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1999-01-21 第145回国会 参議院 本会議 2号 公式Web版

  1. 平成十一年一月二十一日(木曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第二号   平成十一年一月二十一日    午前十時開議  第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      ─────・─────    午前十時一分開議
  2. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)  去る十九日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。本岡昭次君。    〔本岡昭次君登壇、拍手〕
  3. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、小渕総理の施政方針演説に対し、総理並びに関係閣僚に質問いたします。  総理は、昨年八月発足した小渕政権を経済再生内閣と銘打ち、我が国の経済再生に内閣の命運をかけると決意を国民に示されました。  しかし、現状はどうでしょうか。経済は金融危機と政策不況の中で停滞し、企業は活力を失い、失業率の増大により雇用が危機に直面をしています。国民は生活を切り詰め、景気の回復と将来への安心を期待して懸命に耐えながら改革を求めていますが、社会は目的を喪失し、無責任が蔓延する中で閉塞しています。  この経済危機の原因は、冷戦構造崩壊や大競争時代の到来による世界経済の大転換と少子高齢時代を迎える我が国の社会構造の変化に、政府・自民党が主体的に対応できなかったことにあります。しかも、政府・自民党の甘い経済見通しで、減税などの景気対策は後手後手に回り、経済危機をいたずらに拡大してきました。  さらに、年金、医療制度、教育などに対する国民の不信、不安が経済的マインドを冷え込ませ、不況を倍加させています。また、大蔵省や防衛庁の不祥事、元自民党中島洋次郎前議員の軍用機をめぐる贈収賄の疑惑など、汚職事件も絶えませんでした。  こうした日本の経済や社会の行き詰まりを打開すべき政治は、自由党と連立し、政権の維持と延命だけにきゅうきゅうとしている小渕政権のもとで、一層国民の信頼を失い、経済再生の新しい道を切り開くことも不可能となっております。  小渕総理、経済再生に命運をかけた政権担当以来の六カ月を自己評価していただきたいと思います。その結論は、もう政権交代以外に道がないのではありませんか。  また総理は、二十一世紀に向けた国政運営の基本を二十一世紀への五つのかけ橋として提案されました。前橋本総理の六つの改革とこの五つのかけ橋の関連を御説明ください。  時代は間もなく二十一世紀に変わります。二十一世紀の日本人は何を目標として生きるのか、どのような社会経済システムを選択するのか、新しい時代の進路を国民にわかりやすく示していくのが政府の責任であります。しかし、総理の五つのかけ橋は極めて抽象的であり、とても国民が安心して渡れるような橋ではないと思います。  一九九九年度の政府予算八十一兆八千六百億円を見ても、従来型の公共事業費を大幅に増額する旧態依然のばらまき予算であり、むだ遣いのための借金による水膨れの景気対策であります。残念ながら、この予算では景気刺激の効果は期待できず、日本経済再生の決め手にもなりません。国民は新しい時代の進路も社会経済システムも確信することができません。将来への確信が示せない状態で予算をばらまくのは、砂に水をまくのと同じであります。総理が国民に選択を求めようとする日本の国家目標と社会の進路を明示していただきたいと思います。  さらに、三十一兆円に及ぶ借金に依存する九九年度予算の姿は、ローン地獄にも似て悲惨であります。九九年度末の国と地方の長期債務残高は、ついに国内総生産の一二〇%に当たる六百兆円に達する見通しであり、我が国は世界でも突出した財政赤字大国となります。むだ遣いによる財政赤字の借金の重荷が将来世代にもたらす負担は、今や危険水域に入りました。総理、この累積する巨額の財政赤字をどうするのですか。この膨大な借金を背負っていく将来世代の不安にこたえてください。  私は、日本を再生する社会経済システムの内容として、安全と安定の確保、生活の質の改善、社会の持続可能性の保障を目標に、環境・福祉・教育に重点を置いた総合戦略が必要であると考えます。そのために、民主党は、恒久減税、安心システム、未来への投資を柱とする構造改革につながる景気・雇用対策を提案しております。  まず、個人所得税の減税についてであります。  政府の減税案では、所得税と住民税の最高税率を六五%から五〇%への引き下げと、所得税二〇%、住民税一五%という一時的な定率減税を組み合わせた減税となっています。その結果、昨年の四兆円規模の所得税特別減税と比較すると、標準世帯年収八百万円以下の納税者は実質増税となります。  また、今回の所得税減税の大半を占める定率減税部分は、制度減税ではなく、景気回復までの一時的な措置とされています。大多数の勤労者世帯に大幅な負担増をもたらす予告つき減税では、国民の将来不安の解消には何らつながりません。経済を活性化させるためにも、こうした時限的な定率減税ではなく、税率構造を見直した恒久減税を実施すべきであります。所得税減税は、国民生活の安心感を高める税制の抜本的な構造改革として、可能な限り前倒しで実施する観点こそが重要であります。中低所得層への恒久減税を避けた金持ち優遇減税では、到底国民の賛同を得られるものではありません。所得税減税に対する総理の基本認識を聞かせてください。  次に、社会保障政策について質問します。  まず、年金制度改正と基礎年金の財源問題についてであります。  公的年金制度は、医療保険や社会福祉制度と並んで、二十一世紀の日本が目指すべき高度福祉社会の基盤をなす社会保障制度の重要な構成部分であり、高齢社会を憂いなく迎え、心豊かに暮らすための基礎となるものであります。ところが、今行われている政府の年金水準引き下げ改革論議は、国民にとって恐怖と脅迫の年金改革の姿であります。公的年金に対して、高齢者は不安を、若者は不信を募らせています。  高齢化が進む中、全体としての負担増は避けられません。しかし、公的負担を削減し、私的負担に切りかえるだけでは、社会保障としての年金の機能は弱まりこそすれ、強まることはありません。公的年金の充実こそ、活力ある高齢社会の基盤であり、新しい社会経済の姿、暮らし方、働き方を可能にする条件であります。年金改正では、社会保障としての信頼を確立することが特に重要であります。公的年金に対する総理の基本的視点をお示しください。  今、政府が提案を準備している改正案では、基礎年金財源の国庫負担割合を現行の三分の一から二分の一に引き上げる時期と財源がうやむやにされています。国庫負担割合の引き上げは、消費税率引き上げと関連させずに、来年度から直ちに実施すべきであります。総理と大蔵大臣の決断を求めます。  国庫負担率を現行の三分の一から二分の一に引き上げることにより、国民年金は月三千円、厚生年金は一%、年平均約二万一千円、国民の年金保険料を引き下げることができます。これにより、未加入者や保険料の滞納、免除者が全体の三分の一、ざっと六百六十万人と増大し、崩壊寸前にあると言われる国民年金、基礎年金制度の財政を安定化させると同時に、所得税非課税世帯や法人にも経済効果をもたらします。国庫負担率の二分の一引き上げと保険料引き下げに必要な財源は、年間二・二兆円であります。消費税一%分の税収に相当します。  民主党は、消費税率の一時引き下げよりも、消費税を基礎年金等の福祉財源や地方財源の安定化に充てることが、国民生活の安心の基礎を確立する構造改革につながる景気対策であると考えております。  この際、消費税の持つ逆進性の緩和を初め、帳簿方式からインボイス方式へ、さらに免税点の引き下げや簡易課税制度廃止等を実施し、消費税が真に国民に信頼される公正かつ透明な税制として新しく出直すべきであります。  消費税は、基礎年金や介護、高齢者医療等、社会保障の費用が増大する高齢社会の貴重な財源として福祉目的税にすべきであります。消費税の福祉目的税化と抜本的改革についての見解を、総理並びに大蔵大臣に求めます。  関連して、自民、自由両党の政策協議で福祉目的税化の合意はできたようですが、今後どのように実行していくのですか。また、自由党は消費税の一時凍結や引き下げを求めていましたが、どのようにこの問題は決着したのですか。総理に明確な説明を求めます。  次に、介護と医療について質問します。  来年四月から介護保険制度が始まります。限界を超えた家族介護を社会化し、安心の地域介護を確立するものと期待しますが、不十分な施行準備を理由に来年度からの実施を延期せよという声が一部にあります。しかし、介護は待ったなしの課題で先送りは絶対に許されません。不足が心配される介護サービスは、新ゴールドプラン終了後も計画的な基盤整備を積極的に進めるべきです。特に、介護保険の対象サービスでありながら絶対量が不足するグループホームを飛躍的に整備する必要があると考えます。  また、政府は、第一号被保険者の平均保険料は一人当たり月二千五百円としていますが、実際の試算ではとても二千五百円では実施できない地域が数多くあり、大きな不安が広がっています。これら介護保険問題について総理の答弁を求めます。  医療については、だれもがひとしく良質な医療を受けることができるよう、国民皆保険を今後とも維持していかなければなりません。国民医療費は将来も増加が見込まれ、医療保険制度を公平性高いものにするには、医療制度及び保険制度の抜本的改革が必要であります。  ところが、政府は、来年度予算案の中に、七十歳以上の高齢者に係る薬剤費の一部自己負担を免除し、それを全額国庫で賄うため千二百七十億円を計上しました。今、政府の審議会では、医療費に占める薬剤比率を下げるための薬価制度や、老人医療費を下げるための高齢者医療制度のあり方を検討しているところではありませんか。こうした議論を無視して、なぜ唐突に小手先の制度改正のために予算措置をするのですか。  また、政府は、今回の措置を抜本改革までのつなぎの措置と説明しています。そうであるならば、どんな内容の抜本改革をいつまでに行うのか、はっきりと国民に対して公約すべきです。総理の明快な答弁を求めます。  次は、人権についてであります。  昨年は、参議院において国連人権宣言五十周年を記念した人権決議が全会一致で採択されました。政府は、この人権決議を尊重し、日本の人権諸課題の解決にも責任を持たなければなりません。  昨年十一月の国連規約人権委員会では、日本政府の第四回定期報告書の審議が行われました。日本に対する委員会勧告として二十八項目にわたり厳しい指摘がなされております。その中に、私が十数年にわたり求め続けてきた国連人権B規約の選択議定書の早期批准や人権擁護施策推進法が目指す同和問題における差別を終結させる措置の実現などがあります。  本年は、日本が国際人権規約を批准して二十周年を迎えます。国際人権に対する政府の基本姿勢とともに、選択議定書の批准及び同和問題の差別終結について政府の考えを総理に伺います。  次に、小中高校の三十人学級問題であります。  昨年八月の臨時国会でも質問しましたが、日本の未来にかかわる教育への戦略展望なき総理及び有馬文部大臣の答弁には全く失望しました。  日本は今、明治維新、敗戦に次ぐ第三の改革に直面しております。しかし、この中で最も難しいと言われるこの第三の改革のかぎも私はやはり教育が握っていると考えます。