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2008-05-13 第169回国会 参議院 厚生労働委員会 10号 公式Web版

  1. 平成二十年五月十三日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  五月八日     辞任         補欠選任      山本 博司君     松 あきら君  五月九日     辞任         補欠選任      轟木 利治君     風間 直樹君      松 あきら君     山本 博司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩本  司君     理 事                 家西  悟君                 谷  博之君                 蓮   舫君                 衛藤 晟一君                 渡辺 孝男君     委 員                 足立 信也君                 大河原雅子君                 風間 直樹君                 小林 正夫君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 中村 哲治君                 森 ゆうこ君                 石井 準一君                 石井みどり君                 島尻安伊子君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 南野知惠子君                 山本 博司君                 小池  晃君                 福島みずほ君    事務局側        常任委員会専門        員        松田 茂敬君    参考人        千葉県介護福祉        士会理事     松下やえ子君        東京大学教授        社会保障審議会        介護保険部会部        会長代理     岩村 正彦君        日本介護福祉士        会名誉会長        社会保障審議会        介護給付費分科        会委員      田中 雅子君        東京介護福祉労        働組合書記長   清沢 聖子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人の出席要求に関する件 ○介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法  律案(内閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 岩本司

    ○委員長(岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る九日、轟木利治君が委員を辞任され、その補欠として風間直樹君が選任されました。     ─────────────
  3. 岩本司

    ○委員長(岩本司君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として千葉県介護福祉士会理事松下やえ子君、東京大学教授社会保障審議会介護保険部会部会長代理岩村正彦君、日本介護福祉士会名誉会長・社会保障審議会介護給付費分科会委員田中雅子君及び東京介護福祉労働組合書記長清沢聖子君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩本司

    ○委員長(岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岩本司

    ○委員長(岩本司君) 介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案を議題とし、参考人の方々から御意見を伺います。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人、質疑者ともに発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず松下参考人にお願いいたします。松下参考人。
  6. 松下やえ子

    ○参考人(松下やえ子君) それでは、千葉県介護福祉士会理事の松下と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。  私は、社会福祉士及び介護福祉士法成立をいたしました昭和六十二年に始まりました現在のホームヘルパー一級の資格に相当する家庭奉仕員三百六十時間講習というのを千葉県の第一期生として受講をし、昭和六十三年から昨年三月末まで十九年間ホームヘルパーとして在宅福祉に携わってきた者として、制度の変遷の中で感じた介護を取り巻く状況を含めて意見を述べさせていただきます。  平成元年十二月の介護対策検討会提言にありました、どこでも、いつでも、的確で質の良いサービスを安心して、気軽に受けることができる体制、つまり介護の社会化を目指して走りながら考えると、ばたばたとスタートした介護保険でした。  制度スタート当初の重立った問題点は、一つに、行政社会福祉協議会等に働く常勤ホームヘルパーの解雇の問題がありました。二つ目は、急造成されたヘルパーの、週刊誌のタイトルですが、困ったヘルパー物語というようなサービスの質の問題がありました。それから三つ目は、周知不足から利用者のサービス利用における家事援助の不適正事例等の問題がありました。  十五年の改正では、訪問介護は三区分から二区分に、そして介護報酬は一・五時間以降は逓減制となったことにより、事業所収入は減収となっていきました。経営が大変という声が聞かれるようになりましたけれども、当時国は、大手事業者が収益を上げているのだから、苦しいというのは企業努力が足りないというふうに言われたように記憶をしております。このころになりますと、二〇〇〇年の制度スタート前後の過熱したヘルパー養成も少しずつ下火になってきました。高い授業料を払い資格を取って仕事に就いても、大変な割にはお金にならないということが少しずつ浸透していったように思います。  さらに、一昨年、十八年の改正で表出した問題点は、一つに、予防給付の導入により介護予防訪問介護の一か月定額制の問題、それから二つ目は、生活援助は事実上一・五時間の頭打ちの問題、そして三つ目は、同居家族のいる利用者への生活援助サービスの制限の問題、そして四つ目は、福祉用具の利用制限の問題などが起こり、サービス利用者はこの改正に非常に戸惑い、中には状態悪化をして区分変更を申請する人も増えました。そして、その不安や不満はヘルパーやケアマネジャーにぶつけられました。  サービス時間が減りますと、当然ヘルパーの収入も減ってまいります。また、非正規雇用化が一段と進んだ時代でもあります。事業所の収入もますます減収ということで拍車が掛かり、ついにはヘルパーに支払う時間給を引き下げる事業所も出てまいりました。ある法人の管理者は事業所を回って、コスト削減に取り組んでもなおの窮状を報告しながら職員に頭を下げ、労働条件を引き下げたそうです。ヘルパーの離職、転職者はますます増えていきました。  そんな中で、国が経営を優良とした大手事業者はどうだったでしょうか。そうです、昨年あの大きな問題が表面化をしました。法令を遵守して適正にサービス提供をし、担い手に十分な労働処遇をしたら、現在の介護報酬で採算が取れるはずもありません。あの問題の陰でたくさんの利用者がサービス継続の不安に脅かされ、多くのヘルパーが希望を失いました。  不正事案の再発を防止し、介護事業運営の適正化を図るためには、サービス事業者に対する規制の在り方の見直しも重要であるとは思いますが、そのことだけでは解決は得られないと私は思っています。なぜならば、希望を失ったヘルパーの離職、転職はますます拍車が掛かり、そのことによって介護職離れ、人手不足、過重労働、そしてまた介護職離れの悪循環が蔓延しています。募集をしても応募はありません。事業所によっては、資格取得後に働いてもらうということを条件にヘルパー二級の受講費用を補助したり、あるいは紹介をしてくれた人に報奨金を出すなどの努力をしているところもありますが、それでも人は集まりません。  その結果、そのサービスの穴埋めはサービス提供責任者が担い、昨年私たちが行いました千葉県介護フォーラムの調査でも、月四十時間以上のケアに出ながらサービス提供責任者の業務をこなしている者が多く、そのしわ寄せにサービス提供責任者は疲弊し切っております。そして、プロとしての志の高い人ほど本来業務ができないこと、それからサービスの質が保てないことに悩んでいます。  サービス提供責任者が複数いる事業所では、一人辞めることによって事業を縮小せざるを得ません。また、サービス提供責任者が一人の事業所にあっては、事業を休止するか、あるいはまさにコムスンの二の舞になりかねません。一番迷惑を被っているのは利用者と介護従事者なのです。  在宅だけではなく、施設等の介護従事者にとっても介護職離れの悪循環からくる同じような状況があります。施設では、人がいないからといって目の前にいる利用者のケアをしないわけにはいきません。自分たちの休みを削り、時間に追われながらケアをしています。そんな中では達成感も得られず、向上心も生まれてきません。やがて体を壊し、また心の病にかかる介護従事者も増えています。  以上述べてきましたように、制度改正のたびに、サービス利用者や介護に携わる者にとっては制度改悪であったという感は否めません。  さて、私は、十九年間の在宅介護、地域福祉における学びを明日の福祉を担う人材育成に微力ながら生かしたいと、昨年四月より千葉県東金市にあります城西国際大学において介護教員としての道を歩み始めました。そして、この春スタートした本学の介護福祉コースは他の介護福祉士養成施設と同じように定員を大きく割っております。努力してもなお全国の介護福祉士養成施設が存続の危機にさらされているというのが実情です。  春四月、人の役に立ちたいと目を輝かせて入学をしてきたこの学生たちに、介護というのは互いに快いこと、そして働くということははたを楽にすること、人と人との関係の中で互いに成長できるクリエーティブな仕事であることなど、対人援助、特に介護の魅力を語っても、この若き福祉の担い手たちに現状では明るい未来は見えてきません。  私は、十九年間の実務経験を通して、多くの人とのかかわりの中で、介護というのは生活を支えることによって人の命を守る、かけがえのない、すばらしい仕事であることを実感してきました。それならばなぜ離職率が高いのかと思われると思いますが、余りにも現在の労働環境が劣悪で、未来に希望が持てず、介護従業者がその魅力を知るところまで至らずに辞めてしまうという実態があります。これは、経験の蓄積による実践知が構築されず、利用者に対して専門性や継続性を持って良質のサービスを提供することはできません。  この仕事に就いた人たちが夢を語り、誇りを持って働き続けられ、そしてサービスの受け手である高齢者等が、老人福祉法の理念に沿って、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で明らかな生活を保障され、生き生きと暮らし続けられる制度でなければなりません。  二十四時間三百六十五日のコミュニティーケアを目指したコムスン創始者の榎本さんは、がんに冒され、平成十五年、惜別の言葉の中でこんな言葉を残しておられました。公的介護保険日本の高齢者、障害者に大いな福音をもたらすものであり、そのことを国民全体で、保険料という拠出においてそれぞれが連帯と共生によって行うことは日本国民の優しい英知であろうと思いますというふうに述べておられます。そして、確かに、いまだ保険給付は額において不十分であり、質においても十分なものではありません。しかし、介護保険の充実により、質、量共に拡大していくことが可能であると思いますというふうに述べておられましたが、現状のこのままでは日本人の優しい英知が泣いてしまいます。  ただ単にサービス事業者に対する規制を強化をしても、介護労働環境の適正化、つまり介護報酬の見直しなくして不正事案の再発防止や介護事業運営の適正化を図ることは達成できないと思っています。  折しも、ガソリン代高騰の折です。今日も全国で大勢のヘルパーが職を離れる決意をしているに違いありません。この現状を何とかしないと、保険あってサービスなし、マンパワーが集まらなければ、持続可能性どころか制度は根底から崩壊してしまいます。どうか、国がまず介護報酬をもってこの職業社会的に評価をし、認知をしてください。それから、利用者の相談窓口と同じように事業者や介護従事者の相談窓口もつくってください。そうすれば、運営の適正化も図られ、介護従業者も職業に誇りと希望を持って前向きに介護の社会化に貢献できると思います。  二〇〇〇年、介護保険が始まりました年、仲代達矢さんモデルの、人は人に支えられて輝きを増すというキャッチフレーズの介護保険のポスターがありました。そうです、人は、支える人が輝いていなければ、支えられる人もその家族も輝くことはできません。  最後に、この法案審議と並行して介護従事者の処遇改善に対する具体的な検討についても是非に進めていただきますよう切にお願いし、終わりといたします。  ありがとうございました。
  7. 岩本司

