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2011-02-16 第177回国会 参議院 国際・地球環境・食糧問題に関する調査会 1号 公式Web版

  1. 平成二十三年二月十六日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員氏名     会 長         藤原 正司君     理 事         外山  斎君     理 事         米長 晴信君     理 事         島尻安伊子君     理 事         山田 俊男君     理 事         加藤 修一君     理 事         松田 公太君                 大野 元裕君                 主濱  了君                 田城  郁君                 田中 直紀君                 谷岡 郁子君                 白  眞勲君                 水戸 将史君                 室井 邦彦君                 有村 治子君                 岸  信夫君                 熊谷  大君                 佐藤 正久君                 野村 哲郎君                 橋本 聖子君                 水落 敏栄君                 石川 博崇君                 紙  智子君                 中山 恭子君     ─────────────    委員の異動  二月十五日     辞任         補欠選任      佐藤 正久君     浜田 和幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         藤原 正司君     理 事                 外山  斎君                 米長 晴信君                 島尻安伊子君                 山田 俊男君                 加藤 修一君                 松田 公太君     委 員                 大野 元裕君                 主濱  了君                 田城  郁君                 田中 直紀君                 谷岡 郁子君                 白  眞勲君                 水戸 将史君                 室井 邦彦君                 有村 治子君                 岸  信夫君                 熊谷  大君                 野村 哲郎君                 橋本 聖子君                 浜田 和幸君                 石川 博崇君                 紙  智子君                 中山 恭子君    事務局側        第一特別調査室        長        宇佐美正行君    参考人        東京大学生産技        術研究所教授   沖  大幹君        総合地球環境学        研究所教授    渡邉 紹裕君        国連人口基金東        京事務所長    池上 清子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人の出席要求に関する件 ○国際問題、地球環境問題及び食糧問題に関する  調査  (水問題の現状について)     ─────────────
  2. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) ただいまから国際・地球環境食糧問題に関する調査会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日、佐藤正久君が委員を辞任され、その補欠として浜田和幸君が選任されました。     ─────────────
  3. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際問題、地球環境問題及び食糧問題に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) 国際問題、地球環境問題及び食糧問題に関する調査を議題といたします。  この際、本調査会の今後の運営方針について御報告いたします。  本調査会の今後の持ち方につきましては、理事会及び理事懇談会において協議してまいりました。  その結果、国際問題、地球環境問題及び食糧問題それぞれと非常に密接にかかわりある水問題について議論が及び、水は人間の生命、健康の維持はもとより、生態系の保全や経済社会活動に欠かすことのできない資源ですが、今日、国際社会では様々な問題が生じており、その解決は我が国にとっても極めて重要であるという旨、共通の認識に至りました。  よって、まず、本調査会におきましては、水問題を切り口に参考人から意見聴取等を行い、調査を進めてまいりたいと存じます。  そこで、本日は水問題の現状について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  本日は、東京大学生産技術研究所教授沖大幹参考人、総合地球環境研究所教授渡邉紹裕参考人及び国連人口基金東京事務所長池上清子参考人に御出席をいただいております。  この際、一言御挨拶を申し上げます。  各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  本日は、各参考人から忌憚のない御意見を承りまして今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まず沖参考人、渡邉参考人、池上参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時ごろまでをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、沖参考人から御意見をお述べいただきます。沖参考人、どうぞ。
  7. 沖大幹

    参考人(沖大幹君) ありがとうございます。(資料映写)  水問題の現状についてということですが、時間も限られておりますので、最初は私の方から、後の質疑の際に共通認識として是非ここだけは理解しておいていただきたいということにつきまして御紹介させていただきまして、御関心の個々の点につきましては、後の質疑の際に細かいことを是非お聞きいただければ私の知る範囲で答えさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  まず、私がどういう者かという専門分野について御説明したいと思いますが、地球上の水循環、地球を見ますと、雲、海、そして植物があって雪氷があってと、こういう地球上の水循環を網羅するように研究する分野のことを水文学と申します。これは天文学という言葉が天に関する森羅万象を扱うのに対しまして、水文学というのは水に関する森羅万象を扱う。しかも、自然科学分野のみならず人間とのかかわりについても対象とするということが一九六四年にユネスコによりまして定義されております。そういう学問を私はなりわいとしております。  したがいまして、今日のお話も、自然科学的な水循環の話に立脚しつつも、社会の中における水、あるいは国際社会における水という視点からお話しさせていただきたいと思っております。  水問題といいますと、昨今は非常に巷間に上るようになりましたが、水というのがまだ大事なのかと。  以前、私は水なんて研究している方がいるんですねと言われたことがあるぐらいで、非常にあって当たり前、もう気にしなくていいものというふうに思われているかもしれませんが、こちらお示ししておりますグラフは、内側から、一九〇〇年から二〇〇四年までの間、まあ百年余りの間の死者数、そして影響を受けた人数、そして一番外側が経済被害でございます。  一番赤いところが干ばつなんですが、ちょっと内側の色がずれていますけれども、死者数でいいますと半数以上が干ばつによるものであると。そして、影響人数でも三分の一は干ばつによる。そして、経済被害では七%と少ないんですが、逆に今度は洪水被害というのが、例えば死者数でいうとやはり三分の一ぐらい、そして影響人数でいうと半分、そして経済被害の三分の一、三割ぐらいはやはり洪水によるものだということで、日本におりますと自然災害、地震というのが一番気になるわけですけれども、世界的に見ますと、干ばつ、洪水、そして暴風害を加えますと、そういう風水害が過半を占めているということがお分かりいただけると思います。  では、日本ではもう風水害気にしなくていいのかと申しますと、これは二〇〇四年、近畿あるいは福島、新潟で豪雨が起こった際の年なんですけれども、この年は死者・行方不明者で申しまして水害で二百人以上の方がお亡くなりになっています。そして、この年、中越地震、最初の方ですが起こった年なんですが、その死者数は百名を超えることはございませんでした。そして、負傷者、全壊、半壊、一部半壊、いずれも洪水による被害と地震による被害というのがほぼ同じ程度であるということがお分かりいただけることと思います。  すなわち、ふだん気にすることの余りないかもしれない洪水、干ばつといったものが世界的には非常に自然災害の中で大きなウエートを占めているし、そして日本でも年によっては非常に深刻であるということをまず御認識いただきたいと思います。  そして、水資源の話に移っていきたいと思いますが、よく水資源がなぜ大事かという説明の中で、地球上には水がたくさんあるけれども、その中で淡水、真水は二・五%ぐらいで、その中のほぼ全ては地下水あるいは雪氷、氷や氷河の中に入っているので、人間が使いやすい水は地球全体の水の〇・〇一%ですよ、だから淡水資源は重要なんですよという言い方がされます。それで納得される方も多いのですけれども、この説明には若干問題があるというふうに考えております。  すなわち、一つには、地球上の水の中で人間が使いやすい水の割合が〇・〇一%、これ一万分の一に当たりますけれども、一万分の一だからといって必ずしもそれが少ないかどうかということとは別問題である。例えば、日本個人の金融資産千四百兆円としまして、その〇・〇一%、これ千四百億円になります。千四百億円、例えば渡邉先生が持っているとして、渡邉先生が私の持っている貯金は日本の金融資産の〇・〇一%だから少ないんですよと言われると、普通の方は怒ると思うんですね。というふうに、全体に対する割合が少ないか多いかではなくて、その与えられている水が人間にとって十分かどうかという視点で見るべきである。  もう一つは、水資源というのは再生資源と言われますように繰り返し使えます。そうしますと、たまっている水を使うのではなくて、毎月毎年流れてくる水の量が大事である。すなわち、経済の言葉で言いまして、ストックではなくてフローが大事だ。またお金の話になりますと、貯金がどのぐらいあるかではなくて毎月入ってくる収入がどのぐらいあるか、それが大事だということになります。  そういう目で見ますと、今のような全体に対する割合が少ないというのは若干説明が勘違いしやすいところだと思いまして、これは地球上の水文循環量の図ということになりますけれども、例えば、瞬間瞬間に世界中の川には約二千立方キロメートルぐらいの水がたまっているというふうに推計されています。これに対して人間は毎年四千立方キロメートルぐらいを使っています。二倍使っている。  どうして二千しかない川の水から四千も使えるんだろうか。これは、実は流れる水は陸から海に四万立方キロメートル流れているわけです、全部足しますと、約。その中の一割、四千ぐらいを人間は使っている。その瞬間瞬間たまっている水ももちろん大事なんですけれども、それよりはフローとしてどのぐらい流れているかというのが大事だということになります。で、皆さん、ああ、世界中で使える水資源の中の一割しか使ってないのか、そしたらどうして水が足りないんだろうと思われるかと思うんですが、それは、水というのが時間的、空間的に非常に偏っているということです。  日本は水に恵まれている国という印象もあるかもしれませんけれども、それは量が多いというだけではなくて、季節によって降らないときと降るときというのが非常に差が少ない。日本は冬でも夏でも春でも秋でも雨が降る、これが非常に有り難いことです。アジアモンスーンの大抵の国は、六月から九月、六、七、八、九、四か月の間に年間の雨の八割から九割が降ります。そうしますと、その降らない八か月の間にどうやって水を使うのか、こういう時間的な偏在、あるいは世界地図を思い浮かべていただきまして、シベリア……
  8. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  9. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) 速記を起こしてください。
  10. 沖大幹

