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2012-04-18 第180回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 4号 公式Web版

  1. 平成二十四年四月十八日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤井 基之君     理 事                 石橋 通宏君                 谷  亮子君                 水戸 将史君                北川イッセイ君                 小泉 昭男君                 竹谷とし子君     委 員                 大久保 勉君                 大久保潔重君                 大野 元裕君                 武内 則男君                 轟木 利治君                 中谷 智司君                 姫井由美子君                 藤谷 光信君                 舟山 康江君                 米長 晴信君                 赤石 清美君                 大江 康弘君                 川口 順子君                 岸  宏一君                 中原 八一君                 中村 博彦君                 長谷川 岳君                 水落 敏栄君                 魚住裕一郎君                 吉田 忠智君    委員以外の議員        議員       山下 芳生君    副大臣        外務副大臣    山根 隆治君    事務局側        常任委員会専門        員        矢嶋 定則君        常任委員会専門        員        工藤 政行君    政府参考人        外務大臣官房参        事官       南   博君        外務省国際協力        局長       越川 和彦君    参考人        独立行政法人国        際協力機構理事        長        田中 明彦君        独立行政法人国        際協力機構理事  渡邉 正人君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○参考人の出席要求に関する件 ○政府開発援助等に関する調査  (参議院政府開発援助調査に関する件)     ─────────────
  2. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。  政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務大臣官房参事官南博君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として独立行政法人国際協力機構理事長田中明彦君及び同理事渡邉正人君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) 政府開発援助等に関する調査のうち、参議院政府開発援助調査に関する件を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  委員外議員山下芳生君から、参議院政府開発援助調査についての意見交換のため本日の委員会への出席を求められております。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、平成二十三年度参議院政府開発援助調査派遣団参加議員の方々から各十分程度御意見を伺った後、八十分程度委員間の意見交換を行いたいと存じます。  御意見を表明していただくのは、第一班のモザンビーク、南アフリカ、ザンビアについては水落敏栄君、第二班のトルコ、ヨルダン、パレスチナについては大野元裕君、第三班のモンゴル、中国については赤石清美君、第四班のミャンマー、ラオス、タイについては中村博彦君です。  なお、御意見を表明される際は御着席のままで結構でございます。  それでは、まず、第一班の水落敏栄君からお願いいたします。水落敏栄君。
  8. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 ODA調査第一班について御報告をいたします。  第一班は、本年一月二十八日から二月六日までの十日間、南部アフリカのモザンビーク共和国、南アフリカ共和国及びザンビア共和国を訪問しました。派遣議員は、団長の友近聡朗議員、吉川沙織議員、そして私、水落敏栄の三名でございます。  以下、調査の概要及び調査を通じまして得た所見について報告をさせていただきます。なお、東日本大震災に際し、各国からお見舞いの言葉をいただきましたことに対し、政府要人等との会談において感謝の意を表明してまいりました。  まず、モザンビーク共和国から申し上げます。  首都マプト市では、東洋の星小学校、モザンビーク道路公社、そしてモザンビーク農業研究所などを訪問しました。  東洋の星小学校は、マプト市内の児童数増加に対応するため、無償資金協力事業によって新設された学校であります。派遣団は、授業の様子を視察するとともに、サッカーボールの贈呈を行うなど生徒と交流の機会を持ちました。校長からは、学校ができるまでこの地区の子供たちは遠くの学校まで歩いて通わなければならなかったので、日本に大変感謝しているとの説明を受け、教育環境の改善に大きく貢献していることが分かりました。今後も、学校整備支援や教員養成支援といった文教関係支援はODA支援の主軸として充実させていく必要があります。  モザンビーク道路公社は、モザンビークの道路インフラを整備する公的機関で、日本のODAによるインフラ支援の際のカウンターパートに当たります。同公社では、総裁から国道の整備状況や道路維持管理の取組等について説明を聴取し、国道の維持管理や補修を行う職員の人材育成が課題となっているとのことでした。公社自身が広大な国土全体にわたり十分な道路整備、維持管理を実施できるよう、資金面での支援はもとより、職員の技術の向上、能力の向上といったキャパシティービルディングへの効果的な支援が今後の課題と考えます。  モザンビーク農業研究所は、モザンビーク農業省の施設で、農業省及び農業セクターの研究能力向上及び地方農民や民間企業への技術移転、指導等を行っている公的研究機関であります。所長からは、主に、日本、ブラジル、モザンビークの三か国による熱帯サバンナ農業開発プログラム、いわゆるプロサバンナ構想について説明を聴取いたしました。このプロサバンナ構想は、国際回廊であるナカラ回廊の開発とともに、モザンビークで実施されている大プロジェクトであります。これらは、アフリカ全域の貧困撲滅、経済発展、そして世界の食料安全保障に貢献する壮大なプロジェクトであって、日本は主体的かつ積極的に支援する必要があります。  さて、モザンビークでは、アリ首相及びクエレネイア企画開発大臣といった要人と意見交換する機会に恵まれました。アリ首相からは、日本のODA支援、特にブラジルとの三角協力や農業分野における支援について感謝しており、今後は、民間投資の拡大に期待しているとの発言がありました。また、クエレネイア大臣からは、同様の発言とともに、貧困撲滅に向けた取組や汚職問題への対応等について意見交換をいたしました。  次に、南アフリカ共和国について申し上げます。  派遣団は、ヨハネスブルグ市のダウンタウンにあるマーケットシアターを訪問しました。この劇場には、十年以上前に文化無償協力事業で照明機材を供与しております。派遣団は、これらの機材が今なお大切に使用されているところを視察し、さらに、南アを代表する俳優であるドクター・カニ氏から直接、この照明機材の南ア文化芸術振興に果たしている役割を伺うことができました。文化、芸術への支援は、豊かな心を育むことへの支援で、貧困・格差問題で厳しい状況にあるアフリカ地域におけるこうした分野への支援は重要であります。  このほか、一九七六年の反アパルトヘイトのソウェト蜂起で世界的に名を知られているヨハネスブルグ南西のソウェトにおいても、今もバラックがひしめき、貧困層が居住するクリップタウンを視察するとともに、二〇一〇年サッカーワールドカップ開会式が行われたFNB競技場を視察しました。  次に、ザンビア共和国について申し上げます。  まず、首都ルサカ市では、ザンビア大学附属教育病院、ヤマトフィールド、そして未計画居住区などを訪問しました。また、リビングストン市に移動した後、同市郊外のカズングラ橋建設計画や市内道路整備計画の現状を視察しました。  ザンビア大学附属教育病院は、国内唯一の大学病院で、ザンビアの中核病院として大きな役割を果たしています。日本は、一九八〇年代の小児科病棟の建設以来、数次にわたる医療施設や医療機材の整備を行っています。最近では、医療機材の老朽化への対応として、人工呼吸器や超音波診断装置といった機材を更新しました。小児病棟では、我が子の病状を気に病む多数の家族が廊下にあふれている実情を目にしました。また、同国は、HIV、エイズも深刻で、個々の病院へのインフラ支援だけでなく、同国の医療体制の改善のための処方箋が求められていると考えます。  ヤマトフィールドは、草の根無償協力事業によって同国オリンピック委員会の敷地内に整備されたグラウンドです。ここは、ルサカ市北部の比較的貧しい人々が住む地域内にあって、多くの子供たちが安全な場所でスポーツを行えるようになりました。派遣団が訪問したときには、子供たちが青年海外協力隊のアドバイスの下でハードル競走やサッカー練習をしておりました。なお、派遣団よりサッカーボールを贈呈し、青少年たちがダンスで歓迎するといった交流もありました。青少年のための教育・スポーツ支援の重要性は、政情・経済安定とともにますます高まっていくことから、引き続きこうした分野への支援が必要であります。  未計画居住区住環境改善計画は、百万人を超える貧困住民が生活する地域の劣悪な衛生環境を改善し、安定した給水サービスを提供するため、無償資金協力事業により整備されました。ルサカ市上下水道公社の説明によると、派遣団が訪れたンゴンベ地区には日本のODAで共同水栓が五十五か所整備されたものの、人口が増え続けているため、更に多くの整備が必要であるとのことでありました。同地区の衛生環境は依然として十分でなく、また道路インフラも劣悪なことを目の当たりにしました。今後も、衛生環境を始め基礎インフラの改善に向けた支援の継続が必要であることは言うまでもありません。  カズングラ橋建設計画は、ザンビア共和国とボツワナ共和国との国境を流れるザンベジ川への橋の整備を検討している案件であります。カズングラは、南アフリカ共和国からコンゴ民主共和国へ続く南部回廊の重要な国境に位置しますが、ここには橋がないため、ポンツーンと呼ばれる小さなはしけで渡河するしかありません。ポンツーンは、コンテナを牽引する大型トラックであれば一隻に一台しか乗せられず、一日に渡河できるのは最大で百台程度です。このため、国境には大型トラックが数キロにわたって待機せざるを得ないなど問題は深刻です。カズングラ橋が完成すれば、南部回廊における人、物の移動が飛躍的に高まることは明らかで、早期の事業実施が必要であります。  リビングストン市道路整備計画は、同市から国境に至る幹線道路の改修や歩道、街路灯の整備を無償資金協力事業で行ったものであります。ただ、本事業の完工後、道路の表面が波打つなど、舗装に問題が生じており、派遣団も現場で問題箇所を確認しました。原因究明は今なお続いておりますが、ODA事業の不具合はODA事業それ自体の信頼にかかわることで、この案件を教訓に再発を防止する確実な取組が必要です。  さて、ザンビアでは、スコット副大統領、チクワンダ財務国家計画大臣、そしてマティビニ国民議会議長といった要人と意見交換する機会に恵まれました。スコット副大統領から、日本のODA支援の重要性を認識している旨の発言があり、またチクワンダ大臣からも、同様に感謝の意を表していただくとともに、ルサカ市の道路整備や国境地帯であるカズングラにおける橋梁整備など、支援を必要とする案件について詳細な説明がありました。さらに、マティビニ議長との会談では、議会間交流の重要性や国民の代表である議員同士の意見交換の大切さなどの意見を伺う機会を得ることができました。  最後に、全般的な所見について述べさせていただきます。  第一に、広域インフラ開発・整備の重要性であります。  モザンビークのナカラ回廊開発・整備プログラムは、モザンビーク一国のインフラ整備にとどまりません。モザンビーク、マラウイ、ザンビアをつなぐ国際回廊で、このように国境を越えたインフラ支援を行うことによって、南部アフリカの広範な地域における経済活性化が期待できます。また、カズングラは南部回廊の要衝にあります。南部回廊は、南アフリカ、ボツワナ、ザンビア、コンゴ民主共和国をつなぐ国際回廊で、カズングラがつながれば、南部アフリカ全体での経済活性化に資することが明白であります。こうしたクロスボーダー交通インフラ整備への日本の積極的な支援こそ、サブサハラ全体の経済活性化に資し、ひいては住民の生活向上、そして貧困削減につながるものと考えます。  第二に、民間投資環境整備の必要性です。  今回の訪問で、派遣団は、相手国の政府要人や現地で活躍している日本企業の方々から話を伺う機会がありました。そして、民間投資環境の整備の必要性が常に話題となっておりました。例えば、経済発展が目覚ましい南アフリカは、既に典型的なODA支援というより、いかに日本の企業が現地で競争できるかが重要となっています。そして、現地大使館に求められているのは、現地の様々な見えない障壁を一緒に超えることであるとのことです。なお、モザンビークやザンビアでも民間投資を呼び込むことが必要との声は多く、今後、民間の優れたアイデアや資本の利活用を可能とする民間投資環境を整備していくことが急務と考えます。  第三に、TICADプロセスの成功であります。  日本が主導するアフリカ開発会議は二〇一三年に五回目を迎えようとしています。この間、日本は毎年TICAD閣僚級フォローアップ会合を開催し、貧困撲滅と経済支援の在り方を常に検証しております。今後とも、日本としては、各国首脳の参加に向け積極的な働きかけを継続するとともに、会議を成功に導き、そして結実した果実をアフリカ開発に的確に結び付ける必要があります。  第四に、信頼関係構築のためのODAの重要性であります。  各国を訪問した際、政府首脳から、東日本大震災による未曽有の被害が発生したにもかかわらず日本がODAを継続していることについて本当に感謝しているとの言葉を、お見舞いの言葉とともにいただきました。これは、日本のODAが相手国との良好な信頼関係の醸成に資していることのあかしであります。日本は、震災からの復興途上という、まさに国難の最中にあります。しかしながら、どのような状況にあっても日本の友好国の様々な課題を解決するための支援を継続することが、国際社会における名誉ある地位を占める日本にとって重要な取組であります。  第五に、青年海外協力隊へのサポート体制の充実であります。  ODAを推進する上で、青年海外協力隊の活動は欠かせません。内向き志向と言われる現代の若者が海外で精力的に活動していることは、大変心強いことです。ただ、彼らの多くは帰国後の就職について心配しており、また在外での貴重な体験を日本に還元できないということでは、社会にとって大きな損失であります。そこで、国の充実したサポート体制の構築が必要であります。  最後になりましたが、今回の調査に御協力いただきましたモザンビーク共和国、南アフリカ共和国及びザンビア共和国の訪問先の方々並びに内外の関係機関の方々に対し心から感謝を申し上げて、報告を終わります。  ありがとうございました。
  9. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) ありがとうございました。  次に、第二班の大野元裕君にお願いいたします。大野元裕君。
  10. 大野元裕

