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2009-06-09 第171回国会 参議院 農林水産委員会 13号 公式Web版

  1. 平成二十一年六月九日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  六月四日     辞任         補欠選任      舟山 康江君     藤田 幸久君      吉川 沙織君     亀井亜紀子君  六月五日     辞任         補欠選任      主濱  了君     喜納 昌吉君      藤田 幸久君     舟山 康江君  六月八日     辞任         補欠選任      喜納 昌吉君     主濱  了君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         平野 達男君     理 事                 郡司  彰君                 高橋 千秋君                 加治屋義人君                 佐藤 昭郎君     委 員                 岩本  司君                 小川 勝也君                 大河原雅子君                 金子 恵美君                 亀井亜紀子君                 主濱  了君                 姫井由美子君                 舟山 康江君                 岩永 浩美君                 野村 哲郎君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 風間  昶君                 草川 昭三君                 紙  智子君    衆議院議員        修正案提出者   宮腰 光寛君        修正案提出者   筒井 信隆君    国務大臣        農林水産大臣   石破  茂君    副大臣        農林水産副大臣  近藤 基彦君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       野村 哲郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 朝雄君    政府参考人        農林水産省生産        局長       本川 一善君        農林水産省経営        局長       高橋  博君        農林水産省農村        振興局長     吉村  馨君        農林水産省農村        振興局次長    齋藤 晴美君        国土交通省土地        ・水資源次長  宮崎 正義君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○農地法等の一部を改正する法律案(内閣提出、  衆議院送付) ○参考人の出席要求に関する件     ─────────────
  2. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る四日、吉川沙織君が委員を辞任され、その補欠として亀井亜紀子君が選任されました。     ─────────────
  3. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農地法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、農林水産省生産局長本川一善君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) 農地法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。石破農林水産大臣。
  6. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 農地法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  世界の食料需給が逼迫基調で推移すると見込まれる中、食料の多くを海外に依存している我が国においては、国内の食料供給力を強化し、食料自給率の向上を目指していくことが喫緊の課題となっております。このため、国内の農業生産の重要な基盤である農地について、優良な状態で確保し、最大限に利用されるようにしていくことが求められております。  しかしながら、農業従事者の減少・高齢化等が進む中で、我が国の農地については、耕作放棄地の増加に歯止めが掛からない現状にあります。また、経営する農地が分散している状態にある中で、転用期待等により農地価格が農業生産による収益に見合う水準を上回る傾向にあるなど、効率的な利用に必要な集積が困難な状況にあります。  このような農地をめぐる課題を克服し、将来にわたって食料の安定供給を確保していくため、我が国農地制度を抜本的に見直すこととし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、農地法の改正であります。  同法の目的について、農地は耕作者自らが所有することを最も適当とするとの考え方を、農地の効率的な利用を促進する考え方に改めるとともに、農地について権利を有する者の責務として、農地の適正かつ効率的な利用を確保しなければならない旨を明確にすることとしております。  こうした考えの下、農地を優良な状態で確保していくため、国又は都道府県の行う農地転用について法定協議制度を導入するとともに、農地の違反転用に関する行政代執行制度の創設と罰則の強化を行うなど、農地の転用規制を見直すことといたしております。  また、農地の有効利用を促進するため、地域における農業の取組を阻害するような農地の権利取得を排除した上で、農地の貸借について、その適正な利用が担保される場合に許可基準を緩和することとするほか、農業生産法人要件について出資制限の見直しを行うことといたしております。さらに、遊休農地に関する措置を拡充することとしております。  第二に、農業経営基盤強化促進法の一部改正であります。  農地のより効率的な利用に向け、その集積を一層促進するため、市町村の承認を受けた者が、農地の所有者からの委任を受けて、その者を代理して農地の貸付け等を行うことを内容とする農地利用集積円滑化事業を創設するほか、農用地利用集積計画の策定の円滑化、特定農業法人の範囲の拡大等の措置を講ずることとしております。  第三に、農業振興地域の整備に関する法律の一部改正であります。  優良な農地の確保を確実なものにするため、国及び都道府県が、それぞれ確保すべき農用地面積の目標を定めることを法律上明確にしつつ、国は、その達成状況が著しく不十分な都道府県に対し、内容を示して必要な措置を講ずるよう求める仕組みを整備することといたしております。  第四に、農業協同組合法の一部改正であります。  農地の貸借についての規制の見直しに伴い、農業協同組合自らが、農地の貸借により農業経営を行うことができることとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  7. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員宮腰光寛君から説明を聴取いたします。宮腰光寛君。
  8. 宮腰光寛

    ○衆議院議員(宮腰光寛君) 農地法等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正について、その趣旨を御説明申し上げます。  第一に、農地法目的について、「この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする」とするものであります。  第二に、農業生産法人以外の法人等による農地の貸借に係る許可の要件として、法人の業務執行役員のうち一人以上の者が農業に常時従事すると認められること等を追加することとしております。また、当該許可に当たっては、市町村長は農業上の適正かつ総合的な利用の確保の見地から農業委員会等に対し意見を述べることができることとしております。さらに、農業委員会等は当該許可をする場合、毎年、農地の利用状況について農業委員会等に報告しなければならない旨の条件を付することとするものであります。  第三に、農業生産法人以外の法人等による農地の貸借に係る許可後において、周辺地域農業に支障が生じている場合、あるいは、法人の場合にあっては業務執行役員のいずれもが農業に常時従事していないと認められる等の場合には、農業委員会等は必要な措置を講ずるよう勧告を行うことができることとし、勧告に従わない場合には当該許可を取り消さなければならないものとするものであります。また、当該許可の取消し後の農地については、農業委員会が所有権移転等のあっせん等の措置を講ずることとしております。  第四に、農地法の運用に当たっては、我が国の農業が家族農業経営、法人経営等多様な農業者により、及びその連携の下に担われていること等を踏まえ、農業者の主体的な判断に基づく様々な農業に関する取組を尊重するとともに、地域における貴重な資源である農地が地域との調和を図りつつ農業上有効に利用されるよう配慮しなければならないとするものであります。  第五に、法律案の附則に、政府は、農業委員会組織及び運営、農地に関する基本的な資料の整備の在り方並びに農地の利用に関連する計画その他の制度について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずるものとするとの検討条項を追加するものであります。  その他農地法の修正に併せ、農業経営基盤強化促進法においても同様の趣旨の修正を行うこととしております。  以上であります。  何とぞ御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  9. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分についての説明の聴取は終わりました。  この際、去る五月十四日に行いました視察について、視察委員の報告を聴取いたします。高橋千秋君。
  10. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 参議院農林水産委員会視察報告。  委員会視察の御報告を申し上げます。  去る五月十四日、静岡県において、農地制度等に関する実情を調査し、農地法等の一部を改正する法律案の審査に資するための視察を行いました。  視察委員は、平野委員長、郡司理事、加治屋理事、佐藤理事、岩本委員、大河原委員、金子委員、亀井委員、主濱委員、姫井委員、舟山委員、野村委員、牧野委員、山田委員、風間委員、紙委員、そして私、高橋の十七名でございます。  以下、その概要について申し上げます。  まず、いわゆる一般企業による農業参入事例調査のため、浜松市に赴き、株式会社知久の圃場を視察するとともに、市及び同社関係者との意見交換を行いました。  浜松市の農業は、温暖な気候や大消費地に近い立地条件等を生かし、施設園芸を中心に発展してきましたが、都市化の進展や農家の減少・高齢化に伴い、農地の減少と、遊休農地の増大が顕著となりました。  そこで、市では、平成十七年三月、「元気なはままつ農業特区」の認定を受け、一般企業農業参入により、遊休農地の活用と市農業の活性化を図ることにしました。株式会社知久は、その第一号の参入企業であり、現在、同社を含め、四つの企業が浜松市内の農地約九ヘクタールを借り入れ、農業に取り組んでいます。  総菜、弁当の製造・販売企業である株式会社知久は、従来より、原材料に有機野菜等を積極的に使用する方針の下で営業しており、農業に参入するまでは、有機野菜等を契約栽培により外部から調達していましたが、質、量共に十分調達できませんでした。そのため、特区制度の下で農地を借り入れ、自社栽培による野菜等の生産を行うとともに、その栽培ノウハウを契約農家に提供することにより、必要量を安定的に確保することにしたとのことであります。  同社が借り入れる農地は、現在、合計約七・三ヘクタールありますが、今回視察した圃場は、市街化調整区域内にある約五十アールの畑地で、有機栽培による男爵芋が作付けられておりました。  同社の知久社長からは、農地制度に関し、借り入れた遊休農地の土壌改善等には平均三年掛かるので、賃借期間は最低でも六年以上が望ましい、営農に対する公的支援は要らないが、借り入れる遊休農地の土壌改善に対する公的支援を希望する、借りた農地では農機具の保管等に必要な簡易施設の設置が困難であるため、農地を所有したいとの意向は持っている等の意見が表明されました。  視察委員からは、農作業に従事する従業員の雇用形態、法改正に伴い標準小作料制度が廃止されることによる影響、現行の行政等による農地転貸方式のメリットとデメリット、法改正により役割が格段に増す農業委員会の業務実施体制の見通し等について質疑が行われました。  次に、磐田市に赴き、南部地区農用地利用調整協議会による農地の面的集積の取組について、圃場を視察するとともに、市及び協議会関係者との意見交換を行いました。  磐田市南部地区は、JR東海道線以南の天竜川太田川に挟まれた平たん地に位置し、古くから稲作が盛んに行われるとともに、相対の賃貸契約による規模拡大も相当程度進んでおりました。その後、農家の高齢・兼業化の進展に伴い、貸出しを希望する水田は増えたものの、受け手である担い手農家の耕作農地が分散状態にあったため、それ以上の規模拡大が困難でした。そこで、南部地区では、JA静岡中央会のモデル地域の一つとして、平成十四年に、地権者、担い手、JA、農業委員会等、地域農業関係者から成る協議会を立ち上げ、集落座談会を何度も重ねて相互理解の醸成を図った結果、翌十五年、JA遠州中央の農地保有合理化事業により、地権者五百六十人分の水田百九十ヘクタール、約二千筆を担い手十七人に利用権設定し、面的に再配分することに成功しました。その効果として、作業効率の向上、耕作放棄の発生防止等が見られたとのことであります。バスの車中からは、基盤整備が施され、田植が終了したばかりの広々とした水田が広がる様子を視察いたしました。  意見交換の場において、同JAからは、農地の権利調整に関する今後の課題として、基盤整備が不十分な水田であっても、従来は、地域のまとまりを重視し、担い手にすべて集積されていたが、今日では農家の高齢化に伴い放出される農地の増加が著しく、限界が生じつつある、また、相続される農地が急増し、現に相続人の所在等の把握に大変な労力を要している、法改正により農地の賃借は五十年間まで可能となるが、農家の代替わり等による権利関係の複雑化を考えると、十年間でも長い等の点が提起されました。  これに対し、視察委員からは、同市における米の生産調整への参加状況、農地の面的集積による生産コスト削減効果や転用期待への影響、水田以外の茶畑等の面的集積への取組、水利施設の管理など地域の共同作業の実施状況等について質疑が行われました。  以上が視察の概要であります。  最後に、我々が法案審査のため、有意義な現地調査を実施できたことに関しまして、御多忙の中、浜松、磐田両市及び株式会社知久の知久社長並びに磐田市南部地区農用地利用調整協議会の関係者の皆様を始め、御協力をいただいた方々に対し、厚く御礼を申し上げまして、報告を終わらせていただきます。
  11. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) 以上で視察委員の報告は終了いたしました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 小川勝也

    小川勝也君 おはようございます。民主党・新緑風会国民新・日本に所属しております民主党小川勝也でございます。  質問時間をたくさんいただきましたので、たっぷり前置きをお話をさせていただきたいというふうに思います。  実は、この法案を農林水産省の方から説明を受けたときに、非常に懐疑的で、どちらかというと、ぴんとこない、なぜこの法案を我々が審議しなければならないのか、正直そのぐらいのインパクトを持って私は説明を受けました。  しかしながら、御案内のとおり、衆議院で修正を経て、私たちは結果的にこの法案に賛成することになりました。しかしながら、私が考えておる様々な疑問、懸念は払拭されておりません。と申し上げますと、最終的には賛成するんだけれども、反対のような議論をしなければならないので、幾ばくかの説明が必要だということになります。  なぜぴんとこなかったかといいますと、いろいろあるわけでありますが、特に私の選挙区であります北海道は、たくさんの農家経営戸数があったにもかかわらず、ほとんどが農地の所有権の移転という形で大規模化が成功した日本の中において数少ない事例であるから、このことがまず一番大きかったのかと思います。  そして、今の高橋理事の視察報告にもありましたように、農業というのは土づくりであります。すなわち、借りた農地にどこまで精魂込めた土づくりができるのか、資本が投下できるのか。自分の土地である方がずっと使うという意味で精魂込めた土づくりができる、それはだれも否定しないでありましょう。  そしてまた、これも視察報告にありましたとおり、あるいは特に林業関係の問題に接するときに、特に不在村林地の権利所有関係の煩雑化、これが大変大きな課題となっておりますところに、今回改正される農地法の将来像を見たときに、今もまさに高橋さんから御報告があったように、どんどん相続を経て筆数が増えていく懸念があるわけで、農業委員会や担い手の方々が後で苦労されるようなことをなぜ今しなきゃならないのか。  そしてまた、後で大臣と議論いたしますけれども、今回の改正の一部の目的に、農外からの参入者を賃貸借ということで農業分野に受け入れて効率的な農業経営をしてもらおうというふうに考えたときに、言うまでもなく、また今報告にありましたとおり、大規模あるいは合理的な経営をするということは既存の農家に競争力の面で非常にマイナス面の影響を与えるということであります。  そういう考え方から申し上げますと、新規参入する、合理的な経営をする、消費者がそれで利益を享受する、このことはいいわけでありますけれども、いわゆるところの家族経営とのすみ分けがしっくりいっていない中、このことに踏み込んだときに、まさに競争社会、まさに今私たちがこの農業分野だけではなく、世の中全体として抱えている大きな問題にこの農業分野も入っていってしまうのではないか、こんな事柄を考えますと、なぜ今農地法改正なのか、こんな思いで説明を聞いたわけであります。  まだまだ懸念はあります。私は、教科書で習った農地解放、自作農主義あるいは耕作者主義、大変すばらしいことだなと。特に、北海道は戦前、大土地所有制の本格的な場所でもありました。そういった事柄を、一人一人の耕作者に農地を分け与え、そしてそこで一生懸命耕作をして家族を養い子供を育てていけ、何とすばらしいことなんだろうというふうに単純に思いました。なぜそのことがいけないのか、所有者と耕作者がイコールになるように努力をしながら様々な施策を加えていくわけにいかないんだろうか、これが正直な感想であります。  そしてまた、耕作しない代わりに貸せばいいんだ、こういうこの法改正の流れでありますが、私は、だれが何と言おうと、一番偉いのは所有して耕作する、一番いけないのは所有して貸さない人、その間が段階的にあってしかるべきだと思うんですが、今回の改正は、いや、貸せば耕作すると同じぐらいのポイントがあるよというような内容、このことが大変納得いかない。そして、いろいろな議論の流れを考えますと、いろいろな懸念もあるわけで、例えば貸し手側と借り手側いて、私たちの党内の議論の中でも、多分借りる人は法人系、貸す人は元農家、どう考えても貸し手側のことをしっかり配慮するということにみんなの主眼があるわけであります。  しかし、農業というのが、後で触れますけれども、国民の食料をしっかりと提供していただくという崇高な使命を帯びた産業であると考えるとするならば、我々が大切にしなければならないのは耕作者であって、農地所有者ではない、このことが頭から離れないわけであります。いや、そんなこと言ったって民法の規定がある、だから所有者と耕作者はイコールにできないんだ、これはいろんな方がおっしゃいますけれども、法律国民、国のためにあるわけでありますので、もし改正が必要な法律であればちゅうちょすべきではない、私はそこまでも考えるわけであります。  様々な問題がある中で、現在の状況を放置していいとは思いません。しかし、様々な法律があって現状があって、今回の法改正は法律状況よりも現実の方が法律を若干逸脱したような流れになってきたので法律が後追いでそこにかぶせていくというような、そんな流れを感じ取るということを考えますと、私は、法律のいい部分、悪い部分、運用に問題があったのかなかったのか、もっとしっかり総括すべきだというふうにも思います。  また、後で議論になるかと思いますけれども、このことによって新規参入をする方はできるだけ効率のいいところを借りたい、すなわち耕作放棄地を解消するための爆発的な起爆剤にもなりにくい。そして、様々な農業の抱えている問題点を考えたときに、この農地制度だけ変えたのではまだまだ不十分であるということも付け加えなければならないというふうに思います。  後で詳しく聞きますけれども、私は、今回のこの農地法改正の原因となったのは、周回遅れの小泉改革的発想、このことが原点にあったのではないかなというふうに思っています。しかしながら、ある程度衆で修正をしていただきましたので、何とかみんなの英知を合わせれば最悪の法改正にはならずに済むのかな、あるいは、大臣がいろいろな答弁をしていく中で、私が賛成しなければならない立場にあって、今回賛成することが後代に向けて顔向けができないことではなく、まあまあ仕方のないことだったというふうに私が安心できるような答弁をしていただければ有り難いというふうに思います。  冒頭申し上げましたとおり、私は北海道の農業事情にある程度精通をしておりますけれども、府県の農慣習農業的思考回路には少し劣っている部分もあるかもしれないので、今回苦渋の選択をさせていただきました。また、今回の改正が行われた後でも、抜本的な農業の改革、すなわち私どもが主張しております直接所得補償方式の導入など、まだまだ安心して農業が営める世の中をつくっていけるチャンスがあるということで今回の議論に入らせていただきたいというふうに思っているところであります。  さて、衆議院での議論も経過しておりますので、ポイントは明らかになってきているんだというふうに思います。まず、法人等の参入の具体的な姿、どういう形で法人が参画してくるのか。あるいは、大きな課題となっていくでありましょう借地利用後の回復の問題、そしてトラブルの問題。あるいは、先ほど触れましたけれども、貸し手側の利益をどう守っていくのか。あるいは、大きな課題であります農地転用の問題。そして、全国で活躍をいただいております農業委員会のあるべき姿、今後どういう方向性で活躍をしていただかなければならないのか。このことは後ほど金子委員が特に集中的に質問をいたします。耕作放棄地がどうなっていくのか。あるいは、中長期的課題として、借地借地でずっと営農を続けてきた株式会社が十年、二十年、三十年たった後、ここまでまじめに一生懸命やってきたんだから保有させてもいいじゃないかという議論が必ず巻き起こってまいります。このことに対する対処。あるいは、最終的には、農地と農業、食料自給の全体の像がこの農地法とどう結び付くのか。  様々な課題があるわけでありますけれども、私は参議院の先頭バッターとして大きな視点から、今回の改正の目的、原点の議論になりますけれども、農地はだれのものかという議論、そして今改正がもたらす未来像についてどういった像をそれぞれ石破大臣、農林水産省、私どもが結んでいくのか、そんなことで議論をさせていただきたいというふうに思います。  前置き大変長くなりましたが、質問をさせていただきたいというふうに思います。  今も趣旨説明にございましたように、耕作者主義という大切なテーマがございました。私が学校で習ったという余計なことまで申し上げましたけれども、なぜこの耕作者主義を廃する必要があるのか、まず御答弁をいただきたいと思います。
  13. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 委員のお話を大変感銘深く拝聴いたしました。  委員御指摘のように、結局、北海道と都府県の事情の差というものはよく認識をしておるつもりでございます。  例えば、一九六〇年と二〇〇五年比べてみたときに、一農場当たり経営耕地面積というのは、北海道は一九六〇年を一〇〇とすると二〇〇五年には五三四になっている、物すごく規模の拡大が行われているということでございます。翻って都府県では一九六〇年を一〇〇とすると二〇〇五年には一六三ということで、ここには大きな違いがございます。北海道の場合には、本当に規模を拡大し、やってこられたということがございましょう。そこの違いをよく認識をいたしております。  もう一つは、私は、委員と、まあ都府県を選挙区としておりますので元々の考え方が違うのかもしれませんが、十数年前に私、自民党の会議で、この一条というのはいつまでも維持をしなければいけないものですかという問題提起をしたことがございます。これは本当にいつまでも維持しなければいけない、逆の発想なのかもしれません。  私ども、提案理由の説明で申し上げましたが、何々主義というのを金科玉条のごとく振りかざして、こうでなければいけないのだという考え方を取っているわけではございません。自作農主義から耕作者主義になった。今、何々主義にまた看板を掛け替えるというつもりはないのです。大事なのは、所有をしながら利用がされないということをどう考えるか。  農地はだれのものなのかというのは、実は根源的な問いかけでありまして、それは所有権者のものなんだというのが、法律的にいえばそうなのでしょう、今の民法の考え方からいえばそうなります。しかし他方、農地というのは国民みんなの財産なのだという考え方も、これは法的にという意味ではありませんが、観念論的にはこれは常にそういうような認識は持っておかねばならぬのだと思います。つまり、所有をしているが耕作をしない。それは、そのことがいろんなやむを得ざる事由によってそうなっているというのもたくさんございます。耕作放棄地なぞというのはその例でございます。  どうやって利用というものを促進していくか。国民の食というものを確保し、次の時代にもそれを伝えていかねばならない。この限られた資源である農地なるものをどうすれば最も有効に利用できるかということを考えたときに、やはり一条の改正というものは必要なのではないか。それは耕作する者が所有することを適当と認めるということを否定する概念ではございません。それを否定するものではなくて、まさしく農地解放、農地改革というのは、自分が持っているということが最大限利用するということなんでしょということでした。それは大きな成果を収めました。しかし、それから何十年とたって日本全体で見たときに、所有しているけど利用していないよねという、こういう状況をどう考えるのだろう、それが問題意識でございます。
  14. 小川勝也

    小川勝也君 今大臣から御答弁いただいたところは今日の主要なテーマでありまして、また後ほど議論したいと思います。  使われない農地を使うことが目的なんだ、すなわち、実は、言葉を限定して申し訳ありませんが、農村集落内で意欲のある担い手がその借り手となる、あるいは、たまたま農家の次男坊が、おれも借りて独立したい、こういうふうに地場で農地の賃貸借が行われていくということはこれは進められるべきであって、もっと成果が出ていればこんなことは必要なかったわけであります。  あきらめたのかと聞くと、あきらめない、あきらめてはいないというふうにお答えをされるだろうというふうに思いますが、今回のは踏み込んで、農外からその耕作放棄地を耕作する担い手を何とか見付けられないだろうか、こういう意図が見えて取れるわけでありますが、農外からの参入を目的とする改正であるということはお認めになられますでしょうか。
  15. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 目的としてこの法を改正したのかと言われれば、別にそのために改正をしたということをお答えするつもりはございません。ただ、そのことに対して道を開くということはあってしかるべきものだと思っております。  つまり、多様な担い手というものを考えてみるべきではないか。それはもう私もよくいろんな例を見ているのですが、農外から入ってきて農業を営むということがいかに困難であるかということは、ここ数年来いろんな例で示されておるとおりでございます。個別の会社名は申し上げませんが、いろんな法人が参入をいたしました。何年かたってようやっと収支とんとんになりましたねみたいなことであって、もう全然駄目で撤退した例もたくさんあるわけでございます。  しかしながら、農業はそういうように難しいものだという前提を置いた上で、もちろん所有権を認めるとかそのようなことを申し上げるつもりはございません。いろいろな主体というものが農地を最大限有効に利用するために入っていくという道は、それは確保すべきではないかと思っております。それを排除することが今後利用の促進に結び付くとは考えておりません。農業に入るということはいかに困難なことかということは、近年のいろんな事例で多くの法人がよく了知をしておるところだと考えております。
  16. 小川勝也

    小川勝也君 多分まともにお答えをいただけるかどうか分かりませんが、経済界からは、ここ数年にとどまらず、もう長年にわたって、日本の農業は効率が悪い、おれたちに参入をさせればもっと安くいいものができる、こういうふうな圧力がどんどん掛けられていたと私は認識をしております。そして、周回遅れのというふうに申し上げましたけれども、小泉改革の総括はまだできておりませんけれども、市場に任せる、経済効率、そして競争こそがクオリティーを高める、こういった理念でなされてきたものだというふうに思います。  今回の法改正に至る過程に、経済財政諮問会議とは申し上げませんけれども、経済界あるいは経済界的なものからの圧力も法改正の原因になったのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  17. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 周回遅れのという御指摘はなかなか含意の深いものだろうと存じます。ただ、この農地をめぐる議論というのは、小泉改革なるもののはるか前から議論のあったものでございます。農用地利用増進法でありますとかそのほかいろんな法律を作って、いろいろと農地法の足らざるところを補うような努力はしてまいりました。  経済界から圧力があったのではないかというお話です。それが、圧力が何を指すのか私はよく分かりませんが、いろいろな会議の場で経済界の方から効率が悪いという御指摘はいただきました。企業的な感覚を入れればもっともっと効率的にできるという御指摘もいただいております。そのことは、私も公の場以外でもいろんな場所でその御指摘をいただいてまいりました。  ただし、ただし、繰り返して恐縮ですが、例えば某電機メーカーがやってみた、例えば某衣料小売メーカーがやってみた、じゃ、状況はどうであったか。かなり惨たんたるもので、それはオーナー企業がやったので素早い決断ができた、オーナー企業であったからこそすぐ撤退したということがございまして、私は経済界の方々に申し上げているのは、それほど企業の原理を導入すればすべてめでたしめでたしというようなことにはなりませんということ、これは何度も何度も申し上げているところでございます。私どもとして、財界から圧力があったのでこの改正をしたというふうに少なくとも私は農林水産大臣として認識をしておらないところであって、農業というものは工業とは違う面が多々ありますということはいろいろな場で申し上げておるところでございます。
  18. 小川勝也

    小川勝也君 経営を知り尽くしている経済界あるいは企業経営者が参入したからハッピーにはならない、これは大臣と私は共通認識であります。  しかし、相手方の思考回路をちょっと探ってみますと、日本型農業経営というのは、言うまでもなく家族経営、家族労働がベースでございました。効率的な経営とは何か。これは様々な場面でいろいろ議論になっておりますけれども、それは安い労働力を使うということに経済界の人たちは考えるんだろうというふうに類推をいたします。現実的に私どもの農業生産の現場にも、いわゆるところの海外からの研修生として安い労働力が大きな戦力になっていることはもう事実です。そして、様々な歴史ありますけれども、家族経営というのは、それは社長と取締役でやっているわけですから実質農業収入は低いけれども、それは現在の使い捨てと呼ばれている労働力を使うよりははるかに生産性が低いわけであります。  もし、大臣は否定されましたけれども、経済界が農業経営分野も我々の培った経営ノウハウを生かして、すなわち規格を統合して中枢たる総務コストを下げ、そして安い労働力に働いてもらって生産性を上げる、そんな農業に自分たちも参入するんだという考えでこの経済界と呼ばれる企業経営者が参入するとするならば、その参入に対して大臣はどういう感想をお持ちになられますか。
  19. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 経済界の方々とお話をしておって、安い労働力を入れて農業の生産性を高めるのだという議論を中核として御議論なさっている方には、私は自分の接する範囲が狭いのかもしれませんが、余りお目にかかったことがございません。  結局、農業におけるコストというものを土地利用型とそうではない集約型に分けていろんな精密な議論をしてみなければ分かりませんが、農業のコストといったときに、特に土地利用型におけるスケールメリットというものをどのように考えるべきなのか、そして、内地において特に多い分散錯圃というものをどのようにして超越していくのかということが私はむしろ議論の中核なのだろうと思っております。  そこにおいて、例えば、ごめんなさい、内地の話をして恐縮ですが、三反、四反、五反で兼業という中にあって、土曜、日曜しか農作業に従事をしないという現状において考えたときに、やはりどこもフルスペックの装備を持たねばならないというお話になってきます。その機械を十分に利用しているかといえば、そうではないでしょう。そしてまた、土曜、日曜しかやらないがよってに、皆さんお休みは土曜、日曜と決まっているわけですから、共同でそれを使うということにも残念ながら相なっていない。そのことをどうやって考えていくかという、私は、どれだけ規模を拡大をし、どれだけ機械を効率的に利用して、どれだけコストを下げて農業者の手取りを増やすかという議論がむしろ中核なのだろうと思っておりまして、外国人を入れて安い労働力で、搾取とは全然申し上げるつもりはありませんが、そういう農業を実現しようというような、そういう試みあるいはお考えがこの農地法改正の根底にあったという理解を私はしておらないところでございます。
  20. 小川勝也

