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1986-05-15 第104回国会 参議院 内閣委員会 8号 公式Web版

  1. 昭和六十一年五月十五日(木曜日)    午前十時三分開会     ―――――――――――――    委員の異動  五月十三日     辞任         補欠選任      石井 道子君     大島 友治君      大浜 方栄君     板垣  正君      柳澤 錬造君     伊藤 郁男君  五月十四日     辞任         補欠選任      柳川 覺治君     鈴木 省吾君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         亀長 友義君     理 事                 曽根田郁夫君                 村上 正邦君                 太田 淳夫君     委 員                 源田  実君                 沢田 一精君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 穐山  篤君                 小野  明君                 内藤  功君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  加藤 紘一君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長        兼内閣総理大臣        官房審議室長   的場 順三君        内閣審議官    高瀬 秀一君        内閣官房内閣調        査室長      谷口 守正君        内閣法制局第二        部長       大森 政輔君        国防会議事務局        長        塩田  章君        内閣総理大臣官        房広報室長        兼内閣官房内閣        広報室長     金子 仁洋君        臨時行政改革推        進審議会事務局        次長       山本 貞雄君        警察庁長官官房        長        鈴木 良一君        総務庁長官官房        審議官      百崎  英君        防衛庁参事官   瀬木 博基君        防衛庁参事官   筒井 良三君        防衛庁長官官房        長        宍倉 宗夫君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        防衛庁教育訓練        局長       大高 時男君        防衛庁経理局長  池田 久克君        防衛庁装備局長  山田 勝久君        防衛施設庁建設        部長       大原 舜世君        防衛施設庁労務        部長       岩見 秀男君        経済企画庁総合        計画局長     及川 昭伍君        科学技術庁計画        局長       長柄喜一郎君        科学技術庁研究        調整局長     内田 勇夫君        科学技術庁原子        力安全局長    辻  栄一君        国土庁防災局長  杉岡  浩君        外務大臣官房審        議官       渡辺  允君        外務省アジア局        長        後藤 利雄君        外務省情報調査  渡辺 幸治君        局長        大蔵大臣官房審        議官       亀井 敬之君        大蔵省主計局次        長        小粥 正巳君        通商産業省貿易        局長       村岡 茂生君        通商産業省機械        情報産業局長   杉山  弘君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        逢坂 国一君        郵政省通信政策        局長       奥山 雄材君    事務局側        常任委員会専門  林  利雄君        員    説明員        科学技術庁原子        力安全局原子力        安全調査室長   今村  治君        郵政大臣官房審        議官       桑野扶美雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○安全保障会議設置法案(内閣提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る五月十三日、石井道子君、大浜方栄君及び柳澤錬造君が委員を辞任され、その補欠として大島友治君、板垣正君及び伊藤郁男君が、同じく、昨十四日、柳川覺治君が委員を辞任され、その補欠として鈴木省吾君が、それぞれ委員に選任されました。     ―――――――――――――
  3. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 安全保障会議設置法案を議題といたします。  それでは、安全保障会議設置法案に関する趣旨説明を政府から聴取いたします。後藤田内閣官房長官。
  4. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) ただいま議題となりました安全保障会議設置法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、内閣における総合調整機能強化の一環として、重大緊急事態対処体制の整備を図るため、現行国防会議の任務を継承するとともに重大緊急事態への対処措置等を審議する機関として、内閣に安全保障会議を設置し、その構成その他安全保障会議に関し必要な事項を定めようとするものであります。  近年における社会全体の複雑高度化、我が国の国際的役割の拡大と我が国周辺地域の国際政治面での重要性の増大等により、重大緊急事態の発生の可能性は潜在的に高まっておりますが、このような事態に対し迅速、適切に対処し、事態の拡大発展を防止するため、内閣の果たすべき役割はますます増大しております。臨時行政改革推進審議会の答申においても、かかる基本的考え方に基づき、内閣に安全保障会議を設置することを提言しておりますが、政府はこの答申の趣旨を最大限尊重し、これまで慎重に検討してまいりましたが、ここに成案を得ましたので、今回、本法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。  第一は、安全保障会議の審議事項についてであります。  安全保障会議は、現在の国防会議で審議することとされている国防に関する重要事項のほか、重大緊急事態が発生した場合において、内閣総理大臣の諮問を受け、当該重大緊急事態への対処措置について審議することとしております。  また、このほか、国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項につき、必要に応じ、内閣総理大臣に対し意見を述べることができることとしております。  第二は、安全保障会議の組織についてであります。  安全保障会議は、議長及び議員をもって組織するものとし、議長は、内閣総理大臣をもって充てることとしております。議員は、現在の国防会議の議員である内閣法第九条の規定によりあらかじめ指定された国務大臣、外務大臣、大蔵大臣、防衛庁長官、経済企画庁長官に加え、新たに内閣官房長官及び国家公安委員会委員長をもって充てることとしております。  第三に、現行国防会議事務局を廃止することとし、安全保障会議に関する事務につきましては、内閣官房において処理し、命を受けて内閣審議官がつかさどることとしております。  以上のほか、関係国務大臣その他の関係者の会議への出席、議長及び議員の職務上の秘密保持等につきまして所要の規定をいたしております。  最後に、安全保障会議は、昭和六十一年七月一日から発足することとしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願いいたします。
  5. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより本案の質疑に入ります。  なお、これに関連をいたしまして中期防衛力整備計画に関する質疑をこの機会にいたしたいという要望が各理事の間で出されまして、この機会にその問題に関する質疑をあわせて行うということに決定をいたしましたので、委員の方から質疑があった場合には政府においてよろしく御答弁のほど、委員長としてお願いを申し上げておきます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 穐山篤

    ○穐山篤君 ただいま官房長官から簡単な提案理由の説明があったわけですが、これは長い間研究をされて今国会に提出されたわけでありますので、安全保障会議という名前は非常に珍しい名前でありますので、こういうものを設置しなければならぬ背景についてまずお伺いしておきたいと思います。
  7. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) その点につきましては、ただいま御説明申し上げました提案理由説明の中にも簡単に触れてございますように、最近の我が国が高密度工業社会になっておるということ、それと同時に、国際的にも諸外国との関係が緊密化しておる状況のもとで、内外で我が国の安全つまりは国民の生命に重大な影響のあるような事態が常に発生する危険性というものが潜在的に多くなってきておるわけでございます。こういった事態が起きましたときに、やはり従来のような行政組織のままであっては、どうしてもボトムアップの意思決定のやり方ではなかなか適時適切な処理が、関係省庁の意見というものがまとまらないというようなことで、対応策がうまくいかぬということが過去の例においても、実は私自身の経験でもございました。このようなことではいけませんので、やはり物によってはこのボトムアップのやり方というものをこれは尊重しなきゃなりませんけれども、同時にやっぱりトップダウンで少なくとも方針だけは決めて、そしてその方針に従って、それぞれの所管省庁が自己の権限において法律に定める手続に従って迅速に処理をしていくと、こういうやり方にしなければならないと。その際に、やはりトップダウンの意思決定そのものを適切にやる、間違いのないようにしなきゃならないと、こういう意味合いにおいて私はやはり内閣のこのスタッフ組織というものの強化を図るし、同時にまた、それとの関連の中で、今回御提案を申し上げておるようなこういう安全保障会議といったような会議体もつくって、従来抜けておるもの、つまり国防事態以外であって、そして同時に、現在決めてある災害その他の緊急事態の対処の措置がございますけれども、それで処理できないという真ん中のものがやはりあるわけでございますから、それらを対象として総理大臣の諮問機関も設けたいと、こういうような趣旨で、第二臨調の審議で不十分であった点をさらに行革審でお取り上げをしていただいて御答申をちょうだいした、その御答申のままの姿で所要の法律改正を行いたいと、こういうことで御提案を申したわけでございますが、これが穐山さん、ただいま御質問の背景、趣旨は何かということに対する私どもの考え方でございます。
  8. 穐山篤

    ○穐山篤君 この法案が出る背景の一つに行革審の答申というものがあるわけですが、この行革審の答申をよくよく読んでみますと、縦割り行政の弊害の問題を指摘しながら、内閣の総合調整というものを言われている意味はよくわかるんでございますが、ただそれがストレートに安全保障会議というふうに結びついているところに不自然さを私どもは考えるわけですけれども、縦割り行政の弊害、ゆがみというものは、何もここの分野だけでなくして、例えば観光政策についてもしかりでありますし、補助金政策についてもしかりでありますね。ところが、ここの部分だけ強調されたという意味をどういうふうにおとりになっているんでしょうか。
  9. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) おっしゃるように、こういった重大緊急事態以外にも各省の縦割り行政の弊害が生まれておることは事実でございますが、それはそれなりにやはり総合調整機能を活性化して、場合によればこれは内閣が最後は調整するわけでございますから、その意味において行革審としてもしっかりやってもらいたいと、こういう行革審のお考えがあったわけでございますが、同時に先ほどお答えしたように、我が国の内外情勢から見て、重大な緊急事態、これに対処する仕組みというものに不十分さがある、しかもそういうときにはやはり早急に政府全体の意思決定が必要ではないのかと、そういうことで行革審としてはその穴を埋めるようなひとつ仕組みを考えて、総合調整機能の万全を期するようにしなさいというのが行革審の今回の私はお考えであろうと、かように思うわけでございます。  したがって、やっぱり従来と変わって、まあ従来からこれ欠陥はあったんですけれども、最近のような内外の国際情勢を見ますと絶えずそういった重大緊急事態の危険性がある、それを的確にやはり処理する必要があるんではないかと、ここに重点を置かれて御答申があったものと、かように理解するわけでございます。
  10. 穐山篤

