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1997-05-08 第140回国会 参議院 大蔵委員会 10号 公式Web版

  1. 平成九年五月八日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員の異動  五月七日     辞任         補欠選任      千葉 景子君     竹村 泰子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         松浦 孝治君     理 事                 石川  弘君                 河本 英典君                 荒木 清寛君                 鈴木 和美君                 笹野 貞子君     委 員                 阿部 正俊君                 上杉 光弘君                 片山虎之助君                 金田 勝年君                 清水 達雄君                 嶋崎  均君                 楢崎 泰昌君                 岩瀬 良三君                 海野 義孝君                 白浜 一良君                 寺崎 昭久君                 益田 洋介君                 竹村 泰子君                 吉岡 吉典君                 山口 哲夫君    国務大臣        大 蔵 大 臣  三塚  博君    政府委員        外務省総合外交        政策局長     川島  裕君        大蔵政務次官   西田 吉宏君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵省主計局次        長        林  正和君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        大蔵省銀行局保        険部長      福田  誠君        大蔵省国際金融        局長       榊原 英資君        国税庁課税部長  船橋 晴雄君        通商産業省貿易        局長       伊佐山建志君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君    説明員        警察庁生活安全        局生活安全企画        課長       小堀  豊君        警察庁刑事局刑        事企画課長    岡田  薫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する  法律案(内閣提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 松浦孝治

    ○委員長(松浦孝治君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日、千葉景子君が委員を辞任され、その補欠として竹村泰子君が選任されました。
  3. 松浦孝治

    ○委員長(松浦孝治君) 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は前回聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 ここのところ、久しく国会を留守にしておりましたので的確な質問ができるのかどうか、時代の変化が非常に激しいだけに質問に立つのも恐縮に思っておるわけでございますが、簡潔にいろいろ御答弁を願いたいというふうに思っておるわけでございます。  大蔵大臣は、四月の初旬にフィリピンでAPECの蔵相会議に出席をされ、また四月二十四日の日米首脳会談の後を受けまして、二十七日から先進七カ国蔵相・中央銀行総裁会議、さらに国際通貨基金、IMFの暫定委員会、続いて世界銀行・IMF合同開発委員会など一連の国際通貨及び金融関係の会議に出席をされたわけでございます。休み中にもかかわりませず、大変御苦労さまでございましたと言いたい気持ちでおるわけでございます。  さて、一連のそういう会議の中で、日本の立場を保持しながら国際協調の場でいろんな御議論をされたと思うのでございますけれども、大蔵大臣として、特に印象の深かった点について御説明していただければありがたいと思います。
  5. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 御案内のとおり、G7はワシントンにおきまして、ベルリンG7会議の申し合わせ、これを踏まえましてさらに強化する形で世界経済の安定を期そう、こういうことで進められたところであります。恒例でありますが、日米蔵相会談そして日独蔵相会談、時間がありますれば六カ国全部との個別会談をということで指示はいたしておるわけでありますが、限られた日程でありますから直ちにG7本会議、こういうことになるわけでございます。  日本の置かれている立場がG7会議をやる都度、APECもそうでありますが、重きをなしておることだけは間違いございません。国内におけるさまざまな御意見とは別に、経済大国日本経済の振興において、我が国を除いてそのことの協定、協議が成り立たず、成果が出ない、こういうことがひしひしと感ぜられます。それだけに責任の大きいことを痛感いたしながら、経済安定が途上国、最貧国にも大きな影響を及ぼし向上せしめる要因になります。  特に印象の深かったことということでありますと、今回のG7会議におきましては、私から、我が国の取り組んでおります財政構造改革以下五改革について説明を申し上げ、現政権の重要な課題であり、政治生命を賭してもこのことをやり遂げるということを申し伝え、ポイントについてはそれぞれの説明、質疑に答えたというところでございます。大方のバイの会談も、G7会談においても同様趣旨を申し上げておりますものですから理解を得た、こういうことでございます。  特に為替相場、二月のG7の際は、御案内のとおり百二十七円というところでございました。そういう中での申し合わせ、今回はそういうものをにらみながら、G7の合意は為替相場の安定に向けてのG7各国の緊密な協調、共同声明という強いメッセージの形で確認をされました。一点は相当程度のファンダメンタルズからの乖離は望ましくないということ。二点目といたしまして、大幅な対外不均衡の再来に結びつくような為替レートは避ける。こういうことを確認しながら、新たにこのことを明確にメッセージとして伝えたところでございます。  特に、日米蔵相会談は、御案内の同盟国の関係にもこれあり、その中におきまして、最近の円相場に関する懸念と為替市場における緊密な協調へのコミットメントにつきまして日米当局が完全に一致したことと合わせまして、為替相場の安定に向けてのベルリン合意をさらに強化するということに相なりましたこと、今後の運営に大きなプラスをもたらすのかなと思っております。  次に、APECでございますが、セブ島において行われたのでありますが、ポテンシャルの高いアジア地区、これにアメリカ代表、カナダ代表、アルゼンチン代表、ヨーロッパ代表、大蔵大臣の参加を得ながら行ったところでございます。貯蓄の効率的な動員及び投資機会の拡大を図るということで、域内の金融資本市場の整備を促進する必要がある、こういうことで確認をいたしました。日本の金融政策、援助政策が着実に効果をあらわしておりますことへの期待も、それぞれの各国からの表明が出たところであります。健全なマクロ経済環境の維持など、金融資本市場の整備促進に当たりまして、各国が自主的に採用すべき政策上の諸原則について合意をいたしたのでございます。具体的かつ実際的な措置としましては、金融市場の監督強化、各メンバーが自主的に参加する幾つかのプロジェクトについても合意をさせていただきました。  我が国としては、域内経済のより一層の発展に貢献するため、これらの取り組みについて各メンバーと協力し積極的に対応してまいらなければならぬと思っておりますし、APECは特にアジアという共通の意識がございまして、さまざまな民族性、さまざまな国情でありますけれども、我が国に対する期待ということ、協調ということについては一段と深まりを見せておるということでございます。  以上、申し上げさせていただきます。
  6. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 さきの七カ国蔵相・中央銀行総裁会議の共同声明を私も読ませていただいたわけでございます。さきの会合から持続的に国際金融の安定のためのいろんな努力が積み重ねられているということを背景にしながら、問題の整理が行われておるわけでございます。  その中でこの四項目ですか、課題が残っておるという問題を取り上げまして、例えば雇用の問題とか財政構造改善の問題とか、あるいは金融システムの改善の問題であるとか、さらには人口高齢化に対処して財政社会保障及び医療の問題をどうするか、これはどうも世界各国こういう問題に当面をしておるようでございます。寄られた人がみんなそういう感覚を持っておられ、またEUあたりの最近の動き等から考えると、十分これらの点は想像できるところであります。しかし、こういう大きな問題を抱えておればこそ、橋本総理の六大改革というようなことも取り上げておるんだというふうに私は思うのでございます。  そういう中で五番目に日本の問題、先ほど大臣が説明をされたことを受けられまして、五項には日本の場合について触れられておるわけでございます。  中を読みますと、これは役所文章というと語弊があるのかもしれませんが、これもなかなかわかりにくい文章が多いわけでございますけれども、一番目には、力強い内需主導型の成長を期待したい。それから、対外黒字が大幅に増加することを避けることが第二番目にある。それから三番目には、より広範な規制緩和措置をしっかりやれと。それから四番目には、適切な財政構造改革を含むさらなる構造改革は中期的に見て日本経済をより活性化するために非常に大事なことである。大分、大臣が力説をされたのがこの言葉になっておるのではないかというような感じも受けるわけでございます。  そういう意味で、世界全体が我が国の経済に対し、あるいは我が国の状態に対していろいろな判断をしておるということが公になったわけでございます。先ほど御説明いただきました為替等の問題についても、御指摘のようなことが書かれておるわけでございます。  国際の場で、日本自身の責任という問題も非常について回るわけでありますし、またそれに自主的にどう対応するかというようなことが問われておるわけでございますので、今後ともしっかりひとつ御趣旨に沿って御努力を賜りますようにお願いを申し上げたいと思う次第でございます。  それから、今度の外為法の改正の問題でございます。さきの衆議院の選挙の後を受けまして、第二次の橋本内閣がスタートをしたのでありますけれども、行政改革というのは与野党を通じての共通の理念になってきておるというふうに私は受けとめておるわけでございます。予算も通過をし、今国会もいよいよ後半に入ってきておるわけでございます。  橋本内閣も、これからは我が国の未来に希望を持ち続けることができるような活力のある経済社会を維持するために、政治主導のもとに、先ほど申し上げた総理が提唱する六つの改革、一々中身は申し上げませんけれども、その実行、断行に向けて全力を傾注することが当面の重要な課題ではないかと思うのでございます。  考えてみますと、この大蔵委員会の仕事としましては、財政構造問題及び金融システム改善というのが受け持つ主要な議題であるというふうに思うのでございます。財政構造改善の問題につきましては、さきに予算が円滑に通過をし、十年度の予算をどう編成するかということにつきまして、最近の新聞は非常ににぎにぎしくいろんなことが報道されておるわけでございます。我々も、これらの問題については真剣に取り組んで、財政構造改善の問題に努力をしていかなきゃならぬと思うのでございますけれども、これは別の問題としまして、当面、外国為替及び外国貿易管理法の改正問題というのは、金融システム改善のフロントランナーとしての非常に大きな意味を私は持っておるように思うのでございます。  そういう意味合いから、昨年の十一月、橋本総理が指示をされました経済基礎をなす金融システム改善、いわゆる日本版ビッグバンと称されているものと密接に関連をし、またニューヨークあるいはロンドンというようなところからの距離的な配置というのですか、ちょうど日本から八、九時間さらに十四、五時間後にロンドン、ニューヨークが存在をしているわけでございますから、そういう意味も含めまして、かつまた、日本ではたくさんの個人貯蓄があって貯蓄過剰の国になっておるわけでございます。  そういうことをいろいろ考えてみますと、東京市場をぜひ復権をさせて、本当にこの改正によりまして金融システム改善がうまく実施されるということを望んでおるわけでございます。そういう意味で、この法案の担っておる役割等につきまして、さきに提案理由の説明もいただきましたけれども、ごく簡単に大臣の方から御説明を願いたいと思う次第でございます。
  7. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ビッグバンとよく言われますけれども、金融システム改革でございます。  嶋崎先生、御指摘のとおり、グローバルスタンダード、国際基準に合った東京市場、こういうことがその基本であります。それと公正、自由、当然のことながらその理念を基本に据えながら、もろもろの規制をこの際取り払っていこう、こういうことでございます。  最終的には、一千二百兆と言われる個人預貯金、これが円としての信認そして円の通貨の安定、預金者にとっても大きなプラス、同時にこれをもって投資された方の期待にこたえる諸活動、ニュービジネスの誕生、既存企業のさらなる強化、活性化等々がもたらされていく。資金調達は、そういう中で東京市場と、こういう流れになりますことは、我が国経済の根底がそれによってしっかりとしたものに位置づけられるわけでございますから、困難あるいは大変な血のにじむ努力がそこにあることだけは間違いございません。  そういう中で、まず環境整備ということで内外資本取引等の自由化というのがありますし、外為法業務の完全自由化ということで、フロントランナー、外為法の改正と。管理という言葉を抜くことによって、まさに自由主義経済の中の我が国の立場を明確にしていこう。さらには、事後報告制度の整備、経済制裁等の国際的要請への対応等々をそこに盛り込むことによりまして、フロントランナーとしての役目を果たす。  それは第三の開国へのまず第一歩、航海へのスタート、こういうことで、全体が二〇〇一年までに彼岸の地に到達をすることによって、我が国の東京金融市場がニューヨークと並ぶ金融市場になっていかなければならないだろう。時あたかも、ヨーロッパは統一通貨に向けて大きな流れの中にあります、ユーロ、ドルという二極体制。しかし、人口六〇%を占める、やがて二十一世紀後半には世界の経済センターだろうと言われるアジアにおける日本の金融市場が、これに対応する役目を果たしていくということであります。今まさに、この第三の開国は、我が国の国益国民の利益、同時にアジア経済の底上げ、安定、平和、こういう視点の中で取り組まれるものと思っておるところであります。  橋本首相が、本件を何としてもやり遂げなければならぬということで指示いただきましたのも、そこに視点があると私は考えております。
  8. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 ただいま説明を受けたので十分にわかつたつもりでございますから、これから後は、法案に沿いながら、改正の中身を順次質問していきたいというふうに思うわけでございます。  ただ、それより前にちょっと気になったのは、先ほどのG7の会議の中で、たしか十六項のところでありますか、税金の問題について相当ごたごたと込み入ったことが書いてあるわけでございます。「税の競争」という項目が立っておりまして、「我々は、OECDにおいて行われている作業に大きな重点を置き、一九九八年までにOECDが完成する予定の作業、結論及び提言に緊密な注意を払うこととする。」ということが相当丁寧に書かれておるわけでございます。もちろん、これは作業段階で、答えが出たわけではありませんけれども、どうもこういう議論をすると、付加的な問題として我が国の税制問題、高いばかりの話が出ておるわけでございましょうけれども、少なくともどうも国際的にはいろいろな問題を私は含んでおるように思うのでございます。  例えばヨーロッパ諸国の場合、統一通貨をつくるというようなことで、赤字の割合がGNP比三%でなきゃならぬ、累積が六〇%でなきゃならぬというようなこと等々の基準がいろいろ議論をされておるわけでございますけれども、ともかくそういうことの基盤をなす意味でも、これらの国はほとんど消費税が中心になって運用されている、直接税はうんと低くして均衡がとれるようなことにしている。いろんなベースになる議論があるんだと思うんですね。その上にこの市場のいろんな問題が乗ってきているんだと思うんです。  そういうことを受けて、実はこのことが行われておるのではなかろうかというふうに思っておりますが、この点につきまして、主税局長はどういうような感覚であるか、お答え願いたいと思います。
  9. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 世界的な観点から金融の動きを見てまいりましたときに、国の境界がなくなる、自由化が進んでいくというのが当然の方向かと思いますし、経済全体もそういう方向で非常に激しいスピードで動いているかと思います。それは経済なり金融というものの性格上そうなっていくものであって、そういう意味ではボーダーレスという言葉で代表されますように、国境がなくなっていくのかと思います。  ところで、税制あるいは税負担というものはどういう趣旨から存在するかといえば、それぞれの国が公共サービスを提供していくための財源としての税制であり税収でございます。ところが、金融なり経済の観点から資本を誘導したいとかあるいは企業を誘導したいというときに、特定の国が税制を安くすることによって誘導していくということがこれまでなされてきているわけでございます。  これは、経済原則なりその国の経済政策からすれば正当な行為であるということが言えるかと思いますが、これを世界的な観点、視点から見れば、いわゆるダンピング、安売り競争と同じように、税金を安くすることによって企業なり資本を誘導するということが行われているという見方もできないわけではないと。  これが、競争が激しくなると、結局は税収が各国とも落ちていくということになりかねないということに気がつき始めているのが現状でございまして、OECDの租税委員会の場あるいは今御指摘のG7の場、さらにはサミット等におきましても、有害な税の競争、税金につきましてはタックスコンペティションという表現あるいはフィスカルダンピングという言葉が既に国際的にでき上がっておりますように、そういったことに対してどう対応していこうかということが議論の対象になってきております。  御指摘のように、まだ結論は出ておりませんし、税制は国それぞれが決めていくものですから、強制的にOECDなりなんなりがこうしなさいと言うわけにもいきません。そういった中で協調をとりながら、税のダンピングが国の存在そのものをおかしくしないようにしていく努力を重ねていこうという動きが今あって、とりあえず一九九八年までに、OECDにおきましてこの問題についての作業の結論なり提言を出していきたいということで、今協調して作業しているというところでございます。
  10. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 答える人が主税局長であるということだけで、グローバルスタンダードに乗ってどんどん国際的に均衡のとれた状態にしなきゃならぬというのはやっぱり基本であるわけでございます。こういう議論をしている中で、総理も指摘されているように、今度の金融改革をやる場合に三つの原則というのですか、フリー、フェア、グローバルというような感覚で問題を取り扱っておられるわけでございます。その均衡ということをよく考えてやっていただきたいということを特に申し添えておきたいと思います。  ところで、今度の外国為替及び外国貿易管理法の規定でございますけれども、先ほど大臣から説明していただいた趣旨はよくわかるわけでございまして、それを受けまして、特にこの管理という二字を取っておるわけでございます。実は、この法案の性格を考え、またずっと通読させていただいてみますと、これは重要な意味を持っておるような気持ちがするわけでございます。  なぜ、その管理という字を取ったかということにつきまして、国際金融局長の方から御説明を願いたいと思います。
  11. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 今回の外為法の自由化は、ほぼ完全自由化というふうに言っても過言ではないというような抜本改正でございます。そういうことで、統制の色彩が非常に強い管理という言葉を引き続き使用するのは適当ではないというふうに考えまして、管理の字を削除したところでございます。  ちなみに、今管理という文字を持っております法律は非常に少なくなっておりまして、食管法も平成七年の十一月に管理という言葉が取れたわけでございます。そういう意味では、管理という字を法律から取るというのは時代の大きな流れだということでもあるかと思っております。
  12. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 後から順次説明を受けていくということにしまして、これからこの法案の中身に従いまして順次質問をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。どうかその過程におきまして、質問にはできるだけ簡潔にお答え願いますとともに、その理由なりあるいは目的なりというようなことにつきまして、あわせて説明していただくことをお願い申し上げたいと思う次第でございます。  そこで、まず法案の質問に入る前に、変わっておるところというのは、その点をとりますと第六条になるわけでございます。第六条には定義がずっと書かれておるわけでございます。その七号のハに、電子機器その他の物に電磁的方法により記録されている金額の情報云々というのが書かれておるわけでございます。これもいずれ政令に書かれるということになっておるわけでございますから、中身も十分詰まっておるというような状況にはないと思うのでございますけれども、私も前に法務大臣の仕事をやったというようなこととの関連から考えまして、ただ単に電気機械で事柄が動くということだけじゃなしに、ペーパーレスの社会になってきておりますから、それにどうしてうまく対応するかというようなことが非常に大きな問題になっていくんではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。  この点について、これは新聞紙上ですから必ずしも十分明らかでないところがあるのかもしれませんけれども、既にこういうことをやることにつきまして電子認証で先行している米国の二つの会社が、もう日本で仕事を始めておるというようなことが新聞に書かれておりますし、また我が国でも日立、富士通、NECの三社が提携して、インターネット上で商業取引をどういうぐあいに整備するかというようなことが取り上げられておるようでございます。電子認証サービスの確立ということが非常に大事なことで、そういうことがないと本当にこの運用は難しいというような感じを私は持っておるわけでございます。  これらの点につきまして、新聞によると、郵政省の方でも何かそういうようなことを検討しておるというようなことが書かれ、法務省でも体制整備が検討されておるというようなことが書いてあるわけでございまして、この点について大蔵省としてはどのような整理を行おうとしておられるのか、その点について御質問したいと思います。
  13. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 実は、外為法そのものが電子マネー全般についてカバーしているということではございませんで、第六条の七のハで今回追加したのは、支払い手段として電子マネーを位置づけたということでございます。  電子マネーの進展が非常に激しゅうございますので、私どもが念頭に置いておりますのはいわゆる貯蔵型の電子マネーということで、こういうカード型で、実際にその中に預金口座にあるお金を移して、物理的に持ち出すあるいは持ち込むというようなことを想定いたしておりまして、税関を通るときにそういうものを事前に届け出をしていただこうということになっておりますので、その届け出をしていただく支払い手段の中に電子マネーを追加したということでございます。  ただ、来年施行するときにはまだ電子マネーの展開がそこまで行っておらないというふうに考えておりますので、当面政令で特に何か定める必要はないと思っておりますけれども、今後の電子マネーの進展を念頭に置きまして、支払い手段の定義の中に電子マネーを加えたということでございます。
  14. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 国際金融局長からの説明はわかったわけでございますが、銀行局長はこの点についてどう考えておりますか。
  15. 山口公生