    参考人(沖大幹君) よろしいでしょうか。  世界地図を思い浮かべていただきますと、シベリアあるいは熱帯雨林の地域のように非常に降る地域、そしてその間にある亜熱帯、乾燥帯と言われるようなほとんど年中雨が降らないような地域というふうに、地理的にも偏在しているというのが水が足りない原因であるということになろうかと思います。  では、もし水が多い地域と少ない地域があるのであれば、多いところから少ないところに運べばいいじゃないか、あるいは多い時期と少ない時期があるのであれば、多いときにためておいて少ないときに使えばいいじゃないかと思われると思うんですね。それが水の場合には若干うまくいかないというのがもう一つのポイントになります。  それはなぜかと申しますと、水というのが非常に安く供給される資材である、物であるということです。こちらのグラフは、縦軸が重さ当たり、一トン当たりの値段になります。そして、横軸は、日本で年間使っている量を掛けますと大体の市場規模ということになるわけですが。  上下水道というのは、国際的にも、一声、一トン当たり一ドル、まあ百円、八十円ですね、今ですと。日本の平均で大体一トン当たり二百円ぐらいで供給されております。工業用水になりますと一トン、千リットル当たり二十三円ぐらい、そして農業用水になりますと、これは量に応じて負担するわけではありませんが、大体目安といたしまして、一トン当たり三、四円ぐらいで供給されている。非常に安いということになります。  これ、一トンのものを例えば大阪から東京まで運ぼうとしますと、大体一万円ぐらいのお金が掛かります。ということは、ここにございますミネラルウオーター、ミネラルウオーターは一トン当たり二、三十万円です。二、三十万円のものを一万円掛けて運んでも、これ二十一万円、三十一万円になるだけですからコストのうちですが、百円のものを一万円掛けて運んじゃいますと、値段、これ百倍になるわけです。  つまり、水というのは運ぶのが非常にコストが掛かってしまうと。そういうものを運ぶために何をやるかといいますと、パイプラインですね。石油だってそうです、ガスだってそうです。エネルギーは比較的やはり安いので、できるだけコストを掛けずに運ぼう、なのでパイプラインです。パイプラインがあるのかと。皆様の御家庭に行っている水道管はまさにパイプラインで、そういうものがあれば安く供給できる、なければ一々高い水を買わなきゃいけない。  これは、水問題でお聞きになられたかもしれませんが、例えば水道が来ている地域と、途上国でですね、来ていない地域、どちらの人が水にお金を払っているかといいますと、水道が来ていない地域なんです、量当たりでいいますと。なぜかと言いますと、水売りから、安全かどうかも分からないような水を一々コンテナに入れて買わなきゃいけない、この方がはるかに高い水を買わされるということになっているわけです。  じゃ、実際に水、どのぐらい量を使うのかということですが、ポイントは、我々、水問題といいますと飲み水のことが一番気になるわけですけれども、その飲み水というのは一日二、三リットルでいいのに対しまして、我々は、風呂、トイレ、炊事、洗濯、その他歯磨きなどに毎日二、三百リットルの水を使っている。つまり、健康文化的な暮らしをするために、生き物として最低限必要な水の百倍の水を使っているんだ。つまり、水というのは、単に生きるか死ぬかだけじゃなくて、文化的に暮らせるかどうか、そのために必要な水というのは単に飲むための水の百倍であると。これは日本の場合ですが、先進国は大体そのぐらいです。さらに、我々が食べているものを作るのに対して、ふだん水道水で使っている水の十倍、一日二、三千リットルの水を使ってできたものを我々は毎日食べております。  もう一つ、水道水に関しまして、生活用水に関しまして重要な点は、風呂というのは体を洗うわけです。トイレというのは便器を洗って流し去る、そして炊事というのは食材や食器を洗う、そして洗濯というのは服を洗う。全て水を使うということは洗うことです。つまり、水は使ったら汚れます。したがって、水をきれいに使いましょうというのはこれは自己矛盾がありまして、水は使ったら汚れてしまうんだ、逆に、汚い水をきれいにすることはそれは使える水を生み出すのと同じだということで、製造の造に水と書いてゾウスイと読みますけれども、造水というのは、まさに水をきれいにすることは水を生み出すことであるということがお分かりいただけると思います。  今申し上げたことをまとめますと、一日二、三リットルの水、そして二、三百リットルの水道水、そして二、三千リットルの雨水とかんがい用水なんですけれども、かんがい用水の場合には、実際は我々が食べているものの半分以上は海外から来ておりますので、水に換算しましても半分ぐらいは海外の水に頼っているんだということが言えます。  これを土地面積との関係で御説明させていただきたいのですが、日本の場合には、年間降る雨が一・六メーターから一・七メーターぐらい降って、〇・六から〇・七ぐらい蒸発しますので、一声、一メーター分ぐらいが水資源として使えます。つまり、一平方メートル当たり一トン使えるわけです。ところが、我々の暮らしには、日本に暮らしておりますと、大体千トンぐらい水が必要ですので、千平方メートル、一人当たり必要だという計算になります。  ところが、例えば東京の非常に都心部になりますと、人口密度、一平方キロメートル当たり一万人です。これ千人だったら、その場の水資源だけを使って、つまり地産地消の水でも何とかなる。都市に集中してしまったがために、どこかから水を引いてこなきゃいけないということになるんだと。それが同じように途上国でも、都会にどんどん人が集まってきて人口密度が上がると、それまでは井戸の水でよかった、泉の水でよかったところが、どうしてもどこかから水を引いてこなきゃいけない、そのためには社会基盤を整備しなきゃいけないんだということになるわけです。  時間の関係もありますので若干急ぎますが、今なぜ水問題なのかということに関しまして、私なりの、まあ若干うがった見方も含めて申し上げますと、日本政府、特に外務省なんかでは、やはり今まで水分野で貢献してきたのにODAの削減に伴って減っていると、それが非常に問題であるということを分かってほしいという気持ちが多分あるんだろう。あるいは、後で申し上げますが、日本だけが安全平和で豊かということはあり得ない、このグローバル化した社会の中で。やはり水の問題というのが海外では非常に深刻であると、これを解決しない限り世界の平和はないだろうということだと思います。  あるいは、水と緑というのは、これはやはり健全な美しい望むべき自然の象徴でありますので、それを何とかしたいという市民の気持ち。あるいはマスメディア、最近ちょっと風潮変わりましたが、地球温暖化の主な影響というのはやはり水を通じて出てきます。したがいまして、水問題も取り上げようと。  あるいは企業は、水技術の開発、展開ということでそこにビジネス商機があるんではないかと。あるいはカーボンニュートラル、温暖化と関連しましてCO2の排出権取引といったことが議論されておりますけれども、今までただだと思ってきた空気を使うのにお金が掛かるような時代であると、次は水にお金が掛かるようになるんではないかというふうな見方をされる企業がもう大分前からありまして、国際的にそういうことを言う方々もいらっしゃるわけです。  そういうことに対してどう取り組むかという観点から、企業はもう水、ウオーターフットプリント、自社の活動がどのぐらい水に依存しているのかというのを把握しようということ、特にヨーロッパでこれは盛んです。そして、金融分野はビジネスチャンス、新興水市場の創成ということで騒げばいいと。国際社会はいろんな狙いがあると思います、人権、倫理、環境、国益、経済。  あと、最近ちょっとホットな話題としましては、外国資本による水源林の買占めということが言われております。これに関しましては、地下水というのが土地の所有者に基本的には属しているものであるということに起因するところがございます。ただ、土地の、じゃ所有を制限すればいいかということに関しましては、個人的な意見としましては、海外の資源を使わせてもらっている日本が水源林を固定して、特定して制限するということは必ずしもフェアな取引にならないんではないかという気がいたします。  なぜ日本が海外の水問題を解決しなきゃいけないか。これいろいろ理屈がございますけれども、一般的に言われることは、経済発展を支援するということは外交政策として基本でありますし、水の分野の支援というのは健康、教育、経済などに波及すると。  もっと申しますと、水くみ労働をしているような家計、これしかも子供や女性の仕事であることが多いわけですが、に水供給があるようになりますと、これは浮いた時間というのが莫大なわけです。毎日二時間、三時間と水くみだけに使っている人にとっては、一日二十四時間ではなくて二十二時間であったり二十一時間なわけです。そういう人たちにきちんと二、三時間あれば、子供学校に行ける、あるいは主婦はほかの仕事で経済発展も望める、あるいは社会進出ができるということになるわけです。  あるいは、食料安全保障資源安全保障ということから、海外の資源に頼っている日本としては、世界の水と資源に支えられているのであるから海外の水で問題があればそれは当然直接我々の食卓、あるいは経済活動にかかわるということです。  さらには、これは水問題に限りませんが、地球温暖化問題でもそうですが、環境難民という言葉がございます。つまり、水で困る、あるいは気候変動に伴う環境変化で住むべき場所がなくなる、あるいは生計が立てられなくなって難民が増えると。これによって自分たちの社会が平穏でなくなるということを実はヨーロッパの方々、私の分野の研究者と話しますと、本音の一つはそれであると。環境難民がヨーロッパに押し寄せたら困るんだと、それを何とかとどめるためにもその場その場できちんと成り立って発展していくようにしなきゃいけないんだということを言っています。  どんな貢献が日本から求められているかと申しますと、日本で節水しましても水が足りないところで使えるようになるわけじゃないわけです。ここがCO2の問題と若干違うところです。あるいは植林をすれば水が増えるんじゃないかという考えもありますが、これは世界の常識、日本の非常識という言い方がありますけれども、木があるから水があるんではなくて、水があるところに木が生えるというのが普通です。したがいまして、木を植えたから水が取れるようになるということは基本的にはございません。  そうではなくて、水マネジメントの知恵や経験、処理技術を伝授してほしい、あるいは資金が足りないときには最初の資金が欲しい、専門家を派遣してほしい。つまり、人材開発や組織発展といったことが基本的には求められております。  そうした中で、水ビジネスが、つまり単なるドネーションではなくて、若干日本ももうけるけれども現地でも水が得られて経済発展の支えになる、つまりウイン・ウインといったことができないかということから水ビジネスが、途上国の水、水道供給を例えば日本の企業が担当するといったことがもてはやされておるわけです。  その特徴ですけれども、基本的には一つは大規模な投資が必要である。それから、比較的長期にわたる資金回収ですのでファイナンス、つまりメーカーの技術だけではなくて全体のマネジメントができる主体がかかわらなければいけない。それから、水供給自体が、ハイテク化と申しますと、ハイテクも使えますけれども、途上国をターゲットとした場合には必ずしもコストの高い技術が受け入れられるとは限りませんので、それは必ずしもハイテクとは限らない。それよりは、例えば料金をちゃんと徴収するとか、水を水道管に勝手に接続して盗む方がいるわけですが、そういうのをどうやって組織的に防ぐか、あるいは漏水対策といったことが大事ですので、地元企業との連携が必須になってきます。  もっと申しますと、日本の企業が例えばある途上国の都市の水道事業を任されたときに、日本企業のものを買って使う必要はないわけですね。それは、その企業にとって一番適切な技術を買えばいいということなので、日本企業が水道事業をやるからといって日本企業のものを買って入れるとは限らないというところに若干矛盾がございます。  それから、こういうのは水道の民営化の一部ではありますけれども、発注側は途上国側が何でもいいからうまく水道事業をやってくださいと頼むと大体失敗して問題が起こってきたというのが過去の経緯だと思われます。  どういうビジネスリスクがあるかということですが、カントリーリスク、為替リスク、それから国有化、官営化のリスク、コンプライアンスあるいは名誉的なリスクもありますし、水質事故が起こったらどうする、あるいはサービスが継続できなかったときどうするといった問題もあります。ただ、水道事業に関しましては在庫リスクは低いということから、需要予測は比較的容易だというふうに思われます。  今後何が必要かということに関して最後述べさせていただきたいと思いますけれども、国や地域、個人の、日本に住む国民の国内外の水資源、どこの水にどのぐらい依存しているのか、そして、今後の社会変動や気候変動によって、我々が依存している地域でどういう水の問題が起きそうなのかということはちゃんと把握されておりません。これをやらなきゃいけない。  そして、じゃ、国内のことに関して申しますと、人口が減る中で今我々は、最初に申し上げましたとおり、水に関して余り気にせずに済んでいるわけです。この気にせずに済んでいる状態をどうやって継続していくのか。水投資の財源が確保できるのかということに関して申しますと、地方自治体がおおむね水道事業を例えば担当しておりますが、これ、価格上げることに対しまして非常に抵抗があるわけです。ところが、いいサービスを継続するために若干やはり投資を続けなきゃいけない。その兼ね合わせが非常に今難しくなっているのが国内の状況です。  さらに、海外の水災害日本に及ぶ影響の想定、対応。例えば食料価格に跳ね返ってくる、資源価格の高騰、あるいは広く水ということからいいますと海も水ですけれども、越境海洋汚染なんということも、海外の水の問題というのが日本に及んでくるんだ。そして、政情不安、安全保障難民などを干ばつや洪水というのは引き起こすということですね。  そして、若干申し上げましたが、エネルギーを使って二酸化炭素を出すことに対して課金されると同じように、水を使うことに対して課金しようということを主張する方がいるわけですが、そういうのに対して、応分の負担はいいけれども、不当な要求に対してはそれはおかしいと日本からきちんと国際ルールの中で言っていかなきゃいけない。  そして、水源の問題に関しましては、法的整備として地下水も一体化した水管理行政がないといけない。そのために何が、なぜそうなっていないかといいますと、一つには地下水の観測・推定技術がまだ不十分であるということだと思います。  そして、時間参りましたが、最後に、今回水を取り上げていただいておりますけれども、水だけを考えるのではなくて、少なくとも持続可能な社会をつくるに当たって最低限必要な水と食料とエネルギー、この三つを三位一体で考える必要があるだろうと。あるいは、それを供給するのには土地の面積というのが非常に重要になってきております。  さらに、この三つが単に重要だというだけではなくて、相互に関係している。例えば、食料を作るのには大量の水が必要ですが、水が足りないところに水を送るだけではなくて、水をたくさん必要とする食料を水があるところで作って水がないところに送れば、これは水を送ったのと同じ効果があります。それをバーチャルウオーター貿易というわけです。  あるいは、エネルギーがもしふんだんに使えれば、真水は海水からでも作れます。ところが、逆にエネルギー、再生可能なエネルギーのやはり世界的な大きなシェアは水力発電で賄われている、あるいは、最近はやっていますのが食料にもなるような穀物をエネルギーに使うバイオ燃料であったり、もう一つ、食料安全保障ということを考えるときについ忘れがちなのが、今の日本の食料生産というのは大量のエネルギーを必要としている。つまり、食料安全保障を確保しようと思えばエネルギーも確保していないと、実質日本の農業というのは維持できないんだということですね。  こういうふうにその三つは少なくとも一緒に考えるべきではないかというふうに申し上げまして、少し時間超過いたしましたが、私からの話題提供とさせていただきます。
  11. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) どうもありがとうございました。  沖先生、済みません、途中でトラブルが発生しまして、申し訳ございませんでした。  それでは次に、渡邉参考人から御意見をお述べいただきたいと思います。渡邉参考人、よろしくお願いします。
  12. 渡邉紹裕

