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2010-11-17 第176回国会 参議院 本会議 9号 公式Web版

  1. 平成二十二年十一月十七日(水曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第九号   平成二十二年十一月十七日    午前十時開議  第一 国務大臣の報告に関する件(APEC首   脳会議に関する報告について)  第二 土砂災害警戒区域等における土砂災害防   止対策の推進に関する法律の一部を改正する   法律案(第百七十四回国会内閣提出、第百七   十六回国会衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  又市征治君から海外渡航のため来る二十日から九日間の請暇の申出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) 御異議ないと認めます。  よって、許可することに決しました。      ─────・─────
  4. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) 日程第一 国務大臣の報告に関する件(APEC首脳会議に関する報告について)  内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。内閣総理大臣菅直人君。    〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
  5. 菅直人

    ○内閣総理大臣(菅直人君) 私は、十一月十三日から十四日まで横浜で第十八回アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に出席し、議長を務めました。  APECは、アジア太平洋の二十一の国と地域から成る経済を中心とした協議体であります。世界のGDPの約五割、人口の約四割を占めております。APECの地域は、今や世界の成長センターとして世界経済を牽引していると言っても決して過言ではありません。  今回の会議では、私は議長として横浜ビジョンを取りまとめました。太平洋をまたいで、アジア、大洋州、北米、そして南米の国々が連携していくことで持続可能な成長につながるものです。横浜APECの成果は、APECの歴史の新しい一ページになると確信しています。  今回のAPEC首脳会議に先んじて、我が国は包括的経済連携に関する基本方針を閣議決定し、農業の再生と開国を両立することを明確にしました。これが、APECにおける議論を促進し、今回の会議の成功に大きく貢献したものと考えています。今回の会議での具体的な成果は、次のとおりであります。  最重要課題がアジア太平洋自由貿易圏、FTAAPの実現に向けて具体的な手段を取るということであります。FTAAPに向けた道筋については、ASEANプラス3、ASEANプラス6、環太平洋パートナーシップ、いわゆるTPP協定など、現在進行している地域的な経済連携を基礎として更に発展させること等について意見の一致がありました。  この関連で、私からは、TPP協定について、その情報収集を進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始していく考えであることを表明しました。  また、本年が先進国・地域の達成期限となっていた自由で開かれた貿易及び投資を実現するとのボゴール目標について、十三の国と地域は目標の達成に向けて顕著な進展を遂げたとの共通の認識に達しました。  さらに、APECで初めての長期的かつ包括的な成長戦略を策定することに合意しました。これは、世界経済金融危機の教訓を踏まえ、地域の成長の質を向上するため、均衡ある成長、あまねく広がる成長、持続可能な成長、革新的成長及び安全な成長の五つを達成することを目的とするものであります。  また、WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結に向けた決意を再確認するとともに、輸出規制等を含め、貿易を阻害する効果を持つ措置を新設、強化しないとの二〇〇八年の約束を二〇一三年まで延長することに合意しました。  なお、APEC首脳会議の機会に、オバマ米国大統領、胡錦濤中国国家主席、メドベージェフ・ロシア大統領、ハーパー・カナダ首相、李明博韓国大統領、ピニェラ・チリ大統領、ガルシア・ペルー大統領と個別に会談を行いました。  オバマ米国大統領とは、日米同盟を深化、発展させ、来年前半に招待いただいた私の訪米機会に二十一世紀の同盟のビジョンを共同声明のような形で示すことで一致しました。  胡錦濤中国国家主席とは、尖閣諸島について我が国の確固たる立場を述べるとともに、戦略的互恵関係を発展させていくことや、政府間・民間交流の促進、経済分野を含むグローバルな課題での協力を強化していくことで合意しました。  メドベージェフ・ロシア大統領とは、国後島訪問について抗議の意を明確に伝えました。その上で、領土問題の解決のための協議と経済協力のための協議を首脳同士を含め進めていくことについて改めて合意をいたしました。  ハーパー・カナダ首相とは、政治・平和安全保障分野に関する新たな協力枠組みの文書に署名し、これらの分野を中心とした緊密なパートナーシップを築いていくことを確認しました。  李明博韓国大統領とは、日韓図書協定の署名を歓迎し、未来志向の日韓関係を構築すべく努力していくことを確認しました。また、北朝鮮問題については日韓米の連携を強化していくことで一致しました。  ピニェラ・チリ大統領とは、我が国にとり重要な資源供給国であり、またEPAのパートナーであるチリとの経済関係を強化していくことを確認しました。  ガルシア・ペルー大統領とは、日・ペルー経済連携協定、EPA交渉が完了したことを確認し、同EPA交渉完了に関する共同声明に署名しました。  以上、今回のAPEC首脳会議、そして七か国との二国間会談を通じ、我が国が大きく国を開き、発展著しいアジア太平洋地域と共に成長の道を歩むことこそが国益につながるものと確信した次第であります。(拍手)     ─────────────
  6. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。今野東君。    〔今野東君登壇、拍手〕
  7. 今野東

    ○今野東君 民主党・新緑風会の今野東です。ただいま議題になりました菅直人総理大臣のAPEC報告に対し、会派を代表して質問をいたします。  菅総理、G20、APECと過密なスケジュールをこなされ、多くの首脳との会談、そして横浜ビジョンの取りまとめ、本当に御苦労さまでした。せっかくの機会ですので、私は、まず個々の国々との関係を超えた日本外交全体の立ち位置、特にアジアとの関係について菅総理に伺います。  昨年八月の政権交代以降、鳩山前首相は東アジア共同体を掲げ、アジアを重視する外交姿勢を世界に、アジアに発信しました。  APECの議長国として強く実感されたと思いますが、今やアジアが世界の成長センターであることは明確になっています。この発展する経済をベースにしながら、将来的には社会的な統合にまで踏み込むような構想はあるのでしょうか。  今年は日韓併合百年に当たり、八月十日には朝鮮半島の植民地化への反省を込めた菅総理の談話を発表されました。アジアとの関係には歴史問題という大変難しい課題が横たわっております。そうした問題を解決するには、それらの歴史と正面から向き合い、一つ一つを丁寧に解きほぐすしかないと考えてきた私としては、その談話を評価したいと思います。  十四日の日韓首脳・外相間で朝鮮王室儀軌等千二百五冊の引渡しに関する協定書の調印が行われましたが、こうした和解の道筋も含めた東アジア共同体という構想についてのお考えを菅総理に伺います。  次に、APECでの個別の会談について伺います。  日本は、アメリカ、中国、ロシアの主要三か国との間にそれぞれ問題を抱えており、準備そのほかで何かと気苦労も多かったと思いますが、個別の首脳会談について御自身では全体としてどのように総括されているんでしょうか。  日米会談ですが、最大の懸案である沖縄普天間基地移設問題について、先行きの展望が開けるような成果はあったのでしょうか。日米同盟を深化させることで合意したようですが、具体的な声明などは先送りされました。  責任分担の立場から対米関係に気を遣ったことは分かりますが、自民党政権の時代とは一味も二味も異なる新たな日米関係の構築に向けて今後どのような努力をなさるおつもりでしょうか。  具体的な例を一つ挙げさせていただきます。  今、ハーグ条約、国境を越えた子の連れ去りに関する条約の批准をアメリカは強く日本に求めてきております。この問題の場合、私は子供の利益を第一に考えるべきだと思いますが、アメリカは、しかし、子どもの権利条約にも女子差別撤廃条約にも入っておりません。これらへの加盟をまずすべきだとアメリカに重ねて言うべきだと思いますが、いかがでしょうか。  そして、中国とロシアの会談ですが、言うまでもなく、尖閣諸島にしろ北方領土にしろ我が国固有の領土であります。菅総理、そのことはどのように強調されたのでしょうか。