    ○穐山篤君 緊急事態が通常の場合と重大な緊急事態、その解釈、考え方の問題は後ほど集中的に意見も申し上げたいと思っておりますけれども、この安全保障会議という名称に、まあこだわるつもりはありませんけれども、どうしてもこだわらざるを得ないわけですね。中曽根総理大臣という肩書が一つあります。安全保障会議議長中曽根康弘という名前が今度つく理屈になるわけですね。これは対内的にも対外的にも非常に重要な名称になるわけです。これが諮問機関であるかどうかというのはまた別に議論をしますけれども、安全保障会議以外の名前を検討されたことはなかったんですか。  きのうの総理の答弁では、国家というのはちょっときつ過ぎるから国家というのを外したという説明がありましたけれども、安全保障会議それ自身の名称に国民も我々も、あるいは国際的にもこだわりが出てくるというふうに私は考えるわけです。それが、まあ例え話ですよ、鈴木善幸総理大臣、安全保障会議議長鈴木善幸というものと、安全保障会議議長中曽根康弘、総理大臣中曽根康弘、二つの名称をしょった総理大臣を比較しますと随分印象が違うんですよ、意味はおわかりだと思うんですが。  そこで、安全保障会議以外の名前を検討されたことはなかったんですか。
  11. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 難しい理屈の方は、これは事務当局からお答えさせたいと思いますが、実は案の中には国家安全保障会議という名前がございました。私はそれに反対をいたしました。それは私が総務庁の長官時代で、官房長官のときではございません。  まずその一つは、私はやはり行革審の答申というものを最大限に尊重したいと、行革審は総務庁の所管でもございましたから。この行革審の答申はやはり安全保障会議という機関名を使っていらっしゃるから、あえてそれを国家という字をつける必要なしということと、いま一点、私の気持ちの中には、国家安全保障会議というと従来いろんなイメージがありまして、どうもやはり対外関係のみを頭に置いたものになりはしないのかと。ところが、今度の「重大緊急事態」というものをあわせ持つものは、これは国内の問題を頭に置いた対応策を審議する機関でございまするので、従来の国防会議を引き継げるものはそのまま引き継ぐし、それに新しく付加したものは「重大緊急事態」ということで国内、国外をあわせておりますから、やっぱりこれは国家という名前は外して安全保障会議の方が素直なのではないのかといったようなことで、実は私自身の強い反対で国家という名前は消してもらったという経緯がございます。  それで、経緯と私の当時の考え方を御説明申し上げまして、あと、きのうの関さんの御意見のように、国家という文字、統治機構的な意味合いとかあるいはやや広い社会学的な物の考え方とかといったような観点でいろんな概念があるが、やはりこれは国家をつけるべきであるという御意見も、これは私も有力な御意見だと思いますけれども、そういったやかましい学問的な考え方はひとつ事務当局から御説明させます。
  12. 穐山篤

    ○穐山篤君 私は、行政のあり方あるいは縦割り行政についての弊害をどう調整するかというふうな意味で行革審の答申がしかるべくあるというのは、これは役割からいってみていいと思うんです。ただ、この安全保障、言ってみますと国の最高の政策の問題ですね、こういうものについて行革審がみずからののりを越えてまで発言している、あるいはそれを内閣に行革審の答申として出しているということについて、私はいささか抵抗を覚えるわけです。行政上の問題ならばいいんですけれども、この安全保障会議というふうなものは、言ってみれば危機の管理あるいは軍備の管理というふうな政治の最高の政策の問題ですよ。そういうふうに考えてみますと、この行革審の答申というのは私は行き過ぎではないか、またそれを受けた政府も余りに安易にこの行革審の答申というものを受けたのではないかというふうに認識をするわけですが、その点長官、どうでしょうか。
  13. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 穐山さんの御質問は、行革審というものは本来第二臨調で決まっておるものをさらにそれの実施を促進するという機関である、ところがまず第二臨調に一体そういうことがあったのか、これがなきゃおかしいという理屈が一つありますね。それと同時に、さらに基本的に第二臨調というのはこういったところまで本来踏み込むべきものではなかろう、こういうことでございましょうが、御案内の第二臨調というのは、聖域なしにすべての国の行政組織全体をとらえて改革意見を出してもらうということになっておりましたから、その点を私は幅広く審議して政府に御提言になることは一向に差し支えないであろう。  そうすると、第二臨調でこの問題議論したかということになりますと、これはやはり一つは国防会議の活性化ということを言っております。それから、もう一つは総合調整機能の強化、このままでは国全体の体制として欠陥がありますよということは指摘をしておったわけでございますが、その突っ込みが私はやや不十分であったと思います。そういうようなことを考えまして、五十九年の五月の七日に、行管長官として私が行革審に呼ばれましたときに、幾つかの検討事項をさらに詰めて行革審でやっていただきたいという要請をしたわけでございます。その要請を受けまして行革審が、さらに第二臨調の答申を踏まえながら突っ込んで検討せられた結果がこの御答申になったわけでございます。  そこで政府は、その御答申をそのまま尊重して、政令事項であるものは政令事項として準備を進めるし、立法事項にしなきゃならぬものは立法事項として国会の御審議を仰ぐ、こういう段取りを決めたわけでございます。
  14. 穐山篤

    ○穐山篤君 意見の違いはやむを得ないというふうに思いますが、私どもの考え方から言えば、これは提案理由にもありますように、国防に関する問題と通常でない重大な緊急事態というものが、諮問の、諮問のといいますか、この安全保障会議の基盤になっているわけですね。言いかえてみますと、国の存在、安全に関する問題です。これは臨調とか行革審になじむ話では本来ないんですよ。これは内閣の問題であるし、国会の問題であるというふうに私ども認識するわけです。  ところが、政治的な配慮があるわけでしょう、いろいろな問題について臨調なり行革審が余分なことを言い過ぎている。また、それを政府も利用したり活用したり、悪用を今やっているわけです。そういう意味で私は、こういうものについての行革審の答申というのはけしからぬ、不遜な態度だというふうに強調せざるを得ないと思うんです。事実、長官もいろんな大臣を経験をしてみて、本来国防の問題、国の安全の問題、後ほど細かく聞きますけれども、危機の管理、軍備の管理問題に入るわけですから、そうなりますと臨調にはもうなじまない。これは中曽根流のやり方ではないかというふうに言わざるを得ないと思うんですが、どうでしょう。
  15. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) これは穐山さん、せっかくの御意見ですけれども、中曽根流という特別な流儀はないんです、これは。ただ、穐山さんのおっしゃる意味合いはわからぬわけでもありませんが、私どもの考え方は、つまりここで取り上げておる「重大緊急事態」の中には、処理を一歩間違えるとこれは有事にしなくていいものまでそちらになってしまうおそれのある事態もあるわけでございます。そこで、有事になる前の段階で有事に至らしめないような政府の処理方針を決める国としての行政の組織体というものはきちんとしておいて、そして内閣のトップダウンの意思決定の際に誤りなきを期するということが私は非常に重要な仕事ではないのか、こういう意味合いで今度の機関をつくったわけです。  そのときに、そういういわば隣組みたいな重大な仕事ですからね、そこで国防事案の方はそのまま国防事案として承継していく、これには手をつけておりませんから。その前の段階で適切に処理して有事に至らしめないようにする。これ一本で扱うことは、非常に私は、かえって従来からあるいわゆる国防会議というものに視点を当てて考えた場合には、この機能の活性化といいますか、あるいはシビリアンコントロールの強化といいますか、それに私は必ずこれは資する、そういう考え方をとっておる次第でございます。
  16. 穐山篤

    ○穐山篤君 法案の第二条一項あるいは二項にかかわることを考えてみますと、安全保障会議の性格は諮問機関なんですね。有事に至らしめないようにするためにふだんから諮問をしておく問題、緊急事態が予測される、あるいは発生をしたときに諮問をする。こういうことになっているわけですよね。諮問をすると同時に特別の意見も上げでもよろしい、上げなさい、こういう仕組みになっているわけですね。ところが、今の長官の話によりますと、有事に至らしめないように迅速に処理をしなきゃならぬということになりますと、この諮問機関というのは事実上政策なりあるいは危機を避けるための具体的なものの意見の統一を図る。言いかえてみますと、諮問というよりも事実上決定の機関になりやすい要素を持っているわけですよね、迅速にやらなきゃならぬということが前提ですから。  そうしますと、私の思い過ぎでなければいいんですけれども、諸外国にあります安全保障会議というものの性格に非常に近くなってくる、そういう危険性を持っているわけですが、その点についてはどういうふうにお考えですか。
  17. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 御指摘のようにこの機関は諮問機関でございます。ふだんから研究しておく事項、それから発生したときにそれに対する対処措置ということ、二点の御指摘がございましたが、御指摘のとおり第二条の第二項は、事態が発生したときにこれに対していかに対処するか、こういうことを審議いたしますし、第三項の方では今御指摘のありました平素から重大事態が発生した場合の対処措置の基本的な事項についての研究をしておこう、こういう機関でございます。  今お尋ねは、そうは言うけれども事実上は政策を具体的に決める、したがって諮問というよりも決定機関的な性格を持つのではないか、そういうふうになりやすいんではないかというお尋ねだったと思いますが、私どもはそうは考えておりませんで、これは法の明文にもございますように、総理の諮問を受けまして、それに対する答申という機関でございますので、御指摘のような点は当たらないというふうに考えております。
  18. 穐山篤

    ○穐山篤君 そうしますと、少し矛盾を皆さん覚えませんか。第一条の「設置」のところで「国防に関する重要事項」というものがあるわけですね。少なくとも今までの国防会議をここでは継承するのですよ、こういうふうに説明はされています。しかし、実際の運営というのは、過去のことを考えてみてもそうでありますけれども、ほとんど防衛庁なり何なりというものが具体的に計画を決めて、大蔵省との間に財政上の相談もして、そして国防会議にお見せをするだけの今までは運営だったですよね。最近指摘をされてから急に回数がふえたという実例はありますけれども、過去のものを見ると年間に一回とか二回、多くても五回ですよ。ところが、今回の安全保障会議に「国防に関する重要事項」を引き継ぐのだということになれば、あの危機管理なりあるいは軍備管理なり、中防なり日米合同作戦の問題なり何なり、重要な問題というのは全部ここで最初おさらいをしなければならぬ理屈に見えるわけですけれども、従来の運営と同じだということになれば、重要な事項はほとんど関係者が決めたものをただ出すというようなことに形式的になりやすいと思うんですけれども、本当に従来の国防会議を継承するとすれば、どういうふうなイメージでこの安全保障会議の中で議論をしようとしているのか、その点確認をしておきたいと思います。
  19. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 今のお尋ねの中で例示がございました日米共同作戦の問題でありますとかあるいは中期防衛力整備の問題、これらはいずれも御承知のように国防事項でございます。したがいまして、国防事項に関しましては今回の改正は全然触れておりませんので、従前の国防会議の任務をそのまま継承するということにいたしておりますから、その点について従前と変わった取り扱いをする考えはないわけでございます。
  20. 穐山篤

    ○穐山篤君 もう少し正確におっしゃってもらいたいのですが、「国防に関する重要事項」というのは中期防衛、中業というんですか、中業であるとか日米合同演習であるとか、あるいは装備品をどうするとか、さらには陸海空、その連携をどうするとかというふうな重要な事項は今回のこの安全保障会議の中では取り扱うのですか、取り扱わないんですか。その点をまず明確にしてもらいたい。
  21. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 御指摘の点は、今度の安全保障会議の設置法の第二条第一項の事務として取り扱うわけであります。
  22. 穐山篤

    ○穐山篤君 第二条の第一項に指摘をされておりますように、「国防の基本方針」、「防衛計画の大綱」などなど重要な事項は全部最初からかかるわけですね。ここで諮問をして、そこで答申を得たものが、例えば閣議で決めるとかあるいは防衛庁の方針としてそれを受けとめるとか、そういうふうになるわけですね。
  23. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) そのとおりでございます。
  24. 穐山篤

