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2011-05-26 第177回国会 参議院 外交防衛委員会 11号 公式Web版

  1. 平成二十三年五月二十六日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月二十四日     辞任         補欠選任         石川 博崇君     山口那津男君  五月二十五日     辞任         補欠選任         小川 勝也君     横峯 良郎君  五月二十六日     辞任         補欠選任         横峯 良郎君     小川 勝也君      島尻安伊子君     磯崎 仁彦君      山本 一太君     若林 健太君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 公治君     理 事                 榛葉賀津也君                 谷岡 郁子君                 岸  信夫君                 佐藤 正久君                 山本 香苗君     委 員                 石井  一君                 小川 勝也君                 大野 元裕君                 北澤 俊美君                 徳永 久志君                 広田  一君                 横峯 良郎君                 磯崎 仁彦君                 猪口 邦子君                 宇都 隆史君                 浜田 和幸君                 山本 一太君                 若林 健太君                 山口那津男君                 小熊 慎司君                 舛添 要一君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     松本 剛明君        防衛大臣     北澤 俊美君    副大臣        外務副大臣    高橋 千秋君        防衛副大臣    小川 勝也君    大臣政務官        外務大臣政務官  徳永 久志君        農林水産大臣政        務官       田名部匡代君        防衛大臣政務官  広田  一君    事務局側        常任委員会専門        員        矢嶋 定則君    政府参考人        宮内庁書陵部長  岡  弘文君        文部科学省高等        教育局長     磯田 文雄君        文化庁次長    吉田 大輔君    参考人        東京大学大学院        人文社会系研究        科准教授     六反田 豊君        拓殖大学教授   下條 正男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○図書に関する日本国政府と大韓民国政府との間  の協定の締結について承認を求めるの件(第百  七十六回国会内閣提出、第百七十七回国会衆議  院送付) ○政府参考人の出席要求に関する件     ─────────────
  2. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、石川博崇君及び小川勝也君が委員を辞任され、その補欠として山口那津男君及び横峯良郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) 図書に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本日は、参考人として、東京大学大学院人文社会系研究科准教授六反田豊君及び拓殖大学教授下條正男君に御出席いただいております。  この際、参考人の皆様に対し、本委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見をいただき、今後の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  議事の進め方について申し上げます。  まず、六反田参考人及び下條参考人の順にお一人二十分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。  また、参考人、質疑者とも発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず六反田参考人にお願いいたします。六反田参考人。
  4. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) おはようございます。六反田と申します。  私は、朝鮮半島の中世、近世の歴史を勉強しておりまして、今日はそういう立場から少しお話をさせていただくことになりました。何分こういう場は不慣れなものですから、不調法なところがあるかもしれませんが、何とぞ御容赦ください。  今回の日韓図書協定によって日本側から韓国側に引き渡されることになっている図書の中で、朝鮮王朝儀軌というものが八十一部百六十七冊ですか、含まれております。  この朝鮮王朝儀軌は、この件が報道などでも盛んに取り上げておりますので、そういう中で、この朝鮮王朝儀軌というものがどういうものかということについてはある程度新聞とかテレビとかそういうものでも流れていると思うんですけれども、この朝鮮王朝儀軌というものは朝鮮に非常に独特な記録物でございますので、その学術的な価値ですか、そもそもどういうものかというようなことについてなかなか十分にお分かりいただいていない部分もあるかと思いましたので、この機会に、まずこの朝鮮王朝儀軌というのはそもそもどういうものかということをお話を申し上げたいと存じます。  お手元に資料があるかと思います。一枚だけの簡単なメモのようなものですけれども、それを御覧いただきながらお話をお聞きいただければと存じます。  この朝鮮王朝儀軌というものですけれども、そもそも儀軌とは何かということですね。儀軌といいますと、大体仏教関係で用いられる言葉としての方がむしろなじみがあるのかなという気もいたしますけれども、ここでいう儀軌というのは、韓国のこの分野の専門家でいらっしゃいます韓永愚さんなどによりますと、儀礼の規範となる書という意味だというふうに説明されております。  これは、朝鮮王朝時代、一三九二年から一九一〇年、正確に言うと一八九七年からは大韓帝国ということになりますが、この王朝の時代に王室で様々な行事が行われます。例えば、王子が生まれたとか、王世子に冊立されたとか、あるいは国葬、王や王妃が亡くなった国葬とか、様々な行事が行われますが、そういうものですとか、あるいは都城の造営など国家的な事業というものが行われるわけですけれども、そういう王室の行事ですとか国家的な事業というものを行うときに、それがどういう内容のものであったかということをその事業が終了した後に網羅的に記録をして作った報告書であるということが言えると思います。  具体的には、その国家的事業、王室の主要行事の内容といいますと、どういうことがそこに盛り込まれているのかと申しますと、その事業なり行事を行うためには様々な公文書というものが政府の各機関の間を往来しますし、それに関連して国王からも命令書が幾つも出されることになります。そういう関連する王命ですとか各関連する官庁の間でやり取りされた文書というものを大体時系列に沿って、現物ではありませんで、それを写したものを収録をすると。  それから、その業務を行うには、大体こういう特別な行事とか事業というのを行うときには、朝鮮王朝は、通常の官庁体制ではなくて都監という、都という字に監視するの監の字を書いて都監といいますけれども、都監という臨時の、そのためだけの、プロジェクトをやるための官庁というのを臨時に設置して、そこに中央政府の高官や実務官僚というのを集めてそれをやるわけですが、その都監にどういう人々が名を連ねていたか、それを具体的にどういう業務分担によって行ったかということが実名入りで、その担当者の名簿も含めて載せられるということになります。  それから、例えば都城の造営などということになりますと、それには様々な労役で動員される人々がいるわけです。これは、いわゆる下層の人も含めて、そういう事業なり行事に動員された人々が具体的にどのくらいの規模の人が動員されて、それがどういう人であったかということが例えば実名なども含めて載せられるということになります。  それから、その行事に必要な物資ですね。例えば、ある種の国家の儀礼であれば、それには様々な供物ですとか祭器類、そういうものが使われるわけですし、都城の造営ですと、例えばソウルの南に今、水原という都市がございますが、ここに華城という都城を十八世紀の末に造営をいたしますが、このときの儀軌などを見ますと、それに使った様々な工具類、滑車とか石を積むためのいろいろな道具類ですとか、あるいはそうやって造られた城そのものの絵ですとか、そういう城そのものですとか、そういうようないろんなそれに掛かった様々な物品類というものが載せられます。どういうものを使ったか、どういうものを用いたかということが載せられます。それに具体的にどのくらいの経費が掛かったかということも、その額を含めて内訳が記されます。  それから、国家的な事業ですと、それをやったときに、最後、論功行賞といいますか、功績者、功績のあった者を表彰するというようなことも行われるわけですが、具体的にどういう人物をどういうふうに褒賞したかといったような内容など、とにかくその特定のある王室の行事ですとかあるいは国家的な事業に関するあらゆることを細大漏らさず記録した報告書であるということです。  これは、先ほども申し上げましたように、その当該の行事なり事業というものが終了した後に複数部作成されます。そして、関連する官庁に配付されて、そこに保存されるということになります。当然、国家的な事業とか王室の行事ということですから、これは国王もその報告書を見るということで、国王が見るための御覧用というんでしょうか、普通のものとは装丁も違う、紙の質も違うという特別仕立てのものが作られたりもいたしました。  これには、もちろん報告書ですから中心は文字情報ということになるわけですけれども、それ以外に、その行事のさまを描いた絵画、班次図とかいうふうに言いますけれども、そういうものですとか、あるいは、先ほどもちょっと申しましたけれども、どういう物品を使ったかというその物品それぞれの絵など、これを図説などといいますけれども、そういう絵画の形で、絵図の形でそういうものも収録していると、そういうようなものでございます。  これは、朝鮮王朝の建国が十四世紀の末ですけれども、実録などの王朝の編さんした記録類を見ますと、恐らくこれは朝鮮王朝の建国直後からどうも作られていたようです。その前の高麗時代はちょっとよく分かりませんけれども、記録の中では十四世紀の末からもう作られていたように思いますけれども、残念ながら現存しているものはこれは十七世紀以降のものということになります。とりわけ十八世紀以降になりますと、儀軌を作られる範囲というのも広がってきまして、様々な種類の儀軌が作られるようになり、その数量も急速に増加しているようです。  当初はこれ、全て手書きで書かれるんですね。一つ一つ手書きで書かれます。だから、複数部作る場合は全部それを筆で手書きで書くということをやっていたんですが、十八世紀の特に後半以降になりますと、これは金属活字、銅活字を使って印刷をして作るということが行われるようになってきました。それもあって一つは量が増えるということもあるのかなと思いますけれども、そういうふうにして営々と朝鮮王朝の時代作られてきたものが儀軌というものでございます。  現存最古の儀軌といいますのは、これは現在ソウル大学の奎章閣に保存されているもので懿仁王后山陵都監儀軌というのがございますが、これが十七世紀の本当に初めに作られたもので、これが最も古いものです、現存しているものとしてはですね。ただ、現在残っているものの大半は、先ほども言いましたように十七世紀のものというのは余りたくさんは残っていなくて、十八世紀以降、とりわけ十九世紀以降のものがたくさん残っています。  現在、大半はこれは韓国にございます。韓国で儀軌を所蔵している、最大の数のものを所蔵している機関はソウル大学の奎章閣でして、ここには大体六百部三千冊ぐらい、約ですけれども、のものが収められています。それからあと、韓国学中央研究院という機関が持っている蔵書閣という施設に、大体三百部で五百冊ぐらいだと言われていますけれども、あります。それから、フランスのパリ国立図書館に、これが二百弱ぐらいですかね、部数でいうと。三百冊弱ぐらいだと思いますけれども、のものが保存され、そして、今回韓国に引き渡すということで今話が進められております宮内庁のものですが、これが八十一部百六十七冊と。大体これで九割方。ほかにまだ、こういうところではない私的に保有されているものなどもあるかもしれませんけれども、大体大半のものはそういう形で現在保存されているということになっております。  この儀軌の学術的な価値ということになりますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたが、こういう形で特定の王室の行事ですとか国家的な事業というものそれぞれについてこういう詳細な記録を残すという、しかも文字資料プラス絵画資料という形で残すというのはどうも朝鮮王朝に固有の記録物だということのようでして、私は残念ながら日本や中国のことをよくは存じ上げませんのではっきりとは申し上げられませんけれども、そういうふうに言われております。  それから、そういう非常に詳細な資料である、しかもその事業が終わった直後に作られるということでありまして、そこで述べられている、そこで取り扱っている王室の行事、国家的な事業というものを復元していく上での一次史料ということになります。重要な情報源と言っても構わないかと思います。大体それ以外ですと、その随分後になって編さんされたものとか、そういうものしか記録としてはなかなかないわけで、当事者ですよね、その行事なり事業なりを主宰した当事者たちによってその直後に作られた非常に詳細な報告書であるということが言えると思います。  現にこれを使って都城の復元を行った例としては、先ほどもちょっと申し上げました、ソウルの南にある水原という都市に、これはイ・サンという韓国のドラマでも主人公に取り上げられていた、十八世紀の後半に王位にあった正祖という国王の時代に、そこに都城を築くわけですけれども、西洋式の城郭技術を導入しながら都城を築くわけですが、これなどはその都城を築くときに作られた儀軌というものを参考にして復元されたんだということになっております。  この儀軌は、それからもう一つは、朝鮮王朝の特に王室行事にかかわる、先ほど言いました王子が生まれたとき、生まれたときに胎盤を風水上非常にいい場所を探してそこに埋めるという風習がございますけれども、そういうことについても細かい記録が儀軌という形で残されていたりとかしますし、その王子が王位継承者である王世子に冊立をされたというときの儀式ですとか、あるいは王様が亡くなったときには国葬とか、それをお墓に葬る、御陵に葬るときですとか、あるいはその位牌を宗廟に祭るときですとか、そういうときに全て儀式をやって儀軌が作られるということで、王室にかかわる様々な行事というものが記録されているということで、朝鮮王朝の王室、宮中文化研究の重要資料であるということが言えると思います。  それからあともう一つは、朝鮮王朝時代というのは絵画の形で残された資料というのが大変少のうございます。特に歴史学研究に使えるような図像資料といいますか絵画資料というのは大変少ない状況の中で、この儀軌というのはそういう絵画、図像というものをかなりふんだんに用いているということで、そういう意味での学術上の価値があるかと思います。  そういうようなことで、最近韓国では、朝鮮王朝実録とともにこの儀軌を、朝鮮王朝時代の記録文化を象徴するそういう資料であるというふうに評価しています。大体一九九〇年代ぐらいから韓国ではこの儀軌というものに対する関心が高まってきまして、それに関する様々な研究書ですとか、それを広く市民に教養として知らせるそういう教養書の類いのものも結構たくさん出ております。  翻りまして、我が国の宮内庁が現在所蔵しているこの儀軌でございますが、これは先ほども申しましたように、八十一部百六十七冊ということになっております。大体時代的にいいますと、十八世紀の半ばから二十世紀の初めにかけてのものということになりまして、しかし、十八世紀のものというのは僅か七点ぐらいだと思います。あとは十九世紀から二十世紀の初めに作られたもので、私がざっとリストを見て確認した中では、多分この一七四七年の皇壇儀というのが一番古いのではないかと思います。それから、一番新しいのは一九〇九年、ですからもう朝鮮王朝滅亡の直前ということになりますけれども、ここに書いてある国朝宝鑑監印所儀軌というものが一番新しいものではないかと思います。  先ほど申しましたように、この儀軌というものは、当該の行事なり事業が終わったときに複数部作られるわけです。宮内庁にあるものは、実は、ここにしかない、宮内庁にしかないというものは全くありません。全てソウル大学なり蔵書閣なりという韓国の研究機関が所蔵しています。もちろん、手書きのものですと微妙なところで微妙な違いというのはあるかもしれませんけれども、少なくともそこに載せられている文字情報ですとか絵画の情報というものは、韓国で現在見られないというものはこれはありません。しかも、いわゆる御覧用という国王が見るための、閲覧するための非常に装丁の豪華な特別な仕立ての本というものは宮内庁には全くありません。その点が宮内庁にある儀軌の非常に大ざっぱな概要になるかと思います。  そういう意味で、今回、宮内庁のものが韓国に引き渡されるということになっておりますけれども、これが韓国に里帰りをするということで、何か特に韓国で新しい事実がこの儀軌を通して分かるということではこれはありません。むしろ韓国では、先ほども言いましたように、儀軌というその資料自体が大変朝鮮王朝の文化を象徴するものとして高く評価されておりますので、そういう意味では、特に日本の宮内庁が持っていたものが里帰りをしてくるということになりますと、これはその象徴的な意味の方が韓国にとってはあるのかなというふうに思っております。唯一本ということでいいますと、むしろ今回は儀軌ではない、その他で韓国側に引き渡されることになっているものの中に実は若干唯一本、韓国には現在ないというものがありますけれども、儀軌に関してはそういうことでございます。  今回、そうはいいましても、引き渡されるということで、日本にその物がなくなるということですから、私たち研究者の立場からいいますと、極力デジタルの解像度の高い資料という形でこれを記録を取っておいていただきたいというようなことは希望として持っておりますし、それから、儀軌以外のものも含めて書誌学的なデータをきちんと取っておいていただけると、今後の研究ということを考えるときに大変有り難いかなというふうに思っております。  非常に簡単ではございますけれども、以上、儀軌というものについての説明をさせていただきました。
  5. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) ありがとうございました。  次に、下條参考人にお願いいたします。下條参考人。
  6. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) 拓殖大学の下條でございます。よろしくお願いをいたします。  先ほど六反田先生より御丁寧な説明をしていただきまして、非常によく分かりました。  実は、これは朝鮮王室儀軌の種本というか、写本の写本ですね、それをまた印刷したものです。(資料提示)内容的に、こういうような絵もかかれて、こんなものです、こういうものです。  それから、朝鮮王朝というのは、先ほどの六反田先生のお話にもございましたけれども、王朝文化です。ですから、日本でいうと平安時代と非常によく似ていまして、日本にも延喜式であるとか儀式とか、そういった本が残されています。江戸時代にはそういうことを研究する学問が有職故実というような形で行われていました。それは中国にも似たようなものが多分あると思います。  そして、朝鮮王朝の場合、これは英祖の時代のものですけれども、英祖というのは非常に長い間、十七世紀後半、十八世紀の王朝にいまして、そのとき老臣たちを招いて宴会を開いたときの名簿ですね、これ。これが内賜本と言われているものですけれども、これは乾隆三十八年に、これたしか、私も韓国に引渡要求されるかもしれませんね。ですが、これは韓国で購入したものです。(発言する者あり)ええ、私個人のものですね、どうなるか分かりませんが。  というのは、なぜこんなお話をするかというと、この朝鮮王室儀軌の問題というのは、王室儀軌だけの問題ではなくてもっと根が深いんですね。韓国側では、昨年の時点で日本側に、韓国の国立文化財研究所では朝鮮文化財が日本には六万一千四百九点あると、これをターゲットに今していますね、極端な言い方をしますと。そういった中の一つが朝鮮王室儀軌です。  と同時に、今回、朝鮮王室儀軌は百六十七冊ですが、その他で千三十八冊が付録として付いているんですね。元々は朝鮮王室儀軌だけが問題だったのに、なぜほかの宮内庁に所蔵されている朝鮮関係の本が引き渡されなければならないのか。そういった背景もちょっと考えていかなければいけないのではないかなと思っております。  そして、私自身、四月二十七日の衆議院の外交委員会の方にも呼ばれまして、そのとき幾つかお話をいたしました。この朝鮮王室儀軌にかかわって、ほかにも次があるというお話をしました。実際に、利川というところにあった五層の塔の返還要求運動が今始まっています。そして、その前回の衆議院の外務委員会でもお話をさせていただきましたけれども、朝鮮王室儀軌に関連して、何か韓国側から御招待される方がいらっしゃるということをお話ししました。それで、実際に五月十三日の時点でホテルオークラで、こういう写真もちゃんと載っているんですが、日本の国会議員の先生が韓国側から感謝状というかこういうものを、皆さんのお手元には名誉のためにお渡ししておりません。これは後で個人的に御入用の方は私に御連絡いただければ、ちゃんとこれを翻訳してお渡しします。そういうことですね。そして問題は、ホテルオークラでこの式典が行われました。そして、先ほどの、ここにも書いてありますが、利川の五層石塔は現在ホテルオークラにあるんですね。なかなか巧妙な手法を取るものだなと思います。  そして、問題は、この朝鮮王室儀軌だけを問題にしてはいけないわけですね。なぜならば、既に、レジュメで見ていきますと、一番の一、朝鮮王朝実録が四十七冊、これ二〇〇六年七月十四日、東京大学にあったものがソウル大学に寄贈されています。これは学術的な面ですね。お互いがお互いに学問的な交流ということでやったわけですね。そして、二番目のところ、北関大捷碑というのが二〇〇五年十月にこれ引き渡されています。二〇〇五年六月、日韓の首脳会談でこういった議題が出て、十月に引渡しということが行われています。これは現在、北朝鮮に移っています。ですから、韓国側が北朝鮮との一つの融和政策の一つとしてこれをうまく使ったということですね。そして、今また利川の五層石塔の問題が新たに起こりつつあります。  それは、これは例えば東亜日報が五月十四日の時点で報じているものですけれども、北朝鮮と韓国と中国の民間団体が、日本の教科書問題、竹島問題も含めて、略奪文化財を還収する、引き戻す、そういう委員会を設置しようということですね。つまり五月ですね、衆議院で一応可決して、その後を受けてこういう動きが続々と起こってくる。そういう意味では、この朝鮮王室儀軌をめぐっての日韓の関係というのは、本当にこの趣意書の最初の部分にある文化交流とか日韓の友好関係がうまくいくのかどうかという、そんなレベルの問題ではないということをまず御認識いただきたいと思います。  というのは、こういった文化財の問題に関連しては、既に一九六五年の時点で日韓基本条約が締結された際に文化財及び文化協力に関する日本国と大韓民国との間の協定というものが結ばれていて、一応こういった文化財に対する問題というのは終わっているんですね。これを新たに返還を求めてくる背景として何があるのかということをやはり考えておかなければならないんですね。韓国側が常に使うのは過去の清算ということです。それから、未来志向の日韓関係、それから歴史の和解ですね。  ということは、これ今、新たに韓国では韓国史という本ができました。これ、高等学校の今年から使われている教科書です。これは、今までは国史という教科書を使っていたんですけれども、これ韓国史ですね。檀君神話から始まりますから約四千五百年ぐらい前から今日までですけれども、そのうち、分量として見て、近世までの部分が三分の一です。それから、言ってみたら朝鮮後期から日本時代を含めて現代までが三分の二です。これ、考えてみてください。歴史の中で江戸時代までを三分の一にして、残り三分の二を日本時代に対する、言ってみたらどういう抵抗をしたとか何をやったということが書かれているんですね。これが韓国の歴史認識、歴史教科書です。こういう流れの中でこの問題をやはり考えていかなければならない。  そういう点で見ていきますと、日韓関係というのは戦前と戦後で大きく変わっています。確かに日本は戦前、朝鮮半島を統治いたしました。戦後、日本はあの太平洋戦争に敗れて以降、国際的にも非常に孤立した状況でもあり、それからサンフランシスコ講和条約が発効する以前は国際的にも全く無力でした。韓国側は、そのサンフランシスコ条約が発効するのは一九五二年の四月二十八日ですが、その三か月ほど前の一月十八日に李承晩ラインを引いて、そこから実は竹島問題というものが起こってきます。そこから日韓の立場が逆転するんですね。つまり、日本は侵略された立場になるわけです。  そういった問題が再度表面化してくるのが二〇〇五年の三月ですね。先ほどの朝鮮王朝実録にしても北関大捷碑にしても、これは二〇〇五年、二〇〇六年ですね。これは、韓国側が竹島問題を封印していくための一つの手段として、歴史認識問題、過去の歴史清算、歴史の和解です、そういう手段として取り上げているんだという基本的な認識をお持ちいただきたいと思います。  日韓関係を考えていくとき、もう一度日韓の国交正常化交渉を考えていかなければならない。なぜならば、一九五二年の二月ごろから日韓の国交正常化交渉の本会談が始まっていきますが、そのときは日本国内には数万の韓国側、朝鮮半島からの密航者たちというのがいました。それが、朝鮮動乱直後あるいはさなかの韓国にとって、本国に戻られては困るんですね。何とか彼らの法的地位を与えて日本にいさせたい、その外交カードが一つ必要でした。  それからもう一つ、日本は朝鮮半島に多くの資産を残してきました。しかし、それを持ち出されると朝鮮半島の経済が成り立たない。そういうことから、日本側の財産請求権を放棄する、そういった外交カードが必要でした。  そのときに使われたのが、李承晩ラインと李承晩ラインの中に入れた竹島問題ということです。そういった形で見ていくと、日本側は、人質ではなくて島を取られた形の中で戦後の日韓関係、外交が始まっていくんだということですね。  そして、二〇〇五年三月十六日、島根県が竹島の日の条例を制定をいたしました。そして、竹島問題が浮上しますと、韓国側は、日本は当時自民党政権でしたけれども、自民党政権は余り協力的ではありませんでした、島根県に対してですね。そのときに、韓国側は、竹島の日条例が制定する二週間ぐらい前に、もう既に竹島問題に関連して東北アジアの平和のための正しい歴史定立企画団というものを発足させています。そして、それが二〇〇六年九月の時点で東北アジア歴史財団というふうに名前を変えていきます。そして、李明博さんの時代になると、その中に独島研究所というものが設置されます。これはいずれも、過去の歴史問題を含め、竹島問題がメーンでした。そして、それの中心になったのが最初は盧武鉉大統領であり、潘基文、今国連の事務総長をやっておられる方が外相をやっておられました。そして、李明博大統領もそれを継承しております。  そういった中で、東北アジア歴史財団が戦略的な研究テーマとして今取り上げているのが竹島問題、それから日本海の呼称問題ですね、日本海ではなく東海だと。なぜならば、竹島が日本海の中にあると日本の領海の中にあるようでいけないから自分たちの名前に変えなさいというのが東海問題です。東海というのは、韓国の、朝鮮半島の歴史でいうと、東シナ海、渤海も東海ですし、ですから東海が二つあるわけなんですね。  それからあとは、東北工程、これは高句麗史問題です。  今韓流ブームですけれども、あれは、あの中に朱蒙とか、それから太王四神記ですか、これは高句麗の関係です。これは日本を洗脳するための一つのドラマですね。そういう意味では、NHK辺りは国民から視聴料を取って韓国に協力しているということになりますね。大変なことです。  というのは、これは一九〇九年に日本と清との間で間島問題、つまり今の中国東北部に朝鮮族の方がたくさん住んでいますが、十九世紀中ごろからあそこにみんな密航していくんですね。そこをめぐって朝鮮と清が領土問題を争っていました。そのとき日本が、ちょうど一九〇五年ですね、朝鮮半島を保護国にするに及んで外交権を持ちまして、その地域を中国に返しているんですね、歴史的にはそれが正しいわけですから。それを今引き戻そうとしているのが韓国なんですよ。  それのドラマが朱蒙や太王四神記なんですね。それを日本の方々はお金を払って喜んで見ている、そして、そこに出演している人たちは、俳優たちは独島基金に寄附をしている、出演料をもらってですね。大変立派なことを日本はやっているわけですね、敵に塩を送っていると。しかし、韓国は傷口に塩を塗り込んでいるわけですね。そういう意味で、非常に厳しい状況ですね。  それからあと、慰安婦問題ですね。このとき背後にあるのは東北アジア歴史財団で、アメリカとかカナダ、オランダの議会で日本に対する非難決議案を出しています。この背景にあるのは、言いましたように韓国政府です。  それから、歴史教科書です。そして、自分たちは全く新しい歴史をつくっていると。  それからあと、靖国参拝問題、白頭山問題です。  そして、実は今回のこういった流れの中で一番大きな仕事をしているのは、歴史NGO世界大会というものを開いています。  そういった中で、皆さんのお手元にある二枚目のところですね。これは、先ほどの東北アジア歴史財団の鄭在貞という理事長さんですね。その方が、今回の朝鮮王室儀軌の問題にも関連し、それから昨年八月十日の菅談話に関連して発言をしています。二ページ目の下のところ、ゴシック、アンダーラインを引いてあるところを読んでいきます。  彼は、財団はどんな仕事をしたかということに対しての質問に答えて、菅直人日本政府が八月十日、声明を発表したことに一定の寄与をしたと自負していると。強制併合に関する談話の内容が十分ではないが、向こうが評価しているわけですね。談話が出たということ自体意味があると。当時、日本政府は衆議院選挙を前にして、支持率が下落していたし、政治的に相当難しいときであった。このような渦中に日本政府を説得し、結局、菅総理の談話を作り出したという、東北アジア歴史財団がですね。そして、菅直人談話の核心内容は、韓国人の意思に反して植民支配をした、これに対して痛切な反省と謝罪をするということを入れさせたということですね。それ以前になかったアクションプランも提示したが、その中の一つが、朝鮮総督府を経由して搬出された韓国の文化財を返還する、サハリン強制徴用同胞問題を支援する、日本の中に散在する朝鮮人遺骨を戻すであったと。  こういった談話ができる背景として何を挙げているかというと、去る七月二十七日、両国の国会議員らが参席するシンポジウムをソウルで開いたと。我が方からは韓日議員連盟の李相得会長が、日本側から渡部恒三会長が参席したと。両国の議員連盟会長団が初めて会う席であった。ほかには話をしていないけれども、私たちがあっせんをしたんですね。そして、日本の教育機関である松下政経塾を通じてきっかけをつくったと。松下政経塾は右派だと。日本を動かす右派を攻略すべきだと見たと。政経塾の責任者である塾頭と接触したと。彼を韓国に招請して、財団で講演をするようにさせたわけですね。韓国に初めて来たとして、驚いたと打ち明けた。私たち、つまり松下政経塾も含めてですね、百周年に合わせて協力しようと提案したと。結局、松下政経塾出身の国会議員が数十人いるが、その人々を皆呼んで韓日議員の集いを持つことになった。韓日百年の歴史に対する省察と未来ビジョンを一緒に議論した。会長らの席で、菅直人総理談話の話も出てきたということだということですね。次も同じような内容ですね。  要するに、日本の市民団体というものを利用したりしているということです。この談話もそうですけれども、朝鮮王室儀軌を担当したときの外務大臣は政経塾の出身の方ではないかなと拝察いたしますけれども、そういう形ですね。  問題は、そこだけが問題ではなくて、こういった世界NGO大会が今年も行われる、毎年行われている。そして、全て韓国側が持ち出してやっていますね。  そして、こういった動きの基になるのは、ちょっともう時間がなくなってきましたが、その次、カラー写真で載っているのがあります。これは鳩山さんと韓明淑という韓国側の総理ですが、この方たちが二〇〇六年の五月三日の日に会いまして、それで鳩山さん何言っているか。独島問題、竹島問題では、日本の外交的な失敗だということを言っているんですね。そして、彼自身によると、竹島問題が起こって、二〇〇六年ですね、韓国の人たちが日本からまた侵略を受けたように認識したというのは、これは日本の外交的な失敗だ、そして、過去の歴史に対する誤った認識は結果的に日本全体の国益を損なうことだ、そして、全ての領土問題は根本的に歴史から始まる、そして、日本側が歴史事実をより正確に理解するように努力する必要があるということを言っているんですが、彼に入れ知恵したのは、彼の政治顧問と言われる韓国人ですね。それが、二〇〇九年の月刊朝鮮の中で、鳩山政権になって、これは日本を牛耳りやすい状況になったと喜んで書いています。その中で、韓国側の意見を鳩山さんに伝えて、鳩山さんはそれによって竹島は韓国領だというふうに認識されて、そういう一つの流れがずっと続いてきています。  そして、そういう意味では、竹島問題の封印というのが、根本的にはこの朝鮮王室儀軌を含めて文化財の引渡要求の中に入っているということです。これを一つ一つを韓国側から見たら、政治的な成果、外交的な成果としてとらえていきます。ですから、あと六万点ありますから、六万プラス二点かもしれませんけれども、どんどんそういう流れが出てくる可能性があるということですね。  最後に、竹島は韓国領であったことは絶対ありません。それから、私は尖閣諸島の問題についても北方領土についてもやっておりますけれども、尖閣諸島も中国のものであったという歴史的根拠は全くございません。そういう意味では、やはり日本の外交というのがもう一度原点に立ち戻っていく必要があるのではないかなと思います。  以上でございます。
  7. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) ありがとうございました。  以上で参考人の意見陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 榛葉賀津也

