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2014-04-08 第186回国会 参議院 法務委員会 8号 公式Web版

  1. 平成二十六年四月八日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  四月三日     辞任         補欠選任      大沼みずほ君     吉田 博美君      羽生田 俊君     石井 準一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         荒木 清寛君     理 事                 山下 雄平君                 若林 健太君                 有田 芳生君                 小川 敏夫君     委 員                 石井 準一君                 溝手 顕正君                 宮沢 洋一君                 柳本 卓治君                 吉田 博美君                 江田 五月君                 前川 清成君                佐々木さやか君                 行田 邦子君                 仁比 聡平君                 谷  亮子君                 糸数 慶子君    事務局側        常任委員会専門        員        櫟原 利明君    参考人        少年犯罪被害当        事者の会     大久保 巌君        帝京大学文学部        心理学科講師        元家庭裁判所調        査官       岡本 潤子君        東京大学大学院        法学政治学研究        科教授      川出 敏裕君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○少年法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 荒木清寛

    ○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る三日、羽生田俊君及び大沼みずほさんが委員を辞任され、その補欠として石井準一君及び吉田博美君が選任されました。     ─────────────
  3. 荒木清寛

    ○委員長(荒木清寛君) 少年法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しております。  本日は、本案の審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、三名の参考人から御意見を伺います。  本日御出席いただいております参考人は、少年犯罪被害当事者の会大久保巌君、帝京大学文学部心理学科講師・元家庭裁判所調査官岡本潤子さん及び東京大学大学院法学政治学研究科教授川出敏裕君でございます。  この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  参考人の皆様から忌憚のない御意見を賜り、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事の進め方について申し上げます。  まず、大久保参考人、岡本参考人、川出参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。  それでは、大久保参考人からお願いいたします。大久保参考人。
  4. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) 本日は、参議院法務委員会、委員会審議の参考人に選出いただき、厚く御礼申し上げます。このような発言の機会をいただき、関係者皆様に深く感謝いたしております。  私は、今回、少年法改正案の最終的なきっかけとなった殺人事件の被害者遺族であります。現在、刑事裁判が判例として閲覧できるものとなっています。少年犯罪被害当事者の会の意見と併せて配付資料としていますので、御確認お願いいたします。  今回、私たち家族に起こったことをお話ししたいと思います。その事実が先生方の審議の参考になるのではないかと考えています。  今から約五年前の二〇〇九年六月十二日午前十時頃、私は会社にいました。警察からの連絡が入り、息子の身元確認をしてほしいとの内容でした。そこから私の感覚が変わっていきました。現実を受け入れられないのでしょうか、夢の中にいるような不思議な感覚になっていきました。  警察署で見た息子と言われた写真、夕方になりやっと会えた息子、どの顔を見ても自分の息子だと分からず、耳や手、衣類、持ち物が息子としか考えられない状況を物語っていました。やっと会えた息子を前に家族で泣き崩れ、息子の名前を叫んでも、体を揺すっても、返事は返ってきませんでした。それから、流されるように通夜、告別式を行い、警察の事情聴取など、言われるがままに応じました。何が起こっていたのか分からない中で、警察から、犯人は少年で逮捕されたと聞きました。検察官からも事情聴取があり、被害者参加制度の説明がありました。それは二〇〇八年十二月一日に施行された制度らしく、それまで被害者参加はできなかったのだと後で知りました。  生きることがこんなにも苦しいものか、食欲もない、味もない、昼夜も分からない、しかし時間は流れていきます。何があっても朝日が昇ることを無情にさえ思いました。その中で、何か子供のためにできることはないかと考えました。まず、家庭裁判所での少年審判に関わることにしました。なかなか受け入れられない現実や分からないことばかりで不安も募り、知り合いの弁護士さんに同行してもらうことにしました。  家庭裁判所では思わぬことの連続でした。私たち夫婦と弁護士さんで出向いたのですが、まず三人とも金属探知機で全身を検査され、狭い個室に通されました。私たちが何かしたのかと思いました。意見陳述する機会と少年審判を傍聴できるとのことでした。裁判所からの説明によると、この施設は加害者少年のためのものであるということを告げられました。被害者側の居場所はないところだったのです。  私たちは加害者の考え方や行動を理解することも許すこともできないと考えていたので、少年の処遇を判断するであろう裁判官への意見陳述をしました。何が起こっていたのか分からない上での意見陳述でしたので、遺族としての心情、子供をとても大事にしていたことなどを話したと思います。  少年審判の傍聴もしました。一番最後に入廷し、部屋の隅のテーブル奥に押し込められ、さらに職員に囲まれての傍聴となりました。少年審判では国選付添人三人が少年を弁護し、加害者両親が意見し、加害者本人も意見を述べました。加害者本人は、被害者の言動や行動が悪かったのが原因であるなどの事実と違う意見を述べました。国選付添人三人は当然に加害者を弁護し、加害者両親は当然に情状酌量を訴えていました。この加害者側の一方的な意見や国選付添人の弁護のみで、他の意見が入ることが許されない閉鎖的な空間での少年審判でした。  私たちの場合は、検察官送致、逆送となったのですが、そうならなかった場合は民事裁判に訴えるしか方法がなく、被害者遺族にとっては大切な家族を失った上に事実を知ることもできずに、地獄へ突き落とされたような心境に追いやられます。少年犯罪被害当事者の会の中でも、代表の武さんを始め、逆送にならなかった事件の方々が多数おられます。事実認定は少年の更生においても極めて重要な部分であり、事実認識してこそ初めて更生の一歩が踏み出せるはずです。被害者や被害者遺族のため、加害者の更生のためにも、第三者の目が必要です。状況によっては検察官関与を必要とする場合が必ずあると思います。  少年審判が終わり、後日に加害者少年の事情聴取の内容を私の弁護士さんを通じて知ることができました。そこには目を疑うようなことが書かれていました。涙が流れ出して、なかなか読むことができませんでした。息子の最後の状況が克明に書かれていました。息子は最初にだまし討ちで致命傷を負い、瀕死の中で起き上がり、無抵抗の状況で更に木づちやバットで頭や顔を集中して多数回殴打し撲殺する残酷なものでした。  この内容を事前に知ることができれば、家庭裁判所での意見陳述はもっと別のものになっていたはずです。事実を知らされていない状況での意見陳述を本当の意見とは言えません。しかし、少年審判はその中で行われました。  それから、私たちは、被害者参加制度により刑事裁判も参加することにしました。刑事裁判は、大阪で少年事件としては初めての裁判員裁判となりました。事件の状況説明の場面では、裁判員の方々が余りの犯行のひどさに涙を流されていました。私たちは意見陳述で、被害者遺族の心情を涙ながらに訴えました。裁判員裁判であることの意味を見出そうと、今までとは、過去とは違う血の通った判断を望みました。  その判決で、五年以上十年以下の不定期刑となりましたが、今までに例を見ない付言をいただきました。付言の内容は、五年で刑期終了となる可能性がある点でも、また十年を超えては服役させられない点でも、本件犯行の凶悪性、結果の重大性に照らせばとても十分なものとは言えない、そして、今回、当裁判所自身十分でないと考える刑期を定めざるを得なかったのは、少年法が狭い範囲の不定期刑しか認めていないためであるというものでした。また、少年の処遇に関してまで踏み込んだ、十年という懲役刑でも本来十分ではないと考えるものであり、刑執行終了処分は慎重にされるべきであるとの意見も付けられました。私たち遺族としては、五年以上十年以下の不定期刑の部分は納得のできないものでしたが、付言の部分は現行少年法の枠を超えた画期的なものと受け止めています。  少年法自体が戦後に制定されたもので、現在の凶悪な事件を想定していません。単に厳罰化というのではなく、犯行の内容に沿った刑期の選択肢を広げるために適正化が必要かつ重要であると考えています。法律のために人間がいるのではなく、人間のための法律であると思います。少年法自体を否定するものではなく、犯行内容にて少年法の取扱いを考えるべきではないかと思います。少年が重犯罪を犯しても、少年法により軽微な刑期で出所して再犯を繰り返している現実をよく考えてください。重犯罪者にはもっと適正な刑罰を与えるべきです。  年齢によって犯罪の内容が変わるわけではありません。犯罪の内容によって刑罰を判断するべきで、何もかも少年法で判断するのは現実に無理があると思います。軽犯罪と重犯罪を区別するべきです。少なくとも、小学生レベルで他人の命を奪うことは許されないことであるという認識は普通ならできています。一般の人が考えている以上に犯罪者の少年は大変なことをしてしまっています。  それと、司法の場においての被害者の人権は軽く考えており、一つの判断材料のようなものになっています。他人事のように物事を運んでいきます。人間の命、人生はもっと大切なはずです。犯罪により、同じ人間の命、その人だけの大切な人生を他人により変えられたり奪われたりしたわけですから、被害者の人権をもっと重く考えてください。加害者の少年に未来があるのなら、被害者の少年の未来はどうなんでしょうか。現在、被害者の状況は平等ではありません。それに対して、加害者は法律により過剰と言えるほど守られています。被害者には少なくても加害者と同等以上の権利があって当たり前のはずですが、現実は違います。そして、被害者は生きる気力も希望もなくしている場合がほとんどだと思います。  まだまだ修正や改正などを経て取り組むべき問題がたくさんあります。被害者遺族は、民事裁判を経て賠償金が認められても、その判決には保証があるわけでもなく、実際には加害者からの支払ができていないケースが後を絶ちません。被害者遺族にとっての賠償金とは、加害者の反省、謝罪、更生を意味するものであると思います。制度として被害者遺族に代わり請求するものが必要だと思います。  以上です。ありがとうございます。
  5. 荒木清寛

