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2011-11-02 第179回国会 参議院 本会議 5号 公式Web版

  1. 平成二十三年十一月二日(水曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第四号   平成二十三年十一月二日    午前十時開議  第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、日程第一  一、裁判官弾劾裁判所裁判員及び裁判官訴追委   員予備員辞任の件  一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙  一、東京電力福島原子力発電所事故に係る両議   院の議院運営委員会の合同協議会規程の制定   に関する件  一、東京電力福島原子力発電所事故に係る両議   院の議院運営委員会の合同協議会委員の選任      ─────・─────
  2. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣の演説に関する件を議題といたします。  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。荒木清寛君。    〔荒木清寛君登壇、拍手〕
  3. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 公明党の荒木清寛です。  私は、公明党を代表し、さきの所信表明演説について質疑を行います。  まず、冒頭に当たり、今なお避難生活を余儀なくされている皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、本格的な復旧・復興にあらゆる力を尽くしていくことをお誓い申し上げます。  また、タイの洪水災害やトルコの震災で被害に遭われた皆様や邦人企業にお見舞い申し上げますとともに、日本として最大の支援を惜しまず行うことを政府には申し入れたいと思います。  まず、野田内閣の政権運営能力に対する疑念について指摘しておきます。  野田総理は、就任以来、国民に対する発信が乏しい一方で、発言のぶれが目立ちます。また、各閣僚が勝手な発言を行っており、総理のリーダーシップが感じられません。これでは「正心誠意」も虚言となってしまうことを申し上げます。  朝霞市の国家公務員宿舎建設問題では、九月二十六日には、特段変更するつもりはございませんと総理は明言し、その四日後に、被災者の感情や国民感情を踏まえ最終的な政治判断を私が下したいとぶれ始め、一週間後、十五分間の現地視察後に、建設中止も含めて判断と発言するに至りました。  そもそも、この公務員宿舎建設工事は、事業仕分で一旦凍結されたものを、当時の野田財務大臣が昨年十二月に建設再開を指示した、いわく付きの案件です。自作自演、ぶれる政治姿勢はもはや民主党のお家芸となった感がありますが、今回の問題はどう決着するおつもりか。  また、小宮山厚労大臣による、子ども手当は姿を変えて存続したという驚嘆すべき発言もありました。民主、公明、自民の三党間で子ども手当は廃止と合意した直後に、子ども手当があたかも存続するがごときビラを民主党が作成し、前幹事長が陳謝するといういきさつがありましたが、しかし、これを蒸し返すがごとく、主務大臣が改めて存続を明言しました。  そのほかにも、現閣僚による勝手な発言が続いています。国民との契約であるマニフェストは守らない。公党同士の約束も守れない。自分で決めたことも平気で覆す。もはや政権政党である民主党の信頼は失墜していることは明らかです。  民主党の歴代代表が抱え、いまだ国民に説明責任を果たせない政治と金の問題を始めとして、野田総理、御自身の覚悟のなさ、発信のない政治手法、哲学なき政権運営、具体策なき決意が総理のぶれと閣僚の相次ぐ勝手な発言となり、国民の不信をあおる結果となっています。まさに野田総理のリーダーシップの欠如が全ての元凶であると冒頭申し上げ、質疑に入ります。  今国会の最大のテーマは、言うまでもなく第三次補正予算案です。  今なお十二万世帯の方々が仮設住宅などでの避難生活を余儀なくされる厳しい状況の中で、生活再建に向け必死に取り組んでおられます。私ども公明党は、ネットワークを活用し、現地の切実な声や要望を政府に訴えるとともに、本格的な復旧・復興のための補正予算の編成を重ねて主張してきました。  しかし、ようやく第三次補正予算案が提出されたのが先月の二十八日です。民主党政権の対応は余りに遅い。今後、補正予算が成立、執行されても、冬場に差しかかってしまいます。もっと早く補正予算を編成していれば、これほどまでに復興が遅れることはなかったのであります。菅前総理を始め民主党政権は、自らの延命を図ることを優先し、本格的な補正予算の編成を怠ってきたことは紛れもない事実です。そうした政治姿勢からは、国民のために全力を尽くそう、被災者に寄り添おうという心が伝わりません。  被災地では間もなく厳しい冬がやってきます。ストーブなどの暖房器具の支給をしてほしい、仮設住宅のお風呂には追いだき機能がないので何とかしてほしい、畳を敷いてほしいといった声にこたえ、寒さ対策も急務です。さらには、仮設住宅からの買物や通院、通勤通学が不便なため、支援をしてほしい、玄関に入るまでの段差があるのでバリアフリーにしてほしい等々の被災者の切実な声に、野田政権は本当にこたえられるのでしょうか。  本格的な復興予算の編成をここまで遅らせた政府・与党の責任は重大であり、前政権で重要閣僚を務めた野田総理の責任も厳しく問われるのではありませんか。  総理、第三次補正の提案に当たり、あなたは反省の弁をまず述べる必要があるのです。お答えください。  第三次補正予算は、被災地の復興の本格化のために重要であり、遅れるようなことがあってはなりません。早期成立、早期執行を強く求めるものであり、公明党もしかるべく対応をいたしたいと考えています。  他方、財源については、復興に係る費用は当面は復興債で賄うとしても、償還に当たっては、税外収入などの確保に最大限に努め、増税による国民負担を最小限にとどめる努力は欠かせません。  具体的には、歳出の無駄の排除を一層徹底することはもちろん、さらに、JT株や郵政株など政府保有資産の売却を目指すなど、国民の負担増の最小化を図ることが必要です。また、復興需要等による経済成長がもたらす増収分を償還財源に回す。具体的には、決算剰余金の一部を活用することなどを検討すべきです。さらには、PFI手法を含め、民間資金を積極的に活用することで公的な資金の抑制に努めることも重要です。総理の答弁を求めます。  加えて、公務員給与を削減して復興の財源に回すことも重要です。そこで、政府提出の国家公務員給与特例法案は確実に成立させるべきです。給与を削減する期間も、この特例法案においては当初三年間を想定していたことからして、二十五年度末までではなく、例えば二十四年度から二十六年度末までの三年間とするなど、その期限を延ばすべきではないですか。  また、内包などという苦しい解釈で人事院勧告の実施見送りを政府は決定しました。しかし、国家公務員の労働基本権を制約する代償措置としての人事院勧告は、現時点での適切な措置として給与特例法とは切り離して受け入れるべきです。憲法に抵触する疑いが持たれるような場当たり的な対応は後に大きな禍根を残します。総理の見解を求めます。  次に、復旧・復興に関する具体的な項目につきお尋ねします。  まず、除染対策についてです。  政府の除染対策に関して、避難指示区域にある関係自治体の首長を始め、厳しい批判の声が渦巻いています。政府による除染モデル事業が僅か四百メートル四方と小規模過ぎる。除染作業がいかに労力とお金の掛かる大変な仕事という認識があるのか。国の責任で除染をやると言っているが、発言に実行が全く伴っていない。除染は一、二年間の短期間で実施されないと、避難している住民の方々は故郷に戻ろうという気持ちが萎えてしまうなど、現地では今、政府に対する不信感が高まっています。  総理、福島県にとっての最重要課題は除染です。いち早く故郷へ戻るため、元の学校へ通うため、そして、県民が安心して元の暮らしに戻るための最大の課題が除染であります。しかし、総理を始め関係大臣からは、国の責任と何度も繰り返されるものの、具体策がなかなか打ち出されません。国の責任とは何ですか。予算ですか、期限ですか、実行主体ですか、それとも政治責任を取るという意味なのでしょうか。  総理は、除染を徹底的に進めることが急務ですと所信を述べられましたが、今般策定された基本方針骨子案では、政府による除染の対象範囲は一部に限定され、それ以外は自治体任せです。除染措置や体制整備は人員が手薄な環境省任せです。実際の除染作業は自治体や地元住民任せで、政府は専ら後方支援という現状を見る限り、総理の決意のままに除染が進められるのか、甚だ疑問です。  政府を挙げて大規模除染に取り組むために、まずは、他省庁との調整も含め、環境省任せになっている現状の除染推進体制を抜本的に強化すべきです。例えば、内閣官房に除染推進のための機関を設置するなど、政府一体で除染推進を図るための司令塔を置き、総理や官房長官主導の下、官民の人材やあらゆる知見を生かしながら、一元的かつ効率的に除染を推進できる体制を早急に構築するべきです。  加えて、現在、自治体主体で実施されている除染作業について、財政面での支援のみならず、除染機材や装備品の手配、除染事業者の派遣などを行い、自治体が作った除染計画目標の早期達成に積極的に政府は協力すべきです。失望ではなく、希望を与えるのが政府の役割です。総理の見解をお尋ねします。  個人版私的整理ガイドラインについてお尋ねします。  法的整理以外の選択肢ができたことの意義は大きく、さらに、今般、ガイドラインの運用基準がようやく緩和され、仮設住宅の入居者も救済対象にされたことは評価します。しかし、政府は、被災地がどのような状況か、本当に御存じなのでしょうか。  住み慣れた家は流され、手元には多額の住宅ローンが残った一方で、残された僅かな資金を当面の生活費としてどうしても残したい、生活には自動車が不可欠なため、その購入費用に充てたい、さらに、地震保険金は今後の生活資金として有効活用したいなど、生活再建のために切実な思いをお持ちです。  しかしながら、現行の個人版私的整理ガイドラインは、被災者生活再建支援金や義援金、災害弔慰金、災害障害見舞金、破産手続において自由財産となることが見込まれる財産以外は、基本的に、処分するか、それに相当する金額を弁済に充てることが求められています。例えば、地震保険に加入している被災者の中には、保険金の大部分が弁済に充てられ、手元に残らないことを恐れ、ガイドラインの利用をちゅうちょしている方も少なくありません。  同ガイドラインの運用の複雑さを解消するとともに、もう一段、被災者の目線に立った対策が求められます。総理の見解を求めます。  被災事業者向けの救済策についてもお尋ねします。  先般、民主、自民、公明の三党協議で、野党が提出した二重ローン救済法案を軸にした修正協議が調い、事業者再生支援機構を設立することでようやく合意を見ました。これにより、小規模事業者、農林水産業や医療福祉関係など、広く被災事業者が救済される見通しになりました。  そもそも本法案は、七月末に参議院で可決され、衆議院に送付されたにもかかわらず、与党が衆議院で審議にすら応じず、約三か月間、たなざらしにされてきました。いち早く与野党で合意成立を図っていれば、多くの被災事業者がその時点で救済され、事業再建のスタートができたはずであり、与党・民主党は猛省すべきです。  そこで、同法案の成立後は、政府において十分な予算措置を講ずることも含め、必要かつ適切な対応をすべきと考えます。総理の見解をお尋ねします。  集団移転促進事業についてお尋ねします。  東日本大震災で津波被害を受けた地域の復興策として、高台などへの移転が検討されています。移転に伴う土地の造成やインフラ整備については、国が全額を負担するとしています。問題は、この事業を活用するための要件であります。元々、十戸以上の規模という要件を緩和し、五戸以上の規模を補助要件としているところ、地域によってはそのような規模も確保できない場合もあり、実情に沿って柔軟に対応すべきと考えます。  総理、しゃくし定規な国の決まり事が復興プランを邪魔してはなりませんとは、御自身の言葉です。見解を求めます。  私学災害復旧助成法案についてお尋ねします。  総理は今回の所信表明で、この国の未来を託す日本人への責任を共に果たしていこうではありませんかと呼びかけています。野党五党の共同提案である本法案は、さきの通常国会にて参議院では可決されましたが、これまた衆議院において進展がないまま継続審議となっています。震災よりこの方、いまだ私立学校、専修学校・各種学校の復旧のめどが立たず、教育再建が喫緊の課題となっている被災地が数多くあります。この再建を後押しをする法案が成立に至っていないのは、極めて残念でなりません。  本法案は、さきの通常国会閉会直前の与野党国会対策委員長会談で、与野党で協議し、成案を得るように努力すると合意している法案の一つです。今国会において与野党で速やかに審議し、一日も早い成立を期するべきです。  被災地の未来を託す子供たちのためにも、是非とも総理がリーダーシップを発揮し、本法案を今国会で成立させるべきです。総理の答弁を求めます。  次に、被災地における福祉施設の復興について申し上げます。  被災地では、今後復興が本格化するに伴い、福祉施設の再建が大きな課題となります。現地では、利用できる場所が狭隘で、また、今後の人口減少、高齢化の進行が見込まれるため、既存の縦割りの施設形態では限界があります。ついては、新たな視点から共生型多機能ホームの導入を提案します。  これは、高齢者、障害者、児童が共に利用でき、通い、訪問、泊まりといったサービスを一体的に提供する施設で、地域に開かれ、地域に支えられた施設形態です。既に共生型のデイサービスやフレキシブル支援センターとして先駆的に実施されているもので、政府として被災地の復興に向けて早急に取り組むことを求めます。  以上、復旧・復興に係る幾つかの項目について質疑並びに提案を行いました。総理の具体的な答弁を求めます。  次に、円高・景気対策等につきお尋ねします。  小泉政権百十六円、安倍政権百十九円、福田政権百八円、麻生政権九十七円、鳩山政権九十一円、菅政権八十三円、これは各政権時の平均為替レートです。そして、野田政権に至っては、十月二十一日に円高対策を閣議決定して以降、断続的に円高が進んだのに、先週は三日連続の最高値を放置するという、金融経済政策の無能さを露呈しています。  慎重に見守ることばかりに終始した野田前財務大臣に続き、口先介入はすれども日銀の金融緩和追加策に呼応さえしなかったのが安住財務大臣です。一昨日の為替介入も、タイミングに意外感はない、むしろ遅過ぎたと思っている人が多いと評価される始末です。財務大臣の納得するまで介入させていただくという口先介入だけでは、市場の餌食になるばかりです。中小零細企業からは、もうやっていけないとの声が連日のように届いているのです。これで国民の生活を守っていけると本当にお思いなのでしょうか。  世界の市場は、戦略性もない場当たり的な対応に終始する日本政府の財政金融政策の力量を推し測っているのです。政府、日銀一体となって、国家としての戦略的、包括的な円高是正のための対策を立てるべきです。また、為替の安定を図るため、欧米など主要国とも連携を強化しつつ、協調して為替の安定策を講じるべきであります。  日銀においては、これまでも実質的なゼロ金利政策や資産買入れ等の基金の創設及び拡充策を講じてはいますが、不十分です。政府との連携を強化しつつ、追加策を含め、積極的かつ持続的な金融緩和政策を拡大し、強化する必要があります。加えて、為替の安定化を図るためには、国際通貨としての円の確立を進めるなど、戦略的に対策を講じていく必要があると考えます。  総理、こうした課題について、公明党は八月の段階で明確に提案しています。総理は、政権与党と各党各会派の皆様との共同作業と言われました。私たちは、円高対策のみならず、国民生活に直結する様々な課題について、党派を超え提案をしてまいりました。しかるに、政府・与党の対応はどうであったのか。責任感がないのか、そもそもの政権担当能力に問題があるのか、危機感もスピード感もまるでないではありませんか。円高対策についての総理の強い決意をお尋ねします。  さて、円高に対して断固たる措置を講じる一方で、経済対策にも取り組む必要があります。まずは、当面の需要を喚起するため、住宅エコポイントの再開や国内の企業の立地支援、耐震化や防災機能の向上を含めた公共施設の整備などを我が党は提案をいたしました。公立学校の耐震化と防災機能強化については、第三次補正に千六百二十七億円が計上されたことは評価するものの、これだけでは地方からの要求にはこたえ切れません。更なる対応を求めます。  二十兆円とも言われる需給ギャップを埋めるためには、介護や医療、子育て、農林水産業など、新たな成長産業として期待される分野において規制緩和や集中的な投資を行い、需要創出を図るとともに、新たな手法による大胆かつ真に必要な公共投資が求められます。  しかしながら、民主党政権にはマクロ経済政策の姿が全く不在であり、そもそも司令塔すら存在しません。総理は、国家戦略会議なるものを今になって立ち上げ、年末に向けて日本再生戦略の骨子をまとめるとされています。国家の基本戦略をようやく検討するということでしょうか。余りにも遅い。  総理、民主党政権お得意の検討、先送り、工程表、新組織には飽き飽きします。菅前総理が言われた仮免許などは政権運営には許されません。今政府に求められているのは、検討ではなく実行です。経済対策に対して、総理、しっかりとした決意をお示しください。  さて、原発事故災害後、全国の多くの原発で再稼働の見通しが立っていません。今後の経済対策の実効性を確保するためにも、ピーク時に逼迫するおそれのある電力需要をどのように賄うのか、政府の責任は重大です。甚大な被害を受けた企業の復旧も、企業の新規立地に向けた取組も、電力需要の見通しに不安があれば、これに水を差すことになります。今後、特に東北、関西、九州で電力不足が予測されるところ、全国各地域で電力の安定供給と電力料金の抑制を図ることができるのか、総理の責任ある答弁を求めます。  一方で、被災地の雇用情勢も依然として厳しいままです。十月中旬には失業給付が切れることから、公明党は更なる給付の延長を訴えてきました。今般、岩手、宮城、福島の各県の沿岸地域などを対象に、失業給付が九十日間延長されたことは前進です。  今後は、雇用調整助成金の受給の要件を更に緩和する等、セーフティーネット機能の強化が必要です。そして、被災者の本格的な生活再建のために、長期的で安定的な雇用の創出が不可欠です。そのために、復興特区の活用による企業の新規立地促進や、企業の求人と求職の希望が合わない雇用のミスマッチの早急な解消等、雇用の創出に全力を挙げるべきと考えます。総理の答弁を求めます。  TPP交渉についてお尋ねします。  総理はこれまで、しっかり議論をする、早急に結論を出すと何度も言われていますが、そもそもTPP交渉参加についていかなる覚悟をお持ちなのか、まずお答えいただきたい。  TPPには論点が数多くあるにもかかわらず、野田内閣が発足してから二か月間、否、TPPを推進しようとした菅内閣からは一年以上もの間、一体どれほどの議論を行い、国民に対して説明を尽くされたのか、皆無に等しいではありませんか。  しかも、あろうことか、十一月中旬のAPEC首脳会議の際に、関係国に交渉参加を政府は伝達する方向ではないかと言われております。国論を二分をする重要課題を結論ありきで進めることが、総理が所信表明で述べられた将来の日本人への責任なのでしょうか。  TPPは、農業のみならず、サービス業を始め、国民生活の様々な分野に多大な影響を及ぼすことが想定されます。TPPの参加により、これからの生活がどうなるのか、仕事が続けることができるのか、それぞれの産業の将来の展望はあるのか等、明確に説明していただきたい。  TPPの交渉からの途中離脱について閣内で迷走する発言が相次ぎました。それも総理自身の覚悟のなさが表れたものです。米国の首席交渉官が、真剣に妥結に向かう意思がない国の参加は望んでいないという指摘はもっともです。世論形成どころか、政府・与党内さえまとまっていない中で、国際交渉などできるはずがありません。拙速な判断は避けるべきです。お答えください。  また、もし我が国がTPPに参加をした場合、その後の東アジア経済圏との連携はどう進めるつもりなのですか。政府としての確固たる貿易戦略をお持ちなのか。これらの点について国民に明確に示すことを総理に求めます。  以下、国民生活に係る喫緊の課題二点についてお尋ねします。  まず、不育症についてです。  不育症は、妊娠しても流産などを繰り返して出産にたどり着かない症状です。不育症の患者は国内に百四十万人おり、年間三万組が新たに発症していると推定されています。  不育症の患者は、検査と治療を受けた八五%が出産できたという研究の結果があります。しかし、適切な治療を受けられない場合が少なくありません。不育症について適切な啓発、周知活動を行うとともに、相談体制を確立する必要があります。厚生労働大臣の見解を求めます。  また、不育症は、その検査、治療が保険の適用外となるものが多く、患者は自費治療による大きな経済負担があります。全国で幾つかの自治体のみが、この治療費の一部助成をしているのが現状です。そこで、不育症の検査と治療、特にヘパリン注射への保険適用を早急に進め、支援を充実させるべきだと考えます。総理の見解を求めます。  小児がん対策についてお尋ねします。  小児がんは子供の病死原因の第一位であり、毎年二千人から二千五百人の子供が発症し、幼い命が脅かされています。しかし、症例の少なさにより、約二百の医療機関で分散して治療が行われ、必ずしも正確な診断や適切な初期治療が行われているとは言い切れません。  小児がんについては、成人のがんとは異なる対策が必要であるところ、我が国の対策は診療体制や予算面など、あらゆる分野で著しく遅れています。小児がん拠点病院を始めとする療育環境の確立、長期にわたり支援をする体制の整備、病理診断医を含めた専門家の養成など、課題は山積しております。  そこで、今後、小児がん対策に国として力を入れ、平成二十四年度からの第二次がん対策基本計画においても、これを重点課題として位置付け、取り組むべきであります。総理の前向きな答弁を求めます。  以上、総理の覚悟のほどをお尋ねし、私の質疑とさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
  4. 野田佳彦