    ○政府委員(山口公生君) 今、先生の御指摘の電子マネーの問題は、各国ともまだ試行段階と言ってもいい状況でございます。ただ、最近の目覚ましい技術進歩によりまして、それが急速な展開を遂げつつあるということも事実でございます。  したがって、今先生のおっしゃった商取引の電子化ということに加えまして、私ども大蔵省としましては、通貨としての電子マネーという点につきましてはいろいろ問題意識を持っておりまして、学者の先生に参加いただきまして、実務家も加えて省内に検討会を開いております。  そこにおきましては、やはりマネーである性格上、それが安全確実で、また国民の信頼を得なきゃいけないということでございますし、またこれが国民にまだまだなじみがないということでいろいろな危険性等の懸念がございます。それをどう払拭するか、あるいは発行体をどうするのか、トラブルが起きたときにどうするのか、また法的な整備まで必要とするのかどうか、そういうことも非常に難しいものでございますが、民間での活動をある意味ではサポートするという意味でも、私どもとしても早くインフラ整備といいましょうか、法的な面も含めて検討を今進めておるというところでございます。
  16. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 それでは次に、第七条の問題でございます。  第七条は、「本邦通貨の基準外国為替相場及び外国通貨の本邦通貨に対する裁定外国為替相場」と、従来も定めておるものをその上に持ってきたということだと思うんですが、旧法の第七条はどちらかというと固定相場による取引というようなことが書かれておるので、そういう事項を排除して、従来の取引の中からその二つのものを持ち上げてきている。  さらに第三項で、「大蔵大臣は、対外支払手段の売買等所要の措置を講ずることにより、本邦通貨の外国為替相場の安定に努めるものとする。」、従来とも基本的にはそういう考え方で来ておられるんだろうというふうに思うのでございますが、特にこの三項を立てておるというのが非常にこの条文で変わった点だろうというふうに思います。  そこで、第七条の一、二のところについて、現在の取り扱いはどういうことになっておるのか。それから、それがどういう目的で使われておるのかということを、お答えいただきたいと思います。
  17. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 御指摘のように、旧法は若干固定相場制を念頭に置いていたということがございます。  変動相場制のもとでは、為替レートというのは時々刻々市場で決まるものでございます。ただ、時々刻々市場で決まるわけでございますけれども、私ども、予算とかあるいは対外取引に使う証書に印紙等を張るときに何かの為替レートを使わなければいけないわけでございます。ですから、その為替レートをドルと円のレートについては基準外国為替相場、それからドル以外の通貨と円については裁定外国為替相場と私ども言っておりまして、基本的には過去六カ月の平均の相場を基準外国為替相場、裁定外国為替相場というふうに定めておりまして、このレートを予算あるいは印紙税等のときに使う、こういうことでございます。  また、第三項でございますけれども、第三項は今回新たに追加した項目でございます。これは、従来から為替介入については政府が一元的に行うということになっておりまして、今回でも日銀法改正との関係で、中央銀行研究会等の結論でも、為替介入については一元的に政府がやるんだという結論が出ております。それを受けまして、第三項で大蔵大臣が為替の安定に努力をするという努力規定を入れたところでございまして、特にこの規定によって現状が変更されるというものではございません。現状をそういう形で追認をしたということでございます。
  18. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 我々が見るところによりますと、今回の日銀法の改正の中で、同法の第二条で、「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。」というふうに書かれておるわけでございます。今の説明で趣旨はわかりますが、いずれこれは後の問題のところでさらに議論をするということにいたしまして、とどめておきたいというふうに思っております。  ただ、大蔵大臣が為替相場の問題につきまして、ここにありますように、売買等所要の措置を講ずることにより本邦通貨の安定を期するという、責任を担うということになるわけでございます。議院内閣制でございますから、それを受けまして政府がその実施をされるわけであると思うのでございまして、それは十二分にわかるわけですが、なかなかこれは大変な仕事であるというふうに私は思うのでございます。  どうもこの改正に伴いまして、そういう為替がどういうぐあいになっていくんだろうかというようなことについて、細かい議論は後にするとしまして、今度の改正によって政治、経済、社会のいろんな問題について金融のシステム改善というものが行われていくときに、ペシミスティック、悲観的な見方が非常に多いようであるわけでございます。  もちろん、私はそれに対しまして別の感覚を持っておりまして、日本は戦後、非常に経済成長を経て今日まで来て、それが大きな曲がり角に来ておるわけでございますけれども、非常に高い所得水準を現に確保しておりますし、格差の小さな中産階級国家というものをつくり上げてきております。また、製造業を中心とする高い生産性というものもある程度確保しております。もちろん、その反面に非常に生産性の上がってない分野のあることも事実でありますけれども、そういうことでございます。また、非常に高い貯蓄率を持っております。また、低い失業率であります。  最後に触れたいのは、大幅な国際収支の黒字というものを、これはもう先進国の中では唯一と言っていいぐらいの状態で持っておるというような状況になっておるわけでございます。  そこで、今回の外国為替及び外国貿易法の改正で、この点は沈んだものを上に書いただけだという説明で十分わかるような気持ちもするんですけれども、わざわざこう書き上げられてみますと非常に気になるところでもあろうかというふうに思うのでございます。  なぜ私、そういうことを言うかといいますと、世界の基軸通貨としての米ドルが中心でアメリカの経済は運用をされておるわけでございますが、アメリカは一九八一年当時は六百億ドル程度の対外債務の超過国であったわけでございます。ところが、現時点になってみますと一九九七年には一兆ドル近い対外債務国に転化をしておるというような状況になっておる。その間わずか十五年のことであります。もちろん、その十五年が実現する前に、前々からいろんな問題があったんだろうと思いますけれども、そういう事態が生じてきておるわけでございます。  また、三百六十円であったものが現在のような状況になってきておるわけでございます。もちろん、現在の状況になる前には八十円までいきましてまたそれがもとへ戻ってきておるという激しい変化というのがあった。それはなかなか大変なことだというふうに思うのでございます。そういうことから考えますと、一つはその期間における我が国の、当時八一年ぐらいはまだ債務超過国じゃなかったかというふうに私は思うんですが、現在どういうような状態になっているかということ。  それからもう一つは、そういう激しい状態でございますから、今後これらの問題をどういうぐあいに運用していくかというのが、非常に私は大事な問題だと。榊原国際金融局長も、非常にその道の通であるというふうに新聞では少なくとも報道されておるわけでございますけれども、実力のほどは私はよく知りません。知りませんけれども、そういうことになっておりますので、これは政治的な判断が一つ必要なのではないかというふうに思うのでございます。  これらの点について、どういうふうにお考えでございますか。まず、数字を挙げて説明をお願いします。
  19. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 現在の我が国の対外純資産残高は年々増加しておりまして、平成七年度末には前年度に比べ約十兆円ほど増加いたしまして、約七十七兆円ということになっております。我が国の経常収支、このところ減少傾向にはございますけれども、引き続き黒字を維持しているところでございます。そういうことで、我が国の対外純資産は今後とも、少なくともしばらくの間は増加を続けていくだろう、そういうふうに思っております。  もちろん、二十一世紀に入って十年先、二十年先、これはいろいろな経済学者が予測をしておりますけれども、経常収支の黒字が次第にマイナスになっていくというような局面も予想され得るところでございますけれども、当面のところ我が国の対外資産残高が大きく減少するというような状況にはございません。  また、ちなみに我が国の経常収支の黒字の中で、現在大宗を占めておりますのは所得収支というものでございまして、実は貿易サービス収支というのは経常収支一・四%ある中の〇・五%でございまして、一・四%の中の一・二%は所得収支でございまして、むしろ資産を保有することに伴う利子あるいは配当ということでございまして、非常に大きな資産を持っておりますとその所得収支でまた資産がふえる、そういう効果も実際あるわけでございますから、私どもといたしましては、しばらくの間は日本の対外資産の残高は増加していくのだろう、そういうふうに考えております。
  20. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 実は、もっと議論をしたいところがたくさんあるわけでございます。  例えば、我が国の外貨準備高が二千百九十三億五千七百万ドルというのは最近の数字でも出ておるわけでございます。過去ずっと数字を追ってみますと、順々にふえてきているというような姿になっておるわけですね。こういう形でいつまでもいくのがいいのか悪いのか、これも少しは政治的な判断の問題だろうというふうに思っております。  これらの問題については、時間に余裕ができましたら触れるということにいたしまして、第七条の問題についてはそういう問題点があるということだけを指摘しまして、先に進ませていただきたいというふうに思うのでございます。  そこで、その次に大きな問題は、外国為替公認銀行及び両替商についての第十条の規定から十五条までの規定が廃止をされるということになっておるわけでございます。これは、外国為替公認銀行の認可制度あるいは両替制度の認可制度というものを全くなくして自由化をしていこうというようなことでございまして、これに伴いまして外国為替業務の自由化が思い切って進んでいくというような状況になり、これに伴うところのいろんな規制緩和あるいは事前の許可認可の制度が廃止をされるというようなことになっておるわけでございます。  こういう十条から十五条まで廃止をされるということは、結果的には外国為替の場合は銀行以外の者が自由に行うことができるというようなことになったり、あるいは後の条文との絡みもありますけれども、二十二条のことまであわせますと、証券会社の窓口でスワップ等の取引が自由にできるということになっていくというような大きな問題を抱えておって、非常に重要な改正である。ただ、考えてみますと、法案としては十条から十五条までなくなるものですから、まことに寂しい感じを抱くわけでございますが、その反面、非常に大胆な措置がここに講じられておるんだと私は思うのでございます。  その趣旨につきまして、国際金融局長の方から御説明を願いたいと思います。
  21. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 旧外為法は、通貨、クロスカレンシーと呼んでおりますけれども、通貨を超える取引については原則として公認外国為替銀行を通してやれという規制があったわけでございます。  ただ、日本がこれだけの経済大国になり、円の地位というものも上がってまいりますと、通貨を超える取引を規制する意味がどの程度あるのかと。通貨主権というような言葉がございますけれども、これだけの経済になったときに、そういう通貨を超える取引を規制して通貨主権を守る必要があるかどうかという、そういう議論があるわけでございまして、欧米先進国でも通貨を超える取引、外国為替取引については基本的に自由になっているということでございまして、むしろこれを基本的に自由にして、制度を全面的に廃止するということで、恐らく今回の改正の議論の中では一番大きな議論があったところでございます。  為銀の廃止、指定証券会社の廃止あるいは両替商の廃止ということで、基本的に業法としての性格を外為法から完全になくしてしまう、そういう決断でございまして、これはやはり今の状況からいえば妥当なことではないかと。それからまた、そのことによって、企業なり消費者なり投資家が得るメリットというのは非常に大きいだろうというふうに思っております。  当然のことながら、銀行以外の者が外為業務をやることができるようになる。例えば、スーパーマーケット等で外貨の交換ができるようになる。このことによって相当コストが下がるだろう、あるいは企業同士が外為の取引をするということによって企業のコストが相当下がるだろう、そういうことで今回の改正に踏み切ったわけでございます。
  22. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 今、両替の問題も含めて御説明があったわけでございますが、私は、条文がなくなることによって相当やっぱり思い切った改正が行われるということになっておるんだと思うんです。  そこで、その次の問題は、第十六条のところに移りたいと思うのでございます。  第十六条の規定は、全部自由化をされていくわけでございますけれども、その反面、国として国際収支の均衡や国際的な要請あるいは政治的な有事に対処して、経済制裁等をより効率的に実施していくということのために、何らかやっぱり事前の許可制度というものを残さなきゃいけないというような考え方で設けられて、それが新法の十六条の規定になっておるんだろうというふうに思うのでございます。  そこで、条文を読みますと、新法の十六条の第一項の中で「我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき、又は国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるとき」という項目、そういうときには許可をかけることができるということになっており、これは旧法の十六条の二項の「主務大臣は、我が国が締結した条約その他の国際約束の誠実な履行のため必要があると認めるとき」ということを上に持ってきて二つの要件に整理をした形になっておるのではないかというふうに思うのでございます。これと関連しまして、六十九条の四に外務大臣との協議というようなことも掲げられておるわけでございますが、ともかくこの主務大臣すなわち大蔵大臣はこういうようなことにつきまして判断をする必要があるというふうに思うんです。  従来、旧法の二項の経済制裁等いわゆる政治的有事に際して行うところの許可制度の発動というのは、国連の安保理事会の議決があったときということに非常に限定して運用をしていたというふうに私は聞いておるわけでございます。今度それを内閣の責任の中でそういう整理を行うというようなことになり、それに絡んで外務大臣の意見を聞きその調整をする、最終的には内閣決定になるんではないかというふうに思うんですが、そういう整理をされておるんだろうと思う。しかも、非常に限定をされた形でそれが書かれておると。それから二項の方は、従来旧法の十六条の中の「我が国の国際収支の均衡を維持するため特に必要がある」というのを二項に持っていき、また「この法律又はこの法律に基づく命令の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるとき」というのを三項に持ってきておる、こういう整理になっておると思うのでございます。  この条文、こういうぐあいの整理をされた理由と、特に従来この問題を扱ってきた経緯等の絡みについてどういうぐあいにお考えになるのか、御答弁願いたいと思います。
  23. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 実は、経済制裁というのは頻繁に発動されておる行為でございまして、現在でもイラクあるいはリビア等に経済制裁は発動しておる状態になっておるわけでございます。  御指摘のように、今まで旧法でございますと国際的な約束、国際的な約束の解釈というのは条約または安保理等の決議という解釈でございまして、安保理の決議がなければ経済制裁が実施できないと、逆に言うとそういうこと、政治的な理由によって経済制裁が実施できないということだったわけでございます。  実際、あの湾岸のときに、実はイラクが侵略をした直後に先進諸国はすべて経済制裁を実施したわけでございますけれども、我が国はそれに一週間おくれたというようなことがございます。というのは、安保理の決議が一週間なかったということでございまして、先進国等と協調して経済制裁を実施しますときは、一カ国がおくれるというのは大変致命的な問題になるわけでございます。その国の金融機関なり銀行を通してお金が逃げることができるということでございまして、湾岸のときには私どもはどうも法律的な整備をしなきゃいけないなというような意識を強く持っていたわけでございますけれども、今回の改正に際して、国際平和のための国際的努力に我が国として資することができるというふうに考えられるときには政治的な理由で経済制裁は発動できるというふうにいたしたわけでございます。  これは、当然主務大臣たる大蔵大臣、通産大臣が外務大臣と意見を交換しながら、最終的には閣議決定、閣議了解ということで内閣の責任において決めるということでございますけれども、そういうことで、必ずしも安保理の決議がなくても経済制裁ができるということが私どもとして非常に重要だというふうに考えております。
  24. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 そういう考え方で、自由化をどんどん進めていく反面、どうしても政府の責任において決着をつけなきゃならないような問題につきましては、的確な運用を図るようにしていかなければいけないというふうに思っておるわけでございます。  続いては、十六条の二という規定があります。これは再犯防止のための規定であるというふうに思っておりまして、従来こういう規定がどこにあったのかよくわかりませんけれども、そういうことが入っております。あとこれに関連して調べてみますと、この十六条の二以外に、資本取引について二十一条の第一項、あるいは特定資本取引について二十四条の第一項、それから役務取引等について二十五条の第四項、いずれもこれらにつきましてはこういう規定を設けられるというようなことになっておるようでございますが、その趣旨について簡単に御説明願いたいと思います。
  25. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 今回の法律は、原則的に自由ということでございますけれども、経済制裁等の有事の場合には許可制度ということになるわけでございまして、その許可状況になったときに、銀行等がその状況をしっかり確認して、そういうものが執行されているかどうかということをチェックしなければいけないということでございまして、そういうことの確認義務を法律の中に明定しておくということで経済制裁の実効性を期する、こういうことでございます。
  26. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 次に、そうなりますと、第十七条の規定にいくわけでございます。  十七条の規定は、こういう許可を受けた場合にそれの扱いをどうするかということを規定するわけでございますが、旧法の第十七条の規定は、居住者は、勘定の貸記または借記による方法その他政令で定める方法により、居住者と非居住者との間の取引または行為に係る債権債務の決済のため支払いをしようとするときは主務大臣の許可を得なきゃならぬ、こう書いてあった。この規定が今度廃止をされておるわけでございます。これは銀行等を通じない特殊な支払い法、すなわち相殺とかマルチネッティングというような仕事をやっていくことに絡む問題の自由化の話につながっていくんだろうというふうに思いますが、そう認識してよろしゅうございますか。
  27. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) お答えいたします。  この十七条は、我々がいわゆる特殊決済というふうに呼んでいたものでございまして、原則として旧法では外為取引は外為銀行を一本ずつ通じてやるというのが原則になっておりまして、銀行を一本ずつ通じてやらないものについては勘定の貸借記その他特殊な方法ということで大蔵大臣の承認が必要だということだったわけでございますけれども、今回、先ほど申し上げましたように、公認外国為替銀行制度というのを廃止いたしまして、その銀行を一本ずつ通さなければいけないという原則をとりましたので、これは商社なりあるいは企業なりあるいは個人なりが相殺その他の方法で最後のしりだけを銀行で決済する、そういう形のものを認めたわけでございまして、今回の自由化措置の中の一つの大きな柱だというふうに考えております。
  28. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 この十七条の第二項に、「前項の規定は、郵政官署が郵便為替業務又は郵便振替業務において行うその顧客の支払等に係る為替取引について準用する。」という規定が入っておる。従来はこの規定はなかったんですが、実質上そういう仕事をやっていなかったというのか、あるいは少々あったのかよく知りませんが、この規定を特に入れられた理由はどういうところにありますか。
  29. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、今回の外為法改正によって外為法は業法としての性格を一変いたしたわけでございます。つまり、外為法というのは為銀を監督する、あるいは指定証券会社を監督する、そういう業法としての性格があったわけでございますけれども、今回は、そういうことで制度そのものを廃止いたしましたので、むしろ純粋に取引に関する法律ということになったわけでございます。  ですから、従来の郵政官署はそういう取引を若干しておりましたけれども、今回はその取引に着目して、銀行だけではなくて郵政官署も同じように義務を負う、そういう規定を設けたわけでございます。
  30. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 趣旨はわかりました。  そこで、次は十八条の関係でございます。十八条あるいは十九条にまたがることになるかと思うのでございますけれども、これは顧客の真偽を確認する、いわゆる本人確認のマネーロンダリングに絡む問題であろうというふうに思うのでございます。  第十九条の一項がそれに該当しておると思うんですけれども、これらについては現実的にマネーロンダリングが行われていることは事実であるわけでございますが、これをここに特に掲げてあるわけですが、今までの実施状況等はどういうぐあいになって、本当に的確に行われているのかどうか、お聞きしたいと思うんです。
  31. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 現在までのところも通達で本人確認義務というのがございまして、今回法律に明定したわけでございますけれども、大きく本人確認義務がこの法律で変わるということではございません。  ただ、本人確認義務がどのくらい正確に行われているかということでございますけれども、むしろこの本人確認義務というのは何か犯罪、マネーロンダリング等が行われたときにそれをそちらの側から追及していく、そういう一つの役割を担っているんだと思います。銀行の窓口で一つずつ犯罪を阻止するということが必ずしもできるわけではございませんので、こういう義務を法律によって課すことによって実際の犯罪の追及、マネーロンダリングの追及を容易にする、そういう意図を持った規定だというふうに御理解いただきたいと思います。
  32. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 ただいまの答弁によって、やはりこういうことはきちっと法律に書いた方が私は非常にいいことだと思うものですから、ぜひそういう点について、自由化されるものは自由化し、しかし問題のあるところについてはこういうマネーロンダリングのような手当てをしていくということは非常に大切なことであるというふうに思うのでございます。  ところで、第十九条の二項でございますけれども、これもマネーロンダリングに絡んでくる問題であろうと思うのでございますが、同条第三項の規定はどうも税関等に出入りをする、そういう人の場合に事前のいろいろな届け出を求める制度を新設しようという趣旨ではないかというふうに思っておるわけでございます。これらの問題につきましては、金額の多寡その他のいろいろな問題点もあるのかもしれませんが、どういうぐあいにお考えになっておられるのか、お答え願いたいと思います。
  33. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 旧法では現金、支払い手段の持ち出しについては、五百万円以上の円の持ち出しについては許可であったわけでございますけれども、外貨についての持ち出しについては規制がございませんでした。それから、持ち込みについては全く規制がございませんでした。これは欧米等の例では、持ち出し、持ち込みとも外貨、邦貨の関係なく税関に事前申告を要求している場合が多うございます。  例えばアメリカの例をとりますと、一万ドル以上現金を持っていくときには税関に申告あるいは持ち出すときには税関に申告ということになっておりますので、今回この十九条の第三項で税関に対しての支払い手段の持ち出しについて事前の申告をしていただくということにしたいというふうに思っております。  金額については、まだ最終的に決定しているわけではございませんけれども、欧米等の例をとりますと大体百万円ぐらいがその妥当なところかなというふうに考えられているところでございます。
  34. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 ところで、旧法の十九条というのは全くなくなっておるんですが、その内容を読んでみますともう現実的に意味がなくなったから削除されたんだろうというふうに思いますが、そういうふうに理解していいかどうかということをお伺いします。
  35. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) そのとおりでございます。
  36. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 そこで、資本取引関係のところに入りたいと思いますが、それにつきまして主な改正は第二十一条の改正であるというふうに思うのでございます。  「大蔵大臣は、居住者又は非居住者による資本取引が何らの制限なしに行われた場合には、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行することを妨げ、又は国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与することを妨げることとなる事態を生じ、この法律の目的を達成することが困難になると認めるときは、」許可を受けることが必要だというふうに書かれておるわけでございます。  そこで、自由な資本取引について、第二十一条第一項の今特に読み上げた箇所の場合に非常に限定をして事柄を書いておられます。すなわち「我が国が締結した」云々という項目ですね、それに限定をした形になっておるというようなこと。それから、第二項に掲げられている項目、これにつきましては旧法の規定をそのまま上に上げて規定をしておるわけでございますけれども、これらの規定によりまして非常に許可するときの条件を限定するような形になって思い切った自由化の拡大整備が行われておるというふうに思うのでございます。  そこで、この改正が国民生活及び企業活動に与える影響について、例えばこれは海外預金の自由化ができるとか、あるいは対外貸借の自由化ができるとか居住者間の外貨建ての取引が自由になるとか、そういうようなことにも実は絡んでくる問題で、一般の場合にはこれらの許可条件というのはほとんど動いてこないというようなことになるのではないかというふうに思うんですが、その内容はそのように理解してよろしゅうございますか。
  37. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 今、御指摘のとおり、いわゆる有事規制、経済的有事あるいは政治的有事を省いては基本的に資本取引が原則自由になると、こういうことでございまして、例えば直接投資等につきましても若干の例外はございます。武器、麻薬、漁業あるいは皮革という例外はございますけれども、そのほかはすべて自由になるということでございますから相当やはり企業活動が自由化されるということ、それから個人につきましても海外に預金口座を持つ、あるいは海外の証券会社を使って証券の取引をする、こういうことが自由になるわけでございまして、国民生活あるいは企業活動に自由化を通して相当の活力を与えるものだというふうに私どもは考えております。
  38. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 そこで、旧法の二十二条に規定をしていた、二十二条が廃止をされたわけでございまして、それに関連してその中で規定をされておる特別国際金融取引、すなわちオフショア勘定の話だと思うんですが、それが二十一条の規定の中に第三項として掲げられてきておるというような経緯になっておるわけでございます。もちろん、オフショア勘定につきましては国内金融市場と一応遮断をした形で金利規制あるいは預金保険、準備金等の対象にはなっておりませんし、居住者に帰属するところの利子等についても源泉徴収を免れるというような取引であろうというふうに思っておるわけでございます。  それを、そっくりその項へ持ってきたのはよろしいんですが、ここで特に、三項の三に「前条第五号に掲げる資本取引のうち、非居住者が発行する証券の非居住者からの取得又は非居住者に対する譲渡」、すなわち非居住者が発行する証券の売買等について、それをここに特に掲げるというようなことになったんだろうと思うんですが、その理由はどういうところにありますか。
  39. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) お答えいたします。  いわゆるオフショア勘定についてでございますけれども、従来、御指摘のように、外からお金を預かり、預金を預かり、これを外で運用する、貸し出すということ、それについては源泉徴収あるいは預金保険、さまざまな義務の免除ということが行われていたわけでございます。ただ、従来は若干業際問題というふうなことがございまして、証券の取得については規定をしていなかった、つまり銀行業務、いわゆる貸し出しということだけに限られていたのを、今回証券の取得、譲渡というのをこれに加えて、オフショア業務の活性化というものにつなげたいということでございます。
  40. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 その条項が済みますと、次は第二十二条の関係に移るわけでございます。  旧法の二十二条は指定証券会社の項目でございまして、これはいろんな意味で証券関係の取引をやる場合の、ちょうど外為の、既に廃止された法律との絡みでこれも廃止をするということになって、自由化が非常に進むというようなことになるわけでございます。  その点につきましては、結局この指定証券会社制度の廃止に伴いまして、クロスボーダーの証券取引等の自由化が推進をされるということになり、そのことが国民の生活なりあるいは企業の活動に与える影響というのは非常に大きいと思うんです。例えば、国内の投資家がニューヨークやロンドンの証券会社や銀行から債券や株式を自由に買うことができると。また、非居住者が国内で債券を発行する場合、通常サムライ債とかあるいはショーグン債とかなんというようなことを言われるわけでございますが、この居住者が海外で発行しておる例えば外債であるとかユーロ債にも事前の許可制度なしに自由に行われるというような、相当この証券関係について大幅な改正が行われておるというふうに理解をしておるわけでございますが、そういうぐあいにこの二十二条の改正、廃止を受けとめてよろしゅうございますか。
  41. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 御指摘のとおりでございます。大幅な対外取引の自由化ということでございます。
  42. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 時間を見ながらやっているものですから、少し飛ばすような形になるかと思うんですが、次は、第二十三条の「対外直接投資」のところでございます。  この対外直接投資について、大蔵大臣が内容の変更または中止を勧告することができる場合の要件がこの中にいろいろ規定をされておるということになっておると思うのでございまして、特にその第四項で、大蔵大臣は、「次に掲げるいずれかの事態を生じ、この法律の目的を達成することが困難になると認められるときに限り、」ということになっておるわけです。しかもそれは、「我が国経済の円滑な運営に著しい悪影響を及ぼすことになること。」、それから二番目、「国際的な平和及び安全を損ない、又は公の秩序の維持を妨げることになる」場合。廃止されるまでの旧法第二十三条には四項目が掲げられておったわけでございますが、そのうちの一、二項目については実は今度の大改正で国際金融関係の業務が全部自由化されるということに関連して、これが落ちて三号、四号に掲げるものがそれに上がってきておると。しかも、その内容は、今ここに掲げられたようなことに整理をされていると思いますが、そういうぐあいに理解してよろしゅうございますか。
  43. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 御指摘のとおりでございます。
  44. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 ありがとうございました。  そこで私は、ちょっと時間の関係もありますので、ここは二、三聞きたいところがありますけれども飛ばしまして、時間的な余裕があったらまたそこで答弁を求めるということにいたしまして、その次に、「通商産業大臣の許可を受ける義務を課する特定資本取引」というのがあります。通産省、お見えですね。  その第二十四条になるわけでございます。これも、従来からあった規定を上に上げてきた場合で、この有事の際のいろんな手当ての問題、すなわち、「我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行することを妨げ、又は国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与することを妨げることとなる事態を生じ、この法律の目的を達成することが困難になる」、要するに、いろんなことがありますけれども、通産大臣の所管のいろんな事項についてそういう規定が書かれておって、しかもそれが限定的に書かれておるということに相なっておるわけでございます。  そうした場合に、これ読んでみますと、なかなかよくわからないところがありまして、第二十四条は、「通商産業大臣は、居住者による特定資本取引のうち、貨物を輸出し、又は輸入する者が貨物の輸出又は輸入に直接伴ってする取引又は行為として政令で定めるもの」というふうなことが書いてあるわけです。どうも私も年をとって頭が悪くなっているのか、よくわからない中身になっておるように思うのでございます。  だんだん自由化をしていこうというような傾向にあるわけでございまして、縦割り行政で通産省は通産省のいろんな立場もあるのかもしれませんけれども、この中身、これは政令をきちっと読めばよくわかるし、またどういう事例を想定をし、それが件数的にどういう状況になっているのかということを理解してもらわないと、どうも私はもっとこの辺のところは簡易に直していかなけりゃおかしいんじゃないかというふうに思うんですが、通産省にお伺いします。
  45. 伊佐山建志

    ○政府委員(伊佐山建志君) 先生御指摘のとおり、若干すっと理解できないような文言になっておりますが、具体的に申し上げますと、資本取引のうちに輸出入等に直接伴う貸し付けや保証であって、例えば鉱石の輸入契約の相手方に鉱山の開発費を貸し付け、その貸付債権と輸入される鉱石の輸入代金の金額を相殺する取り決め、我々の言葉で融資買鉱と言っておりますけれども、そういうことが想定されているものでございまして、これがこれまで事前届け出を原則といたしまして、その上で審査するという運用をいたしてまいりました。  今回の改正によりまして、こういう取引を法技術上特定資本取引というふうに定義させていただきまして、これにつきましては、政令上も極めて必要な範囲に限定いたしました上で、事前の届け出制を事後報告制に移行して、いわゆる経済制裁等の国際的要請といったようなときにのみ規制をするというふうにしたものが、この改正の実態的な内容でございます。
  46. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 僕は、特に聞いておったんですが、それじゃ具体的にそういうことのケースとして、件数はどれだけあるのかというようなことについて、御説明がいただけたらしていただきたいし、それによってこの判断が違ってくるんじゃないかというふうに思いますので、よろしくお願いします。
  47. 伊佐山建志

    ○政府委員(伊佐山建志君) 平成八年度の実績で申し上げますと、年間十六件ございました。ほとんどのものが、先ほど申しましたような鉄鉱石の融資買鉱という形のものでございます。
  48. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 そういう事業をやるということになると、大企業の場合が大部分だと思いますので、その辺のところにつきましては今後よく研究をしていただきたいと思うんです。  少し後先になるんですけれども、その前の条文の説明を受けたときに、二十三条の四項ですか、やっているときに、これらの対象になるようなものとして、例えば漁業であるとか、あるいは皮革であるとか、それから繊維であるとか、武器、麻薬というようなものについてはいろんな意味で規制をしなきゃならぬということはわかるような気持ちもするわけでございますが、これらの相当部分については、やっぱり整理するものは整理をするというようなこと、それから、今まで事前のいろんな届け出になっているものを事後報告に変えるとかいうようなことについて整理をしていただくことを特にお願いしたいと思います。特に、通産省所管でないこともありますし、また、この漁業等については特殊な理由があるということも知らないで質問しているわけじゃありませんけれども、よろしくひとつ御検討を願いたいと思います。  そこで、二十四条まで一応質問をしたわけでございますが、それと関連しまして、二十五条は役務取引等についていろいろ書かれておるわけでございます。これらの内容等につきましては、それぞれその考え方、従前に質問したところに沿っての改正が行われておるんだろうというふうに思うのでございまして、例えば二十五条の第四項の規定というのはその前の規定と全く趣旨が同じく規定をされておるので、そういうぐあいに理解をしてよろしゅうございますか。
  49. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) それで結構でございます。
  50. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 ありがとうございました。  それでは、だんだん進みまして、二十八条の規定は技術導入に関することでございますが、この規定は上へ上がっただけだというようなことで省略をさせていただきたいと思います。  それから、旧法の四十九条、五十条は削除をされておるわけでございますが、どうも中を調べてみますとほとんどその意味がなくなってきておるというような性格のものであろうと思いますが、そういう趣旨のものとして理解してよろしゅうございますか。
  51. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) そのとおりでございます。
  52. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 そこで、どんどんそういうぐあいに整理をしてきたわけでございますけれども、どんどん事前の規制緩和、許可制度等々が排除をされてきたわけでございます。  そこで、第六章の二に「報告等」というのがあって、従来事前でやってきたようなものをいろいろ整理するという意味でこの項目が設けられておるんだろうと思うんです。  先日承りました提案理由の説明の中で述べられておるとおり、その四で、「国際収支統計の作成、市場動向の的確な把握等を行うため、資本取引等に関する効率的かつ実効性のある事後報告制度を整備する」ということを言われておられるわけでございまして、それに関連して、この報告が事後報告の形で規定をされておる。取り扱う人はもちろん報告の義務が生ずるわけでございますが、金融機関等を通じる場合等は、この手続をうまく省略するというようなことで大分工夫をしてあるように私は受けとめておるわけでございます。  しかし、今申し上げた提案理由の説明にありましたような理由はよくわかるわけでございますが、こういう自由化をどんどん進めていきますと、反面それに伴っていろんな関連の問題が出てくる。特に資料、情報等の整理というようなことが非常に大事な役割を占めてくるようになっていくだろうと思うのでございます。  ビッグバンの改正の中で、先ほどもちょっと触れましたけれども、フリーであり、フェアであり、グローバルである。どこまでもグローバルで全体的な取引というものが円滑に動くような、そういう処理をしていくということはもちろん必要であります。それから、できるだけ自由化をしていくことが必要であろうと思いますけれども、反面公平にフェアに事柄が処理をされるということが、この制度の改正自体の存立をかける問題になるのではないかというふうに私たちは思うのでございます。  かつまた、この問題につきまして、例えば一部の方から、こういう問題についての整理をしっかりやってもらわないといろいろ今後の作業を立てていく場合に、税務その他の問題も出てくるかもしれないというようなことが指摘をされておるわけでございます。この点につきまして、国際金融局長から御説明を願います。
  53. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 御指摘のとおり、今回の外為法の改正によりまして、事後報告制度のもとでほとんどの対外取引が自由に行われるようになったわけでございまして、その事後報告制度のすそ野が非常に広がったということが言えるわけでございます。  ただ、こういう事後報告制度がきちっと守られるということの最低限の保障といたしまして罰則規定を設けてございまして、その罰則規定はやはり法律にのっとって厳正に適用しなければならないというふうに思っております。過去、いろいろ金融不祥事などで対外的には日本の企業等が報告義務違反については割にルーズだというふうな指摘を受けているところでございますので、報告義務違反については当然法律の範囲内でございますけれども、これを厳正に適用したいというふうに考えております。
  54. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 そういう趣旨は、例えば五十五条の九のところには、対外の貸借及び国際収支に関することというのは、別建てで書かれているようなことは別にしまして、今申し上げたことをぜひ的確に実施していただきたいと思います。  そこで、どんどん進みまして、残っているところは余りありませんけれども、立入検査が、第六十八条に「主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、当該職員をして、外国為替」云々のときに検査をさせることができる、こういう規定が入っておるわけでございます。  これは外為法の検査でございますし、その所掌をどうするかというようないろんな問題があるように思います。しかも、これはただ単に金融機関だけを相手にするわけじゃなしに、一般の取引をされる人も含めての検査というようなことになっていくんだろうと思うんです。したがって、この検査の性格は、少し何というか今度できる金融検査監督庁の設置の話とはずれた話であろうと思うし、そういう整理が行われておるんではないかというふうに思いますが、そういうぐあいに理解してよろしゅうございますか。
  55. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 御指摘のとおりでございまして、今回の法律改正によりまして、外為法は業法としての性格を事実上失っております。ですから、銀行の外為業務の健全性の検査ということは外為法でも行わないということでございまして、銀行法上あるいは証取法上の検査というのは当然あるわけでございますけれども、銀行の業務に関してその健全性を問うような検査というのはなくなるわけでございます。  ただ、経済制裁を行うときには許可制というのを発動するわけでございますから、この許可制が守られているかどうかというのは、何らかの形で担保をしなきゃいけないということでございまして、その担保のための検査という権限は残しておくと、こういうことでございます。ですから、これはいわゆる検査監督庁等がやります銀行、金融機関の健全性の検査ということとは全く性格の異なったものでございまして、外為法のもとでそういう許可制が守られているかどうかの担保をするための検査と、そういうことでございます。
  56. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 どんどん進みまして、電子情報の関係についてはさっき質問をしておりますので、六十九条の二を飛ばすことにいたしたいと思います。六十九条の四のところに行きますと、先ほど申し上げたように、外務大臣との協議というようなことが書かれておりますけれども、これについてもさっき質問をしたので省略をさせていただきます。  そこで、最後に残るのは罰則のところでございます。この第七十条「次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」、ここだけ聞いていると大した中身じゃないように思うんですけれども、「ただし、当該違反行為の目的物の価格の三倍が百万円を超えるときは、罰金は、当該価格の三倍」だと、こう書いてありますから、相当きつい処分になるんだろうと思うんです。  最後に、時間がありませんから打ち切りたいと思うし、関連のことについてはまた他の機会にやらせていただくものとして、私は、こういう自由化がどんどん進んでいくということになれば、そのこと自体は非常に結構なことだと。ただ、自由化の反面、それについてのいろんな責任問題というのはできてくるんだろうと思うのでございます。それは、ただ単に従来の機関投資家等の問題だけではなしに、これをめぐって新たな展開を来年四月から遂げられていくわけですが、個人もいろんな意味でそのかかわりを持つというようなことも非常に多くなっていくのではないかというふうに思いますごそういう意味では、こういうものを運用するときに、ルールだけはできるだけ確実につくって、そのルールをどう維持していくかということを考えて、そのための方策を続けていく、維持していくことが非常に大切なことでないかというふうに思っておるわけでございます。  その点を特に申し上げ、次の機会にまた御質問をさせていただくことにいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  57. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 平成会の荒木清寛です。  まず、本法の質疑に入る前に、金融制度改革とも関連をいたしますので、一点お尋ねをいたします。  四月二十五日に、日産生命保険相互会社に対しまして大臣から業務停止命令が発令をされました。そこで、大蔵大臣にまずお尋ねしますが、このように生命保険会社として戦後初めて経営破綻を来してしまったということにつきまして、監督官庁である大蔵省の責任があるのかないのか、この点の御見解をお伺いします。
  58. 福田誠

