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2015-06-04 第189回国会 参議院 法務委員会 15号 公式Web版

  1. 平成二十七年六月四日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  六月三日     辞任         補欠選任      有村 治子君     森屋  宏君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         魚住裕一郎君     理 事                 熊谷  大君                 三宅 伸吾君                 有田 芳生君                 真山 勇一君     委 員                 猪口 邦子君                 鶴保 庸介君                 牧野たかお君                 溝手 顕正君                 森屋  宏君                 柳本 卓治君                 足立 信也君                 江田 五月君                 小川 敏夫君                 矢倉 克夫君                 仁比 聡平君                 田中  茂君                 谷  亮子君    国務大臣        法務大臣     上川 陽子君    副大臣        法務副大臣    葉梨 康弘君    大臣政務官        法務大臣政務官  大塚  拓君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   中村  愼君        最高裁判所事務        総局刑事局長   平木 正洋君    事務局側        常任委員会専門        員        櫟原 利明君    政府参考人        内閣府大臣官房        審議官      小野田 壮君        警察庁長官官房        総括審議官    沖田 芳樹君        法務大臣官房司        法法制部長    萩本  修君        法務省刑事局長  林  眞琴君        文部科学大臣官        房審議官     伯井 美徳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部  を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日、有村治子さんが委員を辞任され、その補欠として森屋宏君が選任されました。     ─────────────
  3. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省刑事局長林眞琴君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 三宅伸吾

    ○三宅伸吾君 おはようございます。自由民主党、三宅伸吾でございます。  裁判員法によりますと、職業裁判官一人、一般からの裁判員四人という小規模な合議体でもって裁判員裁判をやることも想定をされております。これまでに、六年余りでございますけれども、この小規模な合議体による裁判員裁判が何件あったのか、最高裁にお聞きしたいと思います。
  7. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) お答え申し上げます。  制度施行から平成二十七年三月末までに終局した裁判員裁判事件のうち、裁判官一名及び裁判員四名で構成する合議体で行われた裁判員裁判の件数はゼロ件でございます。
  8. 三宅伸吾

    ○三宅伸吾君 ゼロ件となった事情、背景につきまして、裁判所はどのように理解、受け止めていらっしゃるんでしょうか。
  9. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 裁判官一名及び裁判員四名の構成による小規模な合議体で審理及び裁判を行うかどうかは個々の裁判体が事件ごとに判断すべき事項ですので、最高裁の事務当局としてお答えする立場にはございません。  もっとも、法律上、小規模な合議体で審理、裁判を行えるのは、公訴事実について争いがないと認められ、事件の内容その他の事情を考慮して適当と認められる場合に限られますところ、裁判員法の立案過程にも関与した裁判実務家が執筆した文献の中には、公訴事実に争いがなくても、量刑に関する争点が複雑な場合等は小規模な合議体で審理、裁判することが適当とは言えないこと、公判前整理手続の段階では予定されていなかった重大な論点が生じる可能性もあり、そのような場合に途中から裁判官三名と裁判員六名の構成に変更するとなると、公判手続の更新手続を行う必要が生じ、かえって訴訟関係者や裁判員の方々に負担を掛ける可能性があることなどが指摘されているところでございます。
  10. 三宅伸吾

    ○三宅伸吾君 裁判員法は内閣提出法案でございました。どのような経緯でこの小規模な合議体が法定されたのか、法務省にお聞きしたいと思います。
  11. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 裁判員制度につきましては、司法制度改革本部事務局に設けられました裁判員制度・刑事検討会におきまして、具体的な制度設計に向けた議論が行われた上で骨格案というものが作成されまして、それを踏まえて、この裁判員法案の立案作業が行われたものでございます。  裁判員の参加する合議体の構成につきましては、裁判員制度・刑事検討会において様々な案が検討されました。例えば、裁判員制度・刑事検討会第七回では、日弁連の司法改革実現本部作成の裁判員制度の具体的制度設計要綱においては、裁判官の数は二人、裁判員の数は九人とされておりました。  また、同じ検討会の第十三回で事務当局から示された案、たたき台の中では、裁判官の員数を三人、裁判員の員数は二ないし三人とする、これがA案という案でございましたが、それがあったり、あるいは、裁判官の員数を一ないし二人として、裁判員の員数を九ないし十一人とするB案というものも示されたところでございます。  その上で、その裁判員制度・刑事検討会第二十八回で座長試案というものが示されておりますが、その際には、裁判官の員数は三人とする、そして裁判員の員数は四人とすると。ただし、検討会における検討も踏まえると五人ないし六人とすることも考えられる、このような途中の座長試案がございました。  そして、最終的に、裁判員の参加する合議体の構成につきましては、このように様々な案が提示された上で、平成十六年一月二十九日の裁判員制度・刑事検討会の三十一回で事務当局から示された骨格案というものがございますが、ここで裁判官の員数を三人、裁判員の員数を六人とした上で、一定の場合に裁判官一人、裁判員四人にする審判とすることができるとされて、最終的にはこれが採用になったと承知しております。
  12. 三宅伸吾

    ○三宅伸吾君 この小規模な合議体、一体何を狙って法定をしたんでございましょうか。葉梨法務副大臣にお聞きしたいと思います。
  13. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) 今局長からも御答弁があったとおりですが、この立案過程においていろんな各種の議論がなされたということは、まさに今の答弁のあったとおりでございます。  確かに、この六年間、ゼロということではあるんですけれども、やはり非常に裁判員制度というのは国民にも御負担をお願いするものですから、公判前整理手続の導入によって争点の有無が相当程度、公判開始前に明らかになる、そして被告人も事実関係を争っておらず、法律解釈や訴訟手続上の問題も明らかに生じないであろうという事案も、今までは個々の裁判体の判断によって三人、四人ということになっていたわけですけれども、失礼、六人ですか、ごめんなさい。一人と四人という小規模のものも、今後そういったものも事案によってはあり得るだろうということで、制度として、国民の負担の軽減という趣旨からこのような一人と四人という小規模の合議体をつくっておくということは、全く意味のないことではないというふうに思います。
  14. 三宅伸吾