    ○内閣総理大臣(野田佳彦君) 公明党の荒木議員の御質問に順次お答えをしてまいります。  まず、仮設住宅における寒さ対策などについての御質問をいただきました。  本格的な冬の到来を控え、仮設住宅の寒さ対策を速やかに講じるとともに、その居住環境を改善していくことは重要な課題であります。そのため、入居者の方々へのアンケート結果を踏まえ、十月からは石油ストーブ、ホットカーペットなどの暖房器具についても必要に応じて供与の対象とするなど、仮設住宅における寒さ対策を強化するとともに、買物等の支援、仮設住宅団地内のバリアフリー化などの対策に被災自治体と力を合わせて取り組んでいるところであります。  今後とも、関係省庁が連携をして、仮設住宅のハード面、ソフト面の対策を講じるなど、被災者の方々の切実な声にしっかりとこたえてまいりたいと考えております。  続いて、三次補正予算の提出が遅れたことについての御質問をいただきました。  当面の復旧・復興施策については、一次、二次合わせて六兆円規模の補正予算を編成し、これを着実に執行しているところであります。また、予備費や二次補正に盛り込まれた復旧・復興予備費八千億円の活用により、機動的対応も併せて行ってまいりました。  他方、本格的な復旧・復興を総合的かつ計画的に進めるためには、復興構想会議での議論や、それを取りまとめた提言を踏まえた上で、必要となる復興施策、復興事業に係る財源確保など、国による復興のための取組の全体像を明らかにすることが必要であり、こうした観点から七月末に復興の基本方針を策定をいたしました。今般、この基本方針に沿って、真に復興に資する施策を重点的に措置した三次補正予算を国会に提出したところでございますが、必要な対応を適時適切に行ってきたと考えております。  続いて、復興財源等についての御質問をいただきました。  復興財源については、歳出削減や税外収入の確保に努め、できるだけ時限的な税制措置の幅を縮小していくことが重要と考えております。政府としては、日本郵政株式の売却を始めとする税外収入等による財源確保に努め、財源確保額が確保した場合には、財源フレームの見直しの際にその財源確保額を織り込むこととし、仮に財源確保額が事業規模の増加額よりも多い場合には、時限的な税制措置を減額することとしております。また、御指摘のとおり、PFI等の民間資金の活用は重要であると考えており、積極的に活用を図ってまいります。  なお、経済成長がもたらす増収分は財政健全化目標の達成に向けた中長期試算に織り込まれており、復興以外の通常の予算における財源となっております。  続いて、給与臨時特例法案と人事院勧告についての御質問をいただきました。  給与臨時特例法案は、人事院勧告制度の下において極めて異例の措置ではありますが、我が国の未曽有の危機的状況に対処するため、平均七・八%という厳しい給与減額支給措置を平成二十五年度末までの間講じようとするものであり、現在のところ、この期間の延長は考えておりません。  今般の人事院勧告の取扱いについては、労働基本権が制約されている現行制度においては人事院勧告制度を尊重することが基本であるとの考え方の下、法制的な面も含め、真摯に検討を行いました。その結果、我が国の厳しい財政状況と東日本大震災という未曽有の国難に対処するため、既に提出している給与臨時特例法案が、今般の人事院勧告による給与水準の引下げ幅と比べ、厳しい給与減額措置を講じようとするものであり、総体的に見ればその他の人事院勧告の趣旨も内包しているものと評価できることなどを総合的に勘案をし、本年の人事院勧告を実施するための法案は提出しないこととしたものであります。政府としては、給与臨時特例法案の早期成立に向け、最大限の努力を行ってまいります。  続いて、除染を実施する国の責任に関する御質問をいただきました。  先祖代々の土地を離れざるを得ない無念さと悲しみをしっかりと胸に刻み、生活空間にある放射性物質を取り除く大規模な除染を、自治体の協力を仰ぎつつ全力で取り組み、国の責任を果たしてまいります。国の責任とは、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的責任のことであり、放射性物質汚染対処特措法においても、その旨定められています。  具体的には、予算については、国として一体的に除染及び廃棄物の処理を行うべく、平成二十三年度復旧・復興予備費については約二千百八十億円を確保し、また、第三次補正予算案では約二千五百億円を計上しているところであります。平成二十四年度予算においても所要の財政措置を講じてまいります。  除染を推進するための体制については、関係府省が連携をして政府が一体となって取り組むための体制準備等を進めているところであります。迅速な除染を大規模に進めていくよう、政府として断固たる決意を持って取り組んでまいります。  次に、除染推進の体制に関する御質問をいただきました。  大規模除染の迅速かつ着実な実施のために、環境省を中心として関係省庁が連携し、政府全体として取り組んでいかなければならないと考えています。そのため、事業実施に必要な職員を環境省に集中的に配置することとしており、とりわけ福島県には福島環境再生事務所を設けるなど、重点的に職員を配置すべく調整をしております。  その中では、民間からも人員を募集し、知見を得ることとしているほか、除染と関連の深い関係省庁からの職員の配置など、政府を挙げた取組に向け、現在、政府部内で調整をしているところでございます。これらの取組により、政府一丸となって一元的かつ効率的な除染を推進する体制を構築をしてまいります。  続いて、自治体の除染作業の支援に関する御質問をいただきました。  住民の方々の不安を取り除くとともに、復興の取組を加速するためにも、広い地域に飛散してしまった放射性物質を除去することは我が国の重要課題であります。そのため、原子力災害対策本部で取りまとめた除染に関する緊急実施基本方針や、さきの国会で成立をした放射性物質環境汚染対処特措法に基づく対策を進めてまいります。  また、予備費や第三次補正予算を活用し、資機材の購入費や除染事業者への委託費も含め、市町村等が除染を実施するための財政的な支援や実証プロジェクトを通じて得られた知見の共有や専門家派遣などの技術的支援を行うこととしております。自治体の除染計画が早期に達成されるよう、政府を挙げて全力で取り組んでまいります。  続いて、個人向け私的整理ガイドラインについてのお尋ねがございました。  ガイドラインにおける債務免除は倒産手続と同様の運用とされていますが、裁判所の運用によっては自由財産の拡張が認められる場合もあると承知をしており、実際にガイドラインの運用を担う個人版私的整理ガイドライン運営委員会もこうした運用を参考に対応されるものと理解をしています。  いずれにしても、政府としては、本ガイドラインの活用による債務整理が円滑に実施されるよう、引き続き関係者の対応を注視をしてまいります。  次に、二重ローン救済法案についてのお尋ねがございました。  二重ローン救済法案については、これまで与野党間で協議されてきましたが、十月二十日に三党の実務者間で主要論点について合意に至り、今国会において本法案のできる限り速やかな成立を図るものとされていると承知をしております。  今後、本法案が成立した暁には、三党合意の趣旨を踏まえ、本法案に基づく東日本大震災事業者再生支援機構と、政府が各県や地域金融機関と設立を進めてきた産業復興機構とが連携しつつ、迅速に被災者の救済に当たることができるよう、体制の整備等にしっかりと取り組んでまいります。  続いて、防災集団移転促進事業についてのお尋ねがございました。  御質問の防災集団移転促進事業については、東日本大震災の被災地における円滑な実施を図るため、移転先の住宅団地の規模要件を十戸から五戸に緩和する改正措置を第三次補正予算案において盛り込んでいるところでございます。  御指摘のような更に小規模な集落については、例えば複数の小規模な集落の移転先を集約するといった工夫をするなど、地方公共団体のニーズに応じて制度の運用面での工夫を検討してまいります。しゃくし定規のような対応をしないつもりでございます。  私学復興助成法案についてのお尋ねがございました。  被災した私立学校等に対する支援は大変重要と考えており、政府としては、第一次補正予算において施設や教育研究活動の復旧に必要な予算を計上するとともに、第三次補正予算案において幼児、生徒等の転出による学納金収入の減収分等を考慮した特例的な支援のための予算を計上をしております。  御指摘の議員提案の私学復興助成法案については、災害復旧に係る財政援助の在り方等、様々な観点から慎重に検討すべき事柄を含んでいると考えていますが、いずれにせよ、現在継続審議中であり、与野党間において引き続き協議が続けられているものと承知をしております。  続いて、共生型多機能ホームの導入についての御質問をいただきました。  被災地での福祉施設の再建は喫緊の課題でありますが、現在、地域によっては十分な広さの土地を確保できていないといった問題があると聞いています。こうした中、御提案のように、施設、サービスの両面から、高齢者、障害者、児童に対する支援をそれぞれの制度の枠組みを超えて行う仕組みを整備することも考えられます。  このため、まずは、各地における多機能や複合型の先駆的な事例や被災地のニーズ等をよく調査し、どのような対応が新たに可能か、厚生労働省に指示をしたいと思います。  円高対策についての御質問をいただきました。  急激な円高の進行等による景気の下振れや産業の空洞化を防ぐため、政府は、円高の痛みの緩和やリスクに負けない強靱な経済の構築、円高メリットの徹底活用を柱とする円高への総合的対応策を先般閣議決定したところであり、これに基づき、あらゆる政策手段を講じてまいります。  為替市場の安定化については、我が国は、常日ごろから関係通貨当局とは連絡を取り合っております。引き続き、市場を注視しつつ、適切に対応してまいります。円の国際化については、日本経済全体として為替リスクを軽減することから、その推進に努めてまいります。また、御党の提言にあるプロ向けの債券市場の整備等については、新成長戦略に基づき着実に取組を進めております。  また、日本銀行に対しては、引き続き、政府との緊密な情報交換、連携の下、適切かつ果断な金融政策運営によって経済を下支えするよう期待をしています。  続いて、国家の基本戦略と経済対策についての御質問をいただきました。  民主党政権では、昨年、我が国の持続的な成長を達成するための戦略として新成長戦略を策定しており、現在はその実現加速に取り組んでいるところであります。これに加えて、大震災後の状況を踏まえた戦略の再強化として、年内に日本再生の基本戦略を国家戦略会議においてまとめることとしているものであります。  また、急速な円高の進行等による景気の下振れや産業の空洞化を防ぐため、立地補助金の拡充や住宅エコポイント制度の再開等を盛り込んだ円高への総合的対応策を先般閣議決定したところであり、これに基づき、あらゆる政策手段を講じてまいります。  御指摘の公立学校の耐震化と防災機能強化については、御党の御意見も踏まえ、先般、三次補正で積み増しをすることといたしました。二十四年度予算においても更なる対応を検討してまいります。  産業の空洞化や国際金融市場の不安定化など、現在、経済危機を克服することがこの国の最重要課題の一つであり、国家戦略会議を司令塔としつつ、全力を挙げて取り組んでまいります。  電力の安定供給と電気料金の抑制についての御質問をいただきました。  被災地における復興を始め、国民生活の安定化及び産業空洞化の防止、国内雇用の確保のためには、電力の安定供給と電気料金の抑制の両方が重要であることは言うまでもありません。  このため、昨日、エネルギー・環境会議において、エネルギー需給安定行動計画を決定したところでございます。この計画に沿って、今年の冬及び来年の夏について、予算措置や規制・制度改革など、あらゆる施策を総動員することで、エネルギー需給の安定に万全を期すとともに、省エネ等による総需要の抑制と電力会社の経営効率化等によって電力コストの上昇を極力抑制をしてまいります。  被災地の雇用対策についての御質問をいただきました。  被災地での厳しい雇用情勢に鑑み、十月から雇用保険の給付の九十日分の延長を講じてきたところであり、雇用なくして被災地の再生はないと強く考えております。  今後、本格的な安定雇用を生み出すため、第三次補正予算を踏まえた「日本はひとつ」しごとプロジェクトフェーズ3に基づき、雇用創出の基金の積み増しによる農林水産業、製造業、医療福祉などの復興を図る産業政策と一体となった雇用面での支援や、若者、女性、高齢者、障害者の雇用機会の確保を図ります。さらには、復興特区制度に係る税制上の特例措置の創設や、雇用のミスマッチに対応したハローワークによる就職支援策の強化などに政府の総力を挙げて取り組み、被災者のこれからの暮らしの安心を支えてまいります。  TPP協定交渉についてのお尋ねがございました。  世界経済の成長を取り込み、産業空洞化を防止していくためには、国と国との結び付きを経済面で強化する経済連携の取組は欠かせないと確信をしております。  TPPに関しては、関係国との間で情報収集や協議の結果得られた情報については、国内への影響を含め、国益を確保する観点から様々な検討、分析を行うとともに、国民の理解を深めるため可能な限り説明に努めてきたところであり、関係団体への説明も順次行っているところでございます。今後とも、説明や情報提供にしっかりと努めていく考えであります。  また、TPPについては、世界の成長エンジンであるアジア太平洋地域の成長力を取り込むという観点や農業再生との両立を図るという課題などを踏まえ、国益を最大限追求していくべく、政策推進の全体像の広範な視点から、協定への交渉参加については、引き続きしっかりと議論をし、できるだけ早期に結論を出します。  東アジアとの関係については、昨年十一月に閣議決定し、国民にお示しさせていただいた包括的経済連携に関する基本方針等に基づき、より幅広い国々と高いレベルでの経済連携を戦略的かつ多角的に進めていく考えであります。現在、日韓EPA交渉の可能な限り早期の再開や日中韓FTAの早期交渉開始等を目指し、積極的な取組を進めているところであります。  不育症に対する治療の保険適用についての御質問をいただきました。  医療保険では、新たな検査や治療方法等について安全性、有効性等が確立された場合に保険適用の対象としております。御指摘の不育症に対するヘパリン療法は、妊婦が妊娠期間中、毎日自己注射をすることから、現在その安全性等について評価を急いでいるところであります。安全性等が確認されれば、速やかに保険適用してまいりたいと考えております。  続いて、小児がん対策についての御質問をいただきました。  小児がんは、小児の病死原因の第一位でありながら、これまでのがん対策全体の中では子供への配慮が必ずしも十分ではないとの指摘があったところであります。  現在、厚生労働省のがん対策推進協議会においてがん対策推進基本計画の見直しが進められておりますが、その中でも小児がん拠点病院の整備や相談体制の確立の必要性が議論をされています。御指摘も踏まえまして、今後、次期基本計画や平成二十四年度予算編成過程において、小児がん対策を着実に進めてまいります。  最後に、被災地の復旧・復興などの喫緊の課題に対する覚悟についての御質問をいただきました。  個々の課題について、これまで答弁してきたとおりであります。今大切なのは、現実を見据えてこれらの課題を一つ一つ乗り越えていくことだと考えております。この歴史的な国難を克服するため、私自身は「正心誠意」取り組み、具体策を実行していく覚悟であります。  これらの課題は我々だけでは解決できません。先週金曜日の所信表明演説でも申し上げたとおり、国家国民のため、御党を始め各党会派の皆様の御理解と御協力を心よりお願いを申し上げて、私の答弁は終わらさせていただきますが、残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)    〔国務大臣小宮山洋子君登壇、拍手〕
  5. 小宮山洋子