    ○政府委員(福田誠君) 大臣の前に御答弁させていただきます。  日産生命につきましては、御指摘のように、四月二十五日に保険業法に基づきまして一部業務停止命令、保険管理人による業務及び財産の管理命令が出されまして、あわせて社団法人生命保険協会を保険管理人に選任したところでございます。  日産生命につきましては、平成七年九月の検査等による実態把握を通じまして含み益の減少など資産内容が急激に悪化したことが把握されました。大蔵省としましては、検査以前の平成七年五月にも新契約費の削減、安定的収益の確保等を柱とした収支改善計画を作成させ、その着実な実施を指導していたわけでございます。さらに、七年九月の検査結果を踏まえまして一層強く財務の改善を指導してきたところでございまして、平成七年度の決算では単年度収支において黒字を計上するなど経営改善の効果も認められたわけでございます。そして、平成八年度になりますと、さらに  一層のリストラを徹底すべく事業費の圧縮、グループ企業支援による基金の増強、営業力の強化等を柱とする経営改善計画を策定方指導いたしまして、その実行を求めてきたわけでございますが、この八年度末におきましては、市場金利の低下とさらなる株価の低下等の影響によりまして事業の継続が困難な状態に立ち至ったものでございます。  平成七年九月の時点におきましては、残存する含み資産等もありまして、さらに徹底した経営改善計画も作成されておりましたので、経営努力による再建は可能と考えておりました。結果として、八年度の株式投資の失敗もあり達成されなかったわけでございます。  その点につきましては大変遺憾でございますが、一般論として申し上げれば、免許会社たる保険会社は経営が悪化した場合でも、その会社の多数の保険契約者の保護等にかんがみれば、自主努力に基づき最大限経営立て直しを図るべきでございまして、当局としてもその努力をこれまで要請し、指導していたものでございます。ただ、経営破綻がはっきりした以上、これをいつまでも放置することなく、極力早期に処理することが保険契約者のためになるということで今回の業務停止命令を発したわけでございます。
  59. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 率直に言いまして、監督行政ですから、その時点でベストの限りを尽くしておると私は理解をするわけであります。  結論から言いますと、あるともないとも言えないということで、私は、この事態を今後の教訓として、またデータとして、生保というのは大変大事な機能を果たしておることにかんがみ、強く指導をいたしておるところであります。
  60. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 平成七年九月に金融検査部が検査をしたわけですが、その時点において実質的な債務超過に陥っていることが判明をしたと、まずこの点が間違いないのか。その後におきましてこの日産生命というのは保険契約者に対する配当は中止をしたのかとか、この点報告してください。
  61. 福田誠

    ○政府委員(福田誠君) 債務超過状態になりながらなぜ営業を続けていたのかということでございますが、御案内のとおり、生命保険の場合には極めて長期の契約を引き受けておりまして、通常言われております景気変動の短期サイクルも契約期間の間に何回も訪れるわけでございます。その間に金利や株価の水準も一般的に高低する状況が繰り返されるわけでございます。  他方、生命保険会社は、長期の資産運用の一環として、売買目的でなく保有目的の資産を多数保有しているわけでございまして、そういう状況のもとにございますと、生命保険会社がある一時期に評価性資産の市場価格の下落によって資産評価額に対して債務が超過状態になった場合に、当局としては、その債務の超過の状況が一過性のものなのか否か、縮小していくことが可能かどうかということが問題になるわけでございます。  相互会社たる生保会社の場合は、その性格上、基本理念は実費主義ということで剰余は原則として契約者に還元しなければならないということでございまして、その結果自己資本が僅少であるというようなことは事実でございまして、株式や土地の含み益に依存する度合いがかなり高いという、そういう経緯はございます。したがいまして、特に株式の保有割合が高い生保会社は、株価がたまたま下落をした場合の収支に与える影響が大きい反面、上昇してまいりますと急激に回復するというような他の事業会社にはない特徴がございます。  したがいまして、ちょっと冗長でございましたが、一時的な市場価格の下落があって収支が悪化した場合であっても、将来の株価の回復の見込みが十分あるなどの状況であれば財務の健全化を図ることも可能であると考えられるわけでございまして、その際、経営者が徹底したリストラ努力を行い経営全般を改善すれば、事業継続に伴って単年度で経常的に黒字が出せる場合もあるわけでございまして、そのような場合は事業継続をさせる、あるいはすることが適当ではないかと考えるわけでございます。  そういうことで、当社につきましては実質債務超過状態にございましたが、そのもとで強力な経営改善を行い、経営者の自己責任ということで最大限の努力をしていたということでございます。
  62. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 相当冗長に言われたわけですが、保険業法の六十四条ですか、実質的な債務超過状態にある会社が配当を行うというのはこの法律違反ではないんでしょうか。あるいは、少なくとも基金の充実を定めているこの法律の精神に明らかに私は反していると思うんですね。そういう違法な配当をすることを大蔵省が認めたと言われても仕方がない事態ではないんですか。
  63. 福田誠

    ○政府委員(福田誠君) 配当について答弁漏れで恐縮でございました。  配当の問題につきましては、株式会社の株主配当と相互会社の契約者配当とは同一に論ずることはできないと認識しております。すなわち、相互会社の場合は、先ほど申し上げましたように、実費主義の理念に基づいてできるだけ安い費用で保険商品の提供が要請されているわけでございまして、基本的には会社の損益が社員に帰属することが本質でございます。  相互会社の契約者配当につきましては、保険料の算出基礎となっております三つの要素、いわゆる三利源に係る収支動向によって決定されるわけでございまして、予定死亡率、予定事業比率、それから予定運用利回りでございます。契約者配当につきましては、これらの三要素につきまして、実績が予定されていたそれぞれの基礎率と異なって予定よりも剰余が出た場合には、その剰全部分というのは保険料のいわば過剰受け取りという形、性格のものでございますので、これを精算という形で契約者に還元するというのが相互会社の制度でございますので、いわゆる利潤の分配とは違う。安全を見積もった保険料率について剰余が出てきた場合に還元するという性格のものでございますから、先ほど御指摘のような事業、財務内容が悪い場合に配当ができるのかという御指摘につきましては、株式会社における配当とは性格が異なるものであるということを御理解賜りたいと存じます。
  64. 荒木清寛

    荒木清寛君 そうしますと、相互会社の場合、保険会社は株式会社もあれば相互会社もあるわけですが、相互会社の場合には債務超過があっても配当することは何ら違法でない、そういう見解でございますね。
  65. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 今申し上げましたように、各社の配当の水準は、財務内容とか今申し上げた三つの利源、その収支等によって決定されるものでございます。一方で、配当は保険料の事後精算的な機能も有しておりますので、これらの点も考慮しなければならないというふうに申し上げたわけでございます。
  66. 荒木清寛

    荒木清寛君 ですから、私の言ったような状況で配当しても適法であるということでよろしいわけですか。
  67. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 違法ということにはならないと存じます。ただ、当社につきましては、配当については他社に比べても最低の水準で推移してきておるわけでございます。
  68. 荒木清寛

    荒木清寛君 私も、その点さらに精査をしてまた質疑したいと思います。  それで、本件における債務超過が一時的なものかどうかという御指摘がありましたが、その後の大蔵省の追跡によりましてこの債務超過という状態は好転をしたわけですか。
  69. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 先ほど申し上げましたように、平成七年度につきましてはかなりの改善をいたしました。
  70. 荒木清寛

    荒木清寛君 改善をしたと言いますけれども、平成七年九月の検査以降今日に至るまでずっと実質的な債務超過が続いていたということは間違いないというふうに考えます。  そうであれば、なぜもっと早く今回のような措置がとれなかったのか。戦後このような形での破綻は初めて、前代未間でありまして、一年半ですか、このままにしておいたというのはいかにも怠慢ではないかと思いますが、どうですか。
  71. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 繰り返しになりますが、平成七年九月の検査で実態が把握されたそのときにも既に経営改善計画を強力に進めておりましたし、平成八年度にもそのような見通しがあったわけでございますが、直接この引き金になりましたのは、この八年度におきまして同業他社はリスク資産を極力減らす方向で資産運用をしておりましたが、当社につきましては株式運用を逆にかなり積極的にいたしましたために、それが裏目に出たという要因がございます。
  72. 荒木清寛

    荒木清寛君 再建できると当局も思っていたが、結局破綻に陥り、傷口が広がってしまった。まさに住専のときの経過を思うわけでございまして、私は行政責任というのは免れ得ないというふうに思いますが、さらに資料等精査してやりとりをしたいと思います。  そこで、現在も日産生命につきましては検査を行っていると言われておりまして、五月中にも終了するのではないかというような報道もあるわけでありますが、その時点におきまして現在の資産状況等の検査の結果はきちんと公表されるのか、またその際にあわせて平成七年九月における検査の詳細についても公表すべきである、それをもって関係者の責任というのを明らかにすべきであると思いますが、大臣、いかがですか。
  73. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 個別の金融機関に係る検査結果につきましては、従来から公表を差し控えさせていただいております。ただ、それをめぐる背景につきましては、先ほど来るる申し上げているとおりでございます。
  74. 荒木清寛

    荒木清寛君 そうしますと、現在の検査の結果も公表はしないと、それが大臣のお考えということなんですか。
  75. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 相互会社といえ、形態は法律上個人会社、個人というのはちょっと正確を期せませんから、私企業であると、概念からいうと。私企業であります以上、自己責任というのが当然そこにあるわけであります。  政府といえども、担当局といえども、審査、検査のやり得べき限界はあることは御案内のとおり。捜査権を持っておるわけでございませんから、調査の範囲は善なるものとして受けとめ、しかし問題があるところについては指摘をし、改善をしろと、こうやっておるわけでございます。そういう点で、事業破綻という最悪の事態を延ばすことがさらに最悪になると、保険者、契約者保護という視点から決心をしなければならぬということで決心をしたわけです。  私から申し上げたいことは、それまでに来る間、それなりの努力をしたことは事実であります、内容面は御遠慮させていただきますが。そういうことの中で、限界に参りましたから生保協会をしてこれを引き受けていただき、契約者の保護に徹する、そのために最大限の努力をしておるわけでございます。よって、本件についての責任があるとお考えならば、それは私の責任でありまして、私は私なりに尽くされる法制上の努力をしたし、生保全体の信任を得ることが今後の高齢社会に向けての極めて重要なこと、契約社会と言われる今日の社会体制を守り抜く、システム維持ということにもなるんでしょうか、そんなことでありますことを御理解賜りたいと存じます。
  76. 荒木清寛

    荒木清寛君 大蔵省に監督責任があるのかないのか、これは二回にわたる検査の結果をきちんと見なければわからない話でありまして、私はきちんとそれは国会の場に提出すべきであると考えておりますのでまた今後対応してまいりたい、そのように考えます。  そこで、本法の改正についてでございますが、外為法の改正につきましては、昨年の六月に外為審の報告によりまして必要性が指摘され、十一月には総理が発表された日本版ビッグバン構想のフロントランナーと位置づけられました。その改正の必要性につきましては疑問を挟む余地はないかと思います。というよりも、遅きに失したのではないか、なぜこのような制度が今まで残っていたのであろうかという感を強く持つわけでございます。  そこで、法改正のタイミングにつきましてお伺いいたします。この改正の背景には、国内取引が利便性の高い海外市場へ流出しているなど、東京金融市場、資本市場の空洞化懸念があったというふうに一般には言われております。しかし、この空洞化というのは何も去年の六月あるいは十一月に始まった話ではありませんで、恐らくもう九四年ころからそういう指摘は各方面からあったわけでございます。それがなぜ昨年の十一月あるいは六月の段階になって法改正という方向へ踏み切ったのか、何かそういうきっかけがその時点であったのか、御説明を求めます。
  77. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) 外為法の改正が遅きに失したのではないかという御指摘でございますけれども、実は外為法の前回の改正は一九八〇年に行われておりまして、これは大改正でございまして、原則規制から原則自由、自由という中にも若干の規制は残ったわけでございますけれども、原則が自由になったというのは事実でございます。  この時点では、日本の外為法は恐らく大陸ヨーロッパ諸国のものに比べては自由化の度合いが大きかった、そういうものでございますけれども、実は九〇年代に入りましてヨーロッパが通貨統合、経済統合というのを非常に積極的に進めまして、ドイツフランスのように日本よりも厳しい外為規制を持っていた国が一九八九年、九〇年に相次いで外為法の抜本改正をやるということが起こったわけでございます。そういうことで、九〇年になりまして、やはり他の先進諸国と比べて外為法の規制がかなり厳しいなという感じがございまして、我々も随時いろいろの方法で規制の緩和は行ってきたところでございます。抜本改正に至る前にいろいろな形の規制の緩和を行ってきたということでございます。  それからもう一点、現在でも東京はニューヨーク、ロンドンに次ぐ国際金融市場でございますけれども、シンガポールあるいは香港が基本的に自由な市場としてかなり拡大をしてきております。そういう中で、このまま放置すれば東京マーケットが空洞化する、そういう懸念が出てまいったということでございまして、そういうことが重なりまして今回の外為法の抜本改正につながったわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、一昨年の十一月から、平成七年の十一月から外為審で法改正をすべきかどうかというような御審議をいただきまして、先ほど先生御指摘のように、去年の六月には答申をいただき、それを受けて大臣の諮問ということが昨年の十一月に行われ、ことしの一月の答申ということになったわけでございまして、そういうような経過を経ております。ですから、この十一月に総理から抜本的な金融制度改革をやれというような指示がございまして、それも今回の外為法改正、これほど抜本的な完全自由化になつたということの一つの要因でございます。  ちょっと要を得ないようでございますけれども、要するにヨーロッパ諸国が自由化をしたということ、それから空洞化の懸念が出てきたということ、そういうことが外為法抜本改正の要因になっておるということでございます。
  78. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今のお話ですと、九〇年代以降のいろんなヨーロッパ市場の進展等により空洞化懸念を持つに至ったという話なんですが、しかし一方では、平成七年度経済白書二百九十三ページによると、金融の空洞化につきまして「空洞化が生じている可能性は小さいといえる。」、そういう分析でしかないわけですね。しかし、本年一月十六日の外為審の答申によると、今局長がおっしゃったように、「国内の金融・資本取引がより利便性の高い海外市場にシフトする傾向がみられる。」と、ようやくそういう表明があるわけでして、一体じゃ当局、政府としていっそういう空洞化の懸念というのを、平成七年の段階では持ってなかったわけです。しかし、今のお話ですともう九〇年代に入ってそんな楽観できる状況じゃなかったわけでして、やはり危機感に乏しかったと言われても仕方がないのではないでしょうか。
  79. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 政府として統一見解をいつ固めたかということと、いろいろな懸念が生じてきたということは、若干別の次元の話だろうというふうに思っております。私どもといたしましては、現在でも大きな空洞化が生じておる状況だとはまだ思っておりません。ただ、空洞化の懸念というのが次第に大きくなってきたと。いろいろ言われておりますけれども、私どももいろいろな自由化をこの間しております。通達でできるもの、あるいは政令、省令でできるもの、そういうものについては自由化をしておりますので、東京マーケットも今までのところはそこそこ世界三番目の市場として機能しておるわけでございます。  ただ、非常に自由化の速度が速くなってまいりましたので、このまま放置すればそう遠くない時期に空洞化する、そのリスクが非常に大きくなつてきた、そういう判断でございまして、外為法改正を二年前あるいは三年前にやっているべきではなかったかという御指摘かと思いますけれども、今の状況でともかく抜本改正をするということが私どもとしては大変重要なことだというふうに思っているというふうに言わせていただかざるを得ないと思います。
  80. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 その点はそのくらいにしまして、きのうの総理の本会議答弁でも、ヨーロッパにおける統一通貨ユーロの誕生が見込まれ、基軸通貨が二本立てとなるとなった場合に、円がローカルカレンシーになってしまうのではないか、したくないということが今度の金融制度改革の一つの背景であるというようなお話があったわけですね。  そうしますと、この外為法の改正の背景といいますか、目的の一つに、そういう円をローカルカレンシーにしない、国際化するという、そういうねらいもあるというふうに理解していいわけですか。
  81. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) お答え申し上げます。  特に、ヨーロッパの通貨統合というのが一九九九年に始まるという予定になっておりますので、ドルとユーロが世界の二大通貨ということになる日が非常にもう迫っているわけでございます。そうした中で、円がそれなりの役割を担っていくということが極めて重要だという認識はもちろんございます。  ただ、円の国際化というのはやはり東京マーケットを使い勝手がいいマーケットにする、あるいは円そのものが使い勝手のいい通貨になるという、そういうことが前提となって初めて国際化が進むわけでございますから、そういう方向に向けて日本の外為市場あるいは金融市場全体を自由化していく、そういうプロセスの中で自然に円が使い勝手のいい通貨になって国際通貨になると、こういうことが金融システム改革の一つの目的であるということは先生御指摘のとおりでございます。
  82. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、これは自然にそうなるべきであって、それを目指しての外為法の改正でないということなんですかね。といいますのは、大臣の趣旨説明あるいはいただいた資料によりましても、この外為法の改正の目指すべき一つの方向として円の国際化というような記述はどこにもないものですから。  私は、きちんとその点を今回の法改正の提案理由なりあるいは改正の目的にうたうべきではなかったかというふうに思うんですが、いかがですか。
  83. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 先ほどの自然にという言葉がちょっと舌足らずであったかもしれませんけれども、私ども、どの通貨が国際通貨になるかということは、これは市場参加者が決めることだというふうに思っております。私どもが円の使用を市場参加者に強制するということはできないわけでございますから、当然のことながら、私どもは円が国際通貨になる環境を整備するというのが、これが私どもの役割だというふうに思っております。  円が国際通貨になる環境の整備というのは、すなわち外為法の改正であり金融システム改革だということで、そういう環境が整えば当然のことながら円は国際通貨として使われることになるということでございますので、高々と円の国際化ということを目的として掲げてはおりませんけれども、政府が十分な環境の整備、金融インフラの整備をやれば当然、東京は国際マーケットになり、円は国際通貨になっていくものだろうと、そういうふうに考えているというところでございます。
  84. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 局長の答弁の限界だろうと思うんです。  これは、私が昨年の暮れ大蔵大臣を命ぜられました折に、金融システムの大改革について橋本首相から三枚の紙をちょうだいいたしたところであります。それが自由であり、公正であり、国際基準に合った市場。そこで首相いわく、基軸通貨として進まなければならない位置づけがあると思う、しかしその前にシステムの国際基準に合わせての大改正が必要であるので格段のリーダーシップのもとで取り組んでほしいと。  そういう中で、私も会見で申し上げたのは明確に覚えておるのでありますが、ドルとユーロ、Eu統一通貨であります。そして、アジアを代表する日本、これは円であります。三極、これが金融市場として取り組んで、両々相まって競争的共存の中で進むという意味からいきますと、円は基軸通貨としての位置づけを、信認をと言った方がいいんでしょうか、得られますように最大の努力をする時期に到来をいたしました。法制の整備、許認可の廃止、こういうことになる。しかし同時に、日本は経済国家でありますから日本の経済構造改革というものが思い切ってなされなければなりませんし、財政、経済のまた基軸と言われる財政運営も従前のパターンから抜け出しまして健全財政に向けての努力をし、その目的を達成することによってのみ両々相まって円の信認が市場を通じて得られるであろう、こう申し上げました。  まさに基軸通貨としての位置づけを目指して、総合政策の展開によりましてこれはやっていかなければなりませんし、これは各政党、国会の深い理解の中で、そして国民的な論議の中のサポートの中で取り組むことによってのみ達成される大事業だと、こう思っております。  第三の開国に当たって、その決意を秘めて取り組んで、目標を明確にしながら取り組んでいきますことが私ども現世代の次の世代に対する責任かなと、こんなふうに思っております。
  85. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 円が国際的に通用するようになれば、日本人としても誇るべきことであるというふうに思いますし、今回の法改正がそのための基盤整備の一つであるというお話かと思います。ただ、本当に手放しでその場合喜んでいいのかどうか。  そこで、円の国際化のメリット・デメリットをわかりやすく御説明願いたいと思います。
  86. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 円の国際化のメリット・デメリット、なかなか難しゅうございますけれども、まずデメリットの方から申しますと、円が広く海外で使われるようになるということは金融政策の及ぶ範囲が非常に広くなるということでございますから、当然日本の金融政策が海外と協調しながらいろいろやっていかないと完全な閉鎖経済のときの金融政策とは違ってくるということで、これが大きな制約要因になるとは思いませんけれども、非常なある意味ではデメリットというふうに考えることもできるかというふうに思っております。  メリットは、当然のことながら、これは日本国民にとって円が広く使われるということは為替リスクを負わないで仕事をできるということにもなるわけでございます。対外取引をすべてドルあるいはマルクでやるということは対外取引を行うときに為替リスクを必然的に負わなければいけないということでございますけれども、円が国際通貨として流通するようになれば為替リスクを負わないで対外取引を行うことができるようになる、これは大変なメリットでございまして、例えば旅行者が円を海外で直接使えるようなことになるということも、これも大変便利なことであると思います。  非常に簡単に言いますと、そういったメリット・デメリットがあるのではないかというふうに考えております。
  87. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、外為法、本法の性格につきまして質疑をいたします。  先ほど国金局長の答弁で、今回は抜本改革であるので名称についても管理という二字を取ったというお話でございました。それはそれでいいんですけれども、ただ、この第一条の目的規定自体は全く変更されておりませんで、その中には「管理又は調整」と、管理が厳然と残っているわけですね。  あるいは、附則で大蔵省設置法の改正も行われますけれども、しかしその中でも大蔵省の所掌事務としまして「所掌事務に係る外国為替の取引の管理」という言葉は残っているわけでして、そういう抜本的改正とはいうものの、管理法としての性格を失ったとまでは言えないのではないかという思いも持つわけですが、どうですか。
  88. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 外為法第一条の目的規定でございますけれども、ちょっと読ませていただきますと、「この法律は、外国為替、外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし、」、つまり対外取引が自由に行われることを基本とし、「対外取引に対し必要最小限の管理又は調整」、例えば先ほどの経済制裁というようなものがこれに当たるかと思いますけれども、「必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展を期し、もって国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」ということで、先生御指摘のように、ここからも管理という言葉を取ってしまえというような考え方も一方では成立するかと思いますけれども、「対外取引が自由に行われることを基本とし、」「必要最小限の管理又は調整」と言っておりますので、私どもとしてはこの目的規定を変える必要はないと考えたところでございます。
  89. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 この目的規定に関しまして、今回の改正案、あるいは残ります現行法を見ますときに、必ずしもこの目的規定と整合しないのではないかというものを私は感じるわけなんです。その点何点か、時間の許す範囲でやりたいと思うんです。  目的規定は、今読まれましたけれども、一言で言いますと、対外取引の正常な発展、国際収支の均衡及び通貨の安定、我が国の経済の健全な発展に寄与するというのが目的でありまして、いわゆるそういう経済政策を実現するということが目的ではないかというふうに私は理解するわけですね。そうしますと、今おっしゃった経済制裁というようなものは本当はこの目的にそぐわないんではないかと。何もそれを否定するということではなくて、外為法で扱う分野ではないのではないかということを考えるわけなんです。  昭和六十二年の一部改正時に問題となりましたいわゆる二十五条、四十八条の安全保障条項、かつてはこれに基づいてココム規制というのがあったわけです。今は何かワッセナー・アレンジメントというのに枠組みが変わったというふうに説明を受けましたけれども、この安全保障条項などは経済立法としての外為法の目的を超えるのではないかという指摘もあるわけですね。現に当時も、六十二年の改正というのは法律的には詰めが甘くて、こういう条項、いわゆる安全保障条項を盛り込むのであれば目的規定を改正すべきだという指摘も一部にはあったわけです。その改正の前に裁判をやった人もいまして、こういう外為法に基づいてココム規制をするのは違法じゃないかというふうな裁判があって、六十二年の改正前の外為法を前提とするとこの法律でココム規制のようなことを行うのは目的を超えているというようなことを裁判所で言ったわけですね、その後改正があって若干の手直しがあったわけでありますけれども。  私は、政治的有事の場合の経済制裁というのは外交手段としまして極めて有用でありますから、もちろんこれを否定するものではありません。しかしながら、今回もこの政治的有事の場合の経済制裁の発動の要件の整備というのがありました。先ほども質疑でありましたし、整備というよりもむしろ機動的にこれが行使できるように拡充されたと言ってもいいかと思います。  ただ、そうなりますと、こういう国際政治的な目的に基づく条項というのは、経済的な立法といいますか、この第一条で読み取ることができる外為法の性格にはちょっとそぐわないのではないかと。だから、そうであればこの目的を改正して、単にそういう経済目的だけじゃなくて国際政治目的に基づく規制のためにも使う法律だというふうにうたうか、あるいは、アメリカなんかそういうものは別の法律でやっているというふうに聞いておりますけれども、別建ての法律として整備をするのが今回の抜本改正に当たってはむしろ論理的整合性といいますか、法体系としての整備がなされるんではないかという感も抱くわけですが、若干長くなりましたけれども、いかがですか。
  90. 伊佐山建志

