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2014-11-13 第187回国会 参議院 法務委員会 6号 公式Web版

  1. 平成二十六年十一月十三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十一月十一日     辞任         補欠選任      仁比 聡平君     辰已孝太郎君  十一月十二日     辞任         補欠選任      辰已孝太郎君     仁比 聡平君  十一月十三日     辞任         補欠選任      有村 治子君     太田 房江君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         魚住裕一郎君     理 事                 熊谷  大君                 三宅 伸吾君                 有田 芳生君                 真山 勇一君     委 員                 猪口 邦子君                 太田 房江君                 鶴保 庸介君                 牧野たかお君                 溝手 顕正君                 柳本 卓治君                 江田 五月君                 羽田雄一郎君                 牧山ひろえ君                 矢倉 克夫君                 行田 邦子君                 仁比 聡平君                 谷  亮子君    国務大臣        法務大臣     上川 陽子君    副大臣        法務副大臣    葉梨 康弘君    大臣政務官        法務大臣政務官  大塚  拓君    事務局側        常任委員会専門        員        櫟原 利明君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      荻野  徹君        警察庁長官官房        審議官      塩川実喜夫君        法務省刑事局長  林  眞琴君        法務省入国管理        局長       井上  宏君        公安調査庁次長  小島 吉晴君        外務大臣官房長  上月 豊久君        財務大臣官房審        議官       可部 哲生君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供  等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案  (第百八十三回国会内閣提出、第百八十七回国  会衆議院送付)     ─────────────
  2. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省刑事局長林眞琴君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 自由民主党の猪口邦子です。  本改正法案の背景には、テロリストに対する資金その他の利益の供与の防止の対策の不備が、その審査を行う国際組織であるFATF、金融活動作業部会により我が国が指摘されてきたこと等があり、この改正法案は日本社会と国際社会の安全のために適切に対策を実施するためのものであると考えております。  FATF、ファイナンシャル・アクション・タスク・フォースとは、平成元年のG7、アルシュ・サミットの合意により、資金洗浄、マネーロンダリング、この対策のために創設された国際的な枠組みでありまして、テロ資金供与の対策について国際社会で主導的な役割を果たしてきました。OECD加盟国を中心に三十四か国・地域等から成る国際機関です。  FATFの対日相互審査は、一九九三年、そして一九九七年と二〇〇八年の三度実施され、とりわけ二〇〇八年の対日相互審査においては、テロ資金供与の犯罪化等の対策が不十分で、国際基準に達していないという評価を受け、さらに、本年六月二十七日、FATF全体会合は、日本の法整備が不十分であるとする異例の日本に関する声明を出しました。その一部を読みます。  FATFは、日本が、ハイレベルの政治的なコミットメントを示しているにもかかわらず、二〇〇八年十月に採択された第三次相互審査報告書において指摘された多くの深刻な不備事項をこれまで改善してこなかったことを懸念している。最も重要な不備は、テロ資金供与の犯罪化が不完全であること、金融及び非金融セクターに適用され得る予防措置の分野で顧客管理措置やその他の義務が不十分であること、テロリスト資産の凍結メカニズムが不十分で不完全であることである。FATFは、日本が必要な法案を成立させることを求め、これらのマネーロンダリング及びテロ資金供与対策の不備に迅速に対処することを促す。FATFは、日本の進展を継続的にモニターする。以上ですが、相当強い名指しの声明でございます。  テロリズムを根絶するためには、テロリズムがどのように可能になるのかを知る必要があります。テロ集団は、テロの実行手段である武器弾薬を入手し、その扱いの訓練を行い、その人員を集めて管理し、連絡網や情報を支配して膨張していきます。その全ての側面と段階において資金こそがそれを支えるものであり、マネーロンダリングとテロ資金対策に着眼した国際の取組は静かなるテロとの戦いであり、決定的な戦いでもあります。  私はかつてジュネーブで軍縮大使を務めていたことがありますが、私が国連の議長を務めた小型武器という武器の範疇は、テロの実行手段であることが最も多く、子供に持たせれば子供は子供兵となり、この武器で集落を脅し、貧困地帯から人員を集め、テロ集団は拡張していきます。麻薬や貴金属の密輸など、あらゆる非合法手段による資金調達がそれを可能にしていきます。  このように、テロの資金源を断つための主権国家同士の連帯に日本は進んで協力する必要があり、諸国家は互いに隙間や抜け穴をつくらないという責任感を高めるべきであると考えます。本改正法案とテロ資金対策の重要性について、是非大臣にお考えを伺いたく存じます。
  6. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) おはようございます。  ただいま猪口委員の方から、この法案を提出するに至る経緯も含めましての御説明と、同時に、こうしたことを国際社会全体として連携をしながら主権国家としての責務を果たしていくと、こういう御趣旨の御発言がございまして、私も共有しているところでございます。  国際テロ組織自身、今のような国際環境の中にあって、また通信やあるいは交通手段の発達もございまして、国境を越えてこの活動がなされているということでございます。  テロ行為を抑止するということにつきましては、先ほど御指摘いただいたとおり、国際社会が幅広い分野におきまして緊密に協調をし、テロリストに対しての資金源というのを断っていく、そして、テロリストに対しテロの手段を与えないということが何よりも重要であるというふうに考えます。我が国といたしましても、テロを許さない国際環境の醸成ということにつきまして努めていくということにつきましては、これは責務と言ってもいいというふうに私自身思っているところでございます。  テロ対策の一環として今般の改正法案の提出に至ったということにつきましては、先ほど来の御指摘を踏まえた上ということでございまして、その意味におきまして、本改正案、極めて重要なものであるというふうに考えております。
  7. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 ありがとうございます。  FATFの声明は法的措置を求めています。対応しない場合、我が国の金融機関が国際社会で不利益を被ることが予想されますが、そのリスク、不利益、政府はどうお考えになるのか、伺いたいと思います。  他方で、そもそも現行法が適用された事案があるのかという観点から、立法事実、すなわち法改正の必要性があるのかという議論もありますが、私としては、そもそも、拡大するテロの脅威と手段の複雑化や多様化に対して、テロの未然防止は主権国家共通の責任という観点から法改正を行うべきと考えます。また、FATFのような先進国主導の多国間国際枠組みの維持発展を日本はむしろ支える側に立つべきと考えますけれども、大臣、また財務省のお考えを伺います。
  8. 可部哲生

    政府参考人(可部哲生君) FATFの声明に対応しない場合の不利益等につきましてのお尋ねがございました。  FATFはマネロン、テロ資金供与対策に関するハイリスク国を国名公表しておりまして、FATFの指摘事項について改善がなされない場合には、日本がハイリスク国として国名公表される可能性がございます。仮にそうした事態に陥った場合には、海外の金融機関が日本の金融機関との取引においてリスク管理を強化したり、あるいは日本の金融機関との取引を回避したりするなど、本邦の金融機関のみならず、企業等の国際金融取引に支障を来す可能性があるというふうに考えております。
  9. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 先ほど本改正の趣旨についての大きな御指摘がございまして、その環境も含めて御説明をさせていただいたところでございますが、国際社会におきましての共通な課題ということに対して、我が国としても、国際社会の一員としてテロを許さない国際環境の醸成に努めていくということが必要であるということから、本改正案につきましても、こうした観点から提出したものであるというふうに思っております。  多国間の国際的な枠組みについて御指摘がございました。申し上げましたテロの未然防止を含めまして、多国間による国際的な取組が求められている課題に対しましては、法務省といたしましても、国際社会の一員として対処していかなければならないという意識の下で、必要な協力あるいは貢献をしていかなければいけないというふうに考えております。
  10. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 ありがとうございます。  テロリストの資金調達防止に着眼した国際社会の努力は国連の議場でも活発になされています。まず条約関係ですけれども、国連総会では一九九九年十二月、テロ行為を行うために資金を提供する行為等を犯罪とし、その犯人の処罰、引渡し等について定める条約が採択され、二〇〇二年四月に発効しています。テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約、いわゆるテロ資金供与防止条約でございます。  日本は二〇〇一年十月に署名し、二〇〇二年六月に締結し、三十六か国目の締約国となりました。現在の締約国数は百八十六か国でありますから、普遍化を遂げた条約と言えると思います。  日本は、この条約締結国となるための国内担保法、これが公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律、いわゆるテロ資金提供処罰法を制定しました。政府は、二〇〇二年の百五十四回国会にて同条約の締結の承認を求め、同時に、所要の法整備のための同法を国会に提出し、六月五日、圧倒的多数で可決、成立したところでございます。  この度、FATF二〇〇八年の勧告への対応をこの法律の改正をもって行うわけですけれども、なぜ政府の対応は遅れたのでしょうか。放置しても構わないとお考えになったのか、あるいはこの法律の改正以外の方法を考えたのか、これは当局にお答え願えればと思います。
  11. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 平成二十年のFATFの対日審査におきまして、我が国は、資金以外のいわゆる物質的支援の提供、収集や、テロリスト以外のテロ協力者による資金等の収集が処罰対象とされていないなど、テロ資金供与の犯罪化に係る取組が不十分であるという評価を受けたところでございます。これに対しまして、我が国は、当初、共犯規定や予備罪の適用などによってこれに対処できる場面もあると、こういった旨の説明も試みたところでございますけれども、FATFの理解を得るには至らなかったものでございます。  こうした経緯を踏まえまして、我が国として、平成二十三年十二月、テロ資金提供処罰法の改正に向けた作業を行うという方針を決定したものでありますが、結果として相応の期間を要することになってしまったものでございます。
  12. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 もう少し迅速であった方がよかったとは思いますけれども。  それでは、法案の要点について幾つかお伺いいたします。  まず、いわゆる客体の追加と言われる部分でございますが、改正法案は、まず、資金以外のテロ目的の犯罪行為の実行等に資する利益の提供を処罰対象としています。すなわち、資金以外の土地、建物、物品、役務その他の利益についても、提供罪等の客体に追加、これは改正法案の新二条から五条のところですけれども、これが追加されています。  この場合、例えば役務とは何か、例えば武器の使用訓練など、こういうことを指すのか、また、その他の利益、これは何を指すのか。情報提供等であれば、例えば解釈の範囲、これについて拡大解釈を懸念する声もあるので、具体的にお知らせいただければと思います。御当局、お願いします。
  13. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) まず、改正法案の二条一項でその他の利益というものがございますが、これは、資金以外の土地、建物、物品、役務その他の利益をいうとされておりまして、この利益といいますと、およそ人の需要、欲望を満足させるに足りるものを意味しておりまして、その場合の土地、建物、物品、役務というのはこの利益に含まれるものの例示であると解されます。この利益については、例えば家屋、建物の無償貸与、担保の提供など、一切の有形無形の利益がこれに該当します。ただ、本改正法案の罰則におきましては、これらのうちテロ行為等の実行に資する利益のみがその対象となっているものでございます。  そして、御指摘の、ここで、役務でございますが、役務とは、他人のために種々の労務又は便益の提供であって、テロ行為等の実行に資する役務ということになりますけれども、具体例として言えば、例えば武器を使用できるよう訓練を施す、こういったことなどが考えられると思います。  また、情報ということについても、テロ行為等の実行に資するもの、これが利益の一つとしてこれに当たる場合がございます。例えば、空港等の重要施設への侵入方法でありますとか武器の使用方法などについての情報は、このその他の利益に該当しつつ、かつテロ行為等の実行に資するという利益として該当すると考えられます。  こういったことで、これまでの客体よりも拡大されるわけでございますが、こういったことによって余りにも広範囲になり過ぎないかという懸念が指摘されるところでございますが、こういったものをこの客体に含めましたとしても、改正法案におきましては、公衆等脅迫目的の犯罪行為という重大な犯罪行為の実行が具体的に意図されていることなどの要件に加えまして、テロ行為等の実行を容易にする目的でありますとか、テロ行為等の実行にそのような利益を利用する目的、あるいは当該利益がテロ行為の実行のために利用されるものであるとの認識といった厳しい主観的要件を満たす場合のみが処罰対象とされております。  こういったことから、余りにも過度に広範な規制になるものはないと考えております。
  14. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 それでは、その主観的な部分と主体の拡大のところでございますけれども、この改正法案は、今の客体の追加のみならず主体の拡大も定めています。すなわち、テロリスト、テロの企図者のみならず、テロの実行を容易にする目的で企図者に資金等を提供しようとする者、いわゆる一次協力者に対し資金等を提供する行為とその提供を受ける行為の処罰規定が新設されているということです。また、一次協力者がその提供行為を行うために利用する目的で資金等を提供させる行為や提供する行為の処罰規定も別途新設され、さらに、テロ実行のために利用されるものであることを認識しながら資金等を提供する行為や提供させる行為の処罰規定を新設しています。  とりわけ、ですからこういうふうに細分化されているんですけれども、三条の二項前段におきますいわゆる準一次協力者の提供罪と四条一項の二次的な協力者の提供罪の区別、これは立証の難しさがあるのではないかと感じます。そもそも、なぜこのように細分化した規定にしたのか。主要国の中でこのように細分化した規定にしている国はほかにあるのでしょうかということを当局にお伺いします。
  15. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) こういったテロ資金の供与の、特に間接的な提供をいかにして犯罪化するかという観点から見ましたときに、我が国とは別に、もう少し非常に広範な形で広く直接また間接にテロ資金を提供した者を処罰すると、こういった形で構成要件を定めておきまして、あと、そのテロ資金、テロ行為、テロリストへの距離の近さによりましてそれは量刑の中で区別を付けると、こういった対応の仕方も他方であるということは承知しておるところでございます。  他方で、我が国については、今回このように主体に応じてかなり区分を設けまして、それぞれについて法定刑の違い、軽重を付けている立法を今回改正案として出させていただいているものでございます。  この考え方でございますが、やはりテロ行為の実行を助長、促進する危険性の程度というものには当然差異がございます。このテロ行為を助長、促進する危険性の程度に応じてそれぞれ法定刑の異なる罰則を定めるということが罪と刑の均衡という観点からも必要であるということから、今回、我が国においては本改正案のような罰則の定め方をしたものでございます。  我が国と同様の規制の仕方をしている国というものは把握はしておりませんけれども、申し上げたように、危険性の程度に応じた法定刑を科すという形での区分をさせていただいたものでございます。
  16. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 今の御説明、私としては理解はいたしますけれども、そもそものこの立法趣旨、これはテロの未然防止のためにその手段を断つこと。その大きな立法との関係におきまして、この目的との関係におきまして、今後、いろんな人的資源も限りあるわけですから、適正にこの法律が執行できるよう、運用面での工夫を私は求めておきたいと思います。  そこで、今度は大臣と外務省にお伺いしたいことなんですけれども、今の説明とも関係がありますが、国際法の秩序、これは二十世紀末から今日に至る四半世紀において非常に大きく発展してきたんです。これは、国際社会の課題との関連における個別の技術的な分野においても急速に発展してきました。多国間交渉でルールが決定され、各国にはそのルールと整合性のある国内法の整備が求められる場面、これが増えています。今回もそうです。  我が国は、今後、以下の二つの点に留意する必要があると私は思います。  第一に、どのような分野においても、自らの国益との関係においてまずルール形成時に積極貢献ができることが重要です。ルールの受け手というよりは作り手の側に回る。つまり、国際法の発展過程において日本が活躍する必要があるということです。そして第二に、国内法整備においては、早めに広く主要国の方向性を比較研究し、日本のもちろん今御説明いただいたような従来の制度、従来の考え方、思考の方法など、これももちろん踏まえながら国際の動向について深い理解を得ていくことが必要。  そう考えますと、このようなために、法務省におきましても、広く研究留学や在外公館又は国際機関での勤務、国際会議出席や海外出張等を拡充していく必要があると考えます。とりわけ、比較的若い世代にそのような機会を重視すべきと考えております。  大臣のお考えも同じかと思いたいと思いますが、大臣のお考えを伺い、また、今日は外務省にも来ていただいていますので、そのようなことにつきましての協力を外務省にもお願いしたいと思いますので、御答弁をお願いできればと思います。
  17. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 御質問ありがとうございます。  国際社会が依存関係が非常に深まっていると、そしてますます交通手段やあるいは通信手段の発達によりまして、そうした状況が更に急速に加速しているという状況の中で、今回御審議いただいているこのテロの問題につきましても、国境を越えてしっかりと各国間が隙間なく連携をしていく、協力をしていくということ、このことの必要性ということについて改めて問題提起をしたんじゃないかというふうに思っているところでございます。  先ほど御指摘いただきました多国間の枠組み、あるいは二国間、あるいは地域の中の枠組みということで、そうした枠組みをつくる過程の中で、様々な考え方というのがいろんな角度から持ち寄りまして、そしてそこで議論を尽くし、その枠組みそのものの形成過程にしっかりと参画をしていくということはまず大変大事なことであるというふうに思います。そして、その上で、国内の中の国益に照らした形で日本の国内の整備も連携をしながら調整をもって進めていくという、そうした二つのアプローチということについて、これを同時進行しながらやっていくということについては非常に大事な御指摘だというふうに、私もその問題意識については極めて強く共有しているところでございます。  主権国家としての貢献ということと同時に、これに貢献し得る人材の養成ということについては、これまでの関係以上、これまでの状況以上に非常に強く求められているこれからの人材養成ではないかというふうに考えておりまして、そういう意味で、先ほど御指摘いただきましたことではございますが、留学あるいは研究目的としたような形での諸外国の大学院とかあるいは国際の機関に派遣をしていくということ、あるいは在外公館にしっかりと勤務をしていただきながら幅広い視野の中でその能力を高めていただくということ、あるいは貢献していただくということ。また、各種国際会議も様々なレベルで行われているということでありますので、そういう面につきましても積極的に派遣をしていくということ。  あるいは、今アジアを中心として、国内の法整備について、日本のこれまで蓄積してきた知見を、人材を提供する形の中でトランスファーしていくということも、現地の要請を踏まえてしっかり現地に根差すような形で実施しているところでありますので、そうした動きについては、しっかりとした方針を持って進めていくということについて、これからも最大限努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  18. 上月豊久

