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1999-07-08 第145回国会 参議院 農林水産委員会 24号 公式Web版

  1. 平成十一年七月八日(木曜日)    午後二時三十七分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野間  赳君     理 事                 岩永 浩美君                 三浦 一水君                 和田 洋子君                 須藤美也子君                 谷本  巍君     委 員                 岸  宏一君                 国井 正幸君                 佐藤 昭郎君                 中川 義雄君                 長峯  基君                 森下 博之君                 久保  亘君                 郡司  彰君                 藁科 滿治君                 風間  昶君                 木庭健太郎君                 大沢 辰美君                 村沢  牧君                 阿曽田 清君                 石井 一二君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    政府委員        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        農林水産政務次        官        亀谷 博昭君        農林水産大臣官        房長       高木  賢君        農林水産大臣官        房総務審議官   石原  葵君        農林水産省経済        局長       竹中 美晴君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        農林水産省畜産        局長       本田 浩次君        農林水産省食品        流通局長     福島啓史郎君        農林水産技術会        議事務局長    三輪睿太郎君        食糧庁長官    堤  英隆君        林野庁長官    山本  徹君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 威男君    説明員        外務大臣官房審        議官       近藤 誠一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○食料・農業・農村基本法案(内閣提出、衆議院  送付)     ─────────────
  2. 野間赳

    ○委員長(野間赳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  食料・農業・農村基本法案を議題といたします。     ─────────────
  3. 野間赳

    ○委員長(野間赳君) 中川農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中川農林水産大臣
  4. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 去る六月二十九日の当委員会におきまして、村沢先生から、基本法に基づき毎年国会に提出される年次報告における基本計画の進捗状況についての政府の所見の取り扱いについて御質問をいただきました。この御質問に対する答弁につきまして十分でない点がございましたので、この場をおかりしてお答えさせていただきます。  基本計画は、基本法に示された理念及び食料農業農村に関する基本施策の具体化計画と位置づけられるものでありますので、その基本計画の進捗状況は、食料農業農村の動向とともに年次報告において記載していく考えであり、その際、政府の所見についてもあわせて記載していくことを考えております。  以上のとおりでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。     ─────────────
  5. 野間赳

    ○委員長(野間赳君) 次に、食料・農業・農村基本法案につきまして質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 自民党の岩永浩美です。  食料・農業・農村基本法案については、先月四日の本会議において中川大臣から趣旨説明をお聞きして、これに対して各党の質疑が行われてまいりました。当委員会においても、六月八日を皮切りに中川大臣及び政府に対してそれぞれ熱心な質疑をしてまいり、六月十五日には委員派遣を行い、仙台市及び福岡市においていわゆる地方公聴会を開会し、また一昨日の六日には中央公聴会を開催するとともに、小渕総理の出席を求めて質疑を行ってきたところであります。  こうした中で、いよいよこの新基本法案に対する委員会審査も大詰めを迎えることになりました。私は、当委員会における同僚議員のこれまでの議論を踏まえながら、大臣にお聞きしておきたい、あるいは大臣に確認しておきたい点が若干ございますので、質問を暫時させていただきたいと思います。  まず、これまでの質疑に対する印象と感想をぜひ述べていただきたいと思います。  食料・農業・農村基本法案に対する質疑に対して、中川大臣は終始一貫して真摯に答弁をしてこられました。私は、かつて昭和四十二年から衆議院議員の秘書として国会に勤めた経験があります。当時、大臣の御尊父である中川一郎先生は、まさに日本代表する政治家として、憂国の至情を持ち、そしてまた農林水産業の振興のために大変な御熱意を傾けておられました。そのことを私はそばから見ていて深い感動と感銘を覚えて秘書活動をしていたことを今新たに思いつつ、同僚議員である中川義雄先生の質疑の風景、そしてまた後ろ姿を見ると、中川一郎先生がお見えになったのかなという感じさえほうふつさせる、そういう大変御熱心な質疑を聞いてきた中で、私自身、議員各位からのいろいろな御質問に対し、大臣の縦横無尽な答弁、そしてまた今まで農林水産行政に長く携わってきた受け答えは、歴代の大臣の中でもそれぞれに熱い思いを持って農林行政をつかさどっておみえになりましたが、大臣の真摯なお姿に私自身は深い感銘を覚えました。  特に、先生の生い立ちの中で、銀行員をおやめになり、政治家になっていく一つの過程、その中に政治の道に携わる決意をみずからが抱いたとき、父親の後ろ姿、それはみずから生まれ育った厳寒の地、まさに北海道農林水産業、そしてまた条件不利地域の中における農村の振興のために本当に身命を賭すような思いで努力をしてきた父親の姿を見て、私自身が政治活動をしていく原点は農林業、まさに北海道の農業を振興させるんだという思いで政治家に立候補を決意したということを本に書いてありました。  私は、今回の中川大臣委員会質疑の答弁を聞くにつけ、まさに中川一郎先生と同じような思いで農林行政を真剣に考えておられるなという思い、私自身も本当にその気持ちに胸を打たれるような思いで聞き入っておりました。あるときは激しい質問もあったでしょう、あるときは嫌な質問だと思うこともあったかもしれませんが、決して激高されることなく、そして静かにとうとうと整然と御答弁になる中川大臣は、やっぱり新農業基本法にかける思いがあったんだ、私はそういう気がしてなりませんでした。  そこで、私は今までの質疑を通して、新しく現行基本法を補完していくもの、現行基本法の時代背景と新基本法を行って今から新しい時代を迎えていこうとする食料政策農業政策、農村政策、今後新たな決意をどういう形で今回の議論を通してお感じになったのか、まずそれをお聞きしたいと思います。
  7. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) ただいま岩永先生から、父そして私に対して大変過分なお話をいただきまして、冒頭から冷や汗が出ております。岩永先生を初め委員の先生方に、審議が大詰めを迎えたということで、改めてこれまでの御指導に心から厚く御礼を申し上げます。  率直な感想をというお尋ねでございますので、本当に長時間にわたる先生方の真摯な御意見あるいは御質問、さらには地方も含めた公聴会、さらには国民各界各層からもいろんな御意見をちょうだいいたしました。こういう議論を通じまして、改めて国民に対する食というものの安定的な供給の確保というものが国内生産を基本としなければならない、あるいはまた農業・農村の果たす多面的な役割の重要性というものを当委員会での質疑を通じまして、私自身改めて一層重いものとして受けとめさせていただいたところでございます。  そういう意味で、本法案は、一農業・農村だけではない、農業・農村・食料を確保することは国民全体にとって必要不可欠なことであり、それに対して、特に国の責務というものを国会の御指導のもと、これから政府が負っていかなければいけないという決意を新たにし、先日、小渕総理からも同じような趣旨の答弁があったと理解しております。  本法案、いよいよ大詰めということでございまして、私自身、大変感無量なものがございますけれども、百里の道も九十九里をもってというか、本法案をもって、文字どおり御可決をいただきましたならば、これが目的ではなくてスタートだということでございますので、今まで以上に当委員会を初めとする国会の御指導、御鞭撻、さらには国民の皆さんにこの法案を通じての共通した御認識をいただくための、政府としても一層全力を挙げて努力していかなければならないというふうに考えております。  余り感想を申し上げているとこれだけで先生の時間をとってしまうぐらいに、いろいろな先生方の御指導があったことを重ねて感謝を申し上げながら、率直なこれからの、本日の御審議に臨みたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  8. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 次に、次期WTO農業交渉への対応について伺いたいと思います。  WTO交渉へ向けての動きは、今月十五日から五カ国農相会議がバンクーバーで開かれて、さらに十一月末には第三回のWTO閣僚会議がシアトルで開かれることになっております。  それで、今回の新基本法案の成立は、六日に開かれた公聴会における公述人の発言にもあったように、WTO農業交渉に対する大きな後ろ盾になるものと私は思っております。しかしながら、昨年九月の食料・農業・農村基本問題調査会答申では、「国際規律又は国際的なルールの形成に当たっては、我が国の立場や主張を最大限反映させるとともに、国際規律等が形成された後においては、国内政策の立案に当たり、国際規律等との整合性に留意する。」とされております。  特に、御承知のとおり、ことしの四月から米について関税措置の切りかえが行われましたが、農家の方々は今なお今後の交渉において、また農産物が工業製品と同列に扱われるのではないかという心配をしておられる。関税引き下げの強い要求が出されてその犠牲になるのではないかという不安、とりわけ米の二次税率がさらに引き下げられるのではないかという心配をしておられます。そういう心配をしておられるだけに、政府の言動には大変目を光らせておられる。  そこで、農家の皆さんや団体の皆さん方に安心していただくためにも、次期WTO交渉において米の二次税率のさらなる引き下げを断固反対していただきたい。そして、引き下げは絶対に行わないということを大臣から強く決意を示してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  9. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 次期WTO交渉は農業が中心的な議題の一つになるわけでございますけれども、WTO農業協定第二十条で「改革過程の継続」ということで、これは輸出国から見ればさらに自由に輸出ができるようにしろというようなことを強く言ってくることが予想されるわけであります。  しかし、同じ二十条におきまして、農業の多面的機能あるいは食料安全保障等のいわゆる非貿易的関心事項についての項目もあるわけでございまして、我が国としては、このいわゆる多面的機能、食料安全保障等の問題を最大限のポイントとし、先ほど申し上げた基本法の趣旨に沿った形で次期交渉に当たっていかなければならないというふうに考えております。  なお、具体的に二次税率をどうするのかということにつきましては、日本の提案という中に基本的な考え方は示されておりますけれども、これからいよいよ五カ国農相会議を初めAPECあるいはシアトル会合、そして来年からの本交渉が始まるわけでございまして、それに向けて基本的な考え方に基づいて、具体的な個別の戦略、戦術等につきまして、当委員会の御議論を初めとする国民的なコンセンサスの上に立って交渉に本格的というか実践的に臨むべく今細部を検討をしておる最中でございますが、今申し上げたような趣旨を実現できるよう最大限の努力をするために、また今後ともいろいろな御意見、御指導をお願い申し上げたいと思います。
  10. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 政府の強い姿勢をそうやって示していただくことによって農家の皆さん方は安心をするわけですから、今、大臣がそういうことを十分に熟知しておられるだけに、ぜひ今後の交渉に臨んでもらいたいと思います。  次に、担い手の育成と確保について伺います。  日本は南北に細長い国でありますから、地理的条件、気候条件、自然的条件などの違いによって農業の生産条件が大きく変わっています。そうした中で、新基本法案における基本理念の一つである食料の安定供給の確保のためには、何としてでも農業の担い手の育成、確保が必要であることは言うまでもありません。そのため、新基本法案でも二十五条において、「人材の育成及び確保」が規定されています。  しかし、中山間地域においては農業従事者の高齢化が大変進んでおり、耕作放棄率がだんだん高まる傾向にあることはもう御承知のとおりです。特に、今農業に従事しておられる皆さん方は昭和一けた時代の方が主だと言っても言い過ぎではないと思いますが、この方々がリタイアされた後に、そういう地域の担い手の育成というのは喫緊の課題だと私は思っています。それは、中山間のみならず条件不利地域の中における農業も同じだと思いますけれども、そういう地域における担い手の育成のために具体的にどういう措置を講じていこうとしておられるのか、それをお示し願いたいと思います。
  11. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 文字どおり、今後の日本の食料・農業・農村基本法の四つの理念を維持し発展させていくためには、やはり担い手の確保というものが非常に重要でございます。中でも、意欲ある農業の担い手というものは極めて重要な問題だと考えております。  認定農業者等の意欲ある担い手に施策を集中し、農地の利用集積あるいは資本の充実、労働力の確保、経営管理能力・技術の向上など経営全般にわたる支援策を行っていかなければなりません。具体的には、就農時、経営改善途上時、経営安定期等の経営体としてのそれぞれの段階における経営を効率化させるための施策と経営を安定化させるための施策を整備することにより、担い手を重視した体系的あるいはまたいろいろな手法を用いた担い手育成、そしてまた担い手が経営体として発展していくために努めてまいりたいと考えております。
  12. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 それでは次に、直接支払いによる耕作放棄地の解消について伺っておきます。  新基本法では、第三十五条二項において、「国は、中山間地域等においては、適切な農業生産活動が継続的に行われるよう農業の生産条件に関する不利を補正するための支援を行う」ということになっています。  そこで、中山間地域では耕作放棄地の発生が著しく、五月に公表された検討会の中間取りまとめでも、耕作放棄地の直接の原因となる生産条件の不利性の補正が直接支払い導入の必要性として挙げられています。  そこで、過日の答弁の中で、こういう条件不利地域等々に対する線引きとか、あるいはその作業を今年度の三月三十一日までに行うということを言っておられますが、全国すべてそういうふうな形の中で線引きとか条件不利地域の指定というものを作業として進めるのかどうか、そのことをお示し願いたいと思います。
  13. 渡辺好明

    ○政府委員(渡辺好明君) 直接支払いの具体的な地域指定あるいは期間等についてのお尋ねでございます。  私どもは、今、先生から御指摘がございましたように、三十五条の二項をよりどころとしてこの政策をやろうとするものでございまして、平成十二年度概算要求のときまでには具体的な枠組みを決めたいと思っております。現在までのところ、対象地域につきましては、いわゆる地域振興五法、これを対象の第一のネットとするということで中間取りまとめが行われたわけでございますけれども、それ以外にも沖縄、奄美、小笠原といった特殊といいますか特定の立法地域についても対象とすべきではないかという大きな意見が出ております。  それから、対象農地につきましても、水田のほかに畑あるいは草地を含めるべきではないか、同じように公益的機能を果たしているのではないかという御指摘がございます。  さらに、生産条件の不利性としては、傾斜度についての合意が得られておりますが、それ以外に小区画・不整形の水田、あるいは極端に気温が低いために牧草しかできない、またその収量も低いという地域の農地を対象としてはどうかという議論が出ているのが現況でございます。  また、期間につきましても、五年を一くくりとして、今、先生がおっしゃったような耕作放棄がこれ以上拡大をしない、耕作放棄を防止するということについての成果を五年ごとにチェックいたしまして、また新たなる目標を定めて次のステップに行く、そういう仕組みではどうだろうかということでございます。  お話し申し上げましたように、概算要求の時期までには具体的な骨格を決めたいと思っております。もちろん、それに伴ってもろもろの作業はあるわけでございますけれども、骨格は概算要求時までにぜひ仕上げたいと考えております。
  14. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 ぜひその作業を進めてもらいたいと思いますが、一つお願いしておきたいのは、ただ画一的に傾斜度とかというものを役所だけで決めても、地方の実態は自治体の首長もしくは農業団体は十分に理解していますので、そういう地方の意見、自治体の意見や団体の意見、生産者の意見も十分に聞いた中で、線引き等について不公平が出ないようにぜひお願いをしておきたいと思います。  最後に、農業生産のあり方についてお伺いをいたしておきます。  新基本法案の三十条第一項において、「国は、消費者の需要に即した農業生産を推進するため、農産物の価格が需給事情及び品質評価を適切に反映して形成されるよう、必要な施策を講ずるものとする。」とあります。  そこで、衆議院において、国民に対する食料の安定的な供給については国内の農業生産の増大を図ることを基本として行わなければならないというふうに修正されてこちらに送られてきておりますが、この趣旨を達成し効率的な農業生産を行うためには、それぞれの地域における農業生産の条件あるいは特性、実情に応じて、より望ましい産地の形成を行っていくべきだと私は思います。  それで、東北、北海道にできる特性のある農産物はそっちでつくる、あるいは西南暖地に向いたものは西南暖地でつくるという、国内におけるそういう産地ブロック別の一つの産物のメニューみたいなものをつくって示すことによって、その地域の農家の皆さん方が誇りを持って農業を営むことができるという一つの形をやっていくべきだと思いますが、具体的に当局の方ではどういうお考えを持ってそういうことをしていくのか、どういう形で事を進めようとされるのか、それに当たって最後に、大臣はそういう一つの産地ブロックのメニューをつくったりすることについてどういう御認識をお持ちになるのか、そのことをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  15. 樋口久俊