そして、今後、両国とはどのようにして関係の打開を図るお考えでしょうか。  特に、海洋権益の拡大に邁進する中国と今後どう折り合いを付けていくのか、同様な問題を抱えているアジア諸国との協調、協力をどうするのか、これらは今後の日本外交の大きな課題であります。いかなるアプローチをしようとしていますか、お尋ねします。  ところで、一連の首脳会談の設定や尖閣問題など外務省の対応ぶりに私は首をかしげることが度々ありました。特に、中国やロシアの関係で外務省の情報収集能力に疑問を感じています。前原外務大臣、対中、対ロの情報収集能力、外務官僚との関係を含めて、率直な見解をお尋ねします。  さて、今回のAPECの焦点の一つがTPP参加問題であったのは否定できません。菅総理は、TPP問題を黒船に例えて平成の開国と称し、参加することの意義を強調されました。APECの会合でも、自由貿易を進めるとともに、輸出もできる競争力ある農業にするため改革を進めていくと前向きの姿勢を表明しました。確かに、多国間の協定であるTPPに参加すればすべての関税がゼロとなり、輸出国である日本にとっては大きなメリットになります。他方、米など農産品は関税障壁がなくなることで致命的な打撃を受けることが懸念されています。  政府は、当初の参加方針を先送りして、国内の環境整備を早急に進め、関係国と協議を開始するというところにとどめました。これは、民主党の議員の半数が時期尚早だと反対を表明し、全国の農水産業関係者が直ちに大規模な反対デモを行うなど、利害が真っ向から対立しているのが現状だからだと思います。  TPPは、来年十一月にハワイで開かれるAPECで交渉の妥結が図られる見通しと聞いています。日本の参加が遅れれば、ルール作りに関与できず不利な立場に置かれると言われていますが、閣内や党内の対立をどう克服するのか。積極派の菅総理、前原外務大臣に考えを伺います。  次に、大畠経済産業大臣にお尋ねします。工業製品の輸出増加などのメリットがあり、産業界が歓迎しているのに慎重なのはなぜでしょうか。  鹿野農林水産大臣にお聞きします。食料自給率が四〇%から一三%に下がるとの試算があるようですが、農業関係者の方々の保護を最優先するという立場だけで将来の日本農業の未来は開けるのでしょうか。見解をお聞かせください。  さて、私は沖縄及び北方問題に関する特別委員会に所属をしています。そこで常に疑問に思っていたのは、米軍基地を抱えた沖縄の問題と北方領土問題を一つの委員会にしておいてよいのかということです。この際、この委員会を二つに分けてはどうでしょうか。特に、北方領土問題については、北方領土問題特別委員会をつくることでこの問題に取り組む国会の姿勢をアピールできるのではないかと思います。この委員会の在り方についての論議を参議院として行うことを議員の皆さんに訴えたいと思います。  さて、北方領土に関してですが、我が国の情報収集力を高め、この問題を世界に発信していくためには、予算を含めた特段の工夫が必要だと思うのですが、今の北方領土関係予算は十億円です。国の予算の立て方を見れば、その国が何をしようとしているのか分かると言われます。今後もこのような小規模予算でよいのか、北方領土問題に取り組む覚悟も含めて馬淵沖縄北方担当大臣に伺います。  終わりに、私が今大変心配しておりますのは、社会に拡大しつつある偏狭なナショナリズムのことです。尖閣諸島のことがあったためだと思いますが、先日の読売新聞の世論調査では、中国を嫌う人が八四%に上りました。  TPP参加問題が黒船であったとしても、幕末のような下関戦争や薩英戦争を経なくては開国できないということであってはなりません。国を開くと同時に、私たち日本人の心も一緒に開いていかなければならないと私は強く思っています。そのためには丁寧な説明が必要です。今の民主党政権に足りないのはそこのところです。  菅総理は、現在の国民の意識についてどのような認識を持っているか、そして国を開く際に高じるであろう攘夷の精神に対してどのようにして国民の皆さんに説明をされるおつもりかをお聞きして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
  8. 菅直人

    ○内閣総理大臣(菅直人君) 今野東議員にお答えを申し上げます。  まず、東アジア共同体構想についての質問です。  我が国は、日米同盟を外交の基軸として、アジア諸国との間で様々な面で連携を強化し、将来的には東アジア共同体を構想していくこととしています。  東アジア共同体構想を推進していくには、近隣諸国との間で、政治、経済、文化などの様々な面で関係を強化していくことが不可欠であります。この観点から、国民間の信頼醸成は重要であり、そのためには歴史問題を丁寧に解きほぐしながら、教育、青少年交流、文化交流等の領域を含む様々な分野で、開放的で透明性の高い地域協力を着実に推進していくことが重要と考えます。  次に、日米・日中・日ロ首脳会談についての質問です。  まず、今般のAPEC首脳会議において、議長として横浜ビジョンを取りまとめたことに加え、米国、中国、ロシアを始め七か国との間で首脳会談を行いましたが、それぞれに大きな成果があったと考えています。  オバマ大統領とは、日米同盟を深化、発展させ、来年前半に招待をいただいた私の訪米機会に二十一世紀の同盟ビジョンを共同声明のような形で示すことで一致いたしました。  胡錦濤中国国家主席とは、尖閣諸島は我が国固有の領土であるとの我が国の立場を述べるとともに、戦略的互恵関係を発展させていくことや、政府間・民間交流の促進、経済分野を含むグローバルな課題での協力を強化していくことで合意しました。  メドベージェフ・ロシア大統領とは、国後島訪問について抗議の意を明確に伝えました。その上で、領土問題の解決のための協議と経済協力のための協議を首脳同士を含め進めていくことについて改めて合意をいたしました。  普天間飛行場移転問題と日米関係についての御質問をいただきました。  昨今のアジア太平洋地域の情勢を考えると、日米関係は新たな安全保障環境に直面していると考えます。日米同盟を二十一世紀にふさわしい形で深化、発展させることが喫緊の課題であると認識しています。  普天間飛行場の移設問題については、私からオバマ大統領に対して、本年五月の日米合意を踏まえ最大限の努力を払っていく旨伝達をしたところです。来年前半の私の訪米の機会に向けて、日米間で緊密に議論をしていきたいと考えております。  次に、人権諸条約の締結に関する米国への働きかけについての御質問です。  御指摘のとおり、米国に対しても、例えば十一月の五日、ジュネーブの人権理事会において実施された米国の人権状況審査において、我が国は、米国が未締結の児童の権利条約、女子差別撤廃条約について早期に締結することを勧告をいたしました。  次に、尖閣諸島、北方領土及び我が国の対中・対ロ外交について御質問いただきました。  日中首脳会談では、尖閣列島について固有の領土であるという我が国の立場を述べました。また、日ロ首脳会談では、北方四島は我が国固有の領土であるとの我が国の原則的立場を踏まえ、メドベージェフ大統領の国後島訪問について改めて抗議をいたしました。日ロの平和条約交渉においても、この日本の原則的立場を当然の前提としてロシア側と議論をいたしております。  アジア太平洋地域の平和と繁栄を確保するためには、日米同盟を深化、発展させつつ、アジア諸国との連携を強化することが重要であります。その上で、中国とは国際社会の責任ある一員として、適切な役割と言動を期待をいたしております。いずれにせよ、大局的な観点から、日中間の戦略的互恵関係を深める日中双方の努力が不可欠であります。  また、ロシアとの間では、従来、首脳間での領土交渉は必ずしも十分進展しておりませんでしたが、領土問題の解決のための協議と経済協力のための協議を首脳同士を含めて進めていくことについて合意をいたしました。私の内閣では、強い意思を持ってロシアとの交渉を粘り強く進めていく考えであります。  次に、TPPの参加についての御質問をいただきました。  御指摘のとおり、九か国間のTPPの交渉が速いスピードで行われる可能性があるのは事実であります。私自身、APEC首脳会議の期間中に開催されたTPP協定交渉参加国の首脳会合にオブザーバーとして参加いたしましたが、そこでは来年のAPECのホノルル会合までに交渉の結論を得ることを望むとの議論が行われておりました。  TPPについては、情報収集を進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めるとともに関係国との協議を開始するとしたところであり、国民の理解の深まり具合なども総合的に勘案しながら交渉参加の判断を行うことといたしております。このため、党、国民の皆様の間の意見に耳を傾けながら、適切な判断を行っていく所存であります。  次に、国民意識に関する質問をいただきました。  国民意識に関しては、我が国のみならず、互いに気を付けなければならない問題だと心配をいたしております。一つは、それぞれの国が経済と国民生活の向上に努め、また、経済交流や協力によって相互に生活水準を高めていくことが必要だと考えております。また、政治や文化を含めて交流の促進を図り、互いが理解し合える関係を築いていくことが重要であると考えます。  互いに良き隣人として、お互いに主張するべきは主張し、自由に物が言え、そして連帯して発展していく、そうした環境をつくる努力こそ国を開く道であると考え、菅内閣として推進していきたいと考えております。  残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)    〔国務大臣前原誠司君登壇、拍手〕
