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2013-03-12 第183回国会 参議院 議院運営委員会 13号 公式Web版

  1. 平成二十五年三月十二日(火曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  三月十一日     辞任         補欠選任      斎藤 嘉隆君     西村まさみ君  三月十二日     辞任         補欠選任      小泉 昭男君     野村 哲郎君      高階恵美子君     長谷川 岳君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩城 光英君     理 事                 小見山幸治君                 広田  一君                 水岡 俊一君                 大家 敏志君                 岡田 直樹君                 長沢 広明君                 水野 賢一君     委 員                 尾立 源幸君                 大野 元裕君                 金子 洋一君                 櫻井  充君                 田城  郁君                 難波 奨二君                 西村まさみ君                 松井 孝治君                 石井 浩郎君                 磯崎 仁彦君                 上野 通子君                 中西 祐介君                 野村 哲郎君                 長谷川 岳君                 渡辺 猛之君                 竹谷とし子君                 中西 健治君    委員以外の議員        議員       広野ただし君        議員       井上 哲士君        議員       谷岡 郁子君    事務局側        事務総長     橋本 雅史君        事務次長     中村  剛君        議事部長     吉岡  拓君        委員部長     郷原  悟君    参考人        日本銀行総裁        候補者        学習院大学経済        学部教授     岩田規久男君        日本銀行総裁        候補者        日本銀行理事   中曽  宏君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人の出席要求に関する件 ○日本銀行総裁の任命同意に関する件     ─────────────
  2. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) ただいまから議院運営委員会を開会いたします。  まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本銀行総裁の任命同意に関する件のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁候補者・学習院大学経済学部教授岩田規久男君及び日本銀行理事中曽宏君の出席を求め、所信を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) 次に、日本銀行総裁の任命同意に関する件を議題といたします。  候補者から所信を聴取いたします。  まず、岩田規久男君にお願いいたします。岩田規久男君。
  5. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 学習院大学の岩田でございます。  本日は、所信を述べる機会をいただきましてありがとうございます。  私は、東京大学の大学院博士課程を修了した後に、一九七三年に上智大学で教鞭を執り、一九九八年からは学習院大学で教鞭と、研究と学生の指導に当たってまいりました。専攻は金融論や経済政策でありまして、初期のころは都市経済学研究していたのでありますが、その後、国際経済学者として名高い小宮隆太郎先生の下で金融論の研究あるいはマクロ経済学研究を始めまして、現在は金融論を中心に研究を続けてまいりました。  この度、日銀の副総裁にもしも任命いただきましたならば、これまで蓄積した学問上の知識、それを十分に生かして、あるいは今まで行ってまいりました政策提言を現実の政策に生かして、全力で職務を遂行してまいりたいというふうに思っております。  今日は、我が国のデフレとあるべき金融政策について私の考えを述べさせていただきます。  日本では長期のデフレが続いております。一九九二年以降、原油価格の高騰や消費税増税の影響を除くと、インフレ率はずっと二%を割り込み、一九九八年からは消費者物価で見るとずっとマイナス、ほぼマイナスが続いております。こうした状況で、人々が、結局将来もデフレが続くだろうというデフレ予想あるいはデフレ期待を抱いてしまう。そうすると、そういうデフレ期待の下でいろいろな行動をしますために、実際にもデフレになってしまうという悪循環に陥っております。デフレ予想が蔓延しますと、企業も家計も基本的にお金を持ったままでいれば自然に購買力も上がるということで、投資や消費を抑制するようになっております。これが日本の経済の低成長と円高をもたらしてきた要因だというふうに思います。  こうした状況を踏まえて、日本経済を再生するために安倍政権が大胆な金融政策、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略という三本の矢を出したわけですが、私は、この三本の矢は日本経済の好循環をつくり出すためにうまく使うと非常に適切な組合せじゃないかというふうに思っております。  その三本の矢の中で、私は、要になるのは金融政策ではないかというふうに思っております。金融政策というのはデフレ予想をもたらす要因にもなりますが、それをひっくり返して人々や企業の間にインフレ予想に形成を促すという機能も持っております。そうしますと、そのようなデフレ予想をインフレ予想に転換するということを金融政策がやっていくための、第一に金融政策がやるべきことは、市場に対して消費者物価の上昇率を、これは二%を一応約束していますが、これは必ず達成するという、これは全責任を持って日本銀行が達成するんだということを家計や企業あるいはマーケットに信用してもらうということが一番大事であります。これを金融政策が例えば二%のインフレ目標にコミットするといいます。今までは、日本銀行はそのコミットメントが足りないということが市場の期待形成にうまく働きかけることができなかったのではないかというのが私の持論であります。  もしもインフレ率が上昇するということになれば、現金を持つよりも株式を買う、外貨を買うという行動に出てまいります。その行動は既に出ておりまして、そのために株高、円安になっている。そして、こうした市場が変化すると、企業の設備投資が増えていく、円安になれば輸出が増える、企業収益が増加していき、それが雇用の増加につながり、やがて賃金が上がってくるという循環で、その賃金が上がる中で消費もまた更に回復するということで需給ギャップがなくなって現実の物価が上昇につながると。  この過程で、銀行の貸出しは当初増える必要はございません。なぜかといいますと、デフレが長く続いたために、家計のみならず、企業までもが現金、預金等の金融資産を大量に保有しています。現金、預金の残高は、金融機関でない企業、普通の企業ですが、が今や二百二十兆円にも上る現金、預金を持っております。これが凍り付いている、設備投資などに使われないわけですね。これはデフレ期待があるからそうなるんで、インフレ期待に変わると、それが動き出すと。そのお金で設備投資等、生産のための資金が調達できる。それでもう景気がどんどん良くなって足りなくなると、銀行に貸出しをお願いしに行くという循環になります。  このプロセスは既に始まっておりまして、物価連動債などを見ますと、予想インフレ率は今一%ぐらいもう既に上がっています。今までデフレ予想していたのがもう既に一%上がっております。それがそういうふうになっているからこそ株高や円安が起こっているということで、もう既にそれが起こっている。この動きを止めないためには、やはり実際にゼロ金利の下ですので、量的緩和を進めていく必要があるということであると思います。  第二本の矢であります財政出動というのも、これは、金融政策が、実体経済が動き出すまでに少し時間が掛かるので、つなぎのものとしては有効であるというふうに思いますが、しかし、金融政策が伴わないと、金利が上がってまた円高になり輸出が減るということで財政の支出の増大の効果がなくなってしまいますので、これもやはり大胆な金融緩和が同時に伴うという必要があると。  それから、成長戦略も同じように潜在成長力を上げるわけですが、潜在成長力というのはそのままですとデフレギャップの要因になります。したがって、そのデフレギャップが生じないように、せっかく上がった潜在成長率を、実際の成長率も潜在成長率に近づくためにもやはり大胆な金融緩和は当分の間は必要だというふうに思います。  そういう意味で、金融政策は三本の矢の中でも非常に重要な役割ということでありますので、私が日本銀行で仕事をする機会が与えられますれば、こうした金融政策の役割について私のこれまでした実証的、理論的な研究を生かして、職務に誠実に取り組みたいと思っております。  本日は、このような機会をおつくりいただきましてありがとうございました。
  6. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) 次に、中曽宏君にお願いいたします。中曽宏君。
  7. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 中曽でございます。  本日は、所信を述べる機会を賜り、大変光栄に存じます。  私は、一九七八年に日本銀行に入行し、以来三十五年間勤務してまいりました。その間、信用機構局信用機構課長、金融市場局長など、金融システムや金融市場に関する実務に携わりました。二〇〇八年からは理事として主に国際分野を担当してきました。この間、二〇〇六年からはBIS、国際決済銀行の市場委員会の議長として国際会議を仕切ると、こういう仕事も、機会も得ました。  もし副総裁としてお認めいただきましたならば、日本銀行の組織に長く身を置いてきた経験を生かしまして、職員の力を束ねて全力で総裁をお支えし、また政策委員会の一員としてしっかりと議論に貢献していきたいというふうに考えてございます。  まず、金融政策面からお話し申し上げます。  日本経済は、米国、中国など、海外経済に持ち直しの動きが見られる中で下げ止まっております。海外経済の改善や政府日本銀行政策に対する期待も背景にありまして、株価の上昇や円安方向への動きも見られております。まさに、積年の課題でありますデフレからの脱却と物価安定の下での持続的な成長を実現するため、またとないチャンスというふうに思っております。これを生かすことは日本銀行の重大な使命であると考えております。過去二十年間、累次にわたる内外の金融危機対応の最前線に身を置き、日本経済の苦境を目の当たりにしてきた者として、この機会を逃してはならない、そういう強い思いを持ってございます。  この一月、日本銀行は、政府との共同声明におきまして、消費者物価の上昇率二%を目標として、これをできるだけ早期に実現することを目指すとお約束をいたしました。その実現に向けて、政策委員会の他の八人の皆様とともに、前例にとらわれることなく、常に新しい発想で施策を生み出し、実行してまいりたいと考えてございます。この点、幾つかの点で私なりの貢献ができるのではないかと考えております。  まず、金融実務面でございます。  金融政策は、金融市場で金融機関との取引を通じて行うものでございます。とりわけ、非伝統的な金融政策におきましては、通常とは異なるオペレーションが求められますので、市場や金融実務に関する知識が重要になります。この面では六年弱金融市場局長を担当した経験が役に立つと考えております。また、これまで海外中央銀行の幹部との間に築いた人的ネットワークを通じまして、日本銀行の金融政策、そしてその目的とするところをしっかりと説明していきたいと考えております。  次に、金融政策以外の面でございますが、日本銀行は、考査あるいは最後の貸し手としての役割など、金融システムの安定にも責任を負っております。九〇年代の後半の金融危機の時期に、日本発の金融恐慌は絶対に起こさないという決意で、ほとんど全ての破綻処理に携わった経験をこれらの業務遂行に役立てたいと思います。また、地震などの災害時も含めまして、日本銀行券を流通させ、日銀ネットなどの決済システムを円滑に運行することなど、間違いなく業務を遂行していく必要もございます。  そうした日々の業務を支えているのが本支店約五千人の職員でございます。いっときたりとも中断してはならない業務を彼らは強い使命感を持って遂行しております。職員の高い士気を維持し、組織を結集することにより、政策委員会の判断と総裁の御指示に沿って、その意図を忠実に実現してまいります。組織運営面の面で総裁をしっかりと補佐することも私に課せられた重要な任務であるというふうに考えてございます。  日本経済が極めて重要な局面にあります現在、日本経済のために貢献できる機会をお与えいただきましたならば、全身全霊、職務に精励してまいりたいと考えております。  どうもありがとうございました。
  8. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) 以上で候補者からの所信の聴取は終了いたしました。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  9. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) 速記を起こしてください。  まず、岩田参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 櫻井充

    ○櫻井充君 おはようございます。民主党・新緑風会の櫻井充です。  岩田参考人にちょっと何点か基本的なことをお伺いさせていただきたいと思うんですが、一点お願いがございます。衆議院の議事録拝見いたしましたが、ちょっと御答弁が長くて、済みませんが、ちょっと短めに答弁をいただきたいと思います。  今のお話の中で、まず私は一つちょっと合点がいかない点があったんですが、それは何かというと、家計は、デフレになってきているので結果的にはお金で持っていた方がいいからお金を使わないという、そういうお話がございました。私はこの議事録読ましていただいてから多くの方々に話を聞いたんですが、誰もインフレだとかデフレだとかそういうことを考えずに貯蓄なり消費をしておりまして、先生が想像されているこういう方々というのは全体で何割ぐらいいらっしゃるとお思いでしょうか。
  11. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 何人かというのはちょっと調べていませんけれども、いずれにしても、消費がデフレの期待の中で、実際の所得も減ってきている、実質的に、消費もずっと減ってきております。問題は、一番問題は、貯蓄をするときに、専ら現金、預金だけで持って、株式とか外貨とかいう、もうリスクは一切取らないということがむしろ株安や、円安を、もたらしてしまって、それが企業行動に影響を与えるということになっておりまして、実際に、所得が減る中でやっぱり消費は減るということになっていると思います。
  12. 櫻井充

    ○櫻井充君 いや、先ほどの所信の中では購買力低下のところで今のような説明だったんです。ここ、少なくとも、文書がきちんとしてあるので、そのまま衆議院の議事録を読ましていただきますと、デフレ予想の下では、家計や企業が、お金をそのまま持っていれば実質的な購買力が上がると考えてしまって投資や消費を抑制しておりましてというふうにお話しされているわけです。  私が申し上げたいのは、家計はこのようなことを考えて消費を抑制しているわけではないということです。  これは、内閣府の調査、内閣府だったかどこか忘れましたが、なぜ貯蓄をするのかということを尋ねたときに、結婚している世帯は六〇%以上が二つしか理由がないんです。病気や不時の災害への備え、それからもう一つは老後の生活資金です。独身の方々はこの順番が変わりますが、六十代の方では七〇%以上の方々が老後の生活資金やそれから病気や不時の災害への備えということでこれ貯蓄しているんです。  ですから、今参考人がお話しされていることの前提は、今のようなマインドになっているから、このマインドに働きかければ消費が増えるという話になっていますが、その前提そのものが私は違っているんではないのかということを申し上げているんです。  この点について、消費者のマインドについてどのようにお考えでしょうか。
  13. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 御指摘のとおりの部面があって、二つあると思います。  一つは、やはりデフレになってくると、お金が、現金、預金が一番いいんだからそれを一番持つという、これは企業も家計も同じだというふうに思います。もう一つは、デフレ予想の下で将来の所得がやっぱり伸びないということを経験して知っているということがやっぱり消費を抑制すると。この間の所信表明ではその後の方のことはちょっと申し上げませんでしたけれども、二つの面が今言ったようにあるというふうに思っております。
  14. 櫻井充

    ○櫻井充君 おっしゃるとおり、企業の中ではそういうところはあると思いますよ。それも全面的に否定しているわけではありませんが、問題は、個人の購買力が上がってこない限りは、幾ら企業が設備投資をしようと思ったって設備投資する意味がありませんよね。私たちは何を考えていたのかというと、需要をどう喚起するかということで、可処分所得を増やすべきだということを考えておりました。  今回はそうではなくて、需要サイドに働きかける前に、金融的な手法を使って企業なりなんなりが設備投資をしていってと。ですが、こうやって設備投資をしても、繰り返しで恐縮ですが、需要が喚起されない場合にはバブルのときと同じような格好で過剰設備になってしまったりするんではないのかという、そういう危険をはらんでいるんではないかと思っています。  これは、済みません、多分平行線なのでここで終わりにさせていただいて、もう一点、今の中で、お話をお伺いしておりましたが、二%上げるんだと、日銀がその強い意思を示すことがインフレを招いていく、インフレをつくってくるんだというお話でした。では、より具体的にどういうことを行って二%上げようとされているんでしょうか。つまり、二%上げます、上げますと言ったとしても、実態上、何をしてくるのかということによって違うと思っているんです。  これは、昨日も黒田参考人に私はお伺いしましたが、必ずしも私は明快なお答えをいただけたとは思っておりません。そういう点で、済みませんが、端的に、より具体的にどういうふうにしてその二%の物価上昇を実現されようとしているんでしょうか。
  15. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) デフレからの脱却とかあるいは景気回復というんで、普通の景気回復のときは、金融政策で金利を下げて、そして銀行の貸出金利を下げて貸出しが増えていってという経路が普通通常なんですが、デフレ期待で、しかも、のときにはなかなかそういうふうにならないで、むしろデフレ予想をインフレ予想に変える、あるいは長期金利などを下げるという金融緩和政策有効になってまいりまして、それによって人々の、特にマーケットのまず予想が変わると。  マーケットの予想というのは、株式市場とか国債市場とか外貨の市場ですけれども、その市場では既に、アベノミクスで大胆な金融政策が取られるということで、先ほど申したように予想インフレ率一%ぐらいまで上がってきております。それが、株高、円安をもたらしていく。株高は設備投資を有利にする要因です。これは資本コストが下がるという要因なんですけれども。それで設備投資が有利になるんです。円安は輸出が有利になるということで、輸出が拡大すればやっぱり生産能力が要るというので設備投資に結び付くということで、それがまずコスト面から今までより設備投資が有利になるということが起こってまいります。  それが、やがて所得が増える、そういうことで、それから、株式は既に、株式を持っている人では消費が増えるということもありますが、いずれにしても、そういうふうになってくると、生産が増え、雇用需要が増えてまいります、どうしても。それが賃金に、上がるだろうという、だんだんだんだんそういう予想と、実際にもそういうことが起こってくるので消費も増えていくというのが、過去の、これは過去のデフレ脱却の歴史が全部示しているということで、そういう経験に基づいてお話ししています。
  16. 櫻井充

