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1998-04-14 第142回国会 参議院 本会議 20号 公式Web版

  1. 平成十年四月十四日(火曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第二十号   平成十年四月十四日    午前十時開議  第一 国務大臣の報告に関する件(経済対策に   ついて)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣の報告に関する件(経済対策について)  内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。橋本内閣総理大臣。    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
  3. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 冒頭、経済対策の基本的考え方について、その概略を御報告申し上げます。  バブル経済の生成及びその崩壊後、我が国経済はいまだその後遺症から抜け切れておりません。昨年は、この端的なあらわれとして、大型金融機関の破綻が相次ぎました。また、アジアの幾つかの国の金融、経済の混乱など、内外の悪条件が一斉に重なり、我が国経済は極めて深刻な状態となっております。  私は、今、国民の皆様の、景気をよくしてほしいという強い要請と期待にこたえるため、構造改革を推進しながら、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講じることとし、次の点を基本経済対策を編成してまいりたいと思います。  まず第一に、私は、四兆円を上回る大幅減税を行いたいと考えております。  所得税、住民税について、今年既に二兆円の減税を実施中ですが、さらに今年中に二兆円の減税を上積みし、来年も二兆円の特別減税を継続します。このほか、政策減税についても検討していきたいと考えております。また、個人の負担する所得税や住民税のあり方について、公正で透明な税制を目指し、幅広い観点から深みのある見直しを行いたいと考えています。同時に、法人に対する課税について、私は、今後三年のうちにできるだけ早く、総合的な税率国際水準並みにしたいと考えております。  こうした問題について、政府及び党の税制調査会に対し早急な検討を開始するよう要請してまいります。  また、先週末より、私が議長を務める財政構造改革会議を開催し、財政構造改革法について議論を始めたところであります。  財政構造改革の必要性はいささかも変わるものではありません。しかしながら、今の深刻な経済情勢にかんがみ、私は、現在の財政構造改革の基本的骨格は維持しつつ、緊急避難的にどのような対応をとるべきかを早急に検討すべきと考えます。そのような緊急対応としての性格を明確にして、特例国債発行枠の弾力化を可能とする措置を導入するということが考えられてよいと思います。  第二に、二十一世紀を見据えて、豊かで活力のある経済社会の構築に向けて、真に必要となる社会資本等を整備することとしたいと思います。  その際、将来の世代が整備してくれてよかったと感謝してもらえるような分野を重点といたします。  いわゆる真水という議論がありますが、私は最も有効経済対策は何かということを真剣に熟考し、そのために真に必要な財政負担は大胆に計上する決意であります。その結果、国と地方の減税や社会資本整備の財政負担が合計で十兆円規模となることも当然にあると予想しています。そして総事業規模は十六兆円を上回る過去最大のものといたします。  今回の措置は緊急避難的対応であり、財政構造改革の骨格を維持いたします。政治責任の追及を恐れて必要な政策が打てないということならば、それこそが政治責任であると考えております。  国民各位の御協力、御支援をいただきたいと思います。  以上が、経済対策の基本的な考え方であります。(拍手)     ─────────────
  4. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。木宮和彦君。    〔木宮和彦君登壇、拍手〕
  5. 木宮和彦

    ○木宮和彦君 私は、自由民主党を代表して、総理大臣から説明のありました経済対策について、総理並びに関係閣僚に若干の質問をいたします。  去る四月九日の景気対策をめぐる総理の記者会見において、かつてなく厳しい経済情勢に即応するために、内外の要請にこたえ、内需拡大を中心に大型減税を初めとして、緊急避難的な対策を明確に打ち出されたことに対し、まずもって歓迎の意を表したいと存じます。  参議院では、経済の足元を固めるため予算の短期間での成立に努力し、さらに財政構造改革法の基本精神を堅持しつつ、いかに国民の目線で即効性に富んだ思い切った次なる手を打てるか、真剣に論議してまいりました。残念ながら、本会議決議という形では実を結びませんでしたが、総理のこのたびの決断は、参議院の自民党で論議していたことと大筋で一致しており、大いに評価したいと思います。  財政構造改革法については、経済情勢に即応するため、米国の包括財政調整法をモデルに赤字国債の発行の制限を一時停止する弾力条項の導入等により、臨機応変な対応を可能とすべきであります。  今国会でこの法律改正等を行うことにより、我が国の国民生活の安定、向上はもちろん、日本経済の不況脱出、アジア発世界恐慌の防止に確固たる姿勢を示すことになりますが、これらの点について、総理の不退転の決意を改めて確認させていただきます。  財政構造改革法の改正をめぐっては、政策転換等いろいろ批判される向きがありますが、一年ぐらい前には財政の悪化、構造改革のおくれが最大の問題点でありました。内外の論調は改革の推進、財政再建の大合唱でありました。それが、今日のさま変わりの状況になったことを、この際、冷静に考えてみる必要があります。  消費税の引き上げの影響は、昨年夏の消費支出の回復が示すように、そう大きなものではなく、やはり秋から消費が落ち込んでいるところを見ると、大手の金融証券会社の破綻による金融不安、アジアの経済混乱の影響による先行きの不安が消費者の心理に大きく影響しているものと思われます。もちろん、見込み違いの点は明確にし、その反省に立って、今後の経済運営に生かしていかなければならないことは当然であります。  総理は、戦後初めてというぐらいあらゆる悪条件が重なり云々と発言されました。その発言には、景気のかつてない厳しい現状認識とともに、財政再建と景気対策のはざまにあっていろんな事件が次々と起こり、最高責任者としていろいろ苦悩されている様子がにじみ出ているようにうかがわれます。この悪条件について、日本経済を再生させるため、今までの経済運営の教訓を生かし、どのように克服されようとしておられるのか、当面の緊急経済措置と中長期にわたる構造改革的な対応に分けて、基本的なお考えを説明願います。  次に、減税のあり方について伺います。  大型の所得減税を要望する声が高まっております。今回の総理の決断もその方向に的確に応じられたものと言えます。総理は四兆円以上と言われているように、今後の景気動向いかんによっては二兆円の追加特別減税にさらに上乗せすることも考えるべきであります。  特別減税はできるだけ早く実施し、その消費性向を高めるよう工夫していかなければなりません。国民の皆さんは、常日ごろから欲しいと思っているものをボーナスのときにまとめて買います。このときに特別減税で余計に支給されれば、手の届かないと思っていたものでも、もう一つ買おうかということになります。お年寄りや子供たちも含め、暮らしを充実するためのニーズはいろいろあります。その工夫に特別減税をどう生かすか、家族の皆さんで相談していただきたいものです。そのような支出を国民に考えていただく呼びかけが大切だと思います。  我々もそのためには夜遅くまで補正予算を真剣に審議しますので、政府も作業を急ぎ、国民の皆さんに六月のボーナス時の減税を追加消費に回してもらえるよう呼びかけていくべきでしょう。総理の御見解をお伺いいたします。このような真剣な努力の積み重ねが、国民の理解と協力を得て、景気回復のエネルギー結集にもつながると確信します。  次に、公共事業についていろいろ論議されていますが、ここは二十一世紀、次世代のことを十分見据えて、真に役立つものを中心に組み立てていく必要があると考えます。  新たな投資分野としては、情報通信、環境、教育、科学技術、福祉、医療、緊急防災等、たくさんのニーズがありますが、従来の建設国債の対象になりにくいものがかなりあり、時代の要請に即応するように国債の区分を見直していかなければなりません。  しかも、これらの中から、規制緩和等と並行して民間活力を引き出す工夫を行い、いかに相乗効果を高めるか、また、都市集中ではなく、雇用問題が深刻な地方の活性化にも役立つものを重点的にいかに選んでいくかも大切なことだと思います。  難しい選択判断になると思われますが、建設国債のあり方の問題も含め、総理大臣と大蔵大臣の御答弁をお願いします。  また、不況に一番苦しんでいる中小企業のために、公的融資枠の一層の拡大、中小企業の対象範囲の拡大も緊要でございます。今回の経済対策で十分な手当てがなされるよう、通産大臣にお伺いします。  さらに、少子・高齢化に備えた福祉や設備投資促進等に役立つ政策減税に加え、法人課税のグローバルスタンダードへの引き下げ、所得課税の制度減税化等について、構造改革的な対応を明確にしていくことが重要だと思います。これが日本経済の再建の道筋をつけることであり、内外の市場も一番注視している点でございます。このような税制体系の見直しには、巨額の財源を要し、財政再建との兼ね合いから新たなる課税対象の拡大等も検討が必要です。  この問題も経済動向を見つつ、できるだけ早急に結論を出す必要がありますが、どのような考えと手順で検討されていかれるか、大蔵大臣にお伺いします。  国民各層の要望を十分踏まえつつ、タイムリーな減税と真水の多い公共投資のベストミックスにより、十六兆円以上という過去最大の景気対策の内容を早急に策定する必要があります。これによりデフレ懸念も出ている経済悪循環を断ち切り、早急に景気が自律的回復に向かうよう全力を傾けるのが今課せられた最大、火急の政治的課題であります。総理を先頭に、我々もそれに全力を傾け、来るべき参議院選挙で国民の審判を仰ぐ覚悟であります。これが政治の責任をとる常道と信じております。  これらの対策について、国民の皆さんに御協力いただくためには、まず隗より始めよということわざのとおり、緊急に取り組まなければならないのは、国会議員の定数削減と歳費のカットであります。さらに、国家財政の悪化、不況の深刻化にかんがみ、公務員、特に高級官僚についても同様な対応を検討すべきであると考えますが、公務員の給与について総理の御見解をお伺いいたします。  最後に、先般の補正予算の効果や十年度予算の早期執行、今回の景気対策等により、今後の経済動向をどのように見通されるのかお伺いし、その実現に向かって総理が一層リーダーシップを発揮されることを願って、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