  9. 前原誠司

    ○国務大臣(前原誠司君) 外務省の情報収集及び官僚との関係についてのお尋ねでありますが、外務省では、対中国、対ロシアを含めて適切に情報収集を行い、その結果は私にも随時伝えられております。情報収集活動の不断のチェックも必要で、随時行っております。事務当局との緊密かつ円滑な意思疎通を踏まえて、私始め政務三役が政策決定を主導しておりまして、今後も一致協力して外交に当たってまいります。  TPPについてお尋ねですが、包括的経済連携に関する基本方針は、党内の提言をしっかりと受け止めた上で関係閣僚間でしっかりと議論して策定をいたしました。今後も、農業の再生と国を開くことを両立させるため、政府・与党連携して取り組んでまいります。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣大畠章宏君登壇、拍手〕
  10. 大畠章宏

    ○国務大臣(大畠章宏君) 今野議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、TPPを含むEPAは、これからの日本の将来を考えるとき、新成長戦略を実現する手段として、日本に立地する企業の競争力を高めてアジアなどの成長を取り込みやすくする、すなわち人、物、金の流れを拡大する、日本経済を活性化する効果があります。  また、TPPを含むEPAを推進することは、アジア太平洋地域における新たな国際経済ルール作り、すなわちASEANプラス3、ASEANプラス6に加え、FTAAPに向けての新たな国際経済ルール作りに寄与する効果が期待されているわけであります。  ただし、九日に閣議決定されました包括的経済連携の基本方針に沿って、高いレベルの経済連携の推進と農業・農村の振興とを両立させるためには、持続可能な力強い農業を育てるなどの農林水産業の抜本的な構造強化対策を講ずることが大前提となりますので、農林水産大臣等の関係閣僚と全面的に協力しつつ、国民の皆さんのより一層の理解を得ながら、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣鹿野道彦君登壇、拍手〕
  11. 鹿野道彦

    ○国務大臣(鹿野道彦君) 今野議員に最初に申させていただきますが、自給率についてお触れになりました。  私どもといたしましては、現状のこの農業の実態、実情に合わせて、関税ゼロになった場合に四〇%が一三%になりますよというそのままの考え方を出したわけでありまして、決して後ろ向きな姿勢で出したわけではございませんということだけは申させていただきたいと思います。  そこで、我が国の農業の競争力に資する政策についてということでお尋ねでございますが、今の我が国農業は、御承知のとおりに、農業従事者の高齢化、あるいは後継者難、そして低収益性など、将来に向けた持続的な存続が危惧されるというような状況にあります。そういう意味で、こういう状況を踏まえて、競争力の向上や海外におけるところの需要拡大等、我が国の農業の潜在力を引き出す政策対応が不可欠でございます。  このため、農業構造改革推進本部、これは仮称でございますけれども、これを立ち上げまして、戸別所得補償制度あるいは六次産業化によるところの活力ある農山漁村の再生、食の安全、安心の確保、農産物等の輸出促進など、農業の競争力強化に向けた国内対策を検討していくことといたしているところでございます。(拍手)    〔国務大臣馬淵澄夫君登壇、拍手〕
  12. 馬淵澄夫

    ○国務大臣(馬淵澄夫君) 北方関係予算についてのお尋ねがございました。  北方領土問題については、北方四島の帰属の問題を最終的に解決し、日ロ平和条約締結をするという我が国の一貫した基本方針の下、引き続き粘り強い外交交渉を行う必要があると考えております。そして、この粘り強い外交交渉を後押しする最大の力は、北方領土返還を求める一致した国民世論の形成であります。  御指摘の十億円、これは国民世論の啓発を主たる任務とする内閣府北方対策本部の予算であります。政府全体としては、外務省等においても所要の予算を計上しておりますが、内閣府としては、とりわけ若い世代に対する取組に重点を置き、北方領土教育、後継者育成、返還運動の推進、これらを図るため必要な予算を確保するとともに、その中で施策の質を高めていくことがより重要であると考え、一層効果的な施策の推進に努めてまいりたいと考えております。(拍手)     ─────────────
  13. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) 浜田和幸君。    〔浜田和幸君登壇、拍手〕
  14. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 皆さん、おはようございます。  私、浜田和幸、自由民主党を代表して、総理が大きな成果を得て成功裏に終了したと自画自賛されておりますAPECについてお伺いしたいと思います。  しかし、その前に、何ですか、柳田法務大臣のあの無責任な発言。どんな質問があっても、個別の事案には答弁を差し控えさせていただきたい、すべては法と証拠に基づいて対応しています、この二つだけ頭に入れておけば何でもかんでも乗り越えられる。そんな法務大臣、どういう理由で、菅総理、指名されたんですか。  実際、柳田大臣は、この二つの言葉を各種委員会で三十九回も連発しています。こんな無責任な法務大臣、一日も早く罷免されるべきだと思いますが、総理、いかがですか。  その上で、APEC。  菅総理が尊敬されている「平和の代償」の著者である故永井陽之助教授、私も現実的外交については多くのことを学ばせていただきました。今や日本国の総理大臣、最高指導者です。共に永井教授の政治理論を学んだ者同士、日本外交の進路をしっかりと議論したいものです。天上界におられる永井教授のところにも届くような魂のこもった答弁を総理にはお願いしたいと思います。もし答弁が不明確、不十分であるような場合には、再質問も行うことをあらかじめ申し上げておきます。  まず、APECの日中首脳会談でも取り上げられた尖閣諸島をめぐる問題について。  九月七日、中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突して以来、政府は一貫してビデオの全面公開を拒んできました。しかし、十一月五日、ユーチューブに四十四分二十三秒もの映像が流出。大勢の国民がこの衝撃的な映像を目にして海上保安庁の行動を支持しております。それなのに、政府は依然として事実を隠し続けています。  全世界に日本の正当性を主張できるこのビデオを隠したことに何の意味があったのでしょうか。検察・警察当局も、ビデオを流出させた海上保安官については守秘義務違反容疑では逮捕できないとの判断を下しました。要は、問題の映像には秘密の度合いはないということではありませんか。そもそも、全編二十時間を超えるビデオには、日本国民をだましても守らなければならないような、そんな中国の怪物でも映っていたんですか。  速やかにビデオを公開し、事実を示せば、総理が出席された国連総会やASEM、ホストを務められた今回のAPEC、そういった場で、尖閣諸島は日本の古来の領土であり、我が国の実効支配が及んでいるということを疑いの余地なく納得させることができたはずです。総理、あなたはそうした機会をみすみす逃してしまいました。  菅政権の隠ぺい体質そして柳腰ならぬ腰砕け外交が、日々、日本の国益を損なっているのです。中国との間に領土問題を抱えるアジア諸国の間にも、日本の外交姿勢に対する失望感が広がっています。  このビデオ映像は、海上保安庁の一職員ではなく、本来政府の手で公開され、戦略的に使われるべきものでした。海上保安庁には激励の電話やメールが続々と入っているようですが、こうしたほうふつと沸き上がっている国民の声をどう受け止めておられますか。  いずれにせよ、ビデオ流出に関し総理は、管理責任が不十分だった、このことについては最終的に私自身にも当然責任があると認めておられます。さすが総理です。また、流出を防げなかった意味も含め、直接的にはそれぞれの部局にそれなりの責任があると、海上保安庁を所管する馬淵国土交通大臣の責任にも触れておられます。  しかしながら、黒を白と言いくるめるのがお上手な仙谷官房長官は、国家公務員の気の緩みを強調し、政治職と執行職のトップの在り方は違うと詭弁を弄し、鈴木海上保安庁長官にすべてを押し付け、逃げようとしています。  思えば、東工大の学生のころ、菅総理は学生運動のリーダーでした。小生も国際反戦デーのデモに参加したものです。その当時、菅総理は四列目の男と呼ばれていましたね。デモ隊の四列目にいれば、機動隊とぶつかっても捕まる可能性は少ないから。留年までして学生運動の指導者であり続けていながら、あなたはいつでも逃げることを考えていたようでした。  幾ら何でも、今でもそんな体質を引き継いでいられるとは思いたくありません。