    ○委員長(岩本司君) ありがとうございました。  次に、岩村参考人にお願いいたします。岩村参考人。
  8. 岩村正彦

    ○参考人(岩村正彦君) 私は、社会保障審議会の介護保険部会の部会長代理という立場を務めさせていただきました。この介護保険部会というのは、御案内のとおり、介護保険制度に関する課題やその対応策などについて検討するために平成十五年の五月に社会保障審議会の下に設置されたものでございます。介護保険部会は、平成十七年の介護保険法の改正に際しまして介護保険制度の見直しに関する意見を取りまとめるなど、介護保険制度全般について検討を行ってまいりました。  先生方御案内のように、介護保険制度は、平成十二年四月の創設以来、在宅サービスを中心にサービスの利用料や介護サービス従事者数が急速に拡大するなど、国民の老後の安心を支える仕組みとして定着してきております。  しかしながら、制度が定着するにつれまして、介護費用の増大や、認知症や独り暮らしの高齢者の方の増加といった課題が生じたことから、これらの問題に対応するために、介護保険法施行後五年の見直しでは介護保険部会におきましても様々な課題への対応策について検討を重ねたところでございます。  特に、介護サービス事業者に関する規制につきましては、平成十二年の介護保険制度施行当初は事業所ごとの指定取消ししかできず、指定の欠格事由というのも限定され、また指定の更新制というのも導入されておりませんでした。しかしながら、こうした規制では悪質な事業者を、事業所を介護事業から排除するためには不十分であるという指摘がなされていたところでございます。  そこで、平成十七年の介護保険法改正では、これもまた先生方御案内のように、悪質な事業者を排除するために、法人が運営する一事業所の指定取消しが同じ法人が運営する他の事業所の指定更新の拒否につながるいわゆる連座制というものの導入や、指定の欠格事由の追加であるとか指定更新制など、事業者規制の見直しが行われたところでございます。  ところが、今般、株式会社コムスンが複数の事業所で不正な手段による指定申請を行うなど、組織的な不正行為を行ったことが大きな問題となりました。このため、コムスンの事案を契機といたしまして、不正事案の再発の防止及び介護事業の適正な運営のために更なる措置が必要ではないかという指摘が強く出てきたところでございます。そこで、介護保険部会では介護サービス事業者に対する事業規制の在り方の見直しについて検討を行ったところです。  介護保険部会での検討に先立ちまして、昨年七月に介護事業運営の適正化に関する有識者会議というものが設置されております。この会議では、第一に、広域的に事業を展開する介護サービス事業者に対する規制の在り方、第二に、指定事業者の法令遵守徹底のために必要な措置、第三に、事業廃止時における利用者へのサービス確保のために必要な措置といったことを中心に論点が整理されまして、昨年の十二月に報告書が取りまとめられたところです。  介護保険部会では、事業者規制の現状について把握をした上で、有識者会議の報告書というものを基にいたしまして、介護事業運営の適正化ということに関して昨年十二月以来三回にわたって審議を行ってまいりました。先ほど申し上げた有識者会議の報告書というものは、不正事案の再発防止そして介護事業の適切な運営のために必要な措置などが取りまとめられております。そして、介護保険部会といたしましては、当該報告書の方向に沿って制度の見直しを進めるべきであるという意見で一致し、部会としての考え方を今年の二月六日付けで出しておりまして、それが介護事業運営の適正化に関する意見というものでございます。今日のこの委員会で審議されております介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案は、この有識者会議及び私どもの部会の報告書の内容を踏まえたものというふうに私は理解しております。  そこで、以下、私の方からこの有識者会議の報告書とそして介護保険部会の意見というものの内容について整理をしながら意見を述べさせていただきたいと存じます。  有識者会議の報告書では五つの主な事項について検討をいたしましてその結果を取りまとめております。  第一が、業務管理体制の整備というものです。  コムスンが複数の事業所において不正な手段による指定の申請を行うなど組織的な不正行為を行ったということにかんがみまして、有識者会議の報告書は、介護サービス事業者としての法令遵守を確保するため、これまでは事業所単位の規制だけであったところに新たに事業者単位の規制として法令遵守を含めた業務管理体制の整備を義務付ける必要があるというふうにしております。その義務付けの内容につきましては事業者の規模に応じたものにするべきであるということも併せて述べております。  介護保険部会では、この提言を妥当なものと評価いたしまして、事業者における法令遵守などについては行政による指導だけではなく、事業者団体による研修など事業者の自主的な取組を推進する必要があるのではないかという御意見なども出ておりまして、それも意見の中に付記してございます。  第二は、監査、指導体制の弾力化でございます。  現行の制度の下では、企業統治の中心であります事業者の本部などに立入調査や報告徴収をすることができませんし不正行為への組織的な関与が確認できないといった問題があり、この問題がコムスンの事例で顕在化したというふうに言うことができます。  そこで、有識者会議の報告書では、国、都道府県、市町村が事業者の本部などに立入調査などを行って法令遵守を含めた業務管理体制に問題があると判明した場合には、事業者に対して是正勧告や命令ができるようにする必要があると述べております。介護保険部会もこれを妥当としているところでございます。  ただ、これを受けた部会での議論では、事業者の本社などへの立入調査といったことの際には、国、都道府県や市町村で十分な情報共有や連携を図ることが必要であると。また、その際には保険者機能の強化であるとか地方分権の観点といったものも踏まえつつ機動的で効果的な指導管理体制を検討すべきであるという指摘があり、それも意見の中に取り込んでございます。また、自治体が実施する指導などについてはきめ細かく機動的な対応を行うとともに、指導内容について過度なばらつきが生じることのないよう標準化に向けた措置を講じる必要があるとの御指摘もいただき、またやはりこれも意見の中に取り込んでおります。  第三は、不正事業者による処分逃れの対策でございます。  コムスンが指定取消しの対象となった事業所につきましてその処分の前に廃止届を出してしまったということに対して、指定権者の方が事業所に対する取消し処分を行えないという現行制度の限界ということが明らかとなりました。また、同一グループ内の別の法人に事業所、事業譲渡というものを行ってしまって、譲渡を受けた法人において指定を受けるということも表明したことに対して、これについても現行の法制度では制限を加えられないといった問題も明らかになりました。  このため、不正行為を行った事業者のいわゆる処分逃れと受け取られかねない行為への対策が不十分であるという指摘がなされました。このため、有識者会議の報告書は、処分逃れ対策の一環といたしまして、事業所の廃止届の提出を事前届出としたり、監査中は事業所の廃止届を提出できないようにする仕組みの導入も検討することが必要であるという提言をしておりました。介護保険部会も、こうした報告書の考え方を妥当としておるところでございます。  ただ、部会の中では、指定取消しを受けた事業者の事業譲渡について、同一法人グループ内の法人への事業譲渡については、処分逃れのおそれがあると認められる場合には一定の制限を課す必要があるけれども、その際には、一律に指定を拒否するのではなくて、個別の事案に応じて対応するべきではないかとの指摘があったところでありまして、これも意見の中に取り入れてございます。  第四は、指定そして更新の欠格事由の見直しでございます。  現行の介護保険法の事業者に対する規制につきましては、先生方も御案内のとおり、ある事業者が運営する一つの事業所で不正によって指定取消し事案というものが発生した場合には、その事業者が展開するすべての事業所について指定更新ができない、そしてまた新規の指定も受けられないという、いわゆる連座制というものが存在いたします。この連座制は、介護保険制度が国民の保険料や公費によって運営されている公的な制度であるということに基づき、不正な事業者は介護事業から排除すべきであるという観点から、平成十七年の介護保険法の改正時に導入された規定でございます。  今般、コムスンの事案では、この規定を適用し、コムスンについてすべての事業所の指定更新、新規指定をしてはならないとする処分を行っております。事案の内容そしてさきに申し上げた規定の趣旨に照らしまして、この処分は適切なものであったというふうに考えております。  介護保険部会におきましても、現状のいわゆる連座制の仕組みは維持されるべきであって、事業所の指定取消しがあった場合に指定更新を拒否できる仕組みは維持するのが適当であるというふうに述べております。ただ、各自治体が事業者の不正行為への組織的な関与の有無などを確認しまして、自らの権限として指定更新の可否を判断できるよう仕組みを合理化する必要があるとの考え方で、部会としての意見の一致を見ておるところでございます。  第五に、事業廃止時における利用者へのサービスの確保対策でございます。  コムスンの事案では、関係者の御努力によりまして円滑に事業譲渡がなされまして、利用者に対して継続的にサービスを提供できたというふうに考えております。しかしながら、現行の法制度の下では、事業廃止の際に利用者のサービス確保対策が十分ではないとの問題点が指摘されておりました。  そこで、有識者会議の報告書では、事業廃止時における利用者へのサービス確保対策につきまして、一義的には事業者の責任において事業移行の対応や規模に応じて必要な措置を講ずべきであるけれども、その事業者だけでは十分に対応できない場合も考えられるということでありますので、行政が必要に応じて事業者の実施する措置を支援する必要があるとの意見をまとめております。介護保険部会もこの意見を妥当としたところでございます。  なお、部会の場では、事業廃止時において、利用者のサービスの継続確保や適切なケアマネジメントの実施により利用者の不安解消に努めるとともに、従業員の雇用確保についても留意すべきであるとの御意見をちょうだいしておりまして、これも部会の意見の中に取り込んでございます。  最後にですけれども、ただいま申し上げたところからもお分かりいただけますように、当委員会において審議されております介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案は、有識者会議の報告書及び我々の部会の意見書に盛り込まれた内容をおおむね取り入れていただいたものでございます。したがいまして、私としては本法案は適切な内容のものと受け止めております。  コムスンの不正事案は、介護保険制度に対する信頼や制度の基盤を大きく揺るがしかねないものでありまして、不正事案の再発防止及び介護事業の運営適正化が図られるよう、改善できる点については早急に制度改正を行うべきであると考えております。そのためには本法案を早急に成立させる必要がございますので、この点につきまして先生方の御理解を賜りたく、迅速な御審議をお願いしたいところでございます。  以上で私の意見とさせていただきます。どうもありがとうございました。
  9. 岩本司

    ○委員長(岩本司君) ありがとうございました。  次に、田中参考人にお願いいたします。田中参考人。
  10. 田中雅子

    ○参考人(田中雅子君) 私は、社団法人日本介護福祉士会名誉会長の田中雅子でございます。本日は、この席で意見を陳述できる機会を与えていただきましたことを心から感謝申し上げます。  本日は、政府提出の介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案につきまして、介護福祉士という介護従事者の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。  先生方には既に御承知のことと思いますが、介護福祉士社会福祉士及び介護福祉士法に基づく資格であり、専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して指導を行うことを業とする者であります。  日本介護福祉士会は平成六年に設立され、介護福祉士の職能団体といたしまして国民の介護ニーズに的確にこたえるため、介護福祉士資格取得後の研修の実施等を通じて、職業倫理の向上、介護の専門性の確立、介護福祉士社会的評価の向上などの取組を行ってまいりました。  介護保険制度は平成十二年の制度発足以来、在宅サービスを中心に、サービス利用や介護サービス事業者が急速に拡大してきました。それに伴いまして、介護サービスの従事者も増加しております。  介護分野における就業者数は、国勢調査によりますと、二〇〇〇年から二〇〇五年にかけて一一五・一%増加し、百四万人になったと聞いております。この間、全産業の就業者数は二・二%減少しておりますので、雇用情勢は厳しい状況が続く中でも、介護分野がいかに成長し、また雇用を下支えしてきたかが分かるかと思います。こうした中で発生した株式会社コムスンの不正事案は、国民の介護サービスに対する信頼を揺るがしただけではなく、私ども介護従事者にも大きな影響を与えました。  まず、コムスンの事案は、コムスンのサービスを利用されていた方々に大きな影響を与えました。事業が継続できない場合、何よりも利用者のサービスを確保することが重要となりますが、そのためには、実際にサービスを提供する従事者の雇用が安定していることが不可欠だと考えております。実際にコムスンで働いていた従事者の立場からしますと、働いていた企業が不正を行い、それに対して厚生労働省からの処分が行われたことにより、従事者の間には大きな不安と動揺が走ったと言われております。  また、コムスンとして介護事業を継続せず、他の事業者に利用者を引き継ぐことが決まりましたが、引継ぎ先が本当に決まるのかどうか、あるいは利用者のサービス確保がなされるのか、自分自身の雇用やあるいは生活はどうなるのかなどといった不安になり、辞められる方も多々いたと聞いております。  また、介護サービスは要介護、要支援の状態にある高齢者の生活を支えるという公益性の高い事業だと考えております。私ども日本介護福祉士会は介護福祉士の専門性を高めるために取り組んできており、こうした取組が介護保険制度に対する国民の信頼の一助になったとも考えております。  しかしながら、コムスンの事案は業界トップの企業組織的な不正行為を行っており、介護に対する社会的な評価を著しく悪化させ、介護に従事しようとする方々の意欲をくじくものになったのではないかと考えております。実際、今年の春には介護福祉士を養成する全国の四年制や短期大学で八割の養成課程で定員割れし、ほぼ半数の養成課程は定員充足率が五〇%を下回ったとの新聞報道もあります。定員割れの理由については、社会的な地位が低いということと同時に、コムスン問題で業界イメージが悪化したという声が上がっております。  こうした観点からしますと、介護サービス事業者が不正事案を起こさないようにすること、ひいては介護に対する社会的な信頼を取り戻すという意味において、介護事業者に対する規制を見直す政府提出法案は基本的に賛成できるものと考えておりますが、その内容について何点か意見を述べたいと思います。  まず、業務管理体制の整備についてでございます。  政府提出法案においては、コムスンが組織的な不正行為を行ったことから、介護サービス事業者としての法令遵守を確保するため、法令遵守を含めた業務管理体制の整備を義務付けると聞いております。介護保険の関係法令については、事業者はもちろん従事者も当然遵守しなければならないものであり、私ども日本介護福祉士会としても、従事者の立場から法令遵守に関する研修等の取組を進めているところでございます。ただ、事業者には、全国で事業所を展開する大規模な事業者から小規模な事業者まで様々な事業者が存在しております。小規模な事業者の場合、従事者が一人で何役もこなしているケースもあることから、業務管理体制の整備の義務付けにつきましては小規模な事業者にとって過重な負担にならないよう配慮していただきたいと考えております。  また、介護の現場では、実際のサービス提供のほかにも保険者へ報告するための書類作成や都道府県の監査に備えた事務等が多々ございます。その負担が増えているのが現状でございます。業務管理体制の整備の義務付けにつきましては介護従事者の事務負担が過重なものとならないよう配慮していただきたいと切に願っております。  次に、いわゆる連座制の見直しについてでございます。  平成十七年の介護保険法改正におきまして、一事業所における指定取消しが発生した場合にその事業者が展開する他の事業所について指定更新が拒否される仕組みが導入されました。この仕組みは不正な事業者を排除するための仕組みであり、その観点からは必要な仕組みだとは理解しております。  ただし、指定取消しにつきましては様々なものがあり、組織ぐるみのものもあれば一事業所内で行われるものもあります。現行の仕組みは、指定取消しの原因となった事実によってきめ細かく対応できる仕組みとはなっておりません。介護サービス事業者が組織的に不正行為を行っている場合に連座制が適用されることは必要と考えておりますが、一事業所で行われた不正行為について連座制が適用されるのは罪と罰のバランスが欠けているのではないかと考えております。組織的な不正行為が行われていない事案にまで連座制が適用されますと、利用者のサービス確保に支障が生じるとともに、その事業所で働く従事者の雇用やひいては生活にも大きな影響を与えることとなります。やはり指定取消しの原因となった事実が組織的なものなのか否なのかということに基づいてきめ細かく対応する必要があるのではないかと考えております。この点、政府提出法案は評価できると考えております。  第三に、利用者へのサービス確保についてでございます。  コムスンの事案においては、関係者の努力により利用者に対するサービス確保も介護従事者の雇用確保もおおむね円滑に移行先の法人に移行されたと聞いております。しかしながら、現行の法制度においては利用者のサービス確保が法的に担保されていないため、事業所が廃止をされた場合に利用者に対するサービス確保がなされない場合が考えられます。このため、政府提出法案において、事業廃止時の利用者のサービスの確保につきまして事業者に対する便宜提供を義務付けるとともに、行政が必要に応じ事業者の実施する措置を支援するとの仕組みが構築されており、一定の評価をしたいと考えております。  ただ、利用者のサービスが確保されても従事者が確保できなければ絵にかいたもちになる可能性もございます。また、利用者にとってみれば、これまでサービスを提供していた従事者が変わらない方がより望ましいものと考えております。従事者の雇用の安定を確保する観点から、事業廃止時において従事者の雇用継続がなされるよう、事業者に対する指導を行っていただきたいと考えております。  政府提案の介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案は、利用者及び介護従事者にとりましても望ましいものと考えており、介護に対する国民の信頼を取り戻す観点から、本法案を成立させていただきたいと切に願っております。  最後になりますが、介護福祉士を始めとする介護従事者をめぐる雇用労働環境は極めて厳しいものがございます。介護の現場におきましては、労働条件の悪化、待遇面の劣悪さなどから、介護福祉士資格を取っても介護現場に入職しない者や早期に退職する者が増えるなど、あるいは資格取得者の約四割がいわゆる潜在介護士であるなど、介護の現場では人材不足が大きな課題となっております。  具体的に私ども日本介護福祉士会でも、平成六年に設立以来、二年ごとに介護福祉士の就労実態を調査してまいりましたが、近年大変厳しい状況にあることが明らかとなっております。今や介護はある意味壊滅的な状態に置かれていると言っても過言ではありません。介護に対する社会的評価を高め、介護に携わる者がやりがいを持って働くことができるよう、介護従事者対策に取り組んでいただくことを切にお願いして、私の意見陳述を終わります。  御清聴ありがとうございました。
  11. 岩本司