    ○大野元裕君 ODA調査第二班について御報告いたします。  第二班は、去る二月一日から九日までの九日間、トルコ、ヨルダン及びパレスチナ自治区に派遣されました。派遣議員は、団長の水戸将史議員、中原八一議員、山本香苗議員及び私、大野元裕の四名でございます。  なお、訪問先において、東日本大震災の際に各般にわたる厚い御支援に対し御礼を申し上げるとともに、トルコでは、昨年十月にワン県において発生した地震被害に対しお見舞いを申し上げております。  以下、調査の概要等について御報告いたします。  なお、報告書は取りまとめ中であり、本日の報告で意見にわたる部分は団としての正式な集約ではないことをあらかじめお断り申し上げます。  最初の訪問地のトルコは、現実的な外交路線により地域の安定化に貢献するとともに、高い経済的な潜在性を有しております。世界銀行の調査によると、二〇一〇年における一人当たりGNIが九千八百九十ドルと比較的高い水準にあることから、ODA新規案件は技術協力及び草の根・人間の安全保障無償資金協力が中心となっております。また、円借款については、具体的なパッケージ型インフラ案件の受注や資源獲得など、戦略的かつ例外的に活用するものとされております。  まず、アンカラでは、技術協力プロジェクトの防災教育プロジェクトとして、国民教育省教員研修・育成総局を訪問し、トルコ国民の防災意識を向上させるための学校教育における防災教育の強化等について意見交換を行いました。次に、エネルギー天然資源省再生可能エネルギー総局を訪問し、トルコが中央アジア諸国等に対して技術協力として実施している省エネルギー管理研修を視察いたしました。この事業は、トルコが周辺国に対して実施している南南協力の一つであり、我が国はトルコが実施する研修を支援しております。  次に、イスタンブールでは、円借款プロジェクトであるボスポラス海峡横断地下鉄整備計画と、第二ボスポラス橋等を対象とするイスタンブール長大橋耐震強化計画を視察いたしました。いずれの構造物も日本の耐震技術が活用されており、将来発生が予測されているイスタンブール南方のマルマラ海を震源とするマグニチュード七・五の地震にも耐え得る設計になっているとのことであります。また、工事中のボスポラス海峡横断地下鉄整備事業については、ヨーロッパ側とアジア側との交通の円滑化に効果を発揮することが期待されており、既に海底への沈埋トンネル敷設は完了し、二〇一三年十月の開通を目指しております。  次の訪問地のパレスチナ自治区は、長年イスラエルに占領され、人、物の移動が著しく制限されていることから、経済面においてイスラエルに大きく依存せざるを得ない状況にあり、その結果、経済発展が阻害されております。我が国は、和平プロセスの促進、パレスチナの民生安定や将来のパレスチナ国家実現を支援する観点から、人道支援、国づくり・改革支援、信頼醸成支援、経済自立化支援に重点を置いたODA支援を実施しております。  まず、東エルサレムでは、NGO連携無償資金協力の地域主導型パレスチナ自治区西岸地域における青少年育成事業として、NPOの国境なき子どもたちが運営しているユースセンターを訪問し、政治的困難の中、高い失業率を背景として経済的、精神的にも困難な状況にある子供の心理的サポート、青少年に対する職業訓練の現場を視察いたしました。また、シュウファート難民キャンプを訪問し、草の根・人間の安全保障無償資金協力案件の学校教室増築計画として、増築が完了した小学校を視察いたしました。これにより、近年の貧困率の上昇や更なる人口過密化等により悪化していた教育環境の改善が期待されております。  次に、ラマッラでは、技術協力プロジェクトのパレスチナ母子保健リプロダクティブヘルス向上プロジェクトとして、診察所を訪問し、アラビア語による母子健康手帳の普及・定着状況に加え、現場医療従事者の技術向上支援の現場を視察いたしました。  次に、ジェリコでは、無償資金協力案件のヨルダン川西岸地域学校建設計画として、工事が完成したジェリコ男子校を訪問いたしました。近隣の初・中等学校の移転、建て替えを通じて二部制を回避することができ、カリキュラムどおりの授業の実施を通じて地域の教育の質向上が期待されるとのことであります。  また、パレスチナと近隣諸国との共存共栄を目指して中長期的な取組として我が国が提唱した平和と繁栄の回廊構想に基づくプロジェクトであるジェリコ農産加工団地関連事業を視察いたしました。同事業は、既に周辺道路の拡張整備、用地造成等が完了しており、五月には上水供給及び水タンクが、九月には太陽光発電システムが設置予定であり、本年末の操業開始を目指して事業が進められております。  最後の訪問地ヨルダンは、中東和平プロセスにおいて大きな貢献を果たしており、また、歴史的にパレスチナとの関係も深く、多くのパレスチナ難民が居住しており、現在ではヨルダン住民の約七割をパレスチナ人が占めると言われております。我が国は、同国の安定及び持続的成長が中東地域の平和と安定に重要であるとの観点から、ODAを通じて積極的に支援を行っております。  まず、パレスチナ自治区とヨルダンを結ぶキング・フセイン橋において、橋の取付け道路に設置された日本とヨルダンの国旗を掲げたサインボードを視察しました。これは、平成十七年度のODA調査第三班の指摘に基づいて設置されたものであります。  次に、アンマン近郊のバカア難民キャンプを訪問し、キャンプ内の施設において女子小学校における美術教育や障害児教育に従事するシニア海外ボランティア、青年海外協力隊員の活動状況を視察した後、技術協力プロジェクトのパレスチナ難民生計向上のための能力開発として、パレスチナ難民に対する職業訓練等の実情を視察いたしました。  次に、無償資金協力として行われている第二次アンマン都市圏上水道施設改善計画の関連施設であるザイ浄水場、ポンプ場及び用水路からの取水口を視察いたしました。上水道施設改善計画は、雨が少なく水源が限られていることから、慢性的な水不足に悩むアンマン都市圏への貢献として非常に感謝されております。また、ヨルダン川の水を用水路から取り入れて浄水場に送るため、千メートル以上の高低差を揚水しなければならない状況を目の当たりにし、アンマンの厳しい給水事情をうかがい知ることができました。  このほか、円借款事業の死海展望台コンプレックス内の博物館を視察するとともに、無償資金協力の太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画により博物館の隣接地に建設された太陽光パネルの引渡式に議員団として出席いたしました。  以上の現場視察に加え、各国・地域の訪問先では、シニア海外ボランティア、青年海外協力隊、NGO、国連職員等として活動されている在留邦人の皆様方から、各地域の実情、活動の状況、課題等について貴重なお話を伺いました。  今回、トルコ、ヨルダン及びパレスチナ自治区において、我が国の援助案件が現地の住民の生活向上や地域経済にどのように貢献しているのかを肌身で感じることができました。また、東日本大震災に際して様々な国や地域から手厚い人的、物的支援をいただきましたが、これは、我が国がこれまで行ってきた様々な努力のたまものでもあります。ODA支援もその一つであり、着実なODA支援の重要性を改めて認識いたしました。  反面、財政上の制約からODA予算が縮小傾向にある中においては、各国のニーズを十分に踏まえたきめ細かい援助の実施が必要であると考えます。また、パッケージ型インフラ輸出の活用も視野に入れる必要があると感じました。例えば、欧州基準がスタンダードのトルコにおいても、我が国の耐震・免震技術が高く評価され、我が国の基準がそのまま適用されるほどであり、大きなビジネスチャンスがありますが、公的な保証のスキームがないためにODA対象以外のビジネスへの企業の参入が促進されない状況にあります。大いなる可能性が見込まれるトルコにおいて、ODAを契機に我が国の技術や管理手法が評価されても、その次のステップに移行できないというこの問題については、抜本的な発想の転換が必要とされているように感じました。  この度、本院ODA調査団としては初めて、イスラエルによる占領下という特殊な環境にあるパレスチナ自治区を訪問いたしました。自治区においては一定のODA支援による成果が見られ、現地大使館員もラマッラに居住し始めるなど、きめ細かい支援実施の体制も整いつつあるように見受けられました。しかしながら、実効性を高めるためには中東和平交渉の進展が不可欠であり、人間の安全保障の観点からも大所高所に立った外交政策との連携が不可欠と感じられました。  我が国外交の顔が見えないとしばしば指摘される中で、我が国に対する国際社会への認知度を高める上で大いに貢献する青年海外協力隊やシニア海外ボランティアの懸命な活動に対しては、大いに敬意を表します。その一方で、その活動については、現職教員特別参加制度の利用に際して都道府県により運用が異なることや、JICAの赴任前研修の改善等についての課題の指摘もありました。地方自治体への協力を改めて求めるとともに、現地ニーズの把握から採用、研修までを特定の団体に丸投げするJICAの体質を根本的に見直し、JICA自身が研修等のノウハウを構築する必要があると感じました。  最後に、今回の調査に御協力いただいたトルコ、ヨルダン及びパレスチナ自治区等の各視察先関係者の方々並びに国内外の関係機関の方々に感謝を申し上げ、報告を終わります。  ありがとうございました。
  11. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) どうもありがとうございました。  次に、第三班の赤石清美君にお願いいたします。赤石清美君。
  12. 赤石清美