    小川勝也君 私が申し上げたいのは、大臣が取り立てて経済界の方と安い労働力を使うという話はしていないということでありますが、ここ近年、世の中の働き方が大きく変化をいたしまして非正規的な働き方というのがもう当たり前の世界になってしまったんで、その議論はないんです、もう。ですから、他産業並みということに、まあ言葉が使われるかどうか分かりませんけれども、新規参入するもし企業経営者等がおられるとするならば、当たり前のごとく、例えば居酒屋で働いておられる方等の雇用形態を想定して参入するんだろうというふうに私は思うんです。  ですから、世の中全体がこういうふうに動いているんで、農業だけが搾取ではない、農業だけが著しく働く人たちをおとしめる雇用形態ではないという世の中になるんだけれども、しからばその社会全体の流れは容認すべき方向性なのかという問題につながってくるということを私は申し上げたいんです。大変難しい言い回しで恐縮でございます。  それで、過去をどうとらえるかという話になるんですが、ここまで農業者人口が減り、そして農業者の中で六十五歳以上が占める割合が高い。将来的に黙っていても農業に従事する方は減っていくんです。そのことは私たちの国の立法府なり政府が意図してきたことなのか、それとも反省を踏まえなければならない点なのか、この農業者人口についてどういう見解をお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
  21. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 我が国の農業就業人口でございますけれども、先ほど御比較がございました昭和三十五年当時、千四百五十二万人でございました。これが現在、平成二十年では二百九十九万人ということで、往時の約二割の水準になっております。  これは、昭和三十年代、戦後農政におけます農業問題の最重要課題というのは、零細な農業構造をいかに解決をしていくのか、これが農業基本法につながったわけでございますけれども、高度経済成長過程において農業部門から他産業部門へ労働力が移行すると、そういったものを問題解決の糸口に考えていたという時期でございます。したがいまして、離農あるいは規模縮小を行って、この結果、農地を担い手の方に規模拡大に結び付けるという考え方が当時取られたわけでございます。この意味では、先進諸国に通じるものでございますけれども、農家数あるいは農業人口の減少ということはこのような農業発展の一つのシナリオで、その過程において離農対策をどのようにしていくかというのもまた政策課題であったと思っております。  しかしながら、以上のような三十年代あるいは四十年代を通じました農業就業人口の減少プロセスとは別に、現時点におきましては、農業就業人口に占める六十五歳以上の割合が、これは昭和五十年代の二割から平成二十年には六割まで増加しているということで、今の発展プロセスとは別な形で、高齢化というものが今後におけます農業就業人口の更なる減少につながっていくという意味での問題点として今後の持続的発展の観点からの大きな課題になっているというふうに認識しておるところでございます。
  22. 小川勝也

    小川勝也君 冒頭、北海道の話をさせていただきました。北海道は、余り自虐的な言い方はしたくありませんが、人口の調整弁の役割を果たしてまいりました。それは、府県においての農家に生まれた次男坊、三男坊が分け与えられる農地が少ない。北海道に行けば、少し寒いけれども多くの農地を所有することができる。そのことで、開拓者を含めて、たくさんの方々が北海道で農業に従事をしてこられました。そして、大臣からも解説があったように、くしの歯が欠けるように一戸また一戸と離農をして、そして農地を近隣の人に農業委員会経由で引き取ってもらって、残された農家は規模拡大をし、そして離農し、新しい仕事を離農された方は求めていったわけであります。  しかし、社会状況を考えたときに、多くの期間、その人たちは大事に新しい場所に迎えられました。それは、一時は炭鉱であり工場であり、あるいは社会資本整備に携わった人たちも非常に多い。  しからば、今のこの御時世、先ほども社会全体が変化しつつあるというふうに私は大臣に申し上げました。今、まさに農業分野から労働力が移動する先はどこなのか、私たちの国はその人たちを温かく迎えられる体制を社会全体として取っているかどうか、このことに私は着目をしたいわけであります。  非正規雇用格差社会、あるいはそこからつながる少子化の問題、そしてこのことは将来のいわゆる税収や社会保障の負担等にも大きな影を落としてまいります。私たちは、このままじゃいけないというふうに今の社会の在り方を考えています。そういったときに、安心、安定のふるさとこそが、しっかりとした将来を持って、若者がというふうに限定したくはありませんけれども、農業従事者が国民のために食料を生産する、ふるさとを守るという大事な働き場所だと私たちは考えているわけであります。  大臣からは、経済界からの圧力は考えていないというふうに言いましたけれども、効率的な農業を営む場所にそのふるさとがその場所を提供し、そして、本来ふるさとの担い手でなければならない人たちがそのふるさとを追われるようなことがあれば、まさに本末転倒になってしまうわけであります。  そのことのバランスをどこまで考えてこの農地法を考えていただいているのか。今のことに対するコメントをいただきたいと思います。
  23. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これはもう委員の方が何倍も御存じのことですが、北海道と都府県と、もう一度申し上げますが、一九六〇年、昭和三十五年ですかしら、と二〇〇五年、四十五年の間に、こういうことなんだと思います。  北海道全体で、農地は、一九六〇年を一〇〇とすれば二〇〇五年一一七になった。農場数はどうかというと、一九六〇年に一〇〇であったものが北海道は二二に減った。農場数は五分の一になったわけです。一農場当たりの経営面積は、一〇〇から五三四になった。五倍になった。農場数は五分の一になり、そして経営耕地面積は五倍になっている。これが北海道の特色でございます。農場数は減るが面積が増えたと、そして自分で土地を耕し高い生産性を上げてきた。ですから、北海道の農業というのは、特に酪農、畜産なぞにおいてはヨーロッパに比肩し得る、あるいはそれ以上の力を持ったわけです。  こういうものをどうやって大事にしていくかという考え方は私はずっと持っておりまして、都府県から北海道に入り開拓をした人たち、私の県からも釧路を中心として大勢の人たちが行っております。その人たちのお話もずっと聞きながら、自分たちで耕した大地を自分たちが理想の農業につくっていく、そのことは今後も価値が全く変わるものだと思っておりません。そこへ外から人がやってきて、一生懸命開拓した人たちが駆逐されるということはあってはならないことだと私は思っております。間違ってもそういうようなことにならないように法の運用というものはやっていかねばならない。  そういうふうに、最もある意味で艱難辛苦の末にすばらしい姿を築いた、もちろん負債がたくさんあるということはまた別に議論をしなければなりませんが、この北海道農業のある意味理想的に近いものを目指して努力をしてこられた方々が間違っても不利益が被ることがないようにという問題意識は中核に持っておるつもりでございます。
  24. 小川勝也

    小川勝也君 私が北海道を例に取ったのは、別に北海道に固執しているわけではありません。農家戸数が減っていくと同時に集落が衰退をし、あるいはなくなっていきます。そのことと府県のこれからというのは、北海道が先に経験をしたというふうに私は考えざるを得ないのであります。すなわち、経済原理だけでやっていたのでは、府県よりも北海道の方が今農業経営効率はいいわけでありますので、国が何らかの施策を講じない限り、黙っていてはどんどんどんどん家族経営的農業従事者は減っていってしまうという警鐘を私は今鳴らしているわけであります。  そこで、質問の観点を変えますけれども、農業政策というふうに一口に言っても、これはカテゴリーは私が勝手につくったわけで正規のものではありませんけれども、多面的な機能があります。例えば地域政策、社会政策、国土保全政策、環境政策、食料政策、産業政策、あるいは食料安全保障政策、そして、先ほど私が言及した農地解放時のその政策は何が目的だったのか、これは言葉が余り美しくありませんけれども、民を養うという政策であります。  これは、かつて石破大臣は木曜クラブの事務局をされておられましたけれども、私は経世会の秘書会に所属しておりました。経世済民、経世済民、これが民を養うという中国の古語だそうでございます。私は函南の研修会に行ってその経世済民というTシャツを持って運動をしたんですけれども、帰ってきてからそのTシャツを着ることは余りないわけでありますけれども、その経世済民というのがやはり時代は変わっても一番大事であって、昭和二十一年から二十七年にかけての農業政策というのはまさに経世済民であり、社会政策であり地域政策であり食料政策、そのときは意味は余り考えていなかったんだけれども、国土保全や環境政策の意味も多面的に包括的にやってきたわけであります。  しかし、昨今の政策立案の方向性は、民はもう衣食足りているので、その分野は大分小さくなってきています。ですから、もっと効率的な経営をというような産業政策とか市場政策の側面が強くなってきている。私は、その経世済民は別としても、社会政策地域政策というのがこれからまさに大事になっていくんだろうというふうに思うんです。  それは、先ほど北海道を例に申し上げたのは、離農しても他産業で安心の雇用にアクセスできたということであります。それで、私が言いたいのは、離農者が次の新天地で一生懸命働いて、まじめにやっていけば家も建てられたし子供も育てられたという社会状況、しかし今は、これからはどうなんですかということであります。  ふるさとは、農業政策がしっかりしていれば、まさに地域コミュニティーの中で国民に対する食料供給という崇高な使命を持って仕事ができて、そして子供をはぐくむ揺りかごの場所なんです。その揺りかごから出ていった人たちがもし請われて大事な社会的使命を背負った仕事に就くならば私はこの改革の方向性も甘受するわけでありますけれども、今社会全体が、私たちが考えるとするならば疲弊をし、好ましくない雇用情勢・環境に向かっている中で、農業分野から移動される労働力もまさに同じ扱いを受けるんだとするならば、私はその改革の方向性は間違っていると言いたいわけであります。  ですから、先ほど申し上げましたように、社会全体の雇用環境が悪化をして、農業分野だけではないよ、そのほかの製造業であってもサービス産業であっても、みんな大変な形で働くんだから、農業から移動する人たちも同じ境遇でしようがないよというのは僕は間違いだと。だから、農業分野がもっともっと魅力的な働き場所になれば、私たちが考える、もっと安心して働いて暮らせる社会をつくっていく、そのために農業政策というのは一役買わなきゃいけないんだと。だから、企業が言うように経営効率がいい農業に参入させろ、そういうフィールドではなくて、まずは地域社会が、ふるさとが、農業地域がその大きな担い手に、安心の働き場所を供給する担い手に私は農村こそなるべきだと思うんです。  大臣、どうですか、お考えは。
  25. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 全く同感です、それは。  それはどういうビジネスモデルをつくるかということだと思っているのですね。委員おっしゃるように、産業政策、社会政策地域政策、食料政策、あるいは安全保障政策も入ってくるのかもしれません。国土保全政策も入ってくるんでしょう。いろんなものを持っておりまして、それは製造業とは違った面をもちろん持っておるわけでございます。そこはよく承知をいたしております。  私は、社会政策としては、いわゆる選択的拡大というのがキーワードでしたよね、農業基本法の。それは、近年数値は動いておりますが、農家と勤労者世帯を比べたときに、いわゆる二種兼業という言葉を仮に使うとするならば、それは勤労者世帯よりも所得が高いのだみたいなところもあちこちに出てきました、統計上は。点で見れば違うぞという御議論あることは知っています。そうしたときに、社会政策としては相当の成功を収めたと私は思っております。  ところが、人、金、物、すなわち所得、農地、そして就業者人口、年齢構成、これが全部低落傾向にございまして、このままいくと本当に、十年たったら、日本に農地はまだ残っているかもしれないが農業者そのものはいなくなるということが私は絶対起きると思っているんです、十年前、二十年前がそのままスライドしてきていますので。ここにどうやって多様な担い手を入れるかということは、どういうビジネスモデルを組むのかということによるんだろうと思っております。  日本農業というのは、実は気候からいっても土壌からいっても、あるいは地形からいっても、世界百九十幾つの国がある中で、日本農業って最も恵まれているにもかかわらず何でこんなことになったと。そこはやっぱり、どういうビジネスモデルを組むかなんだろうと思っております。だから、企業礼賛論を私は言っているわけではありませんが、いろいろな制約は加えつつ、むしろ農業第一次産業に若い人たちがやってくるようなモデルというのはどうやったらつくれるか、そこに国が関与するのはどこまでなのか、所得補償という御議論は一体どこまでするべきなのかというお話を立体的にしていかないと駄目なんだろうと。そのために残された時間は物すごく少ないんだと私は認識をいたしております。  繰り返しになりますが、若い人たちがどうやって農業にたくさん参入してくるか、それはもう製造業とは違った論理があるんだと思います。これから先、製造業にどんどんシフトする、あるいは第三次産業にシフトして農村からの雇用をそこが受け入れるというようなことは私はなかなか考えにくいことだと思っておりまして、むしろそういうところから農業農村を受け入れていくための政策はどう提示するべきなのかというお話なんだろうと。そこにおいてビジネスモデルがあり、そこにおいて今のままで、今のいろんな日本の農業が抱えている問題は、今のビジネスモデルだけではそれは超越しにくいところがたくさんあるんだろうと私は思っております。
  26. 小川勝也

    小川勝也君 先ほど、農業人口がどのように減っていくのか、あるいは減ってきたのか、解説がありました。私は、農業が魅力的な就業機会でなかったのがいけないんだろうというふうに思います。その大部分を占めるのは、大変な仕事だということもありますけれども、それに見合った所得が得られなかったと、このことが原因だろうというふうに思います。そしてもう一点は、私は、農地の取得に一つの原因があったのではないかとも思っています。  私も家庭菜園をやっていますと、ホームセンターで高額の資材を買ってそれを投入いたします。それは借地でないからできるんであって、やっぱり人から借りているところに精魂込めて土づくりというのは難しい。そして、私もいずれ農業に参入をしたいというふうに考えている者の一人でありますけれども、例えば、農業に参入するということが今どれだけの障壁があるのか。例えば、様々な研修を受ける、そして慣らし運転をする、農業委員会に認定を受ける、そして農地取得してもいいよというふうにそのお墨付きを受けてから、さて農地を売ってくれる人がいるかどうかというのが今の世界なんです。  例えば、工業と農業は違うわけでありますけれども、工場誘致なんというのはどうやっているかというと、全国で工業団地を造成しました、さあ買ってください買ってください、工場を建ててくださいと。私たちの国の農業参入というのは、まさにその針の穴を通すような、農業研修する間どうやって食っていけというのか、まさに農家の二代目しか農地を取得できない。今世襲なんていうのも議題になっていますけれども、まさに世襲オンリーの世界が農業だったんですよ。だから、企業ではなくて、それは農村出身者でもいいし、Iターンでもいいし、もっと新しい人たちに農村農業に魅力を感じてもらうべく、制度をもっとしっかりさせるのが今回の農地法改正の先になけりゃいけなかったんだと私は思うんですが、いかがでしょう。
  27. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) そのとおりです。  ですから、世襲の議論はさておいて、家業であったのではないかと、農業なるものは家業であったのではないか。ですから、言葉は気を付けて使わなければいけませんが、家業から産業へという考え方はあってしかるべきなのだろうと。多様な担い手が入ってこれるようにしなければならないが、さはさりながらと。リストラに遭っちゃったと、で、どこか農地ないかなと。そこで買いました、借りました、やりました、三日で駄目になりましたと。やってみたけれども、うまく育ちませんでした、駄目でしたみたいなことになると、それはかえってよろしくないのだろうと。多様な主体が入ってこれるようにしたいと思っております。今回の法改正もそのことは相当に考えてまいりました。ですから、その先にとおっしゃいましたが、今回の法改正の中にもそういうことは随分と盛り込んだつもりでございます。  それと同時に、例えば農の雇用という事業をやっております。結構売行きは良いのでありますが、これ最長一年、九万七千円、雇用主に対してお支払をするという形でやっておるわけでございますね。農の雇用事業というのは、例えばこれまで一千人を実施をいたしておりますが、今回の経済危機対策で二千人を追加実施するということにしております。それに対して、事業主に対して九万七千円お支払いするという形で、やはり衣食住きちんと確保される。そして、働き手として春夏秋冬やりませんと、一通りやりませんと農業者としてのスキルなんか身に付くはずがないのであって、そして農業者としてのスキルをきちんと身に付けて、やがてそれが経営者となっていくような道も開きたいと思っております。  ですから、手っ取り早い労働力として使いますみたいな考え方は持っておりません。農の雇用の事業もそうでございますし、いわゆる田舎で働きたいという事業もそうなのでございます。若い人を参入させるということと、おれはいいものは作れるが、どうやって売っていいのか分からないと。おれはいい売る技術はあるんだけど、どこにいいものがあるか分からないということで結び付けていく。  所得というお話を委員がなさいました。私は、所得というのは単価掛ける収量マイナスコストだというふうに考えておりまして、どうやって単価を上げるか、どうやって収量を増やすか、どうやってコストを減らすか、この三つの点から農業者の所得確保という議論はしていかねばならないのだと考えておりまして、そこにどういう政策を組み合わせるかという中の一つの中核に今回の農地の議論があるのだと思っております。
  28. 小川勝也

    小川勝也君 ですから、今、農外参入あるいは企業系の参入ということがこの後の大きな議論になっていくわけでありますが、結局、家族経営側で対処ができてないんです。このままなし崩し的にやっていくと、競争の原理からいうと、やっぱり落後していくという姿が目に浮かぶわけであります。  必ずしも他業界から見て、農業という分野は甘いものじゃない、これは私、大臣と同じ見識であります。しかし、目前に想像できる世界というのがあるわけであります。それは、先ほど視察報告にありました独自特色ある法人経営、そして何よりも大型流通スーパーグループ、コンビニ、あるいは外食産業、食品加工、この人たちが自分の会社の独自ブランドや安全性をうたうのに、自分たちの圃場で生産して規格を統一したいという人たちがどんどん参入してきます。そうすると、それはビジネスモデルが一人一人の農業経営者よりもしっかりしているわけであります。資本力もあるんです。そういう人たちが、この農地法改正が原因とは言いませんけれども、拍車を、背中を押すような形でずっと来ると、まさに家族経営がピンチになってくる。すなわち、逆に、しっかりとした担い手対策、新規就農対策、あるいは地域を守る担い手をまず確保しないと、なし崩し的に農村が崩壊してしまう。  私は、北海道の例を例に取りました。で、府県との違い、何県かで私は肌で感じました。それは何か。兼業農家文化というのがあるんです。長男は農家を継がなければならない。けれども、農業だけじゃ収入が足りない。けれども、農業経営面積は小さい。ということは、そこに豊富な労働力がある。だから、そこに着目した企業がそこに様々な工場を建ててきたんです。それで、工場に働いて土日は農作業をする。それで収入が合致する。  もしこれが北海道の集落崩壊の図式に当てはまっていくと、その集落から一人減り二人減りしていくと、どんどんどんどんそこの労働力が足りなくなって、企業はその地域に工場を造るよりも中国かベトナムにいっそのこと移してしまった方がいいという、まさに集落崩壊のらせんが今後想定されるんです。  そうすると、先ほど、農業人口の変化の中で、今は農村から人口がもう少し減ってもいいよみたいなことを言いましたけれども、これはあり得ないんです。アメリカだってヨーロッパだってしっかりと、先ほどの政策目的でいうと、国土保全、環境、ここに着目をして、国民全体がコストを払ってそこで農業をしてもらうという政策を取っているんですよ。今まさに歯車が回って、例えば工場が閉鎖する、撤退するというところまで行くと、みんなそこで共倒れになっちゃう。そこまで行ってからじゃ遅いんですよ。  この負のらせん、幾つもの集落を目にしてまいりました。人口が減れば学校が統廃合、また、統廃合になれば学校の先生分の人口が減る、人口が減れば電力会社やNTTの出張所もなくなる、スーパーは撤退する、元々小売店も少なくなっている、じゃ、人口が少ないので線路まではがす。かつて私のふるさとは、最盛期一万二千八百人の人口で小学校は十三校、今はたった一校です。そして、鈴木宗男さんのふるさとであります足寄町は、四国より広いのに小中学校一校ずつです。  集落がなくなるんですよ。全国で集落がなくなるようなそんな政策はあり得ないんで、だから、今回の農地法改正がすべて悪いとは言いません。だから、その地域を守る政策をやらなきゃいけない。このことはどうですか。
  29. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 全く同感です。  というと、何が違うんだみたいな話になっちゃいますが、それは我々都府県も似たような事情でございまして、私、先々週の週末に少しだけ時間があったので、県境の村を幾つか回ってきました。ここの村の人全員集まってねと言うと、三人来てこれで全員ですみたいな話でございます。それはもう限界集落なぞという言葉はまだ生易しくて、集落崩壊の現状にあるわけです。  これ、私は多分委員と認識が一緒なんだと思いますが、兼業機会がなくなると、村そのものがなくなるということが起こっているわけです。そこは、都府県の中山間の集落は農業林業だけでもっていたわけじゃございませんで、ましてや林業というのは、昔はおじいさんは山にしば刈りに、おばあさんは川に洗濯にの世界だったんですけど、林業というウエートがものすごく下がっちゃって、例えば建設会社に勤めに出る、あるいは縫製工場に勤めに出る、弱電の組立て工場に出るみたいな話だったのが、リストラで建設会社はなくなりました、縫製工場は中国に行っちゃいましたというようなことで、兼業機会がなくなることイコール集落の消失になっているわけです。  そこをだれがどうやって補うのかという議論をやりませんと、集落がなくなる、集落がなくなって、それはもうだれも来ません。そこへどうやって集落を維持するのかというのは、私どもとして、集落マネジメント機能みたいなものを農業が持つ、農政の世界で持つべきではないかという提案を今しておるところでございますが、これは市町村合併の影響もございます。JAの統合の影響もございます。私は本当に実感をしているのですが、だれも光を当ててくれないという人たちがそこにいるわけです。それに対して国としてどうするかは、本当に急いでやらないと集落が日々消えていっているという実感を持っているのですね。そこに対してどういうような政策が望ましいのか、政府の中でも相当に議論をいたしておりますが、兼業機会が消失したということをどのように考えるか、それに林業をどのように組み合わせるか。バイオマス、特に木質バイオマスの利用率などというのは北欧に比べまして百分の一ぐらいであるわけです。林業のコストは十倍ぐらい高いわけです。これをどう考えるかも含めて早急に立体的な政策をやらないともう取り返しが付かないことになると思っておりまして、そこの中核の問題意識は多分委員と私は共通なのだろうと思っております。  ですから、農地政策ですべてが解決するなんということは申しません。たくさんある政策の中の一つのパーツとして、しかしながら、やる気のある人に農地と資金が集まるというふうにしていくことが私は大事なことだと思っています。弊害をいろいろと除去した上でそれは必要なことだろうというふうに思っています。いかにコストを下げるかということも大事なことだろうと思っています。それと集落維持というのが相反しないように政策の整合性をどう取るかがまさしくここにおいて議論されることだろうと思っております。
  30. 小川勝也

    小川勝也君 大臣と認識は共通だというふうに思います。  それで、結果的にもう消滅した集落もたくさんあります。あるいは、もう助けても助からない集落もたくさんあるでしょう。これは政策的に、都道府県がやるのか国がやるのかは別として、しっかりと判断をしていかなければならないというふうに思うし、これからまだ助かる集落はしっかりと産業、農業林業を中心に支えていただく、これが立派な税金の使い道の国土保全政策だという共通認識がまずあります。  そして、もう一点、先ほどの繰り返しになりますけれども、集落で育った人が都会で有用な就業機会に就くならばまだその集落は助かる、あるいは浮かばれる。けれども、ここにいても仕事がないからふらふらっと都会に行かざるを得ない国というのは、私は正しい国とは言えないと思う。それは、先ほどヨーロッパ、アメリカの先進的な事例も言いましたけれども、僕は自虐的に言って、この東京一極集中、農山村から人口がいなくなる、若者が出ていかなければならない状況は途上国モデルだと言っているんです。恥ずかしい。地元に働く場所がないからふらふらと都会に行く、あるいは何かあるかもしれないというふうに都会に出ざるを得ない。東京だけがこんなに大きくなって人口がぎゅうぎゅう詰め。これは国づくりの失敗ですよ。特に失敗なのは農業政策だったんじゃないのか。  その認識を持って、私が言いたいのは、それは企業的な経営参入は否定しません。しかし、黙っていても相対的な競争力を、いわゆるところの担い手や家族経営農業者は相対的な競争力を弱める、そのことが今回の農地法の改正の中身に含まれているということも認識した上で、ビジネスモデルという言葉を大臣は使われましたけれども、一緒に考えていかなきゃ駄目じゃないですか、これ。企業的な経営は否定はいたしません。しかし、どこからどこまで、何は企業的な経営の分野です、頑張ってください、家族的な経営はこうですと、こういうふうにしっかりやっていかないと、なし崩し的に大変な状況が近未来に見える。このことを指摘しておきたいというふうに思います。  根源的な、農地はだれのものかという議論になります。これはちょっと意地悪な質問です。非耕作者が農地を所有する蓋然性についてどういう説明を付けますか。
  31. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 農地につきまして、非耕作者が農地を所有するということがございます。現行の農地法におきましては、農地の権利移転については基本的に耕作者が取得をするということでこれは規制をされておりますので、通常の権利移転の場合ではこの非耕作者の取得ということはございません。  基本的にあり得るケースというのは、まずは原始取得と言われております相続の際、いわゆる親から子供に亡くなったときに遺産として農地が引き継がれる。相続財産は相続の発生のときにこれは移転をいたしますので、ここはもう自動的に移るということでございます。それから、これは特殊な例でございますけれども、農地について自己で開墾をするような場合、これは過去に一部の陸田等でそういうようなことがございましたけれども、自己開墾というような場合には、これは自力で農地を造成するということでございますので、これも権利移動の対象ではございませんので農地法の枠内から外れたということはございます。ただ、圧倒的に多いのはこの相続によるものだというふうに考えております。
  32. 小川勝也

    小川勝也君 もう皆さんお気付きだと思いますけれども、何が言いたいかといいますと、新規に農地を取得したいという農外の参入は、先ほど申し上げましたように、針の穴に糸を通すような難しさが伴います。しかしながら、一番簡単なのは、かつて農地を保有していた人です。かつて農地を保有、所有していた人たちは、耕作をやめても所有者でいられる。そこまでは我慢していいかもしれない。しかし、もっと意地悪な言い方をすると、昭和二十一年、農地解放当時、小作をしていた祖先から相続を受けた人たちは、結局この改正によって正々堂々と農地を所有することになるんですよ。どう説明付ける、このことは。  例えば、農地を所有したい人がいても全然できないのに、難しいのに、たまたまおじいさんが昭和二十一年にある農場で小作人をやっていたということだけで農地を所有していくことができる。そして、後で質問するけれども、そのことが今次改正によって未来永劫になるかもしれない。だれがどのように説明付けられるのか、絶対分からない。説明をしてください。
  33. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 農地の取得についてでございますけれども、これはもう御承知のことと思いますけれども、いわゆる終戦直後、占領軍によります、GHQによります農民解放指令、国内におけます第一次農地改革、それから占領軍によりますこのGHQの指令、それによる第二次の農地改革、これによりまして、いわゆる戦前の大規模地主制度、多数の零細小作農と少数の大規模地主、これの構造を転換して自作農を創設するということが戦後の農地改革の基本的な考え方でございました。これについて、戦後の地主から土地を買収する、国家が買収をしまして、これを零細の小作農に売り渡して多数の自作農を創設するということがこの戦時農地改革の基本でございます。  当然のことながら、それから七十年近くたっておるわけでございます。この間におきまして、当時、先ほど先生もおっしゃられましたように、買収された農地について、これを買い入れた者が当然のことながら相続等の発生によりまして世代交代をしているところでございます。問題なのは、当時の戦後におけます少数のいわゆる基本的な、まあ封建的と言われておりますか、あるいは寄生地主制度と言われておりますけれども、そういう社会構造下におけます地主対小作、零細小作農との関係、これをどのように農村民主化を行うかというのが農地改革でございます。この状況が実は今の農村の状況にあるのか、あるいはこれが復活するような状況にあるのかというところがこの一番大きな背景に存在すると思っています。  現時点におきましては、逆に、多数の農地所有者に対しまして、担い手と言われている少数の、まあ今はまだ小作農という言葉であります、法律改正後はこれは小作という言葉はなくしますけれども、担い手の方々、少数の担い手の方々が多数の農地所有者から借りて農業展開をしているというのが現状の状況でございます。  こういう中で、我が国、当然のことながら、憲法二十九条で財産権のいわゆる尊重という規定がございます。もちろん、公共の福祉に従う等の規定はございますけれども、他の土地とのバランス等も踏まえた上で、現時点において、例えば強制買収を行う。都会に出ていって、もう要は不在村になっている。不在村地主なんだから当然これは買収ですというような、農地解放当時と同じような強制的な規定ということについて働き得る余地があるのかどうかということもまた大きな現状の議論だろうと思っております。
  34. 小川勝也