    ○委員長(岩本司君) ありがとうございました。  次に、清沢参考人にお願いいたします。清沢参考人。
  12. 清沢聖子

    ○参考人(清沢聖子君) 東京介護福祉労働組合で書記長をしております清沢と申します。この度は意見陳述の機会を与えてくださいまして、本当にありがとうございます。  私ども東京介護福祉労働組合は、日本自治体労働組合総連合に加盟する自治体及び自治体関連労働者組合として、公共サービスの向上に日夜努力をしております。また、いわゆる登録、非常勤などの雇用体系にかかわらず、介護職場で働いている介護関係労働者のいわゆる組織をしている労働組合です。よろしくお願いいたします。  この法案については、今までの参考人の方もお話をされましたが、昨年六月にコムスンが不正行為を行っていたことに対する処分をきっかけに立案されたものと理解をしております。法を犯した事業運営に対する処分は妥当であったと認識をしています。しかし、コムスンが法を犯すに至った原因を正しく見る必要があると考えています。  私どもの組合は、処分直後にコムスン介護労働者緊急相談ホットラインを実施し、八十四人の方の深刻で切実な相談を電話とメールで受けました。その結果は、人員配置の基準を大きく縮小して運営しても労働者には労働基準法が規定する賃金保障は行えず、その上、赤字運営だったということです。現在の介護保険並びに介護報酬が適切な事業運営ができる設定になっていないことが明確に示されたと認識することが重要だと考えています。  また、本法案は不正な事業運営の再発を防ぐために立案されていますが、現場の事業所や介護労働者から見ると、不正な介護保険運営をしているのは各自治体ではないかという声があります。  昨年十二月二十日、厚生労働省から各都道府県に同居家族等がいる場合における訪問介護サービス及び介護予防訪問介護サービスの生活援助等の取扱いについての事務連絡がされました。自治体の中には、要介護の高齢者と同居する家族がいるというだけで介護サービスを認めない、したがって、要介護者と家族の生活が成り立たないという現場の批判が高まって出されたものです。同居家族問題に限定されず、自治体ごとに法の解釈が異なって介護保険運営が変わり、特に東京都は監査で不適正とみなされると報酬返還命令が出されます。この自治体運営の改善なく本法案の実行が行われれば、事業所、特にケアマネージャーは萎縮をして必要なサービスを縮小するのではないかと危惧をしています。  次に、緊急相談ホットラインでも示された介護労働者労働条件について意見を申し上げます。  介護労働者の低賃金、長時間労働を原因にした離職率は高まる一方であり、施設職員の欠員や訪問介護事業所の人員不足による介護サービスの低下、サービス提供不足が深刻になっていることは周知のとおりですが、そもそもの労働基準法が守られていません。改善に向けた対策として何点かお話をさせていただきます。  まず、訪問介護における直行直帰、登録型雇用は不安定労働、低賃金を生むものであり、何より移動時間等、労働者の権利保障労働安全衛生上の問題がありますので、廃止することです。平成十六年八月二十七日に訪問介護労働者の法定労働条件の確保についての通知が出されましたが、一向に改善をされていません。そもそもの雇用体系に問題が多く、体系を見直すことのほかには改善がないことが示されていると考えています。また、小規模施設は一人夜勤になっていますが、実態として休息、仮眠を取ることができません。労働安全衛生法の観点から著しく問題があります。老齢や疾病などで障害を持った高齢者や障害者の援助を行う介護労働者健康で安全に働けないことは問題がありますので、廃止をしていただきたい。  その際、厚生労働省が本年二月六日に通知した職場における腰痛発生状況の分析についてでは、腰痛に関する知識などの労働者教育や介護作業の改善、介護職の適正な配置、施設設備の構造等の改善として適切な機器、これは介護リフトのことですが、その導入、人間の生理は夜間に活動が低下するとして、夜勤、不規則勤務等の作業量を通常の日勤時の作業量をやや下回る基準に決める配慮が必要だとも求めています。通知労働安全衛生法の遵守が必要です。  介護労働者はもちろんのこと、事業を運営する経営者の方も悩んでいるのが、社会保険など雇用をすると必然として係る基本的な権利です。介護報酬が低いために、常勤雇用であっても事業所負担が支払われないことから権利が得られないことが少なくありません。社会保険雇用保険、労災保険加入に加えて、介護は女性労働者が多く、近年は若い労働者が増加していることを考慮しますと、育児・介護休業法など労働者雇用するに必要な雇用管理に対応する補助金を創設し、離職率低下に努めることが必要だと思います。これにより事業所経営はゆとりができて、非常勤から常勤へ、常勤から賃金が上がることにつながるのではないかと考えています。  女性労働者の観点から見ますと、特に若い労働者に対するセクシュアルハラスメントについても問題になっています。特に、在宅職場は深刻になっておりますので、事業所の義務を指導を徹底して責任を果たすようにしていただきたい。  現在の介護労働者労働法制違反は介護報酬が低いことが影響を持っていますが、一方で、介護経営者は社会福祉業法社会福祉法人による地主や福祉関係分野以外からの転籍した者が多く、経営の在り方は率直に申し上げまして未熟で問題があるものと言わざるを得ません。  したがって、都道府県、市町村が介護事業所を認可する場合、事前の労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法の教育研修が必要だと考えます。また、介護保険制度にとどまらずに、少なくとも先ほど申し上げました三法、労基法、労働安全衛生法、最低賃金法の事業開始後の監査は年一回としていただき、改善が見られない場合は事業取消しも行っていただきたいと存じます。  現在の離職率について労働組合の責任を持つ者として痛切に感じておりますのは、労働者層の変化です。  介護労働は約四十年前に在宅で暮らす老人の生活のお世話をするために生まれました。当時から食事作りや掃除は女性ならばだれでもできる仕事として、四十歳から五十代のいわゆる主婦層の方が自治体の非常勤や嘱託職員等で雇用されて、その後建設された特別養護老人ホームでもその延長線上の低賃金で多くは雇用をされてきました。私たちは決して認めていたわけではありませんが、介護労働のやりがいと生活の基盤は夫に支えられながら継続してきました。しかし、高齢化社会を迎えるに当たり、二十年前に介護福祉士養成校が創設をされ、若い労働者が年々増加し、それと入れ替わりに措置制度のころに介護現場を支えた主婦層の方々が高齢化をして次々と退職をしています。  若い人はこれから結婚をして子供を産み育てていかなければなりません。特に、介護労働という対人援助の仕事を選択する皆さんは、結婚や子育て、いわゆる家族を持つことに対する夢を持っている人が多いと感じています。生活できる賃金が欲しい、将来に希望が持てる賃金が欲しい、何よりこのまま介護の仕事を続けていきたいというのが彼らの願いです。  現在の介護労働者にないものが三つあります。昇給、賞与、残業代です。私は、三ない尽くしという意味で三Nと呼んでいます。本来は三Sと言うべきなのかもしれませんが、きつい、汚い、暗いの三Kに加えてこの三Nでは、若者が定着してくれるわけはありません。  昨年八月に福祉人材確保指針が示されました。是非この具体的実行を果たしていただきたい。そして、この実行については、介護保険制度の枠内ではなく、国あるいは自治体補助金を創設して利用料に跳ね返らない形で行っていただきたい。乏しい年金収入からの介護保険料を支払う利用者と日夜向かい合っている私たち介護労働者は、賃上げイコール利用料負担増加になる要求は出せません。  そして、今の介護現場を支える若者たちばかりではなく、子供たちから、大きくなったらホームヘルパーになりたいとか、大きくなったら特養ホームの職員になりたいと言われるような職業にしていただきたいと思います。  意見と申し上げながらお願いばかりというふうになりましたが、議員の皆様におかれましては、現状を思い量っていただきまして、御尽力くださいますように切にお願い申し上げて、私の意見とさせていただきます。  ありがとうございました。
  13. 岩本司

    ○委員長(岩本司君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 大河原雅子

    大河原雅子君 おはようございます。民主党大河原雅子でございます。  四人の参考人の皆様には、本当にお忙しいところ、急遽お越しいただきましてありがとうございます。持ち時間が二十分という限られた時間でございますので、早速、ただいま承りました御意見から質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、松下参考人、大変心にしみる御意見をいただきました。十九年にわたるヘルパーの御経験もあって、今その分野での研究活動にもスタートされている。特に今日資料に付いておりますサービス提供責任者、この窮状というのがもう少し具体的にお教えいただけないかなというふうに思うわけなんです。介護報酬が付いていない、対象になっていないということで、じゃ一体具体的にはどのような形でこの責任あるお仕事に、何というんでしょうか、報いているのか、報いられていないのかというようなところをちょっと詳しく伺わせてください。
  15. 松下やえ子

    ○参考人(松下やえ子君) 私ども千葉県訪問介護フォーラム実行委員会では、介護保険が始まりました二〇〇〇年から一年に一回、ヘルパーの技術的な向上やらあるいはモチベーションを下げないというような取組として年一回フォーラムを開催してまいりました。昨年は、サービス提供責任者の置かれている状況に的を絞りましてアンケート調査等を行った結果を、先生方の資料にも添付させていただきました、三月に提出をした要望書でございます。  今御質問がありましたサービス提供責任者の状況でございますが、先生方御案内のとおり、このサービス提供責任者というのは、訪問介護事業所において四百五十時間に一人常勤で置かなければならないという人員配置基準がございます。ところが、四百五十時間に一人というふうに基準に定められていながら、この介護報酬の設定がございません。ですから、サービス提供責任者は国で定められた八つの業務をこなしながら、なおかつ自分もある程度ケアに出ながら業務をこなしている実態にあります。  そして、この資料に付けさせていただきましたサービス提供責任者の実態という、四ページというふうに打たれているページでございますが、一番下のところに、提供責任者の業務の中で多忙なためにできていないと思われる業務はというアンケートに対して、このような順番で回答がなされました。  本来、本来業務ですから、できていて当然なものが実際には行うことができない。このことがプロ意識の高いサービス提供責任者ほどジレンマに感じております。そして、そのことに悩み、仕事を離れていくサービス提供責任者もあるというのが実態でございます。  以上でございます。
  16. 大河原雅子

    大河原雅子君 ありがとうございます。  私も、介護保険制度ができたときに、やはり中心になるのは在宅での介護をどういうふうに保障していくかというところで非常に期待をして、訪問介護事業所が今どんどん閉じられていくというようなことも新聞記事で目に付くようになりました。  ただいまのサービス提供責任者の実態調査もしていらっしゃるようなんですが、この方が見付からない場合は廃業に追い込まれるところも出てくるというふうに解釈してよろしいんでしょうか。
  17. 松下やえ子

    ○参考人(松下やえ子君) 先ほどもお話をさせていただきましたけれども、サービス提供責任者が一人しかいない零細の事業所にありましては、先生がおっしゃるように、サービス提供責任者が辞めてしまいますと、事実上はサービスを、事業所を休止をしなければならないという状況にあります。ところが、昨年のコムスンの事例にありますように、たくさんの利用者さんを抱えた事業所が名前だけという形で営業を続けたという実態もあったかと思っております。
  18. 大河原雅子

    大河原雅子君 松下先生、もう一件、そうすると、このサービス提供責任者への、先ほど、対価という言い方はまだできないのかもしれないんですが、そういう厳しいお役目については介護報酬出ているものからやりくりをして上乗せをすると、それにふさわしい額に多少なりともしていくという努力を事業者としてしているということですよね。
  19. 松下やえ子