  6. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 木宮議員にお答えを申し上げます。  まず、財政構造改革法の修正についてでありますが、先ほど御報告をいたしましたように、財政構造改革の必要性はいささかも変わるものではありませんが、今の深刻な経済状況にかんがみ、私は、現在の財政構造改革の基本的骨格は維持しながら、緊急避難的にどのような対応をとるべきかを早急に検討すべきだと考えております。そのような緊急対応としての性格を明確にして、特例国債発行枠の弾力化を可能とする措置を導入するということが考えられてよいと思っております。  次に、日本経済の再生のための基本的な考え方というお尋ねをいただきました。  当面の措置につきましては、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講ずることとしたところであります。  また、中長期的に、自由で活力があり、豊かで安心できる経済社会を構築していくためにも、経済構造改革を初めとする六つの改革を引き続き進めていくことが不可欠であると考えております。  今後の景気動向いかんで、今回の追加特別減税に、さらに上乗せを考えるべきであるという御指摘をいただきました。  私は、国民の皆様の、景気をよくしてほしいという強い御要請と御期待にこたえるために、先ほど御報告をした経済対策を講ずることといたしました。  内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の対策と考えておりますが、こうした対応は、国会を初めとする国民の皆様の声、国際社会の声を踏まえながら、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ総理大臣として、政治決断をしたものであり、国民各位の御協力、御支援をいただきたいと考えております。  減税の実施時期につきましては、納税者、源泉徴収義務者及び市町村の事務負担の問題なども検討しながら、私としてはできるだけ早期に行いたいと考えております。  次に、建設国債のあり方についての御意見をちょうだいいたしました。  その対象となる経費などにつきまして、さまざまな議論がありますが、いずれも財政運営の根幹にかかわる大きな問題であり、幅広く深い議論をしていただきたいと考えております。  なお、財源の種類にかかわらず、必要な施策に適切に対応することは当然であり、将来世代から感謝していただけるような社会資本の整備を重点的に行う決意でございます。  次に、公共事業についてお尋ねがございました。  今回の経済対策におきましては、二十一世紀を見据えて、豊かで活力のある経済社会の構築に向け、真に必要となる社会資本等を整備することとしておりまして、その際、与党の総合経済対策の基本方針を踏まえ、民間投資の誘発という点に配慮するとともに、地域経済の実情にも十分配慮していく必要があると考えております。  次に、景気対策の内容についてのお尋ねがございましたが、税につきましては、四兆円を上回る大幅減税のほかに、いわゆる政策減税に加えて、所得税、住民税のあり方や法人に対する課税のあり方などの検討をお願いしております。  また、豊かで活力ある経済社会の構築に向け、真に必要となる社会資本等を整備することとしたいと考えており、ダイオキシン問題や地球環境問題に対応するための投資や少子・高齢化社会に対応するための施設整備などの分野を重点としたいと考えております。  いわゆる真水にもお触れをいただきましたが、このような充実した対策とするため、国と地方の減税や社会資本整備の財政負担が合計で十兆円規模となることも当然にある、そう予測をいたしております。  次に、国会議員の定数削減についてお尋ねがございました。  この問題につきましては、一昨年十月の与党三党の政策合意におきまして、「衆参選挙制度については議員定数の削減を前提にし、民意がより良く国政に反映されるよう、早急に選挙制度の見直しを開始する。」こととされており、与党三党の選挙制度協議会を中心にこの問題の検討を行っているところであります。  この問題及び議員御指摘の歳費カットにつきましては、各党各会派の中で十分御論議をいただき、その結果を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。  なお、内閣におきましては、歳費の一〇%返納を発足時から今日まで続けておることも申し添えます。  次に、国家公務員の定員削減、給与のカットについてお尋ねがございました。  定員につきましては、累次にわたる定員削減計画に沿って削減を実施しているところであり、今般、国会に提出をいたしました中央省庁等改革基本法案においても、さらに機構、定員のスリム化を図ることとしております。  また、給与につきましては、人事院の国会及び内閣に対する勧告を受け、国政全般との関連を踏まえて、毎年適切な見直しを行っておるところであります。  今後の経済情勢についてのお尋ねがございました。  我が国経済の現状は大変厳しいものでありますが、既に実施している特別減税を含む九年度補正予算あるいは十年度予算に加えまして、今回取りまとめる経済対策における特別減税の追加、継続や社会資本整備等各般の施策が相まって消費者や企業のマインドを高めて、景気回復をもたらすものと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣松永光君登壇、拍手〕
  7. 松永光

    ○国務大臣(松永光君) 木宮議員にお答え申し上げます。  まず、建設国債のあり方についての御質問でありましたが、この点については総理からも御答弁がありました。私からつけ加えて一、二申し上げますと、まず、我が国財政法は、健全財政主義の原則のもと、例外的に建設公債の発行を認めており、その対象については、世代間の負担の公平確保の点から適当かどうか、対象範囲が不明確となり、際限のない拡大のおそれがないかどうか等の観点から、よくよく慎重な検討を要すると考えております。  なお、財源の種類にかかわらず、必要な施策に適切に対応するのは当然であり、総理からは、将来世代から感謝してもらえるような社会資本の整備、これを重点的に行う決意が表明されておるところでございます。  次に、法人課税と所得課税の見直しの考え方とその手順についてのお尋ねでございますが、法人課税の見直しについては、先般成立させていただきました平成十年度改正において、課税ベースを適正化するとともに、法人税の基本税率を改正前の三七・五%から三四・五%に引き下げることが実現をいたしました。これで、シャウプ税制改革以降最も低く、米国の連邦法人税率を下回る水準まで引き下げることが実現をしたわけであります。  また、個人所得課税については、我が国の所得税の負担水準を見ますと、累次の税制改革の結果、相当程度フラット化が進んでおり、中低所得者層の税負担は諸外国と比べて相当低い水準となっております。  いずれにせよ、法人課税、個人所得課税の今後の見直しについては、総理の発言を踏まえて、政府及び党の税制調査会において、残された種々の課題について総合的な腰を据えた検討が行われるものと考えております。(拍手)    〔国務大臣堀内光雄君登壇、拍手〕
  8. 堀内光雄

    国務大臣(堀内光雄君) 木宮議員からお尋ねのありました中小企業に対する貸し渋りの問題につきましては、政府としては、新しい融資制度の創設などによりまして、政府系金融機関に十分な資金量を用意したところでございます。しかし、一方、御指摘がございましたように、最近の金融環境の変化によりまして、民間金融機関からの資金の調達に困難を来している企業の中には、政府系金融機関に緊急融資の申し込みを希望しながら、制度政府系金融機関からの融資の対象とならない企業も存在をしているわけであります。  こうした事態を踏まえまして、現行の中小企業金融公庫法などの融資対象の基準である、卸売業三千万円以上、小売業・サービス業は一千万円以上となっている現行の法律を見直して、五千万円以上とするぐらいの可能な限り融資対象を拡大して、中堅中小企業資金調達が円滑に行われるように緊急措置を講じることを検討いたしているところでございます。  まじめに努力をされていらっしゃる事業者の皆様方に、少しでも温かい支援ができるように、中小企業のニーズをくみ上げつつ、中小企業資金調達に支障を来すことのないように、適切な施策を講じてまいる覚悟でございます。(拍手)     ─────────────
  9. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 足立良平君。    〔足立良平君登壇、拍手〕
  10. 足立良平