    ○榛葉賀津也君 民主党の榛葉賀津也でございます。  六反田先生、下條先生、今日は、お忙しい中当委員会までお越しをいただきまして、大変参考になる御指導を賜りました。まず冒頭、心から感謝を申し上げたいと思います。  先生方に質問に入る前に、私の若干の私見をお話しをさせていただきたいと思います。  私は組織人でございますからこの条約には賛成をさせていただきたいと思いますし、外交上も一定のこれやはり評価できるところもあると思います。他方、この文献を、朝鮮儀軌を韓国に渡すということは、単なる美談だけではなくて大変奥の深い問題もはらんでいるというふうに思っています。  八月十日の総理大臣談話で突然渡すことが決まったということでございますが、これは大変重要な問題でございまして、きちっとこの朝鮮王朝儀軌の問題にはらむ政治的な問題、そしてこの文献を韓国に渡すことの政治的意義等々をやはり我々立法府でもきちっと議論をする必要が、結論を出す前にですね、あったのではないかと思っています。  議院内閣制ですから、菅総理大臣は民主党の代表であり、総理であります。しかし、参議院外交防衛委員会の筆頭理事として、立法府の人間として、これはきちっとけじめを付けなければならないと思っています。どうも最近こういう手法が目立っておりまして、これが常態化するのは……(発言する者あり)いや、政治判断はあると思うんです。こういう総理の政治判断はどこの国のリーダーであってもあり得ると思っています。しかし、こういうやり方が常態化するというのは私はいかがなものかなというふうに立法府の人間として、そしてこの委員会の筆頭理事として、このことは冒頭申しておかなければならないと思っています。TPP、ハーグ条約、そして浜岡の問題等々、若干最近目立つものですから、立法府の人間としてこれは申し伝えたいと思っております。  加えて、これは日本と韓国の問題だけではなくて、こういう歴史的文化財が単なる美談で渡すんだ、返すんだ、戻すんだという議論が世界に及ぼす影響、これ、アフリカ諸国が一斉に旧宗主国に我々の文化財を返せと言い出したら大変なことになりますから、きちっとそういった歴史的、文化的、政治的な意味をやはり慎重に議論をして、この日本と韓国、日本と韓国のこれからの信頼醸成に寄与する外交をやっていくべきだというふうに思っています。  それでは、六反田先生にお伺いをしたいと思いますが、昨日、ユネスコの世界記憶遺産というのがあると、私知らなかったんですが、山本作兵衛さんの筑豊炭鉱画、これが国内初めて世界記憶遺産に認定をされたという報道がございました。  調べると、この朝鮮王朝儀軌もユネスコの記憶遺産に登録をされているということでございます。我々日本人にはなかなか分かりにくいんですけれども、先日も宮内庁書陵部に行ってこの原本を見てまいりました。マスコミを通じて知るものと実際見るのと、やっぱりインパクトが全然違うんですね。非常にやはり風格というか、色鮮やかですばらしい文献だなと。非常に緻密に絵がかかれてあると。書いている内容は分かりませんでしたが、絵だけを見てもなかなか引き付けるものがあるなと思ったわけですが。  これ、韓国の皆さんにとって、一般の国民の皆さんにとって、この儀軌がどういう意味があるのか、価値があるのか、それをもう一度お伺いしたい点と、これは唯一本ではないわけでございますが、その点も含めて、同じものはもう韓国に既にあるということでございます。にもかかわらず、これを戻すということに対しての先生の歴史的、文化的若しくは政治的な意味合いを教えていただきたいと思っています。
  9. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) 今の御質問についてですけれども、この儀軌は確かにユネスコの世界記憶遺産というものに登録をされています。  先ほどもちょっと申し上げましたが、一九九〇年代以降、この儀軌というものが韓国の歴史学界の中で注目を浴びるようになって、これは韓国が世界に誇ってもいい記録であり、遺産であるというような認識は高まってきています。そういう意味をこの儀軌というのは、ですから持っているということですね。それはちょっと学術的な価値ということから少しずれる部分もあるかもしれませんけれども、韓国民にとってはこの儀軌というのは自分たちの誇るべき文化遺産だという意識はあると思います。  ですから、今回、先ほど申し上げましたように宮内庁にあるものは韓国に、現にソウル大学の奎章閣ですとか韓国学中央研究院の蔵書閣ですとか、そういうところにありますけれども、韓国にこの儀軌が戻るということになりますので、結果としてですね。そういう意味で、これは韓国民にとってはやっぱり大変意義深いという認識を持って歓迎しているのではないか、韓国民の立場からはそういうふうな意識を持っているんじゃないかというふうに私は理解しております。
  10. 榛葉賀津也

    ○榛葉賀津也君 もう一点、六反田先生にお伺いしますが、実はこの協定を議論する際に大きな争点になった問題の一つが、いわゆる我が国も、対馬宗家文書等の韓国に行っている日本由来の図書、文化財、資料があると、これ相互主義であるべきなので、これもしっかり返してもらうべきだと。他方、政府からは、両者はその歴史的経緯等の違いから同列に論じるべきではないというような御答弁もちょうだいいたしました。この問題につきまして、六反田先生、専門家でいらっしゃる先生の御所見をお伺いしたいと思います。
  11. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) 今おっしゃっていただいたように、儀軌というのは、これは日本が朝鮮半島を植民地にしているときに朝鮮総督府を経て宮内庁に入ってきたということで、これはそういうものですけれども、一方で、例えば今お話に出てきた対馬の宗家文書というのは、これは朝鮮総督府がその下に朝鮮史編修会という朝鮮の歴史を編さんするための機関をつくりますけれども、ここが要するに朝鮮半島の歴史を編さんすると、総督府がですね。そのときに、その材料としてこれを買って持っていったというそういう性格のものですから、おっしゃるように、そういう意味ではそれぞれのその経緯というものが違うことは事実で、そういうこともあるから一概には論じられないだろうというふうに私も考えております。
  12. 榛葉賀津也

    ○榛葉賀津也君 それで、両先生にお願い、そして御意見をお伺いしたいんですが、この朝鮮王朝儀軌が韓国側に引き渡された後、日本の研究者等がこの朝鮮儀軌に今後もきちっとアクセスする方法は私はきちっと担保をするべきだと思っております。両先生、研究者の立場として、今後韓国側に引き渡されるこの図書、その後の取扱いについて、もし日本政府、韓国政府に御要望がありましたら、両先生から御意見を賜りたいと思います。
  13. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) これも先ほどもちょっと申し上げましたけれども、まずは日本側でこれを引き渡す前に詳細な記録を取っておいていただきたいということが一つです。それは、高解像度のデジタルデータにしておいていただくとか、あるいは書誌学的なデータを、現物が見られなくなるということになりますと、やっぱりどういう本かというのがすぐには分からないということになりますから、書誌学的なデータをきちんと取っておいて、それらを研究者がアクセスしたときに見られるような体制を取っておいていただきたいというのが日本政府に対しての要望です。  それから、韓国側については、これ私たちのような日本とか外国の研究者が韓国に行きましてそういうものを見るというときに、最大限その閲覧の便を図っていただきたいというふうに思っております。  以上です。
  14. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) 六反田先生と基本的には同じでございますが、今回やはり問題になりますのは、日韓の間の文化交流を円滑にしていくというのが趣旨でありますので、やはり対馬家文書を始め韓国のソウルの中央図書館の中にある図書、これは日本の書籍だけではなくて中国、漢籍ですね、たくさん日本時代に持ち出されています。そういったこともやはり将来的に引き戻す、そういった動きをつくっていく必要があるのではないか。特に対馬家文書の場合は、韓国にあっても今余り使われておりません。むしろ対馬に置いた方が離島振興にもつながっていくわけですから、対馬をそういった地域発展の原点にしていくような意味でも、対馬家文書をまず少しずつ引き渡していただくというようなことも文言の中に入れておいた方が日韓の文化交流を円滑にしていくというところにつながっていくと思います。  それから、やはりこういった問題が起こる前に、ある程度研究者たちの集まりなりで、これからどうしたらいいのか、何が問題なのかということを話し合うようなそういう機関、そういうことをやはり準備していただくこともこれから必要ではないか。  それから、特に日韓関係というのは、戦前、日本が統治していた時代と戦後が全く違うんだという認識を持っていただいて、もう一度日本が統治していた時代の朝鮮半島がどうであったのかということもよく御検討いただくような、そういう組織なりをつくっていただきたいですね。
  15. 榛葉賀津也

    ○榛葉賀津也君 最後の質問でございます。  下條先生にお伺いをしたいと思います。今日は朝鮮王朝儀軌の問題なんですが、先生は竹島問題にも大変精力的に研究をされているというふうにお伺いしておりますので、日韓関係に関係して我が国の領土問題について若干御意見をお伺いしたいと思っています。  昨年、私は防衛副大臣を仰せ付かっていたんですが、よく衆参で議論になったのが、民主党政権の領土に対する希薄さというか、竹島問題にも大分いろんな質問がされました。他方、私の信念として、この領土問題が政局の具になってはいけませんし、いかなる政権であっても領土に対する考えがぶれてはならないと思っています。むしろ、与野党で共にこの領土問題にはぶれずにきちっと対応する必要があるというふうに思っている人間でございます。  しかし、そのような中、我々がこの協定を議論しているさなかに、韓国の三人の国会議員がロシアのビザを使って北方領土に入ると、もう言語道断のことが起こったわけでございますが、大体選挙に弱い人間はこういうパフォーマンスをやってという人間は必ずどの国でも出るものでございますが、韓国の中でも与野党の大バトルがありますから、いろんな理由があったんだろうと思います。しかし、このようなことは絶対許してはなりませんし、報道ベースですけれども、昨日の情報によりますと、韓国の在外公館がロシアに対して便宜を図るように要請をしていたという報道もございました。  我々にも大変これは言語道断な話であるんですが、他方、李明博大統領も大恥をかくようなことになっていると私は思っております。是非先生に、韓国やロシアのこうした動きに対しまして我が国としてどのように対応していくべきか、先生の御所見をお伺いしたいと思います。
  16. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) どうもありがとうございます。  とても大きなテーマなのであれですけれども、今まで日本の政府、例えば北方領土問題に関しては内閣府の中に北方領土問題対策協会、北方対策本部とかつくりましたけれども、竹島についてはございませんね。それから、尖閣についてもありません。今、韓国は対馬も返せと言い始めています。それから、日本海、この問題も出てきていますね。そういう意味で、日本の政府の中にそういうことを勉強する機関なり研究する機関があればいいわけですね。  国会議員の先生方は国民を代表されておられますけれども、直接そういうバトルをやるわけにはいきませんので、要するに我々を傭兵として使っていただいて私たちは構わないんです。突撃せよと言えば突撃します。実際に、私自身は、島根県の竹島の日条例ができる、二〇〇三年から私、島根県とかかわりがありまして、二〇〇五年、二年間で竹島の日条例というのができました。そして、その後、外務省さんも動いてくれまして、竹島問題の十のポイントを作りました。それからあと、その何か月か後は、文科省が中学校の、二〇〇八年の七月ですね、学習指導要領解説書に竹島問題を載せました。  つまり、ある程度情報がうまく固まっていて、それをまとめれば国策として動いていくんですね。そういう機能を持った部署が今まで日本にはなかった、このことがちょっと残念ではないか。実際に、尖閣に対しても全く中国側が領有権を主張する歴史的根拠もありません。それから、竹島に関しても同じです。にもかかわらず、私個人しか動かない。これでは戦争にならないんです。そして、周りからどんどんどんどん攻められて、結局、先ほど言いましたように、塩を一生懸命送ってしまうという形ですね。  そういう意味では、もう一度、今、日本が再建していく一つのきっかけとして、ちょうど来年はサンフランシスコ講和条約六十周年ですね。言ってみたら、そういうことをきっかけに、これから日本が領土問題に対しても強く前面に出る、そういう必要があるのではないかと、そういうきっかけにしていただければ有り難いと思います。  済みませんでした。
  17. 榛葉賀津也