    ○三宅伸吾君 今回の法案の柱の一つが、著しく長期化が予想される場合においては裁判員裁判の対象から外し、国民の負担を軽減するということであろうと思います。  昨年末までの六年間で、約七千人以上の被告人が裁判員裁判で裁かれていると理解しております。この新しい刑事手続のために、延べ二十一万人の国民が選任手続の期日に出席しております。そして、約四万二千人が裁判員として国家に尽くし、約一万四千人が補充裁判員に選ばれたわけでございます。裁判員法は、争いがない事件の場合には、今話題にしております裁判員四人という小規模な合議体を用意しているにもかかわらず、約七千人以上を裁きながら、一件もこの国民負担がより少ない小規模な合議体が利用されていないという現実でございます。  裁判員裁判の控訴率は、これまでの全体で約三六%でございます。小規模合議体なら飛躍的に控訴率が高まるということもないのではないかと私は拝察をする次第でございます。小規模合議体にもし何らかの構造的な、制度的な欠陥がひょっとしたらあるのかもしれませんけれども、今、最高裁の答弁の理由もうなずける部分もありますけれども、だからといってゼロ件というのは、少し私は腑に落ちない次第でございます。  今回の法案には大賛成でございますけれども、この小規模合議体の利活用について今後も関心を持って研究をしてみたいと考えております。  以上で質問を終わりたいと思います。
  15. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 民主党の小川敏夫でございます。  前回、私が質問をした際に、少し中途半端で終わったようなところがございましたので、そこの点をまず先にお尋ねさせていただきます。  それは、裁判員裁判の期日の告知でございます。当事者ではなくて、裁判所に掲示するという一般に対する告知でありますけれども、これについて私の方で、裁判員裁判について特に集中して検討している人たちもいらっしゃるので、少し事前に裁判員裁判について期日があることをお知らせしたらどうか、方法はいろんな方法があると思いますがとお尋ねしたところ、一般事件が当日の朝であるということで、そうすると、一般事件と裁判員事件、裁判員の事件だけ先に公表するということになると、一般事件との関係で平仄が取れないという答弁をいただきました。平仄が取れないということであればということで、私の方で、では、一般事件も含めて全部の事件を、当日の朝ではなくて事前に告知するような方法を講じたらどうかということの意味で質問をしたんですけれども、そこのところが直接的な答弁をいただかないまま終わっていましたので、今の点について答弁いただければと思います。
  16. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) お答え申し上げます。  開廷予定表につきましては、裁判所に来て傍聴しようとされる方の便宜を図るために、各裁判所における司法サービスの一環として掲示又は備付けをしているものでございまして、基本的には、その日に行われる公判期日の分のみを掲示等をすることで足りると考えております。  数日分をあらかじめ掲示する等の取扱いにつきましては、開廷予定表を掲示している趣旨が裁判所に来て傍聴しようとされる方の便宜を図るためであることに加えまして、被告人等の事件関係者のプライバシーの観点も踏まえますと、現段階においては慎重に検討されるべきものと考えております。  ただ、いずれにしましても、この問題は裁判員裁判だけの問題ではなく、裁判に関する情報をどのように公表するかという問題を含んでおりますので、ただいまの委員の御指摘を踏まえまして、今後検討してまいりたいと思っておるところでございます。
  17. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 私としてはいろんな考え方があると思って確認しただけで、私自身がそうしろと言っているわけではないんですけれども、そういう国民の声があるので、どうかなということで質問させていただきました。  なお、参考までに、この点を見ますと、全ての裁判所、全国一律に当日の朝、掲示しているようでありますけれども、全国の裁判で統一的にそういう扱いをしているというと、この事件の掲示方法ですか、当日の告知方法については、これは最高裁か何かが通達して全国統一で扱っているということなんでしょうか。
  18. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 開廷表の掲示、備付けにつきましては、裁判所に来て裁判を傍聴される方の便宜を図るために、各裁判所の司法サービスの一環として行われているものでございまして、最高裁判所からこの取扱いにつきまして通達等を出したことはございません。
  19. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 じゃ、事実上そうなっているということでありますか。これは理屈で言うと、そうすると、それはそれぞれの裁判所の判断と。その裁判所というのは、裁判を行う裁判体じゃなくて、地方裁判所という、その意味の裁判所の判断ということになるんでしょうか。
  20. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 委員御指摘のとおり、各地方裁判所の司法サービスの一環として行っているということでございます。
  21. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 では、別の質問に移らさせていただきますけれども、裁判員制度、選任の期日に理由なく欠席する方が増えているという点などの問題がありますけれども、しかし参加した人の圧倒的多数がよかったという感想を述べているというようなこと、あるいは、これまでの運用の状況からすると、非常に国民から支持され、またうまく機能しているというふうに判断できると思っておるんですが。  昨今の中で、裁判員裁判が一審で出した結論、これを高裁が覆す、破棄するという件もございました。特に刑が重たい極刑の事件などで判断が分かれるようなことがあったわけでありまして、そうした例に鑑みて、せっかく国民の声を反映した裁判員で出した結論を、高裁では職業裁判官だけでこれを覆してしまうというのは、裁判員制度の趣旨に反するんではないかという意見もございます。  それで、私は、それについては様々な見方があるでしょうけれども、一つは、この裁判員制度が非常に順調に来ていると、非常にか、おおむね順調に来ているということであれば、これを、もっと裁判員制度の適用を拡大していったらどうかというふうにも思います。そういう検討もあっていいのではないかと思うんですけれども。  そうしますと、高裁で、職業裁判官が裁判員裁判が出した結論を破棄するということについて意見があるようでしたら、高裁の裁判にも裁判員というものを導入して国民の声が反映されるような、そういうような趣旨でこの裁判員制度というものを拡大していったらいいかとも思うんですが、そこのところは、法務省、いかがでしょうか。
  22. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 控訴審等について裁判員制度を導入すべきではないかという点につきましては、先日の参考人質疑におきましても、その点について積極、消極両方の立場からの御意見があったものと承知しております。  現行制度が裁判員が刑事裁判の第一審のみに参加することとしている理由としましては、一つには、やはりこの控訴審の位置付けあるいは構造というものに強く関係しているものと思われます。現行法上、控訴審というものは、自らでその事実認定や量刑を新たに改めてやり直すというものではなくて、第一審の判決を前提としまして、その判決を対象としてその当否を事後的にチェックする形で審理する、そういうこととされておりまして、したがいまして、裁判官のみで構成される控訴審が裁判員の加わった第一審の判決のそういった事後的なチェックの上での誤りの有無を判断するといたしましても、そのことから直ちに裁判に一般の方の感覚を反映するという裁判員制度の趣旨に反するものではないと思われる点が第一点でございます。  もう一つは、控訴審は、そのような事後的なチェックという性格上、主に書面から成る公判記録によりまして、第一審に提出された証拠、主張や審理の経過というものを精査して、第一審の判断の誤りの有無を審査するということを職務内容としているわけでございますが、そうした経験のない裁判員が市民としての本来の力というものを発揮できる場面とは考えにくく、また、その負担も第一審に参加する場合に比べて相当重くなろうかと思われます。  こういったことから、控訴審につきましては裁判官のみで構成されるものとして、裁判員は第一審のみに参加するというものが適当と考えられたことから現行の制度となっているものと考えられていると思われます。  したがいまして、参考人からの意見等もございまして、それぞれ傾聴すべきものとは思うわけでございますが、現時点におきましては、やはり裁判員が第一審のみに参加するという現行制度は、この控訴審の構造という点から考えまして妥当なものと考えているものでございます。
  23. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 在り方を検討してはどうかということなので、高裁の様々な性質論から否定的な考え方をいただいたわけでありますけれども。  例えば諸外国の例では、裁判員よりももっと国民の声ということで陪審員制度があって、陪審員制度で陪審員が有罪、無罪決めたらもうそれで終わりだというような仕組みを取っている立法例もあるわけでございます。それに比べれば、日本の裁判員制度は裁判官にプラスして裁判員がいるだけでありまして、陪審よりも国民の参加する声が少し少ない制度であるわけであります。しかも、その諸外国の例、そちらがいいか悪いかというんじゃないんですけれども、諸外国の例では、その陪審員という言わば国民だけで決めた結論をもうひっくり返せないという決定的な結論が出せるという仕組みであるにもかかわらず、我が国のこの裁判員の制度は、今言いましたように、一審でそういう国民が参加しても、結局、控訴審で職業裁判官の判断によって覆されることがあるというのが今のこの裁判員の仕組みであります。  別に、今聞いた法務省の考え方が私は間違っているとは言いませんけれども、しかし、実際にそうして国民が積極的に参加する、あるいは国民が言わば時間、労力を割いて参加して協力を得て、その上で出した結論が覆されるということに関して、それでよいのかという議論も、声もあるわけであります。これからの裁判員の制度の在り方について、検討材料の一つにしていただければというふうに思います。  次に、裁判員制度の適用の拡大ですけれども、では今度、事件の範囲を広げたらいいのではないかということもございます。  これは私の意見なんですけれども、特に、広げるに当たって、公務員の犯罪、これについて広げてはどうかなと思っております。公務員の犯罪といっても、公務員が文書を偽造するような犯罪もありますけれども、特別公務員暴行陵虐罪のように、公務員が国民に対してそうした暴力等を加えるという特殊な犯罪もございます。私は、特にその後者の方の事件については、やはり国民が被害者と、言わばそういう捜査等に当たる公務員によって国民が被害者とされるようなそうした事件については、より国民の声をしっかりと取り入れて判断するのが適切ではないかと、こういうふうに思うわけでございます。  ですから、具体的には、特別公務員暴行陵虐罪のようなそうした事件については積極的に裁判員制度の対象事件とするべきではないかと私は思っておるんですが、これは法務省、いかがでしょうか。
  24. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) まず、対象事件の範囲につきましてはこれまでの検討会等でも様々議論されました。また、今後ともこういったことについて、対象事件の範囲については検討していかなくてはいけない課題であろうかと思っておりますけれども。  この対象事件、そもそも裁判員制度の対象事件は、国民の感覚を裁判に反映させて、司法に対する国民の理解と支持を深めるという制度趣旨、これに鑑みまして、国民の関心が高く、社会的にも影響が大きい法定刑の重い重大事件を対象とすると、こういう形で制度がつくられたわけでございます。こういった対象事件の定め方につきましては合理的であろうと考えているところでございます。  将来における裁判員制度の対象事件の拡大につきましては、もちろん今後の運用状況も踏まえた上ででございますけれども、現在よりも法定刑の軽い事件の中から国民が刑事裁判に参加することがふさわしいものを類型的に選択できるのかどうか、また、その場合の裁判員となる国民の負担がどの程度増加するのかといった観点から検討が必要であろうかと思います。  今委員からの御指摘の、公務員の関わる事件、特に公務員が犯罪の主体となっている事件、翻せば被害者の形になっているものが国民である、このような場合、こういったものについてそれを裁判員制度の対象事件とするという御意見でございますけれども、それにつきましては、実際にその場合が、これが先ほど申し上げた裁判員制度の対象事件の定め方の制度趣旨に鑑みて国民に参加していただくのにふさわしいものであるかどうか、またその場合の国民の負担というものはどの程度であるのかといったことを具体的に、観点を含めた慎重な検討が必要であろうかと思っております。  いずれにいたしましても、そういった御意見につきましては十分に参考にさせていただきたいと思っております。
  25. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 私は、裁判官あるいは今の裁判を基本的には信頼しておりますけれども、ただ、私が感じているところ、これは私が感じているところですから別に証拠があって論証するわけじゃないんですけれども、どうも傾向として、裁判所は、裁判所自身の身内のこと、あるいは検察や警察といった言わば官の立場、国民の民ではなくて官の立場、あるいはもっと広げれば公務員という立場、こうした一言で言うと権力側というのかあるいは公務員側というのか、こうした立場の方に優しくて、そうした人が絡む事件についてはどうもそういう官側を守る方向、官側に少し身びいきがあって、国民の方が少し納得できないようなケースがある、あるいはそういう傾向があるのではないかと私は感じておるんですけれども。これは私一人でなくて、そういうふうに感じている、そういうふうに言う人も、意見も少なからずあるとは思うんですが。  ですから、私は、例えば公務執行妨害罪でも、公務がどうかとかいろいろ争われる、あるいは公務の執行状況が争われるとかいうようなことがあるときに、大体官側の主張が通っちゃうんじゃないかというふうに感じておるわけであります。こうした官と民との関わりがある事件こそ、私は民のこの常識、民の感覚を持って裁判を行うのがふさわしい、あるいは一番必要とされるのではないかというふうに思っておるわけです。そうした観点からお尋ねしたわけでありますけれども、余り前向きな答弁というか、むしろ何か消極的な答弁だったので、少しがっかりしておりますけれども。  もっと端的に聞きますと、例えば付審判請求というのがあります。公務員が、言わば特別な地位にある公務員が国民に対して犯した犯罪の場合に、それを検察官が起訴しなかった場合には、被害者の方が付審判、刑事裁判を開いてくれという申立てをすることができます。こうした事件について、付審判請求と、それから付審判請求が認められて実際の審判が始まった場合、弁護士が検察官役になって公務員を言わば訴追して訴訟を行うわけでありますけれども、こういう事件、付審判請求に関わる事件について、これを裁判員が参加する裁判にして、国民の声をしっかりと反映した手続をするということが私は望ましいんではないか、私は積極的にするべきではないかというふうに思っておるんですが、こういう考えについてはいかがでしょうか。
  26. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 少なくとも、現在の裁判員制度の対象事件の定め方の中に、裁判官の合議体による裁判と裁判員の加わった合議体の裁判、これを比較して、ある類型の事件につきまして、一定の判断傾向があったり、またそれに対しての判断能力に違いがあるというような前提に立った形でこの対象事件というものを定めていないわけでございます。  そういったことで、今委員が言われたような形でありますと、やはり裁判員制度の対象事件を画する制度設計のまず出発点において、そういった裁判官のみによる裁判と裁判員の加わった合議体の裁判との間でそのような判断傾向の違いがあるのかどうかというようなことを前提として、それがまず事実として共通の認識に立って、その上で制度設計するのかどうかということが問われてこようかと思います。  そういった点におきまして、現時点において、現行法の裁判員制度の対象事件の画し方については、やはり判断の傾向でありますとか判断能力といった点につきまして、裁判官の裁判と裁判員の参加する合議体による裁判という点では、そこには差異はないという前提に立っておりますので、委員のような御提案、御指摘につきましてはそういった根本に遡った検討が必要であろうかなと思っております。
  27. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 根本に遡らなくても、ただ単に普通に検討していただければいいとは思うんですがね。  どうでしょう、法務大臣、難しい法律論は抜きにして、要するに、刑事裁判に国民の声を反映するというのが、私は、裁判員の基本の考え方だと思うんです。私は、では、公務員の犯罪ですね、やはりこうしたものについては裁判員の対象にして、国民の考え方、国民の判断を入れた方がいいのではないかと。ですから、そういう方向で拡大を検討してみてはどうかと言っているわけですけれども、どうでしょう、法務大臣のリーガルマインドとして、私のこの考え方はどう受け止めていただけますでしょうか。
  28. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 裁判員の裁判制度ということで、先ほど冒頭に委員から大変いい評価をいただいているということで、大変心強く思った次第でございます。裁判に参加する前と後とで比べてみましても、大変参加してよかったという声が多数を占めているということを一つ取ってみても、この制度そのものがしっかりと日本の刑事司法の中でも定着をして、そしてしっかりと根を下ろすことができるようにしていくというのは大変重要なことであるということを改めて思った次第でございます。  その上で、この間の御議論の中でも様々な御指摘がございましたし、今まさに公務員が犯した犯罪をどう対象として取り組むか否かというような御質問ということについては、全く新しい御提起ということでございますので、よくよく慎重に検討してまいりたいというふうに思っております。  様々な公務員の犯罪につきましても刑法にその規定がございまして、その中でもとりわけということで、先ほど二、三の御指摘があったところでございます。一般の国民から見て、公務員の犯罪ということについての刑法の規定そのものについても、細かな規定があるということそのものについての御理解もしていかなければいけないということを考えてみると、やっぱり慎重に検討すべき事柄ではないかなというふうに思っております。
  29. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 慎重に検討ということですけれども、検討していただける範囲には入っているのかなというふうに理解させていただきますけれども。  この裁判員の仕組みの在り方ですけれども、刑事事件だけではなくて、裁判には行政事件、民事事件もあるわけでありますので、やはり行政事件、これも、今の行政訴訟の仕組みは、言葉をきつく言えば、なるべく行政が負けないような裁判の仕組みになっているというような声もあるわけで、実際、そういう意見があった中で、少しずつ改善されているけれども、基本的には変わらないなという感想を私は持っておるわけですけれども。  そういう感想は別にしまして、やはり行政について、国民と行政が言わば争う、国民が行政に対して不服を申し立てるわけであります。これについて、やはり行政の立場ということではなくて、しっかり国民の声も聞かなくてはいけないと思うんですけれども、だから裁判官が行政の味方だとか行政の手先だとは決して言わないんですけれども、しかし、どうも行政に少し甘いのではないかというような感じを持つ人も多いわけであります。  そうした観点から、刑事裁判の中で裁判員制度順調に来ているようでありますので、行政事件、これにも拡大してはどうか。あるいは、行政事件でなくても、民事事件、まあ民事事件の中でも国などを相手とする民事事件もあるわけであります。そうした意味で、行政事件や民事事件についてもこの裁判員の制度、同じ制度と言いませんけれども、国民がやはり裁判員という形で参加するような、そうした仕組みにこの裁判員制度を拡大していくというようなことについて、これは検討していただけるんでしょうか。  積極的な検討も慎重な検討も、検討することには変わらないとは思うんですが、いかがでございましょうか。法務大臣でも法務省でも結構です。
  30. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 御指摘の行政事件、また民事事件についても対象を広げるべきではないかという御指摘でございます。  この裁判員制度そのものの導入時の議論がございました折にも、司法制度改革審議会の意見という形で、平成十三年の六月、対象事件の範囲につきましては、国民の関心が高く、社会的にも影響の大きい重大な刑事事件とすることが相当であるという、そうした判断の上で現行の制度になっているわけでありますが、その際に、刑事訴訟手続以外の裁判手続への導入については、刑事訴訟手続への新制度の導入、また運用の状況を見ながら、将来的な課題として検討すべきであると、こうした旨の意見が付されていたところでございます。  この点に関しまして、今回の検討会におきましては刑事事件以外の事件にまで広げるべきであるというような意見はなかったということでございますけれども、この運用状況をしっかりと見ながら、将来的な課題として検討すべきものであるというふうに考えております。
  31. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 検討すべきものであるということであれば、早い時期に検討そのものに入っていただけたらというふうに思います。  では、最後に検察審査会についてお尋ねさせていただきます。  司法の中で国民が参加する、国民が声を述べるという仕組みは、この裁判員制度がそうなんですけれども、検察審査会も、実は国民が、これもくじで選ばれた国民が審査員になって判断するという意味で、司法の手続の中で国民が参加する仕組みでございます。  この検察審査会の在り方について、これは陸山会事件ですか、小沢一郎さんが検察審査会の議決によって強制起訴されたということがありました。その中で、検察審査会の在り方についていろいろな意見が出たんですけれども、一言で言いますと、検察審査会の運営の在り方等がもうブラックボックスに入ってしまったように全く見えてこないと。もちろん、検察審査会の審議が守秘義務があって、外に漏れてはいけないことは漏れてはいけないということはよく分かっている上でお話しさせていただくわけでありますけれども、守秘義務は守秘義務でしっかり守らなくてはいけないけれども、しかし、それ以上にこの審査会の運営の在り方とか様々な点について秘密になり過ぎているんではないか、そのために検察審査会の在り方についての検討が、あるいは検証が十分にできないのではないかという声がございました。  それから、あの事件からもう大分、大分と言っても二年ぐらいかな、たっておるわけですけれども、検察審査会の在り方ということについて、そうした指摘があったことを受けて、その後、この検察審査会の在り方について法務省において検討しているような状況はあるんでしょうか。あるいは今後検討するような状況があるんでしょうか。その状況を教えてください。
  32. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 検察審査会法につきましては、平成十六年に改正されまして、起訴議決の制度あるいは審査補助員の制度といったものが導入されるなどしまして、この法律改正法が平成二十一年の五月に施行されたものでございます。  検察審査会制度に関しましては、委員御指摘の点も含めまして様々な御意見があるものと承知しておりますが、このような法改正がなされた後に、この間の起訴議決に至った事例もまだ蓄積されていない、少ないことから、検察審査会制度についてはまずはその運用実績等々を注視していきたいと考えているところでございます。
  33. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 終わります。
  34. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 おはようございます。公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。  裁判員制度、六年経過いたしました。これまでの審議で明らかになった課題の一つは、国民の皆様の参加意識がやはり低下傾向にあるというところであるかと思います。  その背景の一つが、参加することに対する不安感、ストレスであったり、そういうものに対しての不安感が一つであると。他方、実際裁判員になられた方は、各種アンケートからは九割強の方がやってよかったと思われている。やはり政府として取り組むべきことは、不安を抱えていらっしゃる裁判員候補の方々に一歩を踏み出していただく、その環境整備をすることで最終的には裁判員としての経験を本当に感じていただける機会を提供する、そのサポート体制をしっかりつくることであるというふうに改めて思っております。  その意味でも、先日の議論でも何たびか出ておりましたが、やはりメンタル面でのサポートというのが非常に大事であります。  今、裁判所の方でも、裁判員メンタルヘルスサポート窓口、このような制度を導入しております。まず、これについて、概略御説明をいただきたいと思います。
  35. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) お答え申し上げます。  裁判員メンタルヘルスサポート窓口では、電話やインターネットによるメンタルヘルス相談及び健康相談と、対面カウンセリングによるメンタルヘルス相談を行っております。  メンタルヘルス相談は臨床心理士等の専門カウンセラーが相談に応じ、健康相談は看護師等の専門スタッフが相談に応じています。  メンタルヘルスサポート窓口は、裁判員、補充裁判員として選任された日から利用でき、裁判終了後も時期の制限なく利用することができます。  電話相談及びインターネットによる相談は、全国どこでも、三百六十五日、二十四時間受け付けておりまして、利用回数に制限はなく、電話料、相談料も無料になっております。  また、対面カウンセリングにつきましては、東京に受託業者の直営相談室があるほか、全国四十七都道府県の二百十四か所の提携機関、これは具体的には臨床心理士などが開設しているカウンセリングルームやメンタルクリニック等でございますが、その提携機関でカウンセリングを受けていただくことができまして、五回まで無料となっております。  裁判所といたしましては、引き続き、様々な手法を用いながら裁判員の方々の精神的負担の軽減に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  36. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 御説明をお伺いして、率直に申し上げて、よく体制もしっかり整えられているなというところを、感想を感じたところであります。電話等も含めて二十四時間体制も取っていらっしゃる、また全国で百五十以上の拠点もあり、そこで御相談もすることもできるというようなところであります。  専門家の方もこの制度、体制については評価もされていらっしゃるようで、これは、裁判員制度の運用等に関する有識者懇談会、十一回目ですが、京都大学の教授の酒巻先生なども、他国では、例えばアメリカなどは評決後に陪審員に対して集団的にカウンセリングすることは一部あるんですが、その部分だけで限ります制度でありまして、イギリスとかフランスとかドイツでも、こういうようなメンタル制度というのはないということが発言もされていて、我が国のように手厚いメンタルヘルスサポートが行われている国は珍しく、立派なことであるという発言もされておりました。  ただ、こういう立派な制度も、当然ですけど、裁判員の方々が、いろいろ緊張感のある中で、いざ頼るときには、こういう制度があるんだと思い起こしていただくぐらいしつこくやはり周知はしていかなければいけないというところは、そうでなければ宝の持ち腐れになってしまうと思います。この辺りをどのように周知体制を取られているのか、御説明をいただきたいと思います。
  37. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 裁判所では、裁判員の方々がメンタルヘルスサポート窓口を適切に御利用いただけるようサービスの内容や利用方法などを記載したパンフレットを作成しており、これを裁判員に選任された段階で全ての裁判員にお配りした上で、職員が内容について丁寧に説明しております。また、審理、評議の間も折を見てメンタルヘルスサポート窓口について触れるなどしておりますし、裁判の終了時にはメンタルヘルスサポート窓口について改めて説明し、利用に期間の制限はないことや、不安があったときは遠慮なく御利用いただきたいことなどをお伝えしております。  裁判所といたしましては、今後とも、裁判員の方々にメンタルヘルスサポート窓口の内容が十分に伝わるよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  38. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 引き続き、しっかりと運用をお願いいたします。  先日の議論のときにも出ておりました福島の事案なども、これは真偽は定かかどうか分からないんですが、当事者の方は、今回、このようなメンタルサポート窓口も全国で百五十か所以上の相談窓口があるんですが、東京まで行かなければ相談できないんじゃないかと誤解されていたというような報道も一部あったという、これは真実かどうかはまだ分からないんですが、そういうような報道があったのは確かであります。  いろんな部分で細かい制度を具体的に詳細にやっていらっしゃるところを、きめ細かく切れ目なくしっかりと御説明いただく運用は、しっかりまた引き続きやっていただきたいというふうに改めて御要望させていただきます。  メンタルのケアという点では、やはり大事なことは、裁判員経験された方お一人お一人がやはり孤立をしないというところが大事であると。お一人で抱え込まないというところであります。先ほどの福島の事案でも、いろいろ抱えていらっしゃることを家族にも相談できない、誰にも言えないというような環境が更に心身を圧迫されたというところであります。  そういうようなときに大事なことは、例えば裁判員経験をされた人同士で意見交換をし合うと。自分が抱えている問題も他人も同じように抱えていたんだという相互理解が仮にできる機会がもっとあれば、やはり心身の負担というのも軽減をされていく、参加をためらわれる要因というのも除去されていく部分はあるかと思っております。  その上で御提案なんですけど、私は、やはり裁判員の方々が、経験者同士が集まる場所の設定というものもこれはしっかりやっていかなければいけないのではないかと思います。実際上は裁判員を退任された後の場の設定ということにやはりなってしまう部分もあるかもしれませんが、そうすることで裁判員を退任された後のストレスというものもやはり当然軽減されますし、また、そういう場ができるということで、裁判員という枠の中での共同体意識という表現が正しいかは分かりませんが、それができてくる、そういうような意識の醸成というのがこれから裁判員になろうという方にも伝播をしていく、いろんないい面での影響というのがあるかと思っております。そういう意味合いでも、今申し上げたような裁判員の経験者同士が集まる場を設定するべきだと思いますが、この辺りについて、裁判所としてはどのように取り組まれているのか、御意見をいただきたいと思います。
  39. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 裁判員に対する事後的なケアにつきましては、裁判員の御要望が様々であることから、各裁判体におきまして裁判員のニーズに合わせた種々の工夫を講じているものと承知しております。  事務当局で把握しているものとしましては、例えば、裁判官の研究会に講師として招いた臨床心理士のアドバイスなどを参考に、その日の公判手続の終了後や全ての裁判手続が終了した後に裁判員と裁判官がお話をして裁判員に対する事後的なケアに努めた例ですとか、事件が終わってしばらく経過した後に裁判員と裁判官が一堂に会してお話をする機会を設けた例ですとか、裁判所の方から裁判員や補充裁判員の方々に電話を掛けたり手紙をお送りして不安や不調はないですかと尋ねた例などがございます。  また、裁判員の方から、裁判員経験者同士の交流のため、同じ事件を担当した裁判員経験者の連絡先を知りたいとの要望があった場合には、相手方の御了解を前提として連絡先を伝えるなどしております。  裁判所といたしましては、今後とも、今申し上げた取組を行うなどして、裁判員及び補充裁判員の方々の精神的負担の軽減に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  40. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 裁判所も様々な取組もされていらっしゃる。事前にいただいた資料ですと、裁判員経験者の意見交換会の開催の御案内なども配られているというところであります。  ただ、他方、これもマスコミオープンであったり、やはりスタンスとしても、裁判員として経験されたことを裁判所としては受けて、それを今後に生かしたいというような部分もある。やはりその部分とはまた別に、裁判員同士の方の自由な集まりというようなところ、例えば検察審査員の方々などは、経験された方は、その後、検察審査協会という形でいろいろと集まっている。同窓会という表現が正しいかどうか分かりませんが、そういうような場をやはりつくっていくということ、これは国から、上からやるというような話でないかもしれませんが、その辺りをしっかりまた協力し合って、サポートし合ってつくっていくという流れは、今後も検討課題として是非やっていただきたいというふうに改めて思っております。  次に行きたいと思いますが、こちらも裁判員の意識の向上という部分にも関係をするところでありますが、先日の参考人質疑のときに話を聞いて、そのとおりだと思ったのが教育の重要性というところであります。裁判員制度の制度理解というところもそうなんですが、広い意味での法教育の重要性というところ、これは、当然ですけど、裁判員制度の関係でいえば、制度の概要を知ることでより積極的に参加しようという意識も醸成される。プラスの面で、先ほどのメンタルをマイナスを元に戻すというのではなくて、プラスの面での意味もあるわけですが、それ以上に国民主権の徹底というところも当然出てくると思います。司法という三権の一部に国民が直接参加をしていく、また日常生活の中でルールがいろいろと規定されているということを認識していく上でも、法教育というのは大事であるというふうに改めて思っております。  今日は文科省さん来ていただいております。ちょっと、端的にで恐縮ですが、法教育の必要性についてどのように今取り組まれているのか、御見解をいただきたいというふうに改めて思います。
  41. 伯井美徳

