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2011-09-16 第178回国会 参議院 本会議 3号 公式Web版

  1. 平成二十三年九月十六日(金曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第三号   平成二十三年九月十六日    午前十時開議  第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣の演説に関する件を議題といたします。  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男君。    〔山口那津男君登壇、拍手〕
  3. 山口那津男

    ○山口那津男君 私は、公明党を代表して、さきの野田総理の所信表明演説に対して質問いたします。  まず、紀伊半島を中心に多くの犠牲者を出した台風十二号による被害についてであります。改めて、犠牲となられた方々に深い哀悼の気持ちを述べるとともに、多くの被災者の皆様に心からのお見舞いを申し上げます。  十一日、十二日と被災地域に行き、その惨状を目の当たりにしました。和歌山県那智勝浦町では、文献的にも過去一千年間一度も経験したことのない激しい豪雨が発生、すさまじい地響きとともに住宅地などを土石流が襲い、多くの犠牲者と被害をもたらしました。日高川流域では、アユの養殖場は泥水にのまれて壊滅。堤防が決壊し、収穫期を迎えた稲は全滅、四十年掛けてつくり上げた広大なミカン畑は瓦れきの山というような有様です。  三重県紀宝町の熊野川支流では、堤で覆った中に住宅を建てる輪中堤を越えて水があふれ、大きな被害をもたらしました。輪中堤の高さは、川の水位を最高で九メートルと想定し、九・四メートルで造ったものでしたが、今回の豪雨による濁流は結果的にこの想定をはるかに超え、多くの住居が水につかり、堤防そのものも破壊されました。  奈良県十津川村では、道路の寸断が救援を妨げました。台風接近が伝えられた二日午前から、二十四時間態勢で災害情報の収集や物資の配布などの対応を行っていましたが、道路の寸断により、八日になっても約百人の職員のうち約四十人が出勤できない状態で、他の職員が業務の代行を余儀なくされたのです。役場に仮眠室などはなく、職員は廊下などのスペースを使って寝泊まりするなど劣悪な環境の中で、土砂ダムの決壊に注意しながら懸命な救助活動に取り組まざるを得ませんでした。  その一方で、高速道路が完成している一部区間では、まさに命をつなぐ道路としての機能が発揮されたのです。  現地の要望の中心は、まずは激甚災害の指定、紀伊半島を一周する高速道路と奈良県内陸部と沿岸部を結ぶ道路の早期全面開通、ミッシングリンクの解消です。この度の東日本大震災で、岩手県の三陸縦貫自動車道が物資や人を運ぶ重要な道路として機能した実例と考え合わせると、基幹道路ネットワークは、命をつなぐ道路として整備する必要があると考えます。  さらに、今後は、減災という考え方を基本に、道路、堤防などの整備といったハード面だけではなく、政府は地方自治体と連携して、従来の被害想定を見直した新たな避難計画の策定や、豪雨時には、例えば累積雨量、地形、避難場所などの相関関係に基づいて避難指示を出す仕組みなど、ソフト面でも新しい対策を速やかに検討すべきと考えます。  野田総理も、現地に行かれて会見もされていましたが、台風十二号災害について激甚災害の指定をどうするのか、紀伊半島のミッシングリンクの解消をどうするのか、ハード、ソフト両面にわたる防災対策の強化など、政府として具体的に何をどうされるのか、明確にお答えいただきたい。  次に、政権交代がなされた二〇〇九年の総選挙における民主党のマニフェストについてお伺いいたします。  野田総理の公式サイトのかわら版ナンバー七百六十三に、マニフェスト考という記述があります。政権交代前の二〇〇九年八月六日にアップされているものです。  待ちに待った総選挙が今月三十日に実施されます。この総選挙は、歴史的な政権選択選挙であり、自公政権の四年に対して国民の皆さんが審判を下す選挙ですという書き出しで始まり、注目すべきは、マニフェストに載せたことは命懸けで実現する、載せなかったことは基本的に手を付けないと言及。さらに、加えて、借金の山を積み上げるしか能がなく、せっかく見付けた埋蔵金もばらまきで使い果たし、国の金庫を空っぽにした自公両党に財源を語る資格もありません。民主党は、税金の無駄遣いを徹底してなくし、国の総予算を全面組み替えし、私たちのマニフェストを必ず実現させる覚悟ですと勢い込んでいます。たった二年前、総理、あなたが書かれたものですよ。  民主党マニフェストは、財源的にも破綻し、民主党もそれを認めたではありませんか。これはもはや民主党政権による国民、有権者との契約不履行と断じざるを得ません。総理、今でもマニフェストに載せたことは命懸けで実現すると明言できますか。明確にお答えください。  今年七月二十一日には、見通しの甘さを国民に率直におわび申し上げたいと、当時の岡田幹事長の謝罪に続き、菅前総理も同二十二日の参院予算委員会で、財源についてやや見通しの甘かった部分があったと陳謝しています。当時の財務大臣はあなたです。財源についての責任者として、一体どう反省しているのですか。  さらに、八月九日に交わされた民主、自民、公明の三党の合意文書、これは、子ども手当を廃止し、児童手当が復活するなど、民主党がマニフェストに掲げた主要政策の見直しを事実上認めたものです。野田総理は、この合意を尊重し誠実に守ると発言されていますが、実質的に破綻したマニフェストを具体的に今後どうされるおつもりなのか、明確にお答えください。  震災が発生して半年が過ぎましたが、震災対応は遅きに失し、被災者に対して冷たいものばかりです。学校や公民館、旅館などの避難所生活を強いられている被災者はいまだに一万人近く、復興の大前提となる瓦れきの撤去率は五割程度、お盆までに建設するとした仮設住宅はなお三千戸が未完成です。  原発事故対策では、政府の責任で避難指示を出しておきながら、避難に必要な支援策は全く示さないなど、避難を強いられる方々への温かな思いが全く感じられません。  また、民主党の支持団体である連合からは、民主党内でも結束もできない、役人も使いこなせない、産業復興への意識は脱落しているとの批判が上がる始末であります。  さらに、辞意を表明した菅首相が三か月間も居座ったため、政治的な空白を生み出しました。その結果、第三次補正予算の編成作業が先延ばしされるなど、震災の復旧・復興が相当遅れることになった。政治空白で生じた国民の損失は非常に大きく、新政権が背負う責任は極めて重大であります。  総理、被災地では国の財政支援の詳細が定まらず、本格的な復興予算の全体像が全く示されないため、いまだに復興計画すら策定できない状況なのです。七月十二日の金融政策決定会合で日銀総裁が指摘したように、政策的な不確実性を小さくし、日本経済ができるだけ早く復旧・復興するために、政策面で必要なことを速やかに実行することが急務であります。  総理、前政権による復興を重要閣僚としてどのように反省されているのか、そして、本格的な復興を具体的にどのようにお考えか、今後の決意とともに明確にお答え願います。  公明党は、本格的な復興に向けた第三次補正予算に盛り込むべき施策として、震災復興及び経済対策に必要な予算に関する提言を発表いたしました。本格的な復旧・復興には、地域の特性を最も理解している市町村が復興の主体者として知識や経験、能力などを最大限に発揮できるよう、財源や人材など国の力強い支援が求められます。また、当然のことながら、被災地域の真の復興には日本経済の再生が欠かせません。  提言では、被災自治体への支援として、復興一括交付金や復興基金の創設、三陸沿岸道路の整備など社会インフラの早期復興、被災児童生徒の就学支援、学校の耐震化及び防災機能の強化など具体的に提案しています。  本来であれば本格的な復興の第一歩として第二次補正予算で取り組むべき施策を第三次補正予算に持ち越したこと自体、被災者、国民生活に対する想像力や緊張感が民主党政権には全く欠落していた証拠です。  総理、第三次補正予算について、昨日、我が党の井上幹事長に対する答弁でも曖昧なままです。再度問います。いつまでに編成し、国会に提出されるのか、明確に展望をお示しください。  二重ローン対策について伺います。  金融庁の調査によれば、被災三県、すなわち岩手、宮城、福島県で買取りなどの支援が必要な債権額は五千五百億円を超え、このうち約四千五百億円が事業者向け債権です。巨額の債務から事業者を救うには、既存の枠組みにとらわれない思い切った支援策が必要です。  政府・民主党が当初示された二重ローン対策は、既存の制度、すなわち平時に活用される制度の単なる延長であり、現下の緊急時では極めて使い勝手が悪い。また、被災地で特に被害が大きかった農林漁業者に対する支援が期待できず、対策に限界がありました。  このため、公明党は、機構による債権の買取りを提唱し、東日本大震災事業者再生支援機構法案、これを議員立法として参議院に提出、七月二十九日に参議院を通過しました。私たち野党が提案した法案では、中小企業や農林漁業者、医療法人などを対象に、機構が相談から支援までをワンストップで実施することを法律で明確にしており、債権の買取りのほか、融資なども手掛け、これらに必要な資金額として二兆円程度を見込んでおります。  民主党が政治主導を掲げるならば、省庁の縦割り、慣例を乗り越えて政策を実現すべきです。本来、復興対策は、政府・民主党がどんどん法案を国会に提出して推進すべきです。対象業務の明確化や相談に当たっての守秘義務、税制上の支援措置などを考えれば、立法上の措置が必要なのです。それなのに政府は全く動きが鈍い。  この野党が出した法案は、民主党が賛成すれば直ちに成立します。総理、どのように対応されるのか、明快な答弁を求めます。  総理、さきの通常国会で我々が積み残した大きな宿題があります。それは、震災で被災した私立学校に対する災害復旧支援策の拡充であります。  その拡充の根拠法案である私立学校建物特別助成措置法案は、さきの国会において本院では可決されましたが、衆議院において継続審議となり、成立には至りませんでした。被災地での私立学校を含めた施設復旧が喫緊の課題となっている中、緊急性の高い今回の追加支援策が実施できないままとなっているのは誠に残念でなりません。  本法案に対し、民主党の皆さんから様々な議論があることは承知しておりますが、今は非常時であります。将来にわたり被災地の復興を担っていくのは未来ある子供たちであります。未曽有の災害に見舞われた今、公立、私立を問わず、その子供たちが通う学校を全力で復旧させるのは国の責務ではないでしょうか。総理がリーダーシップを発揮し、本法案の速やかな成立に協力していただきたい。総理の答弁を求めます。  次に、円高対策を含む総合経済対策について伺います。  世界経済は、ギリシャを中心とした欧州の債務問題、同じく米国の債務上限引上げ問題などによって先行きに対する不透明感が増しています。中でも為替の混乱は深刻であり、相対的に安全とされる金などの現物資産、あるいは通貨ではスイス・フランと日本円に投資資金が集中してしまい、その結果、急激な円高を招いているのが実情です。  ただ、円高の要因が何であろうと、このまま高止まりの状態で手をこまねいていることは許されません。未曽有の東日本大震災からの復旧・復興に取り組んでいる中にあって、中小企業や雇用への影響、さらには産業の空洞化につながる企業の海外移転を加速しかねません。  公明党は、既に八月十八日に円高対策を含む総合経済対策に関する緊急提言を取りまとめ、公表しました。  その中で、三次補正で対策を講じることはもちろんのこと、既にある第二次補正予算の予備費も活用して、スピード感を持って取り組むよう提言しましたが、政府の対応は全くもって遅いと言わざるを得ません。現下の経済情勢は、震災に続く新たな試練とも言える異常事態であり、政府が総力を挙げて事態を打開していかなければならず、まさに総理のリーダーシップが求められます。  現在、政府内での検討が進められていると承知しておりますが、産業空洞化対策という枠にとらわれず、日本経済全体の需要をどう喚起するのか、さらには中小企業の資金繰りや雇用対策などをどうするか、それらを含めた総合的な経済対策を速やかに策定し、予備費の活用を含め、できることは速やかに実施すべきと考えます。この点、まずは総理の基本的なお考えを伺います。  続いて、具体的な対策の中身について伺います。  まず第一には、災害に強いまちづくりのための社会インフラ整備など、公共投資を前倒しで実施すべきです。現在の需給ギャップは内閣府の試算で約二十兆円にも上り、圧倒的に需要不足の状況です。需要をどう掘り起こすのかという視点でいえば、成長戦略ももちろん重要ですが、防災、減災などのための投資を着実に進めることは、波及効果も高く、国民の理解も得やすいのではないでしょうか。また、中小企業への優先発注や下請いじめ対策も併せて講じるべきです。そのほか、需要喚起策として、家庭における省エネ、エコ化の早期推進のため、節電エコポイントの創設、住宅エコポイントの再導入、再生可能エネルギーの導入促進なども前広に実施すべきです。  第二には、中小企業の資金繰り支援策の強化です。東日本大震災や原発事故による経済的な影響に加えて、急激な円高による影響が加わり、被災地のみならず、日本全体の企業、特に中小企業が厳しい状況になりつつあります。中小企業への資金繰りや仕事確保のための支援を一層強化すべきと考えます。  第三には、雇用の確保です。中でも被災地における雇用状況は深刻であり、引き続き、新卒者、若年者を中心とした雇用の維持確保策と併せ、地元雇用の確保や雇用創出関連の基金を拡充、延長して万全な措置をとるべきです。  第四には、産業空洞化の防止対策です。産業が空洞化し、日本の技術や人材が海外に移転することは、日本経済の源泉がなくなり、さらには雇用の悪化や地域経済の地盤沈下を招くものであり、早期の対応策が必要です。そのためにも、国内の企業立地の促進のための立地補助の拡充や関連規制の見直しなど、包括的な空洞化対策を講じるべきです。  第五には、超円高に対する日本としての毅然とした対応と各国との連携の強化です。更なる円高の動きに対しては、追加的な為替介入を含め、政府と日本銀行が連携して断固たる対応措置を講じるとともに、欧米など主要国とも連携を強化しつつ、協調して為替の安定策を講じなければなりません。しかし、先般九日にマルセイユで開かれたG7では、我が国の円高阻止に向けた協力要請に対して参加国からの反応は芳しいものではなかったようです。まさに内閣としての本気度が決定的に欠けている証左ではないですか。  以上、経済対策に関する私の五つの提案について、野田総理の答弁を求めます。  次に、国民生活の安心と向上を図る具体的な取組について政府の見解を伺います。  公明党は、自民党との連立政権下において、安心社会構築のため、医療や介護の充実、子育て支援の強化などに対する各種基金制度を創設するなど、地方自治体における迅速かつ柔軟な取組を支援してきました。こうした基金事業などは今年度限りで終了するものが多く、来年度以降の対応について現政権の取組を明らかにする必要があります。  具体的に申し上げます。  初めに、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金について伺います。  公明党の強い要望でスタートしたこの事業は、地方自治体における子宮頸がん予防ワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの接種事業を財政支援するものであり、多くの関係者から事業の継続を求める声が上がっています。公明党は、必要なワクチン接種について予防接種法の対象疾病に位置付ける抜本的な法改正を求めておりますが、それまでの間、基金事業による財政支援を継続すべきと考えます。  同様に、保育所や放課後児童クラブなどの整備を後押しする安心こども基金や、妊婦健診の負担軽減を図る妊婦健康診査支援基金についても継続が必要です。民主党政権では、保育サービスの提供や妊婦健診について、新たに創設する子ども・子育て新システムの中で対応するとされていますが、具体的な法案作りはこれからであり、当面は基金事業での対応が現実的であると考えます。  介護職員処遇改善等臨時特例基金について伺います。  自公政権下の平成二十一年度補正予算において、介護職員の賃金引上げなどを行うための基金を創設し、今年度末までの二年半分を予算措置しましたが、来年度以降は引き続き基金事業で対応するのか、次期介護報酬で対応するのか、現政権の方向性が見えてきません。介護職員の処遇改善は極めて重要な課題であり、着実に施策を推進するため、介護報酬で手当てできない場合は、既存の基金を積み増しし、着実に賃金引上げなどに充てられるよう措置すべきです。  現行の高齢者医療制度の負担軽減措置について伺います。  自公政権では、制度創設に伴う激変緩和措置として、七十歳から七十四歳の窓口負担一割の据置きや低所得者の保険料軽減措置などを実施しており、これらの措置は政権交代後も継続されております。民主党は現行制度を廃止すると主張していますが、それに代わる新たな法案作りが進んでいない以上、少なくとも現行の負担軽減措置は来年度も継続すると明言すべきです。  障害者自立支援対策臨時特例基金について伺います。  障害者自立支援法の施行に伴う事業者の経過的な支援等を行うため、平成十八年度から二十年度までの特別対策として実施したこの事業は、その後の既存事業の拡充や新たな事業を盛り込み、今年度末まで延長することになっています。来年度以降も、新体系移行後の事業所支援やグループホーム等の設置補助などが必要であり、基金事業による柔軟な支援を求めます。  地域自殺対策緊急強化基金について伺います。  平成十年以降、年間の自殺者数は三万人を超え、地域における自殺対策の強化を図るため、平成二十一年度補正予算において、今年度末までの事業として強化基金が創設されました。  これまで、同基金を活用して電話相談窓口の充実や自殺の危険性が高い方などへの訪問事業など、地方自治体における具体的な取組が進められており、こうした取組を切れ目なく支援するためにも基金の積み増しが必要です。  以上、基金事業を始めとして今年度末までで終了する施策について、来年度以降政府はどのように対応するのか、総理の明確な答弁を求めます。  一川防衛大臣が、安全保障に関して素人だが、これが本当のシビリアンコントロールと発言され、その釈明として、ほとんどの国民は素人だ、一般の国民を代表する国会議員が監視するのがシビリアンコントロールだと思っていると述べました。  シビリアンコントロールとは、言うまでもなく、民主主義国家における軍事に対する政治の優先又は軍事力に対する民主主義的な政治による統制を指すものです。基本的な意味を全く理解していない大臣が、日本の領土と国民の生命、財産を守るという防衛大臣の役割を果たすことができるとお考えですか。任命責任は大きいと言わざるを得ません。総理の認識を伺います。  二〇〇九年の政権交代以降、無能なリーダーの下で確実に弱体化した日本外交についてお尋ねします。  近年、中国漁船衝突事件や中国の海洋活動の活発化、ロシアの大統領等の北方領土訪問、竹島問題をめぐる日韓関係、全く進展の見られなかった拉致を始めとする北朝鮮の諸問題、そして停滞する普天間問題など、我が国を取り巻く外交・安全保障環境が不安定かつ複雑化しているにもかかわらず、菅前総理の在任一年三か月の間、日本は外交空白を引き起こし、国益が大きく損なわれました。総理就任に当たり、弱体化した日本外交に対する総括なり評価なり反省なりを率直に国民に語るべきではないでしょうか。明快な答弁を求めます。  弱体化した日本外交の立て直しは急務であり、国際的な課題への関与が薄れてはなりません。今年後半は、今月下旬の国連総会に続き、ASEAN首脳会議、東アジア・サミット、G20首脳会合、APECなど外交日程がめじろ押しです。今こそ日本の進むべき道を明確にし、日本外交の存在感を取り戻す好機です。新政権はどのような外交戦略を持って日本外交のかじ取りをなさるお考えか、総理の基本的な外交方針を尋ねます。  総理は所信表明の中で、日米同盟を我が国外交・安全保障の基軸とし、世界の安定、繁栄のための公共財と表明されましたが、日米同盟関係は大震災でもその機能を遺憾なく発揮したようにまさに最重要の二国間関係であります。  民主党政権二年間の失敗外交はこの日米関係に深刻なきしみを生じさせましたが、前轍を踏んではなりません。安全保障、経済対策などについて、まずは首脳同士の信頼関係をどう再構築されるのか、目前に迫った日米首脳会談にどういう決意で臨むのか、率直にお答え願いたい。  さらに、鳩山元首相の発言と対応が混乱を招いた普天間問題は、最大かつ最優先の課題です。本年六月の2プラス2の共同発表において二〇一四年の移転時期が延期されることが盛り込まれましたが、このままでは普天間は固定化されかねません。  民主党政権の頭越しの対応が沖縄県民の怒りを買い、その対応のまずさが米国の日本に対する不信につながり、日米同盟の空洞化を招く結果となったとの認識はおありでしょうか。全て民主党政権の失政によるものです。ゆえに、総理は在任中に進退を懸けて普天間問題の解決に取り組むべきです。総理の覚悟を伺います。  外交の弱体化は、周辺国との関係をより複雑なものとしました。中国は海洋活動を活発化させており、尖閣諸島問題以降、中国との関係は必ずしも良好とは言えません。韓国に目を向けると竹島問題、ロシアとは北方領土問題など、領有権をめぐる問題が顕在化しています。二〇一二年の春にはロシア大統領選、秋には中国指導部の交代、年末には韓国大統領選が予定され、東アジア周辺国は政治的な節目を迎えます。  変化を見据え、民主党政権で悪化した周辺各国との関係を立て直し、いかに各国との間に横たわる諸懸案を解決していくのか、総理の外交手腕が今後の我が国の国益を決定付けます。中国とはいかなる交渉をもって戦略的互恵関係を再構築するお考えか、韓国とはいかなる未来志向の関係を、ロシアとはいかなるアジア太平洋地域のパートナーとしてふさわしい関係を構築していくのか、総理の基本戦略を伺います。  拉致問題は日本の主権及び国民の生命と安全にかかわる問題であり、その解決は政府の最重要の外交課題の一つです。民主党政権が誕生してから僅か二年で五人目となる拉致担当大臣に、拉致被害者の家族から、民主党政権では担当の大臣が頻繁に交代し、拉致問題を軽視しているといった批判が出るのは当然です。その上、山岡担当大臣は幾つもの大臣を兼務しており、私は、総理が本気で拉致問題解決に取り組む決意があるのか、率直に疑問を感じます。  総理、拉致問題を風化させてはなりません。外交デビューとなる今月末の国連総会を皮切りに、総理自らがあらゆる外交の機会を生かし、拉致問題解決へ向けた行動を取るべきと考えますが、答弁を求めます。  以上、内外の政治課題について述べてまいりましたが、公明党は、庶民のための政治を目指して、国民生活の窮状の打開と日本の未来を切り開くため、全力を挙げて取り組んでいくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
  4. 野田佳彦