    小川勝也君 憲法だの民法だのという議論はこれ百も承知でやっているんで、今も言及しましたけれども、戦前は大土地所有制、この方がまだマネジメントしやすいですよ。これから固定化しようとするのは小土地所有制。何筆になるか分からない。どんどん相続は進んでいく。  それで、森林組合の例でもう御案内のとおりだと思うけれども、長男は横浜、次女は名古屋、今グローバル化ですよ。孫はウェリントンだ、オークランドだ。どんどんどんどんそんなことやっていて農業経営なんかできるのかということを考えたときに、買収というふうに言いましたけれども、私は様々な手法があるんだというふうに思う。それは、農地を保有することに何らかのコストが掛かるようにすればいい。  これは今日の主題ではないけれども、例えば、例えばですよ、農地保有税、これは耕作すれば、減免どころか国から何らかの施策的な補助もある。それが、税が嫌なら、例えば集落維持協力金。不在村の地主は、本来、その地域、集落を守るためにやらなければならない作業等を放棄している。排水の草刈りに参加したのか、鎮守の森のお祭りの準備したか。逆なんだよ、もう、(発言する者あり)舟山議員が今言ったように。だから、そんな小作料なんていうばかな時代じゃないんだよ。代理耕作料を払ってもらって耕作していただく。このぐらいのことがないと、食料自給率を上げるだなんていうのはちゃんちゃらおかしいんだよ。このことどうですか、大臣。  私は、今回の農地法の改正は、筒井大臣が、我が党の、修正に参画をしたんで、私とか舟山さんとか絶対反対だと言っていたんだけれども、今回は賛成しますよ。けれども、耕作者と所有者がイコールになるような努力を今後我々はしなきゃならないということは共通理解じゃなきゃならない。耕作者と所有者をイコールにする努力は続ける、これが最大限重要なこと。そして、先ほど大臣と意見一致しましたけれども、いわゆるところの農外参入に対処すべく、新しいビジネスモデルという言葉を使われましたけれども、家族経営や担い手に対して将来的に安定した農業経営ができるような施策を充実させる。この二つは必須ですよ。未来永劫この小土地所有制を固定化されるのか、相続で多筆、分散することにどう対処するのか、これはしっかり答弁をいただきたいと思います。
  35. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) まず、じゃ高橋経営局長。
  36. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 先ほど来申し上げておりますけれども、農地法におけます権利移動統制につきましては、他の土地では見られない農地独自の問題でございます。これは当然農地という性格から行われているということで、これは憲法上も認められていると、過去の判例もございます。しかしながら、あくまでも権利移動統制でございますので、相続に関与していく、相続に農地政策が関与していくということについては、農地法の制定当時からこの部分については非常に慎重な対応を取ってきております。要は、相続に対してどれだけのいわゆる行政的な関与ができるのか否かという議論については、これは慎重に考えていく必要があるというふうに考えております。
  37. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 相続について今局長から答弁申し上げたとおりでございます。  結局のところ、これはまた私、委員とよく議論したいのですが、北海道と都府県と違うところは何かというと、農地が資産的価値をどれだけ持っているか。北海道も資産的価値を持っているところもございますが、押しなべて都府県に比べますとそういうところがない。だから、農地が農地らしく利用されてきたという背景は私はあるんだろうと思っております。  じゃ、ここで税制をどういじるのかという議論は相当に慎重、慎重というのは後ろ向きで言っているわけではありません、ここをどうするかです。私はフランスとかドイツとかアメリカとかいろんな例を調べているのですが、じゃ合衆国で本当に農村のコミュニティーが守られてきたかといえば、余りそういう評価は私自身しておりません。むしろ合衆国の農業というのは、集落コミュニティーを維持するのとは逆のベクトルが働いてきたのではないかと思っております。じゃ、フランスはどうなのかといいますと、数字だけ見ますと北海道ととても似ておりまして、農場数は減っていると、規模拡大は行われている。そこにおいては、例えば年金とか離農給付とか、いろんなものが仕組まれてきました。で、そういうふうな姿になっているんだろうと思います。それを税制で仕組んだときにほかの制度との整合性はどうなのだろうかということについて、私ここで十分にお答えできるだけの知見を持っておりませんが、税制をどうするか、あるいは承継について何らかの特典を考えるべきなのか、そういうようなお話は今後していきたいと私は思っております。  どうすれば、委員おっしゃいますように、どんどんどんどん分筆されていって、もう何が何だか訳が分からぬようになると、そういうような状態は決して好ましいことだとは思っておりませんが、そうしないためにどういうインセンティブを仕組むべきなのかというお話は、よく私も気を付けなければいけないと思いますが、フランスではとかアメリカではとかドイツではとかいう議論をしますけれども、そのいいとこ取りだけの議論は駄目だと思っているのですね。  じゃ、農地の所有なるものは、これは法人の所有なるものは認めないと言っているのはアメリカの数州でございます。ドイツにおいてもフランスにおいても所有は認められております。あるいは、先ほどのフードチェーンというのかな、フードシステムというか、その話でいけば、大規模な小売店がどれだけその消費のウエートを占めているかという点でいえば、日本よりもヨーロッパの方がはるかにそのウエートを占めているわけで、では、なぜそこでそういうようなところの寡占化みたいなものは進まないかということもよく考えていかねばならないことだと思っておりまして、私は、それぞれ一つ一つの制度、日本の農地制度というのはかなり世界の中でもユニークなものとなっておりますので、これは議員とこれから議論をしながら、そういうような懸念される事態が生じないように私ども努めてまいりたいと思っております。
  38. 小川勝也

    小川勝也君 今次、農地法改正でどれだけ農外法人等が経営に参画するかという、これは想像の話ですのでこれ以上しません。  しかし、私は、もう実態進んでいるように、間接的な権限掌握というところまではもう来ているんだというふうに思います。資本とノウハウを投入をし、集落営農等の、あるいは担い手を間接的にコントロールをして、その企業経営体の利益になるような生産を上げてもらう、そして所得等を補償するという関係が今後ますます増えていくんだというふうに思います。  しからば、例えば五十年先、実質経営している人たちは持てないんだというのが今の法律。けれども、さっきおじいさんがというふうに言いました。かつてうちの先祖がたまたまあの農地改革のときに農地持っていたらしいぞという人たちが農地を、ただそのことのみをもって農地を所有する蓋然性は私はないと思う。  特に、直接所得補償方式の議論になると、それは公開討論会でやっていただくか、減反政策を一緒にやっていただくかは別として、この農地政策なんというのは与野党対立のテーマじゃない。だから、私は、農地法改正だ、今回やるぞと来たときには、まさに自分が持論としてやっていたように、農地保有コストに係る議論だったらいいなと思った。特に百歩譲って、同じ集落に住んでいて、わしゃもう持てないから頼むぞという、所有して耕作しない人ならまだいいけれども、それは都市部に住んでという人たちはどこかで見切りを付けて切らないと、それはもう大臣も認めておるとおり、どんどんどんどん相続して、地球全体にはがきを出して土地改良の通知を出さなきゃいけないような、そんなばかな世の中はないんです。法律国民の幸せのためにある。  私たちは、立法府にあって、ちゃんとした世の中をつくる責務がある。憲法があるから、民法があるから、府県の人はノスタルジーがあるからと、そんなことで逃げちゃ駄目ですよ。税がいいのか、協力金がいいのか、あるいは年限を切って農業委員会等が一時管理するとか、いろんな技があるんで、まさにどうですか、筒井大臣と石破大臣とでしっかり議論してもらう。農地法について、どっちが与党になってもどっちが野党になっても、石破先生と筒井先生が中心となってやっていただく。筒井先生、どうですか。
  39. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) 筒井先生、御指名ですから。
  40. 筒井信隆

    ○衆議院議員(筒井信隆君) 突然の質問で驚いておりますが、先ほどからの小川委員の農地についての思い、そしてそれについての考え方、基本的に私も賛成でございまして、そういう考え方に基づいて今度の修正案を提起をしたわけでございまして、基本的にその修正案の原則は受け入れられたというふうに考えておりますので、今、小川委員が言われた方向でこれからの農地政策もやっていかなければいけないというふうに思っております。  それから、石破大臣との討論に関しましては、私もそういうふうに申し入れて、石破大臣からも了承の返事をいただいております。ただ、日程がまだ決まっていないから、なるべく早くそれはしたいというふうに思っているところでございます。
  41. 小川勝也

    小川勝也君 議論は尽きないわけでありますが、時間となりましたので、後続の、大事な議論は同僚議員に譲らせていただきます。  ありがとうございました。
  42. 姫井由美子

    ○姫井由美子君 民主党の姫井由美子です。  小川勝也議員の大激論に引き続きまして、どこまでできるか分かりませんが、頑張りたいと思いますのでよろしくお願いをいたします。  まず最初に、今回の農地法から少し外れるんですけれども、私が先般、三月四日、当委員会で千葉県佐倉市のアグリガイアシステムの飼料化センターの質問をしたことを覚えておいででしょうか。その飼料化センターに大変な事態が生じましたので、少し時間のお許しをいただきまして、その部分、二点だけお伺いしたいというふうに思います。  六月六日、土曜日です。テレビ東京で放送されました週刊ニュース新書におきまして、この飼料化センターと堆肥化センターが今月中に操業を停止し、全従業員二百五十人に解雇予告通知を出しているというふうに報道されました。そして、前日、前々日の千葉日報等の報道でも、このアグリガイアシステムのパートを含む百五十人と、そして元々の、同じ社長ですね、産廃を回収していた北辰産業の約百人、この経営悪化のために今月で停止をするというふうに言われました。  大手コンビニチェーンのセブンイレブンなどから出るお弁当など食品残渣をリサイクルし、堆肥や家畜の飼料を製造、販売しており、私も当時言いました、三年間ですけれども、建物の建設費三十数億円のうちの半分、十五億八千万円、これは約十六億円と書いておりますけれども、交付金という形で農林水産省から千葉県を通じてアグリガイアシステムに下りております。それがたったの二年間で操業停止ということです。  これにつきまして、原因が飼料や堆肥が売れなかったということなのでしょうか。私はその飼料の適正化というものを当時訴えておりました。そしてこれは、この交付金をもらう段階では計画を出してもらっているはずですよね。この計画がどんな計画だったんでしょうか。そして、どれぐらいのお弁当を廃棄として搬入し、どれくらいそれが飼料、肥料が売れる計画だったのでしょうか。計画のチェック、そして本当にその肥料や飼料が売れていたのかということ等含めて、この経営が行き詰まったという情報をいつごろ得たのでしょうか、伺いたいと思います。
  43. 吉村馨

    ○政府参考人(吉村馨君) まず、委員御指摘の株式会社アグリガイアシステムが行う飼料化事業でございますけれども、これは平成十七年度に千葉県からバイオマスの環づくり交付金の申請があり、これに基づき飼料化施設整備への支援を国として行ったところであります。  この事業は、関東圏内のコンビニエンスストア等からの排出された一日当たり約百七十トンの食品残渣、これを飼料に変換をして養豚農家等に販売する計画でありました。平成十九年十一月から操業を開始したところでありますが、本年三月末時点で目標数量を下回る一日当たり約四十トン程度の食品残渣、これを飼料化をいたしました。これについては販売はされていたと、こういう状況でございます。  今回報道があった件につきまして千葉県から聴き取りを行っておりますが、事業主体でありますアグリガイアシステムが経営改善を行うために工場の改修等を実施するということで、事業継続に向けて現在は事業を一時停止しているというふうに聞いております。また、今後の対応方針については、千葉県としても早急に事業主体と調整を行うという報告を受けております。農林水産省といたしましても、千葉県の調整結果を踏まえた上で今後の対応を検討してまいりたいというふうに考えております。    〔委員長退席、理事郡司彰君着席〕  もちろん、この交付金事業の採択に当たりましては、アグリガイアシステムから申請された事業実施計画書を、千葉県がまず計画の妥当性、事業の収支等について確認、審査した上で、これは交付金事業でありますので、千葉県の計画として関東農政局に提出され、関東農政局において審査を行ったところであります。結果として、先ほど申しましたように、計画どおりの食品残渣が集められなかったという状況にあります。  今後、先ほど申しましたように、千葉県とアグリガイアシステムがまず調整を行うということではございますけれども、農林水産省といたしましても、バイオマスの環づくり交付金事業の趣旨に沿った事業展開が図られるように今後の対応を検討していきたいというふうに考えております。
  44. 姫井由美子

    ○姫井由美子君 この経営破綻の、困難な情報は昨年から分かっていたというふうに伺っておりますけれども、この情報の入手の仕方ですよね、農水省関東農政局に行って、関東農政局が千葉県に行って、千葉県がアグリガイアシステムに聴き取り調査をする。  私は前回の質問で、こういったエコフィードなる飼料化リサイクルセンターは、やはりどういう飼料が適正か、そして、その回収が元々家畜のため、豚のための飼料化センターではなくて、大手コンビニチェーンのエコのパフォーマンスに使われる、元々お弁当を廃棄しているからそれを回収して何とかしてほしい、そこからの発想自体、私は間違いではなかったというふうに思うんですね。ですから、この飼料リサイクルにつきましては、農林水産省が私は主導権、リーダーシップを取ってほしい、そのために調査をしてほしいというふうに申し入れたかと思います。  今後も、こういった形ですべて千葉県に任せるつもりでしょうか。といいますのは、使い道の決まっている交付金、私はこれほど使い勝手が悪いものはないというふうに思います。補助金というものは、農林水産省が直に審査をし、そして口出しもします。しかし、地方分権という名の下に、交付金という名にして千葉県に選択の自由を与えた代わりに責任も千葉県に押し付けているわけです。私は、今回は、千葉県に責任転嫁をした補助金という見方をしてもいいのではないかというふうに思える事例ではないかと思います。  是非、今後どういうふうに指導していくつもりかというものも大臣にお伺いしたいと思います。
  45. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) このお話は余りうまくない話だと、余りどころか全然うまくない話です。一体、見通しがすごく甘かったんではないのと。今局長から答弁申し上げましたが、思ったより集まらなかったというのは一体何でなんですかということなんですね。国の交付金使ってやるわけですから、思ったとおり集まりませんでしたというのは、ちゃんと事前の調査が行き届いていなかったんじゃないのと、あるいは工場の稼働率が低かったという話もそうなのですね。  ただ、このお話、ややこしいのは、農水省、環境省、総務省、さらには国土交通省まで入ってきてそれぞれが議論をしているわけです。私は、それは全然よろしくないので、おっしゃるように、農林水産省主体的に議論はリードしていかなきゃいかぬのじゃないのと。法改正とかいろんなものがあるいは伴うのかもしれません。ですけれども、この食品残渣というものがどうやってきちんとリサイクルされるのかという目標に沿って、それぞれの省が何をし、どのように調整をするかということについて、私自身は農水省主体性を持って議論をしていかねばならないことだという認識は強く持っております。    〔理事郡司彰君退席、委員長着席〕  それが、今、大手コンビニのエコのキャンペーンに使われたのじゃないのというようなお話ですが、私はコンビニの経営者の方々ともいろんなお話はするのですが、もっと真摯な考え方を持ってやっていらっしゃるなという認識は私自身強く持ったところでございまして、その辺りもお互いによく認識を共有しながら、この食品残渣の減殺、そしてまた、ひいては自給率の向上につながることでもございますので、農水省として更に主体性を持ってこの議論は先に進め、この問題の検証はきちんとやりたいと思っています。
  46. 姫井由美子

    ○姫井由美子君 ありがとうございます。  ただ、東京都内は、九七%セブンイレブンから回収はできていたという話も聞いております。そして、私が千葉県佐倉市のコンビニオーナーに聞きましたところ、その方は二年前にそのコンビニ、セブンイレブンを開店いたしました。当初、廃棄処理の業者は自由に契約をしていいということで、三社か四社ありました。  そうこうしているうちに、数か月後に、北辰産業を使ってほしいといって、セブンイレブン本社の方がほかの産廃業者の悪口をさんざん言って北辰を業者にさせました。もちろん、その北辰産業さんは非常にいい会社でそれは問題なかったんですけれども、そのときは、値段は変わらないから、一緒だから、廃棄料は変わらないからということの指導でした。  ところが、また一か月もたたないうちに、エコをするからということで廃棄料が倍に上がったそうですね、一か月三万だったのが六万円に。これではやはりこのコンビニオーナーも、その廃棄料の負担はコンビニのオーナーに掛かってきますのでたまったものじゃないというふうに思います。  半強制的に替えられて、北辰産業からアグリガイアシステムに私はお弁当が流れていたというふうに思っておりますので、先ほどしっかりと検証すると言ってくださいましたので、本当に直接、関東農政局とか千葉県を通さないで、私は直接検証をしていただきたいというふうに重ねてお願いしたいと思います。  そして、前回の質問のときに、一方では、コンビニのオーナーはお弁当を捨てたくないのに消費期限の二時間前には捨てているんですよ、それが半額になって買ってもらえて食べてもらえるとしたらどうですかという質問に大臣は、私なら半額なら喜んで買いますという非常にうれしい答弁をいただいたんですけれども。  三つのR、リサイクルの鉄則である三つのR、これは大臣もよく御存じと思います、リデュース、リユース、リサイクル。リサイクルという再生が一番コストも掛かるし経済的に負担が大きいわけですよね。それよりも、再使用あるいは節減をするという方がよりリサイクルに効果的なわけです。  お弁当をコンビニでそのまま消費期限のあるいは二時間ではなくて三時間、四時間前に半額にして売り切ってしまっているという見切り販売を、今公取は入っておりますけれども、これを勇気を持ってやっている店舗は廃棄はゼロだというふうにも伺っております。そちらの方が、廃棄量をコンビニから出さないという意味では、リデュースあるいはリユース、よりリサイクルに近いのではないかと思いますので、こういった観点からもう一度だけ大臣から感想をお伺いしたいと思います。
  47. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、公取のお立場について私があれこれ申し上げるべきことだとは思っておりません。  前回答弁を申し上げましたときに、例えば夜の十時で閉まるスーパーというのがありまして、私、大臣になる前は大体夜の九時半ぐらいにそういうスーパーに行って、半額とかいうのを喜んで買ってきて、いや、お金が浮いたなんて喜んでおったのでありますが。  さて、その二十四時間営業のコンビニのビジネスというのを考えたときに、そうすると、常に半額とか三割引きというような商品がコンビニの店頭に並んでいるという状況をコンビニの経営者としてどう考えるべきなのか。そして、近くに何のなにがし、かんのかにがしといって、コンビニはかなり競争が厳しいわけで、あそこに行くと半額があるがここに行くとないよみたいなことになったときに経営としてどうなのだろう。さらには、コンビニでお弁当を買って帰ったときに、その二時間、三時間後に食べるというようなこともしょっちゅうあるわけで、そのときの衛生条件などもどう考えるか。  私、物すごく考えなきゃいかぬことが多いのだろうと思っております。コンビニの経営というものがきちんと立ち行くようにも考えねばならないし、消費者の利益も守っていかねばならないし、委員御指摘の食品の有効な三つのRというのをどう実現するかも考えていかねばならないので、私としてこのことの問題意識は最近相当に持っておりますので、三方一両得みたいな話にはなかなかならないと思いますが、よく認識を深めてまた議論に加わらせていただきたいと思っております。
  48. 姫井由美子

    ○姫井由美子君 ありがとうございました。  二回にわたって質問をさせていただきましたので、是非関心を持っていただきまして、特に食品のリサイクル、もったいないということをいかにいろんな観点からするためにはいい手段ができるか、特にそれをエコフィードというところまで持っていく場合にはやはり農水省の大きな発言権というものが必要だということも改めて要望させていただきまして、次の問題に移りたいと思います。  今日は、修正案提案者の筒井議員に来ていただきました。  今回、先ほど小川委員からも指摘されましたけれども、元々の農地法の第一条の問題ですね、政府が元々今般出してきました農地法改正案は、耕作者が農地を保有することが最も適当であるという箇所を削られていました。これによって、自作農主義の考え方を完全に捨て去るものであったかのように思われました。しかし、与野党合意で修正案において、耕作者自らによる農地の所有が果たしている重要な役割も踏まえつつと、現行法よりは後退した表現であるものの、自作農主義を評価する表現が残されました。このような修正がなされたのは、先ほども言われましたように、農業における家族経営の果たしてきた役割を重視したからであると私は思っております。  だとすれば、今回のこの中に、今まで言われておりました株式会社の農地参入には一定の歯止めが必要だと考えられた結果なのでしょうか。改めて、この点に関しましての修正案提案者の御意見をお伺いしたいと思います。
  49. 筒井信隆

    ○衆議院議員(筒井信隆君) 御質問、大変ありがとうございます。  耕作者が自ら所有すること、これが重要であり、適切である。これは先ほど質問に立たれました小川先生もそれを強調されておりますし、耕作者自ら所有する、そういう農業経営を家族経営という形でもってやってきたのがまさに日本農業の姿でございました。  しかし、今、姫井先生言われましたように、改正案の中ではそれらが全部抹消されている。聞けば、本心はそういう趣旨を否定するわけではないということでございますが、しかし、第一条から明確にその趣旨が分かるようにしなければならない。同時に、農地が地域にとっての貴重な資源である。地域の既にある農業との調和をきちんと図っていかなければいけない。これらの点を修正案で、修正で強調させていただいたところでございまして、当初の趣旨は明確に、当初の趣旨というのは、耕作者が自ら所有する、地域との調和、地域の貴重な資源を大事にする、これらの趣旨はきちんと第一条に規定された、こういうふうに判断をしております。  その結果、具体的に三条の二項では、個人農業生産法人しか所有等の権利は、所有を含めた権利は認めていないわけでございまして、そして三項で、使用貸借と賃貸借に限ってそれ以外の法人、農外法人にも認める、こういう形になったわけでございますが、その二項と三項の関係において、二項が基本であるということが一条の趣旨からもはっきりしたと思っております。だから、三項は極端に、露骨に言えば基本ではないということなんですよね。これは、先ほどの小川勝也先生の言いたいことにも合っているというふうに思っております。  その結果、そういうことが明確にした結果、やっぱり株式会社の参入に関して、その趣旨からのいろんな歯止めを付けなければいけないというふうに考えたわけでございまして、当初は改正案では、賃貸借の契約書等の中に適正な利用をしていないときに解除するという規定があればそれだけでいいんだというふうな歯止めでございましたが、それでは不十分である。  一つは、農業従事者、農業常時従事者が株式会社法人の業務執行役員の一人以上にいなければならないという規定を付けた。さらには、許可する際の条件として地域農業における役割分担をはっきりさせた。これは全体とすれば、地域農業との調和を条件とするところでございます。そして三つ目には、そういう許可をする場合には地域全体の配慮をしなければならない、市町村長の意見を聴くことができると、こういう規定も付けたわけでございます。  さらには、改正案にはなかったものでは、株式会社が参入した場合にどのようにその農地を利用しているか、この報告義務を課した、これも新しく入れたところでございます。さらには、株式会社等が適正な農地利用をしていない場合には、それを是正せよという勧告を農業委員会の方から出すことができる、その勧告に従わなかった場合には許可を取り消すことができる、こういう強い規定も入れたわけでございまして、それらのいろんな歯止めを付けることによって、当初の耕作者自らが所有することが重要であり適切であるという趣旨はなおさら生かされたというふうに思っております。  最後に、六十三条の二で、そういう多様な農業との調和を含めた配慮規定を置いておりまして、この配慮規定は今の姫井先生の方の質問の趣旨に合ったもので、それらを配慮しながら今度の改正農地法を運用しなければならないということも明確に入れたところでございます。  以上です。
  50. 姫井由美子

    ○姫井由美子君 ありがとうございました。  筒井修正案提出者には、どうぞお引き取りになっていただいて。  それでは、先ほど、株式会社の参入には一定の歯止めが必要だということでこの修正案を提案した、二重三重の歯止めを掛けたというふうに修正案提出者の方から説明をいただきました。しかし一方、石破大臣は、いろいろな場面で株式会社農業参入について聞かれた際に、はっきりと株式会社農業参入を否定はしていらっしゃらないんですね。昨年の九月二十五日、記者会見では、株式会社農業参入についてどう思われますかと聞かれた際には、法人個人を問わず、やる気のある主体に農地が集まる仕組みにしていかなければならないという答え方をしております。これはどういった意味で答えたのでしょうか。  そして、石破大臣に明確に答えやすくお伺いいたしますと、農業生産法人以外の株式会社農業参入、担い手につきましては、本会議での当委員会の主濱議員の問いに答えまして、担い手については一般企業であっても効率的かつ安定的な農業経営を目指して経営改善に取り組む者であれば位置付けていいと。しかし、今回の法案では、法人の所有権取得については農業生産法人に限定し、農業生産法人以外の法人については所有権の取得は認めないことを法文上も明確に規定をいたしておりますというふうになっておりますので、農業生産法人以外の株式会社の担い手ではなく所有権取得という形での農業参入ということについての御見解を改めて伺いたいと思います。
  51. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 改正法案三条第二項第二号をよく御案内の上で御質問かと存じます。  この法人の所有権取得については農業生産法人に限定をしておる、委員御指摘のとおりです。農業生産法人以外の法人について所有権の取得は認めないということが法文上明確になっておるわけでございます。小川委員との議論の中にもございましたが、とにかく農地価格は収益還元価格を大きく上回っていると、これをどう考えるんだというお話でございまして、法人というのは普通、一般の自然人よりは資本力が大きいわけであって、将来、転用期待を成就させんがためには、農業経営が赤字でも長期にわたって保有をして将来にお金もうけましょうというようなことになりかねないわけでございます。この危惧を相当に持っております。  ですので、経営規模の規模拡大というのは、貸借を中心とした農地の流動化にしてやっていこうというふうに考えておりまして、そこにおいて株式会社の所有を認めるという考え方は、私自身いささかも持っておらないものでございます。
  52. 姫井由美子

    ○姫井由美子君 先ほど出ました改正法の第三条二項ですけれども、その第二号、そちらの三条の第二項の二号では、原則は農業生産法人以外の法人が所有権や賃貸借を取得することが認められないものの、政令で定める相当の理由がある場合には認められるようになります、この限りではないというふうに書かれておりますけれども、この政令で農地の所有権取得の道が株式会社に開かれるというような可能性はじゃないと理解してよろしいでしょうか。
  53. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) さような御理解で結構でございます。  今の法律でも、ややこしいのですが、第三条第二項第二号の二におきまして、農業生産法人以外の法人の所有権、賃借権等の取得については許可できないとしました上で、政令で定める相当の事由があるときはこの限りではない。今の法律もそうでございます。  では、政令で定める事由って何ですかということになるわけですが、二つございまして、一つは、農地の権利を取得しようとする法人がその業務運営上欠くことができない試験研究又は農事指導の用に供すること、これが定める事由の一つ。もう一つは、地方公共団体が公用又は公共用に供することでございます。  ですから、今と全く変わらない規定を置いたということでございまして、改正法案におきましても農業生産法人以外の法人の所有権、賃借権等の取得については許可できませんということにいたしております。全く現行と同じ規定でございますので、御心配には及ばないということでございます。
  54. 姫井由美子