    参考人(渡邉紹裕君) 総合地球環境研究所、地球研と略して呼んでいただいておりますが、渡邉でございます。  食料・農業と水問題と題してお話しさせていただこうと思います。(資料映写)  今申し上げましたように、私は京都にあります研究所におりますが、この研究機関は文科省管轄下の大学共同利用機関人間文化研究機構というところに属しておりまして、右上にありますような六つの機関がこの機構に属しております。私どもの研究所では、地球環境にかかわる研究プロジェクトを国内外の先生、研究者、実務者の方に参画いただきまして、環境問題のコアになっています人間と自然の仕組み、それがどうなっているかということと、それを踏まえて未来につながる社会をどうデザインするかという研究をしております。これまで水にかかわるプロジェクトも多数進めてまいりました。先ほどお話しいただきました沖先生も私どもの研究所を立ち上げ当時に在籍されて、御貢献いただきました。  研究成果は様々な形で発信しておりますが、そうした経験を踏まえて今日はお話しさせていただこうと思います。  私自身は、元々専門は農学、農業土木学でありまして、かんがい排水、農地にかかわる水のことを長く研究しておりました。  今日は、まず初めに、食料あるいは農業と水にかかわることをお考えいただく上で基本的なところを、もう既に御案内かと思いますが、改めて御説明させていただいた上で、次に、最近の食料・農業にかかわる水問題の概要を御説明し、さらに、それについての近年の国内外の取組と、それにかかわる私が日ごろ考えていることの一端をお話しするというふうにさせていただきたいと思います。  御承知のように、食料生産には大量の水が必要です。いろんな計算方法がありますが、御飯一膳を米六十七グラムとすると、四百四十リッターの水を使っていると。普通のお風呂二杯分ということですね。私たちの家庭で生活で通常一日三百リッターから三百五十リッターぐらい水を使っているといいますから、お米一杯でその同じぐらい、一日食べる量を考えるとその倍ぐらいお米を作るだけにも使っていると。こういうふうに食料生産に大量の水を使っているということは既に広く皆さん認識されていることかと思います。  食料生産の基本は植物の生育ですから、水はその大事な要素であります。太陽エネルギーや養分とともに大事な要素であります。農地で食料生産しているわけですが、農地は基本的には自然のシステムに開かれたシステムですから、周辺の大気の循環とか水の循環であるとか、そのほかの物質の循環にさらされているというか、その場に置かれていますので、その周りの影響を直接に受ける、あるいは農地で起こっていることがそのまま周りに影響すると、こういうようなところで起こっているのが農業の、あるいは農業の水利用の根幹的な特徴かと思います。  大量の水を利用しているといいますが、実際に農地で使われている水の作物生産に使われている部分、これは蒸発散として大気に帰っていく部分ですが、限られたものです。少ないという意味ではなくて、その一部であります。それ以外のものは流出していったり、あるいは地下へ浸透していったりするわけですが、注意していただきたいのは、農地でたくさん水を使っているというときに、消費しているのか使っているのかとで大分話が違うということを心に留めていただきたいと思います。  それから一方で、たくさん水を使っているということは、たくさん水を使えるシステムができているということでありまして、これは施設であり、あるいはその施設を管理している組織であり、そういうものが存在しているということであります。これも併せて常に考えていく必要があるというふうに考えます。  今申し上げましたように、農地で作物生育には水は大事な要素でありますが、その水の条件は作物生育を大きく左右します。足りなければ枯れることもありますし生育も悪くなる。多過ぎたら作物が育たないこともあります。足りないときに水を補給する技術がかんがいであります。  一般に広くかんがいと言いますが、狭い意味のかんがい、英語でイリゲーションと言っておりますが、基本的には、ただ農地に水を掛けるだけではなく、共同作業をして水路のような土木施設を使って農地に掛けるのをかんがいと言っております。作物に水を掛けるのをかんがいではなくて、農地に掛けることをかんがいと言っております。ですから、家庭菜園でバケツで水を掛けたり、どうしても水が足りないときに農家の方がトラックで水を運んできて個人的に掛けるのは、通常はかんがいとは言っていないわけであります。雨だけで作物生育できるような場合と、あるいは洪水のときにはんらんした水が自然に農地の土地に入ってきて、それが引いた後作付けするような、水が十分ある農地であっても、それはかんがいとは言わないということでございます。  日本の水田は基本的に一〇〇%かんがいですが、畑は、水の便が悪いところに展開しているということと、傾斜地あるいは保水性が悪いところということもありますので、かんがい施設を導入しても経済的にペイするところでかんがいがなされていまして、現在のかんがい率は二〇%でございます。  世界的には農地の一八%がかんがい農地で、そこで穀物の四〇%を作っているということで、穀物生育にとってかんがいの位置付けは、効果は非常に大きなものがあります。  このかんがい農地は、二十世紀の後半に大きく増大しました。かんがい農地のほとんどはアジアにありまして、それはほとんどが水田。特に中国インドの水田が多いということでございます。  かんがいにもいろんなタイプがありまして、ちょっと急ぎますが、その場合に、作付け期間中、この左の絵でグリーンで書いてあるところが左から右へ時間展開しているかんがい期と思っていただいて、生育時期と思っていただいて、そのときにある程度水があればそれを補給する形でかんがいすればいいと。全くの乾燥地のように雨が降らないところであれば、かんがいがなければ作物が生育しないと。今の後者のようなものを私どもは完全かんがいと申しておりまして、補給するタイプのものを補給かんがいと言っております。  かんがいは、水のないときにあるときのものを調節する。それから、あるところの水をないところへ持ってくるということですから、時間的にも空間的にも水を調整する技術でありまして、その時間的あるいは空間的スケールによってもかんがいの在り方は随分大きく変わってくるものでございます。  先ほど申しましたように、かんがい面積、かんがいは二十世紀に大きく拡大してきました。この左側の図は、耕地面積と人口一人当たりの耕地面積の過去の五十年程度を整理したものですが、世界的に耕地面積自体が増大してきましたが、一九八〇年代ぐらいからは停滞しております。  右側はかんがい面積の増大です。かんがい面積は近年も増大しておりますが、人口一人当たりのかんがい面積は増大しているわけではありません。黄色の線で示しましたのが穀物の生産量ですから、先ほども言いましたように、穀物生産量はかんがいが支えてきた部分が大きいわけでございます。  こうした展開を踏まえて、各国あるいは世界、日本の農業用水を中心とする水利用の変化を示したのがこの図でありますが、左側は世界の状況で、農業用水の利用は前世紀後半に非常に急激に増大したということがお分かりだと思います。我が国の水需要は、御承知のように、近年増大はいたしていません。むしろ減少する傾向にありまして、農業用水も水田面積の減少等を踏まえて近年は微減しているということでございます。  このような農業にかかわる水ですが、先ほど申し上げましたように自然に開かれているということもありまして、様々な位置付けあるいは役割がございます。農地の中の水の話は申し上げましたが、畑地かんがいや水田かんがいだけではなくて、畜産や青果物を洗ったり機具を洗ったりするのにも使われる農業の水としても使われていますし、農村地帯に供給されることによって農村での様々な、防火用水や、降雪地であれば雪を解かす水に使われる、あるいはその他、意図しないことも含まれていますが、生態系を支えるというような形で利用されていることもあります。こういうものを農業用水の多面的機能と称していますが、そういうことに使われる水を地域用水という言葉で呼ぶこともありますが、こういうような様々な役割を持っているということが、食料・農業にかかわる水の大きなポイントだというふうに考えられます。  少し幾つかの問題を申し上げましたが、最近の問題を急ぎ御説明したいと思います。  一つは大量の水を使うことによる問題です。  これは、人工的に自然の水循環を調整して、あるところないところを調整するわけですが、それが、程度が大きくなれば様々な問題を生じることがあります。  かんがい起因の環境問題として幾つか取り上げられていますが、右上の図にありますように、河川をせき止めて農地に大量に導水すれば、その下流の河川の流量は少なくなります。それに伴う様々な生態系への影響も含めて問題が起きる、程度の問題もありますが、起こっていると。  極端な例は右下にあります中国黄河の例ですが、一九九〇年代に黄河の下流末端まで水が届かないという現象が深刻化しました。これは様々な理由が考えられますが、上流での農業用水の多量の利用がその一つに挙げられています。様々な理由がありますが、それが一つです。近年では、中国政府、様々な対応されて、このような現象は起こっていません。  左下に示しましたのは、この例でしばしば取り上げられる旧ソ連、中央アジアのアラル海の枯渇であります。このアラル海はカザフスタン、ウズベキスタンの両国にまたがる、九州四国面積と合わさるような世界第四の湖沼でありましたが、流入する河川、二つの河川の流域で広大なかんがい開発が行われ、かんがい農業開発が展開され、これは旧ソ連の様々な食料生産の基地になったわけですが、それに伴って湖に流入する水量が少なくなって、水が、水面が減っていく状況をスライドに示してありますが、近年は完全に枯渇したという状態になっています。一部人為的に北の方で貯水しているところもありますが、これに伴う様々な環境問題が起きているという、こういうような例もございます。  それからもう一つは、随分様々なかんがい開発あるいは水利用の展開がなされましたが、まだまだ水が十分に行き届いていないと。特に、かんがい開発が行われているところであっても、管理が十分でなく、望むべき、送るべきところに水が送られていないことがまだ行われています。非常に効率が悪い送配水が行われていると。コストも掛かっていますし、場合によっては、そこで十分な効率良い水利用が行われれば水が節約できて、その分ほかに水を回せる、新たな水資源開発しなくてもいいというようなことのベースになるような事態が起こっております。  その中で、各国では、効率的な水利用を実現するためにユーザーの参加がどうしても必要であり、それが有効だということで、様々な事業が行われています。国際的にも農民参加型のかんがい管理が行われております。下に示したのは私の調査した経験のあるところですが、トルコの地中海沿岸のチュクロバ地域で、十三万ヘクタールですから、日本の今の水田の作付面積の十分の一、じゃなくて、よりはもっと少ないです、七、八%かもしれませんが、かなりの面積ですが、そこで大規模なかんがい開発が行われましたが、近年、それを農家に移管するために農家管理組織をつくって効率的に水を配るよう努力をされていますが、まだ十分に機能していません。こういうことが世界各地で起こっています。  それから、気候変動に伴う農業用水への影響の問題です。温度が変化し、降水量が変化する、あるいは使える河川の水の量が変化する、こういうことは様々な形で農業、ひいては農業用水利用に影響してまいります。蒸発量が増えたり、それから温度の状況に合わせて作付期間を変更したり、品種を変えることによって用水需要が変化するというようなことがもう既に起こっていると言われています。それから、海面上昇によって海岸低平地の農地で塩水が地下水に浸入するであるとか、あるいは排水不良が起こるというようなことが予測されているわけです。  人口増加と併せて、この左下に示したのはお話しいただいた沖先生のグループが計算されたものですが、様々なシナリオによっても将来的に農業用水の需要は増大すると予測されている結果もあります。これがどうなっていくかということを詳細に把握すること自体は一つの課題だと。  日本においての問題を簡単に御紹介したいと思います。  一つは、水田面積減少に伴う水の問題です。水田面積が減少すること自体の問題はここでは触れませんが、右上に書いたように、近年、水田面積は減少し、それから転作面積も一定程度あります。ということは、日本で長く水を張られた土地に水が張られなくなったということであります。この影響は、地下水涵養であるとか、かかわる生態系への影響は相当なことが起こっているというふうに考えられます。  それからもう一つは、この膨大な広い水田面積に水を張ってきたというのは、施設とそれを管理する人々が支えてきたわけですが、土地改良区あるいは集落を中心とする水管理組織の機能が、様々な高齢化とか人口減少、過疎化、そういうことによって機能が低下しているというふうに考えられます。この施設をどういうふうに維持していくかというのは、私は喫緊の課題だと思います。  右下に農林水産省のデータを借用して示してありますが、戦後に大規模な農業水利事業で建設した大規模な施設がこれから更新の時期を迎えます。今、先ほど申し上げたような状況の中で、いかにこの大きな施設を維持していくか、更新していくか、機能を維持していくかということがまた次の課題かと思います。  それからもう一つ、四番目としては、先ほどから繰り返し申し上げますが、水利用の拡大、かんがい用水の利用あるいは全国各地で展開した圃場整備に伴って農村地域の土地や水の状態を変えたことによるマイナスの、負の影響ですね、それをいかに修復するかということが大きな課題かと思います。  最後には温暖化の話も、当然ですが課題として残っております。  こうしたことに幾つかもう既に取組がなされているわけですが、特徴ある取組と、それから日ごろ私が考えていることを最後に申し述べたいと思います。  先ほど沖参考人もおっしゃられましたが、地下水を中心としてですが、農村地域の水の挙動というのは私は分かっているようでまだ十分把握できていないと思います。特に日本のように水田かんがいの場合は、取水した水のかなりの部分は地下へ浸透していって、新しくというか自然の水循環に帰っていく、下流の水環境をつくっていくということかと思いますが、そこのところを詳細にまだ把握できていないと。そこの農村地域の水の基本的な状況を私はきちんと整えることは一つの課題ではないかと。これから様々な管理をみんなで考えていくときに、私は同じ材料で考えていくことが必要だと思うんですが、まだその情報が十分ではないのではないかというふうに考えます。  幾つかその状況を考えておりますが、これまではそういうことに投資するインセンティブもなかったと。特に、農業水利事業を実現するために水情報を把握する、施設を造るまでの水情報は十分だと思いますが、水を流した後その水がどこへ流れていって、どういう影響を及ぼしていくかということについての私は情報は十分ではないのではないかというふうに考えます。  さらに、こういう把握に基づいて、それが流域規模であるとか地球環境、地球の水循環にどうつながっていくかというふうに結び付けて、狭い地域だけじゃなくて、それがどういうふうに影響していくかということを踏まえたダイナミクスの把握が必要だというふうに考えています。  それから、二番目に大きな項目で挙げさせていただいたのは、やはり水田面積の減少等を踏まえて、これからの水需要をどういうふうに管理していくかという基本的なアプローチが再度必要だろうと私は考えておりまして、例えば、どれだけ水が必要かということではなくて、もし水の必要量がこれだけになったらどういう対応が可能かと、どういう選択肢があるのかというようなことをみんなで考えられる材料を調える必要があろうというのを別途考える必要があるんじゃないかなと思います。  最後の三つ、下の方に書いてある項目は、そういう中で特に大事だと私が考えておりますのは、先ほど言いましたように、農業の水は農地だけの水ではありません。農村地域の生活や文化と非常に深くかかわったものですので、その歴史的あるいは文化的背景への考察なしに、いわゆる水の動きだけを追いかけていくようなことでは不十分だと思います。こういうことをする研究者が少なくなってきているかなと思いまして、材料とともにそれを扱う人を育成していくことが大事だというふうに考えております。  何度か触れましたが、日本の例でお話ししますが、かんがい用水は大量の水を使うことで様々な施設、広範囲に広がった施設を管理していく必要があります。この管理組織をいかに有効に機能させるかというのは大事な問題であると思います。日本の場合は、先ほど言いましたように、農村地域の高齢化、人口減少、これが農村地域で今までほぼ無償のように提供されていた施設の管理に対する労力提供といいますか、管理のレベルあるいは程度を低下させていると思います。これまでは、大きな施設は土地改良区と言われる農家団体が管理し、集落に近いところは各集落が自発的に──よろしいでしょうか。続けさせていただきます。  今申し上げたのは、大きな、日本の場合でありますと、骨格的なかんがい排水施設は土地改良区という農家組織が管理していましたが、それを支えていたのは集落レベルの管理でございます。そこのところの管理の機能が大きく低下しているので、これは、数年前から国はそこをサポートするシステムをおつくりになっているようですが、これからもそういう組織的な、どこまでを国がやって、どこまでを県がやって、どこまでを農家団体の土地改良区のようなところがやって、集落はどこまでやるかという整理をして、そこをサポートするシステムをきちんとつくっていく必要があろうかと思います。  農水省を中心にやっていらっしゃる農地・水保全管理支払、これを、私は今申し上げたようなことを支える一つの考え方で、詳細は把握していませんが、こういうようなシステムを実効あるものにしていく必要があるというふうに私は考えております。  温暖化への影響評価は、先ほど申しましたので簡単に申し述べたいと思いますが、やはりこれは農家の方にとっては大きな関心であります。既にお聞き及びと思いますが、夏季の高温で水稲の生育あるいは品質に大きな障害が出ていると。農家の方は作期をずらしたり、冷たい水を掛けるとか水の掛け方を変えたりしていらっしゃいます。もしそういうことであれば、将来的にそういうことをするとすれば、川の方の流れも温暖化で変わる可能性があるわけですから、どういうことになっているかということも総合的に考える必要があると。  これは、様々な研究者が今対応しておりますが、温度が変わることによる稲作への影響、水の条件が変わることによる影響、あるいは温度が変化して病害虫が変わると、そういうのがセットで来るわけで、そこの仕組みをいかに理解して対応していくかというのが一つの喫緊な課題になっていますし、水についても大きな課題かと思います。  取組について、幾つかありますが、二つポイントを申し述べて話を締めさせていただきたいと思います。  一つは、先ほど言いましたが、国内で言いましたが、海外についても、農村地域の水のダイナミクスについては十分把握できていないと私は考えております。ここの理解があってこそ、これからみんなでどういう管理をしていったらいいかということを考えるんだというふうに思います。  これは自然のシステムですから、正確に細部にわたって把握することは厳しいと思います。ですから、分かったところまでで判断して、いわゆる順応型に次の展開を徐々に考えていくと、こういう仕組みづくりが大事だというふうに思います。水情報の把握とそれを理解するシステム、あるいは対応するシステムが大事だと。  その一つの例として、例えば農村地域で、農業用水だけじゃなくて、その管理組織であるとか農村の生活も含めて一体となって対応するということが重要で、我が国の技術は海外のそういうような展開に協力することができるのではないかなと私は考えております。  右下に御紹介したのは、JICAさんで進めておられるエジプトのナイルデルタの水管理の開発事業ですが、世界的にもナイルデルタはかんがいの中心地としていろんな国が援助のメニューを出しているところですが、我が国のモデルは私は高い評価を得ているんじゃないかなと、それは総合的に対応しているからではないかなと思います。  少し細部は御説明できませんでしたが、以上で私のお話を終わらせていただきますが、最後に、沖参考人とそれから東京大学の滝沢先生を中心に、ここに書かせていただいたような水の科学技術のこれからの展開について検討することを、二年前、各府省の水技術の開発担当の方あるいは政策担当の方をお招きして勉強会をして、私ども研究者の責任の下でまとめたものがあります。席上に配付いただいていると思いますので、また御参考に見ていただけたらと思います。  少し長くなりました。以上で終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  13. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) 渡邉先生、どうもありがとうございました。  また渡邉先生の間にもちょっとトラブルが発生しまして、申し訳ございませんでした。  最後に、お待たせしました、池上参考人の方からお話をお聞きしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  14. 池上清子