    ○榛葉賀津也君 ありがとうございました。  終わります。
  18. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 自民党の浜田でございます。  最初に下條参考人にお伺いしたいんですけれども、今回の引渡しの問題ですけれども、昭和四十年、韓国との国交が正常化したときに文化財についての協定が結ばれましたですよね。もう既に一定の文化財は韓国政府に返還されることになっていたわけですけれども、今回対象となった朝鮮王室の儀軌に関してはこの昭和四十年の協定の中には返還の義務というものは含まれていませんでしたよね。そのことで事実関係、間違いないですね。
  19. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) はい。
  20. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 となると、法的に返還しなければならないという根拠はないということですね。
  21. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) 法的にはもうないと思います。これは、首脳間レベルでのやり取りの中で決まったことだと思います。
  22. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 であるとすると、我が国が昭和四十年の協定の内容をひっくり返すということを今回決めたという具合に韓国側が理解するということになる可能性は高いですよね。  となりますと、今回のことがきっかけとなって、既に昭和四十年に解決したはずの、韓国政府や韓国国民から日本統治時代の出来事に基づく様々な損害賠償問題、これが蒸し返される可能性というものが出てくるのではないかと危惧されますけれども、その点についてはどうお考えですか。
  23. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) まさに御懸念のとおりだと思います。  ここにやはり北朝鮮が今絡んできていますので、北朝鮮と日本との間はまだ国交正常化交渉をしておりませんので、日本は非常に厳しい状況に置かれた中でこれから日朝外交をしていかなければならない。そういう意味では、拉致問題も含めて極めて悪影響を及ぼすことになります。しかし、これはやはり、一九九〇年ですか、金丸訪朝以降、戦後補償ということから一つ始まってきていますので、そういう意味を考えますと、福島原発ではありませんが、今の日本の外交がここに来てメルトダウンを始めてしまっていると、そういう状況をちょっとお考えいただきたいなと思います。  ですから、榛葉さんがおっしゃっていましたけれども、どこの政党だから云々の問題ではなくて、これから日本をどうしていくかというときに、その出発点としてこの問題に対してどういう態度を示していくのかということが求められていると思います。
  24. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございます。  私も同じような考えを持っているんですけれども、先般の四月の二十七日の衆議院の外務委員会においても、この問題が、竹島問題、底辺にあるということをおっしゃっていましたけれども、今回の返還することによって、我が国の竹島問題に対する固有の領土という立場、これを覆して、歴史認識の面においても竹島の領有権に関しても韓国側の主張を受け入れるということを意味する可能性があると思うんですね。  要するに、先ほど来、下條参考人がおっしゃったように、ただ単なる図書の返還ということではなくて、この韓国側のアプローチというのは、日本が竹島に対する領有権を放棄させる、要するにそういう韓国側の歴史認識というものを認めさせたんだと、あるいはそういうための工作をやった結果こういう返還にもつながったんだと、そういうことを韓国側が内外に対して宣伝工作を展開する、そういう可能性、これは高いと思うんですけれども、そのことについてはどう見ておられますか。
  25. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) 今おっしゃったとおり、実は韓国側の過去の清算というのはまさにそれですね。それからあとは未来志向の日韓関係、これはやはり日本が侵略をしたということを認めさせる。それからあとは歴史の和解。そういった中の背後にあるのが竹島問題です。それから、実際にそういうことを日本側に、言ってみたら外交ではなくて周辺部から攻めていくものとして、日本の市民団体であるとか、そういうところを使っていきます。  それから、あと、今韓国がやろうとしているのは、世界に住んでいる韓国系住民を使ってその国の政府にいろいろ工作をしていくということですね。今一番強くやっているのは、国連が舞台ですね。国連の地名標準化委員会、ここでは日本海問題、東海問題が話し合われていますけれども、そこの専門部会の長が韓国人ですね。彼がそういった動きをうまくつくり出していて、潘基文さんがそれを助けていますね。  そういう意味では、もう国際的なレベルで日本の封印、封じ込めというのを行っています。今七百万人ぐらい海外に韓国系の人がいますけれども、それを使って、竹島問題、過去の歴史問題に対して日本に圧力を加える。それから、最終的には日韓基本条約を再び締結していこうという動きの中の一つのポイントだというふうに御理解いただければいいかと思います。
  26. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 今御指摘の地名標準化委員会、これはやっぱり竹島を独島と呼ばせる、そういう動きが世界的に広がっているわけですよね。今、どうですか、地名標準化委員会の中で竹島という表記が多いのか独島という表記が多いのか、御存じでしたら教えてください。
  27. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) 竹島、独島、これ併記する場合と、それから一番大きい問題は、今、日本海と東海の併記が始まっていて、初めは一%にも満たなかったんですけど、今三〇%ぐらいに増えてきています。そういう意味では、韓国の外交的成果が着々と上がっているということですね。
  28. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございました。  六反田参考人にお伺いしたいんですけれども、韓国の中央図書館、これには、明治四十三年以降、我が国から流出した我が国の古い書籍、これも多数保管されていると聞いていますけれども、大体何万冊ぐらい保管されているのか、もし御存じであればお教えください。
  29. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) 申し訳ありませんけど、私は日本の書籍を韓国にどのくらいあるかというのは調べたことはございませんので、ちょっと今正確な数字はここでは申し上げられません。ただ、韓国の国立中央図書館は私もしょっちゅう資料の調査とかで利用しておりますので、総督府図書館を継承してそのときに入っていたものは結構たくさんあるなという印象は持っております。
  30. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 もし下條参考人が韓国にある日本の書籍の数について御存じであれば、補足していただければと思いますけれども。
  31. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) 約六万冊ぐらいございます。それは中国の漢籍も含めてですね。  というのは、日本時代に、やはり中国の本、日本の本も含めて、それから一番大きな仕事は総督府時代に朝鮮本をたくさん集めたということですね。そのことが、韓国の中央図書館には世界にない部屋が一つだけあります。族譜ですね、族譜。つまり、自分の家の家系図を調べるために基本的に必要な本がたくさん集められています。これは韓国の中央図書館にしかないですね。族譜室というのがあります。  ですから、中国、韓国、日本の本が、朝鮮半島の本が日本時代には集められていたということです。
  32. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございました。  六反田参考人に引き続きお伺いしたいんですけれども、今回百六十七冊返還することになった儀軌ですけれども、そのうち四冊は宮内省が日本の古本屋さんで購入したものだということが説明がありましたけれども、この四冊を含めて百六十七冊、これを決めるときに何か御専門の立場として相談を受けられたようなことはございますでしょうか。
  33. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) 特にございません。
  34. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 そうですか。  それで、先ほどのお話の中にも、百六十七冊に加えて、それよりも多い千三十八冊加えて全部で千二百五冊を韓国に引き渡すということのようですけれども、この付け加えられた、サービスというかおまけの千三十八冊、これについて、韓国側が本当に学術的、文化的にそういうものを必要としている何かそういう根拠のようなものはあるんでしょうか。
  35. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) その他ということで引き渡される六十九部千三十八冊だと思いますが、これについては私自身はリストを見ただけですので、具体的に個々のものを見ておりませんので明確なことは申し上げられませんが、韓国の研究者などから聞いた話ですとか、あるいは韓国の新聞報道などから見る限りでは、現在韓国に全くそのものが存在しないものが幾つかある。それから、物はあるんだけれども、例えば版本ですと版が違う、で、その版は韓国には現在ないとか、あるいは写本なんかですと、写本というのは要するに人が手で写していきますから、これはもう同じタイトルであっても、その物としては一つしかないわけですよね。  そういう物として日本にしかない写本というのも、韓国には同じタイトルの写本はあるんだけれども、日本にある又は個別に違うバリエーションの写本だというようなものは幾つかあるのだということで、そういうものが韓国にとっては今回大変学術的には貴重な価値があるというふうに認識しているように承知しております。
  36. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ちょっと下世話な話ですけれども、そういうものを、千二百五冊の一般の市場価格というか市場の価値というのは、鑑定団じゃございませんが、どれくらいの価値があるという具合に御専門の立場からは見ておられますか。
  37. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) これは多分、韓国と日本で価格の付け方が違うと思います。  私はちょっとよくは分かりませんが、多分、今例えば市中の、日本の神田の神保町の古本屋とかで朝鮮本が出ていますけど、大体普通の政府の十九世紀ぐらいの古記録で、安いもので五、六万から高いものだと十万ぐらいの値が付いています。それから、あと韓本でやはり有名なものですとか、そういうものだと三十万とかそのぐらいの値段が付いているものがありますから、大体その範囲じゃないかというふうに思います、日本ではですね。  韓国になりますと、また韓国固有の文化財としての意味付けですとか学術上の価値が出てくると思いますので、もっと高くなるものもあるのではないかと思います。  済みません。正確ではありませんが、そういう印象を持っています。
  38. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 下條参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど榛葉議員の方からもありましたけど、韓国の国会議員がロシアを何かビザを取得して訪問したと。要するに、ロシアと韓国が、それに恐らく中国も加わっているんでしょうね、領土問題で日本包囲網というか対日共同戦線、これを張っているように見受けられるんですけれども、そういう問題が起こっているときにあえて韓国にこの儀軌を引き渡すということは、韓国に対する抗議ということを外務省はやっているようですけれども、全くらちが明かない。  となると、日本の立場を鮮明に打ち出すためには、この際この返還を中止する、やめる、それを韓国に対する抗議としてもしそういう決断を下した場合に、韓国側に対して、あるいは日韓の今後の関係について何らかの影響が出るとお考えですか。
  39. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) どうもありがとうございます。  そうですね、今回、姜昌一さんを始め、独島領土守護対策特別委員会の委員長含めて三名ですね。彼らはサハリン、樺太でどういう人に会ったのか。これは、やはり先ほどの菅談話の中にも出てくるような、いわゆる強制労働ですね、強制的に連れていかれた人たち、あるいは独立運動をしていた人たち、その遺跡をまず見たこと。それから、ロシア側では北方領土の研究者に会っているんですね。そして、北方領土を実効支配をしているという実態を、実効支配ではないんですけれども、不法占拠なんですけれども、そういう認識で見ていますね。そういう意味では、浜田議員がおっしゃったとおり、ロシアともつながっています。  それから、尖閣の問題に関連しても、尖閣を中国が占守していく一つの手法として、韓国の竹島問題をモデルにしています。これは、一九五三年、四年に民間人が竹島に上陸をしました。その後、韓国の海洋警察隊が今駐屯しています。それと同じ方法を取るべきだというふうに中国側は認識しています。  そういう意味では、今、中国と韓国とそれからロシアですね、そして一番喜んでいるのは多分北朝鮮だと思います。それは、これからの日朝国交正常化交渉にいろいろな材料が増えていきますから。  そして今、これを返さなければどうかというお話ですけれども、これはやはり首脳間の約束ですから、これはこれとしてやっぱり日本はしなければならない。ここで変にこの問題だけを取り上げて多くの問題に悪影響を及ぼすべきではないと。言ってみたら、今、原発の話になりますが、建屋の一部分だけを問題にして原子炉をほうり出していくのと同じですから。  そういう意味では、もう一度、戦後の日韓関係がどういうところに問題があって、日本の外交の弱点、あるいは韓国側の問題点、ロシアの問題点、中国の問題点というものを正確にやはり見極めた上で、それから竹島というものを前面に出していく必要があるのではないか。  そして、これは、二〇〇五年の時点から既にロシアと中国と韓国というのは一体化しました。一体化しているんです、その流れの中で。ですから、二〇〇五年の四月、中国で反日暴動がありましたけれども、あれは全部竹島問題が原因ですので。そういう意味から見ていくと、逆にロシアと中国と韓国が、あるいは北朝鮮が一緒になってくれたというのは、これから日本外交がターゲットを一つにしてやりやすいですね。そういう意味では、どこから攻めるかといったときに、竹島問題が一番攻めやすい。なぜならば、相手が民主主義国家だと自任しているわけですから。  そういう意味では、やはりこれから頑張っていけるという意味で、これは朝鮮王室儀軌の場合はすんなりとお返しいただく反面、やはり国としてもう一度、先ほど言いましたけれども、サンフランシスコ講和条約六十周年ですから、還暦を迎えたわけですから、新たに生まれ変わって、それに向けて日本国内にそういう組織なりをつくって、そして東アジア全体を見ていく、日中、日ロという関係ではなくて全体を見ていく、そういうやはり視点が必要になってくると思います。そういう意味では、今を生かしていただきたい。来年はもう無理です。
  40. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございました。大局観が必要だということで、大変貴重な示唆をいただきましてありがとうございました。  以上で終わります。
  41. 山本香苗

    ○山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。  本日は、六反田先生、また下條先生、大変貴重なお話をありがとうございました。なるべく重ならないようにお伺いしていきたいと思いますけれども。  まず最初に六反田先生の方に何点かお伺いをさせていただきたいと思いますが、今日いただきましたレジュメの3のところで、宮内庁所蔵の朝鮮王朝儀軌には唯一本なしと、全て韓国に同一本があると書かれておりまして、要するに今回引き渡す朝鮮王朝儀軌と同じものが既にもう韓国にあるんだと。先ほど韓国で見られないものはないとおっしゃっておりましたけれども、こういうことはそもそも日韓の歴史を研究されておられる方々の間ではもうよく知られた事実なんでしょうか。
  42. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) 私のようにまさにその時代をやっている人間であれば、これは大体知っているのではないかと思いますが、ちょっと時代が違って近代のことをなさっている方とか古いことをなさっている方ですと、それは知らない方もいらっしゃるかもしれません。
  43. 山本香苗

    ○山本香苗君 と申しますのも、政府の方がそもそも朝鮮儀軌の全容というものを把握していなかったということがありまして、ちょっと聞けばよく分かったことなんだなということを改めて認識したわけでありますけれども。  今回引き渡される朝鮮王朝儀軌以外の千三十八冊、先ほど来お話に出ておりますが、これにはどれだけ同じものが韓国にあると御存じなのか、お調べになられたことがあるのか、教えていただけますか。
  44. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) 大半のものは韓国にあるものなんです。点数でいうと、いわゆる唯一本といいますか、今韓国にはなくて、これが韓国に移ることによって韓国で初めて見ることができるというようなものは、点数でいうと六点ですか、冊数でいっても二十八冊。これ、私ちょっと現物を確認していないので本当にどうかというのは分からないんですが、韓国で言われているものはそういうことになっているようです。
  45. 山本香苗

    ○山本香苗君 今回引き渡される、今六部二十八冊とおっしゃいましたけれども、唯一本の中で特に学術的に価値の高い本というものは何になるんでしょうか。    〔委員長退席、理事榛葉賀津也君着席〕
  46. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) これも、私はちょっと中身をきちんと見ておりませんのでここではっきりと申し上げることはちょっとできかねます。いずれも、唯一本ということになりますとそれなりの価値は持っているんだろうというふうに思いますが。
  47. 山本香苗

    ○山本香苗君 唯一本ではない、つまり既に韓国に同一本があるというものについては、新たな学術的な意味合いというよりも渡すということに対する象徴的な意味合いの方が強いんだということを先ほどおっしゃっていたわけでありますが、となりますと、今回引き渡すという意味合いというものは、ほとんどがもうあるという話であったら、そちらの方に重きを置いているという認識の方が強いと先生はお考えでしょうか。
  48. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) 結果としてそうなんだろうと思います。  ですから、韓国としては、やっぱり外国にある、しかも日本にある、しかも宮内庁にある、しかも韓国では大変文化財として評価の高い儀軌を始めとしたものが戻ってくるということになりますから、そういう象徴的な意味があると思いますし、その他のものに関しましてもやはり同じような意味合いで、韓国にとってはそういう意味でこれは好ましいことだというふうに受け取られているんだろうと思います。  ただ、研究者はやはりその辺は冷静に見ている方もたくさんいらっしゃって、むしろその中での唯一本というものに注目されている方もいらっしゃると思いますし、実際返ってきてみないと本当のところはよく分からないというふうにおっしゃっている方もいるように承っております。
  49. 山本香苗

    ○山本香苗君 今回、この協定が成立した後に、私たちも今回宮内庁に視察に行かせていただいて実物を見させていただいて、改めて大変貴重な図書だということを認識したわけですけれども、これを返した後、まだ具体的に韓国においてどういう形で保管されるかということははっきりしていないわけなんです。  韓国の方のいろんな研究機関等々、様々行かれていると思いますが、どういう形で日本から引き渡した図書が保管される、あるべき姿というものについて先生のお考えをお伺いしたいと思います。
  50. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) 恐らくこれは、日本から韓国に持っていきますと、韓国の文化財庁の管理下に入ると思います。その後はちょっとよく分かりませんけれども、王室関係の記録が儀軌が中心で多いということになりますから、例えばソウルにあります国立の古宮博物館とか、そういうところに入る可能性が高いのではないかなというふうに思います。ですから、公的な機関で相応のきちんとした設備の下で管理はされるであろうというふうに思っておりますし、そのように期待もしているところです。
  51. 山本香苗

    ○山本香苗君 今回の協定、これは下條先生にもお伺いしようと思うんですが、一条は引き渡すことになるわけですけれども、二条においては、先ほど来話がありますように、両国政府で両国間の文化交流及び文化協力が一層発展するよう努めるというふうになっているわけです。もう過去のことよりも先のことをと先ほどもお話がありましたが、これを契機に具体的に期待されること、お二人ともの立場で、それぞれのお立場で期待されるということを、六反田先生と下條先生それぞれにお伺いしたいと思います。
  52. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) 私は研究者ですから、日韓の研究者がそれぞれに学術的な交流を深めていける一つのきっかけになってくれればと思いますし、是非そうあってほしいというふうに強く願っています。  それは共同研究のこともそうですし、お互いにお互いの国の資料というものを閲覧をするような場合にもこれは相互に便宜を最大限図るということもありますし、いろんな意味で学術交流というものを活発にする一つの契機として最大限これを活用していただければ私としては有り難いというふうに思っております。
  53. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) 期待されるかどうかというと、期待されないと私は思います。これは最悪だと思いますね。  極端な言い方をしますと、これを使って多分全国を展示して歩くかもしれませんね、日本からの戦利品ですよと。実際に、北関大捷碑の場合は、ソウルの中央博物館にまず展示して、こういうことをやったんだということをやって、それを北朝鮮に送りました。そういう意味では、これは日本が白旗を上げたのと同じ状況だというふうに御認識いただきたいと思います。外交戦で敗れたということですね。  それから、これは非常に残念なことなんですけれども、韓国側との学術交流ができるかどうかということですね。韓国側の研究者自体がかなり左の方が多いわけですから、そういう人たちから選ばれるということ自体も、私は全然選ばれませんから、右翼だと言われていますので。最大の右翼だと言われてネット上にもよく出ていますけれども、しかし、都合の悪い人は呼ばない、それ以外の協力者は呼ぶと、そういうシステムになっていますので、果たしてこれから文化交流が正確にできるかどうか。そういうことです。ということは、これまで日本側が自己主張を全くしてこなかったんです。全て過去は自分の責任がある、そういう感覚ですね。そういう意味では、もう一度原点に立ち戻って、日韓の歴史がどういうものであったのか、実態ですね、それを明らかにしていかなければならない。    〔理事榛葉賀津也君退席、委員長着席〕  今、先ほどちょっとお見せした韓国の歴史教科書で、韓国のセマウル運動というのは、新しい村づくり運動というのは、今日の韓国の農業の近代化に大きな役割を果たしました。それが僅か数行でまとめられています。そして、朴正熙さんによる農民統治の一つの方法だというとらえ方しかしておりません。つまり、そういった歴史認識、感覚を持っている人たちとどうやって歴史研究ができるのかどうか。もう一度日本側がしっかりして、日本が国家としてどういう歴史を歩んできたのか、これからどういう国づくりをしていくのか、そういうことを考えた上でこういうことをやっていくべきではないか。  そして、この中にある本、何冊か私も持っています。そして、これ、韓国で一万ウォンで買いました。一万ウォンというと当時のお金で三千円です、二十年前ですけれども。今これを買うと二百万ぐらいすると思います。要するに、内賜本といって、ちゃんと王様からの判がつかれているわけです。そういう意味では、「なんでも鑑定団」というのがありますが、あれが韓国でも今同じようなものをやっていまして、そこでどんどんどんどん値が上がっていますけれども、そういう意味では韓国側は今まで全くこういうものに関心がなかったんです。それが、こういうことがあると、あれだこれだという形でこれからどんどん大きな問題に発展していく可能性がありますね。  そういうことも考えておかないと、これから日本はもっと痛い目に遭うということを御認識いただきたいと思います。
  54. 山本香苗

    ○山本香苗君 先生がおっしゃる御懸念が当たらないように、しっかりとこの委員会でも認識を共有しながらやっていきたいと思いますが。  先生が衆議院でも、また今日も先ほど来より、国が、国家が研究機関をつくって、設置して、しっかりとしたこの歴史認識を持って正々堂々、外交摩擦を恐れないで正当性を主張すべきだというようなことをおっしゃっておられて、それを受けて、御記憶にあると思いますけど、衆議院の外務委員会の方でうちの赤松正雄衆議院議員の方が、先生の御提案をその後、同じ委員会で松本大臣にぶつけたわけなんです。そうしましたら、松本大臣の方も、どういった新しい機関を設けるかとか、新しい体制をつくるかとかいうことが必要なのかどうかということも改めて考えてみたいと、そういうことを答弁していたわけです。  答弁したからと、昔は答弁って物すごく重かったんですけれども、大臣がさらっと言っても何かいつも流されてしまうのが今の民主党政権ですので、必ずやってくれるかどうかというのは定かじゃないので民主党の理事の先生方にもしっかりお願いしておきたいんですが、私はこれはしっかりやりたいなと思うわけなんです。  北方領土の問題についても、尖閣の問題についても、竹島の問題についても、やはりここのところでしっかりと国として研究してまとめておいてということは極めて重要なことだと思いますので我々としても頑張っていきたいと思いますが、まだこの点について先生が今まで語り尽くしていないという点がありましたら、あとちょっとお話ししていただければと思いますが、いかがでしょうか。
  55. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) こういう席でこういうふうな話を受けるとはちょっと予想もしておりませんでした。  ただ、私、二月二十二日、竹島の日の式典の後、島根県で教育フォーラムがありまして、同じように民主党の議員の方が参加されまして、私がその提案しましたら、やると言っていたんですね。ですが、それ以降、何もありませんでした。そういう意味では、口約束ではなくてやはり実際にやるということ。  それから、竹島問題は一九五二年から始まっていて、そして二〇〇五年に島根県が竹島問題を取り上げてから動きました。そういう意味では、国ももちろんそうなんですけれども、やっぱり民間ベースで何かあって、それを国が吸い上げていけるような組織、それを外交政策に展開していくようなそういう流れができるとよいのではないかなと思います。  そういう意味では、先ほど申しましたけれども、島根県が二〇〇七年の六月の時点で竹島問題に対する最終報告書を作りまして外務省北東アジア課に持っていきました。それがきっかけとなって外務省はパンフレットを作ってくれまして、先ほど言いましたように、二〇〇八年の七月十四日には文科省で学習指導要領解説書に竹島問題が載りました。その二日後、韓国のMBCという放送局が特派員報告をやりまして、これをやったのは私だと、私の顔写真というか、二月に撮った写真を七月に出して、こいつがやったんだということを延々と放送しました。その後、二〇〇九年、一〇年ですかね、韓国の国会が、私を批判する英文の竹島問題の著書を韓国の国会が出しましたね。  そういう意味では、やはり日本も同じような組織なりつくっていく必要がある。それから、こういう問題が起こる前に、事前にやはりこういう情報を集めて、それを整理していくと。私自身、外務省の方も文科省の方も非常に優秀だと思います。ですから、国会議員の先生も含めて何か勉強会的なものをまず始められて、そしてこれから戦略としてどうしていくのか。そうでなかったら、日本が例えば朝鮮半島を統治したとき、当初、一九一〇年のときに人口が千三百万ですよ。それが一九四四年では二千五百万に増えているんですよ。三十年ちょっとで人口が二倍になって、何で日本の統治が奴隷状態だと言えるんですか。北朝鮮で三十年で人口二倍になりますか。なりませんよ。そういうことを考えていくと、もう一度日本は、台湾統治も含めて、朝鮮半島でどういうことをしてきたのか、何をしたのか、そのことを正確にやはり理解していくこと。  それから、朝鮮半島が、今、朝鮮王室儀軌の問題が出ていますけれども、これは今の北朝鮮のような状況の時代ですよ。それをまとめたものがこういったものですよ。ですから、言ってみたら、金正日が何をしたかとか、金正日の奥さんが何をやったか、金日成が何をやったか、それを儀式としてまとめたのがこういう本ですよ。それを韓国の宝だというふうに言えるのかどうか。今の北朝鮮をパラダイスだと言うのと同じようなことを言いかねないことを今韓国側はやろうとしているということです。  ですから、日本の歴史と朝鮮半島の歴史は全く違うんだという認識に立ち、その中で外交をしていく必要があるということですね。そういうことをやはり勉強する。研究者たちも、六反田先生も含めていらっしゃいますので、そういうことをちょっと生かしていただく。韓国はそういう機関を持っていますから。  済みません、長くなりました。
  56. 山本香苗

