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2012-03-28 第180回国会 参議院 法務委員会 5号 公式Web版

  1. 平成二十四年三月二十八日(水曜日)    午前十時二十四分開会     ─────────────    委員の異動  三月二十三日     辞任         補欠選任  ツルネン マルテイ君     小川 敏夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         西田 実仁君     理 事                 中村 哲治君                 松野 信夫君                 森 まさこ君                 桜内 文城君     委 員                 有田 芳生君                 石井  一君                 江田 五月君                 小川 敏夫君                 田城  郁君                 谷  博之君                 松下 新平君                 丸山 和也君                 溝手 顕正君                 山崎 正昭君                 魚住裕一郎君                 井上 哲士君    国務大臣        法務大臣     小川 敏夫君    副大臣        総務副大臣    黄川田 徹君        法務副大臣    滝   実君    大臣政務官        法務大臣政務官  谷  博之君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総長       大谷 直人君        最高裁判所事務        総局総務局長   戸倉 三郎君        最高裁判所事務        総局経理局長   林  道晴君        最高裁判所事務        総局刑事局長   植村  稔君        最高裁判所事務        総局家庭局長   豊澤 佳弘君    事務局側        常任委員会専門        員        田村 公伸君    政府参考人        法務省民事局長  原   優君        法務省刑事局長  稲田 伸夫君        法務省矯正局長  三浦  守君        公安調査庁長官  尾崎 道明君        文部科学大臣官        房審議官     常磐  豊君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○平成二十四年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、平成二十四年度特別会計予算内閣  提出、衆議院送付)、平成二十四年度政府関係  機関予算内閣提出、衆議院送付)について  (裁判所所管及び法務省所管)     ─────────────
  2. 西田実仁

    ○委員長(西田実仁君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る二十三日、ツルネンマルテイ君が委員を辞任され、その補欠として小川敏夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 西田実仁

    ○委員長(西田実仁君) この際、最高裁判所事務総長から発言を求められておりますので、これを許します。大谷最高裁判所事務総長。
  4. 大谷直人

    ○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 三月二十七日付けで最高裁判所事務総長を命ぜられました大谷直人でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  委員長を始め法務委員会の委員の皆様方には、平素から私ども司法権の立場につきまして深い御理解と格別の御配慮をいただきまして、誠にありがとうございます。この場をお借りして、改めて厚く御礼申し上げます。  裁判所の役割は、これは申すまでもなく、適正かつ迅速な裁判を行うことにあります。その役割を十分に果たし、国民の期待と信頼にこたえていけるように、様々な司法行政上の課題に取り組んでまいる所存でございます。  昨年三月に発生いたしました東日本大震災とその後の原子力発電所の事故は、広い地域に甚大な被害をもたらし、多くの方々が今もなお困難な生活を強いられております。裁判所といたしましても、被災地の方々のために地域の司法機関としての使命を忘れることなく、復興に関連して生じますと予想されます様々な法的な紛争の解決に全力で取り組んでいきたいと、このように考えております。  また、司法制度改革の最大の柱の一つでございました裁判員制度が施行されましてから間もなく三年を経過することになります。この間、国民の皆様方の理解と協力を得て、制度はおおむね順調にスタートしたと言ってよいかと思っております。この制度が法律の趣旨に沿ってより一層適切に運営、運用されますように、これまで以上に関係機関との連携を緊密にして、そして運用の改善に努める必要があると、このように考えております。  法務委員会の皆様方には、今後とも裁判所の運営の充実強化のために一層の御支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。  簡単ではございますが、以上をもちまして就任の挨拶とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  5. 西田実仁

    ○委員長(西田実仁君) 大谷事務総長におかれましては退席いただいて結構でございます。     ─────────────
  6. 西田実仁

    ○委員長(西田実仁君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に法務省民事局長原優君、法務省刑事局長稲田伸夫君、法務省矯正局長三浦守君、公安調査庁長官尾崎道明君及び文部科学大臣官房審議官常磐豊君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 西田実仁

    ○委員長(西田実仁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 西田実仁

    ○委員長(西田実仁君) 去る二十一日、予算委員会から、三月二十八日の一日間、平成二十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  裁判所及び法務省関係予算につきましては既に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 松野信夫

    ○松野信夫君 おはようございます。民主党の松野信夫です。  本日は、この法務委員会で平成二十四年度予算案についての委嘱審査ということでございます。  それで、法務省の予算をいろいろと眺めてまいりますと、何といってもこの法務省の予算というのは人件費の割合が非常に高い。まさに法務省というのはマンパワーの役所だなというのが、予算を眺めてみてもはっきりすることかと思います。平成二十三年度では全体の六七%が人件費でありまして、この割合というものは最近ほとんど変わっておらないということでございます。今度の平成二十四年度の予算でも総額七千三百二十五億円のうち四千九百十九億円が人件費ということで、非常に高い割合になっております。恐らく、この人件費の割合の高さというものは各府省の中でトップではないかなというふうに思うぐらいでございます。それがもう最大の特徴だろうと思っております。  そうした中で、政府は、総人件費の削減の改革ということで、内容的には、平成二十一年度の採用実績に対して平成二十三年度、四年度を大幅に上回る抑制を平成二十五年度に求めるということであります。これは、まさに法務省はマンパワーの役所というふうに申し上げましたので、法務省にとってもこの影響は極めて大きいのではないかというふうに考えておりますが、この政府の新規採用抑制方針、これについて法務省はどのようにお考えでしょうか。
  10. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 公務員総人件費削減など、自ら身を切る改革の一環として、国家公務員の新規採用の抑制に積極的に取り組むということ、そのこと自体は重要なことだというふうに認識いたしておりますが、しかし一方、法務行政、やはり治安対策等、国民の生活に、これを守る、安全を支えるという意味で非常に重要な役割を担っておるわけでございます。また、この職務の性質上、委員が御指摘のように、マンパワーに依存するところが多いということでございますので、採用の抑制ということは直ちに仕事の質に、あるいは内容に影響しかねないというような関係もあるところでございます。  法務省といたしましては、そうした採用抑制というその趣旨には賛成いたしますが、しかし、その具体的な状況につきましては、法務省のそうした人的構成あるいは持っている職務の内容等を踏まえて、これを実情を踏まえた抑制にしていただきたいというふうにも思っておりまして、現在、こうした点を踏まえて具体的な抑制幅について関係省庁と協議しておるところでございます。
  11. 松野信夫

    ○松野信夫君 確かに、全体として新規採用を抑制していくと、そういう全体の方針は、それはそれで理解できる、私もそういう思いでありますが、やっぱり冒頭申し上げたように、法務省はまさにマンパワーの役所でもあります。余り人事について特定の年度だけが非常に人が少なくなってもよろしくない、一定のバランスというものをやっぱり考えていかなければならないだろうと、こう思っております。  また、法務省は法務省としてのやっぱりいろんな特別な事情もあるだろうというふうに見ております。お手元の資料を御覧いただきたいと思いますが、なるほど、法務省の職員はかなりの専門的な分野に分かれてそれぞれ仕事を担当しているということが言えるかと思います。  検事は三・四%、これはもう御存じのように司法試験に合格をした中から採用されるということかと思います。そのほか、人数的に多いのは、何といっても約三分の一を占める刑務官かと思います。たしかこれも、刑務官については特別の国家試験に合格をして採用するということかと思います。そのほか、記載にありますように、保護観察官、入国審査官、入国警備官、公安調査官、そのほか法務教官なども含めて非常に多数の専門的な分野に分かれている、専門職種が非常に多いということかと思います。こうした専門性の高い職種の人材をいかにしっかりと確保して、また養成もしていくのかということが重要だろうと思います。  私は、やっぱり年代のバランスもしっかり見ながら、一定数の専門家というものは当然必要だし、多分、その融通というものもなかなかそう簡単にはできないだろうと。刑務官を例えば入国警備官の方に持っていく、あるいはその逆にするとか、公安調査官と入れ替えたり、差し替えたりと、そういう融通もこういう専門性から踏まえるとこれはそう簡単ではないだろうなと、こう思っておりまして、やっぱりそういう専門性を十分重視して、しっかりとした人材を確保し育成をしていただきたいと、こう思っておりますが、この点はどのようにお考えでしょうか。
  12. 谷博之

    ○大臣政務官(谷博之君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、まず前提の話としてお話をさせていただきますが、平成二十三年度の採用試験等を前提にお話ししますと、法務省では、今御指摘がありましたように、検察事務官、保護観察官、入国審査官などを国家公務員採用試験から採用しているほか、法務教官、刑務官、入国警備官については、法務教官採用試験、刑務官採用試験、入国警備官採用試験から採用いたしております。また、検事については通常、司法修習終了者から採用をいたしております。  このような各部門が幾つかの専門職に分かれているわけでございまして、今お話ありましたように、ある特定の専門職種の採用が少なくなったとしても他の部局から職員を融通することはいかがなものかという御指摘でございますが、これにつきましても、法務省の各組織は刑務所や検察庁などそれぞれが専門性を有しておりまして、また特殊な勤務環境にあるものが多いことから、御指摘のとおり、特定の組織の人員が大幅に不足した場合には、他部局の職員によって補填することは現実的には困難なものというふうに考えております。
  13. 松野信夫

    ○松野信夫君 それで、特定の専門の職種が例えば人員が不足する、あるいは退職というふうな形でこれまた不足するというような場合に、実際どういうふうに人材の確保、手当てをしているのか。場合によっては退職した人を更に再任用というようなケース、こういうようなケースは法務省内では結構多いんでしょうか。そういうようなやり方で何とか人材を確保していると、そういう面も見られるんでしょうか。
  14. 滝実

    ○副大臣(滝実君) 法務省の中における、言わば職員の新規採用が抑制されている中でのやりくりの問題かと思いますけれども、この新人、新規採用職員の実は抑制というのは今年に始まったわけではありませんで、過去の例から申しますと、後の穴埋めをするためには、当然、定年退職するような方々にそのまま職務を引き継いでもらう、言わば再雇用あるいは定年延長、そのような格好で補充をしていくということが今までの例でございます。  それにいたしましても、定年になったからといってまた引き続き仕事に残ってもらうというのも簡単ではございませんで、なかなか全員がそのまま後、穴埋めのために仕事を引き継いでもらうというのもそれなりに制約があるというのが実態でございますので、なかなか現場では苦労して穴埋めに努力をしていると、こういう実態でございます。
  15. 松野信夫

    ○松野信夫君 恐らく、そういう穴埋めの中で一番苦労されているのが刑務官ではないかなというふうに思います。刑務官は、この資料にもありますように、人員の中でちょうど三分の一ぐらいを占めると。法務省の専門職の中では一番多い職種かと思いますが、恐らくこれは苦労も多いところだろうと思います。私も何回も刑務所を視察させていただいておりますが、本当に刑務官は御苦労が多いなというのをつくづく思っております。  そのせいかどうかも分かりませんが、聞くところによりますと、刑務官というのは厳しい職場環境であり、なかなか難しいところもあって途中で退職をしてしまうと、そういう方も多いというふうに聞いておりますが、その辺、実際はどんな具合でしょうか。
  16. 滝実

    ○副大臣(滝実君) 実際に、定年まで勤務をせずに中途で退職するというのが特に刑務官では多いわけでございます。  その中で、現在のところ、これは平成二十二年度の実績で申しますと、途中で退職した人が大体二百八十人程度、こういうのが実態でございまして、その中で二十代でお辞めになる人が大体百七十人ぐらいというのがこの二十二年度の実績でございます。
  17. 松野信夫

    ○松野信夫君 そうすると、恐らく若い方にとっては、夢抱いて刑務官になってもなかなか難しいという、そういう職場なのかなと、こういう思いもしております。恐らく刑務官については、どっちかというとやや人手不足ということで、聞くところによりますと、いわゆる年次休暇、お休みもなかなか取りづらいということで、ほかの職種の方々に比べると、ある意味では過重労働になっているんではないかなというふうにも推察しておりますが、その辺はいかがでしょうか。
  18. 滝実

    ○副大臣(滝実君) 国家公務員全体の有給休暇というのは大体十二日か十三日というのが年間の平均数値でございますけれども、刑務官の場合には平均すると大体四・八日ということでございますから、なかなか年次休暇が思うようにいかないということでございます。  要するに、勤務の実態が八時間勤務でございますから、結局、二十四時間ということになると三班に組んでそういう勤務の仕方をしますので、なかなか有給休暇といっても、普通の昼間だけ勤務をするという実態ではありませんから、結果的にはなかなか休暇が取れない、こういうことだと思います。
  19. 松野信夫

    ○松野信夫君 是非、全体としては新規採用抑制だということでありますが、大臣始め三役の皆さんは法務省の特殊性、今申し上げた、例えば刑務官の労働実態等も踏まえてしっかりとした人員の確保をしていただきますようにお願いして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  20. 有田芳生

    ○有田芳生君 おはようございます。民主党の有田芳生です。  今日は、大臣所信の十項目めの北朝鮮の動向及びテロ行為等についての情報収集について、予算そしてその執行、さらには情報収集体制、そこを中心にお話を伺いたいと思います。  御存じのように、北朝鮮の動向というのは今非常に国際的にも国内的にも注目を浴びております。国連決議にも違反するミサイルの発射、恐らくこの気候からいうと十二日ではないかという専門家の見方もありますけれども、いずれにしても、二月十六日に金正日前総書記生誕七十周年という服喪の期間から、四月十五日の金日成主席百周年ということでお祝いムードになっている状況の下で国際的には挑発行為を行っていく。さらには、四月には党の代表者会議が開かれて、これまた金正恩氏が党の総書記あるいは国防委員長に就任するんではないかと、そういうように予測がされております。  そういう状況の下で北朝鮮がどこに向かっていくのかということが、国際的のみならず、やはりアジアに位置する私たちのこの日本にとっても、拉致問題も含めて非常に今後の動向が注目されることだというふうに思います。  大臣所信の中で北朝鮮の動向について触れられているということを、例えば町場で一般の方々にお話をすると、えっ、法務省が北朝鮮動向についても情報の収集、分析をしているのかと、一体どこでそんなことをやっているのだろうかというような声も聞かれます。  まず、大臣にお聞きをしたいのは、法務省のどういう部署で北朝鮮の動向あるいはテロ行為等についての情報収集、分析がなされているのか、まずそのことをお聞きしたいと思います。
  21. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 公安調査庁でございます。
  22. 有田芳生

