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2005-06-16 第162回国会 参議院 経済産業委員会 20号 公式Web版

  1. 平成十七年六月十六日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 昭郎君     理 事                 泉  信也君                 加納 時男君                 小林  温君                 藤原 正司君                 渡辺 秀央君     委 員                 魚住 汎英君                 沓掛 哲男君                 倉田 寛之君                 保坂 三蔵君                 松田 岩夫君                 松村 祥史君                 加藤 敏幸君                 木俣 佳丈君                 直嶋 正行君                 平田 健二君                 藤末 健三君                 浜田 昌良君                 松 あきら君                 鈴木 陽悦君    国務大臣        経済産業大臣   中川 昭一君    副大臣        経済産業副大臣  保坂 三蔵君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       山本 明彦君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      荒木 二郎君        法務省刑事局長  大林  宏君        財務大臣官房審        議官       青山 幸恭君        文化庁長官官房        審議官      辰野 裕一君        厚生労働省職業        安定局次長    高橋  満君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        迎  陽一君        経済産業省経済        産業政策局長   北畑 隆生君        経済産業省貿易        経済協力局貿易        管理部長     柴生田敦夫君        経済産業省製造        産業局長     石毛 博行君        経済産業省商務        情報政策局長   豊田 正和君        特許庁長官    小川  洋君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○不正競争防止法等の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 佐藤昭郎

    ○委員長(佐藤昭郎君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  不正競争防止法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁長官官房審議官荒木二郎君、法務省刑事局長大林宏君、財務大臣官房審議官青山幸恭君、文化庁長官官房審議官辰野裕一君、厚生労働省職業安定局次長高橋満君、経済産業大臣官房商務流通審議官迎陽一君、経済産業省経済産業政策局長北畑隆生君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長柴生田敦夫君、経済産業省製造産業局長石毛博行君、経済産業省商務情報政策局長豊田正和君及び特許庁長官小川洋君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤昭郎

    ○委員長(佐藤昭郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 佐藤昭郎

    ○委員長(佐藤昭郎君) 不正競争防止法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 松村祥史

    ○松村祥史君 ありがとうございます。おはようございます。自由民主党の松村祥史でございます。  先般の商標法の改正の法律案に続きまして、また今日も質問をさせていただきたいと思っております。  今回の不正競争防止法等の一部を改正する法律案についてでございますが、今日は中川大臣が公務ということで保坂副大臣がおいででございますけれども、今回の法律案の改正というのは、刑事罰という意味では、これを強化するという意味では、企業の強みを生かす非常に大事なことだなと思っております。その根底には、知的財産権をしっかりと守りながら日本の企業の個を強くする、秘密保持をしっかりとやることで企業の強みを生かして、ひいては経済の活性化を図っていくという意味では大変大事な法案であると思っております。また、先般の商標法、これとも関連をするものだと思っておりますけれども。  今回の法律で、その企業の個を生かしていく中において、私はいつも申し上げるんですが、経済政策の中で、経済がグローバル化する中で、国外に出ていく企業や、国内においてその国外に出ていく企業と連携をやりながら頑張っていらっしゃるいわゆる中小企業ですね、こういう二つの軸があるんじゃないかなと思っております。とりわけ専門も中小企業でございますので、今日は冒頭に中小企業についてちょっとお尋ねをしたいと思っております。  中小企業の知的財産については、この六月に決定された知的財産推進計画二〇〇五で、「大企業が取引関係において従属的な地位にある中小企業の知的財産について不当な取扱いをしているという指摘」や、「証拠調査能力に乏しい中小企業には立証が極めて困難であるという指摘」がなされております。いわゆる下請とか孫請といった関係でございますね。こうした中小企業の知的財産の問題というのは大企業以上に大変深刻な問題であると考えております。  今回の不正競争防止法案を改正することによって中小企業にはいかなるメリットが発生するのか、また今後どういった形で本来この法案の持つ企業の個を高めていく、こういったことについてはどのような見解をお持ちなのか、まず最初にお伺いをさせていただきたいと思います。
  6. 保坂三蔵

    ○副大臣(保坂三蔵君) おはようございます。  お許しをいただきまして、大臣、外交日程で、最初の部分だけ失礼いたします。  ただいま松村先生から御質問がございました。大変時宜を得た重要な部分が、御指摘があったと存じております。  日本の将来、あるいはまた経済の将来は物づくりに懸かっている、このことは国民共有の認識だと思います。とりわけ、中小企業の持つ技術やノウハウは、これをいかに守るかということは国際競争力の源泉でございますので、これはまさしく要諦であろうと存じております。  今までも特許制度などで中小企業の財産権確立のための支援策をいろいろやってまいりました。例えば、お金がいかに掛からないような料金減免制度で早期に確立するとか、あるいはまた、先行の技術調査を無料でお手伝いをするとか、あるいは、どうしても急がなくちゃならないときは早期の審査請求を受けるとかやってまいりました。  それから、一方ではまた、例えば特許が侵害されたときの対応などにつきましても、特許庁の出先機関を通じまして、関係省庁の御協力を得まして、中小企業経営者向けにそのノウハウにつきましての研修会なども開いてまいったところでございます。  一方、不正競争防止法でございますが、この特許に至らざる、前の段階でのいかに営業秘密を守るかということが非常に重要なテーマで、制度として確立してきたところでございます。  御案内のとおり、営業秘密に関しましては三つの要件を持っております。一つは、あくまでもその営業秘密がいわゆる社内でどう管理されているかという管理性、それから二番目に、スキャンダルの情報みたいなものじゃなくて、その企業にとって極めて重要なノウハウやあるいはまた技術であるというような情報、そしてもう一つは、いわゆる非公知性、周辺が知り得ていないというようなこの非公知性というこの三つの要件さえ整えば、これをしっかり守ることによって、例えば特許を取るときには情報を公開しなくちゃなりません、これを防ぐことができる。それから、特許を取るときのコストも高い、今まで高かったですね。それから、維持することも高い。こういうことを防ぐことによって、中小企業の財産権、産業財産権の確立のためには不正競争防止法は大変役に立ってきたと思うんでございます。  しかし、昨今、犯罪者の方の非常に手口が巧妙かつ多様化してまいりまして、これに追い付いていけないということで、今回不正競争防止法の改正に踏み切ったわけでございます。  この中で、お話のとおり、中小企業対策、三つございまして、営業秘密の強化あるいは保護という点では、先ほどお話がありましたように、国外犯だとかあるいは退職した人が故意に不正に情報を流すとか、あるいは企業が流すとかいうようなものの処罰を明らかに明記をいたしました。  それから、官邸にある本部におきまして、模倣品・海賊版の対策をいたしました。著名な表示を冒用された場合は、今まで民事で差止め請求ありましたが、これ追い付けませんので、刑事告発してもらって、刑事罰を導入いたしました。それから、商品形態の模倣、これも同じように刑事罰を導入することにいたしました。  しかも、罰則の強化をいたしまして、今まで三年以内、三百万というやつを、五年以内、五百万と、非常に重くいたしまして、これが実効性が伴うようにいたしまして、何としても中小企業のノウハウや技術を守ろうという強い意志で今回の不正競争防止法を改正したわけでございまして、これは恐らく中小企業にとりましては大きな福音になるものと確信しているところでございます。
  7. 松村祥史

    ○松村祥史君 保坂副大臣、ありがとうございました。総括的なお話をいただきまして、中小企業に限らず、日本の企業にとっては大変大事なことだなという深い理解をしたところでございますけれども。  実は私の友人に、知り合いに、埼玉で金型の業者をやっている方がいらっしゃいます。この法を整備することでいろいろ事情聴取をしてまいりましたらば、非常に喜んでいらっしゃいました。  ただ、幾つか問題点もございましたので、ちょっと事例をお話ししながら質問をさせていただきたいと思いますけれども。  この金型産業をやられているところはデジタルカメラや携帯電話の金型を作っていらっしゃるところなんでございますけれども、今、商品が非常にサイクルが早うございます。大体、ここが取引されるところが大手のメーカーさんであります、国内においてですね。このときに、仕事をいただくときに契約の三分の二以上はデータ若しくは図面、こういったものをしっかりと添付して出しなさいとおっしゃるんですね。これをできるだけ出さないような交渉をやるわけですけれども。  と申しますのが、結局、大手さんがそういうことを持っていかれる、添付をしますと、そのことが安い労働力を求めて中国や東南アジアに出ていくわけですよ。そうなると、結局は自分の首を絞めてしまうと。しかし、これだけ景気が厳しい状況で、まあ若干上向いてきたというふうに非常に喜んでいらっしゃいましたけれども、まだまだ厳しい状況の中で、仕事のやり取りの中ではやはり従属的な立場でございますから強く出れないわけですよ。そうなるとどうなるかというと、最終的には自分の首を絞めてしまう。  おっしゃる中で、単なるこういう批判だけでなくて、自分たちの業界もいけないんだと、まとまってしっかりとした対応をやればこういったものも問題解決できるんだけれども、しかしこれがやっぱり小が小たるゆえんでして、なかなか一つに固まることができない、こんな実情がございます。  でありますから、今回の不正競争防止法案ができてこういった営業秘密がしっかり守れるというようなことは大変有り難いことなんですけれども、デジタルカメラとか携帯電話というのは非常にサイクルが早うございます。そうですね、利益を出そうと思うならば、大体半年から三か月、この間で受注生産をやりながらしっかりと利益を出していく、今作っているものの製造をやりながら次の製品の図面を書き上げて交渉に入る、このサイクルをずっとやっているわけですね。ですから、じゃ登録をして、秘密を守って、契約の中にそのデータは出しませんよというような交渉ができない状況なんですよ。  これはここ一、二年の話じゃないんです。こういった状況が十年も前からやっぱり続いているわけですよ。でも、それでもなおかつしっかりと、まあ五十人の壁は破れないまでも、闘っていらっしゃるんですね。だから、有り難いと思う反面、有り難いことに、自分たちでもどんな努力をすればいいんだろうと、こういうふうな考え方をしていただきました。しかし、残念ながら、そこでその答えは見いだすことはできなかったわけですけれども。というのは、やはりサイクルが早いということです。じゃ、登録をしている間に次の商品をやらなきゃいけない、こんな実情ですから。  こんなことを考えますと、この法案ができることで処罰とかいろいろな企業秘密を守れるというのは有り難いことなんですけれども、自分が仕事をもらっている相手に対して訴訟を起こすとか又は中小零細が民事を起こすとかというのは非常に困難なわけですよ。このことについては是非、やはり日本のトップを走る企業であるとか、そういう従属的な立場の方々ではなくて、そういう方々を従える方の立場の方々、こういう方々にしっかりと指導をしていただかないと変わっていかない。  私は、商標法でもイグサのお話をしました。これもまた日本の、どことは申しませんが、商社若しくは業者がやはりその苗を持ち出して中国とかいろんなところに持っていっているわけですよ。国内でこういうことが起きているんです、残念なことに。国内の企業の個を高めようとする法律が、残念ながら国内において、自由競争でございますからこういったことは一概に規制をするわけにはまいりませんけれども、残念なことにここで議論している反対のことが国内でも起きているという事実がございます。でありますから、中小企業がなかなか伸びることができないというゆえんはここにもあると思っております。  このことを踏まえまして、このことについて、下請さんと仕事を出す側の元請さん、ここには下請代金法とかいろいろな契約等もございますけれども、こういうことも踏まえて、どのような今後、この法案を法整備することによって指導や見解をお持ちか、お聞かせいただければと思います。
  8. 石毛博行

    ○政府参考人(石毛博行君) ただいまの御質問の点でございますけれども、当然、今度の法改正で先生もおっしゃいましたように一定の効果があるものでございますけれども、お話にありましたように、金型業界、下請の中小企業が大半を占めているというような状況でございますから、私どもとしては、従来から、不正競争防止法の活用だけでなくて、その下請取引適正化ルールの徹底というものが非常に重要だというふうに認識をしております。  そういう認識の下に、先ほど、もう十年ぐらいこういうような状態が続いているんだというお話ございましたけれども、平成十四年の七月に、金型図面や金型加工データの意図せざる流出の防止に関する指針というものを策定いたしました。この指針の中では、契約内容は明確化しなくてはいけない、それから金型図面などに含まれる知的財産の管理の保護をきちっとやらなきゃいけない、それから取引内容の公正化もしなくちゃいけないと、そういうようなことを柱にいたしまして、金型の製造業界だけではなくて、そのユーザー業界団体にその指針を発出をいたしまして、周知徹底を図ってきております。  この結果、この指針を出した時点に比べますと、大分改善が見られております。この指針を出した当初には、二社に一社の割合で流出が発生しているというような調査結果であったわけですけれども、つい最近の調査結果では、これは十八社のうち一社ぐらいがそういうような流出が起こっているというような回答になっております。それから、書面での取引の割合も、第一回の調査では六割程度というふうになっていたものが、現時点では九割強の方が書面で取引をしていると、そういうようなことで、指針の効果は上がっておりますというような評価をいただいております。  そういうことに加えまして、平成十五年に下請代金法の改正を行っております。これは、金型の製造委託全般を新しくその法律の適用対象にするということで、金型の製造業者の保護を強化をして、その周知徹底を図っているということでございます。  いずれにしましても、私どもとしましては、我が国製造業の重要な、何といいますか、基盤を支える金型産業でございますので、下請代金法の厳正な運用を図る、それから業界の知的財産保護のためのいろんな自主的な活動、セミナーをやるとかマル秘マークの制作を行うとか、そういうようなこともございますので、そういう支援を行いまして、今後とも下請金型産業の知的財産保護に係る取組を一生懸命進めていきたいというふうに思っております。
  9. 松村祥史

    ○松村祥史君 いろいろなこの十年での施策やその成果についてもよく理解はできました。しかし、他方でそういった事実もあるということでございますので、御認識もいただきたいと。  また、こういうお話もされておりました。実は、これはもう競争に負けた方かどうか分かりません。実際、業として成っていけないから、実はその方々が中国に行って、実際、中国でコンサル業みたいな形で仕事をなさっていると。これは望んで中国に行かれたんじゃなくて、なかなかこの日本の中で業として成り立たないというような実情が発生してという、こういう業界のお話もあるそうでございますから、非常に残念なことだと思っております。  片方で促進を図り、個の強みを図りながら、片方でこういった方々が諸外国に出ていって、日本の技術を実際コンサル業務として教える方々になってしまっている。その基盤というのは、先ほど申し上げましたように、大手さんにお話をして、大手さんが中国に持っていって、実際はその業務を、日本から実際に成り立たないから出ていった方々がコンサル業務をやっている。こんな矛盾した話もございますので、どうかこのことも御認識いただいて、是非もっときめ細やかな対策も練っていただきたいと思います。  また、こういう方々とお話をしますと、先般、新産業連携ということで、それぞれの業界が連携できるような法案も整備いたしました。中小企業は、業としてやっていると、なかなか新産業であるとか新分野、こういった連携というのは、発想はあっても行動が伴わないというのが実情でございます。そういった観点から、私がお話しした方々もそういう、何というんでしょう、アドバイスをくれる、コーディネートしてくれる方々がいらっしゃると大変助かるなと。ちょっと甘えた意見なのかもしれません。しかし、もがいた中での苦しみでございますから、今の状況の中ではなかなか見いだせないという実情の中ではこういったことも必要じゃないかなと思います。  これ、中小企業新法のときにも、私、お話をいたしました。SWATチームみたいな形をつくっていろんなコーディネートをしてあげる。あなたの業とこの業というのは結び付く可能性があるよと。地方ではその業で成り立っているかもしれないけれども、実際、今、日本が世界を相手に闘っているときに非常に可能性がある、こんなお話をしてあげる。そしてその準備をしてあげる。誘い水を掛けてあげる。こういったことは大事なことだと思っております。そういうようなお話も御意見としていただきました。これは要望としてお話をしておきたいと思いますので、是非御理解いただきまして、今後もそういった対策を練っていただきますようによろしくお願いをしておきたいと思います。  次に、営業秘密の保護強化で罰則というお話でございますけれども、退職者の処罰の導入も今回新しく導入されていると。このことについては、例え話ですけれども、私が会社を持っていたとしましょう。そして、私が、その会社の中でナンバーワンになったり、ナンバーツーとして活躍をいただいているそういう方々が自分の能力でまた新しい企業を起こされたり、まあ退職をされると、満期に限らずですね、これはいろんな理由が発生するとは思いますけれども。そういった方々は、長年にわたって我が社においていろんな営業ノウハウから顧客から名刺であるとか、こういった交換によっていろんな情報を持っていらっしゃる。ましてや、その柱となって頑張っていただいた。これは経営者と従業員の関係でございますから、しっかりとその方を引き止めることができなかった経営者の力不足もありましょうけれども、こういう方々がまたその業界に出てきて、新しい会社を起こして我が社の秘密を、無形の部分かもしれません、しかし間違いなく我が社の秘密であるという立証ができない状態のままでそのことが漏れたとします。  こういったものに関しては、実際、処罰の対象になり得るのか。このことについてちょっとお尋ねをしたいと思います。
  10. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 今回、退職者による営業秘密の漏えいについて刑事罰を導入いたしましたのは、様々な議論の末に、在職中に自ら約束をするとかあるいは請託を受けたという範囲に非常に狭く限定をして刑事罰を導入をしております。これは転職、職業選択の自由との兼ね合いその他もございまして、非常に限定した範囲で、悪質なものに限って処罰の対象にするということにいたしました。  今、御指摘のようなケースでありますと、自ら起業されるとか円満に退社された後の起業ということになりますと、この刑事罰の対象にはなりません。現行法では、これは民事救済の対象になるということであろうと思います。損害賠償請求とか差止め請求の対象にはなり得ますけれども、刑事罰の対象にするのは、今回、対象にしておらないということでございます。  それから、先生御指摘のとおりでございまして、そもそもこういう部分について日本の企業社会は従来は信頼関係ででき上がっておったということであろうと思います。ただ、信頼関係だけでは今十分でないという状況になりましたので、できれば退職時の守秘義務契約、営業秘密の管理契約みたいなものが結ばれればこういうトラブルの防止になるだろうと思います。それから、退職者に対する処遇のことも併せて防止策になるだろうと思いますけれども、法律上は刑事罰の対象にしておらないということでございます。
  11. 松村祥史

    ○松村祥史君 よく分かりましたけれども、中小企業というのはその従業員との契約、この点についても確かな定めがないところが間々ございます。そして、こういったお話というのは中小企業においてはよくある話でございます。円満退社ではなく独立をされたり、大企業においてはヘッドハンティングというような形でそういうこともあり得るかと思いますけれども、この辺は非常に規定しにくい部分であろうと思いますので、そのことによって経済が活性すれば結果としていいわけですけれども、その逆もあり得ますから、是非このことはまたいろんな意味で指導をしていただくようにお願いしたいなと思っております。  次に、模倣品・海賊版対策についてお伺いをしたいと思いますけれども、これは衆議院の議事録でございましたけれども、特許庁の調査で平成十五年、中小企業にアンケート調査を行い、被害と思われる調査をしたそうでございますけれども、その被害の中で一番その被害国として挙げた例というのが、中国が大半を占めたということでございます。次いで台湾、韓国ということでございますけれども、中国における模倣品や海賊版問題については、今回の不正競争防止法案の改正により、これは実際対応は可能なのかどうか、まずこのことをお尋ねをしたいと思います。
  12. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 海外における偽ブランド品あるいはコピー商品についてのお尋ねでございますけれども、今回の不正競争防止法の改正によりまして、日本国内における偽ブランド品やコピー商品の製造・販売だけではなくて、輸入につきましても刑罰の対象にすると、こういう措置をとっております。それから、今国会で成立をいたしました関税定率法の改正によりまして、今後税関における輸入差止め措置が可能となります。  こういった措置によりまして、日本が大マーケットであるということを考えますと、そういう日本における模倣品・海賊版の輸入・販売等が規制をされることになりますので、中国における模倣品・海賊版の製造にも影響を与え、現状を大きく改善する効果があるというふうに考えております。  ただ、中国など外国における模倣品・海賊版の製造そのものにつきましては日本の法律によって取り締まるということはできませんので、それぞれの国の法律によって執行していただくということになろうかと思います。この点につきましては、中国国内における模倣品・海賊版の製造行為や販売行為につきまして、中国の法律に基づいて中国の関係機関が取り締まるというふうなことを様々な外交ルートも含めまして、様々なまたルートで中国政府に働き掛けを行い、適切な対応が取られるように働き掛けをしてまいりたいと考えております。
  13. 松村祥史