    ○赤石清美君 ODA調査第三班について御報告いたします。  第三班は、本年二月五日から十一日までの七日間、モンゴル国、中華人民共和国に派遣されました。派遣議員は、徳永エリ議員、西村まさみ議員、大家敏志議員、そして私、団長を務めさせていただきました赤石清美の四名でございます。  第三班は、訪問した両国において、東日本大震災に対する温かい御支援に対し心から感謝の気持ちを申し上げるとともに、政府要人と率直な意見交換を行い、また我が国のODA案件の実情を調査いたしました。視察案件や訪問先、政府要人などの懇談の詳細につきましては後日配付されます派遣報告書に譲ることとし、本日は調査を通じて認識を深めた点を中心に申し上げることといたします。  まず、最初の訪問国であるモンゴルへの援助について申し上げます。  第一に、モンゴルの成長や変化に見合った戦略的な援助の必要性であります。  鉱物資源開発の本格化が見込まれるモンゴルは、経済が加速度的に成長しています。現在の我が国の対モンゴル援助は、鉱物資源セクターの持続可能な開発とガバナンスの強化、貧困と経済格差、首都ウランバートルへの人口集中に伴う都市問題という三つの課題への取組に重点を置いていますが、成長の著しさや速さに見合った不断の見直しが求められていると感じました。  例えば、首都ウランバートルの都市問題の根本的な解決には、今後整備される新空港周辺の活用、鉱山開発に伴う十から二十万世帯の規模の都市建設との連携などにより人口集中を解消する中長期的な取組が必要であり、経済成長の果実を財源として着手することが求められます。このため、我が国は、モンゴル政府の意思を尊重し、他の主要な援助国、国際機関などと連携し、中長期的な視点に立った検討や論議に主導的な役割を果たしていくべきであります。  第二に、モンゴルの日本語学習者や学習意欲を両国の経済協力関係の発展や深化に活用する必要性であります。  モンゴルにおける二〇〇九年の日本語学習者数は一万一千人であり、人口に占める学習者の比率は世界で四番目ですが、日本語を生かせる就職先がないことなどもあり、学習者数は減少に転じています。日本語学習者や学習への意欲は、両国関係において、現在にとどまらず将来にわたって、貴重な人材であり、資産であります。我が国は、モンゴルの資源開発における官民連携の一層の促進、交渉開始に合意した経済連携協定の締結などを通じて経済協力関係の幅を広げていく過程で、これらの人材や資産を活用し、将来の育成や形成にもつなげていくべきと強く感じました。  第三に、技術協力を通じたモンゴルの自立支援の重要性であります。  国立外傷整形外科センターには、モンゴルの医療スタッフのリハビリテーション技術や能力の向上を任務とする青年海外協力隊員が派遣されています。しかし、私たちが訪問した当時、隊員が指導、助言を行うべきモンゴル側のスタッフが効果的に配置されていませんでした。彼ら自身がリハビリテーションの能力や技術を向上させることができるよう、モンゴル側に適切な措置をとるよう促すことが必要であると感じた次第です。  続いて、中国への援助について申し上げるとともに、中国による対外援助について申し上げます。  第一に、中国への援助における発展協力という視点であります。  我が国の対中ODAは、中国が大きく経済発展を遂げ、開発の課題が移り変わっていく中で、対中円借款の供与が二〇〇七年に終了しました。現在、技術協力と無償資金協力が実施されていますが、草の根レベルの相互理解の促進、両国が直面する共通の課題への取組、すなわち環境協力、企業活動に関する法制度、政策の整備支援に焦点が絞られています。また、これまでのODA予算により実施されていた交流事業の一部が、平成二十四年度予算で廃止、又は他の予算に付け替えられるなど、対中ODAの内容には不断の見直しが重ねられています。その上で、三十年間に及ぶ対中円借款を通じた経験やネットワークの蓄積、中日友好病院を始めとする日本の協力拠点、既存の技術協力の活用などが模索されています。  対中ODAの在り方については我が国の国内でも様々な見解が存在しますが、今回の派遣において、対中ODAが中国の経済社会建設に多大な貢献をしてきたことに加え、両国の友好関係や交流を促進する役割を果たしてきたとの認識が中国側より示されています。また、既に新規供与の終了した円借款についても、中国は、これまでプロジェクトを予定期間内に着実に実施し、その返済をほとんど滞りなく行ってきています。  本年は日中国交正常化四十周年の節目に当たり、戦略的互恵関係の一層の発展に向けた取組が日中両国により進められています。日中経済関係は貿易や投資において相互依存関係が既に深まっていますが、これらを一層互恵的なものとするための取組が進んでいます。このような新しい環境の下で、ODAをめぐる今後の日中関係を前向きなものにしていくには、対中ODAを開発協力の分野などを含む発展協力、すなわちお互いに発展協力するという視点でとらえるべきという考え方も有用であります。対中ODAによって蓄積した資産を生かした英知ある取組が日中両国に求められています。  第二に、ODAを通じた人的交流の活用であります。  私たちは、中国で任務を遂行している青年海外協力隊員や専門家と意見交換を行い、中日友好病院や北京市環境整備事業の視察、四川省における森林再生事業や二〇〇八年の四川大地震による森林植生復旧プロジェクトの視察を行いました。  我が国からは専門家や青年海外協力隊員を派遣するとともに、中国側関係者が訪日し日本語による研修を受けることにより、我が国の地方公共団体も関与した交流や知日派の育成が想像以上の蓄積を生んでいる状況を強く認識しました。このような蓄積を日中両国の資産として、今後の幅広い経済関係や経済協力関係、ひいては戦略的互恵関係の深化に生かしていくことが求められます。  第三に、環境問題や持続可能な成長への取組に対する支援の重要性であります。  中国の著しい成長に伴う環境汚染は、現在のみならず将来の国民の健康を脅かすとともに、国境を越えて日中両国が直面する課題でもあります。  私たちは、北京で小型石炭ボイラーを天然ガス設備に置き換えるプロジェクトを視察し、地域の大気汚染が改善され、周辺の再開発が進んでいる状況を認識しました。また、四川省においては、メタンガスの施設を建設し、森林伐採を削減するプロジェクトに加え、二〇〇八年の四川大地震により破壊された森林の再生を図るプロジェクトを視察し、中央政府、四川省政府、地域住民による高い評価や、他の地域の林業関係者に対する森林再生の良きモデルとなっている状況を認識しました。  このような支援は、中国全体の持続可能な発展を支え、日本の成長にも結果として貢献していくものであり、個々の事業が終了した後も見据え、日本側の協力拠点や既存の技術協力の資産の活用を図っていくことが必要であると感じました。  第四に、中国による対外援助政策をめぐる対話の継続であります。  中国は著しい経済発展により、国際社会における影響力が急速に高まっており、途上国による南南協力という枠組みで始まった対外援助にも世界の目が強く注がれ、日本を始めとする援助国や国際社会との間で理解を深めていくことが求められています。  OECD、DACと中国の間、日本政府やJICA等の関係機関と中国政府との間でも、対外援助に関する対話が既に行われていますが、国会議員による中国対外援助当局との対話は、中国の対外援助の透明性を高め、対外援助における日中協力の可能性を模索する観点から重要であり、今後も定期的に実施していくべきと考えます。  今般の調査を踏まえ、全体として感じたところを申し上げます。  我が国のODAの果たす役割や位置付けは、相手国の経済発展の段階に応じて刻々と変化を遂げています。派遣団による調査も、ODAに直接かかわる政府当局や機関、我が国のODA案件のみならず、変化に応じて対象を選定していくことが今後一層必要となります。また、中国との間では、我が国との経済協力関係とともに、中国による対外援助について、政府関係者などとの意見交換を定期的に行っていくことが望ましいと感じました。  最後に、この場をお借りしまして、今回の調査におきまして協力いただきました視察先、在外公館、JICA事務所などの関係者の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。  ありがとうございました。
  13. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) ありがとうございました。  次に、第四班の中村博彦君にお願いいたします。中村博彦君。
  14. 中村博彦