    ○櫻井充君 例えばアメリカのように多くの国民の方々が貯蓄ではなくて株式を持たれている場合には今の理論も成り立つんだろうと思います。現実に、現在株高になって高級品は売れてきておりますから、株式を持っていらっしゃる方々は今のお話のとおりだと思います。ところが、日本の場合には決して多くの方々が株式を持たれているわけではないということ。  それから、今の理論の中で私はやはり疑問を感じることは、企業が設備投資をしますと。設備投資が有利になるからそれはするのかもしれませんが、そこに実需が生まれるかどうかということが最も大切なことだと思います。  一方で、円安になった場合にはどうなるかというと、現在は石油の価格も上がり、それから輸入の小麦の価格もこれから上がってきて、先ほど参考人の中にもありましたが、結果的には、数年前に投機マネーが原油に入って、一バレル百六十ドルでしたか、あのぐらい付けた当時に、確かに国内物価は上がるんです。上がっております。  ですから、円安になって間違いなく国内物価は私は上がると思っていて、日銀のその金融政策の結果なのかどうか、まだ今のはアナウンスメント効果だけで、多分間違いなく輸入物価が全体の物価を引き上げることになると思うんですよ。  そうなると何が起こるかというと、賃金はまだ先に上がりませんから、そうなると、結果的には購買力の低下を招いてしまっていて、今のような議論にはならないんじゃないだろうかと、そう思いますけれども、その点についていかがですか。
  17. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) まず起こることは、先ほど言った円安の効果は、輸出産業中心ですけれども、まず製造業中心ですけれども、企業収益が非常に良くなります。バランスシートも、それから企業は全体に輸出産業ではなくてもやっぱり非常に株式をたくさん持っています。大体今、全体の株式と出資金の中では企業は二七%も持っております。ですから、バランスシートはすごく良くて、要するに含み益が出てくると。そこから企業の生産活動が活発になって、雇用、所得という順序になるんですけれども。  今言った、株式は日本ではそれほど保有していないから、そこからの消費は、いわゆる資産効果というのは小さいだろうというのは、アメリカに比べればそうであろうというのはおっしゃるとおりだというふうに思いますので、むしろこれからは企業活動が活発になって、雇用が増えて、所得が増えて、デフレ予想がなくなると将来の人々も所得が増えるだろうという予想がだんだん出てくるというふうに思っております。
  18. 櫻井充

    ○櫻井充君 おっしゃっていることの全てを否定しているわけではありませんで、ある部分については私はそのとおりだと思っているんです。ただし一方で、先ほどから出ているのが正の作用であって、その副作用といいますか、その部分についてどう勘案していくのかというところ、そこの全体のバランスで見てこなければいけないんだと思います。  今の中で、円安のことのデメリットについてのお話はございませんでした。繰り返しで恐縮ですが、それからもう一つは、先ほど参考人のお話の中で、銀行からの貸出しは増えなくていいんだと、これは一つの考え方だと思いました。というのは、古典的な考え方かもしれませんが、金融緩和する際に日本銀行が一般の金融機関に対して持っている国債を買い取ってキャッシュに変えて、一般的に考えれば、そのキャッシュを銀行が企業に対する融資活動を行わない限り市場に対してお金が出てこないだろうと。ですが、先ほどの参考人のお話で、別に銀行は貸さなくていいんだというお話がありました。それはそれで一つだと思います。  であったとすると、その中でもう一つおっしゃっていたことは何かというと、企業は内部留保を抱えているんだと。ですから、その企業が内部留保を抱えているので、それを出してくるからそれでいいんだという話がありました。これは、前提はここに立つと思いますが、確かにデフレなので今設備投資をしなくていいと、そういう立場に立っていれば、立場に立っていれば、確かにインフレになっていけば企業は設備投資を行うということになるんだろうと思います。しかし、今あれだけ内部留保を抱えている人たちが果たして単純にデフレだとかインフレだとかいうことで設備投資をしているのかしないのかということだと思います。  繰り返しで恐縮ですが、実需がなければ、実需がなければそこに対して設備投資をしないというのは、これ企業の行動として当たり前ですし、それからもう一つは、実需が発生すると思えないような中で設備投資をしていった場合に、僕はこれ景気一時的に良くなると思いますよ、バブルになりますから。だけど、問題は、そのときに、繰り返しで恐縮です、実需が生まれなければバブルのときに企業が苦しんだような過剰な設備投資になってしまうんではないのかと。  先ほどのお話の中で、金融資産なり外債なりにという話になっていました。これは結果的には金融でお金がただ単純に回っていくだけの話であって、実体経済上に対してどこまで影響が出てくるのか。これはもう一度、今度逆に言うと、アメリカでどうなっているのかというと、株式は史上最高高になっていますが、一方で失業率は七・七%と高止まりになってきていることを考えてくると、やはりそこに乖離があるんじゃないだろうかと。つまり、今のように相当多くの方々がストックを持っていらっしゃると、金融政策をやると確かに活性化されるように見えるけれど、実体経済上には格差が広がるだけの感じがしてならないんですが。  改めてもう一度お伺いしておきたいのは、円安になって購買力が低下するという懸念はないのかどうか、どうしてそこに実需が、今の参考人のお話でどうしてそこに実需が生まれるのか、より具体的に説明していただけないですか。
  19. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 金融政策というのは基本的には金利が、例えば政策金利が下げる余地があって金利が安くなる場合もそうですし、今度の場合は、長期金利は下がると思いますが、予想インフレ率が少し上がってくるというのは、結局、一番企業企業行動に影響を与えるのは予想実質金利です。名目金利ではなくて、将来どれだけインフレ率が起こるかを加味した予想実質金利。  金融政策というのは、結局は予想実質金利を下げることというコスト面から影響を与えるものなんです。これはもう金融政策はそういうものなんですので、それでもって実体経済というのは、コスト面は下がったから企業収益は、コストが下がったから設備投資は前よりも、デフレ期待のときよりは有利になって設備投資は起こってきて、設備投資が起こると、あとは御承知のとおり乗数理論というのが起こってきまして所得が増えるという、この循環で、金融政策の役割はそこにあるということです。  円安に関して輸入物価が上がるということでありますが、それは、ですから、金融政策をやる場合に簡単に、エネルギー価格が上がっただけでインフレ率が目標達成したと思ってすぐ引き締めるというようなことは世界のインフレターゲットの国は全部やっておりませんで、もうちょっと中長期的にそれがどう影響するかを見ていきながらやって実際に効果を上げているということでございます。
  20. 櫻井充

    ○櫻井充君 端的にお答えいただきまして、どうもありがとうございました。  これで終わります。
  21. 中西健治

    ○中西健治君 みんなの党の中西健治です。  岩田参考人、岩田教授にはこれまでもいろいろと御教示いただいておりまして、大変お世話になっております。今日はよろしくお願いいたします。  まず、これまでの岩田教授の主張の幾つかをまとめてみますと、日銀法改正については、責任を明確化することで物価目標の達成が早まる効果があるということで賛成だということだと思います。それから、責任の取り方ということについては、最高の責任の取り方は辞職だということをおっしゃられていると思いますし、あと外債購入については、今は必要ないけれども、手段としては取っておくべきだということだと思いますが、確認ですが、今の認識でよろしいでしょうか。
  22. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) そのとおりでございます。
  23. 中西健治

    ○中西健治君 これも確認に近いことということになるのかもしれませんが、安倍総理は国会答弁でデフレは貨幣的現象であるということをおっしゃられております。岩田参考人も近い考え方なんじゃないかなというふうに思いますが、貨幣的現象かどうかという言葉はともかく、金融政策だけで物価目標二%は達成し得るということでよろしいでしょうか。
  24. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 物価に影響するのは金融政策以外でも確かにございます、先ほど言った輸入物価とかそういうのありますが。結局、いろんなところで、ほかの要因で上げ過ぎる要因があった場合には、金融政策のやり方を変えれば結局は二%のインフレになるということで、あるいはデフレ要因がほかにあったとしても、金融政策が結局しっかりしていれば二%のインフレはできるということで、最終的には金融政策が決めることができるということだと思います。
  25. 中西健治

    ○中西健治君 はっきりとした御答弁、どうもありがとうございます。  遅くとも二年で物価目標を達成する、一・五年から二年、遅くとも二年でということをおっしゃられておりますけれども、となりますと、当然金融緩和は早ければ早いほどよいということになるかと思います。  もし副総裁に就任されるということになりますと、四月三日、四日が初めての日銀の決定会合ということになりますが、それよりも早く、早ければ早いほどいいわけですから、前倒しで決定会合を提案する、そんなようなおつもりはありますか。
  26. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) まだ拝命されていませんのでそこまでは考えていないんですが、ただ、今どのぐらいマネタリーベースを増やしていくペースがあれば二年ぐらいで到達するかというのを、今までの予想インフレ率とかそういうデータを集めて研究しておりまして、それも、手伝ってくれる人もいるのでやっておりますので、そういうことは続けていきたいというふうに思っています、任命されるかどうかにかかわらずですね。
  27. 中西健治

    ○中西健治君 日銀法改正について賛成ということのようでありますけれども、この日銀の政策目標、これに雇用ですとか成長ですとか実体経済を含めていく、こうしたことについて参考人のお考えはいかがでしょうか。
  28. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 金融政策は、まず最初、何といっても物価に影響を与えるというのが一番の効果でありますので、その目標値というのは二%というのは非常に的確なんですね、何%。ただ、雇用は何%にするかというのはなかなか難しくて、その場合にはインフレ率と雇用とのバランスで決めなきゃいけないと、二つの数値をもしもやるんならばですね。  ということで、世界で両方の何%何%を目標にするというのは必ずしも整合性が取れない場合もありますので出てないと思いますが、ただ、金融政策は単なるインフレ目標が二%になればいいというだけではありませんで、それは雇用の最大とかそういうような国民経済にとって国民生活が良くなるということがありますので、それを実際の経済では勘案する。  ですから、FRBは、二%と言ったけれども二・五%までなら、で雇用が安定するならばそれまでは許容するという。それから、イギリスでも同じように、三%ぐらいまでは雇用の最大化のためには許容するよということが政府との間で合意ができると、そういう政府と中央銀行がコミュニケーションを取って合意ができる、そういう中央銀行になりたいというふうに思います。
  29. 中西健治

    ○中西健治君 ということは、日銀法の中で、雇用ですとか成長ですとか、そうしたことを明記することは余り賛成しない、そういったことでしょうか。
  30. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) どのインフレターゲットの国も全部、それ以外に、インフレ目標はこうするけれども、ほかのことを、今おっしゃったようなことを配慮するというのはどこの中央銀行も書いてあります。イギリスでも、やはりインフレ目標の達成というのは二%、上下一%もありますから、その範囲できちっと雇用の最大化と政府の経済政策を支援すると書いてありますので、私はそういうふうなことをきちっと、雇用の最大化とかも配慮するというのは明記するということもいいと思っております。
  31. 中西健治

    ○中西健治君 そうしますと、雇用の最大化を明記したとしても、数値目標まで掲げるとなるとそれは問題が多いところもあるんじゃないか、そのような理解かなというふうに思います。  そしてもう一つ、中央銀行の独立性についてお伺いしたいと思いますけれども、目標の独立性と手段の独立性、これはしっかり明確に分けるべきであるのかどうかということについて。
  32. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) これも私のいろんなインフレターゲットの国の研究から、うまくいっているとかうまくいっていないか判断するんですけれども、一番、どこの中央銀行あるいはインフレターゲットの国も、政策手段に関してではどう取るかは政府から干渉を受けないという、これはもう決まっておりますので、これはもう中央銀行の独立性として絶対守らなきゃいけないということですね。  物価の安定、特に物価の安定の具体的にというとインフレ目標数値になるんですが、それをどうするかというのは、イギリス型ですと、政府が決めるというふうになって中央銀行は言わば排除されていますが、そのほかの国でも幾つかあって、中央銀行と政府とが合意をするというふうになっている。ただ、その合意のところでも、金融政策に関する考え方というのが政府と中央銀行の方で余り変わらないんですね。ですから、何%にするかを巡って合意をする場合にも中央銀行と政府が余り対立したという歴史はないんですね、大体二%ぐらいで、もう経験的にもそれでうまくいっているんだからということで。  元々そういうふうになっていますので、インフレ目標の設定を中央銀行が政府から完全に独立して持っているという国はインフレターゲットをやるところにはないんだというふうに思います。
  33. 中西健治

    ○中西健治君 そうしますと、目標の独立性というものを完全に持つ必要は、当然中央銀行はないということでよろしいということでしょうか。──はい。  それから、岩田参考人の、これまで量的緩和についていろいろ数値目標などもおっしゃられているかと思いますけれども、現在の日銀のやっていることに比して、これからどれぐらいの量的緩和を行えばいいのか、そうしたことについてお考えをよろしくお願いします。
  34. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) この際、まだ軽々に申し上げられないんですが、今ちょっとまたいろんな研究をしているところで、時期によってもどのぐらいマネタリーベースを増やせばいいかは違ってくるんですね。例えば、アベノミクスのような、こういうふうになっていると期待インフレ率は急上昇しています、マネタリーベースは増えていないんですけれども、そんなに。  ですから、そういうことによって、金融政策がどういうスタンスに立つか、レジームといいますか、それによってもマネタリーベースの必要量は違ってくるので、それをもう少し精査してからでないとちょっとお答えができないという、現在研究中です。
  35. 中西健治

    ○中西健治君 以前は当座預金の残高ということを、これをターゲットにすべきであるということをおっしゃられたかと思いますし、その当座預金残高というのを今の倍ですとか、八十兆円とか九十兆円とか、そういったお考えを直近でも表明されていたと思いますが、今現在はそれは白紙にしていると、そういうことでしょうか。
  36. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 白紙にしているというよりも、それも一つの、それは実は時期によって違うんで、取っている時期で。ただ、そういうことを発表するときはそこしか機会がないものですからそれしかないんですけれども。  当座預金で目標にするというのは一つの操作、金融政策の操作上は比較的マネタリーベースよりやりやすいのでちょっとそれを申し上げたんですが、それは、ただ、どちらがいいかというのは、いろんな専門の人にも意見を聞いてこれから考えていきたいというふうに思います。
  37. 中西健治

    ○中西健治君 それでは、当座預金の付利引下げについてはどうお考えになっていますか。
  38. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) これも二面性があるんですが、付利というのは基本的にはそれほどなくても大丈夫かなというふうには思っていますが、これもちょっと、FRBもそういうふうにしておりますので、ちょっと今すぐこうだというふうには答えられないんですが、なくてもいいかなという気持ちはあります。
  39. 中西健治

    ○中西健治君 これまでの岩田参考人のお話を伺っておりますと、国債の買入れについては非常に積極的ということだと思いますけれども、国債以外のリスク資産について購入をするべきかどうかということについては余り発言がされていないというふうに思いますけれども、それについてはどのようにお考えなんでしょうか。
  40. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 今までの私の研究からすると、長期国債を買っていけば二年以内にはインフレ率は二%ぐらいに達するという、幾つかの期間によって違うし、その期間の取り方によっても違うんですが、そういうふうに感触があるので、あえてリスク資産まで踏み込まなくてもできるかなというふうに思います。ただ、やってみなきゃこれ分からないところがあります。  ただ、アメリカのような、非常にレバレッジがすごく多過ぎてそこから崩壊していくという場合とちょっと違って、それは、レバレッジが高いという、もう既にそれは終わっております、日本では。そういう場合には、アメリカのように、アメリカは住宅市場の債券買っていますけれども、そういうようなことをしなくても長期国債だけで何とかいくんではないかと。ただ、様子を見てやらなきゃいけないので、全ての政策手段を初めからあらかじめ排除するということは危険だというふうに思っています。
  41. 中西健治

    ○中西健治君 アメリカの例を出されましたが、アメリカの場合にはモーゲージ担保証券、MBSの市場というのは非常に大きくて、国債の発行残高よりも大きいということがありますから、中央銀行は買うことについて余り流動性を気にしないで済むというところがあると思いますけれども、ほかの、日本に、日本市場で考えると、リスク性資産を買う場合にはやはりリスクプレミアムというものについて注目していかなければいけない。市場にゆがみが生じている場合に買っていく、そんなようなことになるんじゃないかと思いますが、幾つかの市場でやはり市場がゆがんでいるということが見られているというふうに思います。  それから、昨日も黒田参考人に申し上げたんですが、今年は三月で中小企業金融円滑化法というものが最終的に終わるということになりますので、その後、中小企業向けの銀行の債権というものがひょっとすると芳しくないような状況になりかねないと。そうしたものについて、やはり購入を考えていくべきなんで、金融システムの安定ということからしても日本銀行は考えていくべきなんではないかという私は提案を申し上げたんですが、こうしたことについて、今は確たるお考えはないと思いますが、どのように今聞いてお考えになりますか。簡単に。
  42. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) そういう考えは余りしなかったので、どうも御参考ありがとうございました。これからそういうことも、いずれにしても、いろんなことを含めて考慮して慎重にやっていきたいというふうに思います。
  43. 中西健治

    ○中西健治君 もう一つ、物価目標の指標について、CPIの消費者物価指数の総合を使うのがいいのか、それともコアコアと言われているものを使うのがいいのか。フードとエナジーを除く、食料品とエネルギーを除いたものを使うのがいいのかという議論がよくなされるわけでありますけれども、岩田教授はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  44. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 物価目標で、中長期的に考えていく、二年とか、もう少し長くてもそうですが、その場合にはやっぱり総合でいいというふうに思います。ただ、総合というのは、先ほど言った短期的に大きく振れますので、それを見てすぐ、何か足下で、二、三か月で、もうこうなったから金融政策をこう変えるということではないという意味では、コア、アメリカ型のコアですけれども、エネルギー食料品を除いた、こういうものをきちっと見ながら、総合と勘案しながら見ていって、中長期的には総合だけれども、短期的に振れていると、一年ぐらいで、というときに、すぐ総合で、もう二%、三%になったからというんではなくて、やっぱりそのときはコアをきちんと見るという、それは普通インフレターゲットの国は皆そうしているということでございます。
  45. 中西健治