    ○松村祥史君 中国には日本の法律が及ばないとするならば、現地法による対応が必要だとは思います。そもそも中国には商標法とか意匠法とかというのは存在するんでしょうか。この点をちょっとお尋ねをしたいなと。  また、その整備や運用に対する協力、今お答えをいただきましたけれども、具体的には今後どのようなことをこの法整備によって、もっと働き掛けますよというようなことがございましたらば教えていただきたいと思います。
  14. 小川洋

    ○政府参考人(小川洋君) 中国におきます法制度の整備状況でございますが、中国は二〇〇一年の十二月にWTOに加盟をいたしまして、その結果TRIPs協定を遵守する義務を負っております。このため、知的財産関連法制度につきましてもTRIPs協定に整合した法整備がなされております。具体的に申しますと、商標は商標法によりまして、それから意匠につきましては専利法、専ら利用する専利法でございますが、専利法によって保護されております。したがいまして、まず我が国の企業はその中国で権利を取得するということがその権利を守るという意味で大前提になるわけでございます。  今お尋ねの中国に対する協力の問題でございますけれども、今申し上げましたように制度は整備されてきてございますけれども、運用面といいますか、執行面で不十分な点、あるいは制度整備がなされたとはいいながらも我が国の制度と比べたらまだ保護のレベルが十分ではないと、そういった面もございます。したがいまして、私どもはいろんな機会、いろんなレベルで働き掛けを行ってきております。  特許庁でいいますと、私は日中の特許庁長官会合というのを定期的に開いてございます、持っておりますけれども、その機会を使いまして、中国に対しまして更なる制度の整備、あるいは厳正な執行など制度の運用面での強化を求めてきてございますし、先生御指摘のそれらと併せまして、必要な人材育成等の協力をやってきておるところでございます。  具体的に少し御説明させていただきますと、人材育成につきましては、まず中国の取締り当局の職員に対しまして、現地で私ども赴きましてセミナーを開催をしております。それから、中国から審査官、あるいは裁判官、取締り当局の職員を日本に招きまして研修を行う。それから、私どもの特許庁の審査の専門家を中国に派遣をしていろんな説明を行うと、そういったことをやってございますし、今年はさらに、中国の審判官、事後的な問題が起こった場合の審判官がそういう仕事をするわけですが、審判制度や私どもの、日本の審判制度やその運用につきまして、中国の審判官を日本に来ていただきまして講習会をやると、そういった形で拡充強化を図っていきたいと考えてございますが、今後とも、まず権利行使をしようとします企業に対して情報提供、中国における制度の情報提供を行っていくというのが一つでございますし、中国政府に対しまして商標、意匠等の知的財産制度の一層の制度の整備、あるいは運用、執行の強化ということについて働き掛け、求めをしていきたいと思ってございますし、それらを支える基盤となります人材の育成に協力していきたいというふうに考えてございます。
  15. 松村祥史

    ○松村祥史君 大変、具体例まで挙げていただいて、よく分かりました。実際、知的財産侵害事犯の取締り状況についても語っていただきましたけれども、様々な取組をされていることはよく理解ができました。  しかし、実際、この法案を成立することで、今中国との関係も大変不安定でございます。実際、こういったことをしっかりと我が国として中国政府に働き掛けていく必要があると思っておりますし、また、中国だけに限らず、EU諸国を含めまして、いろんな活動が、政府一丸となっての取組が必要だと思いますけれども、このことについて改めていま一度見解をお伺いしたいと思います。
  16. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 中小企業が持っておるノウハウも含めまして、知的財産、知的資産の重要性ということは、私ども、経済産業政策の重点に取り上げておるわけでございます。これの知的財産を保護するために、こういった不正なコピー商品、偽ブランドあるいは営業秘密の漏えいについて、こういった法律上の措置と併せて意識の啓発活動、こういったものも含めまして、知的資産が大切にされ、知的資産が日本の企業の競争力の源泉になるような施策を各方面で進めてまいりたいと考えております。
  17. 松村祥史

    ○松村祥史君 これは、外交問題も含めまして大変微妙な問題ではございますけれども、我が国経済を高めていくという意味では非常に大事なことであろうと思っておりますので、是非強い意志を持って今後も働き掛けをしていただきますように強く要望しておきたいと思います。  海賊版・模倣品が入ってくるに当たりましては、税関でいろいろな差止めをやるわけでございますが、現在、水際での差止め策、この実績についてはどのようになっておりますでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
  18. 青山幸恭

    ○政府参考人(青山幸恭君) 税関の取締り状況につきまして御説明を申し上げたいと思います。  今の知的財産権の部分でございますが、商標権、特許権等の知的財産を侵害する物品につきましては、関税定率法の規定によりまして輸入禁制品というふうになっておりまして、従来から税関が取締りをやっているというところでございます。この税関におきます知的財産侵害物品の差止め件数でございますが、これは年々増えております。平成十六年におきましては九千百四十三件ということで、対前年比二三・四%増という形になってございます。これは年々伸びてきているというところでございます。  以上でございます。
  19. 松村祥史

    ○松村祥史君 年々伸びているということでございまして、その中国との関係が深まったのか、若しくは中国の生産が増えたのか、日本の輸入量が、買う側が増えたのかと、非常に複雑な問題でございますけれども、いずれにしましても、これは水際でしっかりと食い止めていただいて、しっかりと対応をやっていく必要があると思っております。  今回の法改正及び関税定率法の改正によって新たな税関での水際の取締りが可能になると思いますけれども、権利登録されていない今回の不正競争防止法違反物品についてはどのような分類をされるのか、また判断されるのか、非常に難しいんじゃないかなと思うところもございます。この点についてはいろんなことを少し教えていただければ有り難いんですが。
  20. 青山幸恭

    政府参考人(青山幸恭君) ちょっと御説明させていただきたいと思います。  知的財産権侵害物品でございますが、これはいろいろなものがございます。今回新たにこの不正競争防止法に係りますいわゆる形態模倣等につきまして、これはなかなか権利性という意味では難しゅうございます。したがいまして、今回の関税定率法等の改正の中におきましても、これらの侵害物品につきましては経済産業大臣への意見照会制度というのをあらかじめ設けておりまして、経済産業大臣のスクリーニングを経た部分につきまして、私ども税関当局としてこれを受理した形で、具体的に物が来た場合はこれを差し止めるというやり方にしてございます。さらに、その差し止めた段階で疑義が生じるという場合におきましては、これはまた、経済産業大臣にまた照会をするというような形で省庁間の連携をきちっと図りながらやろうというふうに思っておるわけでございます。
  21. 松村祥史

    ○松村祥史君 法を整備することも重要なんですが、その体制についても整備が必要であろうと思っておりますが、この点についてはどのような体制を取られるかがまず一点と、それから、知的財産侵害品を取り締まる体制はどのようになっているか、このこともお尋ねをしたいと思います。
  22. 青山幸恭

    ○政府参考人(青山幸恭君) 知的財産の水際の取締り体制という御質問でございますが、まず知的財産侵害物品取締りを専担いたします知的財産調査官等というのがございます。これは職員四十五名でございますが、これを各税関の本関といいます、ヘッドクオーターでございますが、ここに配置しているところでございまして、平成十七年度におきましても五名増員するというやり方にしてございます。  さらに、地方でございますが、主な支署、出張所というのが地方にございますが、ここにおきまして、統括審査官という課長クラスでございますが、これらの管理職百二十七名を知的財産の担当官に指定してございまして、税関におきましては、これらの知的財産の調査官等を中心にいたしまして、私ども通関部門とあと監視部門と言っておるわけでございますが、ここにおきまして水際取締りを行っているというところでございます。  この体制の整備と併せまして、もちろん職員の教育訓練というのが一番大事でございますので、この点につきましてもきちっとやらせていただいているというところでございます。
  23. 松村祥史

    ○松村祥史君 こういった海賊品・模倣品というのは、法の目をかいくぐるのが得意な方々がやっていらっしゃるのが通常でございます。そういう意味では、是非体制を整えるとの意味も含めまして、やっぱり現場に出ていらっしゃる方々の意識の高さ、このことが必要だと思います。そういう意味では、これはちょっと民間的発想過ぎますが、成果主義なんていうのも必要なところもあるやもしれません。やはり、意識さえあればいろんなものに目が届きますし、そういったことも必要なのかもしれないなと思ったところでございますので、これは御検討もいただくということでぶつけておきたいと思っております。  それでは、警察庁にお尋ねをしたいんですが、我が国における知的財産侵害事犯の摘発状況については、今現在どのような状況か、お尋ねをしたいと思います。
  24. 荒木二郎

    ○政府参考人(荒木二郎君) お答えを申し上げます。  過去三年間、警察で摘発いたしました知的財産権の侵害事犯は、ほとんどが商標法違反と著作権法違反でありますけれども、平成十四年が二百四十六事件、四百三十五人、平成十五年が二百四十五事件、四百三十一人、平成十六年が三百五十九事件、六百四十四人となっておりまして、年々増加傾向にございます。  その主な特徴でありますけれども、偽ブランド品の大半は韓国、中国から輸入されたものであること、偽ブランドの販売事犯の約四割は街頭で販売されておりまして、そのうち約七割は来日の外国人によるものであること、またインターネットオークションを利用して販売する事犯が増加をしていることが挙げられます。
  25. 松村祥史

    ○松村祥史君 これは先ほどもお尋ねをしましたけれども、今回の法改正によって、模倣品・海賊版等の取締り強化のためには警察庁もどのような体制を取られるお考えなのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  26. 荒木二郎

    ○政府参考人(荒木二郎君) お答えを申し上げます。  知的財産権の侵害は、知的財産の創造意欲の減退、あるいは消費者の利益を侵害する大変悪質な事犯だと考えておりまして、これまでも強力な取締りを推進しておりますけれども、体制的には、今年の春、既に警察庁に知的財産権保護対策官というものを設置をしまして、体制を強化したところであります。  今回、不正競争防止法の改正がなされました場合には、警察庁といたしましては、その改正の趣旨、内容等につきまして都道府県警察に周知徹底をいたしますとともに、先ほど申し上げましたように偽ブランド品の大半は韓国、中国から輸入されたものでございますので、韓国、中国の捜査機関との情報交換、あるいは税関等と連携した水際での取締り、さらに、インターネット利用事犯が増加しておりますことから、サイバーパトロールを一層強化してまいることといたしております。  さらに、消費者の中に偽ブランドと知りつつ買う方もおられますので、そういうことがないように広報啓発活動にも一層配意してまいりたいと、かように考えております。
  27. 松村祥史

    ○松村祥史君 こういったことはやはり意識の問題であろうと思いますので、是非現場の警察官の方々に意識の徹底、周知の徹底をやっていただきたいなと思います。  また、こういったものは、個人輸入によっていろんなことをやられている日本人の方もいらっしゃるわけですけれども、交通事故程度の軽微な処罰であるとか、こういうことをやることによってやはり国民の皆さんにその意識の高揚を図っていく、こういうことも必要じゃないかと思いますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  28. 石毛博行

    ○政府参考人(石毛博行君) 今先生御指摘のとおり、個人輸入によってもかなりそういう被害が出ているのではないかという感じはいたしますけれども、そのときに非常に重要な点は国民の意識であろうと思います。  先ほど警察庁の方からもそのような指摘がございましたけれども、私ども承知しているところでは、昨年の七月に内閣府で実施をしました世論調査の中で、偽物を購入するのは仕方がない、購入してもよいと、そういうような回答を行った方が四六・九%いらっしゃると、購入すべきではないと思うという回答が三九・六%で、それを上回っているという状況であるというふうにその調査は言っております。こういうような、模倣品とか海賊版の購入に対してこのような寛容な感じのことでは、この模倣品の何といいますか、撲滅というのはなかなか難しいんじゃないかという感じがするわけであります。  それで、この六月の十日に、御案内のとおり知的財産推進計画二〇〇五というのを出しているわけですけれども、その中でも、国民啓発の強化だとかあるいは個人輸入などの取締りに関する検討といった取組を進めていくべきであるということが言われております。  こういうことを踏まえまして、私どもとしましては、国民の意識向上のための模倣品・海賊版撲滅のキャンペーンということ、そういう幅広い取組を進めておりますし、それから個人輸入につきましては、関係の四省庁、警察庁、法務省、財務省、文部科学省と連携をしながら、ほかの国の知財法制度の中で個人輸入の規制がどういうふうになっているのか、それから国内のほかの法制度との関係がどういうふうになるのか、そういうことの検討を進めまして、今後どういう取組ができるのか更に検討を深めていきたいというふうに思っております。
  29. 松村祥史

    ○松村祥史君 個人輸入の方々も巧妙かつ迅速になっております。そういう意味では、そういう方々を取り締まることも必要ですけれども、やはりそういったものを買う方々に対する意識というのは、これは非常に大事なことだと。買ってもしようがないなんというのが当たり前の世の中では私はおかしいんじゃないかなと。その時代背景がそうさせてしまったということもあろうかと思いますので、やはりいま一度そのことは強く認識をして、やはりそういう意識の高揚を図っていくことが大事だと思いますので、今後も努めていただきますようにお願いをしたいと思います。  続きまして、関連法の規定の整備で、今日は弁理士、日本弁理士会の方もおいででございますけれども、弁理士の方々の欠格事由の追加、裁判外紛争解決手続における弁理士の代理権の整備ということで関連の法も整備されておりますけれども、弁理士のお話は先般の商標法でも少しお話をいたしました。今全国で六千人強の方々ということでございますが、若干の不足も感じておりますし、地域格差もございます。  そんな中で、特許庁及び日本弁理士会の今、取組、この点についてはどのような、今後、また今の取組、ちょっと教えていただければと思います。
  30. 小川洋

    ○政府参考人(小川洋君) お答え申し上げます。  知的財産立国を実現していく上では、地域あるいは中小企業を含めて全国的に知的財産に対する意識を高めていくということが一つ大事になります。それと併せまして、中小企業を始めとします事業者の要請に的確に対応できるような情報、人材といったいわゆる知的財産の基盤の整備、これが大事になります。弁理士活動の地方展開というのはその中の重要な課題の一つでございます。  現在、御指摘のとおり弁理士さんは約六千名強いらっしゃいますけれども、平成十四年度の弁理士試験の改革を行いまして、ここ三年、三割近く合格者が増加してございます。最近では、弁理士が一人もいらっしゃらない都道府県というのはなくなりました。そういう状況にございます。  また、日本弁理士会も会則を改正しまして、都市部の弁理士事務所が地方にも支所が設けられるようになりましたので、その結果、現在、昨年末現在でございますが、二百三十六の支所というのがつくられまして、弁理士活動の地方展開は進みつつあるということでございます。  しかしながら、御指摘のとおり、依然としてやっぱり利用者の多い東京、大阪等に集中しているという嫌いがございますので、私どもは、地域におきまして知財に対する意識の向上を図りながら、弁理士の地方展開により一層努めたいということでございます。  具体的な取組を簡単に申し上げますと、従来から行っております出願に関連します相談事業につきまして、今年度から私ども特許庁は、従来からの地元の弁理士さんだけではなくて、地域ないしは利用者の要請に合わせて全国から適切な弁理士の方を派遣するとか、そういったこともやりたいと、きめ細かくやっていきたいというふうに考えてございますし、日本弁理士会におかれましても、弁理士に関する情報の提供の充実、あるいは無料相談会を行うための相談窓口の増加、それを全国で増やしていく、また都道府県単位で相談窓口で担当弁理士さんを置く、その弁理士さんが中心となりまして、本部と連携しながら出願対応をしていくと、十分な出願対応をしていく、そういった取組、体制強化に会としても取り組み始めておられるわけでございます。  こういった取組と、それからそもそも弁理士試験制度を通じました弁理士の数の増加と併せまして、こうした取組によりまして地域のニーズにより一層こたえていきたいというふうに考えてございます。
  31. 松村祥史

    ○松村祥史君 いろんな取組は進められていらっしゃいますし、地域への派遣という点でも非常に積極的にやっていただいているなと思っておりますけれども、まだまだユーザーの方々に弁理士さんの皆さんの専門性についての周知も届いていないんじゃないかなと。かく言う私も、企業家をやっておりましたときにお世話になったことがなかったものでございますから、そういう意味では、やはりそういったものもしっかりと周知していただくような何か改善策も必要じゃないかなと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  32. 小川洋

    ○政府参考人(小川洋君) 利用者に対しまして弁理士情報の提供というのは非常に、極めて重要であるというふうに思っておりまして、これまでも特許庁といたしましては、より的確に必要とする弁理士さんに関連する情報が入手できるように、弁理士会に対しまして、各弁理士に関しますデータベースの充実を図っていただきますこと、またそれを的確に提供できるように要請をしてきたところでございます。  その結果、現在、弁理士会におきましては、まずユーザーからの問い合わせ、相談に応じまして各弁理士に関する情報を提供するというものと、それからホームページ上に弁理士リスト検索システムというのをつくってございまして、ユーザーさん、利用者が弁理士を、その所在地、それから例えば特許、意匠、商標、外国特許が強いとかそういった専門分野、それからバイオでありますとか輸送機械に強いといった技術分野、この三つによって検索ができるように今してあります。  さらに、これからでございますけれども、弁理士会といたしましては、一層充実した情報提供を行おうということで、今申し上げました三つの点に加えまして、出身大学でありますとか実績、例えば技術分野ごとにどういう出願等の実績がおありなのか、あるいは専門分野、技術分野に関する著作、論文がどんなものを出されているかと、それから弁理士以外に国家資格、例えば技術士の資格を持っておられる、そういった情報に加えましてホームページのアドレス、こういった、現在、弁理士会の方では任意で各弁理士さんが提供されております情報につきましても、十月ごろまでに、この任意の情報をユーザーが、利用者が検索できるようにシステムを改善していくというふうに伺っております。  こういったことを通じまして、まずは利用をしていただく、で、ユーザーの意識が高まる、そしてまた利用していただくと、こういった好循環が出てくることを期待をしておる次第でございます。
  33. 松村祥史

    ○松村祥史君 是非、しっかりとしたバックアップをいただきたいなと思っております。  時間もございませんので、最後に、政府におかれては、知的財産戦略本部において知財政策が展開されている中で、各地域、隅々まで知財政策が行き渡っていないという問題点が私はあるんではないのかなというふうに考えております。いろんなネットワークの活用によってこのことをしっかりと浸透させていく、また意識の高揚を図る中で伝えていくという意味では、ネットワークの構築、またその確立が必要であると考えておりますけれども、最後に、このことについてどのような対策を取られるか、また若しくはどのようにお考えなのかお尋ねをして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  34. 小川洋

