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2005-04-20 第162回国会 参議院 少子高齢社会に関する調査会 6号 公式Web版

  1. 平成十七年四月二十日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         清水嘉与子君     理 事                 中島 啓雄君                 中原  爽君                 山谷えり子君                 神本美恵子君                 羽田雄一郎君                 山本 香苗君     委 員                 荒井 広幸君                 岩城 光英君                 荻原 健司君                 狩野  安君                 後藤 博子君                 坂本由紀子君                 関口 昌一君                 中村 博彦君                 小川 勝也君                 岡崎トミ子君                 加藤 敏幸君                 島田智哉子君                 柳澤 光美君                 山本 孝史君                 蓮   舫君                 鰐淵 洋子君                 小林美恵子君    事務局側        第三特別調査室        長        岩波 成行君    参考人        早稲田大学法学        部教授      宮島  洋君        上智大学学部        教授       堀  勝洋君        国立感染症研究        所感染症情報セ        ンター主任研究        官        大日 康史君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○少子高齢社会に関する調査  (「少子高齢社会への対応の在り方について」  のうち少子化の要因及び社会・経済への影響に  関する件)     ─────────────
  2. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) ただいまから少子高齢社会に関する調査会を開会いたします。  少子高齢社会に関する調査のうち、「少子高齢社会への対応の在り方について」を議題といたします。  本日は、少子化の要因及び社会・経済への影響に関する件について参考人から意見を聴取いたします。  本日は、早稲田大学法学部教授宮島洋さん、上智大学学部教授堀勝洋さん、国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官大日康史さんに参考人として御出席いただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。  参考人の方々から、「少子高齢社会への対応の在り方について」のうち、少子化の要因及び社会・経済への影響に関する件について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事の進め方でございますけれども、まず、参考人の皆様方からそれぞれ二十分程度御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。  なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていきたいと思います。  また、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。  それでは、宮島参考人からお願いいたします。宮島参考人、どうぞ。
  3. 宮島洋

    ○参考人(宮島洋君) それでは、私の方からは少子化と税制あるいは社会保障に関しまして概括的なお話をさせていただきたいと思います。  今日はいろいろ資料も用意してございますけれども、時間の関係上、資料に一々言及はいたしませんので、後ほど御質問の際に必要があればお話をさせていただきたいと思っております。  まず、今日はもちろん社会保障、税制の話にある程度焦点を当てますけれども、それに限らず、これからすべての公共政策におきまして、いわゆる少子化という問題の考え方について、私、何点か少し留意点をまずお話ししておきたいと思っております。  それは、これまではどちらかといいますと出生率が低下をする、いわゆる少子化という問題に関して言えば、これは言わば外から政策にとって与えられたものと。つまり、そういう少子化が進むのでそれに対してどういう政策を立てるかという方向で主に考えられていて、極端なケースを申しますと、少子化というのは言わば不変の法則みたいなものだという受け止め方があって、したがって、それに従ってじゃ政策をどう変えるかという議論が主体であったと思います。しかし、最近の大きな流れというのはそうではなくて、この少子化そのものが政策によって変え得るものという認識がむしろ受け止められてきたということでございます。逆に言えば、つまり少子化と政策というのは相互依存関係にあるんだという認識をまず持っておく必要があるということが第一点でございます。  第二点は、少子化問題と通常申す、これ三つとらえ方がございます。一つは少子化そのものを問題視するという考え方、二番目は少子化が高齢化を促す要因としての問題だというとらえ方、三番目は人口減をもたらす要因としての少子化という、大きく三つのとらえ方がございます。  従来は、どちらかと申しますと、高齢化を促して社会保障の財政が大変になるとか世代間の不公平をもたらすという観点から議論されてまいりましたけれども、最近はむしろそれを超えて人口減自身をもたらしてくるという意味で、例えば経済や財政、社会保障に及ぼす影響が一つは認識されてきていると。結局、それを通じて元に問題が戻りまして、私が申し上げたいのは、少子化問題というのは、そういう将来起こり得る更なる高齢化だとか人口減の問題ととらえてしまうのではなくて、今少子化を生み出している、今私たちがかかわっている現在の社会の問題だというとらえ方をしなければ危機感をだれも持ってくれないということがございますので、その点を二番目に強調しておきたい。  三点目は、これは少子化対策という言葉がしばしば使われますが、大変私はこれはあいまいな言葉で、実は経済学者はそういう何らかの傾向が生じましたときに順応政策と対抗政策という言葉でそれを二つ分けます。少子化についていえば、子供が減っても大丈夫な社会をつくるという発想と、子供の減ることを変えようという政策は明らかに政策としては違います。順応政策というのは、子供が減っても別に社会が大きな影響が出ないように何らかの対応策を取っていくことを順応政策といいまして、逆に少子化の流れを変えて何とか出生率の、今後引き上げられるような社会につくっていくというのが対抗政策、本来の意味では少子化対策というのはこれ対抗政策でなきゃなりませんが、我が国今いろんな政策を打っておりますけれども、この二つが混在しておりまして、我々から見ると一体政府は少子化の流れを変えようとしているのか、あるいは少子化が進んでも大丈夫だと言おうとしているのかがよく分からない。そういう二つの識別をきちんとする必要がございます。  結論的に申しますと、少子化対抗政策、少子化の流れを変えるというのがこれが本来の恒久的な政策でございまして、それに対して、少子化が進む中でそれに耐え得る社会をつくるというのは、今後二十年ぐらい今の少なくとも生産年齢人口と老齢人口のこれ見通しは変わりませんから、その間は順応政策というものを時限的に取るというような発想できちんと識別しておかないといけない。両者が非常に混在してしまっているということを二番目に申し上げたいというふうに思います。  こういう今申し上げました少子化と一般の政策とのまず相互関係をきちんと考えること。それから、少子化問題のとらえ方は、今の社会で少子化を生み出している原因、これがまず問題なんだという、将来の問題では決してないんだということ。三番目は、この少子化対策の名の下に二つの相反する政策が同時に取られているというような状況をきちんと整理しておかないと、国民の側としてはどうやって受け止めていいか分からないという問題が起こってしまうということをまず三点申し上げた上で、次に今度は少子化と社会保障の問題についてお話を申し上げたいと思います。  これはもう既にお聞きになったかと思いますが、極めて長い歴史をたどっておりますと、この人口というのは、言わば結局近代化が始まる中で、特に乳幼児死亡率が大幅に低下をするということで、言わば多産少死という、ちょっと私のレジュメはこれ間違えて、子、子供というよりも死ぬという方ですね、申し訳ございません。多産少死というそういう社会から、だんだん豊かに、経済成長に伴って少産少死の社会へと大きく移ってきているわけでございまして、こういう一種の大きな人口転換の中にあると。このことは大変望ましいことでございまして、というのは、御存じのとおり、開発途上国のように子供が小さいときから労働力として義務教育もきちんと受けられないまま働かざるを得ないというようなことが、こういうことによって解放されてきているわけでございます。  こういう大きな流れそのものは歯車を元に戻すということでは無論ございません。ただ、今やや誤解を生んでおりますのは、少子化対策といったときにあたかも人口の再生産をもたらすような、出生率で申しますと二・一とか二・〇八、そこに戻そうなんて大それた考え方で今議論しているわけでは決してないわけであります。こういう大きな意味での少産少死社会の中で人口減なり高齢化が緩やかに起こっていくこと、これ自身はある意味では私はやむを得ない面があると思います。  ただ、今ここで議論しているのは、例えば合計特殊出生率を一・三ぐらいから何とかして四ぐらいにまで引き上げられないかという、ある意味じゃ、ささやかなと申し上げてはいけないんですけれども、そういうレベルの話ですから、先ほど申しましたように、これは政策努力によって変えるものという認識は是非持たなければいけないと思っております。  元々社会保障というのは、先ほど申しました大きな意味での豊かな社会での少産少死社会に移るに従い、他方で経済的に申しますと産業化が進み、人々が都市に集中し、しかも家族が大家族から核家族化していき、そして多くの世帯が自営業、農家から雇用世帯化していくという、こういうものを背景に社会保障制度というのは発展していくわけでございまして、私たちは通常これは家族の社会化というようなことを呼んでおります。つまり、従来、退職した親の面倒を子供が見るという仕組みであったことを、こういう少子高齢化の中で家族のそういう機能が低下するという中で、それを言わば政府が肩代わりをしていくという仕組みでございます。通常それを世代間扶養型というふうに申し上げます。ただし、この世代間扶養型というのは御存じのとおり、少子化が進み、生産年齢人口がやがて減り、そして高齢化が同時に進行しますと、大変大きな影響を受けるということになります。  かといって、これをそれでは世代間を完全に独立させるような形の社会保障に転換することが望ましいのかどうかということにつきましては、経済学的には望ましいという面ももちろんございますけれども、例えばそういうシステムに移行する場合の実は大変難しい問題があったり、それから、少子化という点から申しますと、それはある意味では少子化順応政策を意味してしまう。つまり、子供が減っても大丈夫ですよというメッセージを送ることになるという点で、少しこれは考えた方がいいのではないかというふうに考えております。  そして、そういうことを考えますと、私は、今後、社会保障については大きく二つの課題があると思っております。  一つは、先ほど申しましたように、実は今の社会保障制度というのは、ある程度の人口の、緩やかに減少するにしても、人口の状況と経済の成長というものを基に多く日本の場合も西欧諸国も福祉国家として発展してきたわけでございまして、社会保障の基礎というのは、実は社会保障内部の制度設計の在り方ではなくて、正に人口と経済という二つの社会保障を支える言わば土台をどうするかということをまず議論しなければいけないのだというふうに思います。ちょうど、建物で、幾らいい建物でも軟弱な地盤の上には建てられないわけで、地盤そのものをきちんと整備する必要がある。正にそれが少子化対策であり、もう一つは経済の安定成長をもたらすような政策ということになります。  私がこの点特に強調したいことは、最近、社会保障というと、すぐ安心、安定とかそういう言葉使われますが、この言葉を使うときに、安心、安定というのは何か政府が与えてくれるもの、政府がつくるものというふうに受け止められるとすれば、これは大変な間違いだと思います。安心、安定というのは、正に少子化対策であるとか経済を強くするような、そういう政策によってつくられるものでありまして、安心、安定は与えられるものではなくてつくり出すものだという、そういう認識を持たない限り、私は、社会保障についてどのような制度設計をしようとも、将来その安心、安定は維持できないと考えております。これが最初、一番重要な点。  二番目の重要な点は、これからの新しい社会保障というのは実は幾つか課題を抱えております。それは、皆様も御承知かと思いますが、社会保障の規模を見ますと、日本は奇跡的にと言うほど小さいのが実態です。必要があれば後ほど少し既存データでお話をいたしますが。  なぜ小さいのか。しかし、西欧諸国ももう少子高齢化の程度ははるかに進んできている面がございます。結局、私の見るところ、多くの点まだ日本では家族企業が、例えばヨーロッパ社会などでは社会保障としてやっていることを代行してきている面がある。  ところが、今、この家族が、少子高齢化の中で家族規模が縮小し、両親とも年を取り、言わば福祉機能がだんだん低下をしてきている。それから、企業も、経済のグローバル化の中で、激しい競争の中で、福利厚生であるとか社会保障に対して十分の拠出がなかなかできない状況になってきている。こういうことを考えますと、従来日本の社会保障を小さな規模に抑えてきた二つの要因が今大きく変わりつつある。  そして、従来、家族企業が担ってきたものといいますのは、例えば育児であったりあるいは企業における職業訓練であったりしたわけでございまして、あるいは企業住宅手当のような形でもやってきた。ですから、今後こういう言わば日本の比較的小さい社会保障を支えてきた条件が変わるに従って、むしろそれを社会保障によって代替せざるを得ないだろうと私は考えております。  そのことが、例えば社会保障において、従来は社会保障高齢者のものだというふうな意味合いであった。もちろん、年金介護、老人医療というのはそうですが、若者にとっては社会保障というのは負担するだけのものという意識が強かったと。そうではなくて、社会保障はそういう若者にとっても受益、受給者になり得るんだと。それは子育て支援であったり住宅対策であったり、あるいは教育に対する奨学金であったりということでありまして、つまり、若者だけとはもちろん言うわけではありませんで、あらゆる世代にとっての社会保障だということをむしろきちんとすること、これが新たな社会保障の課題であるところ。これが今まではその負担の方だけで世代間の公平ということを言っておりましたけれども、同時に、その給付の面でも世代間の公平にアプローチをするということが大事ではないかというふうに思っております。  ところが、今こういう政策を進めるに当たって、率直に申しますと、私などはかなり絶望的でございます。  と申しますのは、これは一つは、これは私は、必ずしも政府だけではないという、日本国民自身がそう思っているところがあると思いますが、小さな政府を志向すると。具体的に言うと、潜在的国民負担率を五〇%以内に抑えようと。あるいは、やや中期的に申しますと、基礎的財政収支の赤字を何とか二〇一〇年代初頭までに黒字に持っていきたいというようなことが一つの政策目標になっております。  しかし、この潜在的国民負担率、約五割は社会保障給付費でございますし、今の国の一般歳出の四三%が今年度予算社会保障関係費でございます。当然、目を付けるとすればここに目を付けるわけでありまして、これを抑制することがその財政収支の改善あるいは国民負担率の抑制というものに最も効果的であるというふうにこれはだれでも考えるわけであります。そういうような我が国における特にこの財政収支の問題と政府の規模に対する厳しい状況というものを考えますと、私が先ほど申し上げましたような社会保障の新しい課題にこたえていくということは大変難しい状況であるというふうに考えております。  今、我が国で起こっている問題の、これは私のようなこういう非常に巨視的に物を見る人間が言うことですから、説得力には問題あるかもしれませんが、日本は世界的に見て財政規模が非常に小さい。社会保障規模も小さい。にもかかわらず、財政赤字だけは世界的に見ても図抜けて大きいという。普通、大きな財政規模の中で大きな財政赤字が発生するというのは分からないでもない。ところが、日本は小さい財政規模、小さい社会保障規模の中で大きな財政赤字が発生しているということであります。  なぜそういう、一体財政の姿あるいは国の姿になったのかということが、実はこれからの社会保障を考える上で避けて通れないものでございます。  例えば、所得税というのは、皆さんもそうかもしれませんが、減税するために存在するというふうに思われているところがある。負担増を抑えることには国民合意がすぐ成立するけれども、それに伴って、じゃ、歳出を削減することには国民各層で対立があった。結局、その二つのギャップが財政赤字となって現れてしまう。こういう問題を、我々のような学者はともかく、どうか一番重要な問題だ、一番難しい問題だというふうにこれは御理解いただきたいと思います。  税制の問題を申しますと、これは、そこにちょっと書きましたように、今所得課税の面では、人的控除の再編成、特に扶養控除を税額控除に見直してより効果的なものにしていくというような議論が一方で行われておりますけれども、これをやりますと、今度は児童手当との調整をどうするかと、今度は財政面での調整問題が一つ起こってまいります。  それから、フランスのように、N分N乗法と呼ばれる家族の規模に応じて減税を行うような仕組み取ったらいいんじゃないかという議論あるかもしれませんが、ただでさえ今、税収力を失っている所得税を更に税収規模を小さくしてしまうようなことが果たして望ましいことなのかどうか。後ほど、必要があれば少し外国と日本の税制の比較の中でそういう点をお話ししたいと思います。  それからもう一つは、御存じかもしれませんが、数年前の、昨年ですね、贈与税について、相続税、相続時の精算税制というのが入りました。これは、なるべく早い時期に高齢者から若い世代にその遺産を早く渡すような仕組みでございます。これは、ある意味では社会保障における世代間の扶養の仕組みと逆の流れをつくろうという意図でございますけれども、しかしこれは、そういう人が、できる人とできない人がいるわけで、果たしてこれをどう評価するかというようなことも税制の問題として議論してほしいと思います。  それから、消費税につきましては、年金については特例期間は違いますが、原則的には物価スライドというのもございまして、一年遅れで購買力を維持いたしますけれども、むしろ若年、現役世代がこういう意味での物価の上昇に対してきちんとそれが、所得が保障されるようなことが存在しないということがございまして、むしろ、その日本の今の賃金体系では比較的所得水準の低い、つまり年功序列型がまだ残っておりますので、所得水準の低い若年層に対して今後消費税率を仮に上げていくときにどういう逆進負担対策を取るかということが大きな課題になると考えます。  最後に、今地方分権の中で税源移譲が進んでいるわけでございますが、私はこの行く末に対してもかなり危機感を持っております。  と申しますのは、先ほど申しましたように、少子化というのは地域社会への変動を及ぼす影響が大変大きくなります。もう過疎化がこれから物すごい勢いで進んでいく。そうしますと、従来は非常に過疎的な地域でも行政サービスをしていくという思想でやってまいりましたけれども、それは物すごい効率が悪いんですね、物すごいコストが掛かってしまう。これからは行政が出ていくんじゃなくて人が動いてもらわないといけないというような、発想の転換をしなければいけないだろうというふうに思いますし、しかも、出生率にいたしましても、住宅事情やいろんなことを含めまして地域差が非常に大きいものですから、今後こういうものに対しては地域主導で少子化対策を行う必要が出てくると思います。その際には、まず住民、議会、首長、そういうものが、今のような箱物行政のような、まだ残っている感覚をこの際もう捨ててもらわなきゃ困る、こういう少子化対策のような社会保障に重点を移してもらわなきゃ困るという点がございます。  その際に、無論、税源移譲という形である程度、今のところ国から住民税の形で税源は移譲されるわけでございますけれども、実はこれは、税源を移譲いたしましても、地域によってその税収調達力というのは非常に大きな格差がございます。そういう意味では、分権とそれからこの財政という問題は、今後、今ちょっと進められているような分権の思想では私はそううまくいきそうもないという危機感を持っておりまして、そのことを最後に申し上げて、終わりにしたいと思います。  若干時間を過ぎたかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
  4. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。  次に、堀参考人にお願いいたします。堀参考人、どうぞ。
  5. 堀勝洋