    ○穐山篤君 この問題についての文民統制なり情報の公開の話はいずれ後刻させてもらいたいと思います。  官房長官、私ども重大な緊急事態という問題についての説明で、例えばダッカの事件であるとか大韓航空機事件であるとかミグ25と、こういうお話があったわけです。ミグ25について当時を思い出してもみているわけですが、有事に発展をする可能性があの当時あったと分析をされているんですか。この緊急事態の一つの事例としてミグ25が説明をされているわけですから、その点について有事に発展をするおそれがある、そういう意味で緊急事態の一例として挙がっているわけですね。これ、有事に発展をする可能性がどういう理屈で、どういうものがあって、どういう背景があって今回のミグ25が例になっているんでしょうか。非常に重要な問題ですから一つ一つ伺います。
  25. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 今度の「重大緊急事態」の定義は、御承知のように第二項で「我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがあるもののうち、」これこれ、こういうことになっておりまして、直ちに必ずしも有事に発展をするおそれのあるものばかりではないわけであります。有事に発展するおそれのあるものも当然含まれますが、そうでないものも当然あり得るわけですが、御指摘のミグ25につきましては、これはいろいろ見方はあると思いますけれども、私どもはあの扱い方がもし適切な扱い方でなければあるいはもっと深刻な事態、つまり場合によっては有事にも発展する可能性は少なくともなかったとは言えないんではないかというふうに見ております。
  26. 穐山篤

    ○穐山篤君 有事に発展をする場合の「重大緊急事態」というのが一つある。有事には発展をしないけれども「重大緊急事態」があり得る。今二つ説明をされたわけですが、ミグ25は有事に発展をする可能性があったというふうに今説明としては印象を受けたわけですが、いかなる理由でそういうふうに評価をされたんですか。
  27. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 私どもが聞いておりますところでは、あの飛行機というのが当時最高の機密を持った機体であるといったようなことから、その機体の取り扱いをめぐりまして、あるいはいわゆる奪い返されるといいますかそういう事態、あるいは破壊されるといったような事態があるいは起こるのではないかという懸念はあったと言ってよろしいんではないかと思います。
  28. 穐山篤

    ○穐山篤君 というのは、ミグ25の性能から考えてみて、ソビエトがミグ25の機体を戦闘機で破壊する、あるいはミグ25を持ち帰るというその最悪の事態を常に防衛庁としては想定をしておったわけですか、あるいは国内の何らかの集団が空港で破壊をする可能性があるんじゃないかというふうにその当時分析をされていたんですか。
  29. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 当時、防衛庁がどういう分析をしておったかというお尋ねでございますと、私としてお答えする立場にございませんけれども、私どもが承知しておりますのは、先ほど申し上げたような危惧は確かにあったのではなかろうかというふうに聞いておるわけであります。
  30. 穐山篤

    ○穐山篤君 空港に亡命というのでおりてきたわけですよね。所管は、空港内ですから運輸省、事件の内容からいってみて警察庁、それから飛行機の性能その他いろいろなことを考えてみて防衛庁、こういう三者が取り扱ったものだろうというふうに思うわけですね。このミグ25というのは、当時の情報では亡命という意思表示が一番最初からされていた、こういうふうに当時の新聞、記録を見ると書かれているわけです。その亡命というような場合に、例えば中国から韓国に亡命をした飛行機があります、あるいは北朝鮮から韓国に亡命をした飛行機もあります、いろんな事例がたくさんあるわけですけれども、少なくともソビエトにしろ北朝鮮にしろ、撃ち落とすとか破壊をするとか、あるいは強奪をして持ち帰るとかいうふうな例は皆無に等しいと思う。あるとすればアメリカがやった例は幾つかあるわけです。それ以外私はなかったと記憶するんですが、防衛庁としてはすぐに、ああいう亡命の飛行機があった場合に、その国から爆撃機が飛んできて爆撃をするというふう なことを常にお考えですかね。そういうことになれば二国間に重大な事態が発生するということは当然予知できるわけですね。それが戦争に発展する可能性を持っているということも当然あるわけです。ですから、防衛庁の考え方というのは、少し、すぐに防衛出動というふうな気持ちが非常に強いために、どうしても評価、分析というのはそうなりやすい危険性を持っているんじゃないか、その点いかがですか。
  31. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 防衛庁の立場ということで私は今お答えいたしかねますけれども、当時の事情を考えました場合に、今先生がおっしゃいました運輸省の問題あるいは警察庁の問題あるいは防衛庁の問題、そのほかにも外務省の問題もあったんではないかと思いますが、結果的には幸い今危惧したような事態は起こらなかったわけですけれども、要するにあの時点で仮に我が方の対処を誤れば、何らかの形で日ソ両国間の紛争に発展するおそれはあったんではないか、これは一般論的な言い方ですけれども、そういう意味で申し上げて。おるわけであります。
  32. 穐山篤

    ○穐山篤君 ダッカ事件というのが今回の安全保障会議設置の一つの背景をなしているというふうに説明を受けるわけですが、具体的にはどういう因果関係があるんでしょうか。
  33. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) ダッカの事件の場合は、事態そのものは御承知のように人質を盾にとりまして我が国の政府に対して一定の作為を要求してきた、その作為が金額であったりあるいは収監中の囚人の釈放であったりしたわけでありますが、そういった行為は私どもから見ますと我が国の主権に対する挑戦といいますか、侵害行為であるというふうに言えると思うんです。そういうようなことが許されるわけには当然参りませんわけですが、そういった我が国の主権に対する挑戦といったような行為は、やはりこれは我が国の安全にとって重大な影響を及ぼすおそれのあった事態であるというふうに認識してよろしいんではないかというふうな意味で申し上げているわけであります。    〔委員長退席、理事村上正邦君着席〕
  34. 穐山篤

    ○穐山篤君 今のダッカ事件というのは、日本の主権にかかわるという意味で理解をします。  三つ目の問題として〇〇七、KALの問題ですね、これについてはどういう因果関係を持つんですか。
  35. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) KALの事件そのものは、我が国の周辺におきまして外国の軍隊の武力行使によりまして外国の民間航空機が撃墜された、こういう事件でありますけれども、我が方の観点から申し上げますと、あの事件をめぐりますところの機密情報の取り扱い、それからさらに撃墜された飛行機の捜索をめぐる問題、こういった問題はやはり我が国の安全にとって重大な影響のある問題でありまして、その対処に当たってはやはり高度の政治的判断を要する問題であったというふうに理解をしておるわけであります。
  36. 穐山篤

    ○穐山篤君 それでは逐次聞いていきますが、国土庁、通常の緊急事態に対する対応は設置法に書かれています。そこで国土庁に伺うんですが、通常の緊急事態、今まで発生したこともあるだろうし、発生をしていないけれども予見されることもあるでしょう。それと同時に、今回、この第一条で言うところの「重大緊急事態」というのは国土庁の所管として想定できる問題、場面がありましょうか、その両方をひとつおっしゃってください。
  37. 杉岡浩

    ○政府委員(杉岡浩君) 国土庁で所管しておりますのは災害対策でございますが、災害対策につきまして、国におきまして災害対策基本法という法律をつくりましてその災害対策の対処方針を決めておるわけでございます。これは昭和三十六年につくられた法律でございますが、大規模な災害が発生した場合、通常の総合調整をする場合には非常災害の、それからさらに、国民の経済あるいは公共福祉に重大な影響があるというものについては緊急災害対策本部というのをつくりまして、各省で災害応急対策の総合調整をすることになっております。  我々といたしましては、昭和三十六年以来、幸いにも緊急災害対策本部、これをつくった例はございませんが、今後想定されます大規模な地震等につきまして、これは緊急災害対策本部がつくられて、そこでいろんな災害対策の調整、これが行われるということが想定されておりますし、我々もそのための準備をしておるわけでございます。  ただ、緊急災害対策本部でやりますのは、例えば被災者の避難あるいは救護、救援、それからさらには、例えば災害復旧とかその被災地における犯罪防止とか、いろんな災害応急対策でございますが、災害を契機といたしまして非常に大きな社会的な混乱が発生するという場合も想定されるわけでございますが、そういった場合は必ずしも、災害応急対策の調整という段階を超えるものという場合が想定されるわけでございます。
  38. 穐山篤

    ○穐山篤君 提案理由の背景の中に関東大震災という問題意識を持っているわけです。  そこで国土庁に伺いますが、災害対策の基本法というのは、過去の例とすれば幾つかありましたけれども、関東大震災というものも十分意識をしながらあの基本法がつくられていると私は認識をするわけですが、その点いかがでしょうか。    〔理事村上正邦君退席、委員長着席〕
  39. 杉岡浩

    ○政府委員(杉岡浩君) ただいま先生御指摘のとおり、関東大震災等の大規模な地震対策につきましても災害対策基本法は想定いたしておるわけでございますし、我々はそういった大規模な地震対策について、国その他関係省庁、緊密な連絡をとりながら災害対策を進めておるわけでございます。この場合におきましては、先ほど申しましたように、関東大震災クラスの地震があった場合、緊急災害対策本部がつくられるわけでございますが、先ほども申しましたように、災害応急対策の総合調整、これは一省だけではできませんので、お互いに総合調整をしながら的確な災害応急対策ができるような機関を設けるためにその本部を設けておるわけでございます。  そういった災害応急対策の総合調整、これをさらに逸脱するような災害、こういう大規模な地震等を契機といたしまして社会的な混乱が発生するという場合も想定されるわけでございますが、我々の方といたしましては、やはり災害応急対策の総合調整ということで、そちらの方にウエートを置いてやっておりますので、場合によりましてはそういった混乱に対しましては担当の部局あるいは必要なこういった保障会議、こういったところで御審議されるということになろうかとは思います。
  40. 穐山篤

    ○穐山篤君 科学技術庁に伺います。  科学技術庁の設置法について言いますと、原発放射能諸問題を含めて設置法に十分書かれていますね。科学技術庁として通常の緊急事態と重大な緊急事態というものを区分けができましょうか。
  41. 辻栄一

    ○政府委員(辻栄一君) これはケース・バイ・ケースの問題であろうかと存じております。一般的には、原子力関係の事故につきましては、これは災害対策基本法のレベルでの対応が行われるわけでございます。もう一つの問題といたしましては、今回のソ連の原発事故のように、我が国に放射能が降ってくる、こういった場合が想定されるわけでございますが、これにつきましては内閣に設置されました科学技術庁長官を本部長とする放射能対策本部というのができておりまして、これで一般的には対応するということで、一応対応が異なっておりまして、一般的には安全保障会議が所掌する重大緊急事態には該当しないというふうに思っておるわけでございます。  しかしながら、仮に災対法による事故対策本部、またはただいま申し上げました放射能対策本部において対処することを予定していないような社会的な大混乱が発生したというようなことがあったとすれば、その部分につきましては重大緊急事態としてこの会議で審議されることもあり得るかと思われるわけでございます。  なお、このほかに、政治的意図を持った核物質の強奪が発生したいわゆる核ジャックというような場合につきましても、安全保障会議で審議されることもあり得るというふうに考えておる次第でございます。
  42. 穐山篤