    ○政府参考人(上月豊久君) 外務省としての協力体制について御質問いただきました。現在の協力体制、そして今後の取組についてお答えいたします。  現在、法務省から外務本省において、国際法局ですとか領事局等に約二十五名でございます。それから、在外公館においては、アメリカや中国の大使館、約七十一名の出向者が勤務しておりまして、それぞれの部門において専門知識を生かして活躍されております。  また、国際機関の派遣につきましても、外務省といたしまして必要な協力を行ってきておりますけれども、例えば具体的には、二〇〇六年に野口元郎検事のクメールルージュ特別裁判所法廷判事の就任ですとか、あるいは二〇〇九年の池田暁子検事の国際刑事裁判所法務官の就任と、こういったところでも協力させていただいております。  委員御指摘の点は大変重要な点と思っており、外務省としても全力を挙げて取り組みたいと思っておりまして、引き続き、在外公館勤務を行う法務省職員に対する研修の実施でありますとか、法務省職員の国際機関勤務に必要な情報の提供、支援ということについてしっかりやらさせていただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。
  19. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 大臣及び上月官房長、ありがとうございました。  それでは、ちょっとまた技術的なことなんですけれども、ここをちょっと副大臣にもお伺いしたいのですが、本日審議しておりますこの法改正、これはFATF勧告の四十の勧告と九つの特別勧告のうち、後者、九つの特別勧告、スペシャル・レコメンデーションズ・オン・テロリスト・ファイナンシングのⅡ、テロ資金供与の犯罪化に対応していると考えておりますけれども、続くそのⅢというところがあります。これ、テロリストの資金の凍結・没収という部分、これもⅡと同様に非常に低い評価をFATFから受けていて対応が必要と考えます。  別の法案で対応するものと仄聞していますけれども、この両法案の関係性、補完性、また重複領域などについて、もし副大臣、可能だったら御答弁いただきたく、また、このFATFの評価というのは基本的に四段階で、C、コンプライアント、LC、ラージリーコンプライアント、PC、パーシャリーコンプライアント、NC、ノンコンプライアントですね、履行、おおむね履行、一部履行、不履行というこの四段階。それで、特別勧告のこのⅡとⅢは、上から三段目のPC、パーシャリーコンプライアントなんですね。  他方で、この四十の勧告の中を見てみましたら、五の顧客管理などノンコンプライアントの最下位の評価が付いている項目もあるわけですから、その対応も必要なのではないかと思いますので、ここはもし可能だったら警察庁にお答えいただきたいと思います。
  20. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) 簡潔にお答えいたします。  御指摘のとおり、FATFの特別勧告Ⅲに対応するものについては、国際テロリスト財産凍結法案として警察庁の方から法案が提出されているものと伺っております。  この二つの法案でございますけど、まず主体につきましては、本改正案は各条文の要件を満たせば何人も対象になります。国際テロリストの財産凍結法案は、国家公安委員会により公告された国際テロリスト及びこれに財産の贈与等を行う者が規制の対象となります。  主観面においては、本改正案は主観的要件として、テロ行為の実行のための資金等を利用する目的等が認められる場合のみが処罰の対象となりますけれども、国際テロリストの財産凍結法案においては、そのような目的等は要件とはなっておらず、財産の贈与等がテロ行為のために行われるものでない場合も規制の対象となります。  このように両法案、処罰の対象は異なるわけですけれども、当然、重なり合う場合もございます。重なり合う場合においては、いずれの法律においても処罰の対象になり得るものと考えております。
  21. 荻野徹

    ○政府参考人(荻野徹君) お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、顧客管理につきましては、NC、不履行という評価を受けたところでございます。これに対応いたしまして、今臨時国会に犯罪収益移転防止法の改正案を提出をしておりまして、疑わしい取引の届出に関する判断方法を主務省令で定めることでありますとか、取引時確認等の措置を的確に行うための体制整備等の努力義務の拡充などを盛り込んでFATFの指摘に応えようとしているところでございます。
  22. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 荻野官房審議官、よろしく対応をお願いいたします。  それでは、時間もなくなりましたけれども、そもそもこのFATFは二〇一二年二月の全体会合で、第四次審査と呼ぶべき大量破壊兵器の拡散やコラプション、腐敗などの問題に限りある資源を効果的に配分すること、こういうことを目的として新たな勧告を出しているんです。その中で、先ほどからの四十の勧告とか九つの特別勧告との合同したりもしているんですけれども、我が国が第三次勧告の対応が遅れている中で、ほかのところはもう四次勧告へと進んでおります。この第四次勧告への対応が必要となると私は考えているんですけれども、もし時間があれば財務省に一言お答えいただいて。  私の考えを先に申し述べますと、やはり四次勧告のWMD、大量破壊兵器系の不拡散のことは、これこそ日本が主導すべき分野でありますので、本改正法案、これをまず着実に実施した上で、大臣には未来に向かって積極的に次なる課題をお考えいただきたいということをお願いしておきます。時間があれば、財務省に。
  23. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 財務大臣官房可部審議官、時間ですので、答弁は簡潔にお願いします。
  24. 可部哲生

    ○政府参考人(可部哲生君) 委員御指摘のとおり、第四次勧告が出ております。我が国は、G8、G20の主要メンバーとして、FATF勧告を十分に踏まえた対策の実施に取り組む旨表明してきておりますので、今後、第四次勧告への対応が必要となることは御指摘のとおりでございます。  他方、我が国としては、まずもってFATF声明で指摘されております第三次勧告に対応することが重要であるというふうに考えてございます。
  25. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 終わります。
  26. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 民主党・新緑風会の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。法務委員会で初めて質問させていただきますが、よろしくお願いいたします。  本日の議題であります公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案、略してテロ資金提供処罰法の改正案につきまして、御質問させていただきたいと思います。  まず、テロ資金提供処罰法に関する基本的な姿勢から申し上げます。テロ対策の国際的取組に日本も参加し、きめの細かい対テロ包囲網を構築することの必要性は十分是認できます。その基本姿勢から、テロ資金供与防止条約の締結を受けての平成十四年における現行法の成立、審議の際にも我が党はもちろん賛成票を投じました。そして、最近のイスラム国の動向を見るまでもなく、国際的なテロの危険が近時非常に高まっていることも周知の事実と言えます。この危険については、日本もそのらち外にあるとは言えません。したがって、現行の法制度で不十分な点があればもちろん改善に向け取り組むべきと考えております。  しかし、テロ防止の名目さえあればどのような内容でも許容できるとは言えないと思います。テロリズムの予防に当たりましては、テロ対策の名の下に、民族独立のための解放運動支援を抑圧したり、市民の表現の自由や結社の自由を侵害することがないように基本的人権を十分に尊重することが必要となります。  早速ですが、今回の改正案につきまして懸念となり得る点ですとか、衆議院法務委員会の審議において解消されなかった疑義について、深掘りするための指摘をさせていただきたいと思います。  平成二十年のFATF、すなわち金融活動作業部会第三次対日相互審査において、日本は特別勧告Ⅱのテロ資金供与の犯罪化について、PC、すなわち一部履行との評価を受けております。このFATFからのテロ資金対策の不備の指摘と今回の法改正との関係について、御説明をお願いしたいと思います。
  27. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 我が国におきましては、このFATF勧告の遵守状況につきまして審査を受けたわけでございますが、その際、テロ資金供与の犯罪化を求める特別勧告Ⅱに係る指摘といたしまして、現行のテロ資金提供処罰法の資金の定義が限定的でありまして、物質的支援の提供、収集が犯罪化されていないこと。そして二点目として、非テロリストによるテロリストのための資金の収集が犯罪化されていないということ。また三点目としては、間接的な資金の提供、収集がカバーされているか不明確であるということ。そして四点目といたしましては、テロ行為以外の目的でテロ組織及び個々のテロリストのために資金を提供、収集することが犯罪化されているか不明確であることを指摘されまして、先ほど委員御指摘のように、この勧告におきまして、一部履行、パーシャリーコンプライアントということにすぎないと、こういう大変厳しい評価をいただいたところでございます。  本改正案におきましては、このような指摘あるいは経緯も踏まえまして、テロを許さない国際環境の醸成に努めていくという観点からこのテロ資金提供処罰法を改正することとしたものでございまして、本改正案によりまして、先ほど述べた指摘事項のうち、四点目を除きます残りの三点について満たすことができるものと考えているところでございます。
  28. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 ありがとうございます。  我が国は、このFATF第三次対日相互審査において、テロ資金供与の犯罪化、また金融機関における顧客管理の点で、PC、すなわち一部履行、又はNC、すなわち不履行であったことから、FATFによるフォローアップの対象となっており、その改善状況などにつき全体会合の場で定期的に報告等を行っていると承知しております。  FATFからの指摘が今回の法改正の理由の一つです。そして、本法律案が最初に衆議院に提出されましたのは平成二十五年三月十五日です。ということは、平成二十年に実施されたFATF第三次対日相互審査から平成二十五年の本法律案の提出まで、実に五年間もの期間を要していることとなります。  まず、このように長期間を要することとなった理由は何だったのでしょうか。
  29. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 五年間の時間が掛かった理由ということで御指摘をいただきました。  FATFの指摘、二〇〇八年、平成二十年に受けまして、法務省におきまして、共犯規定や予備罪の適用により対処できる場面もあるという説明を試みてまいりました。しかし、FATFの理解を得るには至らなかったということでございます。  そこで、我が国といたしましては、平成二十三年の十二月の段階で、このテロ資金提供処罰法の改正に向けた作業を行うという方針を決定をいたしました。そして、その後、法案作成の作業を経まして、平成二十五年の三月に、御指摘のとおり、本改正法案を国会に提出をし、そして、その結果として相応の期間を要することになったというふうに考えております。
  30. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 ありがとうございます。  このFATFの勧告を受けて、日本側でも努力を重ねてきています。政府の方でも、関係省庁連絡会議をつくって、その上で、顧客の管理等について、犯罪収益移転防止法などについて再三の法改正を行ってきております。にもかかわらず、平成二十六年六月二十七日、FATFは、日本が必要な法案を成立させ、マネーロンダリング及びテロ資金供与対策の不備に迅速に対処することを促す声明を公表しました。日本が第三次相互審査報告書において指摘された多くの深刻な不備事項をこれまで改善してこなかったことについて懸念を表明したわけです。  FATFが一国を名指しで勧告するのは初めてとのことですので、異例ともいうべき厳しい勧告と言えると思います。もちろん、法務省を始めとする事務当局は最大限の努力をしていただいているとは思っております。しかしながら、日本の方でFATFの勧告に対応するための法律を何回も作って、作るたびに、そのたびにNGが出る。  これは、可能性として三つ挙げさせていただきますけれども、まず最初に、元々当局サイドにおいてFATFによる勧告の理解が不十分で、対応策として不完全だったのか。又は、当局の対応策としては万全であったけれども、例えば金融業界などの民間サイドが応じてくれなかったということなのか。それとも、当局としては万全の措置はとっており、民間も十分対応していたけれども、それがFATFに理解してもらえなかったのか。この三つのうちどれだったのでしょうか。どういう点でこういう事態になったのかということを御説明いただければと思います。
  31. 可部哲生

    ○政府参考人(可部哲生君) 委員御指摘のとおり、我が国は、平成二十年十月、対日相互審査を受けまして以降、勧告の内容、また日本に対する評価につきまして精査いたしますとともに、関係省庁で連携を取り、いかなる国内法整備が必要かを含めまして、順次勧告への対応を進めてまいりました。  具体的には、ただいま法務大臣から御説明がございましたように、本日御審議いただいておりますテロ資金提供処罰法改正法案を昨年の通常国会に提出をさせていただきました。また、内閣委員会で御審議いただく犯罪収益移転防止法改正案につきましては、平成二十三年に法改正を一度行ったものの、FATFの方からは、勧告が求める義務を、金融機関に対する監督指針などではなく、強制力のある法令に明記することが求められ、依然として義務の一部が日本の法令で明記されていないなどの指摘を受けております。  このため、警察庁では、昨年六月から有識者懇談会を開催して検討を行い、本年七月に報告書を取りまとめたところでございます。これを受けて、改正法案を今国会に提出させていただいているところでございます。  このように、我が国といたしましてもFATF勧告の遵守に向けて努力を重ねてまいりましたが、結果的に本年六月に迅速な対応を促す声明が出されるに至ったものでございます。
  32. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 日本が国際テロ対策において、いわゆるブラックリストとして挙げられている諸国と同列にされてしまうことについて納得する国民はまずいないと思いますが、警察庁作成の法案資料ですと、我が国はFATF勧告遵守の取組について最も遅れた国の一つと記載されております。  では、当局も、日本は国際テロ対策について最も取組が劣っている、ブラックリストやグレーリストの国と同レベルになってしまうと認識していらっしゃるのでしょうか。国際テロ対策の現状についての自己認識をお伺いしたいと思っております。
  33. 可部哲生

    ○政府参考人(可部哲生君) FATFが本年六月に公表いたしました日本に関する声明は、日本の更なる取組を促すためのものでございます。したがいまして、マネロン、テロ資金供与対策に関するハイリスク国を公表する国名公表リストに掲載されたわけではございません。その点は明確に一線を画するものでございますので、日本がただいま委員御指摘のございました国名公表リストに掲載されている国と同レベルにあるとは認識しておりません。  他方、仮に今後もFATFの指摘事項が改善されない場合には、日本がハイリスク国として国名公表がされる可能性がある状況であると認識しております。
  34. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 私見では、対策をしていない、対策は不十分だというよりも、FATFに対する説明、説得、働きかけが不十分だという側面があるのではないかと推測してしまいます。  この間、FATFに対してはどのような報告や説明を行ってきたのか、お伺いしたいと思います。例えば、後ほど述べますように、日本においては現行法でさえ立法事実に疑義が呈されているのですが、そのような状況についてFATFに説明をされたのでしょうか。
  35. 可部哲生