    ○参考人(松下やえ子君) 事業所は、訪問介護サービスを提供し、入ってきました介護報酬の中からこのサービス提供責任者の報酬についても捻出をしなければなりません。そういう意味では、実は、設定された生活援助二百八単位、二千八十円、あるいは身体介護四百二単位、四千二十円という中に含まれているというふうに国の説明ではございましたが、実は、ヘルパーさんに賃金を払い、それから必要経費を取っていきますと、サービス提供責任者に回すお金も実は非常に厳しい状況があるという実態がございます。
  20. 大河原雅子

    大河原雅子君 ありがとうございます。  同じようなことを、恐れ入ります、清沢参考人、やはり訪問介護事業者の問題では、今のサービス提供責任者の問題は組合の方でもどのような認識、実態を把握されておりますでしょうか。何かそれに向けての調査などもなさっているんでしょうか。
  21. 清沢聖子

    ○参考人(清沢聖子君) 調査は残念ながらしておりませんが、先ほどの松下さんと同じように、法として基準が、配置基準が出されているのに報酬がないということで、これは現場の組合員の言葉で申し上げますと、登録ヘルパーさんたち、しかも労働条件としては大変厳しい登録型雇用のヘルパーさんたちがしてきた仕事の報酬で成り立っているわけですけれども、そのヘルパーさんたちの上前をはねて自分たちの賃金が成り立っていると、大変申し訳ないという声をよく聞きます。
  22. 大河原雅子

    大河原雅子君 ありがとうございます。  私も幾つか事業所をお訪ねしたときに、やはりサービス提供責任者の方のお声が非常に元気がなくて、御自分もヘルパーに出かける時間を取りながら、本来業務に向けての、何というんでしょうかね、苦悩というんでしょうかね、その重責を感じてきたところなんです。この問題は是非介護報酬の対応できる位置に持っていかなきゃならないと思っているところです。  ところで、今回のこの審議の参考人は、いわゆるコムスン法ということで、不正申請を再発防止をするということがありましたが、先ほど松下参考人の御意見の中には、幾ら事業者を規制してもそれでは立ち行かないんだということを、かなり私はそこをちょっとびびっときたわけなんですが、大変、確かに規制を強めるだけでは駄目だというふうにも思います。  それで、岩村参考人に今度お伺いをしたいんですが、本来、再発防止はもちろんしなくちゃいけないんですが、コムスンは大型の、大規模な事業者で、優良な事業者と言われてきた。元々介護保険制度自体が実は不正請求はなかなかできない仕組みになっているんじゃないかと思うんです。ケアプランが作られて、ケアマネジャーの方がサービス提供する事業者から毎月その実績を報告され、それをチェックした上で国保連に送ると。  そこで、事前のそういう給付管理というんでしょうか、それがきちんとできているのに、こういうコムスンのような事件が起こったり不正請求が出ているというところは、私は、介護保険導入時にこういう株式会社が参入できる新たな仕組みということで、希望もあるけれども不安も大きいというところがちょっと的中したんじゃないかというふうにも思うんですが、先生はこの点はどんなふうにお考えなんでしょうか。
  23. 岩村正彦

    ○参考人(岩村正彦君) 今お尋ねのとおり、コムスンというのは当初非常に優良な企業であって、介護保険の分野の営利企業のお手本のように言われていたんだろうというふうに思います。ただ、残念なことに、ある意味かなり会社ぐるみの部分もあって、不正請求その他の不祥事ということがあったということは確かだと思います。  ただ、じゃ、それが株式会社という営利企業だから起こったのかどうかということになりますと、すべからく株式会社がそうだというふうには断言はできないだろうというふうに私自身は思っております。実際に、介護保険関係のいろいろな不正請求事案等のこれまでの事例で指定の取消しなどに至ったものというのを見ますと、特に株式会社が突出しているというわけではなく、社会福祉法人あるいは非営利団体その他というものも含めていろいろな形での不正請求などがあり指定の取消し等が行われているところでございますので、そういったことを見ますと、営利企業だから、株式会社だからということでは現段階では言えないのではないかと。  そういう意味で、今回のコムスンの事件というのは、やはり会社の、そういうコムスンという会社の体質というのがやはり大きく影響していたのではないかなというふうに私自身は思っているところでございます。
  24. 大河原雅子

    大河原雅子君 先ほど松下参考人の意見の最後の方にコムスンの創始者の方の言葉もあって、その最初のミッション、理念はすばらしいものでも、確かに株式会社だからということはないと思うんですが、それに大きく影響するのが、制度ができてから介護報酬自体が切り下げ切り下げられてきたというようなことがあって、その辺の事情が私はやはり利益を上げなければならない部分で非常に大きい影響があるんじゃないかと思っているんですけれども、いま一度、岩村先生、いかがですか。
  25. 岩村正彦

    ○参考人(岩村正彦君) もちろん、株式会社ということになれば、利益を上げなければいけないというところがあるのはおっしゃるとおりだと思います。  ただ、他方で、やはりその事業運営という観点からいったときには、一般論でありますけれども、やはり企業の規模というのも影響しまして、当然ある程度事業規模が大きければ規模の経済が働いて効率化できるということがあり、そういう観点からしますと、収益を上げなければいけないという部分はあるにしても、事業規模が大きければいろいろな部分での効率化も可能となり、そういう意味では、きちっと適正に事業運営をやっていても営利会社としてある程度必要な程度の収益を上げるということは可能なのではないかなというふうに思っております。  同じように、福祉法人や非営利法人の場合であっても、やはり直接の、先ほど来先生方あるいは今日の皆様がおっしゃったように、介護に実際に従事する労働者の方々の処遇の問題もありますが、他方で間接部門というものはどこでもある程度必要なわけで、そういった部分についてのコストはやっぱり見ていかなければいけないということもありますので、ですから、営利企業だからというふうに直ちに結び付くのかどうかということは、それはもう少しちょっと実態を調査してみないと、ある程度大規模に調査してみるというようなことによって見ていく必要があるのではないかというふうに思っております。
  26. 大河原雅子

    大河原雅子君 もう一点、ちょっと話は別方向、将来的なことに及ぶんですが、現在、介護保険の会計というのは幸いなことに黒字なんですね。その点からいっても、今後の課題として、岩村先生もその報酬の面では、個人的な御意見で結構なんですが、ちょっと絞り過ぎたんじゃないかというような御感想はお持ちになっていないんでしょうか。
  27. 岩村正彦

    ○参考人(岩村正彦君) 全般として絞り過ぎたかどうかというのは、ちょっと私自身も一般論としてはよく分かりませんけれども、ただ、いろいろな財政の問題等を考えたときには、介護報酬の今後の在り方としては、ある程度やはりめり張りを付けるなどの工夫をしていって、必要のあるところにはしかるべく介護報酬が支払われるという、そういうことを考えるということは必要なのかなというふうに個人的には思っておりますが、ただ、全体としての財政規模との関係がありますので、そこはやはりどこに重点を置いていくかということで考えていくことかというふうに思っております。
  28. 大河原雅子

    大河原雅子君 私は、幸い会計は黒字というのは、黒字を大きく、貯金をたくさんしておけばいいということじゃなくて、あるものを、円滑にサービスを必要とする人にきちんと行き渡るような会計状況にしておけばいいというふうに思っているものですから、そういったきちんとした使い方をしなきゃならないものだというふうに思っております。  最後になりましたが、田中先生にも、先ほどコンプライアンスを徹底すれば大から小まである事業所で特に中小の方の事務量が大きくなる、負担が大きくなるということをおっしゃったんですが、この増大する負担というのを具体的にどんなふうに想定されるんでしょうか。私も二、三、事業所で伺ってはきたんですが、いかがでしょうか。
  29. 田中雅子

    ○参考人(田中雅子君) 現場にいる者の実感といたしまして、事務量の負担ということになれば、例えば介護従事者の場合は、実際の介護サービス計画を立案するということが出てきます。当然ケアマネジャーの方々から具体的なサービス内容について指示されているわけですが、実際の個別の利用者の方々の生活を支援するということになりますと、先ほど言いましたように、サービス提供する側の個別計画を立てる、これが大きな仕事であろうというふうに思っておりますが、一方では、それの記録あるいはそれの保険者に対する報告、あるいはそういった、ひいては組織によっては新任者に対する教育等々、様々な雑多な仕事を抱えております。  ということになりますと、サービスの質を確保しなければならないと思いながらもその時間に十分充てることができないというのが現在の実態ではないかというふうに思っております。
  30. 大河原雅子

    大河原雅子君 そのような事務量に対する報酬というのは確保されていないわけなので、大変なことが起こりつつあるかなというのが私のヒアリングをしてきた中での実感でもあるんです。  今後の介護保険の改正に向けても、今日承りました御意見等を反映させていきたいと思っております。  本当にありがとうございました。
  31. 石井みどり

    ○石井みどり君 自由民主党無所属の会の石井みどりでございます。  本日は、四方の参考人の方々、大変急なお願いにもかかわらずお忙しい中を御出席いただき、現場の生々しい実態を踏まえた本当に貴重な御意見をお聞かせいただきました。ありがとうございます。  私の方からも、じゃ御質問をさせていただきます。  まず、岩村参考人、伺いたいんですが、実は今、大河原委員の方からあった御質問とかなり重複するかと存じますが、岩村先生は社会保障審議会の介護保険部会の部会長代理ということで、今回の法改正の前に三回ほど部会が開かれて、十二月から三回御審議をされたということでございますが、その審議の過程の中で今回の業務管理体制の整備というところが創設されたりいたしますので、非常に全体として規制を強化しようというところがあろうかと思います。そこに対して部会の中で様々な御議論があったと思いますが、その中で、やはり現場の実態を考えれば規制が厳し過ぎるんではないかとか、そういう御意見はなかったんでしょうか。その辺りの議論の過程を少し、つまびらかにできる部分とそうでないところがあろうかと存じますが、よければお聞かせいただければと存じます。
  32. 岩村正彦

    ○参考人(岩村正彦君) 部会として全体の方向としては、先ほど私も申し上げましたとおり、有識者会議の報告書で述べられた方向で規制を手直しをするということで全体としては一致を見ていたというふうに思います。  ただ、小規模の事業者などのことを考えますと、事業の規模等にかかわらず一律に例えば法令遵守体制を整えるというようなことになりますと様々な事務コストが発生しますので、そこは負担としては大きいであろうというようなことから、事業規模に応じた法令遵守の体制の整備を求めるという、そういう形になったというように思っております。  また、従来は、監督に当たって地方公共団体の間でのばらつきというものも見られるというところでもあったので、今回の見直しに伴い、そうしたばらつきが余り生じないような形で一定の合理化を運用面で図るべきであるというような議論も出たところでございまして、それらについては、それぞれ介護保険部会における意見の中で触れて取り入れているところであるというふうに考えております。
  33. 石井みどり

    ○石井みどり君 それでは、先ほども御質問で出たんですが、私ども、そもそもコムスン問題が起こったときに言われたことですけれども、起こるべくして起こったと、営利企業を介護という社会保障の分野に参入させたところにそもそも間違いだったということが言われたという記憶があるんですが、先ほど岩村先生のお話では、株式会社だからすべて不正が行われるわけではないという御意見もあったかと思いますが、ただ、やはりどうしても、営利企業ですから利潤を上げなきゃいけないという、どうしてもそういう使命があろうかと思います。そして、株式会社であれば株主にも配当しなきゃいけないということ。  私は、介護の実態というのは、実はこうして東京で働いていれるのも、まさに今日の、本当に介護の実態、従事者の方々の現場の実態をお話しいただいた本当に皆様に感謝をしたいというのは、八十二歳の、要介護は二でありますが、母を広島に置いて二十四時間体制で今介護しておりますので、本当に皆様に支えられて働いていることができる。だから、やはり、やっと介護保険制度が定着して、介護の社会化ということが国民の方々にも御理解をいただき、支持をされ、そしてこの制度をいかにやはり持続させていくか、しかし健全に持続させていくということが重要だろうと思っています。  様々課題はあろうかと思いますが、やはり、そもそも介護の現場を見ておると、もうかるはずがないという気が、私は非常にそういう実感を持っているんですね。その中にやはり営利企業を参入させたいというところに起こるべくして起こった。しかし、先ほどのことであれば、事業者というか経営者の理念というか、あるいは企業としてのガバナンスとかあるいはコンプライアンスとか、そういうところにも問題があった、企業体質に問題があったということであろうと思いますけれども。  私は、何らかのやはり、営利企業に対してそういう、今回の法改正というのは、そういう意味では私はやはり必要なことだと思っておりますが、その辺りをもう少し踏み込んで岩村先生お聞かせいただければと思いますが。
  34. 岩村正彦

