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2013-03-21 第183回国会 参議院 農林水産委員会 2号 公式Web版

  1. 平成二十五年三月二十一日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  三月十九日     辞任         補欠選任      金子 恵美君     大久保潔重君  三月二十一日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     田城  郁君      大久保潔重君     金子 恵美君      岩井 茂樹君     福岡 資麿君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中谷 智司君     理 事                 郡司  彰君                 徳永 エリ君                 野村 哲郎君     委 員                 一川 保夫君                 岩本  司君                 金子 恵美君                 田城  郁君                 松浦 大悟君                 岡田 直樹君                 加治屋義人君                 長谷川 岳君                 福岡 資麿君                 白浜 一良君                 横山 信一君                 山田 太郎君                 平山 幸司君                 紙  智子君                 舟山 康江君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        内閣府副大臣   西村 康稔君        財務副大臣    小渕 優子君        農林水産副大臣  加治屋義人君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       稲津  久君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       川崎 研一君        農林水産大臣官        房総括審議官   荒川  隆君        農林水産省生産        局長       佐藤 一雄君        農林水産省農村        振興局長     實重 重実君        林野庁長官    沼田 正俊君        資源エネルギー        庁電力・ガス事        業部長      糟谷 敏秀君        環境省自然環境        局長       伊藤 哲夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (平成二十五年度の農林水産行政の基本施策に  関する件)     ─────────────
  2. 中谷智司

    ○委員長(中谷智司君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、岩井茂樹君及び小川勝也君が委員を辞任され、その補欠として福岡資麿君及び田城郁君が選任されました。     ─────────────
  3. 中谷智司

    ○委員長(中谷智司君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣参事官川崎研一君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中谷智司

    ○委員長(中谷智司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 中谷智司

    ○委員長(中谷智司君) 農林水産に関する調査を議題とし、平成二十五年度の農林水産行政の基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 民主党の松浦大悟です。  大臣、今日は、多くの農家の皆さんが心配の声を上げているTPPの問題から質問させていただきたいというふうに思います。  先月、安倍総理が訪米をし、オバマ大統領と会談を行い、そそくさとTPP交渉参加を決めてしまったというふうに思っております。私には全てが予定調和に見えてしまうんです。結果としてこれ、JAの皆さん、農家の皆さん、だまされたということになるんではないでしょうか。  先日、秋田市のJAビルの前で街頭演説をしてまいりました。JAビルの玄関の上にはTPP断固反対の看板が掲げられていたんですが、これ既に撤去されておりました。JAの皆さん、どんな気持ちでこの看板を外したのか。大臣、どんなお気持ちだと思われるでしょうか。今本当にやりきれない気持ちでいっぱいなのではないかというふうに思っております。TPPに断固反対してくれるからという理由で、JAの皆さんはさきの衆議院選挙において自民党の候補者の皆さんに推薦を出したのではなかったでしょうか。全国でも多くの反対運動が起こっております。  まず、こうした全国の農家の皆さんの怒りについてどうとらえていらっしゃるか、大臣、聞かせてください。
  7. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) お話がありましたように、我々、選挙のときに、聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加には反対すると、党としてはこういう公約を作りまして選挙戦をやってきたということであります。  衆議院の方の質疑でもございましたけれども、個別にJAさんと政策協定ですか、何かひな形を見せていただいて衆議院の方では質疑をいただきましたけれども、そういうこともいろいろあると、こういうことでございました。  したがって、そういういろんな声、それから総理が訪米から帰ってこられた最初の閣議でお会いするタイミングがございましたので、私の方からも、非常にこれはセンシティブな問題であると、こういう品目がセンシティブという意味じゃなくて、この問題自体が非常に政治的にもセンシティブであって、今までの、今申し上げたような公約等々の経緯もあるから、いろんな意見を丁寧にお聞きになって、慎重に丁寧に判断に至る過程を進めていただきたいということをお願いをして、そういういろんなお声を総理もお聞きになって、その中にはJAの萬歳会長ともお会いになっておられるようでございます。  したがって、大変にそういういろんなお声を聞きながら重い決断を総理がされたということでございますので、いろんなその後の意見の御表明等も我々聞いておるところでございますが、いろんな説明をしっかりと果たして御理解いただけるように努力をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  8. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 大臣はそのようにおっしゃるんですが、今回の所信を見てみましても、TPPについてはほとんど、数行しか触れられていないという状況でありまして、余り力点が置かれていないのではないかという印象を受けます。  民主党は決められない政治と言われましたけれども、決める政治だからといって、こういうことを決められても困るんですよね。  それから、この間の政府のプロセスも大変問題だと思っておりまして、TPP交渉参加を発表したその日に国内産業に与える影響についての試算を発表したということなんですね。なぜこのタイミングなのか、議論をする時間を与えないためにわざわざこのタイミングを選んだんじゃないかとさえ思ってしまいます。  この参議院の農水委員会でも林大臣が試算を行うということをおっしゃったので、民主党の部門会議で農水省の職員の方に、それはいつごろやるんですかというふうに聞いたんです。そうしたら、いや、これはけつを決めてやっている話ではありませんのでというふうにお答えになるんですよ。それは、表向きにはやるやると言いながら、やらないということですかというふうに聞いたら、ええとおっしゃるんですよね。大変正直な職員の方だなというふうに思いましたけれども、それで結局出てきたのがこのタイミングだったということなんです。  大臣、これはおかしいんじゃないでしょうか。
  9. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) ちょっと職員がどういうニュアンスでそこで申し上げたかどうか、ちょっとつまびらかにいたしませんが、ここでも申し上げましたように、この試算というものは、そもそも、私も実は野党時代に予算委員会で、総理だったですかね、この試算が三つに分かれていることについて御質問を差し上げたことがございました。したがって、この試算を政府統一として出すと、そして前提についていろいろ、農水省の試算はここがこうだとか、逆に経産省の試算はここがこうだといういろんな議論がありましたので、やはりどういう前提でこの数字が出ているのかということをきちっとそろえていこうと、こういうことで作業をいたしました。  これは必ずしも私の所管ということではございませんが、内閣府の方でモデルというのがございまして、GTAPモデルというんでございますが、ここのモデルを回してみてその数字を出すと、これをずっとやっておられて、そこと一体的にやるということで、今回は我が省で計算しました生産額がどれぐらい減少するか、これも常々申し上げておりますように、一遍に関税が全部ゼロになるという現実にはあり得ないような前提ということですが、それをやった場合に幾らになるかというのを出して、今度それをGTAPモデルの中で回していただくと、こういう作業をいたしたものですから、いろんな詰めのところでやはり時間は掛かったということではないかというふうに思っております。
  10. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 それから、大臣、もう一つプロセスにおいておかしいと思うのが、今回、農水省は食料自給率、これまでカロリーベースで計算していましたけれども、これを生産額ベースにしようというふうに方向転換をいたしました。朝日新聞の記事に、「食料、自給率より生産力 TPPにらみ政策転換 農水省検討」という記事が出てございます。農水省が農業政策で食料自給率に重点を置くのを改め、国内の総合的な農業生産力を示す食料自給力を政策目標とすることを検討していることが分かったということでありまして、TPPによって食料自給率が大きく落ちてしまうということは分かっているわけですから、農水省自身の試算によりまして、これをルールを変更して生産額ベースに今回切り替えたのではないかと、その食料自給率が大きく落ち込むことを覆い隠すために、わざわざ生産額ベースにこれを切り替えたのではないかと多くの方が疑問の声を上げているんですが、この点、なぜこの時期にこの生産額ベースに切り替えたのか、御説明いただけますでしょうか。
  11. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) まず、ちょっと言葉の定義でございますが、食料自給率というものの中にカロリーベースとそれから生産額ベースというのがございます。今委員がちょっと引かれているその新聞かテレビの報道というのは自給力と言っていまして、これはまたこの二つとはまた別の概念ということですね。  お尋ねの趣旨が必ずしもその三つの中でどの二つのことをおっしゃっているか判然としないところもありますが、カロリーベースとそれから生産額ベースというのは従来からずっと出してきて、両方とも大事だということでやってきております。現在がカロリーベースで四〇ちょっと切るぐらいで、これを、民主党政権時代にお作りになった中期目標、基本計画の中に書かれているもので、三十二年度に五〇%にしていこうと、生産額ベースでは今七〇ちょっと切ったぐらい、これを七〇にしていこうと、これはずっとやってきたわけでございます。  多分今お尋ねがあった報道というのは、その二つと別に自給力という概念というのがございまして、これは、何というんでしょうかね、数字で何%というよりも、マクロ経済で言うと実質と名目があって、それと別に潜在成長力みたいな、ここまでは伸びる可能性があるみたいな、ちょっとそれに近いかもしれませんが、例えば野菜を全部やめて、非常時にもっとカロリーの高いものに変えたらどうなるかみたいなことを全部やって、力としてどれぐらいあるのかという、そういう考え方でございます。したがって、この考え方についても検討していくべきだというのはずっと従来からあった議論でございます。  これは事実関係でございまして、今御指摘のあった報道というのは、今までのこのカロリーベースとか生産額ベースじゃなくて自給力に変更しようとしているみたいな多分報道だったと承知しておりますが、そういうことはございませんので、ここではっきりと申し上げておきたいと思います。
  12. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ありがとうございます。  多くの皆さんが心配をしている中でのこの変更だったので、TPPにおいてこれを変えるのではないかと、これを機に変えるのではないかという、そういう報道になったのだというふうに思います。  それから、林大臣は農業における五品目を例外品目にして関税撤廃をさせないというふうにおっしゃっていますけれども、私はこの五品目はかませ犬だというふうに思っております。米だとか小麦の関税撤廃はしないということになれば、ああ、よかったよかった、これで農家は守られたと多くの皆さんが反対運動から撤退をしてしまう、そういう可能性というのはあるんだというふうに思うんですね。農家の皆さんを反対運動から引き剥がすことによってそのほかの部門を推し進めようとしているようにも見えるわけです。これは社会学の言葉で分断統治だとか切断操作というふうに言いますけれども、こちら側の人間とあちら側の人間を分けることによって運動をシュリンクさせていこうという昔ながらの古い政治手法であるというふうに思っております。  このTPPの問題というのは、関税だけが問題なのではなくて、非関税障壁の部門がやはり農業においても大変大きな問題になっておりますので、改めて大臣の認識を伺いたいと思います。
  13. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 御質問の趣旨が必ずしも明確に把握できておるかどうか分かりませんが、いわゆる政治学で言うディバイド・アンド・ルールというやつでしょうか、そういうのがあるというのは、私も何か昔習ったことがあるような気がいたしますが、ちょっとこの五品目の話とそれがどう結び付くのか、ちょっと今はっきり理解をしておるとは思えませんが、いずれにしても、この重要五品目等というのを、自民党でいろんな議論をしていただく中で決議をしていただいております。したがって、この与党の決議としてこれを重く受け止めて、しっかりとこの実現に向けて当たっていくということでございます。  この決議を作ったところをもし見ていただければ、今おっしゃられたようなこれとそれ以外を分断するということはないなというのが、多分決議本体とかその決議で引いている、第四分科会というのがありますが、そこでの記述を見ていただければお分かりいただけるんではないかなというふうに思います。
  14. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 大臣はそのようにおっしゃるんですが、TPPに関する政権公約については、二月二十八日の衆議院予算委員会で、安倍総理が、聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加しないとの一項目のみで、J―ファイルに入っているほかの五項目については政権公約ではないという答弁がございました。しかし、自民党の部会においても、この六項目全ては一つのパッケージであると、林大臣も、記者会見などで、この六項目に反するようなことがあれば参加すべきではないと述べられております。  大臣のおっしゃることと総理のおっしゃることのそごがあるように感じるんですが、この点についてはどう考えればいいんでしょうか。
  15. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) ありがとうございます。  そこは大事なところでございまして、実は総理が政権公約とおっしゃったときの政権公約というのは、まさに定義上の政権公約というのがあるんですね。たしか、選挙法上か何かで配れるやつという意味で、枚数は余り大部なものを作るのが適当でないということで、非常に簡便なやつにしております。それを政権公約と呼んでいるんです。それと加えて、J―ファイルということで政策集というのをやっておりまして、多分民主党さんはインデックスみたいな呼び方をされておられたと思いますが、これ一体として選挙のときのお約束なんですね、公約で、出しておりますから。  だけど、細かく言えば、一項目のところは政権公約に書いてあるということをおっしゃっておられるんだろうというふうに思いまして、いずれにしても、私がずっと申し上げていることは、その一番に聖域なき関税撤廃云々ということが書いてあって、二から六項目というのはございます。二から六項目の中は、確かに総理がおっしゃっているように、参加を決めるかどうかのときには必ずしもものの中身としてこの条件になり得ないようなものも入っておるのも事実でございますので、私は常に、この二から五について、参加するかどうか判断するときに、これは絶対に、明らかにこの二から五に反するということがあれば参加自体も難しいでしょうという言い方をしてきて、それは総理もそういうふうにおっしゃっているということでございまして、その前提で総理がオバマ大統領についてもこの説明もされておられるということでございます。  私も、今の状況の中で二から五に明らかに反するという状況があるというふうには承知をしておらないというのが現状であると、こういうふうに思っております。  したがって、一から六まで全部選挙のときにしたお約束だということは全体、内閣全体として、また政府・与党として一致している見解というふうにお考えになっていただければと思います。
  16. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 どうもそのようには受け取れないんですけれども。総理が言うことと大臣が言うことどちらを信じればいいのか、やはり農家の皆さん迷ってしまうと思うんですね。日本農業新聞でも、総理は聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加しない、この一項目のみだというふうに伝えられておりますし、もしこの報道が間違いだとすれば、この新聞は多くの農家の皆さん取っていらっしゃいますので、混乱を来すことになるだろうというふうに思います。  それから、大臣、カナダ、メキシコ両国が昨年の十一月から交渉会合に参加をしておりますけれども、先行参加の九か国が合意した条文の再協議を要求できないなど不利な条件を受け入れることで参加が認められたという報道がございました。  大臣も、カナダとメキシコについては、八日の閣議後の会見の中で、どういう条件が付いて参加が認められたか情報収集していきたいというふうにお答えになっております。この後、情報収集した結果がどうであったのか、それから今回のこの報道を受けてTPP交渉参加に対し考えが変わったのかどうだったのかということを聞かせてください。
  17. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今委員がおっしゃったような報道があったということは私も認識しております。実際にその新聞を読みましたが。  これは我が省というよりは外務省のお答えすべきところだろうと思いますし、予算委員会でも何度もやり取りがあったところでございますが、メキシコ、カナダと関係国のやり取りの内容ということは、我々、第三国という立場でございますので、コメントをする立場にないということでございます。  一方、これは二十四年の三月でございますから民主党政権の時代でございますが、内閣官房、外務省、財務省、農水省、経産省、共同クレジットで今までの得られた情報ということを出しておるものがございます。そこにも書いてございますが、TPP交渉参加国は新規参加国について、包括的かつ高いレベルの自由化にコミットすること、また交渉の進展を遅らせないことといった考え方を示してきていると、こういうふうにそこにも書いてあるわけでございますので、これをもう既に出して今までもやってきたし、今からも、今度は新しいフェーズに入ってきたわけですから、更に情報収集に努めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  18. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ありがとうございます。  それからもう一点、先日、TPP交渉参加をめぐる日米の事前協議におきまして、米国が輸入車に掛けている関税を当面据え置く方向であるとの新聞報道がございました。輸入車の関税を据え置くことについては、言うまでもなく米国にとってメリットがある一方で、我が国とってはデメリットとなるだろうというふうに思っております。これまで自動車の関税撤廃については我が国がTPP交渉に参加する上での大きなメリットだと言われてきましたけれども、これ、もしこの輸入車の関税据え置くということになってしまえば全くメリットにならないのではないかというふうに思います。  この据置期間につきましては、韓国が米国と締結した米韓FTAにおける五年から十年よりも長く設定する方向だとも伝えられております。  これまで、自動車のために農家は我慢しろとさえ言われてきていたこのTPPについてのこれまでのやり取りがあったと思うんですけれども、自動車にメリットがないのであれば、農家は何のためにこれ我慢しなければならないのか、これだけ苦しい思いしている中で訳が分からないと思うんですよ。この点については、大臣、どのようにお考えになりますか。
  19. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今お尋ねがありました自動車分野のお話でございますが、これはまさに農林水産省の所管ではないので、ちょっと私からなかなかコメントする立場にはないわけでございますが、この事前協議、また中に入っていった場合の交渉も含めて、自動車のところがどうなろうとも、我が農林水産分野の、どうやって先ほど議論のあったところを守っていくかと、これがやはり大事なことであるというふうに思っておりますので、やっぱり私としてはそこを守るために全力を尽くしていきたいと考えておるところでございます。
  20. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 とはいうものの、政府一体となってこれTPP進めようということでありますので、しっかりその辺も、メリットが本当にあるのかどうかという点において議論をしていただければと思います。  アメリカとの事前協議とはいえ、仮に我が国がそれを受け入れるということになってしまえば、その代償を求めるというのがまさに国益上当然のことだろうというふうに考えます。その際、代償の一つとして、日米共同声明にも言及がありました我が国のセンシティビティーである農産品について何らかの有利な取扱いを求めるべきだというふうに考えますけれども、その点について、大臣は現段階でどのように考えていらっしゃるでしょうか。
  21. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今まさに委員がおっしゃられたとおり、この共同声明におきまして、我が方のセンシティビティーがあるものとして農産品ということが明示をされたということはこれ非常に大きいことだと、こういうふうに思っております。  委員も御存じだと思いますけれども、こういう交渉事というのは、いろんなところの条件を一つ一つ、まあ、たかが文書じゃないかと、こういうふうに一般の方は思われるかもしれませんが、そこにいろんな、これを、この語句を入れるか入れないかということをやりながらやっておりますので、今おっしゃっていただいたセンシティビティー、農産物というものが日米の共同の声明に入ったというところも一つの強い材料として今後強い交渉をやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  22. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 次に、TPPへの参加による影響試算について伺います。  農林水産の生産額は年間三兆円これによって減少するということが先ごろ公表されました。TPPに日本が参加した場合、農業、農村への深刻な打撃があるのだということが改めて浮き彫りになったというふうに思います。  この試算は主要農林水産物三十三品目のみを対象としたものでありまして、その他の品目を加えれば影響額というのは更に膨らむのではないかと。また、関税撤廃で離農した農家が自動車などの輸出産業で働き、全体の雇用数は変わらないと想定されていますけれども、今まで農業でやってこられた方が急に輸出産業で働けと言われても、そう簡単にできるものではないというふうに思います。また、私の住んでいる秋田県のような農業県では、人口流出が進むことで過疎化が進み、農村が荒廃していってしまうのではないかという心配も出ています。  政府の試算結果は大変厳しい内容のあるものであるというふうに承知はしていますけれども、それでもまだ現実よりも甘いのではないか、実際はこの結果以上になることもあるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  23. 加治屋義人