    ○政府参考人(伯井美徳君) お答え申し上げます。  法や決まりの意義あるいは裁判員制度を始めとする司法制度などについて学校教育でしっかり教えるということは重要であるということでございます。このため、学習指導要領に基づきまして、児童生徒の発達段階に応じて、社会科や道徳、特別活動等におきまして法に関する教育を行っているところでございます。  その際、司法制度について指導するに当たっては、抽象的な制度理解にとどまらず、具体的に理解をしてもらうということが重要であるというふうに考えておりまして、関係機関の協力を得ながら、裁判官、検察官等による出前授業であるとか、あるいは教員研修であるとか、あるいは模擬裁判などを行うことは非常に意義のある取組であるというふうに認識しているところでございまして、文部科学省といたしましては、今後とも、そうした関係機関と連携しながら法に関する教育の一層の充実に努めていきたいというふうに考えております。
  42. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 ありがとうございます。  今、文部科学省からも出前・移動教室、法教育についてという話もありました。今日、お手元に資料を配らせていただいております。三枚ありまして、ちょっと時間がありませんので簡単に。  これは大臣の御地元でもある静岡地検のホームページからでありますが、非常に良い取組をされているなと思いまして、一枚目、出前教室、移動教室の内容が書いてあります。特に顕著なのは、小学生が非常に好評であるというところ。二枚目に行きますと、検察庁の方でも様々な資料が作成されているというところ。平日に限らず出前もして、そして、説明は検察庁職員が行います、何でもお申し付けください、資料は当方で準備しますという、非常に積極的な意味のある話でもあると思います。三枚目ですけれども、模擬授業、模擬裁判などの教材なども検察庁として出しているというところであります。  最後、時間の関係で、大変恐縮です、大臣にちょっとお伺いしたいと思います。  このような裁判の在り方、これは当然ですけれども、国民に開かれた司法に対してこういうような取組をしっかり全国的に進めていくことも大事でありますし、また、特に小学校段階、こういうような方々が最終的には裁判員にもなっていく、また社会の中でルールということを認識していく上では非常に有益であると思います。こういうような取組を、全国的にまた更に一層取り組んでいただきたいと思いますが、大臣、所見をいただければと思います。
  43. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 法教育そのものについては、国民に司法が開かれるという、そうした流れの中でも極めて大きな要素になっていると私も認識をしております。様々な取組につきましても大変精力的にやっているわけでございますが、さらに、そうしたこれまでの実情の検証を深めて、更に深掘りをしながら、より良く理解していただくことができるように、この実践活動におきましても役に立ててまいりたいというふうに思っております。  とりわけ、子供の教育という面につきましては、これは極めて大事ということでありますし、未来の担い手、裁判員にもなり得るということでありますので、その意味で、今後とも特に子供たちの法教育ということについては力を入れてまいりたいというふうに考えております。
  44. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 終わります。
  45. 真山勇一

    ○真山勇一君 維新の党、真山勇一です。  裁判員制度については、これまでのこの委員会での審議、それから参考人をお招きしての質疑、こうしたことで、裁判員制度自体というものは大変運用が定着をしてきているということですとか、国民に司法についての理解、これについてはまだやっぱり少し教育の面からのサポートも必要だという指摘もありますけれども、こうした国民が司法についての理解というのも一定程度出てきているというふうな、効果が期待されているとおりに出てきているという点も言えるというふうに思います。  ただ、その一方で、質疑などを通じまして、今回やはり今の現行制度の問題点あるいは課題、こうしたものもはっきりしてきたのではないかというふうに思っていて、これを今後の改革の方向につなげていかなくてはいけないのではないかなというふうに思っております。  今回の改正、四項目大きく分けてあるわけですけれども、この改正によって、国民の負担の軽減、それからもう一つは裁判のスピード化というような、こうした運用面の効果は期待できるというふうに思います。  ただ、その一方で、いろいろ意見が出ているように、裁判員なしで結局裁判が行われることになったり、あるいは効率化重視というようなことが強まってしまうのではないか。つまり、改正とか改革するというよりも何か裁判所の都合の方が大事にされちゃうような、そんな懸念がやはり感じられるんです。  裁判というのは、やはり公正さとか公平さということがもちろん基本、こちらが大事であるはずなんですけれども、運用に目が行ってしまうという、そんな、ちょっと今回の改正を見ていると懸念、心配もあるんですけれども、その点についてはどんなふうに考えていらっしゃるでしょうか。
  46. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) お答え申し上げます。  裁判員裁判の審理計画は各裁判体において判断されるべきものでございまして、事務当局としてお答えをする立場にはございません。  もっとも、一般論として申し上げますと、裁判員裁判では、公判前整理手続におきまして法曹三者で議論を行い、当事者の意見を踏まえた上で主張や証拠を整理し、事案の判断のために必要な証拠を採用した上で裁判員への負担を考慮した適切な審理計画を立てているものと承知しておりまして、決して効率重視に偏るものではないものと考えております。  そして、今申し上げましたことは本改正法案の成立の有無によって影響を受けるものではないと考えておるところでございます。
  47. 真山勇一

    ○真山勇一君 そうなんですね。そうあるべきだというふうに思います。  ただ、やはり効率重視ではないのかなと思わせるようなことを私は実は感じたんです。  それは、先日、前回のこの委員会で参考人の方をお招きしました。その中に裁判員裁判に被害者遺族として参加した参考人の方がいらっしゃって、その中のお話で気になった点があったんで、それをちょっと御披露したいと思うんですけれども、小沢樹里さんという方なんですが、被害者遺族として裁判員裁判に参加をしました。  どういうことかというと、飲酒運転の車と事故を起こして、その事故で義理の御両親亡くしまして、義理の弟さん、妹さんも重傷を負ったということなんですね。その事故がどんな事故であったかということをよく裁判員裁判の過程で分かってもらいたいということで、一枚の写真を証拠採用を希望したにもかかわらず、それがかなわなかったということなんです。  私、ちょっと気になったんで、なぜ不採用になったんですかということをお尋ねしたら、裁判所側の方の説明では、時間がないと、時間がないからそれは証拠採用しませんと言われたというふうに小沢さんはお答えになりました。  その写真、証拠採用にされなかった写真、どういうものか。これは妹さんの顔の写真なんです。顔面をこの事故で複雑骨折をして、前歯が六本折れたそうです。表情がやはりそれはもう大変大きく変わっているわけですね。それを事故の悲惨さということで、証拠で是非裁判員の人にも見てもらいたいということで採用してほしいということだったが駄目だったということで、私もそれ見て、今日実はこの委員会でも配りたいなと思いましたけれども、ここは裁判の場ではない、若い女性のやはり表情が変わった写真というのをここは出すべきでは私はないと判断しまして今日は出しませんでしたが、裁判では、その写真があったとしても、何というんですかね、それによって裁判員の人が物すごい衝撃を受けたり心に負担を感じたりというほどのものかどうかという、その辺の判断で、私は、むしろこれは交通事故の悲惨さを分かってもらうためには証拠として出してもいいんじゃないかなというふうに思いました。ですから、参考人の方にお尋ねしたら、時間がないからと。  どうも、この時間がないからという答えには私は納得ができなくて、これは、やはり、どういうことでそういうふうな答えをしたのかどうか、その辺り、それはもちろん本人じゃないと分からないし、その事例によってはまた答えられないということかもしれませんが、こういうことがあったということについてはどういうふうに思いますか。
  48. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) どのような証拠を採用し、どのような証拠を却下するかということにつきましては、個々の事件において各裁判体が判断することでございますので、最高裁としてお答えをする立場にはないのですけれども、一般論で恐縮でございますけれども、証拠の採否につきましては、公判前整理手続におきまして検察官と弁護人の意見を聞いた上で裁判所が審理においていかなる証拠を取り調べる必要があるかという観点から適切に判断しておりまして、時間がないということを理由に取り調べられるべき証拠が却下されるという運用はなされていないものと承知しておるところでございます。
  49. 真山勇一