    ○政府参考人(可部哲生君) 対日相互審査を受けまして以降、関係省庁で連絡を取りまして、順次FATF勧告への対応を進めてまいりましたが、この間、FATF全体会合の場でも、これまで計十回にわたるフォローアップを受けております。その都度、先ほど申し述べました法改正の努力、あるいは実際の金融機関等における執行の状況等、日本の取組につきまして説明を行ってきたところでございます。  しかしながら、FATFからは、先ほど申し述べましたような、例えば勧告における義務の一部が法令に明記されていない、こういったところの指摘を受けているところでございます。これらを受けまして、今国会で御審議をいただいております三法案について、対応する内容の法案を提出させていただき、国際標準に準拠した制度を整えたい、そのように考えているところでございます。
  36. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 FATFの勧告に盲従するのではなくて、FATFのメカニズムをより良く機能発揮させるという主体的な対応も必要になってくるかと思います。FATFの勧告が全て正しいとは限らないかと思います。政府のFATFとの交渉が十分に効果的に行われたかどうかという、より詳しい検証が必要かと思われます。  さきの第百八十六回国会の衆議院法務委員会において谷垣元法務大臣はこう答弁されております。現行法が適用された事例、あるいは、捜査に着手したけれども法が十分使えなくて不都合が生じたというような事例も承知はしていないとのことです。  それ以降、現在に至るまで、テロ資金処罰法が適用され、又は同法に基づいて捜査が行われたというような事例はあるんでしょうか。
  37. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 御指摘のとおりでございまして、現行法が適用され、テロ企図者や一次協力者が摘発された事例や、改正法案の適用可能性があった事例等につきましては承知をしておりません。
  38. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 テロ企図者と一次協力者の摘発事例がないのは、テロ企図者などの主体が存在しなかったからなのか、あるいは行為である資金の提供がなかったからなのか、どちらなんでしょうか。また、今回の改正案のように、主体を間接的な部分、その他協力者などにまで拡大し、また客体として資金又はその他利益まで含めた場合は摘発できていた事例はあるのでしょうか。
  39. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) この現行法の適用例がない理由として様々な事情があるというふうに考えるところでございますが、一概にお答えするということがなかなか難しいというふうに感じております。改正法案の適用可能性があった場合の事例ということでございますけれども、承知をしておりません。  いずれにしても、テロ資金等の供与につきましては、高度に発達した通信技術あるいは国際交通網を最大限利用して、国境を越えてあらゆる場所において実行され得るということでございまして、このようなことから国内においても発生し得るものというふうに懸念されるところでございます。そういう意味では、我が国がこの世界的なテロ対策ということについての抜け穴にならないように、ループホールにならないようにということについては、この法改正に十分な必要性があるというふうに考えております。
  40. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 いずれにせよ、現行法でさえ適用事例が、摘発事例が一件もないような状況の中で、今回現行法を改正して処罰範囲を拡大する必要性、すなわち立法事実は本当にあるのでしょうか。改めて、本法律案によって現行法を改正する理由、またその必要性についてお伺いしたいと思います。
  41. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 現行法が適用され、またテロ企図者や一次協力者が摘発された事例がないということをもってこの必要性がないということでは全くございませんで、今の、現状の国際社会の中でテロリストにテロの手段を与えないということでございます。テロ資金等の供与等につきましては、高度に発達した通信技術あるいは国際交通網を最大限利用して、国境を越えてあらゆる場所において実行され得るということでございまして、このようなことから国内においても発生し得るということで大きな懸念がある現状でございます。  こうしたような現状におきまして、我が国のテロ対策に不十分な点があるということ、そして我が国がその世界的なテロ対策全体の協力、連携のネットワークの中で、抜け穴としてテロ資金等の供与の拠点とされかねないということも起こり得るということでございますので、本改正において十分に必要性をもって担保していくことが大事ではないかというふうに思います。
  42. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 今回の改正の立法事実について疑義が指摘されています。法務省も、当初は法律を改正しなくても共犯規定で対応できるのではないかということを考えられておられたと思います。  具体的には、六月十一日の衆議院法務委員会で、法務省林刑事局長はこう答弁されております。我が国といたしましては、共犯規定や予備罪の適用により対処できる場合もあるという旨の説明をするなど試みてきたところでございますが、FATFの理解を得るには至らなかったものでございますとのことなんですね。FATFの理解を得られなかったというのが改正立法の最大の理由ではないかと思われるんですね。  刑法を貫く大原則として、罪刑法定主義、そこから派生する明確性の原則というものがあります。刑罰法規の犯罪の成立要件と刑罰の定めは、できる限り具体的で、かつ意味内容が明確でなければならないという原則です。また、刑罰は必要やむを得ない場合にのみ適用するべきとする原則である謙抑主義についても配慮をするべきだと思います。  この明確性の原則や刑法の謙抑主義、また先ほどの改正理由を照らし合わせますと、テロ対策について国際的に足並みをそろえる重要性は認めるにしても、FATFの勧告をはみ出ない、範囲を超えない、国内の法制との整合性を取る、すなわち人権侵害のおそれが生じないような必要最小限の規定ぶり、それから不適切な適用拡大について歯止めを設ける、こういったものなどに対する努力が要請されると思うんですが、当局はこの改正法を起案するに当たってそのような努力はされてこられたのでしょうか。そもそも処罰の範囲が広がり過ぎることの問題意識は持っていらっしゃるのでしょうか。
  43. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) ただいまの御指摘でございますけれども、改正案の起案に当たりましては、テロ行為の実行を助長、促進する行為のみを処罰の対象とするよう、この犯罪構成要件につきましては、公衆等脅迫目的の犯罪行為という重大な犯罪行為の実行が具体的に意図されていることなどの要件に加えまして、テロ行為等の実行を容易にする目的や、提供に係る資金等をテロ行為等の実行のために利用する目的、あるいは改正法案の五条一項及び二項におきましては、提供に係る資金等がテロ行為の実行のために利用されるものであるとの認識といった厳しい主観的要件を満たす場合のみを処罰対象とすることとしたところでございます。
  44. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 改正案を見ますと、その他利益ですとか、その他の方法などの規定が頻出しており、犯罪構成要件としての明確性の要件に十分に対応できているとは思えないんですね。これでは処罰対象の無限定な拡大になってしまうんではないでしょうか。以下、具体的に検討してまいります。  これまでの現行法の客体が資金の提供、収集に限定されており、物質的支援の提供、収集が犯罪化されていなかったことから、改正後の第二条第一項は、資金以外の土地、建物、物品、役務その他利益を新たに提供の客体としています。  当該規定におけるその他利益にはどのようなものがあるのか、具体的な事例、項目ではなくて具体的な事例を御説明いただければと思います。
  45. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) まず、資金以外の利益としての具体例としましては、まずその前提として、本改正法案の罰則においてその処罰対象となるのは、利益がテロ行為等の実行に資すると、こういった限定が掛かっております。  その上で、資金以外の利益の具体例といたしましては、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行行為者をその犯行の前後においてかくまうためのアジトとして利用される土地、建物、あるいはテロ行為に利用される武器、こういったものがございます。また、役務という形での中では、そのような武器を使用できるように訓練を施す、このようなことが考えられます。また、情報につきましても、テロ行為等の実行に資するもの、例えば空港等の重要施設への侵入方法、これには侵入経路でありますとかセキュリティーシステムの解除方法でありますとか、こういった情報、あるいは武器そのものの使用方法という情報、こういったものについてもテロ行為等の実行に資する利益に該当するものと考えております。
  46. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 ありがとうございます。  衆議院での審議では、規定に含まれていない情報なども利益に含むとのことでした。そういうことですと、その他利益には本当に様々なものが考えられ、その範囲は不明確であると言わざるを得ないと思うんですね。処罰の対象となる客体が広げられることで、いかなる提供行為又は提供させる行為が処罰されることになるのか、ますます曖昧となり、政府や捜査機関によって恣意的な運用が行われるおそれが拡大することにもなるのではないでしょうか。御見解をお願いいたします。
  47. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) こうしたその他利益、まず、土地、建物、物品、役務という例示が付されております。そういったものとしてのその他利益につきまして、これはまずテロ行為等の実行に資するという限定が掛かっております。したがいまして、こういったことを当然立証する、検察官の方としては立証しなくてはいけないものとして、こういうテロ行為等の実行に資する利益というもののみが処罰の対象とするという形で限定が加わっているものでございます。  その上で、当然、個別事案となりますと、これらの要件を満たすかどうかにつきましては、捜査機関により様々な証拠資料に照らして慎重に検討、判断されて、また、こういったことの捜査において強制捜査を行う場合には令状を発する裁判官による審査に服することとなるわけでございます。当然、その処罰には裁判所による裁判手続を経るわけでございまして、そういったことから、こういった今回の処罰対象の客体の拡大というものにつきましても適正な規制が掛かっていると考えております。
  48. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 条文で具体的な内容を挙げてはいても、最後にそれらを包含するような幅を持った曖昧な要件が示される、この法律では「その他利益」というタームですが、このような構成要件を曖昧にする規定ぶりは特定秘密保護法の規定にも共通するかと思います。法を適用する側にとっては使い勝手がいいかもしれませんが、処罰の範囲の拡大の懸念は否めません。総論で申し上げたように、基本的人権の尊重の観点からも、規定は極力具体的に、解釈の幅が広がり過ぎないようにという努力をするべきかと思います。  このような際には他国の例を参照することが考えられます。例えば、各国の刑法ではテロ支援防止について次のように規定がなされている例がございますので、ここで御紹介したいと思います。  イタリアの場合、イタリア刑法二百七十条三、いわゆるテロ組織の構成員に対し、避難場所を与え、又は食料、歓待、移動手段若しくは通信手段を提供することと具体的に規定されております。  それからロシアですが、ロシアでは刑法二百五十・一、テロリズム犯罪の実行のために人を勧誘し、募集し、その他籠絡すること、人に武装させ、訓練させること、テロリズムに対する資金供与を行うことと書いてあります。  アメリカ合衆国法典十八編二三三九A・Bでは、処罰の対象となる物質的支援又は資源についてこう書いてあります。金融サービス、宿泊の便宜、訓練、専門的助言・補助、隠れ家、偽造の文書・身分証明書、通信装置、設備、武器、致死性物質、爆発物、要員、輸送といった財産又はサービスが含まれると規定しています。  いずれも、どれを取ってみても非常に具体的そして限定的で、解釈の余地が生じづらい規定ぶりです。  この改正案を起案する際に、これらのテロ支援処罰に関するほかの主要国の法制を調査して範囲を限定する、すなわち、構成要件に該当する客体をより具体化する検討や努力をされたんでしょうか。
  49. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) 立案の過程におきましては、そうした主要国の法規制の過程等も当然調査した上で今回の起案に当たったものでございます。  その上でも、今回のようなその規定ぶりにつきましては、先ほど申し上げたような、テロ行為の実行に資するという限定を付す形の中で、こういった処罰範囲の拡大に対して適正な規制を掛けたものと理解しております。
  50. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 海外事例に比較し非常に曖昧な構成要件の規定を見ますと、人権侵害の危険の抑制というよりも、どちらかというと規制強化や治安強化のツールとしての使い勝手の良さを重視されているのではと思ってしまいます。  次の質問に移ります。  改正後の第三条第一項では、現行法第二条第一項の「情を知って、」が削除されています。情を知ってという言葉が削除されています。この情を知ってという要件の意味について、法制定時の法務省刑事局長の答弁を見ますと、こう説明されています。資金提供の相手方の具体的な犯罪行為の意図を知ってという意味だと説明されています。  そこで、改めてお伺いしますが、現行法におきまして、情を知ってという言葉の意味は何なんでしょうか。また、この情を知ってという言葉を今回削除した理由、また、これによって現行の規定と解釈上意味が変わるのかという点について御説明ください。
  51. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) まず、現行法二条一項における情を知ってという意味でございますけれども、これは、資金提供の相手方が公衆等脅迫目的の犯罪行為、すなわちテロ行為でございますが、テロ行為を実行する意図を有していることを知ってという意味でございます。  そして、現行法二条一項では、この条文、「情を知って、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする目的で、資金を提供した者は、」というふうに規定しておりまして、この資金の提供の相手方というものは法文上は明示されておりません。法文上は明示されておりませんが、今、情を知ってというこの規定の中で、相手方がそういったテロ行為を実行する意図を有していることを知ってということが読み込まれておるものでございます。  これにつきまして、今回、改正法三条一項では、同様に、そういったテロ企図者に対する提供行為に係る条文であるところの三条一項におきましては、この提供の相手方を明示しております。どのように明示しておるかというと、「公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする目的で、これを実行しようとする者に対し、」と、こういったものを構成要件の中に取り込んでおります。  したがいまして、今回、この情を知ってという内容、現行法上の二条一項で要求されているこの情を知ってという内容は、今回、その提供の相手方というものを明示したことによりまして、今回の構成要件の故意の内容の中に当然要求されるものになりましたので、この文言を削除したものでございます。  したがいまして、情を知ってというこの文言を削除したことによって、これまでと解釈上の意味が変わるものでは全くございません。
  52. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 改正後の第三条や第四条では、現行法の情を知ってという主観的要件と同じ意味を持つとされる、当該テロ行為を実行しようとする者に対して支援がなされることが要件として規定されています。ですので、文言の有無にかかわらず、改正後も主観的要件には変更はないとのことですが、情報を知ってという意味が込められているということは今の御説明で分かるんですけれども、まあ、情を知っての方が分かりやすいのかな、一般的には分かりやすいのかなと思います。  では、資金やその他利益などを受提供をする支援行為が可罰性を帯びるテロ企図者の要件はどのようなものでしょうか。テロを実施したということまでは必要とされていないことは分かります。また、支援した本人がテロを具体的に実行しようとしていたときには、着手がなくとも可罰対象となるものも分かります。  では、具体的にどの段階で実行しようとすると評価し得るのでしょうか。例えば、テロを心の中で決意したけれども具体的には何もしていない、準備もプランも何もないケースというものは当然入らないかと思います。  では、例えば、テロ実行の決意を外部に言明したけれどもやはり準備もプランも具体的には何もしていない、このようなケースはどうなんでしょうか。つまり、間接的な支援者を可罰とするには、テロ企図者にどの程度の現実的な危険性を必要とするのでしょうか。
  53. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) 公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者といいますのは、公衆等脅迫目的の犯罪行為、いわゆる、すなわちテロ行為の実行を企図している者という趣旨でございます。  そして、ここで実行を企図している者というためにはどの程度の企図の内容が必要かということでございますが、もとより、そのテロ行為の日時、場所、手段、対象というのが全て具体的に特定されているまでの必要はございませんが、他方で、何らの具体性のないまま漠然とテロ行為を実行したいと考えているだけでは足りず、結局、この場合のテロ行為を実行しようとする者というものは、テロ行為の実行を具体的に企図している者をいうと解されるものでございます。
  54. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 要件として曖昧という印象は否めないと思うんですね。  では、テロを企図している団体に所属はしているけど、資金の提供を受けたその人自身はテロを実施する意図はない、そういったケースはどうなんでしょうか。
  55. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) 元々、このテロ資金提供処罰法の作り方は、例えばテロの組織に対しての資金提供という形、それを処罰するという形は取っておりませんで、あくまでも具体的にテロ行為に着目しまして、テロ行為を実行しようとしている者、こういった者に対しての資金提供を処罰するという考え方を取っております。  今の御質問に即して申し上げますれば、あくまで、テロを企図している団体に所属しているかどうかはともかくとしまして、今回の例えば三条一項の提供罪が成立するには、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする目的で、そういった行為を実行しようとする者に対して資金等を提供する行為を処罰するものでございますので、当然、その提供の相手方において、本法の一条各号のいずれかに該当するテロ行為の実行を具体的に意図している、企図している必要がございます。したがいまして、そういった要件を満たすものでない限りはこの三条一項の提供罪が成立するものではございません。
  56. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 では、あくまで個人ベースで判断するということですね、所属団体ではなくて。
  57. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) まさしく法文の文言どおり、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行をしようとする者、これは当然個人でございますが、これに対しての資金提供がその構成要件に当たるかどうかが判断されることになると思います。
  58. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 では、第五条第一項、同条第二項における「公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行のために利用されるものとして、」の意味は何なんでしょうか。第二条第一項、第三条第二項後段、同条第三項の規定における「実行のために利用する目的で、」、それから第三条第一項、同条第二項前段、第四条第一項の規定における「実行を容易にする目的で、」と比較して、すなわち、その他協力者の要件と、一次協力者それから二次協力者の要件の差異の御説明をお願いします。似ているように聞こえるかどうかと思うんですけれども、分かりやすく御説明お願いします。
  59. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 改正法案の五条におきます「公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行のために利用されるものとして、」ということの、これの意義は、提供に係る資金等が利用されるような公衆等脅迫目的の犯罪行為が実行される可能性がある状況におきまして、その実行のために利用されるものであるとの認識の下にという意味でございます。  これに対しまして、まず改正法案二条一項の「実行のために利用する目的で、」といいますのは、これは、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行のために資金等を利用することを積極的に意図してという意味でございます。  また、改正法案三条二項後段及び三項の「実行のために利用する目的で、」といいますのは、改正法案三条一項の罪の実行のために資金等を利用することを積極的に意図してという意味となります。さらに、三条一項及び二項前段の「公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする目的で、」といいますのは、資金提供の相手方が実行を意図しているテロ行為の実行を容易にすることを積極的に意図してという意味でございます。  また、四条一項にあります「前条第一項の罪の実行を容易にする目的で、」といいますのは、三条一項の罪の実行を容易にすることを積極的に意図してという意味でございます。  このように、改正法案二条から四条までの罪、これはいずれも目的犯でございます。他方で、五条は一定の目的を有していることが要件とされているものではなく、したがいまして、五条については目的犯ではないという違いがございます。
  60. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 ありがとうございます。いずれにしてもかなり複雑な条文構成になっているかと思います。  今までの説明をお聞きする限り、捜査機関が、例えばある資金等の収集行為について、これは第三条第二項後段の一次協力者間の資金等の提供を受ける行為に当たる、これは第三条第三項の一次協力者が資金等を提供する行為に当たる、これは第五条第二項のその他協力者が資金等を提供する行為に当たるというように、明確にどの構成要件に該当するか判断した上で立証活動を行っていくことは実際にはとても困難であると思われます。すなわち、三条ないし五条の罪については主観的な目的の相違によって犯罪の類型が区分されており、このような主観面の微妙な相違によって個別犯罪の区別をすることは実際には困難ではないかと思います。  これは資金等の提供行為についても同じだと思いますけれども、いかがでしょうか。この構成要件該当性判断と立証活動の困難性についてどうお考えになりますでしょうか。
  61. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 本改正法案におきましては、確かに、御指摘のとおり、資金提供の各場面での主体を区分しまして、それぞれに主観的要件を異なる形で規定しております。したがいまして、そういったことを立証する必要がございます。  もとより、今回の改正法案の作り方といたしましては、よりテロ行為を助長、促進する危険性の高い行為についてはより重い法定刑を科しているわけでございますから、そのためにはより重い主観的要件を掛けております。したがいまして、それを立証できないとそういった形での、例えば三条一項でありますとか、そういったテロリストに直結したような資金提供という罪についてそれを問うことはできないというふうな形になっております。  他方で、これらの罪の主観的要件、構成要件の違いというものは法文上は明確であると考えておりまして、法文上その判別が困難であるとは考えていないところでございます。  そういたしますと、こういった各罪の主観的要件を満たすかどうかというものをどのように立証するかという点につきましては、やはりこれは、捜査の過程において捜査機関により様々な証拠資料に照らしまして慎重に検討、判断するものでございますけれども、その判断の過程におきましては、被疑者の本人の供述のみならず、例えばその被疑者と関係者との間の文書のやり取り、あるいは電子メールのやり取り、これらの者が作成した日誌でありますとかメモであるといった、こういった被疑者の主観面を推認させる各種客観証拠、あるいはその関係者、共犯者、参考人の供述を総合考慮することとなるものと思われます。  こういったことにつきましては、ほかの主観的要件を定めている犯罪についての犯罪の立証と特段変わるものではございません。
  62. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 ありがとうございます。  やはり、でも、懸念は残ります。  法律というのは、国民の行動の指針ともなりますので、一般の方々にも分かりやすい内容になっていなければならないかと思います。実は、世の中には素性があやふやな募金が数多く存在します。今回の改正について懸念を抱いている人は、例えば、パレスチナ難民のためということで集められた募金ですとか、あるいは南アフリカのアパルトヘイトに反対する活動、そういった行為すらテロに加担する犯罪行為として処罰の対象とされる可能性があるのではないかと心配しているわけです。  このような懸念に対し、どのようにお答えになりますでしょうか。
  63. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 様々な資金の動きがどういう場合に本罪が適用されて処罰等の対象となるかということにつきまして、本改正法案の中におきましては、極めて各犯罪ごとに主観的要件というものが求められております。  例えば、三条、四条等の犯罪につきましては、具体的にテロリスト、いわゆるテロ行為、公衆等脅迫目的の実行を企図している者の存在というものが必要でございます。あるいは、それとの対向関係にあります一次協力者の存在、こういったことの存在というものが立証されないと処罰の対象とならないわけでございます。具体的には、そういったテロリストという、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を具体的に意図している者、こういった者の存在、あるいは、提供する側からすれば、相手方がそういった犯罪行為の実行を具体的に意図していることについての認識が必要となります。  他方、また、五条の罪となりますと、これは、やはり資金提供の時点におきまして、実際に当該資金等が実行のために利用されるようなテロ行為が現実に実行される可能性が存在している、こういった状況の下で、やはり資金提供によって、そういった可能性があるとともに、そういった自分の提供する資金がテロ行為の実行に利用されるという認識が必要でございます。  こういったことから、そういった主観的要件を求められている本罪におきましては、よりすごく幅広な資金提供、資金の動き、全てがこの処罰対象となるという懸念には当たらないものと考えております。
  64. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 具体的に主観的な要件も加えて法制定をしようとしているので、処罰範囲は不明確にはならないというのが当局の主張かと思います。確かに、いずれの罪についても、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする目的という目的規定ですとか、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行のために利用されるものとしてという限定はされていますが、その要件も極めて曖昧であり、適切な限定になっているとは考えられません。  今回の犯罪類型の成立に故意、すなわち意図があることは必要とのことです。ですが、その故意は捜査機関によりどのように認定されるのでしょうか、具体的に御教示お願いします。
  65. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 故意でもそうでございますが、また先ほど来申し上げている故意とは別の主観的要件もそうでございますが、こういった主観的構成要件の認定は、個別の事件、事案に関して収集された証拠に基づきまして捜査機関あるいは裁判所において適切に判断されるわけでございますけれども、こういった認定に当たりましては、こういった主観を有する例えば被疑者本人の供述のみではなくて、被疑者本人のこういった主観面を推認させる各種客観証拠、先ほど来申し上げた中での例でいえば、メールの文面でありますとか関係者との文書のやり取りの内容でありますとか、こういった主観面を推認させる各種客観証拠やその他関係者の供述といった客観証拠あるいは供述証拠、こういったものを総合考慮することによって認定することになると考えられます。
  66. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 主観的な要件や自白に頼り過ぎない取調べ偏重の是正というのが現在進められている刑事司法手続改革の原点だったはずです。主観的要件で処罰範囲を適切な範囲に限定するということには限界があり、処罰対象が拡大するのではとの危惧は拭えません。  続きまして、秘密保護法と取調べの可視化との関係について御質問させていただきたいと思います。  現行法の成立当時には存在しなかった秘密保護法の登場によりまして、テロ企図者の行為の立証について特定秘密との関係が問題になり得ます。  衆議院での審議で民主党の階議員は次のように質問されました。本法案に違反する行為について立証すべき事実が特定秘密に指定されると、刑事訴訟法二百五十六条第三項との関係で、公訴事実は起訴状にどの程度具体的に記載されることになるのか。  この質問に対し政府は、特定秘密に指定されていることをもって開示を拒否することがあり得る、しかし、立証責任は検察官にあるので、開示されない検察官がそこで立証不十分ということになれば有罪とはならないというリスクを検察側が負うので、憲法三十一条に定める適正手続の保障に反しないと。ちょっと階議員の質問に完全には、微妙に答えていない感じもしたんですけれども、大枠このような答弁をされていました。  この認識でよろしいんでしょうか。
  67. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 今御紹介のあった点において二つの点がございました。  一つは、起訴状にどのような、こういった特定秘密に指定された事項を記載するのかという観点、あるいはもう一つは、具体的にその特定秘密に指定されている証拠をめぐっての証拠の開示のような場面、このそれぞれ異なるものがあると思います。  起訴状の中で特定秘密に係るものをどのように記載できるのかというのは、これはひとえに、起訴状というものは、裁判所に対して審判の対象を特定するという機能とともに、被告人側に対して防御の範囲を確定するというために訴因を特定する必要がございますが、その範囲の中で、特定秘密にされているということを念頭に置きつつ、その防御に資する、あるいは審判の対象を確定する範囲で必要な事項として記載方法を工夫していくということになろうかと思います。また、これができなければ公訴棄却という形になってその手続が終わるということになると思います。  他方で、特定秘密に係る証拠に関する開示、証拠の開示の問題につきましては、一つには、全体として、今御指摘のありましたように、いずれにしてもその立証責任が検察官にあるということでございますので、最終的には、特定秘密に指定されていることに起因してその立証が十分でなくなって、結局その立証責任を果たせないということの結果が起きることはあり得るものと考えております。  その過程におきまして、証拠開示との関係でいきますと、例えばその特定秘密に係る証拠につきまして、最終的にその証拠開示を命ずるか否かというのは裁判所が判断するものでございます。最終的にその証拠開示を命ずる決定が確定した場合には、例えば、当該証拠が被告人を無罪にする方向の証拠であるのか、あるいは有罪にする方向の証拠であるのかを問わず、行政機関の長におきまして、こういった司法判断を尊重して、当該決定の理由を踏まえて特定秘密の指定を解除するということになると考えられます。そうしますと、検察官はその解除を待って特定秘密を被告人側に開示するということがある、そういうふうになるものと考えられます。
  68. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 特定秘密保護法の関係で法廷に証拠が開示されないのも問題ですけれども、検察は、有罪を立証しようと考えると、場合によっては特定秘密の一部開示を行うこともあり得るわけです。そうなると、階議員も指摘していたとおり、政府は、犯罪行為の存在を立証する証拠、すなわち有罪方向の証拠については秘密を解除し、その不存在を立証する証拠、すなわち無罪を指し示す証拠については秘密として扱う危険性はないんでしょうか。要するに、情報をコントロールすることによって有罪無罪が決められるおそれを心配しているわけです。
  69. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 基本的にこういった証拠開示をめぐる、当然その手続の過程で争いになることがあるわけでございますが、最終的にはそれを裁判所が裁定する形で証拠開示の是非等を決めていくことになります。したがいまして、先ほども申し上げましたが、当該証拠が被告人を無罪にする方向の証拠であるか、あるいは有罪にする方向の証拠であるかに問わず、そういった形で最終的に裁判所が証拠開示を命じるという決定が確定した場合には、それを踏まえまして特定秘密の指定が解除されることとなって、そういった特定秘密が被告人側に開示されることになるものと考えます。
  70. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 訴訟の片方による証拠の恣意的な選別がまかり通るのが適正手続であるはずがありません。  では、本法違反事件は、法制審の答申の基準で取調べ可視化義務対象事件となりますでしょうか。
  71. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 先般の法制審議会での答申におきましての身柄が拘束されている者の取調べの全過程の録音、録画が義務付けられている対象事件というものは、一つには裁判員裁判対象事件、それから検察官独自捜査の対象事件、この二つのカテゴリーとされております。  そうしますと、本法の罪につきまして、テロ資金提供処罰法の罪につきましては裁判員裁判対象事件ではございませんので、この本法の犯罪が検察官独自捜査事件でない限りはそういった対象事件とはならないということになります。
  72. 牧山ひろえ