陰の総理と呼ばれる仙谷官房長官の後ろに逃げ込むような見苦しいまねはやめていただきたい。ましてや、石にかじりついても総理を続ける、この発言、何ですか。総理がかじりつこうとする石は、仙谷という石ですか。御自分の信念や国家観はどこに行ったんですか。正々堂々と最前列に出て、自らの言葉で国民にも世界にも向き合ってほしいものです。  もし今回のビデオ流出問題で閣僚のだれ一人も責任を取らなければ、政治主導という看板が泣きます。何か失敗すれば役所のせい、マニフェストが達成できないのは前自民党政権のせいと言い張る言い訳内閣であることを改めて内外に示すことになります。国民はそんな言い訳内閣にほとほと愛想を尽かしています。  政府はこれまで、ビデオの管理は厳重にしてきたと繰り返し説明し、何本のビデオが存在するかは明らかにしませんでした。教材用にダビングされた複数のビデオが存在し、神戸の海上保安官が簡単に見られる状態になっていたことは、情報管理がなっていなかっただけではなく、我々にうその説明を重ねてきたということになります。言い訳が多く、ひきょうなだけではなく、菅内閣はうそつき内閣でもあるわけです。  鳩山政権が普天間問題で米国との関係を悪化させた結果、尖閣では中国に攻められ、ロシアのメドベージェフ大統領には我が国固有の領土である北方領土の国後島に足を踏み入れさせてしまいました。これはソビエト時代にもなかったことです。  沖縄の祖国復帰運動に始まり、北方領土の問題の解決に精力的に取り組んでおられた永井陽之助教授のことを思い出すと、菅君、目を覚ませ、日本人としての誇りを取り戻せと嘆いておられる気がしてなりません。  要は、菅内閣は祖国を全力で守るという気概も、党内の合意も、同盟国の支持もない、三ない、情けない状況に陥っているわけです。そこに中国やロシアが付け込んできたわけです。一連の対応が日本の国益を著しく損なったという点で、菅総理の責任は極めて重いと思います。  改めてお伺いします。ビデオ流出の責任を明確にするため、馬淵国交大臣若しくは仙谷官房長官を罷免されるお考えはありますか。また、御自身がお辞めになる、そんな考えはおありになりませんか。  さて、APECでは中国の胡錦濤国家主席と得意の二十分間会見をされましたが、支持率急落の最大の原因となった尖閣問題について双方の立場を述べ合っただけで終わったのではありませんか。中国外交部の説明を見ると、漁船衝突事件も尖閣問題についても話し合った形跡がありません。新華社の報道では、胡主席が菅総理に対し、双方は共に努力をし、交流を根気よく続け、両国人民の相互理解と友好的感情を増進すべきと述べたところ、菅総理は、日中関係の発展に関する胡主席の意見に全面的に賛同と答えたとされています。また、上海万博の成功に祝意を表したとなっているではありませんか。  総理、この期に及んで上海万博の成功に祝意を表するとは笑止千万。これでは日本国民の怒りは通じるわけがありません。毎回の立ち話外交では、メンツだけを守ろうとする、そんな最高指導者、日本としてはもうこれ以上認めるわけにはいきません。  アメリカの海軍情報分析センターでは、今回、漁船に偽装した中国の工作船が意図的に起こした衝突事件とみなしています。そうした中国船が再度日本の領海を侵犯した場合、どうするおつもりですか。東シナ海のガス田についても、中国側は日本の海底資源を盗掘している可能性があります。そうした動きを止めるにはどうすればよいとお考えですか。  例えば、中国との太いパイプを誇る小沢一郎さんをなぜ使わないんですか。昨年、大勢の民主党国会議員を引き連れて北京もうでをされたではありませんか。習近平次期国家主席を天皇陛下に無理やり会見させたではありませんか。また、次期首相に内定している李克強さんを自宅に下宿させていたではありませんか。それだけ太いパイプを中国に持っている小沢さん、一兵卒になったという小沢さんを動かせないで日本国の最高司令官と言えるんですか。  ロシアとの関係についても同様の懸念があります。菅総理は、APEC終了後の記者会見で、領土問題の解決と経済協力の二つの分野で話し合うことができ、それぞれ進展することができたと述べておられます。じゃ、具体的にどんな進展があったんですか。ロシアの報道では、メドベージェフ政権は、平和条約締結後に北方領土の色丹島と歯舞群島を日本に引き渡すと明記した日ソ共同宣言を土台とした交渉を今後は行わないと決めたというではありませんか。これなど、進展どころか、これまでの日本外交の努力を無にする大敗北としか言いようがありません。一体どのような戦略で今後北方領土問題を解決するお考えなんでしょうか。  メドベージェフ大統領の言動を変えるにはプーチン首相への働きかけが欠かせません。幸い民主党には最終兵器があるじゃありませんか。最前列に座っておられるヤワラちゃんこと谷亮子議員、柔道黒帯のプーチン首相を味方に付けるには最強の人材でしょう。トヨタ自動車と新幹線、いずれもロシアが求めている宝です。組み手に強い谷議員の力と人脈を生かせる機会になると思いますが、いかがでしょうか。  日米関係についても同様です。  日米安保改定五十周年にもかかわらず、共同声明すら出せない。こんな日米関係、どうなんですか。  また、TPPの問題についても同じです。  自民党のみならず、民主党の内部すらまとめ切らないままTPPへの参加を決めた。これでは日本の外交はおかしくなることは当たり前です。我が鳥取県では、民主党も自民党もこのTPPに関しては慎重な考えであります。どうやって日本の農業を強くされるのか、菅総理の日本の第一次産業に対する思いを是非語っていただきたい。  一日も早く菅総理が責任を取って辞任されることをお願いして、私の質問に代えます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
  15. 菅直人

    ○内閣総理大臣(菅直人君) 浜田議員の御質問にお答えをいたします。  まず、柳田法務大臣の発言をめぐっての御質問をいただきました。  これ、質問通告がなかったんですけれども、本日、この問題では官房長官が大臣を呼んで事情を聞くことといたしております。  また、浜田議員からは、永井陽之助先生の話あるいは私の学生時代の話、大変興味深く聞かせていただきました。大変現実主義者という形で活躍をされた永井先生のお弟子さんらしい現実的な提案もたくさんいただいたと思っております。  もっとも、私の学生時代のことは、同じ大学におられたわけでもありませんので、若干情報が混乱しておられるところもありましたが、また個人的にお話しする機会があったら永井先生の思い出でもお話ししたいと思います。  さて、まずビデオ映像に関する質問をいただきました。  中国漁船衝突事件のビデオ映像の取扱いについては、国会からの所定の手続による要求があれば、捜査の状況等を踏まえ、適切な判断がなされ、またなされるべきものと考えます。  映像流出に関する国民の皆さんの率直な感想は分かりますが、海上保安庁は捜査権を有する行政機関であり、海上保安官はその一員であります。仮に捜査中の資料を意図的に漏えいすることができるとするなら、それは公務員の服務規程の否定、捜査機関としての機能と規律の喪失を招くものと認識をしております。  また、流出に係る閣僚の責任いかんとの御質問でありますが、本件については現在捜査中であり、まずは真相究明が必要であります。そして、再発防止策の確立が政治の責任として急務と考えております。  次に、日中首脳会談と対中外交についての御質問をいただきました。  日中首脳会談では、尖閣諸島については我が国固有の領土であるという我が国の立場をまず述べました。そして、尖閣諸島については我が国が実効的に支配をしているわけであります。同様の事案が発生した場合には、個別の具体的な事情に応じて、捜査機関において引き続き法と証拠に基づいて適切に対処されることになると考えております。  東シナ海について、我が国としては、東シナ海を平和、協力、友好の海とするとの首脳間の共通認識の下、二〇〇八年六月の日中間の合意を実施すべく、中断している国際的約束締結交渉の早期再開を働きかけてまいります。また、白樺については、引き続き一方的な活動を控えるよう求めてまいります。  なお、私として、議員外交の重要性も十分認識しております。その上で、政府の責任において主体的で能動的な外交を推進するということも当然のことでありますけれども、そういう決意で臨んでまいりたいと、このように思っております。  次に、日ロ関係と北方領土の問題についての御質問をいただきました。  今回の日ロ首脳会談では、領土問題の解決のための協議と経済協力のための協議を首脳同士を含め進めていくことについて合意をいたしました。その上で、メドベージェフ大統領からの訪ロの招待に対し、私の方からは検討したい旨申し上げました。プーチン首相への働きかけについての御提案は、一つの意見として受け止めたいと思います。首脳間の直接の議論を含め、強い意思を持ってロシアとの交渉を粘り強く進めてまいりたいと思っております。  次に、日米同盟についての御質問をいただきました。  先日の日米首脳会談では、オバマ大統領との間で、日米同盟を安全保障、経済、そして文化・人材交流の三本柱を中心に深化させ、来年前半の私の訪米の機会に二十一世紀の日米同盟のビジョンを共同声明のような形で示すことで一致いたしました。また、普天間飛行場の移設問題については、オバマ大統領に対し、五月二十八日の日米合意を踏まえ最大の努力を払っていく旨伝達し、在日米軍駐留経費負担については基本的な方針の一致を見たところであります。  私の沖縄県への訪問については、今後適切に判断してまいりたいと思います。  次に、FTA、EPA、ASEANプラス6、TPPに関する質問をいただきました。  我が国は今、歴史の分水嶺とも呼ぶべき大きな岐路に立っております。世界の国々が国を開き、次々と経済連携を結び、自由な貿易圏を形成している中で、我が国はこの世界の潮流から取り残されつつあるという危機感を抱いております。  また、アジア太平洋地域は世界の成長センターであるとともに、この地域における経済統合の動きは目覚ましく進展していると思っております。思い切って国を開き、世界の活力を取り込むことが不可欠であると考えております。  なお、予定された質問がなかったものですから、答弁漏れはないと思いますけれども、そのことを申し上げて、私の答弁とさせていただきます。(拍手)     ─────────────