    ○参考人(堀勝洋君) 私の方からは、年金制度少子高齢化の問題に絞ってお話ししたいと思います。  レジュメにありますように、一枚目が「少子高齢化年金制度に及ぼす影響」ということで、二枚目が逆に年金制度における少子高齢化対策と、そういう二つに分けてお話ししたいと思います。  一ページのところですけれども、少子高齢化年金制度にどういうふうな影響を及ぼすかということ。  一点目のところですが、賦課方式、これは若い世代の保険料で高齢世代の年金を賄うと、そういう年金制度の下で高齢化が進めば年金財政は悪化すると。  高齢化の要因は、少子化と寿命の延びということであります。少子化は若い世代の数を減らす、寿命の伸びは高齢者の数を増やすということで、高齢者を若い世代が支える、そういうシステムの下では、少子化が進めば年金財政は悪化すると、そういうこと、これはもう常識のことであります。  二番目のところですが、平成十六年、昨年、年金制度が改正されたわけですけれども、なぜそういうふうな改正が必要になったかと。  それは、少子化が非常に進むという予測がなされたわけでありまして、それに基づいて、現行制度では将来は維持できないと、そういうことから改正がなされたというふうに理解できると思います。  このことについて、図表で御説明いたします。  図表、別紙1ですけれども、これは合計特殊出生率と平均寿命の数値でございます。一番上が平成十四年の数値でございます。合計特殊出生率は一・三二ということで、これが、平成十五年が一・二九になったということで大騒ぎになったわけですね。その下は、前回、二〇〇〇年の改正における合計特殊出生率の予測ですね。これは中位推計ですけれども、これに基づいて二〇〇〇年改正が行われたと。一・六一であります。昨年の改正はそれが一・三九に下がると、こういうことであったわけですね。平均寿命、一番右端の平均寿命を見ますと、平均寿命も前回の改正よりも昨年の改正の方が延びていると。そういう二つの要因で、真ん中にありますように、若い世代、十五歳から六十四歳までの人口に対する高齢世代、六十五歳以上の人口の割合が、前回の五九・一%から六六・五%に上がると、そういうことが背景としてあったと。  これを具体的に年金保険料で見るとどうなるかというのが別紙2のところでございます。ちょっと、やや複雑な図ですけれども、上の方が厚生年金保険料率、下が国民年金保険料率ということでございます。これは、左側の二〇〇〇年のところが、これが一三・五八、厚生年金保険料一三・五八と。これは総報酬に対する割合だと。平成十一年財政再計算、これに基づいて二〇〇〇年の改正が行われたんですが、厚生年金保険料率は、そういう前提、要するに少子化とか一定の経済の前提に基づいて厚生年金保険料率は最終的には一九・八%になるという数字。ところが、「新人口対応試算」とあります。これが、少子化が進み、それから寿命が延びると、そういうことで計算した場合には二二・四%になります、そういうことですね。少子高齢化でこれだけ保険料率が上がるということがある。これがその要因というか、改正の要因の大きなものであると。  それから、その下が国民年金ですけれども、同じようにして見ますと、一番下というか、折れ線グラフの一番下に、平成十一年財政再計算、国民保険料率が一万三千三百円から一万八千五百円になるという。ところが、その新人口対応推計では一人当たり二万一千六百円になると、こういう事情があったわけです。  三枚目の別紙3は、その上の図は、今述べた合計特殊出生率の中位推計と低位推計を、前回改正というか一九九七年の推計と二〇〇二年の推計で見たものであります。  レジュメに戻っていただきまして、その一枚目の2の最初のポツが今述べたところであります。二つ目のポツですが、今回の、昨年のその改正の出生率の前提が一・三九だったわけですが、それではその一・三九よりも下回ったと、将来下回るとなったらどうなるかということですが、これが別紙3の下の方のグラフであるわけです。これは、そのタイトルに「標準的な厚生年金の所得代替率の将来見通し」とあります。  標準的なというのはいわゆるモデル年金ということですが、これは、夫が四十年厚生年金加入して平均賃金を得ていた、それから妻が専業主婦であったと、それがそのモデル年金ですが。  その所得代替率というのは、若いときというのか、四十年間の所得、もちろん現在価値に直した、再評価したものですけれども、それに対する年金の割合、それを所得代替率というわけですね。それを、その下の、三ページの下のグラフの一番左に「現在」とあります。五九・三%、約六割水準だということですね。前回のその改正で、マクロ経済スライドという形で給付水準を下げていくということにしたわけですが、それがその右の棒グラフにある五〇・二%と、給付水準を五〇・二%に下げるということだったわけですね。ところが、仮定した少子化の前提が崩れるとどうなるかというのがそこの図であります。改善すればその給付水準が五〇・二から五一・七に上がる、悪化すれば四六・四になると。悪化とか改善というのは、その下の表に数字が書いています。そういう前提の下で計算するとそうだということですね。  それから、その右の経済の前提が、前提よりも悪くなった場合、それから良くなった場合の給付水準、所得代替率がどうなるかということであります。昨年の改正は、保険料率を一八・三%で固定して、給付水準をそれによって下げていくということですから、保険料固定で水準が変動する、そういうことで計算するとこういうふうになるということです。  したがって、今後も少子化がどう変わるかによって年金も変わってくるということでございます。  レジュメにまた戻っていただきまして、2の最後のポツ、三つ目のポツなんですが、平成十六年改正はマクロ経済スライドによって年金財政悪化に自動的に対応ということです。そのマクロ経済スライドというのは、スライド率が例えば二%であれば、それから被保険者、若い世代の数の減る率と、それから寿命の延びを引いたものということですが、計算では、例えば二%の物価が上がれば、従来は二%でスライドしていたんですが、これからは被保険者の減少率〇・六%、それから平均寿命の延び〇・三%、〇・九%を引くという、要するに二から、二%から〇・九%引いた一・一%でスライドをすると、そういった形で年金水準を引き下げると、そういうことにしたわけであります。こういった形で少子化に今後対応していくということであります。  それから、レジュメの二枚目でございますが、今度は逆に年金制度において何らかの対策が取れないかということでございます。1と2に分けております。1は、これは少子高齢化に耐え得る制度設計と、先ほどの宮島さんの順応政策ということになりますか、順応でよかったわけですかね。二つ施策があるということで、①として、支給開始年齢を将来的に引き上げていくということ、それから二つ目としては、女性の就労の拡大ということです。  ①について言いますと、現在、支給開始年齢引き上げていくんで、今引き上げるというわけにはいかないと、引上げが終了した段階で課題になると、そういう。そういう引上げをするためには、六十五歳以上の就労というのはなかなか大変ですから、高齢者の就労環境、就労条件の整備が必要だということになります。  それから、二つ目が女性就労の拡大ということで、これも高齢者と同じように女性の就労環境、就労条件の改善が必要だということになります。この問題については様々な問題があるんですが、今まで余り議論されてないことがあるんではないかということですね。男性、女性も含めて長時間就労が少子化の要因になっているんではないかと。そういうことで、女性の出産・育児に対する、何といいますか、それがこういう、長時間労働というのは問題、その一つの要因になっているんではないかということを書いてあるわけですね。長時間労働というのは、一つは男女が触れ合う機会を少なくするということ、それから妻が家事、育児を、介護をしなければならないと、そういう状況におられると。  それから、そういったことがあるんではないかということで、図表を三枚ほど持ってきました。  別紙の4ですけれども、平日の帰宅時間が二十三時、夜の十一時以降というのが南関東では二〇・五、五人に一人だと、こういう数字でございます。  それから別紙の5でございますが、これは年齢階級別に就業時間を見たものでございます。右のところに六十時間以上とか、四十九から五十九時間と。この真ん中辺を見ると、上の長時間労働のところが多くなっている。特に三十代ですね、三十から三十四、三十五から三十九。要するに、出産、子育て期にあるところが長時間労働であるということであります。  それから、最後の別紙6でありますけれども、これは週六十時間以上就業している者と合計特殊出生率の相関関係を見たものですが、その相関関係はありそうだと。ただし、相関関係で因果関係ではないんで、ほかの要因でこういうふうになっているのかも分からないということであります。  以上が図表の説明で、もう一度レジュメに戻っていただきたいと思います。  第2の二つ目の問題ですが、それでは年金制度において少子化対策がないかということを考えてみました。実はこれは昨年度、国から科研費の補助金を受けて研究したものであります。年金制度以外に様々な少子化対策、次世代育成対策があると思いますけれども、年金制度ではどういうことができるかということを考えてみたわけですね。その詳細は事前に配付されておると思います私の論文でごらんいただきたいと思いますが、ここには簡単に結論だけ書いてございます。  それから、2の下のアステリスクのところにありますように、これらの案というのはこれからの負担が必要で、負担がなければ実現可能ではないと、そういうものであります。  一つ目の施策としては、出産・育児を理由とする厚生年金脱退者の厚生年金額の引上げという案であります。育児休業をした人の年金額が低くならないような措置はもう既に講じられております。それから、昨年の改正で、育児のために賃金が低くなって二階部分の厚生年金が下がるということを防止する措置も昨年の改正でつくられました。要するに、就労を継続している場合に、二階部分の年金額が下がるという措置は講じられているんですが、出産・育児のために辞めた、就労を辞めたと、厚生年金脱退したと、そういう人について二階部分の年金を引き上げたらどうかという案であります。例えば、二つ目のアステリスクにありますように、出産・育児のため退職して厚生年金を脱退した者について、出産後一年間とか一年半は厚生年金加入したものとみなして二階の厚生年金額を計算するということです。  それから、二つ目の案が、育児中の者の年金保険料に定額の児童扶養控除を導入したらどうかと。育児のために費用が掛かる、三万とか五万とか掛かるわけですが、そうするとその保険料負担能力が下がるということで、保険料を低くするという案でありますけれども、ただこれは、現在の税制の児童扶養控除と児童手当の関係と同じで、私は、児童扶養控除というのは逆進的なんで、それを廃止して児童手当を引き上げるというのが望ましいというふうに思っております。そうすると、この年金保険料の引下げというのか控除も同じように、むしろやるんなら、年金保険料を下げるよりもその手当というんですか、上げた方が望ましいんではないかというふうに思います。  それから、三つ目の③ですけれども、現在、年金積立金の運営とかあるいは福祉事業というのはこれは廃止、縮小するという段階にあるんで、これは大変難しい案だと思いますけれども、年金積立金を原資として奨学金貸与制度を充実したらどうかという案、ただ、これは年金の積立金ですから、貸出利率は市場金利とするわけですが、それについて、返済金について減免とか利子補給をするとした場合には特別の保険料なり拠出金を徴収する必要があろうということであります。  日本は資源がないということで人的資源を重視するということで、現在、日本学生支援機構によって奨学金制度あるんですが、必ずしもそれが十分ではないと。とすると、こういった施策もあり得るんではないかというふうに思います。  それから、最後のその四番目ですけれども、現在の児童手当、様々な問題がありますので、例えば年金保険料徴収機構を利用する、あるいは医療保険でもいいんですが、医療保険保険料徴収機構を通して育児拠出金というものを徴収して育児手当を支給すると、そういう案でございます。  以上でございます。
  6. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。  次に、大日参考人にお願いいたします。大日参考人、どうぞ。
  7. 大日康史