    ○国務大臣(小宮山洋子君) 不育症の周知や相談体制についてですが、妊婦の方が安心、安全に妊娠、出産できるよう、不育症に関する適切な検査や治療についての情報を提供することは大変重要だと考えています。  このため、厚生労働科学研究で不育症の治療に関する研究を実施し、研究班がその成果をホームページに掲載するとともに、全国の産婦人科医療機関へ配付すること、また、厚生労働省がこうした取組を各自治体へ情報提供することにより、不育症の治療に関する周知を図っています。また、平成二十四年度予算概算要求では、不育症に悩む方に対する専門の相談員を不妊専門相談センターに配置することにしています。  今後とも、こうした情報提供や相談への対応など、不育症に関する対応の充実を図っていきます。(拍手)     ─────────────
  6. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 小熊慎司君。    〔小熊慎司君登壇、拍手〕
  7. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 福島県在住、みんなの党の小熊慎司です。  先般の野田内閣総理大臣の所信表明演説について、総理に質問いたします。  冒頭、改めて、東日本大震災、度重なる台風、豪雨災害でお亡くなりになられた方々に対し、心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対し、衷心より哀悼の意を表します。また、被災された皆様、いまだ避難生活を余儀なくされている方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。  さらに、タイ、カンボジア、ラオス、ベトナムの洪水被害、トルコ共和国での地震被害で被災された皆様にお見舞い申し上げますとともに、我が国として一刻も早く最大限の支援を行うことを強く要望いたします。  質問に先立ち、私の地元では、さすけねえという言葉があります。差し支えないという言葉です。心配ないという言葉です。原発事故で今、福島県全体が大きな影に覆われています。しかし、ひるむことなく、くじけることなく、さすけねえ福島を再生させるために努力することをお誓い申し上げ、以下質問に入ります。  この度の大震災及び度重なる水害などにおける自治消防、常備消防、警察、海上保安庁、自衛隊などの活躍は既に御承知のとおりで、国民の皆さんの多くが感謝をしているところであります。  この週末には各地で消防の検閲が行われ、議員の皆様におかれましても、それぞれの地元で検閲式に参加された方々も多かったと思います。これまでの災害におきまして、まさに命懸けで活躍をされた消防団の皆さんには本当に頭の下がる思いです。  災害の中で、地域の絆を基にした自治消防の役割はますます大きなものとなってきております。しかしながら、一方で、各地においては団員不足や予算の減額などで地域住民の期待にこたえるのに困難な状態が生じております。  そこで、地域の絆を大切にした災害対応体制を強化することが望まれておりますが、こうした新たな時代へ対応していくための自治消防への支援策についてお伺いいたします。  また、自衛隊におきましては、大震災時に、災害復旧のみならず犠牲者の遺体の収容など、通常業務以上の活動をされました。今後も、災害時においては、今回の震災対応又はそれ以上の活躍を国民から期待されている状況です。しかしながら、継続審議中の防衛省設置法等の一部を改正する法律案では、次官級ポストを増設しながらも、新たな役割が求められ拡充について検討されなければならないのにもかかわらず、自衛官の定数を削減することとなっております。  この際、国民の期待にこたえるべく、自衛隊の災害対応等を勘案した自衛官の拡充策についてお伺いをいたします。  さらに、この度の原発事故にも対応できる米軍のCBIRFのような部隊を福島県内に設置し、原発事故災害の知見と経験を自衛隊においても高めていくことが必要と考えますが、御見解をお伺いいたします。  次に、円高対策についてお伺いいたします。  長引く円高により、日本の製造業は深刻な状況に陥っています。中小企業までが海外に製造拠点を移し、国内の雇用は更に失われかねません。円高対策は喫緊の課題です。そんな中、七兆円規模の過去最大の為替介入がされましたが、一時的なものに終わってしまうというのが常で、今回も残念ながらそのようになると思われます。結局、外為特会のみ損をし、為替差損四十兆円がまた膨らんでいくだけなのではないでしょうか。  円高を抜本的に是正していくということは、みんなの党も訴えてきたことであります。そのためには、例外的な措置であれ、為替介入よりも抜本的な金融政策の発動が効果的だと私たちは主張してまいりました。  そのような観点から、介入実施をめぐって緊張が高まる微妙なタイミングで安住財務大臣が、七十六円台、七十七円台は我々にとって適正なレートではないと言及されたことは、八十円台の節目を前に、市場関係者へ円売り継続の迷いを生じさせ、市場の判断を困惑させる失言であると言わざるを得ません。  昨年も、当時の仙谷官房長官が、為替介入は八十二円が防衛線との発言されたことに対し、我が党の渡辺喜美代表も大きな過ちと批判をしました。  そこで、総理は、相場水準を言及するようなこうした失言に対し、どのようにお考えになっているのか、お伺いをいたします。あわせて、この歴史的な円高に対する対策について改めてお伺いをいたします。  先週、十月二十五日の朝日新聞に片山善博前総務大臣と宇野重規東大教授の対談記事が載っていました。御覧になった方も多いかと思います。この対談の中で片山前大臣は、お金のあるなしで左右されることなく、復興事業は国債を使って一日も早く補正予算を組むべきで、四月にも出すべきであったこの大型の補正予算がここまで遅れたのは、財務省が増税にこだわり、復興のためなら国民も増税に応じるはずと復興を人質に取って提出を遅らせたという趣旨の発言をされています。  直近の総務大臣という要職にあった方のこの発言は極めて重いものです。事実とすれば、被災地の人々、国民全体を愚弄し、復旧・復興を遅らせた万死に値する重大な責任問題です。  片山前総務大臣発言について、その真偽を総理に問います。  大震災、原発事故、それに伴う風評被害の影響は地域経済全体に大きな打撃を与えています。先般の参議院の復興特別委員会においても、私は税制優遇等を始めとした支援策について質問をさせていただきました。今般示された復興特区における税、財政、金融上の支援措置では、被災中小企業の復旧・復興支援等の措置は講じられているものの、域内既存企業への支援が十分とは言えません。  原発事故により福島県内各地域に様々な事象が生じています。福島県一くくりで語られる風評被害の影響は、確実に県内経済全体に大きな影を落としています。そのような状況下では、企業一つ一つを点でとらえるのではなく、地域経済全体を面でとらえ被災県の全県的な支援策を講じない限り、地域経済の再生の成果は上がらないと考えます。  そこで、広く既存企業まで含め、更に踏み込んだ復興特区における支援措置の拡充を望みますが、見解をお伺いいたします。  復興庁についてお伺いいたします。  そもそも、私たちみんなの党は、復興庁は被災現地に設置し、権限、財源を中央省庁から移譲して、被災地ニーズに応じて即断即決できる体制を組むことを求めてきました。  しかしながら、この度政府の示された復興庁設置法案では、復興庁には復興の基本方針を決める権限はあっても、具体的な復旧・復興の事業を実施する権限は引き続き縦割りの中央各省庁に権限が残ることとなっています。これでは、復興庁はワンストップどころか単なる陳情窓口官庁にしかならず、引き続き二重窓口化、二重行政の弊害を招きます。  これまで私の元に陳情に来られた県内の各市町村長さんや議員さんたちと、復興庁が設置された場合について御意見を伺ってまいりました。皆さんは一様に、復興に関する陳情、要望があれば、まずは現地の復興局に行き、東京の復興庁へ行き、さらに関係省庁を回るとおっしゃっていました。これまでの復旧・復興の遅れを取り戻すことが期待をされた復興庁ではありましたが、このままではかえってその歩みを更に遅れさせることが危惧されています。  さきの参議院の復興特別委員会の質疑の中で平野大臣は、復興に向けて必要があれば復興庁の組織の在り方について見直すといった趣旨の答弁がなされました。  そこで、復興庁の組織見直しの判断基準とその対応について、具体的にお伺いをいたします。  過日、中間貯蔵施設等の基本的考えが示されました。仮置場の期間や中間貯蔵施設の場所の選定など、今後議論を重ね、併せて地域住民への理解を得ていくなど、課題は山積しています。拙速な対応は避けるべきですが、しかしながら、現在各地で除染作業が進んでおり、実際には放射性物質に汚染された廃棄物や土壌の処理が既に滞っていることを考えれば、早期の決断そして実行が望まれます。  そのような中、昨日の衆議院本会議で我が党の渡辺喜美代表が指摘したとおり、第三次補正予算の中の除染のための百十八億円という予算が原子力研究開発機構を経由することにより、三十億円以上の予算が機構に中抜きされてしまうということになっています。除染事業は、これまで実際に除染作業を行ってきた民間団体などの実績もあります。また、九月には、南相馬市の地元若手経営者有志により、自分たちの地域は自分たちで守っていくんだという志の下、国内初の除染を請け負う協同組合である福島県放射性物質除去協同組合が設立をされました。文部科学省の独立行政法人に中抜きを許すよりも、実際に作業をする団体などへの支援を徹底的にするべきと考えますが、見解をお伺いいたします。  また、汚染状況重点調査地域についての除染は、財政の支援は国が措置するものの、市町村の判断に委ねられています。除染に関しての全ては、低線量であっても、その対応が市町村によって差があってもならないと考えます。実際、市町村ごとにその対応がまちまちでは住民に要らぬ疑心暗鬼を起こすことになり、また、実際にこれまで地元市町村長と意見を交換すれば、近隣自治体と違う対応をすればそれは地域住民が騒ぐこととなり、同じく、ひとしく横並びでせざるを得なくなっているのが現実です。また、財政支援はあったとしても、自治体の規模によっては事業実行能力を超えた負担を強いる結果となっています。多くの市町村長の望みは、原発事故にかかわる除染などの一切の事業は、国が前面に立って、責任を持って行ってもらいたいという意見が圧倒的です。  そこで、除染については、その全てにおいて国が前面に立ち全ての責任を負うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。  復旧・復興そして再生は、社会資本の早急な整備とともに地域を支える人材の育成こそが重要であり、被災地における教育環境の整備が喫緊の課題となっております。しかしながら、福島県においては来年度の教員採用がゼロとなっているのが現状です。もちろん、教員の量と質は必ずしも比例はしませんが、未曽有の危機に常時の制度、仕組みで思考し、その結果採用ゼロとは、余りにも短絡的な決定と言わざるを得ません。現状としては、いまだ原発事故が収束せず避難を余儀なくされている児童生徒が多くいる中で、また、避難者だけでなく、放射線の問題、風評被害にあえぐ福島県内の混沌とした状況の中で、多くの不安を抱えながらも、将来を担う子供たちのために各関係者が教育の再生に努めているところです。  そこで、来年度の教員採用ゼロといった状況で、どう福島県の再生のために人材育成、教育の充実化を図るのか、採用ゼロの見直しを含め、その対応をお伺いいたします。  また、福島県内においては、広い県土であるがゆえに、それぞれ放射線の影響は多種多様であり、その課題も共通するものと、また、地域ごとに独自の課題を抱えるものと、複雑化しています。例えば、校庭を活用できる学校もあれば、できない学校もあります。育ち盛りの子供たちが適正な運動を確保できなければ、小児成人病の増加が懸念され、また、自分の将来の健康に絶えず不安を抱えながら多感な時期を過ごしているなど、心身共に健康に子供たちが育つための阻害要因を取り除く、きめ細やかな対応が望まれるところです。  そこで、福島県内の子供たちの制約された学校生活、放射線被曝からの恐怖から生じる身体的、精神的不健康の状態を改善する対策をお伺いいたします。  私は、風評被害の加害者は政府にあると考えます。それは、SPEEDIの公表の遅れなど、原発事故にかかわる情報を適正に発表してこなかった政府対応に原因があります。こうした原発事故に係る初動の間違いが、政府と国民、そして国民のみならず世界に対してその信頼を失うこととなりました。信なくば立たず、一度信頼を失った政府が、科学的調査に基づく情報と正しい知見を幾ら発表しても、その発表を信じて行動する人たちは少ないことが風評被害の根底にあります。こうした信頼のない厳しい状況であるからこそ、通り一遍の安全情報発信では風評被害対策にはなりません。むしろ、過剰なまでの対応をしてもし過ぎることはないくらいであると考えます。  そこで、風評被害対策の一層の拡充のためにも、被災地への国内外での観光誘客推進、物産展等への支援、各種会議、イベント誘致に対してどう取り組むのか、お伺いをいたします。  またあわせて、政府自らが率先垂範するために、福島県内における臨時閣議や国会の移転開催等についての見解をお聞きいたします。  この件については、過日、外交防衛委員会で、かつての政権内で玄葉大臣が提案したにもかかわらず、閣僚の賛成を得られずに実現をされなかったという話も聞きました。野田総理の下ではそういったことがないよう強く求めておきます。  今回の風評被害、これは福島県の産品だけではなく、人への風評被害もあります。南相馬の方が、こうした誤解から生じている風評被害について、心の被曝だとおっしゃいました。この表現は、今起きていることの全てでないにせよ、理不尽な福島県に対する心ない言葉や対応に対する影の深刻さを的確に表していると思います。  先日、会津地方の自治体職員の方に、来春卒業する若者たちの就職状況を伺う機会がありました。就職は確保されているものの、関東に就職の決まった何人かが、雇用を約束された会社で、雇ってはやるけど会社内で出身地は名のらないでくれと言われた事例があったそうです。自分の愛するふるさとの名を、自分の誇るべきふるさとを名のれない世界がどこにあるんでしょうか。  総理も、ここに生まれたことにプライドを持てる国をつくることの必要性を訴えています。こうした人に対する風評被害、心の被曝、こうした対応が急務であります。こうした誤解や無理解から生じる人間への風評被害をなくすためには、国民の中に正しい放射線知識の定着が必要であり、誤解を理解に変えていく教育体制の整備が重要であると考えます。  そのような中、来年度には小中高の教育現場で副読本を活用した放射線教育がなされることとなっていますが、教員の放射線教育の技術の向上など、更なる教育現場への支援が求められているところです。  そこで、今後の放射線教育の充実化についてお伺いいたします。  あわせて、教育現場だけではなくて、社会全体で放射線知識の定着を取り組まなければ風評や差別はなくなりませんし、放射線被害からの防衛もできないことになります。全ての国民を含めた社会全体で正しい放射線知識を身に付けることが望まれていますが、今後どのように取り組むのか、お伺いをいたします。  総理は所信表明演説の中で、今こそ希望づくりの先頭に立って共に行動を起こし、全ての国民を代表する政治家の覚悟と器量を示そうではありませんかと言いました。しかしながら、現実は、国が前面に立つべき除染は市町村に押し付け、復興そのものについては復興庁を東京に置き、被災地を主役にする仕組みをつくらない。さらには、共にと言っておきながら、野党が先般共同提出し成立をさせた原子力事故被害緊急措置法、いわゆる仮払い基金法についてはサボタージュをする。復興を人質に増税を画策する。言っていることとやっていることが違うのも甚だしい状況です。  被災地の住民も、多くの国民も、言うだけ番長の政治家はもはや要らないんです。党利党略を離れ、真に復興を願い、与野党共に真剣に議論し、決断をし、実行する議会が望まれているんです。野田総理の内閣の維持のための安全運転は必要ありません。国民の安全、国民の生命と財産を守る、世界平和を志向する、そういう政治家だけが総理になれると思います。  そのようなことを申し上げ、総理に真摯なる答弁をお願いを申し上げ、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。感謝します。(拍手)    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
  8. 野田佳彦