    ○政府委員(樋口久俊君) 先生からお話ございましたように、我が国は北から南までいろんな自然条件の異なる地域で産物が栽培されているわけでございまして、そういう条件に合ったものをつくる、これは大切なことだと思っているわけでございます。  例えば、今お話ございましたように、国内生産の増大を図るという代表的なものとして麦、大豆等が挙げられているわけでございますが、これらにつきましては、同じ麦、大豆といいましても用途が違っておりますし、それから地域によりまして作付体系も多様でございます。したがいまして、その生産を振興するということになりますと、重点を置くべき課題は地域によって異なってくるということでございます。したがいまして、例えばそういう用途別の需給状況が違うとか地域の特性の違いに十分に対応できるようなきめ細かな取り組みをする、これが大事なことではなかろうかと思っております。  そういうことでございますので、各都道府県では、そういう用途でございますとか気象条件あるいは作付体系等々を十分に踏まえて、生産努力目標が策定されるということが大切なことと考えております。例えば麦、大豆でございますと、実需者から普及組織、行政等と一体となって協議会をつくるとか、そういう産地ごとの体制を組むということで課題を明らかにして解決に向けて関係者が取り組んでいく、そういう目標、課題、それから対応方策、それぞれをつくるということではなかろうかと思っております。  例えば、ブロックでというお話がございましたので、ちょっと長くなりますが一つだけ事例を挙げますと、九州でございますと、気温が高うございますし、降水量が多いという特徴がございます。そういう特徴に合った栽培体系、防除体系、それから合った品種を入れていく、そういう具体的な目標を立てながらきめ細かな対応をしていく、こういうことが大事ではなかろうかと考えているところでございます。
  16. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 総論的に申し上げますならば、先生のおっしゃるとおりだろうと思います。  自給率を上げていかなければならない、国内生産をふやしていかなければならないということでございまして、そのために品目ごとの生産目標みたいなものをつくり、また必要な農地というものを決め、基本計画の中に示すわけでございますが、その場合にその地域の特性というものを生かすことが、やはり農家の経営にとっても、極めて大ざっぱな言い方になるかもしれませんが、また実需者、消費者にも喜ばれるということになって、お互いにプラスになるのではないかというふうに私は期待しております。それだけに、地域の特性を生かし、地域の実情を勘案した形での生産体制というものをつくっていくことによりまして、文字どおり主産地の形成というものも視野に入れながら、こういうことをやっていかなければならない。  その場合には、国がこうしろと言うだけではなくて、産地ごとの生産者、実需者あるいは組織、行政が一体となって取り組むことによって生産者の皆さんも文字どおり生きがいと誇りを持つということの中には、自分はこれをつくることによって実需者、消費者に喜んで買ってもらえるんだ、また消費者の方もいいものをつくってくれたという精神的な面の共生関係というものも生まれてくるのではないかと思いますので、先生の御指摘のような形でこれからの生産体制をつくっていきたいというふうに考えております。
  17. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 どうもありがとうございました。
  18. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司彰でございます。  既に、中央公聴会あるいは総理への質疑が終わっている段階でございますので、これまで積み残した課題あるいは再度確認をしていきたい課題、そのようなことを中心に質問していきたいと思っております。  まず、大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、十五日から五カ国農相会議がカナダで開かれる、そういうような日程になっておるわけでありますけれども、次期交渉の枠組みについての意見交換を主にしながら、現在の情勢等についても話を行うというふうに聞いております。  既に、次期交渉に臨む日本側の提案の骨子というものもいただいておるわけでありますが、この中には目的が三点ほど、さらには交渉の視点でありますとかそれぞれの細かい提案がなされておるわけでありますけれども、一読させていただきますと、前回の交渉のときに国内の世論が統一をされていなかった、そのことが大きな反省材料だということがあるわけでありますから、今回もこの時点でもう少し具体的な問題をきちんと示す中でカナダの方に行っていただけないかというような思いがございます。  例えば、先ほども関税率の引き下げは行わないというふうな話がございましたけれども、あるいはまたミニマムアクセス米を日本としては当然ルールにのっとった形に改めたということでありますから、廃止をしてはどうか。あるいは、今後新たな検討課題として遺伝子組みかえ、GMOの検討あるいは取り組みが必要ということで出ておりますけれども、この辺のところについても、既に御存じのように、EUは理事会でもって新しい規制ができるまでについては凍結というようなことも決めたそうでありますけれども、日本としてのはっきりした態度が打ち出されていない思いがございまして、そのようなものをきちんとすることによってこそ国内の支持、世論の統一というものができ上がっていくのではないか、そのように考えておりますが、どういうお考えでしょうか。
  19. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 先生御指摘のように、日本の提案という形で三つの大きな柱を我が国としては提案したわけでございます。これはあくまでも骨子そして提案ということで、このペーパーだけをもって次期交渉に臨むということでは決してないわけでございます。  今、我々がやるべき最大のことは、この基本法と同じように次期交渉に向かって、どうやって生産者あるいは国会はもとより国民全体の皆さんと共通の認識でもって次期交渉に臨んでいくか。御指摘がありましたように、六年前の最終段階のときには、私は党の農林部会長をやっておりましたけれども、生産者と消費者あるいは一部学者の方との考えの違い、あるいはマスコミの報道ぶり等々、何か国内の整理に非常に手間がかかったというか、手間がかかってそのまま結果が出てしまったみたいな印象すら持っていたわけでございます。  そういう意味で、私自身、政府内において、農林水産省だけではなく、総理のもとで各省とも常に連絡をとりながら、例えばこの前の閣僚会合では通産大臣が御出席になりましたけれども、農林省、政府の立場というものをしっかりと発言していただいたところでございますし、外務省にしてもしかりでございます。それを国民的レベルで本当に消費者の方々にも、我々の主張していることの結果としての理解ではなくて、なぜそういう主張をするのかというところまで含めて御理解をいただく努力を今後一層やっていかなければならないというふうに考えております。  そういう意味で、この基本法と次期交渉に向かう我が国のスタンスというもの、この二つが混然一体となって国民に御理解いただくための作業を政府を挙げてやっていかなければならないというふうに考えております。  具体的には、この三つの柱のほかに、発展途上国の扱いをどうするかとか、あるいは先生御指摘になりましたようにGMOの扱いをどうするかとか、追加的に我が国が考え方を既にサミットで公式に提案しているものもございます。そういう意味で、国民的な対話あるいは御意見をいただき、一つの方向性を出していく。  と同時に、今の段階でもう一つ必要なことは、我が国の立場を理解してくれる国々に対する一層の連携といいましょうかパートナーシップといいましょうか、例えばお隣の韓国あるいはEUあるいはノルウェーといった国々は、全部とは言いませんけれども、この部分については日本の考えと同じであるというような国々もございますので、そういう同じ考えを持った国々との連携というものも今回は非常に大事ではないかということでございます。  具体的に、何をどのぐらい上げるか下げるかとか、これについてはどうするんだとか、個別のことにつきましてはまさにこれから、来年からの本交渉までに皆さんの国民的な御意見を踏まえて交渉に臨む、時間はまだ多少残っていると思いますけれども、今大枠において国民並びに世界的な理解をいただくことが当面の最大のポイントではないかというふうに認識をして、当委員会でも先生を初めいろいろな先生方から御意見、御指摘をいただき、大いにそれを参考にさせていただきながらその作業を進め、当面は五カ国農相会議で、完全な輸出国が多数を占めている会議でございますので、そこの場で我が国の主張をできるだけ強く、理解をしてくれればいいんですけれども、とにかく強く主張してまいりたいと思っております。
  20. 郡司彰

    ○郡司彰君 外務省の方、いらっしゃっていますか。  WTOの交渉にこれから入っていくということになるわけでありますけれども、日本の場合には包括交渉あるいは一括受諾方式というようなことをEUともどもの形でもって今主張されているということを聞いておりますけれども、この包括的交渉あるいは一括受諾方式というものが日本にとってどういう点でメリットといいますか益があるんだということをちょっとお聞きしたいのであります。特に、私どものこの委員会の関係からいきますと、農業の分野でその方式をとるということがどのようなメリットがあるということになるのか、その辺についてお話しいただきたいと思います。
  21. 近藤誠一

    ○説明員(近藤誠一君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、我が国は明年、二〇〇〇年から開始されますWTOの次期交渉、この交渉は農業、サービスといったいわゆる合意済み課題のみならず、鉱工業品の関税の交渉あるいは投資ルールの策定といったものを含む包括的な交渉とすべきであるということ、あるいはもう一点、一括受諾方式で行うべきであるというふうに考えて、そういった立場を各国に表明しております。これはグローバル化が進む中で、やはり特定の分野のみを扱うのではなく、全体として進めることが国益を実現する上で有効であるという観点からの立場でございます。  今後、具体的にどういった交渉の進め方になるかにつきましては、現在、WTOにおける次期交渉の準備のプロセスの中で議論をしております。我が国といたしましては、次の交渉が日本の国益にとって十分実りのある交渉になるようにという観点から各国と調整を図っているわけでございます。  御指摘の農業につきましても、我が国の農業の実情あるいは輸出入国の貿易関連措置の状況といったものを踏まえまして、こういった交渉の中で特に農業の多面的機能の発揮あるいは食料安全保障の確保といった、農産物純輸入国としての立場、我が国の考えというものが十分反映されたものになるよう、そういう内容の合意が得られるように最大限努力をしてまいりたいと存じております。
  22. 郡司彰

    ○郡司彰君 現在までに農業分野あるいはサービスということでお聞きをしておりますが、それ以外に今現在決まっているところの分野はございますか。
  23. 近藤誠一

    ○説明員(近藤誠一君) 現在、まだ何を取り上げるか何を取り上げないかについての準備の交渉の途中でございまして、この十一月から十二月に行われますシアトルでの閣僚会議において最終的に決定をするという状態でございます。
  24. 郡司彰

    ○郡司彰君 このサービスの分野も、内容を詳しく存じているわけではありませんけれども、日本にとって相当厳しい交渉になるような話を聞いております。  例えば、病院、介護の関係でありますとか、弁護士、会計士の問題も含めまして、日本としてはかなり守勢に回らざるを得ないような分野の中身があるというふうに聞いておりますが、私どもの方で心配をしておりますのは、この交渉を行う際に、どうしても農業カードがややもすると譲歩のカードのように使われてしまっては困るというようなつもりがあるわけでございまして、外務省としてそのようなことはあり得ないということを断言いただけますでしょうか。
  25. 近藤誠一

    ○説明員(近藤誠一君) 次期の交渉におきましては、先ほど申し上げたとおり、日本として農業の多面的機能の発揮あるいは食料安全保障の確保ということを前面に立てて純輸入国の立場といったものを十分に主張していきたい、そういったことで実りのある交渉が実現するように最大限の外交努力をしてまいりたいと存じております。
  26. 郡司彰

    ○郡司彰君 改めて大臣の方にお尋ねをしたいと思います。  先ほど、大臣の方からもマスコミのというようなこともちょっと話がありました。冒頭、私がお願いをしましたけれども、もう少し具体的なものをわかりやすい形でもって国内にこういう交渉で農業は臨んでいるんですよということをできるだけ速やかに出していただきたい。そして、前回の中身を見ますと、どうもマスコミが日本の農業というもの、あるいは世界の中で農業というものが持っている大きな意味づけとか位置づけを場合によっては逸脱するような形での報道というのがなされてきたなと、そのように自分自身は感じているわけでありますけれども、そのようなことがないようにぜひともお願いをしたい。  そして、今回の中で、先ほど申し上げましたが、私からするとやっぱり関税率の引き下げは行わない、あるいはミニマムアクセスについては廃止をきちんとやっていく、そういうような形での成果が上がるようにお願いをしたいと思いますけれども、改めまして決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  27. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) まさに、マスコミを通じて国民の皆さんは知る機会が一番多いわけでございますので、そういう意味で、前回はとにかく結果的には日本だけが米を中心にして頑張っちゃったということに対しての批判の論調が強かったような印象を私は持っておりますが、今回はとにかくマスコミの方々にもできるだけきちっと御説明をして、我が国の立場、例えば先ほど申し上げた、先生も御指摘ありましたGMOの問題、具体的にどういう提案をするかについては詳細は決まっておりません。  前回ここで申し上げたことは、GMO食品についてはとにかく安全性ということと輸入国の立場ということが二つの柱になるのではないかというふうに申し上げましたし、どういう形で消費者に非常に関心の深いこの問題を交渉の中に取り上げていくか。あるいはまた、何か日本だけが高関税の障壁を立てているかのように思われている国民の方も多いと思いますが、何百%あるいは一〇〇〇%と言われるような関税で農産物を保護している国々もほかにもあるとか、あるいはまた輸出国と輸入国の権利義務バランスがとれていないということ等々、やはり少なくとも貿易というのは売る人、買う人、同じ立場で、片一方だけが義務を負って、片一方はいつでも自由にいろんな措置がとれるというようなことはいかがなものかということは、多分丁寧に説明をすれば国民の皆さんにも御理解いただけるのではないかというふうにも思っております。  そういうことを初めとして、これはあくまでも国民の食生活を安定的に守る、そのためには国内生産を基本とし、自給率を上げていかなければなりませんよ、世界の国々の自給率に比べて日本がこれだけ低く、しかも低下傾向にあるということもいかがなものかというようなことも含めまして、できるだけマスコミを通じて国民の皆さんにわかっていただけるように、マスコミの皆さんにも御理解をいただく努力をする必要があると考えております。
  28. 郡司彰

    ○郡司彰君 次に、提案骨子の中にも、日本側のこれまでの主張でありましたけれども、農業の多面的機能というようなことがございまして、これが交渉のときの言葉ということだけではなくして、政策あるいは施策の中に十分に反映されるような合意形成なり認識の統一というものが当然必要になってくるだろうと思っております。  そういう意味で、前回六月八日のときに答弁をいただきました関係で改めまして質問をさせていただきますが、官房長の方で、第四条に関しまして答弁をいただきました。  その部分だけ申し上げますと、農業によって生育される作物をめぐる生態系というようなことで、守られておりますという答弁があったわけでありますけれども、どうもこの答弁が、私自身が三月二十四日に本会議の中で質問をいたしましたときに中川大臣からいただいた答弁よりも若干後退をしているような印象がございまして、非常に限定をされた生態系というような意味にどうしてもとれてしまうという嫌いがあります。  改めてお伺いをしたいと思いますけれども、この自然循環機能の維持増進、この中には当然のこととして生物多様性の保全ということも含まれると理解してよろしゅうございましょうか。
  29. 高木賢