日本の教育が、三十人学級を初め個性を開花させる教育システムに転換し、強固な自立心を持ち、連帯して新しい日本の未来を構築する人づくりができるかどうかにかかっております。  アメリカでは、クリントン大統領が昨年の一般教書演説において、公立の小中学校の教育水準を世界一にするんだということで、低学年の一年、二年、三年の学級規模二十二人を平均十八人に縮小し、教員十万人の採用計画を提案しています。先日の大統領の演説でも教育改革重視の姿勢がうかがえます。  我が国は、標準定数法で一クラス四十人と定めて、既に十九年が経過しているのであります。三十人学級の実施は国民の切実なる願いであります。民主党は、参議院において各党各会派の御賛同をいただき、三十人学級実施のための法案を議員立法で提出したいと考えております。三十人学級実現について、再度総理並びに有馬文部大臣に日本の未来をかけた決断を求めます。  次に、日本育英会の奨学資金制度についてであります。  奨学資金制度には、第一種の無利子と第二種の有利子の二種類があり、政府は、今回一千億円の予算をつけて、新たに有利子の制度を拡大しようとしております。これは、現行有利子制度の貸出金利の上限三%を廃止し、利率については五年ごとに見直すという構想です。しかも、在学中にも利子をつけるということまでが検討されているようであります。  日本育英会の奨学金はもともと無利子でした。一九八四年の日本育英会法改正によって、一部奨学金を有利子としました。その際、参議院文教委員会では全会一致で次のような附帯決議を行っています。   育英奨学事業は、無利子貸与制度を根幹としてその充実、改善に努めるとともに、有利子貸与制度は、その補完措置とし、財政が好転した場合には廃止等を含めて検討すること。また有利子貸与の利率は、将来にわたって引き上げることなく、長期低利を維持し、奨学生の返還金の負担軽減に努めること。 とあります。  文部省の有利子奨学金新制度は、この参議院附帯決議に反します。文部大臣の見解を求めます。  奨学金とは、学生が社会に役立つ人間として学び成長すれば、それで元金も利子も社会は受け取ったことになるという発想のもとに成り立っています。奨学金は、親の負担を軽減し、減税と同様に親の可処分所得をふやすとともに、将来の重い教育負担への不安を解消します。つまり、奨学金は、社会全体から見れば未来への先行投資であり、教育費負担軽減の安心システムであり、さらに景気対策として減税と同じ効果が得られる、まさに一石三鳥の経済対策であります。  日本育英会の奨学資金制度は、学費と生活費を含めた資金として最高限度額を引き上げ、希望者全員に無利子貸与する制度にこそ改革すべきであります。小渕総理の決断を求めます。  次に、政府の雇用政策について質問します。  昨年十一月の調査では、完全失業者数が二百九十一万人となり、九〇年の百三十四万人から二・二倍に増加しました。一家を支える世帯主の失業者は八十四万人、企業のリストラによって離職した者は三十六万人ふえて九十二万人、こうして三百万人近い人々が職もなく年の瀬を越したのであります。  我が国の完全失業率は、ついに史上最悪の四・四%となりました。日本型雇用のもとで、世界の先進国の中で飛び抜けて低い失業率を誇ってきた時代は過去のものとなり、日本も構造的な高失業を抱える国の一つに入ろうとしています。  この原因は、直接的には長引く景気停滞と不況でありますが、構造的には規制緩和など国際競争力強化のために正当化されたリストラであります。最近のOECDレポート「雇用研究」も、九〇年以降の雇用危機が単なる景気回復によって解決できる性質のものでなく、体制そのものが生み出す構造的失業ととらえています。日本が安定した社会発展を遂げるために、雇用こそが最大の政治と経済のテーマであるべきです。総理に失業の構造的解決への決意と展望をお聞きしたい。  政府は、雇用対策の目玉として百万人雇用創出を打ち出していますが、どのような分野でいつまでに雇用の受け皿ができるのか、明らかでありません。  民主党は、地方主体、民間活力を生かし、福祉、医療、教育、住宅、環境、情報通信分野などの新社会資本整備を推進するという原則のもと、緊急雇用創出措置として介護マンパワーの拡充、三十人学級実施による教員の増員、緊急森林整備など、具体的な事業の実施を提案しています。また、失業給付期間の延長、きめ細かなカウンセリングと職業教育、訓練制度による個人の職業能力、適応力の向上を図り、失業中のセーフティーネットの強化と雇用のミスマッチの解消を提唱しています。総理、政府は、民主党が提案しているこうした雇用創出策を受け入れ、速やかに実施すべきであります。いかがでしょうか。  次に、金融機関の経営破綻にかかわる政治、行政の責任について質問いたします。  政府は、大手銀行はつぶさないと何度も明言しながら、北海道拓殖銀行に続き、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行と破綻が続出しました。昨年末破綻した日債銀については、大蔵省が多くの金融機関に奉加帳方式で二千九百億円を負担させました。ところが、これら増資金融機関に対しては、日債銀の第Ⅲ分類不良債権額が四千億円、第Ⅳ分類不良債権が五百億円も過少報告されていたのであります。しかも、昨年三月末の時点で、日債銀は既に九百四十四億円の債務超過に転落していたというではありませんか。  また、一兆五千億円の不良債権を抱えて事実上倒産した旧兵庫銀行には、日本銀行の特別融資五千億円に続き、大蔵省が金融機関等に奉加帳方式で出資させてみどり銀行を設立し、業務を引き継がせたのです。ところが、このみどり銀行は二年余で経営が行き詰まり、阪神銀行に営業権を譲渡することになりました。みどり銀行破綻には、大蔵省の指導で出資した株主に出資の責任を背負わせています。  これら大蔵省の奉加帳方式に対して、出資者は、政府に賠償してもらいたい気持ち、詐欺に遭ったようなものだと大蔵省の密室・裁量行政を厳しく批判しています。日債銀、みどり銀行等の金融機関破綻処理の失敗に対する大蔵省の行政責任が厳しく問われるべきです。  昨年三月末の公的資金注入は、結果として長銀、日債銀の優先株が紙くずとなり、その負担は国民に回されます。総理及び大蔵大臣、これらの金融行政の責任は過去のことではありません。だれが責任をとるのですか。銀行の責任はどうしますか。  また、金融再生委員会は、過去の金融行政の責任追及と同時に、過去の裁量的護送船団行政との決別が求められております。しかし、当事者である柳沢金融再生担当大臣は、記者会見で、再生委員会の立場は過去の行政責任を追及することを期待されていないと発言し、責任追及には消極的な姿勢を見せています。金融再生委員会に対する国民の期待に反したこの発言の真意と、護送船団行政との決別に関する決意を金融担当大臣に伺います。  次に、中小企業政策について質問します。  我が国の産業において、企業数で全体の九八%以上、雇用面で約七八%を占める中小企業が日本経済を支えている実態に関しては、総理も異論はないと思います。今、中小企業は未曾有の大不況の中にあって、売り上げや経常利益などの面で過去最悪となり、その多くが危機に直面しています。九八年の中小企業の倒産件数は二万件を突破する勢いで、石油危機、円高不況以来の高水準となっています。この倒産の今日的課題は、経営に問題がない企業への金融機関による貸し渋り倒産であります。  政府は、これまで再三多額の公的資金を金融機関に導入し、貸し渋り対策を含む景気対策を実施してきました。しかし、公的資金は金融機関の戦いの軍資金ではないか、むしろ貸し渋りを強める効果となったのではないかなどと批判され、中小企業の支援策として機能していないというのが支配的な見方であります。  商工中金の調査では、この貸し渋り倒産の九割近くを資本金五千万円未満の中小零細企業が占めています。適切な対応策を欠いた政府の責任を抜きに、自由な市場に至るまでの若干の痛みなどとして、中小企業を放置することが日本産業の構造改革ではありません。小渕総理、中小企業の危機突破支援対策とあわせて、中小企業の貸し渋り倒産を防止する有効な対策を伺いたい。  第二点として、物づくり基盤技術振興問題です。  いつの時代であっても、我が国の産業、特に中小企業には物づくりを基本とした支援が重視されるべきであります。我が国の物づくりにおいては、技術に対する自己研さんと創意工夫の伝統が引き継がれており、こうした技術を保有している中小企業の層の厚さが、今日のすぐれた製品の供給を可能とし、かつ我が国の産業の強さや特質を発揮してきたと考えています。参議院各会派の共同提案でものづくり基盤技術振興基本法を今国会に提案する準備も進めています。総理の御見解を伺いたい。  次に、阪神・淡路大震災復興について質問します。  六千四百三十人のとうとい人命を奪い、四十五万世帯を全半壊させた阪神・淡路大震災は一月十七日で満四年を迎えました。しかし、被災地では、仮設住宅に今も約五千八百世帯が生活し、約千二百世帯の皆さんの移転先が決まっておりません。持ち家を再建した人の中で三〇%強の人が二重ローン支払いの中で困っております。  神戸市内の失業率は七%を超えていると言われています。生活再建に苦しむ被災者に不況が厳しい追い打ちをかけているのであります。八〇%近い復興ぶりであっても取り残された被災者の生活再建は容易でなく、最後の一人が心の安らぎを覚えるまで本当に復興したと言えないと思います。総理、被災地自治体と一体になった政府の住宅二重ローン問題の解決を初め、一層きめ細かい被災者支援を強く求めたいと思います。  また、支援内容は全く不十分ではありましたが、昨年やっと災害被災者の生活再建支援法を議員立法ということで成立させることができました。画期的なことだと私は思っております。この法律には、附則第二条に被災者住宅の再建支援の検討が明記されています。附帯決議には五年後の見直しがあります。政府は、なぜこうした被災者の生活再建と住宅再建の災害対策を拡充していこうとしないのですか。総理、もう大震災の教訓をお忘れになったのですか。  次に、日本と韓国、中国の共同宣言について質問します。  昨年秋には、韓国の金大中大統領と中国の江沢民国家主席が相次いで来日され、日韓、日中それぞれの共同宣言がまとめられました。韓国との共同宣言には植民地支配へのおわびが盛り込まれ、中国との共同宣言には初めて侵略の文言が入りました。共同宣言は、条約に近い効力を国際法上発揮し、一内閣の見解を超えて永続する外交上の約束事であると私は認識しておりますが、総理の認識を伺っておきたい。  日韓共同宣言には、両国国民、特に若い世代が歴史への認識を深めることの重要性と、そのために多くの関心と努力が払われる必要性をうたっております。過去の事実を隠ぺいしたり、歴史を美化したりして、青少年に誇りや自信を与えるなどという誤った教育観は通用しません。政治が歴史教育に対して行うべき努力は、政府が保存し、今も各省庁の倉庫に眠っている植民地支配と侵略に関する資料をみずから公開し、それに基づいて戦争被害と加害責任を調査することであります。  日本側からのこうした誠意と努力の第一歩として、この資料公開と調査こそが日韓、日中の共同宣言の内実を確かなものとし、将来、より高いレベルの歴史認識を共有することができるものと私は考えます。共同宣言調印者としての総理の見解を伺いたい。  資料の公開に関連して、国会にたなざらしにされ、継続審議となっている情報公開法案について伺います。  たなざらしの最大の要因は、野党の十二項目の共同修正要求に応じようとしない不誠実な政府の対応であります。この共同修正は自由党も含めたものであります。