    ○副大臣(加治屋義人君) 今回の統一試算では、農林水産物への影響についてはその生産減少額を今お話しのとおり三兆円程度と試算したところです。また、この生産減少額の試算を基に食料自給率や多面的機能に与える影響についても試算をいたしております。食料自給率については、先ほど大臣からお話ありましたとおり、供給熱量ベースで二十一年度の四〇%から二七%へ、生産額ベースでは平成二十一年度の七〇%から五五%程度へそれぞれ減少する見込みと見ておりまして、多面的機能については一兆六千億程度の喪失と見込まれております。  これらの試算については、農林水産省が個別品目ごとに生産流通の実態、関係国の輸出余力等を基に精査したものであって、実態を反映しているものと思っております。なお、これは国全体への影響試算でもあって、農林水産業に依存する地域では、実際にはより大きい影響があるものと考えております。また、これらの試算は関税を即時撤廃して何らの対策も講じないという一定の仮定の下でのものであって、今後、交渉に全力を挙げてこうした事態にならないように努力をしてまいりたいと思っております。
  24. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ありがとうございます。  三兆円もの巨額の生産額の減少ということでありますので、これ、可能な限り農業、農山村への悪影響を食い止めなければならないというふうに考えます。農業支援策の検討が今後行われていかなければならないというふうに思いますけれども、ただ、我が国の財政赤字というのはGDPの二倍を超える非常に厳しい状況でありまして、今後仮にアベノミクスで景気が大幅に上向いたとしても、楽観的な見通しがあると言えない状況であるというふうに思います。  こうした中、産業競争力会議における農業に関する議論の方向性を推測いたしますと、今後の農業支援策についてはより対象者を絞った形となることが考えられ、そういう意味では、小規模だとか高齢農家が対象者から外れることは大いにあり得るのではないかというふうに考えています。  まずは現段階における農業支援策について、これは検討されているのかどうかということの確認と、もし検討されていないならば、今後、TPPと並行して農水省内で検討を進めるお考えがあるのかどうか。それから、交渉妥結内容を確認してからというふうになるのか、そのスケジュール感について聞かせていただければというふうに思います。
  25. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) 農業支援策についての御質問にお答えさせていただきたいと思います。  現在、TPPの交渉への参加、これについて表明をしたという段階でございまして、今後、御指摘の聖域の確保に向けて交渉に全力を挙げると。こうしている中において、この関税撤廃を前提としたいわゆる国内対策の議論については時期尚早ではないのかなと、このように思っております。  そうしたことにつきまして、農業従事者の減少ですとか、それから地域によっては非常に高齢化が進んでいると、こういう状況の中で国内農業の活性化を図っていくことは、これはTPP交渉への参加いかんを問わず喫緊の、待ったなしの大変重要な課題であると認識しております。  このために、農林水産省内に立ち上げました、これは一月二十九日ですけれども、攻めの農林水産業推進本部、ここにおきまして現場の声を徹底的に吸い上げ、需要サイド、供給サイド、双方からの観点の検討を行って施策の具体化を進めるという考えでおります。  以上でございます。
  26. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 今お答えがあったように、TPPの最大の問題というのは秘密協定であり、この内容については最後まで分からないということなんだというふうに思います。  大臣、国民への徹底した情報開示の下、これは国民的議論を深めて国民のコンセンサスを得ていかなければならないと思うんですが、こうした秘密ということは分かるんですけれども、なるべく情報開示をしていく方向で進めた方が私はよいと思いますけれども、この点について大臣の見解を伺わせてください。
  27. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) これは私の方からお答えをさせていただきたいというふうに思います。  今、TPPの情報公開への御質問でございました。この情報については、あらゆる機会をとらえて、農業者それから農業団体を始め関係者の方々に伝えていくという考えでございます。省内の各組織におきましても、関係者への丁寧な説明、それから情報提供を行うと、このようにしているところでございます。  このような農林水産関係者のほかに、国民の皆様への丁寧な説明、また情報提供、それからもちろん本委員会を含む国会での議論を通じまして、TPP交渉に関するコンセンサスの形成を目指していくというふうに考えております。  以上でございます。
  28. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ありがとうございます。  この問題については、様々な問題が聞けば聞くほど出てくるというふうに思っておりますので、今後も引き続き議論をさせていただきたいというふうに思います。  次に、再生可能エネルギーの推進政策について伺わせていただきたいと思います。  先日、自民党の資源・エネルギー戦略調査会に福島県議会の議長さんが呼ばれて話をされたそうです。福島県議会の議長さんがいる中で、早く原発動かしてもらいたい、早く再稼働してもらいたいという声一色だったそうです。本当に残念なことだと思います。頭にきた福島県議会の議長さんは、その場で椅子をけって調査会を後にされたそうです。  私は、今すぐに原発をゼロにすることは難しいだろうというふうには思いますけれども、政府は全ての政策を動員して一日も早く原発依存体制から脱する、その努力はすべきだというふうに思っております。しかし、民主党政権時代につくった二〇三〇年代に原発稼働ゼロにするという目標が実際問題としてゼロベースで見直すということになってしまいました。  私は、今やらなければならないのは原発の推進ではなくて再生可能エネルギーの推進だというふうに思っております。農山漁村には、日本の年間総発電電力量一兆キロワットアワーのうち、およそ四千二百億キロワットアワーを再生可能エネルギーで賄うことができるという発電ポテンシャルがあると農水省の方でも試算をされております。  再生可能エネルギーの推進は、これは国全体で取り組まなければならない課題だとは思いますけれども、その中で農水省としてはどのような役割を果たすべきだと考えているのか、聞かせてください。
  29. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) 再生可能エネルギーの推進についてお答えをさせていただきたいと思います。  まず、農山漁村における再生可能エネルギーのポテンシャルというのは非常に大きなものがあるというふうに思っております。議員の御地元でございます秋田始め北海道、特に日本海沿岸地域ですね、ここはいわゆる風力発電のポテンシャルが非常に高いということで、様々な取組が今なされているということに承知をしております。  こうした中で、農山漁村に豊富に存在するバイオマス、それから水、それから先ほどの風力等を含めて、こうした資源を活用して再生可能エネルギーの導入促進をするということは、これは農山漁村の地域の活性化につながるものと、このように承知をしております。  このため、農林水産省内におきましては、まず平成二十四年度の補正予算について若干お答えしたいと思うんですけれども、再生可能エネルギー発電事業による収入を地域の農林漁業の発展に活用する取組、それから地域材の利用促進のための木質バイオマスの利用施設の整備などを予算に盛り込みました。二十五年度の予算につきましても、地域のバイオマスを活用した産業化等に必要な施設の整備、あるいは小水力発電に係る調査設計などを予算に盛り込んでいるところでございます。  このような支援措置を始めとして、地域の農林漁業の発展、それから農山漁村の活性化、これに資する再生可能エネルギーの導入を積極的に展開をしてまいる所存でございます。
  30. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ありがとうございます。  この再生可能エネルギー、農村にとっても非常に重要なものであるということは先ほどの答弁にありましたとおりですけれども、ただ、そうはいえ、無秩序な農林地の転用等が行われることは、これは避けなくてはならないというふうに思っております。このため、第百八十回国会に内閣から提出された農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案、これは非常に重要なものであると考えていましたが、残念ながら成立することがありませんでした。  大臣は、この法案の取扱いも含めて、農山漁村に豊富に存在するこの再生可能エネルギーの促進と農山漁村の活性化との調和についてどのように考えていらっしゃるでしょうか。
  31. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) 先ほどもまず一つ御答弁させていただきましたように、農山漁村におけるこの再生可能エネルギーの取組というのは地域の活性化に直接つながっていくということで、非常に大事だということで認識をさせていただいている旨の御答弁をさせていただきました。  それから、議員御指摘のとおり、この再生可能エネルギーの取組を進めるに当たって、やはり何といっても、例えば農業における農村の多面的機能の維持とか、そうしたものが必要であって、これは限りある資源でございますから、その確保が非常に重要だというふうに思っております。  そういうことで、この再生可能エネルギーの導入促進について、今この法案の取扱いについてお話しをいただきましたけれども、御案内のとおり、これは第百八十一回臨時国会におきまして廃案となったところでございますが、今回のこの政権交代によりまして、農山漁村における再生可能エネルギーの導入促進、これに向けての方策については与党において改めて議論をすることとされております。  今後、与党に対して再生可能エネルギーをめぐる現状と課題について説明をさせていただいた上で、その議論も踏まえながら法案の取扱いについて判断をしてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  32. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ありがとうございます。  私の地元の由利本荘市の西目地区では、土地改良区の皆さんが小水力発電に取り組んでいらっしゃいます。ダムのような大規模発電ではなくて、田んぼの隣の用水路の落差を利用した小水力発電でもって電力をつくり、そしてその独自の財源で老朽化した施設の補修を行っていたりします。本当にすばらしいことだというふうに思います。  ただ、この小水力発電の建設コストというのが物すごく高くて、大体三千万円前後が相場だということなんですが、これが固定価格買取り制度ではコストを回収することがなかなか不可能なのだという問題が出てきております。  ある土地改良区では、出力六キロワット、建設費二千五百万円で小水力発電施設を建設する予定ですが、二十年間の売電で得られる利益が二千万円にとどまるためにコストを回収できないと、こういう状況がございます。ただ、実際には、農水省の小水力発電の実証試験事業を利用することで、土地改良区の負担はゼロとなっていて、何とか建設はできるということだそうです。ただ、これは何とか整理をしていかなければならないのだというふうに思っております。  固定価格買取り制度が想定している建設コストを上回るというのは事実なのかどうか、まずこれを確認したいということと、平成二十四年度において小水力等農業水利施設利活用実証事業が適用されている事例というのは何件あるのか、そして規模、建設コスト、それによって得られた知見などがありましたら聞かせてください。
  33. 實重重実

    ○政府参考人(實重重実君) お答えいたします。  固定価格買取り制度、いわゆるFITにおける中小水力発電の調達価格でございますが、一千キロワット以上三万キロワット未満についてはキロワット時当たり二十五円二十銭、二百キロワット以上一千キロワット未満については三十・四五円、二百キロワット未満については三十五・七〇円というように設定されておりまして、その場合の建設コストは、それぞれ標準的なものを基に一キロワット当たり八十五万円、八十万円、百万円というような算定上の前提とされているところでございます。  今、委員御指摘の小水力発電を実施している農業水利施設の関係でございますけれども、農業農村整備事業で整備した地区も大変古くからやってきておりますけれども、近年建設されたものの中では調達価格により建設コストを賄うことができるというものが増えてきているところでございます。  実際には、農業水利施設の活用に当たりまして、勾配が緩やかな地形の場合には、導水管路の延長が長くなるというようなことが場合によってはありますので、発電出力当たりの建設コストが大きくなりまして、御指摘のように、調達価格が建設コストを賄えないといったケースも生じてき得るところでございます。  土地改良区が農業水利施設の一部として小水力発電を整備する場合につきましては、これは農業水利施設の整備という別の公益的な役割もありますので、そういった補助金は受けられるわけでございますので、これも併せて考慮して検討いただくことができるものでございます。したがって、各地区においてはこの小水力発電に適した地点を適切に選定することが重要でございますし、また、この採算ベース、この固定価格買取り制度が発表されたのが最近であるということもありますので、そういったことを前提にした発電施設あるいは技術を選定していくことが重要でございまして、これらに対してソフト事業による支援を行っているところでございます。  また、もう一点、今御質問にありました小水力等農業水利施設利活用実証事業でございますけれども、これは平成二十一年度から二十四年度にかけて全国十か所で実施させていただきました。これは、先ほど申し上げましたような土地改良施設、水利施設の一環としてかなりの発電量を持っているものとはまた別に、もっと小さいものでございまして、おおむね百キロワット以下のいわゆるマイクロ水力発電につきまして、開発中、試作中、こういったものについて応用して、適用の条件とか今後の課題について実証しようとしたものでございます。施設の費用も地区によって一千万円から五千万円というような形でございまして、これ、実証でございますので、定額による助成を行ったところであります。  この結果、この十の施設とも開発段階にありましたけれども、性能としては実用段階に移行し得る、また、水のエネルギーを電気エネルギーに変換する効率でございますが、施設によって五一%から七三%と十分なものであるということが明らかになりました。一方で、落ち葉とか枯れ草などのごみが詰まって発電効率が落ちる、こういったようなこともありますので、ごみの効率的な除去が必要である。それから、試作段階ですので、これは開発費を含みましてコストも高いわけでございますので、普及に当たっては生産数を増加させまして低コスト化を図っていただく必要がある、こういった課題も明らかになっております。  いずれにしましても、大きく広げていく可能性のある小水力発電、またマイクロ発電でございますので、私どもも、ソフト面でもしっかり助成をさせていただいて進めたいという具合に思っております。
  34. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ありがとうございました。  いずれにしても、コストが回収できるようにしっかりとした支援が行われないと、小水力発電の推進というのは掛け声倒れに終わってしまうと思いますので、大臣、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  農村の再生可能エネルギーの普及、私の住んでいる秋田県は日本海側からの風が大変厳しい土地柄でございますけれども、私はこの厳しい風でさえ財産に思えて仕方がないんです。風力発電を始め、様々な将来性が広がっていると思いますので、農水省としての取組も是非よろしくお願いを申し上げます。  それから次に、一括交付金について伺わせていただきたいと思います。  平成二十五年度予算においては、農林水産関係の公共事業費が大きく増額されております。二十五年度予算で三〇%超の増額、二十四年度補正予算と合わせると二・五倍近い予算額となっています。  その一方、中身を見ると、農、林、水それぞれで増額されてはいますが、特に農山漁村地域整備交付金の増額分が大きくなってございます。これは、私たちが政権を担当していた際に、地方自治体の自由度を高めるため、補助金の一括交付金を目指した地域自主戦略交付金、すなわち一括交付金を創設しましたが、これを廃止をして、いわゆるひも付きの補助金を復活させたことによるのではないかと思っております。地方自治体もこの一括交付金化については評価をしておりまして、運用の改善を求める声はあるものの、この制度そのものの廃止を求める声というのは聞いておりません。必要な改善を図りながら、地方においても定着してきたのではないかと思っております。  この一括交付金は省庁の枠を超えて地域が必要な事業を選べるというものでありますが、それを各省庁に戻すことによって地方分権に逆行するのではないか、地域の実情に合った事業が行えなくなるのではないかと懸念をする声がありますけれども、大臣はこの点についてはどのような見解をお持ちでしょうか。
  35. 實重重実

    ○政府参考人(實重重実君) 一括交付金、地域自主戦略交付金についての御質問でございます。  この地域自主戦略交付金につきましては、窓口が内閣府と各省庁で二元的でありましたこと、それから、このために二回の計画などの提出が必要になって手続が煩雑であったことなどが指摘されておりまして、このようなことから廃止をされ、二十五年度予算において各省の交付金の財源として返戻されたところでございます。  これを受けて農林水産省では、これを農山漁村地域整備交付金など幾つかの財源とさせていただいたところでありますが、代表的なものであります農業、林業、漁業分野の公共事業であります農山漁村地域整備交付金につきましては、各分野の事業を実施段階で融通し合うことができる、こういった利点に加えまして、今回、手続の簡素化を行わせていただきました。  また、農業生産施設に対する補助金であります強い農業づくり交付金につきましては、従来三事業ありましたものを一本化しました。  こういったようなことによりまして仕組みの改善を図りまして、都道府県の裁量の幅を拡充したところであります。こうした仕組みの上での改善に加えまして、十分な総額も確保できておりまして、これを活用しまして地域の実情に応じた農林漁業の振興を図ることができるものと考えております。
  36. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 この農業農村整備事業については、必要性については理解をしますけれども、農業農村整備事業の実施に当たっては、農業者の大きな負担を伴うものであり、やみくもに増額すればいいということではないというふうに思います。計画的な実施も必要だろうというふうに思っております。また、農家の負担割合が変わらずに予算だけが増えるということであれば、農業者の負担が増大するだけになってしまうということも懸念をいたします。これは、事業の必要性について十分に検討がされたのかどうか、また、農業者の負担についてはどう考えているのか、聞かせてください。
  37. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) 農業農村整備事業についての御質問でございますけれども、この事業は、まず、農業者のニーズが非常に高いという、そういうものもございますけれども、当然農業者の負担を伴うものであることから、この農家負担についてまずはその合意形成を必須条件として地区採択をしているというところでございます。  今般の予算の増額についてなんですけれども、農業水利施設の耐震化等への対応のほかに、平成二十二年度以降の予算の大幅削減によって工期が遅れていた、そうした事業の加速化、それから着工を見合わせていた地区の採択、こうしたものを図るものでありまして、個々の地区の農家負担の総額の増大に決してつながるものではないということであります。  一方で、厳しい農業情勢の下で農業者の負担軽減は大変重要な課題であると、このように認識しておりまして、農業者の自力施工を活用して行う畦畔の除去ですとか暗渠排水等のいわゆる簡易な整備、それから新技術の採用、現場発生材の有効利用等によるコストの縮減、これらによって事業費の抑制を図っているところでございます。  それから、今般の予算編成におきましては、老朽化した農業水利施設の耐震点検等の定額の補助化、それから農家負担に対する利子助成を行う事業の要件緩和、こうしたことを行うこととしておりまして、今後とも農業者の負担軽減に努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  38. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ありがとうございました。  次に、搬出間伐を切捨て間伐に見直すことの妥当性について伺いたいと思います。  さきの衆議院選挙におきまして、自民党の政権公約J―ファイルの中に、森林整備体制の抜本改正を掲げて、切捨て間伐を一部しか認めない現行の森林経営計画による全国画一的な森林管理方式を抜本的に見直すとされております。  これは、民主党政権時代では、無駄なく森林資源を活用することが地球温暖化防止対策の上でも重要との観点から搬出間伐を行うことを原則としておりました。そのため、森林環境保全直接支援事業の支援対象とされるには、一ヘクタール当たりの搬出材積が十立米以上とすることを要件といたしました。もっとも、現場の事情を考え、搬出間伐ができない施業地が含まれていても、全体として一ヘクタール当たり平均十立米以上を満たしていればよいなど柔軟な対応を行ったということはありましたけれども、この搬出間伐の義務付けをやめれば森林所有者の負担が減る一方で森林資源を無駄にすることにもつながり、また、間伐材を山に放置すれば豪雨時の流木被害などを引き起こしかねないとも思います。  搬出間伐を切捨て間伐へと見直すことについて、これどうしてこういうことになったのか、大臣のお考えを聞かせてください。
  39. 加治屋義人

    ○副大臣(加治屋義人君) 委員御承知のとおりでして、戦後、植林した森林資源が充実期を迎えておりまして、これを活用する絶好の機会だと、そういうふうに考えております。このため、間伐等の森林整備を行うに当たりましては、路網の整備それから施業の集約化、これらをしっかり進めてコスト削減をすることによって、今まで未利用だった間伐材を搬出して有効利用していくことを基本とさせていただいております。  一方、急傾斜地や路網整備が不十分な地域、条件不利地域におきましては、緊急に間伐を行う必要がある場合は、市町村等の公的主体が間伐を行う事業を二十四年度補正予算で創設をしたところであります。この事業については、一定量以上の搬出を要件としておりません。  農林水産省として、地域の実情に合わせた森林整備が適切に行われるように努力をしていきたいと思っております。
  40. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ということは、今の御答弁どおりだとすれば、これまでとそんなに大きくは変わらないということでよろしゅうございますか。──はい。ありがとうございます。  それでは、民主党政権時代の農林水産政策に対する認識について伺わせていただければと思います。  民主党時代には、戸別所得補償制度と食の安全、安心、それから農林漁業の六次産業化、これを柱と位置付けて、農林漁業、農山漁村の再生を図り、国民に対する食料の安定供給の確立を目指してまいりました。この農林水産政策というのは各党そんなに大きな違いはないというふうに認識をしておりますけれども、民主党が目指してきたもの、これが全て実現したわけではないとも思っております。農林漁業の再生に向けた端緒を開くことができたのではないかとは思っておりますけれども、大臣は我々が政権を担っていた際の農林水産政策についてどのような認識をお持ちか、聞かせてください。
  41. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 実は、全く同じ質問を衆議院の所信のときにも、たしか玉木委員だったと思いますが、いただきました。  私、そのときも申し上げたんですが、ABCという言葉がございまして、これはクリントン政権からブッシュ政権になったときに、エニシング・バット・クリントン・ディッドという頭文字を取ってABCと言っていて、要するにどういう意味かというと、クリントンのときにやったことは全部やらないという非常にネガティブな意味で使われておりまして、やっぱりそういうことではいけないんだろうなというふうに反省するべき言葉だと思います。  今まさに委員がおっしゃっていただきましたように、現場どうなっているかと、そのために我々やっているわけでございまして、例えば従事者が減ったり高齢化するとか、それから、そういうことを対策を打っていく中で農業の活性化を図るというのは政権与党が誰であってもしっかりとやっていくべきことであろうかなと、こういうふうに思っておりますので、私は、現場のニーズに即しているかどうかということでやっぱり判断をすべきだろうと、こういうふうに思います。  したがって、例えば戸別所得補償制度も現場の混乱を避けるということで、名称は変更いたしましたけれども、現場の意見を聞きながら二十六年度に向けていいものをつくっていくと、こういうふうにしたところでございます。  また一方で、生産基盤の今ちょっとやり取りのありました農業農村整備ですとかは予算を増やす、それから、おやりになっていただいた人・農地プランはしっかりと継承してやっていくと、こういうようなめり張りを付けているということでございますので、現場にとっていいものということでしっかりと施策を展開してまいりたいと思っております。
  42. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 大臣、現場の混乱を来さないということであれば、制度の内容がそんなに変更しないわけですので、わざわざこの戸別所得補償制度の名前を変更する必要性というのは感じないんですが、これはどうして今回この名称を変更ということになったんでしょうか。
  43. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 実はそこも、先ほど玉木委員のお名前出しましたが、玉木委員から、自分が与党の時代に実は変えるべきではないかというのをやったんだと。これ、予算委員会だと、私も議事録を拝見いたしたんですが、そのときに、やはりその名前とこの実態が合っていないのでという御議論を実は皆様方が与党のときにも展開されておられるということがあったということでございましたが、もう一つ、今度の政権交代に当たって、先ほどの政権公約の中に名称を変更するということと、それから今後の方向性については、野党時代に出させていただいた議員立法、二つほどありますが、その方向性でやっていくということを選挙のときにお約束をしておりますので、そういうことも踏まえて名称を変更させていただいたということでございます。
  44. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 そうすると、戸別所得補償制度を法制化した方がいいという農家の声が大変高いわけではありますけれども、今後そういう方向性で検討していくということでよろしいでしょうか。
  45. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) まさにおっしゃるとおり、農家の方が猫の目農政ということを時々、農家の方というよりもいろんな関係者も含めてですが、くるくる変わるということでおっしゃられることがございます。したがって、やはり現場にとってみれば制度が安定的に中長期的に続いていくということが大変大事だと、こういうふうに思いますので、制度の見直しは、先ほど申し上げましたように、平成二十六年度に向けて現場の皆さん、与党の皆さんともしっかり協議をして検討していく考えでございますが、その際には、今お話のありましたように、法制化を含めて制度が安定的になるようにやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  46. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ありがとうございます。  次に、新制度について伺いたいと思います。  平成二十五年度予算では、新制度の検討のための調査費として、多面的機能・担い手調査、十六億円が計上されております。自由民主党は政権公約で、戸別所得補償に代わり、農地を農地として維持する支援策である多面的機能直接支払と、全国一律ではなく地域の自主的な努力を踏まえた担い手総合支援の構築を掲げております。また、安倍総理は攻めの農林水産業を打ち出しているところでありますが、急進的に農業を改革することを考えているのか。私は現実を踏まえた議論が必要であるというふうに考えますけれども、この新たな制度の方向性についてどう考えているのか、聞かせてください。
  47. 加治屋義人

    ○副大臣(加治屋義人君) 日本型直接支払等については、省内の攻めの農林水産業推進本部において今具体的に向けた検討を進めております。検討に当たりましては、これまでの制度の実施状況をしっかり検証するとともに、農業者や地方公共団体等の意向をよく把握しながら、与党の議論を踏まえて進めていきたいと考えております。このため、平成二十五年度予算においては新たな制度設計に向けた調査費を計上しているところでございます。予算成立後、速やかに今申し上げた調査を実施していきたいと考えているところであります。
  48. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 検討するに当たっては現場の意見も十分に踏まえてしっかり行っていただきたいというふうに思います。少なくとも、その検討の結果は夏の参議院選挙の前までにお示しいただければというふうに思っております。  時間もなくなってまいりましたけれども、最後に、燃油高騰対策について伺わせてください。  漁業用燃油の価格が高騰をしております。アベノミクスの影響もありまして、円安となることで燃油価格が更に高騰するのではないかと皆さん心配をされておりますけれども、この燃油価格の動向について、大臣、どのような見通しをお持ちなのか、聞かせてください。
  49. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) 円安等による燃油価格が上昇している中で、漁業経営において支出に占める燃油費の割合が高いということから、燃油価格の高騰が漁業経営に与える影響を緩和するために対策が大事であると、このように考えております。  このため、農林水産省として、漁業者と国が毎年度積立てを行いまして、価格が高騰したときに補填をする漁業経営セーフティーネット構築事業、これを平成二十二年度から実施をしているところです。この事業について、平成二十四年度の補正予算三十九億円、それから二十五年度の当初予算においても三十五億円ということで、積立てに必要な額を計上しているところでございまして、今後の高騰に対して一定の対応が可能であると、このように考えているところでございます。  今後とも、漁業者の皆様の御意見も伺いながら、漁業用燃油価格の動向を注視し、この燃油価格高騰に対しても適切に対応してまいりたい、このように考えているところでございます。
  50. 松浦大悟