    ○政府委員(伊佐山建志君) 先生御指摘のように、いろいろな考え方が当然のことながらあるわけでございますが、私どもといたしましては貿易立国という理念のもとで、貿易をめぐる内外の諸情勢が安定的に推移するということが我が国の発展のベースだということでございまして、政治的な状況等も十分に踏まえた上で貿易の管理ということをやるというやり方も十分に考えられるのではないかということで、私どもの今の体制のもとで貿易の必要最小限の一定の状況におけます管理というものをいたしているわけでございます。  そういう国際的な平和でありますとか安全の維持を妨げる取引を全く規制しないという形でやった場合には、今先生が御指摘いたしましたような我が国の対外取引の正常な発展でありますとか、我が国経済の健全な発展を阻害するおそれが出てくるということでございまして、法目的を達成する上で必要最小限のやり方で行われてきているし、それで十分ではないかというのが私どもの考え方でございます。
  91. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 若干補足させていただきますと、先生おっしゃったように、こういういわゆる経済制裁について、アメリカ型の有事規制法のようなものをつくって、それで全体的にカバーするというやり方が一つあると思います。それからもう一つは、私どものような形で外為法でやるというようなことで、例えばドイツなどでも対外経済法というようなもので経済制裁を行っている、フランスでも対外金融関係法という法律がございまして、それで金融関係の経済制裁を行っているという二つの考え方が論理的にはあるんだと思いますけれども、我が国の場合には従来までも外為法で経済制裁を行ってきたところでございますし、今後もこういう法体系でやることについて何ら差しさわりはないというふうに考えているということでございます。
  92. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いずれにしましても、今回は抜本改正でありますから、第一条の目的条項も改正された外為法の性格をきちんとあらわすといいますか、それが目指しているところをきちんとわかるように整備をした方がよかったんではないかというふうに私は思うわけです。  もう一点、これを外為法で取り扱うのが本当に適切かという案件の一つに、先ほども質疑であったわけですが、マネーロンダリングの防止策としての本人確認制度があります。  ただ、この本人確認制度の必要性というのは何も対外取引だけの問題ではありませんで、対内取引、国内取引についてもきちんと網をかけておかなければ防止策としては不十分ではないかと考えるわけです。そうなりますと、むしろ外為法で対外取引についてのみ規制をするというよりも、マネーロンダリング防止法のようなものをつくって、対内取引、対外取引を問わず、金融機関に対しまして本人確認義務を課するという方がむしろ実効性があるんではないかというふうにも考えますが、それをあえて今回対外取引についてのみこの外為法で本人確認義務を法定したという理由はどういうところにございますか。
  93. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 御指摘のとおり、対外取引だけではなくて対内取引についてもマネーロンダリング防止のための本人確認が必要だということでございますが、実はマネーロンダリングを防止するために、平成二年十月以降、通達によりまして口座開設時及び三千万以上の大口の現金取引等については本人確認をしろという義務が課されてございます。ですから、これと平仄を合わせる形で対外取引についても本人確認の義務を課したということでございます。  また、平成四年の七月一日から施行されましたいわゆる麻薬二法におきまして、マネーロンダリングの犯罪化、金融機関等が疑わしい取引を監督当局に届け出る制度の創設等が措置されておるわけでございます。また、本法律の施行に合わせて通達を改正しまして、本人確認の一層の厳格化が行われ、運転免許証、住民票の写し等、公的書類などによる本人確認の徹底が図られているところでございます。
  94. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 その平成四年七月一日に改定されました銀行局通達ですか、これは本改正によりまして一応失効するという理解でいいんでしょうか。仮にその通達がまだ存続をしていくということになりますと、重複する部分はどういう扱いになるんでしょうか。要するに、銀行局と国際金融局の両方にそういう報告といいますか、それをしなければいけないという関係になるんですか。
  95. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 特に現行法上の通達が失効するわけではございません。外為法上は外貨の両替についての本人確認義務及び支払い手段の輸出入でございますから、輸出入というのは税関を通るときに現金を持って出る、あるいは持って入る、これについての確認義務でございますから、双方がオーバーラップしているというようなことではないと私は理解しておりますけれども。
  96. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、この件につきまして大臣に最後にお聞きしたいんですけれども、通達によりまして対内取引についても本人確認義務を課していると言いますけれども、通達は法律ではありませんから厳密なそういう法的義務があるわけではないわけですね。  対内取引につきましては、そういう通達に基づく本人確認、いわゆる協力要請というような形に法的にはなるかと思うんです。一方、対外取引につきましては本人確認というのは法律上の義務になるわけでして、こういう不均衡があっていいものかと。いっそのこと、やはりマネロン防止法のようなものをつくって、両方きちんと法律上の義務として規定すべきではないかとも思うんですが、この点はいかがですか。
  97. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 貴重な御意見として伺っておきますけれども、銀行法との関係の調整については今後やっていきたいというふうに思っております。銀行の場合には預金の設定についての本人確認義務が通達であるわけでございますから、我々の場合には本人確認義務は確かに法律という形になっておるわけでございますけれども、今後銀行法との間の調整ということは事務的にやってまいりたいというふうに思っております。
  98. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 今、局長が言われましたように、全体を見てこの対策が法文の中に記述をされておるわけでございまして、この記述を基本に取り組んでまいりますと御懸念の問題も前進するのかなと思っております。
  99. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 さらに、外為法で規定することに必然性がないのではないかという案件の一つに、国際収支統計作成のための報告制度があるのではないかと考えます。  今回の改正によりまして、国際収支統計作成のための報告は、大蔵省の所管する為銀に課せられた義務という性格を失いまして、広く取引当事者に課せられる義務となるわけであります。要するに、金融監督の手段としてそういう報告をさせるというわけではなくなるわけですから、そうなりますと大蔵省がこれを所管する必然性があるのかという感じがいたします。  イギリスでは、このような統計作成のための報告というものは統計法によって規定され、イングランド銀行がやっている、そして中央統計局が発表しているという話です。我が国でも同様に、国際収支統計を統計法上の指定統計として総務庁の所管事務とするということや、あるいは経済の動きを見るための指標として経済企画庁の所掌事務とするということは考えられないのでしょうか。そういう監督ということがなくなったのに、あえて大蔵省が統計作成のために報告をさせるという必然性はあるんでしょうか。むしろ、行革ですからそういう統計の作成というのは全部総務庁に任せた方がすっきりするんではないかと思うんですが、どうですか。
  100. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 御指摘のとおり、海外では国際収支統計をいわゆる統計法によって別途法律的な根拠を定めつくっている国もイギリス、アメリカとあるわけでございます。  ただ、白紙に絵をかくという状態であればそういうことが論理的に考えられるということでございますけれども、一方、外為法は対外取引の正常な発展、国際収支の均衡あるいは通貨の安定というのをその法目的にしておるわけでございますから、外為法が国際収支統計を集める根拠法律になるということについて何ら差しさわりはないというふうに思っておりますし、大蔵省、日銀がそういう統計を作成しているということについて何ら今問題点は起きていない、こういうことでございますので、従来どおり国際収支統計の作成についてはこの法律を根拠としてやるということでよろしいのかというふうに私どもは考えております。
  101. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 何ら差し支えないというお話ですけれども、一たん取得した権限はもう絶対放さないという話じゃなくて、インターネットやパソコン通信を見ましても総務庁の統計というのが一番有用性があるというふうに私も思うんですよ。だから、そういうところに全部やらせた方がいいんではないかというふうに思います。  最後にお聞きをいたしますけれども、改革にはやはり光と影があるわけであります。今回の外為法につきまして、もし影という部分があるとすれば、それはマネーロンダリングの横行あるいは国際取引を利用した租税回避の横行があり得るのではないか、行政の執行いかんによっては。そうなりますと、適正公正な課税の実現に支障を来すだけではなく、税収の確保という面でも大きく影響があるわけでありまして、そういう影ができるようなことになってはならないと思うわけであります。  一方で、電子マネーの案用化を含めたビッグバンの実現は、銀行の記録に残るお金の移動というのが減少するということを意味するわけでありますから、税務調査に限っていいましても非常に複雑となりますし、そういうコンピューターのソフトや操作にも精通した高度の専門性が要求されるわけであります。そういうことがなければマネーロンダリングの横行とかあるいは租税回避ということが現実に起こってしまうわけでありまして、それを懸念するわけであります。  そこで、私は、税の執行体制の整備という意味でこれに関係する職員の定員をきちんと確保すること、あるいは、今もさまざまなそういう国際取引の専門官がいるというふうに聞いておりますけれども、そういうスタッフを増設する、あるいは研修をする等によりまして機構の充実を図るという、そういう必要性があるんではないかというふうに考えますが、この点につきまして大臣の決意をお聞きいたします。
  102. 舩橋晴雄

    ○政府委員(船橋晴雄君) お答え申し上げます。  国際取引に対する課税につきましては、国内外の資金の流れを含めまして海外との取引内容を調査する必要があるわけでございます。取引先が海外に所在するなど、国際取引を利用した租税回避行為を的確に把握することが困難であることから、租税条約に基づく情報交換や調査官の海外派遣等の実施などにより適正な課税の実現に現在努めております。  こうした中で、国税庁におきましては、国際取引に関する調査体制の充実を図るため、ただいま委員御指摘のような国際課税関係部局の専門ポストの新増設等による機構の整備や所要の定員の確保に努めてまいってきておりますし、またいわゆる税務大学校におきます国際租税セミナー、あるいは各国税局における各種研修などによって人材の育成に努めてきております。  今後、ますます国際化が進展する中で、研修等の充実による人材の育成を図り、また、厳しい財政事情のもとではございますけれども、所要の機構の整備等について関係方面の御理解が得られるように努力をしてまいりたいと思っております。  今回の外為規制の緩和によりまして、国境を越えた資金移動が自由化され、国際取引が一層活発化してくるということが予想されるわけでございます。そういたしますと、国際取引を利用した租税回避行為の把握が一層困難になるというふうに考えられるわけでございまして、そうなりますと、今御指摘のございましたような適正公平な課税の実現に支障を来すだけでなく、税収の確保にも影響するというふうに考えております。  したがって、私どもといたしましては、国際課税体制の一層の充実を図るとともに、銀行等から一定金額以上の海外送金に関する資料情報を税務当局に提出していただくことなどを内容とする資料情報制度が必要であるというふうに考えております。
  103. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 大きく世の中が変わりつつある中で、円の信認を得るべく諸改革の断行を進めるフロントランナーが外為法であることは御案内のとおりであろうと思います。  委員から段々の万般にわたり御指摘をいただきました。情報化等を取り進め、正確を期するということを行いつつ、今後のこれに対応する体制については検討を進め、対応していかなければならないと思っております。
  104. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  105. 松浦孝治

    ○委員長(松浦孝治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時十分まで休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ―――――・―――――    午後二時十分開会
  106. 松浦孝治

    ○委員長(松浦孝治君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  107. 益田洋介

    ○益田洋介君 私は、外為法改正の法案に関する質問の前に、一点だけ大蔵大臣のお気持ちを伺っておきたいことがございます。それは野村証券の事件でございます。これは通告はしておりませんが、急なことだったものですので、よろしくお願いいたします。  六日、東京地検の特捜部は、この事件について立件の意向を固めて、週明け早々にも立件するという報道がございました。これはどういうことかというと、野村証券とそれから総会屋グループの小池隆一代表の実弟が経営する不動産会社が、証券界で言われている、ワラント債を売って同日中に高く買い戻すといういわゆる日ばかり商い、こういうことを行って利益の供与をした。容疑内容は商法違反、利益供与と証券取引法違反、損失補てん、こういうことでございまして、野村証券の元会長、元社長の取締役復帰が焦点となりました平成七年の株主総会対策などが背景にあると。大変これはゆゆしき問題で、この証券会社は以前にも問題を起こして相当厳しく大蔵当局から指導が行われていたはずだと。  今後、この事件につきましては、捜査は司直の手にゆだねられるわけでございますが、大蔵省の監督義務責任、これについてどういうお考えか、大蔵大臣にお伺いしたい。
  108. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 証券取引等監視委員会も調査を行っておるところ、そちらからは調査中ということであります。ただいま益田委員から、地検の今後のスケジュール等についてお話がありましたが、私はまだそこまで承知をいたしておりません。  いずれにいたしましても、処分が決まり、証券取引等監視委員会からの調査を待って、主管大臣である私のところに勧告があります。厳正に対処することは言うまでもございません。また、刑事事犯として捜査が行われ起訴されるということであれば、これまた事件進行中であろうとは思いますが、対応を厳正に考える、こういうことであろうと思います。
  109. 益田洋介

    ○益田洋介君 それでは、外為法に移ります。  外為等審議会の答申によりますと、外為法の十年ぶりの抜本的改正は、金融における東京市場の生き残りをかけた日本版ビッグバンのフロントランナーと位置づけられている。このフロントランナーという言葉は大蔵大臣もお好きのようでたびたび使われておりますが、私はこの言葉は正しいとは思わないんです。  なぜならば、既に指摘をしておきましたが、OECDの加盟国の中で為替の管理を行っているのは現在でも日本と韓国だけ、非常に先進国から取り残された状態が現状であります。また、シティー及びウォールストリートから十年も二十年もおくれてやっと金融の自由化に着手しようとしているんですから、これはフロントランナーなんて言わないで、むしろバックランナーと言うべきだ、そのように思いますが、いかがですか。
  110. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) これは、昨年第二次橋本内閣スタートの折、大蔵大臣に就任いたしました小生に対し、橋本首相から金融システム改革、これを断行したいと、御案内のとおり三原則を示しながら、規制の撤廃、そして法令の整備、グローバルスタンダードの金融市場をつくり上げるために格段の御努力をということであります。関係審議会に一斉に検討、結論を早期に出すように要請をいたした中で、先ほども政府委員から答弁がございましたとおり、一月答申がこれあり、金融システム改革の中で一番最初に法案作成を行い、そして両院に提出、御審議を賜る、こういうことになりました。  自由市場は、まさに自由でなければなりませんし、そういうことで開国という位置づけをしながら、二〇〇一年には完成をした東京市場、しかし一年でも早くそのことが完成するように努力をするだけではなく、逐次整備をし完成をしてまいりたい、こう思っておる中の第一番手でございますから、横文字はやめまして、第一走者として外為法がスタートをいたした次第であります。
  111. 益田洋介

    ○益田洋介君 これまで外為業務を事実上独占してまいりました日本の大手銀行というのは、資産規模や資金量で世界の銀行の上位二十行に名前を連ねているわけでございます。しかし、欧米諸国におきましては、ソニーやトヨタといった名前を知っている方はたくさんいますが、日本の銀行の名前を知っているという方は少ない。これは、海外支店の主な業務が我が国からの海外進出企業を顧客にしておるということだと思います。  例えば、国際金融市場においては、日本の銀行はジャパン・プレミアムという問題を抱えておりますが、グッドネームと言われている東京三菱銀行でさえ大変なプレミアムをいまだに抱えている。  これは調査室からいただいた「金融行政に関する資料集」、この中の九十五ページに表が出ています。これは、いわゆるLiborと言われる英国の銀行協会のオファーレートと、東京三菱銀行のオファーレートとの差で評価をする。つまり、スプレッド、いわゆるジャパン・プレミアムでございますが、九七年三月二十六日現在で東京三菱オファーレートのスプレッドは〇・一七五七八と、依然非常に高いものがあるわけでございます。  私は、今回の法改正に伴って、相当日本の銀行は外為業務に精通した人材、もちろん採用と育成という両面だと思います。さらに、外銀並みの海外決済ネットワークの基盤の整備、ノウハウの集積、その他業務維持コストの見積もりなど、相当短期間の間に国際競争力を仕上げなきゃならない。果たして我が国の銀行にこうした対応ができるのかどうか。山日銀行局長は、四月八日、衆議院の大蔵委員会で、この点については非常に不安がある、危惧が残っているんだと発言をされたようですが、非常に正直な発言でよろしいと思います。  さらに、ある筋では、一方で邦銀は日本企業に対する蓄積されたノウハウがあるので、したがって、むしろ法改正の後は、日本の銀行はグローバルバンクを目指すよりは、むしろ国内向け銀行として生き残る方がより価値があるんだと、こういう指摘もあります。  この二点について、銀行局長の御意見を伺います。
  112. 山口公生

    ○政府委員(山口公生君) 今、益田先生の御指摘のこれからの国際的な場での邦銀の競争、これに関しては、やはりおっしゃったとおり、人材の育成とか、あるいはネットワークの形成とかいろいろ急いでやるべきものがたくさんあろうかと思います。邦銀の力というものが、私どもの望みとしましてもできるだけ数多く海外で活躍をしてもらいたいという気持ちは強く持っておりますけれども、邦銀がそれぞれの金融技術を身につけ、またシステムを開発し、さらに国際的な顧客のネットワークというものを構築していくと、そのためにやはりこれまで以上の努力をしなければいけないというふうに思っているわけでございます。  我が国の金融機関は背後に千二百兆といういわゆる実需というものも抱えております。だから、そういう意味からいいますと、必ずしも力が弱いというものではないというふうに思っております。今後の努力によりそういった国際競争裏での活躍も期待できると思いますし、またそうあってほしいというふうに願っているわけでございます。
  113. 益田洋介

    ○益田洋介君 その千二百兆と言われております国民金融資産、これが今後どういうふうな動きをするのかということが今回の法改正の一番の目玉でございまして、個人投資家は今回の法改正によって事後報告だけで海外に円預金口座を設けることができるようになるわけですから、割高な手数料体系の日本市場はむしろ敬遠されるんじゃないか、これが一般的な見方、多分そうなる、私はそういう危惧をしているわけでございます。したがいまして、手数料が安くて有価証券取引税のない海外市場などへ相当この一千二百兆円の個人預金の大量な部分が流出するのではないか、私はそのようにも懸念いたしております。  例えば、これは四十七ページですけれども、アメリカの場合は利子課税について源泉徴収を行ってない。フランスも同様に行ってない。それから、有価証券の取引課税については、日本の場合は売り手が〇・二一%の負担。アメリカはない、ドイツもない。これはやっぱり相当魅力の差が出てくる。この点についてどうお考えですか。
  114. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 確かに、有取税があるよりない方がいいというか、取引しやすいということは言えるのかと思いますが、株式の取引がどの市場で行われるかということを考えた場合に、国内に産業の基盤のある企業の株式が日本の株式市場で一番情報なりなんなりが深くわかるわけですから、中心的には日本の市場で売られるであろうといったような点も含めて考えた場合に、有取税の高さがどれほど取引の量に影響するか。  これは、方向性としては、最初申し上げましたように、税率が低ければ低いほどいいだろうという方向性はあろうと思いますけれども、そのことが黒か白かというような意味で一切どこかに移ってしまうということではないと私ども思っております。いずれにしましても、新しい金融市場のもとで有取税がどうあるべきかということは改めて考えなければいけないと思っております。  それからもう一点、源泉徴収の方ですが、アメリカに源泉徴収制度、利子についてはないということです。ただ、よその国には源泉徴収制度はありますし、他方アメリカでは納税者番号というのがあって非常にきちっとした形で申告を求めているわけでございます。したがって、世界のこの種の議論では源泉徴収制度を持つ国とそれから納番によって情報把握をする国、この二手に今分かれているわけでございまして、日本は確かに源徴の方であり、納番のない国ですけれども、それはそれなりに対応できると思っています。  ただし、そこでどうしても抜けるであろうと思われる、海外に口座を持ってそこで利子を得るなどというケースについてどうするかということがありますので、私どもは資料情報制度というものを整備して、これによって申告を慫慂していくということを考えている次第でございます。
  115. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 若干補足させていただきます。  私も大量の資金が日本から流出することはないというふうに思っておるわけでございます。というのは、まず円取引についてはやはり日本の市場で行うのが最も効率的だということがあるわけでございますし、外国で行うとすればこれは当然外貨の取引、ドルあるいはオーストラリア・ドルあるいはイギリス・ポンドというようなことになるわけでございますけれども、これについては為替リスクというのがあるわけでございまして、今後為替レートがどういう方向に動いていくかということとその投資が魅力的かどうかということが非常に密接に関連しているわけでございます。  実は、現在でもかなり個人の外債投資あるいは中小の機関投資家の外債投資が多くなっているのでございますけれども、私どもはむしろ懸念をしておるというような状況でございまして、確かに五%、六%の利回りで回る外債というのがあるわけでございますけれども、それは大体円が六円程度円高になってしまえば元本割れを起こす可能性があるということでございますので、そういう意味で、外債投資あるいは外貨預金というものについては為替リスクについて十分配慮して行わなければならないというふうに考えております。
  116. 益田洋介

    ○益田洋介君 いずれにしましても、今お二人の局長の御意見を伺って、私は、外為法だけじゃなくて税制それから会計基準、それら伝統的な日本型システムを大幅に転換していかなければ、これから日本の市場がロンドン、ニューヨークと並ぶような市場に活性化するというような現在の日本の夢はとても果たせるものではない。  そうなると、まず当然税制の見直しは速急にこれは行わなきゃいけない問題でありますが、現在三兆六千億円に上るという源泉利子税収、それからまた三千五百億円と言われる有価証券取引税収が税制改正によって減収となるのは、これはまた一方で当然の理でございます。  この際、そうした税収が減ることによっての我が国全体の財政の悪化にさらに拍車がかかるのではないか、こういう考え方は当然論理的に成り立ちます。その場合に、今度間接税にシフトして税収を一定のレベルに保とうと、そういった考え方も一つ成り立つと思いますが、その点についていかがでしょうか。
  117. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) まず源徴でございますが、利子の源徴で今一兆六千億円ぐらいの税収があろうかと思います。これがどういう影響を受けるかということにつきましては、源徴分については、為替の自由化によってこれが減っていくということは直接的には考えられないんではないかと思います。むしろ金利水準がどうなるかということが大きな影響を持つのではないかと思っております。  それから、有取税なり証券税制の関係ですが、有取税につきましては現在二年間の特別措置として〇・二一になっておりまして、これが来年の三月末には期限が切れます。したがって、来年度改正までには答えを出していかないといけないと思っております。その際には、有取税を重くしていくという方向はないと思いますので、緩和していく方向が世の中で言われているわけでございますが、同時に、私どもは株のキャピタルゲイン課税、所得税の世界をどうするかということをあわせて考えていきたいと思っているわけでございます。  それから、最後に非常に大きな御質問がございました。確かに一般論ですけれども、日本でこれからどうするかということではなしに、外国で議論されている話、それから一般的な話として議論されていることは、きょうも最初に嶋崎議員からも御質問があったんですけれども、どうしても国際的な広がりのある取引に対する税金というのは安いところの税金に従わざるを得なくなってきている流れが世界的にあると。その結果、世界的に、足の速いとよく言いますけれども、そういう所得に対する税金が少なくなって、一方でトータルとしての税収は必要な額が決まってきますから、どうしても移動可能性の低い労働とかあるいは消費に対する税金に偏ってくる性格がある、方向性が何か認められるのではないかという議論があるという意味では、御指摘のとおり一般論としては言われております。  ただ、日本でそれを考えているということを申し上げているわけではございません。
  118. 益田洋介

    ○益田洋介君 今回の法改正で対外直接投資の事前届け出制を廃止するということでございますので、当然のことながら直接投資が迅速化するわけでございます。  しかし一方で、資本取引はすべて事後報告制度に移行するわけですので、事務的負担が軽減するという程度にしか外為等審議会の答申では言っておりません。私は、報告が遵守されない場合には国際収支統計や市場動向把握が不正確になってしまうわけでございますので、政府における財政、経済政策の策定の基礎データが不正確になる危険が出てまいりますし、さらに民間企業の活動に支障を来すということにもなりかねない、こういう懸念がございます。この点、欧米諸国では報告義務違反に対する罰則というのは非常に厳しいものが科せられているわけでございます。我が国も同様に、この義務違反は取り締まらなきゃいけない、指導していかなきゃいけない。  政府としては、現在どの程度の罰則規定をお考えなのか、それを伺いたいと思います。
  119. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) お答えいたします。  今回の改正におきましては、御指摘のとおり、抜本的な自由化を行うわけでございますから、これと同時に、国際収支統計の作成や市場動向の的確な把握のために内外の資本取引等に関する効率的かつ実効性のある事後報告制度を整備するということにしておるわけでございます。改正法案におきましても、報告という一章を設けまして、その事後報告を効率的にとるということを目指しておるわけでございます。  現在、外為法の改正案におきましては、現行規定と同様、報告義務違反につきましては、「六月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」、改正法案の七十一条でございますけれども、そういうことにしております。二十万円以下の罰金というのは若干低いという感じがございますけれども、六カ月以下の懲役というのはかなりこれはシビアなものであるというふうに私は考えております。
  120. 益田洋介