行政機関の保有する情報を広く国民に公開することが日本の民主主義を成熟させ、公正透明な社会を築く上で不可欠であります。野中官房長官は、情報公開法の成立は急務であり、通常国会では積極的な努力を行いたいと言明されています。小渕総理の情報公開法案成立に向けた不退転の決意をお聞かせください。  次に、緊迫の度合いを強める朝鮮半島問題について質問します。  ことし前半の我が国の外交と安全保障問題の最大の懸念は朝鮮半島情勢であります。北朝鮮の核開発を中止させるため、アメリカなどが重油や軽水炉を提供する米朝枠組み合意が成立しています。ところが、新たな核関連地下施設疑惑が表面化したことから、アメリカは査察を要求し、米朝協議が今も続いております。この米朝交渉が破綻すれば、北朝鮮とアメリカの緊張が一気に高まる可能性が出てきたと思います。  米軍の攻撃もないのに北朝鮮が日本にミサイル攻撃をするはずがありませんが、米朝が軍事衝突に発展すれば最悪の事態になります。このような場合、日米安保条約の事前協議の対応を政府はどう考えているのですか。さらに、軍事衝突回避にはいずれの国よりも日本こそが朝鮮半島和解の先達となるべきではありませんか。総理の答弁を求めます。  次に、ガイドライン関連法案について質問します。  政府は、周辺事態法案の我が国周辺の事態を、地理的な概念でなく、事態の性質に着目した概念と、日本語として意味不明な弁明をしています。これでは日本が米軍の世界じゅうの活動にかかわることになりかねません。政府の本音は、日本を基地とする米軍の軍事行動に国を挙げての後方支援の義務を日本に負わせることにあるのではありませんか。  また、国会承認は総理が国会に報告すればよいことになっています。この周辺事態では、米軍への後方支援に自衛隊や地方自治体を含む国を挙げての後方支援が義務づけられるのであります。国連平和協力隊への自衛隊参加にも国会の承認が義務づけられていることからも、国会の承認は不可欠であります。我が国周辺の公海において活動する自衛隊に、自衛隊法第九十五条、武器等防護のための武器使用を認めることは、憲法第九条が禁ずる海外における武器使用に該当するのではありませんか。周辺事態、国会承認、自衛隊の武力行使の三点について、政府の本音を総理、語ってください。  関連して、自民党と自由党の安全保障政策についてお尋ねします。  自由党は、協議の中で、国際協調主義を定めた憲法の前文が武力行使を禁じた九条よりも優先されるとの立場から、武力行使を含む国連平和活動への参加が可能だと主張されていると伺っています。総理、この問題は憲法解釈も含め、両党一致したのですか。お伺いします。  次に、中村法務大臣の憲法発言について質問します。  大臣は、日本人は連合軍からいただいた国の交戦権は認めない、自衛もできない、軍隊も持てないような憲法をつくられて、それが改正できないという中でもがいているという大変な時代に我々は生きているとの憲法批判を展開しました。法の番人法務大臣にあるまじき暴言であると私は思います。閣僚には憲法を遵守する義務がございます。しかも、自衛もできないという認識ではこれは重大な閣内不一致であります。撤回をして済むような発言内容ではございません。中村法務大臣は大臣として失格であります。総理に法務大臣の罷免を求めます。  最後に、自民・自由連立政権について質問します。  この連立は、自民党の参議院過半数割れ対策、自由党の生き残り対策という両党の利害得失が一致した、まさに党利党略以外の何物でもありません。自由党は、小沢党首を先頭に徹底して自民党を批判し、参議院選挙後の国会においても、参議院で最も厳しく自民党と対決を求めてこられました。それだけに、野党から与党へというこの間の総括を、国民に明確にされる責任があると思います。自由党を代表して入閣された野田自治大臣に説明を求めます。  さらに、総理は、連立は国家国民のためと説明をされていますが、数合わせの対象として自由党を選んだにすぎないのではありませんか。選挙の洗礼も受けず、首班指名選挙で小渕総理に投票しなかった政党との連立政権は、憲政の常道から逸脱をしています。  総理は、政治に対する国民の信頼回復を図るために、速やかに衆議院を解散し、自民・自由連立について国民の審判を仰ぐべきであります。総理の決断を求めて、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
  4. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 本岡昭次議員にお答え申し上げます。  まず、政権担当以来六カ月の自己評価についてお尋ねがございました。  私は、昨年七月に総理大臣に就任いたしまして以来、国会の御協力もいただきながら、最も喫緊の課題でありました金融システムの再生に取り組んでまいりました。  また、昨年末に成立いたしました第三次の補正予算のもとで切れ目なく景気回復策を実施しておりまして、十一年度予算におきましても、当面の景気回復に全力を尽くすとの観点から編成をいたしたところでございます。税制面でも、九兆円を超える規模の思い切った内容の減税を実施することといたしております。  こうした基礎に立って、私はこの平成十一年を経済再生元年と位置づけ、日本経済の再生に全力で取り組んでまいります。  小渕内閣といたしましては、こうした施策を十分とることによりまして国民の期待にこたえていく、こういうことでございますので、現段階におきまして自己評価をさせていただくことは差し控えさせていただくとして、国民の皆さんの御批判、御判断を待ちたいと思っております。  私が施政方針で申し述べた二十一世紀への五つのかけ橋と、橋本内閣の六つの改革の関連についてのお尋ねがございました。  私は、施政方針演説におきまして、世界へのかけ橋、繁栄へのかけ橋、安心へのかけ橋、安全へのかけ橋、そして未来へのかけ橋の五つのかけ橋を二十一世紀に向けた国政運営の基本として考えてまいる旨申し述べたところでございます。これは、国民の皆さんによりわかりやすい形で国政運営の基本を示すべく、五つのグループに分けて説明させていただきました。  他方、議員御指摘の橋本内閣のいわゆる六つの改革、すなわち行政改革、財政構造改革、社会保障構造改革、経済構造改革、金融システム改革、そして教育改革については、それぞれの改革について現下の環境変化などを踏まえ、真に国家と国民のために役立つ改革を行うよう真剣に取り組んできておるところでございまして、例えば財政構造改革につきましては、我が国の厳しい経済情勢を踏まえ、景気回復に全力を尽くすため、財政構造改革を凍結させていただいておるところであります。  こうした点も含みつつ、いわゆる六つの改革につきましては、その基本は私の述べました五つのかけ橋の中にいわば包み込まれているものと、こう御理解を願いたいと思っております。  平成十一年度予算はばらまき予算であり、将来の我が国の姿が見えてこない、厳しい御指摘ではございますが、私は、我が国のあり方として、他人に優しく、美しきものを美しいとごく自然に感じ取ることのできる社会、隣人が優しく触れ合うことのできる社会、そして何より住みやすい地域社会を建設することが必要だと考えております。  このような考え方に基づきまして、二十一世紀のあるべき国の姿について有識者から成る懇談会を設置し、次の世代に引き継ぐべき指針をまとめたいと考えておりますが、新しい世紀を希望と活力のあるものにするためにも、今世紀中の課題はぜひ今世紀中に解決の道筋をつけたいと願っております。  このため、経済を自律的な回復軌道に乗せることにまず全力を尽くしておりまして、十一年度予算におきまして、当面の景気回復に全力を尽くすとの観点から、公共事業や中小企業対策、雇用対策に最大限配慮するとともに、科学技術の振興など、将来の発展基盤を確立する施策も十分取り入れさせていただいておりまして、ばらまきとの批判は当たらないものと考えております。  巨額の累積財政赤字をどうするかということでありました。  我が国財政が、御指摘のように平成十一年度末で国、地方合わせまして長期債務残高が約六百兆円に達する見込みであるなど、厳しい状況にあることは承知をいたしております。将来世代のことを考えますと、私は財政構造改革という大変大きな重い課題を背負っておると常々痛感いたしております。日本経済が回復軌道に乗りました段階におきまして、財政・税制上の諸課題につき、中長期的な視点から幅広くしっかりとした検討を行い、国民の皆様にそのあるべき姿を示さなければならないと考えております。  次に、所得税減税についてお尋ねがありました。  個人所得課税につきましては、将来の抜本的見直しを展望しつつ、現下の厳しい経済情勢にかんがみまして、早急に税負担の軽減を図る観点から、最高税率の引き下げ、定率減税等、一時的な措置でなく期限を定めない、まさに恒久的な減税を実施することといたしたところであります。  最高税率の引き下げは、我が国の将来を見据え、国民の意欲を引き出す観点から行うものであります。また、中堅所得層に配慮し、定率減税には頭打ちを設け控除率をある程度大きくするとともに、扶養控除額の加算等を行うことといたしておりまして、全体としては高額所得者に偏ったものとなっておりません。  定率減税は納税者ごとの税負担のバランスをゆがめないで減税を行うことができるという長所があり、今回のように景気の現状に配慮して、課税ベースや課税方式の抜本的見直しを伴わずに恒久的減税を行う方式として定率減税が適当と考えられます。  なお、定率減税の実施によりまして、単年度で比較してみますと、昨年より減税額が減少する所得階層が生じることは事実でありますが、一年限りで打ち切られた文字どおり特別の減税と、恒久的に効果を持続する減税を単純に比較することは適当でないと考えます。  このような大規模な減税を一時的でなく期限を定めずに継続して実施することにより、消費者や企業マインドを高め、景気に効果的に作用するものと考えております。  次に、公的年金に対する基本的視点についてお尋ねがありました。  公的年金は高齢者にとって欠かせない存在となっており、将来とも安心して年金が受給できることが重要であります。今後の少子高齢化の進展に対応するため、給付と負担の均衡を確保し、将来世代の負担を過重なものとしないよう、制度改革に取り組み、信頼のできる安定した制度を確立してまいります。  次に、基礎年金財源の国庫負担割合を直ちに引き上げるとの御提案でありますが、国庫負担割合の引き上げは莫大な財源を必要とすることから、現下の厳しい財政状況等にかんがみ、今回の年金改正で実施することは困難であると考えております。  基礎年金の国庫負担の問題につきましては、新たな財源確保のための具体的な方法と一体として検討する必要がありまして、中期的な検討課題として、国の財政状況等を踏まえつつ、国民負担全体のあり方、社会保険料と税の役割のあり方等とあわせて議論すべきものと考えております。  次に、消費税の福祉目的税化についてのお尋ねがありました。  今般、消費税に対する国民の御理解を一層深めていただきますよう、予算総則に消費税収の使途を明記し、広く国民の老後等を支える基礎年金、老人医療及び介護のための福祉予算に使う旨を明らかにしたところであります。  また、消費税の抜本的改革についてのお尋ねがありましたが、逆進性の緩和、いわゆるインボイス方式、中小事業者に対する特例などに関する御指摘につきましては、我が国の税制全体としての累進性、事業者の実態などをも踏まえつつ、幅広い観点から論議されるべき問題と考えております。  消費税に関する自民党と自由党の政策協議につきましてお尋ねがありました。  