    ○政府委員(高木賢君) 若干舌足らずの点がありましたので、さらにお答えをしたいと思います。  自然循環機能の維持増進は、六月八日にお答え申し上げましたように、環境保全型農業のほかに、いわゆる家畜排せつ物などのリサイクルによる有効利用を含めまして、環境との調和を目指す農業のあり方を幅広く規定したものでございます。したがいまして、その地域一帯の生態系の保全に資するものとして農業が行われていくべきである、こういう考え方がございます。  ただ、あと一つ足りなかった点は、自然循環機能の維持増進だけを申し上げた点でございまして、実は三条の「多面的機能の発揮」というところに「自然環境の保全」ということが入っております。これは先生、六月八日にもお触れをいただきましたが、生物多様性条約に基づきまして平成七年に策定されました生物多様性国家戦略におきましては、農業の位置づけをはっきりさせております。  それはどういうことかといいますと、二千数百年の水田農業を基幹として、山地森林と共生した持続的生産システムというふうに位置づけた上で、環境保全能力の維持とか生物の生息・生育地としての自然環境の量的な確保といった取り組みを実施するということになっております。したがいまして、農業は多様な生物に対する生息地の提供機能を持っているというふうに政府として整理してございます。  したがいまして、この自然環境の保全の中には、昆虫あるいは両生類、こういった生物の生息地が確保されることを包含しているというか、意味しているものでございまして、したがいまして生物多様性の保全もこの自然環境の保全の中に含まれるものというふうに整理をいたしております。
  30. 郡司彰

    ○郡司彰君 先ほどの提案骨子を見させていただきますと、一つ目の「農業の多面的機能」の(1)のところに「農業は、」云々とありまして、最終的に、「すなわち多面的機能を果たしている。」というような文言で締められているわけであります。  前段、基本法に先立ちまして、環境三法と言われる法案審議を行いましたけれども、これまでの化学肥料の多用により生産を上げていこう、あるいは結果としてこれまでの日本の土壌、地力が落ちてきたことに対する反省から、これからの新しい農業のあり方をつくっていこうということで法律ができ上がったわけであります。  そういうこともかんがみまして、すなわち多面的機能を果たしているというような状態に今なっているのかというと、果たすことができるということについては異論がないわけでありますけれども、果たしているかということになれば若干疑問を感ずるわけであります。字句の問題でどうこうということで恐縮だとは思いますが、お考えをお聞かせいただけますか。
  31. 高木賢

    ○政府委員(高木賢君) これこそまさに提案理由説明などでもるる申し上げたように、なかなかそれが十分でないという認識を持っております。  したがいまして、まさに中山間地域等条件不利地域は、条件不利であると同時に、公益的機能、多面的機能を果たすべきところですけれども、それが十分果たされていない、あるいはこれからは果たされなくなるおそれがあるということで、新たにいわゆる直接支払いの制度もそういった動機から検討しようということでございます。  そういう意味合いで、一つ一つ言うとあれですけれども、多面的機能について十全に必ずしも発揮されていないという認識から、やはりこれはきちんと基本法に位置づけて発揮させるということを政策目標に基本理念として掲げる、そして実効ある措置をとっていくというふうに今考えている次第でございます。
  32. 郡司彰

    郡司彰君 ほとんど認識として近くなってまいりましたので、できますれば果たしているということではなくて、果たすことができるというふうにしていただく方がより適切ではないかなというふうに考えております。  それから、同じ八日のときに、構造改善局長の方からも、二十四条の関係で改めて考え方を示していただきました。ミティゲーションの五原則の一番目、回避ということ、事業を行わないということが含まれるというような答弁がございまして、これまでからするとかなり前向きといいますか、評価できるなという感じが私どもしております。  そういうことで、これも官房長と同じようなことでございますけれども、生物多様性の保全にも前向きに取り組むという理解でよろしゅうございましょうか。
  33. 渡辺好明

    政府委員(渡辺好明君) そういうことで結構だと思います。  具体的に申しますと、ミティゲーションの中には修正といいますか修復といいますか、そういうことも含まれるわけでございまして、例えば三面張りの用水路を底のところは土に変える、あるいは生物が生息しやすい、営巣しやすいような条件をつくってやるというふうなことも入りますので、影響を受けそうなとき、あるいは影響を受けたとき、これを修正することも含まれるわけでございます。
  34. 郡司彰

    郡司彰君 ミティゲーションの三番の修正についても説明をいただきまして、いずれにしましてもこの修正というものが、場合によっては改善事業を行う工事用の資材等を置いたものをまたもとに戻すということの意味だけで理解をされているということになると、非常に狭まってしまうのかなということも考えております。  さらに、局長の方にお尋ねをしたいと思いますけれども、今ほかの国も日本の中においてもビオトープという考え方が大分浸透してきていると思うんですけれども、これらの関係で構造改善事業、これまで用水路、排水路の事業等を行ってきた考えに基づいて、保存をしていく地域、あるいはそういう状態にもう一度復元をしていこう、このような事業を行っていくということがこれからの公共事業のあり方にとっても望ましいのではないかと思っておりますが、いかがでございましょうか。
  35. 渡辺好明

    政府委員(渡辺好明君) 私どももそのように思います。  特に、今年度から始まりました田園空間の整備事業というのは、農村地域全体をそういうふうに人にも文化にもそれから生物にも住みやすい状態にするということでございますので、今おっしゃられたようなビオトープの創造というふうなことは、農業農村整備事業のみならず、ほかの事業も通じましてそうした考え方で事業を実施したいと考えております。
  36. 郡司彰

    郡司彰君 次に、経営安定の関係についてお尋ねをしたいと思っております。  これから、基本的には価格の形成、需給という市場原理を活用する中で、生産者は情報を的確につかんで行っていくというようなことが言われてきたわけであります。どこの国もおおよそのところ、農業分野をできるだけ早い時期に社会全体の経済の発展に適用させようというようなことが見られるわけであります。しかしながら、ドイツ等についてもそうでありますけれども、この農業分野の構造というものそのものに原因がある、持続的な農業生産を維持するためには、それらの経営に対する一定の国の保護措置というものがあってしかるべきだという考え方がありまして、私どももそういうふうに考えているわけであります。  そういうような考え方に立った中でこの経営安定を考えていきたいというふうに思いますけれども、一つには十年から導入をされました稲経の関係がございまして、例えばこの規模が大きくなればなるほどマイナス部分、損害部分がかさむというような傾向がございます。このようなことを心配しておる農家の方が多いわけでありますけれども、農水省にはそのような声というものは届いておりますでしょうか。
  37. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 御指摘のように、この稲作経営安定対策は十年度から始めたものでございますので、農家の方々の農業経営の実情、それから農家の御意向というものを踏まえながらこれを運用していくことが肝要だというふうに思っております。  そういう意味で、この稲作経営安定対策につきましては、昨年の五月と、それから昨年の十月ないしことしの二月にかけまして二回、かなり大規模な形で農家の方々の意向を承っております。さらに、現在、第三回目の意向調査もしておりまして、ことしの七月にまとまると思います。  そういった過去の二回の調査によりますと、今おっしゃいましたように、規模の大きい農家の方ほどこの経営安定対策に対する期待は大きいということと同時に、例えば拠出率を少し上げてでも補てん率を少し高くしてもらいたいといった形で、経営規模の拡大の意欲のある農家あるいは経営規模の大きい農家ほどそういう傾向を示されているというところもございます。そういう意味では、三回行っております意向調査も踏まえまして、より稲作農業の実態に合った形にこの経営安定対策を改善すべくこれから努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  38. 郡司彰

    郡司彰君 要約すれば、いろんな要素を加味して決めてくれというようなことになるんだろうと思いますけれども、これから十分に検討しますということになりますと、せっかく基本法が決まる、その中で新しい形をみずからも見出そうとしている方々にとってまだまだ心もとないという感じがいたしますが、いつごろの時期までに、つまり米穀年度でいいますと、どの年度からどのような形で検討されているか、お聞かせいただけますか。
  39. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) ことしがとにかく第一年度でございましたので、六月末に第一回目の交付を終了すべく今やっておるわけでございます。そういった実施状況、それから十年産の自主流通米価格の回復の状況、それから今申し上げましたような三回にわたります稲作経営につきましての農家の意向調査を踏まえて、私どもとしては改善方につきましては検討したいと思っております。  全体的には、ことしの秋に全体の十一年産以降の生産調整をどうしていくのか、それからまた水田におきます基本法の考え方に沿いました麦、大豆、飼料作物等々の自給率の低い作物の生産振興をどうしていくのか、そういった考え方を十月末ないし一部十一月に入るかもしれませんけれども、取りまとめたいと考えております。その中の一環として、この稲作経営安定対策につきましても検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  40. 郡司彰

    郡司彰君 さらに、所得を確保していくということが肝要になってくるかと思っておりますけれども、兼業の農家については、農外収入も含めて七百万を超えているのではないかというような数字が出されております。  一方、大型といいますか、専業で取り組んでいらっしゃるところの実態というものは相当厳しいという話がこれまでにも何回も出されました。特に、大臣のいらっしゃいます北海道がそういう方が非常に多いということでありまして、そちらの関係の資料等もいただいて見せていただきました。  ここにありますのは、空知地区六市町、あるいは上川地区二市、あるいは道南地区二町の関係でございまして、その中でも、特に農業経営規模を水稲、稲作の関係で拡大をしてきた農家の経営の実態の表がございます。全体でいきますと、十八・二ヘクタールの面積で粗収入から直接経費を差し引いた金額が四百三十七万、それに対しまして年間の償還額が三百七十一万、差し引きますと六十五万九千円ぐらいの実収入になっている。これは全体三地区の統計でございまして、ひどいところ、ひどいという言い方はちょっと恐縮なんでありますけれども、例えば上川地区などは、差し引き所得が四百四十五万に対しまして借入償還が年間で五百四十五万、マイナス百万の年間の赤字になっている。しかも、全体三地区を見ましても、借入償還の残金が三千万をちょうど超えるぐらいの金額になっている、こういう実態があるわけであります。  そしてさらに、生産調整そのものについての時間をきょうとることができませんけれども、今回、基本法の中でも当然うたい込まれておりましたし、麦や大豆ということに、転作をきちんとやっていく必要があるのではないかというような話がされてまいりました。  この償還の関係からいいますと、資産価値が完全に畑の方に、大豆や麦の方に移行するということになりますと、水田から畑作の方に変わる。資産価値も相当低下をするのではないかというふうな心配をしておりまして、この償還そのものが利子の補給、そういったものだけではもう間に合わないというようなことが出ております。  本当にこれからの農政のあり方がどうなるかによっては、みずからが農業をやめるかどうかの選択をしなければいけないというような大変厳しい検討をいただいておりますけれども、その辺の関係につきまして、一つは所得を安定させるために全体として何が必要とされて、どういうことが行われようとしているのか。それから、大豆、麦に転作を行うということに関して、それからまた生ずるでありましょうこれまでの償還金に対する考え方等をお聞かせいただければと思います。
  41. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 今、北海道の、特に稲作経営につきましての厳しい現状を例に挙げながらの先生のお話でございました。まさに、北海道の大規模な専業的な稲作農家が非常に厳しいという認識は私も持っておるわけでございます。  これはまさに基本法三十条の需給によって価格が下がる、それによって大変厳しい状況になる。したがって、三十条の二項が、法律としてはでき上がっておりませんけれども、既に稲作経営安定対策ということで二%の積み立てと、国費で六%ということの補助でもって基金を個別ごとに積みまして、そして必要な金額を支払うということがまさに機能しているのではないかというふうに私は考えております。  それからもう一点、大規模経営ですから当然、負債も多いということで、この負債対策。これも北海道では稲作に限らず一つの大きな問題でございますけれども、今、利子補給だけではだめだというお話がございましたけれども、低利の利子補給あるいは平準化対策等でそれなりの効果が上がっているというふうに認識をしております。まさに需給変動、需給変動ということは逆に高くなることもあるわけでございますので、現在は非常に低くなって厳しい経営という状況でございますが、まさにそのときに経営対策なり負債軽減対策というもの等々のいろいろな政策を通じて、農家経営として持続的にやっていけるということを何としても守っていかなければならないというふうに考えております。
  42. 渡辺好明

    ○政府委員(渡辺好明君) 土地改良の償還金について御指摘がございました。実態は先生が話されたようなことであろうと思いますけれども、農家の土地改良に係る負担というのは償還金だけではございません。もちろん、もろもろの負担をしております。水利費等も含めますと半分ぐらいが北海道でいえば土地改良の償還金であるかなと思いますし、農家負債全体で見ますと、土地改良の償還に係る部分というのは多分一〇%から一五%ぐらいだろうと思います。  したがって、私たちはこれから何をすべきかということについていえば、農家経営全体あるいは農業経営全体における農家の負担をどう軽減していくかということなんだろうと思います。例えば、土地改良施設等に係る負担を公的支援してできるだけそれを減らしていくとか、今後の土地改良をするときに、コストが低い、あるいは整備水準を地域の実情に応じたものにする、補助率を上げるということもありましょうし、もろもろそういったことで全体として農家負担をどう減らしていくかということだろうと思います。  もちろん、これまでの償還金対策につきましては相当なことをやっておりまして、ピーク時でいえば約四割軽減をされておりますし、全体の償還額では一五%ぐらい軽減されておりますので、こういった対策は今後とも実施をしていきたいと考えております。
  43. 郡司彰

    ○郡司彰君 今、局長からありましたように、確かにこれは水稲でやろう、規模を拡大しようということでありますから、農地を取得した際の償還というものがかなりの部分を占めていることも事実であります。  先ほど申し上げましたように、稲作をやろうということで農地を拡大してきたけれども、今度は場合によっては麦だというふうなことになると、資産価値そのものが相当違ってくる可能性もありますので、その辺のところの対応についてももう一度頭の中に置いていただきたいということと、それから九六年のアメリカの農業法も九八年のフランスの農業法もそうでありますけれども、中山間地ということに限らずに平地の、あるいは大規模なところに対する所得補償ということも、別な意味で改めて申し上げておきたいと思っております。  時間がありません。最後になりましたけれども、中山間地の直接支払いの中間取りまとめの中での単価といいますか、中山間地域と平地地域の生産条件の格差の範囲内、そういうようなことがございましたけれども、この格差というのは厳密な意味で生産費用というふうなことに限定をされるのか、生産条件ということも含めての格差なのか、あるいは畑作あるいは採草放牧地、これはどういうような評価になるのか、結果として水田に限定をされるというふうなことになってしまうのではないかという危惧がございますけれども、そこのところについて答弁をいただいて、質問を終わります。
  44. 渡辺好明