    ○内閣総理大臣(野田佳彦君) 山口那津男公明党代表より、具体的、建設的な御提言も含めて御質問をいただきました。順次お答えをさせていただきたいと思います。  まず、台風十二号災害についての御質問をいただきました。  政府では、近く今般の台風十二号による災害を激甚災害に指定し、被災者の生活再建の支援や被災自治体への財政支援を図ることとしております。  高速道路のミッシングリンクの解消については、地域の孤立化や多様性の欠如など災害面からの弱点を克服するためにも必要なものであり、近畿自動車道紀勢線の整備を始めとする基幹道路ネットワークの強化に取り組んでまいります。  また、山口代表御指摘のように、災害時の被害を最小化する減災の考え方に基づいてハード面とソフト面の対策を適切に組み合わせていくことは重要であり、避難体制の在り方等も含め今回の大雨災害の教訓事項を精査し、必要な改善を図ってまいります。  続いて、マニフェストについて何点か御質問をいただきました。まとめてお答えをさせていただきたいと思います。  マニフェストは国民の皆様とのお約束であり誠実にその履行に努めてまいりましたが、その多くを実施した一方で実現できていないものもあり、それを党として検証し発表したものが八月の中間報告でございます。実現できていないものについては率直に認め、国民の皆様に御説明し、御理解をいただくよう努力をしてまいります。  私が過去二代の政権で副大臣、大臣を務めたことは事実でございます。これまでの民主党政権の歩みには、大きな意義もあれば反省すべき点もあります。そのことは、八月に党でまとめたマニフェスト中間検証でも述べているとおりでございます。  民主、自民、公明の三党間では、八月四日に政調会長レベルで「子どもに対する手当の制度のあり方について」を、また八月九日には幹事長レベルで「確認書」を取り交わしています。  私は、民主党代表に選出をされた翌日、組閣を行う前に、自民党そして公明党の山口代表と党首会談を行わさせていただき、その場で、三党合意については私が約束したのだから是非信頼をしてくださいと申し上げました。三党合意の確認については誠実に履行をしてまいります。  現在、来年度予算の概算要求基準を政府内で取りまとめている最中でございますけれども、高速道路無料化については三党合意にのっとり概算要求に計上しないこととしております。  高校無償化、農業戸別所得補償、子どもに対する手当についても、同様に三党の合意に沿って検討を進めてまいりたいと考えております。  続いて、復旧・復興に向けた決意についてのお尋ねがございました。  政府としては、これまでも地方自治体とも協力をして、仮設住宅の建設、瓦れき撤去、被災者の生活支援などの復旧作業に全力を挙げてまいりました。一方で、迅速さに欠け、必要な方々に支援の手が行き届いていないとの御指摘もいただいております。  こうした御指摘も踏まえつつ、第三次補正予算の準備作業を速やかに進めるとともに、復興基本方針に基づき、復興特区や使い勝手の良い交付金などの具体策を着実に実行することにより、本格的な復興に向けた取組を加速をしてまいります。  補正予算編成のスケジュールについてのお尋ねがございました。  当面の復旧・復興については、第一次、第二次合わせて六兆円規模の補正予算を編成をし、これを執行するとともに、東日本大震災復旧・復興予備費の活用により機動的な対応を図っているところでございます。  他方、本格的な復旧・復興を総合的かつ計画的に進めるためには、必要となる復興施策の精査、復興事業に係る財源の確保等、国による復興のための取組の全体像を明らかにすることが必要であり、こうした観点から、七月末にかけて復興の基本方針を策定をいたしました。この基本方針に沿って、一刻も早い被災地の復旧・復興に向け、三次補正予算の編成を速やかに進めてまいります。  続いて、東日本大震災事業者再生支援機構法案についてのお尋ねがございました。  いわゆる二重ローン問題については、政府としては、六月十七日に決定した政府の対応方針などに基づき、産業復興機構及び産業復興相談センターを県ごとに設立し、農林漁業者や医療法人も含めた幅広い被災事業者を相談から債権の買取りまでワンストップで一体的に支援する体制を構築をいたします。現在、県や地域金融機関と、産業復興機構及び産業復興相談センターを早急に設立すべく、精力的に調整をしているところでございます。  なお、東日本大震災事業者再生支援機構法案については、現在審議中であり、与野党間においても引き続き協議が続けられているものと承知をしておりますが、いずれにせよ、政府としては、二重債務問題に対する対応を迅速に進めてまいります。  私学災害復旧助成法案の早期成立についての御質問をいただきました。  被災した私立学校等に対する支援は大変重要と考えており、政府としては、第一次補正予算の速やかな執行により早期の復旧を図ることが重要であると考えております。  山口代表御指摘の議員提案の私学災害復旧助成法案については、災害復旧に係る財政援助の在り方等様々な観点から慎重に検討すべき事柄を含んでいると考えておりますが、いずれにせよ、現在継続審議中であり、与野党間において引き続き協議が続けられているものと承知をしております。  経済対策についてのお尋ねがございました。  急速な円高等による産業の空洞化を防ぎ、国内雇用を維持していくためには、あらゆる政策手段を講じていく必要があります。まずは、緊急経済対策として、第三次補正予算や御指摘をいただいた予備費により、思い切った立地補助金の拡充や中小企業金融の更なる充実等を実施してまいります。さらに、昨年策定された新成長戦略の実現を加速するとともに、大震災後の状況を踏まえた戦略の再強化を行い、自律的な経済成長の軌道に乗せていきたいと考えております。  これからも、八月十八日に御党から貴重な御提言をいただきましたけれども、これらを十分に参考にさせていただき、取り組んでまいりたいと考えております。  経済対策に関する御提案について、引き続きお答えを申し上げます。  東日本大震災を始めとする災害の発生を受けて、国民の安全、安心を守るという社会資本整備の最も重要な使命を再認識したところでございます。そのため、安全、安心な国民生活を支えるために真に必要な社会資本整備について、戦略的に実施していくことが必要であると考えております。  御指摘の中小企業者については、分割発注などにより受注機会の増大に努めてまいります。また、いわゆる下請いじめ問題については、今後とも独占禁止法や下請法の厳正な執行に取り組んでまいります。  家庭における省エネを推進するための省エネ設備機器の導入支援や住宅エコポイント、固定価格買取り制度の導入等、検討中のものも含め様々な政策を総動員することで、省エネルギー対策及び再生可能エネルギーの導入拡大を推進をしてまいります。  中小企業への資金繰りや仕事確保のための支援についての御提案をいただきました。  震災や原発事故に加え、急激な円高の影響など厳しい経済環境の中で、中小企業の支援に万全を期すことは非常に重要と認識しており、御指摘に全く同感でございます。  資金繰り支援については、震災以降、従来以上に長期かつ低利の東日本大震災復興特別貸付などを実施しており、中小企業の資金繰りの円滑化に大きく貢献したものと承知をしています。中小企業の資金繰り支援については、第三次補正予算への必要な財政措置の盛り込みを含め、引き続き万全の支援を充実をさせていきたいと考えております。  また、中小企業者の受注機会の増大のための措置を講ずるなど、仕事確保策にも全力で取り組んでいく所存でございます。  続いて、被災地の雇用確保についてのお尋ねがございました。  先日も被災地での厳しい雇用情勢をお伺いをして、雇用なくして被災地の再生はないと強く実感したところでございます。今後、本格的な安定雇用を生み出すため、これまでの「日本はひとつ」しごとプロジェクトの推進に加え、第三次補正予算の中で雇用創出基金を拡充、延長して、産業政策と一体となった雇用面での支援や、若者、女性、高齢者、障害者の雇用機会の確保に努めてまいります。  続いて、空洞化対策に関する御提案、御質問をいただきました。  現在の我が国は、歴史的な水準の円高や新興国の追い上げなどによって空前の産業空洞化の危機に直面をしております。このままでは国内産業が衰退をし、雇用の場が失われていくおそれがあります。また、欧米やアジア各国は国を挙げて自国に企業を誘致する立地競争を展開をしています。  このような中で我が国が産業の空洞化を防ぎ国内雇用を維持していくためには、金融政策を行う日本銀行と連携し、あらゆる政策手段を講じていく必要があります。まずは、第三次補正予算により、思い切った立地補助金の拡充や中小企業金融の更なる充実等を行います。早期に包括的な空洞化対策を講ずるべきとの議員の御指摘も踏まえ、速やかに議論と対話を進め、円高・空洞化対策を力強く展開をしてまいります。  円高対策についての御質問をいただきました。  為替市場において一方的に偏った円高の動きが続いていることを強く懸念をしております。先般開催されたG7財務大臣・中央銀行総裁会議では、為替市場における行動に関して緊密に協議し、適切に協力することに合意したところでございます。この合意に沿って、関係通貨当局と様々なレベルで連絡を取り合いながら、市場において投機的な動きがないか注視し、あらゆる措置を排除せず、必要な場合には断固として行動してまいります。  ワクチン接種についての御質問をいただきました。  御指摘の交付金については、関係審議会における予防接種制度全体の見直しの議論を踏まえ、平成二十四年度以降の接種の在り方を検討してまいります。  安心こども基金と妊婦健康診査支援基金に関する御質問をいただきました。  安心こども基金や妊婦健康診査支援基金により実施している待機児童解消のための保育所の整備や妊婦健康診査等の施策は、子供や子育てに関する支援を充実をさせていく上で重要な役割を果たしていると認識をしています。これらの基金や施策の今後の取扱いについては今年度中に結論を得たいと考えております。  介護職員の処遇改善についてのお尋ねをいただきました。  介護職員処遇改善交付金の実施により、介護職員の給与が改善するとともに、逼迫していた介護労働者の需給状況には改善が見られます。一方で、現在の給与引上げの半数が一時金の支給によるもので継続性が弱いことなども踏まえ、介護サービスの安定的な確保に向けて、これらの効果を維持できるよう、必要な方策について検討してまいります。  高齢者医療制度の負担軽減措置についての御質問をいただきました。  高齢者医療制度については、社会保障・税一体改革成案においてもその見直しが盛り込まれていることを踏まえつつ、御指摘の負担軽減措置の在り方については、予算編成過程において決定をしてまいります。  障害者自立支援臨時特例交付金による基金事業についてのお尋ねがございました。  この基金は、本年度末までの事業として、障害のある方が地域で自立した生活を送ることができるよう、障害者自立支援法の円滑な施行や新体系移行のための基盤整備を支援しているものでございます。今後、新体系への移行期間後に向けて、各種事業の趣旨や効果を検証をしてまいります。  地域自殺対策緊急強化基金についてのお尋ねがございました。  我が国における年間の自殺者数は十三年連続で三万人を超えており、非常に厳しい状況にあると認識をしています。自殺対策においては、地域に密着した取組が非常に重要であり、地域自殺対策緊急強化基金を通じて地方公共団体における取組が一層促進されるよう支援するなど、今後とも自殺対策の推進に全力で取り組んでまいります。  防衛大臣の発言についてのお尋ねがございました。  一川大臣には、防衛大臣として適切に仕事をしていただけるものと信じております。シビリアンコントロールについての防衛大臣の発言は、一般の国民を代表する政治家が国民の目線に立って物事を判断していくべきとの趣旨であったと承知をしております。政府としては、文民統制の徹底に万全を尽くす一方、新防衛大綱に従い、即応性、機動性等を備えた動的防衛力を構築し、新たな安全保障環境に対応しつつ、我が国の平和と安全の確保に万全を期してまいります。  政権交代以降の日本外交の評価に関する御質問をいただきました。  我が国を取り巻く世界の情勢が大きく変化をしている中で、政権交代以降、日米同盟の深化や近隣諸国との関係強化など、様々な外交上の課題に真剣に取り組んでまいりました。その過程では、率直に申し上げて、個々の問題の複雑さゆえに全てが順調に進んだわけではございません。  例えば普天間飛行場の移設問題では、沖縄の皆様に大変な御迷惑をお掛けし、深くおわびしなければならないと認識をしております。私としては、反省すべきは反省しつつ、民主党政権の下で得られた外交上の成果を生かしながら、様々な課題に対応して国益を増進をすべく最大限努力してまいる所存でございます。  野田政権の外交戦略についての御質問をいただきました。  我が国を取り巻く世界の情勢は日々変動し続けており、国際社会は多極化が進行をしています。私は、このような新たな時代の呼びかけにしっかりとこたえる外交を推進をする所存でございます。安定した国際環境が確保されることが我が国自身の平和と繁栄にも不可欠でございます。我が国は、大震災はありましたが、食料の安定供給、途上国支援、脆弱国家対策といった国際社会が抱えている課題の解決のために引き続き積極的に貢献をしていく考えでございます。私自身、御指摘の国際会議への出席等を通じてこういった我が国の姿勢をしっかりと発信し、積極的な外交を展開をしていく所存でございます。  日米首脳会談についてのお尋ねがございました。  日米同盟は日本外交・安全保障の基軸であり、強固な日米同盟がアジア太平洋の安定と繁栄にとり不可欠であるというのが私の信念でございます。既にオバマ大統領とは九月一日に電話会談を行い、その旨を私から直接お伝えをするとともに、オバマ大統領とともに日米同盟の一層の深化、発展に取り組みたい旨申し上げました。来る日米首脳会談では、御指摘のとおり、御助言のとおり、率直な意見交換によって首脳同士の信頼関係を早急に構築をするとともに、安全保障、経済、文化・人的交流を中心に様々なレベルでの協力を強化し、二十一世紀にふさわしい同盟関係に深化、発展をさせていきたいと考えております。  普天間飛行場の移設問題についての御質問をいただきました。  普天間飛行場の移設問題については、鳩山政権の発足以降、何とか県外移設ができないかという考えの下、様々な案を検証いたしましたけれども、結果的には現在の日米合意に至りました。民主党政権としては、この過程で沖縄の皆様に大変な御迷惑をお掛けしたことについて、先ほども申し上げましたけれども、深くおわびしなければならないと認識をしています。  他方で、同盟を基礎とした日米の信頼関係は長い歴史を持つものであって、軽々に揺らぐものではありません。沖縄において県外移設を求める声があることは承知をしておりますが、現在の日米合意は全体として、少なくとも現状に比べると沖縄の大きな負担軽減につながると考えており、政府としては、引き続き沖縄の皆様の御理解を得るべく誠実に努力をしていく覚悟でございます。  日中、日韓、日ロ関係についての御質問をいただきました。  中国との間では、来年の日中国交正常化四十周年を見据えつつ、震災を受けた協力、海洋に関する協力、文化・人的交流などの幅広い分野での具体的な協力を推進し、大局的な観点から戦略的互恵関係を深めていく考えでございます。  韓国との間では、北朝鮮問題を含む地域情勢、世界経済、そして核軍縮や気候変動、貧困といった課題においても幅広く重層的に協力していき、未来志向の新たな百年に向けて一層の関係強化を図ります。  ロシアとの関係は、その潜在力に見合うほど十分に発展していないのが現状です。こうした中で、政治、経済、文化、国際舞台での協力等のあらゆる分野での協力を進めるとともに、領土問題を解決して平和条約を締結することにより、日ロ関係を一層高いレベルに引き上げていきたいと考えております。  北朝鮮の拉致問題についての御質問を最後にいただきました。  拉致問題は、我が国の主権にかかわる重大な問題であるとともに、重大な人権の侵害でもあります。先般、拉致被害者の御家族とお会いをし、私の決意を申し上げましたが、国の責任において、全ての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くしてまいります。  また、拉致問題については、引き続き国際社会の理解と協力を求めることも重要でございます。その一環として、例えば、先般訪日されたサントス・コロンビア大統領に対しても、この問題に対する理解と協力を要請したところでございます。  今後とも、あらゆる外交上の機会をとらえて、拉致問題の解決に向けた明確なメッセージを発信していく考えでございます。  以上、御答弁とさせていただきます。(拍手)     ─────────────
  5. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) 江口克彦君。    〔江口克彦君登壇、拍手〕
  6. 江口克彦