    ○中西健治君 先ほど櫻井委員からの質問でもありましたけれども、やはり国民生活上、物価が上がった場合に一番気になるのが賃金ということになるかと思いますけれども、賃金のインデックス、厚労省が発表しているようなものもありますけれども、こうしたデータを指標の一つとして加えていくということについて、ちょっと勘案するという程度ではなくて、しっかりとした指標として掲げていくということについてはどうお考えになりますか。
  46. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) おっしゃるとおり、よく言われる、物価だけが上がって賃金が上がらないのは困るというのはそのとおりでありますので、物価の上がり方と賃金の上がり方というのをやはりいろんな指標を見ながら、厚生労働省が出しているのもあるし、総務省の家計調査などもありますので、きちっと見ながら金融政策を運営していくということが大事だというふうに思います。
  47. 中西健治

    ○中西健治君 質問を終わらせていただきますが、やはりそこら辺を明示的に日銀はアナウンスしていただきたいなというふうに思います、もし副総裁になられたら。そうでなければ、やはり物価だけが上がるという、そして賃金が上がらない、そしてそうした金融政策がずっと取られてしまうということの懸念が払拭できないということになると思いますので、どうぞよろしくお願いします。  ありがとうございました。
  48. 渡辺猛之

    ○渡辺猛之君 自由民主党の渡辺猛之でございます。  岩田参考人に質問をさせていただきますが、政治というのは結果責任であります。幾ら、これだけ頑張っていますよ、これだけ努力をしていますよと言っても、やっぱり結果が伴わない限りは評価はいただけません。そういう意味では、昨日からも議論になっておりますけれども、この十五年間、日本はデフレに悩んでまいりました。これは、岩田参考人がマスコミ等で日銀批判の急先鋒というような評価をされることもありますけれども、まさにこれは先生の御指摘どおり、実際、結果として見た場合に日本はデフレから脱却をしていないという現状があると思います。  そんな岩田先生でございますけれども、私あえてまずお尋ねをしたいのは、デフレの解消については確かに今までの日銀が取ってきた政策というのは評価されないと思いますけれども、じゃ、日銀が取ってきた政策で、先生がこれは評価をしてもいいんじゃないかという点がもしございましたら少しお聞かせをいただきたいと思います。
  49. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 金融政策日本銀行目的というのは信用秩序の維持と書いてあって、実は物価の安定は目的じゃなくて理念になっているんですね。これも一つの問題だと思っていますが、そういう意味で日本銀行は信用秩序の維持というところでは非常に成績が私は高いというふうに思っています。
  50. 渡辺猛之

    ○渡辺猛之君 ありがとうございました。  今申し上げましたように、評価すべきところはありますけれども、デフレ解消という点では私も先生と全く同感でございます。  そんな中で安倍政権が誕生いたしまして、いわゆる三本の矢の下でアベノミクスがこれからまさに行われようとしているところでありますが、その中で、先ほど先生の所信の表明の中でもありました大胆な金融政策、これ非常に重要だというお話でございましたけれども、先生御自身が考えられるこの大胆なの中身、あるいはその大胆なの意味、少しお聞かせいただきたいと思います。
  51. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 大胆なというのともう一つ、これまでとは次元の違うということを安倍首相、総裁もおっしゃっていると思うんですが、それが大事だと、一つは、一番大事なのはまずそこだと。  次元が異なるというのはどういうことかというと、金融政策でデフレ脱却をして、そしてインフレ目標を達成することができるんだというその立場です。今まで日本銀行はその立場に立っていないんですね。いろんな、構造改革だ、不良債権の処理だ、いろんなことがなければ日銀にはできないという話だったんで、これを日銀でできるんだという、まずその立場、これをコミットメントといいます。これに立たないと、どんなにお金を出そうが何しようが、やっぱり効かないんですね。  ただ、その中でも、日銀がそういう態度であっても、マネタリーベースをやっぱり増やしていけば中長期的に予想インフレ率上がっていくと思いますので、効果ないことはないんです。ただ、効果の在り方が小さいということですね、コミットメントしないと。  ということで、大胆なというよりも、次元が異なるという意味は、日本銀行が全責任を持ってやりますよと、インフレ目標達成に向かって。その立場にまず立って、それでどれだけマネタリーベースやあるいは長期国債をするという次の手段の問題になると思いますので、手段の前にもう一つコミットメントが必要だということです。
  52. 渡辺猛之

    ○渡辺猛之君 先生のお話を聞いておりますと、多分、日銀が発するメッセージの中に、その責任は日銀にあるという、そういう覚悟をやっぱりまず市場に伝えていく必要性があるのかなと、そういうふうに理解をさせていただいたところであります。  今回の日銀総裁あるいは副総裁の同意人事の、先生を始めとしてメンバーが発表されたと同時に、先ほど先生からも御指摘がありますように、予想インフレ率はどんと上がりまして、非常にもう市場に対して強いメッセージをまずは第一段階として私は発しているというふうに理解をしております。  その中で、やっぱりデフレの本当の意味での脱却には、政府財政政策と、そしてまた日銀の金融政策、これが緊密に連携する必要があると思います。ただ、この布陣に対しまして、日銀の独立性が本当に保たれるのかどうなのかという疑念があるのもこれまた事実であります。  政府との連携と独立性という一見相反しているこの関係につきまして、これまでの日銀の体制をどう評価されておられるのか、そしてまた、今後具体的にどのような関係を日銀と政府が築いていくのがいいと思われるのか、先生のお考えをお聞かせください。
  53. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 所信でも述べましたけれども、財政出動であるとかあるいは成長戦略がやっぱり成功するためにも金融政策協力が必要だというふうに思っている。それが政府との金融政策の整合。ただ物価目標だけであれば二%できるんだけれども、ただ二%上がった物価でも、もっと成長率が高い、実質的に高い、あるいは実質賃金も上がるという政策は、やっぱり成長戦略というのはそれには必要なので、良い、何というんですか、二%でも良い二%になってくれるためには、政府の成長戦略がうまくいって実質も上がってくる。もしも実質が一%であれば二%のインフレ、三%の名目ですね、二%の実質だったら四%の名目ですが、そういうふうになった方が、同じ二%でも実質が高くなるのはやっぱり成長戦略が必要だというふうに思います。
  54. 渡辺猛之

    ○渡辺猛之君 日銀の政策とそれから政府の成長戦略が、これがタイアップしていくというお話だと理解をさせていただきました。  次に、先ほどからも少し出ておりますけれども、物価の上昇に伴ってやっぱり雇用あるいは賃金が伴わないと、これは国民経済にとって非常にマイナスになるという、これは誰しも認識の一致するところだと思いますけれども、現在のところは依然として厳しい雇用環境が続いているのが現状であります。  FRBなどは金融政策目的の一つに雇用の最大化というのを明記しておりますけれども、日銀として雇用の確保にどの程度関与するのがふさわしいと思われるのか、先生のお考えをお聞かせください。
  55. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) アメリカがなかなか失業率が下がらないということは、やはり前に借金をし過ぎた経済で、資産デフレが非常に大きくて、住宅市場が壊滅しているということが大きいと思いますので、日本はアメリカほど不利な条件には雇用の面ではないというふうに私は思っておりますので。  要するに、企業収益が良くなって設備投資が増えて所得が増えるという循環ですので、それは少し時間が掛かるかもしれませんけど、必ずそういうことが起こってくると。過去も、デフレのときには実は賃金はほとんど上がっていないんです、実質賃金は下がっている。しかし、マイルドなインフレやインフレのときには実はインフレ以上に所得は上がっているんです。それも統計的にも示している。やっぱりデフレだとうまくいかないということを、過去、一九七〇年代以後からデータを見るとずっとそういうふうになっておりますので、それほどそう御心配される必要は私はないというふうに思っています。
  56. 渡辺猛之

    ○渡辺猛之君 最後の質問としてお聞かせをいただきたいと思っておりますが、先般衆議院の質疑でもありましたけれども、一月の政府との共同声明で発表した目標が達成されなかった場合、要はインフレ率二%という話でございますけれども、このような目標が達成されなかった場合、岩田参考人の責任はどのように取られるおつもりなのか、あえてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  57. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 最終的にはやっぱり辞職するというのが一番だというふうに思いますが、ただ、今日それが独り歩きすると困りますので、投げ出したというふうには思わないでいただきたいと思います。
  58. 渡辺猛之

    ○渡辺猛之君 先ほど、先生の御自身の中にもございましたけれども、やっぱりこれ、日銀が何が何でもデフレを脱却するんだという覚悟を持ってという、そういう意味では、今の先生の御発言、私は一つの先生の覚悟の御表明だというふうに思っております。  覆水盆に返らずという言葉もございますけれども、どうか誤りのない、慎重で、そして市場の動きに敏感な政策を運営をしていただきますことを心から期待をして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  59. 長沢広明

    ○長沢広明君 公明党の長沢広明でございます。  岩田参考人には、私、三問お伺いしたいと思っております。  一つは、大変基本的なことでございますが、先ほど来の質疑を伺っていて、大変、岩田参考人、滑らかにお話をされる方だなというふうに思っております。  今回、副総裁の候補者として今この場にいらっしゃっているわけでございますけれども、副総裁として就任された場合、総裁をサポートする立場になるわけでございますが、御自身のこれまでの経験とお力を生かしてどのように総裁をサポートされるおつもりか、その点についてお考えを伺いたいと思います。
  60. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 全ての面でサポートするということだと思うんですが、特に私に課せられたというか、あるいは私が得意とすると言ったらいいか分かりませんが、やはりインフレ二%を達成する、そしてそういう賃金とかそういうことも目配りしながら達成するという面での、今まで蓄積してきた理論とそれから実証、きちっとデータに基づいた、それでもって総裁の、これから金融政策どうすべきかという理論的、実証的なバックボーンになりたいというふうに思っています。
  61. 長沢広明

    ○長沢広明君 二問目ですけれども、アメリカはゼロ金利政策を失業率六・五%までという目標を掲げたと。イギリスでは、カーニー次期中央銀行総裁が名目GDPを目標と掲げると。今回、物価指標を目標として日本の場合は日銀は掲げているわけで、岩田参考人はその物価指標を目標とするということを、物価目標の導入ということをずっと主張されてこられた立場として、なぜ日本においては物価指標を目標とするのがいいのか。アメリカやイギリスのように、ほかの物価指標以外のものを政策目標とすることについては、それぞれの国の事情もありますけれども、どのように、物価以外のものを指標にすることについてどう考えるか、ちょっとこの点、伺いたいと思います。
  62. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) まずアメリカですけれども、アメリカの場合は、実は物価目標と雇用最大化と、もう一つ長期金利の安定というのがございまして、三つあるんですけれども、そういったやり方ですけれども、でも今度、一応二%の長期目標というのをFRBも導入して、ただ、それを、雇用の最大化があるからそれを勘案しながら少し柔軟にやっていくということだと思うので、それは一つのやり方だと思います。  イギリスは、今のところやっぱり二%のインフレ目標で、名目GDPを目標にしているところは今ちょっとないんですけれども、インフレ目標の政策と名目GDPの政策目標というのは両方とも非常に似ているところが実はございます。名目GDPの方がいいという理論的な研究もあるし、やっぱりインフレ目標がいいという、いろいろあって、ただ、名目GDPは一番難点は四半期で遅いということなんですね、データが。ですから、遅れて、それからしょっちゅう改定もされます。そういう面でのデータの信頼性が得られるまでに非常に長く掛かるということで、一つそれが欠点でございますが、ただ、検討には値することだと思いますけれども、差し当たり、まだ十分な実証的な研究もないのに対して、インフレ目標はもう二十数年比較的うまくいっているという経験がございますので、新しくやる、日本として導入する場合には、まずそちらの経験済みで成功経験がたくさんある方から進めるのがよろしいかというふうに思っています。
  63. 長沢広明

    ○長沢広明君 これから日銀の副総裁としてもし働かれる場合において、大変理論派の先生でいらっしゃいますが、やはり現場、現実というものを是非よく酌み取りながらお仕事をしていただきたいというふうに思っております。  特に、我が国の場合は、中小企業がやはり本当の経済を支えているというのが現実としてございます。この中小企業、これ日銀の試算ですけれども、資金繰りが大変厳しくなっていて、その資金繰りの中でいわゆる借入れをするための担保になる不動産がない中小企業というのが四八%に上っていると、これ日銀の数字です。いわゆる半分の中小企業が、そういう意味では何か借入れしようとしても、もう現実に制約を受けているという中にあるということで、非常に資金繰りというのが、もう資金需要に対する手だてがなくなってきているというのが現実としてあるというのが、これ日銀の数字としてあります。  二十三年、おととしの六月ですけれども、日銀においては動産債権担保融資に対しての貸付枠五千億というのを設定されて、それから去年三月には、これ、中小企業を支援するということを目的にした日銀としての政策で、小口投融資を対象にした新たな資金枠五千億、こういうのを導入されて、もう大変、そういう中小企業の現場に対して日銀としてもちゃんと目くばせをしているという姿に対しては、大変に私たち評価したいというふうに思っております。  今後、さらに中小企業の資金繰りの改善に向けて、先生の知見の中から、日銀としてどのような役割を果たしていくべきか、また何ができるか、その点についてお考えがあれば伺いたいと思います。
  64. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 個別の企業融資ですけれども、基本的には日本銀行というのは全体の金融を見るという。今後、デフレ脱却の過程では必ず実質金利が下がってまいりますので、やはり借りやすくなると思います。  よく名目金利が非常に低いから借りやすいと思われているんですが、実は実質金利はアメリカより高いんですね。というのは、あちらは予想インフレ率プラス二、三%のインフレ予想していまして、こちらはデフレ予想しているためにそういうことが起こってしまうんで。ですから、そういう面では実質金利が下がるというのでは借りやすくなると思うんですが、ただ、おっしゃったようないろいろ、担保がないとかいろいろあります。そういう問題に関して、中央銀行がやるべきなのかどうかというところには少し問題があります。それは、むしろ政府の本来は政策金融でやっていくべき問題だというふうには本来思いますので、できるだけ金融政策は余り偏らない。  ただ、もうよほどマーケットが崩壊するような、アメリカのリーマン・ショックのようなときには、今おっしゃったような直接CPを買うとかいうのをアメリカもやりましたけれども、しかし、基本的には中央銀行は全体の金融の平均的なものへ影響して、政府が足りないところを政策金融で補うという役割分担ではないかというふうに思います。
  65. 長沢広明