    ○内閣総理大臣(野田佳彦君) 小熊議員の御質問にお答えをしてまいります。  まず、消防に対する支援策についての御質問をいただきました。  地域の安心、安全を確保するためには、地域の防災力の強化を図ることが重要だと認識をしています。そのため、政府としては、東日本大震災等の教訓を踏まえ、新たな視点で消防防災体制を整備することとしており、具体的には、緊急消防援助隊の設備の充実強化、地域防災の中核を担う消防団員の安全対策の推進、災害情報の伝達体制を強化するための消防防災通信基盤の整備などの施策を推進をすることとしております。  今後とも、政府としては、地域の防災力の強化を図るため、自治体に対して必要な支援を実施をしてまいります。  続いて、自衛隊の災害対処能力の向上についての御質問をいただきました。  この度の大震災への対応に鑑みれば、原子力災害を含め、自衛隊の災害対応能力の強化を図ることは極めて重要であり、二十三年度第三次補正予算案においても所要の経費を計上しているところであります。  政府としては、今後とも自衛隊が国民の期待にこたえられるよう、米軍の体制も参考としつつ、原子力災害への対応能力の向上も含め、防衛大綱及び中期防衛力整備計画に基づいて、必要な人的・物的体制整備に努めてまいる所存であります。  相場水準への言及、円高対策についての御質問がございました。  安住大臣の御発言は、為替市場において一方的に偏った円高の動きが続いている中で、足下で急速に進行している円高が日本経済のファンダメンタルズを反映していないという問題意識の下でなされたものと理解をしています。  いずれにせよ、引き続き、市場を注視しつつ、適切に対応していくということに尽きます。  また、急速な円高の進行等により景気の下振れや産業の空洞化を防ぐため、先般閣議決定した円高への総合的対応策に基づき、日本銀行とも連携をしてあらゆる政策手段を講じてまいります。  三次補正予算の提出時期についての御質問をいただきました。  当面の復旧・復興施策については、一次、二次合わせて六兆円規模の補正予算を編成し、これを着実に執行しているところであります。また、予備費や二次補正に盛り込まれた復旧・復興予備費八千億円の活用により、機動的な対応も併せて行ってまいりました。  他方、本格的な復旧・復興を総合的かつ計画的に進めるためには、復興構想会議での議論やそれを取りまとめた提言を踏まえた上で、必要となる復興施策、復興事業に係る財源確保など、国による復興のための取組の全体像を明らかにすることが必要であり、こうした観点から七月末に復興の基本方針を策定をいたしました。  今般、この基本方針に沿って、真に復興に資する施策を重点的に措置した第三次補正予算を国会に提出したところでありますが、必要な対応を適時適切に行ってきたと考えており、御指摘のように増税にこだわったため編成が遅れたということはございません。  復興特区における支援措置についてのお尋ねがございました。  復興特区制度においては、被災地における投資や雇用を促進する観点から、これまでにない思い切った税、財政、金融上の支援措置を講じることにより、企業の誘致や企業活動の活性化を図ることとしています。  既存企業についても、被災者を雇用する場合の税額控除、事業用設備を取得した場合の即時償却等の活用や、事業に必要な資金の低利融資を受けることが可能となっており、こうした支援を通じて被災地域の復興を支援をしてまいります。  復興庁の対応についての御質問がございました。  復興庁の対応における重要なポイントは、被災自治体からの要望、相談、申請等があった場合、それにワンストップで受け止め、迅速かつ的確に実現をすることであります。そのため、被災自治体が行う復興計画の策定、実行への助言や、復興特区の認定や復興交付金の交付等の事務について、出先機関である復興局等が市町村からの要望や申請の全てを受け付け、決してたらい回しにせず、現地でワンストップでしっかり対応できる組織としております。  除染実施に係る決断と支援に関する御質問をいただきました。  除染実施については、国の責任として、自治体の協力を得つつ、原子力災害対策本部決定である除染に関する緊急実施基本方針及び放射性物質汚染対処特措法に基づき、迅速かつ大規模に進めてまいります。また、仮置場や中間貯蔵施設の確保にも政府として全力で取り組んでまいります。特に、中間貯蔵施設については、環境省により公表されたロードマップにおいて、平成二十四年度内にその場所を決定するとともに、平成二十七年を目途に施設への搬入を開始することとしています。  除染を推進するための体制については、環境省が中心となって関係府省が連携して、政府が一体となって取り組むための体制準備等を進めているところでございます。さらに、これまでに除染作業に当たってきた地方公共団体や研究機関等としっかり連携していくとともに、財政的な支援や専門家の派遣などを講じてまいります。  なお、予算については、国として一体的に除染及び廃棄物の処理を行うべく、平成二十三年度復旧・復興予備費については約二千百八十億円を確保し、また第三次補正予算案では約二千五百億円を計上しているところであります。平成二十四年度予算においても所要の財政措置を講じてまいります。  除染を実施する国の責任に関する御質問をいただきました。  除染は原子力災害からの復旧・復興を図る上で重要な課題の一つであり、国の責任として全力で取り組みます。その上で、放射性物質の汚染の問題については地域の実情を踏まえた対策が重要であり、また、除染を迅速に進めるためにも地方公共団体の協力が不可欠であります。  放射性物質汚染対処特措法においては、高線量地域については国が直轄で除染を行うこととしております。それ以外の追加被曝線量が一ミリシーベルト以上の地域は、汚染状況重点調査地域として地方公共団体が中心となって除染を行っていただくこととなります。その場合においても、国は財政的な支援を行うとともに、実証プロジェクトを通じて得られた知見の共有や専門家派遣を行うなど、技術的にも支援をしてまいります。いずれにせよ、国の責任として復興の基礎となる除染に全力で取り組んでまいります。  福島県の再生のための教育の充実や教員採用についてのお尋ねがございました。  被災地の教育については、復興の基本方針に基づき、多様で手厚い就学支援、学習支援のための教職員配置の特例的な措置などを行い、その一日も早い再建を進めてまいります。  また、福島県においては、御指摘のとおり、今回の地震、原発事故を受け、多くの児童生徒が県外への転学等を余儀なくされており、来年度の公立小中学校教員採用を見合わせることとしたと承知をしています。教員の採用については福島県教育委員会で御判断いただく事柄ではありますが、政府としては、今後の福島県の御要望を踏まえ、必要な支援を行ってまいります。  子供たちへの放射線の影響による身体的、精神的障害を防止するための対策についての御質問をいただきました。  まずは、学校や通学路などの子供の生活圏の除染を重点的に行ってまいります。  子供たちの身体的、精神的な健康を確保するために、平成二十三年度二次補正予算において、九百六十二億円を原子力被災者・子ども健康基金として計上し、全面的に福島県を支援することとしています。福島県は、この基金を活用して、通常の健康診断に加えて、甲状腺の超音波検査を十八歳以下の全ての方を対象に実施することとしているほか、ホール・ボディー・カウンターによる内部被曝検査や子供に対するガラスバッジ等の貸与などを実施することとしています。  また、今般の原発事故により子供たちが伸び伸びと活動できる環境が少なくなっていることから、心身ともにリラックスできる環境の中で体験学習を実施するための事業に対しても、政府として積極的な支援をしているところであります。  見えない放射線の影響を可視化するべく、可能な限り速やかに県内全ての学校等に放射線量をリアルタイムで監視できるシステムを構築をしてまいります。  今後とも、子供たちの身体的、精神的な健康の確保に万全を期してまいりたいと考えております。  続いて、風評被害対策及び国会や臨時閣議の福島県内における開催についてのお尋ねがございました。  残念ながら、原発事故は農産物や観光に大きな影響を与えているところであります。風評被害をなくすためには、まずは、正確な情報を国民の皆様や外国の方に提供し、冷静な対応を取っていただくようお願いをしていくことが重要であり、そのための取組を進めます。これに加えて、農林水産物や観光に対する需要を回復させることが重要であり、第三次補正予算においても、風評被害への対応策として、農林水産物のPRや国内旅行需要の喚起のための官民合同キャンペーン等に取り組む予算を盛り込んでおります。  福島県内における国会の開催については、立法府における御検討が必要と考えています。  臨時閣議の開催については、総理、官房長官を始め全閣僚が東京を離れることの是非、あるいは地方での受入れ体制の確保等の課題があると思いますので、そうした検討が必要であると思います。  放射線教育の充実、また国民全体の放射線に関する科学的知識の向上に向けた取組についての御質問をいただきました。  放射線に関する科学的な知識を身に付けることは重要と考えており、学校教育については、今年度より中学校理科において放射線について指導することとしているほか、今般の原発事故も踏まえ、新たに放射線教育の充実のための副読本を作成するとともに、専門家の協力を得て、教員を対象にした放射線に関するセミナーの実施などに努めております。また、放射線に関する国民の皆様の知識、理解を深めるため、放射線に関する説明会や科学館における知識普及活動等に努めております。  政府としては、今後とも、このような取組を通じて放射線に関する科学的な知識の向上を図ってまいります。(拍手)
  9. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) これにて午後一時まで休憩いたします。    午前十一時二十九分休憩      ─────・─────    午後一時一分開議
  10. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  国務大臣の演説に対する質疑を続けます。小泉昭男君。    〔小泉昭男君登壇、拍手〕
  11. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 自由民主党の小泉昭男でございます。  私は、所信表明演説、財政演説に関しまして、自由民主党・無所属の会を代表いたしまして、野田総理に質問をさせていただきます。  質問に先立ちまして、改めて東日本大震災により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。  また、この度のタイの洪水被害とトルコ地震によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。  野田総理の所信表明演説、聞きました。日本をどのような国にしていくのか、具体的な内容が全くありません。失望いたしました。  自由民主党では平成二十二年に新綱領を作成しまして、その中で、我が党は誇りと活力ある日本像を目指すとしています。そして、美しい自然、温かい人間関係、和と絆の暮らし、世界平和への義務を果たし、人類共通の価値に貢献する有徳の日本を明確に打ち出しております。  総理には、この場で改めて国家観を伺いたいと思います。どのような日本をつくろうとされているのか、国民に分かりやすく説明をしてください。  また、総理は、野田内閣の組閣人事に関しまして、各大臣を適材適所と自画自賛されました。どこが適材適所なんでしょうか。山岡大臣始めとして数名の大臣は、国の重責を担う適格性も責任感もありません。どうしてこういう方々を任命したんでしょうか。  先週の拉致特で松原国土交通副大臣が答弁に立ちました。総理が閣議で口頭により国土交通副大臣に内閣府拉致担当大臣の補佐をするように指示したことが根拠であると言われております。ある役所の副大臣に別の役所の大臣の補佐を命ずる権限は総理にはありません。また、国家行政組織法に違反する行為でありますので、総理にこのような発言した根拠の説明を求めますとともに、この閣議での発言の撤回を強く求めます。  三月十一日の東日本大震災では、多くの人々が帰るべきふるさと、住みかを失い、いまだ仮設住宅などで不自由な生活を余儀なくされておられます。これから被災地東北は寒さの厳しい冬を迎えることに思いを致せば、一人一人が不自由なく暖かく過ごせる環境を一刻も早く用意してあげなければなりません。そのために、被災地の皆様には与野党挙げてあらゆる政策の手だてを尽くすことをここにお誓いをいたします。  世界的に見ると、タイの記録的な豪雨被害、トルコでの大地震の発生、近年、自然災害が多発し、自然の脅威の前では人間の力など小さいものであることを痛感させられました。同時に、東日本大震災のときに世界各国からいただいた人的、物的な援助を思い出さずにはいられません。タイの豪雨、トルコの大震災の影響はまだ癒えていないだけに、我が国としては十分な支援を行うべきであります。  以前、先輩議員が、日本を上空から見ると心と読めると言われました。まさに日本は心を大切にする、日出る国として世界に信頼される国家に発展することができたわけであります。これはひとえに日本人の勤勉性とひたむきな努力のたまものであると信じるところであります。今こそ、日本人の底力と知恵と勇気を世界に発信することが大切であります。  タイの洪水被害は、現時点で七団地、入居する日本企業約四百四十七社に影響が生じていると聞きます。邦人保護はどうなっているのか、また日本企業への対応について、具体的に説明をお願いいたします。  そして、東日本大震災から八か月が過ぎた今も、状況は震災直後と全くほとんど変わらず、被災地の復興、生活再建のめどすら立っていないのが現状であります。  自民党では、今から四か月前のこと、七月八日に震災後の経済戦略に関する特命委員会が、被災地の復旧・復興を確実にし、日本全体の景気を良くするため、総額十七兆円規模の補正予算を組むことを提言いたしました。具体的には、被災地の復旧、生活再建支援、産業再生、被災地自治体への支援、原発事故対応、災害に強い国土づくり、我が国産業基盤の強化などを盛り込んでおります。現地需要に即し、また、日本の将来像を描き、それを着実に実現していく総合的な経済政策でもあります。  それに比べ、政府のこの度の第三次補正予算の規模は、全体で十二兆円、東日本大震災関連で九兆円と、質量共に不十分であります。  総理は、第三次補正予算の編成に当たり、自民党の提案をどのように評価され、反映されたのか、また、政府提出の第三次補正予算についてどのような経済効果を期待されているのか、はっきりとお答えを願いたいと思います。  補正予算の財源に関しまして伺います。  財政事情が厳しい中、その手段としては、歳出削減や税外収入、そして国債発行など、あらゆる手段を総動員することが求められておりますが、我々は、財源として従来の公債とは区分勘定する形で復興債を発行すべきと提言しております。  政府案の問題は、復興債の償還期限を十年と短い期間に限定してしまったことであります。我々は、建設国債を参考に考えるべきだと主張しているのであります。というのも、復興に関係するインフラ整備に多くの財源が使われ、将来世代にもメリットは受け継がれていくのでありまして、受益する世代に負担を求める、これは至極当然のことであります。景気の長期低迷期に国民に集中して重く増税負担を強いるのは、経済活動を一段と萎縮させ、問題があります。阪神・淡路大震災のときにも、復興財源としては建設国債を充てた経緯があります。  財務大臣の経験もある総理には、償還期限を十年に区切った理由と、なぜ増税なのか、国民が納得できる御説明をお願いいたします。  被災地に元気を与え、復興をスピードアップさせるためには、日本全体の経済活動が活発になることが極めて重要であります。自民党では、日本列島全体を見渡して、災害に強い国土づくりとして、学校施設の防災拠点化、科学技術を駆使した防災立国の実現、そして再生可能エネルギーの集中導入、サプライチェーンの再構築など、新規かつ総合的な政策を展開すべきだと提言の中で主張してまいりました。  日本列島が沈んでしまわないように、政府の補正予算にはどのような対策が取られているのか、また、補正予算に限らず、規制改革などを通じてどのような景気刺激策を行うのか、はっきりと分かりやすく御説明ください。  また、日本各地の中小零細企業、農林水産業は、円高や売上げの低迷など、今も極めて厳しい環境下に置かれております。全国津々浦々で歯を食いしばって頑張っている産業、企業を振興するため、政府としてどのような具体的策を考えているのか、伺います。  地方経済へのてこ入れの手段として、公共事業は欠かせません。経済的にも乗数効果が大きく、雇用拡大につながる地域経済の柱と言えます。公共事業は毎年削減されてまいりましたが、震災を契機にインフラ整備の必要性が再認識されつつあることは喜ばしいことであると思います。  特に、問題になっております八ツ場ダムについて、私も数回現地入りをし、状況の現地視察をしてまいりました。周辺インフラ整備も進んでおり、集中豪雨等への治水と併せて利水の上からも、建設再開を判断すべきと思います。九月には、国土交通省関東地方整備局が、ダムを建設した方がほかの方法よりも優位性が高いという結論を出しました。国土交通大臣は、現地を視察されたとのことで、年内に結論を出すとしていますが、地元住民にとっては喫緊の問題であります。  総理に伺います。公共事業一般についてどのような政策スタンスで推進されるお考えですか。また、八ツ場ダムを始めダムの建設問題については、現下の電力エネルギーの供給が不安視される中で、総理としてどのような方向に導いていくお考えなのか、御認識を伺います。  被災地の生活者にとって、雇用拡大、就職の確保が重要であります。これまでは、瓦れき処理などの一時的な仕事で雇用を吸収した経過がございました。いよいよ産業の復興に伴い雇用が創出されなければならない局面に入るわけであります。  先日、政府は、「日本はひとつ」しごとプロジェクトを発表し、その中で、第三次補正予算での財政支援などにより、五十万人の雇用創出効果があるという政策を打ち出されました。しかし、内容は乏しく、具体策が全く乏しい、本当にそれだけの雇用創出効果が期待できるのか、極めて疑問であります。どのような事業により、どれだけの雇用を生み出すのか、特に農林水産業といった一次産業の復旧により、どれだけの人々を一次産業で再び働いていただこうと計画されているのか、具体的にお聞きをいたします。  被災地のみならず、日本全国で若者、若年層の失業問題が深刻化しております。多くの若者が社会人としての人生の始まりの段階でしっかりした職に就けないことは、社会的に大きな損失であるばかりでなく、彼らの将来に暗雲を投げかけ、生きることへの希望を失わせ、ひいては日本の将来を危うくさせることには極めて危惧をいたすところであります。  若者の失業問題は、我が国固有の現象ではなく、最近、欧米諸国では、経済格差の是正と仕事を求めて若者がデモ行進し、自分たちの窮状を訴え、大きな社会問題になっております。しかし、日本では、そこまでの事態は深刻化しておりませんが、若者の不満や不安は潜在的に極めて高まっていることを認識すべきであります。  厚生労働省、文部科学省、そして民間企業など、関係する組織がタイアップし、新卒者の就職、ニート、フリーター対策をしっかりと進めていただきたい。若者の雇用、就業に向けた取組姿勢をお伺いいたします。  環太平洋経済連携協定、いわゆるTPPについて伺います。  十一月十二日、十三日にハワイでAPEC首脳会議が開催されますが、アメリカはそこでの大枠の合意形成を目指していると聞きます。TPPに加入する場合の経済効果に関して様々な見方があります。多くの分野で規制緩和が進み、製造業の競争力が高まるといった反面、農業が壊滅的な影響を受け、企業がマネーゲームの犠牲になり、医療の民営化でサービスが低下するといった論調の方がより強く見られます。  農林水産省では、七・九兆円の大幅なGDPの損失と試算する一方で、経済産業省では、参加しないとGDPが十・五兆円減少するとしています。どちらが本当なのか全く分かりません。  最近では、政府が、参加の結果としてGDP二・七兆円の押し上げ効果があると公表しました。これが本当なんでしょうか。もしそれが事実であれば、その試算の根拠と内容をしっかりと国民に分かりやすく説明をお願いいたします。  早期のTPP加盟は将来に禍根を残すと言わざるを得ません。民主党の中にも大きな反対勢力があると伺っております。にもかかわらず、政府からは、TPPに関して具体的にどのような交渉事を議論することになるのか、個別の産業界、業界に対してどのような効果や影響を与えるのか、消費者はどのようなメリット、デメリットを受けることになるのか、全く説明がありません。  国内の意見集約もないままに突き進もうとする姿勢は、見切り発車の普天間問題と重なります。沖縄県民の気持ちも、日本国民の気持ちも無視する総理に、日本のかじ取りを任せることはできません。強い怒りを覚えるところであります。総理の見解を伺います。  TPPに参加するしないにかかわらず、我が国の農林水産業の再生強化は待ったなしであります。十月二十五日に政府の食と農林漁業の再生推進本部は農業改革の基本方針を発表されました。その中では、農地面積を何と二十から三十ヘクタールに拡大する、生産、加工、販売を一体化し、農業の第六次産業化、官民ファンドを利用して資金面からの後押しをさせ、この農業の強化策が描かれているというんです。  しかし、民主党政権が実際に行ったことを胸に手を当てて考えていただきたいんです。農家の戸別所得補償という単なるばらまきが、これでは意欲ある農業者の育成、農業の国際競争力の強化につながるわけがないのは明々白々であります。農業改革を掛け声だけで終わらせないように、本気になって日本農業の再生強化に取り組むべきであります。  総理は、農業の再生強化に関してどのように具体的に進めていくお考えですか。また、消費地にあり消費者ニーズを肌で感じ努力する都市農業もより競争力を高める必要があります。都市農業についても併せて総理の考えを伺います。  前財務大臣であった総理には、現下の円高問題に関して、改めて厳しく問いたださなければなりません。  今日のような円高が続くと、輸出企業がダメージを受けるのみならず、中小企業、下請企業を含めて多くの企業が海外に生産拠点を移し、国内市場の空洞化、雇用問題の深刻化が進むのは間違いのないことであります。  今週の為替介入で少しは円安に振れていますが、今も七十円台と、企業には耐え切れないほどの円高水準が続いているのが現実であります。あらゆる政策を動員し、一刻も早く円高の本格的な方向転換、必要であります。  為替相場に関して、どのような認識をお持ちであり、今後どのように円安方向で安定させるのか、総理の納得いく明快な御説明をお願いいたします。  将来の我が国のエネルギー政策の在り方に関して伺います。  総理は、これまでの国会での議論で、原子力発電に関して、脱原発と推進という二項対立でとらえるのは不毛です、中長期的には原発への依存度を可能な限り下げていくという方向を目指すべきですと述べておられます。いわゆる脱原発依存ということではないでしょうか。  政府は、二〇三〇年までをにらんだエネルギー基本計画を来夏を目途に作成すると言っていますが、これでは余りにも遅過ぎます。民間企業は、今年度末には来年度の事業計画を作り、それに基づいて経営を展開するわけであります。政府の基本計画が来夏を目途では、全くスピード感がありません。  国内での電力の制約の懸念が残るなら、為替の円高も背景に、企業はいや応なしに海外へ生産の拠点を、かじを切らなければならなくなります。国内の雇用は極めて厳しい状況に追い込まれることは必至であります。  政府は、企業に対して無理に我慢の節電を強いるべきではありません。各企業が安心して国内で営業できることと併せ、国民も普通の生活ができるよう、この年末にもエネルギー基本計画を示すべきであると思います。総理のお考えを伺います。  同時に、総理が言われる脱原発依存とは、原子力発電について、将来のある時点を目標にゼロにするのか、あるいはゼロではなく、ある一定の割合で存続させることになるのか。今日、九州電力玄海原発は午後にも発電を再開するとのことですが、総理、明確な方針をお示しください。  再生可能エネルギーの普及はこれからますます重要になってまいります。さきの通常国会で再生可能エネルギー特措法が成立したことから、これからの運用で徐々に普及が進むものと思われます。しかし、現実の問題として、当面は、発電量が不安定な再生可能エネルギーに多くの期待をすることはできません。私の地元神奈川県では、黒岩知事が選挙公約にしていた四年間で二百万戸の太陽光パネル設置を修正せざるを得ませんでした。菅前総理の一千万戸での設置目標も早々と消えてしまったわけであります。  再生可能エネルギーの利用促進に関して総理はどのように進めるお考えなのか、新たな促進法案などのお考えがあるとすれば、それもお聞かせください。  先日、衆議院へのサイバー攻撃の事実が明らかになりました。また、参議院議員のメール情報が流出していたとの報道もあったことも現実であります。さらに、在外大使館のコンピューターがウイルスに感染したことも分かりました。外部の誰かに我が国の政治や外交の重要な機密情報が流れている可能性が高いことは明白であり、それが悪用されることになると、国運を左右する事態に陥らないとも限りません。  総理は、サイバー攻撃の事実に関して現時点でどのような情報を把握されているのか、被害状況はどのくらい広がっているのか、可能な限りのお答えで結構でございます、お答えください。  問題への対処は早急になされるべきであり、官民へのサイバー攻撃に対する対応策を一刻も早く確立し、これ以上の被害拡大を食い止め、万全のセキュリティーシステムを構築しなければなりません。  アメリカなど海外諸国に引けを取らない万全な体制を構築するため政府はどのような取組をされるのか、御認識を御説明ください。  以下、私の地元神奈川県に関係のあることを質問にさせていただきます。  放射性物質による汚染は、原発周辺だけにとどまりません。神奈川県の南足柄市では、暫定基準値以上の放射性セシウムが検出され、足柄茶が出荷できないという事態に陥りました。農家では、冬場を越す新芽にもセシウムが蓄積され、二年連続で被害が続くことになるのではないかといった心配の声が出ています。まさに足柄茶というブランドの危機を招いているわけであります。農家には何の責任もないわけでありますので、当然しっかりとした補償が受けられなければなりません。  政府として、足柄茶問題など各地での放射線被害に対して、補償面などでどのように対応されるのか、御説明ください。  東日本大震災や台風の襲来を目の当たりにし、我々は自然の脅威を再認識することになりました。同時に、自然とうまく調和して生活することの必要性を確認いたしました。しかし、我が国の自然環境を見ると、人間の都合により破壊され、手入れされることなく放置されているのは、誠に残念であります。  以前、北海道の日高昆布が痩せ細ってしまったときに、地元の方々が森林の再生に力を注ぎ、日高昆布を再生させたドキュメントを見たことを思い出します。豊かな森林からの栄養分が海に流れ出ることにより、豊かな魚介類が育つことを再認識すべきであります。  日本を囲んでいる海について、水質汚濁が進んでおります。魚介類やそれを食する人間に影響を与え、生態系のゆがみを招くことにならないためにも、国を挙げて、自然との共生を推し進め、更なる環境改善に取り組むことが急務であります。  政府として、地方の取組を後押しする施策を推進し、美しい日本列島をよみがえらせることが求められておりますが、特に森や海の再生についてどのような施策を展開しようとしているのか、政府の見解を伺います。  我々は、今後とも、国民のため、被災者のため、一日も早い復旧・復興に全身全霊を傾けて事態に対処しますが、それは野田政権を認めるものではありません。最低限、第三次補正予算やその関連法案は、内容を精査した上で成立をさせますが、そのことをもって我々の協力は終わるのであります。  野田総理はあくまで安全運転と言いますが、そもそもドジョウが運転する車など見たことがありません。小泉総理は殺されてもいいと信念を貫きました。保身に走る野田総理に改めて強く猛省を求めます。  鳩山政権、菅政権に続き、野田政権にも、本来備わっているべき政権担当能力が欠けております。鳩山内閣から菅内閣に替わり、野田内閣も国民の信を問うという手続を経ておらず、政権をたらい回ししております。  我々自民党の主張は一貫しております。民主党の政権は、一刻も早い退陣こそが日本のため、被災地のためになることであります。  第三次補正予算成立後、速やかに我々に政権を譲り渡すか、国民に信を問うべきであることを申し上げ、質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
  12. 野田佳彦