    ○政府参考人(小川洋君) お答え申し上げます。  現在、政府は知的財産戦略本部を中心に積極的に関連施策を展開しておりますけれども、これらの施策が各地域で十分活用されるということが大事でございまして、そのためには、御指摘になりましたように、関連の組織あるいは人材等によるネットワークの形成が非常に効果的であると私ども考えてございます。  このため、今年度からでございますが、全国にございます各経済産業局ごとに、地域の官民の関係者から成ります地域の知的財産戦略本部というものを新たに設置いたしまして、地域の特性、創意工夫を生かした計画を作っていただきまして、その計画に従いまして関連施策を一体的、計画的に投入していきたいというふうに考えてございますが、その地域の知的財産戦略本部の活動の一環といたしまして、産業クラスター、TLO、大学の知財本部、それから地方自治体の知的所有権センター、あるいは中小企業支援センター等、関連の機関の連携強化を図る。それから、そういった組織と弁理士さんを始めとします関係人材とのネットワークを構築をするということを今考えてございまして、その準備をしているところでございます。  そういったものを通じまして、関係者の意識の向上、それから、関連施策の、全国津々浦々、地域に至るまでの周知徹底と、それらの地域の方々による有効活用といったものを図っていきたいと思ってございます。
  35. 松村祥史

    ○松村祥史君 ありがとうございました。
  36. 平田健二

    ○平田健二君 おはようございます。  今日は、法案に入る前に、繊維のことについて若干お尋ねをしたいというふうに思っております。  といいますのは、今、昨年末に繊維のクオータ制が廃止になって、アメリカ、ヨーロッパ、EUですか、を中心に、繊維製品が大量に輸出されたと。アメリカとかヨーロッパに大量に入ったということで、アメリカ、ヨーロッパがいわゆるセーフガードを発動する、あるいは発動の準備をする、こういう報道が次々になされております。  特にアメリカの場合は非常に敏感でして、特に、アメリカの商務長官が五月の十八日に、アメリカの繊維業界とその雇用を守るというアメリカ政府の決意を示したものだということで、アメリカの繊維産業の雇用を守る、産業界とそれから雇用を守るときちっと発表して、セーフガードを発動する。それに対して中国は、関税を引き上げたりあるいは引き下げたり、いろんな対策をやっているわけです。  アメリカの場合は、クオータ制が廃止になれば大量の繊維製品がアメリカへ入ってくるということを察知して、昨年末のクオータ制の廃止になる前から予備的に業界に対して調査をさせて、そして大量に入った途端に発動する、こういう準備をしてきたわけですね。ヨーロッパもそれに追随といいますか、同じような形で議論を中国と始めた。  そこで、アメリカの対中国繊維特別措置の発動要件と手続について、分かっておる範囲で御説明いただきたいというふうに思います。
  37. 石毛博行

    ○政府参考人(石毛博行君) ただいまの御質問の点にお答えいたします。  アメリカの制度でございますけれども、二〇〇一年の中国のWTO加盟のときに規定されました対中繊維特別措置というものがございまして、それに基づいてアメリカも特別の手続を定めております。  まず、繊維製品の生産者などから成ります業界団体あるいは企業等からの申請に基づきまして、商務省、USTR、国務省、労働省、その四省庁から成る繊維協定実施委員会、CITAと言っていますけれども、そこが、どのような貿易の状況になっているか、それから中国の製品が米国の産業にどういう影響を及ぼしているか、そういう調査を行います。その調査を行った結果、それに基づいて中国との協議要請を行うかどうか、そういうものを決定するということにまずなっております。  それから、協議要請を行ってから九十日以内に、今想定している中国との協議が不調に終わった場合、その場合は協議要請の日から十四か月前の日を起算日とする十二か月における中国繊維製品の輸入量の一〇七・五%の水準に輸入量を制限することが可能となると。要するに、粗っぽく言いますと、要請日の約一年前の輸入量の一〇七・五%の水準に輸入量を制限できるということになっております。  そういうことでございますので、協議要請日から、輸入量がその当該定められた水準、その前年の一〇七・五%の水準、それを超えた時点で中国繊維製品の輸入は差し止められて、その輸入差止めはその年の年末まで継続すると、そういう仕組みになってございます。  現在、この措置に基づきまして、アメリカは、本年五月二十三日に三つの品目、すなわち、綿製のニットシャツ、それからブラウス、それから綿製のスラックス、それから綿製及び化合繊製の下着類、そういうもの、それから、五月二十七日に四品目、綿糸だとか化合繊のスラックス等々でございますけれども、そういうものについて、輸入の急増が生じたということで、中国に対して協議要請を行っているところでございます。  今後、中国との協議が不調に終わるということになれば、今とっている輸入制限措置が確定をするという形になってくるものでございます。
  38. 平田健二

    ○平田健二君 EUも公式協議を行ったと聞いておりますけれども、どのような合意がなされたのか、あるいは中国の輸出関税の問題、どのようになっておるのか。最初に切り上げると言ったり、十日後にはもう廃止すると、こういったことを発表しておるわけですけれども、この辺について分かっておる範囲で御説明をいただきたいと思います。
  39. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) 最初に、EUと中国が最近協議をして合意をしたというその内容についてお答えしたいと思います。  この合意は六月十一日に行われているわけでございますけれども、中国側が二〇〇八年末までにEU向けの中国繊維製品の輸出伸び率について管理をすると。具体的には、EU側がセーフガードの調査をその直前まで行っていたわけですけれども、その行っていた九品目と、それから今後輸入の急増が懸念されるという綿織物、合計十品目につきまして、二〇〇五年から二〇〇七年の間に中国側は年率八%から一二・五%増の範囲内に輸出量を抑制すると、そういう内容になっております。  それから、もう一つお尋ねの、中国側はそういう中でどういうような措置をとっているのかということでございますけれども、中国側は今年の一月になりまして、輸出税を新たに設定をして、アメリカ、EU側のセーフガード措置を回避しようという試みを行っております。ただ、先ほど申し上げましたように、アメリカについてそういう調査が進行中である、それから暫定的な措置がとられていると、そういうことを踏まえまして、一部の品目については輸出税の設定を撤回をするというようなことも行っていると承知をしております。
  40. 平田健二

    ○平田健二君 そこで、日本の対応なんですが、日本の対中繊維特別措置ですけれども、市場の攪乱又は市場攪乱のおそれがある場合ということで、従来の繊維のセーフガード、TSGよりも発動要件が多少低く設定をされておるわけですけれども、そのおそれがある場合とはどういうことなのか、あるいは、おそれがあればアメリカのように予備的な申請を受理するのか、そういったことが日本で可能かどうかということについてお答えいただきたいと思うんですが。
  41. 柴生田敦夫

    ○政府参考人(柴生田敦夫君) お答えいたします。  今御指摘ありましたように、対中繊維特別措置につきましては、国内制度上、中国繊維製品等の輸入による本邦の産業の市場攪乱又はおそれの事実について、十分な証拠がある場合において、必要があると認めるときは調査を行うということとされております。  このため、政府といたしましては、調査を行うに当たりましては、国内の生産者又は生産者団体からの措置の発動の要請がなされる場合に、中国からの輸入量、市場シェア等、市場の攪乱のおそれを示す一定のやはり客観的なデータや数字を経済産業大臣に提出していただくということが必要になりまして、このことによりプロセスは開始されるということになってございます。
  42. 平田健二

    ○平田健二君 結局、クオータ制が廃止になって、中国が輸出関税も掛けない。ある表現では、ダムが決壊したように大量の繊維製品が世界じゅうへだあっと出ていったと、こういうふうに表現をされているわけでして、そのことによって中国以外の、繊維産業が非常にその国の主要な産業となっている開発途上国といいますか、そういった国々が大変な脅威にさらされておるということが言われております。  このことについて、輸出関税が廃止になり中国の繊維製品が大量に世界じゅうへ散らばっていくということについて、世界に与える影響、こういったことについてはどのように考えておるか、ございましたら、お聞きしたいと思います。
  43. 石毛博行

    ○政府参考人(石毛博行君) お答えいたします。  先ほど、中国の輸出関税について一部撤回したというふうに申し上げましたけれども、実は一月一日に百四十八品目について輸出税を設定をしたわけでございますけれども、そのうち約八十品目についてアメリカがセーフガード措置を発動したということで、撤回をいたしまして、現在六十八品目について輸出関税が掛けられております。そのうち五品目については、ある段階でさらに、一月一日に関税を掛けた率を引き上げているということで、中国は完全にその輸出税についてやめてしまったというわけではございません。それが第一点。  それから第二点でございますが、そういうアメリカあるいはヨーロッパの中国製品に対する輸入制限的な行動によりまして、当然、そういう市場を目当てにして作った商品がほかの市場に流れる、いわゆるダイバージョンと言っておりますけれども、そういったような効果が生じる可能性がございます。  私どもとしましては、そういうことが起こっているのかどうか、とりわけ日本のマーケットについてずっと注視をしているわけでございますけれども、現時点においてその統計データを見る限りにおいては、そういう情勢にはなってないというふうに認識をしております。  ただ、そのおそれはございますので、そういうアメリカあるいはEUが中国との間で合意してとっている措置、あるいは一方的にとっている措置、そういうものの対象になっている商品について、十分、ある種の監視リストに載せまして、中国側に我々はそういう品目について監視をしていますよということを通報をして、中国側からの輸出が日本向けに洪水的に生じないように、そういうウオーニングを発しているという状況でございます。
  44. 平田健二

    ○平田健二君 経済産業省が、欧米の対中セーフガード措置発動に対する我が国の対応ということで一、二、三、四項目に挙げて出しておるわけですけれども、六月一日で、今年のですね。その中の二番目にあるんですよ。繊維協定が失効した後も、輸入浸透率の高い我が国には直ちに大きな影響が生じるわけはないと、こう考えているんですね、こういうふうにおっしゃっているわけですよ。それはそのとおりですね。もうほとんど中国の製品が、輸入浸透率が九割以上、ある製品によるともう九五%ぐらいが全部輸入ですから、それは影響ないのは当たり前なんです。  ところが、日本の国に入っておる衣料品の九〇%以上が中国製品あるいは海外からの製品ですね。この第一・四半期でも、中国からの繊維製品の輸入は前年同期よりも七%増。これ以上中国からの繊維製品の輸入は、辛うじて生き残っておる日本の国の繊維産業の息の根を止めないか、そういう事態に今陥っているんではないかなというふうに私は思っております。  輸出関税の廃止が、今お話がありましたけれども、そういったことについて、日本の繊維産業にどのような影響があるのか。先ほどちょっと世界への影響を聞きましたけれども、日本の国はどういう影響を受けるのか、これについてちょっと見解をお聞かせいただきたいと思います。
  45. 石毛博行

    ○政府参考人(石毛博行君) 中国が一月一日に輸出税を百四十八品目について取って、その後、約八十品目について撤回をしているわけですけれども、当然その撤回したことによって、その当該商品、対象商品は輸出しやすくなるというような効果は持つものと思います。  それから、アメリカあるいはヨーロッパの側でとった措置、そういうことによって商品のダイバージョンが起こってくる可能性はございます。ただ、今、平田先生もおっしゃったとおり、日本のマーケットは既に相当高い輸入浸透率の状況になっております。そういう中で、私どもが把握している数字とはちょっと異なる数字でおっしゃいましたけれども、私自身が把握しているところでは、衣料品についてはこの一―四月期に前年比で二・三%の増加ということでございます。そういうようなことで余り、非常に深刻な影響が出ている、いずれにしても、現時点で非常に深刻な影響が出ているわけではないというふうに思っておりますけれども、先ほど答弁させていただきましたように、ただ、可能性として今後どういうふうになってくるかというのをよくウオッチをしながら見ていきたいと。もし、そういうことの中で急激な輸入増というようなことが起こってくれば、私どもとしては国際ルールに従って対応していくというのが基本であろうというふうに思っております。
  46. 平田健二

    ○平田健二君 私は今ちょっと聞き捨てならないといいますか、おやっと思ったんですがね、我が国の繊維産業に深刻な影響を与えていない、そんなに打撃を与えていないというふうに今聞いたんですけれども、私はそんなことないと思うんですよ。私はたまたま選挙区が岐阜でして、私は岐阜の川島町、今は各務原市になりましたけれども、そこに住んでおりまして、そこはほとんど撚糸の家内工業ですね、松田先生も御存じですけれども。ほとんど機械は動いておりませんよ。廃業ですよね。それから、岐阜の繊維も、中小企業の皆さんはほとんど廃業、転廃業ですよ。全部とは言いませんがね。  私は、これは大臣にお聞きしたいんですが、この委員会でポプリン・ブロード、それからタオルの業界からのセーフガードの要請があり、経済産業省が調査をしたり、やっていただきました。セーフガード問題、ずっと取り上げてきたわけですけれども、日本は国際的なルールにはない、これをセーフガードをすることによって構造改善の見通し、詳細な資料作成、こういった自主規制を、日本の国は自主規制したわけですね。さらに、かてて加えて中国への配慮、政治的な判断ということもTSG発動の要件にしてきた。結果、今日までTSGは一度も発動されなかったというふうに私は思っておりますが、間違っておったら指摘いただきたいんですが。そのほかの、これだけではありませんが、そのほかの要因もあって、国内の繊維産業は壊滅的な打撃を私は受けたというふうに思っておりますし、先ほども言いましたように、岐阜の地域の経済も大変な状況に陥っております、今日。繊維製品の八割が輸入され、その八割を中国製品が占めております。  私は、今日まで、国際ルールに基づいた厳格な協定の運用をこの委員会で言い続けてまいりました。結果として発動に至らなかったことは大変残念に思っております。TSGの発動を見送ったことが今日の繊維産業の苦境をつくり出したとは思いませんが、果たしてTSGの発動を見送ったことが正しい選択であったかどうか、大臣にお尋ねをしたいと思います。
  47. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) まず冒頭、遅くなりましたことをおわび申し上げます。  この不正競争防止法に関連いたしまして、今、平田委員から繊維製品、これは主に中国の繊維協定がなくなったことによってアメリカ、EU等に大変な大きな影響を与えている。私も平田委員と一緒で、日本に影響がないとは言えないと実は思っております。ただ、影響の程度がアメリカやEUに比べて劇的ではないという差はあるんだろうと思っております。私は、WTOの交渉をいろいろやっておりまして、やっぱり繊維というのはアメリカ、EUといった先進国から例のコットン四か国、ブルキナファソ、マリ、ベニン、チャドといった最貧国に至るまで、すべての関心事項、重要品目になっているからこそ、アメリカとアフリカ四か国がはっきり言えばかなり激しい闘いをやっているという現状を目の当たりにして、何とかこれを解決できないかなというふうに思っているところでございます。  日本にとりましても、御地元の岐阜、あるいは今治のタオルといった地場産業が大きな影響をここ数年間、影響を受けているということも私自身承知をしておりますし、そういう意味で繊維というものは日本にとっても非常に重要な品目だというふうに思っております。  他方、日本はブランド化あるいは付加価値化という観点から、より付加価値の高い繊維製品を作っていこうという今政策に転換をしつつございますので、そういう意味で日本としても世界の競争力、とりわけ中国等に負けないような競争力のある繊維製品を作っていくことも大事だと思いますけれども、いずれにしても、日本にとりまして競争力がない、WTOルール上非常に問題があるということについてはきちっとした対応を、先ほど、おそれがある云々という御議論がございましたけれども、そういう観点からきちっとした対応を必要であれば取っていく必要があるんだろうというふうに考えております。
  48. 平田健二

    ○平田健二君 当選以来十年になりますが、この繊維のことについては機会あるたびにこういう質問をさせていただきました。それもこれも、だんだんだんだん繊維も、岐阜だけではございませんが、日本の繊維の産地というのがだんだんだんだん縮小していく、むしろもうなくなっていくという状況になっておりまして、大変残念なことだというふうに思っております。確かに日本は繊維の輸出国でございました、以前は。昭和四十七年、一九七四年でしょうか、昭和四十八年、日米繊維交渉がありました。その時点までは日本が輸出国でございました。だんだんだんだんそういった輸出国から輸入国になって、確かにセーフガードを発動することは難しい状況になっておることは分かりますが、繊維産業の置かれておる苦境というのをもう少し、やはり日本の国の経済産業省ならば、日本の国の繊維産業の実態をもう少しやっぱりきちっと見て、保護せいとは言いませんが、何らかの手当てをしていただきたかったなというふうに思っております。  そういうことを言ってもしようがありませんので次に移りますが、まず、不正競争防止法の一部を改正する法律案についてこれから質問をさせていただきますが、まず最初に弁理士法ですけれども、不正競争防止法の改正に関係のない著作権、著作物をADRに加えていますが、不正競争防止法に関係のない改正を今回のこの改正にごちゃ混ぜにするとはいかがなものかというふうに実は思っておりまして、産構審ではどのような議論がされたのか、お伺いをしたいと思います。むしろこれは司法制度改革推進協議会ですか、こちらの方での議論じゃなかったでしょうか。産構審の内容をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  49. 小川洋

    ○政府参考人(小川洋君) お答え申し上げます。  産業構造審議会には知的財産政策部会という部会がございまして、今回の弁理士のADR代理の対象に著作権に関連する紛争を追加することにつきましては、委員が述べられました昨年の司法制度改革推進本部の決定も含めて報告をしたわけでございますが、そのときに、この知的財産政策部会の下につくられております不正競争防止小委員会の結論と併せましてこの部会に報告をし、了承をいただいたという経緯でございます。
  50. 平田健二

    ○平田健二君 弁理士法の改正はやはり弁理士法の改正としてきちっと提案をするということが私はいいと思いますよ。それだけ申し上げておきたいと思います。  次に、著名表示や形態模倣に対して今まで罰則がなかったわけですよね。周知表現混同が水際で差止め措置の対象になっていなかった理由と併せて御説明いただきたいと思います。
  51. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 不正競争防止法の規制の項目につきまして今御質問をいただきましたけれども、まず周知な表示につきましては、現在、民事、刑事の規制が行われる、民事、刑事上の保護が行われるということになっております。著名な表示と形態模倣行為につきましては民事上の措置のみでございます。水際の規制につきましては、今回、今国会で成立をいたしました関税定率法が施行されますと、これら三つの類型の行為につきまして、水際での規制措置が導入されるということになります。それから、現在民事上の措置だけだと御説明申し上げました著名な表示、それから形態模倣については、今回、刑事罰の対象にするという改正を御提案させていただいているところでございます。  その理由は、審議会でいろいろ議論をいたしました。刑事罰、それから水際措置につきましては、現行の民事上の措置では守り切れない被害がある。それから、いったんこういう行為が行われたときに、その権利を持っている人に回復し難い被害を生ずるということでございまして、刑事上の、刑事罰による抑止力をもってこういった措置を規制をするということに審議会では御報告をいただいたということでございます。
  52. 平田健二

