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1998-04-14 第142回国会 参議院 国民福祉委員会 7号 公式Web版

  1. 平成十年四月十四日(火曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月十三日     辞任         補欠選任      今井  澄君     岡崎トミ子君      和田 洋子君     釘宮  磐君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         山本 正和君     理 事                 尾辻 秀久君                 南野知惠子君                 水島  裕君                 渡辺 孝男君                 清水 澄子君     委 員                 阿部 正俊君                 佐藤 泰三君                 田浦  直君                 常田 享詳君                 中原  爽君                 宮崎 秀樹君                 岡崎トミ子君                 直嶋 正行君                 西山登紀子君                 木暮 山人君                 西川きよし君    国務大臣        厚 生 大 臣  小泉純一郎君    政府委員        厚生大臣官房総        務審議官     田中 泰弘君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保健医療        局長       小林 秀資君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省医薬安全        局長       中西 明典君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        厚生省保険局長  高木 俊明君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君    説明員        総務庁行政監察        局監察官     小河 俊夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○感染症の予防及び感染症患者に対する医療に  関する法律案(内閣提出) ○検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律  案(内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 山本正和

    ○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨十三日、和田洋子君及び今井澄君が委員を辞任され、その補欠として釘宮磐君及び岡崎トミ子君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 山本正和

    ○委員長(山本正和君) 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  両案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 自由民主党の宮崎であります。自由党とか民主党とか何か最近あるようでございますけれども、私は自由民主党でございますので、お間違いのないようにひとつお願いいたします。  最初に厚生大臣にお伺いしたいんですが、これ感染症とはちょっと関係がございませんけれども、昨年の財政構造改革法案、これが出されるときに厚生大臣は、社会保障というのは特殊な背景があるんだと、しかしすべての分野でこれは苦しみを分かち合うということになればいたし方ないと、そういう悲痛な御決意でこれを実は容認されたというふうに伺っているんです。  昨今の状況を見ますと、景気の低迷、大変な状況の中で政府は経済対策というものを打ち出すことを施策としてお考えいただき、そして一刻も早くこの景気をよくしようという決意、私はよくわかるのでございますが、このような議論が行われている中で、この財革法のキャップ二%というものがあります以上、ほかの分野では経済対策の中で建設公債なりいろんなことである程度財政的な措置はできると思うんですが、社会保障だけはこの二%というのをやはり外していただかないと、置いてきぼりを食うというふうに思うんですね。  しかも、御案内のように来年自然増が社会保障関係七千億と、こう言われております。しかし、財革法では三千億しか来ないわけでありますから、四千億をさらに国民に負担してもらうと、こういうことは必然的に今から覚悟しておかなきゃいけない、これは大変なことだと思うんですね。  しかも、景気低迷の一つの原因は、やはり社会保障の国民負担増ということが財布のひもを引き締めさせているということです。現実に、私はきのうも午前中に患者さんを診ていて、お年寄りの方々数名から指摘されました、本当に我々はお金を使いたくても今使えないんだと。しかし、貯蓄率を見ると、五十五歳以上の方が国民の大体三分の二の貯金を持っている。この方々が財布のひもを緩めなければ内需拡大にならない、そういうことを考えておるわけであります。  また、総務庁が出したデータがあります。社会保障公共事業部門に一兆円の税金を投入した場合の生産波及効果、また雇用効果の比較があります。それによりますと、社会保障は合計で一兆円の税金を入れると五兆四千三百二十八億、公共事業は二兆八千九十一億ということで、社会保障の方が生産波及効果が多い。また、雇用効果は社会保障は五十八万三千百六十二人、公共事業は二十万六千七百十人、このように差が出ております。  ですから、そういうことを全体的、総体的にやはり政治というものは考えていかなきゃいけない。そういうことを勘案したときに、厚生大臣は閣僚の一人として、またこの国の将来を考えたときにどのような所感をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  5. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 昨年の予算編成におきまして、財政構造改革法の枠内で編成すると、しかも財政構造改革法提出までのいきさつ、議論の経緯を含めまして、私は全省庁が前年度と比べてマイナス予算を組むんだということで、社会保障関係の予算も厳しく削減すべしということで協力してきたわけであります。  しかし、現実に予算を組んでみまして、総論は賛成したものの、いざ各論の面において歳出を削減するということがいかに苦しいものであるか、きついものであるかというのがだんだんわかってきたと思うのであります。社会保障の構造改革もしなきゃなりません。抜本的な制度改革に取り組む、抜本的な制度改革に取り組めば負担が軽減されるんだと思っている方もおられると思います。必ずしむそうはならぬということが最近ようやく理解されてきたのではないか。  そういう中で、この財政構造改革法を変えないで苦しくても頑張るんだということならわかりますが、いかに景気対策とはいえほかの省庁の予算をふやすということなら、これは今までと話が違うじゃないかと、前提が崩れたんじゃないかということで、私はもしそういうことになれば、社会保障関係の予算も今までどおり、ほかはふやして社会保障はそのままということは承知できないということでいろいろ発言をしてきたわけであります。  今後、ことしの予算におきましても大変苦しさがわかってきて、ことしの暮れに編成されるであろう来年度予算の場合にはさらに私は厳しさがわかってくると思います。そういうことから、もしも仮に財政構造改革法を改正するんだったらば、当然社会保障関係の枠、いわゆる二%の枠内で来年度予算も編成しなさいという、これは考え直してもらいたいということを私は昨日の閣僚懇談会でも申し述べておきました。  今後、どういう形で財政構造改革法が改正をされるのかまだわかりません。その論議の推移を見ながら、私は私なりの判断をさせていただきたい、また厚生大臣として、また国務大臣として私なりの主張を展開させてもらいたいということを言っておきました。
  6. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 私は大変筋の通ったお話だと思っておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと存じます。  それでは、感染症の問題に入りたいと思います。  今度、この感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案でございますが、この中で、今までのいわゆるエイズ法、それから性病予防法、こういうものが集約されまして、一類感染症から四類感染症に分類されたわけであります。この分類されたいわゆる仕分け、その根拠それから定義、そういうものがあったらお教え願いたいと思います。
  7. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 先生も御案内のように、感染症というのは非常にたくさんございます。そういう意味では、英語を使って申しわけないのですが、パブリック・ヘルス・プロブレム、公衆衛生上の課題として取り上げるべき感染症というのは何かというところをまず御議論いただきました。いただいた場は公衆衛生審議会の基本問題検討小委員会でございますが、そこでその議論をし、それからその次に感染症の感染力とか感染した場合の重篤性に基づく総合的な判断から見た危険性に基づいて、一類、二類、三類、四類と、このように分類したものでございます。  具体的には、入院を必要とする感染症や特定職種への就業の制限を必要とする感染症を一類感染症から三類感染症に分類するとともに、感染症の発生状況の収集、分析とその結果の公表を通じまして、国民の皆さん方にこういう病気は今こんな状況ですよということをお知らせすることによって、感染症の予防を図る第四類の感染症というところを位置づけたということでございます。
  8. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 大体そんなことでお分けいただいて、いろいろ議論があったことも承知していますけれども、二類の細菌性赤痢と三類の腸管出血性大腸菌感染症、ここをどうして仕分けをしたのか。また仕分けをした理由。さらに、O157に類型する、かつて言われた疫痢という概念、こういうものとの議論はそこに何かございましたか。そこら辺をお教え願いたいと思います。
  9. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 今、先生が御質問されました細菌性赤痢と腸管出血性大腸菌感染症は二類と三類に分かれております。どうして分かれているのかと、こういうおただしでございます。  細菌性赤痢につきましては、基本問題小委員会における議論の中で、その感染力と感染した場合の重篤性等に基づく総合的な観点から見た危険性が高いと考えられたために、病原体を有する患者の場合等の入院が必要な二類の感染症に位置づけたということでございます。これは、個々の先生によってはいろいろ意見が違う場合もあるんですけれども、基本問題小委の先生方のお集まりの中でそういうふうに結論がつけられたということでございます。  一方、腸管出血性大腸菌感染症につきましては、入院措置の必要はないが、直接食品に接触する業務のうち他に感染させる可能性が高いものに限定して就業制限を行う三類感染症としての取り扱いがされたところでございます。実際にO157の患者さんで個々のケースとしては確かに入院が必要な場合がありますが、それは医療上必要でありまして、感染症予防という観点から見ての入院、特に強制的な入院が必要ということではないと、こういうふうに判断をしたところであります。
  10. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 そうすると、あくまでも感染の予防という見地からこれを二類と三類に分けた、こういうことでよろしいんですね。
  11. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 感染力の問題もありますし感染後の重篤性の問題もありますし、その他細かく言いますとまだ治療法の有効性等々ありますけれども、そういうものを総合的に判断をしたと、こういうことでございます。
  12. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 その重篤性の問題につきましては、細菌性赤痢も腸管出血性大腸菌感染症もそう差異はないんじゃないですか。O157でも大分亡くなっている方もいらっしゃいますし。では、これは治療方法が開発されて変わってくると変わるんですか。その時期によって、ではこれはまた三類を二類に入れようとか二類を三類にしようとか、そういうことは五年ごとに見直すことになっていますね。  だけれども、そういうことを今はっきりおっしゃったように、私はここはどうもいいかげんだなというふうに理解しているんですけれども、局長は御納得してこうなっているんですか、それともそこの委員会で相当御議論があった中で多数決みたいな感じでこれが決まったんですか、どうなんですか。
  13. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) まず、病気の見直しにつきましては、この法律でも五年ごとの見直し、また場合によっては五年以内の見直しもあり得ると規定をいたしておりまして、それは医学の進歩、それから菌自体もいろいろ変わっていく場合もありますので、見直しということは行われるものと考えておるところでございます。  ただ、今回の場合の判断につきましては、基本問題小委の専門家の先生方の御意見に私ども従って分類をしたと、このように考えておるわけであります。
  14. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 それでは次は、四類感染症の中に後天性免疫不全症候群が入っているんですね。今までこれは独立した法律があったわけであります。この法律をつくるときの背景というのは仄聞するといろいろ議論になっているという話もございますが、当時エイズウィルスの発見者はだれかということもわかっていなかったんです。これはアメリカかフランスかというので、私もパスツール研究所へ行ってモンターニュ博士に二度ばかりお目にかかってまいりました。最終的にはモンターニュさんが発見者ということになったわけでありますが、そのようなわからない中で、全くこれに対する理解がない状況の中でこの法律ができたわけであります。  今回、この四類に後天性免疫不全症候群が入ったわけでありますが、これはなぜここに入れたか、理由を説明していただきたいと思います。
  15. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 後天性免疫不全症候群、いわゆるエイズにつきましては、公衆衛生審議会の基本問題検討小委員会における検討の中で、医学医療の進歩と国民のエイズに関する正しい知識の普及などによりまして、その他の四類感染症と同様に発生動向の調査をしっかりと行い、国民に対する情報の提供を行っていくことによりその蔓延を防止すべき感染症と位置づけられたものでございます。  以上のようなことで四類に入れておるわけであります。
  16. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 この法案の中では四類に入れたというのでありますけれども、実はエイズに関してはさまざまな議論がありまして、まず医師の指示、これはエイズ法には第五条に、「医師の指示」ということではっきり指示があるんですが、今回の法案では四類だと指示は全くないんです。ですから、指示に従わなくてもいいんでしょう。これは非常に、言うならば一般のC型肝炎とか、その部類と一緒に扱うわけであります。  ただ私が一番問題視をしているのは、「血液凝固因子製剤の投与により感染したと認められる場合には、当該感染者について報告することを要しない。」ということをきちっと別途前の法律ではうたってあるんです。ところが、ここで、この血液凝固因子製剤の感染者もほかの機会で感染した人たちもこれは全部同列になっちゃったんです。  私は、今回ここに入れるときにもう少し議論があってもいいんではないかと。そういう議論は審議会の中であったんでしょうか。また、そのたたき台をつくるのはあなた方だと思うので、厚生省の中でそういうことの配慮、また今人権問題がいろいろ言われておりますけれども、そういうことに対しての検討、そういうものがあったかどうか、それを御説明願いたいと思います。
  17. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 現行エイズ予防法第五条におきまして、医師はエイズの感染者を診断したときは都道府県知事に報告するほか、エイズの伝染の防止に関し必要な指示を行うこととなっています。先生の御指摘のとおりでございます。ただし、感染者が血液凝固因子製剤の投与により感染したと認められる場合には、当該感染者について都道府県知事に報告することを要しないとされております。  新法案におきましては、エイズ予防法制定当時と比べエイズに関する医学医療の進歩により一般医療で対応が可能となったことを踏まえまして、国民に十分な情報提供を行うことによりその予防を十分図ることが可能となったことから、医師の指示を規定しないこととしたものでございます。  また、血液凝固因子製剤の投与による報告を要しないとする規定を設けなかったわけでありますが、そのことは、血液凝固因子製剤由来の感染者についても、従来から感染者の理解と協力によりましてHIV感染者発症予防・治療に関する研究事業において把握していることから、今般の新法を契機として、HIV感染症の状況を原因にかかわらず総合的に把握し対策の向上に結びつけたいと考えたためでございます。  なお、審議会におきましては、このエイズ予防法のこの点については御議論はありませんでした。
  18. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 旧法の中には、不特定多数の人に感染をさせる行為をしていることを知り得たときは、これは都道府県知事に通報することになっているんですね。今回そういう規定は全部なくなりました。そういうことになりますと、逆に言うと、これは大変議論があったところでありますけれども、例えば患者さんを把握していて何人か同じところから発生源がある、そこら辺からやはり不特定多数に感染させるような行為をしているというような状況が食いとめられたわけでありますけれども、今回これがなくなりますと、これは告発しない限り予防にならないんですね。  患者さんの権利は守る必要が絶対あるんですね。ところが、一般国民の人権、これも患者さんの人権と同等だと思うんです。やはり国民の感染症に対する予防というのは、これは国の責務と書いてありますよね。こういうことはやはり私は一度徹底的に議論しないといけないんじゃないかと。今回そういうことを仮に知り得たときも、一切何もしないと、だれも何もしないということでよろしいんでしょうかね。どういうふうにお考えでしょうか。
  19. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 今、先生がおっしゃいましたエイズ予防法第七条のことでございますが、七条におきましては、医師の「指示に従わず、かつ、多数の者にエイズの病原体を感染させるおそれがあると認めるときは、その旨並びに当該感染者の氏名及び居住地」等を「都道府県知事に通報する」等が定められておるわけであります。  しかしながら、エイズの予防対策につきましては、エイズ予防法制定当時と比較して適切な医療による早期発見、早期治療の効果があらわれてきたことや国民の間に正しい知識が普及したことなどから、通常、故意の感染拡大が生ずるおそれは極めて少ないと考えられるため、新法においてはこの規定を置かなかったものであります。  そして、じゃ実際に他人を故意に感染させた場合どうなるのかということでありますけれども、その場合には傷害罪の成立が考えられることから、このような事例が発生した場合には刑事手続により適切な対応が図られることとなります。そのように考えております。
  20. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 傷害罪というのは、日本で過去に訴えたとかそういうことはございますか。
  21. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 先ほどの第七条に基づく都道府県知事への届け出も、このエイズ法ができてから一例もございませんでしたし、またエイズ患者さんが故意に他人に感染させたとして傷害罪で起訴をしたという事例もございません。
  22. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 ないから法律というのは要らないんだというのも一つの考え方でしょうし、また、あるからそれはないんだというのも一つの考え方でございます。ですからこの辺は、私は感染をやはり予防しなければ、これは外国からいろんな方が来られています。ですから、そういうことで、いろんな表に出ない事例があるわけでありますから、私はここら辺はよく慎重に論議してほしかったなと。議論をする中で結論がこうなったというのならいいんですけれども、どこでも議論がなかったというさっきの話ですから、私はこういうことはやはり議論をしておく必要があるんじゃないか。万が一そうなったときに、これは議論もしなかったんだという話は、これちょっと問題があるんじゃないかと思いますよ。  それから、性病予防法が今度なくなりますけれども、売淫の問題で、これは性病予防法には罰則がついていましたね。このあっせん勧誘についてもあります。ところが、今回こういうことも一切罰則がなくなったということですね。これはなくならせたというのは何か理由があるんですか、罰則をなくしたという。
  23. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 今回の法案策定に当たりましては、感染症に対する国民の意識の向上や医学医療の進歩に照らして、従来の規定が必要かどうか検討いたして整理をしたところでございます。  性感染症対策につきましては、従来の売淫に対する罰則等の手段で予防を図るのではなく、国民に対する感染症情報の的確な提供等を通じて予防を図っていくことが適当であるとして、公衆衛生審議会において梅毒等の性感染症を四類感染症と位置づけており、これにより今回の法案を提出しているところでございます。そのように御理解をいただきたいと存じます。
  24. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 局長の答弁はお役人答弁で棒読みですから、聞いていて何か余り内容が、実がないみたいに聞こえるんですが、そう言ってしまえばおしまいでありまして、やっぱりある程度歯どめというのを、これは国民のまじめな人たちがいかにこれによって守られるか、もちろん患者さんの権利も尊重しながら。私は、そういう両面をきちっと議論しないと、これは後で大変なことになるんじゃないかと大変心配をしておるところであります。  それから、いわゆる一類感染症、二類感染症、三類感染症ということで、七十二時間のいわゆる入院期間というものをここに定めてありますね。七十二時間という時間の根拠でありますけれども、これは何か科学的な根拠があるんですか。
  25. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 今回提出させていただいています新法におきましては、入院措置をとる場合に都道府県知事が応急的に七十二時間を限度とする入院措置を行い、その間、感染症の専門家等から構成される感染症の診査に関する協議会の意見を聞きまして、十日ごとに延長できる規定になっています。  もう少し補足しますと、最初の七十二時間のところは保健所長の判断でもって、法律上は都道府県知事の判断でと書いてありますけれども、実態的には保健所長の判断で七十二時間はまず身柄を拘束して入院をさせることができます。  その七十二時間の根拠ということでございますけれども、その考えた理由としては、一類及び二類感染症の患者の病原体の検査に一般的に要する時間、それから感染症の診査に関する協議会における診査までの必要な時間、それから他の法律における同様の規定、これは精神保健法の規定にもあるんですが、七十二時間を限度としていること等を総合的に勘案いたして規定をしたものでございます。
  26. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 この十日間の入院の期間でありますけれども、この協議会でございますが、こういう場合にはすぐ招集をし、そしてふだんから協議会のメンバーというものをこれはきちっと指名しておかなきゃいけないんですが、この法律ができると同時にこれは発動しておかなきゃいけませんね。それは、予定、準備、すべてそういうふうにもう心構えができているんですか。
  27. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 心構えはできております。この法律を通していただきましてから直ちに実際に関係者と協議をして進めてまいりたい、このように思っております。
  28. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 心構えはだれでもできていると思うんですが、実が伴わなきゃこれは実行に移らないので、これはぜひ本当に空白を置かないように対応していただきたいということを要望いたしまして、時間となったので、私、終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  29. 常田享詳