    ○内閣総理大臣(野田佳彦君) 自民党小泉議員の御質問にお答えをしてまいります。  まず、国家観についてのお尋ねがございました。  さきの臨時国会における所信と、そしてそれに関連する質疑でも御説明をいたしましたけれども、一言で言えば、希望と誇りを持てる日本の再生、ここに生まれたことにプライドを持てる国をつくることでございます。その際、勤勉さなど日本人が持つ人の力、我が国の国土が持つ新しい可能性、フロンティアに挑戦できる技術力など、日本が持つ未来へのダイナミックな可能性を引き出して中間層を回復させ、拡大をしていくことが必要と考えております。  まずは、目の前の困難な道のり、危機を乗り越える一つ一つの積み重ね、努力の道筋においてそうした日本が築かれると確信をしています。そして、そのためにも、震災復興、原発事故収束、経済金融危機からの脱却に全力を挙げてまいります。  閣僚の任命と副大臣の役割についてのお尋ねがございました。  閣僚の任命に当たっては、政治家としての経験と蓄積、政策能力などを勘案をし、それぞれ適格であるとの判断に基づき任命をいたしました。また、拉致問題については、平成二十三年九月六日の閣議において、私から松原国土交通副大臣に対し、国土交通大臣の了解も得て担当大臣の補佐をお願いをしたところであります。しかしながら、国会への対応に関する議員の御指摘につきましては真摯に受け止めさせていただき、国会の御意思、各党会派の御意見を十分に踏まえながら、今後適切に対応してまいりたいと思います。  タイの洪水被害における邦人保護及び日本企業への対応に関するお尋ねがございました。  タイの洪水被害に対しては、邦人保護や日系企業支援も含め、我が国政府としてできる限りの支援が必要と考え、私から政府全体としてしっかりとした対応を取るよう指示をいたしました。  邦人保護については、在外公館を通じた情報提供と注意喚起に加え、冠水・浸水地域での邦人の状況確認等を実施してきており、引き続き遺漏ないよう対応をいたします。  日本企業への対応については、資金調達の円滑化のための措置に加え、サプライチェーンの維持及び早期の復旧の観点から、日系企業のタイ人従業員の我が国への受入れなどの措置をとってまいりました。今後とも、現地のニーズに応じ、必要な対応策を検討してまいります。  自民党の提言及び三次補正予算の経済効果についてのお尋ねがございました。  七月八日に公表された自由民主党の中間報告については有益な御提言と受け止めており、復旧・復興に係る基本的な考え方や施策の柱立てが政府の復興の基本方針と多くの部分で共通していると考えております。三次補正予算はこの復興の基本方針に沿って編成し、自民党から御提言いただいた項目についてはその大部分を措置しており、復旧・復興に取り組む姿勢は共通しているとの思いを抱いております。また、この三次補正予算は実質GDPを一・七%程度押し上げるとともに、七十万人程度の雇用創出・下支え効果があると見込んでおります。  復興債の償還期間等についてのお尋ねがございました。  復興債の償還財源については、歳出削減や税外収入の確保に最大限努めるとともに、それでもなお足らざる部分については、基幹税である所得税や法人税の付加税等により、今を生きる国民の皆様に一定の御負担をお願いをすることとしています。  復興債の償還期間については、次の世代に負担を先送りせず、今を生きる世代全体で連帯して負担を分かち合うとの復興の基本方針における考え方に立ってその期間を設定をしております。  日本全体の景気対策の必要性についての御質問をいただきました。  第三次補正予算には、日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はないとの認識の下、五千億円の立地補助金や二千億円規模の節電エコ補助金、金融支援の拡充を中心とした総額約七千億円に上る中小企業対策等の産業空洞化対策に資する予算措置等を盛り込んでいるところであります。  また、二十一世紀の成長産業となり得る農林漁業の再生に向けて、次世代を担う農林漁業者が安心して取り組めるよう、さきに策定した我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画に基づき、政府全体の責任を持って、五年間で競争力・体質強化、地域振興を集中展開をしてまいります。  さらに、規制・制度改革については、行政刷新会議の下の分科会において、震災後の新たな社会経済を構築し、震災以前よりも力強い新しい日本を再生するとの視点を重視して議論を始めたところであります。規制・制度改革は我が国の社会経済を大きく変革する原動力であるとの認識であり、今後、必要な改革を強力に進めてまいります。  公共事業に対する認識とダムの建設問題についての御質問をいただきました。  公共事業については、東日本大震災などを契機として、国民の安全、安心を守ることが社会資本整備の最も重要な使命であると再認識され、政府としても、真に必要な社会資本の整備を戦略的に実施していくことが必要であると考えております。  また、ダムについては、国土交通省において、八ツ場ダムを含め全国で八十三事業を対象として予断を持たずに検証を進めてきております。治水目的や発電を含む利水目的等について総合的な検討も含めて検証を進め、その結論に沿って国土交通大臣が適切に対処すると考えております。  第三次補正予算の具体的雇用創出策についての御質問をいただきました。  被災地での厳しい雇用情勢に鑑み、雇用なくして被災地の再生はないと強く考えております。今後、本格的な安定雇用を生み出すため、「日本はひとつ」しごとプロジェクトフェーズ3に盛り込まれた農林水産業の復旧・復興や六次産業化の推進、中小企業等グループ補助金、立地補助金などで需要を押し上げることにより三十五万人、雇用創出の基金の積み増しによる、復興を図る産業政策と一体となった雇用面での支援や、若者、女性、高齢者、障害者の雇用機会の確保などにより十五万人、合計五十万人の雇用創出を見込んでおります。  この中で、農林水産業のみの内訳をお示しすることは困難でありますが、被災地域における重要性に鑑み、農地・農業用施設、漁港等の早期復旧、経営再開支援の充実、六次産業化の推進などにより、雇用の確保に努めてまいります。  政府の総力を挙げてこれらの具体策に取り組むことにより、被災者のこれからの暮らしの安心を支えてまいります。  若者の雇用、就業に向けた姿勢についての御質問をいただきました。  現在、新卒者を始めとした若者の就職環境は、御指摘のとおり、非常に厳しくなっております。このため、新卒者に対しては、ジョブサポーターによる学校と連携した支援等を強力に推進をしてまいります。また、フリーターなどの若者に対しては、ハローワーク、ジョブカフェにおいてきめ細やかな職業相談、職業紹介を行うなど、若者の正規雇用化、就職支援に全力を尽くすとともに、若者の職業的自立支援にしっかりと取り組んでまいります。こうした取組により意欲ある全ての人が働くことのできる全員参加型社会の実現を目指します。今後とも、関係省庁が連携して、経済界、学校とも一体となって、総力を挙げて若者の支援に全力を尽くします。  TPPの経済効果及び国民への説明についての御質問をいただきました。  内閣官房が広く国際機関によって活用されているモデルを使用して行った試算では、TPP協定に参加し、物品貿易について一〇〇%自由化した場合、日本の実質GDPが二・七兆円増加するとの結果が得られております。これは将来にわたってその状態が継続すると解釈すべき数値であります。また、これは関税引下げに限られた試算であり、サービスや投資、非関税分野、貿易円滑化などの分野も含めれば、更に追加的な効果があると考えられます。  TPPに関しては、随時、関係国との間で情報収集や協議を行ってきています。その結果得られた情報については、参加のメリット、デメリットを含め、国益を確保する観点から様々な検討、分析を行うとともに、国民の理解を深めるため可能な限り説明に努めてきたところであり、関係団体への説明も行ってきたところであります。今後とも、説明や情報提供にしっかりと努めていく考えでございます。  農業の再生強化に関する御質問をいただきました。  御指摘のとおり、農林漁業の再生は待ったなしの課題であります。このため、先ほども申し上げたとおり、我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画に基づいた政策を集中展開をしてまいります。また、都市農業については、消費者ニーズにこたえた新鮮で安全な農作物の供給などの多様な役割が十分に発揮されるよう、引き続き、その振興に必要な施策を講じていくとともに、都市農業の振興や都市農地の保全に関する施策の在り方について関係省庁で検討を行っていくことが重要と考えております。  為替相場に関する認識についてのお尋ねをいただきました。  急速な円高の進行等による景気の下振れや産業の空洞化を防ぐため、先般閣議決定した円高への総合的対応策に基づき、日本銀行とも連携して、円高自体への対応も含め、あらゆる政策手段を講じてまいります。日本経済が震災の打撃からようやく立ち直りつつある中、一方向に偏った円高の動きによる景気下振れリスクを十分警戒する必要があります。  こうした中、最近の為替市場では、短時間に急激な変動が生じ、円高が急速に進む局面が見られたところであります。投機的な動き、無秩序な動きへの対応に万全を期し、日本経済への下振れリスクを具現化させないため、為替介入を実施をいたしました。引き続き、市場を注視しつつ、適切に対応してまいります。  エネルギー政策見直しの時期についてのお尋ねがございました。  新しいエネルギー政策については、来夏を目途に策定することとしています。これは、エネルギー政策を抜本的に見直すという国の根幹に係る大議論であり、原子力事故・安全対策の検証等を踏まえつつ進めていく必要があるため、一定の期間を要するからであります。  一方、今年の冬、来年の夏を含む当面の電力需給の安定化を図ることは、国民生活の安定化及び産業の空洞化防止、国内雇用の確保の観点から、喫緊の課題であります。このため、昨日、エネルギー・環境会議において策定されたエネルギー需給安定行動計画では、企業活動への影響の最小化を図りながら、ピーク時の電力不足とコスト上昇を極力回避するべく、あらゆる政策を総動員していくことを明記してございます。  また、御指摘いただいた脱原発依存については、将来的に原子力への依存度を最大限減らしていくことを述べたものであり、今後、どの程度の時間を掛けてどこまで依存度を下げていくのかという点も含めて明らかにしてまいります。  再生可能エネルギーの利用促進の方策についての御質問をいただきました。  エネルギーの安定供給確保、地球温暖化対策及び環境関連産業育成の観点から、再生可能エネルギーの導入拡大を進めております。特に、原発依存度を可能な限り引き下げていくためには、再生可能エネルギーの導入拡大が極めて重要であると考えております。  さきの通常国会で成立した再生可能エネルギー特別措置法に基づき、来年七月から再生可能エネルギーの固定価格買取り制度が開始いたします。これに加えて、立地に関する規制の見直しや研究開発支援などの政策を総動員をして取り組んでまいります。第三次補正予算案においても、再生可能エネルギーの設備導入に対する補助など千八百億円程度の予算を盛り込んでいるところであります。  今後とも、再生可能エネルギーの導入拡大を加速すべく、これらの政策を通じて最大限の努力を重ねてまいります。  最近のサイバー攻撃への対応についてのお尋ねがございました。  政府においては、サイバー攻撃への対応は、現代のIT社会における国家の安全保障、危機管理上の重要な課題であるとの認識の下、従来から、政府機関や重要インフラの情報セキュリティー水準の向上、攻撃への対処能力の強化に努めてきました。  しかし、サイバー攻撃の態様は一層複雑巧妙化しており、最近では立法府や在外公館を含む行政機関、さらには防衛産業関連企業に対して攻撃がなされ、情報の窃取を目的としたウイルスに感染するなどの被害が生じていると承知をしています。  こうした状況を踏まえ、内閣官房長官を議長とする情報セキュリティ政策会議を開催するなどして、有識者の意見も取り入れながら、官民の情報共有、連携強化などの対策の強化に取り組んでおります。また、これらのサイバー攻撃事案については、警察において鋭意捜査や情報収集等を行っており、違法行為があれば厳正に対処していくものと承知をしております。  今後とも、米国を始めとする関係各国等とも緊密に連携しつつ、政府一丸となってサイバー攻撃への対処に万全を期してまいります。  足柄茶など各地での放射線被害に対する対応についての御質問をいただきました。  福島原発事故により、神奈川県の足柄茶を始め東日本の各地のお茶などから暫定規制値を超える放射性セシウムが検出され、多くの生産者が出荷停止を余儀なくされる事態に至ったことを重く受け止めております。  今回の原発事故による損害については、東京電力による早急に賠償金が支払われることが基本と考えており、迅速かつ適切な本賠償の実施を東京電力に求めていきたいと考えております。また、来年産のお茶の生産に当たっては、放射性セシウムの濃度の低下が図られるよう、生産者などに対する技術指導に万全を期してまいります。  森や海の再生に向けた施策についての御質問をいただきました。  我が国は森林と海に恵まれた島国であり、これらはかけがえのない貴重な財産であります。また、森は海の恋人と言われるように、豊かな森は豊かな海を育む役割を果たしており、両者の適切な整備保全を図っていくことが重要であります。  このため、政府としては、間伐の推進や水辺森林の保全管理により森林を適切に整備保全するとともに、水産資源を育む藻場や干潟の保全活動等により海の再生を図っているところであります。これらの施策を通じて、豊かな命を育む森と海の再生を進めてまいります。  ありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  13. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 田中直紀君。    〔田中直紀君登壇、拍手〕
  14. 田中直紀

    ○田中直紀君 民主党・新緑風会の田中直紀です。  会派を代表して、野田総理大臣の所信表明演説と安住財務大臣の財政演説に対し、質問いたします。  野田総理は、就任後、精力的に国内を視察する一方、外国を訪問し、懸案事項に真剣に取り組んでおられることは誠に心強い次第であります。  民主党を中心とした政権が誕生して二年が過ぎました。鳩山政権と菅政権に続いて、今回民主党の代表に選ばれ、三代目の野田内閣総理大臣が誕生いたしました。  民主党は、政権交代直前の小沢一郎元代表が自民党小泉改革で生じた格差社会の是正を掲げ、また、鳩山由紀夫総理は内外の全ての政策や予算編成をゼロから見直す努力をいたしました。菅直人総理は第三の道や財政再建、脱原発などのスローガンで政策を進めました。  まず、鳩山政権、菅政権の評価について総理に伺います。  野田総理は、さきの臨時国会で、分厚い中間層の復活と世代間の公平性が実感できる社会保障制度を目指すと、国家ビジョンを述べられました。しかし、野田内閣が今進めている政策は、中間層の負担軽減ではなく負担増となるのではないかと一般に受け止められております。野田内閣の政策は増税路線なのでしょうか。国家ビジョンについても伺います。  三月十一日午後二時四十六分、東日本太平洋沿岸でマグニチュード九・〇の大地震が発生し、最大二十メートル近い大津波と福島原発のメルトダウンにより、日本は未曽有の震災に見舞われたことは痛恨の極みであります。昭和二十年の敗戦に次ぐ深刻な事態となりました。しかも、我が国は停滞する経済と少子高齢化の時代を迎えております。今政治に何が必要か。それは、迅速かつ思い切った政策の実行でありましょう。  第三次補正予算は、東日本大震災関係費として約九・二兆円を計上しており、これにより、第一次と第二次補正における六兆円の対策と合わせて、年度内に約十五兆円の復興関係予算が執行されることとなりました。約一兆四千億の公共事業、約一兆五千億の復興交付金の計上など、被災地域の復興に資する予算であります。また、復興特区制度の創設、復興庁の新設、津波防災地域づくり法案による予算の執行を後押しします。そこで、野田総理に第三次補正予算の全体像について簡潔に御説明いただきます。  また、次の四点の課題について総理に伺います。  第一に、太平洋沿岸で壊滅的な被害を受けた四十四の市町村の復興計画を見ると、本格的に復旧・復興をするためには今回の予算規模では不十分であると思われます。規模を拡大するために建設国債を発行すべきではないでしょうか。  第二に、復興は地域が主体となります。被災自治体が復興計画を策定する際、もっと人的、専門的、技術的な支援が必要ではないでしょうか。  第三に、被災者や原発避難者の生活再建にすぐに役立つ予算なのでしょうか。  第四に、福島再生のために独自の基金を設け、国際的な医療センターの整備といった新たな構想を地元と一体となって推進することは大事な施策であります。新潟の中越地震では三千億円の基金を創設しましたが、規模的にも今回は大きな基金が必要ではないでしょうか。  以上、四点伺います。  総理の、福島の再生なくして日本の再生なしの方向は、具体的には原発事故の収拾なくして福島の再生なしと言わざるを得ません。原発事故問題について野田総理に伺います。  福島第一原発事故は、原子炉の年内の冷温停止状態の達成を始め、放射性物質の放出の大幅抑制達成の実現に近づいていると報告されております。そこで、放射性物質の放出が最終的に止まる見通しについて伺います。また、原発事故発生から約七か月半、現在被災されておられる福島県双葉郡の八町村の皆さんが、いつ、それぞれ本格的に帰宅できるのか、見通しについて率直にお聞かせください。  東電の福島第一原発の四基の廃炉措置について、原子力委員会の報告書によれば相当の年月が掛かるとの報道があります。原子力事故に対する止める、冷やす、封じ込めるの基本作業を考えると、時間、費用、労力は膨大になることは間違いありません。原発事業は国策として行われてきました。東電だけで廃炉処理は無理なことは明らかであります。直ちに国が直接事故処理を指揮監督する体制へ移行すべきと考えますが、見解を伺います。  政府は近々電力事業の在り方につき検討すると聞いています。東電を電気事業者、事故処理、賠償、それぞれの責任が果たせる企業体にするためには、企業の分社化が妥当と考えます。例えば、私案ですが、新潟の柏崎刈羽発電所は分社して本社を柏崎とする。そして、地域の理解の下に再稼働を検討する方法もあります。野田総理の見解を伺います。  IRSN、フランス政府傘下の放射線防護原子力安全研究所は、今回の福島原発から海に流れ込んだセシウム137の放出量を東電が発表した数値の三十倍であると報告しております。また、ノルウェーなど欧米の研究チームが、福島原発事故で三月十一日から四月二十日までの大気中に放出された放射性セシウムは、日本の原子力安全委員会が公表した数値の三倍であるとの試算を掲載しております。東電や政府が出す情報が次々に疑問視されてきているのが現状です。私はIRSNを五月に訪問していますが、世界で最も進んだ原子力機関であると実感いたしました。政府は、外国の関係機関とも連携して正確な情報を把握し、提供していくことが義務であると考えますが、文部科学大臣の見解を伺います。  野田総理は、九月十九日に都内の自動車部品関連の中小企業二社と横浜市にある日産自動車の工場を視察し、今回、急激な円高に苦しむ製造業への支援として第三次補正予算に約二兆円を計上いたしました。  政府と日銀は十月三十一日から三か月ぶりの円売りドル買い介入に乗り出し、一時は一ドル七十九円五十五銭まで円安に戻しました。その介入の効果と、さらに、いつまで、どの水準まで介入を続けていくつもりか、安住財務大臣に伺います。また、今回の介入は我が国の単独介入であり、これでは効果は限定的であり、他の国々との協調介入が必要だと考えますが、いかがですか。  ところで、政府は十月二十一日、円高への総合的対応策を取りまとめていますが、更なる対策が必要です。今後の円高対策、産業空洞化対策の具体的方策及びG20での我が国の主張について、総理の所見を伺います。  サブプライムローン、リーマン・ショック、そして今回の欧州危機と、国際金融経済の安定性が大きく揺らいでいる中で、世界的に投機的な取引を監視し、適切に規制していくことが焦眉の急なのではないでしょうか。例えば、投機的な要素の強い一定の取引について、報告義務を課し、必要な場合には規制を行うといった投機的取引監視法制を国内で整備することが政府において検討されてみていかがでしょうか。考えてみていただきたいと思います。総理の見解を伺います。  補正予算では、外国為替資金特別会計における政府短期証券の発行限度額が百五十から百六十五兆円に引き上げられています。これにより発行残高との差は、すなわち為替介入資金が十五兆円増えたということを意味しております。  外為特会における限度額の引上げの意義と為替介入との関係について、総理に伺います。  安住財務大臣はパリのG20において、消費税の五%引上げを国際的に公約されました。消費税の引上げについては、これまでの社会保障・税の一体改革の中で、段階的に行うとされております。消費税引上げを国際公約としたことで、通常国会に提出される消費税増税法案にはその上げ幅と時期をどのように明記されるのか、総理及び財務大臣に見解を伺います。  消費税引上げの前提となる経済の好転に関する判断基準や経済変動に関する柔軟な対応を取る仕組みについて、総理大臣にその具体的な内容を伺います。  企業の国際競争力の確保、産業空洞化防止の観点から、特に企業の税負担がいかに軽減するか、極めて大きな課題となっています。しかしながら、政府の震災復興のための財源として、復興特別税を創設し、法人税にも付加税一〇%を課すことにいたしました。円高により企業収益環境が非常に厳しくなっている上に、これに加えて、付加税を二十四年度から三年間にわたり課すことになれば、企業にとってダブルパンチとなってしまいます。円高対策が待ったなしの中で、企業の税負担をいかに軽減されるか、総理の見解を伺います。  総理は九月二十一日、国連総会出席の機会にオバマ大統領との初の首脳会談に臨まれました。オバマ大統領は、彼とは共に仕事ができるという感想を述べたとのことで、野田総理は実りある外交デビューを果たされたと思います。  我が国外交の基軸である日米同盟は、政治、安全保障のみならず、経済、文化など様々な分野で、二十一世紀にふさわしい同盟関係に深化、発展させていくことが必要であります。日米関係の裾野を広げ、より確固たるものにしていくための施策について、総理の考えを伺います。  今、アメリカを含む環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPP協定への参加問題の議論が進められています。この問題は、分野ごとにたくさんの省庁が関係し、政府として足並みがそろっているとは言い難い状況にありますが、これをどうまとめていかれるのか、考えを伺います。  これと並行してアメリカは、アメリカ産牛肉の輸入基準の緩和を強く要望していますが、これに対処する方針を伺います。  また、普天間飛行場の移転問題について、政府は年内に環境影響評価を沖縄県に提出する方針と伺っています。沖縄県側は辺野古移転に否定的であり、今後この局面をどう打開されるのか、伺います。  総理は先月十九日、韓国を訪問され、ソウルで李明博大統領と会談されました。この際、総理は、朝鮮半島由来の図書の一部、五冊を引き渡しながら、将来にわたる日韓友好の意を示されました。韓国とは自由主義、市場主義など価値観を同じくし、また北朝鮮問題を抱え、日米韓三か国の緊密な連携が必要であります。今後、日韓関係をどのように発展させていくのか、総理の考えをお聞かせください。  中国とロシアは、言うまでもなく日本の大事な隣国でありますが、アメリカ、韓国と同様、これらの国々でも来年は政権交代あるいはその可能性のある時期を迎えます。特に、中国とは、来年が日中国交正常化四十周年という節目の年に当たり、また、ロシアとの間では、北方領土の問題はありますが、資源エネルギーの面でますます協力の必要が高まっています。今後、日本としてはこれらの国々とどのような関係を築いていくべきなのか、総理の考えを伺います。  大規模な洪水に見舞われているタイ、大地震による多数の死傷者が出たトルコの両国に心からお見舞いを申し上げます。これらの国は、アジアの国の中でもとりわけ日本と深い友好関係にある国々で、日本としてもできる限りの支援を行っていくべきであります。具体的な援助の方法を総理に伺います。  政府は、本年五月二十日、国際結婚が破綻した場合の子の扱いを定めたハーグ条約について、締結に向けた準備をすることを閣議了解しました。今後どのように検討を行っていくおつもりか、今後のスケジュールも含めて法務大臣に伺いたいと思います。  総理は、就任後、最初に福島原発の事故現場を視察されました。福島の再生なくして日本の再生なしとの方針を述べられました。しかし、第三次補正予算では、原発事故関係の対策費が必ずしも十分ではないと思います。引き続き、思い切った対応が望まれます。  今、私の手元に原発立地地区である福島県大熊町の今年二月と三月の広報誌、「フルーツの香り漂うロマンの里 おおくま」があります。二月号では、新成人百十四人の背広と振り袖の晴れやかな姿の写真が掲載されております。そして、皆一緒に夢と誇りを持ってふるさとづくりを誓い合っております。三月号の表紙には、二月二十日のおおくま駅伝の過去最高の二百九十四チームが参加で盛大に開催されたとの写真を掲載をいたしております。地震後の四月号からは、残念ながら私の手元に送られてこなくなりました。  あれから七か月半がたちました。あの若人の皆さんがこんな災害に遭遇すると誰が思ったでしょう。今、苦難を乗り越え、必死に明日に向かって頑張っていることでしょう。いつの日か、必ず皆さんがふるさとで再会できることを私は確信しております。  人を守り、人を支え、人を敬う政治の実現を誓って、質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
  15. 野田佳彦