    参考人(池上清子君) 改めまして、皆様こんにちは。国連人口基金東京事務所の池上と申します。二十分ほどお付き合いいただければと思います。  まず最初に申し上げたいことは、皆様に対してお礼です。というのは、地球環境それから食糧という問題を考えていくこの調査会の中で、本当は、包括的に考えていただくということであれば人口問題というのはその基本にいつも上がってくる問題です。というところで、人口問題を忘れずに今日呼んでいただけましたことをまず最初に感謝したいと思います。ありがとうございました。  私は、今国連人口基金というところで仕事をしておりますけれども、NGOとそれから国連の組織で三十年以上、開発の問題というのを現場で取り組んでまいりました。ということで、今日お話しさせていただきます内容は、開発ということを考えつつ、人口とそれから水、環境という大切な、重要な課題についての接点を途上国の現場を含めて皆様と一緒に考えていければというふうに思って今日参りました。よろしくお願いいたします。  ということで、今日はこの四点ほどをお話しさせていただきたいと思います。(資料映写)  最初に、人口問題についてお話ですが、ここに書きましたように、二十世紀、まあ十九世紀から二十世紀にかけて人口は非常に大きく増えてまいりました。今年、七十億人に世界人口がなります。ここにありますように、二〇五〇年には、これは予測ではありますけれども、九十二億人になるだろうというふうに言われております。これからまだ二十二億人ほど増えるということですが、日本におりますと少子高齢化という社会問題がいつも耳に入ってきますし、非常に重要な問題ですけれども、世界的に見ますとまだ人口は増えております。  一年間に七千九百万人増えていって、この七千九百万人というのは、ドイツの人口が八千三百万人ですから、ほぼその同じくらいの、ドイツと同じ国が毎年増えているという感じで、問題はもう一つありまして、その七千九百万人の九五%が開発途上国で増えているというところです。ここに書きましたように、特に人口が三倍くらいに増えるという国はこの赤い文字で書いた国です。ほとんどがサブサハラのアフリカの国です。  人口問題と環境問題の接点ということですと、現象的には、人口が増えるということから、農地の劣化があったり森林が減ったり水不足になったり都市化になったりというふうな現象としては出てまいります。  もう一つ、これ、私が実際にサハラ砂漠の近郊の村で見た話なんですけれども、サハラ砂漠が広がっている、砂漠化というふうに環境問題として上がってきますけれども、砂漠が増えているというか、砂漠が拡大しているということ自体は、本当に雨が少ないから、環境が変わった、状況が変わったから砂漠化が増大しているのか、拡大しているのかということですが、実は、それもありますが、もう一つ大きな問題があります。  それは、砂漠の周り、周辺に住んでいる私たち人間なんですけれど、そこが、家族がどんどん増えてまいります。そうすると、家族が増えると、そこに家族を養うために食料をたくさん作らなければいけない、また、薪を取ってきて御飯を作らないといけない、そして家族を養うためにヤギとか砂漠でも飼えるような動物を飼う。そうすると、ヤギは草を食べますが、草は、草だけだったらいいんですが、ヤギは草の根っこまで食べてしまう。ということで、ヤギが通った後には何も残らないというふうに言われるくらい、そしてそこから砂漠が広がっていくということが言われています。私もその現場を実際に見ましたけれども、やはり人間の生活ということと環境というところというのがそんなふうに非常に密接につながってきているということです。  ちょっと古い話で恐縮なんですけれども、皆さん、ポール・アーリックというアメリカ人の学者を御存じかもしれません。「ポピュレーション・ボム」という、人口の爆弾という本を出した人なんですけれども、いまだにこのポール・アーリック以来、私はこれ以上人口と環境の問題を非常に的確に簡単な数式で求められるものを提示した人はいないというふうに思っていまして、それがこれです。  人口にというか、人間が環境に与える影響というもの、インパクトと考えた場合には、それは掛け算で、ポピュレーション、人口の数が多くなる、又は一人当たりの豊かさが上がってくる、レベルが上がる、そしてテクノロジーが上がる、テクノロジー、技術のところだけは分母になりますけれども、この掛け算で環境に対するインパクト。ですから、もちろん人口が増えるということになりますと環境へのインパクトというのが大きくなってくるということになります。  今、プラスとして考えられる、今の数式の中で、私たちが環境を考える上でプラスとして考えられることというのは技術革新的に伸びているということで、省エネやエコの技術というものが進歩してきているということが言えると思います。  気候変動が実際に私たち一人一人の暮らしにどう影響があるのかというところですけれども、海面の水位が上がるですとか書きました。それで、もしかすると熱中症、今までは熱帯地域でしか考えられないような病気がもしかすると私たち日本にも来るのではないかというふうなことも含めて様々な影響というのが言われています。  もう一つ、食料との関係なんですけれども、これもまた非常に古い、マルサスの論理からなんですが、人口が増えると食料がそれに追い付かないという、人口の増加というのがネズミ算のように増えていくのに比べて、食料の供給というのが非常に余り増えないと。増えるにしても、今この地図で、地図というかグラフでかきました一番下の非常に増えない真っすぐ平らに近いというふうなグラフでしか表しにくいということがあります。  先ほど来、環境、水、食料というお話がされてまいりました。ここで、穀物の需要ということも一つございますので、ちょっと見ていただければと思います。  途上国で人口が増えたり所得が増える、これ自体は、所得が増えること自体は喜ばしい話であるわけですけれども、生産量と消費量というのがこういう形で、行きつ行きつつというか、抜かれ抜かれつつというふうな、こういう形で増えてまいりました。今、多分穀物の問題というのは投資の対象になっていて、アグフレーションというところが多分一番、要するに、食料の価格の高騰は投資によって引き起こされつつあるというところではないかと思います。  様々の大きなところから見てまいりましたけれども、ちょっと安全な水という今日の水のテーマのところでもう少し皆様に地図を見ていただきたいんですけれども、これが安全飲料水が入手できるかどうかというところです。青色が強くなればなるほどですけれど、薄くなったりというところが悪い国です。これ一見して明らかなように、南アジアとそれからアフリカというのが悪い地域というふうに言えると思います。  それでは、これからどういう形で水が不足してくるのかという、これはエンバイロメント・カナダというカナダのNGOが出している数字なんですけれども、推測ですが、特にこのピンク色のところを見ていただければと思います。このピンクの色がやはり多いところは、南アジアとサハラ以南のアフリカです。このピンクというのは、二〇二五年に新たに、現在ではないですが、二〇二五年ころになって、又はそれまでに水不足又は水のストレスを抱えるであろうと予測できる国です。  ですから、こういう国がどういう国なのかというところをもう少し見てみたいというふうに思いますが、その前にちょっと円グラフのところを、左側を見ていただければと思います。  二〇〇〇年と二〇二五年の世界人口をそれぞれ書きましたが、その中で水が十分行き渡るというところが、六十一億人の二〇〇〇年のときでは九二%がまあまあであったにかかわらず、二〇二五年では六二%に減少していくという統計がございます。  それでは、この水不足の国というところで人口指数を見ると何が見えてくるかというところです。  二〇二五年までに水不足に陥るであろうという国にとって水不足の原因というのは様々あると思いますけれども、この人口の指数というところから見えてくることは二つ大きくあると思います。一つは、人口の数の多いところにやはり問題が起きているというところ。もう一つは、TFR、合計特殊出生率が高い国で、つまり一人の女性が一生涯にたくさん子供を産むという傾向が多い国でやはり水不足の傾向があるというところが言えると思います。  というのは、開発途上地域の平均と、それから皆様、一番右側の合計特殊出生率のところの各国を比較していただければ非常に明らかだと思います。途上国の平均で二・六七人、一人の女性が生涯で子供を産んでいますけれども、この今取り上げました水不足になりそうな国、これイランを除きですけれど、ここは非常に子供の数というのが多くなってくるということが明らかだと思います。  もう一つ、途上国で森林がどうやって減っていくのかということについては、主な原因というところで最初に来ますのが、やはり人口増加ということが言われています。これはFAOのデータです。  問題は、様々、開発が進んでいかない、又は開発が進む途中のプロセスである開発途上国がこういった環境の問題に直面しているということです。つまり、二〇五〇年に、もう一つ人口の問題で申しますと、開発が進まない、つまり経済的にテークオフできないまま環境をどうにかしなければならないとか、人口問題でいいますと、高齢化する社会に突入するということです。ですから、開発が進まないうちにもう一つ大きな課題、環境、人口というふうなところを抱えざるを得ないというのが今の開発途上国の現状であります。  ここに書きましたが、赤字で書きましたが、インフラの不備ということ、資源の配分の格差、この辺をどうにかしなければならない開発途上国であるにもかかわらず、その資源、また人的な資源と両方ですけれども、それが整わないうちに問題が早く来てしまうというところです。ということですので、今、社会開発というところが非常に重要な視点となってくると思います。  人口と環境というのを結び付ける戦略ということで、教育というのを一つここを事例として挙げましたけれども、そういった取組ですとか、女性がもう少し自分たちで考え、自分たちの声を出せるような、これ途上国での話ですけれども、女性の能力を開発していくというふうなところももう一つ重要だと思われます。  特に社会開発を進めるという意味では、ミレニアム開発目標というのが今一番大きな開発の枠組みとして世界で実施されています。皆様の今お手元に「国連人口基金」というオレンジ色のパンフレットを置かせていただきましたが、その裏面を見ていただければと思います。ここに、細かくターゲットまで書き入れましたミレニアム開発目標の、二十一のターゲットありますけれども、それまで入りましたミレニアム開発目標を入れさせていただきました。  MDGsに関しまして、特色として、社会開発ではありますけれども、特に人権ですとか成果というものを重要視しています。日本を含む先進国にもターゲットとしてありますけれども、主に一から七までのこのMDGsの目標は、七の環境の部分は別途として、一から七に関しては開発途上国が実施するという責任を負っているものです。先進国は、七の環境とMDGsの八のグローバル・パートナーシップというものが先進国の責任と言われているところです。  目標の七に関しましては、二〇一五年までに改善された水源を手に入れる、そして、入らない人たちの人口を半減させるということなんですけれども、今、このグラフを見ていただきますと、徐々にではありますが、世界的にはうまくいきつつある。ただ、これはサハラ以南のアフリカでこれが達成できないというところです。  目標の七、もう一つ、水、衛生に関するというところですけれども、これのところは、本当に難しいところで、下水道などを含めますと、世界人口の三九%が利用できないというところです。よく言われる数字ですけれども、この目標七を達成するというためには、もうあと四年しかないわけですけれども、十三億人に水資源を、水源を提供しなければなりませんし、十七億人に基本的な衛生設備という話で言われています。  じゃ、具体的に途上国でどういう問題があるのかというところなんですけれども、これ調査、イギリスのDFIDという開発庁が、これ政府系の開発援助庁ですが、調査したものをここに載せました。ウガンダケニア、タンザニアですけれども、先ほどもお話ちょっと出ましたけれども、水をくむという作業、水くみは女と子供の仕事だというふうに言われています。この女と子供の水くみ作業というのが、ここに書きました平均で一時間四十分掛かると。この一時間四十分が短縮できれば何ができるかというと、もう健康に対してプラスにもなります。これは身体的な負担というのが減りますし、それから教育やそして家族と一緒に過ごすというふうな時間に使うことができるということで、この女性に対して投資をしていくことというのが環境に対してプラスの、非常に大きなプラスの影響があるということは、やはり皆様のお手元に配らせていただきました世界人口白書の中に書かれて、触れていますので、是非後で見ていただければと思います。  では、あと残された時間で、日本のどういう取組が現場で行われているかということについて御説明させていただきたいと思います。  これは、実際にこれ私が撮りました写真なので、余り写真の画質が良くないので失礼いたしますけれども、これはセネガルの事例です。JICAの実施している水のプロジェクトのところを視察させていただいたときのものですが、以前の、このJICAのプロジェクトが入る前の水くみ場というところがまだ残っておりまして、こういうふうになっていました。そして、これは安全な上水という、確保をするということで、これが給水塔が百か所以上になりましたと。  ポイントとしましては、これはできていますけれども、一番大きなポイントは何かといいますと、料金を徴収しているということなんです。ただではありません。これはJICAが造った施設ではなくて、その後の水の利用をする、進めるというときに料金を取っています。一家族十円くらいなんですね、日本円に直しますと。  ただ、それは家族の人数が多いと十円よりちょっと多いですし、少なければ少なくなるというふうな形なんですけれども、これはボランティアの方たちが一つの組織をつくって、そして運営をしている。その徴収したお金というのが、造ったこの機材の修理費などに使っているということです。  この水タンクができてからどういう村で変化があったかということなんですけれども、これは病気や流産が減ったということが保健所の方からありました。それから、水くみをしなくてよくなったということで就学率が、特に女の子の就学率が上がったということなどなど言われています。  もう一つ、日本のNGOの活動を御紹介させていただきたいと思います。  JOICFPというNGOですけれども、これは中米のグアテマラ保健委員会というやはり住民組織をつくって、こういった水の感染症からどういうふうに防ぐのか、自分たちが健康を守っていくかということで、子供の検便の学校保健というものを推進しています。手洗いコンクールというふうなことを推奨しつつ、検便をして、そして子供たちが健康になっていって、水のことを考えるということを親にも伝えていけるような形にしています。おかげさまで、この村では、周りがコレラがはやったときにも一人もコレラ患者を出さずに済んだという記録が残っています。  もう一つ、女性の教育と子供健康、そして水ということの関連ではORTというものが言われています。経口補水療法ということなんですけれども、これは、途上国では一番子供死亡原因というのが脱水症、下痢からくる脱水症です。そうしますと、下痢という、脱水症というところで、ここの時間稼ぎをすることによって子供の命というのを助けることができるんですが、これは安全な水と少々の食塩又は砂糖、〇・七%の食塩水、砂糖水を作って、それを子供に飲ませると脱水症が一時的に収まります。ですので、お母さんたちが子供を脱水症で死ぬ前に医療機関まで走って連れていく、又はトラックに乗せてもらって連れていくという形で生存率につながります。  最後ですが、水、環境についての国益と地球益の接点ということについてお話をちょっとさせていただければと思います。  環境に関して世界のCO2の排出量というものの統計を見ますと、九七年と二〇〇八年の比較をしてみますと、先進国が排出しているのが五八%から四六%に実質減っています。アメリカが離脱しているということではありますが、アメリカを入れて四六%です。ということは、今は途上国、そして新興国というのが非常に重要な課題として浮かび上がってきます。インド中国、そして途上国の問題ということです。  途上国ということになりますと、もう一度人口の話に、人口の圧力というところに戻らせていただきますけれども、今年の人口推計と二〇五〇年の推計というところを見ていただきますと、二〇五〇年に先進国はアメリカ一か国だけが入っていて、これトップテンの人口を有する国ですが、インド中国以後以後、全部以下途上国になっているということです。  皆様、政策決定者ということで、是非このレスター・ブラウンが言っているところにも着目をお願いしたいなと思って、今日はここにグラフとして持ってまいりました。  レスター・ブラウンには直接、図表化していいかということを聞きましてオーケーをもらいましたので、今日皆様にこうして見ていただけるわけですが、「プランB4・〇」という、今年出されたもの、日本語版ですが、ものがございます。  その中で、軍事支出というところがずっとありますけれども、それと比べて、非常に、今まで申し上げましたような国際支援が必要だと、目標を達成するために必要だというのはこの一番右側の数字なんです。黄色いところなんですね。それ全部足してもこの数字にしかなりません、初等教育全部世界中に行き渡らせても。それから、例えばHIV予防のコンドームを全員に渡しても、ここに基礎教育、保健全部やってもこの黄色にしかなりません。この黄色の額、六十二と書きましたが、というのがアメリカやロシアや中国軍事的なものの予算と比べるといかに少ないかというところが分かっていただけると思います。  最後に、日本国際的な役割への期待というところで幾つかあると思うんですけれども、技術移転、ここが非常に重要だと思います。環境保全というところだけではなくて、それをサポートするインフラの整備ですとか、それからその国全体の開発を進めるためのデータを見ていく国勢調査ですとかということ。  そして、ここにありますように、最貧層、社会的に弱い立場の人たちに直接援助が行くようなというところ。  そして、社会開発でありますけれども、実は内閣府の調査によりますと、日本のODAの中で、ODAをサポートしてもいいと皆さんが考えていらっしゃるところというのが、第一位が保健医療、第二位が衛生と水、第三位が教育という結果が出ています。ですので、今日のテーマであります水につきましても、日本の人たちはかなりサポートをしていただけるのではないかなというふうに思います。  できれば途上国との共生というところを視野に入れつつ、国益と地球益が対立するものではない、これが同じ方向を向いているというところで包括的な政策を是非お願いしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  15. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) 池上参考人、どうもありがとうございました。  ようやく三人目にして雑音が入りませんでしたが、雑音の原因はどうやらワイヤレスマイクの電波を拾ったようで、これ感度が良過ぎるわけですね、機械の。そういうことで、お許しを願いたいと思います。  これから質疑を行いますが、本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めておりません。質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようお願い申し上げます。  指名は、まず会派順に一名ずつ指名させていただきまして、その後は自由に御発言いただきたいというふうに思います。  なお、質疑の時間が限られておりますので、委員の一回の発言は三分程度、またその都度答弁者の方を御指名いただきたいと思いますが、余り全員、全員、全員と来ると当然時間が掛かりますので、その辺りもよろしくお願いしたいと思います。  それでは、質疑のある方から順次挙手をお願いします。  それでは、米長さん。
  16. 米長晴信

    ○米長晴信君 民主党の米長晴信と申します。  沖参考人、渡邉参考人、池上参考人、それぞれ貴重な情報ありがとうございました。  木を植えたらそこに水があるというのは必ずしもそうじゃないという御指摘が沖参考人の方からありまして、私も昔、記者をやっていまして、南アフリカで環境サミットというのを取材しに行ったときに、サイド取材でワーク・フォー・ウオーター、水のために働くというNGOを取材したんですけれども、水のために働くという活動なんですけど、伐採をずっとやっていたと。なぜ伐採をやっているかというと、大量に欧米のどっかの国が伐採して外国産の木を植えたことで、そこの川の水が枯渇して、そこの支流の小川なんというところの水がストップしてしまって、地域住民の水がなくなっちゃったと。だから、木を切って在来種を植えて、それで本来の生態系というか水の体系というか復活させて、実際に復活した小川なんというのも見てきたわけですけれども、逆に言えば、自然と反することをしたら水は場合によっては減るということ。  渡邉参考人の方からは、やはり農業用水でアラル海が枯渇をしてしまったなんという御報告もありまして、要するに、そういった更に人口が急激に増える、人口が増えるということは飲料水も増えるし、食料に係る水も当然需要が増えるという中で、日本は今人口がかなり速いスピードで減少して、渡邉参考人の御指摘もあるように、ある意味では水を守る担い手の数も減ってしまって、日本はそういう状況だと。  グローバルに見ると人口が増えて水の供給が心配だと、供給の限界なんていう資料も池上参考人の方からありましたけれども。  そういう三人のお話を総合しまして、この直近の状況、向こう十年、二十年ぐらいの状況の中で、これをグローバルに見たら、水を供給するチャンスがあると。水の技術、ノウハウ等を持っている日本がそこで活躍するチャンスととらえるべきなのか、あるいは、将来的に、グローバル的に言うと、水の供給が足りなくなって枯渇すると。日本では人口が少なくなって、水管理する人も減っちゃって、ちゃんと供給できるかも分からないというピンチであるのか、その辺の御評価、見通しを沖先生、渡邉先生の方にお願いします。
  17. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) それでは、沖先生、次に渡邉先生、お願いします。
  18. 沖大幹

    参考人(沖大幹君) 水不足はチャンスかピンチかということですが、海外における水不足をチャンスととらえて日本が出ていく、余りこれまで外貨を稼いでこなかったインフラ事業が外貨を稼げるようになろうというのが志であるというふうに私は理解しております。  ただし、それは必ずしも容易ではなくて、今までやってなかったわけですので、周回遅れぐらいのハンディキャップはございますけれども、海外に出ていって水供給をすることによって、日本もそうやって多少稼げるし現地にも喜ばれると、これがあるべき道であろうというふうに思います。  ただし、それに対しましてピンチ、リスクはあると。そのリスクをしっかりと押さえる必要があって、ただ、それが一企業でできるものではないのでないかと。そこに対しては広く公共的な面からのサポートが必要であろうというふうに私は思います。
  19. 渡邉紹裕

    参考人(渡邉紹裕君) ピンチかチャンスかという二者択一は難しいんですが、私は、私たちが蓄えてきた知恵を紡ぎ直すチャンスだというふうに思います。  かんがいでもいろいろなことが起こってきましていろいろな問題が起こりましたが、やはり私たちは地域の水や土地を維持する、あるいは管理する知恵を持っていたと思うんですよね。この状況の中でそれをもう一回見直して、それを整え直すというのを、仕立て直す私は次の展開のベースになるんじゃないかなと、こういうふうに考えています。  これはそういう意味でいったらやっぱり知恵の仕立て直しで、私どもは、風土の知ということじゃなくて、風土とそれと同じような印象で理解していただきたいのですが、水土の知と言っているんですが、それを再定礎する今は時期じゃないかと、今まであったものをもう一度改めて整え直すと。  これは日本でも人が少なくなってきたり施設が傷んできたところですし、今までの技術を立て直すこともありますが、やはり海外の新しいかんがいの問題を起こしたところでも、そこには従来型のやっぱり水利用や土地利用の知恵があったと思います。それを仕立て直してうまいシステムをつくっていくとかそういうようなことが可能で、そういうことに日本も協力はできると思いますね。  ですから、国内の仕立て直しと、その知恵を海外へ、言わば国際的な協力へ生かすという意味から考えると、チャンスとは言いませんけれども、そういうふうに向けるべきではないかというふうに考えます。
  20. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) ありがとうございます。  では、質問の方、次お願いします。それでは、浜田さん、よろしくお願いします。
  21. 浜田和幸

