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1992-04-01 第123回国会 参議院 予算委員会 11号 公式Web版

  1. 平成四年四月一日(水曜日)    午前十時八分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      大島 慶久君     平井 卓志君      斎藤栄三郎君     星野 朋市君      野村 五男君     鎌田 要人君      常松 克安君     広中和歌子君      近藤 忠孝君     吉川 春子君      山田  勇君     井上  計君  四月一日     辞任         補欠選任      松浦 孝治君     関口 恵造君      翫  正敏君     清水 澄子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         中村 太郎君     理 事                 井上 吉夫君                 鹿熊 安正君                 前田 勲男君                 吉川 芳男君                 梶原 敬義君                 久保  亘君                 佐藤 三吾君                 太田 淳夫君                 吉岡 吉典君     委 員                 井上 章平君                 石井 道子君                 石原健太郎君                 遠藤  要君                 大島 友治君                 合馬  敬君                 鎌田 要人君                 北  修二君                 斎藤 文夫君                 須藤良太郎君                 関口 恵造君                 田中 正巳君                 西田 吉宏君                 野末 陳平君                 星野 朋市君                 國弘 正雄君                 小林  正君                 櫻井 規順君                 清水 澄子君                 種田  誠君                 細谷 昭雄君                 前畑 幸子君                 村沢  牧君                 森  暢子君                 吉田 達男君                 白浜 一良君                 広中和歌子君                 吉川 春子君                 乾  晴美君                 高井 和伸君                 井上  計君                 寺崎 昭久君                 下村  泰君    国務大臣        外 務 大 臣  渡辺美智雄君        大 蔵 大 臣  羽田  孜君        文 部 大 臣  鳩山 邦夫君        厚 生 大 臣  山下 徳夫君        農林水産大臣   田名部匡省君        通商産業大臣   渡部 恒三君        運 輸 大 臣  奥田 敬和君        労 働 大 臣  近藤 鉄雄君        建 設 大 臣  山崎  拓君        自 治 大 臣  塩川正十郎君        国 務 大 臣  加藤 紘一君        (内閣官房長官)        国 務 大 臣  宮下 創平君        (防衛庁長官)        国 務 大 臣        (経済企画庁長  野田  毅君        官)        国 務 大 臣  中村正三郎君        (環境庁長官)        国 務 大 臣  東家 嘉幸君        (国土庁長官)    政府委員        内閣官房内閣外        政審議室長        兼内閣総理大臣  有馬 龍夫君        官房外政審議室        長        警察庁長官官房  井上 幸彦君        長        警察庁交通局長  関根 謙一君        防衛庁長官官房  村田 直昭君        長        防衛庁防衛局長  畠山  蕃君        防衛施設庁総務  竹下  昭君        部長        経済企画庁調整  吉冨  勝君        局長        経済企画庁国民  加藤  雅君        生活局長        経済企画庁総合  長瀬 要石君        計画局長        経済企画庁調査  土志田征一君        局長        環境庁長官官房  森  仁美君        長        環境庁企画調整  八木橋惇夫君        局長        環境庁大気保全  入山 文郎君        局長        国土庁長官官房  藤原 良一君        長        国土庁長官官房  森   悠君        会計課長        国土庁土地局長  鎭西 迪雄君        国土庁大都市圏  西谷  剛君        整備局長        国土庁地方振興  小島 重喜君        局長        外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君        外務省アジア局  谷野作太郎君        長        外務省経済局長  小倉 和夫君        外務省経済協力  川上 隆朗君        局長        外務省条約局長  柳井 俊二君        外務省国際連合  丹波  實君        局長        大蔵省主計局長  斎藤 次郎君        大蔵省主税局長  濱本 英輔君        大蔵省理財局長  寺村 信行君        大蔵省証券局長  松野 允彦君        大蔵省銀行局長  土田 正顕君        国税庁次長    冨沢  宏君        文部大臣官房長  野崎  弘君        文部省初等中等  坂元 弘直君        教育局長        文部省学術国際  長谷川善一君        局長        文化庁次長    吉田  茂君        厚生省生活衛生  玉木  武岩        局長        厚生省生活衛生  小林 康彦君        局水道環境部長        農林水産大臣官  馬場久萬男君        房長        農林水産大臣官  山本  徹君        房予算課長        農林水産省経済  川合 淳二君        局長        農林水産省農蚕  上野 博史君        園芸局長        農林水産省畜産  赤保谷明正君        局長        食糧庁長官    京谷 昭夫君        林野庁長官    小澤 普照君        通商産業大臣官  榎元 宏明君        房審議官        通商産業省立地  鈴木 英夫君        公害局長        資源エネルギー  山本 貞一君        庁長官        運輸省自動車交  水田 嘉憲君        通局長        労働省婦人局長  松原 亘子君        労働省職業安定  若林 之矩君        局長        建設大臣官房長  望月 薫雄君        建設大臣官房会  近藤 茂夫君        計課長        建設省建設経済  伴   襄君        局長        建設省都市局長  市川 一朗君        建設省道路局長  藤井 治芳君        建設省住宅局長  立石  真君        自治省行政局公  秋本 敏文君        務員部長        自治省財政局長  湯浅 利夫君        自治省税務局長  杉原 正純君    事務局側        常任委員会専門  宮下 忠安君        員    説明員        通商産業大臣官  姉崎 直己君        房審議官    参考人        日本銀行理事   福井 俊彦君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○平成四年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送  付) ○平成四年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送  付) ○平成四年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議  院送付)     ―――――――――――――
  2. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、一般質疑を行います。種田誠君。
  3. 種田誠

    ○種田誠君 三月の十九日、この委員会で私も茨城佐川問題について質疑をさせていただきました。そして、昨日佐藤議員の方からもこの問題が提起されてきたわけでありますが、本日の質問の冒頭に、この茨城佐川問題について、二、三、私にとっては詰めの質問をさせていただきたいと思います。  十九日の建設省の立石局長の答弁によりますと、茨城佐川急便の問題に関しまして、八月十九日に建設省は運輸省に照会をした、そしてその照会の結果が十二月の二十六日に戻ってきた、こういう流れの中で名義変更手続を認めていったと、こういうふうな答弁がなされております。  そこで、運輸省の方といたしまして、この前の答弁で、十二月の二十六日の回答を出す前に一たん申請を取り下げさせて、再申請をさせて、その上で十二月の二十六日の回答をしたんだと、こういうふうな答弁があったわけでありますが、問題は、それではいつ運輸省の方で取り下げをしたのか、そしてその点について建設省の方からの問い合わせがなされている、その時期に建設省には何の連絡もせずこのような手続を行ってきてしまったのか、その辺についてまず御説明をいただきたいと思います。
  4. 水田嘉憲

    ○政府委員(水田嘉憲君) お答えいたします。  水戸のターミナル問題につきまして、昨日の御質問にもお答えいたしまして、特に茨城佐川急便との関係について主としてきのうは御説明をさせていただいたわけでございます。この水戸のターミナルにつきましては、区域業者であります茨城佐川急便と路線業者であります北関東佐川急便の両方から事業計画の変更の申請が出てきておって、それで茨城佐川関係についてきのう御説明したような形で事業計画の変更と認可をいたした、それで是正をその後やっておるということを申し上げたわけでございます。他方、路線業者でございます北関東佐川急便の関係のお話を今先生から御指摘があったわけでございますので、それについて若干御説明をさせていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕  昨日御説明いたしましたとおり、水戸のターミナルは路線業者であります東日本運輸興業がみずからの路線トラック用の施設として建設中であったわけでございますが、平成三年の八月十二日付で路線業者であります北関東佐川急便から、これを譲り受けてみずから使いたいという事業計画の変更申請が関東運輸局に提出されたわけでございます。この申請につきましては、このターミナルを北関東佐川急便がみずからの路線トラック用に使用するほか、一部を先ほど申し上げました区域業者であります茨城佐川急便に賃貸して使用させるというものであったわけでございます。  このような使用形態につきまして、都市計画法上問題ないかということで建設省に照会いたしましたところ、消極的な見解であったわけでございます。この旨を北関東佐川急便に伝えましたところ、その後北関東佐川急便側からこの事業計画変更の認可申請を取り下げられたわけでございます。平成三年の十一月二十日付で一たん取り下げられたわけでございます。そして、さらに平成三年の十二月十六日付で再申請がなされた。再申請におきましては、北関東佐川急便が水戸ターミナルすべて全部をみずからのいわゆる路線トラック用に用いるということになっておったわけでございます。このために関東運輸局は、平成三年の十二月二十六日付で路線トラック用施設に該当するかどうかという水戸市の照会に対して該当する旨の確認書の交付を行ったわけでございます。  なお、北関東佐川急便の事業計画変更の事案については、現在まだ関東運輸局において貨物自動車運送事業法に基づき審査中であるという状況でございます。
  5. 種田誠

    ○種田誠君 取り下げたのはいつだと言いましたか。十一月の十六日ですか。
  6. 水田嘉憲

    ○政府委員(水田嘉憲君) 北関東佐川急便からの事業計画変更の申請の取り下げは平成三年十一月二十日付でございます。
  7. 種田誠

    ○種田誠君 はい、わかりました。  この一連の手続に関しましてまだ釈然としないところがあるんですけれども、陸運局としてはチェックミスである、基本的に重要な過ちがあったわけではないというような取材に対しての見解などもあるようでありますが、実はこの茨城佐川急便の問題、決して水戸ターミナルだけではないんですね。  きのうのことでありますが、下館というのが茨城県にございますが、ここでも同じ問題が発生いたしまして、茨城陸運支局の方では指導を開始したそうであります。ここは実に、単なるミスというものが昭和六十三年から行われていたわけであります。果たしてこれも単なるチェックミスであったと言えるものなのかということでありますが、余りにもチェックミスが至るところに発生した場合に、果たしてそのような言葉でこの問題は処理できるんだろうかという疑問を持たざるを得ないわけであります。  昭和六十二年と言えば、まだ新法の物流二法の制定される前のことでございますし、御存じのように運輸行政における許認可は極めて厳しく運用されておって、既存業者が新たな免許を取得したり変更しようとしてもなかなか運輸省はこれを認めてこなかったという歴然たる事実があったわけであります。そういう中で、なぜ六十三年のこの下館店などについてもいとも簡単にこのような手続がとられてきたんだろうかという深い疑問をさらに重ねなきゃならないわけであります。  そういう意味で、果たして今回のこのような不祥事に対して単なるチェックミスとしてこのことを見過ごしていいものかどうか、もう一度その点だけ確認したいと思います。
  8. 水田嘉憲

    ○政府委員(水田嘉憲君) お答えいたします。  まず、下館の事案でございますが、昨日、佐藤先生の御質問で、類似の事例はないのかという御質問がございまして、私は把握してないという意味のことを申し上げたわけでございますが、今後調査したいということを申し上げたわけでございます。私は承知してなかったんですが、現場におきましてはたまたま水戸の事例があったものですから、ほかのものがないかということでいろいろ調査しておりましたら、下館の事案が見つかったということで下館について指導を開始した、先生御指摘のとおりでございます。  私どもは、昨日の佐藤先生の御質問に対してもお答えいたしましたが、やはりこういう営業所あるいは荷扱い所の設置についての事業計画の変更認可を行うに際しましては、都市計画法等の違反による差しとめという問題があるわけでございますので、そういう都市計画法違反にならないようなものであるということを確認してきているつもりでございますが、一部十分確認がなされないまま具体的な認可ということまでいった事例が、下館の場合でもそうじゃないかということのようでございますので、さらに調べまして必要な措置を講じたいというふうに考えております。
  9. 種田誠

    ○種田誠君 極めて歯切れが悪いんですけれども、問題は前々からここでも議論されておりますように、許認可を持っている省庁はやはり公平でなきゃならない、手続は厳正でなきゃならない、透明性が確保されなきゃならない。いわんや今度の物流二法が通った後はなおさらそういうものに十分にこたえなきゃならないと思うんですよ。こういう状況で問題提起され、指摘をされて、慌てて弁明をしなきゃならないような状況が重なっていったならば、日本の資本主義そのものも自由主義経済体制そのものも大きなゆがみを持ってしまうわけでありますから、厳正に対処していただきたいと思います。  そして、私はこのような問題が、茨城佐川問題を通じて佐川急便関係に重なっているということに関しまして、何かそこに甘さがあったんじゃないか。その甘さはどこから出てくるんだろうかというところで、大きな疑問を国民の皆さんが持ってしまう。こういうふうなことは今後の行政の中でぜひ改めていただきたいと思います。  この佐川問題に関しまして運輸大臣の方から、過般、徹底した指導調査をするという御指導があったためと思いますが、二十三日には茨城佐川急便は問題になった場所から撤退をいたしました。しかし、残念なことは、車両の撤退はさせましたけれども、私、きのう謄本とってみましたけれども、今なお茨城佐川急便の本社は従前来の場所にあるわけです。果たして、これですべてが終わったとは言えないわけでありまして、どのような指導をしてきたのか、この点についても伺いたいと思います。
  10. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) きのうの佐藤先生からの御質疑にもお答えいたしましたけれども、今回の茨城佐川のターミナル問題を含めまして、全く認可のミスであったということは率直に認めました。都市計画法上明らかに問題があったということで、直ちにこのことは指示いたしまして、営業所の所在をもとに戻すという手続はとったわけでありますが、今先生の御指摘になられたように、法的な手続は、登記法上の手続はまだやっていないようでありますけれども、これに関しても厳しく言いました。近々とりつつあるということで、間もなく法的な手続も完了するということがお答えできます。  本当に、許認可官庁とも言われる立場でありますけれども、法秩序は厳正に守られなければなりません。特に、佐川の問題がこういった大きな国民の目を集めておるときに、いささかなりとも、そういったチェックミスでは済まされない大きな問題だと認識をいたしております。  したがいまして、茨城佐川に対するチェックを含めて、茨城佐川に限りませんけれども、そういった形を各陸運にも厳しく通達をして、六十三年当時まだ物流二法の出ない、先生の御指摘どおりの許認可に非常に厳しい枠をはめておった時期にもさかのぼり、できるだけ、こういったグループに対してチェックミスがあったかどうかに対しては、再度確認いたします。特に、茨城佐川に関しましてもさかのぼってチェックさせるように指導いたします。
  11. 種田誠

    ○種田誠君 今、運輸大臣が述べたような視点で、いささかなりとも後にまた不透明な問題提起をされることがないような指導をしていただきたいと思います。  次に問題を移っていきたいと思いますが、外務省の方に幾つかお尋ね申し上げます。  昨今、とりわけ昨年からことしにかけまして、ミャンマーからバングラデシュへの難民が大変数を増しております。聞くところによるともう二十二万人を超えたとも言われております。そして、きょうの新聞などにも載っておりますが、軍事政権の中で少数民族の方々が大変悲惨な状況に置かれておる、そして今後の行く末が大変心配な状況にもなっておると、こういうふうにも聞いておるんですが、今日政府の方ではこの問題に関してどのような現状の把握をしておるか、まずその点を伺いたいと思います。
  12. 谷野作太郎

    ○政府委員(谷野作太郎君) 種田先生はかねてからバングラデシュとの関係を非常に大切に考えていらっしゃっておるわけでございまして、いろいろ御心配のことでございます。私どもも大変この問題は深刻な心配を先生とともにいたしております。  御案内のように、イスラム教徒の多くが難民としてバングラデシュに流入しておると。ただいま二十万人を超えたという数字がございましたけれども、三月二十三日では確かに十八万人程度と思っておりましたが、昨日、私のところへ東京のバングラデシュの大使が見えまして、確かにもう二十万人を超えた、もうこれ以上支え切れないという大変深刻なお話がございました。  私どもは、基本的にはこれはミャンマーとバングラデシュの間で解決してほしいとは思いますけれども、とにかく解決のめどがほとんど立っていない、難民の流出が続いておるということでございまして、私どもは、東京あるいは現地のミャンマーにおきまして、私なりあるいは現地の大使なりから、とにかく早期にこの問題を解決してほしいと、積極的な対応をミャンマーの側にお願いしたいということを累次にわたって申し入れております。そして、難民の支援のためには、とりあえずUNHCRに百万ドルの拠出を決定いたしまして、既に支払い済みでございます。  きのう大使がお話しになっておりましたのは、近々国連から事務次長レベルの方が現地に入って調査するということでございまして、そんな調査結果も待ちたいと思いますけれども、引き続きミャンマー政府には強力に私どもの心配、早期の事態の改善を求めていきたいと思っております。
  13. 種田誠

    ○種田誠君 今、局長の方からも、三月十八日のことだと思いますが、百万ドルを拠出して緊急の対応に役立てているということ。さらに、バングラデシュの斎木大使などからも御報告があったんだろうと思うんですが、問題は、これから日本政府として、やはり日本がアジアの一員として、私はあえて申せばアジアの兄貴として、一つのこれから共存共栄を図っていくような施策を展開していくという方向を持っていくとするならば、このミャンマーの難民問題等々を含めまして、どのような施策を展開していったらいいのか。このまま百万ドル、さらに必要な経費を負担していけばいいのか。その辺のことについて、まず大きな視点から外務大臣にお伺いしたいと思うんです。
  14. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 問題は、その難民を出さないように、出さないようにすることが先決なんですね、これは。  私はかねてミャンマーに行きまして、大臣になる前ですが、ソウ・マウンさん、彼とも会って、選挙が終わったんだから選挙の結果を尊重して速やかに議会を開いて、憲法をつくって、そして民主的な手続をとりなさい、とるべきではないかということを言ってきたことがあるんです、大激論になりましたが。  いずれにいたしましても、まずはミャンマーで少数民族をいじめるようなことはしないように大いに今後も慫慂してまいりたい。そして一日も早く難民がミャンマーに帰れるようにお手伝いをしていきたい。とりあえずの間は国連の高等弁務官事務所と一緒になって、やむを得ず避難している難民の救援活動は今後も続けてまいりたいと思います。
  15. 種田誠

    ○種田誠君 今、大臣がおっしゃったように、難民を出さないような政策をアジアの国々がづくっていく、そういうふうなことに協力をしていくということが極めて重要な課題だろうとは思うんですね。残念ながら、八〇年代七百数十万だった世界の難民、九〇年代になりましたらば一千四、五百万を超えている。年々難民の数はふえている状況にあるわけでありまして、私も極めてゆゆしき事態だな、こう思うわけであります。  そのような関連で、現在ミャンマーに対する日本のODAの援助関係はどうなっているか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  16. 川上隆朗

    ○政府委員(川上隆朗君) お答えいたします。  ミャンマーに対する経済協力でございますけれども、御案内のような政治情勢を踏まえまして、原則としてこれを停止しているということでございます。ただし、緊急的な性格あるいは人道的な性格の援助、さらに政変前より実施中の案件につきましてはケース・バイ・ケースということで検討していく方針でございます。この基準といたしましては、やはり案件が相当進捗していたかどうかというような点とか、それから国民生活に当該案件が非常に直結したものである、民生に関係があるかどうかといったようなことを基準に考えておる次第でございます。
  17. 種田誠

    ○種田誠君 もう少し具体的に教えてもらいたいんですけれども、日本がミャンマーに対して大きな影響力を持っているとアジアの中では言われているわけであります。アジアの中のマスコミなどでもそういうふうな指摘もされておりますし、日本のマスコミもそういう指摘をしております。このODAに関しまして、私はもう一歩突っ込んだ制裁措置というのを、アジアの国民が、日本の国民がわかるような形でやる方法はありませんか。
  18. 川上隆朗

    ○政府委員(川上隆朗君) ただいま御説明させていただきましたけれども、先生御指摘のとおり、確かにミャンマーに対する我が国の影響力、特に経済協力を通じた影響力が非常に大きいということはそのとおりだと思います。長年にわたって、ほかの国でいえばドイツと並びまして日本はミャンマーに対して援助を続けてきたという実績があるわけでございますが、今申しましたように、今の情勢を踏まえまして我が国は立場としては原則停止しているということで、実際問題といたしましては一九八八年に実績といたしまして二億六千万ドルほどの援助をやっていたわけでございます。現在、一九九〇年が一番最新の数字でございますけれども六千万ドル強ほどに、四分の一以下に減っているというのが現状でございます。  それから、援助の中身といたしましても、先ほども申しましたようにミャンマーの国民の民生に非常に関係のある案件を厳選して扱うという方針をとっておりまして、したがいまして我が国の方針がミャンマー政府に伝わっているということでございますが、他方、我が国といたしましては対話のパイプというものを維持するという観点から、今のような援助方針が今の時点では妥当なのではないかというのが基本的な考え方でございます。
  19. 種田誠

    ○種田誠君 ちょっと残念ですけれども、さらに何らかの効果ある方法を検討していただきたいと思います。  外務大臣、政府としてもミャンマーの現在の政府に対して一定の警告などを発したというふうにも聞いておりますが、どのような警告を発して、これからさらに民主化への誘導を図るためにもどのような具体的な施策をとるか、そういうお考えがあるのか聞かしていただきたいと思います。
  20. 谷野作太郎

    ○政府委員(谷野作太郎君) 警告というお話がございましたけれども、確かに私どもの物の言い方、あるいはそうおとりいただいてもよろしいかとも思うのでございますけれども、外務大臣のレベルあるいは政務次官のレベルで私どもの憂慮、特に先ほどお話がありました民政移管を約束してそれをやっていないわけでございますから、その点について、とにかく国民に対する約束はきちんと果たさなければいけないということを渡辺大臣も外務大臣になられる前から非常に強く申されております。柿澤政務次官も東京の大使を呼んで二、三回同じようなお話をされました。  ただ、そういう中で、先ほど経協局長からお話ししましたように最低限のそういった対話といいますか物を申していくチャンネルだけは維持しながら、言うべきことはきちんと申していかなければいけないと思っております。
  21. 種田誠

    ○種田誠君 このミャンマーの難民の問題は、多分私は近々にアメリカやヨーロッパの諸国からも具体的な行動が起こってくるんではないだろうかと思うわけでございます。ぜひ日本も時宜を得たしかるべき施策を展開していただきたいと思います。  次に移りたいと思います。  今、ミャンマーとの関係でバングラデシュの話も出てまいりました。バングラデシュ、アジアの中で最貧国と言われております。かつてはタゴールという詩聖を生んだ豊かな地方であったわけでありますけれども、後発発展国として今大変な状況にございます。しかし、国民は過去のそのような歴史のすばらしい実績の上に国づくりに専念をしているわけでありますが、私は日本のバングラデシュなど途上国に対するODAのあり方に関して若干の援言をさせていただきたいと思うわけであります。  その手始めに、経済の自立化を図っていく、このことが基本的に重要な施策じゃないかと思うわけでありますが、今さまざまな試みが途上国ではなされております。  そういう中で一つ、環境庁が私もはっと思うような動きを昨年していただきました。中国の方ヘケナフという麻の一種の調査に行っております。このことについて、どういう調査目的で、そして今後どのような施策を展開しようとしているのか述べていただきたいと思います。
  22. 八木橋惇夫

    ○政府委員(八木橋惇夫君) お答え申し上げます。  環境庁におきましては、平成二年度からでございますが、森林保全に資するということを目的といたしまして、木材にかわる紙パルプ原料といたしましてケナフ、これはアオイ科の植物でバスタードジュートと呼ばれているようでございますが、そういった木材でない繊維資源というものに着目いたしまして、その栽培技術、パルプ化の技術等につきまして検討を行う必要があるということから調査を開始いたしたものでございます。  御指摘のように、中国、タイへフィールド調査を行うとともに、またタイで行われましたケナフに関する国際技術ワークショップに参加する等の調査を行ってきております。その結果、アジア地域におきましては今後の紙需要が非常に伸びていくとそれに対して木材資源だけで原料を供給するのは困難ではないかという問題。また現状でもこのアジアの地域におきましては、わらとか竹とかケナフ、ジュート等の木材にあらざる資源を紙の原料として利用する割合が今でも高いという状況にあること。そういった中でも、ケナフをとりますと成長効率が非常によくてパルプ化の素材としてもすぐれているのではないかという点が明らかになってきたわけでございます。  そこで、引き続き平成三年度におきましても、ケナフに着目しまして、その栽培技術の問題、またパルプ化の技術の問題、またその経済性の問題といったものについてさらに検討を進める必要があるということから検討を進めてまいりますとともに、ケナフのパルプの実用化に非常に関心を持っております中国との意見交換等を行ってきているところでございます。
  23. 種田誠

    ○種田誠君 今、局長の方からお話がありましたように、まさに非木材からパルプをつくっていく。  通産省の方で述べていただきたいと思うんですが、紙の需要、一体今どのような需要のもとにどのような供給がなされているか、ちょっと述べていただきたいと思います。
  24. 姉崎直己

    ○説明員(姉崎直己君) 御説明いたします。  我が国の紙パルプの需給全体の状況でございますが、御案内のとおり、需要につきましては昨年夏以降景気の後退を反映いたしまして低迷いたしております。生産につきましても最近、一月は前年比でマイナス三・二%というようなことで減退を見ておるところでございます。  先生御指摘の製紙の原料に占めます構成がどうなっておるかという点でございますが、私ども通産省といたしましては地球環境保全あるいは資源リサイクルの観点から古紙の利用を進めておりまして、現在五二%が古紙のリサイクルでございます。残りの四八%のうち、輸入材による国産パルプが二二%、それから輸入パルプが九%ということで、輸入依存度は三一%。全体の製紙原料に占めます割合はそのようなことになっております。
  25. 種田誠

    ○種田誠君 紙の需要は近年日本でも目覚ましく高まっております。これに関しては省資源とか省エネというところから見直しも必要だと思いますけれども、いずれにしろ、地球環境問題なども考えますとやはり木材パルプから非木材パルプヘの転換が必要とされるだろう。しかも短期間に再生ができるようなもの、先ほど名前が出ましたケナフは重要な私は資源だと思うんです。そしてさらに重要なことは、こういうものが中国やインドでは木材以上の紙パルプの供給源になっておる、立派な紙ができておるわけであります。  私もバングラデシュへ何回か足を運んでいる中で、ジュートという黄色い麻ですが、コーヒー袋などをつくる、そのジュートの需要が今バングラデシュは非常に落ち込んでいるわけですけれども、このジュートから良質な紙パルプがつくれるということがフランスの技術で開発されたわけであります。日本もかってすばらしい協力をしてきたわけでありますが、こういう意味で私は熱帯雨林の保全、地球環境の問題、さまざまな要請からこのジュートパルプに関しましても極めて重要なウエートを置いて日本は施策を展開すべきだと思うんですけれども、このジュートハルブということに関しまして今どのような状況になっておって、これからどういうふうな考えがあるか、聞かせていただきたいと思います。
  26. 姉崎直己

    ○説明員(姉崎直己君) 御説明いたします。  ジュートパルプの製紙原料といたしましての利用につきましては各方面でいろいろと検討されておりますが、基本的な幾つかの問題がございまして、一つは技術的な観点から申しますと、繊維が長いということのためにパルプから紙を製造する紙すき工程といいますか、抄紙工程にいろいろと難しい問題があるというふうなことが言われております。また経済的な観点から見ますと、ジュートの用途がロープでありますとか、あるいは先生が御指摘のようないろいろと穀物の袋といったような付加価値の高いものの方に使われることが多いということから、製紙原料といたしましては他の木材パルプと比較いたしますとやはり採算の面で問題があるというようなことが言われております。  しかしながら、私ども通産省といたしましても地球資源の保全といった観点から、このようなジュートあるいはケナフといったような非木材系原材料の製紙原料への利用の可能性につきまして、今後とも注目し勉強させていただきたいというふうに考えております。
  27. 種田誠

    ○種田誠君 ちょっと今の答弁に私は納得できないところが幾つかあります。  五十七年の三月にJICA、国際協力事業団がジュートパルプに関する報告書というのをつくっているわけであります。今の御説明とは全く違いまして、採算はとれる、ぜひODAなどの協力によって推し進めるべきであるというような最終結論になっているわけであります。  したがいまして、もう少し勉強していただいて、本当にこのジュートからパルプがとれるのかとれないのか、しかも今繊維が長いと言いましたけれども、カッティングという部分からとっていくという方法などもありまして、今のような御説明ではちょっと不十分なところが多々あると思います。もう少しこの点については通産省においても綿密な研究をしていただいて、このジュートはバングラデシュばかりじゃなくてパキスタン、インド、その周辺の諸国でたくさんとれているわけであります。付加価値が云々という話もありましたけれども、付加価値が低いがゆえにパルプ化を図って付加価値を高めたいというのがこの地域の国民の要望でもありますから、今の御認識とは違いますもので、もう一度その辺のところは調査研究の上、施策も検討をしていただきたいと思います。  次に、もう二点ほど伺いたいんですけれども、昨年、私、衆議院議員の武村正義先生を団長といたしまして超党派でサイクロン被害の調査に行ってまいりました。その折に、現地住民のニーズにこたえる、しかも途上国にとっては極めて重要な施策というものが我々の前にあらわれてきたわけであります。いわゆるマルチパーパス・シェルター、多目的シェルターというものであります。  御存じのように、途上国、バングラデシュもインドもパキスタンもそうでありますが、識字率が一五%、二〇%という極めて厳しい状況にあります。人口もバングラデシュでは年間四百万人ぐらい、統計外では六百万人などとも言われておりますが、膨大な人口増が続いておるわけであります。ヘルスセンターなども必要なのであります。そういう意味で、災害がないときには学校教育をする場所として、そして保健衛生指導などをするヘルスセンターとして活用しながら、災害時にはまさにシェルターとして三千人ぐらいが逃げ込む、家畜ともども。こういうものを武村先生の記者会見では、年間百戸、十年間で千戸つくろうと、そんなに単価の高いものじゃございませんから。こういうふうな提案がなされているんですけれども、このいわゆる多目的シェルターが現在どうなっておるか教えていただきたいと思います。
  28. 川上隆朗

    ○政府委員(川上隆朗君) 御指摘の多目的シェルターの建設に関してでございますが、先生も参加された視察団から御提案がございまして、施設の有効利用等の観点から、今御指摘になりましたようにふだんは学校、保健所等に利用する。自然災害時にはシェルター、避難所に充てるといった対応というのは我々としても望ましいというふうに考えておりまして、御趣旨に沿いましてもう調査団派遣をしておるわけでございますが、我が国のODAのスキームのもとで実施可能性を現在鋭意検討しているという段階でございます。
  29. 種田誠

    ○種田誠君 この多目的シェルター、今申し上げましたように途上国、特に災害の多い途上国などにおいては極めて多目的な有能な役割を果たしていくことと思いますので、推進の方も強力にお願いをしたいと思うわけであります。  と同時に、人口問題の点も今申し上げましたけれども、現在五十三億を超して五十四億近くに至っておる。二〇五〇年には百億を、二〇二〇年には八十億を超すだろうと、こう言われております。百億がもしかしたらば地球における人類の共存可能な限界なのかもわからないなどとも言われております。そういう意味で私は今、人口を抑制し、さらに資源などを共有しながら経済成長をお互いに高めていくという施策を強力に推し進める必要があるだろう、こう思うわけでありますが、そのために私は最も今途上国で必要なのが何かといいましたらば、私自身の直観から申しますと教育ではないだろうかと思うわけであります。  先ほど申し上げましたように、途上国、本当に教育が行き届かない。子供は家事労働、家事労働のためには子供はたくさんいた方がいい、死亡率も高い。こういう中で教育の果たす役割が大きいと思うんですが、教育関係に対するODAの状況はどうなっておるか、教えていただきたいと思います。
  30. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) これはむしろ外務大臣からお答えいただいた方がよろしいのかと思いますのは、先生御承知のように、文部省のいわゆるODA予算と申し上げますものは全部で三百五十五億円ありますが、その八三%、ほとんどがいわゆる留学生受け入れ関連の経費、あとは発展途上国、開発途上国との文化交流とかそういうような形ではあるわけですが、したがいまして文部省があとはユネスコを通じていろいろな御協力をいたしております。特にユネスコのバンコクの所長はバングラデシュの方と承っておりますし、日本の文部省からも日本人が一人行っているわけでございまして、例えばバングラデシュの農業大学と日本の五つの大学が連携をとる、これも外務省、JICAが実施している教育研究プロジェクトでございます。したがいまして、文部省がじかにそれぞれの国に援助するというような形が我が国のODAの仕組みの中に基本的にありません。  しかし、日本はいろいろな教育問題を抱えておりますが、先ほど先生御指摘の識字率等のことを考えますと教育先進国であることは間違いがありませんし、この間ペルーのフジモリ大統領が日本にお見えになったときに、日本からのこれこれの援助でこれこれの学校ができて、学校へ行けない人が何万人も行けるようになったという話をされたわけで、世界的な物価の問題を考えてみれば、日本の学校一つつくる経費でそうした国々に行けば場合によっては十倍とかそれ以上のお子さんを収容することもできるかもしれませんから、いろいろなことは考えられるわけでしょうが、我が国の今のODAの仕組みからいうと私がお約束をするとか大一言壮語できる状況にはありません。
  31. 種田誠