    ○内閣総理大臣(野田佳彦君) 民主党・新緑風会を代表しての田中直紀議員の御質問に順次お答えをしてまいります。  まず、鳩山及び菅政権の評価についてのお尋ねがございました。  鳩山元総理、菅前総理は、民主党を結党し、今の民主党を築き、ついには戦後初めて選挙による政権交代を成し遂げて、議会制民主主義に名を刻んだと考えます。鳩山内閣、そして菅内閣、共に長きにわたり我が国の閉塞状況の打破に全力を挙げて取り組み、様々な成果を上げました。野田内閣として、その取組を教訓と糧として危機を乗り越え、政策遂行に全力を挙げてまいります。  野田内閣の改革路線及び国家ビジョンについてのお尋ねがございました。  我が国の財政は極めて厳しい状況にあり、国際的には国家の信用が厳しく問われる歴史的な事態が進行しております。これ以上負担を先送りする財政運営を続けることは不可能であり、財政再建を実現をするため、一つには、政治と行政が襟を正す歳出削減の道、二つ目は、経済活性化と豊かな国民生活がもたらす増収の道、三つ目は、更なる国民負担をお願いする歳入改革の道、これらを同時に展望しながら歩む必要があると考えています。  九月の所信表明演説でも申し上げたとおり、希望と誇りに満ちた日本の再生のために、分厚い中間層の復活と社会保障改革が必要であり、社会保障・税一体改革成案において、社会保障と全世代対応型へと転換し、総合的子ども・子育て支援を進めること、意欲ある全ての人が働くことのできる全員参加型社会の実現を進めることなど、分厚い中間層の復活に向けて改革に取り組むこととしております。  三次補正予算の全体像についてのお尋ねがございました。  三次補正予算では、東日本大震災関係経費として、年金臨時財源の補填約二・五兆円を除くと、九・二兆円の事業経費を計上しています。具体的には、地方が自ら策定する復興プランの下で各種施策を展開できるよう、東日本大震災復興交付金を創設をするほか、公共事業等の追加を行い、原子力災害からの復興対策や雇用対策、中小企業対策、農林水産業対策など、震災からの復興に必要な施策を幅広く計上をしております。  また、日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はないとの認識の下、災害関連融資関係経費や立地補助金等の復興施策も計上し、最近の過度な円高の影響による産業の空洞化等に対応する予算ともなっております。  三次補正予算の規模と建設国債の発行についてのお尋ねがございました。  三次補正においては、九・二兆円超の東日本大震災関係経費を計上し、復旧・復興に向け、今年度に必要な施策を質量共に十分盛り込んでいると考えております。  また、当初五年間で少なくとも十九兆円の復旧・復興対策を行うこととしており、今後も必要な施策については予算措置を行い、被災地の復興を実現をしてまいります。  一方、与野党の合意により成立した復興基本法においては、東日本大震災からの復興に必要な資金を確保するため、つなぎ財源として復興債を発行することとしており、また、これをその他の公債、つまり建設公債や特例公債と区分して管理するとともに、あらかじめ償還の道筋を明らかにすることとされております。  この復興債の償還期間については、次の世代に負担を先送りせず、今を生きる世代全体で連帯して負担を分かち合うとの復興の基本方針における考え方に立ってその期間を設定をしている次第であります。  復興計画の作成についての御質問をいただきました。  被災市町村における復興計画策定に関しては、国土交通省職員を中心として国の職員が専門家として各市町村に頻繁に出向き、計画策定を技術的な面からも支援をしているところでございます。こうした支援もあって、被災状況、都市特性に応じた市街地復興のパターンの検討調査を、市町村の要望に応じ、四十三市町村で実施をし、そのうちの八割を超える市町村が年内に復興計画を策定する予定となっております。  今後も、一日も早い復興が可能となるよう、総力を挙げて市町村への支援をしてまいります。  第三次補正予算が被災者等の生活再建に役立つ予算であるかという端的な御指摘がございました。  今回の第三次補正予算は、被災児童生徒等への就学支援、被災者等の雇用対策、中小企業事業者等への融資等、様々な経費を盛り込んでおり、被災者等の暮らしの再生のために役立つ予算となっております。  福島再生のための基金についてのお尋ねがございました。  福島県より御要望のあった原子力災害からの再生、復興に向けては、これを支援するため、第三次補正予算等において、基金造成費に加え、関連予算も含めますと総額五千三百四十億円程度を措置しており、福島再生に向けて規模的にも大きなものになると考えております。  具体的には、国際的な医療センターの整備のほか、設備投資を行う企業への直接補助による企業立地の促進、本格的な復興のための雇用機会創出への支援といった福島県の地域経済の活性化に資する事業が盛り込まれているところでございます。  事故収束及び帰宅の見通しについての御質問をいただきました。  福島の再生のためには、原発事故の収束が大前提であります。このため、政府として全力を挙げて原発事故の収束に取り組んでまいります。事故収束のためのロードマップのステップ2の目標と位置付けているいわゆる冷温停止状態については、年内をめどに達成すべく全力を挙げて取り組みます。  これまで既に放出された放射性物質の影響を除けば、敷地境界の年間被曝線量は最大で年間約〇・二ミリシーベルトと評価されており、目標である年間一ミリシーベルトを下回っております。引き続き、事故の収束のため全力を尽くし、放射性物質の放出の一層の抑制を図ってまいります。  また、住民の皆様のふるさとへの帰還を実現をするための警戒区域や計画的避難区域の見直しは、ステップ2を達成した後、除染の状況や線量の状況を踏まえながら速やかに検討を進めてまいります。  いずれにせよ、住民に安心してお帰りいただくためには、除染や詳細なモニタリング、生活環境の復旧に向けた取組が必要であり、関係省庁が一丸となって最大限対応してまいります。  事故処理に関する体制についての御質問をいただきました。  東京電力福島第一原子力発電所の廃炉処理については、その所有者であり、施設の維持管理に関する知見や経験を有する東京電力が実施主体となって進めるべきものと考えています。  他方、今回の事故による原子炉の損傷状況を踏まえると、廃炉処理は困難かつ長期にわたることが予想をされます。このため、政府、産業界、研究機関等が内外の知見と技術等を結集して、東京電力による廃炉処理の着実な実施を担保していくことが不可欠であります。  政府としては、今後、原子力委員会において必要な技術等の検討を行うとともに、第三次補正予算や来年度予算において必要な予算を計上するなど、廃炉処理のために必要な支援に万全を期してまいります。  東京電力の事故処理、賠償及び再稼働についての御質問をいただきました。  御指摘のとおり、東京電力による迅速かつ適切な損害賠償の実施、原子力発電所事故の収束及び事故処理に関係する事業者等への悪影響の回避、国民生活に不可欠な電力の安定供給をしっかりと進めていくことが重要と考え、これらを確保するために原子力損害賠償支援機構法を成立をさせていただきました。政府としては、同法の枠組みなどを通じた東京電力による迅速かつ適切な賠償支払や電気の安定供給の確保を支援をしてまいりたいと考えております。  なお、定期検査で停止中の原子力発電所については、安全の確保と地元住民などの御理解を前提に、再稼働について政治レベルで判断することとしており、政府が前面に立って安全対策等について丁寧に説明をし、理解を得るべく努力をしてまいります。  円高対策、G20についての御質問をいただきました。  急速な円高の進行等による景気の下振れや産業の空洞化を防ぐため、まずは、五千億円の立地補助金や二千億円規模の節電エコ補助金等を含む円高への総合対応策を速やかに実施するとともに、昨日決定したエネルギー需給安定行動計画に基づき、ピーク電力の不足と電力コストの上昇を極力回避をしてまいります。  また、カンヌのG20では、最近の為替市場における投機的な動き、無秩序な動きのため、足下では歴史的な円高が急速に進行しており、景気を下振れさせるリスクとなっていること、このため我が国は、先般為替介入を実施したことなどを主張をしてまいります。  世界的な投機的取引の監視、規制についての御質問をいただきました。  国際金融の安定に向けて、関係国通貨当局間では金融情勢等について常日ごろから連絡を取りつつ、意見交換を行っているところであります。  また、G7やG20、IMFにおいても国際的な政策協調の強化やIMFによる経済分析、政策提言の改善、国際的な資本移動への規制の在り方の検討などが行われており、我が国としてもこうした議論に引き続き積極的に参画をしてまいります。  政府短期証券の発行限度額の引上げの意義と為替介入との関係についてのお尋ねがございました。  外為特会の外国為替資金証券、いわゆるFBの発行等限度額については、足下の為替市場の状況を踏まえ、為替市場のいかなる動向にも十分な余裕を持って機動的な対応を行い得るようにするため、第三次補正予算においてその引上げを行うこととしたものであります。  消費税率の引上げ時期等についてのお尋ねがございました。  G20における財務大臣の発言については、本年六月に取りまとめられた社会保障・税一体改革成案で示された従来からの方針を説明したものと考えております。いずれにせよ、具体的な税率の引上げ時期等については、今後、政府・与党内の議論及び与野党協議等を踏まえ、改革の具体化を図る中で決定をしたいと考えております。  経済の好転に関する判断基準、経済変動に対する柔軟な対応を取る仕組みについての御質問をいただきました。  社会保障・税一体改革成案においては、経済状況の好転について、名目・実質成長率など種々の経済指標の数値の改善状況を確認しつつ、東日本大震災の影響等からの景気回復過程の状況、国際経済の動向などを見極め、総合的に判断することとしております。  また、予期せざる経済変動にも柔軟に対応できる仕組みについては、例えば改革を行う過程において、通常想定し難いほどの急激かつ大幅な経済の落ち込みがあった場合に、改革の施行を一定期間留保するといった仕組みを盛り込むことが考えられます。  いずれにせよ、これらの具体的な内容については、先ほど申し上げたとおり、今後、成案にのっとって改革の具体化を図る中で検討してまいりたいと考えております。  企業の税負担についての御質問をいただきました。  復興のための税制措置については、次の世代に先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合うとの観点から、課税対象が幅広く税収力の大きな基幹税等で対応することが適当と考え、所得税及び法人税の付加税を中心としております。法人税については、平成二十三年度税制改正法案に盛り込まれた法人実効税率五%引下げを実施した上で、三年間の時限措置として一〇%の付加税を課すこととしています。これにより、付加税と合わせた法人税率を現行税率よりも引き下げ、企業経営にとって過大な負担となることを回避する、短期間の措置として、三年間で終了し、その後は平成二十三年度税制改正による企業の税負担軽減を実現するなど、景気にも十分配慮しているところであります。  日米同盟の深化の施策についてのお尋ねがございました。  日米同盟は我が国の外交・安全保障の基軸であり、アジア太平洋地域のみならず、世界の安定と繁栄のための公共財であります。日米同盟を二十一世紀にふさわしい形で安全保障、経済、文化・人的交流を中心に深化、発展させてまいります。  具体的には、安全保障については、本年六月の2プラス2を踏まえた幅広い分野における安保防衛協力の具体的推進と在日米軍再編の着実な進展、経済については、各種経済対話の推進に加えて、クリーンエネルギーなどの分野での協力や復興のための官民パートナーシップの促進、文化・人的交流については、青少年を含む両国の様々な層における相互理解、交流の促進といった幅広い分野において緊密に協力をしていきたいと考えております。  TPP協定交渉参加についてのお尋ねがございました。  高いレベルの経済連携を推進をするべく、これまでも関係閣僚が集まり、FTAAP、EPAに関する閣僚会合を随時開催してきており、また、事務レベルでも関係省庁間で緊密に連絡をし、国益を確保する観点から様々な検討、分析を行ってきているところであります。  TPPについては、世界の成長エンジンであるアジア太平洋地域の成長力を取り込むという視点や農業再生との両立を図るという課題などを踏まえ、国益を最大限追求していくべく、協定への交渉参加について、引き続きしっかりと議論し、できるだけ早期に結論を出してまいります。  アメリカ産牛肉の輸入基準緩和についてのお尋ねがございました。  我が国でBSE対策を開始してから十年が経過したことから、国内の検査体制や、米国のみならず、カナダ、フランス、オランダ等の外国産牛肉の輸入条件といった対策全般について、最新の科学的知見に基づく再評価が必要と考えております。このため、食品の安全確保を大前提に、国民の方々に適切に情報提供と説明を行いながら、食品安全委員会での科学的評価に向けて取り組んでまいります。  普天間飛行場移設問題の打開策についてのお尋ねがございました。  普天間飛行場の移設問題については、日米合意を踏まえつつ、普天間飛行場の危険性の一刻も早い除去を目指し、沖縄の負担軽減を図ることがこの内閣の基本的な姿勢であります。  普天間飛行場代替施設に関する環境影響評価書については、本年六月の2プラス2で代替施設の位置、形状等を合意したことを受け、年内には環境影響評価書を提出できるよう準備を進めているところでございます。  沖縄において県外移設を求める声があることは十分承知をしていますが、現在の日米合意は全体として、少なくとも現状に比べると沖縄の大きな負担軽減につながると考えております。政府としては、引き続き、沖縄の皆様の声に真摯に耳を傾け、政府の考えを誠実に説明し、沖縄の皆様の御理解を得るべく一歩一歩努力していく考えであります。  日韓関係についてのお尋ねがございました。  我が国にとって最も重要な隣国である韓国とは、基本的価値、東アジア地域の平和と繁栄の確保等の利益を共有しており、次の百年を見据えて日韓関係を前進させることが極めて重要であります。  日韓関係を更に重層的で強固なものとするべく、首脳、閣僚を含む両国の人物往来や文化交流を活発化させてまいります。また、日韓EPA交渉の可能な限り早期の再開を含め、日韓経済関係の強化にも努めてまいります。  北朝鮮問題についても、引き続き日韓、日韓米で緊密に連携し、北朝鮮に対して核開発やミサイル問題の解決に向けた具体的な行動を求めてまいります。また、拉致問題についても、引き続き韓国と協力をしてまいります。  日中関係及び日ロ関係についての御質問をいただきました。  中国との間では、来年の日中国交正常化四十周年を見据えつつ、震災を受けた協力、海洋に関する協力、文化・人的交流などの幅広い分野での具体的な協力を推進し、大局的な観点から戦略的互恵関係を深めていく考えであります。  ロシアとの間では、最大の懸案である北方領土問題を解決すべく精力的に取り組むとともに、アジア太平洋地域のパートナーとしてふさわしい関係を構築するためにも、エネルギーを含めたあらゆる分野での協力を進めていく考えであります。  タイの洪水被害及びトルコの地震被害への日本政府の援助方針に関するお尋ねがございました。  タイの洪水被害に対しては、邦人保護や日系企業支援も含め、我が国政府としてできる限りの支援が必要と考え、私から政府全体としてしっかりとした対応を取るよう指示をいたしました。これまで援助物資の供与や各種専門家の派遣等を実施したほか、十億円を上限とする緊急無償資金協力の実施を決定をいたしました。  また、トルコ東部において発生した地震の被害についても、我が国としてできる限りの支援を行う必要があります。これまで被災者への支援としてテント五百張りを供与したほか、仮設住宅の支援として一千万ドルの緊急無償資金協力の実施を決定をいたしました。  今後とも、在留邦人、企業への影響を含め、被害状況の把握に努めるとともに、相手国のニーズに応じて更なる対応策を検討してまいります。  残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)    〔国務大臣中川正春君登壇、拍手〕
  16. 中川正春

    ○国務大臣(中川正春君) 田中議員から、原発事故に関する正確な情報提供についてお尋ねがございました。  御指摘のとおり、外国の機関とも連携をして政府として一元的な情報提供を行っていくことは極めて重要であると考えております。  文部科学省としては、モニタリングの結果については、迅速にプレス発表をするとともに、文部科学省のウエブサイトにて公開をしております。また、放射線モニタリング情報のポータルサイトを設置をしまして、文部科学省以外の関係府省、自治体等におけるモニタリング結果も文部科学省のウエブサイトにて公開をしております。  さらに、国際原子力機関、IAEAや諸外国とも積極的な情報交換を行っており、諸外国の知見も生かしつつ、環境モニタリングの充実強化を図っているところであります。  政府全体としては、首相官邸のウエブサイトにおいて、東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に関する関係府省の情報について一元的にアクセスできるようにしているところであります。  御指摘の点を踏まえて、現状を精査して更に統一的、積極的な情報発信に努めてまいります。(拍手)    〔国務大臣安住淳君登壇、拍手〕
  17. 安住淳

    ○国務大臣(安住淳君) 為替と消費税のことで御質問をいただきました。  日本経済が震災の打撃からようやく立ち直りつつある中、一方向に偏った円高の動きによる景気下振れリスクを十分警戒する必要がございます。  こうした中、最近の為替市場では短時間に急激な変動が生じ、円高が急速に進む局面が見られたところでございます。投機的な動き、無秩序な動きへの対応に万全を期し、日本経済への下振れリスクを具現化させないため、私は為替介入を実施いたしました。介入の効果につきましては、引き続き市場を注視しており、まだ総括する時期ではございません。今後の介入方針についてはコメントは差し控えますが、私としては、引き続き、市場を注視しつつ、適切に対応していくということに尽きると思っております。  なお、協調介入については、我が国は常日ごろから関係通貨当局とは連絡を取り合っておりまして、今回の介入に際しても例外ではございません。引き続き、各国との間で緊密に協議をしてまいります。  消費税については、先般のG20におきまして、私から、財政健全化に関する取組に関して我が国の従来からの方針を説明したところでございます。  具体的には、本年六月に取りまとめられた社会保障・税一体改革成案に示された消費税率を二〇一〇年代半ばまでに段階的に一〇%まで引き上げる、平成二十一年度税制改正法附則第百四条に示された道筋に従って、消費税を含む税制抜本改革法案を本年度中に提出するといった方針を説明したものでございます。  いずれにせよ、具体的な税率の引上げ時期等については、今後、政府・与党内の議論及び与野党協議等を踏まえ、改革の具体化を図る中で決定したいと考えております。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣平岡秀夫君登壇、拍手〕
  18. 平岡秀夫

    ○国務大臣(平岡秀夫君) 田中議員からハーグ条約についてお尋ねがありました。  ハーグ条約を実施するための国内法においては、子の返還等を援助する中央当局の任務等を定めるほか、子の返還手続等を定める必要があります。このうち、子の返還手続等を定める部分については、現在、法制審議会で調査、審議が重ねられています。また、中央当局の任務等を定める部分については、中央当局を担う外務省において必要な検討が進められているものと承知しています。  法務省としましては、できる限り早期に法制審議会からの答申を得、外務省とも協力しながら必要な法律案を国会に提出できるよう努めてまいりたいと考えております。(拍手)     ─────────────
  19. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 高階恵美子君。    〔高階恵美子君登壇、拍手〕
  20. 高階恵美子