    ○牧山ひろえ君 今おっしゃったように、検察官独自捜査案件ならば義務の対象となるということは、言い換えれば、そうでないものは原則として義務の対象にならないということですよね。そうだとすれば、適正手続により大きな疑問符が付くわけです。当局の裁量に委ねるのではなく、テロ資金提供処罰法を始めとするテロ法制と特定秘密保護法の関係を事前に整理し、適正手続が実現される仕組みを構築するべきだと考えますので、是非御検討いただければと思います。  最後に、本改正によって処罰対象をテロ企図者以外の協力者による資金等の提供、収集にまで広げると、処罰範囲が著しく広範となって、政府や捜査機関によってテロ対策という政治的な判断になりかねないことから、恣意的な不当逮捕、勾留がなされる危険性が増大するのではないかと危惧されます。テロ資金凍結法案と民主党により修正されたテロ資金提供処罰法改正案の修正があれば、FATFの要請には十分に応じたことになるのではないでしょうか。国際標準と国内法との調和や基本的人権の尊重をもう少し意識していただくことを当局にお願い申し上げます。  また、繰り返し指摘しましたように、今回の法案は、テロ防止を名目として処罰の範囲が拡大し、人権侵害が生じる危険をはらんでいます。当局がこの危惧にしっかりお応えいただき、基本的人権尊重の観点からの歯止めを整備する次なるステップが当然あるものと信じて、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  73. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。  今日はテロ資金処罰法についての議論となります。  冒頭、まず、国際テロといえば、多くの方が思い浮かべられるのがセプテンバーイレブンですかね。私も少しだけニューヨークに滞在したことがありまして、働いていた場所から、窓から見えるのがニューヨークのグラウンド・ゼロでした。窓を、そちらを見ながら仕事をしていたことを思い出します。  あのテロ発生当時も、同じ職場に働いていた人が救助に行こうとしてそこで亡くなったというような話も聞き、顕彰されている碑も見たこともありました。私の友人も、アメリカ同時多発テロ当時、当時でまだ富士銀行だったと思うんですが、働いておりまして、まさにワールド・トレード・センターにいて九死に一生を得たという大親友が一人おりました。  本当にこういうことが起きるんだと世界の人が震撼したような事案ではあったと思います。ただ、率直なところ、これまでは私も、日本社会というのとはまたやっぱり違うところにある事件かなという思いが少しだけは、一部はやっぱりあったのもまた事実ではあります。  ただ、最近少し衝撃的だったのが、少しというか、衝撃的だったのが、大学生がイスラム国の関係でシリアに行こうとしたというところでありました。当初は日本の中でもそういうテロ組織の方に派遣するようなネットワークがあるというように想定はしたんですが、話を聞くと、動機としては、むしろ就活に困ったり、そういう部分で絶望感にさいなまれていったというところ、私、その話も聞いて逆にまた衝撃を受けたんですが、ある意味、怒りだとか不安だとか、一般的に見られるような感情から飛び越してテロ行為に入ろうとする、そういうような部分も出てきているんじゃないかと。  これについては、近畿大学の教授なども歴任された、今現在、中東研究センターの副センター長もされている保坂修司先生がおっしゃっておりますが、自分の怒りや不安、欲求不満や閉塞感を解消する場所として自分のアイデンティティーと全く関係ない場所が選ばれることも少なくないと、そうした若者たちに戦う場所や死ぬ場所、生きがいや死にがいを示す大義を現在のシリアやイラクが提供していると、今回の日本の大学生の例がまさにそうである、このようなことをおっしゃっておりました。  私も、テロの問題を考えるに当たっては、現実の現象とはまた別に、深層社会でどういうことが起きているのか、やはりそういうことも考えなければいけない、日本の深層部分にもテロの関係と何か関わってくるような違った動きがひょっとしたらできてきているんじゃないかという危機感だけはやはり常に持って考えていかなければいけないと思っております。そういう一種の社会問題もこれからまた別途議論はしていかなければいけない、この点は、まず、テロの問題を考える上で非常に重要だということを冒頭申し述べさせていただきたいと思っております。  そこも一部念頭に置きながら、今日は法案の方の審議でございます。法案審議について、細かな部分も含め、また、既にもう質問になっているところもあると思いますが、確認の意味も込め、改めて確認をさせていただきたいと思います。  まず、今回の法改正、企図されているところ、ざっくり申し上げれば、客体を広げ、また主体も広げていくというその点であります。そのうちの客体につきまして、現行法、客体は資金のみでございます。この資金とは何であるのか、その解釈について御説明をいただければと思います。当局からよろしくお願いします。
  74. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 現行法上の資金でございますが、資金とは、一つに、その経済的価値が特定の使途のために利用されることを予定して提供、収集される現金その他の支払手段というものがございます。そのほかに、そのような現金その他の支払手段が果実として得られること、又はそのような現金等に換価されることを予定して提供、収集されるその他の財産をいうものと解されております。
  75. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 現金というお金そのものではなく、換金性、換価性も考えた上で、ある意味有体物や無体物であっても、換金されるようなものであれば含まれるという趣旨でこれまで解釈されてきたものと思っております。  現状、今条約としても、テロリズムに対する資金供与の防止に関する条約なども見ても、今の現行法の資金という解釈と同じような内容のものを資金として締約をされている。そういう部分では、条約の中身とは特段変わりもないというような理解も一部あるとは思うんですが、今回、それに加えまして、その実行に資するその他の利益、このような文言を加えた趣旨を御説明をいただきたいと思います。
  76. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) その他の利益でございますが、資金以外の土地、建物、物品、役務その他の利益ということとされておりまして、この土地、建物、物品、役務というのはその利益に含まれるものの例示であります。したがいまして、この利益の中には、利益は一切の有形無形の利益がこれに該当するわけでございますが、本改正法案の罰則におきましては、このうち、テロ行為等の実行に資する利益のみがその対象となるものでございます。
  77. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 再度確認なんですが、今までも現金以外のものは利益として入っていたと。実行に資する利益というのは、これまでは、最終的には現金以外のものを渡したとしても、それを換金した上で実行しようというような趣旨のものという客体を捉えていたわけですが、今回は、まさに不動産であれば不動産、その不動産をテロ行為そのものとして使ってくれという場合に提出する、そういうようなものも含めて客体として捉えているというような理解でありますが、その点、再度確認させていただきたいと思います。
  78. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 御指摘のとおりでございまして、これまでは現金への換価価値というものに、換価性に着目して資金を捉えておりました。  それに加えまして、今回そういった、例えば公衆等脅迫目的の犯罪行為、その実行行為者をその犯行の前後においてかくまうためのアジトとして利用される土地、建物そのもの、こういったものについて、あるいはテロ行為に利用され得る武器、こういったものそのものについて、その他の利益の中の一つとして客体に加えるというものでございます。
  79. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 そのようなものを客体に加えた実質的理由を再度御説明いただきたいと思います。ただFATFに言われたからとかそういうわけではなく、より実質的な理由がまたあるかと思っております。その辺りを御説明いただければと思います。
  80. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) 諸外国では、この資料によりますと、実際にテロ組織に対して爆弾とか武器を提供しているという、そういう事例もあるということでございまして、資金以外の利益であってもテロ行為の実行に資するものを提供する行為、あるいは提供させる行為についても、テロ行為の実行を助長、促進する危険性が資金の提供、収集に係る場合と同等かなというふうに私どもも考えております。  加えて、今御指摘ございましたように、FATFからも現行のテロ資金提供処罰法の資金の定義が限定的であるというような指摘もなされているところであって、これを踏まえまして、テロ行為の実行を助長、促進する行為を防止する観点から、資金以外の土地、建物、物品、役務その他の利益についても客体に追加することとしております。
  81. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 例えば、今もテロ行為というのは、その場で全ての組織がそろって、テロ組織がそろって実行するというわけではなく、高度なネットワークも発達していますから、遠隔地からテロ行為をするような場合もあると。実際上のアジトというか、そこはそこであるわけでありますが、そことはまた違うところで組織をするような場合があると。仮にそういうふうな事態を想定した場合に、日本がアジトを提供することそのものを罪としていなければどうなるかというと、これはテロ組織の感覚からしたら、そういうような場所にアジトを設定すればよりネットワークとしては使いやすいんじゃないかというような理解もあるかと思っております。  今回このようなより客体の拡大をしたということは、日本がそういうところもしっかり処罰をしているんだと、こういうようなことを国際社会に示して、日本がそういう部分での抜け穴にならずに、ある意味テロ組織の温床にならない、そのような予防的な意味もある、このように理解もしておりますが、この辺り、再度御確認させていただきたいと思います。
  82. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) ここの委員会の審議でも何回も御審議されておりますとおり、確かに今までこのテロ資金処罰法で事件化した事例というのもございませんし、またこの客体を広げなければいけないというようなことで、そういうような必要性が、実際の必要性といいますか、実際の捜査の段階でそれを広げたら事件にできたんじゃないかというようなものも、捜査の対象になったということはないという答弁もあったかと思いますけれども、まさに委員御指摘のように、一つのやっぱり我が国が抜け穴となってはならないということは非常に大きなポイントでございまして、私どもとしても、今回客体を広げるということで、我が国がテロ対策の抜け穴とならないように考えてまいりたいと思っております。
  83. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 ありがとうございます。広がる国際ネットワークの中で抜け穴とならないような趣旨であるということを改めて確認をさせていただきました。  次に、主体の方の話に、時間の関係もありまして移らせていただきたいと思います。  従来、現状の、現行法のいわゆる主体とされているものはテロ企図者である、また一次提供者、ここに限定をされているという理解であります。今回これを広げたという点、これについて今までの御議論確認させていただくと、まずこういう御意見があるという理解でおります。今回の二次提供者であったりその他の者を改めて定義付けて犯罪を独立のものとして扱う必要もなく、例えばこれまで現行法の一次提供者、これ犯罪を独自に行うわけですが、これに対する幇助という形で構成もしてもよいのではないかと。刑法の総則の方で幇助犯、すなわち正犯の実行を促進するための犯罪、こういうものが規定されていると、これについてこのような形で構成をすればよいのであって、改めて独立の犯罪にする必要はないのではないかというような見解があるかと思っております。  幇助であるか、それとも今回のような形での犯罪にするかという部分での違いは、最終的には、例えば二次提供者が資金を一次提供者に提供したと、その一次提供者が実行に着手をした場合、これまで共犯の理論では、実行に着手をした場合、正犯が着手をした場合だけ犯罪とされる、処罰をされるというようなことになると思います。それと、今回は、そう至らなくても、二次提供者が一次提供者にお金を提供したと、その後、一次提供者が実際テロ企図者にお金を渡さなくても、一次提供者の犯罪としては成立する余地があるというところ、ここがまず実質的な違いであるかと思っております。  刑法理論、共犯理論、正犯というものと共犯というものの関係で、実行従属性の問題にも関わるような理論であるかと思いますが、この部分について、まず、ちょっと時間の関係もありますので実質的な部分で御質問させていただきたいと思うんですが、今回、このテロに当たって、テロ組織の行為、資金の処罰に関して、二次提供者とその他の者について、一次提供者にお金を渡したと、しかしその後、一次提供者がテロ企図者にお金を渡すような行為をしなかったとしても、それでも処罰をしなければならないという、このような判断に至った理由等もまた御説明をいただければと思います。
  84. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 今御指摘のございましたように、二次協力者などが一次協力者に対して資金提供しても、その資金が一次協力者の下にとどまっている、すなわち、テロ企図者に対して資金の提供が、資金移動がないと、こういった場合の当罰性、可罰性の問題だと思います。  まず、一次協力者が、例えば一次協力者の下に多額の資金提供がなされて、それがテロ資金としてテロ企図者に資金提供される前の段階で、こういった段階で、当然、たまたま摘発される、それが発覚するということがございます。こういった場合に、たまたまそのテロ企図者に対して一次協力者からの資金提供がなされていないという一事をもってそれを処罰をしない、処罰対象とならないとなりますと、こういった非テロリストである一次協力者におきましては、テロ企図者に対して資金提供をするまでの間は全く不可罰でございますので、極めて安心してテロ資金の収集等ができる形になってしまいます。  これはやはり、そういうものを許しておくということになりますと、テロ行為の助長につながり、また促進につながるということでありまして、また、テロリストから見ましても、そういった資金にアクセスする機会が非常に増えるということになりますので、今回、そういう形から、一次協力者から実際のテロ企図者に対しての資金提供がなされない段階においても、独立の処罰規定を設けることによって犯罪化するということでございます。
  85. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 テロの犯罪の結果の重大性というもの、そのこともまた考慮した上で、じゃ、実際、テロ企図をしている者に対してお金が渡るとか、そういうような部分までいかないと処罰ができないという体制になってしまうと、予防の観点からも余りに問題が大きいと、要はそのような観点かと思っております。  これの関係でもあるんですが、葉梨副大臣、十月三十一日の衆議院の法務委員会において、今回のような主体の広がりという部分についてこのようにおっしゃっております。非テロリストが収集するということになれば、二次協力者、その他の協力者ということまで網を掛けていかなければ、テロの防止、撲滅ということにはなかなか資することにはならないという理解というふうに御発言をされております。  ここの部分、今のところにも関わると思いますので、改めて御説明をいただければと思います。
  86. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) 今局長からも答弁あったとおりですが、FATFの勧告というのは四点ございます。  一つは先ほどの客体の問題と、それから、今おっしゃられた非テロリストによる資金の収集の問題、それから間接的な資金、それから、後で申し上げますけれども、組織に対する提供ということですけれども、その二番目の点で、やはり二次協力者、つまり実行行為者でないテロリストに対する協力者、この方に、二次協力者に対する資金の提供ということについても、これは一次協力者の提供罪の実行を容易にする目的で一次協力者に資金を提供するなど、あるいはその他の協力者が資金がテロ実行のために利用されるものとして資金等を提供するもので、いずれもテロ行為の実行を助長、促進するものとして当罰性、可罰性があるもの、当罰性があるものというふうに考えています。ですから、ここで、FATFから、非テロリストによるテロリストのための資金の収集が犯罪化されていないということの指摘があったということでございます。  今度の改正案は、そういうことで網を広げているわけですけれども、実際、先ほどの委員会での答弁にもありましたとおり、主観的要件等で相当な構成要件、ハードル、非常に主観的要件をしっかりはめておりますので、際限なくこの網が広がるというわけでは全くございません。  また、さらに、FATFの指摘の四点目ですが、テロ行為以外の目的でテロ組織及び個々のテロリストのために資金を提供、収集することが犯罪化されているかどうか不明確であるとの指摘については、やはり当罰性の観点から慎重な検討を要するために今回はこれに対応することをしていないということでございます。
  87. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 ありがとうございます。  テロ組織というものも様々な、私も少しだけ調べるところではあるんですが、やはりいろんな変遷もあるみたいで、例えば、これは平成二十一年の防衛白書だと思うんですが、アルカイダのものについても、従来の指揮系統でぴったり上意下達でやるような組織というものにはなく、言わば排他的な組織という形ではなくて、現在のアルカイダというのは、中枢機能は存在しているかもしれないけど、その中枢機能から更にいろんなところに組織が分散していってどんどん広がっていると。アルカイダの影響を受けた組織、個人などの間に明確な指揮系統などの関係はなくて、緩やかなネットワークを構成しているというようなことも言っております。  どんどんいろんな裾野が広がっている中において、やはり、まずはしっかりと網を掛けるという部分も含めた上で、歯止めもしっかり掛けるというこのバランス感、これもやはりテロ防止という意味では私も大事な部分ではないかなと、このように感じているところであります。  その上で、今副大臣もおっしゃってくださったやはり大事な部分は、必要性、テロという重大性に、部分では処罰の必要な部分ではありますが、やはりそれが拡大し過ぎないようにしていくという点も、これも当然重要な話であります。その点、しっかり歯止めがなされているのかどうか。  まず、これについては、目的という主観的なところでの歯止めというような部分になってくるかと思います。この目的の立証についてはどのようになされるのか、御説明をいただければと思います。
  88. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 目的を含みますこういった主観的構成要件の立証の在り方についてでございますけれども、こういった主観的要件、主観的な構成要件につきましては、捜査の過程におきまして、捜査機関によって様々な証拠資料に照らしまして慎重に検討、判断されるものであります。  その判断におきましては、もとより被疑者本人の供述というものもございますが、それのみならず、例えば被疑者と関係者との間の電子メールの文面でありますとか、あるいはこれらの者が作成した日誌でありますとかメモでありますとか、こういった被疑者の主観面を推認させる各種の客観証拠、あるいは共犯者、あるいは関係人、参考人の供述、こういったものを総合考慮する中でこういった主観的構成要件の立証をすることになります。  こういった点につきましては、他の犯罪におけるこういった故意も含めましての主観的な要素を立証する場合と変わるところはないと考えております。
  89. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 今回、改正案の中の特に懸念という部分では、五条の一項、二項、これは、今おっしゃった目的というのは特に求められておらずに、資金又は公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行の、あっ、失礼しました、五条一項ですね、一項と二項そのものですけど、これはあくまで目的は要請をされていない。このような中で、先ほども少し話のあった募金行為等が犯罪になるのではないかというような懸念もあるわけですが、ここの辺りについては、じゃ、どの程度の主観要件が必要なのか、そこも御説明をいただければと思います。
  90. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 五条の犯罪のために必要な主観的な要件、あるいはその他の要件についてでございますけれども、まず、五条の、テロ行為の実行のために利用されるものとしてと、こういった要件のことから、こういった場合、資金の提供等の時点におきまして、その当該資金がこの実行のために利用されるようなテロ行為が現実に実行される可能性というものが存在することが必要でございます。その上で、その行為者におきまして、その資金提供当時におきましてテロ行為が何らかの者によって実行される可能性があること及びその提供に係る資金等が何らかの形で当該テロ行為の実行のために利用されるものであること、こういったことをこの行為者が認識、認容していることが必要となります。
  91. 矢倉克夫