    ○参考人(大日康史君) 国立感染症研究所の大日と申します。よろしくお願いします。本日は、報告の機会を与えていただきましてありがとうございます。(資料映写)  先ほどからタイトルだけ映していただいて非常に恥ずかしい限りなんですけれども、国立のしかも感染症研究所に属する者がこのようなタイトルで発表、報告することをちょっといぶかしく思われる方もおられるかと思うんですけれども、もちろん現在感染症対策が本業ではありますけれども、その一環として医療経済学も行っておりまして、その中で今日のような御報告をさしていただきます。本職の方も最後でちょろっと触れたいと思っております。  タイトルとしましては、「高齢化による医療費高騰は不可避か?」ということでお話しさせていただきたいと思います。  このグラフは非常によく見るどこでも出ているグラフで、「国民医療費の推移」としまして、ほとんど右肩上がりで、折れ線の方が国民所得比で、これも右肩上がりでずっと上がっているということが分かるかと思います。この最近の四年間、正確に言いますと九九年からの四年間ぐらいは、ちょっとここの、この部分ですね、この部分がちょうど足踏みしているような形ではありますが、これ介護保険が導入され、またその自己負担率、サラリーマン、被保険者の自己負担率三割に引き上げられたと、そのような効果がありまして若干足踏みもありますけれども、右肩上がりであるということは間違いありません。  最も最近の厚生労働省による予測によりますと、昨年五月に出されたものによりますと、二〇二五年の国民医療費というのは五十九兆円と予測されておりまして、現在約三十兆円弱でありますので約三十兆円の増加、約倍増というのが予測されております。その過程で高齢者医療の在り方に関する議論というのも国会を始めいろんな、様々なところで議論されていますが、その高齢化が医療費を増加させるというのは、これはもう所与で、もう常識と。これ自身疑い得ないようなところがあるかと思います。  そもそもこの予測がどういうふうにされているかということに関してちょっとお話しさしていただければなと思います。医療経済学でもそれが、まあ思い込みというのはちょっと書き過ぎかと思いますけれども、過大ではないかという議論があるので御紹介さしていただきます。  この厚生労働省の予測ですけれども、平成十六年度の予算を基にしまして、それに一人当たりの医療費の伸び、これは先ほどの足踏みしていた四年間を含まない平成七年から十一年の実績で、一般医療費と高齢者医療費に分けて伸びを算定しております。それに人口変動の影響、これ人口高齢化及び人口増減、これからは人口減少というのを考慮して推計されているものですので、例えば二〇〇一年、つい四年ぐらい前にはこの同じ方式で八十兆円と推定されておりまして、四年間で二十兆円削減に成功したということになりますけれども、これは本題ではないんですけれども、もうちょっと正確な予測というのが将来の高齢者医療あるいは医療の在り方についての議論には不可欠ではあるなというのが個人的な印象です。  ここで年齢別の一人当たり医療費というのをお示ししますと、この青線で書かれている部分です。御存じのように、高齢に伴い、加齢に伴いぐんぐんぐんぐん上がっていくんですけれども、ちょうど八十歳前後をピークとして、それ以降若干下がると。九十歳、九十五歳では若干下がるというところが、この部分ですね、確認できるかと思います。これは、九十歳、九十五歳になると医療費が安くなるというわけでは決してございませんで、ただ高齢に伴って基礎体力も低下する、免疫力も低下するということで、医療の施す対象といいますか、例えば侵襲的な、体にダメージ残るような外科的な手術というのはもう九十歳になるとかなり限定されてくるというようなところから医療の選択肢が狭まるという部分を反映していると思われます。  この同時に書かしていただいた赤い線というのは、これは死亡率でございまして、これもちろん、これは単純に右上がりにずっと上がっております。これ見ていただくと、非常に、医療費の伸びと死亡率の伸びというのはこの最後の九十歳、九十五歳を除けば非常によく似た形をしているということが分かります。  この医療費見ていて、高齢化で将来高齢者が増えていくとどんどんどんどん医療費は増えていくなというのはこれを見ても明らかなのですが、逆に医療費は死亡率と高い相関があるというところから、そしてまた平均寿命以上では医療費はむしろ低下しているというところが先ほどのグラフから、簡単なグラフからでも読み取れるわけです。  この点に注目して、スイスのツバイフェルという方が、医療費というのは年齢とともに、加齢とともに増加するのではなくて、むしろ死亡に関連して多くの医療費が用いられている、一人当たり医療費が年齢とともに上がるように見えるのは死亡者が増えていくからだという、のではないかという一つの疑問を問い掛けたわけです。  これに関しては非常によく知られていまして、結果的に死亡に至った患者の死亡前一年間と至らなかった患者の一年間の医療費を比較すると、アメリカでは約六倍、日本でも約四倍の格差があるということが知られています。これは死亡に関連して非常に多くの医療費が使われているということを意味しております。  実は、高齢化というのは寿命の延びととらえられているわけですけれども、これ永久に延び続けるわけではありません。例えば、寿命が延びたからといって将来最高年齢が二百歳になるということはほぼ考えられません。むしろ生物学的な上限があると。これ百二十歳と大体考えられていますけれども、生物学的な限界の近くまで生きる人が増えるというのが高齢化と言われています。という現象だと理解できるわけです。逆に言いますと、若くして亡くなられる人、早死にが少なくなって、生物学的限界の近く、具体的に言うと九十歳、百歳前後で亡くなられる方が増えるというのが高齢化になるわけです。  そう考えますと、若い世代の死亡前の治療というのは、これ非常に若ければ不慮の事故がほとんどの死因になりますので、ほとんど即死かそれに近い状態になりますので治療の施しようもありませんけれども、例えば四十代でありますと、体力的にも、またその便益的といいますか、治療の成果的にも多くのものが得られるということで積極的な医療が行われる、それによってより高額になると。しかし、高齢化というのはこの早死にの層を減らしますので、この部分を減らすと。逆に八十歳以上、今だと平均年齢以上になるわけですけれども、九十歳、百歳の方の死亡を逆に増やしますと。  先ほど申しましたように、もちろん将来の九十歳、百歳の方は元気だとは思うんですけれども、物理的といいますか体力的なキャパシティーがなくなっていきますのでより医療の選択の幅が限定される、高度な医療が行えないということになります。そうするとより安価にならざるを得ないということで、高齢化によって医療費はもちろん伸びるんですけれども、先ほど申しましたように、死亡の平均年齢が上がります。それによって行える医療の幅が小さくなるために、その分安くなるということがあるということですね。それによって、先ほどの厚生労働省の予測を、まあ外挿といいますか、単純に平均的な増加率を伸ばしていったものよりも大きく下回る可能性があると言われております。ドイツでは、ドイツの研究例では、単純な予測の六割程度であろうとされています。つまり、六割は過大に見積もっているんではないかという指摘がされております。  日本でこれに対応する研究というのは行われていませんけれども、私が数年前に行いました「高齢化の医療費への影響及び入院期間の分析」というので行った研究を紹介させていただきます。  これはまた別の研究からなんですけれども、死亡月、死亡された月の医療費をプロットしたもので、二つの健保組合の五年ぐらいずつを見たものですけれども、ゼロ歳から、これは十歳刻みなんですけれども、二十歳未満が非常に高くて、ここら辺はもう不慮の事故がほとんどになるということですね。ちょっと消えていますけれども、四十歳、六十歳、六十歳前ぐらいがピークになって、後は下がっていくということがやはり観察されるわけです。  それで、非死亡例、死亡に至らなかった方の医療費というのは、これは高齢化によって上がるとやはり思われます。基礎疾患が増えていきますので、上がると。ただ、死亡例というのはその年齢によって変わってくるということです。そのような、それを国立社会保障・人口問題研究所の九七年、ちょっと古いんですけれども、人口予測中位推計を使ってやりましたところ、外挿、これ厚生労働省の予測ですけれども、よりも北海道で一五%、長野でしたら三〇%ぐらい増加率が低くなるという予測がされております。  これを先ほどの増加額約三十兆円に当てはめますと、四・五兆円から九兆円の過大推定になりまして、二〇二五年時点での推定医療費というのは五十一兆円から五十五兆円というぐらいになると。今から見ますと二十兆円超の増加ではないかということですね。ドイツよりも高齢化の影響、高齢化の影響といいますか調整の影響が小さいんですけれども、その理由はちょっと考察進んでおりませんけれども、日本の方が高齢化が急速であったというようなところも一つあるのかなと個人的には思っております。  続きまして、先ほど申しましたように、その一五%から三〇%ぐらい厚生労働省の予測は過大推定だとしても、残り七〇%から八五%は恐らく当たっていると思われますので、それに対して医療費を抑制できないかということについて私見を若干述べさせていただきます。  高齢化そのものを回避することは短期的には不可能ですので、これは受け入れざるを得ないということで、それに対して医療費高騰の抑制策としまして、潜在的な可能性として三つ、終末期医療の抑制、医療の効率化、予防の促進という点を挙げさせていただきます。  終末期医療の抑制というのは、これはよく聞くお話なんですけれども、死亡時の医療費は高いのでこれを抑制しましょうと。その有効性、効率性に疑問だという議論は割と古くから言われておられ、またある程度の支持を集めているかと思います。  ただ、これの問題としまして、確かに死亡前の一か月が非常に多くの医療費を使うということが分かったとしても、どの患者が一か月後に死亡するかということは事前には分かりません。それの推測自身も非常に不可能に近いことですし、また治療中断と、もし分かったとして治療中断ということで倫理的な問題も大きいということで、もしこういう側面から終末期医療の抑制というのを真剣に考えるのであれば、尊厳死、安楽死といった死の概念そのものを変更していくことが必要となるかと思うので、これはちょっと、短期的には全く無理かなということになるかと思います。  潜在的な可能性の第二の柱としまして申し上げたいのは、医療の効率化であります。  日本は御存じのように国民保険でありフリーアクセスです。したがって、医療費というのは、その需要側である国民やあるいは供給側である医師、病院が自由に決められるということで、基本的には青天井、どんどん伸びていく可能性を秘めたシステムですので、非常に高齢化には弱いシステムになっております。他方で、効率化を促するということで、競争原理の導入と、医療への競争原理の導入というのも選択肢としてはあり得るかと思うんですけれども、アメリカのようなスタイルですが、日本ではなじむのかどうかというのはまた疑問があるかと思います。導入するとしてもハードルはちょっと高いだろうと思われます。  そこで、一つ考えられるのは、国が行える、国の権限の及ぶ範囲としまして、医療行為の認可とか保険収載、医療技術、新しい医療技術の認可、保険収載ですね。あるいは、新薬の薬価やあるいは診療報酬の決定というところは、これは厚生労働省が行っておりますので、そこで「費用対効果に基づいた」と記しておりますが、費用に対して効果的なものだけを入れていくと。願わくば従来入っているものも効果的でないやつは落としていけばいいんですけれども、なかなかそれは既得権益ということで難しいということであれば、新しいものだけでも入口を絞っていくということですね。そういう費用に見合った効果があるという厳密なエビデンスを基づいた治療行為あるいは新薬のみを認可していくということはどうでしょうかということです。  これは比較的実行可能かと思われるのは、現にイギリス、オーストラリア、カナダ、韓国では、新薬に対して保険収載、薬価決定に関して既に実用化されております。イギリスにおいては治療行為に対しても実用化されておりますので、その方法論としてはかなりあるということです。  これは国民医療費の増加率を要因別に示したものです。これ、厚生労働省の発表ですけれども、青い線が人口増減、ほぼ今までは増加ですね。赤い線が高齢化、そして点々が診療報酬点数あるいは薬価基準の改正による影響、緑がその他ということですけれども、これは医療技術の進歩と考えられています。これは一九八五年から九五年までにかけてはその他というのが主要因で、これよく自然増と申しておる部分ですけれども、主要因で、九五年以降随分低下してきておりますけれども、それでも高齢化と並ぶあるいは高齢化に次ぐ要因であるということが見て取れるかと思います。  実は、欧米の医療経済学者の間では、医療費高騰の主要因は医療技術の進歩であると、さっきの自然増であるということが、八割以上の方が言われております。高齢化よりも医療技術の進歩だということです。日本においても先ほどお示ししました図からもそのことが見て取れるかと思います。  医療技術の進歩は制御可能かもしれないということです。研究自身はいろんな学問の自由等も含めまして止めにくいということが一つ指摘されておりますけれども、アメリカの研究者は補助金を使って抑制が、コントロールできると言っているアメリカの医療経済学者もおられますが、ただ、先ほど申しましたように、研究は止めなくても、それを実用化する手前の段階、認可、保険収載、償還額の決定等の段階での抑制というのは可能でありますし、諸外国では実用化されているというところです。  日本ではどうかということですけれども、一九九九年の中医協、医療政策を議論する中医協で、費用対効果分析の研究を進め、その結論が得られれば、ルールの見直しを図り、それ以降上市される新医薬品等に適用するということがもう五年前に言われておるんですけれども、それ以降、実際に考慮された形跡はありませんので、今後の高齢化対策としてのその費用対効果分析に基づいた保険収載等が期待されるところだと思います。  最後、時間も短いので手短にしますが、予防の促進としまして、まず何よりも、疾患を抑制して死亡を減らすことによる非金銭的な効果というのが予防によって得られるということですね。予防の効果というのが、従来どうも医療費の抑制という非常に短期的な視点に終始しがちであります。それをちょっと視点を広げた方が私は適当ではないかと思っております。  つまり、例えば死亡者が多いということは、逆に例えば年金にとっては好都合なわけですし、医療にとっても好都合な部分もあります。それで、死亡を増やす、増やすというか減らさないことが医療費の抑制につながるという結論にもなりかねないので、そういうねじれた結論を防ぐためにもこの死亡を減らすと、あるいは疾患を減らすということが、金銭には代えられないかもしれないけれども、社会は確かにその便益を得ているというふうに理解することがまず第一歩かと思います。  最も効果的な予防としましては、もう効果がある程度実証されている予防接種あるいは禁煙という一次予防ですね、そもそも掛からないという予防策が望まれます。  予防接種、ここが私の本業に入ってくるところですけれども、水ぼうそうでは推定百六億円、おたふく風邪は七十一億円、インフルエンザ菌による肺炎等、肺炎、髄膜炎等で八億円使われております。他方、社会的負担、死亡とかも含めますと、水ぼうそうで五百二十二億円、おたふく風邪、三百七十九億円、インフルエンザ菌、これ死亡が非常に多くございますので千二十一億円という社会的な負担を掛けております。  これらに関しては、現在、定期予防接種と申しまして、予防接種法に基づく予防接種の対象とはなっておりません。水ぼうそう、おたふく風邪に関しては、任意接種、自発的な、自己責任で受ける予防接種となっておりますので、この定期接種化というのは厚生労働省でも議論をしていただいているところでありますけれども、水ぼうそう、おたふく風邪でも予防接種に掛かる費用の三から五倍の便益を受けることができると。非常に効率的な投資であると思われます。  こういう議論には必ず副反応への注意とか配慮というのは必要ですけれども、これはもちろん重要です。ただ、その副反応を取り立てて注意、意識を集中するというよりも、これは例えば水ぼうそう、おたふく風邪であれば、その罹患による負担と同じ土俵で評価していくことが欧米では主流ですし、そのことが妥当ではないかということです。つまり、副反応が低い確率であるとしましても、それが負担、費用の一部としまして、また逆にその五百二十二億円の社会的負担を水ぼうそうの予防接種によって減らせるという効果と比較して、どちらの方が有利かということで判断されるべきかと考える次第です。  禁煙政策に関してもあれですけれども、禁煙関連の死亡が年間七・七万人と推定されております。総死亡が百万人程度ですので、七%程度が禁煙関連で死亡していると。医療費一・四兆円、社会的負担は八・四兆円という金額になっております。費用対効果的には、禁煙今すぐしましてもその効果が現れるのに時間も掛かりますし、予防接種ほど費用対効果的ではないんですけれども、最大で二千億円を超える便益、利益を社会が享受できるということです。  最後まとめますと、厚生労働省による医療費予測というのはミスリーディングになる可能性があって、日本でも一五%から三〇%は過大推定でしょう。医療費の抑制策としては、費用対効果分析に基づく医療政策やあるいは予防の推進というのが少なくとも重要です。これは、あくまで個人的な意見ということで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  8. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取を終わります。  これより参考人に対する質疑を行います。質疑はおおむね午後四時をめどとさせていただきます。  なお、質疑者及び各参考人にお願い申し上げます。質疑及び御答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言をいただくようにお願いいたします。  また、多くの方が御発言できますように、一回の発言はおおむね三分程度とさせていただきます。  なお、質疑の際は、最初にどなたに対する質問であるかをお述べいただきまして御質疑いただきたいと思います。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  中原爽さん。
  9. 中原爽

