RCEPもやり、日中韓もやっているということであれば、やはりそういう安全保障とかAIIBということよりも、日本にとってやはりいい経済圏をつくっていく、中国を引き入れた国際市場をつくっていくと、そのことをどうやっていくかということがやっぱり一番大事なんで、安全保障とかAIIBの話というのはやっぱりちょっと違う話じゃないかなと私は思っているので、その辺についての御認識をお聞きしたいのが第一点です。  それから二点目は、特に内田参考人と金子参考人にお聞きしたいんですけれども、今ほどいろいろ問題点指摘されて、私も元々いろいろ問題点があるということで議論をしてきた立場なんですけれども、最近の政府の対応では、例えばISDSについても、濫用を防ぐような交渉を今やっていますとか、問題起こらないようにやっていますということで、なかなか議論がかみ合っていかない状況にあります。  そういう状況の下で、どういう結果になろうがやっぱりここは問題なんだという、結果次第では何とか逃れられるかもしれないよということでなく、やっぱりここはどうしても問題だということがあれば、お話を内田さんと金子さんにしていただけたらと思うんです。  この二点です。お願いします。
  11. 菅原淳一

    ○参考人(菅原淳一君) ありがとうございます。  私は一点目だけということですので。  おっしゃるとおりで、AIIBとか中国の問題ということかと思いますけれども、例えばTPPとAIIBというのは、これは相互排他的なものでは当然ありませんし、互いにぶつかり合っているものでもないというふうに考えております。  また、先ほど私も冒頭のプレゼンで申し上げましたけれども、基本的には今現在のルール作りをめぐる競争と協調の時代と申し上げましたけど、競争が起きているというのも確かだと思いますが、御指摘あったように、日本はTPPにも参加し、RCEPにも参加し、日中韓FTAも進めているという状況ですので、これはやはり三つを整合的に協調させてやっていかなきゃいけないというのも事実でありますので、日本としてはこれを例えば中国封じ込めといったような捉え方はすべきではないし、実際にはしていないと思います。むしろ、どうやって日本が主導してつくり上げていくアジア太平洋の経済秩序の中に中国を招き入れていくかということを考えていくということが重要であるということだと思っております。
  12. 内田聖子

    ○参考人(内田聖子君) 一点目の件ですけれども、アメリカの中では、政府は交渉を早く妥結したいので、様々な側面から、TPPはいいよということや、さっき紹介した、これはアメリカがイニシアチブを取るために必要だという、様々なアピール活動をUSTR、それからオバマ大統領自身も、もうずっとこの間、特に今年明けて以降はありとあらゆるアピール合戦をしているわけですね。その中で先ほど紹介した発言が出てきて、この発言だけではなくて、少し前からそのような安全保障と一体論というんでしょうかね、出てきています。  ただ、元々はやはりこの問題は、貿易と安全保障というのは別問題ですので、私は分けて議論するべきだと思いますし、率直に申し上げて、雇用が増えるとかいろんなメリットを次々とオバマさんがアピールしても、それは国内からすれば即座に反論されて、もう切るカードがなくなるという中で、いやもうやはり安全保障にも重要だというふうな言わば苦し紛れのアピールというふうな面が強いと思っています。  AIIBなどに関してのコメントについては、もちろん中国との関係を日本はきっちりと付けていかなければいけないと思うんですが、やはりTPPというもの、枠組み自体が、中国の側から見ればどのように映るのかということは我々きちっと認識をしておくべきだと思います。  アメリカにとってみればTPPはもちろん対中国の戦略として位置付けられていますので、そこに日本が入っていて、中国も今後TPPに入るのかは分かりませんけれども、やはり私は、日本という国はやっぱりアメリカと一緒になっていろんな面で進めていくんだなというふうに認識されているんじゃないかと思うので、まずはいろいろ、歴史認識も含めてきちんとした外交関係を中国と取り戻していくということが必要だと思います。  それから二点目なんですが、これはISDに限らず、絶対TPPで問題だという点という御理解でよろしいでしょうか。
  13. 山田修路

    ○山田修路君 はい。
  14. 内田聖子

    ○参考人(内田聖子君) 幾つかありますけれども、私は、やはり中身の問題を議論する以前に、やはり秘密交渉であると。非常に厳しい保秘契約が交渉参加前に契約書という形で取り交わされて、しかもその契約自体の中身すら私たちには教えてもらえない。つまり、何と何が秘密にされていて、秘密を破ったらどうなるのかという契約の中身、それ自体も分からないという交渉の在り方は大問題だと思いますので、まず入口の段階で絶対にこれは受け入れられない問題だと思っていますし、やはりTPP交渉は高度な自由化ですから、前提として関税は撤廃なんですね。元々WTOというのは関税の削減交渉でした。それぞれが交渉の中で歩み寄っていくというところを目指していたわけですが、それではうまくいかないので、TPPではもう極端な自由化というふうに元々の目的が設定されているんですね。ですから、やはりこれでは最終的に関税は全てなくせという議論の土俵にのるということですから、やはりこの二点ですね。もちろん、ISDとかいろんな中身の問題というのはあるんですが、前提としてはその二点です。
  15. 金子勝

    ○参考人(金子勝君) リアルな現実政治としての認識としては、明らかに、アジア全体として、成長している、昔は東南アジアと言っていましたけど、アジアを中国が取り込むのかアメリカが取り込むのかでせめぎ合いが起きているというのはリアルな認識だと思うんです。  それがなぜ激しいかということの歴史認識は、大恐慌以来の百年に一度の経済危機で、今アメリカが金融緩和の縮小をしたことによって、中国、ブラジル、アルゼンチン、インドは若干持ち直していますけど、それからオイルがそれでおっこってロシアが駄目になってEUもデフレに入りかけたりしているという、すごい長い停滞の時期に入っているという中で、世界中の中央銀行が政策金利がゼロでじゃぶじゃぶに金融緩和しているという、まさに異常な歴史的な転換期の中で勢力争いが起きている。戦前はこれはブロック経済でしたけど。そういうリアルな認識はやはり持つ必要があると。  その上で、日本はどっちに付いていくかという発想を取らないことが戦前の教訓を踏まえることだと。そうすると、自国が主導して道義的な主張、例えば安全や環境のルールについても、もし交渉で加わるんであれば、道義的に自分たちの正義をむしろ堂々と主張しているように見えないことが問題なんだと思うんです。TPP以外に、もう今の状況じゃ考えにくいですけど、日米FTAだって選択肢ではあり得たわけですよね。そうすれば一割ぐらいのゆとりがあったわけですよね。そういう幾つかの選択肢を自ら摘んでしまっているのは、日本の自立した判断と道義的な正義を主張していないからだというふうに私は思っているんです。  もう一つは、ISDSを防ぐ手段というときに、現状で最低限考えられるのは、過去、北米自由貿易協定、つまり適用される国が法整備が整った国にも行われるようになるのであれば、裁判制度がアメリカ国内で裁判手続が行われて、相手の国を企業が訴えて相手の国の制度やルールを変えるというのは、明らかに一つの国が別の国の主権を侵していることになります。  もし、そういうISDSに関して調停のルールを作るのであれば、フェアに、アメリカ国内ではなく第三国、あるいはアメリカ国内にあっても運営する主体が、きちんと全ての主体がコミットし、フェアな人選とフェアな透明な運営ルールというのが最低限確保され、そして裁判手続に至らない場合でも紛争処理機関が、手続がしっかり形成されるべきだと思うんですよね。ところが、そういう機関の形成がないまま強行するということは、事実上アメリカのルールを押し付けるのと同じことが起きるというふうに判断して間違いないと思います。  もし、日本の政府が正当に自分の自主的な判断と主権を持っているならば、フェアなISDS条項を実行するに当たって、全ての国が納得するフェアな国際的な処理機関をつくるべきであると、このTPPに関して。そういう人選や制度やルールについてきちんと話し合ったという形跡が見られないのと、国際的に自らそういう主張をしていないので、私は懸念が現実化するというふうに考えております。
  16. 山田修路

    ○山田修路君 ありがとうございました。  終わります。
  17. 柳田稔

    ○会長(柳田稔君) 小林正夫君。
  18. 小林正夫

    ○小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。  今日は、参考人の皆さんに大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。  私、TPPの締結というのは、我が国にプラス面ももたらせばマイナス面もあると、このように考えております。  そこで、雇用について菅原参考人にまずお聞きをいたします。  TPPの締結によって海外の安い労働力が入ることになって、労働者全体の賃金だとか労働基準が切り下げられる、こういうことになるんではないかと思いますけれども、このことに対してどういうふうに感じられているのか。仮に労働者の賃金切下げや労働環境の悪化が起こり得る、こういうことであるならば、事前にそれを予防する策はあるのかどうか、この辺についてお聞きをいたします。
  19. 菅原淳一