    ○穐山篤君 原発の問題それ自身についてはまだ別のところで議論をしますけれども、シージヤック、ハイジャックという歴史的な事実があるわけですから、核ジャックというのは当然つくるときから想定をしていたわけですね。言いかえてみますと、それは本来の災害対策基本法の方で処理する、こういう概念をお持ちではなかったんですか。通常の緊急事態、核ジャックは少なくとも通常の緊急事態であるというふうに科技庁では勉強されておったんではないですか、いかがですか。
  43. 辻栄一

    ○政府委員(辻栄一君) 原子力発電所の事故につきましては、災対法におきましては大量の放射能の放出があった場合これは災対法が適用になるということで、そちらの方で対応するわけでございます。  核ジャックの問題につきましては、これを防護するという観点からの諸施策がございますが、これにつきましてはIAEAという国際原子力機関におきましてこれに対する技術的なガイドラインが定められておりまして、各発電所におけるいろいろな核物質を収納する倉庫に対する施錠でありますとか、出入りする人の監視その他についての基準が定められているわけでございまして、現在、我が国におきましては行政指導によりまして各原子力施設に対してこれを実質的にやっていただいているというのが現状でございます。これはあくまでも核物質を、そういう事態が起こらないような防護対策として諸般の施策をとっているわけでございます。もし仮に強奪事件が出たというような場合になりますと、これは治安当局にお願いして対応していただく、こういうことにならざるを得ないという状況でございます。
  44. 穐山篤

    ○穐山篤君 長官が中座することになっておりますので、その前に一問だけ今の問題で。  国土庁に私が先ほど質問をしました。そのときに、災害対策基本法というのは関東大震災程度のことも予測をしながらあれはっくったものです、こういう答弁があったわけですね。そうしますと、この安全保障会議設置法の提案の背景になっておったダッカであるとか何とか何とかという四つの中の一つに関東大震災が入っていたわけです。今の答弁からいいますと、これは除かれることになると思いますが、その点いかがでしょう。
  45. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 通常の場合は、相当大きな災害であろうとも私はこれは災対法の枠内で処理ができると思います。ただ、これは広がりが大きくて、社会的あるいは政治的な大混乱が起きるといったようなことは、一応やはり想定をしなきゃならぬ災害もあるわけでございます。その例として私は関東大震災の例を挙げているわけでございますが、それはなぜかといいますと、果たしてあの程度の被害を及ぼすような大災害が起きた場合に、災対法の枠内で適宜適切な処理ができるであろうかということについては、多少の私は不安感を持つわけでございます。  それはなぜかといいますと、その際に一つ考えられることは、警察の非常事態宣言ということも考えなきゃなりません。いま一つは、これは国防事案として処理することに従来からなっておる、今後もそうなるわけでございますが、治安出動ということも、これは私は頭の中に置かなければならぬ事態もあり得ると思うんですね。そのときに、災対法の枠内で一体処理ができるのかということになると、これはなかなか私はそれをめぐっての意思の決定は容易でありませんよと、災害対策本部だけでは。  したがって、そういう際には、やはりこういうところで私はきちんとした適宜適切なる方針だけは決めて、その方針に従って、それぞれ警察庁は警察法の規定があるし、あるいは防衛庁には防衛庁の規定があるしするんですから、規定のやり方に従って処理をして、そして実施をしていくという必要があるだろうと、こう考えるわけでございます。そういう意味合いで、私は幅の広い、しかも災対の枠内で処理できないような政治的、社会的大混乱が起きるということは予想しておかなきゃならぬ、そのときにこういうものが必要ではないか、こういう私は考え方でございます。
  46. 穐山篤

    ○穐山篤君 長官、中座されて結構ですが、帰ってきましたときには自衛隊法あるいは海上保安庁の警備その他を含めてお尋ねをいたしますので、お願いいたします。  それから、次に郵政省、今のようなことで郵政省にかかわる、これは電気通信情報といった方がいいんでしょうが、普通の、通常の緊急事態というものはどういうふうなものを想定をしているか。それから、今回の法律で指摘をしております重大な緊急事態というものはどういうものを予想をされているか。これは、ないなら、ないで結構です。
  47. 桑野扶美雄

    ○説明員(桑野扶美雄君) 通信に関して申し上げますと、天災地変等の非常事態におきまして、特に正確な情報の迅速な流通だとか、関係機関との連絡のための通信手段の確保ということが不可欠になってくるわけでございまして、このために郵政大臣は、非常事態におきまして電気通信設備を有するすべての機関に対し必要な通信を行うことを命ずることができるようになっておりまして、個々の判断によりましてそれはやるべきだろうと思います。 。
  48. 穐山篤

    ○穐山篤君 個々のケースと、こう言われるわけですが、前回、地中に埋設してありました中で火事が起きましたね。それで、一時的に一地域が中心になりましたけれども電話回線が機能しなかった。ああいうようなものは通常の緊急事態ですか。あるいは重大な緊急事態というふうになりましょうか。
  49. 桑野扶美雄

    ○説明員(桑野扶美雄君) 私どもの方から申し上げますと、そこに重大と通常と区別する理由はないわけでございます。ただ、世田谷の洞道火災の場合には、その地域のネットワークがそれしかありませんので、それにかわる施設を郵政大臣が通信の確保として命ずるべき施設がなかったものですから、数日間、住民の方々に御迷惑をかけたという結果に相なったわけでございます。
  50. 穐山篤

    ○穐山篤君 よく説明がのみ込めないんですが、それじゃもう一度科技庁の方にお伺いをしますが、科技庁の場合、想定される事態というのは、先日ソビエトの放射能の問題がありました。これがもっと近くの国で発生をして、それで大量の放射能が日本に飛んできた、こういう事例が考えられますね。それから、公海上で、日本海なり太平洋上におきまして不測の事態が発生をして、放射能の影響が日本に及んでくる、こういう事例もありますね。それから、国内の原発の事故あるいは核ジャックというふうなものが、悪い問題で言えば想定をされるわけですね。  その場合に、例えば日本海なり太平洋上で不測の事態が出て放射能汚染が海上でもあるいは陸上にも及ぶ、こういうふうな場面では科技庁が担当をするんですか、それともその他の省庁が担当するんでしょうか。
  51. 辻栄一

    ○政府委員(辻栄一君) これは、先ほど御説明申し上げましたように、内閣に放射能対策本部という各省の連絡機関が設けられておるわけでございます。ただいま先生御想定のような事故に対する放射能の監視等につきましては、科学技術庁単独ではできない問題でございますので、関係省庁の御協力をいただいてやらなければならない。そのために放射能対策本部をつくって各省連絡調整を行っているわけでございます。
  52. 穐山篤

    ○穐山篤君 官房長官がいないんですが、塩田事務局長、その点についての考え方はいかがですか。
  53. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 私どもが言いますところの「通常の緊急事態対処体制によっては適切に対処することが」できないものという場合の「通常の緊急事態対処体制」とは何か、こういうことになるわけでございますが、今の科学技術庁の御説明のように、放射能対策本部があって、そこで各省の調整をしながら対処されるということでございまして、それで対処できる限りは、私どもが言うところの「通常の緊急事態対処体制」で対処し得るものというふうに言えますから、そういう本部で対処ができる限りは、ここで言うところの 「重大緊急事態」には当たらないというふうに考えているわけであります。
  54. 穐山篤

    ○穐山篤君 少しずつ整理をしていきますが、幾つか緊急事態、通常の緊急事態というのは設置法でそれぞれできるわけですが、重大な緊急事態というものの基盤になっておりますのは、国家の安全というものが基盤にあって、その中には主権の問題も入るでしょう、あるいは領土的な問題も入るでしょう。国家というものが前面に出て緊急事態というものを想定するのか、それとも国民の生命、財産、これを安全に保持をするということが基盤になっていて重大な緊急事態に対処しようとしているのか、それはどちらの方にこの法律案はウエートがかかっているんでしょうか。
  55. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 「国の安全に重大な影響を及ぼすおそれが」という場合に、今の御指摘の点は、私は両方含まれるというふうに理解をいたしております。
  56. 穐山篤

    ○穐山篤君 そういうふうに抽象的に言われると、あとどういう事態の場合に警察が出ていくのか、あるいは自衛隊が出ていくのかというものにかかわってくるから私聞いているわけです。明らかにそこの地域の大多数の国民の生命、財産に重大な影響がある、これは安全に保持しなきゃならぬというものがあって重大な緊急事態というものを想定をする場合と、国家というものが表に出ておって、あるいは主権というものが前に出ておって緊急事態を考えてみた場合の出動のあり方が非常に変わってくるわけです。そこで、私がくどくも辛くもあちこちの例を聞いているわけです。これは国家というものが前面に出ているような感じがするわけです。その点はどうですか。もう一度具体的におっしゃってください。
  57. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 例えば、先ほど来の例で申し上げますと、ダッカのような事件のときは国民の主権に対する挑戦であるという意味のことを申し上げました。この場合には、当該人質になっておられる人の生命、財産は当然もちろん問題はございますけれども、主として国の主権という観点からの取り上げ方の問題であったと思います、  先ほど来のいろいろ災害でありますとか事故でありますとかということについてのお尋ねに関連して申し上げれば、国の主権という問題ではないわけであります。やはり国民の生命、財産の保護といった観点があるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、今回のこの「重大緊急事態」で言うところの「国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがある」という場合には、やはり私どもは二通り、正確に分けること自体がどうかと思いますけれども、両者の面を含んでおるということを申し上げられるんじゃないかと思います。
  58. 穐山篤

    ○穐山篤君 例えばダッカの場合には、最終的にはあれは閣議で決めて、超法規的な取り扱いをしたわけですよね。それは別にこういう安全保障会議で審議しなくても、現在の内閣の機能においてできるわけですね。わざわざダッカ事件を今回の提案理由の背景にしたのはどういうことになりましょうか。内閣の閣議の決定でそれは対応できるはずなんです。わざわざこちらの方に例示として持ってきたのがよくわからない。なるほどそれは日本の国益の問題、国民の生命、財産の問題、いろいろあります。ありますけれども、内閣が十分に機能して過去処理したわけです。今後も、それは十分に内閣が機能していれば処理できる問題です。わざわざこれに入れた理由がよくわからない。
  59. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 具体的な例として、先ほど来ミグとかダッカとかKALとかいうようなことを申し上げておりますが、いずれも過去においては今回のような安全保障会議がないときに何らかの形で対処されたわけであります。  そういう意味では、御指摘のようなダッカについてもちゃんと閣議決定で対処したではないかということになるわけでございますが、問題はある事態が発生した直後ですね、直ちに政府として適切な、しかも迅速な方針決定なり対処についての決定がスムーズにいける体制があるかどうか、こういうことでございまして、そういう点からいきまして、今度のような安全保障会議をつくり、それを十分扱う安全保障室をもって何かあったときには直ちにそれに対応し得る体制というものをつくっておく必要があろう、こういうことでございまして、ダッカの場合も、それからミグの場合もKALの場合も、問題はその最終解決に至る過程において適切な、しかも迅速な政府の対応措置の決め方、そこに問題があったんではないか。そこのところを今回の改正案によって適切な対処体制をつくりたい、こういう考え方であります。
  60. 穐山篤