    ○常田享詳君 私は自由民主党の常田でございます。  このたびの法案審査に当たりまして、健康危機管理という観点から何点かお尋ねをしてみたいと思っております。  余り時間がございませんので、どうか答弁は簡潔に、そして今月号の文芸春秋で歌舞伎の楽しみ方を小泉厚生大臣が書いておられます中で、思わず扇子を落としてしまうようなという表現を使っておられましたが、私の質問に対して、私が思わず扇子を落としてしまうような明快な御答弁を期待いたしまして、質問に入らせていただきます。  このたびの大臣の所信表明演説の中にも健康危機管理という言葉が出てきておりますし、内閣も先般、内閣危機管理官を決定いたしました。厚生省も本年、健康危機管理官を置くという方向性だと聞いております。あちらこちらで危機管理ということが言われるわけでありますが、私も危機管理というのは今の日本にとってはいろんなことで大切なことであろうと思います。  そこで、まず最初に小泉大臣に、大臣は所信表明の中で健康危機管理ということを言っておられますけれども、どのような意味でこの言葉を使っておられるのか、まずお聞きいたします。
  30. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 危機管理といいますと、抽象的な概念といいますか理念といいますか、そういう中では国民の健康や安全を守るということはだれもがわかることなんですが、同時にこれは厚生行政の原点だと私は思っております。  そういう中で、具体的には何かと言われると、これは私の意見よりも専門家、政府委員の答弁の方が適当だと思いますけれども、今具体的にはと問われますと、感染症、医薬品、食品、飲料水などを原因として国民の生命、健康に重大な被害を生じまたは生じるおそれがある事態に対し適切な対応措置を講ずるということだと思うのであります。  その他、今挙げた例以外に予見せざるどのような感染症が入ってくるかわかりません。また被害が起こるか、なかなか予想しにくい事態もこれから起こってくると思います。そういういわば非常時に対応してどのような体制をとっておいたらいいか、情報を提供したり、あるいは単なるわけのわからないうわさ話に驚かないような対応とか、いわば適切な対応を今から考えておこうということが大事ではないか。そういう点に対して平時からその体制を強化するよういろいろ研究していこうじゃないか、それが大事ではないかということで、今回このような法案を提出し、新しい時代に対応したような体制をとっていきたいということに努力するということをまず御理解いただきたいと思います。
  31. 常田享詳

    ○常田享詳君 このことで時間が長引くのもなんでございますので。ただ、なぜそういうことを冒頭にお尋ねしたかといいますと、私は、危機管理という言葉がいろいろ使われているけれども、人それぞれのとり方できちっとした定義というか概念がまだ我が日本の場合は確定していないのではないかという思いがしております。  そういうことで、参考までに志方俊之帝京大学教授が、「危機管理の理念と実際」という文献の中で、一番最後に、危機管理にとって最終的に問われるものは政治のリーダーシップであることに帰着する、なぜなら危機管理のための行動ではそれぞれの組織がそれぞれの特性と能力を生かして調整された行動をすることが重要であるというふうに述べておられます。  私は、これは非常にわかりやすい理念だと思います。内閣の危機管理官にも厚生省の危機管理官にも、そして内閣総理大臣にも厚生大臣にも当てはまる定義ではないかと思いますので、参考までに申し上げておきたいと思います。  質問に入らせていただきます。健康危機管理という観点でいきますと、ソリブジンの事件、薬害エイズ問題に代表されますように、医薬品の適正使用は健康危機管理上、大変重要な課題であろうと私は思っておりますし、その中における薬剤師の責任も大変重いものがあると思っております。  さきの行財政改革の特別委員会で大臣に、医療保険制度の抜本改革の中で、特に日本型参照価格制度について何点かその問題点を指摘いたしました。今その論議がされているところでありますけれども、日本型参照価格制度では薬価基準が廃止されていわゆる償還基準を設定するわけでありますけれども、ある意味では自由価格制度になるわけであります。そうなりますと、薬価上昇により患者の負担もさらに大きくなるのではないか、その基準以上にいって患者負担が大きくなるのではないかと懸念する意見も今出ているわけであります。したがって、薬価を自由にするのであれば、同じ成分、含量のものの中から患者が自分で安い薬価のものを選ぶことができる、いわゆる価格についての選択権が認められても私はしかるべきだと思います。  近年、我が国においても医薬分業が顕著に進み始めていますが、医薬分業が定着しているアメリカやドイツにおいては薬局における代替調剤が認められております。これによって、薬局が患者の薬剤費の低減に一定の役割を果たしているわけであります。アメリカのデーによりますと、このことによって患者の薬剤費を五〇%削減できるというデータも出ております。  そういうことで、薬価基準制度を廃止して新しい制度、どういう制度になるかわかりませんけれども、今論議されているわけです。新しい制度を導入する中で、ぜひ私はこの代替調剤というものを検討すべきときが来ているのではないかと思いますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
  32. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 薬価の制度を抜本的に変えるということで今審議をいただいているんですが、この経緯を考えてみますと、同じ効き目がありながらどうしても高い薬を使いたがる傾向をどうやって直したらいいか、同じ効き目があるんだったら安い薬を使うべきじゃないか、そのためにはどういう制度にしたらいいかということがこの抜本的改革においても盛んに議論されたところであります。  そこで、その基準を決める場合にグループごとにどういう価格を設定するかというのは確かに難しいと思うのでありますが、そういう中で、大体一つの基準が決まった場合、その基準より高い薬は患者さんから負担をいただきますよ、その基準より低い薬だったらその低い薬で患者さんに与えてくださいということになると思うのであります。これはやはり医師がよく患者さんに説明して、こういう薬を使いますということなんですが、それにさらに薬剤師さんまで、医師はこの薬を決めたけれども、いや同じ薬だったらこっちの薬がありますよという形で、薬剤師さんが同じ効き目なんだから別の薬を使ってもいいじゃないかということだと思うのでありますが、それは今のところ日本では認められていない。  今後、それを認めたらどうかという御意見だと思いますけれども、この点については今までの医師のやってきた慣行とかあるいは法律的な問題、医師に対する信頼、歴史的背景が欧米と日本とは違うと思うのであります。今のところ厚生省としては薬剤師さんにその代替調剤を認めるということは考えておりませんけれども、これはもっとよく専門家の間で私は議論する必要があるのではないかと思っております。
  33. 常田享詳

    ○常田享詳君 いや、もちろん私も今すぐにということを申し上げているわけじゃなくて、この医療保険制度の抜本改革の中で薬価基準制度にかわるべき新しい制度を検討する中で検討すべき問題だと。というのは、その目的にも合致するわけでありますし、これは勝手に薬剤師がやるということを言っているわけじゃなくて患者さんの了解のもとにやるという制度でございますから、そこのところを誤解のないようにしていただきたいと思います。  次に、病院薬剤師の配置基準についてでありますけれども、現在、厚生省は医療法に基づく病院薬剤師の配置基準について検討されていると聞いておりますけれども、仄聞いたしますと、これはまだ結論が出ていないというふうにも聞いております。  近年、医薬分業が進展する中で、病院薬剤師の役割というのは、病棟における服薬指導等、また副作用情報の法律改正等もありまして、非常に多くの役割が病棟活動の中で出てきた。特に、情報収集とか提供とかそういうことが出てきておるわけであります。そういう中で、医療保険財政の厳しい今日、医療機関の経営上、人件費等のコストの抑制が課題になっているということは理解いたしますけれども、だからといって、今申し上げたように医薬品の安全性を犠牲にするとか、それから、今申し上げましたような適切に病棟等で薬剤師が服薬指導をしたり副作用情報を集めたり本来すべき医療の質を高めていくような形のものがそこで排除されるということは許されることではないというふうに思います。  したがって、私は、病院薬剤師の十分な数を確保できるような配置基準にすべきだというふうに考えておりますが、厚生省としてはどのようにお考えでございましょうか。
  34. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 薬剤師の配置基準なんですが、今見直しを行っておりますけれども、現状の病院薬剤師の実態を踏まえたものにしていこうということで、現在、医療審議会で検討していただいております。  厚生省としては、その審議会の結論を待って対応していきたいと思います。
  35. 常田享詳

    ○常田享詳君 結論を待ってということは、今私が申し上げましたような薬剤師の病棟活動とかそういったものを踏まえて、新たにきちんとしていくという方向性というものを踏まえた上でというふうに理解してよろしいですね。
  36. 谷修一

    ○政府委員(谷修一君) 基本的に、今、大臣が申されたとおりでございます。  具体的な問題といたしまして病棟における役割というものを考えていくと、そこのところは基本的な考え方として審議会の中でも議論をされております。ただ、具体的にじゃそれをどう当てはめていくかということについては、まだ結論が得られていないということでございます。
  37. 常田享詳

    ○常田享詳君 そこのところを踏まえてということで理解をさせていただきたいと思います。  それでは、感染症予防・医療法に入りたいと思います。  まず、感染症予防・医療法に関しては、柔軟性と人権の確保が大切な課題だろうと思います。この種類の法律には、例えば特定の感染症の新しい予防法や治療法などが発見された場合、その成果をいつでも組み込めるような柔軟性がなければエイズ予防法で起こったような人権侵害が再び生ずるとの懸念があります。  この点に関連して、附則の第二条に、「感染症の範囲及びその類型については、少なくとも五年ごとに、」検討し、「必要があると認められるときは、所要の措置を講ずる」と記述されておりますが、ここで、「必要がある」と判断するのはだれがするのでしょうか。また、「少なくとも五年ごとに、」検討ということであれば、二年ごと、三年ごとの見直しもあると考えられるわけでありますが、そのように理解してよろしいのでございましょうか。
  38. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 委員御指摘のとおり、法案の附則第二条におきまして、医学医療の進歩等に合わせて適時的確な感染症類型の検討を少なくとも五年ごとに行う規定が設けられております。実際の検討に当たりましては、公衆衛生審議会において専門的観点から審議をお願いし、必要に応じて法律改正等の対応を行うものと考えております。  また、仮に二年や三年でも検討する必要がある場合はどうかというおただしでございますが、その都度検討を行うべきものと考えております。
  39. 常田享詳

    ○常田享詳君 そこで、この件に関してはお願いしておりますが、当然のことながら、この法律が、らい予防法やエイズ予防法の教訓を今後の感染症患者の方々の人権、とりわけ最善の治療を受ける権利に生かされなければならないと私は考えております。そういった点に十分の配慮をしていただくよう要望しておきます。  次に、情報収集と積極的疫学調査についてお尋ねをいたします。  アメリカのCDC、疾病予防センターは、感染症に対する予防戦略における重点項目として四つの点を挙げております。すなわち、情報収集、公開とコミュニケーション、二番に開業医との連携、三番に人間の行動研究、そして人材教育であります。これは大変示唆に富んだものであろうと私は思います。  そこで、情報の問題でありますが、今回の法律改正では積極的な情報収集と原因究明などが盛り込まれております。評価できる内容だと私は思います。ただ、いわゆる積極的疫学調査を真に有効なものにするには、行政側の調査そのものを第三者機関がチェックするシステムを設け、調査対象となる住民や感染者などから信頼されるものにする必要があるという指摘がなされております。この点についてお考えをお伺いします。
  40. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 積極的疫学調査は、感染症の発生状況や原因の調査のため、都道府県知事が必要と判断する場合に感染者の協力に基づいて行うものでありますが、情報の取り扱いについては、厚生省との連携規定を設けるとともに、調査を行う職員の身分を規定するなど、適切な対応が図られるような規定になっております。  第三者のチェック機関を設けるべきとの御指摘でありますが、本調査は関係者の協力があって初めて実施できるものであること、また個人情報の保護に関する規定も設けられていること等から御指摘のような機関の設置は考えておりませんが、患者等を含めた国民の広い理解と協力が得られるよう積極的疫学調査の実施のあり方についてさらに細部を詰めてまいりたいと、このように思っております。
  41. 常田享詳

    ○常田享詳君 このようなことが出てくるというのも、我が国の場合、本会議でも指摘がありましたが、CDCは約六千人いるんですね、ところが我が国の場合は情報センターで二十人ぐらいしか、もっとおられますかね。どちらにしても全然もう比較にならないし、プロジェクトチームをつくってこれに対応するとこの間大臣は本会議でお答えになっていましたが、こういった状態の差もあると思うんですね、信用できない、不信感の根底には。  やはり私は、きょうですか、環境庁が危機管理の問題、環境ホルモンで国立環境研究所に百十六億を総合経済対策で、つくばにやるんだということを発表しておりますが、やはり厚生省もこういったことに、先ほど宮崎先生のお話にもありましたが、総合経済対策の一つとしてCDCに匹敵するようなものを、戦略がきちんとできるような、また国民から信頼されるようなものを私はやるべきではないかというふうに思います。これは要望しておきます。  次に、新型のインフルエンザウイルスの早期発見、国際的な連携についてお尋ねいたします。  新型インフルエンザウイルスの早期発見は、世界規模のインフルエンザの流行を予防するための基本だと私は考えます。現在、我が国では国立感染症研究所がWHOに協力して中国の六カ所に観測基地を設置して監視を行っていますが、この体制をさらに強化することと、国際的なより大規模な協調体制の構築が必要と思われますが、いかがでありましょうか。  また、新型ウイルスに限らず、グローバル化した感染症の予防対策には国際的な連携が極めて重要であることは言うまでもありません。したがって、今回の新法に、国際機関との連携のもと、専門家の派遣や諸外国との感染症対策に関する協力規定を盛り込むべきだという指摘がありますが、私もこれは賛成であります。  この点についてお考えをお伺いいたします。
  42. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 今回の香港における新型インフルエンザウイルス、H5N1という型でございますが、この問題につきましては、国立感染症研究所がWHO等と共同調査の実施等国際的な連携を進めているところでございます。中国にもWHOと協力して日本の研究者が参っているところでございます。こうした国際的な連携をさらに強化していくことが必要であると認識をいたしております。  今回の法案においては、新型インフルエンザに限らず、世界における新興・再興感染症の出現や国際交流の活発化等の感染症問題の国際化に対応できるよう世界保健機関、WHOや米国の疾病管理センター、CDC等との協力を初めとする国際的な連携を図りながら国際的な対策に取り組んでまいりたいと、このように思っております。このことは公衆衛生審議会でも御指摘を受けているところでございます。
  43. 常田享詳