    ○足立良平君 私は、民主党新緑風会、略称民主を代表して、橋本総理大臣に質問を行います。  政府・与党は、六兆円減税の実施等を柱とした我々の組み替え要求には一切耳を傾けず、平成十年度予算を原案のまま成立させました。二月から審議を始めた予算審議において、橋本総理は、平成十年度予算は最善のものであり、本予算の早期成立こそが目下最大の景気対策である旨の主張を再三再四にわたり繰り返しましたが、その最善であるはずの予算が成立した翌日の四月九日、総理は、恥も外聞もなく、みずからがかたくなに拒んできた特別減税の積み増しや財政構造改革法改正など、路線転換を突然に発表いたしました。  総理は、予算審議の過程で、与党幹部の大型補正予算発言と総理の委員会発言の矛盾について二枚舌であると指摘されたことに対して、強く抗議する旨発言されております。しかし、九日の会見こそ、舌の根も乾かぬうちの路線転換であり、二枚舌を使ったと非難されて当然であります。  予算成立までの二カ月半もの間、最善最善と繰り返し、壊れたテープレコーダーと評された総理の予算審議での発言は一体何であったのでありましょうか。まさにこのことこそ、国権の最高機関である国会軽視そのものであり、国民を全く愚弄する何物でもありません。国権の最高機関での発言を突然覆す総理を一体国民は信用できるでありましょうか。国民が信用しない総理の言葉を世界は、市場は信用するでありましょうか。  さらに、総理は、新方針を打ち出した際に、深刻な経済情勢にかんがみ、財政構造改革の骨格は維持しながら、緊急避難的にどう対応すべきかを早急に検討すべきだと発言されております。  確かに、総理は、施政方針演説において、経済金融情勢の変化に応じて臨機応変の措置を講じる旨の発言をされており、今回の措置も臨機応変な緊急避難措置と強弁されるのでありましょう。それにしても、総理はまず、臨機応変な緊急避難措置をなぜ講じなければならなくなったのか、その原因を国民に正直に話すことを忘れてはいないでしょうか。  総理は、我が国経済が深刻な状況となった原因として、大型金融機関の破綻、アジア諸国の経済混乱等を挙げ、政府は全く関与しないかのような発言をされております。しかし、経済の状況を完全に見誤り、消費税アップを初めとする九兆円にも及ぶ国民負担増の強行こそ、今日の不況をもたらした最大の理由であると考えます。これらの諸点について、総理の御所見を求めます。  また、記者会見で総理は、政治責任の追及を恐れ必要な政策を推し進めなかったら、その方が政治責任と、政策転換への批判をそらし、国民の審判を受けることが責任を明らかにする最大の道だと、参議院選挙などで信を問う考えを示しました。しかし、政治はどのような経過があろうとも、結果責任が問われるものであります。言を左右にしていかに言い繕おうとも、国民はその政治家の生きざま、人となりを感じるものであります。  総理は、虚心坦懐に失政を認め、政策転換を根本的に行ったというメッセージを国民に示すべきではありませんか。総理の御所見を求めます。  次に、政府・自民党が今日まとめつつある経済対策、補正予算の内容について質問をいたします。  我々は、一日も早く日本を経済金融危機から脱出させることこそが今政治に課せられた喫緊の課題であると考えます。我々は、本来、経済政策は一過性のばらまきに頼るものではなく、恒久的な構造改革を伴った減税や社会資本整備を断行し、民間支出主導による自律的経済成長を達成することが基本であると確信いたします。  しかるに、政府・自民党が現在取りまとめている経済対策は、使い古された従来型のもので、日本経済を根本的に好転させるには到底不十分なものであります。まず、特別減税そのものが減税のばらまきであります。特別減税は一過性のものであり、恒久減税でなければ景気回復への心理的効果は少なく、むしろ逆効果であります。  また、総理は、法人税の実効税率は三年以内に国際的水準に引き下げると記者会見いたしましたけれども、我々が主張したように、平成十年度改正でやらなくては意味が全くありません。所得税、法人税も含めて、少なくともトータルで六兆円の制度減税を実施しなければ景気回復は望めません。  総理は、公共事業に関して、地球環境対策や少子・高齢化対策等に重点配分すると会見で述べておられますが、これまで自民党政府が根幹から公共投資の配分を変えたことが今日まであったでしょうか。突如打ち出された今回の経済対策では、結局、土木を中心としたばらまき型公共投資が中心となることは火を見るよりも明らかであります。  以上の諸点について総理の見解を求めます。  次に、財政構造改革法の改正についてお尋ねいたします。  総理は九日の記者会見で、財革法について、深刻な経済情勢にかんがみ、財革法の基本は変更せずに、緊急避難的に最小の修正を行いたいと述べました。しかし、そもそも財革法は、二〇〇三年までの間、硬直的に財政均衡を優先させ、毎年度赤字削減を義務づけるだけのものであり、およそ財政構造改革とは無縁のものであります。国と地方の財政の役割分担、公共事業の配分、大蔵省主導の予算編成制度などなど、本質的な構造改革には全くメスが入らず、景気の足を引っ張るだけという最悪の結果をもたらしているのであります。  我々は、平成十年度予算の組み替え要求において、財政構造改革法について、特例公債と建設公債との区分をなくすとともに、これに伴い、特例公債の毎年度の減額、二〇〇三年の特例公債の発行額ゼロの目標を廃止すること、経済成長率が一%を下回る見通しの場合には、柔軟に対応できるようにすること等々の改正を提案してまいりました。しかし、政府が悪化する日本経済を放置し続けた結果、法律そのものの執行を停止する措置が今日必要な段階に至っております。欠陥法である財革法を思い切って凍結すべきと考えますが、総理の御見解を求めます。  最後に、以上申し上げました諸点より、橋本総理の政治責任は極めて重いと断ぜざるを得ません。国家国民のために、総理大臣を辞職されることが、今日、総理に課せられた最後のとるべき態度であると考えます。総理の勇気ある答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
  11. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 足立議員にお答えを申し上げます。  まず、九日の会見は、舌の根も乾かぬうちの路線転換ではないかという御指摘をいただきました。  従来から、財政構造改革の必要性はいささかも変わるものではなく、同時に、内外の経済金融情勢の変化に対応して臨機応変の措置をとるということも申し上げてまいりました。こうした考えのもとに、平成十年度予算におきましても、経済情勢に応じて、財政・金融両面にわたる適切な措置をとってまいりました。  また、先ほど御報告をいたしましたように、私は、現下の深刻な経済情勢にかんがみ、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講じることとしたところであり、必ずや皆様に御理解をいただけるものと確信をいたしております。  次に、今日の経済状況をもたらした原因についてのお尋ねがございました。  我が国の経済の現状を見ますと、アジアの通貨・金融不安や、我が国の金融機関の破綻による金融システムへの信頼感の低下などの影響がある中で、景気は停滞し、一層厳しさを増しております。  なお、消費税率の引き上げは、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に対応した税制改革の一環として、先行した所得税減税等に見合うものとして行われたものであり、医療保険制度改革は、医療保険制度の破綻を防ぎながら、安定した運営を確保していくために、給付と負担の見直しを行ったものであり、将来にとっての真に必要な改革であったと考えております。  次に、政策転換を行ったというメッセージを国民に示すべきという御指摘をいただきました。  先ほども申し上げましたように、私は財政構造改革の必要性は変わるものではないが、内外の経済金融情勢の変化に対応して臨機応変の措置をとることも当然と申し上げてまいりました。今般の経済対策は、こうした考え方のもとに、国会を初めとする国民の皆様の声、国際社会の声を踏まえながら、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ総理大臣として、政治決断をしたものでありまして、必ずや皆様に御理解をいただけると信じております。  次に、特別減税の効果、個人所得課税や法人課税の見直しについての御指摘をいただきました。  私は、今回、我が国の経済、経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講じることを決め、その中において特別減税の追加等を行うことといたしました。  また、個人所得課税については、さまざまな課題について幅広くきちんとした検討を行い、公正、透明で国民の意欲を引き出せるような制度改正を目指したいと思います。  法人課税につきましては、今後三年間のうちにできるだけ早く総合的な税率を国際的な水準並みにしたいと考えております。  こうした措置は、豊かで活力のある経済社会の構築に向け、真に必要となる社会資本の整備など、各般の施策と相まって消費者マインドを高め、景気に効果的に作用するものと考えております。  次に、公共投資についてのお尋ねがありました。  今回、検討を行う経済対策におきましては、二十一世紀を見据えて、ダイオキシン問題あるいは地球環境問題に対応するための投資、少子・高齢化社会に対応するための施設整備や科学技術の振興と情報通信の高度化、将来を担う人材の教育など、将来世代の方々が整備しておいてくれてよかったと感謝していただけるような社会資本の整備を重点的に行いたいと考えております。  次に、構造改革の内容と財政構造改革法の凍結についての御意見をいただきました。  財政構造改革法につきましては、個別の主要な経費ごとのめり張りの効いた枠を設定するとともに、制度改革の内容を定めるなど、歳出構造に直接切り込む構造となっており、歳出面で強力かつ明確な見直しの方向性を打ち出すなど、中期的に財政構造改革を進めていく上で極めて重要な法律であると考えております。  したがって、このたびの経済対策を講ずるに当たりましても、財政構造改革法の基本は変更せず、緊急避難的に必要最小限の修正を行うにとどめておきたいと考えております。  なお、辞職のお勧めをいただきましたが、この大切な時期に政治的な空白をつくるべきではないと考えております。     ─────────────