    ○松浦大悟君 ありがとうございました。  質問があっち行ったりこっち行ったりして済みませんでした。我々も、いい部分については協力をしながら、しかし、これは少しおかしいのではないかという点については、しっかりこれからも議論をさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  51. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 お疲れさまでございます。民主党・新緑風会の徳永エリでございます。  今日は質問のお時間をいただきましてありがとうございます。私の地元の北海道にとって最も影響が大きく、最悪の場合にはなくなってしまう町や村があるかもしれない、そんな深刻な問題でありますTPPについて今日は質問させていただきたいと思います。  先日、原発被災者の方々の集会がありまして、そこに出席させていただいて、その集会が終わって出ようとしたときに、福島県で農業を営んでおられた方が私に声を掛けてまいりました。私、胸にノーTPPのバッジを付けておりまして、このバッジを見て、徳永さんは民主党ですよね、民主党はTPP推進なんではないんですか、民主党の中にもTPP反対の方がいらっしゃるんですかというふうに言われました。  冒頭申し上げておきますが、民主党北海道はTPP断固反対であります。これは、もう私たち国会議員も、それから自治体議員も一致団結して、一貫して、これからも徹底的にTPP交渉参加には断固反対だということをお伝えしておきたいと思います。  そして、この委員会の中にも北海道の議員の方がおられます。つい最近までは同志でありました。そして、いろいろ、年末の総選挙、争点はありましたけれども、北海道はやっぱりTPPの問題が一番大きかったんですね。民主党王国と言われる北海道でございますけれども、自民党の皆さんが体を張ってTPP交渉参加を止めてくれるのではないかということで、ずっと長いこと民主党を支持してこられた方々も、今回ばかりは自民党に投票いたしました。なのに、体を張って止めてくれなかった。これは裏切り行為であると、北海道の特に農業者の皆さんは大変に怒っております。そのことをしっかりと胸に受け止めていただきたい。  気持ちはよく分かります。自民党は決められる政党でございます。民主党は決められない政党と言われています。でも、決めてはいけないこと、じっくりと議論をし、時間を掛けて、そして少しずつみんなで納得し合って結論に導いていく、そういったことも必要なのではないかと思います。  このTPPに関しては、民主党では、経済連携PTで多くの議員が長い時間を掛けて議論をしてまいりました。六十一回まで数えることができました。多分もっとあったと思います。そのとき、かつて同じ民主党だった舟山議員も、事務局長をしておられましたけれども、平均すると三時間ぐらい、長いときには五時間、六時間、深夜まで議論をいたしました。それも、反対反対という議論ではなくて、慎重派も推進派もしっかりと勉強してきて、しっかりと情報を持ってきて、そして、本当にこのTPP交渉には参加していいのかどうか、じっくりとそれぞれの意見を出してまいりました。どうしてもみんな納得いかなかったんです。だから、あんなに野田前総理は前のめりでありましたけれども、その野田前総理ですら交渉参加を決められなかったのであります。  それが、自民党のTPP対策委員会は何回開かれたんでしょうか。取りまとめをしたときの委員会はたしか二時間しか開かれなかったと聞いています。政権を取られてからわずか三か月です。本当にこんなに重大な問題をこんなに早く決めてもいいんでしょうか。  それと、いまだに、守らなければいけないものはたくさんあるのに、メリットが全く分かりません。メリットが何かはっきりしているのなら、仕方がありません、守るものをしっかり守っていきましょうと申し上げます。でも、メリットが何にも見えないんです。  反面、米国はメリットがはっきりしています、アジア太平洋地域への輸出拡大及び雇用の回復。オバマ大統領は演説の中で、輸出倍増、二百万人の雇用を増やすと言っておられます。そして、アジア地域におけるリーダーシップ、さらにはアジア太平洋自由貿易圏、FTAAPへの発展の可能性、明確に言っておられます。  さらに、この交渉参加の前提条件として、日本とアメリカの間で、もう既に、自動車と保険とそれから牛肉規制、これある程度もう進んでいるんですね。  報道ベースでありますけれども、米国の主張は、自動車二・五%、トラック二五%の関税の当面の維持。で、米国自動車関税維持に合意という報道がありました。この関税維持が可能となったことから、日本は軽自動車の見直しは取り下げられたという報道もあります。あるいは保険に関しても、がん保険の参入の凍結とか、それから、アメリカからかんぽ生命の学資保険の内容変更をしろと言われて学資保険の新商品の販売の認可をしたり、牛肉は、皆さん御承知のように、この二月から輸入制限を月齢二十か月以下から三十か月以下に緩和いたしております。もうアメリカにはこんなにはっきりしたメリットがあるのに、日本には何のメリットもないです。  総理は、十五日のこの交渉参加の正式表明の記者会見の中で、我が国として守るべきものは守り、攻めるものは攻めてまいります、国益にかなう最善の道を追求してまいりますとおっしゃいましたけれども、これも非常に漠然として曖昧であります。アジア太平洋地域の成長を取り込むとか、輸出が増えるとか、国内の消費が拡大されるとか、何の根拠もないことを言っておられるだけであります。  そこで、林大臣にお伺いいたします。我が国が守るべきものとは一体何なんでしょうか。攻めるものとは何なんでしょうか。そして、総理のおっしゃった国益とは具体的に何なのか。政府の一員として当然同じ認識をお持ちかと思いますので、お答えいただきたいと思います。
  52. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今委員から民主党が与党の時代のことも含めてお話がありました。敬愛する舟山先生が事務局長をやっておられたということでございましたが、やはり長い時間を掛けて議論をするということは、大事なときは本当にそうだなと思います。我々も、私ももう長いんで十八年やっておりますが、例えば郵政民営化のときというのは何時間も何時間もやったなと、こういうふうに思っております。  実は、このTPPも野党時代も随分やっているんです。私が座長でTPP小委員会というのをやって、六項目というのをまとめたときも、我々の場合は、平場といって全員参加するものに加えて役員会と、御党も同じかもしれませんが、かなりの時間やってまいりました。  また、こちらに来ましたので、今自民党の中でどういう議論をやったかということを必ずしもお答えする立場にないわけですが、聞いておるところによりますと、今度できた委員会も実は最後の総会みたいなものは御指摘があったような時間だったと私も思いますが、そこに至るまで、実は農水分野は第四分科会ということで、厚労ですとか財務ですとか五分野をつくって、それから交渉が二十一分野ありますので、これを三つずつぐらい束ねて七つか八つぐらいあったと思いますが、そこでもそれぞれ議論をそれぞれの分野でやって、そこを持ち寄って総会をやって、また持ち帰ってと、こういうことをやってまいったわけでございまして、トータルでの時間というのは二時間をはるかに上回る検討は党の方でもやっていただいたと、そういうふうに認識をしておるところでございます。  そういう全ての党の議論や、それからJAの萬歳会長とも総理直接お会いになっていろんなお話をされて、それ以外にもいろんな方とお会いになって、最終的に大変重い決断をされたと私は思っておりますが、その記者会見で今お話がありましたように、総理からは海外の成長の取り込み、新たなルール作り、これがRCEP等と相まってFTAAPの原型になり得る可能性があるということも述べておられたと承知をしておりますが、こういう攻めの分野を述べておられます。  農業分野について、私は攻めるというよりはむしろ守りがやはり中心になると、こういうふうに基本的には認識をしております。総理もおっしゃっていただいていますが、この農業分野においては、最も大切な国益として、世界に誇るべき国柄として、美しい田園風景、みんなで助け合う農村文化等にも触れられておられまして、あらゆる努力によって日本の農を守り、食を守ると、これを総理としておっしゃっておられます。私も全く同感であります。  したがって、このTPP交渉、今から参加国の同意が得られれば交渉に入っていくということでございますけれども、農林水産大臣としても国益を守り抜いて、特に重要五品目等の聖域を確保する、これに全力を尽くしたいと思っておるところでございます。
  53. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 今の大臣のお話ですと、総理が守るとおっしゃった国益は農業のことなんですか。
  54. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今申し上げましたように農業分野についてはこういうことを総理はおっしゃっているということで、日本の農を守り食を守ると、こういうふうに述べたところを引用させていただきました。
  55. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 国益の定義というのはもっと広いものだと思うんですね。私たちが思っている国益というのは、国民の生命、財産を守り、伝統文化を維持、成長させる、恐らくそう思っている方が非常に多いのではないかと思います。  しかし、日本には国益の定義というものがないんですね。いろいろ調べてみますと、アメリカには実は国益の定義というのがあるんです。アメリカの国益の定義は、自国の企業が利益を拡大することなんですね。さらに、政治、経済、軍事、文化など全てにおいてアメリカ式価値観を世界に広めることですということなんです。  この国益という定義、あるいは感覚は、よもや、まさかとは思いますけれども、アメリカと日本の総理大臣の考えが一致しているというようなことであれば、一部の多国籍企業が利益を得ることができれば国益にかなうということになってしまうんですね。この点に関して非常に心配なんですが、大臣、いかがでしょうか。
  56. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) アメリカの国益というものがそういうものであるというのは、私も多少アメリカに留学したりしておりましたんですが、不勉強でちょっと存じ上げなかったんですが、それはどういう、例えば憲法とか法律とか、そういうものに書いてあるんでございましょうか。
  57. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 大臣から聞かれるという珍しいパターンだと思うんですけれども。  省庁ごとにこの国益の定義に関していろいろと議論をした中で、アメリカの国益の定義とはこういうものであろうということで、今表に出ているものがこの定義ということなんですよ。定義を決めなければならないということで、アメリカの国内でこの定義について、国益について議論されて出てきたものということでございます。これに関しては書籍も出ております。
  58. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 済みません、私の方が不勉強で、ちょっと逆質問させていただいてしまいましたが、それはどういう書籍か、ちょっと確認して、どういう文章かということが分かればもう少しお答えできると思いますが。  いずれにしても、総理がおっしゃった国益、国柄ということと、今御紹介いただいたアメリカの国益と言われているものについて、かなり違うんではないかなと。農業分野においても、美しい田園風景とか、みんなで助け合う農村文化と、こういうことでございまして、したがって、総理がおっしゃっている国益という、この間の会見で農業分野についてはこういうことをおっしゃっているということでありますので、それが先ほどちょっとお触れになったアメリカで国益として定義されているものとこう何だか一緒になるということは、これを今私が総理の演説を、あの会見を聞いて、それで今のお話を聞いた限りではちょっとないのではないかなというふうに思います。
  59. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 今日の日本農業新聞の記事を御覧になったかと思いますけれども、オバマ政権の通商政策課題に関する公聴会で、共和党の議員から、重要品目に対する懸念の声が上がっているということであります。これまでの通商協定で農産品を関税撤廃の対象から除外してきた日本に今回も重要品目が保護されるという誤った印象を与えるという声が上がっているそうです。このオバマ大統領が発表したTPPに関する共同声明で、日本の農産品、米国の工業製品を両国にとっての重要品目と認めたことに対して非常に強い懸念が上がっているということですが、この記事を受けて、大臣、どのようにお感じになりますでしょうか。
  60. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 重要品目を懸念ということで、今日の日本農業新聞でございましょうか、アメリカの公聴会でそういう意見が出ているというような記事だということでございますが、これはそれぞれ、まあ今日この場がまさに日本における議会ということでございますが、それぞれ議会ではこういう公聴会をやって政府がそれに対して答えるというプロセスがあるということですから、向こうではそういうふうな懸念というふうに、まあ見出しではなっておりますが、こういう発言が議員からあったということは多分報道のとおり、多分確認すれば議事録等があると思いますけれども、そういうことなのかなと思います。  いずれにしても、お互いの国益を懸けて、もし交渉ということになればそこがぶつかり合って交渉するということでございますので、ほかの国の議会がどういうふうに動いているかということは情報としてはちゃんと取っていく必要があると思いますけれども、そこでどういう議論があったから我々のスタンスが変わるということなく、最善の努力をしてまいりたいと思っております。
  61. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 私たちにとってはこの記事はプラスに考えたいといいますか、こういった懸念をしっかりと言ってくれる米国の議員がいるということは、九十日間の議会での審議があるわけで、もしかすると日本は交渉に参加させないぞという話になるのではないかということを少し期待したいところでありますが。  そして、交渉の参加前に各省庁の試算をまとめる、どういった影響があるか、その試算をまとめるというお話がありましたけれども、この試算に関してなんですが、総理の記者会見の後に甘利TPP担当大臣から公表がありました。本来でしたらこの影響試算というのはTPP交渉参加の正式表明をする前に私たちに提示していただきたかった。農林水産委員会でもしっかりと議論をしたかったと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  62. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今御指摘がありました試算につきましてでございますが、これも先ほどの御質問、ここでの御質問だったと思いますけれども、今までのばらばらの試算を一つにするということで作業は始めておりました。  農林水産省としては、生産がこれだけ減るということをいろいろ前提を検討しながら出して、従来はそこで終わっていたわけでございますが、これを統一的な試算にするということで、今度は内閣府の方にそれを出して、その数字を基にモデルを回すと、こういう作業があって、それを行ったり来たりしておりましたので、最後の詰めのところ、時間が掛かったということで、このタイミングになったということでございますが。  出したものを御覧になっていただければ分かりますように、まだ非常に情報がほとんどない状況での前提ということで、ああいう全部ゼロになるというような、私は、もし本当に全部ゼロになるような、あの数字になるようなことであれば、そもそもこのTPPに入るというのは全く意味がないことではないかなと、こういうふうに思うわけですが、そういう前提で試算をしているということでございますので、今後、こういうものが一応のこの前提であるということですが、更に情報を取っていく中で、これをもう少し精緻なものにしていくということは今からの課題であると、こういうふうに思っております。
  63. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 民主党が政権を担っていた時代は、この試算も含めて、ネーミングはさておいて、開国フォーラムということで全国九か所を回りまして国民的な議論を展開してまいりました。やはり影響試算を基に私は国民的議論も必要だったんではないかと思います。自民党の全国幹事長会議でも、表明する前に地域に対して情報を提供して意見交換の場を設けてほしかったという声が大変に多く上がったと伺っておりますが、こういった地方の声あるいは地域の声に対して大臣はどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
  64. 加治屋義人

    ○副大臣(加治屋義人君) 私も地元で農林水産の仕事にかかわっておりますけれども、各地域で今御意見のとおり大変心配する声が多うございます。そういう声をまとめて総理の決断はされたものと思っておりますが、地方への説明が不十分だということについては、まさにそのとおりだと私は考えております。今後は、私自身、あらゆる機会をとらえて農業者、農業団体等にしっかり説明をしていく必要があるというふうに考えております。  また、林大臣からも、省内の地方組織に対しても丁寧な説明あるいは情報提供をしっかりするようにという指示をいただいておりまして、地域の関係者の理解を得られるよう更に努力をしてまいりたいと考えております。
  65. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございます。  ただ、やっぱり交渉参加を正式表明した後に丁寧な説明をして歩いても仕方がないと思うんですね。やっぱり決める前に説明をして納得をしていただく、あるいは反対の声を受けてとどまる、そういったことになるんではないかと思います。しかし、もう正式に表明してしまいましたので、いずれにせよしっかりと国民の皆さんに説明をして、そして、守るべきものはしっかり守っていくという姿勢で臨んでいただきたいというふうに思います。  さて、ちょっと行ったり来たりしますけれども、試算についてまた伺いますけれども、農林水産物への影響試算の計算方法について伺いたいと思います。どのように影響試算をし、生産減少額を算出したのか、分かりやすく御説明いただきたいと思います。
  66. 加治屋義人