    ○政府委員(渡辺好明君) 中山間地域等に対する直接支払いの検討に当たって、その単価の問題は、私どもはWTO農業協定の枠組みを活用していきたいと考えておりますので、この協定における規定ぶりでは、「支払の額は、所定の地域において農業生産を行うことに伴う追加の費用又は収入の喪失に限定される。」というふうに書いてあります。したがって、一番端的な例で言えば、生産費の総平均と総平均の差額の範囲内ということになろうと思います。  ただ、その場合、水田だけで全国を律するのかということになりますと、水田、畑、草地ということになっておりますので、水田は水田、畑は畑、草地は草地で比較するのが適当ではないかというのが現在の検討会での議論の状況でございます。
  45. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間ですけれども、いよいよもう総括質疑ということで、今まで議論してきたさまざまなことについて少し整理をしながら伺いたいと思います。  その前に、通告しておりませんでしたけれども、けさの新聞に、さまざまな出版に絡んで二億八千九百万円の印税を各省庁がいただいていらっしゃる、税金逃れのためという見出しもあったわけでありますけれども、それは見出しでございます。私が言っている話ではございません。農水省は、莫大な予算をつぎ込んでいる割には五百三十万ぐらいですから少ないなと思いましたけれども、このことの報道に関して大臣の認識と、これからどうするのか。
  46. 高木賢

    ○政府委員(高木賢君) まず、私から事実関係を申し上げます。  今、先生も言葉については厳密に言われたと思いますけれども、印税ということではなくて、いわば校正料、監修料ということで、実質やっていることは校正でございます。ですから、一回やった労賃としてもらっているわけで、部数がふえていくとまたもらっていく、こういう性質のものではございません。そういうことで、報道にあったようなことで、校正料として金をもらっている職員がいると。ただ、これは当然のことですけれども、勤務時間外でその職員個人としてやっている、こういうことでございます。    〔委員長退席、理事岩永浩美君着席〕  ただ、やはりそうはいっても誤解を招くことにもなりかねませんので、そういったことはこれからやめるようにということで省内で申し合わせているところでございます。
  47. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) きょうの記事の前に、いわゆる六法でまず我が省を初めとして各省が出まして、その時点ですぐに事務次官から省内に対して、そういう対価を伴わない、本当にどこまで監修したのかわからない、疑惑を生じかねないようなものについては、もう一切そういうものは受け取らないということで、省内では周知徹底をさせております。
  48. 風間昶

    ○風間昶君 それでは本題に入ります。  消費者の嗜好というか、例えば野菜にしても真っすぐで、形、色もいいものをという嗜好が行き過ぎて、結果的に環境に悪影響を与えるような状況で栽培せざるを得ないというのも実態であります。そういう場合、消費者の嗜好に反しても環境を守るべき施策を、この新農業基本法でもきちっと、「環境の保全」あるいは「環境との調和に配慮し」ということを第三条、第二十四条で、多面的機能の中でおっしゃっております。  世論調査のいろいろな結果を見ても、有機農産物に対する関心は極めて今高くなってきている。オーガニックという用語についても相当いろいろなことで浸透しておるわけであります。現状では、付加価値といっても、さっきも言いましたように、色、つや、形とか、ある意味では消費者の方々が買うことの基準をそこに求めているというふうになっているし、そのためのポストハーベストの問題も課題が大きく改善したとは私は思っていないんですが、以前ほど余り取り上げられなくなった。要は、生産者と消費者の間の志向性のギャップが大きいのも、私は我が国農業の問題点が端的にあらわれているのではないかというふうに思うんです。  これは私が直接聞いた話じゃないですが、ことしの三月十六日の第十二回の基本問題調査会の席上で、ある委員の方が発言されています。桃の品質をよくするために光を反射させて使うシルバーマルチというものを農家で使うんですけれども、雨の日なんか歩く場合はそれが泥だらけになるわけです。そうすると、それが反射効率が悪くなるので洗うわけですね、河川の近くで。そうすると、細かいビニールなんかが河川へ流れていくんです。心を痛めながらそういうことをしているんです。いつか使わない方向で検討してきたんですけれども、消費者は色の悪い桃は絶対買ってくれないし、またそれを使わなければならない方向へ行ったんですね。いろいろ農家もそれを使わない方向に検討するんですが、農協の指導もあったりして、値段が全然、それこそ天と地の差で価格が伸びないということで、まだそれを使っているんです。それらが年間物すごい量で、一年目はいいんですけれども、二年、三年というと、それがもう使えなくなって農地の端っこに置くんですけれども、去年、農協でそれを回収して随分畑の周りもきれいになったんですが、その後どうなっているのかなという、そういう細かい方向へ、自然循環の農業といえばそういう方の指導もやっていただいたらいいなと思ったものですからお願いしますと、こういうふうにおっしゃっている。これは文章で、私は直接聞いているわけではないんです。  こういうことは、要するに付加価値として奨励するにはかなり抵抗があるわけでありまして、消費者の嗜好が環境に悪い影響を与えるという例でありますけれども、こういう事例はやっぱり一方ではきちっと規制することで問題解消につながっていく話だと思いますから、その点について一言お願いしたい。もう一つは、後処理の問題について農水省としてどういう指導をしていくのかということをお伺いしたい。
  49. 樋口久俊

    ○政府委員(樋口久俊君) 私の方からお答え申し上げます。  今、シルバーマルチというものを例にとられてお話をなさったと思いますが、これについて、使用の仕方をちょっと御説明しておきますと、このシルバーマルチと言われるものはポリオレフィンフィルムというポリエチレンの一種でございますが、これにアルミニウムをコーティングしたものでございます。これは片方では果物の色がつくとか、それからもう一つは農薬を使用しないでも害虫が近づかない、あるいは雑草が生えないという効果がございまして、結果的に品質が向上する、あるいは付加価値を高めるということで、お話がございましたように、果樹とか野菜あるいはたばこで使われているものでございます。  これはプラスチックとアルミニウムが複合しております資材でございますから再生利用するには不向きでございます。したがって、処理に当たっては埋め立てとか燃料としての利用といった限られた方法でしか対応できないという面がございますが、さっき冒頭でお話をしましたように、農薬を使用しないで環境保全に有益という面もあるわけでございます。  つまり、環境保全という面から利用ができるという一方で、処理を間違えますと環境に負荷をかけるということになるわけでございます。それが導入されるにはそれなりの理由がありまして、その役割が十分に果たせるということを片方で気を配る、と同時に環境保全のためには適正な処理がされないといけない、そういう両方の性格といいますか、そういうものでございます。  したがいまして、大事なことは、今お話がございましたように、使った後の処理をどうするか、そこを間違えますと、せっかくこういう効果があるものであっても目的が達成されないというわけでございまして、今はその処理のための推進体制を各地域で整備していただく、各地域にこの処理のための適正処理推進協議会というものを設けていただきまして、きちんと法令の規定に従った処理をやってもらうということを私どもは推進しているわけでございます。  したがいまして、こういうルールにのっとったといいますか、やらないといけないことをきちんと守っていただければそれなりの効果がございますし、農薬を使用しないで環境に負荷をそれだけ減らすということになるわけでございますので、そういう処理に意を用いるということが大事なことだということで今指導しているところでございます。
  50. 風間昶

    ○風間昶君 同様の指摘は、この基本問題調査会でもミカンのつや出しのためのワックスがけについても出されておるわけであります。随分と前から、本当に無農薬で野菜を栽培すればキュウリというのはそんな真っすぐになるものでない、トマトの虫食いもいっぱい出るんだというのも事実としてあるわけです。それを消費者の嗜好に合わせて、少しでも高く、そして少しでも多く売るために余分な農薬散布があったことも前々から指摘されていたことで、これも事実だと私は思います。  そういう食料の安全性だとか付加価値の問題を農水省は横に置きっ放しだというふうに私は言うつもりはありませんが、この新農業基本法で食品の安全性とか、あるいは消費者に対する啓蒙というか、消費者に対する訴えをきちっと条文に盛り込んでいるわけです。そういうことからすると、単に食料自給率の目標を設定しても、こっちの問題をなおざりにしては、食料自給率の目標は目標であって、それは国民の生活と健康を本当に国として保障していくという根本的な目的から遊離してしまう可能性があるわけですから、そこを遊離しないようにということでこの新農業基本法の一つの位置づけもあるんだと私は思うわけです。  そういう意味で、再度、食品の安全性の観点から、農水省だけじゃなくて政府全体でどう消費者に対して訴えをしていくのかということを、前のミカンのワックスとかシルバーマルチの話じゃなくて、消費者に対してどうしていこうとされるのか、お伺いしたいと思います。
  51. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 今、先生から、環境といわゆる持続的といいましょうか、自然と調和した農業との関係、あるいは消費者ニーズと生産との関係という非常にこれは難しい問題になりがちだと思いますけれども、結論的に申し上げますならば、この基本法の趣旨というのは、これは両立させなければいけない。両立させなければいけないということは、つまり良質な農産物を供給しなければいけないというのがまず二条にあるわけでございます。十六条でその品質のことが書いてあるわけでございます。さらには、二十五条で、国は、国民が農業に対する理解と関心を深めるよう、農業に関する教育の振興等必要な施策を講じなければならない、この場合の国は農林水産省が先頭になるかもしれませんけれども、御指摘のように政府全体の一つの仕事だろうと思っております。    〔理事岩永浩美君退席、委員長着席〕  具体的に、光っている、つやのいい、曲がっていない、虫の食っていない野菜を消費者が求めるというニーズが現在もあるとは思いますけれども、しかし本物のトマトとはどういうものか、あるいは本物のトマトの味というものは、私も時々地元へ帰って露地のトマトをかじってみて、ああやっぱり全然違うなという体験をして改めて感動することがございます。やはり、環境なり農薬等の問題というのは、我々としては、もちろん生産者は消費者の求めるものをつくりたい、またつくる義務がないわけではないと思いますけれども、この基本法の求めるものは、良質なものを生産者が供給するという前提にはやはり消費者がそれを求めなければいけないということだろうと思います。  そのためには、やはり啓蒙なり情報の提供なりということで、まず農林省としては、消費者の部屋とか子供相談室とか、あるいは地方のいろいろなところでの啓蒙活動、さらには政府広報等々を通じまして、やはり本物とはどういうものなのか、あるいはまたそういう自然に負荷を与える、環境に影響を与える食品が果たして将来にわたっていいんでしょうかというようなことを含めてやっていく必要があると思います。現実にはなかなかこれはいろんな意味で難しい問題が予想されますけれども、やはりそこは国民の理解、国民あっての生産者であり、消費者あっての良質な農業生産物でございます。  野菜に関して言いますと、昭和四十年はたしかほぼ一〇〇%自給しておりました。現在の九〇%を切った状況というものも、やはり海外から珍しいもの、新しいもの、あるいは見た目の一見いいものが入ってきておりますけれども、やはり顔が見えて、生産工程もはっきりわかって、そして安心して食べられる、良質というのはおいしいと同時に安心して食べられるということが必要条件だと思います。  私としては、この法案の趣旨としては、環境にも優しい、もちろん体にもよいものが安定的に供給されるということが消費者、生産者双方にとって、中長期的な食料の国内生産を基本とした安定供給、そして自給率の向上につながっていくものだというふうに理解をしておりますので、政府全体として国民的な御理解、特にお子さん方に対しての普及という意味でいえば、文部省ともよく連携をとりながら、体験をしていただくことも含めて、お子さんに対する啓蒙というものも重要な施策の一つとしてやっておるところでございます。
  52. 小野昭雄

    ○政府委員(小野昭雄君) 食品の安全性につきましては厚生省も所管している部分がございますので、簡単に御説明を申し上げます。  先生御存じのように、食品衛生法という法律がございますが、それに基づきまして、食品の添加物あるいは残留農薬の規格基準、あるいは表示の基準でありますとか製造加工工程、あるいは営業施設の基準等の設定を行って安全確保に努めているところでございます。一方、食中毒などの危害の防止というのも非常に重要でございまして、今、先生御指摘のように、消費者の皆さんに正しく理解をしていただくということは極めて重要なことと認識をいたしております。  そういった観点から、厚生省のホームページに必要な情報を提供するとか、あるいは食中毒の予防につきまして都道府県の保健所等を通じまして知識の普及を図りますとか、あるいは社団法人日本食品衛生協会によります情報提供、あるいは相談窓口の設置といったことを行っております。例えば、食品衛生協会の相談窓口ですと年間約二千四百件程度の相談事例があるようでございますが、そういったもの等をいろんな手段を通じまして消費者の皆さんに正しい知識の普及を図るということに努めているところでございまして、さらにその努力を強めてまいりたいと考えております。
  53. 風間昶

    ○風間昶君 厚生省さん、わざわざ来ていただきましてありがとうございました。  今の大臣からの御答弁で、子供を中心というか軸に据えた普及啓蒙ということ、これは大事な話だと思います。  それで、ちょっとこれも通告外で大変恐縮なんですが、今、私が注目しているものにペットフードの問題がございます。通告していないから、ごめんなさい、聞いていてください。  日本で七十二万トンから七十三万トンぐらいのペットフードが出回っているんです。海外からの輸入物の方が多いんです、三十八万トンぐらいで。三十四万ちょっとが国内産なんです。ほとんど輸入物はアメリカそれからオーストラリア、猫用のペットフードはタイが多いんですけれども、ほとんど病気がないんです。病気を含めてトラブルがないんです、ペットフードに関しては。トラブルがないということは、一面安全なようなんだけれども、これまた大変な、いろんなものが入っている。要するに、抗生物質、抗菌剤も含めて、いわゆる保存に打ちかつだけのいろいろな添加物が入っている。  これは将来問題が起こってくるのではないかと思うものですから調べてみましたら、ペットフードを取り扱うところがないんです。御案内のように、農水省は家畜、家禽。それで、犬、猫、モルモットとか観賞魚、今さまざまなペットがあっちに出現したりこっちに出現したりでもめていますけれども、ペットフードに関して言えば、少なくとも位置づけされていないんです。つまり、厚生省は人が食べる食品しか扱っていない。家畜が食べるものは飼料安全法で農水省が扱っている。ペットフードは位置づけされていないんです。したがって、規制も業界の自主努力というか業界の自主規制で終わっているんです。  これは今事故がないからあれなんですが、小さな子供がいるところでは、犬の後を追っかけてペットフードを子供がなめたりとか、問題が起こっていないからいいけれども、起こってくる可能性があるものですから、アメリカではこれは一応飼料、えさの方に分類しているところも州ではあるんです。したがって、このペットフードについて農水省として位置づけしていけるようなシステムを考えられておいた方がいいと思います。これは質問じゃありません、質問通告していませんので。
  54. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 私も、省内で、ペットフードというのはどうなっているんだという議論をつい最近したことがあります。これはちょっと冗談半分みたいな話で不謹慎かもしれませんけれども、昔、売上税で食料品はただだという議論があったときに、牛肉一〇〇%の何かすごくおいしそうなのをテレビでコマーシャルをやっているので、あれを人間が食べたら非課税になるのかというような議論も実はやったことがあるんです。  ペットフード、まさにペットですから家畜でもないわけでありますけれども、これは農林省としてどういうふうにきちっとした安全性なりを確保していくか。厚生省さんなりほかの省庁とも連絡をとりながら、我が省としてちょっと主体的に検討しなければいけないことだと私自身個人的に思っておりましたので、貴重な御意見として承りたいと思っております。
  55. 風間昶