    ○中原爽君 自民党の中原でございます。  宮島先生にお尋ねしたいんですが、先生御指摘のように、少子化対策について順応なのかあるいは対抗なのかということ自体が、私どもも方向性が決まらないで調査会を開いているような状況かもしれません。御指摘のとおりで、この両極端ということについて考え直さなきゃいけないと思いますけれども、先生のレジュメの二ページのところに税制関係がございまして、私、聞き損なったんですが、相続税と贈与税の関係につきまして、世代間の資産の移譲ということを考えると、相続税よりも贈与税という形の、税のというか財産というか、そういったものの移行、移譲が相続税型で考えた方が今後いいのかということがお聞きしておきたいと思います。  もう一つは、消費税の関係ですけれども、消費税について年金目的税のような形にいたしますと、御指摘のように、若い世代に対して逆進性が出てくるということになると思いますけれども、同じくこの消費税そのものが目的税という形で年金対応ということになると、既に年金の受給者の高齢者も、結局年金の負担をしてきたにもかかわらず、また逆進性に近いような消費税を、消費せざるを得ないということになりますので、こういう意味での消費税を年金目的税に近いような形にしたときの本来の消費税の考え方ですね、単一税制ではなくて複数税制にするという、それ、ごく単純な考え方だと思うんですが、何かうまいお考えがございましたら、教えていただきたいと思います。
  10. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) 宮島参考人、どうぞ。
  11. 宮島洋

    ○参考人(宮島洋君) それでは、ただいまの御質問につきまして、二点について簡単にお答えいたします。  先ほど私が相続税のことを申し上げましたのは、相続時精算制度が入りまして、早めに贈与という形で相続を早めるということが、一つは経済的にもあるいは若い世代のその負担に対応するというようなことで言われたわけでございますが、私が申し上げたのは、要するにこれ、早めに相続贈与をできる人とできない人がいるので、できる人だけにこれは言わばそういう機会を与えるのであって、それはやっぱり余り公平とは言えないんじゃないかと。もしそうであれば、やはり贈与税や相続税という形でいったん公にそれを財源として徴収して、その方が私は公平ではないかというような趣旨で申し上げました。時間がございませんでしたので、余り十分御説明できませんでした。  二番目の問題でございますけれども、これは先ほど少し触れましたように、これは先ほど堀参考人から御説明ありましたように、当面特例期間内ではマクロ経済スライドが働きますので、必ずしも物価スライドが全面的に適用されるとは申し上げられませんが、少なくとも特例期間が終わりますと、原則といたしまして今の公的年金は物価スライドが既裁定者には適用されますので、要するに、例えば消費税率が引き上げられたときに、その物価の上昇分は、一年遅れであれ、その給付水準に反映されますから、むしろ受給者の方が制度的にその消費税の税率の引上げの影響を回避できる仕組みが存在している。  ところが、他方、現役の世代は、これは労使の交渉の問題になると思いますが、仮に消費税が引き上げられて物価が上昇したときに、じゃ実質賃金をちゃんと取れるかどうか。今私の承知した範囲では、労働界の人は実質賃金を取ると言っていますが、しかし、実質賃金を取るだけ名目賃金企業が引き上げれば、企業労働コストは変わらないので、私は経済界は実質賃金の引上げは認めない対応を取ると思います。ですから、むしろ現役世代の方にこの消費税の負担が及んでしまうということの方を私は先ほど懸念いたしまして、それが軽減税率であるのか、あるいはカナダのように消費税の税額の一部を所得税で税額控除をするという仕組みで逆進対策を取っている国もございます。  しかし、先ほど何度か申し上げましたように、もしそのようなことをやりますと所得税がますます細ってしまうという点がございまして、もう一つの考え方は、一本の税率でやる、二けたになっても一本の税率でやる、その代わり社会保障給付を増やして、なります。それが現役世代向けになるのかどうかはちょっと分からないですね。  ですから、こういう点はもう少しきちんと議論をしなければいけなくて、余り財源のことに関して、大変正直に申し上げますと、どうもこれは議論たくさん積むべき点がございまして、今お話ししたようなこともございまして、もう少しきちんと議論をすべき点が山ほどあるということだけを申し上げておきたいと思います。
  12. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。  ほかに御発言ございますか。  それでは、山本香苗さん、どうぞ。
  13. 山本香苗

    山本香苗君 今日は三人の参考人の先生方、大変お忙しい中、ありがとうございました。  まず最初に宮島先生の方にお伺いしたいと思うわけなんですけれども、少子化は今の問題で、かつ政策的に変えていけるものなんだという認識をしっかり持ってもらいたいというお話でございましたけれども、イメージとして、少子化というこの大きな流れというのを変えるというのは非常に難しいことだと思うんです。  イメージとして、こういうふうなことをイメージされているのかなと思うんですが、人口がどうしても減っていくけれども、今のままほうっておけばもっとがっと減ってしまうと。でも、それに対して今政策的にしっかりやることによって、その減っていくこの角度というのか、その流れというものは少しでも緩やかにして、ある程度のところに持っていくということをお考えになっていらっしゃるのかということ、どれぐらいのそういった着地点というところですね、それをどういうふうにお考えになっていらっしゃるのかということをお伺いしたいと思います。  それと、今、中原先生の方からありましたけれども、どうしても、去年の年金の話の中でも世代間の不公平感ということが非常に多く言われました。私たちも、やっぱり現役世代としまして負担感が多いということを改めてこの間の論議の中でもずしっと感じたわけでございますけれども、この世代間での不公平感をなくしていくために、どういった施策、先ほどの中でも触れていらっしゃいましたけれども、今この段階ですぐさま検討しなくてはならないのはどういったことがあるのか。これは、宮島先生と、また堀先生の方にもお伺いしたいと思っております。  三点目に、大日先生の方に、大変貴重な、私この分野にはよく存じ上げませんでしたので非常にいい勉強になりましたけれども、ここの部分で、一番最初に医療費のところで少し足踏みしているところがあると言われた中で、介護保険の導入の効果もあったんじゃないかという話をされておられましたけれども、ここのところをもう少し詳しく教えていただければと思います。
  14. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) それでは、宮島参考人からどうぞ。
  15. 宮島洋

    ○参考人(宮島洋君) それでは、初めに、二点につきまして少しお答えをさせていただきたいと思います。  まず、今恐らく少子化対策ということで皆さんが考えておりますのは、先ほど私が申し上げましたように、日本の人口を減らさない、つまり人口再生産に必要な例えば合計特殊出生率が二・〇八とか二・一と言われておりますが、そこまで引き上げるというような、先ほどもおっしゃった大それた実は目的ではなくて、今一・三ぐらいになっているものを何とか一・四ぐらいに引き上げる、その程度まで引き上げられることはできないかと。それが今想定、多くの社会政策を考えるときの想定でして、それより悪くなるとそれこそ問題が起こってしまう。ですから、これ、外国の例を見ましても、大体一・三とか一・四、あるいは一・五とか、そのくらいのレベルの問題であればこれは政策によって変えられるものだという認識を当然持つことができるのではないかというふうに私は思っております。  そして、もう一つ実は申し上げたいことは、少子化というのは、結局これは一人一人の、これは決して当事者である若い夫婦、若い世代だけじゃありません。親も含めて、一人一人の意思と行動の結果の積み重ねとなって、こういう社会的な集計値となって現れてきているわけです。  時間を食って済みません。選挙のときに私たち投票いたしますけれども、私たちの一票というのは例えば衆議院でも参議院でももう本当に何十万票の一票で、それが非常に強い影響力を持つなんということはだれも思っていない。だけれども、その一つの積み上げが正に全体になって現れてくるわけで、結局、今の少子化というのは、何か皆さんは社会の大きな流れだとか言っておるけれども、それは一人一人がそういう今の置かれた社会経済の状況の中でやはりそういう意思表示して、そして行動していく結果なんだと。だから、その一人一人の意思の決め方と行動の結果を正に積み上げていく、正に一人一人の問題、同時にそれを支援する政府企業の役割や地域の役割だということを申し上げたかったわけでございます。  それから二番目の、世代間の公平でございますけれども、これはちょっとやや少し破壊的な発言さして。  私は、今本当に世代間の不公平があるのかどうかについてはよくお考えいただきたいと思います。実はこういうことがございます。  この年金制度は、確かに若い世代に保険料の負担を求め、そしてそれが高齢者の受給に回るという仕組みでございます。それだけ見ればこれは間違いなく、しかも人口が減っていけば不公平、世代間の不公平をもたらします。しかし、例えば高等教育の費用はどうでしょうか。日本の教育政策の高等教育の費用というのは、奨学金制度が実は非常に貧弱でございまして、ほとんど親の世代がもう二十五を過ぎても大学院なんかにいる子供のために高等教育の費用を負担しています。それから、先ほど申し上げましたような、相続とか贈与をなるべく促進するような税制を取っているわけですね。最後には遺産という形になるわけです。  そうすると、確かに表に立っている年金制度は若い世代、現役世代から高齢世代への移転かもしれないけれども、高等教育の費用だとかあるいは贈与だとか、住宅資金の贈与だとか遺産、これ逆に流れているわけです。この二つは実は両者とも密接な関係にありまして、ですから、この二つを併せて見たときに、本当に今の世代間の不公平というものがそのような大きなものなのかどうか。  実は私、娘がおりまして、まあ働いてはおりますけれども、まだ家におりまして、私は、民法でいうとおまえの面倒を見る必要はないんだけれども、残念ながら高等教育の費用を出したり、まだ家にいるから家賃も事実上負担したりしていると。おまえは確かに保険料を払っているけれども、いや、おれの方がよほど出しているよと。これはやや例え話でございますけれども、世代間の公平、不公平というのは社会の制度の上で見えているものと、実はそれに対応して逆に親の世代なりがどういう反応をしているかという、併せて見ていただきたいと私は思っております。  説明としては実はもう少し具体的な形で御説明していくべきで、しかし、そのような見方というものがあるんだということをお考えいただければと思っております。
  16. 堀勝洋

    ○参考人(堀勝洋君) 結論からいいますと、世代間でもらう年金と納めた保険料を比較して損得を論じることに私は意味がないと、今、宮島参考人がおっしゃった面もあります。  ただし、保険料負担を世代間で公平にしていく、それから給付水準をできるだけ公平にしていくと、そういうことは必要で、実はこれは昨年、改正で行ったことです。保険料負担を厚生年金でいうとその当時の一三・五八%から一八・三%に固定するということは、その以後の世代は公平になると。それから、給付水準を現在もらっている年金受給者についてもマクロ経済スライドによって下げていくと、そういった形でも昨年、改正は行ったということで、損得計算は私は余り意味がないと。  それから、意味がないだけではなくて、賦課方式の年金制度の下で高齢化が進めば、必ず世代間で損得は生じます。要するに、支える若い世代が減っていて、支えられる高齢者が増えていくという状態の下では、これは必ず世代間の不公平はします。  それを解消する方法がないかといえば、ないわけではないんですが、一つは積立て方式にすると。これは要するに自分が納めたものが返ってくるという制度です。これは、積立て方式では一応世代間の公平を図ることは可能なんですが、これは私は不可能と。不可能な理由はたくさんあるんですが、それは聞かれれば答えます。  それからもう一つは、現在の高齢者年金を例えば三割カットする、四割カットすると。今の高齢者は、例えば八倍の、納めた保険料の八倍の年金をもらっている。で、三万円、四万円削る、それはできないと。そうしないでどうするかというのが、前回、昨年の改正で、徐々に徐々に下げていくと、そういう方法ではないかというふうに私は思っております。  その世代間の損得論というのは、これは公的年金を私的年金と誤解しているものだと私は思っております。要するに、自分が納めたものが利子付きで戻ってくると。公的年金はそういうものではないと。私は、社会保障制度社会保障というのは国民の生活保障であると。要するに、老後になって賃金がなくなる、所得がなくなったときにその補てんするもの。そうすると、保険料を余り納めなかった人も基礎年金という形である程度の生活を保障と。そういう意味からも、その損得論というのは意味がないというふうに思っています。
  17. 大日康史