    ○平田健二君 ちょっと変わるんですが、先日、たまたま岐阜にも有名な芸能人が来て、コンサートやるものですから、孫にせがまれて行ったんですけれども、若い人が大勢いるなというふうに見たんですが、その周辺で、芸能人の顔、名前を使った様々な商品が販売されているわけです。中には韓国だとかアメリカのスターの写真を使った商品もありましたし、多分ほとんどが不正使用だというふうに私も見たんです。  民間の調査機関によりますと、これ、資料がここにございまして、資料として差し上げればよかったんですが、氏名・肖像使用商品市場、おおよそ日本では三百四十二億円ぐらいの市場だそうです。そのうち、正規に流通しているのが約九十億。それから、コンサート会場で正規にこれ販売されておるのがおおよそ百五億。海賊版、いわゆる不正使用をしておるのが百二十三億円。こういう実態調査が実はあるわけでして。  これ、韓国とかアメリカの有名な芸能人なりそういった人の肖像、写真を勝手に自分でTシャツに印刷してそれを販売しているなんて、特に韓国は、韓国のスターの方なんか非常に多かったんですが、これは国際問題にもなりかねないなという感じを受けました。  そこで、このような著名表示冒用の、これがですね、写真だとか名前が、使用することが著名表示冒用の対象になるのかどうか。また、芸能人をモデルに販売者自身がかいた似顔絵、こういったのを表示する場合はどうなのか、お答えいただきたいと思います。
  53. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 有名な芸能人の肖像、名前、それから似顔絵、いずれも不正競争防止法上の取締り対象になり得るケースがあると考えております。法律上の要件は、商品等表示に該当するかどうかという判断になります。最高裁判例がございまして、その肖像、名前が特定の商品、サービスの出所あるいは営業の主体を表示するだけの識別力、これを持っているかどうかという点に懸かっているわけでございます。似顔絵につきましては、個々によって、その似顔絵がそういう識別力を持っているかどうかというのは個別の判断になろうかと存じます。  いずれにしましても、そういうものにつきまして商品等表示に該当する場合には、それを不正に使用、先生御指摘の今の不正に使用したケースにつきましては不正競争防止法の第二条第一項第二号の著名表示冒用行為になり得るものと考えております。  先ほど先生御指摘のありましたように、イベントのところで一種の、そのとき限りの商売ということになりますと、この表示を使われた被害者にとっては、民事上の損害賠償請求をするとか差止め請求をするということが不可能でございます。したがいまして、今回はこういう部分について刑事罰を導入するということで、今御指摘いただいたような不正行為に抑止力を働かせていきたいと考えております。
  54. 平田健二

    ○平田健二君 最近気になるんですが、韓国の有名な俳優さんとかが来ると空港等で写真ぱっぱっぱっぱ撮ってますよね。そういった芸能人とかスポーツいわゆるアスリートとか、そういった方々の写真を撮って販売する場合は処罰の対象になるかどうか。
  55. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 先ほどの答弁の続きなんでございますけれども、その写真が特定の商品、サービスの出所あるいは営業の主体を表示する識別力を有しているかどうかということでございます。生の写真の場合には、一般的にはそういうものに該当しないのではないかと考えておりまして、今先生から御指摘いただいたようなケースは不正競争防止法の刑事罰の対象にはならないケースが多いのではないかと考えております。
  56. 平田健二

    ○平田健二君 写真はならない。  これ、最近はやりのレッサーパンダ、このレッサーパンダを商標登録をすると、千葉の動物公園側がこう言っておるんですね。これは、商標登録の準備をするということで書いてありますけれども、人物の肖像は商標登録は可能かどうか。
  57. 小川洋

    ○政府参考人(小川洋君) 委員長。
  58. 平田健二

    ○平田健二君 まだまだまだ、もうちょっと待っておって。慌てない。  可能かどうか。また、可能な場合の類似の範囲。例えば、正面だけ登録した場合に、斜めだとか横とかそういったのが、横からの肖像が類似に当たるかどうか。これは特許庁、解説をしてください。
  59. 小川洋

    ○政府参考人(小川洋君) 失礼いたしました。  人物の肖像でございますけれども、特定の人物の写真あるいは似顔絵等といったものにつきまして、これを商標として登録することは可能でございます。実際に内外の芸能人、それから御指摘のスポーツマンの写真、似顔絵が登録されているケースがございます。  ただし、他人の肖像を商標登録する場合には、人格権の保護という観点もありまして、その本人が現存する場合にはその本人の承諾を、また著名な故人の場合にはその御遺族の承諾が必要になります。  それから、肖像が商標登録された場合に、それとは異なる角度、斜めからとか横顔とおっしゃいましたけれども、そういった顔であっても、それが同一人であると認識される限りにおきましては登録商標の類似の商標としてその当該商標は保護されるということでございます。
  60. 平田健二

    ○平田健二君 もう少し平易な言葉でいきましょうか。  芸能人とかを勝手に写して販売をする、しかしその芸能人が商標登録をされておった。こういう場合には刑事罰の対象になるかどうか。
  61. 小川洋

    ○政府参考人(小川洋君) お答え申し上げます。  商標と申しますのは、自己の業務にかかわります商品や役務と他人の業務にかかわります商品や役務と識別するために用いられる標識でございます。したがいまして、商標登録されました人物の生写真を商品の商標として他人が使用した場合には、商標法上権利侵害の可能性があります。  しかしながら、お尋ねのありました商標登録された人物の生写真それ自身を商品として販売するようなケースの場合は、その生写真それ自身が商品になってしまいますので、使われ方としては、その元々の生写真である商標が商標として使われているわけではないもんですから、そういう意味では、肖像権の侵害という問題はあり得ると思いますけれども、商標法上の問題とはなりにくいんではないかというふうに考えてございます。
  62. 平田健二

    ○平田健二君 ということは、処罰の対象にならないということですか。
  63. 小川洋

    ○政府参考人(小川洋君) そういう意味では、ならないということでございます。
  64. 平田健二

    ○平田健二君 商標登録をされておるその肖像、生写真を勝手に撮ってそれを販売すると、写真を撮ってコピーしてそれを売るというのは合法というわけですか。罰にならないということですか。
  65. 小川洋

    ○政府参考人(小川洋君) 今申し上げましたのは、その人物の写真を商標登録した場合に、今御指摘のケースについて商標法上どういう扱いになるかということでお答えしたわけでございまして、商標法上は権利侵害ということにはならないために刑事罰の対象となりませんと。  しかしながら、残された問題としましては、肖像権の侵害に当たるかどうか、それに基づいてどういう措置がとられるかというのは別の問題であるというふうに認識してございます。
  66. 平田健二

    ○平田健二君 その人物の肖像は、商標登録は可能なんですよね。
  67. 小川洋

    ○政府参考人(小川洋君) はい、可能でございます。
  68. 平田健二

    ○平田健二君 肖像、商標登録をしておる、この私が仮に商標登録をする。私の写真を撮って、私じゃいかぬ、松あきらさんにしましょうか。松さんの写真、商標登録をする。松さんの写真を撮って、松さんの、勝手に私が撮ってそれを売ると、どこかで。それは肖像権の侵害というのは分かりますが、商標登録をしておる松あきらさんですから、その人を勝手に撮って売ることは罰にならない。私はなるような気がしてならぬですけれども、肖像権は別として。  どうなんでしょうね、もう一回聞きます。
  69. 小川洋

    ○政府参考人(小川洋君) 肖像について商標登録することは可能です。商標登録したものについて、それを商標として、自分が業務の対象としております商品でありますとか役務にそれを付けるわけでございます。  今回の御指摘の場合は、肖像それ自身、写真、撮られた写真というのは商品でありまして、商標として使われていないという解釈になるものでございますから、先ほど申し上げましたような商標法上の解釈になるわけでございます。
  70. 平田健二

    ○平田健二君 もう少し研究をさしてください。  次に行きます。  先ほどもちょっとありましたけれども、形態模倣についてはなかなか判断が難しいというふうに思います。例えば、商標だけない、完全なコピー商品であるか、いわゆる形態の同一ということであればともかく、実質的に同一との判断は現場でどうなんだろうかなというケースが多いというふうに思うわけですけれども、税関で侵害判断をする場合の基準、制度はどうなるのか。先ほどもちょっとありましたけれども、お答えいただきたいと思います。
  71. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 商品形態模倣品の輸入についての水際での差止め措置、先ほども御答弁させていただきました。これをどのように実効的にやっていくかというお尋ねかと存じます。  二つ方法がございまして、一つは、実際に疑わしい物品が税関で発見をされた場合、税関で判断されるケースも多いと思いますけれども、税関だけではそれが不正競争防止法上の侵害物品であるかどうかについて税関長が判断し難い場合には経済産業大臣に対して意見照会を行うと、こういう制度が導入されることになっております。この制度を的確に運用するということで検討を進めてまいりたいと思います。  もう一つは、この形態模倣品により被害を受けたと考える者が税関長に対して輸入の差止めを申し立てるという制度がございます。この申立ての制度の際には、確かに不正競争防止法物品かどうかということについての判断の問題があろうと思いますので、これは法律上、申立てをする際に経済産業大臣の意見書を添えるということになっておりまして、ここで私ども違反物品かどうかということを判断をさせていただきたいと考えております。  それでは、その違反かどうかということについての基準をどうするかということでございます。  基本的には、税関当局とこれから連絡を密にいたしまして、できるだけ客観的な基準をつくってまいりたいと思います。その際には、これまでの税関における措置の状況あるいは判例などの具体的な事例の分析をいたしまして、できるだけ客観的な基準、統一的な解釈になるような資料を作成するということで検討してまいりたいと考えております。
  72. 平田健二

    ○平田健二君 次に、輸入差止め申立て制度については、知的財産推進計画では、当事者の主張に基づきもっと簡便、迅速に行う制度を確立するとされておりますけれども、どのように改善されておりますか。
  73. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) ただいま御答弁したことの繰り返しになりますけれども、今回の関税定率法の改正によりまして、税関において迅速かつ的確に判断できるよう、意見照会制度を的確に運用をしてまいりたいと考えておりまして、この制度の適切な運用ということで対処してまいりたいと考えております。  御指摘の、更に簡易な制度ができないかという御質問でございますけれども、六月十日に知的財産戦略本部が決定をいたしました知的財産推進計画二〇〇五の中で、「侵害判断・差止めを専門的かつ簡便・迅速に行う制度を確立する」ことという提案、提言がなされております。  この点につきましては、経済産業省といたしましては、今後の検討課題というふうに受け止めております。
  74. 平田健二

    ○平田健二君 次に、その保護期間の問題ですけれども、国内販売開始から三年間が保護期間ということですけれども、私はちょっと短過ぎるんではないかなという気がしております。三年間では、判決を得るまでの時間を考えると差止め請求権はほとんど意味がなくなってしまうんではないかなと。逆に、三年たつと模倣は自由だと、まねすることはもう自由だということになる。  この点について説明をいただきたいのと、今後その保護期間を長くすることについてはどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  75. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 現行の不正競争防止法の中で、形態模倣行為については三年間という権利の保護の期間が限定されているというのは御指摘のとおりでございます。  平成五年の改正によりこの規定が設けられたわけでございますけれども、そのときの考え方としては、商品の先行開発を行った者が投下した費用や労力を回収し、通常期待し得る利益を得るためには三年から五年の保護期間が適当であると、こういうふうに考えられたということのようでございます。  この点につきまして、長期の資金、長期の多額の資金を投入する特許等とは少し扱いが違っておるかと存じます。  また、諸外国の例を見てみますと、工業デザインの保護制度、EUの共同体意匠規則というのがございますけれども、ここでは、登録していない工業デザインについては最初に公衆に利用可能になった日から三年間というふうに定められております。韓国の類似の不正競争防止法でも三年間というのが一応の基準になっているようでございまして、国際的なバランスを考えまして、当時、三年間が妥当と、こういった判断をしたのであろうかと存じます。  御質問の中で、それじゃ三年を過ぎると形態模倣は自由なのかということでございますけれども、不正競争防止法の規定は民法七百九条の特例ということになっておりまして、これを否定するものではございません。したがいまして、不正競争防止法上の民事上の措置が切れたとしても、民法に基づいて別途訴えるということが可能でございます。  それから、商品の形態自体が非常に有名なものになっておるという場合には、不正競争防止法の一項一号のむしろ混同惹起行為と、こちらは期間の限定がございませんので、非常に周知、著名なものにつきましては一号ないし二号による別途保護が可能だということでございまして、三年間過ぎたら真似し放題ということではございません。  こういったことでございますので、三年間どうかということで御質問いただきましたけれども、現状では三年間が妥当ではないかなと私どもは判断をいたしております。
  76. 平田健二

    ○平田健二君 次に、インターネット販売、それからカタログ販売における商品の国内販売の開始はどのように考えておるかということでお尋ねしたいと思います。
  77. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 今回の改正案におきまして、不正競争防止法第二条第一項三号の形態模倣行為に対する保護期間の起算点でございますけれども、商品が日本国内において最初に販売された日と、その日から起算して三年で終了するという規定になっております。
  78. 平田健二

    ○平田健二君 もう一度、ちょっと。
  79. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 日本国内において最初に販売された日から三年でございます。  御質問のインターネット取引の関連で申し上げますと、例えば海外から日本向けにインターネット取引開始したときに、起算点どう計算するのかという難しい問題はございます。私どもは、「日本国内」と書いてございますので、インターネットとかカタログ販売、海外から行われた場合には、いつからが日本向けに商品を販売したかということの判断になろうかと思います。  したがいまして、通信販売の仕向地の中に日本が含まれておるとか、あるいはもっと簡単なことで申し上げれば、日本語による広告が行われているということであれば、その広告が行われた時点が少なくとも最初に販売された日と推定されるという解釈でよろしいのかなと考えております。
  80. 平田健二

    ○平田健二君 私もそう思います。  次に、罰則強化についてお伺いをいたします。  形態模倣については、主観的要件を付けたにもかかわらず、懲役三年、罰金三百万とされているわけで、意匠法との均衡を取ったというふうに伺っておりますけれども、反社会的な団体への資金源になっている例も多々あるわけでして、意匠法を逆に罰則強化して均衡を取るべきだという意見もあるやと聞いております。なぜ周知表示や著名表示への罰則と同様にしなかったのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。
  81. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 今回の不正競争防止法の改正案では、刑事罰は全体に、三年以下の懲役、三百万円以下の罰金を五年以下の懲役、五百万円以下の罰金というふうに引上げをするということで御提案をさせていただいております。  ただし、御質問のございました形態模倣行為、今回から刑事罰を新たに導入するわけでございますけれども、この形態模倣行為につきましては、委員御指摘のとおりでございまして、知的財産権の中での意匠法との横並びということを考慮いたしまして、他の不正競争防止法違反行為よりも低い水準の三年、三百万ということで御提案をさせていただいたところでございます。権利の保護のバランスを取ったということで御理解いただければと存じます。
  82. 平田健二

    ○平田健二君 次に、知的財産推進計画二〇〇四では著作物として保護されないデータベースの保護の強化が盛り込まれておりますけれども、私はこの点も強化をすべきだと考えておりますが、どのような理由で今回改正を見送ったのか、御説明をいただきたいと思います。
  83. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) データベースにつきましては、創作性のあるもののみが著作権法の対象になってその保護を受けると、こういうことになっております。  実際には、データベースというのは大量に資金あるいは時間を投入して作成するものですけれども、創作性のあるものがあるかと言われますと、かなりの部分は創作性がないということで、著作権法の保護を受けられないという現状にあろうかと存じます。  不正競争防止法の改正案を御審議いただきました産業構造審議会の不正競争防止小委員会におきましても、データベースについて不正競争防止法による保護を検討すべきでないかという御意見もありまして、議論をいたしたところでございます。  小委員会では、実はこのことについて慎重論もございました。とりわけ、パブリックコメントにおいては、そういうことを保護する片方で、権利の濫用とか、今重要なこのデータベースを活用した情報流通の阻害というマイナス面も出てくるのではないかという慎重論があったということでございます。  それから、仮にデータベースの保護をする場合に、こういう不正競争防止法のような体系による保護をするのか、むしろ、データベースを特許等と同じように、権利、独占的な権利として保護をするのか、この保護の在り方についても議論が尽くされなかったという部分がございまして、今回は見送りをし、今後更に検討を、今後の検討課題として検討していくことが適切だと、こういう結論になったということでございます。
  84. 平田健二

    ○平田健二君 先ほども御質問があったので控えようかなと思いましたけれども、先日、新聞報道で日本製のプリンターのインクの海賊版が横行しておるという報道がなされました。まあどことは言いませんが、大変、模倣品・海賊版が横行しておるという実態が報告をされておりました。  一部日本企業では積極的に海賊版対策をやっておる企業もございますが、大方の企業は余り積極的に防衛策を取っていないというふうに聞いております。その理由は何なんだと。金が掛かり過ぎる、費用が掛かり過ぎる、効果が期待できない、製造現場をマフィアが取り仕切っておりリスクが高いと、こういう理由のようでして、そうはいっても、欧米の企業は非常にそういう対策をしっかりやっておられるようですけれども、どうして日本企業はそういったことを積極的に取り組まないのか。  大変膨大な費用が掛かると、こういったことが言われております、先ほども言いましたように。この企業防衛策への費用の負担を含めて、どのような支援対策を取っておられるのか、簡単に御説明いただきたいと思います。
  85. 石毛博行

    ○政府参考人(石毛博行君) ただいまの御質問の点でございますけれども、政府でとっております措置は三つぐらいに要約されるかと思います。  一つは、昨年の八月に、模倣品・海賊版に対する日本政府の一元的な相談窓口というのを経済産業省につくっております。五月末までに百二十二件の相談が来ております。そこで相談があった場合には、私ども、十日以内に相談者に回答するということで措置をとってきております。そういって相談いただいた情報については、今後の海賊版対策でどういうものを取ったらいいかというものの参考にも供そうということでございます。  それから、その相談窓口の具体的な成果としまして、一つは、トルコでYKKという日本のジッパーの会社の商標に係る問題があったわけでございますけれども、これは企業が先方の政府なり企業なりと話をしていたわけですけれども、なかなか解決策が見いだされないということで、私ども、在トルコの日本大使館を通じましていろいろ交渉した結果、これについては解決策を見いだしてきております。  それから、国内におきましても自動車部品の模倣品というものが相談に上がってまいりまして、これは警察庁と協力をいたしまして、警察におきます取締りということで具体的な解決をしたということでございます。  それから、この四月に知的財産権の海外における侵害状況調査制度というのを新たに発足させました。この内容は、民間企業あるいは民間団体から、政府の窓口にこういう被害を受けているという申立てをしていただきまして、それでその申立てに基づきまして政府が被害調査を行いまして、それでその被害調査の結果、これは相手国に対して政府間協議をした方がいいという判断をすれば、そういう協議をするという手続になっております。  今、具体的な案件としまして、四月四日に電子情報技術産業協会から、いわゆる香港松下電器問題ということで商標に係る問題が提起をされております。現在これは調査を進めているところでございますけれども、この調査開始から六か月以内に調査を完了して、必要があれば香港特別行政区政府と協議をしていくということにしております。  それからもう一点、最後の点ですが、御質問の点に直接かかわると思いますけれども、そういう海外展開を図ります、とりわけ中小企業の場合、そういう海賊版対策を自ら取っていくのはかなり難しいものですから、そういう侵害を受けているという証拠を見付けるのも相当苦労をしているという状況でございますので、私ども十七年度から、ジェトロを通じましてその侵害状況調査を行う中小企業に一定の支援をするということで、予算措置をとっているところであります。今後とも、民間企業のそういう活動にも支援をしていきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  86. 平田健二

    ○平田健二君 時間が参りましたので終わりますが、模倣品などの年間取引額が全世界で推定六十五兆、こういう報道がされておるわけですね。これは大変な額でして、私が言うまでもなく、知的財産はこれから極めて重要なテーマということで、政府もこういった模倣品の防止条約等を提唱して、模倣品の流通の防止だとか製造の防止に努めようとしております。一層努力いただいて、偽物拡散防止条約なんというようなものも日本が提唱して、積極的に働き掛けていただきたいなということをお願いを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  87. 佐藤昭郎