    ○穐山篤君 防衛庁長官に伺いますが、自衛隊法の七十八条一項の中では、「内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に際して、」というふうに「緊急事態」というものを入れているわけです。あちこちの法律に、重大な事態とかその他の緊急事態という紛らわしい言葉がたくさん法律の中にあるんですよ。この自衛隊法で言う七十八条一項の「その他の緊急事態」というのはどういう事態を想定をされているんですか。
  61. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 御承知のように七十八条には、「間接侵略」というのがまず書いてございますが、「その他の緊急事態」というのは、間接侵略いわゆる外国の教唆なりあるいは干渉等と関係なく発生をする大規模な内乱あるいは騒擾であって、しかも一般の警察力では対処し得ないものというように考えております。
  62. 穐山篤

    ○穐山篤君 それから、自衛隊法八十一条の第一項で言っている「治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合」の「重大な事態」、これは知事の要請でありますから、そこの地域だけに限られるという限定はあろうと思うんですが、ここで言う「治安維持上重大な事態」というのはどういうことを想定されてますか。
  63. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 八十一条は、基本的には都道府県知事がそのような事態を判断するということで、一にかかって都道府県知事の判断によるわけでございますが、これまた先ほど申し上げたと同じように、都道府県知事が通常の警察力等では対応できないような事態ということ、自衛隊の出動やむを得ないというような判断をされたという際に要請ができるということでありまして、それをさらに、要請があった場合に内閣総理大臣が事態やむを得ないというような認定がなければ出しませんので、必ずしも都道府県知事がやむを得ない、必要があると認めるということについて、治安出動の際の一般の警察力をもってしては対処できないかどうかという判定とぴったり一致をするというふうには必ずしも考えておりません。
  64. 穐山篤

    ○穐山篤君 そこで、七十八条の「命令による治安出動」と八十一条によります「要請による治安出動」、いずれも重大な緊急事態でなければ命令を出すこともないだろうし要請をすることもないだろうと思うんですが、ここの自衛隊が出動する場面では、この安全保障会議設置法の第一条の「重大緊急事態」というふうに認定をしてここにお諮りをするんですか。それとも、お諮りをしないでこれはストレートに内閣総理大臣の命令だけで、命令で出動するあるいは要請を受けたものが内閣総理大臣の命令で出動するということになるんでしょうか。その点いかがですか。
  65. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 自衛隊によります治安出動につきましては、私どもは今回の法律の第二条第一項の事態であると、いわゆる国防事態として把握しているわけでございますが、ただこの規定からごらんのように、明文的に現在の国防会議、今後の安全保障会議にかかるという規定はございません。ございませんが、事態が治安出動を要するような事態ということになりますと、いずれにしましても大変重大な事態であると思われますので、第二条第一項の第五号「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」、これに当たる事態ではないかというふうに一般的には言えるんではなかろうか。そういう意味で、明文の規定で自衛隊の治安出動について国防会議に語れという規定はございませんけれども、実態的にはここで諮られることになるんではなかろうかというふうに考えております。
  66. 穐山篤

    ○穐山篤君 思われるというふうな説明では私の方が迷惑しちゃうんですよね。皆さん方は提案者です。これは、これこれこういうものはこの国防会議にかけるとか安全保障会議の議題になります、こういうものはなじまないというふうに言ってもらわないと、後でこれはもめごとが起こるわけです。ですから、今言いました七十八条の分と八十一条の分について、これは国防会議なり安全保障会議の議題になって初めて、それを諮問して答申を受けた総理大臣の命令によって出動をするあるいは出動をしない、どちらなんでしょうか。
  67. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 明文の規定がないと申し上げましたのは、二条一項で申し上げますと、一号から四号まではこれは必ず必要諮問事項だと、必ずかけるということでございますが、五号につきましては内閣総理大臣が必要と認めるという要件が一つかぶっておるわけであります。そういう意味で、必ずかけるかどうかについてはその事態が起こった時点における判断というものがあろうかという意味で明文の規定はないがということを申し上げたわけであります。しかし、実際上は、そういう事態というものは、私は五号によりまして現在で言えば国防会議、今度で言えば安全保障会議に諮られるものというふうに理解をいたしております。
  68. 穐山篤

    ○穐山篤君 官房長官、大事なところですから今のやりとりを復習してみますと、自衛隊の出動につきましては七十六条で本来の「防衛出動」というのがあるわけですが、緊急事態につきましては七十八条と八十一条、「命令による治安出動」と「要請による治安出動」があるわけですね。それ、内閣総理大臣が最終的に命令を下すわけです。今話を聞いてみますと、この七十八条、八十一条についてはそういう事態が発生するおそれがある、発生をしたという場合には国防会議、安全保障会議の議題にするんだと、こういうふうに説明がされたんですが、官房長官はそれを確認されましょうか。
  69. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) やはり武装部隊を治安維持ということで出すということは、非常に重要な事柄でございます。そういう意味合いから、現在の体系の中でも必要的な付議事項ではありませんけれども、私はこれはやはり従来から国防会議に付議すべき筋合いのものであろう、こう理解をしておりますから、これが法律で安全保障会議に変わりましても、これは国防事案の方はそのまま引き継いでおりますから、従来どおりの扱いになるであろうと、かように思います。
  70. 穐山篤

    ○穐山篤君 そこで、海上におきます警備行動の八十二条でありますが、これ長官と防衛庁長官と両方に伺いますが、ここにも治安の維持のため特別の必要がある場合、内閣総理大臣の承認を得て自衛隊が出動する、こうなっているわけです。  そこで、具体的な例でお伺いしますが、鳥取県沖の竹島、御案内のとおり日本と韓国との間で常にもめております島であります。ここは御案内のとおり、少数でありますけれども兵舎がある、それから機関銃座も三つか四つあるわけです。あの周りで日本海側の漁民がイカ釣りをする、その他の点もとっているわけですが、その操業が常に問題になっているわけです。私どもは、話し合いで早急に日本の領土である、帰属を確定すべきである、こういうふうに政府あるいは外務大臣に言っているわけですが、現実に漁民の立場からいうと、八十二条に該当するような事態があの竹島の周りで発生をしているわけです。これは自衛隊なり政府は自制をして出されていないと思いますけれども、今のところは出されていないと思いますけれども、客観的に言えば八十二条発動の状況下にあるんじゃないかなというふうに思いますけれども、その点はどうでしょう。
  71. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 御承知のように、この八十二条の「海上における警備行動」と申しますのは、本来、海上における人命なり財産の保護あるいは治安の維持というものは、第一義的には海上保安庁が担当しておるわけでございます。    〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕 したがって、この「特別の必要がある場合」と申しますのは、一般的には海上保安庁だけでは対処することができない、あるいは著しく困難であるといった場合であって、自衛隊の海上における行動が必要とされるような事態であろうというように考えております。  なお、竹島の件について具体的にお尋ねでございましたが、竹島の件につきましては、私どもとしては、この件に関しては外交交渉その他で解決をしていこうという政府の基本方針であるというふうに理解をいたしております。
  72. 穐山篤

    ○穐山篤君 さて官房長官、お伺いをしますが、いろいろさっきから整理を始めているんですが、この安全保障会議の設置を決意をしたのは、国の安全ということもあるだろう、国民の生命、財産の保持ということもある、それを議題にする、それが基盤であると、こういうふうに説明をされたわけですが、本会議でも質問を久保田先生がされておりますように、緊急事態に名をかりて自衛隊が出動する道を開くのではないかという疑念を、それぞれ野党の本会議質問を聞いておりますとそういう感じがするわけです。  そこで、重大な緊急事態という問題で先ほど幾つか聞きましたけれども、国外において日本人がトラブルの原因をつくった、重大な緊急事態を発生させたのが海外の在留邦人、場合によりますと日本から例えばバリならパリ、イタリーならイタリーに行ってテロ行為をした、あるいはもっと大きな紛争をでかしたと、こういうことも想定をされるわけですね、最近のいろんな事故から考えてみて。  その場合に、これは重大な緊急事態であるとそういう判断をして出動を自衛隊に要請する、あるいは日本の警察に要請する、まあいろんなケースがあると思うんですけれども、そういう事態になった場合に、ここに議題としてかけることはあったにしてみても、さてそれを解決するための出動という問題になりますと、どうしても心配事が出るわけですね。これは警察の場合もあるだろうし自衛隊の場合もあるだろうと思いますけれども、少なくとも自衛隊は、そういう場面では、日本の外に出て、出動をして鎮圧するとか、あるいは処理をするとか対応するとかというようなことはあるんでしょうか、ないんでしょうか。
  73. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 武力行使を目的として海外に自衛隊を派遣するいわゆる海外派兵でございますが、これは憲法上の解釈からしてもできないというのが一貫して政府の考え方でございます。
  74. 穐山篤

    ○穐山篤君 そうなりますと、専ら国内で発生をする緊急事態が中心であると。  それから、先ほどダッカの事件が紹介をされたわけですけれども、私は内閣が十分に機能しておりさえすれば別にここの話題になる話ではない問題であろうと、こういうふうに思うわけですね。そうなりますと、そういうふうに私のような認識をした場合に、この第一条というのは世間でいう危機に対する管理というふうに定義づけができるんでしょうか、あるいはそうは考えていないんでしょうか。
  75. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) お尋ねの最後の点の御趣旨がちょっとわかりかねるんでございますが、第一条の規定が危機に関する――どのようにおっしゃったのでしょうか、ちょっと恐縮ですがもう一度お聞かせいただきたいと思います。
  76. 穐山篤