    ○中村博彦君 ODA調査第四班について報告いたします。  第四班は、去る一月七日から一月十五日までの九日間、ミャンマー、ラオス及びタイの三か国に派遣されました。派遣議員は、石橋通宏議員、二之湯智議員、松田公太議員、山下芳生議員、そして私、団長を務めさせていただきました中村博彦の五名でございます。  第四班は、訪問した各国において、東日本大震災に対する温かい御支援に対し、心から感謝の気持ちを申し上げるとともに、政府、議会、政党関係の要人や、在外公館、JICA事務所、NGO関係者などと率直な意見交換を行い、現場主義を基本に、我が国ODA案件の現状と課題について調査をしてまいりました。  まず、ミャンマーでは、民主化の進展をじかに見聞しつつ、我が国ODAの本格的再開に向けていかに環境を整えていくかを中心に調査を進めました。  首都ネピドーで会談したテイン・セイン大統領からは、三権分立の下、民主化の動きを後退させず、前に向かって進んでいく、まずは農業開発を優先し、徐々に工業化を進めていくことを目指している、経済開発、貧困削減を進めていくためにも、延滞債務の削減、新規の円借款の供与を願いたい旨の発言がありました。また、ソー・テイン工業大臣、ティン・ナイン・テイン国家計画経済開発大臣などからも、アウン・サン・スー・チーさんの率いるNLD、国民民主連盟などの政治活動の自由、カレン族などの少数民族との和解の促進について決意が表明され、経済開発、貧困削減に向けたODAの本格的再開や、人材育成のための支援強化などについて言及がありました。特に、アウン・ミン鉄道運輸大臣は、民主化が逆行することは不可能であると明言されました。さらに、ナンダー・チョー・スワ国民代表院副議長からは、議会が幅広い国民の代表による活発な議論によって民主的に政治を進めていく旨の考えが示されました。  ヤンゴンでは、NLDのニャン・ウィン中央執行委員などや、チン民族党の党首、カチン族の宗教団体指導者を始め、少数民族政党代表者などとも意見交換を行いました。その中では、民主化の流れを歓迎する一方、少数民族との和解に対する政府の姿勢について心配も示され、真の和平の実現なくして国の発展なしとの強い意見が示されました。この点については、私どもも大統領にお伝えし、民主化の進展と和平の実現を強く要請してまいったところです。  なお、ヤンゴンでは、南部近郊のティラワ地区にある港湾施設と隣接する場所に計画中の特別経済区域予定地を視察したことも付け加えておきます。ここは、将来はODA案件の対象と考えられ、豊かな人口と資源に恵まれたミャンマーの潜在的成長力をうかがい知ることができました。  次に、ラオスでは、ラオスが目標とする二〇一五年のミレニアム開発目標の達成、二〇二〇年の後発開発途上国からの卒業に向けた取組と、我が国ODAによる支援の在り方を軸に調査を行いました。  ソムサワート副首相、ソマート公共事業・運輸大臣などからは、ラオスの第七次経済社会開発計画の実現に向けた、円借款の再開を始めとするODAによる支援の強化について発言があり、内陸国ラオスの特性を生かすための東西回廊など交通網の更なる整備、経済社会開発を担う人材の育成、メコン川のダム開発と環境保全の両立などについて言及がありました。スカン・ビエンチャン特別市長とは、ビエンチャンの古都の景観に配慮した都市計画に対するJICAの役割とODAによる支援について話し合いました。ラオス国民議会のラオス日本友好議員連盟の皆さんとは、議会間交流の強化について意見の一致を見ました。  私たちは、ラオス国立大学におけるITサービス産業人材育成プロジェクトを視察しました。IT分野における人材不足が深刻化している一方で、高額な授業料がネックとなり、履修学生の定員割れが生じております。IT基盤の強化と併せて、奨学金制度の充実など技術協力案件の実効性を確保するための更なる努力が求められます。また、気象レーダー施設を視察しましたが、台風の襲来増加といった近年の気候変動に対応するため、ラオス国内の気象レーダーの増設はもとより、メコン川流域諸国を始め東南アジア諸国における気象観測データ網の構築に向けた地域包括的な体制整備の必要性を感得しました。  次に、タイについては、昨年の洪水被害に対する復旧復興への支援、被災した日系企業への支援をどのように具体化していくかを柱に調査に取り組みました。  まず、キティラット副首相、元副首相のウィラポン洪水対策委員長、スラポン外務大臣、スカムポン運輸大臣と意見交換を行いました。タイ側からは、我が国の支援に対しての謝意が表明されるとともに、復興やインフラの再構築に向けた施策や予算措置の状況、チャオプラヤ川の防災・治水対策に対するJICAを始めとする我が国の支援、被災した日系企業に対する支援、今後のインフラ整備の在り方、防災分野における国際協力の推進などについて考え方の提示があり、意見交換を行いました。  続いて、バンコクの北にあるロジャナ工業団地を訪問し、甚大な浸水被害の実態を視察するとともに、工業団地の今後の防災対策と日系企業の操業継続支援策などについて工業団地公社と意見交換を行いました。公社側からは、工業団地を囲む輪中堤という堤防の増強工事に対する公的支援の在り方などについて考えが示されました。さらに、ホンダ、ニコン両社では、被災状況、復旧への取組についてお話を伺うとともに、被災した工場の復旧や冠水した自動車のスクラップ作業を視察しました。両社とも、三月から四月の操業再開目標を掲げて懸命に復旧に努めておられました。  また、バンケン浄水場において、円借款、無償資金協力、技術協力の連携の成果を視察しました。洪水被害に際しては、水道の安定供給の確保や水質の安全性に対してタイ国民の理解を得る上で、JICAとの長年の協力関係が生かされたとのことです。  続いて、今回の調査を通じて気付いた点を申し述べます。  ミャンマーについては、調査団訪問後も、少数民族との和平合意の進展、民主化活動家を含む政治犯の釈放、四月一日に無事実施された国会議員補欠選挙とその結果など、民主化の進展が見られています。今後、民主化の流れを更に進展させていくこと、全ての少数民族との和解が実現して国民的和平が達成されること、成長の果実が全ての国民の生活向上につながることを目標に、延滞債務問題の解決、新規円借款の供与を始め、ODAの本格的再開に向けた具体的検討をミャンマー国民の幅広い御意見も取り入れながら進めていくべきものと存じます。我が国政府もこの方向で検討を深めておりますが、我が国からの支援は政党関係者も望んでおり、経済開発と国民和解を通じて民主化の更なる進展が期待できます。  具体的には、ミャンマー国民の生活向上に資することを念頭に、港湾、鉄道、幹線道路、情報通信基盤などのインフラ整備、経済特区などの投資環境整備、経済社会開発を担う人材の育成を主たる柱とし、貧困削減や格差解消、少数民族居住地域の発展、社会福祉の整備、労働問題の解決などを実現し得る支援策を検討することを進言いたします。これらの支援を通じて、豊かな人口と資源を有し、地政学的にも重要な位置を占め、親日国の歴史を持つミャンマーの国づくりに協力すべきものと存じます。  ラオスについては、去る三月のトンシン首相の訪日に際して政府首脳間で協議されたように、ラオスの第七次経済社会開発計画の実現に寄与するため、円借款の再開に向けた検討を含め、ODAを通じた支援の更なる拡充を進めるべきです。  ラオスは、周囲を五か国に囲まれた内陸国で、海路へのアクセスがなく、国内市場も脆弱なため、いかに周辺国への物流ルートを確保できるかが大きな鍵となります。また、首都ビエンチャン以外の自治体では、いまだ道路網の整備が遅れており、地域住民が学校や病院に通うことのできない現状があります。電力の安定供給のための南部送電線計画を始め、国民の生活を支える基盤整備のためにODA支援が展開されることを期待いたします。  タイについては、去る三月のインラック首相の訪日に際しての政府首脳間での協議を踏まえ、洪水被害に対する復旧復興への支援として、タイ政府の計画を尊重しつつ、十億円の緊急無償資金協力の具体的活用、JICAが作成したチャオプラヤ川の治水対策や水資源管理の具体化などの諸施策の支援を進めるべきです。  今回の洪水災害は、改めて日本経済とタイ経済との相互依存関係の高まりを確認させてくれました。今後、被災した日系企業の操業継続を支援するため、工業団地を守る堤防の増強に対する支援や金融面などを含む支援など、きめ細かい支援策をタイ政府と連携して取り組んでいく必要があります。  今回訪問した三か国を始め、ASEAN諸国では、連結性の強化をキーワードに、インフラ整備や制度面の共通化を通じて、経済的一体性を強化する取組が進んでいます。また、メコン流域諸国に対しては、格差是正の観点からも支援の強化が求められています。  ASEAN諸国の経済社会開発や経済統合は、域内の安定や平和の強化、市場の拡大など、我が国の国益にとっても戦略的に重要な取組であります。我が国は引き続き、人々の生活向上に資するインフラ整備などのハード分野と、人材育成、社会保護、貧困削減などソフト分野とをバランスよく組み合わせた支援を進めること、JICAだけでなく民間企業やNGOを含めた日本ブランドに対する厚い信頼を活用すること、官民が連携して裾野の広い取組を拡大することなど、我が国の特色を生かしたODAの実施を進め、ひいては、ASEAN諸国の経済発展を我が国の新たな経済成長につなげていくことも大切であります。  訪問した三か国では、JICAの専門家、青年海外協力隊、シニアボランティアの方々やNGOの方々が、日本の顔の見える援助を体現していただいておりました。これらの援助人材の育成、ODAとNGOの連携の拡大強化についても重点課題として引き続き取り組むべきです。  さらに、厳しい経済財政状況の中でありますが、東日本大震災に際して多くの開発途上国から心温まる御支援が寄せられたことを踏まえ、国際的に目標であるGNI比〇・七%の達成に向けた額のODA予算の拡大を図り、二国間援助予算の確保や国際的な支援の枠組みとの連携に配慮しながら、量と質の両面から、我が国の国益に資する戦略的でめり張りのあるODAの持続的な実施、国民が共感して、国民に応援されるODAの充実に努めるべきです。  最後になりますが、今回の調査に御協力いただいた訪問国や視察先の皆さん、また、在外公館、JICAなどの内外の関係機関の皆さんに心から感謝を申し上げます。  報告を終わります。
  15. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) ありがとうございました。  以上で調査報告の聴取は終わりました。  これより意見交換に入ります。  本日は、外務省から山根外務副大臣、越川国際協力局長及び南外務大臣官房参事官に、独立行政法人国際協力機構から田中理事長及び渡邉理事に、それぞれ御同席をいただいております。発言に対して回答をお求めになる場合には、派遣に参加された委員に対してだけではなく、御同席をいただいている方々に対しお求めいただいても結構でございます。  また、回答をされる場合は挙手をお願いいたします。  なお、発言は全て起立してお願いいたします。  それでは、発言を希望される方は順次御発言願います。  まず、水戸理事。
  16. 水戸将史