    ○委員長(佐藤昭郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  88. 佐藤昭郎

    ○委員長(佐藤昭郎君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、不正競争防止法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  89. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。  午前中の平田先輩議員の質問に引き続きまして、私も不正競争防止法を中心に質問をさせていただきます。  この不正競争防止法につきましては、営業秘密の侵害に対する刑事罰に関する規定、これ二年前に改正をされました。今回、この営業秘密に関する罰則の適用に関する基本的な改正が行われることになっておりますし、今後、従業員の転職あるいは個人的な起業、独立とか、また事業連携にとって様々な問題が生ずることも予想されますので、企業秘密の不正使用と職業選択の自由との微妙な関係等について慎重な審議が必要であると考えまして、以下、このことを念頭に質問を進めていきたいと思います。  まず第一に、転職の状況、退職後の再就職状況について、厚生労働省の方にお伺いをいたします。今日、転職が増えているということでございますが、審議の前提として、厚生労働省に転職に関する統計情報など実態についてお聞きをしたいと。  まず、年間で転職をする人はどのぐらいいるのか、年間の転職者総数と転職率を聞かせていただき、議論を正確にする意味で、正規雇用労働者が転職して次の職も正規雇用労働者になる場合で結構でございます。就職後すぐ転職をして、いわゆる定着率の問題となっている若年者の転職については除外していただいても結構だと思います。  二つ目に、転職において、同業他社への転職の割合とか、今回の法案の対象となる営業マンあるいはセールスエンジニアあるいは研究開発者などの転職者の割合などをお聞きしたいところですけれども、なかなかこれも統計的なデータはないということも多少分かっておりますので、近年の転職、再就職の特徴点や傾向など、定性的な面があっても結構でございますので、お聞かせいただきたいと思います。
  90. 高橋満

    ○政府参考人(高橋満君) お答えを申し上げます。  転職の実態についてのお尋ねでございます。  私ども、いろんな調査あるわけでございますが、トータルとして見れるものとして、私どもが実施しております雇用動向調査というものがございます。これによりまして、平成十五年一年間におきます転職の実態、特に御指摘ございました正規雇用から正規雇用への転職ということについて、また若年者を除いてという実態で見てまいりますと、具体的には、これ正規雇用から正規雇用というのは統計上一般労働者という定義で把握しております。それから、若年者はどこまで除くかいろいろあるかと思いますが、十五歳から二十九歳、この若年者を除いて見てまいりますと、転職者総数といたしましては一年間で百二十一万人、転職率でございますが、これは五・〇%というふうな実態になってございます。  この百二十一万人の転職者のうち同業他社への転職がどうなっているだろうかということでございますが、なかなかどういうふうに把握するか難しいわけでございますが、いわゆる同じ産業の中で転職をした方ということでとらえますと、これも統計上は産業の分類が大変大きな分類でなってございまして、いわゆる産業大分類という形で見ておりますが、これで見ますと、転職者のうち約六割の方は同じ産業内で転職をされていると。この同じ産業内で転職をされている割合の高い産業としては、建設業、運輸・通信業、製造業といったような産業で高い割合を示してございます。  それから、営業マンでありますとかセールスエンジニアはどうなっているんだろうかというお尋ねでございます。これも実は、営業マンとかセールスエンジニアという範疇では統計上なかなかとらえ切れておりません。  そこで、同じ職業内での移動ということを職業大分類という、これもかなり大きな範疇でございますが、それで見てまいりますと、例えば営業マンが属しております販売従事者、この販売従事者について、同じ販売従事者内で転職をされている割合というのが約六割でございます。職業全体で平均で見ますと、約七割の方は同じ職業で転職をされているということでございます。それから見ますとやや低いということでございます。一方、セールスエンジニアが含まれております専門的・技術的職業、これで見ますと八割強ということでございますので、全体平均の七割より高い割合、専門的・技術的職業の方は引き続いて専門的・技術的職業に転職をされていると、こういう実態でございます。
  91. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 ありがとうございました。  お話しのように、今後とも転職は増加していくということが予想されると思います。  そこで、本人が取得した職業能力とか技術あるいは仕事のノウハウといったものを転職あるいは新たな起業に生かしていくというのは、自由主義経済下の労働市場においては当然のことであると考えます。  問題なのは、この法律が規定する企業秘密、営業秘密との関係であると。特に定年退職者が再就職する場合について考えてみますと、現在の定年制は大体六十歳定年が依然として主流になっておりますし、加えて早期退職勧奨制度とかそういうようなものが随分今普及しつつあると。年金受給開始年齢が六十五歳にもうすぐなりますけれども、この間をどのように生活を支えていくかということ、これは非常に働く者にとって大きな課題であり、そのための再就職活動も狭い高齢者市場をめぐって熾烈な争いになることも予想されております。  これまで、大手企業であれば系列企業や下請企業への再就職というものを会社が面倒を見ると、こういう流れでありましたけれども、昨今は、いいポストを含めまして、なかなかそういう状況になく、自力で再就職活動をせざるを得ないし、早期退職を受けた者はまして自力更生と、こういうふうな状況になっています。そうなると、就職活動で自分の持っている技術や営業ノウハウを売り込むしか本人にとってはないと、こうなるわけで、このときに、本件、この不正競争防止法が退職後の営業秘密の開示を条件付であっても罰則化するということになると、やはり求職者の受ける心理的な抑圧感といいましょうか影響というものは私は無視できないと、このように思うわけであります。  さらに、この法改正によって、雇う側もこれに違反すると法人処罰がなされるということでございますから、企業にとっても中途採用については従来以上に相当神経質にならざるを得ない。まして、在職中の接触が後日問題になると、こういうふうなことにもなろうかと思います。  このようにこの法改正によって様々な影響が心配されるわけでありますけれども、これらの点に関して、失業者や退職者の就職促進を図る職業安定行政としてどのように考えておられるのか、見解を伺いたいと思います。
  92. 高橋満

    ○政府参考人(高橋満君) お答え申し上げます。  今回の不正競争防止法の改正案におきまして、退職者によります営業秘密の不正使用・開示に対して新たに罰則が適用されるということになっておるわけでございますが、この点につきまして、退職者の職業選択の自由に十分配慮をする必要があると、こういう観点から、今お話にございましたように、一定の条件下、具体的には、在職中に開示の申込みあるいは使用若しくは開示の請託を受けて退職後に使用、開示する場合といった、特に悪質なケースについて処罰の対象にするということとしたものというふうに承知をいたしておるわけでございます。  これに関しまして、今委員の方から退職者の再就職活動に何らかの影響を及ぼすのじゃないかという御懸念についてのお尋ねがあったわけでございますが、確かに、例えば今回の改正の趣旨なり内容というものが十分に周知、理解されずに、退職後の営業秘密の使用等を一般的に禁止をするものだと、こういうような誤解を持たれる、あるいは幾つかの企業では、企業と退職者との間で秘密保持契約というものを締結をするケースがあるわけでございますが、ところが、これが対象となります営業秘密の範囲が過度に広範になる、あるいは不明確であると、こんなような契約が結ばれるということになりますと、退職者の再就職活動に一定のやはり心理的な影響というものを与えかねない、それによって円滑な労働移動というものを阻害するという懸念も確かに生じ得るものと私どもは考えております。  したがいまして、この改正法によってどのような行為が処罰の対象となるのか等について、企業はもちろんでございますが、そこに働く労働者お一人お一人に十分周知して、誤解を招かないような対応が必要だろうと思いますし、また秘密保持契約というものを締結いたします場合、適正なものとなるようなやはり一定の指針というものも明確にしていく必要があるだろうというふうに考えておるわけでございまして、私どもといたしましても、法の施行に当たりまして、経済産業省に対しても必要な協力を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  93. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 今いろいろな懸念点が指摘されましたけれども、それらについては引き続き議論を後段で進めていきたいというふうに思います。  その前に、この不法行為の実態について少しお伺いをしたいと思います。  不正競争防止法は、平成五年の全面改正以降ほぼ一年から二年の間隔で頻繁に改正されております。営業秘密の保護に関する改正はつい二年前にも行われました。そして、今回の改正は、前回の改正で見送られた営業秘密の開示に関する刑事罰を退職後や海外での開示にまで適用拡大とするという流れでございました。  一般的に、法改正を行えば最低でも三年、四年ぐらいは法の実効性など様子を見て次なる法改正の準備を行うのが普通でございますけれども、こういった短期で法を見直す場合は相当な環境の激変があったとも考えざるを得ない、こう思うわけであります。  平成十三年に経済産業省が企業を対象に行われましたこのアンケート調査では、有効回答した二百八十九社のうち約二割の企業が、所有する情報に関し従業員等との間でトラブルを経験したと、こういうふうに回答しておりますけれども、この二年間ぐらいで退職者による営業秘密の不正取得や開示、使用に関してどのような環境変化があったのか、あるいは法改正を急がなければならない新しい状況がお生まれになったのか、この辺りについての御説明をお願いしたいと思います。
  94. 北畑隆生

    政府参考人北畑隆生君) 御指摘のとおり、平成十五年の不正競争防止法の改正で、営業秘密に刑事罰を導入するということにいたしました。  その後の状況なんでございますけれども、一つは、東アジア諸国で急速な経済発展に伴いまして、我が国企業が持つ営業秘密が漏えいをしていくという事例が多数、急速に増えてきたという背景がございます。それから、営業秘密での関係とはもう一つ別の部分ですけれども、偽ブランド商品、コピー商品についてもこういう国境を越えて不正な行為が行われるという事例が急増しているわけでございます。  したがいまして、前回改正から二年という短い期間ではございますけれども、知的財産を保護する、あるいはこういうことに伴う不正な行為を抑止するという必要性は急速に高まっているということで、今回改正をお願いをしているわけでございます。  それから、退職者につきましては、先生御指摘のとおりでございますけれども、民事の方では、最近やはり国内でも退職者との間でのトラブルが増えてきております。件数そのものは、裁判の判決に至ったものは少ないんでございますけれども、例えば、平成十三年の不正競争防止法判決に至ったものは十三件ございますけれども、このうち退職者が問題になっているものは八件でございまして、退職者につきましても、非常に限定された範囲でありますけれども、不正なものは不正として刑事罰を含めて規制をしていくということは重要なことではないかなと考えております。  先生御指摘の、従業員が身に付けた通常のノウハウとか技能とか、そういうものは通常は営業秘密に該当しないケースが多いんだろうと思います。ただ、企業が営業秘密として管理しているものであれば、これを外国企業あるいは競争相手の企業に漏らすという行為は現職の従業員に対する被害ということも考えられるわけでございまして、この辺は是非御理解をいただきたいと存じます。
  95. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 前回もそうだったんですけれども、質問の前に答えが少し出てきまして、それはそれで結構なことでございますけれども、私の質問の趣旨というのは、やっぱり刑罰をもって処するということについて、これはやはり議会としては慎重にその必要性について説得性のある、納得性のある立証をしていくこれは必要性があると思います。  そういう思いであるとか、そういう声が大きいということだけでは、なかなかそこに私は踏み切るということには至らないことがあるということで、今正に急速に被害が広がっているということをどう立証していくんですか、国民の皆さんにどう説明するかということで御質問をして、一つは不法行為の実態についてお伺いをし、二段目は、じゃそれをメルクマールとして何でもって認識するのか。私は、今御回答があった民事裁判の事例がやっぱり一つの世の中のこれのメルクマールになっているんではないかということで、ここの場合、民事裁判の事例についての御質問を入れておったんですけれども、先ほどある程度御回答をいただいたと、こういうことでございます。  今、件数が出されましたけれども、その件数を多いと見るのか少ないと見るのか、ここも大きな判断でございますし、また裁判が和解に至ったケースとか、あるいはお金、時間もなくもう面倒くさいと、あるいは裁判を継続することができなかったとか、そういうふうないわゆる埋もれている部分のことに対する資料も必要であると。  そういうふうなことを含めまして、また特に審議会で、退職者による営業秘密侵害事件が増加していること、また技術者が海外に出張してアルバイトで金曜日の夜行って月曜日の朝帰ってくると、他社に技術を教えるという事例が増えているということが報告されていますけれども、その点を含めて二年前の法改正のときからの状況について更に御説明をいただきたいというふうに思います。
  96. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 営業秘密に関する不正競争についての民事裁判の数字をもう少し詳しく御説明を申し上げたいと思います。  平成九年に二件、平成十年が六件、平成十一年が七件、平成十二年が七件、平成十三年が十三件。件数そのものは少ないんでございますけれども、件数は増加傾向にございます。  それから、現在刑事罰の対象になっていますのは現職の従業員だけでございますけれども、現職の従業員による不正使用・開示というのは社内における懲戒免職等の社内処分で終わっておって裁判にはならないケースが非常に多い、そういう意味で判決に至っているケースというのは氷山の一角ではないかと、相当事例は多いんであろうと思います。  それから、先生御指摘のとおりでございまして、例えば被害者が中小企業の場合に、裁判に訴えるということが大変なコストを伴いますので、こういうものは訴えたくても表面に出てこないという事例がございます。  それから、件数と別で、その企業あるいは日本国として見過ごせない被害というのがございます。例えば、これも定性的なあれでございますけれども、日本の企業しか持ってなかった液晶技術が海外に漏れたのは日本の退職者を通じて流れたというのがこの業界では専ら言われておりまして、これは件数は少なくても大変甚大な被害を日本の企業、現役の従業員の方も含めて企業に与えていると思いますし、日本の国益も損なっているという部分もございまして、件数以外にも悪質性、経済が国際化したことに伴うそれ相応の手当ては必要なんだろうと思います。  審議会でどういう議論をしたのかという御質問でございます。  審議会でも、転職の自由、職業選択の自由との兼ね合いで退職者をどこまで刑事罰で対象にするかということには大変な議論がございました。結論から申し上げますと、現職の間にその会社で営業秘密の管理の基準に違反をして、現職のうちに自ら退職後に営業秘密を漏らすことを申し込み、あるいはそういうことについて相手から請託を受けた、つまり実質的には現職在職中の営業秘密の漏えいと同じ行為で、本人にもそういう違法性とかいうことについて認識されているケース、これに限って退職後はその処分をしたと。退職者全体に刑罰の対象にしたということではございません。  それから、退職者については民事上の救済措置が定められているんですが、刑事罰については範囲を更に限定しておりまして、不正競争の目的でという主観的要件が立証されることが刑事罰の対象になっております。したがいまして、非常に限定された範囲で刑事罰の対象を広げることが妥当だというのが審議会の結論でございました。
  97. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 そういう大変ある意味で抑制的な私は対応、慎重な対応をしたということでもあると、非常に今のお話を聞きながら。  さて、そういうふうな流れの中で、今度は不正開示の事実認定ということを、経済産業省の立場ではなくて法務省の立場から少しお伺いをしたいというふうに思います。  この営業秘密の不正取得、不正開示に関する民事裁判でも同様でございますけれども、従業員を引き抜かれて被害に遭った企業側に立証責任があるため、被害企業が告訴してもその事実認定が非常に難しいという側面がこれはありと。今回の法改正においては、在職中に不正開示の申出や請託を受けるといっても、これは口約束であったり、密室であったりということになってきますので、証拠集めが極めて難しく、当事者が自供しない限りなかなか立件ができないのではないかというふうに思われると。  例えば、被害状況を客観的に精査し、被害が退職者の営業秘密の開示、使用によるもの以外にはもう到底考えられないと、ほかにはないではないかと、こういうふうに立証もしたとしても、本当に立件、起訴にまで持っていくということについてはなかなか大変ではないかと。また逆に、そういう被害状況、情況証拠だけで安易に立件、起訴ということになれば冤罪というリスクもこれは社会的に高まってくるという、この二つの二律背反的な状況があると。  元々、罰則規定の拡大、導入については犯罪抑止をねらった宣言的な意味合いも強いという要素もあると思いますけれども、法務当局として、どのような捜査方法や証拠集め、そのようなことを立件されるのか、なかなかお答えは難しいかも分かりませんけれども、ひとつ答えていただきたいと思います。
  98. 大林宏