    ○種田誠君 そういう状況にあることを前提に、きょう文部大臣に来ていただいているわけなんです。  というのは、ODAという視点から見ますと、まさに外務省が今やっておるような仕組みしかないわけですね。そうじゃなくて新しい試みとして、とにかくアジアの方々、途上国の方々からは日本の教育システム、日本の教育というのは驚異であると同時にすばらしい模範になっているわけですね。これはもう文部大臣も十二分に御承知のことだと思うんです。  そこで、ODAとはちょっと違ったものとして、私は諸外国に自主管理をさせながら教育基金をつくってもらいたいわけなんです。その教育基金を、元金を据え置いて、途上国は利息が極めて高いですから一二%とか一五%になっていますから、バングラデシュの例、七十万円の一つのユニットの基金で何と三十人が利息だけで学校に行けるようになるんです、義務教育制度が不十分ですから。そういう状況があるわけでありますので、文部省が途上国の教育向上のためにも、いろんな問題解決のためにも、そういう教育基金などを諸外国につくっていかれたらどうだろうかなという提言をしたいと思ってきょうおいでいただいたんですけれども、いかがなものでしょう。
  32. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 今、先生がおっしゃった七十万円という、そして三十人のお子さんが学校へ行けるというようなことを承りますと、それこそ日本のお金がそのような形で使われればバングラデシュを初めとするような後発の開発途上国の教育の振興、いわゆる国づくりの原点をなす人づくりに大きく寄与できると思いますので、先生のそのような御提案はまことにすばらしいものと考えるわけであります。  しかしながら、日本の国際的な経済援助の仕組みという中では、私からお願いをすることはできても、いわゆる文部省予算内での処理ということの非常に難しい分野であろうと思っておりますので、これは外務省の外務大臣を初めとする皆様方にお話をしてみる、御相談をしてみるという形にとどまらざるを得ないと思います。先生のそういうアイデアにつきましてはまことにすばらしいものと思いますし、例えば郵政省のボランティア貯金でもいろいろな使い道があって、それが世界のお子さんたちに役に立っているということを聞くと本当にじいんと感動するものがありますし、先生は昭和二十年のお生まれではないかと思います、私は二十三年でございますが、いわゆるガリオア・エロアというのもあったわけで、我々もお世話になった部分もありますから、そういうことはよく考えていきたいとは思っております。
  33. 種田誠

    ○種田誠君 実は私は、ささやかなんですが日本・バングラデシュ友好教育基金というのをつくらせてもらっておるわけです。まだまだ今やっている最中で基金は少ないんですけれども、元金据え置きなんですよ。元金は五年後に返してもらうんです。利息運用だけでいいんですよ。ですから、日本のお金を一兆円でも二兆円でもいいですけれども、元金は五年後に戻すとか十年後に戻すとかというこういう仕組みでの国際貢献のあり方というのを考えていくこともこれから大事なんじゃないかと思います。  そのときに、日本国で管理するんじゃなくて、相手の国のしかるべき者にしっかりと管理をさせて自主管理の仕組みをつくることが大事なんですね。ODAのお金、援助のお金というとみんな消えちゃう可能性がたくさんあるわけです、いろんなものに。これから日本もそんなに税収が豊かな状況じゃないと思われますので、元金を据え置くというような発想のもとに教育基金などをぜひ閣議の中でも話題にしていただいて、そして外務大臣、総理大臣の御協力のもとに早いうちにこういうのを実現していっていただきたいなと思うわけであります。よろしくこの点お願い申し上げます。  最後の質問に入りたいと思いますが、過般も質問の最後に資源循環型の都市づくりを伺いました。この問題の冒頭にまず伺いたいのは、現在のごみの排出量とごみがどのように処理されておるのか、そしてごみから出てくるエネルギーがどのように利用されておるのか、この辺のことをちょっと御説明願いたいと思います。
  34. 小林康彦

    ○政府委員(小林康彦君) お答えいたします。  近年、経済活動の活発化や消費の拡大を背景にごみの排出量が急増しております。昭和六十年度以降毎年三ないし四%の伸びを示しておりまして、平成元年度には年間約五千万トンのごみの排出量でございます。この排出量のうち市町村が受け入れましたごみ、焼却あるいは埋め立てで処理しているわけでございますが、焼却に適するごみが約八割、その八割のうち九割を焼却している。日本は非常に焼却率の高い処理をしております。残りのもの及び焼却灰は埋め立てをしております。資源としての排出量は三二%程度の状況でございます。  次に、ごみの処理によりまして出ます熱の利用状況でございますが、給湯、熱供給あるいはごみ発電等の利用がされているところでございます。大きな焼却場で二十四時間運転をしておりますようなところで積極的に利用されているわけでございますが、それらの施設におきまして給湯が二〇%、暖房が一七%、冷房が一〇・四%、温水プールが二一%、このような形で外部に熱の供給あるいは温水の供給が行われているところでございます。  発電につきましては、昭和五十五年度末には三十九のごみ焼却場で発電をしておったわけでございますが、平成二年度末に全国で百二の焼却場で発電をしておりまして、この発電能力は平均的世帯の九十四万世帯分の発電をし、三十二万三千キロワットに相当しております。  以上でございます。
  35. 種田誠

    ○種田誠君 光が丘という団地が東京にあるんですね。この光が丘の団地が極めて新しいシステムのもとにごみのエネルギーを利用した地域をつくっておるということですが、現状をちょっと御報告願いたいと思います。
  36. 小林康彦

    ○政府委員(小林康彦君) 東京都の光が丘清掃工場は、一日当たり三百トンのごみの処理能力を有しておりまして、ここから発生をいたします余熱を発電、公共施設への熱供給、地域冷暖房に利用しておるところでございます。  発電につきましては、四千キロワットの発電機を備え、場内で使うほか、東京電力に売電をしております。公共施設に対しましては、練馬区民施設、温水プールでございますとか老人休養施設に対しまして熱の供給を行っております用地域冷暖房につきましては、東京電力、東京ガス、団地サービス等の参加を得まして会社を設立し、住宅・都市整備公団、都営住宅、住宅供給公社の団地一万一千戸及び学校、商業施設に対しまして、地域冷暖房の熱源としての供給を行っているところでございます。
  37. 種田誠

    ○種田誠君 ごみの処理の中から生まれてくる熱ばかりではなくて、下水処理などにおいても高熱が生まれるわけであります。したがいまして、こういう熱の利用について建設省の方などでどのように考えておるのか、その辺のところちょっと聞かせていただきたいと思います。
  38. 市川一朗

    ○政府委員(市川一朗君) ただいまごみ焼却場を中心とした御答弁もあったわけでございますが、御指摘がございましたように、ごみ焼却場や下水処理場から出ます余熱の利用というのは今後極めて重要であるという観点で私どもも取り組んでおりますが、その中で可能な限りこのようなエネルギーを活用いたしました町づくりの促進という観点でいろいろな取り組みをしているつもりでございます。  ただいま光が丘団地の例がございましたが、あそこではごみ焼却場の熱を利用いたしまして地域冷暖房も行っておりますが、例えば下水処理水の余熱を利用した地域冷暖房といたしましても千葉県の幕張新都心地区で既に行われておりまして、そういった地域冷暖房の町づくり、まだ箇所は七カ所程度でございまして少のうございますが取り組みが行われております。  それから、豪雨地帯におきまして雪を融雪したりいたします装置の中で、札幌市など二十五カ所ぐらいでございますが下水処理水の熱を利用いたしまして雪を融かす用水、消雪用水と呼んでおりますが、そういったようなことも活用してございます。  それから、給湯関係につきましては、ごみ焼却場関係で先ほど御答弁がございました。  そういったようなこともいろいろ活用いたしまして、現在まだ事例は少のうございますが町づくりに有効に資源エネルギーを活用するという観点から取り組んでおるところでございます。
  39. 種田誠

    ○種田誠君 政府も地球温暖化防止行動計画をつくり、環境問題に対して今積極的に取り組んでいるところだと思うんですね。    〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕  私は、資源を循環させ、そして特にごみとか下水とかというのは今まで厄介施設だった。そうじゃないんだ、むしろ町の中心にそういうものをエネルギー源として位置づけて町をつくっていくべきだろうと思うんです。それがまさに環境に対して優しい町にもなるんだろうと思います。  建設大臣にお伺いします。その辺のことに関しまして建設大臣はどのような町づくりを描いておられるか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
  40. 山崎拓

    ○国務大臣(山崎拓君) 先般も、建設委員会におきまして先生の御卓見をお伺いいたしまして感服いたしたのでございますが、その折、エネルギー供給の面から申しましても、きょうは通産大臣お越してございますが、通産省の長期的なエネルギー計画の中でも省エネルギー率を設定いたしまして、これからの資源、特に石油資源の有限性にかんがみまして、そういう政策を推し進めているということも御紹介申し上げました。同時に、ただいまいろいろお話がございましたとおり、環境問題は非常に大きな世界的な課題になってきているところでございます。そこで今、先生おっしゃいましたように、環境問題を考慮いたしましたエネルギー供給ということも新しい課題といたしまして検討されているということでございます。  そこで、具体的に、都市におけるまだ使われていない、今まではむだな資源だと言われておりましたものを有効に使っていこうと、例えば下水処理水の循環利用あるいは下水汚泥の再利用等につきまして、しばしば御提言をなさっておるところでございます。その点は急務であると考えておりますので、先生のおっしゃっている資源循環型都市づくりにつきましては建設省といたしましても非常に重要なテーマとして今後取り組んでまいりたいと考えております。
  41. 種田誠

    ○種田誠君 厚生大臣、全国的にこみ焼却場から出る熱は膨大な熱なんです。ごみはこれからどうしていいかわからない状況もたくさんあるんですね。今のような視点に立って、厚生省として全面的な協力というのはいただけるものなんでしょうか。
  42. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 先ほど来それぞれの立場から答弁がございましたけれども、やはり資源循環型都市づくりをやっていくためには、どうしてもごみの量を減らしたりあるいはリサイクル体制を整備していかなきゃならぬということでございまして、そのための余熱の利用であるとかあるいは焼却によって生ずる灰をどうするかとか、いろいろ従来からもその対策を講じ、また各地でその効果もあらわれてきておりますが、これからさらに設備を強化していかなきゃならぬ。そしてこれを全国的に行き渡らせるということのためには建設省その他各関係省庁とも十分協議しながら、まだまだ全国的にはそう広い範囲じゃございませんので行き渡らせるためには各省庁が一体となってこれを推進していくということが大切だろうと思っております。
  43. 種田誠

    ○種田誠君 ぜひお願いを申し上げます。  通産大臣、燃やしますと灰が出るんです。この灰から最近、埼玉県、東京、いろんな自治体で研究して資材などをつくり始めました。れんがとかタイルとかいうものが生まれておるんですが、こういうことに関して、通産省としてまさにこういうことを再利用していく視点というのに対しての御協力というのは十二分にこれからもやっていただけるものなんでしょうか。またどういう考えのもとにこれから展開させていくのか、お伺いしたいと思います。
  44. 山本貞一

    ○政府委員(山本貞一君) 今、先生から御指摘ありました例えば埼玉県がれんがをつくっているというような意味で、資源の節約、リサイクルにも非常にいいことだと思います。  私ども資源エネルギー庁の立場としては主としてエネルギーを中心に考えておりますが、出てくるエネルギーにつきまして先ほど各省から話がございましたように、それを活用していこう、熱、冷熱、電気という形で活用するためのいろんなビジョンづくりをやるために、今年度もそういう町づくりというか、未利用エネルギーを活用することによる都市づくり、そのための予算もお願いしておりますし、平成三年度からは三十二億円ぐらいでそういう未利用エネルギーを使った具体的な熱供給システムに対して助成を行っておるわけでございます。今後ともそういう努力を進めてまいりたいと思っております。
  45. 種田誠

    ○種田誠君 地球温暖化、そして今日においては酸性雨などの問題もいろいろ指摘されているようであります。地球的な視点の要請にこたえるためにも、ぜひ資源循環型の町づくりに建設大臣は力を入れていただきまして、厚生大臣、通産大臣の御協力をぜひともお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  46. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) 以上で種田君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  47. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) 次に、前畑幸子君の質疑を行います。前畑君。
  48. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 きのう三十一日には、ついに政府の緊急経済対策の要旨が七項目にわたって発表されました。そしてまたけさは、先週来待ちに待っていたといいますか、公定歩合の引き下げの発表がありました。大変景気の先行きが不安視されていまして、経済企画庁長官には大変申しわけないんですけれども、昨年の初め以来、経済界とかエコノミストの間では景気の後退が来ているということは言われていたと思うわけですけれども政府は一貫していつも御答弁の中で穏やかな拡大基調にあるという見方をずっとおっしゃっていまして、ことしの二月十九日に至って初めて昨年四月以降景気が後退局面に入っているということを発表されたわけです。  そしてまた、三月六日の日銀の発表によりますと、初めて日本経済が景気後退の坂を非常に厳しくおりているということを認めていらっしゃるようですけれども、一年たって初めてそれに気がつくというか認めるということは、政府、国を預かっていただく立場として私は大変憂う思いがいたしますけれども、三十一日に発表されましたこの緊急経済対策の内容とその効果をどういうふうに思っていらっしゃいますか、概略を御説明いただきたいと思います。
  49. 野田毅

    ○国務大臣(野田毅君) 冒頭の経済の認識の問題でありますけれども、率直に申し上げて、過去数年間いわば過熱ぎみのペースでやってきたことはだれしも認めるところだと思います。そのままのペースで行き過ぎるということになると、これは大変悪性のインフレなりいろんな弊害をもたらしかねない。そういう局面から調整の必要が生じた。そこで、夏ごろから公定歩合の、その前から金利の引き上げがあり、そしてそれがやや調整局面に入り始めたなと思われるところから公定歩合の引き下げなどが累次行われてきたわけであります。  そういう中で、経済企画庁が毎月月例経済報告を閣議でいたしておりますけれども、昨年の九月ごろから減速という言葉を用いてきておるということは御案内のとおりであります。私が実際就任しましてからも、十一月ごろから既に、富士山に例えるならばもうピークは過ぎておりますよと。しかし、ピークが非常に高かっただけに落差感があるかもしれないが、少なくとも水準そのものは決してそんなに低いものではない。しかも、いわば人手不足下の減速ということが今回の調整局面の過去とは異なる非常に大きな特徴であります。企業の収益にしても、非常に業況感は悪いんですけれどもレベルそのものはまだまだかなり高いものがある。そういう状況の中でどう表現をするかということであります。  そういった点で、私ども、報道でどういうふうに取り扱われるかわかりませんが、少なくとも昨年暮れの段階において、そういった認識から景気に十分配慮した予算編成を行い、公定歩合の引き下げも行われたということはひとつ御認識おきいただきたいことだと思っております。  ただ、実体経済ということとそれから企業マインドというものの間にかなりのぶれがある。マインドがなお一層下ぶれしておる。それがいわば、例えば設備投資が過去三年間二けた、二けた、二けたの伸びを示してきておる。そして減価償却負担だとかあるいは設備投資が極めて安いコストによって調達をされ、それを今度はコストの伴う、金利の伴うものに借りかえなければならぬ。そういったことによって企業経営上コストとしてそれが圧迫要因になって今回の決算なりあるいは来期の決算にはね返ってくる。そういったところからいわゆる経営者としての業況感というものは決して芳しくない。そこへ加えてさまざまな方々が証券の問題あるいは金融システムの問題についていろんなことをおっしゃる。そういったことが重なっていわゆる企業マインドというものが実体経済以上に下ぶれしておるということを率直に指摘をしなければならぬと思っております。  したがって、現在の経済の情勢はやはり基本的には過去の高いペースからの調整局面にあるんだけれども、現在はさらにそれがマインドにおいて下ぶれしておる。やはり経済というものはマインドが大事でありますから、それが余り行き過ぎるということになりますと実体経済に悪影響を及ぼしかねない、そういうことから実は今回緊急対策をっくったということでございます。  そこで、その内容についてでありますけれども、今申し上げましたような人手不足下における減速ということから、従来にない一つの柱を立てておるわけであります。それは、時短あるいは省力化のために投資を行う中小企業についてはさらに従来よりも金利を引き下げ、あるいは大手の企業についても開銀などの財投を活用して、政府関係機関の融資を活用して、そういった省力化投資、いわゆる独立投資系統を支援をしよう、これが実は非常に大きな要素になっておるわけであります。  いずれにしても、全体に過去のスピードからスローダウンしておるわけですから、住宅の分野、個人消費の分野、さまざまな最終需要の分野において減速が見えておるわけでありますから、そういった最終需要の分野をてこ入れするという角度から、公共事業については国及び地方公共団体、さらには民間においても電力、ガス、あるいはNTTを初めそういった方々にも要請をして、そして極力執行の前倒しをお願いじょう、こういうことで対策をつくったわけでございます。  そういった中で、国、地方についてそれぞれ重複分もあるわけですし、特に地方公共団体はたくさんの団体があり、それぞれ自主的にお決めになることでありますから、必ずしも国と同じように足並みが完全一致というわけにはまいりませんが、仮に地方においても国に準じて足並みをそろえて七五%以上の前倒しをやっていただくという仮定計算をいたしますと、国、地方を通じておおむね昨年の上半期に比べて本年の上半期は四兆七千億程度ふえるという計算ができるわけでありますし、さらに民間のそういった事業においても設備投資の前倒しをやっていただく、こういうことによって五兆円を超えるいわば需要効果があるんではないか、このように考えておるわけでございます。  さらには、きめ細かい中小企業へのいろんな金融面への配慮だとか、あるいは下請企業への配慮だとかということも行いますし、特に住宅については既に本年度の予算あるいは四年度の財投の中で大幅な融資限度枠の拡大であるとか、さまざまな改善点を加えておるわけでありますから、そういった住宅あるいは設備投資、こういったものへの配慮を行ったということでございます。  そこへ本日、日銀が公定歩合の〇・七五%の引き下げを決定された。こういうようなことが両々相まって、私は、そういう調整が行き過ぎないような配慮、そういう意味でのてこ入れということからするならば、財政、金融両面から十分条件が整い、これからそれぞれ経営者の方々が実体経済についてのコンフィデンスをお持ちになって経営活動をやっていただければ、内需を中心とする日本の経済の持続的成長への経路ということに行けるんではないかと判断をいたしておるわけであります。
  50. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 御説明は納得はできますけれども、要旨の中に、七五%の前倒しに当たってどの種の公共事業を最優先して実施していかれるのか、その波及効果をどこに見られるのか。要するに公共投資そのものの波及を、今生活大国を求めている日本の実態から、生活関連に置くのか、できるものからしていくのか。どうも株の低迷、バブルがはじけた株と土地の波及するものを何か二次的に模索されているような気がいたしますが、その辺はどういうふうにとらえていらっしゃるでしょうか。
  51. 野田毅

    ○国務大臣(野田毅君) 公共投資の執行に当っての重点的な分野、こういう御趣旨がと思うんですけれども、この点につきましては、既に今御審議中の平成四年度予算において、いわゆる生活関連枠というものを従来のシーリングのほかに二千億を追加する、そういったことから本予算そのものが生活関連にウエートを、それほどトラスチックにできているかどうかについてはまだまだ努力が必要だと思いますけれども、そういう配慮を加えておるわけでありますから、それが着実に執行されるということがおのずからそういう意味での生活関連の社会資本の充実にもつながっていくことであるというふうにも考えております。ただ、地方単独事業についてはそれぞれいろんな事業があるわけでありますから、それらもあわせて行われていくということであれば両々相まって、基本的には社会資本の整備はいろんな形において、何らかの形でやっぱり生活大国に向けての社会資本づくりなのでありますから、役立っていくことであるというふうには思っております。
  52. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 今回の対策の効果を今どういう経済主体に期待していられるかということは、要するに最終的には生活大国としての経済関連に力を入れていくということですね。  そうしますと、ここにうたわれている「労働時間の短縮」というところに、国家公務員の完全週休二日制とか、それから要するに電話料金を安くするからたくさん使ってくださいとか駐車場整備を促進するという、駐車場なども促進という面だけでこれをとらえていただきますとやはり町づくりの中でいろいろ考えていただかないと、金利の安いものを貸すからたくさんどんどん駐車場をっくれということでは日照権の問題とか町づくりとかそれからCO2の問題やらいろんな環境の面も絡んでくると思うんですね。やはりその辺の調整をとる中で出していただかないと問題が出るのではないかと思いますが、その辺どういうふうにお考えでしょうか。
  53. 野田毅

    ○国務大臣(野田毅君) 事業を進めるに当たって事前にそういうさまざまな調整が必要であるということは、それは御指摘のとおりだと思います。景気対策だからといってそういうことを無視してどんどんやれというわけにはまいりませんし、もともと調整ができていないものは事業実施態勢には入れないと思っております。したがって、それらの調整のついたものができるだけ早く執行されるということが大事であると思うんです。  それから、労働時間短縮あるいは電話料金のお話がございました。時間短縮ということは国民生活白書てがって分析したこともありますけれども、やはり休日がふえるということがいわゆる教養・娯楽費の増加にもつながり消費性向が高まっていくというような分析結果も出ておるわけでありまして、そのことが一方では、このところ消費の要素であります大事な所得の環境そのものは堅調だけれども消費の水準そのものがやや伸びが鈍っておるということからするならば、消費の面にもいい影響を与えるということは間違いのないことだと思っておるわけであります。
  54. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 そうおっしゃいますと大蔵大臣の方が図られるわけですけれども、時短をしていただくだけでは生活を潤わせることはできないわけで、今回の不況も、例えば既製服業界ですと、暖冬ということもあったと思いますけれども七〇%の在庫を抱えているということですし、特に衣料品業界というのは今大変な在庫を抱えております。そしてまた最終的な生活関連在庫というものが大変ウエートを占めているわけですので、そうしたものを吐き出させていただくためにはやはり個人の消費を拡大しなければいけないということにつながってくると思うんです。  各業界でもう既に減税ということも言われておりますけれども、今回のこの緊急対策の中には、前回六十二年のときの緊急経済対策のときには減税という問題が大きくクローズアップされたわけですけれども、今回は一つも減税という方向がうたわれないんですけれども、その辺に関しまして大蔵大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  55. 羽田孜

    ○国務大臣(羽田孜君) 六十一年、六十二年、あの当時の不況と言われた時代、この時代とその背景というのはやっぱり異なっておると思います。  まず第一の問題は、当時は失業者が町にあふれておった、まさに史上最高と実は言われたころであったと思っております。それから公共事業等につきましても、前年対比でいきましても両年とも二・数%というようなことでマイナスのときであったろうというふうに思っております。そういう中で、なかなか勤労者の生活というのは本当に厳しかったときであろうと思っております。  今日、こうやって見てみますと、確かに大変高い伸びで来た経済成長というものがその流れの諸要因というものが変わってきたという中にあって、我々今、不況感というものを、これは企業者だけではなくてやっぱり消費者の中にも、国民の中にもそういう不況感というものが漂っておるというのが現状であろうというふうに思っております。しかし、そういう中で我々、経済企画庁長官から細かく今お話があったもろもろの対策を実はしておるわけでありますけれども、それに対して減税をというお話、今日までも多くの議員の皆さんから御指摘があったところであります。  ただ、御案内のとおり、六十二年、三年ですか、あのときに五兆五千億円に上る減税をいたしました。こういったものは勤労者の所得の課税最低限の引き上げですとかあるいは税の率を低くしたということでございまして、そのほかそれぞれの特別な措置というものがとられました。この結果は、中堅所得層、こういう皆様方のいわゆる重税感といいますか、そういったものをやっぱり取り除いたものであろうと思っております。そして、今日までバブルと言われる経済がずっと続いたわけであります。  しかし、物価の値上がりも多少あったわけでありますけれども、割合となだらかに物価は来ておるということでございまして、勤労者の皆様方のいわゆる可処分所得というのは、そんな高いものではありませんけれども着実に伸びてきておろうというふうに考えております。また、そういった中で、先ほど通産大臣からもちょっとお話がありましたように、大変大きな金融資産というものなんかも個人の皆さん方も持つようになっておるという現状であります。  しかし一方、国の方は大変な公債残高なんというものも持つというようなことでございまして、しかも税収動向というものもこのところ非常に厳しいという状態でありまして、こういう中で所得減税とかあるいはそのほかの幾多の減税についてのお話が今までもなされたわけでありますけれども、私は今減税をするという環境にないというふうに思っておりますし、また景気そのものに対する対応としては、今日とられた金融、財政、この二つの措置によって相当大きなよい効果というものをあらわすことがあるであろうということを確信していることを申し上げたいと存じます。
  56. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 金融の面と財政の面からというお話ですけれども、もう一つやはり一番庶民というか市民にとっては減税という、この三本柱というものが私は必要だと思うんです。  今回のこのバブル経済のもとでの不況感といいますか、失業者もこれから出てくると思うんです。現実に不動産業者それから証券会社からはかなりの失業者が出てきております。そういう人たち、今までそれは多額のもうけをしていたわけですけれども、そういう層に失業者があふれてくるということです。  その人たちがこれからどういうところに就職をされ、流れが変わるかはわかりませんけれども、やはり個人が持っていた株も評価割れをしてきているということやら、それから中小企業においてはかなりの設備投資を強いられて、その借入金の金利に対しまして、下がっていいわけですけれども、そうした金利負担にあえいでいる中小企業もかなりあるわけですので、その金利を下げていただくこと、そして公共事業、そしてもう一つ国民の消費生活を潤わせること、そういう消費が動くことによって企業に潤いができてくるという下からの盛り上げということも多少考えていただいてはどうかと思うわけですけれども、そういうこともお願いをしたいと思っております。  それから三十一日の新聞によりますと、経済企画庁の発表では、GNPの成長がマイナスになり、景気の急激な減速で達成が危ぶまれている九二年度政府経済見通しの成長率三・五%の実現について、現時点では補正予算を組まなくても可能であるという自信を見せられたということでございます。  私は、この前倒しを七五%されるわけですけれども、そうしますと下半期が大丈夫かなというような気もいたします。今回七五%を八〇%にというお話もありますけれども、この辺につきまして大蔵省とちょっと見解が違っているようですが、その辺はいかがでしょうか。
  57. 野田毅

    ○国務大臣(野田毅君) 経済の基本は、あくまで我が国は市場経済を基本としているわけでありますから、そういった点からすればある程度自律的調整、自律的回復ということが基本になろうかと思っております。そういった点で、先ほど申し上げましたように、現在の局面はややその調整が行き過ぎる気配がある。そうならないようにてこ入れをしておこうと。  これをもう少し生産と在庫というような側面からとらえでいきますと、多少業種によって異なるわけでありますけれども、いわゆる需要予測と生産との間に乖離があって、結局需要の伸びの鈍化の方が生産を上回った。それによっていわゆる意図せざる在庫がずっと昨年の秋ごろから積み上がってきた。そこで、急遽昨年の暮れ近くになっていろんな業種でこれは大変だということから生産を抑制する動きが実は始まった。特に年明けてそれが顕著になってきて、現在はそういう意味でいわゆる在庫調整が本格化しておる局面にあるだろう。したがってこの後、経済がどういうふうに動いていくかということは、その在庫調整がいつごろ一巡するかという物の見方とかかわっておるわけであります。  そういう点で、在庫調整入りがややおくれたということから多少当初の見通しよりも長引いて、基本的には、現在本格的なそういう生産調整ということも行われているわけでありますから、業種によっては異なろうかとは思いますけれども、おおむね本年度の半ばごろに一巡することになっていくんではないだろうかなと、そのように見ておるわけであります。  それにしても、そこへ行く前に今回の措置によって、公共事業系統いろんなものをそういう最終需要をてこ入れすることによって、自律回復が行われる前にそういう前倒しでてこ入れをやっていくわけですから、この後どういう動きになるかということはもう少し今回の対策の浸透をやっぱり見きわめた上で、それからなおかつその時点において必要であるか否かということを判断しなければならぬことであると思っております。今の段階でその必要性の有無をどうのこうのと言うのはまだ尚早ではないかなというふうに考えておるわけであります。  したがって、経済見通しにおいても、民間のそういった自律回復力、これは住宅投資においてもほぼ底入れし、そしてこの一月、二月は若干年率ベースでは昨年の秋ごろよりも改善をしてきておる、明るい兆しか見えてきておるわけであります。したがって、そういったことを念頭に置き、今回の対策ということをもう少し見る必要があるんじゃないか。そして、この対策によって見通しに向けて着実に前進していける体制が整ったものだと思っておるわけであります。
  58. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 それは私も思うのですけれども、省力化とか機械化とか、そういうものに対する設備投資というのは多少伸びていると思います。しかし、生産を拡大するという方においてはまだそこまで行っていない。  先ほど住宅の件もおっしゃいましたけれども、まだ土地の動きというものはほとんどないと言っていいという、やはりマイホームの建て直しとか土地を持っていた人の建てる方とか、それから借家に対する大蔵省の割り増しか出ましたので、それの方向に対する貸し家をするための建築が少し伸びてきているというような小規模な感じがするのです。要するに、生産をどんどん拡大するための投資というものは私は今のところほとんど動きがないと思っているのですが、その辺はどうでしょうか。
  59. 野田毅

    ○国務大臣(野田毅君) 御案内と思いますが、過去二けたの設備投資の伸びがありましたときにも実際経営者の方々は、これは生産能力増大のためではない、むしろ省力化のためである、いわゆる独立投資である、こういう御説明であったんですが、最近になって必ずしもそうでもなかったなという側面があると思っております。  これは、少なくとも今経済界自身の中でも企業経営のあり方といいますか、その辺見直しかありますけれども、物が売れるからといってどんどんどんどん日本が能力増強投資をやって、その生産物を世界じゅうにばらまいていくというやり方だけではよくない。むしろ、そういった生産増大を求めるということよりも、もう少し内容、質においてよくしていこうという反省の動きも実は今あるわけであります。  そういったことからすれば、少なくとも今、先ほど申し上げましたような人手不足ということもありまして、省力化投資、合理化投資あるいは研究開発投資への意欲というものは、投資環境が整えばやりたい、むしろ能力増強投資よりもそちらをやりたいんだというのが現在の経営者の考え方なのではないかと思っておりまして、私はそれは大変正しい方向ではないか、今ここで生産能力をふやすための設備投資を喜ぶという環境にはないと思っております。
  60. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 それは私も思いますけれども、要するに心配するのは、個人消費などの最終需要の低迷による設備投資の抑制が強まるということはいかがなものかと思うわけです。  それから、先ほどの七五%の前倒し発注が必ず効果を上げてくるということですけれども、この直轄事業の前払い金の請求ですが、十分の四ぐらいしか前払いとしてはお金が出ないということのようです。それをさもすぐ政府のお金がたくさん出てくるように思われているのではないでしょうか。その辺ちょっと御説明いただきたいと思います。
  61. 野田毅