    ○山本香苗君 ありがとうございました。  終わります。
  57. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 今日は、六反田先生、下條先生、本当にありがとうございます。  今回のこの協定に関しては、表面上は日韓の友好、また日本の見返りを求めない大人の対応で引渡しという言葉を使っているわけでありますが、さりながら、現実的には一方で、先ほど下條先生がおっしゃったとおり、外交的な敗北というような評価もありますし、また、この後、実際、韓国に引渡しした後に国内でのプロパガンダに使われるということも想像に難くはないわけではあります。  また、近代日本においては非常に不得手なんですけれども、歴史の総括が非常に私は日本は下手だなというふうに思っております。私は会津でありますけれども、百四十三年前の戊辰戦争もしっかり総括はされておりませんし、岸筆頭おられますけれども、長州と会津はまだ平和友好条約も結んでおりませんし。まあ、それはおいておいて。  二国間、またいろんな関係性というのは非常に多層的な要因をはらんでいるんですが、今回の協定は大人の対応という非常に甘い表現で終わっているんでありますが、実際、これフランスとの儀軌との関係もあって、フランスは五年間の貸与という形で延長していくということ、まあ韓国側は事実上の返還というふうに言っておりますが、このフランスと日本の対応の違いが韓国国内においてはどのように認識をされ、また、政府の中だけでなく国民において、韓国の国民がどのようにこの日本とフランスの違いを受け止めているのかというのをお教えいただきたいと思います。
  58. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) どなたに。
  59. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 どちらか、分かる方です、その辺の認識。
  60. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) 済みません、韓国民がどう受け止めているかというところに関しては、私もここでちょっとお答えできるほどのものは持っていませんが、フランスのお話が出ましたので。  フランスのものは、一八六六年に江華島をフランス軍が軍事侵攻した、丙寅洋擾といいますが、そのときに江華島にあった、これは王室の図書を戦乱から避けるためにそこに別置して置いていた書庫があります。そこに所蔵されていたものが持っていかれたというもので、これは質量共に宮内庁にあるものとは全然質が違いまして、王様が見る、国王が見るためのものですから、御覧用の大変立派なものなんですよね。  そういう意味で、資料としての価値という意味では、情報としては変わらないですけれども、文化財としての価値はかなり高いものですから、そういうものが、五年貸与、五年ずつの更新の貸与ということではあれ国内に戻ってくるということは、高く評価していると思います。ただ、それが日本との比較でどうかということは、ちょっと私は申し上げられません。申し訳ありません。
  61. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 じゃ、下條参考人、フランスの対応の仕方、まあ日本の対応の仕方には批判的でありますけれども、フランスの韓国とのやり取りはどう下條先生は思われますか。
  62. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) 韓国側では、日本に対しては強く要求すれば何でもできるという、そういうやはり認識を持たせてしまっているということですね。  それから、韓国の人たちにとって、江華島にあったいわゆる朝鮮の古書と宮内庁にあるそれですね、フランスに持っていかれたものが全く違うものだと、質的に、そういうことについての認識は全くありません。フランスに対してはかなり甘く見ていますね。甘く見ているということは、よくやってくれたなと。でも、日本に対しては、何で奪っていったんだと、だから取り返してやるんだという。やはり、これは日本の統治時代という歴史を経て歴史認識があるんですね。  そういうことをやはり踏まえた上で、日本がこれを引き渡すことによってそれを助長するのか、あるいはそれを鎮静化させるのか。これは助長させる以外の何物でもないと思います。
  63. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 仮の話ですけれども、フランスと同じように五年の貸与といった場合には、韓国側の反応というのはどんなものがあったでしょうか。想像できますか。想像の範囲内でいいんですけれども。
  64. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) これはもう、日本はけしからぬということになるでしょうね。それから、あれもこれもと出てくると思いますね。それはなぜなら、先ほどから何度も申しますけれども、やっぱり過去の清算というプロセスの中の一つですから。それからもう一つは、やはり今言いましたように、未来志向の日韓関係を築いていくためにはこの部分を解決しなければならない、そして日本を封印していくことが歴史の和解だというふうな基本的な認識がありますから、フランスの場合とはちょっと違うんですね。  ですから、言いましたように、フランスはよくやってくれた、日本はもっとしなければいけない、そういった使い分けをしているということですね。
  65. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 ちょっと話が飛ぶんですが、昨日、宮内庁の書陵部に行って現物を見させていただいて、非常にすばらしい資料でありますし、保存状態もすばらしいと思います。過日、アメリカに行って議会図書館に行って写楽の絵とか見たときに、保存はちゃんとしっかりしていたんですけれども、数年前だと、いろんな各国の美術館に行くと、日本の美術品のコーナーに行くと非常に危ういものを感じたんですが、文化財の保護技術というものもそれ自体が文化財だという世界的な評価の仕方があります。  そういう意味では、日本というのはこれはもう世界のトップレベルに私はあるというふうに思いますし、そのように世界で評価されていると思いますが、この保存状態、フランスと比較してどうなんですか。フランスの方のを私は見ていないので分からないんですが、どうですか、この違いというのは。見られていないのであればお答えはできないと思いますけれども。  つまりは、こういうことをそこは韓国に言っていいのかなと思うんです。見返りを求めない引渡しではあるんですが、保存は最高だろうと、あんたら大丈夫かと、大丈夫じゃないのであれば毎年行って我々が教えてあげるよという折衝の仕方はあるのかなというふうに思うんですが。
  66. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) 私、宮内庁の書陵部の書庫に入ったことがありませんので、そこがどういう保存状態かということはちょっと申し上げられませんが、ただ、韓国では幾つかの、ソウル大学の奎章閣を始めとして幾つかのそういう貴重な文献類を保存している機関の書庫には入れてもらったことがあります。国宝のものもじかに見せていただいたこともありますけれども、例えばソウル大学の書庫などは何十キロ爆弾が何個落ちても大丈夫という、コンクリートで二メーターか三メーターかという分厚い壁で覆われていて、全部桐製の箱に入って、空調も全部整ってということで、とにかくそういう膨大なお金を掛けて保存はしているようです。むしろ、私どもの東京大学などの方がいろいろ勉強しなきゃいけないんじゃないかと、図書の保存という意味では、そういうことを痛感して帰ってきたことも過去にはございましたので、その点は御懸念に及ばないんじゃないかと。  しかも、今回日本から韓国に移りますものは韓国のまさに朝鮮王朝時代に作られたもので、自国の本来ものだという意識もありますので、そういう意味ではきちんと保存してもらえるのではないかというふうに思っておりますし、そのように期待をいたしております。
  67. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 今回、引渡しで大人の対応ということではありますが、私の印象としては、やはりこれは、さはさりながら、大人の対応をするんだから向こうも大人の対応をするだろうというやっぱり期待は多分日本としてはあるというふうに思います。これが例えば、長州から会津の宝が返ってくれば、会津人としてはこれは大人の対応は大人の対応で返すというのが、これはやっぱり人間だと思いますし、これは義の世界だというふうに思いますが、韓国も義の文化は一部あるとは思うんですが、多分に、大人の対応をしても私は今回片思いで終わってしまうというふうにも思っています。ただ、それも踏まえて、政府は片思いでもいいんだということで判断したのかなと思えば、恐らく多分パフォーマンスの部分も含んでいたというふうに思います。  さりながら、これ、午後の採決がどうなるかは午後になってみなければ分かりませんが、締結したとして、これは下條先生、非常に厳しい御意見だとは思いますが、あえて、この引渡しによって唯一これを一つの今後の日韓関係の発展につなげていくためにはどうしたらいいのかというプラスの部分を、まあ問題はいっぱいはらむと思います、逆に問題が多くなるということもお聞きしましたが、こうすればプラスの要因は出てくるんじゃないかというものがあれば、是非ちょっとお示しいただきたいと思います。
  68. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) ちょうど今、明治維新等のお話も出てきていますけれども、ちょうど今回のこの王室儀軌の引渡しは、日米和親条約等を含めて、不平等条約を締結させられたのと同じだということですね。それから、治外法権を認めている。つまり、自民党時代に作られた教科書の近隣諸国条項ですね、これなんかも、竹島問題でもそうですし、教科書問題でもそうです。こういった問題で全部出てきますね。つまり、外交カードとしても使われているわけです。そういうことから見ていくと、今回のこれは大人の対応どころか、完全に韓国側の術中に落ちてしまったと、そういうふうにやはり見ていかなければいけない。  そういった中で、日本は、じゃ明治維新をどうしていくのか、薩長がどうしていくのかということも含めて、そのとき会津は仲間外れになってはいけない、中に入ってやはり新しい日本づくりをしていかなければいけない、そういうきっかけにしていくことができるのではないか。今までそういった深刻な状況に日本は直面したことがありませんでした。しかし、今は全ての面で直面しています。ですから、新しい日本づくりをしていくということを一つ、国家というものを考えていく原点としてこの問題を取り上げていく必要があると。  これは元々、韓国のものが返るわけですから、それはそれで構わないんです。であれば、同じようなことを韓国側にもこれから求めて、先ほど中央図書館にあるとか、対馬家文書等も引き戻してくるということを進めていく一つの出発点にしていけばいい。そのためにはやはり強い政府、リーダーシップが必要だということですね。  今、韓国の大使ですか、権さんですね、離任に際して、日本はリーダーシップがない国だからやりやすいというようなお話を非常にちょっと漏らしておりましたけれどもね、リーダーシップがない国だと。そういう意味では、リーダーシップとは何なのか。これは見識です。大人の我々から見たら極めて幼稚な対応しかできないこの今の日本の現状を考えていかない限り日本は再生できないのではないか、そのように思います。  ですから、これからのプラスアルファということは皆さんと一緒に力を合わせていく中で生まれてくるのではないかというふうに考えます。
  69. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 日本がリーダーシップのない国というのは、国の性質ではなく総理の個人的な性質に起因するというふうに、私は日本人の名誉のために言っておきたいとは思いますけれども。  これは政治の側の問題もありますが、是非学術的な観点からも、ある意味、元々あったところに返るわけではありますが、この儀軌が人格があるとすれば我々日本は里親であったことは確かでもありますので、里親として、韓国に戻っても、引き渡しても、是非それは研究の対象として直接見て研究したいんだという要求をどんどん出していただいて、政治の側はそれをバックアップをさせていただいて、それで今回の引渡しに関して、もっと日本の引き渡した意義が、韓国においても本来の意義が伝わるようにしていきたいというふうに思いますので、是非その点は連携を取りながらお願いしていきたいと思います。  どうもありがとうございます。
  70. 山内徳信

    ○山内徳信君 今までの各党の質問を聞いていまして、私は沖縄ですから、小熊さんのお話も聞いていて、この文化問題とか、あるいは支配する支配されるとか、植民地とか被植民地とかという関係がいかに長期間一つのわだかまりとして心に残っているかということを私は感じたんです。ですから、会津の問題、薩長の問題ですか、そういうのもどこかで総括をやはりする必要があるなと、それは非常に大事なことと思っているんです。  そして、まず両先生に伺いますが、この種の問題は、やはりエジプトからも大英帝国もたくさん持っていったわけですね。大英博物館を私は見てきたんです、これはずっと前の話ですが。そういうのを見まして、そして戦後、支配されていた国もどんどん独立をしていって、今、国連でも頭数はそういう国が増えておるわけですね。そして、ユネスコの基本的な考え方としては、この種の文化財、文化問題等々、持ち去っていったその国から原産国に戻すべきであるというのがユネスコの基本的な考えというふうに言われておるわけです。  それは、琉球王国時代のものが廃藩置県によって東京に移されてきたわけです。そして、それが復帰後、沖縄に戻すという話がまとまりまして、それはもう精神的な問題ですから、愛着の問題、誇りの問題ですから、非常に県民は喜びましたですね。そして、やはりその後、いかに保存していくかということもテーマになって議論をしたんですが。  私は火曜日に、生まれて初めて宮内庁に入りまして、そして本物を見せてもらったんです、先生方と一緒に見てまいりましたが。そのとき、朝鮮王朝の文化、これはさん然と輝いておるなという印象を受けたんです。例えば平安時代の、白鳳文化とか天平文化とか出てくるわけですね。清少納言が出てくるわけですね。光源氏が出てくるわけです。ああいう時代に、ああいう奈良、平安の文化が咲き誇っていたわけです。それが今の日本の文化の一番基礎の部分にあるわけですね。  そういうふうに考えてみたときに、日本に統治をされ植民地政策が進められてきて、敗戦を迎えて、あれから六十六年たっておるわけです。やっと、日本というところに移っていたものが、六五年の日韓基本条約ですか、そのときにも千三百点がお母さんの元に帰っていったわけですね。そしてまた、今回は二度目になるわけです。そういう意味で、私は戦後の日本と朝鮮半島との関係、あるいは日本と他のアジアの国々との関係もあるだろうと思っておるんです。そして戦後、日本政府としてやるべきものをちゃんとやっていない。  先ほども、今後の希望もございましたが、私は今からでもいいから、やはり戦前の日本とアジアとの関係の、何といいますか、総括とか反省点とか教訓を挙げて、それをしない限り、具体的に物を進めようとするときに必ずぶつかるんです、総括、反省がやられていませんから。  そういうふうに考えてみたときに、一つは、これからでも遅くはないから、学者、研究者も含めて、政府関係者も含めてそういうのをやる必要があるということを私はずっと言い続けてきたんです、国会に来る前から。戦前の人々がやったことは、戦前の人々が教育、政治、経済の中枢におる間にやらなければ戦後世代の指導者に迷惑を掛けるぞと、私は七〇年、八〇年代からそれ沖縄にいて言い続けてきたんです。  そして、私はおととし初めて硫黄島を訪ねました。そうしますと、あの硫黄島の激戦の下で日本軍が戦った姿、アメリカ軍が戦った、アメリカ軍が星条旗を揚げるわけですね。そして、あの島の地下は全部防空ごうを掘ってあるわけです。水のないところでした、行ってみたら。そういうところで戦った兵士たちの遺骨が、未収骨のものが一万を超すんだそうです。それが政府なのかと、私は帰ってきてまた関係者に言ったんです。戦場に送るときにはいっぱい激励をして、そして死んで帰れと。行く人は、死んで帰れと励まされという気持ちで行くんですね。  ですから、私はやはり今回のこの朝鮮王室の儀軌の問題含めて、日本と関係のあった国々との関係の、本当に政府が力を入れて、やはり今後、未来志向とか平和へのパートナーとしてアジアの国々が、あるいは世界と共に生きていくためには、それは欠落していなかったかどうか。欠落していたからこそ、今日は下條先生からは厳しい、御自身でも右翼と言われておるとおっしゃっていましたが、私も聞いていて、やはりそれは、先生がそういう気になったのは、竹島の問題あるいは尖閣諸島の問題あるいは北方四島の問題含めて、戦後のやるべきものが日本外交、日本の政治の中でちゃんとやられていないところに問題があったと、私はそういうふうに思っているんです。そして、是非そういう方向付けといいますか、今からでもやはりそういうものをやるべきだと。  歴史の場合には、日本の歴史の先生方と中国あるいは韓国と共同研究があるわけですね。そういうふうに一歩一歩前に進んでおるところもありますから、そういうふうな私の思いも申し上げて、是非先生方からも、そういう総括のできるような、政府としてちゃんとそれができればいろんな問題が起こってきても解決はしやすいだろうと思っております。  そこで、最初に申し上げましたユネスコの基本的な考え方について、私はそういう認識に立っておるわけですが、先生方のお気持ちを簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  71. 六反田豊

    ○参考人(六反田豊君) 文化財とか文化遺産というのは、やはりそれが育まれたところでそれなりの価値を持つというのはそのとおりだと思います。  私たちは、私の場合は特に研究者ですが、研究者の立場から言えば、その資料なり物がこれはどこにあるかということは基本的に余り重要ではないんです。基本的にどこにあっても、それにきちんと研究上のアクセスができて自由にそれを活用できる体制をつくっていただければそれが一番だというふうに私、研究者としての立場に限定して言えばそうなんですね。  ですから、その点からいいますと、今回のこの引渡しもそうですけれども、研究上の支障という点はそんなに多くはないというふうに私は考えております。その意味で、逆に韓国側にとっては、本来、朝鮮王朝、自国の歴史を語る上で意味のあるものが返ってくるということで、大変それを好ましく思っていると思いますので、基本的にユネスコもそういうような方向で多分動いているんだと思うんですね。  これは、確かにおっしゃるように、エジプトの問題とかいろいろあってなかなか収拾が付かなくなるという点も懸念もあるとは思いますけれども、そのことも含めて、これは今後世界がきちんと議論をしていかなければならない問題ではないかというふうに認識をしております。
  72. 下條正男

    ○参考人(下條正男君) ユネスコの問題、現地主義ですね、そういった意味からいくと、先ほども何度も言いましたけれども、対馬文書は返していただかなければいけないですね。  問題は、一般論としては現地主義というのはいいんです、原産地主義というのは。ただし、今回、朝鮮王朝儀軌の問題の背後にあるのは、やっぱり領土問題が根底にあるんですね。それを封印する手段として使われてしまっている。これは、そういう意味ではユネスコとは全く次元が違う。外交問題の一つの手段として使われているところに問題があると思います。実際に今問題になっているのは、本丸で争わなきゃいけないのに、今外堀まで戻されて論争をやっているのと同じですね。  今我々がはっきりさせなければいけないことは、日本は戦後、北方領土も奪われました。それから、竹島も奪われました。そして今、尖閣も危うい。そして、対馬もそうですね。そういう状況の中で、じゃ日本はどうするのか。その中で、韓国が動くことによって中国が動き、ロシアが連動するわけですね。こういう現状の中で日本外交はどう立ち向かっていくのか、こういった認識がない限り、物を返していけば仲よくなる、こんなレベルの問題ではないということですね。  ですから、ユネスコの論議はここではなじまないと思います。これは、確実に領土問題であり外交問題だということを私としてはお伝えしたいと思います。
  73. 山内徳信

    ○山内徳信君 あと三分ですか。そんな時間は要しませんが。  私は、政治の立場から見ますと今回の問題は、抽象的な言い方で申し上げますと、アジアはやはり未来志向、平和志向、平和のパートナーを、それはやはり過去の日本とアジアとの関係を振り返ると再びあってはいかない過去の歴史ですから、このことを返すことによって領土問題までからめ捕られてしまうじゃないかというお話ですが、これは、ここにも外務省の関係者もおりますし、あるいは外交防衛委員会としてもやはり外務省に対してちゃんと、領土問題は、これを返還したことによって領土問題で全部負けていくということじゃなくて、ちゃんとやれと。こういうふうな政治の方向転換といいますか、弱体であった外交を、本当に不平等条約を改正させていくと、明治の外交は確かに最初はそういう状況であったわけですが、戦後の外交はやはりそういうふうに言われておるわけですね、弱体と。ですから、周囲から全部やられてしまうぞというのが下條先生の危機感であるわけですね。  そういうことを申し上げまして、もう時間でございますから、また御返事はどこかでお目にかかったときに伺いたいと思います。  以上です。
  74. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) 参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。  この際、一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様には、長時間にわたり大変貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  75. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、横峯良郎君及び山本一太君が委員を辞任され、その補欠として小川勝也君及び若林健太君が選任されました。     ─────────────
  76. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  図書に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として宮内庁書陵部長岡弘文君外二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  78. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) 図書に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  79. 大野元裕

    ○大野元裕君 午前中、参考人から承りました、勉強させていただきました件につきまして、私の方から質問をさせていただきます。  まず、いわゆる日韓図書協定に関しまして外務大臣にお伺いをいたします。  外交を行う上で日本の国益を常に意識し、それを最大化させるような外交に取り組んでおられるか、大臣の御所見を賜りたいと思います。
  80. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) そのように精進をいたしてまいりたいと思っております。
  81. 大野元裕

    ○大野元裕君 是非よろしくお願いします。  日韓の両国間には、午前中も取り上げられました一九六五年の日韓基本条約が存在をいたします。それに基づけば、両国は相互に一切の請求権を破棄したと理解しますが、本条約の有効性及び本条約に対する我が国の立場を大臣にお伺いいたします。
  82. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 御指摘のとおり、日韓両国及び両国民間の財産請求権問題については、日韓基本関係条約とともに日韓国交正常化の際に締結された日韓財産請求権協定に基づいて一括して処理し、法的に完全かつ最終的に解決をされているというのが私どもの立場でございます。  我が国としては、一九六五年に締結された日韓基本関係条約を始めとする日韓国交正常化関連条約は現在の日韓関係の基礎を成すものと考えており、そうした基本的な枠組みである関連条約及びそれに基づく措置は当然現在も有効であります。
  83. 大野元裕

    ○大野元裕君 そうだとすれば、我が国の国益を最大化するためには、今回のいわゆる書籍の引渡しについては、引き渡される、つまり返還ではない、そしてそれが韓国当局、政府とも共通の理解に立っているということが担保されなければならないと感じますが、いかがお考えでしょうか。
  84. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 今回の措置、今回の引渡しは、請求権に関する問題とは関係なく、日本側の自発的措置として行うものであります。今回、韓国側に引き渡す図書は韓国の人々にとって極めて重要な意味を持つものであって、本件引渡しによって両国及び両国民間の友好関係が一層増進される、そして、これにより重要な隣国である韓国との関係の更なる発展強化につながっていくというふうに考えているものでございます。  引渡しということで協定に記されておりますので、これが当然双方の合意、共通の理解だという認識でございます。
  85. 大野元裕