    ○水戸将史君 民主党の水戸でございます。  今日は、四人の派遣をされた先生方から、順次、団を代表しての御発表、御報告がございました。ありがとうございました。  何点か、今話をお伺いしながら、委員の先生方から、並びに当局の方からお答えいただきたいと思っております。  私自身も第二班の大野委員と一緒でございますので、第二班のことにつきましては割愛させていただきながら、まず、第一班の水落先生から、アフリカに関しましての御報告をちょうだいいたしました。横浜でもまたアフリカ会議が開催されるということで、もちろん、アフリカという一つの大陸を見てもいろんな国ありますものですから、一概に全てという話になりませんけれども、やっぱり重要な日本のこれからの関係諸国だと思っておりますが。  今の御説明の中におきましても、私も第二班として訪問させていただいた中でも感じましたことは、やはり、民間企業の進出に関していろいろなハードルがあるという御報告も先ほど水落先生からもございましたが、これに関しまして、もうちょっと詳しく、この民間の優れたアイデア、資本の利活用をということはここに記載されておりますけれども、具体的にどういうようなアイデアが、もしこれからの民間投資の環境整備という中で考えられるのかということが具体的にあれば、またここで挙げていただきたいと思っております。  なおかつ、これはもう古くて新しい問題かもしれませんけれども、青年海外協力隊で、これは第二班の報告でもございましたが、非常に志高く、向こうに二年ないしは三年という形で行っているわけでありますが、その後のサポートがないということはもう本当に前から指摘されているんですが、その都度指摘をされていると思いますけれども、今までの中において改善点があったのかに関しましては、当局から責任ある方が、これに関して、青年海外協力隊のその後の、帰国後のサポート体制についての改善点があれば、具体的にどういうものがあったのかは、現時点に至ってどういう試みをしてきたということについてはお話をしていただきたいと思っております。  もう一点でございますが、何点かありますけれども、いろいろ先生方からおありでしょうから。  第四班の中村先生からも御報告がありました。本当、これからの可能性、潜在的な可能性がある東南アジア諸国でございますけれども、特に中国と隣接しているミャンマー、ビルマですね、等々はもちろん、タイもその近くでありますけれども、やはり中国との関係強化というのは、当然これはこの東南アジアのみならずいろんな諸外国もありますけれども、一説には、中国は非常に、余りにも度が過ぎるということで警戒している向きもあるというふうに伺っておりますが、中村先生御自身が東南アジアへ行かれたときにどういう中国観をお持ちになられたのかということと、あと、第三班からも、逆に中国と日本とのいわゆる、何というんですか、協力した対外援助というものをしていく必要があるという御指摘もありましたものですから、今後、総合的に考えて、この東南アジアに対しましても日本の政府と中国がどういう形でタイアップしてそういう諸国に対する援助が行われるべきであるかということの、そうした方向性につきまして当局からお話をいただければと思っております。  以上です。
  17. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) ありがとうございます。  それでは、順次御意見をいただきたいと思います。
  18. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 御質問の民間企業のことについてでありますけれども、一例を挙げますと、南アフリカにおきまして、現地日本企業関係者との意見交換を行いました。そうした中で、やはり企業関係者がおっしゃるには、まず一つとしては大使館のサポートがこれは必要なんだと、まず第一にそのことをおっしゃっておりました。やはり相手国政府の対応については、官民連携といってもやはり大使館の情報が必要であって、それが一番不可欠だということがまず第一点でございました。  そして二つ目ですけれども、どういうふうに日本のプレゼンスを高めるかというのがやっぱり日本企業としては課題であるということでありました。特に、中国とかブラジルとか韓国などがアフリカ進出の中で大きく占めているわけですけれども、そうした中でやはり日本のプレゼンスをどう高めるかが課題であるということでございました。特に、相手国政府の許認可に対するハードルが高いわけでありまして、そうした点では官民の連携、特に大使館との情報交換が必要だということをおっしゃっておりました。  それから三つ目ですけれども、やはり中国のことを非常に言っておりまして、中国のやり方についてはここで申し上げると長くなりますのでちょっと省きますけれども、とにかく中国とのやり方との差別化を図るということが必要なんじゃないかということでありました。また、その中国とのやり方との差別化を図るということについては、やはり一つの事業を行っても、その後のメンテナンスですね、そういうことをしっかりと日本がやっていくということについては評価がされているということを言っておりました。  また、資源開発、例えば南アフリカにしてもモザンビークにいたしましてもザンビアにいたしましても資源が豊富なわけでありまして、その資源開発に当たりましてはやはり道路等のインフラ開発が不可欠であって、これについてもやはり、特に官側の協力が不可欠であるということを話しておりました。  また、アフリカで事業を展開する上では、申し上げたように、再三申し上げるように、大使館とか政府関係機関からの情報提供やアドバイスが非常に役立っているということでございます。  また、日本がODAを活用して新技術を移転することは相手国にとってプラスになっておりますし、そして日本の企業が売っていく環境を整えることに通じている重要な取組でもあるということを言っておりました。  説明になったかどうか分かりませんが、以上です。
  19. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) 時間が限られておりますので、少し今度は短くカットしていきたいと思いますが。  今、実は水戸議員から質問が大きく分けて三点に分かれていたと思うんですが、今一番目の質問についてお答えいただいて、その中で三番目に質問された中国との関係の問題等についてという質問がありまして、今、水落議員から中国との差別化を図ることがというふうなことの意見提示がございましたけれども、これについて、中国との関係に絞りまして、中村先生のところは中国との問題をプレゼンされているんですが、いかがでしょう。
  20. 中村博彦

    ○中村博彦君 今一番、中国との影響を受けて、そしてというところが一番ミャンマーの実情でないか。ミャンマーが変わろうとしたのは、私はやはり中国一辺倒の援助ではという思いがミャンマー国民の中に満ちあふれた結果でないかと思います。その結果が、あのミッソンダムというのを中止をして、もちろん住民運動の反対運動がございました。そして、御存じのとおり、ミャンマーというのはタイに近い部分、また中国に、雲南省に近い部分、インドに近い部分、いろいろございます。そういう中で、やはり自らの国が、やはり共に手を携えてそれぞれの国々というのが私は結果として出てきたのでないか。  例えば、ダウェーでございますと、タイのバンコクと近い関係でやっぱりタイだ、そして日本との海外援助が必要なんだという地域的な結果を、結論を得ておると思います。そしてまた、ヤンゴン近郊のティラワの工業団地の開発は是非日本なんだ、韓国にもとかいう動きが出てきておるのは、まさにアジアの国々の力を借りながらという結論が中国一辺倒から出てきた結果が、今回のミャンマーの大きな民主化の動き、私は政治の大きな変動になったと。日本が対中国との結論を考えるより、賢明なミャンマー人が考えた結論が今まさにミャンマーの動きになっている、こういうように考えます。
  21. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) ありがとうございました。  中国に行かれた赤石さん。
  22. 赤石清美

    ○赤石清美君 私、中国に行きまして、中国があのODAを援助している部局の責任者とお会いしました。さらに、国内でそのODAを受け入れている方の両方の責任者とお会いしました。  まず、対外的に中国がODA活動をしているのは、もうこれははっきり戦略的な国益を得るために実施をしていると。したがって、ある種の資源があるとすれば、その資源を勝ち取るためにそこに資金の援助をする、人の援助もする、そしてその最終的な結果を得る、こういうふうな戦略的な方針でやっていますということを言っていました。かなりはっきりしたやり方だろうというふうに、これは日本と大きく違うと。元々、日本の歴史は貧困対策であるとか衛生対策であるとか農業施策であるとか、そういうことから始まっているわけですけれども、それとは全く違う観点でやっているということであります。  私、モンゴル行ってやはり同じように聞きました。そうしたら、やはり中国から元借款とかそういうのを受けるのは基本的にはかなり抵抗を持っています。やはり日本にいろいろやってほしいと。  というのは、一つは精度の問題があります。例えば、道路一つ取っても、もう一年か二年で道路がほとんど使い物にならなくなる、日本でやった道路は十年も二十年もしっかりしている、そういう技術的な精度の問題がまずあります。それと、やっぱり人間関係といいますか、ヒューマンリレーションの問題があると。これは余り泥臭いことは言えませんけれども、そういう問題があると思います。それと同時に、やはり長期的にパートナーとして日本が非常に人間的に慕われているところがあるんだろうと思います。非常に中国はどちらかというと割り切ったそういう政策だろうというふうに思います。それがなかなか相手に通じないというところもあるのかな、日本はそういう点では非常にすばらしいやり方をしているのではないかなというふうに思います。  以上です。
  23. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) ありがとうございました。  中国との関係の問題、いろいろな御意見ちょうだいしましたが、中国との問題について協力の、差別化の問題と協力関係の問題と、この辺については後で時間がありましたら外務省当局からも少しコメントをいただきたいと思います。  それから、水戸先生の二番目の質問でございましたが、青年協力隊のその後のサポートの問題についてどうだという話がございましたので、当局側から答弁を。
  24. 山根隆治

    ○副大臣(山根隆治君) 私自身もその点非常に懸念をいたしまして、いろいろな各国訪問する後に事務当局にそのことを調べさせたことがございます。そういたしますと、二年ほどたつと就職の率としてはかなり、九割くらい就職されていると、こういうような報告も受けているところであります。  しかしながら、本当にその就職先が御自身の能力、語学力、あるいは経験等に照らして、本当に本人が満足されているのかどうかということについては確認が、更にする必要もあるんだろうというふうに思っているところであります。特に、最近の傾向といたしましては、海外青年協力隊については女性が非常に、後ほどJICAの方からもお話あろうかと思いますけれども、女性の方がむしろ希望者が多いと、こういう実態もございます。帰国されてから御結婚をそのままされるという方もおられるのかと思いますけれども、そういった状況の変化ということがあるということも感じているところであります。
  25. 渡邉正人

    ○参考人(渡邉正人君) 国際協力機構の方からお答えをさせていただきます。  水戸先生の御指摘のとおり、青年海外協力隊事業の改善を図る上で、帰国隊員の就職対策、非常に重要だというのは御指摘のとおりでございます。隊員の帰国後の就職が円滑になりますと、応募者の増加、それから帰国後の日本社会への還元の拡大という両面での効果が期待できます。  先ほど副大臣から御答弁ございましたとおり、私どもJICAといたしましても、帰国後の隊員の状況につきましては注意深くモニターし、フォローさせていただいておりまして、大体一年後の段階で九割前後の皆さんが何らかの形で就職あるいは復学されているというデータがございます。  他方で、私どもとしても更なる改善を図っておりまして、これまでの帰国時の就職相談やキャリアパス研修、進路開拓支援セミナー、あるいは各自治体の帰国隊員採用優遇制度の拡大働きかけなどに加えまして、最近は、民間連携という観点から、民間企業の皆様に、特に企業の人事関係者に対しまして、協力隊が活動している現地を視察していただく、あるいは、これは先般、外務大臣感謝状の表彰式ございましたけれども、その際に、中小企業を含めた民間企業の皆様にも御参加いただいて、そこで協力隊の帰国隊員と会っていただくといったようなことも行っております。昨年十二月には、民間企業との連携強化に資すべく、外務省の御協力も得て、経済産業省との共催のシンポジウムを開催いたしまして、グローバル人材リソースとしての協力隊経験者の優位性というのを民間企業の方にアピールさせていただいております。  以上でございます。
  26. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) 舟山君。
  27. 舟山康江

    ○舟山康江君 民主党の舟山でございます。  調査団の海外派遣の報告をお聞きいたしました。私から、大きく簡単に四点だけお聞きしたいと思います。簡単ですので、簡単にお答えいただければと思います。  まず一点は、アフリカのモザンビークに関してですけれども、皆様が調査に行かれたその後、程なくしてアリ首相が、アリ首相一行が来日をされました。私は、その来日をされた首相一行、関係大臣との懇談、意見交換にも参加をさせていただきましたけれども、その際に、やはり日本の援助に対する期待は多くありました。  その中で、ここには農業分野における支援ということがありますけれども、同時に、水産分野について日本からの支援がいただきたい、水産ですね、水産分野についての支援がいただきたいというお話がありましたけれども、実際にモザンビークに行かれてそのようなお話が具体的にあったのであれば教えていただきたいということと、同時に、こういった要望につきまして、外務省として、手法、これ民間投資の拡大に期待とありますけれども、モザンビークに対してはまだ、民間がいきなり行くというよりは、恐らく草の根レベルでの協力とかいろんな手法が考えられると思いますけれども、こういう要望についてどういうふうに対応できる可能性があるのか、そこについてお聞きしたいと思います。  二点目が、青年海外協力隊は非常に各地で活躍していると、そのことについては私も同感でありますけれども、一方で、この第三班、東アジア班のモンゴルにおける報告にありますけれども、せっかく行ったはいいけれどもその技術協力が生かされていない事例があるという報告がありました。これは非常に重要な指摘だと思いますけれども、この青年海外協力隊を派遣するに当たって、先方のニーズとこちらの派遣というのをどのようにマッチングさせているのか。ニーズのないところに幾ら派遣をしても余り効果はないと。単に青年の協力機関ではありませんので、やはりニーズをどう把握してそれに対してどうこたえているのかと、その辺の仕組みを教えていただければと思っております。  三点目が、これも非常に重要な指摘だと思いますけれども、この第二班の報告の中で、トルコにおいてせっかく様々な協力の案件ニーズ、そしてその協力をきっかけとして、企業参入ですとかいろんな日本にとってのメリットにもつながり得るものに対して、なかなかその制度が不備なために進んでいないという報告がございました。こういった大きな問題に対して政府としてどう、この多分報告はもう既に聞かれていると思いますけれども、何か大きな対応を考えておられるのかについてお聞きしたいと思います。  最後になりますけれども、これ同じく第二班の大野議員にもし分かればお聞きしたいんですけれども、これ、アンマンにつきまして慢性的な水不足に悩んでいるという御報告がございました。一方で、先日、日ヨルダン原子力協定が結ばれましたけれども、この原子力、ヨルダンでの原子力の建設計画は元々アカバ湾だったものが今回の東日本大震災を受けてヨルダン市内に移ったと聞いております。そういう中で、原子力は当然冷却の水が必要なわけですけれども、この辺、こういった非常に厳しい状況の中でどうとらえているのか、可能なのか、その辺、もしお感じになったことがありましたら、お聞きしたいと思います。  以上です。
  28. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) まず最初に、三つですね、モザンビークで水産案件に対する要望等があるのかどうかという話、それからモンゴルで生かされていない話の原因がミスマッチといいましょうか、そういったことにあるんじゃないかと、それからトルコの企業参入に対して政府がどういうふうに認識しているかということなんで、一応この三つについて政府側から答弁してもらえますか。答弁というか、意見を。
  29. 越川和彦