  16. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) 横山信一君。    〔横山信一君登壇、拍手〕
  17. 横山信一

    ○横山信一君 私は、公明党を代表し、菅総理大臣のAPEC横浜会合に関する報告に対して質問いたします。  まず、日中首脳会談について伺います。  菅総理は、APEC閉幕後の記者会見で、私の就任時に戻すことができたと述べて日中修復を強調しましたが、これは考え違いも甚だしいのであります。事実上の報復措置であったレアアースの輸出停滞や、一方的に延期された東シナ海ガス田の共同開発のめどは立っておりません。また、日本企業社員の拘束事案の真相も明らかになっておりません。これらの問題について、総理はどのように対処されるお考えか、お答えください。  日ロ関係については、メドベージェフ大統領による国後島訪問という暴挙を許すなど、尖閣諸島をめぐる対中外交の敗北に続き、国民の菅外交への信頼は、支持率の大幅な下落同様、大きく失われております。  日ロ首脳会談では、大統領の国後島訪問に対し、日本政府として抗議を行ったとのことでありますが、ロシア領内のどの地域を訪問するかは大統領が決めることと反論されたと報じられております。  そもそも、北方領土については、一九九三年の東京宣言において、四島それぞれの島名を列挙して、帰属の問題が存在すると確認されていたはずであります。メドベージェフ大統領の発言は、これまでの交渉を無視するものであり、断じて容認できるものではありません。菅総理は首脳会談において、こうした大統領の発言に対し、これまでの日ロ間の合意を確認されたのでしょうか、お答えください。  菅政権の拙劣な対ロ外交によって、残念ながら領土交渉は大きく後退をいたしました。昨日には、一九五六年に合意された歯舞、色丹の返還すら拒否すると報じられており、今後の領土交渉は難航することが明らかであります。  領土交渉は再構築しなければなりません。その第一歩として、総理自らが北方領土を訪問するべきであります。総理自身が自分の目で見て、全身で北方領土を感じるところから領土交渉を始めるべきです。日ロで実施している四島交流は、現島民との相互理解の増進を目的としており、総理が訪問できない理由などありません。四島は日本の領土であること、そして帰属問題が厳然とあるということを今こそ毅然として国際社会に示す必要があります。  政権交代以降、現職閣僚による北方領土訪問は途絶えております。今こそ北方領土を訪問すべきです。総理の御決断をお聞きいたします。  日米関係について伺います。  オバマ大統領より、来年前半の訪米が招請されるとともに、その際の共同文書発表が提起され、菅総理も合意されました。このことは、事実上、訪米前までに普天間問題の解決を要求されたのと等しいと考えるのが外交上の常識であります。  五月の日米合意以降、この問題の解決へ向けて一向に取り組んでこなかった総理は、どのように沖縄に向き合い、決着を図るおつもりなのか。この問題を解決しなければ、今度こそ日米同盟の信頼が地に落ちることは必至であります。総理の覚悟を伺います。  また、総理は、アフガニスタン国軍の医療分野での教育訓練について前向きに検討する旨をオバマ大統領に伝えました。反政府勢力の掃討作戦が続くアフガニスタンへの自衛隊医官の派遣がこれまでの憲法解釈との整合性を伴うのか、武力行使の一体化のおそれはないのか、答弁を求めます。  次に、経済連携に関して伺います。  世界の成長の牽引役ともいうべき東アジアの成長を我が国も取り込まねば、日本の将来を描くことは困難であります。そのためには、我が国が進むべき方向性、国家ビジョンを明確に示す必要があります。総理は一体どのようなビジョンをお持ちなのか、伺います。  総理は、平成の開国と声高に叫ばれました。しかし、これまで開国に向けて菅総理は何をしてきたでしょうか。平成の開国を進めるための具体的な道筋、ビジョンを示さないばかりか、国際社会から信頼されるための努力が全く見えないのであります。  さらに、明治維新以来の開国を目指すのであれば、強固な政権基盤がなくてはなりません。しかし、支持率は下がり続け、尖閣ビデオの流出事件に見られるように、政権のガバナンスは欠如、高速道路の無料化や八ツ場ダムなど、民主党政権が重要政策に掲げた案件に方向性を示せないリーダーシップのなさ等々、これほど基盤が脆弱な政権で本当に国を開くことなどできるのか、甚だ疑問であります。総理の見解を伺います。  次に、TPP交渉について伺います。  国を開けば農業は強くなるなどの発言が目立ちますが、そもそも食料自給率はカロリーベースで計算されており、その品目の中で大きな比重を占める米、小麦、トウモロコシなどは世界の主要作物であります。これらの競争は単純に価格と収穫量であり、耕作面積の少ない日本では太刀打ちできません。  自由貿易を標榜するアメリカですら、乳製品や砂糖は頑として守っております。カナダも同様であります。近年急速に貿易自由化を進めている韓国でも、米は開放しておりません。EUに至っては、農村の地域産業を守るために、単一直接支払によって農業を保護しております。これが先進国の食料を守る姿勢であります。  菅総理、今のあなたのやっていることは余りに無策であります。金さえあれば食料は幾らでも買えると思っているのではないですか。これからの世界の食料事情は年々逼迫してまいります。具体的な戦略がないままの交渉開始は、極めて危険なことであります。食料自給率五〇%の目標は取り下げたのか。そうでないならば、その道筋を示してください。  我が国の大半は農山漁村地域で占められており、地方への影響が懸念されます。とりわけ、サトウキビ以外の代替作物のない島嶼県や、我が国の食料供給を担う東北、北海道への影響は甚大であります。特に北海道では、米、小麦、乳製品などの重要九品目の関税が撤廃されると、販売農家の七割以上に影響があり、その損害額は年間五千億円を超え、農機具、肥料、燃油などの関連産業を含めると、その影響額は年間二兆円以上という深刻なものであります。  そこで、菅総理は、これらの地域に与える影響に対し、どのような対策をお持ちなのか。自治体の崩壊すら危惧される状況に対して、どのような戦略を持って臨むのか、お答えください。  政府は、これまでのWTO農業交渉において、多様な農業の共存を基本とし、多面的機能や食料安全保障を確保することを主張してきました。EPA交渉においても、WTO交渉に配慮することを求め、除外・例外品目の確保に努めてきました。  しかし、今般のTPPへの参加表明により、関係各国からは、日本は関税撤廃の方針を宣言したと受け取られる懸念があります。これまでのWTO農業交渉における日本側への理解が遠のき、EPA交渉においては除外・例外品目の設定が困難になるおそれがあります。これらに対し、今後どのように対応されるのか、伺います。  自公政権では、WTO交渉の妥結を見据え、水田・畑作経営所得安定対策による構造改革を推進してきました。しかし、民主党政権は、構造改革の前に、規模、形態にかかわらず、すべての農業者を対象とする戸別所得補償制度を導入しました。その制度が定着する前にTPPの協議を開始するとはどういうことでしょうか。  政府は、農業構造改革推進本部を設置し、平成二十三年六月を目途に農業構造改革の基本方針を決定し、十月には行動計画を策定するとしています。しかし、わずか一年で農業関係者との合意を得たものを策定するなどということが果たしてできるのでしょうか。一体どう考えているのか、お答え願います。  今回採択された横浜ビジョンでは緊密な共同体を目指すことになりましたが、TPPを推進するアメリカとASEANプラス3を軸とする中国では、主張の対立が目立ち、その将来像は抽象的になっています。そこで、今回の横浜ビジョンで掲げた目標を達成するために我が国としてどのように取り組まれるのか、また関係国との連携を今後どのように図ろうとするのか、総理の見解を伺います。  以上で質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
  18. 菅直人