    ○常田享詳君 また、日本の感染症の専門医が百人程度だということはこの間も本会議で水島議員が指摘されたところで、実に寂しい状況であります。先ほども指摘したCDCの四つの予防戦略の中にも人材の育成というのが大事だということは私もそのとおりだと思いますので、大臣、ぜひとも専門医の育成についても国際水準に、グローバルスタンダードになるぐらいのところまで持っていっていただきたい、これを要望しておきたいと思います。  次に、MRSAの院内感染の実態についてお尋ねいたします。  最近、MRSAは感染力が弱く、しかもバンコマイシンというよく効く薬があるのでもはや怖くないという認識が広まり、抗菌薬の選択や院内の管理が安易になる傾向があるという指摘があります。恐怖感をいたずらにあおり立て、MRSA感染者や保菌者の人権が侵害されることは避けなければなりませんが、一方で油断をすると重大な事態を招きかねないのであります。  私の友人の新聞記者の一人はこのように言っております。老人病院、老健施設、特養ホームなどではMRSAの感染症はどこにでもある。厚生省は老人医療費を抑えるためにきゅうきゅうとしていて、特養ホームなどに対してはむやみに老人治療を受けさせないよう通知を出しているありさまだというふうに言っておりますが、これは事実無根でありましょうか、まずお伺いいたします。
  44. 羽毛田信吾

    ○政府委員(羽毛田信吾君) 今お挙げをいただきました老人関係の施設におきましても、先生のお話のございましたMRSAの感染対策ということあるいは予防対策が非常に大事であるという点については私どももそういう認識のもとにやっております。  ただ、今お挙げになりました特別養護老人ホームにおける治療の関係については、恐らくお話のございましたのは、診療報酬請求といわゆる措置費とのいわば調整といいますか、整合性を図るために指示をいたしております通知のことであろうと思います。特別養護老人ホームは、御案内のとおり、必ずしも常勤ではありませんけれども、医師が配置をされているという体制になってございます。したがいまして、その特別養護老人ホームにおきます医療につきましては基本的な医療は一応確保されるということで、そういった配置されておられる医師以外の方がみだりに往診することは禁じるという形の通知を出しておりまして、そのことを言われたんだろうと思います。今申し上げましたような趣旨でやっているわけでありますから、一律に医療の支給を禁止するというようなことにはなっておりませんで、緊急の際あるいは配置医師の専門外の診療が要るというような場合につきましては、医療保険の給付として給付対象に現在もいたしております。  いずれにしても、MRSA、冒頭申し上げましたように、対策は非常に大事だと思っておりますので、私どもも、各施設の対応に応じまして適切な対策が打たれますように感染防止のための手引などをそれぞれの団体にもつくってもらいまして、これを普及する等のことを通じまして感染対策には現在も力を入れておりますし、今後もそうしてまいらなければならないと思います。先生御指摘のように、現在でもやはりそういった施設にMRSAの感染をされた方がやっぱりおられることも事実でございますから、今後とも力を入れていかなければならないというふうに思っております。
  45. 常田享詳

    ○常田享詳君 そういう方がおられる事実は羽毛田局長もお認めいただいたわけでありますが、ここでお聞きしておきたいのは、MRSA院内感染のその責任はだれにあるのかということであります。  実例を挙げて申し上げたいと思います。千葉県のある例でありますが、ある知的障害者施設にいた五十歳の男性の方が頻繁に無断外出したため、施設はこの男性に精神安定剤を飲ませていた。その後、この男性が脳内出血を起こしたため近くの老人病院に移した。それで、先ほどの友人が見舞ったところ、その男性は移った先の老人病院でMRSAに感染したために隔離室に入れられていた。ちなみにその隔離室には部屋いっぱいの五、六人の患者が収容されていた。これが現在実態としてあります。  また、最近私のインターネットに入ってまいりました、ある大病院に入院中にMRSAに感染させられた父親を持つ方からの相談でありますけれども、外注検査によって感染が明らかになった段階で大部屋からMRSA感染患者がもう一人いる二人部屋に移された。その後、差額ベッド料として一日一万一千円請求され、途方に暮れて相談してこられたわけでありますが、他の病院に転院しようとしたところ、その病院からも個室料として月額五十万円取ると言われた。これは名前言いませんけれども、大臣、病院の名前を言ったらびっくりされるような大学病院なんです。この場合は、そこが注射で明らかに感染させたということがわかっていながら、あたかも出ていけと、それで出ていかないなら差額ベッド払えと、おれないようにすると、こういうことなんでありますが、MRSAの感染というのはだれの責任なんでありましょうか。  それから、感染させられた方のそのことによって生じた追加費用というのは、これは患者側が負担しなければならないものなんでしょうか。これはこれだけでなくてたくさんあると思うんです。今一例だけ申し上げました。これいかがでございましょうか。
  46. 高木俊明

    ○政府委員(高木俊明君) 感染の責任の問題につきましては、ちょっと事実関係等々によってかなり違うと思いますから、ここでそこら辺の背景抜きには語れないというふうに思います。  後段の方のいわゆる差額ヘッドの関係でありますけれども、これについては、これまでも保険診療における取り扱いについては明確な基準を示しておりまして、これはあくまでも治療上の必要性からそういった差額ベッドの部屋に入院させる、こういう場合には患者負担を求めてはいけないということになっております。  今のケースは、恐らく治療上の必要性からということであればこれは患者負担は取れないということでありまして、患者負担が取れるような場合というのは、これは患者さんの選択あるいは同意、これに基づく場合だけであるということであります。そういった意味では、この辺のところをきちっとしていくために、患者さんの同意をまず確認をした上で入院させる、それからまた、この確認についてはきちっと文書に患者さんの署名をしていただいて意思がはっきりするようにしていただくということと同時に、またこの文書そのものについて保険医療機関側が保存をする、そして必要に応じてきちっと提示できるようにしておく。こういうルールになっておりますから、今のようなケースについて患者さんの同意がなく差額ベッドの部屋に入るというようなことはこれは禁じておる、こういうことでございます。
  47. 常田享詳

    ○常田享詳君 まさにその禁じておられることが現実には行われているということであります。  きょう、例の安田病院の院長に対して三年の実刑判決が出たわけであります。それで、こういった病院は私は非常にまれな病院であろうというふうに考えたいわけでありますけれども、実際多くの方々から患者転がしが後を絶たない、難しい患者さんとか嫌な患者さんはどんどん出ていきなさいと。確かに社会的入院ということでお宅に帰られる条件がありながら帰られないというのはまた別でありますけれども、帰りたくても帰れない、また今のように院内感染させておいて出ていけというような話はないわけでありまして、こういう行き場のない社会的弱者がたくさんいるという事実もやっぱりこの機会にしっかり私は踏まえていただきたい。そうしなければこのようなことはまたさらに今後起こってくるであろう。きょうの判決を真摯に受けとめなければならないと思います。  最後に、時間がなくなりましたので、感染性廃棄物の不法投棄と入札制度についてお尋ねいたします。  この問題は、最近の報道で使用済み注射針や血のついたガーゼなど、病院から出る感染性廃棄物が相変わらず不適正に処理されているという状況があります。また、遺体の血液をそのまま下水に流すケースや、感染性の病気にかかった患者のおむつを一般ごみとして処分しているケースも報告されています。これはゆゆしき事態であります。このような実態を厚生省はどのように把握されているのか。  また、入札制度でこのようなことが行われている。都立病院では落札価格がキロ当たり九円であったというようなことも報道されておりますし、毎日新聞の最近の全国調査では、キロ当たり平均百三十一円という結果も出ております。これでは不適正処理や不法投棄はなくならないのではないか。  私は、感染性廃棄物の処理には入札という制度はなじまないのではないか。やはり、きちんと医療費の診療報酬制度の中でこういったものを見ていくようにしなければ、だんだん問題は大きくなっていって、むしろ高いものにつき、最終的には国民の生命を危機的状況に陥れることにもなるわけでありますから、このことについて最後にお聞きして、質問を終わります。
  48. 小野昭雄

    ○政府委員(小野昭雄君) 感染性廃棄物についてでございますが、廃棄物処理法におきましては、病院などから排出されます血液の付着いたしました注射針あるいはガーゼなどの感染性廃棄物につきましては特別管理廃棄物としておりまして、廃棄物処理法に基づく特別の処理基準に従って市町村あるいは排出事業者みずからが処理する、または廃棄物処理法に基づきます委託基準に従いまして、都道府県知事等の許可いたしました処理業者に適正に委託することが定められているわけでございます。  御指摘の入札等についてでございますが、委託基準におきましては、入札等の契約方法につきまして特段の定めはございませんが、ただ、先生御指摘のように、適正な処理が困難となるような不当に安い料金で委託するということは私どもとしては適当とは考えておりません。したがいまして、医療機関あるいは処理業者の処理が適正に行われますように監視あるいは指導を徹底いたしますとともに、不適正処理が誘発されることのないように、医療機関や廃棄物処理業者に対する普及、啓発や指導に努めてまいりたいと考えております。
  49. 常田享詳

    ○常田享詳君 診療報酬については。
  50. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 先ほど生活衛生局長の方からお話がございました医療廃棄物につきましては、医療廃棄物の処理費用を含めた医業経営全体に必要とされる費用については診療報酬全体の中で適切に手当てをされているというふうに考えております。
  51. 常田享詳

    ○常田享詳君 終わります。
  52. 山本正和

    ○委員長(山本正和君) ちょっと答弁、そつなくすっすっとやるようにしてくださいね。
  53. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 民主党・新緑風会、略称民主の岡崎トミ子でございます。よろしくお願いいたします。  この法案は、制定から百年以上たった伝染病予防法が時代の必要にこたえることができなくなった、そのために提案されているものだというふうに思っておりまして、百年の間に多くの犠牲を払ってきたわけでございます。  伝染病予防法については、患者の一律的な隔離を原則としている等、人権面から大変批判が多かった。それから、廃止されまして本法案に統合されることとなったエイズ予防法についても、社会防衛論を全面に出した法律であって、エイズ患者やあるいは感染者の治療や人権の尊重という視点に欠けていた。そこで、患者、感染者に対する差別、偏見を招いたという指摘が繰り返しなされてまいりました。  伝染病予防法に比べましたら確かに大きな進歩があるということを私は認めます。しかしながら、百年前に制定された法律と比べているわけですから、そこには百年の進歩があってほしいと私は考えております。  公衆衛生審議会が昨年の末に感染症対策の報告書をまとめましてから、法案要綱が大変速いスピードでつくられる過程で、人権尊重の視点が後退して社会防衛的色彩が強くなったという批判もございます。この法案が法律となった場合に、新たな感染症の恐怖をあおって、そして人権侵害を助長することがないのか大変心配している患者、感染者、家族の皆さんたちも大勢いらっしゃいます。こうした心配が杞憂であった、このことがきょうの質疑を通してきちんとわかれば私自身も賛成をしていきたいというふうに孝えおります。  そういう結果にするために、必要であるならば修正もお願いをして、また運用面での工夫や努力を約束していただきたいと心から願っております。  さて、初めにこの法律が書いております目的についてでありますが、例えばエイズ予防法は感染予防と患者管理に偏ったものでありました。そのために当然の権利として医療を受けるべき患者、感染者の人権を重層的に侵害する結果となりまして、患者の潜在化を助長したという過去がございます。  今回の法案がその反省に立ったものであるとすれば、感染者の人権保障と感染者に対する良質かつ適切な医療の確保の精神が法文を貫くべきであると考えます。そのために感染者の人権保障と感染者に対する良質かつ適切な医療の確保を目的として法文に明記すべきだと考えておりますが、厚生大臣の御所見をお願いいたします。
  54. 小泉純一郎

