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1986-05-21 第104回国会 参議院 内閣委員会 10号 公式Web版

  1. 昭和六十一年五月二十一日(水曜日)    午前十一時四分開会     ―――――――――――――    委員の異動  五月二十日     辞任         補欠選任      大島 友治君     林  ゆう君      柳澤 錬造君     伊藤 郁男君  五月二十一日     辞任         補欠選任      岡田  広君     出口 廣光君      鈴木 省吾君     柳川 覺治君      林  ゆう君     海江田鶴造君      伊藤 郁男君     柳澤 錬造君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         亀長 友義君     理 事                 曽根田郁夫君                 村上 正邦君                 野田  哲君                 太田 淳夫君     委 員                 板垣  正君                 海江田鶴造君                 源田  実君                 沢田 一精君                 出口 廣光君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 柳川 覺治君                 穐山  篤君                 小野  明君                 久保田真苗君                 内藤  功君                 関  嘉彦君                 柳澤 錬造君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  加藤 紘一君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長        兼内閣総理大臣        官房審議室長   的場 順三君        内閣法制局第二        部長       大森 政輔君        国防会議事務局        長        塩田  章君        内閣総理大臣官        房広報室長        兼内閣官房内閣        広報室長     金子 仁洋君        臨時行政改革推        進審議会事務局        次長       山本 貞雄君        警察庁警備局長  三島健二郎君        防衛庁参事官   瀬木 博基君        防衛庁長官官房        長        宍倉 宗夫君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        防衛庁装備局長  山田 勝久君        防衛施設庁長官  佐々 淳行君        防衛施設庁総務        部長       平   晃君        防衛施設庁建設        部長       大原 舜世君        防衛施設庁労務        部長       岩見 秀男君        経済企画庁調整        局長       赤羽 隆夫君        経済企画庁物価        局長       斎藤 成雄君        外務大臣官房審        議官       渡辺  允君        外務省国際連合        局長       中平  立君        大蔵省主計局次        長        小粥 正巳君        大蔵省理財局次        長        足立 和基君        大蔵省国際金融        局次長      橋本 貞夫君        海上保安庁次長  岡田 專治君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○安全保障会議設置法案内閣提出、衆議院送付  ) ○台湾出身元日本軍軍属補償に関する請願(第  一一号外七件) ○シベリア抑留者の恩給加算改訂に関する請願  (第四五号外六八件) ○スパイ防止のための法律制定に関する請願(第  一三四号外五一件) ○国家機密法(スパイ防止法)の制定反対に関す  る請願(第一四三号外一七件) ○台湾出身元日本軍軍属補償のための立法措置  に関する請願(第一八二号) ○中小企業省設置に関する請願(第二八五号) ○台湾出身元日本軍軍属補償に関する請願  (第三〇六号外三〇件) ○厚生省設置法の一部を改正する法律案反対に関  する請願(第五四九号外一七件) ○石川県の寒冷地手当改善に関する請願(第六六  六号外一一件) ○国家機密法の制定反対に関する請願(第八六六  号) ○新潟県朝日村の寒冷地手当改善に関する請願  (第一〇八八号外三件) ○新潟県下田村の寒冷地手当改善に関する請願  (第一〇八九号外三件) ○長野県木祖村の寒冷地手当改善に関する請願  (第一〇九〇号) ○長野県楢川村の寒冷地手当改善に関する請願  (第一〇九一号) ○栃木県の寒冷地手当改善に関する請願(第一一  〇一号) ○長野県諏訪郡富士見町の寒冷地手当改善に関す  る請願(第一一一七号) ○兵庫県宍粟郡千種町の寒冷地手当級地引上げ改  善に関する請願(第一一一八号) ○兵庫県宍粟郡波賀町の寒冷地手当級地引上げ改  善に関する請願(第一一一九号) ○国家機密法(スパイ防止法)制定反対に関する 請願(第一一三五号) ○岐阜県の寒冷地手当改善に関する請願(第一一  九四号) ○元軍人軍属恩給欠格者に対する恩給の支給等に  関する請願(第一二四九号) ○兵庫県の寒冷地手当改善に関する請願(第一三  一一号) ○台湾出身元日本兵等に対する補償及び救済制度  の早期確立に関する請願(第一四一七号) ○傷病恩給等の改善に関する請願(第一四一八号  外二五件) ○富山県宇奈月町の寒冷地手当是正に関する請願  (第一五〇七号) ○安全保障会議設置法の制定反対に関する請願  (第二四五一号外三〇件) ○国家機密法制定反対に関する請願(第二四五二  号外一件) ○安全保障会議設置法制定反対に関する請願(第  二九七五号) ○台湾人日本軍軍属に関する請願(第三一六  五号) ○継続調査要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  昨五月二十日、大島友治君、柄谷道一石及び柳澤錬造君が委員を辞任され、その補欠として林道君、関嘉彦君及び伊藤郁男君が選任されました。  また、本日、岡田広君が委員を辞任され、その補欠として出口廣光君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 安全保障会議設置法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 野田哲

    ○野田哲君 まず最初に、警察庁の方にお伺いをしておきます。  この間の東京サミットにおける警備状況、これは大変な厳しい警備で、まさに東京戒厳令、こういう状態であったわけであります。私自身も、国会の公用車で通行中にとめられて、自分が国会議員であるということを名のっても車の中を調べられ、トランクまであけて調べられる、こういう状況であったわけですし、通行人が携帯をしているマーケットの買い物袋まであけて調べられる、こういう状態もあったわけでありますが、一体、この戒厳令とも言われているような最高の厳戒体制というのは、いつからいつまで、どのような人員でこういう警備体制をとったのか、まずその点を伺いたいと思います。
  5. 三島健二郎

    ○政府委員(三島健二郎君) お答えいたします。  東京サミット及び天皇陛下の御在位六十年式典につきましては、極左暴力集団の各派がこれを絶対に爆砕するという言い方で大変厳しい反対の姿勢を示してきておったところでございます。特に、極左暴力集団各派は、既に数多くのゲリラ活動を行ってきておりまして、特にいわゆる飛び道具と申しますか発射弾を用いてのゲリラであるとか、あるいは国鉄線に対しまするライフライン攻撃のようなゲリラであるとか、あるいは武装闘争といったふうなものを数多く敢行してきている状況でございました。  したがいまして、警察といたしましては、何としてもこのような極左暴力集団の犯罪行為を防ぐという観点から、早い時点から警備態勢に入っていたわけであります。その後、サミットが近づくに従いまして次第に警備態勢を強化いたしまして、最終的には四月の二十五日以降東京サミットが終わりますまでの間最犬の動員をかけまして、警視庁管下で申し上げますと約三万人の警察官を動員いたしまして警戒いたしたところでございます。
  6. 野田哲

    ○野田哲君 今、極左暴力集団が六十周年の行事やあるいはサミットを爆破するというような情報があったということですが、もっと具体的に、一体そういう情報でどういう事態が具体的に想定をされたのか。そういう情報があれば、その情報によってその該当者をきちっと規制すればいいんであって、国民をあれだけ規制することはないじゃないか、こういうふうに思うんですが、一体どういう情報、どういう状態が想定をされたわけですか。
  7. 三島健二郎

    ○政府委員(三島健二郎君) 極左暴力集団の各派につきましては、それぞれ爆砕するという言い方でそれぞれの反対の姿勢を示しておったわけでありますが、具体的内容につきましては、具体的なものは入手のできない状況でございます。  ただ、過去に極左暴力集団の行っておりますゲリラ活動を見ますると、先ほど申し上げましたように、現に発射物を用いて重要防護対象に発射物を発射するといったふうなゲリラ事件が、例えば既に昨年、一昨年の段階でも約十数件起きているわけであります。それからまた、さらには去年の十一月二十九日にありましたように、国鉄線のケーブル線を一斉に三十三カ所にわたりまして切断をいたしまして、東京都内では、例えば国電がすべてとまるといったふうな事態も発生いたしておるところであります。あるいはまた、昨年の十月二十日には、成田闘争の現地におきまして、警察官に対して鉄パイプ、火炎瓶等を用いて武装闘争を行ったという経緯もございます。  そういう彼らのゲリラ活動等が今回のサミットにおきますところの彼らの攻撃の武器として使われるであろうということを想定いたしまして、それぞれに対応するような形での警戒体制をしいたということでございます。
  8. 野田哲

    ○野田哲君 そうすると、あれだけの厳戒体制をしいたということは、あなた方の一方的な想定に基づいてやったわけですか。
  9. 三島健二郎

    ○政府委員(三島健二郎君) 現に、極左暴力集団は、早い時点、三月の後半でございますが、三月の二十五日には既に皇居並びに半蔵門に対しまして火炎物を発射するといったふうなゲリラを現に敢行いたしまして、彼らはこれは天皇御在位六十周年あるいはサミットに向けてのゲリラ攻撃であるということを言明いたしたわけであります。それから、さらにまた、三月の三十一日には赤坂の御用地に対しまして金属弾が発射されるというゲリラ事件も起きておりまして、これも同じように、彼らはこのサミットに向けてのゲリラであるということを言明いたしたわけであります。それから、さらにまた、四月の十五日には米軍の横田基地に対しまして同じように爆発物の発射事件がございました。  このように、現に連続をいたしまして、彼らはサミット会議並びに天皇陛下の御在位六十周年に関連してのゲリラを敢行してきたところでありまして、現に彼らの行動がこのように出ているということは、過去の先ほど申し上げたようなゲリラ活動との関連で、一つの結果でございますので、したがって我々も、このようなものに対応する意味で警備を行っておったと、こういうことであります。
  10. 野田哲

    ○野田哲君 今例に挙げられた事件ですが、これらの犯人の捜査については現状どうなっているんですか。
  11. 三島健二郎

    ○政府委員(三島健二郎君) ただいま申し上げました事件の中で、三月三十一日の赤坂の御用地に向けまして金属弾が発射されました事件につきましては、現場で犯人の一名を逮捕いたしておるところであります。それから、さらにまたほかの事件につきましては、それぞれ特別捜査本部を設置いたしまして、遺留品の捜査、あるいは地取り捜査、あるいは犯行セクトに対しまする組織捜査等を現在進めているところであります。  いずれにいたしましても、このようなゲリラ事件と申しますのは、大変非公然な組織によって行われているものでありますので、大変捜査は難しいところでありますが、例えば昨年の四月十二日に成田空港及び羽田空港に同時ゲリラで大型の発射弾が発射をされた事件がございましたが、それは本年の三月十九日に二名の犯人を割り出して指名手配をいたしたのであります。  このように捜査を遂げまして、犯人を発見するまでに約十一カ月がかかっているわけでありますが、警察といたしましては、鋭意捜査を続けまして、何としても必ず犯人を検挙するという決意でもって今後とも捜査を進めてまいりたいと、こう思っております。
  12. 野田哲

    ○野田哲君 車のドアをあけて中の状況や所持品を調べたり、トランクをあけさせて中を調べたり、あるいは歩行者のハンドバッグや買い物袋の中まで調べる。こういう行為は、これはどのような法律的根拠に基づいてやられているわけですか。
  13. 三島健二郎

    ○政府委員(三島健二郎君) ただいまのようなゲリラ活動を防止するために、警察といたしましては、必要な検問、あるいは職務質問等を実施しているところであります。国民の方々には大変御迷惑をおかけしたわけでありますが、警察といたしましては、国民の皆様方のゲリラ防止につきましての深い御理解を賜りながら御協力をいただいているところであります。  法的根拠という御質問でございますが、警察は警察法二条によりまして犯罪を予防する任に当たる立場でございます。そのような意味で、警察法によって課されました警察の任務を果たすために、それぞれ関係の方々に御理解をいただきながら、任意に御協力をいただくということで実施をしているところでございます。
  14. 野田哲

    ○野田哲君 警察の任務を果たすためにということだけれども、これはあくまでも本人の合意がなければできないことだと思うんですが、あの厳戒体制というのは、これはまさに強制的な捜査、こう言ってもいいんじゃないかと思うんで、これに渋々応じたのは、そこで断固として頑張れば渋滞がひどくなって後からクラクション鳴らされて急がれるから、面倒だから見せているんであって、合意をしてやっているもんじゃないということなんですよ。だから、それをあなた方の方は、いかにも強制捜査の権限があるかのような状態でやっているところに私は問題があると思うんです。明らかにもうあの厳戒体制というのは、これは法の範囲を超えているとはあなた方は思っていないんですか。
  15. 三島健二郎

    ○政府委員(三島健二郎君) 警察といたしましては、あくまでもそれぞれ関係の方々に十分御説明も申し上げ、事態も御理解をいただきながら任意に御協力いただくということでもって努力をいたしてきているところでございます。
  16. 野田哲

    ○野田哲君 説明なんかしてないですよ、あなた何を言っているんですか。通行人に対して何を説明しているんですか。まるっきり強制、頭ごなしじゃないですか。  この問題でやりとりしてもこれ時間があれですから、官房長官、あのような強制捜査のやり方は、厳戒体制というものは明らかにこれはもう法を超えている部分が相当あるわけですが、一体政府としては、どこの機関で、どういう方針であのような厳戒体制を決定したわけですか。
  17. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 今回のサミットの警備につきまして、厳戒体制のもとで行われたわけでございますが、その過程で国民の皆さん、都民の皆さんに非常な御迷惑、御辛抱をおかけを申したということについては、私は国民の皆様方の御協力に対して政府としては深く感謝を申し上げたい、こう思うわけでございます。  したがって、あのときにおきましても、総理大臣の談話を出して都民の皆さんへの協力を呼びかけ、同時にまた私ども新聞記者会見等を通じ、あるいはまたテレビその他いろんなマスメディアを通じて、今回の警備は間違いの許されない、日本の国として極めて重要な局面に立っての警備である、それだけに何とかひとつ皆さん方に御迷惑をおかけすると思うがお許しをいただきたい、御協力を願いたい、再三呼びかけもさせていただくと同時に、警察当局に対しては、一番肝心なことは国民に接する第一線の警察諸君の態度である、同じ協力を求めるにして至言葉遣い一つ、あるいは挙措動作一つが積極的な気持ちを起こしていただけるか、それとも野田さんのように嫌々と、こうおっしゃる方も出るかもしらぬし、あるいはまた嫌だと、こういう人もおるかもしらぬ。  しかし、これは国民の皆さん方にできる限りやはり協力を求めて間違いのないことをやらなきゃならぬのだから、警察部内における第一線でのそういった態度については、これはもう十分の上にも十分の配慮を加えて徹底してもらいたいということもしばしば警察当局にお願いをして、それで、今回のサミットの警備途中で発射物等の事故もありましたけれども、人身の被害が出たということもなく、そして、同事に行事そのものは何らの支障もなく行われたということについては、これはひとえに国民の皆さん方の理解、こういった事態における協力というものについてのおかげであったと、かように私は感謝をいたしておるわけでございます。  御質問の法的な面については、警察法に基づいての国民の皆さん方への御協力ということで、任意の協力を仰いでやらさせていただいた、こういうことであろうと思います。  いずれにいたしましても、この種事案はこれから先も私はしばしば起こり得るのではないか、こう思いまするので、こういう際におけるスマートな警備のあり方、それについての平素からの教育訓練、そして同時に、そういった事態の際における国民への協力の呼びかけ、これらについては間違いのないようにぜひやっていただかなければならぬ、かように考えているわけでございます。
  18. 野田哲

    ○野田哲君 あの警備は、国際的にも大分話題になっていますよね。決していい評判じゃないですよ、これは。あるジャーナリストは、サミットのときに東京へ行ったら、ただで制服を着た女性がマッサージをしてくれた、こういうジョークまで報道している。つまり、女性の警察官がボディをチェックをしたのを、二十二ドルを払わなくてもただでマッサージをしてくれた、こういうジョークを言っている。  国民として納得のいかないのは、三万人もの動員をして、あれだけ東京都心、羽田、あの周辺、国民にあれだけの迷惑をかけているけれども、あれだけの動員力があって、なぜ半蔵門やアメリカ大使館に何か投げ込んだ者を、ああいうグループをなぜきちっと規制したり、犯人を逮捕することができないのか。つまり、そういうものは全く手をつけようとしないで、国民の方にばかり三万人が行動を規制している。ここに納得のできないものがあるんじゃないですか。  次の問題に移りますが、今度のこの安全保障会議設置法提出の目的なり経緯でありますけれども、第二次臨時行政調査会の答申の中では、国防会議のあり方について、「必ずしもその機能を適切に発揮しているとはいい難い。」、こういうふうに指摘をして、その機能の活性化を図ることを提言しているわけでありますが、これは国防会議の機能の活性化ということを指摘しているわけであって、組織がえを求めているのではないと思うわけでありますけれども、この点について官房長官あるいは防衛庁長官、国防会議事務局長としてはどういうふうに受けとめておられるわけですか。
  19. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 御指摘の臨調は、確かに国防会議の活性化ということを言いまして、その中身としまして定例的に会議を開くような努力をしろということ、あるいは事務局の強化を図れといったようなことが臨調の答申で言われております。  その後、一応、一応といいますか国防会議の活性化の問題とは別個に、内閣の総合調整機能の強化という観点からの行革審の答申が出まして、そういった観点の内閣の総合調整機能の強化の一環としまして、重大緊急事態が発生した際における政府としての対処措置、これについての体制の整備を図るという観点から今回の改正案になって、それは同時に、行革審の昨年の答申によりますと、同時にまた国防会議の活性化にも資するといいますか、つながるといいますか、そういう観点からの答申がございまして今回の改正案になった、こういう経過でございます。
  20. 野田哲

    ○野田哲君 官房長官、あの答申は、必ずしも国防会議をやめて安全保障会議を設置しろ、こういうふうには言っていないと思うんです、活性化を図れ、こう言っていると思うんですよね。それを、あの第二次臨時行政調査会の答申をさらにエスカレートさせる形で行革審の方で提言になったわけですけれども、行革審というのは、これは第二次臨調の答申の実施状況について審議をする、これが主たる設置目的だったと思うんです。目的の中に、政府が諮問をした事項についてもあわせて審議をすることにはなっておりますが、主たる目的は臨調の答申の実施状況を審議する、こうであったと思うのです。ところが、この活性化を図れという答申が出ている。  それが今度は、行革審の方では今回の安全保障会議の設置、こういう形で出てきているわけですが、当時は後藤田さんは総務庁長官だったと思うんですが、政府が第二次臨調の答申を受けた形で、さらにこの行革審の方へ諮問をしてああいう提言が出された、こういう経過になっているんですか。そこのところはどうなんですか。
  21. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) この第二臨調と行革審の相互関係は、今、野田さんがおっしゃったとおりだろうと思います。  行革審に対しましては、私は五十九年の五月七日であったと記憶をしておりますが、行革審に参りまして、もちろん総理と相談の上でございましたが、第二臨調ではいろいろどこにも聖域というものを設けなくて、全般についての行財政改革についてせっかく立派な御答申をちょうだいしたんだけれども、残念ながら時間が足りなくて突っ込み不足の点が幾つかございますと、これはやはりきちんとひとつ第二臨調の後を受けた行革審で十分ひとつ不足の点は御審議をしていただいて、詳細な御意見等がちょうだいできればありがたい、こういうようなことで幾つかの事項を私の方からお願いいたしたんですが、その一つがこれですね。あるいはもう一つは、たしか地方行革が一つありましたかね。それから特殊法人もあったと思います。  そういった幾つかの点の、私の方からこういう点は突っ込みが不十分なように思いますと、したがってこれらについての一層のひとつ御検討をお願いしたいということでお願いをした結果が、今回のこの国防会議の改組といいますか、国防事案はそのまま引き続いておりますけれども、安全保障会議設置についての御答申になった、こういう経緯でございます。
  22. 野田哲

    ○野田哲君 そうすると、これは設置法に基づく諮問ということで手続上は理解していいんですか。
  23. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 一応私どもは、行革審の設置法に基づいた措置をとったつもりでございます。
  24. 野田哲

    ○野田哲君 防衛庁長官とそれから国防会議の事務局長塩田さんにお伺いをするんですが、特に塩田さんが前任のときの時代のことで伺いたいと思うんですが、元統幕議長の竹田五郎さんという方がいらっしゃるわけです。この方が「危機管理なき国家」、こういう本を書いておられるわけです。この竹田五郎さんの「危機管理なき国家」という本の中を見ると、国防会議について次のように述べているわけです。   国防会議の実態は、創設以来、主として防衛力整備に関する中期、および年度の計画、見積りの事前了解を求める形式的な会議に過ぎず、ミグ-25亡命事件、韓国朴大統領暗殺事件、大韓航空機事件など危機に際し、その管理のため機能した例はない。   しかも、この会議は議長が総理であるにもかかわらず、ここで議決されたことでも、さらに閣議の決定を経なければ政府の政策とはなり得ない。これでは、激変する情勢の推移に応じて機敏に対応することはできず、秘密の保持にも疑問が残る。  こういうふうに述べているんです。制服の最高幹部であった人があからさまに国防会議の機能を批判し、危機に際し機能した例がない、こういうふうに決めつけているわけなんです。  この考え方に私どもは同調できないわけですけれども、制服幹部にこれだけ決めつけられているということは、これはやはり政府の方にも責任があるのではないかと思うんです。今の国防会議法でも、総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項は必要に応じて審議し意見を述べることができるようになっているわけであります。そういう状態の中で、制服の幹部から全く機能していない、こういうふうに決めつけられていることについて、防衛庁長官は今までの国防会議のあり方についてどういう見識をお持ちでございますか。
  25. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 竹田元統幕議長の記述は、国防会議についての実態につき若干理解不足の点があるんではないかなとこう思っております。  まず第一に、国防会議でいろいろ答申事項を決めたことでも閣議の決定がなければ政府の決定にならないと書いてありますが、それは当然のことでございます。政府の方針として決定するには閣議でしっかり決めなければいけないのであって、その逆になってはゆゆしいことでありまして、そういうところなどについての初歩的な認識の錯誤があるのではないかなとこう思っております。  それから、以下の話はどちらかといえば官房長官ないし塩田国防会議事務局長からお答えいただくことだと思いますが、ミグ25やKALの事件という問題が、いわゆる国防事項ではないけれども重大緊急事態になり得る候補のケースでありますので、だからこそ今度この法改正がある、そしてそういう問題が取り上げられるということだろうと思います。  それからもう一つ、もちろん国防会議というものに私も何度も当然のことながら出席しておりますけれども、会議が行われること自体を前にして各省庁で、国防会議で合意が得られるように大変な事前折衝を事務当局がいたします。これは大変なことでございまして、私たち防衛庁としても、そういうところの事前の段階でも、十分各省の理解を得られなければ我々防衛庁の施策はそのまますんなりいかないわけですから、そこのプロセスというものは非常に重要な意味を持つ、まあ実質的な各省庁によるある意味では意見の注入になるわけですが、その辺のプロセスがこの書物の中では十分に認識されてないんではないかな、そんな感じがいたします。
  26. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 今の加藤長官のお答えで私の方からのお答えの点についても尽きておるわけですが、一つは国防会議で決めたことでも閣議決定をする、これは当然のことでありまして、その点はおっしゃっている方がおかしいんじゃないかと思います。それから、従前の国防会議が役に立っていない、形式的にしかすぎないではないかという煮につきましては、これは御批判は御批判としてあると思いますし、我々もそれは批判を受けとめなきゃいかぬ点もあると思いますが、私は従来からそれなりの任務は果たしてきておるというふうに自分では理解いたしております。  ただ、そうは言いましても臨調等いろいろ御批判がありますので、今後の運営に当たっての注意は十分していかなきゃならぬとは思っておりますけれども、全く形式的な会議にすぎないんで意味がないというおっしゃり方については私ども必ずしも納得できない。  それから、ミグやKALにつきましては、今、加藤長官からもお答えがありましたように、まさに今回考えておりますような重大緊急事態に当たる事件ではなかろうかというような意味で今回対処体制を整備しよう、こういう考え方であります。
  27. 野田哲