    浜田和幸君 沖先生に質問をさせていただきたいんですけれども、先生のお配りいただいた資料の、これは、なぜ今水問題なのかというところですね、五ページ目ですかね、ここで金融、ビジネスチャンス、水ファンド、水ビジネスへの投資呼び込みということが述べられております。  実は、この一月の末に菅総理がスイスのダボスに行かれて、平成の開国の演説をされました。二年前からダボスではこの水問題をいろいろと大きなテーマとして取り上げていますよね。それで、ファンドにとっても食料と同時に水がいかに重要か、ジョージ・ソロスさんとも菅総理は個別に会談をされて、官邸のホームページを見ると随分そのことが取り上げられておりました。  あの中で、環境問題、特にインドネシア熱帯雨林の保護基金のために鳩山基金から百五十億ドルあったものから、民間のソロス・ファンドに環境とか水利保全という目的で日本のお金を引っ張り出そうということが話し合われたように聞いておるんですが、そういう世界の水に関するファンドというのは、なかなか知恵を絞ってお金を集め、そして環境という大きなお題目を掲げる中で最終的には自分たちのファンドが大きなリターンを得るようなそういう仕組みを考えていることは間違いないと思うんですね。  ですから、そういう海外の水のファンドの動きと、その水のファンドが狙っている日本の公的資金、せっかく日本には技術もお金もあるのに、日本の国内でこの水に関するファンドのようなものが立ち上がっていないように見受けられるんですが、沖先生いろいろと御覧になって、日本がもし自前の国策の水ファンドを立ち上げるとするならばどういうような仕掛けが必要なのか、その中で特に日本の政府の果たすべき役割ですね、お金はあるのに日本が使わないでソロスさんからそのお金を持っていかれるようなことでいいのかどうか、その辺りについて、ちょっと御所見をお伺いしたいと思います。
  22. 沖大幹

    参考人(沖大幹君) ありがとうございます。  まず、ダボス会議で水問題が話し合われているということは余り国内で報道されておりませんので、そういう御指摘、非常に貴重だというふうに思います。  水ファンドに関しましては、国際的にやはり水事業をやるという企業が多額の投資を必要として、そのために水ファンドから資金を調達するということが行われます。調達して一旦事業体を整備した後にはまた証券化して売りさばくとか、そういうことが行われているというふうに承知しております。  ただ、水ファンドというのは二つの側面がございまして、そういうふうにいろいろなもう中進国と言っていいような発展途上国で水道に対するニーズが集まって、そのための資金が必要だと、それを集めてくれるファンドが立ち上がったということと、もう一つは、そういうふうに伸びることが分かっていたので、実は五年ぐらい前に、一番もうかった方はそのころに水ファンドを買われていると思います。  ただし、現在それがどう変わってきているかと申しますと、リターンは普通の外貨預金と同じぐらいでもいいと、ただ、どうせなら社会貢献のために私は自分のお金を投資したいというニーズが、CSRを兼ねた、CSRといいますか社会貢献を兼ねた投資というのが一つ今動きがありまして、それは水に限らず、例えばマイクロファイナンスをするような事業に対して投資をするファンドというのがあったりいたしますので、そういう動きも水ファンドという中にはあると。  では、じゃ、日本政府のお金をそういう水ファンドに単に入れればいいのかといいますと、恐らく、今私が承知しております動きは、JBICを通じて債務保証をするとか、そういう枠組みで実質日本企業が海外で水道事業をやるに当たって政府が資金的な裏付けを付けるとか、そういうことでやっていると思いますので、そういう意味では、水ファンドを通さずに今のところ海外に打って出ようという動きをしているというふうに承知しておりますので、必ずしも海外の水ファンドに日本政府のお金が流れていっているということにはならないんではないかというふうに期待しております。
  23. 池上清子

    参考人(池上清子君) 情報までになんですけれども、ウオーターファンドというふうな形でアジア開発銀行がアジアの国の上下水道を整備するためのボンドを売り出しています。それは、日本の、名前を出していいのかどうかちょっと分からないんですけれども、大和証券が引受手になっていて、そのウオーターボンドというものを売り出しました。その八〇%のボンドを買った人は日本人だそうです。
  24. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) どうもありがとうございました。  それでは、次の方。紙先生。
  25. 紙智子

    紙智子君 三人の方々、お話、ありがとうございます。  やはり、地球規模の問題で、そういうときに私たち自身がどういう国際的には問題が起こっているかということをきちっと把握をして、そこから私たち日本の位置を確認をし、日本が何をやるべきなのか、何ができるのかということをちゃんと考えていかなきゃいけないというふうに思うんですね。  それで、今地球環境の変化の問題などなどもあって、食料でいうと、食料はやはりお金さえ出せばいつでも外国から持ってくることができるというふうな考え方にはもう通用しない時代になってきていると思うわけですけれども、地球環境の保全とかそういったことを考えたときに、本当にそれぞれの国の例えば国土を生かした循環型の在り方ということで努力をしていかなきゃいけないんだと思うんです。  そのときに、日本でいうと、今食料自給率で四〇%ということなんですけれども、お話の中にもありましたけれども、やっぱり食料を大量に輸入するということはそれに対して負荷が掛かっているという問題がありますし、食料の自給率が四〇%ということは、結局、海外から物をいっぱい持ってきているということは、その分の水も非常に多く使っているということにもつながっているわけで、水の自給率が何か五八%とか、ちょっと聞いて驚いたりもしたんですけれども、そういう今の日本の状況ということについて、一方では水の枯渇だとか水資源をめぐる紛争も起こっているという中で、こういうことを日本が打開していくということについて言えば、日本自身がそこを変えていくというふうに、輸入に頼っていくという方向ではなくて、やっぱり国内でしっかりと自給率を高めていくということが必要なんじゃないのかなと。  そういう国の在り方そのものをめぐってどのようにお考えになるかということを三人の方からお聞きしたいと思います。
  26. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) 済みません、手短に沖先生からお願いします。
  27. 沖大幹

    参考人(沖大幹君) 手短に申し上げます。  まず、食料の自給率を一〇〇%にするということはやはりかなり難しい、今の食生活を維持するのは難しいというふうに考えられます。  水に関して申しますと、水あるいは食料ですが、輸出していらっしゃる国は主に先進国である。我々が、もちろん途上国からも来ていますけれども、主に先進国から大量の食料を輸入しておりますので、じゃそこでどのぐらいの環境負荷が掛かっているかということですが、一番深刻なのは化石水と言われる、つまり昔たまった水で、使ってしまったらなくなる循環していない水資源を使って生産されたものも一部日本に入ってきております。これに関してはいずれ数十年後には枯渇するんではないかというふうに考えられていまして、その影響は非常に大きいだろうと。ただし、日本が全部輸入している中のそれは六、七%ぐらいの水に相当するんじゃないかというのが我々の最近の推計結果ということになります。
  28. 渡邉紹裕

    参考人(渡邉紹裕君) 先ほど申し述べたことともかかわりますが、基本的には、今のバーチャルウオーターの話もそうですけれども、水がない国で食料を輸入するような話と、私どものように水が十分あるところで食料を輸入するということと大分意味が違うと思いますね。今先生がおっしゃったように、そこのところを私たちがどう理解するかという根底のところをやっぱり今見直す時期だというのは先ほどお話し申し上げたつもりです。  それで、地域の水をみんなで、みんなでというのが大事だと思うんですけれども、意識して使っていくというのは、これは私は人間がやっぱり生きていく基本だと思うんですね。これは乾燥地であっても湿潤地であっても、日本のどこでもそうだと思うんです。そういう仕組みを日本でまずつくり直すというのが先ほど申し上げたことです。  海外でも地域の状態によって今申し上げた仕組みは全く様相は違うはずですが、根幹のところで、最近コモンズの管理ということが世界的な話題になっていますけれども、共有のところを国家でもなくマーケットでもなくみんなで管理するということにかかわる生きがいみたいなのがやっぱり私は生活の根幹にあるんじゃないかと思います。そこを仕立て直すことについて私たちは何か協力することができるだろうと思っています。それはかんがいでいえば、同じ生産をするのにこれ以上水量を増やさないということにつながっていくだろうというふうに思います。  そういう枠組みの中で今申し上げたようなスタイルをつくっていくことが、それぞれの地域の基本的なライフスタイル、何というんですかね、仕立て直すことにつながるんじゃないかと、そういうところへ進むべきだろうというふうに考えます。
  29. 池上清子

    参考人(池上清子君) 水が少なくなるとか、食料が足りないとかということも重要なイシューではあるんですが、同時に、不足している、足りないと言われているものをどういうふうに配分するのかということがもう一つ重要な問題だと思うんですね。  そうすると、公平性というか、どんなふうに格差を少なくするような形で限られた資源を一人一人に配ることができるかという問題だと思うんですけれども、先ほどセネガルのところでも申しましたが、住民組織というのがすごく大きな力を途上国では持っていますので、それは日本にも昔住民組織というのがあって、そこはかなり力が昔はあったと。ですから、今はその辺は日本から持っていけるものではないかもしれないですけれども、そういった人と人とのつながりの部分というのを大切にしながらお伝えしていくということは重要かなと思います。
  30. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) どうもありがとうございました。  加藤先生。
  31. 加藤修一

    ○加藤修一君 ありがとうございます。  公明党の加藤修一でございます。三人の参考人の皆さんに感謝申し上げたいと思います。スマートで分かりやすい御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。  調査会が水をテーマに議論を深めるということは極めて有意義であると思いますし、このテーマ設定に当たりまして藤原調査会長が鋭意努力してきたことについては感謝申し上げたいと思います。  今回が第一回目でありますので、質問に入る前に若干確認したいと思っておりますのは、前調査会の名前は国際・地球温暖化問題に関する調査会でありましたが、これは七十四名の参考人に来ていただきまして、三年間三十七回と、そういう調査が行われましたが、最終調査報告書、これは決定するに至らないで、二〇一〇年の六月十六日に調査未了報告書を議長に提出したということになりまして、そういった意味では誠に残念であります。  議運理事会において、与党の民主理事から陳謝があり、今後は必ず有意義な報告をすべく努力する旨の発言があったということでありますが、この点については確認をさせていただきたいと思います。  それでは、参考人の皆さんに質問をさせていただきたいと思いますが、私は今日皆さんのお話を伺っていて、アジェンダ21、一九九二年の、この内容を実は思い出しまして、そんなに勉強したわけじゃありませんが、ただ、十八章で淡水資源の関係については相当触れておりまして、水資源をいかに開発し、管理し、それを利用するかという統合的なアプローチについて議論した経緯がありますし、また、その同じ年にダブリンで水に関する四原則ということも採択されているように思います。  私は、この水問題の関係で皆さんの御意見をいただいている中で、非常に世界的な大きなテーマで非常に多くの論点があるのでどうやって整理するかという、ある意味では洪水状態になっていて、整理し切れないなというところが現段階はあります。  ただ、足下でどういうふうに水を使うかというのは非常に私は大事だと思っておりまして、そういう面での水の管理、使用の仕方ということについてはやはり、先ほど水の自給率の話がありましたが、そういった点について雨水、天から降ってくる雨、これをどう使うかというのが非常に私は大事な水戦略の一つでないかなと、そんなふうに思っておりまして、東京では年間二十五億トンが降りますし、その東京の年間水消費量は二十億トンと言われておりますから、雨水をどう利用するかという視点は非常に私は大事ではないかなと思っております。  ただ、降った雨が、土壌がどんどん透水性が小さくなってきていると。土地利用が変わってそういう形になっておりますので、表面をさっと流れて洪水に至るケースが非常に多いと。内水はんらんでありますけれども、特に最近は、話がありましたように、気候変動の関係でゲリラ的集中豪雨等々を含めて大変な状態になっているわけでありますので、そういう洪水に至らないようにどうするかと。ですから、雨水を受け止めてそれをどう利用するかということが非常に私は大事だと思っております。  それで、今東京スカイツリーが建設中でありますけれども、展望台のロビーや周辺ビル街の屋根に降った天水、雨水でありますけれども、それは三万六千七百平米の雨水の集水面積ですよね。それによって二千六百三十五トン、地下タンクに貯留していると。それで、治水に貢献させる、あるいは水洗トイレだとか屋上の緑化、夏季期間におけるソーラーセルの冷却、打ち水に使うと。そういうことを通して、節水にも当然つながってまいりますし、あるいは下水の費用節減にひょっとしたらつながる可能性がなくはないなと、そんなふうに思っております。  そういった意味では、足下に降ってくる雨水をどう活用するかというのは極めて私は大事でありますので、今、国会の中では、これは議連でありますけれども、水基本法、超党派でこれは議論をしている最中でありますけれども、ただ、雨水の利用に関してはなかなかこういった面については私の理解では触れていないように思うんですね。ですから、この雨水を利用する、この推進をどう図っていくか。ここは政策的にもまだまだ穴が空いているような状態だと私は考えておりまして、昨年は韓国で雨水利用推進法というのが法制化されたと。日本でもやはりこういう関係の法制化を是非私はするべきであるなと、そう思っております。  ですから、受けて使うならばそれは水資源になるし、さらっと流してしまうとそれは洪水になってしまうと。ですから、排水よりはまず貯留をすると。浸透させるべきであるし、それから都市における雨水の管理を、いわゆるフロー型、すぐ流してしまうんじゃなくて、ストック型にどう全面的に転換するかというのは私は非常に大事だと思いますし、それから遠方のダムに依存する、群馬県に私住んでおりますけれども、群馬県の水が首都圏に相当使われているわけでありますので、そういう遠方のダムに依存だけするんじゃなくて、この雨水という天上にある水源からそれを自律的に使うということをどう考えるかというのが私は非常に大事なことじゃないかなと、そう思っております。そういった観点から、そういうフロー型からストック型へどう全面的に転換するかということを含めて、これ、沖先生、渡邉先生にその辺についてお伺いしたいということと、それから法制化ですよね。  こういった点について、やはり私は法律でしっかりと縛る形にして、東京だけに限らず地方においても洪水、治水の関係も含めてそういうことをどんどん普及拡大をさせていく必要があるんではないかなと、このように思いますので、その法制化の点については三人の先生にお答えをいただきたいなと。  それから、人口の関係、これ最後の質問になりますけれども、池上先生に……
  32. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) 済みません、三分以内でできるだけおまとめください。
  33. 加藤修一

    ○加藤修一君 はい。  人口のインパクト、これをどう考えるかという点で、どうも人口抑制という点についての政策が人口活動基金から余り伝わってこないような感じがするんですね。抑制政策をどう各国間で調整できるかどうか、そういう国際世論とか人口活動基金における御意見、あるいは先生の御意見ということについてお聞きしたいと思います。  よろしくお願いします。
  34. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) 加藤先生、ありがとうございました。  国会への課題、問題は、参考人の先生もいらっしゃいますので、理事懇の課題にさせていただきます。  今の質問に対して、沖先生、渡邉先生、池上先生の順に簡略にお願いします。
  35. 沖大幹

    参考人(沖大幹君) まず雨水利用ですが、おっしゃるとおり、ためれば資源、流せば洪水も増えるということでして、非常に雨水を利用するというのは重要であろうと。農業はそもそも、渡邉参考人からもありましたとおり、雨水をフルに利用して足りない分を補っているというふうに理解しております。  ただし、深刻な渇水の場合には、群馬県で雨が降らないときには東京にも雨が降らないということで、雨水利用だけに頼っておりますと、豪雨というのは非常に狭い範囲に降りますけれども、渇水というのはそれに比べて非常に広い範囲で同じように雨が降らないという状況が続く。逆に言うとそういうときに深刻な渇水になりますので、雨水利用を進めれば渇水のリスクが減るかといいますと、そうではなくて、むしろふだんの水利用が雨の恵みを使うことができるようになるというふうにとらえるべきではないかと思います。  また、法制度化に関しましては、一部の地方自治体では既に条例でそういうものを義務付けているというふうに承知しております。  また、ちょっと専門外ではありますが、人口に関しまして、私、温暖化時の水資源の影響というのをやっておりますものですから申し上げさせていただきますと、人口の増え方はずっと指数関数的に増えてどうしようもないんじゃないかと思われてきたんですが、ちょうど今ぐらいですね、世界人口は増え方が指数関数から今度は上に凸、つまりだんだん増え方が減るようなふうになりつつあるところであるというふうに承知しております。  すなわち、今世紀の半ば、あるいは今世紀の終わりごろには世界人口はピークを迎えて、その後は減るんではないかというのが大方の予想ですので、我々はどんどん深刻な状況になるわけではなくて、あと向こう数十年を乗り切れば世界は何とか持続可能なふうに持っていけるんではないかというふうに私は思います。  以上です。
  36. 渡邉紹裕