  12. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 大久保直彦君。    〔大久保直彦君登壇、拍手〕
  13. 大久保直彦

    ○大久保直彦君 私は、公明を代表して、総理の政治姿勢と経済政策について質問をいたします。  以前、私はこの壇上から、失礼ながら橋本総理をあんパン総理と申し上げました。あのペルー大使公邸事件のときであります。本日、私は、またまた重ねて総理に対し、私自身恥ずかしさを感じながらも、あえて橋本総理はカメレオン、カメレオン総理だと言わざるを得ないのであります。  私が承知している歴代の総理は、それなりの見識と哲学と文化を持っておられました。橋本総理も剣道を修行され、日本古来の武士道の精神を学ばれている政治家と承知しておりました。しかし、四月九日の記者会見での総理の政策転換は、支離滅裂のきわみと言わざるを得ないのであります。これはごまかしであります。国民と国会を欺くものであります。武士道の精神であるならば、武士道の世界では、これは切腹ものではありませんか。  司馬遼太郎氏は、その著書の中で、戦国の大将は一軍の信頼と尊敬をかち得て、視線、目を無用に動かさず、軍令は常に簡潔で、行けと引けの二つの言葉しか必要ないものだったと述べておられます。この大将、宰相論について、総理の御所見をお伺いいたしたいと存じます。  伺いますと、信頼については、橋本総理は自陣営の与党自民党内からさえも尊敬と信頼を失いつつあり、党三役の間でも意見の食い違いが表面化しております。また、総理は、視線を絶えず内外にきょろきょろさせ、政策的にも、行くべきときに引け、引くべきときに行けと全く間違った司令を下しております。この点について、あわせて御所見をお伺いいたしたいと存じます。  総理、あなたはどこを向いて政治をされているのか、お尋ねをいたしたいと存じます。  申すまでもなく、政治は国家国民のために行うものであります。しかし、かじ取りである橋本総理には国民の苦しみが見えていないのではありませんか。国民の声が聞こえていないのではありませんか。国民は、既に橋本総理に失望し、信頼感をなくしております。  先日、働き盛りの中小企業の経営者が三人そろって同じホテルで自殺するという痛ましい事件がございました。この人たちは経営者として懸命に働いてきて、何とかこの不況を乗り切ろうと努力してきた。しかし、銀行の貸し渋りを初め、見通しのない経済状況等々、行き詰まりをどうしようもなく、自殺に追い込まれてしまったのであります。総理、この集団自殺、これは尋常ではありません、異常事態です。橋本総理には、これら中小企業の経営者の苦しみの声が聞こえているのでありましょうか。総理の御所見を求めたいと存じます。  また、この政策不況と言われている現今の不況を招いた総理自身の責任をどう感じておられますか、お尋ねいたします。  現在の不況は、橋本政権の失政の結果であり、政府の責任であり、きわめればその責任者である橋本総理、あなたの責任であることは明白であります。橋本総理、あなたにその責任の自覚がないのではありませんか。もしあるのなら、国民に対してまず経済政策の失政を、失敗を明確にわびるべきではありませんか。それこそが、政治家として国民の信託を受けた者のとるべき道ではないでしょうか。橋本総理の国民に対する政治責任について、見解を求めたいと存じます。  昨年来の大型金融機関の破綻、中小企業の倒産、戦後最大の失業率、株価の下落と円安に対し、私ども野党はそろって大型減税を断行すべしと迫ってまいりました。橋本総理は、この声に耳をかさぬばかりか、新年度予算の予算審議に当たり、本会議でも予算委員会でも、この予算こそ最善のものと答弁し続けたではありませんか。  一方では、あなたの政権与党幹部が、本院の予算審議大詰めの段階で十六兆円の景気対策を打ち出しました。この発言は、この議会を、特に参議院を軽視したものであり、議会政治の否定につながります。総理の明快な御答弁を求めたいと存じます。  加えて、総理が予算成立の翌日の四月九日に政策転換を打ち出す。総理、これはめちゃくちゃでありまして、あいた口がふさがらないのであります。  総理、あなたは外国から帰ってくるたびに政策転換をされております。昨年十二月十七日の二兆円の特別減税の記者会見も、マレーシアから帰国された直後に行われました。今回も、ロンドンから帰国し、九日の総合経済対策の発表になりました。二月、三月の衆参の本会議や予算委員会での答弁とは百八十度転換した政策を憶面もなく打ち出しております。外国で要人と会い、帰国すると節操もなく政策を変更する、まさに外国かぶれのカメレオン総理と言わざるを得ないのであります。  そこで、総理にお伺いいたしますが、今回の政策の転換に当たって、アメリカを初め海外からの要求が強く影響していると思われますが、いわゆる外圧と称されるものについて総理はどのように考えておられますか。明確な答弁を求めます。  ワシントン発の報道によりますと、クリントン大統領は四月三日の記者会見で、日本の経済政策のみならず政権のあり方にまで触れて、痛烈な日本批判をしたと伝えられております。これは極めて異例なことであります。国民にとっても大変残念なことであります。我が国は一体いつから、このような内政干渉がましい発言をアメリカ大統領から露骨に言われるようになったのか、総理の御所見をお伺いしたいと思います。  総理は、記者会見で政策転換の政治責任についての質問に、先ほど足立議員も触れられましたが、政治責任の追及を恐れて必要な政策を実施できない方が政治責任だと思うという旨の答弁をされたようでありますが、これは一体どういう意味ですか。負け惜しみの開き直りの言葉としか聞こえてこないのであります。御答弁を願いたいと思います。  そして、総理は会見で、我が国の経済は極めて深刻な状況にあると述べられておりますが、そういう認識をいつから持たれておりましたのか、いつ明確に認識されたのか、御答弁を願いたいと思います。  本予算が成立してから、急に日本経済は深刻な状況に立ち至ったということでありますか。また、前々からその認識があったということなら、この予算こそ最善のものとの答弁、主張は一体何だったのでありましょうか。御答弁を求めたいと存じます。  今回の総合経済対策の中身は、思いつきの感が強く、深刻化する不況を打開するには余りにも不十分であります。総理、財革法を速やかに改正するなり、凍結して、我々が要求する十兆円の恒久減税を直ちに実現すべきであります。この不況からの脱出には、即効性のある、たった今の対策が必要なのではないでしょうか。私ども公明が主張している四兆円の商品券による戻し金制度、これは一年間の時限つきでデパートでも商店でもタクシーにも使えるものであります。今、消費を喚起しなければなりません。この制度を導入すべきであります。総理の答弁を求めたいと存じます。  橋本総理は、総理に必要な目測力も、説得力も、そして決断力も、何一つ備えていない日本の政治史上まれに見る総理大臣と後世に不名誉な名を残すことを望んではいないと思います。このような総理をいただく今の日本国民こそいい迷惑であります。景気の回復、大型減税を求める国民の声に、必死な叫びに耳を傾けるべきであります。総理、経済政策の小出しはもうたくさんであります。また、出しおくれも許されません。後手後手政策はいいかげんにしてほしいと申し上げたいと存じます。  総理御自身の政治生命をかけた大決断があってしかるべきであります。橋本総理、もしそれができないのなら、速やかに退陣されることです。橋本総理の退陣こそ最大の景気対策である、このような声がございます。  総理の率直な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
  14. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 大久保議員にお答えを申し上げます。  冒頭、司馬遼太郎氏の宰相論、宰相としての司令のあり方、そしてだれのための政治家なのか、御批判をいただきながらもお尋ねを伺いました。今、NHKの徳川慶喜を見ておりましても、同じような問いかけを自分にすることもあります。  そうした中において、私は望ましい将来の我が国のあり方を考えながら、内外の状況に、その変化に即応する対応を行っていかなければならないと心がけてきましたし、今後ともそのようにしていきたいと考えております。  そして、あえて視線はというお尋ねがありましたが、国民と国家であります。  次に、中小企業に対してのお尋ねがございました。  その厳しい状況は十分認識しておりますし、特に貸し渋りにつきましては、新たな融資制度を創設するなどの対応を講じてまいりました。先般、私からも、民間金融機関に対すると同様に政府系金融機関などに対しましても、これに対する親身な対応を要請したところであります。まじめに努力されている事業者の皆様に温かい支援ができるように、今後とも万全を尽くしてまいります。  次に、現下の不況を招いた責任の自覚がないのではないかという御指摘をいただきました。  政府としては、その時々の経済情勢に応じて、財政・金融両面にわたる措置をとってまいりました。また先日、私は、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講じることを決意し、国民の皆様にその基本的な考え方を発表をさせていただきました。  これは、国会を初めとする国民の皆様の声、国際社会の声を踏まえながら、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ総理大臣として、政治決断をしたものであります。皆様に必ずや御理解をいただけると考えておりますし、その政治責任の追及を恐れて必要な施策を打たないということでありますなら、それこそ政治責任だと申し上げたことは、私はそのとおりに感じております。  