    ○姫井由美子君 ありがとうございました。安心をいたしました。  実は現行法の三条第二項の二の一号というものがあったわけで、これは今回、小作人、小作農に関しまして全部削除ということで取られてしまったんですけれども、実はその中には小作農又は農業生産法人以外には所有権は取得してはならないという、そこにも実は農業生産法人以外には所有権取得はならないという歯止めがされていたわけで、これが取られてしまったということですけれども、実はその本来の趣旨は、考え方は残っているというふうにじゃ理解をしてよろしいということで、ありがとうございます。  それでは、続きまして、私もこの三条の一項七号に出てきます農地の相続について一つ提案をしたいと思います。  今回は、相続により農地がさんざん散らばってしまうということを防ぐために農業委員会に届出をする、だれが相続をしたか、あるいはその届出がなされなかった場合にはペナルティーがあるというふうに新たに決まりました。私は、ずっと司法書士相続登記をしておりましたけれども、包括承継ということで、実は所有権移転であっても原因が相続であれば農業委員会の許可なく自分たちの相続人たちの協議でもってだれが相続するか決まるわけですね。そこに、だれが農地、農業を承継するかという意思は必要ないわけなんですよね。  私も、今回の農地はだれのものかという中で、これは国民のみんなの財産である、こういった観点に立てば、一個人相続財産の一つとして農地を入れるというのはどうかなというふうに思います。だとすれば、私は農業委員会の許可があってもいいのではないか、許可事由でもいいのではないか、だれがするか。そして、届出を義務付けたんですけれども、相続登記のときの添付書類にはこの届出書はないわけですよね。事後届出になるか、事前にしても、つまりは、ペナルティーが科せられるものの、実はどういった形で相続がされるか、この時期も、実はすぐ相続人が決まって相続登記をするものや、何年も何年も相続人が決まらないで相続争いの果てに結果的にずっと放置されるもの、いろいろあるわけなんですよね。  どこかでこの相続による対処、先ほど小川委員の方は、これに対するある程度税を掛けるというやり方もあるのではないかと言われましたけれども、私は、個人所有の相続財産の一つではなく、国からの預かりものだということで、農業を承継する人に、今する人がいないのであればこの保有の法人に移すことまで、指導ではなくて義務付けを入れて、何とか農地というものを個人相続財産から外す、これが、先ほど高橋政府参考人から、相続に対しては非常に行政的に関与できるかどうかが神経を使うと言われましたけれども、でもここは、やはりこれからの国土保全のために農地が果たす役割を考えたときに、いま一度相続の中から農地の位置付けというものを改めて考え直すのが適当ではないかというふうに思いますが、これに関しての御意見を伺いたいと思います。
  55. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 先ほど小川委員からの御質問にもございました、相続ということにつきましては、自然人の死亡によりまして必然的に発生する事態でございます。その際に、被相続人が所有しておりました個人資産である農地、これをいわゆる相続という形で親族に移転していくという形になるわけでございます。このようなものについて、今、例えば農地の多面的機能の国土保全上の役割というようなことがございまして、それでは森林保安林の所有者はどうであるのか、あるいは自然公園の所有者はどうであるのか、様々に所有権、土地に対する所有権というものが形としてございます。それぞれ公益的機能も持っているものもあれば、純粋なる私的財産としてカウントできるものもあろうかと思っております。  したがいまして、このような農地であるがゆえにこの相続に対しても行政的関与ができるかどうかということについては、先ほど来申し上げましたように、これは慎重に検討する必要があると思っております。  また、税制等のお話もございました。  税制でございますけれども、御承知のとおり、今回の租税特別措置の改正の中で、いわゆる相続税の納税猶予につきまして、従来は、相続税の納税猶予を受けるためには相続人自らが農業を行わなければこれは猶予を打ち切られるということについて、一定の貸付け、これについて行う場合には、農地がきちんと農業に使われれば、この貸付けであっても、貸し付けた場合であっても納税猶予はこれは打ち切られないというような措置ということも行ったことも事実でございまして、税というものにつきましても、先ほど大臣から申し上げましたように、様々な観点から検討する必要があるというふうに思っております。
  56. 姫井由美子

    ○姫井由美子君 ありがとうございました。  是非、農地の相続の問題につきましては、引き続き早急に御検討をいただきたいというふうに思います。  それでは、続きまして農地転用規制についてお伺いしたいと思います。  三月四日の当委員会で私は資料請求をさせていただきました。それは、農地転用した後も、元々農地という名目で農林水産省がお金を出して開発した土地に関しましては未来永劫農地ということで使われることが、これが基本であって、その後も追跡調査をして、適切な農業経営がされるように見るべきではないかという意味で、その中で、どれだけこの農地転用で産廃処分場になって周りの方の農業に対する迷惑を掛けているケースがあるかということを資料要求させていただきましたところ、平成十九年に産廃処分場への転用を目的とする農地転用実績は二十件、面積が二十ヘクタールだったという結果をいただきました。  私はこの数については少なくないというふうに思いますし、ただ、実は、直接産廃処分場ではなく、間に幾つかの所有者を介して二回目、三回目に産廃処分場になっているケースも非常に多くありますので、私はもっと多いというふうに思っておりますが、改めてこの農地法の改正のところで農地転用の問題については、改正の中にも含まれているので、議論をしたいというふうに言われました。  この農地転用後の問題について、大臣の見解をお伺いしたいと思います。あっ、大臣じゃないです。
  57. 吉村馨

    ○政府参考人(吉村馨君) まず、農地転用許可の審査に当たりまして、申請者より詳細な事業計画を提出していただいて、特に今議員御指摘のあったような廃棄物処理法に基づく処分場に転用する場合、こういった場合においても、転用目的、それから転用事業の実現の確実性について十分確認をすることといたしております。  また、転用の許可書には、許可条件として、事業計画の進捗状況の定期報告や当初の事業計画どおりに転用することを定めておりまして、これらの条件に違反する場合には許可を取り消すということとしております。こういった仕組みによりまして、転用目的どおりに事業が完了することを担保しているわけでございます。  また、もちろん、産業廃棄物の処理については、産業廃棄物処理法においても所要の規制がなされているところでございます。当然、私ども、許可を出す際には、そういった産業廃棄物処理部局とも連携を取りながら、そういった産業廃棄物処理場としての許可が下りるということも確認をしながら転用許可行政を運用しているところでございます。
  58. 姫井由美子

    ○姫井由美子君 いろんな事例が全国にありますので、是非、注意をして見ていっていただきたいというふうに思いますし、今回の転用の許可が、実際はこういった問題に対してはなかなか対処し切れない部分が非常に多いですので、これも見ていただきたいというふうに思います。  そして、この転用の許可の問題なんですけれども、実は、石破大臣は本会議では、農地の確保は国の責務であり、面積にかかわらず、農地転用許可は国の事務として再編すべしではないかという質問に答えて、国が法体系を整備し、具体的な農地転用の許可事務を国と地方が規模に応じて役割分担をしているのがいいというふうに答弁されました、今の状態がいいということではあるんですけれども。  さらに、この議論につきましては、当時の総務大臣片山虎之助さんは、これは地方分権の推進で地方に譲るべきだ、そして、元食糧庁長官、現在のこの有識者会議でもいらっしゃいます高木さんは、いやいや、これはやっぱり農地は国の宝なので国がしっかりと権限を持つべきだという形で、今後の農地転用の許可の裁量権につきまして議論が分かれるところですけれども、石破大臣につきましては、この片山案と、そして高木案というふうに分けた場合には、どちらを今後取るべきだと思われていますでしょうか。
  59. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これはどっちも正しいんです。見方、どっちの見方で議論をするかによるわけで、現実問題として申し上げれば、当省が昨年、二ヘクタール以下、都道府県が行っております二ヘクタール以下の農地に係る転用許可事務について実態調査をやりました。そうすると、都道府県において十分な検討がなされないまま許可されている事例が、調査対象千三百五十件中百六十四件ありましたというのが実態としてございます。  今の農地法の体系では、農地の転用面積の規模に応じて国と地方が役割分担する、具体的な基準は委員御案内のとおりでございます。今回の法改正でどういうことになりましたかといいますと、農地転用の許可事務に係る国と地方との役割分担は従来どおり維持をいたしますが、都道府県又は市町村農業委員会農地転用許可制度について適正な運用を行っていない場合には、国が都道府県に対して是正の要求を行うものとすると、このようにいたしました。  そういうことができるようにするということで、農地をいかに守っていくかということについて、更に国としては役割を果たしていきたいというふうに考えているものでございます。  だれがやるかという在り方につきましては、政府の地方分権改革推進委員会から昨年十二月に勧告がなされております。すなわち、第一次勧告で示された農地転用許可権限等の移譲など、国と地方との役割分担の見直しを行うということがその内容でございますが、この勧告を踏まえ、また改正法案の附則、これがもし通った場合の話でございますが、この法施行後五年をめどに改正法の施行の状況を勘案し、国と地方公共団体との適切な役割分担の上、農地の確保を図りたいということでございます。  今回、国と都道府県の関係というものも、私どもが実態を踏まえまして物が言えるというものを整備をいたしました。まずこれを実際に運用してみてどういう形になるか、施行後五年を目途にまた新しい対応がなされるのであろうと考えております。
  60. 姫井由美子

    ○姫井由美子君 ありがとうございます。  時間がなくなりました。国交省の政府参考人にも来ていただいておりましたけれども、また次の機会に回したいと思います。本当に申し訳ございません。  やはり農地は国土保全、これはもちろん豊かな農地を守ることもそうです。私たちの食料の安心、安全もそうです。そして山と農地がしっかりすることによりまして、やはりそれは川であるとか山であるとか日本のこの景観、自然を守っていく大切な宝であります。是非そういった意味でこの農地法改正が、私たちがずっと見慣れてきた農村風景は多少変わるかもしれませんけれども、でもしかし、この原風景がそのまま維持されるように農地を国が守るという姿勢をしっかりと持ち続けていただきまして、この農地法改正にこれからも実行をしていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  61. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) 午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ─────・─────    午後一時十分開会
  62. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農地法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  63. 金子恵美

    ○金子恵美君 民主党・新緑風会国民新・日本の金子恵美でございます。よろしくお願い申し上げます。  午前中の質疑の中で小川委員の方からも、これからの農地についての課題というものがますます複雑化していくのではないかという、そういう指摘もありました。大臣は答弁の中でも、これからのとにかく農地を守る、そして農業を守るということについては同じ考えであるという、そういうふうにお言葉もいただいておりますので、そういった意味からも、今後、分かりやすい農地制度への転換についてどういうお考えをお持ちなのか、お伺いしておきたいというふうに思います。  そもそも、やはり私も地方議員をしておりました折にも、農地に関係する農業委員の皆さんからいろいろな御意見、御指導を賜ってきたところでもございますが、その中で、やはりその制度について追加や変更が大変多く、分かりづらいところもあるという御指摘もありました。また、地方自治体の職員の皆さんも同じような言葉を言っているところでございます。石破大臣御自身も、昨年の十一月の記者会見で、農地法の体系は、良く言えば精巧、悪く言えば複雑で、ちょっと見には分からないというような内容のことを述べられていらっしゃるわけでございます。  そこで、今回の法改正に当たりまして、農地制度というものを国民の皆様により分かりやすくするための努力なり工夫なりというものが行われたのでしょうか、なされてきたのでしょうか、お伺いしたいというふうに思います。
  64. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 確かに記者会見でそのように申しました。農地法があって、農用地利用増進法があって、農地経営基盤何とかかんとかという法律があって、とにかく農地法のほかにいろんな法律があって、農地に関する法体系全体がよく分からない、それは私の努力とか理解能力が不足しておるのでしょうけれども。ですから、今回、できるだけ分かりやすい法体系としたいと思いました。  当たり前のことですが、要らなくなった規定は大幅に削ると、あるいは農地法とほかの関連法に分散しておった規定をできる限り整理統合するということをいたしました。小作地所有制限を始めとする、事実上形骸化しているような規定は全部落としましたので、条文数でいえば、百十九条あったものが七十三条まで減らしましたということでございます。あるいは、現行では、農地でありましても遊休農地に対する規定は農業経営基盤強化促進法に定められておりました。そっちの法律見ないと分からないということでございましたので、先ほど申し上げましたように、その規定は今回農地法の方に移行するという形にいたしたところでございます。  相当程度分かりやすくなったかなと私は思っているのですが、この法律が分かりやすいように、分かりやすい農地法という本を買って読んでみたのですが、ちっとも分からない。ちっとも分かりやすくなくて、やっぱりこれが一般の方々に分かるようにどうやって周知徹底を図っていくかということは、今日御議論があるでしょうけれども、農業委員会ともよく御相談の上やっていきたいと思っております。
  65. 金子恵美

    ○金子恵美君 分かりやすい法体系にしていくという努力はしたというようなお言葉ではありますので、経済界から圧力を掛けられて農地法を改正するのではなくて、あくまでもこの国の農業のため、そして農地を守る、国土を守るためにやっていくんだというお考えだというふうに思いますので、そういったところから、であれば、農地法に伴いまして、現場の方の運用者である農業委員会、新たな業務も大変加わってくるわけなんですが、ますます重要な役割を担っていくということでございますので、今大臣の方からもありましたように、農業委員会についてお伺いさせていただきたいというふうに思います。  農業委員会の制度、御存じのとおり、農地法が成立、法律として創設される前から、昭和二十六年からあるわけでございますけれども、私が手にしました「農林法規解説全集」というものによりますと、制度が創設されたその趣旨について、その基本構想は、農業全般にわたる問題を農業者の総意と自主的な協力とによって総合的に解決していくために、民主的な農民代表機関地方自治体組織として設置しようということであったというふうにございました。  こういったところからも御質問をさせていただきたいと思うんですけれども、まず、農業委員会制度が創設されて半世紀以上が経過しているわけでございますけれども、創設当時と比べまして今農地をめぐる状況が大変大きく変わっているというのは、もう午前中の質疑のやり取りでも分かったわけでございます。この大きく変化した今日、なお市町村の行政委員会として農業委員会制度を維持することの意義そして必要性についてお伺いさせていただきたいと思います。
  66. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) こういう制度が世界のどこかにあるだろうかと思って調べてみたんですが、世界のどこにもない、こういう制度は。ましてやと言うべきか、公選制により農業委員を選び民主的に行うというようなものはないんですね。私はもっときちんと調べてみようと思っておりますが、我が国独自の極めてユニークな制度であるということは事実でございます。  農業者の財産権に直接的な影響を及ぼします農地の権利というものの許可を始めとして様々な事務がございますが、これを効果的に実施していくということが必要でありまして、公選制によって選ばれた農業委員がつくるがところの行政委員会というところに大きな意味があるんだというふうに考えております。このいろいろな事務が客観的、公平に行われなければなりません。  今回の法改正によりまして、農業委員会は、まさしく最初からそうなのですけれど、農地の番人として、今どき番人なんという言葉ははやらないのかもしれませんが、農地の番人としての役割は更に増えることに相なります。企業参入等のチェックでありますとか遊休農地対策の業務、これは大幅に増えますので。今回、この制度改正を待たずにできることはやっていきたいというふうに考えておりますが、まさしく世界に類例を見ないこの制度がその機能を十分に発揮するために、例えて言えば、実質的に協力員を増員する、そういうような質、量共に支援を図っていくということが必要だろうと私は思っておるところでございます。
  67. 金子恵美

    ○金子恵美君 既に質、量共に支援をしていくというお言葉を先にいただいてしまっているんですが、私も農業委員会の果たしてきた役割というのは大変大きなものがあろうかというふうに思っております。  先日、五月の二十八日に開催されました全国農業委員会会長大会におきましても、地域における耕作放棄地の発生防止とそして解消に向けて非常に熱心に取り組んでおられます農業委員会を中心としました皆様方、表彰を受けられた方々もおられまして、そしてその事例というものが紹介されたわけでございます。私の地元の福島県の旧東和町というところにあります元農業委員会の方々も参加されてつくられましたNPO法人ですね、ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会というのもあるんですが、そういう高い評価も受けまして、やはり農林振興局長賞ですか、そういうものも受けられたということでございます。  そういった意味で、今大臣がおっしゃっていただいたように、支援をしていく必要があるということ、そのお言葉は有り難いことだと思っておりますが、その農業委員会の皆様の本当に知識が十分に生かされる環境づくり、しっかりとやっていただきたいなと思うところでございますが。  一方で、残念ながら、農水省は今年の一月に「農業委員会の適正な事務実施について」という通達地方農政局長等に出しておられるわけでございます。その中の基本的な考え方の項でどういうことが書かれているかといいますと、農業委員会事務については、政府の規制改革会議等の場において、地域によっては事務の大半が事務局によって処理されており、農業委員の関与が不十分である、農業委員は実質的に自分が選出された地区の担当となっており、担当地区の利害関係のみで、それ以外の案件については意見を述べない、農地転用については議論が活発ではなく、またどんな転用でも認めている農業委員会がある、農業委員自身が利害当事者となる場合すらある、農業委員会は、往々にして外部からの農業参入者に排他的であるなど、審議の形骸化に係る指摘や公平性及び公正性に対する疑問に係る指摘がなされているという内容が示されております。  この通達は、農業委員会に対してもちろん適切な助言指導を行うように求めるものでございますけれども、この通達によりまして、どこまで業務の適正化、活発化が進むものとお考えでしょうか、お伺いさせていただきたいと思います。
  68. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 農業委員会に対しまして、本年一月、私どもの方から出させていただきました通達でございます。  農業委員会、大臣からもお話ございましたとおり、やはり今後の農地政策にとりまして非常に重要なキーマンということになろうかと思います。  ただ、その際に、これまでの農業委員会の運営につきまして、もちろん立派な活動を行っていると、これはもう全国各地にあるわけでありますけれども、当国会の場においても何回か御指摘がこれまでもございました。問題点、そういったようなものもこれまでもやはり外部から指摘されていると、これも事実でございます。規制改革会議だけではなくて、例えば、当然のことながら、これ市町村の行政委員会等ございますが、いわゆる地方分権、そういうような場におきましても、この農業委員会に対しましては様々な意見もあったところでございます。  基本的に私ども、最初に申し上げましたとおり、今後ともこの農業委員会が果たすべき役割というのは非常に重要だというふうに思っております。したがいまして、今回更にこの改革によりまして重要な役割が付与されるということを前提といたしまして、まず自分たちできちんとやれるものについてはやっていく必要があるだろうと。そういう趣旨の下で、いわゆる法律に基づきます権限、あるいは農地集積等の農地の効率的な利用に関する事務、それぞれにつきまして透明性の確保、あるいは法律事務については公平性の確保等、委員からも御指摘のございましたような様々な立場について、これについてきちんとした活発な活動をしていただくということで、この取組についての一層の透明化を高める取組をお願いするという通達を出させていただいたわけでございます。  ただ、一遍の通達を出したからといって、これで直ちにこの業務実績が上がるということではございません。必要な支援を講じながら、また必要な指導を進めてまいりたいというふうに思っております。
  69. 金子恵美

    ○金子恵美君 おっしゃるとおり、一度の通達を出したからといって変わるわけではないということでございますが、この通達の中でちょっと気になる点がありまして、一つは農業委員会法の第二十四条では、「農業委員会の委員は、自己又は同居の親族若しくはその配偶者に関する事項については、その議事に参与することができない。」と規定されていますけど、この通達の中で、先ほども申し上げましたが、農業委員自身が利害当事者になる場合すらあるという指摘がありました。  また、二点目には、議事録の作製についてですけれども、農水省農業委員会に業務点検の表の作成を求めているわけですね。その中に議事録の作製という点検項目があるんですが、その中に、作製していない又は作製していなかったという選択肢があるわけなんです。農業委員会法の第二十七条を見ますと、「会長は、議事録を作製し、これを縦覧に供さなければならない。」と定めているわけなんです。  これらの指摘が事実であれば、法律に抵触しているということになるのでしょうか、お伺いします。
  70. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 農業委員会等に関する法律二十四条におきましては、農業委員会の委員は、自己又は同居の親族等に関する事項について、その議事に参与することができない、いわゆる議事参与の制限というのがございます。また、二十七条で、農業委員会の会長は、総会等の議事録を作製し、これを縦覧に供さなければならない、いわゆる法律で求められている事項でございます。  今回、通達をいたしました中身でございますけれども、例えば、議事録そのものの作製を求めるということではございません。審議過程のすべてについて、やはり要約で示しているというようなところもございますので、そういうことではなく、詳細にわたります議事録を作製して、これを縦覧に供するよう、公開の充実を求めるということ。あるいは、議事参与の制限、指摘のようなことがないと私ども思っておりますけれども、そのような指摘は受けないということを明確に外に、外部にも分かるように、議事参与制限が適正に行われていると、そういったことをきちんと明示していただきたい。そういうことで外部からのまた批判ということにも対応ができるということで、このような通知を発出させていただいたわけでございます。
  71. 金子恵美

    ○金子恵美君 今申し上げました業務点検表の中には、項目として、作製していない又は作製していなかった、そういうことが書いてあるんですけれども、今、二十七条によれば、議事録を作製し、そして縦覧に供さなければならないのであって、議事録があるのが当然のことなわけですよね。  それにもかかわらず、あえて作製しているとかしていなかったということを聞くような、そういう項目があること自体がちょっとおかしいのではないかということを指摘しているわけでございまして、当然作製しているだろうということを、法に基づいてですね、それを前提にそういう点検項目がちゃんとあるのであればいいですけれども、そういう何か甘い感じがするわけですよね。  私が申し上げさせていただいているのは、まずは、じゃ法律に恐らくこれ実際に議事録を作っていなかったら抵触するということだと思うんです。そうですよね。そういうことを今までももし御存じであったのであれば、そういうことを把握していたのであれば、なぜこれまで指導あるいは指導的な措置等を行ってこなかったのかということをお聞きしておきたいと思います。  なぜならば、その議事録を作製するということは、その審議の中でどういうプロセスが行われていたかということを多くの方々に分かっていただくということになるわけですから、その中で公正公平な判断というのを農業委員会の中でなされるということでとても重要な部分だというふうに思っておるところでございますが、今まではどのような措置を講じてきたのか、お聞かせいただきたいと思います。
  72. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) まず、議事録あるいは議事関与の関係でございますけれども、私どもといたしましては、様々な外部のそういう委員会等の場で指摘を受けたと。ただし、それはどこそこの委員会というような根拠のある指摘という形で受けたものではございません。当然のことながら、法律に基づいてこれまで何十年にわたってきている委員会でございますので、そういうようなことはきちんと行われているという前提だと思いますけれども、やはり念のためそこのところはきちんとやっていただきたいということでございます。  それから、これまでの農業委員会に対する業務適正化につきましては、個々の業務について、例えば遊休農地の指導等あるいは違反転用、そういうような個々の業務に対する指導をやったわけでございますけれども、今回、この制度改革、大きな制度改革を控えて、再度、業務運営全般についてもう一度見直していただきたいということで通知をさせていただいたところでございます。
  73. 金子恵美

    ○金子恵美君 重要な役割を担っている農業委員会がきちんと機能するようなことを今までしていていただければ恐らく法に抵触するということもなかったでしょうしということの意味も含めて私は質問させていただいております。  今二つの事案について申し上げたわけでございますけれども、そもそも農業委員会は国の構造政策を全国統一的かつ効率的に実施させるための制度であるわけです。しかしながら、行政委員会であるということで適正な実施に向けて十分に担保する仕組みになっていないのではないかということがあるのでしょうか、そこをちょっと見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  74. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 農業委員会でございますけれども、繰り返しになりますが、市町村の機関になります。しかしながら、農地法に基づきまして執行する事務につきましては、農林水産大臣は現行法第五十条、これは改正後は八十三条になりますけれども、失礼、改正後が五十条で現行法が八十三条でございますが、農業委員会から必要な報告の徴取、これをきちんと大臣の権限として持っております。また、事務処理に対しまして必要な指示、これにつきましても自治法とは別にこの農地法の中できちんと処理をすることができる、これは現行法の八十九条でございますけれども、できるということで、国の行政委員会、この農業委員会に対する指示、監督ということで必要な措置はきちんと講じているところでございます。
  75. 金子恵美

    ○金子恵美君 もう一つ、農業委員会制度の趣旨として、先ほど申し上げましたように、民主的な機関として客観的かつ公平に業務を行っていただくということがありまして、大臣も先ほど公選制について触れていただいたところでございます。この公選制を機能させて、地域農業の在り方について活発な議論を喚起するということが大変重要であろうかというふうに思います。  平成十五年四月に取りまとめられました農業委員会に関する懇談会の報告書、この懇談会は農水省経営局長の私的諮問会議であったということでございますが、この中で、公選制については賛否両論あり、今後の検討課題というふうに整理をされておりました。その後の政府の検討状況はどうなっているのでしょうか。そしてまた、公選制を今後機能させる方向で見直すのか、それとも、平成十六年の改正農業委員会法で定数のスリム化を実施したように、公選制の性格というものを徐々に薄めていく方向なのか。その辺のところを二点お伺いさせていただきたいと思います。
  76. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) とにかく、世界に類例のない制度でありますということがまず前提としてありまして、何で公選制を取っているかというと、私有財産でございますので、これに行政が関与することの公正性、公平性を確保しなければいけないということ。そして、行政関与の当事者に農業者がなりますので、これに正当性を与える手続として設けられたということだと承知をいたしておるところでございます。  としたところが、例えば委員の選挙区なんかどうでしょうか、どれだけ選挙が行われて、実際にどういう人がなって、私、二十数年国会議員やっていますが、農業委員の選挙というのは余り見たことがない。一回だけ当選祝いというのに行ったことがあるんですけど、それ以外に余り記憶がないと。そうすると、本当に、建前なるものはそういうものだと、実際にどう機能しているんだろうかということでございます。  今回の改正によりまして、農業委員会は、農地を適正に利用していない場合には許可を取り消すと、地域における農業の取組を阻害するような権利取得は排除すると。より一層の公正性と公平性が求められるわけでございまして、このように新たな任務を与えているわけですが、農業委員会事務が円滑に実施をされるように促していかねばなりません。  その中で、本当に公選制というものがなぜ必要なのかというのは冒頭申し上げたとおりですが、これがきちんと意義どおり機能しているかどうか、そういう検証は行っていかねばならないのだろうと思っております。実際に農業委員になった方のお立場からしてみれば、本当に農地の番人としての高い見識、高い使命感、そういうものに基づいてやっていただかねばならぬわけですが、本当に、じゃ、なり手がどれぐらいいるのか、本当にそういう方々がきちんと行うような体制が確保されているかということも併せて私どもは検証していきたい。  ですから、公選制を当面は維持するというのはそういうことでございますが、本当にそれをやられる方々のお立場に立って私どもは考えていかねばならないなと思っております。
  77. 金子恵美