    ○国務大臣(野田毅君) 契約時点でそういう前払いが行われるのは御指摘のとおりであります。しかし、事業が進捗をしていく、それに応じて支払いが行われるわけでありますが、少なくとも資材関係はその時点から着実に動きが始まるわけであります。したがって、その事業費全体が完全な効果を発揮するには多少、何もすぐ四月からすべての効果が出るわけではなくて、それが実際にすべての効果を発揮するには、当然事業が完成するまでのラグがあるのは御指摘のとおりであると思っております。  しかし、それにしても下半期に発注する予定のものが上半期、しかもこの本予算が成立して直ちにそういう作業に入るということになりますと、その部分やはり半年以上の効果があるということはもうおわかりだと思っております。
  62. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 契約を結べば、業者が材料を買ったりいろいろな人の手配をするわけで、動き出すことは私もわかるんですけれども、そのお金がすぐ潤ってくるということにとらえていただくと、やはり期待感というものもちょっと無理が出てくるんではないかなと思うんです。  それからもう一つ、建設省の方は八〇%というものを期待されているということですけれども、大蔵省の方が七五%でいきたいという御意向のようです。大蔵大臣のお気持ちはいかがでしょう。
  63. 羽田孜

    ○国務大臣(羽田孜君) 先ほどもちょっとお話し申し上げましたけれども、今の状況というのはかってのような公共事業全体が低いときではないということであろうと思っておりますし、また有効求人倍率、確かに一・二八と言われたものが一・二五と下がっていることは事実であります。しかし、間違いなくまだ勤労者が不足しておるというような状況でありまして、そういう中で、ただ多くのものをといいましても実際できるものじゃないということ、それから今年度の場合にはもともと公共事業というのは大変大きなものでございますから、そういう意味では国の方でも今度のあれをやることによって一五%ぐらい伸びるということでございます。  これは大変大きな伸びであるということでございます。ですから、私どもは七五%を超えるものということで今もくろみながらこういう対応をしたということを御理解いただきたいと思います。
  64. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 そうしますと、下半期に補正予算を組まなくても景気というものは継続できるでしょうか。その辺どうお考えでしょうか。
  65. 羽田孜

    ○国務大臣(羽田孜君) この点につきましては、先ほど経済企画庁長官の方からもお答えがあったわけでありますけれども、公共事業の施行の促進を図る場合の下期の事業費につきましては、予算の執行過程におきます移動なんかもございます。そういうことで確たることは申し上げることはできませんけれども、しかしこういった対策というものをとることによりまして、もろもろの効果の発現というものが出てくるであろうと思っております。そういうことで、例えば民間なんかの仕事なんかも大きく出てくるというようなこともございます。  こういうことを考えますと、今私どもが下期について追加するとか、そういったものではないだろうというふうに思っております。
  66. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 要するに、先行き公共投資も出す、そして補正予算も出すというようなことを余り言われると、やはり原材料の値上がりとか人件費の値上がりということで私は逆効果もあり得ると思うんです。ですからその辺、前倒しを七五する、八〇するというのは先行きにいい面もあると思いますけれども、その辺も考えていただかないと今度また逆の効果が出てきてしまうんではないかなということも心配するんですけれども、大臣はその辺どうお考えになっていますか。
  67. 羽田孜

    ○国務大臣(羽田孜君) もう全くおっしゃるとおりでございます。
  68. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 そうしますと、一応大蔵省としても、建設省の意向を無視ということはないですけれども、大体七五%という線でいかれるということですね。
  69. 羽田孜

    ○国務大臣(羽田孜君) この点につきましては、建設省の方とも十分話し合ってこの七五%をめどにするというところで、これはこれをめどとするというところで私どもは話し合いがついております。
  70. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 先日二十七日に総理は補正予算を編成しということをおっしゃっているようですけれども、それに関しましても大蔵大臣はきちっとお金を出す立場としてお答えになれますか。
  71. 羽田孜

    ○国務大臣(羽田孜君) 追加補正をするというお話を総理は全然されておりません。何かそんなように報道されておったようですけれども、そういうものじゃない。  ただ、私たちとしても、景気の動向というものについてあるいは政策効果というものについて常にきちんと状況というものを的確に判断していく姿勢というものは必要であろうというふうに思っております。
  72. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 三・五%は、そうした点からいきますと補正予算を組まなくてもいいという経済企画庁の自信のある発言があったわけですけれども、日興リサーチというところが二十七日に発表しておりますのによりますと、九二年度の日本経済の実質成長率は二・五%という予想が発表されていますが、これに関しましては経済企画庁はどう見ていらっしゃいますか。
  73. 野田毅

    ○国務大臣(野田毅君) 民間のいろんな調査機関がいろんな数字を出しておられることは、私どももちろん参考として見ております。  ただ、基本的には私どもはやはり経済の足元、さらには先行き、特に実体経済を中心として的確に判断をし、そしてそれを政策努力を加味しながら我々の目標とするところに持っていくという部分がございます。民間の方々はそういうようなことを抜きにしてお考えになっているんじゃないかと思っております。
  74. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 割と民間の見方というものは私は正しい面もあるような気がするんですね。ですから、あながち経済企画庁の見ていらっしゃる強気の見方ばかりが私は正しいのではない、このくらいの緊迫し先ものもあるのではないかなと思います。  というのは、土地が今全然動かないと言ってもいい状況の中ですし、バブルがはじけて、そしてこの三月の各企業の決算報告も、非常に評価割れした株から経常利益も大変マイナスという状態も出てきておりますので、余り私はいい方向にばっかりでも、財政と金融政策でもうこれでいいんだということばっかりでもないように思っております。  それから、最後のところで「証券取引制度改革等の推進」ということが経済対策の中にうたわれておりますけれども、証券業界がこういうふうになったのは、不況ばかりではなくて、斎藤先生のお言葉じゃないですけれども、みずからのお行儀の悪い今までの経営姿勢というもの、そしてノルマを第一主義とした体制から来た、要するに一般国民、庶民が株から離れていったということも大きな要素になっていると思いますので、余り証券業界を二度とこういう対策の目玉として伸ばすことのないようにきちっとした制度を今回踏まえた上で伸ばしていただきたいなと思いますけれども、経済企画庁としてのこの証券会社に対する推進のあり方はどういうふうにとらえていらっしゃるんでしょうか。
  75. 野田毅

    ○国務大臣(野田毅君) 証券会社に対する行政のあり方は、基本的には大蔵大臣からお答えになるのが筋道かと存じますが、ただ若干個人的感想を申し上げますと、やや不幸な側面もあり、多少振り子で言えばお行儀の悪かった部分がたたかれて真ん中に今戻っておるというよりも、逆にシュリンクして逆振れしておるという現象があるように感じられてなりません。  したがって、国民全体の中からも、今こういう時点で証券会社けしからぬという証券バッシングだけで終わるのではなくて、証券市場の健全な育成ということ自体が市場経済、資本主義経済を健全に機能させる大事な根底であるわけでありますから、そういう意味で、是は是、非は非として余り感情論に走らないで、そしてこれを健全な姿に伸ばしていくようにするにはどうしたらいいのか。  かつては財テクを知らぬ経営者はまるで能なしたという印象も世間的に流されたことは事実です。しかし、今はまるで株に投資するのはけしからぬみたいな、あるいは証券マンはみんなけしからぬみたいな印象で物を処するということは私は決していい姿ではないのではないかなと。そういった中で冷静に証券市場の市場としての機能が生かされ、活性化していくような方策を着実に練っていくということが大事なのではないかと感じております。
  76. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 企業が資金調達をし過ぎたということが、そのお金の使い道が余りにも投資というか、土地の方やらそういうバブルの方に走った原因もつくっているような気がしますので、やはり資金調達の仕方もこれからきちっと監視していただきたいと大蔵省にお願いしたいと思います。  ここで一たんやめさせていただきます。
  77. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) 前畑君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  78. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、前畑幸子君の質疑を行います。前畑君。
  79. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 午前中から日銀のお出ましをお待ちしておりまして、いよいよきょう発表されました待ちに待ったといいますか、もう皆さん期待そのものの〇・七五%公定歩合が下げられました。八九年の十二月以来三%台になったということですけれども、これで三十一日に出されました緊急経済対策と金融面からといろいろな面で景気のてこ入れをしようということでございます。この効果についてですけれども、昨日の株を見ましても余りいい状況ではないようですし、その辺どういうふうにお考えがお聞きしたいと思います。
  80. 福井俊彦

    ○参考人(福井俊彦君) お答え申し上げます。  ただいま委員御指摘のとおり、本日、日本銀行におきましては公定歩合の第四回目、今回は第四回目の引き下げ、引き下げ幅が〇・七五%ということで決定、けさの市場オープンと同時に実施に入っております。新しい公定歩合の水準は三・七五%ということで、久方ぶりに三%台という低い金利水準に入ってまいったわけでございます。  お尋ねの金利引き下げあるいは金融緩和の効果でございますけれども、金融政策の効果と申しますのは、一回一回の金利の変化ということではなくて、これまでにとられてきた一連の金融緩和の効果というものが累積的に及ぶ、こういう御理解をぜひ持っていただきたいと思います。そういう目で見ますと、これまでの三次にわたる公定歩合の引き下げを中心といたします。連の緩和措置に今回さらに〇・七五%と比較的大幅な金利の引き下げを追加したわけでございますので、これから金融面からその効果が一段と厚みを持って経済に浸透していくものというふうに考えております。  折しも、御指摘のとおり、政府におかれまして緊急経済対策、パッケージの政策が打ち出されたばかりでございます。財政、金融その他の施策と相まってこれから物価の安定を基軸とした持続的な経済成長のパスに日本経済をうまくつなげていくかなり大きな効果が出てくるものと確信をいたしております。
  81. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 今年の下半期に期待をしてくれということのようですけれども、株価も余りいい状況ではありません。昨日はことしの最低安値に落ち込んだということです。(「きょうもだ」と呼ぶ者あり)きょうもですね。ですから、余り期待ばかりもしていけないのではないかと思うんです。これからの動きを見たいと思います。  引き下げ後の政府の緊急対策とマッチして期待をされているようですけれども、金利を下げる方は預金をしている人の立場にも立っていただきたいということですが、これは先回と同様、すぐフルにきょうから稼働するわけでしょうか。
  82. 福井俊彦

    ○参考人(福井俊彦君) お答え申し上げます。  預貯金の金利につきましては、既にその金利が自由化されました預金と、それからまだ規制されている預金金利と両方ございます。自由化されております預金の金利につきましては、公定歩合の変更を受けまして市場金利が変わる、それに応じて新しい金利がつけられていくという運びになるわけでございますが、規制金利につきましては、民間の預金金利それから郵便貯金それぞれに、例えば民間の預金金利につきましては金利調整審議会の議を経て一定の手続を経て決められる、それから郵便貯金の金利につきましては郵政審議会の議を経て、これまた一定の手続を経て決められますので、これから若干の時間を置いた後に決められるということでございます。
  83. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 時間を置いた後ということですけれども、それがどのくらいの期間になるのか、その辺もお聞かせいただきたいのと、要するに中小零細企業では貸出金利の下げ渋りという不満もあるわけです。例えば、きょうから公定歩合が下がったわけですけれども、大体三十一日、きのう手形の書きかえをしている人も多分大勢いられると思うんです。そういう人に対する反応というものをどういうふうに扱われるのかお聞きしたいと思います。
  84. 福井俊彦

    ○参考人(福井俊彦君) 規制されております預金金利の変更手続の日程につきましてはまだ詳細が決まっておりませんので、何日後というふうに確定的に私どもも日にちは持っておりません。ただ、過去の例によりますと、やはり数週間の期間を経て決められるというところでございます。  それから、貸出金利の方につきましては、これから市場金利の変化を眺めながら銀行がそれぞれ新しい金利を顧客との間で決めていくということでございますが、期末までにどうという御指摘もございましたが、実は一-三月中は、過去の三回にわたります公定歩合の引き下げ等を受けまして、この一-三月という期間は銀行の貸出金利は過去に比べましてかなり急速に下がってきた局面でございます。したがいまして、四月一日に公定歩合の変更があったということは、今後さらに貸出金利の低下につながっていくという意味で、一連の金融緩和がとぎれることなく進んでいく状態だ、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  85. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 金利を下げることによって株の上向きを図りたいという御意向もあったと思うんですけれども、公定歩合の引き下げにもかかわらず株もまだ堅調でないし、そして円安という状況の中ですが、この辺に関して日銀さんとしては株価の反応をどういうふうに見ていらっしゃるでしょうか。
  86. 福井俊彦

    ○参考人(福井俊彦君) お答え申し上げます。  株価そのものの動きにつきまして日本銀行から具体的なコメントを加えるということは、市場の中で決まる相場の事柄でございますので適当でないということで、その具体的コメントは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、株価はいろいろな要因によって変動するものでございますけれども、一番その基礎的なところはやはり実体経済の方向、その中でも企業収益の方向ということを反映しながら動く部分があるわけでございます。したがいまして、金融緩和政策あるいは政府においてとられますもろもろの景気対策、これらの施策の効果が浸透して実体経済がいい方向へ向かう、なかんずく企業収益が底を打って上向き方向に転ずるというふうな感じをなるべく円滑に早く出していく、それが長い目で見て安定した株価のベースを築いていく、その点だけは間違いないというふうに思っております。  それから、為替のお尋ねがございましたけれども、為替につきましては、金利の引き下げということと為替の円高方向での安定的な動きを確保するということとは方向性は多少矛盾するところがございまして、非常に難しい課題であることは事実でございます。しかし、物価の安定を損なわないという慎重な配慮があって、つまり物価の安定を基礎として持続的な経済成長につなぐというねらいを明確に置いて慎重な金融政策を進める限り、たとえ金利が下がる方向であっても、円高方向での安定的な為替の動きを大きく阻害することはないというふうに考えます。今回の利下げもそういう判断に立って行ったところでございます。
  87. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 金利引き下げによる為替の動向ということをもう少し考えたいと思いますけれども、それに関連して、貿易黒字対策というものはどういうふうにお考えでしょうか。
  88. 福井俊彦

    ○参考人(福井俊彦君) やはり、両面のアプローチがあると思います。  一つは、やはり内需主導型の経済という経済の組み立て方そのものをしっかり確保していくということが大事でございます。そういう意味では、金利を現在は下げてきた局面でございますが、そのねらいが物価の安定を基礎として内需中心に持続的な安定成長の軌道に結びつけていくということでありますので、内需主導型経済のパスをしっかり確保する。つまり、逆に言えば輸出に大きく依存しない経済ということをねらっているということで一つの方向性が合っていると思います。  もう一つは、ただいま申し上げましたとおり、利下げと円高方向での為替の安定的な動きを確保することは難しい。難しいとは申し上げましたが、そこのところを極力両立するように慎重な判断を加えながら利下げをやっている、そういう意味で内需の安定的な伸びを確保する、そして極力為替の円高方向での動きを確保する、そうしたことを通じて貿易収支あるいは経常収支の黒字の拡大というものにブレーキをかけていくというねらいが込められているところでございます。
  89. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 バブル破綻によります銀行、ノンバンクの抱える不良債権というものが約九兆六千億円に上るということのようです。借入金総額というものは八十兆を超しているということのようですけれども、こうしたノンバンクと、そしてまた銀行系ノンバンクというのの負債の大きさというものが大変顕著に出ているわけですけれども、その辺どうお考えでしょうか。
  90. 福井俊彦

    ○参考人(福井俊彦君) バブルの修正と申しますか、行き過ぎた資産価額の高騰の修正局面におきましては、その結果といたしましていわゆるロスが経済各方面に生ずるわけでございます。バブルの破裂と申しましても、俗に言う風船玉の破裂の場合には破裂すればそれで終わりでございますが、経済のバブルの破裂の場合には後にロスがたまる。そのロスをいかに上手に処理するかという非常に重い宿題が残るわけでございまして、現在その局面に入ってきているということでございます。  そのロスは、基本的には最初に手元で発生したそれぞれのセクターで処理していくべきものでございますけれども、現在の経済社会におきましては最終的なバランスシートを持っている金融機関にそのロスが沈殿していく傾向がある。その結果として、ただいま委員御指摘のとおり、ノンバンクあるいは金融機関に相対しますと比較的多くロスが今沈殿しつつある過程だということだと思います。  このロスの処理につきましては、バブルの再燃ということによってこれを消すのでないという経済運営は国民的なコンセンサスとして確認されているわけでございますから、時間をかけてこのロスを処理していかなければいけない。このロスの処理の過程で、いわゆる実体経済に悪い影響を再びはね返らせるというようなことのないように、あるいはノンバンクを含む金融組織全体として金融のメカニズムの基本的な有効性が損なわれることのないように、大変難しい過程をこれから経るわけでございますけれども、そこを円滑に処理していくのがこれからの課題だというところでございます。
  91. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 金融機関が大手ノンバンクにお金を貸していたのが、不動産開運の融資規制のもとでもどんどんと増加をしていたということで、銀行系の住宅金融専門会社がその上位にずっと名を連ねているんですね。その辺に関してはどういうことがあったんでしょうか。
  92. 福井俊彦

    ○参考人(福井俊彦君) 個々のノンバンクの資産の内容につきまして、日本銀行におきまして逐一その内容を承知しているわけではございませんが、全般的な状況を私ども把握しております限りにおきましては、やはり八〇年代の後半の経済全体として異常なあのブームの時期、そして金融の現象も異常に膨れ上がった時期に、やはり金融機関からいわゆるノンバンクに対する貸し出しも伝統的な概念を少しはみ出すような形で信用膨張が行われた、特に不動産開運でそういう融資の異常な伸長があったということは事実でございます。
  93. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 そうした金融機関が、この三月の決算期で、金利負担とか貸倒引当金の積み増しなどでほとんどが営業損益が赤字になるということになってきているわけですね。もっと進みますと、要するに延滞債権扱いになってくるということなんですけれども、こうした形で銀行がノンバンクなり不動産関連会社を面倒見ていくことになるわけです。そうしますと、土地の評価割れはしますし、そして金利はなかなか入らないしということになると、今後日銀としてのそうしたものに対する対応をどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
  94. 福井俊彦

    ○参考人(福井俊彦君) 先ほども申し上げましたとおり、バブルの修正の過程で生じましたロスというものを、バブルの再燃をもってこれを帳消しにするという方向をとらない限り、ロスはロスとして処理していくということに尽きるわけでございます。したがいまして、ノンバンクあるいは金融機関のバランスシートの上に起こってくるそういう延滞債権ないしロスというものは、それぞれの金融機関がみずからの努力でこれを解消していく、消化していくということが基本原則でございます。  日本銀行の立場からいたしますと、その過程で個々の金融機関云々ということではなくて、金融システム全体としての安定性が損なわれることはないかということに最大の眼目を置いて注視していくということでございます。
  95. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 大蔵大臣にお聞きしたいんですけれども、こうした形で今まで非常に潤ったそういう不動産関連金融機関なり銀行がどんどん貸すことによって、いわゆる限りなく貸し込んだためにこういうバブルのもとをつくってしまったという気もいたします。そして、今度は売れなくなったら債権棚上げという形で、要するに税収が上がってこなくなるんですけれども、不動産担保にしましてもほとんどが、ひどいところですと一二〇%から一五〇%の貸し出しをしているわけです。それが今では五〇%の評価になるということになるんですが、その辺はどういうふうに今後お考えでしょうか。
  96. 羽田孜

    ○国務大臣(羽田孜君) お答え申し上げます。  いわゆるバブル経済崩壊に伴いますところの不動産市況の低迷などによりまして一部の不動産関連業種などの業績が悪化しておることなどから、各金融機関におきましては、不動産関連業種などにかかわる債権の管理などにつきまして最大限努力をしておるというふうに私どもは承知いたしております。  今後、金融機関の不良債権が増加して貸し倒れの負担も増加していく懸念がございますけれども、私ども大蔵省といたしましては、各金融機関が有しますところの収益力あるいは内部留保などを考慮いたしますと、その経営に直ちに懸念が生じるというふうには考えておらないところであります。  また、ノンバンクにつきましては、不動産業や建設業向けの融資が大きな比重を占めていることは事実でありまして、これが不良債権化すれば経営に悪影響を与えるということも懸念されます。しかし、具体的にどの程度のものであるかはそれぞれ個別のノンバンクの融資内容によりまして区々でございますけれども、また、ノンバンク側もそれぞれの経営判断に基づきましてさまざまな債権保全措置等を講じておるということも考えられることから、一概におかしくなるということは言えないと思っております。  いずれにいたしましても、私どもといたしましても、金融機関の経営状況につきましてはその健全性というものを確保すべく引き続いて注視するとともに、ノンバンクにつきましてもできる限りその実情の把握というものに努力してまいりたいということを申し上げたいと存じます。
  97. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 私の地元の東海銀行という最近いろいろな面でにぎわしてきたところがあるんですが、一不動産業者に一千億円の融資をして、その金利を一年間棚上げをしてきた。そして今度は延滞債権扱いにするということなんですけれども、これについて大蔵大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  98. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) ただいまのお尋ねは、あるいは特定の企業の案件につきましてのお尋ねであろうかと存じます。私ども、特定の企業との個別取引につきまして委細承知しているわけではございませんが、延滞債権というのは、簡単に申せば貸し出し債権が約定期限に返済されない状態のものを言っておるわけでございます。それを延滞債権扱いにするというふうに積極的に位置づける慣行があるかどうかは私は承知しておりません。  ただ、いずれにいたしましても、延滞債権については適切に管理、回収することが望ましいわけでございますが、その回収方法は、担保処分などを含めまして方法や時期はまことにケース・バイ・ケースでございまして、金融機関自身が適切に対応すべきものと一般的には考えておるわけでございます。
  99. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 そうしますと、不動産業界が市場が上向いたときにいつでも土地を処分できるようにしておくというねらいもあると思うんですけれども、それでは土地を鎮静化させるという方向と方向が違ってくると思うんですね。ですから、ノンバンクのこういう不動産業者への貸し出し債権についてはきちっとした対応をされないといけないのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  100. 土田正顕

    ○政府委員(土田正顕君) ただいまの個別のお話は、ノンバンクであるのか不動産業者であるのか、私もちょっと拝承いたしかねたわけでございますが、いずれにいたしましても、この不動産担保による金融につきましては、確かにいわゆるバブル経済の時期におきまして、実体的なその使途なり、それから相手の企業の実体なりに十分な注意を払わないままにいたずらに担保価値のみに着目をした安易な融資が行われた傾向があったということは事実でございます。その辺につきましては、昨年以来金融界でもあまねく反省の機運が出ておるわけでございまして、例えば全国銀行協会連合会でも、この不動産融資についての取り組み方を示すレポートと申しますか、報告書を最近取りまとめまして、今後に向けて取り組むべき姿勢を明らかにしておるところでございます。
  101. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 今後しっかりした監視をお願いしたいと思います。  続きまして、建設省にちょっとお聞きしたいんですけれども、不動産コンサルタントという問題がずっと上がっております。先回も私ちょっとお尋ねいたしましたけれども、その後この不動産コンサルタント問題について建設省と、それからそのとき大蔵省はまだ関知していないとおっしゃったんですけれども、大蔵省、その後どういう動きを関知され、どういう御意見をお持ちかをお聞きしたいと思います。
  102. 伴襄

    ○政府委員(伴襄君) お尋ねの不動産コンサルタント制度の問題でございますが、たしか昨年の八月、先生からお尋ねがございました。そのときにも申し上げましたけれども、土地の有効利用、ニーズの高まりに対しまして不動産業界においても顧客の相談に応じていろんなアドバイスをするという必要がございまして、そういういわゆる不動産コンサルティング業務でございますが、それを行う人材を育成したいといったようなことが目的で、そういう知識、技能について特定の公益法人が試験事業をやろうといったようなことを考えておるわけでございます。  この問題につきましては、税理士会を初めといたしまして関係の資格士の団体の方からもいろいろ本制度に対して御意見がございますので、現在関係方面と調整中でございます。特に税理士会が一番中心でございますけれども、各レベルで、私も日本税理士会の会長に会っておりますが、意見交換しておりまして、いずれにいたしましても今後十分な調整を図ってまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  103. 冨沢宏

    ○政府委員(冨沢宏君) 不動産コンサルタントに関する資格制度の創設が建設省において検討されておるということは、私どもも承知をいたしております。  国税庁としては税理士法との関係が関心事項であるわけでございますけれども、不動産の保有あるいは売買、活用、いずれにつきましても税ということと密接に関係する分野が非常に大きい、こういうふうに思っております。したがいまして、その業務内容によりましては税理士法に抵触するおそれもあるということで、建設省に対しましては慎重な対応をお願いをしておるところでございます。
  104. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 大臣告示でこのコンサルタント制度を設けるということですけれども、六つの士業団体との話し合いをきちっとしていただいて、そうした主業との調整がきちっとつくまで出さないということをお約束いただきたいと思うんです。  この問題は、今おっしゃいましたように、相続とか離婚とか、民法とか税法とか、いろいろなものが絡んでくるわけで、不動産の扱いそのものだけではないと私は思うんです。そして、業界のエゴではなくて、一般納税者が惑わされる危険が非常にあると思いますが、再度お返事をいただきたいと思います。
  105. 伴襄

    ○政府委員(伴襄君) この問題につきましては、不動産業界の方もその資質の向上、人材育成を通じまして業務内容のレベルアップを図りますとともに業界の信頼を取り戻したい、向上させたいという意向もございます。そういった中でございますけれども、十分に意見調整をして拙速で事を運ばないように配慮したいというふうに思っております。
  106. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 ありがとうございました。
  107. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) 以上で前畑君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  108. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) 次に、細谷昭雄君の質疑を行います。細谷君。
  109. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 質問の前に発言をお許し願いたいと思います。  先日私は、証人喚問の件に関しまして、中村委員長の公正なお人柄に信頼をし、ぜひ本委員会に御本人を喚問していただきたい、この努力をしていただきたい、このようにお願いいたしました。日にちも非常に少なくなったということ、そしてまた我々の周囲には、参議院予算委員会は何をやっているのか、政治改革についてその出発点は何といっても疑惑の解明だという声が非常に強いわけでございます。  委員長にさらに一段の御努力をお願い申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  110. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) 御要請があった以降におきましても、私なりにあるいは私の関係する所属党内におきましても精いっぱいの努力をしていると私は信じております。
  111. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 よろしくお願いします。  次に、ガット・ウルグアイ・ラウンドの見通しについて、最初に農水大臣にお伺いしたいと思います。  ガット・ウルグアイ・ラウンドの見通しは、ECの経済統合、さらにはアメリカの大統領選挙の日程等もございまして、恐らく秋以降に延びるだろうというふうに見通されておりますけれども、その見通しと、それから農水省自体が、農水大臣が担当大臣としてそれに当たる心構えを改めてお伺いしたいと思います。
  112. 田名部匡省

    ○国務大臣(田名部匡省君) 三月の二十七日時点で、日本のほかアメリカ、ECそれから豪州、カナダ等二十カ国が提出をいたしております。ただ、今後の農業交渉の成り行きでありますが、各国ともいろんな困難な問題を抱えておりまして、どうなるかという見通しは全く不透明であります。  いずれにいたしましても、私どもはこれまでの基本方針どおり食糧輸入国としての立場が確保されるように努力をいたしてまいります。
  113. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 もう一方の担当大臣であります渡辺外務大臣にお伺いします。  大臣は、先般、この見通しにつきまして、恐らく秋まで延びるだろうというふうな見通しを記者会見ですかね、に多分お話があったように思います。とかく何といいますか、農水大臣とは別の外務大臣とか通産大臣がニュアンスの違うことをおっしゃる場合が非常に多くて、我々は非常に心配なわけです。農民の皆さん方も消費者の皆さん方もそういう大臣の一挙手一投足に大変神経を高ぶらせるわけでありますが、ひとつ渡辺大臣、今後の見通し、それに対する日本政府、きょうは副総理としてお伺いしたいと思うんですが、それの腹構えについてお伺いしたいと思います。
  114. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) ウルグアイ・ラウンドはいずれの国も成功させましょうと言っております。また、国会の質問を聞いても、どの政党もウルグアイ・ラウンドは壊してしまえと言った政党は私は寡聞にして知りません、ですから、ウルグアイ・ラウンドは成功させようと。そこで、いろいろ今おくれているのは、もちろん日本は関税化の例外を農作物についてつくろうということで頑張っている、これは一つありましょう。  それから、ECとアメリカの間では、関税化それ自体に反対だというのではなくて、数量を減らすことなどについて、あるいは削減の率等について、また繊維その他のものについてまだ決着がついていない。近くダンケルさんかどなたかがアメリカに渡って話をもう一遍するというようなことも言っておるようですが、いずれにしても、みんな選挙絡みというのがありますから、フランスはフランスでこの間選挙がありまして、ドイツも何か大きな選挙が四月にあると言っておりましたが、やっぱり選挙になると票の話が出てくるんでしょうね、どこの国でも。そういうようなことなどで態度を決めかねているというところがあって、まだ決着がつかない。  なるべく早く決着をつけるように努力をしたいと思いますが、これは相手のあることでございますから、それじゃ夏までにつくのか秋までにつくのかと言われましても、ちょっと今はっきりしたことは申し上げられない。下手にまごつくと少しおくれるのかなという感じもしないではないというようなことを申し上げたわけであります。
  115. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 肝心なところは、外務大臣としても副総理としても、米の関税化はもう絶対にやらないというふうな腹であるのかどうか、それを再確認したいと思うんです。
  116. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) ですから、ウルグアイ・ラウンドを成功させましょうと。我々は包括的関税化の考えが困難であるという我が国の立場を主張しておるということです。
  117. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 大変国民的な関心、しかも米のそういう自由化はしないということを国会の決議でも再三確認しておりますので、それを体して努力をしていただきたい、このことを強く要請したいと思います。  次に、平成四年度の水田転作の計画についてお伺いしたいと思うんですが、今回の計画というのは農家にPRされておらないというふうな面が大変ございますので、その計画についてお知らせ願いたいと思います。
  118. 上野博史

    ○政府委員(上野博史君) 昨年産米の不作に伴いまして、ことしの十月末の在庫が三、四十万トンになるという状況にございます。このために、平成四年産米について仮に不作になっても、米の安定供給に支障が生じないという程度の生産の拡大を図りたいということで転作等目標面積を十三万ヘクタール軽減いたしまして、単年度の需給均衡ベースとの対比で申しますと約六十五万トン程度の生産増になる、そういう措置を講じたわけでございます。これによりまして、平成四年度の転作等目標面積は七十万ヘクタールということになるわけでございます。これが平年作でお米の生産ができますれば、平成五米穀年度末、つまり来年の十月末の持ち越し在庫は百万トン程度に回復する、こういうような計画でございます。
  119. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 これは、計画はわかりましたが、具体的にこの計画は一年限りなのか、それとも数年続くのか。  それから復元する場合、いろんな工事費といいますか、かかるわけです。これに対してはどうなのかという点ではさっぱりPRがされておらない。農協までは行っていると思うんです。町村までも行っていると思うんです。個々の農家が非常にその点で不安に思っているんですが、その点どういうPRをしておりますか。
  120. 上野博史