    ○大野元裕君 宮内庁にお伺いします。  今回、引渡しが行われる朝鮮王朝儀軌の文化財としての価値、さらには、これは唯一本はその中に含まれているのかどうか。そして、さらにはこれらが我が国にもたらされた歴史的な経緯について教えてください。
  86. 岡弘文

    ○政府参考人(岡弘文君) 朝鮮王朝儀軌につきましては、朝鮮王朝において行われました様々な儀式や行事をその都度記録いたしました図書でありまして、朝鮮王朝、また朝鮮半島の歴史を理解する上で貴重な資料であると認識いたしております。  儀軌は、それぞれ同じものが手書きで複数冊作成されたと言われておりまして、そのうちの一冊を宮内庁で所蔵しておるというふうに理解いたしております。ただ、宮内庁が所蔵しているものの中には、手書きではなく活字印刷によるものもございます。  また、儀軌以外の図書千三十八冊につきましては、文学、歴史、法制度、思想など広い分野にわたる十七世紀から二十世紀にかけて制作された漢籍群でございまして、朝鮮半島の文化の土台や背景を研究する上で有益な資料であるというふうに認識いたしております。  また、今回引き渡す予定になっております百六十七冊につきましては、全て韓国にあるというふうに聞いてはおりますけれども、また一方で、韓国内では失われており日本にしか残っていないものが数冊あるというふうな論文も目にしておるところでございまして、宮内庁では確たるところは確認できておりません。
  87. 大野元裕

    ○大野元裕君 貴重な文献だという話がございました。  その一方で、我が方のことを考えてみますと、同様に、今日の午前中でも取り上げられました対馬宗家の文書等が韓国にあるという話もあります。韓国は、六五年の日韓基本条約に基づき双方に請求権はないという前提ではありながらも、韓国の国民の意思を我が方に伝えてきたという経緯があると承知しております。我が方として、逆に我が方にとっての貴重な文書である対馬宗家文書等について、韓国に対し、これらの文書の返還の意思を韓国側に示すことは可能であるか、またこれを実現させる御意思はあるかどうか、外務大臣にお伺いしたいと思います。
  88. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 御指摘の図書については、実態調査も行うようにというお話もいただきまして調査をしたところ、大韓民国国史編集委員会に所蔵されている対馬宗家文書を始め日本関連図書が幾つかのところに所蔵されているというふうに承知をいたしております。  ただ、今回の図書の引渡しにつきましては、そもそも百年を節目に日韓関係を未来志向にする百年にするということがそもそもの談話の発出の趣旨でありまして、それに伴って自発的、具体的な措置というのが談話に記されていることを受けて今回図書の引渡しということになっているというふうに理解をいたしておりまして、その談話にも記されておりますように、朝鮮総督府を経由してもたらされ、現在日本政府が保管しているものについての引渡しの方針というのが決まったというふうに理解をしておりまして、その意味においては、韓国国内に存在をする図書の問題はこれと同列に論じられるべきものではないと、別途検討される性質の話であると、こういうふうに考えているところであります。  また、二十四日の本委員会における質疑において、両国間の長い歴史の中で、お互い相手国由来の様々な文物がある中で、今回の引渡しに当たってお互い過去のものの引渡しを求めていけば、これもあれもということで収拾が付かなくなるということが起こり得るといった意見もございました。こういった意見にも私どもも耳を傾けてまいりたいと、このように思っているところでございます。  これらの先ほど御指摘の文書については、専門家の方々の御意見もいただいて、両国間の文化交流促進のために、我が国政府からは韓国政府に対しまして、引渡しとは別の観点から、日本の専門家の方々の便宜に資するよう閲覧や複写の制限の緩和、その他のアクセス改善等を韓国側に要請をし、今協議をしているところでございます。
  89. 大野元裕

    ○大野元裕君 国益を最大化すると御表明をいただきました大臣のお言葉に従い、外交の一貫性につきお伺いをしたいと思います。  まずは文科省にお伺いします。  二〇〇六年、東京大学は、朝鮮王朝実録というものをソウル大学に引き渡しています。これらが我が国にもたらされた経緯、さらにはこの実録の文化的、学術的価値について教えていただきたい。また、唯一本は含まれているのでしょうか。
  90. 磯田文雄

    ○政府参考人(磯田文雄君) 経緯につきまして東京大学に確認しましたところ、大正二年、一九一三年に朝鮮総督府から東京大学に移管されました。大正十二年、一九二三年の関東大震災におきまして全七百九十四冊のうち大部分が焼失し、七十四冊が焼け残りました。その後、七十四冊のうち二十七冊につきましては、昭和七年、一九三二年に同大学から京城帝国大学に移管され、戦後、ソウル大学校に継承されております。残りの四十七冊につきまして引き続き東京帝国大学に所蔵され、戦後も、平成十八年にソウル大学校に寄贈するまでの間、東京大学で所蔵しておりました。  本資料についての学術的な価値でございますが、東京大学では、高い学術的価値を有するという具合に判断しております。
  91. 吉田大輔

    ○政府参考人(吉田大輔君) 文化的価値という側面につきまして、私の方から答弁申し上げたいと思います。  お尋ねのこの朝鮮王朝実録は、朝鮮王朝の公式記録でございます。そういった意味では、歴史的、文化的に極めて価値の高い資料であるというふうに考えられると思います。ただ、文化財という観点から見てみますと、我が国の文化財保護法による重要文化財に該当するものであるのかということにつきましては、文化庁としてこの現物を調査しておりませんのでその価値判断はできないというところでございます。  なお、原本が含まれていたかどうかという点でございますけれども、これは何をもって原本と呼ぶかということについてはいろいろと問題もございましょうけれども、平成十八年の東京大学の記者発表資料によりますと、寄贈された朝鮮王朝実録には、いわゆる正本と朱筆による修正が入っている校正本という二種類の資料によって構成されていたというふうに聞いております。
  92. 大野元裕

    ○大野元裕君 ただいま非常に価値が高い書籍であるという話がございましたが、これらの朝鮮王朝実録は、韓国におきまして国宝に指定されると同時に、ユネスコの記録遺産として登録をされております。今日の新聞で、初めて日本でも記録遺産の方に登録されたものがある、あるいは、資料にお配りをいたしました、日本では御堂関白記あるいは慶長遣欧使節関係資料、こういったものが記録遺産に登録の推薦がなされるという、こういう報道もありました。これらは、日本においてはやはり国宝のものでございます。  この記録遺産につきましては、世界的にもマグナカルタですとかあるいはアンネの日記、こういったものが記されているわけでございます。このような文化財として少なくともユネスコが認められていること、これについて、これをお渡しする際に二国間協定が当時結ばれなかった理由、さらには文化財として価値が高いこと、これを政府は承知していながら二〇〇六年には何の外交的ないわゆるレバレッジも付さずに渡されたということを理解してよろしいんでしょうか。
  93. 高橋千秋

    ○副大臣(高橋千秋君) 委員御質問の朝鮮王朝実録は、国立大学法人である東京大学が保有していたものでございます。財政法九条による国の財産には該当しないため、引渡しに際して協定の締結等の措置を必要としなかったと承知をしております。  ちなみに、国の財産の処分、管理について財政法第九条は、国の財政は、法律に基づく場合を除くほか、適正な対価なくして譲渡し若しくは貸し付けてはならない旨規定をしております。  それで、この引渡しをされたのが二〇〇六年七月十四日でございますけれども、この当時、東京大学は独立行政法人になっておりますので、この財政法九条に当たらないということでこの協定を結ばなかったというふうに理解をしております。
  94. 大野元裕

    ○大野元裕君 東京大学は独立行政法人であり、重要文化財でないために大臣の許可等が求められなかったという話ではありますが、しかしながら、国宝に指定される、ユネスコの記録遺産に指定されるようなものがなぜ文化財に指定されなかったのでしょうか。それは、我が国として、元々我が国の資産でございます。それが、独立行政法人になってこれが独法の資産になったわけではありますけれども、それを韓国に引き渡すに際して外交の道具にすらできない。あるいは、重要文化財に指定する、先ほど検討していませんでしたというお話がございましたけれども、そういった意味で、なぜその時点で文化財に指定されなかったのかをお伺いしたいと思います。
  95. 吉田大輔

    ○政府参考人(吉田大輔君) お尋ねの朝鮮王朝実録の引渡しの際に、東京大学から私どもの方にも相談がございました。ただ、文化庁としては、朝鮮王朝実録は重要文化財にもしておりませんでしたため、文化財保護法によりまして輸出が禁止されているというものではございません。この場合は、ソウル大学校へ引渡しをしたいという東京大学の意向を尊重をいたしまして、そのとおりお認めしたものでございます。
  96. 大野元裕

    ○大野元裕君 禁止されていないものはよく存じ上げております。しかしながら、なぜ登録しなかったのか。我が国の元々貴重な資産であるものが登録されなかったか。また、二国間協定に記されて、韓国側に対する外交的な我が国の国益を最大化できるような形でいわゆる売ることができなかったのか、そこをお伺いしているのでございますが。
  97. 吉田大輔

    ○政府参考人(吉田大輔君) 一般的に、文化財保護法に基づく重要文化財の指定に当たりましては、所有者の同意を得た上で指定基準に照らしまして綿密な調査を行いまして、文化審議会の諮問、答申を経て指定を行っております。このケースの場合、先ほども申し上げましたように、ソウル大学校に引渡しをしたいという東京大学側からの意向を尊重をいたしまして、私どもとしてはこの現物を調査するというようなことはいたしておりません。  なお、付言をいたしますと、この朝鮮王朝実録は、先ほど先生御指摘のように既にユネスコの記憶遺産として登録をされております。一九九七年にユネスコに登録をされたものでございます。  このユネスコの世界記憶遺産事業につきましては、世界の人々が記憶にとどめておくべき貴重な文書遺産を保護、振興するという観点から登録をしておるものでございますけれども、そういった意味では世界的に非常に重要な文書であるということは言えるかと思いますが、一方、我が国の文化財保護法に基づく重要文化財の指定という観点から見てみますと、これは指定基準に基づきまして指定を行っておりますけれども、その際、渡来品の場合には、単に学術的価値が高いというだけではなくて、我が国の歴史上意義が深いものであるのかどうか、そういった観点から評価をしていくということになってまいります。  したがいまして、ユネスコの記憶遺産に登録されるものでありましても必ずしも我が国の重要文化財の指定対象になるとは限らない、こういうことにつきまして御理解賜ればと思います。
  98. 大野元裕

    ○大野元裕君 先ほど、我が方の重要文化財に登録するか検討をしていないと最初おっしゃっておられましたけれども、渡来の経緯云々というのはまた別な理由であるように私には聞こえてなりません。この議論については時間もないのでこれでやめておきますけれども、しかしながら、こういったものが、本来は私は、基本的には所有者が申請するものではありますけれども、そうでない例もたくさんあるというふうに存じ上げています。  もう一点お伺いします。  この実録が議論された際、国会の答弁において当時の麻生外務大臣は、北関大捷碑の話につきまして、肝心なことは、返還ではなく引渡しが行われたということが一番重要なんだというふうに答弁をされておられます。  改めてお伺いいたしますけれども、この実録はソウル大学に引き渡されたことになっておりますが、韓国側の報道を見ると返還という言葉が使われているのが大変多いわけですが、これについて当時抗議等はされなかったんでしょうか。
  99. 高橋千秋

    ○副大臣(高橋千秋君) 東京大学とソウル大学の間のやり取りということで、詳細は外務省としては分かっておりませんが、公開されている情報によれば、東京大学が朝鮮王朝実録の引渡しを決定した書簡、平成十八年五月十五日付けのものがございますけれども、ここにはお贈りすると書いてございます。一方で、これに対してソウル大学の返信、五月二十九日付けで来ておりますが、還収するという言葉が使用されていると承知をしております。  いずれにしても、東京大学とソウル大学のやり取りでございまして、その報道について政府でこれ以上コメントをする立場にないということでございます。
  100. 大野元裕