    ○内閣総理大臣(菅直人君) 横山議員にお答えを申し上げます。  まず、日中関係についての御質問です。  中国のレアアースの輸出制限については、政府として、これまであらゆる機会をとらえ、中国側に改善を求めてきております。今後とも、様々な機会を利用して中国側に働きかけていく考えであります。APECの横浜ビジョンでも、新たな輸出制限を課すことを控えるとのコミットメントを二〇一三年末まで延長することに合意したところであります。  東シナ海資源開発について、二〇〇八年六月の日中間の合意を実施すべく、中断している国際約束締結交渉の早期再開を働きかけていきます。  邦人拘束事案については、引き続き中国側に対して情報提供を求めていくことにいたしております。  次に、北方領土問題に関する日ロ間の諸合意についての御質問をいただきました。  日ロ両国政府の間では、これまでの日ロ間、日ソ間の諸合意、諸文書によって、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の帰属に関する問題を解決することにより平和条約を締結することが合意されています。この諸合意、諸文書には、当然、一九九三年の東京宣言も含まれております。  次に、私の北方領土訪問についての御質問をいただきました。  北方四島は我が国固有の領土であり、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの我が国の原則的立場に変わりはありません。私の内閣では、この立場に基づき、強い意思を持ってロシアと交渉を粘り強く進めていくつもりであります。  なお、帰属の問題があることを国際社会に示すために北方領土を訪問すべきとの意見があることは承知をいたしておりますけれども、このことは、総理がそこに訪問するということのいろいろな意味を考えますと、かなり慎重に考えなければなりません。そういった意味で、北方領土を訪問をする具体的な考えは持っておりません。  次に、普天間飛行場の移転問題と日米同盟についての御質問をいただきました。  普天間飛行場の移設問題については、本年五月の日米合意を踏まえて最大の努力を払っていくとの我が国政府の方針を改めて伝えたところであり、オバマ大統領からは当方の決意と取組を評価する旨の発言がありました。沖縄において普天間飛行場の移設問題について厳しい声があることは十分承知をいたしておりますが、引き続き沖縄の方々の御理解を求め、誠心誠意話し合ってまいりたいと考えております。  次に、アフガニスタンへの自衛隊医官派遣についての御質問をいただきました。  十三日の日米首脳会談において私からオバマ大統領に対して、アフガニスタン国軍の医療分野での教育訓練について要請があると承知しており、前向きに検討していると述べました。現時点では派遣の形態や法的根拠等について検討をいたしているところであります。  経済連携と国家ビジョンについての御質問をいただきました。  御指摘の経済連携については、我が国が進むべき方向性、国家ビジョンは、今月九日に閣議決定した包括的経済連携に関する基本方針がこれに当たると考えております。ここでは、我が国が今歴史の分水嶺とも呼ぶべき大きな変化に直面しているとの基本認識に立ち、強い経済を実現するためには、市場としての成長が期待できるアジア諸国や新興国、欧米諸国、資源国等との経済関係を深化させ、我が国の将来に向けて成長・発展基盤を再構築していくことが必要と述べているところであります。  国を開くことについての御質問をいただきました。  六月に定めた新成長戦略にのっとり具体的な幾つかの成果を上げてまいりました。例えば、ベトナム政府が原子力発電所、レアアースについて我が国をパートナーとして決定をいたしました。インドとの間ではEPAについて実質合意をいたしました。こういった実績を踏まえつつ、先般、包括的経済連携に関する基本方針を閣議決定し、国を開き、未来を開くための決意を固めました。早速、先般のAPEC首脳会議の際のペルーとの首脳会談で、ペルーとの間のEPA実質合意を発表いたしました。日本の国益の観点から、今後とも不退転の決意で取り組んでまいります。  次に、TPPと食料自給率について御質問をいただきました。  食料自給率については、九日に閣議決定した包括的経済連携に関する基本方針においても、高いレベルの経済連携の推進とともに、我が国の食料自給率の向上や国内農業・農村の振興とを両立させることを明定いたしております。持続可能な力強い農業を育てるための対策を講じるべく、農業構造改革推進本部を設置し、検討を行うこととしています。  具体的対処については、例えば農業の二次産業や三次産業への進出による六次産業化、新規参入支援を進めるための農地利用の在り方の検討、規模拡大や生産性向上、輸出支援等の措置を検討してまいります。  次に、TPPの農山漁村地域、特に北海道への影響についての御質問をいただきました。  御指摘のあった北海道は、国内の農業産出額八・七兆円のうち一兆円と全体の一二%を占めており、地域経済への影響は少なからずあると認識をいたしております。一方、日本の農業の競争力強化を図る上で、規模拡大や生産性向上は有力な選択肢の一つであります。北海道の場合は、土地の広さなど地理的条件に恵まれている部分もあり、高い潜在力があると認識をいたしております。  次に、TPPとWTO、EPA交渉についての御質問をいただきました。  TPPについては、今般策定した包括的経済連携に関する基本方針において定めたとおり、情報収集を進めながら対応していく必要があり、国内環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始することといたしました。農産品については、基本方針に定めたとおり、政治的、経済的に重要で、我が国に特に大きな利益をもたらすEPAや広域経済連携については、センシティブ品目について配慮を行いつつ、すべての品目を自由化交渉対象とし、交渉を通じてより高いレベルの経済連携を目指していくことといたしております。  WTO農業交渉については、各国の事情に配慮しつつ、それぞれの農業が相互に発展し合うことができる貿易ルールの確立を目指して取り組んでいく所存であります。  次に、戸別所得補償制度及び行動計画策定に関する質問をいただきました。  農業分野の対応策については、農業構造改革推進本部の場で持続可能な力強い農家を育てるための抜本的な対策を徹底して議論していくこととしていますが、戸別所得補償制度については、これを基盤としつつ、規模拡大や生産性向上等を進めるためにはどのような措置をとり得るのかといったことを検討していきたいと思っております。当該本部における行動計画の策定については、農業関係者とも十分に意見交換を行いつつ策定をしてまいります。  最後に、横浜ビジョンの目標達成のための取組と関係国との連携についての御質問をいただきました。  横浜ビジョンに盛り込まれたアジア太平洋自由貿易圏、FTAAPについては、その実現に向けて二国間のFTAやEPAの積み重ね、あるいは多国間におけるASEANプラス3、ASEANプラス6、TPPといった協議など、いろいろな道筋があると認識をいたしております。我が国としては、アジア太平洋地域全体における自由貿易圏を目指し、このような幾つかの道筋について関係国と連携しつつ、それぞれ積極的に進めていく、これが横浜ビジョンの大きな方向性での合意であると、このように認識をいたしております。(拍手)     ─────────────
  19. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) 小熊慎司君。    〔小熊慎司君登壇、拍手〕
  20. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 みんなの党の小熊慎司です。菅総理の報告に対して、みんなの党を代表して質問いたします。  今回のAPECにおいて横浜ビジョンが採択され、緊密な共同体、強い共同体、安全な共同体といったアジア太平洋地域内での将来像が示され、その実現のための道筋が確認されたところです。その中でも、食料安全保障、感染症、環境破壊、テロなどの人間の生存、尊厳に対する広範かつ深刻な脅威を包括的にとらえ、人間中心の視点での取組を目的とする人間の安全保障について議論がなされ、その重要性と強化が確認されたことは一定の評価をするところです。  とりわけ、数年来、日本外交の柱の一つとなっている人間の安全保障は、APECでの経済統合や成長戦略の下支え、大前提となることからも大変に重要であることは言うまでもありません。今回のAPECにおいては人間の安全保障の確立に向けて大きな一歩を踏み出すことができたと思いますが、日本の強いリーダーシップによって今後更に推進することが望まれているところです。  そこで、菅総理にその決意をお伺いいたします。また、それはどのようなタイムテーブルで、具体的にどのように取り組んでいくのか、併せてお伺いいたします。  人間の安全保障を推進していくためには、更なる日本の国際貢献が望まれます。財政難にあえぎ、大幅に国家予算の削減を行うイギリスでさえ、ODA予算は増額し、国際的貢献の中で国家の成長を図ろうとしています。  さきのミレニアム開発目標、MDGsサミットでの途上国の保健・教育分野での日本の新たな支援策を示した菅コミットメントの精神に立脚し、人間の安全保障をより一層強化するためにODA等の積極的取組が必要であると思いますが、菅総理の見解をお伺いいたします。  