    ○江口克彦君 みんなの党の江口克彦です。  古い話で恐縮ですが、昭和五十八年、松下幸之助さんは、元総理中曽根康弘先生から参議院議員出馬を要請されます。時に松下幸之助八十八歳。結局、二週間後に辞退しましたが、いっときはその要請を受ける決意をいたします。何せ八十八歳ですから、健康がもつかどうか私は案じましたが、松下さんは、たとえ本会議の壇上で命を落とすことになっても、お国のため、国民のためなら本望や。そのときの松下さんの烈々たる気迫には圧倒されるものがありました。  そして、それにしてもどうにもならぬなと。このままでは国が潰れてしまうで。しかし、今のやり方では根本的な解決はできぬわと。つまるところ、党を潰してでもとか官僚を潰してでもとは考えないからなと。党もおいといて、官僚もおいといて、そういう枠の中で改革しようとしとるわけやからな、国のことよりそれぞれの立場が大事ということでは、根本的な解決ができぬのは当たり前やと話してくれました。  総理は、松下幸之助さんの薫陶を受けています。この松下さんの気迫と、そして政党を潰してでも、官僚を潰してでもという改革の取組方をどのように受け止められるか。質問の前に、御感想があればお聞かせをください。  それにしても、失言する大臣、説明能力欠如の大臣に囲まれて、日々、心悩ませながら活動をされていることに深く御同情申し上げます。しかし、結局は、総理御自身の自業自得。国のことより、国民、被災者のことより党内融和を先行された報い。任命責任を素直に認められている以上、即刻、解散・総選挙を決意してしかるべきだと思います。  それでは、これから質問させていただきます。  まず第一に、菅前総理が無残な姿をさらし続けて退任したのはなぜか。論語に、温良恭倹譲が指導者の条件とあります。余りにも有名な言葉でありますので、総理はお分かりになると思いますが、要は、このいずれも前総理にはなかったからだと思います。  加えて、勝海舟の語録に、何でも己がなそうなそうというのが善くない、誰がなしてもいい、国家というものが善くなればいいという言葉がありますが、余りにも前総理は、国家国民のことより己のこと、自分だけのことを考え、オレがオレがという、自分にとらわれ過ぎた。総理は、前総理を反面教師としてとらえておられると思いますが、前総理のどこが多くの国民から批判を受け、また同志からも批判されたか、総理のお考えをお聞きしたい。  第二に、総理は、松下政経塾の第一期生であります。そのときあなたを面接したのは、私とウシオ電機の牛尾治朗会長でした。そして、一応合格されましたが、入塾して翌日、昭和五十五年四月二日、最初の講義を松下さんから受けたことは忘れ難く覚えておられると思います。そのとき、松下さんは、総理並びに第一期生に次のように話をしています。  皆さんに是非、頭に入れておいてもらいたいことがある。それは人間の把握です。人間というものをはっきり把握しなくてはならない。身近な例を挙げますと、羊飼いをしたならば、その人は羊の性質をはっきりつかんでおかないと、羊飼いとして成功しないでしょう。羊を馬だとか犬だとかと同じ性質のものだと思って飼ったならば失敗する。羊はこういう性質を持っているという羊の本質をはっきりつかんだ人でないと、羊飼いになっても成功しない。我々の社会というものは、人間お互いが飼い合いをしていると言ってもいい。したがって、皆さんも私もお互いによく認識し合わなければならない。結局、人間が人間自身を把握しなければならない。そして初めてこうしたらいいなということが分かるわけです。だから、人間の把握が一番大事です。この松下政経塾で一番最初に訴えるものは、人間というものを把握しているかどうかということです。  それでは、松下幸之助さんはどのような人間観、人間の本質を総理並びに一期生の塾生たちに話をしていたのか。その松下幸之助さんの人間観はどういうもので、それは今、総理の政治理念、政治哲学にどのように位置付けられているのか、お伺いしたい。  三番目に、税金については、総理は増税はやむを得ずとお考えのようですが、それは松下幸之助さんの教え子としてふさわしいと思っておられるのかどうか、お伺いしたい。  松下さんは、政治家の使命はいかに税金を低く抑えるかにある、増税ならわざわざ政治家でなくても誰でもできると語っていました。総理は、いや、今は非常時だと言われるかもしれませんが、松下さんは、臨時費がかさむということは、それは決して常態、普通の社会ではありません、それだけに国民の活動意欲を失わしめるようなことは絶対にしてはならない、そういう大きな仕事を国家がしなければならないときほど、国民をしてますます発奮、努力せしめるように、むしろ実質的に税金を軽くするようにしなければならないと、ある雑誌で語っています。  また、ある講演で、税金は非常に高い、苛斂誅求と言ってもいい、今の政治は非常な無駄をやっている、そういうところに大きなロスが出てくる、そのロスを全部お互いの働きから納めた税金によってカバーしているとすれば、これは非常に考えねばならない問題ですとも言っています。  このように松下さんの税金についての考え方を理解しているならば、増税を簡単に口にすることはできないと思いますが、それを簡単に口にするということでは、私は総理に松下政経塾出身者と言ってほしくない。言うならば、松下政経塾中退と言うべきだと思います。いや、それ以上に、野田君、君、総理を辞めたまえと松下幸之助さんならあなたを眼光鋭くにらみつけながら言っているのではないでしょうか。  総理、国民が大震災の復興のためには増税も我慢しようという国民の善意に政治家は甘えてはなりません。総理の税金観についてお伺いしたい。  ついでに申し上げておきますが、総理は一九九六年から二〇〇〇年まで浪人の身でありました。総理は私のところにおいでになって、臥薪嘗胆、捲土重来を期したいと相談に来られた。そこで私は、金銭的以外の協力をさせていただきましたが、総理は同志数人と志士の会をつくられ、活動を展開されました。その後、当選を果たしてからも志士の会の活動を続けられ、八人の仲間とともに総理が中心になって日本プライド構想という、言わば民主党国会議員野田佳彦の政治理念と政策を冊子にまとめられています。ちなみに、坂本龍馬の、いま一度日本を洗濯いたし申し候という言葉を多くの人が使っていますが、この言葉を最近で最初に使われたのが総理だと私は承知しています。この言葉がこの冊子にも載っています。  この日本プライド構想で、総理は日本を救う十一の政策を掲げておられる。首相公選制、地域主権型道州制、行政改革、税制改革、財政改革、サプライサイド政策による経済政策、教育の自由化などを掲げていますが、とりわけ税制改革では、所得税や法人税は国税として、将来一律の所得税率を導入することを前提に、まず税率を五%と一〇%の二段階にします。また、法人税率も個人の所得税率と同率にするのが公正です。相続税はゼロに近づけるべきです。働く意欲に対して、相続税ゼロの効果はとても大きな効果があるはずです。消費税は、道州制が実現すれば全て州の地方税にします。このお考えは基本的に変わっておられないと思いますが、併せ御見解をお聞かせいただきたい。今は情勢が違うと弁解をされるならば、総理に先見力、時代洞察力が欠如しているということになります。慎重に税金観について御答弁いただくよう、御忠告申し上げておきます。  申し上げておきますが、昨日の衆議院本会議で、みんなの党渡辺喜美代表の、松下幸之助翁は無税国家を提唱し、厳しい経済状況のときこそ減税すべきだとおっしゃいました、松下翁の考えを否定するのですかという質問に対して、総理は、今や、松下幸之助さんが想定していたよりもはるかに深刻な財政状況を招いており、これ以上の借金を将来の世代に残してしまうことは断固阻止しなければなりませんと答えられている。  何という答弁。全く松下幸之助さんの思い、危惧を理解していない。松下幸之助さんが想定していたよりもはるかに深刻とは、何たることを言うのか。この深刻さを想定していたからこそ、松下政経塾をつくったのではないですか。「崩れゆく日本をどう救うか」という本から何を学んだのですか。あなたは何を松下さんから学んだのか。何も学んでいないと断ずるを得ない。自ら政経塾の劣等生であることを自ら口にすることはやめなさい。  四番目に、道州制について、さきの日本プライド構想では、実現すべきと明確に表明されています。まさに、日本を洗濯いたし申し候とは、国の形を変えなければいけないということだと思います。  その冊子でいわく、全国一律という国の手法は、多様な価値観の実現を求める国民に通用しなくなり、各自治体は独自に住民の要望に合った施策を推し進めるようになってきた。今求められているのは、国民生活の質そのものの向上であり、個人や地域それぞれの多様性を開花することです。そのためには、地方の独自性を思い切って認め、納税も国ではなく住んでいる自治体で行い、住民がその生活の質の向上を果たすための受益と負担を肌で実感できるようにしなければなりません。そこで私たちは、道州制を導入し、日本を中央集権国家から地域主権国家へ転換させることを提言します。  まさに御指摘のとおり、全国一律、かつ霞が関による強制的行政、一極集中の中央集権体制は、もはや害こそあれ益はないと言っても過言ではありません。地方は疲弊し、寂れ、国民はやる気を喪失し、若者は無気力、自主独立の気概を失っています。  総理は、二〇〇〇年、民主党に道州制推進本部があり、その本部長が鳩山由紀夫元総理であったこと、そして議論をまとめ、区割りを含め報告書をまとめていることを御存じでしょうか。元々民主党も道州制導入については積極的で熱心でありました。  総理は道州制導入について強い意欲を秘めておられると思いますが、どのようにお考えなのか、お伺いしたい。総理の政治的信念に基づき、誠実に日本の将来、国民の幸せ、特に東北六県の被災地に思いを致し、お答えいただきたい。  五番目に、松下幸之助さんに教えられた首相たる者の三つの条件とは何かをお伺いしたい。  松下さんの「私の夢・日本の夢 二十一世紀の日本」は政経塾生の必読の書であり、したがって総理は当然承知しておられると思いますが、確認のためにお伺いしたい。また、御自身、それ以外に総理としてどのような条件が求められるとお考えか、併せお答えいただきたい。  六番目に、この国日本をどの方向に持っていこうとしているのか、国民にどのような希望、使命感を提示しようとしているのか、国家目標、国民目標についてお伺いしたい。  松下幸之助さんは、総理大臣だったら、我が国の使命はこうだ、世界に対してはこういう使命を持っている、だから国民諸君もこうあってほしいということを明らかにする必要がある、それを示さなければ、国民は日本人として自分の使命がつかめない、ところが今はそれがないから、だからばらばらですわと言っています。  また、故高坂正堯教授との雑誌の対談で、首相たる者は、日本のためにこうやるんだという確固たる信念というか目標を持って、それを思い切って国民に訴えていかなければならない、ですから、私は松下政経塾生にはそういうところを自覚させたいとも言っています。  総理は、松下政経塾の出身だというのなら、国家の使命、進むべき方向、国家国民目標が何かを示さなければならない。まして、東日本大震災の発生、歴史的な円高、危機的な経済状況、国民の間に渦巻く政治不信、こういう混迷の時代の総理は、これからの進むべき姿を明確に国民に示し、国民を引っ張っていく存在でなければならないと思います。司馬遼太郎さんの言葉を借りれば、「坂の上の雲」を国民に提示しなければならない。  この二十年後、三十年後を見据えて、どのような国家の使命、国家国民目標を提示しようとしているのか。もし、松下政経塾出身の総理が事もあろうに明確な御答弁ができないとするならば、もはや松下政経塾そのもののレーゾンデートルが問われるばかりか、三十一年の松下政経塾の歴史を閉じるべきではないか。お答えいかんによっては、天上の松下幸之助さんがそう決意されると思います。これも確認のためにお伺いしたい。  七番目に、戦後六十六年たった現在、避けて通れないのは憲法をどうするかという問題であります。我が国の進むべき方向を見定め、それにふさわしい憲法としていくことが必要であります。そのためには、まず憲法について国会において議論を進めることが必要ではないか。  民主党は、二〇〇九年の衆議院選挙のマニフェストで、国民の自由闊達な憲法論議について言及しています。それでは、総理御自身はいかがでしょうか。党の基本となる綱領を決めていない民主党は、憲法について議論を行うことを封印しているのでしょうか。さきの通常国会においては、参議院で憲法審査会規程が制定され、ようやく議論が調った状況でありますが、委員はいまだ選任されておらず、議論が始まる気配は全く感じられないのは誠に残念であります。  この状況を総理はどのように考えておられるのか、また現行憲法にどのような認識を持っておられるのか、あるいは憲法議論の必要性についてどのようにお考えか、お伺いします。  最後に、蛇足ながら、民主党代表選で民主党が好きですと叫ばれましたが、私は、野田佳彦という人には、日本が好きです、国民の皆さんが好きです、そして民主党が好きですと叫んでほしかった。代表選のこのときのこの総理の絶叫を聞いたとき、総理は民主党の代表としての資格はあるが、日本の総理としての資格はないと直感したと申し上げ、質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
  7. 野田佳彦

    ○内閣総理大臣(野田佳彦君) まず、江口議員から松下幸之助さんの教えについて何点か御質問をいただきましたが、まとめてお答えをさせていただきたいというふうに思います。  松下さんの教えについて大変精通をされている江口議員にお答えをするというのは何か久しぶりに面談を受ける感じでございますが、例えば松下さんが総理大臣を聖職中の聖職ととらえて、また、その要件として力強い信念、高い見識、責任感の厚い人とされていることを覚えております。松下幸之助さんは生涯の私のかけがえのない師でありますが、同時に、松下さんは、私が内閣総理大臣として立つこの国会の本会議というこの場、演壇においてとうとうと師の教えと私の持論を述べることについて必ずしもお喜びにならないと思います。むしろ、実行し、実践することを求めていると思います。  政治の世界には、松下幸之助さんの教えを受けた人もいます。一方、この国会には、それ以上に様々な師に学び、様々な信条を持ち、お互いに尊敬できる同志を皆様持っておられます。また、国民の皆様も同様に考えておられると思います。したがって、江口議員の御質問には、内閣総理大臣として行動をもって師の心におこたえをしていくと申し上げたいと思います。  続いて、菅前総理についてのお尋ねがございました。  菅前総理は、民主党政権二代目の総理として、また特に三月十一日の大震災という困難な時期に内閣を率いられ、震災復旧・復興、原発事故の収束、景気・雇用対策、社会保障、外交など様々な分野で重要な役割を果たされたものと思っています。  なお、菅内閣に対する評価については、今後の歴史の中で定まるものと認識をしています。  税金観等についての御質問をいただきました。  租税制度は、政府が様々な財・サービスを提供する際の財源を調達する機能、これが一番の基本中の基本の役割だと認識をしています。  残念ながら、我が国の財政の現状は、社会保障給付の財源の多くが赤字公債で賄われ、公的債務残高が増加を続けているという状況であります。こうした状況を踏まえれば、我が国の財政状況からすれば、社会保障のための安定財源確保と財政健全化の同時達成を図るための税制改革を実施することが必要であるというふうに考えております。  道州制についての御質問をいただきました。  御指摘の報告書については承知をしております。  地域主権改革においては、まず受益と負担の相関関係が一番見える基礎自治体、つまり市町村に権限と財源を集中するべきと考えます。その上で、基礎自治体だけでできない部分を広域自治体が補っていくこと、広域自治体については、当分の間、現行の都道府県の枠組みを基本と考えております。  ただし、地域の自主的な判断として、基礎自治体の足りないところを補完するための道州制については、将来的に検討していくことはあり得ると考えております。  国家目標、国民目線についての御質問をいただきました。  国民一人一人が持つ目標について総理大臣として述べることは差し控えますが、私は、この国に生まれてよかったと思える国をつくることを目標として政治に当たりたいと考えています。  例えば、中間層の厚みを持った社会をつくり、維持をすることが必要です。貧困化や格差の問題が指摘をされておりますが、仮に失敗をしてでももう一回リターンマッチができてチャンスが巡ってくる、希望の持てる社会を是非つくっていきたいと考えております。さらに、ここに生まれてよかったというだけではなく、プライドを持てる国をつくっていきたいと考えています。とりわけ、勤勉さなどの日本人が持つ人の力、我が国の国土が持つ新たな可能性、フロンティアに挑戦できる技術力など、日本が持つ未来へのダイナミックな可能性を現実のものとし、そのことを日本人が誇れるような、そういう国にしていきたいと考えております。  憲法について最後お尋ねがございました。  まず、政府として院の構成に関してお答えする立場にはございません。国会における構成と運営は各党会派で御議論をいただく問題と考えております。  マニフェストに関してでございますが、憲法の在り方については、まずは党の中でしっかり議論し、その上で与党、しかる後に与野党間で協議をしていくべきものと考えており、憲法審査会の始動の問題も同様と考えております。  また、内閣総理大臣の立場として、憲法を遵守し、現行憲法の下で政府として最善を尽くす決意であります。喫緊の課題が山積する中で、野田内閣としては憲法改正問題を今最優先と考えているわけではございません。  なお、民主党は党の綱領的文書において私たちの基本理念を法令に基づいて届けておりますが、その中において、特段、憲法論議について封印はしておりません。  以上、答弁とさせていただきます。(拍手)
  8. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) これにて午後一時まで休憩いたします。    午前十一時二十分休憩      ─────・─────    午後一時一分開議
  9. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  日程第一 国務大臣の演説に関する件を議題とし、質疑を続けます。松山政司君。    〔松山政司君登壇、拍手〕
  10. 松山政司

    ○松山政司君 自由民主党の松山政司でございます。  自由民主党・無所属の会を代表して、野田内閣総理大臣に質問をさせていただきます。  最初に、東日本大震災、そして先般の記録的な集中豪雨や台風の災害によって亡くなられた方々の御冥福を改めてお祈りいたします。また、それら自然災害による被害、そして福島第一原子力発電所の事故の影響でいまだ不自由な暮らしを余儀なくされている多くの被災者の方々、さらには、深刻な風評被害で苦しまれている現地の方々に心からお見舞いを申し上げます。  さて、九月十三日の野田総理の所信表明演説と、それに続く衆参両院本会議における代表質問を拝聴をいたしました。昨日も、我が党の中曽根議員会長が、政権交代以降の民主政権の政策や政権運営に関して総括をし、厳しい評価を下すとともに、野田政権の先行きに非常に強い懸念を示されました。  私の思いも中曽根議員会長と全く同じであります。同時に、今の国会の議論を被災地から見れば、一種の違和感も覚えるのではないでしょうか。その違和感とは、震災後六か月も経過した時点でこんなやり取りをしていていいのだろうかということであります。あれほどの大地震と津波により甚大な被害を受けた日本国の立法府である国会が、震災から半年もたった今、まだこんな議論をしていていいのかというもどかしい思いであります。  自分も既に何度も現地に入っておりますが、現地の方々の悲痛な叫びと政府・与党のスピード感のなさとのギャップには、私自身もいら立ちを覚えます。  この危機的状況に政治の空白をつくってならないと言い続けた菅前総理の、言ってみれば被災地の方々を人質に取ったかのような居座りのために、復興はかえって遅れてしまいました。震災前には退陣寸前だった菅政権にとどめを刺さなかったばっかりに、被災者の皆さんを逆に一層苦しめることになってしまった、私にはそんな後悔の思いが込み上げてまいります。何としてでも菅総理を引きずり降ろし、総選挙に持ち込み、国民の信任を得た政権で一気に復旧・復興への道筋を付ける、たとえ一時的な空白があったとしても、結局はその方が早道だった、そんな反省の思いがあります。  しかし、こうなってしまった以上、野田総理の下で速やかに懸案を処理し、国民に信を問うべきと考えておりましたが、何と野田総理は、今国会、震災復興や財源問題だけでなく、円高対策、外交、防衛、数多くの懸案があるにもかかわらず、会期を四日間とすることを強行的な多数決で決めてしまいました。  このことだけを取っても、残念ながら前総理と同じように、野田総理にも震災復興そして日本再生への気概と覚悟が欠如している、明々白々であります。それが分かった以上、私たちは断固たる態度で野田政権に対峙してまいる所存であります。  本日午前中に、三十日まで会期を延長することになったようであります。我々にとっては不十分な会期ではありますが、その会期の中でしっかりと野田政権の政策をただしてまいりたいと考えます。各大臣におかれましては、真摯に議論に応じていただきますようにお願いを申し上げる次第であります。  さて、具体的な質問に入っていきたいと考えますが、その前に、総理の所信表明演説において一つだけ指摘をさせていただきたいと思います。それは、あの所信表明演説の中にマニフェストのマの字も出てこなかったということであります。これはある意味、画期的な事実であります。  さきの衆議院選挙において民主党が高らかに掲げ、結果的に国民をだまし政権交代をもたらしたマニフェストですが、これは明らかに実現不可能なものでした。マニフェストという言葉自体を野田総理が使われなかったことは、民主党三代目の総理にしてやっとこれを引っ込められたものと推察をいたします。そして、そうであるならば、国家国民のために大変喜ばしいことと存じます。  どうか野田総理には、絵にかいたもちに終わったマニフェスト政治の過ちを大いに反省していただき、その上で今年八月の三党合意などの公党間の約束を遵守していただかなければなりません。  本日、私は、野田新内閣の内政問題、特に経済、財政、税制、TPP、そして円高などへの問題を中心に質問をし、我が党の政策と比較をしつつ、これまでの民主党の政策の問題点を指摘させていただきます。どうか国家国民の幸福のために、前向き、建設的な野田総理のお答えをいただきますよう、よろしくお願いいたします。  では、まず第三次補正予算について伺います。  これまで震災対応のため、五月に四兆円の第一次補正予算、七月には二兆円の第二次補正予算を編成をいたしました。いずれも当面の復旧のための必要な応急措置の予算であります。  本格的な復旧・復興のための第三次補正予算は、その必要性が長らく叫ばれていたにもかかわらず、来月、十月にならないとその姿が見えてこない状況であります。ここまで遅れた原因は、言うまでもなく、菅前総理が自らの保身のための時間稼ぎとして中途半端な第二次補正予算を編成したからであります。しかし、第三次補正予算の一刻も早い編成が待たれる状況の中、この臨時国会を短期で閉会してしまうという野田総理も、復旧・復興を故意に遅らせているという意味では菅前総理と全く同罪であります。  この状況下では、本来は政府原案ができ次第すぐに審議に入れるように国会を開いておくというのが至極当然ではありませんか。なぜ国会を一度閉じるんでしょうか。恐らくどのような説明をもってしても我々は納得できませんが、最大限誠意ある回答を求めます。そして、次の国会はいつ召集するお考えでしょうか。第三次補正予算の編成状況と併せてお答えをください。  我々自由民主党では、既に七月の第二次補正予算の段階で、被災地の本格的な復旧・復興と日本経済全体の再生のため、総額十七兆円の補正予算を編成をいたしました。具体的には、被災地の早期復旧、被災者の生活支援、被災地の産業再生、被災地自治体の支援、原発事故対応、災害に強い国土づくり、そして我が国産業の基盤強化など様々な項目にわたって、それぞれ一兆円から数兆円の大胆な対策を打つものです。与野党の徹底的な議論と対話を唱える野田総理は、今回の第三次補正予算の編成に当たって、当然こうした野党の提言も参考にされていることと存じます。  そこで、伺いますが、総理は、この自民党の補正予算案をどのように評価をされ、どのような点を政府案に生かしていくか、お考えをお聞かせください。  政府の第三次補正予算は十兆円以上の規模になると言われております。第二次補正予算の二兆円と合わせて十二兆円以上ということになります。それでも我々の十七兆円の補正予算より相当少ないわけですが、この中に、本格的な復旧・復興のための対策と、経済対策が入るわけです。それぞれ十分に行えるのかどうか、大変疑問です。  総理、十兆円以上という第三次補正予算の規模、何を根拠に出てきたんでしょうか。そのうち、どの程度が復旧・復興、どの程度が経済対策に充てられるのか、現時点のもので構いませんので、見通しをお教えください。  第三次補正予算では、被災地の復旧・復興を図ることと併せて、全国的な災害に強い国土づくりのため社会資本整備を行うことが肝要であります。自民党の補正予算では、災害に強い国づくりとして、港湾、空港、道路等の整備、孤立地域対策、学校の防災拠点化、耐震補強など、三兆円を措置するというように提案をしています。  政府案にも当然、被災地のみならず、全国を視野に入れた防災社会資本整備が盛り込まれることと思いますが、その基本的な考え方、具体的な施策、予算規模をそれぞれお聞かせください。  また、政府は、今年度予算で全国の公共事業について一律五%の執行留保を行っています。これは三千億円に相当し、留保した額は被災地の港湾、道路などインフラ整備に充てるためだということでした。  そこで、お伺いします。  執行留保した予算のうち、既に実際に被災地に使われた額は幾らでしょうか、お答えください。もし多くが使われていないのであれば、単に執行を留保してため込んでいても何の意味もありません。直ちに留保を解除すべきです。必要な額は、第二次補正予算で計上した八千億円の予備費や第三次補正予算で手当てすれば済むことでございます。この点について、総理の見解を求めます。  次に、復興のための財源でございます。  財政事情が厳しい中、復興財源は、税制措置のほか、歳出の削減、国有財産の売却、公務員人件費の見直し等々で捻出することを総理も表明されています。税制措置は、政府税調が週内にも案を提示すると伺っております。税外収入についても、四兆円は確保できるなどと伺っております。しかし、様々な情報が錯綜しておりますので、総理、全体像を整理をして、今後の決定プロセス、スケジュールをお示しください。中でも特に、公務員人件費の見直しは必ずやるということでよいですね。念のため確認させていただきます。  自民党では、さきに述べた十七兆円の補正予算のみならず、震災の発生直後から数多くの提言を取りまとめて政府に申し入れてきました。提言は、第一次から第三次までだけでも五百七十七項目という提言、それ以降も含めると八百項目を超える数に上ります。  それに比べ、政府の震災対応の貧弱さは目を覆うばかりでありました。もちろん、実際に被災地に駆け付け、献身的な活動をされた自衛隊、消防、警察、そして国土交通省東北地方整備局、それらの方々の御活躍は実にすばらしいものでした。しかし、それを支えるべき政府の予算案や法案は、ツーリトル・ツーレートと酷評されたように、余りにも中身が薄く、遅きに失するものでした。  そのため、我が党を含む野党が提出する議員立法、修正案の方が政策面でも質の高いものであり、政府・与党がそれを丸のみして成立をさせるという状況に至ったのでございます。  自由民主党が原案を作成し、ほぼそのままの内容で成立した法案は、復興再生基本法、津波対策推進法、原子力損害賠償仮払い法など、数多くあります。また、被災地に明日を生きる希望を持っていただくために大変重要な、被災者の方々も待ち焦がれている二重ローンの救済法案、私学災害復旧助成法案、そして災害臨時交付金法案、参議院を通過をし、現在、衆議院で審議中であります。  野田総理、このように野党が政策を立案し、政府・与党がそれを追認するという状況を情けないとは思いませんか。なぜ、このようなていたらくになってしまっているのでしょうか。総理の考えるこれまでの総括をお聞かせをください。  また、二重ローンの救済法案、私学災害復旧助成法案、災害臨時交付金法案、これらは衆議院での審議、採決を残すのみであり、我々参議院としては、当然、この緊急かつ重要な法案、今臨時国会で成立させていただけるものと信じています。政府の対処方針を明確にお示しください。  もう一点、原発事故による緊急時避難準備区域の病院では、職員や患者が激減し、地域医療が壊滅の危機にある中、九月十三日閣議決定をされた仮払い法施行令では医療機関が対象外とされました。東電の本払いはいまだ端緒にも就いておらず、このままでは来月にも医療機関が次々と倒産してしまいます。今国会中に対応すべきだと思いますが、総理のお考えをお伺いします。  ここから震災対応以外の政策について質問をしたいと存じます。  まずは、円高対策です。  総理も所信でお述べになりましたが、今日のような歴史的な円高が続くと、輸出企業がダメージを受けるのみならず、中小企業、下請企業、多くの企業が海外に生産拠点を移し、国内産業の空洞化、雇用問題の深刻化が進むおそれがあります。  実際、NHKの調査で、大手企業の三割が工場の海外移転を考えていると結果が出ており、経済産業省の調査でも、このまま円高が半年間続くということになれば、大企業の四六%が製造、研究開発拠点を海外に移すと答えています。何としても早期に対策を取る必要がございます。  総理は、財務副大臣、財務大臣と経験をされ、この問題に精通をされているはずです。その総理が所信で述べられた円高対策は、立地補助金の拡充、円高メリットの活用など、円高を前提とした政策であります。もはや円高自体の是正は不可能というお考えのように見受けられます。  そこで、伺います。  円高メリットの活用というのは、円高を容認するということですね。そうでないなら、円高自体を是正する方策として介入以外にお考えになっているものは何か、お聞かせをください。  次に、環太平洋戦略的経済連携協定、いわゆるTPPについて伺います。  総理は、来週訪米し、オバマ大統領と首脳会談をされると伺っております。その場では、日米同盟の将来像や円高問題等に加え、TPPに関しても話合いが行われるかもしれません。しかしながら、国内でのコンセンサスがない段階で、よもや前のめりに積極的な姿勢を示されることがあってはなりません。また、今年十一月にはハワイでAPECが開催をされ、米国はそこでの大枠の合意形成を目指しているとされます。私は、そこで国内の合意もないままにTPPへの交渉参加表明が行われることがないか、大変懸念をいたしております。  総理、TPPに関して、国内でのコンセンサス形成をどのように行っていくお考えでしょうか。また、国内でのコンセンサスがないままに交渉参加を表明することがないと確約をしてください。  TPPに加入した場合の効果に関しては様々な見方があります。内閣府、農林水産省、経済産業省、それぞれTPPの効果を試算していますが、一致した見解は得られていません。しかしながら、私は、歴史的な円高が進み、震災や原発事故からの復興も進んでいない現状においてTPPにおいそれと加盟することは、我が国の農業や食料安全保障にとって破滅的な結果をもたらすのではないかと危惧いたします。  農林水産省の試算では、TPPに加盟した場合、米の生産は九割減少すると、三百四十万人の雇用が失われ、食料自給率は一四%に低下をするというふうに言われています。これは、我が国の農業や地域社会の崩壊を意味します。野田総理からも、農家の末っ子同士の間に生まれた子供とおっしゃるのでありますから、何が起こるか実感としてお分かりになると思います。  また、食料安全保障を考えても、食料自給率一四%という事態は容認できません。食料価格の高騰や急激な為替変動に対して脆弱な国家となり、外交的な立場も弱くなります。お金を払い、頭を下げて外国から食料を輸入する国家となるわけです。紛争や災害、どんな緊急事態が世界中で起こるか分かりません。そうならないように、国家戦略として食料自給率五〇%を目指しているのではありませんか。TPPへの加盟は、その目標と明らかに矛盾をします。  一体、政府として総合的にTPPの経済効果や雇用に関する影響をどう考えているんでしょうか。各省の見解ではなく、統一見解を総理からお示しください。当然、最近の円高や震災の影響も織り込んだ数字を示していただきたいと存じます。もし今日この場で示せないのであれば、いつまでに出されるのか、時期を明示していただきたい。  また、政府が閣議決定している食料自給率五〇%という目標とTPPへの参加は矛盾しないのでしょうか、お答えください。  TPPについては、拙速に結論を出すのは、十分に議論を重ね、コンセンサスを形成することが何よりも大切であると再度指摘をさせていただきます。その前提として、政府から偏りのない情報を分かりやすい形で提供していただきますよう、お願いをいたします。  次に、社会保障と税の一体改革について伺います。  菅政権において鳴り物入りで始まった改革でございます。しりすぼみに終わったとの印象は拭えません。  総理は、所信で、菅政権が取りまとめた政府・与党の社会保障・税一体改革成案を土台として、真摯に与野党での協議を積み重ね、次期通常国会への関連法案の提出を目指しますと述べられました。しかしながら、与野党の真摯な協議を言う前に、民主党内、そして連立与党内の中でどの程度コンセンサスが取られているのでしょうか。民主党内の都合で表現を曖昧にし、さらに閣議決定ではなく閣議報告という軽い扱いにしておいて、野党には真摯に協議せよと言うのは虫がよ過ぎるのではありませんか。  社会保障と税の一体改革について、民主党内、そして連立与党内では完全にコンセンサスが取れていると理解していいですね。お答えをいただきたいと存じます。  もし、民主党内、連立与党内に異論がある状態であるならば、野党に協議を呼びかけるのは、その意思を完全に統一をしてからにしていただくよう、お願いをいたしておきます。  消費税問題に関しては、政府・与党の一体改革案では二〇一〇年代半ばまでに段階的に一〇%まで引き上げるといった表現で、引上げ時期がぼかしているのは納得できません。選挙を控え、政権与党が国民に耳障りな増税を主張するのを避けたとしか思えません。  野田総理は、消費税に関して、総理就任後に発行された「Voice」十月号の「わが政治哲学」の中で、選挙での敗北を恐れる余りに、政治家自らが増税や社会保障の改革の議論をタブーとしてしまう無責任な在り方には断固としてノーを言わなければならないと主張しています。  総理には、この場でも断固として自らの主張をしていただきたい。消費税を、いつ、どれだけ引き上げるのか、理由とともにお答えをください。  税制改革に関連して、燃油の免税措置廃止の問題について伺います。  現在、農林水産業に使用する軽油については軽油引取税が、A重油については石炭石油税が免除されています。これらの免税措置は共に来年三月までで終了する予定となっており、継続が危ぶまれています。農林水産業など、地域経済の基幹的な多くの産業で大きな負担増となる甚大な問題であります。  特に、被災地はもちろんのことでありますが、漁業関係者にとっては、経費の四割が燃油代であり、まさに死活問題です。ただでさえ魚の価格も安くなり、漁具や油代は高くなるという逆境の中で、何とか生計を維持しているのが零細漁業者の現状です。免税が廃止をされれば、多くの沿岸漁業者が廃業に追い込まれるおそれがございます。  政府税調でも当然検討の俎上に上っていると思いますが、燃油免税措置の廃止の問題に関して、急激な負担増を回避する観点から、制度を恒久化して地方経済の安定と活性化につなげていくといったお考えがあるのかどうか、お聞かせをください。  震災直後に東北の被災者の方々から伝わってきた我慢強さ、そして秩序のある行動、さらには自分のことを後回しにして隣人のことを思いやる心は、世界の人々を日本人ここにありと驚嘆をさせました。我々は必ずやこの国家的危機から立ち上がる力を持っているんです。  我々自民党、今後とも国民のため、また被災者のため、全身全霊を傾けてこの危機的状況に対処してまいります。そのために、野田政権に対しても是々非々の姿勢で向き合う所存でございます。  野田総理も、所信で、与野党が徹底的な議論と対話によって懸命に一致点を見出すことを呼びかけました。我々自民党も望むところでございます。どうか、野田総理は、演説で表明されたこのことを、言葉だけではなく行動に移していただきたい。逃げずに、ごまかさずに、徹底的に我々と議論をして、一致点を見出すこと、努力をしていただきたい。  短期間で逃げるように国会を閉じ、土に潜ってしまうのではなく、正々堂々と頭を出して我々と真正面から向き合ってください。そのことを最後に強く強く主張させていただき、私の質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
  11. 野田佳彦