    ○穐山篤君 この「重大緊急事態」というのは、各省庁先ほど整理をしましたけれども、有事に発展をするものも想定がされるし、有事に発展をしないものも含まれると、こういうふうに説明がされて、今までの議論ではほぼ日本の領土内の緊急事態を想定されているわけですね。    〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕 そうしますと、私ども心配をしますのは、重大な緊急事態というふうにいろいろな場面を想定して、危機の管理という面で国民を管理していく、誘導していく、その可能性が常にここにはあるから、その心配があるから、くどくも辛くも聞いているわけですよ。  例えば、まあ例えばの話ですよ、原発が破壊をされたと。そうしますと、そこの地域の人たちの避難の問題だとか、あるいは食糧の問題だとか通信の問題だとか、いろんな問題が出るわけですね。そういうことを想定してあらかじめ総理大臣がこの安全保障会議にいろんな場面を諮問する、こういう可能性が出てくるわけですよ。それから、独自に勉強して意見も出しなさいというふうに書かれているわけです。そうなりますと、いろんなことを想定して危機の管理をできるわけですよ。それで、まあ国民の管理といいますか誘導といいますか、その可能性がこの条文の中には見えるわけですよ。そういう点はどうなんですか。
  77. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) それは、私どもの考え方は重大な緊急事態が起きたときに国の安全、つまりは国民の生命、財産をどのようにして守るかという意味において危機をどのように管理することによって被害を最小限にとどめるか、あるいは有事に至らしめないようにするかということであって、国民を管理するというのとはもう趣旨がまるきり私は違うんじゃないかと。だから、もし穐山さんの御心配が、こういうことの名のもとに、危機管理の名のもとに国民を管理するんだという御心配だとするならば、さようなことはないと。そうではなくて、危機をどのようにうまく乗り切るかというためのものであると、かように御理解をしていただきたいと思います。
  78. 穐山篤

    ○穐山篤君 割合にさらっとそういうふうにおっしゃっておりますけどね、過去のこの種問題についての質問に対して多少ニュアンスの違う答弁を政府はしている例があるんですよ。ですから、私はそのことを恐れて、厳重にここは縛りをかけておかないと大変なことになるんだと。  そこで、比較の面でひとつ外務省に伺いますが、日本――まあ西側で結構です、西側の主要な国の安全保障会議というものの性格それから機能、そういうものはどうなっているか、日本の安全保障会議との比較においてひとつ説明をしてもらいたいと思います。
  79. 渡辺幸治

    ○政府委員(渡辺幸治君) 西側主要国の安全保障会議の性格、機能等について資料をただいま持ち合わしておりませんので、米国だけについて御説明させていただきます。  米国については、大統領府のもとにおいて、米国の安全保障にかかわる重要な事項について、大統領、国務長官、国防長官、その他統合参謀本部議長、中央情報局長官等の閣僚から成る安全保障会議がございます。そこにおいて、先ほど申しましたように、米国の安全保障に関する重要な問題について検討するということになってございます。
  80. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 今のお尋ねにつきまして、私の方で調べたことにつきましてお答えさせていただきたいと思います。  アメリカにつきましては、今お答えがございましたので省略いたしますが、イギリスでは、国防問題及び国防に関連する外交政策を決定する機関としまして国防・海外政策委員会という制度を持っております。その場合のイギリスのメンバーは、総理、外務、大蔵、国防、四人になっております。  それから、フランスの場合は、国防委員会というのがございまして、国防の全般的な指導方針をこれまた決定するという機関になっておると承知しております。フランスの場合のメンバーでございますが、大統領、総理、外務、大蔵、国防及び内務という六人になっております。  それから、西ドイツでございますが、連邦安全保障会議というのがございまして、任務としましては、安全保障政策、特に国防及び軍縮、軍備管理等の領域にわたります問題をこれは審議するという機関になっております。この場合のメンバーは、首相、副首相、外相、蔵相、国防相、内相、経済相及び法相、計八人ということになっておるのが概要でございます。
  81. 穐山篤

    ○穐山篤君 アメリカの安全保障会議の場合には、その下にCIAが入っていますね、組織の中にCIAが入っているんでしょう。
  82. 渡辺幸治

    ○政府委員(渡辺幸治君) 正確な資料を持ち合わしておりませんけれども、そういうように私は理解しております。
  83. 穐山篤

    ○穐山篤君 官房長官、今事例が出ましたように、審議をするというところと審議をして決定するというところと二通りあるわけです。今、政府の提案というのは、諮問という意味ですから審議をするという側の方に入るわけですが、これ一遍この法律をつくりますと、将来は、今紹介がありましたように安全保障会議で決めるあるいは国防会議で決める、それはいずれも総理大臣が長になっているから決めることが可能性としてあり得るわけです。そして、重大な緊急事態の認定もそこでやれば、安全保障会議なり何なりで審議をすれば、この程度の話であっても重大な緊急事態というふうに認定ができるわけです。そういう道をあけているわけですよ。そこに心配を我々は持つわけです。いろんな可能性といいますか、将来に向かってその可能性を持っているわけです。今のところは諮問機関だけれども、これは決定の機関に昇格をする可能性も持っているわけです。長官、首を横に振っていますけれども、これは今まで再三そういう例はあったわけでしょう。いろんな法律の改正が、一部改正、一部改正でどんどん改悪をされていった例はたくさんあるわけですよ。こういう、特に国民の生命、財産だけを対象にするということならば意味は十分わかりますけれども、国家というものがこの中に含まれていますから、その意味で私は危惧を抱くわけです。  長官、今私が言ったような心配事、危惧は絶対にないというのは、どういうふうに担保をしてもらえますか。
  84. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 穐山さん、大分御心配をなさっておりますが、そのようなことをこの改正自体が考えておりませんし、審議をしてそして総理の意思決定を適切、的確にやってもらおう。それで、そういう方針さえ決まれば、あとは既存の法体系のもとでそれぞれの所掌に応じてそれぞれの機関が処理をしていくわけでございますから、これはあくまでも諮問機関である、この性格は変わりようはないわけでございますから、御心配のないようにしていただきたいと思います。
  85. 穐山篤

    ○穐山篤君 第三十七回の総選挙、昭和五十八年十二月にあったわけですが、「国の安全保障と防衛体制の整備」に対する自民党の公約というのがあるんです。それはお読みになったことありますか。
  86. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) まことに申しわけありませんが、読んでおりません。
  87. 穐山篤

    ○穐山篤君 実は、目にした人もあるし目にしない人もあるわけですが、一応自民党の選挙スローガン、選挙公約として出されているわけです。  これは、鈴木総理大臣がアメリカに行きまして例の日米同盟というものを確認してきて以来、自民党の中では随分勉強をされておりまして、逐次発展をしてこの公約になったと思うんです。この公約を安全保障の部分で読んでつなげてみますと、官房長官が言っているようにその心配はありませんというようなことは――心配があるんですよ、心配がないというふうに断言をしますと大変なことになるんです。自民党の公約の中にはそういうことは書いてないんです。この中には、「国家安全保障会議の設置」、「スパイ活動の防止」、「住民の防護体制の整備」を初めとして数多くの公約がみんなこの中に書かれているわけです。いや、政府は自民党とは違う、こう言われるかもしれませんけれども、自民党の政策に乗って政府は安全保障会議というものを提案しているわけです。そこで私は、将来、その危険性、心配の事柄がたくさんこの公約の中に載っているから、あるいは散見をされるのであえて食いついているわけです。その点について自信はおありになりましょうか。
  88. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 私は先ほどのお答えで読んでない、こう申したんですが、これは本当はそれではいかぬわけです、私は党員でございますから。したがって、党がお決めになっておる基本方針については、私は党員としてはやはりこれを尊重して考えていかなきゃならぬ、こう考えておるわけでございますが、しかし少なくとも政府としては、各般の事情を考えながら慎重にこういう問題は対応する必要ありと、こういうことで私としてはやっていきたい、こう思います。そこで、 穐山さんが御心配になっていらっしゃるようなことに直ちになっていくというふうには私は考えておりませんし、少なくともこの改正案はそれを頭に置いて考えたものではございません。
  89. 穐山篤

    ○穐山篤君 これは将来の問題になりますから私はあえて申し上げておくんですが、この自民党の公約の中にはこう書いてある。「内閣総理大臣の諮問機関である国防会議を改組し、総合的な安全保障政策を樹立するとともに、情勢の変化に対応して、政府が適時適切な措置をとるため国家安全保障会議を設置します。」と書いてある。これは諮問機関というふうなものであってはなりませんよ、政策の決定機関に国家安全保障会議というものをつくりますという国民に対する公約なんです。自民党員のそれぞれの皆さん方は、この公約を果たそうと思いますと、諮問機関である安全保障会議では、これは公約を実現をしたことにはならないんです。いずれこの諮問機関というものを政策決定機関に昇格させるということが公約になっているわけです。だから私が心配をしているわけです。  こういう公約が全然なくて、自民党の公約が諮問機関として十分機能させていきましょうと公約をしているなら、提案と同じだからその部分では一致をすると思うんです。自民党の公約は、政策決定樹立の機関にする、アメリカと同じような安全保障会議にしていこうということをねらっているわけです。ですから、官房長官が、これはあくまでも諮問機関であります、重大な緊急事態というものはよっぽどでもなければ議題にいたしませんというふうに軽く言っておりますけれども、実はそうは我々がとれない背景があるから聞いているわけです。いかがですか。
  90. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) やはり国の安全を守るということは、私は政治の最大の責任であろうと、こう思います。そういう意味合いから、自民党としては当然こういう問題について、ただいま穐山さんがお読みになったようなことを決めておる、こう思いますが、少なくとも先ほどお答えしましたように、今回のこの法改正はそれを踏まえて改正しておるということではございません。これは一番最初私がるる御説明を申し上げたような趣旨のもとに今回の法改正をお願いをしておる、かように理解をしておいていただきたいと思います。
  91. 穐山篤

    ○穐山篤君 その点について私は重大な関心を持っておりますし、今の答弁では納得できませんので、また改めて午後にでも、あるいは次回にでもそこの部分についてお尋ねをするということにして、切りがいいわけですから、ここで午前の部は質疑を終わりたいと思います。
  92. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 午前の質疑はこの程度とし、午後零時五十五分まで休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ―――――・―――――    午後零時五十九分開会
  93. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、安全保障会議設置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  94. 穐山篤

    ○穐山篤君 安全保障とSDIの関係についてお伺いします。  SDIの研究問題については、ただいまのところ政府はどういう態度を堅持をされているんでしょうか。
  95. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) SDIの問題につきましては、政府としては、現在の段階では、アメリカ側の説明では、これは非核の兵器でありまた防御的なものである、こういうようなことでございますし、そういった趣旨かも政府としては、一応まだ内容がわかりませんから、理解はする、こういう段階にとどめておきまして、先方からの説明も聞くし、同時にまた調査団も出すということで過去三回調査団を派遣いたしまして、その調査団も先般帰ってきましたので、その報告を待って関係の閣僚、これは外務大臣、それから防衛庁長官、それと通産大臣、それと前回から、何といいますか陪席とでもいいますか、そういうようなことで郵政大臣、そして座長は私でございます、科学技術庁長官、これは入っておりますね。こういったような関係閣僚で過去二回、第一回は技術上の側面でございます、それから第二回目は戦略的側面、こういったようなことについてのあらましの説明を聴取したという段階でございまして、まだまだ必要に応じまして、そして制度面等いろいろございますから、十分それらの説明を聞きながら、政府としては、この問題は重要な問題でございますから慎重に対応をしていきたい、これが現時点までの政府の態度でございます。
  96. 穐山篤