    ○野田哲君 今の竹田さんの著書の問題とあわせて、さらに竹田さんとそしてその前の統幕議長の栗栖さんのいろいろ書物などから重ねて伺いたいと思うんですけれども、この竹田五郎さんは、今申し上げました「危機管理なき国家」という本の中でさらにこういうふうに述べているんです。  三自衛隊の統合運用につき、統幕会議で論ぜられるとしても、会議体では迅速性を欠き、また、日米共同作戦にも支障をきたすであろう。さらに、これを内局の統制下におけば、屋上屋を重ねることとなり、その弊は倍加することは明らかである。   統幕議長を統合幕僚長として三自衛隊の行動運用に関する長官に対する最高助言者とし、この地位を与え長官の命令に基づく執行者、指導監督者としての権限を与え、事務次官は行政事務のみに専念させるようにしなければならない。   さらに一歩を進めて、総指揮官たる総理に対する軍事に関する最高助言者の地位を与えることも考慮し、平素から接触の機会を持ち、信頼関係を醸成しておくべきであろう。こういうふうに主張しておられるわけであります。つまり、内局があることが邪魔になる、弊になっている、こういうふうに言っているわけなんです。総理と直結させてくれと、統幕議長は。  栗栖さんの方はもっと露骨ですよ。こう言っているんです。これは「自衛隊改造論」というレポートの中で、  根本的には内局のあり方が問題です。まず防衛  局ですが、軍事の専門家である制服が責任ある  地位にいなければ、長官を補佐する本来の使命が達成されないはずです。したがって、防衛局は解体すべきであり、これに代わり統幕が完全に機能すべきだと思います。 そして、さらにこう言っているんですね。  防衛力整備計画については、現在は防衛局が業務計画あるいは長期・中期の査定権を持っておりますが、これは非常におかしいのですから、これは統幕がすべきです。  これは歴代の統幕議長がこういう考え方を持って、防衛問題についての内局の存在というものを否定する、総理に直結する地位を与えろ、そしてこの防衛計画について内局がチェックすることは問題があると、こういうふうに言っておられるということは、これはやはり二人のたまたま著書に出た見解だけで済ますというわけにいかないと思うんです。やっぱりこれは、この背後には制服幹部の内局不信、つまりシビリアンコントロール不信の大合唱というような声が聞こえてくるように私には思えるわけであります。このような主張に対して、防衛庁長官は一体どういうふうにお感じになりますか。  これは局長の答えることじゃないですよ、長官が答えなきゃ。
  28. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 防衛局がなくなっても困りますので、私からまず最初にお答えをさせていただきたいと思いますが、今お読みになったお話は、やはり現在の防衛庁といいますか、の仕組みについて必ずしも十分おわかりになっていない向きがあるんじゃないかというふうに私は感じるわけです。と申しますのは、防衛庁におきます仕事の進め方、特にシビリアンコントロールというのは防衛庁長官によって象徴されているわけですが、防衛庁長官というのは、軍事専門家である制服の人たちと、それから我々シビリアン、これは軍事専門家という視野とは別の視野から軍事面を見ている、そういう二つの立場、二つの足、二本足で立って長官はいろいろ御判断をされておるわけであります。したがって、事、長官自身が命令を出されるような重要な問題、基本的な問題については、常に軍事専門家である制服の意見と我々シビリアンの意見と、両方をお聞きになって長官が判断をされると、こういう仕組みになっておるわけであります。したがって、統幕と防衛局というものはお互いに相手にかわることができない立場であります。したがって、統幕が内局に立ちかわることもできませんし、内局が統幕の立場に立つこともできないわけで、これは相互に常に必要なものであるというふうに私は考えております。  それから、防衛力整備の問題等につきましては、御承知のように、現在の統合幕僚幹部というのは有事のオペレーションを中心に仕事をするということで、防衛力整備関係については幕僚幹部が担当するという形になっておりますので、幕僚長を経験された方が統幕議長になりますと、そういった点について統幕がやるべき仕事が少ない、平時にやるべき仕事が少ないという寂しさというものはあろうかと思いますが、現在の仕組みはそうなっておるということであろうと思います。  したがって、我々としては、内局自身は統幕の強化については常に統幕の最大の理解者であり支援者であるわけでありまして、例えば統幕議長の権限、先ほどの本ですと統幕議長は単に会議体の司会者にすぎないように書いてございますが、現在我々が強く主張をして、三幕意見が食い違った場合は統幕議長の意見を長官に上申をするというような形で統幕議長の権限を非常に強めております。しかし、それはやはり陸海空についてそれぞれ陸海空なりの独自の考え方というのがあるわけですが、それをどこまで統幕というものが統制できるか、調整できるかという能力の問題との兼ね合いであります。したがって、我々としては、できる限り統幕の力を強めて統合運用の効果を発揮させたいということで努力もし、御支援を申し上げているというふうに考えております。
  29. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 今、防衛局長から御答弁申し上げたとおりでございます。私たちは、シビリアンコントロールというのは戦後の我が国の防衛体制の中で最も重要な原則の一つであろうと思っておりまして、シビリアンたる防衛庁長官が、内局による政治、外交、財政上のいろいろな判断も聞き、またその前に純軍事的な観点から統幕議長、三幕僚長の意見を聞いて、総合的に判断しなければならない。その上に立っていかにバランスをとるかという難しい仕事であろうと、こう思っております。  そういった仕組みというものについて、時たまわかってはおられるけれども比較的認識が浅いような発言が出るときもありますけれども、このシビリアンコントロールというものが戦後導入されてきた概念的なものですから、まずまず一〇〇%近く定着しておりますけれども、時たまいろいろ意見が出たり、特に退官された後に比較的目立った意見として書くということを勧められて書かれるケースというのは時たまあるように思います。  しかし、私は、今の自衛隊の制服の幹部の諸氏ともしょっちゅう飲んだり話したりしておりますけれども、そのシビリアンコントロールについての理解はますます進んでおりまして、シビリアンと純軍事的な側面から考える制服との間にそんな調整が要らないような状態、つまりシビリアンコントロールが意識されないような状態というのが理想的なわけですけれども、そういう姿にだんだん近づきつつあると私は思っております。
  30. 野田哲

    ○野田哲君 いろいろ説明されましたがね。私は、防衛局長の言うように、ここで私に仕組みを説明してくれと言っているんじゃないんで、制服を脱いだ人がこういう形で長官や内局に対して不平、不満、機構上のフラストレーションをこういう本に書いてあからさまにするところに、私はやはりシビリアンコントロールの危機を感じるわけなんですよ。その点をよく考えてもらいたいんです。  そこで、次の問題に入っていきたいと思うんですが、後藤田官房長官は、重大緊急事態の例としてKALの問題とかあるいはミグの問題とか、あるいはダッカの問題とか、こういう問題を挙げておられるわけですけれども、ミグの問題について伺いたいと思うんですが、私が調査したところでは、当時は三木内閣のときでありますから、官房長官は中枢におられたわけではないわけで、今の坂田議長が防衛庁長官の当時のことなんですが、あの当時の記録をいろいろ調べてみると、閣議の議題にもなってないんじゃないか。関係閣僚が集まって協議をしたという形跡もない。あるのは、外務、運輸、法務、警察、この四省が連絡会議を持って対応策を協議した、その程度のことになっているんじゃないかと思うんです。  それが、今になって重大緊急事態という一つの事例としてなぜ扱われるのか。政府部内では一体このミグ25事件について当時どのような対応策や処理方針がとられたのか、まずそのことをお伺いしたい。
  31. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 重大緊急事態というのは、国防事案以外の、しかも今日制度的にある非常事態への対処で措置のできないといったような国家の安全に重大な影響ありと認められるような事案に対処するという意味で法律の改正をお願いをしておるわけでございますが、こういうことはそれじゃどういう事態だということになれば、これから先どういう事態が起こるかこれはなかなか想定の困難な問題でございますから、過去の事案で言えばミグとか、あるいはKALとかダッカとか、こういう事態でしょう。なお、私はそれにつけ加えて、戒厳令を施行せられたような社会的、政治的な大混乱が起きた関東大震災、こういうような程度の被害が及ぶような事案であれば考えられるのではないか、こういう意味で申し上げておるわけでございます。  それじゃ、今御質問のミグの事件はどういうことだったかといえば、野田さんおっしゃるように、三木内閣では私はそういう重要な地位におりませんから、したがってどういう処理をしたのか詳細は承知をしておりませんが、もたついたことだけは間違いがございません。ああいう処理では、私はああいった危機に対処する管理としては政府はまことに不十分である、これは私はそう思います。というのは、あの事件は外国の軍用機による亡命の事件ですね。しかも、それは領空侵犯の事件である。それと同時に、当時としては最新鋭のソ連の戦闘機であるということで、この機体をどう扱うかといったような問題がございました。  これらの点から、ああいう事件が起きたときは、きちんとした早く方針を決めませんと、相手がどういうような手に出てくるかわからない、なれば自衛隊はそのときにどう対処するんだとか、いろいろな私は危機を頭に置いた処理を迅速的確にやらなければならぬと思いますね。それが的確にできたとは思いません。それは、詳細の処理の仕方は私は先ほど言ったようにわからないんですが、この事件処理に当たっての各省庁の協議を見たら、すぐ今でも私はうかがわれると思います。  それは、会合を何回もやっておるんですけれども、途中から防衛庁が入ってきておる、最後のころになると法制局も入ってくるといったようなことで、最初からどことどことどこの役所がこれに対しては対処するんだということでぴしゃっとした打ち合わせにすらなっていないというようなのが私は実態だと思います。こういうときには、とかくどこが何を担当していくかということすら決まらないというのが私は実態だろうと思うんです。  しかし、こういうのは教訓になっていますから、今度同じ事件が起きれば、私はあのときのようなもたつきはなしにある程度はできると思いますが、なかなか野田さん既に御案内のように、役所というのは積極的に争う場合と消極的に争う場合と二つあるんですね。こういった事態がどうなるかということを考えますと、私はやはり基本方針だけはきちっと立てる必要があるだろう、したがってこのような事件が起きれば、やはり重大緊急事態として処理するのが適切であろう、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  32. 野田哲

    ○野田哲君 後藤田長官、政府部内の縄張り争いで処理がもたついたことを、今度は逆に今度の設置法の口実にされようというのは、私はちょっと虫がよ過ぎると思いますよ。あの当時の記録を調べてみると、本当に閣議もこの問題では開いていない、関係閣僚会議も開かれていない、今言われたように、防衛庁の方があのミグ屋と呼ばれているアメリカの空軍の解体屋を連れて乗り込もうとするからもたついたんですよ、外交上の問題になるということで。ただ、ミグの搭乗者がその飛行機を使って逃亡した事件ということで扱えばこれは簡単に処理ができたのを、アメリカの解体屋を連れてきて、これで乗り込もうと防衛庁が考えるから非常な重要な政府部内の意思のそごを来した、こういうことじゃないでしょうか。  そこで、防衛庁の方に伺いますが、あの事件のときに、北海道やあるいは東北、青森あたりの自衛隊は、一体どういう態勢をとったのか。  陸上自衛隊では勤務態勢について一種、二種、三種、こういうのがありますね、今でもあるんだろうと思うんです。一種というのは、指揮機関要員のうちの情報運用などの一部の要員だけが駐屯地内に待機をする、二種は全指揮機関要員が待機をする、第三種は全駐屯地隊員が待機をする、こういう区分があると思うんですが、北海道や青森県などでの自衛隊はどういう待機態勢をとったわけですか。
  33. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 当時の状況でございますが、自衛隊には、今先生御指摘のように、陸上自衛隊では例えば陸上自衛隊非常勤務態勢といったような形で、平時におけるいわば緊急事態、これは何もミグ事件のような場合に限らず、例えば台風が近づいてとか、そういうときも含めての話でございますが、そういう勤務態勢強化のための基準がそれぞれつくられております。  それに基づきまして陸海空それぞれの措置をとったということでございますが、陸上自衛隊から申し上げますと、まず北部方面総監部、これが九月六日から九月二十四日まで情報所及び指揮所を開設をいたしております。これは勤務態勢でいえば第二種勤務態勢ということになります。それから、函館の第二十八普通科連隊、これは十一師団の隷下にございますけれども、これが九月八日から九月二十四日まで第三種勤務態勢――第三種勤務態勢というのは、その駐屯地におります全員を待機させるという態勢でございますが、をとっておるということであります。  なお、海空につきましては、特段の勤務態勢の変化、例えば航空自衛隊で言えば領空侵犯対処のアラートのためのDEFCONというのがございますが、これの基準がございますが、これを強化するということはいたしておりません。海についても同様、特別の不測の事態のための態勢を強化するということはいたしておりませんが、個別の態勢として海上自衛隊は九月七日から二十四日までの間、艦艇二隻及び対潜哨戒機二機を津軽海峡の監視に当たらせております。  それから航空自衛隊でございますが、先ほど申したように領空侵犯措置のための警戒待機態勢は、通常態勢でございますが、九月十三日から二十四日までの間、函館周辺でRF4E、偵察機でございますが、これを警戒監視飛行をさせております。  なお、九月二十四日から二十五日にかけて行われましたミグ25の百里基地への移送に際しましては、F4EJ及びF104による警戒監視をいたしております。  以上が陸海空自衛隊の当時とった行動の概要であります。
  34. 野田哲

    ○野田哲君 防衛局長、今の態勢の次というと、もう出動待機命令の段階に入るわけでしょう。今の陸上自衛隊で言えば、第三種の態勢の次と言えばもう待機命令でしょう、そうじゃないですか。
  35. 西廣整輝

    政府委員(西廣整輝君) 防衛出動関連、いわゆる国外から日本に対する武力侵攻があるというような場合であればおっしゃるとおりそういった形になりますが、一方、例えば災害派遣を念頭に置いた場合の非常勤務態勢ですと……
  36. 野田哲

    ○野田哲君 いや、そんなことは聞いてない。態勢としては、その次の段階はもう出動待機状態に入るわけでしょうというんです。
  37. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) ですから、この非常態勢に続く態勢としては、防衛出動の場合もございますし、治安出動の場合もございますし、災害出動の場合もございますので、それぞれがあるということを申し上げたいわけであります。
  38. 野田哲

    ○野田哲君 防衛庁長官、ですから私が指摘したいのは、ミグ25事件について政府と、それから防衛庁以外の行政機関は縄張り争いで、これは単なる亡命事件だから法務省と外務省が処理すればいいんだ、それから警察が、あれは遺失物だから、提供品だから、こういうことなんですよ。そこへ防衛庁が、アメリカからもう強いアプローチがあって、ミグの解体屋を連れて乗り込んで、ミグの機能、構造を全部アメリカがチェックしようとした。そこで大変な縄張り争いがあって、防衛庁は、やっと関係各省連絡会議も途中から席にはべらせてもらうようになったわけです。  ところが、現地の部隊は、まさに出動寸前の状態に行っているということなんですよ。一体こういうことはあり得ることなんだろうかと思うわけです。後藤田官房長官、それを言うと、だから今度は安全保障会議で緊急な事態はやることが必要なんだと、こう言うわけですが、しかし今の国防会議の設置法の中でも、必要があればやれることができたはずなんですよ、対応は。必要があればやりなさいと書いてあるわけだ。これなぜやらなかったのか。  一体、今まで国防会議では、いつもいつも私はやりなさいと奨励しているわけじゃないんだけれども、今までやられた事柄の中以外に、緊急な必要があれば、総理が判断すればやりなさいと、協議しなさいとか意見を述べなさいと、こういう規定がある、こういう事柄によって、ミグのことなんかも政府としての最高の方針を出そうと思えば出せたはずなんです。それを閣僚会議もやられない、閣議でも問題にされていない、国防会議でも議論をされていない、ところが現地の自衛隊は出動寸前の状態になっている、こんなおかしなことはないんじゃないんですか。これは僕はミグの事件なんかは緊急事態の口実にならないんじゃないかと思うんです。どうでしょうか。
  39. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 野田さんの御意見は、聞けば聞くほどまさにこれが重大緊急事案ではないのか。したがって、それに対するこういう過去の事案を教訓として、こういう事態が再び起これば、やはりきちんとした体制をとるようにすべきではないのかという議論につながっていくように、私は御意見を伺いながら理解をしたわけでございます。
  40. 野田哲

    ○野田哲君 今の機構でやろうと思えばやれるんですよ。もう時間ですからやめます。今の機構でやれるんですよ、これは。
  41. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩します。    午後零時四分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  42. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、安全保障会議設置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  43. 穐山篤

    ○穐山篤君 加藤長官に伺いますが、防衛白書というのは毎年出ています。私もそれなりに読んでいるわけですが、この経緯を明らかにしてもらう意味で、昭和五十五年はどういう特徴的な白書であったのか。古いのが記憶にないとすれば、逆に言えば昭和六十年、去年の防衛白書の特徴、あるいは五十九年の防衛白書の特徴、これを若干説明していただきたいと思います。
  44. 宍倉宗夫

    ○政府委員(宍倉宗夫君) 五十六年の白書以降調べてございますので、御報告させていただきます。  五十六年の白書では、世界の軍事情勢や我が国の防衛問題の理解に役立つと思われます歴史的な経過というものを記述している点、それから二番目に、我が国の西側の一員としての役割というものを初めて記述した点、この二点が主な特色かと思います。  五十七年度の白書では、五六中業の理解に資する等のための武力攻撃の態様に応ずる対処など、そうしたものの説明をしたところが特徴があろうかと存じます。それから二番目に、自衛官の入隊から退職後にわたる生活など自衛隊の現状についても具体的に紹介しております。なお、この年から図表について初めて色刷りを採用しているという点に特徴がございます。  五十八年度でございますが、五十八年度は、過去一年間の日米両国の努力によりまして日米安保体制の信頼姓の維持向上が図られた点につきまして詳しく記述しております。それから、この年から写真につきましても初めて色刷りを採用してございます。  五十九年度でございますが、これも過去一年間におきます日米両国の努力によりまして日米安保体制の信頼性が維持向上した点を詳細に記述し、また装備の研究開発についても記述をいたしております。さらに、臨調答申と自衛隊についての記述についても触れております。  それから六十年度でございますが、六十年度は安保条約の改定から二十五年目に当たりますので、日米安保条約の経緯について記述をいたしました。それから、自衛隊と日米安保体制による侵略の未然防止、つまり侵略の防止の重要性につきまして詳しく記述し、さらに新たに「国民と防衛」という部を設けまして、防衛問題に対する国民の一層の理解と協力を訴えるというところに特徴があったかと存じます。
  45. 穐山篤

    ○穐山篤君 アメリカの防衛白書、それから日本の防衛白書というものを比較してみますと、おもしろいといいますか非常に考えさせられる記述が多いわけですが、アメリカの白書は毎年発行されていまして、どちらかといえば国会審議用の性格が非常に強いわけです。そこで、アメリカの白書の重点は、米国の安全保障という原点に立って国益に沿った形での防衛政策が展開をされているわけです。  さて、日本の防衛白書というものをずっと系統的に読んでみますと、まず世界の軍事情勢から入る、それからソ連の軍事力の増強ぶりをこれでもか、これでもかというふうに強調をする、これがパターンになっているわけですね。その上に立って我が国の防衛政策、防衛の現状というものをつないでいるわけですが、今もお話がありますように、例えば去年の防衛白書第四部第四章に「国民と防衛」という項がありまして、徴兵制であるとか兵役の義務というふうなことを殊さら記述しているわけです。それから、民間防衛というような問題についても、新しく問題の提起をしているわけですね。非常にそういう点がエスカレートをしているわけですが、足りない部分があるような感じがするわけです。  例えば、ソ連の軍事力増強の例をたくさん挙げていますが、それが日本の国益をどう損なおうとしているのか、そういう点が非常に明確ではなくて、大変だ大変だというような白書のつくり方です。しかし、この特徴点は、私が先ほど申し上げましたのは一例でありますが、「国民と防衛」、こういう中で、徴兵制であるとか民間防衛であるとかというふうに、勉強しなくてもいいとは言いませんけれども、不必要なことが最近どんどん導入をされている。これは安全保障会議設置と全く無関係ではない。私はそういうふうにまず指摘をしておきたいと思います。  さて、そこで官房長官、この日本の国会あるいは総理大臣が安全保障体制とか安全保障の確保というものを公式に発言したときは何年か御存じですか。
  46. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、正確な記憶はありませんが、ちょうど朝鮮動乱が起きましたときに、現在の自衛隊の前進である警察予備隊が発足したわけでございますが、その当時にそういった議論が一部出たやに記憶をいたしておりますが、これは必ずしも正確な記憶じゃございません。
  47. 穐山篤