    ○矢倉克夫君 これは、その点では、テロに使われる可能性があるものだという明確な認識があるという部分、この部分での、その程度までは必要であるということで、明確でもないようなものにお金を渡すような行為そのものが、これで犯罪が成立するということではないというようなことで理解もさせていただきました。  あともう一点なんですが、そもそもが、当然ですけど、今回の犯罪、テロに関しての目的そのものを、また主観的要件そのものを処罰するわけではないという点、明確なところだと思います。  既に議論も出ているところではあるんですが、二次提供者が一次提供者に対してお金を渡したはずではあるが、その一次提供者がそもそもテロの意図を持っていなかったという場合、そのような場合も処罰できるのかどうかというところ、議論もあったと思います。この辺りについても、再度ですが、確認の意味で御質問させていただきたいと思います。
  92. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 当然、二次協力者が例えば一次協力者に資金を提供する場合に、一次協力者であるということの認識が必要でございます。この一次協力者の認識というものは、そのものが、あっ、失礼、今のは認識でございました。  まず、一次協力者というためには、実際にテロリストが存在していて、そのテロリストに対して資金を提供する意図というものが、持っている者が一次協力者でございます。そういった事実の欠ける者についての資金提供については、それゆえ、二次協力者が一次協力者と思って資金を提供しても、一次協力者にそのような意図がなければ、その提供した二次協力者とされる者については犯罪は成立しないということになります。
  93. 矢倉克夫

    矢倉克夫君 二次提供者が一次提供者をそのような者として思っていた、もうその部分では主観の部分は満たされているわけですが、他方、対象である一次提供者が実際はテロ行為を促進させるような人ではなかったと、その部分では客観的な構成要件が満たされていないから、これも処罰には当たらないと、そういう部分であります。端的に言うと、意図そのものを目的にしたわけではなく、あくまでテロというものに対しての危険性、それを着眼した上での処罰範囲であるという理解はさせていただきたいと思っております。  どこまでも立証の部分はやはり客観的にやるというところも先ほどの点では確認させていただきました。この辺りは、歯止めという部分では、やはり、今後の捜査等も含め、立証の在り方も含めた運用面でも是非ともしっかりやっていただきたいと、このように思います。  最後に、大臣にお伺いをしたいんですが、やはり冒頭申し上げました大学生のようなこともあります。一般の感情からテロという行為に飛び出してしまうような部分のハードルの低くなっているというような事象もやはりある。先ほども少し申し上げたテロ組織というものも、何か今までのようなピラミッド型のような排他的なものという、このテロテロ以外というのが明確に分かれるような形ではなく、どんどん裾野が広がっているような、国際的にはどんどん広がっていっているような事象というのもこれは見える部分ではあるかと思います。  政府としても、当然ですけど、テロがいかに脅威があるのか、一回起きてしまったらもう取り返しの付かなくなるようなものであるというような部分も、これまでの議論でやはり政府としても認識はされているというようなことは理解もいたしました。  こういう観点からすれば、当然ですけど、検挙がなかったから何かしなくてもいいというような話では私はないと思っております。むしろ、何か検挙がなされたようなことが起きてしまったということは、日本社会の深層にもう既にテロが起きるような土壌ができ上がっているというような、そういう点では完成してしまっているような部分の一部が何か出てきたときに初めて検挙というような形になるので、この部分に関しては、一切こういうことが検挙されないような形を取るということがやはり私は政府がやるべきことであると。今回の法律も、そのために改正を更にするというような理解もさせていただいているところであります。  その意味も踏まえまして、今後このような法律についてどのように執行もされるのか、その辺りの御決意と、テロ撲滅に対しての御決意も含めまして、大臣から最後、一言いただければと思います。
  94. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 委員から多くの論点につきまして、確認も含めての様々な御指摘がございました。  法律案が一日も早く制定し、また、それに基づいて適正にそれが執行され、そしてテロリストに対してテロの手段を与えない、武器を与えないということについて、こうした断固たる決意で臨みたいというふうに思っております。立法ができたからといって、それが直ちに効果が上がるということではありません。まさに執行という場面の中で大変重要なステージに入るというふうに思うところでございます。  今回の改正法の違法行為に係る捜査あるいは情報収集を始めとしたテロ対策が何よりも大事だというふうに考えております。そして、そうしたテロへの対策に当たりましては、法の執行機関におきまして、このテロ事件に関して必要な捜査等を迅速かつ的確に行うということをするとともに、テロに関する国内外の情報を幅広く収集し、それを適切に、的確に分析をすると。先ほど来御指摘がございました大変ハードルが低くなっているような状況もありますし、関わることに対しての、そして同時に、テロ組織の態様もいろいろな態様に変わってきているということがございますので、そうした情報についても、様々なところからの情報提供も含めまして、的確に収集し、分析をし、対応していくということが不可欠であるというふうに思っております。  情報については様々な内外の共有をしていくということも大変大事だというふうに思っておりまして、今回の改正法の趣旨、そしてテロをめぐる国内外の情勢の大きな動きということも絶えず念頭に置きながら、引き続きテロ対策に万全に取り組んでまいりたいと思っております。  発生してからでは遅いということでありますので、事態が生じるということの脅威に対して適切に対応していくということの中で、法をしっかりと守っていきながら適正に活動してまいりたいというふうに思っております。
  95. 矢倉克夫

    矢倉克夫君 ありがとうございました。終わります。
  96. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  97. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、有村治子さんが委員を辞任され、その補欠として太田房江さんが選任されました。     ─────────────
  98. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 休憩前に引き続き、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  99. 行田邦子

    ○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。  今日は、法案の審議の方を先にさせていただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。  テロを根絶するという共通の認識を日本も持って、そしてテロを抑止するためには、やはり資金を提供させない、資金源を断つといったことの取組が非常に重要かと思います。我が国においても、国際社会の一員として、諸外国と密接な連携を図りながらテロの根絶ということに向けて取り組んでいく必要ということ、私も認識をしております。  そうした中で、二〇〇八年十月にFATFが対日相互審査でかなり厳しい、日本にとっては厳しい指摘をしているわけであります。今から六年前の指摘でありますので、本来であるならば、もっと早くこうした指摘に対して何らかの対応というのを、日本政府がつまり法改正ということをすべきではなかったのかという思いもあります。  一方で、今回、政府が提出をしている改正法案ですけれども、客体を広げる、また主体を広げるということで、範囲が広がっていて、それが曖昧であり、また広がり過ぎているのではないか、恣意的な運用がなされるのではないかといった、そういった指摘もあることは事実であります。  今日は、私自身は、この法案、賛成の立場でありますけれども、このような声を踏まえて、恣意的な運用がなされないようにというような声を踏まえて、なぜこの客体を広げたのか、また主体を広げる必要があったのか、そこら辺を中心にお聞かせいただきたいというふうに思っております。  それでは、まず最初に伺いたいと思うんですけれども、客体についてなんですが、現行法におきましては、資金という規定がなされています。そしてまた、改正案におきましては、資金又はその実行に資するその他利益というふうになっています。まず、現行法での資金が何を指すのか、そしてまた改正案での資金又はその実行に資するその他利益、特にその他利益の部分が何を指すのか、お答えいただけますでしょうか。
  100. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) まず、現行法の資金でございます。資金とは、その経済的価値が特定の使途のために利用されることを予定して提供、収集される現金その他の支払手段を指します。さらに、それに加えまして、そのような現金等が果実として得られること又はそのような現金等に換価されることを予定して提供、収集されるその他の財産をいうものと解されます。そうしたそのような財産であれば、いかなる種類の財産であるかは問うところではございません。これが現行法上の資金の概念でございます。  続きまして、改正法案の資金又はその実行に資するその他の利益についてでございますが、その他の利益とは、資金以外の土地、建物、物品、役務その他の利益をいうとされております。そして、利益となりますと、これはおよそ人の需要、欲望を満足させるに足りるものを意味しておりまして、この場合、土地、建物、物品、役務というものは、この利益に含まれるもののうちの例示となります。この利益の中には、家屋、建物の無償貸与でありますとか担保の提供など、一切の有形無形の利益がこれに該当いたします。ただし、本改正法案の罰則におきましては、このうちのテロ行為等の実行に資する利益のみがその対象となります。  そして、資金以外の利益の具体例ということで申し上げますと、やはり公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行行為者をその犯行の前後においてかくまうためのアジトとして利用される土地、建物でありますとか、あるいはテロ行為そのものに利用され得る武器、あるいは役務ということで、そのような武器を使用できるようにする訓練を施すこと、こういったことが具体例として挙げられると思います。
  101. 行田邦子

    ○行田邦子君 その他利益というところでアジトやまた武器や訓練といったことを例として挙げられましたけれども、衆議院での法務委員会での質疑の中で、その他利益には情報も対象となるといった御答弁がなされていました。  そこで伺いたいんですけれども、情報まで広げなければいけない理由についてお聞かせいただきたいと思っています。  日本が二〇〇二年に締結をしているテロ資金提供防止条約におきましても、資金の定義が第一条でなされていますけれども、そこでは、「「資金」とは、有形であるか無形であるか、動産であるか不動産であるか及び取得の方法のいかんを問わず、あらゆる種類の財産」というふうになっていますけれども、ここに情報というものが含まれるというふうに解釈されたんだと思いますけれども、私は、この条約でここまで、情報まで広げるということを規定していないのではないかというふうにも思われますが、その点いかがでしょうか。
  102. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) まず、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約、この条約上の資金については、これは現行法上の、テロ資金提供処罰法上の資金と同様であると考えております。すなわち、先ほど申し上げた内容を資金、その概念としては同様のものと理解しております。したがいまして、条約上の資金の定義には、御指摘のとおり、情報は含まれないと考えているところでございます。  そして、今回、情報について、その他の利益に入るということを御説明しておりますけれども、これにつきましては、まず本改正法案において、この条約上の資金の定義の範囲を超えて、こういった形での客体を拡大する趣旨でございますけれども、資金以外の利益であってテロ行為等の実行に資するものを提供する行為又は提供させる行為というのは、それはテロ行為そのものの実行を助長、促進する危険性は、資金の提供、収集に係る場合と同等であるような場合、あるいは同等以上である場合が考えられます。  例えば、テロ行為において利用され得る空港等の重要施設への侵入方法、侵入の経路でありますとかセキュリティーシステムの解除方法でありますとか、あるいはテロ行為に使用される武器の使用方法等の情報については、これは資金の提供などと比べても、テロ行為の実行を助長、促進する危険性というものについては、場合によっては資金よりも高い場合もあるわけでございまして、こういったものについては、やはり当罰性があるものと考えて客体に含めているものでございます。
  103. 行田邦子

    ○行田邦子君 御答弁ありがとうございます。  確かに条約での資金というのはあくまでも資金ということであって、今回の改正法案では、資金だけではなくその実行に資するその他利益も含めることとしたと、資金等という表現にしたわけであります。そこには、政府当局の、網を広げるということと、それから抜け穴をなくすといった判断が働いたんだろうというふうに理解をしております。  そこで、次の質問なんですけれども、第三条第二項の前段と、それから第四条第一項の違いについてお答えいただきたいと思います。  第三条二項の前段は、テロ行為の実行を容易にする目的で一次協力者に対して資金等を提供した者ということです。第四条の一項は、テロ行為の実行を容易にする目的で、テロ企図者に資金等を提供する行為を容易にする目的で一次協力者に対し資金等を提供するという行為ですが、その違いをお答えいただけますでしょうか。
  104. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 改正法案三条二項の前段の提供罪と四条一項の提供罪、これはいずれもテロ行為の実行を容易にする目的でテロ実行企図者に対して資金等を提供しようとするいわゆる一次協力者、こういった者がいる場合に、この一次協力者に対して資金等を提供する行為を二つの観点から処罰、犯罪化するものでございます。  そのうちの三条二項前段の提供罪は、提供する者自らもテロ行為の実行を容易にする目的を持って行う資金の提供、すなわち、いずれもテロ行為、そういう容易にする目的を持って行う資金等の提供を処罰するものでございます。これは、テロ行為の実行を容易にするという目的については、資金を提供する者も、それを受ける者も同じ目的を有している、テロ行為の実行を容易にする目的という共通の目的を有している、この両者の間の資金提供を処罰するものでございます。  これに対しまして、四条一項の提供罪は、テロ行為の実行を容易にする目的までは有していない、しかしながら、一次協力者がテロ企図者に対して三条一項の提供罪の実行、これを容易にする目的を持って行う、こういった場合には四条一項の提供罪によって処罰されるということになります。
  105. 行田邦子

    ○行田邦子君 つまり、目的が違うということだと思いますけれども、確かに今の御答弁で条文上の違いは明確にあると思いますが、ただ、これを、この違いをしっかりと立証するのは非常に難しいこともあるのかなというふうに思っていまして、この改正法案が成立して、そして今後運用するに当たっては、やはり適切な運用がなされるということを期待したいというふうに思っております。  この第四条第一項について更に質問をしたいんですけれども、ここでの客体というのが資金等ということですが、資金又はその実行に資するその他利益ということなんですけれども、この第四条一項で指す客体、これ何なのかということを考えてみましたが、これは条文を読む限りでは第二条や第三条の客体、つまり資金等が指すものと違うのではないかなというふうに読み取れます。  第二条や第三条の指すその他利益に含まれる情報というものは、先ほどの御答弁にあったように、空港などの重要施設の侵入経路とかあるいはセキュリティーシステムの解除などといったことが想定されると思いますけれども、第四条第一項については、その目的というのが、テロ企図者に対して資金を提供しようとするその行為を容易にするという目的での情報提供というふうになりますので、そうすると、かなり様々な、要するに資金提供を容易にするための情報提供となると様々なものが含まれて、かなり幅広くなるのではないかなと、広げ過ぎではないのかなと危惧をするんですが、いかがでしょうか。
  106. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 御指摘のとおり、まず資金とかその他の利益といったこの概念自体は同じでございますけれども、この場合の実行に資するというものが、四条一項の場合ですと、その実行と言われているその「実行」というものが三条一項の罪の実行、いわゆる一次協力者がテロ企図者に対して資金を提供する、この実行に資するその他の利益ということになっておりますので、その意味で、何の実行に資するのかという観点におきますと、やはり三条一項の場合と、この三条二項前段の場合と、四条一項の場合では異なってまいります。
  107. 行田邦子

    ○行田邦子君 それが二条、三条の方は分かるんですけれども、情報といったものがその他利益に含まれるといったことで、それは重要施設の侵入経路とかセキュリティーシステムの解除とかというのは理解ができるんですけれども、四条一項で言うその他利益に含まれる情報というのは、例えばなんですけれども、テロ企図者に建物を提供しようとする者に対して物件情報を提供した、あるいは提供しようとするという場合も当てはまるんではないかと思うんですが、そうするとかなり範囲が広まる、そしてまた曖昧になるんではないかというおそれもあるんですが、いかがでしょうか。
  108. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 実行を容易にするというものの実行の対象がやはり異なってまいります。この場合に、その対象が非常に拡大するのかという観点ではなくて、そもそも実行に資するというものを、仮にこれを立証しようとした場合の対象が異なるということになります。あくまでも、範囲が拡大するということというよりは、三条一項の提供罪の実行に資する利益と言えるかどうかといったことを具体的な証拠で認定していく、立証していくということになります。
  109. 行田邦子