    ○委員長(荒木清寛君) ありがとうございました。  次に、岡本参考人にお願いいたします。岡本参考人。
  6. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) よろしくお願いいたします。岡本でございます。  私は、つい一週間前の三月三十一日まで家庭裁判所調査官として働いていました。三十二年勤めました。調査官はケースを扱う職種ですので、上手にできなかったケースもございますし、こういう大きな場所へ来てお話しするというのは気が引けますけれども、現場を経験した者の声をお届けするということも大切かと思い、今日はやってまいりました。  今回の議論を伺っていて、幾つか根本的に誤解があると思う点がございます。一つは、懇切丁寧、和やかに行われている少年審判というのは、非行を犯した少年を甘やかしているのではないかと考えられている点。それから、弁護士の付添人は少年の言い分を聞くので、審判廷では事実認定が少年に有利になるのではないかと考えられている点。そこへ検察官が入ると事実認定の精度が上がるというふうに考えられている点。それから、不定期刑の引上げという厳罰姿勢が一部の重大な事件についてのみ当てはまるものであって、少年審判全体の運営には影響がないと考えられている点。  これらの点について、私はいずれについても間違っているというふうに申し上げたいと思います。今回の改正についてはより慎重に審議していただきたいという、改正への消極な姿勢でお話ししたいと思います。  皆さん、少年の審判廷というのは御覧になったことがありますでしょうか。確かに、少年審判廷には通常は傍聴人は入りません。裁判官は同じ高さに座り、少年はきちんと名前で呼ばれます。被告人とか少年とか、そういう呼ばれ方はしません。実際、使われる法律用語も、難しい言葉は使わず、少年に分かりやすい言葉を用いています。そういう点では審判廷は和やかかもしれません。ただ、裁判官の正面に相対して座って、非行の背景を問われ、反省を述べ、また生活の改善を考えなければいけないという、そういう場面は決して少年にとって甘い時間ではありません。  調査官は少年に会う仕事をします。少年に会って面接をしていく中で、行動科学の知見を用いまして非行のメカニズムを解明して、処遇についての処方箋を裁判官に提出するというのが私どもに求められている任務です。少年は、調査官との面接では付添人の陰に隠れたり保護者の陰に隠れたりすることはできません。ごまかしを言おうとしたり、確かにそっぽを向いて面接室に入ってくる少年はおりますが、面接が進んでいく中で、そっぽを向いて座った少年はやがて私の方へ向き直り、目を上げてしゃべるようになります。それは調査官が少年の機嫌を取って甘やかすことをしゃべるからではありません。たとえ非行を犯して呼ばれてきた面接であっても、きちんと人として扱われれば少年は人としての対応を始めるわけです。  しかし、少年が行う作業というのは楽ではありません。少年は審判手続のプロセス全体を通して努力や変身を要求されます。面接でも審判でも処遇に移っても、少年は揺さぶられ続けることになります。大人の刑事処分手続とはそこが違うと思います。  少年院に行っても処遇は進級制です。中での違反があったり努力が足りなければ、進級せず留め置きとなって在院期間は延びていきます。決められた年月入っていれば中で何を考えてもいいという大人の刑務所とは違って、少年は努力を、また変化を要求され続けます。鑑別所にいる間でももちろん同様でございます。入れられているということにお仕置きの意味があるから観護措置をとるわけではありません。鑑別所の中で少年は、鑑別所の技官あるいは教官の面接を受け、様々なテストで測られ、出張してくる調査官の面接を受け、いやが応でも自分の非行についての意味、自分の生活全体の反省、そういうことに向き合わなければならなくなります。これはしんどい作業です。その繰り返しの中で少年は変化を見せていきます。少年審判手続は、こうして少年を揺さぶり続け、同時に支え、更生させていっていると思うんです。  この働きの根底には、全ての子供にはきちんとした大人になる権利があるという考えがあると思います。これが少年法の理念だと思います。子どもの権利条約の理念にも通じるものだと思います。それは、子供の権利であると同時に、義務でもあります。少年はきちんとした大人になる努力をしなければいけないし、国はそれをさせなければいけない。  確かに、家庭裁判所は、不処分あるいは審判不開始という決定を行います。しかし、それは非行事実についての認定をいいかげんにしているというわけではありません。面接の段階であるいは審判の段階で、少年自身が自分の非行についてよく考えをしており、親子でも話合いができて、しかるべき対応、被害者に対する誠実な態度などはここへ入ると思いますが、そういうことができた場合に、これ以上現時点で国が手を出さなくてもよいという場合に行っている決定でございます。  今回の改正案のもたらす変化について意見を述べたいと思います。  私は、国選付添人の対象事件の範囲が拡大することだけがよくて、検察官が関与する対象事件の拡大するのはよくないというように単純に考えることはできないと思っています。それは、現状では付添人の活動の方向が必ずしも少年の更生を目標としておらず、近視眼的に現時点での収容処遇を逃れ、あるいは保護処分を逃れることに走るということがやはりあるのも事実だからです。  例えば、ほとんどの少年は被害のことについて話を向けますと、被害者に謝りたい、謝って悪かったということを伝えたいと言います。鑑別所の中にいる少年は特にそうです。しかし、被害者調査によって、被害者の方が今少年に会いたくもなく謝罪も要らないという、そういうお考えのときがあります。当然のことです。少年にはこれを考えさせなければいけません。謝りたいというのは犯罪を犯した加害者の側の勝手な思い入れであって、現時点でその謝るということが許されないという、そのことそのものを少年に考えさせなければいけません。  しかし、こういうときに間々、弁護士である付添人は、何とか審判に示談書を作成して持っていきたいということを思い、被害者を説得して示談書を書かせてしまったりします。被害者というのは普通の国民ですから、法律の専門家である弁護士が説得をすれば心ならずも示談に応じてしまうという、そういう場合がやはりあります。そういうとき、付添人の活動は本末転倒になります。少年への教育の機会が損なわれるという事態が起きます。  しかし、付添人の活動が本当に少年法の理念を踏まえたものであれば、少年側のみが有利になるなどということはピント外れの想像ということになります。また、それにバランスを取るために検察官を審判廷に入れる、こういうことも全く必要のない事柄だというふうに考えます。非行事実の認定については、裁判官の補充捜査の依頼、そういう方法もございますし、現に、検察官の関与はなく、裁判所が独自に証拠調べをして事実認定を行うということも多く、問題なく運用されていると考えています。  科刑部分の改正というのは一部の重大事件についてであって、一般的な審判運営に影響はないというお考えがあると思います。しかし、私はそれは違うと思います。  二〇〇〇年改正のときもそうでした。あのとき、事実認定に関して特別更新ということができるようになりました。観護措置期間は最大八週間取れるようになりました。約二か月間、少年を鑑別所へ収容するということについての大きな戸惑いをそのとき私たちは誰しも持ったと思います。  しかし、このほんの十年ほどの間に確実に現場では少年の身柄拘束に対する抵抗感が見事に減りました。中学生の逮捕、また中学生の勾留、そして勾留の延長、中学生でなくても、再逮捕、これは、勾留中の再逮捕、観護措置中の再逮捕、今少年院に送ったという子供をそこで再逮捕、いろんな場合がございますけれども、そういうことに今、家裁の現場では余り驚きがなくなっています。隔世の感があります。特別更新はあのときごく一部の事件についてのことであったはずです。だけれども、そのことがきっかけとなって身柄拘束に対する温度が変化したということをよく注目していただきたいと思います。  お手元に改正少年法の施行を前にという私のつたない文書をお配りしております。これは私が、二〇〇〇年改正の成立後、翌年四月一日の施行を前に書いたものです。十三年前です。私は、それを遡ること六年前の九四年七月まで、一年間在外研究員としてカリフォルニアに派遣される機会を得ました。そこで、現地ではプロベーション部に受け入れていただいて、審判、処遇、いろいろなものを体験してきたと思っております。この文書は、そのときの経験から学んだことと、新たにそのときに収集しました厳罰の効果を実証的に検証した、そういう研究を紹介したものです。  カリフォルニアでそのとき私が見た少年審判は、日本が現在の制度をつくったときに範として模したパレンス・パトリエの理念からのものとは懸け離れたものでした。対審構造の中で非行事実を固める。少年の再犯予測は簡単なチェックリストのようなもので行う。人間関係の専門家であったはずのプロベーションオフィサーは、もはや審判廷で少年を揺さぶるような働きかけはしていませんでした。凶悪犯罪がマスコミによって大きく扱われて、厳罰化、刑事司法化が定着し、少年への付添人が漏らさず付けるようになって、それに呼応するように検察官が審判廷に参加する、このようにしてカリフォルニアでは改革が進んだんです。  今、二〇〇〇年改正以後、日本ではまるで同じようなことをしているわけです。犯罪という面ではアメリカから、カリフォルニアから十年あるいは二十年日本が遅れてきているとすれば、日本がその遅れを生かして違う道を模索する、あるいは現在の制度を大切にした工夫を行う、そういう必要があるのではないでしょうか。  特に考えなければいけないのは、検察官が参加している、そこで扱われている事実というのが真実ではなかったということです。テクニカルで便宜的なものというふうに私はその文書の中に書いておりますが、そのとおりでした。少年には弁護士と検察官が行う駆け引きや司法取引の細部は分からないです。ですから、ひとしきり法律の専門家がやり合った後、少年が僕のやった事件ってどうなったのって、そういうふうに聞くような、そういう実態でした。そんなものになっていたわけです。  審判廷では保護者が養育姿勢を問われるということはありません。保護者に対する罰則規定というのは、日本の比ではなく立派に整っているわけです。それでもそれを揺さぶるということはできないんです。少年に対しても、反省をしているかなどということは全く処遇を決めるときの参考にはなりません。そんなふうに少年を、保護者を揺さぶることがない審判で少年の更生が始まるでしょうか。  また、ここで詳しくお話しする時間はもうないんですけれども、その中に四つの実証的研究、厳罰化についての研究を御紹介しています。いま一度かみしめて読んでいただけたらと思います。  最後に、審判運営のことを述べて終わりにしたいと思います。  二〇〇七年改正で被害者配慮制度というのはある程度確立し、被害者による記録の閲覧、審判傍聴、また意見の御陳述、そういうものが現実のものになりました。その運用については、その都度、裁判所は各職種が全部連携をして対応しております。傍聴する被害者あるいは御遺族と少年の間に不規則な事態が生じないよう、動線を考えて準備をします。また、被害者あるいは御家族の立会があっても審判廷の本質というものは失われないよう、同時に被害者あるいは御遺族の権利も阻害しないよう、つまり双方が立つようにぎりぎりの努力をして運営しております。  被害者あるいは御遺族にとって、その思いが少年審判手続という短期間の間に何か果たされるというのは大変難しいことです。少年が行った非行によって傷ついた被害者、あるいは大切な御家族を失った御遺族が少年の行為を許す日というのは来ないと思います。当然のことです。ただ、少年からの謝罪を受ける、またその謝罪を受け取り続けることができるようになる日というのはいずれのときにかあるかもしれません。そのスタートになるように、被害者配慮制度を審判運営の中で努力して実現していると思います。  お手元に、被害者の御意見、また少年の更生ということについての御意見、新聞記事ですが、お配りさせていただきました。私自身が参考になる、勉強になる、教えられるものがあるというふうに考えたからです。また、家裁月報の最終号に掲載されました酒巻論文もお配りしております。  そこに示唆されていますように、少年法の目的を維持する範囲内において、このことについてはまだまだ運用の面で改善していくべき余地があると思います。また、改善していけると思います。そして、そうしていくべきものであるというふうに考えます。  以上でございます。ありがとうございました。
  7. 荒木清寛