    ○参考人(菅原淳一君) ありがとうございます。  まず、今の御質問ですが、前提としてTPP参加によって安い労働力が入るということが言われているわけですが、私自身、なぜTPPによって安い労働力が入ることになるのかというのは若干理解できておりません。  と申しますのは、そもそもTPPにおいては、単純労働を認めるといったような条項は入らないということになっております。基本的に、雇用に関するというか労働に関するものといえば、例えばサービス貿易分野でそのサービスを提供する方を一時的の入国を認めるということでございますが、これらに関しては、基本的には例えば弁護士とか会計士とかの専門職業サービスを中心とするというものでありまして、単純労働者を受け入れるものではないということであります。ただ、一部、看護師、介護士等で二国間EPAで受け入れているというケースがございますが、これらについても、賃金についてはしっかり国内で国内並みということが確保されているというふうに理解しております。  それから、あと労働というチャプターがあるわけですが、これは一部誤解を受けているところですけれども、これについては、基本的には労働基準をしっかり守りましょうという章でありまして、要は、外資を誘致する際に、労働基準を引き下げるからうちに投資をしてくれというようなことはしてはいけないと。ILO等の国際的な機関で守るべきとされている労働基準をしっかり守りましょうというものでありますので、こうしたことから考えると、安い労働力が入ってくるということはなかなか考えにくいのではないかというふうに考えております。  雇用に関しては、当然のことながら、先ほど内田参考人の方から、アメリカはTAAというのは雇用が失われる前提だよというふうにおっしゃっていましたけれども、これは雇用が失われる前提ではなくて雇用調整が行われる、つまり、ある産業は当然TPPによって打撃を受ける、ところがある分野は伸びる、その打撃を受けるところから伸びる分野へと雇用が円滑に移動するようにという形で行われるのがTAA等の調整でありますので、そういった意味で、ある分野は当然雇用が失われる、賃金が引き下げられるということが起こると思います。ただ、それに代わる雇用が伸びる分野というものをしっかり育てていくということが必要であるということであります。  これらについては、TPPというと何かTPPが万能薬のように語られることが多いんですが、TPPというのはあくまでも政策の一手段にすぎないわけで、TPPで何でもかんでもできるわけではない。TPPのような通商協定がしっかりとその効力を国民一人一人、また大都市だけじゃなくて地域、地方へとメリットがあるようにしていくためには、適切な国内政策が伴わなければできないというのはもうこれは明らかなことでありますので、そうしたことに関しては、TPPだけではなくて、先ほど最後に申し上げましたが、適切な国内対策、政策が伴う必要があるということだと思っております。
  20. 小林正夫

    ○小林正夫君 内田参考人にお聞きをいたします。  著書の中で、雇用、保健医療、食料自給など、命に直結する分野で私たちを守る法律や制度を国内外の両面から破壊する、このように述べておられました。しかし、政府はTPPを結んでも国民の生活が破壊されるようなことはないと、こういうふうに説明をしているわけなんですが、特に雇用分野ではTPPによってどのような懸念が持たれるのか、この辺について教えていただきたいと思います。
  21. 内田聖子

    ○参考人(内田聖子君) 先ほど申しましたように、私は、アメリカの社会の中で、さっき申し上げたように、NAFTAで雇用が失われたというお話しましたけれども、やはり同様の懸念を、日本社会の中で起こり得ると思っています。  今、菅原参考人の方から、伸びる業種もあれば失う業種もあるというふうにおっしゃられましたが、私は、人間というのはそんなに簡単に、こちらで職がなくなったからこちらにあてがいましょうというようなのは現実的にやはり無理。  政府は、一度農業全体の中で、例えば北海道やどこかでたくさんの雇用が失われる、その失業した農業者たち、それから農業の関連産業に従事している方々、職なくなるじゃないですかということに関して、いや、どこか工場で働けばいいじゃないですかというようなことをおっしゃっていたんですが、それって現実的ですかということは問わざるを得ませんし、先ほど言ったように、私は海外からの投資というものも呼び込むだろうということは認めますが、それは日本全国に均一に投資が行われるということはまず考えられなくて、それこそ大都市部、少なくとも百万人以上の都市部などに限られるのではないかと思いますので、むしろ地方にとっての打撃の方が大きいんではないかというふうに思っています。
  22. 小林正夫

    ○小林正夫君 金子参考人にお聞きをいたします。  金子参考人は、二年前の講演で、知的所有権の中で重要なのは薬である、我が国に米国の医薬品や医療機材が入ってくると国民皆保険が脅かされると、このように述べていらっしゃいました。  TPPは我が国の国民皆保険にどう影響を与えるのか、先ほども少しお話がありましたけれども、もう少し教えてください。
  23. 金子勝

    ○参考人(金子勝君) オバマ大統領は、自国の国内で低所得者に公的な医療保険を拡大しようとしていますので、直接国民皆保険を壊すということは主張はしていないと思います。  結果として、アメリカが競争上優位にあるのが、先ほど申し上げたように医薬品、医療機械、それから保険分野なわけです。これは過去、貿易交渉で、もう先ほど申し上げたように、保険分野でかなり譲ったりして、むしろ割り当てて独占状態をつくってしまったわけですね。こういう過去に禍根を残すようなことをしてきたわけです。  医薬品も医療機械に関しても、政府は成長戦略と称して審査基準を緩めれば日本の医療機械メーカーが育つんだという言い方をしているんですけど、事実上全く関係なく、外国の医療機械メーカーも同じある意味では効果を持つわけです。審査を規制緩和すれば何か日本の医薬品や医療機械メーカーが育つというのは幻想で、むしろそういう分野にどんどんどんどん入ってくるんです、競争上強い分野が入ってくる。これは統計で私が確認したわけではないので、正確なことはむしろ皆さんに調べていただきたいんですけど、大手の病院でドイツ製やアメリカ製の医療機械が、同じ日本製の機械があっても、かなり入るようになってきています。  それから、薬も、日本の医療メーカーは合併合併を繰り返して研究所を閉じて、ある意味でMアンドAみたいな方式で外国のベンチャーを買っているんですけど、二〇一〇年を境にして、そこで医薬品の特許が、日本のメーカーが持っている特許が大量に切れてきたんですね。むしろ、MアンドAでやっても、そんなに薬の開発が成功した事例がないんですね。  そういうふうに考えますと、ファイザーみたいにでかい企業は、ある意味で絶えず薬を作っていかないともたないほど巨大な企業になってしまっているので、特許権を長くすることが非常に彼らにとって利益になる状況なんです。片方で、インドのメーカーが、ジェネリックの会社がエイズの薬をすごく安く作ってしまい、それをアメリカの医薬品メーカーが訴えたんですけれども、南アでこれだけの人を救うのに何でそんな高い特許料を払うんだと開き直って、裁判で、アメリカ企業はどんどん特許料を落としていかざるを得なくなっちゃったんですよね。  そういうプロセスを考えると、特許権をどれだけ保護するかということに絶対的な基準はむしろないわけで、日本は日本の利害として、日本の医薬産業を育てながら、日本の国民が健康保険上の負担が少なくなるようにするということが望ましいことだというふうに考えるわけです。  その上で、国民皆保険に影響を与えるといったときに、保険財政を良くするときには先端の医療を保険内に、まあCTスキャンとかMRIとか入ってきますよね、こういうものを入ってくるのが医療費を伸ばす。それからもう一方で、医療機関に払う診療報酬が伸びていく、あるいは、患者のあるいは利用者の保険料と負担が減っていく、これが医療保険を悪化させるわけですよね。  そうすると、これを保険外診療に追い出す、負担をこちらで増やす、診療報酬を抑えるということをやっていきますと、満遍なく全体が我慢する構造にならないんですね。特に低所得者は医療が受けられなくなる、保険外診療だと。もう普通の人は標準医療、ミドル以上はアメリカ製の医療保険に入って先端医療を受けられる。そういうところは、外国の、ある意味で審査が簡素化されて認定されていない保険外の医療機械を使ってばんばんやる。  小泉改革のときに、まあ歯医者さんは非常に過剰なんですけど、今インプラントとか保険外でやっている人たちが、一、二割がもうかっているだけで、八割方はもうすごい、機械の更新もできないような状態になっているわけで、こういう医療機関の中でも格差が広がる。地方の場合には特に、救急医療を担当して、中核病院が保険外診療なぞをなかなかできないでやっていって、これで保険財政が悪化して診療報酬を抑えるということになれば、更に一段と地方の病院の再編みたいなことが起こらざるを得なくなってくる。  そうすると、こちら側で負担をしている人たちに負担を大量に求めていかざるを得なくなると、また低所得者層の負担減免みたいなのをどんどんなくしていかざるを得ないという形で、医療機関も地域も個人も格差が広がることによって、今の医療保険の空洞化みたいなのが更に加速してしまう。あるいは、住んでいる地域によって著しく医療において格差が生まれるということが生じるんだと。これは、TPP本体だけじゃなくて、TPPの交渉に伴って日本側が譲るという形で実現している、そういう部分も併せて考えていかないと、この状況を止めることはなかなか難しいんではないか。  それは、二〇〇〇年代の半ば過ぎ以降、非常に地方で顕在化した問題を更に悪化させると、本当に住めなくなってしまう。農業も含めてですけれども、雇用が壊れて、医療が壊れて、教育が壊れたら、多分その地域はもう住めないので、どんどんどんどん衰退してなくなっていくしかないということがより一層加速してしまうので、私はそういうことは、今の地方創生とわざわざ言わざるを得ないようなこの状況を考えるならば、やはり国会議員の方々がしっかりと効果を検証しながら、交渉に対してきちんとチェックをしていくということが求められているんではないかなというふうに考えております。
  24. 小林正夫

    ○小林正夫君 ありがとうございました。
  25. 柳田稔

    ○会長(柳田稔君) 河野義博君。
  26. 河野義博

    ○河野義博君 公明党の河野義博でございます。  今日は、参考人の三先生方、貴重な御提言をありがとうございました。  TPP交渉参加に当たりましては、前提六条件を付しまして、例えば聖域なき関税撤廃はやらない、また国民皆保険を守る、そして食の安心、安全を守る、国の主権を損なうようなISD条項はやらないと決めて交渉参加したわけでございます。また、その後、衆参両院の農水委員会で全会一致をもって十五品目を守るという決議もしております。そういった決議、決めたことを前提に交渉が行われているということが大前提なわけではございますが、守秘義務協定ある中でございますけれども、適時適切な情報開示を求めながら、この大前提が、しっかり約束が実行されているのかというのを我々が本当に検証、不断の作業をやっていかなければならないと思っております。  その上で、いろんな今日御指摘いただきました御懸念、これを払拭していく努力も併せてしていく必要があると承知しておりまして、様々な御懸念の中でちょっと具体的な例を挙げて教えていただきたいんですけれども、まず金子先生に伺います。ISDS条項でございます。  私自身も前職、海外のインフラに投資をしておりました。不可抗力ですとか制度変更、法律変更というのは、契約の中で様々落とし込んでいって、誰かにリスクを取ってもらうように分散をさせていく、取ってもらえないところをぎりぎりの線で自分たちでリスクを取っていくわけですけれども、そうはいっても、最後の最後、後ろにやっぱり投資協定が結ばれていてISDS条項があるというのは、一定の安心感を持って投資ができたという事実もあるわけでございます。  今日御指摘をいただいている主な論点というのは、やっぱりアメリカの制度が日本に一方的に押し付けられていく、今までは途上国をメーンに考えていたものが、これが先進国同士の関わりにもつながっていくんだという御指摘をいただいておりますが、どういった具体的に懸念を我々考えておく必要があるか、身近な例をもってちょっと幾つかお示しをいただけたらなと思います。
  27. 金子勝