    ○高階恵美子君 自由民主党の高階恵美子です。  私は、自由民主党・無所属の会を代表して、所信表明演説、財政演説に関し、総理並びに関係大臣に質問します。  今年は東日本大震災を始め国内外の各地において痛ましい災害が頻発し、多くの尊い命が奪われました。懐かしいふるさとの風景までも奪われ、悲しみの深い毎日です。  私は、宮城県北西部の内陸、加美町中新田に生まれ育ちましたから、今から三十三年前の六月十二日には、さきの宮城県沖地震も体験しています。それでも三月十一日の激震は国土のどこかが失われるような絶望的な恐怖、そして己の無力を感じました。犠牲となられた方々の御霊をしのびつつ、今を生きる者の一人として私たちのふるさとを取り戻す決意で日々の公務に精進させていただいております。  このような国難の中、今国会の召集された十月二十日には皇后様が喜寿をお迎えになられました。また、眞子内親王殿下におかれましては、新たに成年皇族のお一人として御公務に当たられることとなりました。このことは、国民の一人として、また我が国の歴史にとっても誠に喜ばしく、誇らしい実りの恩恵を授かったように感じ、長い月日の営みと命の恵みに深い感謝の念を抱いております。  国民は今、大きな苦しみを共に乗り越えていくための伸び行く希望を見出したいと願っています。心に温かな明かりをともし、各々が勇気を奮い立たせていくためにも、この慶事を一層国民生活の身近なところで分かち合い、共有できるよう、魂のこもった政策を実現していかなければなりません。  本日は、野田総理の基本的な政治姿勢、野田内閣の人口政策並びに復興政策について伺います。  これまで二度にわたって野田総理の所信を伺いました。恐れながらその内容には、一国の長として、日本の行く先をどのように見定め、それをどのように実現するのか、その意思も気概も見出すことができませんでした。被災地への相次ぐ訪問も、顔見せに練り歩いただけで、被災者の生活再建に結び付いた具体策の例は何も報告されていません。  私たちは地上で暮らしているのです。太陽の光を浴び、空気を吸って、大地の恵みをいただき、家族や友人、近隣の方々とともに人生を生きています。御多忙の総理にこうした地上で暮らしている実感はおありでしょうか。国民の命と平穏な暮らしを守るための心ある政治を実行していただきたいのです。  総理大臣として、大局的な見地から描く政治ビジョンとその実現への決意をお示しください。また、それを実現するために政府はどのように努力するか、併せて伺います。  私は、八月三日の参議院行政監視委員会で、政府として命の危機宣言をすべきと進言しました。それは、三・一一の恐怖が国民に深い傷を与え、説明し難い動揺と変化を社会にもたらしていると考えられるからです。福島、宮城、岩手、この三県における自殺の件数はどのように推移していますか。虐待による子供たちの被害はどのように広がっていますか。  総理は、大震災の発生以降、国内に進行しつつある命の危機について対策をお持ちですか。第三次補正における予算の規模、これから何年間、どのような方針で取り組むか、お答えください。  続いて、総理の人口問題に係る認識と人口政策を伺います。  世界人口は、先月末に七十億人を突破し、今後も増え続けると推計されています。一方、我が国は人口減少の時代を迎えています。総人口は現在の七割程度まで減少するとされており、生産年齢人口の減少も進みます。やがては、一人の働き手が、自分を含めてもう一人、つまり二人分の暮らしを支える社会となります。このときの姿を予測した上で、活力ある日本社会を維持するための国家の在り方を模索し、策を講じていかなければなりません。これは世界に類例のない苦難の道ですが、同時に、他国に先駆け未来をリードする新たな成熟社会づくりへの挑戦でもあります。それを力強く推し進める時期は、今です。  野田総理は、これまで人口問題について何ら明確な政策を示しておりません。この国の存亡を左右しかねないテーマをどうとらえ、どう対応するか、この際表明してください。  ライフステージに沿って政府が取るべき人口政策の各論を幾つか例に挙げましょう。  ここ数年は、生まれくる子供のおよそ一割が出生時二千五百グラム未満のいわゆる低体重です。その理由には、母親の痩せ願望や喫煙、その他の健康問題など様々な指摘があります。こうした状況であっても、早期新生児を始め、乳幼児の死亡率全体が極めて低く抑えられているのは、日本の医療水準、そして母子保健が非常に優れているからです。  ここで重視したいのは、生を受けた命が適切に擁護され、養育されて、その可能性を存分に発揮できるような家庭、地域、社会の環境を整えることです。平均世帯員数の減少と併せて、家庭や近隣社会の子育て経験やマンパワーも乏しくなっていますので、従来の考え方を超えた新たな養育環境整備策が必要です。  私は、地域内の子育て拠点として、保育所、保育園の機能を強化拡充すべきと考えています。子の育ち、親の育ち、家族の育ちを家庭的な雰囲気の中で総合的に支える養育環境システムを進めるお考えはあるか、総理の見解と取組への決意をお答えください。  また、現代女性の社会参加を支える観点からも、新たなお産の課題に取り組まねばなりません。  出産に対する社会のニーズは多様化しています。このため、お産の現場には母児の命を守るための豊富な経験とより高度な診療技術が求められるようになり、集約化が進みました。結果として、今は、産科、産婦人科を標榜する医療機関の半数程度でしかお産ができません。出産年齢の御婦人たちが近くにお産できる施設がないために怖くて妊娠できないとしり込みするのは、こうした地域の事情があるからです。  小宮山大臣は、省庁再編後、初の女性の厚生労働大臣です。母体の保護と女性の健康づくりのためにも、特に出産をめぐる環境の改善に取り組む覚悟はありますか。お尋ねします。  生涯の締めくくりとなる死についても社会的な保証をすべき政策課題と受け止め、本格的な取組を急がなければ間に合いません。  年間の死亡数は年々増えており、昨年は百十九万七千人でした。二十年余り先には百七十万死時代が到来するとの推計もあります。ここで考えなければならないのは、かけがえのない命を、人生を生き終えるそのときをどのように迎え、また見送るかという問題です。  日本の医療制度は、押しなべて医療イコール治療の考えで構成されてきました。言わば最期まで治療をし続けなければならない仕組みです。このため、国民の多くは家ではなく病院で死を迎えます。自宅で最期を迎えたいという希望が多いにもかかわらず、それができる人の割合は年々下がり続け、今では十人に一人程度です。  これからは、治療ではない医療、医療イコール看護あるいはみとりという考え方を取り入れて、訪問看護や地域の保健機能を一層強化することが求められます。しかしながら、現に自治体で地域保健部門に従事する保健師の数は、平成十四年から十八年までのたった四年間で千人以上も減員されています。これでは時代の要請に逆行していると受け止められても仕方がありません。  公衆衛生、地域保健など、言わば地域の健康を守るための防波堤となる機能を強化することや、最期のときを身近な場所で過ごしたいと願うみとりの機能を整えることは、人々の暮らしの安全につながります。  自民党では、震災の直前、三月四日に、「穏やかな最期を保証するコミュニティづくりのための政策推進について」という中間報告を出しました。その中では、高齢者が最期まで在宅で療養できるよう包括的なケアを提供できる療養環境の整備を提言しています。ところが、七月に政府が取りまとめた社会保障と税の一体改革案には、残念ながら、最期まで穏やかに過ごせる環境の整備に取り組む姿勢も示されておりません。  総理、こうした問題認識の下で対応策を打つことが社会保障制度改革の大きな柱であるということを理解していますか。お答えください。  表題に一体改革と銘打ちながら、単に項目を羅列しただけで、中身の積み上げも不透明なまま早急に増税の結論を得ようとすることは、国民生活の根幹を支える社会保障を増税の免罪符に利用しようとしている印象を与えます。  総理が描く次世代のための新たな社会保障体系はどのような姿ですか。目指す方向性を示し、それを実現するための具体的な方策、その行程を国民の前に示してください。もし、今はまだ示せないというのであれば、それができる時期はいつごろと予定しているか、お答えください。  次に、二十年後、三十年後のふるさとをつくる公共政策、復興政策に対する総理の自覚を問います。  雪国で暮らす者にとって、穏やかな春の訪れは、朝晩の雪かきや凍結防止の水抜き、暖房用燃料の確保や様々な防寒対策から解放される安堵のときでもあります。  三・一一の恐怖はそうした時期に発生しました。家も商店も道路も田畑も、生活基盤を根こそぎ奪われ、思い出の場所や景色までも失われたことは悔しくてなりません。  このような途方もない喪失感の中にも救いがあります。地元の人は皆、ここに住みたいと目を輝かせるのです。人々にとって、家族やふるさとはこれほど特別な価値を持っています。その気持ちが分かるからこそ、私たちは自分たちのふるさとを取り戻す、もう一度つくるという気概を持って復興の歩みを進めなければならないのです。  当事者の立場で言えば、現政権には復興という言葉を弄んでいるのではないかという怒りがしばしば湧いてきます。遅過ぎるのです。もはや次の冬が来ています。今は、安定的な収入の道筋を立て、生活再建の見通しが立っていなければならない時期です。なのに、いまだ復興予算も十分に詰めることができないとは何たる怠慢でしょう。  第三次補正予算案については、少なくとも年度内に実行する範囲と執行を確実にする方策を同時に示すべきです。それによって、実際に被災地の人々に届く実効性の高い政策を実現するべきです。  年度内執行を確約できますか。総理、国民に誠意を持って説明し、約束してください。  それから、国民の希望を喚起する復興支援の旗印を掲げて共に行動する素地をつくる工夫はできないものでしょうか。例えば、震災による自殺をゼロにするなど、一人一人が参加できる行動目標を総理は考えていますか。お答えください。  私は看護職ですが、被災地では多くの仲間たちが、自らも被災し、家族の安否確認すらできないまま病院や介護施設にとどまって食料も着替えも不足する中で働き続けました。  国内の第一線では、およそ百四十三万人の看護職が社会保障を実現する役割を果たしていますが、被災した仲間たちを助けに行きたくても容易に職場から離れることのできない過密な勤務日程で働いています。  現場で命懸けで働き続ける医療職、介護職、保育士など、ヒューマンケアに欠かせない職種の処遇を改善することや、そうした人々が存分に知識や経験、技術を生かせるよう制度的な基盤整備を進めるなど、特段の配慮が必要と考えます。  総理はそういった方針をお持ちですか。平常時はもとより、非常事態でもこうした人員が直ちに万全の働きをするようでなければ住民の安全は守れません。総理のやる気を聞かせてください。  被災生活の実態に即した施策を検討しているかという点でも大いに問題があります。  総理は、これまでに各省庁から発出された通知類の総数を把握していますか。いずれも重要な内容を含む文書なのですが、各々の被災者がその中から自分に合う事項を見付けて活用できるようにするという実効性を担保する仕組みがありません。行政用語で記された、あまたある情報を読み解き、活用するまでを責任を持って支援する、それが真心のこもった政治というものです。  ワンストップと言うからには、復興庁の組織構成の検討過程で、当然、被災者の個別ニーズと制度とをつなぐケースワーカーとなる人員も含め、見積りを立てていることと思います。復興庁には千人規模で人員を採用しなければならないでしょう。定年退職者、出産、育児による一時的な離職者、被災により失職した方も積極的に勧誘をして任期付きで雇用するなど考えてはいかがでしょう。  総理は、今後、復興庁の職員や被災地の自治体職員を確保するための計画的かつ総合的な雇用政策を立てておられますか。その人数、期間、範囲、予算の規模を説明願います。  仮設住宅にお住まいの方からは、年齢制限のない求人を求める声も届いています。被災したとはいえ、私たちはそれまで自分で生計を立ててきた、十分働けますという声です。  安定収入を確保し、生活再建の道筋を立てるには、それまでの経験や働き方を尊重した多様な起業支援も有効ではないでしょうか。みちのくの味、植物、廃材の加工など、被災地・仮設住宅発の起業アイデアです。大企業誘致や中小企業の再建支援のみならず、こうした小規模の事業を支援することについて、総理の見解をお聞きします。  最後に、一つ、円滑な政権運営を実現するための提案がございます。  民主党の言う政治主導とは、経験不足でも素人でも、政治家が全て指揮を執るという考え方のようです。しかし、それでは国家権力への畏怖と謙虚さが失われ、国益が損なわれる可能性があります。  海外の例を見ますと、比較的若いうちに大臣などの要職を経験しますが、そうした人の周囲では、経験不足を補い、誤りを未然に食い止めるために、熟年者が指南役に当たる仕組みが取られています。  我が国でも、閣僚の能力不足を補うため、有識者によるアドバイザリーボードを設置し、思い付きや行き過ぎによる暴走を防ぐ機能が必要だと考えます。野田総理は既に問題意識をお持ちと伺っていますが、シニアアドバイザリーボードを設置するお考えはありますか。お答えください。  政治は、国民の平穏な暮らしを実現するため、緊張感、危機感を持って真剣に議論を交わし、絶えず結果を出し続けなければなりません。不足は補い、間違いは改める。真摯な態度で審議に臨み、一刻も早く震災復興への道筋を立てましょう。そして、早い段階で速やかに国会を解散し、国民の審判を仰いでまいりましょう。  以上を要求して、私の質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
  21. 野田佳彦

    ○内閣総理大臣(野田佳彦君) 自民党、高階議員の御質問にお答えしたいと思います。  まず、私の政治ビジョンと決意についてのお尋ねがございました。  私が被災地を視察した際、顔見せで練り歩いてとお話しでございましたけれども、全くそういうつもりはございません。現地、現場を見てそれを第三次補正予算や復興関連法案に生かしてきたつもりでございますし、私の目指すビジョンは、この国に生まれてよかった、この国にプライドを持って生きていける国を目指しておりますが、現地に行くことによって、福島に生まれてよかった、宮城に生まれてよかった、岩手に生まれてよかった、改めてそういう国をつくりたいと体感をした次第であります。  続いて、震災後の自殺対策及び児童虐待についての御質問をいただきました。  本年三月から九月までの福島県、宮城県、岩手県における自殺者数、暫定値でありますけれども、八百八十九人であり、前年同時期に比べると七十八人の減少となっています。また、発災から十月までの三県における児童虐待の検挙件数は六件でありまして、前年同時期に比べて七件減少をしています。いずれにせよ、震災により、年齢、性別を問わず多くの方が精神的なストレスを抱えているものと考えられます。  政府では、自殺対策として、第三次補正予算において地域自殺対策緊急強化基金に三十七億円を積み増し、相談窓口の機能強化等を実施するなど、地域の実情に応じた対策を講じることとしています。  また、被災地の子供が健やかに成長できるよう、被災した子供の相談、援助を目的として、第一次補正予算で二十七億円を安心こども基金に積み増すなどして、きめ細やかな対応を図ってまいります。  今般の震災により、国民生活全体に様々な影響が生じているものと考えられますことから、政府としては中長期視点に立って、救える命を救うための対策が途切れることなく実施されるよう精いっぱい取り組んでまいりますし、お気付きの点がありましたらいつでもお申し付けいただきたいと思います。  人口問題についてのお尋ねがございました。  我が国は、少子高齢化が進展するとともに、総人口は減少局面を迎えております。このような人口構造や規模の変化は、我が国の労働力を始め、経済社会全般に対して様々な影響を及ぼしますが、とりわけ現役世代が著しく減少することから、社会保障を全世代対応型へと転換をしていくことが必要と考えております。  このため、子供を産み育てたい人がその希望を実現できるよう子ども・子育て新システムの実現に取り組んでまいります。また、若者、女性、高齢者、障害者を含めた意欲ある全ての方が働くことができる全員参加型社会を実現をしてまいります。さらに、社会保障の充実や重点化、効率化を行うことにより、その機能強化と持続可能性を確保してまいりたいと考えております。これらの政策を具体化し、少子高齢化、人口減少社会の問題に積極的に取り組んでいきたいと思います。人口減少というのは、これは静かなる有事だと思います。危機感を持って対応していきたいと思います。  保育所の機能の拡充についてのお尋ねがございました。  保育所が、入所児童の保育を行うだけでなく、地域の子育て支援の拠点としての役割を果たすことは重要と考えています。私も、先日、横浜の認定こども園と地域子育て支援拠点に足を運び、直接、お母さん、お父さんのお話をお伺いをいたしましたけれども、この点を改めて実感をした次第であります。このため、昨年閣議決定した子ども・子育てビジョンに基づき、地域の子育て支援拠点を拡充する中に保育所を位置付けて、育児相談の実施等、その機能の強化を進めてまいりたいと考えております。  また、保育所における保育や家庭における養育支援を充実し、子供と子育て家庭を社会全体で支援していくための子ども・子育て新システムの検討を進めております。今後、税制抜本改革とともに、来年の通常国会に関係法律を提出をし、恒久財源を得て早期に本格実施できるように取り組んでまいります。  高齢者の療養環境の整備についてのお尋ねがございました。  最期まで自宅で療養したいと希望する方が医療・介護サービスを受けながら可能な限り自宅で療養できるよう、在宅医療・介護の充実などを図ることは重要な課題であります。こうした観点から、本年六月に取りまとめました社会保障・税一体改革成案においても、在宅医療の充実や地域包括ケアシステムの構築などを主な改革項目として位置付けております。今後、成案の内容も踏まえまして、在宅医療・介護サービスの充実や医療と介護の連携の確保に取り組んでまいりたいと思います。  続いて、社会保障の方向性、方策、行程について一連の御質問をいただきました。  社会保障制度については、所得の再分配機能の強化や子ども・子育て支援の充実を通じて、全世代を通じた国民一人一人の安心感を高めていくことが重要であります。このため、本年六月に決定した一体改革成案では、子ども・子育て新システムの構築や就労促進など、具体的な対策を示しているところでございます。成案に掲げた社会保障の機能強化に向けて、本年八月に公表したスケジュールに沿って関係審議会等の場で検討を進めており、年内に各分野の具体的な改革案を取りまとめ、国民の皆様にお示しをしたいと考えております。  三次補正予算の年度内執行についてのお尋ねがございました。  三次補正予算に計上された東日本大震災関係経費については、被災地等の需要を十分に見込んだ上で計上したものであり、年度内の執行を見込んでおります。ただし、例えば事業の集中等により資材や人材の早期調達が困難であるなどの理由から年度内の執行が終わらない見込みのある経費については、通常の予算と同様、繰越明許費として予算書に明示をしており、これらの経費については国会での議決を前提として翌年度に使用することも想定をしています。  いずれにせよ、補正予算が成立した暁には、その年度内の円滑な執行に全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。  国民一人一人が参加する行動目標についての御質問をいただきました。  国は、我が国社会経済や産業が受けた影響を克服し、被災地域の住民に未来への明るい希望と勇気を与えるとともに、豊かで活力ある日本全体の再生を実現することについて大きな責任を負っているものと認識をしています。  同時に、この目標は政府だけで達成できるものではありません。最初の所信表明演説で申し上げたとおり、東日本大震災という歴史的な国難を乗り越え、日本を再生していくためには、この国の持てる力の全てを結集する必要があると思います。政府も企業も個人も、全ての国民が心を合わせて、力を合わせて、この危機に立ち向かっていくことが重要と考えます。  社会保障の担い手についての御質問をいただきました。  医療、介護、子育てなどの不安をなくして国民が安心して安全に暮らせる社会保障制度の構築は重要であると考えています。このため、社会保障・税一体改革成案では、子ども・子育て支援や医療、介護等のサービス改革を優先的に取り組むべき事項として位置付けており、これらを担う人材の確保も重要な課題であります。  とりわけ、医療職、介護職、保育士等に関して、チーム医療を始めとした医療・介護現場での多職種連携の推進、病院内保育所の設置等による働きやすい環境の整備、保育士の処遇改善を含めた子ども・子育て新システムの検討及び成案の取りまとめなどを進めて、国民の安心、安全を守る社会保障制度の構築に取り組んでいきたいと考えております。  復興庁及び被災自治体の職員の確保についての御質問をいただきました。  復興庁の職員については、被災自治体が行う復興計画の策定、実行への助言や、復興特区の認定や復興交付金の交付など、被災自治体のニーズにワンストップで対応するための事務などを行う必要があることから、各省の制度や復興施策に詳しい人材を確保することとしています。その際、定年退職者や民間からの人材を確保したいと考えていますが、その規模や任用の在り方を含めて、復興庁の具体的な人員体制については現在検討を進めているところでございます。  一方、被災自治体の職員の確保については、総務省において、全国市長会、全国町村会の協力を得て人的支援の体制を構築をしており、現在は土木職等の専門的な職種の職員を中心として中長期的な職員派遣の支援を行っているところであります。引き続き、被災自治体から要望をお伺いをしながら可能な限りニーズに合う形で必要な人的支援を行えるように努めてまいります。  続いて、被災地小規模事業の起業支援等についてのお尋ねがございました。  御指摘のとおり、被災地の方々の生活再建、地域の産業復興のためには、小規模事業の起業等を支援することも重要であると認識をしております。  第三次補正予算案では、被災地域で創業する方々に対する新たな低利融資制度を創設するほか、創業間もない企業の試作品開発等の支援事業などを盛り込んでおります。これらの制度を御活用いただき、被災地から一つでも多くの新しい事業が創出されることを期待をしております。  最後に、シニアアドバイザリーボードの設置の御提案をいただきました。  政治家も官僚も共に知恵を出し合い、民間の知恵と力をいただき、議員、各政党の建設的な御意見を取り入れ、暴走ではなく着実に政策を実施していきたいと考えております。  高階議員からの御提案についてもその趣旨を十分酌み取らさせていただき、誤りなき政権運営に努めてまいりますので、今後もいろいろと御提言をちょうだいをしたいと思います。  残余の質問については、関係大臣から答弁をさせていただきます。(拍手)    〔国務大臣小宮山洋子君登壇、拍手〕
  22. 小宮山洋子