    ○穐山篤君 正式に研究参加についての要請をアメリカから受けたんですか、公式に。
  97. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) それは私は受けておると思います、外務当局としては。だから、政府としてはそれは研究しよう、こういうことでございます。
  98. 渡辺允

    ○政府委員(渡辺允君) 事実関係についてお答え申し上げますが、研究参加の問題につきましては、米国のワインバーガー国防長官から安倍外務大臣あての書簡をもちまして、これに参加をするのであれば歓迎するという趣旨のいわば招請が参っているということでございます。
  99. 穐山篤

    ○穐山篤君 そこで、外務省で結構ですが、日本に協力を求めてきたその背景ですね、逆に言いますと日本が、あるいは西ドイツが、さらにはイギリスがということになるわけですが、研究参加の要請を受けたというのは、単に西側の一員だからひとつ参加してくれというふうな単純なものではないというふうに思いますが、この辺の認識はいかがです。
  100. 渡辺允

    ○政府委員(渡辺允君) SDI研究参加に関しますワインバーガーの書簡は、日本だけではございませんで、NATOの同盟諸国、それからその他イスラエル、韓国、オーストラリア等を含めまして相当数の国に出されておるわけでございます。それで、その中で米国政府としては、将来戦略防衛システムを配備する決定を行うことになります場合に、同盟国の安全のことも配慮し、今後数年間にわたって同盟国とはそういう意味で緊密に協調していきたいという趣旨でこのような書簡を出しているということを申しております。
  101. 穐山篤

    ○穐山篤君 私はこういうふうに要請を認識するわけですが、一つは日本のハイテクをアメリカの軍事技術体系の中にぜひ採用したい、一つは日本のハイテクというものを高く評価した。それから二つ目は、いつもアメリカが言うことでありますが、日本のハイテクが、ソビエトなどアメリカにしてみますと敵対をしている関係国に流れることを非常に恐れている、流れないようにさせなければならぬというのが二つ目の理由だろうと思うんです。  それから三つ目の理由は、日本のハイテク産業、平和目的でみんなやっているわけですけれども、あるいは民生安定という意味でいろんな角度の勉強、研究、調査をやっているわけですが、いつ何どき、その日本のハイテクが一つのものに集積をされるおそれがある。これはシーレーン問題で国防長官が、いみじくも日本にそれ以上のことを期待をしない、してはならないということを言った裏側は、こういうハイテクの問題の日本の集積ということ、あるいは転用ということ、そういうことを非常に恐れている、そこでいち早く手をつけておきましょう、こういうことだろうと思うんですが、その辺の認識はいかがですか。
  102. 渡辺允

    ○政府委員(渡辺允君) 私どもの承知いたします限り、米国として同盟国がSDIの研究に参加するのを歓迎するという立場に立っておりますのは、一つは先ほど申し上げましたように、問題が西側同盟全体の安全にかかわることにも将来なってくるということから、緊密な協調を、図っていきたいということが一つございますし、それからもう一つには、ただいま先生御指摘のような高度技術の世界的な英知を集めたいと申しますか、そういう考慮は当然あるものだろうと思っております。  先ほど御指摘の東側に対する技術の流出その他の問題は、ちょっとこのSDI研究参加とはあるいは別のものではないかというふうに考えております。
  103. 穐山篤

    ○穐山篤君 そういうお考えならばそれでも結構です。  さて、そこで、先日、官民合同調査団の報告書が出たわけですが、政府といいますか閣議といいますか、あるいは関係大臣との間ではこの報告書をどういうふうな態度で受けとめられたんでしょうか、その点をお伺いします。
  104. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) やっぱりこの調査の結果が、これは専門家が行っているわけでございますから、その専門家の意見を私どもとしては伺い、閣僚の立場でひとつ理解をしようと、その上で審議をして日本の態度を決めていこう、こういう考え方でおるわけでございます。
  105. 穐山篤

    ○穐山篤君 今まで新聞にはいろんなことが書かれておりましたが、国会でこの問題を公式にきめ細かく取り上げるというのはまれでありますから、外務省にお伺いしますが、外務省、防衛庁、通産省、それから科技庁、郵政省、それぞれの方が調査団のリーダーといいますか、で行っているわけですね。どういう箇所を訪問して、あるいは接触して、どういうお話をされたのか。それから、多分研究所なり国防省の方々が非常に多いんじゃないかと思いますが、接触の過程で日本のハイテクとしてはどういうものが想定をされるだろうかというふうに考えたかどうか、その辺について、ひとつそれぞれの省庁から説明をしてもらいたいと思います。
  106. 渡辺允

    ○政府委員(渡辺允君) 最初に私から全般的なことについて御答弁をさせていただきますと、先般米国に参りました調査団は、初めて民間企業の先端技術各分野の専門の方に御参加をいただきまして、現在行われておりますSDI研究の技術的なテクノロジーの側面を調査したわけでございます。そのような目的から、私どもが参りました訪問先は、全体で十四カ所にわたっております。その中には、まずワシントンにございます国防省の中のSDI機構と申しますか、全体をやっておりますところがございますし、それからほかに関係の米国政府ないし軍の研究機関、さらには幾つかの民間企業、それから大学のたしか研究機関も一カ所含まれております。それで、これらの研究先それぞれにおきまして、それぞれの場所で具体的に研究をしております技術について説明を受け、それから現場を視察してきたというのがまず全体のところでございます。
  107. 筒井良三

    ○政府委員(筒井良三君) 技術担当として私も一緒に調査団の出張をしてまいりましたので、テクノロジー関係のお話をさせていただきます。  SDIといいますものは、よく誤解されるんですけれども、特定のミサイルだとかあるいはSF映画に出てくるような光線の兵器のようなものとか、そういうものを開発しているということではありませんで、一九九〇年代にそういったウェポンそのものの開発、配備の当否を検討するために必要な技術的な資料を提供する、つまり私どもの言うフィージビリティースタディーということをやる段階でありますので、したがって特定のある形を持った兵器というようなものではありませんで、いろいろな分野のハイテクを主に研究しているというのが実情でございます。全体にどれだけの例えば衛星を配備するのか、それが二百個なのか九百個なのか、そういったような全体の基本設計といいましょうか、アーキテクチャーも現在五グループでやっている最中でございます。  それから、SDIOの説明によりますれば、全体の経費のうち約二五%をそういった基本構想的なものに使う。それから六五%を、残り七五%ございますが、六五%は彼らの言葉で言うとアドバンステクノロジー、つまりもっともっと進んだハイテク関係の研究に使おう。それからあとの残りの一〇%は、SDIに関係あろうがなかろうが、とにかく革新的な、イノベーティブな技術であれば何でも研究してみようじゃないかというような、非常にベーシックな基礎技術を志向しているタイプの研究でございます。したがいまして、先生の御質問の、日本でどんな分野が果たしてSDIと合うだろうかというようなことでございますが、非常に具体的な形態を伴わない段階の技術でございますので、当然日本も例えばエレクトロニクスのように基礎技術としてすぐれた分野はあるものと存じております。
  108. 内田勇夫

    ○政府委員(内田勇夫君) お答え申し上げます。  科学技術庁からは、この第三次の合同調査団に担当課長一名を参加させたわけでございますが、今回の調査につきましては、特に民間企業の専門家も加えて意見交渉を行い、現場から直接意見を聞いたということでございまして、技術面にかかる全体像の把握がかなり従来に比べてよくできたと、そういう面で大変意義のある調査であったというふうに考えております。
  109. 奥山雄材

    ○政府委員(奥山雄材君) 郵政省といたしましては、先般の官民合同調査団には加わっておりません。加わっておりませんが、先ほど官房長官から御答弁ございましたように、第二回目の大臣の会議から郵政大臣が参加をしている、出席をしているということでございます。
  110. 杉山弘

    ○政府委員(杉山弘君) 通産省からは、今次第三次の官民合同調査団には課長クラス二人が参加をいたしましたし、また石川島播磨重工業以下二十一社の技術担当者も参加をいたしております。  訪問先等につきましては、先ほど外務省から御答弁のあったところでございますが、調査団の調査結果によりまして彼我の技術的な状況についての現状把握というものがかなり深まったというふうに考えております。  一般的には、我が国の技術はまだ基礎的な段階にあるということでございますが、先ほど防衛庁の方から御答弁ございましたように、エレクトロニクス等、一部の技術分野につきましては我が国も相当高度の水準の技術を持っているということも了解をしているところでございます。
  111. 穐山篤

    ○穐山篤君 調査に行かれたわけですから、いろんなことは勉強されたと思うんですが、一九八三年の三月二十三日にレーガン大統領が初めてこのSDIに関する演説をやったわけですね。その後で国防総省としてはSDIに関する組織機構というものをつくられたわけですが、どういうものが組織されているというふうに勉強されてきたんでしょうか。
  112. 渡辺允

    ○政府委員(渡辺允君) SDIにつきましては、先生御指摘のとおり、八三年三月のレーガン大統領の演説がございまして、それを受けまして米政府部内でいろいろ検討が行われ、その結果、八五年の初めぐらいからいわゆるSDIとしてこの研究計画が始められているようでございます。  それで、組織的に申しますと、先ほどもちょっと申し上げましたように、国防省の中に国防長官直属のSDIオフィスというものができておりまして、これをいわば中心にいたしまして、そのほかは組織として例えば法制的にきちっとつながっているというようなことではないと思いますけれども、軍ないし政府の関係機関がそのSDIの全体的な総合調整のもとに実施機関となっております。それぞれの実施機関がまた関係の民間企業等と契約関係を結びまして、そしてその民間企業あるいは研究機関等で具体的な研究プロジェクトの一つ一つが行われている、おおよそそういう体制になっていると理解いたしております。
  113. 穐山篤

    ○穐山篤君 この報告書は、こういうものを調査したという意味で書かれているのは捜索、捕捉、追尾及び破壊評価、運動エネルギー兵器並びに指向性エネルギー兵器などの研究分野について調査をしたと、こういうふうに言われているわけですが、さてそこで、わかりやすくひとつ説明してもらいたいんですが、運動エネルギー兵器というものはイメージとしてどういうものを想定されていたのか、あるいはアメリカで現に基礎研究に当たっているこの運動エネルギーというものはどういうものを対象にしていたか、これが一つ。それからもう一つは、指向性エネルギー兵器というのはどんなもののイメージであるのか、その点ひとつ、これは技術的なことですから、なにしてくだ さい。
  114. 筒井良三