    ○参考人(金子勝君) ちょっと具体的な会社名は忘れちゃったんですけれども、アメリカのある州の、多分、内田さんの方が詳しいと思うんですけれども、廃棄物というか汚染物の処理で、カナダ国内でやったんですけれども、それがカナダ国内の基準に反しているというので、それを持ち出す際にカナダ政府が差し止めたんですね。それで訴えられて損害賠償を引き起こされて、カナダ政府の環境基準も下げられてしまうと。  内田さんが挙げられている事例は、アメリカのメタルクラッド社ですか、これがメキシコで廃棄物処理施設の建設認可を受けたんですけれども、これが健康被害が出るというので差し止めたら、今度は逆に訴えられて賠償を取られるという事例とか、およそそういう事例が多く出ていまして、環境基準とか安全基準をめぐるトラブルが北米自由貿易協定の場合には頻発して、それが訴えられ、損害賠償になると。  そういう事例に将来も限られない可能性もあり得るので、現状で起きている事例は、そういう事例が幾つかもう既に出てきているんですけれども、それが極めて重要だと思うのは、日本の場合には、先ほど申し上げたように、環境や安全というのが日本の製造業、工業、農業の競争力の多分源泉になっていくんだと思うんです。特に自動車、それから農業その他の分野はそうだと思うんですよね。そこのところが揺らいでしまうというのはまず問題だし、さらに、アメリカ国内で起きているようなトラブルが相手国に出たとき、これから似たような損害賠償を求めてくるような事例が発生しないとも限らない。それは我々が将来起こる可能性として考えなきゃいけない分野であって、現状では環境や安全を中心にしてそういう損害賠償や制度やルールの引下げというのが起きていますと。  アメリカは、特に自動車で部品に関して安全基準を下ろすように要求してきているのは、日本の製品が安全とか燃費の効率とかいう点で圧倒的な優位にあるからなんですね。それは我々がよく見ておかなければいけない事例で、なかなか触れない。例えば、アメリカ企業が来て、それを何か禁止したり何かの処置をとったら、訴えるぞになるわけですよね。それを日本の国内で裁判ができない、アメリカ国内で裁判で決着付いてしまうということが起こり得るということなんですね。  そこのところをどの程度防ぐのかということについて、今の日本の政府の想定では、途上国の法整備が整っていない国を前提にした構えしかないけれども、我々は先進国同士で、とりわけてアメリカとカナダの間で起きたように、日本とアメリカ企業、政府の間で紛争が起きたときに、ISDS条項、今のままでよろしいんでしょうかと。少なくとも、僕はこのISDS条項には反対ですけれども、仮に認めるとしても、さっき申し上げたように、きちんとしたフェアなルール、フェアな人選、透明なルールというのが確保されている必要があるんではないのかというのを私が申し上げたいと思う点なんです。
  28. 河野義博

    ○河野義博君 TPP交渉と並行しまして、ISDSの透明なルール作りというのは貴重な、大変大きな課題だと思いますので、しっかり取り組んでいくべきだと思っております。ありがとうございました。  内田参考人に続いて伺います。  今日、様々な御懸念伺った中で、やっぱり特に雇用の問題を指摘をしていただいておりました。事前にいただいた書類の中では、安価な労働力が入ってきて雇用が失われて大変だという御懸念だったと承知をしているんですけれども、TPPの中での労働問題というのは、高度な技術者、人材に関する議論であると私承知をしておりまして、労働市場を全部開放するといったような議論ではないと思っております。  また、万々が一、仮にそういう交渉が進められていた場合にも、当然国内法で、批准手続もありますし、変わる場合には国内法も変えなきゃいけないという中で、労働市場が全面開放されるかというと、なかなかそうは考えづらいんですけれども、ちょっともう一度改めて、どういった御懸念を雇用に対してお持ちなのかというのを教えていただければと思います。
  29. 内田聖子

    ○参考人(内田聖子君) 先ほどもお答えしましたが、改めてお伝えします。  おっしゃるように、TPPそのもので安い労働力が大量に日本に入ってくるという話ではなくて、金子先生も御指摘でしたが、今、私、問題は、TPPで交渉されているような分野と関連して、日本の中で言わば先取りというか、TPP妥結ということとリンケージするような形で様々な規制緩和策が取られているということなんですね。これは医療などの御説明、先ほどありましたけれども、例えば今、労働者派遣法の問題などもそうですけれども、これはTPPによってということではなくて、むしろ日本国内の中で働く環境、働く条件というのがどんどん切り下げられてきているのではないかというふうに懸念しています。  今も当然、様々な国、国籍の方が日本でも働いているわけなんですけれども、私は、政府の人がおっしゃるように、TPPは確かに労働環境という基準は、形式的にと言うとあれですけれども、高い水準、つまり、きちんとしましょうという議論がなされているそうです。  ただ、ここに問題があって、実際のその運用される現実の姿というのがどうなのかという懸念です。例えば今、日本にも国内法として労働基準法等々ありますけれども、実際にこれ全ての企業できちんと守られているのかと言われれば、疑問を感じざるを得ません。  ですので、今国内で進んでいる労働法制の、私からすれば改悪と思いますけれども、そういったこととリンクをして、グローバル化の中ではやはり低価格競争というふうになっていくわけですね。資源の調達や労働力そのものもやはり安い方へ安い方へというふうに流れていきますので、更に日本における労働基準、それから働く人たちを守る様々な規制というものが切り下げられていくのではないかという懸念です。
  30. 河野義博

    ○河野義博君 時間が参りましたのでコメントだけですけれども、国内の労働法制とは全く別の議論だと思いますので、分けた議論が必要ではないかなという感じがいたしました。  また、守秘義務協定で外した形で交渉に参加という御提言もありましたが、今国際交渉において守秘義務協定を結ばずに国際交渉を進められるとは私は到底思えませんし、また、後から参加した国が既存の国に対して今ある守秘義務協定を外して交渉に参加させてくれと言ったからって入れる可能性というのは極めて低いんだろうなという思いがいたしました。  今日はありがとうございました。
  31. 柳田稔

    ○会長(柳田稔君) 柴田巧君。
  32. 柴田巧

    ○柴田巧君 維新の党の柴田巧です。  今日は、参考人の先生方、本当にどうもありがとうございました。    〔会長退席、理事小林正夫君着席〕  まず最初に、全ての参考人の方にお聞きをしたいと思いますが、第一点目は、このTPP交渉の情報開示あるいは国民への説明ということでございます。  先ほどのお話の中で、参考人の方々全て、例えば菅原参考人であったとすると、国民への正しい情報の提供と十分な説明ということをお触れになりました。また、あとのお二人も、秘密主義、秘密協議ということで、今のこのTPP交渉をめぐる情報開示あるいは情報提供の在り方について問題点として指摘をされたかと思っております。  先ほど民主的コントロールという言葉も使われましたが、このような重大通商交渉に当たってはやっぱりそういう民主的なコントロールが必要だと、また我が国の民主主義、民主政治、議会政治というものが試されているというふうにも思っております。  私どもは、先ほどもお触れになりましたが、このTPPに関して政府の国民に対する情報の提供の努力義務及び国会に対する報告義務などを定める法案を既に提出をしている立場ですが、いずれにしても、まずは国会議員に対しての情報開示というものを政府は真剣にやっぱり考えるべきときに来ていると思います。  西村内閣府副大臣がこの前そういう趣旨の御発言をされて撤回をされましたが、アメリカではテキストには何らかの形で国会議員はアクセスできるわけです。もちろん、日本とアメリカの議会の在り方、権限の在り方は違いますが、そういうことができるということですので、日本でそういう国会議員に、国会に情報を開示するにはどういう手だてがあり得るとお考えなのか、この点、お聞きをしたいと思います。  それで、特に内田参考人は、先ほど私聞き漏らしたのかもしれませんが、オーストラリアでも議員に開示を開始をしたということですが、実際にどのようにやっておられるか、併せてお聞きをしたいと思います。  それと、国民への説明ということ。先般も公開説明会初めて行われましたが、周知も十分ではないし、中身的にも十分なものではなかったと承知をしておりますが、もちろん通商交渉ですから手のうちを全てさらけ出すというわけにはいかないとは思いますが、やはり丁寧な説明が、東京のみならず、例えば地方で開催をするとかインターネットを活用するとか、いろいろ丁寧な説明があり得ると思っていますが、具体的にどういう手だてを講じていけばいいか、併せて三人の参考人の方々にお聞きをしたいと思います。
  33. 菅原淳一