    ○参考人(大日康史君) 御指摘いただいたのはこの部分かと思いますけれども、一番大きいのは、介護保険医療保険から切り離されて、従来、それ以前は医療保険の対象でありましたいわゆる社会的入院と言われている医療必要度の低い入院というのを介護保険の対象に移したということですね。あと、訪問看護とか対象を移されたということで、そこが国民医療費の定義上外れて介護という分野にくら替えしたと。名義上のくら替えがされて、ここで大きくがくっと下がったということがあります。  あと、高齢者の自己負担率あるいは被保険者の自己負担率の引上げ等がありまして、この数年は足踏み状態が続いているという状態です。
  18. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。いいですか。  じゃ、山本孝史さん。
  19. 山本孝史

    山本孝史君 お三方、ありがとうございました。  まず、宮島先生に、私、世代間不公平よりも世代内の不公平というか、この格差が広がってきていることがかなり重要な問題だと思っておりますが、所得税の最高税率あるいは課税最低限という問題と、それからいわゆるトーゴーサンピンあるいはクロヨンというのでしょうか、所得捕捉のこの二点の問題についてコメントをいただきたいと思います。  それから、堀先生、いつもありがとうございます。  この年金の積立金を奨学金制度に使えというお声がたくさんあるんですが、奨学金団体に長年勤めてきた私から思いますと、実は卒業した後の返済という問題がありまして、保険料を、今度は年金保険料を払いながらその返済もするということで、大変に苦しい立場に実は奨学金を借りた人たちは追い込まれるんですね。  昔の日本育英会は非常に、無利子もありましたし、返済猶予も、返済しなくていいのもあったんですが、今はもうむしろ有利子で返済しろということになっていますので、高等教育費が上がる一方で、奨学金制度があるから高等教育費が上がってもいいじゃないかというぐらいに高等教育費が上がっていくと、この奨学金を借りなければいけない人が更に貧困な状態になってきて、結婚すらできないという状態に実はなってしまうという意味で、是非その点も御認識を共有していただいて、この奨学金制度の問題についてお考えをいただけないかということで、コメントをいただければというふうに思います。  それから、大日先生に、この六ページの表を見ながら、この死亡月の医療費というところで、実は子供のところ、年齢の低いところ、乳幼児の死亡率のところでのこの医療費の高さというのが大変に問題で、成育医療センターも寄せていただいたりしていろいろと見せていただきましたけれども、実はそこで、高齢者のところでの終末期医療の在り方の問題と同様に、生まれてきた子供たちの実はある意味での治療の加え方についての判断を下さなければいけないという大変難しい問題があると。  いずれにしても、終末期はいろいろと尊厳死なりの問題にかかわりますが、この子供たちの部分は実は医療資源が非常に集中をさせないと、すなわち医療資源が非常に、全国どこに行っても同じような医療を行っている、効果が少ない割には実は非常に医療費が掛かるという問題になってくるので、医療資源の集中をしなきゃいけない。  ところが、これが医師会の皆さん方がなかなかに難しい問題があるということで、この医療の費用対効果ということで、効果的にするために混合診療という部分でかなり先生の御主張の部分は取り入れられてきたようには思いますが、変な意味でそうなってきたと思いますが、医療資源を集中させるということについての先生の、もし案をお持ちでしたら、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
  20. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) それでは、宮島参考人からどうぞ。
  21. 宮島洋

    ○参考人(宮島洋君) ただいまの御質問を私が正確にその趣旨を踏まえてお答えできるのかどうか、やや心配ではございますけれども、何点かお答えをしたいと思います。  おっしゃるとおり、今、世代間の問題と同時に、むしろ高齢者といいますか、年金受給者世代内の、世代内の所得格差の拡大というものが非常に注目されておりまして、元々、現役世代のようにやり直しができたり就業の機会が豊富にある場合と違いまして、いったん退職してしまいますと、それまで蓄えた言わば資産が非常に所得分配に利きますので、どうしても所得格差が大きくなるという点がございます。  そういう点で、所得格差をいかに言わば是正するかというよりも公平にするかということになりますと、今の日本の所得税は、国税の所得税が最高税率三七%、地方の住民税が一三%、合わせて五〇%でございます。最低税率が一〇%、地方税入れますと一二、三%となりますでしょうか。こういう税制をどう見るのかということになります。  しかし、この税制そのものは、実は高齢者現役世代も区別してその税率を決めるというわけにはちょっといかないだろうというふうに思いますし、それからもう一つは、しばしば最高税率五〇%だと言われますけれども、言わば所得格差をもたらしている比較的大きな要因である金融所得、資産所得、これはほとんど分離課税でありまして、不動産所得の一部を除きますとほとんど総合課税の対象になっておりませんので、この税率で見ることは問題がございます。ですから、この税率だけの問題ではなくて、むしろ課税の方法でありますとか、そういう点で見るべきであろうと思います。  その点で申しますと、昨年、随分これも問題になりまして、すったもんだしましたけれども、年金所得課税の意味を私は非常に高く、その点は高く、重く、割と強調しております。  つまり、年金所得課税と申しますのは、所得税には課税最低限がございまして、年金所得控除なども一部かなり残っておりまして、ある程度の年金水準に達しない限りは全くその課税負担を負わないと。しかし、ほかに例えばまだ働いていて所得があったり不動産所得があれば、そして課税最低限超えていけばもちろん払うということになりますので、そういう意味で、年金の分配に対して、年金課税というのは、年金受給者内部のその言わば負担の公平ということを図る意味での寄与が大きいのではないかと。もちろん、まだ十分ではございませんが、あると思っております。  三番目の話は、これはもう時間が限られておりますから、どう申し上げていいか分かりませんが、例えば給与所得とそれからほかの所得との間でどういう所得の捕捉の格差があるのかどうかということは、もうこれはなかなか、実際こうだというふうに言うことはなかなか難しいと思いますが、しかし、給与のようにほとんどが源泉の段階で徴収されるものと最終的に申告によらざるを得ないものとの間では、おのずから差があるということは、これはアメリカなどでもそういう研究がございまして、当然ございます。  しかも、難しいのは、まあこれは少し言い過ぎかもしれませんが、特に事業所得の場合には収入ともう一つ経費と、この二つの面を、一体その両方をどうやってきちんと把握できるのかということになりますと、これは残念ながら、税制や財政をやっている者の間では極めて難しいというもう一言に尽きるということになるのではないかというふうに思っておりますので、そのことだけ申し上げたいと思います。
  22. 堀勝洋

    ○参考人(堀勝洋君) 年金積立金を利用する奨学金の問題は、社会保障審議会年金部会でも議論がなされまして、返済が滞ると、それを年金積立金使っていいのかどうかと、そういう議論もなされて、結局は改正案に盛り込まなかったということがあるんですが。  ただ、これから少子化がどんどん進んでいく。そうすると、若い人に高等教育を施して人的資源をつくり上げるというのは我が国にとって非常に重要なことであって、奨学金制度が非常に十分であるとすると、やはりこういった形で高等教育をする必要があるんではないかというふうに私は思っております。  問題は、返済金、返済する人にとっても、また年金積立金というか年金財政についても問題なので、その辺は、私の案では、年金保険料に上乗せして無利子とかあるいは低利の原資とすると、あるいは返ってこない分についても、その分は年金保険料に上乗せした特別の保険料、これを私のこの案では、「福祉施設(奨学金)保険料」という形で徴収して返済金の減免だとか利子補給の財源にしたらどうかと、そういう提案をしております。  それから、もう一点付け加えますと、スウェーデンでは大学まで無料なんですね。それから、よく言われることですが、アメリカではもう奨学金制度が非常に充実して、底辺の人も高等教育受けられると、こういうことも私はこれからは必要ではないかなというふうに思っています。
  23. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) 大日参考人、どうぞ。
  24. 大日康史

    ○参考人(大日康史君) 二十歳までのこの部分のことを御指摘いただいたかと思いますが、この部分は、ちょっと精査していないし、私のそもそも計算ではないので詳しい事情は断言はできませんけれども、恐らく先天的な部分が多いかと思います。  御指摘の小児医療、高度な小児医療に関して医療資源の集中をさせるのがいいのかどうかということが御質問の趣旨かと思いますが、一点、誤解もしされていれば改めて申し上げたいんですけれども、費用対効果分析を行うということは混合診療を促進するというのとむしろ逆の方向性でありまして、混合診療というのは恐らく競争を通じての効率化ということですけれども、費用対効果分析は、つまりこの治療方法は効果的だからこれを使いなさいという方法ではあるんですが、それは国でありますとかあるいは学会等が診療方針を定めていくということで、日本では定まっていないのかというと、定まっていない部分が多々あるというところが現状かと思いますので、むしろ国の、一種の規制かも分かりませんが、医師の裁量をちょっと縛っていく方向で効率化を図っていくということで、むしろ混合診療とは逆かなと個人的には思っております。  高度な小児医療への医療資源の集中というのも、やはり国とかあるいは行政単位での、官主導になるかと思うんですけれども、費用対効果分析は、私、その分野はちょっと存じませんが、それを検討して、費用対効果的であれば、官、国なり地方が主導する形で医師会を説得して巻き込んでいくことが大事かなと思っております。ちょっとそっちの方の専門ではないので、必ずしも適切な答えをすぐに用意することできませんけれども、そのような印象を持っております。
  25. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) よろしいですか、山本さん。
  26. 山本孝史

    山本孝史君 堀先生に申し上げたのは、高等教育の重要性は私も認識をしているんですが、それを奨学金という形でやると、それは個人がその高等教育の費用を賄わなければいけないということになってしまうので、奨学金制度の必要性を否定しているわけではないのですが、そこに至るまでのもっと重要な政策をやっていくということが、スウェーデンなりアメリカなどを見ていても必要なのではないかという思いでいるものですから、奨学金制度だけで万々歳というわけにはいかないということを申し上げたかったんです。  大日先生に申し上げたかったことは、混合診療が入ったことで従来の未承認薬等が使いやすくなった、その過程の中において費用対効果をきっちり判断することができるプロセスができたという意味で、混合診療はいろいろ言われておりますが、患者に対して負担が掛かることも事実ですけれども、費用対効果という面ではある意味でそのプロセスをつくったのかなというふうには思ってはいるのです。  ただ、医療資源を集中させるということについては、利害関係者がかなり力の強い発言力を持っている中でどうやってやっていくのかというときにかなり難しい問題を生じているので、専門家ではないとおっしゃったのでこれ以上申し上げませんが、私はそういう趣旨で申し上げたということだけ御了解ください。  終わります。
  27. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) 参考人の皆様、何か御発言ございますか。よろしいですか。  それでは、山谷えり子さん。
  28. 山谷えり子

    山谷えり子君 本日はありがとうございました。自由民主党山谷えり子でございます。  宮島先生と堀先生に同じ質問をしたいんですけれども、安心、安定は与えられるものではなくつくり出すもの、社会の安心、安定、これまでは家族企業が支えてきた部分が大きいという宮島先生、また堀先生は、育児支援は我が国最大の政策課題というふうにおっしゃっていらっしゃいまして、全く同感なんですけれども、学者の先生にはちょっと乱暴で恐縮な質問かもしれませんが、育児手当、奨学金制度住宅支援、そしてまた年金積立金や福祉施設による支援等々、どのぐらいのバランスで、何千億円あるいは一兆かもしれませんが、どういうバランスでどう掛けるのがこの日本という風土、民族性を考えた場合効果的だというふうにお考えになられますでしょうか。  それから、大日先生には、終末期医療の問題、尊厳死というような、本当に大事なこれからテーマになっていくだろうと思いますが、消費者に情報提供と医療の選択をしていくということがこれから必要なことになっていくと思うんですが、その場合、薬、ジェネリックの使われ方あるいはセカンドオピニオンの在り方によって欧米の医療ではどのように医療経済学的に変わってきたか、そしてまた日本ではこれからどういうふうに変えられる可能性を持っているかというようなことをお話しいただきたいと思います。
  29. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) それでは、宮島参考人からよろしいでしょうか。
  30. 宮島洋

    ○参考人(宮島洋君) 結論から申しますと、申し訳ありませんがお答えができないというふうに言わざるを得ないのかなというふうに思っております。ただ、余りにそれは無責任でございますので、少し私の考えをお話ししたいと思いますけれども。  まず、今ございました育児ですとかそれから高等教育の奨学金あるいは住宅に関してでございますけれども、育児に関しましては、今、二つの手段が言われております。一つは児童手当、もう一つは育児控除という税制上の考え、これ実は裏表でございまして、この場合、財源を必要とするという言い方はやや難しくなりまして、手当のように表立って財源を必要とするケースと減税というような形で手当てをするケースと、両面がございますけれども、恐らくこれが、これから相当ここは思い切ってやらざるを得ないと思っておりますのは、従来は仕事を持っている人と持っていない人との間で、例えば専業主婦だと必要はないだろうみたいな意見があったわけですが、恐らくもうそういう段階は越えてきた。そして、ワーキングマザーというものを前提に置きながらこういうことを行ってくるということになりますと、これは少なくともヨーロッパで行われているような規模ぐらいまでは当然考えておく必要があるだろうというふうに私は考えております。この私の表の中に、参考資料の中に一応国際的に見ました家族手当なんかのウエートが書いてありますが、その辺を一つは目安に私は考えております。  それから、奨学金と、先ほど私がちょっと奨学金の話をいたしましたのは、これからいずれにしても高齢化が進む、ここ二十年ぐらいはもう間違いないわけで、その間は順応政策をやらざるを得ないと。そうしますと、その間は、年金にしても医療にしても、ある程度抑制ぎみでやっていかないと確かにいけない面が出てまいります。そういたしますと、従来のように親の世代が高等教育の費用を基本的に支えていくということがむしろ難しくなってくる。そうなりますと、奨学金というのは、要するに、自分が現在有利子であれ無利子であれ受けて、自分が将来労働力を身に付けて働いていってそこから返していくという、まあ一種の生涯で見た返し方になりますので、そういうことを考えれば、むしろ私は、例えば大学に補助金をたくさん出して授業料を一律に下げるというよりは、場合によっては奨学金を必要とする人を中心にした方がむしろ実態に合うのかなという気が私はしております。もちろん、先ほど実は山本委員がお話しになりましたようなスウェーデンのことでございますけれども、場合によってはいつかどこかで論争させていただきたいかと思いますが。  それから、住宅につきましては、日本では社会保障という意識が比較的薄くて、住宅はどうも国土交通省の所管事業で公共事業費だというイメージが強いと思いますけれども、やはり若年層のように子供が結婚してだんだん増えていく、あるいはある程度移動があるような場合には良質な賃貸住宅を提供していく。それは、低所得者のための公営住宅とまた違った意味での住宅の提供が必要になっている。これも、企業がそろそろ社宅の整理が、とても社宅のようなことはできなくなってきておりますので、そういう意味での社会保障としての住宅政策の認識というものが私は必要なので、いずれにしてもこれは今後増えていく、増やさざるを得ないものだと思う。量的なこれはめどで申し上げられないのが大変申し訳ないと思いますが。
  31. 堀勝洋