    国務大臣(小泉純一郎君) 本法案の目的は、感染症の発生及び蔓延を防止することによって公衆衛生の向上及び増進を図ることということでありますが、この人権への配慮、これは当然重要であると思っております。また、患者人権を守るということと、それから一般国民人権といいますか、感染を防ぐという両方の配慮が私は必要だと思います。  当然、伝染力の強い病気の場合には患者さんの権利に一定の制限を加えるということは、私は必要だと思うのであります。その点と患者さんの権利をどうやって守っていくか、この調整は大変大事だと思いまして、今までの例からいくと、ともすれば社会防衛の観点の面が強く出過ぎて、患者さんの権利なりあるいは差別意識を助長した面というものを反省しながら人権の保護に留意すべきということを規定したわけであります。  私は、今御指摘されたような今までの経緯、そして患者さんの人権への配慮、さらには病気の蔓延を防止するという、この点をうまく調整して本法案の目的が達成されるように努力することが必要であると思います。
  55. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 人権について、目的として明記することができないのであれば、せめて第三条一項を書きかえていただきたいと思います。  現在のところは「患者等の人権の保護に留意しなければならない。」となっておりますのを、人権を尊重するよう努めなくてはならないと、このように書きかえることを御検討いただきたいというふうに思います。  住民基本台帳法の第三条の文言には、このことがきちんとこのような文言で書いております。人権を重く考えるのであれば明記できるのだというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。  さて、法案では、国及び地方公共団体が「感染症の患者が良質かつ適切な医療を受けられるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」というふうにしておりますが、この文言もまた私は大変不十分だというふうに思います。なぜ講じなくてはならないというふうに書けないんでしょうか。努力規定ではなくて義務規定だと、このようにすべきだと思いますけれども、厚生大臣いかがでしょうか。
  56. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 努めなければならないという努力規定は、国や地方公共団体が果たすべき役割を一般的な責務として規定するほか、他の多くの法律で見られる表現でございまして、これらの法律との均衡上の努力規定としているものでございます。
  57. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 講じなければならないのがよくて努めなければならないのがいかぬと。私は、努めなければならないでいいのではないかなと、ほかの法律もあるし。そうしますと、私から言わせると、何でみんなニーズなんていう言葉を使うのか。片仮名、英語を平気で使っている。個人の趣味、嗜好もあるし、言う問題じゃないと思いますけれども、努めなければならない、講じなければならない、私はそんな差はないと思うんです。しかも、一般の法律と大体均衡をとる、整合性をとるということを考えると、ほかの法律も努めなければならないと使っている、それに合わせるということで、大して差がないんだったらばその方がいいんじゃないのかなと、そう思います。
  58. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 いや、その前の文章から見ますと、措置を講ずるよう努めなければならないですが、措置を講じなくてはならないの方がもっと明確だというふうに私は思っておりますので、そうした強まった考えをぜひ持っていただきたいなというふうに思っております。努力ではなくて義務規定だという精神がこの法案の中に魂として入っていれば大変ありがたいというふうに思います。  さて、エイズ予防法が廃止されて、より包括的な感染症予防法で対策を行うという方向転換については積極的に評価をいたします。エイズ予防法があったためにエイズ患者・感染者が特別視されて差別につながった側面があるからでございます。ただ一方で、エイズ予防法の廃止に伴って、せっかく和解協議によって整ってきました医療体制が後退するのではないかという心配も一部あるようですので、患者団体それから現場の医療従事者の意見も聞きながらますます努力をしていただきたいというふうに思います。  それからもう一つ、医療拒否の問題についてなんですが、これはかなり改善はされてきたと思います。しかし、まだあるというふうに患者さんからも伺っておりますので、医療従事者に対する教育の充実につきましてもやはり患者団体の意見を聞きながら進めてほしいと思いますが、この二つの点についていかがでしょうか。
  59. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) エイズに関する医療の確保につきましては厚生省としても大変重要な問題と認識をいたしておりまして、私もこうやってエイズの差別と偏見をなくしましょうというバッジを胸につけ、担当職員も、命令をしているわけではないんですがみんなこれをつけて、何とか患者さんが治るようにしてあげたいということでみんな努力をしているし、医療関係者も本当によく努力していただいていると思っております。厚生省としては、患者さん方との約束もありまして、一生懸命これに前進をしておるところでございます。  次に、今度法律を改正してどうなるのか、こういうことでございますけれども、今回エイズ対策につきましては、発生の予防、蔓延の防止、医療の提供、研究開発の推進等に関する総合的な対策の推進を図る必要があるということで、私どもとしてはこの法律の中で特定感染症予防指針を策定するということにしておりますが、その特定感染症予防指針をまずエイズについてつくっていきたい、このように思っておりまして、今後とも患者団体を含む各方面からの意見を伺いながら対策の後退することのないように適切な対応を図ってまいろう、このように思っております。
  60. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 よろしくお願いいたします。  この法案では、エイズ対策がより包括的な法律によって対応される方針であるのに、今度は指定感染症の分類があるために指定感染症にかかった患者さんたちが特別視され差別されるおそれはないでしょうか。大変心配いたしております。  一番最初のときにも、感染症類型、この基準についてどんな分類をされたのかお答えになっていらっしゃいましたけれども、わかりやすく明確に教えてほしいというふうに思います。  六条の六項と七項に規定されております新感染症、指定感染症の定義が大変あいまいに過ぎると思いますので、特に指定感染症についてどのような感染症を想定しているのか教えていただきたいと思います。
  61. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) まず、感染症類型につきましては先ほども御答弁をさせていただきましたのですが、この類型は公衆衛生審議会の基本問題検討小委員会の検討の中で議論をしてまいりました。そして、各感染症の感染力とか感染した場合の重篤性等に基づく総合的な観点から見て病気を一類から二類、三類、四類と分類をいたした次第でございます。  そして、まず新感染症は未知の感染症ですから、その一から四に入らない、我々としては全然今も知り得ない感染症ですが、そういう未知の感染症であって、その感染力、感染した場合の重篤性等に基づき、危険性が極めて高いと判断されるものを考えておるわけでございます。したがいまして、全く未知の病気であっても、感染力が弱いとかまたは人の命を落とす危険性がないとかというものを新感染症にするという考え方はございません。  また一方、指定感染症でありますが、これは既に我々が知っている感染症、例えば今O157ならO157という感染症がある。そういうものは今のところ、O157は三類として分類をして、三類に合った医療をとか就業制限や行動制限をするとかということの対応を考えているわけでありますけれども、O157というのはOの番号で、157という番号があるというのは、これはだんだん数がふえていくんですね。ですから、今幾つまでいっていますか、Oの200近くまでいっているんじゃないかと思いますが、例えば将来O300とか301とか怖い病気が出てきたといった場合には、もともと大腸菌の変形で出てくるわけですから、そのこと自体は新しい感染症ではないけれども大変強い毒素を持っているとか、O157よりもっともっとはるかに死亡率が高いとか、そういうような場合が出てきた場合には、公衆衛生審議会の御議論を得て指定感染症にして、そしてそれへの対応を考えていこう、こういうことでございます。  我々としては、国民の健康を守っていくということから、余り概念を固めてしまって、一遍三類にしたとか四類に入れてしまった、だからそれでもう動かさないんだということではだめなんで、目的は、分類は一応そのときの医学での分類でもって正しい対応をしようということを考えているわけですから、病気が菌が変わるとか種類が変わっていくようなことがあればやっぱりそれに対応するべく指定制度というのをつくったということで御理解をいただきたいと思います。
  62. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 やはり今のお話を伺うと、この指定感染症にされた場合には本当に差別されたり特別視されたりしてしまうのではないかなと、説明を聞いてなおのことこんなふうに思いますし、一類、二類、三類、四類、それから未知の感染症、あるいは既に知っている感染症、そのほか、というような形ぐらいのところでできなかったのかな、これは要らなかったのではないかという考えを今私は持っているところなんです。  伝染力が弱い、強いということについて触れられておりましたけれども、今でも伝染力が弱いにもかかわらず危険視されて患者差別につながった感染症がありますね。エイズがそれのいい例でありますけれども、今回は伝染力の強さというのは新感染症や指定感染症とされる要件になるんでしょうか。もしそうであるならば、それも定義に入れるべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。  そして、この第七章の新感染症のところを読みますと、ほとんどが都道府県知事の権限になっております。新感染症規定の慎重な運用を確保する目的で、例えば新感染症の判定などについて厚生大臣の役割を強化することも考えられると思いますので、今後の議論の中でぜひこれも御検討いただければというふうに思います。
  63. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 今のこれらの指定感染症の適用についてでございますが、感染力の程度は当然検討の要素の一つとなります。これは、当該疾病の蔓延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると判断する際の一つの構成要素となると考えている次第でございます。
  64. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 次に、情報公開についてお伺いいたします。  適切な情報公開が積極的に行われることは不可欠でありますが、個人の病気の問題は慎重に扱っていただきたいと思います。そうした見地から、第十六条二項の個人情報の保護、これに加えて、不当な差別、偏見が生じないように留意すべきと明記すべきではないかと思いますが、いかがですか。
  65. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 感染症に対する不当な差別、偏見が生じないよう、国及び地方公共団体は感染症に関する正しい知識の普及を図りますとともに、患者等の人権の保護に留意しなければならない旨、第三条第一項の「国及び地方公共団体の責務」に明文化をしているところでございます。第十六条第二項にさらにその旨を繰り返し規定する必要はないと考えておるところでございます。
  66. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 エイズパニックの原因として情報公開が適切に行われなかったということもありましたので、この問題は大変重要だというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。  次に、感染症患者の入院に関しまして、感染症協議会が重要な役割を果たすことが想定されておりますが、この協議会にはだれが入るんでしょうか。人権問題についての配慮という観点からいたしますと、これは弁護士、患者団体のメンバーが協議会に入ったらいいと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  67. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 感染症の診査に関する協議会は、感染症の患者の入院の必要性及びその期間を判断する機関であることから、委員三人以上で組織をいたしまして、感染症指定医療機関の医師、感染症の患者の医療に関し学識経験を有する者及び医療以外の学識経験を有する者のうちから都道府県知事が任命することとし、委員の過半数は医師のうちから任命することといたしております。  この協議会は、入院の必要性等について学問的、専門的に診査する機関でありますので、患者団体のメンバーを委員に任命することは適当でないと考えております。一方、医療以外の学識経験を有する者の任命につきましては、その者の職種を含め、地域の実情に応じて都道府県知事が判断するものと考えておるところでございます。
  68. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 その後の強制入院のこととも今のことはかかわってくるだろうと私は思いますけれども、強制入院に関連しまして国際人権規約、この規約に照らしてみますと著しく後退した内容になっております。  補償の必要性について、また面会、通信の自由の扱い、入院した人の処遇について配慮されておりますでしょうか。異議申し立てをする相手が強制入院を決定した都道府県知事であることについても大変問題だというふうに思っておりますけれども、あわせてお答えください。
  69. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 新法におきましては、三十日を超える長期入院患者からの行政不服審査請求につきましては、行政不服審査法の特例といたしまして、厚生大臣が公衆衛生審議会の意見を聞いて五日以内に裁決を行う手続を設ける等、患者の入院について人権保障の観点から各般の規定を盛り込んだところでございまして、国際人権B規約等の趣旨は十分反映したものになっていると考えております。  誤って入院をさせた場合の補償につきましては、仮にもあってはならないのでありますけれども、仮に行政が故意にまたは過失であって入院させるべきでない患者を入院させたような場合には、当然国家賠償法により行政が賠償の責任に任すべきものであり、改めて新法に規定をする必要はないものと考えておるところであります。  また、通信や面会の自由等、入院患者の処遇につきましては、感染症患者が精神的に不安定な状況に追い込まれないように配慮することが必要と考えておりまして、新法の施行に当たって、例えば感染症指定医療機関の指定に係る要件として通信の自由等を規定してまいりたいと思っております。  今回の場合、強制入院でありますけれども、実質的には精神衛生の患者さんに比べると非常に入院期間が短いのであります。ですけれども、今回の法案では、人権B規約というのを横に置きながらディスカッションをして、人権擁護のための措置をいろいろとったところでございます。  さらに、不服申し立てにつきまして、処分権者が都道府県知事の場合には厚生大臣に対して行われるものと理解をしていますが、先生御指摘の当該手続請求権等の御意見については、患者に対する説明義務を法律上明確にすること等については、法案において当該入院措置を行う理由その他の厚生省令で定める事項を書面により通知するものと規定しているところでございまして、必要な人権保障の手続が図られるものと考えております。
  70. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 確認したいんですが、少なくとも強制入院の理由や異議申し立て制度、それから再審査の請求権、これらに関して行政の説明義務を明記されてあるというふうにおっしゃるわけですか。
  71. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) この法文上には書いてないのでありますけれども、今後、今、先生がおっしゃられたような御意見等も参考にして審議会で御議論をいただいて、省令で定めていくことになると思います。  ただ実質的には、先生がおっしゃられましたように、入院患者さんとして、どういう理由で入ったのか、それからどういうときに出られるのか、それから後で助けていただくためのどういう手続があるのかということは、私は当然省令に入ってくるものと、このように思っております。
  72. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 厚生大臣が感染症の予防の総合的な推進を図るための基本指針を定めることになっております。この基本指針がどのようなものになるかによってこの法案の意味合いが全く変わってくると思いますが、基本指針はどういうタイミングで、どういう手続を経て策定されるんでしょうか。それから、患者団体や関心のある市民の問題意識の反映はどのように担保されるのでしょうか。厚生大臣にお伺いいたします。
  73. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 基本指針の策定の手続についてですけれども、これはもうあらかじめ関係行政機関の長と協議する、そして公衆衛生審議会の意見を聞くということになっておりますので、当然、今、委員が御心配の、いろんな市民の意見とか患者団体の意見が反映されるのかということでありますが、これは公開の審議で行われる公衆衛生審議会においてそういう方々の意見が参考人として陳述されますから、その意見を聴取し、できるだけ多くの意見を反映させるような場を設けることが必要ではないか。できるだけ市民の意見も反映されるような会の運営が検討されて私はしかるべきだと思います。
  74. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 そこで、やはりこの法案を十分時間をかけて審議していただきたいというふうに思いますけれども、そのときに、これまで患者であった方、あるいは裁判に訴えてその原告であった方々、それはエイズの問題だったりO157の問題だったりするわけですけれども、これは参考人質疑、そういうようなことを考えていらっしゃいますでしょうか。  大阪には堺の方、それからエイズの方々がいらっしゃいますし、O157のことではやはり相当苦労された方々もおりますので、ぜひ地方公聴会をしていただきたいという強い希望もありますけれども、その点を考慮に入れていただきたいと思いますが、いかがですか。
  75. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) これは委員会の委員長を初め理事の皆さん、委員の皆さんがおられますので、私どもとしては委員長を初め委員会の御指示に従いたいと思います。
  76. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 いや、大臣の強い意志がおありになるということを確かめてみたかったのでございます。  続いて、ハエと蚊の駆除について伺いたいのですが、現在、伝染病予防法を根拠にしまして、地方自治体がハエと蚊の駆除のためとして大量の殺虫剤をまいていると聞いております。平常時におけるハエ、蚊の駆除はこの法案のもとではどうなんでしょうか。
  77. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) まず、従来の伝染病予防法におきましては、平常時に鼠族、昆虫の駆除事務について市町村に義務づける規定を持っておりました。そして、駆除用の薬品の配布、衛生班の設置、設置すべき薬品等、その実施に関する子細な規定を設けていたところでございます。  今回の新法におきましては、平常時の対策を全国一律で行う必要がないということから、消毒その他の措置を定める第五章には規定をしないこととし、平常時の昆虫駆除のあり方については各都道府県が地域の実情を踏まえ、基本指針に即し策定する予防計画にのっとりつつ適切に実施されるものと考えております。
  78. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 この法案が通りましても、現在のように自治体が過剰な駆除活動を行う可能性は残ると思います。ぜひその対策としてどのようなことを考えられるのかお答えいただきたいということと、過剰な殺虫剤散布をチェックする仕組みなどもぜひ考えていただきたいと思います。せめて基本指針に過剰な殺虫剤散布をさせない方向で文言を盛り込んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  79. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 平常時におきます感染症の予防のための事務につきましては、新法においては基本指針に即し各都道府県が地域の実情を踏まえて策定した予防計画に基づき、各都道府県が必要と認める範囲において行うこととしております。  このように、自治体が行うハエ、蚊の駆除は基本指針や予防計画に基づいて地域の実情に即して行われるものでありまして、具体的な薬剤の使用量等についても自治体が適切に判断するものと考えております。国の方から一々どうしろということを規定するということは特に考えておりません。
  80. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 ぜひそれぞれの地方の中で本当に過剰な散布が行われないようにしていただきたいというふうに強く願っております。  続いて、ダイオキシンや環境ホルモンが問題となっておりますが、駆除、消毒に使用されます薬剤やそのほかの代謝物、分解物、不純物に含まれていないか調査をしているでしょうか。
  81. 中西明典

    ○政府委員(中西明典君) 御指摘のダイオキシン類や環境ホルモンの人への健康影響につきましてはまだ未解明な部分が多いと承知しておりまして、厚生省といたしましても関係省庁と連携しながら調査研究を進めているところでございます。  現在使われている御指摘のハエ、蚊等の駆除、消毒に用いる薬剤につきましても、その分解物あるいは不純物等にこうした物質が含まれているかどうかなども含めまして、私どもといたしましては国内外の調査研究を通じて情報の収集に努め、専門家の意見も聞きながら科学的知見に基づいて適切に対処していきたいと、かように考えております。
  82. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 結局、今ダイオキシンや環境ホルモン対策については完全に科学的知見が得られていないんですね。それで、そういうことを理由にして対策が今おくれているということなんです。私たちの未来の世代にもかかわるような重大な生活環境の汚染の問題につきましては予防的措置の姿勢で臨む必要があると思いますが、厚生大臣の御所見をお伺いします。
  83. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 既に母乳からもダイオキシンが検出されているということは、かなり前からダイオキシンによる汚染が進行していたんだなということがうかがわれると思うんです。  私は、このダイオキシンの問題というのは、今環境ホルモンというので非常に注目されておりますけれども、環境全体の保全といいますか、健康に与える影響問題をどう考えるかという大変重要な問題だと認識しております。  このダイオキシンに対しては、日本独自の調査も必要ですが、先進諸国の研究機関、進んだ調査機関との連携も必要ではないか。そして、今まで我々にはわからなかったような健康に悪影響が出る物質というのは、私はダイオキシンのみならずほかにもあると思うんですね、ただ我々が気づいていない。要は、今の地球環境といいますか、人類に与える悪い影響というものをいかに排除していくかということを考えますと、ダイオキシンだけじゃなくて、この大量消費、大量廃棄の現代社会、これをどうするかという問題にもかかわってくると思います。  わからない部分が大変多いだけに不安もあると思いますけれども、環境を保全することは大事だと、そして我々の子孫にも影響してくる未知の化学的物質に対する健康面、環境保全面での影響というのは、いろんな新しいものを製造する段階から注意していかなきゃいかぬなと。ダイオキシンが発生するから、これまた過剰反応ですべてがだめだというふうになりますと、現代文明の恩恵に浴している我々は生活が立ち行かなくなる面もあると思いますが、要はいかに環境保全と人類に対する影響を十分配慮しながら安全な環境を保全するかということが大事だと思うのであります。  我々としては、未知の部分もあると思いますので、そういう面は研究機関ともよく連携しながら、これからもダイオキシン対策あるいは廃棄物対策、環境保全対策につきましても十分な配慮を持って進めていく必要があると考えます。
  84. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 私は国土・環境委員会にも所属をしておりまして、この問題だけでいいましたら、製造する側に対してどのような指導をされるのかという意味では通産省に、あるいはまた厚生省の方にもお話を伺ってまいりました。大木環境庁長官は、疑わしきは罰するということをはっきりとおっしゃっているわけなんですね。ですから、きょうの予防的措置の姿勢で臨む必要があるのではないかというこの問いかけを厚生大臣はぜひ踏まえていただきまして、これは危ないなというふうに思ったときの大臣の政治的な判断というのはそれに応じて早くしていただきたいということを最後にお願いしたいと思います。  きょうは感染症の問題でございますけれども、本当に百年以上かかってやっとこれが改正ということでございます。これまでのさまざまな思いを込めて患者、感染者、あるいはそれを取り巻く家族の皆さんも含めて、この法案に対しては大変期待を抱いているだろうというふうに思いますから、ぜひ十分審議の時間をとって、そして深く掘り下げた、そしていい法律に仕上げますように心からお願いをしたいと思います。  ありがとうございました。
  85. 山本正和