    ○有田芳生君 公安調査庁が北朝鮮の動向及びテロ行為、国際テロについても情報収集、分析を行っているということでありますけれども、じゃ、公安調査庁にお聞きをしたいんですが、特に日本にとって、私たち拉致特別委員会などでも議論を進めております、そしてまた、横田滋さん、早紀江さんを始めとする拉致被害者にとっても、拉致特別委員会、拉致対策本部あるいは外務省だけではなくて、法務省においても北朝鮮の動向、その中には拉致問題についての情報の収集、分析を行うということにとても関心を持たれていると思いますが、公安調査庁が拉致問題についての情報収集、調査を始められたのはいつごろからなんでしょうか。また、その事案があるとすれば、それはどういうケースからお調べになり始めたんでしょうか。お答えください。
  23. 尾崎道明

    ○政府参考人(尾崎道明君) お答え申し上げます。  公安調査庁では、昭和五十二年九月に石川県で宇出津事件が発生しておりますけれども、その事件以降、北朝鮮が関与した疑いのある失踪事件等について関連情報の入手に努力してきたところであります。  さらに、一九八七年の大韓航空機爆破事件の際に明らかになった李恩恵問題を契機といたしまして、北朝鮮による日本人拉致について、他に同様の事案がないかも含めまして、重大な関心を持って取り組んできたところでございます。
  24. 有田芳生

    有田芳生君 李恩恵の事件についてはもう、これまた国際的、国内的にも非常に一般的にも知られているわけでありますけれども、念のため、昭和五十二年、一九七七年に起きた石川県における宇出津事件について、どういうものだったのか、少しお話しいただけますでしょうか。
  25. 尾崎道明

    政府参考人(尾崎道明君) お答え申し上げます。  北朝鮮工作員に取り込まれた在日朝鮮人リ・チュギル、李秋吉と書きますけれども、が、北朝鮮の工作員とされる金世鎬から、四十五歳から五十歳くらいの日本人独身男性を北朝鮮に送り込めとの指示を受けまして、一九七七年、昭和五十二年になりますけれども、九月、かねてから知り合いであった久米裕、当時五十二歳の方でございますけれども、久米裕さんを石川県の宇出津海岸に連れ出し、北朝鮮工作船で迎えに来た別の北朝鮮工作員に引き渡した事件でございます。
  26. 有田芳生

    ○有田芳生君 なかなか宇出津事件というのは世間には知られていないものですから、やはりもう一度確認しておきたいと思いまして、お話を伺いました。  そういった拉致問題も含めた北朝鮮動向について、公安調査庁が日常的に朝鮮総連も含めて追跡をされているわけですけれども、公安調査庁というとやはり世間からも少しなじみがない組織かと思われがちですけれども、どういう組織体制になっているんでしょうか。その人員規模などについてもお話し願えれば有り難いです。
  27. 尾崎道明

    ○政府参考人(尾崎道明君) 公安調査庁の組織について少し御説明申し上げますと、内部部局として総務部、調査第一部及び調査第二部の三部構成となっております。調査第一部はオウム真理教に対する団体規制等を所掌しており、調査第二部はお尋ねにありました朝鮮総連等につきまして所掌しております。  施設等機関として公安調査庁研修所がございます。また、地方の支分部局といたしましては、全国八か所に公安調査局があり、十四か所に公安調査事務所がございます。  定員につきましては、平成二十三年度末定員は千五百三十三人となっております。
  28. 有田芳生

    ○有田芳生君 その公安調査庁の千五百三十三人の中で、北朝鮮関連で日常的にお仕事をされている方は、どのぐらいの比率の方がいらっしゃるんでしょうか。
  29. 尾崎道明

    ○政府参考人(尾崎道明君) 個別の業務に従事している人員につきまして申し上げますことは業務の性質上差し控えさせていただきたいと思いますけれども、予算の面で申し上げますと、物件費全体が二十七億円余りある中で、平成二十三年度は北朝鮮関連情報収集の実施経費として約一億三千万円余りが計上されております。
  30. 有田芳生

    ○有田芳生君 拉致対策本部の予算というのは、政権交代の前、つまり自民党政権時代から民主党政権に替わって予算規模は二倍に、そして情報収集については四倍に増えたんですが、この公安調査庁の予算、そして北朝鮮関連の予算について、政権交代前と政権交代後と何か変化はありましたでしょうか。
  31. 尾崎道明

    ○政府参考人(尾崎道明君) お答え申し上げます。  北朝鮮関連の情報収集の実施経費について申し上げますと、平成二十一年度は約一億五千三百万円、お尋ねの政権交代後の二十二年度は約一億六千三百万円、二十三年度は約一億三千二百万円という数字になっております。
  32. 有田芳生

    ○有田芳生君 拉致対策本部の予算が情報収集予算として八億六千四百万円を獲得して、政権交代以降、拉致問題について予算面では非常に強化をされたんですが、ところが、残念なことにその予算の執行率はたったの二七・五%なんですよ。それはまた別の場面でこれは聞いていかなければいけないと思うんですが、公安調査庁のこの一億六千三百万円の中で執行率はどのぐらいだったんでしょうか。
  33. 尾崎道明

    ○政府参考人(尾崎道明君) 正確な執行率、手元にございませんけれども、ほぼ全額を執行しているというふうに承知しております。
  34. 有田芳生

    ○有田芳生君 そういった体制と予算の下で北朝鮮関連動向についての情報収集、分析が行われている。そこで、情報の質、そして情報分析の質、そこが一番核心になってくるというふうに思います。  これは、失礼な話ですけれども、私は、今から十七年前に起きた一九九五年三月二十日の地下鉄サリン事件以降、オウム真理教の問題にもずっと取り組んでまいりましたが、当時も公安調査庁の方が私のところに日常的にやっていらして、話をしているときに、有田さん、何か新しい情報ないですかというようなことをよく聞かれました。私は、逆に、むしろ公安調査庁の調査メンバーの方々に、本当に今オウム真理教がどうなっているんだろうかというようなことを聞きたいという思いがあったんだけれども、これで本当に情報収集というのはきっちりできるんだろうか、分析は大丈夫なんだろうかという思いが実は正直言ってありました。  しかし一方で、仕事の上で、公安調査庁のもう今はOBになりますけれども、北朝鮮に非常に詳しく、情報収集、分析をされている、最近も本をお出しになった菅沼さんなど、お話を聞いたり本を読ませていただいたりしていると、やはりきっちりした情報収集、分析をなさる方もいらっしゃると。だから、そういったものが、北朝鮮動向、あるいは後ほどお聞きをしますけれどもオウム真理教の問題等についても、やはりきっちりとした体制、システムを取っていただきたいという強く思いがあるんです。  そこでお聞きをしたいんですけれども、これも御承知のとおり、例えばアメリカのCIAにしても、何かスパイ組織で、いろんなことで人に知れないところで様々な行為をやっているという印象がどうしても強いんですけれども、しかし、アメリカのCIAにしても、ほかの情報機関にしても、圧倒的に公刊物、公にされた新聞であるとか週刊誌であるとか雑誌であるとか、そういうものからの情報収集、分析が九五%以上だということは、私はそのように理解しているんですが、そういったことも含めて、公安調査庁で北朝鮮動向を分析される方々がどのような比率で、どのような情報収集、分析をなさっているんでしょうか。
  35. 尾崎道明

    ○政府参考人(尾崎道明君) 御指摘のとおり、公開情報というものは極めて重要であるというふうに私どもも思っております。公開情報をフォローするとともに独自の調査結果を踏まえてそれらを総合分析すると、関係機関とも連携しながら分析を進めるという作業を行っております。
  36. 有田芳生

    ○有田芳生君 もう少し差し支えない範囲で細かくお聞きをしたいんですけれども、例えば朝鮮中央通信であるとか労働新聞とかあるいは北朝鮮関連の公刊物、様々なものがありますよね。それを日常的に収集、翻訳、分析をされる部署というものがあるという理解でよろしいんでしょうか。
  37. 尾崎道明

    ○政府参考人(尾崎道明君) 北朝鮮のメディア、御指摘の朝鮮中央通信あるいは労働新聞等につきましては、これはラヂオプレスという団体がございまして、ここが翻訳をかなり精力的に行っておられます。私ども、ラヂオプレスの翻訳結果を利用するとともに、独自に必要なものは適宜翻訳して分析の用に供しているということでございます。
  38. 有田芳生

    ○有田芳生君 そこで、非常に現実的な、しかも重要な課題なんですけれども、国を挙げて拉致問題の解決に向かわなければいけない。小泉訪朝からもう今年で十年ですよ。ところが、昨日も横田早紀江さん、滋さんともお話をしましたけれども、様々な努力をされているんだろうけれども、この十年間、私たちにはほとんど何も知らされていません。これは横田さんだけではなく、多くの拉致被害者御家族の本音なんですよね。  そうしたときに、特に政府拉致対策本部などがもっともっと御家族に対するケアというものを日常的にしなければならないんですが、同時に、情報分析をされている公安調査庁として、拉致対策本部あるいは外務省との情報の共有というものはスムーズになされているんでしょうか。  そう申しますのも、これは拉致対策本部で収集した情報、そして外務省が収集した情報、それが共有されているかというと、私が体験した限りにおいてはなかなか難しい。外務省は外務省で情報を入手したまま、拉致対策本部は拉致対策本部だけ、拉致対策本部が外務省に問合せをしても教えられないというような、情けない、残念な現状が続いているんです。そうした状況の下で、公安調査庁が拉致対策本部あるいは外務省と積極的な情報の共有というものはなされているのかいないのか、そこのところをお答えいただければと思います。
  39. 尾崎道明

    ○政府参考人(尾崎道明君) お答え申し上げます。  私どもといたしましては、先生御指摘のとおり、情報をできる限り共有して政府全体としての情報の質、量を上げなければいけないと、これは当然肝に銘じております。したがいまして、外務省及び拉致対策本部とも協議し、かつ、情報につきましては適時適切に提供しているということでございます。  なお、拉致対策本部とは人的交流等も先生御承知のとおりございまして、その辺は円滑に進んでいるというふうに認識しております。
  40. 有田芳生

    ○有田芳生君 松原拉致対策担当大臣が所信表明の中で、今年が勝負の年であると、拉致問題の解決のためにはあらゆる手段を取ってもやるんだというように表明されているわけですけれども、公安調査庁の情報収集、分析において、例えば拉致対策本部、外務省などが海外に出かけて、中国あるいはアフリカあるいは東南アジアの諸国に行って情報収集する。例えば中国でいえば、端的に言えば脱北者から話を聞くというようなことで情報収集、分析などを行っている。もっともっと強化をしなければいけないんですが、公安調査庁として、その予算の中で海外に行き、例えば脱北者などから話を聞いていくと、そのような情報収集というのはなされていらっしゃるんでしょうか。
  41. 尾崎道明

    ○政府参考人(尾崎道明君) 当庁といたしましては、我が国の公共の安全にかかわる限りは海外における事象等につきましても調査対象としているところでございますけれども、その具体的な内容についてはお答えを差し控えたいと思います。ただ、予算的には先生御指摘のような旅費等の予算もございます。
  42. 有田芳生

    ○有田芳生君 とにかく拉致被害者御家族にとっては空白の十年間と言ってもいい現状が続いておりますので、本当に一致協力、団結をしながら、拉致問題解決のための情報収集、分析というものをこれからも頑張って続けていただきたいというふうに思います。  同時に、大臣所信の中で、北朝鮮の動向と並んで国際テロ、さらにはオウム真理教の動向についても触れられておりますので、オウム真理教について最後にお聞きをしたいと思います。  今から十七年前の三月二十日に地下鉄サリン事件が起きて、オウム真理教というものは壊滅の方向に向かいましたけれども、当時、オウム真理教の在家、出家の信者は合計で二万人おりました。それがどんどんどんどん分裂、分岐を経ながら今に至っておりますけれども、オウム真理教の分派というものは今どのような状況になっていますでしょうか。
  43. 尾崎道明

    ○政府参考人(尾崎道明君) 大きく分けまして、オウム真理教はアレフ、主流派及びひかりの輪、今これは上祐派とも称されておりますけれども、この二つに分かれております。いずれも全国各地に多数の信徒と施設を擁しまして、組織勢力の拡大に向けた動きを活発に展開しておりますので注視しているところでございます。
  44. 有田芳生

    ○有田芳生君 人員は何人ぐらいでしょうか、ひかりの輪及びアレフ。
  45. 尾崎道明

    ○政府参考人(尾崎道明君) アレフが千三百人程度、上祐派が二百人程度というふうに承知しております。
  46. 有田芳生

    有田芳生君 そのアレフとひかりの輪、つまりオウム真理教、麻原彰晃の影響を受けた組織が今でも千三百人及び二百人、千五百人合計いると。その中で私は特に注目しなければいけないと思うのは、若い人、例えば中学生などが今でもこのオウムの残党であるアレフあるいはひかりの輪に入っていく、そういう人たちがいる。例えば、アレフではこの一年間にどれだけ新しい信者というのが生まれているでしょうか。
  47. 尾崎道明

    政府参考人(尾崎道明君) アレフでは、平成二十三年、二百人以上新規に加入しているというふうに承知しております。
  48. 有田芳生

    ○有田芳生君 時間の都合もありますので、もう結論的に言わざるを得ないんですけれども、やはり皆さん御承知のようにオウム真理教を含めたカルトというのは、オウム真理教だと言って活動をしているというよりも、例えばインターネットなどを通じて、ヨガは体にいいよとか、あるいは大学で、オウム事件当時もそうですけれども、日本印度化計画というような名前を出してどこの組織か分からないような形で、若い人たちにカレーを食べながらインドについて語りましょうというようなやり方を取っていて、それが今でも踏襲されていて、若い人たちが、中学生でさえもがオウム事件以降にオウムの残党に入ってしまう。こういう現実があるわけですけれども、このひかりの輪及びアレフについて麻原彰晃の影響は今でもあるという判断をされていますでしょうか。
  49. 尾崎道明

    ○政府参考人(尾崎道明君) 例えばアレフ、主流派におきましては、麻原彰晃の写真を礼拝したり、現に行っておりまして、両派共に麻原彰晃の影響力は極めて強く残っているものと認識しております。
  50. 有田芳生

    ○有田芳生君 確かに、今のオウムの残党が今からサリンなどを製造するようなことは団体規制法による観察などによってできないという状況の下ではありますけれども、麻原彰晃の教えをいまだ持ち続けて崇拝をしているという意味においては、その残党も潜在的な危険性があるものであるということで、今後もきっちりとした監視と対応をしていかなければいけないというふうに私は思っております。  最後に大臣にお聞きをしたいんですけれども、理論的な問題として、団体規制法の第五条「観察処分」のところ、第一項目として「当該無差別大量殺人行為の首謀者が当該団体の活動に影響力を有していること。」と。一つの規定なんですが、その大量殺人行為を行った団体の首謀者が死刑判決が確定した場合、しかし一方で、こういう団体規制法の中で今でも影響力を有している場合には団体を規制しなきゃいけないんだという規定がある場合に、死刑判決が確定した首謀者を執行することはできるんでしょうか、死刑の執行というのは。
  51. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 特にその規制法の規定が死刑の執行を妨げるということにはなっておりません。
  52. 有田芳生