自民党と自由党との協議によりまして、消費税につきましては、その使途を基礎年金、老人医療及び介護に限定することとされたことを受けまして、今般、消費税に対する国民の御理解を一層深めるように、申し上げましたように、予算総則に消費税収の使途を明記し、広く国民の老後等を支える基礎年金、老人医療及び介護のための福祉予算に使う旨を明らかにしたところでございます。  また、消費税の問題を含めまして、自由党から景気回復に資するための御提案があったことも勘案をいたしまして、平成十一年度税制改正におきまして、景気に最大限配慮して、全体で平年度九兆円を超える減税を行うことといたしたところでございます。  介護保険についてお尋ねがありました。  高齢者介護をめぐる現状の深刻さ等を考えますれば、平成十二年四月から実施することが重要と考えており、制度の円滑な実施に向けまして、痴呆性高齢者向けのグループホームを含めたサービス供給体制の整備等にも、引き続き全力で取り組んでまいります。  また、高齢者の介護保険料は、市町村ごとのサービス水準に応じて異なるものがあります。いずれにいたしましても、それに応じた保険料水準が適切なものになるよう、都道府県、市町村との連携を図りながら準備を進めてまいりたいと考えております。  老人薬剤負担軽減措置及び医療保険制度の抜本改革についてのお尋ねでありました。  今回の措置は、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、医療機関にかかる機会の多い高齢者について、その薬剤負担を軽減するために、医療保険の抜本改革までの応急的な措置として臨時特例的に実施するものであります。  薬価制度の見直しを初めとする医療保険制度の抜本改革の必要性は、この措置によっていささかも変わるものでなく、平成十二年度からの実施を目指し精力的に取り組んでまいります。  次に、人権問題に対しましてお尋ねがありました。  その基本姿勢についてでありますが、すべての人々の人権が最大限に尊重される社会の実現のため、人権擁護の体制整備や関係諸施策の充実強化を図ることは申すまでもないことと存じます。  同和問題につきましては、平成八年の地域改善対策協議会意見具申を基本的指針といたしまして、関係諸施策の推進を図ります。  国際人権B規約の選択議定書の締結につきましては、司法制度等との関連も含めまして、種々の観点から今後とも慎重に検討する必要があると考えております。  次に、文教政策につきましてでありますが、三十人学級実現についてであります。  現在、児童生徒一人一人の個に応じた多様な教育を展開するための教職員配置の改善を柱とする改善計画を推進いたしておるところでありまして、この計画をぜひ十二年度完成に向けて着実に取り組んでまいりたいと思います。  次に、奨学金制度についてお尋ねがありました。  学生が安心して学べるようにするために奨学金制度を充実することは、御指摘のとおりまことに重要な課題であります。このため、平成十一年度予算案におきましては、日本育英会の無利子奨学金について貸与月額の増額や貸与人員増を図るとともに、有利子奨学金につきましても貸与人員九万四千七百人増といたしておりますが、その大幅な拡充や貸与基準の緩和等を行うことといたしております。すべて無利子にというお話ではございましたけれども、いろいろの形で学生のためにこうした制度を拡充すること、これまた重要なことと考えております。  次に、失業の構造的解決につきましてお尋ねがありました。  雇用活性化総合プランに基づきまして、新規雇用の創出、職業能力開発等の労働者の就職支援、ミスマッチの解消、失業中のセーフティーネットの確保に全力で取り組み、雇用の安定を図り、再び希望と活力にあふれた経済社会をつくり出してまいります。  介護サービスの分野におきましては、新高齢者保健福祉推進十カ年戦略を着実に推進することによりまして、訪問介護員等の確保に引き続き取り組んでまいります。  教員の増員に関しましては、現在、児童生徒一人一人の個に応じた多様な教育を展開するための第六次教職員配置改善計画を推進しているところでありまして、この計画の完成に向けまず最大限の努力をしてまいります。  森林整備に関しましては、第二次森林整備計画及び治山事業七カ年計画に基づき、計画的かつ着実な事業の推進を図ることにより、山村地域等の雇用の創出に努めてまいります。  次に、金融問題でありますが、金融機関破綻処理の失敗の行政責任及び破綻した銀行の責任についてお尋ねがありました。  金融行政におきましては、その時々における制度の枠組みのもとで、金融システムの安定性確保のための最善と考えられる対応がとられたものと考えますが、いずれにしても、我が国金融システムの安定及び再生には、今後とも万全を期してまいらなければならないと考えております。  また、破綻した銀行につきましては、金融再生法等に基づきまして、経営者等に対し民事、刑事上の厳格な責任追及が行われることとなっております。  次に、中小企業問題でありますが、中小企業の危機突破対策及び中小企業の貸し渋り倒産についてお尋ねがございました。  景気低迷下におきまして、中小企業を取り巻く金融環境は依然として厳しい状況にあります。これに対しまして、政府といたしましては、切れ目ない景気回復策に加え、昨年十月以降、貸し渋り対応特別保証制度の創設等貸し渋り対策の抜本的拡充を図ってまいりました。本保証制度の承諾件数は、既に中小企業の十社に一社に当たる五十七万件に上り、承諾金額も十一兆七千億に達しております。なお、中小企業の貸し渋り倒産を含めた倒産件数は昨年十一、十二月と減少に転じておるところでございます。  次に、ものづくり基盤技術振興基本法について御指摘がございました。  私は、これまで埼玉県の川口市など中小企業の現場をお訪ねいたしまして、関係の方々と懇談をするとともに、そうした地域の中小企業の皆さんが真剣に物づくりにいそしんでおられる姿を目の当たりに見させていただきました。議員御指摘の物づくりの重要性については、御指摘のとおり私自身も全く同感とするところであります。  そこで、中小企業の物づくりに対する支援についてでありますが、政府におきましては、物づくりを支える基盤的技術の維持・活性化が我が国製造業の競争力強化に不可欠との認識のもと、各省連携をしつつ、人材育成事業等を実施してきたところでありますが、今後とも物づくり技術のシステム化等、施策の強化を図ってまいりたいと思います。  次に、阪神・淡路大震災についてお尋ねがありました。  政府といたしましては、被災者に対する支援策として、公営住宅の大量供給や家賃の大幅な引き下げなどを実施してまいりました。また、二重ローン対策として、住宅金融公庫金利の引き下げに加え、復興基金を活用した利子補給などの対応を行っております。  いずれにいたしましても、本岡議員、地元地域のこの問題につきまして大変御熱心に対応されておりますが、私も、先般、震災以来四年を迎えました神戸市の慰霊祭に出席をさせていただきました。種々いろいろな問題がさらに残っておりますことにつきまして、十分認識をいたしてまいりました。できる限りの措置をとり、一日も早く被災を受けられた方々が気持ちを新たに新しい生活に臨めますよう、最善の努力をいたしてまいりたいと思っております。  災害対策についてお尋ねがありました。  本年四月適用の被災者生活再建支援法につきまして、まずは円滑かつ適切な運用をし、実績を重ねることが重要と考えております。また、災害救助法につきましても、被災の実態に応じた的確な応急救助の実施に努めてまいります。さらに、住宅再建支援のあり方につきましては、支援法を踏まえ、検討委員会を設置し、総合的な見地から検討を行うことといたしております。  なお、議員立法でございました被災者生活再建支援法につきましては、昨年北日本を襲いました種々の水害等におきまして被災を受けられた方々におきましても、せっかくのこの法の適用につきましても、我々としてこれを実施させていただく方向にさせていただきましたことは、この法律の制定そのものの役割のありましたこと、大変効果のあったことと認識をさせていただいております。  次に、外交問題についてでありますが、共同宣言についてお尋ねがございました。  日韓、日中でございますが、共同宣言とは、関係国の首脳等がその認識、立場等を述べるというのが一般的でありまして、国際法上のいわゆる権利義務関係を設定する条約とは異なることは御案内のとおりでございます。ただし、共同宣言が外交上の重要な文書であることは申すまでもないことでございます。  次に、歴史認識について御指摘がありました。  我が国としては、過去の一時期に多くの国々の人々に対し、多大な損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、歴史を直視することが必要であると考えております。さきの大戦につきましては、これまでさまざまな角度から研究が行われ、政府としても、過去の歴史を踏まえ、近隣諸国との相互理解と相互信頼を築くため、歴史図書資料の収集、研究者に対する支援等を内容とする平和友好交流計画の進展に努めていきたいと考えております。  情報公開法についてであります。  政府案は、行政改革委員会におきまして関係諸方面の意見を聴取しつつ、熱心に御審議をされまして作成された要綱案を最大限に尊重して立案させていただいたものであり、これまでの国会の御審議に際しましても、政府として誠意を持って対応してまいったところであります。衆議院の内閣委員会におきまして熱心な御議論がされ、与野党の合意で継続審議になったものと承知をいたしております。国民各界の期待にこたえて、国会で十分御論議をいただき、速やかに成立させていただくようお願いいたします。  朝鮮半島情勢についてお尋ねがありました。  事前協議との関連で仮定の問題にお答えすることは適当でないと考えます。ただし、一般論として言えば、事前協議の運用に際しての政府の基本的立場は、我が国の国益確保の見地から、具体的事案に即して自主的に判断するということであります。  また、朝鮮半島の緊張緩和の重要性は論をまたないところでありまして、我が国は、現在開催されております朝鮮半島の和平に関する四者会合におきましてその進展が見られるようにすること等、北朝鮮側に前向きの対応を求めていく考えであります。さらに、将来的には、日ロが加わった北東アジア安全保障及び信頼醸成に関する話し合いの場を設けることも有益であると考えております。私自身も、ロシアに参りまして、あるいは中国との話し合いの中で、こうした形で六者会談の開催ができてまいりますように、これからも努力をいたしてまいりたいと思っております。  次に、周辺事態についてお尋ねがありました。  周辺事態は、その規模、態様等を総合的に勘案して判断するものでありまして、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定あるいは一概に画定することはできないと考えます。  他方、周辺事態とは、日本の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態でありますので、かかる事態が現実の問題として、例えば地球の裏側において生起するようなことは想定されないことはもとよりであります。  次に、基本計画の国会承認についてお尋ねがありました。  周辺事態への対応につきまして、極めて迅速な決定を要すること等を総合的に勘案いたしますれば、国際平和協力法におけるいわゆる凍結業務とは異なる性格のものであり、基本計画を国会に遅滞なく報告し、議論の対象としていただくことが妥当と考えております。何とぞ、国会におきまして十分御審議をいただきたいと存じます。  