横浜ビジョンでは、アジア太平洋地域内での経済統合構想であるアジア太平洋自由貿易圏、FTAAPの実現が明確に示されましたが、その道筋としては、ASEANプラス3、ASEANプラス6及びTPPの各取組を基礎とすることとしています。それぞれ各国の思惑と利害が絡み合っている中では、日本がリーダーシップを発揮し国益を確保するためには、あれもこれもではなく、国家戦略上の明確な軸がなければならないはずです。  ASEANプラス3なのか、ASEANプラス6なのか、TPPなのか、アジア太平洋地域での明確な戦略と取組を求めたいと思いますが、菅総理の御見解をお伺いいたします。  また、仙谷官房長官は記者会見で、TPPの参加時期を農業改革基本方針をまとめる来年六月をめどにと発言しながら、その直後には、参加の是非の結論を出す時期を来年十月と後退した発言を行うなど、方針がころころと変わり、交渉参加の時期について明確な方針を出していません。これでは国民に対して不誠実であり、TPPへの取組もその覚悟が疑われても仕方がありません。そもそも、TPP交渉参加国は来年十一月の妥結を目指しているところでもあります。  そこで、菅総理におただしいたしますが、誠実に今後の取組について具体的な期限をお示しください。  また、TPPの妥結には農業の両立が重要であることは総理も言及しているところであります。しかし、今年の米価下落を誘引させた背景の一つとして、安易なばらまきの戸別所得補償制度があることは明確です。このまま成果のないTPPと農業の両立政策を推進してはなりません。農業の再生、食料自給率の向上を図るためには、新規参入や集約化による経営基盤強化といった規制緩和策による攻めの農業を目指すことでTPPと農業の両立が図れるものと考えます。  そこで、TPPと農業の両立は来年度予算にどのように反映されるのか、農業の再生のための競争力の強化の実現は農家の戸別所得補償では達成されないと思いますが、ばらまき的農業政策ではなく、攻めの農業の確立のための対策を求めるところです。菅総理の御見解をお聞きいたします。  APEC開催の中で行われました日ロ首脳及び外相会談におきましては、メドベージェフ大統領の国後島訪問に抗議した上で、日本の北方領土返還に対する基本的立場を主張し、今後の日ロ協力の在り方についても言及したことは一定の評価をするところです。しかし、一方で、ロシアの報道によると、平和条約締結後に歯舞群島、色丹島を日本へ引き渡すことを明記してある日ソ共同宣言に基づく交渉は行わない方針であると伝えています。  このようなロシアの方針転換について、首脳会談等の場において菅総理自身が確認されたのか、お伺いいたします。あわせて、このようなロシアの強硬な方針に対して菅総理は今後どのような姿勢で臨むのか、お伺いをいたします。  また、日ロ外相会談において前原外相は、日ロ関係について、両国がそれぞれ利益を守り伸ばしていく関係に転化するためには、領土問題を解決し、平和条約を締結することなしに信頼関係は構築できないものであり、今後は外相間で議論し、早期解決の努力をすべきであるとの認識を示されました。このような認識は一定の理解をするものですが、ロシア側が強固な姿勢を進める状況では難しいものであり、国民の理解も得られにくいものと思われます。  そこで、前原外相としては、北方領土返還交渉をめぐるロシア側の姿勢についてどのように考えるのか、お聞きいたします。  また、二〇一一年の外相のロシア訪問も確認されましたが、この外相会談で示された認識も含めて、今後、具体的にどのようなロシア外交を進めていくのか、お示しください。  さらに、その場合においては、日ロ双方が、日ソ間のすべての国際約束が日ロ間でも引き続き適用されるということが確認された東京宣言の精神に立ち戻り、返還交渉を行うよう求めると同時に、再度、ロシア大統領が北方領土を訪問しないよう強く要請するべきであると考えます。その上で、日ロ間におけるサハリンや東シベリアでの共同開発を始めとするエネルギー、経済、政治、文化等の分野の協力関係を進めるべきであると思いますが、前原外相の御見解をお伺いいたします。  世間常識でも、真剣に人と話すときにはずっと下を向いてメモばかりを見ているということはありません。また、国を背負うというおよそ一国の宰相の気概とは懸け離れた所在なさげな菅総理の姿ばかり印象に残った日中首脳会談は、菅政権の外交の弱さを象徴していました。菅総理だけの不利益であるならば笑ってやり過ごせますが、そのような総理を押しいただく日本の国家国民が世界中の笑い者にならないことを祈るばかりです。  尖閣諸島沖での中国漁船衝突事案を契機に日中関係は大きく動揺する一方で、菅政権の対中外交は戦略的互恵関係を繰り返し主張するのみで、日中関係の大局を踏まえた対中外交の展望は全く見えていません。今後の対中外交の在り方は、日中間の経済的相互依存を基盤とする対話と交流を深める一方で、日米同盟やインドを含めたアジア諸国、欧州諸国などとの戦略的パートナーシップの関係強化を図ることが望まれております。  そこで、今後、対中外交戦略を再構築し、明確に国民に示すべきであると思いますが、菅総理の御見解をお伺いいたします。  日米首脳会談において、オバマ大統領は日本の常任理事国入りに支持を表明されました。国連の安全保障理事会が国際社会を反映した正当性を持ち、実効性を備えるための改革を訴えてきた日本にとって、安保理への常任理事国入りは大変に重要なことであります。さらに、これまで国際規範を遵守し、国際社会で責任を果たしてきた日本にとっても、より一層の貢献を果たすためにも、是非とも安保理改革を成し遂げ、常任理事国入りを実現することが望まれております。  そこで、日本の常任理事国入りに向けて、今後の安保理改革への取組を菅総理にお伺いいたします。  最後に、菅総理は就任時、勇ましくも奇兵隊内閣と発言されました。ちなみに、私は会津人であります。百四十二年前、私たちの先人たちは悲しくも日本人同士で争いながらも、時代の流れの中で東軍となり、またあるいは西軍となって、いずれもが正しいと信じるままに、それぞれの道へと自分たちの誠を尽くし、士道に殉じました。あのときの御霊たちは、こんな弱腰の外交の日本にするために散っていったのではありません。菅総理の奇兵隊とはこんなものでしょうか。来年、小学校六年生の教科書に掲載される、ならぬものはなりませぬという会津藩の教えがあります。ならぬものがなってしまっている菅内閣は、奇兵隊ではなく、表面だけの言葉を繕う詭弁隊内閣ではないでしょうか。  命懸けで国を背負うという気概の下で魂を込めた答弁をお願いを申し上げ、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
  21. 菅直人

    ○内閣総理大臣(菅直人君) 小熊慎司議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、人間の安全保障の推進についての質問をいただきました。  我が国は、人間の安全保障を外交政策の柱の一つとして重視をいたしております。九月の国連総会一般討論演説でも、私は、人間の安全保障の考え方に沿って、MDGs達成に向けた国際的取組を主導する旨、表明をいたしました。我が国として、人間の安全保障の一層の推進のため引き続き積極的に取り組み、リーダーシップを発揮していきたいと考えております。  人間の安全保障への取組について、タイムテーブル等についての御質問をいただきました。  本年七月、我が国主導の下、国連において全会一致で採択された人間の安全保障に関する総会決議は、総会第六十六回会期二〇一一年九月から二〇一二年九月の間に国連事務総長報告を提出するよう要請しております。以上を踏まえ、具体的には、国連やAPEC等の国際的枠組み及び二国間での人間の安全保障の議論の推進、人間の安全保障基金等を効果的に活用した現場における実践に積極的に取り組んでまいります。  菅コミットメントと人間の安全保障の推進についての質問をいただきました。  人間一人一人に焦点を当てる人間の安全保障は、MDGsを達成する上でも重要な視点であります。本年九月のMDGs国連首脳会合では、私から、保健分野で五十億ドル、教育分野で三十五億ドルの貢献策を菅コミットメントとして発表いたしました。この貢献策の着実な実施を通じ、我が国は人間の安全保障を推進していく覚悟であります。  環太平洋パートナーシップ(TPP)協定及び東アジア政策について御質問をいただきました。  APEC開催を前にして、包括的経済連携に関する基本方針を閣議決定をいたしました。これは、開国と農業再生を両立させ、共に実現する大戦略であります。TPPについては情報収集を進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始をすることといたしました。  先般のAPEC首脳会議においても、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)については、二国間のFTAやEPAの積み重ね、あるいは多国間におけるASEANプラス3やASEANプラス6、TPPといったいろいろな道筋があり、最終的にはアジア太平洋全体における自由貿易圏構築を目指し、このような幾つかの道筋についてそれぞれ積極的に進めることとなっております。  