    ○参考人(堀勝洋君) 住宅手当について若干申し上げますと、小学校は大体設けておるわけですが、一種の育児手当という、あるいは児童手当的なものですね、というのは、児童の数が増えるに従って住宅手当が増えていくという、そういう仕組み。  そういった費用全体というのはなかなか難しいんですが、先ほどちょっと申し上げました事前に配付いただいていると思う私の論文に幾つかのデータが載っています。冒頭申し上げた研究で調査をやっているんですが、その中で幾つかの回答というのは計算すればできるような仕組みになっている。ただ、育児手当を幾らにするか、月額幾らにするか、それから、例えば中学校まで支給するとか、高校まで支給するとか、そういった要素で相当変わる。  この調査を見ますと、育児手当額については、一万円未満というのが四五・九%、最も多いと。それから、どの範囲かというのは、中学校に入るまでが二八・七%、それから小学校に入るまでというのが一七・九%、こういうことによって変わってくると。  それからもう一つ。育児手当を支給しても出産・育児への刺激になるかどうかと、こういう問題があるんですね。本来、育児手当とか児童手当育児の費用のコストで、出産・育児への刺激というのはその副次的なものだと思うんですが、これについて私ども、面白いというか異例な調査をしまして、育児手当の額を大きくしたら子供を持つ気になるかと、こういう質問をしました。その結果は、当然のことながら、否定的意見が五九・四%、六割。しかしながら、肯定的意見も二四・六%と、四分の一が出産・育児に対して効果があると。特に若い世代はこういう効果があるというのが多くて、二十歳代では肯定的な者が三九・四%、三十歳で三二・六%。  こういうふうにして、育児手当を支給すれば出産・育児の刺激になると言う者に、それでは幾ら出したら効果があるかという、こういう質問をしてみました。それによると、二万円を選択する者が二五・八%、それから次いで三万円とするのが二五・二%、五万円とするのが一七・〇%。そんなに、高齢者年金ほど、これは年金というのは夫婦で二十四万ですか、半分にすると一人十二万、十万ぐらいですね、高齢者ほどお金は掛からない。しかも、現在では子供の数よりも高齢者の数が多いですから、こういう数値を使って幾ら掛かるかというのをすれば、一定の仮定を設ければ出ると思います。それで、高齢者年金ほどは掛からないと、そういうことだけ申し上げたいと思います。
  32. 大日康史

    ○参考人(大日康史君) 医療の選択に関して、ジェネリックとセカンドオピニオンということを御質問いただきました。ジェネリックに関しては、最近テレビのコマーシャルでも、DTCですね、消費者に直接訴える形でのコマーシャルも増えて、セカンドオピニオンも電子カルテの普及を背景としてやっぱり普及させるという方針を聞いておりますが、それが従来、かかりつけ医あるいは一人の医師の処方や治療内容に関して透明性がなかったわけですが、それに対して患者側がいろいろ他の医師に意見を求めたり、あるいは患者自身がジェネリックを使うということで意見も述べるということで、そういう意味で透明性が高まるということで、それは非常に好ましいことだとは思います。  ただ、その際に選択される治療内容あるいは医療機関が、我々が言うところの費用対効果的な治療内容あるいはガイドラインに沿った治療内容かというと、ちょっとそれ疑問かなという気がします。  例えば、ガイドラインで投薬するなと、抗生剤を投薬するなというガイドラインが多々あるわけですけれども、そこで例えばセカンドオピニオンなりいろんな医療機関のお母様方の情報交換で、抗生剤、恐らく出される方を選ぶということになるかと思います。そうなると、本来不必要であった抗生剤の投与、ガイドラインも慎むように書いてあるし、費用対効果的にも悪いんですけれども、消費者は抗生剤を使う医者を選ぶということが懸念されるわけですね。  そうしたときに、必ずしも消費者の求めているもの、患者が求めているものと費用対効果的な医療政策というのが一致する保証はちょっとないんじゃないかなという部分がありまして、もちろん消費者による選択、患者による選択という部分は進めなければなりませんけれども、同時にガイドラインといいますか、例えば先ほどの例だと、抗生剤の不必要な投与というのは好ましくないよというガイドラインを策定するのであれば、それを消費者にもちゃんと情報伝達して、消費者がそれを、抗生剤の投与を拒否すると。抗生剤を処方するような医療機関、仮にあったとしたら、これはガイドラインに沿ってないので、そこへの受診をやめるというような形で消費者医療機関を選択してもらえればベストなんですけれども、ちょっとそこまで一足飛びに行けるかどうか、非常に難しい課題だなと、場合によっては背反する課題なのかなという印象を持っております。
  33. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。  ほかに御発言ございますか。  小林美恵子さん。
  34. 小林美恵子

    ○小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。参考人の皆さん、今日は本当にありがとうございます。  私は、まず堀先生と大日先生に育児支援についてお聞きしたいと思います。  堀先生は、年金制度における少子化対策案ということで、様々な育児手当を含めました御提案があったというふうに思うんですけれども、例えばその財源に年金積立金とか保険料をそういうことに使っていくというのは私どもの立場とはちょっと違うんですけれども、それは横に置いておきまして、先生の御提案のいわゆる育児手当ですね、そういうものを創設することによりまして出生率がどれぐらい向上していくのかなという点を先生自身お考えのところがあったら教えていただきたいなというふうに思います。  それと、大日先生にお聞きしたいのは、先生、少子化対策としての育児支援ということも御研究されているかと思うんですけれども、それにかかわりまして、出生率の増加に必要な追加的政策ということで、いろいろあるかと思うんですけれども、児童手当額の拡大、また育児休業期間の拡大、育児休業中の所得保障率の拡大、この三点について先生の御意見をお聞きしたいと思います。  最後に宮島先生にお聞きしたいんですけれども、先生、先ほど消費税の引上げは現役世代にほど負担をもたらすというふうにおっしゃいました。消費税の、先生の昨年の朝日新聞に掲載された記事を拝見しますと、消費税万能論ともいうべき主張が勢いを増しているが、慎重であるべきだというふうな御意見も拝見したんですね。やっぱり消費税反対というのは国民の多くの声だというふうに私も思うんです。  私たちはやっぱり消費税増税なしに、社会保障への公費負担の拡大をする上での財源としましては、やっぱり大企業向けの減税を元に戻すとか改めるとか、それから高額所得者への優遇税制を改めるとか、また公共事業の部門でもやっぱり無駄だと思われている、そういう、無駄だと思われている公共事業の部門の歳出についてはしっかりとメスを入れるであるとか、そういう部分での財源の捻出の仕方というのは十分あるというふうに思うんですけれども、この点でのその財源政策、財源について先生のお考えをお聞きしたいというふうに思います。
  35. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) それでは、堀参考人からどうぞ。
  36. 堀勝洋

    ○参考人(堀勝洋君) 先ほど、育児手当の額を大きくしたら子供を持つ気になるかというその質問に対する調査の結果を、これは意識調査でありまして、このとおりになるということではないわけで、まあ結論としては、これは額によると。例えば、出産したときに何百万を支給したり、あるいは育児手当の額を月五万にすれば相当なその回復が見込まれる。しかしながら、出産のときは何もしないで育児手当として一万円ということではそんなにはその効果が上がらないと。これはもう少し意識調査なりそういうことをやってみないと、どれくらい出生率が回復するかどうかというのは分からないと思います。  最後に、この財源として保険料というのか、年金、積立金なり保険料なり、あるいはその保険料への上乗せという形で言ったのは、税というのは、今は七百兆円ですか、赤字が、国債が、赤字国債だけじゃないですね、累積していますですね。そういった状況の中で、税というのはなかなか難しいんで、やはりその新たな財源をどういった形か、まあどういった形でもいいと思うんですけれども、どういった形でもいいというわけではないんですが、やっぱりいい財源というのはあると思うんですが、今の中でこういう育児支援のためのその財源を確保するのは非常に難しいなというふうに私は思っています。
  37. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) 大日参考人、どうぞ。
  38. 大日康史

    ○参考人(大日康史君) 報告と随分違う質問で、準備してきていませんので、数字はお示しすることちょっとできません。済みません。去年ぐらい本になっていますので、また後日でよければそれを送らしていただきます。  ただ、印象的に申しますと、私の考えとしては、育児休業期間の拡大というのは恐らく余り効果はないだろうと。一年のときでも少なからぬ部分の方は半年後に復職されていますし、それが延伸される傾向にはあるとは思う、今後も傾向にあると思うんですけれども、そのときに、例えば同じポストに戻すという原則がありますが、それは単に失われたその人的資本といいますか、キャリアというか、いろんなノウハウですね、一年なり二年、一年半なり職場を離れて失ったもののその補てんを企業に押し付けているだけなので、基本的にはその延長というのは好ましくないのではないかと思います。  実際には、復職後半年在職が支給の条件になっておりますが、それ以降、更にその半年以降在職される方というのは必ずしも一〇〇%ではありませんし、そうなると、一部国が、国なり社会が育児費用を負担したという意味では確かにいいのかもしれないんですけれども、その根本的な育児と仕事の両立ということとはずれるんじゃないかなと思います。根本的にはやはり企業内託児所等保育施設の充実、それもより働くお母さんに便利な形での充実という方向が正解じゃないかなと個人的には思います。  まあ一年は妥当かどうかの議論はちょっと横に置くにしても、その後できるだけ早く復職されて両立できるような形で仕事を続けていただくというのが本来の形ではないかというふうに考えています。  他方、その手当等、出産手当、出産一時金とか児童手当等に関しては、数字は忘れてしまいましたけれども、かなり有効な手段であるということは調査からも示されておりますので、その費用対効果といいますか、これも効果は出生率の方で測れるわけですけれども、に関してもリーズナブルな数字であったと記憶していますので、一時金の方でやるというのが、負担が社会がすると、企業に押し付けるのではなくて社会が負担するという意味で好ましいのではないかなと、個人的にはそう思います。
  39. 宮島洋

    ○参考人(宮島洋君) 難しい宿題を与えられましたので、なるべくお答えをしたいと思いますが。  私が消費税の今後の問題について慎重にというふうに申し上げたのは、次のような理由でございます。  後ほど、ちょっと資料を簡単に見ていただきたいと思いますが、日本の今の税制の状況から申しますと、今後私はその財源として可能性があるのは、一つは住民税を含めた所得税でございます。所得課税と、もう一つは消費課税でございます。そのうち、これまでさんざん所得税についてはああだこうだ議論をしてきて、もう山のように、先ほど言いましたように所得税というのは減税するためにあるようなものだという議論から始まっていろいろな議論をしてきた。  ところが、消費税は、どうも財源としての何か期待ばかり膨らんで、その中身の議論は余りきちんとされていないことに対してやや遺憾に思っておりまして、例えば今世界じゅうほとんど、アメリカを除きましていわゆる付加価値税と申します、日本の消費税と同じものが普及しておりますけれども、唯一日本だけがインボイスという、仕入れ税額控除の際にインボイス方式を使っていない。こういうグローバルスタンダードから外れている消費税というのは、これは非常に、これは私に言わせればやはり問題だと思います。  それから、簡単に二けた税率あり得るというようなことを皆さん、最低財源が幾らで何%の目的税が必要だとおっしゃいますけれども、しかしそうなったときに、逆進対策を一体どうするんですかと。今はまだ国税四%、地方消費税は一%ですから、まあまだそれほど大きな逆進的な負担の問題が起こらないかもしれないけど、一体どうするのか、その話さえまだきちんと議論はだれもしていないんじゃないですか。  税制調査会などでは、例えば、その際一律税率にして社会保障経費を増やしたらいいという案もあれば、複数税率にしたらいいという案もあれば、先ほど言いましたように、カナダのように所得税に対する税額控除という形でその逆進負担をやったらいいんだという意見がある。こういう三つの意見ばらばらで、まだほとんど具体的な検討もしていない。  それから、これも御承知かと思いますけれども、今の消費税の国の税収分の二九・五%は地方交付税の原資でございます。何か皆さんは、国の消費税、全部が何か社会保障に充てられると思っているとしたら、これは大変な間違いで、もしそうだとしたら地方自治体に対して、分権に対して相当分権をサポートしませんということをちゃんと言わなければいけない。国の消費税分のうち、実は国が使えるのはその七割でございます。果たしてそういうことを念頭に置いて、一体どのくらい税率の引上げが必要になるのかということを考えているのかどうか。  あるいは、今、国の一般会計の予算総則では、消費税というのは、単に基礎年金国庫負担分だけではなくて、老人医療費の国庫負担分及び介護保険国庫負担分にもそれぞれ充当することを定めております。年金だけではないんです。しかも、一般会計の予算を見ていただきますと、この十七年度を見ますと年金に対する国庫負担は約六兆三千億円でございますけれども、医療が八兆円、介護が二兆円、こちらの方がはるかに多いんですね。何か年金だけで消費税を考えているとしたら、それは大変な間違いです。これから高齢化が進む中で、医療にしても介護にしても、今のままで終わるわけではないんですね。そういうようなことをすべて本当に検討した上で、一体、政府にしても国会の方々にしても、消費税がこれこれこれで、何か簡単にできるようなことをおっしゃるとすれば、私はそういう点、大変心外であるというのが。そういう意味では、私は、慎重にというのは、今の消費税の仕組み、それから財政法、一般会計の予算総則の存在地方交付税との関係、そういったものをよく踏まえた上で是非議論をしていただきたいということでございます。  それから、済みません、時間が来てしまいましたが、ちょっと資料を見たわけではございませんが、今の日本で起こっている、特に社会保障を念頭に置いた財源の乏しさというものは、私から見れば、例えばスウェーデンが最低税率が三〇%、日本は一〇%。それで、課税最低限も日本に比べればスウェーデンははるかに低い。それで正に物すごい福祉社会、福祉国家のファイナンスをやっているわけで、これは私、率直に申し上げまして、例えば不公平税制の一部であるとか歳出の削減で賄えるものではない。  とりわけ、歳出の削減というと、皆さん、歳出の削減が必要だってだれもおっしゃるけれども、じゃ具体的に削るっていったら何ですか。それは社会保障費ですよ。あるいは科学振興費であったり、公共事業費であったり、中小企業対策費であったり、農業対策費であったり。国債費が削れないとすれば、そういうことでどこを削るんですかというと、多分皆さんの間で意見が分かれてしまうと思うんですね。負担増は抑えたいというのは皆さん合意する、必ず。だけど、歳出減をどこでやるかというと必ず意見が分かれてしまう。それが財政赤字なんだということで先ほど申し上げたわけで。  だから、私はもう少しその辺は、大きな、もう少し巨視的な物の見方をしているので、余り意見がかみ合わないことは承知しておりますけれども、一応そういう形で申し上げます。
  40. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) 小林さん、よろしいですか。  ほかに、いかがでしょうか。  中村さん。
  41. 中村博彦