    ○委員長(山本正和君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  86. 山本正和

    ○委員長(山本正和君) 速記を起こしてください。
  87. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明の渡辺孝男でございます。  早速質問に入らせていただきます。  今回の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案は、明治三十年に施行されました伝染病予防法を百年ぶりに抜本的に見直すものであります。伝染病予防法は、患者を隔離することにより感染症の拡大を防止し社会防衛を図ろうとしたもので、今日の人権尊重の潮流とは相入れず、また医学の進歩により既に法定伝染病として指定する必要がない痘瘡や日本脳炎などが放置されたままであったなど、その改正は遅きに失した感が否めません。これまでの法定伝染病である十一種類の感染症も、新法案では重症感染症扱いとなるものは六種類のみで、痘瘡は削除され、日本脳炎などの四種類は軽い感染症の扱いとなっております。  そこで、厚生省にお尋ねいたします。  指定不要の痘瘡や今日では軽症となった感染症が何ゆえ長期間法定伝染病として残存するようになったのか、途中で改正すべきとの声が大きくならなかった理由はどういうものだったのか、お聞かせいただきたいと思います。
  88. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 今、先生御指摘の日本脳炎等の四種類の感染症は、今回は第四類の感染症に分類されるなどしているわけであります。  この見直しということがなぜ行われなかったのかと、こういうおただしでございますけれども、なぜという理由については、だれも明快に分析をした文献があるわけではございませんが、一つは、新しい怖い病気が出てくると指定感染症として扱うことができたということ。それから、感染症の数が非常に減ったということ、減ったから実際にこの法律の適用を受ける事例というのがそんなに多くなかったということ。それからもう一つは、今回の法律では見直し規定というのが入っておりますけれども、当時の法律では見直し規定が入っていないということ等がありまして、適時的確な見直しが十分でなかった、このように考えておるわけであります。  しかし、今回の感染症対策の見直しにおきましては、各感染症の感染力や罹患した場合の重篤性に基づく総合的な観点から見た危険性によって感染症類型を抜本的に見直すことといたしたわけでございます。したがって、今御指摘のように四つの法定伝染病も四類に入ったというような次第になったわけであります。  なお、今回の法案では、時代に即応した感染症対策ができるように、少なくとも五年ごとの見直しを明文化しているというのは提出法案の中に入っているとおりでございます。
  89. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今回の法案では見直し規定が入っているということですが、時代の流れに応じて早目に除外されるような、指定の変更ができなかったというのが今現在ある伝染病予防法の一つの問題点ではないのかなというふうに私ども考えます。そういう意味では、見直し規定の盛り込みというのはやはり重要なことではないかというふうに考えます。  関連しまして、これまで個別感染症法としましてはらい予防法が長年存続し続けましたし、また後天性免疫不全症候群が同じように個別法として成立し、人権擁護上大きな汚点を残すことになったのも伝染病予防法の抜本的改革がおくれたことと無関係ではない、そのように私は思います。  らい予防法に関しましては、本法案提出前の平成八年度に既に廃止されておりますけれども、やはりその間のハンセン病患者さんやその家族の方の苦しみというのは想像を絶するものがあったのではないか、そのように私は思います。  そこで、小泉厚生大臣にお伺いしたいんですけれども、ハンセン病患者さんに対しては、昔になりますけれども、やはり断種手術の施行というような優生思想の入り込む余地を与えてしまった、そのような歴史があるわけであります。そのような長い百年間、感染症の対策、そのような歴史を厚生大臣としてはどのような感想を持っておられるか、評価されているか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  90. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 現在のように医学あるいは医療が進歩していない段階においては、ちょっとした病気でも必要以上に恐怖感を持ったりあるいは社会防衛の観点から患者さんに対する人権面の配慮が足りなかったということは率直に認めなきゃいけないと思うのであります。  今回、そういう経緯を踏まえて、患者さんの人権へも十分配慮する、そして感染症による蔓延を防止しようということで、医学の進歩もあり、いろいろ見直しを進めてきたところでありますけれども、ハンセン病に関しましては、根強い今までの偏見があったということを認めて、平成八年、厚生大臣が陳謝の念と深い反省を表明したところであります。このような点も踏まえて、今後、感染症の発生の防止やあるいは蔓延の防止等につきましては、人権への配慮を十分考えながら、新しい感染症対策の確立に努めていきたいと思います。
  91. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 らい予防法の場合には、単に感染症だけの差別感というものでなくて、やはりそれに遺伝が関係するのではないかというような誤った病気の認識が重なったために、より以上ひどい人権的な差別が行われたということであります。私たちも、いろんな疾患あるいはこれからまた遺伝性の疾患、診断法とかがどんどん広まってくるわけでありますけれども、そういう遺伝的な疾患に対してもべっ視あるいは障害に対する差別感、そういうものを持たないような、人間皆平等だという、どんな方でもやはり同じ生命のとうとさがあるということを自分自身が常に心して治療あるいは予防に当たっていかなければならないのかなというふうに感じる次第であります。  では、次の質問に入らせていただきます。  今回の法案では、第一類、第二類の感染症患者あるいは新感染症患者は、入院隔離や健康診断の勧告を受けたりそれから就業の制限などを受ける可能性があるわけで、ただ単に病気で身体的なストレスがかかっているばかりではなく、精神的ストレスもかなり大きいというふうに私は感じるわけであります。また、患者本人だけではなく、患者さんの家族も同じように精神的負担が大きくなるのではないかというふうに感じるわけであります。  近年、病院によりましては医療相談とかカウンセリングの業務を担当される職員を配置しまして、そういう患者さんあるいは家族の相談、要望などに的確に対応する、そういう積極的な試みもなされているところであります。そのような意味で、私は、第一類あるいは第二類の感染症患者さんが入院をする第一種あるいは第二種感染症指定医療機関、あるいはまた新感染症者が入院する特定感染症指定医療機関には、やはり医療相談やカウンセリング業務を担当する職員を配置するのが望ましいのではないかなというふうに感じるわけであります。  そこで、厚生省の方にお尋ねしたいんですけれども、現在の伝染病予防法のもとでは、そういう伝染病棟にそのような職員の配置というのはなされておるのかどうか、あるいは今回の法案、感染症予防・医療法案の理念のもとでは、今後そのような担当の職員を配置するような方向で進むのかどうか、その点に関しましてお伺いしたいと思います。
  92. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 今回お出しをいたしております法律の中には、そういう医療相談に応ずる人のことだとかということについては特に規定がされているわけではございません。  ただ、先生御指摘のように、一類だとか二類だとかいう感染症になったと告知を受ける場合、そしてそのために入院をさせられる場合等、患者さんがいわゆる身体的、肉体的にストレスが強くなってくる、そういうことで、医療相談に応ずる体制が医療機関として重要であると私どもも認識をいたしております。  現状におきましては、隔離病舎等に対して厚生省から指導は行っておりませんが、新法の施行に当たっては、基本指針における人材確保の一環として、またさらに、感染症指定医療機関の指定に際して、御指摘の点については具体的に検討してまいりたい、このように思っております。
  93. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 私も、以前診療に当たっていたものですから、そういう患者さんの苦情あるいは相談事に医師としてなかなか時間を割くことができなくて、ある場合にはそういうカウンセリングを専門とされる方にお手伝いをいただいて、患者さんあるいは家族の方がよく納得していただいたということもあるものですから、やはりその点は十分配慮していただきたいな、そのように考えます。  それから、集中治療室で治療を受けておりますと、機械とか点滴のセットで囲まれていたり、家族となかなかコンタクトがとれないという、そういう異常な環境に置かれるわけでありまして、心理的に不安定になったり、拘禁症状あるいは譫妄症状といいまして、少し興奮してしまうとか、そういう症状を起こす患者さんがいるわけであります。今回、重症の感染症になりますと入院隔離ということになると思うんですけれども、そういう場合に、家族の方、お友達の方等とのコミュニケーションを十分とれるような状況で治療に当たることが、人権擁護の面ばかりでなくて患者さんの治療、病気の回復に対しましてもやはり大きな支えになるのではないかなというふうに私は思うわけであります。  今後の特定感染症指定医療機関あるいは第一種、第二種指定医療機関では、そういう病室に家族あるいは友人とコミュニケーションがとれるようにガラス窓があってインターホンで会話ができるとか、あるいはそういうのが難しい病室の配置でありましたらば、今テレビ電話というのがありますから、そういうのを配置して、自分のいろんな不安、心配などを家族の方あるいは友人の方に直接お話しできるような、そういう設備がやはり必要なんではないかなというふうに考えるわけであります。この点に関しまして、今度の新しい法案の理念におきましてはどういうふうに対応していくつもりなのか、その点に関しましてお伺いしたいと思います。
  94. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 今、先生御指摘のように、患者さんの家族だとか友達が患者さんに会われるということ自体が、実際に患者さんの病気に対しても非常にいい結果をもたらす一つの条件であろうと私たちも思っておるところでございます。  ただ、具体的には、もともと患者さんは感染症ですから、見舞いに行かれた方がその感染を受けてしまっては何にもならないということから、実際にどういう形態でその患者さんとうまくコミュニケーションをとれるようにしてあげるかということは、実は全く新しい病院をつくって置くわけではなくて、現在ある病院を場合によってはある程度改造するなり何かして指定をしていくということですから、全部づくり上げるわけではないので、具体的にどこをどうするというところまでの規定ができるかどうか、まだそこまでははっきりしないのであります。  いずれにいたしましても、先生御指摘のように、そういうコミュニケーションを保つためのことは非常に大切だと思っておりますので、そういうのを指定医療機関の指定要件にどういう形で入れるのか、一生懸命勉強して検討してまいりたい、このように思っております。
  95. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今、ドアホンとか簡単なものでも声と顔と見えるような、そういう機器はいろいろあると思うので、余り費用がかからないでも工夫によってはそういうコミュニケーションが直接とれるような手段というのはいろいろあると思いますので、新築の病院を建てる場合でなくても、そういう病室を指定する場合には工夫していただければなと、このように思います。  では、次の質問に入らせていただきます。  六感染症予防・医療法案の第十六条では、「厚生大臣及び都道府県知事は、第十二条から前条までの規定により収集した感染症に関する情報について分析を行い、感染症の予防のための情報を積極的に公表しなければならない。」、さらに「前項の情報を公表するに当たっては、個人情報の保護に留意しなければならない。」と述べられております。公衆衛生審議会伝染病予防部会基本問題検討小委員会の去年の十二月八日の「新しい時代の感染症対策について」の報告書の中では、「患者・感染者が社会から差別されないよう、行政において無用に国民の感染症への不安を偏らないこと、国民においても、行政、報道機関から提供される的確な情報・要請に応えていくことが求められる。」と、そのように述べられているわけであります。的確な正確な情報をきちんと国民に提供していく、それは行政ばかりでなくて、やはり報道機関の役割でもあると思うんです。  その具体的な場面をちょっと想定しますと、感染症健康危機管理実施要領というものがありますが、その中で、感染症の危機レベルは軽い方のレベル〇から非常事態のレベル4まで分類されているということであります。ちなみに、レベル3になりますと、感染症の「集団発生例のうち、感染経路が特定できないこと等から、周辺地域への影響が想定される」、そういう場合がレベル3ということになると書かれておりますけれども、こういう場合は行政側から報道機関へ記者のレクチャーがなされるというような規定、方針があるようなんです。  そういう場合に、報道機関へのレクチャー、そういういろんな情報をお知らせする場合に、その後国民に知らせる場合に、やはり行政側と報道機関とが情報に関してよく話し合いをして、感染症の患者さんのプライバシーの保護がきちんとなされるように配慮をすべきであるということと同時に、周辺の地域住民が要らざる不安のためにパニックに陥らないような、そういう的確な情報の流し方というのがやはりあるのではないかというふうに私は考えるわけであります。  行政と報道機関が感染症に関しまして情報を流す場合のそういう話し合い、あるいは何らかのルールを決めるというようなことは、厚生省としては今後想定をなされていくような方向にあるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。これはできれば小泉厚生大臣にお答えいただきたいと思います。
  96. 小泉純一郎

    国務大臣(小泉純一郎君) ルールづくりという点はまだ考えておりませんけれども、個人情報の保護を図ることと、それと感染症に対して無用な不安を引き起こさない、そして国民にもよく知ってもらう、情報公開、これらはいずれも必要なことであります。こういう点に関して、今回の法案においても、厚生大臣及び都道府県知事が感染症情報を積極的に公表するとともに、公表に当たっては個人情報の保護に留意しなければならないことを規定しております。  報道機関との関係も、特に国民全般に対しての情報公開という面においては必要でありますし、また、無用な混乱を起こさないためにも正確な情報を流してもらわなければならないという点が非常に重要でありますので、ルールづくりということはならないかもしれませんが、日ごろからよく報道機関とも意思疎通を図ることが必要だと思っております。
  97. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 やはり報道機関にもいろいろあるんだと思いますけれども、最近、ちょっと人権侵害を起こすような報道機関、報道といいますか、いろんな週刊誌とか、出してはいけないような情報が出てきてしまうというようなこともありますので、そういう情報の的確な管理、的確というより正確な管理、やはりそういうものをしていただきたいなと思います。  では、次の質問に入らせていただきます。  厚生省では、感染症対策にかかわる危機管理の具体的な方針としまして、感染症健康危機管理実施要領を定めております。この中では、平時体制と緊急時対応とに分けまして具体的な指針を定めておりますが、緊急時対応の中に「海外への協力要請」という項目がございます。日本国内での感染症の発症例が余りない、経験がない、そのような理由で厚生省のみでは早期の対策を立案できないと判断した場合には、保健医療局長の判断を仰ぎ、国際課と協議した上でアメリカ防疫センター、CDC、または世界保健機構、WHOに対しまして人員派遣を要請するような記載もあるんです。  それで、お伺いしたいんですけれども、もし緊急にそういう外国の医師等の専門家の方の医療支援を日本が仰ぐというようなことになった場合に、日本に来ていただいて実際に診療行為ができるのかどうか、現行の医療法の中でそういう診療行為をしていただくことができるのかどうか、その点に関しましてお伺いしたいと思います。
  98. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 今お話しのような緊急の場合、特に日本で経験していないような感染症が出たというような場合、一つの方法としては、日本のお医者さんが海外の専門家から情報提供あるいは助言を受けながら治療をするという方法があると思います。ただ、それでも対応できないというような緊急の事態が生じた場合には、やはり医師法の趣旨というのが国民の健康な生活を確保するということでございますから、そういう趣旨に照らしても、外国の医師が必要最小限の医療行為を行うということは認め得るものだと考えております。  状況は違いますが、さきの阪神・淡路大震災の際にも、海外のお医者さんがかなり多数来ていただいて被災者の治療に当たっていただいたという事例もございます。その際にも同様の考え方で私どもは対応いたしたところであります。
  99. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 日本のお医者さん、そういう感染症の専門医の方でも、やはり海外の特殊な感染症を扱った経験というのは余りないのではないか。そういう意味では人材育成ということは非常に大切なことであると思います。しかし、それでもまだ本当に間に合わないような緊急事態になったときには、外国の専門家の方、医師とは限らないとは思うんですけれども、いろんな方がいらっしゃると思うんですが、そういう方の協力を仰いで、やはり感染症が蔓延しないような対策を十分とる必要があると思います。  そういう意味で、もしそういう事態になった場合、そういう協力をしてくださるような外国の医療関係者の方が十分に国内でも活躍できるように体制を組んでいただきたいなと、そのように考えております。  以上で質問を終わらせていただきます。
  100. 清水澄子

    ○清水澄子君 社会民主党の清水です。  今回の感染症予防・医療法は、過去におけるらい予防法やエイズ予防法においてハンセン氏病患者やエイズ感染者に対する差別と偏見が行われて、感染者や家族に多大の苦しみと人権侵害をもたらしてきた事実があります。これらの事実に対して今回の法案は深い反省というものがあらわされていなければならないと思います。とりわけ、この法律の前身であります伝染病予防法は、明治三十年、一八九七年の施行から百年余、ほとんど手つかずに放置されてきたわけですから、これは厚生省の責任は極めて重いと言わなければならないと思います。  したがいまして、私は、この法案策定に当たり、厚生省に対して、ぜひこの法案制定の趣旨のところには過去に対する反省とそれから感染症患者人権保障を明確に打ち出すべきであると再三要求をしてまいりましたが、残念ながら、良質な医療というその一言は入りましたけれども、この法案にはその反省の文言というものは一つだにありません。  大臣、この法律の策定に当たり、今後の感染者の人権保障、過去の人権侵害、そういう人権問題についてどのような協議が行われたのでしょうか。そして、この法律にはそういう反省の意思が反映されているということを明確に明言することができるでしょうか。私は大臣の御認識についてお伺いしたいと思います。
  101. 小泉純一郎

    国務大臣(小泉純一郎君) 過去、いろいろな病気に対して、治療法が確立されていない、あるいは医学の進歩等が今日ほどではないということで、患者に対して人権を侵害したりあるいは偏見を助長したりするようなことが多々あったと思います。  そういう点を反省しながら、今回の新法に当たりましては、それは患者への人権の配慮も留意しながら新しい感染症に対してどう対応するかということを踏まえたものでありまして、当然過去の反省というものを踏まえて今回の新法を提案させていただいたということを御理解いただきたいと思います。
  102. 清水澄子

    ○清水澄子君 じゃ、その点をまた徐々に伺っていきたいと思います。  今回の感染症予防・医療法伝染病予防法を改正したものなんですが、伝染病感染症の違いは何なんですか。そして、現在北海道を中心に各地に広がっております感染キツネによるエヒノコックスというのはこの感染症に含まれるのかどうか、そして四類のどこに含まれるのか教えていただきたいと思います。
  103. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) まず、伝染病と感染症はどのように異なるのかというおただしでございます。伝染病は一般的にはインフルエンザや赤痢などのように人から人へ感染がある疾患を意味するのに対しまして、感染症は広く細菌、ウイルスなどが種々の生物に入って起こす疾患を意味しております。したがって、感染症には伝染病が含まれるのはもちろん、破傷風のように人から人へ感染を起こさない病気も感染症の中に入るということであります。  新法による感染症は、公衆衛生審議会の検討に従い、感染力、罹患した場合の症状の重篤性等に基づく総合的な観点から見た危険性に基づいて類型化を行ったものでございます。具体的には、入院、就業制限が必要な感染症を一類感染症から三類感染症に分類するとともに、感染症発生状況の収集、分析その他の結果の公表を通じて予防を図る感染症を四類感染症として位置づけているところでございます。  先生が御指摘になりましたエヒノコックス症は、省令で今のところ四類に入れる予定でおります。またこれは最終的には審議会の御意見を伺ってということになりますが、今のところは四類の感染症と考えております。
  104. 清水澄子