    ○金子恵美君 公選制は引き続き維持をしていく。そして、大臣の方からも御指摘がありましたように、公選制と言われながらも無投票で選ばれると。選挙といっても実際に投票実施率というのは一割ということでございますので、御指摘は当たっているのかもしれません。  ただ、その中で、もちろんすばらしい能力のおありの方々がそれぞれ委員になられていることだとは思いますけれども、公正公平という部分をまた今後新たな業務が入ってくる中で確実にしていくために、公選制をこれから維持していくということであれば、その辺のところも含めてやはりしっかりとした御検討をいただきたいですし、そしてまた、選任委員の部分も、各団体からの代表あるいは議会推薦という枠もあるわけでございますけれども、議会推薦の中でももちろん農業委員会の所掌に属する事項について知識豊かな方に学識経験者としてしっかりなっていただかなくてはいけないわけですから、そういったところでも、もちろんこの農業委員の選任について、課題をとにかくより良く解決していく方向性でその辺をチェックしていただきたいというふうに思っているところでございます。  次に、農業委員会の今後の業務体制について伺いたいというふうに思います。  今回の法改正によって、農業委員会の業務、法令業務を中心に大幅に増大するとともに、規制緩和後の賃借権の設定に当たり、すべての基準を申請者が満たしているのか、あるいはまた、賃借権の設定後の農地の利用状況のチェック等難しい判断を迫られる、そういう場面が増えるものと思われます。その任務は、修正案の方では一層大きくなったわけでございます。  そこで、まず現在の農業委員会の体制についてお伺いしたいんですが、現在の農業委員、一委員当たりの状況を見ますと、平成十九年で委員数は二十一・二名、そして職員数は四・四名となっております。そして、お手元の方に資料をお配りさせていただいておりますけれども、右側の表を見ていただきますと、委員一人当たりの担当面積というのが年々増加しているということが分かります。平成十九年には百三十一ヘクタールとなっております。事務局一人当たりの担当面積も六百二十六ヘクタールとなってきております。  平成十六年の農業委員会の先ほど申し上げました定数の削減、農業委員会法の改正ですね、定数の削減を促してきたことからの影響や、あるいは市町村合併などから農業委員数も減少、そして事務局の職員数も年々減っているということが分かりますが、一人当たりの担当面積も大変増加している状況になっています。こうした状況下で改正後の業務を十分に担い得ると見通していらっしゃるのでしょうか、端的にお答えいただきたいと思います。
  78. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 農業委員会の業務でございますけれども、今委員御指摘のとおり、近年、特に市町村合併等の推進もございまして大幅に農業委員会の数が減ってきているところでございます。一方で、当然のことながら一委員当たりの活動区域ということは広域化しているわけでございます。加えまして、今回、先ほど来お話し申し上げておりますように、法改正によりまして従来からの業務に加えて有機農地対策等の業務、それから賃貸借に関する新たな判定業務等重要な役割を担うということでございます。  今後、どの程度この業務が増えてくるのかどうかについて、現段階で直ちにこれを見越すことは困難でございますけれども、やはり業務量というものは相当増えるし、責任も大きくなるということでございます。先ほど来申し上げておりますように、この業務が適切に執行できるように、当然のことながら我々としても考えていかなければならないというふうに思っているところでございます。
  79. 金子恵美

    ○金子恵美君 それでは、具体的にどのような支援をしていただけるのかということなんですが、本会議の質問の答弁で、大臣は農業委員会の体制整備に対する支援について、農業委員会がその機能を十分に発揮し、適切に執行できるよう、例えば、農地の利用集積等を推進することにより委員会事務を事実上補助する者を拡充するなど必要な措置を講じますとおっしゃっておられました。改めてその法改正後にどのような支援を行うのか、具体的にお伺いさせていただきます。
  80. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 農業委員会に対する事務の適切な遂行についてでございますけれども、まず平成二十一年度予算におきましては、農業委員会が農地所有者の相続の発生の状況等を把握いたしまして、耕作放棄の要因となりやすい不在地主を特定するための活動について新たに支援措置を講ずることとしております。  特に、この農地に関しましては、先ほど来相続等のお話もあったわけでございますけれども、農地の情報、これをきちんと把握するということが最大のまず基礎になります。したがいまして、農地情報の基盤となる地図を整備する、これに各農業団体等が保有しております情報を付加いたしまして、これをきちんと使えるように整備をすると、こういうことを、基本的な部分を今進めているところでございまして、これらも含めて農業委員会が行う活動のまず基礎的な資料にしてまいりたいというふうに思っております。  加えまして、今回の改正法案、御可決いただけましたならば、農業委員会の機能の十分な発揮という観点から、例えば農業委員会に対しまして農業委員あるいは農業委員会事務局職員、これは市町村の行政機関でございますので、国から直ちにということは難しいわけでございますけれども、実際上、実質的にこのような職務をサポートいたします協力員、こういったものについて増員というようなことを考えてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  81. 金子恵美

    ○金子恵美君 協力員の増員ということである、それに対する人件費ということになると思いますが、農業委員会法第二条では、農業委員会農地法その他法令に基づく業務を処理するのに必要な経費を都道府県を通じて市町村に交付する旨が定められているわけです。これがいわゆる農業委員会交付金と呼ばれるものでございますが、農地制度を始め本当に国の構造政策を現場で展開するこの農業委員会に対して国がこのような必要経費を交付するのは当然の措置であるというふうに思います。  御案内のとおり、農業委員会の交付金も、骨太二〇〇三年に基づき、平成十六年から十八年度の三年間で順次二割削減されました。さらには、いわゆる三位一体の改革によりまして、十八年度から人件費相当額の交付金四十六億円が都道府県に税源移譲されました。そこで、税源移譲された人件費相当分、まずはこの都道府県から市町村に対してきちんと交付されているのかどうかということを把握していらっしゃいますでしょうか、お伺いさせていただきます。
  82. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 農地法等に基づきます農地の権利移動の許可等の法令事務に要します農業委員の手当、あるいは事務局職員の設置等に関する経費の財源に充てるために国が予算措置しているのが農業委員会交付金でございます。これについて、委員御指摘のとおり、平成十八年度にいわゆる三位一体改革ということで、地方に対しまして四十六億円の税源移譲を実施いたしたところでございます。  このような結果、実際的に農業委員会の経費がどのようになっているかということでございますけれども、私ども把握しております、決算額ベースでございます、改革前の平成十七年度、一農業委員会当たり約三千二百万円でございました。これに対しまして、平成十九年度、三位一体改革後でございますけれども、一農業委員会当たり三千四百五十万円となっております。この間、一農業委員会当たりの農業委員数及び職員数、これについては、若干の変動はございますが、横ばいないし微増ということでございます。したがって、この三位一体改革の前後を通じましてはきちんとした措置が引き続き行われたというふうに理解しているところでございます。
  83. 金子恵美

    ○金子恵美君 三位一体の改革の影響はそれほどないというようなことなんですが、実際に自治体の厳しい財政状況を見ますと、今後のこともありますが、まず削るのは人件費、農業委員会交付金も例外ではないのかもしれません。非常に懸念しているわけでございます。  今回の法改正によりまして農地政策上の農業委員会の位置付けというのが格段本当に強化されたということを踏まえまして、やはり税源移譲された部分の取扱いについては再考するべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  84. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) この点につきましては、この農業委員会の交付金もこの三位一体改革全体の中で、経済事業運営と構造改革に関します基本方針二〇〇三において、国と地方の役割分担に応じた事務事業及び国庫補助負担金の在り方の抜本的見直しの一環として措置されたところでございます。  そういうような経緯がございますので、この農業委員会交付金のみを取り上げまして、これについて再び国の交付金に、元に戻すということにつきましては、結局、地方と国との権限あるいは財源の問題等々、どのように考えるかという中の全体部分でないとなかなか難しいのではないかと、これだけを取り上げてやるということについては非常に難しい状況にあるのではないかというふうに考えているところでございます。
  85. 金子恵美

    ○金子恵美君 いずれにいたしましても、しっかりと、事務局体制を支援するその仕組みといいますか、やっていただきたいと思います。  次に、農業委員会による調査権限についてお伺いさせていただきますが、農業委員会には、現在、農業委員会法の第二十九条に基づく調査権限、そして農地法第十五条の四に基づく農業生産法人への立入調査権限があります。今回の改正で少なくとも毎年一回の農地の利用状況の調査が法的に明確化されるわけでございます。それぞれの調査が円滑に進むことを願っているわけでございますが、いずれも農業委員会の調査を拒んだ、拒否した方々に対する罰則は見当たりません。農地の利用状況を的確に把握するためには敷地内を詳しく調べる必要もあるというふうに思いますが、強制力のない調査では実効性に乏しいのではないでしょうか。御見解をお伺いさせていただきます。
  86. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 農業委員会の調査につきましては、その業務運営上きちんと現状を把握するということが必要なために行っているわけでございます。ただし、これにつきまして、現実に本当に、例えば水田の田んぼの中に入らなければならないのかどうか、そういったようなことを考えますと、すべての場合に立入調査が必要だということではまたないと思っております。必要な場合は当然のことながら立入調査ということもあるわけでございますけれども、営農状況等について外形的に外部から見て分かるということも当然あろうかと思います。  一方、じゃこの立入調査は、法律にもございますけれども、犯罪捜査のために認められるものではない、当然のことながら行政運営の遂行上必要な調査でございます。そういたしますと、この調査の受忍の部分と調査の必要性との部分で罰則規定というものを調査を受ける側に課すということについての比較考量、バランスということについて考えていく必要があるんではないか。どれだけの保護法益があるのか、あるいは受忍に対してどれだけ受忍限度があるのかというようなことについて考えますと、今申し上げましたような様々な議論の中からこれまでもこういう強制力、罰則というものは設けてこなかったということが現状でございます。
  87. 金子恵美

    ○金子恵美君 もう一度ちょっと確認をさせていただきたいんですが、農地法十五条の四、そして農業委員会法二十九条、何のための立入調査であるかということを確認させてください。  農水省に伺いましたところ、十五条の四の部分で立入調査をしたかどうかということをお伺いしますと、過去五年さかのぼったところゼロ件だったということなんです。そうすると、この調査、この十五条の四というのは何のためにあるのか。そしてまた、農業委員会法ですね、こちらの方の二十九条の部分は、調査をしているかどうかというその状況については把握していないというようなお答えだったんですが、いかがでしょうか。
  88. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 先ほど来申し上げておりますように、農業委員会の業務の遂行上必要な事態を把握するために行うということでございます。例えば、きちんとした農業経営が展開されているのかどうか、そういったものについて立入調査まで本当に必要な事態に立ち入っているのかどうかということがやはり現場の実態としてあろうと思います。  もちろん、まるっきりないということではないわけでございまして、そういった意味での必要な調査権限を付与されているところでございますけれども、少なくとも圃場という観点でいきますと、そこまでしないと常に分からないのかどうかという議論が片一方であるんだというふうに思っております。
  89. 金子恵美

    ○金子恵美君 今回の農地法の改正では、参入規制の大変な大幅な緩和ということになってきます。地域農業者の皆様がやっぱり御心配なのは、どんな方々が自分のその地域に入ってきて農業をやるのかということを含めているわけでございます。  そういったところで、もちろん農業委員会の皆さんが地域をよく知っている立場からきちんと調査をする、そしてその権限を持ち、そしてもちろん、まあ強制力というのはあれですけれども、でも強制力をきちんと行使できるようなことも含めてこれから考えていかなくてはいけないという中で、あえてこの質問をさせていただきました。実態を知ること、外から本当にそれが見えるのかということですね。それを含めてちょっとお考えをいただきたいと思います。ですので、今回の根拠法でもある農業委員会法の改正を本当は視野に入れるべきだったのではないかと私は思います。  これについてはお答えは結構ですが、衆議院の修正によって追加された検討条項の中に、「農業委員会組織及び運営について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」というふうに書いてあるんですが、政府といたしましては農業委員会の業務の適正な実施を確保するために法律の見直しということを含めているというふうに理解しているということでよろしいんでしょうか、確認をさせてください。
  90. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 衆議院の修正で検討条項、附則の第十九条でございます、そこにそのような項目が追加されたというのは御指摘のとおりでございます。そうしますと、当たり前のお話なのでございますが、検討条項に基づきまして検討します。その結果、必要であれば農業委員会法の改正しなくてはなりません。そういうことだろうと思います。  今回、省内でも相当の議論はいたしました。農業委員会法の改正、すなわち、公正性、公平性を確保するゆえんとしての公選制ということになっているわけですが、選挙もそんなに行われていないと。実際に農業委員の立場に立ってみると、非常に公正公平をきちんと貫こうと思うともう大変な負担が掛かるということも事実です。でも、そういうお仕事をやっていただかなければ農地はきちんと確保されないわけで、そうすると、農業委員会法がこの検討条項に基づいてかくかくしかじか、こういうような問題があるということになるとしますれば、それは農業委員会法の改正というのは当然行わねばならないのだろうと思っております。  ただ、この新しい法律を運用してみまして、仮に御可決いただいた場合、してみたときにどういうような問題が生ずるのか。そこはもう負担の問題も含めて私どもとしてはよく考えていかねばならないし、何よりかにより農地というものはきちんと確保されるということが実効が上がっているかどうかとパラレルに論ずるような必要があると私は思っております。
  91. 金子恵美

    ○金子恵美君 時間がありませんので、最後に、農業委員会が担う新たな業務の判断基準についてだけ御見解をお伺いさせていただきたいんですが。  具体的事項は政省令にゆだねられるという点についての指摘が衆議院の議論でもあったわけなんです。ですが、この政省令に関しては現行の考え方が基本的に踏襲されるというようなことでありましたが、政省令にゆだねられているもの以外の事項というのはどうなっていくんでしょうか。もう本当に現場でその法の運用者として頑張っていただいている農業委員会の方々が判断しかねるような状況では困るわけです。  ですので、この件について、例えば農地の権利移動の許可要件として、新たに周辺地域における農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがないこととはどういうことであろうか。あるいは賃借、契約ですね、賃貸借契約の取り消す際の賃借人が農地を適正に利用していないということは具体的にどういうことであるかということも含めまして、ガイドラインをきちんと定めるなり、運用指針をきちんと定めるなり、そしてこれをきちんと農業委員の皆さんに知らしめ、そしてあるいは研修などを全国統一的にやっていくなり、そういうことが必要かと思いますが、御見解をお伺いさせていただきまして、質問を終わります。
  92. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 委員御指摘のとおり、ここの部分につきましては、いわゆる法令ベルで全国画一的に行うということでは足りないと思っております。やはり地域の実態に応じた適切な判断ができるように、このためにやはりガイドラインをきちんとお示しをして、これを農業委員の、現場で判断をされる方にきちんと示してまいりたい。必要に応じて研修等についても、これは全国会議所あるいは都道府県の農業会議等を通じてきちんと研修もしてまいりたいというふうに思っております。
  93. 金子恵美