    ○穐山篤君 先日から当委員会で、私どもは私どもなりの主張をしてまいりました。この種の重要な国策問題について、臨調とか行革審というふうなものを使うべきではないということを主張しました。それから二つ目には、殊さら安全保障会議を設置する必要はないじゃないか、国防会議が活性化を図れと指摘されているのならば、それは国防会議の運営についてみずからが創意と工夫を発揮すべき事柄である。それから、内閣の連絡調整の問題につきましても、十分これは機能できる余地を持っていると、こういうことを指摘をしたわけです。  ところが官房長官は、重大な緊急事態の問題を一つ取り上げながら、この内閣の調整機能の強化、そういう面でどちらかといいますと事務的な見地から物を言われておったわけですが、私は本問題の重要性にかんがみまして、少し安全保障会議に至るまでの政治的な動きというものを指摘をしておきたいと思います。  今、長官は、安全保障という話が朝鮮戦争のときからと言われましたけれども、記録によりますと、昭和五十四年の大平総理大臣の最初の施政方針演説の中にこの安全保障という言葉が正式に出てきたわけです。その前に、例えばエネルギーの安全保障とかあるいは食糧の安全保障というふうなものが散漫的に出たのはありましたけれども、この総理の施政方針演説の中にこう書かれている。「厳しい世界の現実に対応しての総合的な安全保障の確保」。ですから、考えてみますと、安全保障会議設置のまず具体的なスタートはここから始まっている、非常に歴史が長いというふうに、まず客観的に知る必要があると思います。  そこで、昭和五十四年の四月でありますが、総合安全保障研究グループの第一回の会合で大平総理大臣は次のように述べているんです。「総合安全保障は、節度ある質の高い防衛力を整備すると共に、これを補完する日米安全保障条約の誠実かつ効果的な運用」、二つ目に「政治、経済、文化等内政全般の秩序正しい活力ある展開」、三番目に「安定的な国際協力システムの実現」と、こういうふうに安全保障の輪郭をここで提示をしているわけです。この安全保障研究グループが、大平総理がまあ急逝をされましたので、昭和五十五年の六月に報告書を出しているわけです。まあ私は、ここまでが自民党内閣におきます安全保障会議設置の第一段階だと、こういうふうに分析をしたわけです。  それから、この研究グループの報告を受けまして昭和五十五年七月に、鈴木内閣発足当時でありますが、関係省庁を集めて内閣審議室が取りまとめるという方向で報告書を提出させたものが残っているんです。その主たるところを読んでみますと、「国際的要因に起因し、我が国の存立基盤に重大な影響を与え、あるいは与えるおそれのある多種多様な脅威に対し、外交、国防、経済等の諸施策を総合することによってその発生を未然に防止し、あるいは現に発生した場合、これに適切に対処することにより、我が国の国家としての存立を維持し、また社会的な大混乱を防止することを総合安全保障」として、こういうふうに定義をまとめたわけであります。最初は安全保障というもののイメージをつくりましたけれども、この段階では政府としての一つの定義を出しているところに私ども注目しているわけであります。  そこで、その年の昭和五十五年の十二月に、総合安全保障閣僚会議が正式に設置をされたわけであります。この設置目的を見ますと、「最近におけるわが国をめぐる国際政治、経済情勢の推移に鑑み、経済、外交等の諸施策のうち、安全保障の視点から総合性及び整合性を確保する上で、関係行政機関において調整を要するものについて協議するため」としているわけであります。この会議は、既に当委員会で指摘をされたようなものであります。これは、自民党三役も出席をすることができるということで、久保田委員からもあるいはその他委員からも指摘をされたわけです。しかし、これを歴史的に見ますと、この安全保障閣僚会議というものを設置したのは第二段階ではないかなというふうに思うわけです。  昭和五十六年の五月に鈴木総理大臣は訪米をしました。例の西側の一員として総合安全保障確保のため、日本にふさわしい役割を果たす決意があるということで、問題の日米同盟ということを声明で発表したいきさつが残っているわけであります。その後、オタワでサミットが行われましたが、鈴木総理大臣は西側の一員ということを非常に強調しまして、それとあわせて、記録によりますと、西側の総合安全保障の重要性を指摘をしているわけです。  先ほど申し上げました内閣に設けられました安全保障閣僚会議で検討されましたものを一まとめにしてみると、政治的、軍事的な脅威、それから経済的な脅威というものを二つ置きまして、これの受け方として外交手段、国防的手段、経済的手段というものも整理をしているわけです。その上に立って、危機の管理方式として危機の予防、次には危機の準備、危機の対応というふうに、非常に綿密に整理をされているわけであります。  まあ、中曽根内閣が発足してからのことは多くを申し上げることはないと思いますけれども、昭和五十九年五月、後藤田長官が行政管理庁長官であった当時、「危機管理のための政府の仕組み」こういうものを検討されました。それから、昭和五十七年七月の「行政改革に関する第三次答申」というものを念頭に置きながら、六十年六月に内閣機能等分科会というものが「内閣の総合調整機能の在り方」について答申をしているわけであります。  そこで、先ほど私は防衛白書の特徴を聞いたわけでありますけれども、これは防衛白書にかかわらず、その後中曽根内閣が安全保障会議を設置をするという一つの方向を目がけていろんな分野でいろんなことを積み上げてきたわけですね。例えば、日米首脳会談、防衛力の増強というものも一つの面でありましょう。それから、中西特命大臣による危機管理についての検討もそうでありましょう。三番目に危機管理問題についての行革審の答申もそうであったと思います。それから、防衛白書も毎年毎年エスカレートして問題の提起がされている。それから、靖国神社の公式参拝とかいろんなことが全部総合的に現実問題が進んで、いよいよ総合安全保障会議の設置というものになっているわけでありまして、歴史的に言いますと六年以上の歳月をかけて、慎重にあるいは周到に準備されたのが今回の安全保障会議設置法であろうというふうに言わなければならぬと思います。  きのうきょう国防会議の活性化を図るために安全保障会議を設けるというふうないいかげんな説明では、これは世間様は納得することはできないと思います。今まで私が申し上げましたようなものが、自由民主党なりあるいは自由民主党内閣として、第三段階の経過を経て、いよいよ第四段階、言いかえてみますと設置法を提起して具体的に危機管理に当たる、こういうふうに発展をしてきているものと思うんです。  したがって、私は、意見になりますけれども、事務的な問題の取り上げ方で安全保障会議の問題を取り上げることは適切でない。前回も指摘をしましたが、昭和五十八年度の自民党の選挙に関します我が党の公約一覧集を全部一読をしてみますと、これまたそういうふうな形に集合されているわけです。この中には「陸海空を統合運用して、それぞれがもつ能力を最も効率的に発揮させるため、統合幕僚会議議長の権限の強化」を図るとか、あるいは国防会議に出席をさせるとか、「国防会議を改組し、総合的な安全保障政策を樹立する」ために「国家安全保障会議を設置します。」というふうにずっとまとまっているわけです。  私の時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、私の主張、分析について官房長官なりあるいは加藤長官どういう御意見ですか、それを伺って終わります。
  48. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) まあ、穐山さんから我が国の安全保障をめぐっての昭和五十年代に入って以降の歴史的な経過をお述べになられたわけですが、それは確かにそういう私は経過を経ていると思いますが、我が国の安全保障のあり方そのものについては、既に先ほど言いましたように、朝鮮動乱を経て一番厄介な問題がやはり日本と連合諸国との間の平和条約、この締結のとき以来、我が国の安全をどのように確保するかということが大問題であった。自来今日まで、我が国の安全保障については論議が続いておる、こう私は考えるわけでございます。  もちろん、我が国の安全保障は、その基本は私は平和憲法にあると思います。この日本の平和憲法のもとで否定せられない我が国の自存、自立、自衛権、これを守るために必要な最小限度における質の高い自衛力をどうして整備をしていくか。これは、私は絶えざる課題で、今日的課題でもあろう、こう思うわけでございますが、同時に、それだけでは現在の国際情勢のもとにおいて我が国の平和と安全を守ることには不十分であろう。ならば、やはり日米安保体制というものを大きな突っかい柱としてやっていく、これは私は一つの手段。  いま一つは、やはり何といっても平和が一番重要なことでございますから、国際政治の中でやはり今日の核あるいは軍備をめぐってのこれの管理をどのように進めていくのかという国際的な話し合いの中での核軍縮、そして軍備一般の縮小、こういう方面での外交的な努力を日本も一端を担って協力をしていくと。  この外交的な努力と、それと日米安保体制のもとにおける我が国の必要最小限度の自衛のための軍事力ということによって、我が国の平和と安全を守っていこうと、これが私は基本であると思います。今日までいろいろ五十四年以来の経過等をお話がございましたが、私はやはりそういった流れの中での一つの現象であろうと、こういうふうに理解をします。  ただ、今回御提案を申し上げておりますこの安全保障会議というものの設置は、これは少し趣が違うというように御理解願いたいと思うんです。それは、こういった国外的な、国際的な問題のほかに国内的な問題も、ともかく内外ともに我が国が置かれている客観情勢は、いつどこで国家の安全、つまりは国民の生命と財産に重大な危害を及ぼすような事態が起きるかわからない、その体制を今の行政組織の中で一番考えておる面を取り上げてやっていこうではないか、こういう発想のもとに御提案を申し上げているわけでございますかう、我が国の安全保障の体制、つまり何といいますか防衛体側とでもいいますか、この方の動きの一環として今度の問題をとらえておるという考え方は私はとらざるところでございます。その点はひとつ区分をしてお考えをいただければありがたいと、かように思うわけでございます。
  49. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今いろいろと議題になっております安全保障会議、この委員会でも論議されてまいりましたが、いわゆる危機管理体制、この整備を目指すものと、こう理解してもよろしいんでしょうか。
  50. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) おっしゃいます危機管理体制というのがどういうことを指しておられるかにもよりますけれども、一般的に危機管理あるいは危機管理体制といいます場合は、いろいろな危機が起こる以前から、いわゆる予防、予知の段階、準備の段階、それからさらには起こった後の対処の段階、いわゆる危機管理といいます場合にはいろいろな局面がありまして、それらの局面すべてを対象にして考えるというのがいわゆる危機管理と呼ばれているものの考え方であろうと思います。  今回の場合は、何度も申し上げておりますように、ある事態が発生した場合にその発生した事態に対してどう対処するかということを主たるといいますか、そこを眼目としておりますから、そういう意味で危機管理一般の議論とは少し違うということを御理解いただきたいと思います。
  51. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 官房長官も一緒ですか。
  52. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 太田さんのおっしゃる危機管理というのがどういう幅のものをおとりになって御発言になっていらっしゃるのかわかりませんので、にわかにそうだとも言いがたい面があるわけでございますが、いずれにいたしましても、危機管理と普通言う場合には危機の予防、準備、あるいは対処、すべての局面を含んだ私は考え方であろうと、こう思うんですが、今度御提案を申し上げておるのは、私はそういう広い幅のものではないつもりでございます。危機が発生したという場合の対処をどう迅速、的確に政府の物の考え方を決めて、そして総理大臣のトップダウンの意思決定を間違えなきようにしてもらうのか、こういうことを念頭においての今回の法改正である、かように御理解をしていただきたい、こう思います。
  53. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いわゆる危機の発生、重大緊急事態が発生をした、それにどう対処していくかという各省庁間のばらばらのものを意思統一してきて総理に諮問をしていくということの説明が今あったと思うのですけれども、そうしますと、これから重大緊急事態が発生をしてそれが有事に至らないようにいろいろと検討をするということでございますが、そこまでの有事に至るまでの間に、いろいろと検討されるところに法的なあるいは制度的ないろいろな欠陥がある、そういうものをこの安全保障会議等でいろいろとその欠陥を補うようなことも考えていく、こういう発想なんですね。
  54. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) これはここで新しく法律あるいは制度の欠陥を補っていこうというのじゃなくて、現行の体制で各省庁が当然対処するという場合に、数省庁にまたがる問題でございますから、なかなかそこがうまく政府としての統一のとれた対処がしにくいというところを、今のトップダウン方式で、いわば交通整理をして速やかに適切な措置をとらしめようということでございまして、ここで新しく法律を考えるとか制度を考えるとか、そういうことではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  55. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 きのうですか、防衛庁長官から有事立法の点についていろいろと話を伺いましたけれども、そもそもこの有事立法についても、もう各省庁間のそういった話し合いがなかなかまとまらないような時点のところまできているのじゃないかと思うのですね、この問題は。そうなりますと、この安全保障会議を設置するその目的の中に、この有事法制の研究もこの安全保障会議の中で行っていくのだという、こういう発想があるのじゃないかなと思うのですけれども、その点どうですか。
  56. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) その点も既に何回かお答え申し上げておりますが、有事法制の中で今第一、第二の研究が進んでおりますが、第三の分類について、今おっしゃいますように、ここで研究をするというのではなくて、今後安全保障会議の発足とともに安全保障室の発足を予定しておりますが、安全保障室でそういった問題の調整をする必要がある、つまり第三分類はどの省庁かわからないのですから、どの省庁が所管するかわからない問題について、どの省庁が所管するかについて調整をしていく必要があるだろう、こういうことは申し上げておるわけでございますが、今度の法律改正自体はその有事法制の取り扱いとは直接の関係のない重大緊急事態の対処をどうするかということを取り扱っているものであるということでございます。
  57. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 何か納得できない答弁なんですが、官房長官、どうですか。
  58. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 今、塩田局長が申し上げましたとおり、第三分類は、まず有事の際の自衛隊の行動に現行法制の過不足いろいろありますでしょう、それを分類を分けまして、今検討なさっていらっしゃる。で、第三分類は、その検討の結果、それがどこの役所が担当するのかわからない、これは本来を言えば自衛隊で一応そういうような関連するあれとして勉強なさっているのですから、自衛隊がそれぞれの役所に、おまえさんのところでやれよとこう言えばいいように思うのだけれども、それは実際問題として、きのう防衛庁長官が御答弁申し上げたように、これ同じレベルの役所ですからとてもじゃない、各省そう簡単にはオーケーは言わない、そこでその調整・仕分けを安全保障室、そこで勉強してもらって、それで仕分けをしていこう、こういうことを申し上げておるわけでございますから、そのことと今度のこの安全保障会議を設けようというのとはちょっと私は食い違ったところがあるのではないか、したがって塩田局長の答弁のとおりの御理解をしておいていただきたいと、こう思います。
  59. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いずれにしても、この会議は設置をされていきますと有事法制の研究が一段と促進をされることは間違いないということは言えるわけですね。
  60. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) それは、今の防衛庁が何ぼ勉強しても各省動きませんからね、そういう意味において私は進む、それはもうさように御理解しておいていただいて間違いないと思います。
  61. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 官房長官に何点かお尋ねしたいと思うのですが、最初に、この委員会の中で重大緊急事態から有事に至ることもある旨のいろいろな答弁をされておりますけれども、それは確認しますけれども、どういうケースを想定されていらっしゃるのですか。
  62. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) これは、しばしばお答えしておりますように、有事に至らない段階で重大危機をうまく適切にコントロールすることによって、有事に至らしめないような政府全体の的確、迅速な処理をやっていこう、こういうことでございますから、それは具体的にどうだ、こういう御質問になれば、今まで例を挙げておりますように、例えばKALならKALの事件一つ考えて、あの際に、あれだけ国際的な緊張しておるあの北の海に海上自衛隊を出すか出さないか、これは救難活動があるわけですからね。  しかし、果たして救難活動だけでおさまるのかおさまらないのか、それとも海上自衛隊は出さなくて海上保安庁の船を出すのか出さないのか、ここらの判断は私は非常に重要な判断だと思いますね。ここらは一歩誤りますと、そうなかなかうまく果たしていけるのかどうか、私は大変心配な点でもあったと思います。そういう事例は、私は随所にこれからだって出てくるんじゃないかと思うのですよ。  それは、先ほどミグの事件のときの防衛庁のあり方についての御質問がありましたね、ああいう際だって私はよほど注意をしてないといけない、さればといって引っ込んでじっとしておって、それで今度まただめになるということだってありますから、ここらの判断は非常に難しい、こういうときに適切な処理をすべきではないのか、私はこう思いますね。  そこらを私は頭に置いて、そういう政府の重大な意思決定をする際に、総理の補佐機関として間違った判断をされちゃ困るよ、これは。各省ばらばらで対処方針が決まらぬということも、これはまた大変な事態ではないか、そこらを頭に置いてこういう仕組みをつくらせていただきたい、こうお願いを申し上げているわけでございます。
  63. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 日本の場合、有事の概念というのは非常に厳格にできておりますし、国会でも質問主意書等が出て、その他政府答弁もあるわけでございますが、単なる部分的な破壊活動につきましては、これはもう有事ということにならないと思うのですけれども、長官の考え、有事という概念はどのようなことをお考えですか。
  64. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 有事というのは、これは国防事案でございます。
  65. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国防事案。  それで、先ほどの同僚委員に対しまして、対処方法によっては他国の攻撃もあり得るような事態ということでミグ25の問題も取り上げておみえになりましたが、こういうような事態のときは対処方法について国会に報告をすべきである、こういう考え方も長官は示しておみえになりますが、それは私たち文字どおり受け取っておいてよろしいのでしょうか。それは、どういうような形で、どのような時点で国会に報告をされるようお考えですか。
  66. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) これはしばしばお答えしておりますように、この会議体は諮問に答える、あるいは意見を述べる、こういうことでございまして、政府全体のおおよその意思が決まって、総理の調整権でこういう方針でいこうということになれば、各省それぞれの立場において既存の法令に従って処理をしていくわけですね。その過程において、国会に報告しなきゃならぬと決まっておることであれば報告するし、国会の承認を得なきゃならぬという事態が仮にあるとすればそれは承認を仰がなきゃならないし、またそういう必要性のない事項は国会に報告も承認も必要としない。しかし、事柄が重要で国会のお求めがあれば、これはもう当然行政府としては国会にそのことについての経緯を御説明申し上げるというようなことで、この点は従来の扱いと一つも変わらない、こういうふうに御理解しておいていただきたいと思います。
  67. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうすると、自衛隊の防衛出動及び治安出動等についても、法文に書いてあるとおり忠実に実行するということを確認しておきたい、いいですか。
  68. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) そのとおりでございます。
  69. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほどからも、KALの事件のときも例示されましたけれども、各省庁の意見がまとまらないということが過去にもいろいろあった、あるいは縄張り意識が強くて各省庁ばちばらだという、その中で今回のこういうような発想があり、それによって、この会議によって弊害が除去されることになるんだということでありましたけれども、これは安全保障会議ができましても総理に対する諮問機関ということでございますので、そういったいろいろな今までの弊害というものが完全に除去できるのかどうか、私ども疑問点もあるわけでございます。その点どうでしょうか。
  70. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) それは太田さんのおっしゃいますように、こういうものができればすぐに右や左もうまくいくのかといえば、それはそれほど事は簡単でないと思います。やはり何といっても一番肝心なのは人の問題だと思います、これは。あらゆる制度、どんな制度をつくってみても私はしょせんは最後は人に帰する、こう思うんです。しかし、さればといってそれじゃ仕組みをほっておいて人だけでうまくいけるから仕組みは要らぬではないかという議論も少し乱暴ではないのか。やはり必要な仕組みだけはつくって、そしてその上にプラスして、しょせんは最後は人の問題になりますから、人の配置その他について間違いないようにするということが一番重要だと、こう考えます。
  71. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次は、これもいろいろ論議されましたけれども、シビリアンコントロールにつきまして防衛庁長官に何点か確認しておきたいと思うんですけれども、国防会議が安全保障会議に変わることによってシビリアンコントロールが強化されるということを御発言されているわけですが、どういう点でシビリアンコントロールが強化されるとお考えですか。
  72. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) まず第一に、シビリアンコントロールの仕組みにつきましての現在の制度、例えば出動の際にはそれなりに国防会議とかそれから内閣の議を経る、総理大臣が指揮をし、そして最終的には国会に御報告または承認を得る、こういった仕組みは今度の安保会議設置によりましていささかも変わってなくて、国防事案につきましてはそのままそっくり引き継がれているということであります。  それから、第二番目には、いわゆる国防事項ではない重大緊急事態への対処も今度この安保会議で審議されるわけでございますけれども、このことによりましても、もしかしたら国防事案、有事になってしまうかもしれない事態につきまして、従来はこれは国防会議で審議されなかったんだけれども、今度審議されることによりましていろいろなメリットがあると思います。それは、そういう事態に至る前に審議し対処いたしますと、その中で例えば外交的な手段で何とか処理ができないかといった努力もしていくと思いますし、そういった意味でも、私たちとしては政治的、外交的な判断が純防衛的な判断以外の観点から入ってくることができるのではないかと思っております。  それから三番目に、これは若干形式論理的な部分かもしれませんが、従来国防会議というものが防衛庁設置法の中にありましたのが、今度独立した当法案によりまして設置されるということは、安全保障会議と防衛庁との関係におきましては、よりしっかりとした区別ができるということがあるのではないか。その三つぐらいではないかな、こう考えております。
  73. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今述べられた中でございますが、現在の国防会議が防衛庁設置法に書かれていた、これが独自の安全保障会議設置法になる、そういう法律の形式上の問題であるからこれはともかくとしまして、国防会議の所掌事務、事項、任務がそのまま安全保障会議に移されているという点ですけれども、これがシビリアンコントロールの強化に果たしてなるのかどうかということと、国防会議の任務がそのまま安保会議に引き継がれるわけでございますから、これは特段シビリアンコントロールを強化したとは言えないんじゃないかと思うんですね。それから、議員となる大臣の数がふえるからといって、それもシビリアンコントロールの強化ということには疑問点を感ずるわけです。  それから、若干今後事務局のスタッフも強化されてまいりますけれども、それに今まで国防会議になかったような重大緊急事態の対応という任務が新たに課せられるわけでございます。そういった点で、また重大緊急事態というものは将来予測はできないことだというような御答弁もございますから、それに対するマニュアル作成とかいろんな任務がふえてくる点を考えますと、多少スタッフを強化してもシビリアンコントロールの強化には当たらないんじゃないか、このように思うんですが、その点はどうでしょうか。
  74. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 確かに私が申しました第一点の、現行の国防事項がすべてそのままそっくり今度安保会議の所掌事務になります、所掌事務といいますか審議する対象の事項になりますという点は、シビリアンコントロール上現在までと変わらずにその点は確保されます、そういう意味だろうと思います。しかし、第二点、第三点につきましては、よりよき効果が出てくるのではないだろうかな、こう思います。
  75. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 また、有事になる前の重大緊急事態の段階から安全保障会議で御議論いただくことになるということで、シビリアンコントロール上プラスだという先ほどもお答えございましたけれども、今までの国防会議では有事の前の段階でのシビリアンコントロールに問題があったとあなたはお考えになっていらっしゃるんですか。
  76. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) その点につきましては、どちらかといいますと官房長官から御答弁いただいた方がいいと思いますけれども、従来、例えばミグ事件にしましてもKAL事件にしましても、もっと適切な対処ができたのではないかという、そういったケースというのは幾つかあったのではないだろうかな、こう思っております。
  77. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 官房長官、お答えしていただいた方がいいからということですから。
  78. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 過去の例としてミグとかKALとかダッカとか、いろいろ申し上げておるんですが、ミグそれからKALの事件を反省すれば、これはよほど注意深く、しかも適切にああいう種類の事案が再び起きたときにはきちんと政府の意思を当初において決定して、そしてそれぞれの持ち場は持ち場で的確な処理をしていくということでなければ、私は非常な危険性を包含をしておったと、こう思います。ただ、中身をそれは何だと、こう言われますと、これは私は答弁はひとつ控えさせていただきたい、こう思うわけでございます。
  79. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それから、先ほども防衛庁長官から、有事に至る前に安全保障会議ではいろいろな手段が講じられると、例えば各種の外交努力というものもその会議の中で議論されるかもしれないしとおっしゃっておりましたけれども、こういった例などは総合安全保障関係閣僚会議があるんですから、そこでこういう問題を取り上げればいいんじゃないかと思うのですけれども、それと国防会議があれば何も安全保障会議というものを設置しなくてもいいんじゃないかと、こう思うのですが、この点どうでしょうか。
  80. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 太田さんのおっしゃるのはわからぬでありません、私は。わからぬでないけれども、国防会議というのは、そもそもは何といいますか、国防事案ということで今日まで来ているわけです。そのときに、いわゆる私どもが今考えているような重大緊急事態を最初から国防事案を処理する国防会議で処理するということは一般に与える果たして印象はどうであろうか、私はそこを危惧いたします。これは見解の相違という御意見もあろうと思いますね。思い切ってそれこそやったらどうだ、こういう御意見もあろうと思いますけれども、私はやはり安全保障会議の今回のようなやり方でそれは重大緊急事案としてまず処理をしていくということの方が適切であろう、かように思うわけでございます。
  81. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その点につきましては、私どもも本会議等で質疑をさせていただいた点でありまして、私どもはかねてから、そういう国防事項と将来何が起きるかわからないような事態、これは一つの機関で所掌される必要性はないんじゃないかということで、私たちも主張をしてきているわけでございますが、重大緊急事態一つとってみましてもそれ将来何が起きるかわからないということでございまして、それに対して国防会議は国防事案を所掌するということではっきりとあるわけでございますし、重大緊急事態という何がいつ起きるかわからないものに対して、一つの組織をつくって対処するよりもその都度柔軟に対応した方が賢明なやり方じゃないか、特にそういう問題処理につきましては、総理のこれは中央防災会議にしましても、いろいろな会議につきましても、これは国防会議にしたって総理がリーダーシップをとってやるべき問題のあるところでございますから、またスタッフとしても優秀な内閣審議室というのがあってその強化を図ればよろしいわけですから、その点で今官房長官がおっしゃったような安全保障会議を何もここで設置をする必要はない、このように思うのですが、その点どうでしょうか。
  82. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) それも一つの私は御意見であろうと思います。あえて否定はいたしません。しかしながら、やはり重大緊急事態、一つ処理を間違えると有事に至らしめないで処理のできる事案まで有事に至らしめるおそれがある、つまり隣りづき合いみたいな、隣り合わせみたいな事案でございますから、したがってそれはやはり一つの組織体として扱った方が私はベターであろう、こういう考え方で今回の案をつくっておるわけでございます。
  83. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  84. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私、きのう午後急に、この内閣委員会にピンチヒッター出るようになって呼ばれてきましたので、今まで既に討議されたことと重複する点が若干あるんではないかと思いますけれども、御了承願いたいと思います。    〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕  私は、本会議における総理に対する質問の中で、なぜ国家という字を取ったかということを質問いたしましたけれども、この国あるいは国家ということが日本の法律でどういうふうに使われているかということについて、まず、法制局どなたか来ておられますか。――法制局まだ来てないそうですけれども、こういうことじゃ困ります。  それじゃ、ほかの点から先に質問いたします。  まず、それでは防衛庁長官にお尋ねしたいと思っております。  防衛庁長官には、今回の予算の集中審議のときにいろいろ尋ねたいと思ったことがあったんですけれども、集中審議が取りやめになりましたのでいろいろたまっているんですけれども、余りこれだけに時間を割くこともできませんので、二、三の点だけ質問いたします。  まず、小さい問題ですけれども、防衛白書、「日本の防衛」、これ私は決算委員会で、総理に対する総括質疑のときにも取り上げたんですけれども、白書が、国名、地名、人名という外国の固有名詞、これの表記の方法が極めてまちまちであり、いわゆるバ行とヴァ行が一緒になっている。例えば「ティモール」を「チモール」と書いたりしている。これは非常に不体裁で困るじゃないか。私は、外務省が表記しているようなできるだけもとの発言に近い、完全に同じということは日本語じゃできませんけれども、それに近い発言に表記をすべきじゃないかということを述べたんですが、防衛庁の白書はいわゆる「ベトナム」方式ですね、「ヴェ」じゃなしに。これは、やはり防衛庁というのは対外的に非常に重大な関係のある省庁だと思いますので、やはり外国の固有名詞はできるだけそれに近い表記をすべきじゃないかと思うんですけれども、改めになるお考えはありますか。
  85. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 一般によく使われている表記方法が親しみやすいだろうというような感じで、従来から特にそういった言葉に近いというようなそういった配慮もしないで、多分何げなく使ってきているんだろうと思います。また、それほど防衛庁に外国語に堪能な人間が外務省ほど多くないということもあるわけでございますが、いずれにしても政府部内の刊行物で余りいろいろ違うといけませんので、御指摘のとおりこれからちょっと外務省と相談して、改めるべきところは改めてまいりたいと思います。
  86. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 これは防衛庁だけじゃなしに、運輸省も実はあるんです。ひとつこういうことは、官房長官として、やはり同じ政府の刊行物がばらばらであるのは大変見苦しいと思いますから、注意していただきたいと思います。  それから、私かねがね不審に思っていることがあるんですけれども、SDIに参加するかどうかということのアメリカからの交渉ですね、これが向こうの国防省から日本の外務省に来ているわけですね、防衛庁ではなしに。これ奇異な感じお感じになりませんですか。奇異に受け取られませんですか。向こうの国務省が外務省に言ってくるんだったら話はわかる、国防省であれば防衛庁に言ってくるべきじゃないかと思うんですけれども、別におかしいとお感じになりませんですか。
  87. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 確かにワインバーガー国防長官がSDIに参加しませんかという一種の招請状みたいなものを書いたときに、NATO諸国及び若干の自由主義諸国に出したわけですが、日本以外は全部その国の国防長官ないし防衛担当の大臣のところに来ております。ワインバーガーさんといいますかペンタゴンが、どうしてそういう判断をしたのかということをそのときちらっとは思いました。でもこれは、今後の安全保障全般の東西関係に及ぼす影響ということであるならば、軍縮の問題も含めて日本では外務省がやっているからかなと思ったりいたしました。  ただ、ちなみに申しますと、その後各国でこの問題をどこの役所が担当いたしているかというと、それぞれいろいろあるようでございまして、イギリスは国防省なんですが、西ドイツは経済省でございまして、SDIについての米独の取り決めにつきましては、経済大臣が行ってサインいたしておりますですね。したがって、それぞれ国の状況によって違うんではないか、こう思っております。  今のところ、安倍大臣のところに手紙が来たものですから、外務省が所管になりまして各省で協議しておりますから、これに対する協議の仕方という意味では、現在政府部内では非常にコーディネーションがとれていて別に問題はない、こう思っております。
  88. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私がその問題を質問しましたのは、現在例えば日米安保条約の中身なんかに関する問題あるいは軍縮の問題なんかも外務省が専らやっているわけですね。私は、こういう問題は、これは単に防衛庁だけあるいは外務省だけということは言っていない、分類できない問題で、まさに今度できるところの安全保障会議で審議すべき問題じゃないか。そのためには、やっぱり防衛庁も、ふだんからそういったSDIとか、あるいは将来日米安保条約が改定になるかもしれない、あるいは実際は改定にならないにしても実質的にいろいろ変更をするようなことがあるかもしれない、もちろん日米安保条約というのは防衛だけじゃなしに経済の問題も入っておりますけれども、少なくともその防衛に関するような問題は防衛庁が常日ごろ研究しておく。あるいは軍縮なんかの問題でも、今のところ核兵器の軍縮ですけれども、通常兵器の軍縮というふうな問題も、例えばアジアにおいて信頼醸成措置というふうな問題が取り上げられるようになってくると、その問題も起こってくるんじゃないか。やはり私は、平生から防衛庁もこういったふうな問題を研究しておくべきじゃないかと、そういう観点から質問したのですけれども、いかがでしょうか。
  89. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 私も関委員と同じような感じを持ちます。  現在、軍縮の問題は外務省でございますし、それから日米安保条約の問題も外務省でございます。日米安保条約の問題は、先生今御指摘のようにいろんな側面がありますし、またその条約の締結というのはそれぞれ外務省が各国でやっておりまして、現に日米安保条約の締結の窓口も、アメリカの場合も国務省になっているのではないかと思います。しかし、そういった形式の問題は別といたしまして、先生御指摘のように、核軍縮の問題と同時に通常戦力についての軍縮という問題が将来より大きな問題として出てくる可能性がございますので、それにつきましては防衛庁もしっかりと勉強し、研究していかなければならない。今よりはもっとずっと勉強しておかなければならないのではないかなと、こう思っております。
  90. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 つまり、条約の締結は、これは外務省がやります。例えば日ソ漁業条約なんかの問題は、締結は外務省がします。しかし、漁業問題そのものは、やっぱり農水省が絶えず研究しているわけでしょう。それと同じような考え方で、その内容にわたる問題は将来私は起こってくるんじゃないかと思うんで、そういうことは防衛庁がちょうど農水省が漁業問題を平生から研究していると同じように研究すべきじゃないかということを言ったわけです。おわかりだと思います。  次は、先ほど同僚議員の質問で、野田委員からの質問で、統幕議長でやめられた人が退職後いろいろ防衛庁のあり方を批判する本を発表しておられるという話がありました。私、そういったふうなこれはある意味においては内部の恥にもなるようなことだと思うんですけれども、そういうことが起こってくるのはやはり制服組の人たちにいろんな不満があるからではないかということを感じているんです。私は、やはり内局というのは必要だと思いますけれども、同時に防衛庁長官、先ほど制服組の人たちとも酒なんか飲んでざっくばらんに話をしているのだという乙とを言っておられましたけれども、やはりそういう人たちの生の声を平生よく防衛庁長官が耳に入れておかれることが、そしてあるいは間違った考え方をしていればそれを是正していくことが私は必要じゃないかというふうに感ずるのですけれども、今まで、防衛庁長官、一緒に酒なんか飲んだということは結構なことだと思いますけれども、どのランクぐらいまでの人とそういったふうな話をされましたですか。
  91. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) それは、一番上の方はもちろんトップの方ともお話ししておりますし、幕の課長補佐クラスの人たちとも話したことがありますし、それから非公式な場面ではありますけれども、一尉から三佐クラスの人たちと話したこともございます。
  92. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 増岡方面司令官のことは、これはもう済んだことですから取り上げませんけれども、やっぱりああいったふうなことが起こるのは長官と制服側の人たちとの間の日常の接触が足りないからではないかと思うんですけれども、今後も機会があればできるだけ努めてそういった機会をつくって、制服の人たちの生の考え方を十分吸い上げると同時に、間違った考え方があればそれを正していくということが必要だと思いますけれども、賛成ですね。    〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕
  93. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) それは当然のことながら、自分と一緒になって働いてくれます内局にしましても、それから各幕にいたしましても、できるだけの接触を努めていかなければならないと、こう思っております。
  94. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 法制局の人が見えたそうですから。  日本の法律で国あるいは国家という言葉がしばしば出てくるんですけれども、日本の法律で国と国家というのは同じに理解してよろしゅうございますか。例えば普通は国という言葉が書いてありますけれども、国家行政組織法とか国家機関に関する法律とか、あるいはそういったふうな中では国家という言葉が使われておりますけれども、国と国家というのは日本の法律では同意語と理解してよろしゅうございますか。
  95. 大森政輔