    ○有田芳生君 オウムに戻りますと、麻原彰晃、松本智津夫被告を含めて十三人が死刑判決を受けているんですが、私たちオウム真理教の問題にずっと取り組んできた人間としては、家族の会も含めて、麻原彰晃はやっぱり死刑執行というのはもうやむを得ないかなと、死刑に反対している人も含めてですけれども。だけど、それと別に、あとの十二人というのは、いわゆる心の支配、マインドコントロールを受けている人たちとは別にすべきであって、死刑の執行はすべきではないというような意見でずっと署名運動が全国でも今広がっているんですが、今後、オウム真理教の教祖も含めて死刑問題というものがまたクローズアップすることがあると思いますので、大臣についてもそういう問題について適宜的確な御発言を是非ともしていっていただきたいということをお願いをいたしまして、時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。
  53. 森まさこ

    ○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。  まず、福島県における警戒区域の財産的損害についてお伺いをしたいと思います。  小川大臣、この件について、前大臣、平岡大臣から引継ぎを受けられましたか。
  54. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) その財産的損害というのは、犯罪被害によるということでございましょうか。個々具体的に、そのことを具体的に指摘したということは特に明示されておりませんが、様々な点についてしっかり引き継ぐという意味の総論的な引継ぎの中には入っていたというふうに認識しております。
  55. 森まさこ

    ○森まさこ君 全く分かりません。総合的な引継ぎの中に入っていたという意味を説明してください。
  56. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) すなわち、指摘された福島県内の震災後の財産的損害ということに具体的に明示したことについての引継ぎということはございませんでした。ただ、一般的な事務引継の中に、そうした震災後の犯罪対策とか、そうしたもっと広い意味での、総論的な意味での対策をしっかりやろうということの確認はあったように記憶しております。
  57. 森まさこ

    ○森まさこ君 引継ぎがなかったということだと思います。大臣、時間が少ないので簡潔に、引継ぎがないなら引継ぎないと答えていただければ結構です。  それではお伺いいたしますけれども、今年二月末までの一年間、三・一一から二月末まで警戒区域内で空き巣被害がどの程度あったか、数字を御存じですか。
  58. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 法務省そのものとしては把握しておらないんですが、警察庁の公表資料として報道されているところによりますと、その一年間で、空き巣被害でございますね、前年同期より四百八十五件増加して千百九十三件になっております。
  59. 森まさこ

    ○森まさこ君 そのとおりです。警察庁のまとめによりますと、三月十一日から今年二月末までの約一年間の空き巣被害件数は、前年と比べて約七割増えています。被害が千百九十三件ということでございます。特に、浪江町や富岡町などの警戒区域を管轄に持つ三警察署の管内では、民家への空き巣被害が前年の七十件から六百五十五件と約九・四倍、約十倍でございます。出店荒らしも前年の十二件から七十五件と約六・三倍に急増したということが報告されております。  私、なぜ引継ぎがあったかどうかお聞きしたかと申しますと、これまで何度も法務委員会においてこの被災地の治安について法務大臣に質問してきました。法務大臣六人目でございますけれども、震災後は三人目になります。江田五月大臣にも何度も質問をいたしました。震災直後の三月二十四日にも質問いたしました。そのときは警察庁も来たんです。今日はいろんな委員会が同時に開かれていますから警察庁来れませんでしたけれどもね。そのときには、そんなに被害ありません、しかも、きちんと警戒いたします、これからもやります、法務大臣も、やります、そう言ったんですよ。  それが、その後、平岡大臣になってから私質問しましたけれども、十月に朝日新聞の報道によると、九月末までの六か月間で前年同期の三十倍に達していると、そういう報告もされていたんですよ。そこでまた私は平岡大臣に聞いたんですよ。江田大臣から引継ぎ受けたんですかと。そうしたら、引継ぎ受けていません。そこでまた私聞いたんですよ、平岡大臣から引継ぎ受けましたかと。そうしたら、引継ぎ受けていませんじゃないですか。これは何ですか。ばかにしているとしか言いようがないですよ。  何回も一時帰宅で帰っています、警戒区域の方が。一回目帰ったときに、荒らされていて、それでも三十分間ぐらいしかいなくて、ビニール袋一個に持ってこい、大切なものだけ持ってきたけれども、それ以外もまだ大切なものがあるんですよ、結婚指輪とかそういうものが。二回目に帰ったときに、それがまたなくなっている。土足で入られていた。一回目に割られた窓から今度家畜が入って、中に家畜の死体があったり、泥だらけになったり、割られたガラスから雨風が入ってキノコが生えていたり、大変な被害なんです。これに対して、東電も今損害賠償はしないと言っているんですね。空き巣被害は泥棒のせいだから、泥棒に賠償してくださいという立場ですよ。  もちろん、賠償の問題もそうなんですけれども、これ以上被害が起きないようにするのが法務大臣と国家公安委員長の仕事だと思います。一年たって、これだけ私が指摘していて、前年比七割増というのは何とも情けない結果だと思いませんか、大臣。
  60. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) やはり、被災者が大変に困難な状況に陥っているという、まさにその状況に乗ずるようなこうした犯罪というのは本当に許すことができないものだと思っております。  法務省としても、こうした犯罪につきましては、そういう情状に鑑みて厳正に対処したいというふうに思います。
  61. 森まさこ

    ○森まさこ君 その御答弁は、前の大臣と前の前の大臣と全く同じでございます。官僚が書いたペーパーを読んでいるだけなんではないかと思うんですよ。やはり、法務大臣がもう六人目で、ころころころころころころ替わっているんです。そのときに引継ぎもきちんとされてない。在任期間も平均すれば半年を切っている。  私、そのことを平岡大臣に申し上げたんですよ。そうしたら平岡大臣が御自分で言っていましたよ。私は五人目で、平均すれば六か月に満たないという御指摘、実際平岡さんは四か月しかいませんでしたけれども、そのことによって法務行政の連続性、日本全体あるいは被災地における法務行政の展開に何らかの滞り、そういうものが生じているのではないかという御懸念、これに対してはしっかりとそうした御批判も受け止めながら、先生が御指摘になっているような様々な点について、精いっぱい、より向上された法務行政が実行できるように頑張っていかなければならない。ここまで言って何もしていないじゃないですか。ここまで言って引継ぎもしていないんですよ。もう全く信頼できない。法務行政というものに信頼ができない。民主党の大臣というものに対して信頼ができません。  小川大臣、この一つの問題についても、官僚が書いた紙を読むんじゃなくて、どうされるか御自分の言葉で答弁してください。
  62. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) まず、先ほど述べたように、被災者の苦しみに乗じるようなこうした犯罪については厳しく対応したいというのは、私が思っている言葉を率直に述べたものでございます。  また、これ、平岡前大臣から引継ぎを受けたか受けないかということではなしに、私自身、大変に重要なことだということでしっかりと取り組みたいと、このように考えております。引継ぎを受けないからないがしろにしているということは決してないということは御理解いただきたいと思います。
  63. 森まさこ

    ○森まさこ君 では、どうして大臣所信の中に入っていないんですか。
  64. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 確かに指摘された個々具体的な項目としてはこれを取り上げてはおりませんが、しかし、やはりそうした犯罪対策あるいは復興対策の中のところに、取り組むという中に含まれているものの一つであるというふうに考えております。
  65. 森まさこ

    ○森まさこ君 前回、法テラスの出張所がないことでも申し上げましたけれども、大臣の所信表明の中には被災地のことは何にも入っていないんですよ。東日本大震災に関する法務行政をしっかり取り組むというような項目もないんです。だから、総合的なものの中に入っていると言われても納得ができません。  次の質問に入らせていただきます。  東日本大震災を原因とする未成年後見人について質問をさせていただきたいと思います。  報道によりますと、東日本大震災後、岩手、宮城、福島の各県の家庭裁判所に申し立てられました震災を原因とする未成年後見人が今月五日現在で合計二百件に上ることが判明しました。申立てが多数に上っている背景としては、生命保険や震災孤児を支援する基金からの支給で法定代理人による受取を求められる例もあるとの理由が指摘されています。申立てを受けた家庭裁判所は適格性などを判断して未成年後見人を選任することになりますけれども、進学や四月からの新生活に対応できるように、震災孤児の子供たちの新生活に対応できるように速やかな選任をお願いしたいと思っております。  そこで、東北三県における震災を原因とした未成年後見人の申立て状況及び未成年後見人の速やかな選任の必要性について最高裁判所の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  66. 豊澤佳弘

    ○最高裁判所長官代理者(豊澤佳弘君) まず、被災三県の家裁管内における平成二十三年三月十一日の大震災の日から二十三年十二月末までの未成年後見選任事件の新受の件数は合計で二百九十二件でございました。これをその前年でございます平成二十二年一年間の数字と比較いたしますと、平成二十二年は三県で百三十三件、一年間で百三十三件でございましたので、非常に増加をしております。とりわけ、仙台家裁と盛岡家裁での申立て件数、新受件数が大幅に増えているところでございます。  委員御指摘のとおり、二百件という数字は三つの家庭裁判所におきまして独自に把握した震災を原因とする未成年後見人の申立ての件数でございますけれども、これらについてはいずれも選任等の処理を完了したというふうに承知いたしております。  委員御指摘のとおり、被災地におきましては、大震災によりまして親権者等を失った未成年者が多数に上っております。これらについて親権者等の不在が続くということは許されません。その意味で、仙台、福島、盛岡の各家裁におきましては、適正かつ迅速に未成年後見人を選任する必要性、重要性を十分認識した上で、後見人としての適格性を確保しつつ、他方、被災者の負担を軽減するとともに未成年者の生活を早期に安定させるという、そういう観点から迅速な審判に努めてまいって、そのための運用上の工夫も行ってきたものと承知いたしております。  具体的に申し上げますと、申立人等が申立てのために家裁に来庁した際に、その機会を利用して必要な調査等を行い審理期間等を短縮したり、あるいは震災後の交通事情に配慮して申立人等が家庭裁判所に赴く回数をなるべく少なくするように配慮したりとか、あるいは通常であれば提出を求める資料のうちの一部を提出を求めないなどのそうした配慮を行って短縮化を図る、また迅速な選任を図るという運用上の工夫を行ってきたものと聞いております。  以上でございます。
  67. 森まさこ

    ○森まさこ君 具体例を挙げて細かく指摘したいんですが、時間もありませんので、私が見ている震災孤児の御家庭で大変苦労しております。しっかりと取り組んでいただきたいということを御要望申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  次の質問は法務大臣、今裁判所に質問してちょっと休憩時間があったと思いますけど、次もまた小川大臣に質問したいと思います。  私、先ほど、福島県内の警戒区域内の空き巣被害について、大臣も御就任になってもう何か月もたっていたんですけど、何ら具体的な対策を講じられておらず、今も官僚答弁に終始して、全く信頼できないというお話をさせていただきました。  法務大臣は、先月二十九日に行われました党首討論の直前に、参議院の委員会室で携帯電話を使って競馬のサイトを見ていたということをお認めになりました。記者の方がその写真を撮っていて、写真があるということで迫ったら、そういったこともあったかもしれないということでお認めになりました。閣議後に記者からの指摘で判明した。そのことについて、公務中ではないかとの指摘に対して大臣は、待機している間で、委員会が始まる前ですからそんなに意識はしておりませんでしたとお答えになったんですよ。  しかし、待機している間に、委員会が始まる前でも委員会室の中です。この部屋でいえば、大臣が今お座りになっているその席で携帯電話を出して、それも仕事の電話じゃないんですよ、携帯のサイトを見ていた。それは大変違和感があります、私はですよ。きっと皆さんも、国民の皆さんもですよ。それをそんなに意識をしておりませんでしたと軽く答えること自体が私には信じられないんですよ。  その後、今月十二日の参議院予算委員会における同僚議員の質問に対して法務大臣は、委員会室における携帯の使用について、大変お騒がせしたこともありましたが、禁止されていないとはいえ、以後、委員会室では携帯は使用しないということを約束しましたと言っていましたけれども、携帯を使用したかどうかじゃなくて、携帯で競馬のサイトを見ていたということが信じられないという話なんです。  大臣は携帯を見る必要はないと思うんですね。だって、秘書官がいつも付き添っていて、何か緊急連絡あるときは秘書官に連絡すればいいんですから。携帯の使用さえもおかしいですけど、携帯で競馬のサイトを見ていたということが騒ぎになっているんですよ。  大臣は、法務大臣として、また大臣としての職責をどのようにとらえていらっしゃるのか、ちょっと一言お聞かせいただきたいと思います。
  68. 小川敏夫

    国務大臣小川敏夫君) 競馬はあくまでも私の趣味の範囲のことでありますが、携帯サイトを見て例えば競馬の馬券を買っていたというわけではなくて、私が、まあ女房、子供と同じとまではいかないけど、その次ぐらいにかわいい愛馬がどういう運動したのかちょっと気になったものですから、まあ軽い気持ちでと言うとまた大変お叱りを受ける気もしますが、趣味の範囲のその情報をごく短い時間サイトで確認したということでございます。
  69. 森まさこ

    森まさこ君 競馬を趣味で持っていること自体を全く否定するものではございません。馬も大変かわいい生き物でございます。  しかし、大臣が、国会の議事堂の中の委員会室で委員会がこれから始まろうというときに、大臣の席に座って携帯で競馬のサイトを見ているということがおかしいんじゃないかと。今の御答弁ですと、大臣は今まで謝罪を一度もしておりませんが、謝罪をするお気持ちはないということですか。
  70. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) その点につきましては、大変お騒がせしたことを踏まえて、今後、私は反省のあかしとして委員会では携帯機器を使用しないということを約束させていただいた次第でございます。
  71. 森まさこ

    ○森まさこ君 謝罪をしないということですか。
  72. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 反省しているということでございます。
  73. 森まさこ

    ○森まさこ君 一切謝罪をしないということがよく分かりました。  何でそんなに気になるのか。大臣の資産公開では馬を二頭お持ちであるということが公開されていますが、今まで何頭お持ちになったことがあるんでしょうか。
  74. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 先日の予算委員会で世耕委員に確認して教えていただきましたけど、たしか六十八頭だったかな、六十数頭でございます。
  75. 森まさこ