    ○風間昶君 余り時間もないですから、端的にお答えください。  食料自給率について前回も、六月八日にお伺いしたんですが、要は、日本は世界一の食料輸入国でありながらカロリー摂取量が高くて食品の廃棄物が多いと。この間も構造改善局長が、日本型食生活を見直して、食品廃棄物を少なくすることが大変大事であるというふうにおっしゃいました。三百四十万トン。官房長かな。
  56. 高木賢

    ○政府委員(高木賢君) 私だと思います。
  57. 風間昶

    ○風間昶君 そうでしたか。そこまでは認識が一致しているんです、どうすればいいのかということで。  ここでも、自給の可能性と現状の消費生活における自給の実態にやっぱり乖離が生じているということですから、食料自給率の分母の部分を、成人ですと一日一人当たり二千六百キロカロリーというふうに言われていますけれども、私は国民が本当に生命と健康を維持していくための一定の数値を、つまり分母を小さくすれば自給率は上げていけるんじゃないかと思うものですから、食料自給率の目標を設定する上でもこれは避けて通れない問題ではないかと思います。例えば、年齢、年代別に摂取カロリーを決めるということも一つの方法ではないかと思いますが、自給率の算定方式について農水省に伺って、質問を終わります。
  58. 高木賢

    ○政府委員(高木賢君) 今、先生から、栄養所要量の面から積み上げたらどうかというような感じのお話でございました。  今、実は、厚生省さんで日本人の栄養所要量というものを提示されておりまして、これに実は年齢別と同時に生活動作別というのがありまして、私どものようないわゆるホワイトカラーになりますと軽いとか中程度ぐらいになります。それから、もうちょっと肉体労働をされますとやや重いとか重いとかいう分類になるわけでございますが、実はこのウエートが日本人で総平均するとどの程度になるかということが出されておりません。ですから、トータルで日本人全体で見るとどのぐらいになるのかということが実はわからないという問題がございます。したがいまして、所要量の方から出してくるのは率直に言ってなかなか難しいのではないかというふうにまず思っております。  それで、今御指摘になった食べ残しとか廃棄とか栄養バランスとか、こういう問題はどういうことになるかといいますと、いわゆる長期見通しなんかにおきましては今まではまさに供給量を自然体で立ち上げてまいりましたけれども、これから自給率の目標ということになりますと、実際どういうふうに設定するのかという、まさに分母の面につきましても十分な検証、点検が必要だと思います。まさに、この間も三百四十万トンという数字も申し上げましたけれども、その食べ残しや廃棄が行われている実態、これをどの程度目標の中に織り込むことができるのか、また織り込むべきかということが問題になっています。  それから、栄養バランスの点では油のとり過ぎということがはっきりしておりますけれども、これを削減すればその分が減るということになります。ただ、油だけ減ったからそれでいいのか、それにかわるべき栄養はどう考えるのかという、マイナスだけではなくてプラスの側面も実はあると思います。そこの検証が必要だと思っています。まさにそこのところを、今御指摘のところを問題意識を持ちまして、分母についてどういうふうに積み上げるかということを内部作業中という状況でございます。
  59. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  60. 須藤美也子

    ○須藤美也子君 今、日本農政に求められている重要な課題は、日本農業の再建と国民の食料自給率をどう向上させるか、この二つが重要な中心課題になっていると思います。  そこで、衆議院で自給率の向上と農業生産の増大、これが修正されて参議院に送られてきました。この間、中央公聴会や地方公聴会、あるいは農業団体、消費者団体、国民の多くの方々から、少なくとも最低五〇%の食料自給率を明記すべきである、こういう要望が寄せられております。このような国民の要望に対して政府は真剣にこれにこたえていくべきだと思いますが、どうでしょうか。
  61. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) まさに、我が国の食をめぐる状況が、世界の中、特に主要国、先進国と言われている中で非常に低い。しかも、その傾向がずっと続いておるということを国民の皆さんは非常にわかりつつあると思いますけれども、改めてお話をするたびにびっくりし、そして自給率をもっと上げなければ大変なことになるという御認識をいただいておる。これは説明すればするほど御理解をいただける厳しい状況だろうと思っております。  したがいまして、我々といたしましても、「増大を図ることを基本とし、」とか「自給率の目標は、その向上を図ることを旨とし、」というような修正案をいただいたことは、衆議院の委員会でも、当初より自給率をできるだけ上げたい、国内生産を基本とするということは増大を前提とするんですということを申し上げていたわけでありますけれども、その趣旨がより明確化されたものというふうに理解をしております。  一方、では実際にどのぐらいにしたらいいのかということにつきましては、これは何回も答弁をさせていただいておりますが、現実に一ポイント上げるのにも、生産者だけではなく、今の食べ残しではございませんけれども、流通段階、消費段階のかなりの御努力、つまりこれも国民的な合意というものがなければ自給率の向上というものはそう簡単にはできない。ついついふだん食べなれているものが外国製品、おすし屋さんに行っても、あるいはまた普通に食べているものでも輸入品が随分多いということに気がついてびっくりするということが私自身もあるわけでございます。  そういう意味で、できるだけ高い自給率を設定し基本計画に明示していくわけでございますが、具体的に何ポイントにしたらいいのか。日本の次に低いのはスイス、イタリアで、それでも七十何%だという御議論もありますし、せめて五〇%とか、あるいはきょう久保先生が農業新聞に出ておりましたけれども、八五年の水準をというような記事を拝見させていただきましたが、一つの目標の目安みたいなものがあるんだろうと思います。  私どもといたしましては、いろいろな施策を実施し課題の解決をして、できるだけ高い数字としてどこまで積み上げていけるのかということについて最大の努力をして、自給率というものを品目ごとに足し上げていった形でお示しをしていく。先生と気持ちにおいては同じでございますが、現時点で具体的な数字を申し上げられない、これからの作業というものが必要でございますので現段階では申し上げることができませんが、できるだけ高い数字で実現可能な目標を設定したいと考えております。
  62. 須藤美也子

    ○須藤美也子君 時間は限られておりますので、締めくくりでもありますので、その気持ちは素直に受けるとしても、法案が出てから四カ月たっています。その間ずっと自給率の向上と農業の再建についていろいろ審議をされてきたわけです。四カ月間たっても数値も示せない、それはやっぱり私は農水省の怠慢ではないか、こう言わざるを得ないんです。  国民は、何のための基本法なのか、この基本法の審議の中で農業の再建と自給率向上についてきちんと国民が納得できるようなものが出されるであろうと期待しているわけですから、それに対していまだにそういう数値も示されない、これは非常に怠慢だ、こういうふうに言わざるを得ません。しかも、自給率を上げるのに欠かすことのできない、農家が意欲を持って生産を拡大することができる保証がこの基本法の中にあるんでしょうか。  市場原理では価格が下がることを当然予想できるわけです。法案は影響の激変を緩和する措置を定めるにすぎない。これはこの前も私は質問いたしましたので繰り返しませんが、こういうことでどうして将来への見通しが立つのか、どうでしょうか。
  63. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、農地として必要なものを確保するということ、それからそこで何をつくるかということに関して、特に国民に必要な食品であります麦、大豆、あるいは畜産に欠かせない飼料作物といったものが余りにも低過ぎる。  一方、自給率というのは、実需者なり消費者に受け入れられて初めて、つくった、そして売れた、こういうことで一つ完結するわけでございます。例えば、大豆でありますならば、消費者あるいは実需者としても十分やっていけるであろう納豆、煮豆用の大豆、あるいはまた麦で申し上げますならば、麦の経営安定対策と密接不可分でありますけれども、いいものをつくって実需者に受け入れられれば生産者にもメリットがあるという形の対策をとったわけでございます。  これらは一つ二つの例示にすぎませんけれども、やはりいいものをつくっていけば消費者に受け入れられるということでもって国内の生産が増大をしていく、消費者もメーカーもそれを歓迎するというような、具体的な体制づくりというものをこの法案の中にも基本として、実際に既に米もそうでありますが、麦あるいは大豆、菜種等々につきましても、いいものを供給すれば、適正というか今までのような形とは違うメリットのある形で売ることができるというような体制をとっております。  そういう意味で、結果的に消費者、生産者両方の理解と納得のもとで自給率を上げることができるということも、自給率を上げる一つの柱でございます。
  64. 須藤美也子

    ○須藤美也子君 私は、価格保証、農家経営が安定してできる所得補償、これを抜きに生産の増大は保証されない、こういうふうに考えます。  そこで、これは小麦ですけれども、昭和五十年に自給率が四%でした。ところが、六十三年、この年には一七%に小麦の自給率が上がっています。これは十年間で四%から一七%に上がっている。この時期に政府が価格や助成措置をやったということです。ですから、農家の方々も一生懸命小麦を生産することができた。ところが、現在、小麦の自給率は九%に落ち込んでいます。これを見ても、政府はかつて保証によって、価格あるいは助成の支援によって自給率を上げてきた実績を持っているんです。  この実績をきちんと学ぶならば、私は小麦も大豆も自給率を引き上げることができる、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  65. 堤英隆

    ○政府委員(堤英隆君) 先ほど、小麦の自給率についての話でございましたけれども、途中段階におきまして価格の考え方というのをいろいろ変えまして、こういう形の推移をしたわけでございます。  結局のところ、例えば小麦について申し上げますれば、生産者と実需者の間の関係が、どうしても中に政府が入るというようなことによりましてそこが切れてしまう。そういうことで、やはり実需者の方、消費者の方が何を求めておられるのか、そういうことを生産者の方々も踏まえて対応していただく、逆にまた消費者の方々あるいは実需者の方々も生産者の対応というものを考えながらやっていく、こういう相互の関係というものがこれからやはり重要だと。そうでないとなかなか意欲を持っての生産振興は図れない。そういう考え方を持ちまして、農林水産省としては、基本法にございますように、やはり全体の需給それから品質の評価というものをベースにして価格形成を行っていくことが基本だという考え方を持っております。  その際、やはりそれだけでは、農家の方々の経営ということでございますので、例えば麦でありますと麦作経営安定資金という形でかなりの額の助成措置ということも講じまして、そういった言ってみれば一定の水準での支持ということを図りながらも、それを上回る所得をねらおうとすればやはり経営の方々も努力をしていただいて、実需者の方々もそれを評価していただく。そういうことで、両々相まった形での小麦あるいは麦全体の所得の向上ということを図っていくことがやはりこれからの政策のあるべき姿だ、私どもとしてはそういうふうに考えております。
  66. 須藤美也子

    ○須藤美也子君 消費者のニーズというふうにおっしゃいますけれども、国民の八三・四%は少々高くとも外国産より国内産が欲しい、これが総務庁のアンケート調査の中ではっきり示されております。そういう点からいうならば、今回の基本法で、市場原理の導入を一層強める、それと自給率の向上と農業生産の増大、私はここは矛盾していると思うんです。そういう支援がなくてどうして生産の増大ができますか。生産の増大抜きにどうして食料自給率の向上ができますか。  今回の基本法で、市場原理の導入を一層推進する、こういうことは農業生産の増大も食料自給率の向上も真剣に本気になって国民の要求にこたえようとしていない、私はこう考えざるを得ないんですけれども、どうですか。簡単にお願いします。
  67. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 簡単に申し上げます。  多分、小麦を小麦の粒のまま食べる国民の方はほとんどいらっしゃらないと思います。したがって、粉にしたものを食べるわけでありますが、その粉についても、私のところは主産地でございますけれども、雨の問題とかアミロとか、そういう成分の問題でどうしてもパン用には向かない小麦しか日本ではできないというような問題がございます。  したがって、技術開発とか、あるいはいろいろといいものをつくろうという生産者の皆さんの御努力が、消費者あるいは実需者との間の売買の増大ということが自給率の向上につながっていくわけでございまして、今の体制のままでいけば、やはり国産ではとても商品として国民に受け入れられないということがございます。  一方、先生がおっしゃっている将来の不安というものは、我々も非常にありがたいと言っては変ですけれども、我々にとっては非常に追い風の国民的な御意見があることは承知をしております。そういう意味で、消費者、実需者のニーズにこたえられるということは、これはまさに自給率の向上につながることでございます。  一方、市場原理という言葉はこの法律上にはないわけでございまして、需給と品質によって価格が決定されるということでございますから、価格が変動することは予想しておりますし、変動して特に生産者に悪い影響を与えるような場合には、もう繰り返しませんけれども、三十条二項でもって経営安定措置を講じておるということでございますから、生産者、実需者、消費者にとってこの仕組みがうまくいくことによって自給率の向上にもつながっていくと考えております。
  68. 須藤美也子

    ○須藤美也子君 日本の小麦はうまくなくて食べられない、そういうことを答弁なさっているようですけれども、そういうことを研究しながら、技術開発なんかも含めてやればできるわけです。  スイスの方から聞いたのですけれども、スイスでは、地元でつくった小麦はかたくて全然おいしくなかった、しかし国は、地元のものを使えと、かたい、黒いパンでも地元のものを国民が主食として使う、これが基本になっているわけです。  そういう方向で、日本も地元でとれる小麦あるいは地元の農産物を国民に食べてもらうような、そういう政治を進めていく、こうなれば安心して生産にも励めるし、国民も安心して地元の、日本の大地からとれる農産物を食べることができる。こういう方向で、そういうことを保証するのが、農民にとっては価格の保証そして農業経営の安定だと私は思うんです。そこを農水省の方でもしっかり踏まえてやっていただきたい。  この問題だけやると次の問題に移れませんので、それは要望しておきます。  実は、それと同時に、自給率向上は価格保証とあわせて輸入規制が担保されなければならないと思います。先月八日の私の質問で、一九八九年の日本政府がガットに出したステートメントで、累次の市場開放の実施により五〇%を下回るようになった、こう書いてあることから輸入による自給率低下は明らかであります。自給率向上のためには、農産物貿易自由化路線のWTO農業協定を改定しなければ私はできない、こういうふうに考えます。  そこで、政府の次期交渉に向けての提案、これには「WTO農業協定の規律の枠組みは基本的に維持しつつ、」とあります。昨年十二月、米の関税化を強行しました。そのとき、大臣は重ねて、高関税にすれば次期交渉に有利になる、こういうことをおっしゃいました。しかし、このWTO農業協定の規律の枠組みの中で高関税を維持していけるのかどうか、これは改定しなければ、WTOの農業協定の枠内では高関税を日本だけが維持していくというふうにはいかないと思います。  それからもう一つ、この間も総理にお尋ねいたしました。日本では主食である米は十分自給できます。そういう中で無理やりミニマムアクセス米を輸入しております。このミニマムアクセス米を除外することができるのかどうか。これは多くの農民の皆さんが、今度の次期交渉で高関税が維持できるのか、あるいはミニマムアクセス米が一体どうなるのか、これにみんな注目しているのです。ところが、この内容を見ますと、この枠組みの中で見直す、この程度でそういう国民の願いにこたえられるものになるのか。  私は、大臣は率直に物を言う方だと思います。外国に行っても率直に物を申す人だと思っています。であるとすれば、日本が堂々とWTO農業協定の改定をやるんだ、こういうことを掲げて正面から立ち向かっていく姿勢が必要だと思うのです。  そういう点で、私が今言った高関税の問題、ミニマムアクセス米の問題、これをどういうふうに交渉していくのか、国民の立場に立って答弁していただきたいと思います。
  69. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 先生の最後の部分につきましては、まさに日本の立場というものを主張していくわけでございます。  例えば、輸出国と輸入国との権利関係のアンバランス、これはまさに今のルールを変えていかなければいけないことになるわけでございます。それから、高関税を守れるのか、ミニマムアクセスをどうするのかといったことにつきましては、先ほどからお話ししておりますように、国民的合意の形成の過程において、次期交渉に臨む一つの戦略、戦術でございますから、具体的な数字までお示しできるかどうかは別にいたしまして、国民的合意のもとでこの問題に取り組み、いずれにいたしましても、日本の国内生産あるいはまた消費者のニーズというものにこたえられるような交渉結果が得られるように、実現ができるように最大限の努力をしていきたいと思います。  先生から直接的なお言葉はございませんでしたが、過去の御質問を推測いたしますと、では条文についてはどうするのかという御趣旨もあるかと思いますので、勝手ながらお答えさせていただきますならば、条文について今からどこの条文をどう変えるとか、あるいは変えないとかいうことは、そういう具体的な対処方針が決まった後で変えるか変えないかの判断というものが出てくるわけでございますので、現段階においては、条文をどうこうするというよりも日本の基本的な考え方、提案というものを国民そして各国にお示しをし、理解をいただくということが今我々、そして大変僣越ながらこの御議論を含めた国会の当面すべき最大の仕事ではないのかなというふうに理解をしております。
  70. 須藤美也子