    ○政府参考人(大林宏君) お答え申し上げます。  今、委員おっしゃる面は確かに否定できないというふうに思います。  具体的な捜査手法については事柄の性質上お答えいたしかねるわけでございますが、一般論として申し上げれば、営業秘密侵害の罪につきましても、有効な端緒を得ること、これ非常に大事なことだと思いますが、関係者の取調べや客観的証拠の収集等の所要の捜査を尽くして事案の解明に努めるものと、このように承知しております。
  99. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 なかなか、起こっていないことをあらかじめ法務省にお伺いするということも、これ以上は難しいかというふうに思います。  そこで、犯罪者を増やすということだけがこれは目的ではないと、こういうふうに考えますので、そもそも、法が意図している目的を考えた上で、私は議会としては、この法規制がプラスの面だけの影響を生み出すという視点だけでは不十分だと。逆に言えば、この法規制、これが与える負の影響についても十分私は議論をしておく必要があると、こういうふうに考えます。  世間ではよくあることですけれども、立法の意図が違った結果をもたらす、皮肉な結果をもたらすということもこれは間々あるわけでございます。今日、各企業において研究開発担当者はその企業の発展のために日夜努力しているわけであります。一方で、そこで得られた特許、技術、知識、これは本来自分に属する財産という意識もまたプロフェッショナルとして持っているわけであります。しかし、これが将来の転職時には、すべて会社に帰属して自分はそれを一切活用できないと、極端な話、こういうことになりますと、やはり本来の業務に専念すべきモチベーションを失っていくと、こういうようなことも考えられるわけであります。  言ってみれば、企業側が余りにも過剰防衛政策を取り、従業員に対して日常的な情報管理を徹底し過ぎたり、様々な成果をすべて会社に帰属させるといったような、規則をがんじがらめにしていくと、そういう管理を強化していくと、やはり従業員が萎縮をしたり職場における労使間の信頼関係にひびが入ってくると、この可能性も高まると思います。  営業秘密の管理や技術開発の成果の帰属問題というものは、ある程度企業と従業員たる個人との間の信頼関係に立って対応するということが私は重要であり、企業防衛の観点から、法的な罰則を前提にした徹底管理というふうなものが本当に企業にとってプラスになるのかどうか、私自身の経験を含めて、疑問を持っておるわけであります。  今日、特許の帰属をめぐっても様々なトラブルが起き、それぞれ、企業、従業員の双方が納得できる施策を内部で十分考えていこうということの流れができつつありますけれども、こういうふうなことを踏まえまして、この法規制が与える負の影響についてどう考えていくのかという点についてお伺いをしたいと思います。
  100. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 先ほどから御説明申し上げましたとおりでございまして、刑事罰の対象にするのは、不正の競争の目的で、しかもその本人が違法性を認識しているような悪質なケースに限って刑事罰の対象にするということでございます。  それから、営業秘密を企業内で適切に管理をするということについては、刑事、民事を問わず私は必要なことだろうと思います。日本は今まで会社の中で従業員との信頼関係ということで、例えば先生が御指摘の研究開発に入る際に、そういうことについての秘密保持契約というふうなものは結ばないで信頼関係でやっておったというのが日本の企業のこれまでの、大多数の企業の傾向だと思います。しかしながら、意識も変わってまいっておりますし、そこはあらかじめ当事者間で、この範囲の部分については会社の秘密に相当するのでこれは外に漏らさないということを研究開発の前に契約を結んで入るというのがこれからの一つの道ではないかと思います。  それが、管理のし過ぎによって萎縮をもたらすか、それとも権利義務関係が明確になって自由にできるかというのは個々の企業の判断だろうと思いますけれども、私は、今の産業界の実態から見ると、そういう契約が普及をして権利義務がしっかりしてくるというのが出発点ではないかなと思います。
  101. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 まあ論は論として、現実の企業、これは企業としての風土があり、組織土壌という言葉が使われているし、働く者自身の生身のこの関係論ということもこれありと、こういうような形で動いておるわけですから、はなから契約という、社会契約論的に契約をもってすべてのスタートラインということにもなかなかなじまないという部分もあるし、先ほど厚生労働省の方から、十分な周知徹底というふうなこともこれは必要だということであり、かつこれは企業内においても、大手企業、中小零細を問わず、やっぱり一つの職業文化というんですかね、職業行動規範ということの大きな変革をやっぱり必要にしてくる、そういうふうな大きなテーマであると、こう考えるわけであります。何も国会議員は話を大げさにしてわいわい騒ぐということじゃなくて、真実そういう視点がなければなかなか私は目指すべき目的を達成できないと、このように思っているわけです。  また本件については、後ほど大臣の方からも私はお考えをやっぱり述べていただきたいと、この後に御質問をまたさせていただきますけれども、その前に、今いろいろな、その意識であるとか周知徹底というふうなことが議論になりましたので、ひとつ転職者の側に立った、私はここのところを質問をしてみたいと思います。  これ、不正競争防止法による民事訴訟、あるいは今回のように刑事罰の拡大に対して、転職しようと思っているエンジニアや営業マンはそれなりの自衛手段をこれから考えていかなきゃならない。企業は契約社会にしていくんだという方針で済むけれども、その対応する、反対側に立つ転職者、働く側としては、やっぱりそのことについて自分自身も自衛手段を考えていかなきゃならないということになります。  具体的に言えば、不注意な自分の行動だとか対応が自分の人生の破綻を招くという、そういうおそれもやっぱりあるわけですから、そういうふうな意味で、私は最近では、職場で知った情報を次の職場で使う可能性がある場合は予防立証をすることが勧められている。これは最近よく本にも書かれております。営業日誌など、自分の行動や交渉経過などを連続的に記述したペーパートレイルと、こういった方法と、開発中に営業秘密にアクセスしないことなどの旨を宣誓供述書として残しておくというクリーンルームという、二つの方法が有効だと世上言われているわけであります。  こういうふうな手法を含めて、このことは手間暇掛かるけれども、働く側にとっても将来の自分を守る自衛手段であると、そういうふうな立場に立つならば、例えば社内教育や労働協約締結時、あるいは特に営業職やセールスエンジニアや研究開発関係者などの転職者あるいはその予備軍に対して予防立証を含めた不正競争防止法に規定される知識や情報を与えていくことも、これは重要だと思うんです。  一般周知、公開することでそういうことがすべて終わるということじゃなくて、やっぱりこれだけの刑罰を構えてやるということならば、そのぐらいの親切を私はやって、もって予防すると。人生を失う人の数を最小限、ゼロにするという意味で、私は、行政、立法ともに努力する必要があると、こう考えるわけであります。  一昨年一月に経済産業省でまとめられました営業秘密管理指針は、すべて企業サイドへの情報提供であり、大変御親切だと思いますけれども、従業員サイド、働く側に立ったアドバイスということについてはないじゃないでしょうかと。このことを経済産業省じゃなくて働く者の代表官庁である厚生労働省にも問うてみたいんですけれども、これも業務の中でいろいろ細分化しておるようでございますので、まずは経済産業省に、私が今申し上げました従業員サイドに立った、この点についてお考えをいただきたいと思います。
  102. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 委員御指摘のとおりでございまして、営業秘密に関するトラブルが回避される、なくなるということがまず大目的であろうと思います。そのために、そういうトラブルを回避するためにあらかじめ契約を普及させるというようなことが必要じゃないかと、先ほど御答弁させていただいたとおりであります。  とりわけ、転職に伴うトラブルというのがこれから増加をするというのは、私どももそのとおりだと思います。委員から御示唆をいただきましたペーパートレイルとかクリーンルームといった海外の手法も私どもよく勉強いたしまして、営業管理指針は、必ずしも企業サイドということではなくて、従業員との明確な形でのトラブル防止のための指針ということでもございますので、御指摘の点も含めて営業秘密管理指針の改定に臨んでまいりたいと考えております。
  103. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 ひとつ厚生労働省とも連携をしていただきまして、この法律のお世話になる人がゼロであると、このことを私は目指していき、かつ、企業にとっても大変重要な営業秘密が外に漏れることがない、そういうふうな社会づくりに私どもも努力していく必要があると思います。  さて、先ほど来いろいろ話題になっておりました秘密保持契約の在り方について、少し関連して御質問したいと思います。  先ほどの話にもありましたように、今後は企業としても営業秘密を守っていくために社員や退職予定者との間で秘密保持契約や競業避止義務契約を結んでいくことがやっぱり増えていくと思いますし、先ほど局長はそういうことをするべきだと、こういうふうに言われたと思います。  これらの契約は、退職者の営業秘密の不正取得、不正開示・使用に関して民事上の損害賠償を請求しやすくするという意味で、企業側の予防手段として大いに活用できるものであります。しかし、このような契約というものは、やはり締結時における労使間の力関係から生ずる問題や、ちょっとした解釈をめぐるトラブルが将来起きる可能性もあると。当然、職業選択の自由や起業の自由との関係もあり、とにかく今後慎重にある面で対応する必要もあると考えられます。  特に、途中退職、途中離職というのは、恐らく円満な形で退職するというのはむしろまれな方で、実際は、会社都合の解雇とか、あるいは会社の経営方針の問題や人間関係など、本人がもうこれ以上やっていけないという極限状態に置かれて辞表を出すというふうなことも大いにあり得るというふうに考えます。労使の力関係からいうと、退職金の算定に影響力を持つ会社側が優位に立つことは明らかであり、もちろん、労働者側も退職金を犠牲にしてでもがんじがらめになる営業秘密保持契約など結ばなくてもよいとする、そういうケースだってあるわけですけれども、まあこれは少ないだろうと。  そういうようなことを考えますと様々なケースが想定されると思いますけれども、経済産業省として、これから契約モデルの検討に入られるということを聞いていますけれども、この視点から留意点などを是非お聞かせいただきたいと思います。
  104. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 退職者も含めまして、従業員と会社側でどのように営業秘密を守るルールを作るかという御質問かと存じます。  私どもは、営業秘密を管理するという側だけではなくて、例えば御指摘ありました退職者にとっても、退職後に負う守秘義務の範囲が明確になっているということが退職者にとっても重要なことであろうと思います。したがいまして、営業秘密管理指針の改定に当たりましては、企業側と従業員あるいは退職者との適正な秘密保持契約の在り方、こういうものを追求するということで検討してまいりたいと考えております。
  105. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 次にもう一つ、競業避止義務の問題、これもございます。  競業している業界だとか競争相手に就職するとかしないとか、そういうふうな問題も往々にあります。今回の法改正とは少し別のジャンルというふうには考えられますけれども、この際、競業避止義務というものを今後の経済活動の中でどのように位置付けていくのか、これも非常に大事なことであります。働く人たちが今回の法改正を誤解をして、大変な制約があると、秘密保持契約も結ばないかぬ、あるいは競業避止ということで同業他社に就職したらあかんぞとか、そういうふうな訳の分からない誤解が世の中を漂い始めるということは良くないと、こう思うわけであります。  そういうような意味で、今日、我が国では中小零細企業や自営業者の廃業が相次ぐ中で起業を活性化させる政策は極めて重要になっておりますし、これは今日までの委員会の中でもるる議論をされてきたことでありますし、本日も午前中そういう趣旨の御質問がございました。  独立型の起業においては自分が企業内で培ってきた技術あるいはスキル、ノウハウを生かすことが基本でありますが、しかし、競業避止義務が想定する公序良俗に反する範囲が拡大していくと、起業活動そのもの、これは業を起こす、起業活動そのものに影響が出てくるということもあります。これまでの裁判判例の積み重ねもございますが、営業地域の範囲や営業開始時期に制限を加えることが一般的になっておりますけれども、これも自由競争という観念から幾つかの問題点が指摘されている昨今にございます。  政府として、営業秘密の不正開示、不正利用の問題と同様に、この競業避止義務における制限の在り方などについて一定のガイドラインを出すなどの必要性があると私は思いますけれども、御見解を伺いたいと思います。
  106. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 競業避止契約につきましては、私、御説明しております営業秘密の契約とは別物でございまして、より営業秘密の保護を外形的に担保するための契約であると、このように考えております。したがいまして、御指摘のとおり、退職者の転職の自由との関係ではより慎重な取扱いが図られるべきものだと考えております。  過去の裁判例におきましても、期間、区域、職種、使用者の利益の程度、労働者の利益の程度、労働者への代償の有無等、諸般の事情を総合して合理的な制限の範囲内でのみ認められる。無効とされるケースも多いと、こういうふうに受け止めております。また、競業避止義務の契約の期間につきましても、二年間で有効と認められるものがあれば、片方、三年以上のものについては無効と、こういった判例でございまして、非常に抑制的に行われているものではないかなと思います。  私どもは、転職そのものを外形的に担保するというよりは、在職中に知り得た秘密であってその企業にとって重要な営業秘密に限って、退職者に交渉の上、契約を結んでいくと、こういうのが目指すべき方向ではないかなと考えております。
  107. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 御答弁はそれなりに是とする内容でございますけれども、このことが働く者にとって一般周知されていく。競業避止というものが、やっぱり今局長が言われたように非常に制限的な範囲に判例においてもあって、みだりに非常に不利な競業避止契約は無効なんだと、こういうふうなことも併せて私はやっぱり周知していく、そういうことをやらなければ、私は、今回御提案の法律を本当にもって正常に労使共々が力を合わせてやっていくということの条件をつくっていくという意味では大切だということで、ガイドライン等についての必要性を訴えているわけであります。  作るという御回答ではないので、できればこういうふうな私のこういう意見も考えていただきまして、次の質問がありますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。  次に、海外における営業秘密開示の捜査という視点で法務省にお伺いをいたします。  今回、営業秘密の国外開示については、個別の国名を出しては問題があると思う。やっぱり中国、韓国、台湾、こういうふうな国も想定の中に入っていると、こういうふうに思います。あくまでも想定だということでございますが。  本人が日本の会社を退職し、外国の企業に再就職をし、現地で我が国の営業秘密などを開示して、この結果、日本の企業あるいは現地の日系企業の経営に重大な影響を与えるという構図がやっぱり想定されますが、果たして今回の法改正が今言いましたことについて実効性を持つのかどうか、こういう視点から考えてみました。  恐らく、国内以上に海外での捜査、立件は難しくなるのではないか。また、不正開示した者が、これは人ですけれども、海外に移住している場合、あるいは帰国してこない場合は、捜査の国際的な協力体制を取ることも要請されてきます。さらに、容疑者の引渡しの問題も生じるが、こういった国際的な犯罪に対して立件、検挙が実質的にできるのかどうか、また、いかなる国際協力体制が必要になるのか、法務当局の御見解をお伺いしたいと思います。
  108. 大林宏

    ○政府参考人(大林宏君) 国外犯処罰規定を導入することにより、外国で犯罪を行った者を我が国で処罰することが可能となりますけれども、このような場合でも、御指摘のとおり、被疑者が外国に居住していたり捜査に必要な証拠がなお外国にあることが予想され、この種事犯の摘発のためには、外国の捜査機関との連絡を密にしつつ、犯罪人引渡しや捜査共助を積極的に行うことが不可欠であると思います。  今委員の方から国の名前も出されましたけれども、その国とは現在、司法共助あるいは犯罪人引渡しに関して交渉しているといいますか、お話合いをしているところもございまして、今後、こういう問題につきましては諸外国と協力関係を更に充実させていきたいと、このように考えております。
  109. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 次に、ハイライトの質問を考えていたんですけれども、大臣がちょうどあれなので少しパスをいたしまして、模造品対策について少しお伺いしたいと思います。  電子情報技術産業協会が、日本の大手電機メーカーとそっくりな社名が香港で勝手に登記され中国などで不正使用されているとして、知的財産権侵害調査制度に基づいて調査申出を行ったところ、政府は五月十三日、調査開始を決定したと発表されましたし、午前中の御答弁の中にも関連したお話がございました。  これは、午前中名前が出ました松下電器産業以外にも日立製作所、東芝、三洋電機、四社の社名に酷似した商標が勝手に使われ、その製品が香港や中国で生産、販売され深刻な被害を受けていることに対し行われたもので、政府は十月初旬まで香港での実態を調査し、問題が判明すれば、香港政府などと協議して制度やシステムの改善などを求める方針と聞いております。  やはり海外での知的財産権侵害については当該国に直接働き掛けることが一番であり、今回、最初のケースでございますので、午前中、概略お伺いをしたんですけれども、頑張ってもらいたいと、こういう気持ちを込めて御質問を申し上げたいと思いますので、意気込みなどを含めて御答弁いただきたいと思います。
  110. 石毛博行

    ○政府参考人(石毛博行君) お答えいたします。  今、加藤先生から答弁の内容を全部お答えいただいてしまったものですから意気込みを、意気込みだけを言うような感じになるわけですけれども、今お話がありましたように、これ、この四月に創設された制度でございます。何よりも民間企業・団体からの申立てがまずあって、それに基づいて政府が調査をして、その調査内容を見て、その必要があれば相手国と二国間協議をするというものでございます。  したがいまして、ポイントになりますのは、その調査をもちろん的確に進めるということと、その二国間協議の中で、相手国政府の制度に問題がある、あるいは運用に問題があるということであれば、それを撤回する、是正するように強く申し入れていくということが必要だと思っています。制度の名前自体は調査制度というふうになっておりますけれども、事の本質は、二国間で協議をして、その是正を迫るということだと私ども思っております。  いずれにしましても、御質問のこの具体的な案件につきましては、十月の四日までの調査期間ということで調査中でございますので、その調査の内容は今ここで、まだ始まったばかりですので触れられないわけでございますけれども、私ども、この案件を着実に調査しまして、必要な協議、もし生ずれば行っていきたいというふうに思っております。
  111. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 大臣がお戻りになりましたけれども、いま一つ呼吸の時間をつくりたいというふうに思います。  あわせて、弁理士法のテーマが出ておりますけれども、本件につきましては、午前中、平田委員の方からも抱き合わせ的な提案だと。我が会派としては本件について余り潔しとはしないわけでございますけれども、しかし、さはさりとて、このまま何も議論なしにということもあれでございますので、一言御質問申し上げたいというふうに思います。  一つは、ADRに関しまして弁理士の皆さん方の職務範囲が拡大をするし、社会的にも知的問題、知財に関するテーマは増えてくるという、ニーズが増えてくるだろうし、お仕事が増えるだろうし、中身の高度化ということもありますし、あるいは難しくなってきていると。  こういうふうなことを考えたときに、何も、今日も来ておられますけれども、弁理士の皆さん方が不勉強だとか、研さんしておらぬとか、そういうことを言うわけじゃないんですけれども、やっぱり私は、日々やっぱり進歩しているそういう状況に対してしっかりとした対応が必要だと。それは、御自身がお勉強されるということも大切ですけれども、やはり研修制度の在り方ということもいろいろ考えていく必要があるんじゃないかと、こういうふうなことで、こういうふうに研修制度の問題についてどう考えられるのかということが一点と。  それからもう一つは、特定不正競争につきまして、これ、弁理士法の方を読みますとずっと規定されていまして、特に第二条で、これは不正競争防止法の方は第二条の方で十何項目規定をされていますけれども、弁理士の方はこれを逃している、項目としては外している部分がありますよね。こういうふうなことで、技術的な内容とかそういうふうなことを考えてみますと、これはやっぱり項目としては全体的に包含をしていくべきではないかと、こういうふうに考えるわけであります。  弁理士の方はこれ平成十三年一月六日施行ということで、五年後の見直しということでいくと十八年が、来年ですか、見直しの年次だと、こんなふうに理解をしておるわけでありますけれども、私としてはそういう方向での、分野拡大という方向での見直しも必要かと、こういうふうに思うんですけれども、特許庁長官の御見解があればお伺いしたいと思います。
  112. 小川洋

