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2004-06-03 第159回国会 参議院 法務委員会 22号 公式Web版

  1. 平成十六年六月三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  六月二日     辞任         補欠選任      岩本  司君     樋口 俊一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山本  保君     理 事                 松村 龍二君                 吉田 博美君                 角田 義一君                 木庭健太郎君     委 員                 青木 幹雄君                 岩井 國臣君                 鴻池 祥肇君                 野間  赳君                 樋口 俊一君                 堀  利和君                 井上 哲士君    国務大臣        法務大臣     野沢 太三君    副大臣        法務副大臣    実川 幸夫君    大臣政務官        法務大臣政務官  中野  清君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局民事局長        兼最高裁判所事        務総局行政局長  園尾 隆司君    事務局側        常任委員会専門        員        加藤 一宇君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       小島 康壽君        内閣官房内閣参        事官       阪本 泰男君        司法制度改革推        進本部事務局長  山崎  潮君        法務大臣官房長  大林  宏君        法務大臣官房司        法法制部長    寺田 逸郎君        法務省民事局長  房村 精一君        特許庁総務部長  迎  陽一君        国土交通省土地        ・水資源局長   伊藤 鎭樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○知的財産高等裁判所設置法案(内閣提出、衆議  院送付) ○裁判所法等の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 山本保

    ○委員長(山本保君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨二日、岩本司君が委員を辞任され、その補欠として樋口俊一君が選任されました。     ─────────────
  3. 山本保

    ○委員長(山本保君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  知的財産高等裁判所設置法案及び裁判所法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会内閣官房内閣審議官小島康壽君、内閣官房内閣参事官阪本泰男君、司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務大臣官房大林宏君、法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省民事局房村精一君、特許庁総務部長迎陽一君及び国土交通省土地・水資源局長伊藤鎭樹君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山本保

    ○委員長(山本保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山本保

    ○委員長(山本保君) 知的財産高等裁判所設置法案及び裁判所法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  両案について、政府から趣旨説明を聴取いたします。野沢法務大臣
  6. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) まず、知的財産高等裁判所設置法案について、その趣旨を御説明いたします。  我が国の経済社会において、知的財産の活用が進展するに伴い、その保護に関して司法の果たすべき役割がより重要なものとなっております。この法律案は、こうした状況にかんがみ、知的財産に関する事件についての裁判の一層の充実及び迅速化を図るため、これを専門的に取り扱う知的財産高等裁判所を設置するために必要な事項を定めることを目的とするものであります。  以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、東京高等裁判所の管轄に属する事件のうち、知的財産に関する事件を取り扱わせるために、特別の支部として、東京高等裁判所知的財産高等裁判所を設けることとしております。  第二に、最高裁判所は、知的財産高等裁判所に勤務する裁判官を定めることとし、その裁判官のうち一人に知的財産高等裁判所長を命ずることとしております。  第三に、知的財産高等裁判所がその司法行政事務を行うのは、そこに勤務する裁判官の会議の議によるものとし、知的財産高等裁判所長が、これを総括することとしております。  第四に、知的財産高等裁判所の庶務をつかさどらせるため、知的財産高等裁判所事務局を置くこととしております。  次に、裁判所法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  我が国の経済社会において、知的財産の活用が進展するに伴い、その保護に関して司法の果たすべき役割がより重要となっており、知的財産に関する事件については、その審理の一層の充実及び迅速化を図ることが求められております。この法律案は、こうした状況にかんがみ、知的財産に関する事件における裁判所調査官の権限の拡大及び明確化、知的財産の侵害に係る訴訟の審理における営業秘密の保護の強化及び侵害行為の立証の容易化、特許権等の侵害に係る訴訟と特許等の無効の審判との関係の整理等の措置を講ずることを目的とするものであります。  以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、裁判所は、必要があると認めるときは、知的財産に関する事件の審理及び裁判に関して調査を行う裁判所調査官に、口頭弁論期日等において、訴訟関係を明瞭にするため、事実上及び法律上の事項に関し、当事者に対して問いを発し、又は立証を促す等の事務を行わせることができる等の規定を設け、知的財産に関する事件における裁判所調査官の権限の拡大及び明確化を図っております。  第二に、知的財産の侵害に係る訴訟の審理における営業秘密の保護の強化と侵害行為の立証の容易化を図ることとしております。具体的には、裁判所は、当事者等に対し、準備書面又は証拠に含まれる営業秘密を訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は開示してはならない旨を命ずることができることとしております。また、特許権等の侵害訴訟において、侵害の有無についての判断の基礎となる事項であって営業秘密に該当するものに関する当事者尋問等について、一定の要件の下にその公開を停止することができることとしております。  第三に、特許権等の侵害に係る訴訟において、特許等が無効審判により無効にされるべきものと認められるときは、特許権者等は、相手方に対しその権利を行使することができないこととするとともに、侵害訴訟と無効審判との連携をより円滑化するために所要の規定を置くこととしております。  このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が各法律案の趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  7. 山本保

    ○委員長(山本保君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 吉田博美

    ○吉田博美君 自由民主党の吉田博美でございます。  知的財産高等裁判所設置法案及び裁判所法等の一部を改正する法律案について質問させていただきます。  国民の皆様の期待にこたえられる司法制度を構築するための一環として、昨年、諸先輩の大変な御尽力によりまして、第一審の訴訟手続を二年以内に終局させることを目的とした、目標とした裁判迅速化法及び民事裁判の充実、迅速化を図るための措置を講じた民事訴訟法の一部改正が成立をしておりますが、特に民訴法の一部改正におきましては、専門的な知見を要する事件への対応強化のための専門委員制度の創設や知的財産関係事件の専属管轄化など、知的財産関係事件への総合的な対応強化のための施策が講じられ、この四月から施行されていることも承知をしているところでございます。  このような状況を踏まえ、新たに提出されましたこの両法案につきまして幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、この両法案の提出に至るまでの背景と法案の趣旨についてお伺いいたします。
  9. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) まず、知的財産高等裁判所設置法案及び裁判所法等の一部を改正する法律案につきましては、司法制度改革審議会の御意見、また知的財産戦略大綱、知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画などを踏まえまして司法制度改革推進本部において検討を進めてきたものでございます。  この両法案の内容につきましては、いずれも産業界等から強く要望されていたものでありまして、我が国の知的財産に関する事件についての裁判を一層充実、迅速化することを目的とするものであります。これらの改正を実現することは、知的財産についての裁判の利用者のためのみならず、ひいては知的財産立国を実現し、我が国の経済の再生を図る上におきましても大きな意味を有するものであると考えております。今、内閣挙げて、これについては取り組んでおるところでございます。
  10. 吉田博美

    ○吉田博美君 今、大臣の方から御答弁で、この両法案の目的は、知的財産に関する事件に係る裁判の一層の充実及び迅速化を図るとのことでございますが、大臣は迅速化に関してどのような御所見をお持ちでしょうか、お聞かせいただけますでしょうか。
  11. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) この法案作成に至る前に司法制度改革審議会の意見がございますが、ここで知的財産に関する事件の平均審理期間をおおむね半減することを目標とする旨が記載されております。これを受けまして、昨年、裁判の迅速化に関する法律によって、第一審のすべての訴訟事件を二年以内のできるだけ短い期間に終局すること等を目標として基盤整備等を図ることとされました。  また、本年四月一日に施行されました民事訴訟法等の一部改正法におきましては、計画審理の推進、訴え提起前における証拠収集手続の拡充、専門委員制度の導入、特許権等に関する訴訟の東京地裁、大阪地裁及び東京高裁への専属管轄化等の施策が導入されました。これを受けまして、裁判所におきましては、東京地裁、大阪地裁等における知的財産専門部の増部、増員による強化も図られてきたと伺っております。  このような政府及び裁判所の施策とともに、今般の改正による諸施策を総合的に推進することによりまして、平均審理期間の半減という目標が達成されることが期待されるところでございます。
  12. 吉田博美

    ○吉田博美君 昨年の、先ほど来お話ございました民訴法改正によりまして、専門委員制度の創設や知的財産関係事件の専属管轄化などの施策が講じられ、実質的な特許裁判所の体制は整ったものと考えておりますが、今般新たに知的財産高等裁判所を設置することとした理由についてお聞かせいただけますでしょうか。
  13. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘のとおり、昨年、民事訴訟法の一部改正で内容的な手当てがされたということになろうかと思います。それで今年の四月一日からこれが施行されていると、こういう状況でございます。  御指摘のとおり、事実上、知的財産高等裁判所というそのソフトの方ができ上がっているということでございますけれども、今回はそれに伴いましてそのハード面を東京高裁内で独立をさせていくということに、そういう位置付けになるわけでございます。  そういう意味で、独立をさせて、一定の司法行政権ですね、こういうものも付与いたしまして、裁判所の専門的処理体制、これが一層整備をされると、こういうことになるわけでございまして、これによりまして裁判の一層の充実、迅速化を図っていくことができると、そういうことによって知的財産の一層の保護に資すると、こういう考えでございます。  現在、政府といたしまして、知的財産権の、知的財産立国、この実現が政府の重要施策の一つという位置付けがされておるわけでございますが、この線にも資すると、こういうことでございます。
  14. 吉田博美

    ○吉田博美君 今、答弁では独立をさせてということでございますが、現実的には東京高裁の中にできるわけでございますが、知財高裁を独立した高裁、私に言わせますと、高裁とせずに東京高裁に特別の支部として設置することとした理由をお聞かせいただきたいと思います。また、裁判所法の支部とはどこが違うのでしょうか。その点についてお聞かせいただけますか。
  15. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) 確かにそこのところが非常に分かりにくい点もございますけれども、私どもは東京高等裁判所の中で組織的に切り分けをして独立をさせたと、こういう選択をしたわけでございます。  こういうような選択をした理由でございますが、例えば知的財産事件と関連のある事件につきまして、これが完全に独立をするということになりますと、別々の裁判所に係属してそれぞれでやるということになるおそれがございまして、これをなかなか一緒にするということができるかどうかということで、例えば現実に例があるものとして、職務発明の対価の請求、これは知的財産関係の事件ということになりますけれども、これに伴いまして、その身分関係の変動でやっぱり退職金の請求とかそういうものが出てくることがありまして、こういう関連した事件ですね、これが別々の裁判所でやる、そういうおそれもあるということ。  それから、これまでの裁判所と異なる専門裁判所を創設してその中ですべてをやるということになりますと、例えば著作権の事件、こういうものについても専門的に扱うということになりますと、この辺の事件はかなり地域密着型のものが多いわけでございますが、そうなりますと、逆に今度は当事者の不便という問題ですね、こういう問題も生じてしまうということ。  それから、現在の我が国の裁判制度、通常裁判所の体制を充実させるということで対応の強化を図ってきたものでございまして、それを独立させて、ある部分だけ独立させてやっていくという、そういう方向では来ていないということですね。  こういう点について、現在の制度の中でやはり違和感がある、こういうような意見がかなり強かったわけでございます。  したがいまして、独立させた、完全に独立させた組織ではなくて、高等裁判所の中で組織的に独立をさせれば、例えば関連事件も一緒にすることができるとか、こういうメリットがある。それから、著作権等の事件についても、元々、東京高等裁判所でやってほしいと選んできたものはできますけれども、そうではないものはそれぞれの地域でやっていただくとか、そういうようなメリットもあるということからこちらを選んだということでございます。  支部についてでございますけれども、確かに裁判所法上の支部でございますけれども、独自の司法行政の事務あるいは事務局等を有するとともに、その設置の根拠を法律に求めるという点で通常の支部とは異なるということでございまして、その意味で「特別の支部」というふうに表現をしております。通常の支部は裁判所が自ら、どこに支部を置くということを自らの判断で定めることができるようになっておりますけれども、この点については裁判所の判断というよりも法律で決めてしまう、こういうような特別の支部だと、こういう位置付けでございます。
  16. 吉田博美

    ○吉田博美君 そこで、全体の管轄についてでございますが、知財高裁の設置に伴う知的財産関連訴訟全体の管轄はどのようになるのでしょうか、お聞かせいただけますでしょうか。
  17. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) 管轄でございますけれども、これは今回の知的財産高等裁判所の設立に伴って管轄は変わっておりません。そこの変更はないというのが結論でございます。  この管轄はどこで定まったかということでございますが、昨年の民事訴訟法改正、このところで管轄が定まったということでございます。  その点若干申し上げますと、例えば特許等に関する訴えでございますけれども、これは東京地方裁判所、これは東側でございますけれども、それから西側は大阪地方裁判所、ここで行うという形を取りました。それから、不服がある場合の控訴審でございますけれども、これを大阪のものでも東京高等裁判所で行う、こういうことが図られているわけでございます。特許等の専門技術性、それほど強くない、例えば著作権、こういう関係の訴えにつきましては、例えば自分が起こせる、そもそも起こせる地元でやるか、あるいは東京、東側は東京地裁、西側は大阪地裁、どちらかで行っていく、こういうシステムを取りました。  こういう点が民事訴訟法の改正でございまして、今年の四月からこれはもう施行されているということで、この点には変更がないと御理解を賜りたいと思います。
  18. 吉田博美

    ○吉田博美君 外国にも知的財産裁判所というようなものはあるのでしょうか。あるとすれば、本法案の知財高裁はそれらと比べてどのような特徴があるのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  19. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) 典型的なのを申し上げますけれども、アメリカでは連邦巡回控訴裁判所ですか、CAFCと言っております。これがございますが、これは特許権等に関する訴訟の控訴審として専属管轄権を持っているわけでございますけれども、知的財産関係でも著作権等の事件はここでは扱わないということになっております。それだけではなくて、知財関係だけじゃなくて、年金に関する事件とか、それ以外の事件も一緒にやっている、こういう特徴を持っております。  それから、イギリスでございますけれども、これはパテンツコートというのがございまして、これは第一審裁判所であります高等法院の中の一部門として特許とか意匠とかそういうものを専属に扱うもの、そういうものがございます。  それから、ドイツは、侵害訴訟を扱う通常裁判所のほかに、特許等の無効手続とか、こういうものを扱う連邦特許裁判所というものがございます。  こういうような幾つかそれぞればらばらに分かれているわけでございますが、我が国の今度の知的財産高等裁判所は知的財産に関する事件にもう特化をいたしまして、かつ侵害訴訟あるいは審決取消し訴訟、これはもう全部この中で行うということでございますし、特許だけではなくて、著作権の事件もこちらでできるものはその中でやるということになります。世界の例で見てまいりますと、イギリスに近いのかなということでございます。
  20. 吉田博美

    ○吉田博美君 より迅速に、より充実していただくことが一番大事じゃないかなと思っているところでございますが。  次に、知的財産に関する事件の裁判には専門的な知識が必要だと思いますが、今後、知財高裁の裁判官等の研修や人材育成はどのように行っていくのでしょうか。
  21. 園尾隆司

    ○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 知的財産紛争の適正、迅速な解決を実現するためには知的財産権に精通した裁判官の育成が重要であるという認識を持っておるところでございまして、このような認識の下に、これまで、まず、東京、大阪の知的財産専門部の合議体の中で事件処理を通じたきめ細かな研さんを行ってきたところでございますが、これに加えまして、司法研修所において知的財産訴訟に関する専門知識を習得させる特別研修コースを設けたり、あるいは知的財産権の研究において世界的な名声のあるドイツのマックス・プランク研究所、あるいはアメリカのロースクールの知的財産セミナーなどに若手裁判官を派遣するなどの研修を行ってきたところでございます。  今後も、裁判官を知的財産関係の各種の国際会議に派遣したり、あるいは国内の科学技術専門の研究機関で学ばせるなどいたしまして、研究に関する施策のより一層の充実に努めてまいりたいというように考えております。
  22. 吉田博美

    ○吉田博美君 これは専門的なことが必要でございますので、知的財産に関する事件においては裁判所調査官の権限を拡大するとのことでございますが、現行の裁判所調査官の業務はどのようなもので、それをどのようにするのでしょうか、お聞かせいただけますでしょうか。
  23. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) 現在、裁判所の調査官でございますけれども、「裁判官の命を受けて、事件の審理及び裁判に関して必要な調査を掌る。」、こういう規定がされておるわけでございますが、具体的な業務といたしましては、いろいろ論点を分析あるいは整理をして、その争点を明確にして、釈明の資料を提供をする、裁判官に提供すると、こういうもの。それから、専門分野の文献、資料、これを収集、整理をいたしまして、裁判官の質疑に、疑問にいろいろ対応できるようにするという、こういうような点が現在の調査官の仕事でございます。  今回、その調査官の権限を拡大しているわけでございます。拡大したその権限について申し上げますけれども、これは民事訴訟法の九十二条の八というところに規定がされているわけでございますけれども、まず第一に、口頭弁論期日とかいろんな期日がございますけれども、期日において当事者に対して釈明をするということもできると、それから、証拠調べの期日において証人等に対する発問をすることもできる、それから、和解を試みる期日において専門的な知見に基づいて説明をする、それから、裁判官に対して参考意見を述べるということができると、こういうようなことを認めるということにしているわけでございまして、従来、かなり一部補助的なところをやってもらっているという状況でありますが、やはりきちっと裁判官に把握してもらうためには、そこだけではなくて、もう少しいろんな期日等に参加をして実質的なところをよく聞いてもらって、その上で的確にいろいろ整理をしてもらう、こういうことを考えたわけでございます。
  24. 吉田博美

    ○吉田博美君 再度お聞きいたしますけれども、裁判所調査官の権限を拡大する理由というのは何なんでしょうか。また、それでどのような効果を期待されているのでしょうか。
  25. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) 抽象的に言えば、裁判所の専門的処理体制を一層強化をいたしまして、審理の一層の充実、迅速化を図るということになるわけでございます。  この裁判所の運用において、裁判所調査官が当事者に対していろいろ問いを発したりあるいは立証を促す、こういう権限を行使する際に、必要に応じて技術的事項について自らの理解とか認識、これを裁判官の面前で当事者に示すということで、裁判所調査官、あるいは裁判官も含むわけでございますけれども、それと当事者との間で事件全体について理解とか認識、この共通化を図ることができると。ポイントはどこにあるかということをお互いに認識をして、そこに的確な判断を加えていく、こういうことが可能になっていくのではないかと、こういうことでございます。
  26. 吉田博美

    ○吉田博美君 裁判所調査官は特許庁の審判官や弁理士から選ばれると聞いておりますが、今後も同じでしょうか。また、現在、裁判所調査官は何人ぐらいいらっしゃるのでしょうか。
  27. 園尾隆司

    ○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 知的財産関係事件を担当する裁判所調査官は、現在、東京高裁に十一名、東京地裁に七名、大阪地裁に三名の合計二十一名を配置してございます。そのうち、十九名は特許庁の審判官等の経験者でございまして、二名は技術的素養が高く、かつ実務経験が豊富な弁理士から任命をしております。  今後もこのような運用を継続いたしまして、適切な人材を確保してまいりたいというように考えております。
  28. 吉田博美

    吉田博美君 裁判所調査官は裁判官に対して意見を述べることができるとなっていますが、この意見とはどのような性格のものでしょうか、裁判官の判断を拘束するのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  29. 山崎潮

    政府参考人(山崎潮君) これは、裁判官が、いろいろ提出された主張だとか証拠、これを正確に理解しやすくするためにその整理をするということが中心の業務でございまして、したがいまして、判断の基礎となる裁判の資料として新たな主張とか証拠を追加するものではない、それを整理したものを意見を述べるというだけでございます。したがいまして、裁判官の判断過程における過渡的な参考資料ということでございます。  私も、現実に裁判官時代に特許関係等の事件をやりまして、調査官に調査をお願いして、その報告書等を参考にしながら自ら決定をしたという経験がございますけれども、正にそのとおりでございまして、判断を拘束するものではないということでございます。
  30. 吉田博美

    吉田博美君 裁判所は、当事者の申立てによる秘密保持命令を導入するとのことでございますが、現行制度の問題点と導入の必要性は何なんでしょうか。
  31. 山崎潮

    政府参考人(山崎潮君) 訴訟に提出する書類の中には営業秘密等を記載したものがかなりあるわけでございます。こういうものについて、そのまま法廷に全部出るということになりますと、その営業秘密が全部外に漏れてしまいまして、非常にその企業等にとってはダメージが大きいわけでございます。現在の法体制では、これを防止する方法といたしましては、もう損害賠償請求というような、こういうものしかないわけでございますが、これではやっぱり十分に機能をしないということでございます。  そこで、営業秘密を保持している当事者が自発的に訴訟にその当該秘密を提出することができないという理由とか、それから書類の提出を求められた者が営業秘密であることを理由に提出を拒絶するなどの問題、こういう問題があるということで、これに対応しようということが今回の方策でございます。  この点を踏まえまして、当事者から提出された営業秘密保護するために、刑事罰の制裁をもって営業秘密使用及び開示を制限する秘密保持命令というものを設けまして、これは、これによって安心して訴訟の中に営業秘密にかかわる書類等を提出することができるように、こういう配慮をしたものでございます。
  32. 吉田博美

    吉田博美君 本法案では、知的財産の侵害行為の立証を容易化するため、いわゆるインカメラ審理において、必要に応じて当事者等に対し当該書類を開示することができることとしていますが、その趣旨をお聞かせいただけますでしょうか。
  33. 山崎潮