    ○委員長(荒木清寛君) ありがとうございました。  次に、川出参考人にお願いいたします。川出参考人。
  8. 川出敏裕

    ○参考人(川出敏裕君) 東京大学の川出でございます。本日は、本委員会におきまして意見を述べる機会を与えていただきましたことに感謝いたします。  私、大学では刑事訴訟法と刑事政策を教えておりますが、少年法はこの両者に関わる分野でありまして、研究を続けてまいりました。少年法の改正との関係では、平成に入ってから、平成十二年、十九年、二十年と三回の改正がございまして、今回の改正法が成立すれば四回目となるわけですが、そのいずれにつきましても、その基となった要綱案を審議しました法制審議会少年法部会に幹事又は委員として関与をいたしました。  そこで、本日は、今回の改正法案がこれまでの一連の改正との関係でどのように位置付けられるのかという観点を中心としまして、改正法案に対する意見を述べさせていただきたいと思います。  さて、今回の改正法案ですが、大きくは、国選付添人制度及び検察官関与制度の対象事件の範囲を拡大する部分と、いわゆる少年刑の見直しの部分に分けられます。これまでの改正との関係でいいますと、前者はそれらの延長線上にあるものであって、後者は新たな視点からの改正と言えるかと思います。  そこで、まず前者の部分から意見を申し上げます。  この部分は、国選付添人制度と検察関与制度の対象事件を死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪という同じ範囲に拡大するというものでして、この改正法案の提案理由説明でも一緒に扱われておりますので、言わば両者がセットになった形で提案されているように見えます。  実際、法制審におきましても、特に検察官関与の対象事件を拡大する根拠としてそのような主張がなされました。しかし、私自身は、この二つは本来別個のものであって、両者はひとまずそれを切り離して、それぞれに対象事件を拡大する必要性と合理性があるかを考えるのが筋であるというふうに考えております。  具体的には、まず国選付添人制度の方ですけれども、これが初めて少年法に導入されましたのは平成十二年の改正でして、検察官が審判に関与した場合に限られておりました。これは、検察官が関与する以上は、言わばそれに対抗するものとして少年側にも弁護士である付添人を付ける必要があるという考え方に基づくものです。しかしながら、付添人が必要である場合というのは検察官が関与した場合に限られるものではないということから、平成十九年の改正でその対象事件が拡大することになったわけです。  ただし、その際も、国費で付添人が選任されて、例えば非行事実を争うような事件において検察官が関与できないのは不均衡であるという理由から、その範囲が検察官関与が認められる事件とされたという経緯がございます。  ですから、平成十二年改正はもちろんのこと、平成十九年改正においても、国選付添人制度の範囲というのは検察官関与と関連付けられていたということなのであるわけですが、しかしながら、この平成十九年改正の出発点といいますのは検察官が関与しない事件であっても付添人が必要な場合があるということであったわけですから、そもそもその対象事件を検察官が関与できる範囲に限定する必然性はなかったということになります。  そうである以上は、それ以外の事件でも国選付添いの必要性が認められるということであれば、その範囲を拡大すべきだということになるのはある意味で必然的な流れでして、今回の改正案というのはそれがまさに現実化したものであると言えると思います。  そこで、次の問題は、そうであるとしまして、どの範囲までこの対象事件を拡大するのかということですけれども、国選付添人といいますのは、刑事事件の国選弁護人とは異なりまして、それが必要と認めた場合に家庭裁判所が裁量で選任するというものですから、対象事件をそもそも限定する必要はないという考え方も十分成り立ち得ると思います。  他方で、国費を投入するものである以上はそれに対して国民の納得が得られるものである必要があり、その観点からは、その必要性が類型的に高い場合に対象を限定する必要があるんだという考え方もあり得るわけでして、改正法案は後者の考え方を取ったということだと思います。  そのように限定をするとしまして、じゃ、それをどの範囲に定めるかというのが次の問題になるわけですが、これにつきましては論理的にこの範囲だというものが出てくるわけではありません。改正法案では、死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪ということになっておりまして、その範囲にした理由としては幾つかのことが述べられております。私自身は、この被疑者国選弁護の対象事件の範囲と一致させる必要があるということが最も説得力がある理由ではないかと考えております。  といいますのも、成人事件と異なりまして少年事件では全件送致主義が取られておりますので、被疑者段階で少年の弁護人となった弁護士の方は、これは捜査段階のことだけを考えて弁護活動をするわけでは決してなくて、その後の家裁での調査、審判を見据えた弁護活動をされるはずです。そうしますと、国選弁護人になった場合に、その活動と少年との関係というのが家裁へ事件が送致されたことによって途切れてしまうというのは、やはり援助を受けている少年の立場を考えた場合に不都合な結果をもたらすと思われるからです。  以上の理由で、国選付添人制度の対象事件の範囲を死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪に拡大する今回の改正法案の内容は妥当なものであるというふうに思います。  以上が国選付添人制度の対象事件の範囲の拡大ですが、次は検察官関与制度の対象事件の範囲の拡大についてです。  これに関しましては、法制審におきましても、国選付添人制度の対象事件を拡大する以上はそれに合わせて検察官関与制度の対象を拡大すべきだという意見が出されまして、それを反映する形でその範囲が国選付添人制度の対象事件と一致することになったという経緯がございます。しかし、私自身は、そのような根拠というのは二次的なものであって、まずは検察官関与というものが認められた根拠に遡ってその対象事件を拡大する必要性と合理性があるのかを検討すべきだと思いますし、法制審でもそのような意見を申し上げました。  検察官関与は平成十二年の改正で導入されたものですが、そのときにその主たる理由として言われておりましたのは、非行事実の認定に関して多角的視点を確保するということと、少年が非行事実を激しく争うような事件において裁判官と少年が対峙的な状況になるのを防ぐということでした。この二つの根拠というのはあらゆる罪の事件について妥当することですから、本来はその対象事件を限定するということにはならないはずです。しかしながら、検察官が関与することによって少年審判の在り方が変容してしまうという反対論がその当時強かったということもありまして、対象事件が現行法に定められた一定の重大事件に限定されたという経緯がございます。  そういう経緯であったわけですので、現行法の対象事件に該当しない事件であっても、裁判所として非行事実の適正な認定のためには検察官に関与してもらいたいと考える事件が出てくるというのは、ある意味では当然のことです。実際、今回の法制審においても、裁判官の委員から、例えば複数人による恐喝事件でその関係した少年の供述が食い違っているような場合、こういう場合についてはやはり検察官に関与してもらいたいというような意見が出ておりました。そういう意味で、検察官関与の対象事件を拡大する必要性というのは認められるのだろうと思います。  問題はその合理性があるかということでして、これは検察官関与制度を導入する際に反対論から言われていました、検察官が関与することによって少年審判が言わば刑事裁判化してしまって、それによって少年の改善更生を図るという審判の機能が害されるという指摘が果たして妥当しているのかどうかということに懸かってくると思います。  この部分は、今、岡本さんからも御意見がありましたように、実務家の方によって評価が分かれるところだと思いますけれども、改正後の運用の状況を示した文献などから見る限り、検察官が関与した事件でも裁判所が主体となって証拠調べを行うという点は特に変わっていないということですとか、あるいは、関与した検察官が訴追官的な活動を行った事例は余りないんだというようなことが指摘されております。仮にこの指摘が正しいとしますと、当初懸念されていたような検察官関与による弊害は生じていないということになりますので、その対象事件を今回拡大したとしても問題はないということになろうかと思います。  その上で、それではそうであるとして、その対象範囲をどこまで拡大するのかということが次に問題になるわけですけれども、これも一義的にこの範囲までというのが出てくるものではございません。ただ、一つの手掛かりとしては、平成十二年改正前の廃案となった政府提案の法案においては、死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪という、今回の改正法案と同じ範囲で検察官関与を認めるということが提案されておりました。この法案が出された段階では、検察官関与は国選付添人制度とは切り離して考えられていたものですから、それは純粋に非行事実認定のための必要性という観点からその範囲の事件が切り出されたというものです。  今回の改正法案は、このことに加えまして、国選付添人制度の対象事件の拡大と合わせるという理由も加わった形で、先ほど述べましたような検察官関与の対象事件を拡大するというものだということになります。先ほど申し上げましたように、私自身は、この国選付添人制度の対象事件の範囲の拡大に合わせるというのは二次的な理由であるというふうに考えるべきだと思いますけれども、それも併せて、今回の検察官関与の対象事件の拡大ということについても理由があるものだというふうに考えております。  続いて、もう一つの改正法案の柱である少年刑の改正について意見を申し上げます。  ここには無期刑の緩和刑として言い渡される有期の懲役又は禁錮刑の上限の引上げという部分と、不定期刑の規定の見直しの部分が含まれます。不定期刑の見直しの中心的な内容は、長期と短期の上限を十年と五年から十五年と十年に引き上げるという点にありまして、無期刑の緩和刑の上限の引上げは、これに対応して、それとの均衡という観点からなされるものです。  その意味で、この不定期刑の長期の上限が十年から十五年に引き上げられるという点が今回の改正案の出発点を成すものでして、その点をどう評価するかが改正案全体の評価につながるものだと思いますので、以下ではこの点を中心に意見を述べさせていただきます。  このような引上げをする理由としては、少年が被害者の生命を奪うという凶悪重大な犯罪行為を行った場合などにおいて、少年に対して無期刑を科すのは酷であるものの、五年以上十年以下の不定期刑では軽過ぎるという事案があるということですとか、共犯事件において、成人である犯人と少年である犯人との間の刑の均衡を図るというようなことが挙げられております。  このうち後者の共犯事件における処理の問題につきましては、そういった事態というのは、少年について成人よりも軽い刑が定められていること自体に伴うものであって、その部分を改めない限りは、幾ら少年に対する有期刑の上限を引き上げたとしても問題を解消することは不可能です。ですから、本質的な問題は前者の点にあると思います。つまり、成人の場合の有期刑の上限というのが平成十六年の刑法改正によって引き上げられて三十年になっているということに鑑みますと、被告人が少年であることを考慮するとしても、上限が十年というのは無期刑との差が余りに大き過ぎるのではないかということです。  その結果として、裁判官の立場から見まして、少年の刑事責任を考えた場合に、無期刑を科すほどではないけれども、しかし、有期刑とする場合にはその責任に見合った刑が現行法上存在しないという事態が生じていたということになります。以前からそれを指摘した裁判官執筆の論文が幾つかございましたし、先ほど大久保さんから御紹介がありましたように、裁判所の判決の中でもそれを指摘する者が現れているわけです。  今回の改正法案は、言わばこの開き過ぎた溝を埋めて責任に見合った刑を科し得るようにしようとするものでして、この点で妥当なものだというふうに考えております。  もっとも、これに対しては、この改正案は少年に対するいわゆる厳罰化であるということで批判をする見解がございます。確かに、この改正によってこれまでは言い渡すことができなかった重い刑を言い渡すことができるようになるわけですから、そこだけを捉えて厳罰化というのであればそうなのかもしれません。しかし、真の意味での厳罰化といいますのは、ある行為についての刑事責任をそれまでよりも一般的に重く評価する形で刑を引き上げることであろうと思います。  これに対して、今回の改正案は、ある行為に対する刑事責任の評価が既存の法定刑の上限を上回っているという事例があるので、それに合わせる形で上限を上げるということですから、刑事責任に見合った刑を定めるものであって、刑事責任の重さの評価を引き上げるものではありません。その意味で、厳密に言えば、それを厳罰化というのは的を射ていないと思います。  さらに、こうした刑の引上げをしても少年犯罪を抑止する効果はないから、そのような改正はすべきではないという意見もあります。確かに、刑を引き上げたから直ちに犯罪の抑止効果があるわけではないというのはそのとおりだと思いますが、今申し上げましたように、今回の改正案の趣旨は抑止ということにあるのではなくて、責任に見合った刑を科すことができるようにするということですので、この批判も妥当しないものであろうと思います。  さらに、もう一点、今申し上げたような考え方に対しましては、そもそも少年に対する刑罰というのは少年法の基本理念である少年の健全育成の観点から決定されなければならないのであって、その意味で成人に対する刑罰とは質的に異なるものであるという意見もございます。確かに、少年の健全育成を図るという少年法の目的は刑事処分にも適用されるとされておりまして、例えば行為時十八歳未満の場合の死刑や無期刑の緩和、あるいは、さらには成人の場合よりも刑期を短くした上での不定期刑の制度はその表れであると言えると思います。  しかしながら、それを超えて、少年法によってそのようにして言い渡される懲役・禁錮刑の目的や性質そのものが成人に対する刑罰とは異なるものとして規定されているとまでは言えないでしょうし、現在の量刑実務でもそのようには考えられておりません。少年に対する場合であっても、量刑の基本は行為責任であるわけです。そうであれば、不定期刑の長期の上限を引き上げるという今回の改正案はやはり妥当なものであるというふうに考えます。  以上でございます。どうもありがとうございました。
  9. 荒木清寛

    ○委員長(荒木清寛君) ありがとうございました。  以上で参考人の意見陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 石井準一

    ○石井準一君 自由民主党の石井準一です。  参考人におかれましては、お越しくださった三名の皆様、本日は、それぞれのお立場で見地をお伺いすることができ、今後、本法案の審議を進める上で非常に有意義な時間となりました。ありがとうございます。  不幸にして事件に遭われた被害者、家族の苦しみに満ち、消すことのできない悲しみを察すると、私自身、言葉もありません。そして、事件の加害者が未成年だったとき、その裁きが通常の事件とは異なる少年法の下で行われることにより、被害者の方々の苦しみが絶望感、失望感を増して、より一層深いものとなっているという事実に心が痛みます。本改正案は、少年犯罪による被害者家族の切々たる声が反映されたことによるものと重く受け止めております。  本日、ここに少年犯罪被害当事者の会を代表してお越しくださった大久保巌さんが、大切なお子さんを亡くされ、深い悲しみのふちに沈まれた事件では、裁判を行った大阪地裁堺支部は、少年法が狭い範囲の不定期刑しか認めておらず、十分でない刑を選択せざるを得なかった、適切な改正が望まれるといった異例の言及をしております。  加害者が自身の行為に相応する刑を負うことで犯罪の重大さを受け止め、罪を償うという司法の視点では、犯罪の低年齢化、凶悪化など深刻な問題となっている今日、起きてしまった痛ましい重大な事件に対する対処を見直す必要が生じていることは明らかなことだと思います。  私は、本改正案について、単に未成年の犯罪行為に対する罰則の見直しにとどまることがないよう、適切な刑に処するその対象が失敗と葛藤を繰り返しながら大人になる途上の子供であるということを、周囲の大人の差し伸べてくれる手を必要としている存在だということを念頭に置き、慎重に審議をしていくことが大切であると考えております。そして、社会の宝である子供たちに関わる重要な法として、少年法の理念である子供の健全育成と保護を目的とした更正が置き去りにならないよう、十分な議論を重ねていく必要があると考えております。  同時に、子供たちが被害者にも加害者にもならないよう、犯罪を未然に防ぐためには、やはり国民一人一人が物事の善悪をしっかりと判断をし、自身の行動を律することのできる高い道徳心が持てることが肝要であると強く感じております。そのためにも、家庭、学校、地域がそれぞれの役割についてもう一度見直し、社会全体で子供たちを犯罪から守るための施策を講じていく必要があるのではないのでしょうか。  私は、被害者、加害者となってしまった双方の痛みに心を寄せ、本法案の審議に当たってまいりたいと考えております。そこで、被害者御家族の深く傷ついた心の回復のためには、本改正案のように、加害者に向けた法だけではなく、被害者御家族を軸にした社会システムの整備を同時に進めていくことが大切であると考えております。  そこで、被害者御家族に向けた現状の支援策や保護制度について、それぞれの見解を三人の参考人にお伺いをしたいと思います。
  11. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) 先ほどちょっと述べた部分もあるんですが、やっぱり被害者自体がまず加害者と平等でないというところがあるというのがあります。それと、実際に突然被害者になるわけですから、当然、ですから、例えば弁護士さんであるとか、今私どもも民事裁判もしているわけですけれども、その費用すらやっぱり自分で出さないといけないんですね。ですから、もうとにかくサポートしてくれる機関は今はないです。ところが、加害者はサポートはみんなでしてくれますという、そういう状況に置かれますので、実際、民事裁判もうちらの会の中でも事情があってできていないという方が現実にいてはります。  それと、やっぱり心のケアですね。やっぱり生きていくことも、私らも事件直後そうでした、もう生きていくことが苦しい状態でした。ですから、そこを、その場だけじゃない、長い目でやっぱりサポートしていただく制度が必要だと思います。  以上です。
  12. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 大したことは申せませんけれども、私の考えとしては、被害者の方に対するサポートが現時点で大変足りない状態だということは確実に言えると思います。現在、全国の警察署では被害者に対するサポートセンターですとか相談窓口を開いておって、まずはそこへ行かれる方が多いのではないかと思いますけれども、そこで今大久保さんが言われたようなニーズに応えることが十分にできているとはまだ現時点で言えないと思います。アメリカの方で私がいたとき既に始まっていました被害者・加害者メディエーション、修復的司法のことを考えて動く、そういう団体もまだ日本には、多少はございますですけれども、不足していると思います。  そういう意味では、たちまちの支援と長い目での支援と両方が不足しているということだと思いますので、そういう事柄について今後も努力が必要なんだろうというふうに思っています。
  13. 川出敏裕