    ○参考人(菅原淳一君) ありがとうございます。  この点につきましては、私、最初のプレゼンでかなり詳しく意見を述べさせていただきましたので若干繰り返しになるかと思うんですけれども、やはり私自身は、先ほど内田参考人から、ここまでの保秘が厳しいものはないというお話があったんですけれども、他のEPAに比べるとというあくまでも比較の問題ですが、政府としてはできるところはやっているんだろうな、ただし、それは十分ではないという認識を持っているというところでございます。  具体策というところですが、これについては、もう実は現行法でもできるというお話もあるんですが、私、残念ながらそこの点詳しくはないんですけれども、やはり例えば秘密会における政府報告を義務付ける、その中での議論を行うということも一つでしょうし、守秘義務を掛けての国会議員によるテキストの閲覧を認めるというのもまた一つの手ということだと思います。  アメリカの現在審議されているTPA法案というのは、例えば署名の六十日前には合意内容をUSTRのホームページに載せなきゃいけないとか、そういったことまで決まっているということですので、日本としてはまだまだ情報開示については努力できる点が多くあると思います。  説明会等につきましては、私も先日の一般説明会へ参加いたしましたけれども、あれはたしかインターネットでも見られるようになっている。この会もたしかインターネットで見られるようになっていると思いますけれども、そういった形で、やはり地方をどうフォローするかというところは、まずはインターネットの活用というのはあると思うんですけれども、民主党政権下ではかつてタウンミーティングというのもやっていたと思うんですけれども、ああいった形でやはり政府の方から各地方に出向いて説明会を行う、意見聴取を行うと。ほかの案件では地方公聴会というのもやっていらっしゃると思いますので、そういった形でやるといったような様々な方法があると思います。  ただ、委員御指摘のように、外交交渉ですので、何でもかんでもオープンにするというのは、これは逆に日本の国益を損ないかねないことですので、そこはしっかり担保した上での話ということになるかと思います。
  34. 内田聖子

    ○参考人(内田聖子君) まず、アメリカの状況とオーストラリアのことを少しお話しすると、アメリカは二〇一三年時点から国会議員に対して、厳しい条件の下でしたけれども、テキストの閲覧を許してきました。ですから、日本政府も入る時点でそのことは把握されていたのではないかと思います。今年になって、TPA法案が出されるんじゃないか、そして妥結が近いんじゃないかと言われるようになって、同時に国会議員からの開示の要求というのも非常に高まっておりましたので、今年の三月の時点で、USTRは全ての国会議員にテキスト全文を閲覧自由にする、随行するスタッフも許すというふうに条件を大幅に緩和したんですね。  それで、私自身は、これでたくさん国会議員は見に行っているだろうというふうに思ったんですが、実は、ザ・ヒルというアメリカの専門紙の独自の調査によると、この三年間、三月に緩和された後も含めて、上院で四十人、それから下院で三人、合計四十三人の国会議員がテキストを閲覧したというデータが出ているんですね。これは実は非常に少ないなという印象を持ちました。  逆に皆さんにお聞きしたいのは、もしそのテキスト見せますよと政府が言った場合、皆さん、イの一番に見に行かれますかということ、あと、日本の国会議員の方でどのぐらいの方が、よし全部読んでやろうと、千ページにも及ぶ膨大な分量ですが、おっしゃるのか。  何が言いたいかというと、今アメリカの国会議員の中の議論はこういうふうになっているんですね。つまり、テキストというのは現在作成中の条文案なわけですが、これは言ってみれば法律的な文章であって、これだけを渡されて読んでも正直よく分からないという意見もあるんですね。つまり、交渉というのはプロセスが大事ですし、どの国がどう言ったのかということはそこに書いていない、主張としては書かれていたとしてもですね。それから、アメリカとしては何をどう主張したのかということもそこには十分反映されていない。なので、テキストを見るだけでは不十分で、それに伴って政府から十分な説明をきちんと受けないと、これ、議員にちゃんと説明したということにならないというところまで議論が進んでいるわけですね。  ですから、一方、日本の状況はどうかというと、私も西村副大臣の発言で日本もいよいよ見せるのかと思いましたが、直ちに撤回されて大変残念な思いをしています。当然、議会と政府との権限の違いというのは日米であるんですけれども、私はいろんな手段を使って日本の国会議員の方が見ることができるように、むしろ見てもらうためにどうするかというふうに考えていっていただきたい。先ほどの秘密会ということも使えると思います。  そうしていると、今月に入ってですけれども、オーストラリアの国会で国会議員がテキストを見られるようになりました。これは新聞報道、日本ではしていないと思いますが、海外の報道ではきちんと出ています。オーストラリアの議会は日本と基本的に同じですので、日本政府が制度が違うからできないと言うことはこの事例をもって覆されるのではないかというふうに思っています。  ただし、非常に厳しい条件は課されています。テキストを見る場合には、一筆書くというんですか、必ず漏らさない、しかも四年間、見た内容については絶対に公表しない、口外しない等々の誓約書のようなものを書いた上で閲覧できるようになったというふうに聞いています。ですから、日本もまだまだいろんな方策を使って国会議員の人たちが見ることはできると私は思っていますし、是非、議員の皆さんから声を上げていただきたいというふうに思います。    〔理事小林正夫君退席、会長着席〕  それから、地方の件ですが、確かに日本政府はこれまでも首都圏だけでなくて全国各地で説明会をやってきてはいますが、やはり不十分だというふうに思います。先日の説明会は、一般の人も入れて、インターネットの中継もしていましたけれども、やっぱり皆さん知らないんですね。ですから、まず説明の機会をもっともっとつくっていくこと。  それから、やはりその中身も、私もネット中継で見ましたが、大丈夫です、大丈夫ですということを繰り返されるばかりで、本当に懸念している方々の質問に応じるという中身ではなかったと思います。これはやはり秘密主義が根本にあるわけなんですね。  なので、私は全ての人たちに情報を公開されるべきだと思っておりますが、それが万一無理だとしたら、やはり最低限国会議員の人たちには見せる、そして説明をする。さっきのアメリカの議論で言ったように、ただ見ても分からないわけですね。  それから、テキストそのものはルールなどが書かれている文書で、実際、今農家さんが一番気にしている関税の率だとかというものは別個の文書としてあります。だから、これ両方とも閲覧可能にしなければ農産品の関税問題については分からないわけですね。ですから、そうした声を国会の中でも是非上げていただきたいというふうに思います。
  35. 金子勝

    ○参考人(金子勝君) 私自身は特に公開に関してお二方の参考人と異なるような新しい考え方を持っているわけではないんですが、一般論として考えると、二国間の交渉と違って多国間なので、ある一定段階で合意ができそうになった時点で覆すというのが非常に難しい性格のものだということを考えると、公開の時期と議論の時期というのはもう少し早くして考えるべきだろうと。だから、二国間の協議であれば締結するまで交渉でもんでいくことが可能ですよね。それで合意を作るということが可能なんですけれども、非常に多国間だと難しいので、その点を憂慮しています。  例えば、国会議員にテキストが公開され、秘密会みたいなのが行われたとしても、重要なのは、公の場で、先ほど出ましたけど、交渉参加六原則ということを公約に掲げた党もありますし、国会全体で重要五品目というのも出ていますよね。例えばそういう基本的な、それぞれの政党主張が違うと思いますけど、原則に照らし合わせて、抽象的なテキストでは不十分かもしれないけれども、守るべき線をどこに置くべきかということをかなり早い段階で協議をしないと、一定の合意に近づいた段階で公開されたのでは覆すのが非常に難しくなってしまうということを非常に懸念しております。  そういう意味では、早い段階で公開された方が広く議論がされて問題点も明らかになるし、交渉上も、政府が背負わなきゃいけないものがしっかり増えていきますので、しっかりした交渉をせざるを得なくなっていくだろうというふうに私は思います。  そういう意味では、今のまま行って、ある日突然出たときに、官僚も含めてですけれども、政府に対する国民の信頼が高いならばそれで許されると思いますけど、私は必ずしもそうではないように思うんですね。そうすると、後で、平成の不平等条約ではありませんが、明治維新で二十年掛けてそれを覆すプロセスがあるわけですけど、そういうことになりかねないので、早い公開というのは、信頼がそれほど高くない政府の下では、国会がしっかりとそういう議論をして、厳しい条件を、クリアすべき条件を具体的なところでより明確にしていくプロセスというのが必要なんじゃないか、そのことを背負って政府に交渉をしてもらうという、議会がたがをはめていくというプロセスが極めて重要なんではないかなというふうに私は思います。
  36. 柴田巧