    ○政府委員(上野博史君) この十三万ヘクタールの転作の緩和につきましては、昨年の十一月に中央段階で決定をいたしまして以来、県、市町村という段階を経まして、現在各農家の段階にその調整面積の配分が行われている。大体、地域によって稲作の時期が違いますので一律ではございませんが、かなり状況としては進んでいるという話ではないかと思っております。  それで、行き渡っていないというお話でございますけれども、我々とすれば所要の安定的な在庫を確保するということの必要性も十分に考えているわけでございまして、地方公共団体、農協あるいは食糧事務所、そういうような関係者がそろって転作の実施、それから今回の緩和に伴う水稲作への復元というものについて御理解を願う努力をしているということでございます。  それから、復元をするということになりますと、いろいろ改めて田んぼの状況を整備しなければならないというような事情にあるところも確かにあるだろうというふうに考えているところでございまして、そういうことにつきましては、軽微なといいますか、ある程度の範囲でございますけれども、所要の予算を組みまして、水田、水稲作への復帰ができるような手当てをいたしたい、かように考えているところでございます。
  121. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 大変これは、十三万ヘクタールをいわば復元する。しかし、実際、今まで集団転作のところは恐らく変えられないと思うんです。変えるのはばら転と言われておる、そういう個人の非常に悪いところの転作地が復元されるというふうに思うんですが、私の推定ではかなり難しいんじゃないか。この十三万ヘクタールを打ち出しましても、その復元は難しい、そういうふうに思うんですが、どういうふうにお考えでしょうか。
  122. 上野博史

    ○政府委員(上野博史君) 先ほど申し上げましたように、まだ明確に数字を取りまとめられるような段階に至っておりませんが、私ども、各県から得ております感触やあるいは水稲の種子の確保状況、そういうものから考えまして、今先生がおっしゃったようなお話に該当するところも多いかと思いますが、保全管理をしたりあるいは地味地力増進作物あるいは青刈り稲といったような従来の転作に対応しているようなところについては比較的稲作への復帰が行われている、相当程度見込まれるという状況にございます。  それから他方、今委員御指摘もございましたように、転作の定着している地域、あるいは山間地域で担い手も十分にないというようなところについては難しい面もあるというふうに聞いているところでございまして、末端の農家の段階まで調整が行われました後は、言うなれば稲作への復帰が困難で転作を続けたいという地域と、それから水稲作を引き受けて、より以上に水稲作をやりたいという地域との間で地域間調整、これは市町村間もございますし都道府県間にもわたることもあろうと思いますが、そういう地域間の調整にも努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  123. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 この地域間調整、都道府県並びに市町村間の調整は非常に難しいと思うんですが、この時期をいつまでにしますか。
  124. 上野博史

    ○政府委員(上野博史君) 地域間調整は、通常でございますと三月中旬ぐらいまでの予定でやっていただいておるわけでございますが、今回こういう事態に対応するために五月の上旬ぐらいまでかかってでもやりたい。これは地域的に、先ほど申し上げましたように、稲作の時期の違いがございますので、極力、遅い時点までとって地域間調整に努力をいたしたい、かように考えております。
  125. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 この調整がつかなくて、具体的には個々の農家を考えますと、達成率、いわゆる転作達成率が一五〇%ぐらいになるところも出てくるんじゃないかと思うんですね。その場合でも、今までと同じように転作奨励金を出すかどうか、その点も確かめておきたいと思います。
  126. 上野博史

    ○政府委員(上野博史君) 平成四年度の転作は、これは水田農業確立対策の後期対策という枠組みのもとに行われるわけでございまして、転作等の計画面積の点を別にいたしますと、あとの基本的な枠組みは従来どおりの制度のもとで行うということでございます。したがいまして、転作が行われますれば、その対応等に応じまして従前どおりの助成金が交付されるということになるわけでございます。  ただ、転作の超過達成ということは、裏返しますと水稲作が十分に回復しないという問題になるわけでございまして、ことしの事情で米の円滑な需給操作のために必要なお米の増産を図りたいという立場からいたしますと、我々とすれば、極力他方で、お米の生産ができるところとの間で調整をつけていただくことを努力して実現してまいりたい、かように考えております。
  127. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 農水大臣にお聞きしたいんですが、現場の不満はどこにあるかといいますと、十三万ヘクタールを復元するというのは大いに歓迎なんです。これはもう非常に待望している。問題は、これが一年限り、平成四年限りというところに極めて大きな問題がある。この前も本委員会で指摘それたとおりでございます。  問題は、こういう緊急避難的な措置ではなくて、これをもっと永続的に三年なり五年なり固定してもらう。そうしないと、営農計画が立たないということになるんですね。そのためにはやっぱり備蓄量の調整、そこで調整をするとかいろんなもっと弾力的な融通のきいた計画が立てられないのか、面積固定をするという関係やら。この点について大臣のお考え、そしてそういう現場に対する不満、不安、こういう点についてひとつ所見をお聞かせ願いたいと思います。
  128. 田名部匡省

    ○国務大臣(田名部匡省君) 今回の十三万ヘクタールの軽減措置でありますが、何といっても今後の米の円滑な需給操作ということを考えてお願いしているわけであります。言ってみれば、台風の影響あるいは極端な冷害、そういう緊急事態といいますか、応急的な措置として最小限お願いしているわけです。何か新聞等によりますと、割り当てを何が何でもやってくれと言われて困っているというような、本当かどうかわかりません、新聞報道でありますが、決してそんなやり方でお願いしているのではなくて、国民に安定的に供給するという農家の皆さんの考え方というものが出て、何とか協力をしてほしいということでお願いをしているわけです。  ただ、十三万ヘクタールをそのまま来年も再来年もということになりますと、一体ごとしは天候がどうなるのかということがあります。豊作になるということで、これが何年か続くということになりますと、かつて四十六年-四十九年に一兆円かけて処理をした。その後が五十四年-六十一年までに二兆円をかけて転作に進んでいった。こういうこともありますので、その辺は十分やっぱり心してやらなければならないというふうに考えております。
  129. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 とにかく現場の固定してもらいたいという、そういう希望はしっかり受けとめていただきたい、こんなふうに思うわけです。  次に、森林、林政についてお聞きしたいと思うんですが、二十一世紀の地球的なテーマは何なのかというと、共生と循環だというふうな理念をおっしゃっておる学者の皆さん方がおられますし、私も同感でございます。折しもことしはブラジルで環境会議がございますが、この環境の問題という点で、これは政治の最大の課題になろうとしておるわけです。  そういうときに、昨年林野二法が改正されましたけれども、我が国の環境政策という点で、環境を改善するという点で出発点と私はなるんじゃないのかと、去年の林野二法は。この点でどのように受けとめておられるか、林野庁のお考えを聞きたいと思います。
  130. 小澤普照

    ○政府委員(小澤普照君) お答えいたします。  昨年の森林法の改正は、流域管理システムの確立を基本といたしまして、民有林また国有林を通じまして関係者の総意のもとに、まさに緑と水の源泉であり環境の保全等の公益的機能を有する森林の整備の着実な実施と、また、その森林を支えます林業の活性化をねらいとするものであります。  具体的に申し上げれば、まず投資計画としての森林整備事業計画を策定し、造林・林道事業の計画的推進を図ること。それから、民有林、国有林の連携のとれた森林整備を推進いたしますために、民有林と同一の計画区におきまして、国有林の地域別の森林計画を樹立してまいるということ。それからさらに、地域に密着した市町村の役割を強化することといたしまして、林業従事者の養成確保など、市町村森林整備計画を拡充いたします。それからさらにまた、流域の上下流の地方公共団体間の協力によります森林整備を促進する、このようなことを内容としているわけでございます。  また、国有林野事業改善特別措置法の改正につきましても、国有林野事業の経営の健全性を確立することによりまして、良好な森林の維持整備に資するものであります。  このように、昨年の林野二法の改正は、森林整備水準の向上と適切な森林管理の確保を図りまして、森林の有しております環境の保全等の公益的機能の確保に寄与するものであると考えておりまして、今後ともこれらの改正法の趣旨に即しまして適切な運用を図ってまいる考えでございます。
  131. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 よくわかりました。  そこで、この林野二法の眼目であります川上から川下へという、国有林、民有林を一貫したものととらえた管理システムですね、流域管理システム。これは昨年初めて発足をし、一年目を経たわけでございますが、昨年の進捗の状況はどうであったでしょうか。お知らせ願いたいと思います。
  132. 小澤普照

    ○政府委員(小澤普照君) 流域の林業の活性化ということが大変重要でございますので、民有林、国有林通しまして、川上、川下一体となりました森林の整備、それから林業生産活動の活性化を図る。それからさらにまた、国産材の産地形成等を図るということで、流域林業活性化協議会を設置いたしまして、ここで協議をいたしましたことに基づきまして、活性化のための基本方針の策定を行う、また具体的な取り組みを推進することといたしております。  全国、流域は百五十八に分けてございますけれども、この流域につきましての協議会設置の進捗状況でございますが、現在まで三十二の流域で設置がされておりまして、各協議会で森林施業の推進体制の整備でございますとか、林業の機械化でございますとか、国産材安定供給、あるいは林業事業体の体質強化、あるいは就労条件の改善等、これらの協議を進めているところでございます。
  133. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 全国三十二カ所の流域で計画が立てられたと思うんですが、恐らく進捗状況にアンバランスがあると思うんです。これは当然だと思うんです。そこで、やってみてどういう問題点があったのか。ことしの計画に資するためにお聞かせ願いたいと思います。
  134. 小澤普照

    ○政府委員(小澤普照君) 各流域いろいろ条件が異なりますので、必ずしも私ども画一的にやるというよりは地域特性を生かして活性化を進めていただきたいというように考えておりますが、この場合に地域の林業の抱える問題でございますとか、また取り組み体制等差異もございますから、協議会の設置状況なりあるいは構成メンバーというようなものでは流域ごとにある程度の差があるということであろうかと考えておるわけでございます。各地域がそれぞれ活性化に向かって進むということが基本でございますから、これに対しましては私ども地域の実態も十二分に踏まえまして、また関係の都道府県との連携を密にいたしながら、活性化のための事業なり、この協議会が円滑に作動するように努めてまいりたいと考えております。
  135. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 今、長官からお話がございました流域協議会ですね、この流域協議会は大変重要な意味を私は持っていると思うんです。国有林と民有林の提携、それから地域の営林署を中心とした市町村、それから森林組合、こういうものを統合するという意味でも大変大きな役割を果たしていると思うんですが、この協議会はほとんど全部もうできておりますか。
  136. 小澤普照

    ○政府委員(小澤普照君) 協議会ができ、その推進体制に入っているところが百五十八のうち三十二あるというふうに申し上げました。なお、残りの流域につきましても、速やかに協議会を開き推進化を具体的に取り組むように指導いたしているところであります。
  137. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 この協議会のいろんな役割があるわけでありますが、私が回ってみて一番大きな今課題は何かというと、林業労働者をどう確保するかということが一番課題のようでございます、どこへ行っても。そこで、林業労働者の確保の状況、見通しについてお伺いしたいと思うんです。
  138. 小澤普照

    ○政府委員(小澤普照君) 担い手問題というのは大変今重要な課題になっておりまして、林業におきましても就業者数の減少がございますし、また高齢化の問題もあるということで、私どもこの問題を今後とも重点的に取り組んでいく最大課題の一つにしているわけでございます。  まず今般、先週でございますけれども、森林組合合併助成法の改正につきましても法案の成立を見たところでございますが、そのようにまず関係事業体の森林組合を初め、体質の強化というのが必要でございますし、また林業そのものが魅力のある産業でなければならないという観点から、高性能な林業機械の導入というようなことをやりまして、そしてまたこれに必要なオペレーターの養成というようなことも必要でございますけれども、そのようなことで林業の作業そのものを近代化していくということも必要ではないかと思っております。  森林の整備をし、それを支える林業でございますから、大変誇りの持てる分野ではございますけれども、仕事自体にやはり魅力もないとこれからの担い手の確保は難しいということも考えておりますので、いろいろと就労条件の問題につきましても、まあ今までは言うなればお天気次第ということもございます。そういうことになりますと、労基法上でも休日を定めなくてもいいというような除外規定はございますけれども、現代の人たちに言わせれば、そういう休暇もきちっと決まらないところにはなかなか就業したくないという問題もございますから、この点につきましても、いろいろ天気が悪いときの仕事の場を考えるということでございますとか、大変いろいろな諸問題を含んでおりますけれども、そのようなことを総合的に推進いたしまして、担い手の確保、ここのところについて努力をしてまいりたいと考えております。
  139. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 今二つのことをちょっと提案してお考えを聞きたいと思うんです。  一つは、この流域システムというのは非常に私は画期的な重要な意味を持っておると思います。何といいましても今まで蓄積されたノウハウを持っておるのは、やっぱり国有林野の実際の技術を持っている方々だと思うんです。そこで、各営林署にまずきちっとそういう流域システムの運営をやる、そういう人間をきちっと任命するということが非常に重要だと思うんですが、それについてどうかということ。  もう一つは、協議会の中に労働者の代表をやっぱり入れていく、民間とそれから国有林野で働いている代表、そしていろんな方々とそこで林業労働者の確保についていろんな提言をしてもらう、このことが非常に重要だと思うんですが、この二つの点についてぜひ検討を願いたいというように思いますが、いかがでしょうか。
  140. 小澤普照

    ○政府委員(小澤普照君) 流域の活性化を図る上で、また流域の森林を整備する上で営林署の果たしている役割、つまり国有林の果たしている役割は大変大きいと私も考えているところでございます。  営林署の事業を行いますに際しましては、これまでも事業の計画段階等で地元市町村等との意見交換を行うとか、適切にその事業が行われるようにしてきたところでございますけれども、今後は、流域林業活性化協議会への参画でございますとか、今先生御指摘もありましたけれども、いろいろと国有林の持っておりますノウハウもございます。こういうものを流域管理システムの中で貢献をしていくということが重要であると思っております。  先生の今おっしゃいました、専門の者を置くということだと思いますけれども、私どもとしては、営林署というのは営林署の組織全体がまさに専門の組織でございまして、森林の整備とか林業を進める上でこれは一丸となってやってもらいたいということでございますから、私は、流域活性化ということになりますと非常に幅広いものを含んでおりますので、むしろ営林署につきましては営林署長が先頭に立ちまして、一丸となって活性化のために組織を挙げてひとつ頑張っていただきたいなという気持ちで指導をいたしているところでございます。  それからなお、もう一つの御指摘、地域活性化の協議会の場に林業労働者の代表等入れたらどうか。これにつきましては、私どももこの協議会メンバーにつきましては、本当に協議会の効果が出ることが必要と考えておりますし、特に森林の整備、それから木材の生産から流通加工まで、つまり川上から川下まで一体的連携を図るということが必要でございますので、流域におきますさまざまな分野からの参画が望ましいと考えておるところでございます。したがいまして、林業労働者につきましても、流域における関係者の合意のもとに参画していただきたいというように考えておりまして、これまでもそのような指導をいろいろな場で、例えば私どもが主宰いたしますブロック会議等を通じまして指導いたしておりますけれども、広く労働者の代表等も参加して活性化を図ってまいりたいと考えております。
  141. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 ぜひこの協議会への参加、確かに営林署全体で担当するのは当然ですが、やっぱりいろんな周囲の問題がありますので、できたらそういう点での検討も含めていただきたいというふうに私は思っております。これは営林署内です。  次に、市町村会の要求について自治大臣にお尋ねしたいと思うんです。  市町村会の方で、一つは交付税の中に林業行政費を設置してもらいたいということ。二つ目は、市町村の役場に林務課、いわゆる林政担当の課を置いてもらいたい、そしてその担当職員を増員してもらいたいというふうな要望がございますが、自治大臣としましてはこの点についての対応をどうお考えなのか、この点を確かめておきたいと思います。
  142. 塩川正十郎

    ○国務大臣(塩川正十郎君) 林業だけを対象にしたという狭義の林業政策もございましょうが、今自治省が指導しておりますのは、山の環境を守るといいましょうかその一環として、林業の健全な育成ということとあわせてやっておる事業が多うございます。  仰せのとおり、山林地帯におきましては林業指導者の不足もございますので、これの養成をしながら山を守るということを十分に心がけた行政をやらせていきたい。つきましては、林業にどれだけの交付税措置を講じるかということは、先ほど申しましたようないきさつがございますので、今後は山の、例えば水源涵養のための措置費であるとか、あるいは環境保全のための措置費とか、そういうようなものを複合いたしまして、林業に役立つような方向でそういうような措置を考えていきたいと思っております。
  143. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 次に、大蔵大臣にもお伺いしたいと思うんですが、国有林野事業の再建が成るか成らないかというのは、これは、累積債務を閣議了解どおりに計画的にきちっきちっとできるのかどうかということにかかっていると思うんです。この点で、大蔵大臣、閣議了解のこの償還計画をスムーズにいくように最大の努力を払っていただきたいと思うんですが、この点についていかがでしょうか。
  144. 羽田孜

    ○国務大臣(羽田孜君) 国有林野の再建につきましては、先ほど来長官の方からもお話があったわけでありますけれども、国有林事業の改善に関する計画、これに則しまして要員の規模の縮減ですとかあるいは組織機構の簡素化、また自己収入の確保などの自主的な改善努力、これを尽くしていただくこと、これが大事であろうと思っております。それに加えまして所要の財源措置を講ずることが大事であろうと思っております。  そういう中で、今お話がございましたこと等も踏まえまして、私どもといたしましては、国有林野事業特別会計に対します繰り入れは、大変財政事情が厳しいところでございますけれども、やはり国有林野事業の推進と改善、経営改善の円滑な実施ということで、造林とか林道事業などにかかわりますところの繰り入れの百六十三億円を対処したこと、あるいは森林保全管理費等一般行政的な経費にかかわるところの繰り入れが十一億円、そしてさらに、累積債務対策として退職手当及び借りかえにかかわる借入金の利子の補給等百二十九億円ということで、合計いたしますと三百三億円、いわゆる対前年比二一・五%という非常に高い伸びを示させていただいたということを申し上げたいと存じます。
  145. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 もう一つ、大蔵大臣にぜひ御検討願いたいと思いますのは、民有林と国有林に対する融資の問題でございます。これは林野二法が通るときも我々はうんと議論をいたしました、要望もいたしました。まだこういう均衡が実現できておりません。これに対してどういうお考えでしょうか。
  146. 羽田孜

    ○国務大臣(羽田孜君) 森林の持つ公益的な機能の発揮の観点から、造林ですとかあるいは林道整備等の事業の施設費につきまして、民有林助成との均衡というものを考慮しつつ一般会計から繰り入れの拡大をいたしたところでございます。また、一般会計の繰り入れ対象を民有林助成と同一としようということで、平成四年度から松林の保護、樹林帯の緊急造成及び国有林の防災、いわゆる防火対策、こういった総合事業、これも新たに繰り入れの対象といたしたということでございます。
  147. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 羽田大蔵大臣は自民党の農政ベテランということでありますのでもう既に十二分にわかっておられると思うんですが、例えば国有林野に融資する場合には五・五〇%。それから民有林に対しては四%、四・五五%、五・六五%もありますけれども、三・五〇%というふうに一般的に非常に低いわけです。これを同じくできないのか。これは非常に苦しい林野財政にとっては大きな問題でございますので、ぜひ努力をしていただきたい、こういうふうに思うんですが、どこが問題でしょうか。
  148. 小澤普照

    ○政府委員(小澤普照君) 林業関係の融資問題ということもございますので私の方からお答えさせていただきたいわけでございます。  国有林野事業、それから民有林ともに融資という問題が、確かにその点では共通した問題があるわけでございます。  若干お答えを申し上げますと、まず国有林野事業でございますけれども、昭和五十一年度以降、造林、林道等の資金として借り入れを行っておりまして、この場合の金利でございますけれども、平成二年度末現在での債務残高の平均利率は六・二五%というように考えております。なお、現在は若干下がっておりまして、五・五〇%でございます。  それから一方、民有林の融資でございますけれども、これは農林漁業金融公庫の林業基盤整備資金というところで融資が行われておるわけでございますが、これはただ融資対象とか補助金があるかないかというようなことで実は利率が違っておりまして、三・五%というふうに言われておりますのは、これが補助金なしの計画造林という分野でございます。この場合は三・五%。それから、一般の森林の補助造林につきましては五・六五%でございますとか、要するに態様によって異なるということなのでございます。  それで、今先生が御指摘なのは恐らく国有林の借入金の金利を民有林並みにというお話かと思いますけれども、このことにつきましては他の財投対象事業との均衡でございますとか、一般的に零細な民有林の経営を行っている方々と同列に論ずるわけにはいかないというような議論もございますし、それからまた国有林自体もすべてを財投のお金で賄っているんじゃなくて、いろいろほかの経費、まさに今大蔵大臣からもお答えがありましたように、一般会計からの繰り入れも行っていただいている等諸般の情勢がございますから、この辺もいろいろと考えながらこの森林の整備なりが適切に進められていくようにと私ども考えているところでございます。
  149. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 次に、酪農問題について一言触れたいと思います。  農水大臣にお伺いしますが、三月の末に畜産振興審議会におきまして、乳価の据え置き、乳量の据え置きが行われました。酪農家はこれをどう受けとめておるか、全国的な立場でお答え願いたいと思います。
  150. 田名部匡省

    ○国務大臣(田名部匡省君) 一般的には非常に厳しいという要請がたびたびございました。もう酪農をやめて別なことをやりたいという人たちもおりましたが、全部そうかというと、必ずしもそうでないんです。うまくやっておる人もおり、苦しい人もおるということで、私もいろいろ資料等見せてもらって分析するんですが、どちらかというと規模の零細な人は非常に厳しい。だんだん規模が大きくなっておりまして、そういう零細な人たちが縮小しておるということでありまして、平均でとらえるものですからいい人と悪い人の中間ということになりますから、中間から下は大変だけれども、上限の方はまあまあ何とか自由化が押し寄せた割には頑張ってくれておるという感じがいたします。  ですから、今自由化が始まってこれからどういう変化が起きていくかというものを見ながら、いろいろと今変革期でありますから、それを見ながらことしも来年もまた何年がよく見て、そして全体としてこの自由化を乗り切っていけるというふうにしてまいりたい、こう考えております。
  151. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 酪農危機が叫ばれてから十数年になると思うんですね。この段階があるんです。最初の酪農危機が言われたのは、全体の生乳が余ってきて、それで生産調整に入った。搾乳牛を屠殺したのですね、屠殺してやった。そのときに酪農危機が叫ばれたのです。そして、二段目は何かというと、それでも足りなくて結局今度は自由化だと思いますが、乳価がどんどん下げられてきたのです。それで所得の方が減ってきた。この点が第二の危機を迎えたというふうに言われているんですね。第三番目の危機は何かというと、牛肉・オレンジの自由化なんです。いわゆる子牛、ぬれ子がどんと下がっちゃった。何とかえさ代が安定しておるというだけで助けられておったんですが、その分が削られてきたということで、第三の危機を迎えているということなんですね。  そこでお伺いしたいのですが、牛肉価格の今後の見通しについてお知らせ願いたいと思います。
  152. 赤保谷明正

    ○政府委員(赤保谷明正君) お答えを申し上げます。  これからの牛肉価格の動向いかんと、こういうことでございますが、御承知のとおりに牛肉、数量制限は廃止しておりますが、関税についてはさらに国際間で約束をして下がっていくことになっております。そういう事情が一つある。輸出国の生産需給事情、為替レートその他がございますので、関税が下がっていくことははっきりしておりますが、そういった事情がございますので、どういうぐあいになるか、これから十分見守っていかなければいけない。大臣が今申し上げましたが、自由化の影響というのが定着するまで十分見守っていく必要がある、そのように考えております。
  153. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 これは、酪農家の場合に今苦しいというのはもう極端に、和牛はもう安定しているんですね、和牛牛肉は。そうしておって酪農家のいわば子牛、これがどんと下がっちゃっているというところに大変問題が出てくるわけです。これはやっぱり私は牛肉の自由化の後遺症だと思うんです、問題は。その点は十分に踏んまえながら対策をとっていただきたいと思うんです。  一つの実例として、本当に本州、本州という言い方は余り最近しておりませんけれども、北海道を除いた本州です。私は秋田なんですが、秋田の酪農はもう本当に危機的な状況にある。その例をちょっと申し上げたいのですが、これは三十三歳になる専門酪農協の優秀な組合員です。この三十三歳になる中堅酪農家が最近廃業宣言いたしました。その廃業宣言した理由は何かというと、とても前途が不安だ、夫婦二人で他産業に転職をしてこれから三十年間働くと生涯所得で四千万円の差が生ずることがはっきりした、これを考えると酪農に夢を託すことができない、こう言って突然廃業しちゃったのです。  問題は、今まで固定負債でもう首が回らなくなった、そこで倒産するというので廃業が今までは多かったと思うんですね。最近は借金しないうちに、今のうちに身軽なうちにやめたい。もう後継者をどうするかという問題じゃなくて、離農をどう防ぐかということが本州酪農の現在の課題なんですね。そこまで来ておる。  農水省は緊急対策を必要とするというように思うんですが、いかがでしょうかこれは、農水大臣。
  154. 赤保谷明正

    ○政府委員(赤保谷明正君) 我が国の酪農につきましては、規模の拡大伸展あるいは一頭当たりの乳量の増加、そういうことを通じまして経営内容の充実が図られてまいりまして、数年来負債が減少するといったように順調に発展をしてきたところでございます。今お話にございましたように、しかしながら都府県における酪農経営の最近の動向を見てみますと、平成二年の夏場に非常に暑かった、猛暑の影響から伸び悩んでおりました生乳生産が着実に回復しつつある一方、ぬれ子、乳廃牛等の販売価格の低落等によりまして収益性も低下をいたしております。  このため、従来から乳量、乳質向上等の生産性向上を図るための対策あるいは乳肉複合経営、これを推進してまいりましたし、さらには肉用子牛生産者補給金制度への加入の促進とか酪農ヘルパー制度、そういうことに取り組んできているところでございますが、とりわけ都府県の酪農につきましては今後とも消費者ニーズにこたえる高品質な飲用乳の供給地帯として振興を図っていく必要があると考えております。  そこで、ただいま申し上げましたような今までの対策に加えまして、平成四年度の価格関連対策として夏季、夏場の乳脂率向上対策の推進等、飲用乳の供給安定を緊急に図るための対策を講ずることとしたところでございます。
  155. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 農水大臣、それから羽田大蔵大臣にもひとつ御感想を。
  156. 田名部匡省

    ○国務大臣(田名部匡省君) 私はこうした酪農、農業から水産まで携わっておりますが、経営の何といいますか、基本的に今いろいろ局長からお話がありました複合経営、乳肉、そうしたものをやる。基本的には全体にどの程度のものをどうすれば経営が成り立っていくかという、きちっとしたものを持って事業というものは何でもスタートしなきゃいかぬ。やればいいんだということでやっても、やっぱり経営というのはおのずから採算点というのがありますから、その辺まできちっと、私がいつも申し上げますように、経営管理がきちっとしていなきゃだめ、それから企業的な感覚でなきゃいかぬ。  大体、一千万ぐらいの借金があるともう大変だと、そう思うと思います、農業だけやっていますと。水産の方は船を一隻つくると四億、五億なんですね。それは当たり前だと思っている。決して単年度てはかり見ているわけでなくて、何年がやって経営が不振だとそれはわあわあ言います。そういう面では農家の皆さんが全部が全部そういうきちっとした考え方で酪農というものを進めたかというと、まあ何かやらなきゃいかぬと思ってやられた人もおる。ですから、いつも申し上げるんですが、水田にしても畑作にしても適当な規模、水田で例えば二十ヘクタールとか畑で二十とか、それを何人でやるとどれだけの経費がかかって、大体利益というものはどのぐらい出るかという、その辺から本当は経営というものを考えてもらわぬとなかなかうまくいかぬだろうと思うんです。  そういう意味では、さっきも申し上げましたが、大体戸数で五%程度減少しておるわけです、酪農の戸数ですね。この飼養の規模別で見ると、成畜が一から九頭を中心に小規模層で減少率が非常に高い。それから、都府県では成畜が三十頭以上、北海道では五十頭以上の大規模農家では増加をしているわけです。  ですから、いずれにしても、重要な食糧である牛乳、乳製品の供給源としてのみならず、土地利用型の農業ということで、私どもは水田と酪農というものは我が国農業の発展に重要な役割を果たしているということで、これからはそういう体制、水田ばかりではなくて、全般的に経営の成り立つ農業ということを私が今検討している中に掲げているわけであります。  苦しいときはあると思います。長い間ですから、事業でもよかったり悪かったりというのはある。そのときはそのときとして、私どもよく見ながら、やっぱり全力を尽くして頑張っていただきたいということを考えております。自由化の波にただもまれて、本当に経営が努力しても成り立たぬで離農するということだけはこれは防いでやらなきゃいかぬと思うし、みずからもまた生き残れる努力をしてほしい、そんな感じがいたしておりますので、これからも全力を挙げて取り組みます。取り組みますけれども、農家自身もみずからの努力ということをやっていただきたい。これ両々相まって私は事業というものはうまくいくんではなかろうか、そういうことを期待しております。
  157. 羽田孜

    ○国務大臣(羽田孜君) 先ほどから御指摘ありましたように、確かに肉の自由化というもの、そういう中で私どもも乳肉一体の複合経営というものを進めてまいりました。しかし、実際にぬれ子の価格が下がっている、あるいは老廃牛のあれが、やっぱりみんなの肉の嗜好というのが高くなったということもあるんでしょうけれども、そういうことで価格が非常に落ちておるというようなことで、ただ今まではえさが安かったということで、円高でえさも安かったということで支えてまいりましたけれども、確かにこのところ厳しくなってきておるというのが実態であろうと思っております。  こういったものを改善するためには、今も局長あるいは大臣からもお話がありましたように、割合と堅調で進んでおります飲用乳、こういったものの方向をあれするように、またチーズなんかにつきましても相当助成しながら、こういう新しいニーズのあるところというものをねらうべきである。いろんな指導ですとか、あるいはそのために国としても資金の協力をしてまいったわけでありますけれども、しかしそういう中でやはり酪農というのは厳しいあれですから、これから離れていく人たちがある、あるいは高齢化ということもあって、そういった皆さん方なんかもこの機会にもう去っていこうというようなことであります。  しかし、酪農というのは米と同じように日本の基本的な農業であろうということを考えたときに、今お話があったように、こういった人が離農しない対策というものをしていくと同時に、創意工夫が図れるような環境をつくることも大事だと思っております。  しかし、それと同時に、それでもなおかつ不足する方々というものを育てていかなきゃいけないということで、すぐれた担い手、こういった人たちを育成することが必要であろうと思っておりまして、今までも農水省がそれについて進めてきておりますけれども、さらにこういったことについて考えていかなきゃならぬと思っております。  そしてもう一つは、本当にやろうという人たちに対して資金というものが必要であるということで農業改良資金、これの充実も図ってきております。  それから、酪農を初めとする畜産につきまして、その担い手の育成を確保しようということで特別対策が実はとられておりまして、やっぱり酪農というものに魅力を感ずる、あるいは農業というものに、ただお金というよりは、この間もミュージカルで「レイバー・オブ・ラブ」なんというのがありましたけれども、これはまさに農業のあれですが、そういうひとつやってみたいという方たちがいるんですね。それで、努力すれば金になるぞということを、生活もできるぞということを目指している方々がいらっしゃるということでありますから、こういった人たちを確保するための融資ですとか、あるいはそういった人たちに対する教育の問題ですとか、こういうきめの細かい対策というものを国としても手助けしていく必要があるんじゃなかろうかというふうに考えております。
  158. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 両大臣のお話、もっともだと思います。ただ、もう努力をしましても余りにも所得格差が目に見えているという現状から、離農ということがとどまらないとすれば、そこは根本的な所得政策その他でカバーせざるを得ないというふうに思いますので、十二分に内閣としても考えてほしいというふうに思います。  次に、雪をめぐるいろんな問題に移りたいと思います。  豪雪地帯対策特別措置法が日切れ法案という形で先日十年間の延長をやりました。この法律の対象になる地域、人口、都府県、こういったことについて御説明願いたいと思います。
  159. 小島重喜