    参考人(渡邉紹裕君) 雨水利用は、自然の水循環をどのように降雨も含めて私たちが調整していくかという基本的な問題で、いいポイントの御指摘だと思います。ストックかフローかではなくて、それをどういうふうに人為的に動かす中で配分させていくかというような課題かと思います。  農業の面から少しお話しさせていただきますが、農業用水は、基本的に農地に降る雨を最大限利用しますが、過剰なときには排水するということがありました。それは、今の現代の中では少しそれは状況によって調節してもいいだろうと。  現実的には、水田は雨水を貯留することが可能であります。実質にそういうふうに働いているところもあります。それから、一時的に水田を遊水地として利用することも可能であり、そういうふうに使われているところもあります。それは、広い範囲での合意の下に、水田も含めて農地を流域の中でどう位置付けるか、これは雨水をどういうふうに扱うかの基本になると思いますが、そういう検討は少し組織的にしてもいいのではないかなというふうに思います。  それともかかわりますが、法制度化の基本的なところは、私は詳細は少し勉強不足で理解していないところもありますが、基本的な枠組みをつくっておくというのはポイントとして重要だと思います。  一般的に、近年ずっと、国際的にも統合的水資源管理というのは話題になっております。私は、それは三つの柱があると思っていまして、一つは法制度的な枠組みですね、みんながそれに向かっていくという枠組み。  それからもう一つは、合意形成のシステムだと思います。これは、我が国であれば各流域で起こっているような流域の委員会のような形で、様々なかかわっている人がどういう形で意思決定するかという一つの方法だと思いますが、どういうスタイルがいいかも含めて、そういうガバナンスの在り方が一つのポイントです。  三番目は、私の今日の話ともかかわりますが、大事なのは、具体的にどういうことを管理をしたらどういう状況になっているかという方向がなければ、法制度の枠組みがあっても、ガバナンス、合意決定があっても選択することができないわけですね。そこの材料を作ることが必要だと思います。  雨水に関しても、こういうような雨水の貯留の仕方あるいは流し方をしたら、現実に流域や各地域、農業や都市でどういうことが起こるかというある程度の、完全に詳細に把握することはできませんが、みんなが理解できるような情報を整理しない限りいけないと。  ですから、法制度のところについてはコメントできませんが、それをセットとして進めていくことが私は必要ではないかと思います。
  37. 池上清子

    参考人(池上清子君) 雨水について私は求められていないんですけれども、タイの多くの部分、多くの場所で大きな水がめをそれぞれの家が持っていて、雨水を全部そこにためてそれで生活用水を賄っているというふうなことで、それによって多少、川から水をくんできてそれを飲むというふうなことよりはかなり安全な水を入手できるというところになっています。済みません、ちょっと日本と状況が違う途上国の話をさせていただきました。  それから、先ほどの人口の抑制の話なんですけれども、国連機関としては今、人口を抑制する、人口をコントロールするというところについては、それは推進はできないというふうに考えています。それはなぜかというと、抑制、コントロールというふうなことは、やはり途上国であれどこの国であれ、一人一人の何人子供が欲しいかということとバッティングするし、その一人一人が決めるということについて、ぶつかるというか、一人一人の人権を無視することにもなりかねないというところもありまして、ここ二十年くらい、ポピュレーションコントロール、人口抑制という言葉は使っておりません。  国連的には今、人口抑制というよりは、実は子供を産みたいという人にはなるべく希望に沿うような形で、五人欲しいという人は五人産んでほしいし、一人欲しいという人は一人産んでほしいしと、その調整がそれぞれができるような形でという、どちらかというと抑制ではなくて選択を助けていくと、チョイスをしていくことを助けるという方向で今国連は来ております。  したがって、UNFPAは、確かにマクロで見たらコントロールするのがいいのではないかと時々言われますけれども、今それができないというか、という状況に今ありますことを御理解いただければと思います。
  38. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) 中山さん。
  39. 中山恭子

    中山恭子君 ありがとうございます。今日は貴重なお話を伺えて、大変有り難く思っております。  自分の経験からお話ししたいと思います。というか、それしかお話しできないと言っていいかもしれませんが、もう四十数年前、パリで住みました、留学で。そのとき、お風呂に入りますと、もう肌がかさかさになってしまうという状態で、いかに日本に住めるという、飲める水でお風呂に入るというこのぜいたくさというものを痛感したことがございました。量だけではなくて、水というのは、量の偏りもありますが、質の違いというのも非常に大きなテーマではないかと思っております。  水はフローのものなので、何というんでしょう、量の増減というのは心配しなくていいというお話がございました。さらに、日本が輸入している食料品は水を輸入しているものであるから、例えば水源地を海外、外国人が買うことを制限することはフェアでないというようなお話がございました。私自身は、フローであるのであれば、輸入する食料品を製造するために使った水の何がしかは元のところで戻っていることではないのかと、その辺がちょっと理解が足りませんで、その辺りの事柄を教えていただきたい。  また、日本から輸出する工業製品についても水を使っております。ということは、それぞれの価格で精算が済んでいるのではないかという思いがありまして、その辺り、ちょっと自分では理解できていないという面がありますので、教えていただきたいと思っております。  それから、渡邉先生、アラル海のお話伺いました。本当にもう水が、私自身、実際に歩いていったわけではありませんで、上から見たのと、それからあと話を聞いているという程度でございますが、水がなくなってくると、そこは水がなくてというだけではなくて塩が真っ白になっておりました。子供たちが、やはりただそれの影響だけとは言えないかもしれませんが、非常に病気がちの子供が増えておりました。したがって、水が枯渇してくるということはいろんな問題をもたらすのではないかと、その恐ろしさというものをあの地面を見ますと感じ取ることができました。  それから、それもちょっと分からない部分なんですが、フローであれば、そこはかんがい網で綿を作っております。地下にかんがいの施設が入っておりまして、土の下にずっとかんがい網がありまして、水は地下にずっと漏れるようなシステムのかんがいがなされております。それはまたどこかに入っていっているはずなのにどうして消えてしまうんだろうかという非常に初歩的な疑問を持ちながら過ごしておりました。  また、あそこは国際河川で、シルダリヤもアムダリヤも国際河川ということでなかなか一か国で解決できない、そういった国際河川を管理することについて、国際機関なり日本専門家なりが援助するということはできないものだろうかというようなことを感じておりました。  もう一つは、タジキスタンにサレズ湖という巨大な湖がありまして、これも話を聞いているところなんですが、タジキスタンの政府の方々から日本に対して、国際調査委員会というのがあるそうですが、あれが破裂しないような形で処理するのに日本技術を使ってもらえないだろうかというような話がございました。巨大な貯水ですが、壁が壊れたらとんでもないことになると、せき止め湖なものですから、あそこまでたまるといつ壁が崩れるかもしれないという非常に危険な状態だというふうにタジクの政府の方々が言っておりまして、その辺りも見ていただけないものだろうかと思っております。  それから、池上先生、本当に貴重なお話ありがとうございました。  中央アジアでもJICAが水道料金のメーターを付ける作業をいたしましたが、非常に難しい、今大体付いてきたようですけれども、水道水を飲むと普通の日本人は全部おなかを壊してしまうというような状況ですので、こういったことの整備とか料金を取るというシステムの指導といったことも非常に貴重なものだと思っておりまして、セネガルのお話……
  40. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) そろそろ質問をまとめてください。
  41. 中山恭子

    中山恭子君 はい、時間です。ありがとうございます。  そういったことをお話しいただけたら有り難いと思います。ありがとうございました。
  42. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) それでは、沖先生、渡邉先生、池上先生から手短にお願いします。
  43. 沖大幹

    参考人(沖大幹君) 御指摘ありがとうございます。  まず、水の供給に関しましては量だけでなくて質が大事だというのは非常にそのとおりでして、私の知る限りでは、日本水道法でも一番最初には清浄、つまり水の質が良くて、そして豊富にたくさん供給しなきゃいけない、そして廉価に、安く供給しなきゃいけないというふうに書いてある、これが多分水道に関して非常に重要な点なんだろうというふうに思います。  それから、製造するのに使った水は農業でも工業製品でも使った後は戻っているんじゃないかと。おっしゃるとおりでして、中身として実際に例えばつくられた海外から日本に来ている水というのは、実際入ってきている重さの食料でも半分から八割ぐらいということですので、使った水はほとんどそこの土地に残っているわけです。したがって、そういう意味では、水は持ってきていないということです。  ですが、受け取っている方にしてみれば、それはその水を使わずに済んでいるので、水を輸入しているのと同じだなという考え方になるわけですが、それは先ほど渡邉参考人からお話がありましたとおり、日本の場合には水が足りないから食料を輸入しているというよりは、使いやすい農地が足りないので食料を輸入している。つまり、バーチャルに水を輸入しているというよりはバーチャルに農地を輸入しているようなものだというふうに考えた方が適切なのではないかというふうに思います。  で、じゃそれがなぜ問題かと申しますと、海外で水を使ったときに、ところが、さはさりながら、やはり例えば枯渇してしまうような水資源を使っているとか、あるいはほかの必要な人がいるのにもかかわらず、誰かが独占して人を困らせている、あるいは生態系に悪影響を与えている、つまり、そういう外部コストと環境経済で言うようなものを与えているんではないかというところが一番の問題で、本来であれば、我々が購入するコストに含まれているべきであるのに入っていない、外部化されてしまっている悪影響があるんじゃないかというところが一番の問題であろうというふうに思います。
  44. 渡邉紹裕

    参考人(渡邉紹裕君) アラル海のことについていろいろな面からお話しいただきました。いろんなことが起こっているので御関心も幅が広いと思います。手短に幾つかお話ししたいと思います。  アラル海はほぼ完全に干上がりましたが、昨年の夏に私どもの同僚が現地に行きまして、湖底の真ん中で湖底の遺跡に行ってまいりました。十六、七世紀だと思うんですが、やはり完全に干上がっていたときがあるということで、現地のパミール高原天山山脈の氷河や地域全体の水循環の中に位置付けられていて、いつも水があったということでは歴史的にはないということであります。近年は常に水があったと。  二つの河川が流れ込みまして、地質年代では海の底であったんでしょう、塩分が入っていました、というか元々塩湖でした。渇くに従ってどんどんどんどん塩分濃度が濃くなって、淡水魚から海の魚のようなものがすみ始めて完全に干上がったということで、先生御指摘のように、塩が周辺に飛散して呼吸器障害が増えた。あるいは、周辺の農地で綿花を栽培するときに大量にまいた除草剤等の被害も出てきていると。直接関係していないかもしれませんが、周辺にはセミパラチンスクの原子力実験場だとかバイコヌールの基地だとか、そういうことの影響を指摘する方もあります。これは、私ははっきりしていないので申し上げられるかどうか分かりませんが、いろいろな環境問題が複合的に起こって、日本の研究者、あと医学の先生も調査をして改良に取り組んできております。  それから水循環ですが、乾燥地で農地に水を掛けますが、私の理解では先生のお話とちょっと違いまして、砂漠の中で自然に川から取って水が配りやすいところだけ配っているんです。地表の水路で配っています。ですから、砂漠の中にコルホーズみたいなのがぽんぽんと浮いているような形ですので、そこにたくさん水を掛けると周りに行ってしまいます。ですから、農地以外のところにたくさん水たまりができて、そこから蒸発、砂漠ですから蒸発していきますね、そういう形で循環していくわけです。ですから、大気へ帰っていきます。  沖参考人は、その蒸発が周辺の大気の水分や気候まで変化しているんじゃないかということで、そういう視点からそういうスケールにまで水利用が影響しているということで、そういうアプローチもしております。  当時は、開発したときは旧ソ連邦でしたから国際河川ではありませんでした。それがソ連が解体した後、国際河川に改めてなったわけです。この調整は国際的には非常に難しいところでありますが、ほかの河川でもうまく話が進めば国際協調ができたところがありますが、現地は今発電の時期とかんがいの時期が違っていて、上・下流国で深刻な対立で進んでおりません。私どもは、研究者としては、研究的なアプローチからそういうことを考えるベースができるんじゃないかなと。私どもセカンド・トラックなんて言っているんですが、研究者間でのやり取りや勉強はしやすいので、そういうところからそういう国際河川の問題に資するような、材料を作るような努力は私も仲間も進めているところです。  以上です。
  45. 池上清子

    参考人(池上清子君) 水道料金とかというので、ほんの少ない額でもやはり徴収していくということが、自分たちが大切にしていくという、その水道システムをというところには非常に重要だと思います。ただのものというのはやはりよろしくないのかなという気がします。  ただ、水道メーターを付けるのがいいのかどうかというのはもう一つ別に考えられた方がいいかな、水道メーターを付けるだけで電気掛かりますから、逆に余り環境に優しくないし、家族の頭割りでした方がもしかすると簡単なのかなという気はいたします。  それから、済みません、加藤委員からの質問に私ちゃんと、一つ答えていなかったので、今追加してお答えしてもよろしいでしょうか、短く。
  46. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) はい、どうぞ。
  47. 池上清子

    参考人(池上清子君) 人口の動きということ、人口が環境に対する負荷、水に対する負荷というところなんですけれども、一時期、二〇五〇年に確かに百億人になると言われていた人口というのが今は九十二億人、八億人下方修正されてきています。ですから、ここ十年くらいの間でこの八億人が減ってきているという話なんですけど、推計だけですが。  それはなぜかというところが問題でして、一つはアフリカ地域におけるHIV、エイズ、特にエイズでの死亡というのが思ったより多いという話が一つです。それからもう一つは、遅れてはいるけれども、実際問題に何人子供が欲しいかというところの調整をする家族計画の手法、又は情報が少しずつ行き渡っているために欲しい子供が産めつつあると。欲しいよりたくさん今まで産んでいたけれども、五人欲しいといったら五人、八人でなくて五人、二人欲しいといったら二人産めるような環境になりつつあるということで下方修正がなされています。
  48. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) ありがとうございました。  松田先生、いいですか。どうぞ。
  49. 松田公太

    松田公太君 今日は本当にありがとうございます。大変有意義な時間を過ごさせていただいております。  実は私、アフリカのセネガルというところで五歳から十歳、約五年間過ごしたんですね。たまたま藤原会長も先日、このようなお話されていましたが、目の当たりにされたということだったんですけれども、雨が降ったら子供たち裸で飛び出していって水たまりで遊んだり、水たまりにたまった水をそのまま飲むというような生活を私も経験したんで、子供のころから本当に水ということに対しては多分人一倍ちょっと敏感な部分があって、特に父から水は大切にしなきゃ駄目だよと。アフリカで生活したこともあるわけですし、もういつかは水というものはなくなって、飲み水がなくなって人間大変なことになるんだと、非常にそのようなことを教わりながら育って、心配だな心配だなと小学生時代は思っていたんですね。  ところが、技術の進歩というのは本当に目覚ましくて、先週なんですけれども、我々、調査会でつくばの研究所に行った際に、私も質問をさせていただいたんですが、ちょっと稚拙な質問だったんですけれども、じゃ、飲み水に関しては海水を転換する技術がもう十分あって、コストの問題だけであって、それは解決されたと考えてよろしいんでしょうかという質問をさせていただきましたら、それはそのように考えていただいてもいいんじゃないでしょうかという話だったので、子供時代から持っていた不安感をそこで一掃することができて、ちょっとよかったなというふうに思っているんですが。とはいうものの、やはりたくさん様々な水の問題があるということは私も認識しておりまして、本日も御三方のお話を聞いて本当に様々な問題があるんだなということを再認識したところなんですね。  とはいうものの、是非御三方に、こうなっちゃう可能性があるよ、やばいんじゃないのという話もあるんでしょうけれども、例えばこれから九十年後、二一〇〇年、人口はそれほど増えないんじゃないかというお話も出ていますけれども、百億ぐらいにはなるんじゃないかなというふうに推測されると思うんですが、そのときに、水にまつわって、このような状況になっているんじゃないかという未来予想図的なことを是非教えていただけないかなというふうに思うんですね。ベストシナリオとワーストシナリオ、両方を是非教えていただければと思います。  私、子供のころアフリカに住んでいて、「小学一年生」とか「二年生」という小学館が作っている雑誌があって、それを読むのがすごく好きだったんですね。その中に、将来は海水を飲めるようになるというふうに書いてあったページがあって、それを見てちょっと安心したこともあったんですけれども、是非御三方で、未来予想図的にはこういう水にまつわる件は問題なくなるよというベストシナリオ、若しくは本当に水が大変になって水の争奪戦が起こって、最悪の場合はもう戦争が起こるかもしれないということも含めて、ワーストシナリオこういうふうに考えるというのがあったら是非教えていただければと思います。
  50. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) 将来のワーストとベストですか。それじゃ、沖先生、渡邉先生、池上先生、順番にお願いします。
  51. 沖大幹