    ○森まさこ君 過去六十八頭の馬を持っておられた。そして、賞金総額はお幾らになりますか。
  76. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) これも世耕委員に確認してもらったんですが、七億円ぐらいだったような気がしておりますが。
  77. 森まさこ

    ○森まさこ君 賞金総額は七億三千七百八十六万円となっております。すばらしい御趣味だと思います。  世耕議員が大臣規範の趣旨に照らして馬を持つのをおやめになったらというふうにおっしゃいましたけれど、大臣はそれはやめないというふうにお答えになりました。なぜですか。
  78. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 一言で言えば、あくまでも私個人の趣味のことでございますので、趣味のことでございますから特にやめる気はないというふうに申し上げたわけでございます。
  79. 森まさこ

    ○森まさこ君 趣味のことというふうにおっしゃっておりますが、確定申告をしておられますね。お答えください。
  80. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 確定申告は毎年しております。
  81. 森まさこ

    ○森まさこ君 そうしますと、それは事業として行っているということだと思います。つまり、収入も申告し、そして損金も申告しているということですから、大臣規範の趣旨からして私はやめるべきだと思います。  そもそも法務大臣、大臣規範の兼業禁止のこの趣旨はどこにあると思っていらっしゃるんですか。
  82. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 大臣というその地位を利用して、業務とかあるいは様々なところにおきましてその地位を利用して利得を走ることがあってはならないということが趣旨だと思います。
  83. 森まさこ

    ○森まさこ君 大臣の地位を利用して利得に走ることがあってはならないというのも一つ趣旨でしょう。  しかし、大臣の地位を利用して利得に走ったらどうなるんですか。つまり、国民が大臣に対する信頼を失うんですよ。大臣がしっかりと仕事をしていない、大臣がきちっと法務行政を行っていないという、国民の信頼を失うというところが大本の趣旨なんですよ。大臣が仕事が手に付かなくて大臣席で競馬のサイトも見ているようなこと、これは国民の信頼を失うことになると思いませんか。
  84. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 仕事が手に付かないというようなことは全くないわけでございます。その点は私も、趣味は趣味、仕事は仕事、職務はしっかりと果たしておるつもりでございます。
  85. 森まさこ

    ○森まさこ君 私、今まで質問していることで大臣がお答えになっていることで、仕事をちゃんとしていると思ったことありませんよ。法テラスのこともそう、今日の空き巣被害のこともそうです。仕事をちゃんとしているって自信を持ってお答えになるのが私には信じられませんけれども、まあ仕事をしているかしていないかは、これはまたそれぞれ判断が違いますからね。  しかし、国民から見たときにどうでしょう。大臣が席でこの昼間の普通のサラリーマンが働いている時間に、委員会が始まっていないからといって競馬サイトを見ていて、ちゃんと仕事していると思うんでしょうか。そういう国民から見た信頼というものが大臣規範の大本の趣旨でしょう。法務大臣は法律をつかさどる人でしょう。元々の立法趣旨を大切にして行動する人ではないんですか。  この国会では競馬法の改正が今出されていますよ。この競馬というものは、暴力団の関与とか、のみ行為とか、そういうものの違法行為が行われやすいものでありますから、閣議の場でそういったことに対しても法務大臣としての、司法のトップとしての意見を言う、そういう立場にある方が国会議事堂の中で競馬サイトを見ていて、そのことについて陳謝もしない、携帯を使わなければいいんでしょうということを言い張るということ自体が、私は法務大臣の職責にふさわしくない、小川大臣を法務大臣として認めることができないということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  86. 松下新平

    ○松下新平君 自由民主党の松下新平です。  小川法務大臣には初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。  今議論がございましたけれども、私もこちらの委員会に参りまして間もないんですが、やっぱり法務大臣というのは死刑の執行命令権もありますし、また指揮権発動、そういった重責もあるということでありますが、やはりほかの大臣よりも一段高い、あるいは一目置かれる存在であるべきだと思いますので、私からも重ねてお願いをしたいと思います。  小川大臣は、裁判官そして検察官そして弁護士を経験されていらっしゃいます。私は、この委員会の中で小川大臣が、構造的な問題だと思うんですけれども、検察官と裁判官の構造的な癒着のことも踏み込んで発言されたのは、やはり経験をされてからの、やっぱり大臣ならではの発言だと思いますし、その経験をこの法務行政で生かしていただきたいというふうに考えております。  本日は委嘱審査ですけれども、私からは大きく三点、死刑制度について、そして裁判員制度、そして連座制について、それぞれお伺いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、死刑制度についてなんですけれども、小川大臣の所見をお伺いする前に、現在の死刑確定者数について、確定後の収容期間の内訳、そして刑訴法第四百七十五条第二項ただし書に該当する者について、まず刑事局長から教えていただきたいと思います。
  87. 稲田伸夫

    ○政府参考人(稲田伸夫君) 三月二十七日現在で当局において把握しております死刑確定者数でございますが、これは百三十五名でございます。  これらの者につきまして、確定してからの収容期間別の内訳で申し上げますと、まず確定後半年を経過していない者が十四名でございます。半年を経過し一年未満の者が十名でございます。この後ちょっと年数の関係もございますので区切りを少し大きくさせていただきますが、一年以上五年未満の者が四十九名、五年以上十年未満の者が三十三名、十年以上二十年未満の者が十五名、二十年以上三十年未満の者が十名、三十年以上の者が四名ということになっております。  次に、刑事訴訟法四百七十五条第二項ただし書に該当する者がどの程度かということでございます。これはなかなか難しいところはございますが、まず、判決が確定いたしまして六か月を経過した者は、先ほど申し上げました百三十五名から十四名を引いた者でございますので百二十一名ということになります。このうち、例えば現在再審請求中の者というのが七十名ほどおりますが、このほかにも、過去に再審請求を行った者でありますとか、四百七十五条二項ただし書にありますような、例えば恩赦の申出等をしている者あるいはしたことのある者、あるいは共同被告人が裁判を終了していない者とかいろいろございまして、なかなか数が難しいんですが、いずれにいたしましても相当数がいるということは確かでございます。
  88. 松下新平

    ○松下新平君 死刑の確定者が百三十五名、六月未満を除くと百二十一名ということでした。  このただし書は、お話がありましたとおり、再審請求とか、共犯者が裁判中であるとか、恩赦出願中、こういった方はこの期間に算入しないということでなかなか数字が出てまいりませんでしたけれども、私が独自に調べましたところ、この該当は約七十名ぐらいではないかなと。そうしますと、引き算で約六十名ぐらいの方がこの命令の対象となるのではないかなと。その中には収容期間が三十年を超える者もいるということであります。  民主党政権では、千葉大臣の下で、ちょうどもうお辞めになる直前でしたけれども、平成二十二年七月二十八日に二人、執行命令をされました。その後、柳田大臣、仙谷大臣、江田大臣、平岡大臣、いずれも執行されませんでした。昨年は十九年ぶりに執行ゼロということになりました。  そこで、まず小川大臣に、死刑執行を行わなかった歴代法務大臣についてなんですけれども、刑訴法第四百七十五条二項の規定に明らかに反すると思うんですけれども、小川大臣の見解をお願いいたします。
  89. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) これまでの大臣の対応はそれぞれの大臣のお考えのことだと思いますので、ちょっと私からそれを論評するということは差し控えさせていただきますが、その四百七十五条の規定は訓示規定ということでありますので、直ちにこれ、六か月を経過したら違法になるということではないというふうに考えております。
  90. 松下新平

    松下新平君 法務大臣は訓示規定という認識のようですけれども、我が国は法の支配に基づいて統治されております、言うまでもないことなんですが。法を執行する際は、行政の崇高な使命であり、法を平等に執行しなければ、憲法第十四条の保障する法の下の平等が達成できないわけであります。  そもそも、こういった議論が大臣就任のときに必ず話題となって、時の大臣によって左右されること自体がおかしいと、そういったことをこの立法も予定はしていないということだと思います。  それでは、この刑訴法四百七十五条を削除するという議論もあるわけであります。「死刑の執行は、法務大臣命令による。」という四百七十五条一項、これを削除する、こういう議論もありますけれども、これについての大臣の見解をお尋ねいたします。
  91. 小川敏夫

    国務大臣小川敏夫君) 死刑の執行、ほかの刑罰は言わば法務大臣の指揮でなくて、死刑だけが法務大臣の指揮となっておりますが、やはり死刑というこの大変厳粛な刑罰の性質を考えると、こうした内容でいいのではないかと。特にこれを今変更するということは考えておらないところでございます。
  92. 松下新平

    ○松下新平君 それでは、ちょうど就任されてから二か月以上経過されていますけれども、記者会見で死刑執行する考え方をお述べになられました。就任から二か月経過されているんですけれども、大臣の率直なお考え方をここで披瀝していただきたいと思います。
  93. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 私は、この死刑に対する法務大臣の職責というものをどういうふうに考えるかというときに、私としましては、犯罪に対する刑罰というもの、これはやはり主権者である国民が決めるものだというふうに考えております。  そうした観点から見ますと、法務省が行った世論調査では、死刑を存置する、言わば支持する国民の数の方が非常に多いということ。また、とりわけ裁判員制度が始まりました。これは裁判に国民の声を反映させるという趣旨で設けられた制度でありますが、こうした国民が参加する裁判員の裁判の中でもやはり死刑というものは維持されているということ。  こうした声を踏まえますと、やはり刑罰は国民の考えに従うというときに、今は国民から死刑というものは支持されているんではないかと。であれば、これは法務大臣の職責として執行すべきものである、法務大臣の職責であると、このように考えておるところでございます。
  94. 松下新平

    ○松下新平君 裁判員制度のことは後ほど触れたいと思います。  大臣は就任のとき、一月十三日ですけれども、初登庁時の記者会見と官邸での記者会見ですけれども、死刑制度そのものを議論する必要があると、具体的にはこれからだということをお述べになっていらっしゃいますけれども、この二か月間、具体的に何か議論、取り組まれたことはございますでしょうか。
  95. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) この二か月間というよりも、むしろ千葉大臣のときから死刑制度についての勉強会をしてきたわけでございます。私も副大臣として一年間それにかかわりました。  それが私の就任時に言わば引き継がれたわけでございますが、それを見まして、やはり国民の議論といいますか、いろんな意見をいただきましても、どうしても、死刑を廃止される方と、それから死刑を維持される方というものの考えがそれぞれ強固でございました。これを今一つに合わせて何か方向的なものをすぐに持っていくことができるかどうかというもの、これを今すぐまとめられるような状況じゃないというふうに感じました。また、勉強会そのものはそれぞれの考え方を聞きましたが、それぞれの考え方のよりどころとなるような点はほぼ出ているのではないかと。  そうしますと、これはこの段階で勉強会をまとめた上で、さらに私の考えといいますか、刑罰の本質はやはり国民がどういうふうに刑罰をもって臨むのかということを決める、まさに刑罰権は国民にあるわけですから、国民の間で広く議論をしていただけたらなというふうに考えております。  勉強会を一旦これでまとめまして、その報告書を出させていただきました。この報告書を踏まえて、国民の間から議論が出てくれば私は望ましいというふうに思っております。  なお、一点、先ほど世論調査、法務省が実施というふうにいたしましたが、内閣府の世論調査でございました。訂正いたします。
  96. 松下新平

    ○松下新平君 死刑の在り方についての勉強会のことをお触れになりました。  ただ、この報告書を見ましても、廃止派と存置派の両論併記ということで、それぞれ今御答弁いただいたとおりなんですけれども、これから大臣として判断をする場面がやってくると思うんですけれども、まず、この二か月強の間に死刑執行の命令書が事務方から上がったのでしょうか。大臣、お願いします。
  97. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 個別具体的な話に触れる点にもなりますので、その点については答弁を差し控えさせてください。
  98. 松下新平

    ○松下新平君 それでは、今後、命令書が上がってきた場合、サインはずばりされるんでしょうか。
  99. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 私自身は、就任時に述べたように、大変つらい職務だけれども、しかし職責を果たすというふうに約束しております。その考えは変わりませんので、その職責を果たすための事務は当然行います。
  100. 松下新平

    ○松下新平君 職責を果たすということは、サインをするということで解釈してよろしいでしょうか。
  101. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 要するに、命令を出すということでございます。
  102. 松下新平

    ○松下新平君 分かりました。  続きまして、裁判員制度についてお伺いしたいと思います。  この裁判員制度、ちょうど今年の五月で施行から三年ということになっておりますが、これから、この附則にも、三年経過していろいろな問題を見直す、あるいは補足していく、そういう期間になっていくと思うんですけれども、まず大臣に、この裁判員制度についての現状の認識をお伺いしたいと思います。
  103. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 私自身も、この参議院の法務委員会の審議を通じて司法制度改革に取り組んだわけでございますが、まさに裁判員制度が発足するに当たっては、大変不安の声もあり、また反対する声もありました。実際に国民が協力してくれるのか、あるいは裁判官との協議の中で本当に裁判員がしっかりと独自性を持って意見を言えるのかとか、刑が重くなったり軽くなったりしないかとか様々な不安点がありましたが、施行して三年してみて、結論的にいいますと、本当に不安は杞憂に終わったと言うとあれですけれども、不安した点はなくて、非常に順調な形で裁判員制度を運用されて国民の間から支持されているなと、このような実感を持っております。
  104. 松下新平

    ○松下新平君 それでは、この見直し、三年ということで、いろんな方面から、日本弁護士連合会等お話を聞きながら進めていかれると思うんですけれども、具体的に大臣はどのように検討されるということをお考えでしょうか。
  105. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 法務省としましては、施行直後、平成二十一年九月に裁判員制度に関する検討会、これを有識者の方を中心に始めました。これは現在も引き続いております。  したがいまして、この三年間の裁判員制度の施行状況を見ての見直しも、この検討会において議論を交わしていただいて、私は先ほど非常にうまくいっていると言いましたけれども、改善すべき点が全くないということではありませんので、これまでの施行状況を見てこの検討会等でしっかり検討していただいて、様々な角度から議論を深めていただきたいと、このように思っております。
  106. 松下新平

    ○松下新平君 新たな問題といいますか、なかなか難しい問題として、事件当時、未成年の者の死刑判決について大臣にお伺いしたいんですけれども、この裁判員裁判では死刑判決は十三名だと思うんですね。そのうち、事件当時十八歳と七か月の少年も一人含まれておりますが、まず刑事局長にこの概要をお示しいただきたいと思います。
  107. 稲田伸夫