    ○益田洋介君 慎重に御検討されて、これもやはりグローバルスタンダードというのがあると思いますので、ある程度世界共通の罰則規定を設けないと一緒にやっていけないんじゃないか、そういうふうに考えますので、よろしくお願いいたします。  それから、今度は海外で自由に口座を開設することができるようになるわけで、海外送金によって国税庁の調査を逃れて麻薬取引などで得た不正資金を口座から口座へ横流しする、そういうことによって資金の出所や受益者をわからなくする、いわゆるマネーロンダリング、これがふえかねないんじゃないか、そうした懸念が当然生まれてまいります。  百万円以上の海外送金については、資料情報制度という報告義務を設けて、それだけで政府はロンダリングの防止に対応できるというふうにお考えだとすれば、私はこれは非常に甘い考え方だと思います。小口に分割して送金するなんということは簡単にできるわけでございますし、そのほかにもさまざま方法があって、私は知らないのでございますが、いろいろな抜け道があるということでございます。アメリカには一九八六年制定のマネーロンダリング規制法というのがございます。日本にもやはりこうしたものをこれから真剣に考えて法案を制定していかなきゃいけない、私はそういう必要性を感じます。  この点については、やはり金融取引の国際化に対応していくためにも新たな調査技法が開発されなければならない、そうしなければ現実に対処していけない、この点につきまして税務当局はどのようにお考えでしょうか。
  121. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) マネーロンダリング一般の話は、脱税の問題とあわせて犯罪の問題、刑法犯と両方あろうかと思います。そういう意味で、私のサイドからは税制面、これをどう考えるかということになるわけですが、御指摘のように、資料情報制度というものを早急に成案化し、国会のお許しを得られるならば、臨時国会が開かれるならばそのときにでも法案として出させていただきたいと思っておりまして、今検討を進めております。これによりまして送金と海外からの入金、両方をチェックできる。これによりましてかなりの成果が上げられると思っております。  ただ、基本的にはやはり為替管理なりなんなりでいわば鎖国状態にあったときの方が税制上は楽であったことは確かですけれども、ただしそれがゆえに税制の方の都合から為替の自由化は困るという立場にはありません。やはり時代の流れは為替の自由化だと思います。その中で税制上何ができるかということを考えていくというのが私の立場でございます。  その際に、今御指摘いただいたように、微に入り細に入り報告を求めるということができれば、それは税の立場からはありがたいのですけれども、一方で為替の自由化なり金融の自由化をしているのに別の負担がかかってしまって動きがとれないということではいけないわけです。そうすると、そこに適切なバランスを考えなければいけない。ということで、今私どもが考えているのは欧米、特にアメリカでやっております一定金額以上のものということに着目しまして、向こうで一万ドルですから百万円以上のものかなと思っております。  ただ、委員御指摘のように、九十九万円で分けてたくさん出てくるというようなことが一般的にもし行われるとすれば、それは次のステップで私どもはそういうものを阻止していく手法も考えなければいけないと思いますが、初めからそれを考えていくのはせっかくの為替の自由化なり金融システムが新しい時代に向かっていくのに対してマイナスではないかな、こう思っている次第でございます。
  122. 益田洋介

    ○益田洋介君 住専問題を審議いたしました金融問題特別委員会で数回議題に上ったことでございますが、八九年当時からのアメリカのバブル経済崩壊ではS&L、貯蓄貸付組合がおよそ五十兆円もの不良債権を抱えていたわけでございます。そして千行にも上る銀行がその結果倒産した。これに対してアメリカの政府は約十兆円の公的資金を投入して小口預金者を救済した。住専の場合と違って預金者がある銀行だったわけです。しかし、その一方で、こうした事態の再発防止のために銀行の経営者や監督官庁の官僚たちの責任を徹底的に洗い出した。  そして一九九五年、アメリカの刑事訴訟法の改定で紹介されました同法千九百六十一条の通称RICO法、これは恐喝ですとか詐欺ですとか腐敗行為を行う団体を取り締まるための法律でございますが、その法律の活用によって実に千八百人に上る関係者を検挙した。このことの陰にはアメリカの司法省や財務省、CIAといった機関がPROMISというスーパーコンピューターを駆使して調査をしたわけでございます。政府は、これを使って一日一兆ドルに上るニューヨーク市場の内外のドル資金の流れを細かく監視しているというふうに伺っています。また、残念なことでありますが、大和銀行のニューヨーク支店とそれから米国の現地法人の不正が摘発されたのもこのPROMISというスーパーコンピューターの果たした役割が大きいんだというふうに伺っております。  こうして、アメリカ政府はコストと人手をかけまして、必死になって不正資金に目を光らせているわけでございますが、これは何のためかというと、私の思うところによりますと、自分の国の金融信用力、特に国際金融信用力を失わない、維持していくためである。したがって、総力を挙げて、大統領ですらその対象の例外としていないという、ホワイトウオーター疑惑がその一つだと思いますが、こうした努力をアメリカはしてきた。  我が国の不良債権というのは、まだ相当あると言われている。底知れないものがある。ゼネコンも相当抱えているのがわかってきたわけでございます。私は、この点について大蔵省とそれから司法当局の考え方を伺いたいと思います。
  123. 山口公生

    ○政府委員(山口公生君) 我が国におきます不良債権という問題が、これまでも我が国の経済に重くのしかかっておりますけれども、最近に至りましての数字を御紹介いたしますと、不良債権総額が、七年九月末で三十八兆ありましたものが、昨年、八年九月では二十九兆に減っております。要処理見込み額で十八兆ありましたのが七兆に減っております。ただ、これはディスクローズベースの破綻、延滞、金利減免というものの総体でございますが、この統一的な公表の数字で見る限りにおいては総体的に見ますと減少していることから、不良債権問題が解決の方向に向いているというふうに言えるかと思います。  ただ、個々の個別の話になりますといろいろとまだ取り組んでいくべき問題も多うございます。また、御指摘のゼネコンの不良債権の問題ということも世上いろいろ言われております。ゼネコンがいろいろ保証しておるのがまた顕在、不良債権化するのではないかというような記事も散見されております。  そういったものもございますけれども、私ども、民間金融機関のこうしたケースを見ながら、また今民間金融機関で必死に進めておりますリストラ等の合理化努力、それからできるだけ思い切って償却をするという姿勢、そういったものが実を結んでいけば、こうした我が国経済に重くのしかかっておりました不良債権問題が解決の方向に行くのではないかというふうに期待しているところでございます。
  124. 益田洋介

    ○益田洋介君 警察庁、お願いします。
  125. 岡田薫

    ○説明員(岡田薫君) 不良債権のお話がございましたけれども、不良債権に関連した刑罰法令違反等がありますれば、これは従来より厳正に対処してまいるわけでございますけれども、議員御質問の中で、マネーロンダリングとの関連もあろうかと存じます。それと金の動きの把握の問題で出てきた御質問かと存じます。  最近の犯罪情勢を見てまいりますと、薬物犯罪、暴力団犯罪を初めとして、資金を獲得するために犯罪を敢行する事例が多く見られておりまして、犯罪によって得られた資金であることを隠ぺいするためにさまざまな偽装工作、つまりマネーロンダリングが行われていると懸念されているところであります。  このマネーロンダリング対策につきましては、国際的にも各国が足並みをそろえてその防止、検挙を図るための措置をとることが必要とされているところでございまして、その一環として、国境を越えた資金の移動について、顧客の本人確認や必要な場合には捜査機関相互間の捜査協力などが求められております。私どもといたしましても、前提となります各種犯罪の捜査はもとより、国際的な資金移動、マネーロンダリング等の防止のために各種施策を今後とも的確に推進してまいりたいと思っております。
  126. 益田洋介

    ○益田洋介君 皆さんまだ記憶に新しいと思いますが、住専問題のときも銀行の不良貸付先に常に見え隠れしていたのが組織暴力団であり、当時問題にされました。最近では、今度ビッグバンに向けて各銀行が不良債権の早期処理を理由に債権放棄などを盛んに行っているわけでございます。そして、かなりの金額が帳簿上は償却されている。その相手先にもし再び問題のあるところが出てくるようであれば、同じような問題に我々は直面するわけでございます。国民としては非常に気にかかるところだと思いますので、どうか警察当局におきましてはよくこの辺を捜査していただきたい、そのようにお願いするわけであります。  仮に、相当な資金がいわゆるブラックマネーとして存在して、今回の法改正で海外に送金されても、警察庁は外為法違反で取り締まることもできなくなります。これは非常にゆゆしき事態を招来するという大きな懸念がある。この点についてどう思いますか。
  127. 岡田薫

    ○説明員(岡田薫君) マネーロンダリングの問題につきましては、犯罪により得た収益を隠匿収受することというふうに理解されておりまして、我が国では現在の時点では、麻薬特例法によって薬物犯罪によって得た不法収益等の隠匿収受が処罰されることとなっております。主要先進国の多くは隠匿収受の前提となります犯罪を薬物犯罪に限りませず、重大犯罪一般に広げているというふうに承知をしておりますし、現在、関係当局においても我が国におけるそうした前提犯罪の拡大についても検討されているところと理解をしております。  それはそれといたしまして、私ども警察当局といたしましては、現行法令の枠内におきまして前提犯罪の事実を立証すればその犯罪は立件できますので、そういった捜査等に努力をしてまいりたい、このように思っております。
  128. 益田洋介

    ○益田洋介君 さらに、国内におけるドルの流通量が相当ふえるという見通しでありますが、偽造紙幣の懸念もまた広がってくるわけでございます。  警察庁の調べによれば、一九九六年に国内で発見されたにせ札八百五十八枚のうち、実に六百八十七枚がドルの紙幣であった。ドルのにせ札の鑑定に権威があると言われているリパブリック・ニューヨーク銀行の発表したところによると、年々このにせ札の偽造技術というのは精巧さを増している、そしてもう最近では識別できないケースも少なくないんだと、こんなことも発表されております。今度はコンビニエンスストアで夜中でも外貨との両替ができるようになるわけでございます。便利でいいといえばいいんでしょうけれども、アルバイトの店員の人がドルのにせ札を識別することはとてもできないんじゃないか。こうした問題も実際に生じてくるわけでございます。  この点について、警察庁はどのように対応されるおつもりか。
  129. 小堀豊

    ○説明員(小堀豊君) 御説明申し上げます。  今回の外為法の改正によりまして両替商の認可制度が廃止されるわけでございますけれども、そうだからといって直ちに外国紙幣を偽造して、外国紙幣のにせ札を使用した犯罪の頻発につながるかどうかというのは明らかではないわけであります。が、警察といたしましては、外国紙幣であると否を問わず、仮ににせ札の流通を認知した際には関係当局と連携をとりながら、その特徴、犯行の手口等を分析の上、犯行が予想される場所に必要な情報の提供を行うなどしまして、同種事犯の再発防止に努めてまいる所存であります。
  130. 益田洋介

    ○益田洋介君 次に、日本版金融ビッグバンについて質問をいたします。  御存じのとおり、EU、欧州では通貨統合を前にしまして国境を越えた大口機関投資家同士及び企業相互間の証券形態での高速金融取引という国際投資銀行業務が活発化しているというふうに伺っております。そして、今後はより効率的な金融規制がどうあるべきかというところに議論の焦点がだんだんに移ってきている。イギリスにおきましても、ロンドンのビッグバンの一つの帰結としてリスク管理が重視されてきているということでございます。そのために、英蘭銀行という言い方は古いので、イングランド銀行や証券先物委員会、いわゆるSFAが従来以上に厳しく監視をしているということでございます。  ビッグバンだとかフロントランナーだとか、片仮名語によって何か我が国が先進的な位置を占めているような印象を与えようと大蔵省の方は考えているようでございますが、私は本来先取りすべき重要なことは、つまりこのウォールストリートとシティーの先輩方から何を学ぶべきかというのは、やはり徹底したリスク管理の実施であろう、そのような意見を持っているわけでございます。  そのことによって、消費者保護や金融システムそのもののリスクの回避をやはり指導していくべきだろうと思いますが、いかがでしょうか。
  131. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 今、先生の御指摘のこれからの一番大事な視点としてのリスク管理、これは私も全く同感でございます。  諸外国でのリスク管理の技術というものは相当高度化されてきております。もちろん我が国の主要な邦銀におきましてもリスク管理は相当な高度化を見てきております。  リスク管理をすることによって、いかに過大なリスクにさらされているのをヘッジしていくかという面があると同時に、逆に、リスクをいかにテークしていくことによって収益を上げていくかという両面があるわけでございます。したがいまして、銀行の業務というのはリスクを管理していなければ成り立たないと言っても過言ではないというふうに思います。  先生の御指摘のように、これから世界の銀行に伍して活躍していく銀行としてはかなり高度なリスク管理が必要だし、また国内で活動する銀行においてもこれからはいかにリスクをトータル的に管理していくか、またリスクも単なる貸し付けのリスク等だけではなくて、市場が変動しております。例えば、債権を持っていてもその債権価格は変動いたします。為替が変動いたします。そういったマーケットのリスクにどうさらされているかをいかにアットバリューで今の時点でどう把握するか。したがって、どういうヘッジをかければいいか、デリバティブを組めばいいかということを瞬時に判断できるようになっていく必要があるわけでございます。  そういった意味では、私どもの行政のあり方としてもそういうリスク管理というものの重要性をよく認識して、例えばある銀行がどういうリスク管理の体制を整えているのかということをよく見ていくことも必要になってくるだろうというふうに思っておるわけでございます。
  132. 益田洋介

    ○益田洋介君 今、局長のお話を伺いながら思ったんですが、金融監督庁、この法案はまだ参議院には来ておりませんけれども、これはやはり徹底的な議論がこういった面についてもなされるべきではないかと私は思っております。  それで、イギリスという国は、そもそも世界の金融市場のルトルづくりをしてきたような大先輩の国である。戦後におきましても、アメリカの特にニューヨーク市場のサブシステムという機能をしてロンドンは歴史的に繁栄してきたわけですが、ビッグバン以前に既にロンドンでは金融市場としてのインフラは十分に整っていた、そういう見方をする方が多いわけでございます。したがって、イギリスのビッグバンというのは、かみ砕いて言ってみるならば旧ギルド的な既得権が国内資本市場で温存されていただけであることから、これを世界に向けて広げた、そういった自然な成り行きであったのではないか。  一方では、我が国では、国際市場としての生き残りをかけたといいますが、もうこれ以上何もしなかったら取り残されてしまうんだ、こういう危機感から大リストラを国として行うわけでございますので、文字どおり日本の方がこれはビッグバンに値するんじゃないかという気もしているわけです。  しかし、その反面、競争原理が当然のことながら導入されて、経営効率の悪い、またリスク管理にたけていないような金融機関というのはどうしても自然に破綻処理の対象とならざるを得ない部分も出てくるんじゃないか、いたし方ないことなのではないかという気がいたしますが、大蔵省としては、この上位の体力のある邦銀だけが残ればそれで日本の国内市場はいいんだ、日本の銀行というのはそれでいいんだというふうにお考えでしょうか。
  133. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 今般の金融システム改革におきまして、市場原理が働く自由な市場が生まれていきますと、各金融機関がみずからの創意工夫を生かして利用者のニーズに合致した多様な金融サービスを提供していくことが可能となるわけでございます。こうした改革が進められれば、こうしたニーズに合致したサービスを提供できる金融機関が競争力を持つというのは自然な流れでございます。したがって、各金融機関においてはいろいろなビジネスチャンスがふえるという面もあるわけでございます。逆にその一方で、競争が激しくなるということも御指摘のとおりでございます。  ただ、大きいだけが強いのかというとそうでもないと思うんですね。やっぱりそこでは創意工夫の能力があるのか、金融技術を習得する能力があるのか、あるいは経営の方針として的確に方針が出せるのか。例えば、地方で活躍している銀行あるいはその地域で活躍している銀行は、それはビッグバンのもとでも地域のお客様、地方のお客様のニーズをどれだけ十分に把握するか、つまり顧客のネットワークというものをきちんと情報の面からもつかんでおけば、そこはそれなりの対応を十分にやっていけるということだと思うわけでございます。  したがって、ビッグバンの結果、大手だけというようなことには恐らくならない。それぞれが創意工夫を凝らし、いかに生き残りを図るか、それに成功するところがますます活躍していくというようになっていくのではないかというふうに思っております。
  134. 益田洋介

    ○益田洋介君 いずれにしましても、旧態依然とした護送船団方式をきっぱりここで見切りをつけて、そして創意工夫という言葉を今局長が使っていましたが、まさにそのとおりであろうと。自分で工夫をして悩んで、そして自由競争の中で生き残りていくのが銀行の姿だ、そのように思います。  最後に、大蔵大臣に今の件について御所見をお伺いして、私の質問を終えます。
  135. 三塚博

    国務大臣三塚博君) もともと自由主義経済は市場原理に基づき、自己責任において創意工夫をし、ニュービジネスをつくり、また従前の企業も生まれ変わりのためにリストラを断行する中で新経営方針を出すということもあると思います。それは、世界の潮流の中で生き残るためには必要な動向を分析しながらニーズにこたえて対応する、あるいはニーズをつくり出して、それに向かってチャレンジをしていく、多様な戦略論がそこに生まれてくると思います。手とり足とりで行く時代が過ぎたことは御指摘のとおりであります。  バブル崩壊の深刻な場面を迎えて、政府とすれば法令の中で許される最大の努力をする。その原点は企業の再生への努力であります。並の努力は努力と言われないわけであります。そういうことの中でやり抜く者については最大限のサポートをしていく、こういうことは大きな転換期において我が国企業を生まれ変わらせるという意味では正しいことであろうと。  しかし、それをいつまでも続けるなどということであってはなりませんから、二〇〇一年を完成の年として自後はひとり立ちで行け、しかしフロントランナーと言われる外為がスタートを切る来年の四月一日以降、監督庁もそうでありますし、日銀もその前に新体制の中で施行日が決まるのだと思うのであります。そういうことなどを考えますと、まさに金融界、資本主義時代の神髄に徹した自由主義経済で勝負をかけていかなければなりませんし、官のなし得る範囲はこの世界においては限られてくるだろう、このように思います。  ただ、民間の中で中小企業という、伝統産業といいますか地域に密着したものがあるわけでございますから、本件については研修、さらに他の省庁の役目であろうとは思いますが、金融を担当する、企画立案を担当する大蔵省としても、その分野についての生き延びるための研修というものは精力的に進めていくことが必要であろうと思いますし、それに対応するただいま諸制度が幾つかございますが、機能しないものはだめでありますけれども、機能するものについてはやはりそれはそれとして取り進めていかなければならない。  時代に即応したフロンティアを持つ者のみが生き残っていくし、また生き残れるようにサポートをしていく、こういうことではないでしょうか。
  136. 益田洋介