    ○柴田巧君 ありがとうございました。  終わります。
  37. 柳田稔

    ○会長(柳田稔君) 紙智子君。
  38. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今日は、三人の参考人の皆さん、ありがとうございます。  早速ですけど、最初に内田参考人からお聞きしたいと思うんですけれども、国際NGOのネットワークにも所属をされて、交渉参加国のNGOの皆さんとも情報収集を努力をされてきたと思うんですね。  それで、私もこのTPPについては、最初はP4協定で四か国が始まった段階というのは、それぞれの小さな国がそれぞれの役に立つようにという話が出発だったと思うんですね。それがやっぱり、アメリカが入りいろいろ参加が広がってくる中で、ちょっと性格が変わってきているというふうに思うんですね。  やっぱり一番は、秘密の中で、非常にあらゆる分野に大きな影響を与えるにもかかわらず、肝腎なことが国民にも議会にも知らされていないという問題、非常に問題視しているわけですけど、内田参考人は度々この交渉のところに行って、それで各国の交渉官なども意見を交わされてきているというふうに思うんです。私なんかは、一体どういう人たちが来てどんな話になっているのかなというのは知りたいわけだけれども、日本にいる人たちは分からないわけですよね。そういう中で、内田参考人がステークホルダーの会員の参加資格を得て、そこで、資料で名立たる企業というか、いっぱい貴重な資料を出していただいたんですけれども、どのような交渉官なんかも話が交わされていたのかなというのは、ちょっと特徴的なことでいいんですけれども、紹介していただければなというふうに思うのが一つ。  それからもう一つ、事前にいただいていた参考資料の中で、米国で政府と民間企業の間の回転ドアのような往来が当たり前ということで紹介されていて、これって、私も実は以前びっくりしたんですけど、例えばカーギルの副社長がアメリカの農務省の責任にあって、言ってみればそういう企業のために役に立つようなことをしているんじゃないだろうかと思うような、利害関係なんかが如実に出るような人の行き来というのが政府の中で、例えばクリントン政権で財務長官を務めたロバート・ルービンさんが、いろんな会社の社長さんだったのが入れ替わって来ているだとかということも含めて、そういうやっぱり状況というのを日本の人って余り知らないんじゃないのかなということなので、そのことをもう少し詳しく話を聞かせていただければということが一つです。  それから、菅原参考人にお聞きしたいのは、先ほど来いろいろお話しになってきているんですけれども、TPPによってやっぱり国民生活が悪影響を受けるんじゃないかという不安が払拭されたとは言えないと。やっぱり国民に十分な説明をしなきゃいけないし、交渉に日本の意見を反映させることによって不安を払拭しなきゃいけないというふうに書きつつも、実態は今それ非常に不十分だということもお話しになっていたんですけれども、私もそのことは非常に、物すごいストレスが今あるというように思うんです。  それで、先ほど、TPPも含めて守秘義務というのはどこでもあるみたいな話があったんだけれども、そうじゃないんじゃないかなと。  私は、実はWTO協定の香港の閣僚会議のときに同時に並行で行われていた議員の会議があって、そこに参加することができたんですけれども、そのときというのは、局面局面で、話合いの状況が変わる局面に従って、日本からも外務省からも農水省からも行っていましたけれども、そのたびごとにちゃんと説明を、今こんなふうな話になっているということを教えてくれたんですよね。  そのときから見たら、今はもう全く、周辺のことは一生懸命言いますよ、周辺のことは言うけど、肝腎の知りたいところについては、確かに数字までは細かくは、そこまで詳しくはそのときは教えてくれなかったと思いますけれども、でも、もっとやっぱり踏み込んで、ちゃんとその情報を局面局面で、今どういう人たちがどういう主張をしているということなんかは教えてくれたんですよ。そういうときから見たら本当に今は格段の違いだなということを思って、この秘密主義は何なんだろうかというように思うわけです。こういうことをやっていたんじゃとても納得できないし。  それで、TPP参加によって国内市場が開放されればいろんな影響が出るから国内対策は絶対必要だというふうにおっしゃったんだけれども、一般論としてはそれで済むんですけれども、実際に、じゃ、どういう対応策取るのと、それによって本当にフォローできるのかということになったら、とても今の政府の言われている中身では納得できないというのが現場の声なんですよね。だから、フォローするということが本当に可能なのかということもどう思われているのかなということを聞きたい。  それから、金子参考人にお聞きしたいのは、さきの四月にワシントンで日米首脳会談が開かれました。その共同声明の中で、二国間がやっぱりリードして早期妥結に導くことで一致したというふうに言っていて、それで、TPPについては、地域の経済的繁栄のみならず、安全保障にも資するなど、戦略的意義を持つことを改めて確認したというふうに言っているわけで、私は、安全保障にも資するというこの言葉が今回日米首脳会談で入ったというのは非常に気になるところで、こういったことを含めてちょっと感想なりコメントなりをお聞かせいただければと思います。  以上です。
  39. 菅原淳一

    ○参考人(菅原淳一君) ありがとうございます。  私に対する御質問は二点というふうに理解しております。  まず、守秘義務の点でございますが、先ほども申し上げましたが、私が先ほど来申し上げているのは、これまでの日本のEPA交渉等に比べてということでTPP交渉について申し上げているということで、これはもう紙議員であれば御覧になっていると思いますけれども、例えば今、日中韓FTA交渉とか、現在京都で行われているRCEP交渉についてどの程度日本政府が情報を開示しているかというと、大体、会議が行われました、何々審議官が参加しましたというところで終わっていますので、はっきり言って、それらに比べれば相当程度TPPは情報が公開されているというふうに申し上げたということでございます。  おっしゃるとおり、WTOに関しては、日本政府も含め、もうちょっと大きな、何というんでしょう、透明度が高くなっておりまして、例えばドーハ・ラウンドにおきましても、日本政府はこういう提案をしましたという日本政府提案というのはホームページで読めるようになっていたわけですね。  そういった意味で、やはりこのTPPについては、結果はもちろん合意したら開示されるわけですけれども、交渉プロセスについてはその後四年間開示されないというふうに言われているわけで、我々はその文書を見たことないわけですけれども、そういったことがあるというのは、これは確かに、これは内田参考人からも金子参考人からも御指摘があったように、今まで見たことないということで、その背景には、これもお話あったと思いますけれども、やはりWTOやその他の交渉の経験から、全てをつまびらかにするとなかなか交渉がまとまらないというところからきているものというふうに私自身も理解しております。  ですから、これについては、先ほど御質問あったように、様々な形でもっと情報公開、透明性を高めるという努力が必要で、そのイニシアチブというのは国会が取るべきではないかというふうに私は考えているというところでございます。  国内対策については、フォローできるか、一〇〇%遺漏なくできるかと問われれば、それは多分できないところも出てくるのではないかと思います、これはやはり全体の影響を見た上での判断ということになると思いますので。ただ、これについてはやはりしっかりと国内対策をやっていくということなんだと思います。  ただ、そのときに、国内対策としてどんなものがあるかというところに関しては、ややひょっとしたら私はほかの二人の参考人や紙議員とは違う考えを持っているのかもしれません。  例えば、農業分野に関しては、例えば高関税を守るということが農業の保護なんだというお考えなのであれば、私はそれには賛成し難いというところでございます。関税というのは、当然のことながら消費税と同じで、これは最終的には消費者が負担するというものであって、消費者が負担する関税であるにもかかわらず、聖域五品目と言われるようないわゆる基礎的食料品を狙い撃ちする形で高関税を課している、この逆進性というのは消費税に比べても高いという指摘がなされているわけであります。そういった意味で、今の日本の高関税による農業の保護というのは低所得者層の犠牲の上に成り立っているというふうな言い方をされる方もいらっしゃるわけです。  したがいまして、国内対策としては、関税を引き下げた分はしっかりとした直接支払といったような形で行うべきということでありまして、一つ強調しておきたいのは、TPPに参加すべきだと考えている方の多くは日本の農業が潰れてしまっても構わないなどとは考えていません。日本の農業はしっかり守らなければならないというところは一致しているわけです。ただし、守り方が、高関税の維持なのか、それとも、やはりこれまで二十年それでやってきてうまくいかなかったんだから直接支払の方に転換すべきかというところに違いがあるということで、私が取るべき国内対策と言った意味はそういった改革を伴う国内対策であって、現状を維持するという意味での国内対策ではないということは申し上げておきたいと思います。
  40. 内田聖子

    ○参考人(内田聖子君) 二点ございますので、お答えします。  まず、交渉の現場なのですけれども、今日資料でお付けしたように、アメリカではTPPを推進する企業連合というのがアメリカが入った時点から組織されていまして、大体四十社ほどが、ラウンドと呼ばれる全体交渉会合がまだやっていた時期にはステークホルダーとして来ていて、私のパワーポイントの資料の、このカラーの方ですけど、六ページ目の上の方に、交渉会合の実態ということで、その場で撮った写真も付けておきましたけれども、こうしたブースの出展みたいな形でそれぞれの企業のプレゼンテーションを各国の交渉官に対してやっているわけですね。それからまた、企業同士のネットワークというのもこういうところで形成されていくということがあります。  私は、やはり最初にこのような場面を見て驚きました。過去の貿易協定の交渉において、企業もたくさんロビーしには行っていましたけれども、TPPの場合は公式にちゃんとこういうプレゼンをするような場が設定されていて、そこに登録する必要がありますけれども、半ばオフィシャルに商談のようなアピールができるということが実態なんですね。そこにも書きましたが、毎回の交渉会合にはステークホルダーとして大企業がたくさん訪れていますし、私が行ったペルーなどでは、公式な交渉会合とは別に、アメリカを中心としてほかの国の財界の関連団体などが共催する形で各国の交渉官を招いた会議を一日取っていまして、そこで何が言われていたかというと、もう一日も早く交渉を妥結してくれという大変強い口調の声明文が交渉官に直接その場で手渡されるということでした。  それから、もう一つ言うと、つい先日行われたハワイでの首席交渉官会合ありましたけれども、こうしたところにも、特に知財の問題が焦点化していますので、アメリカの製薬会社などはやはりその現場に行っていて、交渉がずっと何日間かある中で、随時アメリカの交渉官と密に連絡を取り合って情報収集しているというような姿もNGOの仲間から報告を受けています。  問題は、六ページにも書きましたが、実は全ての分野、全ての国の交渉官が集まるいわゆる全体交渉会合というのは、第十九回交渉、これは日本が入ってすぐの後の交渉ですね、二〇一三年八月のブルネイ、これを最後に一回も開かれていません。えっと思うかもしれませんが、その後開かれているのは各分野の交渉会合であったり、それから首席交渉官会合であったり、二国間であったりということで、同時多発的に様々行われているので、我々NGOが事前に情報を得ようとしても相当難しいです。これは、議員の皆さんも全ての種類の会合を、細かいことを把握されている方はほとんどいないと思います。  これ何が問題かというと、少なくとも全体交渉会合が開かれていた時期は、一か月から二か月前に場所と日程がきちんと公表されて、ステークホルダーとして登録することが可能だったんですね。ただ、十九回以降開かれていませんので、先ほど申し上げたように、きちんとそれぞれの国のステークホルダーとして登録をして質問をするというような機会もないわけですね。辛うじて行われているのは日本政府が現地で日本の関係者に対して行うブリーフィングぐらいですので、そこは日本政府にしか質問ができませんから、ほかの国の交渉官などに公式に説明することができないわけです。  それから二点目ですね。回転ドア人事というのは、これは知っている方はもうよく御存じだと思いますが、アメリカの政府の人と財界の人が回転ドアのようにぐるぐると人事交流しているというのは有名で、今のTPPの首席交渉官であるUSTRのフロマンさんも元々は金融の、ウォール街のザ・シティですね、シティグループの重鎮だったということもあります。  一つ制度的な違いを述べておくと、アメリカでは政府が任命する貿易アドバイザー制度というのがありまして、これは約六百人いますが、ほとんど、八割、九割が財界の方です。これは政府が自由に任命できる権利を持っています。この貿易アドバイザーというのは、TPPのテキストを、それぞれの専門分野に限ってということですが、いつでも閲覧することが可能です。ですので、これを知ったときに私も驚きましたけれども、一部の財界の人というのは公的にもテキストが見られる状態になっていますし、それから、見えないところででも回転ドア人事というものを使って、かなり日常的に細かい情報も含めて政府と通じているということは事実として指摘されています。  最後に、関連して言うと、つい最近、アメリカのNGOの知的財産ウオッチという名前の団体があるんですが、ここが、アメリカの情報公開制度に基づいて、USTRの担当者とその貿易アドバイザーの間で交わしたメール通信記録というものを情報開示請求して、四百ページ以上にわたる資料が出てきたんですね。ほとんど重要なことは黒塗りだったんですけれども、それはネットにもアップされているので我々も見ることができますが、私なんかもそれを見て、大変親密に、言ってみれば元同僚の人同士が仲よく話すというような雰囲気を伴って、例えばこの間の交渉会合はこうだったねとか、政府の人たちもよくやってくれたねと企業の人が言ったり、この間のこの交渉で、例えば製薬会社の企業であれば、知財の分野、テキストはどうなったのというふうに聞いたら、政府の人は、あっ、じゃそれは今から直接会って話せるので日程調整しましょうとかというような感じのメールのやり取りがかなり頻繁に行われているというようなことも確認しております。
  41. 金子勝