    ○政府参考人(越川和彦君) 今御質問ありました、まず、モザンビークの件についてお答えしたいと思います。  私も去年の八月までアンゴラで三年間大使をやっておりまして、モザンビークとアンゴラの、歴史的にも非常に近い関係があります。モザンビークは九二年に和平協定が成りまして、それ以降、国内の安定ということで、日本政府としましては、民主化あるいは平和の構築ということで貧困削減、こういうことを中心に援助をしてまいりました。私が離任する前後からモザンビークに対する日本の民間の関心が急速に今高まっていると思います。特に過去一年間でございます。  それで、この間のアリ首相の訪日の際も、野田総理の方から、これまでの貧困削減、人道的な分野に加えて、石炭ですとか天然ガスの資源分野における協力を一層強化していこうというお話がございました。それで、二国間の間で投資協定の交渉も開始しようということで一致をしてございます。  ということで、これまでどおり貧困削減での援助に加えまして、これからはビジネスの関係の環境整備、あるいは先ほどからの御報告にもありましたけれども、ナカラ回廊という非常に広域といいますか広い地域における農業開発、その農業開発についても、まさに今週、これは日本とブラジルとモザンビークの三か国の協力でございますが、日本の民間企業、政府、それからブラジルの政府、民間企業、モザンビークの政府、民間企業が現地に行きまして、この将来についてビジネスの視点も加えまして今協議をやっているところでございます。  それから、水産関係につきましては、最近ですが、無償資金協力で魚市場の案件についても交換公文の署名を行ってございます。天然ガスにつきましては、もう二〇一八年ごろからもし開発が順調に進むと日本の一〇%前後に、消費に匹敵するような天然ガスがモザンビークから来る可能性があるということで民間の企業の間で話が進んでおり、これに対して日本政府としてもあらゆる面で支援をしているというところでございます。  モザンビークについては、取りあえず以上でございます。
  30. 渡邉正人

    ○参考人(渡邉正人君) モンゴルにおきます理学療法士の隊員の件でございます。  第二班の御報告にございましたとおり、先生方にはモンゴルの国立外傷整形外科医療センターを御訪問いただいております。そちらで隊員とお話をしていただいております。この隊員が申し上げたことと、それから実際にこの隊員を派遣するに当たって現地から取り付けた要請、それから要請内容について、若干補足的に申し上げます。  モンゴル政府から要請ありました時点では、このボランティアの派遣目的あるいは要請というのは、この医療センターにおきます医師及び看護師を対象とした理学療法の知識、技術の移転というものが要請内容でございました。他方で、この隊員が実際に現地に行きますと、ちょうどその年、昨年の六月になりますけれども、モンゴルで初めて健康科学大学附属看護学校というところから理学療法あるいは作業療法専門の卒業生が出たと。  したがって、この卒業生は全部で十五名いらっしゃるそうですけれども、このうちの何人かがこのセンターに来ていただければ更に技術移転の効果が上がるのではないかということを隊員が申し上げたということでございまして、この隊員が申しておりますことは非常に理にかなったことでございますので、早速、事務所の方からモンゴル側に対しまして、医師それから看護師への技術移転に加えまして、昨年から卒業生が出ておりますこの健康科学大学附属看護学校の卒業生もこちらの方に配置していただいて、そこで効果的な技術移転を行っていただきたいという働きかけを行っておりますので、この件は、厳密に申し上げますと、ミスマッチの問題というのとはちょっと違うのかなという感じがいたします。  他方で、事業仕分などで指摘されましたミスマッチの問題につきましては、JICAといたしましては、外務省の昨年前半に取りまとめました政策ペーパーにも重視されておりますとおり、重視して対応しております。要請国側への十分な事前の説明、あるいは応募に必要な資質、能力の明確化、隊員選考時の面接時間の倍増、あるいは配属受入れ時の要請内容の確認を更に強化すると、それから実際に派遣された後の活動中のモニタリングを強化するといったような様々な措置を積み上げてきておりますけれども、今後とも先生方の御指摘をいただきながら充実を図っていきたいと思っております。
  31. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) 三番目のポイントの、トルコの件を例に出されまして、企業参入における政府側と官民の協力が必要だという指摘に対して、そして、それに対して政府側がどういうような支援体制取っているかという話、質問がありました。  政府側、どなたか答弁できますか。
  32. 越川和彦

    ○政府参考人(越川和彦君) トルコに対しましては、今現在、ボスポラス海峡の地下を潜る鉄道、地下鉄の支援を円借款でやっておりますが、御指摘のありましたように、もう高中進国ということになっておりまして、九千ドルをパーキャピタで超えるような状況になってございますので、なかなかODAで対応できる部分が限定されてきているということは事実でございます。一方、トルコはいろんな意味におきまして日本にとって非常に重要なパートナーでございます。周辺国に対する南南協力を日本が支援する、ある意味で三角協力も積極的にやっております。  それから、現在、政府の方でパッケージ型インフラ海外支援、展開支援ということでございまして、中進国、あるいはそれを超える国につきましても、幾つか限定がございますが、円借の利用というものもその案件に応じては柔軟に対応して適用していこうということでございますし、あと、JBIC含めまして、オールジャパンでこれに対して対応して、できるだけ日本の企業進出あるいは大型のインフラの受注というものを獲得していこうということでやってございます。  あと、技術支援、それから人材育成支援、こういう技術協力については引き続き積極的にやっていこうというふうに考えてございます。  以上でございます。
  33. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) それから、指摘があったのが大野委員、名指しで御質問がありましたので、大野委員から一言。
  34. 大野元裕

    ○大野元裕君 御質問にお答えする前に、先ほどの口頭の報告の中で、平成十七年のODA調査第三班がキング・フセイン橋のサインボード設置に指摘があったと申し上げましたが、失礼いたしました、平成十九年でございました。訂正をさせていただきます。  その上で、舟山先生の御質問に答えさせていただきます。  私の私見ではありますが、私、ヨルダンには三年間住んでいたことがあります。そのようなときに、水に関して申し上げると、週に一、二回の給水で、それをためて一週間分使っていくという非常に厳しい、特にアンマン市内においては、アズラクというところにありました湖を全部飲み干してしまって、今、結果として、このザイの浄水場に揚げてくる揚水のポンプが極めて重要であります。  千三十二メートルのところにまで一回揚げて、それからアンマンに給水しますけれども、先ほどの原発との関係について申し上げれば、我々日本人は水や電気が豊富な中で原発のリスクを考えていますが、彼らはそもそも原発がなければ、原発に供するための水、それから自分たちが生きるための水、これがない状況にあって、原発のリスク以前に、なければ死んでしまう、こういう状況にすら直面せざるを得ないようなところが近い将来見えているところでありますので、そのリスクについて考えるときには、その国々によって大きく与件が私は異なると思っていますので、日本における原発のリスクの考え方とヨルダンにおける原発のリスクの考え方というのは相当大きく異なる点もあるということを地域の与件として申し述べさせていただきます。
  35. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) それでは、ほかに意見。  では、こちらへ参りましょうか。北川先生。
  36. 北川イッセイ

    ○北川イッセイ君 自由民主党の北川でございます。  派遣団の皆さん方、四班に分かれて行っていただいて、今日は大変すばらしい報告をしていただきました。本当にありがとうございます。  いろいろ質問したいことがあるんですが、一番気になったのが、これは第四班ですか、ミャンマーの問題ですね。これ、報告では非常に民主化が進んで非常に意欲的にやっておられると、こういうような状況で、政治形態も非常に変わったと、こういう状況を聞かせていただきました。  しかし、これからこのODAを進めるについて、非常に、円借款で延滞が随分たくさんあるわけですね、このミャンマーについては。これは、今後ODAを進めるについてどういうようにこれを考えていくのかということは一つの大きな課題じゃないかなと。もちろん、これはミャンマーだけの問題ではないと思いますけれども、一番典型的な問題としてミャンマーの問題を考えなければいけないというような思いがいたしております。これはもうまさしく、延滞が非常にたくさんある中で今後どうしていくのか、まさしく政治判断だと、こういうように思うわけであります。  私は、せっかくいい方向に向かっているものについて過去に延滞があるから一切駄目ですよという話はなかなかODAの精神からいってよくないんじゃないかなという思いもします。過去のこの延滞については過去の分としてどうするのかということをしっかり考えていく、そして今後の問題は今後としてどういうように進めていくのかということを考えていく、この二つ、切り分けて考えていく必要があるんじゃないかと、私はこれ個人的な意見としてそんなふうなことも思っておるわけですけれども、今日は幸いにして山根副大臣お越しでございますから、これも政府として統一見解出ておればいいんですけど、まあ恐らく出てないだろうというふうに思います。山根副大臣、個人的な見解でも結構ですから、これどういうように考えられるのかということを、もし意見があればひとつ聞かせていただきたいなと、そういう思いがいたします。  それから、第三班ですね、モンゴルの問題ですが、モンゴルと日本の付き合いというのはもう非常に長いわけですね。ODAを通じてのこういう協力関係も随分進んでおるわけです。しかし、いつも何か問題がある。この第三班の報告でも、今後の問題として、日本とモンゴルだけの関係として考えていくということ以上に、ほかの主要な援助国、それから国際機関などとも連携をして、中長期的な視点に立った検討、議論というものが必要だというようなことを書いていただいております。  私も全くそのとおりだというふうに思うんですが、しかし、かといって具体的にそうしたらどうするのかというと、これも非常に難しい話で、何かこれについて、いや、こういうような機関があって、こうすればいいんだとか、何かそういう御意見があれば、特にJICAの関係の方々あるいは政府の関係の方々からも、もしそういうような方策を考えておられるということであれば聞かせていただきたいなというように思います。  それから、いろいろあって申し訳ないです、第一班ですね。モザンビークで東洋の星小学校の話がありました。大変すばらしいネーミングで、この名前を聞いただけですばらしいなというふうに思いますが、特にこの中で小学校の生徒さんといろいろ交流されたと、こういうように書かれております。どこの国へ行きましても、子供というのは一番正直であり、一番純粋ですから、水落先生、団長として行かれて、子供と接触されて何か感じられたことがあれば聞かせていただきたいなというふうに思います。  それから、第二班で、パレスチナでリプロダクトヘルスの向上プロジェクトで、母子手帳、母子健康手帳、日本にもありますわね、母子手帳、これを普及されているという報告がございました。この現状ですね、どういうような考え方でどういうような普及をされておるのか、もしこれ以上のことが分かるのであればお聞かせいただきたいなというふうに思います。  以上、よろしくお願いします。
  37. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) それではまず、いわゆる延滞債務の問題に関係して、それと新規案件の採択等に関係して外務省の方からまず意見をいただきたいと思いますが。
  38. 山根隆治