    ○政府参考人(稲田伸夫君) お答え申し上げます。  御指摘の事件は、当時、犯行時十八歳七か月でございました少年が、交際中の少女、当時十八歳の全身を模造刀などで数十回殴打するなどして全治一か月の傷害を負わせた傷害事件のほか、少女の姉、当時二十歳、少女の友人、当時十八歳の二名を牛刀で突き刺すなどして死亡させた被害者二名の殺人事件。それから、その少女の姉の友人を同じく牛刀で突き刺し殺害しようとしたが、入院加療約三週間の傷害を負わせたにとどまった殺人未遂事件。さらに、その際、少女を自宅から略取するとともに、少女に牛刀で切り付けて全治一週間の傷害を負わせるなどした未成年略取、傷害等の事件により死刑判決を受けたものと承知しております。
  108. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございました。  当時の新聞の見出しですけれども、スピード審理に疑念、更生余地なしと言い切れるのか、そういった言葉が並んでおりました。閉廷後、記者会見で裁判員の一人が苦悩を明らかにされたのは記憶に新しいと思います。  大臣、この未成年の死刑判決についての御見解をお示しください。
  109. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 十八歳以上の少年に対しても死刑ができるという一般論であれば、やはり犯行時少年であったということは判決においても考慮されるべきだというふうに、これは法の趣旨もそうなっておりますので、考えておりますが、今指摘されました具体的なこのケースですと、具体的な判決に対しての一つの論評みたいなことになりますので、法務大臣としては、その点については答弁を差し控えさせてください。
  110. 松下新平

    ○松下新平君 この裁判員制度見直しに関して、日本弁護士連合会から十六項目の提言がなされております。その中で、ここで一点だけ取り上げたいんですけれども、死刑の量刑判断における評決要件に関する意見です、これは少年だけじゃなくて成人も入るわけですけれども。死刑にするかどうかを決める裁判では、多数決で決まる現在の仕組みを改めて、裁判官と裁判員の意見が一致しなければ死刑を選択できないようにすべきだと提言がなされていますけれども、これについての大臣の御所見をお願いします。
  111. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 死刑の判決になりますと、今は裁判員制度が一審だけでございますが、高裁でもこれは当然審理することになりますので、裁判員法だけでなくて、まさに、裁判員だけでない、本来の裁判の方の評議の在り方も含めて考えなくてはならないと思いますので、もちろん議論しないということではありませんが、また裁判員の中での検討会等で議論が当然、日弁連の提案でもございますから意見が出てきて議論されるものというふうに思っておりますが、今ここですぐに結論的なことはちょっと申し上げられないのが実情でございます。
  112. 松下新平

    松下新平君 それでは、最後、残り時間、連座制についてお伺いしたいと思います。  連座制とは、選挙において、候補者本人以外の者による選挙違反行為を理由として、当選無効や立候補制限という効果を生じさせる制度です。昭和二十五年に制定されて改正が繰り返されておりますけれども、平成六年には大幅な改正がございました。新たに秘書組織選挙運動管理者等を連座対象者として追加されて、厳罰化されたものであります。  まず、この平成六年の大幅改正の後の適用状況についてお伺いしたいと思います。
  113. 稲田伸夫

    政府参考人(稲田伸夫君) お答え申し上げます。  法務省において把握している限りの件数で申し上げますと、平成六年の公職選挙法改正以後、検察官公職選挙法二百十一条に基づきまして連座訴訟を提起した件数の総数は百三十九件でございます。その内訳を選挙の種別で見ますと、衆議院議員の総選挙で二十九件、参議院議員通常選挙で五件、統一地方選挙で百五件となっております。  また、これを選挙ごとの件数について見ますと、第四十四回衆議院総選挙、平成十七年施行でございますが、それにおきまして二件、第四十五回衆議院議員総選挙、平成二十一年でございますが、ここで二件、第二十一回参議院議員通常選挙、平成十九年でございますが、におきまして二件、第二十二回参議院議員通常選挙、平成二十二年におきましては、件数はございませんでした。  また、統一地方選挙では、第十六回の統一地方選挙、平成十九年でございますが、この際に七件、平成二十三年の第十七回統一地方選挙におきまして四件というふうになっております。
  114. 松下新平

    ○松下新平君 連座制は、国民の代表である議員の身分にかかわることでございます。また、刑事事件は本人が一切関与していなくてもその責めを負うという、極めて異例な規定であります、まあ時代背景もあったと思うんですけれども。ですから、慎重になされるべきだというふうに考えております。  次に、最近の経済白書についてなんですけれども、実は調べましたら連座制の記述がないんですね。(発言する者あり)犯罪白書、失礼しました。  平成十七年五月三十一日現在までの間、連座訴訟は合計百十七件であり、その内訳は、当選無効、立候補制限を求めるものが二十件、立候補制限のみを求めるものが九十七件である旨、犯罪白書に掲載されております。最近の犯罪白書にその記述が見当たらないんですけれども、このことについて説明をお願いしたいと思います。
  115. 滝実

    ○副大臣(滝実君) 御指摘のとおり、最近の犯罪白書には連座制の記述がございません。これは、今委員がおっしゃいましたように、平成十七年度版までは載っているんですけれども、十八年度からはこの細かいというか、連座制だけを特に取り上げた数字の記述がないということでございます。  それは、最近の実例からいうと、既に制度改正の中身については相当周知されたということもあってでしょうか、連座制訴訟の件数が極めて低位で推移しているということもあって十八年度版からは削除したというのがそのときの理由であったように聞いております。
  116. 松下新平

    ○松下新平君 先ほど数字等はお示しいただきましたけれども、印象としては、制度が周知徹底されたというよりも、裁判の過程でいろいろ問題が生じているというのも一方であると思います。具体的には、先ほど申しましたけれども、本人が全く関与していないのに刑事事件として立件するという極めて異例な規定でありますし、相当無理もあるのではないかということなんですね。  これについては、今日はもう時間もあれなんで、今後議論を深めてまいりたいと思うんですけれども、最後に、この運用状況を踏まえて、総務省の見解をいただきたいと思います。
  117. 黄川田徹

    ○副大臣(黄川田徹君) お答えいたします。  松下委員御指摘のとおり、この連座制につきましては、これは大正十四年の衆議院議員選挙法で導入されて以来、数次にわたって強化が行われ、現在の制度となっております。特に、平成六年の政治改革関連での公職選挙法の改正では、連座制の対象者に秘書や組織的選挙運動管理者等が加えられますとともに、連座制の効果として、当選無効に加えまして五年間の立候補制限が科されている、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、議員から先ほど来お話聞いておりますけれども、この連座制の在り方につきましては議員の身分に関することでありますので、過去の経緯を踏まえまして各党会派で大いに議論していただければと、こう思っております。
  118. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。  本日は、死刑制度について、そして裁判員制度、そして連座制についてお伺いいたしました。改めて、少年事件に関する国民的な議論、これが必要だなということを感じた次第でございます。  今日は予定しておりました質問が全て終了しましたので、これで閉じさせていただきます。ありがとうございました。
  119. 西田実仁

    ○委員長(西田実仁君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  120. 西田実仁

    ○委員長(西田実仁君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  121. 魚住裕一郎

    ○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  予算の審議ということでございますが、今、司法制度改革ずっとやってきて、たしか司法制度改革の意見書が出たのは平成十三年六月だと思うんですね。選挙の前の月だったからよく覚えているわけでございますが。あれからもう十一年たつわけでございます。うまくいったところ、うまくいっていないところあるだろうと思いますけれども。  たしか、国際的な状況にもしっかり対応しようというふうな意見、もちろん事前規制型から事後救済型にしようという、そういう理念の下で改革を推し進めたと思うんですね。ですから、特に国際化という観点からも、例えば知財高裁であるとか、そういうことをやったと思いますし、また、国際的な商取引で仲裁法も本当に現代化してやっていこうというふうなことであったと思いますけれども。  この間、新幹線に乗っていたら、新幹線の雑誌がありますけれども、そこでちょっと仲裁、あるいはこのリーガルサービスについてもっとレベルアップしないといかぬじゃないのという、そういう記事がありまして、本当に目の覚めるような思いでございました。  そこで、指摘があったわけでございますけれども、例えば国際的な商取引で仲裁を利用する。例えば日本も日本商事仲裁協会というのがありますけれども、多い年でも年間三十件ぐらいなんですね、これは。ところが、中国の国際経済貿易仲裁委員会、千件を超すというような状況になっておりますし、また、例えばシンガポールも、シンガポール国際仲裁センター、こういうのをつくって、国際経験豊かな仲裁人を三百二十人以上も擁している。だから、シンガポールに関係ない案件が五割ぐらいになっているという話なんですね。  韓国でも、アジアの仲裁のハブになろうと。だから、日中間の紛争であっても韓国に呼び込もうと。ですから、国全体で仲裁にかかわる弁護士や通訳あるいは速記者を含めて、そういう意味でのビジネスの裾野を広げようという、そういうふうにやっているわけでございますが、それに比して日本は年間三十件に満たないというような、そういうような今状況になっているわけなんですね。  そして、御案内のとおり、国内で取引しているのであれば、国内の裁判所を使ったり、いろんなADRとかいろいろあると思いますけれども、国際的な商取引になるとやっぱり仲裁というのがメーンなんですよね、紛争解決の。  そういうふうに対処したはずなのにどうもそうなっていないねというのが一つでありますし、それから更に大きな問題として指摘されたのが、結局、契約でいろんな条項を作るわけだけど、そうじゃない部分、じゃ、どう解決するのといった場合、準拠法というふうになるわけでございます。  その準拠法も、じゃ、日本の民法、日本の債権法に従いましょう、あるいはイギリス法に従いましょうとかいろいろあると思いますけれども、日本の民法は、特に契約に関する部分は明治二十九年に制定された。一八九〇年代ですよね、これは。もう前の世紀じゃなくて、前世紀の遺物じゃなくて、その前の世紀というふうになるわけでございますが。  しかし、諸外国、例えばアメリカのUCC、統一商法典、これ改正は一九九九年になっていますし、ドイツも二〇〇一年に債権法を改正された。あるいは、フランスも担保法、時効法、あるいは不法行為法が二〇〇六年、二〇〇八年、二〇一〇年というふうになって改正しておりますし、債務法は進行中というふうに紹介されている。中国も、契約法は一九九九年、物権法が二〇〇七年、不法行為法は二〇〇九年というふうに改正をしてきているわけですね。  結局、何でこの準拠法として日本の民法が取られないかといえば、結局、分かりづらいといいますか、条文数少ないし、書き込まれていないものだから予測可能性が付かないとか、そんなことが指摘されているわけでございますが。  前に同僚委員からもこの民法の債権法の改正についての審議会の状況どうですかというふうな質問もあったわけでございますが、具体的にスケジュール感どういうふうになっているか、もう一度御説明をいただきたいと思います。
  122. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) まさに、この民法の中の債権法の分野、経済の状況の変化等になかなか条文そのものが対応し切れていないというような点がございまして、平成二十一年に債権法の見直しを諮問したわけでございます。ただ、何分にも大部にわたり様々な問題点がございますので、まだまとまっておるところではないんでございますが、平成二十五年二月、まだ一年先でございますが、中間試案を取りまとめるということを目標に作業をいただいておる状況でございます。
  123. 魚住裕一郎

    ○魚住裕一郎君 いや、私言っているのは、それ自体が余りにも遅いじゃないかということを言っているんですよ。だって、司法制度改革の意見書は十三年で、あれから十年たって、何で平成二十一年諮問するんですか、七年も八年もたって。  だって、仲裁法を改正しましたよね。それは、仲裁で準拠法というのは理の当然として考えられるわけですよ。だから、日本の民法がもたもたもたもたしているからみんな諸外国に持っていかれるというかね。しかも、今、中小企業を海外展開していこうと、大手の商社とかそういうのは専門家も抱えているかもしれないけど、中小企業を海外展開するといったって、結局、準拠法が中国法だと言われたって本当に困るじゃないですか。もっともっと、そんな二十五年に中間取りまとめなんて言わないで、もっとけつたたいて審議を早めるようにしないといかぬと思うんですよね。  何か法制審議会というと本当にもう結論が出ないんじゃないかみたいな、思わざるを得ないことがあるんですね。でも、そうじゃなくて、やはり現実の商取引で必要なものですから、もうちょっと督促をしてもらいたいと思いますが、御所見をお願いします。
  124. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 確かに、日本企業が国際取引をする、まさにグローバル化していく中で、準拠法が日本の法ではなくて外国の法であるといえば、その外国法を研究しなくてはならないという労力が掛かるわけでございますし、場合によっては予期せぬ不利益が生じるということもあり得るわけですから、そうすると、備えを中小企業が自分の責任で行わなければならないとなると、これはまた負担が大変掛かるわけでございます。委員が指摘された問題点は誠にそのとおりであると感じるところでございます。  確かに、法制審議会遅いなと、これは昔から言われてきたところで、私も率直にそんな感じを持っておるんですが、ただ、何分にも取引の基本法でありますし、また様々な現在の取引の状況に合わせるとなると、余り急いで間違っては困るものでもございますので、そこら辺のところは慎重に、しかし国際取引の増えたこの環境にしっかりとその必要性を見据えて早く取り組まなくてはいけないなと。委員の今の御指摘を叱咤激励と受け止めまして、しっかり取り組まさせていただきたいと思います。
  125. 魚住裕一郎

    ○魚住裕一郎君 もう是非お願いしますよ。  何か法務省の議論って、例えば死刑の話は永遠に結論出ないなと思っていますけれども、法制審議会も何かそれに近いような印象を受けるんで、もっと、実際の経済にも影響あるものですから、しっかり督励をしていただきたいと思います。もちろん、稚拙過ぎて法の劣化を起こすようなことは当然あっちゃいけませんけれども、しかし専門家集まってやっているわけですからそんなことはないと思っておりまして、しっかりお願いをしたいと思っております。  大事な点は、やっぱり世界で通用するような、そういう民法で、債権法であるということが大事だと思いますが、あともう一方で、人材が大事だと思うんですね。  今、どうしても研修所等の法教育というのは、訴訟弁護士といいますか、そういう訴訟弁護士を養成するんだというか、そういうのが中心になってしまっているわけですけれども、しかし、実際の商取引、国際商取引では、やはり訴訟手続の前、手前のリーガルサービスにこたえられる、それから海外案件も例えば英語で対応できる人材、こういうのが必要だというふうに思っているわけでございますが、大臣の御意見はいかがですか。
  126. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 委員の御指摘、誠にそのとおりであると思っています。  弁護士あるいは法曹というものが、裁判の分野だけでなくて、やはりその前に社会生活の中で様々な法的素養を備えた状況で執務ができれば、それが逆にかえって紛争が減るということにもなるわけでございます。御指摘のように、法曹というものを裁判だけでなくて、日本の社会の様々な分野、そして国際取引においても国際的な面でどんどん活躍していただきたい、そういう人材を輩出できる法曹養成制度にしたいと、このような理念は持っております。
  127. 魚住裕一郎