    ○清水澄子君 今ここでお聞きすると感染症はこういうものであるというお答えがあったんですが、この法律を読む限りは、感染症とは何かというのはわかりません。第六条に定義とあって、「「感染症」とは、一類感染症、二類感染症、」とずっと書かれて、そういうのを感染症と言うといっても、法律を見て感染症とは何かという定義が全然明確でありませんね。なぜそういうものをお書きにならないのか。  そして、ここでは病名のみが一類から四類まで羅列をしてあるだけで、そしてその病名も、今こうしてエヒノコックスというのはもう現実に感染症としてあるわけですが、それはこれから審議会にかけて省令で定めると、そして四類に入るでしょうと。一々国会で聞くわけにはいきませんので、やはりこの一類から四類は何を基準にして分類をされているのか、その分類の基準というのは一体何なんでしょうか。  そして、さらにこの四類にはその他の感染症とあるわけですけれども、法律にその他の感染症と書かれていて、そこに何が入るのか。それらについても厚生省令で定めるということだけでは、やはり感染症というのは非常に行動制限を伴っているものだと思うわけですね。それが法律を見てわからない。厚生省だけしかわからない、私はこういう法律のあり方について問題があるのではないかと思います。  私は、この第六条の定義にははっきり感染症とは何か、だれが読んでもわかるような内容を書いていただきたい。そして、一類から四類までのこの基準とか性格をきちっと記入していただき、そしてその他の感染症というのも法律の中にきちんと明示していただきたい、このことを私は強く要望したいのですが、いかがでしょうか。
  105. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 私どもとしては、感染症そのもの全体というのは法律には書いてないかと思いますけれども、法律を読んでいただければ、感染症というのは例えば一類、二類、三類というのはこれは何らかの行動制限を伴う、いわゆる感染力それから重篤性、その他総合的に判断したものである。  四類については、今申し上げましたように、その四類の感染症の実態を国民にお知らせすることによって、国民の皆さん方に行動の変容をお願いする。例えば、インフルエンザがこれだけはやっています。ですから皆さん、もっとうがいをしてください、手洗いの励行をしてくださいということをお願いすることによって、国民の努力もあわせてこの病気を予防していこうというのを四類にしていますということはお話を申し上げているわけでございまして、そこは御理解いただけるものではないかと、このように思っておるわけであります。
  106. 清水澄子

    ○清水澄子君 じゃ、大臣にお伺いします。  国民の努力が必要だと思いますね、協力は。そのときに、これを読んでもわからないけれども、その中身には国民に努力をされるような思いがあるといっても、法律に感染症とはどういうものであるということがみんなに理解できるようにあらわすべきではないかということですが、今の答弁ではちょっとやっぱり納得ができないんですが、大臣はどのようにお考えになりますか。
  107. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 法律は専門家に任せているので、どういうふうにつくるかというのは。要は百年改正されなかった方が私は不思議だと。より現代に適応するようなわかりやすい法律をつくりなさいということを指示するんであって、法律用語とかいうのはもっと専門家がそういう意見を踏まえてわかりやすくしてもらいたいと、私もそう思います。
  108. 清水澄子

    ○清水澄子君 ぜひ一度検討をしてみてください。  やはり、読んで、感染症というのはこういうものだとこの法律を見たらわかるということの方が、国民の協力も努力にも私はプラスになると思います。  次に、指定感染症についてですけれども、この法律では、指定感染症とはという定義で四類となっています。そして、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとしているわけですが、これが七条の三項においては、こうした一つ一つの感染症に対して厚生大臣は公衆衛生審議会の意見を聞いて政令に定めることと、そういうふうになっているわけです。現在、公衆衛生審議会には一つ一つの感染症について詳しい専門家というのはどの程度そろっておられるんでしょうか。
  109. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 現段階で、医学的知見に基づきまして法的措置が必要な感染症はすべて一類感染症から四類感染症に分類しているところでございますが、感染症の特殊性から、既知の感染症については病原体の突然変異等により現在考えられている以上の感染力や病原性を有することが判明するケース、それからアフリカの風土病など現時点では我が国に侵入する危険性が低いものが環境変化により侵入するケース、こういうものが指定感染症になり得るわけであります。  この指定感染症の制度は、このような場合にこれらの感染症を公衆衛生審議会の意見を聞いた上で緊急的に指定感染症として政令で指定いたしまして、感染症法の定める措置の準用を行うこととしたものであります。  今、先生の御質問のもう一つは、公衆衛生審議会には専門家がいるのかというおただしでございますが、感染症を専門とする大学教授、臨床医、研究機関の研究者等広範な委員で構成をされておりまして、私どもとしては十分な議論がなされるものと思っております。ただ、ほんの一つの非常に珍しい病気についての専門の方まで入るかということになりますと、そこは入らない場合もあるわけであります。  そういう場合には、いつでも臨時に御参加をいただいて御意見を聞くということが可能でありますので、私どもはそういう先生を外して物を決めようなんということを考えているわけではなくて、感染症に対して最善の策を講ずるために公衆衛生審議会の先生方の御議論をいただいていこうということでありますから、ある意味ではすべての感染症の専門家の意見を網羅することができると考えていただいて結構ではないかと、このように思います。
  110. 清水澄子

    ○清水澄子君 それはまた次に質問いたします。  それでもう一つ、この第六条の定義に新感染症というのがあるんです。この法案によりますと、新感染症とは人から人に伝染する未知の疾病であるということになるわけです。今までにない病気ですわ。そうすると、今までにない病気、未知の感染症をこの新感染症と認定するのは非常に困難な問題だと思うわけですけれども、それはだれがこの未知の感染症と従来のものとを判断するのか。この法律では、判断する者についての主体が非常にあいまいだと思いますが、これはだれがどのレベルで判断を行うものなんでしょうか。
  111. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 新感染症につきましては、患者を適切な医療の提供と原因究明の観点からまず特定感染症指定医療機関に入院させることとしておりますが、そのほか例えば健康診断の実施、食品等の物品の処分といった感染拡大防止施策の範囲を現地の実情に即してきめ細かく行う必要があると存じます。  したがって、新法においては、現地の実情に即した判断ができる都道府県知事を第一次的な判断権者としながらも、特に新感染症については最新の高度な医学的知見等が必要とされることから、厚生大臣が公衆衛生審議会の意見を聞いて各都道府県知事に指導、助言を行うこととしたものでございます。
  112. 清水澄子

    ○清水澄子君 そういう難しい認定を都道府県知事が第一次の主体者になるということですね。  第四十五条によってそのことが書かれているわけですけれども、知事はその未知の新感染症を認知してそして健康診断の勧告をする主体になっているわけですが、全国に新感染症の知識を持つ医者というのは百人もいないというのが常識なんですけれども、ましてや各都道府県の保健所にそういう人材はほとんど備わっていませんし体制も備わっていないと思うわけです。私は四十七の都道府県知事がこういう状況に対して対応ができるのかどうか非常に心配です。  私は、やはりこの新感染症につきましても指定感染症と同様に国が前面に出て厚生大臣が責任を持って対応すべしということを法的に明確にすべきだと思います。そういう意味で、私はこれは大臣にぜひその点もお答えいただきたいと思います。
  113. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 感染症という場合に、まず地域の実情を一番把握するというのはその地域の保健所でありまた都道府県担当者だと思うんです。今、地方分権が盛んに言われていますが、何でも国が国がと、別に厚生省が責任を放棄するわけじゃありませんけれども、今回第一次的な判断権者はやっぱり都道府県知事で、そしてその都道府県知事ではなかなかわからないという場合には厚生省、公衆衛生審議会からの指導を仰ぎたいという点が必ず出てくると思います。私は、お互い役割分担と連携というものを密にすることによって、かえって都道府県知事が主体になった方が地方分権の趣旨にもかなうのではないかと。そして、厚生省としても、仮に地方団体で足らざるところがあれば積極的な協力を惜しまず補うという役割をよく認識しながら対応していった方がいいんじゃないかなと、そう思います。
  114. 清水澄子

    ○清水澄子君 私も地方分権は賛成ですし、そして役割分担も大事だと思うんですが、やはりこういう新たな新感染症となると、なかなかそういう人材、研究機関、いろんなものに地方自治体がすべてそれに対応できるとは言いがたい。それだけに、私はそういう意味で、単に何でも国と言っていないんですが、もっと国が前面に出ながら役割分担をするということが大事だと思います。これもまたいずれ次の質問のときに回したいと思います。  私は、ここで委員会の皆さんに提案をしたいんですけれども、今般この伝染病予防法を廃止してこの感染症予防・医療法を制定するようになった契機には、やはり一昨年のO157による食中毒があると思います。これは大阪府堺市などで集団発生をいたしまして、旧来の伝染病予防法のもとでは本当の意味で適切な対応が困難であったことがやはり明らかになったからだと思います。当時O157は、今回の法案で言う新感染症であると思うわけです。今後、新たな新感染症が発生した場合に、今回の法律の枠組みが果たして有効に機能するのかどうか、私はやはり今後の政省令や予算措置の内容も検討していかなきゃならない立場であるわけですから、やはり専門家の育成とか治療とか研究体制の確立はどうあったらいいのか。また、国会審議においてもこの堺市等の事例とか教訓をぜひ私たちはそこから学ぶということが非常に必要ではないかと思いますので、私はここで本委員会としてぜひ堺市に現地視察に行くことを提案したいわけです。  委員長、ぜひ理事会においてお取り計らい願うことを私は心からお願いしておきたいと思います。
  115. 山本正和

    ○委員長(山本正和君) 後ほど理事会において協議いたします。
  116. 清水澄子

    ○清水澄子君 それでは、次の質問に入ります。  ここで、未知の感染症のところだったわけですが、それでは、厚生省は未知の感染症に即応できる治療研究体制をどのように整備、構築していかれるのか、短期的な諸方策と、それから中長期的な展望についてお聞かせいただきたいと思います。
  117. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 済みませんが、ちょっと意味をよく理解できなかったものですから、要は新感染症が発生をいたしまして全国に蔓延するときに、都道府県知事が主体で大丈夫かと、こういうおただしでございましょうか。
  118. 清水澄子

    ○清水澄子君 厚生省は未知の感染症に即応できる治療とか研究体制をどのように整備しておられるのか、その短期的な諸方策と中長期的な展望を聞かせてくださいと申し上げました。
  119. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 公衆衛生審議会は感染症を専門とする大学教授、臨床医、それから研究機関の研究者等の広範な分野の委員から構成されており、現在の日本でも最高水準の専門家から成るものであると考えております。  新感染症につきましては、厚生省としても国際情報の収集等に最大限努めることとしており、これらの情報を公衆衛生審議会に提供することにより、感染症が疑われる原因不明の疾患が発生した場合に、公衆衛生審議会から適切な意見を聞き、新感染症に迅速かつ的確な判断が行えると、このように考えております。  したがいまして、国としては、国の基本方針をもって、これについては公衆衛生審議会と御相談しながら、日本国の国民の皆さん方を感染症から守るということに、科学的なそういう知恵をかりて十分実施をしていきたい、このように思っております。
  120. 清水澄子

    ○清水澄子君 あるHIV感染者は、この新感染症の出現と、これに対する厚生省の感染症治療研究体制が不備であるということは感染者に対する差別、偏見を生んだ歴史でもあると語っておるわけです。つまり、HIVが未知の領域、不治の病とされたとき、我が国には未知の感染症に対する確固とした治療研究システムがなかったわけです。  そこで、感染者の治療を受け入れてくれる医療スタッフとか医療機関が非常に乏しくて、むしろ拒否をされている。ですから、日本における治療法というのは非常に進歩がおくれていたと思うわけです。その結果、HIV感染者は、感染自体の重荷に加えて、診療拒否のため適切な治療機会を確保できなかった。そのための健康悪化とか、さらに差別、偏見という二重二重の被害に苦しめられたことになったと思います。  そういった意味で……
  121. 山本正和