    ○副大臣(山根隆治君) まず、ミャンマーの件でございますけれども、ミャンマーはヤンゴンから首都がネピドーに移ったということ等がございますけれども、ヤンゴンの方に御視察をいただいたということは、非常に大きくミャンマー自身が、国が大きく変わっております。そして、テイン・セイン大統領の民主化ということについても国際的な認知を大きく受けつつあると。こういう中での御視察で、いろんな思いがおありだったろうと、感想がおありだったろうというふうに思っております。  円借款の問題については、今、北川先生お話がございましたように、非常に大きなものがございまして、これを整理しないと新たな支援ということは非常に難しいという状況が現実としてございます。  ただ、過去の債務がどれぐらいなのか、利息を含めてどうなるか、そしてその支払方法をどうするかということについて、事務レベルで既に国に訪問を、ミャンマーの方に事務レベルでいたしておりまして、その債務がどれぐらいだという認識そのものも大きく異なっていたということもありまして、日本側の方で細かく説明をさせていただき、延滞金等についてもまず事実を事実として確認すると、こういうことができるようになったということでございまして、ここから、さあ、それではどういうふうにこれをお返しをいただくかということについて、マスコミ等ではこれ全部チャラになるんじゃないかというような報道等もございますけれども、事はそう簡単にいく状況じゃないかというふうに思っておりますけれども。  今度、四月の二十一日に日本・メコン会議がございまして、大統領も訪日される可能性もかなりあるというふうに承知をいたしておりますけれども、そこで具体的な政治的にも詰めた話ができればということで、今事務当局ではいろいろと細部を詰めていると、こういう状況でございますので、今すぐにこうなりますということは申し上げられませんが、そういう機会がありますので、そのときまでに何らかの形というものを表現させていただくことになるだろうというふうに思っているところであります。  それから、モンゴルとの関係ということでございます。  モンゴルは、御承知のように、ウランバートルという首都がありまして、そこに百万を超える人口が集まっているということで、非常にバランス的には、全土のバランス、都市のバランスというものが余りないというところが一つございますけれども、社会基盤のこれからはやはり整備ということをどうするのかということもありますし、それからやはり土地の所有意識、管理意識ということも非常に他の国に比べて薄いという、草原の国でありますから、ということから起きてくる様々な問題というのもございます。  そういった問題で、私たちの経験というものを提供しながら開発ということにつなげていくということは十分可能だろうというふうに思っているところであります。  以上でございます。
  39. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) それでは、モザンビークの東洋の星小学校の案件とリプロダクティブヘルスの母子手帳の問題についてレポートいただいているわけですが、レポート以上のコメントがありましたらお願いいたします。モザンビーク、よろしいですか、これで。
  40. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 東洋の星小学校でありますけれども、これ二〇〇一年度に約十億円のお金を掛けて小学校五校を新設して、二校建て替え、ほかに中学校二校を造ったわけですけれども、このことによって、やはり今まで一時間半も掛けて通っていた子供たちがすぐ近くの学校に通えるということで、非常に就学率も増えたり、またそうしたことで通学しやすくなって、非常にもう喜んでおりました。  私、感じましたのは、特にモザンビーク、経済成長率七%で非常に高いんですけれども、まだまだ貧困層が六〇%もあります。そうした貧困層からの脱却のためにはやはり教育が必要なんじゃないか、やっぱり根底には教育が横たわっていると思っておりまして、そうした就学は非常に、子供たちの就学は非常に必要なわけでございますので、やはりこうした資金供与、学校を造って良かったな、こんなふうに思っております。  やはり学校の整備とか支援、あるいは教員の養成、こうしたことは今後もしっかりとやっていかなければならないというのが私の感想であります。
  41. 越川和彦

    ○政府参考人(越川和彦君) 母子手帳の件について御質問がございました。  現在、アラビア語版の母子健康手帳をつくりまして、我が国の技術協力でございますが、パレスチナ自治区内の全病院、クリニックに広く認知されているという状況になってございます。それ以外に、国際機関でありますユニセフですとかパレスチナ難民支援機構のUNRWAを通じて、やはり各パレスチナ住民及びパレスチナ難民の全妊産婦にこの手帳が自動的に配付される仕組みも今でき上がってございます。  最近では、UNRWAを通じまして、パレスチナ自治区内の難民に限らず、ヨルダン、それからシリア、レバノンといいました周辺国に滞在しておりますパレスチナ難民にも母子手帳、母子健康手帳が配付されておりまして、広く認知がされているということでございます。さらに、できれば周辺のアラブ諸国における他の病院や一般住民にもこういう母子手帳が普及されていくということを期待してございます。  それ以外に、同様にインドネシアにおきましても、母子健康手帳については日本の協力によりまして広く採用されてございます。  それから、済みません、ミャンマーの債務問題について、山根副大臣御答弁申し上げたことについて、若干、我々事務的に今交渉をしておりますので、付け加えさせていただきます。  今週末、二十一日に日本とミャンマーの首脳会談が予定されてございます。その首脳会談に向けまして、ミャンマー側と数次にわたり延滞債務の交渉をしてまいりました。基本は、延滞債務についての大きな道筋を付けるということ、それから、それによって早くニューマネーといいますか新規の円借款を供与できるようになるというこの二点につきまして、基本的な合意をした上で交渉をしてまいりまして、今、その問題につきまして、非常に両国は近い立場といいますか、接近しておりまして、できれば今週末に首脳間で最終的なその確認ができればというふうに考えてございます。  以上でございます。
  42. 中村博彦

    ○中村博彦君 私は、今、北川委員から御質問がございましたが、この御報告で申し上げたように、アウン・ミン鉄道大臣は少数民族との和解の責任者です。そして、ソー・テイン工業大臣がサブの責任者でございました。このお二人の話を聞くと、本当に民族和解はやるんだと、それだけの決心が伝わってまいりました。そして、一月からその後の推移を見ますと、本当に彼らは言ったことどおり実行しているなと。  それと、NLDにお目にかかったときに、ニャン・ウィンさんにお目にかかりました。その後、選対の委員長をされてございます。そのニャン・ウィンさんがやっぱりアウン・サン・スー・チーさんの言葉を紹介してくれました。テイン・セイン大統領は真剣だよと、信じよう、ここは信じようと、そういう言葉があったということがございました。  だから、私は是非、延滞金の問題、これは越えてもらいたいなという思いをそこで感じた一人でございますから、それを御報告だけしておきたかったわけでございます。
  43. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) 米長さん。
  44. 米長晴信

    ○米長晴信君 民主党の米長晴信です。  第二班に絞ってお話しさせていただきます。先ほど御訂正あったフセイン橋の看板ですけれども、あれ、私がちょっと指摘させていただきまして、なぜなら、私が当事者でありまして、当時、加藤現外務政務官とともに行った案件でございました。  一点に絞りたいのは、パレスチナ自治区に今回初めて行かれたということで、私、十年ほど前に入ったときにはまだ封鎖されているのはガザ地区だけで、ラマッラ等ほかの地区については壁の建設が始まったという段階でありました。その後、封鎖がより激しくなって、今行かれてどんな状況だったのか、肌感覚で。例えば、本当に極めて限られた人の出入りしか許されていないのか、出入りするに当たってはどういう市民に条件が必要なのかとか、その辺がどうなっていたのか、もし見聞きしていたら教えていただきたいと。  と申しますのは、それを人道上どのように問題視して克服していくというようなことをしないと、幾ら我が国のODAを投入して、教育なり啓蒙活動なり、インフラとかを整備して手当てしても、なかなかそこまで経済活動を封鎖されますと限界があると、その中の人に本当の意味での経済活動、社会活動できるために持っていくのに限界があるという意味で、その辺の肌感覚をお伺いしたいと思います。
  45. 大野元裕

    ○大野元裕君 まず、御指摘ありがとうございました。  パレスチナの自治区につきまして、今回はガザ地区は行っておりませんけれども、西岸側を見た限りにおいては、A地区、B地区、C地区と、つまりパレスチナ側が自主的な自治権限そして警察権限を持っているA地区、それから警察権限を持っていないところ、それからイスラエル側が全て握っているところというのが占領地の中にもあります。基本的には、イスラエル側が全てを握っているところ以外においては一定のパレスチナが警察権限等を行使をできておりますが、ところが、我々のODAのミッションで拝見させていただいて大きな問題であったのは、御指摘の分離壁、壁のために、あるいはそれぞれの様々なイスラエル側からの制限のために我々のODAの供与案件が制限を受けているというところもありました。  例えば、分離壁によって農業団地に至るまでの道が開設ができずに、結果として、その供用ができていないところがあるとか、あるいは逆に、先ほどの御指摘の中で母子健康手帳がありましたが、母子健康手帳を持っていないころに行っていた病院に結局行けなくなってしまって、結果として、母子健康手帳があったために、別な病院で病歴ですとか子供のワクチンの接種履歴等が逆に分かることによって、それに、皮肉なことですけれども、我が国の貢献がある意味彼らを救っている、そういったこともありました。  この分離壁、徐々に延びていることも事実でございまして、特に今、私は個人的に非常に懸念したのは、東エルサレム、つまり国連の決議によればパレスチナ側とイスラエル側が両方で監督をするところが、事実上、もう既成事実的に大きく囲まれて、イスラエル側に取り込まれようとしているという状況も見受けられたので、こういったものが新たな紛争、それから人道的な見地からいっての障害にならなければいいというふうに強く感じて帰ってまいりました。
  46. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) ありがとうございました。  竹谷君。
  47. 竹谷とし子

    ○竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子でございます。  四人の先生方、代表の調査報告、誠にありがとうございました。  この御報告の中で、現地で日本のODAがどれだけ役に立っているか、重要であるかということが御報告されました。とともに、問題の提起、また提案というものが様々報告をされております。  ここで個別に質問をさせていただいて政府から回答を得るということも重要であると思うんですけれども、一つ提案なんですけれども、この報告の中で課題を具体的にちょっと抽出をする形にして、それに対する政府の対応というものを回答をいただくような形にしてはいかがかと思います。大局的な問題とか検討に長期間要するものもあると思いますが、例えば二班の御報告にありましたように、最後の方に、現職の教員参加制度で都道府県によって運用が異なるとか個別具体の課題も提起されておりまして、その対応をどうするのか、そういったものを一覧にして御報告いただくということは貴重な活動ではないかと思いますので、ちょっと御検討いただければというふうに思います。
  48. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) 今の竹谷君の提言につきましては、これを後刻理事会で協議をさせていただいて、しかるべき対応を取らせていただきたいと思います。
  49. 竹谷とし子