    ○参考人(川出敏裕君) 被害者の方への援助の運用の面というのは、今お二人の方がおっしゃったとおりだと思います。法的な制度として考える場合は、今、少年に限る話ではないんですが、やはり被害者の方に法的な援助を弁護士が行うようなシステムというのが、それを国が費用を援助するというような形での制度をこれから考えていく必要があるのではないかというふうに思っています。
  14. 石井準一

    ○石井準一君 加害者が未熟な少年であるという観点を鑑みた上で、私は、加害者が健全な心を取り戻し、きちっと社会復帰を果たしていくことも罪の償いの一つとして重要なことであると考えております。  その償いという点で大切だと思っておられることについて、大久保参考人と岡本参考人にお伺いをしたいと思います。
  15. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) まずは、やっぱり事件と向き合う、自分のしたことを認識する、そこができていません。次の一歩が出ないままいっている方が多いです、ですから更生と言いにくい状態。そして、実際の少年院に入ったり刑期を終えたりされてまた社会復帰される、そのときに事件と向き合えているのかどうか、私らが見るのはやっぱり例えば謝罪であるとか、結局、さっきも申しましたように賠償金。なぜ賠償金かというと、更生される、結局仕事されるわけですよね。そうすると、やっぱり自分の収入がある。それに対して、反省と謝罪があるから遺族に対して賠償金を払っていくということが現実なのに、それができていない。ですから、そこはきちっとやっぱりもっとしてほしいなと思うところです。  以上です。
  16. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 成人の場合も共通の部分というのは今言われた賠償とかそういう問題になっていくと思いますけれども、今御質問では、特に少年であるということで何が必要かということがお尋ねだと思いますので、そのことを考えますと、やはり少年が自分が犯した行為の影響ということをよく考えるように教育をしていくことだと思っています。  それは、一つには直接の被害を受けた方に対する償い、謝罪。その謝罪が簡単に解決することではありませんから、それは非常に長いスパンでしなければいけないことなんだということをやはりきちんと教えていくことだと思います。  それと同時に、少年がこういう事件を起こしたということについて影響を受けるのは、単に被害者だけではなくて、社会全体がショックを受けることなんだと。よく私は子供に言いましたけれども、あなたがやったことで、あなたは若い人の評判を落とした、今世間の人は若い人を見て、ああ嫌だと思うようになったよと。そのことを償っていくのに何が必要かということを問うてきました。  ですので、単に自分が立派な大人になるというだけではなくて、世の中を良くする大人になってこそようやく償いができるという、そういう観点で指導していくということが必要だと思います。
  17. 石井準一

    ○石井準一君 次に、昨今、少年犯罪の低年齢化、凶悪化が後を絶ちません。そうした社会情勢でありますが、第二、第三の事件が起きないようにする必要があると考えております。現在の少年犯罪を未然に防ぐ具体策や現状の見解を川出参考人にお伺いをしたいと思います。
  18. 川出敏裕

    ○参考人(川出敏裕君) 少年犯罪を未然に防ぐということですね。  それは、要するに、起きてしまってから対処をするというのではなくて、その前段階で防ぐということですから、一つは、やはり、今警察が中心になってやっておりますけれども、非行に至る手前の段階で様々な働きかけを、警察の特に少年サポートセンターというのがありますが、そういうところで取り組んでおりますので、そういうものを拡大していって、言わば少年の居場所をつくり、非行に至らないような形に導いていくと。それが地域と一体となり、あるいは学校などとも連携して行っていくと。そういった活動が重要ではないかというふうに思います。
  19. 石井準一

    ○石井準一君 最後で。  少年法は、あくまでも判断がうまくできない未熟な少年に対して反省を促し、更生させることが目的であります。しかし、遊ぶ金欲しさに集団による強盗事件や、自分の欲求を満たすための快楽殺人など、明らかに更生の余地がないと思われるケースも存在をすると思います。このような凶悪犯罪についてそれぞれの見解を、大久保参考人、岡本参考人にお伺いをしたいと思います。
  20. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) 私らの会は死亡事件の方ばっかり三十五家族ほどあるんですが、その中で、凶悪犯罪と言われる人の命を奪うもの、これはちょっとやっぱりショックが大き過ぎるわけなんですけれども。何というんですかね、私の考えですけれども、やっぱり他人の人生に関わることと軽犯罪とはちょっと区別していただきたいなと思っています。それほど、ですから刑の種類が違うんじゃないかと思っています。  以上です。
  21. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 非行の低年齢化、それから凶悪な犯罪が若い人に増えているという、そういう認識をしているわけではありません。ただ、そういう事件が大きく報道されるようになっているというのは事実だと思っています。  凶悪な犯罪を行っている者、今おっしゃったのは、快楽殺人とかそういうことをおっしゃいましたですか。快楽殺人を行う大人と快楽殺人を行った子供に対しては、やはり対応は違うと思います。社会人として、社会で育つ子供は一人残さずきちんとした大人にしようと思って育てようという、そこが出発点だと思っています。それはどのような職業の大人も同じではないでしょうか。
  22. 石井準一

    ○石井準一君 これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  23. 前川清成

    ○前川清成君 前川清成といいます。  今日は、三人の参考人の皆さん方、ありがとうございます。  とりわけ大久保参考人におかれましては、御子息が御逝去されるという大変つらい御経験を乗り越えて、犯罪をなくすために、あるいはより良い刑事司法のために積極的に御発言いただいていることを敬意を表したいと思います。  私も子育てがほぼ後半に差しかかってまいりましたけれども、やっぱり、朝元気に出ていった子供たちが夕方また元気に帰ってきてくれると、おなかをすかせて、場合によっては泥んこになって帰ってきている、親としてのこの当たり前の幸せ、これがある日突然奪われてしまったわけですので、その心中は察するところに余りあるのではないかと、こんなふうに思っております。  それで、今、石井委員からの一番最後の質問にあったわけですが、よくこの少年法の議論をする際に、最近少年犯罪が増えているだとか、あるいは凶悪犯罪が増えているだとか減っているとか、そういうコンテクストが語られることがございます。私は、例えば調査官の数を増やすんだとか、警察官の数を増やすんだとか減らすんだとか、社会資源の配分に当たってはその統計というのは大事なのかもしれませんが、罪を考えるに当たっては統計というのはほとんど無意味なのではないか。なぜならば、きっと大久保参考人の場合もそうであろうかと思いますが、まさに御自身の体験であって、社会としてどうなっているのかというのは余り犯罪被害者としてはお考えにならない事柄ではないかと。  ですから、私は、全体として少年犯罪がどうだこうだというよりも、適正な罪、それを考えていく、これが大事なのではないかなと、こういうふうに思っておるわけですが、この点につきまして、突然のお尋ねで恐縮ではございますけれども、大久保参考人におかれましてお考えがございましたら、お聞かせをいただけたらと思います。
  24. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) 私たち被害者としては、適正なと言われると、実際もう極刑しかないんですよ、気持ち的には。ただし、極刑、まあないことですけれども、例えば極刑判決をいただいたとしても、それでも納得できません。それほどやっぱり重いんです。  ですから、当然少年法というのもありますので軽く、私らの場合は五年から十年の不定期刑、当然納得のできるものじゃないです。それが一つ重くなったとしても、そっちの方がいいかなと思うぐらいで。ですから、極刑になっても許されないという気持ちですから、とにかく子供が返してもらう以外は何も許すつもりはないですし、という気持ちですね。それほど重いです。
  25. 前川清成

    ○前川清成君 岡本参考人にお尋ねをいたしたいと思いますが、私は十年前に国会に送っていただくまで弁護士をしておったんですが、御案内のとおり、司法試験科目に少年法というのはございませんでして、司法修習生になって、研修所で少年審判の手引という、何ページほどでしょうか、合計で二十一ページの白表紙をいただきました。  今回、これを二十七年ぶりに読み返して今日臨んだわけですけれども、この中に、社会調査の部分で、このような科学的、専門的な社会調査を法律家だけが行うことは到底困難であるから、家庭裁判所には家庭裁判所調査官という高度の専門性を備えたスタッフが配備されている、我が国の家庭裁判所調査官は諸外国の類似制度と比較しても極めて優秀な陣容と言われていると、こういうふうに書かれてあります。  書かれてあるんですが、弁護士をしていた私においても、実態として調査官のお仕事というのは余りよく分からないというところが正直なところでございます。例えば社会調査、本人の更生の可能性を判断するために経歴やあるいは境遇等を調査すると、だろうと思うんですけれども、警察の供述調書でも身上、経歴の部分がございます。  あえて、失礼なお尋ねになろうかと思うんですが、調査官の調査というのは、分かりやすく、できれば短くお答えいただきたいんですが、どういう調査なのか、どういう点で少年の更生を判断しておられるのかという点をお教えいただきたいのが一点と、先ほど、少年院にも少年を訪問すると、こういうふうなお話がございました。以前、保護観察を議論したときに、保護観察の件数だけで年間これだけあるのに調査官の人数がこれだけしかいないと、一年間に驚くほど調査官が事件を抱えているんだということでびっくりしたことがあるんですけれども。実際、御多忙なお仕事の中で、事件が終了後です、事件が終了後というのはよくないですが、家庭裁判所の手が離れて少年が少年院に送られた後も調査官がどのように関与しておられるのか、どの程度関与しておられるのか、この二点、お尋ねを申し上げたいと思います。
  26. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 警察が作る供述調書と私どもが作成する少年調査票がどう違うかというお尋ねかと思いますが、御覧に入れたいぐらい違うと思います。  私どもの作る少年調査票は、少年の言い分なら少年の言い分、保護者の言い分なら保護者の言い分、それを羅列するものではありません。私どもの研修制度が立派だとは申し上げませんけれども、事件ができるように研修所としては養成に力を入れている、そういう職種ですね。私どもの、人間関係諸科学と昔は言いましたが、行動科学の知見を用いて、少年の陳述、保護者の陳述、そういうものを、学校の調査もいたしますし、全てを網羅した上でというか、参考に入れた上で調査官として処方箋を書いていくわけです。  ですから、警察の供述調書というのは、そのように逆に警察官のお考えが入ったものではありませんよね。ですから、少年が言っているとおりを書いてある、保護者の供述調書であれば保護者の言ったとおりを書いている、そういうものでございます。私どもが書くものは、そういう言いっ放しのものの寄せ集めということではないというところが大きく違うと思います。  そして、先ほどの意見の中でも申し上げましたけれども、私どもは面接をする仕事ですので、面接の段階で少年あるいは保護者を揺さぶって、そこの矯正可能性も見ていくということが大きな特徴かなと思います。  もう一つのお尋ねの、少年院に少年が行った後どの程度調査官が関わっているかということですが、動向視察という制度があり、行こうと思えば行けるということではあります。ただ、おっしゃってくださったように本当に多忙になっておりますので、そういう点で全て少年院に送った子に会いに行くとか、そういう実務は現状できていないとは思います。しかし、中には手紙を少年院から調査官に送りたいという申出をして手紙を送ってくる子供もおります。また、こちらの方で会いに行きたい、会うべきだと思って行く子というのもやはりおりますので、それなりには行っているということは言えると思います。
  27. 前川清成