    政府参考人(山崎潮君) ただいま営業秘密の問題申し上げましたけれども、この営業秘密が問題となる場合には、技術的事項と密接な関連を有することが多いわけでございます。  例えば、その書類を提出するかどうかという場合に、裁判官がその書類を見て、これはインカメラ手続でございますが、判断をするわけでございますけれども、そこに非常に技術的な事項が多いということで詳細な説明をさせるということになりますけれども、それが説明が正確になされているかどうかというのは、逆に相手方、書類を求める側にもやっぱり確認する必要があるだろうと、あるいは裁判官も本当にそれが正しいのかどうか判断できないと、こういう点がございますので、このインカメラ手続を導入をいたしまして相手方の意見もちゃんと聞くと。その代わり、この秘密が外へ出て、しまってはなりませんので、そういう点については秘密保持命令、こういうものを掛けながら保護を図っていくと、こういうことでございます。
  34. 吉田博美

    吉田博美君 時間の関係もございますので、次に、特許侵害訴訟における特許無効等の主張は特許に明らかな無効理由がある場合のみとされていましたが、改正法ではどうなのでしょうか。特許無効の主張を認めますと、それを濫用されてしまいますと審理の迅速性に支障を来すことはないのでしょうか。
  35. 山崎潮

    政府参考人(山崎潮君) 従来、侵害訴訟の中で特許無効ということを判断をするについては、最高裁判決がございまして、その特許無効理由が存することが明らかである場合に限ってできると、こういうふうにしていたわけでございますが、これを今回のこの法案ではもう少し広げるということにするわけでございます。  それはやっぱり審理の迅速を図るという意味からするわけでございますけれども、ただ、御指摘のとおり、侵害訴訟において特許侵害者、特許権の侵害者から濫用的な主張ということが出ることもあるわけでございますので、やはり紛争の実効的な解決という制度の趣旨とは相反することにもなります。  そこで、この法案では、不当に遅延させることを目的としてされたものと認められるときは、裁判所が当該主張を却下することができると、こういうことが可能になるように手当てをしているわけでございます。
  36. 吉田博美

    吉田博美君 そこで、大臣にお伺いいたしますが、知財高裁の設置のメリットとこの両法案成立に向けた大臣の決意のほどをお伺いいたしまして、私の質問は終わります。
  37. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 今回、知的財産高等裁判所の設置を行うことのメリットといたしましては、今年のもう四月一日から施行されております改正民事訴訟法における専門委員制度や五人合議制の導入、さらには現在御審議いただいております裁判所調査官の権限拡大等と相まちまして、知的財産に関する事件を専門的に扱う裁判所を設置することによりまして、一定の司法行政権を付与いたしますことにより、裁判所の専門的処理体制が一層整備され、裁判の一層の充実及び迅速化が図られることとなると考えております。  また、知的財産高等裁判所の設置は、その副次的な効果といたしまして、国民知的財産権を尊重する意識の高まりや、国内における特許権等の侵害行為の抑止的効果も出てまいりますし、海外からの模倣品の流入等につきましても抑止的な効果も期待できると考えておるわけでございまして、政府といたしましては、現在御審議いただいております知的財産高等裁判所設置法案及び裁判所法等の一部を改正する法律案成立に向けて全力を挙げてまいりますが、今後とも知的財産に関する司法制度の諸政策の実現に精一杯努力してまいりたいと存じます。  なお、これらの制度改革が行われた後の運用は裁判所が行うこととなりますので、司法制度を所管する大臣といたしましては、適切な運用ができますよう最大限協力してまいりたいと考えております。
  38. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 我が国が知的財産立国を目指し国富の源泉となる知的財産の創造活動を推進するためには、知的財産権を適切に保護する制度が不可欠であります。同様に、国際化の時代、我が国が電子政府の構築を目指し経済や取引のIT化を推進するためには、経済活動の基礎となる不動産に関する権利を適切に保護する制度が不可欠であります。そこで、知的財産の対極にある不動産という最も基礎的な財産の適正な保護につきまして幾つか質問をさせていただきたいと思います。内閣官房、来ていただいておりますかね、はい。  e―Japan戦略というのがありますね。そのe―Japan戦略というものを加速させながら二〇〇五年までに世界最先端のIT国家になるというすばらしい目標を政府は決めておられます。そして、政府はその目標を達成するためにe―Japan戦略Ⅱ加速化パッケージというものを策定して、政府として取り組むべき重点施策を明らかにしておられます。  そこで、内閣官房質問させていただきますが、e―Japan戦略Ⅱ加速化パッケージを策定するに至った経緯と今後の見通しをお尋ねしたい。特に民間部門において問題点は何か。また、二〇〇三年七月十七日、各府省情報化統括責任者、CIOと言うんでしょうか、その連絡会議におきまして、今後三か年の電子政府構築に係る政府の具体的な取組を電子政府構築計画として決定されたかと思いますが、その概要を御説明願いたいと思います。
  39. 阪本泰男

    政府参考人(阪本泰男君) お答えさせていただきます。  先生御指摘のとおり、二〇〇一年の一月にe―Japan戦略、それから昨年の七月にはe―Japan戦略Ⅱを決定をいたしまして、インフラの整備のみならずITの利活用を促進することといたしております。本年の二月には、目標年を来年に控えまして、世界最先端のIT国家を実現するための重点施策を明確化したe―Japan戦略Ⅱ加速化パッケージを決定をいたしまして、この中ではコンテンツ政策の強化であるとか電子政府、電子自治体の構築などの六分野を柱といたしております。  民間部門につきましては、必ずしもIT活用のメリットを十分に認識していない面があることから、戦略Ⅱにおきまして官民の役割分担を踏まえた行動目標なども設定をいたしております。  今後は、加速化パッケージ等に基づきまして、政府が実施すべき政策をまとめましたe―Japan重点計画二〇〇四を策定するなど、政府一体となってIT政策を推進してまいりたいと考えております。  次に、電子政府構築計画についてでございますけれども、計画の目的国民の利便性の向上と簡素で効率的な行政の実現にございます。  国民の利便性の向上につきましては、三百六十五日二十四時間ノンストップ・ワンストップの行政サービスを目指しまして、申請・届出手続のオンライン化の推進であるとか、利用者に分かりやすい行政ポータルサイトの整備などの施策を盛り込んでおります。  また、行政の簡素化、効率化につきましては、人事給与など各府省に共通する業務のシステムの共通化、一元化、あるいは運用コストの高い旧式システムの見直しなどによりまして、業務の効率化とコストの削減を推進していくことといたしております。  このような取組を推進していくためには、ITに関する専門的な知見が不可欠でございますので、昨年末までに各府省に原則として外部専門家をCIO補佐官として配置することとしたところでございます。
  40. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 法務省では、昨年、今御説明のありました電子政府構築計画に基づきましてCIO補佐官として外部専門家一名を配置されたと承知しておりますけれども、その役割を御説明願いたいと思います。
  41. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 法務省では、昨年十二月にCIO補佐官として、筑波大学名誉教授である穂鷹良介氏を配置したところでございます。  CIO補佐官の役割は、電子政府構築計画において、省内の業務・システムの分析・評価、最適化計画の策定に当たり、CIO及び関係所管部門の長に対して支援、助言を行うこととされております。穂鷹CIO補佐官は、長年にわたりデータベースや情報システム設計などに従事するとともに研究を積まれてきた方で、その豊富な専門的知識と経験を生かして法務省における業務・システムの最適化計画策定を中心に支援、助言をいただいているところでございます。
  42. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 不動産登記は、現在全国で約二億七千万筆の物件を対象といたしまして、年間約二千万件の申請があるわけですね。そういうことで、我が国の私法秩序の正に基盤を成す制度であるかと思います。  そこで、お聞きいたしますけれども、私は、知的財産の保護と同時に、不動産という基礎的財産の保護についての適正化を図るために、やはりしかるべき法改正が必要かと存じます。不動産登記法の改正というものは、単なる電子政府の構築ということだけではなくて、あるいは片仮名法を平仮名法に変えるというようなことだけではなくて、我が国における法秩序の基盤を整備するという極めて重大な意義を持っているのではないかと思っております。  そこで、法務大臣のその点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  43. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 委員御指摘のとおり、不動産登記法は経済活動の基礎となる不動産に関する国民の権利の保全を図りまして、取引の安全と円滑に資することを目的とする法律でございます。  この法律に基づく登記制度は、不動産に関する私法秩序の基盤となっておるわけでございます。したがいまして、今回の不動産登記法の改正は、高度情報化社会に対応しまして、不動産に関する私法秩序の基盤を整備するという重要な意義を持つものと考えております。その仕事の性格上、地図の整備であるとか国土交通省との連携強化、これも併せて進めておるところでございます。
  44. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 不動産登記法上、登記所備付けの地図は、登記された土地の位置及び区画を表し、登記簿と一体となって具体的な各筆の土地の位置及び区画を策定することになっております。このように、各筆の区画及び地番を明確にするものというのが法十七条地図でありますけれども、全国の登記所に備え付けられている総計約六百三十二万四千枚の図面のうち、法十七条地図は約三百四十一万四千枚、五四%になると思いますけれども、にしかすぎません。残りの二百九十一万枚というものは地図に準ずる図面でございまして、その多くは精度の低い旧土地台帳付けの図面、いわゆる公図であります。  さらに、法十七条地図の供給源について見ますと、法十七条地図のうち、約二百九十四万枚が国土調査法による地籍図、約四十七万枚が土地改良、区画整理等による土地の所在図となっておりまして、法務局作成による地図はわずか約四千枚であります。  したがいまして、この公図等の地図に準ずる図面に代えて法十七条地図を整備するということが極めて大きな課題になっているかと思います。とりわけ、法十七条地図の主要な供給源である国土調査は、従来、農村部等を中心として実施されてきておりまして、都市部における国土調査の進捗率というものは二割にも達していないということから、都市部及びその周辺地域における法十七条地図の整備が進んでいない、誠に憂うべき状態であろうかと思います。  そこで、質問でありますが、国土調査法に基づく地籍調査の経緯と現状並びに十か年計画についての説明を願いたいと思います。これは国土交通省になりましょうか。
  45. 伊藤鎭樹

    ○政府参考人(伊藤鎭樹君) お答え申し上げます。  地籍調査は、今委員御指摘のとおり、国土調査法に基づいて調査を、昭和二十六年に法律を制定してやっているわけでございます。そういう中で、昭和三十七年に促進特別措置法、国土調査促進特別措置法というものができまして、十か年計画というものを策定して現在まで進めてきているところでございます。  十か年計画は、第一次が昭和三十八年度から始まってございまして、現在は平成十二年に策定されました第五次十か年計画に基づいて進めているところでございます。  そういう中で、進捗状況でございますけれども、我が国の国土のうち調査対象にしております面積というのが二十八万六千平方キロということでございます。その中で、平成十五年度末現在での実績、調査済みの実績面積が十三万一千平方キロということで、進捗率は全体として四六%となってございます。このうち都市部については、先ほど委員御案内のとおり、一八%の進捗率ということになってございます。そういう中で、第五次五か年計画につきましては三万四千平方キロということでやってございますが、まだ達成率二一%という状況でございます。  以上でございます。
  46. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 平成十五年六月、内閣に設置されました都市再生本部、これ本部長は内閣総理大臣でございますけれども、その本部におきまして、民間と各省連携による地籍整備の推進という方針が決定されました。これを平成地籍整備と、こう言いますけれども、これは、都市再生の円滑な推進のためには、土地の境界、面積等の地籍を整備することが不可欠であるということにかんがみまして、国において、全国の都市部における登記所備付けの地図の整備事業というものを強力に推進しようとするものである、そのように聞いております。  そこで質問でございますが、これも国土交通省の関係になると思いますが、平成地籍整備について御説明願いたいと思います。これは実施機関はどこなのか、国土調査法及び測量法との関係はどうなっているのか、また平成地籍整備に関する国土交通省の考えはどうなっているのか、御説明願いたいと存じます。
  47. 伊藤鎭樹

    ○政府参考人(伊藤鎭樹君) 委員御指摘のとおり、昨年六月、都市再生本部におきまして、民活と各省連携による地籍整備の推進ということを今後十年間で概成することを目標にしてやろうということになったわけでございます。  これを受けまして、国土交通省といたしましては、従来から行っております地籍調査に加えまして、平成十六年度から新規に都市再生街区基本調査、十六年度では新規に事業費でございますが百二億円を計上して実施することにいたしてございます。  この調査でございますけれども、実施主体は、国土地理院を含む国土交通省が直接行うということでございます。  法律の位置付けでございますが、地籍調査の基礎となる基本調査ということで、国土調査法に基づき国が基本調査として実施するものでございます。また、測量法等の関係につきましては、同法に基づく公共測量に該当する調査として行っていくということでございます。  私どもといたしましては、この再生街区基本調査を集中的にこれから実施いたしまして、地籍調査のいわゆる基礎的なデータを整備するということで、地籍調査の促進を図り、再生本部で示された目標の達成に向けて全力を挙げていきたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  48. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 この平成地籍整備というものは、今後、国として最大の力を入れてやっていかなければならないと思います。法務省のやるべきこと、国土交通省のやるべきこと、両々相まった形で強力に推進されていくということが必要であるかと思います。  明治になって近代国家になりまして、明治の地籍調査、あれほど短期間に、あれほど大規模に、これは法務省が中心になってやられたかと思いますけれども、周りに負けない形でこれからやっていかないと、とても近代国家、国際化の時代に対応できないんじゃないかと、こう思うんですね。  そこで、法務省のひとつお考えを、できるだけ詳しくといいますか、現在どのようなことを考え、どのようにやろうとしておるのか、あるいは国土交通省との連携というものについてどのようにお考えになっているのか、その辺を御説明願いたいと思います。
  49. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、土地についての権利関係を明確にするという登記の役割を十分に果たすためには、その所在等を示す地図がきちんと整備されていなければならないということだろうと思っておりますが、残念ながら、現在法務局に備え付けられております地図のうち、精度の高いものは五四%にすぎないのは委員御指摘のとおりでございます。  法務省としても、やはりこれからの日本の発展のためには地図の整備を緊急に進めなければならないと、こう思っておりますが、特に必要性の高いのはやはり都市部でございますので、幸い都市再生本部で今後十年で都市部の地籍の整備を概成するという方針を打ち出していただきましたので、私どもとしても、その方針に沿って、当面都市部の地籍整備に全力を挙げるということを考えております。  ただいま国土交通省から御説明がありましたが、まず街区等の調査を国土交通省で行いまして、これらの成果と、それから現在までに整備されております各図面を組み合わせまして、公共座標値を持った精度の高い図面を地籍調査素図として作成するということが計画されておりますが、まずはその地籍調査素図の作成に法務省、法務局の持っております図面等を活用してできる限りの協力をしていきたいと、こう思っているところでございます。  それから次に、やはり国土交通省において行っております国土調査、これの都市部の実施につきまして、実施主体が地方自治体になりますので、この地方自治体の行う地籍調査に法務局として協力をする、そのことによって地籍調査を円滑に行っていくということも考えております。  それと、もう一つ、何といっても一番大きな問題が起きておりますのは、公図と現況が非常に食い違ってしまっていますいわゆる地図混乱地域でございます。ここになりますと、非常に混乱地域の地籍を整備するということが困難になってまいりますので、こういう部分については、従来から法務局が中心になりまして法務局において十七条地図を作成するという、十七条地図の作成作業を行ってきたところであります。これについても、従来やや予算的にも非常に乏しかったせいもありまして十分でなかったということから、今後、この部分について法務局として大いに力を入れて、地図混乱地域については法務局が責任を持って整備をしていく、こういう体制を整えたい。以上のような各方策を組み合わせることによりまして、都市部の地籍の整備を推進していくことに法務省として力を尽くしたいと、こう思っております。  また同時に、こういう地籍整備を進めますと、境界に関する紛争が当然発生してまいります。それを適切に解決する必要がございますが、現在のところ常に民事訴訟を起こすしか方法がないものですから、これにつきまして境界紛争を解決する紛争解決手段を法的に用意をいたしまして、そこで迅速にかつ的確に紛争を確定できるようにしたい。そのための現在法整備の準備を進めておりまして、できれば平成十七年には法案を国会に提出したいと、こう思って作業を進めているところでございます。  以上のような各方策を総合することによりまして地籍の整備に貢献したいと、こう考えているところでございます。
  50. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 この不動産の登記というのは極めて難しいというか、大変な作業なんですね。地図さえあればいいというんじゃないですね。だけれども、やっぱり地図がしっかりしていないとこれはどうにもならぬですよね。あとはやっぱり境界確認ですよね。境界争いのないようにしかるべきジャッジをして、不動産登記されて、それが国がしっかり保証するという形でないといかぬ。  歴史的に見れば、秀吉の時代の太閤検地というのがあって、明治近代国家になって明治における地籍調査があって、それ以降はほとんど進んでいないんですよね。それで今回なんですよ、今なんですよ、国際化の時代ですから。世界の企業が日本に来て、そこで経済活動をやる。そのときに土地というものが今のような状況では、やっぱりちょっと国際化の時代のニーズに対応できないように思うんですよ。ですから、だから歴史的に見て、秀吉の時代の太閤検地と明治近代国家になっての地籍調査と、そしてこれからの平成の地籍調査という、そういう位置付けで、それぐらい大きな問題で私はあろうかと思うんですね。ひとつ法務省と国土交通省が力を合わせて是非積極的に進めていただきたい、全力を挙げて進めていただきたいと思う次第でございます。  しかし、これ実際やるとなると、いろいろとやっぱり難しい専門的な事柄が一杯僕はこれ出てくると思うんですよね。早く法律整備が必要だと思います、まずですね。  今日は関連でこんな質問させていただきますけれども、知的財産と関連で質問させていただいておりますが、私はやっぱり、できるだけ早くしかるべき法改正、不動産登記に関するしかるべき法改正が必要じゃないかと、こう思っておるんですけれども。  そういう前提で、もし法律改正ができたら、その後の運用ですよね。その法律に基づいて何をどういうふうにやっていくのかというのが一番問題でございまして、かなり政省令の部分にゆだねる部分があると思うんですよね。そこがやっぱり一番難しい。施行に必要な政省令の制定に当たりましては、是非、司法書士会並びに土地家屋調査士会などの実務に精通されました方々の意見というものを十分に聞いていただくようにお願いしたいと思いますが、その点についての法務省のお考え、いかがなっていますか。
  51. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、不動産登記に関しましては、いろいろ技術的細目が非常に重要な役割を果たしておりますので、これらのことを政省令で定めております。  この政省令で定めるに当たりましては、当然のことながら、不動産登記実務が円滑に運用されるということを念頭に置かなければならないわけでありまして、従来から不動産登記実務に精通しておられる関係者、特に司法書士あるいは土地家屋調査士というような方々の意見を十分伺いながら政省令の策定に当たってまいりましたが、今後におきましても、そのような専門的知識を有する方々の意見を十分に聞いて、適切な政省令を策定するということに努めたいと考えております。
  52. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 終わります。  ありがとうございました。
  53. 角田義一

    ○角田義一君 民主党・新緑風の角田義一でございます。  知的財産高等裁判所設置法、それからそれに伴う裁判所法の一部を改正する法律案について若干お尋ねしますが、先ほど吉田議員からいろいろお尋ねがございまして、じっと聞いておりましたけれども、なかなかよく分からぬところが幾つかありますね。  今年の四月に、先ほど御説明があったとおり、民事訴訟法改正になっているわけでしょう。そして、特許のような技術的専門性の高い知的財産に関する事件については東京地裁あるいは大阪地裁、東京高裁の専属管轄になっている、事件の集中化ができているわけです。四月ですよ。今、六月、今日は幾日だ、三日か。なぜわずか一か月ぐらいの間にこういうものを作らなくちゃいけないんですかね。  昔の言葉で言ったら、これは朝令暮改みたいなものですよ、口が悪いけれども。私は、先ほどの話聞いていると、なぜこの知的財産高等裁判所という仰々しいものを今日あえて作らなきゃならぬ理由というのがよく分からない。四月からもうこれできているんだ、動いている。だったら、もっと前からこれを作ればいいじゃないですか。一か月もたたないうちにまたこういうものを作るというんだ。これはちょっと私は納得できないですな。何の不都合があるんですか、これ、四月から始まって、これを作らなきゃならぬ、そこをまず説明してください。
  54. 山崎潮

    政府参考人(山崎潮君) この大本は、経済的な物の見方から発生はしているということになろうかと思います。私は余り経済に強くないわけでございますけれども、現在、日本が世界の中で生きていくためには、知財、要するに知恵を生かしてそれをどうやって経済として結び付けていくか、これが我が国にとって一番重要なものである、こういう位置付けで、今、経済界と、それから政府も動いているわけでございまして、そういう意味では、政府の重要施策として知的財産立国の実現ということを一つの政策として掲げているわけでございます。  この実現を図るという上で、知的財産の創造、保護、活用、これを充実させていくということが必要になるわけでございます。特に、知的財産の適正な保護を図っていくという観点からは、知的財産関係訴訟の充実、迅速化、これが強く求められているという、そういう流れになるんだろうと思います。先ほど御指摘のとおり、ソフト面につきましては、昨年の民事訴訟法改正をしていただきまして、今年の四月から施行されているということでございます。ソフト面はそのとおりでございますけれども、やはりハード面についても、独立をさせて有効に機能させるべきではないかという議論が昨年来かなり強くなってきて、この法案に結び付いたということでございます。  これはなぜかということでございますけれども、まず、組織独立をさせる、東京高等裁判所の中でございますけれども、これを独立をさせるということによって、裁判官会議等、司法行政部門もそこの関係では独立して自ら決めることができるわけでございますので、そうなりますと、知的財産関係の訴訟の運営等、こういう点についてはかなり柔軟な活動ができるということになります。それからまた、これから知的財産関係に強い裁判官を育てなければならないわけでございますけれども、そういう点についても、そこのいろいろな判断をもちまして、留学をさせたりいろんなところに研修に行かしたりとか、そういうことも可能になっていくだろうということ、こういうことをも考えまして、組織的にも独立させていこうと。  このことによりまして、副次的な効果でございますけれども、国民知的財産権を尊重する意識、こういうことも高まっていくだろう、それからあるいは国内における特許権の侵害行為、この抑止効果もあるだろう、それから海外からの模倣品の流入、こういう点についても抑止的な効果も期待ができると。要するに、ソフトもハードもきちっとしたものを持って、問題が起これば速やかに解決をしていく、こういうことをきちっと示すことによって国の内外に対してそれなりのいい効果があるということ、こういうことを考えてこの法案を出させていただいたと、こういうことでございます。
  55. 角田義一