    ○委員長(山本正和君) 清水君、時間が過ぎていますから。二十五分ですから、三十五分まで。
  122. 清水澄子

    ○清水澄子君 それで、日ごろから感染症に対する高度な医療技術を有する人材をどう養成していくか、これにこたえるだけの治療研究施設の整備充実を図らなければ、結果として感染者の人権の尊重とか良質な医療の確保というのはできない。こういう意味で、私はこの点についてぜひ厚生省が万全の体制をとられることを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  123. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  時代の要請にこたえた感染症対策の見直しというのは、もとより私たちも異論はありません。しかし、その内容と方法が問題です。  昨年の十二月八日、公衆衛生審議会伝染病予防部会の基本問題検討小委員会が、「新しい時代の感染症対策について」と題する報告書をお出しになったわけです。示唆に富んだ内容も含まれていると考えております。  三つの点から感染症対策の見直しの必要性を述べていらっしゃるわけです。  一つは、エイズ、エボラ出血熱などの新興感染症の発生に加えて、結核など従来の感染症も克服されていないなど、今日の感染症の流行に対応した対策が必要であること。簡略的に私が述べさせていただきます。  二番目に、ハンセン病患者などへの差別と偏見に対する反省、良質かつ適切な医療の提供と、国、地方公共団体、関係機関の連携や国民、医療機関の理解と協力を得た総合的な取り組みの必要性。  三つ目が、現行伝染病予防法などが新しい時代の感染症対策に対応できなくなっていることなど、三つの点から感染症対策の見直しの必要性を述べているわけです。  まず最初にですが、その二番目の中に、「過去におけるハンセン病患者をはじめとする感染症患者に対する差別や偏見が行われた事実や、らい予防法が存在し続けたことが結果として患者・入所者とその家族の尊厳を傷付け、多くの苦しみを与えてきた事実、同法が平成八年に廃止されるに至った経緯への深い反省が必要である。」というふうに指摘をしているわけです。私もそのとおりだと思います。  今回の改正案の基本理念の中に、「人権に配慮しつつ、」という文言が入っております。私たちは、人権に尊重というふうに変えた方がいいというように思っておりますが、当然らい予防法などの深い反省がその背景になければならないと思います。具体的にどのように反省をしていらっしゃるのか。もちろん、私もらい予防法廃止に賛成の立場で九六年三月二十六日、この場所、当委員会での質疑に参加をしておりますが、改めてこの場所でお聞きしたいと思います。
  124. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) らい予防法の見直しがおくれたことなどによりまして、ハンセン病療養所の入所者及び家族が尊厳を傷つけられたこと、及び多大なる身体的、精神的苦痛を受けられましたことについては、平成八年に厚生大臣が謝罪をし、また、らい予防法廃止に関する法律案の提案理由説明においても陳謝の念と深い反省を表明したところであります。  これを受け、療養所における医療福祉の向上、及び社会的偏見の解消、社会復帰の促進を実施しており、今後とも入所者や家族の方々が誇りと生きがいを持って生活できるように努力をしてまいりたい、このように思っております。  そして、私ども今回のこの伝染病予防法の見直しに当たりましても、過去のこういう歴史のことに思いをいたし、決して二度と人権侵害の起きるような法律はつくるまい。しかし、今回の場合でもその新感染症と一類、二類などではどうしても強制入院をせざるを得ない場合がある。そのときにはどうしても個人の自由というものについての、そこで一種の接触があるわけでございまして、そういうことではどうしても、本人から言わせれば自分で不本意であるけれども入院させられたということが起きてくるわけでして、そういうことは起こり得るわけですけれども、そういうときでも決してだれが見ても人権侵害ではないような形をとるように十分注意をして法案を調整したつもりでございます。
  125. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 今回の法改正に当たって、エイズ予防法も同時に廃止をするということであります。これはもちろん当然でありますし、また遅きに失したというふうに私たちは考えておりますが、今回、エイズも第四感染症に分類されてインフルエンザと同じような分類の中に入っております。  ところで、今回の見直しに当たりまして、基本問題検討小委員会においてエイズ予防法につきましてきちっとした検証作業が行われていないと。例えば、厚生大臣にもこういうような要求書が出されております。昨年の十一月十七日、HIV訴訟を支える会などなどの皆さんが出していらっしゃる。それには、  小委員会においては、「エイズ予防法」がHIV感染症・エイズに対する偏見を社会に定着させ、HIV感染者に対する差別を助長し、薬害被害者の声を封殺する役割を果たした歴史的事実についての検証作業を全く怠っています。 というふうに指摘をしているわけですけれども、この点はどのようにお考えになるのか。当然エイズ予防法の誤りについて反省されているんでしょうね。
  126. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) エイズ予防法は、治療法がなく、その急速な拡大が懸念をされていたという当時の状況を踏まえまして、その蔓延の防止を図ることを目的として平成元年に制定されたものでございます。  今回の伝染病予防法の見直しに当たり、エイズに関する正しい知識の普及状況、エイズに関する医学医療の進歩などを勘案してエイズ予防法を廃止するものでありますが、当時の状況から考えれば、当時のエイズ予防法というのは適切な対応であったと、このように私どもは考えております。
  127. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 エイズ予防法は適切であった、正しかったと、こういうお立場でしょうか。もう一度確認をしたいと思います。
  128. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 当時の状況を考えれば適切なものであったと考えております。
  129. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 私はこの点、非常に重要だと思います。  先日、本会議でも総理がこのエイズ予防法の制定過程について謝罪をという議員の質問に対しまして、「当時としてはやむを得なかった」、こんなふうに答弁をされているので、私は非常にこれは看過できない問題だというふうに思っておりましたが、今、局長は正しかったというふうに言葉をはっきりとさせたわけですけれども、私はこのエイズ予防法というのは、我が党は当時もちろん反対をいたしましたけれども、正しかったのではなくてそれはもちろん誤りであった、その反省の上に立って今日の新しい法案をつくったということでなければならないと思うわけです。  そこでお聞きいたしますけれども、大体その感染症の蔓延を防ぐその方策、そして国民の不安を取り除くかぎというのは、その病気の性質に正確に対応した対策を立てるということですよね。  それでは、このエイズという病気に対して当時厚生省の持っていた認識についてお伺いしたいと思うんです。  これは、昭和六十二年二月二十四日に、当時の厚生大臣が談話を出していらっしゃいます。  エイズの予防上最も重要で、最も効果があるのは、国民各自がエイズに関する正しい知識を持ち、予防に注意を払うことであります。エイズは感染し、発病すれば、致命率が高い病気ですが、通常の社会生活で感染した例はなく、感染力は極めて弱いので、各自が適切な注意を払うことにより感染から身を守ることは容易な病気であります。私は、国民各位がこのエイズの特性を正しく理解され、いたずらに不安を持つことなく、エイズの予防に努められることをお願いしたいと思います。 と、こういう談話を昭和六十二年二月二十四日、つまり一九八七年二月二十四日に厚生大臣が出していらっしゃるわけですよ。これは御確認を願いたいと思います。
  130. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 昭和六十二年二月二十日に政府として、エイズ感染の拡大を未然に防ぎ、あわせて我が国初の異性間性的接触感染や母予感染等の事例により生じた事態を鎮静化するために、関係閣僚等から成るエイズ対策関係閣僚会議を設け、二十四日に、重点施策として、正しい知識の普及、感染源の把握、立法措置などを盛り込んだエイズ問題総合対策大綱を決定いたしました。  厚生大臣談話は、この決定の後、斎藤十朗大臣が国民に呼びかける形で行われたものであります。その具体的内容は、一つとして、エイズ対策関係閣僚会議においてエイズ問題総合対策大綱を決定し、これにより患者のプライバシー等の人権に配慮しつつ、エイズ対策を緊急かつ強力に推進すること。二つ目が、国民がエイズの特性を正しく理解し、いたずらに不安を持つことなくエイズ予防に努められることをお願いすることでありました。また、HIV感染力についても、この後段においても御指摘が――ここは質問なかった。済みません。そこは省略させていただきます。  以上でございます。
  131. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 局長、私が引用した部分、一番大事なところを抜かしてお読みになっているんですよ。私が引用したところ、一番大事なところです。  つまり、エイズというのはどういう病気かということを書いているんです。感染力は極めて弱いと、各自が適切な注意を払うことにより感染から身を守ることは容易な病気であるということを厚生大臣が談話で出しているわけです。こういう文章があります。それはお認めになりますね。
  132. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 厚生大臣の談話に、ちょっとそこを読みます。  エイズの予防上最も重要で、最も効果があるのは、国民各自がエイズに関する正しい知識を持ち、予防に注意を払うことであります。エイズは感染し、発病すれば、致命率が高い病気ですが、通常の社会生活で感染した例はなく、感染力は極めて弱いので、各自が適切な注意を払うことにより感染から身を守ることは容易な病気であります。 と書いてあります。
  133. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 そういう認識であったということです。  さらに、その当時国会で、この参議院の社会労働委員会で、昭和六十三年、ですから八八年十一月二十二日に質疑が行われているんです。我が党の沓脱タケ子議員の質問に対する政府の答弁でございますけれども、エイズの概念について聞いているんです。  エイズというのは性感染症という点はどうかというふうにずっと続けて質問いたしまして、沓脱議員が、「基本的には性感染症ですね。しかも、ウイルスは感染力が弱くて普通一般の社会生活ではほとんど感染のおそれがないというふうに考えてよろしいわけですね。」というふうに質問いたしましたら、それを受けて当時の保健医療局長の北川氏が、「そのとおりだと思います。」と答えをしていらっしゃるんですが、この点も御確認をいただけますか。
  134. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 当時の北川局長が、HIVの感染力については、御指摘の答弁においても、通常の社会生活でうつることはなく、感染力は極めて弱い旨申し上げているところであります。
  135. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 当時の厚生省の認識を二つの文章、議事録で確認をしていただいたんですけれども、その認識というのは今度第四感染症に分類をしたその認識です。国民に必要な情報を提供、公開していくことによって発生、拡大は十分防止できる感染症だと、この当時の認識と変わらないんじゃないですか。
  136. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 現在のエイズに対する国民の認識というのは、感染したらそれがすべて死に至るというわけでもない、完治するかということについてはまだはっきりしていないんですが、少なくとも昔のように非常に致命率の高い疾患ではない、そして少し将来に対して希望が持てる段階になってきているという点は大きく違うと私は思っております。
  137. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 国民の認識を聞いているわけじゃないんです。厚生省の認識は、今度この第四感染症にエイズを分類した認識と、その当時の認識と同じなんですかと聞いているんです。変わったんですか。
  138. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) ですから、基本、根底に治療方法がないというところが非常に大きく違うわけですから、感染という面ではその感染が容易に起きるものではないということでは一致していますけれども、その後ろに感染したらどうなるかという、その治療法がないというところは非常に大きな違いだと思います。
  139. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 ちょっとそれはいただけないと思います。防止をするためにそのエイズの感染経路も非常にはっきりしているし、そして非常に弱いし、通常の生活では感染しないという認識については当時も今も同じ認識を持っている。当時、今と同じような認識を既に厚生省は持っていた。大臣も持っていたし国会の答弁でもちゃんとしておられたというふうに思うわけです。  しかし、その認識を持っていたにもかかわらず、なぜエイズ予防法という感染者の人権を非常に拘束する、練る、あるいは差別、迫害、血友病患者さんでHIVに感染していらっしゃる方々、それから血友病患者さん全体をこの社会から本当に迫害させるようなこういうエイズ予防法を制定したのかということが一番今問われる問題だと思う。私は、それははっきりと誤りであったということをお認めになるべきだと思います。誤りであった、何がどう誤っていたのか、だれが誤ったのかということをやはりこれは歴史の検証として、この新しい感染症法をつくる上では今度のこの国会がやっぱりそれをきちっとする使命を持っているだろうというふうに思うわけですね。事実の検証というのが非常に求められているし、その事実の検証に基づいたきちっとした反省、それから人権を迫害された被害者に対してどうやって報いるのかということをはっきりしないと、教訓化しないと、今度もまた過ちが起こることになるのではないかなというふうに思います。  それで、ちょっと時間のあれがありますので先に質問いたしますが、この事実の検証という点で、このエイズ予防法制定当時の厚生省の資料、九六年のエイズ国会のときに厚生省はたくさんの資料をお出しになりましたよね。ないないと言っていた資料までたくさん出した。ところが、出した資料の中で、墨塗りにして事実を明らかにしないということを私たちは随分この委員会でも問題にしたんです。それは、時代的には一九八三年から八五年とか、その当時の出てきた資料についてやっぱり墨塗りがあったということで問題にしてまいりました。  私がきょう問題にしたいのは、業務局ファイルの二十四、八六年から八七年にかけてとった血液学会のファイルというのがここにあるわけですけれども、そのいただいたファイルの中に、三十六番、「エイズ対策の法制化について(案)」、八七年一月二十八日、百四十七ページ。それから三十七番、「後天性免疫不全症候群についての法的措置の概要(素案)等」、百四十九ページ。四十一番、「エイズ対策の法制化について(案)」、八七年一月二十七日、百六十ページ。四十二番、「メモ・エイズ法案素案と問題点」、八七年一月二十七日、百六十三ページ。こういうのがこんなふうに全部真っ黒なんですよ。  こういう真っ黒なまま資料をいただいても、当時何があったかわかりません。それはやっぱり国会に明らかにするべきです、何を考えていらっしゃったのか。ましてや正しいとおっしゃるのであれば、何も隠す必要はないんじゃないですか、エイズ予防法の制定が正しいと言うのであれば。どうしてそんなに克明に真っ黒にするのでしょうか。私は、この資料の公表、提出はされているんですけれども、墨が塗られて中身がわからないわけですから、この中身を明らかにしていただいて、そうでなければ、新しい法律をつくってもやはり多くの被害者は報われないし信頼は回復しないというふうに思うわけです。ぜひこれを、資料を公表していただきたいと思います。
  140. 山本正和

    ○委員長(山本正和君) 時間になったので、簡単に。
  141. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) エイズ予防法のいわゆる黒塗り資料というのは、平成八年二月から四月にかけて、血液凝固製剤によるエイズ感染の拡大の真相究明のために公表したファイルの中にありました予防法関係の資料のうち、プライバシー保護等の観点から公表に支障があるものを黒塗りの非公開したものでございます。  かかる資料の取り扱いにつきましては、その平成八年時点と現在とで非公開に関する判断は特段変化をしているわけではございません。したがいまして、平成八年の非公開とした判断どおりで、私どもは非公開と考えております。  なお、この黒塗りにされたところが、現在、実際何が書いてあるのか私どもも承知をいたしておりません。それで、今衆議院の方の予備的調査というところで、これについても公開をしてほしいという御要請があったわけですが、私どもとしてもこの黒塗りが何であるかということについて自分たちで調べてみたいと、このように今思っているところであります。
  142. 山本正和

    ○委員長(山本正和君) 西山さん、時間が過ぎましたので。
  143. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 答弁がちょっとよくわからない。ということは、公表するということですか。
  144. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) この黒塗りの資料が全部公開できるということではありません。私どもとしては、例えば我々が公衆衛生審議会にかけた資料で、それがそのままの資料であれば私どもは公開できるのではないかと思っておりますが、当時は塗られてしまったから何があるかわかりませんけれども、そういうものと、それから例えばいろいろな会議の会議録で、その中でうちの担当者が自分の意見としてだれだれ先生がこんなふうに言ったとかというような記事とは性質が違います。それは担当者が自分の判断でだれがこう言ったということを書くだけでありまして、そのこと自体は、その相手の方がどう発言されたということを本人に確認しているわけではない。したがって、その資料というものに何が書かれているのか確認するまでは、私が公開できるできないという判断はできないのでありまして、今申し上げたのは黒塗りに何が書いてあるのか、それを我々が見て、我々としては皆さん方にどこが公開できるどこが公開できないと当時から決めているわけですから、それに基づいて判断をさせていただくということで、今黒塗りのものを我々が調べたからといって公開するということではないということは御理解いただきたいと思います。
  145. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 よくわからないんですが……
  146. 山本正和

    ○委員長(山本正和君) 西山君、時間がもう四分超過しているので、次の質問段階でやってください。きょうはこれで、時間を超えていますから。
  147. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 じゃ、きょうは宿題にしておきます。
  148. 木暮山人

    ○木暮山人君 自由党の木暮山人です。感染症予防法・医療法案外一件について質問いたします。  さて、現行伝染病予防法の問題については既に大分以前から指摘されておりまして、例えば昭和六十二年にエイズ予防法案の審議の際に、現行伝染病予防法性病予防法の問題点が指摘され、本院社会労働委員会においてもこれら法体系の総合的な見直しについて附帯決議を付したところであります。  それにもかかわらず、なぜ伝染病予防法等の見直しにそれから十年を費やしたのか、そのおくれた理由をお伺いしたいと思います。
  149. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 伝染病予防法の見直しがおくれた原因、先ほども質問にお答えしたところでありますけれども、伝染病予防法の中の欠点で、新しい病気が出てきた場合にはこれを指定するという仕組みがありまして、それでもって対応することができたということ。それから、実際に伝染病患者さん自体の数が非常に減ってきたということで、実態面として国民の方にさほど大きな御迷惑をかけていなかったということ。それから、例えばその後O157の事件のときに私は今の公衆衛生局長のホストにおりましたが、そのときに今の伝染病予防法をよく読みますと、必ずしも拘禁をしなくても対応が可能であるということが、実はこの法律ができてから一度もそういうことの適用をしたことがないにもかかわらず、それができるというふうに法律が解釈できまして、O157については行動制限、いわゆる隔離を伴わない対応ができたというようなこと等がありまして、緊急にやらなくちゃならないという圧力が少なかったのではなかったかと思っております。  しかしながら、近年の新興・再興感染症の出現、それから国際交流の活発化等には的確に対応する必要がありまして、今般、感染症対策の抜本的見直しを行って、本法案を国会に提出したところであります。
  150. 木暮山人

    ○木暮山人君 伝染病予防法性病予防法の見直しが十年前に行われておれば、単独のエイズ予防法は要らなかったはずであります。その意味でも、政府の責任は重いと言わざるを得ません。  先日、本会議質疑において、政府は、エイズ予防法の立法化について、「当時としてはやむを得なかった」と答弁しております。しかし、当時は既にウイルスも発見され、感染経路、感染力も明確になっています。エイズ予防法案の立法化が当時としてはやむを得なかったと判断された理由をお示しください。また、エイズ予防法の効果及び存在意義を現時点でどういう評価をしているかお伺いしたいと思います。
  151. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) エイズ予防法は、当時は治療法がなく、その急速な拡大が懸念されていたという当時の状況を踏まえ、その蔓延防止を図ることを目的として、昭和六十二年の三月に国会へ提出されたものでありますが、当時の社会的関心の高さや医学的知見を見れば適切な対応であったと考えております。  エイズ予防法の評価等については、我が国のHIV感染者数やエイズ患者数の動向は増加傾向にあるものの、絶対数から見れば他国と比較して多くはないこと、またエイズに関する正しい知識の普及状況、エイズ対策研究事業の充実等を勘案した場合、同法が果たしてきた役割は少なくなかったものと考えております。  なお、エイズ予防法について患者の差別を助長したという批判があることも十分承知をいたしております。
  152. 木暮山人

    ○木暮山人君 エイズ予防法については、人権上の配慮に欠け、エイズ差別を助長した等の指摘があることは御案内のとおりです。しかし、当時の会議録を見ますと、厚生省はエイズ予防法案は人権やプライバシーの保護に十分配慮している旨の答弁をしております。厚生省は現時点においてもエイズ予防法における人権、プライバシー保護への配慮は十分であったと考えておいでになりますでしょうか。その御見解をお伺いいたします。
  153. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 現行エイズ予防法には、第二条、国び地方公共団体の責務として、「エイズの患者等の人権の保護に留意しなければならない。」、第三条、国民の責務として、「エイズの患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならない。」という規定があること、第五条、医師の報告についても、感染者の氏名等は報告を求めないこと、第十四条及び十五条において、秘密漏えいに対して厳しい罰則規定を設けていることから、当時としてはできる限り人権、プライバシーの保護への配慮を行ったものと考えておるところであります。
  154. 木暮山人

    ○木暮山人君 現在提案されている感染症予防・医療法案の目的や国及び地方公共団体の責務、国民の責務の記述は、エイズ予防法と基本的に同じであります。関係者からこれだけ批判が出ているエイズ予防法の記述をあえて踏襲した理由はどこにあるのでしょうか。  また、厚生省は今回の法案はエイズ予防法に比べて人権、プライバシーの保護への配慮においてどのようにすぐれているとお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  155. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 今回の法案におきましては、国民、医師の責務においてエイズ予防法と類似の規定を設けておりますが、これはエイズ患者に対する人権保護を初めとする国民及び医師が果たすべき責務を広く感染症一般に広げて規定し、より普遍的なものとして明記したものでございます。  また、今回の法案においては、本法案全体の基本理念を定めた第二条において人権への配慮を規定するとともに、感染症予防のための情報を公表する際には個人情報の保護に留意する規定を設けることなど、現行のエイズ予防法にはない規定を設けることにより、感染症患者に対する人権の配慮、個人情報の保護に留意しているところでございます。
  156. 木暮山人

    ○木暮山人君 さらに新法では、現行法では除外されている血液製剤によるHIV感染者の方々についても医師等の届け出の対象となることになっております。  厚生省は、現行エイズ予防法が血液製剤による感染者の方々について除外するに至った理由、どのような認識をなさっているのでしょうか。それについて今回あえて対象とするに至った理由をお示しいただきたいと思います。
  157. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 現行エイズ予防法第五条におきまして、感染者が血液凝固因子製剤の投与により感染したと認められる場合は、当該感染者について都道府県知事に報告することを要しないとされていますが、これは血液凝固因子製剤の投与により感染した方は既に疫学的な情報が得られていると考えられたこと、現行法制定時においては基本的に医師の管理下にあったと考えられることから、法律で報告を義務づけなくても本来の目的には支障がないと考えられたため、国会審議の過程において届け出の対象から除外するに至ったと認識をいたしております。  なお、血液凝固因子製剤由来の感染者については、従来から関係者の理解と協力によりHIV感染者発症予防・治療に関する研究事業において把握していることから、今回の法案ではHIV感染の状況を原因にかかわらず総合的に把握し、対策の向上に結びつけることとして法案を調整しているところでございます。
  158. 木暮山人