    ○行田邦子君 この改正法案で客体がかなり広がっているというのは事実だと思うんですけれども、その中に情報も含まれるという、含まれ得るということですが、今の御答弁を伺っていて、ただ、あくまでも主観的目的の要件が定められていますから、その条件がなければというか、たががはめられていますので、無制限に対象範囲、客体が広がるということでもないというふうに理解をさせていただきました。  次の質問に移らせていただきます。  二〇〇二年に日本が締結をしているテロ資金供与防止条約では、確かに直接的なものだけではなくて間接的な資金の提供、収集も犯罪と位置付けておりますし、また二〇〇八年のFATFの対日相互審査においては、日本の法律ではそこに穴があるよと、間接的な資金の提供、収集がしっかりと犯罪化されているかどうか不明確であるという指摘もなされているということは理解をしているんですけれども、じゃ、それを受けて、この改正法案で言う第五条まで広げる必要がなぜあると思われたのか、お聞かせいただきたいと思います。  四条一項では二次協力者まで主体を広げています。それだけでは十分ではないのかという意見もあるかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  110. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 本法で一条に定義されておりますテロ行為、いずれも大規模でかつ組織的な犯罪行為でありまして、この実行のための資金等の収集というものは、通常の場合、長期間にわたり、あるいは広範囲において、しかも多数の関係者がこれに関与する形で行われることが少なくないと思われます。  その場合に、その一端としての資金等の授受がたまたま発覚したような場合を考えますと、組織や犯行計画の全容解明には少なからぬ困難を伴うことが予想されます。それにもかかわらず、資金等がテロの実行企図者あるいはテロの実行企図者に対する直接の資金等の提供企図者、こういった者の存在を必ず立証して、そのような者に対してその資金が利用可能になったか否かといったことを立証しなければおよそ処罰できないということにした場合には、やはり実効的な対処というものを行い得ず、国際的なテロ包囲網というものに対しても綻びを生じさせかねないということになると考えます。  他方で、資金等をテロ行為の実行のために利用されるものとして提供し、これは五条を想定しておりますが、又はその提供させる行為、こういったものについては、提供に係る資金等が、直ちにテロ実行企図者でありますとか直接のその者に対する提供企図者、こういった者に対して利用可能なものでなかったといたしましても、やはり当該資金等をテロの実行企図者に近づける行為という評価をすることが可能であります。また、そういった行為をそのまま横行を許しておきますと、やはりテロ実行企図者でありますとか、あるいは一次、それに対する協力者、こういった者たちに、そのテロ資金の原資に容易にアクセスすることができるような状況にもつながりかねないところでございます。  そういったことから、やはり五条に想定する行為も、テロの行為の実行を助長、促進するものとして、もとより二条から四条までの罪に比べると法定刑は軽いものではございますけれども、やはりテロ行為の実行、助長を促進するものとして、今回その当罰性を認めて処罰規定を設けるというものでございます。
  111. 行田邦子

    ○行田邦子君 今回の法改正案の目的というのは、抜け穴を塞ぐということにあろうかと思います。そうした視点から、第五条を新たに設けたということであろうかと思います。目的犯でないものも対象にするということを判断したということだと思います。  次の質問なんですけれども、そもそもなんですけれども、この新設された第三条二項や第四条一項、そして第五条の行為というのは、これは現行法においても、刑法の共犯また幇助犯として処罰が可能ではないかというふうに考えています。条約に規定されている間接的な資金の提供、また収集の犯罪化が、この刑法との、共犯それから幇助犯の規定との組合せによって犯罪化が既にされているんではないかというふうに思っておりまして、にもかかわらず、今回の改正法案ではこれらを独立犯として処罰する条文をあえて設けた理由をお聞かせいただけますでしょうか。
  112. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 確かに、現在の刑法総則の共犯規定でありますとか間接正犯といった理論によりまして、間接的なテロ資金の提供等を処罰することができる場合がございます。  しかしながら、例えば、ある者がテロの一次協力者に対して資金等を提供した場合、その当該一次協力者がテロの実行企図者に対する提供の実行に着手しない場合には、これは現行の刑法の共犯規定によったとしても処罰できない場合が生じてまいります。また、テロの一次協力者の側から見た場合でも、テロの一次協力者がテロ実行企図者に対して資金を提供するために幅広く資金を収集したという場合を考えますと、その収集した場合、たまたま発覚したのが、まだ実際にテロ実行企図者への資金提供に着手していない段階で発覚したような場合、これはやはり独立の処罰規定がなければ現行法では処罰できないことになります。  こういったことで、今回、改正法案を設けることによりまして、当該第一次協力者がテロ企図者に対しての提供の実行に着手しなくても処罰できる独立の処罰規定を置くこととしたものでございます。
  113. 行田邦子

    ○行田邦子君 何らかの資金提供の実行に着手をしなくても処罰できるということが必要であるという判断からの独立犯としての処罰条文というふうに理解をいたしました。  じゃ最後、済みません、大臣に御答弁いただけたらと思うんですけれども、二〇〇八年のFATF対日相互審査におきましては、テロ行為の実行目的以外の目的での資金提供、収集が対象となっているのか不明であるという指摘もなされていますけれども、今回の改正法案ではその指摘についての対応がなされていませんが、対応をしなかった理由をお聞かせいただけますでしょうか。
  114. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員の方から御指摘ございましたFATFの指摘でございます、テロ行為以外の目的でテロ組織及び個々のテロリストのために資金を提供、収集することが犯罪化されているかについて不明確であると、こういう御指摘でございます。  文字どおり解すればということでございますが、資金の提供相手又は収集者がテロリストでさえあれば、およそ犯罪とは無関係な趣旨のものも含めて、あらゆる趣旨の資金提供、収集の犯罪化を求めるものであるとも解されるということでありまして、当罰性の観点から慎重な検討を要することとしたものでございまして、これについては対応することとしなかったということでございます。  なお、FATFに対しましては、今般の法改正によりまして、テロ組織や個々のテロリストのための資金等の提供につきまして必要な処罰が可能になった旨を丁寧に説明をしていくこととなるものと考えております。
  115. 行田邦子

    ○行田邦子君 この度の改正法案が成立された暁には、是非適切な運用と、恣意的な運用にならないようにということと、またその適切な執行ということを求めまして、私の質問を終わります。
  116. 真山勇一

    ○真山勇一君 維新の党、真山勇一です。よろしくお願いします。  本当に、テロといいますと、いつ、どこで起きるか分からない、そういう性格の犯罪ですし、それを防止するということは、もう本当に日本としても国際的な責任を果たすということで大変重要なことであるというふうに思っておりまして、今回のテロ資金処罰法改正ということでは同意もしておりますし、異存はない改正だというふうに認識をしております。  しかし、そうはいっても、私も現役時代にテロを取材した経験というのは幾つかあります。ちょっと古い話でいいますと、南米ペルーの大使館人質事件というのを取材しました。それから、もちろん九・一一、ワールド・トレード・センターのテロ事件も取材をしました。事件が起きた直後、三日目にニューヨークへ入りまして取材を続けて、そしてその後、アメリカがテロとの戦いということでアフガンへ兵を送るということで、ニューヨークからそのままアフガニスタンへ入ろうと思ったんですが、国境が封鎖して入れなくて、パキスタンのペシャワールというところからアフガンに入ろうというような試みをずっとして、一か月近く現地の取材をしました。  そんなことでやっぱり感じるのは、テロを本当になくすということはとても難しいことではないか、やはりテロを防止しようとすれば法的規制をどんどんどんどん強める以外にはない、そうすると、それに対応してテロリスト、それからテロの組織側もそれに対抗するまた手段を出してくるということで、ひたすらエスカレートしてしまうというのがこのテロの防止ということの難しさがあるのではないかなということを感じております。  その一方で、やはり現地へ入ると分かるのは、この人はテロリスト、この人はテロリストじゃないということがなかなか難しい。つまり、そういう実際のいろいろな事象が起きているところへ行くと、普通の人もテロリストも混在しているという、そういうような状況の中で、それではどうやってテロを防ぐ、テロリストを見付けるということがやはりどれだけ難しいというような、そういう思いもしております。  ですから、そういう意味で今回の改正案も、私にとっては様々な疑問ですとか懸念というのも感じております。これまでにいろいろ出されたんですが、重なるところもあるんですけれども、伺っていきたいというふうにまず思っています。  今日の委員会でとても大きく焦点に取り上げられているのがFATFのことですけれども、ここの要請ということもあって日本が今回この改正に応じたということと理解しております。  このFATFの主張を見ていますと、かなり、やはり、何というんですか、テロと対決すべき、断固として取り締まるという強いそういう姿勢が私は表れているというふうに思うんです。  そこで、ちょっとまずお聞きしたいのは、そういうFATFの要請に対して、やはり日本というのはテロ対策というのは本当に遅れていたというふうに思っておられたかどうか、そして、それと同時に、このFATFの、今回、要望を入れて改正をすることによって、テロを防ぐということの国際基準、これに追い付いたのだというふうに考えておられるのか、まずここからお聞きしたいと思います。
  117. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) まず、テロ対策というものについてはいろんな局面があると思いますが、今回はこういった形で、テロに関する資金提供の犯罪化という側面の問題であると考えております。  こういった形で、テロ対策として世界が共通のスタンダードで共通の内容のものを犯罪化するということについては、これは取りも直さず、各国の法制度をある程度のところで共通化することによって抜け穴をつくらない、いわゆるスタンダードを共通にすることによってテロリストに対してそれを利用可能とするような抜け穴をつくらない、このこと自体がテロ対策であると、そういった観点で、今回、FATFの方も日本に対しての審査を行い、こういった勧告等をされてきたものと理解しております。  もとより、日本におきましてもテロ資金提供を防止する条約がございまして、その条約が締結されたそのために今回の本法を制定したものでございます。その際には、やはり共通のスタンダードに従うということで、その条約の内容を十分に満たすものとして、テロ対策の一環としてそういった今回のテロ資金提供処罰法を制定したものでございます。  その後、FATFという条約とは違う組織、違う国際機関でございますけれども、FATFにおいて、やはりそれぞれ現段階においての要求されるべきテロ対策のスタンダードを示されて、それがやはり日本との間で、日本が不十分であるといったことの指摘がございましたので、今回それに合わせることをもって、それ自体がテロ対策であるという理解をもって本改正法案を出させていただいたという理解でございます。
  118. 真山勇一

    ○真山勇一君 そうしますと、やはりFATFの勧告に基づいての今回の改正というのは、今までの、今おっしゃったように、抜け穴を防ぐということですね。  これは別の言い方をすると、何というんですかね、テロを防ぐためにはもとの方から、その広がり、周辺も全部ある程度取り締まらなくちゃ駄目だという、そういう考え方だと思うんですが、今回のFATFの日本に対する要求の、要望の一番大きなところは、テロといえばテロリストがいてテロの組織があるわけですけれども、それだけではなくて、その周辺、一つここで出てきている、法案で出てきている客体の追加、それからもう一つは主体の拡大という、更に周辺にまで広げて抜け穴を防ぐというのが今回のFATFの求めている大きな役割という認識でよろしいんですね。
  119. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) もとより、テロ対策にテロ資金を断つということについては、FATF以前からテロ資金の提供防止条約というような形で始まっております。  その中で、いかなるテロ資金を犯罪化するかということにつきましては、条約制定当時、条約が締結された当時の求めるものと、現在FATFが更にそれについて必要と考える犯罪化の範囲、こういったものがだんだん拡大してきたものと認識しております。それに対して、今回、法改正をもって応えようというものでございます。
  120. 真山勇一

    ○真山勇一君 やはりテロというものも時の流れの中で変わってきている、それで、それに対応するためにFATFの方は拡大を求めてきて、そして日本が今回それに応じたということなわけですけれども。  私もやっぱり感じるのは、テロというものに対する日本の考え方が、何というんですか、先ほどの話では余り最近では摘発事例がないというようなこともおっしゃいましたけれども、言ってみれば、テロに襲われたというか、そういうふうな経験というものがまだ日本の場合はどちらかというと多くないということで、甘さがあったのかというようなことは感じるんですけれども、それにしても、やはりFATFからこれだけ制裁、国名は公表するぞ、ペナルティーは科すぞと何か脅かされてやっと動いたというのは、ちょっと何か非常に割り切れない思いがして、やはり日本が、やはりOECDの中の機構ということからの話であるならば、もう少し積極的、主体的にテロ対策に対応していってもいいんじゃないかなというふうには感じております。  先ほど出ましたけれども、共通のスタンダードということなんですが、これは変わってきているということも分かります。先ほどおっしゃったように、資金面、資産の凍結などについてはFATF以前に日本もいろいろな対応を取っているというふうに私は理解しているんですが、例えばもう一つテロ対策の大きな国際的な役割を果たしている機関といえば、やはり国連の安全保障理事会というのがあると思うんですね。  これ、ちょっと今回の質問の中には挙げていなかったんですが、お答えできれば答えていただきたいと思うんですが、国連の方はかなり、テロというのはどういうものか、テロの定義というんですか、テロリストを割と明確に規定しているわけですね。例えば安保理の制裁委員会というところから指定された資料では、テロリスト、テロ組織というのは、タリバン及びアルカイダの関係者など三百六十五の個人及び七十三の団体及びその他のテロリストなど八個人及び十八団体の合わせて三百七十三個人、九十一団体というものに対して、外為法でその資金の凍結などの措置を実施しているということなんですが、これ、かなり、国連の安保理の内容を見ますと、テロリストそれからテロ組織というものに対して明確なあれを持っているんですけれども、FATFの方ではテロの定義というのはどういうふうにしているんでしょうか。
  121. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) テロリストあるいはテロリズムの定義の問題でございますが、まず、例えばFATF以外で、テロ資金提供防止条約の際にもこの定義というものがどのようになっていたかということにつきましては、条約上はテロリズムとかテロリスト、テロ行為と、こういったものの定義は置いてございませんでした。むしろ、そういう形は置かずに、実際のテロ行為というものを定義して、それに対する資金提供という形を処罰すると、こういうことを条約は求めてまいりました。  基本的に、FATFにおいても、この犯罪化の部分におきましては、そういったテロリズム等の定義を必ずしも、明確にした上でそういったアプローチで各国に何らかの犯罪化を求めるということはFATFもしていないものと理解しております。
  122. 真山勇一

    ○真山勇一君 やはり疑問というか懸念は、今回のFATFの求めに基づいて改正される内容というのは、やはりその客体でありそして主体の拡大という、追加であるという、その辺りだと思うんですね。それによってテロというものに対する犯罪の構成するような中身がやはり随分広がってきているという思いは、これはどうしても避けられないというふうに思うんですね。  例えば、客体の追加の方では、その他の利益というその他というところがあって、これでいえばどこまで広がるのかという一つ心配がやはり否めないし、それからもう一つ、主体の拡大ということでいえば、テロリスト、テロリズムそのものと、それプラス協力者、いわゆる一次協力者と言われている協力者、そして更にそれから二次、三次というふうに広がって、果てしなくこういうものは、言わば言ってみれば芋づる式というか深く深く根を張っている。もちろんそういうところを抜け穴として防がなければテロは防げないということは分かるんですが、非常にその辺り曖昧になってきているというふうに思うんですね。  例えば、協力者ということでいえば、二次、三次、本当にどこまで広がるのかという、そういう懸念はあるんですけど、この辺りに対する心配というか懸念はいかがなんでしょうか。
  123. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 改正法案におけます犯罪構成要件でございますが、やはり公衆等脅迫目的の犯罪行為、いわゆるテロ行為、これは非常に重大な犯罪行為が列挙されているわけでございますが、こういった重大な犯罪行為の実行が具体的に意図されていることなどの要件。これに加えまして、テロ行為等の実行を容易にする目的や、提供に係る資金等をテロ行為等の実行のために利用する目的、あるいは提供に係る資金等がテロ行為の実行のために利用されるものであるという認識、こういった主観的要件、すなわち、実際にそのテロ行為が具体的に意図されているといった要件に加えて、こういった各行為者に対して厳しい主観的要件を満たす場合のみを処罰対象としております。  そういったことから、この処罰対象の主体というものはそういった形で限定されているものと理解しております。
  124. 真山勇一

    ○真山勇一君 その今おっしゃったような主観的というところが大切ではないかなというふうに思っているんですね。なかなか本当にテロかどうかというのは判定するのは難しい面、そんなにテロというのは、もちろん始め、発生時のときは表に出るわけじゃなくて深く静かに潜行して始まっているわけですから、それをどこでどういう形で捉えるかということが大事なことになってくるんじゃないかと思うんです。  そういうことでいいますと、私は、先ほどもちょっと出ましたけれども、今回のこの改正の中の、第二条、現行法の中では二条に、その一番最初のところに「情を知って、」というところがあるんですが、今回の改正でこの情を知ってというのはなくなったというふうなことがありまして、これは要するに、第三条で実行しようとする者というふうに客観的に入っているので、これで問題はないという答弁だったような気がするんですが、私はむしろそうは思わないんですが、このことは、やはりはっきりさせるためには、情を知ってということが必要であるというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
  125. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) この情を知ってというものが法文上消えているところの理由につきましては、今の現行法の二条は資金の提供の相手方というものを明示しておりません。したがいまして、「情を知って、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする目的で、資金を提供した者は、」と、こういった形で表現をしているところでございますが、今回、各いろんなその主体に応じての犯罪類型を追加する際に、それぞれの犯罪類型は全て資金提供の相手方というものを明示することといたしました。  また、これ明示しないと各条文の区別が付きませんので、これまでは資金提供というのはテロリストに対する資金提供しか処罰しておりませんでしたので、今回は資金提供の相手方がテロリストの場合もあれば一次協力者の場合もある、その他の場合もあるということで、相手方を明示するということになりました。  その際に、第三条においては、「これを実行しようとする者に対し、」というものを明示することによって、これでこの条文の主観的な要件、いわゆる故意というものを考えた場合に、必ずその故意の中には、自分がその資金提供をする相手方が公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行をしようとする者というものであるということは当然故意の内容として要求されます。したがいまして、「情を知って、」というこの文言は不要となったわけでございます。  したがって、この情を知ってが削除されているものでありまして、要求されている認識の内容、認識、認容すべき内容は全く現行法と変わりがないものでございます。
  126. 真山勇一