    ○魚住裕一郎君 平成十三年のこの司法制度改革審議会の意見書でも、同じような方向性、この法曹養成について打ち出したと思うんですね。社会の医者という位置付けもあるけれども、やはりそういう国際的な商取引でも幅広い人材を、優秀な人材を集めるんだと。  そして、大体平成二十二年ころには三千名の司法試験合格者を目指すよというふうにやってきたと思いますね。ここ四年間ぐらいずっと合格者が二千人前後でございますけれども、この合格水準に達する受験生がいなかったかどうかとかいろいろあろうと思いますが、この二千名内外の合格者数についての大臣の御見解はいかがですか。目標は三千名でしたよね。
  128. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 三千人に既に到達していなくてはならないところが二千人にとどまっているというのが現状でございます。  なおかつ、その二千名でも、弁護士となった者が所属する事務所がなかなか決まらないといって過剰感が出ているというので、どうも制度の理念と違うのではないかというところが現状起きておるわけでございますが、やはり一つの問題は、この法曹が裁判という分野だけで限定しているというところにとどまっていて、幅広く法曹が活躍する場面、公務員であるとか経済界であるとか、あるいは国際機関であるとか、そういったところでの展開が一番遅れているのではないかと。  そこら辺のところを、ですから、三千人の目標を二千人に下げる、あるいはもっと、二千人でも過剰だから下げるということよりも、三千人の目標はしっかりと維持しながら、それに伴う職域の拡大というものを努めていくことが私は一番大事なのかなと思っております。
  129. 魚住裕一郎

    ○魚住裕一郎君 私もそうだと思いますよ。で、自然にそうなるのかというね。  今、自治体であるとか企業とか、具体的に働きかけはしているんでしょうか。総務省に、しっかり法律家養成していますから、自治体の法務室みんな司法試験受験生ばっかりじゃなくて、ちゃんとした法曹を採用してくださいよと、そういうふうにやっていただいているんですか、具体的に。企業にも、例えば経済団体に、こういう優秀な人材いっぱい輩出していますから、そういう働きかけしているんでしょうか。単に水が流れるがごとくいくように思っておいでになりますか。
  130. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) いえ、もちろん、自然にいくものではなくて、努力しなくてはいけないものと思っております。  もう二年目に入りました、一昨年から法曹養成フォーラムを設けまして、まさにこの法曹養成問題に取り組んでおるわけでございますが、まさにそういう視点から、これは法務省だけでない、あるいはロースクールが文科省ですので、文科省と法務省だけの問題ではなくて、法曹の職域拡大という観点からすれば、公務員、地方自治体の公務員ということで総務省、そして企業、経済界にということで経済産業省、そうした省庁にも入っていただきまして、六省庁でまさにそうしたことも含めてこの法曹養成の在り方を議論しようということで、今まさに議論しておるところでございます。
  131. 魚住裕一郎

    ○魚住裕一郎君 例えば法務省の場合、研修所を卒業して法律家となって検事さんになったり裁判官になったり、そういう中で役人になっている方もおいでになると思いますけれども、一般職で来ている方もいるわけですよね。検判事にならなくて採用している人はいますか、法務省が。
  132. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 法務省の行政職に検事だけでなくて一般職をということでございますね。  なるべく、特に検察、検事でなくても、いわゆる法曹でなくてもいい職場といいますか部局もございます。例えば出入国とか人権擁護とか、これは本来的には司法の場面ではない部分の行政分野でございますので、そうした面を一つの突破口にして一般職の方の登用というものを重要視していきたいと、このように思っております。
  133. 魚住裕一郎

    ○魚住裕一郎君 一般職で法曹資格を持っている人はいますか。
  134. 小川敏夫

    国務大臣小川敏夫君) 済みません。一般職というのは、要するに検察庁の検事ではなくて、法務省行政職に就いている職員ということでございますね。  これは検事の資格を持ちながら、あるいは裁判所からの判事判事補の出向ということで来ている、そうした法曹資格を持っていて法務省行政職をやっている職員はおります。
  135. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 検判事の身分ではなくして、法曹資格を持っているんだけれども一般職で通ってきた人、国家公務員試験で。
  136. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 入ってきた人。
  137. 魚住裕一郎

    ○魚住裕一郎君 そうです。  つまり、僕は何を言わんとするかというと、他省庁にしても、自治体にもお願いしますというのであれば、まず自分のところはどうなんだと、そういうことを言っているんですよ。いかがですか。
  138. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 済みません。今そういう目で調査していないものですから必ずしも正確でないかもしれませんが、私の知っている範囲ではいないと思います。
  139. 魚住裕一郎

    ○魚住裕一郎君 やっぱりそういう、もっともっと、一旦裁判所に行くとか、検察庁で採用された人間以外でもあってもいいんじゃないのかなと。そういうのを多分他の省庁もしっかり見ているんじゃないのかなというふうに思ったものですから、今質問をさせていただいたんですね。入管だってほとんど外務省の人が多かったりした時代があるわけですよね。やっぱりもっとフレキシブルに考えて、法曹の就職先、まず法務省からやるというぐらいの発想でやってもらいたいなというふうに思います。  それで、今、フォーラムという言葉が出てきましたけれども、フォーラムというのは法的位置付けは全然ないわけですよね、これは。何か申合せで関係省庁やって、何かぐじゅぐじゅやっているという、たまに会議録というか出てきているわけだけれども、法務大臣の姿勢は何かそのフォーラムに丸投げみたいな、そんなふうに見えるわけですよ。  一方で、今、実際の弁護士、軒弁とかそういうのをいろいろ言われているわけだけれども、日弁連も千五百名ぐらいが合格者いいんじゃないのかというふうに意見も出ているわけでございますが、今後の合格者数、大臣としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  140. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) やはり、数というよりも、それに見合った実力がある人が受かるということですので、実力を伴わないで合格者を増やすということはこれは好ましくないというふうに思っております。なるべくロースクールの教育の質が充実して、そうした能力を備えた人がたくさん輩出できる制度になってくれたらいいなと思っております。
  141. 魚住裕一郎

    ○魚住裕一郎君 次に、法科大学院のことをお聞きしたいと思います。  大臣も就任後の記者会見の中で、裁判員制度はうまくいっているといいますか、スタートしたねと、だけど制度設計とちょっと違うのがこの法曹養成だということも述べられていたわけでございますが、文科省、お見えでしょうか。  質の良い学生が入学し、また司法試験の合格率を中心にして、補助金の削減をちらつかせながら中小規模の法科大学院の定員減を迫っているという、そういう不満の意見も出ているところでございますが、大学院の入試の倍率あるいは司法試験の合格者数によってこの公的支援の見直しの対象となる法科大学院を決めるという方法が法科大学院の受験予備校化を加速するんではないかというふうに、そういう意見もあるんでございますが、文科省、いかがお考えでしょうか。
  142. 常磐豊

    ○政府参考人(常磐豊君) お答えさせていただきます。  現在、文部科学省におきましては、深刻な課題を抱えます一部の法科大学院に対しまして、今委員御指摘のとおり、財政支援の見直しということを行うこととしているところでございます。この措置は、各法科大学院における自主的、自律的な組織見直しを含む改善を促進するということを狙いとするものでございまして、全体としての法科大学院教育の質の改善ということを図ることを目的としてございます。  その指標につきましては、中央教育審議会の法科大学院特別委員会の審議に基づいて設定をしておりますが、その一つの指標といたしまして司法試験合格率を用いております。これは、多くの法科大学院で教育改善が進められておりますけれども、その一方で、やはり深刻な課題を抱える法科大学院に司法試験の合格状況が低迷しているという指摘があることによるものでございます。  また、司法試験の合格状況を指標として用いるに当たりましては、中教審の委員会から、過度に高い指標を用いるということにならないようにということで、合格状況に極めて大きな問題が継続している法科大学院に限定すべきであるという指摘がございますので、これを踏まえて公的支援の見直しの指標を設定しているという状況でございます。
  143. 魚住裕一郎

    ○魚住裕一郎君 国立大学法人運営費交付金あるいは私立大学等経常費補助金、これを減額することで実績の上がらない法科大学院の自主的な退場を迫るというようなやり方になって、いかがなものかなというふうに思うわけでございますが。  そもそも、何といいますか、法科大学院が乱立したんではないのか。結局、形式的、外形的な基準を満たしたものは全て設置認可をしたということが原因ではないか。取りあえず認可しておいて、人の人生を左右しかねない、そういう教育の場を、競争による質の保障を図りながら、実績の上がらないものは淘汰されればいいんだと、そういうやり方自体が妥当ではないんではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  144. 常磐豊

    ○政府参考人(常磐豊君) 法科大学院の設置につきましては、平成十三年六月の司法制度改革審議会意見書におきまして、「関係者の自発的創意を基本としつつ、基準を満たしたものを認可することとし、広く参入を認める仕組みとすべきである。」という提言をいただいているところでございます。これを受けまして、専門職大学院設置基準等において設置に必要な最低限の基準を定めまして、それを満たしているものについて設置を認めることとしたということでございます。  各法科大学院におきましては、競争的な環境の中で切磋琢磨して教育の質の維持向上を図られることが重要と考えておりますが、現在、一部の大学院において教育の質に課題を抱えているという御指摘もいただいているところでございますので、文部科学省といたしましては、先ほど申しましたような中教審の提言等を踏まえまして、入学定員の見直しであるとか、あるいは成績、進級判定の厳格化、あるいはさらに認証評価基準の改善などによって評価システムをしっかりするというようなところで、各法科大学院の教育の質の向上に更に努めていきたいというふうに考えております。
  145. 魚住裕一郎

    ○魚住裕一郎君 法務大臣にお聞きしたいんですけれども、例の連携法で、当然法務大臣にも責任があるわけでございますけれども、法科大学院の予備校化しかねないという状況、また、いろんな補助金をちらつかせながら改善してきたというのか、補助金による定員減だけが今のところの成果かなと思うわけでございますが、法科大学院の改善状況について大臣はどのように認識をされておいでになりますか。
  146. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 改善状況というとなかなか難しいんでありますけれども、本来の制度の趣旨としては、法科大学院でしっかり勉強とトレーニングを積んだ人はその大半が司法試験に受かって法曹になれると、このような制度設計であったと思うんでありますが、しかし実際には、ロースクールで学んでも、それが法曹になれない状態のロースクールが多いというところの現状は大変残念に思いますが、一つ一つのロースクールの在り方に法務大臣がああだこうだと言うのも、直接口出しするのも余り適切ではないかなと思うんでありますが、しかし、各ロースクールにおいては、やはり教育者としての使命感を持って、ロースクールの理念に根差していい法曹を養成するべくしっかり努力していただきたいという、こうした思いを持っております。
  147. 魚住裕一郎

    ○魚住裕一郎君 いろんな問題を抱えながらでございますけれども、今、大臣、例えば平成十七年、法科大学院志願者、四万人超えていたんですね。二十二年は二万人ですよ。ぐっと減っちゃった。幅広く、そもそも点で試験をやるんじゃなくて、もっとプロセスで人材育成をしていこうという、幅広くいろんな社会経験を持った人も糾合しようという発想でやってきたわけでありますけれども、しかし、今はそういう合格率の状況だと、また就職状況も厳しいよということも含めて、そもそも法科大学院、進学するのをやめようという、本当に増えているんじゃないのかなと思うんですね。これもう司法という立場からするとゆゆしきことだと思いますけれども、この法曹の志願者がこれだけ減っていることについて大臣はどのように考えているのか。  あわせて、今、裁判所法をどうするのか。例の修習生の貸与制だ、いや、給費制だと。我が党は当然給費制だという案を出しているわけでございますし、また近々まとまってくるのかもしれませんけれども、やはりフォーラムみたいな形でやるんじゃなくて、司法制度改革の意見書出てからもうかなりたつわけでございますので、しっかりした機関、単に関係省庁だけのフォーラムじゃなくて、学識者も含めてそういう合議体をつくって、あるべき姿をもう一度きちっと議論をすべきではないかと。  その減少したことと、今後の在り方について御答弁をいただきたいと思います。
  148. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) ロースクールの方、これまでも繰り返し議論の中で大変に問題を抱えていると。特に数的な面で見るとそうなんですが、私は、ロースクールでいい面、もう実際にこの役割を果たしている部分もあると思うんですね。  ロースクール制度ができて修習を終えて、実際に弁護士が若手となって活躍を始めております。その中で、過去の司法試験だったら自分は絶対に法曹になれなかっただろうと。つまり、法学部を出ていなくて、ほかの分野で職を持っておられた方とか、法学部以外の方が新しいロースクール制度ができたことによって法曹になれたと。そうした方々は、法律だけでなくて、自分が得意な分野をそれぞれ持っておられる方が社会に出ておるわけです。この方たちが、これから言わば、今はまだ新米でしょうけれども、実際の中堅になって力を発揮してくると、このロースクールの一つの成果が形として現れてくるんではないかという面もあるというふうに思っております。  また、給費制の問題、大変いろいろ議論したところでありますが、今の財政状況を考えますと、やはり修習中は支えますけれども、返せるときになったら返していただけたらというのが政府の考えでございます。
  149. 魚住裕一郎