    ○副大臣(加治屋義人君) 今回の統一試算における農林水産物への影響試算は、米、麦、砂糖、牛肉、豚肉など三十三品目についてであります。価格や品質などの点から、輸入品と競合する国産品と競合しない国産品の二つに分けて、競合する国産品は基本的に輸入品に置き換わり、競合しない国産品は価格が一定程度低下すると見積もっております。以上の影響を個別品目ごとに積み上げた結果として、農林水産物の生産減少額は三兆円程度となったと、こういうふうに思います。  今回の統一試算では地域別の影響試算は行っておりませんが、委員の御指摘の北海道について、私もここに資料を持っておりますけれども、我が国の中でも食料供給基地として重要な地位を占めておりますだけに、関税撤廃による農林水産業及び関連産業の影響はとりわけ大きいんだろうと大変心配もいたしております。  いずれにせよ、試算は関税を即時撤廃して何らの対策を講じないという一定の仮定の下でありまして、今後、交渉に全力を挙げて、試算のような事態にならないように頑張らなきゃいかぬと自覚をさせていただいております。
  67. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございます。  この試算は生産額でありますね。今もお話がありましたけれども、関連産業への影響とか雇用とか、あるいは地域経済に対する影響というのはこの試算の中には入っていないということですね。  皆さんのお手元の北海道の影響試算の資料を見ていただきたいと思います。  おととい道庁が新たに試算をいたしました。そして、昨日の北海道新聞の一面に載りました。影響額は、関連産業まで含めますと一兆五千八百四十六億円。そして、新聞に載った表を見ていただきますと、米、小麦、ビート、でん粉原料用ジャガイモ、小豆と、こうずっとありますけれども、一番右端を見ていただくと、打撃、壊滅的、全滅、全滅となっているわけですね。  この新聞を見たときの農業者の方々の気持ち、そして北海道民の不安。質問通告しておりませんが、稲津政務官、米どころの出身でおられます。よくお分かりかと思いますが、この試算を御覧になったとき、どんなお気持ちでしたか、お聞かせください。
  68. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) 北海道の試算についてどう思うかという御質問ございました。  私も北海道にいて、北海道が一番このTPPの、いわゆる全く何の対策も講じない状況の中でそのままTPPに入ったときの影響というのは計り知れないものがあると、このように思っております。  したがいまして、先ほど来様々な議論がございますけれども、私どもといたしましては、例えばこの農業の重要五品目等をしっかり守る、それを全力を挙げていくということを省内挙げて取り組んでいくと、そういう決意でおります。
  69. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 そうなんです。何も対策を取らなかったらこのようになるということなんです。十一万二千人が職を失います。農家戸数は二万三千戸減ります。大変なことです。この失われた雇用の吸収はどうするんでしょうか。そういった話が全く見えておりません。何としてでも、北海道の農業、そして地域の経済、雇用、守っていただかなければならないと思っています。  そういう中で、農林水産分野の重要五品目等の聖域を確保するよう全力を尽くすということを三月十九日の大臣所信で大臣もおっしゃっておられますけれども、この重要五品目等の等というのは一体どういうことなんでしょうか。  それと、大変にこの聖域の確保は難しいと思いますけれども、TPPの交渉において高い自由化が求められると言われておりますが、関税自由率はどのくらいを求められると認識されておられますでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  70. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  日米の共同声明におきまして、TPPが包括的で高い水準の協定を達成していくことになると、これが確認されたところでございます。TPP参加十一か国の過去のFTAの水準も併せて考えれば、TPP交渉の中では、我が国の過去のEPAに比べて相当高い水準の関税撤廃が求められるということを想定すべきだろうと思います。  先般、自由民主党の決議に示された重要五品目、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物、これだけでもタリフラインがいわゆる五百八十六に上るとされたところでございまして、もちろん交渉が始まれば厳しい状況に直面することになると思いますが、いずれにしても、この重要五品目等の聖域を確保するよう、農林水産省として全力を尽くしてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  71. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 貿易主要国の関税自由化率なんですけれども、九五%を超えるというふうに言われております。タリフラインで五百八十六という今お話がありましたけれども、これ六%を超えるんですね。恐らく、TPPはこの九五%よりも高いのではないかというふうに私は思っております。となりますと、この重要五品目等、今おっしゃいました米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物でこの六%というのを守っていくのは非常に難しいのではないかというふうに思います。  そして、たとえ関税が残せたとしても、守れたとしても、TPPの原則は十年以内に段階的に関税を減らしていってゼロにするということでありますので、その間にしっかり対策を立てて、その対策の成果を上げていかなければ、十年後には大変に北海道は厳しいことになるというふうに思っておりますので、重ねてしっかりと守っていただくように頑張っていただきたいというふうに思います。  そして、TPP参加に対する影響に対して、どのようにして食料安全保障上の食料自給の確保、また農業、農村が果たしている多面的な機能を維持していくのかというところなんですが、農林水産省として、国民の食と農をどう守っていくのか、対策の部分ですね、今後の農業・農村政策についての基本的な考え方を伺わせていただきたいと思います。
  72. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 先ほどちょっと委員が、最後頑張ってくれという御激励いただきましたので、あるいは蛇足かもしれませんが、自民党でこの間決議いただいた中に、いわゆる農業分野の第四分科会と先ほどちょっと御説明したところですが、そこには今議論になっておりました「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物等の農林水産物の重要品目が、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象となること。」と、こういうことをきちっと決めていただいておりまして、それを、第四分科会も引いて全体の決議ができております。私がよく党の決議を踏まえてと言うのは、全体としてこういう決議がありますので、それを踏まえてしっかりとやっていくと、こういうことでございます。  それで、今の御質問で、食と農を守っていくという総理の御決意もあったところでございますが、まさに、これは先ほどちょっとアメリカの議会の状況でいろいろおっしゃっておられたように、まだ、今から参加になっていって、そこから交渉していくということですから、先行きどうなるか分かりません。したがって、今の段階でTPPの対策ということで余り銘打ってやりますと、ああ、ここはもう譲るんだなというようなことになってもいけませんので、私はこれTPPがあろうがなかろうが、今の日本の農林水産業は岐路に立っていると、これはもう申し上げて……(発言する者あり)大丈夫ですか。はい。それでは、自信を持って答弁を続けさせていただきたいと思いますが。  したがって、岐路に立っているということは、何もしないで手をこまねいていきますと、やっぱり衰退という可能性もあるわけでございますので、しっかりと潜在成長力、これは所信で申し上げさせていただきました、これを引き出しながら強いところをより強くしていく、サプライサイドもディマンドサイドも相まってやっていくということと、総理も触れられておられますように、強いところが強くなっていくだけではなくて、やはり多面的機能というものが食料・農業・農村基本法に位置付けられておりますので、非常に大事であると。したがって、そこも同時に守っていくということでしっかりと全体の施策をやってまいりたいと、こういうふうに思っております。
  73. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 それから、今も強いという話がありましたけれども、守りの農業から攻めの農業へという言葉も非常に引っかかるんですね。北海道でいうならば、守るばかりだったかというと決してそうではないと思うんですね。規模を拡大したり大きな投資をしたりしながら、攻めてきたと思うんです。  強いというのはどういうことなのか。そして、守りの農業、攻めの農業というのはどういうものなのか、大臣のお考えをお聞かせください。
  74. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) 私の方からまず御答弁をさせていただきたいと思います。  今、徳永議員御指摘のとおり、例えば北海道のこれまでの農政の在り方というのは、私も極めて攻めの農業を展開してきたと思っております。それは、例えば十勝管内の帯広市でナガイモを台湾等に輸出をして、非常に大きなウエートを占めておりまして、地域の活性化にもつながっております。  それだけじゃなくて、いわゆる土地利用型の農業の中で、できるだけ農地の大区画化をしながら、また担い手も集積をしながら取り組んできた。そうした成果があったということも事実でございますし、そういう意味では現場のニーズをしっかり把握をしてそれを政策に展開してきたというのがある意味攻めの農業であると、このようにも思うところでございます。  したがいまして、生産現場が積極的に需要をつかんでこれをやりたいと、そういうニーズを我々がしっかりこれを取り入れて支援をしていくということが、この攻めの農林水産業、特に農業の潜在力が引き出されるものだと、このように承知をしております。  このために、攻めの農業の施策として、いわゆる六次化とか、先ほど私が申し上げました輸出の拡大ですとか、需要サイドの取組に加えて、生産現場の前向きな取組を強化することが必要であると、このように考えております。  さらに、これ自公政権に交代してから、いわゆる、先ほど来の御質問にもありましたけれども、生産基盤等の拡充の予算があったということで、これもまさに現場のニーズが高かったものに対しての対応をさせていただいた上で、加えて、新規就農者の育成ですとか確保の充実を図ったところでございます。  したがいまして、今後もこの攻めの農業という視点を大事にしながら、的確に現場のニーズを把握をして支援をさせていただきたい、このように思っているところでございます。
  75. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございます。  決して北海道は守りの農業だけではないと、攻めてきたんだということを御確認いただきたいと思います。  それからもう一つ、ちょっと総理の認識が違うなと思った点があったんですが、十五日の総理の会見の中で、基幹的農業従事者の平均年齢は現在六十六歳、今の農業は若い人たちの心を残念ながら引き付けているとは言えないというお話がありました。六十六歳は、農村では元気な働き盛りであります。北海道は、更に全国平均よりも約十歳若い五十六・九歳です。六十五歳未満の比率は七〇%、都府県は三九%です。北海道に関しては、これ総理の御認識は間違っていると思いますので、総理にここはしっかりお伝え願いたいと思います。  さらに、規模拡大や効率化、機械化が進み、若い人たちが農村に戻ってきています。今お話があったように、六次産業化に取り組んで、マルシェも大変にうまくいっています。それから、農家レストランも繁盛しているところは大変に繁盛しています。地域の雇用も生んでいます。  こういったものが、せっかく積み上げてきたものがTPPに参加することによってなくなってしまっては困るんです。これは観光にもつながってきます。北海道全体の問題なんです。その辺をしっかりと認識していただきたいと思います。(発言する者あり)はい、ありがとうございます。応援いただきました。  そして最後に、産業競争力会議それから経済財政諮問会議でもこの農業改革、成長産業としての農業について様々な意見が出ているようですけれども、議論の輪の中に、私、前回質問を大臣にさせていただいたときも申し上げましたけれども、農業の関係者が入っていないんですね。農業のことを知っている方は入っているかもしれません、植物工場に関連している方なんかもいるかもしれませんけれども、本当に土や水と触れ合って、額に汗して働いている農業者がその中にはいないんです。是非、農業者の思いをしっかりと伝えられる方を私はやっぱり加えてもらいたいと思います。そういう声も生産の現場から上がっています。  是非、そういう方を民間の委員として加えていただきたいということを再度お願いすることと、それから、先ほどの国益の話でありますが、もし私たちが認識しているような国益を守れない場合には、是非このTPP、参加したとしても脱退していただきたい、そのように心からお願い申し上げます。本当に北海道が心配なんです。どうぞよろしくお願い申し上げます。  時間になりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  76. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。  林大臣、三役の皆さん方が就任されまして三か月以上になりますけれども、改めて御就任おめでとうございますというのを言わなきゃならない、そのぐらい委員会が開かれておりませんでした。三役の皆さん方が本当に昼夜を問わず日本農業の振興そして地域の再建に向けて取り組んでいただいておりますことを、心から御礼を申し上げたいと思います。  林大臣は、我が自由民主党にとりまして、政策通でよく皆さん方も御存じのとおりでありまして、総裁候補にもなった方であります。私どもが、大変誇り高い、あるいは大変期待を持ってお迎えしている大臣であります。  また、加治屋副大臣は私と同郷でありまして、私が政治家になるときのイロハを教えていただきました政治の師でもありまして、大変また御期待も申し上げておるところでございます。  稲津政務官におかれましても、どうか三役力を合わせて、先ほど申し上げました日本の農業の振興のために是非とも御尽力くださいますように、まずもって心からお願い申し上げる次第でございます。  先ほど来、今日の所信に対する質疑でありますけれども、TPPの集中審議のような形になっておりまして、当然私もまずTPPから入らせていただきたいというふうに思っているところでございまして、週末あるいは電話等々でも農家の皆さんやあるいはJAグループの皆さん方から、拙速な判断だったと、なぜこんなその参加を表明したんだと、大変、先ほど来出ておりますようないろんな皆さんからの苦情もいただいたり、また叱咤もいただいているところでございます。  大変、我々もこれまでは参加表明までは今日お集まりの委員の皆さん方と一緒になって反対に対する活動、運動もしてきたわけでありまして、同志でありましたが、三月十五日をもってこの道が私どもは閉ざされたような気がして、大変寂しい思いをいたしております。しかし、私どもは与党として、じゃ、どうするかというところを、もう既にいろいろなところで、先ほどのお話がありますように党内での議論を進めておりまして、そのことを大臣にもいろんな形で御提言申し上げ、あるいはまた、党としての決議を総理まで持っていった次第であります。  大臣としても、先ほど出ましたけれども、我々の自民党の公約の基本となるというよりも、そのものをまとめていただいた中心におられた方、林大臣がまとめられたと言っても過言ではありませんが、その公約をお作りになった一人として、そして今は内閣の一員として、大変苦しいお立場だったと思うんですけれども、安倍総理の参加への表明、どのように受け止めておられるのか伺いたいと思います。
  77. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 先ほど、徳永先生のときでありましたか、少し触れさせていただきましたけれども、元々公約をまとめるとき、厳密に言うと公約になる前の党としての見解を、昨年の三月だったと思いますが、野村先生にもずっと御議論に加わっていただきまして作ったときからかなりいろんな議論があったわけでございまして、党内でも両論、推進派、慎重派いらっしゃったというふうに私も記憶をしておりますが、やはり最終的には一つにまとまって、党としてはどうするのかということをつらくてもやっていくというのがこれまでもやってきたことであろうと思って、ああいう文書をやらせていただいたということを今思い出しております。  これは、このことにとどまらず、先ほどちょっと触れましたが、郵政のときもそうでありましたし、それから、そのときと近いタイミングで申し上げますと、原子力の規制委員会をつくるのも私たまたま担当になっておりまして、党内本当にばらばらでございましたけれども、最終的には当時の政府・与党が出されたものに対する対案という形で集約をし、三党で最終案を作っていくということをやったわけでございます。  したがって、私、そういうときにいつも心に銘じておりますのは、やっぱり迷ったときは平場に聞けということが我々先輩から習ったことでございます。平場というのはどういうものかといえば、先生方が来られてそれぞれの意見をちょうちょうはっしやられると。それは自分でお考えになったという部分も当然あるわけですけれども、週末、毎週毎週地元に帰られて、いろんなところにお邪魔をして、時には酒を酌み交わしながら、本当の有権者の皆様の本音を引き出してくると。その本音の部分というものをどう最終的なまとめにやっていくかというのが大変大事なことだなと、こういうふうに思っておりまして、今回の総理の決断というのも、総理も長年の政治経験の中で大変重い決断をされたんだろうなと私も思っております。  いろんな分野、私は農林水産分野を所掌しているわけでございますけれども、ほかのあらゆる分野、あらゆる皆様の御意見を聞いて、そして今の我々の意見だけではなくて、将来これがどうなっていくのかということも見据えた上で、あるいはおじい様がおやりになった安保の決断というものも念頭にあられたかもしれませんけれども、そういう重い決断をされたと。この決意のほどが、私もテレビであの会見を拝見しておりましたけれども、伝わってきたわけでございます。  そのプロセスの中で、先ほどちょっと申し上げましたように、総理が帰国されてすぐの閣議の場で、私からも、非常にセンシティブな問題であるし、公約に掲げて戦ってきたという経緯もあるので、慎重に、丁寧にということでお願いをいたしまして、そのこともお聞きいただいて、何週間か掛けてプロセスを取っていただいたと、こういうことであろうかというふうに思っております。  さすがは我が党野村先生だなと思いましたのは、残念ながらということでございますけれども、今後は、この状況を踏まえて、今からどうしていくのかということが課題であるということをおっしゃっていただきました。私もそういうふうに気持ちを持って、どうすればこの決議をなされたこの事項、野村先生御自身もこの一番我々にとって大事な第四グループ副主査で、先ほどの私がちょっと御披露させていただいたところの取りまとめをやっていただいたということでございますから、それを踏まえて、どれだけこれをきちっとした交渉をやっていけるのかということを、あらゆる角度を通じて情報を収集して、そして国益を守り抜いていきたいと、今そういうふうに考えておるところでございます。
  78. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 やはり、さすがに林大臣だなというふうに思いました。総理の決断は重いんだということをおっしゃっていただきまして、内閣の一員としての、私から見れば苦しいお立場だったんだろうというふうに思うわけであります。  そこで、この参加表明と同時に、先ほど来ありますように、影響試算も出されました。これは、徳永委員がおっしゃるように、余りにも遅かったというふうに思います。だって、そうでしょう、何か食べたいときに物が先に出てくるはずはないんで、メニューをやはり見てから、そしてそれを吟味しながらやはり物を食べていくというのが順序だろうと思いますが、にもかかわらず、同時にメニューと一緒に出てきたというところがどうも解せないんです。これは、どうしてこんなにも遅れたのかということをまず、内閣官房にまず聞きたいと思うし、それから、この影響試算というのが農水省の方でも先に出されまして、四兆二千億だったですか、その試算と今回の試算とどういうふうに今回は違っていて三兆円になったのか、そのことを教えていただきたいと思います。
  79. 川崎研一

    ○政府参考人(川崎研一君) 御説明させていただきます。  まず、今回の試算全体について、既に御存じかと思いますが、考え方を御説明させていただきたいと思いますが、今回の試算では、TPP、現在メキシコ、カナダ加わって交渉十一か国で行われていますが、そこに日本が加わって十二か国で、全体で関税を撤廃した場合にマクロ経済全体への影響がどういったことになるのかということをGTAPモデルというものを用いまして試算を行いました。  その際に、実は非常に機械的な仮定を三つ置いてございます。第一は、関税撤廃の影響のみを試算いたしました。すなわち、非関税措置の削減ですとかサービスや投資の自由化、そういった様々な影響については今回の試算には含めておりません。また、第二に、全く仮の話ですので、関税は全ての物品について即時撤廃されるという非常に極端な仮定を置いてございます。また、第三に、そういった関税が撤廃される一方で、何か追加的な対策を講ずるということについてもこれからの御議論かと思いますので、そういったことは何もないという、そういった前提で試算をいたしました。  以上、申し上げていますように、非常に単純な仮定を置いた計算でありまして、また、試算結果というのは何年かの非常に中長期的な将来に発生するというものを示したものですので、数字についてはできれば幅を持って見ていただきたいというふうに思っております。  試算結果については、既に御存じかと思いますけれども、日本で関税を撤廃いたしますと、輸入が二・九兆円増加をするということになっております。これは、逆に国内総生産に対してはその分のマイナスの影響が及ぶということになります。他方、相手国が関税を撤廃いたしますので、それによって輸出が二・六兆円増加をするということになります。そこで、もう一方で、輸入品の価格の低下それから輸出の生産が増えるということで、実質所得、消費が増えるということで、消費が三・〇兆円、三兆円拡大をし、経済全体ではこのプラスとマイナスが合計されて、GDPが〇・六六%、金額で申し上げれば三・二兆円底上げをされるという試算になっております。その一方で、今回、農林水産物については同時に三・〇兆円の減少が見込まれるということを農林水産省の方で精査をしていただいたところであります。  今回の試算では、実は内閣官房の試算と農林水産省の試算というものを統一的に試算をするということで、非常に両者で相談をして時間を掛けて今日試算をお示しできるようになったというところであります。ただし、今申し上げさせていただきましたように、もう一度申し上げさせていただきますが、この試算というものは非常に単純化した仮定を置いた暫定的な数字であって、幅を持って見ていただきたいということをお願いいたしたいと思います。
  80. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 単純な仮定を置いてという話でありますれば、なおさら、その出し方というのは、もう少し早めに出せたはずではなかったのかなというふうに思いますよ。あなたがおっしゃっていることと実際のことは、参加表明と併せて同時に甘利大臣から発表というのは余りにも乱暴なやり方だと、そのことは申し上げておきたいというふうに思います。  もう一つ、先ほど徳永委員からも出ましたが、今朝ようやく私どももこの中身を聞いて分かったんですけれども、これは、生産額だけではなくて、一次加工は入れてあるということで今朝初めて分かりました。しかし、農産物の加工は一次加工だけじゃなくて二次加工もあるわけでありまして、そういう仮定を入れてほしかったなというのがあります。しかし、少なくとも一次加工の部分はこの生産額に含めて入れてあるということでありましたので、ある程度は納得をしました。  しかし、もう一つの私は問題があると思います。それは、先ほど徳永委員から出ましたように、雇用の問題をどう整理をしているのかという問題が、雇用の喪失の問題があります。これも前提を置けばできるはずでありますから、そのことがまず欠落していたと。  それからもう一点、これはほかの分野にはない農林水産業の持つ多面的な機能であります。この多面的な機能が全くこの試算の中には出てこなかったということでありまして、我々が今までずっとやってきた中で、あるいは、今まで日本学術会議等にお願いして試算をしてもらうと七兆円とも八兆円とも言われてまいりました。このことを農水省の方で多面的な機能の喪失というのを計算されて出されているのか、お伺いをいたします。
  81. 荒川隆

    ○政府参考人(荒川隆君) お答えを申し上げます。  今先生御質問にございました多面的機能への影響額でございますが、内閣官房の方で取りまとめて二枚紙として政府統一試算を出されておるわけでございますけれども、その中で、農林水産物への影響につきましては、別紙という形で「農林水産物への影響試算の計算方法について」という冊子を出させていただいております。  その中の一つの項目といたしまして、生産減少額を三兆円とした上で、その生産減少額に相当する水田なり畑の面積が減少をした場合の多面的機能の喪失額というものを計算いたしておりまして、単純な計算でございますけれども、一兆六千億円程度の喪失というふうに計算をしておるところでございます。
  82. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 ですから、農林漁業という分野は、生産額のみではなくて、こうしたものもあるわけでありますので、こうした喪失するであろう影響額、喪失額を是非ともやっぱり国民の皆さん方にもお分かりいただかなきゃいけない話ではなかったのかなと。ですから、出すのが遅かったと。そういった議論をして、そして、それらを加味しながら最終的に発表していただきたかったということであります。  もう済んだことでありますのでどうしようもありませんが、何かタイミングを狙って同時発表して、我々には一切口出しをさせないような、そういう意図的なものを感じるものですから、内閣官房の参事官には申し訳ないんですけれども、そういったことを多くの国会議員の皆さん方は考えているのだろうというふうに、私だけじゃないというふうに思いますので、いろんな問題が今後出てくるでありましょうから、先んじて議論の前にやはりこういった資料は是非出していただきたいと思います。  それから、もう一つ農水省の方にお伺いしますが、前に出された試算では自給率が一三%まで落ちると。やはり国民の皆さん方が一番心配したのはここだったんです。日本の食料自給率は四〇%が一三%まで落ちるのかよというお話がありました。今回のこの試算でいくとどのぐらいまで落ちるんですか。
  83. 荒川隆

    ○政府参考人(荒川隆君) お答え申し上げます。  前回の四兆五千億円の試算と比べますと、今回三兆円ということで生産減少額が変わりましたものですから、それを自給率の計算に入れますると、カロリーベースで二十一年度の四〇%から二七%に、生産額ベースで二十一年度の七〇%から五五%にそれぞれ低下すると見込まれております。
  84. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 それでは、もう一つお伺いしますけれども、これは関税がゼロになった場合の話でありますので、この対象になっている品目の今の関税の収入は幾らですか。
  85. 佐藤一雄

    ○政府参考人(佐藤一雄君) お答えいたします。  今、野村先生御質問ございました関税の収入でございますが、まず麦でございますが、大体年間八百億円程度の輸入差益を徴収しているところでございます。また、砂糖とでん粉につきましては、合わせまして、これは年間約六百四十億円、牛肉につきましては、年間約七百億円の牛肉等関税収入といったものが入ってきているところでございます。
  86. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 なぜ食料自給率とこの関税収入の話を出したかといいますと、今の自給率が四〇%から二七%まで落ちる、これは国民が望んでいる話ではありません。あるいは、何にも対策をやらなければという前提でありますけれども、多分国民の皆さん方は、二七%まで落ちるということになりますと、大変これも、一三%よりある程度増えておりますが、これはやっぱり御心配な点だと思います。国民の皆さん方は自給率を上げてくれというのが大方の国民の皆さんの気持ちでありますし、いろんな統計上から、あるいは調査からもそういったものが出ております。  そうしますと、私はびっくりしたんですけれども、参加表明の次の日の新聞に、三月十日、次の日かな、十日の新聞で、関税撤廃による値下げで消費者に朗報って大きな見出しで出してありました。例えば、砂糖は百六十七円が五十二円になる、あるいは乳製品は六十三円が二十四円になるということで、六割から値下げになるというふうに単純に書いているわけですよ。そうすると、消費者の皆さん方というのは、ああ、TPPに参加すると砂糖がこんなに安くなる、あるいは麦もこんなに安くなるという大変な誤解を与えてしまっているんだろうと思います。  しかし、これは今からの話でありますけれども、もし、もしこういうことになれば、関税撤廃になれば、これは日本の農業が壊滅するというのは先ほど来お話があったとおりでありますが、我々は政治家としても国民の期待にこたえていかなきゃなりません。自給率を上げていかなきゃなりません。そうなると、関税はゼロになったわけでありますから、それに見返る税源というのはきちっと確保しなければならないと思うんです。言わば、消費者の皆さん方は、物は安く買えたけれども、税金で逆に負担をしなけりゃならないということになるんです。行って来いの話であります。ですから、何か輸入品だけは下がってきて、そして我々は安く買えるんだという、そういう錯覚をやはり起こしてしまうような報道ぶりだったと思うんです。これは、むしろ農水省が大きい声で、いや、そうじゃありませんよ、安くなったにしても、これだけの自給率が下がるので、下げないためにはやはりこれだけの財源が必要になってくるんですよ、こういうことを私は役所としてきちっとやっぱり国民の皆さん方に正確な情報を提供する必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
  87. 加治屋義人