    ○政府委員(大森政輔君) 国と国家の用語の意味でございますが、結論から申しますと、同じ場合もあり異なる意味で用いられている場合もあろうかと思います。
  96. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 異なる場合の例を挙げていただきたいと思います。
  97. 大森政輔

    ○政府委員(大森政輔君) 具体的な例で何が一番ふさわしいかというのは、直ちに申すことは少し困難でございますが、国という用語が使われていますのは二つの場合があろうかと思います。  一つの場合は、一定の領土に定住する多数の国民で構成される団体で統治権を有するもの、これがいわゆる常識的な意味における国家でございますが、こういうものを権利義務または法律行為の主体としてとらえる場合、この場合には国という言葉で表現しているわけでございます。これに対しまして、国家という場合は、今申し上げましたような権利義務の主体という場合とそれ以外の場合、すなわち社会的実在そのものを指す場合、両方の意味合いで使われていようかと思います。
  98. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 前の方、権利義務の主体というのは、これはいわば統治機関のことを言っているわけで、これは国も国家も同じですね。  それから、国家というのは社会的実在として使われている場合と言われましたけれども、これはまさにあなたが言われた、一定の領域内に住んでいてほかと違うアイデンティティーを持った人たちが共通の統治機関のもとにある状態、それがまさに社会的状態ではないんですか、と同じことではないんですか。
  99. 大森政輔

    ○政府委員(大森政輔君) いずれにしましても、一定の領土に定住する多数の国民で構成される団体で統治権を有するものということを意味するわけでございますが、その場合に、同じことを申し上げて恐縮でございますが、とらえる局面、次元で用語を変えている場合があろうかと思います。  先ほど例を挙げよという御指摘でございましたが、例えば古都保存法第一条におきまして、「この法律は、わが国固有の文化的資産として」「国等において講ずべき」。と、こういう文脈がございます。この場合の最初の「わが国固有の文化的資産」と申します「国」というのは、権利義務または法律行為の主体の意味ではございませんで、社会的実在としての国家を意味しているものであろうかと思います。これに対しまして、後の「国等において講ずべき」というこの文脈における「国」と申しますのは、法律行為の主体として書かれているものであろうというふうに解する次第でございます。
  100. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 あなたは千里眼を持っていらっしゃる。私がこれから質問しようと思っていることを先回りして言われたんですけれども、確かに古都保存に関する特別措置法の中で、第一条で同じ条文の中に「国」という言葉が全く違った意味で使われているわけですね。  それからさらに、例えば食糧管理法でありますとか、そのほか法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律でありますとか、これは戦後できた法律ですけれども、ここにガバメントに当たる政府という言葉が使われていますね。それはまさに統治機構としての、権利義務の主体としての国と同じ意味じゃないかと思うんですけれども、国と政府と違いがございますか。
  101. 大森政輔

    ○政府委員(大森政輔君) 結論から申しますと、同じ意味合いで使われる場合と異なる場合があろうかと思います。
  102. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 異なる場合の例を挙げてください。
  103. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) 政府という言葉の通常の用法としましては、いわゆる国の機関のうち行政府を指して、その行為等について規定する場合には政府という言葉が通常適切であろうと思います。これに対しまして行政府立法府、そしてまた司法府を含めた行為等について規定する場合には、やはり政府という言葉ではややその話彙狭きに失するきらいがあるのではなかろうかというふうに考える次第でございます。
  104. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 ここで言葉の神学論争なんかやっている暇はないんですけれども、どうも私は大学時代から法律の本を読むとすぐ眠くなっちゃって、時には睡眠薬のかわりに六法全書をまくらにして寝ると非常に熟睡できるので、法律学というのがすっかり嫌になってしまって今日まで余り勉強しなかったんです。政治家になってやむを得ず六法会書なんかをひねくり回さなくちゃならなくなっちゃったんですけれども、どうも厳密を要求するところの法律の条文で、定義が与えられている法律もありますけれども、そうでない法律で国あるいは国家というのが、何か法律学者の間では共通の観念があるかもしれないけれども、一般の人たちにわかりにくい使われ方をしている。これが我々みたいな法律嫌いの人間をますます法律から遠ざけることになるのじゃないかというふうに感じております。  今さらこれだけたくさんある六法全書の字句を全部訂正しろと、例えば政府ということで言えるところは全部政府というふうに直せというふうなそんなやぼなことは私は申しませんけれども、私が言いたいことは、つまりこういう法律を勉強してきた入が、そして試験に合格した頭のいい人がお役人になっているわけですね。ところが、先ほど言いましたような国なんかの意味が十分にはっきりと明晰に理解されていないために、非常な混乱が起こっているのじゃないかということを私感ずる。  これは官房長官にお答え願いたいと思いますけれども、例えば我々は国益を守るというのは、ナショナルな、先ほど言った社会的実在としての国の利益を守るわけであって、決してガバメントの利益を守るわけではないわけです。ところが、どうも日本のお役人の思考様式を見てますと、局があって省がなく、省があって国がなしということを私は非常に感ずる。官房長官も同じようなお考えじゃないかと思うんです。  これは、つまり国ということの正しい理解がなされていない。そのために本当の意味のナショナルインタレストという感じがお役人の中にも十分にできてない。正しいナショナルインタレストが理解されなければ、インターナショナル・マインデッドになることは私はできないと思う。つまり省のことを考える、かあるいはそれを飛び越してコスモポリタニズムになってしまうかだと私は思うんです、国を飛び越した。国の独得の文化を維持していくという意味のナショナリズムがなくなっちゃってコスモポリタニズムになってしまう。  私は、やはり今後公務員の研修なんかの場合に正しい国家観念をよく教えておく、特にお役人の人たちに教えておくということが非常に必要じゃないか、今後国際社会を迎えるに当たりまして必要じゃないかというふうに考えますけれども、官房長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  105. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 確かに戦後我が国の一般的な風潮として、いわゆる国家あるいは国家観念というものが希薄になっておるなというのは一般論としては言い得ると思います。しかし、関さんのおっしゃるように、お役人の諸君は、局益あって省益なし、省益あって国益なしと一般的によく使われるんですが、確かに客観的に見れば、その省の主張がそのように見える場合があるわけでございますけれども、しかしその省の立場に立って主張していることは、私は国益を離れて主張しているとは考えておりません。やはり、その省の役人は役人なりに、これが国益に沿うものであるという立場に立って私は主張をしておると思います。しかし、それが客観的に我々の目から見れば、別の目から見れば、それは結果としては国益に沿わないよということがあり得るのではないのか。そういう意味合いにおいて、やはり役人の教育というものに当たっては、そこらをよく踏まえて若い優秀な官僚諸君の教育に当たる必要があるだろうと、私はさような理解でございます。
  106. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 官房長官、また後でちょっとお尋ねしたいことがあるんですけれども、その前に運輸省、見えていますか。  昨年でしたか、宮崎沖で北鮮のスパイ船じゃないかと思われる、新聞はそういうように書いておりましたけれども、それを発見して追跡したけれども結局逃げられてしまったという事件がありましたですね。そのときの説明では、巡視船のスピードがこちらの方が劣っていたので逃がしたという話だったんですけれども、それじゃもっとスピードを上げるようにしろということを私要求して、今後新しくつくられる巡視船についてはスピードをもっと高めるというふうなお答えを別な委員会でいただきました。それはやっていただきたいと思いますが、単にスピードを上げただけで問題は解決するのかどうか。  つまり、もしスパイ船であれば向こうもかなりの武器を持っているでしょうし、それを追っかけて停船を命ずる、あるいは逮捕するというふうになると向こうは必ず抵抗してくるだろうと思うんです。その場合には、警職法第七条を準用すると書いてありますから、抵抗抑止のために必要であると認める相当の理由があるときは武器の使用ができるわけですね。しかし、その場合に武器を使用すべきかどうかということは、使用ができるけれども使用すべきかどうかということは、これは国内の問題と違ってかなり重要な問題じゃないかと思うんです。  こういう問題について、日本の法律上別に問題はないというふうにお考えですか。それで、法律上仮に問題がないにしても、それに対する一定の指針をあらかじめつくっておく必要があるというふうにはお考えになりませんですか。そのことをまずお伺いします。
  107. 岡田專治

    ○政府委員(岡田專治君) ただいまの御質問でございますけれども、領海警備に関する法体系がどうあるべきかということは、大変いろいろ難しい側面を含んでいる問題だろうというふうに考えております。諸外国との関係でありますとか、あるいは国際情勢の推移でありますとか、あるいは国内におきまする各種の法体系との整合性でありますとか、多くの問題を含んだものであると認識しております。私どもといたしましては、ただいま御指摘のございました昨年四月二十五日におきます事案につきましては、御指摘のとおり懸命な追跡をいたしましたけれどもなお最終的に捕捉には至らなかった状況でございます。取り締まり機関としての私どもの立場からいたしますと、やはり現在の領海警備に関する法体系のもとで全力を尽くして今後も事案の防圧に努めたいと、かように考えております。
  108. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 どうも私の質問に正面からお答えになってないと思うんですけれども。  あのときにある新聞は、国際関係なんかで難しい問題が起こるのを避けるためにわざと逃したんだというふうなことを書いた新聞もありました。私は、あれ逃がすのも一つの手だと思うんです。しかし、そういうふうな判断を現場の人たちに任せておいていいかどうか、あるいは運輸大臣だけの判断で決めていいかどうか。私は、これはやはり国全体の問題じゃないか、国の安全保障に関する問題じゃないかと思うんですけれども、これから先は官房長官にお答え願いますけれども、こういう問題を今度の安全保障会議で取り上げて、例えば一定のマニュアルをつくる、こういう場合には、まあ逃がすということは余り表面に書けないかもしれませんけれども、適当なところで引き揚げる、あるいはあくまで阻止する、場合によっては武器を使う、そういうふうなことを検討するのが私は安全保障会議の目的じゃないかと思いますけれども、それを取り上げられるお気持ちございますか。
  109. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) いわゆるスパイ船の取り締まりは、これは平時における海上警察権の行使だと思います。したがって、それは、私は海上保安庁で処理すべき問題であると。海上自衛隊は、御案内のように、海上保安庁が処理しがたいような重大な事案の場合にこれを支援するということで出ることはありますけれども、通常はそういう場合の支援は、情報の提供なり何なりで海上保安庁に海上自衛隊が援助するということはあろうと思いますが、海上自衛隊のいわゆる武装部隊が出ていくという事態ではないと、私はそう思います。  それから、これがまた今回私どもが考えておるような重大緊急事態に当たるかどうかということになると、この程度のことは海上保安庁の力によって処理すべきであって、この会議へ付議すべき事項ではないと、私はさように理解します。
  110. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 それでは、そのような事件がしばしば起こった、そして海上保安庁の船だけでは対処できないようになっても、安全保障会議は何ら関与しないというお考えですか。
  111. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、原則的にそういう事態は海上保安庁で処理すべきであって、また海上保安庁が処理できるような、海上保安庁みずからの態力の向上を図って処理すべきである、私はさように考えるわけでございます。
  112. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 そうすると、そういう場合に、そのスパイ船らしきものを、向こうが抵抗してきた場合に、それにこちらで武器を使用するかどうか、これは海上保安庁だけで決めるべき問題だというふうにお考えですか。
  113. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、平時における海上保安庁の武器使用については、それぞれの根拠法規があるんじゃないかと思います。したがって、それは、海上保安庁が現在の法の範囲内において私はしかるべき時期には最小限の武器使用はやらざるを得ないであろうと、こう思います。
  114. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私は、それは海上保安庁だけに、めったに起こらない事件だったらいいですけれども、もしそういうことが今後頻繁に起こるようになったときに、海上保安庁だけに任せておくことは、これは非常に重要な問題ではないかと思うんですが、それでも構わないというお考えですか。
  115. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) それは、やはり一般的な原則論で私はお答えしておるんです。やはりそれは、ケース・バイ・ケースということは当然我々の頭の中になきゃなりません。しかしながら、今、関さんがおっしゃるようなスパイ船の取り締まりなんかを海上保安庁ができないようじゃ困る、これは。これは海上保安庁の私は能力向上を図って対処すべきである、かようにお答えをいたしておきたい、こう思います。
  116. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私が言っていますのは、単に能力の問題を言っているんじゃなしに、政治的な判断の問題を言っているんですけれども、政治的な判断を征しておいていいんですか。下手するとこれは大変な問題になりかねないケースなんですよ。それでいいんですか。
  117. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) それは、現在の我が国の法制でちゃんと決められておるわけでございますから、それによって海上保安庁は適切に判断をすべきもの、こう思います。もちろん、関さんの頭の中にどういう事態をお考えになっておるのか知りませんけれども、非常にこれが国の安否にかかわるような事態であるということになれば、それはそれなりの、やはりこういった機関があればそこで審議して一向に差し支えないと思いますが、一般論として関さんのお話の海上スパイの防止であるならば、それは私は保安庁においてやるべきである、こう申しておるわけでございます。
  118. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 その考え方は、私は反対ですけれども、その問題やっていても――時間があと五分になってしまいました。  それで、以下は官房長官にお尋ねいたしますけれども、事務局のスタッフは、これはいずれも各庁からの出向という形で集められるわけですね。普通お役所の出向の期間というのは何年ぐらいでしょうか。
  119. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 一般的に言えば、それぞれ全くまちまちであろうと思います。いろいろなケースがあると思いますが、現在の国防会議に各省から来てもらっておる人たちの出向期間ということで申し上げますと、まあ一般的には一年から二年ぐらいというのが実情でございます。
  120. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 そんな短期間に事務局のスタッフがかわるようで、本当に審議の準備ができるんですか。私は、専属のスタッフとまではちょっと今のあれでは難しいかもしれないと思うけれども、やはりせめて五年以上ぐらいはそのポストにとどまるような、人によっては一年、二年でいい人もあるでしょう、しかしその中枢になっている人はやっぱり五年なり十年なり同じところにとどまるべきじゃないかと思うんですけれども、官房長官の御意見どうですか。
  121. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) これは、やはり関さんおっしゃいますように、そのポストポストで、人によってまた違うと思います。今、塩田君は一年ないし二年と言っておりますが、おっしゃるように一年なんというのは問題になりません、これは。もう少しやはり長く置くべきであろう、私はそう思います。現実に総理官邸の中で勤務しておる者の実態を頭に描いてお答えをいたしますと、具体名を挙げて恐縮ですが、今の私のところにおる事務の官房副長官の藤森君なんというのは、これは恐らく十数年の官邸勤務でございます。総務課長も恐らく七、八年になるんじゃないでしょうか。いずれにいたしましても、ポストによって、また人によって違うということでございますが、一般論として言えば、一年ないし二年で国防会議の人間がかわっておるならそれは再検討を要する、もう少し長く勤務させなければならぬ、私はそう考えます。
  122. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 経済企画庁長官が安全保障会議のメンバーになっておりますですね。ところが、経済企画庁というのは、職務の内容を見ましても各省にわたる物価の総合調整とか何とかと同時に、経済計画ということが書かれていますけれども、かつては確かに企画庁が経済計画を立ててかなり強力な指導をしてきた時代もあったと思うんですけれども、現在においてはほとんど、殊に中曽根さんは計画という言葉が大嫌いだそうですから、計画らしいものはしてない、単なる見通しですわね。経済企画庁長官を加えた理由として産業計画の調整というふうなことが入っていますけれども、私はこういうのは、先ほど太田さんでしたか、どなたか質問されましたけれども、総合安全保障閣僚会議でやるべき問題じゃないか。つまり、そういった産業計面の調整あるいは経済計画をやるにしましても、これは長期の問題で、緊急を争う事態の問題ではないと思うんです。  承ると、今度の会議は、今までの国防会議のほかに緊急重大事態に対処する、緊急重大事態に対処するんであるならば、経済企画庁長官よりも私はやはり海上保安庁を管轄している運輸大臣であるとか、あるいは通信機構、今は通信というのは非常に大事だと思いますけれども、郵政大臣を加えるべきじゃないか。総合安全保障閣僚会議というのはもうやめちゃってその事務を取り込むという、これは話は別ですけれども、総合安全保障閣僚会議をおやめになる考え方はないわけでしょう。とするならば、私は何か考え方が混乱しているように思うんですけれども、官房長官いかがですか。
  123. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 関さんのおっしゃいますように、重大緊急事態に対処するということだけであるならば、私はそれは確かに運輸大臣とか郵政大臣、この方が適切だと思います。ただ、今度のこの安全保障会議は、従来からの国防事案をそのまま引き継いでおりますから、そうすると、国防事案は従来の国防会議の規定でちゃんと経済企画庁長官が入っておりましたから、これを今さらのけるというのもいかがなものであろうか。やはり防衛計画といったようなものは、一国の経済政策あるいは経済計画といいますか、単なる財政金融の関係だけで物を考えるべきじゃなかろう。ならば、大蔵大臣のほかにやはり経済企画庁長官を入れておくべきであろうということで、そのまま継承したわけでございます。重大緊急事態ということについては、したがって事態の内容いかんによりまして、別の規定で関係の閣僚は出席をできるような道を開いておりますから、必要に応じて運輸大臣あるいは郵政大臣等を加えて運営に遺漏のないようにいたしたい、かように考えております。
  124. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 もう時間ございませんからこれで質問打ち切りますけれども、ただいまの官房長官の御答弁は、私は非常に不満でございます。今までのやつを一応やはり根本から考え直して新しいものをつくるんだという考え方が見られない、非常に残念に思います。
  125. 内藤功

    ○内藤功君 いわゆる国防事態と閣議との関係についてまず御質問したいと思います。  昨日もこの点でいろいろ質問をいたしたわけですが、具体的に去る五月六日の衆議院内閣委員会で、後藤田官房長官の御答弁の中でこういう部分がございます。「今度の組織は、国防事態についてはそのまま引き継いでおるということでございますから、そういう点については別段従来と変わっておりません。しかし、いずれにせよ国防事態というものは全部最後の決定は閣議ということになりますから、従来とはいささかも変わるところはない、こういうように御理解をしていただきたいと思います。」、こういう答弁がございます。国防事態の最後の決定は閣議ということを言っておられますが、この見解は現在もお変わりないというふうに承ってよろしいでしょうか。
  126. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) それは、私の舌が多少足りなくてそういう御疑念をお抱きになったんじゃないかと思いますが、あの際の小川さんの御質問は、これは防衛出動の可否をめぐっての御議論が中心であったと思います。つまり一号ないし四号のことについての御質問が中心でございましたから、これはすべて閣議にかけます、こう申し上げたわけでございますが、今の内藤さんのお話、御質問の中に仮にそれが五号事案までも含めてということになりますれば、五号事案については事態によって閣議にかける場合もあれば閣議にかからない場合もあり得る、かように御理解をしていただきたいと思います。
  127. 内藤功

    ○内藤功君 それは、そうすると総理大臣の終局的には判断ということですか。
  128. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) まず五号事案自体が総理が必要と認める国防に関する事項ということでございまして、まずそこで総理の判断がございます。それでかかった事案についてさらに閣議にかけるべきかどうかというのは、その個々の案件によりまして取り扱いは異にするだろうというふうに思います。
  129. 内藤功

    ○内藤功君 結局、総理の判断であるということですね。そうすると、その国防事態という中には治安行動の可否も入るけれども、治安行動については必ず最後は閣議にかけるということになるのかならないのか、この点をもう一回確認をしておきたい。
  130. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 治安行動につきましては、何度もお答えを申し上げておりますが、国防会議にかけるということがまず明文でもって書かれているわけではない、その点はしたがって五号で必要があると認められたときにかかると、こういうことはかねてからお答えを申し上げております。その際に、従来からお答えしていることは、武装部隊である自衛隊を出すという事案でありますから、これは国防会議にかけて決められるものであろうという実際上の扱いとしまして申し上げております。したがいまして、恐らくその後の閣議にかけるかどうかということにつきましても、私は事態の重要性から考えまして閣議にかけられるべきものであろうというふうに理解をいたしております。
  131. 内藤功

    ○内藤功君 官房長官、今の点いかがですか、同じですか。
  132. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 今のとおりだと私も考えております。
  133. 内藤功

    ○内藤功君 塩田さんはさっき国防会議ということを二度使ったが、これは安全保障会議ということの言い間違いか、あるいは安全保障会議も同様だということか、その点確認しておきます。
  134. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 現在まだ国防会議なものですから国防会議と言いましたが、その点は今度の改正では全然変わっておりませんので、安全保障会議にそのまま通用できることでございます。
  135. 内藤功

    ○内藤功君 次に、この安全保障会議の事務組織の規模の問題なんですね。きのうも聞いたんですが、昭和二十九年五月三十一日の参議院内閣委員会、当委員会での緒方竹虎副総理の答弁、もう一国言いますよ。「厖大な事務局を置くことは、ややともするというと、そこに一つの既成の考えを以て、一つの会議を動かすような力になる虞れがあります。過去においてもそういうなにがありますので、これは私は事務局を置かないというところに政治的の意味があるように考えておるのであります。」。これが議事録であります。  後藤田長官は、きのうこの見解について基本的に賛成の御答弁をなさいましたが、今後、安全保障会議の事務組織である安全保障室をこの人員の面でいわゆる肥大化させるということはない、こういうふうなお考えと承ってよいでしょうか、その点ちょっと確認しておきたいと思います。
  136. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、緒方副総理のお考え、御答弁の底に流れる考え方とは全く同じでございます。余り事務組織が膨大になりますと、その事務組織の意思ですべてを引きずっていくということになるおそれが多分にあると思います。それは逆でございますから、やはり事務組織はこの安全保障会議そのものの運営のために必要な補佐の組織である、こういう理解のもとに事務組織を膨大化するといったような考え方は私は持っておりません。  ただし、つけ加えて申しますと、ハイランクの人に、でき得べくんばあらゆる機会をとらえてやはり優秀な人材――今も優秀なんですよ、それは間違えちゃ困る、しかしやはりランクは低いんですね。そうするとやっぱりいろいろ問題がありますから、もう少しランクの高い優秀な人材を集めていきたい。人間そのものの数をふやすといったような考え方は持っておりません。
  137. 内藤功

    内藤功君 次に、謀略ということについてなんです。  これはなぜ聞くかというと、情報機能、情報活動との接点において聞くわけなんです。この点につきまして後藤田官房長官は、四月二十二日の衆議院内閣委員会、ここでこういうふうに言っております。「CIAとかGRUとかKGBとかあるいはドイツ憲法擁護庁とかフランスのセデスとかいろいろありますね。ありますけれども、これらはいずれも情報の収集だけではないんですよ、これは謀略をやるのです。私は、これは絶対にやってはならぬ、日本のような国は。」と、こういうふうに言っておられますね。  ここで御説明願いたいんですが、常識的なことで結構なんですけれども、これは日本のような国としては、国家機関としては絶対やらぬということだと、そういうふうに私は理解するが、それでよろしいですね。  それからもう一つは、ここで長官がお使いになっている「謀略」というのはどういう意味でお使いになったか、その点二点をお伺いしたい。
  138. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) それは、その中でお答えをいたしましたように、今各国のそういった機関は多くの場合に情報収集のほかに謀略活動をやっていると思いますね。私は、情報収集、そしてそれを的確に分析して、そして施策の基本にしていくということは国のために最も重要なファンクションの一つである、かように考えているわけでございますが、謀略活動というのは、これは私は日本のような国柄の場合は避けるべきであるということで、やらないということでいくべきである、私はさように考えているわけでございます。  もう一つは何でしたかな。
  139. 内藤功