    ○内閣総理大臣(野田佳彦君) 自民党の松山議員の質問に順次お答えをしてまいります。  まず、国会の会期及び第三次補正予算についてのお尋ねがございました。  国会の会期については、国会において各党各会派でお互いの主張に基づき議論が行われ、その上で適切なルールに従って決められるものと理解をしております。  また、第三次補正予算については、政府として、大震災からの本格的な復旧・復興、原発の収束、円高対策を含めた経済対策に取り組むため鋭意準備中でございます。今後、各党会派の御協力をいただき、与野党の御意見をお聞かせいただきながら編成作業を完了し、国会に御提出して、一刻も早く被災地の本格的な復旧・復興に邁進をしたいと考えております。次なる国会は、その準備状況を踏まえて対応させていただきたいというふうに思います。  続いて、自民党提言についての御質問をいただきました。  七月八日に公表された自由民主党の中間報告については、有益な御提言と受け止めており、復旧・復興に係る基本的な考え方や施策の柱立てが政府の復興基本方針とも共通する部分が多くあったと認識をしています。  現在、復興基本方針に沿って本格的な復興予算である第三次補正予算を急ぎ編成をしているところであり、いずれ野党の皆様にも御協力をお願いをしてまいりたいと考えております。  第三次補正予算について御質問をいただきました。  第三次補正予算については現在精査中であり、今後、与党及び野党と調整をしていく必要があることから、具体的な金額についてはまだ固まっておりません。  他方で、復興の基本方針においては、日本経済の再生なくして被災地域の真の振興はないとの認識の下、空洞化対策や輸出企業支援策が幅広く盛り込まれており、こうしたものについても十分に措置をしていくことが重要であると考えております。今後、財源も含め調整を図り、できるだけ早く第三次補正予算の内容を固めてまいります。  全国防災事業と執行留保についての御質問もいただきました。  復興基本方針においては、緊急性、必要性が高く、即効性のある全国防災事業を実施することとされております。こうした考え方に沿って、第三次補正予算においても緊急性等が高い全国防災事業について盛り込む方向ですが、具体的な金額についてはまだ固まっておりません。  公共事業関係費等の執行留保については、基本的には五%相当額について現段階でも留保をしています。今後、各方面と第三次補正予算の調整を図る中で、その取扱いについても固めてまいります。  復興財源についての御質問をいただきました。  復旧・復興財源については、復興の基本方針において、第一次、第二次補正予算等における財源のほかに十三兆円程度を確保することとしております。この基本方針では、歳出削減、税外収入で三兆円程度と仮置きされておりますが、税制措置の規模を圧縮するため、歳出削減や国有財産の売却等による財源捻出の努力をできる限り行ってまいります。  同時に、時限的な税制措置については税制調査会で複数の選択肢を議論しているところであり、復興対策本部に報告した上で、与野党間での協議を経て同本部で決定することとしております。  公務員人件費の見直しは、特に給与について国家公務員の給与減額支給措置を講ずる法案を国会に提出をし、御審議をお願いをしているところでございます。  政策立案の在り方についての御質問をいただきました。  政権として、常にベストと考える法案を国会に提出をしております。その上で言えば、政府案の提出に加え、野党からも議員立法等が提出をされ、与野党間で活発な議論を通じて合意形成が行われるという政策ごとの協議と連携の姿は、むしろ現在の国会情勢に基づき国会の機能を発揮する手段として積極的に評価すべきものだと思います。  震災からの復旧・復興、原発事故の収束、そして経済金融危機の克服など、与野党が協議を積み重ねて法案成立に向け合意形成すべき事柄は山積をしています。建設的な御提案と御協力を改めて是非お願いを申し上げます。  二重ローン救済法案、私学災害復旧助成法案、災害臨時交付金法案についての御質問をいただきました。  二重ローン救済法案については、現在審議中であり、与野党間においても引き続き協議が続けられているものと承知をしておりますが、いずれにせよ、政府としては二重債務問題に対する対応を迅速に進めてまいります。  私学災害復旧助成法案については、災害復旧に係る財政援助の在り方等、様々な観点から慎重に検討すべき事柄を含んでいると考えていますが、いずれにせよ、現在継続審議中であり、与野党間において引き続き協議が続けられているものと承知をしています。  災害臨時交付金法案については、政府としては、補正予算を含む全体像の中で整合性の取れた交付金の制度を検討すべきものと考えております。  医療機関の損害賠償に関する御質問をいただきました。  厳しい状況に置かれている緊急時避難準備区域等の医療機関を支援をすることは大変重要な課題と認識をしています。東京電力は、緊急時避難準備区域等の医療機関への原子力損害賠償について、九月中の受付開始、十月中の支払開始を目指して、現在医療関係者との間で協議を行っていると聞いています。  東京電力に対し、早期に賠償の支払を行うよう医療関係者との協議を加速することを促すとともに、その状況を注視しつつ、必要に応じて仮払い法での対応を検討してまいります。  また、医療機関の資金繰りへの支援や、県や関係団体と連携した医療従事者の派遣等を行うことにより、緊急時避難準備区域等の住民の方々に必要な医療が確保されるよう全力で取り組んでまいります。  円高対策についての御質問をいただきました。  為替市場において一方的に偏った円高の動きが続いていることを懸念をしております。市場において投機的な動きがないかを注視し、あらゆる措置を排除せず、必要な場合には断固として行動する考え方に変わりはありません。  また、円高に対する政策対応としては、八月二十四日に、外為特会のドル資金を活用する円高対応緊急ファシリティーを発表したところでございます。これを迅速に実行し、民間円資金の外貨への転換を促進することにより、円高メリットを活用しつつ、為替相場の安定化が図られるものと考えます。  さらに、急速な円高による産業の空洞化を防ぎ、国内雇用を維持していくため、金融政策を行う日本銀行と連携をし、あらゆる政策手段を講じてまいります。  TPPについての御質問をいただきました。  TPP協定については、随時、関係国との間で情報収集や協議を行ってきております。その結果得られた情報については、国益を確保する観点から様々な検討、分析を行うとともに、国民の理解を深めるため、可能な限り説明に努めてきており、今後とも努めていく考えでございます。  八月十五日に閣議決定した政策推進の全体像にあるような広範な視点を踏まえ、TPP協定への交渉参加については、しっかりと議論をし、できるだけ早期に結論を出します。  食料自給率、経済や雇用とTPPとの関係についての御質問をいただきました。  経済連携と食料自給率との関係については、昨年十一月に閣議決定をした包括的経済連携に関する基本方針において、高いレベルの経済連携の推進と我が国の食料自給率の向上や国内農業・農村の振興とを両立させ、持続可能な力強い農業を育てるための対策を講じることとしております。  経済連携は、国と国との結び付きを経済面で強化する取組であり、世界経済の成長を取り込み、産業空洞化を防止していくためにも欠かせない課題と認識をしています。  TPPについては、我が国は現段階では協定交渉に参加しておらず、仮に我が国がTPP協定に参加した場合に、どの分野にどのような影響があるかを具体的に示すことは困難ですが、EPAについての国民各層の議論の材料とするため、これまでも一定の前提を置いてTPP協定を含めた各種EPAに関する様々な試算を提示してきたところでございます。引き続き、関係国との間で情報収集や協議を進め、その結果得られた情報の検討、分析を行うとともに、国民の理解を深めるため、可能な限り国民への説明に努めてきており、今後とも努めていく決意でございます。  社会保障と税の一体改革についての御質問をいただきました。  社会保障・税一体改革成案は、本年六月の政府・与党社会保障改革検討本部での決定に当たり、政府はもとより、連立与党としてもこの成案を基に各党協議を進めることについて了承が得られております。社会保障と税の一体改革はどの内閣であっても先送りできない課題であります。御党を始め、各政党が与野党協議に御参加いただきますよう、改めてお願いを申し上げます。  消費税率の引上げ時期等についての御質問をいただきました。  社会保障・税一体改革成案においては、社会保障給付の規模に見合った安定財源の確保に向け、まずは二〇一〇年代半ばまでに段階的に消費税率を一〇%まで引き上げ、当面の社会保障改革に係る安定財源を確保するとされております。具体的な税率の引上げ時期等については、今後、政府・与党内の議論及び与野党協議等を踏まえ、改革の具体化を図る中で決定をしたいと考えております。  農林水産業に使用する軽油等に係る免税措置についての御質問を最後にいただきました。  軽油やA重油に係る各種の免税措置の期限切れ後の取扱いについては、今後、税制調査会において、現下の経済情勢や国と地方公共団体の財政状況も考慮しつつ、それぞれの政策の合理性や有効性等について総合的に検討した上で結論を得てまいります。(拍手)     ─────────────
  12. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 柳田稔君。    〔柳田稔君登壇、拍手〕
  13. 柳田稔

    ○柳田稔君 私は、民主党・新緑風会の柳田稔でございます。  ただいま議題となりました野田総理大臣の所信表明演説に対し、会派を代表して質問いたします。  冒頭、一言申し上げます。  東日本大震災及び福島原発事故から半年が過ぎました。お亡くなりになられた方々及び親族の皆様に改めてお悔やみを申し上げます。また、今なおふるさとを離れて避難所などでの不自由な生活を強いられている約八万二千人の方々にもお見舞いを申し上げます。新たな政権のスタートとともに、内閣と党を挙げて早期の原発事故の収束、震災復旧・復興に全力を挙げて取り組むことを与党の一員としてお約束申し上げます。さらに、さきの台風十二号による豪雨の被害に遭われた方々に対しましても、心からお見舞いを申し上げます。  さて、我が民主党政権は、二年前の本日、九月十六日にスタートいたしました。我が国にとって政権交代は正しかったと私は思います。過去の政治から脱却し、新たな政治、国民の生活が第一を実現することは本当に大変なことだったと実感をいたしております。一歩ずつ進んでいるわけでございますが、一方、一年ごとに総理大臣が交代するということは国民の皆様に大変申し訳ない結果と言うしかございません。  そこで、まず最初にお聞きします。  三人目の総理として、民主党政権が崖っ縁に立っているとの危機感を持って政権運営に当たるお気持ちはおありだと思いますが、総理の決意をお聞かせください。  次に、政治姿勢について伺います。  所信表明演説の中で、政治に求められているキーワードとして「正心誠意」を強調されました。自らの心を正し、政治家としての良心に忠実に、国難に立ち向かう重責を果たしていく決意を込めたものと思います。同時に、総理は、国民の声に、心の叫びに真摯に耳を澄ますとも訴えています。まさにその言やよしでございます。しかし、せっかくの良い言葉も、実行を伴わないと、ただのたわ言に終わってしまいます。総理は、民主党の代表選におきまして、自らをドジョウに例え、泥臭くても粘り強く政治に取り組む考えを主張されました。謙虚な人柄がにじみ出たものと多くの同僚議員の共感を呼んだのは事実でございます。言葉に出す以上は、断固実行あるのみであります。  総理が敬愛する維新の英傑西郷隆盛は、尾辻副議長、私の郷里鹿児島の大先輩でございます。野田総理の政治信条を改めてお聞かせください。  野田内閣が抱える最大の課題は、言うまでもなく、大震災の復旧・復興であり、原発事故の収束であります。特に、所信表明演説の中で、福島の再生なくして日本の信頼回復はありませんと宣言されましたが、私も全面的に賛成いたします。  といいますのも、私の選挙区広島県は、長崎県と並んで一九四五年八月に原子爆弾投下によって多大なる被害を受けたからであります。今は百万都市広島市となっていますが、被曝の被害は六十五年が過ぎた今でも残っています。放射性物質による汚染には、人知を超えたものがあることは否定はできません。とりわけ、子供たちや妊婦の方々の被害に深く考慮すべきであります。その意味で、総理が除染に力点を置き、健康管理に優先的に取り組むことを表明されたのは的を射たものでございます。  一度ならず三度も「ヒバク」に直面した国民の心の痛みを忘れてはなりません。改めて、放射性物質対策に取り組む覚悟のほどをお示しください。  次いで、復興対策を加速させなければなりません。そのためには、第三次補正予算を早期に成立させ、被災地に資金を投入しなければなりません。その際に気になるのは、財源のつくり方であります。  総理は、歳出の削減、国有財産の売却、公務員人件費の見直しを列挙した上で、時限的な税制措置に触れておられます。これは、これまでの発言の流れでいえば臨時増税にほかなりません。そのとおりでよろしゅうございますか。  その上でお尋ねします。  総理は、増税の具体的な税目や期間、年度ごとの規模について、政府及び民主党税制調査会の審議で得る複数の選択肢から選ぶと表明されています。今のところ、所得税、法人税の基幹税で九兆円規模の臨時増税を予定していると伝えられております。また、増税の規模を圧縮するために、日本郵政株式の売却も検討していると報じられています。実際のところはどうなのか、率直に語っていただきたいと思います。  次に、財政再建について質問します。  急激な円高、国際金融市場の不安定化などが起き、産業の空洞化、財政の悪化により、国家の信用が損なわれようといたしております。財政再建は早急に取り組むべき課題であります。  総理は、財務副大臣、財務大臣として二年間にわたり我が国の財政の対応に取り組んでこられました。最も財政金融事情に通じておられると思います。国の歳入が半分を国債に依存し、そのため国の債務残高が一千兆円に迫る危機的な状況にあると指摘されていますが、このことは私も十分に理解しております。  総理は、こうした状況を打開するために、財政再建のために取り組む三つの道を示されました。すなわち、政治と行政が襟を正す歳出削減の道、経済活性化と豊かな国民生活がもたらす増収の道、そして、将来世代に迷惑を掛けないために更なる国民負担をお願いする歳入改革の道でございます。  言葉遣いに大いに気を遣っているのがよく分かります。しかし、歳入改革とは、ずばり増税ではないでしょうか。遠回しに言うのではなく、率直に新たな国民負担を求めるための増税に言及すべきだと私は思います。復興財源の必要性を訴えるところでも、時限的な税制措置という表現であえて増税の言葉を避けているような気がいたします。なぜ率直に増税と言わないのでしょうか。  総理は、就任後の九月十日に発売された月刊誌「Voice」の中で「わが政治哲学」と題する論文を発表されました。これは、財政再建を先延ばししていたら日本に大きな危機の波が到来しないとも限らないと指摘、その上で、一般消費税の導入を総選挙で主張した故大平正芳総理を高く評価し、選挙での敗北を恐れる余りに政治家自らが増税や社会保障改革の議論自体をタブーとしてしまうような無責任な在り方には断固としてノーを言わなければならないと明言しております。  国会の場でこそ国民に向かって率直に語るべきではないでしょうか。世間では、財政規律とか財政再建路線という言葉は、もはや増税そのものを意味することで定着いたしております。野田総理が繰り返し強調されているように、次の世代に負担を先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯し、負担を分かち合う、このことを国民に対して真剣に求めるならば、きちんと増税が必要であること、その理由はこうだ、そして、その前段階で何をすべきであるかを腹を割って話してこそ、初めて共感を得られると思います。この場でいま一度、総理の見解を明確にお示しください。  財政再建の前提としての行政刷新についてお聞きします。  総理も所信表明演説の中で述べられておるように、六十年以上を経たにもかかわらず、行政刷新は道半ばでございます。精査すればかなりの無駄が洗い出せます。こうした行政の無駄をつくる原因は一体どこにあるとお考えですか。私は、国会議員、公務員を含めて、既得権益にすがりついていることが原因の一つだと考えています。  人件費や定員の削減によって無駄を省くのが必要なことは分かっています。しかし、現状が変わらないのはこれまでの政治の怠慢だと思います。財政再建の前提として行政刷新は避けて通れません。総理の覚悟を伺います。  次に、今を生きる世代、若者についてお聞きします。  これからの日本を担っていくのは、若者世代であります。総理の所信表明にもありましたように、若い情熱は希望と誇りある日本を再生するために不可欠です。しかし、若者を取り巻く状況は大変厳しいものであります。昨年の二十四歳以下の完全失業率は九・四%となっています。全年齢の完全失業率が五・一%であることを考えますと、非常に高い数字です。加えて、フリーターの数は百八十三万人と前年から五万人増加しており、不安定な就労に従事している若者の数も多くなっています。国会に提出されています改正労働者派遣法案は、派遣労働者の雇用の安定や待遇の改善を目指したものでありますが、審議は一向に進んでおりません。総理は、若者の失業率、若者の正規雇用化に関してどのようにお考えでしょうか。総理の進める全員参加型社会における若者の雇用についてお聞かせください。  また、新卒者の就職環境についても、この数年、非常に厳しいものとなっています。今年三月卒業の就職内定率は、大学については過去最低の九一%であります。来年の就職環境も厳しいものが見込まれています。就職が厳しくなれば、その分、就職活動への準備も早まるでしょう。そうなれば、就職活動の比重が大きくなり、大学教育の意味は低下してしまいます。卒業後三年以内の既卒者採用を促進する新卒者就職実現プロジェクトはありますが、就職活動の厳しさは変わりません。総理は、グローバル人材の育成や自ら学び考える力を育む教育など、人材の開発を進めるとおっしゃっていました。総理の大学教育、高卒、大卒の新卒者の就職についての御所見をお伺いします。  若者の雇用への不安は、年金の納付率低下にも表れています。昨年度の二十代の年金納付率は五〇%を割り込みました。働きたくても働けない、払いたくても払えない、その上、払っても本当に年金はもらえるのだろうかという年金制度そのものへの不信感が高まっています。総理は、現在の若者に対し、年金制度をどのように説明されますか、お聞かせください。  さらに、雇用問題は、若者から家族をつくる機会を奪い、少子高齢化の一因となっています。震災後、絆の重要性が見直されていますが、私たちが絆という言葉から真っ先に思い浮かぶのが家族の絆ではないでしょうか。福島の高校生たちの言葉にあった、働き、結婚し、子どもを産み、育てる、このことは日本中の若者の願いであることを申し添えておきます。  総理は、ドジョウが金魚のまねをしてもしようがない、金魚にはなれませんとおっしゃっていましたが、ドジョウにもなれないと苦しんでいる若者がいるのです。泥臭く粘り強く生きようにも、活躍する場所が少ないのです。このような状況にある若者世代が、この国に生まれてよかったと心から実感できるようにするためには、どうすればよろしいのでしょうか。もし、今総理の目の前に、就職に悩み、自分の将来を憂えている若者がいるとしたら、どのような言葉を語りかけますか。総理の思いをお聞かせください。  次に、総理は、中間層を分厚くすることの大切さを力説されました。  日本の高度成長を支えたのが中流とも言われた人々であるのは間違いありません。総理は、今の日本が直面している貧困化や世代間格差の背景に中間層からこぼれ落ちた人々がおり、失望や怒りによって社会の不安定化を招いているとの認識を示されました。私も全く同感であります。では、どのような手だてによって再び分厚い中間層をつくり出していくのか、具体策こそが求められているのであります。この点について、総理の御見解をお聞きします。  総理の演説の中で私が注目しましたのは、新しい日本のフロンティアの開拓の方策について言及された点であります。具体的には、海洋資源の宝庫と言われる周辺海域の開発であり、宇宙空間の開発利用の戦略的な推進体制の構築でございます。  昨今、景気の低迷により、あしたに向けた明るい楽しい話がありません。未開拓の分野が多い海洋と宇宙に夢を懸けるのはすばらしいことだと考えます。海洋にはメタンハイドレートやレアメタルなどの鉱物資源の埋蔵が確認されております。また、最先端レベルにある日本の宇宙技術によって新たな人工衛星やロケットの打ち上げが可能だと思います。若い人たちに夢と希望を与えるこれらフロンティアの方策に資金を投入すべきです。総理の御所見をお伺いします。  次に、経済成長について総理のお考えをお尋ねします。  総理は新成長戦略の再強化を行うことを宣言されましたが、具体的な中身については述べられておりません。いかなる方策をお持ちなのか、その一端をお示ししていただきたい。中小企業を始めとする民間企業の活力を強化し、環境・エネルギー分野や医療関連の分野で新しい産業と雇用を生み出すおつもりのようですが、もう少し各論について触れていただきたいと思います。  同じことは農林漁業の再生についても言えると思います。所信表明演説では言及されていませんでしたが、TPP、つまり環太平洋経済連携協定について、マスコミによると、財界人には前向きに取り組むとの発言をなされたようでございます。国の礎である農業との関連で、単に前向きでいいのでしょうか。TPPには様々な問題点が含まれており、関係者の利害が正面からぶつかるのは避けられません。どのように対処するおつもりでございますか。  野田総理の誕生は国民の皆様に歓迎されました。マスコミ各社の世論調査に表れた内閣支持率が軒並み六〇%台と高いことがそのことを証明いたしました。前任者の不人気ぶりからまさにV字回復した形でございます。  しかし、民主党政権はこの二年間で信頼を次第次第に損なってしまいました。瀬戸際に立たされている政権であることを忘れてはいけません。国民は実にクールに、野田政権がどのように仕事をし、責任を果たすのかを眺めています。口先だけでなく、本当に仕事をやれるかどうか凝視しております。  最後に、野党の皆様に呼びかけたいと思います。  日本は百年に一度と言える未曽有の災害に直面し、国家の危機に瀕していると思います。このようなときこそ政党の枠組みを超えて協力しようではありませんか。熟議の場である本院、参議院の特性を生かすことを私たち一人一人が真剣に考えたいものでございます。  ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
  14. 野田佳彦