武器等防護のための武器使用についてでありますが、自衛隊法第九十五条、武器使用は、自衛隊の武器等を破壊、奪取しようとする行為からこれを防護するため、武器等の警護に当たる自衛官に認められた極めて受動的かつ限定的な必要最小限の行為でありまして、これが公海上で行われたとしても憲法の禁ずる武力の行使には当たらず、憲法上の問題が生ずることはありません。  国連の平和活動についてお尋ねがありました。  自民、自由両党の合意では、国連の平和活動への参加につき、国連総会あるいは安保理の決議があり、かつ要請がある場合は、武力行使と一体化するものでない限り、積極的に参加、協力することができるといたしております。また、今般の合意では、従来の政府の憲法解釈を変更しない点でも一致をいたしております。  次に、法務大臣の発言についてお尋ねがありました。  一月五日の閣議後の閣僚懇談会におきまして、私から法務大臣に対して、その発言の真意をただしましたところ、司法制度に関する改革の必要性を強調するため、我が国が直面するさまざまな局面を説明し、複雑な世界情勢に言及したかったというのが真意であるが、その改革の必要性を強調する余り表現に適切を欠いた点があったので、おわびして撤回するものであり、小渕内閣の閣僚としては憲法を尊重、擁護することは当然のことである旨の発言がありましたので、私としてはこれを了承したものでございます。  最後に、この連立内閣について御批判されました上に、解散についてのお尋ねもございました。  まず、今般の連立内閣につきまして、改めて私の思いを申し述べさせていただきたいと思いますが、昨年七月に内閣をお預かりいたしまして以来、日本経済の再生に全力を尽くす立場から、あらゆる分野で思い切った施策を実行してまいりました。しかしながら、内外の環境は依然厳しく、景気の回復を初め緊急に解決しなければならない課題が山積いたしております。また、急速な少子高齢化や情報化、国際化など進展する中で、あらゆる分野における改革を断行し、二十一世紀に向けてこの国のあるべき方針を明確にいたしていくことが強く求められております。  私は、これらの課題に果断に取り組み、今日の国家的危機を乗り越えていくために、時局認識と基本理念で一致を見た自由民主党と自由党と両党が政権をともにし、日本国と国民のために責任ある政治を実現していくことがぜひとも必要であると判断いたした次第でございます。  この連立内閣の発足に当たりまして、自由民主党と自由党との間で、政治・行政改革、安全保障等多くの政策課題につきまして真剣な議論を積み重ね、合意をした上で連立に至った次第でございます。  私は、こうした確固とした基盤に立った連立政権であって初めて責任ある政治を実現できるものと確信をし、また両党間で日々ともに協力し合い、そして切磋琢磨し、両党のそれぞれのよさを相乗的に効果あらしめ、その結果、国家と国民のために大きな役割を果たしていきたいと強く念じておるところであります。  したがいまして、経済再生を初め内外の諸課題に真正面から取り組み、迅速的確に政策を実行し、責任ある政治を実現していくことがこの連立内閣に与えられた使命であることに思いをいたしますときに、衆議院の解散は内閣総理大臣たる私に与えられた権限であるとは申せ、以上申し上げた現状に立って、解散は全く念頭にありません。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
  5. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 年金及び消費税につきましてはもう大部分総理がお答えになられましたが、基礎年金の二分の一をいわゆる国庫が負担をするということにつきまして、今回の年金改正では実施することはにわかには困難だという結論を出しました。  ただ、この問題は、これから将来にわたる国民負担全体のあり方、また社会保険料と税の役割等々、国の財政状況も考えながら中期的な検討課題として考えていかなければならない、これからの問題として真剣に考えるべき問題であるというふうにただいま考えております。  次に、消費税の福祉目的税化につきましては、予算総則にかくかくのことを記載したということは先ほど総理が言われたとおりでございますが、確かに言われますように、消費税そのものには全く累進性はございません。ただ、今現実に所得の五分位階層で比較して見ますと、全体の国民負担としては、五分位の一番低い段階と一番高い段階を比べますとかなりの負担は累進性になっておりまして、消費税そのものは累進性はございませんけれども、ただいまの国民負担そのものはかなりの累進性がきいておるというふうに考えております。  そして、おっしゃいますように、結局このインボイスの問題になるということは、私もそう思っておるわけでありますけれども、なかなか行政上の、あるいは国民の実際の毎日の業務としてインボイスというものをうまく使えるかという問題が御承知のようにございまして、殊に免税業者はインボイスを出せないということになりますと、だんだん零細業者は排除されることになるかというようなこともございます。  ただ、この税はかなりもう国民的に定着してまいりましたから、そのあり方についてはこれからもいろいろ検討してまいらなければならないということは私も考えております。  それから、いわゆる金融行政のあり方について御指摘がございました。  いわゆる裁量行政あるいは護送船団方式の誤りについての御指摘であったわけでありますが、確かに戦後かなりの間このような行政が成功をおさめた時代が御承知のようにございました。しかし、我が国の近代化が進むにつれまして、このような行政にはやはり弊害の方が目立ってまいったと思います。行政側が非常に過大な権限を、しかも法律の基礎なく持つというようなこと、そこから癒着が生じやすいというようなこと、もとよりこういう体制ではいわゆる自己責任であるとか、あるいは自由競争とかいうものは奨励されない結果になりますから、それ自体の問題、あるいは国際化に当たって我が国の金融機関が大変なおくれをとったというような問題に発展したことは遺憾ながら事実と思います。  そのような行政のあり方は、したがいまして、最近におきまして、金融監督庁の設置であるとかあるいは金融再生委員会とか、そういう形で、行政の反映として、あるいは国会における御批判の結果として反省されつつある、こういうふうに考えております。  なお、おっしゃいますように、いわゆる奉加帳方式等々で、よかれかしと思っていたしましたことが、結果として何ら効果を生まずに負担だけが残ったというようなケースがあったことも残念ながら事実でございます。このような行政の誤りについては、関係の方に大変御迷惑をかけたと思っておりまして、遺憾に存じております。(拍手)    〔国務大臣有馬朗人君登壇、拍手〕
  6. 有馬朗人

    ○国務大臣(有馬朗人君) 三十人学級の実現についてのお尋ねでございますが、文部省といたしましては、平成五年度から、グループ別指導や習熟度別指導など、小人数の学習集団を編成してきめ細かな指導を行うための教職員配置を大きな柱とする第六次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画を推進しているところでございます。極めて厳しい財政状況の中ではございますが、平成十二年度完成に向けて最大限の努力をいたしているところでございます。  なお、その後の教職員配置のあり方並びに学級規模及び学習集団のあり方などにつきましては、平成十四年度から始まる学校週五日制や新しい教育課程の実施を視野に入れて、現在、専門家や教育関係者等から成る会議において検討を行っているところでございます。  次に、有利子奨学金新制度と参議院文教委員会の附帯決議についてのお尋ねでございますが、有利子奨学金制度は、厳しい財政状況のもとで、高等教育の著しい拡大に対応した育英奨学事業の拡充を図るため、無利子奨学金制度に加え昭和五十九年度に創設されたものであり、対象も、当初、大学、短期大学のみであったものを、平成六年度には大学院修士課程、平成八年度には専修学校専門課程を加え、拡充を図ってきたところでございます。  平成十一年度予算案におきましては、高等教育における教育費負担の軽減を図り、学生が自立して学べるようにするため、無利子奨学金について貸与月額の増額や貸与人員増などの充実を図るとともに、有利子奨学金について貸与人数の倍増など抜本的拡充を行い、あわせて貸与月額の選択制の導入や返還利率の見直しを行うこととしているところでございます。  今回の有利子奨学金の拡充措置は、厳しい財政状況のもとで、育英奨学事業をできる限り拡充するために講じたものでございまして、御理解をいただければ幸いでございます。(拍手)    〔国務大臣柳沢伯夫君登壇、拍手〕
  7. 柳沢伯夫

    ○国務大臣(柳沢伯夫君) 私に対しましては、まず、金融再生委員会の手による過去の金融行政の責任追及という問題について、かつて私が記者会見で申した発言につきましてお尋ねがございました。  申すまでもないことでございますが、私たちの行政はあくまでも国会で制定された法律に基づいて行われるというものでなければなりません。その見地から、私といたしましては、私が所掌いたします金融再生委員会設置法あるいは金融機能再生法、金融機能早期健全化法、このような法律におきまして、御指摘の過去の金融行政の責任追及というものが当委員会の権限とはされておらない、こういうことを申し上げた次第であります。御理解を賜りたいと思います。  それから次に、いわゆる護送船団行政との決別につきまして、先生の御見解の披瀝とともに質問がございました。この点については、私の考え方も先生の御主張と軌を一にするものでございます。  たまたま昨日、私ども金融再生委員会は、今後の委員会運営の基本理念といたしまして、金融再生委員会の運営の基本方針というものを議決、発表させていただいたところでございます。そこにおきましても、金融システム改革の進展の中で活力ある金融市場を形成するためには、行政において従来型の護送船団方式と決別し、明確なルールのもとで透明性を確保することの必要性を掲げさせていただいたところであります。  今後、この方針に沿いまして、金融システムの再構築に向けて最大限の努力をしてまいる所存でございます。(拍手)    〔国務大臣野田毅君登壇、拍手〕
  8. 野田毅

    ○国務大臣(野田毅君) 私に対しては、連立政権について自由党としての立場からの説明を求められました。  自由党としては、これまで一貫して、党の基本政策であります「日本再興へのシナリオ」、この実現を強く訴えてまいったわけであります。それは、あらゆる分野における構造改革を断行し、二十一世紀の日本を国際的にも信頼される国、フリー、フェア、オープン、つまり公明正大、正々堂々の社会を築こうというものであります。同時に、自由党は、小沢党首も口癖で申しておりましたが、国のため、国民のため、この基本政策を実現するためにはどの党とも協力させていただくということを公言しておったわけであります。  今回、自民党と連立政権を組むことになりましたのは、これまでの政策合意からも明らかでございます。ただいま小渕総理からも、時局認識、そして基本理念で一致を見た、そしてその上に立って、両党が責任を持って政権を運営していくということが今何より大事なことだというお話がございました。  すなわち、小渕総理・総裁が我々の政策に理解を示していただき、ともに相協力して新しいしっかりとした形をつくっていこうという大きな決断があったということでございます。そして展望のない閉塞状態の中で、いたずらに政策よりも政争を優先し、そしてそれを繰り返し、その中に埋没するということは、今の時代の政治のあり方として極めて不本意であり、国民にとっても不幸なことであります。  今日の日本の内外をめぐる危機的な状況は、まず第一に政策の方向性、そして第二にスピードということを大事にしなければならないときにあると考えております。その点で、小渕総理と小沢党首のリーダーシップのもとで、自由民主党と自由党が真摯に、誠意を持って内外の課題に果断かつ迅速に対応することこそが今日の我々の責務であると判断したからであります。そして、その中で我々自由党の基本政策を実現する展望も開けるものであると考えたからでございます。(拍手)     ─────────────