    ○前川清成君 今度の改正案の五十二条の二項という条文がございまして、要するに、ただ短期を引き上げるだけではなくて、逆に引き下げるような方向の改正もございます。例えばの例でございますけれども、人を殺そうと思って殺した場合、これは殺人罪が適用されるわけですが、何らかの事情があれば酌量減軽がされると。そうすると、この改正法の五十二条の二項が適用されますと、長期でも二年半、短期で一年三か月という不定期刑の言渡しが可能になります。  過って殺してしまったというわけではなくて、殺そうと思って殺したというケースでも一年三か月で釈放されるというケースが出てまいります。この点について、川出参考人は刑事政策も御研究されているということでしたので、一年三か月で本当に抑止効果があるのか。先ほど、刑の引上げだけでは犯罪は抑止できないと、こういうお話がございました。私もそのとおりだろうと思いますが、それではどうすれば大久保参考人のような悲劇が再び起こらないように抑止することが可能なのかお尋ねいたしますとともに、大久保参考人におかれましては、今の短期が一年三か月、これについてどのようにお感じなのかを併せてお尋ね申し上げたいと思います。
  28. 川出敏裕

    ○参考人(川出敏裕君) まず最初の御質問の点は、おっしゃるように理論上はそういうことがあり得るということであるわけですけれども、実際の事件で、それは酌量減軽するかどうか、それから短期をどう定めるかということはまさに裁判官の判断であるわけですから、御指摘のような事件でその刑が言い渡されることは事実上ないだろうと思います。そこはやはり事案に応じた判断ということになると思いますので、そういう不都合な結果というのは実際には生じないだろうというふうに考えます。  それから、どうしたら抑止できるかというのはそれは非常に難しい問題でして、やっぱりそれは恐らく、刑罰を重くすればそうなるという話ではなくて、それは先ほどの御質問にもありましたように、その前の段階でどうするかということですから、犯罪に至る前の段階で少年をフォローするような、そういう社会的な仕組みをつくるしか最終的にはないんではないかというふうに思います。ですから、刑罰によって何かできるということではないんではないでしょうか。
  29. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) 殺人を犯した場合の短い刑期ということについてなんですけれども、そこは、難しいんですけれども、いろんなケースがあると思います。ですから、殺人、一言で全部一くくりにはできません。というのが、私らの会の三十五家族、全部違います。ですから、その内容によりけりで、殺人を犯して短い刑がもちろんいいとは思っていません、ただ、状況により裁判所が選択する範囲を広げるのが大事だということは思います。  以上です。
  30. 前川清成

    ○前川清成君 終わります。
  31. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかと申します。どうぞよろしくお願いをいたします。  本日は、お忙しい中、三人の参考人の方々、お越しをいただきましてありがとうございます。特に大久保参考人におかれましては、時間がたつほどに無念の思いを強くしていらっしゃるであろう中、貴重な御意見を聞かせていただく機会を頂戴をいたしましたこと、感謝を申し上げます。  大久保参考人は、被害者遺族としてこれまで少年法の改正、この活動に取り組まれてこられたと思いますけれども、今回の法改正、法律の改正案について、被害者の遺族のお立場として評価をする点、また、まだまだ不備があると思われるところも恐らく多々あるかとは思いますけれども、そうした点について少し端的に御感想をお聞かせいただければと思います。
  32. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) まずは、やっぱりまだまだ改正してもらいたいところ山ほどあるんですけれども、今回の私らの裁判の判決でいただいた付言というのをやっぱり無駄にしたくないというのは第一にありまして、それはもう切に願いたいなというところです。あとは、やっぱり法律も万全じゃないと思っています。ですから、今までもいろいろ改正があったでしょうし、これからもそうやっていい法律になっていくと思います。ですから、そこにはちょっと期待はしています。それがちょっと救いになるかなと思っています。  以上です。
  33. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 あと、刑事事件における被害者の方々、また御遺族の方々の手続への関与、この点についてはまだ最近の制度でありまして、より整備を進めていかなくてはならないというふうに私自身も思っております。  少年審判の場合におきましては、現在は、審判の傍聴のほかに審判結果の通知ですとか審判記録の閲覧、謄写、また裁判所による審判の状況の説明などの制度もあるわけでございますけれども、特に少年審判の場合には成人の場合とは違った事情で被害者の手続参加というのは難しい面がありますので、だからこそ、よりこうした制度の中で、被害者また御遺族の方々に配慮をした丁寧な説明というものが私はなされる必要があるのではないかというふうに思っております。  まず、この点について、大久保参考人と岡本参考人にお聞きしたいんですけれども、大久保参考人におかれては、御自身がそうした審判手続を経験をするという立場に置かれた中で、そういう事件に関する情報の公開といいますか、そうした説明ということについて丁寧に説明を受けるというふうに感じることができたか、若しくはもっとこうしたところが改善してほしいと思うようなことがあったか、そうした感想についてお聞きをしたいと思います。  岡本参考人に対しては、現在の裁判所での運用について、被害者に対する配慮、こういった点を気を付けているというようなことがありましたら、状況について、お話をいただきたいと思います。
  34. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) 家庭裁判所のことですね、これはもう配慮に尽きるとしか言いようがないです。というのが、こちらが被害者であるのにもかかわらず、何かちょっとうちらが犯罪者かなというような対応の仕方ですね、びっくりしました。ですから、まずその配慮不足、認識不足というんですかね、そこがもう一番思いましたね。  それと、やっぱり資料の閲覧というのができなかったというのが、後になりましたので、そこがもう一番残念でしたね。事実を知らないままに意見陳述しないといけないという状況でしたのでね。ですから、本当の意見陳述ができなかったわけですよ。ですから、そこもやっぱりもっと早く資料は見せてほしかったです。ですから、やっぱり被害者にすると、まだまだ全然できていないと言わざるを得なかったですね。  以上です。
  35. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 現在の運用が不十分な点があるというのは御指摘をいただいて改善していくべきと思いますけれども、現在、最後に勤務していた庁なんかにおきましては、被害者配慮制度の適用の事件が裁判所へ来ましたらイの一番に被害者の方に、こういう権利がありますということと、被害者調査に応じていただけますかというお尋ねと、それをセットにして急いでお送りしています。  審判、大体、通常ですと四週間しか鑑別所へ入れておく期間がございませんので、三週間、四週間目のぎりぎりぐらいで期日を入れていくわけです。そうすると、確かに時間が短うございますので、急いで来ていただかないと閲覧も謄写もできません。だけど、急いでしていただきさえすればできるように、精いっぱいの努力をして、早くお知らせしているつもりでございます。お電話掛かったときには、窓口が書記官と調査官とばらばらですと被害者の方も混乱いたしますので、それを一つに統一して絞って御連絡しようとか、そういう工夫もしておるつもりでございます。ですので、通常、意見陳述、現時点では全て記録を御覧になりたい場合は御覧になれますし、謄写もできますし、その状態でいただけるものというふうに思います。  また、御存じのように、意見陳述は、裁判官に直接言いたいという場合もありますし、書面でなさりたいということもありますし、私ども調査官が面接室で伺うということもできるように、選んでいただけるようになっております。  ですから、まだまだ不十分な点はあると思うのですけれども、それは御指摘をいただいて改善していけるというふうに思っています。
  36. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 今回の法律の改正案の中には検察官関与の対象の拡大というものがありますけれども、この検察官関与をさせるかどうかというのは裁判所の判断によるわけではありますけれども、どういった場合に検察官関与をさせるべきか、若しくはさせない方がいいべきかといいますか、そういった点について、それぞれの三人の参考人の皆さんの立場から御意見があればお聞かせいただきたいと思うんですが。
  37. 川出敏裕

    ○参考人(川出敏裕君) 元々、この検察官関与の趣旨というのは、非行事実が非常に争われている事件、あるいは争われる可能性がある事件について、裁判所だけでは十分な適正な事実認定が難しいというような場合を想定してつくられているものですから、やはり検察官関与の対象とすべき事件というのはそういう事件になるんだろうと思います。ですから、それは裁判所としてその事案を見て判断するべき話であって、単に事案が重大であるとかそういうことではなくて、その非行事実が争われている、あるいは争われる可能性があるという、そういうものを見据えて判断するということだろうと思います。
  38. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 私は、特にこの場所に検察官がいたら審議がうまくできるのにと思った体験はございません。
  39. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) 事実認定のところで極めてこれは大事だと思います。更生においても。そこが間違っているということが多々あります、これは現実に。ですから、家庭裁判所の段階でもう極力検察官に入ってほしいです。実際にそうやって間違って判断されて、間違った更生の仕方している方が、やっぱり私らの会の中にもいてはります、被害者の方ですね。ですから、加害者がそういう判断をそこでされているというケースがありますので、やっぱり事実認定のために必ず必要だと思います。  以上です。
  40. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 岡本参考人にお伺いいたしますけれども、岡本参考人のお考えとしては検察官関与というのは消極的なお考えでございますが、現行でも関与がなされる事件もあります。そうした場合に、関与する事件が現実にございますので、そうした中で、本来、検察官関与の制度趣旨というのは適正な事実認定というところにあると思いますが、いたずらに糾問的になったりとか刑事裁判化することでかえって少年の方が真実だったり自分の気持ちを話すことがうまくできなくなってしまうと、こういうおそれがあるのではないかと私自身は思っているんですが。  そういったような観点から、少年とこれまで数多く接してこられた参考人として、こういった少年審判に関わる検察官において気を付けるべきことといいますか、検察官にはこういった点を注意をしてもらいたいと、こういったところがありましたら御意見をいただきたいんですけれども。よろしくお願いいたします。
  41. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 検察官の配慮についてということですか。
  42. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 検察官が少年と向き合うに当たって気を付けるべきことというところなんですけれども。
  43. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 審判廷は懇切和やかと言われますけれども、やはり厳しい場面なんですね。少年は、検察官が入っていなければリラックスして審判に臨むなんということはあり得ないです。少年は、自分のやったことでないことを言われたら、それは一生懸命抗弁はいたしますけれども、検察官がおろうが、付添人がおろうがおるまいが、大変緊張して精いっぱい臨んでいる、そういう場面なんですね。ですから、それは裁判官が必要だということで検察官を呼んだ場合に、検察官が来れば、付添人もおりますし、物々しい雰囲気にはなりますけれど、元々事実認定について争いがあって審議されている少年審判というのは厳しいものです。  ですから、少年審判に来るんだということが分かって検察官もお越しになるわけですから、特に検察官にだけ何か注意しなきゃいけないことというのはないと思います。少年審判に関わる大人は皆同じように、検察官も裁判官も付添人も皆法曹ですので、その辺のわきまえは十分おありになるだろうと思います。
  44. 佐々木さやか

    ○佐々木さやか君 以上で終わります。
  45. 行田邦子

    ○行田邦子君 行田邦子です。よろしくお願いいたします。  今日は、三人の参考人の方、お忙しい中お越しいただきまして、感謝を申し上げます。特に大久保参考人におかれましては、お子様を亡くされると、その事件を犯したのが少年であったという本当に痛ましいそのような経験をされて、その思いというのは本当に察するに余りあるものではないかというふうに思っております。  まず、大久保参考人と岡本参考人に伺いたいと思います。  今回の少年法の改正法案の中には、国選付添人制度とそれから検察官関与制度の対象事件の範囲を拡大するということが盛り込まれています。死刑、無期、長期三年を超える懲役、禁錮に当たる罪にそれぞれ拡大するということでありますけれども、このことについてどのようにお考えでしょうか。大久保参考人と岡本参考人にお願いいたします。
  46. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) 私はやっぱり大賛成ですね。さっき言いました、事実認定が更生にもつながりますし、やっぱりそこが一番大事だと考えていますので、両方の、付添人と検察官ですね、それはもう大賛成です。  以上です。
  47. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 先ほどの意見の中にも申させていただきましたけれども、付添人が心得違いの活動をされるとしたら、それは範囲が拡大されるのは障りになるだろうと思いますし、同様に、検察官も同じように心得違いをされて参加されるとしたら、それは問題だと思います。
  48. 行田邦子

    ○行田邦子君 ありがとうございます。  それでは、川出参考人に伺いたいと思います。  先ほどの御意見の中にありましたけれども、検察官の関与があることによって少年審判が刑事裁判化するのではないかといった意見も聞かれるところでありますけれども、それに対して、様々な文献や事例を見ると検察関与の弊害というのは生じていないのではないかといった御意見をされましたけれども、その件についてもう少し詳しく教えていただけたらと思うんですが。
  49. 川出敏裕