    中村博彦君 大日参考人にお伺いいたしたいと思いますが、最近、健康寿命と平均寿命、そしてその平均寿命と健康寿命のギャップというのが六歳から七歳ぐらいございますよね。これをどう、この六、七歳を埋めていくかというテーマが健康づくり日本だとかでよく出てまいりますけれども、その辺の部分についてはどのようなお考えか。可能なのか、六、七歳から二、三歳ぐらいまでにはなっていくのは可能なのか、その辺の部分についてちょっと教えていただいたら有り難いですが。
  42. 大日康史

    ○参考人(大日康史君) 健康寿命と俗に言われるのは、主に介護を必要とするまでの期間のことを指すということで、ギャップ五、六年というのは逆に言えば介護を必要とする期間ということになるかと思います。それが五、六年で比較的長いので、個人にその負担を押し付けるのは非常に過酷な負担になるということで、それが介護保険導入の一つの大きな背景になったというふうに理解しております。  御質問の、それを縮めることはできるかどうか、これは介護保険の文脈で言うならば予防給付等に関することで、介護を、自立できる状態でできるだけ長くもたせるかということに関して、自立を支援するような形での給付が介護保険の中でできるか、あるいは介護保険に限らずともその健康づくり等を通じて、これも一つの予防ということです。健康づくりという一つの形での予防でありますので、多くの研究がなされていて、それなりの成果を上げつつあるところかと思います。  費用対効果的にどうかというところまではちょっと存じ上げませんけども、恐らくその基礎体力なり健康の度合いというのを高めることが可能かとは思いますが、そのときにその方の寿命も多分延ばしてしまうので、健康寿命、全体的にまあ例えば二年延びて寿命も二年延びると、その健康寿命と平均寿命の間の五、六年のギャップというのは基本的に変わらないかなと思いますので、そこはちょっと今、減らすことができるともできないとも申し上げることできませんけども、個人的に言いますと、健康寿命までを寿命と、健康に生きられる寿命ということでそこを重視する必要というのは私は個人的にはそれほど大きくは感じなくて、むしろ介護が必要になったような状態でもどれだけより自立に近い状態で生活できるかというところも、より介護の程度の低い状態で最期を迎えていただくというところがより重要かと考えております。
  43. 中村博彦

    中村博彦君 私は、やはりその平均寿命と健康寿命のギャップを埋めることが終末期医療に大きな医療費が掛からないということも言えるだろうと思いますし、それと、やはり健康寿命があってこそ人間はすばらしい生涯を全うしたということが言えるわけですから、できるだけ平均寿命と健康寿命というのはその五、六年の差を埋めていくのがこれからの私は健康政策でないかと、こういうように思っておりますので、その辺またテーマにしていただいて、一つ何かの形で発表していただいたら有り難いかなと。
  44. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) ありがとうございます。  ほかに御発言ございますか。よろしいでしょうか。  じゃ、坂本由紀子さん。
  45. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 自由民主党坂本由紀子でございます。今日はどうもありがとうございます。  それで、一つは、大日先生にお伺いしたいのは、安楽死、尊厳死の問題について先生自身はどうお考えか、お差し支えなければ教えてください。  それと、堀先生にお伺いしたいのは、教育費が掛かるというのが少子化を加速している大きな要因になっていると思いますが、大学教育までほとんどの子供を受けさせようと親は思っておるわけです。私は、今の日本だと、大学生の中にはその大学教育を受けた成果を必ずしも身に付けずに卒業している者が余りに多いのではないかと。フリーターであるとか、その後の社会の中でのありようをなかなか大学を卒業しても見付けられないというのは、これはとても問題ではないかという感じがしておりまして、この点についての大学における解決策というようなものを何かお考えがありましたら教えてください。  それから、宮島先生には、私は先生のお考えに基本的にはほとんど賛成であります。ただ、一点、消費税については、日本はほかの国に比べて課税最低限が低いとか、あるいは高齢者については各種の優遇措置もあるというようなことがありまして、私は消費税が必ずしも逆進的ということではないのではないかという思いがいたします。日本は、負担の状況はアメリカ並みであるのに、国民意識ヨーロッパ並みの高福祉を求めているというようなところにどうも非常にこの問題がなかなか片付かない、解決策を見いだし得ない要因があるのかなという思いもしておりまして、この辺は国民意識にもかかわってくるわけですが、こういう国民に理解を得るために、何か先生、こういうことで効果があるのではないかというふうなお考えがありましたら、お教えいただければ有り難いと思います。  以上です。
  46. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) それでは、大日参考人からどうぞ。
  47. 大日康史

    ○参考人(大日康史君) 安楽死、尊厳死のことで、まあかなり慎重な議論を要する分野ですので、あくまで個人的な印象というか、経済学者としての印象を述べさしていただきます。  基本的には、もちろんリビングウイルは大前提ですが、その上で容認されるべきだと個人的には思います。といいますのも、寿命というのは、天命とよく申しますが、経済学者はよく考えるのには、その寿命というのもやはり個人は選択していると。例えば、たばこを吸われる方はたばこを吸うメリット、デメリット考えて吸われているわけで、それで寿命が多少短くなったとしても、まずメリットが大きいと判断されるわけですよね。例えば安易な例として、赤信号で渡られる方は、そのリスクを背負って赤信号を渡って、一、二分の時間短縮を、ベネフィットを得られるということを考えますと、最後、確かに終末期を、終末期というか自分の人生の最後をどこに設定するかというのは非常に重たい課題ではありますが、日常的にもしかして私たちはやっていることなのかも分かりませんので、まあ明言的になる分、その分しんどいところはあるとはもちろん分かりますが、医療費抑制という意味ではなしに自分の人生を決めると、自分の意思で決めるということを、そういう意味で容認されるべきではないかと思います。  また、それがその医療費の在り方についても議論をより効率的に使う方向に向かうのではないかと思います。現在の高額療養費の制度を考えますと、死亡期にどれだけ、かなり高額な医療費掛かったとしても、自己負担はほとんどゼロ。負担ゼロというのは限界的なゼロということですね。もう一日延ばしたところで自己負担はほとんど変わらないというような状況ですので、そのような状況では、家族は、当然負担がないんであればベネフィットといいますか利益を得ようとするわけですね。しかし、それには膨大な医療費掛かっていますので、そこを家族が延命措置を中断する一つの根拠としてその患者さん御自身の意思というのが明確にできるのであれば、それは一つの方法、手段ではないかと思います。  アメリカの研究によりますと、そういう尊厳死、アメリカはもちろん認めていませんけども、尊厳死の意思表示があると医療の選択、患者の家族医療の選択が変わると。延命よりも、よりそのQOLといいますか、苦痛の少ない方を、医療を選択するというような研究も報告されていますので、寿命を延ばすことが医療目的では決してないと。その間のQOL、より良い状態で最期を迎えてもらうというところを効果というふうにターゲット絞るならば、その手段として尊厳死を認めることは適切ではないかと、個人的にはそう思います。  以上です。
  48. 堀勝洋

    ○参考人(堀勝洋君) 大学教育の在り方とか大学生の在り方とかいうのは、私の専門ではありません。余り考えたことはないんですが、私、奨学金で言いたかったことは、向学心があって大学院行きたいのに行けなかったと、そういうことと、それから理科系では大学院教育がもう普通になっています。文科系でも今の時間ではなかなか教育が十分ではない。そうすると、その大学院について、これ、大学院行く人はほぼそういう熱意があると、そういうことで提案をしたということであります。  大学、我々もそうですけれども、大学のときにはそんなに余り勉強した覚えはないんで、社会に出て役に立ったかどうかということもあるんですが、これは大学生自身の問題であるとともに、大学自体の問題もあるというふうに私は思っています。  ただ、かつてと状況が違うのは、就職が非常に厳しいという状況がありまして、少なくとも私の大学では授業の出席率は高いですし、それから、昔は休講が相当あったんですが、休講すると学生の方からクレームが付くと、そういう状況もあります。ただ、それは一部の学生だと思うんで、ゼミなんかで前に教えたことももう忘れていると、そういう学生もいますんで、なかなか難しい。少子化で大学全入みたいになると確かに質は低下するんではないかと。そこをどう、社会がそういった熱意のない学生を厳しく評価するとか、大学自体も厳しくやると、そういうことはあるんではないか。  それから、もう実際に始まっていますけれども、大学に対する評価、第三者評価というんですか、あるいは教員に対する自己評価といった、あるいは学生による評価というものもだんだん普及しております。こういった形で、大学生とその大学自体に対していろんなことが行われておりますんで、大学生の教育に対する熱意というのが出てくるとか、あるいはそれをつくり出すということが必要ではないかと思います。  ただ、少子化が進んで、本当に大学全入になると、私はその点は憂慮しております。
  49. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) 宮島参考人、どうぞ。
  50. 宮島洋

    ○参考人(宮島洋君) まず、消費税の負担をどんなふうに考えるかということでございまして、先ほど御指摘がございましたように、消費税として単独で見るケースと、それからほかの税制と併せて考えてみるケースと、それから今度は支出の方と併せて見るケースと、いろいろございます。ですから、それによっていろんなこれから判断、恐らくあると思います。  御指摘のとおり、現在の日本の所得税というのは比較的課税最低限が高いものですから、低所得層は余り所得税を負担していない。そういう意味では、そちらの方から税制全体でいいますと逆進性が緩和されているという面があるということでございます。  ただ、この条件が私は今後崩れると思っております。一つは、まず所得税の税源移譲で住民税が今後増えていきますから、住民税は所得税よりも課税最低限が低い、あるいは均等割がある、そういう点が一つですね。それから、もちろん、消費税が今五%、合わせて五%ですが、恐らく今後引き上げられていくと。両面が重なりますので、税制全体で見ても恐らく逆進性の問題というのは何らかの対応策が必要になるだろうというふうに考えております。  それを避ける手段は、実はスウェーデンデンマークがやっているように、御存じのとおり、スウェーデンデンマークの付加価値税率は二五%でございます。それ、どういう世界か理解するのはやや難しい点がございますけれども、しかしそれは結局、高い消費税で税収を調達した上で、社会保障給付でそれを言わば補てんしていくというやり方をやっていると。資料の、私の資料の三番を見ていただきたいと思いますが、もうこれはいろいろ理由ございますから単純には申し上げられませんが、資料のその二ですね、なぜスウェーデンが、こんな国民負担率が、潜在的国民負担率が七割というような国であって革命が起こらないかとか反乱が起こらないかというふうなことをよく言うんですけれども、結局、非常に高い、先ほど所得税の最低税率が三〇%、これ地方の住民税率ですが、それとその二五%という付加価値税で非常に多くの税収を上げて、それを社会保障給付として言わば一種の還元していくわけですね。それだけ政府が規模が大きくなっているということになります。  こういうやり方をすれば逆進負担に対応することは可能でありますが、これは実は、さっき言った潜在的国民負担率を五〇%に抑えるというような目標はこれではもう達成できないことは明らかです。今度はそっちで引っ掛かってくると。そういう大きな政府になるんですね、これは。それとの今度は判断をどうするかということであります。  それから、二番目の点でございますが、御指摘のとおり、私も、非常に巨視的に見れば結局、低負担高福祉という、そういうことが今のような状況を生み出しているんだろうというふうに思います。  ただ、なぜ、普通でしたら低負担高福祉ということはあり得ないわけで、等号として結べるはずがないのに、なぜそれを皆さんが等号として結べると考えるのかというと、それはいろいろあると思いますが、一つは、政府が無駄がたくさんあって、国会も含めて無駄な費用をたくさん使っていて、したがってそれを削ればこの社会保障財源に回せるはずだという一つの考え方がある。  もう一つは、実は税負担としても、これはもっと所得の高い人が負担すればよろしいのだという、こういう二つの、要するにマクロ的には等号だけれども、ミクロ的にはこういう人たちが、あるいはこういうところが負担すればいいという、恐らくそういうことがあるからこういうことになっているんだと思います。  ですから、今そういうところを、じゃどうやってなくしていくかとすれば、一つは、これは目的税という発想が当然出てくる。目的税の典型が実は社会保険料なわけです。社会保険料というのは正に特別会計、消費税とか何かみたいにいったん一般会計に入って出ていくんじゃなくて、もう特別会計に直入されていって、それしか使っちゃいけないという、初めからそういうふうに決まっているわけですね。  そういう意味で、要するにイコールで結ばせる努力といいますか、負担と受益を、そういうようなやり方があると思いますけれども、しかし、私はそれよりもやはり、これからのこういう少子高齢社会の下で国民の福祉水準を落とさないためにはどうしたらいいんだろうかという、言わばそこから考えていただかないと、私は貧者の再分配という最悪の事態が起こりかねないというふうに考えております。
  51. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) よろしいですか、坂本さん。  ほかにございますか。  後藤さん、どうぞ。
  52. 後藤博子

    ○後藤博子君 長時間ありがとうございます。  私、いつも参考人の皆様がお見えになった場面は特に変な質問をしてしまいますので、大変思い付きのような、極めて何にも考えてないような、そういう質問になるかと思いますが、お許しをいただきたいと思っております。  今、宮島参考人、そして堀参考人、大日参考人、お三人の方々の思いの中に、私のような、今質問するようなことがどうなんだろうかということで参考までに聞かせていただきたいんですけれども、今、日本が戦後六十年になりまして、高度成長を遂げまして非常に今豊かな社会になっていくと同時に、反面、元々日本人であるということの、人を思いやる心だとか、人を助け合うことだとか、相手のことを考えながら自分のことはちょっと抑えてというような、そういう独特な、独特なというか、日本のいい文化が残っていると思うんですね。  今、年金でも、支え合うことでも、高齢化社会でも、すべてお金で何とかしよう、税金を上げて何とかしよう、お金でどこかを抑えてその分をどこかに持っていこうというような、すべて経済的な観点から物を考えてしまうのがちょっと傾向的に多くあるのではないかと思っています。  これから団塊の世代がもう退職をしていきまして、非常に、高齢者とは言いたくないんですけれども、私もそのうちの一人でございますから言いたくないんですが、まだまだぴんぴんと働けるし、これから退職年齢も引き上げていこうという社会のそういう風潮もありますが、社会保障を、人財、人の財産、人の材料じゃなくて、人を財産とした社会保障、何かお金ではない、人で何か補えることはないんだろうかと。  例えば、今日資料をいただきましたように、子育て期にある三十歳代の就業時間は最も長くという、この働き盛りの三十代、結婚して間もない三十代ですから、子供さんもこれから、今できている、赤ちゃんを抱えていると。家のことも奥さんを助けて、何とか育児休の時間を削りながら、家にも帰らなきゃならない。しかし、会社会社で働き盛りですから非常に忙しいと。そういうときに、経験者であるもう退職を迎える者が何とか人の手当てとしてそこで入っていく、補うことはできないんだろうかと。何かそういうことも考えられないんだろうかと。それをシステム的に考えられないんだろうかというふうなこともちょっと、本当に極めて思い付きのような発想で申し訳ないんですけれども、お金で充てることを、何か人財、人の財産という面で社会保障がどこか行われることができないんだろうかと。  ちょっとそういうことをこのごろ、このごろというか、考えておりまして、突拍子もないことなのか、全くできないことなのか、いや、やり方によってはできるんじゃないかというようなことなのかということで、大変これ申し訳ないような質問なんですけれども、それぞれのお立場で、駄目なら駄目だよと言ってくださっても結構ですけれども、それぞれのお立場の中で御意見を賜ればと思いますので、よろしくお願いいたします。
  53. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) それでは、宮島参考人からよろしいでしょうか。
  54. 宮島洋