    ○真山勇一君 そういうようなことで却下することはなされていないものと承知していると、まさにそこが大事だと思います。現場とこちらの最高裁の考え方が食い違うというか、違うふうな処理になってしまっては、やっぱりこの裁判員制度、元も子もない。やはり、それはきちっと意思統一が取れた運用というのがなされなくてはならないというふうに私は思っておりますし、しかも、裁判員制度というのを採用している以上は、やはりこうしたものに対してももう少し答え方に誠意を持ってほしいと。時間がないという、そういう言葉遣いというのはちょっとないのかなという気がしておりますので、その辺をちょっと指摘させていただきたいと思います。  こうした効率からとか、また、これは証拠の絞り過ぎ、確かに証拠を絞るということも必要だと思うんですね、余りたくさんいろんなものが出てしまって。ですから、必要なものにするということもあるかもしれませんが、そういうことが過度にならないようにやっていくべきではないかなというふうに思うんです。  それで、実は私、最高裁の方からこういう資料を見せていただきました。(資料提示)これ、裁判員制度が始まった平成二十一年から二十六年までの、裁判員を経験した方の、終わった直後に取ったアンケートなんですね。中身かなり膨大なもので、私もなるべくたくさん読もうと思って読みました。本当に、裁判員の裁判を終えた後の心情というのが物すごくとても丁寧に書かれたアンケートで、これ私、結構宝物じゃないかと思っているんですね。  これをやっぱり使っていかなくちゃいけないなというふうに思っているんですが、この中を見てみますと、アンケートの中に、あらかじめ決められた手続に沿って進めようという裁判の雰囲気が感じられたということですとか、またほかにも同様の感想があったり、裁判官に任せなさいという、そういう何か雰囲気を感じたというアンケートの答えが割と散見されるわけですね。  この辺りというのは、また今私が申し上げたような、やはり本当に裁判員制度を的確に運用しようとするよりも、何か運用の方を大事にするという、それがあってはいけないと思うんですけど、もう一回改めて、こういうアンケートの答えの中からどんなことを思われるか、おっしゃってください。
  50. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 委員御指摘の裁判員に対するアンケートにつきましては、裁判所では、各事件が終了した後、裁判員及び補充裁判員を経験された方にアンケートの記載をお願いしておりまして、毎年度、裁判員等経験者に対するアンケート調査結果報告書として、委員がお示しされたようにまとめているところでございます。  平成二十六年度におきましては六千七百三十名の裁判員経験者から御回答いただきまして、裁判官の進行について何かお気付きの点があれば御自由にお書きくださいという設問に対しまして、裁判官の誘導があったなどとする記載が四十八件ございました。同様に、二千七十五名の補充裁判員経験者から御回答いただきまして、裁判官の誘導があったなどとする記載が九件ございました。  これらのアンケート結果は裁判官にも周知されておりますので、事務当局としましては、裁判官は、こうしたアンケートの結果を踏まえまして、裁判員裁判の運用をより良いものとすべく、そしてまた裁判員や補充裁判員の方々に十分な配慮をすべく努めているものと承知しておるところでございます。
  51. 真山勇一

    ○真山勇一君 こうしたまさに今回の裁判員制度というのは、国民と司法をどうやって結び付けていくのかというところが一番大事な問題じゃないかというふうに思うんですね。ですから、国民の、特に裁判員を経験された国民の皆さんの声というのはすごく貴重なものだと思いますので、せっかく取ったアンケートで、そしてそれを、やはりどう制度を変えていくか、そのヒントがたくさんあると思うんですね。これ、是非利用していっていただきたい。せっかく、私も、こんなにきちっとまとまったものを作っているということは大変評価をさせていただきたいと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  それから、一方、今回は裁判員の方の心の負担ということは、もうこれ本当にこの場でたくさん語られているわけですけれども、そのために、裁判員の方の精神的な苦痛ですとか心の負担を和らげるという意味で裁判員メンタルサポート窓口、先ほども出ましたけれども、これ、前回私伺ったので細かいことはちょっと別にして、そのときのお答えで、これは外部に任せてあるので、そこでどういうふうな対応が行われているか分からない、それから、どんな例えば心の病を、病というところまで行くかどうか分かりませんけど、病的な方もいらっしゃるのかどうかということも特に報告は受けていないという、そういうお答えだったんですが、声が届かないというシステムじゃなくて、やはり声を聞いた方がいいんではないかなと。それはやっぱり、裁判所は病院じゃないからそういうのを聞いてもということではないと思うんですが、やはり裁判員制度を変えていくためには、こういうことがあるとこういう裁判員の方には負担が掛かるとかということを、むしろそのエッセンスというか、凝縮した形でその心の窓口で出てくるんじゃないかと思うんですね。  だから、これはやはり反映させるシステムに変えた方が、積極的に利用すべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょう。
  52. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 最高裁判所が設置するメンタルヘルスサポート窓口への相談につきましては、相談が外部に漏れないことを確保することで裁判員と補充裁判員やその経験者の方々に安心して相談に行ける場を設けることが重要であるとの考えから、裁判所側におきましては、業者から概括的な報告だけを受け、相談内容については具体的、詳細には把握できない仕組みを採用しているものであることを御理解いただければと存じております。  もっとも、委員御懸念のとおり、裁判所におきまして裁判員の心身の負担を敏感に察知し、適宜、裁判員裁判の運営改善、裁判員の方々に対する配慮の在り方に生かしていくことは重要であると理解しております。特に、裁判員や補充裁判員と直接接触する裁判官におきまして、裁判員等の心身の負担を敏感に察知し、早期に適切に対応することが重要であると考えております。  そのため、裁判所といたしましては、先ほど御説明申し上げました裁判員メンタルヘルスサポート窓口への相談についての概括的な報告のほか、各地の裁判所で実施されている裁判員等経験者の意見交換会における心身の負担に関する御意見ですとか、裁判員等経験者へのアンケートにおける心身の負担に関する記載から、裁判員経験者の心身の負担の実態を把握するよう努めております。  さらに、臨床心理士を講師に招いた裁判官の研究会を開催しまして、裁判員が精神的負担を感じる要因や、精神的負担を感じた裁判員に見られる反応などにつきまして意見交換をすることにより、裁判員と補充裁判員の方が心身の負担を負っているかどうかを担当裁判官が敏感に察知できるよう努めております。  引き続き、裁判員と直接接する裁判官がこのような取組を通じまして裁判員の心身の負担を敏感に察知し適切に対応できるよう、最高裁判所の事務当局といたしましても、必要なサポートに努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  53. 真山勇一

    ○真山勇一君 比較的きめ細かにやっているという印象は私も受けております。ただ、一つやっぱり気になっているのは、裁判員に余りなりたくないという人が最近増えているということが指摘されていますけれども、私は、一つは、裁判員をやってよかったという結果が九五・二%もある。これ、大変な数字ですよね。その一方で、自分が裁判員に選ばれたら裁判員裁判に参加しますかというと、余りやりたくないという、それもまた意見が多いわけですね。  私が思うのは、この裁判員の経験がよかったと答えている九五・二%のその中身のことがちょっと気になるのは、これ、裁判員裁判が終わった直後に聞いているわけですね。私、人間の心理として、やはり大きなものをやり遂げた満足感とか充実感があって、いろいろ大変だったけれども、自分で多分裁判員を受けるときに物すごいやっぱりいろいろ重圧感を感じながら受けて、いや、やりたくないな、やらない方がいいなと思いながらやってみたけれども、やっている過程で、だんだんだんだん自分のその立場の重要性、仕事の、任務の、役割の重要性、そういうことにやはり気が付くというか、感じると思うんですね。ふだん、ほとんど日常の世界では経験しないような、そういう世界での話、そういう場に自分が置かれるわけです。  ですから、終わったときはやはりそういうことをやったという大変な、私なんかはきっと、まだ裁判員に選ばれていないんですけど、選ばれる資格はないですけれども、なったら、やっぱりそういう気持ちになるなと。そうすると、終わった直後というのはやっぱり満足感で、みんな、やっぱりやってよかった、やらないということはなかった、やってよかったという気持ちになると思うんですね。そうすると、でも、それがしばらくたってみると、やはり大変だった、重圧だった、それから物理的にも、勤務のところに迷惑掛けた、家にも迷惑掛けたということになると、例えば知り合いとか友人とかの話の中で、裁判員やったんだって、うん、やったよ、でもね、やっぱり大変だという話が出たとすると、いや、やっぱり裁判員選ばれてもやるの大変だなという声にもなると思うんですよ。ちょっとくどい説明になりましたけれども、私は何かそんなことを実は感じているんですね。  ですから、やはりメンタル、病気までは行かなくても、裁判員の心の負担というのをどうやってうまく和らげる、取り除くかということは、この裁判員制度を、なるべくたくさんの人が進んで参加してもらえるようになる一つの大きなポイントではないかなというふうに感じております。ひとつよろしくお願いしたいと思うんですが。  それで、今回も一応三年後の見直しというのが求められておりますね。実は、今回の改正についても、裁判員裁判制度に関する検討会というのが設けられて、十一人の専門家とか有識者の方が四年十か月にわたって十八回もの会合を持って、その検討内容もかなり多岐にわたった、法制上のいろいろ問題点、それから運用に関する様々な点というのを検討されたと思うんですね。改善点も挙げられて指摘もされていると。そうしたことをこの検討会のまとめの中に書かれているんですが、法務省において適切な措置が講じられ、また法曹の協力で、法曹というのは裁判所、検察、弁護士、この三者の協力で運用のより改善をというふうに求めているわけですね。  私、今回の改正、この四点入っていますけれども、こうした膨大な問題点、いろいろ検討した検討会の提言とか意見が余り今回は取り入れられていなかったんではないかなという、そんな気がしているんですけれども、その辺はそうなんでしょうか。それで、なぜなんでしょうか。
  54. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 今回の法律案は、裁判員法の附則第九条を踏まえました裁判員制度に関する検討会における検討、またそれを踏まえたその法制審議会における審議を経て提出をさせていただいたものでございます。  委員御指摘のとおり、この裁判員制度に関する検討会は、裁判員裁判の実施状況などを踏まえまして活発な議論が行われて、十八回にわたる会合を開きまして、その検討結果が取りまとめられたものでございます。その結論の部分におきまして、今回、法務省といたしましては、検討会において法改正を要するという意見が大勢を占めた事項につきまして、これを法制審議会に対して諮問して、その上で法律案を提出するに至ったものでございます。そういった意味におきまして、今回の法律案につきましては、この裁判員制度に関する検討会の議論の内容というものは十分に反映されたものであろうと考えております。  ただ、もちろん、この結論、法改正に至る結論の部分に至るまでに非常にたくさんの活発な議論がなされました。その中でいろんな提言もございましたし、またそういったことを提言する方からいろんな資料も出されたりしております。こういったことにつきましては、当然、法改正は、今後のまたいろんな法改正に至るような検討も当然でございますけれども、様々な運用の改善といったところにつきましては、この裁判員制度に関する検討会で出された様々な資料とか意見とか提言みたいなものにつきましては、やはり十分に活用していかなくてはいけないものだと考えております。
  55. 真山勇一

    ○真山勇一君 確かに、出された様々な問題点を検討されて、その中から今回はこうした改正になったというふうに私も思いたいですね、そういうことだと思うんですね。  もちろん、裁判員制度が始まって六年、初めての今回改正ということなので、まず一番肝腎なところ、基本的なことを直したというふうな考え方も私は理解できるんですけれども、様々な指摘されている。これはやはり今後に生かしていかなくてはいけないんではないか、今後の改革につなげていかなくてはいけないんじゃないか。特に、繰り返しになりますけれども、こうした国民の声ですね、やっぱり経験された方たちの声の中から生かしていくということは、まさに国民と司法というものを結び付けていく、その役割がやっぱり裁判員なんですから、裁判員になった方の声というのは、やはりこれからも取り入れていっていただきたいというふうなことを思っております。  そういう意味で、この次の三年後、見直しが行われるということでしたら、やはり検討会に出された提言などをしっかりと入れていただきたい。特に、私、今回の質疑では触れませんでしたけれども、やはり裁判員の中には守秘義務の問題というのを非常に気にされている方も多いんですね。これも非常に重圧になっていて、何をしゃべったら犯罪になって何をしゃべるなら大丈夫だということがやはり分かりにくいということで、しゃべると犯罪になるという不安も訴えていらっしゃる。こうした問題もやはり検討会で繰り返し論議されているわけですね。  それから、そういう心の負担というのも繰り返し論議されているし、今回の提案理由説明の中でも裁判員となる国民の負担が重くなり過ぎないようにというふうに言っているわけですから、やはり今後のこの裁判員制度の改革を目指す辺りというのはどの辺になるかということの大きなヒントに私はなってきているんじゃないかと思うので、この今回のまとめの中に法務省において適切な措置が講じられるようにということがあるので、これはもう私、時間になりましたので最後の質問にしたいんですが、法務大臣に是非お答えいただけると有り難いと思います。  こうした提言を是非、今後生かしていくべきだというふうに思っているんですが、いかがでしょう。
  56. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 裁判員制度が初めて日本の国に導入されて、この間の運用の中で大変大きな評価をいただいているなということでございます。  今日の先生の御指摘におきましても、九五%に及ぶ皆さんが実際に参加をした結果を見て非常によかったとお答えになっていらっしゃることを言及していただきましたし、またアンケート調査の結果においても、自由記述のところにおいても様々な体験の上での御意見も寄せられていると。そうした意見、さらには在り方で検討されました専門家の皆さんの御意見あるいはヒアリングの結果、こうしたことが重ねられながら、今回、法制度という形でのお願いをし、また同時に、運用の改善というところについても大変大きな示唆に富んだ御指摘をいただいたものというふうに考えております。  三年後の検討条項ということで設けられているところでございまして、具体的な検討の方法につきましては、まさに今審議をしていただいているということでございますので、そうしたことを踏まえながら、これから様々な御意見をしっかりと重く受け止めて検討に付してまいりたいというふうに考えております。
  57. 真山勇一