    ○政府委員(小島重喜君) お答え申し上げます。  法律に基づきます豪雪地帯は二十四道府県、九百六十三市町村に及んでおりまして、人口で総人口の約一八%、面積でまいりますと約五二%がこういう豪雪地帯に入っております。
  160. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 大変に広大な面積でございます。日本海側それから北の方、北海道を含めて人口は一八%、そして面積は五二%、まさに過疎地域でございます。この過疎地域は、同時に高齢化が非常に進んでおるという特徴がございます。そこで、この除雪、排雪のシステム、これが大変に問題だというふうに私は考えておりますが、建設省から現行の除雪と排雪のやり方について御説明願いたいと思います。
  161. 藤井治芳

    ○政府委員(藤井治芳君) お答えいたします。  先生御承知のように、三十一年のいわゆる雪寒法でこの除雪等々が国の補助あるいは直轄事業として成り立ちました。現在幹線道路の除雪につきましては、平成三年度で積雪地域の国道及び道府県道の約九〇%に当たる五万八千キロにおいて実施しております。平成四年度はさらに四百キロ延伸させていただきたいと思っておりますが、市町村道についてはこれはもう九十万キロございますから、除雪費は基本的には普通交付税で措置させていただいておりまして、建設省としては機械の整備に対する補助を実施させていただいておりまして、平成三年度までに四千百台の整備を行っております。  方法といたしまして、いわゆる雪が降ったらすぐにとらなきゃいけませんので、初期除雪、これはグレーダーとトラックでやっております。こういう初期除雪ですと一時間で大体二十五キロから三十キロ除雪できるわけでございます。それに対して、路面の必要幅を確保するためには雪をどけなきゃいけませんから、ロータリー除雪等による拡幅除雪や雪を持っていく運搬除雪、こういうものがございますが、これは一時間に四キロぐらいしかできないということで、こういうものを組み合わせながら地域の実情に応じて実施しております。  さらに、歩行者についても五十年代の当初から試験的に施行してまいりまして、今までは少のうございましたが、現在のところ平成三年度は約二千台の除雪機械によって四千二百五十キロの歩道除雪を実施しているということでございます。さらにこれを補うためのもう一つの方法としては、いわゆる消雪施設、あるいは流雪溝によるもの、こういうものでいろいろと組み合わせながら除排雪の対応をさせていただいております。
  162. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 今、流雪溝という言葉がありましたので、流雪溝というのはどういうものなのか、どういう使い方をするのか、この点についてもちょっと説明願いたいと思います。
  163. 藤井治芳

    ○政府委員(藤井治芳君) お答えいたします。  いわゆる屋根雪であるとかあるいは路面にある雪等々を、言ってみれば下水溝の大きなものと思っていただければいいわけですが、道路の両わきに大きな溝をつけまして、そこに常時水を流します。もう先生百も御承知だと思いますが、そこへ入れていく、こういうことでございますので、地区住民が協力して除雪をやっていくために非常に役立っているといいますか喜ばれている事業でございます。
  164. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 問題はそこなんです。確かに除雪というのは、今局長からお話がありましたとおり、車道の雪をとこか片側に寄せるということなんです。流雪溝というのは、屋根から落ちた雪じゃなくて、むしろ車道の寄せられた雪を住民が、私自身が、私は秋田ですからたまに金曜日の夜帰りますと、土曜日の朝か日曜日の朝、これは朝早く起きましていそいそとそれを投げなくちゃいけない、こういうことなんです。  問題は、非常に老齢化しておるために、こういうシステムではもうとてもできなくなっているということで、流雪溝にかわる除排雪のシステムを考えるべきだというふうに思うんですが、この点はどのように進んでいるんでしょうか。
  165. 藤井治芳

    ○政府委員(藤井治芳君) 雪の処理については、例えば福井県の雪と旭川の雪では五倍の重さが違います。そういうふうに全く地区で変わってまいりますから、地区ごとで全部いろいろとその地域の工夫によって除排雪をしなきゃいけないと思っております。そういう意味で、流雪溝にいたしましても消雪パイプにいたしましても、あるいはいわゆる除雪の仕方についても、そういう地域の実情に応じた組み合わせをさせていただきたいと思っております。
  166. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 国土庁、どうですか。
  167. 小島重喜

    ○政府委員(小島重喜君) 豪雪地帯で高齢化が進んで、除排雪が大変だということは御指摘のとおりでございます。  今、道路局長からお話ございましたように、この除排雪のあり方というのは全国一律ということはなかなか不可能だろう、そういう面でいろんな昔からの知恵もございますので、平成四年度におきまして私どもはそういう先進技術と申しますか、そういう調査をして、それを情報として皆さん方に流していきたい、かように考えております。
  168. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 ぜひなるべく早い機会にそういう地域に合った、老人が難儀しなくていいというよりも、もう出られなくなってきておるわけです、老齢化が進んで。そういう点でぜひ流雪溝だけに頼らない排雪方法を考えてほしい、このことを要望したいと思います。  次に、克雪住宅についてお伺いしたいんですが、これも老齢化に伴ってなるべく早い機会に普及させたいというふうに思うんですけれども、今後の克雪住宅、現在のいろんな助成の仕方、それから普及の仕方、これについてお知らせ願いたいと思います。
  169. 立石真

    ○政府委員(立石真君) お答えいたします。  先生御指摘のように、豪雪地帯では屋根の雪おろしは住民にとりまして大きな負担であり、かっ危険を伴うものでございます。さらに、御指摘のように、高齢化が進展していくわけでございますので、雪おろしを不要にする雪に強い克雪住宅の普及を促進することは重要な課題だと考えております。このため建設省におきましては、従来から市町村による克雪タウン計画を策定する、あるいは克雪住宅に対して住宅金融公庫融資の割り増し貸し付けを行う、さらに高床式住宅に対する税制上の特例措置を行う等の施策を実施してきたところでございます。  平成四年度におきましては、豪雪地帯の住宅が連檐した地域で、雪おろしに伴って道路交通に障害がある、あるいはまた危険を防止するために集団的に克雪住宅を整備する事業といたしまして、地方公共団体と連携して補助金を交付いたします克雪住宅共同整備事業を創設いたしたいと考えております。  また、住宅金融公庫におきましても、住宅改良について克雪住宅化の工事を行った場合には五十万円の割り増し融資制度を新設する等々の措置を講ずることとしておりまして、これからの制度を活用して積極的に推進してまいりたいと考えております。
  170. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 これは高齢化を迎えるこういう積雪地帯では大変重要な課題だと思いますので、ぜひより充実する、そういう融資の点や補助の点、さらに拡大してほしいということを要望したいと思います。  それから次に利雪、利雪というのは雪を利用するということだと思うんですね。克雪というのは雪を克服すると。こういう事業の活性化ということがうたわれておるんですけれども、どういうメニューがあるかを国土庁と建設省にお知らせ願いたいと思います。
  171. 小島重喜

    ○政府委員(小島重喜君) お答え申し上げます。  利雪とか親雪というのは最近の概念でございますが、私どものところで建設省とも一緒になりまして、平成三年現在、研究会で研究しておりますが、そこでやられておりますのは例えば地下水の帯水層を利用した蓄熱冷房システムとか、あるいは集雪冷房システム、さらに利雪発電、あるいはヒートパイプ活用による人工凍土の造成によります利雪産業、雪の中にいろんな野菜だとかそういうものを入れて、それを時期外れのときに物を出すとか、そんなようなことについていろいろと現在検討しておりまして、これは今回の研究成果が出ますと、先ほど申し上げましたように、さらにこの実用化のために努力をしていきたい、かように考えております。
  172. 立石真

    ○政府委員(立石真君) 住宅関係でございますが、特に克雪住宅に関しての活性化ということについてお答えさせていただきたいと存じます。  これまで進めてきたところでございますが、克雪タウン計画促進事業につきましては、克雪住宅の普及事業に対して補助を実施しております。また、住宅金融公庫融資の優遇貸し付けについてのパンフレットなどの作成とか、あるいは金融機関への配付を通じまして、一般への周知に努めてきております。このたび豪雪地帯対策特別措置法の一部改正がされまして克雪住宅の普及促進についての規定が設けられたところでございますので、これまで以上に地方公共団体と密接な連携のもとで普及啓発に努めてまいりたいと思います。
  173. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 問題は、利雪、克雪といいましても、地域の産業に直接結びつくというところまではまだなかなか研究が進んでおらないと思うんですね。例えば、冬季のスキー場はそれぞれ何ほどかの雇用もあるわけです。所得もふえるわけですが、なかなかそういうものが産業と結びついた形ではまだ不十分だというふうに思うんです。しばらくの間、そういう状態というのが過疎を生み高齢化を生んでいると思うので、農水大臣にひとつお伺いしたいんです。  何としても、これは所得政策というのが必要じゃないのか。そういうのをいろんな利雪、克雪で活性化をするまでに大分時間があるでしょう。そこで、ドイツなんかでやっておりますように、例えば先ほどの酪農がありました。ドイツなんかでは、二十年なら二十年農業に就業しておりますと就業慰労金、こういって一人五百万、夫婦でやっている場合は七百万、これをいわば出す、こういう形も一つの所得保障方式なんですね。所得政策なんです。こういったもので中山間地対策、これを拡充するということがどうしても必要だと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  174. 馬場久萬男

    ○政府委員(馬場久萬男君) お答えいたします。  今おっしゃられますように、確かにECあるいはドイツにおきまして、特定の条件不利地域と言われる地域において農業を継続的に営む者に対して所得保障政策をとるという実例がございます。私どももこれについてはかねてから勉強しておるところであります。ただ、我が国の中山間地域においてそういう問題がすぐ持ってこれるかということになりますと、むしろ私どもは現在、確かに自然条件、経済条件、不利な地域ではございますが、しかし例えば農業で言いますと、昼夜の温度差が大きいとかあるいは非常に特色のある作物ができるというようなことを活用した付加価値の高い農業の生産を推進するということをやってきているわけでございます。  今の所得政策と言われているものを見ますと、個々の農家がその地域で継続していればお金をあげるという形になると思いますが、我が国におきまして農業政策というのはむしろ集団なり組織で積極的に農業をやるということについて助成するということでやってきておりまして、個人に対する所得保障という政策がなじむかといいますと、これは非常に問題があろうかと思います。  かつて私ども減反のときに、物をつくらないでいればお金をあげるという政策をとったことがございますが、そういうやり方についても非常に御批判がございまして、やはり積極的にどういうことをやっていただけるかということとの関係、あるいはその地域社会全体の中でどういうふうに位置づけるかという問題がありますので、いわゆるデカップリングと言われている政策、勉強はしておりますけれども、なかなか難しい問題があって、我が国の風土、国土になじむかどうかさらに勉強させていただきたいと思っております。
  175. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 要は、そういう豪雪地帯の産業と結びついた形、そして所得をふやす形、これが非常に条件的に悪いという点は事実でございますので、ひとつ挙げてこれらの対策についても一生懸命やっていただきたいということを要望したいと思います。  次に、粉じん公害の問題について触れたいと思います。  粉じんを防止するスパイクタイヤ禁止の法律が施行されまして、この四月一日から罰則適用の時期に入りました。そこで、実際問題として、この法律をつくった立場の環境庁にお伺いしますが、実際に秋田県でもそうなんですが、北海道等でも地域指定を拒否しているという町村がかなりあるわけです。これはもうはっきり言って非常に無理な法律の網をかぶせたというふうに思うんですが、その点反省を含めていかがでしょうか。
  176. 入山文郎

    ○政府委員(入山文郎君) スパイクタイヤの使用を禁止する地域の指定に際してでございますが、これは自然的な条件でございますとか社会的な条件につきまして地元の意向を十分に尊重するという観点から、都道府県知事の申し出によって地域を指定するということを行っているわけでございます。若干その地域地域によりましてアンバランスと申しますか、そういった点があることは私どもも承知いたしておりますが、いずれにいたしましても、この趣旨を徹底いたしまして、法律の円滑な施行に今後も努めてまいりたい、このように思っているわけでございます。
  177. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 時間がなくて詳しく申し上げられませんが、要するに太平洋側と日本海側では道路の乾き状況が全然違うということなんです。その乾燥状況が違う、湿潤状況が違うところに同じような指定をしているということは大変今後の運営についてもこれは考えていただきたいということなんです。  こういう公害防止と安全は二律背反的な立場にありますが、次に警察庁にお聞きしたいんです。我々今までスパイクタイヤで運転しているんです。それがスタッドレスになりますと大変これは危険だというふうに不安を感じておるんですが、警察庁はことしの四月一日、きょうから罰則を適用される。この冬を、いきなり罰則適用ということじゃなくて、やはり安全対策に重点を置いて指導すべきであるというふうに思うんですが、その点いかがでしょうか。
  178. 関根謙一

    ○政府委員(関根謙一君) お答え申し上げます。  スパイクタイヤとスタッドレスタイヤとの性能の違いでございますが、いろいろな実験によりますと制動性能、これは空走距離を除きましてブレーキがきき始めてからとまるまでの距離でございますが、これで比較をしてみますとそれほど大きな差はないということでございます。時速四十キロで走った場合、積雪路面では制動距離がいずれも二十メートル前後でございますし、凍結路面におきましてはいずれも五十メートル前後ということでございます。  しかしながら、その特徴というのがございます。スタッドレスタイヤは積雪路面で強くて制動性能がスパイクタイヤよりも積雪路面ではすぐれているということでございますが、他方、凍結路面におきましてはスパイクタイヤの方がスタッドレスタイヤよりも性能が高くて制動距離が短いということでございます。さらに、スタッドレスタイヤは若干横滑りに弱いということで、カーブのところでややスパイクタイヤに比べて劣るというようなことがあるようでございます。  そこで問題は、スタッドレスタイヤになれていただくということと、スタッドレスタイヤの性能の特徴をよく理解していただくというこの二点が大変大事であろうかと存じます。そこで、私どもも関係の道府県警察を通じまして、ビデオでありますとかあるいは実技講習等を通じましてこの二点、つまり性能についての特徴を理解していただくということとなれていただくという、この点に努力をしているところでございます。  そこで、お尋ねの取り締まりの方針でございます。このスパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律は、平成二年六月から施行されておりますが、その中でスパイクタイヤ使用禁止に関する部分は昨年の四月一日から施行され、それに対する罰則が本日四月一日からの施行でございます。  この制度の趣旨を考えてみますと、とにかく無用な粉じんを発生して健康なり生活環境なりを害することのないようにしたいというのが趣旨がと存じます。その制度の趣旨を実現するために、私どもといたしましては、まず第一に官民一体となって脱スパイクタイヤのための総合的な施策を進めていくという観点から、ただいま申し上げましたような幾つかの安全教育面の努力をしているわけでございます。  取り締まりといいますのは、いわば最後の手段でございます。この取り締まりの方針は他の交通達反の取り締まりと同様かと存じます。真に悪質で危険、迷惑性の高い違反に重点を置き、かつ公平を旨として取り締まるという観点でございますから、わざと粉じんを立てるためにスパイクタイヤを乾燥路面で走らせたといったような特殊な場合を除きまして、原則として指導ということで対応してまいりたい、このように考えております。
  179. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 最後に、雪国の暮らしに対する諸税の軽減措置について国土庁長官と大蔵大臣、自治大臣にお伺いしたいと思うんです。  積雪寒冷地の暮らしというのは想像以上に大変厳しくて、生活費がかさむという実情でございます。年間を考えますと、例えば冬の暖房費だけでも五万円から十万円とか、冬囲いに五万円、屋根の雪おろしに五万円から多い人は五十万とか、衣類一つとっても大変であります。こういうことから、公務員に対しましては例えば寒冷地手当だとか石炭手当というのが支給されておるんですが、一般住民の場合はこういう点ではないわけでございます。  そこで、国土庁長官にお伺いするんですが、豪雪地帯のこういう住民に対する負担軽減の措置はどういうふうにお考えでしょうか。
  180. 小島重喜

    ○政府委員(小島重喜君) 今お話しのように、雪国におきまして雪国特有の事情で大変生活費がかかるということは、言うなら定性的にはそのとおりだと思いますが、なかなか定量的な把握というのは私ども困難ではないかというように思います。  ただ、御案内のとおり、例えば雪おろしにつきましては、これは現在雑損控除の対象ということで、五万円を超えなければいけませんけれども、そんなようなことで税制上の措置がなされているというようなことではないかというように思います。
  181. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 最後になりましたが、大蔵大臣それから自治大臣、これはぜひ要望を含めてお伺いしたいんですが、実際問題として雪というものを災害という観点でとらえるということでないかと思うんです、今までは。私は、やっぱりそうじゃなくて、年間を通じまして三カ月、四カ月、五カ月というのがもう恒常的に雪の下にある、これは災害じゃないと思うんですね。しかし、それによって物すごくたくさんの費用が増高する、こういうものに対するいわば所得税の減免、それから地方税の減免、こういった措置をやっぱり考えてほしいと思うんです。  近藤大臣は山形ですよね。うんうんとうなずいているんですが、まさに雪国の人間はみんなそう思っているんですね。何とかそういう点考えてもらえないのかと。その点で、大蔵大臣と自治大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  182. 羽田孜

    ○国務大臣(羽田孜君) 今お話をお聞きしました。そして、確かに親雪だとかあるいは利雪ですとか、また克雪というような新しい考え方も生まれてきておるわけですけれども、なおかつ厳しい実情はわかるわけであります。  ただ、今お話がございましたそういう中で、所得税の減免というようなことを考えられないかというお話があったわけでありますけれども、いわゆる地理的な条件ですとか自然的な条件、こういった差異に着目いたしまして特例措置を創設するということになりますと、非常に複雑なものになるということがまず言えると思います。また、国民生活の態様の中から、特定の条件ですとか特定の家計支出、これを抜き出しまして税制上しんしゃくするということは、もうおのずからやっぱり限界があるというふうに思っております。また、そのようなしんしゃくを加えることになりますと、客観的な基準というのがなかなか困難になってまいりまして、税の公平とか中立、公正といったときに適当じゃないんじゃないかと思います。  なお、雪国におきます特別な事情というものは、これは理解できるわけでありますけれども、豪雪の場合には、先ほどもお話ありましたように、住宅の倒壊を防止するための屋根の雪おろしの費用ですとか、あるいは住宅の外周の雪の取り除き費用、また雪おろしや雪の取り除きに直接関連して必要となる雪捨ての費用なんかにつきまして、これは災害じゃないというお話だったんですけれども、災害関連支出の金額といたしまして雑損控除、こういった適用措置を講じておるということでございます。
  183. 杉原正純

    ○政府委員(杉原正純君) 地方税につきましては、今大蔵大臣の方からお述べになりました雑損控除、これが所得税と同様住民税についても行われておりますほかに、御案内と思いますけれども、自動車税につきまして一定の地域につきまして軽減税率を適用しておりますし、また固定資産税につきましては、積雪寒冷地域に所在する家屋の評価の面におきまして一定の減価補正といったものなどの措置を講じておるわけでございまして、これ以上さらにと、こういうお話でございますけれども、今まさに大蔵大臣御答弁されましたようないろんな課題がございますものですから、慎重な検討が必要であろう、かように思っております。
  184. 細谷昭雄

    ○細谷昭雄君 終わります。
  185. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) 以上で細谷君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  186. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) 次に、広中和歌子君の質疑を行います。広中君。
  187. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 よろしくお願いいたします。  昨日三月三十一日、政府は経済対策閣僚会議を開き、国の九二年度公共事業の上半期契約率が七五%を上回るような前倒し発注をするほか、七項目の緊急経済対策をお決めになりました。また、日銀は本日四月一日、公定歩合を〇・七五%下げました。    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕  こうした経済対策、金融対策は、いわゆる後退の著しい景気てこ入れのためと説明されておりますが、景気は本当に悪いのか、どの分野、どの部門でそれが顕著なのか、まず経済企画庁長官に、どのような御認識のもとにこのような景気刺激策をとられたのか、その背景を説明していただきたいと思います。
  188. 野田毅

    ○国務大臣(野田毅君) けさほども申し上げたんですが、経済の現在の状況というのは、基調としてとらえますときに、特に過去の成長がやや過熱ぎみであった。そういうような中で、いろんな弊害も出てきた、そういう状態から調整局面に入っておる、調整の過程にあるわけでございます。そうした中で、基本的には次への持続的なバランスのとれた成長を期するという意味では、これは避けがたい一つの調整過程にあるわけでありますけれども、現在のところその調整過程がややスピードが速くなった。そういう中で産業界においても落差感が、過去が高かっただけに落差感が非常に出ておる、こういう状況にあろうかと思っております。  そこで、そういう調整局面にありますものの、余りにそれが行き過ぎますと、これから先のバランスのとれた成長を目指していく円滑な移行ということにおいてもいろいろと弊害が出やすくなるだろう、そういうところから今回はてこ入れを早目に対応した方がよろしい、こういう概括的な表現で申し上げることができるのかと思います。  特に、御指摘の過去との比較という意味で申し上げるならば、例えばGDPでとりますと、八七年から九〇年までの四年間、平均五・二%のGDPの伸び率でありました。これが昨年の七-九あるいは十-十二で急速に伸びが鈍っておる。そして、特に昨年の十月から十二月期においては伸び率が〇・〇というところにまで減速をしておるという状況にある。あるいは、住宅の着工件数におきましても、過去の八七年から九〇年ぐらいまでおおむね百六十万ないし百七十万戸のペースであったわけですが、これが百三十万戸のペースになってきた。こういうような過去のレベルから見ると大分減速が目立っておるという状況にあろうかと思います。
  189. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 確かに長官のおっしゃられますように、日本経済は現在、過去数年にわたる力強い拡大成長から安定成長へと軌道修正する調整局面の時期に入っていると言われ、いわゆるバブル崩壊後いかにソフトランディングするかということが問われていると私は理解しております。経済成長は確かにその前期というのでしょうか、あるいは前年に比べると減少しているんですけれども、数年のトレンドで見ると成長している。そういう中で今後日本の経済はどのような展開をたどるのか、今後の長期的トレンドを聞かせていただきたいと思います。
  190. 野田毅

    ○国務大臣(野田毅君) 今申し上げましたように、過去のような高い過熱ぎみの成長をもう一遍目指すというのではなくて、これからは物価あるいは雇用、さまざまな面でバランスのとれた持続可能な成長経路を目指していくということを我々長期的には考えておるわけなんです。  ただ、先ほどちょっと申し落としましたけれども、そういう中で調整局面にあって減速が進んでおるんですが、ややそれが行き過ぎる気配があり嫌いがあるということでありますからてこ入れをやった。そういう過程で、特に在庫調整が今本格化をいたしております。したがって、これからそういう円滑な移行を考えますときに、まず在庫調整の山がいつごろ一巡するのかということが一つは大事なポイントであるわけであります。これは多少業種によって違うと思いますが、そういう民間の自律回復能力なども期待をしながら今回の景気てこ入れ策をやったわけですが、本年度の半ばごろには大体最終需要が引っ張る形で在庫調整が一巡をするのではないか、そういうようなことを踏まえて、それからなだらかに回復過程に入っていくというふうに考えておるわけであります。
  191. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 このたびの緊急経済対策と公定歩合の引き下げは車の両輪として経済を刺激すると言われておりますけれども、公定歩合引き下げの影響に限ってお伺いしたいと思います。  現状況下で投資マインドの向上につながるかということが一点。インフレへの影響はどうかということ。それから、海外貿易黒字問題にどう波及するか。以上の三点について長官にお伺いいたします。
  192. 野田毅

    ○国務大臣(野田毅君) 基本的には公定歩合の引き下げが長短市場金利に影響を与え、それがまた貸出金利の低下ということになれば、やはりその金利の低下ということは投資マインドの向上につながるということは言えると思います。特に、中小企業においてはそういう要素は強いものだということが言えると思います。もちろん、金利だけで投資が決まるということではないと思いますけれども、そういう金利という側面だけから見ますと、投資マインドへの影響というものはプラスに働くのではないか。  それから、物価という関係でありますけれども、現在のところ、基本的に物価が安定的に推移をいたしておりますし、今後においても物価にとって妨げになるような要素が今のところないというようなことを考え、特に製品需給がやや緩んでおるということを考えますと、今回の公定歩合の引き下げによって、それが直ちに物価に反映するということはまずないと考えてよかろうかと思います。  それから、貿易収支への影響でありますけれども、これは二つの要素があると思います。  一つは、この公定歩合の引き下げということが為替レートに反映をして、それが円安に振れるということになれば、むしろ貿易収支は黒字がふえるという方向に働くのではないかという見方があるわけであります。しかし、現在のところ必ずしもそういうような動きをいたしておりませんし、為替レートそのものが、きょうの一日の動きだけで判断するわけにはまいりませんけれども、ある程度織り込み済みであったということもあるかと思いますが、一概には言えない。  それよりもむしろ、内需拡大といいますか、公定歩合の引き下げによって経営者のマインドが改善をされ、そしてまた、先ほど御指摘もありましたが、金利の低下ということが投資なりあるいは特に住宅開運ですね、そういった分野、さまざまな分野で内需拡大への大きな力強さを与えるもとにもなるわけでありまして、そういった形で内需が拡大していくということになれば、逆に貿易収支の方は改善をされる方向をたどるということが言えるのではないかと思っております。
  193. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 では次に、大蔵省にお伺いいたします。  個人の預金残高と貸出残高をお知らせください。
  194. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 便宜、日本銀行経済統計月報からとりました数字で御説明を申し上げます。  平成三年十二月末現在、全国銀行の個人預金残高は二百七兆七千七十八億円、個人向け貸出残高は六十九兆三千六十一億円でございます。
  195. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 この預金金利が仮に〇・五%減ると、預金者の金利による収入は総額でどのくらい目減りするか、そういうことを伺います。
  196. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 先ほど申しましたこの二百七兆円を個人預金の残高として考えますと、それの一%で二兆円、〇・五%では約一兆円ということに相なろうかと考えます。
  197. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 つまり、預金者個人にとりましてはこれは増税に匹敵するようなものではないかと思うのでございますけれども、私は別の数字をここに持っております。一九九〇年度の個人、個人企業を含む家計部門の保有する預金債券残高は、一九九〇年末で五百六十二兆円に達しております。これは約五・八%の利率で回っていたわけですけれども、利子収入は三十二・四兆円でございました。一方、負債の方でございますけれども、二百六十九・九兆円、利子支払い額が十八・四兆円。単純に考えまして、仮に金利が一%低下いたしますと差し引き二・九兆円の所得減というふうになるわけでございます。  金利生活者、財団など利子の運用益に依存しているところでは、それ以外の収入がなくてこういう利子運用益に依存しているところでは、〇・五%の金利低下は実質的にはおよそ一〇%の目減りとなる、そういうことでございますね。こうした高齢化社会への配慮について大蔵大臣のコメントをお伺いいたします。つまり、公定歩合の引き下げは、企業にとっては減税の役割を果たし、個人の預金者にとってはむしろ増税になる、そういう視点についてコメントをお願いいたします。
  198. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 現在、御案内のとおり我が国は預金金利の自由化の過渡期にございます。そういうことで、預金金利につきましては自由金利といわゆる規制金利が併存しておる状況になっておりまして、この中で大蔵省は小口預金金利自由化に前向きに実は取り組んでおるところでございますけれども、この結果、これまで自由化のメリットを受けることが比較的少なかった小口個人預金者層、こういった人たちも公平に自由化のメリットを享受できるようになる点で大きな一つの意義を有するものであろうというふうに考えております。  また、規制預金金利につきましては、今回の公定歩合の引き下げの趣旨にかんがみまして、また、あわせて預貯金金利の引き下げを行うことが適当と考えられるということでございまして、今日この旨を日銀政策委員会に対して発議したところでございます。また、郵便貯金の金利につきましても、今後郵政審議会の方で検討されていくということであります。  そういう意味では、御指摘のございました点からいきますと、ある部分においては確かに金利が下がるという面があると思っておりますけれども、全体的に金利が下がったことによりまして国民経済全体が潤ってくるといいますか活性化をしてくるということになってくると、私は全体にいい面というのが出てくるのであろうというふうに思っております。
  199. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 問題は高齢者のことでございます。高齢社会と言われる現在、そうした個人の利益というのでしょうか、そういうものにも配慮した経済政策を重ねてよろしくお願いしたいと思います。  次に、経済企画庁長官にもう一度お伺いいたしますけれども、個人消費のレベルでは、いわゆる巣ごもり現象というんですか、つまり派手な支出より堅実な消費に、あるいは余り支出の伴わない趣味に転換する消費抑制現象が見られると言われておりますけれども、これをどう受けとめていらっしゃいますか。
  200. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 私も巣ごもり現象というのを、御指摘を受けて初めて認識したんですけれども、確かに食事にしても一般外食が昨年の夏以降減ってきておるという傾向がございます。逆に家庭における米の購入量がふえておる。これは家庭で食事をするという、言うならば巣ごもりという表現になるのかどうかよくわかりませんが、そういう現象がある。  それから、御指摘ありましたように、やはり同じ性能といいますか効用をもたらすものであれば、ブランド物よりもそうでないいわゆる低価格帯にシフトしてきておる。したがって、消費の姿から見ますと、いわばどう言うんでしょうか、派手なものを求めるよりもより実質的なものを求めるという傾向が出てきておる。私は、これはいいことなのか悪いことなのかということを言うわけにはなかなかいかぬと思うんですけれども、いわゆるバブル時代と言われたときに見られた、消費の世界でも過熱ぎみであった、そういう姿から、消費行動もやや堅実な消費行動に移ってきておるのではないかという見方ができるのではないかと思っております。
  201. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 こうしたいわゆる地味な消費というのは、必ずしも憂うことではないし、むしろ例えばそれこそ外で食べるよりも家でのホームパーティーといったような家族団らんのときがふえたり、あるいは環境の視点から考えますと、いわゆる過剰消費というのがごみ問題などを併発するわけでございますから、決して悪いことではない。しかしながら、経済の成長という視点から見ますと、かなり問題ではなかろうかななんていうふうに一方では思います。  他方、時間短縮が消費拡大につながるという考え方がございますが、私も読んだことがあるんですけれども、スコット・バーンズという人の書いた「家庭株式会社」。しかし、日本では豊かさの実感がないという庶民が多いんですけれども、日本で当てはまるでしょうか、お伺いします。
  202. 野田毅