    ○真山勇一君 その要求している認識というのが私はちょっと違うように感じるわけですよね。情を知ってという言葉自体はちょっと何か私も、情を知ってというのは何かいろんなイメージがあるので、またもう少し別な言い方の方がいいかなというような感じもしているんですが。  ただ、それにしても、実行しようとする者というのは相手を明示していると言うけれども、確かに客観的には明示している言葉だと思うんですが、やはり資金を提供しようとか便宜を供与しようとしている者が果たしてそのことを認識しているかどうかというのはこの言葉だけでは分からないんじゃないかなと、それが普通の、厳密に法律の文章を作るときでいえば、厳密に解釈すればやはりこの辺が曖昧になっているんではないかという気がするんですけれども、いかがなんでしょうか。もう一度。
  127. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) テロ行為を実行しようとする者に対しと、これが認定されるためには、その提供の相手方が実際にテロ行為を実行しようとする具体的な意図を持っている必要がございます。これは最低限、絶対の条件でございます。  その上で、じゃ、提供側から見た場合、その提供側から見た場合の故意の認識としても、自分が提供する相手がテロ行為を実行する意図を持っているということが、故意、必要でございます。その認識を欠ける場合には、仮に、実際には、現実には提供の相手方がテロ行為の実行を意図している者であったとしても、提供する側がそれを認識していなければ、それは故意が欠けるということになりまして、処罰されないということになります。
  128. 真山勇一

    ○真山勇一君 意図していることが分かれば確かにいいと思うんですが、実行しようとしていても、提供する側にそれが本当に分かるのかどうかというのは、私はとても難しい曖昧な部分があるんじゃないかと思うんです。  ですから、例えば、先ほども話に出ていましたけれども、空港で案内をしたり、それからあと、ほかにも、例えば募金活動、パレスチナの子供たちに募金をするとか、アフガンの難民に募金をするとか、そのときに、その募金自体の裏に何があるか。テロの難しさというのは、深く静かに起きること。これは、私は、今回のこの法案はやはり予防だと思うんですね。あくまでも抜け穴を防ぐということだと思うので、予防といえば、その予防の時点でそれが本当につかめるのかどうか、やはりその辺が不安で、実際に後からそれは実行しようとしていたんだというふうに言われたときに、知らなかったで本当にこれは済むんでしょうか。
  129. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) テロ資金の収集の実態の中の一つに、例えばテロ資金として収集することをわざと隠して広く資金を収集する場合があると思います。このような場合に、当然、提供する側は客観的にはテロ資金を提供してしまった形になるにしても、提供する側にその故意はございません。したがって、提供する側は全く処罰されないわけでございます。他方で、今のような場合に、収集する側はわざとその目的を秘して収集するということはあるわけでございまして、今回の収集という、テロ資金を提供させる罪というのはこれは成立いたします。  そういった意味において、資金を提供する側については、別に過失によって資金を提供してしまうというようなことを処罰しているわけではございませんので、相手方にテロ資金の意図があるかないか、そこについて、もしそれについての十分な認識がなければ、テロの実行を意図しているということについての認識がなければ、全くその資金提供は不処罰ということになって、そういったものが処罰されてしまうというようなことはないと考えております。
  130. 真山勇一

    ○真山勇一君 そういうことなんでしょうけれども、先ほども話に出ましたけれども、特定秘密保護法も成立していますね。テロというのは特定秘密の対象になるわけです。ですから、知らなかったというふうなことが証明でき、そして裁判の中でもそういうことがはっきりしていけばいいんでしょうけれども、やはり裁判というのも、どうも本当に公正に行われるかという部分がいま一つ問題があるという気もしているわけですけれども。  大臣に、これもう時間なくなりましたが、お伺いしたいのは、こうしたことで、やはり知らないでということになると、やはり冤罪のことがあると思うんですが、例えばこうした問題で冤罪を防ぐための何か方策というものは考えておられる、検討されておられるんでしょうか。
  131. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 今委員の方から様々な御懸念に係ることにつきましての御質問が続きまして、この改正によりまして捜査の権限が濫用する、あるいは不当な人権侵害が行われるのではないかと、こういうことについての御懸念だというふうに受け止めるところでございますが、本改正案におきましては、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行が具体的に企図されているということなどに加えまして、テロ行為等の実行を容易にする目的や、また提供に係る資金等をテロ行為等の実行のために利用する目的、あるいは提供に係る資金等がテロ行為等の実行のために利用されるものであるとの認識といった大変厳しい主観的要件を満たす場合のみを処罰対象としているということにつきましては、先ほど来のやり取りの中でも示されているところでございます。  そして、個別の案件に関しましては、捜査機関によりまして様々な証拠資料に照らして慎重に慎重に検討、判断されるということでございますし、また強制捜査等を行う場合につきましては令状を発付する裁判官によりましての審査に服するということになるということでございます。処罰するためには当然、裁判所による裁判手続を経る必要があるということでございますので、その意味では、冤罪という御発言がございましたけれども、罪のない方が処罰されるということにつきましてはあってはならないということでありますので、そうした捜査権限の濫用、また不当な人権侵害を招くことのないようにしっかりと適正にしてまいるということでございます。
  132. 真山勇一

    ○真山勇一君 ありがとうございました。終わります。
  133. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  まず、客体の拡大について、これまでの議論も踏まえてちょっと局長に伺おうと思いますけれども、改正案は、資金若しくはその実行に資するその他の利益(資金以外の土地、建物、物品、役務その他の利益)というふうに書いてあるわけです。この資金以外の土地、建物、物品までは、それはそれなりに分かると。役務っていうのは、これは相当曖昧じゃないかというふうにも思うんだけれども、その他の利益となると、これ法文上どう限定されているというのかということが一つの問題なのだと思います。  そこで、このその他の利益に情報は含まれるという御答弁が続いていますけれども、それでいいのかという確認と、この条文には、局長、衆議院、参議院でもずっとあれこれおっしゃっているんですけれども、法文上は情報という言葉さえそもそもないわけですよね。このその他の利益という言葉の中でどうこの客体が限定されていると法文上言えるのか、お尋ねします。
  134. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) まず、ここで言う土地、建物、物品、役務というのは利益の中の例示でございます。そして、じゃ利益とは何なのかといえば、およそ人の需要、欲望を満足させるに足りるもの、こういったものとして今回、利益というものが意味されております。  その中で情報というものがこれに当たるかということでございますが、やはりその利益というものが一切の有形無形の利益というものを、これがおよそ人の需要、欲望を満足させるに足りるものというものに入る以上は、情報につきましても、これがその他の利益の中に入り得ると考えております。  ただ、もとよりこれに対しましてはテロ行為等の実行に資するという限定が掛かっておりますので、あらゆる情報がこの改正法案上のその他の利益に入るわけではございません。
  135. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 今の御答弁の中でも、結局、需要や欲望を満たすものというのは一切の有形無形のものが含まれるということですから、その利益という構成要件上の言葉ではおよそあらゆるものが入るわけですよね。土地だとか建物だとかというのが例示だというふうに言うんですけれども、土地に準ずる情報なんというようなことを考えたって余り意味がなかろうかと思うんです。  そうすると、実行に資するとは何かということが極めて大きな問題になるわけですけれども、実行に資すると言うときの資するというのは何なんですか。
  136. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) この資するという意味ですが、一般にはこれは、役立つあるいは助けとなるという意味でございます。
  137. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 いや、それはそうでしょう。そんな、助けるとか役立つとか、あるいは支えるというみたいな、そんな日本語の国語辞典みたいな話をして、何の刑罰法規としての限定になるんですか。
  138. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 資するという言葉自体は、今申し上げたように、役立つであるとか助けとなるということでございますが、それが何の助けとなるのか、あるいは何に役に立つのかという形で、この場合は、本法の一条に列挙されております公衆等脅迫目的の犯罪行為、この実行に資するという形で、そういったテロ行為の実行に役に立つ、あるいはその助けとなると、こういった意味を持つ形でその他の利益というものが限定されていくものと理解しております。
  139. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 そうおっしゃるので、つまり利益とか資するでは限定がされないわけですね。ならば、実行というのは何かということなんですが、これは刑法の講学上、実行行為あるいは実行の着手というふうに言われる概念にいう実行というのと同じ意義ですか。
  140. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) もとよりテロ資金の提供というものは、テロ行為自体がその実行の着手に至っていることを念頭に置いているものではございません。少なくとも、テロ行為が将来起きる、テロ行為が将来起こす、こういったこと、そういったものについて、それに向けられたテロ資金の提供罪を独立の処罰、犯罪としたものでございます。そういった意味で、犯罪行為という概念そのものについてが異なるわけではございませんが、今委員から指摘のあった実行の着手というものが要求されるかというと、そうではございません。
  141. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 私が問うているのは、テロ企図者の実行の着手が今回改正される諸犯罪の成立条件となるかというと、そうではない、これはもう法文上も明らかですよね。今も御答弁があったとおりです。つまり、テロ企図者の実行の着手がなくても処罰をされるということですね。これ、ですから、その実行行為との関係でいうと、予備行為や予備行為の幇助、あるいは予備行為を幇助することを幇助する、そうしたことが今回の法改正によって処罰対象とされようとしているわけですけれども、それを独立処罰をしようとしている、今御答弁があったとおりです。  ですが、繰り返し、実行に資するとか、あるいは、後にちょっと議論させてもらいたいと思いますけれども、テロ企図者の実行を容易にする目的といった形で、テロ企図者の実行が具体的に意図されているなんていう御答弁も先ほど来ありましたけれども、このテロ企図者の実行あるいは公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行というのが局長の言う限定されるという概念の核になっているわけでしょう、中核に。なので伺いたいんです。  実行行為というのは、これは例えば構成要件的結果発生の現実的危険がある行為というふうに呼ばれますね。これはそうですね、局長。
  142. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) その実行に着手という概念については、そのとおりであろうと思います。
  143. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 つまり、このテロ犯罪が起こる現実的な危険がある、それが実行、それに着手されて結果が発生しなければ未遂であり、あるいはその現実的危険がある行為を実行するに至る段階、そこにはまだ行かないが準備をしているとか計画をしているとかいう段階は予備という、そういう段階であると。これは理解、そういうことでいいでしょう。
  144. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) 何を本犯としてその実行の着手あるいは実行の予備ということかということによりますが、確かに委員が指摘されるように、テロ行為そのものというものをまず観念した場合、テロ行為というその犯罪行為、一条に限定列挙されているような公衆等脅迫目的の犯罪行為、これをまずベースに考えますと、それ自体の予備行為、予備的な行為というものが当然ありまして、これは非常に限定されておりませんが、その中の資金の提供という予備的行為が本犯、本法のテロ資金提供処罰法において処罰されるようになっているということでございます。
  145. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 今局長がおっしゃった資金だけでなく、その他の利益、なかんずく情報等まで客体に含まれるとおっしゃるので、あえてこうやって伺っているわけですね。つまり、テロ行為の現実的危険性はまだない段階をこの法による処罰というのは、改正による処罰というのは想定しているはずなんですが、その際に、実行に資するというのは、そうするとどういうことになるんですか。
  146. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) もとより、先ほど申し上げたテロ行為をベースに考えた場合に、そもそもテロ行為そのものが起こる現実的な危険性というものは、委員が先ほど言われているように、テロ行為に対する実行の着手をもってそういった現実的な危険性が生ずるわけでございます。当然、それに至るまでの間、まだそこまでの現実的危険性が生じていない場合の予備的な段階でどのような行為を犯罪化するか、処罰するかという問題でございまして、これについては、これまでの本法、現行法では、具体的にはテロリスト、テロを実行しようとする、企図する者に対して直接資金を提供する行為、この行為は、まだテロ行為の実行には着手していない段階であっても、やはりテロ行為の助長、促進という意味で非常に危険性が高いということで犯罪化されてきたものでございます。  それについて、さらに今回の改正法案におきましては、間接的な資金提供という形で主体が拡大され、あるいは客体、その場合の客体につきましても拡大されている、こういった理解でございます。
  147. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 私は、そのテロ企図者の行為が実行の着手に至らない段階での処罰、加罰性のある行為、あるいは処罰の必要性というのは、これは否定しているわけじゃないんですよ。その際の本改正案の構成要件の明確性について伺っているんですね。  先ほど来の質問の中で、議論の中で、テロ企図者が存在しない場合は罪とならないという趣旨の御答弁があったと思うんですね。対向犯であるという概念も示されたんじゃないかと思いますが、テロ企図者が存在しないと罪にならないというのは、これ法文上はどこに根拠があるのですか。
  148. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) 例えば三条一項を前提といたしますと、改正法案三条一項というものは、テロ、公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者に対しという形で構成要件がつくられておりますので、この場合に、資金の提供が仮に外形的にあったとしても、それを、テロ行為を実行しようとする者というものが存在しなければこの三条一項というものは成立しないと、こういう意味において先ほど説明をさせていただいたものでございまして、ただ、これを対向犯であるとか、そういうことを申し上げているわけではございません。  少なくとも、この構成要件上要求されている事項に、例えば三条一項ですと、テロ行為の実行企図者というものの存在が構成要件上必要であるということを申し上げております。
  149. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 そうすると、典型的には、五条一項、二項のいわゆるその他協力者の構成要件においては、今日繰り返し議論が出ています容易にする目的というのも要件ではないし、実行しようとする者に対しという要件もありませんから、今のような限定は働きませんよね。
  150. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) 五条につきましては、これを実行しようとする者に対しというような要件はございませんので、その限りにおいては、五条においては、その五条の犯罪を成立させるためにテロ行為の実行企図者が特定されている必要はございません。
  151. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 そうなると、どこまで広がってしまうのかということになるんですけれども。  ちなみに、五条についてもう一問、客体の問題で聞くと、先ほど来、限定する要件だという実行に資するという文言は五条の客体にはないんですね。五条には資金又はその他の利益としか書いていないんですが、これ、局長、どうやって限定されるんですか。
  152. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) 確かに、その三条、あるいは二条、三条、四条、これについては、「実行に資する」という形が限定として「その他利益」に掛かっております。  他方で、五条については、もとよりこれは「公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行のために利用されるものとして」という要件がございますので、この中で、当然、二条から四条までの間で実行に資するという限定を付する必要があったものに対して、五条については、そもそも実行のために利用されるものとしてという要件がありますので、ここではあえてこの限定を不要と考えて、ここに掲げていないものでございます。
  153. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 つまり五条、つまり、その他協力者における行為の客体というのは、利益も限定がない、その他、実行に資するという限定もないということになると、どこまで広がるか分からないでしょう。で、その故意として、「公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行のために利用されるものとして」というこの文言を限定の根拠としておっしゃっているんですが、先ほど、テロ行為が現実に実行される可能性が存在している状態の認識といった御趣旨の答弁があったと思うんですが、そうかということと、その可能性というのは何か、お尋ねします。
  154. 林眞琴

    政府参考人(林眞琴君) この五条のテロ行為の実行のために利用されるものとしてということのこの条文からまず必要とされる要件といたしましては、実際に提供に係る資金等が利用されるような公衆等脅迫目的の犯罪行為、いわゆるテロ行為が現実に実行される可能性がまず必要でございます。  その上で、利用されるものとしてというためには、例えば五条で、資金等を提供した者について、そういった状況の下で自らの資金等がテロ行為に利用されるという認識、これが必要でございます。
  155. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 私は可能性とは何かと伺ったんですけれども、それは、先ほどの実行行為の概念で言う現実的な結果発生への危険性というものとは違うでしょうと、お話しになっている用語そのものが。当然なんですよ。テロ企図者の実行行為からはこのその他協力者の行為というのは極めて離れているんです。極めて裾野が広いんですよ。  例えば、教会にある方が転がり込んできて、夜半、大変な高熱を発している。いや、ちょっと危ない人かな、テロリストかもしれないなというふうな認識はあったけれども、教会であるし、介抱したというような場合は、このその他協力者に言う資金又はその他の利益の提供に全く当たらないという構成要件ですか。
  156. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 今の事例で、五条との関係でいえば、先ほど申し上げたように、テロ行為の実行が現実的な可能性がまずそこに存在するのかどうか、そしてさらに、実際にその場合に、何らかの役務あるいは資金等を提供した側からとって、実際にそれが、自分たちのその行為がテロ行為の実行のために利用されるものとしてという、この認識があるかないかということに関わってくる問題であると考えます。
  157. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 つまり、個別の事案における判断であって、構成要件には該当し得るという御答弁なわけですよ。  そうした判断を、主観的要件についても客観的要件についてもそうなんですが、どうやって判断をするのかと。もうこれまでお話がありましたけれども、本人あるいは関係者の供述、本人の供述となればなかんずく自白、あるいはメール、日誌などの文書というようなお話ありました。そういう証拠の収集がどうやってされるかなんですが、先ほども取調べの可視化の問題で御質問がありましたけれども、法制審の報告との関係でいいますと、通信傍受法、盗聴法の対象犯罪としてこの公衆等脅迫目的の行為に対する処罰、この刑罰法規、これが入っていますよね。当然、今回改正になるとなれば、このその他協力者などの行為もその対象になるという理解で、局長、いいですか。
  158. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 法制審議会での取調べの録音、録画の対象事件の……
  159. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 いえいえ、通信傍受の対象とされているか。
  160. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 通信傍受、ちょっと今、定かに対象となっておるかどうか、お答えはできません。申し訳ございません。
  161. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 通告をきちんとできていなかったかもしれませんから、その点は調べていただきたいと思いますけれども、結局、その主観面を捜査機関が判断するということになっていけば、恣意的な捜査というのは、つまり起訴されるかどうかではなくて、実際にそうした、任意であったって、あるいは密行ですよね、盗聴というのは密行ですよ、本人には知らされないわけですから。その下で、メールだってあるいはSNSだって傍受できるというのが警察庁に以前御答弁いただいたことなんですけれどもね。  そうした下で、かつて四万人ものムスリムの皆さんに対して、都内在住の、洗いざらいの調査が行われてきた。それが流出して大問題になってきました、その情報が流出して。例えば、モスクの礼拝参加者に的を絞って、洗いざらい調べ上げて、誰と会ったかとか、誰と連絡を取っているかとか、面割りまでやっているというのがその事実なわけですが、この事実そのものを警察庁はこれまで認めてこられませんでした。  私は、こんなやり方は絶対に許されない行為だと思うんですけれども、改めて伺います、警察庁。
  162. 塩川実喜夫