    ○参考人(川出敏裕君) これは、検察官が関与して刑事裁判と同じように審判で法廷活動を行うということになると、何といいますか、本当に対立の場になって、その審判の雰囲気が害されるというような懸念があるということであったわけですが、これは法制審の中でも裁判所から出てこられた委員がおっしゃっていたんですが、現在の少年審判の実情というのを裁判官から聞いたところではということで、例えば検察官は少年審判に出てきた場合でもその特性については十分に配慮して関与されていると思われるとされています。それは、例えば質問の仕方でも口調がやはり非常に穏やかなものにしたりするとか、あるいは形式的な話ですけど、例えば着席したまま発問する形にして、刑事裁判のように問い詰めるというようなことではないということですとか、そういう配慮を検察官がしているということのようです。  もちろん事案によっては、さっきの話で、やっぱり審判そのものは厳しい雰囲気であるわけですから、厳しい問い詰めをするということもあるのかもしれませんけれども、それは少年審判というものは刑事裁判とは違うんだという前提で検察官は一般的には活動されているということのようですし、また、裁判所の方も、例えば検察官の方が関与されたから必ずじゃその検察官が質問して、それから付添人が反対尋問するように、そういう感じでやっているわけではなくて、やはり裁判所が主導となって尋問し、必要に応じて検察官にも質問してもらうという形の運営をされているということが言われておりますので、そうであるとすれば、刑事裁判化しているという懸念は必ずしも妥当しないのではないのかというふうに思います。
  50. 行田邦子

    ○行田邦子君 ありがとうございます。  次に、被害者による審判傍聴並びに意見陳述の制度について伺いたいと思います。  今このような制度が設けられているわけでありますけれども、この審判傍聴そして意見陳述の制度が少年審判に与える影響がどのようなものなのか、そして、現行制度を見直すべき点があれば、どういった点を見直すべきなのか、それぞれ三人の参考人に伺いたいと思います。
  51. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) 被害者として意見陳述する場合に、やっぱり事実認定のところが、調書とかその辺がちょっと私らの場合ですけれども見れなかったので、そこが非常に残念であったということはありますね。でないと、やっぱり適切な意見が述べられなかったというところはありますので、そこはもうちょっと開いた、情報を開くというんですか、というところはしてほしいなというところはあります。  以上です。
  52. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) この被害者配慮制度は、まだ走り出してそう蓄積が長いわけではありません。ですので、まだ現状で運用の面で不足しているという御指摘はあるかとは思います。ただ、先ほど申し上げたように、与えられている権利を被害者の方が十分に活用できるように、もう時間との闘いで配慮をしているというつもりでございます。  ですから、現状の制度に何か不備がある、どういうところを直せばいいかということを考えるところまではまだ行っていない、現状の決められていることをどうやってうまく実現できるかということを精いっぱい工夫している段階にあると思っています。
  53. 川出敏裕

    ○参考人(川出敏裕君) まず、審判傍聴ですけれども、これ始まってまだ間もないんですが、去年でしたかおととしでしたか、裁判官の方の訴訟研究の報告書が出ておりまして、その中で傍聴について分析がなされているわけですけれども、この傍聴制度を入れるときに、被害者の方が傍聴していると少年が萎縮してしまって十分に発言できなくなるのではないかというようなことが懸念されていたわけですが、その報告書の結果を見る限りは、必ずしもそういう状況は生じていないようです。  実際、本当にそういう状況が生じそうな場合については傍聴を認めないという制度になっていまして、現に何件かそういう例もあったようですから、そこは裁判所がその状況を見て適切に判断されておられるのではないかと思いますので、その意味では、制度そのものを変える必要というのは現時点ではないのでないかと思います。  それから、意見陳述につきましても、これも私が聞いたところでは、例えば被害者の方が審判廷で少年を前にして意見陳述をしたいという申出が、御希望があれば、そういう形をなるべく取るように裁判所の方で配慮しているということのようですので、これもその事案に応じて、その上で被害者の方の御意思を尊重するような形の運用がなされていると思いますので、この点も特に制度として変えるべき状況が生じているというふうには考えておりません。
  54. 行田邦子

    ○行田邦子君 ありがとうございます。  それでは、最後の質問になります。三人の参考人に伺いたいと思います。  少年の犯罪というのは、人員的には減ってきているというふうに承知していますけれども、一方で、再犯といいますか、再非行少年率というのは、率は増えてきているというような統計があります。そこで、三人の参考人に伺いたいと思いますが、少年の再犯防止についてなんですけれども、今回のこの少年法の改正法案が少年の再犯を防止するためにどのような効果がもたらされるとお考えか、お聞きしたいと思います。
  55. 川出敏裕

    ○参考人(川出敏裕君) 再非行少年率が上がっているというのはおっしゃるとおりで、ただ、これは再犯をする少年が増えているというのではなくて、初犯の少年が減っていて、それで再犯の少年の数はそれほど減らないので、再犯少年率が増えているということなんですが。そういう前提で、再犯を防止するためにどうしたらいいかということなんですけれども、少年審判において行われることというのが直接それに役立つかどうかということからいえば、例えば国選付添人が付いて、審判の中で、先ほど岡本さんから御紹介があったように、それにちゃんと適した活動というのをするようになれば、そこは再犯の防止ということにも役立っていくという意味での関係はあるのではないかと思います。  ただ、再犯の防止という点でいうと、少年審判そのものというよりは、恐らくその後の保護処分を言い渡された場合のその保護処分のやり方とか、あるいは社会に戻った後にまさにその社会がどうフォローするかと、そっちがむしろ重要なのではないかと思います。
  56. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 今、川出さんがおっしゃったこととほとんど重なりますので、違う部分だけを申し上げるとすれば、人間の科学で考えますと、どの社会においても、ある一定数の人間はやはり犯罪を行っているわけです。そういう人を早期に峻別して手厚い処遇をするということでしか、そのことは防げないことだと思うんです。  そのことは、だけど同時になかなか実現しないことです。例えば、子供の初発非行というのは、万引きであったり自転車の占有離脱物横領であったり、そういう軽い事件で家庭裁判所へ係属します。私どもが面接をします。ああ、この子は将来危ないなということが分かっても、そこですぐに大きな重たい処分にするということはなかなか難しいです。手が遅れるんですね、後手に回ります。再犯少年の割合が増えているということを言われて、そのとおり数字では出ているんですけれども、やはり後手に回ってしまうという、そのことがあるなと思っています。  もう一つは、一たび家庭裁判所へ係属する、犯罪を犯した子に対するアフターケアというものが、その人を犯罪から遠ざける方向に向いていないということが言えると思います。それは処遇の中で努力できることもあれば、もう少し違う、社会に対する、国民に対する教育の活動によっても防げることかというふうに思います。
  57. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) 再犯の防止なんですけれども、やっぱり今回の改正において、結局命の重さ、それを少しはちょっと認識してもらえるんじゃないかという期待はあります。ですから、結局それが再犯に直接つながるかどうかというのは難しいところですけど、一部抑止力にはなるんじゃないかという気はします。それと、検事さんとかが入っていただくことによって、初段階でですね、大事な事実認定を確実にすることによってやっぱり罪の認識、反省につながるんじゃないかとは思っています。  以上です。
  58. 行田邦子

    ○行田邦子君 終わります。
  59. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  今日は、三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。  大久保参考人から本当につらい思いが語られました。そのお話の中で、何が起こっているか分からないままの意見陳述、その後になって最後の克明な残酷な非行事実を知ったときの大きな衝撃というお話がありました。  この点について、これまでもお尋ねがあっていますけれども、私は、これまでの被害者が事件の当事者でありながら証拠扱いされてしまったり、お客さんとされてしまったりということに対して、被害者の尊厳を本当に尊重した扱いがされていくように、先ほど最後にお話がありましたけれども、民事事件における弁護士を始めとした援助だとか、あるいは犯罪被害者の補償制度の充実なども求めてきたわけですけれども。  そこで、ちょっと岡本参考人に、そうした被害者の皆さんの心情を恐らく調査官としてたくさん受け止めてこられたのだろうと思うんです。今の努力の中で、これからどういう改善が少年司法の目的を維持する範囲の中で行っていけるかというお話も先ほどありましたが、修復的司法という言葉も少し出されました。アメリカの例も踏まえて、被害者が事件が発生してずっと続く苦しみの中で、どのように司法手続は向き合っていけるのか、その中で特に送致をされてから処分が決まるまでの家庭裁判所の機能ということでお考えの点があれば、まずお尋ねしたいと思います。
  60. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 大きな事柄ですので簡単に申しにくいのですけれども、家庭裁判所における審議の期間というのは短い期間だと思います。そのような短い期間の中で、大きな体験をなさっている被害者の方の何か思いが果たされるといいますか、そういうことを迎えるというのは難しいと思っています。  ただ、そのことには時間が掛かりますけれども、アメリカにおける修復的司法で被害者・加害者メディエーションが成立するというのも大変準備が長く掛かってようやく実現するような事柄ですので、例えば少年が鑑別所にいる間にそのようなことを行うとか、そういうことは全く考えられないことだと思います。  私どもができることは、少年に対して、やはり今起こっていないから、終わったんじゃないんだと、被害者に対する、向き合っていくこと、謝罪をし続けることというのは長い時間が掛かるんだということを教えていくことというのは一つはあると思います。  そのような大きな事件でなくてでも、少年には被害というのが分かりにくいという、そういうことがあります。例えば、ひったくりをして被害者が倒れて腕を折ったという、そういう事件があったとします。鑑別所にいる少年に被害者についての想像を聞くと、痛かったと思うし、怖かったと思う、嫌な思いだったと思う、そういうことは言えます。だけれども、それ以上に、自分の行った行為によって被害者の人生にどういう変化があったかということは具体的でないと分からないというところがあります。  私どもが今行っている被害者配慮制度とは別の被害者調査という、そういう活動がございますけれども、それによって具体的に何の被害を受けたかということを伺うことができます。そのことによって、例えば今の例ですと、例えばその方はギプスを何週間かしていて、その間、例えば二歳のお子さんがいて毎日だっこしてお風呂に入れていたのにそれができなかった、そういうことが具体的に分かったとします。それを少年に伝えることで少年の方が考察が進む、自分の起こした非行について何が悪かったかということをより真剣に向き合えるようになる、そういうことはあると思います。  そういうことも含めて、私どもが制度の中でできるのは、長く掛かっていく被害者に向き合っていく作業のスタートラインを引いてあげるという、そういうことではないかというふうに思います。
  61. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 大久保参考人、先ほどの他の議員でのお答えの中で、加害少年が事件と向き合えていない、やったことが認識できていないという、そうした加害少年のことをお話がありましたけれども、そうした加害少年がそうした事件に向き合うために、やったことを認識するために、家庭裁判所や私たちに何か期待をされることというのがありますか。
  62. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) そこは非常に難しいところなんですけれどもね。というのが、少年がやっぱり現実と向き合うというところなんですけれども、ここは、何というんですかね、私ら刑事裁判の中でも少年、裁判中も笑っていましたから、親もちゃんと更生に向けて動いていないという状態でしたので、とにかくまず親も巻き込んで、やっぱり少年に自覚させる。そこが非常に難しいんですけれども。結局、自分のことと考えていないのか、自分の身になって考えられないのか、とにかくそこを分からせるのはどうやったらいいかと思うんですけれども、やっぱりそういった少年院とか家庭裁判所にそこは頼らざるを得ないと思うんですけれども、そこは被害者からは非常に見えにくいところなんですね、詳細はなかなか教えてくれないですから。  ただ、現実的に、真摯に現実と受け止めている少年というのはまあまあ余り見たことがないですね。少ないですとしか言いようがないです。私もほかの少年事件の傍聴とかも行きましたけれども、なかなかやっぱり本当に真剣に受け止めている方というのは余りおられないですね。
  63. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 ありがとうございます。  そうした下で、少年刑、それから保護処分を通じてどう少年の更生を図るのか、法は健全育成ということを目的の言葉として掲げているわけですけれども。  そこで、ちょっと川出参考人にお尋ねをしたいんですが、先ほど冒頭のお話の中で、少年刑の考え方、これについて責任に見合った刑であるというお話がありました。この責任に見合った刑というお話というのは、そうなると、不定期刑という日本のこの少年刑の在り方そのものが、そもそもその存在意義をどう考えればいいのかということにもつながるお話かと思うんですけれども、ここは川出参考人、どうお考えでしょう。
  64. 川出敏裕