    ○長沢広明君 もちろん、政府の側、政治の側としてもしっかりそこは一番、日本経済、本当は屋台骨は中小企業が支えていると、屋台骨であるというふうに思っておりますので、これはもう政治にとって大変大きな課題でありますので、政治の側が一生懸命そこに対する政策をきちんと打っていくということは当然私たちの使命であり責任であるというふうに思いますが、中央銀行として国家経済を、国民生活、特に国民経済をどう発展させるかということが日銀の使命の一つでございますので、その意味では、現場の中小企業という経済の屋台骨を意識したこれからまた指揮を執っていただきたいということを要請をさせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  66. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 おはようございます。民主党・新緑風会の尾立源幸でございます。  今日は岩田参考人に幾つか質問をさせていただきたいと思いますが、まず私の基本認識というのは、デフレの脱却というのは、これは国全体が取り組んでいかなきゃいけない、そして早期に脱却しなきゃいけないというところでは共通しておりますが、ただ、二%の物価目標を達成すれば全てバラ色というような、そういう何か雰囲気が蔓延していることは、非常に私は違和感を感じております。これは国会同意人事ということですので、我々は様々な角度から皆さんのおっしゃっていることを評価していかなきゃいけませんし、やっぱりネガティブな部分も、また落とし穴や副作用がないかということもきっちりチェックをしていかなきゃいけないと思っております。  そういう意味で、更なる量的緩和というのが、やはり長期国債の購入ということになるとお考えだと聞いておりますが、これが財政ファイナンスと見られかねないような状況になっちゃいけない、更には財政悪化につながっちゃいけないと、こういう危惧感を持っておりますし、また国民生活から見ると、櫻井委員からもお話がございましたように、単純に物価だけが上がって賃金が上がらないと、俗に言う悪いインフレのようなことにもなっていっちゃいけないと。こういうところのしっかり我々はチェックをしていかなきゃいけないと思っております。  そういう視点で少し聞かせていただきたいと思いますが、まず、イギリス、イングランド銀行のような中央銀行が理想だということを常々おっしゃっております。また、今質疑にございましたように、雇用の最大化、極大化というようなアメリカ型の目標設定の仕方もあると思いますが、改めてお聞きしますが、イングランド銀行ということを心の底から信念としてお持ちだということでよろしいでしょうか。
  67. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) イングランド銀行はよく、分かりやすいので取りますが、必ずしもイングランド銀行が全てだというふうには思っておりません。どのインフレターゲットの国も実績は非常にいいので甲乙付け難いというふうに思いますので、イングランド銀行だけがいいのではなくて、ほかの、中央銀行と政府とが協議してインフレ目標を決めていって、どういうふうに中央銀行はそれを、責任達成のときにはどういうことをすべきかというふうなアグリーメントというのがありますから、そういうやり方もあるんで、何か一概に、まだ研究する前ですので、これから、一番いいのはどれかは。ですから、それはまだ私、独断で、そういうふうにまだ決め付けてはおりません。  それから、財政ファイナンスのことですが、財政ファイナンスをするということを実は防ぐためにインフレ目標というのは導入されたんです。ニュージーランドでは、インフレ目標が導入される前は、政府に言われて国債をどんどん買ってしまってお金がどんどん出ていったために二桁台の一五、六%というようなインフレにずっと八〇年代、悩まされてきた。そこで、むしろ目標は二%にすると、その達成手段は中央銀行が政府から言われない、干渉されないでできるとしますと、二%になっているのに、まだ国債を、実は中央銀行が、買ってほしいと言っても買わないわけなんですね。それによって財政ファイナンスを防ぐことができるという一つの仕組みとして実はインフレターゲットというのは導入されたという経緯があります。それでよろしいですか。
  68. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 副総裁予定候補として本当に理論的にすばらしい御見識をお持ちだと思うんですけれども、先ほども質問ございましたように、副総裁として日銀全体をマネジメントこれからしていかなきゃいけないと思っているんですけれども、先ほど御経歴お聞きしますと、研究をずっとされてきたということで、組織のマネジメントについてはややこれまで御経験があるのかなというクエスチョンが付くんですが、積極的な発言とともに、裏腹の部分でございますが、日銀のマネジメントという意味で、御自身はどのように考えていらっしゃいますか。
  69. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 御参考になるかどうか分かりませんが、大学で、学科主任、学科長、それから大学院の研究科委員長、それから経済学部の学部長、そういうことも経験して、マネジメントを全くやらないわけではございません。  一見すると、私が何か理論派で、事務が全然駄目なように思われるんですが、案外まめでございまして、きちんとやって、評価は大学に聞いていただければ分かると思いますけれども、決して悪くないというのは、私も自分では自信は持っております。
  70. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 もう一点、黒田参考人は昨日質疑をさせていただきました。そして、中曽さんについてはこれからなんですが、これまでの議事録等々から考えますと、ややスタンスが岩田参考人とは違う。こういう中での意思統一の仕方というものについてはどのようにお考えですか。
  71. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 個人的にお話ししていないので、するといろいろ分かり合うということはあると思っておりますが、答弁とかいろいろ、それから黒田さんに関しては、二回ほど研究会で私がお話ししたときに、やっぱり出席されていろいろ議論しておりますので、それから、ずっと所信表明とかやり取りを、最近のを見てみますと、黒田さんとは金融政策はほとんど変わらないというふうに思っております。両方とも、まず基本的にもう同じだというふうに思います。  中曽さんに関しては、私は十分まだよく分からないんですが、ただ、やはり日銀の今までのは不十分だったというふうにおっしゃっていますので、決して、三人が話し合って、そしてきちっと今までの実績とか実証研究をきちっと、こういうデータでこうだと言っていければ、私は話し合えば分かってくるというふうに思って、その辺はそんなに心配しておりません。
  72. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 それでは、インフレ期待ということをずっとおっしゃっておりますが、これを実現させるための具体的な手法と根拠というものを改めてお聞きしたいと思います。  その背景には、期待を持てば必ず実現するんだという合理的期待というのがあるのかと思いますが、もう少しそこの部分を改めておっしゃっていただきたいと思います。
  73. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 金融政策で期待を影響する最初の段階は資産市場です。というのは、金融政策というのは要するに資産市場にまず影響を与える市場です。ですから、そこでの、それをマーケット、マーケットと普通言っているんですが、そこの投資家たちが、まず金融政策のレジームとして日銀がどういう立場に立っているのかということをまず見ていると。それプラス、それじゃ、そうしたときに、じゃ証拠はどうなのかというのは、マネタリーベースや日銀当座預金をやっぱり見ています。日経新聞に日銀当座預金しょっちゅう出ているんですけど、あれやっぱり見ているんですね、投資家たちは。そこで判断している。  ですから、バレンタインショックという、去年の二月十四日のときにも、日銀がやる気を見せる。レジームが、金融政策が変わったなと思ったときに、予想インフレ率が急激に上がりました。あのときはデフレ予想だったんです、最初は。それがもう〇・七%まで上がりました。今回も、今度は安倍首相のときも、〇・六%後半ぐらいだと思いますが、今、一・二%ぐらいまで上がってきています。  というふうにして、金融政策が、まずレジームがどうかというのを見ているということですので、まずそれを、二%のインフレは日銀がきちっと全責任を持ってやるんだという、まずこの姿勢を示すというのが大事です。その上で、実際にそうなるようにマネタリーベースを増やしているじゃないか、日銀当座預金を増やしているとマーケットは考えます。なぜマーケットがそういうふうに評価を変えるというのは、それだけの金融緩和をずっと続けていくというのであれば、いつかはマネーが出てきてインフレになるなというやっぱり期待を持つということなんですね。それが実際にそうなっているという。そうならないと非常におかしなことが起こるということを、ちょっと今日は説明、時間がないので、これ、バーナンキの背理法というので説明できるんですけれども、ちょっとそれは大変ですので今日はやめておきますが、必ずそういうインフレ期待が起こってくるということで、まずそのマーケットを通じて、それから実体経済に移るということでございます。
  74. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 それと、じゃ二%目標達成するまでのプロセスについてちょっと質問をしたいと思いますが、日銀の目的とか理念には物価の安定と金融システムの安定ということがあるかと思います。これは当然同時達成をしていかなきゃいけないものなんですけれども、例えば目標達成中に金利がきゅっと上昇したような場合に、金融機関が抱えている国債等で含み損が急激に拡大するようなことになった場合に、あくまでもその二%の目標に向けて更に前進するのか、その金融システムの部分をしっかりやっぱり手当てをしていくのかという、こういう二律背反のものが出てくると思いますが、そのときにはどのような対処方法を考えていらっしゃるのか、お考えをお聞かせください。
  75. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 景気が相当良くなってくれば金利が上がって、今は金利はまだ下がっております。それは、今はインフレ予想と金融緩和の、たくさん日銀が国債などを買うという、二つが逆方向に名目金利に対して動くので、今は名目金利下がっております。ですが、おっしゃるように、景気が良くなれば、どこの国だって名目金利がこんな一%台なんていうところはないんですね。ですから、上がりますが。ですから、そういうときに銀行経営が安定するためには、銀行は、もう既に都銀はやっておりますが、満期構成を短くしていくということ。これをほかの金融機関も予想しながらそれをやっていくというふうに、これからやっていくんじゃないかと思います。それを助けるためにも、中央銀行は長期国債は買うけれども、短期国債はじゃ運用してくださいという、長期国債を買うというのはその意味が一つございます。  それからもう一つは、やはり物価連動債をもっと発行していただきたいというふうに思います。そうすると、物価連動債を持っていればインフレヘッジになりますから、銀行にとっても。それを買っていただきたいということ。そして、物価連動債があれば、それが、市場が厚みになれば予想インフレ率はどうだというのが非常に分かって、これは金融政策をやっていくのにも非常にいいデータが得られるので、是非、物価連動債をきちっと発行を再開していただきたいというふうに思います。
  76. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 また、緩和手段としては長期国債を中心にお買いになるということですが、規模については、今も答弁もありましたけど、まだ分からないと。前回の衆議院のときにも今計算中だということだったんですが、これはいつになったら分かるんですか。
  77. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) それをきちんと言うのは、もしも任命されたときに黒田さんとお会いしたときに議論したいということで、今軽々にこれだと言ってそれが独り歩きするというのが一番困るので申し上げないんですが、それはもっと気楽な立場のときに、大体このぐらいで、大体過去のデータからいえばそうだということを申し上げたんですが、今度はもっと慎重にしなきゃいけないので、それは決まりましてから、総裁、副総裁でまず会ったときにそういう、こういう研究で私はこうだけど、これはどうだというような話になるというふうに思います。
  78. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 じゃ、慎重にやっていただければと思います。  それでは、出口戦略というか、まだ入口にも入っていないのかもしれませんが、出口戦略について少しお話を聞きたいと思いますが、先ほど言いましたように、副作用の面も考えておかなきゃいけないと思うんですが、参考人は副作用としてはどういうものがあって、それにどういう対処をされるか、その方法をお聞かせください。
  79. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 出口ですね。出口は、金融機関等がどれだけ長期国債を持っているかによってもちょっと違うんですけれども、先ほど言った物価連動債とか短期化してくれればそれほど難しくはないんですけれども、そうじゃないような場合ですが、一番いいやり方は、バーナンキ議長も言っておりますが、日銀当座預金の付利を引き上げていく。そうすると、日銀当座預金に置いておいて、信用創造をするよりも日銀当座預金に置いておいた方がいいということで、信用創造が少し落ちてきます、その出口のところで。それをやっていくと、国債の金利が余り上昇するのも抑えられますので、まずそれからやっていくという、それから国債も売りオペも少ししていくのかというふうに思いますが、そういうことで、市場が混乱しないように出口戦略を進めたいというふうに思います。
  80. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 副作用が、落とし穴というか、そういうのがあればと思ったんですけれども、またあればお答えしていただきたいんですが。  最後に、これはちょっと個人的な質問になるんですけれども、いずれその立場になられるとお答えにならなきゃいけない部分だと思うんですが、岩田参考人は海外資産というのをお持ちになっていらっしゃいますかということが一点。また、この半年なり一年なりにお買いになったことがあるのかというのを、よければお答えいただけますか。
  81. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) かなり前に旅行のために買った、預金としてあるんですが、それは大した、海外旅行用ですので大したものではありません。
  82. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 先ほどの、最後ですが、副作用という部分では何か思い当たる、これから二%目標に向かって気を付けなきゃいけないところ、改めてあったら教えていただきたいと思います。
  83. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 一番は、財政ファイナンスでもって悪い金利の上昇という、リスクプレミアムですね、国債の上がるということが一つだと思うので、それはインフレターゲットで二%にやっていくので、それ以上を国債買わないので、財政どんどんファイナンスするわけじゃないんだということをもうちょっと市場やいろんなところに説得していきたいと思う。非常に誤解が私はあると思いますので、誤解のまま金利が上がったのでは困りますので、それは、そういういろんな誤解があると思いますので、それを粘り強く説明していきたいというふうに思います。
  84. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 これで終わります。ありがとうございました。
  85. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) この際、お諮りいたします。  委員外議員広野ただし君、井上哲士君及び谷岡郁子君から本件についての岩田参考人に対する質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) 御異議ないと認めます。  それでは、まず広野君に発言を許します。広野ただし君。
  87. 広野ただし

    ○委員以外の議員(広野ただし君) 生活の党の広野ただしです。  時間が五分ということで、往復で五分ですから限られておりますので、今まで丁重にお答えいただきましたが、簡潔にひとつよろしくお願いを申し上げます。  アベノミクスでデフレ脱却をする。デフレ脱却は我々も大事なことだと思っておりますが、アベノミクスの中でパイを大きくすれば企業がまたもうかって、それが賃金が上がって所得が上がっていくんだと、こういうふうな筋書、皆さんそういうことだと思いますが、ここ新自由主義の中で、結局、パイはある程度行っても、デフレで下がったんですけど、実際は、所得格差が更に広がったという側面があります。  そこで、ちょっと三点お聞きしたいと思っているんですが、一つはそういうことで、パイを大きくすれば全てハッピーということではなくて、やっぱり所得格差が広がる。オバマ大統領なんかが中間層を底上げをするというようなことを言っておりますが、貧困層に対する手だて等は政治の側面が非常に大きいと思っておりますが、そういうことの中で、失業率ですとか雇用ですとか、先ほども挙がっております、そういう点をどういうふうに考えられるのかというのが第一点です。  そして二番目は、実体経済が付いてこなくてインフレが進行していくスタグフレーションというようなことがやっぱり懸念される面があります。そういう点で、そういう場合の政策調整はどうするのかということでございます。特に、マネーゲーム的な色彩を帯びてきて、一部の方だけはあるいはもうかるけれども、なかなか実質所得は上がってこないと、こういう点はどう考えられるのかという点であります。  それと三番目が、出口戦略とも関係するんですが、二%アップができてきたと。そして、その後三年間、任期五年ですから、三年間も二%ずつ前年比上がっていくとなると、大体八%から九%、一〇%ぐらい物価安定目標、安定目標という言葉になるのかどうか分かりませんが、インフレは進行する。そういう中で、所得あるいは実質賃金が上がらないというようなことになったときに、政策調整はどういうふうに考えられるのか、相変わらず二%でずっと突っ走るのか、この点について伺いたいと思います。
  88. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 一番最初は所得分配に関することなんですが、金融政策は、やっぱり失業率を抑えるとか雇用需要を増やすということが一つですね。それは企業の生産活動が増えるから当然人が要るということで。したがって、雇用需要が増えるから失業率は下がる。そして、雇用需要が、だから非正社員よりも正社員がもっと欲しいというふうに変わってくるという。これがデフレの場合、逆回転するので、それが私は、失業率を大きくし、非正社員を大きくするということで、所得格差にしているという一つの要因だったと思います。  金融政策は、今言ったように逆回転させるということで、しかしもっときめ細かな所得分配政策というのは金融政策にはできません。ですから、経済政策というのはいろんな役割があるからそれを区別しなくてはいけないんで、金融政策で何でも解決できるということを申し上げてはおりません。ですから、所得分配政策というのはやっぱりセーフティーネットというんで、私は、そういうので、昔民主党さんがおっしゃった給付付き税額控除なんかは非常にいい政策だと私は思いますけれども、そういうような政策がやっぱり必要です。ですから、金融政策はこれ、所得分配政策として政府がこういう政策をやると、これを分けるということですね。  それから、スタグフレーションになるというのは、これは非常にサプライサイドが全然駄目で、だけれども、金融緩和でもって雇用を上げようとしたために生じた問題ですので、サプライサイドの政策というのを同時にやっていくというのが成長戦略だというふうに思います。  それから、物価だけが上がってというのは、今言った、雇用が増えて需要が増えますので、必ずしも物価だけが上がるということはなくて、むしろ過去の需要が少し、需要圧力があるというのがインフレになるわけですね、二、三%。そういう経験は、戦後ずっと見てみますと、圧倒的に賃金の上がり方の方が高くなっておりますので、物価だけが上がって賃金が上がらないということはないということだと思います。
  89. 広野ただし

    ○委員以外の議員(広野ただし君) じゃ、最後にしますが、格差是正については金融政策の役目ではないという点を言われますが、FRBも結局失業率を六・五ぐらいにということも非常に重視して、先ほどおっしゃいましたのは、日本はそういう失業率の改善については非常に楽観的なことを言っておられますが、本当にそういうふうにいくものかどうか、もう一回伺いたいと思います。
  90. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 格差是正に貢献がないと、金融政策、申し上げておりません。金融政策は、失業率を下げたり非正社員より正社員の方が増えるという雇用需要全体を増やしますから、そこでもって格差が広がる。しかし、それだけでは足りないから、もっと政府のセーフティーネットの政策が必要だと申し上げたので、金融政策がうまくいかないとかえって失業率が高くなって非正社員が増えるというメカニズムになっていく。これはきちっと実証分析するとそういうふうになっておりますので、それは根拠が、ここのところではなかなかそれを説明できないので単なる空論になってしまって見えますけれども、私は全て過去の実証データを背後に申し上げております。
  91. 広野ただし

    ○委員以外の議員(広野ただし君) ありがとうございました。
  92. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) 次に、井上君に発言を許します。井上哲士君。
  93. 井上哲士

    ○委員以外の議員(井上哲士君) 日本共産党の井上哲士です。  デフレの原因についてお聞きをいたします。  かつて自民党政権の経済財政諮問会議の民間議員であった東大の吉川洋氏が、最近「デフレーション」という著作を出されております。その中で、なぜ日本だけがデフレなのかという問いに対する答えは、日本だけで名目賃金が下がっているからだということになると、こう述べられております。そして、名目賃金が下落した理由について、デフレ期待ではなく大企業における雇用制度の変貌であると述べられております。  一方、岩田副総裁候補は、デフレ予想がデフレをもたらしていると、こう述べられた上で、今以上の大胆な金融緩和をすればやがて雇用需要も拡大をする、賃金も上がっていくと、こういうふうに述べられております。  しかし、この賃金を下げてきた原因であるリストラであるとか非正規の拡大ということにメスを入れなければ、賃金が物価を上回って上がるということはないんではないかと思うわけですね。先ほど、二百二十兆円のお金が企業の中にとどまっているということ、最初の意見陳述でもございましたけれども、そういう一部を活用して賃上げや正規への転換を先行させていくと、こういう政策こそ必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  94. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 何か学会の論争みたいになっちゃいますけれども、簡単に言えば、デフレが先に日本で起こっています。その次です、名目賃金が下がるのは。最初は名目賃金は下がりません。これが特色です。最初の、そうですね、三年かそのぐらいは名目賃金下がっていないと思います、ほとんど。  ですから、デフレが先で、企業収益がなくなって名目賃金も下げざるを得ないところへ企業が追い込まれるというのが、実際のデータを見るとそういうことだというふうに思います。
  95. 井上哲士

    ○委員以外の議員(井上哲士君) そうしますと、先ほど全体、その金融緩和によって正規雇用も増えていくんだというお話がありました。一方で、労働法制は非常に非正規を増やす法制ができてきているわけですね。そういうものには手を触れなくても金融政策のみでこれらは全て解決していくと、こういうお考えでよろしいんでしょうか。
  96. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) ほかのところがどうするかというのはちょっと、金融政策を今議論していますのでおいておきますが、金融政策というのは、要するに雇用需要全体を増やすという、それによって最終的に正規、非正規も増えていくという。  企業は、やはりデフレの中では、収益が安定しない中ではなかなか正規雇用は採れないと思います、確かに。ですから、どうしてもデフレの中ではそうなってしまうけれども、そうでない、インフレ期待が出てきてある程度収益も長期的に上がっていくというところでは、やはり雇用形態が今までのデフレの中とは違ってくるというふうに思います。
  97. 井上哲士