    ○参考人(岩村正彦君) 介護保険制度が導入された当時の議論を振り返って考えてみますと、特に在宅分野においていかに介護サービスの供給を充実させるかということが一番大きな課題であったというふうに私自身は理解しております。その観点からしますと、できるだけ多様な事業主体に参入をしてもらって、そしてサービスの供給量、特に在宅については増やすということが必要であったろうというふうに考えています。また、先ほど、そういう意味では株式会社、営利企業の参入を認めたということ自体は、介護保険法の制度設計において何か間違ったというような見方は私はしてはおりません。  ただ、他方で、今回の改正法案もそうでありますが、コムスンの事件などにおいて見られたように、営利企業の場合、先ほど申し上げたように営利企業だけではないんですが、どうしてもなかなか法令遵守という点での問題というのは生じやすいということがございますので、そこはやはり適正に事業を行っていただくということは当然必要であると。とりわけ、介護保険というのは強制徴収した保険料とそれから税金で賄われているものでございますので、当然適正な事業運営は必要であるというふうに思っております。  そういう意味で、営利企業に対しても必要な、かつ適正な規制というものは行って、そして適正にサービスを提供していただくということが必要であろうというふうに思います。  あと、もう一つ申し上げれば、営利企業でございますので、ある意味もうからないということであればそれは普通市場から撤退されるだろうということでもあろうと思いますので、そういう中である程度優良なところとそうでない、余りうまく事業が経営できないというところとの淘汰というのが今後行われていくのかなというようにも思っているところでございます。
  35. 石井みどり

    ○石井みどり君 ありがとうございます。  少し概念論的になるかも分かりませんが、是非、今の制度設計のことも踏まえて、今回介護報酬の見直しが行われます、そして六月に向けて骨太の方針二〇〇八が出ようかと思いますが、そこで必ずそういう社会保障の今後の費用の話が出てまいりますので、そこに関してやはり、今後ますます要介護の高齢者は増えていくわけですし、そして現行では、私は保険料の値上げというのは、やはり一号被保険者にしても相当な負担が掛かっている。そして、二号被保険者からしてみれば、これをかつて、かつてというか、元々議論の中に二十歳からということがありました。今四十ですけれども。そういうこともすべて踏まえてでございますが、これ以上の保険料の値上げはなかなか私はどちらからも御理解が得られないのではないか。  では、利用者の負担を一割から二割に上げるのかということも考えられますが、今後本当に制度が持続するためにそういう局面が出てくるかも分かりませんが、私は、高齢者福祉の実態を見たときに、実に驚くべきことに、ほとんどのこの介護保険のサービスの利用者の方が認定された限度額いっぱい利用されてないことがほとんどなんですね。もっとサービスをうまく利用されたらいいのにということを随分感じましたが、やはり負担が大きい、それが本当に実態でした。全国でいろいろ見ましたけれども、そこがやはり、介護保険部会、もちろん様々な立場の方が出て御議論をされるわけですけれども、今後の制度の持続あるいは制度設計ということを考えて、重要課題、幾つかあろうかと思いますけれども、今後どうあるべきか。  そして、何よりも制度があって従事者がいなくなったということになっては困る。今日の御意見の中にもございましたが、私自身がやはり、今二十四時間体制ですので本当に人材がないんですね、非常に苦労しています。それが実態でありますので、離職の率も高いですし、そして当初のヘルパーとして働いておられた方々が現在ほとんどがもう六十代から七十代に掛かるんですね。しかし、この方々は、例えばそんなに研修に次ぐ研修というのを受けておられなくても、御自分の豊富な経験の中から非常に私から見ると高い専門性を自ら身に付けておられて、認知症の利用者の方々に対しても非常にうまく、認知症ケアというようなそういう訓練とか教育受けておられなくても、自らやはり獲得されたような、そういうサービスを実際に提供されておられる方々は多いんですが、そういう方々がどんどん今この現場から離れていっておられる。そういうことを考えると、やはり介護報酬の見直しを含めて、先生、どう今後この制度をあるべきかというふうにお考えでしょうか。
  36. 岩村正彦

    ○参考人(岩村正彦君) 大変難しい御質問でございますけれども、まず給付の関係について言いますと、これはどちらかというと私よりは多分給付費分科会のお話なんですが、全体として考えたときには、先生もおっしゃったとおり、なかなか保険料を上げるというような形での財源調達が難しいと。したがって、介護保険の財政規模そのものを大きく増やすということについてはかなりの困難が伴うというふうに思います。  そうしますと、やはり方向性として考えるのは、もちろん新たな財源の在り方をどうするかというその議論を一方で検討しつつ、他方で、限られた財源、仮に増やしたとしてもそれをみんなにばらまいてしまうということではなくて、やはり必要なところがどこかという、それも議論も非常に難しいですが、必要性の高いところになるべく重点化していくというような形での給付の在り方の検討というのを行っていくということになるのではないかなと。  非常に漠としたことしかお答えできないんですけれども、方向としてはそういう大きな方向なのかなというふうに私自身は思っております。
  37. 石井みどり

    ○石井みどり君 ありがとうございました。  それでは、もうお一方、介護福祉士会の名誉会長であられます田中雅子先生、今日は久しぶりにお会いしました。介護給付費分科会で委員として一緒に働いておりましたので、今の岩村先生の方から給付費の方というところで、そういう視点から同様の、今後の介護保険制度制度設計を含めて、重要課題、あるいはどうあるべきか、サービスの提供側から御意見をお聞かせいただければと思いますが。
  38. 田中雅子

    ○参考人(田中雅子君) 難しいお答えはできないんでございますが、私どもとしましては、やはりサービスの質、より良質のサービスが利用者の方に届けられるということ、当然そのサービスに従事する者が安定的に雇用され、そこに働くことができるということが大変大きな要素であろうというふうに考えております。  しかしながら、御承知のように、昨今、介護従事者がいないという実態も起こっているわけでございますが、まず、先生方も御懸念されているように、じゃ報酬上げるということが議論されていますが、それによって利用者の負担が大きくなるということも懸念されております。そういった中におきましても、私どもといたしましては、やはり介護報酬は是非上げていただきたいと思わざるを得ません。でなければ、やはり人が、要するに働く人がいなければ制度そのものが根底から揺るがされるというのは、これは間違いない事実でございます。  そもそも、私どもも、日本介護士会もこれまでにドイツ等始め様々な専門介護団体との提携を図っているわけでございますが、やはり先進諸国の中におきましても、私ども、日本ほど社会保障にお金を使っていない国は存在しないのではないかというふうに考えております。これからますます後期高齢者の方々が増えて、そういった方々が安心して暮らしていただける、そういった高齢期の生活を実現するためには、やはり良質のサービス、介護サービスが適切に提供され、なおかつそういった良質の、良いサービスが利用者に提供されるということが何よりも大事なわけでございます。にもかかわらず、我が国におきましては、先進諸国と比べましても、社会保障の中でも特に福祉分野、介護分野に振り分ける割合が低いということもよく言われていることであります。  私どもは、先ほども言いましたように、制度の持続的な継続のためには良質のサービスを確保するということと併せて、それに従事する者のやはり雇用の安定あるいは生活の安定といったものがなければならないというふうに思っていまして、今回、ちょっとこの議論とは違うんですが、やはり介護報酬についても一歩踏み込んでいただきたいというのが切なる希望でございます。
  39. 石井みどり

    ○石井みどり君 ありがとうございます。  今回、これは報酬を話す場ではないんですが、しかし逆に、おっしゃりたいことはおっしゃった方がいいかというふうに思いますが。  先ほど岩村参考人にも伺ったことですけれども、従事者の立場から、介護福祉士の立場からのコムスン問題、やはり営利企業が介護の現場に入ってきたということ、先ほどからのいろいろ御意見もございましたが、どのようにお考えか。そして、質のいい良質な介護サービスの提供ということを考えたときに、ある程度の規模があった方がいいということも一つの意見であろうかと思います。当初は、やはり非常に、特に在宅のサービスの量が不足しているということで、まず量の確保というところからスタートした、ある一定の量が確保できてこそ今後は質の問題に行くんだろうと思いますが、そういうところで逆にそういう営利企業というところに対してどのようにお考えか、お聞かせいただければと存じます。
  40. 田中雅子

    ○参考人(田中雅子君) 一般的に言いまして、先ほど石井先生の方からも営利企業の参入が介護の市場にどのように影響を及ぼしたかということでお話があったわけでございますが、一般的に介護の分野に株式会社などの営利企業が参入したことによって、私どもはむしろそれまでの従来のサービス提供の姿勢といいましょうか、といったものに対して大きく意識改革を行った、また自らもそうしたと。すなわち、利用者の立場に立って考える。これまでも福祉あるいは介護サービスにつきましては利用者の立場に立つということを常にモットーとされてきたわけでございますが、しかし実際にかつて身体拘束等が現実にあったということも考えますならば、それが本当の意味の利用者の立場に立つような介護サービスなのかということになれば、私どもとしましては大きく反省をしなきゃいけません。  そういう意味におきまして、コムスンは除きましても、多くの株式会社等におきましては企業倫理、すなわちビジネスエシックスを持って職員の方々の教育をしているというふうに伺っておりまして、そういう意味において、今回のこの介護保険制度の中に営利企業が参入したことによって効率的なサービス提供を行うようになったというプラス面があったというふうに考えております。  ただ、私ども介護に携わる者といたしましては、利用者に対しては適切なサービスを提供すること、これが我々の使命であり、また私ども働く介護従事者にとりましては賃金を含めしっかりとしたやっぱり処遇を行っていただくこと、それが適切なあるいは良質なサービスを提供するということにとっての大変重要な課題ではないか、そのことが十分担保されていないのが今の現状ではないかというふうに思っています。  したがいまして、御質問ではございますが、事業者の実態が営利法人であるか否かということはサービスの質を担保するということとは余り関係ないのではないかというふうに考えております。
  41. 石井みどり

    ○石井みどり君 ありがとうございました。  ここにいる委員の方々もいずれは介護を受けるわけですから、やはりこの介護保険制度が健全に持続し発展していただきたいということを願って、参考人に感謝をしながら質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
  42. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  今日は、参考人の皆様から貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。  それでは、先ほどからコムスンが不正な事業展開で撤退されたということで、その原因あるいは背景についてのお話があったわけでありますけれども、最初にいろいろ御意見をいただいたんですが、松下参考人様の方はどのようなそういう背景についてお考えを持っておられるか、お伺いをしたいと思います。
  43. 松下やえ子

    ○参考人(松下やえ子君) 実は、昨年のそのコムスンの事件ということに関しまして考えますと、私どもは実際に介護サービスを提供して、私の所属は社会福祉協議会というところでしたから、また民間ではありながらも、一般の事業所とはまたちょっと違う性格を持っておりました。そして、正直を申しますと、実は訪問介護事業所としては場所代も払っておりませんし電気代も払っておらない。そういう中にあっても実はサービス提供をした介護報酬として入ってくる収入の中で実はやりくりをすることが大変であったという実態がありますので、実は組織が営利か非営利かというそこに論点があるのではないのかもしれませんけれども、まさに介護サービスにおいて利潤を上げていくというのは非常に難しいというか、あり得ないというぐらいに私は実感として思っておりました。
  44. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に岩村参考人にお伺いをしたいんですけれども、事業者が廃止ということを考えておられるときに、次の利用者のサービスを提供してくださる方を見付けなきゃいけないということになりますけれども、どうしてもやはり条件が悪いところで結局事業がうまくいかない等で撤退される可能性があるわけで、そういう中で後継の事業者を選ぶというのはなかなか、その事業者が自ら選ぶというのは難しいときもあると思うんですね。そういう場合に行政が支援をするという形になりますが、行政としてどういう、そういう後継事業者を選ぶ場合のノウハウを蓄積していって適切な支援ができるようにしていくべきか、この点で何かお考え等ございましたらお聞きしたいと思うんですが。
  45. 岩村正彦

    ○参考人(岩村正彦君) まず第一に、行政の側は、都道府県であれ、あるいは地域密着型であれ、まあ市町村になりますけれども、いずれにしても指定権限を持っておりますので、自らの管轄下にどういう事業者がいるかということは当然把握をしているということになります。  さらに、これも先生方御案内のとおり、平成十七年の介護保険法の改正によりまして、介護の事業者については提供するサービスの質等について評価を行い、それを収集して公表するという、そういう仕組みも導入したところでございます。ですので、事業者が撤退するに伴って、そこでサービスを受けていた高齢者の方々のその後のサービスの確保ということになったときには、当然都道府県なり市町村の側としては、そうした自らの持っている事業者のリストと、それから今申し上げたようなメカニズムの中で集めている事業者に関する様々な情報、特にサービスの質などに関する情報といったものを突き合わせることによって、さらには実際の利用者のいらっしゃる場所とか、そういったものを勘案して適切な別の事業者というものへの連携というのを図るということになっていくのではないかと、それが今回の改正法において基本的に考えられていることではないかというふうに私は理解しております。
  46. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、同じく岩村参考人、それから田中参考人にお伺いをしたいんですが、やはり都市部ですと利用者の方も多いと、それで地理的にも集中しておられるということで事業展開しやすいと思うんですね。ところが、やはり地方ですと、どうしても少人数で距離的にも離れておられる、あるいは施設にしても施設がそれほど多くないというようなことがありまして、そういう地方での介護サービスの給付をどう確保していくのか。そういうことがある程度確立しないとやはり事業、途中で行き詰まってしまうというような事業者もあるのかなと、特にそういう営利的な観点から参入した場合にですね。その点の何かいいアイデアとかお考え等ございましたらば、お伺いをしたいと思います。
  47. 岩村正彦