    ○国務大臣(野田毅君) 労働時間の短縮が消費拡大につながるかどうかということについて、平成元年度の国民生活白書で、時間と消費という関係について分析を行ったことがあります。その試算によりますと、六十二年の可処分所得四百八十七万円を基礎とすると、完全週休二日制が達成された場合の一世帯当たりの消費増加額が五万八千円、完全週休二日制に加えて年間二十日間の有給休暇取得が達成された場合の増加額は、年間八万一千円ということになりまして、その内訳では教養娯楽関係費が高い伸びとなっておる。したがって、今後労働時間の短縮が進み時間制約が緩和されれば、自由時間活動開運消費を中心に消費は拡大する、こう分析されております。  また同時に、意識面から見た姿はどうなのかということでいきますと、平日の労働時間が一時間減った場合には、家計の支出は「変わらない」と答えた人が半数を超えておるけれども、休みの日が一日ふえた場合にはどうなのかということで聞きますと、増加すると答えた人が過半数を超えておる。さらに、一週間程度の連続休暇がふえた場合には、消費が増加すると考える人がさらにふえておりまして、「かなり増える」というのが四七%、「少し増える」が二九%ですから、合わせて七六%の人がふえるとこういうことになっておりまして、国民意識の面から見ても、自由時間の増加によって消費は拡大する、こういう分析になっております。  もちろんこれは時間短縮ということが、一方で所定外労働時間が減るということになると収入も減るということも伴うわけでありますし、また一方で、今日のような人手不足の状況下においてそういうことを達成しようとすると、今度は経営の側はそれに対して省力化投資とかそういうようなことを一方でやらなきゃいけない。したがって、企業経営上は圧迫要因になるかもしれないけれども、そういう意味で設備投資をふやす要因が、別途需要をふやす要因として出てくる。さまざまな角度からの検討が必要なのではないかと思っております。
  203. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 大変おもしろいテーマだと思います。  ちょっと話題を変えまして、国土庁にお伺いいたします。  国土庁の地価調査によりますと、最近土地が下がっているということでございますけれども、値上がり前に比べて現在どのくらい高いか伺います。そして、さらなる値下がりが望めるかということについても伺います。
  204. 鎭西迪雄

    ○政府委員(鎭西迪雄君) 先般公表させていただきました平成四年の地価公示によりますと、大都市圏におきます地価は顕著な下落を示しておりますし、地方圏におきましても地価上昇の鎮静化または下落が見られる地域が拡大いたしました。この結果、平成三年一年間の変動率でございますけれども、昭和五十年の公示以来十七年ぶりのマイナスということになっております。  しかしながら、大都市圏の地価はピーク時に比べれば相当下落はしておりますものの、地価高騰前に比べますと依然東京圏、大阪圏の住宅地の地価は約二・二倍強の水準にございます。この間のGNPあるいは所得の向上等を考慮に入れましても、なお高い水準であるということは否めないところだと思います。  したがいまして、取得能力の向上あるいは建築コストの低減等が相まってトータルな話ではございますが、地価の面だけから見ましても、私どもといたしましては、中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅を確保し得る、そういう地価水準の実現を目標にいたしておりますので、さらなる下落ということが必要であろう。そのためには、構造的かつ総合的な土地対策を着実に今後も推進していく必要がある、かように認識しているところでございます。
  205. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 鎮静化しているといっても東京圏、今お話がありましたように二・二倍強の水準でまだ高い状態、これは昭和五十八年前に比べてのことでございますけれども。しかし一方では、地価の鎮静化を理由に地価税の廃止を要望する声が非常に聞こえておりますけれども、大蔵大臣の御見解を伺います。
  206. 羽田孜

    ○国務大臣(羽田孜君) 今お話がありました平成四年の地価公示によりますと、大都市圏を中心にしまして地価は鎮静化の傾向を示しておるというふうに思っております。これは土地税制などの措置によりまして、これは一月から、ことしから始まったんですけれども、アナウンスメント効果というのが非常に大きかったんじゃなかろうかというふうに思っております。いずれにいたしましても、こういった措置というものの効果があらわれ始めておると思っております。  しかし、今御議論にありましたように、大都市圏の地価水準というのは、ちょうど五十八年の二倍以上ということで依然として高いわけでありまして、土地問題の解決が我が国の経済社会にとりまして重要課題であるということは変わらないというふうに認識をいたしております。  地価税の創設を含みます土地税制改革、これは広範な議論、これを踏まえまして講じられたものでございまして、土地取引の規制ですとかあるいは土地利用計画と並ぶ土地問題の解決のための総合的な政策の重要な柱であろうというふうに私どもは認識しております。現在の地価の鎮静化傾向を定着させていくためにも、引き続きこの円滑な実施と着実な定着を図っていく必要があろうと思っております。とりわけ地価税は、総理もいつも言われますように、いわゆる土地神話というものをこれは打破するんだ、そして二度と地価高騰を生じさせないようにするために、長期的体質改善的な措置であろうというふうに考えておりまして、私たちは今後ともこの地価税というものを国民の理解の中で定着させていきたいというふうに考えておることを申し上げたいと存じます。
  207. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 これまでも、地価が少し下がると対策緩和を求める声が業界から上がります。政府が手を緩め地価高騰が起こるというパターンが繰り返されないように、ぜひ要望させていただきたいと思います。  次に、株価低迷の原因について大蔵省にお伺いいたします。  株価が今下がっておりますけれども、その原因は何か、伺います。
  208. 松野允彦

    ○政府委員(松野允彦君) 株式市場は今非常に低迷をきわめているわけでございます。いろいろな原因が考えられますが、私どもその大きな原因を幾つか申し上げますと、一つは、やはり昨年来証券界を取り巻きますいわゆる不祥事がいろいろと生じまして、それによって特に個人投資家の証券界あるいは証券市場に対する信頼感というものが失われ、それが必ずしもまだ回復をしていないという問題がございます。反面からいいますと、これが証券会社の営業姿勢の迷いにもつながっているんではないかというふうに考えているわけでございます。  それから、次の原因といたしましては、昭和六十二年から平成元年度まで非常に大量の増資、転換社債あるいは新株引受権つき社債の発行が行われまして、株式の大量の供給、あるいは株式に転換が進まないいわゆる潜在株式というものが大量に存在するというのが、証券株式市場の圧迫要因になっているということが挙げられると思います。  さらに、株式自体の投資魅力といいますか保有魅力が非常に落ちているわけでございまして、配当だけでの利回りというものが非常に低い水準になっているということがございます。こういう状態では、キャピタルゲインを望めない場合には非常に保有、投資魅力がないということが言われているわけでございます。  さらに、最近発表されております企業業績も悪化をしておりますし、あるいは企業の業況判断の悪化というのが明らかになってきているということも圧迫要因になっていると思います。  また、一般の事業会社が株式投資を非常に盛んに行っていたわけでございますが、これが財テクの失敗などによりまして、極端に株式の投資あるいは売買に消極的になってきているというような原因が挙げられると思います。  これらの原因は、あるものは一時的な原因でございますけれども、かなり構造的な原因もあるわけでございまして、こういったものに対して一つ一つ対策を考えていく必要がある。やはり信頼回復策を考える、あるいは保有魅力、株式投資魅力を高めるというようなこと、あるいは経済対策等で対応するというようないろいろな問題、複合的な対策をとることによってしかなかなか現在の株式市場の低迷を転換するということが難しいのではないか、即効的な対策というのはなかなか見つからないというのが現在の私どもの考え方でございます。
  209. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 かなりペシミスティックなお言葉でございましたけれども、日本の配当性向は世界の中で最も低いとされておりますが、それは事実でございますか。
  210. 松野允彦

    ○政府委員(松野允彦君) 配当性向は配当額と利益の割合ということで計算されるわけでございますが、主要国、特にアメリカ、イギリス、ドイツなどと比べますと、日本はかなり低い水準にございます。平成二年度で申し上げますと、日本は上場企業の平均で三〇%でございまして、アメリカが五四%、イギリスが六六%、ドイツが五〇%ということで、かなり低い水準にございます。
  211. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 海外進出企業の利益率はどうでしょうか、通産省にお伺いいたします。
  212. 榎元宏明

    ○政府委員(榎元宏明君) お答え申し上げます。  海外進出企業全般の数字をただいま持ち合わせておりませんので、海外進出の大宗をなすといいますか、自動車であるとか家電であるとかパソコンの分野について例示的にお答え申し上げたいと思います。  これらの分野につきまして、八八年度から九〇年度までの過去三年間の税引き後売上高利益率の平均を計算いたしますと、自動車メーカー上位五社につきましては二・六%、家電上位八社につきましては二・九%、パソコンメーカー上位三社につきましては二・七%という状況でございます。
  213. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 これは低いんですか、高いんですか、よくわからないんですけれども。
  214. 榎元宏明

    ○政府委員(榎元宏明君) 大変失礼しました。  国際的に比較いたしますと、例えば自動車につきましては、アメリカの自動車産業の場合は非常に景気の好不況によりまして大きく変化をしておりますけれども、この三年間平均をいたしますと、また欧州の主要メーカーとも比較いたしますと、おおむね同じような数字が出てきております。それから家電につきましては、これは比較すべきメーカーがさほど多くはないのでございますけれども、欧米の主要メーカーと比較しますと大体同じかなという状況でございます。しかしながら、パソコンメーカーにつきましては、米国の主要メーカー数社と比較すれば日本の企業は低いというふうに言えると思います。  それから、これは私どもの数字ではなくて大変恐縮なんでございますが、世界企業の上位千社、これは米国の経済誌の資料でございますけれども、これで全体の比較をしてみますと、日本企業はこの中に三百九仕入っているのでございますが、したがいまして業種的には今申し上げました三つの業種以外のものも入った全体的なものでございますけれども、それによりますと世界の平均は四・六%でございます。アメリカは五・六%、それからドイツは五・九%、これに対しまして日本の企業は二・四%ということに相なっております。
  215. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 私は、経済学者じゃないから結論めいたことは申しませんけれども、どうも日本の企業の国際競争力というんでしょうか、特にこうした高度技術を使うところの企業でございますが、それは何か日本の消費者とか労働者とか投資家の犠牲と言っちゃ大げさかもしれませんけれども、損失の上に成り立っているんではないか。配当率を見ましても非常に日本の場合低い。  それから、それが株価に反映されているのかもしれませんけれども、例えば日産自動車、株価が六百二十五円、きのうの段階ですけれども、十四円の配当を下さっております。ところが、フォードの方は六千円前後でございまして、四百円の配当を払っている、約七%の利回りがあるわけでございまして、非常に魅力的であるというわけです。  株というのはリスクも伴うわけでございますから、やはり配当というのが銀行の利回りを超えるようなものでなければ投資する気がないですよね。そして、株なんというのはどうでもいいと言うなら別でございますけれども、日本は資本主義経済をとっているわけでございまして、資本主義というのは、私が申し上げるまでもなく、経営者、労働者、投資家の三本の柱から成り、それが非常にまんべんなく、利益というのでしょうか、それを配分する、そういうところから成り立っていると思いますけれども、日本の企業はちょっといびっじゃございませんか。通産大臣にお伺いいたします。
  216. 渡部恒三

    ○国務大臣(渡部恒三君) 今、いろいろ先生の御高見を承っておったんですが、基本的には、我が国の企業のすばらしい発展また国際競争力、これは技術革新、合理化などの大変な努力を進めてきた結果、すばらしく良質で信頼性のある製品を消費者に提供することができるようになって今日を迎えておるわけでありますけれども、日米構造協議等でもいろいろ日本についての厳しい批判が行われました。決してそれがすべて当たっているというものではありませんけれども、我々はやはり正しい批判には誠実にこたえていかなければなりません。  いろいろこれは右からの議論と左からの議論で難しいところですけれども、国内などでも私は今よく企業経営者の皆さん方に言っているんですが、私らの地方でも今までは何か売り上げたけで、おかげさまで今年十億円の売り上げを出すようになりましたとか、十二億円の売り上げで去年より二億ふえましたと、こういうようなことを言う人はいるんですけれども、何千万円利益を上げることができましたというようなことは、まず我々おつき合いしていてこれはありません。  やっぱり企業は本来、利益を追求して、もとよりそれが投資家に配分され、あるいはそこで働く人たちに配当され、またそれが税金となって世の中のために、社会福祉や教育のためになっていくわけですから、企業が利益を出すことはいいことなんですけれども、最近は税務署の新聞発表も変わってきましたが、何か利益を上げることが悪いことみたいな社会風潮も一時ありましたし、やはり永遠に高度成長というわけにはいかないんですから、この辺で産業界の人たちも企業の質的な転換ということを考えていかなければならない時期に来ているのかなというような感じは受けます。
  217. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 どうもありがとうございました。  その配当でございますけれども、配当率向上について株主の意見が反映されることが大切だろうと思うのでございますが、投資家への配慮が非常に今の株式市場には欠けているんじゃないかと思われますが、その改善について御意見をお伺いしたいと思います。
  218. 松野允彦

    ○政府委員(松野允彦君) 先ほどお答え申し上げ。ましたように、日本の配当性向が諸外国に比べて低い、それが一つの原因で株式の投資魅力が非常に低くなっているわけでございますが、これを是正するために私どもも実は従来から、特に株式市場で資金調達をします企業に対しまして配当の引き上げということを要請をしているわけでございます。  今般も、ちょうどきょうからでございますが、証券業協会が新たなルールをつくりまして、株式市場において資金調達をする企業については、少なくとも上場企業の配当性向、先ほど申し上げました三〇%というものは少なくとも実現してもらいたいと。それをさらに上回る配当の増加ということが望ましいわけでございますが、ルールということでございますので、関係者の同意ということになりますと、少なくともそのぐらいのことはやってもらいたいということでそういうルールをきょうから実施をしたわけでございます。  現在のこの株式市場の状況でございますので、資金調達ということが事実上できない状態で推移をしているわけでございますが、株式市場の状況が今後許すようになった場合に、株式市場での資金調達が始まる場合にはこのルールをできるだけ守って、これは発行会社もそうですけれども、引受証券会社が発行会社に対してそういうことを要請するということにしているわけでございます。そういったことを通じて、できるだけ株主、特に個人株主の配当をふやしていくというようなことを考えていきたいというふうに思っているわけでございます。
  219. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 専門家に向かって大変失礼なんですけれども、上場のルールを厳しくするというのは、いわゆるベンチャーキャピタルなどにとってはむしろマイナスであって、そういう意味では資本市場の非活性化につながるんじゃないか。むしろ、株を買う人、投資家にはリスク評価の公示みたいなもの、そういうものをきちんとすることによって、そして投資家には投資リスクというんでしょうか自己責任を教育する、そういうことの方が大切なんじゃないかと思うんです。特に上場する際というのはまだ会社というのはきちんと育っていない、しかしながら資金が要るということで一般の投資家にいわゆる援助を求めるわけでございますから、そこの部分で既に上場されている企業と同じ配当ルールみたいなものを当てはめるというのはいかがなものかなと思います。  私はそのほかに、配当率を高めるということだけではなくて、個人投資家の投資手続の簡素化とか、それから今申しましたリスク評価の公示、それからリスクに対する教育、特に個人投資家に対してぜひこのようなことをやっていただかないと個人投資家は株式市場には戻ってこないんではないか、そのように思われますけれども、コメントをお伺いいたします。
  220. 松野允彦

    ○政府委員(松野允彦君) 確かに御指摘のとおりでございます。  上場する企業あるいはその以前の段階で、店頭市場で公開をする企業というのがございます。特に、店頭市場で公開する企業というのはいわゆるベンチャービジネスでございまして、将来性があるけれどもリスクも高いという企業が多いわけでございます。それがさらにある程度の規模に達しますと初めて上場という問題が出てまいります。先ほど申し上げましたルールにいたしましても、実は一般的な原則を申し上げたわけでございまして、そういう成長性が高いけれどもリスクの大きい企業、これは実はかなり利益率が上下するわけでございまして、そういうものについては特別の配慮をするということにもちろんしております。  それから、御指摘のリスクを十分開示して投資家の自己責任を高めていくべきではないか、これはまさにそのとおりだと思います。私どもの証券取引法では、ディスクロージャー制度ということで、いわゆる有価証券の報告書とか届け出書とかいうことで企業の情報を提出してもらって、それを一般の公衆縦覧に供するということにしております。ただ、実際に個人投資家がそれを全部見るということは不可能なわけでございまして、やはりそういうものを専門家が分析して、あるいは格付機関が格付をするなり、あるいは専門的な経済分析機関が分析をしたレポートを出すなりというようなことで対応する。  証券会社も、今回のいろいろな不祥事を契機にして、やはりそういう情報を営業マンに提供して、その営業マンが投資家にその情報を十分提供することによって投資家の適正な投資判断を求めるというような営業姿勢に切りかえていこうという努力をしているわけでございまして、これはなかなか一朝一夕にできる問題ではございませんけれども、証券会社の投資勧誘方法というものもかなりそこは今回の教訓を踏まえて、できるだけ投資家の自己責任原則のもとで投資が行われるようにという努力をしておりますし、私どもも、それをこれからもずっと推進していくことによって株式市場というものが本当に自己責任のもとで投資家が参加していただくような市場に持っていくのが一番望ましいし、またそうしないと活性化あるいは発展をしないというふうに考えているわけでございます。
  221. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 よろしくお願いいたします。  次に、進ませていただきます。  本年度予算における公共事業費の七五%を前倒しするということでございますけれども、下半期の公共事業の執行については新たな公共事業対策を考えていらっしゃるのか。下半期には補正予算による公共事業費の追加が必要ではないか。それが質問でございます。
  222. 羽田孜

    ○国務大臣(羽田孜君) この問題につきましては、前倒しすると当然それが穴があくじゃないかという御指摘、これは実は再三あるわけでございますけれども、私どもといたしまして、この事業というものをやっていきますと、全体をどう執行していくかということであります。  私たちは、一応七五%を上回るものを目標にしながらやっていくということでありまして、これがどんなふうに流れていくのか。今有効求人倍率がまだ高い、特に建設業界においては非常に高いものを示しておるという現状がございます。そういうものを見きわめていかなければいけないであろうということでありますし、また、今度こういう措置をとったことによって相当経済に、いわゆる民間部門にも大きな活力を与えていくことになるであろうということを考えたときに、さあその後を入れることがどうなのか。これは今ここでまた判断できる問題じゃなかろうというふうに思っておりまして、現在の時点で、私たちはそういったものの効果というものが発現されて、公共事業の追加というものは必要ないであろうというふうに考えておることだけしかまだ申し上げられないことをお許しいただきたいと思います。
  223. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 では、それ以上追及するのはやめまして、次に、平成二年度の公共投資額は幾らでございましたか。
  224. 長瀬要石

    ○政府委員(長瀬要石君) お答えいたします。  平成二年度の公共投資額についてのお尋ねでございますが、公共投資の実績につきましては、各省庁が各都道府県でございますとか市町村等のデータを調査しとりまとめましたものを、私ども経済企画庁がヒアリングをすることによりまして各公共投資実施機関の事業実績を把握いたしました上で、いわばGNP統計でありますとか地方財政統計年報といったさまざまな統計を勘案しながらっくるものでございます。  何分にも公共事業、全国津々浦々で行われておりますので、これらの作業、大変膨大でございまして、勘案すべき統計すべてが整理されるのは大体一年ぐらいかかるということもありますので、公主投資の実績のとりまとめには年度終了から大体一年程度は要るのではないか、こういうことであります。  したがいまして、平成二年度の公共投資の実績額につきまして、現時点で確定した数字というものはないわけでありますけれども、あえて一つの参考として申し上げさせていただきますならば、国民経済計算、GNP統計があります。この中では、マクロ的に把握されたものでございます公的固定資本形成の現時点での平成二年度の数字、これが二十八・六兆円でございますけれども、これに過去の用地費なりあるいは補償費等のおおよその比率、これが一五%程度でありまして、これを加算して計算をいたしますと、およそ三十三兆円程度ではないか、このように見ているところでございます。
  225. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 予算案の中で、公共投資というのがどういう形になっているのかということが非常にわかりにくくて御質問しているわけですけれども、アメリカに約束した四百三十兆円の公共投資につきまして、どういう形で使われるのかお伺いいたします。そして、本年度予算の中ではどういう形で実現されているのでしょうか。
  226. 長瀬要石

    ○政府委員(長瀬要石君) お答えいたします。  先生御指摘の四百三十兆円、これは公共投資基本計画におきまして、一九九一年度からの十年間の公共投資のおおよその総額でございまして、今後の社会資本整備の水準などを想定しながら、他方におきまして経済全体とのバランスを考慮しながら、四百三十兆円というおおむねの規模を設定したものでございます。  これにつきましては、公共投資基本計画に示されておりますように、年々の経済の状況等を見ながら、各年度の予算でございますとか各種の公共投資長期計画等の中で示されていく、こういうことでございます。  そういう意味で、四百三十兆円の公共投資基本計画と申しますのは、いわば公共投資につきましての大きな枠組みと基本的な方向を示したものである、こういう性格のものだと理解をいたしております。
  227. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 今年度予算の中で。
  228. 長瀬要石

    ○政府委員(長瀬要石君) 政府の経済見通しにおきまして、平成四年度公的固定資本形成が掲げられているわけでございますけれども、これに先ほど申しました。地費、補償費等一五%程度という比率を掛けて計算をいたしますと、概算でございますけれどもおよそ三十五兆円程度になるのではないか、このように考えております。
  229. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 額は三十五兆円ですね。そしてどういう形で使われている、どういうところに配分されておりますか。目玉みたいなものをおっしゃっていただければ。
  230. 斎藤次郎

    ○政府委員(斎藤次郎君) 四百三十兆というのは十カ年にわたる長期計画でございまして、来年度予算での公共事業のシェアと直接結びつくものではございませんけれども、また公共投資と申しますのは、広く社会基盤の整備ということで非常に広範な範囲にわたるわけでございますが、公共事業の配分ということで申し上げますと、やはり生活開運重点化枠というのを設けたりいたしまして、国民生活に関係の深い環境衛生、住宅、下水道、公園といったような事業に特に重点を置いて配分をいたしておるわけでございます。    〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕
  231. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 私も実を言うとこの質問の前に御説明いただいたんですけれども、どうも現在の予算の枠組みの中で散りばめられているというような、少しずっはふえているわけでございますけれども、そういう現在の枠組みの中で漸増するというやり方は余りにもこそくではないかなと。私は新たな枠組みを考えるべきではないかと思うのでございます。  最初四百三十兆円の公共投資十年間と伺いましたときに、何か二十一世紀、未来に残すすばらしいものがあちこちにできるんではないかといったような夢を持ったんですけれども、国民に夢と希望を与えるようなそういったプロジェクトですね、具体的なプロジェクトをお示しになるべきじゃないかなと。さもなきゃ何だか四百三十兆円、我々の税金がどこへ消えていっちゃうのかといったような、もちろん生活関連とかいろいろおっしゃいますが、もうちょっと目に見える形で使っていただけないかなと思うんですけれども、御意見伺いたいんです。
  232. 長瀬要石

    ○政府委員(長瀬要石君) お答えいたします。  公共投資基本計画で掲げておりますおおむね四百三十兆円と申しますのは、過去十年間の公共投資の実績がおよそ二百六十三兆円と見込まれておりますので、これに対して、過去十年間に対して今後九〇年代の十年間にはその一・六倍程度の公共投資をしようではないか、こういった趣旨のものでございます。そういう中にありまして二十一世紀に向けて、一つには国民生活の質の向上を図っていこう、二つには国土全体につきまして多極分散型の国土を形成していこうではないか、そして我が国経済社会の長期的な発展の基盤を形成していこうではないか、こういった大きなねらいのもとにこれからの公共投資の基本的なあり方をこの計画に則してやっていこう、こういうものでございます。  先生御指摘のような点について若干申しますと、今回のこの計画におきまして、生活関連、文化機能に重点化しようということでございますが、国民生活に身近な分野について申しますと、例えば下水道につきまして二〇〇〇年を目途に総人口普及率を七割程度にするということでありますとか、あるいは都市公園等につきまして住民一人当たりの面積を十平米程度まで広げようとか、あるいは廃棄物処理施設につきまして市町村が処理すべき廃棄物のほとんどすべてを減量処理しようとか、住宅についても百平米程度にしようというようなそういった目標を掲げているわけでございます。  同時にまた、大規模プロジェクトという点についての言及をいただいたわけでございますけれども、公共投資基本計画におきましては、個別分野の具体的な姿というものにつきましては、これはこの計画を踏まえながら各種公共事業長期計画でありますとか、また各年度の予算の中で示されていくというものでございまして、大規模プロジェクトにつきましても、そのような各種公共投資の計画の中で、また各年度の予算に計上されるという形で示されていくということになるわけでありまして、そういう形で形成されていくプロジェクトというものがやがて国民の目に見える形として国土の上に形成されていく、こういうものだと考えております。
  233. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 今おっしゃった生活関連、それぞれ皆大切だということもわかりますけれども、同時に、単年度ではなく十年間の計画のもとに大きなプロジェクトというのも今からおつくりいただいて頑張っていただきたいと思うのでございます。  その一つといたしまして新首都建設があるのではないかと思うのでございますけれども、これは大方の国民のコンセンサスも得られているところではなかろうかと思います。少なくとも東京の一極集中に関する懸念というのは広がっているわけで、我々、国会移転の決議も衆参両院でしたところでございます。国土庁のもとにつくられている首都機能移転問題に関する懇談会の中間取りまとめが出ましたけれども、この要点というんでしょうか、かいつまんでお話しいただければありがたいと思います。国土庁長官にお願いいたします。
  234. 西谷剛

    ○政府委員(西谷剛君) かなり大部の報告でございますのでなかなか要点も申し上げにくい点もございますが、まず規模から申しますと、新都市の規模は人口約六十万人、この場合に必要となる面積は約九千ヘクタール、事業費の概算をいたしますと約十四兆円、こういうようなやや具体的な形を示しております。それから開発方式といたしましては、一団地型のべたに両開発をするのではなくてクラスター型開発方式という幾つかのゾーンを点々と散らしていくという開発方式、こういうものを提案しております。
  235. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 今、クラスター方式というふうにおっしゃいましたよね、点々と散らしていくと。ちょっとイメージとしてつかみにくいんですけれども、もう少し詳しくお伝えください。
  236. 西谷剛

    ○政府委員(西谷剛君) クラスターと申しますのは元来ブドウなどの房という意味のようでございますけれども、国土計画なり開発行政なりで用いておりますときは、一カ所に大きな面をつくるのではなくて幾つかの房を例えば交通軸に沿って散らしていく、こういう方式を言うわけです。言い方をかえますと、小都市を幾つかつくって、それらを有機的に結びつけまして、全体として見ると都市群になる、こういう構造とお考えいただければよろしいと思います。  なお、この背景にあります考え方は、首都機能移転ということになりますと非常に長期にわたることでもあり、社会情勢の変化を踏まえて段階的にやっていくことがいいだろう。まず第一クラスターをつくる、そして社会経済情勢の変化を見て次に第二クラスターに移る、また変化を踏まえて第三に移っていくというように弾力的な対応が要るということが根本的な思想でございまして、そのため中間報告では段階的クラスター型開発方式という名前を提言しているわけでございます。
  237. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 そのクラスターというのは、先ほど出ました九百ヘクタールの中におけるクラスターですか、それともそれとは別に幾つかクラスターがあって、そして大きな大都市というんでしょうか、そういうものに結びついていく、そういうことなんでしょうか。
  238. 西谷剛

    ○政府委員(西谷剛君) こうお考えいただければいいと思います。  九千ヘクタールですが、九百ではなくて九千ヘクタール、それを千ヘクタールに分けて九つ、あるいは五百ヘクタールで十八になりますか、どう刻むかということまで明示はしておりませんけれども、そんなふうにお考えいただければいいと思います。
  239. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 新首都の移転先については何というか、最終的に決めるので今の段階ではディスカスしないというのが私の属しております新首都問題懇談会の基本的な姿勢でありまして、今度の報告にも示されていないと思うんでございますけれども、しかしながら、どのような場所が望ましいかといったような条件、要件ですね、そういうものについてお示しいただきたいと思います。
  240. 西谷剛

    ○政府委員(西谷剛君) 中間報告で示されております条件は、次のような条件でございます。  一つは、地震、火山による災害の危険の少ない地域であること。二つ目は、急峻な地形でないこと、急峻、急角度ですね、急傾斜でないこと。三つ目は、十分かつ安定的な水供給を行える地域である、水があること。四つ目が、東京圏は避けるべきであること。そして五つ目が、交通の利便性にすぐれていること。そして最後に、土地取得ができるだけ容易な地点を選ぶべきであること、以上のような条件が示されております。
  241. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 土地取得というのはこの狭い日本で容易であるというのが可能かどうかわかりませんけれども、ともかく地価高騰につながらないような、そしてすばらしい都市がつくられることを希望しております。  我々が新都を建設するという場合、具体的にイメージすることは非常に難しいんですけれども、さっきクラスター方式とおっしゃいましたけれども、恐らく段階的にできていくんじゃないかと思うんですが、そうしたときに重都というんでしょうか、東京はそのまま都市として機能しつつ移転先とされるところも首都として機能し始めるといったような、そうした重都としてしばらく続くというような考え方になるんでしょうか。
  242. 西谷剛

    ○政府委員(西谷剛君) 報告書では一方で首都機能移転というのは災害対策上非常に緊急を要する、こういうことを出しております。  同時に他方、先ほど申し上げましたように、全首都機能が一遍に一挙に行くということは、これは困難なので段階的に移るべきである、こういうことを言っているわけです。そうなりますとファイナル、最終的には全部移転でございますけれども、そこに行くまでの間というのは当然東京に一部は残り、一部新都に行くということですから、重都ということになろうと考えます。
  243. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 最後に国土庁長官、せっかくおいでいただいたので、この新首都建設に向けての前向きな御所見を伺わせてください。
  244. 東家嘉幸

    ○国務大臣(東家嘉幸君) 今日まで先生には推進の立場でいろいろと御提言いただいておりますことも承知いたしております。  首都機能移転懇談会で今日まで論議されましたのは、まず移転をした方がいいのかどうかということから入って、それぞれの御意見がございました。しかし、中間的な取りまとめとして移転しようということに決定いたしたわけでございますが、やはりこれは国会で決議をされましたことでございますので、私たちは今後ともこの推進にはあらゆる角度からの検討を、さらに方法論等も含めて進めていかねばならないと思っております。  今、局長、大分突っ込んだ話をされたようでございますけれども、これからとにかく九千ヘクタール買収なんですから、また六十万人を動かすんですから、そしてまた十四兆円というお金を費やす大事業ですから、これはもう相当慎重に、そしてまた一番大切なことは国民の合意をどう形成していくかということにも努めていかねばならないと思っておりますので、今日の段階で具体的なことには余りまた、いろんな懇談会または特別委員会等でも今後論議していただいて、そしてその中によりよい方法を見出すことが必要だと私は思っております。
  245. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 どうもありがとうございました。  次に労働大臣にお伺いいたします。  我が国の労働力の需給見通しについてお伺いいたします。  非常に逼迫しているということが言われて長いわけでございますけれども、そういう中で、外国人労働者に対する基本的な態度もあわせてお答えください。
  246. 近藤鉄雄

    ○国務大臣(近藤鉄雄君) お答えをいたします。  当面は景気の調整が言われておりますけれども、御案内だと思いますけれども有効求人倍率は依然として一・二とか三、十人の求職に対して求人が十二、三、こういうことでございますから、いわゆる失業率も二%でございますので、依然として需給関係は厳しい、こういう状況でございます。  長期的に考えますと、労働省の雇用政策研究会が最近レポートを出しておりますけれども、いわゆる出生率が低下している。それから労働人口が高齢化してまいりますので、労働力率が下がってまいりますので、二〇〇〇年六千六百万人弱をピークとしてこれから下がっていくだろう、労働力の供給としては。したがいまして、日本経済が大変な不況になって経済成長がマイナスということなら別でありますけれども、日本経済が順当な成長を続ける限り将来的に労働力は極めて厳しい需給関係にありますので、そのためにはいろいろ省力化投資とか産業の低生産セクターから高生産セクターへの労働力のシフト、そういったことを考えなければならない。  外国人労働力の話が出ましたけれども、私は、日本で何でも物をつくることを考えましてじゃんじゃんつくって輸出をして、人が足りないから外人にやらしちゃえ、また物をつくってまた売って、人が足りないからまた外人をということでは、これは日本は世界経済に対して言ってみれば非常に錯乱者になってしまいますので、私は労働力不足のマクロ的な対応は、むしろ日本で何をつくるかということをある程度決めるといいますか、そして不得意なところは海外からつくってもらって輸入してくる、そういう形でマクロの経済調整はむしろ全体の生産性の向上とそれから産業構造調整、国際分業、そういう形でマクロの経済需給バランスを維持していくということではないか、かように考えております。
  247. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 大臣、しかしながら国際分業ということも製造分野においてはよろしいかと思いますけれども、サービス分野におきましては、特に高齢化社会を迎えまして、きのうも看護婦さんとかホームヘルパーの人手不足の問題などを本会議で討議したわけでございますけれども、そうした分野におきまして非常に大変な問題になるんではないかなという予想があるんですけれども、いかがでございましょうか。
  248. 近藤鉄雄