    ○副大臣(加治屋義人君) 関税撤廃の影響として、今お話しのとおり、食料品の価格が下がるとかあるいは食料自給率が低下するなど、様々な報道がされております。それだけに、御指摘をいただいたとおり、国民に対してその影響にかかわる情報を正しく提供していく必要があります。国民の食料の安定供給にかかわるメリットとデメリットの両面について正確に情報提供するよう努めてまいりたいと思っています。
  88. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 時間がなくなってきましたので、もう一遍TPPの本質について、我々がどういう議論を経て、そしてどういうことを今、大臣やあるいは総理の方に決議したものを出してあるかということを少しおさらいをさせていただきたいと思います。  我々も、先ほど徳永委員の方から与党時代に六十二回とおっしゃいましたか、やってきたと、我々はそれより二回多かったと思うんですが、六十四回、実は反対議連をつくりまして議論をさせてきていただきました。そして、参加表明、首脳会談の前にどうしても私どもは、これは安倍総理が非常に前のめりのような感じを受けたものですから、やはりここで党として何らかの対策、何らかの決議をして総理に提言をしなければいけないということで、急遽決めましたのが二月の二十七日でありました。これは大臣も御覧いただいていると思いますけれども、外交・経済連携調査会、私どもは、衛藤前副議長がこの会長でありますが、衛藤委員会、衛藤委員会と、こう言っておりますが、ここで取りまとめさせていただきました。  この中身は何かといいますと、やはり守るべきは守るとか、あるいは国益とは何ぞやという議論がありましたので、きっちりとこの国益とは何だというところを明確にしようと。でないと、今後我々が地元に帰っても、あるいはまた、今後万が一参加することになったときの日本のカードになり切らないと、こういう思いがありましたので、農林分野におきましては五つの品目が守るべき聖域なんだと、守るべき国益なんだということをまとめさせていただいたわけであります。もちろん、これは選挙公約では農産物だけではありませんでしたので、皆保険の問題や食品の安全性の問題等々、この六項目は必ず守らなければならない聖域ですよということを申し上げてきたわけであります。  したがって、そのことは大変総理も重く受け止めている、あるいはまた、大臣もやはりこの党の決議に基づいて、あるいはその後の、先ほど二時間しかなかったというお話がありましたが、本部を立ち上げて、その本部の中でも決議をさせていただいたわけでありますが、いずれにしても、私どもは、総理の専権事項である、あるいは政府の専権事項である参加表明については、いろいろな手だてをしながらでもなかなか止めることはできませんでした。このことは我々も反省をいたしておりますが、しかし、私どもは総理に、政府に白紙委任をしたわけではありません。先ほど申し上げました、こういった自分たちの公約は絶対守るんだ、しかもここのところは是非今後の交渉で粘り強くやれよということでこの決議をいたしたわけでありまして、このことはやはり重く受け止めていただきたいと思います。  それと、総理だけではなくて、これは大臣も多分御存じだと思いますけれども、三月の十二日に石破幹事長が四千人を前にして約束をされたことがございます。それをちょっと読み上げますと、この決議は極めて重いものであり、総理が仮にも参加を判断される場合、この遵守が何が何でも必要になる。米、乳製品、砂糖、牛肉、そういうものを始めとする品目は必ず死守していかなければならない。それは我が国の国益であり、仮に交渉に参加するとするならば、それを守るのは極めて当然のことだ。そのことを私は皆さん方にお伝えに上がりましたと。大変私は、これは党の幹事長として重たい挨拶だったというふうに思っております。  したがいまして、我々は党を挙げてそのことを総理にも申し上げてきたし、そしてまた、林大臣はそのことは十分に御存じのはずであります。したがいまして、これから参加してからの交渉が始まるわけでありますけれども、この交渉についての最後に覚悟をお聞きしまして、あと構造改革関係もお聞きしようと思ったんですが、時間がございませんで、TPPの集中審議になってしまいました。どうかお答えいただきたいと思います。
  89. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 実は、衆議院で所信を表明させていただいたときはまだ総理の記者会見、十五日の前でございました。したがって、実は一昨日の本院で述べさせていただいた所信で初めて、その新しい状況で私の所信をしっかりと述べさせていただいたわけでございますが、まさにそこの所信どおりでございまして、「国益を守り抜き、農林水産分野の重要五品目等の聖域を確保するよう全力を尽くす」と、これを所信として述べさせていただいたところでございます。  もう委員も御承知のとおりでございますが、参加国の同意を得て交渉がもし始まれば、大変厳しい展開が予想されますけれども、よくアメリカが、議会が議会がと、こういうふうに言うわけです。我々も議会があるわけでございまして、その議会与党でこういう御決議をいただいた、また、オーストラリア、六年前でございますけれども、今度は当時の我々与党の決議、それから国会でも委員会等で決議をいただいて、それを受けてやっていくというのは、日本だけではなくて、相手もそういうことでやってくるわけですから、しっかりと決議をしていただいて、それを胸に刻んで、しっかりと交渉が始まった場合にはやっていきたいと、決意を述べさせていただきたいと思います。
  90. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 あと一分ありますので。御答弁は要りません。  私、大臣と、構造改革の加速化というのが所信の中にありましたので、そこをちょっと質問をして御意見をいただきたいなというふうに思っておったんですが、時間が足りませんでした。  私、この構造改革の加速化というのを具体的にやっぱり早くお示しするべきじゃないかなというふうに思うんです。ただ、構造改革、構造改革と言ったって何なのか全く分かりません。これは、質問取りに来られた方々には申し上げたんですが、要は、三十六年に基本法ができたときには、選択的拡大ということで、米から畜産、野菜、そして園芸、これが今私どもの鹿児島の農業であったり、北海道の農業なんです。そのときは作目ということで非常に構造改革を加速化しなけりゃいかぬというところに、非常に作目で分かりやすかった。そして、夢もありました。希望もありました。しかし、今の構造改革は何を狙っているのかというところがまあ見えない。そこのところをはっきり示して、そしてそこにやはり私は政策を集中すべきであろうというふうに思っておりますので、どうか、今そのことを私どもが提言し、そしてまた、先般の大臣の所信で日本型直接支払あるいは担い手総合支援、こういうものを掲げていただきましたので、これらを、これは与野党問わず、やはり議論をしながらいいものを作り上げていかなきゃならない、そのことを、決意を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  91. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  TPPのことは後ほど伺うことにいたしまして、ちょっと雰囲気を変えまして、被災地域の課題から伺ってまいります。  まず、宮城県の養殖ギンザケのことについて伺いますが、これは現在、五十四経営体が被災をしたこの養殖ギンザケでございますけれども、五十四経営体は、がんばる養殖復興支援事業に加入をして、現在出荷を再開しているわけであります。しかし、震災前のキロ単価、これが平均四百円だったんですけれども、出荷を再開して、現在二百円台まで下落をしております。  この原因としては、一つには風評被害があります。そしてもう一つは、日本とチリとのEPAによって関税の引下げが段階的に行われておりまして、チリ産のギンザケが大量に日本に輸入をされているということが大きな原因になっております。この輸入急増を受けて、日本・チリのEPA作業部会では、輸出量を抑制するようにということを日本側から要請をしたようでありますけれども、今後もこのチリからの大量出荷というのは懸念をされております。  がんばる養殖というのは期間がありまして、三年間は赤字を出しても九割までは補填してもらえるんです。ただし、これは三年間までということでありまして、既に一年経過をしておりますから、残り二年。この残り二年の間で黒字にならないと、この低価格を抜け出さないと、せっかく今復興に向けて頑張っているこの企業体、五十四経営体が苦境に立たされることになってしまうということで、どうするのか、まずこれから伺います。
  92. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) お答えいたします。  宮城県のギンザケの養殖につきましては、議員御指摘のとおり、この震災による大きな被害だけではなくて、チリ産のギンザケの輸入増等によります国内ギンザケ価格の暴落などがありまして、大変厳しい経営環境にあることは承知をしております。  これらギンザケ養殖業者に対してですけれども、震災からの復興支援として、経営の再開から出荷までの間に収入が得られない養殖業者の実態に踏まえて、人件費、燃油費等の生産に必要な経費を三年間助成をして、毎年水揚げ金額から返還をしていただくと。そのこととともに、赤字になった場合はその一部を支援するということで、先ほど御案内のとおりのがんばる養殖復興支援事業を平成二十四年から実施をしているところでございます。宮城県の大部分のギンザケ養殖業者が本事業を活用し、経営の早期再建に取り組んでいるところでもございまして、事業の期間中に競争力のある経営体として経営再建できるよう支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  93. 横山信一

    ○横山信一君 この宮城のギンザケ養殖というのは非常にかわいそうな歴史をたどっておりまして、以前は大手水産会社が南三陸でこのギンザケ養殖をやった。地元の漁師もそこに出資をした。ところが、その大手水産会社は価格が下がったので撤退してしまったと。撤退して、その会社が行った先はチリだったわけですよ。で、チリでこの養殖ギンザケをやる。で、それが日本に輸入されてくると。そしてまた、その大手水産会社が撤退した後、また自分たちで頑張って再開をしてきた人たちが、震災にもめげず頑張ってきた人たちが、またこのチリ産のギンザケで苦しめられていると。そういうことを考えると、期限が残り二年とはいっても、しっかりと水産庁としても、農水省としてここをしっかりと見守ってあげてほしいというふうにお願いをいたします。  次に、CITESのことでありますけれども、先日バンコクでこのCITES、ワシントン条約締約国会議が開かれました。そこでフカひれの話が出たんですね。米国、EUなどがこのサメ類の国際取引を規制すべきというふうに提案をしました。日本はこれは科学的な根拠がないということで取引に反対したんですけれども、残念ながらこの提案は可決されてしまいました。可決はされたんだけれども、今回対象となったのは、ヨゴレとかシュモクザメとかニシネズミザメあるいはマンタという、こういった種類であって、直接日本がフカひれの材料として捕獲をしているものが入っていないということで、フカひれ産業そのものにはそれほど大きな影響はないだろうというふうに見られておりますが、このCITESでは二〇一〇年にも大西洋クロマグロが規制対象として取り上げられたりしております。  こうした状況というのは非常に警戒が必要で、いわゆる商業漁業の否定につながるような、そういう動きがアメリカ、EUを中心とした中にあるということで、これが次から次と提案がされてくるようなことになると鯨同様の遠洋漁業が、遠洋漁業だけではなくて、対象種が日本近海のものであれば、それは当然沿岸、沖合もかかわってくるわけでありますけれども、そうした鯨同様の状況が生まれてくるという危険性があるということで、CITESへの漁業資源の取引規制をめぐる現状についてどう考えるのか、お伺いいたします。
  94. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) 近年のこのワシントン条約の締結国の会議におきまして漁業資源の附属書掲載提案がなされたのは事実でございまして、第十六回の締結国の会議においても、三月十四日の本会議で、議員御指摘のとおり、ヨゴレ、シュモクザメ等のいわゆる附属書への新規掲載提案がいずれも可決をされました。  我が国として、この漁業資源は地域漁業管理機関等により科学的根拠に基づいて管理していくべきとの考えの下で、これらの機関等における管理を通じた持続的な利用に努力をしてきたところでございまして、これらの提案が可決されたことは残念に思っているところでございます。  今回掲載されたサメ類等につきましては、我が国の主要な漁獲対象ではなくて、混獲により漁獲されているものであるため、我が国への直接的な影響は少ないと、このように考えておりますが、今後、他の漁業資源が絶滅危惧種として扱われないよう、関係国等と連携をしつつ、資源の適切な保存管理に積極的に取り組むとともに、我が国の主張についても粘り強く理解の浸透を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  95. 横山信一

    ○横山信一君 ここはしっかり取り組んでいただきたいんですね。日本の主張というのは必ずしも多くの国々から賛同を得ているという状況ではないので、粘り強く取り組んでいただきたいと思います。  次に、トドのことに移りますけれども、トドによる漁業被害、近年は二十億円を超えております。漁業被害を減らすには駆除以外には方法がないという、そういう現状がございます。しかし、トドというのは国際的な保護動物でございまして、二〇一〇年からはPBR、生物学的間引き可能数というんですかね、このPBRに基づいて五年間のブロック・クオータ制でこの採捕数が決められております。  大体年間二百頭前後ということでありまして、北海道には大体五千頭から六千頭トドがやってまいります。その六千頭近くやってくるトドに対して僅か二百頭しか捕獲できないということで、ほとんど効果がないという、そういう現状があります。そういう意味では、採捕枠を拡大すべきだというふうにも思うわけです。この点についてまず伺います。  そして、駆除の効果を出すための新しい取組として、これは今回は北海道がやったんですけれども、昨年十一月、十二月、利尻島、礼文島の周辺の海域を利礼海域というふうに言いますけれども、この利礼海域で一斉駆除を実施したというふうに承知しておりますけれども、この事業を今後どうするのか、伺います。
  96. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) トド被害への対策についての御質問がございました。  北海道の日本海側を中心として、大変なトドによる被害が多発しているということを承知をしております。    〔委員長退席、理事郡司彰君着席〕  その上での答弁をさせていただきたいと思いますけれども、このトドの捕獲頭数について、議員から今御指摘のとおり、五年間で捕獲できる上限、これは科学的な根拠に基づいて算出をしているということがございます。この平成二十七年度から五年間のこの上限頭数の算出につきましては、研究機関が実施する航空機調査、それから北海道庁からの混獲頭数調査等の最新情報、これに基づいて、トドが来る、その頭数の増加を反映すべく適正な頭数設定をしていきたいと、このように考えているところでございます。  それから、平成二十四年十一月以降、先ほどお話がありましたいわゆる利尻、礼文海域、それから石狩湾海域で実施されている一斉駆除につきましては目標頭数を上回る駆除ができたと、このように聞いております。  今後、水産庁としても、北海道庁と更に連携を取りまして、広域的な一斉駆除の実施に向けて検討してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  97. 横山信一

    ○横山信一君 この一斉駆除の費用はどうなっているのか、その点についてもお答えいただきたいと思いますが。
  98. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) この一斉駆除の費用の関係でございますけれども、基本的に、北海道の場合でいいますと離島と本土がございまして、離島の方の駆除事業については国が行う、本土の方は今度は逆に北海道の方で行うと、このような状況でございます。
  99. 横山信一

    ○横山信一君 この一斉駆除もそういうふうに立て分けるということですか。
  100. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) そこで、今後のこの一斉駆除の費用の在り方についてでございますけれども、様々な今精査をしているところでございますが、これまでは北海道庁との分担でやってきた、今私が答弁させていただいたところでございます。  しかしながら、この離島で駆除事業を実施をしますと、トドは今度は本土側の方に移るということで、平成二十五年度からは広域的かつ同時にハンターによる駆除を行うことでトドに逃げ場を与えないと、そういう駆除効果を高める一斉駆除を実施をして、その際、この中で本土側についても駆除の費用を支援してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  101. 横山信一

    ○横山信一君 是非そういう対応でお願いしたいと思います。  従来、今の御答弁の中にもありましたけれども、離島側と本土側ということで費用負担があって、離島側で駆除しても、それが、北海道側に十分な予算がないものですから、こちら側に来てしまうと、そういうデメリットがありましたので、是非そこの是正もお願いしたいというふうに思います。  強化網のことについて伺いますが、この漁具被害を軽減するために開発してきた強化網でございますけれども、定置網あるいは底建て網の強化網というのは広く漁業者に受け入れられているんですが、強化刺し網というのは、私は浜に行っていい評判は聞いたことがありません。    〔理事郡司彰君退席、委員長着席〕  操作性が悪い、重い、しかも値段が高いということで、刺し網というのはそんなにたくさんの人数が船に乗っていくわけじゃありませんから、割とメーンの漁業があって、その合間合間でやっていっているというふうにも言えるんですけれども、ニシン刺し網はそれを集中的にやりますが、そういう観点から言うと、この強化刺し網というのは漁師からすると非常に使いづらい、結論から言うとそうなります。  ただ、大分開発が進んできたようで、改良が大分進んで、いいという話も聞いておりますが、今後この漁具被害を減らすという観点でこの強化刺し網、これからどうしていくのか伺います。
  102. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) 強化刺し網についての御質問でございますけれども、トドによるこの漁業被害を軽減させるために強化刺し網、これは有効なものと、このように認識をしております。  ただ、今議員から御指摘のように、特に先般までは、この強化刺し網は重い、扱いにくい、それから高いということで、いわゆる悪い印象が根強いために、強化刺し網の導入というのは、これは余り進んでいないというのが現状だと思います。  一方で、実際に強化刺し網使用している漁業者の方々からお聞きしますと、これも議員から今御指摘のとおり、この改良点、改良した強化刺し網については、なかなか使ってみると今までと違うなといった認識もいただいているというふうに承知をしております。  そうした認識をしてもらうことは非常に重要であると、このように考えておりまして、平成二十五年度から、有害生物漁業被害防止総合対策事業におきまして、漁業者に強化刺し網を使用してもらう大規模な実証試験に対して支援しようと、このように考えているところでございます。この実証試験によりまして漁業被害軽減の効果が出れば、本事業の助成の対象となる改良漁具として導入できるように検討していきたいと、このように考えております。
  103. 横山信一

    ○横山信一君 刺し網というのは非常に安価ですから、しかも大体一漁期使ったら次のシーズンには替えてしまうと、大体そういう使い方なんですね、使い捨てというかですね。そういう観点からいくと、このトドがやってくる日本海側の漁師の人たちは、一回トドが来るともうそれで使い物にならなくなりますから、だから、通常の漁師でいくとワンシーズン使うものを、トドが来るたびに網を替えるという、そういうことをやっているわけです。  そういう意味では、強化刺し網を使った場合、何回その網を替えたのか、網替えをしたのかということと、要するにどちらがコストパフォーマンスがいいのかという、そういうことだと思うんですけれども、その判断ができるぐらいまで是非改良を進めていただきたいということであります。  この国際的な保護獣というトドと、そして近年では襟裳岬にゼニガタアザラシというのがやってきておりますが、これは国内では絶滅危惧種に指定をされております。どちらも漁業被害を大きく与える海獣類でございますが、いずれも保護されている動物なんですね。保護されているがゆえに、漁業被害を根絶するというのは事実上不可能です。そういう意味では、浜からいくと、国が保護しておいて我々に対しては何の対策も打ってくれないという、そういう認識になってしまうわけです。  そこで、まずゼニガタの方から、これは環境省になりますけれども、伺いますけれども、ゼニガタアザラシによる漁業被害についてどう対処していくのか、まずこれを伺います。
  104. 伊藤哲夫

    ○政府参考人(伊藤哲夫君) ゼニガタアザラシにつきましては、環境省のレッドリストによって絶滅危惧種に選定されております。そういったことで、鳥獣保護法に基づく希少鳥獣として殺傷等を伴う有害鳥獣捕獲を原則としては認めない、認めていないという状況にございます。  しかしながら、先生御指摘のとおり、近年、このゼニガタアザラシによる北海道での漁業被害、深刻化しているということでございます。これを受けまして環境省では、被害防除や捕獲による個体数調整も含めた総合的な保護管理対策の検討を行っているところでございます。  具体的には、今年度から北海道地方環境事務所がゼニガタアザラシ保護管理検討会というのを設けまして、漁業関係者の皆様とも相談をしながら、銃や網による捕獲手法、あるいは音波による被害防除対策の検討を行っているところでございまして、環境省としては、しっかりこの捕獲ということも念頭に入れて成果を上げていきたいと、こういうふうに考えております。
  105. 横山信一

    ○横山信一君 捕獲はいいんですけれども、漁業被害を捕獲によって十分減らせればいいんですが、現実なかなかそこにたどり着けるかどうかは、これから実際やってみるわけですけれども、その次の段階として、次に漁業被害が十分に減っていかないということになれば、当然そこは次の段階を考えていかなきゃいけないということです。先ほど冒頭申し上げたように、これは保護しているわけですから、保護することによって漁業者が被害を被っているという、その点を是非認識をしていただきたいというふうに思うんです。  次に、大臣にお聞きをしたいんですけれども、まず、大臣にはこのトド被害の実態というのを是非見ていただきたいということなんです。御視察に来ていただきたいということでございまして、トド被害と闘う漁業者の苦境というのを是非御覧になっていただきたいということでございます。  私は、国が保護している動物によって起きる漁業被害なんですから、被害算定を行った上でその分の直接支払というのを考えるべきだというふうに思っておりますけれども、現状では抜本的な解決を見出せないという、そういう問題でございます。これに対してどう考えるのか伺います。
  106. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 一回見に来いということでございました。水産庁がお邪魔をしたということは何か聞いておりますが、よくその状況を聞いて、私も少しその現場を見なければいけないのかなと今委員の御質問を聞いていて思いましたので、御地元の政務官おられますから、よくちょっと事情を聞いてみて、どれぐらい着込んでいったらいいのかなということも含めてしっかりと検討したいと、こういうふうに思います。  今お話がありましたように、これ、一方で保護されていると。今のお話を聞いておりまして、我々お互い野党時代だったと思いますが、議員立法で、これは農産物の被害の方をやりました。そこで環境省の関係の皆様とも御議論して調整をして鳥獣被害対策というのをやった経緯がございますので、我々の立場からすれば、まずやっぱり守るべきものは人の暮らし、生活ではないかなと、こう言いたくなるわけでございますが、一方で環境の観点からいろんなこともあるということでございますので、どうやってここのバランスを取りながら、そこで営んでいらっしゃる方が安心してやっていけるか、こういうことだろうかと、こういうふうに思いますので、漁業収入安定対策事業というものもございます、トド被害による生産金額の減少も含めて漁業者の収入の減少を補填しているというところでございますので、こういう対策への加入の促進も含めて施策の展開をやってまいりたいと、こういうふうに思っております。
  107. 横山信一

    ○横山信一君 大臣には是非御理解いただきたいんですが、収入安定対策は五中三で計算しているんですね。五中三というのは五年間の平均でそれ以下に漁業収入が下がった場合に補填をすると。トド被害がずっと継続しているという状況の中で、その漁業被害が五中三の中に表れてくるというのは余りないですね。そういう意味では、その経営安定対策がトド対策にはなかなかなっていないという現状があるということも御理解いただきたいと思います。  次の質問に移らせていただきますが、ソバの話でございます。  ソバは前政権の下で戸別所得補償の対象になりました。そのことでと言っていいと思うんですけれども、平成二十三年以降、生産量が急増いたしました。この生産量の増加で問題になったのは、実需者のニーズに適合しない低品質のものが大量に出回ったということであります。ソバというのは、輸入のソバと、それから地域内で、域内で流通しているソバと、ほぼ市場が固まっていたんだけれども、生産量が急増したことによって低品質のものが大量に出回ったと。その結果何が起きたかというと、農産物検査で一等と認定されたソバの価格が下がってしまったということであります。  平成二十三年度の受検率では、北海道が九二・一%受検をしております。それに対して、都府県は三三%にとどまっているという現状があります。この受検率が向上しない現状をどう見ているのか、伺います。
  108. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) 議員御指摘のとおり、この国内産ソバの販売価格について近年大幅に下落をしているというところでございます。  この価格低下の要因というものを幾つか挙げられると思うんですけれども、一つはまず二十三年度から実施されております戸別所得補償制度の対象作物になってからソバの作付面積が非常に増えたということ、それから二十四年産については、この年は豊作でございまして需要を上回るソバが流通したということ、それから三つ目の要因として、この作付面積の拡大に伴って栽培管理が十分行われていない、いわゆる品質の悪いソバの流通も増えたという、これらのことが要因として挙げられるだろうと、このように考えております。  議員から御指摘のありました農産物検査の受検率について、御指摘のとおりでございます。この検査の受検率をこれから上げていくということが極めて重要なことでございまして、これは流通するソバの品質確保のためにも是非この点を検討していかなきゃならない、このように思っております。
  109. 横山信一

    ○横山信一君 ソバというのは継続的な供給のない産地とは取引されないという、そういう現状があります。  元々、前政権の下で戸別所得補償の品目になったということは、食料自給率を上げるのにソバが適切だという判断があったというふうにも聞いておりますけれども、このソバの自給率を高めるというには、やはり品質面で外国産との差別化を図る必要があります。そのためには高品質のソバを安定して市場に供給しなければなりません。ソバ生産者に対してこの品質を維持するという意味では、この農産物検査を受検するという、そういう方向で是非誘導していただきたいし、また国産玄ソバの品質の向上を図ること、これが重要だというふうに考えておりますけれども、この点について大臣の所見を伺います。
  110. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今お話がありましたように、この国産のソバというのは、今から攻めの農政ということでも、日本食文化を発信していこうという中での和食の基本的な食材ではないかなというふうに思っておりまして、もう一つ、中山間地の作物としてもやはり非常に大事なものでないかと、こういうふうに思っております。  販売価格については今お話があったとおりでございまして、いろんな要因によって価格が落ちてきていると、こういうことでございますので、我が省といたしまして、需要に応じたやっぱり高品質のソバの安定的な供給、これが非常に大事だろうなと、こういうふうに思っておりますので、関係者の皆様、これは生産者、それから実需者ですね、それから地方自治体等々の皆様の意見を聞きながら、まず安定生産と品質向上のために排水対策等の基本的な技術、これはたくさん入ってこられたということもあって、こういう基本的な技術の励行をしていただくということと、それから、需要が確実に担保されるという意味では、まく前からきちっと契約をしておく、いわゆる播種前契約の徹底と、こういうものに努めるという必要があると思いますし、それからもう一つ、今もやり取りがあったように、名前を変えて経営所得安定対策ということでございますが、これにおけるソバ生産への支援の在り方についても検討してまいる必要があると、こういうふうに思っております。
  111. 横山信一