    ○内閣総理大臣(野田佳彦君) 柳田議員の御質問にお答えをさせていただきます。  まず、政権運営についての御質問をいただきました。  日本の経済社会は、長年の懸案事項を抱え、さらに大震災からの復旧・復興、原発事故の収束、そして経済と金融の危機からの脱却という喫緊の課題を乗り越えていく必要がございます。野田内閣は、政権交代後の二年間の実績と教訓を引き継ぎ、危機感を持って、震災からの復興、原発事故の収束はもとよりとして、着実な政策遂行を進め、国民の生活を守り、危機を乗り越え、希望と誇りのある日本の再生を成し遂げていく決意でございます。  私の政治信条についての御質問をいただきました。  「正心誠意」、すなわち意を誠にして心を正すという姿勢で全ての国民が力を合わせて国力の結集を図っていく、それが私の心からの願いでございます。信条、覚悟でございます。  震災からの復旧・復興、原発事故の収束、経済金融危機の克服といった国難を乗り越えるため、実行あるのみで全力を尽くします。柳田議員、各党会派の皆様、そして国民の皆様の御理解と御協力を改めて心よりお願いを申し上げます。  放射性物質対策に関する御質問をいただきました。  住民の方々の不安を取り除くとともに、復興の取組を加速をするために、放射性物質による汚染への対処と健康管理は喫緊の課題であります。  除染の推進については、八月二十六日に取りまとめた除染に関する緊急実施基本方針や、さきの国会で成立をした放射性物質環境汚染対処特措法に基づく対策によって、一日でも早く除染が進むよう、政府が一丸となって総力を挙げることはもちろんのこと、自治体の協力も仰ぎつつ、民間や研究機関の知見、さらには世界の英知を総動員して全力で取り組んでいく覚悟でございます。  住民の健康管理については、福島県が主体となって県民健康管理調査が実施されているところでございますが、政府としては、この調査が長期間にわたり安定的に実施できるよう、平成二十三年度二次補正予算において九百六十二億円の予算を措置し、財政的支援を行うとともに、放射線医学総合研究所等を通じて技術的支援を行っているところでございます。今後とも、住民に安心感を持っていただけるような必要な技術的、財政的支援を積極的に行ってまいります。  復旧・復興の財源についてのお尋ねがございました。  復旧・復興のための財源は、次の世代に負担を先送りするのではなくて、今を生きる世代全体で連帯し、負担を分かち合うことが基本でございます。時限的な税制措置については、歳出削減及び税外収入により確保される財源を三兆円と仮置きした上で、税制調査会で基幹税などについて多角的な議論が行われており、具体的な税目、年度ごとの規模等を組み合わせた複数の選択肢を復興対策本部に報告した上で、与野党間での協議を経て同本部で決定することとしています。  また、税制措置の規模を圧縮するため、歳出削減や国有財産の売却等による財源捻出の努力をできる限り行ってまいります。  日本郵政株式会社の株式については、いわゆる日本郵政株式売却等凍結法により、その処分が停止をされております。現在継続審議となっている郵政改革関連法案が成立をすれば、政府保有義務が掛からない株式は売却が可能となりますが、現時点では日本郵政グループの事業経営の見通しが立っておらず、具体的な売却の時期、収入を見込むことは困難であります。  今後、郵政改革関連法案の早期成立を目指すとともに、財源確保の観点から、株式の売却に向け、そのための環境整備を含め努力をしていきたいと考えております。仮に売却が確定した場合には、それ以降の時点における復興の財源フレームの見直しの際に売却収入を織り込むことになります。  財政再建のための増税についての御質問をいただきました。  若い世代を含め、国民が将来に不安を持たないようにするため、社会保障のための安定財源を確保し、あわせて、財政健全化を同時に達成するための社会保障と税の一体改革は、どの内閣であっても先送りできない課題であります。このため、国民の皆様に御負担をお願いしなければならない場合には、柳田議員御指摘のとおり、国民に対し、その必要性、その理由、その前段階で何をなすべきか等についてきちっと御説明をし、御理解を得ていかなければならないと考えております。  行政刷新への覚悟についての御質問をいただきました。  行政に含まれる無駄や非効率の根絶は、この政権の最重要課題の一つであります。  衆議院調査局の調査結果によれば、国家公務員の再就職者が在籍している法人に対する国からの貸付け等を含む資金交付額の合計額は、平成十九年度において約十二・一兆円とされています。  政府としては、これまでも、事業仕分等を最大限活用することにより、独立行政法人や公益法人に対する支出やその不要資産等の見直しを進めてきたところです。昨日、第二十回行政刷新会議を開催し、私の内閣における取組をスタートさせていただきました。今後とも、独立行政法人、公益法人等への無駄な支出を含め行政の無駄削減、効率化と機能強化を図るため、行政刷新の取組を継続強化してまいります。  全員参加型社会における若者の雇用についての御質問もいただきました。  現在、若者の就職環境は、御指摘のとおり非常に厳しくなっております。このため、ハローワークにおいてきめ細やかな職業相談、職業紹介を行うなど、若者の正規雇用化と就職支援に全力を尽くし、意欲ある全ての人が働くことのできる全員参加型社会の実現を目指します。  大学教育と高校、大学の新卒者の就職についての御質問もいただきました。  先ほど申し上げたとおり、学生の就職状況は依然として厳しい状況が続いております。自立したグローバル人材を育成する大学教育において、就職活動の早期化や長期化によって、学生が十分学業に専念できないような状況にも問題があると考えております。  高校、大学の新卒者への就職支援は極めて重要な課題と考えており、関係省庁が連携して経済界、大学等とも一体となって総力を挙げて支援をしてまいります。  公的年金制度についての御質問もいただきました。  高齢者世帯への収入の七割を占める公的年金は、老後の生活保障の柱であり、今後も国の責任で安定的に続けていかなければならない制度でございます。  この年金は、一生涯受け取れる、物価や賃金の水準の変動に応じた額が受け取れる、老後を迎える前でも必要な場合には障害年金、遺族年金が受け取れるといったメリットがあります。また、財源は保険料と国庫負担で賄われているため、納めた保険料を上回る金額が受け取れます。若い世代の方々には、このような公的年金制度の意義やメリットを十分に説明をしていきたいと考えております。  将来を憂えている若者への言葉についての御質問をいただきました。  残念ながら、今の日本は若者たちにとって社会で活躍するチャンスが得にくく、失敗するとリターンマッチができなくなっていること、その中で将来を担う世代をしっかりと支援していくことが重要であるとの認識は、柳田議員と全く同感であります。このため、就職に悩む若い世代に対しては、一人一人に寄り添いながら、ハローワークにおけるきめ細やかな相談やジョブサポーターによる支援を強化をしてまいります。また、フリーター等の正規雇用化を促進をしてまいります。  私としては、将来を担う若者の皆さんが安定した職業に就き、プライドを持って社会の中で活躍できるよう、希望と誇りある日本をつくることに全力を尽くします。  中間層をつくり出す具体策についての御質問をいただきました。  中間層を復活させるため、意欲ある全ての人が働くことのできる全員参加型の社会の実現を進め、働きがいのある人間らしい仕事の実現を図ります。全ての人が安心して働き続けられるよう、民主党政権では、これまでにも求職者支援制度の創設や雇用保険の適用拡大などに取り組んでまいりました。さらに、今後とも、若者の安定的雇用の確保、女性の就業率のM字カーブの解消、年齢にかかわりなく働き続けることができる社会づくり、障害者の雇用促進を含め非正規労働者の公正な待遇確保に努めるとともに、貧困の連鎖に陥る者が生まれないよう、確かな安全網を張ってまいります。  フロンティア開発の方策についてのお尋ねがございました。  四方を海に囲まれて、国土面積の約十二倍に相当する世界第六位の管轄海域を有しており、その海水体積は世界第四位、特に五千メートル以深の資源に恵まれた深海水の保有体積は世界第一位と言われています。  このように、海洋国家である我が国にとって、鉱物やエネルギー等の海洋資源を十二分に活用することは重要な課題であります。  また、我が国は、ロケットや衛星の技術から宇宙飛行士の育成、ロケットの射場に至るまで自己完結的な宇宙能力を備えた国であります。一昨年打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」は、約五万六千地点と地球のほぼ全域の温室効果ガスの濃度分析を観測するなど、我が国は地球の息遣いを一番感じられる国でもあります。こうした日本の力を生かし、宇宙空間の開発利用体制の構築の検討を含め、宇宙開発利用を積極的に推進することは極めて重要な課題であります。  こうした日本の優位性を生かしながら、今後、人類の新たなフロンティアである海洋と宇宙の開発利用にリーダーシップを発揮し、政府一丸となって新しい日本のフロンティアを開拓をしてまいります。  新成長戦略の再強化についての御質問をいただきました。  日本経済の立て直しは、大震災からの復旧・復興と並んで、この内閣が取り組むべき最優先の課題であります。また、経済成長と財政健全化は車の両輪として同時に進めていかなければなりません。そのため、昨年策定をされた新成長戦略の実現を加速するために、大震災後の状況を踏まえた戦略の再強化を行い、年内に日本再生の戦略をまとめてまいります。  その際、フロンティアの開拓は重要であり、とりわけ再生可能エネルギーの普及拡大や蓄電池など、関連する新産業の育成などの環境・エネルギー分野での取組や、日本発の革新的な医薬品の研究開発推進などの医療分野での取組を通じて産業、雇用の創出に努めてまいります。  TPPについて、最後に御質問をいただきました。  世界経済の成長を取り込み、産業空洞化を防止していくためには、国と国との結び付きを経済面で強化する経済連携の取組を欠かすことはできません。このため、包括的経済連携に関する基本方針に基づき、高いレベルの経済連携協定の締結を戦略的に追求をしてまいります。  同時に、農業の活性化や再生も重要であり、先般、八月二日、食と農林漁業の再生実現会議で中間提言を取りまとめたところです。農業は国の本なりとの発想の下、東北の被災地の基幹産業である農業の再生を図ることを突破口として、食と農林漁業の再生実現会議の中間提言に沿って、早急に農林漁業の再生のための具体策をまとめてまいります。  TPP協定については、随時、関係国との間で情報収集や協議を行ってまいります。その結果得られた情報については、国益を確保する観点から様々な検討、分析を行うとともに、国民の理解を深めるため可能な限り説明に努めてきており、今後とも努めていく考えでございます。  八月十五日に閣議決定した政策推進の全体像にあるような広範な視点を踏まえ、TPP協定への交渉参加について、しっかりと議論をし、できるだけ早い時期に結論を出させていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  15. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 島尻安伊子君。    〔島尻安伊子君登壇、拍手〕
  16. 島尻安伊子