    ○木暮山人君 以下、法案の具体的内容についてお伺いいたしたいと思います。  まず指摘したいのは、改正案における政省令事項の多さと強制措置の発動に際しての要件の不明確さであります。以下、時間の許す限り、政省令の内容等について順次お尋ねいたしたいと思います。  まず、感染症予防・医療法案、検疫法・狂犬病予防法改正案、それぞれにおいて政省令の事項は幾つあるのかお伺いいたします。  また、本案の政省令の基本的事項の内容が大筋固まった段階で本委員会に資料を提出し説明を行うべきと考えますが、政府の見解をお伺いいたしたいと思い、この点に関し、委員長の配慮をお願いしたいとも思っております。
  159. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 感染症法案と検疫法及び狂犬病予防法の改正案において技術的事項を中心として政省令事項は、それぞれ、感染症法は六十五個、政令が二十二個、省令が四十三個あります。それから、検疫法及び狂犬病予防法では政令が八個、省令二個の合計十個が規定されているところであります。  これらの法案が国会の審議を経て成立した場合にあっては、政省令事項につきまして公衆衛生審議会における公開審議の中で意見を求めていくとともに、審議過程の中でその具体的な内容を広く公表し、委員会を含めた国民の理解を求めていくことを考えております。
  160. 木暮山人

    ○木暮山人君 以下、政省令事項等について具体的に伺いたいと思います。  まず感染症の範囲について、一類から四類まで感染症の類型はどのような理由、根拠によって行われたのかお伺いします。  また、感染症予防・医療法案の第六条第五項について、「厚生省令で定めるもの」とは具体的に何を指すのでしょうか。逆に、インフルエンザ以下十二疾病について法案に疾病名を明記した理由についてお伺いいたしたいと思います。
  161. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) まず、感染症の類型につきましては、公衆衛生審議会基本問題検討小委員会における検討の中で、各感染症の感染力、感染した場合の重篤性等に基づく総合的な観点から見た危険性に基づいた分類をいたしております。  第六条五項に規定してある感染症は、感染症の発生動向調査を行い、その結果を国民に公開、提供していくことにより予防を図る第四類感染症であります。このため、四類感染症の中で病原体別に代表的なものとして十二疾患を規定し、その他を政省令で定めることとしたものでございます。  その他政省令で定める疾患とは、十二疾患以外に公衆衛生審議会の意見書において例示をされている風疹、水痘その他計二十六疾患を中心に、今後審議会の御意見を伺いながら最終的に規定をしていく予定でございます。
  162. 木暮山人

    ○木暮山人君 基本問題小委員会の六月の中間報告と十二月の報告書では、感染症の範囲、類型が相当異なっております。黄熱等、十二月のこの報告書で新たに加わった疾病の内容及び追加の理由。逆に、最終報告で落ちた疾病名及び削除の理由。及び中間報告において一類、二類感染症に分類されていたBウイルス病、アメーバ赤痢、狂犬病が最終報告では四類感染症に落ちていた理由についてお伺いします。
  163. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 公衆衛生審議会の基本問題検討小委員会から六月に出されました中間報告の内容は、その後、さらに小委員会なりに設けられた医学作業部会での検討が進められ、その結果に基づいて必要な追加または削除、類型の変更が行われた結果が最終的な審議会からの意見書に記載されているところでございます。  黄熱病につきましては、その重要性から追加的に意見書に明記すべきとの判断が審議会においてなされたこと、それからアメーバ赤痢については、細菌性赤痢に比べ感染力が弱いこと、またBウイルス病と狂犬病については、七月以降の医学作業部会における海外情報の収集分析により、人から人への感染力が認められないとの評価がなされ、それぞれ四類感染症に位置づけられたものでございます。
  164. 山本正和

    ○委員長(山本正和君) 木暮君、時間が過ぎました。
  165. 木暮山人

    ○木暮山人君 どうもありがとうございました。これで質疑を終わります。
  166. 西川きよし

    ○西川きよし君 よろしくお願いいたします。  私は、まず第十四条、第十五条の「感染症の発生の状況及び動向の把握」、そして「原因の調査」、これに関連してお伺いをいたしたいと思います。  今回の法律案の中には、これまで予算事業として行われていた一般の国民や医療関係者への情報提供について法体系として位置づけされておりますけれども、その趣旨についてまずお伺いしたいと思います。
  167. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 新法におきましては、感染症が実際に発生して蔓延する前に対策を講じておく事前対応型行政の構築が大きな柱となっておりまして、その事前対応型行政の一環として感染症の発生動向調査を位置づけております。  感染症情報の収集は迅速かつ的確な感染症対策の基本であると考えておりまして、そうした情報の適切な提供により国民に感染症に対する正しい知識を付与し、自発的な感染症予防を促すことができると考えております。  今回の新法では、発生動向調査を法律に位置づけることにより、さらにこれを充実させていくこととしておるわけでございます。
  168. 西川きよし

    ○西川きよし君 そこで、この発生動向調査の体制の強化についてでございます。  公衆衛生審議会の報告におきましても指摘されておるわけですけれども、より迅速に必要な情報が必要な機関に、かつ正確に情報の伝達を行うためには具体的にどういった方策をお考えであるかお伺いしたいのと、まずは、これまで予算事業として行われてきました結核・感染症発生動向調査事業の取り組んでこられた内容についてもお伺いします。
  169. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 現行の感染症発生動向調査につきましては、予算事業として十八の感染症を対象に昭和五十六年から開始をされております。そこで得られた統計は、これまでも我が国の感染症対策の基礎として大きな役割を果たしてきたところでございます。  昭和六十二年には対象感染症を二十七に拡大するとともに、コンピューターのオンライン化を行いまして、全国規模で感染症に関する情報を迅速に収集、解析、還元できるようにし、さらに昨年には、対象疾患を二十八に拡大をしたところでございます。  調査の仕組みは、定点として協力をいただいている医療機関からの感染症情報、それから医療機関からの結核情報を保健所が収集し、都道府県を通じて全国規模の情報が国において取りまとめられることになっております。  こうして集められた情報について、国立感染症研究所等において解析、評価し、各都道府県や保健所に還元する仕組みになっておるところでございます。
  170. 西川きよし

    ○西川きよし君 この事業につきましては、昨年の十一月に総務庁の行政監察局によって調査の結果の報告と厚生省に対しましての勧告が行われているわけですが、その調査の目的と内容をお伺いしたいと思います。
  171. 小河俊夫

    ○説明員(小河俊夫君) 先生ただいま御質問の勧告につきましては、昨年十一月二十七日に勧告いたしました難病対策等に関する調査結果に基づく勧告でございまして、これは難病、がん、感染症に係る対策を効率的、効果的に実施する体制や患者等の支援に係る施策の状況などを調査し勧告したものでございます。  この中で、感染症につきましても、調査、勧告の一環といたしまして、結核・感染症サーベイランス事業、現在の結核・感染症発生動向調査でございますが、これの実施状況について、例えば患者定点、検査定点の設定、情報の収集、報告、還元、こういったものの実施状況につきまして、十四都道府県、大政令指定都市などを調査いたしたものでございます。
  172. 西川きよし

    ○西川きよし君 そこで、個別に調査の具体的な結果と勧告の内容、また厚生省の見解についてもお伺いしたいと思うわけですけれども、最初に患者の検査定点の設定状況についての調査結果と勧告の内容について総務庁よりよろしくお願いいたします。
  173. 小河俊夫

    ○説明員(小河俊夫君) 今回の勧告に際しまして総務庁が調査した結果によりますと、患者定点、検査定点の設定状況につきましては、二十都道府県等のうち、厚生省が定めました設定基準数にその両方とも満たない十六を含め十九都道府県において定点の不足がございました。特に検査定点につきましては、基準数七百四十六に対しまして設定数四百十一と五割程度にとどまっている実態が見られました。  この定点の設定につきましては、この事業の根幹をなすものでありますことから、厚生省に対しまして、都道府県等に対しまして定点の設定の励行を求めるよう勧告いたしたところでございます。
  174. 西川きよし

    ○西川きよし君 ありがとうございます。  ただいまの説明で十九の自治体においてその定点の設定基準数を満たしていない、特に検査定点につきましては五割程度であるというふうに御説明をいただいたわけですけれども、この定点の把握の役割についての厚生省の認識、そして今後の改善策としてどういった考え方で進めていかれるのかということをお伺いしたいと思います。
  175. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 発生患者数の多い感染症につきましては、定点医療機関を通じて発生動向の状況を疫学的に把握していく上で、定点の適正な配置が極めて重要であると認識をいたしております。  この定点の設置につきましては、定点の基準数の不足といった問題点があることは承知をいたしております。  新法案においては、定点調査の規定が盛り込まれていることから、これを機に制度管理を含めた全国一律の基準に基づき、必要な定点数の充実と定点の適正な配置を行うことにより、従来の問題点の改善をするように努めてまいりたい、このように思っております。
  176. 西川きよし

    ○西川きよし君 大切なことでありますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、患者情報の収集あるいは還元の時期についての調査結果と勧告の内容について、これも総務庁の方からお願いいたします。
  177. 小河俊夫

    ○説明員(小河俊夫君) 今回の勧告に際しまして、総務庁の調査結果でございますが、患者情報の収集、報告、還元の時期につきましては、調査したところによりますと、都道府県医師会を通じて収集しております五都道府県等のうち二都道府県等においては、厚生省への報告のおくれが常態化しておる実態が見られました。また、その他の都道府県等の中にも長期間報告がない定点があるものの、その状況を確認せず放置している実態が見られました。  さらに還元でございますが、多くの都道府県等では市町村等への還元のおくれが見られる状況がございまして、中には四週間分をまとめて還元しているという例も見られました。  これら患者情報等の収集、報告、還元につきましては、この事業において特に重要なことでございますので、定点からの情報の収集、都道府県から厚生省への報告、また定点や市町村等への情報の還元といった各段階におきます適時的確な事業の実施につきまして、都道府県等を指導するよう厚生省に対して勧告をいたしたものでございます。
  178. 西川きよし

    ○西川きよし君 ただいま御説明をいただいたわけですけれども、この調査の結果でも示されておりますこの情報の収集と還元の問題についてですけれども、これまでの厚生省の御認識と、今後は具体的にどのようにまた進めていかれるのかというのもお伺いしたいと思います。
  179. 小林秀資

    ○政府委員(小林秀資君) 今総務庁から御指摘のあったとおりでございまして、これでは事前対応型行政ができないことになります。そういうことで、今回この法律の制定によりまして、より的確な情報の収集のために、指定届け出期間制度を設け、定点調査についても一定期間内における報告義務を法律上課しているところであります。また、国及び都道府県知事は必要に応じ感染症の流行地域等に積極的に入って情報を収集する、積極的調査を新法に基づいてできることになっております。  国、都道府県が正しい情報を収集でき、また、その結果を迅速的確に全国に提供できるよう、国及び都道府県知事の相互の連携をさらに強化してまいりたい、このように思っております。
  180. 西川きよし

    ○西川きよし君 今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。  例えば、インフルエンザなんかが流行した場合に、学校とか幼稚園、老人福祉施設に対して、迅速に必要な情報を必要な機関に正確に情報伝達ができるシステムの確立が必要であるというのは言うまでもないわけです。しかし、実際に情報収集、そして還元を中核的に行う都道府県の場合ですと、情報伝達が必要な関係の機関、団体数は、国、市町村、医療機関、検査機関、大学研究者、報道機関など、多いときで六十から七十カ所に及ぶということでございますので、そうした中で迅速に必要な情報が正確に伝達されていくためには、日常的に本当に各関係機関との連携の強化が必要であると思います。  あるいは、ハード面ではパソコン等の有効活用などさまざまな点においての検討と見直しが必要であると思うわけですけれども、今後の発生動向調査の仕組みのあり方についてどういった基本姿勢で取り組んでいかれるのか、ここで厚生大臣に一言お伺いしたいと思います。
  181. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 感染症予防の大事な点は、まず発生情報を的確に得ることだと思うのであります。  大体、感染症が出ますと不安が募ってきますから、誤った情報とか何かわからない不安が出てくる、こういう点について今までの例でも厚生省は後手じゃないかといっていろいろ批判を浴びてきたところがあると思います。率直に反省しなきゃならない点もあるし、今後常に未知の、不明の感染症が発生すると似たような批判が出てくると思いますけれども、そういう過去の反省も踏まえまして、まず的確な情報を得ること、しかもそれを迅速にしなきゃならないという点、各関係機関とも連携を密にしまして、しかるべき発生動向調査の体制を整えていかなきゃならないと思っております。
  182. 西川きよし

    ○西川きよし君 ありがとうございました。  次に、病院勤務の介護職員の問題についてお伺いしたいと思います。  厚生省では、政策として療養型病床群への転換あるいは整備の促進を進めているところでございますが、同時に、そうした病院に多くの介護職員の方々が新しく介護の職につかれている状況にあるわけですけれども、現在の状況についてお伺いしたいと思います。
  183. 谷修一

    ○政府委員(谷修一君) 療養型病床群におきましては、医師あるいは看護婦とともに、看護の補助として介護に当たる者、看護補助者という形で入院患者六人につき一人以上配置するということになっております。この療養型病床群の増加に伴って、今お話がございましたように、こういった補助といいますか看護あるいは介護の方の数が増加をしてきております。  私ども持っております統計では、平成八年十月現在でございますが、医療施設調査の中で療養型病床群に勤務いたします看護補助者につきましては、約八千八百人、八千八百二十七人という数字を持っております。
  184. 西川きよし

    ○西川きよし君 実は最近身近な方々が、福祉の方々とはいろいろいいおつき合いをさせていただいているわけですけれども、若い方が何人か数カ月間病院の介護職員として就職をされたわけですが、その必要な資格、研修、基準を教えていただきたいと思います。
  185. 谷修一

    ○政府委員(谷修一君) 今申し上げました療養型病床群あるいは病院の介護職員ということにつきましては、身分法の上では医師、看護婦等の指示に基づいて介護業務に従事するということでございますので、特段の資格というものが義務づけられてはおりません。  ただ、一方、先生御承知のように、介護福祉士という資格がございまして、これも数は年々大幅にふえているわけでございますが、この介護福祉士という資格を持った方で医療機関にどの程度の方が全体として勤務をされているかということについては実は統計がないんですけれども、平成九年の卒業生のうち約一一%の方が医療機関に勤務をされているといったような状況でございます。  ただ、先ほど申し上げました八千八百人という数と今申し上げた一一%というのはちょっと別の統計でございますので同じ土俵の上での数字ではございませんが、先ほど先生が御質問になったことにもう一回お答えをさせていただければ、病院に勤務をするための資格としての基準というものは特にございません。
  186. 西川きよし

    ○西川きよし君 そこで、厚生省にも大臣にもお願いでございますけれども、新たに介護職員になられた方にお伺いしたわけですが、病院に採用されてから、実際の業務内容についての研修といいますか、見習い期間というものが二、三日はあったというふうにお伺いしました。その中で、感染症の患者さんに対する新しい知識、介護方法というものは余り詳しく説明はされなかったということでございます。  例えば、MRSAの患者さんの介護に当たるそうなんですが、皆さんにしてみれば、知識があればその状態に応じた介護ができるわけですから安心なんですがと。つまり、知識がない中で突然、患者さんは感染症の患者さんだから手袋はこうして、手洗いはこういうふうにしてくださいよと、こう言われるそうですけれども、非常に不安だという声を聞きます。医師や看護婦さんであれば、もちろん専門的な知識を得ているわけですから、その中で治療や看護に当たられるわけですけれども、介護職員の方々は正しい知識を持たないまま患者さんの介護に当たっているという現状が一部あるわけです。  この点で、厚生省は病院にお任せしているということでございまして、採用に当たっての基準がない、省内の担当の部署にもお伺いするとないということで自分自身非常に驚いたんですけれども、今後、病院に勤務する看護助手、介護職員の方々に対する、感染症も含めまして、研修制度などの正しい知識の啓発に努める必要があるのではないかな、これから特に大切な分野でございますので、厚生省はもとよりですけれども、厚生大臣にもよろしくお願いしたいと思います。  最後に、厚生大臣のお答えをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  187. 小泉純一郎

    ○国務大臣(小泉純一郎君) 介護職員に対する研修というのは大変大事だと認識しております。  例えば、院内感染防止対策については、各病院に院内感染対策委員会を設け、介護職員も含めた医療従事者の感染症に対する教育を初めとして、病院全体として院内感染防止対策に取り組むべきことを都道府県を通じて指導する等の施策を現在講じております。  今後とも、このような施策を通じて介護職員等に対する正しい知識の普及や啓発等に努めてまいりたいと思います。
  188. 西川きよし

    ○西川きよし君 終わります。ありがとうございました。
  189. 山本正和

    ○委員長(山本正和君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時三十九分散会      ―――――・―――――