    ○参考人(川出敏裕君) 不定期刑の捉え方ですが、今回の法制審での議論の中で大体共通の理解ができたかなというふうに思っておりますのは、不定期刑の長期の部分、これが責任に対応するということで、その短期の部分というのは、少年が非常に可塑性に富んでいて教育によって改善更生がより多く期待されるということから、その処遇に弾力性を持たせるという点から言わば特別予防のことを考慮して短期を定めるということですので、それは、責任は長期のところで定まるという前提で考えた上で少年については特別な扱いをするという、そういう理解ですので、必ずしも不定期刑の意味がなくなるということではないと思うんですが。
  65. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 そこで、検察官の関与拡大の問題についてお尋ねしたいと思うんですけれども、岡本参考人、先ほど、検察官関与が果たして事実の精度を上げることになるのかという問題提起をされまして、アメリカの実際の中で検察官の事実というのは真実ではなかったというお話がありました。  日本の二〇〇〇年改正以降の運用の中で、例えば五年見直しの時点での全司法労働組合の調査と提言の中では、事実認定のためという枠を超えかねない運用も見られた、重大事件であるということによって非行事実に争いがない場合でも関与の申出がなされた例もある、あるいは、事実認定審理の場面に引き続いて要保護性の審理の場面にまで検察官が立ち会い続けた場面もあったなどの指摘もあります。あるいは、社会記録を検察官が閲覧をしたといったようなケースも指摘をされているんですけれども、何かそうした御懸念というようなものを感じているところがあればお話をいただければと思います。
  66. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 具体的に、二〇〇〇年改正以降、このように不具合になったという体験を私自身がしたわけではありません。ですので、今御紹介いただいたそういう事案はあったんだと思いますけれども、具体的に私として、検察官が関与するとこう困るだろう、ああなるだろうという、そういう不安があるわけではないんです。それは、今まで審判廷に入ってこなかったそういう立場の人がたくさん入るようになれば、やはりわきまえをしていただかないといけないという、そういうことは思います。  それともう一つ、意見の中で言わせていただいたことと重複しますけれども、やはりそういう目の前に見える小さなことの工夫で積み重ねてきたつもりであるのに、振り返ってみると最初の理念から遠く離れてしまったという、そういう実例が他の国にはあるということをわきまえて審理していただきたいというふうには思うんです。
  67. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 国選付添人の対象事件の拡大について川出参考人にお尋ねしたいと思うんですけれども、先ほど被疑者国選と一致させるという必要が、これが合理的であるというお話がありました。  この付添人の件について、身柄拘束をされた事件について付すことがやっぱりいろんな面から望ましいという考え方があるかと思うんですけれども、そうしますと、虞犯ですね、鑑別措置率が非常に高い、要保護性が極めて高いということの中で、付添人による様々な調整も意味があることかと、大変大きな意義があるのではないかと思うんですが、この点については、川出参考人、どうお考えでしょうか。
  68. 川出敏裕

    ○参考人(川出敏裕君) 御指摘の点、おっしゃるとおりだと思います。  ですから、虞犯について必要性があるというのはそのとおりだと思います。その上で、ただ今回、それをそこまで範囲を拡大するかどうかという点については、恐らくはといいますか、国費を投入するという観点からより必要性が高いというふうに考えられる死刑又は無期ですか、それと三年以上の懲役、禁錮に当たる罪ということに限定したということでして、ここに限らなきゃ駄目な必然性は全然ないと思うんですね。ですから、今後、恐らくまた更に拡大する余地というのは出てくると思いますし、それはこれからの検討課題として残っているんではないかというふうに思います。
  69. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 そうした方向が国連子どもの権利委員会からの勧告などにも沿った方向かなと私は思うんですが、最後一言、川出参考人、いかがでしょう。
  70. 荒木清寛

    ○委員長(荒木清寛君) じゃ、川出参考人、簡潔にお願いします。
  71. 川出敏裕

    ○参考人(川出敏裕君) ですから、方向性としては恐らくそうで、今の時点ではその必要性があるということは認めた上で、今、日弁連がやっている補助付添人ですか、援助付添人ですか、あれで対応されているわけで、それの実績また積み重なっていって、いずれ方向として拡大していくということは、それは十分あり得るというふうに思います。
  72. 仁比聡平

    ○仁比聡平君 ありがとうございました。
  73. 谷亮子

    ○谷亮子君 生活の党、谷亮子と申します。  本日は、三人の参考人の皆様に大変貴重な御意見を拝聴させていただきまして、本当にありがとうございます。それでは、よろしくお願いいたします。  初めに、川出敏裕参考人にお伺いいたしたいというふうに思います。  国選付添人の選任の要件についてお伺いさせていただきたいと思います。  改正法では、第二十二条の三におきまして、国選付添人は、家庭裁判所の裁量により、弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときは、弁護士である付添人を付することができるとしております。少年審判は、刑事裁判と異なりまして家庭裁判所が後見的な役割を果たす構造になっておりますけれども、考え方によれば、少年の主張を適正に酌み取るために付添人が弁護的に役割を果たしていく、また、少年が保護処分を受けるに当たって納得して受け入れるための役割もあると言われているようでございます。  今回の改正でも国選付添人の選任が家庭裁判所の裁量によるとされたことの理由はどのようなことにあるのかという点につきまして、お伺いさせていただきたいと思います。
  74. 川出敏裕

    ○参考人(川出敏裕君) 基本的な考え方としては、今おっしゃったように、少年審判というのは職権主義構造になっていて、裁判所が主宰をして事実認定、それから処遇決定を進めていくと。そのときに、裁判所というのは少年にとって有利にも不利にもあらゆる事実を調べ考慮するという前提になっていますので、その上で、それでも足りないという部分があるので付添人を付けるという構造ですから、そうしますと、国選で付添人を付けるという場合も、まさに裁判所として必要だというふうに考えた場合に選任するというのが元々の審判の構造からすれば適しているんではないかというふうに考えております。
  75. 谷亮子

    ○谷亮子君 ありがとうございます。  そして、もう一点、川出参考人にお伺いさせていただきたいんですが、この少年審判が裁判官、また弁護士である国選付添人、そして検察官と、刑事審判に類似した構造に近づいておりますけれども、この少年審判を通じて事実認定が正しく行われることで、少年の更生もこれは同時に図られていかなければならないというふうに私も考えております。  この三者が協力して少年に向き合って、事実を明らかにしていく構造が今後求められることになりますけれども、こうしたこの三者の役割それぞれにつきまして、もちろん独立してきちんとした運営がなされていかなければならないとは考えますけれども、どのようなことをこの三者の役割について期待されますでしょうか。川出参考人の御所見をお伺いしたいと思います。
  76. 川出敏裕

    ○参考人(川出敏裕君) 非行事実の認定ということですね。  まず、基本的にはやはり裁判所が主体となって行うというのが大前提です。その上で、検察官は、先ほど申し上げましたように、裁判所が主体となって行っていく上で、やはりそれだけでは不十分だという場合に検察官は関与するということですから、その役割を検察官としてはちゃんと認識した上でその範囲内で活動するということになるでしょうし、あと、付添人の方につきましても、何というんでしょうか、単にその事実を軽く認定してもらえればいいと、そういう立場で臨むものでは決してないわけでして、やはりそこは適正に事実を認定するということがその後の少年の立ち直りということについても大前提になりますので、そこはやはり刑事裁判における弁護人とは違った役割というのが期待されているのではないかと思います。
  77. 谷亮子

    ○谷亮子君 ありがとうございました。  次に、岡本潤子参考人にお伺いさせていただきます。  今回の少年法の改正ということで、家庭裁判所の裁量によりまして国選付添人そして検察官関与制度の対象事件の範囲が拡大されるということになるわけなんですけれども、まず、少年が非行に至る原因というのは、少年の育った環境であったり性格であったり、またいろいろな要因があるというふうに思いますし、問題点もそうした非常に複雑で多岐にわたるという点があるというふうに思います。また、少年からその非行性を取り除き、更生を図るためには、非行の原因を探り出しまして、個々の性格、また環境の問題点を明らかにするために、家庭裁判所調査官は専門的調査機構として少年に関する社会調査を行う役割を果たされておりまして、大変に御努力をされているというふうにも伺っております。  そこで、現在の少年法の審判の在り方というのは、審理自体に教育的意味を持たせるためにもということで、裁判官が主宰をして職権的に進められる審問的手続でございますけれども、これが対峙的な刑事裁判に近づくおそれがあると心配されているというような御意見もあるようでございます。  長年、少年審判に関する調査の現場で御活動、また御経験を体験された中で、今回のこの範囲拡大に関するどのような御所見をお持ちか、改めてお聞かせいただきたいというふうに思います。
  78. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 繰り返しになりますが、私は消極的な意見なんです。  裁判官が、少年が事件を厳しく否認する、あるいは事件の内容が複雑である、共犯関係がいろいろであって難しい、そういうことありますけれども、それをするのが裁判官のお仕事ですから、それはしっかりやっていただくしかないと思います。現状で審判廷というのはそんな和やかな、にこにこしながらやるようなものでは一切ありませんので、そういう意味では裁判官は基本的に非行事実の認定に際しては少年と対峙する、そういう立場で審判を行うわけです。  私たち調査官も、聞きにくいことだから聞かないとか、少年が嫌そうにするから聞かないとか、そんなことをしていたらお仕事になりませんので、そういうことは対峙的であろうが糾弾する場面はあろうがやらなければいけないんです。それをやっていると思います、私は。  ですから、共犯関係が複雑であっても、それは昔からそうでしたから、今ある資源を使って裁判官は審判を行えると思います。そこに検察官が入らないとよく分からない、あるいは付添人が付かないと少年の気持ちが聞き取れない、そういうことはないと思います。
  79. 谷亮子

    ○谷亮子君 ありがとうございました。  そして、もう一点お伺いさせていただきたいんですけれども、今回の少年法改正では、少年の事件の厳罰化を望む世論を背景とするものではないとされているようでございますが、近時の少年犯罪は共犯によるものも多く報告されておりまして、また、携帯電話などの高機能な通信手段が未成年にも普及をいたしまして、非行少年の質が自己の欲求を満たすためにとの変化が見られるとも伺っております。  今回の法改正を機に、少年審判制度が社会状況に対応するために、国選付添人と検察官が審判の場で少年に接することで事実認定をしっかりと行うということでございますけれども、この件に関しましては、先ほどお話をいただいたとおりだと思いますけれども、今後、今回の法改正とは別に新たな取り組むべき制度というのがあるのかどうか、お立場からお聞かせいただきたいというふうに思います。
  80. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 共犯事件が多いのは昔からだと思っています。ただ、現代的な事件というのが出てきています。インターネットを使った事件ですとか、暴力団犯罪の手先として受け子や出し子として詐欺事件なんかに関わっていくとか、そういう非常に被害が大きい、あるいはインターネットなんかの場合には被害が不特定という、そういう新しい事件が起きてきていて、そのことに対しては頭を悩ましていると思います。  インターネットなどにつきましては、やはり事件が起きていく過程においては無理からぬ、この状態でこういう事件にいつか結び付くのは無理からぬと思う部分も多いんです。ですから、少年法の中で何かを工夫するというよりは、社会教育として打っていく手が必要だなというふうに思っています。
  81. 谷亮子