    ○横山信一君 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、TPPのことについても伺っておきたいと思いますが、先日の大臣の所信の中で、農林水産業の潜在力を引き出すためには、生産現場自らが需要の動向を敏感につかんで高付加価値化等を積極的に進めるというふうにありました。グローバル経済は、貨幣に対する際限のない欲望というふうにも言われております。その中に我が国をさらすわけですから、いわゆる生産者は経営者でも同時にありますので、その経営感覚をより敏感にするということは必要だというふうに思います。  しかし、その利潤を追求するという経済原理だけに引っ張られる社会では必ず行き詰まるというふうに考えます。その反動として環境保護運動なんというのは、言ってみれば経済的価値とは全く正反対の価値を訴えてどんどんやっていく、CITESなんかはその最たるものだというふうに思いますけれども、そういう利潤追求とは正反対の価値に広がりが出ているというということも一方ではあります。  大臣の所信の中にも、国土や自然環境の保全、集落機能の維持といった多面的機能の発揮という、そういう役割も含められておりました。TPPというグローバリゼーションの中で、この我が国の農漁村の持つ多面的機能というのを本当に発揮させることができるのかということが非常に相反する価値だというふうに私は思うんですけれども、その道筋をどう考えているのか、伺います。
  112. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 大変大事な御指摘だと、こういうふうに思います。  総理も、先ほど申し上げましたように、この多面的機能、また棚田のお話にも触れられておられますけれども、食と農を守ると、こういう決意を示されておるところでございます。したがって、まだ今から何段階かございます。参加国の同意を得る、それから交渉参加に向けての手続が進みまして交渉参加に入っていく、いろんな段階があると思いますけれども、私はその二つのことは両立が可能だと、こういうふうに思っております。  全く別々にやるというよりも、一方で、先ほど申し上げました攻めの農林水産業ということをやっていくことによって、山に例えると頂を高くしていくということ、そして、多面的機能を守っていくという施策によってこの裾野を広くしていくこと、あわせて、裾野の広い高い山というものをつくっていくと、こういうことで、一体的にこれは取り組んでいく必要があると思っておりますので、そういう基本的な考え方はそういうことで、今から具体的な戦略はその進み具合に応じてきちっとつくってまいりたいと思っております。
  113. 横山信一

    ○横山信一君 TPPの議論というのはこれからも続いてまいりますので、そういう意味では、今大臣がおっしゃられたように、両立をできるというふうに考えておられるのであれば、その姿を是非とも見せていただきたい、また、折々に触れて国民を、またそして生産者を安心させていただきたいというふうに思います。  今日はほかにも原木シイタケの話も聞こうと思っておったんですけれども、ちょっと時間がなくなってしまいましたのでここでやめますけれども、今、国内の農漁業、林業を含めて一次産業は大変な不安の中で日々の生産活動にいそしんでいるわけです。そういう中にあって、農水省が発信をする情報というのに皆さんもう本当に聞き耳を立てて、もう本当に目を光らせながら、もう一言一句見逃さないという、そういう思いで情報を得ようとしております。そういう状況ですので、日本の農林水産業をまさに攻めにするためには、衰退をさせないためにはどうしたらいいのかということを常に発信し続けていく、そういう農林漁行政であっていただきたいというふうに思います。  以上で終わります。
  114. 山田太郎

    ○山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。  先ほど、大臣御答弁のときも地震がございました。まず最初に、被害対策と備蓄米の観点から是非質問をさせていただきたいと思っております。  先日、南海トラフ地震の被害想定が発表されました。首都圏直下型地震の心配もされています。農水省としては災害対策の観点から政府の備蓄米を所管されていると思いますが、直近の数字で、何トンの備蓄量がありまして、またそれは災害時に何万人の食料になるのか、またどこに保管されていて、ミニマムアクセス米の備蓄量と併せてどんなものがあるのか、お答えください。
  115. 加治屋義人

    ○副大臣(加治屋義人君) 政府が所有する米穀の在庫量は、備蓄米は九十五万トン、それからミニマムアクセス米が七十八万トンの合計百七十三万トンございます。  一つには、南海トラフ地震の場合、想定避難者が最大約九百五十万人と考えておりまして、約一千日分必要です。二つ目には、首都直下型地震の場合は想定避難者が最大約七百万人となるため、約千四百日分に相当するものが必要だろうと考えております。  また、政府備蓄米は全国約四百五十か所の民間倉庫に保管されておりまして、その保管費用はトン当たり年間約一万円であります。百七十三万トンを一年間保有すれば百七十三億円だと考えているところでございます。
  116. 山田太郎

    ○山田太郎君 今お伺いした備蓄米は実は玄米でありまして、そのままでは炊飯して食べられません。東日本大震災のときは民間在庫の精米を政府が新たに買い入れて被災地に提供したというふうに聞いております。その後、五百トンの備蓄米を精米にしたと聞いておりますが、たった僅か五百トンではどうしようもないと思っています。今後の対応についてお聞かせいただければと思います。
  117. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 農林水産省では平成二十四年度から、この二十四年産の政府備蓄米の一部を活用した、今お話がありました精米形態での備蓄を実施をしております。精米備蓄実証事業ということでございますが、まず、食味等分析試験を実施することによって、備蓄ですから、一定期間保管をしていくわけですね。したがって、その一定期間保管した後に食味や品質がどういうふうになっていくか、劣化状況を調べるということ、それから、販売実証を行うことによって今後の効率的な精米備蓄の在り方を検証するということでございます。  したがって、まだこの食味試験等の結果が判明しておりませんので、二十四年産米と同じように、二十五年産米の活用の精米備蓄は同じような数字、五百トンを想定しているということでございます。したがって、実証事業でございますので、この結果を踏まえてより効率的な精米備蓄の在り方を今から検討していくと、こういうことになろうかと思います。
  118. 山田太郎

    ○山田太郎君 せっかく百七十三万トンの食料があって、それがこのままでは災害に使えないということですので、是非これに対する対策を取っていただければと思っています。  さて、TPPについてお伺いしていきたいと思います。  みんなの党はTPPは参加で党内唯一まとまっている党でございまして、これまで農林水産委員会では非常に孤独な立場でありました。ただ、政府が交渉参加を決めましたので、何となくお仲間に入れるようになったのかなということで、中身の議論に入っていきたいというふうに思っております。  まず、その中で、アメリカは過去に年次改革要望書で、JA共済について、金融庁検査の導入など制度改革を求めております。TPP交渉中の中でも俎上に上がるものと思われています。このJA共済はいわゆる自民党公約による聖域に含まれるのかどうか、その含まれるか否かを明確にお答えいただいた上で、今後の対応をお示しいただければと思います。
  119. 加治屋義人

    ○副大臣(加治屋義人君) 二〇〇八年の米国政府から日本政府への年次改革要望書等において、共済に関し、民間保険サービス提供者と対等な競争条件を確保する旨の要望があったことは承知をいたしております。  一方で、TPP協定交渉の分野別状況では、保険サービスについて民間と対等な競争条件の確保を念頭に議論が行われているとの情報もあり、一方では共済の扱いについては明らかになっておらず、これまでの議論はないとの情報もあります。  仮に交渉のテーマとなった場合には、農協の共済については農協法により保険業法と同等の規制水準、監督としているところであり、こうした点を含め、主張すべきことははっきり主張していく考えであります。  以上です。
  120. 山田太郎

    ○山田太郎君 何となく答弁だと聖域かなというふうに感じたんですが、同じく年次改革要望書では、様々な法律にある独占禁止法適用除外規定の廃止なんかも求められています。農協法には独占禁止法適用除外規定がございまして、TPP交渉で取り上げられる可能性もあろうかと思います。  この農協の独占禁止法適用除外規定はいわゆる聖域に含まれるのかどうか、この問題に対する対応をお答えください。
  121. 加治屋義人

    ○副大臣(加治屋義人君) 農協は、中小事業者である農業者の協同組織として農産物の共同販売や生産資材の共同購入を行っております。単独では大企業に対抗できない中小事業者は、協同組合を組織することによって有効な競争単位となり得るとして、農協を含めた協同組織の共同行為については独占禁止法の適用除外が認められていると認識をいたしております。  TPP交渉において協同組合の独占禁止法の適用除外の見直しが議論されているとは承知しておりませんが、仮に議論される場合には、こうした協同組合における適用除外制度の趣旨を含め、主張すべきことははっきり主張していきたいと考えております。
  122. 山田太郎

    ○山田太郎君 今の答弁の方も、農協の独占禁止法規定は聖域だという認識だと思っています。  さて、大臣は先日の所信表明で、需要の動向を敏感につかんで高付加価値を進めることが攻めの農林水産につながると、こうおっしゃっておりました。安倍総理の方も、農産物輸出一兆円目指すというふうに発言されていますし、世界でも貿易の総額が毎年十兆円も農産物で増えているという統計もございます。  私も方向性としては同感なんですが、では、平成二十五年度の予算で農作物の輸出を含めた消費拡大のための予算はどれぐらいあるか、お答えください。
  123. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今おっしゃられましたように、潜在的に農業は非常に大きな可能性を有しておると、こういうふうに思っておりますので、潜在力を引き出すための政策というのが必要になってくると、こういうふうに思っております。  このため、この政権になりまして、六次産業化、それから輸出拡大、それから消費拡大の取組ということで補正予算も含めて付けてまいりました。当初予算では、新規事業ですが、日本の食を広げるプロジェクトというものを創設して、これらの予算を前の年度から三十二億円アップいたしまして八十八億円確保しております。特にこの日本の食を広げるプロジェクトは、現場の意見をよく聞いて、地産地消等地域の取組や全国的な取組、それから輸出拡大の取組、こういうものを総合的に推進していこうということでございますので、需要のサイドとしては、こういうことを活用して需要のフロンティアの拡大を図っていきたいと考えております。
  124. 山田太郎

    ○山田太郎君 今の予算規模をお伺いしていて、本当に攻めの農業なのかと、総理それから大臣が本気で日本の農業を強くしていこうかと、二兆円を超える農林水産予算の中でたった八十億、また九十億前後なのかというのは大変寂しい思いもしております。  さて、ちょっと先に進みたいと思いますが、先日、安倍総理の会見に合わせまして例のTPPの試算が発表されています。政府の試算では、いわゆるGTAPモデル、バージョン8として、二〇〇七年度の産業構造を踏まえた様々な弾力性などを使ったモデルを発表していますが、実はこれ、二〇〇七年度のそのときの産業構造を適用しておりまして、五年又は六年前のものです。どうもモデルの信憑性に問題があるのではないかと、こんなふうにも思うんですけれども、これは内閣府、お答えいただけると。
  125. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、世界でこういうマクロのモデル、OECDなりWTOなりで認められたモデルがこの唯一と言っていいGTAPモデルでありまして、これを基に試算をしておりますが、その基準年は、おっしゃるとおり、最新版といっても二〇〇七年の数字であります。  そこで、我々、さすがに御指摘のとおり数字が古いものですから、IMFの最新のデータ、これはそろうところが二〇一〇年の数字でありますので、これは全世界の全ての国について、この二〇一〇年の、できるものについては、二〇一〇年生産量、輸入量、こういったデータを、その部分はこのデータに入れ替えて試算を行ったところでございます。したがって、御指摘の点については、最新のデータでカバーしながらこのGTAPモデルを使って試算をしたということでございます。
  126. 山田太郎

    ○山田太郎君 データは最新だとは言っているんですが、根拠は希薄というふうに感じざるを得ません。経済一等国と思っていた日本でこんなに古い統計構造を使ってマクロ経済運営をしているというのはちょっと私には驚きだと思っております。  さて、ちょっと次に移りたいと思いますが、政府の試算では、国内農業主要品目の関税を全て撤廃した場合に、生産減少が今後十年で三兆円に達するというふうに予想されています。これは先ほどから議論があるところだと思います。この試算をちょっと例えば米のケースで中身を見てみますと、政府の試算では、米の関税でアメリカの短中粒米の米が二百十万トンが日本に輸出される、アメリカから輸出されると。ただ、アメリカはそもそもこの種のお米を二百五十万程度しか作っておりません。そうなると、この試算の前提は、八五%、アメリカで作っている短中粒種の八五%を突然日本に振り分ける、国内の消費も他国への輸出もやめて日本に仕向けるという試算になるんですけれども、どうもこういった試算も雑過ぎて根拠が希薄だと思います。  これからいろんな政策を取っていく意味においても大変な重要な試算前提になりますので、もう一度農業に対する影響度合いの計算をし直した方がいいんではないかと。この委員会でも、先ほどから、逆に過小評価じゃないかという議論もありますので、ここは非常に重要だと思いますが、どのようにお考えでしょうか。農林水産大臣、お願いします。
  127. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 先ほどは全く逆の方向からの御質問もあったわけでございますが、これはあくまで先ほどから申し上げております試算でございまして、今この交渉参加の表明の前のときからの作業の積み重ねでございますので、なるべく単純な前提を置くと。その前提に余り政策的な方向性というものが出ないようにしようということなんですね。  したがって、今御指摘のあったところは、余り政策の方向性とは関係ないところで御指摘がありましたが、一応、カリフォルニア州の百四十万程度というのが近年のマックスの最大生産量。これは二〇〇四、二〇〇五年ですが、これが百八十万トン。で、国内消費を、二〇一〇年、一一年の数字ですが三十万トンと、こういうふうに置きまして、韓国、台湾向けの輸出量を十五万トンと。こういうところから、百八十から三十と十五を引いていって約百四十というふうにやっておりまして、これも出しておるので、これについては、今まさに委員から御議論があったように、ここはもう少しこうなるのではないかというのはいろいろ今からやってみて、何もこの数字が唯一絶対だということではなくて、こういう前提を置くとこういう数字になって、それを全部足すと三兆円になって、それを内閣府の方でGTAPを入れるとこういうふうになると。そこを明らかにして一つにしていこうということで今回やってまいりました。  先ほど来御議論があってお答えしているように、今から次のフェーズに入っていきますと、もう少しいろんな数字が交渉の行く末についても出てくるということになれば、その都度その都度、こういう前提を変えたらこういうことになるということは情報公開に努めてまいりたいと思っております。
  128. 山田太郎

    ○山田太郎君 続いて、ウルグアイ・ラウンドのちょっと話をしたいんですが、政府の試算は全ての関税を撤廃した前提で計算されています。現在の我が国の関税収入は幾らで、そのうち五品目に関する関税収入は幾らなのか、その金額をお答えください。それから、併せて、ウルグアイ・ラウンドで関税が引き下げられた金額はどの程度なのか、併せて、それぞれ、ちょっと時間がなくなってきましたので、合計金額のみを簡素にお答えいただければと思っています。財務省、お願いします。
  129. 小渕優子

    ○副大臣(小渕優子君) 日本の平成二十三年度のTPP交渉参加国からの輸入にかかわる関税収入額は、輸入許可時点ベースで二千三百三十六億円となっております。このうち、麦、牛肉、乳製品、砂糖の輸入にかかわる関税収入額は、それぞれ約〇・二億、約八百三億円、約百五十四億円及び約〇・四億円であり、米については僅少であります。  続きまして、ウルグアイ・ラウンドの前後で日本の輸入関税額はどう変化したかというお話でありますけれども、平成六年度の関税収入額は、決算ベースで九千九百四十三億円であるのに対し、実質的に全てのステージングが終了した平成十六年度は八千六百十八億円であり、千三百二十五億円の減少となっております。ただし、関税収入額は、この間における景気動向、輸入動向や為替の変動等の影響も受けていることから、当該減少額はウルグアイ・ラウンド合意の影響のみを示すものではないということであります。
  130. 山田太郎

    ○山田太郎君 ありがとうございます。  ばっくりとした計算ではあるんですけれども、約一千三百億円強のお金がウルグアイ・ラウンドでの関税の減少だったということで、消費者の利益が簡単に言えば毎年約一千三百億円ぐらいあったのかなと。ただ、この六年間で六兆円というウルグアイ・ラウンド対策費というのは、結果論としてちょっと大げさだったんじゃないかと、こんなふうに思っているわけですね。  そこで、当時のウルグアイ・ラウンドの対策についてもお伺いしたいんですが、ウルグアイ・ラウンド交渉妥結に向かう農業の影響額は当時どのように見積もられていたのか、また六兆の事業規模の根拠は何だったのか、併せてお答えください。農林水産大臣、よろしくお願いします。
  131. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 平成五年、今、小渕副大臣からもお話がありましたが、ウルグアイ・ラウンド農業合意を十二月に受け入れております。したがって、そのときに政府は内閣総理大臣を本部長といたしまして緊急農業農村対策本部を設置し、一年間掛けて平成六年十月にウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱を決定をいたしました。  この後、諮問したり、いろんなことがあったんですが、時間がちょっと限られておりますのではしょりますけれども、ウルグアイ・ラウンド対策の事業規模が六兆百億と。これ、真水ではございませんで、真水はその半分以下だったと、こういうふうに思いますが、当時の政府・与党、自社さ連立政権のときでございますが、最終的にはこの最高責任者の判断の下で、平成六年十月にUR農業合意関連対策大綱決定の直前に決定をされたと、こういう経緯でございます。
  132. 山田太郎

    ○山田太郎君 時間になりましたんで最後にしたいと思いますが、まさに今回のTPPがどのように国益にかなうのか、また、結果論として金の問題に矮小化されるというのは非常にけしからぬ話になるかと思っています。これはTPP賛成であろうとなかろうと同じ気持ちにある。そのときに、かつてのこのウルグアイ・ラウンドにおける反省点というのは必ず今回踏まえるべきだと思っておりますので、本件については引き続きやっていきたいと思っております。  今回、どうもありがとうございました。これで質問を終わりたいと思います。
  133. 平山幸司

    ○平山幸司君 青森県選出の平山幸司です。  早速ですが、先ほど来出ておりますTPP交渉参加問題に関しまして林農林水産大臣に質問をいたします。  大臣にまず、今回のTPP交渉参加表明は、自民党の選挙公約と合致していると考えておりますか、その点をお答えください。
  134. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 我が党の選挙公約、これは六項目、それで昨年の三月に党でまとめたものが選挙公約になったと。そのときの小委員長が私であったということは前回の委員会でもお話ししたかもしれませんが、六項目のことをまとめて、そして選挙を戦って政権に就いたと、こういうことでございます。  先ほど来の整理、御議論を申し上げたように、一項目め、これは総理が共同声明で確認をされてきたと、こういうことではないかと思いますし、二項目め以降も、私もかねがね申し上げてきておりますように、これに反することが明らかな場合は交渉参加することは難しいだろうと、こういうふうに申し上げてきたところでございますが、今の段階で明らかに反するということはないというふうには承知をしておりますが、基本的にはこの残りの五項目は農林水産省の所管でないことがほとんどでございますので、自動車とか保険というのは、この選挙公約と整合性で詳細にどうかと言われるとちょっとお答えがしにくい部分があるということは補足をしておきたいと思います。
  135. 平山幸司

    ○平山幸司君 今の大臣の答弁からは、共同声明も含めて選挙公約六項目と合致しているんだというような大臣の認識でありますけれども、我々の認識はそれとは全く異なります。  といいますのも、三月の十二日、安倍総理が交渉参加表明をするのではないかという緊迫した状況の中で、都内で青森県選出の国会議員に対し農協から要請活動がありました。この際の要請書を少し読ませていただきたいと思います。ここが認識が全く違うというところであります。  この要請書によれば、安倍総理がTPP交渉参加を決断することは、国民との約束を破る背信行為であり、許されない暴挙であると言わざるを得ず、農業と地域を守る立場にあるJAグループ青森としてはこれを認めるわけにはまいりません。地域の民意を受けて当選した議員はTPP交渉参加に反対すると訴えていたものであり、その過半数が反対しているにもかかわらず政府が交渉参加することは、議会制民主主義を無視する暴挙であります。我々JAグループ青森は、政府の交渉参加への前のめり姿勢に大きな憤りを覚える中で、消費者団体、医療関係団体などとの地域における連携を一層強化し、TPP交渉参加に断固反対して闘っていく覚悟であります。我々が推薦した議員には、我々との政策協定を守っていただくために相当の覚悟を持った行動をお願い申し上げて、政府に対してTPP交渉に参加しないよう強く求めますと、こういう要請でございます。  よって、これが有権者の認識です。また、少なくとも地方、そして大臣が所管するこの農林水産業に携わる皆さんの認識です。これを聞いて大臣はどのように思われますか。
  136. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 今のお話はちょっと御通告がなかったわけですが、今のお話を聞いておりまして、先ほど、どなたかとのやり取りの中で、総理が御決断をされるに当たって、私から最初の閣議のときをとらまえてお願いをしたこと、そして、それを踏まえていただいて、いろんな方ともお会いいただいてという中でJAの萬歳会長ともお会いをいただいて最終的には重い判断をされたと、こういうふうに申し上げました。  したがって、今の、青森でございますか、青森のJAの皆さんがそういう御意見を持っていらっしゃると。また、私も、先週末ですが、仙台に政務もあったものですから行ってまいりまして、そこでJAの宮城の皆様とも御懇談をし、また要請書を受け取ったわけでございますけれども、まあ一字一句一緒だったかどうかちょっと分かりませんが、同じような方向での御要請もあったというふうに承知しておりますので、そういう意見を踏まえて、先ほど来、私や副大臣、政務官が御答弁させていただいておりますように、安倍内閣として交渉参加の意思を表明した以上はきちっと御説明に努めて、御理解いただく努力をしていくと、これに尽きると思っております。
  137. 平山幸司