    ○角田義一君 このごろすぐソフトだとかハードだとかと言うけれども、分からないんだな、我々庶民には。  先ほど、今、山崎さんが言った、独立させて裁判官会議を持たせたり、それから若い裁判官外国留学させたりなんというのは、私から言わせれば、私の認識ではソフトですよ、それは。もしもハードということになれば、例えばこのできる高等裁判所というのは、例えば今の高等裁判所のどこか一角に看板だけおっ立てるわけだよ。外国に対してこういうものができたよという、昔の明治維新じゃないけれども、威を示すのであれば、変な話だけれども、威を示すのであれば、立派な建物を造って、堂々とこれが知的財産高等裁判所と言えばいいんだよ。それはしないんでしょう。どこかの、東京高裁の一角にちんまりいるだけでしょう、ちんまりいるだけなんじゃないですか、これ。そんな、何も外国に威を張ることも何もないし、今あなたが言ったように、国民がこれをもって知的財産に一生懸命関与するなんて、それはやっぱり、例えばそこまでやるんなら、堂々とした建物もおっ建ててやればいいんですよ。  財界の中にはひどいことを言うのがいて、西の方の何か、高等裁判所ぐらいちょっとつぶしちゃって別なやつを作った方がいいとか、むちゃくちゃなことを言う人もいたらしいけれども、そういうのに私はくみしませんよ。くみしないけれども、本当にあなた方が今言っているように威を張るのなら、そこまでやらなきゃ威を張れないんじゃないですか。高等裁判所の何か一角に看板立てるだけでしょう、実際は。
  56. 山崎潮

    政府参考人(山崎潮君) 私ども、今委員御指摘のような、究極的に詰めていけばそういう問題は出てくるわけでございますが、そういう考えは取らなかったということでございまして、その取らなかった理由でございますけれども、三つほどございまして、完全に本当に独立させたものを作るということになると、先ほどもちょっと御答弁させていただきましたけれども、関連したような事件については裁判所が分かれてしまうわけでございまして、かえって裁判の運用が窮屈になる、当事者にとってもデメリットであるということ。  それから、あるいは著作権の扱いをどうするかという問題が当然出てくるわけでございます。不正競争防止法も同じでございますけれども、こういうものについてはかなり地域密着型の事件が多いということでございまして、場合によってはそれほど専門性が高くないものもあるかもしれません。それは通常の裁判所でやっていただいた方がいいものもあろうかと思います。これを完全に独立させるということになりますと、この種のものを全部ここで専門的にやるよということでなければ意味がないわけでございますので、そうなりますと、地域事件を全部ここへ集約してしまうということにもなるわけでございまして、これが本当にいいのかどうかと。  それから、従来、我が国で裁判権の行使に関しまして、独立に事項ごとに分けて独立裁判所を作っていく、こういう流れにないわけでございますので、そういうことを考えると、組織的にアピールするにしても、東京高等裁判所の中で事項的に取り分けた方がいいだろうと。完全に独立させるのは、やっぱり現在の日本の司法の中ではまだそこまで考えるべきではないと、こういうことでございます。
  57. 角田義一

    ○角田義一君 まあ、一つの大きな問題の提起として申し上げておきます。  それと、最高裁、どうなんですか。四月に発足したばっかりで、いろいろ問題も抱えていると思うんですけれども、じゃ、今度は独立した、一応の、独立というか、法律的にですよ、建物じゃないけれども、こういうのを作って、一体これどういうふうになっていきますか。例えば、事件なんかはどっさり来るんですかね。どんな予想をしているんですか、こういうものを作ることによって。
  58. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 事件数に関して申しますと、知的財産訴訟は、今年の四月に施行になりました法改正の前から、既に相当程度東京、大阪に集中しておるという状況がございまして、例えば特許関係事件ということになりますと、既に今年の三月までの段階で九割程度の集中があったというようなことでございますので、管轄に関する法改正によって事件数にそれほど顕著な相違があるということではないと考えております。  ただ、我が国の知的財産訴訟の全体の件数がどうなっていくと予想されるかという点について申しますと、地裁に関して起こされる侵害訴訟と、それから東京高裁に起こされる審決取消し訴訟とで若干見通しが異なるというように考えております。  まず、地裁に起こされる侵害訴訟の事件数の予測についてでございますが、侵害訴訟は過去十年間で約三五%の増加となっております。この事件数は今後も着実に増加していくと考えられますが、その増加の程度はそれほど急激ではないというように考えております。  と申しますのは、今後、国際競争の激化の中で、相手企業の違法な権利侵害を排除するというために大きな負担を覚悟してでも訴訟を提起しなければならないという場合が多くなるということは予想されますので、事件数は一定程度増加してまいるわけでございます。しかしながら、知財訴訟は専門度の高い訴訟でございまして、この訴訟を提起するのには大きな労力と費用が掛かります。したがいまして、企業の競争力が強まるということになりますと、相手方に対して、技術上あるいは経済上の影響力を行使するというような方法によって、訴訟を起こさないでも、権利侵害を受けることを避けるというような工夫も考えてくるというのが経済活動であろうというふうに考えますので、このような権利主張の必要性とコスト削減の必要性のバランスの中で、訴訟、侵害訴訟の件数は今後増加はするものの、著しく大きな増加ということではなくて、着実な増加であろうと予想しております。  一方、特許庁の審決の取消し請求事件は、これは東京高裁に限って起こされるということになりますが、過去十年間で二・七倍に増加しております。これは、今後もかなり大幅に増加をしていくのではないかというように考えております。  なぜかといいますと、審決取消し訴訟といいますのはいわゆる行政訴訟でございまして、特許庁という国の機関の判断に異を唱えるという訴訟でございます。このような行政訴訟は、国民の権利意識の高まりと、それから特許出願件数の増加に伴いまして今後かなり大幅に増加するというように予想しておるところでございます。  どの程度増加するかにつきましては、特許庁の判断内容によって変化するということがございますので一概には申せませんが、一般的にはかなり大幅な事件増が予想されるというように考えておるわけでございます。  したがいまして、このような過去十年間の伸び率というのは、今後も当分の間、このような伸び率で事件が増えていくだろうという予測を立てる大きなよすがになるというように考えております。
  59. 角田義一

    ○角田義一君 山崎さんにお尋ねしますが、今、最高裁の局長のお話だと、侵害訴訟というのはかなり地裁レベルでも増えている、増えていっていると。  そうなりますと、あなたが言うように、別にでかい建物を建てる必要はない。東京高裁の中に部署を置く、一種の支部として知的財産のこの裁判所を置くわけだね。将来は、別に建物を造って完全に独立させなくてもいいんだけれども、この法律と同じような知的財産高等裁判所というのは、例えば、例を挙げて悪いけれども、例えば大阪なら大阪に置くというようなことは、司法制度の推進本部の中では議論されたんですか。当面、東京だけにこういうものを置くと。状況を見て、例えば大阪なら置くということは議論されたんでしょうか。どうなんですか。
  60. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) これは制度として、じゃ大阪に置くことが絶対駄目かといったら、これは制度としてはできることはできるということになろうかと思います。大阪高裁に同様な支部を作るということは可能ではあると思います。  ただ、この点につきましては、作るという方向で議論をしてはおりません。なぜかといいますと、やはり特許等の関係の事件について、やっぱり専門的な人を集約して、そこで早くいい判断をしていこう、あるいは判例の統一をなるべくそこでしていこうと、こういうことを考えてやっているわけでございますので、それじゃほかにもいろいろ作ると、また判断の統一というのはまたばらばらになってしまうことになりまして、その判断の統一のためにまた最高裁まで行かざるを得ないというようなことにもなるわけでございますので、それを今考えて、こういうことを作ったことからいきますと、別途また作るということは現在頭には置いてはおりません。
  61. 角田義一

    ○角田義一君 更に問題提起しておきますけれども、特許とかそういうのはかなり、御案内のとおり、大企業がやるわけだけれども、今個人だってかなりいろいろ発明したり何かしてやって、そういう人たちを起業、起業というのは起こすね、支援をしようというあれもあるわけですよ。そうなりますと、あなたがおっしゃるように、控訴審は全部東京の何とか高等裁判所へ持ってくるということになると、全国全部ここへ来いということでしょう。それは果たして今までの、さっき、この前からずっとやっているこの司法ネットワークとかああいうものから考えた場合に、全部東京一極に集中しちゃっていいのかどうかという問題はやっぱり問題提起としてはあるんですよ。それはやっぱり受け止めてもらわぬといかぬと僕は思うんだよ。それは何も、大阪というのを私は限定しているわけじゃないけれども、今言ったすべての事件を東京に集中してしまえばいいと。これは、やっぱり企業は、大企業はそれは金もあるからどこで起こったっていいかもしれぬけれども、一般の庶民は、例えば発明するとかするときに全部東京へ来なきゃならぬというのは、これはやっぱり考えなきゃならぬ問題だと思うので、これは、その何とか本部というのは十一月で終わっちゃうそうだけれども、やっぱりそれは宿題として残すべき一つのテーマだとは私は思うけれどもね。あなた方は、断固そんなものは要らないと突っ張るかい。
  62. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) 今委員御指摘の点につきましては、やはり司法へ対するアクセス、この面から重要なポイントであろうかと思います。私どもも、そこのところは今全くそんな必要はないということは申し上げておりませんけれども、現段階でまずこれを動かしてみて、それからの今後の問題であるということになろうかと思いますし、現在も、地理的に遠い場合の審理のやり方について、移送の手続を設けたり、あるいは電話、テレビ会議、こういうものを設けたりとか、様々なことをやっておりますので、そういう点で不利益がなるべく被らないような、こういう手続はきちっとやっていきたいと思います。  なお、これをやってもいろんな問題が起こってくるということであれば、またそこは考えざるを得ないだろうというふうに認識をしております。
  63. 角田義一

    ○角田義一君 それじゃ、この改正裁判所法の方にちょっと入りますけれども、先ほど吉田先生からお尋ねがあった調査官制度やあるいは専門官かな、そういうのを導入されておりますが、推進本部の中に、財界等からは言わば正規の法曹資格を持たない技術者さんを裁判官にしてどんどんこういう事件については迅速にやっちまえばいいんだという、これまたやや乱暴な意見を吐く財界の幹部もいたように私聞いておるけれども、そんな議論があったんですか。これはえらい無理解もいいところだね。
  64. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) 私どもの検討会の状況をちょっと申し上げたいと思いますが、検討会の全委員の一致した意見でございますけれども、裁判の最終判断者は法曹資格を有する裁判官であるべきであるということ、それから今後は、理科系の学部を卒業し、法科大学院に進んだ者が司法試験に合格し、法曹資格を取得して裁判官に採用されていくこと、これに期待をするということですね。  以上の二つの大きな議論が理由でございますけれども、この点については慎重にやるべきであるという結論でございます。ただ、私どもの検討会以外のところでこのような御指摘がいろいろあったということです。現在もあるというふうに承知はしておりますけれども、私どもとしてはそこは考えていないと、こういう現状でございます。
  65. 角田義一

    ○角田義一君 私は民主党内の中の守旧派だけれども、技術者さんが裁判官になっちゃってどんどんやるなんということは絶対許せないね。それは検討会の中ではそうではなくて、最終的には法曹資格者が大所高所に立っていろいろ総合的に判断するということを堅持しているからいいですけれども、これはよほど今後も警戒をしないと、さっき言ったように、迅速だけ求められたんじゃ、さっさとやればいいんだという、効率主義一辺倒でいったら私はえらいことになると思うので、そこはきちっとしたブレーキなり理念をはっきりとやっぱり確立しておいてもらいたいと思いますけれども、いかがですか。
  66. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) 私も御指摘のとおり同じ考えを持っておりますので、今後もその点はきちっと把握をしながら行動をしてまいりたいというふうに思っております。
  67. 角田義一

    ○角田義一君 それから、私がそれで心配しているのは、先ほどお話がありました調査官というのが二十一名おって、そのうち十九名は特許の審判官をやっておられたかなりの専門家だそうですね。その方々が口頭弁論期日に証人等あるいは当事者に対してどんどん発問もするということになっていくと。  というと、まず形式的なことを聞きますけれども、この調査官というのは、公開の法廷で裁判官と同じところへ、高いところへ座ってやるんですか。それとも横っちょの方に座ってやる、そういうイメージなんですか。裁判官と同じようにどんどん証人調べも、どんどんどんどん質問していくの。
  68. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) これはちょっと運用でございますので、ただ、私ども、この案を作るときに壇上に上がるということは念頭には置いていないということでございます。
  69. 角田義一

    ○角田義一君 最高裁はどんなふうに、どんなふうなイメージでやるんですか。
  70. 園尾隆司

    ○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 運用について、例えば裁判所調査官が法廷に入る場合、あるいは準備手続室に入る場合にどの位置に座るかということにつきましては、その裁判所ごとの場所的な問題というのもございますので、今確定的にどうだという考えを持っておるわけではございませんで、実質的にそのような手続に関与していくということをやっていくということを考えておるのみでございます。  なお、この裁判所調査官は、あくまで裁判官の補助をするということで、特に専門技術性に関する問題点について裁判官の知識を補充するという、そのような補佐役であるというふうに考えております。
  71. 角田義一

    ○角田義一君 どっかの総理大臣みたいに丸投げが好きな人がいるからね。あれですよ、これ、裁判官はそういうこと絶対私はないと思うけれども、この調査官だとかあるいは技術専門官とか、そういうものに丸投げされて、自分は余り、そういうところの知的な知識は余りないということで、裁判官がそうなられたら、これはもうえらいことに私はなると思う。よほどその辺の役割分担というか、あるいはその調査官なりの分というものかな、分なんという言葉は古いかもしれないけれども、そこをきっちりわきまえてもらわぬと、これは裁判官と同じようなことを質問したりやるんですから、相当な権限を持ちますよ。  その辺の役割分担はきちっとさせてもらわぬとこれはいかぬと思うんですけれども、局長、どうなんですか。
  72. 園尾隆司

    ○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 知的財産訴訟が専門度が高いということで裁判所調査官の補佐も受けてやってきておるわけですが、最近の裁判官の大変大きな関心事といたしましては、この調査官について、正にただいま御指摘のように、裁判官が欲する補佐をきちんとしてもらう、その限度内での補佐ということでとどめていくということで、訴訟を進めるためにはどのような運営が良いかというようなことにつきまして、東京高裁、東京地裁、あるいは大阪高裁、大阪地裁の裁判官が研究会を継続して実施しておりまして、その一部は既に司法研究報告書というような形で発表もされておるところでございまして、裁判所の内部でもそのような認識については鮮明に持って研究を継続しておるということでございまして、今後も、そのようなきちんとした補佐の体制、それから判断を裁判官がきちんとやるというような体制を堅持していくという方向で研究を重ねたいというように思っております。
  73. 角田義一

    ○角田義一君 それで、あれですか、その調査官というのは、例えばいろいろ、証人調べをやったり、あるいは準備手続やったり、いろいろなことをやるでしょう。そのときに何か、あれですか、報告書というようなものを作るんですか。まず、それをちょっと聞きます。その報告書というのは必ず作るものなんですか。まず、そこから。
  74. 園尾隆司

    ○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 裁判所調査官が裁判官の命に応じてその調査事項、調査した事項について書面化するというのを報告書というように呼んでおりますが、これは裁判官の命令の内容によるということでございますが、一般的には専門技術的なことについての補佐を求めるということですので、書面で言わば報告書として裁判官に報告をしておるというような実情がございます。
  75. 角田義一

    ○角田義一君 その報告書というのは、裁判官、正に補佐だから、裁判官だけが見ればいいということなんでしょうか。それとも、両当事者、どういうふうな報告書になっているかと。こんな報告書は困るとか、いろいろ異議がある人もいると思いますよ。それは、当事者にはそれはもう見せない、もう秘密というか、裁判官の腹の中へ入れておくということなんですか。これはどういう取扱いになるんですか。
  76. 園尾隆司

    ○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) この報告書は、裁判官ごとにどのような事項についてどのように報告を求めるかということが決まるものでございますので、そういう意味で、この報告書を当事者に見せるというようなことを想定をしておるわけではございません。  現在の運用について申しますと、裁判官は裁判所調査官に対して事件の審理及び裁判に関する調査を行うことを命じることができるというふうになっておりますが、調査命令が出される時期につきましては、裁判官の必要性に応じて、例えば争点が確定する前であったり、争点整理後であったりというようなことになります。  ところで、争点整理前に裁判官が命じて裁判所調査官に作成させた報告書が仮に当事者に開示されるということになりますと、それを見た当事者に無用な憶測や誤解を与えたり、あるいは既に整理された部分の争点が蒸し返されたりするというようなことで、審理に混乱や遅延が生じるというようなこともあるというように考えておるわけでございます。また、争点が確定した後でありましても、報告書が開示されるということによって、その報告書への反論あるいは補充という形で報告書の記載自体をめぐって当事者の主張が長く続くというようなことで、訴訟が混乱するというおそれもあります。  そういうことで、裁判官がその命じた範囲内で調査官に補佐をさせるという趣旨で報告書を作成させておりますので、この報告書自体は開示をしないというような扱いにしてございます。
  77. 角田義一

    ○角田義一君 局長、それは裁判所の立場だとそういうことになるのかもしれないんだけれども、争っているのは当事者だからね。裁判所は最終的には判断する立場なんですよ。だから、当事者の立場になってみると、どういう報告書になっているのかなというのは、私は当事者になってみれば最大の関心事だと思いますね。自分たちの例えば、言わば主張なり今までの論点なりがどういうふうに集約されているのかと。それは分からないままに、裁判官だけで身の内で論点整理なりがさせられているということだと、これは不安になるんじゃないですか、逆に当事者は。  そうすると、裁判というのはだれのためにあるかといったら、当事者のためにあるんですな。裁判所のためにあるんじゃないですよ、極端なこと言えば。そうすると、私は恐らく、開示をしないということで今局長は突っ張っているけれども、これ、実際やってみると、当事者からそれを開示してくれと、透明性、裁判の透明性ということを論拠に求めてくると思いますよ、僕は。私が弁護士だったら求めるね、却下されようが何しようが、やりますよ、それは。そして、注文も付けますよ。そして、最後は、最終的にはいい判断を裁判所にしてもらえばいいわけだから、その過程だから。  何だっけな、裁判員制度の刑事訴訟法と同じだ、論点整理だよ。この論点整理を明らかにするんでしょう、ちゃんと。それと同じじゃないですか。ここは、あなたは突っ張っちゃっているけれども、果たしてずっと一生、これ、一生なんと言っちゃ悪いな、突っ張り切れるものかどうかだよ、これは。どう思います。
  78. 園尾隆司

    ○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 裁判官が様々な知識を補充するという方法について、これの工夫の一つとして調査官という制度が設けられておるわけでございますが、その裁判官の知識の補充の仕方については制度設計上様々なものがあるというように考えております。  ただ、これが証拠というような形になりますと、鑑定書というようなものを出してもらって当事者の弁論にさらしていくということで、それについて裁判の基礎にするということでございますが、この調査官の報告書というのは、そのような手続上のものとは少し違いまして、裁判官の言わば前提事実といいますか、そういう知識に関する補充だというような位置付けで、特にこの調査官について公正さの問題が起こらないように常勤の公務員として採用していくというような方法を取って知識の補充を求めておるということでございますので、この制度設計の下においては、この報告書というのは現在のような運用を続けていくということになろうかと考えております。
  79. 角田義一

    ○角田義一君 じゃ、山崎事務局長に聞きますけれども、この報告書の公開というか、透明性の問題は、事務局、改革事務局かい、推進本部の事務局の中では議論されたんですか、あるいは検討委員会で議論されたんですか、ちょっとそれを説明してください。
  80. 山崎潮

    政府参考人(山崎潮君) この点、検討はいたしましたけれども、やはり過渡的な参考資料であるということから、その当事者には見せない、非公開であるということで皆さんは大体一致したというふうに理解をしております。  ただ、今委員が御指摘のような点も、それは不安としてはいろいろあります。そこで、その運用上の問題として議論がされた点をちょっと御紹介をしたいと思いますけれども、いろいろ口頭弁論だとかいろんなところを通じて当事者に対して今の釈明権を行使する際、そういう場合に、必要に応じて、技術的事項等について自らの理解とか認識、これを裁判官あるいは当事者の面前でこれをきちっと示していくということですね。それで、そうなると、その裁判所の調査官、それからもちろん裁判官も含めた裁判所側と当事者との間で事件全体についての理解、認識の共通化を図ることは可能になるだろうと。運用上でどういう点がそのポイントで、争点として、争点はどことどこだと、その争点の分かれ目はどういう考え方とどういう考え方になる、これ議論をしていくとおのずとその辺が浮き彫りになる。そういうような運用を図っていただいて、最終的に裁判官はどちらを考えるかというのはその裁判官の判断でございますけれども、そこがなるべくある程度分かるようにそういうようなことを工夫していく必要があるだろうと、こういう議論がされていたところでございます。
  81. 角田義一