    ○竹谷とし子君 もう一つ質問させていただきますが、これは外務省とJICAに伺いたいと思います。  ODAの国民からの理解、評価、これをどうやって得ていくかということについて、このODA特別委員会の中でも何度も議論されてまいりました。今回の報告の中でも重要性というものが非常に高いということが報告をされまして、現地に行った視察団の方は本当にそれを認識して帰ってこられたと思います。これを直で見るということと、行った人から伝えるということが重要であると思います。今、私も様々ODAに関する情報を政府からいただいておりまして、見える化を進める、ODAの見える化を進めるというお取り組みされていることを重々認識しておりますけれども、またこれからは、見える化から一歩また前進して見せる化、こちらから見せていくという活動が重要であると思います。  例えば、視察団、今回国会議員行かせていただきましたが、ツアー形式で国民の代表に来てもらうとか、有償で、お金を払ってもらって。例えば、ボランティアの方々、帰国されて自発的に講演活動されていたりします。これは非常に重要なことだと思いますが、これをJICAの主催で展開をしていくとか、あるいは地球ひろばを視察させていただきました、学生さんたちや様々な団体が見に来られている状況も見せていただきました。これも重要だと思います。この地球ひろばが移転するということについては私はどうかというふうに考えておりますけれども、もっともっと各学校に回ってどんどんJICAの施設を見に来てくださいという、そういった活動をしていくということも重要だと思います。  この国民の理解を得る活動について、外務省とJICAから御意見を伺いたいというふうに思います。
  50. 山根隆治

    ○副大臣(山根隆治君) 先ほど、教員の参加制度のこともありましたけれども、外交防衛委員会の方でも山本香苗議員の方からいろいろと御指摘をいただいているところでありまして、公立だけではなくて私立についてもという御指摘等もいただいておりますので、更に検討させていただきたいというふうに、研究させてもいただきたいというふうに思っているところであります。  さて、国民のODAの理解はと、こういうことでございます。  平成九年が一番ODAの額が我が国も多かったところでありますけれども、それから半減してきたという状況がございましたけれども、当委員会の皆様の与野党を超えた御協力にもよりまして、決議等もいただいて、本年度についてはこれを押し戻すと、こういうような非常にターニングポイントになった年ではないかというふうに私たちは理解をさせていただいているところでありますし、皆さんに感謝を申し上げたいというふうに思っているところであります。  客観的には世界第二位の、額としては第五位のODAの額ということになっておりますけれども、しかしOECDの中ではまだまだ非常に厳しい状況がありまして、二十三か国の中で国民総所得に占める割合ということでは二十位ということでございます。御承知のように、世界の目標としては〇・七%にというようなことがあるわけでありますけれども、現在、日本国ではそれが〇・二%にしかすぎないと、こういう状況がございます。  経済状況も非常に厳しい中ではございますけれども、ODAを実施することによる大きなメリット、中長期的な国家戦略として考えたときのメリットということもお訴えしながら国民の皆様の御理解を得るようにこれからも努力させていただきたいと思っております。
  51. 越川和彦

    ○政府参考人(越川和彦君) 今、竹谷先生の方から御指摘、全くもってそのとおりだと思います。やはり国民の幅広い支援を得ていく、そのために政府としても可能な限り努力するということは本当にそのとおりだと思います。  それから、今具体的に御指摘のありました、やはり現場を見ていただくということは非常に我々も重要で、直接それを国内に帰ってきていただいて関係者にあるいは親類、家族にいろいろと伝えてもらうと、これが大事だということでございまして、例えばODAの実績に直接触れていただくために、例えば大学のゼミによるODA現地視察の支援、あるいは学校の先生、教師あるいは地方自治体関係者の現地視察への派遣にも今力を入れております。また、旅行者の企画する体験ツアーあるいは視察ツアーとの連携も強化してございます。  ODAのプロジェクトを現場で実際に見てもらう、帰国後、先ほど申し上げましたように報告していただくということで、これは、JICAの新しい事業としまして国際協力レポーターというものを二〇一一年より開始してございます。昨年八月には、ケニア、ベトナムにそれぞれ十名ずつ一般の方を派遣して、視察してもらってございます。手始めでございますが、こういうことを一歩一歩進めていきたいと存じます。
  52. 田中明彦

    ○参考人(田中明彦君) この度、JICAの理事長になりました田中でございます。  今の件、もう山根副大臣、それから越川局長からおっしゃっていただいたとおりでございまして、私も理事長としての一つの重要な仕事は、国民にこのODAの実態をよく理解していただき、支援していただくということだと思っております。  それで、具体的なことについては今、越川局長からもおっしゃっていただいた点もございますし、それから協力隊を支援する会の皆様方との御支援もいただきながらいろいろな活動をやっていきたいと思っております。  ただ、理事長になって少し感じたことでこれからもう少し強化しなければいけないと思っていることは、国民の全てのジェネレーションに対するその御理解をいただくと。比較的、今までのJICAの取組、若者向け、それから、ある程度、要するにその教材でいうと小学校、中学校とか、そういうところもやっておりまして、若者向けは非常に重要なんですけれども、やはり国民の全てのジェネレーション、高齢者含めて、ODAの実態についてよりよく分かっていただくような形で進めていくのがよろしいかと思っておりますので、是非先生方にもよろしく御指導をいただければと思います。
  53. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) 吉田君。
  54. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智です。  大分時間も迫っておりますので、簡潔に三点質問させていただきます。  第二班の報告で、第五ページの五行目の中ごろから、「現地ニーズの把握から採用、研修までを特定の団体に丸投げするJICAの体質を根本的に見直し、JICA自身が研修等のノウハウを構築する必要があると感じました。」という大変厳しい指摘がなされているわけでありますけれども、大野委員にこのことについてもう少し詳しくお話をいただきたいと思います。そして、そのことについてのJICA、そして外務省の見解を求めたいと思います。  二点目が、このODA特別委員会はもちろん参議院しかありませんし、しっかりその役割を果たしていかなければなりません。そして、毎年こういう形で各国を訪問して実態を把握するというのは、社会経済情勢は刻々と変わっていますから極めて重要で、これからも続けていかなければならないと思います。今回、調査団として訪問された方々で、この調査そのものの改善すべき点で何か感じたことがありましたらお話をいただきたいと思います。  それから三点目、田中理事長、今お話をいただきましたが、この度、緒方貞子さんから田中明彦さんにバトンタッチをされました。緒方貞子前理事長の御功労に心から敬意と感謝を申し上げますとともに、是非、田中理事長には職責を果たしていただきたいと思いますが、先ほどからの報告を聞いての総括的な感想といいますか、御所見と、今後の御決意を是非お聞かせをいただきたいと思います。  以上です。
  55. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) そうしたら、ちょっと時間が大分迫っていますので、簡潔にちょっと答弁をお願いしたいと思います。
  56. 大野元裕

    ○大野元裕君 簡潔に申し上げます。  日本と諸外国の様々な援助組織というのは大きく組織は違いますが、つまり開発等にまで手はなかなか日本は出せていないという意味ではそうかもしれませんが、その一方で、例えば問題になったJICAのJOCVの方々から御指摘があった赴任前の話にしても、採用の試験、それから研修そのものの内容、それから運営、さらには精神ケア、二本松等におけるケアにおけるまで、実はほとんど違う団体がJICAに丸投げをしているという状況であって、こういったニーズが、JICAが、彼らが自身のノウハウがない中で、結局それは、丸投げの団体に行っても結果としてそれはJICAの向上につながらないという意味から、私はもう少し体質を変えていく必要があるのではないかということを強く感じました。  以上です。
  57. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) あと、JICAの方からは、先ほど竹谷君から提言がありましたので、ちょっと私も理事会でまとめまして、指摘点に対して当局側の答弁は一括して全部もらいたい、そういう機会も持ちたいと思いますので、今日、時間も限られていますので割愛させてください。  調査の改善について何か気付いた点があったらという御指摘がありましたけれども、誰か、ミッションの方で今回行かれて調査方法変えたらというのは、何か御意見がありますか。ありませんか。  そうしたら、先ほどもちょっと出ましたけれども、田中理事長は新しく理事長御就任おめでとうございます。まず最初に御感想をという話が出たので、感想を述べられるにはまだ早いかもしれませんけれども、コメントありましたら。
  58. 田中明彦

    ○参考人(田中明彦君) 発言の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。  今先生方の調査報告を聞かせていただきまして、これほど丁寧に視察していただき、そしてまた鋭い観察とコメント、それから温かい評価いただいたこと、JICAの新しい理事長として大変感謝申し上げます。  今までいただいた御提言、今度理事会でいろいろまとめて御質問いただけるということですけれども、大変重要なポイントだと思いますので、是非、これに対して誠意を持って着実に答えてまいります。  今後の私としての、先ほど決意表明といいましょうか、そういうことでございますけれども、JICAは政府あるいは国会で立てていただいた戦略方針、政策に基づいて中期目標、中期計画を着実に効果的、効率的に実施するということですので、まずその本務を着実に実施したいと思います。  ただ、それに加えまして、できる限り、私の及ぶ限りの能力で新しい試みなどを進めていきたいと思っております。特に、四つの分野、ODAの質とそれから量、それから日本のODAの対外発信と対内発信、この四つのポイントを私としては重視していきたいと思っております。  質という面でいいますと、日本のやってきたODAをどうやって体系化してそれを更により良いものにしていくか、国々に合ったものにしていくかということが課題だと思っております。  それから、量でいいますと、やはり先ほど来先生方からの御指摘もあるように、新興国の様々な援助の活動も増えておりますし、それから援助によって経済発展する国々のその可能性も増えております。ここの中で、やはり日本がそれなりの量を確保して援助を行っていくということが私としては日本の国益に資するものだと考えております。  それから、対外発信につきましては、今まで行ってきた日本の援助の良いところをできる限り理論的に抽出して、一般可能な形にして、世界に対して援助の在り方のモデルというようなものを示していくということが日本の世界に対する知的な貢献としても重要だというふうに思っております。  それから、先ほど来申し上げましたように、国内における理解の促進ということがこれが重要でございますので、全力を尽くしてやっていきたいと思います。  私、就任したときに、JICAの職員に対しては、これからは、今までもそうですが、とりわけ元気の出る援助をやろうというふうに申し上げました。世界を日本が元気にすることによって、世界を元気にすることによって日本もまた元気になると、こういうことに役立つ援助をやっていきたいと思っておりますので、今後ともよろしく御指導、御支援いただければと思います。  ありがとうございました。
  59. 藤井基之

    ○委員長(藤井基之君) まだ多々御発言もあろうと思いますが、予定の時間が参りましたので、これをもちまして本日の意見交換を終了いたします。  本日は、限られた時間でありましたが、派遣団に参加された方々から貴重な御意見をいただくとともに、本委員会として大変有意義な意見交換を行っていただき、誠にありがとうございました。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    正午散会