    ○参考人(金子勝君) 当初、TPPを議論するときに、アメリカもそうですけど、輸出が増えて雇用が増えると、日本も内閣府が試算をして、どのぐらい成長率を押し上げるかというような試算が行き交ったわけですね。結局、アジアの成長を取り込むというのが名目なので、RCEPが出てくるとこの理屈が成り立たなくなって、いわゆる経済効果に関する説明は著しく日米両国とも後退をしているように思います。  先ほど、輸出が伸びている十選挙区で支持する議員がほとんどいないというアメリカの状況も言いましたけど、現実には、世界経済全体が低迷している中で、政治的な中国との主導権争いというものが色濃くこの問題に影を落としていることは事実なんではないかなという印象を持っています。  その意味で、私が考えるに、もう少し経済的、あるいは我々の国の自主的な判断というものを尊重しながら、問題を個々に冷静に見ていく必要がないかと。つまり、政治的に、先ほど申し上げたように、アメリカに付くか中国に付くかみたいな問題にこの問題を解消せずに、賛成するにせよ、反対するにせよ、個々の交渉内容の条項がその国の経済や社会にどういう影響をもたらすかということを冷静に分析し判断する、それを賛成する人も弊害を防ぐために一生懸命努力するという状況が生まれることが望ましいというふうに、むしろ今の状況を良くないと思っているがゆえにそういう発言をしたわけです。  二番目に、非常に問題としてねじれているのは、アメリカが相対的にイラク戦争以降地位を落としてしまっていますので、影響力が落ちているので、アジアが言わば今ターゲットになっているわけですね。それは、EUがまたAIIBに入ってくるという組んずほぐれつの状況になってきている複雑な状況の中で、日本自身の置かれた国際競争上の競争力の低下というものを直視した方がいいというのが二番目の問題です、経済を考えるときに。  とりわけてアメリカが強い情報、金融、バイオテクノロジー、医療、医薬品、医療機械、その他の保険を含んだ金融も全部入れて、アメリカが望んでいる分野は、やはり制度やルールを囲い込むと極めて独占的な利益が生じやすい分野だと。それから、スパコンの発達とICTを使った先端の技術が進行している分野であると。そこでは、やっぱり制度やルールを握るということが戦略的に重要になっていると。その分野を我々が諦めてしまって、古い旧来型の分野で何とか有利にいこうとすればするほど、アメリカの中ではそういう分野で衝突する分野がTPPに反対に回るという構図になっちゃっているんですね。  実は、ねじれているんですけど、二重に、日本はもう少し先端的な分野でどういうポジションを取ってどういうふうに戦略的に行動すべきかということについて、実は非常に弱いんではないか。経済界も、政界、官界も含めてそういう戦略性が弱いために、日本は例えばIT、ICT分野、スパコン分野、こういう分野で決定的な後れを取って、携帯音楽プレーヤーから始まり、半導体、液晶パネル、あらゆる領域で非常に競争力を衰退させてきたと。真剣にその分野でどういう戦略を立てて反攻していくという戦略を立てていくことが重要なことなんじゃないかと。  もっと言うと、電力システム改革も含めて国内の改革はむしろそういうところに求められているので、そこをネグって、新しいインフラとしてのスマートグリッドであるとか、建物の構造のスマート化とか、そういう全体のスマートシティー化とか、そういうものの中に耐久消費財も位置付けられていくわけですよね。ところが、グーグルはもう自動車端末に考えているのに、幾らトヨタがいい車造っても、そういうシステムができたら、ちょうどアップルにソニーのウオークマンが負けてしまうようなプロセスが起きるわけですよね。そういう何か先を読んだ制度やルールのせめぎ合いということを本来は考えるべきだろうと。つまり、二重の問題がある、政治化しちゃっていることが問題だと。  本当に考えなきゃいけないのは、日本側が考えなきゃいけないのは、そういうことに夢中になることではなくて、日本がこの間衰退してきた産業をどういうふうに復活させていくかというところの中にしっかり戦略を持っているかというと、持っていない中で、TPPにずるずる巻き込まれていくと、本当の意味で競争力を育てることにはならず、旧来型の日本の産業が一部利益を得るだけで、日本全体は競争力を衰退させ、そして、実はそれはアメリカとの摩擦を決してなくさない、アメリカの中でもTPPの反対みたいなものを引き起こしていくという、何か非常に悪循環の構造にはまっているんではないかということを非常に憂えています。これは私の考えですけど。
  42. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございました。
  43. 柳田稔

    ○会長(柳田稔君) アントニオ猪木君。
  44. アントニオ猪木

    ○アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば何でもできる。日本を元気にする会、猪木ですが、最近私の元気も大分すり減ってきまして、あちこち手術をしたり、目の手術をしたばかりですが。  今回、本題に入る前にちょっと私事なんですが、この調査会でも話したとおり、三十年、四十年、発想が早過ぎるよと、今やっていりゃ大もうけができるのにねとよく言われるんですが、特にバイオの件で世界の食料問題ということで、サトウキビ、アルコール政策をブラジルが取って、その廃棄物を飼料に変える、牧草資源に変えるということにチャレンジをしまして、そのほかにモハメド・アリとの試合も大変好評でしたが、今になると格闘技の流れが全部変わってしまったという。  さっき金子先生もお話がありましたが、先を読むというか、その辺に日本の外交戦略が本当に欠けていたかなと。バブルの絶頂のときに、本当に日本人が世界を歩いて、農協さんに怒られますが、世界の農協ということで、まあ本当に棚から棚までグッチ、それこそ何かを買いあさったり、今中国人の方がやっているような形が、もっと規模は今大きいですけど。そんな中で、今回TPPの大変参考になる話を聞かせてもらいました。先ほどテレビを見ていたら、参考人の先生の意見が大変大事だなという、集団的自衛権のあれは違憲だということで大騒ぎになっていましたけど。  それはともかくとして、このTPPについても、一生懸命勉強はさせてもらったんですが、分からない点がいっぱいありますし、政府からの話を聞いても、とにかく一番この世界に入って思うことは、いかに我々が真剣に質問をしても、それをどうはぐらかすかみたいなことがあれなので、本当にずばり言わせてもらえば、ばかばかしいからもう質問もこの辺でやめちゃおうかなというような、あるいは、グーグル、ウィキペディアに出ている、もう私たちも取りあえず質問する以上は勉強させてもらいますが、そのままの答えが返ってくる場合もあります。そんな中で、本当に日本が今どう変わっていくかという一番大事なときに大変参考になる意見を聞かせてもらい、我々も、逆に言えば我々のファンあるいは支持者、そういう人たちに分かりやすい言葉でどう伝えるかということで。  一つ、私もアメリカの生活をしていましたし、今家族も向こうにいるのですが、やっぱり語学という問題が非常に大事だと思うんですね。それで、国際弁護士という、なかなか日本のまだ中で育っていない。リングで例えれば、リングに上がって自分だけのことを考えても勝てないし、相手がどう攻めてくるか、相手の立場になって自分を見るという、その辺が今一番大事な、このTPPにおいても、日本だけが今得か損かという議論だけがされている、向こうから見たときにどうなんだと。もう一つは、外交に勝利なしという言葉をよく使わせてもらいますが、相手の立場に立って、お互いにとってメリットがあるみたいな、その辺がいろいろお話を伺いながら今感じていたところです。  それで、一つは今の国際弁護士という部分、あるいは交渉力というんでしょうか、お三方にその辺について、日本の今ある形を御意見をお伺いしたいと思いますが。  それで、その後に菅原参考人にお聞きしたいんですが、先ほどちょっと話しました食の安全という問題で、非常にこれも、農業の経験もありますので、農薬をわあっと落花生を作ったり綿を作ったときにやっておりましたが、その辺は規制が世界的に変わってきたとは思いますけど、何でしょうか、この間も質問をしたらそこは答えてもらえなかったことがあったんですが、モンサントの件ですね、遺伝子組換えの件、これについて質問をしたいと思います。
  45. 菅原淳一