    ○須藤美也子君 WTOの枠組みそのものは輸入自由化であります。さらに、農業協定では各国の助成あるいは生産刺激的なものに対しての削減、廃止、こういうものが求められているわけです。そういう中で、日本の食料自給率は世界最悪の状況、日本農業が縮小されていく、こういう中で本当に日本農業を守るとすれば、この輸入自由化、とりわけ農産物の自由化をやめさせなければならないと思うんです。その立場に立って、協定を改定するんだと前面に掲げて交渉に当たっていただきたい。  日本共産党はこれまでも再三言ってきました。まず、主食である米は自由化から外すこと。それから、これはEUでもそうおっしゃっていると思いますけれども、各国が農業生産に対する助成とか、あるいは支援をする、そういうものを一律に削減したりあるいは廃止させるような、つまり各国の主権に対して介入するようなやり方、こういうことはやめさせるようにきちんと主張すべきだと思うんですが、これはどうですか。
  71. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 現協定は日本も合意をしたわけでございますから、輸出国、輸入国の間にアンバランスがあるという現状を打破しなければいけないというのが大きな柱の一つではございますけれども、現協定が我が国の主権を侵しておるというふうには私は考えておりません。
  72. 須藤美也子

    ○須藤美也子君 WTO農業協定の改定が必要だと思います。これはいつできるんでしょうか、改定について。
  73. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 我が国の主張を最大限実現していくための今準備作業を、当委員会を初めとして国民的にいろいろ御議論いただいておるところでございまして、そのために全力を尽くすということでございます。
  74. 須藤美也子

    ○須藤美也子君 そういう答弁では、はっきりWTO農業協定が改定される、そして高関税、ミニマムアクセスもなくなる、こういうような保証はないわけですね。それから、一律に助成や支援を削減したりそういうようなことも枠内でやるわけだから、これはできない。保証にはならないわけです。  こういう点では、やはり日本が進んでいこうとする、国民が求めている方向と逆の方向に行くのではないか。日本農業の再建と食料の自給率向上のために我々が今こういうふうにやっていきたい、こう思っていることと逆行する方向にこのWTO農業協定がなっているのではないか。それを改定しない限り、私は日本の食料主権を回復することはできない、このように思います。  そういう点で、ぜひ協定の改定を前面に掲げて交渉に当たるべきだと、このことを強く申し上げたいと思います。
  75. 谷本巍

    ○谷本巍君 初めに、基本計画の国会報告のあり方について伺いたいと存じます。  せんだっての村沢、久保両先生からの質問に答弁されておるのは、会計年度の内ということでありました。事務当局の皆さんに伺ってみますと、どうやら会計年度というのは末が三月でありますから、その辺のところを想定しているかのような話が多いのであります。  御存じのように、予算案は通常国会の冒頭に出ます。そしてその時期には、どういう関係法案が出るかという大体の話は出てまいります。ところが、基本計画だけは三月末ということでは、国会審議を十分やろうといったってこれはやれっこないですよ。ですから、国会審議権を保障するというのであれば、予算と法案と基本計画、これはセットでなきゃなりません。  大臣、いかがお考えでしょうか。
  76. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 御指摘のとおり、基本法とそれから関連法案、そして予算、そして実施の文字どおり基本計画というものが当然セットになるわけでございますが、先生は時期的な問題として提起されておると思います。  例えば、株式会社の問題は間もなく概算要求前に最終報告が検討会に出されるとか、あるいはまた直接支払いについては概算までに出すとか、そういうような作業というのがスケジュールとして決まっております。そういうものを積み上げ、例えば自給率なんかについては、先ほども申し上げましたように、大変複雑なといいましょうか、大きな作業が必要になってくるわけでございます。それから、直接支払いにつきましても、その条件を事務当局に詳しく聞いてみますと、例えば傾斜率なんという場合には、全国を文字どおり、平成の検地と私は冗談で言っているんですけれども、全国の農地をもう一度傾斜率、あるいはまた一筆ごとの田畑を確定しなければいけないというような大作業が事務的にございまして、かなり時間がかかるということも事実でございます。  そういう中で基本計画を策定するに当たりましては、食料・農業・農村政策審議会の意見も途中で聞かなければならないということでございますので、三月末になってからぽんと基本計画が出て、その中に自給率なり農地面積をぽんぽんといきなり国会にお示しするということではなくて、その間にやはりいろいろな議論の過程というものがございますし、当然、当委員会でもいろいろとまた御審議をいただくわけでございます。  そういう意味で、最終的には年度内までにやるということで、先生からはできるだけ早くというか、同時セットでというお気持ちでございますけれども、支障のないようにやる。あるいはまた事務作業としてのいろいろな観点から、この基本計画については今年度末までには閣議決定をし、国会に御報告する。しかし、その途中においてはいろいろな議論の過程もまたこの委員会等で御審議をいただきながら、計画を策定していきたいというふうに考えております。
  77. 谷本巍

    ○谷本巍君 この法案が成立しますと、農林水産省は、七月ですから、直ちに予算編成に入るわけですね。予算編成とともに、どういう法案をつくっていくかということも決めていくわけです。少なくともそれは通常国会の前までには決まるはずです。それは基本計画と全く無関係に決まるというものじゃありますまい。それはおおよその基本計画があって、それを前提にして作業を進めるはずであります。だとすれば、基本計画それ自体を通常国会の冒頭に出すことができないとするならば、国会審議がやれるようなそれにかわる何らかのものをひとつ考えるということはできませんか。
  78. 高木賢

    ○政府委員(高木賢君) 来年度の予算なり提出予定法案をまさに先生おっしゃるように検討していくことはそのとおりでございますが、逆に基本計画は十年先を見通したものなわけです。それができて初めてまた個別年度ができるというふうに、一番理想的に進めばそういうことなんだろうとは思いますけれども、現実問題としてはやはり大きな方向として、例えば中山間地域等に対する直接支払いというのは方向が決まっていますから、あとは具体的にどうするんだということで、必ずしも基本計画的なものを念頭に置かなくても進められる部分はあると思います。それで、そういう個別のものを検討していく中で、逆に長い目で見るともうちょっとこういうことも要るんじゃないかとかいうことも出てくると思います。いわば、簡単に言えば相互規定的なものではないかというふうに思っております。  したがいまして、あらかじめ何か望ましい像を想定して来年度の要求なり法律が出てくるというふうに、必ずしも一義的な一方通行だけではないだろうというふうに思います。  それから、途中でどうかというお話だったと思いますが、やはりこの基本計画は、総理からも御答弁いただきましたように、内閣を挙げて取り組むということでございますから、何らかの節目で合意まで行けるかということになりますと、これは率直に言ってその調整作業は容易ならざるものがあるというふうに思います。そういう意味で、中途で不完全なもので御審議を賜るのもいかがかという感じもしておりまして、やはりきちんとした形でお示しをするというのが一番よろしいのではないかというふうに思っております。
  79. 谷本巍

    ○谷本巍君 基本計画のぴしっとしたものも出なくて、粗筋的なものも出てこないと、予算の論議にしたって法案の論議にしたってきちっとしたものはできやしませんよ。  ですから、そこのところはきちっと配慮していただきたい。このことはもう一度お願いしておきますが、いかがですか。結論だけで結構です。
  80. 高木賢

    ○政府委員(高木賢君) 最終的な結論といいますか、決まった形の姿というものはやはり年度内までお時間をいただきたいと思っています。  ただ、途中で審議会の審議等々ありますから、途中経過論としてお示しできるものがあればお示しはしたいと思っております。
  81. 谷本巍

    ○谷本巍君 もう一つの問題は、基本計画と年次報告との関連です。  基本計画が立てられるもとでの年次報告は、国会にとっては今までとは比較にならぬ重要な意味合いを持ちます。というのは、今度は年次報告は年次ごとに自給目標の達成状況とその問題点等々について具体的な論議のできるものとして出されることになってくるはずだからであります。そうなりますと、そういうきちっとしたものが出てまいりますというと、農政論議を前進させる上で非常に大きな意味を持ってまいります。  ところが、通常国会冒頭に予算は出た、関連法案の審議は始まる、それで予算関連法案が成立をする。その後の四月中旬に年次報告が出されるということでは、何のための年次報告なのかということになってまいります。  でありますから、基本計画の年次別の論議、毎年毎年の論議、これをやっていくのには何としてでも年次別報告、これを先に出してもらわなきゃなりません。この点いかがでしょうか。
  82. 高木賢

    ○政府委員(高木賢君) これも先生の御趣旨が理解できないで言っているわけではないんですが、現実問題といたしまして、年次報告をつくるときの基本的なデータというものの多くが大体その前の年の十月下旬ないしは十二月ということになるわけでございます。  例えば、自給率について一番大事なものとして食料需給表がございますが、これは私どもも何とか一日でも早く出せないかということで毎年毎年関係者を督促してやっているんですが、現実問題としては十二月下旬になります。数字が出てから、分析、検証をし、政府として白書を出すわけでありますから、それから関係方面との調整をするということになりますと、先生ももう御案内のとおりでございますが、このところ私が知る限りでは一番早くて三月三十一日というのがこれまでの白書の状況でございます。  もちろん、できるだけ早める努力はこれまでもしてきましたし、早くすることについて当然努力しなきゃいかぬと思いますけれども、なかなか抜本的に大幅に早くなるということは大変実務的には難しいというふうに私は感じております。
  83. 谷本巍

    ○谷本巍君 予算は成立した、予算関連法案も成立した、その後に年次別報告が出てきたって、これは国会審議にとってはどうにもなりませんよ。  ですから、国会審議を保障するのには、何ぼ急いでも三月三十一日だというのであれば、それにかわる何らかのものを通常国会の冒頭に出してもらわなきゃ、これは審議を保障したということになりませんよ。基本計画の場合は五年計画です、これは幅が広い。ところが、こっちの方は一年単位なんですから。いかがでしょうか。
  84. 高木賢

    ○政府委員(高木賢君) やはり、政府として責任を持ったものということになりますと、先ほども申し上げましたように、データを得て、それから分析、検証し、調整をするということになりますと、やはり二、三カ月はいただかないとなかなか難しいというのが率直な実態でございます。
  85. 谷本巍

    ○谷本巍君 私が申し上げているのは、年次報告の本体の話をしているんじゃないですよ。今申し上げているのは、それにかわる何らかのものを考えられないかと。国会審議をきちっと保障する、これは皆さん行政の責任です。そういう意味で申し上げているんですから、それは知らぬ存ぜぬじゃ通りませんよ。
  86. 高木賢

    ○政府委員(高木賢君) 年次報告以外ということでおっしゃっているとは、ちょっと取り違えておりました。統計データが出たときに、そういうものがばらばらに今現実には出ているわけですから、多少関係するものをまとめるとか、そういったことで全体像を描きやすいようなデータとしてまとめるとか、そういう工夫はあり得るかなというふうに思っております。
  87. 谷本巍

    ○谷本巍君 そこのところはしかとお願いをしておきます。  次に、食料自給率目標について伺いたいと存じます。  平成七年、閣議報告されました「農産物の需要と生産の長期見通し」、これを見てまいりますというと、自給率、カロリーベースで平成十二年が四四から四六%、そして品目別に見ますというと、小麦の場合は一二から一四%、大豆が五%、飼料作物が三一%まで引き上げるというような数字になっております。これは申し上げるまでもなく、長期見通しということになっておりますが、これまでも事実上の農政の目標同然とも扱われ、そしてそういう立場で国会論議等々も行われてきた経過があります。  現行の基本法とは違いまして、今度の新しい基本法は自給率引き上げをうたっている法案であります。基本計画に示される自給目標はこの長期計画の目標をさらに発展させるという立場に立つものと私は理解いたしますが、その点いかがでありましょうか。
  88. 高木賢

    ○政府委員(高木賢君) 御指摘のように、これまで長期見通しということで閣議決定もし、公表もしてまいりました。したがいまして、私どももこれからの作業に当たりましても、そこで示されてまいりました生産拡大の考え方などは十分これを考慮して作業を進めたいと考えております。
  89. 谷本巍

    ○谷本巍君 十分考慮してというお話を伺いました。それで私が尋ねていることの半分は満たしていただけたと思うんですけれども、今までと今度の自給率問題は違うんです。  今までは、御存じのように生産増大ということを主体にして考えておりました。今度はそれだけじゃなくて食べ方を変える、日本型食生活を伸ばしていかなきゃならぬという課題を掲げてのことでありますから、そういう立場で見てみますと、長期見通しよりはもっと上回るような目標でいかなきゃならぬというふうに考えるのは、これは常識といえば常識だと思うんです。その点いかがですか。
  90. 高木賢

    ○政府委員(高木賢君) 考慮すべき要素といいますか、考えるポイントは御指摘のとおりでございまして、今、私が申し上げたのは、今まで長期見通しは生産面でありますから、需要の見通しはありますけれども、いわば自然体見通しでありまして、生産の方がいわば意欲的な見通しということでございました。そのときの生産拡大の考え方、生産面ではそれを考慮していくということを申し上げたわけですが、新たな範疇として消費面ということは今までなかったことでございますが、それがプラスされるというふうに考えております。
  91. 谷本巍

    ○谷本巍君 次に、直接支払いの問題について伺います。  中山間地域等の直接支払いについては、私は北海道はまた別のような感じがあるのでありますけれども、内地全般で申し上げますというと、やっぱり地域を対象にして行うべきではないのかというふうに思っております。といいますのは、中山間地の集落の崩壊というのは、御存じのように農林家の戸数、それからまた地域社会を維持する経済力がある一定水準を下回るときに、言うならば一気に進むといいましょうか、そういう状況が出てまいります。でありますから、集落ぐるみの離村がふえてきているというのもそういうことだろうと思います。  これに歯どめをかけよう、そして定住を可能とする状態を整えていこうというのであれば、個々人の力ということもさることながら、やっぱり集落全体として問題解決に取り組んでいくというようなあり方というのが、私はあり方として最も現実的ではないかと思います。したがって、支払いについてはまとめて集落単位におろしていく、そういう方法で行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  92. 渡辺好明