    ○金子恵美君 終わります。ありがとうございます。
  94. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 自由民主党の岩永浩美です。  今日、午前中に小川委員から大変高邁な御高説を拝聴して、農地法の改正そのものについて私自身は反対する立場ではありません。ただ、懸念することが少しあるので、それは質疑の中で皆さん方と共有できれば非常に有り難い、そういう思いで質問をさせていただきたいと思っております。  その中で、今回の農地法の改正、まさに農地を効率的に利用する者による農地についての権利の取得を促進して、農地の利用関係を調整し、農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることによって国内の農業生産を図り、国民に対する食料の安定供給を確保することを、資することを目的とすると、こう改正条文に書いてあります。  そこで、私は、今回の農地法の改正は、米政策の将来の在り方について、いろいろ方向性を見出すために農地の転用を考えておられるのか、それとも、食料の自給率を高めるということは、すなわち国民の生命を守っていくために、やっぱり国民生活の安全保障のためにどうしても必要な改正なんだとお感じになっているのか、外交防衛と、防衛政策と同じように、国民の生命を守っていくためのその一つの安全保障のためにこの農地の改正をされようとしているのか、そこをまず大臣からお伺いをしたいと思います。
  95. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 国民の生命を守るという意味で、自給率は上げていかなければなりません。先進国各国とも自給率の向上に努めておりますのは、それは穀物貿易というものが非常に量的に薄いものであると。過去一九七三年に、後から調べてみれば、たった三%不作になっただけであるにもかかわらず、大豆であるとかトウモロコシであるとかいうのは三倍、四倍の値段に跳ね上がったと。あるいは、日本が米が不足だった年がございますが、その年に日本が二五%不足だったのですが、それが買い付けに出ただけで米の相場は二倍に跳ね上がったということがございます。ですから、基本的に自分の国で食べるものは自分の国で作りましょうね、それが安全保障なのですよということだろうと私は認識をいたしております。  さて、自給率を構成しますのは、農地であり農業者であり農業インフラストラクチャーでありということになるわけですが、その一番基礎になります農地というものが、午前中から議論がございますとおり、持っているんだけれども使わないというのが物すごく増えている状況にあって、この利用というものをどうやって図っていくのか。  米政策とこの農地法の改正というものが全くの牽連関係にあると私は思っておりません。今の農地法の議論の中でいたしておりますのは、とにかく持っているけど使わないというものを、どうやって利用ということに焦点を当ててこの利用の拡大を図っていくかということでございまして、委員御指摘のように、安全保障としての自給率、その構成する最も大事な要素である農地というものの有効活用に焦点を当てて今回の法改正をいたしておると私は認識しております。
  96. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 農地の有効活用を図っていくこと、これはもう当然のことと私自身も思う。ただ、今までずっと続けてきた家族経営、家族経営と規模を拡大してやる農業との間に更に乖離が出てきて、いろいろな問題が新たに出てこないのかという心配。  先ほど小川議員は北海道を一つのモデルにしたお話をされました。私たち九州に生まれ育った者にとって、大規模農業というのはやろうと思ってもできない、家族経営じゃないと農業が成り立たない。そういう地域に育った者として、家族経営の在り方をどういう考え方をお持ちなのか、まずそこをお尋ねしておきたいと思います。
  97. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私の地域におきましても、大規模な企業経営による営農というのは極めて考えにくい。というのは、九州と山陰と少し事情は違うのかもしれませんが、同じようなイメージを私自身持っております。  今回の改正法におきまして二つございまして、一つは、午前から議論のあるところでございますが、法人の所有権の取得は引き続き農業生産法人に限定すると。二つ目は、農地の貸借につきましても、農地の権利取得の許可につきまして、地域における農業の取組を阻害するような権利取得は排除するということになっております。さらに、農地の適正な利用が行われない場合に対する担保措置というものは、第三条第三項あるいは第三条の二等々で措置をいたしておるものでございます。  大規模企業経営によって家族経営というものが淘汰されるということは決して好ましいことだと思っておりませんで、そうならないような仕組みというものは、今回、相当の工夫は凝らしたつもりでございます。私は、家族経営というものの必要性、あるいは集落営農の今後の役割、それはもう強調し過ぎてもし過ぎることはないと思っております。  しかしながら、家族経営の行き詰まり、その後、家族経営で何とか何とかやってきたんだけれども、もう後やる人がいないというのが全国あちらこちら増えてきたときに、これをどうするんだと。家族経営というものが今後も続けばいいのですが、そうじゃない場合にいろいろな担い手というのは考えていかねばならない。ただ、それが、繰り返しになりますが、家族経営を淘汰するようなことがないように今後とも注視をして、努力をしていかねばならないと思います。
  98. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 家族経営が崩壊しないようにしていくのに注視しなければいけないとおっしゃいました。まさにそのとおりなんですね。  ただ、大規模経営になじまない地域の、限りなく兼業農家に近い、耕作面積が二町歩以下みたいなところで農業をやっておられる世襲の、世襲という言葉は先ほど出ていましたが、長男だから農業を継いでと、そういう農家の人たちは、ただ採算性もさることながら、やっぱり農業に対する志があるんですよ。やっぱり、一生懸命農業をやっていることにいわゆる誇りがあるんです、それぞれの地域の皆さん方は。  そうすると、平場では規模の拡大が可能であっても、中山間地域の農地を持っている皆さん方は規模の拡大をしようと思っても規模の拡大ができないんですよ。国土の保全というその役割を一面において担っていただいている。あるいは、集落の中における環境整備にやっぱりその一員としての一翼を担っていただいている。その人たちが家族経営を通して、もちろん結いの、お互いに助け合いながらその地域を守っている人たちがたくさんおられるんですよ。  一般の企業の参入によって平場と中山間地域の中における格差が出てきて中山間地域の中における集落が荒廃してしまうようなことになるその歯止めというのは、具体的にどういう形でおやりになっていただくのか。そこを明確にお示しにならないと、その地域全体の農村の集落は成り立っていかないと思うんです。それについてはどうお考えなのか。
  99. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは小川委員とも議論がございました。本当に、中山間条件不利地域にまず企業なんて来ません。まず来ません。兼業機会はどんどんなくなっていると。高齢者の方々は、何とか自分たちが生きている間はこの集落で農業はやると、だけれども、我々がもういなくなったらこの村は終わりだという話を私はあちらこちらで、自分の選挙区のみならず聞いてきました。  そこに対して何を行うのかということは、農地法というよりも、むしろ、例えば今の条件不利地域直接支払みたいなものを今後どのようにして整備していくのか。あるいは、農地・水・緑・環境保全対策事業のようなものを今後どのように手当てをしていくか。さらには、鳥獣害対策のようなものをどのようにしていくか。あわせて、中山間地といいますからには、農業のみならず林業というものをこれから先どう考えていくか。これは木質バイオマスの話でもございます。  そういうものを全部総合的に考えていくとともに、集落マネジメントみたいなこと、つまり合併によってそういうちっちゃな集落に行政の目が行き届かなくなったのではないかという感じを持っております。人口二千人、三千人の村でも、村役場があり、村長があり、村議会があって、ここをどうしようかという議論が常に行われておりました。それが県やあるいは国と連携を保ちつつ維持されてきたというのはあるんだろうと思います。  これが、大合併によってそういうところに光が届かなくなったのではないか、届きにくくなったのではないか。さすれば、だれがそれを埋めるのだという仕組み、私はそれが農村のマネジメントだろうと思っておりますが、そういうふうにしていろんなところから手当てをしていかなければ、限界集落なんぞという言葉はまだ生易しいのであって、もう集落消滅、集落崩壊の危機に瀕しているところはたくさんあるので、省内においても、そこにもう焦点を当てて、そういうところにどうやって施策を集中するかを考えていかないと国土の保全そのものができないという認識を持っておるところでございます。  この点は、もう委員が副大臣当時から取り組んでこられたお話でございまして、それを更に党内でも議論をいただいておると思いますが、私はそういう、もう企業経営とかそんなものが全然なじまないところにどうやって光を当てるかというのが農林水産行政の大きな責務だろうと思っております。
  100. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 全く同感なんですね、大臣のお考えと私は。  ただ、中山間地域の直接支払や、水・環境整備、あるいは鳥獣被害、これ具体的に個々のやっぱりかゆいところに手が届くような施策にまだなっていないんですよ。これは、農地の改正をしていく過程の中で同時並行でしていかないと、その地域全体の人たちの安心は得られないんです。役所で一回決めたその一つの規則、政令、省令、そのことは、一回決めたやつは末端に行ったときになじまないことが数多くあって、実効性がないんです。高橋局長なんか、ここで答弁されるときには、もう本当にすごく納得するような話をいつもされるけれども、現実的に末端ではそれが生かされていないんですよ。だから不安なんです。  今回の農地法の改正でせめてよかったと思うのは、農業団体がその一つの法人を別につくって、その地域の中山間の条件不利地域のやつについて耕作ができるような仕組みをつくっていただくようになりますね、あるいは自治体が公社をつくって。しかし、それでも、それぞれの団体やそれに所属する職員は、そこで一定の収益性は上がらなくても維持費は出さなきゃいけません。そのときに、平場の農業と、そこを請け負った地域の農家の皆さん方や、団体や、その職員は、同じような形の中で採算を取っていくことはできません。それに対する補てんを具体的にどう示していくかということをやらない限り、皆さん方に納得はいかないんですよ。  それを具体的に示して初めて農地法の改正を全国の皆さん方が理解してもらえると思うけど、我々は取り残されるんじゃないかという不安、これについて農林省は事務的にどういうことを具体的に考えているのか、大臣は具体的に指示をどうするのかということをお聞きしたい。
  101. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 多分、問題意識は全く一緒なんだろうと思います。  私、先週の月曜日の朝、月曜日の朝はいつも幹部会をやっておりますが、そこで申しましたのは、次官にしてもあるいは局長にしても審議官にしても課長にしても、それはもう土曜も日曜も登庁して仕事をしている者は大勢おりますが、やはりそれが現場に出てどうするんだという皮膚感覚、これを持たなければ駄目だと。  私、午前中の質疑で申しましたが、自分の選挙区の本当にもう三軒、四軒しか家がないというようなところを何軒か歩いてきました。そこで、じゃ、大臣ね、ここの村どうしてくれるんだよと言われたときに、こうしますというすぱっとした答えが私自身ないんです。  ですから、条件不利地域直接支払をどうするか。しかし、金が来ても人がいなければどうにもならぬわけですよね。本当にそこが、私、こういういろんな法改正をしますときに、霞が関の本省でこうする、ああするという議論はきれいにできます。それが具体のそれぞれの条件不利地域の村、本当に集落消滅の危機に瀕している村にどういう効き目があるのかということが得心できなければ、それは政策たり得ないだろうと思っております。  じゃ、具体的にどうするんだというお尋ねでございますが、先ほど来申し上げておりますように、条件不利地域直接支払をどのようにやっていくか。金が来ても人がいなければどうにもならぬのでありまして、どうやったら人が来るか。人が来る場合に、これ社会主義ではございませんので、あんたここに住めというようなことが言えるはずもございません。  どうするとそこに人が住んでくれるかということを考えたときに、兼業の機会というものがきちんと確保されているかどうか、されないとするならば、そこの兼業の機会に代わるものをどうやって確保をし、それが次の時代に、次の世代にどうつながっていくかということは本当に今示さなければいけないことなのだと思っております。今日はその議論をするのが中心ではございませんが、本当に兼業機会がなくなった後をどう埋めるのかということがこのポイントだろうと思っております。
  102. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 大体、それぞれの地域を守っている皆さん方は、兼業の機会がなくなっているというほどそんなに深刻なところというのはまだそんなに多くないと私は思っている。それは地域によって違うと思う。限界集落というようなところもあるだろう。  ただ、私自身は、具体的に、今回の農地法の改正に伴って、やっぱり受け手のないところ、受け手のあるところは一応やっぱり農業として維持していくことができるんですよ。  じゃ、全国の耕地の中、恐らくシミュレーションを農林省でしてあると思うけど、集約化を図っていくその過程の中で、集約可能な農地は何%ぐらいを考えておられるんでしょうか。
  103. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 今後の農業の構造の展望でございますけれども、現行の基本計画におきまして、担い手に、いわゆる集落営農あるいは個別の営農も含めてでございますけれども、おおむね七割から八割の農地の集積を考えております。その中で更にまとまった形で集積をするというものにつきましては、これの七割程度ということを今想定をしているところでございます。  これに向かって、現状まだ百万ヘクタール程度の差がございますので、この辺のところについて今回の制度改正あるいは必要な支援措置等を含めて推進をしてまいりたいというところでございます。
  104. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 七割から八割が集積可能というのは、それは甘いですよ。そんなに集積可能、日本の国土の形状を見てごらんなさいよ。日本の国土の中における耕作面積だって、平場と中山間と山間部とあって、七割集積可能だなんてそんな議論していたら、あんた、怒りますよ、みんな、そんなことを言っていたら。(発言する者あり)いや、私自身が怒るんではなくても、ほかの農家の人たちは怒りますよ。もっと条件不利地域の皆さん方に対する手当てということを手厚くしていく、それは個人にお金をやるということじゃないんですよ。環境の保全、国土の保全、そして受け手がないところを守っていただくことによる、やっぱり平場の農業が成り立っていく現実をもっと直視しなければいけないことなんでしょう。それをやらずに、そんな七割ぐらいは集積できますと、それに基づく一つのやっぱり助成措置を講じていきますなんというのは、まさに霞が関の机上プランのほかの何物でもない、そんな言い方は。
  105. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 御指摘は真摯に、謙虚に受け止めねばならないと思っております。  ただ、七割、八割というものは面積のお話でございますので、やはりそこを目指して努力はしていかなければいけないと私は思いますが、私どもとして、私の言い方が悪ければお許しをいただきたいのですが、面積を集積することによって中山間地のこれからの維持を図ろうと思っているわけでは毛頭ございません。面積の集積というのができないところもたくさんございます、そのことはよく分かっております。  ですから、先ほど来申し上げておりますように、条件不利地域の対策をどうするか。それは個人に払うのではない、集落に払うのだという考え方でずっと来ておりますので、そのことはこれからも維持をしていかねばなりません。あわせて、鳥獣害でありますとか、いわゆる林業としての、これもすごく時間の掛かる話ですが、それをどうやっていくのかというものも併せて中山間地の対策、条件不利地の対策はやっていきたい。農地の集積を図ることで中山間地の問題が解決できるなぞということは私ども考えておらないところでございます。  目標の設定、七割、八割ということは、やはりそれを目標にしてやっていかねばならないということでございますが、この中身については、委員の御指摘も踏まえながら、今後、現実感との乖離があるようであれば、それはまた省内で議論をしたいと思っております。今のところ、いかにして面積を集約化し効率的な農業の実現を図るかということについて今後とも努力はしてまいりたいと考えております。
  106. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 経営安定対策で、農村の集落の担い手の要件とかそういうものを面積要件で輪切りしましたね。あれは評判悪かったですね。そのことによって緩和しました、一定の理解が得られるようになってきたけど、現実は本当にそんなに簡単に集約できるということはないんですよ。  それから、よく大臣は、六十五歳の農家の人たち、あと十年すると七十五歳になって、後、農業を継いでいく人がいなくなる、だから早くやっぱりしなきゃいけない、こういうふうにおっしゃる。これは、一面それもあります。ただ、農地の集約は急いでできるものじゃありませんよ。それぞれ出し手と受け手の理解というものはやっぱり時間が掛かることを、側面があることも理解をしておいてほしい。そうじゃなければ、今回の経営安定対策における集落営農のやっぱり担い手と集落に入っていくときのそれぞれの組合員、皆さん方が、意思の乖離がそれぞれできちゃって、意思疎通が十分できなくて、かえって農村の集落に亀裂が生じたんです、現実的に。非常に難しい局面に遭っているところが多いんですね。  だから、私は、やっぱり農地の集約、流動化というものは、そういう一つの方向は示しつつも、いつまでにどうするとかということを余り強制的に役所的なやり方でやるということは好ましいことではないので、それぞれの地域の事情というものがあります。北海道は北海道の大規模に慣れたところ、我々みたいに西南暖地の非常に狭隘な土地だけを持っている、それを集積をして二町歩になったり三町歩になったりした農業の営み方というのがあります。それぞれの地域の実情のあることを考えて十分な対策をしていかなければいけないし、余り強制的な、やっぱりいつまでにこういう七割から八割までに持っていくんだと、そのために受け手の人には金を幾ら出します、出し手の人にはその三分の一を出しますとか、余りそういうことを先に出してしまうことは好ましいことではないんだけど、それについてはどう考えますか。
  107. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) ここはまたよく御教導を賜りたいところなのですが、私が思っていますのは、耕作放棄地というのが条件不利地域にとどまらなくなってきたということの問題意識なのでございます。条件が不利なところがどんどんどんどん耕作放棄地が起きるというのは今までもあった現象ですが、いわゆる平場にも耕作放棄が起こってきたということをどう考えるか。どんどん高齢化することに伴って規模拡大が緩やかに進んでいくということであれば、それはそれで望ましい方向なのでございますが、必ずしもそうはならない。規模拡大が高齢化に伴って緩やかに進むという一種の予定調和のようなことがなかなか起こってこないのをどう考えるかということに私は問題意識を持っております。  そうしましたときに、今回の補正でもそうなのでございますけれども、いわゆる出し手の側、出し手の側にインセンティブを与えるとは何事だというおしかりもいただきましたが、やはり出し手の側にインセンティブを与えて、早くそれを出していただきたい。あるいは、受け手の側にしても、甲乙丙丁いろんなものを相手、いろんな方々を相手にしてやるということになればそれは負担も重くなりますので、それをどうやって軽減をするかということ。そういうものを全部総合しながら規模の拡大というもの、集積というものは今進めていかないといかぬのではないかという感じを持っております。  すなわち、昭和一けたの方々がずっとスライドしているという話を私はいつも申しております。それは二十年前もそうでした、十年前もそうでした、今もそうです。年齢構成のグラフをかきますと、それはきれいに移動しているわけでございます。そういう方々は、やはり親から受け継いだ土地だ、頑張って耕さなきゃという思い、採算合わなくてもやるんだという使命感をお持ちなのですが、その次の世代になったときに、本当に三反、四反で償却が年に九十数万円になるようなことを今後もやるのだろうかということが経営判断としてどうなるのだろうということでございます。  そこにおいて、出し手も受け手も両方とも利益を得るような、そういうようなやり方はないものだろうか、もちろんこれだけが唯一のやり方だとは申しません、そこに対して一種のドライブを掛けるような、私はそういうような政策で今回の補正も考えているというふうに認識をいたしております。
  108. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 平たん地の中における耕作放棄地も出てきたと、こういうお話を大臣されました。私自身の自分の郷里で考えると、平たん地の中における耕作放棄地というのはないですね、私どものところには。  たまたま大臣の御地元、鳥取県に一昨年、私は畜産の共進会で出席をいたしました。その折に空港道路から町中に入っていく過程の中でセイタカアワダチソウがたくさんやっぱり茂っていましたね。これ、何でこんなことになっているのかなと、こういう話を当時の局長と話をしましたけれども、やっぱりこういうところもあるのかなと正直に私は思いました。ただ、それは、私自身の考えからすると、そういうところはもう本当に有効に活用されている部分が、我々の目で見る限り自分の郷里にはそういうところがなかっただけに驚きを覚えたんです。  今言われたような一つの過程、仮にあるとするならば、やっぱり地域コミュニケーション、農家同士のコミュニケーションというのは十分にそこは取れているのかなと、こういう思いを正直にしたのも事実です。  だから、今後の農村の集落やそういう一つの集落営農にしてもあるいは担い手にしても、その団地形成をしていく上においてはそれぞれの農家の理解がないといけないし、出し手と受け手との一つの、やっぱり今申された経済的な問題もさることながら、将来に対する一つの担保、そういうものを明確にしないと、やっぱり先祖伝来受けてきた農地というのを手放したくない、あるいは貸したくないという思いになられるのは致し方ない人情なのかなという思いが私するんですね。  今回、その中で、借地権を五十年にされました。民法では二十年。これ五十年にするということは、やっぱり所有権が移行するんじゃないかという不安をみんな抱くんじゃないんですかね。私は、そういうところは二十年でしておいて、それから後、更新ができる一つの体制をちゃんとつくっておくということの方がいいんじゃないのかなと私は思うんです。そこら辺も何か、これは経済性、果樹とかそういうふうなものをやる人たちは二十年は短いから五十年ということを言われたかどうか知らない。あるいは経済界の指摘があって、五十年ぐらいの一つのサイクルじゃないと将来の見通しが、中長期の展望が立たないから、やっぱりそういうふうにした方がいいんじゃないかと、そういうふうに御指摘があったのかどうか知らないけど、なぜ五十年ということにされたのか。今、毎年、出し手というのは、一年更新もあるかないかのようで農家に出しているんですよ、みんな。それは信頼なんですよ。田舎の集落の地縁、血縁をお互いに大事にしながらそのことをやっているんですよ。  五十年もそれをやっていて、五十年といったら孫の代になって訳分からなくなってしまうんじゃないかという心配を抱くのは、だれでもそう思うんじゃないのかなと。それについて、なぜ五十年ということにされたのか、お尋ねしたい。
  109. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは衆議院でも議論がございました。桃栗三年柿八年などと申しますが、収益が確保される期間というのは、カキが三十六年、ミカンが二十八年、梅で二十五年というようなお話でございます。じゃ、何で五十年なんだと、四十年でもいいじゃないかみたいなお話になるのかもしれませんが、これはかくかくしかじかこういうふうに計算をしまして五十という数字が出ましたというものではございません。これはもう経営の自由度というものを考えたときに、五十年というのが適切ではないか、五十年以内の賃借権設定も可能にした方がいいのではないかというふうに民法の特例を設けたものでございます。  ただ、委員御案内のとおり、所有権と賃借権の異なりは、もう最後は一点でありまして、処分権の問題でございます。これがもう五十年だろうが百年だろうが、これはもう処分権が発生をするものでもございません。権利の本質が変容するものでもないわけでございます。  したがいまして、今回の賃借権の存続期間を見直しましたけれども、これが所有権にいつか化けるのではないかということは、これはない。これは法律の定める権利の内容の性格から出てくるものでございまして、これが五十年になったから所有権に変質するのではないかということはございません。何かしゃくし定規のお答えで恐縮でございますが、経営の自由度を認めたいということと、権利が変質をするのではないということだと私は今認識をしておるところでございます。
  110. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 所有権が移動するとは私も考えてないんですね。客観的に、所有者の人たちはそういうやっぱり不安を抱くわけですね。だから、五十年で賃借権をしておいて、もうどうしてもやっぱり家族の事情、家庭の事情で、じゃ三十年で戻してくれといったときにはどういうふうな形で戻せるんですか。
  111. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 基本的には、合意によります解約ということは可能になるということでございます。  もう一つ、委員の御指摘でございますけれども、現在二十年でございますけれども、基本的に今利用権が設定されている期間は大体六年という程度でございます。  したがいまして、大臣繰り返し申し上げておりますけれども、自由度を高めるということでございますので、これを五十年にした、五十年も認められるということで、例えば現実の実際の利用期間が直ちに連動して長くなるということではないというふうに理解しております。
  112. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 両者が合意すれば解約できることは当たり前です。そのときに、貸していた人が違約金を請求されたりなんかすることによって非常にやっぱり被害が強くなるようなことはないんですか。
  113. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 当初の契約の設定によるというふうに私どもとしては解釈しておるところでございますけれども、基本的に、例えば利用権の設定、今、農地利用集積計画に基づきます利用権の設定、これは基本的に契約期間が終了すれば必ず返ってくるという仕組みでございます。この部分について載せるということであれば、法律上も今言いましたような違約金の支払等ということではございません。
  114. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 これは、この賃借権の存続期間の規定を二十年とあるのを五十年とするというふうに今度するわけでしょう。この二十年を五十年ということの数字を、そこに限定して五十年ということを書かなくてもいいんじゃないですか、今まで民法は二十年でちゃんとあるんだから。二十年以上可能というふうにしておけばいいでしょう。
  115. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 御承知のとおり、民法につきましては賃借権の基本原則が書かれているわけでございます。これについての特例法につきましては、他の例になりますけれども、農地ではございませんけれども、いわゆる住宅地等におけます定期借地権制度等々がございます。  当然のことながら、賃借権でございますので、期限の定めのない賃借権、これは農地法の場合には基本的にはまた別の対応になるわけでございますけれども、基本的にはいわゆる貸借期間というものを設定をしてこの契約を結ぶと。これはもう当然、契約でございますので、何年間の契約にするかは、当然のことながら、当初の契約当事者間におけます契約行為によると。  ただ、将来にわたって一体何年までが妥当かということになりますと、先ほど来申し上げておりますように、他の土地制度との関係で、あるいは先ほど申し上げました果樹等との関係等も踏まえて五十年という形で設定をしたところでございます。
  116. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 一般的に、民法で二十年で賃借権をして、二十年以上ということになると、もちろん処分権が違うと、こう言う。処分権というんじゃなくて賃借権であっても、五十年以上だと所有権に限りなく近いという認識を一般の人は持つんですよ、一般の人は。だから、一般の人がそういうふうなことで持つようになると、一般企業へ所有権が移行するんじゃないかという、今度はそういう心配もあえてするようになりはしないかという不安を抱くんです。  それぞれ農家の人たちは法律家を横に置いていつも仕事しているんじゃないんですよ、企業と違って。そういうふうな危惧の念を抱かせない形をちゃんと明確に示しておくべきだということを私は申し上げているんです。それはどうですか。
  117. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 基本的に、先ほど来大臣からもお話し申し上げておりますように、この賃借権の形が所有権にまず変わるということはございません。当然、取得時効等に係るものでもないわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、契約期間が満了すれば、当然のことながらこれは返ってくる。  それから、周辺の理解という御指摘でございましたけれども、現実に住宅等の場におきまして、いわゆる普通の民間の方々、それぞれの住宅の居住者の方々が、定期借地権制度という広く一般的な制度ということもあるわけでございます。そういったようなことから考えまして、これについては、私ども、委員御指摘のとおり、不安が生じないようにこれはもうきちんと御説明を申し上げさせていただきたいと思っておりますけれども、制度上何ら問題、御不安になるような種があるものではないというふうに思っております。
  118. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 それはあなたがそういうふうに思うだけ。あなたがそういうふうに思うだけなんだ。今までの農業政策というのはいつもそうだったじゃないですか。そんなことじゃなかったら猫の目農政なんてだれも言いませんよ。あなたのそんな不遜な言い方がおかしいんだよ。もっと、あなた、親切に答えなさい。
  119. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 局長が答弁申し上げたとおりでございますが、現場の方々が御不安、御懸念を抱かれることがないようにというのは、これは法律を出しました政府、政治責任でもあるというふうに考えております。これは党でもよく御議論をいただいておるところでございますが、私どもとしてそういう不安を抱かれることがないようによく現場に出て御説明をしなければいけないと思っております。  制度は制度として、説明の仕方あるいは御理解のいただき方、そこに足らざる点があるとすればそれは私の責任でございますので、よく委員の御教導をいただきながら、一人一人の方々が御不安、御懸念をいただかないように努力をしてまいりたいと思っております。制度は制度として、それの周知徹底、周知徹底という言い方もよろしくないですね、御理解をいただくような努力は更にいたしてまいります。
  120. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 理解なくして行政を進めちゃいけませんよ。この法律はこうやって作ったんだからそれを遵守しろと一方的に言われても、理解されないやつを進めるからおかしなことを言われるようになる。  それから、今回、三十条で利用状況の調査及び指導農業委員会、毎年一回しなきゃいけない。そうすると、それだけの財政措置をやっぱり農業委員会にしてあげないと現実的にできません。町村合併もしました。農業委員会の委員も少なくなりました。そして、その範囲は広くなりました。そして、権限というよりも、その権威というか、その責任感の度合いというのは非常にやっぱり高くなりましたよ。それにふさわしいやっぱり財政支援もしていかないと、おざなりになっていくことがあっちゃいけないので、十分な財政支援を講じていただくことを是非考えてもらいたい。  具体的にどういう形を考えておられるのか、お示し願いたい。
  121. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 今回の改正によりまして、農業委員会の果たす役割、責務というものは非常に大きなものになるわけでございます。  このため、二十一年度の当初の予算におきまして、今回の重要な柱でございます不在地主の対策について、農業委員会がこのような不在村の地主を特定するための活動に対して支援措置、これは当初予算で行ったわけでございます。  もう一つ、二十一年度の補正予算におきましても、今回の改正法案で、また新たな業務の拡大ということを前提といたしまして、農業委員会がその機能を十分に発揮をいたしまして適切に執行できるように、農業委員会、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、農業委員会の職員あるいは委員そのものは、これは市町村の職員にあるいは委員になるわけでございますので、直接国からというふうには、交付金以外のものではないわけでございますけれども、実質的に農業委員会事務を補助するというような役割、そういうような協力員というものを補充する、そういう拡充する措置を講じてまいりたいというふうに思っております。
  122. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 これは十分な措置を講じて機能をしていくように、そしておかしな形にならないように、農地の転用がね、十分にやっぱり監視される体制が維持できているようにしておかないとおかしくなってしまうので、このことだけは強く要望をしておきます。  それから、次に株式会社農業参入の、外資の農業参入における入口規制、これは衆議院で民主党の議員さん、数多く質疑をされていました。私はその議事録を読ませていただきまして、全く同感だなと私は思いましたね。それについて何一つ修正の中に入っていないのが私は残念なんですね。今、規制緩和が世の流れでして、しかし、規制緩和の流れがこれだけ疲弊し格差をつくってきたことも事実。農業の分野におけるこの格差が仮に出てきてしまってから是正は非常に難しい。  食料の自給率を高めていくということは、すなわちこれは国民の生命を守っていく安全保障だということを一番当初に大臣は申された。それならば、この外資のやっぱり農業参入については一定の歯止めをこの農地の改正をしていく時期に何らかの形で示しておく必要があると思うんだけど、これについて全然触れられていないのは何を意図しているのか、そのことに何もお感じにならなかったのか、まずそれをお尋ねしたい。
  123. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは衆議院でも議論がございました。外国資本によります国内、我が国、本邦への投資につきましては原則自由です。例外的に一部の業種に対する投資につきましては外国為替及び外国貿易法に基づきまして事前の届出義務が課されておりまして、農林水産業も我が国経済の円滑な運営に著しい悪影響を及ぼすおそれのある対内直接投資などとしてこの規制の対象となっておるところでございます。これが一つ。  それからもう一つは、この規制とは別に、農地の権利取得につきましては農地法に基づき許可制となっておるものでございますが、これは内国法人だけではなく外国法人も同様に規制の対象となっておるわけでございます。  今回の改正によりまして、一般企業が農地の賃借権の取得をいたします際には、外国法人につきましても、農地法で定める、農地のすべてを効率的に利用することなどの要件を満たしているかどうかについて厳正な審査をするということになるわけでございます。  このことについて、法的にどうであったかということで、法的に何か工夫ができなかったかということでございますが、農地のすべてが効率的に利用されているかどうかにつきましては、国内法人であろうと外国法人であろうと、それが適正に利用されているということについて厳正な審査を行うということが担保をされておりますので、あえて法改正にまでは踏み込まなかったというふうな理解でございます。
  124. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 上場している外資の場合にはある程度株主の構成が分かりますね。上場していない企業の場合には、そこを非常にやっぱり精査するということは普通難しいのではないのかということが一点。それから、外資のファンドが日本の法人にそれだけ融資をして、やっぱりコントロールされてしまったら、そこは非常にこれまた難しいのではないのか。  例えば、それぞれ五十ヘクタール、百ヘクタールという農地をある日本のA社というのが仮に賃借で企業経営として農業を営み、そこで作った農産物が国内に回らずに輸出に回って、やっぱり日本の一つの市場を席巻してしまって値段が上がってしまう、あるいは日本の市場には出さずによそに全部出してしまうというようなことになってしまうと、これまた自給率にかなり影響を及ぼすのではないのか。  そういうことを考えると、農業生産法人に対する農地の取得、賃借については厳正な精査をしていくので問題ないと言うけれども、現実的に今から起こり得る一つの危惧はやっぱり抱かざるを得ないと思うんですね。ビジネスはだんだんやっぱりグローバル化しているし、そして流動化しているし、その中でここは駄目、ここはいいというようなことの規制というのは非常にハードルが、やっぱり難しい、それをクリアすることは。  私は、日本の農地、日本の農産物、食料を作っていく農地というのはやっぱり日本国民の財産だから、やっぱり日本国民の財産である農地については、農地法の改正をしていくときに、将来起こり得るであろういろいろなことを想定しながらここは規制をしていくべきだという考え方に私は立つんですね。  この歯止めが何一つなされていないことについて、大臣はどう思いますか。
  125. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) まず、ファンドについての御議論でございます。  所有権、農地の所有権の取得は農業生産法人でなければ駄目でございます。また、転貸をする目的での取得も認められませんので、権利取得が認められることはあり得ない。また、農業生産法人株式などに投資をしようとする者でありましても、農業生産法人には構成員要件が課されておりますので、さらには株式の譲渡も制限をされておりますので、ファンドがその株式を取得するということもないだろうと、ないと思っております。これが一つ。  その次に、どのようにしてきちんと審査をするのだということでございます。それは、今後何が起こるか分からぬ、その審査を厳格にせねばならぬ、口で言うだけではなくてちゃんと審査ができるようにしていかねばならぬ、そのとおりでございます。その体制にはよく目配りをしていきたいと思っておりますので、先ほど厳正に審査をしてまいりたいというふうに申し上げました。  ひとつここはよく委員と議論をこれからさせていただきたいのですが、内外無差別という言葉をこの際使うことが適当かどうか私には少しの迷いがあるのですけれども、日本が逆に対外農業、つまり外国の農業に投資をするということの可能性をどう考えるかということだと思います。  つまり、日本はこれだけの資本を持っておるわけでございまして、それでは日本資本が外国に出て農業投資をしようとした場合に、日本でも制限するということになりますと、逆に我が国が外国に出る場合も制限されるということに相なります。  これから先、これはWTOなりFAOの議論なのですけれども、私は、基本的には自分の国で食べるものは自分の国で作るのだということがもっと徹底されねばならぬのだろうと。そして、あえて申し上げれば、持続可能性のある農業というものが各国できちんと行われねばならないのであって、特に持続可能性のない農業が日本の水田営農のように持続可能性の見本みたいなそういうものを淘汰するということが絶対あってはならないのだと思っておりまして、我が国の持続可能性のある農業というものが世界において、実は世界には持続可能性のない農業がやたらめったらたくさんあるわけで、そこをどうやって是正をしていくかという点において我が国の農業が外国に出るということをどう考えるか。  そのときに、じゃ、日本の国内においても制限するということになれば外国における日本の農業制限にもつながるわけでございまして、この辺を有機的連関をもってどのように考えるかということはまた委員の御見解をお教えいただきたいなと思っております。全体的にどう考えるか、私もきちんと整理できているわけではありませんが、そういうような感じを今持っております。
  126. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 全く私もそういうことで、かつて松岡農林水産大臣が中国への貿易を促進するため大変お骨折りになった。今開発途上国である中国は、日本からの輸出は限りなくやっぱり増大をしていくであろう。輸出も我々は促進をしていかなければいけないと思う。ただ、その分については、貿易というのは相関関係があること。それは、国内でできたやつを輸出することと、海外でそこで生産して逆輸入するということ、そういうこともあるだろう。向こうで投資をした分を向こうで消費をするということもあるだろう。  少なくとも、やっぱり自分の国で食べる食料の自給については国内で生産をするということ。今、日本が八〇%の自給率があって海外の土地をどうするかということではなくて、四〇%しかない自給率をどう高めていくかというときに、外資の参入によって市場があるときは席巻されたり、あるいは農産物が逆に輸出されたりとすることによって日本の食料の自給率が下がるようなことが将来あってはならないという危惧の念を一方で抱くということ、これが一つ。  それから、一つの、それぞれの地域の中におけるこの精査は、農林省の役人が、あるいは高学歴な専門的な知識を持った人たちがそこを精査するわけじゃないでしょう。それぞれの地域農業委員の人たちがされるんでしょう。農業委員の人たちがそれだけの知識を全部持っていますか。持っていないと言えば語弊があるからこれは言いませんが、逆に言うと、そういう専門性を持って対処していかないとこれは十分な精査できませんよ。  私は、そういうことを踏まえて、今後の日本の一つの経済の在り方とも深いかかわりがあるけれども、農業政策においては日本独自の自給率をやっぱり維持していく、向上させていくという一面が持つなら、今農地の大改正をしようとするときに、そういう将来への危惧の念はここで払拭をし、どういうことがあっても流れは止めておかなければいけないのではないのかということを申し上げているんです。
  127. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) おっしゃるとおりです。  ですので、これは私の能力と知識が足りないのでしょうが、農地に関するこの膨大、複雑な法体系というものを理解するというのは、それは専門家であってもそんなに容易なことではございません。農業委員の方々もそれぞれお仕事を持って、農業委員専門という方はそんなに大勢いらっしゃるわけではございません。そういう方々がこういう問題はどうなんだということをみんなが知識を持ってくれといっても、そんなに時間的にも余裕があるわけではございませんので、こういうことについてはこう、こういうことについてはこうというような、農水省として、農業委員会に任せたから大丈夫だというようなことではなくて、いわゆる丸投げみたいな話ではなくて、私どもがよく相互に連携しながら、そういうようなパイプというものをもっと太くして密接に連携をしていかなければならないというふうに思っております。  そうでなければ、現場で審査をしろというふうに申し上げましても、それが結局あなた方の責任じゃないかみたいな形になってよろしくないと思っておりますので、農地に対するいろんな知識あるいは対応、そういうものについて落差がないようにしていきたいと思っております。それはむしろ我々の側の責任だというふうに考えておりまして、農林水産省としてどれだけ農業委員会の運営というものが法的にもきちんと実効が担保されるかということについては、私どもの責任として配意をしていきたいと思っております。
  128. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 私は委員長に一つお願いをしておきたいと思いますが、この外資の参入、外資法人あるいはファンド、そういうことについて今後またこの委員会の中でいろいろ御議論があろうかと思いますが、よくやっぱり議論をして、後に一回そういう問題について、法律の一つの修正なりいろいろな問題を含めて、是非御検討いただくことをお願いをしたいと思います。
  129. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) ただいまの御提案のことについては、理事会で協議をしたいと思います。
  130. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 それでは次に、直接農地とは関係ないんですけれども、有明海の再生についてどうしても大臣にお聞きしたいし、担当者、今日は、本来だと局長が答弁だというんですけれども、齋藤次長は土木行政、農業土木で大変今まで御苦労も多かったし、経過をよく御存じだから齋藤次長にお見えいただきました。  環境アセスをやっていただくことを、今いろいろ話をしていただいております。その中で、過日、九州農政局に方法書の骨子、素案を出されましたね。その素案の中で、開門方法が三つある、その三ケースごとに評価を行うというふうにあなたの方でしていますね。これは三ケースごとの評価を行うだけでは駄目なんですね、これは。三ケースごとを総合的にやっぱり比較しながら評価をしていかないと、独立して評価をしたって余りあれは分からないんですよ。三つを比較しながら評価をしていかなきゃいけない。  これについて、三つを比較しながら評価することをやってもらわなきゃいけないと思うけれども、これはどうですか。
  131. 齋藤晴美

    ○政府参考人(齋藤晴美君) 本環境アセスメントは、複数の開門方法における海域、調整池及び背後地への影響につきまして、農業や漁業、それから背後地防災の観点も含め、様々な環境影響評価項目に関し科学的かつ客観的に評価することとしております。この場合に、複数の開門方法による影響等が比較可能となるように評価を行ってまいりたいと、このように考えております。
  132. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 これはケースごとにやるんじゃなくて、比較しながら評価しますね。
  133. 齋藤晴美

    ○政府参考人(齋藤晴美君) 複数案考えられるんですが、その一つ一つについて先ほど申し上げましたように客観的、科学的にきっちり評価して、それが各項目ごとにと申しますか、それが比較できるような評価を行うということでございます。
  134. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 それから、数値シミュレーションによる定量的な予測、評価を行うと素案では書いてあるんですね。これは、評価するだけではなくて、データを出さなければほかの人信頼しませんよ。データの開示はしますね。
  135. 齋藤晴美

    ○政府参考人(齋藤晴美君) 環境評価を行う場合にシミュレーションモデルをつくりますけれども、そのプログラムの内容とかそれから計算条件を公開することは、アセスメントの透明性それから信頼性を確保するということ、そういう上で非常に重要だと思っておりまして、今委員御提案されましたが、これは関係自治体とか、それから大学等からもいただいているところでございます。  このため、シミュレーションモデルの透明性とそれから予測結果の信頼性を確保する観点から、予測モデルのプログラムとか、それから入力データ等を公開する予定としております。
  136. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 データの開示はするということですね。
  137. 齋藤晴美

    ○政府参考人(齋藤晴美君) はい、データの開示それからプログラムの内容をオープンにいたしたいと思っております。
  138. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 あと二点ね。  個々の環境基準に基づいて評価すると素案で書いてあるけれども、これは環境改善効果を含めた総合的な評価をしていかないと意味がないんですね。これはどうですか。
  139. 齋藤晴美