    ○内藤功君 謀略とはどういう意味がという質問をしたんです。
  140. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) それは内藤さん、常識でひとつ御判断願いたいと思います。
  141. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、そういうお答えが来るかと思って私はお聞きをしておるんですが、やらないべきである、ここのところに私は質問のやっぱりこれは必要があると思って聞くわけなんですね。    〔委員長退席、理事村上正邦君着席〕 今まで内閣調査室では、謀略というのはやってないですか、常識的な意味の謀略でいいですよ。
  142. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 一切やっておりませんね。
  143. 内藤功

    ○内藤功君 これは設立当時の――たしか内調は昭和二十七年にできたんですかね。昭和二十八年一月十六日付のマル秘という判このついた文書なんですよ。内閣調査室の幹都会の議題なんです。私、これをやっぱり長官に伺えばわかると思ってよく見てきたんですが、この中に「特殊宣伝工作について」というのがあるんですね。「1、本件は、やりようによっては物凄く金のか々る仕事である。」と書いてあります。「2、実行計画を樹て、どの程度の予算の枠で有効な方法をとるか検討する。3、素材についてのみならず各班の連絡と協力が必要である。4、絶対にシッポを出さない方法を選ぶ必要がある。外部の関係者の秘密保持が重要」と、こうあるんですがね、いかがなものでしょうね。これは謀略をもうとにかくできた直後からやっていたということじゃないんでしょうかね。これからやらないとあなた言うんだから、今まではやっていたんでしょう。
  144. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 今まで一切やっておりません。もしやっておるんなら、あんなちっちゃな組織で、あんな小さな予算でできるわけはありません。これはもうその予算一つごらんになればおわかりのはずです。    〔理事村上正邦君退席、委員長着席〕
  145. 内藤功

    ○内藤功君 金がかかるということをここで認めているわけですね。  もう一つ、ここにも「「内閣調査室」に関する若干の所見、CIA機構を検討して真との比較研究」、これも同じころの文書なんですよ。これには、「米国の制度や機構をそのま々受入れることは出来ないが、」「米国の組織や機構を参考とすることは、他の如何なる国のものを斟酌するよりも有意義であり、当を得たものと言い得るであろう。」と。一々全部読むと時間がかかりますが、CIAを明らかに一つの参考にしておるというのがありますよ。  創立当時の資料まだいろいろありますが、いろいろこの専門家の書いたものを私も調べてみたんですが、「内閣調査室の実像」という書物の中に、CIAが鳩山内閣のときの日ソ交渉をつぶそうとして吉田・CIAラインから、河野氏には狸穴から三、四億円出ているという情報が入っている。それで、この日ソ交渉を推進する鳩山一郎氏らの動きを逐一知る必要があって、CIAの要員と内閣調査室のグループ、それに僕が参加して――僕というのは佐藤栄作さんの秘書をしていたある人です。そして、鳩山邸を初め日ソ交渉推進派の動きを調べる工作をやった。鳩山さんの屋敷に盗聴器をつけるときには、東京ガスの工事人夫に化けて潜入をしたと。佐藤栄作の秘書をしていたという人の話としてここに伝えられているのが吉原公一郎氏の著書「謀略列島――内閣調査室の実像」という本の中にいろんな資料をもとに書いてありますね。  そのほかいっぱいここにあるんです。私は、これまさに謀略活動というのはここに実行されているというふうに思うんですよ。長官、こういうことはやっぱり全然これ根も葉もないことだと御否定なさるんですか。金輪際今後こういうのはやらないということなんですか。
  146. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 内藤さん、何を根拠にそれをお読みになっておるのか知りませんが、ああいう書物というのはおもしろく書かにゃ売れませんからね、いろいろ無責任なことをお書きになる。迷惑いたします。現実に内閣調査室にそんな能力もなければやっているという事実はございませんから、それは御安心を願いたいと思います。  ただ、情報は、先ほど私が言ったように、こういう国柄のときはどんなことをしたって情報を集めて正確に判断するということだけは必要でございますから、情報の収集はこれはやらざるを得ません。しかしながら、いわゆる謀略活動、そういったものにまで手を出すということは一切やってない、この点はひとつぜひ理解をしておいて安心していただきたい。
  147. 内藤功

    ○内藤功君 くどいようですが、今後とも日本のような国柄ではいかなる国家機関も謀略活動はやらない、やらないべきである、これもう一遍御確認いただけますか。
  148. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) これ何遍言っても同じなんですよ。
  149. 内藤功

    ○内藤功君 いや、こういう疑念を明らかにするのが国会の仕事でございます。  次に、安全保障会議の性格についてであります。  これは、内閣法の十二条四項という規定がございます。「内閣官房の外、内閣に、別に法律の定めるところにより、必要な機関を置き、内閣の事務を助けしめることができる。」、こういう条文であります。この安全保障会議は、この条項に基づいてつくられている機関がどうかということを長官の口からひとつ確認をしたいんです。
  150. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 十二条四項に言うところの内閣の補助機関であります。
  151. 内藤功

    ○内藤功君 内閣の補助機関であるが、これが内閣総理大臣の諮問機関になっている。ここのところが私は非常に矛盾に思うんですね。この点は衆議院の内閣委員会で私の同僚である三浦久議員から塩田局長には随分聞いたんですが、私きょうはやはり官房長官に、内閣の補助機関である、十二条四項に基づく機関である安全保障会議、これは内閣を補助する。ところが、安保会議法案の二条を見ますと、内閣総理大臣の諮問に答えあるいは内閣総理大臣に意見を言うという形になっておる。ここのところに矛盾はないんだろうかと。この点を、塩田さんの答弁、あなたの答弁は議事録でよく読んでいますからもういいですよ、私は長官にお聞きしたいんです。
  152. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 塩田局長をして答えさせます。
  153. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 安保会議が総理の諮問機関であるということと、その設置根拠が十二条四項の内閣の補助機関であるということとの間に矛盾があるのではないかという御指摘であろうかと思いますが、安全保障会議に対する諮問は、総理が内閣を代表して内閣の首長たる地位で行う諮問であります。そういう意味におきまして、両者が何も矛盾することはないというふうに私どもは考えておりまして、なおこの点は再々申し上げておりますように、現在の国防会議と法的地位は全く変わりませんので、現在の国防会議と同じ関係、位置に立つといいますか、そういうものであるということもあわせて申し上げたいと思います。
  154. 内藤功

    ○内藤功君 しかし、内閣法は、内閣に対してその事務を助けしめることができる。内閣法というのは憲法に次ぐ基本法ですからね。内閣というのは合議体なんですよ。内閣総理大臣というのは、確かに首長である性格とそれから総理府の長である性格と二つ持っているというのは私百も承知で聞いているわけです。内閣総理大臣に対する諮問機関ならば、例えば総理府の中の諮問機関を国家行政組織法の第八条で私は置けばいいんじゃなかろうかと思いますよ。やっぱり内閣法に基づく内閣の補助機関ということとは明白に私は矛盾すると思うんですね。これは長官いかがでございますか。塩田局長の答弁は、何度聞いてもこれは議事録に出ていますから私は聞く必要がないと申し上げていいんです。長官いかがですか、長官の見解を聞いているんです。
  155. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 会議に対する諮問は、総理が内閣を代表して内閣の首長たる立場で行うわけでございますから、私はその間に何らの矛盾はない。御案内のように、行政権の主体は内閣にある、その内閣の、これは合議体ですから、その首長は総理大臣である、その首長の立場において総理大臣が諮問をするということでございますから、何ら私はその間に矛盾撞着することはない、かような理解でございます。
  156. 内藤功

    ○内藤功君 これは、私は明白な矛盾だというふうに思うんですね。つまり、実体的に政治的に見た場合には、また法律的に見ても、内閣という合議体とそれからその中の首長、ヘッドである総理大臣というのは明らかに違うんです、これは明らかに。  私は、最後に結論を言いますが、内閣法十二条四項に基づくような形をとりながら、実際は総理がいろいろつくっているあれこれ諮問機関というものと同じような、総理自身に対する補助機関、それを内閣法十二条という形をとっているものと私は思うんですよ。そこでこういうふうにくどく聞くわけですね。矛盾していると思いますよ。私は、この見解は法律的にも政治的にも間違ってないと思うので、これは引けません。引けませんが、遺憾ながら時間が来たので、これでやめます。     ―――――――――――――
  157. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、鈴木省吾君及び林道君が。委員を辞任され、その補欠として柳川覺治君及び海江田鶴造君が選任されました。     ―――――――――――――
  158. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  159. 野田哲

    ○野田哲君 総理に、まず政治的な問題についてお伺いをいたしたいと思います。  第百四通常国会は明日をもって終了するわけであります。改選をする議員は、私もその一人でありますけれども、明日以降その準備に入るわけであります。特別に総理の方でその間特にとりたてての別の事情がない限りは六月四日選挙の公示、二十二日投票、こういう日程が予定をされているわけでありますけれども、どうも最近の情勢は騒然とここ一日してきているように思うわけでございまして、私どもの任期中にまた国会にお呼びがあるのかどうか、総理の腹づもりをお伺いいたしたいと思います。
  160. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 参議院議員の選挙の告示日でございましたか、閣議決定の日については、前から当院においてお答え申し上げておりますように、大体今までの例だと五月の下旬に決めております。そういう考えを持ちまして今研究させておるところでございますと御答弁申し上げてきましたが、現在もそのとおりであります。
  161. 野田哲

    ○野田哲君 告示日はいつであってもいいんです。任期中にまた国会が開かれるのかどうか、そういうおつもりがあるのかどうか、そこのところを聞いているんです。
  162. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 今いろいろな点を事務当局で研究させておりますので、まだ白紙の状態でおります。
  163. 野田哲

    ○野田哲君 白紙の状態というよりも、総理の念頭はもう一色に固まっているんじゃないか、こういう報道もあるわけでありますけれども、きょうは各党の党首と会談をされたと思うんですけれども、政治日程の問題とかあるいは円高によるところの経済問題等について、総理の方からは各野党の党首に対してどのような見解をお示しになられたのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  164. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 今も参議院議員の選挙に関しての御質問がございましたので、今のようにお答えをしておきました。  それから、円高等に対する対策については、東京サミットが開かれる前に、各大臣、特に経済企画庁長官、通産大臣あるいは内閣官房長官、大蔵大臣等に対して、至急中小企業対策をまとめてください、私はそういうふうにお願いしてありまして、各省でもいろいろ各省分を研究しておりまして、今、内閣官房においてそれらの意見を集めつつ最後のまとめと申しますか、いろんな問題点もあるようでありますから、それを努力していただいている、そういうことで、その中身をある程度中間的に聞いてみますと、各党でお持ち寄りの案と似ている点もかなりあります。そういう意味で、我々は既に実施しているものもあるし、合しつつあるものもある。今後いただいた案をよく検討してみまして、よき参考にさせていただきます。中小企業円高対策という点においては全く同じ考えで政策を至急やらなきゃいかぬ、そう思っておりますと、そう申し上げたところであります。
  165. 野田哲

    ○野田哲君 総理が至急にということで急がれている対策の中には、緊急な措置として法律をもって緊急に対処しなければならないような内容も含まれているのかどうか、その点いかがですか。
  166. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いろいろ幅の広いところで研究してもらっておりまして、法律を必要とするものも中にはあると思いますし、あるいは行政だけでやれるものもある、それをどの程度に圧縮するかというのがまとめの努力の最中というところでございます。
  167. 野田哲

    ○野田哲君 重ねてくどいように伺いますが、日程的な問題については本当に今まだ白紙で、ここで具体的に答えるような総理の見解は持っていない、こういうことですか。
  168. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 今、通常議会の最後の重要法案を審議している最中でありまして、通常議会をやっているときに臨時議会のことなんかを口にするということは不見識である、前からこの議会でも申し上げているとおりでございます。
  169. 野田哲

    ○野田哲君 政治的な問題は以上で終わりまして、法案の問題に入っていきたいと思います。今私どもが審議をしているこの安全保障会議設置法、この法案は、総理の非常に強い意向によって臨調答申が出され、あるいは行革審の具体的な提言があったというふうに言われているわけでありますが、そこでこの法案の審議を最終的に行うに当たって、総理の歴史観あるいは政治理念についてまず伺っておきたいと思います。  総理は、まだ国会議員として若かりし時代のことでありますけれども、私はまだそのころは少年時代でありました。私どもの方の田舎でも、中曽根康弘という名前で立てられた野立て看板といいますか、看板を見た記憶があるんであります。それによりますと、たしか、総理は国民の直接選挙で選ぼう、こういうスローガンが掲げてあったと記憶しているわけであります。また、総理の政治手法についても、しきりにマスコミなどから、これはアメリカの大統領的な総理というものを。イメージしているのではないか、こういう論評があるわけであります。  また、私どもがいろいろ総理の政治手法、提出される法案などを見てきましても、例えば諮問機関を多用していく政治手法、とりわけ私的諮問機関の多用、公的諮問機関よりも私的諮問機関の提言の方を重視されているんじゃないか、こういう感じを受けるわけであります。それから、行政機構につきましても、法律を改正されて、行政機構は法律事項によらない、つまり国会審議を経ないで政府は自由自在にできる、こういう措置をとられてきている、これがやはり総理の考えておられる大統領的総理、こういう形になってあらわれているんではないか、こういうふうに思うわけであります。  何か総理自身も、昨年の四月ですか、旧制静岡高校の同窓会で、私も大統領的首相になって力強く政策を推進していく、こういうあいさつをされたという報道を読んだことがあるわけであります。今度の安全保障会議も、アメリカの大統領の権限に倣って、アメリカの大統領の直属機関である国家安全保障会議、NSC、これをモデルにしたのではないか、こういう論評があるわけであります。  総理は、一体日本の議院内閣制による内閣総理大臣の制度よりも、直接選挙によるアメリカの大統領制のような形での日本の総理大臣の方がよりベターであるというふうに考えておられるのかどうか、まずその点からお伺いいたしたいと思います。
  170. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) まず、安全保障会議設置法の構想というものは、私の強い指示でできたものではございません。これは行革審の皆さんがいろいろ御研究なすって、その結論として我々に提言していただいたのでございます。この点ははっきり申し上げておきます。  それから、私は昔、昭和二十八年でありましたが、アメリカのハーバード大学へ行ってあそこのインターナショナルサマーセミナーに出まして、キッシンジャー博士が当時助教授で我々の面倒を見てくれておったわけですが、そのときに講演したときに、日本の民主主義の行方という題で講演しまして、ワイマール憲法の時代のドイツの様相を見て、日本の民主主義がもし万一つまくいかぬという場合にはまた独裁者を出す危険がなきにしもあらずである。そういう点で政局の安定ということは非常に大事であり、国民がしっかり政権というものを掌握しておく必要がある。そういう考えから、日本の総理大臣というものも国民投票によって選んでやったらどうか。しかし、日本は天皇がおられますから、その国民投票によって選ばれた者を天皇が任命する、そういう形はどうだろうかと。そういう思想を述べたことはあるわけです。  それは、一つは政局の安定ということが非常に日本の場合は、特に敗戦後どうなるかわからないような状況でありましたから心配であったということと、今や大衆民主主義の時代に日本も行く、そう考えまして戦前のような政友会、民政党的な政治で果たしていいかという心配を持ちまして、やはり相当なリーダーシップも持って、そして大衆の意見をどんどん酌んでいかないというとフラストレーションがたまるであろう。そういうようなフラストレーションがたまるということになると、ヒトラーみたいな独裁者に乗ぜられる危険が出るし、共産党がまた何をやるかわからぬという心配性も出てくる、そういう考えを持ちまして、特にワイマールの状態等もかなり勉強もしておったものですから、そういう発想を述べた。そして当時、岸内閣のもとでできた憲法調査会でそういう議論を展開したことはあるんです。  これは私の議論であって、しかしそういう発想は大事である、つまり政治が国民のものである、国民が政治の主人公である、そういうような考え方を国民に強く意識させることが基本的人権とか主権在民の根底である、そういう考えを持ちまして首相は国民投票で選ぼうという標柱を随分立てたんです。これはみんなボランティアが立ててくれまして、あのころ一本立てると五万円くらいがかった由です。けれども立てたんです。  それは、ある人が首相と恋人は自分で選ぶと、そういううまいことを教えてくれまして、そうすると首相は国民投票で選ぼうという標語がいいだろうというので、みんなで相談してそういう推進の期成同盟みたいのをつくって一生懸命啓蒙運動をやったのでございます。あのころは演説会をやるというと、みんなお金を出してくれまして、大きなしょうゆだるの中へ白布を置いてやると、おさい銭みたいに二万、三万というお金を置いていってくれましたですね。あれを見て、いかにも国民参加という、国民の情熱があるかということがわかった次第です。  しかし、その後、やっぱりそれは憲法改正を要する行為でございますから、自民党が憲法改正については割合に消極的な態度になってきておる。そういうような諸般の動向にもかんがみまして、そのうちに広告条例が出まして、ああいう政治的な標柱というのは立てちゃいかぬと撤去を命ぜられたところもありまして、それでそのうち台風で倒れたのもあるし、なくなってしまった。広告条例というようなものがかなり影響したことがあるわけであります。  それで、しかし私は、やはり日本がこういうような高密激動社会でありますから、アメリカのカリフォルニアぐらいの州にアメリカの全人口の半分が集まって、アメリカの生産の半分をやっている、それも急速にやっているという高密激動社会、満員電車のお客さんみたいな状況で揺られているわけですから、それには相応したような政治が出てこないといかぬ。それは相当なフラストレーションがたまるから、政治は大衆の要望をよく見分けつつ、先手先手を打ってフラストレーションを起こさぬように、あるいは改革案なりを先に政治家が示して、皆さんの意見を求めて、悪いところがあったら画して、そしてみんなの力でそれを推進していく、つまり参加ということが非常に大事である、そういうことを考えたわけであります。  そういう考えに立ちまして、私は総理大臣にしていただきましたので、今の憲法の枠の中で最大限そういうような大衆民主主義の時代にふさわしいような政治をやっていこう、そう思いまして、総理大臣になったときの演説でもあるいは記者会見でも、わかりやすい政治とかそれから国民に話しかける政治をやりたいとか申し上げたのはそういう趣旨であります。  自来、そういう考えに立ちまして一生懸命やってきたつもりでございますが、なかなか浅学非才な者でございますから、誤解を受けることはかり多く、甚だ残念であります。しかし、そういう時代に今来ていることは間違いない。テンポとリズムが大事である。そして、フラストレーションを起こさないように国民の皆さんに参加をしていただくことが大事である、そういうふうに考えております。  現在の憲法における日本の総理大臣は、戦前の帝国憲法の時代の総理大臣とまるっきり違います。戦前はいわゆるプリマスインターパレスといいますか、同輩中の首席でありますが、戦後の今の日本の総理大臣はアメリカの大統領とイギリスの総理大臣をくっつけたような制度になっておりまして、そして罷免権もありますし、あるいは行政各部の大臣の行政行為を差しとめる権利もあります。そういうようなところで指揮監督もやりますし、内閣の決定についてはそれに基づいて指揮監督を行うという権限がございます。そういうようにして非常に変わってきておるわけでございますから、戦前の総理大臣の印象で総理大臣をやったらこれは時代におくれてしまう。そういう大衆民主主義下の情報時代に、前進している時代の政府の首長のあり方というものを探究して努力してきたつもりでございます。  私的諮問機関もつくりましたが、これもやっぱり官僚の独善を排して、衆知を集めて、そしてみんなの意見をできるだけ寄せていただく、そういう一つのあらわれでございます。もちろん最終的に大事なことは、法律になり国会の御審議をいただくことでございます。私的機関はいわゆる八条機関と違いまして、これは意見を寄せるという性格のものでありますから、その限界はもちろんよく心得てやっておるつもりでございますが、皆さんに参加していただいて、できるだけ断面を広くして国民の皆さんに触れるというチャンス、自分の考えを持つようなチャンスをつくるということは政治として非常に大事なことである、そう思いまして努力してきたつもりでございます。
  171. 野田哲

    ○野田哲君 もう一つ総理に伺いたいわけですが、総理の考え方を伺う上で、最近よく引用をされるのは、昨年の七月に軽井沢で開かれた自由民主党のセミナーですか、そこで総理が講演をされている。これがいろいろ引用されているわけでありますけれども、この中で東京裁判に対してかなり疑問を投げかけておられるようなくだりがあるわけですね。   日本は、戦前に皇国史観があった。戦争に負けると、太平洋戦争史観が出てきた。いわゆる東京裁判戦争史観とも言われる。連合国が自分で法律をつくり、日本被告にして、文明の名で、平和の名で、人道の名で、日本を裁いた。歴史がこの裁判については終局的な判定をするだろう。また、われわれも裁かれるに値するようなこともなくはなかった。   しかし、ああいう裁判のやり方が、具体的な裁判として正しかったかどうかというのは、歴史が判定する。 こういうふうに述べておられるわけですが、これは、あの東京裁判というもの、そしてA級戦犯が処刑をされた、これは不当だと、こういう見解で述べておられるわけですか。
  172. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 当、不当というそういう価値批判というものは出さないでおいて、客観的に叙述をしたと、そういう意味であると思います。
  173. 野田哲

    ○野田哲君 客観的に叙述をしたと言われても、やはり後で歴史が判定をするだろうというふうに述べておられるところは、かなり疑問を呈しておられるというふうな印象を受けるわけですが、もう一つこの講演の中で何回も出てくる日本のアイデンティティーの確立、こういう言葉が出てくるわけですが、総理が考えておられる日本のアイデンティティーというのは一体どういうことを考えておられるわけですか。
  174. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) なかなか難しい御質問で、私自体も日本のアイデンティティーが何であるかということはよくわからない。感じは持っておりますけれども、それを今探求するので一生懸命努力しておるというところでございます。  言いかえれば、中曽根とか野田とかそういう人間、おまえは何だと言われた場合に、おればこうだと二言で言えない。しかし、おれはおれだということは言える。このおれはおれだというものをいかにして発見し表現するか。そうすると、おまえとおれとどこが違うか、あるいは第三者とどこが違うか。そういう違いをまず幾つもつくり上げて、そしておれというものを浮かび上がらす、そういう形で表現するというやり方もございますし、これだという積極的なものをつかみ出してやるという場合もございます。  そういうことになりますと、やはり縄文時代あるいはそれ以前にさかのぼる文化人類学的な面から日本というものを掘り出していく、それからその後の歴史とか社会学とか心理学とか、あらゆるものを駆使して、日本の独特のものというものを発見していくということが必要であると思います。独特のものがあることは間違いないのであります。これはやはり、これだけの民族が何千年もこの列島に住みなしてくればそれ相応のものが生まれ、あるいは先天的にあるに違いないからであります。ちょうど、手ぬぐいを使う場合に、長い間使っていれば、これはお兄ちゃんの手ぬぐい、これは弟の手ぬぐい、においでわかりますね。それと同じように、やはり民族とか共同体というものにはその固有のにおいというものがやっぱり出てくるだろうと思うんですね。  そういうような意味において、おまえとは何だ、日本とは何だということを探求していくということでアイデンティティーという言葉を用いておるのでございます。
  175. 野田哲

    ○野田哲君 第二臨調は、国防会議の問題について十分機能していないから活性化を図れと、こういう指摘を最初にされているわけでありますが、そこで総理は、防衛庁長官もやってこられた、それから今日までずっと政府・与党の中枢に長期間参画をしてこられているわけであります。国防会議の運営等につきましては、防衛庁の長官当時は直接かかわってこられたわけですが、その過程で我が国の防衛政策について総理自身もいろいろな見解を述べてこられている。私も総理の論文なども勉強いたしましたが、そういう立場に立って今までの国防会議の運営を見てこられて、余り十分機能していないというふうに見てこられたのか、あるいはもう今までの状態でいいと、こういうふうに今まで思ってこられたのか。  総理の積極的なリーダーシップからいえば、今まで国防会議が余り機能していないということであれば、機能するような提言なりあるいは改革の方策というものを示されてこられたのではないか。総理が黙っておられたということはあれでいいと思っておられたんじゃないか、こういうふうに思うんですが、総理自身はどういうふうに見てこられたわけですか。
  176. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 国防会議は、従来、前はややもすると形骸化しまして、実質的な活発性が見られないという批判を受けておりました、予算をつくるときとか新しい兵器を購入する場合にそれを検討するというようなこと。しかし、国防会議というものは、防衛出動とか治安出動の場合には諮問するという重大な機能が秘められておるわけで、これは不可欠の民主的コントロールの機関であることは間違いない。そういう場面に使われないことは国家のために幸いであったと思います。しかし、平常どうも形骸化したという印象がぬぐえなかった。  そこで、私の内閣になりましてからは、一面において、総合安全保障閣僚会議というものを片方で開きまして、外交あるいは経済、科学技術あるいは対外援助、そういうあらゆる面を総合して、一面においては総合安保を考える。と同時に、片方では国防会議も必要に応じてかなり開きまして、特に昨年の中期防衛力整備計画をつくるときには、相当開きまして戦略論まで実はやったわけであります。  そういう意味で、使い方一つでやはりこれは生きることもあるし死ぬこともあるということでありますが、今回の機構改革に伴いまして、普通のことでは処理できないような非常事態に対処するというそれまでも含めまして、安全保障会議というやり方で、国防会議の内容も含めてそういうところにおさめたということは、私は時代から見て適切な改革であると。今後そういう意味において、国防という小さな、小さいと言うと悪いですが、まあ割合に狭い観念から、安全保障という広い観念でこれを論ずると、そういうふうに移行していったら有益なものになるであろう、そう思うんです。  私は、国家という名前をつけなかったというので関先生から大分しかられてきたのでございますが、それはやはり幅の広い観念、そういう概念のものにしていきたい、そういう考えで申し上げているのでございます。
  177. 野田哲