    ○国務大臣(近藤鉄雄君) 流通分野における生産性が低いことは御指摘のとおりでございますが、そのことが日本全体の労働生産性を低目にしているわけであります。ですから私は、流通分野においてもこれからもっともっと欧米並みの合理化をしていかなければならない。まさに産業構造調整が必要であるということでございますし、片一方でまさに今の時短を進めていこう、週休二日制、それから週四十時間労働というものを進めてまいりますと、結局そういう労働条件、いわばレーバーユニットを前提としての経営のあり方、そして産業構造のあり方を考えて、そこで国内的に採算が合わないような商品生産については海外に依存していくと。  そこで、最後に御指摘の介護労働または看護労働でございますけれども、私は、この分野においても最近のハイテクを使っての合理化、ロボット化がまだまだ可能だと思いますが、最後は人間のケアによらなきゃならないわけでありますので、それは国民経済的にまた社会的に必要な分野の労働でございますから、その関係する方々のいわゆる賃金、収入がほかの産業と比較して高くなって当然だと思うんですね。私は、そういう点では産業構造を調整する場において各産業間の労働賃金のいわば変更、社会的ニーズに適応する労働供給が可能になるような新しい賃金体系というものを考えていかなきゃならない、かように思います。  ただ、きのうも本会議で申し上げましたけれども、看護婦さんの力を持ちながらいわば潜在的にお仕事に出ていらっしゃらない方々がいらっしゃいますが、そういった方々が家庭生活をいろいろしながらお仕事ができるような形のいわゆる家庭生活と職業とのバランス、例えばパートだとかいろんな形の調整を今後もっと積極的に考えていくべきではないかと思っております。
  249. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 社会の需給に見合った労働賃金ということになりますと、例えば大工さん、新聞や中づり広告に出ていましたけれども一日三万円だそうでございます。ところが看護婦さんとかホームヘルパーさんとか、特に看護婦さんの場合にはかなりの高度な知識なり技術を持っている人でございますけれども社会需給を今のところ反映していないというところがありまして、ぜひこの分野では進歩しなければいけないと思っているところでございます。  まず、労働省として、ちょっとしつこいようでございますけれども、外国人労働者に対しては原則的にはどういうお考えでしょうか。各省庁違うということは存じています。
  250. 近藤鉄雄

    ○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生、労働力不足経済というのは大変な経済と言われますけれども、それだけ日本人の労働力の価値が高まった経済なんです。だからやっぱり我々の先輩のまさに努力した経済成長が現在の状況をつくったので、さあ労賃が高いから今度は安い外人いらっしゃいというのがいいのかどうか。私は大変だと思います。思いますが、この労働力不足、高い労賃、そして労働条件というものをからっと受けとめて、こういう労働者を使えるような、日本の国民を高く使えるような要するに生産体系とか産業構造にもっともっと真剣に取り組むべきであって、海外に安い人がいるからいらっしゃいということでは、私はせっかくの産業構造の改革だとか経営の改革のそういうチャレンジがなくなってしまうと思っております。そういう点からも、単純労働を入れることについては私としては慎重でなきゃならないと思います。  ただ、そう言っても、意欲のある立派な外国の青年がいらっしゃるわけでありますから、そういった方々に来ていただいて積極的な技術訓練、技能訓練をする、そして日本で実際に実務をしていただいて、身につけていただいて、海外に帰られてその地域地域の新しい産業の担い手になっていただくということは、これは積極的にすべきだ。そういうことで外人の方々の、殊に若い方々の技術技能実習制度を大きくこれから開いていこうと、こういう考え方であります。
  251. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 どうもありがとうございました。  次に、女性の就労について、女性労働者についての労働省の基本的なお考えをお伺いいたします。
  252. 近藤鉄雄

    ○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生、日本は労働力が足りないから、あそこのおばさんも働きにいらっしゃい、あそこのおじいさんも働きにいらっしゃいというのでは、私は何か戦争中の動員計画になってしまって、まさにエコノミックアニマルではないか、エコノミックアニマル的な経済だと思うんです。ですから労働力不足だからということじゃなしに、ただ、先生を初めとして大変優秀な女性が我が国にたくさんいらっしゃる、そういった方々が例えば家庭生活から、まさに家庭生活から電化でいろいろ解放されて積極的に能力を発揮されるということはすばらしいことであって、そういう条件整備をすべきで、ですから例えば育児休業だとか介護休業だとかいろんなことを考えながら、家庭生活とそれから職場というもの、女性の方の能力開発というものとが両立できるようなことを考えていく。それは、片一方から見ればまさに労働力の供給にもなる。こういうことでございますので、労働力の供給の面だけでなしに、女性の方の能力の発揮という形で仕事と家庭の調整、調和をこれからもっともっと我々は考えていきたい、かように考えております。
  253. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 ただいま女性の労働者数は一千七百四十九万人でございまして、雇用全体四千七百三十万人の三七%を占めているところでございます。さらに非常に特徴となるところは女子雇用者のうち約六割が有配偶者でございます。先ほど戦争中の勤労動員という言葉が出ましたけれども、戦争中は主婦は動員されなかったという事実がございます。  それはさておきまして、パート労働をどういうふうにとらえていらっしゃるか、そしてパートの現状を伺います。
  254. 松原亘子

    ○政府委員(松原亘子君) お答え申し上げます。  御承知のように、パートタイム労働者、非常に最近ふえておりまして現在八百二万人になっております。そのうち女性が五百五十万人ということでございまして、パートタイム労働者全体の約七割ぐらいを占めているというのが実態でございます。  こういうパートタイム労働者の方々がふえてきたという背景には、企業としても業務がふえてきたとか、忙しい時間帯に対応するために一日の一定時期だけ働ける方がいいという、そういう需要側のニーズがあるわけですし、また女性自身もパートタイム労働というのは労働時間が短いということで家庭と職業と両立てきるということから、そういう形であれば働けるという方が多いといったようなことからふえてきているのが実態だというふうに認識しているところでございます。
  255. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 パート労働者を、特に女性の場合ですけれども、家庭の主婦の延長線に考えるか、それとも正社員になる過程として考えるか、それによって随分考え方が違うんじゃないかなと思うんですけれども、Aパート、Bパートというのを御存じでしょうか。Bパートというのは、正社員になれなくて、なりたくてもいい職場がなくて、なっている人が二、三〇%いらっしゃるんですね。そういう方たちですけれども、パート労働とそれから正社員との給料格差、それから男性と女性の給料格差、これを伺います。
  256. 松原亘子

    ○政府委員(松原亘子君) お答えいたします。  女性と男性の賃金格差でございますけれども、ちょっと古いんですが平成二年の私どもの調査によりますと、一般労働者の所定内給与の平均額は男性が二十九万円、女性が十七万五千円ということで、女性の賃金というのは男性の六〇・二%というふうになっております。こういう差があるわけでございますが、これは女性と男性とで就業分野が異なるとかやっている仕事が違うといったようなことがございます上に、勤続年数の男女差があるとか平均年齢も違うとか学歴構成も違うとか、さまざまな要因があるわけでございます。ただ、その中には女性に機会が均等に与えられていなかったということを反映している部分もあるわけでございますので、そういった部分につきましては雇用機会均等法を適切に施行していくことによりまして改善が図られるというふうに期待しておりまして、私どもも努力したいというふうに思っているわけでございます。  また、パートタイム労働とフルタイム労働につきましては、さらにパートタイム労働者の実態というのは本当にさまざまでございますので、単に数字を比較しただけでそれをどう評価するかということは一概に言えないわけでございますが、仮に計算上ちょっとやってみますと、一般労働者の給与は、これは女子をとったわけでございますが、女子の一般労働者の平均賃金、一時間当たりに換算いたしますと平成二年で九百八十九円というふうに推計をされます。これに対しまして女子のパートタイム労働者の一時間当たりの賃金は同じ年で七百十二円ということでございますので、ここにも格差があるわけでございますが、これも御承知のとおり、パートタイム労働者とフルタイム労働者、同じ女性でありましても就業分野が大きく異なっているとか就業実態がかなり違うわけでございますし、その他勤続年数が違うといったようなことも反映をしているわけでございます。
  257. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 手当、定期昇給、賞与、退職金などについても大きな差があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  258. 松原亘子

    ○政府委員(松原亘子君) お答えいたします。  私どもが平成二年に調査しました結果によりますと、昇給につきまして、パートタイム労働者だけの結果なものですから必ずしもその対象になった事業所で一般労働者に対してどうかということがとれないという難点はございますが、パートタイム労働者につきましてはベースアップ、定期昇給などを行っている事業所は大体四割前後というような結果が出ております。  また、退職金制度につきましては、二一%程度の企業がパートタイム労働者にも退職金制度があるというふうに答えております。  また、手当につきましては、これは常用労働者といいますか、パートタイム労働者以外の労働者についてもある企業とない企業がございますので一概に比較はできないんですけれども、一般的に言いましてパートタイム労働者に対して各種手当を支払っている企業は一般労働者に対するよりも低いというふうに把握いたしております。
  259. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 女性のパートの方の多くが非課税限度枠を超える収入を得ることに対してためらっているわけですけれども、その理由は何でしょうか。
  260. 松原亘子

    ○政府委員(松原亘子君) お答えいたします。  パートタイム労働者の非課税限度額は現在百万円ですけれども、その百万円を超えないように計画的に働いているとか、百万円を超えそうになると休むといったようないわば就業調整を行っている方が私どもの調査によりますと大体二四%ぐらいおられます。また、これとは角度は違うんですけれども、一定の限度を超えては働かないように就業調整をしているという方が二割ぐらいおられます。  これらの方々がなぜこうしているかということにつきましては、一つはまず御自分の所得に対する所得税がかからないようにするというのがあるわけでございますが、それ以外にも、女性の場合には夫の給与の配偶者控除ですとか配偶者特別控除が受けられないようになるということを避けるためにそうしているとか、また企業が支払う配偶者手当がそれを超えると払われなくなるということから調整をしているといったようなこと、それから社会保険料につきましても一定限度を超えますと夫の扶養者ということにならなくなってくるといったようなことから就業調整しているんではないかというふうに考えております。
  261. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 これは私見でございますけれども、労働大臣に伺いたいんですが、非課税限度枠とか企業内におけるさまざまな配偶者手当、そういったものが女性を低所得労働に閉じ込めている、そういう結果になっているんじゃないかということを指摘したいんです。つまり、どんなに税金が高いといたしましても稼ぐに追いつく税金はないんですよ。  ですから、女性だってつまり同一価値労働・同一賃金の原則を目指して当然努力していいはずなんでございますけれども、何となく非課税限度枠に非常にこだわるということ、それはおかしいんじゃないかという問題提起をさせていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  262. 近藤鉄雄

    ○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生から大変大事な御指摘があったと思うわけでありますけれども、もともとパート労働というのが、だんなさんが働いていらっしゃるけれども収入が十分じゃない、したがって家計補助的な労働として奥さんがお働きになっていらっしゃる、そんな状況なので余り収入がない、だからせめて税金は安くしましょう、こういうことですね。  ところが、だんだんパート労働というのが定着してまいりまして、そして今婦人局長からもお話しいたしましたけれども、例えば有休制度だとか雇用保険だとかその他一切いろんなことを、たまたま労働時間が短い、常用じゃないといっても実際的な労働条件はみんな同じになってきている、男女雇用平等で。こうなってくるとパートだから特別な扱いをということが、賃金水準の低いときはともかく、だんだん上がってまいりますと、どこまで別建てで考えるのか。例えばどんなに働いても扶養手当は出るというようなこともおかしい話でありますし、また扶養控除もつけるのはおかしいということになってきます。まさにそれが今の議論でございまして、だから百万円でいいのか、百万を。超えるのかという議論になってくるわけでありますが、そういうことをもっと総合的に考えて、私は結論的に言うと、パート労働というのが従来の二次的な家計補助的労働からだんだんひとり立ちをしてくる、たまたま時間が短いんだという形でいくことではないか、将来方向としては。ですから、今そうなっている問題をいろんな角度から研究をさせていただきたい、こういうことでございます。
  263. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 それと同時に、日本の正社員の雇用形態などにもメスが入れられなければいけないんではないかと思います。  次に、大変環境庁長官にお待たせして申しわけございませんでした。酸性雨についてお伺いいたします。  公明党は、昨年十二月から本年三月にかけ都内の酸性雨の実態調査を行いまして、その結果として、最悪の稲城市ではpH三・五、平均四・七二が記録されたという報告を行っております。また三月三十日、環境庁が第二次酸性雨対策検討会中間報告を発表されたところによりますと、雨の酸性化が非常に著しい、pH四・三から五・三でございます。酸性雨の原因をどういうふうにとらえておられるか、お伺いいたします。
  264. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 委員御指摘のとおり、酸性雨の状況は日本においても非常に悪くなってきておるようでございます。そして、欧米等では非常に問題になっております値と同じぐらいのものが降っているわけであります。しかしながら、今まで日本では大きな被害というものが目に見えませんのでそれほど話題になっていなかった。ところが、公明党の御調査でも、今お伺いしました我々の調査でもpH四・三というようなところもある。  原因でございますけれども、よく越境してくる大陸等からの影響ということを懸念される方もいらっしゃるのでございますが、今まで調査した限りでは、そういった影響がしかとつかめたという状況ではございません。やはり国内の発生の状況からくるものであろう。でありますから、したがってこの原因となるSOx、NOxの排出量の多いところにそうした被害が集中する、すなわち都市部に酸性雨も集中してくるという結果になります。  そして、SOxについては、これは産業界の大変な御努力によりまして排出量がずっと減ってまいりましたので、かなりいい状態になっているのではないか、残された問題としてNOxの問題がございます。そしてNOxを東京の例で見ますと、工場等からの排出、これは脱硝装置等で随分排除してまいりましたので一八%、約七〇%が自動車からの排出で、その大部分がディーゼルガスからの排出でございます。  それだけをお答えすれば、今、日本として、我々としてとらなければいけない対策はディーゼルの減少ということではないかと思っております。
  265. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 どうもありがとうございました。  次に、最後の質問になりますけれども、ごみ問題についてであります。ごみの減量にとっての行政、生産者、消費者の役割について伺いたいと思います。  ごみ処理が行政の役割である限り、ごみ処理のコストとか手間とか、そういうものはごみを出す側の消費者にとりましても生産者にとっても見えてこない。もっと見える形で、ごみ処理のコストを分かち合うというんでしょうか、そういう政策が必要ではないかと思うのでございますけれども、あえて通産大臣にお伺いいたします。
  266. 鈴木英夫

    ○政府委員(鈴木英夫君) ごみの減量につきましては、それぞれの立場でいろいろな役割があると私ども思っておりまして、特に生産者、消費者、あるいは行政、それぞれが応分の社会的責任と役割を分担して取り組むことが必要であろうと考えております。  なお、コストの問題でございますけれども、私ども使用後の製品の廃棄物としての適正処理につきましては、あくまでも排出者が責任を持っていくというのが基本的な原則ではないかというふうに考えております。この原則に照らしますと、廃棄物の処理コストについても排出者が適正な負担を行っていただくということが、逆に言いますと廃棄物処理に対しますコスト意識を高めまして、廃棄物の発生の抑制にも資することになるというふうに考えております。
  267. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 そういたしますと、例えば住民参加の方法としてごみの有料化ということで、ある都市では袋を有料といたしまして、その袋を買いましてその袋の中に入れなければごみを回収してくれないといったような制度をつくっているんですね、これは住民側からでございますけれども。一万企業側でございますが、リサイクル法をっくられましたけれども、実際に例えば住民がボランティアで一生懸命リサイクル用に集めましても、それの受け入れがない。そういうことで、まず静脈産業の発達が非常に必要ではないかということ、そして同時にデポジット制をすることによってこのリサイクル化というのがもっと進むのではないかと思いますけれども、このデポジット制と企業の引き取り責任についてお伺いいたします。
  268. 鈴木英夫

    ○政府委員(鈴木英夫君) 一般的に申しまして、まずデポジット制度でございますけれども、これは廃棄物の減量化あるいは資源の有効利用に寄与するそういう面が多々あろうかと思います。ただ反面、これを一般化していくということに対しましては幾つか問題点があることも事実でございまして、まずこの新しい制度を導入するに際してコストはどのぐらいかかるのか、あるいは負担はだれがするのか、その際散乱を生じさせたり分別回収にもし協力をしない一部の消費者がおられるとしましたときに、すべての消費者に一律に負担を課すということに国民的な理解が得られるのかどうか等々、さまざまな問題があろうかと思っております。  したがって、デポジット制度については、今ローカルでやっておられるところもあるわけでございますけれども、基本的には地域の特性を反映して柔軟に行われるべきであるというふうに考えておりまして、現段階で一般的に一律にデポジット制度を導入するということは必ずしも適当な環境条件が整備されてないのではないかというふうに考えております。  また、メーカーの引き取り責任でございますけれども、先ほども申し上げましたように、やっぱり廃棄物はあくまでも排出者が責任を持っていただくというのが基本原則でございまして、メー カーに引き取りを一律に強制するようなことになりますと、製品を使用した者の責任がなおざりにされるおそれもあるというようなことで、必ずしも適当ではないのではないかというふうに考えております。  ただ、私どもといたしましては、むしろメーカーが回収への自主的努力を行っていただく、メーカーのいろんな面での協力体制、こういうものを育てていくということが大変大事だと思っておりまして、いろんな業界団体においてリサイクル法施行を契機にいたしましていろんな努力をしていただいておるという現状にございます。
  269. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 確かに、お答えのように分野別にデポジット制度とか何かを導入しなければならないということはございますけれども、できない理由、難しい理由を言っておりますうちに我が日本国はごみの山となってしまう、そういう危機的状況に達しているということも御理解いただきたいと思います。そして、例えば自動車など、関西地区で聞いた話でございますけれども、自動車のぽい捨てというんですか、全く驚くべきことが起こっておりまして、こういうのもやはり自動車を売る側にも責任を持っていただかないと、リサイクルというんでしょうか、引き取りができないのではないか、そのような気がいたします。  最後に、静脈産業の育成についてお伺いいたしますけれども、リサイクルをしても、それを再び資源として再利用するためにはかなり大規模な産業、静脈産業ですね、企業が必要なんではないか。その問題点についてちょっとお伺いいたします。
  270. 鈴木英夫

    ○政府委員(鈴木英夫君) 資源の回収を進めますために静脈産業が大切であるというのはまさに先生御指摘のとおりでございます。  ただ、やはりこのリサイクルするものの量が少ないとか、あるいは価格が不安定であるとかいうような状態になりますと静脈産業もなかなか育たないということでございますので、私どもはリサイクル法を適正に運用することによりまして再生資源の回収を高めていく、そういう中で静脈産業にとって良好な環境が生み出されるというようなことを目的にして努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  271. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 どうもありがとうございました。質問を終わります。
  272. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) 以上で広中君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  273. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) 次に、吉川春子君の質疑を行います。吉川君。
  274. 吉川春子

    ○吉川春子君 まず、官房長官、外務大臣にお伺いいたします。  従軍慰安婦問題について、宮澤総理も、当時、日本政府が従軍慰安婦の募集並びに慰安所の設置、経営に関与していたとの認識を示しておられます。私はここに、昭和十二年から二年半、中隊の非公式の写真班として従軍した村瀬氏の御遺族の了解を得て、「軍直営の売春宿」の中から二枚の写真を拡大して持っています。  委員長、これを大臣にお示ししたいんですけれども、よろしいでしょうか。
  275. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) どうぞ。    〔資料を示す〕
  276. 吉川春子

    ○吉川春子君 それの一枚は、「皇軍萬歳」と書かれた下に「第六慰安所 櫻樓」、「登樓者心得」、そして従軍慰安婦の名札が十数枚読めます。もう一枚は、トラックの後ろに乗せられた慰安婦たちです。  この写真を見て、両大臣の感想をお伺いしたいと思います。
  277. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 今、見せていただきましたけれども、具体的にどういう状況での写真なのかちょっとわかりませんので、コメントもしにくいところでございます。
  278. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も官房長官と同じであります。
  279. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、今初めてお示ししたんじゃなくて、実は昨日から質問通告はしてありますので、本の名前もお教えしております。パネルにしたのはきょうですけれども、やはりそういう大臣の御認識では大変残念だと思いますが、それを見て何にもお感じにならないんでしょうか。
  280. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 質問通告の中にございましたが、いわゆるゼロックスでコピーされたもので余り明確な写真でもございませんで、また、今そのパネルを見せていただきました。しかし、どういう状況で、どういう場所で、内地なのか外地なのかもわかりませんので、ちょっとコメントしにくいところでございます。
  281. 吉川春子

    ○吉川春子君 官房長官、先月私は議員会館で元朝鮮人従軍慰安婦の方の二人の生々しい証言を聞きました。一人は、十六歳のとき学校で日本の国花ではなくアサガオの刺しゅうをしたことをとがめられて警察に呼び出され、そこで暴行され、抵抗して気を失って、気がついたら福岡だったと。もう一人は、村長に言われて工場に働きに行くつもりでしたけれども、旧満州の慰安所に連れていかれたといいます。彼女たちは、私だって人並みに結婚して子供を産んで幸せな生活がしたかったのにと涙ながらに訴えておりました。  政府は、本人の意思に反して従軍慰安婦に駆り立てた事実のあること、それはお認めになりますか。
  282. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) もう、いずれにしても戦争というものは、我々の常識では全く想像の及ばないような悲惨な場面をつくったりあるいは人を殺したり、無差別な爆撃を、罪もとがもない人を爆撃したりというようなことがたくさんあるわけであります。その中にそのような事態があったことは、私は認めざるを得ないと存じます。
  283. 吉川春子

    ○吉川春子君 戦争一般に解消し切れない問題をこれは含んでいると思いますが、官房長官も今外相がおっしゃったように、こういう意に反して従軍慰安婦にしたという事実をお認めになりますか。
  284. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 何らかの形でいわゆる慰安所の開設と運営に旧日本軍が関与したということは私たち認めざるを得ない事実であろうと思っておりますし、旧日本軍との関係で言えば、政府はその事実についてお認めし、また謝罪しなければならない、こう思っております。  個々具体的にどういう形で募集されたかということにつきましては、いろんな事実もあり、またいろんな説もあり、今政府としては鋭意調査しているところでございます。
  285. 吉川春子

    ○吉川春子君 いろいろな形がありました。ただ、その中で自分の意思に反して従軍慰安婦にさせられた、そういう場面もたくさん証言としてあるんですけれども、政府はそういう事実も中に含まれている、少なくともそういう事実もあったということは、官房長官お認めになりますか。
  286. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 戦争中のことでございますので、現に慰安婦問題とは別ですけれども、強制連行という事実もございました。そういうことも事実でありますし、また慰安婦の募集につきましてごく自然な形で行われたか、それとも強制的にされたのかというところも含めて現在調査中でありまして、いずれにしろ、戦争中のことでございますのでいろんな不自然な形があったのかと思っておりますが、現在調査中でございます。
  287. 吉川春子

    ○吉川春子君 官房長官は一月の記者会見で、旧日本軍が従軍慰安婦の募集に関与していたことをお認めになったわけですが、その根拠になった資料を示していただいて、その部分を読み上げていただきたいと思うんです。
  288. 有馬龍夫

    ○政府委員(有馬龍夫君) 一月十三日に官房長官が我が国の考え方をお話しになりました際に、私どもが入手しておりました資料、そのうちの募集に係ります部分につきましては、趣旨は、募集について、我が国の募集に当たり軍の威信を保持し、並びに社会問題を惹起させないために、募集に当たる人物の選定を軍が適切に行うようにとの趣旨、こういうものがございます。実際に全文引用いたしますと長くなりますけれども、趣旨は今申し上げたとおりでございます。  それから、経営につきましても、当時入手しておりました資料の中に、どのような状況でこれが開業され、どのような施設を持っており、何人ぐらい、しかしそのうちの何人というのも、それぞれどのような役割を果たしていたかわかりませんけれども、そのような言及がございます。それから、衛生状況についても記したものがございました。それらに基づいて新聞記者と会見となったわけでございます。
  289. 吉川春子

    ○吉川春子君 私が伺っているのは募集についての資料だけです。その募集を認めるに至ったものについて、全文じゃないんですけれども、趣旨ではなくて具体的にその部分を読み上げてください。
  290. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君)   支那事変地二於ケル慰安所設置ノ為内地ニ於テ  之カ従業婦等ヲ募集スルニ当リ故ラニ軍部了解  等ノ名義ヲ利用シ為ニ軍ノ威信ヲ傷ツケ且ツ一  般民ノ誤解ヲ招ク度アルモノ或ハ従軍記者慰問  者等ヲ介シテ不統制ニ募集シ社会問題ヲ惹起ス  ル度アルモノ或ハ募集ニ任スル者ノ人選適切ヲ  欠キ為ニ募集ノ方法誘拐ニ類シ警察当局ニ検挙  取調ヲ受クルモノアル等注意ヲ要スルモノ少カ  ラサルニ就テハ将来是等ノ募集等ニ当リテハ派  遣軍ニ於テ統制シ之ニ任スル人物ノ選定ヲ周到  適切ニシ其実施ニ当リテハ関係地方ノ憲兵及警  察当局トノ連係ヲ密ニシ以テ軍ノ威信保持上  並ニ社会問題上遺漏ナキ様配慮相成度依命通牒  ス
  291. 吉川春子

    ○吉川春子君 今お読みいただきました資料によりますと、募集とは名ばかりで、詐術を用いたり誘拐まがいのいわゆる強制連行が横行していたことを証明しているのではないでしょうか。官房長官、いかがですか。
  292. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 本人の意思に反してここで書かれておりますような事態があったのかどうか、いろいろなお話も承っておりますし、そのような報道がございます。日本政府が現在行っております調査というのは、日本政府がいかなる形で関与していたのであろうか、それを調べているところであって、その日本政府の立場というものが募集に当たってここで述べられているわけでございます。
  293. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういう行為が横行したので、それを防ぐための通牒が出されたというふうに読める資料であると思います。  労働省にお伺いしますが、従軍慰安婦だけでなくて、もちろん多くの朝鮮人強制連行されています。政府もその名簿を収集していますけれども、その場合の強制連行の定義はどういうことでしょうか。
  294. 若林之矩

    政府委員(若林之矩君) 強制連行ということについての明確な概念というものはございません。したがいまして、私どもは名簿の調査に当たりまして、当時の入国の経緯を明らかにすることは極めて困難でございますので、労働省といたしましては、国民徴用令が施行されました昭和十四年以降終戦までの間に、入国経緯のいかんにかかわらず国内の事業所において労働に従事していた朝鮮人労働者に関する名簿の調査を対象といたしております。
  295. 吉川春子

    ○吉川春子君 それでは、その国家総動員法に基づく徴用のほかに、例えばどういう形態があったわけですか。
  296. 若林之矩

    政府委員(若林之矩君) 入職経路につきましては、徴用、官あっせん、募集の三種類があったと思われます。  徴用につきましては、ただいま御指摘ございました国家総動員法第四条に基づきます国民徴用令によるものでございます。徴用の前段階といたしまして、文書、募集人等による募集でございますとかあるいは職業紹介所の職業紹介によります官あっせんが行われまして、それでも必要な労働者が集まらない場合に徴用が行われたというふうに考えられます。
  297. 吉川春子

    ○吉川春子君 昭和十九年、一九四四年の八月二十二日、国家総動員法に基づいて女子挺身勤労令が出されましたが、これが強制連行の法的根拠になっているわけです。勤労動員に応じない場合の刑罰は、この勅令ではどうなっていますか。
  298. 若林之矩

    政府委員(若林之矩君) 女子挺身勤労令の第十七条によりますと、この挺身勤労をしない者に対しましては、地方長官は必要あると認める場合においては国家総動員法第六条の規定に基づいて挺身勤労を受ける請求、または申請に係る工場、事業場等に就職をすることを命ずることができるとされておりました。この場合に、当該地方長官の命令に違反した者につきましては、国家総動員法第三十六条によりまして一年以下の懲役または千円以下の罰金に処することとされておりました。
  299. 吉川春子

    ○吉川春子君 昭和十九年といえば第二次世界大戦の末期ですので、ここから強制連行が始まったわけではなくて、もちろんずっと前から行われていたわけですけれども、女子を強制連行する少なくとも根拠法がここでできたということになります。そして、一九四四年以降はまさに懲役刑を伴う、そして当時の千円以下ですから物すごい多額の罰金を伴う勤労令の発令によって、これまでも行ってきた強制連行に法的根拠を与えたわけです。朝鮮半島から女子勤労挺身隊として女性たちが動員されてきました。そして、もちろん工場で働かせることを名目にしながら、その中のある部分、かなりの部分を従軍慰安婦にしたという証言は、梨花大学の前教授の尹さんを初めたくさんあるわけですけれども、政府はこういう事実を否定されますか。
  300. 谷野作太郎

    ○政府委員(谷野作太郎君) ただいまお示しのような数字も含めまして、いろいろなことがこの件につきましては証言もあり、言われておるわけでございます。そこで、日本側におきましては、内閣官房の御指示で今真相の究明に向けて鋭意調査中でございます。他方、韓国の側におきましても組織をつくりまして、六月末までと伺っておりますけれども、一体どのようなことだったのかということで、とりあえずは真相の究明に全力を挙げようということで作業が進行しておるというふうに聞いております。
  301. 吉川春子

    ○吉川春子君 労働省にもう一度お伺いしますけれども、少なくとも昭和十九年以降、この勤労令の出された後は女子の朝鮮人強制連行――従軍慰安婦をちょっとさておいてもいいです、答弁がややこしくなりますから、その根拠になったということまでは認められますか、そこまでですか。
  302. 若林之矩

    ○政府委員(若林之矩君) 朝鮮人の女子の方が、日本の工場、事業場で勤労に従事していたという事実はございますけれども、それがどういう法令上の根拠でなされたか、そこのところは明らかではございません。
  303. 吉川春子

    ○吉川春子君 内閣委員会での労働省の答弁と違いますよ。労働省、誠意を持ってもう一度答えてください。そこまでは根拠だって内閣委員会では答えたじゃありませんか。局長と課長の答弁で違っていいんですか。
  304. 若林之矩

    ○政府委員(若林之矩君) 先ほど申し上げましたように、日本の工場、事業場で働いておられました朝鮮人の方々の入職経路というのは、それを現時点で明確にするということは大変に困難でございます。先ほど申しましたように、三つの種類の入職経路もございます。したがいまして、それがどういう法令によって現実にそこに働いておられたかということを現時点で明らかにするということは、これは大変もう難しいことでございまして、そこのところは御理解を賜りたいと存じます。
  305. 吉川春子

    ○吉川春子君 それでは、刑罰をもって強制的に朝鮮半島から労働者を引っ張ってこれる法的な根拠がほかにあったとおっしゃるんですか。
  306. 若林之矩

    ○政府委員(若林之矩君) もし仮に徴用というような形で朝鮮人の方を日本に連れてくるということでございますと、もとよりこの総動員法の体系によることは申し上げるまでもありません。
  307. 吉川春子