    政府参考人小川洋君) まず、研修の関係でお答え申し上げます。  今回、社会的ニーズ、それから弁理士の経験、能力等を総合的に勘案しまして、弁理士の業務に裁判外紛争処理手続の代理につきまして、著作権に関する紛争を追加させていただいたわけでございます。  こうした新しい業務に加えまして、正に先生御指摘がありましたけれども、経済活動がますますグローバル化の一途をたどっておりますし、技術革新は急速に進んでございます。そういう意味で、弁理士にはより一層、国際性でありますとか先端技術についての知識など高度な専門性が求められてきております。こうした社会的なニーズにこたえていくためには、個々の弁理士の方々が関係の研修を受講されたりして日々自己研さんに励まれ、その資質を向上させていくということが社会から求められているというふうに考えてございます。  そのため、日本弁理士会におかれましても、テーマ別の会員研修等各種の研修を充実させてこられております。私ども特許庁といたしましても、従来は私どもの職員を対象としておりました先端技術研修等ございますが、そういった研修にも弁理士の方々も参加いただきまして活用していただく、そういう形で弁理士の方々の資質向上を御支援していきたいというふうに考えてございます。  それから、二点目の特定不正競争についてのお尋ねでございますが、平成十二年の弁理士法の改正におきまして、新たに弁理士の業務範囲に不正競争という分野を付け加えさせていただいたわけでございますが、その際でございますが、これまでの経験、知見を生かせるものとして、弁理士の持っておられます専門的知見でありますとか業務経験に照らしまして、不正競争防止法に規定されます不正競争の中でも特に産業財産権に関係の深いものを特定不正競争として弁理士さんの新しい業務として追加をさせていただいたわけでございます。  この特定不正競争の今後の扱いでございますけれども、ADR、裁判外紛争処理手続の利用者あるいは日本弁理士会、それから法務省日本弁護士連合会等、幅広く関係方面の意見を聴きまして、また、今回の改正も含めまして、それから、十二年の施行後のいろんな取組がございますので、そういった後の弁理士さんの活動状況も確認しながら、今御指摘のありましたように、弁理士の専門性を適切に生かせるものがあるのかないのか、そういう観点から、弁理士法の附則の十三条に規定する施行後五年経過後の見直しの中で検討を進めたいと思っております。(発言する者あり)
  113. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 今、声が出ましたけれども、しっかり検討をして、よろしくお願いします。  それでは、いよいよ最後の質問に入りたいというふうに思います。  私も電機産業ですから、液晶の事例を出されましたけれども、液晶を研究しておる職場に行って質問しますと、やっぱり現場のエンジニアは怒っておるんです。海外へ出ていって、大体だれが持ち出したか分かると、中身を見れば、別にDNAが入っているわけじゃないんですけれども。やはり裏切りだと。自分たちが汗水流して十年も二十年も長い間、いろんな人の努力の結晶が今日ここまで到達した、それを、その苦労もなしに、対価も払わずに、どのぐらい報酬をもらったか分かりませんけれども、あるいは出したかも分かりませんけれども、そのことによって一夜にしてその技術を入手する、これは何なんだと。正に、大罪とは言いませんけれども、私はやっぱり犯罪ではないかと、こういうふうな視点で職場で非常に強い憤りを持っている仲間もおられます。  だから、ここのところのやっぱり議論をきちっとすると同時に、私は、そういうふうな仲間を、声を背中に受けながらも、しかし一方で、さはさりとて、一生懸命汗水流して働いてきた人たちが、先ほど言ったように年金支給開始年齢は遅れる、それとの間、何年間どうやって食べていけばいいのか、今大学に行っておる子供が卒業するまでの学資をどうすればいいのかという、生活上の苦しいそういう状況に追いやるというやっぱり人事制度だとかそういうようなことが今どんどん出てきているんじゃないでしょうかと。  そういうような意味で、私は二つの側面から考えなきゃいかぬと。  一つは、やっぱり営々として築き上げた営業秘密、それから製造ノウハウ、知財、こういうふうなものはやっぱりきっちり世の中の大切な宝物として同じように管理する、こういう必要性と、もう一つは、そんなことをする人も元々はあなたのところの社員だったんでしょう、同じかまの飯を食って一緒に働いてきた人じゃないですか、その人がそういうふうなことになっていくやっぱりそれなりの生活上の事情なり状況が出てきたんじゃないんですかというふうなことを考えたときに、やっぱり最近会社が冷た過ぎるんじゃないかと。業績主義やリストラや早期退職だと、いろんな制度一杯あって華々しくやっておるけれども、要は従業員に対する血のこもった温かい政策を失っておるんじゃないかと。  その人たちが会社に入ったころ、若いころは安月給で、定年前になったら、おまえ、たくさんもらえるから頑張れといってやったけれども、四十過ぎ、五十過ぎて楽しみにしておったときに、はいリストラと、こういう世相についてもしっかりやってもらわないと、一方的に退職者のことばかりで、刑罰だとかそういうことだけでは私はやっぱり均衡を欠くと、こういうふうな思いで、本当に日本の産業を、物づくり日本再生ということのためには、私はこういう経営者の経営理念、職場における労務管理、そしてその中に、契約社会にはするけれども、ベースは、どんなに契約したってベースは信頼関係がなきゃ駄目なんですから。  この信頼醸成のために、私は是非大臣に、経団連の皆さん方に言ってほしい。経営者の中でも、もうほとんどの人は分かっているんですよ。でも、そのことをしっかり言葉として発していただきたいということを最後の質問にして、お待たせいたしました。
  114. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 加藤委員から、大変技術者として、また企業人としての誇りを持った御質問を先ほどから拝聴させていただいております。  やはり、日本がこれから知的財産立国として生きていかなければならない、また生きていけるというふうに思っております。そのためにはいろいろと、政府としてもいろいろバックアップをしていかなければならないと思いますけれども、やっぱり主役は人材であり企業であるというふうに思っておりますので、その能力を十分発揮できるように。  御指摘のように、片方では、やる気をなくすような刑罰的なものが強過ぎても駄目ですし、片方では、ノーズロといいましょうか、どんどんどんどん知的財産が不法に流出するということもあってはならないと思いますので、先ほどADRのお話もございましたけれども、特許庁と弁理士の先生方とが、あるいはまた企業のプライド、倫理観とが両々相まって、みんなでこの知的財産立国をつくり上げていくということが大事だと思いますので、当委員会の先生方の、とりわけ加藤先生の御指導をよろしくお願いします。
  115. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 質問を終わります。
  116. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  この不正競争防止法の改正の質疑に入る前に、クールビズについて一言申し上げたいというふうに思います。  今朝も、私はホテルである勉強会がありまして出ていたんですけれども、設定温度が二十八度でございました。前は、ホテルにいろいろな勉強会とか何かで行きますと寒かったんです、とにかく、冷房が利き過ぎていて。けれども、設定二十八度ですということで、やはり今、政府挙げてこのクールビズに取り組んでいらっしゃることがやはり世間にもだんだん浸透してきたんだなというふうに実感をした次第でございます。  私は、この当委員会でも、実は以前、寒暖計を持ち込みまして、こうやって皆さんに、これ、今何度あると思いますかと。当時は二十度ぐらいだったんですね。とても夏でも寒いと。それで、とにかく夏でもこんなに厚いひざ掛けが要るんです、これはもうおかしいじゃないか、地球温暖化に、やはりこの防止に協力するためにもこの委員会の温度を上げましょうということを申し上げたんですけれども、この分館そのものが古くて、当委員会室だけ上げるというわけにはいかないということで、全館対応なわけで駄目だったわけなんですね。  そういう経緯もありまして、このクールビズに対してはとても私はうれしいというふうに思っている次第でございますけれども。  クールビズというと小池環境大臣ばかりが何かクローズアップされているようでございますけれども、当、我が中川経済産業大臣もこのようなすばらしい、肝いりでパンフレットを出されておりまして、スタイルブックということで、悩んでいる、クールビズってどういう格好したらいいのか分からないなんという悩みの方に。なかなかいいんですよ、これが。「プロが教える、スマートファッションのポイント」なんということで、「色数は三色までにおさえ、統一感を出した方が美しく見えます。」とか、いろんなことが書いてある。ちなみに、この中の着ていらっしゃる方、もうちょっとイケメンだったらいいかなとこれは思うところでございますけれども、まあそれはそれとして。なかなかいいものを経済産業省としても、外郭団体ですけれども、出してくださっていると、ちょっとこれ申し上げたいというふうに思います。  百貨店のコーナーでもこのクールビズのコーナーはとても繁盛しているそうで、ある役所の方が買物に行ったら、ほかの役所の人もぞろぞろ来ていたなんということを聞きまして、売上増につながっているなんというふうにおっしゃっておりましたけれども。  ラフな格好のクールビズは大体皆さんこういうものかなと、これにもありますように、大体分かるんですね。けれども、これがオフィシャル、フォーマルということになると、やっぱりネクタイあるいはスーツということになるというふうに、まだそういう感じですね。  でも、これは皆様御存じのように、背広というのは、サビルローですか、英国が発祥でありまして、例えばイギリスは八月の平均温度は十八度、日本は八月の平均温度は二十八度でありまして、十度違うと。おまけにこの湿度でございますから、なかなか、もう大分慣れていらっしゃるんでしょうけれども、こういうふうに暑いですね、やっぱり。(発言する者あり)ああ、そう。今日は涼しいですけれども、ふだんは暑いという、こういうことで、本当に真夏などはお気の毒だなというふうに私も男性の皆様を見ていてそう思っているわけでございますけれども。  フォーマルにも適応できるものをやっぱり考えるべきじゃないかと。これは是非、経済産業省は、先ほど繊維の話も出ましたし、あるいは衣料関係、これも所管する省庁でありますし、例えばフィリピンなどは、何だっけ、バロンタガログ、これはシースルーになっていますけれども、バナナとかあるいはパイナップルですね、そういう繊維でできているということなんですけれども、とてもすてきで、ここに刺しゅうが入っているんですね。真っ白、この色はもう必ず白なんですけれども、最近はシルクなんかでも作っているそうでございますけれども。  やはり日本も今、竹の繊維で実はスーツなどを作られているそうでございますけれども、竹とか麻とか、あるいは今、紙の布、紙布と言うそうでございますけれども、これがまた非常に軽くて涼しいそうでございます。こういう日本古来のものも使って、少し知恵を働かせて、そういうフォーマルにも適応するようなものも是非考えていただきたい、これは私の要望でございますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
  117. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 本当に、クールビズというのは、ある意味ではとっても涼しいというメリットがありますけれども、率直に言いまして、今、松先生からイケメンじゃなきゃ駄目だとかダサいとか、私も、実は自分で朝着てやっぱりちょっと似合わないからやめようかということが何回かございまして、やっぱりこれは相手に対して与える印象というものも多分大事なんだろうというふうに思っております。  したがって、これはある意味ではファッション、デザインでございますから、これから九月一杯ですね、これが定着して、経済産業省、言うまでもなく省エネという担当官庁でもございますから、是非、松先生あるいは御主人にファッションリーダーになっていただいて、その上で、ああ、松先生御夫妻が似合うからみんなでこれをやろうということで、この辺にいる連中がお手本になればとってもいいきっかけになるのではないかと。日々、私自身、朝、鏡の前で悩んでいるというのが率直なところでございます。
  118. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  大臣は格好いいですから、そういうお悩みはないと思いましたけれども、毎日何を着ていこうかと悩む方もいらっしゃるようで、女性の悩みが分かったでしょうとその方に申し上げたんですけれども、女性は日々苦労しているところでございます。  それでは、不正競争防止法改正の質疑をさせていただきます。  先ほど来、いろいろ午前中から質問が出ております。先ほどは加藤先生が、大企業に働く人間にとっては、血の通った、やはりそういった信頼関係が必要であるというお話ございました。私も正にそのとおりであるというふうに思っております。  それからまた、特に、大企業もさることながら、中小企業の方々、またこれは非常に苦労をしていらっしゃるわけでございます。今回のこの不正競争防止法の改正につきまして、特に中小企業に対するメリットがあるのかどうかということをお尋ねしたいというふうに思います。  中小企業にとりましては、知的財産は、市場においてはオンリーワンの商品を提供するための武器となるわけであります。しかし、一般に中小企業というものは、良いアイデアあるいは優れた技術を持ち合わせていても、これを特許権や意匠権あるいは商標権にしていくだけの資金力や時間的余裕がないのが普通なんですね。  そしてまた、中小企業は発注元の大企業に対して立場が弱いです。これは午前中の松村先生もおっしゃっておられました。正に発注元の言われるままに金型やあるいは図面を提供して、これが大企業に盗まれてしまう、こういう被害もよく耳にするところであります。しかし、こういうことが起こっても、民事的に訴えていくということは大変に中小企業にとって困難なわけでございます。  そこで、今回のこの不正競争防止法の改正がこうした中小企業の抱える問題にどのような解決を与えるのか、まずお尋ねしたいと思います。
  119. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 中小企業が、知的資産といいますか、技術、技能、ノウハウを武器にして成長していくということが、日本の経済全体にとっても大変望ましいことでございますし、物づくり立国を支えているかなりの部分が中小企業であろうと思います。  こういった知的資産、知的財産を法的に守っていくためには、御指摘のような特許、意匠、商標等として権利として確立するというのが最も望ましいわけでありますけれども、中小企業の技術、ノウハウというのは、必ずしも特許になじまない、特許になじまないような部分が多いということがございます。それから、御指摘のとおり、特許申請には時間とコストが掛かります。それから、権利は取ったけれども、公開をされることによって大企業だとか同業他社に実はノウハウが盗まれるという心配もあるということで、なかなか利用が難しい面があるというのは先生御指摘のとおりでございます。  これに対しまして、不正競争防止法はこういった登録が要らない制度でございます。営業秘密としての管理が必要でございますけれども、秘密を管理し、その有用性、非公知性という不正競争防止法上の営業秘密の要件に該当すれば、こういった登録なしで、これを不正に使用する人が現れた場合に民事上の救済措置ができるというのが現行法の規定でございます。  今回は、これに加えまして刑事上の措置をとりますので、中小企業にとっては、登録をしないで、しかし不正な人が現れれば警察に訴えるという形で間接的に中小企業の知的資産が保護される、こういった意味で、中小企業にとっても大変有意義な法律改正ではないかなと考えております。
  120. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。中小企業にとって力強い今の御答弁であるというふうに思っております。  今年の三月ごろに報道で、中国で偽の「クレヨンしんちゃん」が商標権を取られて、本物が負けちゃいそうだということが非常に話題になっておりました。「クレヨンしんちゃん」は、御存じのように、日本で大ヒットしたアニメでございますけれども、特に日本だけではなくて、アジアやヨーロッパでも本当に広い範囲で人気があるそうでございまして、アニメ作品ですけれども、特にスペインでは大ヒットしておりまして、三十八もの方言に翻訳されて放送されているそうなんでございます。世界各国から、「クレヨンしんちゃん」の舞台である春日部に行ってみたいという気持ちで日本を訪れる若者もたくさんいるというわけなんですね。やはり、日本の家族を、庶民の家族を舞台にして主人公の子供が事件を起こすという、まあどこにでもあるような話なんですけれども、非常にこれがかわいらしいアニメの動画に表れているように、世界じゅうから人気を得る秘密かなというふうに、普遍的なスタイルであるし、秘密かなというふうにも思うところでございます。これ、中国でも大人気で、二十歳以上の男女を対象としたアンケート調査では一位にランクされているという報道もあります。  それで、昨年、中国で日本企業が衣料品などのこの「クレヨンしんちゃん」のグッズ販売を始めたところ、現地の偽物業者が先に商標登録を済ましていたというんですね。それで、偽物業者のクレームを受けて、中国当局が百貨店の方から本物を撤去しなさいと、こういうことになりましてびっくりしたわけでございます。今度は日本側がクレームを付けたところ、やっと一転しましてこの偽物の撤去が命令されることになったわけでございますけれども、まあ中国というのはWTOに加盟している国とも思えないわけでございますけれども。  日本側はこの商標登録の無効を請求したと聞いておりますけれども、現在これ、どんな状況にあるのでしょうか。  それに、問題になっているのはこの「クレヨンしんちゃん」だけじゃないんですね。日本もいつまでも泣き寝入りをしているというわけにはいかないわけでございます。しかし、訴えても所在が分からないとか、商品の単価が安くて裁判に持ち込んでもコストを考えると割が合わないし、欧米に比べて日本では外国語ができて知的財産も扱える弁護士が少ない、こういう問題もあります。文化芸術立国標榜している日本におきましては、国内の体制がいま一つ貧弱なのであります。  そうはいっても、アジアのマーケット、これからの日本にとって大変に重要でございまして、先ほどの偽「クレヨンしんちゃん」問題の早急な対応を始めとして、文化芸術立国にふさわしい海外コンテンツ戦略が緊急に必要と思いますけれども、いかがでございましょうか。
  121. 豊田正和

    ○政府参考人(豊田正和君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、中国でも「クレヨンしんちゃん」、大変人気でございます。ところが、御指摘のように、現地事業者が日本の正規の権利者に無断で先に、「蝋筆小新」と言うようでございますが、現地において「クレヨンしんちゃん」の商標を登録をいたしまして、同商標を使ったキャラクターの商品の販売を進めようとしたものでございます。  昨年の七月末に、双葉社というこの正規の権利者でございますが、現地取締り当局に対し同商標の使用差止めの請求を行いました。中国当局は、約一か月後でございます八月には同商標の使用差止めの仮処分の決定をしたということでございます。その後、同社は、先生御指摘のように、現在自分の商標を、正規の商標を登録する必要がございますので、そのためには偽の商標の無効が確認されていないといけませんので、無効審判の請求を行いまして、現在審理中でございます。現地において事業者による適切な対応が講じられていると、今のところ私ども理解をして様子を見ているというところでございます。  ただ、より大きな問題といたしまして、先生御指摘のように、文化芸術国家としての日本の海外へのコンテンツ展開戦略はどうなのかということでございますが、私どもも大変この点重要だと考えておりまして、とりわけこうした被害が深刻な中国におきまして、北京、上海にまず海賊版対策の専門調査員を常駐をさせまして、市場モニタリングですとか企業相談、必要があれば訴訟の支援なども行うと。加えまして、東京国際映画祭をコンテンツ発信の中核ととらえまして日本でのコンテンツ国際取引の見本市を開催するといったこと、さらに、カンヌ映画祭など海外でのコンテンツの見本市にも日本の事業者が出展ができるように支援などをしているところでございます。  さらに、最近では特にアジアとの協力が重要だということでございまして、本年の東京国際映画祭の際に、アジアの関係大臣の参加も得まして、国際取引能力向上のためのアジアのコンテンツ産業セミナーを中川経済産業大臣の主催で開催することということで現在準備中でございます。  我が国コンテンツの国際展開の促進について最大限努めてまいりたいと思っております。
  122. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。──大臣、どうぞ。
  123. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 済みません、豊田局長の後。  私も中国の政府の関係の方々とお会いして、この模造品・海賊品対策を強く申し上げているところでございますが、日本のデータでは、日本企業の模造品、中国で模造品の売上げが九・四兆円というふうに日本の企業関係のデータから出ております。ただ、中国側からは二・四兆円から三兆円と、もう全然違うんですね。まあ、どっちが正しいかは別にして、とにかく兆単位でやっているということでございます。  それから、中国も、今、松先生がおっしゃられたように、WTOに入っている、TRIPs協定に入っているわけですから、少しまじめにやれよと、まあやれよとは言わぬ、やってくださいよということを申し上げているんですけれども、やっていますとは言っていますけれども、国と地方との関係、あるいはまた罰則の外国品に対する罰則と国内模造品に対する罰則の差とか、かなりちょっと差があると、国内外で差があるというのが現実でございます。  先日のAPECの済州島での会合でも、アメリカ、日本、韓国が共同で模造品・海賊品対策、知的財産権対策について強く申し上げたところですけれども、何しろボールペンから自動車に至るまで、「クレヨンしんちゃん」に至るまで、ありとあらゆる模造品が出ているということで、これはやはり市場経済国を目指すんであれば信用問題になっていくということで、これからもEUも含めて強く申入れをしていきたいというふうに思っております。
  124. 松あきら

    ○松あきら君 大臣のすばらしい御決意、うれしく拝聴いたしておりました。  やはりコンテンツ産業、二〇一〇年には十七兆円規模になるということでございますので、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。  実は、日本版MPAの設立についてというのを質問しようと思ったんですけれども、ちょっと時間の関係で飛ばします。  そのコンテンツをめぐる重要な問題として、平田先生の御質問の後を受けて、パブリシティーの問題を取り上げさせていただきたいと思います。  近年、有名人の肖像やアニメキャラクターなどを商品に張り付けて、これを販売することによって不正の利益を得たり、アイコラと言うそうでございますけれども、これはアイドルコラージュと言うそうでございまして、アイドルの顔写真と、体の方はいかがわしい写真を組み合わせて──御存じですか、そうですか。余りよく知らない、そうですか。こういうのがすごくたくさん出ているそうでございまして、大抵のアイドルはこの手の被害に遭っているそうでございます。  そうした他人のキャラクターを勝手に使う、原宿などでもこういう不正商品一杯売っているそうでございますけれども、中国の偽「クレヨンしんちゃん」事件と似たような事件は、海の向こうの事件だけではなくて日本でもいろいろあるということであります。  また、今回の不正競争防止法の改正案では、著名な商品等表示の信用又は名声を利用して不正な利益を得たり、信用又は名声を害する目的で使用したりすることを禁止しているというんですね。したがって、あのケンタッキー・フライド・チキンの入口に立っているおじさん、あのおじさんはカーネル・サンダースさんとおっしゃるそうです。あの方なんかを勝手にいろんなところで使うと、これは肖像権の侵害、あるいは今回のこの不正競争でも駄目というわけなんですけれども、先ほど御答弁ありましたように、芸能人や有名人の例えば生写真なんかは、それ自体が商標法には触れないから生写真を売ることはいいというので、私もちょっとびっくりしちゃったんですけど。  実は、昨日の日経新聞に矢沢永吉さんの記事が出ておりまして、パチンコの画面ですね、この液晶画面に自分とよく似た人物の絵、まあこれはほとんどこの方なんですけども、これが出るそうなんですよ。とんでもないわけでございまして、大当たりになるとこの矢沢永吉さんが赤いタオルを首に掛けた白い衣装を着て現れるそうでございまして、まあもちろん矢沢永吉という名前は出ないんですけれども、もうこれ、よっぽどじゃない限りはみんな分かるんです、矢沢さんということは。そして、これは自分の肖像から生じる経済的利益を独占できるパブリシティー権を侵害されたと訴えて主張したんですけれども、これは却下されたわけですね。法的救済が必要な人格的利益は侵害していないって判断されちゃったと。矢沢さんは、肖像権やパブリシティー権は日本では軽く見られがち、控訴したら別の判決が出るかもしれないけれど、かったるいからやめますと、こういうことだそうでございまして、やはり私はこれはおかしいのではないかと。  ドイツでは肖像権が法律に規定されておりますし、アメリカではパブリシティーは不正競争に位置付けられているわけでございます。有名人の肖像が不正な商業的目的から保護されていないのは、先進国では日本だけであります。私はこれは断じておかしいと。  今回、このようなパブリシティーの侵害に対してこの不正競争防止法では何ができるんでしょうか。あるいは、できないとしたら、是非今後パブリシティーの問題を新たな不正競争として追加をしていただきたい、それでなければ真の文化立国とは言えないというふうに思います。いかがでございましょうか。
  125. 北畑隆生