    ○委員以外の議員(井上哲士君) 金融緩和の弊害についてお聞きしておきますが、緩和マネーが投機資金として、通貨株式、債券、食料エネルギーなどの商品価格を乱高下させるという問題もあります。それから、低金利の長期化が一般庶民の利殖手段である預貯金の金利をほとんどゼロに張り付ける一方で、大企業などは非常に低利で資金の調達ができるという点で非常に有利だということがあるわけですが、こういう弊害についてはどのようにお考えでしょうか。
  98. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 要するに、金利が、これは名目金利ですけれども、今、金利がどれだけ結局払えるかというのは、借り手がそれを借りてどれだけ運用利益があるかに依存します。したがって、それもないのに金利を上げろというのは無理な話なんです。  ですから、それは金融緩和を実施して企業収益を上げてやると。そうすると、金利がもっと高くても借りてもいいよとなって預金者も金利が得られると、そういう関係でございますので、デフレ脱却しないのに金利だけ上げろというのは、景気を冷やしてかえって勤労者の所得を減らしてしまうと、預金者は少し助かったかもしれないがということになって、望ましい政策じゃないということになります。
  99. 井上哲士

    ○委員以外の議員(井上哲士君) 食品価格の乱高下などの、そういう投機マネーの動きの弊害についてはどうお考えでしょうか。
  100. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 日本でそういう投機マネーが出て食品価格が上がるというのは余りないんじゃないかと思いますが、それは海外で起こることはあるんですね。海外で、特に新興国で起こるんです。  これはどうしてかというと、日本から、緩和すると、円よりも海外の外貨の方が有利なので、そこで外国市場で外貨を買うわけなんですね。しかし、それは外国為替市場ですので、その円が何か海外の野菜を買うから上がるんじゃございません。なぜかというと、海外は外貨、自分のところ、自国通貨高になるのを嫌がるために、外貨を、今度は自分のところの自国通貨をどんどん売るわけです。そして自分のところを通貨安にしようとする。例えば、その外国の通貨自体が外国の野菜にとか、そういうのに向かうんですね。  ですから、ある程度、変動相場制を取る方が本当はそれを防げるんですね、海外も。ところが、海外はしないというんですが、そういうことをやってしまいますと、一国が自分のための雇用とか国民経済のために金融政策が全く使えなくなるということです、そういうことを心配する。  ですから、海外は海外で、やはりそういう投機マネーがそういうところに来るのが嫌ならば、自分のところで金融緩和政策を自動的に取ってしまっているわけですね、それをやっぱり控えるというのが筋だという。そうじゃないと、金融政策がみんな全くできなくなっちゃう、どこの国も使えないと、日本はずっと永久にデフレだというふうになってしまいます。
  101. 井上哲士

    ○委員以外の議員(井上哲士君) ありがとうございました。終わります。
  102. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) 次に、谷岡君に発言を許します。谷岡郁子さん。
  103. 谷岡郁子

    ○委員以外の議員(谷岡郁子君) みどりの風の谷岡郁子でございます。  ただいまのお話をお聞きしておりまして、過去のインフレで給料が上がるという話がずっと続けられているんですが、急速にグローバル化が起きてきて、そして海外との競争をしなければいけないような状況の中で、過去の例というのは本当にこれからも有効なんでしょうか。
  104. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) グローバル化というのは、おっしゃるとおり、特に未熟練の労働ですね、これの賃金の均等化が働くということはおっしゃるとおりなんですね。  ただ、現在、円高がずっと続くということは、日本人にとっては賃金は高くないんですが、海外から見ると非常に日本は賃金高になっちゃうんです、円高というのは。ですから、それを是正するというのが日本人にとっても望ましいということなんです。
  105. 谷岡郁子

    ○委員以外の議員(谷岡郁子君) 先ほど、銀行はお金を貸さなくてもいいんだというふうに一方でおっしゃって、それで、一方で大企業を含めて国内留保が二百二十兆円あると、そういうところがある種、金融化していると。その元々の実業であるよりも、ある種の金融業に手を出していて持ち株会社などという形でやっていると。どんどん金融の方が大きくなって、先ほどの櫻井さんの話と同じように、ある種の企業が実業から離れていくということで実態と金融の世界との乖離というのが大きくなっていくような傾向があるんですけれども、それについてどのようにお考えになって、どのような対策をお考えでしょうか。
  106. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) その原因になるのは、企業までもが言わば金融会社みたいになってしまうというのがデフレの特徴なんです。これは過去の、一九三〇年代からのデフレいろいろありますが、全部そういうふうになっています。企業までもが金融資産で運用するようになってしまう、実際の設備投資とかそういうのを控えてしまう。これはデフレ予想になると必ずそうなってしまうということなんですね。  ですから、それを変えてやるのが金融政策だと。企業企業できちっと、イノベーションとか設備投資とか、それがあなたの本業ですよと、そういうふうになるわけなんですね。今はデフレ期待があるから設備投資しても有利じゃない、あるいは、円高過ぎるから海外で設備投資をするのは有利だけど国内では投資するのは有利じゃないということで、その余ったお金がどうしても金融資産になってしまうということなんです。
  107. 谷岡郁子

    ○委員以外の議員(谷岡郁子君) よく分からないんですよ。金融が緩和してお金がだぶついたら、ますますそういうところで、金融のところでお金のマネーゲームというものが始まってしまわないんですか。
  108. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 本当は図を見せた方がいいんですけれど。要するに、お金が今なぜ浮いているか、設備投資資金が要らないということですね、それほど、企業は。やっても……
  109. 谷岡郁子

    ○委員以外の議員(谷岡郁子君) 需要がないからでしょう。
  110. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) いやいや、そうじゃないです。コストが高過ぎるからなんです、先ほど言いましたように。実質金利という、名目金利じゃありません、実質という、デフレというのは実質金利を上げるという効果がある、それが高過ぎるので有利じゃないんです。それから、円高過ぎるので設備投資が有利じゃないという現象が出てきてしまうんですね。
  111. 谷岡郁子

    ○委員以外の議員(谷岡郁子君) しかし、物づくりで考えてみますと、材料だとかそういうもののコストというものは円安によってやはり高い傾向になっていくわけですから、そこもまた制約要因になるんじゃないんでしょうか。
  112. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) どれだけの輸入品が安くできて、そして輸出品が受けるかというのは交易条件というんですが、これがデフレの中で輸出価格の方が上げられないという状況の方が大きく出ちゃうんです。多少、ですから円安になって輸入価格が少し下がっても輸出品の価格を全然、例えば韓国などは下げているわけですからこっちも下げなきゃいけないというので、輸出物価指数を輸入物価指数で割ったのを交易条件といって、これが悪くなると日本経済は駄目になるんですが、これがどんどん悪くなっているのが現状です。つまり、輸入価格は下がっても輸出価格は上がらないということです、下がってしまうということです。
  113. 谷岡郁子

    ○委員以外の議員(谷岡郁子君) こういう議論はまたゆっくりやらせていただきたいんですけれども、先ほど学部長、学科長などをやられたと。私は大学の学長を二十数年やっておりまして、理事長もやっております。マネジメントは私は法人だとか事務局がやると思っておりまして、学部長や学科長がやっているのは政治だと思っているんですね。そして、これほど多くの生命と生活が懸かってくる日銀の副総裁のお仕事をやられるということについて怖さをお感じになりませんか。そういうことに対しての重さというのをどのようにお感じになっているのかを最後に伺いたいと思います。
  114. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) もちろん、非常に重さがあって、本当はやりたくないなんという気持ちだってないわけじゃないんですね。ですが、やはりこれは自分が一番やるべきというのは物価の安定ということだと思うので中心に据えると。  それで、学部長の経験というのがあって、それはマネジメントでないとおっしゃったんですが、多くの私立大学が何か理事会で決めちゃうということがあるようですが、学習院の場合はそうじゃありません。
  115. 谷岡郁子

    ○委員以外の議員(谷岡郁子君) 反論はありますが、終わります。
  116. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) これにて岩田参考人に対する質疑を終了いたします。  岩田参考人に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙の中を御意見をお述べいただき誠にありがとうございました。委員会を代表して御礼申し上げます。
  117. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) どうもありがとうございました。(拍手)
  118. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) 次に、中曽参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  119. 櫻井充

    ○櫻井充君 私は余り人と比較するのは好みではありませんが、これまで三人の候補者の中のお二人は、これまでの日銀の金融政策にかなり否定的でした。相当否定的でした。中曽参考人として、これまで日銀におられて、白川総裁始めとする日銀の金融政策についてはどのような評価をされているでしょうか。
  120. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 白川総裁の下では幾つかの政策をやってまいりました。一つは、リーマンの後の金融危機対応に現れておりますような、いわゆる流動性の供給を通して危機対応をするということ。それから、金融政策の面では、いわゆる包括緩和ということで、これは長めの長期金利あるいはそのプレミアムを縮小することによって景気を浮揚していこうという、そういう目的でやってまいりました。それから、銀行の貸出しを支援する貸出増加額支援、そして成長基盤支援融資制度、こういったものもやってまいりました。それぞれが一定の効果はあったと思います。  ただし、デフレを早期に克服する、あるいはいまだにCPIがゼロ%近傍、そういうことを踏まえますと、結果が出ていない、こういった御批判については謙虚に耳を傾ける必要があるのではないか、その意味では、なお工夫の余地があったのかなと私自身は思っております。
  121. 櫻井充

    ○櫻井充君 私は、財務副大臣当時、一年間政策決定会合に出させていただいて、委員の皆さんの真摯な御議論をお伺いしておりました。あの当時は、東日本大震災もございまして、それに対する対応策も日銀の方で取っていただいて、私はかなり一生懸命やってこられたんじゃないのかなと。私は、今までの日銀、それから、ゼロ金利政策から始まって量的緩和政策、これは福井総裁の時代に始まりました。ただし、これは貸出しに関して申し上げれば決して効果はなく、また当座預金を下げるというんでしょうか、それでまた再度上げていますが、貸出残高が増えているわけではございません。それから国債の買入れも始めていますし、それから世界で例もなく国債以外のREITとかETFとかの購入もやってきているということを考えてくると、私は相当先駆者としてやってきている部分があると思っているんです。  ただ、今、それで十分でないという御発言がございました。だとすると、何をやればよかったんでしょうか。
  122. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 例えばということになると思います。例えば、包括緩和、これは国債を中心に買入れをしたものでございますけれども、例えばその量、もう少し拡大する必要があったのではないか、あるいはそのタイミングをどうするべきであったのか、そういった点もあろうと思います。それから、緩和的なその環境が実体経済に最終的につながっていくように、貸出増加額支援制度ないし成長基盤支援融資制度、これを導入したわけでありますけれども、これ以外に何かやりようがあったのかどうかということもひとつ考えてみたいというふうに思っております。  さらに、関連して申し上げますと、いろんなことをやってきた、その結果として、結果的に政策の枠組み自体がやや分かりにくくなってしまったのかなと、複雑化し過ぎてその説明をする部分というのがどのくらい十分にできたのかなと、そういう、今は振り返ってみますと考えております。
  123. 櫻井充

    ○櫻井充君 それはある程度バランスを取らないといけないわけであって、もう釈迦に説法ですが、例えばJ―REITにしてみれば、決して大きなマーケットではありませんので、そこに日銀が介入と言っていいのかどうか分かりませんけど、そういうことをやっていくこと自体が、その副作用の分も考えて、随分私はバランスを取られてやってきたんではないのかと思っています。  ただし、アナウンスメントという点で申し上げると、分かりにくいという批判は絶えずございましたので、そのアナウンスメント効果について言うと、もう少し工夫の余地はあったんじゃないのかと、個人的にはそう思っています。  もう一点、ちょっと別な角度からお伺いしておきたいんですが、私は日銀は相当努力はしてきたと思っているんです。ただし、マネーの流れを見れば、日銀から民間の金融機関に行き、そして企業に行くわけですね。今、銀行とそれから企業間での規制があるわけです。私は、それがBIS規制で、これが諸悪の根源だと思っています。  BIS規制は元々、これは本当、釈迦に説法ですが、これは日本の金融機関の貸出残高が余りに増えたものですから、世界的にですね、これは欧米の国々が協調してBIS規制というものを導入いたしました。これを健全性の指標としてとらえられていますが、決して私はそうではなくて、スキーの例えばジャンプとか、板の長さを変えたとか複合の距離とジャンプの比率を変えたとか、日本人が活躍するとルール変えて仕事ができなくなるようにするなんて、これは当然のことのようにやられているわけですよ。  BISにおられたということですが、このBIS規制が日本の経済に与えている影響はどうお考えですか。
  124. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) BIS規制でございますが、特にこのバーゼル3と言われている、目下導入途上にございます規制につきましては、これは御指摘のとおり、リーマン危機の後の金融機関のレバレッジが非常に欧米の金融機関で特に高かったことに対応する規制というふうに思っております。したがいまして、そのコンセプト自身は、私はこれは正しいものかなというふうには思っております。  ただし、バーゼル3の枠組みをこれは議論する中で、特にバーゼル委員会という場で、中心に議論が行われたわけですけれども、日本のサイドとしては、この規制の枠組みをうまくデザインをしないと、これは実体経済を支えていく金融機関の本来の信用仲介能力というものそのものが阻害されてしまう可能性があるので、そこはその実体経済の影響をあるいは段階的に入れていく、こういったところを是非入れるべきであるというふうに主張をしまして、これは日本側の主張が通って、金融庁、日本銀行の主張が通って、私は、そのバーゼル3自身はある程度形が整ったものになったのではないか。特に、リーマンの前に欧米の金融機関が異常にレバレッジを拡大して、言ってみれば投機マネーが行き過ぎた投資に回ったようなところはある程度抑えられるような仕組みは整ったのではないかというふうに思っております。
  125. 櫻井充

    ○櫻井充君 おっしゃるとおりでして、レバレッジの中央値を見てきてみると、この十年間ぐらい、日本だけなんですよね、ほとんど上がっていないのは。あと世界の各国はみんな上がってきていて、恐らくそれがバブルを引き起こした要因になってきていると思っているんです。  ただ、私が申し上げたいのはそこではないんですよ。元々バーゼルでそのBIS規制ができ上がったことでして、ここの経過をどう考えるかです。今のはそれは世界のマネーです。私が申し上げているのは国内の問題なんです。日本銀行が幾ら金融緩和をしたとしても、僕は相当やっていると思いますが、BIS規制があって民間の金融機関から企業に貸出しができない、リスクが取れないような構造になってしまったことに問題がないのかということなんですよ。  もうちょっと申し上げましょうか。世界の国々は証券化できますよね。ですから、例えば住宅ローンなら住宅ローンに関して言うと、分母のリスクアセットの分に組み入れられますが、これは証券化商品として売り飛ばすことができて分母を小さくできるんですよ。中小企業債権もそうなっていますね。ところが、日本はそういうマーケットが非常に小さいですから、結果的にはアセットの分が大きくなってしまって、おのずと貸出残高は増えないようなシステムになるんですよ。  だから、お金が回らないシステムをつくっている諸悪の根源はBISなんですよ。ここにかかわってこられて、私は非常に違和感感じるんです、今のお話は。  中央銀行が、繰り返し申し上げます、じゃ、中央銀行があれだけじゃぶじゃぶ金を出したにもかかわらず、民間の金融機関が企業にお金を貸さない、貸せなくなった、その理由は何でしょう。
  126. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) このバーゼル規制あるいは金融規制の影響というのは、これはよく精査をしてまいる必要があるというふうに思っております。  もう一つは、日本は九〇年代の後半から大変厳しい金融危機を経験してまいりました。恐らくこの中で不良債権の処理ということが優先課題であったからであるということはあると思うのですが、要するに資産の圧縮、健全化、あるいはややリスクを取っていく姿勢というのがこの間に後退をしていったという部分が大きいのではないかというふうに思います。  したがいまして、日本の金融機関にとってのこれからの大きな課題というのは、新しい借入需要を起こしていくということと同時に、どういう企業が潜在的な発展の可能性を持っているか、そういう企業を発掘をして、新しいおっしゃったような証券化などの手法も用いながら、そういった需要が実際の資金需要に結び付いていくようにこれを促す、そういった努力をしていくということも恐らくこれからの金融機関にとっての課題ではないかと思っております。
  127. 櫻井充