また、予算成立直後に景気対策を打ち出したことについて、議会政治を否定するものであるとの御指摘をいただきました。  財政構造改革の必要性とともに、臨機応変の措置をとることも当然と申し上げてきたことをここで繰り返すことはいたしません。こうした考え方のもとで、国会を初めとする国民の皆様の声を踏まえながら、先日、我が国経済の、また経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を、そうしたことを考え、国民の皆様にその基本的な考え方を発表しました。これはまさに政治決断でありますし、そう御理解をいただきたいと存じます。  また、今回の経済対策の発表と外国からの要請、外圧という言葉を用いてのお話がございました。  私は、確かにASEMに出席をし、我が国の経済回復に対する各国の期待の強さを感じたことは今までにも申し上げてきたことでありますが、判断を行うのは我が国自身であります。そして私は、これを先日、基本的な考え方として国民の皆様に発表させていただきました。この決断も同様であります。  また、クリントン大統領が我が国経済の状況について、記者団からの質問に答える形で言及した点についてお尋ねがありました。  これは、我が国経済の回復に対する強い期待感の表明だと受けとめておりますし、こうした関心も念頭に置いていきたいと思います。  次に、政治責任についてお尋ねがありました。  内閣総理大臣、日夜政治責任というものは痛感しながら仕事を続けております。就任以来その重みを感じなかった日は一日もありません。そうした中において、先日基本的な考え方の御説明を国民に対していたしましたけれども、まさに今の経済状況の中で、政治責任の追及を恐れてこうした国民の皆様の生活に必要な政策を打てない、それ自体が私は政治責任を生じるものだと考えております。  次に、我が国経済の認識についてお尋ねがありました。  昨年の秋、大手金融機関が相次いで破綻をし、金融システムに対する信頼感が低下をいたしました。また、アジアでは昨年の夏以降、幾つかの国で通貨金融市場に大きな変動が生じ、経済状況が予測以上に深刻なものになりました。こうした状況の中で、不安感をお持ちになる方々が消費に消極的になられる、あるいは企業によっては十分に資金が得られず、思うように事業の展開ができないといった事態が生じました。そして経済情勢が厳しさを増しました。  今年に入りましてからも、本院においても御協力をいただきました金融システム安定化対策の実施などによりまして、少なくとも預金しておられる方々の不安感を取り除き、金融システムへの不安感はおおむねぬぐい去られましたものの、年度末を控えて、いわゆる貸し渋りを企業は一層厳しく感じるようになりましたし、アジアにおきましても、インドネシアの経済の先行きについて不透明感を増しておりました。  こうした要因の景気への影響は、本年に入ってからの三カ月間に次第に顕在化してまいったものであります。こうして我が国経済全体を見たとき、昨年来厳しさを増した家計や企業の景況感が実体経済全般にまで影響を及ぼしており、一層厳しさを増していると考えております。  次に、財政構造改革法を凍結して、十兆円減税を実施せよという御指摘をいただきました。  減税につきましては、既に実施している特別減税に加えて、今回取りまとめる経済対策において四兆円を上回る減税を行うこととしており、これは豊かで活力のある経済社会の構築に向けて、真に必要となる社会資本の整備など、各般の施策と相まって消費者マインドを高め、景気に効果的に作用すると考えております。  こうした対応は、国会を初めとする国民の皆様の声、国際社会の声を踏まえながら、我が国の経済運営に対する最終的な責任者である総理大臣として、政治決断をしたものでございます。責任を持って経済運営を行ってまいりたいと考えております。(拍手)     ─────────────
  15. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 渕上貞雄君。    〔渕上貞雄君登壇、拍手〕
  16. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、橋本総理の経済対策方針に関連して質問をいたします。  冒頭、政治倫理の問題についてお伺いいたします。  あっせん利得罪の創設を内容とする政治腐敗防止法案については、国民も最も注視している重要な課題であり、自民党内でのさまざまな議論も産みの苦しみとして、必ずや実効性ある法案をまとめていかなければならないというのが私の思いであります。政治家のあっせん行為の見返りによる利得を禁止する腐敗防止法案を必ず成立させるために一層のリーダーシップの発揮を求めたいと存じますが、総理の決意をお聞かせください。  さて、停滞の著しい景気の現状と厳しさを増す国民生活を打開していくためには、成立した平成十年度予算に引き続いて積極的な景気対策が求められています。その意味で、今回の総理の経済対策についての積極的な方針は極めてタイムリーなものと受けとめています。  これからの景気対策の基本は、これまでのような大規模公共事業方式による景気刺激策ではなく、経済の安定成長を支え得る持続可能な経済対策、限りある資源を有効に活用する循環型経済社会の構築を展望した環境、生活、福祉などを大切にする生活基盤型の新たな公共投資でなければならないと考えています。  これまでの公共投資は、公債の発行を建設国債に限ると規定した財政法をよりどころにして、建設国債の対象事業を優先してきました。総理は、このたび、社会資本整備の優先課題として、環境、福祉、情報通信などを重視する姿勢を明らかにされましたが、このことについての総理の認識をお伺いいたします。  橋本総理は、今回、景気刺激対策として最大の懸案であった減税について、四兆円を上回る特別減税の定額方式による継続とその前倒し実施を打ち出されました。これは社民党がかねてから主張してきた方式と一致するものであり、評価したいと思います。  社民党は、深刻さを増す経済状況を勘案すれば、個人消費を活性化する上で消費税の見直しは極めて重要であると考え、このほど飲食料品に係る消費税額給付制度を創設するという見直し案を発表いたしました。この制度は、軽減税率やゼロ税率以外の方法でそれらと同様の効果をもたらすものとして、低所得者世帯に対する消費税の逆進性緩和に着目をした制度であります。与党三党の合意が得られるならば、できるだけ早急に国会に承認を求めたいと考えております。この消費税額給付制度の創設に対する橋本総理の見解をお伺いいたします。  さて、橋本総理の経済対策の内容で残念だった点は、雇用対策について触れられていなかったことであります。大型倒産が相次ぎ、雇用情勢は厳しさの度を増していますが、公共職業訓練の充実、賃金支払確保法の迅速な適用など、勤労者の生活、権利を保障するためにも強力な雇用対策に取り組む必要があると考えますが、橋本総理の決意を伺います。  続いて、財政構造改革法との関連で質問いたします。  大胆な景気対策の実施が求められている一方で、財政再建を軌道に乗せなければならないという厳しい現実が私たちの前に立ちはだかっています。社民党は、与党三党で取りまとめた総合経済対策の基本方針の論議の際にも、財政構造改革法の基本精神は堅持するべきであると強く主張いたしました。しかし、現下の状況を直視するならば、減税や社会保障分野など生活者優先の政策を進める必要性からも、財政改革法の一時凍結という大胆な方法も考慮に入れるべきではないでしょうか。とりわけ、社会保障関係費の上限制など、緊急避難的な必要最小限度の手直しで乗り切れる事態ではもはやないと思いますが、総理の見解と決意を伺います。  また、総理は、地方分権推進委員会に対して、市町村への権限移譲などの問題について、さらに検討を進めていただきたい旨の要請をされております。財政構造改革を政官財の癒着によって肥大化した既得権益にメスを入れる本当の意味での構造改革とするためには、公共事業地方分権化を積極的に取り上げるべきであり、公共事業に関する権限を地方へどう移すかということこそが構造改革を深めることにつながると考えます。財政構造改革法の見直しの議論に関連して、公共事業の権限移譲問題が地方分権推進委員会の具体的な検討事項に取り上げられるべきではないかと考えますが、いかがでございましょうか。  さて、国鉄債務の処理問題の一方で、一刻も猶予されない大きな社会問題、人道問題であるJR不採用問題がいまだに解決していない問題として残っています。二月十八日、関係者を和解の席に着かせるよう働きかけを行うこと、判決を得ることが問題解決の大きな契機となると考え、その機会を生かし、問題解決に向けて引き続き真摯に努力することの二点について与党合意をいたしております。  今こそ政府・与党が本問題の解決に乗り出すことが重要であります。政府におかれましても、特段の尽力を賜りますようお願いいたしたいと存じます。総理の見解をお伺いいたします。  地下鉄サリン事件の破産手続で、国の債権回収を後回しにするための特例法に関連して、営団地下鉄は被害者救済を優先し、約八千四百万円に上る債権の回収を被害者よりも後回しにする意向を正式に表明をいたしました。自治体の場合は自治省が地方財政措置を講じて支援するとのことですが、営団地下鉄についても、政府として何らかの配慮をすべきではないかと考えますが、運輸大臣のお考えはいかがでございましょうか。  続いて、農業政策についてお伺いいたします。  今年度予算において、新たに地方財政措置として国土保全対策事業が創設されたことは、我が党が強く求めてきたところであり、高く評価するものであります。森林、農地が果たしている国土保全機能を守るために、定住化、環境保全型農業、そして農業関係者の要望する条件不利地域の農業などと結びつけたデカップリング、すなわち、直接所得補償にも引き続いて取り組むべきであると考えますが、農林水産大臣の御見解をお伺いいたします。  次に、食糧の安定的確保にかかわる問題についてであります。  二十一世紀を目前にした今日、地球温暖化、砂漠化の進行など環境問題の深刻化、人口の爆発的増加など人類を取り巻く条件はますます厳しくなっています。そのためには、まず、国内における食糧安定供給のために食糧自給率を向上させなければならないと考えますが、総理の認識をお伺いいたします。  また、インドネシアへの我が国の食糧支援について検討がなされておりますが、今後、食糧安定供給を展望するとき、東アジア全体における食糧安定保障システムの確立が求められていると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。  さらに、WTO農業協定の再交渉に当たって、我が国はミニマムアクセスの解消、輸出禁止・制限条項の撤廃などによる新たな農産物貿易ルールの確立を求めるべきだと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。  最後になりますが、政治、経済、社会の最近の動きを見ていますと、ある程度長期的な展望に立って、システム全体の是非を国民に問いかける、かわりのシステムを用意する政治が求められていると考えます。総理の政治認識をお尋ねして、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