    ○島尻安伊子君 自由民主党、島尻安伊子です。  私は、自由民主党・無所属の会を代表して、野田佳彦総理大臣の所信表明演説に対し、質問いたします。  まず、質問に先立ち、改めて東日本大震災で被災された皆様、また、台風十二号による豪雨で被害を受けられた皆様に対し、心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興のために全力を尽くしますことをお誓い申し上げます。  さて、野田総理、先日の民主党代表選挙での気迫のこもった胸に迫る演説、すばらしかったです。あのとき私は、正直申し上げて、菅政権時代の停滞から抜け出る政権が誕生するかもしれないと、ある種期待をいたしました。国民の皆様の中にも同じように感じておられた方が大勢いたと思います。  しかしながら、先日の野田総理の所信表明演説、昨日、また本日の代表質問に対する答弁を聞いていると、何のビジョンも示さず、逃げ口上に終始し、全く別人のようでがっかりいたしました。党首選挙で早くも燃え尽きてしまわれたのでしょうか。  総理、あなたは先日の所信表明演説の中で、このようにおっしゃっていました。意を誠にして、心を正す。私は、国民の皆様の声に耳を傾けながら、自らの心を正し、政治家としての良心に忠実に、大震災がもたらした国難に立ち向かう重責を全力で果たしていく決意ですと。さらに、この大震災で生命を懸け必死に頑張っておられる方々の名前を挙げ、もっと思いを致す必要があると言っておられました。  ところが、野田総理、あなたはたった四日で国会を閉じようとしていた。言語道断極まりない。本院の西岡議長もおっしゃったとおりであります。  我々野党は、自民党、公明党を始めとして、野党八党全党一致で、直面している我が国の国難を一刻も早く乗り切るために与党である民主党に協力すると言っております。結局は、あなたも口先だけで「正心誠意」という重みのある言葉を弄んでいるだけだったのです。まさに、先日、総理が、御自身が言われた、政治が指導力を発揮せず、物事を先送りすることを日本化すると表現してやゆする海外の論調に更に拍車を掛けているのは野田総理、あなた御自身ではありませんか。  「巧言令色鮮し仁」という孔子の言葉が浮かんでまいります。言葉が巧みで角のない表情をする者に誠実な人間はいないという意味であります。つまり、言うこととやることが全く違う、そういう人にだまされるなという教えでありましょう。  民主党政権の巧言令色に国民は辟易しております。総理、今や国民からの信頼を失い、民主党政権の並べる文言は信じるに値しないと言われていることに対して、御認識はお持ちでしょうか。お答えください。  民主党マニフェストはサギフェストだったと言われて久しいわけでございます。普天間飛行場の移設問題についても、これまでの経緯が余りにもずさん極まりなく、今や思考停止状態にもかかわらず、野田総理は相変わらず沖縄の皆様に誠実に説明し理解を求めると、これまでと全く同じことを呪文のように繰り返しておられます。これで一体どのように沖縄の理解を得ようとしておられるのでしょうか。  野田総理にお聞きいたしますが、これまで自民党政権下で交渉されてきた普天間基地移設問題をどう評価なさっているか、お答えください。  沖縄県民は、常に米軍基地と隣り合わせの生活を余儀なくされてきました。軍事基地を受け入れざるを得ない局面において、常に賛成、反対で二分され、家族ででさえも意見の対立でぎくしゃくするようなことがありました。このような苦渋の選択を強いられながら、また筆舌に尽くし難い目に遭ってもここまで譲歩してきたのは、ほかならない、愛する我が日本国の、そしてアジア諸国の安全保障を担う立場にあるのだという沖縄県民の誇りと自負心からであり、決して後先を考えずに基地の負担軽減だけを求めたのではなく、抑止力の維持についても真っ正面から向き合ってきたのであります。  一方で、世界一危険だとされる普天間基地の危険性の除去は当然のことながら遂行してもらいたいという沖縄県民の願いにこたえるべく、日米両国は真剣に取り組み、また、沖縄側も、政治を預かる先輩たちが政治生命を懸けても次の世代には苦労させないようにと血を吐く思いで進めてこられました。それを鳩山元総理には、十三年、十四年掛かってくい一本打てなかったじゃないかと言われ、北澤前防衛大臣に至っては、普天間迷走が時間のロスだとすれば、政権交代に基づく民主主義のコストだと言い放ったのは、まだ記憶に新しいものであります。このような民主党政権の態度は沖縄に対して極めて失礼千万であり、沖縄の怒りは一向に収まりません。  野田総理はこれまでの状況をどのようにとらえられていらっしゃるのか、お答えください。その上で、いとも簡単に沖縄に御理解いただきたいなどとおっしゃっていますが、この問題の解決のために何が必要かと、何が一番大事だと思っておられるのか、お聞きいたします。また、今後野田総理が辺野古を抱える名護市の市長に会うつもりはないのか、お尋ねいたします。  来週、総理は訪米を予定されております。日米首脳会談で普天間の移設先についてどう言及されるおつもりか、お答えください。米国も予算削減を余儀なくされる中で、これまで進められてきた米軍再編の見直しもささやかれる中、再び沖縄が翻弄されることのないよう、野田総理にはしっかりとしたビジョンを持って会談に臨んでいただきたいと思いますが、御見解を伺います。  続いて、日米地位協定についての質問をさせていただきます。  今年四月の参議院外交防衛委員会で取り上げさせていただきましたが、一九五六年の日米合同委員会合意により、公の行事で米軍人が飲酒した後の運転が公務と認められる余地が残されていることが問題視されております。飲酒運転が公務と認められ、事故が発生したときの日本側の裁判権が認められないなど、社会通念からは程遠く、直ちに見直すべきであります。  当時、松本外務大臣は答弁で、この条文は死文化していると述べ、よって米側に改正を求めているとのことでしたが、四か月たった今でも何の説明もなく、もしこの間に公務と認められる米軍人の飲酒による交通事故で日本人が犠牲になったら、誰がどう責任を取るのでしょうか。  また、沖縄の政策を決める重要な会議である沖縄政策協議会で、わざわざ沖縄県知事に対して米側と協議しているという大臣の発言があり、県民はこの理不尽な地位協定の条文が改定できると大変期待をしております。  野田総理、このままでは普天間の県外移設と同様、やるやる詐欺ではありませんか。一日も早い改正に向けて野田総理が直接交渉するおつもりはないか、答弁を求めます。  野田総理は、今年度で期限を迎える沖縄振興法、軍転法について、所信の中で表明したのは、積極的に取り組みますのたった一言だけでした。本当にやる気がおありなのか、大変不安に感じます。沖縄振興策を講じ、発展させ、強い沖縄をつくることは、国境離島の人口を減らさないという安全保障の理にもかなうものであります。これまでの沖縄振興は、日本への復帰後の社会基盤整備、本土との格差是正でありましたが、今後十年の振興策は、いよいよ自らの足で立つためのものと考えます。  野田大臣の見解をお尋ねしますが、そもそも沖縄振興はなぜ必要だと考えておられるか、お答えください。さらに、沖縄県知事の求める三千億円の一括交付金について、先日、川端大臣が前向きな姿勢を示したと報道されました。野田大臣も同じお考えだとの認識でよろしいでしょうか、お答えください。  東日本大震災を受け、復興のために必要なのは三十兆円とも四十兆円とも言われております。とにかく、今後、我が国は外貨を稼がなければなりません。アジアの新興国を相手にするとすれば、沖縄は言わばその稼ぎ頭となるポテンシャルを持っています。  かつて琉球王国時代には、万国津梁として、近隣国のみならず、アジア全体の国々の懸け橋として交易をしてきた歴史がございます。  この際、那覇―台北間、空路で約一時間というような地政学的にも優位性のある沖縄を拠点としてのアジア戦略を考えていく必要があると思いますが、どのような仕掛けあるいは方策があるか、総理の御見解をお伺いします。  ロシアと日本の関係についてお尋ねします。  プーチン首相の側近による北方領土訪問、爆撃機による日本一周など、ロシア側の強硬姿勢が目立ちます。昨年十一月のロシア大統領の北方領土訪問に始まり、関係修復の糸口がつかめないどころか、関係悪化を押しとどめることさえできていない日ロ関係をどうなさるおつもりでしょうか。ロシアが日本に強硬姿勢を示す背景には何があるのか、総理は日ロ関係の現状をどう認識されておりますでしょうか。  また、所信でアジア太平洋地域のパートナーとしてふさわしい関係を構築すると述べられましたが、それは具体的にどのような関係か、御説明ください。  中国との関係でも、尖閣諸島をめぐって緊張が続いております。我が国の外交にとって最も切迫した課題の一つでもあります。しかし、野田総理は、所信表明で尖閣諸島に一言も触れておりません。野田総理、これまでの民主党政権の尖閣諸島をめぐる対応に問題がなかったとお考えでしょうか。  また、中国の軍事的台頭という背景の中、アジア地域における安全保障上の日本の役割はどうあるべきか、野田総理の御見解をお聞きいたします。  我が党佐藤正久議員も体を張って取り組んでおられる竹島問題について、総理は竹島が韓国に不法占拠されているとの認識か否かを明確にお答えください。外務省ホームページには不法占拠と明記されており、そごはあり得ないと思いますが、簡潔にお答えください。  一川防衛大臣に伺います。  あなたは、防衛の素人であるから本当のシビリアンコントロールなんだとおっしゃいました。国民目線で国民に訴えることは大事ですが、防衛省という安全保障の専門家たちのリーダーたる大臣が自ら素人だと言うことは、専門家集団をまとめ上げる能力がないことを露呈してしまったということではないでしょうか。防衛大臣のこんなお粗末な発言が諸外国にどう伝わったとお思いか、御本人にお伺いします。  さらに、このことで野田総理は防衛大臣を御指導なさったのか、総理にもお答え願います。  続いて、消費者関係の問題について御質問します。  消費者問題については、政策以前の問題として、今般、消費者担当大臣に御就任された山岡大臣の適格性に大いに問題があると考えます。山岡大臣は、マルチ商法を推進する議員連盟の会長を務め、マルチ商法の業者から献金を受け取っていました。このような方が本気で消費者保護の政策を実行できるのか、甚だ疑問です。山岡大臣は、受け取った献金を全額返金するとのことですが、返金すれば済むというような問題ではありません。マルチ商法を認め、何の問題意識も持たず、むしろ積極的に推進しようとするお考えの方に消費者行政を任せていいのかという問題なのです。  野田総理は、山岡大臣とマルチ商法業者との関係を御存じの上で消費者担当大臣に任命されたのでしょうか。マルチ商法への御見解とともにお答えください。  さらに、山岡大臣にもお聞きいたします。消費者担当大臣としてマルチ商法をもっと厳しく規制すべきと考えますが、大臣の御認識を伺います。  消費者庁は、来年、三年目の全体の見直し時期を迎えます。我が党福田内閣のときに、真に消費者目線に立った消費者行政の強化をうたい、消費者庁が設置されました。  私は今、関係する消費者団体を訪問し、情報交換をさせていただいておりますが、あちらこちらから、消費者庁は設置当初の理念からずれてきたのではないか、こんなはずではなかったなどの声が寄せられております。  国民生活センターの消費者庁への統合の問題や消費者相談窓口の縮小など、この方向性では真に消費者問題の解決に寄与するものとは言えません。東日本大震災の後の一連の放射能汚染での食品の安全についても、まるで消費者の立場からのメッセージを発しているとは思えず、むしろ他省庁に言いくるめられての言い訳担当省のようでした。こんな有様ではこの先が思いやられます。  消費者教育推進も含めて、更なる消費者庁の充実を野田総理はどうお考えなのか、お答えください。  先月の自民、公明、民主三党幹事長・政調会長会談において、来年度から子ども手当を廃止し、児童手当を復活させるとともに、その内容を充実することで合意されました。これにより、我が党が主張してきたように、家庭を基盤とし、自助自立の精神に基づく子育て支援にようやく戻ることになります。  我が党女性局で行ったアンケート調査でも、子ども手当に国の予算を充てるより、所得制限を設けた児童手当や子育て環境・サービスの充実に充てた方がよいと答えた人が全体の七八・三%にも上ったことからも、国民に歓迎される施策だということが分かります。  小宮山厚労大臣に御確認いたしますが、今後、子ども手当は廃止されるということで間違いありませんね。このような理念も効果もない単なるばらまき型の政策は、今後はないと明確にお聞かせください。  最後に、野田総理には、司馬遼太郎「坂の上の雲」の中にある秋山真之の言葉、自分が一日怠けると、日本が一日遅れる、この言葉をお送りいたします。民主党政権が丸二年、全く稚拙な政権運営をしたために日本は何十年遅れたかというのは別といたしましても、国会が、我々国会議員が一日怠けると、この未曽有の国難、問題山積の我が日本の再生が一日、いや、半年、一年と遅れてしまうのです。  総理の言われる「正心誠意」が誠のものであるならば、あるいはあなたが本物であるならば、国会の会期延長などは当然至極、自明の理であります。  不完全内閣のぼろを出さぬよう逃げたつもりが、我々野党や全国民から非難されて、この会期末に渋々中途半端な延長に応じるなど、「正心誠意」の四文字が軽く聞こえてしまいます。早くも国民の信頼を失った内閣に日本の将来を任せるわけにはまいりません。野田総理には、三次補正通過後、直ちに国民の信を問うよう強く申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
  17. 野田佳彦

    ○内閣総理大臣(野田佳彦君) 島尻議員の御質問に順次お答えをさせていただきたいと思います。  まずは、民主党政権についてのお尋ねがございました。  これまでの民主党政権の歩みには、大きな意義もあれば反省すべき点もあります。そのことは、八月に党でまとめたマニフェスト中間検証でも述べているところでございます。そのことを十分に踏まえた上で、何よりも当面の国難ともいうべき事態である震災からの復旧・復興、原発事故の収束、そして厳しい経済情勢の対応に全力で当たる決意でございます。  目の前の課題を一つ一つ解決する、仕事をする、実行する政治を目指すことで、国民の生活が第一の政治を実現し、希望と誇りある日本の再生を成し遂げてまいりたいと考えております。  普天間飛行場の移設問題についての御質問をいただきました。  普天間飛行場については、平成八年、当時の橋本総理大臣とモンデール駐日米大使との会談で全面返還が合意をされました。その後、日米両政府において同飛行場の移設問題を検討してきていますが、この問題は、様々な要素を総合的に勘案しつつ、政府、地元、米国の三者が納得する解決策を見出すべく歴代政権が努力をされてきていると認識をしています。  鳩山政権の発足以降、何とか県外移設ができないかという考えの下、様々な案を検証しましたが、結果的に現在の日米合意に至りました。民主党政権としては、この過程で沖縄の皆様に大変な御迷惑をお掛けしたことについては深くおわびしなければならないと認識をしています。  沖縄において県外移設を求める声があることは承知をしておりますが、現在の日米合意は全体として、少なくとも現状に比べると沖縄の大きな負担軽減につながると考えており、政府としては、引き続き、名護市を含め沖縄の皆様の御理解を得るべく誠実に努力をしていく考えでございます。  米国訪問の際の普天間飛行場の移設の扱いについてのお尋ねをいただきました。  普天間飛行場の移設については、昨年五月の日米合意により、辺野古に代替施設を建設すべきとの結論に至り、本年六月の日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2において検証と確認を完了したところでございます。政府としては、引き続き、この日米合意に従って全力で取り組んでいく考えであり、来週予定されている日米首脳会談等でもこの方針に基づき対応をする考えでございます。  沖縄において県外移設を求める声があることは承知をしておりますが、先ほども申し上げましたとおり、現在の日米合意は全体として、少なくとも現状に比べると沖縄の大きな負担軽減につながると考えており、引き続き、沖縄の皆様の御理解を得るべく、「正心誠意」努力をしてまいります。  日米地位協定における公務の範囲についての御質問をいただきました。  御指摘の日米合同委員会合意は、飲酒した上での通勤は公務に含まれないが、例外として、公の催事での飲酒の場合、公務として扱われる余地を残した内容となっています。  しかし、実際には、飲酒運転をして通勤した場合、公の催事での飲酒であったときも含め、公務として取り扱った事例は一例もないことを米側から確認をしています。  政府としては、本件合意の当該部分は見直すべきであると考えており、そのための協議を日米間で加速していく考えです。私自身も、必要な指示を出して取り組んでいるところでございます。  沖縄振興についての御質問をいただきました。  沖縄は様々な特殊事情を抱えており、政府では国の責務として沖縄の振興に取り組んできたところでございます。  本年度で期限切れとなる沖縄振興法及び返還特措法については、来年の通常国会に所要の法案を提出をいたします。また、一括交付金については、沖縄の効果的な振興に寄与するものとするよう努力をしてまいります。  今後とも、国際物流や観光等、成長著しいアジアとの近接性等の沖縄の優位性、潜在力を最大限に生かした沖縄振興に取り組み、沖縄の経済の真の自立と持続可能な発展を目指してまいりたいと思います。  日ロ関係に関する御質問をいただきました。  ロシア政府は、アジア太平洋地域の安全保障問題やエネルギー等の経済分野において日本との関係を強化したいとの考えと理解をしています。  他方、日ロ間の最大の懸案である北方領土問題に関しては、日ロ間の立場には大きな開きがあると言わざるを得ません。アジア太平洋地域の戦略的な環境が変わりつつあり、ロシア自身がこの地域における役割の拡大を模索をする中で日ロ両国が協力を進めていくことは、双方の利益に合致するのみならず、地域の安定と繁栄にも貢献をするものであります。  残念ながら、日ロ関係は、その潜在力に見合うほど十分に発展していないのが現状でございます。こうした中で、政治、経済、文化、国際舞台での協力等のあらゆる分野での協力を進めるとともに、領土問題を解決して平和条約を締結することにより、日ロ関係を一層高いレベルに引き上げたいと考えております。  尖閣諸島をめぐる対応についてのお尋ねがございました。  尖閣諸島が我が国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、現に我が国はこれを有効に支配をしています。したがって、領有権をめぐる解決すべき問題はそもそも存在をしておりません。  政府は、このような尖閣諸島に関する我が国の一貫した立場に基づき、国益を踏まえて対処してきており、今後とも適切に対処してまいりたいと思います。  竹島の現状認識についてのお尋ねがございました。  竹島の領有権に関する我が国の立場は一貫しており、どのような場でどのような表現を使うかについては、各々の政権のその時々の政策的な判断があるものですが、竹島が置かれた状況についての日本政府の法的な評価は変更ございません。  防衛大臣の御発言についての御質問をいただきました。  防衛大臣の発言は、一般の国民を代表する政治家が国民の目線に立って物事を判断していくべきとの趣旨であったと承知をしており、特に指導はしていません。一川大臣には、防衛大臣として適切に仕事をしていただけるものと信じています。  山岡大臣の任命についての御質問をいただきました。  山岡大臣は政治経験も豊富であり、その経歴を見ても閣僚たる資格があると判断し、任命をいたしました。  御指摘の件につきましては、報道があることは承知をしていますが、政治家個人の政治資金の問題については、指摘された本人が説明し、必要であるなら適切な措置を講ずるべきものと考えております。  マルチ商法や消費者庁についての御質問をいただきました。  まず、御指摘のマルチ商法については明確な定義はなく、取引の合法性、妥当性を一概に判断できないものの、特定商取引法における連鎖販売取引などに該当するものについては規制があり、違反行為に対しては厳正に対処してまいります。  また、消費者庁は発足してから三年目を迎えますが、取り組むべき多くの課題に直面しているのも事実でございます。このため、事業者中心の行政からの転換を引き続き進めるとともに、自主的かつ合理的に行動する消費者を育成する消費者教育の推進など、消費者や地域の現場の視点を取り込んだ実効性の高い消費者行政を今後も強力に推進してまいります。  残余の質問については、関係大臣が答弁をいたします。(拍手)    〔国務大臣一川保夫君登壇、拍手〕
  18. 一川保夫

    ○国務大臣(一川保夫君) 島尻議員にお答えいたします。  私の発言についてお尋ねがございました。報道されている内容は私の発言が正確に表現されていないとは考えておりますけれども、私の発言は、一般の国民を代表する政治家が常に国民の目線に立って物事を判断をしていくべきであるという趣旨を述べたものでございます。  特に、私は、この防衛政策といいますのは、国民一人一人の理解とそれから協力、支持の下に成り立っているというふうに思いますので、そういう面に努力してまいりたいという趣旨を述べたものでございます。また、私としましては、野田総理からの指示もあり、専守防衛の原則に基づき、シビリアンコントロールを確保しながら、我が国の平和と安全、それから国民の生命、財産をしっかりと守ってまいりたいと、そのように考えてもおります。  いずれにしましても、世界の平和とアジア太平洋地域の、この平和と安定を目指して我が国の役割をしっかりと果たしていくことによって諸外国の理解と信頼の増進を図ることが大変重要であると、そのように考えております。  以上であります。よろしくお願いします。(拍手)    〔国務大臣山岡賢次君登壇、拍手〕
  19. 山岡賢次

    ○国務大臣(山岡賢次君) マルチ商法の規制についてお尋ねがありました。  御質問のいわゆるマルチ商法については、明確な定義がないということは今総理の御答弁のとおりでございます。しかし、商取引法においては、連鎖販売取引について、書面交付の義務付け、不実告知、誇大広告の禁止などが規定されております。  従前から連鎖販売取引において、特定商取引法の規制に違反する行為があれば、当該事業者に対して業務停止を命令するなど、厳正に対処してきたところであります。具体的には、消費者庁創設以降、連鎖販売取引を行っている五つの事業者に対して行政処分を行っているところでございます。  消費者庁といたしましては、今後も特定商取引法の規制に違反する行為を行う連鎖販売取引事業者に対して業務の停止を命令するなど、厳正に対処してまいりたいと思っております。(拍手)    〔国務大臣小宮山洋子君登壇、拍手〕
  20. 小宮山洋子