    ○政府委員(渡辺好明君) 今御指摘がありましたように、確かに中山間地域は自然的条件からいいましても大変起伏の多い地形でありますし、水路とか農道等について集団で、集落ぐるみでこれをカバーしていくということが必要でございます。また、集落の中には知識、経験等を有している方々が多様に住んでいらっしゃるわけですので、集落全体として取り組むというのは、私はこれは形とすれば一番望ましい形態であるというふうに思っております。  ただ、WTOの農業協定の枠組みを使うということになりますと、生産者に対する直接支払いというふうな形になっておりますので、我々が今検討しておりますのは集落で協定、合意をつくって、そしてその中で個々人がどういう分担をするかという決め方をする、そういう形で集落に有意義なまとまったお金をおろしていくというふうな手法が実は一番効果的ではないかなというふうに思っております。  いずれにしても、集落協定のつくり方の問題ではないかなというふうに思います。検討会の中でも、集落をそもそも最初から交付の対象として考えてはどうかというふうな御意見もありますので、今の先生の御指摘を踏まえましてもう少し議論を深めていきたいと考えております。
  93. 谷本巍

    ○谷本巍君 個人単位でおろしていった場合には、その成果というのは非常につかみにくくなってくるという問題が伴いがちでありますし、それからまた集落単位なら集落単位ないしはまた集団単位なら集団単位でこれは成果がつかみやすいです。つまり、透明性を確保するということと国民の理解を得やすくするという意味では、やはりまとめておろしていくという方式がよいのではないかということをさらに申し上げておきたいと存じます。  また、そうした問題と関連してもう一つの問題として、これは中央公聴会でも地方公聴会でも指摘があった点でありますけれども、中山間地域ではなしに平場であっても自然的・社会的・経済条件不利地等を対象にした直接支払いを行うべきだといった見解等々が示されております。この点についての対応はいかがでしょうか。
  94. 渡辺好明

    政府委員(渡辺好明君) まず、WTOの農業協定においては、中立的かつ客観的な基準に照らして不利な地域というふうに規定されておりますので、いわゆる中山間地域のみならず中山間地域等というのもこれに当たるというふうに考えております。  基本法案三十五条一項ではそうした点から中山間地域以外の部分も「等」という形で包含をしておりますので、そういったところを考慮に入れたいと思っておりますけれども、いずれにしても具体的にどこに対してどういうふうにやっていくかということにつきましては現在検討中でございます。  その中で絶対的な条件としては、やはり農業生産条件が不利でかつ生産条件格差を設定できるというところがポイントだろうと思いますので、その点を踏まえて具体的な交付対象地域を決めていきたいと思っております。
  95. 谷本巍

    ○谷本巍君 次に、農業林業について大臣に承りたいと存じます。  環境問題というのは大きな課題になってまいりました。それだけに農業林業の結びつきを重視した行政展開が求められるようになってまいりました。その点で申し上げますというと、林野庁がこれまで進めてきた大きな課題の一つが川上と川下を結んだ地域からの林業振興というのがございました。これは構想としては私は非常にすばらしいと思うんです。川上から川下まで結んで、そして地域から振興計画を積み上げていくという発想だから非常にすばらしい。  ただ、残念なのは、林家で申し上げますというと、農業と兼業しているのは六割を超えています。それから、その他の兼業農家というのは非常に多い。自立林家というのは非常に少ない。ほとんどが兼業であります。そういう状況の中で林業単品でもってやってきた。このことは一つは予算の問題があります、足りなかったという問題がありますけれども、もう一つの問題としては、あり方の問題として問題があったのではないかと思います。農業林業、そういうところをきちっと結びつけてやっていく。そしてまた、それと同時に川上と川下の都市を結びつけるようなそういう工夫などもドッキングさせながらの流域管理システムというのをつくっていくことが今求められる時代になってまいりました。  その点、大臣はどうお考えでしょうか。
  96. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まさに、山のてっぺんから海に至るまで一体で考えないといけないということは、昨年の集中豪雨栃木県の山から水戸の沖合まで木や牛まで流れていったということを見ても、まさにあれは悲惨な例でございましたけれども、まさしく一体だなというふうに痛感をしております。  そういう認識のもとで、山は山だけ、あるいは農地農地だけ、そして平地、都市部はそこだけということではお互いにこれは多分生きていけないと言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、持続的な発展ができないだろうと思います。先日御審議をいただきました緑公団なんというのは、まさに二つの特殊法人を一つにするわけですが、機能として農林一体でやっていこうという新しい機能もつくりましたし、まさに先生御指摘のように、川というものを一つの背骨にいたしまして、海から山までを一体として見ていく。産業としても、あるいは生活圏としても見ていく。あるいは多面的な機能としても相互に関連するものとして見ていく。そういう流域単位の施策というのが非常に大事であろうというふうに思っております。  したがいまして、今、専門家の方々に集中的にお願いをいたしまして、林業あるいは山そのもの、あるいは森林といったものに対しての基本的な問題について御議論いただき、近々一つの結論をいただくことになっておりますけれども、そういう形を農業基本法と密接不可分のものとして、森林林業基本法的なものをつくることも念頭に置きながら今御議論をいただいているところでございます。  まさしく山から海、河口に至るまで一体としての施策、あるいは国民的な御理解というものも大変必要なことだろうというふうに考えております。
  97. 阿曽田清

    ○阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。  いよいよ最後の質問になろうかと思いますが、今までやかましく言ったり怒ったりいたしましたけれども、きょうは大臣にもう細かいことは申し上げませんで、決意だけひとつお述べいただきたいということで御質問をいたしたいと思います。  新農業基本法成立を見た後の話になりますけれども、昭和四十五年に農林水産関係予算が国全体の予算の一四・四%であった。平成十年の予算では五・九%に下がってきた。金額的に見ましても、ウルグアイ・ラウンドで関連予算がついたときにちょっと伸びたけれども、また右下がりになってきている。そういう中で、今回の基本法のもとでこれからの政を展開する上において、今回の農業基本法の目指すものに向かって国は本気でやる気があるんだなというのは、平成十二年度予算がどのように組み立てられるかによって評価の一つが出てくるだろうと思うんです。  多面的機能の発揮やら持続的農業の発展、さらに改めて農村の振興ということまでうたわれたこの理念を実現するために、農林水産大臣として十二年度予算に取り組む考え方、決意をお述べいただきたいと思います。
  98. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まさしく、この基本法成立していただいた後、いろいろ整備をしながら施策を遂行していかなければならないわけでございますけれども、大ざっぱな言い方をすれば、縦横もう一度全部見直しをして、必要な施策というものをこの基本法の趣旨に合った形で再構築していかなければならないのだろうというふうに考えております。  その場合には、先ほどの林なり水なりといった面的なもの、あるいは多面的な機能の推進とか、都市農村部との共生とか、四つの理念を含めた新しい考え方というものが取り入れられておるわけでございますので、それを肉づけするための予算も、従来の延長線上というよりも、例えば施策を大くくりするとか、プロジェクト化するとか、他省庁と連携をとるとかいった形で、この趣旨に沿うた形の平成十二年度の農林水産予算というものをつくって、ふさわしいものにしていきたいと考えております。
  99. 阿曽田清

    ○阿曽田清君 次に、せんだって中央公聴会におきまして大内力公述人も申しておられたことでありますが、私もその点を危惧している一人であります。その大内力公述人が申された二つの矛盾というものに対して、ここで大臣から明らかにしていただきたい。  といいますのは、食料の自給率向上を図るためには生産性の向上を図らなければならない。生産性の向上を図るとすれば、規模拡大あるいは機械化、さらには化学化というようなもの等が駆使されなければ生産性向上は図れない。反面、それによって今まで環境への負荷が大きくなってきておるというようなこと等が出てまいっております。  生産性向上を図りながら、同時に環境の保全というものの整合性をどう図っていかれようとしているのか、ここが私は本当に難しい政策の組み立てが要るだろうと思うんです。そういう意味で、整合性をきちんと図りながらきちんと対策を行っていく、どのようなことで行っていかれるか、その方針と決意をお聞かせいただきたい。
  100. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 先ほどもお話がありましたけれども、環境と農業というのは共生できる部分と環境に負荷を与える部分が存在する。農薬なんかもそうだと思いますが、その辺をどういうふうに調和させていくかということでございます。  この基本法というのは、やはり安定的な食料供給、国内生産を基本としてということが一つの大きな柱になって、多面的な機能としての農業・農村の持続的な発展あるいは振興というものがある。一方では、持続的なということになりますと、環境面あるいは自然というものの特性を守り発展させていく。  私は、矛盾するといえばするけれども、両立をさせていかなければいけないのがまさにこれからの時代の要請なのではないか。確かに、化学肥料を使っていけば一時的には収量がふえるでしょうし、害虫、雑草等が減るでしょうけれども、それによって地力に与える影響というものは、中期的には逆に地力の減退につながっていくわけでもございます。  そういう意味で、先日の持続的農業法の審議のときにもいろいろとやりとりをさせていただきましたが、スタート時点でそういう農法にいきなり変えるとするならば、スタート時点では生産性の向上とは合致しない部分も出てくるかもしれませんけれども、やはり農業というのは持続性というものが一番問われている柱の一つであるということを考えますならば、長期的な観点から見た自給率の向上という中の一つの柱としての生産性というものをどうやって自然に優しい形でやっていくか。それは例えば技術面での問題とか経営面での問題とか、そういう面でプラスになる部分もあると思います。  そういう意味で、生産性の向上等を図りながら国内生産の増大を図り、一方では自然に優しいといいましょうか、自然に対して、環境に与えるいい影響というものをますます増進させていくような農業というものを両立していかなければならないというのが時代の要請であると理解をし、この法案の趣旨だというふうに理解をしております。
  101. 阿曽田清

    ○阿曽田清君 思いは理解できます。  私の経験上から言いますと、生産性を上げるために規模拡大をしよう、そのために近代機械を導入したり、あるいは省力化のためにということで園地整備をやったり、こういうことをやってきました。そして、一例ですけれども、果樹園経営も四町とか五町とか十町とかをつくるような人たちが一時期できました。ところが、そういう方々は品質が悪くてやっぱり落ち込んできた。家族経営の適正規模というのはどれくらいかというと、やはり一人当たり一ヘクタールから、精いっぱい組んで一・五ヘクタール。だから、二ヘクタールから三ヘクタールが家族経営の果樹経営の規模としては適切にいいものがとれる、そういうことに今変わってきております。  ですから、私は、今、大臣のおっしゃられたようなことを具現化するためには、日本型農業というのがどういうものなのかということがきちんと明らかにされていない。アメリカ型の畜産をまねしてみたりヨーロッパ型の施設園芸をまねしてみたり、まあいいところはまねていかなきゃならないけれども、日本の置かれている環境なり気象条件なりを抱えて、そしてそういう環境の保全というものをきちんと組み立てられるとすれば、日本型農業とはどんなものなんだということ、それがあって私はWTOにも臨めるんじゃなかろうかなというふうにも思います。  そういうところをひとつ中川農林大臣、この基本法ができたときに、日本型農業というのはこういうことが一つの目標だというものを示されたらいかがなものだろうかと思います。  もう一つ。二つの矛盾の一つでありますが、大内先生は、WTO体制下で自由貿易ということを今後進めていくとすればどんどん関税率が下がっていく、日本がどんなに努力しても、水田におきましては三十ヘクタールから五十ヘクタールが限界だろう、そうしたときに、一部の方々しか農業ができなくなってきた農村の社会というのはやはり維持できなくなっていきはせぬかということも踏まえて、三十ヘクタール、五十ヘクタールは海外の規模と比べたらやっぱり零細には変わりはない、労賃も高い、土地も高い、コストも高い、そういう中で持続的発展あるいは食料安保というものが果たして両立するのだろうかという疑問を公述人は投げかけておられました。  納得できる対策というのをどのように考えておられるか、まず大臣の考え方と決意をいただきたい。
  102. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) まさに、次期交渉に当たっての提案の二つのポイントでございます。  やはり、各国には各国のそれぞれに共通する部分と各国特有の多面的機能というものが農業にはあるわけでございます。それから、平和で暮らせると同時に、食料というものがなければ暮らせないのはどこの国、どこの人でも同じであるわけでございますので、この食料の安全保障ということにつきましては世界共通のルールではないか。そのときに、きちっと自給が完全にできない国に対して余力のある国が責任を持って食料を供給してくれるのであれば話は別でございますけれども、特に現行ルールにおいては輸出入国間のアンバランスがある、だからおかしいのではないかというのが三つの柱になるわけでございます。  したがいまして、これは我が国だけのひとりよがりの主張というよりも、世界全体の現状あるいは中長期的な見通しを見据えた上での提案でございます。そういう意味で、生産性、その結果として輸出国が、強者が勝つというのは、事食料に限ってはその論理だけでは通用しないというのが我々の基本的なスタンスでございます。
  103. 阿曽田清

    ○阿曽田清君 ぜひ、WTO交渉において、農業者が不安にならないように精一杯の御努力をいただきたいというふうに思います。  次に入ります。  今回、文部省におきまして、新しく学習指導要領が変わりまして、これまでの教科の枠を超えた学習ができることになりました。総合的な学習の時間が新設されたわけであります。小学校、中学校、高校において、三時間から六時間その時間を持っていい、こういうことになったわけでありますが、これは恐らく大臣みずから文部大臣といろいろと交渉されてきたその結果であろうと。私はすばらしいことだと思います。  こういう三時間から六時間というものを今までの教科外で持ってよろしいということでありますから、この中に今回の基本法のねらいとする食料・農村・農業の問題について、知識も体験も、さらにはいろいろおっしゃっていた日本型食生活、食文化まで私は学校の教育課程の中にきちんと織り込んでいくことが、子供がそういうことを知ることによって、体験することによって大人まで感化されていくというふうに思うんです。学校給食の予算をカットするんじゃなくて、きちんと学校給食で米飯給食を維持していくというような方向からすると、農林省にきちんと米飯給食も確保してやっていくという姿が見られなければ、せっかくこのような方向性を見出していただいておるのに、私は逆に農林省は思い切って踏み込んでいくことに欠けてくることになりはせぬだろうかと一面で思っております。  ですから、これをいい機会に、文部省とタイアップされて、今度毎週三時間から六時間行われるわけでありますから、農業・農村・食料を理解し、体験し、そして子供のころから教育課程の中できちんとそれを教えていくようなこと等にこれから積極的に取り組んでいただくように、大臣からも文部大臣に言っていただくのは当然のことでありますが、提案していっていただければいかがなものだろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  104. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) まさに、有馬文部大臣の御理解をいただき、またここに亀谷政務次官がいらっしゃいますけれども、亀谷政務次官と森田政務次官との間でも非常に連絡を密にとっていただきまして、農、林、水に対する子供たちへの教育というものに対して文部省に非常に御理解をいただいて、今、先生御指摘のようなことを初めとしていろいろやっていただいております。  三時間から六時間まとめてとっても、都市の子供たちが自然に触れ合うというのは往復の時間を考えるとなかなか難しいわけでございまして、できるだけ自然に触れ合うようにするいろいろな施策を講じておりますが、来年度はぜひ、一時間なり二時間の授業の間に、中山間の人や平場の人や畜産をやっている人やいろいろな方々に都会に来てもらって、稲とはこうだよとか、牛を引っ張ってくるのはなかなか難しいかもしれませんけれども、自然とはこういうものだと。今はかなりコンピューターグラフィックとかいろんな映像メディアもございますから、そういうものを駆使して都市との交流を、一方通行ではなくて、農村の方も都会の子供たちの一日先生みたいになっていただくようなことも今考えておるわけであります。  それから、日本型食生活、それは食の内容でございます。食事を子供たちが食べる、時には外食もいいでしょう、あるいは何でもいいんですけれども、やはり親がつくった料理を食べる、あるいは日本のお百姓さん、農業者の方につくっていただいたものを子供たちが食べる、そこにやはり感謝の気持ちというか情操教育というものが生まれてくるのではないかということも、私自身常日ごろ親から言われ、そして今、親になって改めて実感しておるところでございます。  そういうことも含めて、いろいろな面で、農林省を初め、厚生省、いろいろな役所と協力をしながら、農業に対する理解、この二十五条二項に書いてございますけれども、これに合う形のいろいろな施策を考えていきたいというふうに考えております。
  105. 阿曽田清