    ○櫻井充君 ここでこういう議論をしていていいのかどうか分かりませんが、繰り返しで恐縮ですが、じゃ不良債権のお話があったので不良債権のお話にしたいと思いますけれども、元々間接償却をしたわけですね。間接償却で不十分だから直接償却をしろと。あの当時、竹中さん始めとしていろんな人たちから言われた。東京三菱銀行は直接償却をした結果どうだったかというと、たしか六千億の利益が出たんじゃなかったかと思っています。足利銀行、地方銀行でも足利銀行はああいう形でお取り潰しになりましたが、ですが直接償却をした結果、九百億の利益が出たんじゃなかったかと思っています。  つまり、健全性、健全性と言われ、過度な引当金を積んだ結果、自己資本不足に陥ってなかなか融資ができないと。これ、六千億の利益が出ているということは、単純に申し上げれば七兆五千億の貸出しができるということですね。こういう金融行政をやられてきているわけですよ。それから、足利銀行で申し上げれば、九百億の利益が出たということは、実を言うと過少資本になっていなかったのかもしれないわけです。  ですから、繰り返し申し上げておきたいのは何かというと、本当に日本銀行の金融政策の問題なのか、金融庁の金融政策の問題なのか、ここのところを区分けしないと、幾ら日本銀行が金融緩和というか、私は、金融緩和と言ったらいいか、市場にマネーが出てこないと思っていますよ。  今のような国債を買い増すと、買い増ししますというお話でした。国債を買っても、先ほど岩田参考人はこうおっしゃっていましたが、銀行が金を貸さなくてもいいんだと。しかし、我々の感覚で申し上げれば、銀行がお金を貸してくれないというのは困ることなんですね。ですから、国債を幾ら日銀が買い増しをしたとしても、その先、キャッシュに変わった民間の金融機関が企業に貸し出すか貸し出さないかというのは非常に大きなことなんです。これがほかの株式に行ったりとか外債を買うとか、これ実体経済上、基本的には余り関係のないことです。  実体経済をどう改善していくのかということが極めて大事なことであって、そういう意味で、繰り返しお伺いしておきたいと思いますが、このBIS規制に縛られていること、このことが実際のことを申し上げると問題点ではなかったのか、この点についてもう一度お答えいただけますか。
  128. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 特にバーゼル1の、当初のバーゼル規制については、非常にその仕組みが単純であったというところもあるかと思いますが、特に日本の金融機関がターゲットになっていたという部分もあったと思いますので、そういう影響というのはこれは何がしかあったのではないかと思います。  ただ、やはり日本経済、日本の金融システムがその後たどってきたバブルの発生と崩壊、それに伴う大きな不良債権の償却の問題、そこと景気サイクルが多少食い違っていたという部分もあって、おっしゃったような償却益みたいなものも出てきてしまったということだと思うんですが、要すれば複合的な要因、いろいろその規制の問題も含めて重なった結果であったかというふうに認識をしております。
  129. 櫻井充

    ○櫻井充君 もうちょっと明確にお答えいただきたいんですが。  もう一点、これちょっと話変わりますが、この間、予算委員会で西村副総裁が来られて、雇用の面についても日本銀行が責任を持ちますというような趣旨のこれ御答弁されているんですが、日本銀行が雇用まで責任を持つべきだとお考えですか。
  130. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 日本銀行の金融政策の理念でございますけれども、これは物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資する、この理念の下で我々の今の物価安定の目標、これも達成していく必要があるというふうに思っています。  ただ、その中ではどういうことかというと、最終的にはこれは企業収益が改善をして、賃金、雇用が拡大をして、要すれば国民生活がより豊かになる中で物価の上昇率が徐々に高まっていく、そういう好循環をつくり出していく必要があるというふうに思っていまして、そういった好循環が達成されるのであれば、雇用もこれはおのずと改善をしていく。  そういう意味で、この理念の中には、雇用を金融面から最大限に支えていくと、そういう意味合いが元々入っているというふうに私は認識をしております。
  131. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、物価目標についてはよく皆さん数字を出されています。では、雇用についての目標値というのはおありなんでしょうか。例えば失業率が何%、非正規雇用者はどのぐらい減らしてくるんだと、賃金はどのぐらいが理想なんだと、そういうような目標も掲げてやられるということになりますか。
  132. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 具体的に、雇用の水準、失業率の水準、これを具体的な水準を念頭に置いているわけではございません。あくまでも実体経済、これは生産ですとか輸出ですとか、その辺の実体経済全体の指標を見ながらこれは判断をしていくということになると思います。
  133. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません、ちょっと厳しい質問になりましたが、私が政策決定会合の場に出ていて白川総裁、山口副総裁に申し上げ続けてきたのは、日本銀行の金融政策だけでは難しいんではないですかと。よく出てきているのは今の財政出動、成長戦略ですが、私は、もっと大きな問題は、金融庁の金融政策にこそ問題があって、銀行が健全になればお金が回っていくという考え方を捨ててもらわないとなかなか良くなっていかないんじゃないか。その指標がBISであるということ自体にすごく違和感を感じているものですから、今日はこういう質問をさせていただきました。  どうもありがとうございました。
  134. 中西健治

    ○中西健治君 みんなの党の中西健治です。  前職の証券会社の時代には、中曽参考人には大変お世話になりました。そして、私の高校の先輩でもあられますけれども、今日は聞かなきゃならないことは聞かせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  中曽参考人は、これまで金融システムの安定に大きく寄与されたセントラルバンカーであり、市場のそうした手腕への信頼は厚いというふうに承知はしております。一方で、金融政策論については、これまで発信する機会も余りなかったということだと思いますけれども、余り情報が入っておりません。  日銀の理事も二期目ということで、言わば主流を歩いてこられたんだと思いますけれども、御自身で評価することは難しいかもしれませんが、白川総裁の金融政策論の正統なる継承者であるというふうにお考えでしょうか。
  135. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 正統かどうかは別にして、白川総裁とはこれまでも日本銀行のいろいろな職場の中で仕事を一緒にさせてきていただきました。白川総裁の金融政策に対する考え方あるいは金融市場に対する見方、ここからは多く学ぶものがあったというふうに思っております。
  136. 中西健治

    ○中西健治君 白川総裁の考え方、見方から多くを学んできたということでありますけれども、今求められているのは、レジームチェンジということで表されるような、やはり異次元の政策、これまでと違った政策ということなんじゃないかと思います。  中曽参考人は、従来から中央銀行としての政策の連続性ということを主張してこられたというふうに承知しておりますけれども、この政策の連続性、これに関する考え方というのは変わらないということでしょうか。
  137. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 連続性といった場合、私の認識は、何かあるものから全く異なるものを新たに導入してくるということではないというふうに思っています。  今回、共同声明を去る一月の決定会合で入れたわけですけれども、これは確かに我々からすれば大きな前進、前向きに更に思い切って緩和したということでありますが、これは過去の金融政策を発展的に進化をさせていくと、そういう意味で形態が変わってきたということであるかというふうに思っています、これ、レジームチェンジというかどうかは別にしてですね。  したがいまして、金融政策というのは、いずれにしても、経済、物価の情勢あるいは見通しに沿って対応していくものですから、必然的に、その都度どういうふうに対応していけばいいかというような意味で進化をしていくものだというふうに認識をしております。
  138. 中西健治

    ○中西健治君 発展的に進化、全く異なるものではないということでありましたけれども、今回総裁に名が挙がっている方、あともう一人の副総裁に名が挙がっている方、日銀の政策に対して非常に批判的だった方であります。そうした方々が総裁、副総裁になると、これまでとはまた違う提案ということがされる可能性というのは十二分にあるんじゃないかなというふうに思います。  そんな中で中曽参考人は、連続性が説明し得る範囲内で賛成をしていくのか、そうではなくて、やはり執行部の和を重視してやっていくのか、そこら辺についてはどのようにお考えですか。
  139. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 既にそういう意味では二%の物価目標を導入するという意味で大きな進展が見られたわけでございます。これは方向が固まっている、つまり早期に、なるべく早くデフレを脱却するということ自体は、これは既に政策委員会で決まっていることでございますので、私に求められているのは、今までの経験を踏まえまして、生かしまして、総裁を補佐しながらこの目的文字どおり早く達成する、これに向けて全力で努力をしてまいりたいと思っております。
  140. 中西健治

    ○中西健治君 そうおっしゃいますけれども、あと二人の方々というのは、金融政策のみで二%の物価目標が達成できる、このような主張をされておりますけれども、金融政策のみで物価目標が達成できるというふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  141. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) デフレが貨幣的現象かどうかということとの裏腹の御質問かというふうに思いますけれども、私は、デフレ的な現象の側面を有するのは、デフレは事実であるというふうに思っております。したがいまして、金融政策というのは極めて大きな役割を果たし得るんではないかというふうに思っています。  その上でなんですけれども、金融緩和で金融環境企業とか家計が活発に利用できれば、活用すればするほど、これは金融政策効果がその分大きくなると。その分デフレからの脱却もより早く確実に達成することができるのではないかと思っております。
  142. 中西健治

    ○中西健治君 大事なところなのでもう一度お聞きしますけれども、金融政策のみで二%の物価目標を達成できるとお考えになりますか。ほかの主体の活動が強まれば早くなるというのはそうなんでしょうけれども、それがなかったとしても二%の物価目標が達成し得るのかどうか、そこら辺、お考えを端的にお願いします。
  143. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 金融政策が果たす役割というのは大きいという意味は、そういう意味で申し上げております。  ただし、繰り返しになりますけれども、早期に、なるべく早期に脱却をしようとするのであれば、これは企業、家計、こういったものがより活発にこの金融緩和の状況というのを活用していけるような状況をつくり出すことが必要であるというふうに思っています。
  144. 中西健治

    ○中西健治君 二〇〇〇年のゼロ金利解除、そして二〇〇六年の量的緩和解除、これについて評価をしてくれと言ったら、間違いだったとはなかなか日銀内部にいらっしゃいましたから言い得ないということだろうというふうに思いますけれども、仮に、当時インフレターゲットが設定されていたとしたら判断は異なっていただろうと、そうしたことについてはいかがでしょうか。
  145. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) なかなか、仮定の御質問でございますので、お答えするのはストレートには難しいと思います。ただ、その二〇〇〇年及び二〇〇六年につきまして、当時としては、私、執行部におりましたけれども、その時点で入手可能なあらゆるデータ、金融市場の動向をモニターしながらこういった点も含めて判断をした結果であったというふうに思います。  ただ、結果として、ITバブルの崩壊ですとか、あるいはリーマン・ショックのようなことが起きまして需要が大きく落ち込んでしまったのは事実でございます。その後、いろんな御批判、御意見を賜ったのも事実でございまして、こういったものも真摯にこれを受け止めながら、これは今後の政策運営に生かしていく必要があるというふうに思っております。
  146. 中西健治

    ○中西健治君 インフレターゲットがあったとしたら判断は異なっていたかどうか、これについてはいかがでしょうか。
  147. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) なかなか簡単にはその判断が付かない問題でありますけれども、私は、例えば二〇〇〇年当時、これは金融システムの不安定化という、これは構造的な問題もありましたので、つまり金融仲介機能が完全に壊れていたような状態でございますので、なかなか通常の枠組みで、インフレターゲットが前提としているような通常な機能をするような経済の仕組みの中でこれが機能したかというのは、やや疑問が私自身はあります。
  148. 中西健治

    ○中西健治君 はっきりとお答えいただけませんけれども、インフレターゲット二%設定されていたら、それが明確になっていたら、あの時点で解除などは行い得ないんではないかというふうに思いますが、今はっきりお答えいただけないということは、今後も、インフレターゲット二%を達成しないまでも、その前にこの出口戦略に行く可能性があるということを述べているのと同じになってしまいますが、いかがですか。
  149. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 二%、今回は、現下の経済・物価情勢そして先行きの動向も踏まえた上で二%の物価目標を入れたわけでございますので、これは達成していくべきものである、目標である。そこは日本銀行政策委員会が判断をして責任を持って決めた数字でございますので、これは責任を持って達成してまいります。
  150. 中西健治

    ○中西健治君 よく分からないんです。二〇〇〇年、二〇〇六年にインフレターゲットが設定されていたとしても、そのときの判断は解除にならなかったかもしれないというふうにおっしゃっているのと同じでしたし、先ほどの答弁は。そして今は、二%達成するまでは必ずやり遂げると、こんなような話ですけど、この二つの御意見の整合性というのは取れていると御自分でお考えですか。
  151. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 二〇〇〇年ないし二〇〇六年の当時につきましては、まず仮にそのインフレーションターゲットがあったかどうかという問題につきましては、これは繰り返しになりますけれども、今の段階ではなかなか判断が付きにくい部分でございますので、そういった部分も含めてよく検討してみたいというふうに思います。
  152. 中西健治

    ○中西健治君 もう少しここのところは明確にお答えいただきたかったというふうに思います。  日銀券ルールについて、これは黒田総裁候補は廃止を検討ということをおっしゃられておりますし、岩田副総裁候補も半ばそれを前提としたような話、量的緩和の話をしているということだと思いますが、中曽参考人はどのようにお考えですか。
  153. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 銀行券ルールでございますけれども、これは長期的な金融調節の観点から、買い入れる国債の保有につきまして御案内のように銀行券の発行残高の範囲に収める、これを規定したものでございます。日本銀行による国債買入れがこれは財政ファイナンスを目的とするものではないと、こういう趣旨を明確にするための一つの工夫であるところは御承知のとおりでございます。  それで、現在、資産買入れなどの基金で買い入れている長期国債、これと調節分を合わせますと、日本銀行の国債保有残高はこの一月末で九十一兆円ございます。既にこれは、銀行券、同時点の銀行券の発行残高、これは八十三兆円でございますので、これを上回っています。更に日本銀行、今後も大量の国債を買い入れていくことを既にこれ決めているわけなのであります。  こうした状況を踏まえますと、銀行券ルールそのものを維持するかどうかということよりも、日本銀行の国債買入れは、あくまでもこれは強力な金融緩和、これをその目的にしているのであって、財政ファイナンスを目的にしたものではない、これを引き続きしっかりと情報発信をしていくことがむしろ今は大事ではないかというふうに思っております。
  154. 中西健治

    ○中西健治君 そうなりますと、財政ファイナンスをしているのではないということをアナウンスをしていくということに力点を置いていて、この日銀券ルールというのは半ばもう有名無実化しているわけですから、これにこだわるものではないと、こういうお考えでよろしいということですよね。
  155. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) その部分についてはよく議論する必要があると。特に、既に銀行券発行残高を上回っていると、こういう状況があるわけですから、こういう現実を踏まえてよく考えていく必要がある、こういうことを申し上げているわけでございます。
  156. 中西健治

    ○中西健治君 これまで金融システムずっと御覧になっていらっしゃって、超過預金に対する、当座預金の付利に関して、その意味は大きいというふうに多分お考えになっていらっしゃるのかなというふうに思いますが、今いろいろ話題になっていますこの付利引下げについてどのようにお考えになっているのか、非常に慎重に臨むべきであるというふうにお考えになっているのか、そこを教えてください。
  157. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) その付利を撤廃するかどうかという論点、これは金融政策決定会合で決めるマターでございますので今後の議論に委ねたいと思いますが、その上ででございますが、なぜ今ゼロにしていないかということでございます。  これは、前回、日本銀行が二〇〇一年から六年にかけて実行したいわゆる量的緩和政策、この中では実際に金利が〇%まで落ちました。オーバーナイトのコールレートというのが〇・〇〇一%まで落ちました。そのときに起きたこと。当時、私自身は金融市場局長を担当しておりましたけれども、何が起きたかというと、まあ副作用の一つだというふうに言えると思うんですが、市場が死んでしまったということなんですね。金融取引が全くなくなりました。私、よくその当時この状況を例えて言っていたのが、月面の静かの海になってしまったということです。要するに、市場が生きていないんですね。取引が朝数件行われるだけで、その後は全く市場が静まり返ってしまうと。これは、実は短期金融市場というのは日本銀行の金融政策トランスミッションメカニズムそのものでありますので、そこが死んでしまうというのは非常に問題かなというふうに思った記憶がございます。  それを踏まえてなんですが、実は各国とも、米国では〇・二五、英国では〇・五、つまり〇%までしないことによって僅かでもいいので市場の機能を残しておいた方がいいのではないか、こういうような共通認識が今中央銀行界では共有されている、この点だけ申し上げておきたいと思います。
  158. 中西健治

    ○中西健治君 最後ですけれども、責任について、責任の取り方について、衆議院の方では二%という重い約束の実現に向けて努力していくということのみおっしゃられておりますけれども、もし、二年とは言いません、二年というふうに中曽理事自体は区切っていませんから、けれども、それよりも相当期間が過ぎて、例えば三年とか過ぎてきたと、その中で物価目標が達成できないのが明らかになってきた、そんなときに身の処し方というのは考えませんか。
  159. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 改めて申し上げておきたいと思うのは、これは大変重い約束です。責任を持ってまず達成していくということを申し上げたいと思います。  その上でなんですけれども、責任の取り方ということでございますが、私自身としては、まずもって今やらなくてはならないこと、これは、総裁をしっかり補佐して、かつ自分のこれまでの職員としての経験を生かしてこの約束を達成することを、総裁を補佐しながらこれに向けて全力を挙げることである、つまり、達成できなかったことの場合の責任を考えるよりも、まず責任を全うしたい、これを考えたいというふうに思います。  その上でということになると思いますけれども、仮に万一それが達成できないような状態が実現してしまったような場合には、これはなぜそうなったかということをしっかりと説明する責任も含めて、それはその時点で真摯に検討することだというふうに思っております。
  160. 中西健治

    ○中西健治君 どうもありがとうございました。  質問を終わります。ありがとうございました。
  161. 渡辺猛之

    ○渡辺猛之君 自由民主党の渡辺猛之でございます。  中曽参考人に質問をさせていただきますが、まず冒頭、明確にお答えをいただきたいと思いますが、インフレターゲットを設定することの意義、これ、どのようにお考えになられますか。
  162. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) これは物価の安定がなぜ大事かということに帰着する問題だと思いますが、やはり物価の安定がなぜ大事かというのは、これは家計ですとか企業がサービスとか物、財の一般的な物価水準の変動に煩わされることなく投資あるいは消費に係る意思決定を円滑にできること、そういうためには物価の安定が是非必要であるということだと思います。  その上でなんですけれども、インフレターゲットがなぜ大事なのかということでありますが、これがありますと、いわゆるアンカー効果というやつですね、期待物価上昇率が過度にボラタイルになる、変動することを避けることがこのインフレターゲットには効果があるのではないか、ひいては、実際に物価が安定して持続的な経済成長も達成ができるようになるのではないか、そういう利点があるというふうに思っております。
  163. 渡辺猛之