    ○野田哲君 今、総理もおっしゃいましたが、私は国防会議が機能していないということで一番大きな声をしているのは、きょうの午前中の質疑で指摘をしたわけですが、防衛庁の制服の幹部が国防会議が機能していないということで一番大きな声をしている。私は、国防会議が余り目立った存在でなかったということは、日本が平和の時代であったということ、国防会議が余り目立つような存在であることは、かえって日本にとってはこれは危険なことなんで、十分仕事がなかったことの方がよかったんだというふうに思うわけで、振り返ってみて国防会議が一番機能を果たしたなと思うのは、あの対潜哨戒機を国産から輸入に切りかえたときの国防会議が一番機能しているんじゃないか、こういうふうな感じがするわけです。やはり国防会議が十分働かなくてもいいというのは、つまり日本にはいろいろ平和を守っていくための憲法があり、あるいはまた非核三原則があり、あるいは今まで一%の制約というものがあり、そういういろんな国民のコンセンサスを得た制約があったから、その制約のもとで国防会議もそう目立った動きをしなくてもよかった、こういうふうに思っているわけであります。  それを今、機能していないからというような指摘を受けて、機構改革をやろう、別の安全保障会議をつくろう、こういうふうになってきたことは私はどうも理解がいかない。特にこの国防会議というのは、これは総理直属の機関なんですよ。総理直属の機関について、臨時行政調査会とか行政改革推進審議会のような別の審議会の手をかりなければならないということ、これは私は少し政府の怠慢じゃないかと思うんです。今の国防会議という形の中で、運営上改めるべきところがあれば、臨調などに指摘されなくても今の機構の中で改めて、活性化すべきところは活性化していけばよかったんじゃないか、こういうふうに思うわけです。  そこで、時間もありませんので次の問題に入っていきますけれども、午前中の質問でも官房長官、防衛庁長官に対して私は例に引いたわけですが、元統幕議長の竹田五郎さん、この方の著書の中で、数年前に韓国の朴大統領が射殺された事件のときに国防会議が何ら機能しなかった、こういうことで非常に嘆いておられるわけです。ああいう事件について何ら機能しない国防会議ではもう役に立たない、こういうふうに嘆いておられるわけです。  そのことから考えてみて、やはり防衛庁の中には、あの事件は非常に大変な重大緊急事態だと、こういうふうに受けとめられておられたんだなということがうかがわれるわけでありますけれども、日本の周辺諸国で政治的にも経済的にも非常に関係の深い国、その国の政権が通常のルールに従った政権の交代ではなくて別の方法で交代をする。大衆蜂起とかあるいは軍部の蜂起とか、こういうようなことで政変が起こって政権がかわる。こういう場合、元統幕議長が嘆いておられますが、やはり周辺諸国でそういう状態が起こることは重大な緊急事態、抽象的な質問では答えにくいかもわかりませんが、そういうふうに考えられる場合が想定をされますか。いかがでしょうか。
  178. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それは案件によりけりだろうと思いますが、つまり日本に対する侵略の危険性、日本の防衛というものについて非常に深いかかわりが出てくるかどうか、そういうことが基本点にあるのでありまして、それについて余りかかわりがないという場合に国防会議を開くのもどうかと思います。ですから、ケース・バイ・ケースで考えないと、一概には申し上げられないと思うんです。
  179. 野田哲

    ○野田哲君 だから、ケース・バイ・ケースで、場合によっては、重大緊急事態として緊急な国防会議で検討する場合もケースによってはあり得るんだと、こういうことでしょうか。
  180. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それは、日本に対する重大な脅威が発生する、そういう危険性があるというような場合には、情勢によっては国防会議を開いて勉強するということもあり得ると思います。
  181. 野田哲

    ○野田哲君 今までの後藤田官房長官が重大緊急事態として例に挙げられたことの中でのミグ25の事件とか、あるいは今、私が指摘をした韓国における朴大統領が倒れた事件等々に対する防衛庁内部の、特に制服の皆さんの反応というのは、いろんな記録や資料を見てくる限りでは、非常に過剰反応を示しておられるように思うわけです。だから、当然これはやはりシビリアンコントロールの立場からいえば、そういう過剰反応を抑止する立場でのコントロール機能が働いていかなければならないんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  そこで、私どもが一番この法案の審議に当たって懸念をするところは、行革審の提言の中で「緊急事態に対しては、」「行政運営の通常の処理方法、ルールによっては、それらに迅速・的確に対処することは困難である。」。「したがって、事態への迅速・的確な対応には内閣総理大臣及び内閣の指導性の発揮が不可欠」である、こういうふうに行革審は述べているわけです。  そして、具体的な安全保障会議の任務として、「緊急事態発生の際の対処は、その態様に応じ」「既存の法制あるいはマニュアルに従って行うが、内閣総理大臣は、重大緊急事態が発生し、かつ、必要があると認めた場合には、安全保障会議を召集して、対処措置等を同会議に諮るものとする。」、こういうふうに述べているわけであります。  そして、今回の設置法の二条二項では、この行革審の提言と全く同じ文章で「内閣総理大臣は、重大緊急事態が発生した場合において、必要があると認めるときは、当該重大緊急事態への対処措置について会議に諮るものとする。」、こうなっているわけです。つまり、緊急な事柄で通常の行政運営のルールやマニュアルでできないことは総理大臣が安全保障会議に諮って処理しろ、こうなっているわけであります。これは総理に対して超法規的な権限を授権する、こういう読み方がどうしてもここから出てくるわけであります。通常のルールや行政運営ではできないことをここに諮ってやれと、こうなっているわけです。ここに一番私どもは問題を感じるわけです。  しかし、内閣法によるとこれはやはり閣議によらなければできない、そういうことになっている。そこのところがどうも、この安全保障会議というのはインナーキャビネットといいますか政府の中の中枢の政府だと、こういうふうな論評を受けるもとになっているのじゃないかと思うんです。一体ここのところをどう解釈すればいいんですか。
  182. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これは法律に従って法律を忠実に守ってやるということが本旨であると思います。  そこで、今までの国防会議のいろんな問題、要件等を引き継いでやる場合と、それから今のような重大緊急事態と言われる、ダッカのハイジャックであるとかあるいは大韓航空機の事件とか、言われているようなそういうようなものが起きたという場合、種類がありますけれども、それらを処理するについても閣議で処理し得るものは閣議で処理する、それから大きな緊急事態、例えば関東大震災みたいな問題が起きた場合には、これは新しい立法を要するという場合もあります。議会があれば議会で緊急立法する、あるいは議会がないという場合には、最大限行政でできることをやって議会を召集してもらう、そういうこともあり得ます。  この前、石油危機が起きましたときに狂乱物価が起きまして、トイレットペーパーとか洗剤が暴騰したことがありました。あのときも実は議会がありまして、十二月でもありましたけれども、緊急立法をやりまして、国民生活安定緊急措置法ですか、ああいう二つの法律をあのとき通しましたね。あれも、やっぱり野党の皆さんの御協力をいただきまして緊急立法でやれたわけです。あのときも野党の皆さんは、これは緊急事態だから早く通そうというので、夜の十時、十一時までも質問時間をとっていただいて至急通していただきました。だから、事案によりけりで、やはり日本の憲法と法律的手続に従ってすべては処理されていく、そのように私は考えております。
  183. 野田哲

    ○野田哲君 鈴木内閣が昭和五十五年十二月に閣議決定で総合安全保障関係閣僚会議、こういうものを設置をされているわけです。それから、今総理が述べられた石油の問題については、国民生活安定緊急措置法によっての対策本部が設置をされている。災害対策については、災害対策基本法に基づく対策本部が設置をされている。今改めて法律によって安全保障会議を設置しなくても、これらの総合安全保障関係閣僚会議とか、あるいはそれぞれ部門別に法律によって制定をされている対策本部、これによって私は十分機能しているんではないか、こういうふうに思えるわけです。  そこで、従来国防会議が所管をしていた国防の事態を除いて、現在の通常の緊急事態の対処体制を超えるということ、そういう問題が起こるとするならば一体いかなる事態を想定をされているのか。午前中の質疑で、官房長官とのやりとりの中で例に挙げているミグ25にしても、あるいはまたKALの問題にしてもダッカの問題にしても、別に今安全保障会議というようなものを設置をして対処しなくても、今までのマニュアルなりあるいは政府部内の各省連絡会議とか関係閣僚会議で処理されてきている、今改めて国防会議をこういう形のものに改組する必要はないんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、一体どういう必要性が特にあるのか、この点を伺っておきたいと思うんです。
  184. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 例えばKALの事件のような場合、あるいはダッカのような事件の場合等考えてみましても、先行きがどう動くかわからぬ、時間の経過とともに日本国民の生命の安全がどうなるか、あるいは国家の安危に関するような問題がどう推移していくかというような緊迫した時間が流れていくという場合もあります。そういうような問題については、ある程度いろいろ予想、想定しつつも、ふだんからその安全保障室において検討も研究もしておくし、各省ひとにそういう場合のマニュアルとか演習訓練もしておく必要もあります。  しかし、何が起こるかわからぬ、そういう場合が十分あり得るわけであります。それを今までの体系でやれるかというと、これはまだ弱いんです。官邸の今までのスタッフだけで、一つの中心体としての研究とか調査というものも、あるいは連絡網というものも、中心体がないわけでありますから、官房長官が手持ちの力でやっても、これは制度的にも権威もないし力もありませんですね。あるいは関東大震災のようなああいう大きな震災というのが起きた場合には、これは警察の力も要るし、あるいは情勢によっては貨幣、金融に関する問題も出てまいります、預貯金の扱いとか。さまざまな問題が、予測できないような問題も起こってまいりますし、国際信用に関する手段も講じなきゃならぬという場合もあるいはあるかもしれません。  そういうような我々が予測できないような事態に移っていくという可能性もあるという問題を考えてみますと、やはりあらかじめそのようなことに対応できる場所をつくっておく、制度的にもつくっておくということは、私は行政組織を預かる政府としてはやっぱりやるべきことである、そう考えておる次第でございます。
  185. 野田哲