    ○益田洋介君 終わります。
  137. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私は、今回主に外為法改正に伴う課税漏れについての対応について伺っていきたいと思います。  巷間、今回の外為法改正により海外に預金口座を開設することが自由化されるということなどから、課税漏れが増加するのではないかと言われているようでございます。ただいままでの御質疑の中でも、その点の御指摘がございました。大蔵省もまたこの認識は当然持っておられると思います。  そのために、秋には税務資料情報法案、仮称でございますが、これを提出する予定と聞いておりますが、間違いございませんか。そして、その内容はどのようなものになるのでしょうか、お伺いいたします。
  138. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 現在、外為法の御審議がなされておりまして、これが固まっていく過程で政省令等も確定していくと承知しております。  外為法が動き出すときにどういう民間の経済取引になるのか、あるいは今鈴木委員が御指摘のように、海外に普通の経済活動として発展するケースと、それからこれを奇貨として脱税をしようというような人が出てくるのかどうか、両方の意味で私ども税法を担当している者は関心を持っております。  この三月でしたか、御審議でも申し上げたんですが、昨年の秋以降、これが本格的な問題として俎上に上がってまいりましたものですから、私どもは、与党との関係も含めまして、去年の十二月、方針としては資料情報制度を固めるということを決めさせていただきました。  ただ、その具体的内容につきましては、最初に申し上げましたように、外為法の姿がはっきりしてくるときに、また企業がどう対応していくかということを見きわめながら対応していこうと思っております。また、国税庁とも十分ここは打ち合わせを今進めております。したがいまして、まだ決まったわけではございませんが、私どもが考えている粗い構想といいますのはこれから申し上げるような内容になろうかと思います。  銀行等の金融機関から、これには郵便局も含めたいと思っておりますが、税務署に対しまして、一定金額以上の海外送金あるいは海外送金の受け取り、入金につきまして、送金人または受取人の住所、氏名、名称等、それから相手先の所在地、所在国、氏名、名称等、それから送金額、日付、送金の原因といったようなことを報告してもらいたいと思っております。  その場合、送金依頼者は、これらの事項を銀行等に書面で告知するということにさせていただいて、銀行等はその告知した人について、例えば保険証などによりまして、公的書類といいますか、こういうもので本人であるかどうかを確かめてもらうことにしたいと思っております。かつ、その銀行等の報告義務に違反した場合、それから本人が告知義務違反をして虚偽の告知をしていたというようなときには罰則も必要かと思っております。  こういった制度にしたいと思っておりますが、先ほどの御質問にもありましたが、これをすべての送金、入金について行うということは、せっかくの為替の自由化を動かなくしてしまう可能性もありますので、自由化されている先輩国であるアメリカの例をとりますと、一万ドル以上のものについて同種のことをやっておりますから、日本においては例えば百万円以上のものについてそういう制度に乗せていくということが必要かなと思っております。  なお、この問題と、もう一つ先に外為法の問題が出る前に、実は民間国外債につきまして非課税制度がございます。これの還流制限というものが規制の緩和によってどんどん短くなってきて、来年の四月からは還流制限なしということが既に去年、おととしから動いておりましたので、そのことについても関心を持っておりましたところ、今度の外為法の改正によってなおさらこれによるまた脱税のようなものが出てくる可能性も考えられますので、この点につきましても対応策を考えていきたい。  具体的には、国内の発行体が海外で民間債を出す際に、その出し方にもよりますけれども、本人確認をして非居住者であるのかどうかを確認させていただくというシステムもあわせて考えていきたいと思っております。その時期につきましても、これから政府部内あるいは与党内で議論しなければなりませんので確たることは申し上げられませんが、来年四月から自由化しますので、できれば秋に法制化ができればいいと思っている次第でございます。
  139. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 お話の中に、どの範囲を対象とするかというお答えがないんですけれども、証券会社とかクレジット会社まで対象にするという考え方ですか。
  140. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 今、原則的に考えておりますのはいわゆる金融機関でございまして、また送金業務といいますのは金融機関に限定されておりますので、それで足りるのではないかと思っております。  ただ、委員御指摘のように、いろんな形態ですり抜けていくということが観念的には考えられます。それはおいおいといいますか、今後の実情を見て補完していくということかと思っております。
  141. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 大変原則的なことをお尋ねしますが、何で百万円なんですか。先ほども益田先生から御指摘がありましたけれども、何か物まねみたいな、アメリカが一万ドルだからこっちも百万円だろうというような全く人まねみたいな何の根拠もないみたいなお話なんですね。  それから、薄井局長は、百万円ということは今大体一万ドルだから百万円にしたと。九十九万円というものが続くのであればこれは見直さなきゃならぬ、今始めたばかりだから余りきつくやらぬ方がいいんじゃないかというお答えです。けれども、犯罪というのは、完全にシステムがそろわないときと、その後そろった中で巧妙にやるという二つのものが出てくるんです。だから私は、百万円というこの金額の算定根拠というのをはっきりしておかないと、後からまた問題になることだと思います。  それから、特に今回の外為法は抜本改正、抜本改正という言葉を使われるんですが、この抜本改正ということは、確かに自由化したという意味においては抜本改正なんです。しかし、この前も抜本改正と言っているんですよ。やるたびに抜本改正、抜本改正と言っている。だから余り抜本改正と言わない方がいいですよ、それは。この百万円だって、今度は九十九万円に直さなければならないときはまた抜本改正と言うんですか。だから、百万円の根拠というものはもう少し私ははっきりしておいた方がいいと思います。
  142. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 確かに、考え方としては、どんな送金についても報告させるという考え方もあろうかと思いますが、これが金融機関に与える事務的な煩わしさ、これは業務に支障を来してしまうこともあり得ると私ども思っております。  そういう意味で、先輩国であるアメリカにおいて、アメリカはその面では一番厳しい国です、その国でも一万ドルという線を引いておるということは、私どもからすれば、そこまでやっておけばそう問題はないということでやっているんだろうということでそれなりに理屈はあると思っております。むしろ、金融機関の方はもっと上に上げてくれということを言ってきておりますけれども、私どもは百万円がいいんではないかという主張を今している次第でございます。
  143. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 それからもう一つの認識ですけれども、国金局長は、そんなに外に出ませんよと、為替のリスクもあるんだからそんなに外には出ないと思いますよと、そういう認識を語られたわけです。  私は、それと反対なんです。こういう日本の金利状態の中から見ると、どうやって自分の資産をふやすかということはだれでも考えると思うんです。だから、私は情勢の見方についてちょっと甘いんじゃないのかなというような気がするんです。お答えは要りません。  そこで、この課税漏れという問題に対して、主税局は主税局なりに、私は相当分析、勉強はしていると思うんですが、先般、産業構造審議会の産業金融小委員会に提出されました七つの問題点というのがありますね。これは、課税漏れとは言っていないんだけれども、課税上だったですかな、七つの問題点というのが出ているんです。この資料はどこから出した資料なんですか。
  144. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 大変お恥ずかしい話ですけれども、私は、きのう御質問をいただいてこういう資料があることを知った次第でございまして、産構審の所管をしております通産省に尋ねましたところ、産構審の小委員会、産業金融小委員会において、委員から審議の参考材料とするためにまとめてほしいと言われて、通産省の事務当局がまとめて出したという資料だそうでございます。
  145. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 これについて、大蔵省そのものはどういう認識を持っているのかわかりませんけれども、ちょっと皮肉った言い方をしますと、主税局は何もまとめないで、よそから言われてびっくりしたということですか。
  146. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) そういう意味ではございません。  通産省が産構審の委員会にこういう資料を出しているということを知らなかったということでございまして、委員からの御指摘もあり、これをきのういただいて読んでみますと、それ以前に、まさに去年の秋以降、国税庁と主税局が議論していたような話がほとんどオーバーラップしているという認識で読ませていただきました。
  147. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 後から一つ一つ時間のある限り質問しますが、この七つの問題点というのは、ちょっと読ませていただきますが、「外為法改正後に発生しうる課税上の問題点」ということで七つにまとめています。  一つは「外国銀行への預金から得られる利子に対する課税漏れが生じる可能性がある。」、二つ目には「外国証券会社を通じた証券投資から得られる収益(配当金、利子、キャピタル・ゲイン等)に対する課税漏れが生じる可能性がある。」こと、三つ目が「不動産などその他海外資産から得られる収益に対する課税漏れが生じる可能性がある。」こと、四つ目には「不正な所得など課税前の所得が海外へ流出することにより、課税を免れることが出来る可能性がある。」こと、五つ目に「オフショア銀行等を決済口座とするクレジット・カードや手形の利用により、①~④等の所得を消費段階で把握することも困難となる可能性がある。」こと、六つ目に「国内企業等が海外で資金調達を行い、これに国内投資家が海外で応じることにより、国内投資家が課税を免れようとする動きが活発化する可能性がある。」こと、七つ目に「高額の資金移動の自由化により、我が国よりも税率が低い国を利用して相続、贈与を国外で行う動きが、さらに活発化する可能性がある。」こと、こういうふうに指摘しております。  それで、今主税局長から、これから提出するであろう税務資料情報法案なるものの輪郭をお伺いしましたが、今外為法で皆さん答弁なさっていることは、本人の確認という制度と、それから金融機関に申告を義務づけるということだけがはっきりしているのであって、あとはさっぱりはっきりしていないわけです。  したがって、お尋ねしたいことは、今申し述べました一番と二番と三番、つまり「外国銀行への預金から得られる利子に対する課税漏れが生じる可能性がある。」こと、それから「外国証券会社を通じた証券投資から得られる収益に対する課税漏れが生じる可能性がある。」こと、「不動産などその他海外資産から得られる収益に対する課税漏れが生じる可能性がある。」こと、この三つの問題に対して、諸外国では、これをどういうふうにしてチェックしながら点検というか、そういうものをやっているのか、もしおわかりであれば諸外国の例をちょっと聞かせてください。
  148. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 諸外国につきまして、それほど詳しく承知しているわけではございませんが、一番この面で進んでいるのがやはりアメリカでありヨーロッパではフランス、それからアメリカの隣の国のカナダにおいても進んでいるように思います。  その基本は、先ほど来私ども申し上げております報告制度がしっかりしている、それからマネーロンダリング、これも、課税だけではなくてもうちょっと犯罪の面も含めたこの点について非常にセンシティブに対応しているというようなことで対応しているように受けとめております。  アメリカにおきましては、納税者番号があるということが非常に有力な支えになっているかと思いますが、一方のヨーロッパでは、フランス、納番はありませんけれども、それなりに源徴制度のもとにおいて、違法で抜けていくものをとらえる仕組みをつくっているように承知しております。詳細については必ずしも承知しておりません。
  149. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 今、二つのお答えをいただいているんですが、つまり、報告を義務づけるというのは税務署にでしょうね。だとすると、アメリカ型は納番制があるけれども、片方はないと。それでも税務署当局の中にはそういう報告、申告が行われているわけですね。どちらをおとりになりますか。
  150. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 我が国においても、納税者番号の必要性、論議は長く行われております。  私ども税務関係者としましては、これだけ機械化が進んでいく中で、納税者番号があれば望ましいという意識を持っておりますが、一方で、納番制度についての、これは長い話はしませんが、種々の国民の理解を得るための段階がまだ要るという判断もありまして、現状では納番を直ちに使える状況にありません。そうなりますと、フランス方式といいますか、納番なしで課税の適正化をやっていくという手法、源泉徴収等を踏まえてやっていくという手法が中心になっていくのかと思います。
  151. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 そうしますと、納番制の問題というのはいずれ別な課題として取り扱うことになりましょうね。  仮に、フランス型になりますというのであれば、そこでも問題になってくるのは、今度は税の制度の問題がもう一つあるわけでしょう。総合課税にするのか、分離課税制度でいいのかという問題が根本的な問題として私は内包していると思うんです。それはいずれ議論の対象に、どんなところでなることになりましょうか。
  152. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) かつて納番制が議論されたときは、そのスタートにおきましては、利子とか配当等の、キャピタルゲインも含めてですけれども、所得課税における総合課税、このために納税者番号がないと名寄せができないということからスタートした面があることは否めないと思います。  その後の長い議論の中で、それが消えているわけではありませんが、それと並列して、これだけコンピューターが発達し機械化が進んでいく中で、税務執行、適正な課税の実現を図るというためには、税務職員の数がそれほどふやせない中において機械に頼っていかなくちゃならない。それから、民間の産業はほとんどもう機械化をしてリストラをしているわけです。そういう中で、機械を使って税務行政をしていく、効率的にやっていく、適正な課税をしていくためには番号が必要ではないかという二つの柱のもとで納番制度が議論されているように思います。  ちょっと長い話をお許しいただければ、総合課税の方につきましては、どちらかというと累進税率あるいは累進構造についての考え方が国民的に変わってきているように思います。  かつては、アメリカもイギリスも九〇%ぐらいの高い税率をやっておりましたけれども、今や相当低くなっておりますし、日本が最高税率一番高いぐらいになってきております。その日本も、ちょっと前までは国、地方合わせて九三%でしたか、一八%と七五%。国と地方を合わせて九三%という最高税率を持っていた国が、今や両方足して六五%になっております。それでも高いというのが通説といえば通説です。そのように累進構造がだんだんフラット化していく中で、総合課税の意味づけは変わってくる。それから、評価は分かれるかとは思いますけれども、税体系の中で消費に対して比例的な負担を求める消費税というものが税収の一定割合を占めるようになってきていると……
  153. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 今そのことを聞いているわけじゃないんです。
  154. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) はい。そういった中で、総合課税というものの位置づけがやや変わってきているというふうに思っております。
  155. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 とにかく、捕捉が完全でない状態のときにどうするかという問題と、捕捉が十分であるというときにどうするかという議論だと思うんです。だからこれはこれでまたいずれやりたいと思うんですよ。  大臣に申し上げたいんですが、今言ったように捕捉が十分でない状態の税制はどうあるべきかということと、捕捉は完全にやらなきゃならぬという立場で物を考える、これ二つあるわけなんですよ。午前中、荒木先生からもお話しいただいているんですけれども、国税庁だってさっきの答弁はちょっと私わからないですよ。一生懸命やっていますなんということばかり言っているけれども、専門官をつくりなさい、調査官をつくりなさいと我々今言っているわけですよ。あなたの方はそのことは一生懸命養成中でございますと、こう言っている。  この前、薄井局長が私に答弁したときには、海外にまで行って調査をするということは現行はできないと言っているんですよ。日本人が出かけていって向こうを調査する、それがどうもできるみたいな話を国税庁はするわけだよね。それちょっと違うんであって、だからこういう専門官を、複雑多岐にわたるようなことになるんだからもう少し人の問題を十分考えてくださいよということを言いたかった、分離課税の話じゃないんですよ、今それは。ぜひ大臣にはそこのところ、後で結構ですから答弁をお願い申し上げたいと思います。  それから、次に移らせていただきますが、四つ目の問題で上がっております「不正な所得など課税前の所得が海外へ流出することにより、課税を免れることが出来る可能性がある。」ということです。これは、今薄井局長じゃないですけれども、海外送金について申告義務を課するから大丈夫だということを言っているわけですよ。本当に大丈夫ですか、これだけで。新しい提案とか、何かというのはないんですか。申告義務だけで本当にいいんですか。そこのところを聞かせてください。
  156. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 申告義務といいますか、もし送金、つまり海外に資産を持ったり海外で投資をしようとする場合には、国内から資金を移さないといけません。移すについては、今送金業務というのは金融機関を通じることになっておりますので、申告しようがしまいが、そこでだれが幾らだれに対してどういう目的で送金したかがわかるようになる。それから、利益が上がってそれを国内に返そうとすれば逆の送金ということになりますけれども、入金するわけですから、これも申告なしに金融機関から税務署に対して通知が来るということでチェックができるという意味でございます。
  157. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 今度は五番目の問題ですが、「オフショア銀行等を決済口座とするクレジット・カードや手形の利用により、①~④等の所得を消費段階で把握することも困難となる可能性がある。」と言っているんです。つまり、消費段階ということだとすれば、外国におってそこでためておきますな、そこの捕捉ができないから、完全に捕捉ができないからそれを今度は消費段階で税を取ろうじゃないかという問題だと思うんですね、これは。ところが、それも困難になる、困難になる可能性があると指摘しているわけです。薄井学者、これはどういうふうに解釈すればいいんですか。
  158. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 鈴木委員が御指摘のように、一つ一つがどういう意味でこの⑤が書かれているのか、私も素直に頭に入らなかったものですから、これを書いたといわれるところに聞いてみました。  このオフショア銀行というのは、いわゆる日本の外為法上のオフショア銀行ではなくて、いわゆる外国にある銀行という意味のようでございますし、それから消費段階で云々というのは、決済が外国で行われる、国外で行われるという程度の意味だというふうに私は読んだわけです。聞いた上でそう読んだわけです。そうなりますと、この①で書いてある外国銀行への預金から得られる利子に対する課税漏れの話と本質は同じではないかなと理解しているわけでございます。
  159. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 つまり、こっちの、日本の国の方には関係のない、向こうで資産をためたものの使い方の問題だというように理解していいんですか、これは。
  160. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) そうだと思います。  その場合に、国外から資産を移せば、さっき申し上げたようにチェックできますし、向こうからこちらに送金すればチェックできるわけです。ところが、向こうでなぜか発生しちゃってそのまま置いてあるとどうにもならない、それは今でも同じ問題があるということです。
  161. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 その点はわかりました。  それから、一つ気になることは、私から言われて知ったというのはおかしいんですよ、こういうことをやっているのを大蔵省が知らなかったということは。まあ、いいですよ、それは。  それから六番目です。「国内企業等が海外で資金調達を行い、これに国内投資家が海外で応じることにより、国内投資家が課税を免れようとする動きが活発化する可能性がある。」と指摘しているわけですね。  こうした問題への対応策として、ユーロ円債の利子課税免除には本人確認という制度が、この前、租税特別措置法のときに決められたわけですね。そうすると、本人確認ということについて、これはやっぱり問題があるように思う。問題があるということは、本人確認をするときに、つまり発行時に一度確認すればいいのか、あるいは利払いのたびに本人確認をその都度するんですか。これは、どういうふうに理解すればいいですか。
  162. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 今、御質問いただいた部分はこれまで国会での論議ではほとんどなかった分野でございまして、いわゆる民間国外債、日本の国内企業、内国法人が資金を外国で調達したいというときに国外で債券を発行いたします。そのときに外国、つまり非居住者がこれを買って利子を得るときには非課税にしますという制度が租税特別措置法で設けられております。民間国外債の利子の非課税制度というものがあります。  この制度につきましては、外国の方が購入するから、それから日本に資金が入るからということで租特で非課税になっているわけです。これは国際的にもどこの国でもこれに似たことをやっている。しかし、その国外債が、日本人が買って非課税になっていたらおかしいじゃないかということで水際源徴、もう細かいことは言いませんけれども、源徴という制度で戻ってくるときに課税するようになっておるんですが、今度為替が自由化になりますと、国外に口座を持って、そこに置きっ放しにしておいて、日本人がそれを非課税で利用してしまうのではないかという問題が生じるのではないかと私どもも思っております。  そこで、国内の内国法人が国外で発行しようとするときに、これ一定の条件があるんですけれども、その際に本人確認制度を設けようかと、今それを考えております。本人確認制度を設ける際に、委員が御指摘のように、いろんなスタイルがあると思います。明らかに外国人しか買わないものとして目論見書ができているならば、それはそれでむしろそういう手数をかけなくてもいいかもしれません。しかし、一番きちっとしなければならないケースは折々に本人確認が要るかもしれません。その辺について今検討させていただいておりまして、これもお許しを得られるならば、秋の国会があるならば、そこに出させていただく部分ではないかと思っております。
  163. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私は、これは大変大きい問題だと思うんですね。なぜ大きいかというと、本人確認がヨーロッパあたりでは大体一度で済んでいるんですよ。けれども、それだけでいいかというと、利払いの、もらうときの本人確認というのはその都度やった方がいいんじゃないかというのもあるんですね。けれども、それをやると今度は事務負担の方が多くなっちゃって、これじゃたまらぬというような問題も出てくる可能性があるんです。したがって、この辺はまだ時間もあるようですから、どうぞその点は非常に私は大きい問題だと認識していますので、御検討をお願い申し上げておきたいと思います。  次は、七番目の「高額の資金移動の自由化により、我が国よりも税率が低い国を利用して相続、贈与を国外で行う動きが、さらに活発化する可能性がある。」という指摘があるんですよ。本当かなということを疑問に思いながら、こういうケースがあるとすれば、これに対しての対応策というのはどういうふうに考えればいいのかという、予見で結構ですから、もしありましたらお聞かせください。
  164. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 相続税あるいは贈与税の世界でございますけれども、国によって、亡くなった方あるいは亡くなった方の遺産そのものに税金をかける国と、それから相続を受けた人にかける国、贈与を受けた人にかける国、贈与した人にかける国と、いろいろあるものですから、国際間の相続税とか贈与税というのは非常に難しいところがあります。  そこで、この通産省のペーパーは誤解したんだと思いますが、日本の場合、無制限納税義務者というのは、日本の国民であれば、海外に資産を持っていても、それも含めて相続税がかかります、相続を受けた人は。したがって、外国の税率が低いからといって外国に資産を移しちゃったと、お父さんが一その相続を子供がすると、そのときにその子供が日本にいる限り、外国の資産も足した上で日本の税率がかかりますので、こういうことにはならない。  ただ、いろんなケースがまた部分的には考えられます。その際には、今度は二国間で外国税額控除ということで調整していきますので、ほとんどの場合、この七ということが、税率が云々で起きるということはあり得ないと思います。ただし、国外に資産を移すであろうということは逆に、逆にといいますか一方で考えられることでして、資産を移すという際にどういう形で移すかによりますけれども、先ほどの送金なり入金に際してのチェックをしておくことによって、これは把握できると思っております。
  165. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 もう一つ、大変恐縮なんですけれども、私勉強不足でわからない点がありますから、簡単にお答えいただいて結構だと思いますが、よく局長から租税条約という言葉が出てきますよね。今私が述べたような、海外でこういう問題が起きるというときには、租税条約に基づいて情報交換をするから大丈夫だというお話がよくあるんですけれども、この租税条約というのは、簡単に言うとどういうものであって、本当にその情報交換だけで完全にこういうものの捕捉とか監視とか、それができるのかどうか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  166. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 我が国が締結しております租税条約、二国間でこれは結ぶものでございますが、税務当局間で協調しまして、脱税を防止して適正な課税を確保するという両国間の気持ちが合った場合には、ほとんどがそうなんですけれども、利子・配当等の支払いの事実だとか、取引の有無等の情報を税務当局間で交換する、これを情報交換と言っておりますけれども、こういうことが条約上定められております。  それから、租税条約に規定された軽減税率等の優遇を不当に適用している納税者がいる場合には、両国間で協力して適正課税で徴収すると、徴収共助という条項と、この二つが定められておるわけでございます。  この情報交換についての今御指摘でございまして、相手国からの個別の要請に基づきまして、我が国で入手可能な資料情報を調査、収集しまして送付するということは十分あるわけでございまして、この人はどうもおかしいので調べてほしいと言われれば、相続税の場合であればそれを調査するということはあり得るということでございます。その実効性その他については国税庁の方がお詳しいかと思います。
  167. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 この前、局長は、衆議院の大蔵委員会でこんな答弁をなさっていますね。  例えば、海外の預金口座を利用した脱税等を防止するには、大蔵省の考えでいるような国内金融機関から報告を求めるという方法のほかに、各国の税務当局間で協定を結ぶなどして海外の金融機関等からも報告を求めるようにしたらどうかというような質問に対して、租税条約によって情報交換が可能だから大丈夫だとお答えになっているんです。私は、これではちょっと言葉が足らないんじゃないのかなと思っておったんですよ。だから、こういう自由化になってくると、二国間ということをもっと広げるというのか、日本とどことどこ、日本とどことどこというふうにするのか、そういう結び方というのはあるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  168. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 法令なり条約のもとでは、私ども主税局が担当しておりますが、多国間でそれを結ぶというのは今のところございませんで、OECDの租税委員会等々でモデル条約をつくって、OECDのモデル条約で今御指摘のようなことを固めていくことによって、それをもとに相手国と交渉して、これは入れておきましょうということで今までやってきております。したがって、ほとんどの国との租税条約ではこの情報交換の規定が入っております。したがって、大丈夫であろうと申し上げている次第でございます。  ただ、いわゆるタックスヘーブン国と言われているような国は、そもそもそういうことで成り立っている国ですから、そういう情報交換規定は入れたくないと言うでしょうし、そういう意味ではどこかで抜けてしまうところがあるんではないかというのは委員の御指摘のとおりでございます。  なお、これは私、詳しく知りませんが、国税庁は国税庁として、各国のIRSとの間で議論をしているのではないかと思っております。
  169. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 最後の質問ですが、大臣に今の議論を聞いていただいておりまして、これから秋の臨時国会に向けていろいろ検討されるんだと思いますが、私はさっきも申し上げましたように、システムが新しくなるというときにえてして犯罪というのが起きる可能性が非常にあるわけです。きょうは時間がございませんから、これによって税収がどういうことになるのかというようなこともいずれまた議論をしたいと思いますが、そういうことの関係から見ると、どうぞ省全体として、万遺漏のないようにひとつ御指導をいただきたいと思うんです。  それから一番最後ですが、荒木先生もおっしゃっていたように、これはこれで制度面のことですから結構なんですが、先ほど申し上げましたように、捕捉が十分でないような状態の中で、何を議論しても本当は意味ないんですよ、これは。捕捉が十分でないということは、それは架空のこ  とであって想像して言っているだけなんだから。そういう意味では、捕捉体制というものは十分しておかなきゃならぬし、同時に非常にこれは専門的になってくるわけですね。  そういう意味からすると、国税職員の問題についてもぜひ温かい御指導をいただきたいと思います。そしてなおかつ、調査官とか専門官とかそういうものを、たくさんというわけにもいかぬでしょうけれども、専門的に置いて、万全な体制で機能が充実するように御努力をいただきたいことを申し上げ、答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  170. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 大変基本論に立ち入った、ただいまの質疑応答でございました。  捕捉が十分でなければ、公正、公平という税の基本原理から外れることになります。仮に、捕捉が十分な体制ということになりますと、ただいまの税務職員にプラスどれくらいを追加するのでしょうか。行革の世の中ですから、倍にするわけにいかない、五〇%伸ばすわけにはいかない、増員するにしましても、限られたぎりぎりのところで補てんをし、電算化、その他情報機械化を進めながら対応するということになります。  そこで、御指摘のように、新制度の中でどうするのかということになりますと、ただいまの租税条約等によって、脱税した者については居住国においてきちっと厳罰に処するということもあるんだと思うのでありますが、しかしながら、やはり意図してやる者についてはどうしようもないんですね。浜のいさごはとよく言いますが、これは泥棒に入る話でございますから。こちらは金持ちが意図してこれを構築するというところに頭と頭の競争、機械の先端技術で勝負みたいなことに、SFの世界じゃございませんが、なるのかなと、ただいまの質疑を聞いておりました。  一つの道は、法務省なかなかうんと言わぬのでありましょうが、納税の義務を犯す者については厳罰をもって臨むというのがあるんですね。しかし、厳罰をもってやっても凶悪犯罪は消えないのと同じように、これは人間性の問題に戻ってくる、倫理の問題に戻ってくるということになります。  そういたしますと、納番どうだねと、こういうことになるわけでございますが、プライバシーの問題が絶えて久しく言われ続けてまいりました。それから、本件は資金シフトの問題というのもございます。官民のコストの問題というのもあると思います。国の名前は言いませんが、納番制度をやりましたら銀行に金を預ける人が少なくなりました。それで、産業の資金調達に大変苦労することになりました。ですから、何とかこの納番は形を変えたものにやろうということにしておりますと。国が疲弊していくことは大変残念でありますからと、たんす預金がふえるんですと、一言そう言っておりましたが、しかしこれらの問題はクリアすることができるんだと思うんですね。  証券上のいろいろな利子配当金等々の利益金を捕捉するというのもひとつあるんだろうと思うのでありますが、やはりそのことから、これから金融システム大改革の中でグローバルな中で、利益あるところには、所得あるところには課税があることはこれ大原則でありますから。外国でやろうと日本人がやることについては、ただいまの相続税と同じように納税の義務があるわけでございますから、これを勘弁するわけにはいかないというのは当たり前のことであります。  そういう点をいたすということになりますと、納税の義務というこのことを基本に据えながら、近代技術の中でどうこれに取り組むことができるんでしょうかということ。そのとき一網打尽という形をとるんでしょうかと。公正、徹底という意味で、誤解を恐れず、極めて権威のある参議院大蔵委員会の専門的な論議の中でありますから申し上げさせていただくといたしますと、その辺のところがひとつありますねということであります。既に、住民台帳を地方自治体において整備されておりますことは御承知のとおりでございます。それと、さらに社会保険庁は基礎年金番号が本年一月から実施をされておる。そして納番研究中でございますが、この三者をにらみながら公正、公平を期していくと、こういうことがひとつあるのかなと思っておるところで、政府税制調査会でさらなる努力、御検討をいただくと。  同時に、院の大蔵委員会、税のあり方、公正、公平の追求の中で、私は一義的には国民代表のお集まりの国会の議論で行われるということが極めて重要なことだというふうに思っております。そういう点で、資料を集めろという御命令があれば何でもやらさせていただきたいと思いますし、私どもも国税庁そして主税局両々相まちまして、税のあり方、徴収の納付のあり方、こういうことについてあらゆる選択肢を考えながらつくり上げていくことが本日の論議を踏まえた結論として痛感をいたしました。  二〇〇一年に向けて完璧なものをつくりたいと、こう言っている以上、これと歩調を合わせることはやはり政治、行政に課せられた大変大事なポイントであるなと思います。それまでの間、時間がかかるわけでございますが、先般の委員会におきましても御指摘をいただきました税務職員の今後の体制のあり方等々につきましても、現行制度の中で許されるぎりぎりのところで対応していかなければならないことだと思っております。  今後とも御鞭撻と御指導をお願い申し上げます。
  171. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 朝からたくさんの問題が審議されておりますが、今回、この有価証券取引税の撤廃、そしてジャパン・マネーの流出問題ということで初めに聞かせていただきます。  この外為法の改正によりまして、我が国の資金の海外流出が大いに懸念されているわけでありますけれども、千二百兆円という個人の金融資産が海外へ流出することになれば我が国の経済に非常に大きな影響を与えるわけであります。これを防ぐには証券税制の見直しや株式の委託手数料の自由化など外為法の改正とセットで行われる必要があると思いますが、大臣に、この点に関する御所見を伺いたいと思います。
  172. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 先ほど来、各委員と政府委員との間で論議が行われておったところでございまして、まさに御指摘のとおり、千二百兆と言わないまでも、六百兆が海外に移転をしていくということになりますと深刻な問題が起きるのであろうと思います。もちろん、その移転について利子配当その他が還元されることであるでしょうし、それは移転しただけのことできちっと税金はちょうだいをいたしますよという理屈はあるにしましても、絶対量がそちらへ移転していくということになりますと、大変な事態になることは間違いないと思います。  そういう点で、金融システム改革の中で、金融市場で発行をする商品、これは魅力のあるもの、預託者にとって投資者にとって喜んでそれに参加をするというものでなければなりませんし、ニューヨーク、ロンドンその他のマーケットに負けないものを、我が国の金融機関が預託者、預金者のニーズにこたえるというものをつくり上げていかなければなりません。リスクの問題が常に伴うわけでございますが、この辺のところは今後の消費者教育というんでしょうか、それと同時に基本的には自己責任であるわけでありますが、しかし、やはり市場に対する広報活動、これは大蔵、政府ということで申し上げておるわけですが、変わりましたと、こういうことですということで進んで行っていきませんと、このシステムが大変なシステムだなと言われるようなことではならないのかなというふうには率直に思います。  魅力ある市場、利用しがいのある、またいい市場だと言われるようなことであれば、そこに資金がプールをされていくということだけは間違いないし、同時に、外国の投資家も東京市場を目指して参加をしてくるということも間違いがないだろうと思っております。
  173. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 先ほどから、秋の臨時国会があるならばそこに向けてというふうな御返答を幾つか聞いておりますので、今私がお聞きしましたのは、いろんな税制の見直しや委託手数料の自由化などとセットで改正が行われなければいけないんじゃないかというふうにお聞きしたんですが。――いや、いいです。徐々に聞いてまいりますので。  それで、個人の金融資産が大体千二百兆円と言われているわけですが、念のために、預貯金の割合がどの程度あるのか、さらに預貯金の内訳が金融機関別にはどのようになっているのか、説明していただきたいと思います。
  174. 山口公生