    ○参考人(岩村正彦君) おっしゃるとおり、地方に行きますと、やはりどうしても人口が、高齢者の相対的な比率は多いにしても、サービスの利用者の数が少ないというようなこともあって、なかなかサービスを提供する事業者の確保というのは難しいということは実際にあろうと思いますし、特に、そういうところに行ってしまいますと、やはり営利企業というものが出てくるということは非常に困難であろうというふうに思います。  非常に平たく言えば、介護保険の下での介護のサービスを展開するためのマーケットというか、市場というものがそもそも成立しにくい状況にあると思います。そうしますと市場が機能しないということになってしまいますので、そこではやはり直接やるかどうかという問題は、直接やるということになるといろいろまた別の問題が生じますけれども、やはりある程度地方公共団体というものが重要な役割というものをやはりサービスの供給体制の整備という点では担わざるを得ないのではないかというふうに思っております。
  48. 田中雅子

    ○参考人(田中雅子君) 地方におきましては確かに大規模な事業所が介護サービスに展開するというケースが大変少ないというふうに考えておりますが、一方では、私自身が住んでおります富山の例を見ましても、高齢化率が三〇%に達している状況があって、近い将来もうそれと横並びだというふうに私どもは県の方々から伺っております。  であるならば、現在のサービスがある程度確保され、利用者側にも提供されているというふうに理解しております。そういう意味では、地方における高齢化率やあるいは就労できる人口割合といいましょうか、そういったものをちゃんと行政側として適正に数値等を含めても把握され、やはり今後の対応をしていただきたいというふうに思っております。  それと、なおかつ、必ずしも大規模企業地方において展開するということではなくて、介護というサービスは実は地域密着型といいましょうか、そこで受ける側の、利用者自身の文化とかあるいは人生観、価値観というものをお持ちですし、そういったことの一番理解できるのがその地域に暮らしている介護従事者であろうというふうに思っております。  そういう意味において、やはり介護従事者自身も地域密着型の働き方をしているわけですから、そういったことも効果的に活用していただきたいというふうに思っています。ただし、今の現状であればなかなか介護労働に魅力あるような状況になっていないというのは先ほどからも申し上げるとおりでございます。
  49. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今回の事件、やはり法令遵守ということが大変重要だということでありまして、様々なほかの分野でも法令遵守というようなことが強調されておるわけですけれども、田中参考人は日本介護福祉士会の名誉会長ということで、多くの会員の皆様からのお話等、御意見等も聞いておられると思うんですが、日本介護福祉士会としての法令遵守の取組等をどのようにお考えで、また実践されておられるのか、お聞きしたいと思います。
  50. 田中雅子

    ○参考人(田中雅子君) 日本介護福祉士会といたしましては、介護福祉士の生涯研修という制度の中で法令遵守あるいは職業倫理の確立、教育といったものについて行っております。  とりわけ、介護福祉士、すなわち介護福祉士という、人が人に対して直接体を触れる、あるいはその人の財産に触れる、そういった非常に価値の高い仕事に従事した場合、従事者側の倫理観が高くなければ実はサービスを受ける方も大変不安になられるという、そういった性質を持ったものでございます。  そういったことを常に私どもは強調しながら、なぜ介護福祉士が人の体に触れることができるのか、あるいはなぜ介護福祉士が一般的には許すことのできない人の財産、物ですね、直接触ることができるのかといったことを介護福祉士の皆様に直接問いかけ、その答えを一人一人の介護福祉士の方が持っていただく、そのような形での研修等を強化しております。
  51. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 いただいた資料で勉強させていただいたんですが、田中参考人にまた引き続きお伺いしたいんですけれども、ケアの理念やモデルの転換ということで大変感心したんですが、画一的な与えるケアからその人らしい生活や尊厳を取り戻すための積極的ケアへの転換、それから補うケアからできることを引き出すケアと、それから地域生活全体を支援するケアというようなことで、大変すばらしい考え方でもって介護サービスを提供していこうということが書かれておるんですが、この点、少しお考えを教えていただければと思います。
  52. 田中雅子

    ○参考人(田中雅子君) 今ほど先生の方から介護に対する考え方をということなので、少し述べさせていただきます。  介護というのはこれまで、例えば人の排せつのお世話をする、あるいは食事のお世話をするといった形での体を中心とした介護だと思われたりしていましたけれども、ただ私自身も、先ほど申し上げませんでしたが、実は特別養護老人ホームに三十数年間働いておりました。昭和四十四年のころから働いていたんですが、当時、若い人が介護にいないという時代から働いていた者として当時言われたことは、こう言われたんですね。若い人にはこんな仕事できませんよということを盛んにおっしゃった時代です。  なぜなのかと聞くと、そもそもお年寄りのお世話をするのは子育てが終わった女性でいいんだという時代だったんですね。なぜそういった子育てが終わったというその形容詞が付くのかなというふうに思いましたら、先ほど言いましたように排せつのお世話あるいは食事のお世話をするということで、それでいいというふうにおっしゃった時代です。そういう意味においては、介護は専門性がないと言われた時代、お世話の時代だったんですが。  ただ、私自身あるいは多くの介護福祉士仲間たちが実際に経験を積む中で、決してそうではない。何かといいますと、介護というのはその人の人生、命、暮らしを支える、そういった三つの生を支える、そういった尊い仕事だということが分かってまいりますし、であるならば、利用者の方々の人生観、それから価値観、あるいは生活へのこだわりといった、そういった個別のものを重視しなきゃいけないというふうに思っております。  そういった個別性を重視したような介護をするためには、先ほど先生がおっしゃっていただきましたような観点、すなわち、してあげる介護ではなくて、与える介護でなくて、やはりその人が望んでいる介護、あるいはその人ができるかもしれない可能性への介護ですね、そういうことをすることが働くことの実感があると思います。でなければ、冒頭申し上げましたように、与えるような介護であれば介護する側も実は嫌になるんですね。  やはり一般的に言われます三Kの職場であることについては、汚物に触れることが汚いというんならそれは確かに三Kかもしれません。だけど、人の排せつ物の世話をする、処理をするということは、実は人間の営みとして食べて出すというのは当たり前の生理機能ですから、そこのところを支えている仕事だというふうに思います。当然のことだというふうに思っております。そのことをK、三KのKと言われたら私は心外で、むしろ先ほど申し上げましたように、人が生きることを支える、そういった価値ある仕事だというふうに思っています。  ですから、昨今、介護という仕事に対してやはりマスコミ等が大変厳しさだけを強調されておりますけれども、人の生活、暮らし、あるいは命そのものを支えている尊い仕事だということを是非、もう先生方にも代わってと申し上げませんけれども御理解いただきまして、やはりこの仕事が長く続けられるような状況にしていただきたい。しかし、そのためにも、何度も申しますけど、今のままですと、優しさと思いやりだけを期待されたような介護従事者の育成の仕方では、私はやっぱり人はこの世界に入ってこないのではないかなというふうに懸念しております。
  53. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 もう一つ私も関心持ったことが、資料を読ませていただいて田中参考人に引き続きお伺いしたいんですけれども、関心持ったのは、ボランティア、近隣の方々の参加により、住み慣れた地域での暮らしが維持できる介護サービスの構築ということを述べておられると。仕事としての介護サービスの提供ということで皆様お取り組みだと思うんですけれども、それとはまた別に、地域ボランティアの方々あるいは近隣の方々との協力等を得てより適切な介護サービスと、業としてというものではないのかもしれませんけれども、そういう方々との連携が大事だというような観点でお話が資料に書いておりましたが、こういうアプローチの仕方で何か最近の進捗状況みたいなの、あるいはモデルケースみたいなのがあったら御紹介をいただければと思うんですけれども。
  54. 田中雅子

    ○参考人(田中雅子君) 私自身の体験をということでお話しでしたので、述べさせていただきます。  やはり、確かに介護サービスの中に施設サービスもございますし、施設を望むという声はたくさんありますが、私が存じ上げている知人のお父様が骨折をされ入院された後にやはり要介護度が高くなったということでやむなく施設に入所をせざるを得ない状況になったときに、家族の方がおっしゃった言葉は、病院の窓に向かって父親がうちへ帰りたいよねと言ったあの一言がずっとつらくて尾を引っ張っているとおっしゃったんですね。私は、介護を受けている人たちが地域に帰るということは、それはひいては将来の私自身がどこで住みたいのかという考え方だと思います。それはもちろんどこで住みたいという利用者本人自身の問題でございますが、どこで住むということをその利用者自身の自己決定あるいは自己選択に基づいて保障されるということが大事だというふうに思っております。  その上で申し上げますと、やはりそれは専門家だけでは支えることはできませんし、むしろやはりそういった対応というのはボランティアの方々も含めた形での支えがなければできません。ただ、ボランティアの役割といったものもきちんとコーディネートされなきゃいけないというのも現実の問題なんですね。優しければということでボランティアで参入される方もいますけれども、優しさだけではやっぱり他人の生活をそばで見ること自体も続けられないんです。これくらいやはり個別性高いものなんですが。  そういう意味においても、ある程度一定の教育等も含めながら、教育といいましょうか、教育と言ってしまったら口幅ったいんですが、学びということもあった上においてそういった多くのボランティアの方々の人材養成をしていただきたいなというふうに思っています。ただ、今はそういったことがないというのも実際でございます。
  55. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、やはり介護事業者の方々も自らいろいろキャリアアップをしていく必要があって、またそれに取り組んでおられると思うんですね。この介護従事者のキャリアアップの、キャリアの開発、こういう点に関しまして、岩村参考人、そしてまた田中参考人、御意見がございましたらば教えていただければと思います。
  56. 岩村正彦

    ○参考人(岩村正彦君) なかなか難しいお尋ねでありますけれども、一つは、やはり現在介護福祉士についても一つの専門資格ということできちっと位置付けられておりますし、さらにはやはり恐らく他の資格の場合と同様に、実際の職場における経験と、いわゆるOJTというんですか、職場における働きながらのノウハウの取得というものと併せて、定期的に研修を行うとか、あるいは自ら研修を受ける機会を取得する、あるいはその取得を支援するというような形での技能の向上といったことを考えていくというのが通常、普通考えられることかなというふうに思っております。
  57. 田中雅子

    ○参考人(田中雅子君) キャリアアップということですが、介護の世界のみならず、一般的な企業等における働く者の意欲をどうやって増進するかということを考えました場合、やはり自分が自己研さんし学んだものがその結果何かが先が見えると、保障がなければならない世界だというふうに私は思っております。  でありますけれども、介護という世界を考えた場合、じゃ主任になった要件は何なのか、あるいは課長さんになった理由は何なのか、見えてこないんですね。あくまでもそういった経験という長さだけでとらえられると思っています。もちろん経験を私は否定するものではありません。それによってたくさん培って学ぶものがありますが、ただいたずらに時間を過ごすのではないということにおいて、そういう意味において、きちんと段階的な研修というものをやはり進めていかなきゃならないと思っています。  そういう意味におきまして、日本介護福祉士会では一昨年から具体的に初任者研修、資格を取って間もない方々に対して一年目から初任者研修を三日間でしょうか、していただくということ、あるいは三、四年たった方々にセカンドステップ研修、あるいは更にキャリアを積んだ方々につきましては専門介護士の認定ということも行っている仕組みをつくったところでございます。  ただし、お願いしたいことは、今後、介護福祉士は六十数万おります、もちろん介護士が存在すること自体が十分このことについては尊重していただきたいんですし、その質に対しても是非評価していただきたいんですが、一方では、資格を取りながらもその後研さんしキャリアを積んでいる人たちについても、例えばユニットリーダーになれるような要件をつくっていただく、あるいはちゃんとしたポストとして与えていただくことがなければ、どのように自己研さんしても結果的には燃え尽きてしまう。要するに先が見えない。努力はする。自分がより良い介護士として、みんなに誇れるような介護士として努力はするけれども、先が見えないならやはり燃え尽きるのかなというような思いもしております。是非、私ども職能団体もその辺りについては十分取り組みますが、議員の先生方も国の仕組みとしてつくっていただくことを切にお願いいたします。
  58. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ありがとうございました。
  59. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  参考人の皆さん、ありがとうございました。最初に清沢参考人にお聞きしたいんですけれども、今ちょっといろいろ議論があった営利企業という問題で、この法案はコムスンの一連の事件をきっかけにして作られたもので、規制そのものの中身については我々も賛成ではあるんですけれども、ただ、その背景にやっぱり介護保険制度というのが介護という仕事を市場化の中にゆだねていったと。もちろん、営利企業が悪でNPOが善だというようなそういう単純なことを申し上げるつもりはないんですけれども、やっぱり大きな流れの中で市場化、営利企業化という中でこういう事件もやっぱり生まれてきているというふうに私は思っているんですが、その点についての御認識をお聞かせください。
  60. 清沢聖子

    ○参考人(清沢聖子君) 私もこれが企業に導入されるというところから大変な危機感を持っておりまして、そういう八年前の状況から考えますと、予感が当たったなというところがあります。  それと、このコムスンと、その営利企業への展開、開放ということで考えますと、もし、やはりこの法案でも事後規制の問題なんですよね。そうではなくて、やはり企業で開放するとしても事前規制でやるべきだったと思いますし、更にもう一点申し上げますと、やはり何といいましょうか、企業に開放するとしても、この企業だからこそ営利追求で、採算が取れなければ事業がなくなるというのは当然なので、少なくとも事業を廃止したときにでも利用者の介護、生活が保障できるように、それが担保できるような、自治体だとかあるいは少なくとも社会福祉協議会等で整備を労働者保障も含めて事前にすべきだったし、今後もこういうことがなきにしもあらずと。現存として、企業が東京都で言えば八割が訪問介護事業所、成り立っていますので、今後の心配も含めて、少なくとも基盤のところは地方自治体社会福祉協議会等でやっていくということも強く感じているところです。  無論、そもそも最初のお話であります企業への、とりわけソーシャルワークの部分をケアマネジャーという者がやっていますが、そこにまでゆだねたというところは大変な失敗であったというふうに感じています。
  61. 小池晃