次に、TPP交渉参加の時期についての御質問をいただきました。  TPPについては、九日、閣議決定した包括的経済連携に関する基本方針において、その情報収集を進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始することとしております。この関連で、さきのAPEC首脳会議の際にTPP参加九か国の首脳会合が開かれ、私もAPEC議長としてオブザーバー参加し、情報収集を直接行ったところであります。TPPへの参加については、こういった情報収集を通じて今後総合的に判断していくことになろうと思っております。  次に、農業分野の対応に関する質問をいただきました。  農業分野の対応策については、農業構造改革推進本部の場で徹底して議論をいただくことにしておりますが、戸別所得補償制度については、これを基盤としつつ規模の拡大や生産性の向上などを進めるためにはどのような措置をとり得るのかといったことを検討していきたい。また、例えば農業の二次産業や三次産業への進出による六次産業化、新規参入支援を進めるための農地利用の在り方の検討、輸出支援等の措置も検討したいと考えております。  なお、来年度予算編成については、戸別所得補償制度を含む農業施策に関する要求、要望内容を精査することにより、競争力強化に向けた施策内容の充実を図る必要があります。このため、玄葉国家戦略担当大臣を議長とし、仙谷官房長官、野田財務大臣、鹿野農林水産大臣をメンバーとする四大臣会合で検討を進めてもらっているところであります。  次に、北方領土に関するロシアとの交渉についての御質問をいただきました。  従来、首脳間での領土交渉は必ずしもこの間十分進展しておりませんでしたが、先般の日ロ首脳会談では、領土問題の解決のための協議と経済協力のための協議を首脳同士を含めて進めていくことについて合意をいたしました。その上で、メドベージェフ大統領からの訪ロの招待に対し、私の方から検討したい旨応じたところであります。  日ロ首脳会談の場において、ロシア側からは、御指摘の報道のような日ソ共同宣言に基づく交渉は行わないという発言はありませんでした。日ロ両国政府の間では、これまでの両国間の諸合意、諸文書によって、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の帰属に関する問題を解決することにより平和条約を締結することが合意されているわけであります。私の内閣では、これまでの合意等を基礎として、領土問題の最終的解決を図るべく、強い意思を持って交渉を粘り強く進めていく考えであります。  次に、対中外交についての質問をいただきました。  日中関係は、日中両国のみならず、アジア太平洋地域にとっても重要な関係と認識していますが、中国の透明性を欠いた国防力の強化や海洋活動の活発化には懸念を有しております。アジア太平洋地域の平和と繁栄を確保するためには、日米同盟を深化、発展させつつアジア諸国や欧米諸国との連携を強化することが必要であります。その上で、中国には国際社会の責任ある一員として適切な役割と言動を期待いたしております。いずれにせよ、大局的な観点から、日中間の戦略的互恵関係を深める日中双方の努力が不可欠であると考えております。  次に、安保理改革についての質問をいただきました。  先般、米国のオバマ大統領から我が国の国連安保理常任理事国入りを支持する発言があり、我が国としてはこれを歓迎いたしております。オバマ大統領によるこうした発言は、同大統領が安保理改革について積極的であることを示すメッセージであると受け止めております。安保理改革に向けたこうした機運の高まりを受け、安保理改革を進展させるべく、我が国としてはG4を始めとする主要関係国と緊密に協議をしていく考えであります。  最後に、奇兵隊に触れていただきました。  奇兵隊というものは、御承知のように、一般の庶民が参加をした軍隊でありまして、私は、その持つ意味は今においても大変大きいと思っております。そういった意味で、奇兵隊のその歴史的な重さを考えながら私なりにしっかりと取り組んでまいる覚悟を最後に申し上げたいと思います。  残余の質問については、関係大臣から答弁させていただきます。(拍手)    〔国務大臣前原誠司君登壇、拍手〕
  22. 前原誠司

    ○国務大臣(前原誠司君) 小熊議員にお答えをいたします。  まず、ロシア側の姿勢についてでありますが、二〇〇五年以降、ロシアの政府高官の北方領土訪問は急増しております。例えば、二〇〇五年には国防大臣、二〇〇六年には教育科学大臣やサハリン州知事、二〇〇七年には第一副首相、外務大臣、経済発展貿易大臣やサハリン州知事、二〇〇九年には連邦院議長、二〇一〇年はサハリン州知事が二度訪問しております。  この背景には、資源価格が高騰し、ロシアの財政が比較的豊かになり、今まで放置をされてきた北方領土や千島列島に資金が流入するようになったことがございます。具体的には、約八百億円規模の二〇一五年までのクリル発展プログラムが現在行われており、二〇一一年から第二段階に入るプログラムのフォローアップが政府首脳の訪問の主な目的だと推察をしております。  今後の対ロシア外交についてのお尋ねでございますが、十三日の日ロ外相会談におきましては、ラブロフ外相との間で、北方領土問題に関する立場は日ロ双方で異なるが、相互信頼関係を構築しつつ日ロ関係を推進することで一致をいたしました。また、ラブロフ外相からは訪ロの招請がありまして、私からは来年の適当な時期にロシアを訪問したいという意向を伝達をいたしました。  私としては、今回の外相会談での議論も踏まえ、今後とも、訪ロの機会等を通じて、北方領土問題と経済などの双方についてしっかりと話合いをしていきたいと考えております。  対ロの外交方針についてのお尋ねでございますが、日ロ政府間の間では、東京宣言を含む日ロあるいは日ソ間の諸合意、諸文書によりまして、四島の帰属に関する問題を解決することにより平和条約を締結することが合意をされております。これまでの両国の合意事項を当然の基礎といたしまして、北方四島の帰属の問題を最終的に解決をして平和条約を締結すべく、今後も両国の首脳レベルや外相レベルで議論をしていきたいと考えております。  また、メドベージェフ大統領の北方四島への訪問につきまして、我が方の立場は既にロシア側に明確に伝えております。ロシア側が我が方の立場を十分に踏まえるよう引き続き働きかけを行ってまいります。  一九五六年の日ソ共同宣言以来、北方領土問題解決は我々日本人の悲願であります。我が国固有の領土である北方四島の帰属を確定をさせて平和条約を結ぶという確固とした方針の下、政治、経済、文化、国際場裏など、あらゆる分野においての協力をてこにして粘り強く交渉に臨んでまいります。(拍手)
  23. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  24. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) 日程第二 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(第百七十四回国会内閣提出、第百七十六回国会衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長小泉昭男君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔小泉昭男君登壇、拍手〕
  25. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、地震等による河道閉塞、いわゆる天然ダムの発生などにより重大な土砂災害が急迫している場合において、市町村長が適切に避難指示等をすることができるよう、国又は都道府県による緊急調査の実施、市町村長の避難勧告又は指示の判断に資する情報の提供等について所要の規定を設けようとするものであります。  本法律案につきましては、第百七十四回国会において本院先議で審査した後、衆議院で継続審査中でありましたが、今国会において議決の上、本院へ送付された次第であります。  委員会におきましては、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  26. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) これより採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  27. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  28. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百二十七     賛成           二百二十七     反対               〇    よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  29. 西岡武夫

    ○議長(西岡武夫君) 本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十八分散会