  9. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 井上裕君。    〔井上裕君登壇、拍手〕
  10. 井上裕

    ○井上裕君 私は、自由民主党を代表して、先日の総理の施政方針演説など政府四演説に対して、小渕総理並びに関係大臣に質問いたします。  今、我が国は歴史的大転換期のさなかにあります。今ほど政治を重要と感じるときはありません。  私の郷里の代議士で歌人でもあった吉植庄亮氏は、「政党を人の軽んずるは思へども 敢へて言うべき場ありやほかに」と、政治が国民から信頼されることの重要さを説いております。  折も折、今、私たちは、日本の命運をかけ不況から脱出するため、まさに正念場に立たされております。このため、小渕総理の大決断により、新年早々、自由民主党と自由党との連立政権が誕生し、山積している内外の重要な課題に全力で取り組むための新体制、新たな改造内閣がスタートしました。これは本当に心強いことであり、私たちは課題を解決するため、政府と一体となって懸命に努力いたす決意であります。  小渕内閣が発足してからまだ半年もたっていません。しかし、その間に戦後最悪と言われたデフレ不況、世界的な信用収縮の流れ、長銀や日債銀の一時国有化、さらに、北朝鮮のミサイル発射問題、米英両国によるイラクの制裁空爆など、息を抜く暇のないほどの事態の連続でありました。  参議院においては、与党が大きく過半数に足りない中で、二回にわたり臨時国会が開かれました。金融再生法案などをめぐり一時は難航しましたが、金融の危機管理に対する国民の理解が深まる結果となりました。六十兆円にも及ぶ公的資金の導入ができる金融早期健全化法が成立したことにより、金融システムの危機が回避されました。さらに十一月には、史上最大の約二十七兆円にも上る緊急経済対策や補正予算が成立したことにより、不況を脱出するための道筋ははっきりしてきました。  また、この間、総理は米国、ロシア、EU三国、中国、韓国各国との首脳会談やAPEC、ASEAN等の国際会議を精力的になされ、世界の経済を安定させるよう努力するとともに、平和維持にも尽くされました。  このように、総理は短期間でこれだけ多くの大きな仕事を着々となし遂げ、多難な事態を乗り越えられました。  さらに、国を挙げて難局に立ち向かう体制づくりのため、小異を捨てて大同につくという判断により、自由党の小沢一郎党首と連立合意を結んだことは、国家の最高責任者としてリーダーシップを発揮した結果であり、内外の評価は高まりつつあります。欧米のマスコミも、総理について、経済再建に全力を尽くす姿や中国に対する筋の通った姿勢などを通して、指導者としての高い評価が生まれております。  しかし、内外の情勢がともに視界不良であり、次々と打ち寄せる波の中をどうやって日本丸のかじをとっていくのか、連立政権への国民の期待にどうこたえるのか、小渕内閣の命運がかかっております。総理に、連立政権の合意を受け改造内閣が発足したことに当たり、国家的な危機ともいうべき事態を克服するための御決意と方針をまずお伺いいたします。  次に、最大の課題であります景気回復について申し上げます。  昨年十二月、景気に変化の胎動が感じられたとの経済企画庁の見方が明らかにされましたが、最近は、住宅発注を初め、コンピューター、冷蔵庫等の電化製品の販売等に明るい動きが出ております。他方、雇用を初めとする経済指標の動きや地方の状況を見ると、景気は底入れしたという実感がいまだ明確でないと思います。相変わらず中小企業の資金繰りや経営状況には厳しいものがあります。さらに、長期金利の上昇傾向、円高傾向に加えて設備過剰による調整が長期化するなど、懸念材料が見られます。  政府は、積極的に財政出動した結果、平成十一年度予算案では総額約八十二兆円、一般歳出では五・三%の大幅増を計上し、昨年の三次補正予算と合わせて十五カ月予算として切れ目のない景気対策を実施することとしています。また、所得税、法人税の減税は合わせて六兆三千億円にも上り、住宅を手に入れやすくすることなどを中心とする政策減税と合わせると九兆三千億円と、総理が総裁選のときに公約した内容をはるかに上回る減税に踏み切りました。  日本発の経済恐慌の引き金は絶対に引かないという強い決意のもと、政府・与党は、不況の悪循環を早く断ち切るため、銀行などの不良債権の処理を本格化し、資本を投入することで早く立ち直らせるよう全力で取り組んできております。それとあわせて、十五カ月予算によって、すぐ効果がある、未来にも役立つ、あらゆるところに波及することを基本に、二十一世紀につながる社会資本の整備や中小企業に対する貸し渋り対策、百万人の雇用をふやす対策などを打ち出してきました。  社会保障では、年金保険料の引き上げを凍結したり、七十歳以上の外来患者の薬代を一部免除したり、教育や少子化対策でもきめの細かな手当てをしております。これは総理が明言されたように、来年度にはっきりとプラス成長にするためのかつてない全力投球予算であります。  このように景気対策、金融対策ともやるべきことをすべて打ち出しており、海外からも評価されています。  来年度の予算編成に当たり、政府は実質〇・五%の成長を見込んでいますが、民間の見通しは平均でマイナス〇・五%程度、かなり落差があります。これは景気動向の重要な指標である失業率の見通しの違いによるものではないかと考えております。このため、減税やいろいろな事業が速やかに実施されるよう最大限の努力をするとともに、雇用の伸びにつながる大胆な規制緩和を実施する、PFIという民間が主導して行う社会資本整備の仕組みを積極的に導入したり、あらゆる手段を使って産業を活性化し、雇用を確保し増大させるよう取り組むべきであります。  このように、地方や産業界を含め総動員体制をとることにより、来年度のプラス成長への転換が確かなものとなり、景気回復の道筋がはっきりしたものと国民や企業が感じれば、明るさを取り戻すことができるでしょう。  まさに、内閣が経済再生に背水の陣で取り組んでいる中で、総理及び大蔵大臣の景気回復に向けた決意を改めてお伺いいたしますとともに、十一年度予算の効果的な取り組み方針についても御説明をお願いいたします。  特に、今の雇用状況は、完全失業率が四・四%と過去最悪の水準を更新するなど深刻であります。これは日本が新しい産業構造に移るときに生まれる労働力の需要と供給の食い違いから起きているものであり、社会不安を拡大しないように、新しい雇用分野の拡大や人材養成、職業紹介の自由化、新しい産業に向けて円滑に労働力が移動できるようにする計画などを早く推進すべきであり、この点をあわせて総理にお伺いをいたします。  総理は、年頭の記者会見で内閣の重要問題として五つの安心、真の豊かさの実現を強調され、施政方針演説におきましては、これを踏まえ、五つのかけ橋を国政の基本として提唱されています。経済再生への安心、雇用への安心、豊かな地球・国土・地域環境への安心、老後を含めた国民生活への安心、育児と教育、子育てへの安心を掲げられ、これらを通じて真の豊かさを目指すと表明されました。これはいずれも自信をなくしている国民を元気づけるには大変重要なことでありますが、国民のエネルギーを結集するために、どのように国づくりの理念を打ち立てるかが大切であります。  我が国は、戦後経済成長を続け、生活、教育、福祉とも先進国の中でも負けないくらいの水準を達成しました。ただ、行政が産業を手厚く保護する護送船団行政などに見られる結果の平等を重視する日本的な平等社会を築いた結果、それが当たり前となり、改革の障害となっているのが現状であります。  今、経済は国と国との垣根がますます低くなり、世界的な大競争時代に入っております。市場がすべてを決めるということではなく、市場の暴走を注意し、社会を安定させることも当然必要でありましょう。  総理がつくられた経済戦略会議は、昨年末に経済を回復させるシナリオと中長期的な財政の見通しを示した中間報告をまとめました。この中で、健全な競争社会を確立する小さな政府を実現することで財政を健全にすること、そして少子高齢化社会を迎えて社会保障政策を充実させることなどを打ち出しました。  今後、経済の成長率が二%程度となり、小さな政府が実現すれば、どのように社会と国民の安心を保つのでしょうか。今までのように国や政府に頼るばかりでなく、国民や産業界の自助努力、自己責任が必要になってくる分野がふえてくるでしょう。  総理が提唱された富国有徳という国家理念のもとに、五つの安心、五つのかけ橋をどのように目指されるのか、これから策定する新たなる時代の姿と政策方針に、そのお考えをどのように反映されるのか、御所見をお伺いいたします。  五つの安心の中で、教育については、我が国が今後発展を続けていくために欠くことのできない重要な基礎となります。  私は、かつて約一年間、文部行政を預からせていただきました。そのときに考えたことは、資源のない我が国で教育こそ大切な資源であり、来世紀に向けて我が国が活力のある国家として繁栄し、国際社会において積極的な役割を果たすためにも、未来への投資ともいえる人づくりが極めて重要であろうということであります。まさに、総理の言う心の教育であり、そしてまた、ゆとりのある教育であろうと思います。  中国の管子の書の一節に、一年先を楽しむ者は庭に花の種をまけ、十年先を楽しむ人は山に木を植えよ、百年先を楽しむことはまさに人をつくることである、これがすなわち教育であります。これは私たちの世代の責任です。今後教育改革をどのように進めていくのかは、長期的な視野で取り組むべき基本課題であろうと思います。  次に、私は私学の振興についてお尋ねします。  日本の大学、短期大学などの高等教育機関の学生の約八割、高等学校の約三割が私学に御厄介になっております。この中で、国公立との学費等に大きな差があるという実態にあります。これらの点を踏まえ、日本の教育に私学が果たしてきた役割についてどのように認識し、どうやってこれから振興を図っていくかも重大な課題であります。  さらに、学ぶ意欲のある若者が望んだ教育を受けられるよう支援を充実していく必要があります。その意味で奨学金は大変重要であり、来年度予算では日本育英会の有利子奨学金を格段に充実することになったと承知しておりますが、これを十分に活用し、学生が安んじて勉学に取り組めるようにしていく必要があります。  以上の三点について、総理並びに文部大臣にお考えを御説明いただきたく存じます。  次に、外交・防衛問題についてお伺いします。  総理は、新年早々ユーロという単一の通貨が生まれたばかりのヨーロッパで、ドイツ、フランス、イタリアの三国を訪問され、大変御苦労さまでした。  ドルに続く第二の基軸通貨ユーロは、大欧州の実現を予感させるだけでなく、経済の国際化が加速化され、それが日本やアジアの経済にいろいろな影響を与えるのではないかと思います。  九七年夏に金融危機が起きて以来、アジア各国の経済は停滞しています。このことについて、我が国はアジアでただ一つの先進国、しかも世界最大の援助実施国として大きな責任を持っております。