    ○谷亮子君 ありがとうございます。やはり社会教育という観点からも、今後きちんとした制度なりその取組というのがまさに私も必要だというふうには思っております。ありがとうございました。  最後に、大久保参考人にお伺いさせていただきたいというふうに思います。  元々、少年法というのは、犯罪を犯した少年がその後に健全に育つように、また、非行のある少年に対しましてはその性格の矯正や環境の調整に関する保護処分を行うということが大前提であるというふうに思います。  こうした加害者の少年の人格形成という観点も当然これは必要であるというふうに私も考えておりますけれども、やはり第一義的に行われなければならないのが被害者救済であるというふうに思っております。今のこの少年法への、こうした改正も含めまして、非常に大きな高まりを見せている現況があるというのは、やはり、少年の犯罪を防止をしていくということや、そうした被害者救済という観点が本当に真剣に考えられているからであるというふうにも思います。  また、全国的に見ましても、被害者等の精神的また身体的被害は大変深刻な状況にある中で、平成十六年に犯罪被害者等基本法が制定されておりますけれども、大久保参考人の御経験から、被害者救済のために意見陳述がもっと必要なんだというような、意見陳述が不十分なんだというような点も先ほどからお話の中でございましたけれども、こうした被害者救済の観点から今後どういったことにもっと手厚く取り組む必要があるとお考えなのか、最後にお聞かせいただきたいと思います。
  82. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) 被害者の立場としては、いろいろあるんですけれども、まずその意見陳述もできない方もあります、ショックが大き過ぎて。それほどひどいものです。まず、そういう法的なことも知らないことが多いです、被害者としては。ですから、そういう法的なこと。意見陳述も、実際に自分で発言できる人もおる、それすらできない人もいるという状況です。ですから、そういう精神面のバックアップですね。あとは、当然もう仕事もできなくなる方もいてます。ですから、そういう経済的なバックアップ。そして、それは事件直後のことだけでもそれだけあります。実際には家族を亡くされると、私らもそうですけど、もう死ぬまで息子帰ってこないんですよ。一生続きます。ですから、そこら辺やっぱり一生掛けてのバックアップですね。  それと、先ほど私陳述の中でも申したんですけど、刑事事件終わって少年の処遇終わると、一般的には終わりなんですね。ところが遺族は一生続きます。ですから民事裁判も行いますし、その賠償が、さっきも言いましたとおりなんですが、賠償を払うことが少年の反省、謝罪、そして更生しているからこそ賠償金が払えると思うんですよね。ですから、そこの結局サポートですか、それができていません。というのが、私らの会の三十五家族の中で賠償金が決まっているのが二十二家族ほどあります。どれもちゃんと払ってもらっていません。それは事実です。その中で五家族は今、民事係争中です。ほかの八家族、これは経済的とかいろんな理由があって民事裁判すら起こせていません。それがもう現実です。  ですから、そこは誰も助けてくれないです。そこは制度としてやっぱり助けるべきだし、それをすることが加害者の更生にもつながっていきます。加害者にも仕事を与える、やっぱり考え方も改める、ちゃんと支払っていくことが反省にもなる、謝罪にもなる、それをしないといけないから仕事もする、それは更生です。ですから、全てにつながると思います。それから、そういう制度はないです、今。それもつくってほしいです。  以上です。
  83. 谷亮子

    ○谷亮子君 貴重な御意見を拝聴させていただきました。本当にありがとうございます。  やはり先ほど大久保参考人がおっしゃられていた、加害者少年には未来があるのに被害に遭った被害者側にはその未来がないんではないかというようなお話、最初の方でされていらっしゃいました。私はある意味、この少年法の下での被害者救済という観点から取り組むのではなくて、やはりまず第一義的に被害者救済の下での少年法ということが今後同時に考えられていかなければならないというふうにも考えておりますので、また、今回のこの法改正につきましては大臣質疑も、審議もございますので、しっかりと質問してまいりたいというふうに思っております。  ありがとうございました。
  84. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子と申します。  今日は、本当にお忙しい中、三人の参考人の方、質疑に出ていただきましたことをまず冒頭に感謝いたします。  それで、最初に大久保参考人にお伺いをしたいと思います。  今もありましたけれども、今回のこの少年法改正案は法制審議会の答申を踏まえた内容になっておりますが、法制審議会に諮問される前に開催されました平成二十年改正少年法等に関する意見交換会において、被害者が広く国費によって弁護士の援助を受けられるようにすることが望ましいことが指摘されています。  そこで、まず大久保参考人、具体的に被害者支援の弁護士の必要性を具体的にどのような場面で強くお感じになられたのかお伺いしたいのと同時に、国による被害者支援施策の中で足りない点や充実を望む点がありましたら改めてお聞かせ願いたいと思います。
  85. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) 被害者の私ら立場やったんですけれども、まず、加害少年には国から少年に詳しいよりすぐりの弁護士が付くんですよ。ところが、被害者には付かないです、自分で探せと。若しくは法テラスとかいうところもあって、とにかく専門でない弁護士さんの中から選ばないといけない。ところが、加害者は専属のもう詳しい弁護士さん。何でその差があるのか、まずそこが不思議です。ですから、やっぱりそういう加害者と被害者の立場が全然違います。  発言の機会というのも限られますし、被害者参加制度というのもごく最近、二〇〇八年から施行になったんですけれども、それを利用をさせてもらって意見をする機会もあったんですが、あくまでそれも被害者参加であって、参加人なんですね。一応、論告求刑、形はできたんですけれども、やっぱりその権利が、被害者としての権利が余りにも少な過ぎる。  主導としては検察がいくものですから、こちらのお願いというのが、やっぱり検察主導になりますので、加害者の更生も以後にはあるんですけれども、やっぱり被害者のことを認めた上でが更生になると思うんですよね。そこを、もう少し制度としてちょっと足りない気がやっぱり被害者としてはします。  以上です。
  86. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 続きまして、大久保参考人にお伺いしますが、衆議院の法務委員会で参考人として出席されました少年犯罪被害当事者の会の武るり子代表、平成二十年の改正少年法等に関する意見交換会の中で、不定期刑は少年の可塑性に配慮した規定であるが、服役中に少年に改善が認められる場合、仮釈放制度により社会復帰をさせることができるので不定期刑は不要であるとの発言をされています。  今回の少年法改正案では、この不定期刑を存続させた上で、その長期及び短期の上限の引上げを行うこととされていますけど、大久保参考人の不定期刑に対する考えを改めてお伺いいたします。
  87. 大久保巌

    ○参考人(大久保巌君) 不定期刑というのは、私たちはやっぱり望まないというのが現実ですね。  というのが、やっぱり短期の場合、五年、今でしたら五年から十年とかありますけれども、そうしたら五年で仮釈になる、若しくは刑期終了という場合があります。ところが、これは難しいんですけれども、更生に関わることなんですけれども、やっぱり少年というのが、言うとあれですけれども、そういう更生した格好を見せることができるんです。そういう少年が多いです。私らの事件の加害者少年もそうです。賢いんですよ。ですから、私らが思っている以上に、何というんですかね、悪賢いのが事実です、これは現実見てきましたので。  ですから、この不定期刑というのがやっぱり早めに刑期が終わってしまうという点については、今のところはどうしようもないんですが、できたら例えば十年やったら十年というふうに変更してほしいというのは、被害者としてはもうそれは願いです。早く終わるというのはやっぱり償いにならないという気持ちはあります。  以上です。
  88. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 被害者の家族の方々のその心痛は本当に計り知れないほど大きなものだというふうに思いますけれども、やはり今回のこの少年法の改正に関して、今おっしゃったことが少しでも進むような状況になることを願います。  それで、岡本参考人に対する質疑でございますけど、調査官とは、やはり大人の刑事裁判にはないわけですよね。少年事件ならではの専門職だと思うわけですが、この調査官になるには、例えばその試験科目、研修内容など、どういうものを経て調査官になられるのか。それから、少年事件において調査官が果たす役割、仕事の内容、改めて、先ほども伺いましたけれども、具体的に教えていただいて、そして、専門家としてこの調査官のほかに鑑別所には技官がいらっしゃいますけれども、鑑別技官の仕事とそれから調査官の仕事がどのように違うのか。また、意見交換をすることもあるかと思いますが、どのようなお話をされるのか、お伺いいたします。
  89. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 試験制度については、ここで全てをお話しする時間もきっとないと思いますので少し簡単に申し上げますけれども、家庭裁判所調査官補の試験というふうにきちんともうなっていないんですけれども、裁判所職員採用試験という形で採りますけれども、それぞれが大学で勉強してきた科目を生かして受けられる制度に今はなってきています。法学も含めて受験科目になっていっていますので、バックグラウンドが多少違っても、それは例えば教育学の出身の方であったり心理学の出身の方であったりいろいろですけれども、この仕事をやっていきたい、調査官になって学んでいきたいと思う人が応募できるような試験制度になっているわけです。裁判所職員研修所で二年間の研修を受けて調査官補の補が取れるという、そういう制度になっています。  試験制度あるいは養成制度についてはいろいろと変化がございましてまだ模索中と、この年月をたってもまだ模索中ということが言えると思いますけれども、研修を経て一人前になるためにはかなりの努力を個人個人もしないとやっていけないというところは昔も今も変わらないと思います。  鑑別所の技官と調査官のすみ分けはどうなっているのかという御質問だと思いますけれども、少年が身柄を取られている、鑑別所に観護措置とられている、そういう事件については、同じ少年について双方が面接していくという、そこがかぶるところです。  ただ、鑑別所の技官は中で少年に対する様々な心理テストを行いますし、行動観察といって教官の方が観察していく、そういう分野もあって、鑑別所はその双方を合わせて、鑑別結果通知書ということで判定を付けて裁判官に出してまいります。  調査官は何をするかというと、少年が鑑別所に入っている事件の場合はまず少年に会いに面接へ通います。それから、鑑別所の外におります保護者ですとか関係者、学校の教師の場合もあれば雇主の場合もあり、いろいろでございますけれど、そういう人たちとの面接、調査をしていきます。  極端な言い方をすれば、鑑別所の技官は少年の調査に特化して行い、調査官は社会調査といって少年を含んだ環境の調査も行うというところが違いかと思います。もちろん、鑑別所に入っている少年の事件については鑑別所の技官と調査官と必ずカンファレンスをいたします。そして、複合的にそれぞれが見れるように情報交換もいたします。そのカンファレンスを経て、鑑別所は鑑別所の意見を出してきますし、調査官は調査官で意見を上げていく、そういうような構造になっております。  あと、鑑別所の技官と大きく違いますのは、調査官は在宅の事件をたくさんしておるというところが違います。在宅の事件の方が圧倒的に数は多いですから、日常的にはそちらの方がはるかに比重が大きいです。  よろしいでしょうか。
  90. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今回の少年法改正案によって、少年に対して科し得る有期刑の上限が引き上げられた場合、社会で暮らした時間よりも刑務所で暮らした時間の方が長くなることも想定されるわけですが、少年の刑期が長期化した場合、どのような懸念があるのか、それから少年犯罪の抑止、再犯の抑止のためにはどのような施策が効果的であるというふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  91. 荒木清寛

    ○委員長(荒木清寛君) 糸数委員、どなたにお尋ねですか。
  92. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 引き続き岡本参考人、お願いします。
  93. 岡本潤子

    ○参考人(岡本潤子君) 今議員が言われましたように、犯罪を犯す前に生きていた時間よりも長い時間少年刑務所に入る、服役するということがあって出てくる子供をどうやって一人前の社会人に持っていくかというのは、想像するよりも大きな課題だと思います。それは、大人になってからの犯罪で同じ期間収容される人とは比べ物にならない、また質の違う教育が必要だと思います。  ですから、まずは刑務所の中でそういう若い長期に服役する人に対する出院前のプログラムというものが必要になるでしょうし、また、受け止める、通常、保護観察付いて帰ってまいったりいたしますから、保護観察所などの社会でそれを受ける側の教育プログラムの充実もあると思います。そしてやはり、それもやはり社会教育ということになっていきますが、犯罪を犯した人が帰ってくる、帰ってこられる社会にしておくことということも必要かと思います。
  94. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 最後になりますが、川出参考人にお伺いをいたします。  この法案では、少年に対する有期刑や不定期刑の長期の引き上げるべきだという結論に至るには正確にその説明が要るかと思うんですが、どのようなことがやはり重要だと判断されるのでしょうか。参考人の御見解では、少年法の基本構造や理念に変化はないということになるんでしょうか。お伺いいたします。
  95. 川出敏裕

    ○参考人(川出敏裕君) 少年刑の引上げの理由は、先ほど陳述の中で申し上げましたように、やはり事案によって今の法定刑では責任に見合った刑が科せないというものがあるので、それに合わせる形で引き上げるということだと思います。ですから、そこでも申し上げましたが、それは決して厳罰化するということではなくて、適正な刑を科せるようにするというのが目的だと思います。  それで、少年法の理念との関係なんですが、それも申し上げたように、少年に対する刑罰というのは少年法の理念に基づいて科されるというのはそのとおりなんですけれども、しかし、そうはいってもそれは刑罰ですので、成人に対する刑罰の場合と本質的な違いがあるわけではないわけですね。ですから、そこは維持した上で上限を適正な刑が科せるように引き上げるというのが今回の改正ですから、その意味では、これによって今まで維持されてきた少年法の理念というのが変えられたとか、そういうものではないというふうに思います。
  96. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 時間ですので以上で終わりたいと思いますが、今日は本当にありがとうございました。
  97. 荒木清寛

    ○委員長(荒木清寛君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、大変お忙しい中、多方面からの貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございます。本委員会を代表いたしまして心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。  本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時二十八分散会