    ○政府参考人(北畑隆生君) 不正競争防止法でパブリシティー権について保護できないかという御質問ですが、一定の範囲で保護可能だと考えております。  矢沢永吉さんのケースにつきまして、判決を読んでおりませんけれども、報道によりますと、ある程度矢沢さんを想起させる絵だが、本人と識別するほど似ていない、この部分のちょっと判断が問題なんでございます。  不正競争防止法では、有名人の方の氏名、肖像あるいは似顔絵、これを商品等表示に該当するかどうかというところがポイントでございまして、その氏名、肖像あるいは似顔絵がその商品、サービスの出所あるいは営業の主体を表示するだけの識別力、こういうものがあるかどうかというところがポイントでございまして、一定の範囲でこういうパブリシティー権というのはこれに該当するケースがあり得ると考えております。  これに該当する場合には、現行の不正競争防止法の第二条第一項第一号、ある程度周知されておって、本人が作ったものではないか、本人が販売しているものではないかと誤認混同を生ずる場合には現行法でも対象になります。これは現行法でも、民事の救済、それから刑事の救済、両方の対象になり得ます。  それから、誤認混同というふうになくても、その氏名、肖像、似顔絵が著名、全国的にみんなが知っているというものであれば、誤認混同要件を満たさなくても、第二号の著名な表示を勝手に使った行為、著名表示冒用行為、これに該当いたします。現在は民事救済の対象でありますが、今回、改正が成立いたしますと刑事救済の対象にもなります。  それから、御指摘のありました有名人の生写真を無断で複製して販売する行為、これは特許庁長官が御答弁したとおりでございます。商標法というよりはむしろ著作権の問題ではないかなと考えます。  それから、アイコラと言われるものにつきましては、むしろ刑法上の名誉毀損罪の対象になるのではないかなと考えております。  いずれにしましても、外国のようにパブリシティー権そのものを保護するという法律はないんですけれども、それぞれの法律である程度救済対象になり得ると考えております。  不正競争防止法で正面から取り入れたらどうかという御質問をいただきましたけれども、今後の事例をいろいろ研究をいたしたり、判例の定着なども見ながら、今後の検討課題ということで受け止めさせていただきたいと存じます。
  126. 松あきら

    ○松あきら君 是非厳しくパブリシティーを守っていただきたいというふうに申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  127. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 クールビズ続行中の鈴木陽悦、最後の質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  今週のいろいろと動きを見ておりましたら、週初めはフィッシング詐欺で初の逮捕、それから今日の新聞を見ましたら、警察庁、経産省、総務省、三者の連携によりまして、海賊版商品防止ルール策定要請、これをインターネットの業者に出すということで、要請を出すという、こうしたホットなニュースが載っておりまして、まさしく今日の委員会にふさわしい一週間といいますか、今週のニュースの動きだったなという感じがいたします。この点については、後ほど時間が許しましたらいろいろと内容などについて伺ってまいりたいと思いますが。  かなり詳しい質問続きましたので、私は大枠でとらえた質問をまず最初に大臣を中心にさせていただきたいと思います。  政府は、知的財産を国富、国の富の源泉としてこれを最大限に活用し、一刻も早い知的財産立国の実現を目指すことこそが我が国経済が持続的成長を続けていく上での喫緊の課題と、こう位置付けております。知財立国が喫緊の課題であることは理解できるわけなんですけれども、私、政府の取組はむしろかなり遅れているんではないかと心配しています。また、政策の実現のための政府の一体感と、国民と政府の一体感もまだまだ欠けているんではないかと、ちょっと憂慮をしております。  今回の法改正に至ります経緯を見ますと、昭和九年のこの制定はともかくといたしまして、さっき加藤委員からも出ていました平成二年、そして平成五年の全面改正、さらに平成六年、八年、十年、十一年、十三年。ここ最近では、十五年、十六年、今年で十七年。十五、十六、十七といいますと宇多田ヒカルさんのお母さんの歌を思い出しちゃいまして、こっちは歌の文句は人生真っ暗になっちゃいますけどね、人生暗かったになりますが、暗くなっちゃ困るわけでありまして。  こうした過去の経緯を見て、なぜという疑問がわいてまいります。私、付け焼き刃的な修正を繰り返すのではなくて、中長期的なビジョンに裏打ちされた知的財産を日本の強みとして生かすための根本的な改正が必要だと思っております。目まぐるしい改正がなぜ行われてきたのか、そして度重なる改正、果たして国民に理解しやすいのかな、ちょっと疑問に思うわけでございますが、この辺についてのお考えを是非伺いたいと思います。大臣、お願いします。
  128. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 鈴木委員御指摘のように目まぐるしく法律改正をしているわけでございまして、ただ、言い訳では毛頭ございませんけれども、世の中のこの模造品・海賊品とのイタチごっこという現実もあるんだろうと思っております。例えば、ネット上の成り済まし、改ざん、のぞき見といった問題もございますし、この知的財産が、先ほどの松委員の御指摘にもありましたようにもう国際的になってきているわけでございますから、そういう意味で国際的な対応も必要になってくると。WIPOでありますとかあるいはTRIPsでありますとか、そういった国際的な取組、あるいはOECD等々国際的な機関の協力がなくしては対応できない。  また、コンテンツについても、東京国際映画祭を秋に控えて我々としてもきちっと対応していかなければいけないということで、御指摘はそのとおりでございますけれども、できるだけ迅速にかつ効果的に対応をしていくということで、何とぞ御理解をいただきたいというふうに思います。
  129. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 大臣、ありがとうございました。  経産省は規制官庁であるだけではなくて、日本経済をプロデュースする政策官庁であると考えておりますけれども、今回の改正では規制を強化する側面だけが強調されているように思えてなりません。先ほどの加藤委員からもお話ありました。企業の保護が優先されていて、会社を構成する社員ですね、社員の姿が見えにくいという感じもいたします。退職者への厳しい規制、在職中の縛りも盛り込まれています。確かに企業秘密は守られるべき重大なものなんですが、逆にとらえますと、創造性とか、それから発想とか、更には自由といった本来企業が伸ばすべき人材の仕事に対する意欲とか意識が、何回も出ていますが、萎縮してしまわないかという懸念がございます。  こうした規制がコンテンツの創造の思わぬ壁になりはしないか心配されますけれども、この辺のバランスについて伺ってまいりたいと思います。ちょっとこれ、私、心配し過ぎでしょうか。いかがでございましょうか、副大臣、お願いします。
  130. 保坂三蔵

    副大臣(保坂三蔵君) 心配し過ぎということはないと思います。やはり働く人こそ財産だと思っております。しかし一方、ただいま大臣からも話がございました目まぐるしく動く国際情勢あるいはまた犯罪者の巧妙かつ多様化した犯罪に追い付いていくためには、やはり悪質な者を徹底的に処罰すると、こういう姿勢は、やはりある意味では働く人の萎縮ということにはつながりかねませんが、抑止力としてやはり効果が上がることを期待しているわけでございます。  いずれにいたしましても、知的財産の創造と保護と、それから活用と、この活用までサイクリングさせることが重要でございますので、その辺りまで考えてまいりますと、営業秘密にアクセスできる人間を会社が放さない、あるいは育てるというような基本的なスタンスが会社にあれば、そういうような疑念だとか萎縮はだんだんなくなっていくと、このように考えております。
  131. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  その人材面でもう一つお話を伺ってまいりたいと思うんですが、いわゆる二〇〇七年問題です。団塊世代でございます。  二〇〇七年ですから、もう間もなく、来年、再来年には二〇〇七年がやってまいります。昭和二十二年から二十六年生まれの方々を主に指すと言われておりますけれども、私もまさしくこの中に含まれる一人でございます。こうした団塊の世代は、これまでの日本経済の、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、多分大筋では皆さんに合意いただけると思うんですが、日本経済の中軸を成してきたと言われております。これも多分間違いないと思います。  その大量引退といいますのは企業にとりましても大きな問題ですけれども、一方では、みんながみんな引退ではなくて、中には六十を超えても新たなチャレンジに燃える方たちも多いんではないかとも想像できます。正にテレビでやっております「プロジェクトX」、これに登場するような世代が世の中にあふれ出ることになるわけなんですが、ここで注目したいのは、団塊世代は肌で、先ほどもお話出ましたが、肌で仕事をしてきた、つまりは仕事が身に染み込んでいる、こういったプロが多いということでございます。このプロたちがこれまでの経験を生かして新たな事業を起こした場合、かなりのパワーを持つと思いますが、ここで厳しい規制が足かせとなって、このパワーが半減するんではないかとの危惧の念も抱いてしまいます。  二〇〇七年問題と知財立国についての御所見、そして方向性というのは、大臣、どのようにお考えなのか、伺いたいと思います。
  132. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 二〇〇七年問題、団塊の世代が第一線を引退されるということで、ある意味では社会的に大きな関心を引き起こしているわけでありますけれども、少子高齢化だからということでは必ずしもございませんけれども、やはり今、鈴木委員が御指摘のように、正に戦後の高度経済成長あるいはその後期を、後半を担ってこられた先輩方ですから、大変な御苦労と経験があるわけでありまして、これを無駄に、無駄にと言ったら何か、もったいないというまた言葉がございますけれども、こういうものを生かすということはやはり国家的に見ても非常に大事なことだろうというふうに思っております。  そういう意味で、こういう方々には第二の現役世代として、あるいはまた後進を指導する貴重な人材として大いに社会的に貢献をしていただけるような環境を、政府あるいは自治体あるいはNPO、その他いろんな機会に大いに活用していただけるような環境づくりをこれから準備を進めていく必要があるのではないかというふうに考えております。
  133. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  団塊世代、二十代にあっても三十代にあっても四十代、五十代にあっても常に先端行って、結構元気一杯なんですね。多分六十代に入っても元気に元気にばりばり活躍するんではないかと思います。元気な団塊世代、それに続く世代のバランス、うまく取っていかなければいけないと思います。その瞬間、間近に迫っております。どうぞ人的素材の有効活用を大いに日本の経済の活性化に生かしていってほしい、生かしていきたいと思っております。  では次に、インターネット取引について伺いたいと思います。  模倣品につきましては既に質問出ておりますが、インターネットを使った取引による被害は後を絶ちません。今後も新手の手法がいろいろと現れてくると思います。今週になりまして表面化した、冒頭申し上げましたフィッシング詐欺、これもこうした動きの一つではないかと思いますが、今回の法案は、この新しい通信販売を十分に見据えた対応策の必要性を指摘しております。  そこで、まず、今年設立されたばかりのフィッシング対策協議会、この協議会の取組、そして具体的な事案に対しますその防止策等について伺えたらと思います。
  134. 豊田正和

    ○政府参考人(豊田正和君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、日本においても昨年辺りから急速にこのフィッシングメールが目に付くようになっておりまして、正に今週の初めでございましたけれども、フィッシングの事例として初めて逮捕者も出たということでございます。  私ども、フィッシング対策についてはとにかく早い段階での対応が必要だということでございまして、昨年の十二月以降検討した結果、今先生御指摘のフィッシング対策協議会の設立というものを実現をしたわけでございます。実際には、今年の四月に民間団体、業界を中心といたしましたこの協議会が発足をしております。情報の収集、そして提供、関係者への注意喚起、さらに技術的、制度的な対応の検討、また海外機関との協力などについても、この協議会において着実に進めてまいろうということが趣旨でございます。五月になりまして既にホームページを開催しておりまして、情報の迅速な収集、提供、そして注意喚起は実際に始めているところでございます。  総務省ほか関係省庁とも連絡を取りまして、迅速な対応をしていきたいと考えております。
  135. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 この事件が表面化して、私も実際にインターネットでやってみたんですが、出ました。ヤフーはYAHOOですが、Fなんですね。だから、ヤフーを思い違いしている人はヤフーのフーをFにしちゃう。そうすると、そこでアクセスしちゃう。それから裏で情報が、個人情報が漏れていくという、そういう非常に巧妙といいますか、こういった手口が今後ともまた増えてくると思いますので、是非、啓蒙の方を利用者の皆さんにしていかなきゃいけないと思いますんで、よろしくお願いいたします。  次に、おとといなんですが、経済産業省の通信販売の新たな課題に関する研究会の報告書が公表されました。ネットオークションで模倣品が大量に流出するケースが既にかなりありまして、被害もいろんなケースが出ております。オークションは大手の今出ましたヤフーなどが有料での交換の場を提供しております。私も昔、随分夢中になったことがございます。やっていると大変面白い。素直な気持ちで楽しむと、非常に相手とのやり取りが楽しめるわけでございますけれども。  出品には違反項目、最初に登録するときに違反項目が掲載されております。違反した場合にはすぐに出品のランク、項目からぱっと消されちゃいます。そういった取消しをすぐ行うというように目を光らせているわけなんです、そのヤフーとかの業者の方では。それでも、何百万件にも及ぶ出品件数すべてはチェックできないと思います。  すき間をかいくぐって不正な出品が行われているのが現状だと思いますが、こうしたさっきも申し上げました新しい手口、しかもチェックしにくい模倣品とか海賊版対策に対して今後どのような対応策、対処していくのか、その辺をちょっとお聞かせください。
  136. 迎陽一

    ○政府参考人(迎陽一君) お答え申し上げます。  近年、インターネットの普及を背景といたしまして、インターネット通信販売ですとかインターネットオークションの新たな形態の通信販売が増えておるわけでございますけれども、全体が大きくなるに従ってその消費者トラブルも増加しておるわけでございます。こうした状況を踏まえて、昨年の十二月から通信販売の新たな課題に関する研究会を設置いたしまして、消費者保護の在り方あるいはその取引の適正化の在り方、検討してまいりまして、御指摘のように六月十三日に対策を御提言いただいたところでございます。  具体的な内容といたしましては、特にインターネットオークションの場合は、販売業者の方が個人に成り済まして名前とかあるいはその連絡先とか明らかにしないで出品をすると。これ販売業者でありますと、これは特商法の規制を受けておりますんで、名前とか連絡先とか明らかにした上で販売をしなきゃいけないわけですが、その辺が、まず特商法に該当する販売業者かあるいは個人なのかというのを明確にするようなガイドラインを作ろうと。その上で、販売業者と認められるような者については表示義務違反に対する法の執行をきちっとやっていこうと。  それから、オークション事業者の方の方も、そういう線引きを役所の方で作った上で、それに業者でありながら個人として偽って出すような者はシステム的に排除できるようなことのシステム開発なんかもお願いをする、あるいはその出品者に対する啓発指導なんかも協力をしてもらうというふうなことで、その他提言をいただいたところでございます。  私どもとしては、このラインに沿って、関係事業者にも取組を促すと同時に、私どもの法執行も厳正にやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  137. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  協議会、そして研究会、今度三つ目なんですが、冒頭申し上げました、今朝の新聞で発表になりました警察庁、経産省、さらに総務省、この三者が海賊版商品の防止ルールの策定要請、これをネットオークションの三社に提出いたしました、要請いたしましたけれども、これも非常に協議会、研究会と大いに関連するものだと思いますので、この要請内容、時間も余りありませんので、重立った筋だけ教えてください。
  138. 迎陽一

    ○政府参考人(迎陽一君) ただいま申し上げましたように、特商法の運用等と併せて研究会の報告出したわけですけれども、同時に、模倣品・海賊版対策としてもこういったことは重要であるということでございまして、知財本部で六月十日に決定された内容に沿って、今申し上げました表示義務の遵守についていろいろ御協力いただくほかに、権利者からの権利侵害の申告があった場合にその出品情報を削除していただく、あるいはそういう場合に権利者に対して法令に従って速やかにその出品者の名前を開示する等の自主的な取組を促すという意味で要請を行ったところでございます。
  139. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  被害が増えている、そこには買手も売手も微妙な心理が働くわけでありまして、買手の方は海賊というものに非常に価値を見いだす方もいらっしゃいます。例えばビートルズの海賊版だというと、あっという間にオークションの中では値段がつり上がっていってしまいます。幾ら注意促しても希少価値を求める買手というのは後を絶ちませんけれども、これはひとつ大いなる警鐘を鳴らしていただいて、こうした違反の取引は決して安全、安心につながりませんので、是非とも売手側、そして買手側に対する啓蒙、そうした警鐘も是非打ち鳴らしていただきたいと思います。  今日はいろいろと御質問させていただきましたけれども、今回のこの三者の取組、こうした共同体制というのはこれからいろんな形で生きてくると思いますので、どうぞよろしく積極的に取り組んでいただきたいと思います。  団塊世代のリタイアも近づいておりますけれども、是非中長期的な視野といった法案の整備をお考えいただきたいと思いますし、また、この場をかりまして皆様方に御礼申し上げて、また別の質問の機会にいろいろなことを聞かしていただきます。  今日はありがとうございました。
  140. 佐藤昭郎

    ○委員長(佐藤昭郎君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  不正競争防止法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  141. 佐藤昭郎

    ○委員長(佐藤昭郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、藤原正司君から発言を求められておりますので、これを許します。藤原正司君。
  142. 藤原正司

    ○藤原正司君 私は、ただいま可決されました不正競争防止法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派並びに各派に属しない議員鈴木陽悦君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     不正競争防止法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   我が国産業の知的財産保護の強化が喫緊の課題であることにかんがみ、政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 深刻化している模倣品・海賊版による被害の防止については、国際的な取組を図りつつ、侵害発生国等への働きかけを更に強化するとともに、関係省庁間の連携を一層深め、取締りの強化や中小・ベンチャー企業の知的財産保護の強化等に向けた対策を強力に進めること。  二 退職者処罰の導入については、職業選択の自由の確保に十分配慮すること。また、企業と退職者との間の秘密保持契約や企業における営業秘密の管理方法等の適切な在り方について、関係者の意見を踏まえ事例を収集・検討し広く情報提供を行うとともに、良好な労使慣行の維持に努めることにより安易な秘密漏えいが生じることがないよう指導すること。  三 知的財産に係る紛争解決業務に関するニーズの増大、業務の高度・複雑化等にかんがみ、弁理士の能力向上を図るための研修体制等について検討を行うこと。また、弁理士法第二条第四項に規定する「特定不正競争」に関し、弁理士の技術的性格及び弁理士制度の趣旨にかんがみ、業務範囲の拡大等その在り方について検討すること。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  143. 佐藤昭郎

    ○委員長(佐藤昭郎君) ただいま藤原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  144. 佐藤昭郎

    ○委員長(佐藤昭郎君) 全会一致と認めます。よって、藤原君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中川経済産業大臣。
  145. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。  ありがとうございました。
  146. 佐藤昭郎

    ○委員長(佐藤昭郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 佐藤昭郎

    ○委員長(佐藤昭郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十七分散会