    ○参考人(宮島洋君) 私は、大学で財政学ですとかそういう講義を持っておりまして、最初に学生諸君にこういうふうに申します。今、こういう国とか政府存在している、社会保障制度がある。当たり前だと思っているけれども、これ必要ないかもしれない。その条件は何か。人々が皆誠実で慈悲心に富み、共同の事務に無償で喜んで参加をし、相互に扶助し合う、みんながそういう気持ちを持っていれば、実は政府は必要ない。社会保障も恐らく必要ないだろうと思います。  しかし、そういうと、じゃどうですかというと、残念ながらそうではないというところから、実は国がなぜ存在するか、社会保障制度がなぜ存在するかというところから始まっていくということになってしまいます。ですから、それは理想なのか現実なのか、あるいは性善説なのか性悪説なのかは別といたしまして、私たちはそういう学問として歴史を見て、そして人々のどういう行動を取るかということの中で、やはり政府は必要であり、社会保障制度も必要だということを言わば結論付けてきたわけでございまして、残念ながら、私たち個人が何を思うというよりは、歴史がそれをもう証明しているのであろうという、極めて突き放した見方だということであります。  後段の部分は、これは私は全くそれは突拍子もないということではございません。ただ、それは社会保障費を節減するためという意味では必ずしもないと思います。  もう既に先に取り上げられておりますように、これから団塊の世代が多く退職期を迎えてまいります。その人たちがそれなりにまだ社会的活動を営みたいというときに、今受皿となっているNPO法人ですとか非営利法人のこれから整備が始まりますが、そういうものを用いて、例えば福祉の分野であるとか教育の分野であるとか、そういう分野に出てくる。これまでのように政府と市場、あるいは政府企業という二分法の中に、これから多くこういった正に、そうですね、財団的じゃなくて社団的な、人の集まりとしての非営利の団体というものがこういう分野を多く担っていくのではないか。特に、都市などにおきましてはコミュニティーが簡単に再建なんてできないわけですから、特に都市のコミュニティーを埋めていく役割としての私は存在は大変大きいというふうに思っております。
  55. 堀勝洋

    ○参考人(堀勝洋君) 宮島参考人の意見を少し敷衍する形になると思うんですが、かつては高齢者というのは家族家庭内で扶養していたわけですね。ところが、家庭内でなかなか扶養できない。サラリーマンとなって自分の稼いだお金で生活するのが手一杯だと。それから、医療は非常にこれは専門的なもので家庭とかでやれないと。それから、介護も従来は家庭でやっていたわけですけれども、なかなか核家族ではやれなくなってきたと。  そういう、家族がやれなくなった、あるいは地域社会での助け合いとか、あるいは会社、職域での助け合いというのがあったわけですが、なかなかできなくなって、それが社会保障でやる。社会保障というのは政府がやるわけですから、国民から税とか保険料をいただいて、それを年金だとか医療だとか介護に回すと。やっぱりお金の面、社会保障というのはどうしてもお金の面があると思います。  人財、人の財ですね、だから人の宝、これは正におっしゃるとおりで、さはさりながら、さりながらというのは、社会保障はもうお金の問題だということなんですけれども、ただ、やはりなかなかできなくなったといえば、家族による支え合い、地域社会の支え、あるいは会社の中での支え、これはなかなか難しいかも分かりませんけれども、その辺のところは今後改善していく、あるいは推進していく必要があるというふうに私は思っています。今、宮島参考人がおっしゃったように、NPOというような形なり、あるいはボランティアという形なりが参加して。  従来、欠けていたのは男性、働き盛りの男性が欠けていたんですね。それを私はその指標で、ちょっと手前みそになるんですけれども、やはり長時間労働というのがあると思うんですね。長時間労働のためにこれはそういうことができないということもありますんで、そこら辺も、男性の長時間労働を改善すれば、やはり女性も働けるようになるし、そうすると、女性が賃金を失うために出産・育児をあきらめるということもなくなるというふうに思う。  これは、聞いた話で申し訳ないんですけれども、デンマークではもう仕事を終わる時間を四時にすると、そうしたら少子化傾向が止まって、回復したと。そういう、データで裏付けられたものではないんですが、そういったことをすれば、要するに、ボランティアというのは高齢者、女性だったものが壮年期の男性も参加できる。ただ、これは夢物語かも分かりません。現在の企業の現状、経済の現状を見るとなかなか困難ではないかというふうに思います。  おっしゃった趣旨を勘案すると、そういうことも必要かなというふうに私は思っております。
  56. 大日康史

    ○参考人(大日康史君) 非常に難しい問題ですが、私も子供が三人おりまして多くを祖母に頼っている部分がありますので、正に人の力で生かされているという部分は実感しております。  ただ、堀先生、宮島先生言われましたところに一言付けさせていただきますと、ボランティアなりNPOが労働力としてただかというところは、私は非常に今、その考え方はちょっと賛同しかねると思います。  それは、同じロジックで恐らく介護の、介護保険を導入する際に、高齢者は在宅で最後といいますか、介護、在宅介護を望んでいるということで施設から在宅へという大きな流れを付けたと思うんですけれども、それは一方で、施設介護は非常に高価でありますので、それを多くは家族労働に変換さすことによって表のお金を消したという部分があるんじゃないかなと思っております。もしそれで評価されるんであれば、それは非常にちょっと短絡的な評価であって、それにちゃんと家族看護の負担が出た部分も評価すべきであるし、それを入れると恐らく施設介護の方が安いかも分からないという話もありますし、現に安いと言って主張している先生もおられますし、そういう人の力、人の財、人財というのに頼るというのは非常にいいんですけれども、目に見えてお金が動くところだけがお金じゃないんだというところはやはり肝に銘じておくべきかなと思います。目に見えないところでもだれかがそれを負担しているし、ボランティアが非常に楽しみとしてやっていただく段にはそれは非常に結構なんですけれども、これはボランティアの人も何かを犠牲にしてされるわけですし、その部分が決して、安いかどうかというのは議論はまた別にあるにしても、決してただではないということで。  強調したいのは、私の報告でもありましたように、例えば医療費の関係でも、医療費といいますか健康の関係でも、実際に動く医療費だけを見て物事を判断すると、先ほど示したように多くの方が亡くなった方が医療費が安いということになるわけで、そういうとんちんかんな答えになってしまいます。したがって、目に見えない、お金の動かないところの負担というのも是非考えていただいて、その上で御判断いただければと思います。  以上です。
  57. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございました。
  58. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。  ほかに御発言ございますか。  それじゃ、神本美恵子さん。
  59. 神本美恵子

    ○神本美恵子君 今日は参考人の先生方、ありがとうございました。  民主党の神本美恵子でございます。  私は、二点だけ、三人の方、どなたでも結構ですので、今まで話題になった分なんですが、奨学金の問題で、今、少子化の要因の一つとして、安心して子供を産み育てられないという中の一つに教育費の負担、あるいは子供たちが大人になったときの将来への不安というようなことが大きな要因として挙げられているんですが、そういった観点から、もう随分前から言われていますが、これからの社会は国際化、情報化の中で生涯学習社会というふうに言われています。特に、宮島参考人のお話にもありましたけれども、これまでの家族企業社会保障を代行していた、例えば育児支援とか就業政策、職業訓練ですね、そういったものが、そういう機能を家族企業がやれなくなったというようなことも含めまして、それから、産業構造雇用も流動化している中でずっと同じ会社終身雇用されるわけではない、スキルアップを常にしながら働いていかなければいけないというような社会の中で、奨学金が今のところ後期中等教育と高等教育まで言われていますけれども、その後の生涯学習社会というふうに考えたときに、社会保障の一つとして学び続けることを保障するということをどう考えるのかということが一点でございます。  それから、今お話にも出ていました長時間労働、働き方の見直し、堀参考人は働かせ方の見直しではないかというふうにおっしゃっています。私も長時間労働をしている男性が早くやめて家に帰って子育てすればいいというふうにずっと啓発して回っているんですけれども、事はそう簡単なことではなくて。というようなことで、働かせ方というのは、企業の問題と国の政策、施策としてこの長時間労働というものを、国際競争力を落とさないで長時間労働を解消して、本当に就業と家庭地域生活をどう両立させて、男女ともに両立していくかという観点からの働かせ方の見直しというとらえ方で、具体的に政策としてこういったことがあるのではないかという御提言あれば、お聞かせいただきたいと思います。
  60. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) それでは、どなたでもということなんでございますけれども、一つ、生涯学習の問題でございます。社会保障制度の中に、社会保障として位置付けてはどうかという一つの問題でございますが、これについてどなたか。──じゃ、宮島参考人、どうぞ。
  61. 宮島洋

    ○参考人(宮島洋君) 御存じかと思いますが、今、例えば職業を変えていくときに途中で一度スキルアップの機会を設けますとか、教育訓練を受ける機会があるというふうに、いったん就業いたしまして雇用契約関係に入っておりますと、今の雇用保険の中にそういう教育訓練などに対する給付の制度がございます。ただ、盲点になっているのは、いったんそれは労働市場に入って雇用契約を結んでおいた後では可能なんですが、その前の人にはそういうものが直接にはないということになります。ですから、その前の段階の人たちに、例えばインターンシップのようなものであれ、あるいは職業訓練のようなものであれ、そういうようなことに対してこういう奨学金というような役割を果たすことは私はかなり大きいのではないかというふうに考えております。  これ、まだまだ社会的に広がっておりませんけれども、日本でもようやく例えば法科大学院ですとか幾つか、いわゆる専門職大学院とか出てまいりまして、下手すると三十ぐらいまでスキルアップをやらざるを得ないというようなケースが出てくるわけでございまして、そこまで全く何も手助け、今までは働いて何とかため込んだものを背水の陣をしいてやるというようなことしかなかったんですが、そこのところをもう少し、だんだんいろんな技術、高度化してくる中でそういう機会を、従来は何か苦学生的なイメージの奨学金であったかもしれませんが、そうではなくて、むしろ、社会的な意味で就業の機会を自ら広げるため、それを支援するための奨学金というようなことで考えたらどうなのかなというふうに思っております。  その働き方の問題は、私もこれは一種の思い込みがあるかもしれませんが、少なくともグローバル化が進んでいるから日本はこうなんだという理屈はやや立て難いと思います。グローバル化は日本だけじゃなくて、これは世界の主要な先進国、EU諸国はみんな同じような状況にあるわけでありまして、日本だけが特別グローバル化が厳しいというわけでもないと思うんですね。  やっぱりこれは、今私は、やや、一時的とは申しませんが、とにかくバブルが崩壊して、あのときにとにかく就業を削減していく。だけどしかし、中高年者は簡単に家計支持者なので削減できないめに若い人を抑えてしまったと。若い人を抑えるために、若い人の正社員が非常に少ない状況で、その人たちに猛烈にプレッシャーが今掛かっていると。それが長時間労働になり、ちょうど若い、一番その結婚、出産・育児というところに当たるべき二十代から三十代初めぐらいの労働力の中核の部分が一番今ひどい状況に置かれている。  こういう政策を取ったのは、私は、一つはやはり企業にも責任が大変あるというふうに思います。企業としては、もうやむにやまれずそうやったんだと言うかもしれませんが、これは経済構造改革が一巡し、経済力が改善する段階でそこはやっぱり変わっていかなきゃ困るということだけは思っておりますので。
  62. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) 堀参考人、いかがですか、長時間労働の解消の問題。今、宮島参考人もお触れになりましたけれども、もし追加がございますればお願いいたします。
  63. 堀勝洋

    ○参考人(堀勝洋君) 経済情勢が非常に厳しいと。そこで、企業が長時間労働をさせるという面で、それがもう私の言いたい、働き方の問題ではなくて働かせ方の問題だという。そこは労使の関係で非常に微妙なもので、人件費増やすとどうなるかと、こういう問題もあると思うんですが、私は、いろんな方法があると思うんですが、最終的には労働基準法なり、あるいは残業手当の問題とか、残業手当の問題というのは、例えば残業手当の支給率を高くするとか、いろんな形でそこを制限していく方法があるんではないか。もう一つ言うと、長時間労働には必ずしも企業だけではない、効率的な労働をしていないという面もあると。少なくとも、ホワイトカラーは諸外国と比べると日本人の働き方は効率的でないと。一番典型的なのは公務員というのか役人というのか、国家体質とかですね、そういうものがあると思います。  長時間労働をなくすには、やはり女性が働くという形、要するに男性の残業という、それを削ってその職を女性なり若い人なりに回すと。そういった方法もある。その具体化の方法はなかなか難しい。企業雇用政策に結び付く問題もあるので、なかなか難しい問題があると思うんですが、これは厚生労働省の労働政策サイドで何らかの方法を講じないといけないんではないか。あるいは、何か講じると出産・育児に対していい影響も与えるんではないかなというふうに私は思っております。
  64. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) 大日参考人、何かコメントございますか。よろしいですか。  いいですか。
  65. 神本美恵子

    ○神本美恵子君 はい。
  66. 清水嘉与子

    ○会長(清水嘉与子君) ほかにございますか。  ほかに御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了したいと存じます。  参考人の方々には、長時間にわたりまして貴重で有意義な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。ただいまいただきました御発言につきまして、今後の調査の参考にさせていただきます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)  次回は来る五月十一日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十四分散会