    ○参考人(菅原淳一君) ありがとうございます。  二点御質問いただきました。  まず、交渉力ということなんですけれども、今回のTPPに関しては、通商交渉の中ではこれまでになかったことですけれども、TPP政府対策本部というものをしっかりつくったと。これは、今まで各省別に行われていたものを統合して、意思決定もそこに集中して行うという意味においては非常に画期的であったというところで、このTPP政府対策本部に一本化した交渉を行ったというのは、日本の交渉力を高める上で非常に有益であったというふうに考えております。  私自身は、TPPだけではなくて、RCEP、日中韓、日・EUといったようなメガFTAはそうした形にすべきだし、それらのものを一つに見ることによって、やっと全部を整合的に見て日本の通商戦略のあるべき姿というのが見えてくるのではないかというふうに考えておりますので、まだまだ交渉力というところについては、先ほどおっしゃったように、経験というところでもまだ不足しているのかもしれませんが、日本政府の交渉力というのは上がっているということかとは思います。  ただ、交渉力というのとは別に、日本は交渉が難しいのは、やはり、特に通商交渉に関しては日本はこれまでもう真面目に身ぎれいだというところが非常に交渉が難しいと。例えば関税だけを取ってみても、日本はもう鉱工業関税というのはほとんどゼロに近いわけですね。本当にセンシティブな部分しか残していないという状況の中で交渉しなければなりませんから、相手はまだまだ切るカードがいっぱいあるという中で、日本は本当に切れるか切れないかというカードしか持っていないという中で交渉しなければならないと。これは交渉力というよりも、交渉環境の段階で日本はもう難しい立場に立たされているということがあるということは一つ指摘しておきたいと思います。  それから、食の安全に関してですが、これは国民の皆さんが非常に心配されているところで、政府としても繰り返し説明をしているところで、政府の説明というのは主に三点あって、一つはWTOのSPS協定にのっとってやっている、その権利は侵されないんだということ。それから、食品添加物とかBSE問題とか、個別の食品安全基準の緩和の議論はTPPにおいてはしていないということ。それから、今後TPP交渉を進めていくにおいても、国際基準や科学的な根拠を踏まえて対応して国民の安心の確保に努めるということを主に言っているわけであります。  我々は、テキストが見れない以上、これがそのとおりになっているというふうに信じるしかないわけですが、先ほど金子参考人の方からも、TPPだけではなくて、それに伴うというお話がありましたが、例えば一緒に行われている日米並行協議の方は、最初にSPSもここで議論するなんてことが書かれていたわけですね。ところが、そこについては何ら情報が開示されていなくて、この間のTPPの一般説明会においても、フロアからその質問があった際に、担当の交渉官は、それは外務省の管轄であるということで明確な答えはしなかった、ただし、まあ問題はないでしょうということだけをおっしゃったということでありました。  したがって、政府の言葉を信じて、この食の安心、安全については問題がないというふうに思っていたいところではありますが、やはりここについては国民の心配が集中しているところでもありますので、しっかりと政府の説明を受け、情報が開示された際には、本当にそれが確保されているのかというのをしっかり見極める必要があるというところだと思います。  以上です。
  46. アントニオ猪木

    ○アントニオ猪木君 内田参考人に。ISDのことについては、先ほどカナダ、メキシコの件が出ました。今後、このようなアメリカの強権というんでしょうか、こういうことはまだ危惧されるんでしょうか。今回、フェアにこれからこれが進んでいったときにそういうことはなくなるのか、これをお聞きしたいと思います。
  47. 内田聖子

    ○参考人(内田聖子君) 交渉力の件はお答えしなくていいですか。今のISDの……。
  48. アントニオ猪木

    ○アントニオ猪木君 一言で、もしあれば。
  49. 内田聖子

    ○参考人(内田聖子君) はい。  先に、じゃ、ISDSのことを言うと、金子先生からもいろいろ御指摘がありましたが、少なくとも今、このISD条項というもの、そしてそれを使って実際に世界の中で数々起こってきている事例、資料でも付けましたけど、二〇一四年末の時点で大体六百件ほどの紛争事案というのが八〇年代以降起こっているということですね。その仕組み自体がやはり平等なものではない、フェアなものではないということに対して国際市民社会は異論を唱えているんですね。  ですから、このTPP交渉の中でフェアな仕組みが実現できるのかどうか分かりませんが、仮に今よりも改善されてフェアな仕組みができればいいのかもしれませんが、少なくとも今の、これまでどおりの運用それからメカニズムであれば、私はやはり日本政府がほかの国の企業から訴訟を起こされる可能性は非常に高いというふうに思っています。  資料にも載っていますが、アメリカ政府自身もこれまで訴えられたことはないということはなくて、十五件、カナダやメキシコからも訴えられていますし、今アメリカの議論なんかを見ていると、ISDに関しては国会の中で非常に激しい議論になっているんですね。次期大統領候補とも言われていたエリザベス・ウォーレンという民主党の議員がその急先鋒でして、オバマ大統領と大論争しているというようなシーンもあるわけです。ですから、アメリカの中では、TPPが妥結したらもう今度は日本企業がアメリカ政府をどんどん訴えてくるんじゃないかというような懸念もあるわけですね。  そうしたことから考えると、逆に、日本は絶対に訴えられないから大丈夫という現在の日本政府の認識自体は、正直甘いと言わざるを得ないと思っています。  それから、交渉力については、中身が分からないので何とも言えませんが、先ほどの企業と政府が半ば通じ合って交渉しているアメリカの姿があるわけですけれども、じゃ、日本はどうなっているんだろうというのは、私自身、いま一つ見えません。もしかしたら一部の財界の方々と日本政府は、USTRのようにとは分かりませんが、密に情報をこっそりと交わしているのかもしれませんし、それは我々が知ることができない範囲の問題であります。  ただ、アメリカの場合は非常にあからさまでして、本当に自分たちが交渉の中で、企業がですね、ここからこういう利益を得たいんだという目標をかなり明確に算定して金額なんかも出していたりして、それを政府にどんどん突き付けていて、政府はそうした声をしょう形で交渉に臨んでいるわけですね。  ですから、交渉力とはちょっと違うかもしれませんが、日本政府が攻めていく分野がたくさんあるんだというのであれば、じゃ、具体的にどういう企業のどういう要望を吸い上げてそれを実現するということとして交渉に臨んでいるのかという実態がないのだとしたら、私はちょっとこれは攻める分野というふうにだけ言っていてもやや危ういなというふうに感じざるを得ません。  以上です。
  50. アントニオ猪木

    ○アントニオ猪木君 参加交渉の六条件について質問したかったんですが、時間が来てしまいました。済みません。
  51. 柳田稔

    ○会長(柳田稔君) 浜田和幸君。
  52. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 次世代の党の浜田和幸です。  三人の参考人の方々、ありがとうございます。  まず、菅原参考人に。TPP、これが日本の立地競争力の向上、うまくいけばですね、日本を拠点とした事業活動の活性化。日本を拠点とするということは、別に日本の企業だけではなくて、今は海外の企業も日本市場、アジア市場ということでいろいろと日本市場には関心を持っているわけですから。  みずほ総研の立場として、いろんな日本の企業、特に中小企業に対するTPPのもたらすメリット、デメリットについてもいろんな機会にセミナー等を通じて疑問に答える、アドバイスをされていると思うんですが、そういう日本の今の中小企業の方々がこのTPPに対して抱いている期待感あるいは疑問点、そういうものをどういう具合に今把握されていて、それに対してどういうアドバイスをされているのか。そういうプロセスの中で、欠けている情報ですとか、日本の政府、国会がもっとこういうことをきちんと情報提供してくれれば、日本の企業にとって、あるいは日本を拠点とする事業活動の活性化につながる、何かそういう具体的な反応についてもし御紹介いただければ。よろしくお願いします。
  53. 菅原淳一