    ○国務大臣(小宮山洋子君) 子どもに対する手当に関する三党合意についてお尋ねをいただきました。  子ども手当は、子ども一人一人の育ちを社会全体で応援をするという観点から支給をするもので、相対的に高額な所得者に有利な所得控除から相対的に支援の必要な人に有利な手当に切り替える、控除から手当へという考え方に沿って実施をするもので、単なるばらまき型の施策ではないと考えています。  来年度以降の子どものための現金給付については、三党合意に沿って八月に成立した特別措置法の附則で、政府は、児童手当法に所要の改正を行うことを基本として、法制上の措置を講ずることを規定しています。同時に、三党合意でも中学生までの子どもを支給対象とするなど、以前の児童手当がそのまま復活するものではないということも事実です。  今後、合意に基づいて三党で十分に協議をしていただき、年末までに具体的な制度について取りまとめていただきたいと考えています。(拍手)     ─────────────
  21. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 谷岡郁子君。    〔谷岡郁子君登壇、拍手〕
  22. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 谷岡郁子です。  民主党・新緑風会を代表して、総理の所信表明演説に対する質問をさせていただきます。  初めに、東日本大震災、新潟、また近畿地方の豪雨で犠牲となった多くの皆様方に心からの哀悼をささげたいと思います。また、今も苦難と闘っている国民の多くの皆様にお見舞い申し上げたいと思います。野田政権を誕生させた民主党議員の一人として、皆様の生活再建のために全力を尽くすことをお誓いいたします。  総理は所信で、日本経済の立て直しが急務である旨、述べられております。力強い復興のための必要条件だと私も思います。しかし、これを実現するためには、ふだん表に出てくることが少ない幾つかの根本的な問題について考える必要があるだろうと思っております。  第一に、なぜ日本国民はこれほど勤勉でありながら生活が楽ではないのかという点であります。  労働分配率が低過ぎるのではありませんか。資本家や経営者の取り分は増加しながら、労働分配率は下がり続けてきました。国内消費を支え続ける原動力としての勤労者たちの取り分を増やしていくために、もっと大胆に、もっと迅速に政府として行動する必要がありませんか。総理のお考えを聞かせてください。  規制緩和の名の下に、派遣会社、コンサルタント、代理店、マネジメントプロダクションなどが増え、中間搾取構造が確立してきました。これがこの十年余りの日本社会であったと思います。もちろん良質なものもたくさんあるでしょうが、全体として見れば非正規雇用が増加し、国民の生活はより不安定になっています。また、世代間格差は広がっています。  この問題に対して早急に手を打たなければ、日本の現場の働き手たちは余りに疲弊し過ぎて、復興という重荷を負い切れないのではありませんか。総理がこの問題をどうとらえ、いかなる手を打とうとしていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。また、労働者派遣法の改正についての御意見を伺います。  私たちが慣れ親しんできたGNPという言葉は、一九九三年にGDPに置き換えられました。NとDという一文字の置き換えは、グローバル経済の進展に伴って行われたことであります。しかし、国民経済という観点からは問題だと思います。日本の労働者が汗の結晶として生み出した資本が海外に移転され、現地の工場や子会社となりました。ここから日本の企業に渡された受取利息や配当は、GNPには含まれてもGDPには含まれません。つまり、企業は繁栄しても国民は栄えないのです。この見えなくなった国民の成果を本来の受取人たちに戻す手だて、すなわち海外に流出した資金を日本に還流させる仕組みが必要ではないでしょうか。内閣の総力を挙げて、このために知恵を結集していただけないでしょうか。総理にお伺いいたします。  総理は、所信表明の中で福島の高校生に言及されました。その若い情熱に期待されておられます。しかし、いずれふるさとの復興を担っていくこの子らが今必要としている支援を国は十分に保障しているでしょうか。福島だけではなく、また東北だけでもなく、日本中の若者たちは、震災復興を含め、将来日本のエンジンになっていくために十分な環境と研さんの機会を与えられているでしょうか。  社会保障とは、元来、もう働けない者、まだ働けない者、そして病気や被災などの理由で今は働けない者たちを働ける者たちが支えることだと私は考えます。もう働けない者たちや、たまたま今働けない者の多くは投票権を持ちます。したがって、政治はその声に比較的敏感です。でも、まだ働けない者たち、つまり私たちが日本の再生を託そうとする者たちは、そのほとんどが投票権を持たず、声は小さい。だから、日本の教育予算はOECD各国の最低レベルであり、仕事に就こうとする若者や専門家として自立しようとする若者たちへの支援は不十分なのです。総理は、本気でまだ働けない者たちの育成や自立しようとする者たちへの支援に取り組んでいただけるでしょうか。先ほどの同僚柳田議員へのお答えは、去年の政策の焼き直しだと思われます。もっと踏み込んでお答えいただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  東京電力福島第一発電所の事故は、総理の御指摘どおり、世界史的な規模の大事故として、被災者はもとより、国民に甚大な被害をもたらしました。所信表明で示された事故収束と被害者救済は当然のことです。加えて、私たちは、この事故から得られる教訓を真摯に生かすことを求められています。  その第一として、私たちの国には法体系の想定外で起きた緊急事態に対して対応を可能にする仕組みがないということであります。いわゆる緊急事態法の不在です。このため、対応は平常どおりの法の運用と省庁の分掌に従って進められることになります。まるで複雑な障害物競走のようです。当然、迅速さが失われます。また、放射能瓦れきのように存在すること自体が想定外であったものについては、新法が成立するまで手が出せないという事態が出現します。これは、ある意味で長年にわたる政治の不作為です。現在、多くの人々がその犠牲となってしまっています。緊急事態に対応する法の枠組み、また同時に、事態に即応する米国のFEMAのような組織を本格的に検討すべきときが来ているのではないでしょうか。この問題に関して総理のお考えを伺いたいと思います。  原発事故が教えてくれた第二は、国家の運営に不可欠な人材の養成が不十分で時代遅れになっているということであります。  総理は、原子力安全規制の組織体制について、環境省の外局として原子力安全庁を創設するとされています。しかし、この案に賛成はするものの、一方で、問題の根本は、組織体制ではなく、これに携わる人間的な問題であり、その資質、専門性と安全文化あるいは規範意識の問題であることを指摘申し上げたい。規制機関がどこにあろうと、規制、審査対象の電力会社やメーカーにその人材や知識面で依存し続ける限り、国民の安全を守る厳格な審査は不可能であります。国家として自前の専門家養成が急務ではないでしょうか。  スリーマイルアイランドを機に、米国の規制機関であるNRCには附属の研修機関が設けられました。米国で運用されている全種類のシミュレーターを設けて、検査、審査に対する実地研修とともに、緊急時の司令塔となれる人材の養成を行っています。IAEAやNRCなどと連携しながら、日本にもこのような研修機関が必要だと思われます。細野大臣はこの点いかがお考えでしょうか。  私は、この例に加えて、今必要とされている国家の人材養成のために、現在存在する各省の大学校や関係独立法人を全面的に見直し、省庁横断的に再編することを提案したいと思います。一つに、各省に囲い込まれた大学校などが省庁村文化の温存継承装置として機能していること、また、いま一つに、多くのものが既に歴史的役割を終えていたり、非効率的であったり、また日本が今直面する問題に対し、これにこたえるシステムになっていないことです。同時に、これらの機関には広い敷地や施設、また人や予算が付いております。これらを例えば原子力安全研修機関として各省庁の機能の結集を行うことは可能だと思います。また、気象大学校や国土大学校などを再編すれば、総合的モニタリングの統括的作業に従事できる人材の養成も可能だと思います。  総理はこれまでの仕分を深化させることを提案されていますが、このような提案も検討の範囲に加えていただけないでしょうか。この時代に真に求められている国家の人材の育成に関する根本的な見直しは福島の重要な教訓の一つだと考えますが、総理が抜本的な改革を行っていただけるのかどうか、その決意を伺いたいと思います。  第三に、日本の科学技術についてただしたいと思います。  中川大臣、日本は真の意味において科学技術大国でしょうか。明治以来、日本の基礎科学ただ乗り論が国際的に存在します。すなわち、日本は幅広い基礎科学を総合的に構築することなく、欧米の基礎科学の土台を使って応用分野に特化し、つまみ食い的なことをやってきたということであります。欧米に追い付け追い越せのキャッチアップ型の科学技術ならば、このやり方は効率的です。しかし、先進国型の創造的な科学技術には向きません。この問題に大臣はどう取り組まれますか。  世界的にはサイエンス・アンド・テクノロジー、つまり科学・技術であるところのものは、日本では中ポチ抜きの科学技術になります。一つの小さな点があるかないかの違いに見えますが、でも両者は似て非なるものであります。サイエンス・アンド・テクノロジーでは、科学的探求の成果が、それが応用されたものとして技術をとらえます。技術の土台として科学があるのです。しかし、日本の科学技術では、技術のみが主眼となって、科学は都合によってゆがめられ、偏った形で使われることがあります。不都合なデータを加工する、あるいは部分だけ取り出すなどということは、もとより科学の名には値しないのですが、日本では技術の正当化のために科学の真実は犠牲にされます。原子力科学技術はその典型です。  なぜなら、科学とは、本来、全てを想定内に収めようとすることだからであります。そして、これが不可能な場合には、想定できる範囲と想定できないことを明快に区別する姿勢であるからです。事が起きてしまってから後付けで想定外と言うことは、非科学的な態度なのです。  まして、福島の場合、この事故は本来的な意味での想定外ではありませんでした。五月末に日本に来たIAEAの調査団は、その報告書の中で津波についてある指摘をしています。日本は津波に関する研究やその応用に関して世界のリーダー的な存在である。この成果として、日本が開発した津波防災システムが保安院の下請関係独立法人である原子力安全基盤機構からIAEAに提供され、加盟各国で使われている。それなのに、このシステムは本国の日本では使われていなかったという指摘であります。  日本の納税者の負担で開発されたこのシステムが、もし福島第一で導入され使用されていたならば、結果は違ったかもしれない。今回の原発事故は、想定できなかったという意味での想定外ではなく、想定しなかったという意味での想定外なのです。そして、このような姿勢は、どこから見ても誠実な科学的姿勢から懸け離れております。  総理、この具体例に対してどのような感想をお持ちでしょうか。そろそろ日本の科学技術を国際水準のサイエンス・アンド・テクノロジーとして再構築するべきときが来ているのではありませんか。  明治のお雇い外国人であったベルツは、日本を去るに当たって次のように発言いたしました。日本では今の科学の成果のみを受け取ろうとしたのであります。この最新の成果を引き継ぐだけで満足し、この成果をもたらした精神を学ぼうとしないのです。百年前のこの言葉の意味を、今こそ私たちは考えるときが来ています。  誠実な科学的精神を基盤としない科学技術なるもの、これが安全神話を生み出し、甚大な被害をもたらしました。日本人の安全と繁栄の礎となる真の意味におけるサイエンス・アンド・テクノロジー、このような科学技術構築に向けて総理の決意を伺いたいと思います。  本日の質問を締めくくるに当たって、同僚の皆様方にお願いしたいことがございます。それは、未来の主権者を育てるに当たって、本会議や委員会質疑の中の議論が小学校や中学校の教材として使えるような国会審議を行っていきたい、そのために皆様の協力をお願いしたいということです。国民の代表の議論は、民主主義の教育の素材として、また社会科の教材としてふさわしいものであるべきではないでしょうか。しかし、現状の国会は、私自身の責任を含め、そのようにはなっていません。子供には聞かせたくない言葉や、見せたくない態度が間々見受けられます。  議論のプロであるはずの私たちは、建設的な議論や前向きの議論の技術よりも、停滞させ、形骸化させる技術にたけているかもしれません。これは長年野党であった私たちの責任が大きいのかもしれません。このことについては素直に反省したいと思います。しかし、私たちは、もっと建設的に、創造的になれるはずです。国民はこれを求めています。だから、皆さんと一緒にもっと新たな建設的な国会をつくってまいりたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
  23. 野田佳彦

    ○内閣総理大臣(野田佳彦君) 谷岡議員の御質問に順次お答えをさせていただきたいと思います。  まず、一番最初に、勤労者の所得の向上についての御質問をいただきました。  私の所信表明演説の中で、分厚い中間層の復活という言葉を掲げさせていただきました。我が国社会を支える勤勉に働く人々が、この国に生まれてよかったと実感できるよう、諸般の政策に取り組んでまいりたいと思います。  勤労者の生活を豊かなものにするためには、日本経済を成長軌道に乗せるとともに、賃金すなわち所得の向上をさせることが消費を刺激する観点からも重要と考えております。このため、新たな需要の創造や最低賃金の引上げ等、新成長戦略に盛り込まれた施策を着実に推進をしていくことにより、働きがいのある人間らしい仕事の実現に取り組んでいきたいと考えております。  非正規雇用対策についての御質問もいただきました。  近年、特に若年層において増加傾向にある非正規労働者は、平成二十二年において全労働者の約三分の一を占めるに至っております。正規労働者と比べて賃金が低い等の問題がございます。このような若年層における非正規労働者の増加は、世代間の経済的な格差の観点から看過できない課題であり、これに対応するため、新卒者に対する就職支援の強化、フリーター等の正規雇用化の促進等の取組を進めてまいります。  また、労働者派遣法改正案については、行き過ぎた規制緩和を適正化し、派遣労働者を保護するための抜本的な改正を行うものであり、政府としては速やかな成立を目指してまいりたいと思います。  続いて、海外資金を還流させる仕組みについて、私は大変正鵠を得た御指摘だと思いました。我が国の持続的な成長のためには、企業が世界で稼いだ資金が日本に還流し、国内への投資に結び付くことは本当に重要だと思います。  このため、平成二十一年度において、外国子会社から受け取る配当を原則非課税とし、外国子会社の利益を国内に還流することを促す税制改正を導入したところでございます。また、送金規制や技術供与の対価に関する規制など、資金の還流を妨げる海外の制度の改善、撤廃にも努めてまいります。さらに、海外で稼いだ収益を企業が国内の投資へと結び付けるべく、思い切った立地補助金の拡充や、新たな産業と雇用が次々と生み出される環境を整備していきたいと考えております。  復興を含め、将来を担う若者たちへの支援についての御質問をいただきました。  日本の将来を切り開く若者たちが学び、自立する力を付けていくための機会が確保されるよう、震災復興を含め、十分な支援が必要であると考えております。  被災地の教育については、復興の基本方針に基づき、子供の心のケアや健康管理への支援、経済的支援が必要な若者への就学援助や奨学金、授業料免除等の多様で手厚い就学支援などを行い、その一日も早い再建を進めてまいりたいと思います。  また、グローバル人材の育成や自ら学び考える力を育む教育など人材の開発も進めるなど、次代を担う若者たちの育成に全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。  緊急事態に対応するための法制及び組織についてのお尋ねをいただきました。  緊急事態への対処に当たっては、政府全体として総合力を発揮することができるようにすることが重要であり、政府ではこれまでも様々な緊急事態に対処するための制度及び体制の整備に努めてまいりました。政府としては、今回の東日本大震災や原発事故への対応等について点検を行い、反省、教訓事項については早急に改善を図るとともに、危機管理のための制度及び体制の更なる充実に努めてまいる所存でございます。  研修機関の在り方の見直しについての御質問をいただきました。  原子力安全の分野を含め、我が国が直面する様々な課題を乗り越え、将来にわたり発展していく上で、優秀な人材を育成することは大変重要でございます。国や独立行政法人が持つ研修機関も含め、行政に無駄や非効率があれば撤廃して見直し、真に必要な行政機能の強化に取り組みます。国として必要な人材をしっかり育てていくためにも、行政刷新を継続強化し、あらゆる行政分野の改革に取り組んでまいる所存でございます。  日本の科学技術の在り方についてのお尋ねがございました。  我が国が世界の中で枢要な地位を維持していくためには、科学技術の果たす役割が極めて重要であると認識をしています。谷岡議員の御指摘の津波防災システムの事例については、技術だけを切り離して単体でとらえるのではなくて、科学に裏付けられた技術を推進をしていくことが改めて重要であるということを感じさせていただきました。世界最高水準の優れた知的資産を継続的に生み出すとともに、我が国が取り組むべき課題を明確に設定し、イノベーションの促進に向けて、科学技術の先進国として科学に裏打ちされた技術開発を総合的かつ体系的に推進してまいりたいと考えております。  残余の質問については、関係大臣が答弁をいたします。(拍手)    〔国務大臣細野豪志君登壇、拍手〕
  24. 細野豪志

    ○国務大臣(細野豪志君) 原子力安全に関する人材育成について御質問をいただきました。  原子力安全規制の根幹は、谷岡議員御指摘のように、まさにそれを支える優れた人材の養成確保にあると考えております。原子力をめぐる厳しい情勢を考えますと、人材の供給源は今後ますます限定をされ、その養成確保に更に困難を伴うことが予測をされます。そして、この人材の育成の重要性は、この事故の対応を通じまして、私自身強く感じたところでもございます。  安定的かつ継続的に組織を運営するとともに、原子力安全規制の質的向上を図るためには、高い専門知識を有する人材をしっかりと養成をし、継続的に確保することが極めて重要であると考えております。このため、今回の原子力事故による教訓を生かし、高度な専門知識を有し、さらには、新たな安全規制インフラの国際展開まで視野に入れた優れた人材を育てる研修機関として国際原子力安全研修院を設立したいと考えております。  こうしたことによりまして、来年四月にはより強力な安全規制体制を構築してまいります。(拍手)    〔国務大臣中川正春君登壇、拍手〕
  25. 中川正春

    ○国務大臣(中川正春君) 谷岡議員から、日本は真の意味において科学技術大国であるのかという問題提起をいただきました。それに加えて非常に貴重な御提言、御指摘をいただいたことを真摯に受け止めさせていただきたいというふうに思います。  熾烈な国際競争の中で、科学技術分野において我が国は世界のトップレベルの水準を維持しているというふうに思っています。この中で、基礎科学が大切であります。かつて、御指摘のように、日本の基礎科学ただ乗り論という話がございました。これに対して、当時、日本として危機感を感じて、基礎科学に対する重要性、これを認識するという機会があって、そして、これまでボトムアップでそれぞれ研究者の自由な発想を重んじていく、そういう思いの中で、科学研究費補助金であるとか、あるいは国立研究開発機関の創設など、こういう取組をやってまいりました。私は、ここが一番大事なところだというふうに思っております。この基礎科学、これをしっかりと充実させていくこと、ここが我が国の出発点だというふうに思っておりまして、更に頑張っていきたいというふうに思っております。  谷岡議員の問題意識、これを大事にして、真の科学技術大国を実現するために頑張っていきたいというふうに思っておりますので、これからもよろしくお願いをいたします。(拍手)     ─────────────
  26. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 市田忠義君。    〔市田忠義君登壇、拍手〕
  27. 市田忠義

    ○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、野田総理に質問をいたします。  台風十二号により犠牲となられた方々、そして被災された皆様に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。政府が二次被害の防止に全力を挙げ、被災者の生活再建、自治体への財政支援を強化することを求めます。  東日本大震災、福島原発事故から半年がたちました。  復旧・復興の究極の目標、それは、これまで被災地で暮らし、あの大津波から生き長らえた全ての人々がこれからも安心してその地で住み続けることができるようにすることであり、子や孫たちの世代に地域社会を残すことであります。  ところが、居住環境は劣悪、仕事と収入がないために多くの人々が住み慣れた土地を離れざるを得なくなりつつあります。今何よりも急がれるのは、安心できる住環境と仕事と収入の確保の道を提供することであります。  雇用の確保のためには事業の再開がその大前提です。再建の意思のある全ての事業者を国が応援することが急務であります。被災した事業所再開の最大のネックは二重ローンであり、その解消が鍵だということを我が党も一貫して指摘し、具体策も示してきました。同時に、事業再建のためには、個々の事業所、店舗への直接の支援がどうしても必要です。住宅については、不十分ではあっても被災者生活再建支援として上限三百万円の補助があります。事業所や店舗の再建のためにも同様の施策を講ずることが不可欠だと考えますが、いかがですか。  大津波の被災地の主要産業は水産業です。海がある限り海で生きる、漁業者を始め関係者は強い意欲を持っています。漁に出れば魚はいます。ないのは漁船であり、漁具であり、冷蔵・冷凍施設を始めとする生産・加工・流通施設であります。これらが提供されてこそ、新たな生産と雇用が生まれます。全国の漁業関係者などは陸路、海路を通じて被災地に漁船を送ってきました。ところが、政府の対応はどうか。第一次補正で二百七十三億七千九百万円が手当てされた共同利用漁船等復旧支援対策事業は八月末現在一円も支出されていません。養殖施設復旧支援対策事業も、漁港関係等災害復旧事業も同様です。どうしてこんな事態になっているのか。直ちに予算を執行すること、生産、流通、加工までをセットで再生するために、これらとは別枠で冷蔵施設、加工施設再建のための個別・直接支援を行うべきだと考えますが、いかがですか。  農業についても、予算の執行率は大変低い水準にとどまっています。速やかに事業を執行するとともに、津波被害を受けた農地については、政府が一旦買い上げて塩抜きや圃場整備をして農家に貸し付け、将来的に農家が買戻しできるようにするべきではありませんか。  次に、原発事故への対応であります。  私たちが直面しているのは、第一に、重大な事故を起こした福島原発を、外部に今後放射性物質を出すことなく、完全な廃炉まで数十年にわたって管理していくという極めて困難な課題であります。第二に、ウラン換算で広島型原子爆弾の二十個分という莫大な量の放射能で汚染された地域を徹底して除染し、そこで安心して人が暮らし、子供を産み育てられるようにするという、人類がこれまで経験したことのない大事業をやらなければならないということであります。総理にはこの認識と覚悟がおありですか。  総理は、忘れてはならないものがありますと繰り返し述べ、原発で働く人たちと高校生の言葉を引用されました。しかし、あなたが忘れてならないのは、誰が高校生をあんな思いにさせたのか、なぜあのような原発事故が起こったのか、安全神話にどっぷりとつかってまともな手だてを講じてこなかった歴代政府の原子力行政の在り方そのものではありませんか。  総理は、除染について国が責任を持つと言われました。それなら、年間線量を二十ミリシーベルト以上だけ国が責任を持つというのではなく、全てに国が責任を持つことを明確にするべきであります。  賠償については、国と東京電力の責任で全面賠償することを改めて求めるものであります。被害者には適切な賠償とか因果関係云々などといって線引きをやりながら、東京電力は国からの支援を受け、電力業界や原子炉メーカーを始め原発で多くの利益を上げてきた原発利益共同体の責任も免罪し、その役員は高額報酬をもらい続ける。これほどモラルに反することはないではありませんか。  さらに、今こそ、より根本に立ち返って考えるべきときであります。放射性物質が一旦放出されればそれを抑える手段がないこと、安全な原発などあり得ないことが誰の目にも明らかになりました。総理は問題を対立的にとらえるなと言いますが、原発ゼロを目指すのか、それを推進するのかが今鋭く問われているのです。期限を切って、原発ゼロの日本を目指すことを政府が決断をし、同時並行で自然エネルギーの大規模な普及を進めることを強く求めます。  次に、円高問題についてです。  総理の挙げた対策は、大企業への立地補助金を出すことと外国企業の買収支援という、およそ国の政策というには余りにもお粗末なものでした。そこには、なぜ繰り返し円高が日本経済を襲うのか、そこから脱却するために何が必要なのかという根本的な思考が欠如しています。  元々、今回の急激で異常な円高は、アメリカの財政危機に端を発し、アメリカやヨーロッパ経済への不安を背景にしたものであり、その中で相対的に安全だとみなされた円が買われたところから起きたものであります。  これまで度々起きた円高局面で、輸出大企業は、一円の円高で数百億円の損失が出るなどといって、労働者と中小企業に犠牲を押し付けて、賃下げや首切りなど一層のコスト削減で対応し、円高の下でも輸出を増やすという方針を取り続けてきました。それがまた新たな円高を呼ぶという悪循環をつくり出してきました。今度も同じ対応が繰り返されれば、日本経済は計り知れない困難に陥るでしょう。大企業の圧力に屈して新たな補助金を出してやるような立地補助金などではなくて、日本経済を外需頼みから家計・内需主導に改革することに正面から取り組むべきではありませんか。そのためには、労働者派遣法を抜本的に変え、非正規雇用労働者を正社員化すること、最低賃金の抜本的引上げ、長時間過密労働の是正、下請いじめをやめさせ、大企業と中小企業との対等な取引ルールを確立するなど、企業活動で得た富を労働者と中小企業に還元し、国内に還流させる手だてを取ることであります。  さらに、直接的な円高の原因になっている巨額の投機マネーなどに対し、国際的な為替投機規制の取組を開始するよう世界各国に働きかけることが日本政府の責任ではありませんか。併せて答弁を求めます。  最後に、民主党前原政調会長のアメリカでの発言について伺います。  前原氏はアメリカで、PKOの武器使用の基準を緩和する、武器輸出三原則を見直すと明言されました。武器使用基準の緩和というのは、自衛隊が他国の軍隊と一緒になって武力行使する道をこじ開けようとするもので、明らかな憲法九条違反であり、従来の政府見解からも逸脱しています。事は政権党の政調会長の発言であり、極めて重大であります。総理は、この発言を是認されるのですか。是認しないとすれば、この発言を放置すべきではないと考えますが、総理の明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
  28. 野田佳彦