    ○平山幸司君 こういう要請書というものは非常に重要だと考えますし、JAのみならず、地方にとっては本当に、先ほど来議論があるように、死活問題でございますので、重要な点ということを強く強調したいと思います。  共同声明のお話もありましたので、オバマ大統領との共同声明の中でも、これ、大前提として、ここに共同声明持ってきておりますけれども、全ての物品が対象とされるとありまして、これは聖域なき関税撤廃が前提であると解すのが私は当然であると思っております。  よって、自民党の公約どおりにいきますと交渉には参加できない。結局、センシティビティーは交渉の中で決まっていくとし、国益が守られるかどうか分からない交渉に突っ込んでいく極めて危ういものであり、今回の交渉参加表明は明らかに政府・自民党の公約に私は反するものであると、こう感じているわけでございます。  同時に、先ほど大臣から六項目のお話がありましたので、この点に関してもちょっとお尋ねさせていただきたいと思います。  自民党のTPPに関する選挙公約である六項目、林大臣は以前、TPP交渉に参加する前の段階で残りの五項目の判断基準に反することが明らかになった場合には、党の方針との関係でTPP交渉への参加が難しくなるのではないかと話されておりましたけれども、私と予算委員会で、二月の二十日ですね、総理も入りまして議論させていただいた中で、安倍総理は、聖域なき関税撤廃、これは議事録から引っ張っています、そしてそれ以外の五項目ですね、その五項目において、言わばそれについて五項目が守られないということが明らかになれば、それは参加できないということであると、このように明言したんです。  この関税を含む六項目の遵守が交渉参加の大前提になると、前提条件になると、政府の統一見解も二回これ求めて、国会で初めて認めたということです。その後に林大臣にも私、確認しましたよね。そのときに林大臣は「安倍内閣の農水大臣でございます。したがって、総理がおっしゃったとおりでございます。」と、これが統一見解、大前提であるというふうに認めたわけです。  同じように、関税を含む六項目の遵守、交渉参加の前提条件であるとの認識だと私はこれは明言されていると思いますけれども、大臣に改めてこの認識でよろしいかどうか、確認したいと思います。
  138. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) そこに議事録が残っているとおりやり取りをやって、最後に総理がそういう場合には交渉参加しないとおっしゃられて、私がそのとおりであると言ったわけでございますから、そのとおりであるというふうに申し上げたいと思います。
  139. 平山幸司

    ○平山幸司君 それでは、そこで、共同声明の中に「自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項」ともう明記されておりまして、自民党の公約である六項目のうち自動車と保険について問題があるということが明らかになっているわけであります。  この時点で交渉参加は断念すべきであって、交渉参加を表明するというのは私は明らかにこれは公約違反だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  140. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) この三パラのことをおっしゃっておられるのかなと、共同声明のですね。  これは、二国間協議を継続するということで、今までもずっと、これは民主党政権の時代からも事前の関心事項ということでやっておられたというふうに私も理解をしております。必ずしも所掌でございませんから、そういう記憶をたどって言っているわけでございますが、それを引き続き更なる作業が残されていると、こういうことであろうかと、こういうふうに思いますので、このことと、先ほどの申し上げた、私とか総理がこの間の予算委員会で申し上げたことというのは何か衝突するということではないんではないかと思います。
  141. 平山幸司

    ○平山幸司君 もう一点確認したいんですが、先ほど来の議論でもあった関税以外の五項目に関しては、実はこの参加条件の前提ではないんですと、総理はその後の我が党のはたともこ議員の質問に対して発言を変えたんですね。発言を変えているんです。でも、林大臣、先ほど認められましたよね、六項目は全てこれは前提条件であると。これは内閣不一致じゃないですか。どうでしょう。
  142. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) ちょっと、はたともこ議員のところのどういうやり取りがあったか、前後も含めて、今ちょっと手元にございませんが、明らかになった場合には難しいと私は申し上げて、明らかになった場合には参加しないと総理がおっしゃって、私はそうだと言ったところはそのとおりに変わっていないんではないかと、こういうふうに思います。
  143. 平山幸司

    ○平山幸司君 この件に関しては、非常に大切なところでもありますので、総理も交えて内閣で一致した考えかどうかというものをまた改めてやらせていただきたいなと、こう思います。  次に、国民への情報提供についてお伺いします。  安倍総理は十五日のTPP交渉参加表明会見で、既に合意されたルールをひっくり返すことが難しいのは厳然たる事実だが、日本は重要なプレーヤーとしてルール作りをリードできると確信している、国民には丁寧に情報提供すると述べました。  また、十八日の衆議院予算委員会で甘利TPP担当大臣も、既に合意されたルールがあれば、遅れて参加した日本がひっくり返すことは難しいというのは厳然たる事実だと述べています。  この既に合意されたルールをひっくり返すことが難しいという問題は、メキシコやカナダが交渉参加を表明したときのことを踏まえ、総理が交渉参加表明する直前に国会において重ねて問われたことですが、岸田外務大臣を始め安倍内閣は政府としてコメントする立場にないとの答弁に終始するばかりでした。  表明に当たってこの問題を認めるのは、既に交渉参加国からくぎを刺されていたからではないでしょうか。仮にそのことを隠していたとすれば、国民への情報提供という点で大きな問題ではないでしょうか。林大臣の認識をお伺いいたします。
  144. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) これは先ほどのどなたかの御質問にもありましたけれども、二十四年の三月一日付けで「TPP交渉参加に向けた関係国との協議の結果」というものを、当時の、これは民主党政権時代ですが、政府で出されております。  その部分に、合意済みの部分をそのまま受け入れ、議論を蒸し返さないことについて以下の発言があったということで、そうした事態は避けたいが、重大な判断を要する事項はこれまで合意されていないですとか、交渉の進展を遅らせないことについて以下のとおり各国で内容の異なる発言があったと、こういうこと。それから、上記に関し以下の発言があったということで、TPPが目指している高い野心へのコミットメント、交渉の勢いに貢献し交渉を遅らせないこととの基準に適合することを明確な証拠を持って示すと、こういうことを既に三月出しておりますので、こういうことを踏まえて総理が御発言をされたんではないかというふうに思っております。
  145. 平山幸司

    ○平山幸司君 これは林大臣に聞くべきかどうかと思ったんですが、今のお話の中で、議論を蒸し返さないということですよね。共同声明の中でもそうですし、ニュージーランドその他の各国でももう既に強い発言が出ております。全ての物品が交渉の対象とされるということですね。要するに聖域なき関税撤廃なんです、これは。  よって、私は、交渉参加表明というのは、これは明らかに自民党の一つ目、六つ全部であるんですけれども、特に一つ目の関税の部分を強く言っておりますけれども、これは明らかに自民党の選挙公約に反するものだなと、こう感じているんですが、改めて大臣の見解をお伺いします。
  146. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) そこは最後はもう見解の相違ということでしかないんでございますが、共同声明、この二パラですね。  まず、日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティーが存在することを認識しつつと、これは初めて両国間で正式にこの文書に合意をしたということですが、その後、両政府は、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであるから、TPP交渉参加に際し一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認すると。ここが我々が言う公約の一つ目と対応する部分かというふうに思っていまして、先ほどから私が申し上げているところはここと照らしてということでございます。
  147. 平山幸司

    ○平山幸司君 この件に関しては見解の相違ということでありますので、相違があるなというふうに思うんでありますけれども、しかし一方で、関税も含めた五項目全て、六項目は交渉参加に入るその前提条件だと、ここは林大臣と考えが一致しましたんで、これは今後も非常に重要なポイントだなということで、今日もこれは実りある議論であったなと、こう感じております。  次に、WTO交渉に関しましてお伺いをしたいと思います。  WTO交渉においては、我が国は上限関税導入の反対と重要品目の十分な確保を主張してきました。特に重要品目の数の確保について、我が国の農産物のタリフラインは千三百三十二としておりますが、このうち関税率が一〇〇%を超える農産物が百二十五あり、これらの重要品目を守るためにはタリフラインの一〇%が最低でも必要であります。これまでの自民党議員の質疑では、八百以上の品目が関税による保護対象であるとも言っております。先ほどの話では、重要品目五品目が五百八十六程度、六%程度であるとも話しております。  日本は、これまでWTO農業交渉において、重要品目の数についてタリフラインの一〇%から譲歩しても八%と主張しておりましたが、平成二十年七月のジュネーブにおけるWTO閣僚会合では、重要品目の数は全品目の四%若しくは六%のタリフラインを指定することができるとする議長ペーパーが出されました。  今回の交渉参加を検討されているTPPにおいては、聖域なき関税撤廃を前提としております。よって、我が国がこれまでWTO農業交渉で主張してきたような内容が認められるとは到底考えられません。そもそも、米国においても砂糖などの重要品目があるため、我が国も例外が得られるという考えがあるようですが、米国が豪州とのEPAで守った品目はタリフラインのたった一%にすぎません。結果として、TPP交渉に参加することは、我が国に重要品目数を大幅に削減する準備があると諸外国に受け取られ、WTO農業交渉においても我が国の主張に悪影響がすぐに私は出ると思います。  今回の参加表明は、日本の国益が既に損なわれていると思いますが、林大臣の考えをお伺いしたいと思います。
  148. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) これもいろいろ前提を置かれておられましたので、最終的には見解の相違かなと申し上げるしかないわけですが、先ほど徳永委員の御質問のときにアメリカの議会のお話を引いていただきました。やっぱりそういう受け止めも逆に言えば出てきていると、こういうことでございますから、必ずしも、委員もいろんな御経験の中で通商交渉をおやりになってそういうことだという相場観をお持ちなんだろうと、こういうふうに思いますけれども、まだ、今から参加国の同意を得て、それから交渉に入っていくと、こういう段階でありまして、先ほど申し上げましたように、共同声明でしっかりと二パラというところを日米の間ではっきり取ったということ等も含めまして、今からしっかりとやっていくと、これに尽きるんではないかというふうに思います。
  149. 平山幸司

    ○平山幸司君 時間になりましたので、最後に、これまでの指摘、見解の相違というところがありますが、六項目取ったというのは非常に重要だと思っておりますが、安倍総理、そして甘利大臣、さらには今日の林大臣の釈明が示すように、TPP交渉参加表明する時期が私は遅過ぎたということであり、既にバスに乗り遅れたということであると思います。今から参加しても国益を確保することはできない、やはり参加表明は撤回すべきではないでしょうか。また、参加表明時点においても国内の議論は集約を見ていない。国内の意見が大きく二分されている現段階で、しかも地方に大打撃を与える懸念を払拭できない中で、参加する意味があるのか。  私は、農業を守るという意味で、これは農林水産大臣が積極的に撤回を促すべきであると、これを最後に強く要請をして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  150. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  私もこのTPP問題で質問をしたいと思います。この問題を抜きにはやっぱりこれからの日本農業を語れないというふうに思っております。  それで、最初に、安倍総理のこのTPP参加表明に対して一斉に抗議と怒りの声が上がって、日々広がっているというふうに思います。一部に、経団連などでは歓迎の声も出されておりますけれども、多くは非常に怒りの声が広がっています。JAの萬歳会長は、強い怒りをもって抗議すると抗議の声明を出しましたし、日本医師会からも、公的医療保険の縮小が懸念されるという声明が出ています。それから、全国町村会、九百三十町村ですね、ここからも、TPP参加は農林漁業だけでなく地域経済社会の崩壊を招くとして繰り返し主張してきた我々の主張を無視したもので、極めて遺憾と、本当に怒りのこもった声明が上がっています。  これらの声を大臣はまずどのように受け止められるのかということをお聞きします。
  151. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) TPPにつきましては、関税撤廃により農林漁業等の継続が困難となり地域社会が崩壊するというような懸念がある中で、今委員からもお話がありましたように、交渉参加表明を受けて、交渉への不安や心配があるということは私も聞いておるところでございます。他方で、総理は、あらゆる努力により日本の農、食を守ると、こういうふうに約束をされておられますし、また私自身は、一昨日の所信表明で述べたとおり、TPP交渉に当たっては、国益を守り抜き、農林水産分野の重要五品目等の聖域を確保するように全力を尽くす考えでございます。  こういう点につきまして、農林水産関係者や国民の理解と協力を得ながら進めていくということが何よりも重要であると、こういうふうに思っておりますので、丁寧に説明をする、それから情報を提供していくと、こういうことに努めてまいりたいと思っております。
  152. 紙智子

    ○紙智子君 国民の目から見ますと、やはり公約を破ったということでの意識というのは、いろいろ説明されてもそれは動かないというふうに思います。そして、自民党が去年の選挙で公約した中身、今も議論がありましたけれども、六項目公約をして、それがクリアされていないのに、言ってみれば最終的には安倍総理に一任したと。一任すべきでないという声も上がっていましたけれども、一任したと。そのことによって、結局は条件闘争に入らざるを得ないような状況をつくってしまったということは非常に私は問題だというふうに思っております。  それで、もう一つ聞きたいのは、二月、予算委員会で私、林農水大臣にも質問いたしました。その中で、今のちょっと質問とも重なるんですけれども、六項目がワンパッケージでクリアされなければ交渉に参加するということは難しいと、そのときの答弁でも答えておられました。それが実際には総理の参加をするということを容認するに至った、そこの整理をどのようにしたのかということと、それからもう一つ質問しております。  それは、関税撤廃の例外措置について大臣の認識を述べられていました。つまり、ゼロにするということが即時ゼロなのか、何年か掛けてゼロにするしかないと。いずれは全部ゼロにすると。しかも、今のお話の中でも、九〇本当に五%を超えて、ほとんどのものは即時これはゼロにすると、残った僅かなところだけを何年か掛けて最終的にはゼロにすると、そういう認識を林農水大臣自身が野党時代から持っていて、当時の野田総理に質問していたわけですよね。だとすると、これは重要品目を認めさせるということ自体難しいということなんじゃないのかと。だから、今回、この参加容認を認めたということと矛盾するんじゃないかと、このことについてどう思われるのか、お聞きします。
  153. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 私が野党時代に野田総理、当時のですね、に御質問をしたところのくだりについては、たしかこの委員会ではなくて衆議院でも同じ御質問をいただきました。  先ほどちょっと触れさせていただきましたように、当時出てきた、政府が今まで分かっていることということで出されたものの中にそういう記述がありましたので、そういう前提ではないのですかと、そういう趣旨で私は当時質問しておりました。当然、野党議員でございますから、実際にどういう交渉、前交渉といいますか、協議が成っているかというのは当然存じ上げないわけですので、政府が出されたものをベースに質問したということで、当時私は本当に協議がどういうふうになっているのかというのは知り得る立場にないわけでございますから、その政府が出されたことについて、そうではないですかという質問を総理にしたと、こういうふうに記憶をしております。  それから、残りの五項目については、先ほど平山委員ですか、答弁、いろいろやり取りさせていただいたとおりでございまして、この残りの五項目、必ずしも今私の立場での所掌に関することでないものがたくさんございますが、公約の整理として、これに反することが明らかな場合は交渉に入ることが難しいだろうと申し上げて、その後、平山先生が総理に聞かれて、難しいというところはもう少し、入らないというような言い方だったでしょうか、そうなったので、それは同じような趣旨ですから、私もそのとおりだと申し上げたというような整理でございます。
  154. 紙智子

    ○紙智子君 予算委員会でのやり取りの中では、今も認識は変わっておりませんというふうにお答えになっているんですよ。  以前、野党のときはそういうことだったかもしれないけど、今は変わっていますかと聞いたら、変わっていないと思いますというふうにお答えになっていたわけで、そこは非常に矛盾する今答弁だなというふうに思っております。  それで、今日も議論の中で紹介されていた日本農業新聞の記事によりますと、米国の上院の公聴会で、日本政府が米を始め五品目などについて関税撤廃の例外扱いを目指していることに厳しい批判の声が上がっていると。  幾ら安倍総理がオバマ大統領と話をして、そこで説明をしていると。オバマ大統領からオーケーともらったかどうかについては定かじゃありませんでしたけれども、オバマ大統領と話をしたとしても、これ、オバマ大統領には決定する権利ないんですよね。議会なんですよ。アメリカ議会なんですよ、最終的には。ですから、議会がこうやって厳しい指摘をしているということ自体、幾ら重要品目は認められるように努力すると言っても、これはもう本当に厳しい話だというふうに思いますよ。そこをしっかり受けていただきたいと。どう考えるのかということです。  それから、次に聞きたいのが、関税撤廃をした場合、経済効果についての政府の統一試算が出されました。これ、試算の目的というのは、先ほどから各省統一したものが大事だということで統一見解をまとめたと言っているんですけど、それだけじゃないですよね。本来、この試算を出すというのは、TPP交渉に参加してどういうメリットがあるのか、デメリットがあるのか国民に示して是非の判断ができるようにする、これが目的のはずですよね。いかがですか。
  155. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) 統一試算につきましては、先ほど来何度も御議論があるところでございますが、まずばらばらになっていたものを一つにまとめて、先ほど米のことについて山田先生からお話がありましたけれども、そこの前提を明らかにして、前提についても、両側と言うと恐縮ですが、いろんな方からいろんな方向での御議論があったところでございますので、それは一定の前提を置いてつくっていくと、こういうことをやって、最終的には内閣府のモデルに入れてやるということで、その最後の詰めのところに時間が掛かったということでこの時点での公表ということになったというふうに承知をしております。
  156. 紙智子

    ○紙智子君 だから、統一した経過でなくて、目的としていることというのは、メリット、デメリットを国民の前に明らかにして是非を判断するということですよね、その試算を出すというのは。
  157. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) もちろん、TPP自体の是非について国民的に議論をしていただこうということで、民主党時代にもばらばらではありましたけど出されたと、こういうふうに思いますし、我々もそれを一つにしていこうということでございましたので、交渉参加に限って是非の判断ということではなくて、TPPそのものについてやはり議論が必要だということではないかというふうに思います。  したがって、今でもこういうものを出していって、先ほど申し上げましたように、今後新しいフェーズになって更に情報が入ってくれば、これを更に精緻なものにしていくということをやっていかなければならないと、こういうことだと思います。
  158. 紙智子

    ○紙智子君 だとすると、TPP加入による経済効果で、農林水産物の生産額では三兆円減少というふうにあるんですけれども、多面的機能ですね、これについては含まれていないと。  ずっと資料を読みますと、後ろの方に参考というふうに、多面的機能の喪失で一兆六千億円喪失額が示されているんですね。前回、二十二年の試算のときには、食料自給率と、それから関連産業の雇用と、それから多面的機能の喪失というのを並べて記述していたわけですよ。今回は並べていなくて、出していないと。  大臣の地元の山口県も中山間地域が多いわけで、多面的機能が喪失するということは、これは美しい農村風景も維持できないことを意味するわけですよね。そのことも国民にやっぱり明らかにすることが大事だと思いますけれども、そうじゃありませんか。
  159. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) おっしゃるとおりでございますので、どこに記述するかというのはございますけれども、同時に公表して議論に供することにしたと、こういうことではないかと思います。
  160. 紙智子

    ○紙智子君 だから、参考ということではなくて、ちゃんと前面に出してきちっと示すべきだというふうに思うんですよ。  そのほかにもいろいろあるんですね。例えば注意事項というのがあるんですけど、ここには、米はベトナムなどの新しい輸出国になる国の輸出余力は考慮していないと書いてあるんですよ。だけど、ベトナムは非常に大きな影響はあると思いますよ。もう日本の大手が出ていって、現地で単価を安く生産したものを逆輸入するということなんかも含めて考えると多大な影響のあることなわけで、こういうものを出さなきゃいけないと思いますし、それから、非関税障壁の問題は、これ、更に大きな影響が出てくるわけですよね。これも今回試算されていないと。今日はこの非関税の問題は聞きませんけれども、本来はきちんと国民に示すべきものだというふうに思います。  それで、その上に立ってなんですけれども、各試算の品目についてなんですが、ちょっと一覧表、資料を、これ政府の出したものですけれども、この資料を見ていただきたいんですが、米も三二%と大きく減少する、これ自体重大なことですけれども、小麦では九九%、砂糖は一〇〇%、でん粉の原料作物で一〇〇%減少となれば、沖縄のサトウキビも北海道の畑作の輪作体系も壊れてしまうと。沖縄にとってサトウキビは生命産業ですから、本当にこれ、どうするのかと思うわけです。  それから、北海道も、先ほど徳永さんの質問の中でも示されましたけれども、影響試算を早速発表していますけれども、もう長年掛けて大変な苦労をして築いてきた持続可能な仕組みが壊されてしまうと。輪作体系ですよね、これが壊されてしまったら、関連する加工や製造や輸送全体にも影響が及ぶと。だから、本当にこの後の対策を取ると言うんだけれども、一旦壊されたら、これ元に戻すのは本当に大変なことですよ。そういうことまでちゃんと分かってやったのかというふうに私は本当に怒りを感じながら見ているわけです。  この点についてはいかがですか。
  161. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) これも先ほど来御議論があったところでございまして、非常に単純な前提、関税を全部即時撤廃するという前提を置いておりますので、極端なものでありますよと。しかし、それ以外の前提を、じゃ、こういうふうに置きます、半分ですとか何年ですとかやれば、必ず何でそうなったんだというふうに多分御質問されると思うんですね。  したがって、やっぱり今の段階で、まだ参加表明をする前の段階からずっとこれ積み上げてきた作業でございますので、そういう意味で、まさに怒りが込み上げるというふうにおっしゃられました。このとおりになるというような試算を出したというつもりはございませんで、そういう前提を置いたらこれだけのものが出る、で、それに基づいて今から議論をしていただく。  したがって、今委員からもベトナムのお話がありましたけれども、それは前提を、ベトナム置いていないというのをきちっと明示しているから、ベトナムはどうなるんだと。じゃ、ベトナム、数字をこうやればどうなるんだと、こういう議論になるわけでございますので、あくまで試算でありまして、私がどなたかの御質問に答えて言いましたように、本当にこういうような状況になってしまうようなTPPというものは入るべきではないということになるのではないかと私も思いますし、前提をそういうふうに置いて試算すればこういうことになるということをはっきり明示して、ポイントは、やはり各省が統一してそれぞれの主張を整合性を持って一つのものに政府としてしたということが一つあるのではないかというふうに思っております。
  162. 紙智子