    ○渡辺猛之君 中曽参考人は先ほどの所信表明の中で、今はデフレを脱却するまたとないチャンスだという表現を使われました。どのような要因が重なってこのチャンスが巡ってきたとお考えですか。
  164. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 一般的に言えば、日本経済の回復のメカニズム、これがうまく働くような条件が整ってきたということだと思います。これが一般的な今の状況だと思いますが、何がということでございますが、一つは、国際、海外経済でございます。  御案内のように、アメリカの経済というのは緩やかに回復をしてきております。欧州の問題というのは、まだこの債務問題がありますけれども、債務問題に対する取組が進展をしているというふうに思います。中国の経済も、減速した状況を脱しつつあるというふうに思います。こういうことが重なりますと、恐らく海外経済というのは今後緩やかに回復してくることが期待をできる。そういう意味で、好機であると思います。  それから、国内的に見ても、銀行セクターの話が先ほどから議論になっておりますけれども、今回、大きな日本の金融システムにとってのプラスの部分というのは、欧米の金融機関、金融システムと異なりまして、仲介機能というのが温存されている、これ自体は損傷を受けていないということですね。ですから、一旦このメカニズムが回転をし始めますと、金融機関が景気の回復を支えていく力を今回は確実に持っているというふうに思います。こういう意味で、チャンスだというふうにとらえていると申し上げました。
  165. 渡辺猛之

    ○渡辺猛之君 ありがとうございました。  私も、これまでの日銀の金融政策、特にリーマン・ショック後の対応等を見てみますと、全否定をするものではありません、評価をすべきところはあったと思いますが、事デフレ脱却ということに関しては、先ほど来議論になっておりますけれども、やっぱり結果責任でありますので、残念ながらその結果が出ていないという現状。それはやっぱり今までの日銀のこのデフレ脱却のための政策というのがまだ足りなかった、これはもう真摯に受け止めなければいけないと思いますし、また、先ほどの参考人の御答弁を聞いておりましても、そのようなスタンスでおられると思います。  そのような中で、今、予想インフレ率も非常に上がってきている。これ、一つはやっぱりデフレ脱却のための取組が、今まで政府が発するメッセージとそしてまた日銀が出すメッセージ、これがどうもちぐはぐなところがあったような気がするんですね。そこが、安倍政権誕生いたしまして、今回の人事のことも含めまして、だんだん政府のメッセージと日銀のメッセージが同じ方向を向いて、同じまたパワーで進んでいくんじゃないかという期待が高まっているというのは事実であります。  そこで、参考人にお尋ねをしたいのは、では、政府との連携、日銀と政府との連携についてどのようにお考えになられますか。
  166. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) これは共同声明に全て盛られている内容だというふうに思います。そういう意味で、この共同声明の持つ意義というのは大変大きいというふうに思います。  政策連携、これが具体化しているのがこの共同声明だというふうに思いますので、我々はこの金融政策の面から強力な金融緩和をしてデフレの早期克服に全力を挙げると。一方で、政府におかれては成長戦略、そして財政の健全化、こういったことを対応していただく。これが両者合わさって、所信の中で申し上げましたけれども、実際に国民の生活が豊かになる、つまり、賃金が上がり、雇用が拡大し、そういった中で徐々に物価上昇率が上がっていく、そういった望ましい状態をこれは達成ができる、そういう道筋が確かに見えてきたのではないかというふうに思っております。
  167. 渡辺猛之

    ○渡辺猛之君 私の選挙区岐阜県なんでありますけれども、リーマン・ショックが起こるまで、例えば愛知県の自動車メーカーを中心として非常に名古屋の景気は良かったんですね。これは実感として肌で感じていたところでありますけれども。ちまたでは、ちょっとしたミニバブルだなというようなこと言われるぐらい景気良かったんですよ。ところが、県境を越えまして岐阜県に入ってまいりますと、自動車関連の下請あるいは孫請をされている企業のお話を聞いておりましても、忙しいけどもうからないというような言葉をたくさん聞いてまいりました。  そこで、中曽参考人に、少しちょっと難しい質問なのかもしれませんけれども、今参考人が考えておられる金融政策の内容あるいは期間ということで地方の中小企業まで景気の回復が実感できる状況が生み出せるのかなと。今までの日銀の政策では実現できなかったことでありますけれども、どのような手法が考えられるのか、中曽参考人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  168. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) まず、その中小企業の私どもの認識でございますけれども、世界経済が回復しているというふうに私申し上げました。その意味で、大企業が回復モメンタムを感じているほどには、これは中小企業には残念ながらそういった恩恵がまだ均てんされていないというのは事実だというふうに思います。  一方で、我々としても、中小企業が果たしている役割の大きさ、これは十分に認識をしておりますので、そういうことも含めまして、実際これまで中小企業に目標を絞ったような貸出増加額支援の中で小口のものを導入するとか、そういったものも入れ、成長基盤支援、失礼しました、こちらの中で小口、中小企業を念頭に置いたような仕組みを入れてきております。こういったものについては引き続きその有用性を評価しながら継続を考えていっていいのではないかというふうに思いますし、私ども、一つの中央銀行としての利点というのは、三十二か所、全国で支店を持ってございます。こういった中で、かなり細かい個別の企業情報も含めてモニタリングをしておりますので、こういった支店長会議などを通じて上がってくる地方の経済の状況、なかんずくその中小企業の動向、この辺を十分に踏まえてこれを今後の施策に生かしていきたい、こういうつもりでおります。
  169. 渡辺猛之

    ○渡辺猛之君 大変力強いお言葉をいただきまして、ありがとうございました。  やはり日本経済を支えているのは、中小企業あるいは小規模企業と言われる非常に小さな企業がやっぱり日本経済の根底を支えているというふうに私、思っているところでございますので、是非ともその点の観点を忘れずに職務に当たっていただきたいなということを思っております。  昨日からの議論を聞いておりまして、日銀の目的、金融政策目的が物価の安定ということに理解ができるわけでありますけれども、これ日銀法もよく読んでみますと、物価の安定というのはあくまでも手段であります。本当の目的は、先ほど来答弁ありますように、国民経済の健全な発展、ここが目的であって、物価の安定というのはあくまで手段であるわけでありますので、そういう意味では、しっかりその目的を副総裁という立場に御就任されても見失わずに御活躍をいただけますように、御期待をしております。  以上で終わります。ありがとうございました。
  170. 長沢広明

    ○長沢広明君 公明党の長沢広明です。  中曽参考人に岩田参考人と同じことをまず先にお伺いしたいと思い、私、今日、二点だけ質問させていただきます。  一点は、日銀でずっと仕事をされてきて、ある意味では生え抜きということだと思いますけれども、最近、近年は国際金融をずっと担当された理事でいらっしゃいます。そういう御自身の経歴を生かして、副総裁の立場になられた際は具体的にどのように、役割分担もあるかもしれませんけれども、どのように総裁をサポートされるお考えか、まずお伺いしたいと思います。
  171. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) これは、私、三十五年間組織で働いてきたわけでありますので、自分の役割というのはかなり明確ではないかと思っています。つまり、これまで日本銀行で長く身を置いてきたことを通じまして得られた知見、経験、これを十分に生かして、業務、組織運営に関して日本銀行法に定められたところに従いまして、これは職員の力を束ねる、そういったことを通じまして総裁をしっかりと全面的に補佐していく、こういうことが自分に課せられた大きな役割だろうというふうに思っております。
  172. 長沢広明

    ○長沢広明君 中曽参考人の場合は、副総裁候補者として、これまでの能力とか経験とかそういうものを考え合わせれば、副総裁の候補者として特に遜色があるとは思っておりません。ですので、今までの経歴を生かして存分に御活躍いただきたいと思います。  最後に一点だけお伺いをします。  先ほど来も議論出ておりますが、黒田総裁候補も、昨日も、いわゆるデフレがこれまで続いてきた責任は日銀にあるとかなり強くおっしゃっておりました。日銀の中でお仕事をされてきた中曽参考人として、このデフレの責任が日銀にあると、こう断言された総裁候補のお考えをどのように受け止めていらっしゃるかということと、これまで、もう一つ併せてお伺いしますが、日銀の中で仕事をされてきた中で、今回副総裁として仕事をされるに当たり、これまでのデフレの問題も含めて、日銀の改革を進めなければならないとすれば日銀のどこをどう改革すべき点があるとお考えか。  この二点、併せて伺って、終わりたいと思います。
  173. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) デフレの克服という課題が今もってこれが達成されていない。消費者物価の上昇率というのがいまだにゼロ%近傍である。確かに、我々いろんなことをやってきたつもりでございます。しかし、結果が出ていないというのは、これは真摯に重く受け止める必要があるというふうに思っております。その分、こういった御批判も踏まえまして、これは二%という物価目標を我々持ったわけですから、自分で決めて持ったわけですから、これからはその目標達成に向けて改めて全力で取り組んでいきたい、これが今の私の気持ちでございます。  そして、日本銀行の改革ですね、これはどういったところかというふうに御質問だったと思うんですが、これはやはり、私、国際金融の現場におりまして非常に強く感じるのは、日本経済、かつては世界第二位、相対的な経済規模は非常に大きかったわけであります。各種の国際会議におきましては経済規模が大きいということだけでいろんな方が耳を傾けてもらった、そういう時代があったのは間違いございません。ただ、そういう時代が確実に過ぎつつあるということだというふうに思います。  したがいまして、我々の立場からいえば、金融政策を、自分たちの金融政策をどういう目的でどういう手段でどのように運営しているか、こういったことをきっちりと説明して、これで理解を求めていく。そういう意味で、人材の育成、国際的な場でも活躍できるような人材の育成というのが、これが我々に課された課題の、大きな課題の、少なくとも大きな課題の一つではないかというふうに思っておりまして、もし任命されたならば、この部分については人材育成の強化という観点からいろいろやってみたいということは実は思っております。
  174. 長沢広明

    ○長沢広明君 終わります。ありがとうございました。
  175. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立源幸でございます。  もう皆さんに申し上げているんですけれども、今回の質疑については、二%の物価目標さえ達成すれば世の中バラ色になるというような、こういうちょっと楽観的なムードに非常に危惧感を持っております。そういう意味で、やはり大胆な量的緩和、これがひいては長期国債の購入、金利の大幅な上昇などにつながって財政を悪化をさせる、また財政ファイナンスじゃないかと、こう疑われないような、こういう仕組みもしっかり担保していかなきゃいけないと思っておりますし、最も大事なことは、国民生活が、この二%の物価目標を掲げることで悪いインフレなどが引き起こされて迷惑を掛けることがないようにしなきゃいけないと思っております。  そういった観点で、少しネガティブ、否定的な面からのチェックをさせていただきたいと思いますが、まず第一点目に、十一月までの日銀と十二月以降の日銀は大幅に考え方が変わったと思うんですけれども、この変化について、なぜこのような変化を来す決定をしたか、それについて中曽参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
  176. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) まずもって、議員の御意見に同調したい点は、これ繰り返しになりますけれども、物価が上がっていく状況というのは、これは、国民生活が豊かになる状況でないとこれは本当に意味がない。つまり、賃金も上がり、雇用も上昇し、そういう状態の中で徐々に物価の上昇率が高まっていく、そういう状態をつくり出していく必要がある、これはまさにそのとおりだというふうに思っております。  その上で、この間の変化でございますが、この間、私、国際金融を担当しておりましたので、実際に正確にどういう議論、経緯があったのかというのは承知を具体的にはしてございません。ただし、この間やはり、あるいは去年の夏くらいからと言っていいと思うんですが、海外経済に変化の兆しが出てきた部分というのはあると思うんですね。  これは特に、それまでは欧州の債務問題というのは大変やはり世界経済の足を引っ張る大きな要因だったわけです。もちろん、その構造的な要因が残っているんですが、欧州の債務問題に対する取組が進捗したと、こういうことが特に金融市場においては投資家のリスク許容度を上げる、あるいはリスク回避姿勢が後退する、こういうことを通じまして、世界的に金融市場の状況が好転してきた、そういうところが大きいのではないか。つまり、そういうことの後に実体経済もやがて改善していくのではないか。つまり、経済が大幅に悪化するというシナリオが後退してきたことがこの間起きた大きな変化でありまして、そういう変化に応じて日本銀行政策スタンスも変わってきたのかなというふうに私自身は思っております。
  177. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 そこで、中央銀行の独立性というものについてちょっと議論をさせていただきたいんですが、参考人ドイツ通貨等についての本を書かれておりますが、今、黒田参考人、また岩田参考人については、どちらかというと、政策目標を政府が決めるなりまた共有するということで、ドイツとは少し違うんではないかと思いますが、その辺り、どのような御見識をお持ちですか。
  178. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) その本は私が翻訳にかかわった本だと思うんですが、ブンデスバンクですね、ドイツ連邦銀行、これは伝統的に物価の上昇を抑制的に考える、そして中央銀行の独立性というものを非常に重要に、重きを置いて考える、そういうDNAがECBにも引き継がれているというふうに私は思っております。  それで、独立性につきましては、これは、私どもについていえば、物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資する、これが目的、金融政策目的なんですが、そのためには、中央銀行がやはり専門的な知識を持って経済・物価情勢の分析を行って、自分で政策を考えて判断をしてこれを実行していく、こういうことが非常に重要でないかというふうに思っております。  これはブンデスバンクだけではありませんで、歴史的に世界の経験から各国が認めている基本的な考え方であります。事実、日本銀行法にもこれが具体化されているということだと思いますし、最近私が出た各種の国際会議においても、これは単に中央銀行ということだけではなくて、一国の経済運営に対する信認を維持するためにも、これは中央銀行の独立性というのが担保されていることが重要である、こういう見解はいろんな国の代表から聞かれたところでございます。  もちろん、独善に陥ってはいけないわけでありまして、これは聞くことには真摯に意見をお聞きしながら、これはしっかりと、そうはいってもその政策委員会の判断で、自ら考えてやっていくこと、そしてよく説明をするということを通じて中央銀行の独立性というのは本当の意味で確保されるのではないかというふうに思っております。
  179. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 黒田参考人と岩田参考人独立性に対する見解もお聞きになったかと思いますが、それについてはどのように評価されて、今どの独立性が望ましいとお二人がおっしゃっているのか、少し御意見いただけますか。
  180. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 申し訳ございません。その総裁候補及び岩田副総裁候補の意見を詳細に認識を、承知をしているわけではございませんが、いわゆる、先ほど私が申し上げたような意味での日本銀行独立性、これは恐らく私ども三人とも大きな相違というのはないのではないか。これがあってのやっぱり金融政策である、そこに意見の相違は私はないのではないかというふうに思っております。
  181. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 もう一つ、自分たちで考え、自分たちで実行していくということなんですけれども、その理論的な支柱となるのは今回リフレ派と呼ばれる方々のお二人だと思うんですが、この考え方について中曽参考人はどのような見解をお持ちですか。
  182. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) このリフレの定義にもよると思うんですが、例えば、マネタリーベースあるいはマネーサプライを増やしていくことによって持続的な経済成長を達成し、その中で期待成長率が高まり、ひいてはインフレ期待、これも高まっていくと、そういうメカニズムを指されているんであろうというふうに思いますが、恐らくそういうメカニズムが働くことはそれは間違いないと思います。  ただ、繰り返しになりますけれども、こういったメカニズムをより強力に作動させるためには、やはり企業ですとか家計ですとか、緩和された金融環境を、マネタリーベースが増えたんであれば増えた中での緩和された環境をより積極的に活用できる、そういう状態をつくり出していくことが必要である。その意味でも、私は成長戦略あるいは競争力強化、こういったものがやはり大きな意味を持つのではないかというふうに思っております。
  183. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 中曽参考人、端的にお聞きしますが、今まで日銀は、このリフレ的な学説に余りよってなかったということなのか、それとも、よってたんだけど足りなかったというのか、その点、お考えをお聞かせください。
  184. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) これは、元々そういう学説があることは当然承知をしていますし、そういった機能が作動するということはこれは認識をしていたと思うんですね。ただ、作動するその、何といいますか、度合い、結果的に物価が上がってこない、デフレが脱却できていないというところは一方で認識をしつつも、その効果あるいはメカニズム自体はこれは認識をしていたというふうに言っていいと思います。  ですからこそ、今回は二%という目標ができた以上は、そういったメカニズムを使いながら、あるいは先ほど申し上げました成長戦略などにより金融緩和効果を強めるような形を組み合わせて、この目標達成を、是非達成に向けて頑張っていきたいというふうに思っております。
  185. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 それではもう一点、日銀券ルールについては、今あるけど守られていないようなものだということもおっしゃいましたが、これを撤廃することの意味と、これから検討をして、例えば撤廃するということの実害があるのかどうかということと、あと、先ほど岩田参考人が、財政ファイナンスと見られないように二%の物価目標をつくる、これをつくるから財政ファイナンスとは見られないので大丈夫なんだというようなことをおっしゃっておりましたが、中曽参考人、この二%の物価目標があるから財政ファイナンスと誤解されないんだということに対する意見をお聞かせください。
  186. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 銀行券ルール、先ほど申し上げましたとおりに、これは日本銀行の国債買入れが財政ファイナンスであるというふうに受け取られないために導入した一つの工夫であると思うのですが、既に基金と調節、合わせた部分、国債の買入れ残高というのが銀行券残高を超えてきている、こういう状態を踏まえた上で重要なことは、委員御指摘のとおり、我々からすれば、まず、日本銀行の国債買入れというのが財政ファイナンスを目的としたものではないという情報発信をこれはしっかりと引き続きしていくということでありますし、一方、政府におかれましては、中期的な、もちろん景気動向を踏まえた機動的な財政運営とのバランスを取りながらということだと思うんですが、中長期的な財政健全化に向けた市場の信認、これを維持していくことというのは非常に重要だというふうに思います。  その上では、これはその共同声明に書かれているとおりなんでございますが、持続可能な財政構造を確立するための取組を是非進めていただく必要があるというふうに思います。これが極めて大事なポイントかなというふうに私は思っております。
  187. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 ちょっと素人的に考えますと、二%の物価目標を達成するためにじゃんじゃん国債買い入れますよということであるならば、その効果が現れないとどんどんやるわけですよね。これと、財政ファイナンスじゃないということの境目をどうやって区別するんですか。
  188. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 大変これは大事なポイントだというふうに思っています。これは最終的には日本銀行が、政策委員会ということになると思うんですが、自分の判断で、どこまで何を買うのか、こういうことを主体的に決めていく、こういった主体性を持つということが非常に大事、最終的には大事なのかなというふうに思っております。言い方を変えれば、そういう状況になって受動的に追い込まれるような形で国債の買入れを行うことになると、これは市場の信認も失われてしまいかねないので、そういう意味で、自主性、自分たちの考えで、責任でという部分が最終的には大事な点だと思っています。
  189. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 それでは、大規模な、大胆な量的、質的な緩和をするということに伴う副作用だとか落とし穴、想定されるものをお聞かせください。
  190. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) これまでの経験を踏まえまして、幾つかあると思うんですね。米国でも若干その論点は挙げられていると思うんですが、一つは家計の利子収入が落ちてしまうということでございます。もう一つは、機関投資家の運用難という問題もございます。そして三番目が、一部の投資家のリスクテーク姿勢が過度に積極化する、これで金融不均衡がたまってしまうというリスク。そして四点目が、若干先ほど申し上げました市場機能の低下。こういった副作用があり得るというふうに思います。  ただ、その上で申し上げたいのは、そういう副作用を十分に見極めていく必要はあると思いますが、なおその足下の状況というのは金融の強力な緩和を進めていける状態にあるというふうに私自身は思っております。
  191. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 先ほど岩田参考人にもこの副作用のことをお聞きしたんですが、余り明確に答えられなかったので、是非、副総裁にもしなられたときには、こういう学説に対しても副作用はあるんだよと、そしてまた落とし穴もあるんだよということをしっかりブレーキ役として頑張っていただきたいと思いますが、その覚悟はありますか。
  192. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 白川総裁はいろんな非伝統的な政策のフロントランナーというふうに称されることも多いんですが、実は今申し上げましたような副作用も、実は二〇〇一年ないし六年、我々量的緩和という政策を一回やって、ここから出たことがあるんですけれども、その中で実際に市場で起きたこと、そういうことを踏まえて認識をしているその副作用、いわゆる副作用でございます。  そういう意味で、実際に市場に近いところで仕事をしてきた立場の者として、これは御指摘のように、十分に新しい体制の下でもそういったノウハウ、知見、経験、これは生かしていくことが自分の責任であるということは十分に自覚をしております。
  193. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 よろしくお願いします。  それでは、最後の質問になりますが、黒田参考人にもお聞きした点なんですが、日銀の改革という面で、為替差損益の扱いです、会計上の。  これは、損失が出た場合は、これ全部日銀さんの損益と合算をしてしまって国庫納付する分が減っていくと、剰余金が減るということになるんですけれども、これ為替差損益で益が出た場合は、まず益の五〇%を日銀さんの引当金というか取り分として取って、残りの五〇%を国庫納付に加えるというような、簡単に言うとそういう仕組みになっているんですね。  これ、何千億単位の話でして、損したときだけこれを国におっつけて、利益が出たときは自分たちで留保すると、こういう都合のいい会計ルールを作っているんですよ。こんなことも国民の目から見ると非常に不透明で御都合主義じゃないかと思うので、是非改革をしていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  194. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 御指摘の点は、これは政策委員会で決定している会計規程に基づいてその処理をしている部分だというふうに認識をしております。  その上で申し上げておきたいのは、実は日本銀行は、これは二〇一一年の七月の参院の財政金融委員会附帯決議におきまして、日本銀行はその外貨資産の保有及びリスク管理の在り方を検討するようにと、こういう指示を受けたところでございます。これは、我々の持っている外貨資産評価損がかなり膨らんでしまったことが背景だというふうに思っております。  したがいまして、そもそもそういう評価損益が大きく上下するような、変動するような状態を私どもとしては避けたいというふうに思っておりまして、これを受けまして、実は去年の五月に保有外貨資産の管理基本要領というのを私ども決定をしています。これでより安全な資産を持つ、そして目的も列挙する、国際協力ですとか邦銀に対する外貨の支援ですとか成長基盤、こういったドルの部分を私どもがファイナンスすると、こういったところに絞って、そもそも大きな外貨の評価益、損益が出ないような仕組みに私どもとしては手を打ったというふうに思っております。
  195. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 どうもありがとうございます。
  196. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) この際、お諮りいたします。  委員外議員広野ただし君、井上哲士君及び谷岡郁子君から本件についての中曽参考人に対する質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) 御異議ないと認めます。  それでは、まず広野君に発言を許します。広野ただし君。
  198. 広野ただし