    ○魚住裕一郎君 終わります。
  150. 桜内文城

    ○桜内文城君 みんなの党の桜内文城です。  まず、今日は委嘱審査ということで、人権擁護局の関係についてお尋ねいたします。また、大臣の所信の中でも、政府からの独立性を有する新たな人権救済機関の設置ということにも触れられております。この両方について、今現在の人権擁護局のお仕事と、それから今お考えの、検討されている新たな人権擁護機関についてお尋ねします。  まず、現在の人権擁護局の在り方ということなんですけれども、昭和二十三年、大変歴史のある行政組織でありまして、ただ、少し違和感がありますのが、新憲法になりまして基本的人権というものが憲法上も大変尊重されるような形になってきた中で人権と、少し文言が違うわけですね。こういった文言をわざわざ使ったというか、法務省設置法上、人権擁護局という名称にされたような、その人権って一体何を意味するのかということをお尋ねしたいと思います。  どういう意味かといいますと、当時、ドイツなどでは以前のワイマール憲法なりの反省というかがあって、基本的人権の在り方あるいは政党の在り方等々、大変な議論があったということです。特に人権という言葉が何を意味するのかと。もちろん、歴史的には自由権それから社会権、そしてもちろん平等権というのもあるわけですけれども、やはり当時のドイツの議論等を見ておりますと、特に自由というものと平等あるいは民主化というもののぶつかり合いといいますか、というものが大変深く議論されている様子が分かります。  当時のドイツの法学者の言い方しますと、ナチスの経験というのは、言わば平等化、民主化を進め過ぎたがゆえに自由が自ら命を絶ったというような反省もあったとお聞きしておりますけれども、それと同じ時期に、昭和二十三年に人権擁護局というものが設置されたということなんですけれども。今現在の人権擁護局が作られているパンフレット等を見ますと、どちらかといえば平等権にやや偏っているような印象を受けるんですけれども。  そもそも、その人権擁護局という名称の使われております人権というものについて法務省としてはどういうふうにお考えなのか、お尋ねいたします。
  151. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 人権とは人がその固有の尊厳に基づき当然に有する権利と、このように考えておるわけでございますが、基本的に、この民主主義というもの、あるいは現代社会というものは、やはり人一人一人が大切にされる、あるいは人一人一人に価値の根源があるという仕組みの制度だと思います。そうしたときに、人一人のその固有の尊厳に基づき当然に有する権利というもの、これはやはり侵害されてはならない、逆に、政府はそれを守らなくてはいけないということで、この人権を擁護する施策が必要ということになったのではないかと、ちょっと私、個人的な見解もありますが、そのように思っております。
  152. 桜内文城

    ○桜内文城君 ありがとうございます。  一般的にはそういうことだとは思うんですけれども、やはり自由権というものと平等権というもののその兼ね合いといいますか、これはよくよく考えなくちゃいけない問題だと考えております。というのは、自由を徹底すると不平等が生じます。一方で平等を徹底すると、例えば経済でもそうですけれども、自由が損なわれる場合が出てくる。これはもう当然の理でありまして、そういった意味では、人権擁護局が守るべきもの、やはり優先順位といいますか、そこはよくよく考えていかないと、かえって想定しなかったといいますか、平等権というものを余りに尊重し過ぎるがゆえに他者の自由を侵害する、それも国家機関がですよ、法務省の一組織である人権擁護局の活動がそのような結果をもたらしてはならないので、そこはよくよく慎重に活動していただく必要があると考えております。  関連して、もう一つお伺いいたしますけれども、現在法務省の人権擁護局が作られていますパンフレット等で既に法務省の人権擁護機関という文言が使われております。これはどういったところから文言として使われているのか、その由来等、あるいは法的な、設置法上こういった文言があるのかどうかも含めて、確認のためにお伺いいたします。
  153. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 特に、人権擁護機関という、その機関のところでございますが、人権擁護のための特別な機関があるわけではなくて、あくまでも法務省の中の一部局でございますが、そうした法務省の一部局、あるいは地方の地方法務局の人権擁護部門とか、そうしたものを言わば総称する形で一つの通称的にこの機関という言葉を使って法務省の人権擁護機関というふうに呼んでおります。
  154. 桜内文城

    ○桜内文城君 そういう曖昧、曖昧と言っては失礼ですけれども、根拠がなかったものを今度新法なりでもって新たな人権救済機関というような言い方をされているんだと思います。  続けて、新たな人権救済機関あるいは人権擁護機関についてお尋ねいたします。  現在、まだ条文審査中だそうでして、骨子のようなものしかありませんけれども、この中で、いろいろと既にもうこれ長い議論がなされてこの委員会でもおる話でして、やはりざっと見ますと、人権というものの定義、文言の定義ですね、というのがやや不明確なのではないか、あるいは、その他の書きぶり等々を見ておりますと、平等権といいますか、差別禁止というものに偏り過ぎなのではないか、そういった印象を受けます。  そうすると、当然のことながら、私人間の紛争等に行政権がより、何といいますか、幅広に介入していくような、そういう印象をどうしても抱いてしまうんですけれども、その点、人権の定義、そしてこの新たな人権擁護機関の活動の対象というものをどのように今お考えになっているのか、お尋ねいたします。
  155. 小川敏夫

    ○国務大臣(小川敏夫君) 人権侵害というのは、委員が分類されました自由権、社会権、平等権ですか、この全ての面におきまして、やはり人が基本的に持っている尊厳されるべき地位、これを侵害すれば人権侵害の対象たり得るというふうになっておるわけでございまして、人権とは、そういう意味で、特に自由権、平等権、特に分け隔てていることではなくて全体を考えているわけでございまして、どこに特化しているというわけではございません。  それで、様々な人権に関する擁護しなければならないという事例につきましては、現在、人権擁護局で扱っておるわけでございますが、そうした問題についての様々な行政がこれについて言わば干渉するあるいは指導するというような部分は、これはこの人権にかかわらず、全ての行政機関が行うことにおきましても行政庁の判断で行っておるわけでございまして、その後に、言わばそれを、問題があったときに、後にそれを司法で争うことができる、司法で検証することができるという仕組みになっておりますので、まず第一段階として行政がそうした分野を法律の規定に基づいて行うということは、これは普通のことだというふうに思っております。
  156. 桜内文城

    桜内文城君 普通のことだと思われるのは個人の主観でいいんですけれども、それが普通なのか否かということなんですけれども。  今の人権擁護局の取組、もちろんこれはこれで大事だと思います。いじめですとか、あるいはまさに差別とか、世の中にあってはいけない話ですので、そういうのをなくしていきましょうというのは大変大事なこととも思うんですけれども、先ほど言いましたように、やはり平等というものをより強化する、そしてそれを、特に独立性を有する新たな人権救済機関、これ行政機関なわけですから、そのような機関を設置することによって、他者の特に自由権というものが侵害されてしまう可能性というのも高まるというのも事実だと思います。  特に、ドメスティック・バイオレンスですとかいじめですとか、そういう私人間の物理的あるいは精神的な意味での争訟といいますか争いに関して言えば、刑事民事司法制度というのが当然備わっているわけでありまして、よく法務省の担当の方からお聞きしますのは、簡易迅速に差別ですとかそういった問題に対して対処できるような機関があっていいんじゃないかと、それも一つの考え方とは思います。しかし、現在の人権擁護局というものを超えて、それもまた三条機関独立性を持ったものを新たにつくっていくというのがいかがなものかと考える次第です。  というのは、例えば家庭暴力にしても、暴行罪あるいは傷害罪等で通常であれば処理されていくべき案件だと思いますし、前広に、簡易にというのは否定しませんけれども、それが行政機関が行うべきものなのかと。今、司法改革の話も、先ほどもありましたけれども、もっと司法というものを利用しやすくするですとか、そういった別のアプローチもあり得るのではないかなというふうに考えております。  昨年、非訟事件手続法ですとかも改正がなされまして、これから施行ということですけれども、家事事件手続法ですか、そういった新しい法律もできてくる。新しい制度をつくっていくという意味でも、必ずしも行政組織としてやっていくというのが、決め打ちするのはいかがかと思うんですけれども、それに対して大臣の御所見をお伺いします。
  157. 小川敏夫

    国務大臣小川敏夫君) 委員御指摘のとおり、自由権と平等権、衝突する場面があるんではないかという、様々なケースもあると思いますが、やはり人権侵害の場合に、私どもが考えているのは、あくまでも違法な評価が与えられる人権侵害行為ということを対象にしておりますので、やはりその侵害行為が違法と評価される程度のものでなければ対象としないという意味でかなり、何でもかんでも人権侵害らしきものがあれば何でも対象にすると、あるいは行政が恣意的に対象にするということではないんであります。  ただ、じゃ、どこまでどういうものが入るんだと言われましても、これは個々具体的なケースになってしまいますので少し例示はなかなかしにくいところでありますが、あくまでも違法な評価、違法な侵害行為というものが対象であるということで限定されるというふうに思っております。  また、申し訳ありません、長くなりますが、司法救済ですが、やはり司法救済ですと、どうしても法と証拠に基づいて、これを当事者が救済を求め、裁判所は言わば損害賠償といった事後的な救済というものが多いのが通例でございますが、やはり人権侵害を受けた者というのは比較的弱者が多いという場合に、法と証拠、証拠を収集するといったところの力が十分でない、あるいは、そうした場面において、裁判所のように事後的に判断するんではなくて、行政が後見的にそれを応援する、あるいはそもそもそうした侵害行為の発生を未然に防止するといった、そうした分野での期待される部分が多いとも思いますので、司法的救済というものは当然必要でございますが、やはりその言わば前段階で行政的な救済というものもあってしかるべきではないかと思っております。
  158. 桜内文城

    ○桜内文城君 一つのお考えとして承りますけれども、やはり、違法なものに限定するというふうにおっしゃいましたけれども、法の解釈、適用の権限というのはもちろん裁判所にあるわけですので、行政権が仮に違法だと思ったものが本当にそうなのかというのは、本当に裁判になってみないと分からない話でもありますし、また一方で、自由を行政機関に侵害された者がその行政機関とまた訴訟なりで争うというのは、これもう大変な話でありまして、そこはやはり、本来、人権擁護といいながら他者の人権を侵害することのないように、もう本当に抑制的に行政機関としては動く必要があるんじゃないかなということは指摘しておきます。  時間がないので、次の質問を少しさせていただきます。  公安調査活動に対して百四十億円ほど予算が付いております。公安調査庁についてお伺いいたします。  今日の午前中も少し有田委員からも質疑があったところでありますけれども、公安調査庁、なかなか活動が見えにくいとも言われたりします。私も、ようやくその設置法ですとかその所管します破壊活動防止法等を見させていただきました。  まず、その概要といいますか、今日の午前中もあったんですけれども、「内外情勢の回顧と展望」というのがありまして、二つ違和感を抱いた点があります。  というのは、まず一つが、北朝鮮ですとか中国ですとか、そういった、あるいはロシアという国の名前が挙がっておりますけれども、基本的にこの破壊活動防止法の対象となるのがいわゆる破壊的団体、刑法でいいますと内乱罪ですとか騒擾罪ですとか、そういったものに当たるであろうというもの。暴力主義的破壊活動、これはもちろん公共の安全のためにあっちゃいけない話なんですけれども、国家というものが、その北朝鮮なりあるいはロシアなり中国なりというものが入るのかな、どうなのかなというちょっと違和感を感じます。  というのは、この破壊活動防止法上、二条というのもありまして、「この法律は、国民の基本的人権に重大な関係を有するものであるから、公共の安全の確保のために必要な最小限度においてのみ適用すべきであつて、いやしくもこれを拡張して解釈するようなことがあつてはならない。」というふうな文言もあります。そういった意味で、外国というか国家というものが調査の対象と本当になるのかなと、やや何か拡張的な解釈されているんじゃないかなという違和感を抱きました。  その点と、もう一つ、この「内外情勢の回顧と展望」の中に、幾つか国内的な事案としましては、共産党さんですとかあるいは右翼団体ということで、民主党政権打倒を主張する。私どもも野党ですので当たり前のように普通言っているんですけれども、こんなので公安の対象になったら嫌だなというのも、少し時代的に違和感を感じるようなものが対象となっているんですけれども。  というのは、特に政権の打倒ですとか、特に今こういう団体というのでなくとも、インターネット等でネットワークが緩やかにできたりするじゃないですか。そうしますと、個々人の政治的言論の自由ですとか、そういったものがやはり侵害されていく危険性というのもあろうかと思うんですけれども、その点について少し違和感を持ったということと、そういった違和感というか懸念を実現させないために、どういった仕組みで公安調査庁が実際の仕事をやられているか、これを最後にお聞きいたします。
  159. 尾崎道明

    ○政府参考人(尾崎道明君) 当庁の業務について御質問がございましたので、その点については私の方からお答えさせていただきたいと思います。  暴力主義的破壊活動を行うおそれのある団体等を調査対象としているわけでございますけれども、国内のそういう諸団体の動向と、例えば北朝鮮等の国の動きというのがやはり関連しておりますので、我が国の公共の安全の確保のために必要な限度でそういう諸外国における事象も調査対象としているということでございます。  それから、政権云々というお話がございましたけれども、あくまでも現行憲法秩序を破壊するような暴力主義的破壊活動をするおそれのある団体等についての調査ということでございます。  なお、権限の濫用のおそれについては、私どもといたしましても十分な監督を行っているつもりでございますし、法的にも必要最小限の調査が認められている、その限度で調査を行っているということでございます。
  160. 桜内文城

    ○桜内文城君 終わります。
  161. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  裁判における逐語録と裁判所速記官の問題について最高裁にお聞きいたします。  横浜地裁で、先月、刑事事件の訴訟記録の写しとともに法廷で録音された供述や証言などの録音データを記録したDVDが反訳業者への発送の途中で所在不明になったという事件がありました。まず、この経緯そして対応について、いかがでしょうか。
  162. 戸倉三郎

    ○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) お答えいたします。  三月八日、横浜地方裁判所の刑事事件におけます証言等の音声データが入りましたDVD及び反訳の参考となる起訴状、冒頭陳述の写し等の関係書類入れた封筒を、これは収納容器に入れまして運送業者に託したわけでございます。この運送容器は口をファスナーで開閉する仕組みでございますが、これが翌日、反訳業者に届いた際には、その中身である関係書類あるいはDVD等が見当たらないと、こういった連絡を受けたところから、在中の書類等の所在が不明となったということが判明したところでございます。  これが、途中のどの段階でどのようにしてこれが不明になったかということは現在調査中でございまして、今時点ではまだ明らかになっていないわけでございますが、ただ、この収納袋で発送する際には、本来ファスナーを閉めまして、そのファスナーの引き手の穴とその収納袋に固定されたリングとを南京錠で連結して施錠し、ファスナーを開くことができない状態にした上で発送する、こういったことになっておりますが、これは反訳業者からの報告によりますと、本件では収納袋のファスナーは開いた状態であり、また南京錠は収納袋のリングにのみ掛かり、ファスナーの引き手とは連結されない状態であったということでございます。  こういった状態からいたしますと、この書類等の発送時に収納袋の施錠が適切に行われていなかった可能性が高いわけでございまして、横浜地方裁判所といたしましては、職員に対し、改めて確実な施錠の実施など、情報の厳重な管理につき指導を徹底したところでございます。  また、最高裁判所といたしましても、引き続きこの録音、反訳資料の厳重な管理については、今後とも事あるごとに周知してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  163. 井上哲士