    ○政府参考人(齋藤晴美君) 本環境アセスメントでは、開門方法ごとに環境影響評価項目に関する開門調査を実施した場合の影響について予測、評価することとなります。  農業生産や漁業生産等の予測、評価に当たりましては、潮位、潮流や水の濁り、水温等の環境影響評価項目から総合的に検討することとしておりまして、これにより、開門調査による環境へのプラス面の評価も含めて評価することを考えております。
  140. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 それは、是非そうしてくださいね。  それから、一番大事なことは、農業防災などに影響がある場合、回避、低減措置を検討するというふうに素案に書いてあるね。こんなの影響あることははっきり分かってるじゃん。農業防災などへの影響は明らかなんですよ。あらかじめ回避、低減措置を検討すべきなんで、今あなた、今後それを検討するなんてこと、そんなこと言ったって何にもなりませんよ。  影響があるということを前提でアセスをしたりいろいろなことを今調査しようとしているんですよ。あらかじめそのことについては具体的に、そういうことがあっちゃいけないから、そういう一つの回避や低減措置の検討を具体的にしなきゃいけないんですけど、それはどうですか。
  141. 齋藤晴美

    ○政府参考人(齋藤晴美君) 背後地の防災対策につきましては、排水門の開放による調整池等の塩水化とか、それから構造物の安定、安全性への影響に対する回避、低減措置が必要となると考えております。  それらの措置の規模とか内容につきましては、その開門方法による影響の範囲とか程度によって異なることとなりますが、背後地に既存の樋門等がございます。その改修など、開門方法にかかわらず検討可能な防災対策については環境アセスメントの初期の段階から具体的な検討をしたいと、このように考えております。
  142. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 今までずっと長年のこれは懸案なんです。これ国営なんですね、国営でやった事業なんですよ。あそこの干拓農地というのは、増反とか食料の自給率を上げるために造ったんで、結果的に干拓地を造ったところなんですね、実際は。そして、開門調査をせろというアセスの要求があるんですね。その中で、開門調査をした場合に影響があることは現実的に事実なんですよ。  一番私は指摘をしておきたいのは、開門調査をすると、入植をしておられる諫早湾の干拓農地、ここに対する代替用水を具体的にやっぱり造っておかなきゃいけないんです。アセスが三年掛かって、三年したらあとは、それからあと代替水源はそれから調査して検討する、そのためにまた工事をしますと、もう十年ぐらい掛かるじゃないですか。そうすると、今の漁業者あるいは隣接の地域の皆さん方は、当時深いかかわりを持った人たちは平均年齢超えてしまいますよ。これで満足できる回答にはならないんです。環境アセスをするということになった時点で、具体的に同時進行しなきゃいけないんです。  その中で、本明川ですね、本明川、恐らく、もし開門をした場合にはそこを代替水源地に求めなければ水はないと思う。その本明川の管理が農林水産省から国交省に移行したでしょう。国交省と農林水産省は具体的にその合議はしていますか。
  143. 齋藤晴美

    ○政府参考人(齋藤晴美君) 諫早湾干拓事業で造成した調整池には、今委員御指摘の本明川もございますが、それ以外に十二の河川が注いでおります。現在、農水省におきましては、これらの河川について流量等のデータ収集を行い、代替水源としての可能性について今検討を進めているところでございます。  一般的に、河川において新規の水利権の許可を得るためには、十年に一回程度の渇水年における取水予定地点の流量、いわゆる十分の一渇水流量と申しますが、その流量から既得水利権と河川の維持流量の合計を引いて残余がある場合に限られ、河川管理者と協議する必要があります。  国交省との協議につきましては、本件環境アセスメントの進捗に合わせて必要に応じて進めていくこととしており、国交省とも連携を図りながら適切に対応してまいりたい、このように考えております。
  144. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 十年に一度の渇水のこととか、そういう問題はもうここで議論することじゃないんですよ、ここで議論することじゃないんです。要するに、開門調査をしていく過程の中でどうしても必要な代替水源のやつについては、その問題とは別に、具体的にいつごろまでにしていくという、同時進行をしていかないと皆さんの御理解は得られないんですよ。  特に、御案内のとおりに、あそこの干拓農地は水稲を作っていないんです、米を作っていないんです。野菜を作っているんですよ、野菜を。野菜はどちらかというと塩に一番やっぱり弱いんですよ。米はある程度潮風が吹いても、それは台風みたいなやつはやられるけれども、野菜ほど被害は大きくないです。野菜を作っている諫早湾のあの干拓農地は、擁壁にしても水にしても、十分な対策をしていかない限りあそこの農地は死んでしまいますよ。具体的にそのことについてどう対処するかということをお尋ねしているんです。  だから、あと一年半するともうアセスのやつの結果出るんですよ。アセスはどういうアセスをされるのか、潜り水門なのか半分開けるのか全面開放なのか、それぞれのことでそれぞれのシミュレーションが具体的に同時に進んでなきゃいけないんでしょう。それに合わせた後の対策というのが具体的に示されないということ自体がおかしいんですよ。それを示してください。
  145. 齋藤晴美

    ○政府参考人(齋藤晴美君) 先ほども申し上げましたように、今委員御指摘のとおり、複数案の開門方法があるわけですが、当然その開門方法ごとに環境の軽減、緩和、そういったことについて調査を行います。  他方、初期の段階から水を確保するということは非常に大事な要素だと、こう思っておりますので、今、河川から水を取るというのが一番安定的で早い可能性がありますので、そこのデータ分析等を行っているということでございます。  ほかにも、河川以外にも、河口堰だとか、地区内に調整池、ため池を造るとか、下水の処理水を使うとか、いろんなことが考えられますけれども、まずは河川から水を取るといったことについてデータを収集し分析するということでございます。
  146. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 その河川から水を取水しなければ水源、代替水源はできない。河川から取水するに当たっても、ただ単に取水するというだけでは間に合わないんですよ。そこに井堰を造るのか、小さな、小規模のダムを造るのか、必ずそれはやらなければいけない工事なんですよ。それをどうやっていますかということを聞いているんです。
  147. 齋藤晴美

    ○政府参考人(齋藤晴美君) 先ほども御答弁申し上げましたが、河川から取水しようと思った場合に、既得水利権というものと、それから下流の生態系保全とか環境の保全とか、そういう観点から河川の維持流量を確保する必要がございます。その量を基に、河川から流れる流量が比較して残余があればそれは使うことが可能だということです。今、そのデータを収集し分析し、それで河川からの、これは本明川だけじゃございませんが、そういったことが可能か、分析しているということでございます。
  148. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 だから、私はそれを心配しているんですよ。本明川は前は農林水産省の管理だったから、そこの維持流量の問題とかそういうことについてはある一定のクリアが速やかにできると思う。だから、国交省に移行したことによってそういう問題が新たに出てくると水利権の問題や維持流量の問題等々が出てきている。それが解決をしないと開門ができないという、開門しない口実になってしまうことを懸念しているんですよ。それはないですねと言っているんだ。
  149. 齋藤晴美

    ○政府参考人(齋藤晴美君) 今、先ほど申し上げたように、安定的に水を確保する方法はないかということを検討しております。  その分析、データ、そういった分析しつつ、そのデータを基に河川管理者と協議することになります。その場合に流水の占用の許可とか、それから構造物を設置しますから占用の許可とか、そういったことをやっていくわけですが、順次進めていきたいと、このように思っております。
  150. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 それは本明川から何トンぐらい、そのほかの河川からどれぐらいなんですか。いろいろ精査をしているというなら、主に取水するところがどれぐらいなのかということを具体的に示してください。
  151. 齋藤晴美

    ○政府参考人(齋藤晴美君) それは、過去の流量データ、そういったことを分析する必要があります。それから、データを基に確率計算、そういったことを行う必要がありまして、現時点ではまだそこまで至っていないということでございます。
  152. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 私は、皆さん方が精一杯御努力いただいていること、これは私も一面は認めるんですよ。ただ、ずっと我々と考え方の違う人たちの運動もしておられるのも事実。  私はこの問題について、いろいろそういうイデオロギーの違いでこんなことを議論することじゃないと思う。様々な意見を言う人もおられるだろう。しかし、長崎県のあの干拓農地に入植しておられる農家の皆さん方、これ企業法人の人たちも入っていますよ。そして、生産に意欲を持って入植をされた皆さん方に被害があるようなことはしちゃいけない。そういう不安を長引かせる、長引くことによって不安を増幅しますよ。間違いなくそういう開門調査、開門をする、開門をするということは決まったんですよ、開門調査をするということは。それについて同時進行していくことをなぜしないのか私は分からない。これは役所の本当に先送り体質が顕著に表れているんだね。アセスができて、それから後評価をして、それから工事に着手して。そんなことをしたら本当に一生のうちに一回遭うかどうかと分からないような感じになってしまう。現実的に起きている問題を速やかに対応していくということがやっぱり行政の役割じゃないんですか。  中海干拓、この間、竣工式をやっていましたよ。あれだって当時の建設大臣の決断によってああいう形になってよみがえった。あのときも国費を投資していた部分が余計ありましたよ。農林大臣も大変御多忙な中を竣工式には御出席なさっているし。しかし、本当にあれはあれでいろいろな意見もあったけれども、私は良かったんじゃないのかなと思う。私は、今回の有明海のあの水門、あの堤防を撤去しろとは司直は、司法は言っていないんです。その原因調査をしろということだけを司法は言っているんです。その原因調査をして原因がはっきり分かったらそれでいいんですよ。  だから、そのためにもあなた方はもうちょっと責任のある、そしてすぐ同時進行をする形のやつを言わなければ、行政が言えなければ大臣の見解を聞きたい。
  153. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 環境アセスを三年で行うということにいたしました。これはある程度の御評価はいただけるのではないかと思っておりますが、先ほど来御議論にありますように、代替水源など環境保全措置の工事にアセスメントが終わった後着手するというようなことになると、開門調査自体が六年も七年も延びちゃうんじゃないの、一体これはどうしてくれるのかというようなことで理解してよろしいかと存じます。  私どもとして、アセスメントの期間中に環境保全措置にかかわる工事には着手はできません。それは、アセスメントというのはそういうものなのでございますが、仮に開門調査をやるということになった場合に、速やかに着手するということはできないものなのか、環境アセスの中で工事期間、準備期間、これが短期間で済む代替水源の確保措置は何なんだということは、具体的に検討していくことは私どもの責任だと思っております。  今、中海のお話がございました。これはもう昭和三十年代からずっと連綿と続くお話でございまして、私事で恐縮ですが、私の父親ぐらいのときからのお話なのでございます。それも先般、もういろんな方々の御努力があってああいう形を見たのでございますが、諫早についてもいろんな可能性を私ども考えながらやっていかねばならぬと思っております。  委員のお考えは私自身も首肯できるところもたくさんございますが、先ほどお答えいたしましたように、工事期間、準備期間がどうやったら短期間で済むか、代替水源の確保措置につきましては、これは具体の検討をしなければいけないと思っております。
  154. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 速やかにね、大臣、検討、決めてください。  今、総選挙を前にして、あと百日以内に衆議院の選挙ありますよ。政権交代したら一番最初に諫早湾干拓の開門調査、開門しろってなりますよ。菅代表代行以下、諫干の問題については深い関心を持っておられる。そうなったとき役所は、今度、開門のための諸準備を具体的にどうするんですか。今ここじゃできないとか、二年から三年掛かりますとか。そういうことの政権交代はあり得ないだろうけど、速やかに対応していくことを強く要請して、私の質問を終わります。
  155. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間ですけれども、今回の法改正の目的は、いずれにしても、農地を所有から利用に転じて耕作放棄地を解消するということで、非常に重要なんだと思うんですが、問題は、埼玉県の面積にも匹敵するような耕作放棄地が三十九万ヘクタールもあって、いろんなこの原因が考えられるんだけれども、まず、この耕作放棄地になってしまった原因を時系列あるいは体系的にきちっと把握しているのかどうかということが問題だと思うんですが、このことについて、発生原因を、小さく分ける、大きく分ける、あると思うんですけれども、まず伺いたいと、どのように発生しているのかということについて伺いたいと思いますが。
  156. 吉村馨

    ○政府参考人(吉村馨君) 耕作放棄地の発生原因でございますけれども、これは高齢化等による労働力不足、それから農地の引受手がない、土地条件が悪い、こういったことが主に挙げられておりまして、地域社会の状況や耕作条件等によってそれぞれ異なっているところでございます。  そういったことで、平成二十年度に耕作放棄地の現状を把握する調査を実施したところでございます。この調査におきまして、農業上の利用が可能、一定の手を加えてですね、抜根とか草刈りとか、そういったことをすれば農業上の利用が可能だというふうに推計された農地、耕作放棄地はおおむね十万ヘクタールございます。
  157. 風間昶

    ○風間昶君 今までこんな急激に増えてきているわけじゃないわけですから、積み上がって積み上がって今このような状態になってきているわけでありまして、そういう意味では、あなたでなくて、代が替わろうともずっと今まで省としての発生原因の把握と、そしてそれに対する分析をやってきたんだと思うんですけれども、もう一度きちっとつまびらかにしていただきたいと思います。
  158. 吉村馨

    ○政府参考人(吉村馨君) 発生原因につきましては先ほど申したのが主な原因なんですけれども、更にこれを少し数字的に、これは一種のアンケート調査のようなものでございますけれども、それで申しますと、高齢化等により労働力が不足しているというのを理由に挙げたものが四五%ぐらいの回答でございました。また、農地の受け手がいない、これが一一・四%。それから、土地条件が悪いというものが九・八%というような回答を私どもとしては得ております。
  159. 風間昶

    ○風間昶君 大きく分けてこの三つなんですかね、本当に。  問題は、その受け手がいないということの中に生産調整、つまり減反をきっかけにして急に意欲がなくなっているという方もいらっしゃるし、あるいは転用期待として放棄しているという人もいらっしゃるし、それも非常に、今回、この農地法の改正はその転用期待に対してどう処理するのかということもこの法案の中には骨子として入っているわけでしょう。したがって、そういう押さえ方がない中で高齢化が四五%だと、引き受け手がないのが一一%だと、土地条件が悪いのが何%だ、そういう、何というんでしょうか、まさに把握と分析の仕方に私は問題があると思うんですよ。大臣、この今の局長の答弁を聞いてどう思います。
  160. 吉村馨

    ○政府参考人(吉村馨君) まさに委員おっしゃられましたように、高齢化等あるいは受け手がいないということの背景に何があるかということが重要であるということは私どもも認識しておりますし、農地が有効に利用できない、あるいは集積が進まないということの背景の一つとして転用期待の問題があるということは私どもも認識をしているところでありますし、そのために、今回の法改正でも、農地の転用規制を強化をすることによって転用面積を実際に抑制をしていく方向に向け、そして転用期待を縮小していくということを進めるということを考えているところでございます。
  161. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) じゃ、転用期待が少なくなれば耕作放棄はなくなるのかといえば、理屈はそうはならないのでございまして、要は、私は、耕作放棄が生ずる原因というのは、中山間とそうでないところで違うんだと思っております。  中山間の場合には、受け手がいないとか条件が悪いとかいろいろありますが、とにかくもうからないと、もうからないから後をやる人がいないということだと思っております。  条件のいいところは、やはりもうからないということなのですが、むしろ昭和一けた生まれの方々を中心として、とにかく農地はきちんと守らなきゃいかぬという意識、一種の使命感みたいなものでやっておられた。それがその次の代になってきますと、こういう間尺に合わないことはやめたらどうかというふうにして意識が変わってきた。  もう一つは、集落の中にいわゆる中核的な担い手なるものが形成されなくなった。私は、担い手に政策を集中するという言い方は考えてしなければいかぬのですが、本当に脆弱な農家がたくさん集まっている集落が、これが維持可能かといえば、必ずしもそうではないと。やはり中核的な担い手があって、そのほかの農家も共同参画するという形が形成されるのですが、そういう集落維持機能が喪失をしてきたということもそれに拍車を掛けているのではないかと思っております。  どの地域でどのような理由で耕作放棄が行われるのかというのは、今農村振興局におきまして、地域によってあるいは地形によってどうしてこのようなことが起こるのかということを詳細に分析しておるところでございまして、委員はお医者様でいらっしゃられますので御案内のとおりですが、原因が分からないと対策の打ちようがないということだと思っておりますので、それをよく子細に検討することが急務だと認識をいたしております。
  162. 風間昶

    ○風間昶君 今までの話は、要するに放棄地になったことの原因を伺って、それでそれを今分析中で、そして現在放棄地になったのをどう解消するかという対処と、もう一つは、恐らくこれからまだ増えてくるだろう放棄地あるいは遊休地、遊休地がそのまま放棄地になっていく場合が多いと思いますけれども、それをどう防止するかという、対処の仕方二つ考えなきゃならないわけで、その部分については、今省としては、耕作放棄地の解消、それからもう一つは、更に起こり得るであろう放棄になっていくことの防止策についてどのように考えているのか伺いたいと思います。
  163. 吉村馨

    ○政府参考人(吉村馨君) まず、耕作放棄地の発生をどう抑制していくかという点でございますけれども、これについては、やはりこれまで私どもの経験、それからいろいろな地域からのヒアリング、意見をちょうだいしている中でも、中山間地域の直接支払制度、それから農地・水・環境保全向上対策、こういった仕組みが耕作放棄地発生防止に大きな力があったと、こういう意見は出ているところでございます。  また、こういった制度は、単に支払をしているというよりも、それによって集落としての共同取組をしていただいているわけでございますけれども、そういう中でそれぞれの地域に合った農地を言わば保全をしていく、そういう取組をやっていただいているところでございますんで、やはり耕作放棄地の発生の抑制という観点からはこういった施策が有効であると思いますし、これを今後どういう形で、現場に合った形で更に進めていくかということを検討していかなければならないというふうに思っております。  また、いったん耕作放棄地になってしまった農地、これを解消して再び耕作をするということについては、これは率直に申し上げてなかなか大変な仕事でありますけれども、課題としては、引受手をどうするかという先ほど出た問題、それから土地条件はどうか、作物をどうするかという三つの点がございまして、これについてそれぞれを組み合わせた総合的な取組が必要だというふうに考えております。  特に引受手をどうするかという観点からは、今回の農地法の改正案の中で多様な主体の参入が可能となるような貸借の規制の緩和、こういった措置も織り込んでおるところでございます。こういった点が一つ力になるというふうに思っておりますし、また、土地条件はどうかという点でございますけれども、これについては、二十一年度の当初予算、それから二十一年度の補正予算、それぞれにおきまして、再生利用する場合の取組、これは再生作業でございます、さらに土壌改良、それからそれに附帯する用排水等の施設の整備、さらに営農開始後のフォローアップ、こういった取組を総合的、包括的に支援する耕作放棄地再生利用緊急対策を講じているところでございます。当初予算では二百六億、補正予算では百五十億を計上しております。  さらに、作物をどうするかということもこれは非常に大きな問題であります。これについては、水田等有効活用促進交付金、水田フル活用の関連施策を組み合せながら作物選定や営農継続の取組を進めると、こういうことで、先ほども言いました三つの取組を組み合せながら進めていきたいというふうに考えております。
  164. 風間昶

    ○風間昶君 大臣、先週、経済財政諮問会議でもきっと議論になったはずです。農政改革もう待ったなしだということが議論になって、新聞報道ですけれども、総理の方から、農政改革に着手すべきだと、具体的に、という指示があったというふうに、報道でしか私存じ上げませんが。  そういう意味で、生産調整、減反の見直しを含めて、日本の農業をここまで弱くさせたのはまさにこの減反政策だったというふうに言い切っている人もいるぐらいですから、そういう意味で、作れるところに作るなと言って減反を進め、もう一方では作れないところに作れといって言っている、そういうことの状況は国民にとっては非常に分かりづらいんですよ。  そういう意味で、今回のこの二十一年度予算で、幾らでしたっけ、耕作放棄地対策九百何十億というふうにつぎ込んでおるわけですよね。去年は七百ぐらいでしたかね、七百億ぐらいで、今回は九百何ぼをつぎ込んでいくわけで、こんな莫大な財政支出までして耕作放棄地対策をして、それで農家が持っていらっしゃる農地を放棄地にならないように防止していくということが非常に国民にとっては分かりづらい。  だから、役所言葉でなくて、やはり大臣の方から国民の皆さんにきちっと示していくことが、御説明することが私は極めて大事なことではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  165. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 極めて分かりにくいんだろうと思います。  私は、日本の場合に生産の現場と消費の現場が物すごく離れておって、ですから、農地をどうしようかとか耕作放棄地をどうしようかというふうに都市部で議論しても一体何のことですかという話になっちゃって、じゃ、そんなことに税金をそんなに使うんですかということになってしまうわけで、ここをどうやって近づけていくかというのが私どもに課せられた、特に私の仕事なんだろうというふうに思っております。  さすればと、耕作放棄地で困っている人はいっぱいいるわけで、じゃ、どうしたらいいですかという話をしますと、まず出てくるのは、最寄りの協議会に御連絡くださいと、こう来るんです。じゃ、協議会って一体何だと言われますと、これは市町村あるいは農業委員会、JA、農業公社、土地改良区、そういうものの協議会なるものがあって、そこで議論が行われて、じゃ、こうしたらいいああしたらいい、耕作放棄地対策に国はこういうような支援をしますと。で、耕作放棄地が解消したはいいんだけれども、じゃ、そこで何を作ったらいいのということになるわけで、何がどのような役割を果たしているのかということを本当に耕作放棄で困っている人に分かってもらわないとしようがないと。ただただ悩んでいるままどんどん耕作放棄が進んでいくということは絶対あってはなりませんので、そこのところをちゃんと御説明したい。  それから、納税者の方々、都市部の方々に、耕作放棄が生ずるということは一体どういうことなんだろうかと。あなたの町にも猿が出ましたね、あなたの町にもシカが出ましたねと。それは、結局、耕作放棄地が鳥獣の巣になっておるわけで、そういうことが起こります。中山間地の耕作放棄地を放置しておくということは、結局、都市の利益にもなりませんと。そして、そういうところをきちんと有効に活用しなければ土砂災害等々も起こります。これだけ日本の農地を確保しなければいけないときに、自給率を高めようとしたらば農地がきちんと保全されなくてはいけませんみたいなお話を都市部ではほとんどしてこなかったんだと私は思っております。その努力もしていかねばならない。  ですから、片っ方は、実際に耕作放棄で困っている方々に仕組まれている仕組みが有効に機能しているかということ、もう一つは、税金を払う側に本当にそれが納得されているかということ、私は、その両方とも十分じゃなかったので耕作放棄地がどんどん増えていくというようなことだろうと思っております。耕作放棄でお困りな方、そして都市部の方々、両方にきちんとした御理解をいただき実効を上げるのが私の仕事だと思っております。
  166. 風間昶

    ○風間昶君 よく大臣が使うシェーマをもっと積極的に分かりやすく、小学生の方にも分かるように是非作って、しっかり国民の皆さん方に説明をするということが、一つは、全部、食料自給率にも地域のマネジメント、活性化にもつながっていく話ですので、よろしくお願いしたいと思います。  そこで、転用期待の解消について少し伺いたいんですが、今回のこの法律で転用規制を強化することで転用期待を厳しく抑制できるんでないかというふうな思いを持っていらっしゃるんだけれども、転用期待が出てきた背景は先ほど局長からも少し若干ありましたけれども、本当にだけれどもこの転用期待が法律の厳格化だけで実効性のあるものになるかどうかという感じがするんです。  ここについては議論あったと思うんですけれども、今現時点ではこれどんどん押していけばいいという話でもないような私は気がするんですが、どう思いますかね。
  167. 吉村馨

    ○政府参考人(吉村馨君) 転用期待そのものが、これ非常に期待ということでかなりあいまいなものではあるわけなんですけれども。それを、ある意味でどういうことからこの転用期待が生じてきているかというと、結局、当然まずこれまで農地が転用されてきた。しかも、ある意味で、全国ベースでいっていいのか地域ベースでいっていいのか難しいところはありますけれども、一定の割合で転用されてきた。したがって、将来もそういうペースで転用されるであろうと。そういう期待というのがまずあって、かつ、一方で、農地の転用をしたときの価格と、それから農地が農地として売買される場合の価格にこれは差があると、こういう現実があるわけでありまして、その二つから具体の転用期待というものが出てきていると、そういうふうに考えております。  したがって、転用期待を縮小していくというためには、やはり現実に転用面積が抑制されていくということが一つやはり大きな要素だというふうに思っております。  そういったことで、今回の改正案におきましては、もう既に委員御案内のとおりでございますけれども、従来は転用許可が不要になっていた公共施設、学校病院等の公共施設、これについても許可対象に移行すると、それから違反転用に対する罰則の強化、さらに、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、都道府県等が行っている転用許可について一部不適正な事例も見られましたので、そういったことについて国が都道府県等に対して是正の要求を行う、さらに農用地区域からの除外の厳格化、こういったことを行うということによって現実に農地転用の抑制を図っていくということが可能だと思っておりますし、またそれが転用期待の抑制につながっていくと、こういうふうに考えております。  また、もちろん、もう一つの要因であります転用価格と農地が農地として取引される場合の価格、あるいはその背景にはもちろん一部収益還元価格というものがあるわけでありますけれども、その差があると。これはある意味で用途が違う以上差があることは当然なんでありますけれども、そこの差を少しずつでも埋める、あるいは拡大しているのを押しとどめると、こういったことも一つ重要な点であると思っておりまして、今回の農地法の改正案に盛り込まれております農地の利用集積を進めていくというようなことを通じて、そういったことに一定の寄与はするものというふうに考えております。
  168. 風間昶

    ○風間昶君 もう少しすっきりした答弁をお願いしたいというふうに思います。  この改正法で、効果測定について、要するに五年後の見直し条項があるんですけれども、附則に、私はもっと速いペースで高齢化やあるいは農村の過疎化、地域崩壊から地域破壊につながっていく流れがざっと行くような気がしてならないんです。したがって、五年間は長過ぎるんじゃないかと個人的には思っていまして、もう少し成立したら不断に、つまり少なくとも一年ごとにきちっと効果測定を行う、監視をしながら、チェックをしながら効果測定を行うべきだと私は思っております。  附則を変えるわけにはいかないけれども、それこそ弾力的な運用で、中身的には五年たってようやっと見直しするような状況じゃなくて、見直さざるを得ないようなことがもっとスピード化してくると思うので、この部分での不断の見直しを考えるべきだと思いますが、大臣はどのように考えていますか。
  169. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは五年待っていりゃいいというものではございませんで、必要が生じた場合には検討を加えることは当然でございます。  必要が生じた場合って、必要は生じるに決まっているんであって、それはもう実際にどうなんだと、本当に、一年置きにどころか、もう半年たつと景色が変わっているところが実はたくさんあります。これが一年ごとでいいのかという問題意識すら私は持っておりまして、ただそれを、実態を把握するのにすべての労力をそれに割くわけにもまいりませんが、今回法をお認めいただいたときに、じゃ農業委員会の運営というものがどうなっているかということもきちんと見なければなりません。それと表裏の関係になりますけれども、農地がどのように利用される状況が変わったか、あるいは耕作放棄がどうなっているかということは、私は、農業委員会の活動のフォローと併せて、この法改正後しばらくはもっと短い期間で行いたいと思っております。
  170. 風間昶

    ○風間昶君 是非お願いしたいと思います。  前回も少しやりましたけれども、福祉と農について、医療を含めて福祉に関して、農業のジャンルで障害者の方やあるいは高齢者のリハビリやセラピーや、そういう関係で雇用リンクしている流れが相当ありまして、この間静岡県へ行ったときに、株式会社知久という会社のところに障害をお持ちの方が何人か勤務をしていました。そしてまた、高齢者の方も農作業に参加しているという話が出ていました。  そこで、農水省は、この農と医、医というのは医療という意味だけじゃなくて福祉も含めて、この連携促進事業というのをやるために二百億計上していますよね。そういう意味では……
  171. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 二億です。
  172. 風間昶