    ○国務大臣(小宮山洋子君) 出産をめぐる環境の整備についてお尋ねをいただきました。  地域で安心して子供を産み育てることができるよう、周産期医療体制の整備を図っていくことが重要なことは言うまでもありません。  厚生労働省としては、各都道府県が周産期医療体制整備計画を策定し、中核となる周産期母子医療センター等の整備や関係機関の連携を進めるよう支援しています。  また、産科や新生児医療を担当する勤務医の手当に対する財政支援、地域の診療所等と連携する周産期母子医療センターに対する財政支援、診療報酬で、緊急搬送された妊産婦を受け入れた場合等の評価の引上げなどの措置を講じています。  さらに、妊婦の方が安心、安全に出産できるよう、妊婦健診に対する国の財政措置を実施しています。また、HTLV1抗体検査を健診の標準項目に加え、その充実を図っています。  今後も、安心して子供を産み育てることができる環境の整備に向けて全力で取り組んでいきます。(拍手)     ─────────────
  23. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 姫井由美子君。    〔姫井由美子君登壇、拍手〕
  24. 姫井由美子

    ○姫井由美子君 民主党・新緑風会の姫井由美子です。  ただいま議題になりました野田総理の所信表明演説及び安住財務大臣の財政演説に対し、会派を代表して質問いたします。  早いもので、当選から四年余りがたちました。今回、初めて総理への代表質問の機会を与えていただきました執行部と同僚の皆様に心からお礼を申し上げまして、質問に入りたいと思います。  改めて、東日本大震災、台風十二号、十五号の被害に遭われた方、今も被災地で不自由な避難生活を強いられている皆様に対し、心からお見舞いを申し上げます。  さて、総理は所信表明の中で、被災地の復興、原発事故の収束、そして日本経済の立て直しを大きく加速するための第三次補正予算とその関連法案の成立こそ今国会で成し遂げなければならず、それには巨額の資金が必要で、国会が決断しなければならないと、決断という言葉を使っています。  決断と判断は違います。判断は、情報を分析し、状況の良しあしを見極めることです。しかし、決断というのは、やるかやらないかを決めることです。私たち国会議員がやると決断した以上、何が何でも良い方向に全力で向けていかなければなりません。  総理は、福島の再生なくして日本の再生なしと断固たる決意を述べられました。  先日、私は会派の皆さんと一緒に福島県を訪れました。原発事故と津波による被害に遭われた現地の皆様の苦しみに本当に心が痛みました。見えない放射能と闘う住民の方々の現在と将来への不安、特に次世代を担う子供たちの未来への不安を多くの方が訴えておられました。チェルノブイリで長年医師として活動されていた菅谷松本市長は、放射能は正しく知って正しく怖がることの大切さを説かれています。私もそれに尽きると思います。ふるさとに帰りたい、日常の暮らしを取り戻したいという真摯な思いにしっかりとこたえていかなければなりません。  住民の方々と国民全体の抱く不安を解消するためには、適切な実態把握と大規模な除染を徹底的に進めることが急務と総理も述べておられます。  そこで、住民の意向をどのように吸い上げて除染を行うのか、除染についての明確な指針をお伺いいたします。  また、福島の方々が被った経済的、物理的な被害だけでなく精神的な被害についてどのようにこたえていくのか、総理の決断をお聞きしたいと思います。  さて、歴史的な円高が止まりません。  欧州の財政・金融危機が深刻化しつつあり、米国経済の低迷も加わって、一部の有識者の間では世界恐慌の再来さえ予想されるという見方も出始めています。そうなれば未曽有の深刻な事態と言えますが、野田総理の財務大臣経験者としての円高対策と欧州危機についての御見解をお伺いいたします。どのような対策を講じるおつもりでしょうか。  また、安住大臣は、三十一日に単独の為替介入を行いました。米国の景気、欧州危機の先行きが不透明なままだと、東日本大震災の痛手から少し立ち直りを見せている日本の景気も悪化していくおそれがないでしょうか。今後の為替介入の方針、円高についての安住大臣の率直な御意見と対応策をお聞かせください。  円高などの六重苦で産業の空洞化が懸念される中、今、日本国内に企業が踏みとどまり、雇用の場が確保されるような政策が極めて重要です。  日本全国で歯を食いしばって頑張っておられる全ての国民の皆さんとともに、私たち国会議員も自らの身を削る覚悟をしっかり示すべきです。  この三次補正の歳出の総額は十二兆円を超える規模であり、総理は、歳入改革の道として、国民の皆さんに一定の御負担をお願いすると述べられました。  私はこの一年、地元岡山県の全ての市町村で地域の声を聴く会を開き、地域の方々の声を丁寧に聞いてまいりました。その中で最も多いのは、国の財政が厳しいのは分かっている、自分たちも頑張るが、しかしもっと先にやるべきことがあるだろう、増税はそれからだという意見です。  国民の懐に手を突っ込む増税の前に、徹底的な政府の歳出削減は当然であります。総理は、国家公務員の給与を平均七・八%引き下げる法案成立や、国民目線での提言型政策仕分の実施へ向けての決意を述べられました。  また、総理は佐藤一齋を例に引かれましたが、私の地元岡山にも備中聖人と呼ばれた山田方谷がおります。方谷は、備中松山藩で理財論を説き、「義を明らかにして利を計らず」として財政改革を進めました。藩財政を内外に公開し、債務の五十年返済延期を行い、家中に質素倹約を、上級武士にも下級武士並みの生活を送るように命じ、徹底的な財政改革を行いました。また、殖産事業を進め公共事業を興し、領民の生活の安定のために尽くした郷土の偉人です。  総理は、増収の道に対しましても、諸課題を一つ一つ地道に解決し、足下の危機を克服した後にとおっしゃいましたが、そんな悠長なことでいいのでしょうか。安全運転と言われますが、安全運転はここぞという加速すべきときへ態勢が整えられている状態だと私は思います。今必要なのは、加速すべきときにはしっかりとアクセルを踏み、やれることは全部やるといったスピード感のある決断ではないでしょうか。  先ほどの山田方谷は、奇策を用いず、地道な、しかし大胆な施策でこの財政改革を僅か数年で成し遂げました。増収の道への覚悟について、総理のお考えをお聞かせください。  そして、既に乗り越えていなければならないはずの法案があります。郵政改革法案です。郵政改革法案の成立に向けての総理の決断をお伺いいたします。  次に、TPPについてお尋ねいたします。  総理は、TPP協定へ交渉参加についてできるだけ早期に結論を出すと強調されていますが、このTPP協定に参加することで本当に日本の国益が守られるのでしょうか。  自由貿易が日本にとって重要だということを否定する人はいません。輸出が拡大し、国内雇用を増やせる可能性もありますし、対外投資がしやすくなれば海外で稼ぐチャンスも広がるでしょう。また、輸入品が安くなれば消費者にも恩恵があるかもしれません。  しかし、農業だけでなく様々な分野で、TPP参加で将来の暮らしがどうなるのか不安を抱いている人たちがたくさんおります。医療格差が広がるのではないか、国民皆保険制度、簡保保険や郵便貯金など我が国に根付いた制度、サービスが排除されるのではないか、食品安全基準が緩和され遺伝子組換え作物が輸入されるのではないかなど、国民生活に多大な影響が出るので慎重に対応してほしいという懸念の声もよく聞かれるところです。現代の黒船と言う人もいます。いかに日本の産業を、制度を、暮らしを守るかが重要です。  そこで、TPP参加のメリットとデメリットについて、国民に対し丁寧に説明するべきだと思います。十一月十二日から始まるAPEC首脳会議に出席した際に参加を正式に表明されると聞いていますが、なぜそんなに急ぐ必要があるのでしょうか。来週にも決断されるという総理の率直な御意見をお尋ねしたいと思います。  この機会にお伺いしたいことがあります。それは、男女共同参画の観点に立った防災の問題です。  十一月六日、七日に行われる民主党の女性議員ネットワークでも、災害と女性がテーマとして取り上げられる予定です。  阪神・淡路大震災以来、女性、障害者、高齢者などが特に大きな災害被害を受けることが分かってきました。平常時の社会のゆがみが集約的に顕在化した結果であると言えます。  今回の東日本大震災でも、避難所や地域で女性たちが大活躍しました。一方で、より我慢を強いられ、大きな困難に直面してきたのも、また女性たちなのです。しかし、復興構想会議の最初の提言には、男女共同参画や障害者などの視点は全くありませんでした。国会内外の女性たちが男女共同参画の視点の重要性を要望したところ、東日本大震災復興基本法には、女性、子供、障害者等を含めた多様な国民の意見が反映されるべきと書き込まれ、東日本大震災からの復興の基本方針には、基本的考え方として、男女共同参画の観点から、復興のあらゆる場、組織に女性の参画を促進するとしたのを始め、復興支援の体制として、男女共同参画を推進する体制を設けることが明確に盛り込まれました。敬意を表するところです。  今後、貴重な内容をどのように実践するかについて、具体的に総理の決意をお伺いいたします。  また、災害に強い社会をつくるためには、性別や年齢、障害の有無などによる差別や格差、あるいは排除の構造が解消しなければならないというのが今や世界の共通認識です。真に災害に強い地域づくりには、こういった観点からも男女共同参画の視点は不可欠と考えます。  今回の東日本大震災では、もりおか女性センターや福島県男女共生センターなどが地域の女性たちの支援活動の拠点として重要な役割を果たしています。男女共同参画を進める上で拠点となる地域の男女共同参画センターや女性センターの充実については、昨年十二月十七日に政府で決定された第三次男女共同参画基本計画にもうたわれているところです。  総理は、真に災害に強い社会をつくるために、性別や年齢、障害に基づくこうした差別や格差をなくすために今後どのような具体的な対策を取る考えなのか、お伺いいたします。  このところ、我が国でも女性が性暴力被害を受ける事例が目立ってきています。内閣府の調査によりますと、十三から十四人に一人の割合で女性が性暴力被害の経験があるといいます。政府の第三次男女共同参画基本計画では、事態を重視して、性暴力被害者を支援をするため対策の充実を図り、加害者の処罰の見直しを強く求めています。  今月は女性に対する暴力をなくす運動期間でもあります。私は、被害者の目線で支援を充実させる必要があると考えており、基本法を制定すべきだと有志の皆様と一緒に運動を進めております。  そこで、男女共同参画担当の蓮舫大臣の見解をお尋ねし、今後の取組についてのお考えをお伺いいたします。  今国会は、改めて強調するまでもなく、復興・復旧のための第三次補正予算案の早期成立を図るのが最大の任務であります。そのためには、何としても自民、公明両党を始めとした野党の皆さんの協力をいただき、国会議員一人一人が責任を果たさなければなりません。  野田総理は、八月に行われた党の代表選の後、ノーサイドにしましょう、もうとおっしゃいました。私は、総理が御自身の言葉であふれる思いを語られたことに大変感動をいたしました。ノーサイドにするのは民主党の内部だけでなく、国会全体であり、私たち国会議員一人一人、与野党の枠を超えて国民のために真摯に議論をする責任があるんだというメッセージだということを強く感じました。  良識の府である参議院が政局の議論ばかりしていると国民の皆様に思われないように、しっかりとした政策議論を行っているということをこの議場からきちんと発信していきたいと思います。  私も、総理がおっしゃるように、汗をかき、希望の種をまき、希望づくりの先頭に立つ決断をすることをお誓いをし、質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
  25. 野田佳彦

    ○内閣総理大臣(野田佳彦君) 民主党・新緑風会を代表して姫井議員から激励も込めた御質問をいただきまして、ありがとうございました。  まず第一に、除染及び精神的被害への対応に関する御質問をいただきました。  国の責任として、復興の基礎となる除染に全力で取り組んでまいります。その前提として、福島県に職員を派遣し、市町村への訪問等により現地の声を十分に聞き取りながら対策を進めてまいります。さらに、来年一月一日に全面施行される放射性物質汚染対処特措法に基づき、大規模な除染を迅速かつ適切に実施できるよう、人員、財政的な措置を準備をしているところでございます。  また、福島県の被災者が被った精神的損害については、原子力損害賠償紛争審査会が策定した中間指針において、政府指示等により避難生活を余儀なくされた方について、賠償すべき損害として示されています。さらに、今後の生活への不安などから精神面で不調を感じる方に対応できるよう、訪問相談を行う人材確保など、継続的な心のケアを実施をしているところであります。  円高対策と欧州危機についての御質問をいただきました。  急速な円高の進行等により、景気の下振れや産業の空洞化を防ぐため、先般閣議決定した円高への総合的対応策に基づき、日本銀行とも連携をして、円高自体への対応を含め、あらゆる政策手段を講じてまいります。  また、欧州の債務問題については、欧州自身が結束して危機の波及を遮断をするために、金融システムの安定化を図りつつ、政府債務問題の根本的な解決につながるような枠組みをつくることが重要であります。  このような観点から、先般十月二十六日のEU首脳会合とユーロ圏首脳会合における決定を歓迎をいたします。  このような欧州の努力を支援する観点から、今後発行されるEFSF債について引き続き購入を検討をしてまいります。  続いて、増収の道への覚悟についての御質問をいただきました。  増収のためには、企業活力や経済成長の実現が何よりも重要であります。そのため、まずは、急速な円高の進行等による景気の下振れや産業の空洞化を防ぐため、先般閣議決定した円高への総合的対応策に基づき、スピード感を持ってあらゆる政策手段を講じてまいります。  それと同時に、中長期的な経済成長を通じ増収の道を追求していくため、新成長戦略の実現を加速するとともに、日本再生の基本戦略を年内にまとめ、新産業の創出や世界の成長力の積極的な取り込みなどを一層推進してまいります。  郵政改革法案の成立に向けての見解についての御質問をいただきました。  郵政改革関連法案は、郵政民営化によって生じた諸問題を克服し、郵政事業サービスが利用者の立場に立って郵便局で一体的に提供され、将来にわたりあまねく公平に利用できることを確保するためのものであります。内閣を挙げて法案の早期成立を図ってまいる所存でございます。  TPP協定交渉参加についてのお尋ねがございました。  TPPに関しては、随時、関係国との間で情報収集や協議を行ってきております。その結果得られた情報については、御指摘のあったような参加のメリット、デメリットを含め、国益を確保する観点から様々な検討、分析を行うとともに、国民の皆様の御理解を深めるため可能な限り説明に努め、関係団体への説明も行ってまいりたいというふうに思います。  TPPについては、世界の成長エンジンであるアジア太平洋地域の成長力を取り込むという視点や農業再生との両立を図るという課題などを踏まえ、国益を最大限追求していくべく、政策推進の全体像の広範な視点から、協定への交渉参加について、引き続きしっかりと議論し、できるだけ早期に結論を出してまいりたいと思います。  最後に、復興、防災への男女共同参画等多様な視点の重要性についての御質問をいただきました。  姫井議員御指摘のとおり、男女共同参画の視点から、復興のあらゆる場や組織に女性の参画を促進することは極めて重要であります。そのため、国としても、復興対策本部に男女共同参画の担当部署を置いたほか、復興計画策定に当たっての男女共同参画の視点からの課題やニーズ、また好取組事例などを把握をし、これらの啓発、普及に努力をしてまいります。  また、高齢者や障害者などの要援護者への配慮も極めて重要であり、災害時要援護者の避難支援ガイドラインを制定をし、市町村における避難支援計画の策定等を推進してきたところでございます。  今後とも、復興に向け、また災害に強い社会をつくるために、女性、高齢者、子供、障害者などを含めた多様な御意見に真摯に耳を傾けてまいりたいと思います。  残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)    〔国務大臣安住淳君登壇、拍手〕
  26. 安住淳

    ○国務大臣(安住淳君) 今後の為替介入の方針についてという御質問でございました。  日本経済が震災の打撃からようやく立ち直りつつある中、一方向に偏った円高の動きによる景気下振れリスクを十分警戒する必要がございます。  こうした中、最近の為替市場では短時間に急激な変動が生じ、円高が急速に進む局面が見られたところでございます。投機的な動き、無秩序な動きへの対応に万全を期し、日本経済への下振れリスクを具現化させないために、私は為替介入を実施いたしました。  今後の為替介入の方針についてはコメントを差し控えますが、先ほども申し上げましたとおり、引き続き、市場を注視しつつ、適切に対応してまいります。  また、先日閣議決定いたしました円高への総合的対応策により、立地補助金の拡充や中小企業金融の更なる充実など、幅広い対応策を講じることとしており、第三次補正予算を早期に成立をさせていただき、この対応策をしっかりと実行していくことが重要と考えております。  各党各会派の御協力を心からお願いを申し上げます。(拍手)    〔国務大臣蓮舫君登壇、拍手〕
  27. 蓮舫

    ○国務大臣(蓮舫君) 姫井議員にお答えをいたします。  御指摘のように、性犯罪は被害者の心身を深く傷つけるものでありまして、このことをよく理解し、被害者の置かれた状況に十分に配慮をしながら、被害者が必要とする支援を行う必要があると考えております。  こうした考え方も含めまして、第三次男女共同参画基本計画におきましては、地方公共団体とも協力をし、性犯罪被害者への相談・支援体制の整備を進めるとともに、被害者のプライバシーの保護あるいは二次的被害の防止に万全を期することとしておりまして、まずは、計画を着実に推進してまいります。  今後、性犯罪被害の当事者や被害者支援に取り組む方々から貴重な意見を伺いながら、性犯罪被害者に対する支援の更なる充実を全力で図ってまいりたいと思っております。(拍手)
  28. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  29. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) この際、お諮りいたします。  今野東君、前川清成君及び岩城光英君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、藤井基之君から裁判官訴追委員予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申出がございました。  いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。  よって、いずれも許可することに決しました。      ─────・─────
  31. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) この際、欠員となりました  裁判官弾劾裁判所裁判員三名、  裁判官訴追委員予備員一名、またあわせて  皇室経済会議予備議員、  検察官適格審査会委員、同予備委員各一名、  国土審議会委員三名、  国土開発幹線自動車道建設会議委員一名の選挙 を行います。  つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官訴追委員予備員、皇室経済会議予備議員の職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員その他の各種委員を議席に配付いたしました氏名表のとおり指名し、職務を行う順序を決定いたします。     ─────────────      ─────・─────
  33. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) この際、東京電力福島原子力発電所事故に係る両議院の議院運営委員会の合同協議会規程の制定に関する件についてお諮りいたします。  議長は、本件につきまして議院運営委員会に諮りましたところ、議席に配付いたしました東京電力福島原子力発電所事故に係る両議院の議院運営委員会の合同協議会規程案のとおりとする旨の決定がございました。     ─────────────    〔議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  34. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。  本規程案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  35. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  36. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          二百十七     賛成            二百十七     反対               〇    よって、本規程案は全会一致をもって可決されました。     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕      ─────・─────
  37. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 本規程第三条の規定により、議長は、議席に配付いたしました氏名表のとおり両院合同協議会の委員を指名いたします。     ─────────────    議長の指名した委員は左のとおり ○東京電力福島原子力発電所事故に係る両議院の  議院運営委員会の合同協議会委員       相原久美子君    小川 敏夫君       川合 孝典君    川崎  稔君       藤本 祐司君    藤原 良信君       松井 孝治君    水戸 将史君       岩城 光英君    鶴保 庸介君       松山 政司君    山崎  力君       義家 弘介君    長沢 広明君       水野 賢一君     ─────────────
  38. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十七分散会