    ○角田義一君 ひとつ私の問題提起は問題提起として、最高裁の局長さんも受けておいてください。恐らく、これ動き出すと、必ず私は出てくる問題だと思いますから。  それからもう一つ、最後にこの法案についてお尋ねしますけれども、営業秘密保護のために裁判の公開を停止する規定がありますな。これ、だけど、今さら憲法八十二条第一項を持ち出す必要はないと思うけれども、裁判というのは公開で行うというのがこれ大原則ですな。刑事訴訟法の中に、一部に御案内のとおりの性的犯罪とか何かのときに被告人人権を尊重するために秘密会とかいうことはありますけれども、我々の常識からいうと裁判は公開は大原則。しかるに、この私的紛争だな、はっきり言えば、特許であれ何であれ私的紛争に私は変わりないと思うけど、その私的紛争のために大原則である公開まで停止されるというのは一体どういう根拠なんですか、どういう合理性があってそのことをやるんですかな。説明して納得、私が納得できるように説明してくれませんか。
  82. 山崎潮

    政府参考人(山崎潮君) この点につきましては、もう今さら憲法の規定のことは申し上げませんけれども、営業秘密との関係で裁判の公開を困難とする真にやむを得ない事由があるかどうかということ、それから裁判を公開することによってかえって適正な裁判が行われなくなるという言わばそういう極限状態のようなもの、こういうようなことが生ずる場合に、そこまでいってもその公開を貫かなければならないかどうかと、こういう点を考えたわけでございます。  ここで、今、私的利益ということで今おっしゃられましたけれども、ここで今考えているのは、例えば不正競争による営業上の利益の侵害、あるいは、それから特許権の侵害等について現に誤った裁判が行われるおそれが生じ、ひいては営業秘密保護を前提として形成、維持されるべき重要な法的、社会秩序である公正な競争秩序、これをも失うおそれがあるというような場合には憲法例外を設けてもいいだろうと、こういう議論をしたわけでございます。  したがいまして、ここで要件を決めておりますけれども、営業秘密に基づく当事者の事業活動に著しい支障を生ずることが明らかであるということ、それから、当該陳述を欠くことにより他の証拠のみによっては適正な裁判をすることができないこと、こういう要件を二つ設けておりまして、やはり裁判の運営、正しい裁判の在り方に影響があってはならないと、こういう観点から設けたものでございまして、これ世界的にも各国で同様なものを大なり小なり持っておりますし、これに伴います例えば秘密保持命令、こういうものも世界各国で知的財産関係では持っているという状況でございまして、私ども、世界的に見てもそれほど特異なことをやっているということではないということで御理解を賜りたいと思います。
  83. 角田義一

    ○角田義一君 じゃ、最高裁にお尋ねしますけれども、今までこういう制度なかったんですよ。今まで制度なかったんだけれどもやってきたんだね、苦労しながら。何か不都合あったんですか。そうすると、今までやっていた裁判はみんなおかしいという話になっちゃうよ、極端なことを言ったら。  今までの状況はどうだったんで、どうしてこういう法律を改正しなくちゃいけないようになったのか。今までの裁判官は何していたのかというか、何したなんて言うと怒られちゃうけれども、どんな苦労をしてきたけれども、これがなきゃ困るというような実態があったのかどうか、それを乗り切って適当なところで裁判やっちゃってきたのかどうなのか。そこをちょっとやっぱり説明してもらわぬと、突然こんなもの出されたって私どもは納得しませんよ、裁判の大公開原則だから。
  84. 園尾隆司

    ○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 従来も、営業上あるいは技術上の秘密に関する事項についての保護の必要性というのは、これは訴訟の中でもございまして、その点につきましては、例えば一般的な民事訴訟法の改正の中で、今回のような充実したものではございませんが、この記録が一般に開示されることがないようにというような手当てをしながら知財訴訟でそれを使うというようなこともやってまいりましたが。  ただいま山崎事務局長からの答弁がございましたように、世界的な規模でこのような秘密保持の手続が充実しておるということになりますと、そのような国際的な審理の水準という面から見ても、このような手続を更に充実させて我が国に導入させていくというのが適切ではないかというような議論になっておりまして、裁判所としましても、それはそれでなお適切である、これまで御指摘のようにいろいろ工夫をしながらやってきましたけれども、きちんとしたものができるということであればそれは適切であるというように考えておりまして、この法律が成立しましたならば、この手続を更にきちんと使って審理を更に充実をさせていきたいというように考えておるところでございます。
  85. 角田義一

    ○角田義一君 一言だけ、最後、園尾局長に要望というか最後に質問させてもらいますけれども、私は、やっぱり裁判の公開というのは憲法上の大原則で、これは簡単に引っ込めるわけにはいかないんですよ。確かに、私は別に、何というのかな、特許権についてそれほどえらい関心がたくさん持っておるわけじゃないので、一介の市民ですから、庶民ですから、よく分からないけれども、ただ基本的に私は私的紛争だと思っているんです。だから、よほどこれは発動を、今厳格な歯止めが掛かっているわけだけれども、よほどこれは裁判所も慎重にやってもらわないと、何でもかんでもこれでいくということだと裁判の私は生命である公開というものが損なうというおそれがあると思うので、これはよほど慎重にやっていただきたいと思いますが、局長のその辺のお考えを聞いておきたい。
  86. 園尾隆司

    ○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 御指摘の点は正にそのとおりであるというように認識をしております。裁判を受ける権利というのを十全に保障して、しかも、これは公開の法廷における裁判ということがこの権利を保障する上で是非必要だということで憲法上の定めもありますので、この点については十分に意を遣いながらやっていきたいというふうに考えておりまして、これまでも民事訴訟法上この秘密の保持というような手続が設けられた際にも、裁判所としてはその範囲に関して厳格に解釈をしてきたところでございますが、今回の手続が導入をされるということになりましても、この法律の定めるところということについて厳格な解釈をしまして適切な運用を図っていきたいというように考えております。
  87. 角田義一

    ○角田義一君 ちょっと話題を変えますが、先ほど岩井先生から、今日の、あれですな、国際化の波をかぶる一つの大きな問題として特許がある、それからもう一つは大きな不動産の問題があると。私は、平成五年に、今から十一年前ですけれどもやっぱり不動産登記法の一部改正というのがありまして、当時、後藤田正晴、我々の大先達の、後藤田大先達が法務大臣をおやりになって、そこで相当ないろいろ御質問をさせていただきました。そのときにもこの地図の整備ということが大きな話題になりまして、当時、政界の非常に実力も持っておられた法務大臣でしたから、角田さんの言うことももっともだと、この地図の整備についてはこれは国を挙げてやらなくちゃいけないという非常に我々勇気付けられた御発言もいただいて、ずっとその後の経過見ておったんですけれども。  私が質問した十一年前のときは全国規模で三七%でした。そして、大都市では一二%という御答弁がありました。それは十一年前の話ですね。先ほど、全国で見たら五四%になったというんですから、一七%ぐらい増えたわけですけれども、大都市部については先ほど一八%ということですから、わずか十一年で六%しか増えていないということですね。  これは法務省も、先ほど民事局長は一生懸命頑張るなんて言ったけれども、十一年間、言っちゃ悪いけれども、何やっていたんだと。後藤田大実力者のときから十一年たってこのていたらくだ、私に言わせりゃ。これじゃ私は死んじゃうよ、全部でき上がったときは、本当。本当に私も、これは変な、こんなこと言っちゃまた怒られるけれども、韓国はあの十一年前私が質問したときにほとんど地図ができていたんです、できていたんですよ。今だってそうじゃないですか。ヨーロッパはみんなできていますよ。日本はこれだけの世界第二の経済大国とかなんとかといったって、この一番の基礎の地図一つこのていたらくじゃないですか。これはやっぱり反省してもらわなきゃ困る。反省してもらうと同時に、じゃ、今後どうやればこれができるんだ、その十一年間で何を学んだんだということですよね。そこから入りましょうや。
  88. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、法務局の登記行政にとって一番の問題は地図の整備でございます。特に都市部の地図の整備が遅れているということは、私ども自身最大の問題だという具合に認識をしております。ただ、実際に都市部の地図の整備が遅れておりますのは、やはり農村部と違いまして、都市部の場合、地価が非常に高いということから、境界が十センチ違っても非常に大きな影響があるということで、都市部での地籍を確定していくということについては非常に困難が伴うわけでございます。そのようなことからどうしても都市部での地籍整備が遅れがちであったということで、この点はもう御指摘を受けるのは誠にもうそのとおりでございまして、私どもとしても反省するしかないわけでございます。  ただ、幸い、そういう現在の日本の地図の在り方につきまして政府全体として問題意識を持っていただいた結果、昨年の五月に都市再生本部で、特にそういう問題の多い都市部について今後十年で地籍整備をやろうという方針を打ち出していただいたわけでございます。地図の整備というのは非常にお金も人手も掛かる作業でございますので、法務省単独で到底できるわけではございません。そういう意味で、正に政府を挙げて都市再生本部の方針として打ち出していただいた。その中で、国交省、法務省が中心になって、他の機関の協力も得ながら今後強力に進めていくということを今正にやろうとしているわけでございます。  過去のことについては誠に御指摘のとおりだと思っておりますが、私どもとしては、せっかく都市再生本部でそのような方針を打ち出していただけたわけでございますので、それに沿って今後強力に地図の整備を進めていきたいと、こう思っております。
  89. 角田義一

    ○角田義一君 一点だけ聞きますけれども、十六年から十年間で何か計画立ててやるというけれども、今はやりの数値目標でいうと何%に目標を置くんですか。何%達成することに目標を置くんですかというんです。十年間で、十年の計画で。
  90. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) ですから、都市部につきまして、当面十年で一〇〇%にできるだけ近づけると。一〇〇%に近づけるということでございます。都市部についてでございます。
  91. 角田義一

    ○角田義一君 十年なら何とか生きていられるな。国会議員やっているかどうかは分からぬけれども。期待しましょう。  当時、この十一年前に、不動産登記法はいずれ全面的な改正がやっぱり必要じゃないかという御指摘もいたしまして、まず、難しい片仮名ではどうしようもないと、平仮名に直したらどうかと。今度は平仮名になった。十一年掛かって平仮名になってきたわけです。そして、特に、後からお話もいろいろあると思いますけれども、司法書士さんだとか土地家屋調査士さん、そういう人たちの意見を聞きながら、聞きながらというのは余り好きじゃないんだな、聞きながらというのは、やっぱりあなた、法務省はお上意識だよ。聞きながらじゃないんだよ。相互に意見を交換をしながら、これが大事なんだ。聞くというのは、一方的におまえの言うことを聞いてやるぞという感覚に僕は響くんだ、我々庶民からすると。やっぱり意見を交換しながら私は進めてきたと思うんですけれども、この法律を作るについてもですよ、思うんですけれども、この法律、出そうとしている法律を本当に生かすならば、やっぱりそういう、先ほど岩井先生からお話があったけれども、相当こういう人たちと意見を交換しながらやっぱりやっていかないと、民事局だけが何かおれたちは偉いんだという感覚でいたんじゃ私はうまくいかないと思うが、まず、これから質問する前提として基本姿勢を聞いておきましょう。
  92. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) 今回の計画しております不動産登記法の改正もそうでございますし、それを実施するための政省令の策定もそうですが、何といっても登記の現場が円滑にその事務を処理できるという、そのための法改正であり、あるいは政省令の策定でございますので、私どもとして、そういったことに当たりましては、現場をよく知っている専門的知識を持った司法書士あるいは土地家屋調査士という、その方々と十分意見を交換しているわけでございます。私どもの考えていることを御説明し、その司法書士あるいは調査士の方々がどういう問題意識を持っているかということを伺っていく。その上で、法務省において法案を策定し、あるいは政省令を制定していくわけでございます。  そういう意味では、単に聞きおくということではなくて、十分私どもの考えも御説明し、また専門の資格を有している方々が何を考え、どういう問題意識を持っているかということも十分承って作業を進めているわけでございます。そういうことを含めて十分意見を伺って作業を進めているということを申し上げているわけでございます。
  93. 角田義一

    ○角田義一君 今度の不動産登記法、これから出てくる改正のあれ見ると、私はびっくりしたんですな。我々、もう我々の世代ではちょっと追い付いていけないね。なぜ追い付いていけないといったら、どういうふうにやるんだというので、ある司法書士の先生に、この新しい法律ができた場合にどういうふうになっていくんだといって、パーソナルコンピューターでやってくれたよ。我々の世代ではとても分からない。我々はもう登記済権利証の口だからね。実印といろいろな証明書出して慎重にやる方だから、もうあんなパソコンにばあっと入ってくるのを見ていて、まず恐ろしい時代になったなというのが率直な感じなんですよ、我々の世代は。  そこで聞きますけれども、オンラインを使ったりコンピューターを使ったりしてやるというんだけれども、なぜそういうふうにやらなくちゃまずいけないのかな、いけないのかなと、私は年寄りとして素朴に思ったね。これをまず説明してくれませんか、大臣。
  94. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 基本的な問題でございますので私の方からお答えをしたいと思いますが、最近の我が国の社会におきますインターネットの普及は大変目覚ましいものがございまして、会社関係はほとんどもう九割以上のところが導入をしておりますし、一般家庭でも八割以上のところで何らかの形でこれを御利用していただいている。このようなコンピューター及び情報通信技術の発展によりまして、世界規模で進行しております今のIT革命に対応していくために、我が国におきましても、行政手続のオンライン化を含め、いわゆる電子政府、e―Japanということで、これを早急に実現することが喫緊の課題となっておりまして、既にその成果が一部現れてきておるところでございます。  今回の不動産登記制度におけるオンライン申請の導入は、このような電子政府の実現という政府全体の政策の一環として行うものでございます。不動産登記申請は年間約千七百万件にも上る国民に身近な手続でございまして、これをオンライン化して便利で使いやすい手続を実現することは極めて大きな意義を持つものと考えますので、この制度の普及、そしてまた旧来からの制度とのなじみについても併せこれを行って定着を図ってまいりたいと考えております。
  95. 角田義一

    ○角田義一君 このオンライン申請を導入を今度はできるんですけれども、これによってその登記の安全性というのかな、的確性というのかな、正確性というのかな、そういうのはどういうふうに確保されるという保証というか、担保はあるんですかね、これは民事局長。
  96. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) まず、オンライン申請を採用した場合に最も懸念されるのは成り済ましでございます。面と向かって書類を持ってきてくれれば相手を確認することは容易でございますが、オンラインで見えませんので、その申請する者が成り済ましをして無権限で登記をしてしまうということが最も心配されるわけでございます。  そのために、オンライン申請をする場合には、いわゆる電子証明書あるいは電子署名という、現在の仕組みでいえば印鑑証明書あるいは実印の使用と、こういったものに対応する電子的な手段を必ず取っていただくということにしております。これがきちっと取られておりますれば、書面で印鑑、実印をつき、印鑑証明が添付されているというのと理論的には同じだけの確実性が担保されるということになります。  それから、現在の紙の場合には、印鑑証明、実印の使用以外に登記済証によりましても本人確認ということを行っております。登記済証は紙でございますので、オンライン申請の場合にはそれを使うことができませんので、今回のオンライン申請に当たりましては登記済証に代わる本人確認の手段を設けるということといたしました。  この登記済証は、登記をしたときに、その登記の登記原因証書若しくは申請書副本に登記官が登記をしましたという判を押して申請をした人に交付をする。そうしますと、それを持っている人は前の登記を申請した人だということが担保されている。こういうことでその本人確認の資料として用いられているわけでございますので。  電子的にそれに代わるものといたしまして、登記申請をしていただいたときに、その登記をするごとに登記識別情報という、言わば一種のパスワードのようなものでございますが、十二けたのアルファベットと数字を組み合わせた、そういった登記識別情報を個別に発給いたしまして、御本人にだけお知らせをする。次の申請のときに、その登記識別情報を申請情報として法務局の方に出していただく。そういたしますと、前の登記をした人にしか知らせていない登記識別情報を用いて申請をしてくれば、これは前のその登記をした人だということが確認できるという、登記済証と全く同じ考え方によって本人確認ができると。  そういうことから、今回、オンライン申請を採用するのを期に登記済証を登記識別情報に切り替えると。これによってその本人確認を図るということとしております。  なお、そのほか、本人について、これは本人以外の者が申請をしているのではないかと、そういうことが疑われるような事情が認められる場合もございますので、そういった特別な場合には、本人を直接、例えば登記所に来ていただいて登記官が確認をできるというような登記官の審査権限も付与する。そのようなもろもろの方策を組み合わせることによりまして、オンラインによる申請において今以上に、現在より言わば偽造等が増えないように安全性を確保するということをしているわけでございます。
  97. 角田義一

    ○角田義一君 まず、じゃ、ちょっと聞くんだけれども、その登記識別情報というのはどういうものなんですか。私は、昨日パソコン見せてもらって大体分かったけれども、恐ろしいものだね。恐ろしいものだねというのは、我々の世代では恐ろしいものだな、あれは。  あなた、これ国会ですからね、国会は皆国民に分かるように説明してくださいよ。
  98. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) イメージとしては、例えば銀行であるとか郵便局の口座から現金を引き出すときに暗証番号を入れて現金を引き出しております。その暗証番号は人に教えないと、その人しか知らない。したがって、その番号をコンピューターに、端末に入れていただければその人が申請したと確認できると、それで支払いをすると、そういう形になっているわけでございます。  原理的にはそれと同じことですが、物がやはり不動産という極めて貴重なものでございますので、情報内容につきまして、通常暗証番号というと四けたの数字というようなことが多いわけでございますが、これを十二けたにいたしまして、アルファベットと数字の組合せ、したがいましてアルファベット二十六文字、数字がゼロから九で十個ありますので、三十六の英数字の中から、それを十二を言わば無作為に組み合わせるということですので、三十六の十二乗通りの組合せがあるわけでございます。  それを、申請をしていただいた登記ごとに法務局の方でそういう番号を決めまして、その登記識別情報として登記申請をした方にだけお知らせをする。そういう十二けたの英数字の組合せでございますので、もちろんオンラインで申請をした場合には暗号化した上でオンラインでお知らせをする。紙で来た場合には、その紙に英数字を、十二けたのものを印刷をいたしまして、封をして、それで人に見られないようにして御本人にお渡しすると、そういう形を取っているわけでございます。次に申請をするときには、その申請をする申請ソフトにそういうものを入力するところを設けますので、そこにその英数字を、十二けたを入れていただくとその人が申請しているということが確認できる。  ですから、原理的にはいわゆる郵便貯金とか銀行の暗証番号と同じでございますが、それをもう少し複雑にして、かつ確認の手段等を自動的にやはり登記所の方で行えるようにしていると、こういうことでございます。
  99. 角田義一

    ○角田義一君 私の頭ではどうしても分からないのは、その司法書士の先生が私に説明してくれたことによると、何だあれ、アルファベット二十六とゼロからの十けたを足してやると。十二けたのやつはコンピューターが自然に決めるというんだけれども、どうしてコンピューターが自然に決めるのか分からないんですよ、僕の数学の知識では全然分からない。何で勝手にそのコンピューターが決めちゃうんだい、その決め方だな、本当分からない、僕は。
  100. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) これは、例えば一定のルールに従ってそういう数字とかアルファベットを出すといいますと、そのルールが分かるとどういう番号か分かってしまうわけです。ところが、それでは困る。ほかの人からは、この登記をした人が教えてもらった登記識別情報は何番かが絶対分からないようにしたい。それをやるのがこの識別情報の役目ですので、識別情報を決めるときには、コンピューターが勝手に決めるというのは、要するに乱数を使うわけです。  要するに、ある数字にどの数字が来るかが全く分からない。それはコンピューター、今ランダマイズと言っていますけれども、そういった乱数を作るのはコンピューターの得意な作業なんです。それを使いまして、申請のあるたびに要するに乱数作成機能を使ってその番号を作る。そうしますと、その十二けたの英数字の組合せというのは全く偶然にそのときのコンピューターの状態で決まりますので、よそからは予測が付かない。したがって、いつこの人がこういう登記をしたということが分かって、その人がもらった識別情報について何番が出たろうかということは全く予測が付きませんので、これは偽造ができない。したがって、教えてもらった人がその番号をだれかに教えない限りはほかの人は全く分からないわけです。  ですから、よくありますのが、例えば自動車の番号を暗証番号に使うとか、生年月日を使うとか、そういうことをすると予想されて破られてしまうと。ですから、そういうのは、つい自分で覚えてきたいからそういうことをやるわけですが、そういう意味では簡単に覚えられないようにもう十二けたにして、その現物を見なければ入力できない。そういうものであるからこそ全く意味のない組合せの方がかえっていいわけです。  そういうことによってこの識別情報の機能を確実なものにしたいと、こういうわけでございます。
  101. 角田義一