    ○紙智子君 前提をこう置いていると言うけれども、大きな目で見ると、それが、じゃ、何かほかの対策取ればまた救われるようなことになるのかというと、決してそんな甘い話ではないと思いますよ。  併せて言うならば、牛乳、乳製品も生産減少額ということでいうと四五%、鮮度が重視される生クリーム等を除いて全て輸入に置き換わると。飲用乳では、都府県の飲用乳の大部分が北海道に置き換わると書いてあるんですけど、私、これも大問題だなと思って見たわけですよ。  何か、そうすると、北海道の酪農は生き残るかのようなイメージが出てくるんですけれども、そうじゃないと。北海道の酪農というのは、生まれた子牛、乳を出すためには子供産まなきゃいけませんけど、生まれた子牛というのは都府県が買い上げてくれるわけですよ。だから、循環してきているんですね。都府県の畜産とか酪農が潰れてしまったら、北海道独自でやるのはこれまた大変なことなんですよね。そういう循環の仕組み自身でも成り立っているわけで、そういうこともちゃんと分かっているのかなというふうに思うわけです。  もう一つ言えば、水産物です。これ一覧表にありますけれども、これ重要品目にも入っていませんよね。ということは、関税は即時撤廃ということですよ。もう既に関税は外されてはきているんだけれども、まだ残っているものがあるわけで、そうするとサケ・マスも五七%減少する、ホタテガイ、タラも五二%減少。三陸の主要品目は、これ即時関税撤廃ということになれば、被災地で今何とか震災前に戻そうということで必死に努力しているわけですけれども、そのときに関税撤廃というのは地域住民の必死の努力を押し潰すことになるんじゃないかと思うんですよ。一体どうやって守るつもりなのか、そこのところについてもお答えいただきたいと思います。
  163. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) それは何度もお答えしておりますように、こういうふうにならないように、与党の決議を踏まえてしっかりと交渉に入った場合にはやってまいると、ここに尽きるわけでございますが、したがって、是非誤解のないようにしていただきたいのは、こういうふうにしようとしているというようなことでは全くなくて、単純な前提を置くとここまでの要するに影響があり得るというような試算であるということを繰り返し申し上げておるわけでございまして、したがって、そういう性格のものであるという前提で、こういう前提を置けばこういう数字が出るということはくれぐれも御理解をいただければと思います。
  164. 紙智子

    ○紙智子君 単純な前提を置けばと言うんですけれども、この水産に当たっては重要品目にも入っていませんからね、即時ゼロですから、これは認めているというわけですからね。  これ、いろんな前提によってはどうこうなるかという問題ではないわけですよ。本当にこれ重大な問題だと思っています。  それから、もう一つですけれども、食料自給率についてです。試算結果では、カロリーベースで四〇%から二七%に下がると。生産額ベースでも七〇%から五五%程度に下がると。これ、農林水産省のこれまでの大方針としてきた、五〇%を達成するということで来たと思うんですけれども、これに逆行すると思うんですよね。  これ、五〇%を達成しようというのは今も堅持しているのかということをまず聞きたいのと、それから、前政権のときには、この五〇%を達成するために小麦を戦略作物と位置付けていたわけです。だから、今八十何万トンですかね、あるわけだけれども、輸入で百万トンを国産に置き換えて全部で百八十万トンに増やす計画だったわけですよ、自給率を上げるのに。ところが、この計算で見ると、九九%輸入に置き換わることになれば、もう到底、食料自給率を上げようなんて言ったってますます遠のくばかりということになるんじゃないかと思うんです。この辺のところはどうですか。
  165. 加治屋義人

    ○副大臣(加治屋義人君) もう繰り返しになりますけれども、食料自給率の低下については、数字については申し上げません。これは全ての品目で即時に関税撤廃されるという極端な前提であることも御承知のとおりであります。総理は、あらゆる努力で日本の食と農を守ることを約束する、こう述べております。農林水産業への悪影響を最小限にとどめるよう、全力を尽くしたいと思っております。一方では、林大臣を本部長とする攻めの農林水産業推進本部、これを具体的に強力に進めてまいりたいと思っております。  ちょっと余計なことかもしれませんが、先ほどから国益という話が、どうして国益守るのかねという話が出ているんですけれども、昔の教えに、うそは泥棒の始まりという言葉があって、決してうそを言っちゃいけないよと。これを考えますと、安倍総理が日米共同声明を絶対に泥棒されないことと、私はいつもそういうイメージを持って総理にハッパを掛けているんですけれども、そのことが国益だと思っております。  以上でございます。
  166. 紙智子

    ○紙智子君 じゃ、もう時間になりましたけれども、やっぱりどこから見てもこれTPPに参加することは農業を崩壊させるということが明らかだと思うんですよ。攻めの農業と言うけれども、TPPに参加しないで攻めの農業と言っているんだったらまだ何とかなるかなと思いますけれども、もうこれTPP参加というのはそもそも壊していくことになると。  私は、やっぱり農林水産大臣であれば、日本の農林水産業を守る立場で、政府のこの前のめりの姿勢に対してきちっと押しとどめる役割が本来の姿だと。ですから、今からでもTPP参加については撤回すべきだということを是非総理にただしていただきたい。それがやっぱり、ほかのいろんな閣僚がいる中で農林水産大臣ならではの固有の役割だと思いますので、そのことを最後に一言答弁いただきたいと思います。
  167. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) この間の予算委員会で申し上げましたが、それは別の質問に答えてでございましたけれども、私は安倍内閣の農林水産大臣でございます。先ほど野村先生とのやり取りで申し上げましたように、総理がこれだけ重大な決断をされたわけですから、閣僚としてはその総理の決断を支えながら、今委員も触れていただきましたように、この聖域の確保をして農林水産業をきちっと発展させていくと、これが私の職務だというふうに考えております。
  168. 中谷智司

    ○委員長(中谷智司君) この際、加治屋農林水産副大臣から発言を求められていますので、これを許します。加治屋農林水産副大臣。
  169. 加治屋義人

    ○副大臣(加治屋義人君) 先ほど、山田太郎委員からの私の答弁で、南海トラフ地震で約千日分が必要だと、こういう答弁をしておりますが、必要のところを相当するというふうに御訂正をいただきたいと思います。
  170. 舟山康江

    ○舟山康江君 みどりの風の舟山康江です。  ちょっと質問の順番を変えまして、TPPに関して関税撤廃した場合のマクロ経済効果についてから質問をさせていただきたいと思います。  先ほど来、いろんな方がもう既に指摘をしておりますけれども、この経済効果及び農業に対する影響試算ですけれども、効果とすれば、GDPが三・二兆円増加すると、十年後ですけれども、十年後に三・二兆円増加するという試算になっております。これGDPの増加というと、一般的には輸出が増えてGDPが増えると皆さん思っていらっしゃいますけれども、これ内訳を見ますと、輸出の伸びというのはさほど大きくなくて、一番大きいのは消費の伸びというところになっております。  これ、三月十五日の参加表明に当たっての記者会見での質疑応答での総理の発言の中に、ここの部分で発言がございます。多くの関税が撤廃されていくことによって物の値段が下がっていく、その分、購買力が増すことによってGDPにプラスの寄与をすると、こう総理は答えられております。  つまり、先ほど野村委員からもありましたけれども、物が安くなってくる、安い物が入ってくる、若しくは、安い外国産に消費が置き換わるか、若しくは国産品の価格が下がる、つまりは、地域農業への打撃と引換えとして、やはりそのGDPへのプラスの寄与ということになっているわけでありまして、やはりこれを喜んでばかりいるのは私は全くおかしな話ではないのかなと思っております。  しかも、単純な試算ですと、影響が出ないように対処をしますということを言っております。例えば重要五品目等、私はこれだけ取れればいいというふうには思っていませんけれども、少なくとも重要五品目等についてはしっかりと聖域を確保していきますということを言っておりますけれども、これ仮に、重要五品目の聖域が取れるか、若しくは何らかのしっかりとした対策を取って影響がないようにすれば、皮肉なことにこのプラスの消費効果というのは相殺されてしまいます。そうすると、この実質GDPの伸びというのは多分もっと減ってくるんだと思います。  つまりは、プラスの効果があるからやりましょうと言っていますけれども、プラスの効果なんてほとんどないんですね。これ全く論理矛盾、大きな矛盾だと思いますけれども、その点、農林水産大臣、いかがお考えでしょうか。
  171. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) この試算につきましては、先ほど来御議論がありますように、我が省では、生産額のこの減少というのを品目別にいろんな前提を置いてやって、それを、ちょっと今もうおられませんが、内閣府の方にお渡ししてモデルを回していただいたということでございますので、このGTAPモデルそのものは内閣官房の方に聞いていただいた方が正確だと、こういうふうに思いますが、私が承知している範囲で申し上げれば、これはまず、国際的にこれを使っているということで、分析モデルとしてほかの国といろんな比較が可能であると、これはもう舟山委員は御専門でございますからよく御承知だと思いますが、こういうものを使っているということでございます。このモデルの性格上、産業構造の変化に応じて雇用が流動化いたしまして、関税撤廃前後では実は雇用数が変わらないという、ちょっと聞くと私も実際にはそういうことは余り生じ難いんではないかなというふうに聞いて思いましたけれども、一応モデルとしてはそういう前提になっているということでございます。  したがって、先ほど極端な前提と言いましたが、前提もそうでございますが、このモデルの限界というものもやっぱりこれを議論するときには考慮に入れる必要があると、こういうふうに考えておるところでございます。  そういう意味で、多面的機能ですとか、それ以外のところはそのモデルに入れていますというところまで行っておりませんので、先ほどちょっとお叱りをいただきましたけれども、この脚注といいますか、そういうことで一兆六千億程度喪失するということは改めて試算をして付けていただいたということであります。  それともう一つは、先ほど来議論になっておりますように、関税が撤廃されるということと、それから対策も講じないという前提でありますので、そこも交渉でこの聖域を確保していくということと同時に、実際の世界ではそういう対策というものは恐らくは行われていくだろうと。  ただ、私も何度もここでもお話ししているかもしれませんが、今対策という言葉を使うことについてはちょっと私としてセンシティブにならざるを得ないということでありまして、それは要するに、対策をここでやりますよと言うと、その部分はもう譲ってもいいのかなと、こういうふうにかえってなるところがございますので、あくまで施策を打っていずれにしてもやらなきゃいけないことをやっていくということで今は申し上げているところでございます。
  172. 舟山康江

    ○舟山康江君 私が申し上げたいのはそういったことというよりは、だって聖域は守ります、若しくはきちんと影響がないようにしますと、します、するのであれば、こういう輸入物に国産が一気に置き換わって、安い農産物が入ってきて、購買力が増してGDPにプラスの寄与なんということにはならないわけであって、このプラス分がなくなるわけですよね。つまり、GDPのプラスの効果というのは、対策を打てば、また聖域が確保できればプラスがなくなるということでありますので、逆に言えば、本当にこのTPPの効果というのは相当少ないのではないかということだと思います。  そしてもう一つは、今少し大臣お触れいただきましたけれども、労働力、雇用の調整もスムーズにいくと。つまりは、輸入品が増えて、国内の農業が残念ながら打撃を受けて潰れてしまって、その余った労働力が比較的生産性の高い産業にうまく移動するというのが前提であって、もうこれもはっきり言ってあり得ない前提でありまして、モデルの限界とは言いますけれども、私は、そもそもマクロ経済効果で見ても、まあ三・二兆円が多いかどうかという議論もありますし、三・二兆円でさえちょっと対策を打てばすぐに減殺されてしまうという意味では非常に効果がない、なぜこんな効果のないものに、メリットがないものに入るのかということがますます分からなくなったということを冒頭に申し上げておきたいと思います。  そういう中で、大臣の所信表明演説の中で攻めの農林水産業の展開とございます。この攻めの農林水産業の展開の目的、方向というのは一体どんな方向なんでしょうか。細かいところはこの所信表明にもいろいろ書いてあります。例えば、構造改革をしていきますとか、六次産業化を進めます、輸出を増大しますとありますけれども、それはそうとして、更なる究極的な目的は何なんでしょうか。これは、担い手を増やすのか、所得を増やすのか、生産を確保するのか、そういったことなのかななんてちょっと思うんですけれども、この目的、方向、端的にお答えいただきたいと思います。
  173. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) これは攻めの農林水産業ということで、今委員からもお話がありましたけれども、まず、やはり現場の声を積極的に聞くということで潜在力を引き出していくということがあるのかなというふうに思っております。そういうことをやりながら、高付加価値化、農産物のですね、を積極的に行うということが一つあるのかなと、こう思っております。  高付加価値化をして、ディマンドサイド、需要サイドで皆さんが少しお財布のひもを緩めても買っていただけるようなものをやっていくというところがないと、サプライサイドで幾ら頑張っても結局豊作不況みたいなことになってしまうということがあるわけでございますので、これを需要と供給のところをばらばらにやるんではなくて、六次産業化ということで申し上げれば、生産されている方が消費者に直接触れていただくことによって、どういうものを作れば付加価値が付いていくかということを生産者自体がより認識をしていただくということがあるんであろうというふうに思っております。  そういう意味で、この間ちょっと仙台へ行ったときに、農家レストランというところにお邪魔いたしましたら、もう十年以上そのレストランをやっておられるようですが、自分のところで作っておられる野菜を、今年は何を植えようかなというときに、どういうメニューでレストランでお出ししようかということを考えながら作付けをやられると、こういうことをおっしゃっておられまして、まさにこういう先駆的な六次産業化の取組だなと、こういうふうに思いましたけれども、そういうところが非常に需要と供給をつなぐ大事なところだというふうに思っております。  供給の方は、今委員がおっしゃったように、人と農地プランですとかNN整備をやるとか、いろんなことはあるとは思いますけれども、人、物、金というものがきちっと入っていって供給を強くしていくというのはもう御案内のとおりであるというふうに思います。
  174. 舟山康江

    ○舟山康江君 ありがとうございます。  その方向性そのものは、私も今までも進めるべきだと言ってまいりましたし、正しいんだと思います。ただ、それが当てはまるのは恐らく野菜、果樹、労働集約型のそういったものに関してはやはり付加価値を付けて高く売っていこう、差別化をしていこうと、また、作るだけではなくて加工して売っていくというようなことにもつながると思いますけれども、問題は土地利用型農業とあとは畜産だと思うんですね。この方向性がどうあるべきか。つまり、このTPPで影響を受けそうな品目がやはり問題なんだと思います。  これは、じゃ、強い農業をつくるために、この土地利用型農業、畜産についてはどういう方向を目指すのか、大臣のお考えをお聞かせください。
  175. 林芳正

    ○国務大臣(林芳正君) これは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、やはり土地利用型につきましては、平成二十一年の農地法改正を経て今かなり規模の集積が進んでおりまして、法人経営体が増えるとか家族経営体の規模が大きくなるということで、二十ヘクタール以上の経営体が農地の三割をカバーするということになってまいりました。したがって、ここを更に加速をしていくということではないのかなというふうに思っておりまして、受け手に対する規模拡大の交付金と出し手に対する農地集積協力金、それから集落での合意形成をやる人・農地プランと、こういうものを総合的にやっていく必要があると、こういうふうに思っております。  それから畜産でございますが、これはちょっと江藤副大臣がいれば専門家であるんでございますが、非常に大事な動物性たんぱく質の供給源ということと、それから非常に裾野の広い加工業とともに地域を支える重要な産業であると、それから、牧草生産というのは農地の有効活用からも重要であると、こういうことであります。畜産は配合飼料の大半が海外に依存していると、こういうことで、今高騰して収益性が低下することに対して予算でどう対応していくかということもやっているわけでございますけれども、こういうところを踏まえて畜産の今問題点というか現状を申し上げました。  したがって、今のところ、さらに先ほど申し上げました需要サイドのことと、それからサプライサイドの今の現況をどうやって強化していくかと。そこは、飼料の問題ですとか、それから、この経営安定全体についてしっかりと目配りをして強化をしていくと、地道なようですけれども、そこに尽きるんではないかなと思っております。
  176. 舟山康江

    ○舟山康江君 例えば土地利用型農業でいえば、何ヘクタールを目指せばいわゆる強い農業がつくれるのか、外国と勝てる農業がつくれるのか、百なのか、千なのか、私はそんな議論になっていくんではないかと思うんですね。でも、日本では、百、千、そういった大きな規模というのはなかなか難しい。しかも、そこには、大臣も強調されておりますけれども、農業の持つ多面的機能を発揮するためには、私は、やはり適正な規模で、そこにきちんと人が住んで、集落を守って、いろんな役割を果たしていくと、これも農業の役割であると思っておりますので、やみくもに規模拡大だけを目指せばいいというものではないと思います。  そういう中で、やはりTPPのような、関税が下がっていく、安いものがどんどん入っていくということに対して一番打撃を受けるこの土地利用型農業若しくは畜産業。畜産も海外を見渡せば粗放農業で、もう全然自分の動物がどこにいるかよく分からないような飼い方をして、手を掛けずに出荷をしているところと、手塩に掛けてお金を掛けていいものをつくっていくというところとの違いもあると思いますので、やはり私はこの土地利用型農業、畜産について、さてどういう方向を目指すのかということはしっかりと考えていかなければ、一般論として強い農業、勝てる農業、闘える農業と言ったところで、私は規模だけでなかなかこの日本の現状において外国に太刀打ちできないんだと思います。  ですから、やはり適切な支援策を組み合わせながら多面的機能を発揮するような方向性の必要性、こういったものをやはりもっと強く農林水産省として、また国として訴えていかなければ間違った方向に行ってしまうんだということを是非大臣には強く御認識いただきたいなと思っております。  それから、それに関連するんですけれども、今少し触れましたけれども、農業の持つ多面的機能の中に、私は重要な役割として集落維持機能というのがあると思います。  やはりそこに農業があるから人が住んで集落が形成されて伝統文化がきちんと守っていけるという、そういう役割というのは、大規模だからとかではなくて、専業農家、兼業農家、高齢農家、いろんな方々の交じり合いの中で生まれていると思うんですね。そういう中で、こういった非常に厳しい競争にさらされる現状が変化した場合にどのようにこういった機能の維持を図っていくのか、大臣のお考えを教えてください。
  177. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) この質問については私の方から答弁させていただきます。  今、議員から、農業における集落機能についての御質問をいただきました。議員御指摘のとおり、農村地域においては農業生産活動を行うことが、これが核になって、農業者を含めた地域住民によって集落としての共同の活動ですとかあるいは伝統行事、こうしたものが営まれている。それが、集落機能の維持の観点からも、また農業の持続的な発展が図られるようにしていく必要があると、このように考えているところでございます。  しかしながら、もう御案内のとおり、農村地域においては、近年、人口減少ですとかあるいは高齢化、これが急速に進展している状況の中で、これによって地域経済の停滞とともに集落機能の著しい低下と、こうした深刻な問題にも直面しているのも事実でございます。  このため、農林水産省では、産業としての農業の振興を図るだけではなくて、集落を支えるための地域政策の観点に立って、中山間地域等に対する直接支払、また、水路、農道等を共同で管理する活動への支援、さらに、都市と農村の交流活動ですとか施設整備に対する支援等の施策を講じてきたところでございます。  地域の潜在力を引き出して攻めの農林水産業を展開していくということ、これがこの攻めの農林水産業の一番大事な点の一つでもございますけれども、これはまさに待ったなしの課題でありまして、農林水産省内に設置をした攻めの農林水産業推進本部においても、集落機能の維持発展という視点についても十分意を用いてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  178. 舟山康江

    ○舟山康江君 今お答えいただきましたとおり、やはり農業というのは、単なる一つの産業だけではなくて、まさに産業政策と地域政策をどう融合させて施策を展開していくのかということを考えていく必要がすごくあるんだと思います。そういう観点から言っても、やはり規模拡大だけではない方向というのも、土地利用型においても規模拡大だけではない施策というのをしっかりと打ち出していただかなければいけないんではないのかなと思っています。  規模でいえば、まさに、先ほど来いろんな方から指摘がありますけれども、北海道は一番日本の農業の構造改革の優等生とも言われて、国の施策に従って規模拡大をして、頭数拡大をして一番もうかってしかるべき地域が一番打撃を受けるというのは、これは本当に皮肉、矛盾以外の何物でもないと思っておりますので、是非そこが困らないように対処いただきたいと思っています。  最後ですけれども、一問、ちょっと観点が違う質問を一つしたいと思います。  私は、やはり今、日本において、いろいろ重要な点はあると思いますけれども、その重要課題の一つに種子の保存、遺伝資源の保存というのがあると思っております。この種子の保存体制、聞くところによりますと、国が保存している部分と地方が持っている部分、又は農林水産省と経済産業省と文部科学省と、いろいろばらばらに分散しております。この種子というのは、国家戦略として種子の確保、遺伝子の確保というのは大変重要だと思っています。まさに最大の資源だと言っても過言ではないんではないかと思っておりますけれども、この種子の保存計画について、今後の方向性についてお聞かせください。
  179. 稲津久

    ○大臣政務官(稲津久君) お答えさせていただきます。  種子等の遺伝資源の確保につきまして近年海外の関心が非常に高まっておりまして、我が国としても、今後新たな品種開発による国内農業の競争力の強化を図るという点からも大変重要な課題であると、このように認識しております。  このため、農林水産省で種子等の遺伝資源の収集、保存を行うために、もう議員これ当然御承知だと思うんですけれども、独立行政法人の農業生物資源研究所をセンターバンクとして昭和六十年から農業生物資源ジーンバンク事業、これを実施をしております。これまで植物約二十二万点、それから微生物約三万点等を保存をいたしまして、国内の試験研究機関や民間企業に配付しているところでございます。他方、近年、途上国を中心に遺伝資源の持ち出しを規制する国が増えてまいりまして、国内の研究機関や民間事業者等が海外の遺伝資源を直接入手することが困難になりつつあると。  こうしたことから、今後、途上国のジーンバンクとの協力関係の構築による有用な海外の遺伝資源の積極的な収集、それから国内の大学、公設試験場等が保有する遺伝資源の情報の一元化など関係機関の連携を更に強化をするとともに、未締結になっております食料・農業植物遺伝資源条約への加盟なども視野に入れまして、我が国のジーンバンク事業の更なる充実に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  180. 舟山康江

    ○舟山康江君 時間ですので、終わります。
  181. 中谷智司

    ○委員長(中谷智司君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時八分散会