    ○政府参考人(塩川実喜夫君) 警察においては、警察法第二条に定める公共の安全と秩序の維持という責務を果たすために、必要な情報について収集及び分析を行っており、国際テロを未然に防止するための情報収集、分析もその活動の一つでございます。
  163. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 という答弁をずうっと繰り返しておられて、洗いざらい、犯罪が発生しているわけでもないんですよ、それをテロ対策という名目でこんな調査をやっているし、その事実さえ認めないし、まして謝罪はしない。となると、これから、例えばこの改正法に基づく構成要件を口実にして本当にひどい人権侵害的な調査をやらないという保証に何にもならないじゃないですか。FATF勧告がそんなことを求めているのかと。これ、国際的な刑法あるいは捜査の国際会議では、テロ対策は大事だけれども、それは人権保障に立って行われなければならないと、そういうふうに宣言をしていますよ。  その下で、FATF勧告について、先ほど来御議論があるように、六月に声明があるんですけれども、ここで問題にされているのは二〇〇八年の十月に採択された第三次相互審査報告書ですよね。ここの中を見れば、FATF勧告が求めているのは、日本語で言うシキン、現行法に言う資金、これは資金、資本を意味しており、現金や簡単に現金に換えられる物に関連している、それゆえ、テロ資金処罰法の資金という単語は、簡単に現金に換えられるものだけでなく、あらゆる種類の資産を含むとする特別勧告Ⅱの全ての局面を対象とするのに不適切であるとなっているんですね。  先ほど議論をした客体の土地、建物、物品はここに入るでしょう。だけれども、役務だとか、まして情報だとか、こんなのFATF勧告が求めているものじゃないんじゃないですか。大臣、そこどう考えているんですか。  実際、もうちょっと御答弁はいただけませんが、このFATF勧告関連で今国会に掛かっている三つの法案のうち、テロリスト財産凍結法案については、安保理制裁委員会だとか安保理決議に基づいて各国が指定するテロリスト、この限定された特定の者に対する財産凍結ということでFATF勧告を満たしているわけでしょう。何でこの処罰法規についてはFATF勧告が言いもしていないものをこんなに拡大して、どこまで広がるか分からないと。何でこんな法案出すんです。
  164. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 上川法務大臣、時間ですので答弁は簡潔に願います。
  165. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) FATFからは、客体にあらゆる種類の財産を含めるべきであるという旨の要請がなされているということでございまして、この財産等の中に情報も含めてその財産に該当するというふうに考えております。
  166. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 情報は財産じゃないでしょう。  終わります。
  167. 谷亮子

    ○谷亮子君 生活の党、谷亮子でございます。  本日の議題に沿って、以下質問させていただきたいと思います。  テロの正確な定義は、インターネット上ではないともされていますけれども、一般的には、何らかの政治的目的のために暴力や暴力による脅威に訴える傾向やその行為をいう、また、恐怖政治をいうともされております。  また、日本語では、テロリズムを略してテロと呼ぶことがあり得るとされておりまして、このテロという文言が法律に規定されているのは、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律、そして自衛隊法、そして特定秘密の保護に関する法律がございます。  そして、本日の議題の改正案についての背景等には、各国にテロ対策の推進を求めるFATFからは、平成二十年の対日審査におきまして、資金以外のいわゆる物質的支援の提供、収集や、テロリスト以外の者による資金等の収集等が処罰対象とされていないなど、テロ対策が不十分であることの評価を受けまして、その後も改善措置が進捗していない旨厳しく指摘されているところでございます。  日本といたしましては、こうした平成二十年の対日審査以降八回に及ぶフォローアップ審査が行われてまいりまして、三回目以降は四か月ごとにFATFに対しまして進捗状況等を日本としても報告をしてこられました。  我が国といたしましても、テロを許さない国際環境の醸成に努めていくということが非常に重要でございまして、この度の法案は、そのような観点から、FATFの指摘に対応し、資金以外の公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行等に資する利益の提供等を処罰対象とするなど、所要の法整備を行おうとするものであります。  そこで、今回の改正法案が成立した場合、FATFによる指摘をどこまで満たすことが可能となるのか、この点につきましては我が国の国際的な責任を果たしていく上でも大変重要と考えますので、伺わせていただきたいと思います。
  168. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) ただいま先生から御指摘のとおりでございまして、このFATFの勧告を遵守するということにつきましては、我が国が国際的な責任をしっかり果たしていくという上では大変重要なものであるというふうに認識しているところでございます。  その遵守の状況につきまして審査を受けた際でございますけれども、先ほど御指摘いただきましたとおり、特別勧告Ⅱに係る状況といたしまして、資金の定義が限定的でありまして、物質的支援の提供、収集が犯罪化されていないこと等を含めての御指摘がございました。このような勧告を受けまして、一部履行しているにすぎないと大変厳しい評価を受けたところでございます。  本改正案につきましては、このような経緯も踏まえまして、また、テロを許さない国際環境の醸成に主権国家として責任を果たしていくということの観点から、このテロ資金提供処罰法の改正をするという方針を定めて今日に至ったところでございます。  このような法整備によりまして、我が国といたしましても、テロ行為を抑止するということの中の国際協調を図るということにつきましてもしっかりと貢献できるものというふうに考えております。
  169. 谷亮子

    ○谷亮子君 大臣、ありがとうございました。  やはり、FATFからの勧告等々、対日審査が平成二十年から始まりまして五年を要したということでございますが、この中でも、日本といたしましても三回目以降は四か月に一回という進捗状況を報告して現在に至っているという状況でありますので、今大臣からお話ございましたように、処罰規定を整備する改善措置がとられるものであるということを理解いたしました。  そして、次に、提供対象の拡大とともに処罰範囲の広範化を図ることになるわけでございますが、改正案が成立いたしました場合、どのような運用をされますでしょうか、伺いたいと思います。
  170. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 今回の改正法案における犯罪構成要件でございますが、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行が具体的に意図されていることなどの要件に加えまして、テロ行為等の実行を容易にする目的や、提供に係る資金等をテロ行為の実行のために利用する目的、あるいは提供に係る資金等がテロ行為等の実行のために利用されるものであるといった認識、こういった主観的要件、厳しい要件が満たされる場合にのみ処罰の対象となるものでございます。  こういったものにつきまして、個別事案に関しましてこれらの要件を満たすかどうかにつきましては、捜査機関によって様々な証拠資料に照らして慎重に検討、判断されることになります。また、強制捜査を行う場合には、当然、令状を発付する裁判官による審査に服することとなりますし、処罰によって裁判所による裁判手続も経ることになります。  こういったことを通じまして、今般の法改正後におきましても厳正でかつ適正な運用がなされるものと考えております。
  171. 谷亮子

    ○谷亮子君 ありがとうございました。処罰の対象等と今後の運用体制について今御説明いただいたところでございます。  次に、ただいま御答弁いただきましたことを踏まえた上で、今後我が国が安全保障理事会の決議を履行していくための取組についても伺っておきたいというふうに思います。  国連の安全保障理事会は、国際平和及び安全の維持に主要な責任を負い、全加盟国に対し法的拘束力のある決定を行い得る唯一の機関でありまして、平和に対する脅威、そして平和の破壊、そして侵略行為の存在の決定、そして制裁措置の決定等も担っております。また、構成国は、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の五か国の常任理事国と、選挙により選出されます、これは任期二年でございますが、十か国の非常任理事国、現在は、韓国、ルワンダ、アルゼンチン、オーストラリア、ルクセンブルク、ヨルダン、ナイジェリア、チャド、チリ、リトアニアから構成されております。  我が国におきましては、二〇〇九年から二〇一〇年に、これはブラジルと並んで過去最多の十回目の非常任理事国を務めておりますが、今後は、二〇一五年に行われる非常任理事国選出の選挙に立候補を予定しておりまして、当選すれば、二〇一六年から二〇一七年の間の二年間の任期を、非常任理事国を務めることになるわけでございます。  本年九月二十四日に安全保障理事会は、アメリカのオバマ大統領の呼びかけで首脳級会合を開きまして、テロ目的の海外渡航者を処罰する法整備等を加盟国に義務付ける決議を全会一致で採択されております。この決議は、決議の前文には、イラクやシリアでその勢力を拡大するイスラム国の動向を踏まえ、外国人テロ戦闘員の脅威がますます深刻化していることに重大な懸念を表明し、この脅威への取組の決意を示しているものでございました。  そういったこと等々あったわけでございますが、そこで、まず我が国といたしまして、この安全保障理事会の決議を履行していくために、テロ対策推進の要である法務省としての取組、どのように進められますでしょうか、伺います。
  172. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 御指摘の安保理決議でございますが、加盟国に対して、テロ行為の実行、計画、準備、参加、またテロの訓練の提供、またこれを受けることを目的に渡航又は渡航しようとすること、またこれらの渡航への資金の提供、あるいはこれらの渡航の組織化、便宜供与等を国内法で犯罪化することを求めているものと承知しております。  今回のテロ資金提供処罰法の改正につきましては、これはFATFからそういったテロ資金供与の犯罪化に係る取組が不十分であるという評価を受けて、そういったFATFの指摘も踏まえて、テロを許さないという国際環境の醸成に努めていく必要性から改正を行うものでございますが、あわせて、今回のテロ資金提供処罰法の改正によりましては、例えば、客体については、資金以外の土地、建物、物品、役務その他の利益を追加したり、あるいは、主体について間接的な資金提供等を処罰対象に加えるなど、客体、主体についても拡大すると、こういった内容となっておりますので、少なくともこの法改正との関係におきましては、御指摘のその安保理決議の趣旨にも沿うものであろうと考えております。
  173. 谷亮子

    ○谷亮子君 安保理決議の趣旨にも沿うものであるということでございまして、ただいま法改正の内容等についてもるる御説明いただきました。  そこで、もう一点伺いたいんですけれども、国連安全保障理事会の決議について伺いたい点というのがもう一つございました。本年九月二十四日に開催されました国連の安全保障理事会の決議では、テロ目的の海外渡航者を処罰する法整備を国連加盟国にこれは義務付けていますが、テロ目的の海外渡航や、渡航資金の収集や提供について我が国の国内法で処罰するために新たな立法措置がこれは必要となるのか、また、必要であると考えるならば、今後どのように政府として立法について取り組んでいかれますでしょうか、伺いたいと思います。
  174. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 今回、安保理決議で先ほど申し上げたような内容の決議がなされたわけでございます。その中に、我が国での国内法で処罰するための犯罪化ということがございます。  その観点で申し上げますと、こういったテロ行為の実行のために渡航し、渡航しようとする行為や、これらの渡航への資金提供など、こういった行為につきましては、もちろん個別の具体の事情にもよりますけれども、我が国の現行法の中でも処罰対象となり得るものがございます。これは、一つには現行のテロ資金提供処罰法二条一項などがありますし、また刑法の九十三条、私戦予備及び陰謀、こういった犯罪がございます。こういった犯罪につきましては、安保理決議で求められている犯罪化というものに沿うものであろうかと思っています。  ただ、なお、さらに、安保理決議の履行のために必要な立法措置があるのかどうか、これにつきましては今後詳細な検討をしてまいりたいと思っております。
  175. 谷亮子

    ○谷亮子君 ありがとうございました。  現行法の中でも対応が可能なものもあるということでございますけれども、より強化を進めていかなければならない現状にあるというふうに思います。  国際社会がテロ脅威に対する危機感をこうして強めている中で、世界各国におきましても、国連安全保障理事会の決議を受けた法整備等を諸外国においては進めている現況があるからでございます。  フランスでは、過激な活動を計画するフランス国籍者の旅券の一時剥奪や、テロを正当化するウエブサイトの閲覧制限を柱とするテロ対策法案を可決しているようでございますし、イギリスでは、過激派の旅券の一時剥奪や旅客機搭乗拒否等を検討しているということでございました。このように、テロリストの動きを封じ込めるための対策を積極的に講じていくということは、国際社会をより安全、安心、そして平和なものとしていく上で、やはり極めて重要なものであるというふうに考えます。  そして、このように、国際社会がそのような動向について懸念を示し法整備等を急いでいるように、各国から国際社会や地域の安全を揺るがす脅威を与えている組織に加わる外国人戦闘員の動機は多様でございまして、母国での失業、そして疎外感、閉塞感等が指摘をされておりまして、広がる格差の存在が背景にあるのではないかという見方もあります。  また、失業や格差がテロへと直結するわけではないとしても、こうした問題を考えていく上で、我が国におきましては、何よりもまず、戦闘や戦争を支持しないといったような平和教育といったことが非常に重要であるのではないかと考えますが、大臣に御所見を伺いたいと思います。
  176. 上川陽子

    ○国務大臣(上川陽子君) 国際的なテロの脅威ということについて、日本の中で現行動いている法律に照らして事例がないからといって、これが全く身近な問題ではないというふうに考えることができないほど、地球、国は非常に小さくなっているというふうに考えております。  身近なところに脅威があるんだということについても、残念ながらその事実についてはしっかりと理解をしていただかなければいけないと。そうした理解と意識の部分がしっかりとしてあってこそ初めて脅威そのものも取り除くことができる、ある意味ではそれがとりでとなっていくというふうに思っております。  今回の法律の改正をお願いしているということでありますが、国際社会全体でこのテロへの脅威、ここについては本当に抜け穴のないようにしっかりと対応していくという意思をしっかりと表明をし、その意味で、先ほど来の御指摘もございましたが、予防をしていく。一旦起こってしまうならば、その犠牲は大変大きなものがあるということでありますので、起こらないためにも大変大事なことであると思います。  法律に照らしてしっかりと対応すると同時に、国際的な連携をする、そして一人一人の中に平和の大切さ、そしてそれに対して脅威がある場合にはしっかりと取り組むという、そうした教育ということについては、御指摘のように大変大事だというふうに思っております。
  177. 谷亮子

    ○谷亮子君 大臣、ありがとうございました。  大臣がお話ございましたように、平和教育というのは非常に重要であるというふうに私も考えます。  そうした中で、公安調査庁が発行している国際テロリズム要覧二〇一四には、テロ組織等としては五十六の国、地域、二百の組織が掲載されてありました。また、公安調査庁のホームページにも、注目される国際テロ組織の概要及び最近の動向や国が一覧として掲載してあります。このような、明確にこうしたテロ組織等に対して、日本としての、そうしたテロ組織、またテロ自体を撲滅していくということに関しましては、今後、更に強化を進めていただきたいと重ねてお願いを申し上げたいと思います。  そして、今回の改正法案では、これまで資金提供のみを処罰範囲にしていたものを物質的な利益に広く拡大しております。  国連のテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約の第一条において、資金について規定がなされております。  今回の改正案の法案名、条文中にございます資金について、現金は含まれますでしょうか、お伺いします。
  178. 林眞琴

    ○政府参考人(林眞琴君) 現金は資金の中に含まれます。
  179. 谷亮子

    ○谷亮子君 現金は資金の中に含まれるということでございまして、資金の定義について調べてみましたところ、解釈として、現金など経済的な価値のあるものを指すとされているわけでございます。  冒頭に私もお話しさせていただきましたが、テロの正確な定義は、一般的には、何らかの政治的目的のために暴力や暴力による脅威に訴える傾向やその行為をいう、また恐怖政治をいうともされていますけれども、現在、国際社会でテロ組織等から人的補償として資金提供を求められるケースがありまして、今回の改正法案が衆議院から参議院に送付されてきたときにまず思いましたのが私はこのことでございました。日本の国、政府に対しまして、テロ組織から政治的目的のためにということで人的補償として資金提供を求められた場合と、今回の改正法案の整合性についてでございました。  今後また、このことにつきましては、改正が必要なのか等々、新法が必要なのか等々あると思いますけれども、この資金提供につきましては、各国それぞれに対応策というのは異なっているわけでございます。資金提供ということで身の代金百三十七億円を要求された国もあれば、この身の代金については公にできないと、なぜならテロ組織の資金源になっていると言われている国もございます。  当然、このことは法務省におかれましても想定されていらっしゃると思いますし、日本においては、今後、特定秘密の保護に関する法律が閣議決定をされ、十二月十日が施行日と予定されているわけでございます。まず一義的には、やはり人命救助や緊急事態という観点から対応を考えられているというふうに思いますし、今現在、外務省が二〇一三年六月二十五日から、現在においてもこれは継続されておりますが、シリア渡航情報についての注意喚起を発出されているという非常に良い取組もされております。  今回、この改正法案が成立された後には、やはり日本国民の皆さんの命を守る、そしてテロの組織と言われているところの撲滅に向けても国としてしっかりと対策、対応していただきたいと、そして、国際社会の中におきましてもやはりテロ撲滅ということに貢献できるような体制の構築を更にお願いを申し上げ、また期待を申し上げまして、私の質問を終えたいと思います。  ありがとうございました。
  180. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  181. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。  国際社会と協力してテロリストの弱体化を図り、国際的な信用を獲得、維持しなければならないのは言うまでもありません。  我が党は、二〇〇二年の現行法制定については、テロリスト及びテロ組織の活動を弱体化するものとして賛成いたしました。しかし、本改正案は、現行法そもそもの問題である資金及びテロリストの定義の不明確さによる恣意的な濫用の懸念が解消されないばかりか、処罰する主体、客体を大幅に拡大し、恣意的な濫用の懸念をますます拡大するものであり、人権侵害のおそれを増幅するもので反対です。  まず、主体の拡大は、公衆等脅迫目的の犯罪行為、すなわちテロの実行を容易にする目的という曖昧な主観的要件の下、テロ企図者と意思の連絡のない一次協力者の行為や、一次協力者の行為を容易にする目的という更に曖昧な要件での二次協力者の行為、さらには、そうした目的による限定さえなく、テロ企図者や一次、二次協力者の犯罪実行のために利用されることを明確には認識していない、いわゆる未必の故意、かもしれないという行為をもその他協力者の行為として犯罪構成要件には該当することとなり、その裾野はどこまで広がるか全く不明確です。  次に、客体を資金、資産のみならず、公衆等脅迫目的の犯罪行為、すなわちテロの実行に資する利益に拡大し、利益とはおよそ人の需要、欲望を満たすに足りるものといいますが、そこには何らの限定がありません。政府は、利益には情報をも含むとし、爆弾や武器、アジト、侵入経路などに関する情報を例示しますが、そうなら、テロ実行を具体的、現実的に容易ならしめる危険性を有するものに法文上限定することは可能です。  実行に資するという文言は極めて曖昧であり、刑罰法規としての明確性を著しく欠くものであります。こうした著しく不明確な刑罰法規を作るなら、その可罰性の判断は、まず目的、故意という主観的要件の捜査機関の心証に左右されるところとなり、勢い被疑者の供述、なかんずく自白の強要、電子メールを含む通信傍受、盗聴の拡大など、恣意的な捜査権限濫用の懸念は大幅に増幅されることになります。現実に、公安テロ情報流出事件で明るみに出たムスリム狙い撃ちの調査のような広範な人権侵害を拡大する危険が強まるのです。現行法にこれまで適用例はありません。  FATF勧告が具体的に求めるのは資金及びその他の財産をカバーすることであり、それを大きく超える本改正には立法事実はありません。テロ対策を名目にした許されない人権侵害のおそれを増幅させる広範かつ曖昧な改正案、まして、そうした運用は到底許されないと強く申し上げ、反対討論を終わります。
  182. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  183. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 魚住裕一郎

    ○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十三分散会