    参考人(沖大幹君) 大変、短時間で反応するには私の頭の筋肉が足りませんが。  世界、水問題が多様であるということがまず一つ考えなきゃいけないことだと思うんですね。しかも、その水の問題というのは、飲み水なのか生活用水なのか農業用水なのか、あるいはそれが日本なのか世界なのか、世界でも途上国なのか先進国なのかで問題の在り方も違いますし、将来どうなるかも違ってくるだろう。  ただ、その辺をざくっと申し上げますと、まずワーストシナリオですが、世界では人口が例えば百億になってしまう、しかもそれなりに経済発展するのでみんなが肉類を食べたくなる。そうすると、そのための飼料用穀物もたくさん必要になって、飼料用穀物も、今できているところではいいんですが、更に拡大する。ところが、温暖化対策で今度はバイオ燃料もたくさん植える。土地面積が足りない。奪い合いになる。食料の価格は上がって、それに応じて食料・農業分野の投資も増えるとは思いますけれども、それを支える肥料と水が足りなくなって、そうしますと、気候の変動は激しくなりますので、取れるときはいいんですが、取れないときに奪い合いになると。それで毎年のようにどこかで不作が起こって困ることになるというのが世界のワーストシナリオ。  日本のワーストシナリオは何かというと、このまま財政が非常に国も地方も逼迫してきますと、もう投資ができない。今の施設を何となく減ってくる人口で守っていく。ところが、そうしますと、今でも水道事故、年間五百件ぐらい破裂していると。下水道の陥没は四千件ぐらいあるそうです、これは余り報道されないんですけれども。  そうしますと、そういうことが日常茶飯事になって、今日どうしたんだ、いや、ちょっと昨日うちの近くの水道が破裂してね、髪洗えなかったからこうなんだよというようなことが非常に日常茶飯事になる。あるいは、夏になると毎年のように、いや、うちの部屋もう水ないからといって、渇水避難、疎開をするようなことが何年かに一回しなきゃいけなくなるといったことが、おそれはこれはゼロではないだろう。  それに対しましてベストシナリオは、今おっしゃったとおり、例えば海水淡水化。海水淡水化は、コストですが、コストの中には半分は膜のコスト、もう半分はエネルギーのコストです。このエネルギーを今非常に大量に使わないと海水淡水化できないんです。これを非常に低いエネルギーでできるような淡水化。蒸発法から逆浸透膜を使うようになって大分減ったわけですが、更に減るようなイノベーションが起こって、海水から簡単に低いエネルギーで、温暖化の問題もありますので、低いエネルギーで取り出す技術が生まれれば、これはかなり楽になります。  そして、今のようなまだエネルギーが大量に必要な海水淡水化技術でも、既にスペインのような国では農業用水にすら使われている例があります。  ということは、エネルギー問題、ある意味でいうと、例えば核融合ができるようになってエネルギーがふんだんに使えるとなれば、それはもう海の水から幾らでも温暖化影響なしに淡水つくることができますので、これはある意味でいうと非常に楽観的なハッピーシナリオだろうと。  日本も、減る人口の中でうまく集約、地方も集約、そして東京もコンパクトシティーを目指すとか、そういうことに持っていって、あるいはICT、情報通信技術を使ってスマートシティーをつくろうと。つまり、水の問題だけではなくて、今ITSとか情報交通システムあるいはスマートグリッド、送電をうまくやろうというのがありますけれども、そういうものを全部統合して都市を情報化して、その中に水も組み込んで、洪水や干ばつということなしに、しかも低エネルギーで都市の人たちあるいは地方の人たち、中核都市も安全な水を安定して得られるようにしようというふうな仕組みが広がっていくと、これがやはり日本の非常にベストシナリオではないかというふうに思います。
  52. 渡邉紹裕

    参考人(渡邉紹裕君) 本当に非常に難しいクエスチョンですけれども。今の沖参考人の意見と重なるところがあるかもしれませんが、やはり偏在しているのが一番ワーストなシナリオじゃないかと思います。  こんなことはちょっと起こり得ないかもしれないからワーストなのかもしれませんが、日本の場合であれば、緑と水があるところに人がいない、人がいるところには緑と水がないと、これが一番極端なワーストのシナリオではないかと思います。もちろんそういうようなことは、生活あるいはほかの生産の仕組みから考えると想定されにくいことですが、それに近いような形の偏在が私は一番問題ではないかなと思います。  国際的に見たときに、それを一部の人が、経済的に余裕がある人だけが両方を得ることができるというのがワーストなシナリオだと。これは非常にシンプルな言い方ですけれども、そういうことになろうかと思います。  そっちは余り考えたくないんですが、基本的に、いい方向というのは、私は、やはり一つは科学的な新しい技術開発によって、水について言えば水の情報をかなりこれまで以上に予測もできるし、それから状況を把握することができるようになるというのが一つ科学的な知識だと思います。  それからもう一つは、私たちが伝統的に築き上げた、先ほどから繰り返して言いますように、何かものが起こったときに対応する仕組みをちゃんと整えていくということですね。それが機能するのが一番ベストな仕組みだと思います。  そういうことが、具体的に、今日、私が話題にしたような農村地域の水利用で考えますと、それぞれの地域で独立して地域の環境に、水条件に合った形の水配分と食料生産がなされていると。その状況は周りと情報共有されていて、例えば必要な食料を互いに供給することができると、これが国際的に展開しているのが一番ベストな状況だと。  非常にありきたりな言い方かもしれませんが、分散的で知識が、特に知識を強調したいと思いますが、共有されているというのが一つの望ましいシナリオのエレメントじゃないかと思います。  以上です。
  53. 池上清子

    参考人(池上清子君) すごい簡単な答えになってしまって恐縮なんですが、質問はとてもユニークで面白い質問ですよね。  百年くらい先どうなっているかという話なんですが、やはり人口は残念ながらこれからも世界的には増えていきます。そして、人々の暮らしというのは多分だんだん良くなっていきますし、一度良くなった暮らしのレベルを下げたい、又は下げられるという人は世の中すごく少ないと思います。ですから、これは上がっていくと考えざるを得ない。とすると、技術革新がどのぐらいできるのか、この二つ増加するものを技術革新がどこまで相殺できるかということにベストシナリオもワーストシナリオも懸かっているのかなと、非常に簡単ですが、そんなふうに考えています。
  54. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) ありがとうございました。  それでは、これで一応会派一巡いたしましたので、自由な質問をお受けしたいと思います。  まず、二人手が挙がっている、三人。それでは、谷岡さん。
  55. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 ありがとうございます。  参議院議員の谷岡と申します。  沖先生に簡単な質問なんですけれども、資料をいただいている中の三十番、二十九番の図なんですけれども、温暖化に伴う水資源賦存量の変化という、地球を赤からブルーで、一九八一年―二〇〇〇年から二〇八一年―二一〇〇年の変化について分析した図があるんですけれども、これがどういう前提によって、どういうシミュレーションによってこれが出てきていて、そして、ここからは渡邉先生、ほかの方々に対する質問なのかもしれませんが、これを見た場合に、場合によって、農業のもちろん収穫率も違いましょうし、人口動態が変わってくるかもしれませんし、社会変動なんかが起こってくるかもしれないということにおいて顕著なとりわけ変化というものが見られる。場合によって、図だけ見ていると、サウジアラビアが青くなっていたりすると、サウジアラビアで農業ができるかしらんとかと思うんですけれども、これはパーセントの問題なんで絶対量とは全然違うんでしょうけれども、ここに前提になるものと読み取れるものをもう少し詳しく御説明いただけないでしょうか。
  56. 沖大幹

    参考人(沖大幹君) ありがとうございます。  これは、気候変動に関する政府間パネル、IPCCに、この第四次報告書に載せました我々の日本のグループの研究成果に、アセスメントのプロセスで他国の文献調査のトピック的なものをかぶせた図になります。  背景の赤と青が、御指摘のとおりパーセントで示しておりますので、乾燥地帯では少し増えても少し減っても非常に青かったり赤くなったりしまして、そこはちょっと不評な図なんですが、これは基本的には温暖化シミュレーション、気候モデルによる温暖化シミュレーションの結果を十九から二十ぐらいのものの平均を取って、全体として増える、年間の降った雨から蒸発してしまう分を引いた残りがどう変化するかを示しております。  赤いところは、地中海からあるいはメキシコ、そして南米、そして南アフリカとかオーストラリア、この辺は使える水は減るだろうと。青いところが増えそうでいいというふうにちょっと見えるところも若干不評だったんですが、これ季節的に増えるのが今でも割と水がある雨季に増えると。そうしますと、雨季に増えた分を乾季まで取っておくような施設を持っている国ではこれは温暖化はむしろプラスという判断もできるんですが、実際はそういう国ばかりではございませんので、この増えた分は洪水のリスクが増えるというふうに解釈した方がよくて、結果としては、現在の水循環から変わってしまうことによって、増える地域も減る地域も水の管理の仕方を変えなければならないというふうに解釈していただけるのがよろしいと思います。
  57. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) ありがとうございます。  次、有村さん。
  58. 有村治子

    ○有村治子君 本日は、三人の先生方、本当に貴重なお話をありがとうございました。心からの敬意を持ってそれぞれ拝聴いたしました。このような的確なテーマを選んでいただいた藤原委員長始め各会派の理事の御高見に改めて感謝申し上げます。  その上で、簡潔に、三人の先生方それぞれの別テーマで簡潔に質問をさせていただきます。  まず、沖先生。さっきから海水の淡水化に少し言及があったんですけれども、日本の世界市場における水産業の貢献あるいは競争力というのはどのくらいあるのか。さっき半周遅れというふうにおっしゃいましたけれども、これで打って出るというものがあったら、そこの障害なりあるいは可能性なりということをお述べいただけると大変有り難く存じます。  次に、渡邉先生にお伺いします。  日本の食料生産については高いエネルギーを必要とするという御指摘がございました。確かに、ビニールハウスなんてかわいいもので、暖房冷房完備ですとか、あるいは照明をずっとつけたままのハウスとか、冬にキュウリやトマトが当たり前、イチゴもクリスマスやバレンタインには当たり前というようなことに慣れ切っているんですけれども。  私自身はやはり、六割のカロリーを海外に頼っている日本で、食べられる食料を平気で廃棄している今のライフスタイルとか、もったいないと感じない感度のなさこそ見直すべきだと思っているんですが、この日本の食料生産に掛かるエネルギーを低くするためにはどういうことができ得るかという御提言をいただければ有り難いと思います。  地産地消も大きな原点だと思いますが、先ほど池上先生がおっしゃったように、肉を食べないでくださいというような、そういうことはなかなかに、生活、セットバックしにくいものですから、国民の皆さんが賛同でき、かつコストも下がる、エネルギー自給率の面からも安全である、有用な方法があるとすればどういう可能性があるのか、御教示いただきたいと思います。  最後に、池上先生に質問をさせていただきます。  国益と地球益が対立概念ではなくて、やはり世界に貢献する日本のイメージ、信用ということで、国益とともに地球益を追うというのはとても大事な概念だと思っております。  ただ、中国にODAでやったけれども、空港の一部の、官僚しか見えないところに日本の貢献のラベルが一枚だけ張ってあるというのは、私は日本の納税者に対してやはり納得されないというところが過去にありますので、先ほどおっしゃったように、医療とか保健、水、教育分野で特に途上国で日本がその技術支援をする場合、あるいはNPOの活動がある場合、日本の納税者が納得できて、かつその貢献がちゃんと地元で評価されて、かつそのローカルにおいても、また日本国民においても認知され、感謝されるというためには、パブリシティーというか、それだけ懸けた思いに応分した、お互いに対する敬意が大きくなっていくためにはどういう方策があり得るのか。地元のPRの方法も含めて、結果的に、日本は実直に真面目に誠実に地球のことを考え、それなりの汗をかいてくれているという、そういう日本に対する見方を上げるためにはどのような取組が功を成すかという、現場経験が豊かな池上先生ならではの御示唆をいただければ有り難いと存じます。  以上です。
  59. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) ありがとうございます。  それでは、沖先生、渡邉先生、池上先生、順番にお願いします。
  60. 有村治子

    ○有村治子君 済みません、自由民主党の有村です。名前を言うのを忘れていました。済みません。
  61. 沖大幹

    参考人(沖大幹君) どうもありがとうございます。  まず、日本の水産業、得意分野ですが、よく出る話ですが、逆浸透膜、これは世界のシェアの半分以上を握っているということで、海水淡水化、プラントも含めてですね、日本にはもちろん技術がございます。それから、工業用水、特に液晶を造ったり、ICチップを洗うための高純水、超純水ですね、超純水を造るような技術日本は非常にトップクラスである。ただ、今申し上げたようなものは非常に、先端技術なんだけれどもコストも高い、その市場が広いかというと必ずしもそうじゃないというところが日本の水ビジネスのモチベーションになっているわけですね。  つまり、そういうところでは負けていないのになぜ日本の水関連企業はもうからないかというと、やはり、実は市場として厚いのは水道供給事業であったり、あるいは下水道の敷設とか、そういうところにある。それは、先進国に売り込む場合には日本の先端的な技術、例えばセンサーを入れておいて非常にきめ細やかな水の圧力を掛けるとか、そういうことが生きるわけですが、そうでなくていいと。飲む水はもう極端な話ボトルの水買うけれども、生活用水だけちゃんと水道から送ってほしい、あるいはとにかく安く、でも雨水がたまらないように社会基盤整えてほしいと、そういうニーズに対して必ずしも日本の企業というのは、水に限らないと思いますが、適正な値段で適正なそこそこのサービスというのがなかなかできていないというところが弱点ではないかと思います。  ただ、そういうところを自覚しておりますので、何とかしたいということで海外に打って出ようと。  ただし、そこで今度問題になりますのは、例えばお隣の国あるいはインド中国インドなんかで伸びつつある上水道あるいは下水道事業に対して、狙っているのは日本だけではないわけですね。そうしたときに、こういう社会インフラというのは必ずしも技術レベルあるいは価格だけで決まるわけではなくて、やはりトップ外交というのが非常に重要だという意識からチーム水・日本といったのもできておりますし、先ほどの水基本法を作るための会合とか、そういうところで是非国の後ろ盾というのがないとなかなか外に行けないというのが水ビジネス。これ、「ミズ産業」と言うと「スイ産業」と同じになっちゃって分からないんですが、というところの自覚なんではないかというふうに思いますので、御支援いただけると伸びる分野ではないかというふうに思っております。
  62. 渡邉紹裕

    参考人(渡邉紹裕君) 大きな課題の御質問ですが、水の専門をする者として幾つかの面でお答えしたいと思います。  一つは、先生も御指摘になりましたけれども、やはり食生活、何を食べるかというところが非常に大きく影響してくると思います。そのときに、地産地消ということもありましたが、食べる物の情報見える化というんですか、フードマイレージを示すだとか、どこで作られたものかという情報は、私は今の消費者から見ると相当意識が高くなってくるので相当なエネルギー減につながるんじゃないかなと思います。まずそれが一つ、一般的なことで申し上げます。  それから、日本の農業エネルギー、どういう形で使っているかという詳細は今ちょっと数字はありませんが、かなりの部分が、CO2の発現ともかかわりますが、化学肥料の生産のエネルギーに使っていると思います。これは農業のエネルギーとして統計によってはカウントされないところもありますが。それに対応するCO2の発生の抑制ともかかわりますが、地域資源有効化、特に地域で発生している肥料成分ですね、窒素等をいかに回収してそこで使うかというのは、私は広い意味でのエネルギーの削減だと思います。  食料輸入は、バーチャルウオーターだけではなくて、物理的には窒素の輸入ですので、日本の河川や湖沼の汚濁もそれが原因になっているわけです、よそから大量の窒素を持ち込んでいるわけですからね。それをいかに使うかというのは、エネルギー削減にも使えるだろうと思います。  それからもう一つは、農業の持っているエネルギーを、何というんですか、つくり出す機能を最大限することによって地域全体としては省エネルギーになるだろうと。例えば一つの試みとしては、農業用水路を利用した小水力発電というのがあちこちで試みられていますが、そのように農業用の施設を効率的に今までと違う目的に使っていくというようなことも今の省エネに貢献するのではないかと思います。  幾つかの点しか申し上げられませんが、そういう可能性があるのではないかと思います。
  63. 池上清子