  17. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 渕上議員にお答えをいたします。  まず、いわゆる政治腐敗防止法の創設についてのお尋ねがありました。  国会議員等が公務員に対してあっせん行為をすることの報酬として利益を収受すること等を処罰する、その罪の新設を含む立法措置につきましては、引き続き与党三党間で検討されており、その議論の推移を見守りながら、適切に対応していきたいと考えております。  次に、生活基盤型の新たな公共投資についてのお尋ねがございました。  今回、検討を行います経済対策におきましては、二十一世紀を見据えて、例えば、ダイオキシン問題や地球環境問題に対応するための投資、少子・高齢化社会に対応するための施設整備や科学技術の振興、情報通信の高度化、将来を担う人材の教育など、将来世代が整備しておいてくれてよかったと感謝していただけるような社会資本の整備を重点的に行いたいと考えております。  具体的にどのような事業を対象とするかにつきましては、与党の総合経済対策の基本方針をもとに、必要性や事業効率等を踏まえながら、今後、早急に検討を行ってまいりたいと考えております。  次に、消費税額給付制度についてお尋ねがございました。  御提案は、一定所得以下の世帯に対して、消費税負担額の一部を給付するものと承知しておりますが、本人確認あるいは的確な所得把握など種々の問題があると思います。  なお、消費税の逆進性の問題につきましては、今後、消費税を含む税体系の見直しの中で、将来的な課題として検討されるべきものだと考えております。  次に、雇用対策についてのお尋ねをいただきました。  現下の厳しい雇用失業情勢を改善して、労働者の不安を払拭するためにも、先月二十七日にいただきました与党三党からの総合経済対策の基本方針も踏まえて、景気の回復に向けた総合的な経済対策を講じる、その中において雇用対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、財政構造改革法の一時凍結についてのお尋ねがございました。  先ほど申し上げたことでありますけれども、財政構造改革法につきましては、個別の主要な経費ごとのめり張りのきいた枠を設定することを初めとして、歳出面で強力かつ明確な見直しの方向性を打ち出すなど、中期的に財政構造改革を推進していく上で極めて重要な法律であると考えております。したがって、このたびの経済対策を講ずるに当たりましても、財政構造改革法の基本は変更せず、緊急避難的に必要最小限の修正を行うにとどめたいと考えております。  次に、公共事業に関する地方分権というお尋ねがございました。  これにつきましては、既に、地方分権推進委員会の四次にわたる勧告を踏まえて、都市計画決定権限の市町村への大幅な移譲等を着実に実施することといたしております。  なお、現在、地方分権推進委員会に対し、御指摘の公共事業に限らず国政の各般の分野にわたって、市町村への権限移譲を含む国及び都道府県からの事務権限の移譲などの問題について、さらなる検討をお願いいたしております。  JRの不採用問題につきましては、過去に何度か運輸大臣等が政治決着に向けて労使双方に協力方を求めましたが、関係者間に大きな意見の隔たりがあるのが現状であります。本件につきましては、来月末に裁判所の判決が予定されていると聞いておりますが、政府としては、これが問題解決の契機となり得ると考えられることから、関係者の今後の対応を見守りながら、引き続き努力していきたいと考えております。  次に、食糧自給率についてのお尋ねがございました。  農政の推進に当たっては、食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけることを基本に、可能な限り我が国農業生産の維持拡大を図ることとしているところでございます。  なお、食料・農業・農村基本問題調査会におきましても議論が行われておりまして、そのあり方についてさらに検討を深めていくことといたしております。  インドネシアに対する我が国の食糧支援につきましては、先般発表されましたFAO、WFPの合同調査の結果を踏まえながら、早期に具体化すべく鋭意検討を行っているさなかであります。  東アジア全体における食糧の安定供給システムの確立についてもお尋ねがございましたが、我が国は世界食糧計画等国際的な食糧援助システムに参加し、積極的に貢献をしてきており、こうした既存の国際機関が果たし得る役割も考慮しながら、慎重に検討を行っていくべきだと考えております。  WTOの次期農業交渉における方針につきましてもお尋ねがございました。  次期農業交渉は二〇〇〇年に行われることとなっており、我が国としては、その時点における我が国農業の状況や農政の展開方向を踏まえて対応しなければなりません。その際、食糧安全保障や農業の持つ多面的機能等も含め、農産物純輸入国としての我が国の考え方が反映されるよう、主張を展開してまいりたいと考えております。  最後に、新たなシステムを用意すべしというお尋ねがございました。  私が申し上げている六つの改革も、議員御指摘の考え方と同じようなものと理解をしておりますが、今後ともに、この国の将来のあり方を常に展望しながら、政策運営を行っていきたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣藤井孝男君登壇、拍手〕
  18. 藤井孝男

    ○国務大臣(藤井孝男君) 渕上議員にお答え申し上げます。  地下鉄サリン事件に係る営団地下鉄の債権に関して、政府として配慮すべきとのお尋ねでありますが、営団においては、オウム真理教に対して、地下鉄サリン事件に係る破産管財人の異議のない債権約八千四百万円を有しております。  この債権につきましては、去る四月十日に、破産管財人から営団に対し、生命、身体を害された被害者またはその遺族から届けられた損害賠償請求権におくれる扱いをしてほしい旨、申し出がありました。これに対して、営団も被害者の立場ではありますが、破産財団の資産が被害者の救済にはほど遠い状態にあることを配慮し、この申し入れをみずからの判断で受けることとしたところであります。  この措置により、営団は債権の回収が事実上不可能となりますが、これについては、営団としてはみずからの経営努力により対応したいと考えていると聞いておるところでございます。(拍手)    〔国務大臣島村宜伸君登壇、拍手〕
  19. 島村宜伸

    ○国務大臣(島村宜伸君) 渕上議員にお答え申し上げます。  直接所得補償、いわゆるデカップリングについてのお尋ねでありますが、まず、欧米で実施されている直接所得補償には、価格政策見直しのいわば代替措置、あるいはまた条件不利地域対策としての支援措置、さらにはまた、環境保全的な農業の支援措置などの類型があります。  我が国においては、直接所得補償を導入することについて積極的な意見がある一方で、国民的なコンセンサスが得られるかどうか、また、規模拡大が進んでいる欧米と異なり、零細な農業構造の助長につながるのではないか等の問題点も指摘されていることから、今後、食料・農業・農村基本問題調査会の議論等を踏まえつつ、検討してまいりたいと考えております。(拍手)     ─────────────
  20. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 橋本敦君。    〔橋本敦君登壇、拍手〕