アジアの再生なくして日本の再生なしという総理の視点に立って、まず日本経済の再生を進め、アジア各国が危機を乗り切るとき、強力なパートナーとなることがアジア各国の間の信頼関係を強めることになります。このことこそ、アジアの平和と繁栄を目標とする日本外交の基礎が築かれるのだと思います。大蔵大臣が提唱された三百億ドルの経済支援を柱とする新宮澤構想も、その第一歩とならなければなりません。  新宮澤構想については、対象となる国からの希望を現在調査している段階と聞いていますが、できるだけそれぞれの国の経済の事情に合うような有効な支援策をつくられることが望まれます。大蔵大臣に具体的な方針をお伺いいたします。  総理は、かねてから、視野を世界全体に広げた外交の重要性を強調されていますが、昨年秋以来の各国首脳との会談や国際会議を通じて、最近の世界経済の動向や国際通貨、金融市場の安定化、また、アジアの不況克服への見通しなどの点について、どのような展望をお持ちになっているのでしょうか。  また、総理は、国際金融問題について、世界を円、ドル、ユーロという三つの基軸通貨を基本とする体制にし、通貨の変動相場圏を緩やかに設定する、円の国際化や地位向上に向けた構想などを提案されたと伝えられていますが、具体的な方針をお聞かせ願えないでしょうか。また、関係国の反応はいかがでしょうか。  昨年八月末には、北朝鮮が何の予告もなく弾道ミサイル・テポドンを発射し、我が国の上空を横断したことは、日本の安全保障の上でまことにゆゆしき事態であり、本院でも強く抗議したところであります。その後、北朝鮮にはミサイル再発射を準備しているのではないかとの疑惑が出ており、引き続き警戒が必要です。これらの動きを教訓に、防衛体制の整備を急がなくてはならないという国民の認識が深まってきました。  来年度予算で、BMDという弾道ミサイル防衛構想について、日米両国の共同技術研究費が盛り込まれたことは前進であり、BMD構想が防衛上ほかに手段のない唯一の手段であることを考えれば、宇宙の平和利用に関する国会決議に何ら抵触するものでないことを確信するものであり、今後、空中給油機の導入についても早く結論を出すべきだと考えます。  世界の中でも、アジア情勢は北朝鮮の核施設建設の疑惑を初め不安な動きが多く、我が国の安全保障のみならずアジアの安定を確保するためにも、米、韓との連携や日米同盟関係の強化が重要であり、特に我が国の周辺事態に対応するための新たな日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの実効性を確保することが強く望まれます。  自由党との連立に向けた政策協議において、重要課題であった「安全保障の基本的な考え方」がまとまり、一部両党間でさらに議論を深めていくものもありますが、憲法の平和主義と国際協調主義の理念を守る中で、日米安保体制を堅持しつつ、世界を初めアジアの平和と安定を確保するため、できるだけ貢献することが望ましいと考えます。そのためにも、まず懸案となっているガイドライン関連法案をぜひとも今国会で早期成立させ、足元を固める必要があります。  総理に、安全保障の基本的な考え方、特に国連平和活動への我が国の参加、協力のあり方について、さらに、我が国周辺事態への対応がなぜ必要なのか、国民の理解をより深めるようにわかりやすく御説明をいただきたいと思います。  また、北方領土をめぐる日ロ関係は、本年重要な交渉段階に入りますので、総理初め政府が我が国の国益に沿って粘り強い取り組みをされることを期待する次第であります。  今世紀も残りわずかです。来世紀における世界の中の日本の役割をどうするか、それに向けて活路をどう切り開いていくか。今、我が国には、日本の先行きに悲観的な論調が多く見られます。確かに、日本のこれまでの仕組み全体の改革が迫られ、今までのよりどころが崩れ、将来が不透明になってきています。しかし、今と比べようのない困難であった戦後の廃墟から立ち上がって、石油ショックなどを乗り越えて今日に至っていることを思い起こさねばなりません。  世界の現状を見ると、二十世紀は米国の時代とも言われ、強大な軍事力は言うに及ばず、金融、情報を初めとする米国流のやり方が世界を支配しつつあるように見えます。ただ、果たして本当にそうでしょうか。ヘッジファンドに代表される市場万能主義には批判や反省が生まれていますし、実体経済を反映しない何十倍ものマネー経済の繁栄がいつまでも続くとは考えにくいのであります。  経済の現象面ばかりに目を奪われないで、もっと歴史や文化を通じて世界や日本のあり方を見ることが今求められているのであります。  海外の論者の中には、冷戦後、自由主義か社会主義かというイデオロギー対立の後に来るものは、西欧対非西欧の文明の対立であるととらえる見方があります。これに従えば、日本は西欧を見習って近代化を達成したものの、欧米各国はもとより、アジア各国とも文化的に異なるとの傾向があると指摘されています。文明間の衝突や経済の利害対立による紛争を防ぐには、お互いが共通点をできるだけ見出すように努力し、お互いに依存する関係が深まっている経済と相まって共生の道を選ぶしかありません。一つの大国が覇権を維持するという秩序は、歴史を見ても長続きしていません。協調的な新しい秩序の確立が二十一世紀の世界では最大の課題となっております。  アジアの農耕文化を基本として持ちながら、いち早く西欧文明を取り入れた日本という国は、いろいろな文明の共通点を多く持っている可能性が大きいのではないでしょうか。それをうまく生かすことにより、アジアと西欧のかけ橋となるという役割が大きく期待されていると思います。総理が五つのかけ橋の一つとして、世界へのかけ橋を築くことを強調されるゆえんでもあります。  我が国は決して孤立の道を選んではなりません。特に、来世紀になって中国が台頭し、経済面や軍事面でアジアの大国の仲間入りをする可能性が大きくなっております。そのときに米国と中国との間での危機的な事態が起こらないように、日本の果たす役割が大変重要ではないかと思います。  これはほんの一例にすぎません。経済でも我が国の役割が大きくなっていきそうです。世界に誇る高い教育や技術力を活用し、世界最大ともいうべき貯蓄、債権国の力を生かせば経済再生への道筋がはっきりし、国民生活は向上するのはもちろんのこと、必ずやアジアの繁栄にも大きく貢献することができます。  日本は伝統的に物づくりという発想を持っており、日本の文化を表現する言葉にもなっています。これを高度な技術により磨きをかけ、私たちは大きな自信を持つべきであります。  総理に、国民全体が誇りと自信を回復し、企業も元気を出し、その豊かな活力を遺憾なく発揮できるよう、二十一世紀における世界の中での我が国の果たす役割と、それに向けての展望を示していただきたいと思います。  終わりに当たり、一言申し上げます。  この通常国会は、内外の厳しい情勢に対処するため、予算案の早期成立を初め、メジロ押しの重要法案を円滑に審議し、国民の期待にこたえていくことが望まれています。このため、参議院は、大局を踏まえつつ、自主性と見識を持って対処されるよう、この際、私は各党各会派の議員各位に切にお願いを申し上げる次第であります。  総理におかれましても、今後ますます指導力を発揮していただき、国難とも言うべき事態をできるだけ早く乗り越えられるよう御期待を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
  11. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 井上裕議員にお答え申し上げます。  冒頭、自由民主党を代表されて、井上議員から、政府とともに現下の難局に立ち向かう力強い御決意を御披露されました。また、小渕内閣の発足以来、全力で取り組んでまいりましたその道のりも御評価をいただきました。  その上で、今般の連立内閣の発足に当たって、決意と方針についてのお尋ねもございました。  今般の連立内閣の発足に当たっての思いは、一言で申せば、内外の重要課題が山積する折、時代認識や基本理念で一致した自由民主党と自由党との連立により、安定した政治基盤をつくり、責任ある政治を実現していくことであります。  私は、両党がともに協力し合い、そして切磋琢磨し、お互いの党のよさを相乗的に効果あらしめて、その結果、国民と国家のために大きな役割を果たしていくことを確信いたしておるところでございます。  景気回復についての決意についてお尋ねがありました。  経済の繁栄は、豊かで潤いのある国民生活の実現と国家や社会の発展にとっての基本であることは申すまでもありません。私は、この平成十一年をぜひとも経済再生元年と位置づけまして、緊急経済対策を初めとする思い切った諸施策を果断かつ強力に推進し、日本経済の再生に全力で取り組んでまいります。  井上議員から背水の陣というお言葉がございました。予算編成に当たりましても、私は、まさにここは進む以外には道はない、こうした背水の陣の気持ちで十一年度予算を編成させていただきました。  政府といたしましては、昨年末に成立した第三次補正予算のもとで切れ目なく景気回復策を実施いたしておりまして、十一年度予算においても、当面の景気回復に全力を尽くすとの観点から、公共事業、中小企業対策、雇用対策に最大限配慮するとともに、科学技術の振興など、将来の発展基盤を確立する施策も十分取り入れたものと考えております。何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようにお願い申し上げる次第であります。  雇用対策についてでありますが、政府全体の取り組みとして申し上げておりますように、百万人規模の雇用の創出・安定を目指した雇用活性化総合プラン等の対策を推進するとともに、新事業の創出等による良質な雇用の確保を目的として産業再生計画を直ちに策定いたします。とりわけ、新規雇用の創出、人材育成や労働力の円滑な移動を推進するとともに、労働市場の需給調整機能を高めるため職業安定法の見直しも進めてまいります。  私は、昨年の十二月末に公共職業安定所、ハローワーク飯田橋を訪れ、厳しい状況を自分自身の目でつぶさに見させていただいたところでございます。その際の印象は、求職される方に比べて求人の数が大変少ないこと、これはもちろんだろうと思いますが、コンピューター関係で求人が非常に多いわけでありますが、求職される方が意外に少ない、こういうミスマッチのあること、求職される方々にとりましても、公共職業安定所が土曜日に開庁されていないことは大きな不便がないか、これらの点について早速甘利労働大臣に指示いたしました。これを受けまして、今般、労働省におきまして、東京、大阪で交通の利便が最もよい公共職業安定所を土曜日に開庁する等の方針を決定いたしたところでございます。  議員から、私が年頭の記者会見で申し上げました五つの安心と真の豊かさ、また、施政方針演説で申し述べた二十一世紀に向けた五つのかけ橋をどのように目指していくかについてのお尋ねがありました。  私は、これらの課題を国政運営の基本として取り組んでまいりたいと考えておりますが、議員御指摘のように、二十一世紀に向けましては、我が国社会を取り巻く環境の変化には本格的な少子高齢化社会の到来など、極めて大きなものがあります。これらの課題の実現に取り組んでいくために、あらゆる分野で二十一世紀を見据えた明確なビジョンと、これまでの制度や慣行について思い切って見直し、大胆な構造改革を進めることがぜひとも必要であると確信いたしております。  