    ○大野元裕君 もう時間がございませんので終わりますが、朝鮮王朝実録が、我が国では国宝級のものが登録され、ユネスコの記録遺産に登録されている、そして韓国では国宝になっているということに鑑みれば、この当時の私は実録を重要文化財にする検討すらしなかったというのは怠慢だと思っています。あるいは、こういった文化行政の中で外交のこれをツールとしてより一層二国間の関係を進展させていくためには、本来であれば、私は、二国間の協定等を結び、そして相手側の使用する言葉もしっかりと議論をし、さらには外交チャンネルできちんとした学術的価値というものを私はやることが筋であったと思っております。  そういった意味では、かつての無責任な政府の轍を踏まない、今回二国間の協定をしっかりと結んで、なおかつ返還という言葉を使うということを最後に確認をさせていただいて、この協定に賛成の意を示しまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。     ─────────────
  101. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、島尻安伊子君が委員を辞任され、その補欠として磯崎仁彦君が選任されました。     ─────────────
  102. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。  まず、韓国国会議員の国後島訪問について外務大臣に伺います。  松本大臣、深刻に反省してください。民主党政権になってから、日米関係の揺らぎという中で、周辺国と無用な摩擦を起こしたくない、未来志向という名の下に主権にかかわる事項も全部目をつぶるかのような対応がこれまで続けられております。結果、竹島もあるいは北方領土も、要人訪問とか施設建設の強化とか、事態は全てが悪い方向に向かっている。  外務大臣、竹島あるいは北方領土問題で、外務大臣として胸を張って言えることは何かありますか。
  103. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 常に全力を尽くしていると胸を張って申し上げたいと思います。
  104. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 何にもないんでしょう。結果的に何も言えなかったじゃないですか。そこが今までの問題、今回もその延長線上に、何にもない中で更に悪い方向に進んでしまった。  二十四日、韓国国会議員三名と国会職員の一名が国後島を訪問し、そのトップは民主党の姜さん、韓国の国会の独島領土守護対策特別委員会の委員長ですよ。その訪問の目的は、竹島の実効支配強化のため、日本との領有権問題がある地域の視察と明言し、さらにその翌日の二十五日、今度は何と韓国の閣僚が竹島に訪問しました。  姜さんの国後訪問に際し、日韓外相会談でも大臣は日本の立場を説明し、二十四日には駐韓、韓国の駐在している大使が外通部の次官に国後訪問について抗議をしたばかり、その翌日に韓国の閣僚が竹島を訪問している。  ということは、大臣や大使の抗議は何も意味を成さない。軽く見られていますよ。違いますか。大臣とかの抗議が何の意味も成さない。その証左じゃないですか。外務大臣の見解をお伺いします。
  105. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 韓国の閣僚の竹島訪問については、私どもの基本的な立場と相入れないものでありますので、昨日、在京の韓国大使を招致し抗議をいたしました。
  106. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 結局、今までの、大臣自ら外務大臣に今回の北方領土訪問、申入れしたんでしょう。しかも、韓国の大使もさらに抗議をしている。その翌日ですよ。おかしくないですか。全て未来志向とか過去の清算とか、全部主権というものに目をつぶってきてやってきた結果、なめられていますよ、はっきり言って。  大臣、今回の閣僚の竹島訪問、想定内でしたか。
  107. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 主権に目をつぶらず抗議をいたしておりますが、竹島に閣僚が訪問をすることそのものが基本的に私どもとしては受け入れ難いことで、容認できないことだと思っております。
  108. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 答えていない、答えていませんよ。想定内かと聞いているんです。答えていない。しっかり答えてください。
  109. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 竹島に韓国の閣僚が行くことは、私どもからしたら受け入れられない、容認できないことでありますので、そのようなことを想定をするということで行動するということは考えておりません。
  110. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 要は想定していなかったと。想定していなくて、それで外交ができますか。  実際に四月にも韓国の閣僚が竹島訪問していますよね。大臣、承知していますか。
  111. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 四月に韓国の閣僚が訪問したことは承知をしておりますし、その件について私自身が、四月の二十八日だったと思いますけど、在京の韓国大使に抗議をいたしました。
  112. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 では、なぜ今回想定していないのか。今までもあるわけでしょう、韓国の閣僚が訪問した。まさに今、一番嫌らしいタイミングで韓国の閣僚に訪問されたんですよ。いいですか、恥ずかしくないですか、二回も。今回の竹島に関することで北方領土に行った、抗議をした、抗議をした翌日に閣僚に訪問されているんですよ。肘をつかないでください。ここは国会です。真面目に聞いてくださいよ。  いいですか、今までもあった、その延長線でまたあったんです。竹島の施設はどんどん強化されている。しかも、国会の竹島の守護する委員長が行っているんですよ、北方領土に。目的は竹島の実効支配強化のためと明言しているじゃないですか。大臣、これが本当に、朝鮮王室儀軌、これを未来志向という名の下に今引き渡せる環境ですか。絶対違うと思いますよ。  外務大臣、外務省から二回も抗議をしている、それも無視されている。これでは、松本大臣は非常に組みやすい、やりやすい大臣だと、協調路線というものが主権よりも上回っていると誰でもそう思いますよ。何にも言わない、言っても、無視しても全然相手にしなくても大丈夫だ、それでも図書は返ってくる、領土もそのまま更に強化をすればいい。  大臣、やっぱりこの環境下で朝鮮王室儀軌を引き渡す、これは間違ったメッセージを出すと思いますけれども、大臣の所見をお伺いします。
  113. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 日韓の関係を重層的に発展させるために必要なことと考え国会にお諮りをしているところでございますし、その考えは変わりません。
  114. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 本当に今この環境下で、冷静な環境下でこの問題が、儀軌が──肘はやめてください。ここは国会です。いいですか、冷静な環境下でこれが、儀軌が渡すことができるか。全然未来志向にならないですよ、これでは。  今、大きな領土問題、そういうものがあり、それを更に傷口を広げられているという状況で、抗議をしてもそれが効かない。閣僚が行く、それも四月に続いてまた五月。今、日本は震災で苦しんでいる、そういうときにあえて行っているんですよ、苦しんでいるときに。これが本当に友好のきずなとか未来志向、本当ですか。もう少し冷静な環境下でやっぱり議論をし、本当に未来志向という意味であれば、また冷静な環境下で話し合って、今いろいろ、午前中の参考人質疑でも問題が出ましたように、冷静に話し合う、それがまさに日本国の外務大臣としての仕事だと思いますよ。  外務大臣、伺います。あなたは外務大臣として、二国間協調と主権あるいは統治権、どちらを優先する立場の政治家ですか。
  115. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 主権の問題を譲るべきでないと思っておりますが、二国間の協調は我が国の発展のために必要だと考えております。
  116. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 そこの軸が問われているんですよ。いいですか、未来志向、未来志向、あるいは過去の清算、それは価値があるかもしれない。でも、どっちを選ぶんだと、まさに多くの国から、松本大臣、あなたの政治家としての、日本国の外務大臣の軸が問われているんですよ。こんなになめられていて、抗議を無視されていて、自ら抗議をしているのに、片方で抗議をし、片方で握手をする。極めて分かりにくい。冷静な環境下で握手するのが普通でしょう。どっちか分からないんですよ。  もう一度答弁をお願いします。今、このタイミングで主権、統治権を重視するのか、二国間協調を重視するのか、どっちですか。
  117. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 主権の問題について譲るような行動、言動をしたという意識は、記憶は全くありません。しっかりと努めてまいりたいと思いますが、日韓の関係はしっかり発展させることが必要だと考えていると申し上げております。
  118. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 だったら、そういう行動を取らないと駄目ですよ。全然分からないですよ。日本国民に聞いて、この竹島の問題あるいは北方領土の問題で今回韓国の国会議員があるいは閣僚が取った行動、これは評価できませんよ。そうでしょう。  では、外務大臣にお伺いします。  今回、韓国の国会で竹島担当の委員長が竹島実効支配強化のために北方領土を訪問した。国会職員も随行している。これは公用旅券を使ったんでしょうか。あるいは、その経費は一部でも公費から出ているんでしょうか。確認します。
  119. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 私どもで承知をしている中では、旅券の種類については回答できないということで確認がされておりませんが、費用については国会の予算の中から、各委員長の裁量で可能なものと思われますけれども、制度として各委員長の裁量が可能なものと聞いておりますが、国会の予算の中から出張された、行政府の予算は使われていないという旨、私どものカウンターパートである政府からは回答が来ております。
  120. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 だから弱腰と言われるんですよ。尖閣では柳腰、北方領土、竹島では弱腰じゃ困るんです。行政府が関係していなくても、韓国として、国として関与しているじゃないですか。国会職員も同行している、予算も国の予算が使われている。行政府は関係ない、そんな言い逃れできると思いますか。韓国の国としてやっているんですよ。それを抗議せずに何やっているんですか。これは本当に、冷静な環境、静かな環境、絶対言えませんよ。しかも、旅券も回答できない。恐らく公用旅券使っていますよ。だから、今回は公用出張の可能性が高いんです。委員長として、あるいは国会議員としての公用出張なんですよ。  さらに、報道によりますと、韓国のユジノサハリンスク駐在官事務所がロシア外務省のサハリン州代表部に対して往復航空券確保を外交文書で正式に依頼している。議員サイドも、ロシア側の配慮で航空券を確保できたと説明しています。その外交文書も、もうある日本のマスコミは入手しているようです。政府が関与しているじゃないですか。実際に、ロシアのサハリン州代表部のノソフ代表も航空券確保などで支援をしたと明言しているんですよ。要は、韓国政府もロシア政府も、今回の委員長の、民主党の姜さんの訪問に支援しているんですよ。これまでの外務省の説明と違うじゃないですか、政府は関与していない。違いますか。
  121. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 御指摘のような便宜供与がなされていたということは私どもも確認をいたしました。一般に、行政府は国会議員の便宜供与の要請には基本的に図る、便宜供与を図るということでお聞きをいたしております。  また、韓国政府からは、韓国政府の立場とは無関係と、こういうふうに公に表明をされておりますが、念のため、行政府の便宜供与がなされていたという点につきましては、昨日、私が大使に申入れはさせていただいたところでございます。
  122. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 大臣、説明が全然違っているんですよ。外務省も、我々の自民党の部会の方へ来ても、これは一個人のもので韓国政府とは関係ないと明言していた。実は関係しているじゃないですか。今ごろになって便宜供与はそれは当たり前だと、そんな強弁通りますか。  実は、いいですか、冷静に考えてくださいよ。韓国の国会の委員長が公用旅券で、公費を使って、しっかり韓国政府の便宜供与をいただいて、そして北方領土を訪問しているんですよ。それで韓国政府は関係ありません、そんなの通るわけないでしょう。  しかも、外務大臣、昨日、韓日の議員連盟の会長さんと会いましたよね。その際、会長から、これは個人の行動だから無関心でいてほしい、外相は、理解している。何ですか、理解しているって。理解しちゃ駄目でしょう。あなたは外務大臣なんですよ。個人の訪問だからと。間違っていますよ、向いている方向が。もう全部あなたたちの政権は、原発もそう、事態を矮小化して少しでも影響を小さくしよう小さくしよう、そればっかりじゃないですか。国民とか野党をだまくらかすんではなくて、しっかりと日本国の代表として主権を守るために韓国あるいはロシアに物申す、当たり前じゃないですか。向いている方向が間違っていますよ。  そんな外務大臣にこの国の主権を私は委ねたくないし、守ることもできないと思いますよ。何が理解したですか。そこでは強く抗議すべきですよ。実際、韓国政府も関与している。外務省もつかんでいるんじゃないですか。そういう情報をつかんでいながら、なぜ韓国政府は関係ないと今まで説明しているんですか。隠しているんでしょう、これは。そういうことを分かっていたら説明すればいいじゃないですか、正々堂々と、便宜供与ありましたと。何で隠していたんですか。
  123. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 私どもとしては、情報は入手次第回答をさせていただいているつもりであります。また、韓国政府から、韓国政府とは関係ないという公の表明がありましたので、私どもとしては公の表明を受け止めてそのように国会でも御説明をさせていただきました。  なお、昨日、韓日議連の李相得会長を始め議員団の方々の表敬を受けたところでございますけれども、本件についての問題は私から取り上げました。先方からは、我々もこの訪問には、与野党おられましたが、立場として反対であるし、議会からもそのような声を本人に伝えたけれども、残念ながらそういう行動に至ったと。しかし、行政府が議会を動かすということは難しいという趣旨のお話と、議会の中で政党の幹部などが話をしても必ずしもその言うとおりにしない者がいるという趣旨のお話を、私のみならず、各党関係、日本内ではお話をさせていただいているという、こういうお話でありました。  私自身理解をしたという言葉を使った記憶はありませんが、そういうお話は承りましたと、お聞きをいたしましたという趣旨ではお話をさせていただいたというふうに考えております。
  124. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 だから、承るんじゃなくて、しっかり強く抗議しないといけないんですよ。そのときに韓国政府が関与していたと分かっていて、何でそれを受け取るんですか。韓国政府は便宜供与と、関与していたんでしょう。そんなの分かっていてそれを受け入れる。韓国政府は公にそれは認めていない、でも一方で外務省は便宜供与をやっているのを確認している。あなたはやっぱり日本国の立場として、それはおかしいでしょうと言うべきですよ。韓国政府が関与していないと公に言っている、でも一方で便宜供与やっている。だから、韓国政府がうそ言っているんじゃないんですか。韓国政府がうそ言っていたら、それはそれで問題であって、外務大臣、抗議をすべきじゃないですか、正式に。今までの説明と違う、もう明らかになったんですよ。韓国政府が便宜供与を図っている、これはしっかりと再度抗議をすべきような大きな案件だと思いますよ。  もう一回確認します。駐日大使を呼んで抗議をした段階で、松本大臣は韓国政府が便宜供与をやっていたということは承知をしていましたか。
  125. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 韓日議連については、私からこの問題を取り上げたというふうに先ほどお話をさせていただきましたことをまず申し上げたいと思っております。  その上で、大使がお越しになったときは、大使を私が呼んだというのが正確でありますが、呼んだときには既に便宜供与をしたということは判明を、私どもも確認をしておりましたので、大使に対しまして、韓国政府は関係がないと公に表明をされているけれども、政府が便宜供与をなされているということが確認をされているということで、この点についても申し入れたということでございます。
  126. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 であれば、日本政府の外務大臣として、申入れではなくて抗議をしないといけないでしょう。全然違うじゃないですか。だから、あなたの軸足が間違っていると言っているんです。申入れというレベルではなくて、これはもう結果に対しては抗議でしょう、一般に。何で申入れなんですか。起きたこと、立場が受け入れられないと強い抗議をすべきですよ。全く分かっていない。だから、あなたの軸足が間違っている。もうずっとそうですよ。  大臣、この資料一を見てください、お渡ししたやつ。これ、ずっと外務省からいただいた今回のクロノロジーです。いいですか。  外務省の説明だと、自民党の部会で正式に説明されましたけれども、二十日の日にこの韓国国会議員の国後島訪問、これを外務省の中で政務三役も入れて検討し、その結果、本問題は外相会談で取り上げ、首脳会談では取り上げないというふうに決めた、そのことは総理にも了解をもらっているとあります。  まず一問目は、なぜ外相会談で取り上げ、これを首脳会談で取り上げないというふうに決めたんでしょうか。
  127. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 私自身は、まず外相間で取り上げるということは私が決めまして、その点は総理とも、日中韓サミットの前でありましたから随時連絡を取る中で御報告を申し上げ、了解をいただきましたが、外相会議で取り上げた際に首脳会談で取り上げないと決めたことは、私の記憶では、ありません。
  128. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 では、自民党の部会での外務省の担当の説明は間違っているという理解でいいですね。そのときは、二十日の日にもう外務省で話はあって、本問題については外相会談では取り上げるけれども首脳会談では取り上げないと決めて、それを官邸の方にも報告していると。じゃ、これは間違いだということでいいですね。
  129. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 私どもの方も、手書きでありますから、手書きというか当時のメモでありますからあれですけど、部門会議においては、サミットの主要テーマは原子力安全、防災、東北地方の復興など、総理におかれてはこのテーマに集中と、また事実関係を確認中であったとの事情があり、いずれにせよ、我が国の基本的立場とは相入れないとの認識を総理、外務大臣が共有し、その上で大臣から申し入れることとなったということが、もし首脳会談ではその時点で取り上げていないという説明に聞き取れたとすれば私どもの説明不十分だと、このように思っておりますが、私自身がこの点については、記憶をいたしている範囲では、外相会談で取り上げて、その結果をもちろん総理に御報告をいたしましたが、その時点で、取り上げる前に、首脳会談で取り上げないという、決めた事実はないと私は思っております。
  130. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 これは、昨日、多くの人が聞いているんですよ。私、何回も確認したんですよ。そこで猪口議員からも、これは順番が逆だろうと。外相レベル──肘つくのやめてください。いいですか、本問題は主権にかかわる事項、大事な事項であれば、外相レベルで取り上げて首脳会談で取り上げない、逆でしょう。間違ったメッセージを与えますよ。そう猪口委員からも指摘があったんです。全く間違っていますよ、言っていることが違う。いいですか、外務省の中の意思疎通、全然言っていることが、全部そうなんですよ、全て影響を小さく見せよう、小さく見せようと。結果として首脳会談では触れてないでしょう。違いますか、外務大臣。
  131. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 結果として触れてないことは事実であります。
  132. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 しかも、外務省の説明によると、当初から日韓首脳会談ではこの国後訪問の問題をアジェンダとして取り上げる予定はなかったと。それはなぜならば、外相会談でそれは押さえて首脳がやらない、だから入ってないと明言しているんですよ。おかしいじゃないですか。  じゃ、もう一回確認します。首脳会談で本件を取り上げる用意はあったんでしょうか、大臣。
  133. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 最終的に、この件も含めて、この件を取り上げるかどうかということを決めたのは首脳会談の直前であったというふうに記憶をいたしております。  なぜならば、本件については先生と総理のやり取りでも事実関係を確認をしてということもありましたので、最後まで私どもは情報を収集をしていた記憶がありますので、少なくとも私が二十日の時点で、外相会談をした時点で、若しくはその前で取り上げないということを決めたことは全くありません。必要があれば対応を取るということは私自身も委員会で申し上げたとおりであります。
  134. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 ということは、外務省の担当官の方は、もう自民党の部会で全部うそじゃないですか。みんな聞いていますよ、そこは何回も確認しましたから。しっかり指導して、しっかりと国会議員に正しい情報を伝える、当たり前じゃないですか。言っていることが外務大臣の話と外務省の幹部の方の話と全然違いますよ。しっかりしてくださいよ。みんなそれを説明しているんですよ、大臣が知らないところで。大臣の考えとほかの国会議員の方々に説明する内容が全然違う、まさにそれは何らかの意図があってやったのかと。ちゃんと便宜供与やったと、韓国政府がやったというのは、それも説明すればいいじゃないですか。それも説明しない。言っていることが全く違いますよ。  では、外務大臣に伺います。日韓首脳会談の前にこの韓国の国会議員三名の動き、これは首相に大臣の方から説明していましたか。
  135. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 状況は報告をいたしておりました。
  136. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 ということは、もうウラジオストクに到着をしているということまでは首相の耳には入っていたという理解でいいですね。
  137. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 日韓首脳会談の前にはその情報は総理にお届けをしたのではないかと思いますが、実質的には九時から十二時半ぐらいまでは御覧のとおり日中韓のサミットでありまして、直接総理に多くの情報を入れられる状況にはなかったということでございます。
  138. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 情報を入れたかどうか聞いているんですよ。言い訳は聞きたくないんですよ。情報を入れましたかと聞いているんです。
  139. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 議員の状況については事実関係を確認しということで、総理に情報を入手次第報告をしていたというふうに理解をしております。
  140. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 外務大臣も首脳会談で同席されていますよね。外務大臣からは本件について総理に情報を入れましたか。
  141. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 私自身が、ですから、まずこの二十二日の日曜日は日中韓の首脳会談があって、日中韓サミットがありました。その間に姜昌一議員が韓国を出発をしたという情報が入って、たしか総理にも同じ情報が入っていたというふうに理解……
  142. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 大臣が報告したかどうか聞いているんです。
  143. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) いいですか、お答えして。  それぞれに連絡が来て、共有をいたしておりました。
  144. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 大臣自らやっていないだけじゃないですか。はっきりそう言えばいいです。ほかの事務方を通じて入れたと、そう言えばいいのに、全部言い訳ですよ。全部事態を曖昧にしようとしている。直接は言っていないんでしょう。直接は総理に言ったんですか、大臣から。それだけ確認させてください。
  145. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 私自身が直接情報を取るわけではありませんので、私に報告があって、総理にも入れたのかということで、速やかに入れているということであれば、それならいいと、こういう話であります。事務方から入れたというのは、そのとおりでございます。
  146. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 要は、直接大臣から首相には言っていないんですよ。それは確認できました。  いいですか、首相はこう言ったんですよ。私の質問に対して、事実が確認されたらきちっと対応すると言われたんですよ。自分でこれから国後に行きますと宣言をし、韓国を立って、もうウラジオストクに着いていると。まさに行動がもう開始されたんですよ。事実かはもう確認されているんですよ。行ってから抗議したって意味がないでしょう。行く前に止める、それがきちっとした対応でしょう。  総理の方の耳に入っていて、そして日韓首脳会談でこれに触れない。福島でキュウリを食べる、これ有り難いですよ。でも、それが外交ではなくて、主権を守る、そういう気概がなければ駄目だ。私は予算委員会で総理に面と向かって言いましたよ、あなたが主権を守る一番の責任者だと、当たり前のことをやらない総理は要らない。で、総理はこう答弁されたんですよ、事前にそういうことを自分できっちり対応すると言っておいて、事実関係が入っているのに大事な主権のことについて一言も触れない。一言でいいじゃないですか。これはうそをついたことになるんですよ。しかも、だんだんこれが具体的に明らかになれば、韓国政府も便宜供与をしている、経費も公費から出ている、韓国の国として実際的には結果的に支援しているという状況じゃないですか。にもかかわらず、一言も触れていない。  外務大臣、これからでもサミットの場で、廊下でも立ち話でもどこでもいいと思いますよ、やっぱり首相から国民への、テレビの前で言ったんですから、約束としてしっかりと大統領に抗議をしてください、外務大臣、総理にそう進言してもらえませんか。
  147. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 最終的に北方領土に渡るかどうかは、その時点ではまだ確認中であったと私は理解をいたしております。その上で、既に入っていた情報に基づいて私から金星煥外交通商部長官にはしっかりと申入れをさせていただいたことは既に申し上げたとおりですので、繰り返しをいたしません。  また、必要な対応については今後もしっかり行ってまいりたいと、このように思っております。
  148. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 もう全然情けないですよ。もう全然情けない。本当に主権を守る覚悟、あなたにはない。外務大臣として総理に電話すればいいじゃないですか、事実関係こうなりました、しっかりと申し入れてくださいと。  もう一回確認します。首相に電話をして、本件について韓国の大統領に抗議をしてくれと言ってください。どうですか。
  149. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 総理の御指示のあったしかるべききちっとした対応を私どもとしては取らせていただきたいと思いますし、更に必要があればしっかり対応してまいりたいと思っております。
  150. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 もう一回確認します。止めますよ、本当に。答えてください。大事な問題なんです、これは。  韓国の大統領にサミットの場で抗議をするというふうに伝えますか。外務大臣。
  151. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 総理に必要な御報告はいたしたいと思います。(発言する者あり)
  152. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) 松本外務大臣。
  153. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 私としては必要な対応をさせていただいていると思いますので、経過と状況について報告をいたしたいと思っております。
  154. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 大事な話なんですよ、これは。総理が約束したんです。それを支えるのが大臣でしょう。
  155. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 総理が、事実関係が判明をすれば対応すると予算委員会で言ったというふうに私も承知をいたしております。総理の指示に基づいてその対応を私がしっかりとさせていただいていると理解をしておりますので、その経過と結果と状況については報告を申し上げたいと思っております。今総理に何らかの行動を起こしていただくように意見具申をする予定は私の中にはございません。
  156. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 意見具申をしないということですね。これは本当、驚きですよ。  普通の外務大臣であれば、主権を守るためにやっぱりそれは、事実が明らかになった、止めることができなかった、国民に対して申し訳ない、大臣として、それはサミットの場でしっかりと、外務大臣、総理にこう言ってくださいと言うのが普通ですよ。それを意見具申もできない。とても菅政権では日本を守れない、そういうふうに国民に言っているのと同じじゃないですか。  あなたが守ろうとしているのは何なんですか。主権ではなく、未来志向という名の下に全部目をつぶって主権を議論しない、そういうことを言っているだけじゃないですか。全部そうですよ。こういう環境の下で朝鮮王室儀軌渡して、全然私はそれは未来志向にならないと思いますよ。言うべきことはしっかり言う。当たり前じゃないですか。  主権というのは、国の総理大臣が命を懸けてでも守る、そういうものなんですよ。総理大臣が守らなくて誰が守るんですか。それを支える外務大臣が総理大臣に意見具申もできない。そんな外務大臣要りませんよ。そうでしょう。普通の問題じゃないんですよ、これは。  もう一回確認します。ここまで言われても、あなたは総理にしっかりと本件について韓国の大統領に抗議してくださいと意見具申をするつもりはありませんか。
  157. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 主権の問題は譲ることのできない重要な問題だという冒頭の御指摘に私も同じ考えであります。その上で、私は必要な対応をしっかり取らせていただいていますので、その件を総理に御報告は申し上げますが、今総理に行動を求める意見を申し上げるということは考えておりません。
  158. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 もう閣僚として失格だと思いますよ、これ。  普通の会社で一番大事な自分の会社の社是について、それも守るための意見具申もできない、そんな重役要りませんよ。何のための会社なんですか。社是というのは自分の軸なんでしょう。軸がない。だから、こういうふうにいろんな面で、領土問題で何にも胸を張れるようなことが言えなくなってしまうんですよ。しかも、今回ロシア政府も便宜を図っている。今回は日ロ首脳会談もあるんでしょう。  じゃ、日ロ首脳会談においてこの韓国の国会議員の国後島訪問、これを議題にし抗議をする、そういう考えはありますか。
  159. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 現段階で首脳会談で何を取り上げるかについてはまだ私から申し上げられる状況にはないと、このように考えております。
  160. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 大臣、内容を聞いているんではなくて、今回、主権がやっぱり侵害された、ロシア政府も関与している。ロシア政府にやっぱり何らかの日本国の立場、正義を伝えないといけないでしょう。でなければ、午前中の参考人の陳述にあったように、ロシア、中国、韓国はタッグを組むかもしれませんよ。  それでは、外務大臣、外務大臣自らロシアの政府に本件について抗議をする考えはありませんか。
  161. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) ロシア政府に申入れを行うかどうかについては、ロシア政府がそのような入域、第三国国民がロシアの査証を取得して北方領土に入域するなどロシアの管轄権に服するかのような入域をすることについて、主体的、意図的に関与しているか否かを踏まえて判断をしております。  今回の件については、ロシア側が航空券の確保などの支援を行ったとの報道もあったという情報がありますので、私どもとしても在京のロシア大使館に事実関係を確認をいたしておりますが、一般論で、航空券の確保といった協力は、外国政府から要請があれば協力として……(発言する者あり)よろしいでしょうか。要請があれば協力として実施するものでありますが、韓国国会議員が国後島を訪問するために特別な支援を実施したものとは考えられないと、こういうことでありまして、今回、ロシア政府の主体的、意図的な関与があったと私どもとしては、私は判断をしておりませんので、抗議をすることは考えておりません。
  162. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 さっき答弁で、そういう便宜供与をやったという事実を確認したと言っていたじゃないですか。言っていたのに、今はそういうのは、今事実確認中と。言っていることが違うじゃないですか。さっきは確認したと言ったんでしょう。ところが、今度は事実関係確認中。言っていることが全く分からない。事実関係は確認しているんでしょう。もう何か聞くのも嫌になってきました。  もう時間がありませんので次の朝鮮儀軌の方について聞きますけれども、やっぱりこういう環境下で朝鮮王室儀軌を渡す、おかしいですよ。全部やりたい放題。今日の午前中の参考人のお話からすると、もう日本政府は韓国に塩を送って、韓国政府から日本の傷口に塩を塗り込まれている、そういう話がありました。全くそういうことが現実に行われている。韓国政府も、実際はもうみんな分かっていてやっているんじゃないですか。そういう状況で本当にいいのか、私は疑問ですよ。  しかも、今回の図書協定による図書の返還というものは、次の日本国内にある韓国関係の由来の図書、この返還の端緒になるかもしれない。実際に、四月三十日に朝鮮日報に、権大使ですか、大使が答えているんですよ、更に多くの文化財が韓国に返還されるよう本格的な取組の契機になると。全然違うじゃないですか、外務省の説明と韓国の駐日大使の受け止め方。全然違いますよ。これは契機なんだと。  今回の北方領土問題にしても、韓国政府の言っていることとやっていることが違う。外務省は日本国を見ずに、どちらかというと協調協調でやっている。今回の図書協定も、これは自らの主体的な意思に基づいてやったんだと、これは次の返還とは関係ないと言いながらも、韓国政府は違うことを言っているじゃないですか。しかも、駐日大使が言っているんですよ。  外務大臣、どう思いますか。
  163. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 私どもとしては、今協定の附属文書に記されている千二百五冊、対象となっている千二百五冊を引き渡すことを考えておりますが、昨年八月十日の総理大臣談話の基本的な考え方に合致する図書については今回全て韓国側に引き渡すことになると考えており、それ以上のことは考えておりません。
  164. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 そうはいっても、韓国側はそう思っていない。しかも、返還という言葉を使っている。  民主党政権のやっていることがよく分からないんですよ。例えば、今月の五月十四日、民主党の副代表石毛議員が東京で朝鮮王室儀軌返還記念祝賀パーティー、これに参加している。副代表、幹部じゃないですか。まだその協定審議中ですよ、五月十四日。参院軽視じゃないですか。衆院が通ったから返還祝賀パーティー、副代表が出ている、しかも、そこで感謝牌までもらっている。何をやっているんですか。まだ参議院では審議中ですよ。民主党の幹部が返還祝賀パーティーで、今まで尽力してくれました、ありがとうございますと感謝の牌をもらっている。こういう状況で、本当に今回の返還に続いて更なる返還が向こうから求めてくる。誰も信用できませんよ。  石毛副代表に外務大臣から抗議をしましたか。
  165. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 事実が確認できましたら、与党の、民主党の幹部でありますから、民主党のしかるべき方に伝えて対応していただきたいと思います。
  166. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 脇が甘過ぎますよ。これはみんな知っていますよ。今日の午前中の参考人陳述でもありましたよ。秘密でも何でもないです。私だってその写真持っていますよ、今ここに。何やっているんですか、本当に。とても信じられませんよ。  さらに、そのパーティーでもう次のことをみんな話しているんですよ。いや、良かった良かった、我々の長年の苦労が報われた、どうも協力してくれた国会議員さん、ありがとうございます、そういうパーティーですよ。しかも、返還というものが看板にあるんですよ。その下でうれしそうに笑顔でもらっている。民主党の副代表ですよ。そういう環境下で今回の儀軌の引渡し、おかしいですよ、全部。あなた方政権のやっていることがよく分からない。  やっぱりこういう環境であれば、今回の協定にあるように、仮にこれが国会の方で議決されたとしても、それから返還には手続があるんですよ。書面を向こうに通知してから六か月以内に渡すとなっています。書面の通知、遅らせるべきです。書面の通知を遅らせて、民主党内の意思疎通もしっかりして、韓国政府としっかりいい関係をつくって、それから話し合わなければ、今この状況で渡す、まさに敵に塩を送り、その塩で我々の傷口に塗られているというふうな意見が有識者から出るのも当たり前だと思います。  外務大臣、やっぱりこの書面の通告、これを少しゆっくり時間を掛ける、そういう考えはありませんか。
  167. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 少なくとも、先ほどの話で、返還ということを是認をするとすれば政府の立場とは相入れないということは念のため申し上げさせていただきたいと思います。  その上で、この協定に基づく図書の引渡しについては、昨年の百年という節目の談話の発出に端を発するものでありまして、昨年国会に提出をさせていただいたことから鑑みても、百年の昨年若しくはできるだけ早い段階で手続を進めることが日韓関係に資するものと考え国会にお諮りをしていることもあり、私自身としては御理解をいただけましたら早く手続を進めてまいりたいと、こう思っております。
  168. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 全く理解できませんよ、この環境下で。  じゃ、元々の日韓併合百年、この謝罪談話で言っているのもやっぱり非常に分かりにくい。  日韓併合条約、これは合法でしょうか。
  169. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 日韓基本条約でもはや無効であると、このようになっていると理解しております。
  170. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 日韓併合条約がもう無効なんですか。日韓併合条約は基本条約を結ぶことによってもうなくなっちゃったんですか。質問は、日韓併合条約は合法ですかと聞いたんですよ。
  171. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 日韓の関係の基本となっている日韓基本条約制定時に、日韓併合条約はもはや無効であると確認をされていると理解をしております。
  172. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 じゃ、その前は、昔は、日韓基本条約の前は合法でしたか。
  173. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) もはや無効であるというのが政府の立場であります。
  174. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 答えていませんよ。もう時間がないからいいです。  いいですか、誰が見てもこれは昔は合法だったんです、当時は。そういうものに基づいていろいろやってきた。合法なものについてそうした謝罪談話をし、物を返す。やっぱりそこからいろんな矛盾が出てきているんですよ。  大臣、これは冷静な環境下でもう一回私は見詰め直して、いろんな問題が出てきているわけですから、それは書面の通告、返還手続、これは時間を掛けてやってもらいたいということを申し上げるとともに、委員長、最後に、今回の韓国国会議員の北方領土問題については、これについては抗議をする意味の委員会決議、そしてまた、今回の図書協定の返還についてはゆっくり手続をやるべきだという委員会決議、これをやることを提案し、私の質問を終わります。
  175. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) ただいまの件につきましては、後刻理事会においてその取扱いを協議いたしたいと存じます。
  176. 山本香苗