    ○風間昶君 二億。二百億じゃなくて二億。ごめんなさい。  初めての試みだということで若干私も期待感を持っているんですけれども、モデル事業について、具体的にいつからどのように始めていくつもりなのか。また、現実にはやっていらっしゃる方、結構いるんですね、会社で、全国的にもたくさんあるわけでありますから。この内容について少しくお知らせいただければ有り難いと思います。
  173. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 御指摘の農と医の連携促進モデル事業でございますけれども、委員御指摘のとおり、農業、あるいは林、水も含めて、一次産業と医療あるいは社会福祉との関係、授産施設等で農業のことを使っている現場は相当ございます。それに加えまして、最近では農村地域では高齢の方々が非常に元気で暮らしている。そういうような人たちがこういう介護、福祉あるいは医療等にも非常に積極的に関与されているというような状況もございます。高齢化の進展、過疎化の進展という形で嘆くだけではなくて、このような状況の中でも、地域において病院あるいは社会福祉法人等が地元農産物を提供する仕組みあるいはリハビリ農園等々の仕組み、自由な発想で取り組むということが非常に重要だと思っております。農業の新しい役割としてPRすべきものだというふうに考えているところでございます。  このようなことから、二十一年度の補正予算におきまして、農業者と医療、福祉関係者が連携をいたしまして、例えば病院給食等への地産地消の取組、提供、リハビリ目的に農園を活用する仕組み、そういったものに対しましてモデル的に取り組む事例について事業費二億円、一地区当たりまだ五百万円ということでございますけれども、そのような活動に対して支援をしていきたいということで、現在地域に対して説明会等々を行っているところでございます。
  174. 風間昶

    ○風間昶君 じゃ、これは手挙げ方式で、手を挙げてきたら一か所につき百万円で支援していくということなんだと思います。分かりました。  もう一つ、これ四月の委員会で、名前は挙げませんでしたけれども、札幌に「この実会」という授産施設があって、ここが自分の持っている土地の庭先で農産物を作って販売しているわけで、いや、足りなくなってきたなと。つまり、売れるものだからもっと作りたいということで、農地を借りたいんだけれども社会福祉法人だから借りれないというふうにあきらめていたんですが、そのときの四月の委員会での質問で、実は社会福祉法人が農地の借入れを行う場合には、農地法の三条の三の例外規定がきちっとあって、借りれるんですと、知事許可でという答弁がありました。ただ、これ余り知られていないというので是非周知徹底してくださいというふうに、この間、四月、お願いしたと思うんですけれども、周知徹底したのかどうか、まず。
  175. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 四月の十六日の本委員会での御質問だったと思います。これにつきましては、現行法におきましても社会福祉法人について、許可権者は知事ということだったということも御説明させていただきましたけれども、このような農業について、リハビリテーション農場あるいは授産施設という形で活用することが可能ということで御説明をさせていただきました。  PRということでございます。今、私ども、先ほど申し上げましたような、農と医の連携システムというようなことも新たに設けておるところでございますので、あの後、直ちにこの問題だけでPRということではございませんけれども、今回の事業や何かのことも含めてきちんと末端に周知をしてまいりたいと思っておりますし、また、今回の改革で、貸付けにつきましては、他の法人と同様にこの社会福祉法人等につきましても通常の農業委員会の手続で貸付けについては大丈夫という形になりますので、これも制度の改正をこの後お認めいただければ御説明できると思っておりますので、この辺も含めてPRしたいと思っております。
  176. 風間昶

    ○風間昶君 恐らく、濁していましたけれども、ちゃんと周知徹底していないね、これからやりたいという話だから。それが一点。  それから、社会福祉法人が福祉事業である場合であれ、あるいは営利事業である場合であれ、農地法のこの今回の改正のルールに乗っかっていくと、農業委員会の許可のハードルが高いと私は感じていますから、今までどおり知事認可で、きちっと三条の例外規定でやれるようにするということも私は残しておくべきだと思うんです。その方がスムーズなんです、手続が。  なので、私は、ハードルの高いこの農業委員会許可ではなくて、ややハードルの低いこの知事認可の三条の例外でやれるということをきちっと残すべきだと思いますし、まずそれを確認したいと思いますけれども。
  177. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) 私どもといたしましては、この三条の二項の今の例外措置、これは今後とも継続をいたします。基本的に、この場合には貸借だけに限らず売買ということも可能でございますので、権利を制限とする予定はございません。
  178. 風間昶

    ○風間昶君 それから、そうなると、先ほど局長がPRしたいということだけれども、じゃ、農地法改正で今回通ったら、その部分と、それから今までの知事認可による三条の三の例外規定と二つ路線が、やり方があるわけですけれども、そのPRを、農水省としてはきっと今回の農地法の改正の方のしか私の懸念はやらないんでないかと思うんです、きっと。そこはどう考えたらいいですか。
  179. 高橋博

    ○政府参考人(高橋博君) この点につきましてはきちんとPRさせて、ただそのPRの先につきましては、例えば私ども通常やっております農業関係団体だけではなくて、社会福祉協議会等々、こういう部門の団体等にもきちんと御説明をしてまいりたいというふうに思っております。
  180. 風間昶

    ○風間昶君 分かりました。是非お願いしたいと思います。  昨日の日本農業新聞で、昨日じゃない、ごめんなさい、六月の二日、農作業で死亡された方々が二〇〇七年は約四百人いらっしゃると。これはきっと転落だとか、それから機械に押しつぶされたとか、いろいろあるんでしょう。国の労災保険が適用されたのはわずか十五人、労災、わずか三・八%にすぎないということが厚労省の調べで分かったというのが日本農業新聞に出ていました。  これは、この中の記事には、農家の暮らしと経営を守る労災加入を、JAがもっと加入推進をすべきだというふうに書いてあります。見出しもそうなっています、「JAが加入促進を」と。それで、この中の記事で、どうしてこうなっているのかというと、社会保険労務士の方が言っているのは、認知度が低いからだと指摘しています。  農業者向けの労災制度については、整ってはいるんだけれども任意の加入者が非常に少ないということになっているようでありまして、加入の促進に関しては、実務的にはJAの業務だと思うんです。やっぱり、加入者を拡大していかないと駄目ではないかと。年間三百五十人から四百人ぐらいずっと何か亡くなっているらしいんです、農作業中に。だけれども、労災が適用されているのは本当に四%以下だということなものですから、農水省としての取組をやっぱりきちっとすべきだと私は思うんですが、いかがですか。
  181. 本川一善

    ○政府参考人(本川一善君) 御指摘のとおり、年間、大体四百人ぐらいの方が農作業で死亡されるという状況でございます。  それに対しまして、私どもとしては、まず事故を防止するという観点から、そういう調査の結果の公表でありますとか、あるいは安全性の高い機械に関する情報提供、そういったものを通じて作業の事故の防止というのに啓発活動を行ってきておるところでございます。それと併せて御指摘のありますような労災保険への加入促進ということを進めていくことが必要だと思っております。  農業法人でありますとか、あるいは従業員が五人以上の雇用される個人事業主のところにつきましては強制加入になっているわけであります。これについては労災に加入しておるわけでございますけれども、その他の方々につきましては任意の加入でございます。ただ、個人経営主でありましても特別加入制度というのがございまして、これに加入できるということでございますので、私ども、いろんなブロック別の推進会議でありますとか、あるいはそういう啓発パンフレットあるいは担当課長通知、このような形でその周知を図っているところでございます。  その中でやはり特に重要なのは、御指摘のとおり、JAの取組が非常に必要だということであります。と申しますのも、先ほどの特別加入制度などにつきましてはJAなどを通じた団体加入が基本になりますので、そういうJAを通じた、窓口としてのJAに御努力いただくということは非常に重要と考えておりまして、私どもといたしましても、農業者団体との連携を一層強化して、農業者の方に対する普及啓発に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  182. 風間昶

    ○風間昶君 そのことについても、JAの全中が行った〇八年度調査、去年の調査、よく聞いていてね、労災保険を扱うつもりはないと回答したJAが五〇%を超えたと。何なんだということになりますから、もう一度きちっと徹底すべきだと思いますが、どうぞ。
  183. 本川一善

    ○政府参考人(本川一善君) まさに今先生御指摘になった調査についても、私ども、今年の三月六日に発表された調査でございますが、現在実施しているJAは三三%でございます。これからやりたいと思っておるのが一二・三%でありまして、まさに御指摘のとおり、過半のJAは実施していないし、今後も予定はないということでございます。  私もこのデータを見まして少し衝撃を受けておりまして、JAの方ともよく話をして、窓口としてきちんと取り扱っていただくように働きかけてまいりたいと考えております。
  184. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  185. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  農地法の改正案が衆議院で修正をされて本院に送られてきました。修正をしても、農地の利用権についての規制を取り払って農外企業の進出を自由にするというこの改正案の最大の眼目に変更はないと思います。いずれは所有権の自由化につながっていくことが想定されると。修正案は許容範囲内であったというふうに思われます。  この委員会の中でも議論になってきていますけれども、歴史的に見て、農地法は農政における基本的な法律の一つと。農業経営と農業生産の担い手の在り方を規定するということとともに、多くの小作農民を貧困にさらしてきた地主制度を取り除いて、戦後の農業農村の民主化とその維持に重要な役割を果たしてきました。農地の耕作主義の原則があったからこそ、農業農業経営は地域に根差した主体によってやはり担われる経済活動であり続けてきたと、農村社会の安定性も維持されてきたんだというふうに思います。  それから、今日、食料生産の基盤であるということとともに、環境や国土の保全、住民の暮らし、就業の場の確保、それから伝統や文化を営む地域の共有財産としての役割も求められているわけです。そうした多面的な役割を担う上でも最もふさわしいのがやはり耕作者主義の原則だというふうに思うわけです。  だからこそ、これまでも極めて農地法の扱いというのは慎重に扱われてきたというふうに思うんですよ。ちょっとした手直しならいざ知らず、やっぱり基本にかかわるような問題については、今まででいえば、一国会だけで済ませるというふうになっていなかったと思うんですね。今回、衆議院で十七時間審議したからよしというものではないというふうに思いますし、まだまだこれ審議が必要だというふうに思うし、実際、生産者を始め関係者の皆さんの意見をどれだけ聴き取っているのかということも私は考えるわけです。  農業委員会の中でも、やっぱりまだまだ、何というんでしょう、心配することがいっぱいあるんだということが、つい最近も農業委員会の皆さんが要請に来るということがあるわけで、どれだけだからきちっとした意見を取り上げてやられているのかということでもあるわけですよね。  農地法というのは、いったん変えれば簡単に直せるようなものじゃない。ですから、拙速に事を運べば後々禍根を残すことになりかねないというふうに思うわけです。ですから、私は、今日が参議院での質問が始まったという、審議が始まったわけですけれども、是非徹底した審議を行ってほしいということをまず求めておきたいと思います。  それで、今度の改正案の原案が目指すところがどこにあるのかということを考えますと、衆議院で修正された上に立っても問題はなお大きいというふうに思いますので、我が党としてはこの法案は廃案にすべきであるというふうに思っております。  順次質問していきます。  まず、最大の問題は、修正されたといっても、大企業を含む農外企業による、先ほど外資もという話もありましたけれども、含む農地利用を全面的に認めるということです。これまでは特定法人というのは耕作放棄地のみ借りることができたわけですけれども、今度の法改正によって優良農地も活用できることになると。それから、市町村を通さなくても直接農家と相対で契約を結べるわけです。借りる側にとってはもちろんこれメリットがある話なわけですけれども、そのことが農村集落に与える影響というのはどうなのかと。想定されること、デメリットもあるんじゃないかと思うわけですけれども、それについてはどうなのかということをまず認識を伺いたいし、それに対しての対策ということで、大臣、よろしくお願いします。
  186. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 要は、利用されていないという状況をどうやって打破をするかということで考えてまいりました。それは、ずっと答弁申し上げておりますように、集落機能の維持あるいは家族経営というものを否定するものでは全くございません。そしてまた、集落営農が法人化する際に、出資者あるいは事業内容について選択の幅を広げたい、集落営農が必ずしもすべてうまくいっているわけではございませんので、それの問題の取り除きということにも寄与するものでありたいというふうに考えております。  家族経営が淘汰されることがないようにということはよく配意をいたしております。そして、集落営農というものはきちんとワークするようにということも考えているものでございます。農地の利用というものが最大限行われるということ、そしてあわせて、家族経営の淘汰の防止ということで、所有権については株式会社等々に認めないということも貫いておるものでございまして、基本的に考え方をがらっと変えたというものではございません。むしろ、見方の問題でございまして、何々主義というふうに麗々しくうたって、それでみんな貫いているというよりは、利用をいかにして促進をするかということに光を当てて、見方を変えて法律を作ったということだと私は認識しております。
  187. 紙智子

    ○紙智子君 いかに使われていないところを利用するかという話をされていますけれども、これは先ほども議論になっていましたけれども、この法律を、今回農地法をどうして改正するのかというときにずっと言われていたことは、やっぱり耕作放棄地が広がっていることが非常に重大なんだと、そこを解決しなきゃいけないということで出されてきているというふうに説明をされていたわけです。  それで、先ほどもお話しになっていましたけれども、耕作放棄地がどうして増えるのかと。これは、ずっと私も現地歩いていろんな人から話を聞くわけですけれども、ちょっとさっきアンケートの結果なども紹介されていましたけれども、まず出てくるのは、一つは土地条件が良くないという問題。つまり、本当に岩が入っていたりとか非常に土地そのものがやせているだとか、それから日陰になっていて、ちょうど山合いで日陰になっていて、そこでいろいろ手を入れたとしてもなかなか作物が育たないとか、そういったやっぱり条件が悪いということで、耕作放棄地になる理由というのがそういうことに一つはあるということが出てくるわけです。  それからもう一つは、やっぱり経営の採算が合わないと、引き合わないと、私はこれが一番大きいというふうに思うわけですけれども、この問題と、それから三つ目は、地域で本当に頑張って、何とか後継ぎをつくってやりたいものだということで、頑張ってはいるんだけれども引受手がないというようなことが出されるわけですよ。  これに対して今回の法改正ですべて解決できるというふうに思っておられるのか。つまり、農地を借りてやればだれでもできるというふうな法改正なわけですけれども、企業も入ってやれば今言われたような問題というのはすべて解決できるというふうにお考えでしょうか。
  188. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これですべて解決できれば何にも苦労はございません。これですべて解決できるわけではありませんが、今回の農地法の改正というものがなければいろいろな政策手法が使えないというものもございます。委員おっしゃいますように、耕作放棄にはいろんな理由がございまして、一番の理由はもうからないからだということはよく承知をいたしております。岩がごろごろあってとか日当たりが良くないとか、そんな話は別に昔からあるお話でございまして、そういうことにも起因をするのでしょうが、もうからないからということが一番の理由でございます。  耕作放棄地が仮にいろんな手だてによって解消されたとしても、そのために自己負担の軽減等々私ども補正予算、本予算等々で図っておるところでございますが、それはもう復田というか復耕というか、したはいいが、じゃその後何を作ってどうやって売るのというところまでなければ、また元の耕作放棄地に戻るに決まっておるのであって、そこのところは一連の流れとして、法律、予算、事業で支援をしていかねばならないと思っております。
  189. 紙智子

    ○紙智子君 今大臣御自身が、やっぱりもうからないからだと、最大の問題はというふうにお認めになったわけですよね。  私は、そうすると思うわけですけれども、じゃ、何のために農地法を改正しなきゃならないのかと。農地法に問題があったから耕作放棄地が増えたというのであれば、これは農地法を変えましょうという話になるかもしれませんけれども、もうからない、つまり採算が合わないということが最大の理由なんだとしたら、そこに対しての政策をどうするかということが先であって、それがやっぱり今求められていることなんじゃないかというふうに思うわけですよ。それで、この対策もやった方が少しでも解決に導くと言うんですけれども、本当にそうなんだろうかと思うわけです。  それで、今日お配りしていますけれども、先日、私は、千歳市にありますオムロンという会社がやったトマト工場が撤退した跡なんです、これ。この間行ってきて、写真撮ってきて、それを配ったわけですけれども。  東京ドームの一・五倍と、広さがですね。これ平地ですから、千歳のところのあの真っ平らなところですけれども、東京ドームの一・五倍の広さのガラス温室ですよ。これはもうすべて自動的に温度の管理からすべてやれるということで、糖度の高いトマトを生産できる、高品質のトマトだというふうにうたって参入したけれども、わずか三年後に撤退をしたわけですよ。その後、今度は宮崎県の造林会社が参入をしてきたわけです。しばらくやっていたんですけれども、これも去年の十二月にうまくいかないということで倒産をして、従業員は全員解雇です。  それで、トマトは三十五万本放置されたまま枯れてしまっているわけですけどね、売れるものは売っていますけれども、あとはもう枯れた状態になっていたと。それで、私が行ったときは、その枯れたやつを全部始末して、後片付けをしていたわけですけれども、現在は管財人の手に渡って、新しい引受手を探しているところだと。  ところが、これ、実際現地で見るのと写真と大分違いますけれども、現場に行ってみると、本当にもう先の方が見えないぐらいですよ、広くて、広くて。それで、この写真で見てお分かりのように、これ、伝わせるものがずっと落ちているわけですけれども、下の方を見ますと、冬場は零下になりますからね、それで、暖めるためのパイプでもってお湯を流すようになっていますし、全部これガラスですから、夏になりますと物すごく暑くなるわけです、中が。四十度を超えちゃうんですよ。  そういう中でやってきていて、それで、この後をどうするかということをめぐっては、余りにも巨大なものですから、引受手がなかなか見付からないということですよね。これが元々の総事業費で二十億投入して造られたということですから、これを受け継ぐとしたら、よほど資金力がなかったら無理なわけですよ。でも、じゃ壊すかといっても、壊すのも壊せないと、物すごいお金が掛かるということになっているわけで、もうどうしようもない状態なわけです。  農業委員さん来てくださって、それでお話を聞くと、もうとにかくひたすらだれか受け手はいないかということで、もう願っているしかないという状況なわけですし、こういう状況になったときに一体だれが責任取るのかと。もちろん、そういうところが十分準備なしに入って撤退したら、それはまずいですよねという話になるんですけど、現場に行ってみると、一体じゃ、これどうするのと、だれが責任取るのというふうに思うわけですよ。  そういうことがやっぱり出てきていて、いかに地元に密着しないで入ってきている企業が無責任かということを改めて感じたわけですけれども、言わば今回の法案では企業は参入しやすくなるわけですけれども、これからもこういうことが起こらないということが言えるのかどうか、いかがでしょうか。
  190. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) このケースはいろいろな意味で示唆的だと私は思っております。詳しい経緯は委員御案内かと思いますので繰り返すことはいたしませんが、一つは、オムロン本体の業績が悪化しましたということで、不採算事業は再編をするということになりましたということがある。それから、トマトの販売会社自体も業績が低迷をしたと。なぜかといえば、夏の温度管理がとても難しい、思わぬ病害が発生をしましたと、収穫量が当初よりも大幅に下回り、小売店との間で販売単価が折り合わない、多分、安定供給というのが難しかったんだろうと思っております。  事ほどさようにすごく難しいものなのであって、これは私、参入するのも一種のオーナー企業でしたからもう非常に早い決断だったと、撤退するのもオーナー企業ですから非常に早い決断だったということだったと思いますが、農業はそんなに甘いものじゃありませんぜというのが一つあります。  もう一つは、農地の取得という形態を取ったわけではございません。ただ、これから先企業農業経営というものをどう考えるかという点において、相当に慎重であらねばならないということが多くの経営者の方々には御理解いただけたのではないかということです。  だれが責任を取るんだということでございますが、それは企業の活動というのは営利企業としてやっておるわけでございまして、それは責任というものは企業並びにその株主、経営者が取るべきものでございます。そこにおいて農業者あるいは土地所有者というものに不当な損害が生じたということであれば、それはまた企業の中の論理というもので解決されるべきものでございまして、これはまた別の議論ですけれども、こういうようなものに対して、これを農地として考えるのか、農地転用しなきゃいけないのか、ここはまた別の議論としてあるところでございますが、今回のこの野菜工場といいますか、この場合には農地の取得という形態は取らなかったというふうに承知をいたしておるところでございます。
  191. 紙智子

    ○紙智子君 私は、もちろん参入する企業がすべてこうだというふうに思いませんよ。もちろん、まじめにやっているところも中にはあるというふうに思うわけですけれども、やっぱり企業の論理としてはもうからなければ撤退するということになっているわけですよね。それが実態だと思うんです。それで、やっぱりいかに農業というのは一律じゃないかと。非常に難しい。それをやっぱり今、現役の農業者の皆さんはもう毎年毎年違う気候やいろんな条件に合わせながらやってきていて、機械的に企業が入れば何でもうまくいくのかというと、そうではないということを改めてはっきり示しているものだというふうに思うんですよ。  それで、問題は、これオムロンだけじゃなくて、ほかにもやっぱりこういう例があって、これが繰り返されれば、耕作放棄地をなくすどころか、逆に広大な耕作放棄地を造ってしまうんじゃないのか、広がってしまうんじゃないかと。一体それをどうやって防ぐのかということについてどうお考えでしょうか。
  192. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、名前を言えばだれでも知っている衣料品小売、衣料品というのは着る方です、衣料品の小売業がございまして、これも参入したがうまくいきませんでしたというのは先ほどの電機メーカーと似たようなお話でございます。  これは何で撤退をしたかといえば、売上高が低迷したということでございますが、いずれにしても、委員おっしゃいますように、簡単に思い付きで入ってもうまくいきませんよという例が二つあるということでございます。  さらに、もう一つ、名前を言えばだれでも知っているケチャップなんかを作っている会社があるんでございますが、そこも本当にケチャップなんか作るので、私はその会社の経営の在り方というのはホームページなんかを読むたびにすごいなと思って本当に感心をしているのですけれども、そこにおいてすら採算が合う、その単年度の採算がようやっと合うようになったということでございます。そうすると、企業というものが農業に大々的に参入するということがいかに難しいかということは多くの経営者の知るところとなったのだというふうに思っております。  ですから、財界の方々とお話をしますときも、この三つの例のお話をいたしまして、そういうような簡単なものではございませんよと。ですから、多くの期待を集めて参入をした、多くの人がそのときには雇用をされた、やっぱり駄目で引いてしまって、農地はともかくとして、元々転用しているかどうかはまた別のお話でございますから、そこに雇用が物すごく減っちゃったというようなことはそれはあってはならないことですということは、私は農林水産大臣としていろいろな現場で申し上げているところでございます。
  193. 紙智子

    ○紙智子君 どうやって防ぐかというのはなかなか今のお話を聞いていてもよく分からなかったんですけれども、もう一つ聞いておきたいのは、優良農地にも参入できるということになりますと、既存の認定農業者との競争になるんじゃないのかと。そうすると、今まで苦労して農地の集積を行ってきたような認定農家が追い出されるんじゃないかという心配もあるという声が出されているわけですけれども、これについてはどのようにされるんでしょうか。
  194. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 現状を見た場合に、農業従事者は減ります、耕作放棄地は増えましたと、これまでのような農業内部の担い手だけでやっていけるかといえばそうではないと、様々な担い手が必要だというのは先ほど来申し上げておるとおりでございます。  そのときにバッティングをすることになるのではないか、優良農地は優先的に企業に貸借、賃借され、担い手が育たなくなるのではないかということでございますが、私どもといたしまして、これは調和させ、整合性を図らなきゃいかぬというような抽象的なことを言ってもよく分かりませんので、この法律では一体どういうことになるかといいますと、三条二項第二号におきまして、取得は引き続き、所有権の取得でございます、農業生産法人に限定すると。貸借につきましても、地域における農業の取組を阻害するような権利取得を排除する、第三条第二項第七号でございます。そして、第三条第三項及び第三条の二におきましては、適正な利用が行えない場合には担保措置はきちんと講ずるというふうにしておるわけでございまして、こういうような仕組みを取っておりますので、担い手への集積が進み合理的に利用されている農地を分断するでありますとか、あるいは、ブロックローテーション等既存の農家により計画的に行える農地利用を困難とする、そういうようなものは排除される仕組みが整っておると考えております。  したがいまして、優良な担い手、現在おります担い手、そういうものとの競合ではなくて、そういうものがあくまで今まで築いてきたもの、それは守っていかねばならないというふうに考えておりまして、そういう排除というようなことが起きないように今後ともよく配意をいたしたいと思います。
  195. 紙智子

    ○紙智子君 法律上、今三条の二項の七号とかいろいろおっしゃって、それはないよりはいいとは思うんですよ。しかしながら、やっぱり参入する方はいい条件のところが欲しいわけですよね。  それで、これは参考人で、あさってですかね、来られるんですけれども、資料が配られて見て、その中にワタミの社長さんが出ていますよ。非常に率直に語っておられるなと思って読んだんですけれども、非常に苦労されているというのも分かるんですよね。北海道、それから群馬、千葉、それから京都と六か所でやっているわけですけれども、黒字になるまでに物すごい苦労をされているのがよく分かるわけですよ。  その中で言っているんですけれども、例えば千葉県でやった例でいうと、後継者がいない農地を構造改善整備して町が借り上げる制度を行っていたと。この土地にトータルで三千万円投入したんだけれども、全く生産できなかったと。地元の人たちは一生懸命だったけれども、町はお金がないので補助もなく、気が付いたときはもう手遅れだったと。私たちはこれで昨年赤字になったが、こういうところに個人や小さな農業法人が手を出していたらもっと大変だったと。だから、今後、耕作放棄地などでは私たちはやらないことにしたと書いているわけですよね。これは正直なことだと思うんですよ。  そうすると、やっぱり実際に今までやってきた人たちが、今実際に認定農家をやっている人を無理やりはがしてしまうということはできないかもしれませんけれども、この法律でね。しかしながら、例えば今までやってきた人が何かの事情でやめた場合、次これをだれに受け取ってもらうかといったときに、そのときに、やっぱり実際、相対でやれるわけだから賃料の高い方に借りてもらった方がいいというふうになるわけですよ。貸すお金ですね、高い方に借りてもらった方がいいというふうになるわけですよ。じゃ、地域農業委員会はそれに対して何か物を言えるのかといったら、いや、安い方にしなさいなんて言えないわけで。そういう意味では、歯止めが掛からなくなって、結局はいいところはそういう資本力のあるところに吸収されていくんじゃないかというふうに思うわけですけれども。  これについて、だから言っていますよね、農業委員会の方がこの間言っていたのは、今後とも家族経営とその発展形態としての農業法人が基本であることを踏まえて、担い手の権利取得を優先するということを法令上明確に位置付けてほしいんだと要求しているんですけれども、これどうされますか。
  196. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 条件の悪いところにあえて出るというのは、それは企業の経営の論理に反するんだろうと思っておりまして、委員がおっしゃいますように、絶対嫌だという人がおられて、それを押しのけてまで農業委員会がそこに企業に与えるというようなことはございません。当たり前のお話でありまして、そのところはもう委員と認識は共通なのだろうと思っております。  そういうような法改正が必要なのではないかというような御指摘でございますが、繰り返しになりますけれども、所有権の取得が限定されるということ、あるいは家族経営を中心とする農業の取組を阻害するような権利取得は排除するということでございます。そしてまた、適正な利用が行われない場合に対する担保はちゃんと取るということでございまして、私は、企業経営が、企業経営でも農地が適正に利用されておれば、それを負の観点から評価をするべきではないと考えております。いかに適正に利用されているかということに着目をいたしました場合に、委員が御指摘のような状況が仮に現出したとして、それを負の観点からとらえるべきかといえば、必ずしもそうは思っておりません。  要は、自分で一生懸命やっておるという、その家族経営を排除されないということがきちんと担保をされるということが肝要なのでありまして、これ以上法的な措置が必要かといえば、私は直ちにそれが必要であると認識はしておらないところでございます。
  197. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと時間になっちゃったんですけど、ちょっと今の答弁ではなかなか納得できません。また次回、続きについてはやらせていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
  198. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  199. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農地法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 平野達男

    ○委員長(平野達男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十二分散会