    ○角田義一君 じゃ、ちょっと聞きますけれども、その十二けたの番号というのはとても覚え切れないよね、忘れっちゃう、忘れっちゃうですよ。忘れちゃう、覚え切れないですよ。  そうすると、昔だったら、逆に言うと、何とか識別というのは登記済権利証に今度代わるものになるんですか。だけど、登記済権利証というのは、物としてあるわけです、持っているわけだ、自分は。だから、その番号というのは、そのコンピューターだか何だか知らないけど、パソコンの中に入っているだけで、それを自分でメモして写しておかなきゃ分からないでしょう。それを忘れちゃったりなんかすることだってありますからね、人間だもん。そういうときはどうするの。今までだったら、権利証をなくした場合には保証書とかなんとかでやってくれましたな。それに代わるべきものは今度はどうなるんですか。これは国民に分かるように説明してもらわぬとね、全然変わっちゃうんだから、システムは。
  102. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) 今申し上げましたように、十二けたで、しかも全く意味のない組合せですので、これを覚えるというのは通常は不可能だろうと思います。  したがって、紙で通知を受けた場合には、その紙を人目に付かないようなところにきちっと保管をしていただく、封をして例えば金庫に入れておくと。それで、次に登記の申請に必要なときに持ち出して、それを見ながら間違いのないように入れるということになろうかと思いますし、オンラインで電子的に情報を受けたときには暗号化してきますので、それを自分で、もうそのままでも結構ですし、もう一回平文化した上で電子的な情報として例えばフロッピーに入れて、そのフロッピーを金庫に入れるとか、あるいは直接書き取って、その紙に書き取ったものをやはり封に入れて金庫に入れておく。で、電子的な記録の方は消していただく、残しておきますと人に見られるおそれがありますから。  そういう意味で、管理の方法は相当気を遣っていただく必要がありますが、しかし、そうやっておいて、次に使うのは、申請をするか、あるいはその有効性確認をするという次の取引のときですので、それまでむやみに人に見せる必要はないわけですから、人に見られないようなところに大切に保管をしていただく、こういうことだと思います。  ただ、万一例えば見られてしまったとか自分で分からなくなったと、こういうときには登記識別情報を失効させると、効力を失わせると、こういうのを登記所の方に届けていただいて、自分の登記情報は人に見られたからその番号で確認することはやめてくれと、あるいは自分が忘れちゃったと、だからもうそれ使わないと、そういう失効という手続もありますので、万一そういう事故が起きたときには、そういうことによって他人に悪用されないようにするということを考えております。
  103. 角田義一

    ○角田義一君 その登記識別情報というのは、個人とすれば自分の、今はやりの言葉で言えば自己責任だよ、これは、自己責任によって管理しろということですよね。でも、人間のやることですから、忘れちゃうこともあるし紙がどっか行っちゃうこともある。そういう場合にはどうするんですか、今度取引するときには。具体的にどうして救済してくれるんですか。
  104. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) 今申し上げましたように、従来の登記済証に代わるものとして識別情報を用意しているわけですので、通常はそれを使っていただければ一番いいわけですが、忘れてしまうとかあるいは人に見られたということで失効をするというようなことがある。その場合の登記の申請手続ということになりますので、従来ですと、そういう場合には保証書と、登記済証をなくした場合には保証書二通とそれから事前通知という形で登記をしておりました。ただ、この保証書については、信頼性に問題があるとかあるいは手間暇が掛かるということで問題点が大分指摘されておりましたので、今回の改正におきましてはこの保証書は廃止いたしました。  それで、原則として、したがって登記識別情報を使えない場合には事前通知で対応する。この事前通知も、今は郵便が大分進歩して、本人限定受取郵便というような御本人にしか渡さない郵便がありますので、それを使って本人に通知をすると。こういう形でありますと、成り済まして郵便を受け取って勝手にやるということはそう簡単にできなくなりますので、従来に比べれば相当確実性は高くなると思います。そういう事前通知の制度でやるということが一つございます。  それともう一つ、今回新たに採用いたしましたものとして、従前から登記申請を資格者代理人、司法書士の方であるとか土地家屋調査士あるいは弁護士の方が代理人になってやる場合には、その方々が本人に間違いないかどうかを十分確認した上で代理人としてその登記申請をしていただいております。そういう実績を考慮いたしまして、今回は本人確認という手続を法律で設けました。  ですから、資格者代理人になる方が、例えば従来から顔見知りのこの人の委任で、この人は本人に間違いはない、あるいは、例えばパスポートを提示していただいて、その写真を見て本人であることを確認したと、こういうような確認を資格者代理人の方がしていただいた上で、そういう、どういう方法で本人確認をしたということを本人確認情報として登記所の方へ出していただく。で、それを見て、ああ、こういう方法で確認したのであれば間違いないだろうと、こういうことが認められる場合には、事前通知をしないで、資格者代理人のした本人確認に基づいて登記識別情報に代えると、こういうことを認めるということを新たにいたしましたので、仮に識別情報を使えないような場合には、今言った資格者代理人による本人確認あるいは事前通知と、こういうことによって登記申請は行えるということになります。
  105. 角田義一

    ○角田義一君 それで、そこで問題になってくるのが、今度、明文で登記官に本人調査確認権限というものを明記しているわけなんだけれども、これもやっぱり使い方だよね。これ、登記官の、どういうふうにこの権限を行使するかによって登記自体、登記行政自体が円満にいくかいかないか、そこでもう突っ掛かっちゃってどうにもならないかという大きな問題になってくるでしょう。  かなり、こういう書類見してもらうと、識別情報もいろいろ細かいことも書いてありますな。それを見て不審に思って、その登記官が言わばその代理人である司法書士さんだとか弁護士さんだとか呼んで、呼び付けてなんて言っちゃ悪いけれども、呼んで、ああじゃないこうじゃない、根掘り葉掘り聞くようなことになっても、これは実務家とすると大変だと思うんですよ。  この権限はどういう行使の仕方というか、あるいは限界というか、これ、どういうふうに法務省は考えているんですか。これは法律にその権限のやり方というのは明文で規定されているの、それとも今後省令か何かでもって決めていくのか、ちょっと説明してくれませんか。
  106. 房村精一

    政府参考人房村精一君) 御指摘のように、今回の改正、予定しております改正法案では、その二十四条で、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときには、登記官は本人確認をしなければならないと、こうしております。  これは、想定しておりますのは、例えば警察とかあるいは土地の所有者本人から、どうも自分の土地について偽造登記がされるおそれがあると、こういうような通報があることがございます。特に、例えば警察等から、捜査結果に基づいてそういった偽造登記のおそれがあると、こういうような通知を受けている場合に、その指摘を受けた申請が来たときに、単に書類だけを調査してパスをさせるということでは、やはり、その結果、万が一虚偽の登記がなされて所有者が損害を被るということになったのでは、これはやはり登記官として尽くすべき義務を尽くしたことにはならないだろうと。  登記制度の信頼を保つためには、そのような疑われるような場合にはこの登記を阻止できるような、そういう仕組みにしておかなければ、やはり国民に対するその責任を果たせないと、こういうことから、そのような具体的に疑うに足りる相当な理由があると、こういうような場合には、登記官はいろいろ調査をする。場合によれば御本人に来ていただく、あるいは代理人に来ていただく。で、質問をして事実関係を自ら調査をして、間違いがなければ登記をしますし、やはり本人でないということになれば却下をする。場合によれば、犯罪のおそれがあれば警察告発をすると。そういうことをここでやらないと、正にもう最後のとりででございますので、やはり国民の最も重要な財産である不動産、その権利が無権限の者によって勝手に移転をされたりするということでは困るだろうと、そのために用意した条文でございます。  ここで、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由というのは、他の用例に照らしましても相当高度な理由、単にやや疑問があるということではなくて、相当な自信を持ってこれは怪しいと言えるような場合でございます。想定しておりますのは、ただいま申し上げましたような、警察とか当事者から相当具体的な通報があるというような場合、あるいはその同じ当事者から現に偽造の申請があることが分かって同じ者が別の事件を申請していると、で、同じ例えば印鑑証明が用いられていると、こういうような場合には、これは当然そちらについても調査すべきではないかと。そういう相当具体的な場合を考えております。  実は、登記所の実情を申し上げますと、大臣も申し上げたように、年間千七百万件を超す申請がございます。現場といたしましては、事件処理に追われているのが実情でございまして、どちらかといえば、心配なのは、疑わしいのに事件処理に追われる余り調査をしないということが心配をされるわけでございまして、この調査権限濫用して無駄に時間を使うというようなことは、現場の事件処理の実情から申し上げますと、それはそういうおそれはないだろうと。  ただ、私どもとしても、今回新たに法律で求められましたこういう調査権限でございますので、適切にそれを行使してもらえるようにその趣旨を現場にも徹底し、またどのような場合を想定しているかというようなことも、その想定例を現場に知らせるということによって適切な運用が図られるように、また各登記所でその扱いが大きく異なることのないように十分注意はしたいと、こう思っております。
  107. 角田義一

    ○角田義一君 今、かなり局長から具体的な今後の方針についてお答えいただきましたので、これは文字どおり、正しい意味でその本人調査というものが適正に行われるということを望みます。  いやしくも登記官が、こんなことはないと思うけれども、嫌がらせとかいうようなことで代理人をいじめるとか、そういうことじゃなくて、正に当事者本人の権利を守る上で必要最小限度のものはきちっと押さえるのは押さえるという精神に徹してきちっとやってもらうということが私は大事だというふうに思いますので、その辺はよく心得てやっていただきたいと思います。  それから、よく、あれですな、裁判になりますと、登記の原因がどうだというようなことでよく裁判所に取り寄せをして登記簿を持ってきて、登記原因などその関係書類をみんな見て、これは偽造だ、偽造じゃないとかといろいろやるでしょう。今度は、これはみんなコンピューターに入っちゃっているわけだけれども、昔でいう登記原因証書というのかな、そういうものは一体どうなっていくのかという問題が大きな問題としてあると思うんですね。これを説明してくれませんか。
  108. 房村精一

    政府参考人房村精一君) 登記原因証書、従来で申し上げるとそうですし、今後は登記原因情報と、登記原因情報ですね、ということになりますが、これにつきましては、紙で申請されたものについては、従来は登記簿の附属書類ということで保管をしておりましたが、今後も紙で申請されたものにつきましては同じように附属書類としてやはり登記所の書庫に保管をするということになります。  電子的な情報の形で来たものにつきましては、分類としては同じ附属書類に分類されます。電子的ではありますが、附属書類になります。これは電子的なデータでございますので、磁気ディスク等に保管をするということになります。  これを閲覧する場合、附属書類については利害関係のある者に限って閲覧を認めているわけでございますが、紙のものについては従前と同じような扱いになります。電子的なものについては、要件としては同じように利害関係を要求いたしますが、電子的なものですので、紙と違って、出して見せるというわけにはいきませんので、これはもう紙に打ち出してそれを見ていただくという形で閲覧をするということにいたしております。
  109. 角田義一

    ○角田義一君 紙に出したものを閲覧させるだけかい、だけですか。紙に出たものを閲覧させるだけ。そうすると、閲覧したい人はそれを全部自分でこの時代に、この近代時代に全部写してくるわけ。そのコピーを渡すということはしないんですか。ちょっと細かい話で申し訳ないけれども。
  110. 房村精一

    政府参考人房村精一君) 法律上の規定としては閲覧になっておりますので、紙に打ち出したものを閲覧をしていただくという形になります。  それから、先ほど、済みません、従来の登記原因証書を附属書類になると申し上げましたが、これは登記原因情報と勘違いをしておりまして、登記済証として御本人にお返ししてしまいますので附属書類にはなりませんので。申し訳ありません。
  111. 角田義一

    ○角田義一君 なぜ、あれなんですか。じゃ、一つ一つ聞きましょう。  従前の紙でやってきたものについてはその紙は保管しておくというんですよね。裁判所が、例えば実務のことで、裁判所から提出命令なり取り寄せ命令があるとしたら、それは紙は行きますよな、出しますよね。じゃ、そのもう一つの電子何とかに入っているやつはどうなるんですか、裁判の実務の上からいったら。これ、あんた、閲覧も何もできないというんでしょう。裁判にならないじゃないの。
  112. 房村精一

    政府参考人房村精一君) 電子的なデータで保管しているものについて他の裁判でそれを使う場合、どういう形で行うかということになろうかと思いますが、電子的データで直接送ったのでは多分現在の裁判実務では扱いに困るだろうと思いますので、多分そういうときには、送付嘱託等があったときには、こちらで打ち出したものについて、その電子的なものを打ち出したものだということを添え書きして裁判所にお届けするということになるのではないかと思っておりますが。
  113. 角田義一

    ○角田義一君 思うんですがというのは、今はそういうことなんですか。確定的な答弁として聞いていいんですか。
  114. 房村精一

    政府参考人房村精一君) これは、裁判に使われるということを前提として例えば送付嘱託があったときにどうするかという話ですので。先ほど申し上げたのは、この不動産登記法で認めております閲覧については、電子的なデータについては紙に打ち出した上でそれを閲覧していただくと。端末を用意して閲覧するという形ではなかなか財政的にも対応が困難ですので、そういう形で閲覧に対応するということを御説明したわけでございます。  裁判の証拠としてどういう形で用いるかという、例えば電子データのままで欲しいということであれば、それを電子データのまま打ち出して何らかの媒体に、例えばCD―ROMだとかDVDに焼き付けてお渡しするということもあり得るでしょうし、そこはこれからの具体的なやり方ということになりますので、この法律レベルで特に決まっているわけではございませんので、先ほど申し上げたようなことが考えられるのではないかと、こういうことを申し上げたわけでございます。
  115. 角田義一

    ○角田義一君 そうすると、さっき、ちょっとくどいようなんだけれども、例えば本人が例えば法務省へ行って登記原因のやつを見て、閲覧するというだけでしょう。なぜ、本人ということがもし確認されたら、この御時世なのにコピーを渡さないんだね、本人ということがもちろん確認されたら。それは、あんた、国民サービスからいってコピーぐらい渡したっていいんじゃないんですか。本人が行って閲覧しかない、みんな自分で書いてくるんだよね。そんなもの時代後れだよ。片っ方でオンラインでこんなことやっていて、おかしいんじゃないか、その発想は。
  116. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) 登記簿本体と違いまして、その附属書類にはプライバシーに触れるものもございますので、基本的にまず利害関係を要求いたしまして、また閲覧で対応するということで、従来の不動産登記法の時代からそういう扱いになっておりますので、今回もその点についてはその扱いを維持したということでございます。
  117. 角田義一

    ○角田義一君 それはあれですよ、やっぱり考えなくちゃいけないよ、それは。従来のとおりでいいという時代では私はないと思いますよ。これは国民サービスのことからいったら、本人が行ってコピーくれと言って、くれないなんという、大臣、これどう思います、今の発想。大臣、どう思います、こんなの。そんなサービスはないでしょう。
  118. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 今回の法案では、そういった点につきましては委員御指摘のとおりの問題を持っておりますけれども、これを当面施行してみまして、国民の皆様の御意見等を伺う中で個々の判断として考えていかなきゃいかぬ問題かと思います。
  119. 角田義一

    ○角田義一君 大臣、せっかくこういういい法律を作るわけだし、これだけ近代化されているときに、本人さんが行って閲覧しかできないなんというのはやっぱり考えてもらわなきゃいかぬと思うんですね、運用としてこれからどうするかというのは。  局長、どうですか、考えなさいよ、そんなもの。従来のとおりだからって、そんなわけにいかないでしょう、今の御時世。
  120. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) 基本的にどういう形で登記所に来た情報を開示するかということは今後も検討を加えていかなければいけないと思っておりますが、ただ同時に、本人確認情報等も附属書類の一種として開示の対象となるということで、従来にも増してプライバシーに触れる可能性のある情報が附属書類に含まれてくるということもありますので、そういった点も踏まえまして、今後もこの開示の在り方については検討をしていきたいと、こう思っております。
  121. 角田義一

    ○角田義一君 あともうちょっと時間があれですから、ちょっと細かな手続的なことだけちょっと聞いておき、大事なことなんだけれども聞いておきたいんですが。これは十一年前にも私が質問をいたしまして、代理人の代理権の消滅の問題なんですけれども、そのときは、その後民事局の局長通達等によって私が質問した意に沿うた通達が出て、現場は非常に助かったという経過があるんで、局長は思い出してくれるかどうか分かりませんが。  要するに、例を挙げて言えば、不動産を売った個人なり法人なりが司法書士さんに登記申請の代理を委任したわけですね。今度の例で言えば、司法書士さんは全部その登記必要な今でいえば情報、それは要するに登記識別情報だとか電子署名とか電子証明書というのを全部いただいて、これは有効だというふうに認識をしたわけです。そして、登記所に送ったわけです。登記官は、登記識別情報と電子証明がこれは有効だと確認をしたにもかかわらずですよ、したにもかかわらず、司法書士が受任をしたときに、確認したときには有効であったその登記識別情報とかあるいは電子証明が登記官が確認した時点では今度は失効しちゃったということがあり得るわけですよね。それはタイムラグだけの問題じゃないと思うんですね。いろいろ悪意でやられるとか、それから死亡するとか、あるいは住所を変更するとかというとこうなる。そのときにどういうふうにこの救済をするかと。  申請のときは代理人の代理権は有効だったわけだけれども、後で消滅してしまった。もう一遍全部出し直せということになるのかどうするのかという、この新しいシステムの下でもこういう問題が起きてくるわけで、この辺についてはどういうふうに今後対応していくのか、最後に聞いておきたいと思います。
  122. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) 代理人になる方が事前に確認をした時点では有効であったものが現実に申請をしたときには失効してしまっていると、これはあり得ることだろうと思いますが、まず、登記識別情報について考えますと、これは登記所の側からいいますと、こちらで確認した段階で失効している場合には、その失効が言わば嫌がらせでされているのか、あるいは例えば登記識別情報を他人に見られたと、それで心配になって失効させたんだということなのか、これは分かりませんので、やはりこちらとしてはもう登記識別情報で確認することはできないという処理をせざるを得ないと思います。  したがいまして、登記識別情報がない場合ですので、先ほど申し上げた資格者代理人による本人確認又は事前通知という形でその事件を処理していくことになるのではないか。したがいまして、その識別情報と併せて、例えば本人の確認情報も来ていれば、そちらの確認情報を用いてやるということもあり得るでしょうし、それがない場合には、補正を促して本人確認情報を追完していただくのか、あるいは事前通知の形で処理をするのか、そのような形で処理をすることになろうかと思います。  次に、その電子署名、この電子証明書の有効確認ができないという場合、これにつきましてはなかなか技術的に難しいわけでございます。電子証明書の有効性の確認をできない場合には、その失効の理由とか時期を確認することはできないような今仕組みになっているようでございます。そういう前提でいたしますと、登記所としては、電子署名が付されたものについてその有効性確認ができないということになりますと、これを有効なものとして扱うわけにいかない。したがって、代理権の授与がこの電子証明、電子署名、電子証明書でなされている場合に、その有効性確認ができないと代理権限の証明ができないということになるわけでございます。  これは、現在の電子証明書の有効性というのは、その確認する時点で最新の時点での有効性を確認することによって信頼性を高めたいということでそういうシステムになっているようでございますので、これを前提とすると、ただいま御指摘のような場合には、代理権限についての資料が欠けているということになるわけでございます。あわせて、紙の委任状等を取っている場合にはそちらに切り替えるということも可能であると思いますが、そうでない場合には何らかの形でその新しい代理権限を証する資料を追完していく、いただく必要があろうかと思います。それが可能でなければ、その申請については却下せざるを得ないということになろうかと思います。  この点については、失効の原因によってはそういう却下をするというのは当事者にとって酷な場合もあり得るのではないかと思っておりますが、ただいまのシステムを前提とするとそういう形になりそうなものですから、私どもとしてもちょっとこの点については、単に登記のみならず、代理人がオンライン申請を行う場合に共通する問題ですので、システムの問題としても今後検討をしていきたいということを考えております。
  123. 角田義一

    ○角田義一君 時間ですから、今の問題はまだ今日でこの問題は終わりじゃないから、またちょっと宿題にしておきますからね。私またもう一遍お尋ねしますけれども。  いずれにしても、これ大改正なんですが、大臣、やっぱりこれね、我々の世代からいうとこれはえらいことなんですよ。コンピューターなんて使えないからね、僕らの世代。こういう時代になってきてきちゃったんだけれども、しかし、これは国民によく理解をしてもらわないかぬということと、それから、あなた先ほどインターネットもうんと普及していると言うけれども、それは企業とかは恐らくそうだと思いますけれども、ある一定の世代はまだ無縁の世代が一杯いるわけですよ。だから、それは従前のシステムとの兼ね合いというふうなことも考えてもらってこれをやっていただきたいと思うんですけれども、ちょっと大臣の最後、お答えを聞いて終わります。今日は終わります。
  124. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 確かにこの制度をこうやって切り替える場合には、新しい制度と古い制度のなじみといいましょうか、一定期間はやはり並行しながら、これを両方ともやはり、便利な方を使う、なじんだ方を使うと、こういうことはなければならないと思っております。したがいまして、その辺につきましては矛盾がないようにしっかりこれからも現場でチェックをしながら、徐々に切替えを進めると、こういうことになろうかと思っておりますが、その点は御心配がないように相努めてまいりたいと思っております。私自身も同様な世代でございますので、どうか。
  125. 角田義一

    ○角田義一君 終わります。
  126. 山本保

    ○委員長(山本保君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  127. 山本保

    ○委員長(山本保君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  知的財産高等裁判所設置法案及び裁判所法等の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  128. 木庭健太郎