    ○山本香苗君 本協定の質問に入る前に、一昨日午後、韓国の国会議員三名がサハリンから北方領土の国後島を訪問しました。また、昨日は韓国の閣僚が竹島を訪問しました。これらは我が国の国民感情を踏みにじる行為であり、到底容認できるものではありません。強く抗議いたしたいと思います。  この事態を受けまして、松本大臣は昨日、韓国大使を外務省に呼んで、それぞれの件について厳重に抗議をしたということでありますが、やっぱり行ってしまってから抗議するというのは遅いわけです。二十日の日韓外相会談でも竹島の問題を含めて我が国の立場を強く申し入れたとこの委員会で伺いましたけれども、先ほどのお話のように、日韓首脳会談では一切触れられなかった。これでは、我が国の領土問題に対する本気度が疑われても仕方がないんです。  また、先ほど佐藤理事の質問にありましたけれども、今まで外務大臣も、また枝野官房長官も記者会見等で、この三名の議員の北方領土訪問というのは韓国政府とは関係ないということを説明されておられましたよね。しかし、今の質疑の中で出てきたように、事実はその説明とは違ったわけです。  ですから、大臣にお願いしたいんですが、改めてこの点を韓国側に抗議をした上で、再度事実関係の徹底調査、そして再発防止策、これを要請すべきだと考えますが、大臣の御所見をまず冒頭伺います。
  177. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 先生御指摘のとおり、昨日の夕方、在京の韓国大使を呼びまして、閣僚の竹島訪問、そして国会議員の北方領土訪問、さらには韓国側が政府の立場とは関係ないという公の表明をしている中で便宜供与をしているということが判明をしているということについては、私から申入れをさせていただきました。これについては抗議をしたというふうに表現をさせていただいてもよろしいかというふうに思いますが、今先生の方からは、更に必要な事実確認、そして再発防止を求めよと、こういうことでございました。  私自身の抗議には、当然再発防止の趣旨をお話をさせていただいているわけでありますが、事実について必要な追加的な確認は更に行ってまいりたいと、このように思っておりますし、それに対して必要な対応は重ねて行わなければいけないと、こう考えております。
  178. 山本香苗

    ○山本香苗君 是非、今お約束いただきましたように、報道でぼろぼろぼろぼろ後から出てくるようなことがないよう徹底的に調査を依頼していただいて、これ在外公館がかむということは国の関与ですから、是非この点について、再発防止という形で何らかの手を打っていただけるようによく協議をしていただきたいと思います。  本来の日韓図書協定について質問をしたいと思いますが、我が党は基本的に賛成の立場です。賛成ではありますが、何点かただしておきたい点、この間、質疑や視察を通じまして疑問に思った点を質問させていただきます。  まず最初に宮内庁の書陵部長に伺いますけれども、先日は視察の際、ありがとうございました。大変間近で貴重な資料を見せていただきまして勉強になりました。ありがとうございました。  その視察の中でですが、今回引き渡される全ての朝鮮王朝儀軌と同じものが韓国に全てあるんだという説明を伺いまして、ちょっと意外な印象を受けたわけなんですが、それでこの場で改めて確認をさせていただきたいわけですけれども、今回引き渡す全ての朝鮮王朝儀軌と同じものが韓国にもあるということでしょうか。
  179. 岡弘文

    ○政府参考人(岡弘文君) 朝鮮王朝儀軌につきましては、作成時におきまして同じものが手書きで複数冊作成されているというふうに言われておりまして、宮内庁が所蔵しておるものはそのうちの一部であるというふうに理解をいたしております。  今回引き渡される予定になっております百六十七冊につきましても全て、同じものということはあり得ませんが、同種のものが、同じ時期に作られたもの又は同じ時期に印刷されたものが韓国内にあるというふうに聞いてはおりますけれども、一部の論文では、韓国のものについては既に失われておりまして、日本にしか残っていないものが数冊はあるというようなものもございまして、宮内庁では確たるところまでは確認できていないところでございます。
  180. 山本香苗

    ○山本香苗君 とにかく朝鮮儀軌についてはあるけれどもという話なんですが、今回引き渡す千二百五冊のうち韓国に同一本があるというのはどれぐらいあるんでしょうか、朝鮮儀軌以外のもので。宮内庁として把握されておられますでしょうか。
  181. 岡弘文

    ○政府参考人(岡弘文君) 結論から申しますと、確認できていないというところでございますけれども、儀軌以外の図書千三十八冊につきましても、我が国の宮内庁以外の機関にも相当数所蔵されているような一般的なものが多うございますので、韓国にも同じものが所蔵されている場合が多いのではないかというふうに認識いたしております。
  182. 山本香苗

    ○山本香苗君 宮内庁では詳細に把握をしていないということでありますけれども、今日午前中の質疑の中では、研究者の方々の中では、朝鮮儀軌は全部同じものがあるということは通説のようなもので、そのほかにも、今回もう既に韓国の報道なんかでも、千二百五冊の中で朝鮮王朝儀軌以外の図書の中では二十八冊だけがいわゆる韓国にもない唯一本だと報じられています。  外務省としてはこのことを御存じだったんでしょうか。
  183. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 王朝儀軌で我が国にあるものが同じものが韓国にあるかどうか、また残りの書籍についての内容も、私どもとして正式に持ち合わせている情報は今宮内庁の方から御報告があったとおりであります。  その上で申し上げれば、朝鮮王朝儀軌については、当初同じものが複数作成されたということは私どもも承知をしておりました。その中で、いずれも、原本という定義があるのかどうかあれですけれども、そういう価値の正本ないしは原本に当たるものという位置付けは変わりはないのではないかと、その意味では貴重な図書であるというふうに考えております。
  184. 山本香苗

    ○山本香苗君 いや、大臣、御存じだったか御存じじゃなかったかと聞いているんです。知らなかったということですよね。
  185. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 朝鮮王朝儀軌の唯一本については幾つか説があるということはお聞きをしておりました。また、その他の図書については、先ほどお話があったように、一般的なものが大宗であるというふうにお聞きをしておりました。
  186. 山本香苗

    ○山本香苗君 今回、図書の引渡しというのは、文化交流、文化協力、その一環としてなされるわけですよね。しかし、今お話があったように、今回引き渡す図書の朝鮮王朝儀軌を始め大半はもう既に同じものが韓国にあるわけです。文化的、学術的に重要だとされている唯一本ってほとんどない。じゃ、何で引き渡すのかと、そういう素朴な疑問が湧いてくるんですけど、大臣、なぜですか。
  187. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 王朝儀軌については、今お話をさせていただいたように、同じもの若しくは、今の宮内庁からの御答弁にもありましたが、手書きである場合は同じようなものということなのが正確なのかもしれませんが、いずれにせよ、宮内庁に所蔵をされてきたものも貴重な図書であるという位置付けで私どもも理解をいたしておりますし、またこの点については、日本の専門家の方々、韓国の専門家の方々にとっても価値があるものというふうに評価をいただいているというふうに理解をいたしております。
  188. 山本香苗

    ○山本香苗君 大臣、今答弁になっていませんわ。  既に韓国国内に同一本がある、全てではないにせよ大半が同一本があるにもかかわらず、韓国側は引き渡してもらいたいと要請している。ということは、韓国側は、この図書の学術的また文化的な価値というよりも、日本が引き渡すというところに重きを置いているんじゃないかと、こういう見方が当然出てくるんだと思います。実際、韓国では文化的価値よりも図書が引き渡されることに象徴される意味、今日の参考人質疑の中でも出てまいりましたけれども、つまり日本が過ちを認めるという意味に重きを置いたような報道が散見されます。  そこで、率直に大臣にお伺いします。今回、図書引渡しについてのとらえ方、受け止め方ですね、大臣、真面目に聞いてください、日韓の国民の間でかなり違うわけです。別々のとらえ方をしているわけですね。このままの状態で今回の図書の引渡しをして、本当に両国及び両国民の友好関係の発展に資することになるんですか。大臣、ここでしっかり納得のいく答弁をしていただきたいんですが。お願いします。
  189. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 私の認識では、この引渡しは昨年八月の談話に端を発しておりますので、お渡しする図書についても、日本が統治していた期間に朝鮮総督府を経由してもたらされ、日本政府が保管している朝鮮王朝儀軌などの朝鮮半島由来の貴重な図書をお渡ししたいと、韓国の方々の期待にこたえてお渡ししたいと書いてあることから、お渡しすることに意味があるということは私どもも理解をした上でのことではないかと、このように考えております。
  190. 山本香苗

    ○山本香苗君 いや、大臣、質問にきちっと答えていただきたいんです。日韓の間でとらえ方に違いがありますと。渡すということが大事という意味の中で、こちらは善意で渡す、自発的な措置で渡しましょうという話ですけれども、韓国としては、日本からそういう善意で返してもらったという、そういう素直な喜びというものじゃなくて、先ほど説明したような意味に取られているわけで、とらえ方が違うんだ、受け止め方が違うんだ。このまま受け止め方、とらえ方が違う状況のままで引き渡すという形だけで終わってしまったら意味がないんじゃないですかということを聞いているんです。
  191. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 我が国においても韓国においても、自由な国でありますから様々な報道がありますが、例えば二〇一〇年、昨年の十一月十四日、横浜に来日をした李明博大統領の発言は、今年は日韓関係において画期的な変化の始まりの年であると認識しており、菅内閣発足以降の多くの努力のおかげであると感謝をすると。両国間の歴史に埋もれていた図書が韓国に、これは大統領の表現でありますが、戻ってくることは、より高いレベルの韓日関係を構築する上で良い機会になると考える、改めて総理に感謝を申し上げるということで、図書の引渡しがより高いレベルの韓日関係を構築することに良い機会になるという認識は共有できていると、このように思っております。
  192. 山本香苗

    ○山本香苗君 理解いただけなくて残念です。  もう一つ率直に伺いますが、朝鮮王朝儀軌を渡すということは、日韓基本条約を結んだことによって請求権問題は解決済みという従来の考え方に矛盾するんじゃないか、先ほどの大野委員の御質問の中にもありましたけれども、こういう声は根強く与野党を問わずあるわけです。この点について、大臣は繰り返し、今回の引渡しは請求権に関する問題とは関係ないとおっしゃっていますけれども、なぜ関係ないと言い切れるんですか。
  193. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 請求権に関する協定については、先ほど大野委員との質疑でもお話をいたしましたように、引き続き有効であります。他方、本件については、我が国政府が自発的に行うものを財政法に基づいて協定という形でお諮りをしている内容でありまして、請求権の問題を発生させるものとは考えていないからであります。
  194. 山本香苗

    ○山本香苗君 じゃ、この今おっしゃった認識というのは日韓両国できちんと共有されていて、この協定が締結された後、韓国側から請求権に関する問題が提起されることはあり得ないということでよろしいですか。
  195. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 韓国政府として、一九六五年の日韓財産請求権協定により完全かつ最終的に解決済みという認識が変わっているというふうには私どもとしては考えておりません。
  196. 山本香苗

    ○山本香苗君 いや、私どもが考えていないんじゃなくて、共有していますかと。
  197. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) この図書協定と関連をしてこれと異なる立場を韓国側から示されたことはなく、共有をしていると考えております。
  198. 山本香苗

    ○山本香苗君 もう時間がないので次に行きたいと思いますが、今回、図書の引渡方法は具体的にどうなるんでしょうか。
  199. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 引渡方法そのものについては、今後、この協定の締結、国会の承認をいただいた後に具体的な手続について韓国側と調整をすることになると思いますが、現時点で引渡しの時期、手順についての調整はまだ始めておりません。
  200. 山本香苗

    ○山本香苗君 じゃ、引き渡した後、韓国においてどういう形でこの渡した図書が保管、保存、管理されることになるのかということもまだ分からないということでしょうか。
  201. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 具体的には今御指摘のとおりでありまして、その在り方についても今後の協議の中に含まれると考えておりますが、これまでのやり取りの中で適切に保管をされるべきであるということの要請は、一般的な形ではありますけれども申し上げてきているところであります。
  202. 山本香苗

    ○山本香苗君 フランスの朝鮮儀軌がソウルの国立中央博物館に所蔵されたそうなんですけれども、我が国のはどうなるのかという懸念の声もあります。また、午前中の参考人質疑の中で、渡した途端に、日本から取り返したという形で政治的プロパガンダに使われるんじゃないかという懸念も示されていました。  もし仮にそういうことになってしまったら、図書を引き渡した意味はもう台なしになっちゃうわけです。そうならないように、大臣、手だてをしっかり打っていただけますか。
  203. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 私どもは、返還をした、されたということではないということは既に協定でも確認をいたしておりますし、その意味では取り返したといったようなプロパガンダは双方の合意に必ずしもかなうものではないと、このように考えております。
  204. 山本香苗

    ○山本香苗君 そうならないようにしっかりと、日韓の協議をこれから成立した後にされるわけですから、そういうこともきちっと押さえておいてもらいたいということなんですが。  松本大臣、四月二十八日に韓国大使に外務省で会った際に、日本由来の貴重な図書については日本側も閲覧できるようにするなどの対応を求めたと報じられていますけれども、先方の反応はどうだったんですか。要請した結果はどうですか。
  205. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 大使自身がその場でイエスとかノーとか明確な答えをしたというふうには記憶をいたしておりませんが、本国にお伝えをいただいたと理解をしており、その後、それについては協議が実際に両国間でなされているということは御報告できます。
  206. 山本香苗

    ○山本香苗君 既にその協議がスタートしたということですけれども、速やかにここの改善を図るように是非よろしくお願い申し上げたいと思います。  最後に、午前中の参考人質疑の中でもあったんですけれども、また四月二十七日の衆議院の外務委員会で我が党の赤松正雄衆議院議員からも話があった件でもう一回再度念押しをしておきたいと思うんですが、赤松さんが、国家が研究機関を設置して自らの明確な歴史理解をして、外交摩擦を恐れずその正当性を主張すると、そういった参考人の提案を紹介して大臣の考えはどうかというふうに聞かれたのを覚えていらっしゃると思うんですけれども、大臣はその際、要するに、考えてみたいというような形でお答えになっておられましたけれども、考えてどうなりましたでしょうか。
  207. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 赤松先生からの御指摘をいただいて、中長期的なことも含め、また赤松先生の御趣旨は、根本的なところから必要に応じては見直すことも含めて戦略を立てることが必要ではないかというような趣旨で、全体の文脈も何度かの御質問をいただいていたと理解をしております。  そういった趣旨から、一つの方法として考えてみたいと御答弁をさせていただいたところでありますが、今まだ私の中では結論が出ていないと御報告をいたします。
  208. 山本香苗

    ○山本香苗君 今回の引渡しについて、両国でかなり受け止め方、とらえ方が違うわけです。ですから、私は引渡しをしたというだけで終わってしまったら日韓友好関係の発展なんというのは望めないと思います。  是非、先ほど申し上げたような民間の研究も吸い上げて、国家として研究機関を新たに設置するということも含めて協定第二条の具体化というものを速やかにやっていただきたいとお願い申し上げまして、質問を終わります。
  209. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 日韓の図書協定について幾つかおただしをいたします。  午前中の参考人の質疑、またこの午後の政府への質疑の中でも、大体皆さん一致していると思いますが、日本の思いとはやはり別に、片思いだなというのは本当に確認をされているところでもあります。さはさりながら、これは日本の自発的善意というものは韓国のみならず世界にもしっかりと明確に表明をし、明らかにしていかなければいけないというふうに思いますが。    〔委員長退席、理事榛葉賀津也君着席〕  まず初めに、フランスの話もありました。フランスは五年ごとの貸与契約更新という形で協定を結んでいます。もちろん、フランスとの儀軌の在り方、日本との儀軌の在り方は、歴史的な背景もその所蔵に至った経緯も違うわけではありますが、この今におけるフランスの対応の仕方とまた日本の引渡しの違いというのが韓国にもちゃんと認識をしてもらわなきゃいけないというふうに思います。  これは今まであった引渡しに対する意味と同列の話ではあるんですが、フランスとの対比においても、日本の大人の対応というのをしっかりと韓国に認識してもらう必要があると思うんですが、フランスとの対比において、外務省としては特段韓国へのそういった説明というか、理解を求めることをされたのかどうか確認をさせてください。
  210. 高橋千秋

    ○副大臣(高橋千秋君) 韓国大統領府の発表によりますと、本年二月、韓国とフランス政府は、フランスが所有している外奎章閣図書というものを、フランスの国内法に従い、五年ごとに更新する貸与方式で韓国側に引き渡すことを規定した政府間協定に署名をいたしております。  これに対して、日韓間の図書の引渡しにつきましては、委員御指摘のとおり自主的な対応ということで決定をいたしたものでございますが、日韓間、韓仏間で合意された協定における方式の違いについては、委員御指摘のとおり、これまでのフランスと韓国、日本と韓国との歴史の違い、それから国内制度の違いというものがございますので、単純には比較はできないというふうに思います。  ただ、その上で、韓国政府はその違いを十分認識した上で、本件図書を引き渡すとの日本政府の措置を高く評価しているというふうに理解をしておりますし、我々としては十分理解をしているというふうに考えております。  報道によりますと、五月十四日から五月末にかけて、ちょうど今でございますが、数回に分けて外奎図書が韓国に運び込まれているというふうに聞いております。
  211. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 午前中の参考人の質疑の中でもちょっとこういった話を質問させていただいたんですが、それが正しいかどうかは別として、その参考人の意見としては、フランスははっきり言えば略奪しているんですけれども、フランスが貸与、まあ事実上の返還と韓国は言っていますから、これをしたことに対しては、フランスはよくやってくれたと。日本の今回の引渡しは、韓国においてはもう当然だと、別に大したことをしてもらっているんじゃないというような認識でいるというふうに参考人もおっしゃっていた部分もあります。  そういう見方もあると思いますし、韓国国内においてもそういった受け止め方をしている点もあると思います。やっぱりそういう背景をしっかりととらえて、これは自発的な行為とはいえ、しっかりとその背景をとらえて、今後、日韓の関係をしっかりと発展させていかなければならないということを指摘をさせていただきます。  ちょっと次に移りますが、午前中でもいろいろ指摘がありました。いわゆる文化財全体の、原産国にあるべきだという、こういう主張もあります。また一方で、ルーブルやメトロポリタン美術館がかつて共同で声明を出したように、普遍的な価値観はどこの国にあるかということではないんだということもありましたけれども、今回のこの日本のこうした引渡しが、一九七二年に文化財不法輸出入等禁止条約があるとはいえ、その発効以前の文化財を戻そうということを国際的にも取り組んでいる国が多々あるわけであります。  今回の日本の自発的なこうした文化財引渡しの行為が、こうした文化財を返せという国際的な世論の高まりに対してどんな影響を及ぼすのか、ちょっと政府の見解、認識をお伺いしたいと思います。
  212. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 委員がおっしゃったような形で受け取られる、受け止められるということも、私どもも念頭に置いてしっかりと説明をしていかなければいけないんだろうというふうに思います。すなわち、今回の話は、私どもも引渡しというふうに申し上げているのも、そういったものとは一線を画して日韓の未来のための自発的な措置と位置付けたいと、こういうことであるわけであります。  今おっしゃったいわゆる文化財の返還問題というんでしょうか、過去の歴史の中で様々な文化財が様々な経緯で元々所在をしていた場所から移転をした事例があるということは、多く見られることは事実でありまして、この多様な背景を持つ多種多様な文化財をどこに帰属をすべきかという議論について一概に論じることは極めて困難でありますし、必ずしも適切でないと、こう考えております。  その意味では、私どもとしては、今回の図書協定に基づく図書の引渡しというものは、こういった議論の中に何らかの立場を持って行われたものではないということは改めてこの機会に申し上げたいと、こう考えているところであります。
  213. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 文化庁として、文化財の返還問題というものに関しては日本としてはどういう見解を持っていますか。日本から散逸してしまった文化財に関してはどういう見解を持っておるのか。
  214. 吉田大輔