    ○政府委員(山口公生君) 千二百兆円の内訳をまず御紹介いたしたいと思うんでございますが、正確に言いますと千百九十二兆、昨年の九月末でございますが、兆の単位で申し上げますと、現金通貨が三十六兆、要求払い預金が八十四兆、定期性預金が五百四十四兆、信託が七十七兆、保険が三百兆、有価証券が百五十一兆でございます。  このうち、いわゆる預貯金というものを、ちょっと時点がそれよりもっと新しく十二月末が入っておりますのでそれで御紹介しますと、六百四十一兆でございまして、先ほどの定期性預金と信託を足していただくという感じになりますが、それでいわゆる銀行がそのうち二百五十二兆でございます。信用金庫が七十二兆、信用組合が十七兆、農漁協が六十九兆、労働金庫が十兆、郵便局が二百二十二兆でございます。
  175. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 ありがとうございました。  個人の金融資産が約千二百兆円あり、このうち六百四十一兆ですか、が預貯金で占められているわけですね。これらの預貯金は史上空前の低金利〇・五%ですか、これを余儀なくされているわけです。現在、百万円を一年間預けても利子所得は千円にも満たないという状況ですね。こうした国内の超低金利に嫌気を差した向きが高金利の外債に向かっている最近の傾向はもう当然のことだと思います。私は余り縁がないんですけれども、もしもお金をたくさん持っていればそうしたかもしれない、当然のことかもしれない。これが外為法の改正によって海外に自由に預金口座が開設されるとなれば、高金利を求めて相当規模の預貯金が海外に流出するのではないかというふうに言われております。  榊原局長は、先日、我が党の田中甲衆議院議員の質問に答えて、一貫してそうではないと否定しておられまして、いわゆる為替リスクというものを考えた利回りを考えると利回りは〇・五%以下になると試算している、この結果に自信を持っているというふうにお答えになっているんですけれども、これはどういう根拠なんですか、どのような根拠に基づいて数字をはじかれたのか教えていただきたい。
  176. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 海外でドルの資産を持つ場合に、これは、為替リスクをヘッジするというちょっと専門的な話になつで申しわけございませんけれども、為替リスクを完全にヘッジするということが技術的にできるわけでございます。ヘッジするためには、例えば一年物の定期預金でございますと、一年先にドルが戻ってくるわけですから、一年先の先物のドルを売るという行為で円の受け取りを確定することができるわけでございます。ですから、現在、例えば外債を買えば、外債が満期になったときの先物のドルを売る、米ドルであれば先物の米ドルを売ると、こういうことができるわけでございます。  それで、計算した時点では、一年先の先物のドルが大体百十九円ぐらいでございます。ですから、当然のことながら、一年先の先物を売っておきますと相当の円高になるということでございまして、それを含めて考えますと、大体アメリカの国債を一年だけ保有したということで完全に為替リスクをヘッジした場合には、たしか〇・二%から〇・三%の金利になるということでございまして、もちろん全く何もヘッジしないで外債を買うということはできるわけでございますけれども、これは相当のリスクがございます。  過去十年間の為替レートの変動の平均をとりますと、一年間に大体二十三円変動しております。ですから、ことしの円の最安値が百二十七円五十銭ぐらいまで行っていますから、二十三円ということでありますと、過去の例からいいますと、百三円までは円高になる可能性があるということでございます。これが、例えば百十五円になり百十円になれば、今投資された外債については元本割れ、むしろ金利はマイナスになるということがあるわけでございますから、私どもはむしろ、今個人が大量に外債を買っているということに対して若干の懸念を持っております。買っておられる方がそういう為替リスクを御承知なのか、あるいは場合によると、売っている証券会社がそういう為替リスクについて十分説明しているのかどうか。  これは、為替リスクというのは大変なリスクでございますから、その点は、もちろんこれを買うのは個人の自由でございますけれども、十分為替リスクを考慮した上で外債投資あるいはドル預金をしていただきたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。
  177. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 確かに、為替リスクの問題がありますから、すべての預貯金が海外に流出するとは考えられませんけれども、最近の個人レベルの外債投資の急増を見ますと、今局長はそういったリスクをきちんとわかって買っているんだろうかと御懸念がありましたが、今後一層そういう傾向が強まるのではないかと思われるんですね。それに対してどういう手を打たれるのか、打たれないのかわかりませんが、さらに従来は円建ての資産保有しか念頭になかった人々が外貨建ての資産をそのまま外貨建てで海外に保有するという、さっきも出ておりましたけれども、そういう傾向が出てくるのでしょうか。  外貨でそのまま保有するということになれば、為替リスクは関係なくなるわけですね。しかも、これからは国内でも例えばドルショップができてドルで買い物ができるようなことになりますと、我が国の個人でも外貨建て資産を保有する傾向が強まるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  178. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) お答えいたします。  今回の外為法改正以前に、既に御承知のように、国内では外貨建て預金がもう自由になっております。それから、証券会社を通じて外債を買うということも、これは完全に自由でございます。さらに、ポートフォリオ投資用に海外に外貨建ての預金を持つことは二億円まで自由ということになっておりますので、外為法改正によって外貨建て資産の保有が一挙に自由になるということではございませんで、現在までにそこそこ自由化がされているということで、少なくとも日本の為銀あるいは日本の指定証券会社を通じれば外貨建ての資産が持てるようになっておりますので、外為法改正によって一気にそういうものがふえるということは私としては考えにくいのではないか。  確かに、御指摘のように、日本人も大変海外旅行などはたくさんするようになりましたから、最終的にドルで使うと。例えば、海外に預金口座を持って、それにクレジットカードをそこに発行してもらって、そして海外に行くときにその外貨建ての預金口座から引き落とすということであれば、おっしゃるように為替リスクはないわけでございますけれども、私どもはやはりまだ所得の九〇%以上は円で使っておるわけでございますから、少なくとも円で使うものについては為替リスクがあるということ、それから、先ほど申し上げましたように、既に相当自由化されているということで、外為法改正によって一挙に外貨建て資産がふえるというふうには私どもは考えておりません。
  179. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 有価証券取引税の問題ですが、先ほどから何回かやりとりがありましたけれども、とりわけ株式に係る有価証券取引税は現在どのようになっているのか、御説明願いたいと思います。この種の税は欧米の主要先進国にはないと聞いていますが、そのとおりでしょうか。
  180. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) やや複雑ですので典型的なものを申し上げますと、いわゆる〇・二一という税率が株式の譲渡については日本においては有価証券取引税としてかかっております。  海外、外国でどうなっているかということですが、一番引き合いに出されるのはアメリカでして、アメリカにはこの種の税は今ございません。ロンドンで印紙税というのがございまして、これが似た税金としてございますが、〇・五%の率でかかっております。ただ、対象が必ずしも一致しておりませんので、日本と同じ税金があると言い切ることにはならないと思っております。  そのように、国によっていろいろな手法をとっておりますし、もう一点つけ加えさせていただくと、株式を売ったときの所得、キャピタルゲインに対してどういう課税をしているかということも一緒に私ども税関係者としては関心を持たざるを得ないわけでして、アメリカにおいてはいわゆる総合課税がされている、それに対して日本では、これは総合課税が先ほどの御議論でもありましたけれどもできませんものですから、現在源泉分離課税と申告分離課税の選択制度をとっているというように、トータルで見ていただければありがたいと思っております。
  181. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 有価証券取引税については貴重な教訓がございます。それはスウェーデンの例であります。スウェーデンでは八四年に一%の有価証券取引税を導入した。八六年に税率を二%に引き上げた。そうしますと、スウェーデン株式の取引がロンドンのSEAQインターナショナルに流出をした。八九年にスウェーデンのオプション取引所、OMグループがOMLXをロンドンに設立した。こういう経過があって、九一年十二月には有価証券取引税を廃止しています。  スウェーデンにおいては、有価証券取引税の導入、税率の引き上げがロンドンへの取引の流出を招いてどんどん流れていったということで、撤廃した途端に流出の度合いが縮小したと、こういうふうなことを資料として見ておりますけれども、我が国でも有価証券取引税が株式の取引に重大な影響を与えるという教訓を生かした対応が必要だと考えますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  182. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) スウェーデンの状況は御指摘のとおりのようでございます。  ただ、我が国の場合、昭和二十八年に有価証券取引税を入れておりまして、ずっと入れたままで株式市場はいいときも悪いときもあったし、また二年前に有取税を三割軽減しまして市場の活性化を期待したわけですが、必ずしもそれに対する反応は顕著ではなかったということからしますと、ほかの要素もあるんではないかなと思っております。  それと、日本における日本産業、日本企業というものと他国における株式のもととなる産業なり企業との関係、それとロンドン、ニューヨークとの関係、相対的な問題もあると思います。いろいろな要因があろうかと思いますが、ただ有価証券取引税が低ければ低いほどコストが安くなるということも確かでございますので、その辺を総合的にどう考えるかというふうにスウェーデンの例を考えたいと思います。  もう一点だけ申し上げますと、スウェーデンでは租税負担率が実に日本の倍の五〇%を超えております。また、国民負担率も日本の倍の七〇%を超えております。それは二五%にも上る消費税を導入している国でございます。そういう税制全体の収入のあり方ということも考えていただかないと、低いところだけ比較されてしまうと税制は成り立たないと思っております。
  183. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 有取税の問題でありますが、本件はいよいよ金融システム改革がこのような形でスタートについて御審議をいただいております。システム改革の進展状況を踏まえながら、証券税制の全体のあり方を本年度末まで検討をする、同時に政府税調が改正に向けて対応をしてくれると思いますので、大蔵省としても適切に対応していかなければならない、こう思っております。
  184. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 有価証券取引税を撤廃するとどの程度税収減になるのか。これは大蔵省の試算ではなくて通産省の試算があるんですね、四月の日経新聞ですけれども。通産省の試算によると、大体約二千億円程度になると。大蔵省は、この試算についてどういう見解を持っているんでしょうか。
  185. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 通産省が発表いたしましたというか、新聞報道された数字につきまして私どもなりにフォローしてみましたところ、通産省の試算におきましては有価証券取引税だけでなく、取引所税だとかその他印紙税とか幾つかの関係税制全部を一緒にして議論しているという点、これが一点、有取税だけの話ではないということが事実のようでございます。  それからもう一点は、有価証券取引税を企業が納付いたしますと、それが損金になっておりますので、もし有取税がなくなりますとその損金部分が減りますので法人税がふえるというその法人税のはね返りを計算しているようでございますが、それはそれでいいんですけれども、すべての法人が黒字法人で法人税を納めている前提で計算しているという点等々、必ずしも正確、精微な計算ではないと思っております。  したがいまして、したがいましてというか私どもが、それではどうなるかということについて必ずしもわからない点があるんですけれども、それはもし有価証券取引税が軽減されキャピタルゲイン課税の方が充実されるというようなケースに経済がどのように反応するか、その結果経済活動が全体としてどうなるかというそちらのはね返りまで考えたときになかなかわからないところがあります。  そういう点を全部捨象して単純に考えますと、現在三千五百十億円でございますので、この三千五百十億円が廃止すればゼロになる、一方で赤字法人割合とかそういうものを計算しますと数百億円法人税で増収になると思いますから、有価証券取引税だけでは三千億円ちょっとという減税になってくるのかなと思います。それがぐるぐる回ってどうなるかというところまでは計算し切れないということも申し上げておきたいと思います。
  186. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 お聞きしたいことがたくさんあるんですけれども、もう余り時間がなくなってしまいました。  いずれにしても、海外の金融機関への預金が増加するとなれば利子に係る所得税が減収になることは避けられないと思うんです。主税局は、そのような利子課税の減収見込みをどのように考えているんでしょうか。額は、時間がないのでちょっと言いますと、九五年実績で三兆九千億円ぐらいと聞いているんですけれども、これは二兆円減税と言われたあの特別減税の二倍に近い額ですよね。こういった減収見込みをどのように考えているのか。  また、主税局の見解に従えば、日本の投資家はロンドンで得た利子所得をほかの所得と合わせて日本の税務当局に申告納付しなければならなくなる。しかし、海外で得た利子所得があるために申告納付しなければならないというのは、少額の利子しかない場合非常に面倒くさいことになるんじゃないでしょうか、同時に一回に正直に申告するかですけれども。  今後、海外金融機関に預金を持つ傾向が高まれば、そこで発生した利子に対して新たな課税の仕組み、一定の利子額を非課税にするというふうな、そういうものをつくるつもりがないのか、主税局の見解を伺って、私の質問を終わります。
  187. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 平成九年度の予算が今動いておりますが、この予算上計上しております利子の源泉徴収税額は一兆六千億円だったと記憶しております。一兆六千億円、非常にそれでも大きい数字だと思います。  それで、来年四月に外為が自由化するとこの源泉徴収がなくなるかというと、そうなるとは私は思っておりません。ただし、委員が御指摘のように、海外にみんな出ていくということになれば確かに源泉徴収は理論的には減ることになると思います。そうなりますと、これも委員御指摘のように、日本の所得税制では全世界の所得に対して課税しますので、海外で得た利子について申告をしていただくということになろうかと思います。申告をする、しないは、自主申告納税制度のもとでは納税者が判断するわけですが、私ども国をつくっている以上、納税義務というものを憲法上決めているわけでございまして、脱税に対しては厳正に対処するということで対応することになろうかと思います。  なお、その際に脱税しているかどうかが税務当局がわからないといけないと思いまして、それでは海外に預金をしていく、資金を移していくときに必ず送金なり入金が伴いますので、百万円以上の送金、入金については報告義務をつけなければ確かに逃げ切ってしまうのではないかと思っておりますので、その辺の整備は今後させていただきたい、こう思っておるわけでございます。
  188. 笹野貞子

    笹野貞子君 午前中からの議論のやりとりを聞いていますと、何か私は気が大きくなったような感じがいたしました。抜本的自由化とか、グローバル化と。私が一番興味を持ちましたのは、大臣が胸を張って第三の開国と言われたときには、わかるんだけれどもちょっと意味がわからないなというような感じがいたしまして、じゃ今までは鎖国だったのかなと思いながら、そんなふうな思いをいたしながら聞いておりました。  国際化とかグローバル化というのは、これは口で言うと非常に易しいんですけれども、日常的に国際的なそういう感覚、そして日本にいるときからそういうやわらかい発想を持っていなければ、急に海外へ出たりあるいは経済自由化されたからといって、そういう自由な発想にはすぐなれないんじゃないかなと思います。ちょっと皮肉を言いますと、私は国際化と言いましたけれども、法務省が民法改正という問題を出したときに、けしからぬといって憤慨する男性がまだ日本にいるという現状を踏まえると、この法案ができたからといって、すぐ日本の人たちは国際的にあるいは第三の開国になるかなと、こういうような感じで聞いておりました。  そこで、憎まれ口を言った後はかわいらしい質問をいたすことにいたします。「外為法改正の分かりやすい具体例」というのをいただきまして、これを読みました。非常にわかりやすかったんですけれども、それを読みますと、海外預金のことについて、企業や個人が海外の銀行に自由に預金の口座を開設したり、あるいはドルの預金や円の預金を自由に持つことができるようになったと、こう書いてあります。そして、その口座を通じて、小切手等を使って通信販売の代金を払ったり、いろんなことができるというふうに書いています。そこで、わかりやすかったんですけれども、ふとわかりにくくなったのは、でも今でも海外への預金は全くできなくはなくて、できるんじゃないかなと。どういう条件がそろっていれば海外の金融機関に預金口座を持つことができるのか、現状をちょっとお知らせいただきたいと思います。
  189. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) お答えいたします。  今回の自由化は、最終的な完全自由化でございますけれども、今までも自由化は随時進めてまいったわけでございます。海外での預金ということでございますと、随時自由化をしてまいりまして、現在外貨建てで二億円以下のもの、そして目的がポートフォリオ投資用のもの、これについては許可を要しないで外貨預金を持てるということになっております。
  190. 笹野貞子

    笹野貞子君 それでは、二億円未満はできるという今のお話でしたけれども、つまり開設することができないとき、それ以外つまり大蔵大臣の許可を要するということがあるんですが、許可の申請はどこにどういうふうにして行うんですか。
  191. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) 外貨建て預金、例えば二億円以上は大蔵大臣の許可が要るわけでございますけれども、二億円以上の外貨預金の許可申請は所定の様式に許可の申請者の取引の相手方、金額、取引を行おうとする理由等を記載の上、日本銀行を経て大蔵大臣に提出されることとなっております。許可にかかわる事務は、おおむねその申請がございましてから大体一、二週間で処理をしております。
  192. 笹野貞子

    笹野貞子君 もし申請があったときに、大臣が許可するかしないかという基準は、これはどういうふうに決めるんですか。
  193. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) 現行法のもとでは為銀制度というのをとっておりますから、為銀が預金を受けるときには為銀に、要するに法律に違反しているかどうかということを確認する義務があるわけでございます。ただ、直接海外に預金をいたしますと、その為銀の義務というのはなくなりますので、申請をいただいたときに我々主として外為法違反がないか、法令違反がないか、その記載された目的が法律的に許可されている目的かどうか、そういうこと、基本的には合法的なものかどうかと、こういうことをチェックするわけでございます。
  194. 笹野貞子

    笹野貞子君 原則として二億円以下、未満ならばいいといって、あとは今るるおっしゃいましたことは、つまり性悪説か性善説かで言えば、外国に預金を持つというのは性悪説的に聞こえるんですけれども、何か問題ありはしないかという、そういうことでチェックするわけですか。
  195. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) 性善説、性悪説というのは、必ずしも我々性悪説をとっているということではございませんけれども、基本的に為銀が、外国為替公認銀行がその確認をするか、あるいは大蔵大臣がするかと、こういうことでございまして、そういうことで為銀がしない場合には直接許可申請を受けて私どもがするということでございます。もちろん、それが合法的なものであれば許可はしているわけでございます。
  196. 笹野貞子

    笹野貞子君 そうすると、大体銀行を通じて預金をする、特に二億円という私なんかにしたら大金ですからね、この二億円というのを持っていって、それでなおかつこの許可するかしないかと言われるそういう制度というのは、まさに非常にやっぱり大蔵大臣の自由裁量が最大に生かされるという結果になるわけですか。
  197. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) 過去の具体的な口座の開設についての申請件数をお話しすればよろしいかと思いますけれども、平成六年度は許可の申請件数が約千件、平成七年度は約千三百件、平成八年度は約千六百件ということになっております。  そういうことで、海外預金を利用して決済される対外取引の外為法上の適法性等を確認した上で、この申請についてはすべて許可をしております。ですから、我々が恣意的に許可をしないというようなことではございませんで、適法なものであればこれは許可しておりまして、過去においては、少なくとも平成六年度以前についての不許可とした例があるというふうには我々は承知しておりません。ですから、原則的に合法的なものであれば許可をしているということでございます。
  198. 笹野貞子

    笹野貞子君 今の御回答を聞きますと、平成六年以前は許可しなかったものもあるということですか。
  199. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) 済みません、舌足らずで申しわけございません。  平成六年度以前についても、不許可とした例があるとは承知しておりません。ですから、今まで許可申請があったものについては、我々の理解ではすべて許可をしているということでございます。
  200. 笹野貞子

    笹野貞子君 私も、自分は海外に預金する必要がなかったわけですから、その現実は知りませんでしたけれども、こういう海外の金融機関に預金ができるんだという、こういう仕組みというのは、今のお話を聞くと許可しなかった例は一件もなかったということになるわけですね。  そうすると、今度のこの改正というのは、今までこういういろんな条件をつけたことに対しては大変無意味であった、これはもうそういう条件がなくてもいいという、そういう理由によって今度の預金についてはこれこれの自由化にしたという、そういうことですか。
  201. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) 許可申請があったものを全部許可したというのは、許可されないような許可申請がなかったということでもあるわけでございます。  それからまた、今申し上げたのは外貨建ての預金でございまして、円預金については、これは特殊な事情がない限りは許可をしてこなかったということでございまして、今回の外為法改正によって海外における円預金も完全に自由になったと。ただ、私どもとしては海外に円預金を持つメリットというのは余りないというふうには考えております。
  202. 笹野貞子

    笹野貞子君 先ほど、荒木議員から、抜本的改正と言ってもこれは遅きに失したんじゃないかという御発言がありました。私も今のお話を聞いて、これは別に、海外の預金について今までそんな厳格な書類を出して審査をして合法的かどうかということを今まで延々るるやってきたというのは、まさに私は遅きに失したというふうに思うんですが、その点いかがですか。
  203. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) 今回の改正が遅過ぎるかどうかということについては、今やらせていただいているということで御答弁は控えさせていただきますけれども、例えば今回の改正で、海外預金について言わせていただければ、例えば今まではポートフォリオ投資用に限って許可すると言っていたわけでございますけれども、例えば今後海外にドル預金を持って、それで通信販売をして、それの金額をそこで決済するとか、あるいは海外にドル建ての預金を持って、それにリンクしたクレジットカードを持って、例えば海外旅行の決済を海外の預金口座、ドル預金口座を通じてする、こういうことは新たにできるようになったことでございますので、そういう意味では今回の改正が、抜本改正という言い方が適切かどうかはよくわかりませんけれども、最終的な完全自由化だということについては間違いのないところだというふうに考えております。
  204. 笹野貞子

    笹野貞子君 午前中からのお話を聞いていますと、私も海外旅行をしたときに非常に面倒な手続をやりまして、ドルにかえるときもその手数料、帰ってきて円にかえるときも手数料、帰ってきて円にかえるのが面倒くさいからだれかに売りつけようかと思うとそれはもう大変な犯罪、こういうことになりますと、本当に何とまあこんな面倒くさいことをとみんな思ったと思います。  しかし、今ずっと預金の口座を申請した場合には許可しなかったことが一件もなかったと、こういうお話だとすれば、私は、胸を張って余りこれが抜本改正で自由化だと言うのはちょっと何だか少しおかしいような気がするなと。大臣がお話をするとみんな何でもよく聞こえちゃうんで、私などは大臣が物を言うといつもころりとだまされるわけですけれども、何か胸を張って第三の開国と言うには少しこの改革というのは、もっともっと便宜を図って、日本国際化を先にやるべきであったというような思いでいっぱいでございます。  今、自由化、グローバル化という、その本質的なつまり問題として一件もなかったにもかかわらずずっと何年間もここ引っ張ってきて、本日、今日いよいよそうなる、このきように至ってですね。そういうことを早くから、もう開放しようじゃないか、もう規制をやめようじゃないかという議論は一度もなかったのですか。
  205. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) お答えいたします。  そういう議論がなかったということではございませんけれども、いろいろな点でこれは難しい問題を含んでいた問題であるということは御理解いただきたいと思います。  一つは、やはりこうした抜本的な、抜本的なと言っちゃいけないのかもしれませんけれども、こういう自由化によっていわゆる銀行の既得権益というようなものははげ落ちていくということがあるわけでございます。もう一つは、きょういろいろ議論されておりますように、例えば日本の税制というものに非常に大きなインパクトがあるということでございますので、今回の改正がそう簡単にできることではなかったということは御理解いただきたい。それから、今回この改正をするに当たって、大蔵省内でも主税局長を含めて大論議をいたしまして、私どもとして一つの決断をしてこういう改正をしたということもまた御理解いただきたいというふうに思います。
  206. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 先ほどの議論の中にもありましたけれども、今度の改正で一定額以上を預金する場合には事後に報告をするということがありました。これは、先ほどの御議論を聞いていましたけれども、次の臨時国会でもというお話がありましたけれども、事後に報告するというのは、一度でいいのか、事後というともし何度も何度もしたときにはその都度事後、送金したときにするのか、こっちへ戻したときにするのか、どういうふうになっておりましたでしょうか。
  207. 薄井信明

    ○政府委員(薄井信明君) 先ほど私は、税制上、課税の適正化の観点から報告をしていただくと。送金をした際に、送金しますと金融機関に頼みに行きます。その金融機関の方が頼みに来た人を本人確認して、ああ薄井という人間が五百万円送金したと、何月何日どういう目的でということを例えば月単位でまとめて税務署に報告する、国税局に報告すると、こういうシステムを税制上つくりたいということでございまして、これと今御質問の外為法上の事後的な報告とは別途の目的からなされるものではないかなと思っております。
  208. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 先ほどの議論にもあったんですけれども、預金上本人であるかどうかを確認するために報告をする、もう一方、脱税を防ぐためにする、これはこれから御議論があるところだとは思いますけれども、しかし、預金をする方にしたらどうなつちゃうんだろう、また面倒くさい手続になるんだろうか、そういう不安でいっぱいです。  先ほど、納税の義務というのは、これは憲法に義務づけられたものですから、これは厳格にやらなければいけないのですけれども、しかし、経済の自由というところから考えますと、非常に二律相反する二つの大きな問題が絡み合っているというふうに思います。もう一度お尋ねしますけれども、この二律相反する二つの大きな原則をどのようにうまくクリアしょうと今しているんでしょうか。
  209. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 御指摘のとおり、自由化をした後で非常に煩瑣な報告制度をつくってしまえば自由化の効果というのはなくなるわけでございます。  ですから、当然外為法上の事後報告あるいは税法上の事後報告についても、少額なものについてはこれを免除するということを考えておるわけでございますし、それから、報告についても、個人が報告するということではなくて、送金ということであれば金融機関を通じて送金するわけでございますから、ある一定期間を経たところで金融機関に報告をしてもらうということで、できるだけそのコストを削減しつつ、なおかつ事後報告制度の実効を期すと、そういう一種のバランスでございますけれども、コストと法執行の実効性を期すというそのバランスをうまくとっていきたい、そういうふうに考えております。
  210. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 お金をたくさん持ちたい、これはだれしもそうだと思います。しかし、税金を払うのは余り好まないと、これはだれしも多分思うだろうと思います。  しかし、先ほどの申告のときには性悪説だったんですが、納税をするときは、これは先ほど大臣、何ぼ憲法的義務であってもこれはモラルの問題だというふうにおっしゃって、これは性善説をとっていらっしゃるということですので、この二つの大変大きな価値観がどちらにしても、これから非常に国際化する経済活動にとって不便のないように、そういう二度手間にならないようなそういう仕組みをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  211. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 為替の自由化をフロントランナーとするビッグバンで東京市場をロンドン、ニューヨーク並みに活性化しようということですが、これは金融危機打開策の中でどう位置づけられているかというのが、まずお伺いしたい問題なんです。  今、日本の金融機関というのは、銀行も証券も保険もいずれも深刻な危機に直面しております。どうしてこういうふうなことになったのか。日本の金融というのはかつて世界で一番うまくいっていると、こういう評価を受けた時期もあったと思います。それを今日のような金融機関の危機が叫ばれるようになったのは、これはやはりバブルの崩壊によるものであると思います。八〇年代早々から始められた金融の自由化、さまざまの規制緩和がバブルの大舞台をつくり、大銀行が主役になって巨額の資金を投機的に取引につぎ込む、史上最大のバブルが生まれ、そのバブルが崩壊した、巨額の不良債権がつくり出された、そして国民は金融機関を信用できなくなっていると、こういう事態になっています。  私は、今金融危機の打開ということを考えるに当たっては、日本の金融機関をこのような危機に追い込んだバブル、そしてそれに先立つ金融の自由化、また規制緩和と、こういうことがどういうことを日本で目指しているか、そういうことの全面的な分析、そしてそれの克服策、これを練り上げていくことがまず第一の仕事でないかと、こういうふうに思っております。  このビッグバンで、それをやるんだということなのかどうなのか。というのは、このごろビッグバンさえやれば日本の金融の未来はもうまるでバラ色であるような宣伝が行われているわけですので、まずこの点を明らかにしてもらいたいと思います。
  212. 長野厖士

    ○政府委員(長野厖士君) 日本の金融資本市場の改革全体を今俗称でビッグバンと言っておりますけれども、この問題は、やはり日本の金融資本市場において投資家の立場に立ってみてもあるいは資金調達者の立場に立ってみても、国際的な比較の上に立って日本においておくれておる、あるいは対応し切れていない領域がないのか、それは投資家に対する情報提供とかいろんな分野を含めての話でありますけれども、そういった事柄を追求する政策全体の体系だと承知いたしております。  したがって、その中でそういった投資家と資金調達者をつなぐ金融機関のあり方あるいはその業務というものも当然視野に入ってまいりますけれども、そのことと今御指摘の不良資産問題というのが因果という関係になるものではなかろうと思っております。  ただ、この課題に取り組んでおりますこの時点において、数年前のバブルの後処理という問題が日本の金融機関にかかっておる、それを同時並行的に進めていかなければいけない局面にあるということであろうかと思います。
  213. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 どうも僕にはわかりにくい答弁ですが、今の不良債権の問題を初めとする金融危機のこの事態、これを後始末だという位置づけでいいのかどうなのか、後片づけであとはもうビッグバンをやれば万々歳なんだということなのかどうなのかというのが、私が聞きたかったことなんです。  日本の金融機関への国際的な信用の回復という面から見ましても、私は、これは使いやすい市場ということだけでは片づかない、それの先立つ根本問題があるんじゃないかと思います。それは、例の大和銀行ニューヨーク支店事件を初め一連の日本の金融機関が信頼を失う事件が相次いだこと、あるいは野村証券の今回の事件が示すような暴力団とのくされ縁のような前近代的な体質、こういう問題を根本的にきれいさっぱり片づけて、日本の金融機関というものが本当に近代化し民主化したという事実がだれの目にも明らかにならない限り、私は規制緩和だ自由化だと言うことだけでは信頼は回復しないと思うんです。  日本については、ルールなき資本主義だという言葉が国際的に定着してしまっている。私は、ビッグバンのこの大騒ぎの前にこういう大事なそういう前提になる問題が少し後景に退いてしまっていて、こういう形でビッグバンだビッグバンだと言っていて、果たしてあなた方がおっしゃるようなことになるのかどうなのか。衆議院の論議を読んでおりましても、ビッグバンには二つの可能性があるという指摘が行われている。世界に冠たる日本市場ができ上がっていく可能性、東京市場の空洞化は一段と進展し日本は沈没していく、多くの機関がつぶれていく、こういう可能性の二つがあると、こういうことが論議になっておりましたね。私は速記録で読んだところですが。  私は、そういう点であなた方に、やはりバブルとそのバブルの崩壊、この問題について徹底したメスを入れることをもっと重視すべきだというふうに思います。そういうことはビッグバンの過程でやればいいことで、それをやれば大丈夫だと、こういうふうに言い切れる自信ございますか。大臣あるいは銀行局長でも結構です。
  214. 山口公生