    ○木庭健太郎君 まず、知的財産高等裁判所設置法案等についてお聞きをしたいと思います。  とにかく、知的財産、この創造をどうやり、どう保護していくかという課題は、これは日本だけじゃなくて世界に課せられたいろんな課題だと思っておりますし、特に今、知的財産紛争というのは、別に国内だけの問題じゃなく、国際化の問題にもなっていると。その処理のためにどう作るかというのは、これまで、重要な課題であり、一部いろんな意味で対応もしてきましたが、その中の大きな一つの法案が今回の法案であるというふうに考えております。そういった意味では、これも是非早期に成立させる必要がある法案だろうと認識をしております。  まず、論議をする前提として、最高裁判所に、先ほども若干御説明あっておりましたが、国内における知的財産訴訟、どうなっているのか、件数を含めて簡潔に御説明をいただいておきたいと思います。
  129. 園尾隆司

    ○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 知的財産訴訟には差止めや損害賠償を求めて地裁に提起されます侵害訴訟と、それから高裁に提起されます審決取消し訴訟とがございますが、侵害訴訟の新受件数は、平成五年には四百七十件であったものが平成十五年には六百三十五件となっておりまして、十年間で三五%の増加となっております。一方、平均審理期間は、平成五年には三十一・九か月でございましたが、平成十五年には十五・六か月と大幅に減少しておりまして、審理の迅速化が進んでおります。  次に、審決取消し訴訟についてですが、審決取消し訴訟の新受件数は、平成五年には百九十六件であったものが平成十五年には五百三十四件となっておりまして、十年間で二・七倍の増加となっております。一方、平均審理期間は、平成五年には十五・九か月であったものが平成十五年には十二・四か月と減少しておりまして、この分野でも審理の迅速化が進んでおるというように認識をしております。
  130. 木庭健太郎

    ○木庭健太郎君 午前中も御説明あったんですけれども、やはりこういった訴訟そのものが増えてきている現状の中でどうしていくかという問題だったんだろうと思います。そういう意味では、この新しい知的財産高等裁判所設立への期待というのは非常に、これは特に企業の側に大きいと思いますし、ただ、産業界を中心としてこの知的高裁を独立した九番目の高裁として新設すべきというのが非常に産業界、強くあった。  その背景の一つとして、これはアメリカでございますか、アメリカが今連邦巡回控訴裁判所、CAFC、これを創設されていると。これを創設したことがある意味ではアメリカ企業の知的財産権を海外企業から守って米国の競争力回復につながったという、このCAFCも全体、アメリカの政策でいうとこれ特許優遇政策、プロパテント政策、それがあってこういうものができ上がってきたともお伺いしているんですけれども、今、日本は知的財産戦略推進事務局、いろんな意味でその中心になってやっていただいておりますが、日本もこのプロパテント政策、これを参考にしながらやっているというふうにはお聞きしておりますが、このプロパテント政策というのはどういうものなのか、簡潔に御説明をいただいておきたいと思うんです。
  131. 小島康壽

    ○政府参考人(小島康壽君) お答え申し上げます。  御指摘の米国のプロパテント政策とは、一般的には、一九八〇年代に産業競争力の低下に直面した米国におきまして取られた特許を重視する政策を指しております。具体的には、一九八〇年のいわゆるバイ・ドール制度の導入とか、あるいは一九八五年のいわゆるヤング・レポートで打ち出された国内外における知的財産の保護強化、あるいは八〇年代後半のガット・ウルグアイ・ラウンドにおけるTRIPs協定交渉とかスペシャル三〇一条の制定とかという通商面での知的財産の保護強化政策が挙げられます。  それから、特に、ただいま御指摘がありました連邦巡回控訴裁判所、CAFCが特許訴訟を専属的に扱う裁判所として一九八二年に創設されたことは、米国のプロパテント政策における象徴的な存在であったとされております。  それまで、米国の特許訴訟につきましては判例の不統一の弊害が指摘されておりましたが、このCAFCの創設によりまして判例の統一が図られ、権利の安定性や判決の予測可能性が向上し、米国の産業競争力の強化に貢献したものと評価されているところでございます。  このように、米国においては八〇年代に一連の特許重視のプロパテント政策が推進され、この結果が九〇年代のアメリカの産業競争力の回復、強化につながったと考えられております。
  132. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そういう意味では、今おっしゃったように、CAFCのこの創設が一つのプロパテント政策の成功の大きな一つの要素であったと、こう考えるなら、今回、我が国もこの知的財産高等裁判所を創設するわけでございますが、これが今日本として進めようとしているこの知財立国の中でどんなふうな位置付けになるのか、これは知的財産戦略推進事務局の方にお伺いしておきたいと思います。
  133. 小島康壽

    政府参考人(小島康壽君) 我が国産業国際競争力を強化して経済社会の活性化を図っていくためには、国家戦略として、御指摘がありましたように、知的財産を核に、これを国富の源泉として創造し保護していくことが極めて重要であると考えております。その中で、特にこの司法制度は、この知的財産の適正な保護という観点から最も重要なものでございまして、知的財産戦略生命線と言えるものであります。  こうした観点から、今御指摘のありました知的財産高等裁判所の創設は、知的財産に関する事件を専門的に取り扱う体制を名実ともに整えるものであり、知的財産立国の実現に向けて大きな一歩を踏み出したと言えるのではないかと考えます。  御指摘のとおり、米国におきましても、CAFCの創設は、先ほど申しましたように米国の産業競争力の回復、強化に大きく貢献したものと評価されております。我が国においても、同様に、現在御審議中の知的財産高等裁判所の創設は、紛争スピード解決と判決の予見可能性を向上させるものとして、産業界を始め知財関係者から高く評価されているところでございます。  法案成立後、知財高裁が創設された暁には、知的財産技術に精通した専門人材を活用し、経済社会の実態に合った運用を行うなどの各方面の期待にこたえ、より一層適正、迅速な裁判を実現することが望まれるところであります。  今後とも、知的財産保護のバックボーンを成す司法制度強力な後押しをしていただき、知財立国の実現に努力してまいりたいと考えております。
  134. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今お話のあったこのCAFCと比較して、今回作られますこの日本の知財高裁、全く同じとは思っておりません、それなりのまた別の日本独自の特徴もあると思います。そういった点を司法制度改革推進本部の方からこれも御説明をいただいておきたいと思うんです。
  135. 山崎潮

    政府参考人(山崎潮君) ただいま答弁ございましたように、このCAFC、アメリカで非常に大きな効果を上げたものでございます。  ただ、現実にその中身を見てまいりますと、例えば著作権等の事件についてはこのCAFCでは扱わないということでございます。それから、それ以外の、知財関係以外でも、年金に関する事件等、こういうものも扱っているということでございまして、現在の状況で見れば全事件の三〇%ぐらいだと、知財関係がですね、そういうことでございます。  それから、このCAFCは法律審であるということで、解釈の統一等をやるという位置付けでございます。今回私ども御提案をさせていただいている知的財産高等裁判所、これがどうかということでございますけれども、これはここによって、法律審ではございません、事実審でございますけれども、事実上の判断の統一ということ、これは大いに期待ができるだろうということでございます。  それから、事件の関係でございますけれども、これは知的財産に関する事件に特化をいたしまして、その中で侵害訴訟もやれば、それから審決取消し訴訟も行うということでございます。また、東京に集中しました著作権等があればそれについても扱うということでございますので、ある意味じゃアメリカよりもう少し知的財産関係に特化した専門の裁判所という位置付けですね、これが可能になるかというふうに思っておりますので、これが大いに機能するということを期待しておるところでございます。
  136. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 でも、ちょっと話聞いていると、何か、これまでの裁判所が信頼を置けないんだと、人もいないし、きちんとやってくれないから何か作らなくちゃいけないんだみたいな声にも聞こえないこともないんだけれども、その辺は本当は裁判所は、いや、しっかりやってきたらやってきたと、より精度を高いためならそのためにやるんだみたいなところを、本当は自負心も持っていただきたいなという気持ちもありながら、ただ、こういったものができることの意義は本当に私も大きいと思っているんです。  今まで、こういった知的財産の問題については極めて専門性が要るし、そういったところにどう対応するんだということに対する一つの答えがこの裁判所でもあるだろうと、こう思うんですけれども、先ほどというか午前中から議論になりましたが、民事訴訟法改正法である意味でのソフト部分だと、今回の法案で今度は体制作りがきちんとできるんだと。ソフト、ハード、まあハードとまで言えない部分もあるんですよ。ただ、きちんとした形ででき上がる、ようやくこの知的財産についての形ができ上がるんだろうと思っているんですが。  まず、先ほどもこれ、裁判所調査官の人数等にありましたが、じゃ、知財専門部の裁判官というのは今どうなって、今後どうするつもりでいらっしゃるのかという数字を教えていただきたいし、それともう一つ、今年の五月二十日ですか、東京高裁で特許関係訴訟で初めて専門委員が意見を述べたというようなこともお聞きしておるんですが、その活用状況なり、逆に言うと、ユーザー側の反応ですか、何か気付いた点がございましたら最高裁判所から伺っておきたいと思います。
  137. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 裁判所では、知的財産訴訟についてこのところ、その審理の充実、それから迅速化の達成ということについて努力をしておりまして、その意味でこれまでの努力について自負をしておるという状況にございますが、その点について御説明を申し上げたいと思います。  知的財産事件の専門部を設けております東京高裁、東京地裁、大阪地裁の知的財産事件担当裁判官の数は、平成十年には合計二十四人でしたが平成十六年四月には四十人となっておりまして、六年間で六六%増加しております。また、知的財産事件の担当の裁判所調査官の数は、先ほどのように、二十一名が現状ですが、これは平成十年には十七名でしたので、二三%の増加でございます。  それから、専門委員についてですが、今年の四月に合計百四十人の専門委員を任命いたしましたが、更にその後、六月一日付けで追加の任命をいたしまして、現在百五十人余りの体制を整えております。  このように、迅速で質の高い知的財産訴訟を実現するために専門処理体制を築いてまいりまして、その結果、知的財産訴訟の平均審理期間も十年間でほぼ半減するというような効果も現れてきております。  最近の、これは外からの評価という点を参考までに述べさせていただきますと、日米双方の知的財産訴訟に通じている学者やあるいはアメリカ裁判官などから、迅速性や審理のレベル等の観点から見てアメリカに匹敵する体制であるというような評価を受けてきておりまして、特に東京地裁の審理のレベルは、アメリカでは第一審について陪審制を採用しておるという関係もありますが、アメリカよりも迅速であるというような評価も得ておるところでございます。  ただいま御質問のございました専門委員の活用状況ですが、今年の四月に制度導入をしまして二か月の運用をしてまいったわけですが、東京高裁、東京地裁、大阪地裁において既に約三十件の知的財産事件について関与の決定がされておりまして、そのうち十四件について既に期日が実施されております。専門委員が関与した事件の当事者からの反応といたしましては、中立的な立場から専門的な意見が聞けて意義があるというような感想が寄せられているという裁判所の話でございまして、まだ施行後間もないという時期でありますが、活発に利用するという姿勢で制度が動いておるという状況にございます。
  138. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 かなりの体制はでき上がっているというふうに判断をいたしますが、いずれにしても、今後、こういった裁判官への専門知識習得含めて、いろんな体制を組まなくちゃいけないだろうと思いますし、どういう人をまた裁判官として登用していくかというような問題にもかかわってくるんだろうと思います。  その辺の説明は先ほどもこれ午前中にいただいておりましたが、一つ、法科大学院がスタートをしておるわけでございますが、この四月からスタートした法科大学院、こういう場においても、例えば、やっぱり知的財産に強い法曹育成というようなこともある意味ではやれる体制が法科大学院によってでき上がっておると思うんですけれども、現在、法科大学院においてこの知財関係科目というのを開設しているようなところがあるのかないのか、その状況もお伺いしたいなと、こう思います。
  139. 山崎潮

    政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘のとおりでございまして、この法科大学院において世の中のニーズに合わせた専門家をつくり出していくと、こういう役割もあるわけでございます。したがいまして、科目の中にはかなり選択科目の幅がございますので、各法科大学院でそれぞれ工夫をしていただくということでございます。  現実に知的財産権の関係で見てまいりますと、今年、六十八校開校しているわけでございますが、昨年十月の段階で開校を予定しているところに私どもの本部の方からアンケートをさせていただきましたけれども、この四月に開校されました六十八すべての法科大学院において知的財産法関連の授業科目が組み込まれているということで報告を受けているという状況でございます。
  140. 木庭健太郎

    ○木庭健太郎君 それと、今回、独立した一つの高等裁判所が設置されると。ただ、やはり、これは多分審議の最中でもお話があったんだろうと思いますが、いわゆる地方在住者の司法アクセス障害、一方で司法ネットをやりながら一方でこういう形を取るとどうなのかということが、これは今回の論議じゃなくて、平成十五年の民事訴訟法の改正の審議においてもこのアクセス障害の問題というのは指摘されて、たしか附帯決議もその問題を付けたと思うんです。  これに関して、今は知財戦略本部の会議において、特許庁の審判部門による巡回審判制度というのがございます、これを参考に巡回裁判制度を創設するという議論がされたというようなこともちょっとお聞きしておるんですけれども、特許庁が今やっていらっしゃるこの巡回審判制度はどんなものなのか、簡潔に御説明ください。
  141. 迎陽一

    ○政府参考人(迎陽一君) お答え申し上げます。  特許庁の無効審判におきましては、審判請求人の方と特許権者が一堂に会して審理を行うという口頭審理をその審理の方法として用いておるわけでございます。  この口頭審理につきましては、通常は特許庁に両当事者の方に出頭していただいて行うわけでございますけれども、両方の当事者が同じ地方の方である場合、当事者の方の御希望によって私どもの審判官が出向いて口頭審理を行うというふうなことをやっております。これを巡回審判というふうに呼んでおるわけでございまして、平成十五年度では、口頭審理を行いました百五十六件のうち二十三件については巡回審判という形で、大阪、愛知、愛媛等で開催をしております。
  142. 木庭健太郎

    ○木庭健太郎君 やっぱりこういうのは地方の中小企業者にとってみれば非常に助かると思うんですよね。そこの評判はいいんでしょう、これをやることによって。やった方がいいと思っていらっしゃるんでしょう、まだ。どうでしょうか。
  143. 迎陽一

    ○政府参考人(迎陽一君) 特に中小企業の方なんかにとっては、東京に出てくる御負担というふうなものが軽減されるというふうなことで評価をいただいているというふうに考えております。
  144. 木庭健太郎

    ○木庭健太郎君 司法制度改革本部の方に聞きますが、今お話しいただいたように、やはり身近なところにあるということも大事なことだとやっぱり思うんですよね。したがって、これ、今後、知財高裁として巡回裁判制度、これは実際導入可能なのかどうか、実現可能なのか、検討する気はあるのか、伺いたいと思います。
  145. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) ただいま特許庁の方から巡回審判のお話ございましたけれども、伺っているところでは原則一回の審理ということでやられているようでございますが、こちらで訴訟の場合には、これ一回で終わりというわけにはなかなかいかない、何回もやらなければならないと。そこで、かなり質的な違いがあるということがまず前提になります。  ただ、やっぱり当事者に、アクセスにいろいろ不便をお掛けをするというのはこれはまずいことだろうということでございまして、本当に困る場合には移送の規定も設けてございますし、また場所的に近い必要はございません。オンラインで結ばれていれば可能にもなりますので、テレビを使ったり電話会議システムを使ったり、そういうことをやっていただく。それで、本当にやはり現地に出掛けなければならない必要性があれば裁判所の方から出張をしていただく、出張尋問をやっていただくとか、そういうことを全部組み合わせて御不便のないような体制を取ってまいりたいというふうに思っております。  また、始めてみて、いろんな支障があるというもし御指摘があれば、それはそれとしてまた考えざるを得ないだろうというふうに思っております。
  146. 木庭健太郎

    ○木庭健太郎君 もう一つ、特許庁との関係でお伺いしておきたかったんですけれども、言わば今回の知的高裁の設置というのは、紛争の迅速、なるべく迅速な解決ということで、それとともに、やっぱり特許等の侵害訴訟においても特許等の有効性について判断してほしいと、そう強い要望があったということも今回の法改正の一因だと聞いているんですけれども、特許庁、これ無効審判においても特許等の有効性を判断することになっているわけですね、特許庁も。そうすると、裁判所と特許庁の判断にそごがあり得ることもあるんでしょうけれども、今回の法改正ではこういったそごに対してどうお考えで、防止するつもりで例えばどんな対策を設けているのか、この辺を伺っておきたいと思うんです。
  147. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) 確かに、制度的に、特許庁の方の審判と裁判所における判断、これ両方でやるということになりますので、そこにそごがないような手当てをしておく必要があるだろうということでございます。  そこで、この法案では、無効審判の合議体が侵害訴訟における関係資料を裁判所から入手できるということにしておりまして、無効審判においても、同じような資料を見て、それで判断をしていくということができるようにしようということをしております。  それから、これは運用面でございますけれども、侵害訴訟係属中の無効審判を早期に審理をしていただいて結論を出していただく、その上で一緒に裁判所の方で判断をしてもらうと、こういうことを考えております。  それと、これも運用面でございますけれども、例えば現在の東京高等裁判所でもやっているようでございますけれども、侵害訴訟の、いわゆる控訴事件ですけれども、それと審決取消し訴訟、これが同じ時期に提訴されているという場合には、同じ部に配転をして、そこで判断が食い違わないように、そういうような運用上の配慮もしているということでございますので、そういう点を使ってそごがなるべくないようにしたいと、こう考えているところでございます。
  148. 木庭健太郎

    ○木庭健太郎君 おっしゃるとおりで、様々な手だてをやってはいただいているんですけれども、ただやり方としては、裁判所と特許庁は、これ併走は併走、ともに走るようになるわけであって、それがなくなったわけじゃないわけですから、そうなると、裁判所はこれから一生懸命迅速化をやっていただくわけですよね。じゃ、特許庁の審判も、これ迅速化に向かってやっていくしかない。  この辺、特許庁、何か対策に関してどのようなことを考えていらっしゃるか御説明いただいておきたいと思います。
  149. 迎陽一

    ○政府参考人(迎陽一君) 無効審判の処理期間につきましては、なるべくこれを迅速に、短いものにしていかなければならないということでございまして、私どもも、各種審判の中で無効審判を最優先で審理をするということにいたしておるとともに、計画審理を導入いたしますとか、事務処理の手続を合理化する、あるいは期間管理を徹底するというふうなことで、審理の迅速化に努めてきておるところでございます。  ちなみに、その平均審理期間というのも、平成十年には二十か月ぐらいだったものが平成十五年には十二・四か月というふうに短縮化しています。また、その中でも特に侵害訴訟と同時係属するものについてはより早期に処理をするということで、十・九か月まで短縮をしておるところでございます。  更にこの取組というのは充実していかなければならないわけですけれども、私どもの事務処理とかを速くするというのではなかなか限界ございますんで、当事者の方に書面を提出していただく期間も、いわゆる応答期間を手続に応じてもう少し短くする、適正なものにするというふうなことを今年の一月から実施しておりまして、こうした結果によって更に審理期間の短縮を目指してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  150. 木庭健太郎

    ○木庭健太郎君 是非、併せた形ができないと、せっかくこれ、それぞれに頑張る意味がないわけですから、そこは御努力を今後も続けていただきたいことを御要請をいたしたいと思います。  そして、これも議論を午前中からされましたが、今回の規定では、裁判所が営業秘密に当たる書類の開示命令及び秘密保持命令を出すことができるようにして、また一番角田委員が問題にされておりましたが、営業秘密が問題となる特許等侵害訴訟の公開停止、これも認めていると、この点についていろいろ御説明はいただきました。  いただいた上で、なおかつ、じゃ、今回の規定というのは特許訴訟のユーザーにとってどんなメリットが本当はあるのかというような点についてきちんとした御説明を、こういう意味でこうするんだというところをいただいておきたいと思います。
  151. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) 今回のこの規定を設けた大きな原因でございますけれども、やはり企業は様々な営業秘密も持っているわけでございますが、じゃ、これを裁判の場で全部オープンにしなければならないということになりますと企業としてはちゅうちょをしてしまうわけでございます。したがいまして、訴える側としても、なるべくもう訴えを提起しないで済ませようという意識が働くと。それから、訴えが提起された場合に、相手方ですね、それに応訴する側も、実はそのノウハウを使っているんではない、自分のところはこういうノウハウでやっているんだと言いたいんですけれども、これが営業秘密であると、これをしゃべってしまいますと全部外で使われてしまうということにもなるわけでございますので立証ができない、こういう不便があるという声がかなり強く出てまいりました。  したがいまして、やっぱりユーザー側の方として、きちっとした裁判、これを提訴して、またその裁判、逆の側からも受ける、判断を受けるということのために、適正な判断をしてもらうためにはこういう制度を是非入れてほしいということで、我々も研究いたしましたけれども、世界の各国でもそれなりの工夫をしながらこの種のものを置いているということでございますので、私どももその要望にこたえてこういう制度を設けたいというふうに考えたわけでございます。
  152. 木庭健太郎