    ○政府参考人(吉田大輔君) 現在の文化財保護法では、重要文化財の輸出ということは原則禁止をしております。ただ、文化財保護法の制定前ですとか、そういうものについては残念ながら海外に流出しているものも多々ございます。その全貌をとらえるということはなかなか難しいということでございますけれども、ただ、先ほど外務大臣がおっしゃられましたように、その文化財が原産国とは別のところに行っている事情というのはまさに様々なものがございます。  したがいまして、個別具体のケースに即しまして、それぞれのケースごとに適切な対処をしていくほかはないのではないかというふうに思っております。    〔理事榛葉賀津也君退席、委員長着席〕
  215. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 そういう意味では、今回のこの図書協定とは切り離して結構ですから、切り離した上で、今朝鮮半島にある日本の文化財なんかもしっかりと戻してもらうべき筋のものはこれはしっかりと韓国政府、韓国だけじゃなくて世界に散逸していますから、日本の文化財も。これはそういう対応が必要だと思いますが、その点は文化庁、どうお考えですか。
  216. 吉田大輔

    ○政府参考人(吉田大輔君) それについてはちょっと文化庁としては発言はなかなか難しいのでございまして、御了解いただきたいと思います。
  217. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 いやいや、文化財そのもので、外交問題ではなくて、日本の文化財をどう守っていくかということをやっているわけでしょう。その一般論で聞いているんです。だから、別に韓国だけじゃなくて世界に散らばっている、散らばってしまった、売ったとか買ってもらったとかじゃなくて、その文化財をどう日本の文化庁として取り組んでいくんですかということです。
  218. 吉田大輔

    ○政府参考人(吉田大輔君) 文化財が流出いたしました理由というのは様々のケースがございます。適法な売買等を通じて行ったものにつきましては、これについては返還をするということはちょっと考えにくいと思いますけれども、不法に盗難ですとか、そういった形で海外に流出をしたということにつきましては、先ほど先生がおっしゃいました文化財不法輸出入等禁止条約というものに基づきまして、盗難が発覚いたしました場合には私どもの方から、これは外務省を経由いたしまして関係国にそれを通知をすると。その場合、流出した先の国において適切な返還措置等をとっていただくという形になります。  ただ、その条約が我が国について発効する前のものにつきましては、残念ながら、そういった条約に基づく措置といったものは、これはとり得ないわけでございます。したがいまして、そこから先はもうある意味では自主的に交渉していただいて、返還等が認められる場合には返還をしていただくといった努力を続けるほかはないのではないかと思います。
  219. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 その一九七二年以前の文化財に関しては、そういうぼわっとした感じではなくて、しっかりと明確なこれは目的を持って対応していかなければならないというふうに私は思います。  ですから、今回の協定を切り離したとしても、対馬藩の書物に対してもそうですし、日本が、政府がどう対応していくのかということにかかわってくるわけです。それはだから、今言った文化財返還問題に関してどう日本政府が立ち位置を決めて我が国の文化財をどう取り戻していくのか、返還をしてもらうのかという大きな流れにつながってくると思いますから、ここにおいて明確な立ち位置が決まっていないということは、これは非常に私は残念なことだと思いますので、今後、この条約発効以前の文化財に関して、これは文化庁としてもしっかりとした指針を出して、外務省と一緒になって相手国との交渉をしていくということが、これが重要な取組だというふうに思いますので、その点を指摘をさせていただきます。  また、今ほども山本委員の方からもありましたけれども、既に文化庁においては、文化財の国際協力の推進をしていかなきゃいけないということでその法律も平成十八年には制定をされており、海外の文化財の保護にかかわる取組ということがありますので、今回のこの朝鮮儀軌も是非、引渡しをされますが、午前中も言いましたけれども、日本からいえばこれは里子みたいなものですよ。私も昨日見ましたけれども、我が国原産ではありませんが、非常にいとおしい文化財に感じました。これは是非、国際的な協力の推進に関する法律に従って、韓国政府にこの資料の様々な共同研究とか、また日本は、これ何十年も日本にあったからこそ守られた儀軌かもしれません。そういうことは別に引渡しで、善意の行為ではあったとしても、そこは宣伝してもいいと思うんですね、これは韓国だけじゃなくて世界に、日本がこれだけすばらしい保護技術を持っていると。文化財保護技術自体が世界遺産ですよ、日本の。ここは別に声高に言ってもこれはいいんじゃないかというふうに思います。  そういう観点から、この共同研究とか、また保護に関して、逆に大所高所から韓国政府にいろんな提言をしていくということはどう取り組んでいかれるのか、お聞きいたします。
  220. 吉田大輔

    ○政府参考人(吉田大輔君) ただいま文化財保護技術の話がございました。我が国の文化財保護技術は、世界的に見ても高いレベルにあるものと思います。とりわけ、紙の文化財に関する修復保存技術、またあわせまして木造の建築物あるいは美術工芸品などに関する修復保存技術というのは世界的に評価を受けているというふうに感じております。  私どもといたしましては、このような我が国の経験や知見といったものを活用して、外国の文化遺産の保護についても様々な協力事業を行っております。先ほど先生御指摘の平成十八年に制定されました海外の文化遺産の保護に係る国際的な協力の推進に関する法律、これを受けまして、文化遺産国際協力に関する専門家間のネットワークの構築ですとか、あるいは国内外の情報の収集などを図ると、こういった目的で、外務省を始め関係省庁や大学等の教育研究機関、さらに東京文化財研究所などの独立行政法人、また民間助成団体などと一緒になりまして、文化遺産国際協力コンソーシアムといったものを設立をしております。こういったコンソーシアムも活用しながら文化財分野の国際協力のために今後とも邁進をしていきたいと、こう考えております。  韓国との間でも、毎年、この文化財の関係につきましては協力協議会といったようなものを設けて、お互いにその情報交換といったような形でこれまでもネットワークづくりを進めてきているところでございます。今回の朝鮮王朝儀軌の関係につきましても、できるだけその研究者ですとかそういったもののアクセスが図られれば大変有り難いなというふうに私どもとしては感じております。
  221. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 最後に、これは日韓の文化交流のための引渡しでありますので、是非これは外務省としても、しっかり共同研究していこう、これは韓国原産の文化財ではあるけれども、これは人類普遍の文化財でもあるという視点からも、それは引渡しに関して強く申入れしてもいいと思いますよ。そうすることが、逆にこれは文化の交流のために引き渡した目的が達成されるわけですし、ゆめゆめ韓国国内を、取り返したというプロパガンダに使われない、そういうくさびにもなるというふうに思います。  最後に、そして、これは大人の対応をしながら、結局、先ほど来あったとおり、北方領土そして竹島の問題、こうして韓国側はまた違う思いでこの引渡しに関してはとらえているわけであります。よっぽど日本が人がいいのか間抜けなのか分かりませんが、今回のこの引渡しにおいて、韓国側がゆめゆめこうした国威発揚に、その道具としてこの儀軌を使われないようなことはしっかりと外務省としても注視をして、そして今後の轍として対応していただきたいことを申し入れさせていただきまして、質問を終わります。
  222. 山内徳信

    ○山内徳信君 私の質問の一番は、嘉手納統合案について三連協や地元住民は反対しておりますが、その理由を伺っておきたいと思ったんです。  外務省、どなたがお答えになりますか。よろしゅうございますか。お疲れじゃないですか。いやいや、副大臣でも結構ですよ。
  223. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 嘉手納飛行場に関する、これは三連協でよろしゅうございますか。
  224. 山内徳信

    ○山内徳信君 三連協及び地元住民。
  225. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 三市町村連絡協議会は、五月十九日、嘉手納統合案は米軍再編協議で合意された負担軽減どころか基地機能の強化と言わざるを得ず、嘉手納基地周辺住民に更なる負担を押し付けるものであることから、いかなる理由、いかなる条件があろうとも断固反対である。嘉手納基地の機能強化に反対し、騒音被害などの負担の軽減を速やかに実施することを求める旨の声明を発表をしたというふうに承知をしております。
  226. 山内徳信

    ○山内徳信君 なかなか東京におりますと見えない。アメリカの国会議員も日本の政府も、嘉手納統合は可能性が高いじゃないかと、こういうふうに遠くからは見えるんですね。ところが、周囲の実態、過去の状況を少し申し上げていた方がいいんじゃないかと思って申し上げておきますが、嘉手納飛行場から飛び立とうとしたB52が墜落をする。積んでいた爆弾、全部爆発しました。それから、宮森小学校の上を、石川市の上を飛び立っていくんです。そうしますと、ちょうど給食時間に入る時間帯でしたが、そこにジェット機が落ちていく。そして、阿鼻叫喚の地獄のさたになったんです。多くの死傷者が出ました。それから、沖縄市の白川というところにジェット機が墜落しました。当時の具志川市の川崎にKCが墜落をしました。私の住んでおる読谷にもジェット機が墜落をする。新しいものとしては、普天間飛行場のあのヘリコプターが国際大学の構内に墜落をすると、そういう状況でございます。  それから、嘉手納飛行場から流れてきた、地下から流れてきたガソリンが嘉手納町内の、これは復帰前後の話でございますが、井戸から水をくむとガソリンが出てくるんですね。それにマッチを付けますと、ぱっと燃えるんですよ。そういうような環境汚染。  今でも、飛行機から発するあの燃料を含んだ風、生暖かいといいますか、本当に周囲の環境というのは大変でございます。したがいまして、三連協始め住民、そしてなぜ二万二千余りの人々が原告になって嘉手納爆音差止めの訴訟が起こっておるかということは、そういう実態があるからでございます。  したがいまして、嘉手納飛行場への統合は、これは岡田当時の外務大臣も一生懸命御努力されていましたが、結局は実現しませんでしたし、そして周囲の人から話を聞けば聞くほどこれは難しいと、こういうふうな結果になりました。したがいまして、近々沖縄に行かれるというふうに報道で知っておりますが、余り実りのないそういうものはなさらぬ方がいいと思いますよ。沖縄にも行かれるんでしょう。ですから、追い返されますよ、三連協の皆さん方に。そういうのが実態でございます。  それから、二番目に移りたいんですが、普天間問題、辺野古問題が起こってもう十五年たちました。十五年たっても実現できなかったわけであります。この理由につけてもお伺いしたいんですが、まあそれはお伺いしません。その実現できなかった理由とか根拠は何であったのかということは、外務、防衛の事務方を含めて大体まとめておると思います。それを科学的に分析をする、合理的に分析をする、実態的に分析をすることが必要と思います。そうせぬで、外務省や防衛省のあのコンクリートの中にいまして、とにかく決められたこと、日米で決めたことだからとにかく押していこうというのは、これはやはり科学的でも合理的でもないわけですね。やはり政治には、これは難しい、これは不可能だという結論が見通せたら、方向転換をすることが重要だと思っております。したがいまして、思い切って方向転換をする時期に来ておると思います。  外務大臣は、最近の諸情勢を踏まえてどういうふうなお気持ちでいらっしゃいますか。
  227. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 私自身は、今週の土曜日ですから明後日に沖縄に参りまして、知事にお目にかかりたいというふうに思っております。また、四軍調整官にお会いをして、私どもから申し上げなければいけないことを申し上げると同時に、今後の様々な在日米軍基地に関係する個別の事案で解決につながるような意見交換ができればというふうに考えているところでございます。  そして、今先生からお話がありました件についてお話を申し上げれば、私も沖縄国際大学のヘリコプター墜落現場に、比較的墜落した直後、早い時期に行きました。まさに普天間の危険性除去、そのための普天間の返還・移設ということがこれまで累次にわたって先輩方でも努力を重ねてきてこられたものだと考えておりますが、今私どもには普天間の移設・返還のためには昨年五月の合意を実施をすることだと、このように考えており、この件について御理解をいただきたいという気持ちでおることは何ら変わりがないわけでありますが、私自身は外務大臣に就任して初めて沖縄に参上をいたしますので、知事の御意見もしっかり承りながら意見交換をさせていただけたらと、こう考えているところでございます。
  228. 山内徳信

    ○山内徳信君 次は、防衛大臣にお伺いいたします。  少し休まれましたか。少しお休みになられましたか。いや、外務大臣はもうずっと今日は……(発言する者あり)
  229. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) 御静粛にお願いします。
  230. 山内徳信

    ○山内徳信君 それで、防衛大臣にお伺いいたしますが、来年は沖縄が日本復帰をして四十年の節目を迎えます。四十年たってもできないのが幾つかあるんです。目玉にしようと言ったのは那覇軍港でしたね。四十年たっても動かない、動かさない、動かそうとしない、そういう一例を申し上げておきます。  日本政府として、復帰後危険性の高い普天間飛行場の戦後処理としての地主への返還を米軍に是非要求していただきたいと思います。四十年たっても動かない。辺野古ができぬから普天間を動かぬと、アメリカ政府もアメリカの国会議員とか日本の政府も国会議員も辺野古のせいにするだろうと思います。そして、責任を転嫁する。基地を提供したのは沖縄県民、宜野湾市民じゃないんです。提供者は政府なんです。そうでしょう。したがいまして、危険だという点では一致しているわけです。それをやはり動かせるところに、私はいつもアメリカに持っていけということを言っていたんです。そして、最終的に使う側が判断をすると私は考えたからです。  そういうふうに、その問題は解決しました。したがいまして、私は、是非、主権国家日本政府として、普天間飛行場、四百八十一ヘクタールの普天間飛行場一つさえ動かし切れないというならば、これは政府として疑わざるを得なくなるんです。  そういうふうにして今日まで進めることのできなかった不作為の責任は、これは極めて大きいのがあるわけです。ですから、責任を沖縄県民に転嫁するような形で普天間を残すというならば、那覇市長が二、三日前、官邸での話合いの後おっしゃっておりますね、そういうことがあったら沖縄県内にある全ての米軍基地は崩壊していくであろうと。あんなおとなしい翁長雄志市長さんがそういうことをおっしゃるんです。  したがいまして、ここら辺で、山内君、任せておけ、防衛大臣に任せておけと、こういうお気持ちになられませんか、北澤防衛大臣。必ずやってやると、普天間は遠いところに持っていくと、こういう決意を伺っておきたいんです。そういう決意がないまま2プラス2に臨んでしまって、またアメリカの言いなりになって帰ってきたらいかぬと思っているから厳しい口調でお伺いしておるわけです。  長い説明は要りませんから、決意のほどだけ伺っておきましょう。
  231. 北澤俊美

    ○国務大臣(北澤俊美君) 四十年の歳月に触れられてお話があったわけでありますが、奇しくも私もちょうど政治家になって四十年になりますので、半分は自民党におりまして、半分は野党におりました。  そういう中で、日米が様々沖縄の現状を考慮しながら、当時の橋本総理とモンデール大使が普天間の返還について合意をいたしたわけでありまして、そのことが実現できていないという現状は確かに沖縄の皆さんには御迷惑なことだというふうに思いますが、その間、普天間を動かす代替施設として辺野古沖ということで決まったわけでありますが、その後、我々が引き継いで、いささかの混乱はありましたけれども、昨年の五月二十八日に日米合意ができ上がって、我々はこれを何としても実現をしていくと、そういう決意で日米で努力をし、沖縄の皆さんの御理解を得ていきたいと、こういう決意であります。
  232. 山内徳信

    ○山内徳信君 モンデール大使と橋本総理が五年ないし七年以内に完全返還をするという発表がありましたときに、私は忘れもしません、一番喜んだのはやはり関係地域の人々を始め沖縄県民だったと思います。ところが、動かなかった。その後、新政権になって、県外、国外という話が出てきました。またまた地獄に突き落とされた思いで、もうこれは政府に頼ることはできないと、不信感がいっぱい生まれてきたわけであります。  そして、返還されることを前提にして、国も県も宜野湾市も、普天間飛行場の一日も早い返還と、その跡地利用計画はずっと進んできております。私は一度、地主会長にもお目にかかりました。どんなお気持ちですかと言ったら、やはり一日も早く返してほしい、自分たちが、戦前そこに住んでいた人々が生きておる間に跡地利用をしたい、夢のある跡地利用をしたいと会長さんはおっしゃっておりました。それに是非、外務大臣も防衛大臣もこたえていただきたい。  そして、外務大臣からも、今回の2プラス2においては普天間の可能性はもうない、辺野古の可能性もない、したがって両政府方向転換をしようと、こういうふうな外交交渉を進めていただきたいと、これが私の今日の質問の最後でございます。両大臣から一言ずつお伺いしたいと思います。
  233. 松本剛明

    ○国務大臣(松本剛明君) 先生のお話は今お伺いをさせていただき、また人生の先輩ということも含めて尊敬をいたしているところでありますが、普天間の危険性除去について今取り得る考え方という点については、私どもとしては昨年の五月の合意をしっかり推し進めていきたいという考え方は変わらないところでございます。
  234. 北澤俊美

    ○国務大臣(北澤俊美君) 山内委員の生涯を懸けたような思いは十分理解しておるつもりでありますが、現実を見ますと、今ここで日米合意をほごにして元へ戻すということになると、先ほど申し上げた橋本総理とモンデール大使との合意、これは代替施設を特定しないで合意をしたわけでありますから、そこまで戻ってしまうということになろうかというふうに思います。合理的な案とすれば、日米合意ができている、これを早期に解決して普天間の返還を図るというのが、私は、沖縄のこの危険な基地そして負担の軽減への早道ではないかと、このように思っている次第であります。
  235. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) 時間が過ぎております。  山内君、よろしいですか。
  236. 山内徳信

    ○山内徳信君 終わります。
  237. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  238. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました図書に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定に対しまして、反対の立場から討論を行います。  一昨日、本件の審議に資すため、本委員会は宮内庁書陵部を視察し、朝鮮王朝儀軌を始めとした図書の一部を視察しました。色鮮やかな図書とともに一つ一つ手書きによって詳細に記録された歴史の断片は、返還を望む韓国の人々の思いを酌むに十分なものでありました。しかしながら、これらの図書は、我が国が正規の手順を踏んで入手した国有財産である以上、感傷に基づく友愛主義によって安易に譲渡することは国際外交の常道を逸脱する行為であり、我が国の体面と威信を著しく損なうことを思慮せねばなりません。  反対の理由は以下の三点です。  第一に、締結に至る経緯が余りに拙速である点を指摘いたします。  国権の最高機関たる国会において慎重かつ十分な審議も経ず、日韓併合百周年の節目に当たる昨年八月十日、政府は突如、総理大臣談話を発表し、その中で、朝鮮王朝儀軌等の朝鮮半島由来の貴重な図書について、近くこれらをお渡ししたいと公言しました。国民よりも先に外国に約束しておき、その成立に異議を唱える声に対し、野党の邪魔により足踏みをしていると首相自らが批判するなど言語道断です。政権を担う矜持や至誠の一片もなき独善的かつ驕慢な政治姿勢と国会の権威を失墜させた愚挙に対し、強く抗議いたします。  第二に、本協定が更なる政治的譲歩を要求されかねない点を指摘いたします。  日本と韓国との関係は、一九六五年六月二十二日に締結されたいわゆる日韓基本条約に付随するいわゆる日韓請求権並びに経済協力協定により、相互の請求権に関する問題は完全かつ最終的に解決されています。しかし、本協定は、植民地支配の反省とおわびを図書返還という形で表した極めて佞姦的な外交手法であり、先人の英知に基づく労を水泡に帰す反国家的所業と言わざるを得ません。さきの条約によって解決済みの問題についてまで交渉の余地ありという誤った示唆を与える危険性を強く危惧いたします。  第三に、本協定を締結するための双方の環境が整っていないことを指摘いたします。  韓国は、我が国固有の領土である竹島に半世紀以上不法占拠したまま、いまだ解決の糸口すら見えておりません。しかも、民主党政権が誕生して以降は、竹島の実効支配の強化が急加速しております。一昨日、韓国の国会議員三名が我が国固有の領土である北方領土に対し、我が国の許可を得ず不法入国し、主権を侵害しましたが、さきの日韓首脳会談において、菅総理は抗議するどころか議題にすらしませんでした。  このような環境下であえて片務的な本協定を自ら進んで締結することの外交的意義が、多くの日本国民には全く理解できないのです。周辺諸国にも誤った外交意思を示唆するおそれがあり、我が国民に対しても不必要な反韓感情をあおりかねず、未来志向の日韓関係につながるとは到底思われません。  以上、本協定成立に反対する理由を述べましたが、大韓民国は我が国との歴史的関係も深く、また共に自由と民主主義を愛する国家であり、共存共栄を図らなければならない隣国です。我々自由民主党は、日韓両国の友好的未来関係を否定するものではなく、互いを理解し、至誠と信義に基づいた真の共存関係を築くことを欲するものであることを申し添えるとともに、委員の皆様の良心に訴え、私の反対討論を終わります。
  239. 山内徳信

    ○山内徳信君 社民党・護憲連合の山内徳信でございます。  私は、ただいま審議されております日韓図書協定について、賛成する立場から討論を行います。  日本と朝鮮半島とは昔から深い関係にあり、一衣帯水の隣国として文化文物の交流を続けてまいりました。ところが、明治に入り、我が国は、欧米列強の植民地政策の影響や脱亜入欧、富国強兵、そして朝鮮半島を始め大陸への出兵という膨脹政策を取ったわけでございます。一九〇七年には皇帝を退位させ、軍事的、経済的支配を固めました。一九一〇年八月、日本は韓国併合に関する条約を調印しております。  こういうふうにして、当時の日本の帝国主義あるいは植民地支配は完成し、韓国は日本領朝鮮となったわけであります。日本は、朝鮮総督を置き、行政、軍事一切を統括し、一九四五年まで朝鮮の植民地支配を続けてきたのであります。このような時代背景、政治背景の中で、朝鮮王朝儀軌等多くの文化財が日本に移されたのであります。  戦後、両国は戦争の反省と教訓を生かし、同じ価値観と友好親善を大事に、新しい国づくりを進めてまいっております。日本政府は、既に一九六五年に、歴史的関係を考慮して、日韓基本条約を締結した際にも千三百点の文化財を韓国に引き渡しております。二〇一〇年八月十日、菅総理は韓国併合百年の節目に当たって談話を発表されました。そして、日韓図書協定が提起をされてきたわけであります。同年十一月十四日に協定は署名され、本日採決の運びとなっております。  日韓両国は、歴史的なわだかまりを解消し、両国民が未来志向を目指し、平和へのパートナーとして共に歩み、和解と寛容への具体的なあかしとして日韓図書協定が可決されることを期待するものであります。  以上を申し上げまして、賛成討論といたします。  終わります。
  240. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  図書に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  241. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  242. 佐藤公治

    ○委員長(佐藤公治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十二分散会