  21. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、当面の景気、経済対策に関し、総理に質問いたします。  政府月例経済報告でも、個人消費の冷え込みと設備投資の落ち込みによって景気は停滞し、一層厳しさを増していると述べています。このとおり日本経済は未曾有の不況に見舞われ、中小企業の相次ぐ倒産、最悪の失業率など、国民生活はまさに危機的状況に陥っています。桜の咲くころには景気もよくなるなどという政府の楽観的な見通しは全く崩れ去り、桜も散り、正反対に不況はますます深刻な様相を呈してきています。総理は、まずこれまでのこのような政府の楽観的な経済見通しの誤りを率直に反省すべきではありませんか。  そもそも、日本経済にこのような深刻な不況と国民生活の破綻をもたらした直接の原因と責任は一体何か。それは、国民の大きな反対を押し切って強行した消費税率の引き上げ、増税、医療制度の改悪などによる九兆円負担増の押しつけと、財政構造改革法による福祉、教育社会保障切り捨てによって、将来設計に対する国民の不安を増大させたという、まさに橋本内閣による二重構造の政策不況にあることは明白であります。  国民生活にとっては、この逆立ちした自民党政治こそ、まさに今日の不況の深刻化をもたらしている元凶ではありませんか。総理の基本認識を伺うものであります。  総理は、これまで繰り返し九八年度予算を最善の予算であり、一刻も早く成立をと言い続けてきました。そして国民生活の擁護と不況対策重視へ根本的転換を求める我が党などの予算組み替え要求を拒否しておきながら、予算が成立したとなるや、その翌日には必要かつ十分な規模の経済対策を決意したなどと述べて、今さら景気対策の必要性を強調するのでは、これこそ国会軽視、無責任というほかはないではありませんか。  さらに、総理は、わずか四カ月前に内閣の最重要法案だとして強引に成立させた財政構造改革法についても、早くも前言を翻して、その改正の方向を打ち出しました。そして内外の悪条件が一斉に重なり、我が国経済は極めて深刻な状態であると、こう言って、慌てて四兆円の減税や公共事業の追加などに十兆円規模の財政出動を行うことを表明いたしました。これは明確な政治路線の転換宣言にほかならないのではありませんか。まさに無定見、朝令暮改の無責任政治そのものというほかはありません。  にもかかわらず、戦後最悪と言われるまで経済不況を深刻化させたみずからのその政治責任について、総理が今もって全く口をぬぐっているのは重大な問題であります。総理は、政府の失政による不況の責任を国民に対して今はっきり認めるべきではありませんか。そのことなしに、新たな経済対策などと言う資格はないのではありませんか。  そもそも財政構造改革法は、九八年度から二〇〇〇年度までの間、公共事業軍事費などの浪費構造には根本的にメスを入れず、社会保障教育中小企業など、国民生活に関連する予算はキャップ制を設けて大幅に抑制するものであります。例えば、医療関連では九八年度予算について国庫負担を四千二百億円も削減することを前提とし、だれもが安心して医療が受けられる温かい施策に逆行することを初め、雇用保険でも千五百億円の国庫負担を削減するなど、断じて容認できないものであります。  総理は、今回の措置は緊急避難的対応であり、財政構造改革の基本は変えないと、こう言っております。しかし、それは実際には、赤字国債発行の制約は取り払うけれども、その一方で、いわゆるキャップ制は残して、社会保障医療教育などの改悪は一層強行するというものではありませんか。これでは閣内からも批判の声が出るのは当然であります。このような財政構造改革法は、見直しとか凍結とかではなく、きっぱり廃止すべきではありませんか。  次に、消費税減税の断行こそが今日の不況打開の根本策であるという問題についてであります。  昨日、日銀が発表した四月の金融月報でも、九八年の特別減税実施にもかかわらず、個人消費は低迷が長引いており、明確な改善は期待できないと、厳しい判断を示しました。さらに、今回の十兆円の財政出動は、基本的には従来型のゼネコン中心の公共事業であり、こうしたやり方は、既に財政審でも見直すべき時期に来ていると指摘されているものであります。これに対して、国民の間からは、九兆円の負担増に見合う大幅減税をという要求が高まっているのは当然ではありませんか。  景気対策の即効薬としてその効果が最も注目されているのは、国内総生産、GDPの六割を占める国民の個人消費について、消費税の税率を引き下げることです。国民からも、特別減税といっても実感が余りわいてこない、私たち市民にとってみれば、一番しんどいのは五%に上がった消費税、食料品などは買わないわけにいかない、家計を預かる身からすると、消費税率を下げてもらう方がより効果が上がるのではという率直な声が新聞にも寄せられています。  これらは、我が日本共産党が主張しているだけではなく、世論調査でも、政府に求める景気対策のトップに消費税率の引き下げが挙がっているのであります。それにもかかわらず、なぜ景気対策として消費税減税を全く考えないのか。尾身経企庁長官は、ヨーロッパでは消費税率は十数%から二〇%であるなどと何度も答弁していますが、総理は、将来消費税率の引き上げをひそかに考えているから、今決断をしないというのであるのかどうか、これも含めて明確にお答えいただきたいのであります。  消費税減税は、第一に、売り買いのたびに減税効果が発揮され、消費の拡大に直接結びつきます。第二に、特に今冷え込んでいる低所得者層の消費を温める、そのためには消費税率を三%に戻すこと、これしか道がありません。第三に、中小零細企業では、消費税の増税分を価格に転嫁できないので、これが中小業者を苦しめています。  我が党は、これらの三点の問題からしても、また、所得減税を効果あるものにするためにも、消費税の税率引き下げを直ちに行うべきだと考えています。総理、多くの国民はもちろん、市場からも、財界からも求められている消費税の減税を今こそ決断すべきではありませんか。  総理、今日、橋本内閣に対する国民政治不信と批判はいよいよ高まっています。最近の世論調査でも、内閣支持率は三〇%台に急落し、逆に不支持率は四五%台にも高まっています。政府が十日に総合経済対策を発表しても、東京市場は既に材料出尽くしと受けとめられ、平均株価は反落するありさまでありました。参議院選挙にかかわって、市場関係者からも、自民党政権が継続すれば、そのときこそ本当の日本売りが始まり、株、債券、為替のトリプル安が始まるという警告の声さえ上がっています。  橋本内閣は、これまでの失政と、それによる不況の深刻化の責任をとって速やかに退陣すべきであります。  総理は、国民の審判は重い、選挙以上の審判はない、こう述べられていますが、もし真剣にその言葉にみずから責任を負うのなら、国民の審判を受ける時は今ではありませんか。速やかに衆議院を解散し、総選挙を行って国民の信を問うことを改めて強く要求して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
  22. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 橋本議員にお答えを申し上げます。  政府は、これまでの楽観的な見通しの誤りを認めるべきではないかとのお尋ねがありました。  我が国経済の現状を見ますと、家計や企業の景況感の厳しさが実体経済全般にまで影響を及ぼしており、景気は停滞し、一層厳しさを増しております。  こうした中で、既に実施している特別減税を含む九年度補正予算や十年度予算に加え、今回取りまとめる経済対策における特別減税の追加、継続や社会資本整備等各般の施策が相まって消費者や企業のマインドを高め、景気回復をもたらしていくものと考えております。  九兆円の負担増と財政構造改革路線についてのお尋ねもございました。  消費税率の引き上げは、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に対応した税制改革の一環として、先行する所得税等の減税に見合うものとして行われたものであり、医療保険制度改革は、医療保険制度の破綻を防ぎ、安定した運営を確保していくために、給付と負担の見直し等を行ったものであります。  また、平成九年度の特別減税は、当時の経済事情などを踏まえ、実施しないこととしたものであります。  財政構造改革について、その必要性をもう一度繰り返し申し上げるつもりはございませんが、こうした考え方が必要であることは、私は議員にもお認めいただけると思います。  予算成立の翌日、景気対策の必要性を強調するのは無責任だという御指摘もいただきました。  従来から、財政構造改革の必要性とともに、その時点における内外の経済金融情勢の変化に対応した措置の必要性も当然とお答えをしてまいりました。こうした考え方によって、先日、国民の皆様にその基本的な考え方を発表したところでありますが、これは国会を初めとする国民の皆様の声、国際社会の声を踏まえながら、政治決断をしたものであり、御理解をいただけるものと確信をしております。  また、戦後最悪と言われるまで経済不況を深刻化させた、そういう御指摘をいただきました。  政府としては、これまでにもその時々の経済情勢に応じて財政・金融両面にわたる適切な措置をとってまいりました。また、今申し上げましたように、私は先日、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講じることを決意し、その基本的考え方を発表いたしました。  政治責任の追及を恐れて必要な施策が打てないということでありますなら、私はそれこそむしろ政治責任だと考えており、以前にも申し上げたことであります。  また、財政構造改革法を廃止すべきではないかという御意見をいただきました。  財政構造改革法につきましては、公共事業などの個別の主要な経費ごとにめり張りのきいた枠を設定することを初めとし、歳出面で強力かつ明確な見直しの方向性を打ち出すなど、中期的に財政構造改革を進めていく上で極めて重要な法律だと考えております。  したがって、このたびの経済対策を講ずるに当たりましても、財政構造改革法の基本は変更せず、緊急避難的に必要最小限の修正を行うにとどめたいと考えております。  ただ、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、緊急避難的に特例公債を年々縮減する旨の規定について、弾力化を可能とする措置を導入するということは考えられてよいと思っております。  最後に、消費税の減税についてお尋ねがありました。  消費税率の引き上げを含む平成六年秋の税制改革、これはまさに少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものであり、我が国にとって真に必要な改革であったと考えております。したがって、消費税率の引き下げは考えておりませんし、政治空白をつくるつもりもございません。(拍手)     ─────────────
  23. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 扇千景君。    〔扇千景君登壇、拍手〕
  24. 扇千景