    ○木庭健太郎君 大臣に、この法案について、まあもちろん説明もいただきましたが、やはりこの制度も、どうきちんと法の仕組みを作った上で運用していくか、その運用の仕方も、どれだけユーザーにとって使い勝手のいいものができるかというのがポイントになるだろうと思います、今後は。  その辺について大臣の決意を伺って、次へ移りますので。
  153. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 御指摘のとおり、今回の改正法におきましては、知的財産高等裁判所の設置や裁判所調査官の権限の拡大、明確化を始めとしまして、知的財産に関する訴訟をより充実、迅速化するための各種の方策を講じておるところでございます。政府といたしましては、現在御審議いただいている両法案の成立に向けて、全力を挙げることはもちろんでございますが、今後とも必要な知的財産に関する司法制度の諸政策の実現につきまして、精一杯努力してまいるつもりでございます。  なお、これらの制度改革が行われた後の運用は裁判所が行うことになりますが、司法制度を所管する大臣といたしましては、適切な運用ができるように最大限協力してまいりたいと考えております。
  154. 木庭健太郎

    ○木庭健太郎君 もう一つの大きな課題である法案はまだここの委員会には付託はされておりませんが、今回是非ともこの国会で通したい問題で、不動産登記のこの改正の問題がございます。本格的な議論はまたにすることになるんですが、基本的考え方で幾つか聞いておきたい点がありますので。  大臣にまずお伺いしたいのは、午前からちょっと議論があってたんですけれどもね、その不動産登記の問題というのは、確かにこのIT社会に対応してやっていかなくちゃいけない課題ではあるんですけれども、じゃ、一国民に返ったらどうなるだろうかというのをいつもちょっと感じるんですよ。  じゃ、私個人がこの不動産登記の問題でタッチするのは何かといったら、そんなに家何軒も買えませんから私、自分で家一軒買ったときぐらいで、使うのは一回で終わりですよ。それで終わるような問題なんです、個人にとってみればですよ。それが、もう今度は抜本的に変わるわけですよね。もう今までは印鑑登録と権利書だと思っていたのが、何か知らぬ間にこう番号、それも何か一生に一回しか使わないかどうかしか分からないやつをきちんと保存して何か持っておかないと、ちょっとその辺は一般国民にどうその辺を御説明なさるのかなという点が一つあるのと、もちろん午前中から議論があっているように、インターネットといってもみんながパソコン持っているわけじゃない。そういう国民に対してどう、こう今この時期に改正しなくちゃいけないんだということを分かりやすく大臣から説明してもらいたいですよね。
  155. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 確かにIT社会というのは一度覚えてしまえば大変便利なんですけれども、入るまでが非常に入りにくいということはもう御指摘のとおりでございます。ただ、これは好むと好まざるとにかかわらず、世界的な潮流として今の日本の社会も含めまして大きなもう流れになっておるわけでございますので、一遍ひとつここは思い切ってそこのギャップを飛び越えまして、今お話のありましたような問題点をしっかり克服すれば、あとはまあうまくいくんじゃないかなと、こういうことで、これはこの不動産の問題にかかわらず、社会生活全般について進んでいる現象であるわけでございます。  そこで、今回の法案につきましては、不動産登記の申請に関しまして、あくまで国民の利便性の向上がまず第一でございますが、それを前提にオンライン申請を導入しようというものでございますが、まだ現時点ではインターネットが普及しているとはいいましても、すべての国民がインターネットを利用することができる状況にはない、これはもう御指摘のとおりでございます。  そういうことからいたしまして、不動産登記の申請方法をオンライン申請に限定することは適切ではないと考えておりまして、当分、この不動産登記の申請については、オンライン申請を導入した後も従来どおり書面を登記所に提出する方法による申請も併せて認めると、こういうことで進めてまいるつもりでございます。
  156. 木庭健太郎

    ○木庭健太郎君 今おっしゃるように、もちろんオンライン申請というものを主軸にしてやりながら、そこになじめない人たちについては現行制度も存続させながらやっていくというようなことになるわけでございますが、この書面についての申請についても、これは単に現行制度を存続させるだけではなくて、じゃそのオンラインで利便性を向上させるための手続ということをおっしゃっているのであれば、この書面の問題においてもその手続の見直しをすることが必要なんじゃないかなと思うんですよね。  そこで、書面による申請の場合について、現行制度に比べてその利便性を向上させるための改正がどうなされているのか、この御説明をいただいておきたいと思います。
  157. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) 現行法の下におきましては、当事者出頭主義と申しまして、登記の申請をするためには、その登記申請書を本人又は代理人が登記所の窓口まで持参して申請をしなければならないと、こういう仕組みになっております。  今回、オンライン申請を採用することといたしましたが、オンライン申請は当然のことながら登記所の窓口には来ないわけでございますので、書面による場合も、オンライン申請の場合にあえて出頭しないで申請ができるということであれば、書面による場合にも同じように登記所に出頭することなく申請が可能にしたいと、こういうことで一般的に当事者出頭主義を廃止いたしまして、書面による場合にも郵送などによりましてその申請が可能にするということとしております。
  158. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 これもまあ、登記認証、認識、登記済証の代わりに登記識別か、情報とか、もう御説明いただいたんですけれども、そのやっぱり何か当事者出頭主義がなくなってしまうと、やっぱり登記の正確性、何か低下するんじゃないかと、こう思うし、やはり今までの人はどっちかというと権利書みたいな話でやってきましたからね、本人というようなものでやってきたと、そこが今回、当事者出頭主義廃止しようということですからね。  この辺、登記の正確性、こうやって万全なんですと言えるだけのものをどう確立されたのかという点も御説明をいただきたいと思います。
  159. 房村精一

    政府参考人房村精一君) 当事者出頭主義は、直接、本人あるいは代理人に窓口まで来ていただいてその本人を確認するという意義があったという具合に言われております。今回、これを廃止することといたしましたので、書面の場合、本人が必ずしもお見えになりませんし、オンラインであれば当然のことながら御本人と相対するという機会がなくなるわけでございます。  そこで、本人の確認をきちっと行えるような仕組みにする必要があるということで、オンラインの場合には、先ほども申し上げましたが、印鑑証明書、実印に代わる方法として電子署名あるいは電子証明書と、こういうものを必ず利用していただくということとしております。それで、書面の場合には従前と同じようにやはり印鑑それから印鑑証明書、これを利用していただく、これによってまずは本人確認を行うということを考えております。  登記済証につきましては、これをオンラインの場合には利用できませんので、それに代わるものとして先ほどから御説明申し上げております登記識別情報と、こういったものを御本人にお知らせしてそれを使っていただく。これが使えない場合には事前通知を行うということによりまして本人の意思を確認する。しかも、事前通知の方法も、従来は単なる郵送でございましたが、今後は本人限定受取郵便という、御本人が必ず受け取るというそういう郵便が現在できておりますので、それを利用してより確実に確認をするということとしておりますし、また新たな仕組みといたしまして、資格代理人が申請をする場合には、通常、資格代理人の方で御本人であることをいろいろな手段で確認をしておりますので、その確認の具体的内容、例えば従前から面識があって本人に間違いない、あるいは免許証であるとかパスポートである、こういった写真付きの証明書で御本人を自ら確認したと、そのような確認の具体的内容を代理人の方から登記所通知をいただきまして、それに基づいて代理人が間違いなく確認しているという心証が取れれば、それで本人を確認すると。  そのような仕組みを幾つか組み合わせて従来よりもより確実な本人確認ができるようにとしておりますし、そういう手段を講じましてもなお、登記官が成り済まし等があると疑うに足りる相当な理由があるような場合には、登記官が自ら調査権限を行使いたしまして、場合によれば御本人に登記所まで来ていただいてその意思を確認すると、こういうことを今回用意しておりますので、これらを総合いたしますと、従来に比べて本人確認がおろそかになるという心配はないものと、こう思っております。
  160. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、登記制度というのは不動産に関する情報を公開する制度でございますから、登記制度を利用しやすいものにするという観点からは、申請手続だけでなくて登記簿に記録されている情報の公開に関する制度についてもその利便性の向上というのが当然必要だと思っておりますが、まあでも余り公開されてもなと思うときもあるんですけれども。  登記情報のこの公開の電子化については、どんな取組になるのか。
  161. 房村精一

    政府参考人房村精一君) 登記情報の公開につきましては、原則的には、従来、登記簿謄抄本若しくは証明書、これを、登記所に来ていただいて窓口で発給するということでございました。この点について交換制度を設けまして、コンピューター化した登記所同士ですと電子的な情報のやり取りができますので、その登記所以外のコンピューター化された登記所の証明書を取れるという仕組みをまずは用意いたして、利用していただいております。  これは、ほかの登記所であってもどこかの登記所に行かなければならないわけですが、自宅等からインターネット情報を取るというオンライン公開も現在行っております。これを利用していただけますと、自宅あるいは事務所からオンラインでその登記情報を確認するということが可能になっております。これは、コンピューター化する登記所が今後ますます増加いたしますので、その公開の対象も広がっていくということになります。  現在検討しておりますのは、更にオンラインで証明書の発給を請求できるという仕組みを考えたい。オンラインで今見るのは情報を確認するだけでございますので、証明書をどうしても入手したいという場合には登記所まで行かなければなりませんので、それをオンラインで請求することができると、こういう仕組みも今検討をしているところでございます。
  162. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 民事局長、ちょっと通告していないんですけれども、午前中から地籍調査の問題が話題になっていて、少なくとも都市部については十年間で一〇〇%を目指すということをおっしゃいました。特に都市部というのは、これから、いわゆる権利が錯綜しているところであり、これについて急がなくちゃいけないというお話がありました。  ちょっと心配になったんです。何が心配になったかというと、実は地籍調査というのは、もちろん今都市部の問題はあるんですけれども、私が知っておりますこれは鹿児島の奄美というところなんですけれども、離島です。離島に関しては地籍調査は全く進んでいないんですよ、こういった地域。意外に田舎はずっと全部やれているのかとお思いになられたら困るんであって、実は、これはきちんとやってもらえという要望がもう前々からある。  話を聞いていて心配になったのは何かというと、じゃ、都市部に集中して十年、これは予算、お金、人手もお金も掛かる話なんですよ。都市部でそんな集中してやられるということは、あなた、そういうところは置き去りにするつもりかと一瞬思いましたんで、その辺はバランスを持ちながら、地元からもやっぱり、行政がいろんなことをやるときに、地籍調査ができていないからいろんなことができないんですよ。そんな問題もあっています。  その点についてちょっと危惧いたしましたんで、答弁だけいただいておきたいと思います。
  163. 房村精一

    政府参考人房村精一君) 御指摘のように、奄美で地籍調査は余り進んでいないという実情は、実は私、昨年奄美まで参りまして、地元でも十分そういう事情を伺いました。  今回、今力点を置いて緊急性の高い都市部について整備をするということを申し上げておりますが、もちろん都市部以外のところの地籍整備をおろそかにしていいという話ではございません。そういうところの一番大きな供給源は地籍調査でございますが、これは国交省の所管になるわけでございますけれども、今回この都市部の地籍整備に力点が置かれた後の予算を見ましても、地籍調査のための予算は従来どおりでございますので、従来と変わらぬペース、あるいは全体として見れば更に加速してその都市部以外の地籍調査も並行して進めていくということであろうかと思っておりますし、私どもも、都市部以外の地籍調査についても法務局として可能な限りの協力をして、できる限り早く日本全部についての地籍の整備を成し遂げたいと、こう思っております。
  164. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最後に、大臣に振って申し訳ありませんが、これも、今から政省令を作っていくという話になったときに、いわゆる関係団体との調整の問題が大事だという指摘が午前中からありまして、局長は、ちゃんと関係団体とも連携、密を取りながらやるという御答弁はいただいておりますが、大臣からも、是非ここは、やっぱり今からの政省令が大事で、しかも政省令やるときは、やっぱり土地家屋調査士の皆さんや司法書士の皆さんたちの意見を酌み取ってもらわなければ、これはきちんとしたものは、運用するのはその人たちなんですから、そことの連携を強めてもらいたいと思うんで、そこへの決意を伺って、質問を終わります。
  165. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 新しい不動産登記法に基づく政省令を制定していくに当たりましては、この登記制度を円滑に運用することができるようにするために、御指摘のような資格者団体、専門職者の御意見を十分聴取した上で円滑に進めたいと考えております。
  166. 木庭健太郎

    ○木庭健太郎君 終わります。
  167. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  まず大臣にお伺いをしますが、今回のこの二つの法案で、東京高裁に知的財産高等裁判所という名の専門部が新たに設けられる。そして、知財訴訟における裁判所調査官の権限の拡大、さらには営業秘密の保護手続の整備や特許庁で行う特許無効審判との連携強化などなどが行われることになるわけですが、こういう内容にされているこの法案の目的についてまずお願いをいたします。
  168. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 基本的な問題についてのお尋ねでございます。  この知的財産高等裁判所設置法案及び裁判所法等の一部を改正する法律案につきましては、知的財産高等裁判所の設置のほか、裁判所調査官の権限の拡大、明確化や秘密保持命令の導入など、我が国の知的財産に関する事件につきまして裁判を一層充実、迅速化することを目的とするものでございます。  これらの改正の実現によりまして、知的財産に関する訴訟をより充実、迅速化することは、この知的財産についての裁判の利用者のためのみならず、ひいては知的財産立国を実現しまして、我が国の経済の再生を図る上でも大きな意味を有することであると考えておりまして、現在政府全体で進めております知財立国の一環を成すものと考えております。
  169. 井上哲士

    ○井上哲士君 充実、迅速化ということが強調をされているわけですけれども、そこで最高裁にまた改めてお聞きするわけですが、こういう知的財産訴訟の新受件数の推移、そして第一審の平均審理期間の推移、九一年と二〇〇三年の比較でお願いをいたします。
  170. 園尾隆司

    ○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) ただいまの御指摘の十二年間という少し長い期間での事件数、それから審理期間の動きについて御説明をいたします。  知的財産権を侵害された場合に、地方裁判所に差止めや損害賠償を求める侵害訴訟についての新受件数は、平成三年には三百十一件であったものが平成十五年には六百三十五件となっておりまして、十二年間で約二倍に増えておるという状況にございます。  一方、この侵害訴訟の第一審の平均審理期間を見てみますと、平成三年には三十一・一か月であったものが、平成十五年には十五・六か月となっておりまして、十二年間に半減をしております。したがいまして、十二年間という期間を取ってみますと、事件数はおよそ二倍に増えて、審理期間はおよそ半減したという状況にございます。
  171. 井上哲士

    ○井上哲士君 今ありましたように、件数は倍、一方審理期間は半分ということでありますから、単純に言いますと四倍の働きと、こういうことになるわけですね。これは、いろんな裁判がありますけれども、知的財産分野の訴訟ほどこのように迅速化が進んだのはないと思うんですが、なぜこのように平均審理期間が急速に短くなってきたのか。その点いかがでしょうか。
  172. 園尾隆司

    ○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 知的財産訴訟は困難な事件ということで認識をされておりまして、これにどう取り組んでいくのかというのは長く裁判所の課題としたところでございました。この十二年間の数値を見ても分かりますとおり、このところこの審理の改善のために人的な資源を投入していくという言わばハード面での対策と、それから審理方法についての改善を図っていくという言わばソフト面での改善とを重ね合わせて、その相乗効果として審理の改善を図ってきておるというように考えておるところでございます。  具体的に申し上げますと、平成十年には東京高裁、東京地裁、大阪地裁の知的財産専門部の裁判官数は二十四人でございましたが、今年、平成十六年の四月には四十人ということで、六六%の増員を図っております。また、裁判所調査官につきましては、平成十年の十七人から平成十六年の四月の二十一人ということで、二三%の増員を図っておる。  このように人的な手当てを図っておるというのが一つの側面でございまして、もう一つの審理方法の改善といたしましては、これは新民事訴訟法の施行に伴う一般的な民事訴訟手続の改善の動きの中で、特にこの複雑困難事件と言われております知財訴訟につきましては、計画審理を徹底して行う、それから証拠についても、これは法律で書いておることのほかに裁判所が訴訟指揮として、証拠の後出しは許さない、できるだけ早く証拠を出すということ、それからお互いに証拠の開示をし合うという慣行を作るような訴訟指揮を努めてやっていくというようなことを重ねてまいりまして、その結果、現状のようなところまでたどり着いたという状況にございます。
  173. 井上哲士

    ○井上哲士君 政治の世界では後出し問題というのがこの間よく出ておりますが、裁判のところではかなり改善をされてきたと。人的体制でも審理方法でも随分の改善、努力がされてきたということが今ありました。  こういう中で、例えば昨年、東京高裁の知財訴訟の体制を強化することを決めたときに、マスコミ報道などでは、世界的に見てもアメリカの連邦特許裁判所を上回るトップレベルの体制が整うと、こういう報道をしたものもありました。それから、最近の論文を見ましても、日本の知的財産訴訟のスピードは、正確な統計は知らないとしつつ、世界の中でも最も速い部類に属していると、日本の知的財産裁判はここ数年の努力によって世界で最も迅速な手続になったということであると、こういうような評価をされている弁護士の方の論文も読みました。  その人は、実務家としての言わば体感スピードは、例外的な事件を除いて一年以内に裁判所からの心証開示があり、和解をするか判決を求めるかの帰趨が決まるけれども、ほぼ一年で勝敗が決まっていると。統計上の数字は恐らくその後の和解交渉や損害賠償額の立証のための期間が加わっているんだろうと、こうされまして、ほぼ一年というのが実感だと、こういうふうに言われているほど、世界でも大変迅速化が進んでいるということを実務家の方も評価されている状況があるんですね。  では、そして、この弁護士さんは、残された課題はこのスピードの中での十分な審理と適切な判断ということになると、こういうことを強調をされております。しかし、法案の趣旨では、充実、迅速化ということで並べて迅速化が強調されておるわけですけれども、これは最高裁の認識としてはどうなんでしょうか。こういうふうに更に迅速化というものを言わば充実化と並べる形で強めるということが必要なのか、ここで言われているように、むしろ十分な審理と適切な判断ということが求められているのか、この点いかがでしょうか。
  174. 園尾隆司

    ○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 迅速化の点について言いますと、特に東京地裁で訴訟を体験されておる方は非常に速いというように認識をしておられるという方が大変多いということでございまして、知財訴訟に堪能な弁護士の何人かの意見を実際に最近聞いてみましても、現在の東京地裁の審理というのはこれは著しく迅速化しておって、もうこのレベルに達すると企業がそれに対処することが限度に達しつつあるというような声も聞くところでございます。  そうなりますと、幾ら裁判所が急ぐといってもこれは当事者が起こしてくる訴訟でございますので、当事者の準備が整わないということになりますから、限度一杯というようなことになるわけでございます。  その審理の迅速化の数値が出ておるものがございますが、東京地裁の特許訴訟の最近の未済事件の審理期間は、これは一年を切っておるという現状にございます。先日も、東京地裁の裁判官とそれからアメリカの裁判官とが、この日本の東京地裁の場で同じ事件について模擬裁判を実施して、同じ事件に関してそれぞれ判決を書くというようなところまで手続を進めてまいりましたが、その中での感想から見ましても、我が国の裁判は少なくとも一審に関して言うとアメリカより速いというような認識を持たれておるところでございます。  その辺りからしますと、これから我々が重点を置いてまいりますのは、これは内容、判断の落ち着き度合い、それから専門的な解明力の強化、そういうような点にきちんと軸足を置いた検討をしていく必要があるというように考えておるところでございます。  最近では、特に今年の四月から専門委員を百四十名任命しまして、六月には追加任命によって百五十人以上の専門委員を東京、大阪に確保いたしましたが、この専門委員の顔ぶれを見てみますと、我が国の最先端の分野の専門家が集まっておるという状況でございまして、その活用もわずか二か月の運用ですが、相当活発に行われておるというようなこともございまして、これは裁判所としてもそのような専門的な解明度ということにも力を入れていこうという姿勢の表れであろうというように思っております。  そのような状況にあるというふうに認識をしておりますので、今後、今言ったような点について一層努力をしていきたいというふうに思っております。
  175. 井上哲士

    ○井上哲士君 そこで、推進本部に聞くんですが、今のような状況と認識ということなわけですね。しかし、法案は充実、迅速化と、並べて言われております。  確かに、司法制度改革審議会の意見書は、当時、この平均審理期間を短くしようということを言っておりますけれども、ここで言われている数字も、平成十一年の二十三・一か月という数なんですね。このときから比べましても、先ほどありましたように、既に十五・六か月になりまして、この数年間に急速に短くなっている。しかも、今お話ありましたように、東京地裁の場合はもう一年を切っておるということになりますから、ある種、この意見書が言った半減をするという目標はその部分では達成しているということもあるわけですね。にもかかわらず、充実、迅速化ということが並べて言われている。どうも解せないんですけれども、そこ、いかがでしょうか。
  176. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) 今、裁判所の方から大変努力されているという点、聞きました。もう一年ぐらいまで短縮しているということでございますけれども、この種のものは、手を緩めるとまたいつその審理期間が長引くかどうか分からない、そういう生き物と同じでございます。したがいまして、飽くなき挑戦だということでございます。  ただ、迅速だけを求めるというのはこれはまた問題であろうと私も十分認識をしておりまして、充実、迅速と必ず言っているはずでございます。充実の中には適正ということ、適正な判断ということも当然含んでいるということを御理解賜りたいということでございまして、決して急ぐことだけを目的としているわけではございません。
  177. 井上哲士