    ○委員以外の議員(広野ただし君) 生活の党の広野ただしです。  往復で五分間ということになりますので、ひとつそれも考慮の上、御回答お願いしたいと思います。  私たちもデフレ脱却ということは非常に大切なことだと思っております。そして、その中で物価安定目標二%アップということでありますが、アベノミクス全体がパイを大きくすればそれが好循環を生み出すんだと、企業収益を向上させ、そして所得が上がり、賃金が上がり、失業等も改善をされるというような、そして国民生活が向上すると、こういうような非常に好循環のことを言っておりますが、これまでの中では、新自由主義の中では、所得格差の拡大等ももたらされ、また貧困層も増えたりしているわけですね。ですから、そういう中で三つちょっと質問をしたいと思います。  一つは、パイを大きくすれば自然におのずとうまくいくというよりも、いや、失業の改善等を、このFRBのように改善等も念頭に置きながら、あるいは所得の向上というものも念頭に置きながら政策を打っていくべきではないのかということが一つです。  二番目は、実体経済が付いてこない。金融大緩和をしていっても実体経済が付いてこなくてスタグフレーションのようなことになっていくおそれがあるんではないのかということ、これもお答えいただきたいと思います。  三番目は、二年後、二%、そしてその後も毎年二%ずつですから、五年間、任期の間に八、九%、一〇%近く上がるということになってまいりますと、実体経済が付いていけばいいですが、そうでない場合はマネーゲーム的な要素が非常に増えるんじゃないかということであります。  その三点について、まずお答えいただきたいと思います。
  199. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) まず第一点目でございます。  パイを大きくする中で失業率を下げて賃金、雇用の向上も目指していく、これ自体、こういう方向性を目指すべきであろうというふうに思っております。  問題が生じてくるような格差の部分でありますけれども、これは金融政策の領域ではないかもしれませんが、私ども先ほど出た中小企業の問題も十分認識をしておりますので、マクロ的な経済環境が好転する中でそういったひずみのようなものが出てきた場合、これはその支店の機能などを使って、これは情報をうまくピックアップしながら対応していきたいというふうに考えております。  それから、失業率、雇用の問題でありますが、日本銀行の金融政策の理念、これは物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資するということでございますので、物価安定の目標を達成していくその道筋というのはこの理念の下で行われるわけでございますので、雇用の部分を金融面から支援していくという、そういう意味合いは既に今の日本銀行法の中にも入っているということが言えるのではないかと思います。  そして、その二%、二%で実体経済の拡大が伴えばいいわけですけれども、御指摘のように物価だけ上がっていくようなことになりますと、もう一つはマネーゲーム的なものが先行してしまうようなことについてどうかということなんですが、これはそのとおりだというふうに思います。  それゆえ、私どもは金融システムの安定にも日銀法上責任を持ってございますので、私どもの持っている機能を発揮をしながら金融の不均衡というものを早期に発見をして必要な対応を取っていくということが、そういったマネーゲームに陥らないためにも必要であるというふうに認識をしております。
  200. 広野ただし

    ○委員以外の議員(広野ただし君) 以上です。  ありがとうございます。
  201. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) 次に、井上君に発言を許します。井上哲士君。
  202. 井上哲士

    ○委員以外の議員(井上哲士君) 日本共産党の井上哲士です。  現在の白川総裁が、昨年の十一月の二十日の記者会見で次のように発言をされております。国民の皆さんが望んでいるデフレ脱却とは、単に物価だけが上昇する状態ではなく、企業収益や雇用の増加、賃金の上昇などを伴って、経済が全体として改善し、その結果として物価が緩やかに上昇していく状態であると思います、仮に、今まで経験したことのない物価上昇率を掲げ、それに向けて政策を総動員していくということで、その物価上昇率だけが信じられた場合には、長期金利がまず上がってしまいますと、こういう発言でございます。私は当時のこの白川総裁の発言はそのとおりだと思うんですが、その後、金融緩和策という方向に踏み込んだわけですね。  黒田総裁候補や岩田副総裁候補の指し示す方向というのは、ここで言う国民が望んでいるデフレ脱却という方向ではなくて、まずは物価を引き上げる、その後、賃金も上がるはずだと、その時間のラグができるけれども、そのところは何か手当てをすればいいと、こういう方向になっております。  私は、雇用、賃金を改善をしてその結果として物価が上がっていくと、こういう道こそ国民が望んでいく方向であると思いますし、現在の日銀スタッフとして、こうして掲げてきた方向を進めばよいんじゃないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。
  203. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) この点につきまして、単に物価が上がっていくということではこれは実質所得が落ちてしまうわけですから、これは景気に対してはむしろ、経済に対してはむしろマイナスなわけであります。  したがいまして、私どもとしては、金融の強力な緩和を通じて目指すべき状態というのは、企業収益が改善し、雇用そして賃金が増加する、つまり国民生活、御指摘のように国民生活がより豊かになるという、そういう状況を伴いながら物価の上昇率というのが徐々に高まっていく、そういう状況をつくり出すことが極めて大切だというふうに思っておりまして、私どもの金融政策、これからの運営についても、こういった視点というのは是非欠かさず持ち続けたいというふうに思っております。
  204. 井上哲士

    ○委員以外の議員(井上哲士君) 結果としてということと伴いながらということは、少し私、ニュアンスが変わってくるんだと思うんですが、衆議院での御発言では、デフレの背景というのは九〇年代以降需要が足りなかった、それに向けて、リーマン・ショックの後に景気が大きく落ち込んだことが大きいと、こういうふうに言われていますが、需要が足りなくなったこの原因についてはどのように認識をされておるでしょうか。
  205. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) いろんな循環要因と構造要因があると思いますが、最初の九〇年代の後半以降の十年間くらいというのは、これは、銀行危機の結果、金融機関の信用仲介能力というのは大きく損傷を受けましたので、ここが景気を支える力を失ってしまったということが一つあるというふうに思います。そういう中で、人々ですね、家計とか企業の成長期待も落ちていってしまったことが一つの背景かというふうに思います。  さらに、二〇〇〇年代に入ってからは、これはよく言われていることではございますけれども、少子高齢化によって労働人口が特に減少していくという、いわゆる人口オーナス世界においてこういったデフレの地合いというのが定着をしてきてしまったと、こういうような基本的な背景があるかというふうに思っております。
  206. 井上哲士

    ○委員以外の議員(井上哲士君) その上で、前例にとらわれることなくいろいろな政策手段というものを考えていきたいということも述べられておりますが、こうした需要不足を克服していく上での政策手段というのはどういうことをお考えでしょうか。
  207. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 元々そのデフレの背景に基本的に需要が大きく落ち込んでしまったという要因がございますので、そういった要因と構造的な要因と両方あると思います。ですからこそ、この三本の矢というのが非常に適切で必要な施策というふうに認識を私はしているわけですけれども、金融政策面でやっていくべきこと、金融の強力な緩和、これは御指摘のとおり、日本銀行の機能をフルに活用して前例にとらわれることなく新しい発想でやっていこうということでございますけれども、具体的にどういう施策をということは、これは私を含めた政策委員会でこれから中身を議論を詰めていきたいというふうに思っております。
  208. 井上哲士

    ○委員以外の議員(井上哲士君) ありがとうございました。終わります。
  209. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) 次に、谷岡君に発言を許します。谷岡郁子さん。
  210. 谷岡郁子

    ○委員以外の議員(谷岡郁子君) 発言をお許しいただきましてありがとうございます。  みどりの風の谷岡郁子でございます。  率直に申し上げて、昨日の総裁候補、そして今朝の岩田副総裁候補とお話を、今、中曽さんのお話も聞かせていただいて、お二人と中曽さんとは水と油だなということを感じるようなところが幾つかあったように思います。  そこで、先ほど役割は明快と、業務、組織、運営を束ねて総裁を支えることだというふうにおっしゃった。多分、これまでの日銀と、そして今、黒田総裁が生まれた以降の日銀というものは、内部の伝統、風土、あるいはこれまでの習慣、慣行といったものと、恐らく黒田総裁がおやりになるというところの間に大きなギャップが生まれたり、あるいはハレーションが起きることも多々あるかと思うんですけれども、それを新副総裁として、先ほどおっしゃった役割の文脈の中でどういうふうにとらえて、どういうふうになさろうとしているのか、そこを伺いたいと思います。
  211. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) まだこの新しい体制が発足したわけではございませんので、これは実際にそのチームを組んでからやっていくことになると思いますが、私自身は、これはチームプレーを発揮して共通の目標に向かって一緒に力を合わせてやっていくと、それができるというふうに思っております。  その上で、日本銀行、今日は金融政策の議論が中心だったんですが、組織運営上私が多分負っている大きな役割の一つというのは、日本銀行、実は金融政策だけをやっているわけではないんですね。金融システムの安定、そして決済システムの運行、こういう日々の業務を間違いなくこなしていく必要がございます。  その意味で、支店、本店合わせて五千人弱の職員がおりますけれども、こういう人たちが、新しい体制になっても今までどおり高い士気と使命感、責任感を持って、一日も欠かしてはならないこういう日々の日本銀行、中央銀行の業務をしっかりと支えていく、そういったことを維持してもらっていくことも、これは私、副総裁としてもし任ぜられましたら大きな役割だというふうに非常に強く自覚をしているところでございます。
  212. 谷岡郁子

    ○委員以外の議員(谷岡郁子君) しかしながら、他の両候補のように、これまでの日銀は間違っていたみたいなことをはっきり言われてしまうと、その高い士気だとか使命感というものがある意味で損なわれたり、あるいはそのやる気を失わせたりするようなことになりませんか。その辺に対する対策はどのようにお考えでしょう。
  213. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) もとよりそういうことがあってはならないというふうに思っておりますし、私どもの職員というのは、これまでも何回か体制変わってきた中でも中央銀行の業務というのを欠かさずに支えてきてくれたというふうに思っています。  私自身は、その高い士気、その使命感が損なわれることはないというふうに確信をしておりますけれども、これは、自分としてできることは、長くこの組織に生きてきたわけですから、どういう部署にどういう人がいる、今どういう人がいる、こういう人たちをよく個人的にも一人ずつ知っている立場にありますから、これは機会をとらえて、そういう人たちに直接あるいは間接、メッセージを伝えていきたいというふうに思っています。
  214. 谷岡郁子

    ○委員以外の議員(谷岡郁子君) 今は批判されているところもあるかもしれませんけれども、私は、正しいことも日銀たくさんやってこられたんだと思います。そして、残念ながら、他の両候補、チームプレーヤーとは見えませんでした。そういう中で、中曽さんがまとめていかなきゃいけないところというのがすごく大きいと思うんです。  時には総裁に対しても、カウンターパートの副総裁に対しても、そこに対して、やはりみんなを、使命感を守るために、日銀を守るために、あるいは国民を守るためにしっかりと苦言も呈して説得力を持ってやっていかれると。そのときに官僚的な対応になさらないということを、方針、意思として伺えますでしょうか。
  215. 中曽宏

    参考人(中曽宏君) 中央銀行の役割、使命というのは、かなり長い時間を掛けて達成する必要がありますし、信認というものは長い時間を掛けて確立されてくる部分がありますので、そういうものは失いたくないというふうに思っています。  その意味で、御指摘のような役割、使命というのは、ここではっきり私、責任を全うしていく、これをここで申し上げておきたいというふうに思います。
  216. 谷岡郁子

    ○委員以外の議員(谷岡郁子君) もちろん、内部での、役員会を含めて、政策委員会もありましょうし、様々なところで多くの調整をなさらなければならないお立場だと思いますけれども、あくまで未来のため、国民のために頑張っていただくということをお願い申し上げて、終わります。
  217. 岩城光英

    ○委員長(岩城光英君) これにて中曽参考人に対する質疑を終了いたします。  中曽参考人に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙の中を御意見をお述べいただき誠にありがとうございました。委員会を代表して御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十二分散会