    ○政府委員(山口公生君) 金融システム改革を進めますと、市場というものの大切さというのが強調されていくわけでございます。まず、空洞化を避けるためにも市場を活性化していく、そうしますと市場が拡大していく、それはこうした銀行、証券、保険、ノンバンク等にとっても営業の機会というものがふえていくわけでございます。  ただ一方で、御指摘のような面から申し上げますと、市場の持つ厳しさというのもあるわけでございます。市場がどう評価するかと。そうすると、先ほどお挙げになりましたようないろいろな事件を起こすようなことになりますと、市場は厳しくそれをマイナスに評価するわけでございます。したがって、そこにはディスクロージャーあるいは透明なルール、そこにもたらされる自己責任の徹底ということになろうかと思うわけでございます。したがって、そういった過程を通じまして、この金融システム改革で市場がかなりの大きな役割を果たすようになりますと、そこに自己規律の働く新しい我が国の金融資本市場というものが生まれることを期待しておるわけでございます。  ただ、この新しい市場というのは、かなり競争の激しいものでもありますし、これを生かし切るかどうかということは、各金融機関がまず自助努力をすること、それから自己規律を持つこと、先ほどリスク管理も出てきました、そういったことに万全を期すべく努力をするかどうかにかかっているというふうに思うわけでございます。
  215. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 もう一つ、私は、この今の法案を考える上で尋ねておきたいんですが、今経済の国際化ということが非常に強調されている、これは流れだともちろん思います。それからまた自由化、これも私は自由化を押しとめようなどということをここで言おうとするわけでもありません。これも流れだと思います。  そういう経済の国際化ということと国家主権、経済主権、これとの関係というのは一体どう考えたらいいのか、あるいは今自由化を進めようとしておられる大蔵省はどうお考えになっているのか。これは、私は日本経済を考える場合に一つの重要な問題だと思います。経済の国際化が進むと何かもう国境がなくなりつつあるようにも見えますが、そうではなく、やはり主権国家が存在する限り国境は存在しており、したがって主権国家が自国経済、自国民の利益を考えていくということは、私はこれは当然のことだと思います。もちろん、経済の国際化が進むことはさっきも言いましたように当然のことでありますが、経済の国際化の名のもとに、それぞれの国の歴史的な文化、社会的慣習、伝統によってつくり上げられてきている独自の租税制度だとか、あるいは通貨や金融組織、産業構造などが国際的な圧力で変更を強制され、その国の経済やら国民の利益を損なうような事態が行われてはならないと私は思います。  大臣、こういう考えは古いでしょうか。
  216. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 古いとは申し上げません。人間存在の基本は地域文化であり家庭であったり、遠くは日本のよき伝統と文化の中に定着をするわけでございますから、特に主権国家というものはその国の利益、国益の追求に峻烈でなければならないと。軍備を持たず、そして戦いはやらないという日本国憲法を持った我が国にしてみれば、まさにその気迫がございませんとこの中で生きていけないと。  こういう中で、経済主権というものについても、その中に同化されておる、日本の文化に同化されておる制度、それから税制という御指摘がありましたが、進んで税金を納めるということが世の中に全くないとは思っておりません。やはり所得があった以上、税金を納めさせていただくという人も知っておるわけでございます。  そんなことから、世の中は絶えず動いていくわけでございます。そういう中で、大きな潮流にさお差せば流されるというのは漱石の名言でもございまして、そんなことを現実のものとして見ていきますと、とうとうたる潮流が今世界を流れておると思うんです。御承知のように、ヨーロッパは統一通貨を中心に私は仕上がると見ております。仕上がりますと、通貨は主権でありますから、今度は残された聖地、主権というものをどう生かすかといえば、私はあそこもユナイテッド・オブ・ヨーロッパになるんだろうと思うんです。そういう中でロンドン・ビッグバンがあり、フランクフルトがドイツの総合力の中で通貨の価値を高めておるわけでありまして、合衆国も言うに及ばずであります。アジアの中でこれだけの国家に仕上げていただいたわけでございますから、座して世の潮流に身を任せる、座しておったのではいかぬということが金融システム改革であり、諸改革が橋本内閣によって提唱されたものだと思っております。  経済が私たちの国のさらなる安定した発展につながる重要な手段でございますから、この経済主義を大事にしてまいりますということでありますと、ただいま来御提案を申し上げておることに象徴される私は改革だと思うんです。この意識がなければ、やはりじっとしておったと思うんです。じっとしておったならば取り残されることだけは間違いないわけでありますので、その辺のところを舌足らずではありますが、短くしなくちゃいけませんので、この辺で答弁とさせていただきます。
  217. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、国際化の流れに我々が任せておくだけではだめだと思います。というのは、今国際化、自由化という流れの中で起こっている事態の中には、私は我が国にとってもその名前でいろいろ不都合なことを強制されている、こういう事実はあると思いますよ。大蔵省の幹部に対しても業界からも強い批判が起こっていて、保険協議のごときは、電話一本で日本の保険をアメリカに売り渡したなどという批判を受けておられるお方もあるぐらいでして。  ともかく、例えばビッグバンをとっても、イギリスのビッグバンの結果について、これは今私が持っている第一勧銀総合研究所のレポートですが、これはこう書いておりますね。「大陸系銀行は、マーチャントバンクの買収を通じて金融コングロマリット化を強力に進めているわけである。」と、こういうわけでして、経済大国あるいは巨大資本が自分の利益を国際的に押し通すのを国際化、自由化の名前でやっていると、こういう現実があるわけです。  したがって、我々に国際化が必要だとしても、それをどう進めるかということについて言えば、やはり起こっていることを絶えず研究もし分析もしながら、そしてその国際化の名で経済主権を損なうようなことが強制されることがないように絶えず国際的ルールについても日本も提起して、そしてその経済の国際化というのが戦後世界の基準として確立され、国連憲章の精神にもなっているところの国際的な協力によって経済の発展、貧困の克服を図ろうとする、そういう方向に本当に向かうものにしていかなくちゃならないと私は思っております。  そこで、もう一つ。だんだん時間が迫ってきましたけれども、この論議を進める上で大臣に確かめておきたいことがあるんです。これは、経済の国際化時代における銀行の公共性、社会的責任というのはどう考えたらいいのか。もう国境がないに等しいからそんな小難しいことも言っちゃおれないということなのかどうなのか、この辺、お願いします。
  218. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 先にちょっとお話をさせていただきますけれども、グローバリゼーシヨンの時代に入っておりますけれども、信用というのはこれは公共財でございますから、公共財である信用というのを我々として大事にしていくということについては、国際化の時代であっても変わりないというふうに考えております。
  219. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それで、具体的に一つ確かめておきたいんですが、法律上は、もうドルショップもポンドショップもウォンショップであろうとマルクショップだろうとできるようになる、実際できるかどうかわかりませんけれども、世界の通貨が日本では自由に使用できるようになる、こういうことだと思います。  日本の通貨、通貨主権といいましょうか、これは一体どうなるのかということですね。日本の今度の一連の自由化、有事規制の緩和等々によると、絶えず我々が守っていかなくちゃいかぬ日本通貨の価値を守る手段を失ってしまうようなことにもなりかねないんじゃないかという危惧もあるわけですが、ここら辺いかがですか。
  220. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 御指摘のように、いわゆる通貨主権ということについて、新法は旧法と違っていわゆる通貨主権についてはこれを強く主張しないというような点があるわけでございます。ただ、私どもの考え方は、発展途上国、経済が弱い国にあってはこれは通貨主権を法律上守るということが必要なわけでございますけれども、国際化した日本経済あるいは国際化した円というような状況の中では、法律的に規制をかけて通貨主権を守るということをしなくても、円の国際化というものを進めることによって円の価値を守ることができるということを考えております。  ちなみに、この法律の中では、円の通貨の適正な調整ということについては、為替介入あるいは海外の諸国との政策協調、そういうことで行っていくということになっておるわけでございます。
  221. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 この論議はこれから続きますから、今のいろいろな答弁を前提にして論議させていただきます。  時間が来ましたけれども、一つだけここでお伺いしておきたいのは、我々がこれからビッグバンを進めていくということになる場合、私はその見本の一つがイギリスのビッグバンだと思いますね。それは成功であったと評価しておられるか失敗であったと思っておられるのか、その評価ですね、これだけちょっとお聞きします。
  222. 長野厖士

    ○政府委員(長野厖士君) イギリスのビッグバンといいますのは、一九八六年に行われましたイギリスにおける証券市場改革でございます。したがいまして、その時点でイギリスの証券市場が諸外国との比較等におきまして問題ありと考えておった項目を取り上げて改正したわけでございますから、ビッグバン以前の状態が日本とまた環境が違いますから、内容も異なります。  したがいまして、イギリスでビッグバンがあったから、日本もビッグバンをやるからということで、内容も変わってまいりますし効果も変わってまいろうと思いますけれども、イギリスについて承知しておりますことを申し上げますと、イギリスで当時行われました証券市場改革というのは、カルテルで締結しておりました手数料というもののカルテルを禁止するのが一つ。それから、自分で株式を売買しますジョバーと取り次ぎますブローカーというものの兼業禁止をしておったのが、兼業を認める。そして三つ目には、大変大きな改正でございますけれども、それまでイギリスの証券業者は個人あるいはその個人企業、あるいは個人のパートナーだけがそういった資格を持つておりましたけれども、これを法人企業が参加する道を開くという改正をやったものでございます。
  223. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 その結果の評価。
  224. 長野厖士

    ○政府委員(長野厖士君) 改革の結果、イギリスは、御承知のとおり、外国株を中心としまして株式売買高も増加して、取引コストも低下いたしましたので、大変市場の活性化につながり、今日イギリスは日本を抜きまして証券市場の面でも世界でナンバーツーの地位を確立しておりますけれども、そういうこととともに金融、保険業のGDPに対するウエートといったもの、あるいは雇用といったものも拡大しておりまして、総合的にビッグバンは英国にとってプラスであったという評価がなされておると存じます。  先ほどお挙げになりました第一勧銀につきましては、これはマーチャントバンクといいますのはちょっとビッグバンとはまた違うイギリス独自の制度でございますから、そのマーチャントバンクにかかります変遷というものはビッグバンと直接つながるものではないと私は理解しております。
  225. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 イギリスのビッグバンは成功だったという評価です。これはこの次に中身を少し論議しますけれども、一つだけ、私は本当にイギリス・ビッグバンの結果をいろいろな面から資料も集めて分析された結論かどうか若干疑いを持っているわけです。  というのは、マーチャントバンク、イギリス資本の証券業者というのは大体三分の一に減ってしまったということがいろいろなものに書かれております。そういうことを示す資料をもらいたいと要求しましたが、大蔵省にはないということで、この質問までにとお願いしていたのが、ついに届かないままであります。そういう基礎資料さえもないままにイギリスのビッグバンがああだったこうだった、成功だ成功でなかったというふうなのは、これは大変基礎的な分析をやらないまま気分的、ムード的にあれに学べということになっているんじゃないかという危惧を私は持っております。いかがですか、きちっとした調査をやられているんですか。
  226. 長野厖士

    ○政府委員(長野厖士君) 先ほど申し上げましたように、イギリスのビッグバンと申しますのは一九八六年当時でイギリス市場が抱えておった独自の問題を解決するためにやった改革でございまして、それぞれの国がそれぞれの時点で必要な改革を行ってまいりました。  私どもが今考えるべきは、そういったもろもろの改革、十年、二十年というのを各国が積み重ねてきた上で現時点での各国の市場とか金融システムというものがどういうふうになっておるか、それと見比べてみた場合に、日本の金融市場なり証券業、金融業のあり方というものにどういう見直すべき点があるかということを考えるべきであろうと思いますので、歴史上の一時点であったビッグバン、たまたま日本版ビッグバンとおっしゃる方が多々ございますけれども、歴史上の一時点でのビッグバンというものの改正の内容は先ほど御紹介したとおりでございますし、それと日本とは全く改正の内容は異なりますので、ビッグバンが成功であったかどうかということを申し上げていることをもって、日本の改革のよしあしということを申し上げているつもりはございません。
  227. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そこは聞いてないんだよ、僕は。資料もなしにやっているのはだめだと言ったんです。
  228. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 資料がお手元に届かなかったことについてはおわびいたしますけれども、私どもも、例えばイギリスと日英金融協議というのをやっておりまして、政権がかわってしまいましたけれども、保守党の閣僚でございましたけれども、この二月に来られて、イギリスのビッグバンについてこれは一日かけて議論したところでございます。大蔵大臣もクラーク蔵相と会っていただいて、イギリスがそれをどう評価しているかというようなことも十分聞いたところでございます。彼らのその言いぶりは成功であったと。企業ではなくて市場をとったんだ、国民所得をとったんだ、雇用をとったんだと、そういう言い方をしておりました。
  229. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 終わります。
  230. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 きょうは有事規制の問題に絞って質問をするために通告をしておりますけれども、最後の質問でございますので、一日の議論を聞いていて感じたことを一つだけ申し上げて、大臣のお考えをお聞きできればと思っております。  外為法の改正が行われれば大変な円の流出があるんではないかという、そういう心配が随分出されました。それに対して榊原局長は、大変自信を持って、そう簡単にはいかぬだろうと。特に、六円円高が進めば原価さえ割れてしまう、そういう警告まで発していらっしゃったわけです。大蔵当局がそれだけ自信を持たれるということはそれなりに結構なことだと思いますけれども、しかし、そんなに甘いものだろうかなという実は感じを持ったわけです。  年金者が集まりますと、もう大変この問題に関心を持っているんですね。想像以上に関心を持っています。それは、今の年金だけでは食っていけないので、せっかくもらった退職金、預金をしてその利子で少しは生活のプラスにしたい、そう思っていたら、途端に低金利でもう何にもそれが当てにならなくなった。そこへ、今度は外為法の改正で自由に外国に預金ができる、その利子で何とかいい生活をしたいなという、そういう素朴な意見というのがすごくあるわけですね。そんなにお金も持っていない、そういう年金者でさえそこまで真剣に考えているわけです。ですから、日本全体、相当お金を持っている人から見ればこれに対する期待というのは私は大きいんじゃないかと思うんですね。  しかし、今外国と日本との金利差が物すごく大きいわけです。外国に行きますと、高金利の大変魅力ある金融商品がいっぱい並んでいるわけですね。そして、日本の銀行ではもうとても太刀打ちできないくらいの巨大な銀行が、世界の銀行が日本の市場をもう虎視たんたんとしてねらっている。しかも、この一年間でシティーバンクの外貨の残高が二・四倍にも膨れ上がったという、日本の国民全体の意識が変わってきているわけですね。そう考えたときに、局長がおっしゃるように、そう簡単に流出をとめることができるんだろうか。  日本の銀行の預貯金の利子が外国並みに上がれば別です。しかし、そういうものがない限りにおいては、これは相当流れていって日本の経済に大変大きな混乱をもたらすんじゃないかなという心配を、実はきょう議論を聞いて私は感じたわけでございますけれども、大丈夫ですか。
  231. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) そういう議論が各所で起こっているということは理解しておりますけれども、うまい話には必ず落とし穴があるのでございまして、やはり今後私どもが投資家あるいは消費者としてやっていかなければいけないのは、リスクをどう評価するかと。リスクをとらなければ確かに収益は上がらない。しかし、収益が上がるためには相当のリスクをとらなければいけない。そういうグローバルマーケットの中でリスクをとりながら収益を上げていくということを、これはむしろプロとしての金融機関がやらなければいけない、あるいは投資信託でやらなければいけない、そういうことがこれから始まっていくんだと思います。  日本の場合には、やはり若干金融機関なり機関投資家がおくれていたのは、リスクのとり方ということについて若干グローバルなスタンダードからいうとおくれていたということでございまして、今後外為法の改正あるいは金融システム改革の中でグローバルにリスクをどう評価し、そしてそれをどうとっていくのかということを学んでいかなければいけない。そこをキャッチアップしていかなければいけないということでございますけれども、きょう何度も申し上げておりましたのは、その五%だ六%だといううまい話には必ず落とし穴があるので、そこのリスクを十分評価していただきたいと、こう申し上げたわけでございます。
  232. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) ただいまの御指摘、感想をということでございます。  私は、今日の金融システム改革はこの時期をおいてほかにないと、橋本首相と同じ意見でした。なぜかならば、先ほども申し上げましたヨーロッパのイギリス、それと合衆国、双子の赤字を克服し、なおかつ二〇〇二年、完全健全財政に向けてスタート、共和党との協賛を取りつけることができたと。そういたしますと、合衆国そしてヨーロッパが中心になることだけは間違いありません。  しかし、戦後ここまで営々として築き上げてきた我が国経済であります。ODA貢献国第一位であります。国連の拠出金貢献国第一位であります。そういう中で名誉ある地位を占めてきたわけでございますから、日本人が円という通貨文化を持ち続けてきた、この円の価値が高まるということはすなわち国家の富が、国民の富がふえるということであろう。バブルの時代の気違いみたいなことは、これは本当の気違いですから。だから、これに対応する仕方がどうであったかと言われれば私も含め全部責任があると、こう思っております。  そういう点で、その反省を含めてインフレなき安定した持続的成長、その中で金融は産業の血液でありますものですから、安定した評価、信頼を受けるということであれば、つらいですけれどもグローバルスタンダードの中で我が身を磨かなくちゃいけないのかな、先を見通し、創意工夫をしながら困難を乗り越えて預貯金者にサービスを提供すると。というのは、今言われた高リスク、これはオレンジで証明されたように、これはいけません、落とし穴があるわけですから。常識的に見てそれがきっちりといけるんだと、こういう中期、ロングで物を見ていくということであれば、まさにマーケットは発展をしていくでしょうし信頼も深めていくだろうと。  こんなふうに思ったものでございますから、幸いに多くの方のサポートもいただきながら、今日まで政府提案を行うことができ、御審議をいただくところに参った、こういうことであります。
  233. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それでは、通告しております有事規制について質問をいたします。  諸外国では有事規制については個別法令で規定をいたしておりますけれども、我が国では個別的な法令ではなくして外為法で扱うわけですけれども、その理由についてお聞きしたいと思います。
  234. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 外為法第一条の目的規定は、我が国の対外取引の正常な発展を期し、もって国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与するということでございます。この目的規定の中でいわゆる経済制裁というものを行うというような法の立て方になっているわけでございます。  御指摘のように、例えばアメリカ等では別途有事規制法があって、外為法の範囲だけではなくてすべての法律にまたがる制裁あるいは有事規制というものをその法律でやるという体系になっておるわけでございますけれども、我が国の場合には外為法の法域の範囲内で、外為法の中でそういうことができるようにしておるということでございまして、ちなみにドイツあるいはフランス等では、ドイツでは対外経済法、フランスでは対外金融関係法という経済法の中で経済制裁ができるようにしておるということでございまして、日本だけが特殊だということではないというふうに考えております。
  235. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 外為法で扱うということになりますと、当然政省令を決めていかなければいけないというふうに思うわけですけれども、そうなりますとなかなか国会の意思というのが反映されないんじゃないかなという心配があります。  特に、経済制裁というのは、これは外交上非常に重要な問題じゃないかなというふうに思うわけです。ということは、我が国としてその相手国に対する外交に対する基本的な考え方というものがそこに示されているということにもなりかねないと思うんですけれども、そういう外交的な立場から見て、政省令だけで、政府の考えだけで進めていくことが果たしていいものかどうなのか。その辺、大変疑問を持つんですけれども、いかがでしょうか。
  236. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) お答えいたします。  政省令で最終的に対処するということは、一つは経済制裁を行うときの行い方が許可にかかわらしめるということでございまして、全面的に直ちに禁止するということではございません。ですから、例えば食糧とか医療費、あるいは経済制裁をするときに、大使館員とか日本人が現地におって、そのための送金が必要だというようなことがあれば、これは許可をするということになるわけでございますから、日本国民の権利義務について一方的にそれを禁止するというものではないというのが一点でございます。  それからもう一点は、その対象となる許可事項が、送金あるいは有価証券の譲渡等、外為法の制約の中に限られたものであるというのが第二点でございます。そういうことで、国民の権利義務を一方的に禁止するというものではないので、これは政省令に落として行うということが妥当なことだというふうに思っております。  また、国会ということでございますけれども、当然のことながらこういう経済制裁をやるときには国民全体に周知しなければいけないわけでございます。そういうことで、例えば送金ということですから国民の一人一人が送金についてこういう制約があるということが周知されていなければいけないわけでございますから、当然我々は周知徹底を図る。それから、もちろん国会開会中であれば、国会から要求があれば大蔵大臣がその説明をする、あるいは質問に答えるというようなことをやるわけでございますから、私どもとしては、本件については政令で処理し、議院内閣制のもとで内閣がこれを責任を持って行うということで、国会の権限を侵すものであるというふうには考えておりません。
  237. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 衆議院の附帯決議によりますと、有事規制を発動した後に、政府はその理由を速やかに公表して国会に報告する、そういうことに附帯決議で書かれております。  これを具体的にやるということになりますと、当然法律か政省令で義務づけた方がいいんではないかと思うんですね。附帯決議だけで本当にきちっと一〇〇%そういうことができるのかどうなのか、ちょっと不安だと思うわけです。法律で決めたらいかがでしょうか。
  238. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) お答えいたします。  経済制裁というのは、実は外為法だけではございませんで、例えば出入国管理令というような法律がございます。これについても、例えば出国なり入国を制限するというようなことがございます。また、ほかにもこのパッケージの中でほかの法律に関連するようなものがございますので、外為法に限って外為法にかかわる経済制裁だけ法律で例えば周知徹底させるとか、報告をするとかいうことを書くことは、法律のバランスということからいって適切ではないというふうに考えております。
  239. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 少なくとも経済制裁ということは、先ほど申しましたように外交上の相当重要な課題であると思うわけです。そういう意味で私は、国会開会中については国会の承認を得るべきではないんだろうかと思います。それで、国会が閉会中であった場合は事後承認を求める、そういうように私は改めた方がいいんではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
  240. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) お答えいたします。  経済制裁というのは非常に迅速に行わなければいけないということでございまして、例を申し上げますと、イラクが侵攻したときに直ちに各先進国は経済制裁を実施したわけでございます。そういうことから考えますと、議院内閣制のもとで総理大臣以下、緊急に内閣が責任を持って経済制裁を行うということでないと経済制裁の実効性は確保できないというふうに考えておりますので、国会開会中といえども、そこで審議をしてその後に経済制裁を実行するということでありますと制裁の実効性が保てないということでございまして、経済制裁を行うときというのはその地域がかなり戦争に近いような状況、その地域がそういうことになっておりますので、これはやはり議院内閣制のもとでの総理大臣、閣議の最終的な責任を持つてやるべきことだというふうに思っております。  また、それでは事後承認をしたらいいではないかと、そういう議論が成立し得ると思うのでございますけれども、事後承認ということでございますと、経済制裁を行ったときに日本の経済制裁だけは最終的にひっくり返る可能性がある、こういうことを天下に周知させるわけでございますから、経済制裁を行ってもその経済制裁の実効性が最終的に国会の承認を得られない可能性があるということで極めて強く減殺されるということになると思いますので、これはやはり外交ということで行政権に属するものでございますから、政府が責任を持って、総理大臣以下が責任を持って経済制裁を実行し、それに対して別途の形で国会のチェックをする。説明を徴するとか場合によれば内閣不信任案とか、そういうことで国会の内閣に対するチェックというのはあるわけでございますから、そういうことで立法府がチェックをする、そういうことではないかというふうに思っているわけでございます。
  241. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 そういうお考えもあるでしょうけれども、国会に対してもきちっとしたやっぱり意思表示をさせるべきだと私は思うんです。それは、そんなに長期に時間をかけることにはならないと思います、国会開会中ですから。特に、それに所属する、関係する常任委員会で期限を切って議論をするくらいのことは、私はあってもいいんではないかなというふうに思います。  ところで、今のお答えに関係すると思うんですけれども、今回の改正で、経済制裁の発動要件に国連安保理の決議などいわゆる国際約束を要しない、そういうことにいたしましたけれども、その理由は、今お答えになったようなことが主な理由でしょうか。
  242. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) お答えいたします。  現行外為法の規定では条約その他、国際約束のない場合には支払い規制等を行うことができないということになっておりまして、実はこれも湾岸のときの経験でございますけれども、この国際約束ということで、安保理の決議が国際約束ということに解釈できますので、安保理の決議がない限りは私どもは経済制裁ができないということになっておったわけでございます。  実は、湾岸のときには日本の経済制裁は先進各国に比べて一週間ほどおくれたということがございます。資産凍結等支払いの禁止等を含む経済制裁が一週間、一カ国だけおくれるというのは大変なことでございまして、一つだけ穴があいているということでございますから、その穴を使って資金が流出してしまうと。せっかく欧米が協力して経済制裁を直ちに打ったのにその経済制裁の実効性が全く減殺されてしまうということで、私どもも湾岸のときには大変悩んだわけでございますけれども、法的にそれはできないと、安保理の決議がないとできないということだったわけでございます。  ですから、今回の改正時にこの点を配慮いたしまして、今回新たなる条項を加えたわけでございます。「国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与する」という発動要件を加えたわけでございますから、湾岸のような事態が起きたときには主管大臣である大蔵大臣、通産大臣が外務大臣の意見も徴した上で最終的に閣議決定あるいは閣議の承認ということで経済制裁ができるということにしたわけでございます。
  243. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 きょうは外務省からも来ていただいておりますので、お聞きしたいと思います。  今、局長のお話はありましたけれども、少なくとも我が国は国連中心の外交政策をとってきているわけですね。そういう中でいわゆる安保理の決議を軽視するような法改正をするということは、これまでとってきた国連中心の外交政策に反するのではないかなと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
  244. 川島裕

    ○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。  今、榊原局長から答弁がございましたけれども、この制裁というもの、御存じのとおり平和に対する脅威とか、平和の破壊あるいは侵略がありましたときに、国際社会が一致してその平和を破る国に対して制裁を課すということによって平和を回復するのが目的でございます。それの典型が安保理決議でございまして、決議ができれば、国際約束ですから問題はないわけですけれども、それに至らなくても非常に緊急に処置を要するという場合が多々あったわけでございます。  それで、この書き方として、そういう国際社会として一致してやろうとしているときに、我が国としても国際社会の一員として一緒にやる、そうでないと我が国のところで穴があいてしまうと。それを避けるために、決議の採択に至らなくても、国際的な努力がいろいろ続いているときに対応できるためにした法改正でございますので、むしろその国連憲章第七章で想定しております一連の流れに、より日本として有効に寄与できるための改正だと私どもは考えております。
  245. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 榊原局長、今お答えの中で国際平和という言葉が出てきたんですけれども、それに関連しまして国際約束に基づかないで我が国独自の判断で有事規制を発動する際の発動基準に国際平和ということが今度の法律に書かれているわけですけれども、この国際平和という言葉というのは極めて抽象的になるんでないだろうかなと思うんです。どうにでも解釈できる。そういう抽象的な理由だけで行うということは大変恣意的な制裁ということも考えられるんではないか、また不公正な制裁にもなりかねないんではないかなというふうに思うんですけれども、これは外務省と両方にお聞きしたいと思います。
  246. 榊原英資

    ○政府委員(榊原英資君) 「国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため」にということでございますから、これは当然の想定として国際社会の相当多数の国がこの経済制裁に参加するということが前提になっているんだと思います。  ちなみに、米国あるいはドイツの制裁規定について述べさせていただきますと、これはもっと抽象的な概念だったんです。国家安全保障にかかわることは何でもできる、こういうことになっておるわけでございまして、我が国の「国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため」という条件は、先進各国に比べれば極めて限定的なものだというふうに思っております。
  247. 川島裕

    ○政府委員(川島裕君) 今の答弁で尽きていると思うのでございますけれども、国際平和のための国際的な努力というのが一体でございまして、要は、俗語で言えば相場観があって、国際社会はおおむねみんなこれは平和が侵されているようだ、一緒にやろうよという雰囲気の中で日本が何かやるというのが想定されている次第で、したがって国際社会でそういう平和が侵されているという感じが全然ほかになくて、日本だけ平和が侵されているというような判断で何かやるということはそもそも想定されていないということでございます。
  248. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 そういうお考えもなきにしもあらずだとは思いますけれども、若干の疑問はどうしてもぬぐい去れません。  もう時間も参りましたので、この次に行いたいと思います。また、通告しております持ち高の問題、これについても後ほどに回したいと思います。  終わります。
  249. 松浦孝治

    ○委員長(松浦孝治君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時二十分散会