    ○阿曽田清君 都会の人たちは、落花生はなるものだと思っていらっしゃる人たちもおります。極端に言うと、麦と米の仕分けもできない都会の子供もおります。まさに嘆かわしいことであります。全中でポリに稲を植えてそれをそれぞれのところに置いてPRするということもやっていますし、うちの二階先生が、一坪運動でもってそこに全部稲を植える、いろんな公共機関の中にそういうことでも提案したらどうかなんという話もあったくらいで、まさにそれだけ農業と都会の方々が非常に隔離されているといいますか離れていっている。これは嘆かわしいことだと思いますので、このすばらしい時間帯を使ってもっと農業というものをうんと知っていただく、そういう努力を、チャンスですから大いにひとつやっていただきたいと思います。  最後に、せんだって、公述人の山口力男さんという熊本から出てきていただいた方が言っていらっしゃいました。今回の基本法の中に多面的機能が入ったことは大変評価をいたしますけれども、国民的視点あるいは消費者まで含めた基本法であるということになっているが、国民的議論は十分でなかったのではないかということをおっしゃっていました。  せんだって、WTOの説明会が各地区であっておりますが、あくまでも関係者の方々だけへの説明会で終わるということじゃ本当に国民的議論にならないわけであります。この農業基本法が通る前に議論する時間はもうありませんが、これが通過した後、今回の農業基本法はこういうねらいでやっているんだということを、関係者が一種のバイブルみたいな気持ちで取り組んでPRし、また国民のすべてに浸透していくということが大事だと思います。引き続きその御努力をいただきたいと思いますので、その決意をお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。
  106. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 今までも基本問題調査会を初めとして各界各層の代表の方に大変な御議論をいただき、またいろんな方々からも御意見をいただきながらこの審議を続けさせていただきましたが、成立をさせていただきましたならば、一層この法案につきまして、趣旨あるいはまたその必要性、なぜ必要なのかというその根っこの部分も含めて、農林省、政府挙げて、消費者団体あるいはお子さん方を含めて、ますます頑張っていかなければいけないというふうに考えております。
  107. 石井一二

    ○石井一二君 最後のバッターであります。自由連合の石井でございます。  私の持ち時間は二十分ですが、今十二分おくれております。きょうは、ほかの委員会の関係でこの後予定がございますので、できれば多少時間を短縮したいと思っておりますが、それも大臣のすかっとさわやかな答弁次第と、そういうことでひとつよろしくお願いを申し上げます。  新農業基本法はいろいろいいポイントをうたっておりますが、端的に申して、食料自給率の目標の設定とか消費者重視とか望ましい農業構造の確立とか、あるいは自然循環機能の維持増進とか中山間地域等に対する配慮とか、いろいろございます。  こういった中で、大臣は、非常に膨大な農業予算を使い、今度新しい法律ができて、例えば十年後の食料自給率あるいは農地の総面積、専業農家の数等について、どれぐらいになるとお思いですか。
  108. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) まさに、農地の面積あるいは自給率をこの基本計画の中に明示するということは前から申し上げておるところでございまして、その作業をこれからやっていかなければいけないわけでございます。したがいまして、今から何%ということは、私自身申し上げるだけの情報を現時点においては持っておりません。申しわけございません。  それから、専業農家といいましょうか、いわゆる担い手を初めとする育成農家につきましては、最近のトレンドは少しふえつつあるとはいえ、まだまだ離農者の方が多いわけでございまして、何としても、育成すべき経営体、農家、担い手というものをふやすように、施策的にもさらに充実をしていかなければならないというふうに考えております。
  109. 石井一二

    ○石井一二君 どうもすかっとさわやかとは言えない答弁だと私は思うんですね。というのは、この質問は二十四時間前に通告しているんです。それで、先般の委員会で、私は大きなパネルを金をかけてつくってきて示して、それで農地転用のルールとかあるいは国土開発計画の中身とか、それから農地が流動化してきた過去の経過等も皆さんとともに語りました。また、兼業農家とか農家の数についても話したわけです。過去の経過がわかっているんだから、大体そんな数字ぐらいは出していただいて、通告しているんだから当然だと思うんです。  だけれども、わからぬと言うんだからわからぬでこの場はいいといたしまして、また、ともにそういった問題についても論じさせていただきたいと思います。  さて、省庁再編のうねりというものが今多々ございまして、きょうも朝から大臣も缶詰で、あの長い時間座っておられて、ほとんどの質問が総理に行ったのでやや眠たかったのではなかろうかと心配もいたしておりますが、要は、省庁の再編とともに、その傘下にある特殊法人、財団法人、社団法人等も適正に指導していかないといけないということを私はきょう提案し、総理にも大体その考えには御同意をいただいたわけでございます。  そういった面で、農林水産省絡みの独立行政法人とかそういった面が今後どのようになっていきつつあるのか、今回の法改正で。また、私の申した社団、財団とかについて今後どのような行政姿勢で臨まれようとしておるのかということを私はお伺いしたいわけであります。  余りいい話ではございません。私はここに平成十一年五月八日の毎日新聞を持っておりますが、社団法人日本農業集落排水協会というものが農村部の集落排水の、例えば今まで全国で三千五百カ所のうちの八五%を受注して、値段から業者から皆決めていって、しかも非常に高い手数料や指導料を取るというように報じられております。  そういったことが私は、農家の皆さん方の負担になり、ひいては日本の農業、農産物のコストが高いというところまで影響してくると思うんです。  私は、今回の大幅な省庁再編のうねりの中で、こういったことも踏まえて、大臣が毅然として根本的な大改革をやっていただくことを希望いたしておりますが、御所見があればお伺いしたいと思います。
  110. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) その記事は記憶にはございますけれども、とにかく透明性とかあるいはきちっとした業務をやっていくとかいうことを徹底いたしまして、率直に申し上げて時々そういう記事が出るわけでございますけれども、そのたびにこういうことが二度と起こらないようにということで周知徹底をさせておるところでございます。
  111. 石井一二

    ○石井一二君 最後に、もう一問だけ聞きたいと思います。  大臣も近々カナダへ五カ国農相会議で御出席の由でございます。WTO関係も、オーストラリアとの二国間協議というものは、全体の紛争処理委員会にかかって第三者によって裁定されるよりもいいということで日本はその方向へ持っていっておりますが、このWTOの交渉を見ておりますと、いわゆる助成合計量、AMSとして数値化された目標というものを課せられておる。どれだけいわゆる農業保護を削減することができるかというのがそのバロメーターでありますが、例えばオーストラリアでは目標値を八五%九五年度で既に下回ったとか、アメリカでは七三%下回った、EUでは四〇%下回っておりますが、日本がいつもどんびりなんですね。  そういった意味で、今後、国際的な会議、国際社会における日本の交渉というものは、特に地形とかそういった面で日本は外国にはなかなか理解してもらえないような面もあります。格別のテクニックとビジョンというものが必要であろうと思いますが、今後、五カ国農相会議に出られるに際して、WTOを含めて外交交渉における農林水産大臣としての決意と基本的な考え方について御披瀝をいただきたいと思います。
  112. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 三つの提案を初めとするあの文書についてはもう何回も申し上げているので省略をさせていただきますが、今度はアメリカ、カナダ、オーストラリアという世界最大の純輸出国と世界最大の純輸入国とが一対三で、あとEUがございますけれども、会うという予定になっておる会合でございます。  やはり、その場で申し上げたいのは、余り今から申し上げると情報が向こうにあれですけれども、もう去年のAPECのときにも申し上げましたけれども、とにかく輸出国の論理だけで物事は通用しませんよということと、我が国は世界一の輸入国であると同時に、世界一の農林技術の資金的、技術的な提供国でありますよと。それに比べてアメリカさんはどうですか、カナダさんはどうですか、オーストラリアさんはどうですかということを常に我々は申し上げておるところでございまして、そこまで行きますと向こうも若干冷静な議論からホットな議論になってくるわけでございますけれども、やはり我が国の置かれておる立場、我が国が今世界の中でやっておること等を強く主張し、特に最も相反する一対三が会議をする場でございますから、友好かつ真剣な議論をすることを今から大変楽しみにしておるところでございます。
  113. 石井一二

    ○石井一二君 終わります。
  114. 野間赳

    ○委員長(野間赳君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 野間赳

    ○委員長(野間赳君) 御異議ないと認めます。  本案の修正について大沢君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大沢辰美君。
  116. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 私は、日本共産党を代表して、食料・農業・農村基本法案に対し修正の動議を提出いたします。その内容につきましては、今お手元に配付されております案文のとおりでございます。  その趣旨と提案理由について御説明を申し上げます。  我が国の食料自給率はわずか四一%と世界最低水準にまで落ち込んでいます。輸入の増大、農産物価格の低迷で農家経営は成り立たず、離農、耕作放棄地の増大など、このまま放置すれば食料供給の基盤を揺るがしかねない事態となっています。このような中で、食料自給率の向上、日本農業の再建は国民の生存に係る重大な課題であるとともに、世界的な食料危機が警告される中で国際的な責務であると考えます。  しかし、本法案は、WTO農業協定の枠組みに沿って我が国農政を再編しようとするものであり、市場原理の徹底等、食料自給率の一層の低下と日本農業の崩壊に拍車をかけることは必至であります。このままでは将来に大きな禍根を残すことは明らかです。  日本共産党は、日本農業の再建と食料自給率の向上に向けた農政転換の第一歩とするために、以下の修正がどうしても必要であると考えます。  第一に、農業を国の基幹産業に位置づけ、食料自給率向上を農政の中心課題に据えることです。食料自給率を早期に五〇%以上に引き上げ、さらに七割を目指すことを明記します。  第二に、輸入自由化政策を転換し、WTO協定の改定交渉を政府に義務づけます。  第三に、家族経営を農業経営の基本に位置づけ、条件不利地域での農業と農村が維持できるように直接所得補償を導入することを明記します。  第四に、農産物価格を市場原理に全面的にゆだねる規定は削除し、食料自給率向上のために、生産費を償う価格・所得対策を重視するとともに、農業予算の重点を農業公共事業から農家経営の維持改善に移します。  第五に、安全で健康な食生活の確立を重視し、食品安全基準を厳しく設定し、検疫体制を抜本的に強化するとともに、遺伝子組みかえ食品の表示等を行うことを明記します。  以上の趣旨でありますので、委員各位の御賛同をお願い申し上げまして、修正案の趣旨の説明を終わります。よろしくお願いします。
  117. 野間赳

    ○委員長(野間赳君) これより原案及び修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  118. 須藤美也子

    ○須藤美也子君 私は、日本共産党を代表して、本法案に対して反対、修正案に対して賛成の立場から討論をいたします。  反対の第一の理由は、本法案が、基本法として、日本農業の制度、仕組みを全面的にWTO体制に組み込むことを目的にしたものであり、日本農業の将来に対して大きな禍根をもたらすからであります。  本法案は、その検討の出発点からWTO体制を前提とした農基法を目指して策定されてきたものであり、米関税化を本法案の審議前に強行したのも、WTO体制全面移行後の農基法としての既成事実化を図ったものと言えます。  そして、本法案は、第二条で、「輸入及び備蓄とを適切に組み合わせて行わなければならない。」として、農産物貿易を前提とするWTO体制に日本の食料供給を位置づけることを義務づけ、第十八条では、「国は、」「安定的な輸入を確保するため必要な施策を講ずる」として、農産物の輸入の安定化のために国としてあらゆる措置をとることを義務づけています。この規定は、我が国の食料主権を大きく制約するもので、強く反対するものであります。  反対の第二の理由は、本法案が食料自給率引き上げを担保する法案となっていないということです。  本法案は、総則において食料自給率という字句さえ記載されず、ましてや食料自給率の引き上げが基本理念としても掲げられていません。本来、食料自給率引き上げを担保する法案であるならば、食料自給率の引き上げとその目標理念、目標数値が基本理念に明記されていなければならないものです。そういう法形式をとっていないこと自身が、食料自給率引き上げを担保することを初めから否定している法案であることを示しています。  反対の第三の理由は、本法案が農産物価格支持制度の解体を打ち出し、農業者に一層の困難をもたらすという点です。  本法案は、第三十条で、農産物価格を市場原理に任せる原則を打ち出しました。このことにより、農産物価格支持制度は解体の方向に進み、これまで不十分ながら所得保障を前提に支持価格として形成されてきたこれらの農産物価格は、輸入を前提として市場実勢のもとで大きく下落することになり、農業者は農業所得の減少など大きな打撃を受けることになります。  反対の第四の理由は、家族経営を農業の基本に位置づけず、新政策を基本法の中核に据えている点です。  本法案は、第二十一条で、「国は、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立するため」とし、これまでの大規模農家育成と九割以上の農家を切り捨てるという新政策の真髄を基本法に位置づけたものです。また、第二十二条の法人化推進規定は、農業経営の株式会社形態の導入、すなわち株式会社による農地所有に道を開くものであり、家族経営の共同で成り立ってきた地域農業に混乱を持ち込み、もうからなければ撤退し、農地の大規模な荒廃を引き起こしかねないからであります。家族経営を基本にしてきた現行基本法からの決定的な後退であり、認めることはできません。  日本共産党は、政府提出の基本法の問題点を是正し、日本農業の再建と食料自給率の向上のために、先ほど提起いたしました五点の修正がどうしても必要であると考えます。  以上申し上げまして、反対討論を終わります。
  119. 野間赳

    ○委員長(野間赳君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより食料・農業・農村基本法案について採決に入ります。  まず、大沢君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  120. 野間赳

    ○委員長(野間赳君) 少数と認めます。よって、大沢君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  121. 野間赳

    ○委員長(野間赳君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 野間赳

    ○委員長(野間赳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十二分散会