    ○小池晃君 ありがとうございました。  松下参考人にもちょっとその点をお伺いしたいんですけれども、拝見すると、そのNPO法人などが一緒になっていろんなフォーラムを開いたりされておりますので、やっぱり今のその全体としての、個々の企業云々はともかくとして営利化、市場主義化のような動きが介護をやっぱりゆがめているような面があるんじゃないかと思うんですが、御認識をお聞かせください。
  62. 松下やえ子

    ○参考人(松下やえ子君) 一番最初に、二〇〇〇年の介護保険スタート当初の問題点のところにも一つ挙げさせていただいたんですけれども、私はその当時社会福祉協議会のヘルパーとして、実は常勤のホームヘルパーが八千代市の場合には二十八名でサービスを提供してまいりましたが、実際に介護保険が始まりますと二十八人分の給料はとても介護保険では賄えないということで、実は出向であったり、あるいは早期退職であったりというような形で人員を減らしてスタートという対応を取りました。各地でやはり行政の常勤ホームヘルパーだとか社会福祉協議会の常勤ホームヘルパー、何かこうとても悪いもののような見方をされてスタートをしたように記憶をしております。  ですけれども、先ほどのお話のように、やはり地域性があって、都市部ではなくて地方にあっては非常にそのサービスの提供する事業所が不足するというようなことがあったときに、自治体直営の事業所であるとか、あるいは社会福祉協議会が最後のとりでとして利用者さんの安心の生活を守るという意味での対応が是非必要ではないかというふうに考えております。
  63. 小池晃

    ○小池晃君 ありがとうございました。  続いて清沢参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほどお話聞いていて、介護に携わっている労働者というのは、特に対人援助の仕事を選択するというのは結婚や子育てにも夢を持っている人が多いというのはちょっと、ああなるほどなというふうに思ったんですが、そういう中で、実態として非常に若い労働者たちが労働基準法も最低賃金法も労働安全衛生法も守られていないような、労働法制あってなきがごとき状況に置かれている。その辺の状況をちょっと実態をもう少しお聞かせ願えませんか。
  64. 清沢聖子

    ○参考人(清沢聖子君) 二、三十代の方というふうに絞ってお話をしますと、やっぱり特養ホーム等の施設職員の方が東京の場合は特に多うございまして、というふうになりますと、いわゆる長時間、夜勤が大体夕方の五時とか五時前後から始まりますけれども、勤務帯としては大体九時で終わりますが、そのままお昼ぐらいまでということが多い。その残業代が払われない。  それだけではなくて、少なくとも二時間は仮眠を取らなければなりませんが、人員配置の問題でその仮眠を取るということが大概難しい。さらには、仮眠を取る場所がきちっとした個室でまくらと布団がきちっとあって、そこできちっと二時間休めるということではなくて、私たちの組合で対処した事例でも、お年寄りが入浴をする脱衣所ですね、そこに簡易なベッドを、パイプベッドを置いてちょっとした毛布だけ敷いてそこで寝なさいということなので、目の前で夜勤中にお年寄りが鳴らすナースコールが繰り返し繰り返し鳴っているわけであって、ちっとも寝ることができないんですね。  そういうようなところから、今二、三十代の介護労働者の中で、はやっていると言うとちょっと語弊がありますが、増加しているのがうつ病及び精神疾患で、私たちの組合での相談の半数以上はこれに対する対応ということになっています。若い人だからこそ一生懸命に、うつ病になっても、どうやって現場にこのままいるのか、あるいは休んだ後も戻っていくのかと、そればかり気にしていて、組合の役員として、まず休みなさい、きちっと休んで長く働けるように組合として応援するからということでやるのが今非常に多い労働相談になっています。大変厳しいです。
  65. 小池晃

    ○小池晃君 ありがとうございました。  そういう中でどうやって労働条件確保していくかという具体的な手だての問題なんですけれども、人材確保指針は十四年ぶりに改定されたんです。中身には、国家公務員福祉職俸給表も参考にすることというふうに言っているわけですが、それを絵にかいたもちにしないで具体的にしっかり担保する手だてが必要ではないかというふうに思うんですが、その点についてのお考えをお聞かせください。
  66. 清沢聖子

    ○参考人(清沢聖子君) 産業別賃金の創設をしていただけないかなというのを考えています。  私たちの組合で昨年十一月に定期大会がありましたときにこの方針を出しました。その当時はまだ指針が出て直後ということがありまして、それと、私たち自治体関係の組合だということで、東京二十三区の福祉基準、分かりやすく言いますと、公立保育園の正規保育士さん等が該当しますが、この辺のところで考えていかないかと、参考にしていかないかという方針を挙げています。  指針のところで是非お願いしたいのは、今、介護保険制度という福祉制度の中で賃金が規定されているというのではなくて、労働法制として賃金を確立していくというところで産業別賃金という在り方がいいのではないかと考えています。
  67. 小池晃

    ○小池晃君 ありがとうございました。  この賃金というか財源の問題、岩村参考人、田中参考人にもちょっとお伺いしたいんですけれども、岩村参考人の先ほどのお話の中で、やはり介護報酬ということもあるんだけれども、人件費の問題、間接部門はコストが掛かるという問題もあるというお話もあったんですね。田中参考人も、本当に生きがいを持ってやりがいを持ってやれるような、社会的な評価も高めてやりがいのある仕事にと。  そういうことを考えた場合に、介護報酬の引上げというのも本当に大事だと思うんですけれども、やっぱりそれは利用料に跳ね返る部分もあるわけで、やっぱり一定、人事管理的な部分、雇用管理的な部分などについて、介護保険保険料の財源とはやはり別個の財源保障のようなことも検討していかなければいけないのではないかというふうに私ども考えているんですが、御見解をお聞かせ願えませんか。
  68. 岩村正彦

    ○参考人(岩村正彦君) おっしゃるように、介護報酬に跳ね返らせない形で別途介護に従事する方々の処遇の改善のために何か財源を充てるということは、政策としては考え得るだろうというふうに思います。ただ、その場合難しいのは、一つは、賃金とかそういったものに国が何らかの一定の基準を設定して介入するということが本当に適切なのかどうかということだろうという気がいたします。  やはり、賃金その他のものというのは、それぞれの地域労働市場の状況であるとかということにもよるでしょうし、またその労働者の処遇との関係で、例えば一定の設備の設置を義務付けるというような形でのやり方をしますと、それは今度は事業者にとっては負担になる可能性もあり、事業者自体の参入ないし事業継続というものを困難にするとか、そういうような副作用も持つというように思います。  ですので、先ほど申し上げたように、政策としては考え得ると思いますが、ただ、どういう形でそれを具体的に行うのか。特に、当初考えている政策意図とは違う形での副作用が生じないような、そういう制度設計というものがきちっと考えられるのかどうかということをかなり慎重に検討する必要があるだろうというふうに思っております。  ちょっと、非常に漠としたお答えで申し訳ございませんけれども、私としてはそういう見方をしております。
  69. 田中雅子

    ○参考人(田中雅子君) 介護従事者の人件費につきまして、別個の財源保障を考えてはどうかということでございましたけれども、これは日本介護福祉士会ということではなくて私ということでよろしいかと思いますが、そのように御理解いただきたいんですが、もちろん幹部の皆様との話合いの中で出てきたことは、やはり介護報酬の一定割合を人件費として設定して、その分は確実に、要するに働いた者に賃金として返るという仕組みをつくってもらえないのかなという夢物語の話はしております、私たちの中でも。  その根拠といたしまして、介護保険制度というのは、そもそも介護サービスについては税金が半分投入されているということです。また、要介護や要支援などの要介護度の段階設定によるニーズの把握や、あるいはそれに伴う適切なサービスの提供を行うためのケアマネジメントなど、単なる、一般的に言われる商業ベースの一般的なサービスと異なっているという、特殊なサービスと申しましょうか、そういった性格を持ったものであります。そこに、一定のサービスの水準というものが求められる公共的な、ないしは社会的なサービスとしての特性があるんではないかと思います。  したがって、そのようなサービスについてはある意味公的に保障されたものとして私、確保する必要があるというふうに考えておりますし、介護報酬につきましても一定の割合を設定するなどして、また専門の資格を持った者に対しては一定の報酬水準というものを可能にしていただくということも考えられます。  いずれにいたしましても、今盛んに言われますことは、人件費がイコール利用者の負担に掛かるということが議論されているんですけれども、もっともっと研究し、具体的にちょっと知恵を絞っていただきたいというのが私どもの切なる願いでございまして、やはり今のところ難しいとか利用料を上げたら大変とか言うんですが、ただ、世の中に良質なサービスがただでいいわけがないと、私はかねてからこの仕事をしながら思っているわけですね。  長い間の介護の仕事をしながら思ったのは、いいものも悪いものも同じ、支払わされるのが、これが世の中なのかなと。これは私論でございますが、私はかねてから、努力して利用者の満足を得るようなサービスした者と、あるいは一方ではそうでない者が同じものしか払われないというのがこれでいいのかどうかというのは、現場にいる者としての私自身の実感です。
  70. 小池晃

    ○小池晃君 ありがとうございました。  それから、サービス提供責任者の業務の問題を松下参考人も強調されていたんですが、技術の向上の上でも本来の業務を果たすという上でも本当に大事だなと。  具体的に、サービス提供者の業務に対する評価の仕方として何かイメージお持ちでしたら、清沢参考人にもお聞きしたいんですが、そういう制度についてどんなことを考えていらっしゃるか、御見解をお聞かせください。
  71. 松下やえ子

    ○参考人(松下やえ子君) ケアマネジャーさんの作ります居宅サービス計画書に基づいて、訪問介護事業所では、サービス提供責任者が訪問介護計画書をまず作るというのが一番の業務であります。それからさらには、利用者さんとの調整や、あるいはヘルパーさんのローテーションを組む、それからケアマネジャーさんあるいは他職種の方との調整を行う、そして実際にサービスを提供するホームヘルパー、訪問介護員技術的な指導も含めて業務としてあるわけですけれども、なかなかその中で、重要なことは分かっているんだけれども、非常に業務が煩雑でそして分かりにくい、それから時間が掛かる。  でも、今の現状では、ケアに出る、サービスを提供するヘルパーさんが少ないという、こういうことも絡み合って、実はその本来業務はほとんどが五時以降に行われているという現状があります。そして、それではそのことに対して残業手当が支払われるのかというと、現状はとても厳しいものがあります。全額を払っているという事業所はほとんど少ない状況にあります。そういう中で、でもこの基準に位置付けられた四百五十時間に一人、あるいはヘルパーさんが十人いたら一人のサービス提供責任者を置くということは、適正なサービスを提供する上では非常にこの立場というのは重要であるというふうに考えております。  そして、業務量について見ますと、ケアマネジャーさんの業務量以上のものが運営基準の中で規定され、要求されていながら、実は介護報酬の設定がないという、そこのところに私ども千葉県訪問介護フォーラムのメンバーとしては非常に疑問を持って、昨年は取組をいたしました。
  72. 清沢聖子

    ○参考人(清沢聖子君) 先ほどの松下参考人がおっしゃったことと同じで、独自の報酬を設置していただきたいということを考えています。四百五十時間サービスに一人、それと、繰り返しになりますが、十人のヘルパーさんに一人という設定に加えて、このサービス提供責任者の配置は介護福祉士でと、国家資格者でと、保持者でということになっていまして、そういう、そこまでの人員配置を法で決めているにもかかわらずそもそもの制度の発足時からなかったということは、大変な保険法としての不備ではないかということも考えています。
  73. 小池晃

    ○小池晃君 ありがとうございました。じゃ、終わります。
  74. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。今日は本当にありがとうございます。  私も、個人的なことですが、父が病気で母が介護と看病をしておりますので本当に切実な問題で、現場で頑張っていらっしゃる四人の方に心から敬意を表したいと思います。  最大の実は私自身の関心は、というか社民党の関心は、労働条件をどうしていくか。今日も話に出たとおり、若い人もいろんな人たちも就かないという問題をもう今どうするかというふうに考えています。行政交渉を繰り返し、通達などを出してもらっていますが、本当に問題が解決をしない。高齢社会をよくする女たちの会で三万円上げてほしいという集会に私も参加をしましたが、やはりもう国会労働条件を良くするために仕組みをどうするかという議論をすべきときだというふうに思っております。  今までも十分議論は出ていてそれぞれ意見もあるんですが、端的に、働いているヘルパーさんの賃金を上げるために何をしたらいいか、ケアマネジャーの独立性を担保するために何をしたらいいか、それぞれ四人の方から、私ならここを変えればいいと思うというのをお聞かせください。
  75. 松下やえ子