    ○真山勇一君 ありがとうございました。終わります。
  58. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  今日は、まず、法案の、著しく長期、多数回の事件を裁判員裁判の対象から外すというこの規定について大臣に伺いたいと思うんですけれども、先週の小木曽参考人の御意見を伺っても、結局、具体的基準はないとおっしゃっているように聞こえるんですね。衆議院からずっとこの議論はあってきているんですが、大臣、結局、除外の基準あるいは判断要素というのは何だということなんですか。
  59. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 今回の第三条の二というところに記載されております、審判に要する期間が著しく長期にわたる場合又は公判期日等が著しく多数に上ることを回避することができないときにおいて、他の事件における裁判員の選任又は解任の状況、当該事件の裁判員等選任手続の経過等の事情を考慮し、裁判員の選任が困難又は職務の遂行を確保することが困難である場合等において裁判官の合議体で取り扱うこととする決定をお願いしているところでございます。まさに二つの要素が規定されているところでございます。  そこで、裁判員制度の趣旨でございますが、裁判員として国民の皆様に御参加をいただくことによって、そして裁判をしていくということでございますので、これにつきましては裁判員が加わった合議体で行うということが基本であるというふうに思っているところでございます。  しかし同時に、今まで以上に、これまで生じなかったような事態を想定をいたしておるところでございまして、その意味では、施行後当分の間につきましては、他の事件における裁判員の選任又は解任の状況、これのみに基づいて除外決定をすることについてはこれは想定をしていないということでありますので、実際にこのことに該当するかどうかということにつきましては、裁判員等選任手続を実際に行って、そしてその上で、審判が長期、多数に及ぶため裁判員候補者の辞退が相次ぐ、さらに必要な員数の裁判員を選任することが困難である、こういうことが認められるときということで除外決定を行うということを想定しているものでございます。  したがいまして、三条の二によりましての除外決定がなされるということにつきましては、極めて例外的な場合であるというふうに考えております。
  60. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 条文を紹介をされ、趣旨をおっしゃるだけで、結局具体的によく分からなくて、例えば裁判官だって困るんじゃないかと思うんですよね。選任手続を実際にやってみてというんですけれども、あと一回か二回選任手続やってみたら参加できる人が出てくるかもしれない。だけど、どこかで職権で判断するということになるわけでしょう。  大臣か、局長でもよろしいんですけど、この条文には被告人若しくは弁護人の請求によりという場合もあるんですけど、逆に被告人、弁護人は絶対裁判員制度でやってくれと、この除外に反対しているという場面でも、それを押し切って職権で、いや、これは職業裁判官でやりますという判断ができるというわけですか。
  61. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 今回の三条の二の要件に当たる場合につきましては、裁判官の合議体で取り扱うこととする決定を行うことができるわけでございます。もちろん、そのこと自体が当事者との意見と異なる場合というのは当然あり得ると思いますけれども、そういった場合につきましても、今回の手続につきましては不服申立ての即時抗告というような形での申立ての制度もございます。そういった中でこの決定の当否というものが審査されていくこととなろうかと思います。
  62. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 そうなんですけれども、その不服申立ての是非の判断をするのはもちろん職業裁判官なわけですね。その基準がどうなのかという具体的なものは、今の時点で示されているとは私には思えない。局限的な例外の場合だみたいな、これまでには例がない場合だみたいな、そんなことになっているだけなんですよ。  大臣、冤罪事件など重大な否認事件が典型的ですけど、一定期間の長期が掛かるにしたって、そこに市民の社会常識、国民の司法参加を求めることが必要だ、ふさわしい、そういう事件を裁判員制度から裁判官の職権で除外してしまう、これができてしまうとなると裁判員制度の趣旨に反することにはなりませんか。
  63. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 裁判員裁判、裁判員制度そのものの対象事件ということで、先ほど委員の方から御指摘いただきました国民の社会常識、これを裁判に反映をさせる、そして司法に対しての国民の御理解そして支持を深める、さらには国民の皆さんに対して、この制度そのものを前提とした形での司法に対しての信頼をいただく、こうしたことで取り入れられ、またその対象とする案件につきましても、国民の関心が高く、社会的にも影響が大きい法定刑の重い重大事件を対象とする、こうした観点から定められているということでございます。  今対象となっていない事件の中に様々な種類のものが含まれているということでございまして、今委員御指摘の否認事件ということであります。被告人が公訴事実を否認する事件というだけで、それらが類型的に国民の関心や社会的影響の観点から裁判員制度の対象事件としてふさわしいものであるということにつきましては、なかなか困難であるというふうに考えられるわけでございます。  裁判員制度が制度設計された時点におきまして、司法制度改革審議会の御意見の中にこのことにつきましても触れておるところでございまして、公訴事実に対する被告人の認否による区別を設けないこととすべきであるということについて明確に御指摘をいただいているところでございまして、自白かまた否認かの別を問わず裁判員制度の対象とするということが現行制度の基本的な枠組みになっているところでございます。そうしたことをしっかりと考えて、この制度が現行制度になったものと考えております。
  64. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 私の問いと違う御答弁があって、今の否認事件について裁判員裁判の対象とすべきではありませんかという問いをこの次に申し上げようと思っていたんですけれども、その御答弁を今いただいたんだと思うんです。  後に議論するとして、先に申し上げたいのは、自白しているか否認しているかを問わず、今大臣がおっしゃったとおり、著しく長期とか多数回に上るというのは、この事案が重大で、あるいは否認していて多数の争点がある、あるいは証人がたくさんいるというようなことが想定されるわけですよね。そういう事件ほど社会的にも重大であり、裁判員の参加、それによる社会常識の反映というのがむしろ求められるんであって、これを職業裁判官の職権だけで対象から除外するというのは裁判員制度の趣旨に反しませんかという問いです。
  65. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 裁判員制度対象事件というのは、非常に法定刑の重い、国民の関心の深い重大な事件でございます。それを前提として、今回、裁判員制度につきましては、そういった裁判員制度の趣旨に照らせば、対象事件につきましてはできるだけ広く裁判員裁判を実施すべきであるというこの考え方は、それを前提としております。  その上で、ですから、当然、これまで例えば裁判員の参加する合議体で審判することが可能であった事件、その中には非常に大きな、事実認定上も非常に争われて国民の関心も非常に高いといった事件がございましたが、このように、実際にそれで裁判員裁判が行うことが可能であった事件、事案、こういったものについては、これまで同様に、この趣旨に鑑みまして裁判員の参加する合議体で取り扱うべきだと、そういう考え方に立ちまして、その上でも、今回、三条の二で挙げておりますような要件に合致するような場合につきましては裁判官の合議体で取り扱うことができるようにすると。非常に、ここでは極めて例外的にそのような決定を行うことができるというふうにするものでございます。  したがいまして、考え方として、必ず、そういった裁判員裁判対象事件につきましては、まずは裁判員裁判で実施をすべきである、そのようなことを考えた上で、それでも三条の二の条項に合致するような、ここには様々な決定に至るまでの考慮事情が書いてありますけれども、そのような考慮をした上で、結局、裁判官の合議体で取り扱うのが相当であると考えるべきものにつきましては、このような決定をして除外することができるというふうにしているものでございます。
  66. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 そうした御答弁を伺うと、こうやって新設しても結局除外するという事件は現実には出てこないんじゃないか。むしろ、私たちの責任は、そうした事件でも、つまり著しく長期の事件でも裁判員が参加できるような職場や保育や介護も含めた環境をちゃんと整えると、そこにあるんじゃないのかということを改めて申し上げておきたいと思います。  そこで、先ほど、御答弁が先にあった否認事件、今対象事件とされていない事件、例えば、法制審の特別部会の委員にもなられた周防監督が映画を撮られましたけれども、痴漢冤罪事件とか、あるいは、せんだって国賠訴訟の判決が確定した志布志事件、これは公選法違反事件でした。こうした冤罪事件も含めた否認事件ですね、私は対象として含むべきではないか。その制度設計としては、準備している修正案のように御提案をしているんですが、大臣、量刑は比較的軽いとか、あるいは執行猶予付きの懲役刑だとか罰金刑ということであっても、痴漢冤罪は典型ですけれども、誤った有罪判決というのは人の一生を破壊してしまうでしょう。一般市民の常識は、その有罪、無罪、その事実があったかなかったかと。あったかなかったかは不正確でした、検察官の起訴する事実が証拠によって合理的な疑いを入れない程度に立証されているかということの判断、これは一般市民の常識こそが生かされる分野であって、こうした否認事件こそ、事件の軽重にかかわらずに、私は国民が司法参加する意義があるんじゃないかと思うんです。  死刑が求刑される重大な事件ではなく、一般の市民生活の中で起こり得るこうした事実認定について国民の司法参加を求めるのはむしろ歓迎すべきじゃないかと思うんですけど、大臣、いかがですか。
  67. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 先ほどちょっと答弁を先取りされたということで御指摘がございましたが、まさに先ほどの私の答弁そのものが今の御質問ということであったかというふうに思いますが。  裁判員制度のそもそもの対象事件を限定しているということでありまして、国民の関心が高く社会的にも影響が大きい、そして法定刑の重い重大事件を対象とすることが相当であるという観点から定められているということでございますが、その対象となっていない事件の中にも様々な種類のものが含まれていると考えられて、そして被告人が公訴事実に否認するという、こういう事件だけでそれらを全て類型化をして、そして国民の関心や社会的影響の観点から、裁判員制度の対象としてふさわしいというところまで言い切るというのはなかなか困難ではないかという、そういう考え方の中で制度設計がなされてきたというふうに理解をしているところでございます。  先ほど答弁の中でも申し上げたところでもございますが、そもそも、制度設計をする折にも、司法制度改革審議会の意見に基づいて、公訴事実に対する被告人の認否による区別を設けないこととすべきであるという、こうした明確な御指摘をいただいているということでございまして、自白か否認かの別を問わず裁判員制度の対象とすることがこの現行制度の基本的な枠組みになっているというところでございます。  したがいまして、相対的に法定刑の軽い事件について公訴事実を否認する事件のみを対象とするということにつきましては、現行制度の基本的な枠組みについては相入れないものであるというふうに考えております。  また、否認事件一般を対象事件とした場合におきましては、裁判員の皆さんの参加する裁判の実施件数が相当数に増加するということも考えられるということでありまして、真にこれらに対応できるかということにつきましても慎重に検討する必要があるのではないか、そういう意味で国民の負担が過重なものとなるおそれがあると、こういう問題も指摘されているところでございます。
  68. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 もちろん、裁判員の参加などは増えていくことになるんだと思うんですけれども、その準備をもちろんやりつつ、施行してこの六年で、やはり国民の司法参加によって、職業裁判官のみによる従前の裁判に対して市民の常識が反映されるようになった。ここの積極的な意義を、そうかたくなに法の趣旨をおっしゃるんじゃなくて、立法時の議論をおっしゃるんじゃなくて、現実にこの六年間を踏まえてこれからの見直しを検討すべきだと私は思います。参考人質疑でも、法一条の理念が権利を認めたものではないという、ちょっと、そんなかたくなな法理上の議論を何で今するかと私は思うんですよね。類型的かどうかというふうに決め付けてしまうんじゃなくて、裁判員の参加によって市民の常識が裁判に反映していくということの大事さを今しっかりと踏まえてこれからのことを考えるべきではないでしょうか。  ちょっと次の質問に行きたいと思うんですけれども、三年後の見直し条項、先ほど真山議員も触れられましたけれども、これ政府案にはありませんでした。衆議院の全会一致の修正で置かれることになったわけですが、法案提出後に私、担当者の方から勉強のレクを受けているときに、なぜ置かないのかということについて、裁判員法はこれで言わば完成だからですという説明を受けたんですが、大臣、そういうことですか。
  69. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 今回、政府原案におきまして検討条項について設けなかったということでございますけれども、だからといって、将来、制度上あるいは運用上の措置の要否について検討しないということを意味しているわけではございません。裁判員制度そのものが国民の皆さんにしっかりと理解をしていただいて、そしてそれが更により良いものに改善し、そして国民の間においても広く定着することができるように、これは更なる改善は絶えずやっていかなければいけないということでございまして、そういう意味で、たゆまぬ改革をしていくということを前提にして組み立てているというふうに承知をしているところでございます。  その意味で、今後も施行状況をしっかりと注視をしながら、必要に応じまして制度上あるいは運用上の措置の要否につきましても検討をしていく、また検討をし続けていくということは必要であるというふうに認識をしているところでございます。
  70. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 そうおっしゃるわけですから、置かれた三年後の見直しに向けて抜本的な検証と改革を行うように御努力をいただきたいと思うんですね。  この六年間を振り返ってみたときに、裁判員制度というのは、これは重大刑事裁判について行われているわけです。二〇〇九年に施行されたわけですが、その直後に足利事件の菅家さんが無罪ではないかという重大な問題が起こって、その後、再審無罪が確定をします。村木事件も発生し、布川再審無罪判決も確定をします。昨年は袴田事件についての再審開始決定も行われ、政府は、というか検察は争っておられますけれども、せんだって志布志事件の国賠訴訟も確定をした。ここで問われた刑事裁判、とりわけ捜査の在り方の構造的問題について、裁判員制度との関連で、裁判員裁判にどう教訓を生かすのかという関連で、私は見直しがされていないと思うんですよ。  一方で、そうした冤罪事件が、あるいはその下での検察や警察の態度が次々と明るみに出る中で、一層、刑事司法への国民の信頼はなくされてきている。うさんくさい、関わりたくない、そういう国民意識が広がることは、大臣、自然だと思いませんか。
  71. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 裁判員制度におきましては、国民の皆さんの社会の常識をしっかりと裁判に反映していただくということで、大変長い議論の上で導入をされ、そしてこの間、国民の皆さんの真摯な御参加をいただいた中で一定の評価を得、また今後とも改善をしながら進めていくということが大事だという、そうした流れについては、これを大きな太いものに、力強いものにしていかなければならないと私自身考えているところでございます。  その意味では、様々な御指摘、そして様々な課題、問題、いろんな角度からお示しをいただきながら、それについて検証を加えながら検討をし続けていく、そして改善をしていく、あるいは制度的な、今回お願いをしたような御審議もいただくということで今に至っていると思っております。この流れにつきましては、今後とも改善をしていきたいと思っているところでございます。
  72. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 この冤罪を生み出してきた日本の刑事司法、とりわけ捜査の在り方を構造的に正すということ抜きに裁判員として重大刑事事件に関与してほしいということを国民に願うというのは、私は背理だと思うんですよね。  裁判の手続の中で一問だけ最後聞いておきますが、泉澤参考人が、証拠の厳選という考え方について警鐘を鳴らしました。小沢参考人の、先ほど真山議員の御紹介、そのとおりだったと、同じことだったと思うんですけれども、大臣、証拠を厳選するといって、つまり裁判員に負担を掛けられないからといって捜査側に不都合な部分が隠蔽される、そんなことはあってはならないと思いますけど、大臣、いかがですか。
  73. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) ただいまの御指摘でございます。裁判員に負担を掛けられないから証拠を厳選するというようなことを名目に不都合な証拠を証拠請求をしないということ、これはあってはならないということで、制度そのものの中にはそうしたことが起こらない仕組みを導入しているというふうに考えているところでございます。  現行刑事訴訟法下におきましては、公判前整理手続におきましての争点及び証拠の整理と関連付けまして、段階的な証拠開示ということで、類型証拠開示とそして主張関連証拠開示ということでございます。被告人の防御のための準備のために必要かつ十分な証拠を開示するという仕組みになっているところでございます。  検察官が被告人の特定の供述調書の証拠調べを請求した場合におきましては、被告人の供述調書であって検察官が証拠の請求をしていないものについては類型証拠として開示をされる、そういう仕組みになっているところでございます。  このように、証拠開示制度によりまして検察官の請求証拠以外の証拠も広く被告人、弁護人の知るところとなり、このような証拠開示の制度の下では、検察官が証拠請求を控えることによって特定の証拠を隠蔽するというような御指摘のような事態ということにつきましては、想定し難いものであるというふうに思われるところでございます。
  74. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 仁比君、時間です。
  75. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 時間がありませんから一言だけ申し上げておくと、想定し難いといって、現に起こっているじゃないですか。何を言っているんだと。制度上そうなっていないから抜本改革が必要なわけでしょう。それが捜査全過程の記録化、可視化であったり全面証拠開示であったり、代用監獄の廃止やあるいは弁護人の立会いなどの問題なんですよ。  これからのこの委員会の中で徹底した審議が必要だということを申し上げて、質問を終わります。
  76. 田中茂