    ○井上哲士君 あってはならないことでありまして、そもそも外部の反訳業者に外注しなければ起きないことでもあるわけですね。  参議院でも、前はいた速記の方がいらっしゃらなくなりましたが、これは別室で画像と音声を聞いて今もやっていらっしゃると思うんですが、パソコンに取り込んで、音声速度が調整できるソフトを使用して速記を作っていらっしゃるわけで、いずれにしても、これは外注は国会はしておりません。ですから、逐語録作成の在り方というものはもう一回見直されるべきだと私は思うんですね。  その関係で、二〇〇四年の裁判所法改正の際に、政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、裁判員制度導入も展望しつつ、逐語録に対する需要に的確にこたえられる態勢を整備するとともに、裁判所速記官が将来の執務態勢及び執務環境について不安感を抱くことのないよう十分な配慮をすべきであるという附帯決議を私ども付けました。  この裁判員制度の評議における逐語録というのはどういう取扱いになっているでしょうか。
  164. 戸倉三郎

    ○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) お答えいたします。  裁判員裁判は、原則として連日開廷されるわけでございます。その裁判員裁判の審理は、法廷におきまして裁判員が理解していただけるよう目で見て耳で聞いてすぐ分かる審理が行われる。その上で、記憶が鮮明なうちに審理が進められまして、結審後、速やかに評議が行われ、判決が宣告されると、こういった審理、評議の進め方が予定されておるところでございます。  したがいまして、この評議の過程におきまして、逐語録という紙ベースの情報ということに関しましては、こういった逐語録の供述調書を用いて証人等の供述内容を確認する必要性は低いものと考えられております。また、裁判員に大部な紙ベースの調書を読んでいただくということは、またこれは非常に過大な負担でございまして、必ずしも現実的な方策ではないというふうに考えるところでございます。  そのため、評議におきますいわゆる証言等の確認の方法ということにつきましては、これは裁判所で開発いたしました音声認識システムを用いまして、証人の供述等を録音、録画いたしまして、評議が必要がありますと、その認識した文字データを言わばインデックスとして利用することで証人の供述等を効率的に検索し、速やかに映像及び音声で供述内容を再現できると、そうして確認していただくと、こういった体制を取っているところでございます。
  165. 井上哲士

    ○井上哲士君 私たちも、国会のいわゆる分かりにくい官僚答弁を聞きまして、幾ら音で聞いても分からないけれども、速記録で読むと分かるというケースは随分あるんですね。  裁判員制度でも、やはり速記官の立会いによる正確、迅速な速記録で目で見たいという要望は随分聞いております。例えば、法律関係の雑誌に裁判員を務めた法律事務所職員の方の経験談が掲載されておりましたけど、尋問中心の証拠調べはメモが全てで、メモを取らない人は記憶のみだと。当然、誰もが同じ情報量なわけではないので、調書が今すぐにでも上がればなと、こういう感想を持ったと、正直思ったということが書かれておりますし、裁判員制度導入に前後して、いろんな弁護士会からも声が上がっております。手元、私持っているだけでも、埼玉、大阪、兵庫、奈良、和歌山、大分などで会長声明等が出されております。  例えば、兵庫の総会の決議、弁護士会の総会決議は、録音反訳方式については、正確性やプライバシー保護などについて懸念があり、調書の完成までに日数が掛かることや、誤字、脱字、訂正漏れ、意味不明箇所が目立つなどの問題も指摘され、審理にも少なくない影響を与えていると思われる。また、裁判員裁判については、今言われた音声認識システムは誤変換も多く正確な記録にならないことや、DVDでは一覧性や速読性がなく、審理や訴訟準備に利用しにくいなどの問題が報告されている。裁判所が正確で迅速な文字化された供述記録を作成しないため、裁判員は自分の記憶と自分の作成するメモにしか頼れない状況になっていると、こういう指摘もされております。  私は、こういういろんな当事者の声にしっかり耳を傾けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  166. 植村稔

    ○最高裁判所長官代理者(植村稔君) お答えをいたします。  先ほどの総務局長の答弁と一部重なるところがあることは御勘弁ください。  裁判員裁判では、裁判員の方々に法廷で直接証言を聞いていただいたり、あるいは被告人の供述を聞いていただいたりして、その場で心証を取っていただくということでやってまいっております。そのために、証人尋問について言えば、検察官あるいは弁護人に争点に即した分かりやすい尋問をお願いしているというところでございまして、当事者の皆さんもそのように尽力していただいていると思っております。  そして、裁判員は、単に証人が答えた内容そのものだけではなくて、その口調でございますとか表情でございますとか、あるいは質問に対して口ごもったことがあればその様子とか、そういった現に法廷で起きたいろんなこと、これも総合いたしまして、その証人の証言が信用できるのかどうなのかというのを判断していただいているということでございます。  ということでございますので、私どもとしては、先ほども申し上げましたけれども、そういう証拠調べに続きまして裁判員の記憶が比較的鮮明なうちに審理が進められて、結審後、速やかに評議が行われておりますので、評議の過程におきまして改めて文字情報としての調書を用いて供述内容を確認する必要性というのは低いと思っております。  万が一確認する必要がある場合には、先ほど申しましたように音声認識システムの検索機能で十分対応ができているというふうに考えております。
  167. 井上哲士

    ○井上哲士君 見て、聞いて、分かる裁判をすることと正確、迅速な記録に基づいて評議をしたいという要望にこたえることは決して矛盾しないんですね。現に先ほど挙げましたようにこういう声が出ているわけですから、必要性が低いと決め付けるのではなくて、きちっとこれにやっぱりこたえていただく必要が私はあると思うんですね。結局、速記官養成をやめたという、そういう決定にどうもしがみつかれて、その辺の有用性を正確に見ていらっしゃらないんじゃないかという気が私はしてなりません。  速記官の養成停止の理由の一つは速記タイプの製造中止がありました。しかし、その後、速記官の皆さんがアメリカにも行かれまして、ステノグラフ社に電子速記タイプライター、いわゆるステンチュラの製造依頼をされ、一九九九年から個人輸入を開始して、今もう九割以上の速記官の方が使っていると聞いております。もう多くの皆さん御存じのように、これはコンピューターを内蔵しておりまして、速記符号を電子化をする、それをパソコンに取り込んで直ちに日本語に反訳できるという「はやとくん」というソフトと結合をして日本語の調書を作成をしております。  最高裁が認めないということで、四十万ぐらいする機械を個人輸入をされてきているわけですが、二〇〇一年には法廷への持込みを認められ、二〇〇四年にはこの「はやとくん」のパソコンへのインストールも認められております。速記官の皆さんの大変な努力や研修によって大体もう九八%ぐらいの反訳の精度でありますし、リアルタイムの速記もできる。非常に正確で、しかも、記録作成の効率化、裁判の迅速化に非常に大きな貢献をしていると私は思いますが、最高裁としては、この有用性についてはどういう評価をされているんでしょうか。
  168. 戸倉三郎

    ○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) お答えいたします。  今委員が御指摘のように、現在の速記官の多くの者がステンチュラというコンピューター内蔵の速記タイプを使用し、あとは反訳ソフトである「はやとくん」を利用した反訳を行ってきておるところでございます。  裁判所といたしましては、速記事務につきましては、従来長年使用されており、その性能が確認されております速記タイプにより問題なく速記事務を行うことができるという認識ではございますけれども、速記層から私費で購入したステンチュラを是非とも使いたい、あるいは「はやとくん」を使用した反訳を行いたいということの強い要望がございましたので、そういった要望を受けまして、私どもといたしましては、法廷での通常の使用に支障がないか、あるいは、ソフトにつきましては裁判所システム環境に悪影響を与えないかといった観点に限った検証を行った上で、法廷での使用あるいは裁判所のパソコンへのインストールを認めたと、こういう経緯でございます。  そういったところで見ますと、少なくとも速記官の立会い状況あるいは速記録の作成状況を見ますと、これらステンチュラや「はやとくん」による速記事務の内容あるいは速度につきましては、これは十分適正に行われてきておるものだとは認識しておるところでございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、更にどの程度効率化できるかといったところになりましては、先ほど申し上げました検証では行っていないところでございまして、しかも、事務の効率化ということになりますと、速記官の立会い時間の問題といった勤務条件といった問題にも絡んでまいります。こういった面では、かつて速記官には書痙症等の障害が頻発したということもございまして、職員の健康管理の面からも綿密な検証は行う必要があるところでありまして、現時点ではこういった検証が行われておりませんので、このステンチュラ等が速記事務にどの程度の効率化の効果を上げ得るものかということはちょっとお答えするのが困難であるということでございます。
  169. 井上哲士

    ○井上哲士君 検証してくださいよ。ずっと、してくださいと言い続けているんですから。  そして、今、頸肩腕症候群のことなど言われましたけれども、ステンチュラという機械は非常にタッチも軽くて、その防止のためにも有用だというのもはっきりしているんですね。  これもう個人輸入の開始から十年たちまして、買い換えるということが必要になってきております。是非最高裁として官費で買ってほしいと、こういう要望が出ておりますが、在庫がたくさんあるというような理由でどうも断られているということをお聞きをいたしました。これは一番新しいものでももう十一年前のものなんですね。昭和時代の製造というものもありますけれども。財務省の省令を見ますと、これ最高裁も一つの目安とされておりますが、パソコン四年、コピー機、デジタル印刷機が五年、大体事務機器で最高でも十年というのが耐用年数となっていますが、なぜ速記タイプについてはそういう古いものを使えということになるんですか。
  170. 林道晴

    ○最高裁判所長官代理者(林道晴君) お答えいたします。  今委員から御指摘いただきましたのは、減価償却資産の耐用年数に関する省令というものを前提に御質問いただいたと思っております。  裁判所では、速記タイプに限らず、パソコンやコピー機といった事務機器一般についての一律の耐用年数というのは定めておりません。ただ、今委員から御指摘いただきました省令の耐用年数を一つの目安にして運用しているという面があるのはおっしゃるとおりだと思いますが、速記タイプに限らず既存の備品については、個々の機器の状態あるいは稼働状況等に基づきまして、使用に耐え得るものかどうかということを個別に判断した上で更新しておるということで、その点は速記タイプも同様だと思っております。
  171. 井上哲士

    ○井上哲士君 電子機器と比べて機械壊れにくいんですよ。使用に耐え得るということでいいますと、例えばそろばんなんていうのはうんと長いこと使えるんですね。しかし世の中、事務機器は進歩しているんです。アナログからデジタルの時代になっています。最高裁はIT予算、大体年間五十億円ぐらい使っているわけですね。壊れていないから古いタイプライター使いなさいというのは、そろばんの在庫があるから電卓が普及していても使いなさいと、こう言っているようなものだと思うんですね。  しかも、このソクタイプの場合というのは、速記記録がテープで出てきます、そのテープを見ながらもう一回日本語を打ち直すという二度手間になるわけですよね。ステンチュラと「はやとくん」は皆さんが努力をされて、キーを打てば自動的に日本語になると、こういうシステムを確立をしてこられたわけですよ。ですから、ステンチュラからソクタイプに戻れというのは、電卓からそろばんどころか、もうエクセルからそろばんに戻れみたいなものなんですよ。  私は、こういうことを速記官の方に言われるということは、この間ずっと努力してきたことを否定されるような思いを持たれるかもしれません。本当に働く人々の誇りを奪って、意欲を失いかねないことだと思うんですね。  先ほど附帯決議を読み上げましたけれども、そういう不安感を抱くことのないよう十分な配慮をすべきという附帯決議にも私は反すると思いますし、元々、この養成停止をしたときの事務総長談話では、今後とも働きがいのある職場づくり、環境づくりを進めていきたいので、速記官の方々には安心して職務に精励してもらいたいと、こう述べておるわけですね。やっぱりこの立場に、私は、そういう古い機械でやれというのは反すると思いますけれども、いかがでしょうか。
  172. 戸倉三郎

    ○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 速記官としてその職務を全うすることを希望している方々につきましては、最高裁判所としても、その能力を十分発揮して速記官としてやりがいを持って執務に臨んでいただくと、そういう必要があるということは我々も重々に認識しておるところでございます。その関係で、現時点でも希望される方には十分な速記業務に関与していただきまして、現時点でも全ての逐語録のうち三割は速記官によって担っていただいておると、そういう状況にございます。  ただ、先ほどのステンチュラの問題につきましては、これは私ども先ほど申し上げたとおり、その導入を認めた経緯ということからいたしましても、決して私どもが、そろばんでやれという意味ではございませんけれども、現時点におきましても速記タイプによって速記事務を行うことが十分可能であると、その執務時間あるいは立会い時間も速記タイプによって行うことを前提にしたところはステンチュラを使うことになった段階においても変えていないわけでございます。  そういう意味で、じゃ、立会い時間の効率化を行いながらステンチュラを導入できるかということになりますと、先ほど古い機械がまだあると、古いが使える機械がありながら高価なステンチュラを買うことが予算の執行として適正かという問題があるほか、やはり効率化に応じた立会い時間の増加を図ることが健康管理上問題がないかといった様々な検討課題があるところから、現時点では総合的な政策としてステンチュラを買うということにはなっていないわけでございます。  ただ、この附帯決議もございましたし、速記官のやりがいということに我々も十分配慮をいたしておりまして、これまでも速記官との間で様々な機会に速記事務全般に関する意見交換などを行ってきておりまして、速記官の要望等も踏まえつつ、他の備品の整備であるとか研修の充実などは十分配慮してきております。こういった努力につきましては、今後とも引き続き継続してまいりたいと考えておるところでございます。
  173. 井上哲士

    ○井上哲士君 私どものところにたくさんの速記官の皆さんから手紙が来ていること自体が、やはり不安を広げているという証左なわけですね。  結果としては、消耗品からメンテナンス代、そしてこの個人輸入したステンチュラのお金で、大体この間で約一億一千五百万円、速記官の皆さんが自分たちでやっていらっしゃると。これをこれからまたずっと続けていくことになるんですよ、もう一回自分たちで買えというのは。私は、これはやはり附帯決議にも事務総長談話にも反すると思います。  今お話ありましたけれども、もう一回確認しますけど、やっぱりこういう皆さんの声にしっかりこたえて、十分に声を聞き、真摯な話合いを更に行うと、そのことは是非約束をしていただきたいと思います。
  174. 戸倉三郎

    ○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 委員御指摘のとおり、これまでもやってきたと同様に、速記官とは十分な意見交換を行いながら、その執務環境を整備するといったことに努めてまいりたいというふうに考えております。
  175. 井上哲士

    ○井上哲士君 終わります。
  176. 西田実仁

    ○委員長(西田実仁君) 以上をもちまして、平成二十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 西田実仁

    ○委員長(西田実仁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時十二分散会