    ○内閣総理大臣(野田佳彦君) 共産党の市田議員から、まず最初に台風十二号の二次被害防止等についての御質問をいただきました。  政府としては、危険な状態にある五か所の河道閉塞、いわゆるせき止め湖について状況を注視し、関係自治体の警戒避難体制を支援するとともに、緊急に排水を行うための調査を進めるなど、緊張感を持って二次被害の防止に全力を尽くしております。また、本災害を近く激甚災害に指定し、被災者の生活再建の支援や被災自治体への財政支援を図ることとしております。  事業者の再建支援についてのお尋ねがございました。  被災事業者が早期に事業再開できるよう支援することは、被災者の暮らしの再建、地域の雇用の確保のために重要であります。このため、事業者の資金繰りを強力に支援し、仮設店舗や仮設工場の整備を行うとともに、被災した事業者が相乗効果を生みながら早期に復興できるよう、事業用の施設や機械等に対する復旧支援を実施をしてまいります。  続いて、農林水産業の再建支援についての御質問をいただきました。  水産業や農業の再建に向けた補正予算事業の執行については、現在、多くの事業において交付決定や査定前着工を実施しているなど、着実に進められているところでございます。御指摘の事業についても執行は着実に進んでおりますが、補助金の交付については、事業を実施する方々から国に請求があり次第、直ちに対応をしてまいります。  生産、加工、流通一体的な水産業のインフラ復旧は地域経済再生のためにも極めて重要であり、水産加工施設や市場等の共同利用施設の早期復旧に必要不可欠な機器等の整備を支援しているところでございます。今後とも、地域の方々の意見を踏まえ、更に本格的な復興に向けて取り組んでまいります。  東日本大震災で被災をした農地については、既に農地の復旧可能性の図面を公表したところであり、おおむね三年間での復旧を目指すこととしております。地域の意向を踏まえ、排水機場や堤防の復旧、除塩等を支援することにより、従来と同様の農地としての利用が可能となるようにしてまいります。  原発事故対応に関する認識と覚悟についての御質問をいただきました。  今回の原発事故においては、地震と巨大な津波の発生により、従来の設計評価における検討の範囲を超えた極めて厳しい事態が発生をいたしました。地震や津波に関する想定が不十分だったことなど、これまでの原子力安全行政が十分でなかったことは認めざるを得ません。この点、政府も事業者も、原子力に関する安全神話にとらわれていたという事実は謙虚に反省すべきであると考えております。  今回の原発事故は、まさに国家としての危機と言うべきものであり、事故の早期収束や大規模な除染、事故原因等の徹底的な検証を踏まえた原子力安全規制の抜本的見直しなどについて、国として全力で取り組んでまいります。  国の除染に対する姿勢についての御質問をいただきました。  本格的に除染を進めるために、政府として今回、除染に関する緊急実施基本方針を決定をいたしました。これを受け、県や市町村の協力も仰ぎつつ、国の責任として大規模な除染を行ってまいります。年間被曝線量が二十ミリシーベルト以下の地点においても安全かつ円滑に除染が行われるよう環境を整備するため、財政措置、専門家の派遣などの必要な支援を国として強力に実施をしてまいります。  原子力損害の賠償についての御質問をいただきました。  本件事故により生じる損害については、事故との相当因果関係が認められるものは全て原子力損害賠償法に基づき適切な賠償が行われることとなっており、この賠償は、一義的には原子力事業者である東京電力が賠償の責任を負うべきものであります。  他方、政府としても、被害者の速やかな救済が必要と考えており、さきの国会で成立した原子力損害賠償支援機構法やいわゆる仮払い法等に基づき支援を行うとともに、当事者間の和解交渉の仲介体制の整備等を通じ、原子力損害を受けた被害者の方々全員に対して適切かつ迅速な賠償が行われるよう全力で取組を進めてまいります。  また、原子力賠償支援機構法に基づく政府による支援は、東京電力による最大限の経営合理化と経費削減などを大前提としており、国民の理解を得られるよう、東京電力に対し、聖域なく最大限の努力を求めていく考えでございます。  なお、原子炉メーカーなど産業界は、これまで避難住民の方々に対して宿舎の確保や雇用機会の維持確保に努めるなどの協力を進めていると承知をしており、本件事故の収束や避難住民の方々に対する支援など、産業界も含め関係者が一丸となって取り組むことが重要であると考えております。  脱原発及び自然エネルギーの普及に関する御質問をいただきました。  原子力発電については、脱原発と推進という二項対立でとらえるのではなくて、中長期的には原発への依存度を可能な限り引き下げていくという方向性を目指すべきであると考えております。  今後、自然エネルギーの普及も含め、国民が安心できる中長期的なエネルギー構成の在り方については、幅広く国民各層の御意見を伺いながら、エネルギー・環境会議を中心に検討をしてまいります。  円高の日本経済に対する影響についての御質問をいただきました。  過度な円高の進行は、我が国の産業を牽引してきた輸出企業や中小企業に悪影響を及ぼし、国内産業の衰退と雇用の場が失われていくおそれを生じさせます。現在の歴史的な水準の円高を契機とする産業の空洞化を防ぎ、国内雇用を維持していくために、金融政策を行う日本銀行と連携をし、あらゆる政策手段を講じてまいります。そのため、予備費や第三次補正予算を活用し、思い切った立地補助金の拡充や中小企業金融の一層の充実など、緊急経済対策を実施をいたします。加えて、環境・エネルギー分野や長寿社会で求められる医療関連の分野を中心に新たな産業が次々と生み出されていく環境を整備し、経済成長を担う民間企業の活力を引き出すことで国内に安定した雇用の場を確保してまいります。  内需主導の経済についての御質問をいただきました。  我が国の経済成長を支えているのは中小企業を始めとする民間企業の活力であり、また、分厚い中間層の存在が経済発展の基礎となってまいりました。グローバル経済における競争が激化する中、我が国が安定的な成長を達成するためには、外需に過度に依存することなく、安定した内需と外需を創造し、産業競争力の強化と併せて、富が広く循環する経済構造を築く必要があると考えております。そのため、我が国の産業の空洞化を防ぎ、国内雇用を維持するとともに、環境や医療等の分野を中心に新しい産業や雇用が生み出されていくことが重要であります。  政府としては、昨年策定された新成長戦略の実現を加速するとともに、戦略の再強化を行い、年内に日本再生の戦略をまとめ、取組を進めてまいります。  国際平和協力業務に従事する自衛官の武器使用権限について最後に御質問をいただきました。  国際平和協力業務に従事する自衛官の武器使用権限の在り方については、国会やPKOの在り方に関する懇談会等における議論を踏まえつつ、引き続き検討することが必要であると考えております。もとより、こうした検討は憲法の枠内で行ってまいります。  以上、答弁とさせていただきます。(拍手)     ─────────────
  29. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 舛添要一君。    〔舛添要一君登壇、拍手〕
  30. 舛添要一

    ○舛添要一君 未曽有の大震災、そして原発事故という国難に当たり、内閣総理大臣として重責を担われる野田首相の所信表明演説に対しまして、たちあがれ日本・新党改革を代表して質問いたします。  まずは、震災・原発事故対応についてですが、これまでの菅内閣の対応は場当たり的で、しかも迅速さに欠ける嫌いがありました。私たち野党も様々な建設的提言を行ってきましたが、残念ながらその提案が採用されることは余りなかったように思います。  総理は、福島第一原発で黙々と作業を続けている二千人を超える作業員の方々に言及されましたが、彼らの安全確保について十分な配慮をしているのでしょうか。私は、これまで一貫して造血幹細胞の事前凍結保存を提案してきましたし、民間の医療機関もそのための支援体制を整えてきました。しかし、政府は、そのような努力を支援するどころか、原発作業員は被曝しない安全な環境で作業しているのでその必要はないという論理でこの提案を拒否してきました。  危機管理とは、まさに想定外のことが起こったときにどう対応するかということであり、この政府の姿勢は間違っていると思います。造血幹細胞の事前凍結保存について、野田総理はどういう対応をするのか、改めてお伺いいたします。  さらに、海洋生物などについて、セシウムのみならず、プルトニウムやストロンチウムの含有量を調査するように要求してきましたが、これらについても十分な調査が行われた形跡はありません。また、放射性物質に対する除染作業についても遅々として進んでおりません。これらの問題についても、どのように取り組むのか、お聞かせください。  福島県では、医者不足が深刻であります。これは除染作業の遅れが原因でもあります。例えば、南相馬市では夜間に小児科医が一人もおりません。国会で予算を決めても、それを国は県に丸投げ、県は業界団体に丸投げで、現場で必要なところにお金が届いておりません。これらの問題についてどう対処するのか、総理の答弁を求めます。  次に、エネルギー政策についてですが、総理は、来年の夏をめどに新しい戦略と計画を打ち出しますと明言されましたが、その方向性もまだ明らかではありません。電力供給については、安定性とコストという要素を考慮に入れることが必要ですし、また、脱原発を志向するのならば、原発に代わる代替エネルギーの開発を急がねばなりません。  総理は、菅内閣が提案した脱原発依存という方針を変更されたのかどうか、お答えください。さらには、定期検査後の原発の再稼働についても、容易に地元自治体が容認するとは思えません。この点について、総理の認識は楽観的に過ぎるように思いますが、いかがでしょうか。  次に、金融・経済対策について取り上げます。  昨今の円高は、製造業の国外移転、いわゆる産業の空洞化を招来することにつながります。この円高の原因の一つは、デフレとの戦いが十分でないことにあります。非日常的な手段も行使して、更なる金融緩和を行う必要があります。その点では、日銀法に明言されているように、財務省と日本銀行が政策の十分な調整をすることが不可欠であります。デフレ対策についての総理の認識をお伺いいたします。  総理が主張されるように、経済成長と財政健全化を車の両輪として同時に進めていくことについては誰も反対しないでしょうが、安易な増税は消費者心理に悪影響を与え、デフレからの脱却を遅らせ、かえって復興の足を引っ張ることを危惧いたします。GDPの六割が個人消費であることを忘れてはなりません。  その点でも、国民に安心と希望を与える社会保障制度の改革は喫緊の課題であります。高度経済成長時代の社会保障は、企業など個人が所属する団体によって支えられておりました。人生の安全網は、言わば会社によって張り巡らされていたと言ってもよいでしょう。しかし、企業がグローバル競争にさらされる今日、もはやその役割を企業に期待することはできません。政府が正面に登場すべきときが来ています。だからこそ、財源の問題が最重要課題となってくるのであります。  ところで、総理は、社会保障制度について全世代対応型への転換をうたっておられますが、これを実行するのは容易ではありません。例えば、年金について、賦課方式から積立方式への変換をどのようにして、またどれくらいの期間で実現するのか。さらに、介護保険料の負担年齢を現行の四十歳以上から成年以上に拡大するのか否か、考慮すべき具体的課題は山積しております。これらの点について総理の御所見を求めます。  次に、外交防衛問題について質問いたします。  民主党政権になって、この二年間、日本外交はすっかり停滞し、世界における日本のプレゼンスも大きく低下してしまいました。日本の動向にはかかわりなしに、国際社会は大きく変動しております。野田政権に求められるものは、日本外交の立て直しであります。  まずは、日米関係です。良好な日米同盟関係は、日本外交の基盤であるとともに、世界の平和と安定を支える柱でもあります。しかし、鳩山内閣以来、この重要な日米同盟にひびが入ってしまいました。言うまでもなく、普天間基地移設問題が障害となっております。  先日、私は、この問題につきまして沖縄県の仲井眞知事やアメリカ政府の担当者と議論を交わしました。移転先について、沖縄県民は最低でも県外という認識で固まっており、それを仲井眞知事も無視するわけにはいきません。しかし、アメリカ政府は年内決着を求めており、それが入れられなければ普天間の固定化もやむなしといった主張を始めております。さらに、アメリカは予算削減の必要性からグアム移転計画を見直す方針のようであります。  民主党政権も、結局は自民党政権が長年掛けてまとめ上げた辺野古移転案を採用しましたが、今後の展開は全く不透明であります。この問題をどのようにして解決していくのか、総理のお考えをお聞かせください。  沖縄と東京では大きな認識ギャップがあるように思います。沖縄県民の意見に謙虚に耳を傾け、その上で信頼関係を築き上げることができれば、この困難な問題を解決する糸口を見出すことは可能だと考えますので、できるだけ早い機会に総理が沖縄を訪問されることを提案したいと思います。  次に、近隣諸国との関係であります。  日本の政治の不安定な状態に乗じてか、隣国からの不穏当な動きが目立ちます。ロシア軍が我が国周辺で偵察飛行を行ったり、大規模な演習をしたりしております。これは、日本が侮られているからなのか、それとも経済支援の欲しいロシアの焦りの表れなのか、総理の見解を求めます。また、北方領土問題解決への野田政権の取組について説明してください。  中国もまた尖閣諸島周辺に漁船を派遣するなど、挑発的とも言える行動を繰り返しております。竹島をめぐる韓国の最近の動きも懸念材料であります。これらの問題については、日本の領土を守り抜くという毅然とした姿勢が必要であります。野田内閣の決意と取組について説明を求めます。  また、中国については、近年の軍事力、とりわけ海軍力の拡大が周辺諸国の不安をかき立てております。来年は日中国交正常化四十周年ですが、中国とは戦略的互恵関係を発展させるとともに、この隣国が国際社会の重要な一員としての責任を果たすことを求めるべきだと考えますが、総理の御所見を求めます。  先日、脱北者が能登半島沖に漂着しましたが、北朝鮮との関係では、拉致問題、核兵器開発問題など、解決すべき問題が多々あります。拉致被害者、そしてその御家族にとっては一刻の猶予もならない事態でありますが、残念ながら民主党政権下でこの問題の進展が見られませんでした。野田総理はどのような方針で北朝鮮と対峙していくのか、御説明お願いいたします。  さらには、TPPの推進も国際社会で生き抜かねばならない我が国としては重要な課題であります。TPPを強力に推し進めるのか否か、野田内閣の方針を明確に説明してください。  最後に、選挙制度改革の話を取り上げます。  最近、日本の政治家の質の劣化が指摘されており、私たち国会議員も反省しなければならないと思いますが、その質の劣化の原因の一つに現行の小選挙区制があるように思えてなりません。ポピュリズムがばっこする世の中で、一つの議席を争えば、選挙至上主義で様々な弊害が生まれます。選挙制度改革について議論すべきときが来ていると思いますが、この問題についての総理の認識をお聞かせください。  私たち国会議員が、そしてこの国会が、国権の最高機関として、この国難に正面から対応すべきことを強調いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
  31. 野田佳彦

    ○内閣総理大臣(野田佳彦君) 舛添議員のお尋ねに順次お答えをさせていただきたいと思います。  まず一番最初に、造血幹細胞の事前採取についての御質問をいただきました。  一時期に大きな線量を被曝することに備えるという観点から、造血幹細胞の事前採取、凍結という手法があることは承知をしており、対応策の一つの選択肢であると認識をしています。  しかしながら、本件に関しては、作業従事者に更なる精神的、身体的負担を掛けるという問題があり、また、関連国際機関等においてもいまだ合意がなく、国民にも十分な理解が得られておりません。  こうした状況を鑑み、三月二十九日、原子力安全委員会から、現時点での復旧作業従事者に対する造血幹細胞の採取は必要ないとの助言を得たところでございます。造血幹細胞の事前凍結保存の対策の有効性については、国内の学識経験者の間でも議論が分かれているなど、現時点においても状況に大きな変化は見られていないため、直ちに政府として対応をする予定はございません。  いずれにしても、事業者による被曝管理の状況を注視し、厳しい作業環境にいる作業者の安全確保についてしっかりと対応してまいりたいと思います。  続いて、海洋生物の調査についてのお尋ねがございました。  プルトニウムとストロンチウムについては、文部科学省及び東京電力が海水や海底の土の中の濃度を調査しているところでございます。海洋生物の定期的な調査は現在行われておりませんが、今後、これらの海水等の濃度調査の結果やその傾向を注視していかなければならないと考えております。  除染事業に対するお尋ねもございました。  政府としては、これまで、例えば学校の校庭の表土除去やコミュニティーによる除染活動の支援などを実施してまいりました。これに加えて、本格的に除染を進めるために、政府として、八月二十六日に除染に関する緊急実施基本方針を決定をいたしました。国が先頭に立って、県や市町村と連携し、大規模な除染を行っていく所存でございます。  また、予備費でも二千二百億円の費用を計上しましたが、これにより、高線量地域におけるモデル実証事業を実施するとともに、市町村等が除染を実施するための財政的支援や専門家の派遣を実施をしてまいります。あわせて、第三次補正又は来年度通常予算においても必要な予算を確保し、迅速な除染に努めてまいります。  なお、復興事業、医師不足のお話についても御指摘がございました。  復興事業については、自治体や事業者が事業主体として実施していくことも多くありますが、国としては、事業主体である自治体や事業者ができる限り円滑に事業を執行していけるように、そして着実に復興が進んでいくように、情報や人材、ノウハウの提供等、責任を持って支援を行ってまいります。  なお、議員御指摘の福島県における医師不足については、現場関係者の考え方の方向性を踏まえて、国としても支援をしてまいりたいと考えております。  脱原発依存に関するお尋ねがございました。  原子力発電については、脱原発と推進という二項対立でとらえるのではなくて、中長期的には原発への依存度を可能な限り引き下げていくという方向性を目指すべきであると考えております。今後、国民が安心できる中長期的なエネルギー構成の在り方について、幅広く国民各層の御意見を伺いながら、エネルギー・環境会議を中心に検討してまいりたいと考えております。  原子力発電所の再稼働における地元自治体の理解についての御質問をいただきました。  定期検査で停止中の原子力発電所の再起動については、事業者が行ったテストを保安院が評価し、さらに、その妥当性を原子力安全委員会が確認した上で、地元の理解や国民の信頼が得られているかどうかという点も含めて政治レベルで総合的に判断を行ってまいります。その際、地元自治体に対しては、政府が前面に立って安全対策等について丁寧に説明し、その御理解を得るべく努力をしてまいりたいと思います。  円高対策とデフレからの脱却についてのお尋ねがございました。  急速な円高等による産業の空洞化を防ぎ、デフレからの脱却を図るためには、金融政策を行う日本銀行とも連携し、あらゆる政策手段を講じていく必要があると考えております。まずは、緊急経済対策として、第三次補正予算や予備費により思い切った立地補助金の拡充や中小企業金融の更なる充実等を実施をしてまいります。さらに、昨年策定された新成長戦略の実現を加速するとともに、大震災後の状況を踏まえた戦略の再強化を行い、デフレからの脱却を図ってまいりたいと考えております。  社会保障制度改革についての御質問もいただきました。  本年六月の社会保障・税一体改革成案では、所得の再分配機能の強化や家族関係の支出の拡大を通じて、全世代を通じた国民一人一人の安心感を高めていくことにしております。  こうした観点に立ち、総合的な子ども・子育て支援や若者世代への支援策の強化を図るなど、社会保障制度を世代間の公平性が実感できるようなものにしなければならないと認識をしています。  民主党の新しい年金制度は積立方式ではないと承知していますが、一体改革成案において新しい年金制度の方向性と骨格を示し、国民的な合意に向けた議論や環境整備を進めて実現に取り組むこととしております。  また、介護保険料の負担年齢の拡大については、保険料負担を軽減すべきとの意見の一方、若年世代の理解を得る必要があるとの意見もあり、引き続き十分な議論を行ってまいりたいと思います。  社会保障と税の一体改革はどの内閣であっても先送りできない課題でございます。各党会派の皆様におかれましても、一体改革に関する政策協議に御参加いただきますようお願いを申し上げます。  普天間移設問題についてのお尋ねをいただきました。  普天間飛行場の移設問題については、日米合意を踏まえながら、同飛行場の固定化を回避し、沖縄の負担軽減を目指すことが必要でございます。また、沖縄振興策などについて、沖縄政策協議会の下で議論を進めてまいります。  沖縄において県外移設を求める声があることは十分承知をしておりますが、現在の日米合意は全体として、少なくとも現状に比べると沖縄の大きな負担軽減につながると考えており、政府としては、引き続き、沖縄の皆様の御理解を得るべく、誠実に努力をしていく考えでございます。  知事とお会いをした方がいいというアドバイスもいただきました。貴重な御助言として受け止めさせていただきたいと思います。  ロシアの最近の軍事行動の背景及び北方領土問題の解決についてのお尋ねがございました。  ロシアの最近の軍事行動につき一般論として申し上げれば、ロシアが自国の経済の回復などを受けて軍事力を近代化し、軍事的な活動を活発化させていることが背景にあると考えております。  政府としては、今後とも、我が国の安全保障を確保していくという観点から、必要な情報収集を行うとともに、ロシア側との意思疎通を強化する等、できる限りの対応を取っていく考えでございます。  北方領土問題については、ロシアとアジア太平洋地域のパートナーとしてふさわしい関係を構築する取組を進める中で、一日も早い解決を図るべく、これまでの諸合意、諸文書に基づいて、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結をすべく、粘り強く交渉を行っていく考えでございます。九月六日に、メドベージェフ大統領との電話会談においても、私からこうした姿勢を、考えをお示しをさせていただきました。  尖閣諸島及び竹島についての御質問をいただきました。  尖閣諸島が我が国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、現に我が国はこれを有効に支配をしています。したがって、領有権をめぐり解決すべき問題はそもそも存在をしておりません。政府としては、尖閣諸島に関する我が国の一貫した立場に基づき、従来から尖閣諸島付近海域において厳正かつ適切な警備を実施してきており、引き続き、万全の体制で警備に当たる考えでございます。  また、最近の韓国閣僚及び国会議員の竹島訪問や竹島に係る一連の措置は、我が国としては受け入れられるものではございません。ハイレベルを含む様々なレベルで韓国側に抗議をしています。政府としては、この問題の平和的解決を図るため、今後とも粘り強い外交努力を行ってまいります。引き続き、オールジャパンであらゆる情報や知恵を集め、有効な方策について不断に検討していきたいと考えております。  日中関係についてのお尋ねがございました。  中国とは来年の国交正常化四十周年を見据えて、幅広い分野で具体的な協力を推進し、戦略的互恵関係を深めていきたいと考えております。一方で、中国の透明性を欠いたままの継続的な国防力の強化や中国周辺海域における海洋活動の活発化には、我が国を含む地域、国際社会が懸念を抱いております。我が国としては、中国の動向を引き続き注視しつつ、対話や交流を通じて透明性の向上や国際的な行動規範の遵守を働きかける考えでございます。  拉致問題について御質問をいただきました。  拉致問題は、我が国の主権にかかわる問題であり、重大な人権の侵害でもございます。先般、拉致被害者の御家族とお会いして、私の決意を申し上げましたけれども、国の責任において全ての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くしていく覚悟を申し上げて、御答弁とさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  32. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) 答弁の補足があります。内閣総理大臣野田佳彦君。    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
  33. 野田佳彦

    ○内閣総理大臣(野田佳彦君) 舛添議員、申し訳ございません、二問答弁漏れをいたしてしまいました。深くおわびを申し上げたいというふうに思います。  まず一つは、TPPについての御質問でございました。  世界経済の成長を取り込んで産業空洞化を防止していくためには、国と国との結び付きを経済面で強化する経済連携の取組を欠かすことはできません。このため、包括的経済連携に関する基本方針に基づいて、高いレベルの経済連携協定の締結を戦略的に追求をしていきたいと考えております。  TPP協定については、随時、関係国との間で情報収集や協議を行ってまいりました。その結果得られた情報については、国益を確保する観点から様々な検討、分析を行うとともに、国民の理解を深めるため可能な限り説明に努めてきており、今後も努めていく考えでございます。  八月十五日に閣議決定した政策推進の全体像にあるような広範な視点を踏まえ、TPP協定への交渉参加について、しっかりと議論し、できるだけ早い時期に結論を出していきたいというふうに思います。  選挙制度改革についての御質問をいただきました。  現在、国会に議席を占められておられる政治家に対するいわゆる質の劣化という舛添議員の評価は私の見解と必ずしも同じではございませんが、また小選挙区制度に対する評価も異なるところがございます。  しかし、いずれにいたしても、現下の喫緊の課題は、最高裁の判決で違憲の状態と指摘をされていることだと思います。この一票の格差の是正をしっかりと対応していかなければならないと認識をしています。そして、一票の格差の是正や議員定数の問題を含めた選挙制度の在り方については、国会において各党会派により真剣に議論が行われ、成案が得られることを強く期待をしている次第でございます。  答弁漏れがあったこと、重ねておわびを申し上げて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  34. 尾辻秀久

    ○副議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四分散会