    ○田中茂君 日本を元気にする会・無所属会、無所属の田中茂です。  裁判員制度をより良いものにしていくという姿勢の下で、前々回に引き続き質問をさせていただきます。  まず第一に、裁判員の選考についてお聞きいたします。  先日の委員会の質問で、前々回の委員会の質問でしたか、幅広く特別な偏りがない状態で裁判員が選任されているのかどうか確認したいとの問いに、最高裁から、おおむねバランスが取れた構成になっていて、職業構成も国勢調査の職業分布とほぼ対応し、年齢構成についても二十代から六十代までバランスの取れた分布となっていると、そうお答えになっておりました。それは制度の趣旨として評価すべきだと思っております。  ただ、私が知る限り、裁判員候補者というのは、まず選挙人名簿で選挙管理委員会がくじで選び、無作為抽出ですか、それを候補者名簿とする。そして、その中から辞退者や資格のない人が除外され、更にくじで選んでいく。各選挙管理委員会でくじ引して、更にくじ引で、毎年毎年きちんとその割合が保たれているというのは統計論的になかなか難しいのではないかと、そう思っております。  そこで、先日の参考人質問で参考人の小沢さんが、裁判員裁判では、実際にいろいろな年代や男女の方がいないと、なかなか理解できないのではないかとおっしゃっておられました。  まずお聞きしたいのは、職業構成については国勢調査の職業分布とほぼ対応した構成が保たれているということですが、これはどういうカテゴリーなのか、お聞かせください。
  77. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) お答え申し上げます。  裁判員等経験者に対するアンケートにおける職業についての質問に対する回答の選択肢は七つございます。一つ目がお勤め(公務員、会社経営者を含む)、二つ目が自営・自由業、三つ目がパート・アルバイト、四つ目が専業主婦、五つ目が学生、六つ目が無職、七つ目がその他となっております。
  78. 田中茂

    ○田中茂君 より詳細な項目はないんでしょうか。
  79. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) それ以上に細かな職業別の内訳は把握しておりません。
  80. 田中茂

    ○田中茂君 思想、信条でのフィルタリングは当然ないと思うんですが、各年代、男女、職業構成等々への対応は、その意味からも、むしろバランスを取るためにフィルタリングを欠かせないのではないかと、そう思っておるんですが、いかがでしょうか。
  81. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 委員御指摘のとおり、バランスの取れた構成というのは望ましいところであるとは思うんですけれども、裁判員法上、名簿の構成につきましてはそのようなフィルタリングをしないという法制度になっておりますので、裁判所としては、それ以上の立法の当否につきましてはお答えする立場にはございません。
  82. 田中茂

    ○田中茂君 偏りがないということで、なるべくバランスが取れたということだったんですけれども、それが統計論的にうまくバランスが取れるかどうか分からないんですけれども、フィルタリングがないというのは確かにそうせざるを得ない部分あると思いますが、これはこの辺にしておきます。  次に、企業に対してのアンケート等実施の必要性についてお伺いします。  前々回の委員会でも若干触れましたが、幾つかの大企業においては、従業員が裁判員に選ばれた際の規定として、裁判員休暇などの特別有給休暇等の制度が整備されているようではあります。しかし、中小企業はなかなかそこまで整備が行き届いていない。裁判員の約六割が勤め人であるという現状では、そのうちの七割が中小企業勤務者だと考えると、全体のほぼ四割がそういった中小企業勤務者という計算になります。特に地方ではそういうケースが多いのではないかと、そう思います。  そうなると、裁判員制度を円滑に運営していくためには、企業側の意見、例えば社員が裁判員になってこんなことが問題になったとか、あるいはこういうことが非常によかったとか、制度上こういうことをしてほしいとか、国民全員参加という建前からして、特にこういった中小企業からの声を吸い上げて、国としてやるべきことがあるのではないかと考えております。  前々回の質問でも、裁判員を経験した社員がいる企業に対してアンケート調査を含む何かしらの行動を起こさなければならないということを指摘させていただきましたが、裁判員経験者からのフィードバックが寄せられていることは承知しております。がしかし、今までに企業アンケートはないということなので、この点、裁判員制度をより良いものにするためには必須のことではないかと考えております。  改めて検討していただきたいと思っておりますが、いかがでありましょうか、お聞かせください。
  83. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 裁判所が裁判員の所属する企業に対しまして例えば休暇制度の整備状況等を問う調査を行うということは、裁判員に選ばれた方とその方の職場との労使関係への介入と受け止められるおそれもございますので、慎重に考える必要があると考えております。  もっとも、各地の裁判所におきましては裁判官が企業等に出向いて説明などを行う出前講義を実施しているところでありまして、この出前講義は、裁判員裁判の運用状況や、実際に裁判員を務められた方々の経験談を御紹介し、企業の関係者に対しまして従業員の皆さんが裁判員裁判に参加することの意義を御理解いただくとともに、裁判所にとりましても企業等の実情を知る貴重な機会となっております。  裁判所といたしましては、引き続き、このような取組を通じまして、裁判員の方々の職場環境についての理解と適切な情報発信に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  84. 田中茂

    ○田中茂君 企業に対して出前講義をされていると、いろんな努力はされているというのはよく分かります。しかし、企業の協力ほど心強いものはないと思っております。企業への理解が深まれば、勤務者による裁判員の物心両面の負担も軽減し、その家族の方々の裁判員制度の理解も深まることと思っております。  出前講義、先ほどおっしゃったんですが、人事への説明、それは当然必要だと思いますが、先ほどメンタルケアの話もありましたが、企業との協力はそういう面も含んでより広範囲にわたると思いますので、特に地方の中小企業への細かい配慮は是非ともお願いしたいと思っております。  次に、意見交換会の資料の活用についてであります。  これは周知ということで検討していただきたいという点でありますが、というのは、裁判員経験者の意見交換会が各地方裁判所にて行われていること、それ自体、私は実は知りませんでした。確かに、裁判員経験者との意見交換の議事録が裁判所のホームページで公表されております。これを見ますと、各裁判所ではほぼ毎月のように頻繁に行われており、多くの裁判員経験者の方から意見が吸い上げられ非常に有意義であると、そう感じました。今後の制度整備には極めて役に立つと、そう考えております。  これまでに六万人ほどの国民が参加したとはいえ、まだ一般には理解されておりません。例えば、守秘義務があると先ほどからおっしゃっていましたが、守秘義務があるために裁判員は何も話してはいけないと思われたり、裁判員が判断することは有罪、無罪を決めるだけと思われたり、殺人事件に関しての先入観が強過ぎたりと、裁判員経験者自身を含め周囲でも誤解が多く、周知されていないことを改めて痛感したとの意見もありました。ですから、あらゆる方法での周知徹底がより一層必要だと、そう思っております。  そこで、やはり裁判員というのは、裁判員に選任される前の手続一つ取っても実際に自分が経験してみないと分からないことが多く、この経験者の方の意見は本当に極めて貴重なものだと思っています。ホームページには議事録がファイルとして添付されておりますが、かなりボリュームが多いので、興味を持ったとしても全部読むのも大変であります。もっと簡潔にまとめて、この成果を一般の人たちにも読みやすくするなどの工夫が必要ではないかと思うんですが、それは広報活動にもなると、そう思っております。  さきの委員会でも、最高裁は、各地の裁判におきまして、裁判員経験者の方々にお集まりいただきテーマごとに意見交換するという場を設けています、裁判所としては、そのような裁判員経験者アンケート及び裁判員経験者意見交換会等の場面を通じまして裁判員経験者の意見、感想を聴取しまして、運用改善につなげているところですとお答えになっておられます。  そこで、運用改善につなげているとお答えされていますが、この意見交換会で指摘された意見をどのように反映されているのか、現状認識とこれからの方針についてお聞かせください。
  85. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 裁判員等経験者の意見交換会におきましては、裁判員等経験者の方から、例えば選任手続の直後に審理が始まったため心の準備や勤務先との調整が難しかったですとか、評議の時間にゆとりが欲しかったといった裁判の進行の仕方や、審理、評議の在り方等を含めた幅広い問題につきまして有意義な御意見、御感想を多数いただいております。  意見交換会を開催した各地方裁判所では意見交換会の内容を議事録としてまとめて公開しておりまして、各裁判官も、これを裁判員裁判の運用改善を考える上で貴重な資料とさせていただいております。また、意見交換会で出た裁判員の精神的負担に関する御意見につきましては、最高裁においてこれを取りまとめ、全国の裁判官に情報提供したこともございます。  裁判所としましては、今後とも、裁判員等経験者の意見交換会で出た貴重な御意見を裁判員裁判の運用の改善に役立ててまいりたいと思っておるところでございます。
  86. 田中茂

    ○田中茂君 あらゆる面で改善について検討されているとは思うんですが、そこで、質問に関連しまして、裁判員制度に関するウエブサイトについてであります。  裁判員制度については、最高裁が極めて詳しい制度についてのサイトを設けていらっしゃいます、私もこれは大分参考にしたんですが。それ以外に、法務省にもサイトがありますし、裁判所のウエブにも、各裁判所での先ほどおっしゃっていた裁判員経験者との意見交換会の議事録が時系列で掲載されてもいます。中には極めて有意義と思われるものもたくさんありますし、裁判員経験者意見交換会ホームページ、これをもっと活用できないかと、そう思うのですが、先ほど貴重な意見が大変埋もれているということもおっしゃっていましたので、いろんな角度から裁判員制度に関する情報が得られるのですが、あちこちに点在していまして何か全容がつかみづらいと。  有益な情報を活用するためにも国民への周知という点でも、ポータルを使って、実際、ポータルを使ってそこから裁判員制度に関する様々なサイトへ行けるような仕組み、最高裁、法務省、検察庁、各地の裁判所、関連団体などへも集約しているとは思いますが、より情報を見えるように分かりやすくすることが必要ではないかと考えております。  内容に関しても、若干ニュアンスが異なっているのも見受けられるし、迷う人がいるのではないかと思いますし、裁判員制度も導入後六年たってそろそろ情報も蓄積されてきたとは思います。より多くの人の目に触れて、裁判員制度を少しでも身近なものとして捉えるための周知徹底するために、このような点を含めて考えていただきたいと思いますが、いかがでありましょうか。
  87. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 裁判員制度の広報というものは非常に重要でございまして、その観点から法務省におきましてもそのようなホームページを設けておりますし、今御指摘のありました最高裁判所においても専用のページ等が設けられているところでございます。  それぞれの機関におきまして、それぞれの機関のホームページにおいて様々な工夫をしておるところでございまして、例えば法務省におきましては、専用ページにおきましては、裁判員制度の説明、また広報用アニメの視聴、あるいは地域、職場における説明会を開催したい場合の申込みの案内、こういったような関連情報の提供をホームページにおいて行っているところでございます。  もとより、委員の御指摘のように、ほかの機関におけるホームページとの集約でありますとか、より分かりやすい連携の在り方というものは非常に重要でございまして、法務省におきましても、最高裁判所、日本弁護士連合会、また法テラスあるいは検察庁、こういったところの裁判員制度に関する関係部分のリンクを設けるなどの工夫をしているところでございます。  今後とも、こういった形での情報に国民が十分にアクセスしやすいような形のホームページの構成、内容の工夫に努めていきたいと考えております。
  88. 田中茂

    ○田中茂君 是非とも、国民へ分かりやすくするためにもウエブサイトを分かりやすい体制をつくっていただきたいと、そう思っております。  ウエブサイトは、どちらかというと相手からアクセスするということで受け身の方なんですが、反対にこちらからより積極的に対応するという意味で、裁判員制度の啓蒙の一環として質問させていただきますが、私の周囲でも、法律の世界は知らない、無縁だという人が多いので、いざ自分が裁判員に選ばれたとして、そう仮定してみると、突然、裁判員候補者名簿に載りましたとの連絡が来たら、やはり最初は戸惑うと、そう思っております。    〔委員長退席、理事熊谷大君着席〕  そういう意味では、裁判員になる前の国民に対する周知を強化することは極めて重要であると、先ほど来からそう言っておりますが、例えば裁判員をテーマにしたテレビドラマ、映画を作成することも一つの手法ではないかと思っております。  昔、アメリカ映画で、「十二人の怒れる男」という陪審員制度をテーマにしたテレビドラマや映画がありましたが、最近では、日本で二〇〇九年に蜷川幸雄さんが演出して、「十二人の怒れる男」の芝居がありました。私もこれ見に行きましたが、極めてリアリティーがあり、臨場感もあって面白かったことを覚えております。もちろん、これは陪審員制度なので、日本では裁判員制度ということになりますが、中には、裁判員制度は厳粛なもので映画やテレビの芝居は不謹慎だと言う方もいるかもしれませんが、裁判員制度を広く国民へ啓蒙周知させるとすれば、マスコミを通すことが最も効果的であります。  パブリシティーを含めて、メディアとも相談しつつそのような広報活動をより活発に展開してはいかがかと考えておりますが、この点、大臣の御見解いかがでしょうか、お聞かせください。
  89. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 裁判員制度そのものを国民の皆さんから支持していただき、また積極的に関与していただくための広報活動におきまして、先ほど委員から見える化をするというお話がありましたけれども、大変重要な視点であるということを考えているところでございます。  これまでも、実は法務省におきましてマスコミと連携をした広報活動に努めてきているところでございまして、俳優が監督、主演を務める裁判員制度広報用のビデオにつきまして企画し制作し、また御利用いただくというふうなこともやってきましたし、また政府の広報のオンラインあるいはインターネットの動画配信サイトを使いまして裁判員制度広報用のビデオを配信するなど、さらにはテレビ局で様々なイベントが行われる折に参加をいたしまして裁判員制度の広報活動を行う、あるいは裁判員制度をテーマにしたテレビ番組に関しましてテレビ局からのインタビューの取材に応じると、こういうふうな形で様々なマスコミとの連携、これについては裁判員制度そのものの御理解を深めていくために努めてきたところでございます。    〔理事熊谷大君退席、委員長着席〕  更なる協力、連携に向けまして、また裁判員制度の広報活動についての努力は更に力を入れてまいりたいというふうに考えております。
  90. 田中茂

    ○田中茂君 より国民の認識を広げることで裁判員制度も成長していくと、そう思っておりますので、是非ともその辺検討していただきたいと、そう思っております。  次に、被告人の精神鑑定についてお聞きしたいと思います。  意見交換会では、被告人が精神的に不安定で質問が進まない、情報が二転三転して整理できない、円滑に進まないのが難しかったとの意見もあります。これまでに裁判員裁判の中で被告人の精神鑑定が行われた事案について、年度別に件数を教えていただけませんでしょうか。また、犯罪種別にどういった事案が多いのか、さらに被告人に対する精神鑑定について現状はどうなっているのか、お聞かせください。
  91. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 委員お尋ねの点のうち、犯罪種別の件数につきましては現時点の統計はございませんが、平成二十四年一月から同年五月末までに終局した裁判員裁判事件のうち、弁護人の請求に基づき裁判員法五十条による起訴後の精神鑑定が実施された二十二件について、処断罪名ごとの内訳を申し上げます。殺人が十件、現住建造物等放火が五件、強盗致死が二件、強姦致死傷が一件、強盗強姦が一件、強制わいせつ致死傷が二件、非現住建造物等放火が一件となっております。  次に、精神鑑定がどのように行われるかにつきましては、具体的な事案の内容や鑑定人により異なるかと存じますが、一般的には、精神科医である鑑定人が被告人に対する面談や検査を実施したり、検察官及び弁護人が提出した資料を参照したりするなどして、裁判所が事件ごとに決定した鑑定事項、例えば被告人の犯行当時の精神障害の有無及び程度や、精神障害が犯行に与えた影響の有無、程度などにつきまして、精神医学等の知見に基づいた判断を行っているものと承知しておるところでございます。
  92. 田中茂