    ○野田哲君 総理の今言われていることは、私は政府部内のスタッフの問題、あるいは各省庁のセクト主義の問題の解消ということになるんじゃないかと思うんです。閣僚を構成メンバーとした国防会議というものとメンバーはほとんど変わらないんですよ、官房長官とかあるいは国家公安委員長が新たに加わるとか、ほとんど同じメンバーで、何で安全保障会議という形にして新たな機構と新たな役割を持たなければいけないのか、そこのところが私にはどうしても理解できない。今の総理の説明であれば、スタッフの問題、行政部内の機構の問題として扱えば事足りることじゃないか、こういうふうに思うわけです。  時間がどんどん迫ってまいりましたので、ひとつ具体的に、これは官房長官に、午前中の質問で時間がなかったので残っております問題で伺いたいと思うんですが、今までの国防会議におきましても五条の2で、今度の安全保障会議設置法では六条の2で守秘義務を関係閣僚に課しておりますね。「議長及び議員並びに議長又は議員であった者は、その職務に関して知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない。」、守秘義務を課しているわけです。内閣法によりますと、この二条の組織連帯責任、こういうところで、「内閣は、首長たる内閣総理大臣及び二十人以内の国務大臣を以て、これを組織する。内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う。」、こういうふうになっています。そして第四条で、「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」。そして、「閣議は、内閣総理大臣がこれを主宰する。各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。」。そして、第六条「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」、こうなっているわけです。  そこで伺いたいのは内閣の連帯責任、そして内閣がその職権を行うのは閣議によらなければならない、こうなっているわけです。ところが、重大緊急事態の対応策を協議するために国防会議あるいはこの安全保障会議に参画できる大臣というのは、これはわずか数名ですね、七名。その閣僚七名は守秘義務を課せられている。そうすると、他の大臣というのは内容を全く知らされないで、例えば国際的に、突発的に緊急な、周辺諸国で何かが起こった。そして、いろいろ国際的な情報が入ってくる。そういうことについて一番肝心のポイントになる情報は全く知らされないで、他の閣僚は全部それをうのみにして閣議決定の署名をする。  こういうことになると、一体この閣議の「国会に対し連帯して責任を負う。」とか、あるいはこの「職権を行うのは、閣議によるものとする。」、あるいは「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」、これとの関係は一体どうなるのか。十数名の閣僚はつんぼ桟敷に置かれたままで重要な緊急事態について閣議決定が行われて、それを総理大臣や官房長官の指示によって政府、行政機関全体が動いていく、これこそがこの法律で言われているインナーキャビネット、政府の中にまたシークレットの機構をつくっていく、こういうことになるんじゃないでしょうか。これはいかがでしょうか。
  186. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 安全保障会議は、しばしばお答えしておりますように、重大な緊急事態の処理についてともかく一つの方針を決める。それを実施していくのは各省庁である。それで、各省庁はそれぞれの過程において閣議で整理をするものは閣議で整理をしていく、こういうような仕組みになっておると、こう申し上げました。  それから、なおかつ重大緊急事態でこういう方針を決めれば、これは事柄が重要でございますから、多くの場合に、閣議にこういう決定をしましたという報告をするでしょう、こういうお答えもいたしております。そのときに、安全保障会議の守秘義務があるから閣僚にはそれは何も説明しないで判を押せなんて、そんなことはあるわけがないので、それはかくかくの事情によってこういう方針を政府としては決めたので閣議の席で報告をいたしますと、こういうことになるわけでございます。これは、何も守秘義務の違反でも私は何でもないと。この安全保障会議の会議議員の守秘義務もありますが、同時に閣僚もみんな守秘義務を負っておるということで、みんなそういうものはそれぞれの規定にあるわけでございますから、別段、これに守秘義務があるから閣議はつんぼ桟敷で、ここで報告したらこれは守秘義務違反なんて、それはもう全然ありませんから、そういうことは御心配はございません。
  187. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、かわりまして総理に何点か御質問させていただきますが、先ほどから安全保障会議を設置する理由につきまして、当委員会でも三日間の質疑を行ってまいりましたんですが、いろいろと説明を聞きましても、なかなか私たちとして釈然としない点がございます。先ほど同僚委員からいろいろ指摘された点もそうでございます。  総理、再度お尋ねしたいことは、この安全保障会議をどうしても設置しなきゃならないと、そのような決意をされた、その点はどういう観点でございましょうか。
  188. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 今までの国防会議というものは、形式的に見ますと防衛庁設置法でしたか、そういうものの方で決められておるので、やっぱりこれはしっかりとした総合的な内閣レベルの方向で規定するのがより正しいだろう。それから、いわゆる内閣の統合調整機能というものを最大限に生かすというのは、緊急事態で一番面目躍如としてそれが出てくるものでございます。そういう意味において、ここで防衛上の問題とそれからそのほかの緊急事態というものとを扱わせて、平生からそれに対応できるような準備を安全保障室をして行わしめて、いざというときに各省との連絡協調というものが機動的に行われるような準備を平生からやっておく、そういうことも大事であると思ってやったわけでございます。
  189. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次は、これは通告はしてございませんでしたけれども、先ほど私の質問の中で官房長官がお答えになったんですが、この安全保障会議が設置されますと、現在、所管官庁不明なために検討が進んでいない、いわゆる有事法制研究の第三分類などはこれは促進されると思うと、こういう答弁を官房長官はされていらっしゃいました。安全保障会議の設置というのは有事法制研究のためではないと、こういう御答弁もありましたけれども、新しくこの会議を設置しましたその波及効果として有事法制研究というものが促進されると、こういうことは総理もやはりお認めになるんでしょうか。
  190. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 官房長官と同じ考えております。
  191. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、この有事法制研究の第三分類につきましては、これは非常事態、重大緊急事態等の国民の避難誘導、これなども含まれてくるのじゃないかと思うんですが、東京サミットのときの厳戒体制につきまして先ほど同僚委員からもいろいろと質疑がございまして問題にされておりましたが、そういった国民に対する大規模な強制措置がとられるケースということが大変問題になってくると思うんですが、それらも含めまして、この国民の権利あるいは自由に重大な影響を与えるところの有事法制研究というのがこれらの諮問機関と申しますか、そういうところで話し合われるということは問題じゃないかと思うんですね。やはり国会で、あるいは国民の目の中でこういったことが審議をされて、その審議過程も含めてやはり国民に公開をされていくべきじゃないかと思いますが、総理のお考えをお聞きしたいと思うんですが。
  192. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) たしか第三分類は、一般的案件、つまり各省庁にわたるもので、これはむしろ内閣レベルでやるのが適当である、そういう意味で官房長官は促進されるであろうという見解を述べたものだろうと思われます。しかし、いずれの場合にせよ、事は法律あるいは国会というものを経由しなければ基本的人権等々に関係することはできないのでございまして、そういう点においては勉強することと、それから実際法律として施行する、あるいは実際それが実行されるということの間には、国会という大きな重大な国家機能が介在するのであります。その前には内閣というものがありまして、内閣が案を認めるか認めないか、どういうふうに処理するか、そういう問題もあるのでございまして、その点はいろんなチェックが行われますから、心配はもちろんないと思うのであります。
  193. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これもちょっとお聞きしておきます。けれども、重大緊急事態から物によっては有事に至る可能性があるものがあるということが政府側からの御答弁の中で述べられているわけでございますが、有事に至らしめないようにしょうということは、まさに有事以降の対処と現行の通常緊急事態対処との間のケースに対して対処しようということであろうと思うんですが、その間の法的あるいは制度的欠陥を補う役目をするものと私たち理解せざるを得ないと思うんですが、新たに制度、法律をつくらないとしても、機能面ではそういう役目を果たすことは認めざるを得ない、このように総理もお考えでしょうか。
  194. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これは、法律の範囲内におきまして政府がそういう重大緊急事態に対応する諸般の措置を実行するということは、それは法律あるいは各省設置法等々、おのおのの条章に従いまして遂行されていくものだろうと思います。
  195. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、総理、もう今国会もいよいよ終わりになる最後の委員会でございますので、多少法案を離れまして何点かお尋ねしたいと思うんですが、先ほど中小企業円高対策につきましては党首会談等でも大体意見が一致をして、対策はそれぞれお立てになるということでございましたので、そういう面につきまして何点か総理のお考えをお尋ねしておきたいと思うんです。  まず、円の問題でございますけれども、先週は百五十九円台にも急激に上昇しましたけれども、最近は百六十七円前後になっておりますね。企業にとりましては円高は安定をしてもらいたい、安定をすることが企業の採算の計画を立てる上に一番重要なことであるということで、いろいろな要望もいただいております。  そういう点で、政府あるいは日銀当局が一体となって円相場の適正水準の回復及び安定化をすることが必要ではないかと思うんですね。アメリカのベーカー財務長官も、どうやらドル安の目的は達成した、アメリカの経済戦略は成功したというような発言もされておりますし、来年は米国赤字は大幅減少する見込みがついたというような発言もされておりますが、総理はやはりこの円相場の適正水準の回復及び安定、予算委員会でも私お話ししましたけれども、その点についてどのようにお考えでしょうか。
  196. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) やはり為替相場というものは、長期的にその国の両方の経済のファンタメンタルズを反映して長期的に安定していくということが望ましいことであると思います。  先般来の事象は、余りにも円が急上昇いたしまして日本の企業は対応できない、それでいろいろなショックが起きたわけで、政府としては、一面においてはそのショックに対するいろんな経済政策を至急やったし、またやりつつあるところでありますが、また一面におきましては、国際関係におきましてこの日本の現状はこういうことであって、いかにも円ドルの関係においてはドルが安くなり過ぎている。そのために日本の企業にこれだけの大きなショックが起きているということも、各国別の話のとき、あるいは日本経済の説明のときにサミットで私からもかなり詳細に話もしたわけです。そして、各国別の話のときには、これはやはりベルサイユ・サミットのときの、いざとなれば協調介入もやるというような線を確認した上で、それで必要に応じて連絡をとるという話にしてあるわけであります。  それで、いろいろなそういう努力を多面的に私も大蔵大臣も実はやりまして、アメリカ側も、あるいはドイツのマルクも同じような状態にありましたが、そういう点においてはやはりある程度協調的な行為が必要であるという認識が相当強くなってきたように思います。ですから、実はレーガン大統領が日本を去る前に、新聞記者会見でそのことを言っておるわけです。双方が満足する水準に安定させたい、双方が満足する水準という表現を既にレーガン大統領は言っておるわけで、アメリカだけが満足するというのではだめだ、日本も満足するという言葉を、離日のときの声明で出ておる。その後ベーカー長官は、向こうへ行っても発言をいたしまして、もう十分にドル安ということでかつてのドル高という分は相殺したと断言しているわけですね。オフセットという言葉を使っております。そういうようなことをまたきのうも繰り返し言いましたですね。  そういうこととか、ニューヨーク連銀の総裁が同じようなドル安を非常に心配するような気配も出てきまして、そういうようなことどもはやはり我々がやってきたいろいろな諸般の努力がようやくアメリカ側も認識もしたし、そういう意味の協力もある意味においては実現されているんではないかと私は想像もしておるわけでございます。  今後も適正水準に長期安定するように我々は努力してまいりたいと思いますが、きょうは大体百六十九円五銭という状況で終わっておるようでございます。
  197. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いずれにしても、安定をすることを私どもは望んでおりますが、今まで円高の原因につきましてはいろいろあったと思いますし、総理もいろいろと努力されたというお話でございましたけれども、政策的にいろいろな政策を打ったというお話もございましたけれども、やはりG5以降、円高の急激な原因というのを見ていましても、日本の経常収支黒字を金融政策だけで解決しようとしたところにやはり問題があったんじゃないか、予算委員会でも指摘いたしましたが、そういう感じがしてならないわけですね。  アメリカからも日本の内需拡大をせよということで強く指摘されましたし、総理もそのようにおっしゃっておりましたけれども、なかなか実行策ができなかった、基本的にはこれまで必要だったものを実行されなかったためにこの円高の原因というのがあったんじゃないかという感じもするわけですが、要するに政策対応に致命的なおくれがあった、そのように私たちは思うわけでございますが、総理はその責任をどのようにお考えになりますか。
  198. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 為替関係だけでドルの黒字とかあるいは財政赤字というものが解消するものではない、やはり総合対策が必要である、全く同感であります。  日本の例からすれば、それは内需を振興するということにもつながってまいりまして、政府は四月八日の総合対策等も決め、あるいは金利も三回にわたって引き下げる、あるいは公共事業の前倒しを思い切ってやるとか、あるいは今度の電気、ガスの代金の還元を二兆八百五十億程度行うとか、そのほか輸入品の値下げを監視して推進していくとか、いろいろやっておるわけです。この間の国会でも御承認いただきました地方公共団体が行う第三セクターの内需振興機関設置、そういうものも法律が通りました。あれが動き出すと八兆円から九兆円ぐらいの事業量になるのであります。すぐそれは出ませんけれども、相当あれは有望なことでもあるのであります。  そのほかいろんな政策を組み合わせまして、ようやく今法律が通っていよいよこれから動き出す、予算も通って箇所づけも進む、こういうことなので、これからいよいよ内需に向かって動意が出だす、こういうところに来ていると思いますので、引き続いて活発に前進させたいと思っておる次第で、今すぐ出てこないからといってやってないというものではない、やはりある程度仕込み時間というのは要るわけですから、地方の府県会を通すという問題もありますし、そういう意味で若干の時間は必要なんです。しかし、昨年の秋、我々は臨時国会でやはり内需振興策をいろいろやっておるわけです。四千億円の予算外国庫負担契約で公共事業をやるとか、あるいは災害等もやっておるわけでありますから、それらが今ずっと生きてきているわけですね。  そういう意味で、タイムラグをうまく結び合わせつつ我々の目的を達成させようと、そう思っておるところでございます。
  199. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 確かに六十一年度の公共事業につきましては、これは史上最高の前倒し率ということになっておりますが、やはりそうなりますと、当然下期でその不足分を補うためにも補正予算を組んで、公共事業を追加することが景気対策から必要になってくるんじゃないかと思うんですが、今おっしゃった地方のいろんなこともございますけれども、そういうものもやはり力強く前進させるためには必要になってくるんじゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  200. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) やはり公共事業、下期のものを上期に繰り上げて、下期に公共事業の材料がなくなるということになると景気は落ち込みますから、もし必要ある場合には、やはり補正予算というものも考慮すべきではないかと考えております。
  201. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それから、これは円高あるいは石油価格の下落が日本経済に大きなプラスになっているといいますが、国民生活の側から見ますと、そのメリットはなかなか出てないように思うわけですね。経企庁の試算によりますと、日本経済は六十一年度に円高で差し引き三兆五千億円、石油価格の下落で二兆二千億円のプラスになる、こういう試算もあるわけでございますけれども、しかしそのメリットを国民が受けてないように私たちは考えられるわけです。  いろいろと調査しましても、日本の経済の仕組みの中には、料金制度の問題あるいは営業活動などに許認可、行政指導、カルテルなど、いろんな自由な経済活動を妨げている分野が極めて多い、このように思いますね。総理もその点でデレギュレーションということを力説されたときがございました。そういったものがやはり自由競争を妨げて、円高差益が国民生活の上に還元されていかない大きな原因になっているんじゃないかと思うんです。  ですから、六月一日から電力、ガスあるいはプロパン等の分野で円高差益が還元されるようでございますけれども、それだけでなくて、あらゆる分野でその円高差益というものが国民生活の上にこれが還元されるようなやはり社会秩序と申しますか、そういうものをつくり上げることが先決じゃないかと思うんですが、今円高でいろいろやっているときがやはり一つのチャンスじゃないかと思いますが、総理としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  202. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 円高利益を国民の皆さんに還元するということは非常に大事なことで、政府は引き続き監視を強化してまいりたいと思っております。これはもう執拗に、各省が分担している分は監視員等を派遣して、そして徹底的にやりたいと思っております。この間の日曜日に、私のところの秘書官がデパートへ行って台湾製の家具を見だそうですが、六万円というのが五万円につけかえてある。どうしてそうなったのかと聞いたら、役所がうるさいからやっぱり一万円下げましたと、そう言ったそうです。やはり役所が丹念に回ってみて、そして下ぐべきものを下げさせるという努力をしなきゃいかぬ、そう思っております。
  203. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 確かにそういう円高フェアとか、いろんなところで行われているわけですね。予算委員会で申し上げましたが、そういう一時的なことじゃなくて、恒久的にそういうものが制度化されるように進めてもらいたい、指導力を発揮してもらいたいと思うんですが、どうでしょう。
  204. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それはもうおっしゃるとおり、うまずたゆまず実行してまいりたいと思います。  農業関係でも、飼料は相当安くなってきている。飼料の値下げをやるとか、あるいは飼料の値下げその他によって、今度はお米の方にも影響して、米価についても農業団体が消費者のこともいろいろお考えくださっているようでありますね。ともかく国民生活全般にこの円高の恩恵が及ぶように、政府としては全力を尽くしてこれからも努力してまいるつもりでおります。
  205. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 政府円高対策の中で、財投金利の引き下げをめぐって政府部内でも、あるいは政府与党の中でも不協和音があるように聞いておりますけれども、この財投の原資でありますところの厚生年金の積立金は、これは高齢化社会を迎えるに当たりまして高利で運用されることを求められておるものですけれども、そのために金利の下限というものが法定化されているわけですけれども、これを一方的に切り下げることになりますと、自主運用を含めた抜本改正をしないと厚生年金保険料引き上げあるいは給付率の引き下げということが将来迫られてくる、こういったことで国民の納得を得られないと思うんですが、その点はどうでしょうか。
  206. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この点は一つのポイントでありまして、プライムレートが六%前後になる、安くなってくる、こうなると、プライムレートよりも高いというんでは、ちょっとこれじゃ借り手もいないんじゃないか、こういうふうな心配も出てくる。一方においては、今言った厚生年金の問題もある。そういうわけで、今いろいろ事務的にも詰め合っておる。自民党内部におきましても、社会部会の皆さんは反対が強いようでございますが、いろいろ調整して努力している、そういう段階であります。
  207. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後に、いわゆるマルコス疑惑の解明についてでございますが、これにつきましては、衆参両院で特別委員会を設置いたしまして、その調査、疑惑について積極的に対応しているわけでございますけれども、やはり総理も予算委員会では非常に積極的な姿勢を示されたわけでございますけれども、なかなか政府側が、要求資料の提出一つとりましても、非常に消極的な態度をとり続けているわけでございますし、これでは我が国の経済援助の公正あるいは効果的な実施を確立する上での必要な事実解明ができない、こういう状況ではないかと思うんですが、総理自身はこのような姿勢について一体どのようにお考えになっていらっしゃるのか。また、今後マルコス疑惑の徹底究明についてどういう態度で取り組もうと、このようにお考になっていらっしゃいますか。
  208. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 正当な疑惑があれば、これが解明は徹底的に行われなきゃならない、そう思うのであります。政府も、その点については協力申し上げたいと考えておるところでございます。  ただ、これは国際間の問題にもなりますから、我が国において国内法に触れるというような疑惑が明確に存在する、あるいは汚職、政治倫理に反するような疑惑が明確に存在する、そういうような場合に外国に対して外交機関を通じて照会をする。また、向こうの方も、フィリピンの国内法に触れる、そういうようなものが出てきた場合に日本に対して照会をしてくる。やはりお互い法治国家でありますから、法治国家の建前の上に立って物事は処理すべきであり、お互いがまた独立国家でありますから、いろいろ国家間の問題というものは、外務省を通じて国際法に基づいてやっぱりやっていくというのが安定したやり方ではないかと思うのであります。そういう筋道というものは、法治国家あるいは独立国家相互の関係として、やはりきちんと正しておかなければまた後で禍根が出てくる、そのように考えております。
  209. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  210. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私、どういうくされ縁か存じませんけれども、この一カ月の間に総理に対してもう四回質問いたしまして、きょうは五回目でございます。先般は決算の総括質問で、これが今国会中における総理に対する最後の質問だというので、私時間がなかったのでかなり一方的に、返事をお伺いしないまましゃべったことがあるんですけれども、きょう多少それと重複する点があるかと思いますけれども、お許し願いたいと思います。もっとも私、別に最近はやっております教師の生徒いじめのようなつもりとか、あるいはしゅうとめの場ふさがり的な嫌いじめのつもりでやっているのではございませんので、御了承願いたいと思います。  先般、本会議での質問あるいはその他のときの総理の御答弁でも、国家安全保障会議の国家という字を除いたのは、行革審の答申に国家という字がなかったということが一つ、それから国民の間に国家はやはりいかめしく感ずるものがあって狭い感じを与えるから、その二の理由で国家という字をお取りになったというふうに理解しておりますが、それで間違いございませんですか。
  211. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) そのようにおおむねお答えいたしました。
  212. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 問題は、あなた自身が国家をいかめしく、あるいは狭いものと感じておられるかどうかということが私は問題じゃないかと思うんであります。  実は、あなたがいらっしゃる前に法制局を呼びまして、日本の法律の中に国と国家、多少ニュアンスの違いがあるそうですけれども、国という言葉を使ったり国家という言葉を使ったり、大体同じような意味で、それから、国及び国家という言葉は、一方においては権利義務の主体、私の言葉で言えば、むしろ政治学的に言えば統治機関だと思うんですけれども、法律の中にも国という言葉を使わず政府という言葉を使っている場合もあるんです。だから、したがってガバメント、そういう意味で使われている場合と、それから法制局の方は社会学的実体と言っておられましたけれども、私が繰り返し申しておりますように、一定の領域でほかと違う先ほど言われたアイデンティティーを有するところの人々が共通の統治機関のもとにある状態、これは政治学的には広い意味の国家だろうと思うんですけれども、同じ法律の条文の中に定義もせずに統治機関の場合とそれから国民共同体の場合とが使われているということを法制局の方でも答弁されました。  したがって、そういうふうな一般の国民の受け取り方ですから、統治機関の意味で考えれば確かに狭くていかめしい感じを与えるだろうと思うんです、税金を取り立てたり、お巡りさんが来てひっつかまえたり。しかし、社会学的な実体というふうなとらえ方をすると、少しもいかめしいものではないし、狭いものでもないし、むしろ家庭であるとか企業であるとか、あるいは地域社会、それを支えている、包み覆っている枠組みじゃないかと思うんです。そういう意味から言いますと、少しも狭くもないし、むしろ広いし、いかめしいものでもないと思うんですけれども、国民はそういうふうに考えているかもしれませんけれども、総理大臣自身はどのようにお考えでしょうか。
  213. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、もう一つつけ加えさせていただいたんですが、広い概念がいいと思うということと、国防会議というものは国家防衛というものを中心にやってきておるんで、国防会議の所掌事項よりもっと広げたものに、今度は緊急事態というふうにもなっている、そういう意味において国家という名前をつけておくと国防会議の延長みたいな印象も与えかねない、その点も実は考えたんですと申し上げたこともあります。そういうようなさまざまな考えに立ってやっておるので、私は国家をつけない方がいい、そういうふうに判定を下した一人であります。
  214. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 第三の理由としてつけ加えられた、今までの国防会議じゃなしに、それよりもっと広いものを意味するので国家という字をつけない方がいいんだというふうにお答えになりましたけれども、それは例えば例として言えば、緊急重大事態のことだろうと思うんです。しかし、緊急事態というのは、個人の緊急事態の問題じゃなしに、それはまさに国家の緊急事態だから今度の安全保障会議で取り上げるんじゃないんですか。それであれば、なおさら国家という字をつけるべきじゃないかと思うんですけれども、総理のお考えをもう一度お伺いしたいと思います。
  215. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) もう一つは、さっきも申し上げた国防会議の延長ではないと、そういう意味において国家というのを消した方が国防会議の延長でないというふうにわかりやすく受け取られる、国民の皆様方に、そういう政治的な配慮もあったわけでございます。
  216. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 これは、第三の理由は新しい理由ですけれども、私が聞きましたのは、国民がいかめしいものと考えているからそういう字を使わなかったと言われたんですけれども、総理自身もいかめしいものだというふうにお考えなんですか。
  217. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 場合によってはいかめしく感ずることもあるんです。しかし、場合によってはいかめしく感じないこともあります。まあ場合によりけりじゃないかと思います。
  218. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 あなたがそういうふうなあいまいな答え方をされるものですから、先ほども言ったんですけれども、お役人の中にも正しい意味の国家の観念が浸透してない。局があって省なし、省あって国なし、あるいは政党で言えば派閥あって政党なし、政党あって国家なしというふうなことになるんじゃないかと思う。私は、だからこそ、本会議のときでも申し上げましたけれども、臨教審がわざわざ、ほかの外国なんかじゃ全く、ほかの外国人が聞いたらおかしく思うような表現であるところの、国を愛する心を涵養しなんというふうなことを書かざるを得なくなってきた。それは、私は政治家の責任であり、総理大臣なんかがそういうふうなあいまいな答弁をされることに私は原因があるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  219. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 国を愛する気持ちにおいては私は人後に落ちない人間だろうと思っておりますし、国を大事にするということも一番考えている人間の一人だろうと思いますが、行政機関の名前として国民的に親しみやすいという政治的な配慮というものを考えると、今言った国防会議の延長だけではないという、そういう趣旨も入りまして取った方がより適切である、そう判定したわけなんであります。
  220. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 合いみじくも政治的配慮ということを言われましたけれども、そういうあっちを見、こっちを見て政治的な配慮をすることが本当のリーダーシップに欠けるのだというふうに私は考えます。私は、政治家がリーダーシップを持つことは大変大事なことだと思いますけれども、もし国民の方の考えに間違っている点があれば、自分はこう思うと国民を説得するのが本当のリーダーシップのある総理大臣の仕事じゃないかと思うんですけれども、どうですか。
  221. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 関先生は非常に国家という名前を大事にされておられるのに私も敬意を表する次第ですが、政治の場というものは、割合に国民にすぐわかりやすい、それで親しみやすい、そういうことを考えるのが政治の場、政治家としての一つのまた職分でもある、現代政治においてはそうである、そうも考えまして判断したわけなんでございます。
  222. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 もうこれ以上やっても同じことですから、この問題はこれで打ち切ります。  先ほど同僚の野田委員から質問がされた、それに対して的確にお返事なさらなかったように聞いたんですけれども、総理自身は、今までの国防会議は形骸化したかという質問に対して、そういう批判があるというふうに答えられたんですけれども、総理自身はどうなんですか、形骸化したと思うんですか。
  223. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 批判されるような点もなくはなかったと思っております。
  224. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 それでは、今度の安全保障会議はそういった批判されるような点を克服しているものかどうかということが問題ですが、どうも今までの答弁を聞いておりますと、今までの国防会議のことはそのまま引き継いで、それにプラス重大緊急事態に対する対処、それを審議するんだ。何かその二つをくっつけただけだというふうな印象を与えるんですが、今までの、あなた自身も考えておられる形骸化された国防会議を活性化するというのはどこにそれがあらわれているんですか。
  225. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これは、安全保障室というところでいろいろ調査もし研究もし、あるいは各省庁に対する脈絡も平生からつけておきますが、総合的な広い観点に立って防衛というものも考えられる、そういうモメンタムにもなるだろうと思うのであります。これは、しかし運用する者の心がけが大事でありまして、時の総理大臣あるいは官房長官、防衛庁長官というような人たちがこれを積極的に活用する意欲と責任を持たなきゃいけないと思っております。
  226. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 まさにおっしゃるとおりその運用する人の問題ですけれども、あなたの後で、あなたはもっと総理大臣をやりたいと考えておられるかもしれませんけれども、いずれは早かれ遅かれかわられるわけで、後から来る人たちが、後から総理大臣になる人たちがこの適用を誤らないようにするためには、まず設置のときにどういうことを取り上げるのか、どういうふうに活用していくかということをはっきりさせておくことが必要じゃないか、法律でもその立法のときの趣旨が非常に大事ですから。  その点から考えますと、例えば国防会議が今まで形骸化してきていたのは、私も形骸化してきたと思っておりますけれども、国防会議が防衛庁で決めたことをオーソライズするような、私全部がそうだとは言いませんけれども、そういうことが非常に多かった、それがやはり形骸化の一つの原因だろうと思うんですが、そういった国防会議を形骸化しないためには、きょう先ほども総理がいらっしゃる前に取り上げました問題ですけれども、例えばSDIに対する参加問題であるとか、これは日本の防衛問題あるいは安全保障の問題にとって非常に重要な問題だと思うんですけれども、SDI参加の問題であるとか、それから日米安全保障条約、これは経済の問題も含まれておりますけれども、防衛の問題なんか中心になっておりますが、それを将来改定するとかあるいはその運用について重大な変更を加えるというふうな場合、そういうのは当然私はこの安全保障会議で取り上げられるべき問題だというふうに思いますが、いかがでしょうか。  それからもう一つは、有事法制の問題が結果としては促進されるだろうというふうなお答えだったんですけれども、まさにそういった有事法制なんかの問題を促進する、今まではっきりしなかった第三分類なんかを十分審議してそれを促進するのもこの安全保障会議の重要な任務だというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
  227. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) SDIの問題とか安全保障条約の問題というものは、恐らく関連してくる大きな重大な問題だろうと思います。それらはまた、外政室の方でも扱い、外務省でも防衛庁でも扱う問題でございましょうし、内閣としても扱う問題でございましょう。したがって、それらの問題に関してどこが主とした仕事としてこれを処理していくかということは、閣議あるいは官房長官が総理と相談をして決めていくということであるだろうと思います。それはそれぞれの内容によると思っております。安全保障条約の問題でしたら非常に外務省は強くなるでしょう。それから、SDIのような問題の場合には、やはり内閣官房というものが総合的に見るという必要は出てくるでしょう。あるいは外務省も相当これに関係してくるだろうと思います。それから、いわゆる第三分類のような問題は、これによって促進されるだろうと私も期待しておりますし、また大いに努力していくべきであると考えております。
  228. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 SDIの問題なんかは内閣官房の中の外政調整室、外政室ですか、も取り上げるであろうし、あるいは安全保障室の問題でもあるだろうし、あるいはその他の官庁の問題でもあるだろうし、それは官房長官が決めることだというふうにお答えになったと思うんですが、これはやはり一定のはっきりした基準を決めておかないと、そのときの官房長官いかんによっては、これがあっちでやる、こっちでやる、先ほど後藤田長官は、官僚間における積極的な縄張り争いと消極的な縄張り争い、つまり譲り合いして何もやらない、そういう意味だろうと思いますけれども、そういう傾向があるということを認められたんですけれども、まさにそういう事態が起こってくるのじゃないんですか。
  229. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) たしか内閣法で、総理大臣は各省の権限争議の裁定をやる権限があったと思いますが、それは官房長官を使ってやるということであるだろうと思います。そういう意味において、SDIとかあるいはそのほかさまざまの事象が出てきて各省庁あるいは各室に関連しているというような場合には、やはり総理大臣と官房長官が相談して決めるというのは非常に機動的な現実的な対応の方法ではないかと思います。
  230. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私は、やっぱりそこのところをきちんとしておかないと、あなたが総理のときはいいと思うけれども、総理がかわられたときに再び安全保障会議がまた形骸化していくんじゃないか、そのことを心配するから言っているのでありまして、やはり最初のときに、つくられたときに総理大臣の方からこうこうこういう問題も取り上げますということを国会なんかで言っておけば、後の総理の人たちもそれを準則にしてやっていくんじゃないか、そういう意味で質問しているんです。もう一度その点について。
  231. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) かつて国防会議が硬直化してそして余り活用されなかったと同じような過失を安全保障室について繰り返してはならぬという先生の御趣旨であると思いますが、その趣旨を体しまして我々もこれを最大限活用すべく努力するようにしたいと思いますし、内閣としてもそういう方向で進めるように今後努力してまいるつもりでおります。
  232. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 今度の安全保障会議の特色は、今までの国防会議が取り扱ってなかった緊急重大事態に対処するための審議をするんだと、確かに私はそのとおりだろうと思うんですけれども、経済企画庁長官が入っておりますね。かつては経済企画庁長官というのは、戦前、戦時中あるいは戦後しばらくの間はかなり各省に対して強力な指導力を持っていた。経済計画、これはあなたのお嫌いな言葉、計画という言葉はあなたお嫌いだという話を聞いたんですけれども、お嫌いになろうとお好きになろうと私はどうでもいいんですけれども、現在はそういった大きな強制力じゃなしに、指導力じゃなしにいわば調整機関ですね。各省の考えている産業計画なんかを調整するというのは、これは緊急事態の問題じゃなしにふだんからやっておくべき問題だと思うんです。  その経済企画庁長官を安全保障会議のメンバーに入れて、他方においては例えば海上保安庁の仕事なんか、先ほど後藤田官房長官はそれは海上保安庁の法律内で対処できるというふうに言われましたけれども、例えば大韓航空機事件なんかのときに、海上自衛隊を派遣するかあるいは海上保安庁を人命救助のために派遣するか、あるいは両者が共同して行くべき事態なんかもあるんじゃないかと思う。そういう事態のためにはやはり運輸大臣、運輸大臣はいざとなればそのときに呼んでくることはできますけれども、やはり運輸大臣が平生からそういうふうな議論をよく知っておいて、そしていざという場合に的確な判断を誤らないようにすることが大事じゃないかと思う。  その意味から言えば、同じような意味で郵政大臣、通信を預っている郵政大臣及び運輸大臣を入れて、そして人数が余り多くなるというのであるならば経済企画庁長官を外して、こちらの方は総合安全保障閣僚会議の中に入れて十分討議すればそれでいいんじゃないかと思うんですけれども、なぜ企画庁長官を入れて、そして運輸大臣、郵政大臣を外されたか、その理由をお聞きしたいと思います。
  233. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 経済企画庁長官が入っておりますのは、私は物価を非常に重要視している。また、経済政策の総合性という面、例えばこの前の狂乱物価のときのような状況も考えてみて、あのときはやはり経済企画庁が中心になってやったものでございます。そういう意味において、大震災が起きるとか、そういうような狂乱物価的なものが起きないとは限らない、そういう場合の一番の主務官庁はやはり物価問題というものを中心に考えておる企画庁である、そういう点が非常に強調されていると思うんです。もちろん運輸省もあるいは郵政省も大事でございますが、これらはしかし必要に応じて呼ぶ、そういう形で御協力もしていただくという形にはしてあるわけであります。
  234. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 狂乱物価、石油危機なんかの狂乱物価のときの緊急性と、それからKAL事件なんかが起こったときに海上自衛隊を派遣するか、保安庁の船を出すかという緊急事態とはタイムスパンが全然違うと思うんです。狂乱物価の場合は一日一時間を争う問題ではないでしょう。KAL事件なんかの場合は、これはまさに一日一時間を争う問題でしょう。物価の問題とかなんとかというのは、これも決して重要じゃないとは言いませんけれども、むしろ総合安全保障閣僚会議なんかで討議した方がいいんじゃないか。それよりももっと緊急性のある運輸大臣なり郵政大臣を入れるべきじゃないかというのが私の質問の趣旨なんですが、いかがですか。
  235. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) やはり経済の総合調整という面で、農水省もあるいは通産省も郵政省も各省ともいろいろ経済問題を抱えておるわけであります。そういうものを全部総合してこれの調整を行い、経済政策を決めていくという官庁は企画庁以外に今のところないわけです。そういう意味からいたしましても、やはり経済企画庁というものを入れておくということであります。もちろん航空関係とか、あるいは船舶関係とか海上保安庁とか重要な点もございますが、そういうようなその省だけでやり得るという性格が強いものはその省の大臣を必要に応じて呼ぶ、そういう形になっておると心得ております。
  236. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 これ以上続けましても同じ問答ですからこれ以上やりませんけれども、やはり今申しました少なくとも二点については修正する考えはございませんですね。
  237. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) ひとつ原案をぜひ御承認願いたいと思う次第であります。
  238. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 それでは、安全保障会議の問題はそれで打ち切りまして、最後に三、四分まだ時間が余っているようですから、今までの問答を聞いていて感じたことがありますのでつけ加えさせていただきたいと思います。  それは、私昨年の予算委員会で総理に二つの提言をいたしました。一つは、防衛庁長官を十カ月か十一カ月でかえるようなことをするな、これは非常に対外的にも重要なポジションであるから、やはり一人の人が二、三年は続けてやることにしなくちゃいけない。これは総理、実行していただきまして、先般の内閣改造ではかなり派閥の方から反対があったらしいけれども、それを押し切ってやられた。私は評価しております。  もう一つの提案は、総理が学者であるとか財界の人たちと夜一緒に食事をしながら、酒でも飲みながらいろいろ懇談される。私は、それは非常に結構なことだと思う。つまり、永田町だけでつき合っていると世間の常識から外れていくから、そういった町の人たちの声を聞くためにやられることは非常に結構だと思う。しかし、もう一つお忘れになっていることがあるんじゃないか、それはいわゆる制服組の人たちともお会いになったらいかがですかという提案をいたしまして、これも早速実行されました。しかし、私が記事を見ている限りではそのとき一回きりで、その後なされてないようでありますけれども、その後またなされたことありますか。あるいは近くなされる計画ございますか。
  239. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 非常に忙しいものですから、一回やりました。しかし、制服の皆さんには、この間も幹部会同で防衛庁へ行きましたときに、幹部だけ少数集まってもらって防衛長官と私で長官室でいろいろ懇談をした。そういう折を見ては話を聞きたいと思っております。
  240. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私が言いましたのは、そういう公、セミ公、セミオフィシャルの会合ではなしに、やっぱり夜でも一杯飲みながら彼らの本当の本音、それを十分聞かれることが大事じゃないか。と申しますのは、先ほどからも質問がございましたけれども、統幕議長なんかやった人で、やめた後で防衛庁の批判をいろいろ発表しておられる方があるわけですね。これはやはり制服組の中に少なからざるフラストレーションがたまっているということのあらわれじゃないかと思う。やはりそういった点について、彼らが誤解している点があるならばその誤解を解き、彼らの言うことにもっともの点があるならばそれを十分聞くというのが、私は本当にシビリアンコントロールに返っていく上において大事なことじゃないかと思う。今のままでは、私は非常に危険なものになってくるんじゃないかということを心配します。  その意味から私が提案をして、防衛庁長官ももう少しやるようにということを言っておきましたけれども、総理も今後やっていただきたいと思いますが、重ねてその御意見をお伺いして、ちょうど時間が来たようですから、私の質問を終わりたいと思います。
  241. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 御趣旨に沿いましてせいぜい努めたいと思います。     ―――――――――――――
  242. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、伊藤郁男君が委員を辞任され、その補欠として柳澤錬造君が選任されました。     ―――――――――――――
  243. 内藤功

    ○内藤功君 法案の内容に入ります前に二点ほどお尋ねしたいと思うんです。  まず、いわゆる国家機密法案、防衛秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案、この法律案が政府・与党において今国会の提出を断念したと、こういうふうに報道されておるわけでございます。総理・総裁としての立場にある中曽根さんに伺いたいんですが、この間の経緯についてどのように御承知になっておるか、またこの法案については非常に多くの問題点があるわけですが、今後これは私は同じ形ではもう出すべきではない、断念をすべきだという考えを私は持っておるんですが、その辺のお考えをまず承っておきたいんです。
  244. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛秘密等の保護に関する法律、つまりスパイ防止の法律と言われておる、これにつきましては、さきの臨時国会で提出いたしましたが、内容において大いに検討を要する部分もあると、私は国会でもお答えしたとおりであります。それで、自来、党で委員会をつくりまして、いろいろジャーナリストや学者や一般の皆さんの御意見も十分承って、そして人権の保障、あるいは報道陣営の皆さん方の取材の保障等々についてかなり修正も行い、成案を見る状況にだんだん近づいてきておったんでありますが、国会ももう残り少なくなりましたので、今国会に提出するということは延期したと、そういうことを私は最近耳にしております。
  245. 内藤功