こうした考えに立ちまして、この五つのかけ橋の課題に取り組むとともに、かねて提唱いたしておりました富国有徳の理念を踏まえ、二十一世紀のあるべき国の姿について、有識者から成る懇談会を早急に設置し、次の世代に引き継ぐべき指針をまとめたいと考えております。  私は、施政方針演説で、実は司馬遼太郎氏の言葉を引用させていただき、強調いたしました。たしか小学六年生の教科書にも載せられておる文章ではございますが、教育について氏は、今日、未来を担う子供たちに、自然を慈しむ心、助け合う心、社会的倫理観と生きる力等をしっかり身につけさせて、心身ともに健康な人間に育てることが極めて重要である、こう考えております。このような考えに立ちまして、心の教育の充実を図りつつ、我が国のすぐれた文化や伝統など、次の世代に引き継ぐ教育の推進に努めてまいらなければならないと考えております。  このため、長期的視点に立ちまして、幅広い視野を養い、個性を大事にして生きること等を目指した心の教育の充実、学校完全週五日制の実施等によるゆとりある教育の実現などの教育改革を推進してまいります。  私学が果たしてまいりました役割、また今後の振興について、先生のお考えを申されつつ、お尋ねがありました。  私自身も私学で勉学させていただきましたが、私立学校は独自の建学の精神に基づく個性豊かな教育研究活動を積極的に展開いたしておりまして、公教育の一翼を担うとともに、我が国の学校教育の発展に大きく貢献していると認識をいたしております。私学助成の充実や税制の優遇措置等、各種の施策により、今後ともその振興に努めてまいりたいと考えております。  奨学金制度についてでありますが、学生が安心して学べるようにするために、奨学金制度を充実することはもとより重要であります。このため、平成十一年度予算におきまして、日本育英会の有利子奨学金につきまして貸与人員の大幅な拡充を図っております。貸与月額の選択制の導入や貸与基準の緩和などを行うことといたしておりまして、この奨学金が十分に活用されるよう努めてまいりたいと思います。  次に、世界経済についての認識でありますが、世界経済は、新興市場諸国におきまして通貨・経済の混乱を初めとして、先進国におきましても先行きに対する不透明感が見られるなど、依然として厳しい状況にあります。国際通貨・金融市場の安定化につきましても、各国が協調して取り組んでいく必要があると考えます。  また、アジアの景気は後退いたしておりまして、総じて厳しい状況にありますが、高い貯蓄率や人的資本の蓄積など、これまで高成長を支えてきた諸要因は今回の危機により大きく変わったわけではなく、今後各国の経済改革の進展により再び成長軌道へ回復することを期待いたしており、また、我が国としても可能な限りお手伝いをしていかなければならないと考えております。  円、ドル、ユーロ間の変動相場圏についてでありますが、為替相場の一層の安定が重要であることにつきましては、各国に異論はないと考えます。私は、主要通貨間で安定性と柔軟性のバランスのとれた為替相場制度を実現することが肝要であると考えておりまして、具体的な方策につきましては、大蔵大臣間の十分な議論が進められると信じております。また、ユーロの誕生といった内外の経済・金融情勢の変化の中で、東京市場をより魅力的なものにすることによりまして、円の一層の国際化が進み、金融システム改革の効果が高められるよう、官民挙げて取り組んでいかなければならないと考えております。  次に、日本の安全保障に関するお尋ねでありましたが、国の安全と繁栄を維持し、国民の生命、財産を守ることは当然政府の最も重要な責務であり、施政方針演説でも世界へのかけ橋の一つに我が国の安全の確保を挙げさせていただきました。特に、その一環として、我が国が国際社会への応分の貢献を行うべきことは当然でありまして、国連の平和活動への一層の協力を積極的に進めてまいりたいと思います。  また、冷戦終結にもかかわらず、依然として不安定性と不確実性が存在する中で、日米安保体制のより効果的な運用を確保するため、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える周辺事態に際する日米協力の枠組みを構築しておくことが一層重要となっておると考えます。このため、井上議員御指摘のとおり、日米防衛協力のための指針関連法案等の早期成立、承認が極めて重要であり、国会はもとより、国民の御理解をお願いいたす次第であります。  最後に、二十一世紀における我が国の役割についてお尋ねがありました。  協調的な新秩序の確立に向けまして、我が国が孤立の道を選んではならないとの議員の御指摘には全く同感であり、私が施政方針演説におきまして、いかなる国も孤立して生きていくことはできない旨述べたのも同じ趣旨でございます。私は、冷戦後の新たな安定的国際秩序構築のために、我が国が国際社会における地位にふさわしい役割を果たすことにより、世界へのかけ橋を築いていくべきであると考えております。  具体的には、米国を初めとする近隣諸国との関係強化、アジア経済の安定や世界経済の枠組み強化への貢献、さらに、開発途上国に対する援や国連の平和活動への一層の協力を通じた国際社会への応分の貢献を積極的に進めてまいる考えであります。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
  12. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 経済再生に向けて背水の陣で取り組むということについて、具体的にどういうことかというお尋ねがございまして、これは歳出歳入面いろいろございますけれども、例えば公共事業について申し上げますならば、前年度当初予算に対して五%増額しました上で、いろいろな事態を考えまして別途公共事業等予備費五千億円を計上してございますので、これを全部発動いたしますと、予算ベース、支出ベースともに前年度に比べまして一〇%ぐらいになると思います。  それからもう一つは、雇用について非常に心配をいたしておりまして、御指摘のとおりだと思っております。何かありました場合の雇用の創出、あるいは現在あります雇用を何とかつなぎとめるための安定等を目指しまして、雇用活性化総合プランを実施いたします。そして十年度第三次補正予算と合わせまして事業規模一兆円を確保しておりますので、適時適切にこれが使われますと、かなり雇用に対しましては有効ではないかと考えております。  なお、中小企業対策費は前年度当初に比べまして三・五%の増額でございます。  それから、歳入面でございますが、実は税収は四十七兆千百九十億円でございますが、これは昭和六十二年度の税収とほぼ同じ水準でございます。つまり、経済がこういうことでございますものですから、税収が十年余り水準が押し戻されてしまったということでございます。これは減税もございますけれども、しかしマイナス成長をしておりましては、税収が減るのはこれは当然のことでございまして、こういう意味でも財政自身が実は難しいところに来ておるということを申し上げたいと存じます。  公債発行は、御承知のように公債依存度三七・九%でございますが、平成十年度の補正を重ねました最終的な公債依存度が三八・六%でございますので、来年度は当初からその水準で公債に依存をするということになります。したがいまして、日本経済にとっても背水の陣でございますが、財政にとりましても正念場という感じがいたしております。  それから、東南アジア援助につきましての構想について、調査の段階でというお話しでございましたが、実は調査の段階はもう済んでおりまして、実行の段階に入っております。  当初、対象の五カ国にミッションを派遣いたして協議をしてまいりましたが、韓国につきましては、今回は、昨年十月に表明した資金支援に加えまして、最大限五十億ドルの短期資金支援をせんだって決定いたしました。マレーシアにつきましては、総額十五億ドル相当円の資金援助でございます。タイにつきましては、経済金融構造改革等を支援するため、総額十八・五億ドル相当の円の資金援助でございます。フィリピンにつきましては、銀行システム改革等を支援するため、総額十四億ドル相当円の支援を先週フランクフルトでフィリピンの大蔵大臣と協定をいたしました。  これでインドネシアが残っておりますが、今週初めにインドネシアから高官が見えまして、総理大臣あてのハビビ大統領の書簡を持ってこられまして、具体的な援助について御相談をいたしました。ここにも間もなくミッションを派遣いたしまして、なるべく早く話をまとめたいと思っております。  なお、これは第一回目でございますので、今後なるべく注意して、需要のあり次第できるだけのことをいたしたい、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣有馬朗人君登壇、拍手〕
  13. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 今後の教育改革の推進についてのお尋ねでございますが、来るべき二十一世紀において、我が国が活力ある国家として発展していくためには、未来への投資である人づくりが極めて重要であり、長期的視野に立ちつつ、今後とも教育改革を着実に進める必要があると考えております。  このような基本的認識に立ち、頼もしい人格を持ち、自分に厳しく相手には優しい自己を持つ人間の育成を目指して、学校における道徳教育の改善充実やカウンセリング体制の整備、ボランティア活動等の体験活動の推進等による心の教育の充実を図るほか、生きる力を持ち個性豊かな子供たちを育てるため、学校完全週五日制や教育内容を厳選した新教育課程の実施等によるゆとりある教育の実現などの教育改革に引き続き取り組んでいく所存であります。  次に、日本の教育に対し、私学が果たしてきた役割についての文部大臣の認識及び今後の振興についてのお尋ねでございますが、私立学校は独自の建学の精神に基づく個性豊かな教育研究活動を積極的に展開しており、公教育の一翼を担うとともに、我が国の学校教育の発展に大きく貢献していると強く認識いたしております。私自身も私学で教育させていただいた経験もあり、私学の重要性をよく理解いたしております。  文部省といたしましては、各私立学校が長期的な見通しのもとに教育研究活動の向上を図るとともに、国際化、情報化、生涯学習への積極的な取り組み等により個性的で魅力ある学校づくりを推進するなど、私学みずからの自主的かつ積極的な努力に期待いたしているところでございます。  このため、文部省といたしましては、私立学校に通う学生たちの保護者の教育費負担の軽減や私立学校教育研究条件の維持向上に資することができるよう、経常費補助を初め特色ある教育研究プロジェクトに重点を置いた私学助成の充実や税制上の優遇措置等、各種の施策により私学の振興に大いに努めてまいりましたが、引き続き努めてまいる覚悟でございます。  次に、奨学金についてのお尋ねでありますが、育英奨学事業はすぐれた人材の育成と教育の機会均等を実現するための重要な施策であり、平成十一年度予算案においては教育費負担を軽減し、学生が自立して学べるようにする観点から、日本育英会の有利子奨学金の抜本的拡充を図ることとしております。  拡充の内容は、貸与人数を約十万人から約二十万人に倍増し、事業規模を約一千億円増額するものであり、また、これにあわせて、貸与月額について学生が選べる選択制を導入するとともに貸与基準の緩和を図ることといたしております。  この奨学金が十分に活用され、学生が安心して勉学に取り組むことができるよう努めてまいる所存でございます。(拍手)
  14. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会      ─────・─────