    参考人(池上清子君) 重要な御質問をいただきまして、ありがとうございます。  地球規模の課題、グローバルな課題、イシューということについて、日本は今まで、教育分野ですとか保健分野ですとか、社会的なインフラをつくっていくというふうなところでかなりリーダーシップを発揮してくださっていると思います。そのときに、では納税者の方に対してどういう形でそれが分かってもらえるのかというところなんですが、確かに日本の援助でこの橋ができました、この病院が建ちましたというふうな、物に付いているというプラックも必要だと思います。しかし、このプラックよりもっとインパクトの、住民の方たちにインパクトのあるもの、あることというのは、実は日本人なんです。  専門家がその場に行って一緒に問題解決しようとしているその姿なり、日本人が持っているノウハウとか情報とか、そういうものが共有されたときに、相手国の政府だけではなくてそこに住んでいる人たちが非常に日本に対して、日本の国旗も重要ですよ、でも、日本の税金でも来ているということも重要なんですけれども、それよりももっと何十倍かの多分インパクトというのがその一人の専門家を通してつながっていくんだろうなというのが私の今までの経験です。  ですから、私は一番いい方法というのは、なるべく日本の人に途上国に出かけていってもらって、日本のある、積み重なっているノウハウを、それを途上国に伝えていく。それ、先ほど私、ベストシナリオとワーストシナリオのときにテクノロジーいかんだというふうに申し上げましたけれども、そのテクノロジーの部分というのは日本が持っているテクノロジーを共有していくこと。そこに例えば利益が生じてもいいと思いますし、ですから、そこのその共有というのがどういう形でできるかという部分が大きいかなというふうに思います。  それで、済みません、もう一つだけ。是非、国会議員の方に途上国の現場を見ていただきたいというふうに思っています。  私は保健医療の専門ですので、保健医療のところというのは毎年必ず見ていただいていますけれども、こういった水のところとか、水は保健医療にもすごく重要ですし、密接に絡んでいますし、水をきちんと、上下水道といったら、やっぱりインフラもそこで無視できないわけですよね。ですから、そういった包括的にその日本の援助がどういう形で途上国にプラスになっているかというところを是非足をお運びいただきたいなと。委員長さんにも是非と思っておりますが、皆様に是非よろしくお願いいたします。
  64. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) ありがとうございます。セネガルの次に行かせていただきます。  それでは、田城さん。
  65. 田城郁

    ○田城郁君 民主党参議院議員の田城郁と申します。よろしくお願いいたします。  三人の参考人の先生方、大変貴重なお話ありがとうございました。  私からは、是非国会議員の先生方には呼びかけというか、提案として具体的課題としてとらえていただきたいんですが。参考人の先生方には、私の考えが、いや是非やるべきだとか、いや必要ないよとか、そういう評価をいただければと思うんですが。  具体的に結論から申し上げます。パキスタンに食料支援そして水の支援を日本としてできないかという問題提起です。  これは昨年の十月にIPU、列国議会同盟の中でも、自民党の二之湯先生などと御一緒させていただいてジュネーブへ行きまして発言をさせていただきましたが、昨年の七月にパキスタンで大変大きな洪水が起こりました。でも、洪水というと、さっと流れてあとは終わりみたいなイメージで、世界からの注目が集まりませんでした。津波とかあるいは大地震ですと支援がばっと行くんですけれども世界中、でも地味だったんでしょうね、そういう中で、支援が集まらない状況の中で、パキスタンの世界一と言われるかんがい用水路の七割が流されてしまった。  ですから、秋まき小麦が、秋にまいて春に取れるという小麦が一切その作業ができない。ですから、今度の春に主食の小麦が取れない、相当食料事情が悪くなるという、そういう長い目で見たところの洪水による被害がじわじわと出てきています。  それと、もちろんそういう水路が遮断されたのもそうですし、井戸なども全部流されてしまった中で、飲み水はもちろんなんですが、一日五回、イスラムの国ですから一日五回の礼拝の前に体を清める。それも二リッターぐらいの水を少しずつ使って顔を洗い、鼻の穴、耳の穴、股間、足の指先、指の間、そういうところを、部分部分を少ない水で身を清めて礼拝するんですが、それは礼拝の目的というよりも、本当に水の少ない状況の中で体をいかに清潔に保つかということが目的なんですが、そういう中で、水の事情が悪い中でそういうこともできないと。結局、排せつを我慢したりしてしまって膀胱炎なり便秘になるとかで、そういう面からも後から今被害がひどくなっているという現状があるんです。  ですから、具体的には、主食の小麦を周辺国の人が増産、IPUのときは、周りの国は増産すべきだということ、そして遠い国は輸送費を、遠い国から小麦を送っても大変高いものになってしまいますから、輸送費を援助するということ、そういう具体的なこと。それと、飲み水と体を清めるための浄水器なり浄水車というか、タンクローリーのような規模でそういう浄水車というものがあると思うんですが、そういうものを支援すること。  そして、それは緊急支援というか短期的な支援なんですが、中長期的にはこの水路、破壊されたかんがい用水路、これを再整備をしないと主食の小麦が恒久的に取れないということにつながりますので、破壊されたかんがい用水路の再整備ということに是非今の議論からしても日本が具体的にかかわること。それを通して、やはり日本は俺たち、非常に日本への感情がいい国です、アフガニスタンやあそこら辺、中東、西アジアでですね。ですから、そういうことの中から、安全保障上も日本というのはやはりいい国なんだと、日本人を大事にしようというようなそういう感情も含めて、安全保障上も良くなるし、西側の一国がそういうことをやることで、西側への悪感情ということもひいては抑制する一助になるんではないかというふうに考えますので、是非具体化していただければと。  まあ、調査会というのがそういう性質の会なのかどうなのか、私もちょっとまだ議員になって浅いので分かりませんが、是非そういうことをやれればよいのではないだろうかということです。
  66. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) 調査会は法律を作ったりすることは基本的にしません。いろんな知見をお持ちの先生方のお話を聞いてレベルを高めると、こういうことです。
  67. 田城郁

    ○田城郁君 そこを何か提言みたいなことというのはできないんですか。
  68. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) それは違う委員会でやってください。
  69. 田城郁

    ○田城郁君 はい、分かりました。
  70. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) それで、質問は誰にされるんですか。
  71. 田城郁

    ○田城郁君 そういう問題があるという中で、例えばこれを日本がかかわっていくというようなことで得られる何か日本への評価というのはどうでしょうかと、どういう評価かという、上がるのか下がるのかとか、そういうことについて。
  72. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) 沖先生でよろしいですか。どなたにお尋ねされるんですか。
  73. 田城郁

    ○田城郁君 三人の方にそれぞれお願いいたします。
  74. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) じゃ、沖先生からお願いします。
  75. 沖大幹

    参考人(沖大幹君) パキスタン、元々インダス川の限られた水を使っている地域で、上流の方が下流よりも流量が多いと、日本だと考えられないような状況にございます。しかも最上流はインドですので、これ国境問題とも絡んでいまして非常に微妙です。幾つかの支川がある中で、こちら側の支川についてはこれはインドが使いたい放題使っていい、こちら側についてはパキスタン使いなさいというような問題を抱えております。  今おっしゃられたのは非常に大事な視点だと思いまして、失われた水インフラを整備するということはパキスタンにとって国の安定のために非常にクリティカル、致命的に大事なんではないかと思われますので、そこへの支援というのは喜ばれるだろうと。ただし、日本アフガニスタンにもそれなりの支援をしている。そういうときに優先順位をどう付けるかというのは、私のような専門家の判断ではなくて、やはりそれは政治的な判断というのが入ってくるんじゃないかというふうに想像いたします。
  76. 渡邉紹裕

    参考人(渡邉紹裕君) 今、沖参考人もおっしゃいましたけれども、リソースの配分、プライオリティーの話があると思います。それは私が申し述べることではないと思いますので差し控えますが、パキスタンは、かんがい、非常に歴史もありますし大規模なところで、世界的にもかんがい国です。そこのシステムがきちんと整っていることは国際的な食料生産にとっても大事なので、基本的な考え方は私はいいと思いますが、それをどのタイミングで誰がするかというのは別の問題かなと思います。  それから、私は、大事なのは、災害復旧の短期的なものもそうですけれども、災害復旧のシステムの日本のノウハウを伝えていくようなことが大事じゃないかなというふうに思います。これは、今後もそういうことが起こる可能性があるし、そういう対応の仕方に協力するという視点が大事じゃないかなと思います。
  77. 池上清子

    参考人(池上清子君) 日本のODAの中で、多分、パキスタン、アフガニスタンに対する支援というのは減っていないと思いますし、逆に増えているのではないかと思います。ですから、昨年の洪水のときには国連機関も、かなり多くの国連機関が日本政府からODAを通して支援をさせていただきました。UNFPA自体、私たちの組織自身も、出産キットというお母さんが安全に出産できるようなキットなどをいただいたりというか、お金をいただいてそれを配布させていただいたという経緯があります。  こういったパキスタンだけではなくて様々な緊急支援が必要なとき又はそういう国に対して是非日本にしていただきたいなと思っていることが一つ二つあるので一緒に申し述べさせていただきますけれども、一つは、緊急支援というのは人道支援で今すぐ必要なんですけれども、半年後に、じゃ復興というステージになったときにどういう支援が必要なのか。それから、一年後くらいになったとき、開発、普通のレベル、生活を取り戻せたときにどういう支援が必要なのか。今おっしゃられたように、洪水が起きた又は津波が起きたというそのときは、いや大変だ大変だということで支援は集まるんですけれども、それだけでは状態は良くならなくて、半年後、一年後にどういう支援が必要かという大きな枠組みの政策をつくるというところが必要なんですね。  そうしますと、途上国政府と一緒に日本専門家の方にもそういったところを見ていただきながら、枠組みとして一年後、二年後又は五年後を見据えた、そういった政策を一緒につくるというところに是非参画していただきたいなというふうにお願いしたいと思います。
  78. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) ありがとうございます。  ほかにございませんか。どうぞ、野村先生。
  79. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 もう時間もないようでございますんで、渡邉先生にお伺いをしたいと思うんです。  非常に現実的な問題で、先生の喫緊の課題として、施設の更新期を迎える大規模なかんがい施設、水利施設が出ておるわけでありますが、ただ、現政権になりまして、先生も御存じだと思うんですが、農業農村整備事業が大幅にカットを受けました。大体六割カットなんですよね。既存の、今、先生のこのグラフで見ますと、相当量の更新期を迎える大規模施設が出てくるだろうと思うんですが、ただ、畑地かんがいで見たときは二〇%しかないですよね。水田はもちろん一〇〇%ですが、畑地でいくと二〇だという数字も出ておるようでありますが、まだまだ、これだけ狭い農地ですから、日本農地は、非常に四〇%しか先ほどもありますように自給率がないわけで、どうしてもやっぱり畑地のかんがいというのが大きなテーマになってくると思うんです。そのときに、現実的な問題として、今後、今の予算規模でいったときどうなっていくのかというのを大変私どもは心配しているんですよ。  ですから、今、二つの問題があって、一つは新規のこういった事業というのが、かんがいの、特に畑かんの事業が非常に停滞してくるというのが一つ。それから二つ目は、先生の御指摘のように、いわゆる更新時期を迎えているこういう大規模な施設、これがどうなっていくのかというのを大変私どもも心配するんですが、御専門でいらっしゃる農業土木の渡邉先生が今の現状をどうとらえて、そして今後どういったことが起きてくるのかということまで含めて、お考えをお聞かせいただければ有り難いと思います。
  80. 渡邉紹裕

    参考人(渡邉紹裕君) また大きな課題ですが、少し具体的なところからお話ししたいと思います。具体的といいながら、大きな問題ですが。  この施設更新、大型の施設は、やっぱり機能を維持させることは待ったなしのことだと思います。特に、大きな施設は、農業だけではなく、地域の水環境の保全の中に位置付けられているところですので、そこの維持管理については、私は最大限の範囲でリソースを投じて更新していくのに努力すべきだと、国として努力すべきだというふうに基本的に考えています。  そのときに、基本的にやっぱり機能の診断と、それから壊れたから直すのかというのと、少し早くからやっておけばコストも安くできて機能が維持できると、こういうような診断を徹底的にして、いかに効率的に更新できるかという、こういうような長期的なビジョンで取り組む必要があろうというふうに考えております。  それから、畑地かんがいのところは、一般的にも必要なところはあると思いますが、例えば、畑地かんがい、現地で本当にニーズがあればそういうような展開はあってそこはサポートすべきだと思いますが、例えば、初めにここは事業が必要だろうというような、何というか、アプリオリな前提で展開するのではなくて、本当のニーズがあれば国として、あるいは様々な形で支援していくべきだと思います。  この二〇%というのが高いか低いかという判断だと思いますが、一つは、いわゆるかんがい率は低いですが、本当に連続干天で困ったときは農家の方はいろいろな形で対応されているわけですね。非常にコストが掛かっているわけです。そこのところの食料生産に対するアディショナルなコストを地域的にどう判断するかという材料がそろった上で、必要なところについてはかんがい率を高めていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。  ですから、今の二〇%を、場所場所によって違いますが、低くて、それをまず高めることが必要だというスタートラインの考え方は検証してもいいのではないかなと思います。  少し抽象的な物言いかもしれませんが、よろしいでしょうか。
  81. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) ほかに。紙先生。
  82. 紙智子

    紙智子君 まだ時間ありますか。
  83. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) はい、できるだけ手短にお願いします。
  84. 紙智子

    紙智子君 はい。  先ほど沖先生のお話の中で、自給率の話で、食料自給率一〇〇%はちょっと難しいんじゃないかという話があったんですけど、水の例えば自給率でいうと、どのぐらいが適当というのがもしおありだったらお聞かせ願いたいなということと、もう一つ、ちょっとこちらの参考資料の中ですね、この中に、七十九ページ、六十六ページのところから、変貌する農業と水問題で、その再構築に向けてという中で、七十九ページのところに提言がありますね、日本学術会議の。  変貌する農業と水問題にかかわってということで、「日本からアジアへ、アジアから世界への提言」という中に、米の選好性を高めると、そこを読むと、稲作を世界の食用穀物生産のコアと位置付け、米の選好性を戦略的に高める取組を行うことは、地球規模での人類を養うことへの貢献として価値ある提案と言えるというふうにあるんですけれども、ちょっとここのところの意味というのをもうちょっと詳しくお聞かせ願えれば。これは渡邉先生が適当なんでしょうか、どちらが。
  85. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) それでは、渡邉先生、お願いします。
  86. 渡邉紹裕

    参考人(渡邉紹裕君) 私は、この取りまとめの一部をお手伝いをさせていただきました。  ここの表現は非常に抽象的で、先生おっしゃるように分かりにくいと思いますが、現実的に、ネリカ米のような形でアフリカでも稲作が進められていると。そのときに、本当にそれが現地に適しているかどうかのチェックも含めて、私たちが長年アジアで培ってきた稲作にかかわる、あるいは稲作にかかわる水利用に対する技術検証した上で、現地で使えるような形で移転するなり協力することができるのではないかと、そういうようなことを進めるべきではないかという意味です。  この選好性という言葉も非常に分かりにくいと思いますが、現地の状況、広い意味での風土に合った稲作として位置付けられるのであれば、そこを積極的に推進すべきじゃないかと、こういうことでございます。
  87. 藤原正司

    ○会長(藤原正司君) ありがとうございました。  まだ質問があろうかと思いますが、一応予定の時間も参りましたので、以上をもちまして参考人の先生方に対する質問は終わらせていただきたいというふうに思います。  一言御挨拶を申し上げます。  沖参考人、渡邉参考人及び池上参考人のお三方につきましては、長時間にわたり貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。先生方におかれましてはますます今後御活躍されますことを祈念いたしまして、御礼の言葉とさせていただきます。  本当にありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十七分散会