    ○参考人(菅原淳一君) ありがとうございます。  私も、この通商政策を担当して二十年になるんですが、TPPが始まる前は比較的安穏な生活を送れていたんですけれども、日本がTPPに参加するのではないかと菅総理が所信表明でおっしゃった以降は、年間に数十件の講演をこなすとか、話が聞きたいという方にブリーフィングするということで、かなり状況が変わってきているという状況でございます。  そうした活動を通じて中小企業の経営者の皆様とお話しする機会が増えているわけですけれども、二つのパターンがあるかと思います。  一つは、やはり中小企業、零細企業の経営者の方々は、特に年齢的にも私よりかなり上の経営者の方々は、自分の経営にかなり自信を持っていらっしゃる。特に戦後復興の中で腕一本でたたき上げでやってきた自分という強い自負を持っていらっしゃる方は、TPP何するものぞと、そんなものはもう吹き飛ばしてやるし、むしろそれを活用してやるんだという意気込みで私に非常に勇ましいお話をしてくださるという方が多くいらっしゃいます。  一方で、やはり、TPPって何なのかよく分からない、自分の事業が立ち行かなくなるのではないかという非常に強い不安を持っていらっしゃる方もいらっしゃいます。ただ、その方に、じゃ、どんな仕事、どんなものを作っていらっしゃるんですかと聞くと、うちは自動車部品工場なんだけれどもと、その三次下請なんだなんというお話を伺うわけですけれども。で、何が御心配ですかと聞くと、海外の自動車部品が安く入ってきて、うちの製品なんかもう使ってもらえなくなるんじゃないかとか、中国から大量に労働者が入ってきて、うちより低価格で物を作られちゃうんじゃないかなんという心配を打ち明けられるわけです。  ところが、この認識というのは二つとも間違っているわけで、自動車部品に関しては日本はもう既に関税ゼロでございますし、先ほど申し上げたように、TPPによって中国、まあまだ中国はそもそも入っておりませんし、単純労働者がたくさん入ってくるということもないわけです。  したがって、中小企業の経営者の方々が御心配なさっているのは、経営者としての御心配というのは、それは多く誤解に基づくものであるということが私の経験上は多いです。ただ、もちろん一般市民としての御不安というのは、先ほどの食の安全等も含めて、お持ちであるということはあるんですが、中小企業、零細企業の経営者としての御不安というところに関しては今言った二つのパターンが多いかなというところがあります。  その中で、皆さんからよく伺うのは、やっぱりとにかくアルファベット三文字のものというのは難しい、なかなか手が付かぬということで、やっぱりどうやったら自分たちにメリットがあるのか、どうやったら使えるのかということについてしっかり教えてほしいという声が多くあります。したがって、政府としても、これまで二国間EPAについては中小企業の方々に使っていただけるような施策というのを取ってはいますけれども、やはりアンケート調査なんかを取ると、なぜEPAの優遇関税率使わないのかと聞くと、EPAというのがそもそもよく分からない、使い方が分からないという答えが過半を占めるというのがまだ現状でございます。  したがって、やはりTPPについても、そのメリットというのがどこにあるのかというのをしっかり分かりやすく説明して使い方をアドバイスするというところまでやっていかなきゃいけない。韓国なんかはもう既にこういうシステムが整っていますので、日本としてもやはりそういったことはやっていかなきゃいけないということだと思います。
  54. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございました。  内田参考人にお伺いしたいんですけれども、やっぱりNGO、NPOとして活動をされているとなると、十二か国、各々様々な消費者団体ですとか環境保護団体ですとか、そういうところがTPPには極めて強烈な反対運動をされていますよね。  この間、私、アメリカのネットを見ていましたら、TPPって何ですかと聞かれた一般の人が、首をかしげて、トイレットペーパープロダクツかなと、それくらい何かよく分かっていない人がやっぱり多いと思うんですよね。ですから、一般の消費者団体ですとか一般のNPOの人たち、今どういうような連携を考えられておられて、そういう横の連係プレーというものがTPPをいい方向に着地点を考える上でどれくらいの効果があるものなのか。  ウィキリークスが今懸賞金を出して内部告発を盛んにあおっていますよね。ヒラリー・クリントン次期米国大統領最有力候補も、事TPPに関してはちょっと立場を鮮明に出さない、慎重ですよね。だから、そういうことを踏まえて、NPOの役割、それについてはどういう国際的なネットワークを生かしながら取り組んでおられるのか、ちょっとそのハイライトを御紹介いただければと思います。
  55. 内田聖子

    ○参考人(内田聖子君) 御質問ありがとうございます。  今日お配りした資料の後半にも、いろいろ写真も是非御紹介したいと思って付けております。  それで、まずやはり国際市民社会の役割というのは、この貿易協定、投資協定に対する役割というのは、私はやはり各国の政府ないしはその交渉全体の動きをきちんと監視して、監視というとちょっと言葉はきついですが、ウオッチして、やはり最初のプレゼンで申し上げたように、経済的な利潤を目指す貿易協定が行き過ぎてしまえば、ともすれば人権を侵害したり人々の生きるための最低限のニーズさえも奪うというところをきちっとチェックしていく、そういう機能だと思っているんですね。ですから、何でもかんでもぶっ潰せみたいな、そういう話ではなくて、そういう国際的に長年培われて築き上げられてきた私たちの大切な普遍的な価値というものをやはり貿易協定の中に埋め込んでいくと、そういう努力だと思うんですね。  私自身は、企業というものは利潤を追求することがその存在目的ですから、企業に対して利潤追求するなというのはあり得なくて、しかし、利潤を追求するために何でもかんでも犠牲にしていいよという話ではないので、きちっとした市民社会からの様々なチェックというのが必要なんですね。例えばそれは我々のようなNGOもそうですし、労働組合だったり、それから議員の方々ももちろんそうですし。  今、やはりそちら側の力がどんどんどんどん弱まってきています。国連の力も正直弱まってきています。ですから、半ば企業がもう最大限の自由を謳歌するということになっているので、何とかそこのバランスを取るということが目的なんですね。  それで、各国の運動は、それぞれ非常にバラエティーに富んで、やはりその国独自の守りたいもの、訴えたいことというのがあります。  今、アメリカでは、やはり焦点になっているのは労働の問題、それからISDの問題、それから秘密主義に対する批判ですね。これらがもう非常に草の根のレベルでも広がっています。ここにも付けましたが、各自治体でもう次々とTPAそれからTPPに反対するような住民投票や自治体の決議というのが行われていて、ニューヨーク市でさえもそうした決議を出しているんですね。ですから、草の根で非常に広がっている。  それから、もう一点強調したいのは、やはり医療機関の動きがこの間非常に国際的なネットワーク化もされていまして、アメリカだけではなくて、エイズやその他の疾病患者さんを抱えるマレーシアは当事者として反対もしていますし、それからオーストラリアも、先ほど言ったように、医療制度それから薬の値段ということを非常に懸念しているというようなネットワークが形成されています。  ですから、共通して、繰り返しますけれども、利潤を追求するというベクトルと、それから人々が普通に生きていくための権利とか命の保障というものが今真っ向から対立しているという構図があるんですね。これは、やり方によってはきちっと両方を実現できるという形が私もあると思っていますので、そこをどうにか是正していくというのが我々の大きな取組です。
  56. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございました。  最後に金子参考人に、これは金子参考人でなければ答えられないという質問をしたいと思うんですけれども、ビルダーバーグとTPPの関係ですね。  ちょうどG7やっているときも、同時期に欧米の、まさにTPPの、何というか有力企業の経営者の皆さんが集まっていろいろと議論をしていた。そういう人たちが、オバマ政権に対してはもうかなり早い段階から、TPP、これを通さなければ先の再選もないですよというような圧力を掛けていたというような見方もあるんですが、果たして実際そういうような、いわゆる闇の政府というか、そういうようなものがこのTPPに対しても影響力を持っているものかどうか、その辺りについてお考えをお聞かせいただければと思います。
  57. 金子勝

    ○参考人(金子勝君) 私は、具体的にどういうつながりがあるかという証拠がないので明確な発言はできないんですけど、どの国でもはっきりしているのは、アメリカの場合にはロビーイングが当たり前で、それで議員たちに個別にそういうロビー活動も行われていますし、先ほども出てきたように、TPPの交渉の場にも非常に多数の利害関係企業が来ていて、その人たちは議員と結び付いているだけじゃなくて、この交渉の中でもかなりの情報を持っているというのがアメリカだと思うんですね。  それに比べると、日本は何かのどかな感じに非常に見えますね。逆に言えば、日本の企業は、一般的な雰囲気としてTPPが、何か自由貿易とか抽象的な言葉で、アジアを取り込むとかいうところで賛成しているだけで、例えばアメリカでシリコンバレーに何か派遣すればIT企業が育つなんてばかげたことでやっているわけですよね。  アメリカは、軍隊がITをみんな開発しているし、軍事予算がたくさん大学にも落ちているわけですよね。それから、情報スーパーハイウエー構想でアル・ゴアが構想を立てたら、日本と違って古くない、ビル・ゲイツとかD・E・ショーとか、ああいう若いIT関係の技術者みたいな、経営者みたいな人たちをばっと政府に取り込むわけですよ。それで新しい産業をつくっているわけですよね。  そういうのに比べると、何かTPPって本当に日本の産業の未来をつくろうとしているのか。いや、アメリカのロビーイングみたいなことをやれという意味じゃないんですけど、彼らは非常にそういうことで密接にこの貿易交渉を考えているのに対して、日本の経営者は、非常に一般論でアメリカに付いていくしかないみたいな議論しかしていないように思います。  それから、今の経済界の中心になっている企業の方々は、残念ですけど、新しい時代の産業の方はそれほど多くないわけです、残念なんですけど。ビル・ゲイツやD・E・ショーのような新しい経営者がたくさんいるわけでもないし、金融業では、まあアメリカのようなまねをする必要はないですけど、そういう何か弱さというんでしょうか、このTPPの交渉の是非以上に、日本の競争力の衰退の背後にある新しい産業構造への転換の意欲というのがずっと見られない。  それは、残念なんですけど、サラリーマン経営者になってしまった人たちが、不良債権問題から福島原発事故まで誰一人責任を取らない、それをかばい合っている、こういう人たちが中心にいてTPPを推進している状況に逆に私は危惧を持ちます。こういうことを言うとまたひんしゅくを買いますけど。  むしろ、新しい産業を起こしていくような戦略的な、アメリカは軍があるので非常に強いんですけど、エネルギーやスーパーコンピューターや情報や、そういう分野での固まりのすごさを我々は目の当たりにしたとき、それに対抗するだけのものを残念ながら持っていない中でやりたい放題やられているような感覚さえ持ちます。  それは、交渉参加のときの、先ほど申し上げた、医療保険分野を差し出すみたいな、高い入場料を払うみたいなやり方を見ていると、市場を食われて妥協して収めてきたような八〇年代後半以来の構図というのはそろそろ転換して、やはり攻めの産業戦略を本当の意味で立てていって、どういう形で本当のコアを育てていくというのが必要になっていくような気がしています。そういう意味では、TPPに関する政府の姿勢に対して非常に危惧している、私はその一人です。
  58. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございました。  質問を終わります。
  59. 柳田稔

    ○会長(柳田稔君) それでは、予定の時刻が参りましたので、本日の質疑はこの程度といたします。  一言御挨拶を申し上げます。  菅原参考人、内田参考人及び金子参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。調査会を代表し、各参考人のますますの御活躍を祈念いたしまして、本日の御礼とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後四時散会