    ○参考人(松下やえ子君) なかなか難しい質問をいただきましたけれども、先ほどから何度も各参考人の方からも意見が出ておりますように、人が人を支えるということは非常に価値のある仕事だというふうに思っております。  この仕事に対してやはりきちんとそれに見合った評価がないというところで、まず一番やはりつらいところでございますので、確かに財源の問題はいろいろあると思いますが、先生方に十分その辺は御研究をいただいて、そして一人一人の介護従事者が本当にこの仕事をして良かったと思えるやはり基準となる給与設定が必要ではないかというふうに思っております。
  76. 岩村正彦

    ○参考人(岩村正彦君) 大変難しい御質問でございまして、労働条件、例えば賃金についてどうするかということでございますけれども、現在の日本労働法制の基本というのは、最低賃金は国が設定する、しかしその最低賃金を超えるところについては基本的には労使の交渉にゆだねていると、これはもう先生方御案内のとおりだと思います。  特に、労使の交渉にゆだねるといっても、個別の労使、個々の労働者と使用者に交渉をしていただいたのでは難しいということから、労働組合法労働組合の保護と育成を図ると。したがって、団体交渉を通して賃金の上昇、その他労働条件の向上を図るという仕組みを取っておるところだと思います。逆に言いますと、最低賃金を超える部分については基本的には国家は直接的には介入しないというのがポリシー、今までの従来のポリシーだったと思いますし、私自身はそれは適切な考え方であろうというふうに思っております。  賃金を上げるという話になりますと、そこは、一つはやはり先生方の方でも御理解をいただいて、なるべく労使での交渉というようなものがより促進できるようなそういう形での政策というものを是非お考えいただきたいというふうに思っているところでございます。  あとは、やむを得ない手段としては、ある程度国家が強行的に、要するに市場がうまく機能しないというときには国家が強行的に介入するということはあり得ると思いますけれども、それは先ほどもちょっと申し上げましたが、思わぬ副作用というのも伴うところでございますので、少しそこは慎重に御検討いただければと思います。  それから、もう一つのお尋ねでありますケアマネジャーの独立性というのも確かにおっしゃるとおりに非常に重要な問題だというふうに私自身も思いますが、一番そこで肝要なのは、これも非常に営業の自由と絡むので難しいんですけれども、サービスを提供する事業者との関係というのをいかに距離を置かせるかということかというふうには思っています。ただ、そこのところは今申し上げたように営業の自由その他の問題もあるので、正直言って私も余り妙手がないなというように考えているのが正直なところでございます。
  77. 田中雅子

    ○参考人(田中雅子君) 私、先ほども申し上げましたけれども、私といたしましては、やはり国が一定の賃金水準を設定するといったこと、その上で事業者にそういった賃金を、介護報酬を支払うように義務付けるということについては、私は是非そうあっていただきたいというふうには願っております。  しかし、一方ではこういう考えを持っております。国が定める賃金水準が果たして本当に一人一人の労働者にとって、働く者にとってふさわしい賃金水準なのかどうか。あるいは、そのことが逆に賃金水準の抑制につながるんではないかといった問題もあって、そういう意味におきましても必ずしもプラスにならないのではないかということもあります。そういったことが起きないように是非工夫していただきたいと思っていますが。  一方、一般的なお話をしますと、賃金ということ、これは介護労働のみならず、私自身が様々な関係者とお話ししたときに、賃金というのは事業者の収支状況だとか規模だとか利用者の状態に伴う人員配置だとか地域性だとか、あるいは先ほどから何度も申し上げますけれども働いている者の経験年数と異なるというのは当たり前でして、一律のものではないというふうに思っています。そういう意味において、国があらゆる労働者に当てはまる賃金水準を設定するということが本当に現実的に可能なものなのかどうかという問題があるのではないかというふうに思っているところでもあります。何か回答、答えにはなっていないんですが、上げてほしいけれども一定的に決めてしまうこと自体もいかがか。  それからもう一つ。先ほどから何度も言いますけれども、事業者規模だとかあるいは働く者のやっぱり経験だとかあるいはキャリア、そういったことに対して正しい評価というのをどのように設定するのかといったことを十分考慮されていただきたいというのも別の意味でです。なぜならば、長い間、やはり、先ほども言いましたけれども、経験を積めば賃金が上がるというような構造があったわけですけれども、それはイコール、何度も申し上げますけれども介護、働く者の質に結び付いていないという実態も現にあったわけです。そのことを配慮していただくならば、そのことも加えて、様々な工夫だとか研究があるのではないかというふうに考えております。
  78. 清沢聖子

    ○参考人(清沢聖子君) まず、労働条件についてですけれども、私たちはやはり公共サービスの従事者ですので、東京の段階で国民生活を支えていますと言うとちょっと驚かれるかもしれませんが、東京に息子、娘が住んでいて、親は四国だとか九州にいて、その四国の親、先生方もそのようなお話がありましたけれども、を支えている。東京の労働者四国の高齢者を支えているようなものだということがあるんですね。  だから、やはり国民生活を支える介護労働者公共サービスというのは、やっぱり公的責任で財源の問題でもしていただきたい。だから、繰り返しになりますけれども、別途介護報酬とは分けた財源の在り方で行っていただきたいというふうに思います。  それと、ケアマネジャーの件ですけれども、ソーシャルワーカー、生活相談に乗るというのは、プライバシーの保護から見ても、やはり少なくとも非営利でなければならないというふうに思います。できれば、やはり自治体直営あるいは自治体から租税が入っています社会福祉協議会等で、東京の場合は事業団というところで行っていますが、そこのところでやっていただきたい。  なぜかといいますと、やはり自治体の中あるいは自治体と関係が深い社会福祉協議会というふうになりますと、例えば生活保護の受給であるとか病院への入院だとか、あるいは亡くなった後の対処と言うと怒られますけれども、お葬式の問題だとか、本来ケアマネジャーがなすべきことではないことをケアマネジャーさんたくさんしているんですね。それは本来自治体が責任を持ってなすべきことというところもありますので、それが、プロではないケアマネジャーが生活保護のケースワーカーに成り代わってと言うと若干語弊があるかもしれませんが、他分野までやっているというところを、自治体施策の問題、生活保障の問題ということを考えますと、改めて自治体直営あるいは社会福祉協議会を中心に非営利でやっていただきたいというふうに考えています。
  79. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 先ほど、田中参考人の方からもっと、今、清沢参考人からもありますが、割と税金をちゃんと入れてほしいというような話、福祉にもっとお金を出してほしいとさっき田中参考人がおっしゃって、本当にそのとおりだというふうに思いますが、例えば二千二百億円ずつこれから骨太方針二〇〇六で五年間またカットしていくということがあれば、なかなかやっぱり社会保障の方にお金が来ない、あるいは厚生労働省はカットをし続けるということが起きるわけですが、その辺、税金の配分の問題について、田中参考人、おっしゃってください。
  80. 田中雅子

    ○参考人(田中雅子君) 具体的な数値等を挙げよと言われても、大変、そのような立場ではないので、済みません、許していただきたいんですが。  ただ、何度も申し上げますけれども、日本社会保障費に占める介護、福祉に対して投入するお金というのはやはり諸外国と比べても低いというのは、これは歴然たる事実でございます。  もっと日本の国民全体が豊かになるということ、それは介護サービス事業者もそうですし、従事者もそうですし、生活ということも含めて安定ということを考えた場合、全体が底上げするということを考えた上においてやっぱりその介護サービスのあるべき姿といったものを考えていただきたいし、今、日本の中で議論されていますのは、これからますます高齢者が増える、後期高齢者が増えてくるということを考えますならば、介護という労働が本当に、ある一定の財源を確保することによって労働としても魅力があり、あるいは事業としても魅力ある、そういった社会を生み出さない限りは、どこかで何か人が足りない問題だけが議論されて、どこかから安上がりな人を雇うなんという話が出てくるけれども、それでは、そのサービス全体の質だとか、あるいは国民といいましょうか、介護を必要とする人たちの幸せというのは実現できないんではないかというふうに思っております。  口幅ったい言い方をしておりますけれども、本当に、私自身も含めてこれから高齢者になっていくわけでございますが、高い文化水準あるいは経歴、価値観を持った人たちの生活が幸せになるような、そういった社会を実現していただきたいというふうに私どもは切に願っております。
  81. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 ヘルパーさんの労働条件ということで、ちょっと別の問題ですが、社民党は労働者派遣法の抜本改正案を作っていまして、マージン率は例えば省令で規定をするとか、あるいは労働条件をするときに相手方にはその情報開示をするとか、何か工夫をしたらどうかということを提案をしています。これがまたヘルパーさんたちの方にもうまく作用しないかと。例えば、決定というのは難しくてもある程度幅を設けるとか、登録型と常用型で分けるとか、いろんな可能性はあると思いますが、そのような考え方について、清沢参考人、田中参考人、いかがでしょうか。
  82. 清沢聖子

    ○参考人(清沢聖子君) ちょっと質問の趣旨に適切に答えられるかどうか、若干自信がないんですけれども。  この間、私たちの組合で疑問に思っておりますのは、登録型ヘルパーさんというのはハローワークの求人に載らないんですね。いわゆる新聞の折り込み広告であるだとか、そういうところで求人を探すしかない。使用者側の方も新聞新聞自体ということもあるでしょうが、それで今、インターネット上の求人、もう大分大きく、二、三十代の若い職員はそれで求人票を取ってということがあるようですけれども、その辺のところ、求人の段階から派遣労働よりも少しひどいのかなと思っていますが、労働者性が乏しい労働者であるのが登録型ヘルパーというものではないのかなというのは感じています。
  83. 田中雅子

    ○参考人(田中雅子君) 御質問の趣旨が十分理解できていないのですが。もう一度ちょっとお話しいただければと思います。
  84. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 マージン率、例えば職業紹介したりするときに労基法に規定があるように、マージン率、すごく分かりやすく言うと、ピンはね率というと言葉がとてつもなく悪いかもしれませんが、マージン率のある程度の設定をし、その働く人がある程度給与担保できるような制度をつくるべきではないか。それは労働者派遣法においてもしかり、かつこのヘルパーさんの場合にもそういう形で給与保障ができないかということを考えているのですが。  つまり、企業はもうかるかもしれないけれども、働いている人の労働条件が悪いという状況を何とか変えたいと思っているんですが、そのようなことについてどうお考えでしょうか。
  85. 田中雅子

    ○参考人(田中雅子君) 難しいことは分からないんですが、ただ、働く側の立場から申し上げさせていただきますと、ピンはね率がもし高い企業であれば働かないというふうに私は思っております。特に介護に関して、やはりいろんな事業所、多様な事業所等が参入しているわけですから、その辺りは、働く側についてもやはり十分自分が働く条件といったものを提示するというのは当然のことかと思っております。だから、余りその辺りの規制をするかどうかについての意見は申し述べることができません。  ただし、先ほどから思っているんですが、私ども介護の現場の中で、なぜそういった劣悪な労働条件の中で働くのかという御質問もあるかと思っておりますが、ただ、先ほど言いました、何人かの方もおっしゃっておりますが、やはり元々、困った人たちに何かしてあげたいという、そういう優しさ、思いやりを持って私どもはこの仕事に就きました。やはり、車いすを押してあげるとありがとうと言われた、そのありがとうに勇気をいただき、そのありがとうに自分も頑張ろうという思いを持ってきたという、そういった利用者と介護従事者との相互交流の中で自分自身も自己成長しているわけですけれども、そういった仕事です。  そこでしているんですが、にもかかわらず、一方では、働く者としての例えば様々なこういった条件がありますよということは、じゃ、だれが伝えてくれるか。今は一切あり得ないわけで、その辺りが私どもの現場の中での弱さなのかなと思っております。  ただ、そういったことに多くの実態があぐらをかいて、安かろう悪かろうということをされることについてはやはり何とか変えていただきたいというふうに思っております。
  86. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 私の知り合いや女性たちも、ヘルパーさんやったり、あるいはNPO法人つくって、地域ですごく頑張ってやりがいを持ったり、苦労しながら必死で働いている人たちも多いんですね。ですから、社会福祉協議会との関係でやっている人もいるでしょうし、NPO法人などでいろいろ工夫を地域でやっていたり、規模も実に様々だと思います。そのNPO法人的なことの役割や、今日何となく話が労働条件の話にシフトしたかもしれませんが、松下参考人、その辺のみんながやりがいを持ってやっていることや実態についてちょっと話をしてください。
  87. 松下やえ子

    ○参考人(松下やえ子君) 実は、私が介護教員という道を選びましたのは、ある意味こんな思いがあったんですね。  私は、非常に行政の近いところでホームヘルプに携わってまいりました。これから福祉人材を養成するところで自分が何ができるかというと、自分の過去を思い出したときに、自分はその地域でその地域に合った自由な介護サービスをつくり出すことができなかった。そういう意味で、これからの若い人たちには、もちろん既存の事業所やあるいは施設、病院等で介護サービスを提供するという道を選ぶ人もいるでしょうし、また、ある人はその地域地域に合ったその地域独自のやり方で地域生活を支えるという道を創造できる、そんな人たちを、自分にはできなかったけれども、これからの若い人たちにはそういう創造性ある福祉人材を育てると言うとちょっとおこがましいですけれども、そんなことができたらというふうに思って教員になりました。  ですから、その地域地域の特色があるサービス展開がなされることがやはり望ましいというふうに思っております。
  88. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 どうも本当に四人の皆さん、ありがとうございました。
  89. 岩本司

    ○委員長(岩本司君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十四分散会