    ○吉川春子君 徴用も強制連行の範囲に含めて考えるということですから、最初からそういうふうにおっしゃっていただければよかったと思います。  外務大臣、官房長官、政府は強制連行によって連れてきた朝鮮女性を従軍慰安婦にしたということをなかなかお認めにならないわけですが、そこで伺いますが、それでは、十万とか二十万とかいった朝鮮人従軍慰安婦はみずからの意思によって進んで従軍慰安婦になったと、そのようにお考えでしょうか。
  308. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 慰安婦の問題はいろいろありまして、内地からも募集をしたと。当時は御承知のとおり遊郭というようなものがあって、そこには残念なことながら人身売買で来られた、来たような人もたくさんおったということは、私は事実だと思います。進んでなった人もそれは中にはあるかもしれませんが、必ずしもそういう人ばかりじゃないと。  それから、徴用の問題は、私はちょうどそのころ学徒から兵隊に行くときでありましたからよく知っておりますが、内地の日本人のどんないい家庭のお嬢さんでも全部徴用で軍需工場等で働かされたということは事実であります。
  309. 吉川春子

    ○吉川春子君 朝鮮の非常によい家庭の方も、内地のよい家庭と大臣がおっしゃるので私もあえて、朝鮮のよい家庭の方もこの徴用令によって引っ張られて従軍慰安婦になったと、こういう証言もあるわけです。  そこで、政府は証拠隠滅をしているということを私は申し上げたい。それは証拠がない、今調査中だとおっしゃっているんですけれども、戦後、政府は内務次官通牒を出して事実を隠ぺいするということをやったじゃありませんか。その内務次官通牒を示してください。
  310. 若林之矩

    ○政府委員(若林之矩君) ただいま御指摘のような内務次官通達と申しますものについての資料は残されておりません。そういったことで事実を確認することは困難でございます。
  311. 吉川春子

    ○吉川春子君 労働省もこの内務次官通牒を御存じありませんか。
  312. 若林之矩

    ○政府委員(若林之矩君) 私ども、そういったような事実を持っておりません。
  313. 吉川春子

    ○吉川春子君 全く政府の答弁は、私、ひきょうだと思うんですよね。労働省が私にこの本を教えてくれたんじゃないですか。「消された朝鮮人強制連行の記録」という本があります。この中に元山口県労務報国会動員部長吉田清治さんという方の記録が載っているわけですけれども、その中にこういうふうに書いてあります。  朝鮮人への迫害の歴史的記録は残っていない。公式記録や関係文書は、敗戦直後に内務次官通牒に基づいて、全国都道府県知事の極秘緊急命令書が、各警察署長あてに送達されてきた。私が関係した山口県労務報国会下関支部の場合は、当時の下関警察署特高係の署員を指揮して、完全に焼却した。その中にはもちろんすべての徴用関係書類と、朝鮮人勤労報国隊出陣記念写真もあった。  こういうふうに言っているんですけれども、こういうことも御存じないですか。
  314. 若林之矩

    ○政府委員(若林之矩君) そういった書籍がございまして、そういった記述があることは私ども承知いたしております。
  315. 吉川春子

    ○吉川春子君 この通牒は戦後なんですね。戦後の文書も残っていないというのはどうしてでしょう。
  316. 若林之矩

    ○政府委員(若林之矩君) 御承知のとおり、労働省は昭和二十二年に発足いたしたわけでございまして、こういったような徴用関係の事務所掌というものは労働省に引き継がれていないわけでございます。もとより私どもこれまでもいろいろな形で倉庫その他の文書を調査もいたしましたけれども、そこにございませんし、また所掌上もそういったようなことになっているわけでございまして、御理解を賜りたいと存じます。
  317. 吉川春子

    ○吉川春子君 政府は、現在はそれでは自分に都合悪い公文書でもきちんと保管して後世に引き継ぐようにしているんですか。間違っても証拠隠滅で焼却してしまうようなことは法律で禁止しているんですね。
  318. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 政府は公文書はきっちり保存してございますし、それで機密の保持の観点から公表してないものもあります。しかし、それを廃棄するとかということは現在の仕組みの中ではないと理解いたしております。
  319. 吉川春子

    ○吉川春子君 防衛庁、外務省、こういう書類をきちっと保護して、焼却してはいけないというような禁止する法律などありますか。
  320. 宮下創平

    ○国務大臣(宮下創平君) 防衛庁におきます公文書の保存、管理についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、これは訓令を設けて整理しておりますけれども、重要なものは永久、その他のものについてもそれぞれの文書の重要性を勘案しまして、五年、三年、一年と期限を定めて保存することといたしております。有期限の保存文書につきましては、保存期間を経過してもなお保存する必要があるというように認められた場合にはその期間を延長ができますし、その必要がないと認めたときは廃棄を命ずることができるようになっております。  防衛庁におきましては、法律、政令等の制定改廃に関するものや、一般命令、通達で特に重要なもの、その他特に永久保存の必要があると認めるもの等は永久保存することといたしておりまして、恣意的に文書を焼却とか廃棄するようなことは現在いたしておりません。
  321. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 先ほどの私の答弁がちょっと足りなかったと思いますが、防衛庁長官のおっしゃいますように、それぞれの各省庁で書類の性格により保存期間が定められて、その期間は保存されるということだと思います。
  322. 吉川春子

    ○吉川春子君 永久保存の極秘文書は全部焼却されたんですね。そして、今もうこれを各省に任されていて、それを禁止するような法律的な措置は何もないんです。  この問題は別の委員会で引き続き取り上げていきたいと思いますが、強制連行によって従軍慰安婦にさせられたことは否定しようもない。そして、しかも自分で書類を全部焼却しておいて、証拠が出るまで認めないということはもうけしからぬことだと思うんです。とりあえず、日本政府がこの問題の関与を認めたのならば、次の質問に移りますが、何らかの補償をすべきではありませんか。
  323. 柳井俊二

    ○政府委員(柳井俊二君) 日本国政府が当時関与したという前提に立つ場合におきましてその補償の問題はどうかということでございますが、これは御承知のことと存じますので長くは申しませんけれども、韓国との関係につきましては、昭和四十年の日韓請求権・経済協力協定におきましてこの請求権の問題を処理したわけでございます。これも御承知のとおりでございますが、結論的にはその第二条におきまして、このような請求権あるいは財産、権利、利益というような問題は日韓間では完全かつ最終的に解決されたということが規定されているわけでございます。
  324. 吉川春子

    ○吉川春子君 外務大臣、今の論議はちょっときょうは時間がないのでしませんが、何らかの償いをすべきだと思いますが、いかがですか。
  325. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) これは私はかねて答弁をしておるんですが、日韓両国の間では、国家間においてはこれはもう論争をすることはないんです。完全かつ最終的に解決がすべてついております。しかしながら、政治問題として、人道問題として騒ぎが起きておるわけでございますから、これについては政治的な配慮のもとで解決するための何らかのことを考えなければなるまいな、そう考えております。
  326. 吉川春子

    ○吉川春子君 官房長官、政府は関与を認めておられますが、総理は補償については裁判の経緯を見るとおっしゃっています。そしてその後、渡辺外相が政治的な配慮を行うという答弁を衆議院の予算委員会でもされておりますが、これは政府として裁判待ちでなく何らかの政治的な判断を、配慮をする、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  327. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、具体的にどうするこうすると言っているんじゃなくして、要するに政府間政府はそれはすべて解決済みと。しかしながら個人が日本の裁判所に訴え出ることまで拒否するということはできません。それは個人の補償を求めて裁判に出ているわけですから、その個人の補償問題というのは裁判で決着をつけてもらわなけりゃなるまい、さように考えております。  しかし問題は、それじゃ裁判に出ている人だけが慰安婦だったのかということになりますと、その数は非常に少ない数でございまして、こういうような者が他にあっても訴えて出るような性質の方は私は少ないんじゃないか。例えば遺族とか何かが残っておっても、うちの係累のだれだれがこうだったというようなことで裁判に出てくるケースというものは、私は皆は出てこないと。また、政府が仮に名のりを上げてくれと言ったからといって、名のり出るというケースは実際問題として私はそう多いとは思っておりません。したがって、なかなか個人の補償というのは難しいだろう、しかしながら何らかのことはやはりする必要があるんじゃなかろうか、そういうことを言っておるのであって、これは総理の答弁と少しも食い違いはありません。
  328. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういたしますと、政府として裁判の経緯待ちではなくて、今のようなことも含めて何らかの政治的な配慮をする、これが内閣の方針である、このように受け取ってよろしゅうございますか。
  329. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 内閣としてそういうことを閣議決定したわけではありませんから内閣の方針とは言えないかもしれませんが、しかし、調査をもう少しやってみて、どれくらいの規模でどんなふうな形態であったのかということについては、これは私は韓国だけではないんじゃないかと。もちろん内地からも、日本からもたくさん行っているわけですから、そこらのところをどうするかですね。  しかし、今問題が表面化しているのは、裁判に出ている方、または一部韓国の世論も日本の世論もありましょうが、どういうふうにするかについてもう少し実態がわからぬとなかなか結論が出ない。したがって、鋭意その実態を正確に調べているというのが現状であります。
  330. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 総理大臣もただいま渡辺外相がおっしゃられたとおりの気持ちでおります。
  331. 吉川春子

    ○吉川春子君 防衛庁長官、第二次世界大戦の末期、大臣のふるさとの信州に松代の象山ごう、これが掘られたわけですけれども、この目的とか内容、規模についてお教えいただきたいと思います。
  332. 宮下創平

    ○国務大臣(宮下創平君) お尋ねの大本営及び政府中枢機関の移転のためのごうを掘ったわけでございますけれども、私ども防衛庁の防衛研究所の保管する戦史資料がございますが、これによりますと、これは「戦史叢書」という中に書かれておりますが、いわゆる松代大本営の工事は松代倉庫工事と軍は呼ぶとこうなっておりますが、松代倉庫工事と称されまして昭和十九年の秋に開始をされております。  当時、陸軍省が大本営と政府中枢機関の移転を考慮いたしまして現在の長野県の松代地区に、これは各種倉庫となっておりまして、今申したとおりでございますが、この建設のために地下洞窟作業を実施していたものでございます。いわゆる松代大本営工事の規模につきましては、当時の戦史資料によりますと、いわゆる倉庫、これはコ工事と軍は正確には言っておった。倉庫工事の庫をとったと思います。コ工事として四カ所、それから倉庫の内部施設としては間仕切り室等大小合わせて約六十室等の規模が示されております。その後、二十年に完成することなくこれは終戦を迎えたものでございます。  ここに原文もございますけれども、今申したのが大要でございまして、なお細部のいろいろ実施の方針とか要領とかございますが、そういう点について必要であれば政府委員からお答えさせていただきますが、問題の視点は、委員の御指摘の点は、今の質問にございませんでしたけれども、当該工事におきまして朝鮮人が強制連行されていたというような事実があるのではないかという視点だと存じます。この点につきましては、防衛庁の防衛研究所で保管しているこの戦史資料に関する限りは出てまいっておりません。しかし、私、長野県でございますので、いろいろこの松代の朝鮮人の犠牲者の慰霊碑の建立の問題等もございまして、こうした文書も私の方に寄附依頼、募金依頼等もあります。ボランティアでそういう慰霊碑を建立しようということでございますが、そういう中には記述は一応されております。  しかし、その根拠等が明確でありませんので、私も委員の御指摘がございましたのでちょっと問い合わせいたしましたけれども、必ずしもその根拠が明らかになっていないという点は申し上げなければならない、こう思います。
  333. 吉川春子

    ○吉川春子君 長野市のこの松代象山地下ごうの資料にも、朝鮮人の強制連行による労働者が七千人ぐらい動員されてという記述があります。  ところで、防衛庁長官、この工事の現場の近くに朝鮮人慰安婦のいた慰安所があった事実は御存じですか。
  334. 宮下創平

    ○国務大臣(宮下創平君) 私は残念ながら選挙区が異なりまして、まだそこは拝見したことがないんで、これは羽田大蔵大臣の選挙区でございますので、私としては存じておりません。
  335. 羽田孜

    ○国務大臣(羽田孜君) 私の選挙区じゃなくて、長野県第一区でございますけれども、ただ私は史跡散歩なんていうのをやっておりましたもので、このごうをみずから見学したことがございましたし、またそういった中で朝鮮の人たちが大変な苦しみの中で働いておったということを小さなころからよく承知をいたしております。
  336. 吉川春子

    ○吉川春子君 これが全長四十二キロもあるとこの資料には書いてありますが、今五百メートルの見学コースが設けられて、多い日では一千人以上の見学者があります。そしてこれを保存してほしいという要求があるんです。象山ごうとそれから朝鮮人慰安所ですね。これは長野市も実は財政規模の余り大きくない自治体でございますので、もう三千万以上支出して実は非常に困っているわけです。  大蔵大臣、何らかの財政措置も含めてこういう戦争の悲惨な歴史的な資料を、いや長野県だけじゃありませんよ、一般論としてこういうものをやはり保存していくべきではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  337. 羽田孜

    ○国務大臣(羽田孜君) 私も長野市が、しかも長野市の教育委員会がこれを管理しておるということを承知しておりますし、また一部はたしか東大ですか、地震研究所に使われているということも承知しております。ただ、これはそういったことで保存されておるということで、今どういうあれでやったらいいのかということを言われましても、ああいうものを保存する場合には文化庁等が関係をするわけでありますけれども、私ども今ここでどうこうということをコメントすることは財政当局という立場ではちょっと難しいと思います。
  338. 吉川春子

    ○吉川春子君 これは私調べました。もう文化財のいかなる制度をもってしても保存できないんです。そして日本政府は戦争資料館あるいは記念碑あるいはさまざまな資料の保存というものを国の責任として一カ所もやっていないんです。これはゼロじゃないとおっしゃるんだったらぜひ答弁してほしいんですけれども、何にもやっていないんです。  それで私は、やはりこういう悲惨な歴史をとどめるためにも、松代象山こうは一例でございますけれども、こういうものについてやはり政府が財政的にもきちっと面倒を見て保存する必要があるんじゃないか、こういうふうにお伺いするわけですけれども、いかがでしょうか。文部大臣の御見解を伺います。
  339. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生、もう文化庁の方はおあきらめのような様子でございましたから、よく理解をしていただいていると思いますが、要するに、史跡、名勝、天然記念物の中の史跡ということになるのでありましょうが、史跡ということになりますと、やはり一定の年限が経過いたしませんと、新しくても史跡でいいということになれば日本の国じゅうが史跡で埋まってしまうわけでありますから、文化財保護法としては、古墳、貝塚、城址などの遺跡で歴史上、学術上価値が高く重要なものを、そしてまた広く一般に認められて定着しているものの中から文部大臣が指定するということになっておりまして、最も新しいものがちょうどこの明治の初めぐらいのものでありますから、その明治の初めぐらいから太平洋戦争までの年限が何年あるんでしょうか、六十年あるんでしょうか、七十年あるんでしょうか、ですから二十一世紀の半ばぐらいになりますとそういう議論もできるかと思います。
  340. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういう質問の趣旨ではありませんで、私は、この痛ましい朝鮮人の強制連行、そういう証拠を、日本にとっては心痛むことだけれども、これを残すことがやはり本当に再び侵略戦争を起こさない上で必要だ、そういう観点から申し上げています。そして、朝鮮人の従軍慰安婦の方、名のり出ない方が多いと予想されますので、やはり再び侵略戦争を起こさない、このことが非常に重要ではないかというふうに思うわけです。  時間の関係でその次の質問に移りますけれども、私は、そういう意味で侵略戦争について日本の政府は反省を十分していない。これをしっかり反省して、しかも学校でもきちっと教えて再びこういうことを起こさないようにすることが一つこの問題についても非常に重要なことだと思います。  それで、まさに文部大臣にお伺いいたしますけれども、小学校の社会科で、近代の日本、第二次世界大戦についてどういうふうに教えるというふうに学習指導要領ではなっていますか。
  341. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) この点ではこの委員会でも何度も御答弁申し上げておりますように、昭和五十七年ごろのいろいろな問題を受けて、教科書の検定基準に国際理解、国際協調ということを取り入れまして、当然教科書の内容も変わってまいりましたし、新学習指導要領の平成元年作成の指導書でも、例えば小学校については我が国にかかわる第二次世界大戦について指導するに当たっては、「これらの戦争において、中国をはじめとする諸国に我が国が大きな損害を与えたことについても触れる」と示しているところでございます。これは学習指導要領に基づいた指導書でございますけれども、そのような形でございますので、現在使われておりますさまざまな学校段階の教科書も私はかなり御満足いただけるものとは思っております。
  342. 吉川春子

    ○吉川春子君 学習指導要領には書いてないが、指導書に書いてあるというお話でした。  指導書は文部省の立場で言うと法的拘束力があるんですか。
  343. 坂元弘直

    ○政府委員(坂元弘直君) 指導書については法的拘束力はございません。学習指導要領が法的拘束力を持つものでございます。
  344. 吉川春子

    ○吉川春子君 その学習指導要領で第二次世界大戦についてどういうふうに教えているかと私はお伺いしました。  ついでに伺います。中学校の学習指導要領で戦争をどういうふうに教えることにしていますか。
  345. 坂元弘直

    ○政府委員(坂元弘直君) 先ほど御質問がありました小学校の学習指導要領では、「日華事変、我が国にかかわる第二次世界大戦、日本国憲法の制定などについて調べて、戦後は民主的な国家として出発したことを理解すること。」というふうになっておりまして、そこの解説として先ほど大臣が御説明しましたような指導書の解説があるわけでございます。  中学校では、「第二次世界大戦と日本」というところがございまして、「中国などアジア諸国との関係を扱い、経済の混乱と社会問題の発生や軍部の台頭から戦争に至る経過を理解させるとともに、戦時下の国民の生活に着目させる。」と。それで、この中学校の学習指導要領の指導書の中で、アジア諸国との関係の中で、「大戦が人類全体に多くの惨禍を及ぼしたことを踏まえ、世界平和の実現に努めることが大切であることを理解させるようにする。」という指導書の解説がございます。
  346. 吉川春子

    ○吉川春子君 文部省が法的拘束力があるとおっしゃる学習指導要領で、なぜ侵略戦争について教えないんですか。まずそのことを伺います。
  347. 坂元弘直

    ○政府委員(坂元弘直君) 学習指導要領は、学校における教育課程の大綱的な基準でございます。そして、その学習指導要領を体系的に具現したものが文部省の検定を行った教科書でございます。まさに、学校では学習指導要領で子供たちに授業を行うのではなくて、主たる教材である教科書を中心にして授業を展開しているわけでございます。その教科書の中では、小学校でもあるいは中学校でも、中国に侵略した、アジアに侵略した、それから朝鮮にも大変大きな迷惑をかけたということが記述されているわけでございますので、学習指導要領に戦争の性格について侵略戦争であるとかないとかというふうに触れる必要は今のところないというふうに私どもは考えております。
  348. 吉川春子

    ○吉川春子君 とんでもないあれですね。つまり第二次世界大戦、太平洋戦争を教えるについて一番大切なことをいろいろ理由をつけてその学習指導要領の中に書いていない。これは高等学校の学習指導要領でも同じですけれども、まさに日本政府が侵略戦争に対する反省を全くしていない、ほとんどしていない、そのことが学校教育の中にもあらわれている一つの動きだと思います。  それで、先ほど来指導書指導書というふうに大変おっしゃいますので、じゃ指導書について伺いますが、学習指導要領に基づいて中学の社会科の指導書がありますね。その中で第二次世界大戦のことについてどういうふうに書かれていますか。その部分を読んでください。
  349. 坂元弘直

    ○政府委員(坂元弘直君) 先ほども読み上げましたが、「我が国にかかわる第二次世界大戦については、アジア・太平洋地域において連合国と戦って敗れたことについて指導する。これらの戦争において、中国をはじめとする諸国に我が国が大きな損害を与えたことについても触れる」というふうに書いてございます。  それからちなみに、先ほどこの学習指導要領を具現化した教科書というふうに触れましたが、中学校の歴史の教科書にはすべて、八種類ございますが、すべて中国に侵略したというふうに教科書では触れているところでございます。
  350. 吉川春子

    ○吉川春子君 ちょっと委員長、ちゃんと答弁させてください。  中学校の指導書に何て書いてあるかと私は質問しているんですよ。自分の都合のいいところだけしか読まないじゃないですか。
  351. 坂元弘直

    ○政府委員(坂元弘直君) 失礼しました。  「我が国をめぐる動きや「アジア諸国との関係」、さらに戦争中の国民の生活や行動の有様に着目させる。また、大戦が人類全体に多くの惨禍を及ぼしたことを踏まえ、世界平和の実現に努めることが大切であることを理解させるようにする。」と。それから、この中学校の教科書でどう書いてあるかということは先ほど説明したとおりでございます。
  352. 吉川春子

    ○吉川春子君 私が持っている指導書にはこういうふうに書いてあります。  「「我が国の政治・外交の動き」については、うちつづく恐慌と社会生活の不安、労働争議や小作争議の激化、財閥の成長、政党の無力化などに触れ、それらが背景となって軍部の台頭を招き、やがて大陸への進出につなかったことを理解させる。」指導書でなぜ「侵略」をまだ「進出」というふうに書いているんですか。その点答えてください。
  353. 坂元弘直

    ○政府委員(坂元弘直君) まことに恐縮ですが、そこの部分の指導書のところを私持ってきておりません。大戦、戦争についてどう触れているのかというところを中心に御質問があるだろうということでございましたので、先ほど読み上げたような部分のところだけしか用意してきておりません。
  354. 吉川春子

    ○吉川春子君 そんないいかげんな答弁でいいと思いますか。自分たちの都合のいい小学校の指導書は盛んに何遍も答弁して、あれだけ問題になった進出、侵略の問題をまだ「進出」と書いているんですよ、指導書で。そういうこと御存じないはずないでしょう。こんなのなくたって答えられるじゃないですか。なぜ「進出」を「侵略」に直してないんですか。
  355. 坂元弘直

    ○政府委員(坂元弘直君) 先ほどお答え申し上げましたとおりに、学習指導要領それから指導書で子供たちに教えるわけではございません。それを具現化した教科書で教えるわけでありまして、教科書の方には、先ほど御説明しましたとおりに、八種類の中学校の教科書はすべて日本の中国への侵略というような形で触れているわけでございまして、私どもとしてはそれを変える必要はないというふうに考えております。
  356. 吉川春子

    ○吉川春子君 「進出」を「侵略」と書き改めるかどうかというので物すごい国際問題になったじゃないですか。それがなぜいまだにそのまま続いていて、教科書だけ「進出」から。「侵略」になっていますと言ったって、文部省の責任はそれじゃ免れないんですよ。このことをどう考えますか、大臣答えてください。
  357. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 第二次世界大戦において、アジアの近隣諸国にいわば迷惑をかけたということは事実だと思いますし、そのことを国際理解あるいは国際協調という観点できちんと教えていくべきだということで、教科書の検定基準も変わり、そして学習指導要領を今度新しく変えるに当たっても、そのような面で記述が充実していくような方向になっていると考えております。  また、学習指導要領に基づいて作成される教科書に既に相当なことが書き込まれているわけですから、それらをもって教育が行われていく。全国の教育長を集めた会議、あるいは教育委員会の主管部課長会議、あるいは教育課程講習会等でも、国際協調というのでありましょうか、昨今のアジア諸国と友好関係を保っていくためにということで、文部省としても坂元局長自身が出向いていろいろと御説明をしている経緯もございます。例えば、海部総理のシンガポール演説、あるいは宮澤総理の韓国国会での演説、あるいは今国会での演説、歴史をできるだけ正しく伝えていこうという趣旨のことを、そういう動きがあったことを全国の教育関係者にお伝えをしているわけでございますから、そういう形できちんと教育ができると思っております。
  358. 吉川春子

    ○吉川春子君 指導書の「進出」を「侵略」と書き改めるのはいつですか。
  359. 坂元弘直

    ○政府委員(坂元弘直君) 指導書を書き改めるという考えは持っておりません。  戦争そのものをどういうふうに評価するかということについては、先ほど教科書について、教科書はほとんど中国への侵略戦争というふうに書いているわけでございますが、例えば列強も中国へ進出しているというような事実もあるわけでして、そういうものを含めて一般的に指導書では「進出」というふうに書いているところでございます。
  360. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) その問題を深く議論しますと、結局、歴史という学問は何であるかということに私が言及しなければならなくなるわけなんです。  ですから、最近のこととして、アジアの近隣諸国に迷惑をかけたというふうに私も思いますよ。したがいまして、そういうような形で侵略戦争というような記述で教科書ができ上がってきてもそれはきちんと教科書として通用しているわけでございますし、それは我が国が反省をしなければいけない点も多いと思いますが、歴史というものはそもそもいわゆる演繹的な学問ではないわけで帰納的な学問だし、帰納的な学問であるがゆえにそれぞれの国や地域によっておのずから取り上げる事象というものも違ってくるし見え方も違うのは、これは当然のことだろうと思うわけです。  例えば、ローマ帝国がどういうことをしたかということも、当時の歴史だっていろいろとローマの方々やヨーロッパの方々にとっては興味深いと思いますし、日本と朝鮮半島の歴史でも、それは高句麗の好太王のころはどうだったのか、白村江の戦いのときはどうだったのか、二一七四年の文永の役と一二八一年の弘安の役に元冠が攻めてきたときに朝鮮の方々も一緒に日本を攻めたのではないか、あれは侵略だったのではないか、そういうところまでやっぱり議論しなければならないということにもなりかねないと私は思っておりますから、歴史というのは大変難しいが、しかし最近の近・現代史の教え方については国際協調、国際理解という観点で教えましょうということで精いっぱいの努力をいたしております。
  361. 吉川春子

    ○吉川春子君 文部大臣も、侵略でなくて進出でよろしい、こういうことですか。
  362. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) いわゆる教科書をもとに授業が進められておりますが、中学の歴史の教科書のすべてがいわゆる侵略的な事実を認めた書き方をしていることに対して私は何も異議を差し挟むような気持ちはありません。
  363. 吉川春子

    ○吉川春子君 文部省が教科書を執筆しているんですか。
  364. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) よく聞いていただきました。  これは、日本は国定教科書ではありませんから著作者が書かれる、当然発行する会社といろいろと相談をして書かれると思います。その中身について学習指導要領に基づいて、あるいは検定基準に基づいて検定をさせていただいている、こういうことでございます。
  365. 吉川春子

    ○吉川春子君 文部省は書いていない、教科書は執筆者によって「侵略」と書かれているけれども、文部省のそれのもとになる検定の基準ともなる指導書が「進出」になっている。それでいいのかということを聞いているんです。
  366. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 少なくとも、侵略戦争であると書いてある教科書を検定で不合格にはいたしておりません。
  367. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういう質問じゃないですよ。私時間がないんで困るんですよ、そんな時間稼ぎ。
  368. 坂元弘直

    ○政府委員(坂元弘直君) 学習指導要領は検定の基準になりますが、指導書は直接検定の基準にはなっておりません。
  369. 吉川春子

    ○吉川春子君 あくまでも文部省は侵略でなくて進出でいくと言っていますのでは外務大臣、日本は進出でよろしいんでしょうか、侵略じゃなくて。
  370. 谷野作太郎

    ○政府委員(谷野作太郎君) 私から御答弁するわけでございますから、過去のお尋ねの件につきましての御議論、総理大臣の御答弁の内容を御説明いたしたいと思います。  いろいろなことがございますが、最近の例におきましては、宮澤総理が予算委員会におきましてこのように述べておられます。「我が国が過去において、戦争を通じて近隣諸国等の国民に対し重大な損害を与えたのは事実であります。かかる我が国の過去の行為について、侵略的事実を否定することはできないと考えております。」、そういう御答弁がございます。他方、過去におきましては、例えば宇野総理のときには、「軍国主義の侵略であることお述べになった御答弁例もございますし、海部総理におかれましては、太平洋戦争について侵略戦争であったという認識を総理は有しておられるかという問いに対しまして、平成二年の予算委員会でございますが、私はそういう認識を持っておるという御答弁もございます。  いろいろな御答弁があるということを申し上げておきます。
  371. 吉川春子

    ○吉川春子君 外務省も進出でいいんですね。
  372. 谷野作太郎

    ○政府委員(谷野作太郎君) 私どもは、この問題につきましては総理が述べられておるところをそのように外務省としても考えておるということだと思います。
  373. 吉川春子

    ○吉川春子君 文部大臣、じゃ確認します。侵略じゃなくて進出なんですね、日本がしたことは。
  374. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 私はそう申し上げているわけではありません。つまり、実際の教育というものは教科書に基づいて行われているわけでございますから、教科書にいわゆる侵略的事実という事柄がいろいろ書かれていることについて、例えば高校の歴史の教科書には既に従軍慰安婦について触れているのが一社ありますね。また女子、女子が入っておったかわかりませんが、挺身隊について触れているものもあるわけですね。私どもはそういうような教科書を認めているわけですから、そこからすべてを考えていただきたいと思います。
  375. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  376. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) 速記を起こして。
  377. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 私としては、この指導書の書き方を変えるつもりはありません。  あえて解釈まで申し上げれば、この八七二ページにある「大陸への進出につながった」と書いてありますことは、その当時の歴史的な背景の中で、その日本の目もまた大陸の方へ行ったという非常に一般的な物事を書いてあるものと思っております。いろいろ大陸への利益と言うんでしょうか、利権というものもあったかもしれませんが、そういう日本の態度がその後の大きな戦争に結びついていったという前段階のことを書いている「進出」という言葉だと、私は文章からいえば理解しております。
  378. 吉川春子

    ○吉川春子君 驚くべき答弁を文部省からいただきました。  最後に、私はもう一つ質問します。  日本の社会科教科書の侵略戦争に関する記述は、そういう文部省の態度からいっても当然少ないんです、諸外国に比べても。文部省も過去これについてはさまざまな干渉を行ってきました。従軍慰安婦問題を含む戦争責任問題は教科書の執筆者、現場教師の実践の自主性を最大限に尊重して干渉しない、そのことは約束できますか。
  379. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 教科書の検定の周期も長期化いたしまして、もちろん今回新学習指導要領に基づいて新しい教科書がつくられていくわけですが、我が国の教科書の編成の仕方、編成というか作成の仕方というものはいわば民間活力によっているわけでございまして、民間の方がお書きになる。もちろん学習指導要領に重きを置いて書いていただいて、それに照らしてでき上がったものを私どもが検定するということですから、いわば中身の大もとについては民間の発意のような部分があるわけでありましょう。  したがって、先ほども申し上げましたように、例えば総理がいろいろ演説をされた事柄とか、あるいは時の話題とか、例えば盧泰愚大統領が日本にお見えになって日韓友好というような機運が高まりますと当然それらの記述が自然に多くなるとか、そういう傾向はあるわけで、それらについてはそういうものかというので文部省は検定をさせていただいているという事情があります。教科書はそのような形で時代とともに変化することは十二分にあり得ると思います。
  380. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣、端的に簡潔な御答弁で結構でございますが、今後、日本の侵略戦争についてあるいは朝鮮人従軍慰安婦について、教科書の中にも、今は一社ですけれども、多数登場するでありましょうし、現場の教師たちもこれを使って実践すると思います。そういうことについて、文部省は干渉しない、その自主性を尊重するということを一言おっしゃってください。
  381. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) それはそのとき判断をすることでございます。
  382. 吉川春子

    ○吉川春子君 不十分ですが、終わります。
  383. 中村太郎

    ○委員長(中村太郎君) 以上で吉川君の質疑は終了いたしました。(拍手)  本日の審査はこの程度といたします。  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十八分散会