    ○田中茂君 ありがとうございます。  実際に意見交換ではそのような意見が出ておりまして、逆に、裁判員の負担を減らすためなどで安易に鑑定が行われたり、鑑定の質が低下するようなことも懸念されると思いますが、どのようにして鑑定の質を確保するのか。分かりやすさは非常に大事ですが、的確さや公平性とのバランスなど課題も多いと思われますので、その辺は極めて注意してやっていただきたいと、そう思っております。  次に、学校教育等を通じた司法教育と裁判員制度について質問をいたします。  前回の参考人質問でも、三人の参考人の方々が教育のことをおっしゃっておりまして、私もそれが重要だと申し上げました。実際、私は、この教育、特に若い世代の教育が非常に重要だと考えております。というのは、裁判員に関する意識調査では裁判員にはできればなりたくないという回答が非常に多いのは、学校教育での司法教育がこれまでなされていなかったのも一因ではないかと、そんなにまでなされなかったのが一因ではないかと考えるわけであります。  確かに、法律は最初は取っ付きにくいものだと思いますが、それに、裁判所も多くの人にとってはなじみが薄いものでもあります。それを少しずつ、小さい頃からいろんな機会を通して少しでも身近なものにしていくこと、それが大事ではないのかと思っております。そういう意味で、裁判員制度の導入は大きなきっかけであり、いいチャンスにしていかなければと、そう思っております。  そこで、平成十七年八月に公表された裁判員制度の円滑な実施のための行動計画では、将来の司法を支える若い世代を始めとする国民一般の司法及び法に対する理解と関心を深めるため、法教育の充実を図ることを目標として、学校教育等を通じた教育を行うこととしております。これも裁判員制度の導入の目的と整合していると思います。  そこで質問ですが、平成十七年から十年たって、裁判員制度も導入され、これまでの学校教育での司法教育についてどのような取組がなされたのか、具体的な取組を含めて説明をお願いいたします。
  93. 萩本修

    ○政府参考人(萩本修君) 裁判員制度は国民の主体的な参加によって支えられているわけで、国民に主体的に参加していただくために、司法制度について理解を深めていただく必要があることは言うまでもありません。法教育は、まさに国民が法や司法制度、これらの基礎となっている価値を理解し、法的な物の考え方を身に付けるための教育でして、裁判員制度はもとより、より広く、自由で公正な社会を支える担い手を育成するためにも重要なものと認識しております。  そのような認識の下、法務省では、例えば法曹関係者、教育関係者、学者や有識者の参加を得て法教育推進協議会を設置しておりまして、法教育の実践等について検討を行うとともに、学校における法教育を支援するための教材作りをしてきております。  生徒が裁判員等になって行う模擬裁判のシナリオを盛り込んだ裁判員制度を題材とした教育教材、初めて法教育に取り組もうという教員の方々に向けたQアンドA集などのほか、近年では、改訂後の学習指導要領に対応した小学校向けの法教育教材、中学校向けの法教育教材、今、上川大臣のお手元にありますけれども、そういった教材を作成し、これを全国の小中学校や教育委員会などの関係機関に配付しておりまして、これらの教材では裁判員裁判による国民の司法参加にも触れているところでございます。また、法務省の職員等を講師として派遣して、法教育授業を実施するなどしてきております。  このように法務省としましては、法教育の重要性に鑑み、法教育の普及、発展に取り組んでいるところでございます。
  94. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 田中君、時間です。
  95. 田中茂

    ○田中茂君 時間が来ましたので、これで質問を終わりますが、前回の参考人質問でも、泉澤参考人が、裁判員裁判の意義は民主主義を自分たちが体現し現実化していくこと、つまり自分たちが主体となって物を考えて発言をして評議をするという、本当に民主主義の基本を自らで体現していくことではないかとおっしゃっておりました。私もまさにそれは同意するものであります。これまで、なかなか日本人には根付かなかった義務と権利と責任を切実に教えるための最適かつ最善の機会であると考えております。  今後も、この制度を適切なリソース、予算を確保した上で充実化させ、国民の理解と種々の底上げを得られるようにしていただきたいと申し上げて、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  96. 谷亮子

    ○谷亮子君 谷亮子です。よろしくお願いいたします。  本日の議題となっております裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、先月二十六日の本委員会での質疑に引き続きまして、本日も伺わせていただきたいと思っております。  まず初めは、前回の質疑におきまして積み残しておりました通訳を要する事件の裁判員裁判を担う法廷通訳人をめぐる課題について取り上げさせていただきたいと思います。  前回、五月二十六日の本委員会におきまして、裁判員裁判における法廷通訳人の方々に対する報酬基準の有無につきましてお尋ねしたところ、最高裁より、法廷通訳人に対する報酬については、刑事訴訟費用等に関する法律七条におきまして裁判所が相当と認めたところによると定められており、各裁判体が個別の事件ごとに決定すべきものとされていることから、最高裁が通訳人の報酬について基準を定めるようなことはこの法律との関係で問題があるため、一定の報酬基準というものは定めていないとの御答弁をいただいたところでございます。  そこで、裁判員裁判制度の施行によりまして、従来以上に法廷通訳の質の向上及び確保が求められているということと照らし合わせてみますと、報酬規定の整備といった有能な通訳人を常時必要数確保し得る体制を構築していくということや、法廷通訳人の能力保持のための研修の実施に加えまして、通訳人の地位や資格を明らかにして、経済的基盤を安定させて、その身分を保障するための法整備をこれは視野に入れる必要があるのではないかと思われていますけれども、この点に関しての上川大臣及び最高裁の御所見を伺いたいと思います。
  97. 平木正洋

    ○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 報酬規定の整備につきましては、五月二十六日の法務委員会でもお答えしましたとおり、最高裁判所が通訳人の報酬について基準を定めるようなことは、刑事訴訟費用等に関する法律七条との関係で問題があると考えております。もっとも、現状におきましても、各裁判体は、事件ごとに事案の内容や複雑さ、審理の長短、通訳の難易度、通訳人の業務量などを考慮しまして、必要があればほかの事例の決定額などをも参考にしまして報酬額を決定していると承知しておりまして、決して恣意的に報酬額を決めているわけではないことを御理解いただければと存じております。  次に、法整備につきましてでございますけれども、立法事項に関わることでございますので、裁判所の事務当局はお答えする立場にございません。もっとも、裁判所といたしましても、法廷通訳の質の向上を図り、有能な通訳人を確保することは重要なことであると認識しております。  そこで、裁判所では、通訳人候補者を対象としまして、法廷通訳経験の多寡などに応じた複数のタイプの研修を全国の高裁、地裁で実施しておりまして、これらの研修におきましては、法廷通訳の経験が豊富な講師からアドバイスを受けながら模擬記録を用いて模擬通訳実習を行うなどして、法廷通訳の実践的な知識や技能を習得できるようにしているところであります。  裁判所といたしましては、今後もこのような取組を通じまして、法廷通訳の質の向上等に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  98. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 御指摘の正確、公正な通訳の実現ということにつきましては、刑罰権の適正な実現のためには大変大事なことでございますし、また関係する外国人の方の権利保障の観点からも重要であるというふうに考えているところでございます。  御指摘の法廷通訳の質の向上及び通訳人の確保につきましては、今、最高裁判所の方の御答弁にあったところでございますが、まずは裁判所におきまして研修、セミナーなどの取組ということが大変重要であるということでございますので、これらをしっかりと注視しながら、法整備の必要性につきましては慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  99. 谷亮子

    ○谷亮子君 御丁寧にありがとうございました。  報酬額というのは恣意的に決めているわけではないということでございまして、やはり裁判員裁判においては、通訳人の負担を軽減するため複数の通訳人が付くという場合がございまして、裁判員制度に関する検討会において行われました法廷通訳人の方々に対するヒアリングによりますと、片方の通訳人の方が業務に就いていても、結局、被告人や証人がどのような言葉を使ったのかを知っておかないと交代して通訳業務を行う際に支障を来すので、もう一人の通訳人もこれは裁判を傍聴せざるを得ないことから、負担軽減につながっていない現状もあるというようなことを伺っております。  そうした場合、裁判所は、他の通訳人が通訳をしている間はこれは報酬対象としていないため、それぞれの報酬が激減するということも起きているということから、こうした状況を踏まえ、適正な裁判の実現に重要な役割を果たしておられる法廷通訳人の方々が安定してその職務に従事できるような環境づくりを今後の検討課題として取り組む必要性があるのではないかなというふうに私も考えているところでございます。  次に、子育て中の被害者等が証人や被害者参加人として裁判に参加する際の支援について伺ってまいりたいと思います。  法務省のホームページを拝見させていただきましたけれども、被害者支援のための一般的制度として被害者支援員制度と被害者ホットラインという制度が紹介されておりましたが、子育て中の犯罪被害者やその御遺族の方々で、裁判に関わる間において子供等の預け先に大変苦労しているというような方々に対しまして、現状どのような支援を提供されていらっしゃるのかをお聞かせいただきたいと思います。
  100. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 検察におきましては、被害者支援のための取組、様々行っておりますが、その一つとしまして、犯罪被害者やその御遺族の方々の負担、不安をできるだけ和らげるために、犯罪被害者の支援に携わる被害者支援員というものを全国の地方検察庁に配置しております。  この被害者支援員は、被害者の方々からの様々な相談をお聞きしているほかに、捜査また公判段階におきます各種情報の提供、あるいは他の被害者支援機関、団体との連絡調整などを行っておるわけでございますが、特に子育て中で裁判に関わる際の取組につきましては、これを網羅的に把握できているわけではございませんけれども、例えば被害者支援員や検察庁職員が、自ら庁内の面談室等におきまして、裁判に携わっておられる間にその被害者の方の子供をお預かりする、あるいは、被害者の方が子供とともに来庁した場合には、他の被害者支援機関と連絡を取りまして一時預かりの可否を調整する、こういったような体制、これを被害者支援員その他検察庁職員において行っているというような事例があるものと承知しております。  いずれにしましても、個々の事案ごとに、こういった犯罪被害者、その御遺族の方々の状況や立場に配慮した対応に努めていきたいと考えております。
  101. 谷亮子

    ○谷亮子君 ありがとうございました。  現在は被害者支援員制度というものを設けられていらっしゃいまして、検察庁における被害者支援員が被害者の方々からの様々な相談に対して対応等々を行って支援活動をされているということでございました。また、子育て中の被害者等の方々で支援を必要とされている方につきましても、個々の相談内容に応じて託児所等の情報を保有している地方自治体窓口等の紹介も行っているということも承知いたしておりますが、非常に時間帯の問題等も、朝早かったり夜遅くまでというようなこともありますので、その辺の配慮、時間の調整等も今後必要になってくるかと思いますので、是非とも御検討いただきたいというふうに思っています。  続けて伺いますが、犯罪が発生すると、通常、まず警察が捜査を行うということになりますが、犯罪被害者やその御遺族の方々は、被害に遭われた直後は極めて大きな衝撃を受けられまして、非常に強い混乱や恐怖等に陥ってしまうと伺っております。そのような状況におきまして、被害者等に真っ先に接することになる警察がしっかりと支援を行っていくということが、これは大変重要であると考えますが、現在、警察における犯罪被害者等の支援体制はどのようになっているのか、特に子育て中の方々や、また介護中の方々で、警察の事情聴取等、捜査に協力をお願いする場合にはどのような配慮等を行っているのかも伺いたいと思います。
  102. 沖田芳樹

    ○政府参考人(沖田芳樹君) まず、犯罪被害者支援の体制に関してですが、警察におきましては、例えば殺人、性犯罪等の事件が発生した場合、あらかじめ指定された警察官等が支援活動を推進する指定被害者支援要員制度を運用しておりまして、犯罪被害者の方々に対する事情聴取への付添い、刑事手続等についての説明、さらには民間被害者支援団体やカウンセラーへの紹介などを行っております。  また、犯罪被害者等の方々には、生活、医療、裁判への対応等に関しまして多岐にわたった支援が必要とされるため、警察では、地方公共団体の担当部局や検察庁、弁護士会、医師会、民間被害者支援団体等とともに被害者支援連絡協議会や被害者支援地域ネットワークを構築し、必要な連携を図って支援を実施しておりますが、今後とも、警察における犯罪被害者支援施策の充実とともに、関係機関、団体との連携を強化し、犯罪被害者の方々のニーズにお応えできるように努めてまいります。  さらに、犯罪被害者等の方々が子育て中や介護中である場合などは、そうした事情を十分考慮いたしまして、事情聴取等においても御都合の良い時間や場所を設定するなど柔軟な対応に心掛けているところでございますが、今後とも犯罪被害者の方々の負担の軽減に努めてまいります。
  103. 谷亮子

    ○谷亮子君 ありがとうございました。  ただいまお話しいただきましたように、警察署の管轄区域を単位とした、そうした被害者支援地域ネットワークというものを構築されているということで、非常に捜査等の、そういったことを行う時間等々についても御配慮いただいているということで、引き続き取組をお願いしてまいりたいというふうに思います。  そして次に、内閣府におきましては、地方公共団体に対しまして犯罪被害者等に関する適切な情報提供等を行う総合的な対応窓口の設置を要請していると承知いたしておりますが、全国の市区町村における窓口の設置状況、そして犯罪被害者等施策に関する条例、これは一時保育サービスや介護等の制定状況、及びきめ細やかな対応を行っていくための体制整備に向けての国の取組についてお伺いしたいと思います。
  104. 小野田壮

    ○政府参考人(小野田壮君) お答え申し上げます。  全国の市区町村における犯罪被害者等に対する総合的対応窓口の設置状況につきましては、平成二十六年四月一日現在、全ての政令指定都市に加え、全国一千七百二十二市区町村中、これは東京二十三区を含みますが、一千三百九十市区町村、率にいたしますと約八一%に設置されてございます。  また、犯罪被害者等施策に関する条例又は計画、指針は三百九十二市区町村で制定されております。その中には、全てを詳細に把握しているわけではございませんが、例えば兵庫県明石市の条例には一時保育に要する費用の補助や介護を行う者の派遣等の支援についての規定があるなど、子育て、介護を行っている犯罪被害者等のための制度について盛り込んでいる例もあると承知してございます。  犯罪被害者等基本法は、国の責務とともに、第五条におきまして地方公共団体の責務を規定しており、犯罪被害者等に身近な公的機関である地方公共団体は、犯罪被害者等施策の推進において重要な役割を担っているものと承知してございます。  内閣府では、このような観点から、第二次犯罪被害者等基本計画の下、総合的対応窓口の設置促進を始め、地方公共団体における犯罪被害者等施策の充実促進を図るため、地方公共団体職員を対象とした研修、先進的、意欲的な取組事例等を盛り込んだ地方公共団体向けのメールマガジンの発信、都道府県、政令指定都市の施策主管課室長会議の開催などの取組を実施しております。  今後とも、関係省庁とも連携協力しながら、地方公共団体における犯罪被害者等施策の充実促進に努めてまいる所存でございます。
  105. 谷亮子