    ○井上哲士君 速くなるのであればそれにこしたことはないと思いますし、どの分野でも充実した裁判、迅速裁判は求められておると思うんですね。しかし、限られた今の法曹の数、そして予算、体制という下で、やはり優先順位というのはあると思うんですよ。確かに我が国が、知的財産というものは資源のない国にとって、我が国経済にとって大変大事でありますし、裁判が長引きますと、特に中小企業など大変大企業相手の訴訟では苦しむことになるという点での手当てというのは私は必要だと思うんですが、しかし、先ほど来述べましたように、いろんな分野の中でも最もそういう点では進んでいるところに更に手当てをすることが優先順位として必要なのか、それとも、いろんな点で、まだまだ裁判の充実、迅速という点で手を入れるべき分野はあると思うんですけれども、例えば医療過誤とか専門性が持たれる、求められる訴訟があるわけです。そういうところにもっと手当てをするというような優先順位もあったんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  178. 山崎潮

    ○政府参考人(山崎潮君) 改善しなければならないジャンルは多数あると思います。  この中でこの知的財産の関係を特に取り出したということは、やっぱり日本の経済がどうやって国際社会の中でやっていくかと、今後の問題ですね、この認識からスタートしておりまして、やはり日本は物資はない、領土は狭いと、こういう中で生きていくわけでございますので、やっぱり知恵を働かさなければならないということでございます。  知恵とは何かというと、凝縮すれば知財関係になっていくわけでございますので、やはりここを重視して、それを発展させ、保護すること、これも重要でございますけれども、トラブルが起こったときにその症状を早く解消をするということ、これがやっぱり国際競争力を確保する上でも非常に重要なことであるということでございまして、そういう大きな日本の方向と結び付いているということでこれを優先をさせていただいたと。ほかのジャンルも必要であることは間違いがございません。
  179. 井上哲士

    ○井上哲士君 先ほどの審議でも出ましたけれども、この四月から新たな民訴法改定に伴う一層の手当てもこの分野ではされているわけでありますから、そういうものの運用もしっかり見ていきながらいくというのが必要でありますし、今言われましたように、やっぱりいろんな他の分野で必要な手当てにもっと力を入れていくということが私は必要だと思います。  それで、その適正そして充実した審理が必要だということからいいますと、当然、裁判官のこの点での専門的知見ということが問題になってまいります。そういう中で、これも午前中に出ましたけれども、この充実強化ということを理由にして、法曹資格を持たない人に裁判官という立場で紛争解決に当たる、まあ技術裁判官とか、こういうことの導入ということがこれも経済界を中心に言われてまいりました。  しかし、幾ら専門的知見を要するといいましてもやはりその本質は法的判断でありますから、その信頼の基礎というのは、公正な第三者としての立場を保持し得るに必要な法曹、法的素養のある資格を有する裁判官、これがやることが私は必要だと思います。  今回のこういう知財高裁を設置することを足場にして、こういう技術裁判官などを導入しようというような思いを持っていらっしゃる方もあるやに聞くわけでありますが、私はそういうことをするべきでないと思いますし、ロースクールができまして、今後そういういろんな理系の素養を持った方も法曹になってこられると思うんですね。そういう点でも、こういう技術、いわゆる技術裁判官という制度は導入すべきでないと思うんですが、大臣の所見を伺います。
  180. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 今回の法案におきましては、裁判所調査官が行う事務はいずれも裁判長の命を受けて行うということが前提でございまして、今委員が御指摘のような技術裁判官導入ということではございません。今回の改正におきましても、この裁判の最終判断者が法曹資格を有する裁判官であるという原則には変わりがございませんで、御指摘のような技術裁判官の導入に道を開くというものではございません。  なお、今御指摘がありましたように、今後、理科系の学部を卒業し、あるいは仕事の面でもそういった技術系のお仕事をしておる方が法科大学院に進学をいたしまして、さらに司法試験に合格した上で法曹資格を取得しまして裁判官に採用されていくという人が多くなることが予想されますが、このことによりまして補助的な調査官というような制度もそれほど必要ではない状況にもなっていくだろうと、これを私どもは期待しておるわけでございます。
  181. 井上哲士

    ○井上哲士君 私たち、ロースクールの制度を議論をするときも、専門性を持ちながらやっぱり広く、幅広い教養を持った法曹を養成をするということが必要だということであの制度を作ったわけでありまして、やはりその技術裁判官、確かに技術には通じているかもしれませんけれども、そういうものを入れていくということはあの理念からも反するものだと思うんですね。  同時に、裁判所としても様々な努力をしていただくことになると思うんですね。そういう新しいロースクールを通じて専門的知見を持った法曹ができるということと、もう一方で、今の裁判官の皆さんがそういう専門的知見を更に鍛えていくということ、それから弁護士任官の中でもそういうことに通じた弁護士の方が任官しやすくなる、例えば時限を切るとか、こういう工夫も要るかと思うんですけれども、この点で裁判所としてお考えのこともお願いをいたします。
  182. 園尾隆司

    ○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 裁判官の給源、それから資質、そういうことについては現在、裁判官制度をどうやって維持するかというような観点から全般的な検討をしておるということでございますが、特に、このロースクールというものがスタートいたしましたが、それが更に運用が進みまして、そこの出身者が出てくるというようなことになった場合の給源の豊富さ、それから現在、裁判所の方で推進をしております弁護士任官の問題、そのような問題につきましては、今後いろいろな面から多角的に検討していくという必要がございます。  この知的財産権訴訟という分野のみに限らず、かなり幅広い検討を要する課題であるというふうに考えておりますが、そのそれぞれの個別の課題ごとに研究を重ねていくというようになるというように認識をしております。
  183. 井上哲士

    ○井上哲士君 次に、調査官の問題についてお聞きをいたします。  今議論をしてきましたこの審理の正確性、充実性ということからいいますと、この調査官の問題というのは大変大きいと思うんですが、この法案で、この裁判所調査官の権限が拡充されるわけですが、その内容と、そしてその目的、これについて説明をしてください。
  184. 山崎潮

    政府参考人(山崎潮君) 目的は、先ほど来、議論出ておりますけれども、やっぱり裁判の内容の充実ですね。適正な判断を速く行えるようにということで、この人的パワーももっとより活用していこうと、こういう目的に出るわけでございます。  まあ現在、調査官制度ございますけれども、その権限等につきましては、今回御提案させていただくほどのことにはなっていない、本当に補助的な立場にいると。今回も補助的であることは間違いがございませんけれども、もう少し充実した補助ということを考えているわけでございます。例えば、期日において当事者に対して釈明をする、それから証拠調べの期日においては証人等に発問をする、和解期日においていろんな説明をする、それから裁判官に対して参考意見を述べる、こういうような手当てをしたわけでございます。  これによって専門性を、専門的知識有効に活用しようということでございますけれども、これに伴いまして、やはりその中立性を制度的に保障する必要もございます。したがいまして、調査官に関しまして除斥とか忌避、こういう規定を新たに設けて間違いがないようにという、そういうような配慮をしているということでございます。
  185. 井上哲士

    井上哲士君 民訴法の改正でこの四月から専門委員が導入されていますが、この場合は当事者双方が同席しない場で意見を述べるときには当事者双方の合意が必要なわけですね。  しかし、本法案では、当事者双方の不在のときにこの調査官が裁判官に対して説明や意見することは当事者の合意が必要がないと、こういうふうになっていますが、この違いはどうしてできたんでしょうか。
  186. 山崎潮

    政府参考人(山崎潮君) 確かに、この違いでございますけれども、専門委員の制度は、学者、医者等の裁判所外部の専門家、これを非常勤の裁判所職員として関与をさせると、こういう位置付けになるわけでございます。したがいまして、やっぱり基本は外部の方でございます。そういう関係からその要件についても厳格な要件を置いているということでございますが、こちらの調査官の関係は、中立性がより担保された常勤の裁判所職員でございます。したがいまして、もう裁判所職員でございますのでその中立性等については制度的保障もされているということから、またそれから仕事としても裁判官補助をするということでございますので、要件は置いていないということでございます。
  187. 井上哲士

    井上哲士君 確かに裁判所から見たらそういうふうに見えるんでしょうが、当事者から見ればどっちともまあいわゆる裁判所の人なんですね。ですから、やっぱり、調査官が裁判官にどんな説明しているのか、どんな意見を言っているのか、それが分からないと不安であります。そして、その発言内容に対しての異議申立てなどの弾劾ができなくなってしまう。この点はどうでしょうか。
  188. 山崎潮

    政府参考人(山崎潮君) これは、現在でも制度があるわけでございます。それの制度の下でも述べた意見について外に発表することはしていないわけですね。それ以外にも調査官の制度というのはあるわけでございますが、それはすべて外にオープンにすることはしていない、そういう性格のものである。  それで、今回のその制度、また権限を強化いたしましても、裁判官に対して申し上げるその意見といいますね、意見は参考意見でございまして、そういう性格で、最終的には裁判所がそれを採用するかどうか、これはまた別問題でございますので、そういうものをオープンにするということは考えていないということでございますが、ただ、当事者の立場からどういう意見が述べられているのかという点について御心配になると、そういう点も分かることは分かるわけでございますが、制度的な保障ではございませんけれども、私どもの検討会でもその点について、運用上、例えば期日でいろいろ説明をしたり釈明をするという場合に、自分の、調査官が考えている認識がその相手にも裁判官にも、そこにいる人にみんな伝わるようないろいろ説明をして、そこの争点のまとめのときに、どことどこに問題があって、どういう考え方に基づいてそこが分かれてくるかとか、そういうことがある程度分かるような、そういうような工夫もしていただきまして、運用上の配慮でやっていただくのが一番いいのかなと考えております。
  189. 井上哲士

    井上哲士君 是非、運用上にお願いをしたいんですが、同時に、調査官がどういう専門分野を持ってきてどういう経歴を持った人なのか、このことも大変当事者は心配になるわけですね。そういう経歴などは知ることができるんでしょうか。
  190. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 知的財産訴訟に関与する技術的な専門家として専門委員が新しくできましたが、従来からあるものとしての裁判所調査官と比較しますと、この専門委員の運用の中では、今年の四月以降の運用ということでございますが、選任の中立性を担保するために専門分野や経歴の開示をしていこうというような運用を実行中でございます。これは、専門委員がその事件ごとに任命される非常勤の委員であって、また最先端の分野の研究に従事する研究者の人数が極めて限られているということから、専門委員とそれから当事者である企業との間に何らかの関係がある可能性がないとは言えないというようなことで、専門分野や経歴を開示する運用をしてみようということで検討しておるところでございます。  このことは、常勤の国家公務員である裁判所調査官には直ちに当てはまらないというように考えておるところでございます。これは、常勤の国家公務員につきましては、採用に当たって公平性、公正さを重視した厳格な選抜方法を取っておりまして、公平性についての規律国家公務員法によって厳格に定められているということから、裁判所調査官のみならず、裁判官あるいは裁判所書記官というような一般の者につきましても事件の当事者に対してその経歴等を事件ごとに開示するということはしていないわけでございます。  そのような違いがあるわけですが、訴訟に関与する者の選定におきましては、公正さ、中立性が厳格に要求されるということを十分に認識をして職務に当たってきておるというように考えておるところでございまして、今後とも、公正、公平性を重視した厳格な任用をしていきたいというように考えておるところでございます。
  191. 井上哲士

    井上哲士君 専門委員については開示の方向だということでありましたが、確かに個人情報であるということは分かるんですが、やはり少なくとも訴訟当事者が要請があれば開示をするということは検討されてもいいんじゃないかと思うんですけれども、改めてどうでしょうか。
  192. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) この裁判所調査官の制度は、これは伝統的な制度でございまして、他の一般の裁判所職員、これが訴訟に関与していくということになりますが、そのような常勤の職員をどのように考えるかという一般的な問題でもございますので、そのような御意見があったということでまた研究をしていきたいというように思っております。
  193. 井上哲士

    井上哲士君 それでは、少し不動産登記にかかわる問題について質問をさせていただきます。  朝からいわゆる十七条地図のことがずっと問題になってまいりました。この登記事務の迅速、適切な処理を図って不動産取引の安全確保をする、大変大事だと思うんですが、これも改めてになるんですが、この整備の現状と今後の整備の方針について簡潔にお願いをいたします。
  194. 房村精一

    政府参考人房村精一君) 法務局備付けの地図の現状をごく簡単に御説明いたしますと、総数で約六百三十万枚が備え付けられております。そのうち、精度の高いいわゆる法十七条地図は三百四十万枚、率にして五四%でございます。それ以外のものは、いわゆる公図、旧土地台帳附属地図などでございます。  その十七条地図の割合でございますが、全国的には五四%と申し上げましたが、都市部について見ますと残念ながらその整備が遅れておりまして、大半が旧土地台帳附属地図というのが現状でございます。そのようなことから、昨年六月、内閣に設置されました都市再生本部におきまして、都市再生の円滑な推進には、土地の境界、面積等の地籍を整備することが不可欠であることにかんがみ、国において、全国の都市部における登記所備付け地図の整備事業を強力に推進するという方針が打ち出されまして、今後十年でおおむね都市部の地籍の整備を行うという方針が示されましたので、法務省としても、その方針の下、今後できるだけの努力をして都市部の地籍整備についてまず大きく努力をしたいと、こう思っておるところでございます。
  195. 井上哲士

    ○井上哲士君 この地図の整備というのは本来法務省の責任にかかわることだと思うんですが、午前中も紹介ありましたように、今あった整備されている三百四十一万に対して法務局が作成したのは四千枚ですから、実に〇・〇一%と、こういうことになるわけですね。もちろん国土調査の中で行われることが多いというようないろんな役割分担はあろうかと思いますが、余りにも少ないと思うんです。  なぜこういう現状なのか、そして、今後の方針で推進を図るということでありますけれども、この法務省作成部分の割合も上げていくと、こういうことで理解でいいんでしょうか。
  196. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、不動産登記法では登記所に地図を備えるということとなっておりますが、その地図をすべてを法務局で作成するということではなくて、国土調査法に基づく地籍調査であるとか、土地改良事業あるいは土地区画整理事業と、こういったものの成果を地図として備え付けているわけでございます。  法務局自らが行っている部分がわずか四千枚で非常に少ないという御指摘でございます、誠にそのとおりでございますが。これは一つには、過去、登記事件が非常に激増をいたしまして、登記事件の処理のために登記所の全勢力を注がなければならなかった。特に、高度成長時代におきましては、登記申請事件の処理が遅れるということは直ちに日本の経済活動の遅滞につながると。そういう状況の下、全力を挙げて申請されている事件の処理に当たってきたと、そういうことが一面ございます。  そのようなことから、法務局として、地図に取り組む場合には、その必要性が高く、また専門的な知識を有する職員がいる法務局の特殊性を生かせるような、主として都市部の、しかも地図が混乱している地域、そういうところに絞って地図を作ってくる。逆に言いますと、そういうところは同じ面積当たりに対して労力が非常に要るものですから、どうしても地図が作成できる面積あるいは枚数が少なくなってくると。そういうような両者の関係があったために、従来、登記所の地図の整備枚数が非常に少ないということになっているわけでございます。  今後でございますが、私どもとしては、もちろん登記申請事件の処理を迅速に行うことも従来以上に力を入れていきたいと思っておりますが、この点についてはコンピューターの整備も進んできておりまして状況が大分改善をされましたので、今後は地図の整備に法務局の力を大きく振り向けて全力を挙げていきたい、こう思っているところでございます。十七条地図についても、今まで以上に力を入れて整備をしていきたい、こう思っています。
  197. 井上哲士

    ○井上哲士君 その点で予算と体制ということが大変大事になるわけですが、今年度のこの分野での予算が昨年度と比較してどうなっているでしょうか。
  198. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) 十七条作成作業の予算額、平成十六年度は三億八千三百万円でございます。前年の平成十五年度の予算額が九千百万円でありましたから、約四倍強ということになります。
  199. 井上哲士

    ○井上哲士君 約四倍強に一気に引き上がったということでありまして、是非取組を強めていただきたいんですが、それでも、昨年の国土交通省の予算が二百六十億でしたか、けたが二つ違うという状況があります。  それでもう一つ、この地図を作成をする場合、地図混乱地域などを中心とされていると言われましたけれども、現場では具体的にどんな作業、手順になるのか、ちょっと分かりやすくお願いします。
  200. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) まず、地図を作成しようと思いますと、準備作業といたしまして、その対象となる区域のいわゆる地図、公図等を集めて調査素図を作ります。それから、登記簿を調査いたしまして権利関係を確認いたします。そのような準備作業をすると同時に、当然そこの関係官署がありますので、そういうところとの折衝を行う。それから、地図の作成は住民の方々の御理解がなければ到底できませんので、地元説明会を開きまして地域住民に地図の作成について十分な説明を行います。その後、その対象区域内に基準点を設置いたしましてその測量を行います。その後は、各一筆ごとに住民の方の立会いを得まして、その境界を確定をしていく。それを一つ一つ測量をいたしまして、基準点からその地位を確定をしていくわけでございます。  それを全域について行いますと、最終的にその地域の地図ができ上がります。これを縦覧をいたしまして、異議のある方には異議の申立てをしていただく。その異議の申立てに基づいて訂正すべき点があれば訂正をする。そのような処理をした上で十七条地図として備え付ける。こういう手順になります。
  201. 井上哲士

    ○井上哲士君 大変な手順だと思いまして御苦労だと思うんですが、今聞きましても、本当にどれだけ現地に人が行けるかというのが決定的なわけですね。正に人手なくしてはできないわけですが、この作業をやっている表示登記専門官等の推移が一体どうなっているのか、平成七年と十六年度でちょっと推移をお願いします。
  202. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) 地図などの表示登記を専門的に処理する官として表示登記専門官というものを設けておりますが、平成七年度には百八名でございました。これが平成十六年度は百九十四名と増えております。
  203. 井上哲士

    ○井上哲士君 百八から百九十四に倍近くには増えてきているわけですが、全国登記所、登記、七百二十か所ですからね、こういうことからいいますと、本当にこの分野でしっかりとした人の確保ということが必要かと思うんですが、その点での認識をお願いします。
  204. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) やはり地図を中心とする表示登記を充実するためには、それを担う職員、これを養成していく必要があるというのは御指摘のとおりだと思っています。  実は、民事局におきましては、全国の法務局から職員を選抜いたしまして、毎年土地の測量学校に約半年近く講習を受けて測量技術を身に付けてもらう、それを各登記所で活用して地図の作成その他に当たると、こういう体制を取っておりますが、実はこれも昨年までは年間六十名でございましたが、今年からは百名ということで、約倍近くその養成を増やしております。  また、表示登記専門官につきましても、もちろん今後も増加の努力をしたいと思いますが、やはり各局において現場の実務を通じて能力を養成するということも大切でございますので、こういう十七条地図作成作業等も含めまして職員の表示登記に関する能力の養成に努めていきたいと、こう思っております。
  205. 井上哲士

    ○井上哲士君 先ほど、遅れてきた理由に、登記事件の処理に全力を挙げてきたということがありました。最近減ってきたということで、むしろ法務局全体としては職員が減らされているという現状があるわけで、むしろ今こそ、この地図の整備ということにしっかり確保をしてやっていただきたいと思います。  もう一点、これまでも紙の地図を備えつつ電子化してのデータの形になっておりましたけれども、今後どういうようなことをお考えなのか、お願いします。
  206. 房村精一

    ○政府参考人(房村精一君) 登記簿のコンピューター化につきましては大分進捗をしてまいりましたので、次の課題は、地図の整備と併せまして地図のコンピューター化ということではないかと思っております。しかも、地図をコンピューター化する以上は登記簿をコンピューター化した、その登記情報と連動できるようなそういったコンピューター化をしたい、こう考えておりまして、現在、地図情報システムを開発中でございます。  これは、登記情報システムと有機的に連携させることによりまして、登記事務処理の適正化、迅速化に資すると思っておりますし、地図の電子情報化ができ上がりますと、地図情報につきましてもオンラインで国民の方々に提供できると、こういうことになりますので、できるだけ早く登記情報のコンピューター化を完成すると並行して、地図のコンピューター化についても今後大いに力を入れていきたい。  その意味で、今回予定しております不動産登記法の改正案におきましては、地図そのものをコンピューターで調製できると、こういう規定も置きまして地図のコンピューター化に備えております。
  207. 井上哲士

    ○井上哲士君 最後に、大臣に御決意をお願いしたいんですが、大臣は測量士の免許をお持ちだそうで、こういう分野が本当に人が直接やらなくちゃいけないことの重要性を以前も語っておられました。そういう点で、しっかり予算、人員も確保しながら、この十七条地図の整備を進めていく決意を最後にお聞きをして終わります。
  208. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 今御指摘をいただきましたが、私も二十年以上前に測量士の試験だけ受けて合格証だけいただいていたんですが、今回このような仕事をするに当たりまして国土地理院に確認したところ、確かに合格ということで、お免状もちょうだいしました。しかし、その当時に比べますと、大変な技術の進歩といいますか、技術革新が進んでおりまして、地図を作るということ自身がもう全く面目を一新するほどの違いが出てきております。  今お話しがありましたような電子化のことも含め大変な技術革新をしておりますので、そういった成果を取り入れながら仕事を進めることで一層の能率が上がるものと確信をしているわけでございます。  昨年六月に都市再生本部において示されました平成地籍整備の推進につきましては、法務省と国土交通省とが連携協力して実施することにしておるわけでございますが、法務省が主体となって実施する事業としては、都市部のいわゆる地図混乱地域における法十七条地図作成作業があり、また地方公共団体が実施する地籍調査につきましても、法務局が積極的に関与、協力していくこととしております。  法務省としましては、より効率的な地籍整備の方策を研究しつつ、必要不可欠な人的体制の整備と予算の確保に努めまして、国土交通省と密接に連携してこれらの事業の実施に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
  209. 山本保

    ○委員長(山本保君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時散会