    ○扇千景君 私は、自由党を代表して、先ほど行われました経済対策についての総理の報告に関連して質問をいたします。  総理は、きのうの衆議院予算委員会において、我が党の野田幹事長の質問に対し、私は誇りがずたずたになるくらいばりざんぼうをちょうだいしたと述べられました。私は、橋本内閣の経済政策の失敗、政策不況の責任をただしたのに対して、総理がばりざんぼうとしか受け取っていない、そのことについて哀れを覚えたのであります。そこには、政治の最高責任者として経済の見通しを見誤り、政策の失敗で国民に塗炭の苦しみを味わわせる結果となったことに対し、みじんの反省も見られないのであります。  総理、総理の経済見通しの誤り、経済の状況の変化に応じて答弁を変えるその定見のなさは、これまで目に余るものがあります。これが政策の失敗をもたらす原因でもありました。  例えば、経済の見通しについては、昨年の十月には、景気の動向は確かに厳しい状況にあるが、今年度後半に景気の回復傾向が見られると考えると述べ、また、ことしの一月の本院本会議においては、特別減税を含む補正予算や三十兆円の公的資金の活用などが相乗効果をもって我が国経済の回復をもたらすものと考えている、実質経済成長率は政府見通しの一・九%程度の達成は可能だとさえ述べていたのであります。その間、政府・与党は、十一月からほとんど毎月景気対策を打ち出しながら、経済は一向に回復の兆しさえ見せなかったのであります。  このような状況になって、さすがの総理も、この四月、ASEMに出席した際、ロンドンで、景気は第二次大戦後初めてと言っていいほど悪循環が重なり、極めて厳しい状況にあるというように、我が国経済の状況の厳しさにやっと気がつくありさまでした。  また、財政構造改革についても、昨年の十月には、財政構造改革は短期的には痛みを伴うが、中長期的には経済の活性化に資すると述べ、財政構造改革法を野党の強い反対を押し切って成立させました。  しかるに、この法律が景気対策実施の自縄自縛となっていることに気がつくや、ことしに入って、景気対策と財政構造改革はタイムスパンの異なる問題だ、また、財政構造改革の必要性は何ら変わっていない、経済金融情勢の変化に応じて臨機応変の措置を講じ、景気の回復を図ることも当然だという詭弁を弄し、きのうの答弁においても、予算成立後、総理が発表した経済対策も、財政構造改革法の骨格を変えない限りできないにもかかわらず、法律の基本は守るなどと述べているのであります。  さらに、住専処理に六千八百五十億円の税金を投入した際、今後は信用組合の不良債権の処理以外には税金は使わないと国民に公約しながら、ことしになって金融機関に三十兆円の公的資金を投入したこと、政府と与党の役割を使い分け、総理は、国会では一貫して十年度予算は最善の予算と答弁しながら、与党幹部は、外では景気対策のため大型補正予算を編成する発言を繰り返し、二枚舌を使って国会と国民をだまし続けてきたことなど、内閣はその場しのぎの答弁を繰り返してきたのであります。  総理、これが国家と国民の運命を左右する国政の最高責任者の答弁でありましょうか。そのような総理を国民のだれが信用し、その生活を託すことができましょうか。総理はみずからの定見のなさと、経済政策の失敗で深刻な不況をもたらし、破産、倒産の続発、中小企業経営者の自殺、失業の増大など、真剣に受けとめるべきであります。  誇りがずたずたになるくらいばりざんぼうをちょうだいしたという総理の答弁には、国民に対する責任が全く見られず、総理として失格であります。それほどまでして総理のいすにしがみつきたいのかと思うと、情けなくさえ思います。  これら諸点について、橋本総理の真摯な答弁を求めます。  次に、総理が予算成立後発表された経済対策について質問をいたします。  私は、この経済対策を見ても、橋本総理には我が国経済の危機の本質がいまだ全くわかっていないと断言せざるを得ません。特別減税の継続やそれの四兆円の上乗せ、公共事業の拡大も、従来の対症療法的な対策の域を一歩も出ておりません。ただ、規模の大きさだけ誇っているにすぎません。特別減税は、それをやめれば当然増税が待ち構えているということで、いわば増税予告つき減税でしかありません。将来、増税が来るならだれが消費しようとするでありましょうか。  特別減税は、総理の意図とは裏腹に、貯蓄に回り、景気対策にもならず、ばらまきで財政を悪化させるのが落ちであります。また、公共事業にしても、従来型の事業が圧倒的であり、政府・自民党の選挙対策には強力な効果は発揮しても、景気対策になるかどうかは甚だ疑問であります。  橋本総理は、今回の不況が戦後の大量生産、大量販売による量的な拡大の日本経済の仕組みが内外とも限界に来ているという、構造的要因にあるという危機の本質がわかっておりません。総理、今必要なことは、景気対策ではなく経済対策であります。構造改革につながる経済構造改革であります。  自由党は、所得税六兆円、法人税四兆円の合わせて十兆円の減税を柱とする経済対策を実現することを主張しているものであります。その財源の多くは徹底した行財政改革で捻出し、また恒久減税であれば増税の予告つきでなくなりますから、消費は着実にふえます。個人の可処分所得はふえ、法人の利益もふえ、民間経済に活力が生まれます。構造改革には痛みを伴います。したがって、構造改革を円滑に進めるためには、構造改革によって痛みを受ける人々が対応できやすい環境をつくることが不可欠であります。これが自由党の十兆円の減税を柱とする経済構造改革であり、民力の回復による経済の活性化策であります。  橋本総理は、行政改革を初め六つの改革を唱えておられますが、その実現のためには、対症療法的な景気対策を講ずるのではなく、構造改革につながる経済対策を進めるべきであります。橋本総理は、今こそその責任を明らかにした上で、我々の言う抜本的経済対策を講ずるべきであると思いますが、総理の見解をお伺いいたします。  また、会見の際、総理は、日本の景気の現状について、バブル崩壊の後遺症から抜け切れておらず極めて深刻な状況にあると言われました。こんなことが今までわからなかったのですか。これまで何をしていらしたのでしょうか。深刻な状況にあるのは、総理の政治家としての能力であります。  また、きのうの予算委員会において、バブル崩壊後のキャピタルロスは当たり前と述べておられます。不良債権問題はお手上げということでしょうか。総理は、とるべき政策をとらないことの方が責任が大きいとも言われました。責任問題も重要なことながら、問われているのは総理の能力の問題であります。わずか二、三カ月先のことも見通せない人に、この日本国を、一億二千万人の国民の生活を任せるわけにはまいりません。  また総理は、日本経済は世界有数であるとも言われました。その世界有数の経済を痛め続けているのは、ほかならぬ橋本総理であります。経済は生き物とも言われました。その経済のことが一番理解できていないのも橋本総理であります。  総理は、一体何をするために総理大臣という職におられるのでしょうか。総理大臣として何を行いたいのでしょうか。政権を維持するために詭弁を弄し続けているだけではありませんか。自分の言ったことさえも守れないで、政治に信頼が生まれるとお考えでしょうか。総理は、果たすべき責任を果たすことが責任のとり方だと言われます。これは開き直り、居直り、責任逃れの論理であります。  二十一世紀まで千日を切りました。橋本内閣が続けば続くほど日本がだめになっていくのは、もはや揺るぎない事実であります。まず橋本内閣の退陣、次に大胆な政策転換こそが経済再建の道であり、日本再構築の第一歩であると信じます。  総理に何かあれば御意見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
  25. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 扇議員にお答えをいたします。  冒頭、経済見通し、財政構造改革、金融システム安定化策、十年度予算等についての答弁を引用されながら、責任感がないという御批判を受けました。  私は、将来のこの国の望ましい形、あり方というものを常に考えながら、変化する内外の情勢に対応した政策運営を実行しなければならないと考えておりますし、国家国民のために責任を負って経済運営にも当たってまいります。  恒久減税を行い、民力の回復によって経済を活性化すべきという御指摘がございました。  私は、経済の停滞から一日も早く抜け出し、力強い日本経済を再建するために、金融システムの安定と景気の回復を図るとともに、経済構造改革を初めとする構造改革を進めてまいりました。  私は、国民の皆様の景気をよくしてほしいという強い御要請と御期待にこたえるためにも、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講じることを決意し、その基本的な考え方を発表いたしました。真に必要な施策を国民に申し上げております。  また、経済の認識についてのお尋ねもございました。  我が国経済には、不良債権問題など、バブルの後遺症といった経済社会の構造問題が存在すると申し上げてきました。これらに加え、インドネシアなどアジアの経済金融情勢の影響、さらには、昨年秋の大型金融機関の破綻や、いわゆる貸し渋り等による家計や企業の景況感の悪化の影響等、従来からの予想を上回る内外の悪条件が重なり、我が国経済はより一層深刻な状況になっている。そうした中で、必要かつ十分な経済対策を講じていこうとしております。  金融機関の不良債権問題につきまして、その早期処理が喫緊かつ重要な課題であることを認識いたしております。政府としては、引き続き各金融機関に対して、不良債権の早期処理を促していくとともに、債権回収を一層促進していくために、担保不動産等の流動化のための環境整備等を進めていきたいと考えております。  内閣が退陣し、政策転換をすることが経済再建の道ではないかという御意見をいただきました。  従来申し上げてきたことをいたずらに長々と繰り返す愚は避けたいと思いますが、いずれにせよ、政治責任の追及を恐れて必要な政策を打たないということであれば、それは私は政治責任、本当にそうだと思います。同時に、今この大事な時期に政治空白をつくることはとてもできないと思います。  今後とも、責任を持って構造改革を進めながら、景気回復に努力してまいります。(拍手)
  26. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十五分散会      ─────・─────