    ○谷亮子君 ありがとうございました。  ただいま御答弁いただきましたように、全国千七百二十二市区町村中、千三百九十市区町村において総合的な窓口が設置されているということでございました。また、条例等につきましても三百九十二市区町村で制定されているという状況でございまして、内閣府におかれましては、地方公共団体職員への研修等を開催されたり、先進的な取組事例等の情報をこれはメールマガジン等で発信されていらっしゃるということも承知いたしておりますので、また各省庁とも情報の共有をしていただきまして、更に犯罪被害者に寄り添った支援というものを構築していっていただきたいなとお願いさせていただきたいと思います。  次に、犯罪被害者への配慮、支援という観点から上川大臣にお伺いしたいと思います。  刑事手続における犯罪被害者への配慮、支援につきましては、公判前整理手続における被害者側弁護士の参加など、検討が必要な事項があるとの現状から、犯罪被害者の視点に立った刑事司法の在り方や今後の方向性についてはどのようにお考えになられているのか、上川大臣に御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  106. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 刑事手続における犯罪被害者への配慮、支援という御指摘でございますが、この間、この委員会におきましても、裁判員制度による裁判に被害者として参加した経験をお持ちの小沢参考人から大変貴重な御指摘もございました。裁判員裁判におきましても、被害者を尊重をし、本当の被害の現状を知ってもらいたいという御指摘もございましたし、また、裁判員だけでなく、被害者につきましても保育、介護等のサービスが必要であるというような大変貴重な御意見でございました。  犯罪被害者等基本法、そもそもの理念というところには、全て犯罪被害者等は個人の尊厳が重んぜられて、そしてその尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するということで規定をされているところでございます。様々な犯罪被害者の方々のしっかりと声に耳を傾けながら、この被害者の参加制度等の運用により一層の充実を図るべく、関係省庁ともしっかりと連携しながら、被害者の視点に立った取組につきましては全力を注いでまいりたいというふうに考えております。
  107. 谷亮子

    ○谷亮子君 大臣、ありがとうございました。  もちろん、再犯防止の観点からも大事なんですけれども、こうした犯罪被害者の支援また配慮といったものもやはり第一義的に行っていかなければならないというふうに私も考えております。  犯罪被害者やその御遺族の方々にとって、やはり最も身近な区市町村が充実した支援をこれは実施していくということが非常に重要であると考えますし、上川大臣からもそのような今御答弁があったというふうに思いますので、その体制整備をより良いものに進めていっていただきたいなと思っております。  次に、捜査段階で行われる被疑者の精神鑑定に関して伺いたいと存じます。  報道によりますと、捜査段階での被疑者の精神鑑定を行うために被疑者を数か月間医療機関に移す鑑定留置の件数は、平成二十年までに年間約二百件程度でございましたが、裁判員制度が始まった平成二十一年は三百五十三件、平成二十二年は四百八十三件と急増いたしまして、平成二十六年は五百二十件と、裁判員制度の開始前のこれは倍以上になったとのことでございました。これは、裁判員が刑事責任能力の有無で迷わないように検察側が積極的に実施しているためとされていますけれども、これに対応できるだけの専門医の不足と、また鑑定の質の低下に対する懸念が指摘されているというところもあるようでございます。  報道では、この増加傾向について、従来は、被疑者の言動におかしな点があっても、捜査段階では一、二時間の面接による簡易鑑定で済ませ、起訴後に弁護側が責任能力を争った場合にだけ正式な鑑定を実施するのが通例でございましたが、先ほども触れましたように、裁判員制度の導入により、裁判員が刑事責任能力の有無で迷わないよう、検察側が積極的に被疑者の起訴前の精神鑑定を実施するようになったとされていますが、捜査段階における鑑定留置件数の増加の理由についてはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  108. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 近年、被疑者について鑑定留置の件数が増加していることは御指摘のとおりであります。  鑑定留置を行うかどうかは、当然、個別具体の事件で判断されることでございますので、この件数の増加について一概に理由を申し上げることは困難でございますけれども、裁判員制度との関連で申し上げますれば、専門家による客観的な鑑定を実施してその結果を公判において分かりやすい形で明らかにするということが、裁判員が適正な事件に対する心証を形成するために極めて効果的であるという場合が多いと考えられますので、検察官においても、裁判員裁判対象事件において捜査段階における精神鑑定、そのための鑑定留置請求といったものを積極的に行っているということがあり得るものと考えております。
  109. 谷亮子

    ○谷亮子君 そこで、捜査段階で被疑者に精神鑑定を行う場合、その専門医の選定は誰がどのように行っているのかもお聞かせください。
  110. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 各地方検察庁におきましては、精神鑑定の分野で実績を有する医師から紹介を受けたり、あるいは大学等の精神医学に関する関係諸機関に協力を依頼しまして、専門的知見を有して、かつ信頼できる鑑定医というものをより多く確保できるように努めているものと承知しております。
  111. 谷亮子

    ○谷亮子君 ありがとうございます。  やはり、今御答弁あったとおりだと思いますけれども、刑事訴訟法第二百二十三条によりますと、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。」と刑事訴訟法第二百二十三条にございますので、そのとおり検察官がそうした選定、選任を行うということでございますが、そこでお伺いいたしますけれども、捜査段階で行われる精神鑑定の急増により、鑑定に不慣れな医師にも依頼が入り、鑑定の質に対する懸念が指摘されている現状もあるようでございます。  また、弁護士会等からは、捜査段階での精神鑑定は、検察寄りの医師に鑑定を頼み、自分たちに有利な結論を得ようとする意図が見えるとして、中立の立場の裁判所が鑑定医を選ぶときの意見としてもこれは出されておりました。また、鑑定の質に対しては、日本司法精神医学会が認定精神鑑定医制度を創設されていらっしゃいまして、過去に手掛けた五件分の鑑定書を提出して審査を受け、合格した二十二人が本年四月から初の認定医として活動しておりまして、今後大幅に増やしていかれるということも存じておりますけれども、これは一つの鑑定の質の確保という意味では大きな目安になると思います。  そこで、弁護士会等の指摘にあるように、捜査段階において検察が実施する被疑者の精神鑑定の質は確保されているのか、また公正中立な立場の医師による鑑定がなされているとお考えでいらっしゃるのかも伺いたいと思います。
  112. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 時間ですので、答弁は簡潔に願います。
  113. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) この分野で専門的知見を有して信頼できる鑑定医をより多く確保すること、非常に重要であると思います。また、公正中立な立場の医師というものを確保するということがいずれにしましてもその後の立証におきましても重要でございますので、その点についてはそういった鑑定医をより多く確保できるように取り組んでいるところでございます。  また、実際に精神鑑定の質を確保するためには、信頼できる鑑定医を確保するという観点のみならず、個々の検察官において、個別具体的な事案に応じて適切な鑑定資料を収集して、それを鑑定医に提供しなくてはなりませんので、その分野でも、検察官側の研修等を通じましてより信頼の置ける鑑定嘱託に努めているところでございます。
  114. 谷亮子

    ○谷亮子君 ありがとうございました。  精神鑑定を行うに当たりましては、個々の事件を担当する検察官の判断に委ねられているということでありまして、これまでのところ適正に実施されてきているものと私も考えております。  この続きにつきましても通告させていただいておりまして、上川大臣からも御答弁いただきたかったんですけれども、時間となりましたので、またの機会にさせていただきます。  ありがとうございました。
  115. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について仁比君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。仁比聡平君。
  116. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。  まず、修正案の提案理由を御説明申し上げます。  裁判員制度は、冤罪を繰り返してきた我が国の刑事司法に対し、国民の司法参加によって刑事裁判に市民感覚、国民の常識を反映させ、とりわけ事実認定を適正なものにすることが期待されて導入されました。  同時に、法制定時にも、また施行後も、自白強要の温床となってきた代用監獄を始め人質司法が改められていないこと、取調べの全過程が可視化されず、証拠の全面開示制度も実現しないことによる誤判、冤罪の危険性、裁判員参加のための職場環境の整備の遅れ、裁判員の厳しい守秘義務、重い心理的負担など、様々な問題が指摘されてきました。施行されて六年になろうとしている裁判員制度の見直しは、こうした様々な問題を国民的な議論の下に解決するものでなければなりません。ところが、政府の改正案は、この間指摘されてきた様々な問題を解決するものとはなっていません。  よって、裁判員制度の抱える問題点を解決するため、裁判員法改正案に対する修正案を提出するものです。  次に、修正案の概要について述べます。  第一は、対象事件の見直しです。  一つは、政府案にある著しく長期間の審判を要する事件の裁判員裁判からの除外規定を削除することとしています。二つは、否認事件については、被告人が請求したときは裁判員裁判として取り扱うよう、対象事件を拡大することとしています。  第二に、無罪推定の原則を始めとした刑事裁判の原則について、公開の法廷における裁判員等への説明を裁判長に義務付けることとしています。  第三に、死刑判断に関する評決要件を全員一致によるものとしています。  第四に、裁判員等の心理的負担を軽減するための措置を講ずることを義務付けることとしています。  第五に、裁判員等の守秘義務について、違反に対する罰則から懲役刑を除き罰金刑に限定するとともに、裁判員等の任務終了後は、守秘義務の範囲を、正当な理由がなく他人のプライバシーを漏えいする行為や評議の秘密のうち他人の意見を明らかにする行為、及び財産上の利益等を得る目的で正当な理由がなく評議の秘密を漏らす行為に限定することとしています。  第六に、否認事件についての対象事件の拡大の規定の施行後三年を経過した場合において、新法の施行の状況について国民的な検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしています。  第七に、刑事訴訟法に関わる事項として、改正法の施行後速やかに検察官が保管する全ての証拠の開示を義務付ける制度、並びに被疑者の取調べの状況等の録画及び録音、いわゆる取調べの全面可視化を義務付けるとともに、その取調べの際に弁護人の立会いを認める制度を導入するため、必要な法制上の措置その他の措置を講じなければならないものとしています。  以上が、政府案に対する修正案提出の理由及びその概要です。  委員各位の御賛同を心からお願いをいたします。
  117. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) ただいまの仁比君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。上川法務大臣。
  118. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 本法律案に対する修正案については、政府としては反対であります。
  119. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) これより原案及び修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  120. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部改正案に反対、日本共産党提出の修正案に賛成の討論を行います。  政府案に反対の第一の理由は、著しく長期にわたる事件を裁判員裁判から除外する規定の新設です。  著しく長期又は多数回とは何をいうのか、その要件、判断基準は審議を通じても極めて不明確なままであり、除外を必要とする具体的な立法事実も示されていません。それを職業裁判官が職権で判断し裁判員裁判から除外できることとなれば、国民の司法参加によって国民の社会常識を裁判に反映させるという裁判員制度の趣旨に反することになるからです。  冤罪事件など重大否認事件こそ、裁判員の社会常識、市民感覚を裁判に反映させ、適正な事実認定がなされることが期待されます。裁判員の負担軽減のためには、裁判員が参加しやすくなるよう、有給休暇制度の導入などの職場環境の改善、保育所、学童保育の利用の確保などに積極的に取り組むべきです。  第二に、本法案が、裁判員制度についてこの間指摘されてきた様々な問題の解決を棚上げしていることです。  裁判員制度は、冤罪が絶えない刑事司法に対し、国民の司法参加によってとりわけ事実認定を適正なものにすることが期待されたものですが、同時に、代用監獄を始め人質司法はそのままとされ、取調べ全過程の可視化も証拠の全面開示も行われないことによる誤判、冤罪の危険性、裁判員参加のための職場環境の整備の遅れ、裁判員の厳しい守秘義務、重い心理的負担など様々な問題が指摘されてきました。  裁判員裁判が始まって六年がたつのに、裁判員の辞退率は増え、出席率は低下している背景には、この間も相次いでいる冤罪事件、冤罪を生み出す我が国刑事司法の構造的問題に対する国民の厳しい不信があると考えるべきです。数々の冤罪がなぜ生み出されたのか、その第三者による検証こそ求められているのに、本法案はこれらの問題の解決を盛り込んでおりません。  我が党の修正案は、裁判員制度をめぐる諸問題を解決するための最低限の提案であります。  衆議院において、政府案になかった三年後の見直し規定が全会一致で設けられました。政府が刑事訴訟としての裁判員制度の問題点を深く掘り下げることを強く求めるものです。  なお、災害時における辞退事由の追加、非常災害時における呼出しをしない措置、裁判員等選任手続での被害者特定事項の保護の改正点は、この間の実情を踏まえた妥当なものであると考えます。  以上です。
  121. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、仁比君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  122. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 少数と認めます。よって、仁比君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  123. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川敏夫君。
  124. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 私は、ただいま可決されました裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、維新の党、日本共産党、日本を元気にする会・無所属会及び生活の党と山本太郎となかまたちの各派の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。  一 長期間の審判を要する事件等の裁判員対象事件からの除外手続については、司法の国民的基盤の確立を目的とする裁判員制度の趣旨に鑑み、その決定は極めて例外的な措置であることを踏まえた的確な運用がなされるよう周知徹底すること。  二 裁判員制度施行後の辞退率の上昇及び出席率の低下について十分な調査を行うとともに、裁判員裁判に対する国民の参加意欲を高めるため、法教育や裁判員制度の意義及び内容に関する広報啓発活動を拡充し、裁判員経験者の体験を広く国民が共有できるよう努めること。  三 裁判員の心理的負担を緩和するための方策の推進及び裁判員等の守秘義務の範囲の明確化について更に取り組むとともに、裁判員制度の運用を注視しつつ、守秘義務の在り方全般にわたって引き続き十分な検討を行うこと。  四 地方公共団体、企業等との協力体制を強化して、特別な有給休暇制度の導入や託児・介護施設の優先的利用等、仕事や家庭を持つ国民が裁判員等として活動しやすい環境の整備について更に積極的に取り組むこと。  五 本法附則に基づく三年経過後の検討の場を設けるに当たっては、国民の視点からの見直しの議論が行われることの重要性を踏まえ、裁判員経験者、犯罪被害者、法廷通訳人などの裁判員裁判関係者の意見が反映されるようにすること。  六 当該検討に当たっては、国民の司法に対する理解・支持を更に深め、司法の国民的基盤をより強固なものとして確立する観点から、裁判員制度の対象の範囲、死刑事件についての裁判員制度の在り方、公判前整理手続の在り方等について着目し、十分な検討を行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  125. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  126. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 全会一致と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、上川法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。上川法務大臣。
  127. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) ただいま可決されました裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。  また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。
  128. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十三分散会