    ○内藤功君 大きな修正というふうには見られないのであって、国家秘密を防衛秘密にしたと、あるいは死刑を無期にしたとか、あるいは取材活動の正当なものは罰しないというある意味では当然の規定をつくったとか、大幅な修正とは私ども到底見ていないわけです。今延期というお言葉がございましたが、私はやはりこの種の問題については非常に世論の厳しい批判があると。それから、きのうも後藤田長官にも質問したんですが、官房長官は、探知収集というようなそういう基本的な形については非常に慎重な意見をお持ちの方のようであります。こういう点も考慮されて、私はこの提出は断念されるように、特に総理に強く要望しておきたいと思います。(「そんなの、議員立法だよ」と呼ぶ者あり)総裁ですからね、総裁ですから権限あります。  二点目の質問ですが、三宅島の問題であります。  三宅島では、米空母艦載機の夜間離着陸訓練場設置に反対をいたしまして、全島的な反対運動が非常に強固な意思を持って行われているという状況であります。私自身も、三月の二十日から三日間ほど参りまして、地元の村長さん、さらに住民の方々にもできるだけ多く会いましてお話を聞く機会があったわけですが、反対意思の極めて堅固なことを確認をしてきた次第でございます。  四月の二十七日には、人口約四千三百人の問題におきまして名簿に基づいて一千四百七十八人の出席ですね、これは有権者中の四四%に上りますが、この方々が集まって第二回の全島民大会が開かれております。自分たちの祖先が血と汗で守り育ててきた平和の島を離着陸訓練基地にすることは絶対反対だと。また、建設への一歩となる説明会は阻止するという決議をしております。私は、総理としてこの島民の意思というのは政治をやっていかれる上で何よりもこれは尊重し、重視をしてこのことに当たらなければならぬと思いますが、御認識、お考えをお伺いしたいと思います。
  246. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、NLPの建設は三宅島の福祉や生活安定に非常に役立つであろうと思っておるんです。それで、いわゆる障害と言われるようなものはほとんど気にするほどはない、そういう状態で行われるであろうと。多少はそれはもちろんあることはありましょうけれども、あそこへジェット機の飛行場ができるということによる恩恵の方がはるかに大きなものが出てくるだろう、そういうふうに私は思っておるわけで、ともかく島民の皆さんに防衛庁の皆さんの話を聞いてやってくださいと、それで話をお聞きになった上でひとつ御判断くださいと。話を聞かないで、おまえとは話しないよという、対話がないというのでは判断の方法もないんじゃございませんかと。ともかく世の中は話し合いの時代ですから、対話の時代ですから、そういう意味でぜひ話を聞いていただきたいとお願いを申し上げたいと思いまして、共産党も御協力願いたいと思っておる次第であります。
  247. 内藤功

    ○内藤功君 まず、日本共産党に対する総理の御要請は、残念ですがきっぱりお断りを申し上げたいと思うんです。  やはり総理、一度村へ行っていただいて、村長を初め皆さんの意見を聞く機会があればぜひお調べいただきたいですね。漁業、農業、それから花、花卉ですね、それから観光業、大変なやはり影響であります。その総理のお話でしたら、自民党の政調会長の藤尾先生以下が二月にいらっしゃいましていろいろなお話をされましたが、かえって反対の方が強くなったと私は承っておるわけでございます。何よりも、島民のやはり意思というものをどういうふうに総理は見て、そしてこれをあなたのやられる政治ですね、特にアメリカから強い要求があるわけですが、これに対してどういうふうに島民の意思を説明し、島民の意思に従って臨まれるかということが一番やっぱり基本じゃないでしょうか。  重ねて、この島民大会の意思というものについてどういうお考えがあるのかということをお聞きしたいと思います。
  248. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いわゆるNLPというのは、夜間発着訓練の場所で、時期的にも一年じゅう行われるわけではない、一年のうちに何カ月か、恐らく半分以下、長くても三、四カ月ぐらいですか、そういうようなことで、それで夜やるんですからね。ですから、昼間はジェット機の民間空港として十分活用できる。それによる観光客とかあるいはそのほかの大きな利便というものもありましょうし、基地周辺対策という面から見るいろいろな国の援護政策も出てまいりましょう。ですから、怖い怖いと思われることよりも、むしろ実際は、語を聞いてみてもらったら実態はそうなのかと、そういうことになるんだろうと私は確信しておるんです。何か固定的な米軍の航空隊ができるような宣伝も行われているらしいですね。実はそうじゃないのであって、要員として存在する人間だって、その夜間発着訓練のときに必要な要員が来るだけの話でもあります。  そういう点考えてみますと、私は島民の皆さんも実情がわかってくだされば、ああそうかといって大分お考えも変えていただけるのではないかと思っておるんです。ですから、そういう努力をひとつやってみる必要があるし、一応ともかく話を聞いてくださるということはいいことじゃないかと思いまして、これはうまずたゆまず御理解を得るように努力していきたいと考えておる次第です。
  249. 内藤功

    ○内藤功君 島民大会の意思について尊重するというお言葉が一言あるかと思いましたが、いただけないのは非常に遺憾であります。  そこで、法案について御質問をしたい点は、この法案の第二条二項、これによりますと、内閣総理大臣が非常に広範なやはり解釈判断権を掌握されるわけです。「重大緊急事態(前項の規定により国防に関する重要事項としてその対処措置につき諮るべき事態以外の緊急事態であって、我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがあるもののうち、通常の緊急事態対処体制によっては適切に対処することが困難な事態をいう。以下同じ。)」、まあ細かく言えば、「重大な影響」とは何ぞや、「通常の緊急事態対処」とは何ぞや、「適切」とは何ぞや、そして一番最後の非常にあいまいな概念は「困難な事態」、これは全部結局は総理の判断に任されるわけですね。私は、非常に重大な法律であり、こういうものができた場合の総理の判断というのは非常にこれは重要なものになってくると思うんです。  総理としては今、中曽根さんとしては今、この安保会議が七月一日にもし設置された場合に、自分は何をこの安保会議に語るかということを今お考えになっていますか。
  250. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 重大緊急事態というものの構成要件というものは今まで官房長官や政府委員からも十分お聞きのとおりでございまして、この構成要件が満たされるような考え方に立って運用していくと、そういうことでございます。
  251. 内藤功

    ○内藤功君 先日、本会議で私、総理に御質問をいたしました。そのときに明確なお答えいただけなかったんですけれども、例えば西太平洋上の公海において日米いずれか一方の艦船が武力攻撃を受ける、まだ日本領域には攻撃がないというような案件の場合、日米でどういう共同の対処をするかどうかという問題、これは安保会議にかけるのかどうか、こういう問題ですね、私これを総理にお聞きしたんですが、一般論、抽象論のお答えだったものですから、この際、改めてこういう場合はどうかという総理の御判断。
  252. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それはそのときの事態によりまして一概には言えないと思うんですが、しかし日本に急迫不正の侵害あるいは侵略行為というものが行われているという状況で日本救援のために駆けつけてくる米国の軍艦、それが攻撃を受ける、そういうような場合には、日本の自衛隊も、その駆けつけてくるアメリカの軍艦を守るためにこちらも抵抗できると、そういうことは前から申し上げているとおりであります。輸送船団に対する防衛についても同じように申し上げているとおりです。そういうことはもう既に法的にもやれると私は言っていることなのでありまして、そういう事態が起きたら、これはやるという形になるでしょう。緊急な場合ですから、それはふだんからいろいろ訓令やらそういうことで、あるいは内閣の決定によって行われるでしょう。ですから、すぐそれを安保会議にかけるということはなじまない性格を持っていると思いますけれども、それもそのときの事態によりけりであり、一概には申し上げられない、そう思うんです。
  253. 内藤功

    ○内藤功君 私は最後に、安保会議が将来、いわゆるインナーキャビネットと申しますか、内閣の中のさらに強力な内閣といいますか、場合によったら内閣の上に立つ内閣という方向にみんな行かないと答弁しているんだけども、その危険についてどういうふうに考えられるかを聞いてみたいんです。  というのは、私、先ほどの関先生のお話じゃありませんが、いろいろ自衛隊を退職された元高級幹部のものを最近読み直してみまして非常に危険なものが感じられる。例えばこれはある高級幹部出身者のシンポジウムですが、こういう意見があるんですね。「日本の国防会議の権限は、要するに総理大臣の諮問機関だから、これを実際の行政施策に反映するためには、閣議決定しなければいけない。閣議決定した上で、法律は国会に上程されるという二段階構造になっている。それを有事には一体化すべきだと思う。」と、こういう意見とか、それから「国防会議の権限は内閣以上の権限を持って、国防会議で決定した事項は各省大臣がすぐ行政的措置を講ずるような形にしないと間尺に合わない。」と、これはここにコピーございますからお読みいただいて結構ですが、こういうふうな意見がかなりあるんですね。総理は、このような考え方、これについてはどういうお考えを持っておられるか。  さらに、私のさっき聞いた、将来内閣の上あるいは内閣の中のインナーキャビネットとかいうような批判また心配に対してはどういうふうにお考えになっているか。これを最後にお伺いしておきたいと思います。
  254. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 安保会議が内閣、閣議より上位にくるということはあり得ない、そういうことはもちろんさせるべきではないと思うのであります。
  255. 内藤功

    ○内藤功君 終わります。
  256. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終わりました。  本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者ありし〕
  257. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 御異議があるようですので、これより採決により決します。  本案に対する質疑を終局することに賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  258. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 多数と認めます。よって、質疑は終局いたしました。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  259. 穐山篤

    ○穐山篤君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております安全保障会議設置法案に対し、反対の討論を行うものであります。  本法律案は行革審答申の趣旨にのっとり、内閣の総合調整機能の強化を図り、その一環として、国防問題を初め、重大緊急事態への対処のため安全保障会議を設置しようとするものでありますが、そもそも行革審は、第二臨調答申の実施を監視するという本来の任務を超えて、このような国の最高方針にまで言及したことは、断じて許すわけにはいきません。  本来、国防問題や重大緊急事態への対処など、国家の安全保障に関する問題は、国権の最高機関である国会で論議すべきものでありまして、政府の一審議会で論議すべきことではないと思うのであります。このように、一諮問機関に国会や政党の機能を代替させるがごときは、議会制民主主義を空洞化させるものと言わなければなりません。  私は、まず本法律案に対するこのような基本的な問題を指摘した上で、以下、具体的に反対する主な理由を申し上げます。  まず第一は、安全保障会議の任務についてであります。  安保会議は、現行国防会議の任務を継承するとともに重大緊急事態への対処などを任務としておりますが、国防事態を除き、現在の通常緊急事態の対処体制を超えるものが一体いかなる事態か依然として不明確なのであります。政府の説明を聞く限り、従来どおり内閣の指導性をより発揮し、各省庁間の緊密な協議と責任において行えば十分であり、わざわざ法律で安保会議を設置する必要性は全くないのであります。したがって、安保会議設置のねらいは、国民の生命、財産への脅威に対処するというより、国家の脅威への対処を中心に据えた危機管理体制の実現であり、強化であると位置づけざるを得ません。特に重大緊急事態の中には有事に発展しかねないものがあるとの答弁は、まさにこの点を認めたものであります。その結果、本法律案は有事以前の段階から我が国を管理するシステムにしようとする危険な発想であると断言せざるを得ないのであります。  第二は、シビリアンコントロールの観点であります。  政府は、安保会議が設置されればシビリアンコントロールが一層機能するとして、その理由をるる述べておりますが、我々には全く理解できないのであります。シビリアンコントロールは現代民主主義国家における基本的な必要条件でありますが、その中心となるべきは国民の代表者で構成される国会によるチェックであるべきであります。本法律案による措置は、国会のチェック機能を弱めこそすれ、決してシビリアンコントロールの機能を強化するようなものではありません。また、政府部内の機構をいかに変えようと、その運用の十分を図らなければ、単なる機構いじりにしかすぎないと言わざるを得ないのであります。  第三は、国民及び国会に対する情報の秘匿の問題であります。  安保会議で審議され、決定された事項は、既存の法律で定められている一部分を除いて国会に報告もされず、ましてや承認も受けないということが明らかになっているのであります。有事に至るおそれのある事態を含め、重大緊急事態については、その情報も決定過程も明らかにされず、行われた措置などについても国民及び国会はその結果を知らされるのみでありましょう。国防問題はもちろんのこと、重大緊急事態の名のもとに情報の秘匿を行おうとしている政府の姿勢は、同時に行われる内閣官房の組織改編による情報調査室の設置や合同情報会議構想にもあらわれており、断じて容認できるものではありません。  第四は、行き過ぎたトップダウンによる弊害であります。  安保会議の設置は、いわゆるボトムアップによる論議を積み重ね、コンセンサスを得ながら進めるという方式を無視して、総理大臣の権限を強化し、トップダウン方式で決定していこうとするものであります。特に、重大緊急事態に当たっては、国民、主権者の代表者として慎重に対処することが緊要であります。緊急性を強調する余り、この民主的な手続をないがしろにし、拙速した結果、後顧の憂いを残してはならないのであります。  以上、私は、本法律案に反対する主な理由について申し述べてまいりましたが、今回の安全保障会議の設置は、平時から国家機構の戦時体制化を図り、大統領的内閣総理大臣を実現し、支配体制を築こうとするものであり、さらには、重大緊急事態への対処などを口実に超法規的措置もとり得ることを含んだ危険なものでありまして、憲法の平和的、民主的条項を無視したものと言わなければなりません。国の平和や国民の安全にかかわる重要事項は、国権の最高機関である国会が第一義的に審議し、決定すべきものであり、この機能を内閣総理大臣が直接指揮する機関に全面的にゆだねることは、議会制民主主義をじゅうりんし、憲法の原則を無視するものであります。  今回の改革は、長年周到に準備されてきた管理方式に重大な危惧の念を持たざるを得ないということを申し添えて私の反対討論を終わるものであります。
  260. 曽根田郁夫

    ○曽根田郁夫君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました安全保障会議設置法案に対し、賛成の討論を行うものであります。  近年における社会全体の複雑高度化、我が国の国際的役割の拡大と我が国周辺地域の国際政治面での重要性の増大等により、重大緊急事態の発生の可能性は潜在的に高まっております。  申し上げるまでもなく、重大緊急事態に対しては、その処理が遅延し、あるいは適切さに欠ける場合、国民生活や国際関係等に極めて重要な影響を招来しかねないのでありまして、的確で機敏な対応は、極めて重要となっているのであります。  しかしながら、重大緊急事態の処理に当たっては、関連する行政分野が多数省庁の所管にわたり、その総合調整は必ずしも容易ではなくしたがって、各省庁による行政の機能分担を前提としつつ、総合調整機能を強化することは、現在まさに緊要の課題となっているのであります。このような状況を踏まえ、今回、内閣の総合調整機能の強化の一環として内閣に安全保障会議を設置することは、極めて時宜を得た適切な措置であると高く評価されるのであります。  現在、国防に関する重要事項を審議する機関として内閣に国防会議が置かれているのでありますが、その設置根拠は防衛庁設置法に規定され、国防会議の構成等については国防会議の構成等に関する法律に規定されているのであります。このように、二つの法律にわたって規定されていることにつきましては、法制定当時、それなりの経緯があったようでありますが、国家行政組織法上の観点から見れば、内閣に設置されている国防会議は防衛庁設置法以外の別個の法律で制定すべきであり、国防会議の構成等に関する法律と合わせて一本の法律とすべきであったのであります。  今回、安全保障会議を内閣の機関として設置し、その構成等を含めて単独の法律として制定することは、法制面から見ても妥当な措置であり、シビリアンコントロールの強化に通ずるものと思うのであります。  申し上げるまでもなく、安全保障会議は、国防会議の事務をそのまま引き継ぐほか、重大緊急事態への対処措置等を所掌するのでありますが、この会議の設置を契機に政府は、従来以上にシビリアンコントロールを充実させるとともに、重大緊急事態に迅速適切に対処し、事態がさらに悪化するのを未然に防止し、国家及び国民の安全をより一層確保するよう強く要望するものであります。  なお、本法律案の成立を期して、政府は、内閣の補佐機能の強化を図るため、内閣官房の組織の再編を図り、外政調整室等を設置することとしておりますが、三十年間にわたって基本的に変わっていない内閣の補佐体制を抜本的に改めることは極めて適切であり、この措置は、内外情勢に即応する内閣総理大臣及び内閣の指導性発揮を十分補佐し得る体制であると確信するものでありまして、一日も早く組織改正をするよう要望して、私の討論を終わります。
  261. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました安全保障会議設置法案に対し、反対の討論を行うものであります。  今日の国際社会における相互依存関係の進展に伴い、我が国の安全保障の問題は、単に軍事的側面にとどまらず、資源、エネルギー、食糧等幅広い視野と長期的展望に立って検討されなければならない最重要の課題であります。  我が党は、こうした視点に立ち、総合的な安全保障政策の確立のため、現在の国防会議を解消し、総合安全保障会議を政府部内に設置すべきことを提言してまいりました。  しかるに政府は、現在ある総合安全保障関係閣僚会議の不活性さを放置したまま国防会議を改組し、それに重大緊急事態対処という、必要とは到底考えられない任務を持つ安全保障会議を設置しようとしているのであります。このような法案は国民合意の安全保障政策の確立にはほど遠いものであります。  以下、反対する主な理由を申し述べます。  まず第一に、重大緊急事態についてであります。  政府は、重大緊急事態が予見できないことを明らかにする一方で、その対処方針のマニュアルを平素から準備すると言うなど、その矛盾点は国会審議を通じて再三指摘されているところであります。こうした矛盾点を放置することなく、重大緊急事態とは一体いかなるものなのか、政府は責任を持って再度慎重に検討した上で、国民の納得のいく定義を示すべきであります。  第二に、シビリアンコントロールの問題であります。  現在の国防会議の任務に、重大緊急事態への対処を加えただけの安全保障会議が、シビリアンコントロールをどう高めるというのか、甚だ疑問であります。むしろ、わずかな人数で、何が起こるかわからない事態を想定し、その対処マニュアルを作成するという困難かつあいまいな任務をあわせ持つことによって、従来以上にシビリアンコントロールを低下させるおそれすらあることを強調せざるを得ないのであります。  第三に、総理への過度の権限集中の問題であります。  重大緊急事態というあいまいな概念を用いて、トップダウンの意思決定機構をつくる真のねらいは、いわゆる大統領的首相にあることは明白であります。再三指摘され批判されている私的諮問機関による総理のブレーン政治とともに議会制民主主義をゆがめる危険な考えであると言わざるを得ません。また、内閣機能強化の一環としての総理による情報の一元的管理は、憲法に保障された国民の知る権利の侵害につながるのではないかとの危惧をいたずらに助長するものであります。  以上、本法案に反対する主な理由を申し述べましたが、政府は平和憲法の精神を最大限に尊重し、軍事的側面のみに偏重しない政治、経済、そして文化を含む総合的な安全保障政策を着実に遂行するよう強く要求し、私の反対討論を終わります。
  262. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私は、民社党・国民連合を代表して、議案である安全保障会議設置法案に対し、反対の立場から討論するものであります。  民社党は、かねてから現在の国防会議を改組、強化して国家安全保障会議を設置することを主張してまいりました。それは、国家の安全保障はシビリアンコントロールのもとで国内的要因や外交関係などを勘案して総合胸に審議すべきであるのに、現在の国防会議はその機能を果たしていず、緊急事態に対する対処方針を審議するのにも不適当であるからであります。  ところで、今般政府の提出した安全保障会議設置法案は、形は我が党の提案に似ておりますけれども、その内容は基本的な点においてそれと異なり、原案のまま可決することはかえって将来に禍根を残すことになることを恐れるものであります。  その理由は幾つかありますが、重要な点だけを述べますと、第一は、この会議の名称の問題であります。  名は体をあらわすということわざのごとく、名称はしばしばその実体を規定します。国家安全保障会議でなく、単に安全保障会議というだけでは、この法案が何の安全を保障するのか明白でありません。国家は単なる権力的統治機関にとどまらず、同時に、我々の家庭や地域社会や企業などを包み、それを支える土台となるもので、決して総理の言われるようないかめしく狭いものではありません。我々が国を守るとか国家の安全保障とかいう場合の国とか国家というのは、この意味の、広い意味の国家のことでございます。政府が国家の存在理由を国民に十分説明せず、その話を避けるごとき態度を取り続けていることが、国民の愛国心をあいまいなものにし、防衛問題を避けて通るような心理を生み出す一つの原因であると思います。我々はあくまで国家の字を用いることを主張しますが、政府がそれに応じない以上反対せざるを得ません。  第二は、安全保障会議の構成員の問題であります。  我が党は、その構成員の中に運輸大臣及び郵政大臣を加え、そのかわりに企画庁長官を外すことを提案しましたが、その理由は、緊急事態において必要な働きをする海上保安庁業務を監督する運輸大臣、緊急事態において不可欠な通信業務の保全を担当する郵政大臣は、産業計画を担当すると称せられている企画庁長官よりも、この問題に関する限りは、はるかに重要性を持っております。その人々が平素からこの会議に出席して審議に参加すべきであると考えるからであります。  このほかなお不満な点もありますが、少なくとも以上の点に関する修正が受け入れられない限り我が党は反対せざるを得ません。  最後に、民社党はこの法案には反対しますが、そのことは国家の安全保障の問題を軽視するからではないことを付言しておきます。
  263. 内藤功

    ○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、安全保障会議設置法案に対する反対の討論を行います。  本法案に反対する理由の第一は、安全保障会議の設置が国防会議の活性化の名のもとに、その機能を格段に強化し、防衛出動を下命以前の日本平時の段階から参戦態勢づくりを進めるものであるからです。  政府は、安全保障会議設置の目的について、重大緊急事態に対処するためと説明しております。しかし、政府が重大緊急事態の例として挙げているミグ事件などは、いずれも現行の法令と既存の運用で処理できる通常の緊急事態であり、安全保障会議設置の理由とはなり得ないのであります。安全保障会議でなければ対処できない重大緊急事態なるものについて、政府の説明は依然としてあいまいであり、我が党が本法案の審議を通じ繰り返し答弁を求めてきたのにもかかわらず、政府はその具体例をダッカ事件、ミグ事件、KAL事件のほか何一つ示せないに等しいのであります。むしろ、安全保障会議の設置によって、重大緊急事態への対処を口実に、ワトキンズ作戦部長らの海洋戦略に沿ってアメリカの行う軍事行動への日本の協力支援など、日本平時の段階における自衛隊の日米共同作戦参加の態勢づくりが進められる危険があるのであります。  さらに、政府は、有事法制研究の第三分類について、この会議で調整をするとか安全保障室で各省庁に振り分けると答弁していますが、安全保障会議が第三分類だけでなく、第一、第二分類など有事法制全体を調整の名目で具体的に促進していく機関となることは本日の答弁でも認めており、その危険が出ているのであります。  反対する理由の第二は、安全保障会議が大規模な国民的な集会、示威運動を重大緊急事態と決めつけて抑圧する機関となるおそれがあることです。  本法案では、国家公安委員長が新たに正式メンバーとなり、政府答弁によれば、自衛隊の治安出動もこの会議の議題とされ、大災害に伴う社会不安も重大緊急事態に当たるとされています。これによって安全保障会議が、国民の集会、デモ等の自由、権利に対し、武力と警察力で抑圧する機関となるおそれがあります。しかも、行革審答申や政府の答弁では、重大緊急事態対処の名で超法規的措置さえ取り得る余地を残しているのであります。  さらに、政府は、安全保障会議の設置とあわせて、内閣調査室の情報調査室への改組を初め、合同情報会議や内閣広報官の設置などを行い、内閣官房を中心にあらゆる軍事、外交、警備情報の収集と秘密保全の体制を強化しようとしています。国民の知る権利を奪い、報道の自由を侵すおそれがあるなど、重大な問題をはらんでいます。  反対理由の第三は、本法案が総理に強力なる権限を集中し、国会からも内閣からもコントロールされない、政府の中の政府をつくろうとしていることであります。  安全保障会議の設置は、政府の中に総理を中心とする一部少数の閣僚のみで構成する機関をつくり、ここに行政権の重要なる部分を担わせようとするものであります。しかも政府は、安全保障会議で国の平和や安全に重大な影響を及ぼす事態への対処方針を定め、時によっては総理が閣議にも語らず行政各部を指揮監督して実行することがあり得るとしております。これは、行政権が合議体たる内閣に属すると定めた憲法第七十五条、内閣法四条、六条に明らかに違反するもので、到底容認できません。  また、安全保障会議は、内閣法十二条四項に基づく合議体たる内閣の補助機関であって、総理大臣の補助機関にはなり得ないにもかかわらず総理の諮問機関とされ、この点でも現行内閣法と矛盾するものであります。  さらに、政府は、国会との関係についても、報告すべきものがあれば報告すると述べ、国会への報告すら行わない場合もあるとしています。本来、国の平和や安全に重大な影響を及ぼす重要問題については国会が第一義的に審議し決定すべきであり、国権の最高機関たる国会を軽視するものと言わざるを得ないのであります。  最後に、国の平和や安全など国民に重大な影響を及ぼす本法案の重要性に照らし、私たちは法務、外務委員会との連合審査など徹底した審議を求めてきたにもかかわらず、わずか三日間のみで質疑を打ち切ったことはまことに遺憾であり、この質疑打ち切りに強く抗議の意思を表明するものであります。  以上をもって反対討論を終わります。
  264. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  安全保障会議設置法案に賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  265. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  266. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  267. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) これより請願の審査を行います。  第一一号台湾出身元日本軍人軍属補償に関する請願外二百九十一件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第一一号台湾出身元日本軍人軍属補償に関する請願外百六十四件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第一八二号台湾出身元日本軍人軍属補償のための立法措置に関する請願外一件は採択すべきものにして内閣に送付するを要しないものとし、また、第一三四号スパイ防止のための法律制定に関する請願外百二十四件は保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  268. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  269. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  270. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 次いで、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、両件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  271. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  272. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十分散会      ―――――・―――――