    ○政府委員(筒井良三君) 当然これは、構想としましては主としてICBMといったようなものを要撃するウェポンの研究になるわけでございますけれども、ウェポンを大別いたしましてSDJの場合にはKEW、カイネティック・エナジー・ウエポン、私ども運動エネルギー兵器と訳しております。それともう一つDEW、ディレクテッド・エナジー・ウェポン、指向性エネルギー兵器と翻訳しておりますが、この二種類に大別してSDIOは説明を行っております。  ただいま先生の御質問の、それはどんなものかということでございますが、運動エネルギー兵器と申しますものは、ちょうど今私どもが使っているようなミサイルでありますとか砲弾でもそうでございます、とにかくぶつかってそのぶつかったエネルギーで相手を壊すということでございますので、ごく簡単に言えばミサイルのようなものをお考えいただいてよろしいかと思います。もちろん核を使うというようなものではございません。  それからDEW、指向性エネルギーと申しますのは、きょう現在考えられておりますのは主としてレーザー、非常に強力なレーザー光線を集光しまして、レンズのようなもので集めまして、そして相手のICBMをその熱によって破壊する、そういったものが主体に考えられている模様でございます。
  115. 穐山篤

    ○穐山篤君 最初に運動エネルギーの問題ですが、ミサイル類だと、こう言われているわけですが、この運動エネルギーの中にはレールガンという電磁波の鉄砲といいますか電磁波の砲ですね、これも含まれているというふうに私どもは勉強しているわけですが、先ほどのお話ではミサイルだけが対象のようになっていますが、私の言ったものはこの運動エネルギーの中に入っているんでしょうか、いないんでしょうか。
  116. 筒井良三

    ○政府委員(筒井良三君) 運動エネルギーの代表的なものとしてミサイル等と御報告申し上げましたけれども、レールガンといったものもそのうちの一つに入っております。レールガンといいますものは、電磁方式によりまして非常に高速に物体を加速しまして、そしてその加速された、今まだ実験では何グラムというたぐいですけれども、加速されたものが相手にそのままぶつかって、それで運動エネルギーで相手を壊す、そういったものの研究も基礎的に行われております。
  117. 穐山篤

    ○穐山篤君 この分野では、既に試作が行われて実験もある程度完了しているというふうに私どもは報告を受けているわけですが、その点いかがですか。
  118. 筒井良三

    ○政府委員(筒井良三君) レールガン方式、そういったものに対して、どの程度のものができるかという基礎的実験は行われていることは確かでございますけれども、とてもとてもそのSDIという目的からいいまして実用になる程度のものとは私ども見ておりません。まだ全く基礎の段階で、さっきちょっと申しましたけれども、数グラムであるとか百グラムであるとか、その程度のものをあるスピードまで加速するための装置の研究、そういった段階でございます。
  119. 穐山篤

    ○穐山篤君 この運動エネルギーの分野に関して、二十一社行かれたわけですが、その二十一社のハイテクの中にはこの種の基礎研究なり応用研究をやっている会社はどこかありましたか。
  120. 杉山弘

    ○政府委員(杉山弘君) 私どもが承知をいたしておりますところでは、今御質問にございましたようなレールガンの基礎的な段階の試作というようなものではございませんで、それに必要とされるような電磁的な問題等につきましては、これは汎用的な技術でもございますので、こういうものについて研究をしているところはその二十一社の中にはございますけれども、二十一社の中にはそういう電磁的な問題について研究をし、ある程度の技術的な水準、蓄積を持っているところもあるということは承知はいたしておりますけれども、ガンそのものの試作とかそういうようなところまで行っているということは全く聞いておりません。
  121. 穐山篤

    ○穐山篤君 それから今度は、指向性エネルギーにつきまして先ほどごく簡単な説明があったわけですが、アメリカの文献を調べてみますと、この指向性エネルギーの研究には三つのチームがあるというふうに聞いているんですが、その点についての調査団の勉強はいかがで促すか。
  122. 筒井良三

    ○政府委員(筒井良三君) 正確に三つの分野というぐあいにちょっと私記憶しておりませんけれども、指向性エネルギーと申しますのは、レーザーでありますとかフリーエレクトロンを使ったそういったレーザーのたぐい、あるいは何と申しましょうか、電磁波だけを使ったようなやり方、あるいは中性粒子を加速してやるやり方と、そういった大きく言って三つの技術分野があることは事実でございます。
  123. 穐山篤

    ○穐山篤君 もう少し技術的なことを伺いますが、エックス線レーザーというものはどういう、素人がわかるようにひとつそこは説明してもらいたい。  それからもう一つは、化学レーザー光線というのも研究の対象に入っているわけですが、これはどういうようなイメージを考えたらいいんでしょうか。  それからもう一つは、粒子ビームという指向性エネルギーの研究がされているわけですね。この三つをわかりやすくひとつ説明してください。
  124. 筒井良三

    ○政府委員(筒井良三君) 初めのエックス線レーザーでございますけれども、今回私どもエックス線レーザーについては特に勉強しておりません。しかし、一般的に言われていることを、私ども詳しく全然聞いていないんですが、一般的文献等で言われているところによりますと、エックス線レーザーというのはすぐ地上で普通の方法で出すことができますが、強力なエックス線レーザーを出すための研究としてアメリカは、核爆発のそのエネルギーを利用しまして、そしてレーザー光線という形にして使う、そういう研究を行っているということは一般的な文献で言われております。  それから化学レーザーでございますが、これはレーザーをつくりますときにいろいろなエネルギーを使ってやるやり方がございます。そのうちとして化学反応を利用してやる、そういった種類のものを化学レーザーと称しております。燃焼してやる方式とかいろいろなレーザーの方式がございますけれども、化学反応を利用しました場合には比較的強力なエネルギーが利用されているというのが今までの蓄積の結果でございますので、そういう意味で応用されて研究されているものと思っております。  それから粒子ビームといいますのは、非常に物を電子とか微粒子的に見た場合に、そういう細かい電子のたぐいのものを加速しまして、その加速したものが、イオンとかマイナスの電気とか普通持っているんですが、そういうものを持っておりますと地磁気に引っ張られて真っすぐ飛ぶことができません。こういったものをどんなに細いものも高速で飛ばすためにもやっぱり千キロ、二千キロ、三千キロの射程が要りますので、そういった細かい電子のたぐいのものを中性化いたしまして、そしてそれを高速で撃ち出すと、そういった研究の一環をやっておりますが、そのたぐいのものを粒子ビームと言われております。
  125. 穐山篤

    ○穐山篤君 この指向性エネルギーに関して、二十一社の中ではこの種の研究、基礎研究、あるいは実際に生産をしているものがあるかどうか、関係している会社があるかどうかですね。もちろん、そのエックス線兵器というようなものをつくっているわけじゃないと思いますよ。その基礎的なものの研究なり試作というものをやっているんだろうと思いますが、関係している会社が二十一社の中にはありましょうか。
  126. 杉山弘

    ○政府委員(杉山弘君) ただいまお挙げになりましたレーザーに関する研究で、国内で私どもが、まだ極めて基礎的な段階でございますが、参加した企業等において行われているものとして承知をいたしておりますのは化学レーザー及びエキシマレーザーでございまして、エックス線レーザーにつきましてはほとんど理論的な研究というぐらいなところにとどまっているんで、したがいまして ほとんどないに等しい、そういう感じを持っているということかと承知しております。
  127. 穐山篤

    ○穐山篤君 アメリカの国防技術審議会というものが一九八三年十月につくられて、それから八四年七月にこの技術チームが一度日本に来ていますね。それから、このときの調査が十分でなかったということで、八月に改めて五つの分野に非常に重大な関心を示したという記録が残っているわけです。この中にはガリウム砒素半導体、それから光電子工学、複合材料、セラミックス、耐熱材、これに重大な関心を持ったわけですが、記録によりますと、アメリカ側は、このうちの中でもミリ波の技術と光電子工学、これに重大な関心を示したという記録があるんですが、そのことはどこかの省で確認ができますか。
  128. 山田勝久

    ○政府委員(山田勝久君) ただいま先生御指摘のように、国防総省関係の審議会がございます。これは民間の方々だけで成り立っている審議会でございます。この方々が日本に参りまして勉強いたしましたのが一昨々年だったと思います。その結果が一昨年発表されておりまして、その中で十六分野、例えば先生お挙げになりましたガリウム砒素素子あるいはミリ波、それから複合材料ですとか生産技術ですとか、いろいろやや幅広い分類で言いまして十六分野につきまして関心があるという報告をその中でいたしているわけでございます。  それに続きまして、今度は国防総省の科学技術関係の担当者から成る調査団がやってまいりました。これは、先生御指摘のように、やや補完的な調査も含めまして二回参ってきているわけでございます。この国防総省の科学技術者から成る調査団の対象は、先生御指摘のようにミリ波と光電子工学の二分野でございます。
  129. 穐山篤

    ○穐山篤君 その報告書を少し読んでみますと、幾つかの会社名が挙がっているわけですね。その会社名の挙がっている中で、どういうものを研究しているか、どういうものに関心を持ったかというので、いろんなものを取り上げておりますわ。例えば半導体のレーザーであるとかガスのレーザーであるとか、いろんなものがこう挙がっているわけです。その挙がっているものをチェックをしてみますと、今度の指向性エネルギーあるいは運動エネルギーに想定される兵器の基礎的なものに該当するものが非常に多いという感じを持ったわけですが、その点はいかがでしょうか。
  130. 山田勝久

    ○政府委員(山田勝久君) 私ども防衛庁がやや幹事役になりましてこの二種類の調査団を受け入れたわけでございます。そして、私どもの技術研究本部あるいは通産省あるいは民間企業数社の方々との意見交換を行っていったわけでございますが、その様子、あるいは私ども一年に二回アメリカの国防総省の担当者と私議長になりまして装備技術定期協議というものを行っており、そこの場でもこの調査団の結果報告というのが向こうから報告されたわけでございますが、その段階では私の承知している限りSDIという言葉自身は一回も出てまいっておりません。私どもがこの調査団の関係者あるいは私のカウンターパートである国防総省の次官代理は、このSDIOという先ほど外務省御説明のSDI機構とは直接関係ない部署になっておりますこともあろうかと思います。SDIという言葉は出てまいっておりません。  しかしながら、今先生挙げましたミリ波ですとかあるいは光電子工学関係のもの、ガリウム砒素素子その他でございますけれども、これは多分に汎用的な技術でございまして、私どもの防衛技術のみならず汎用技術、一般に民間でも使用されまた使用されるであろうものでございます。したがいまして、私ども、今このSDI関係の技術というものはどういうものであろうかということを先般来の調査団等々で勉強をいたしている最中でございますので、その中で汎用技術としての今先生御指摘の関連技術が通常兵器、民間技術とともにあるいはSDI技術の一つの基礎として使用されることになっているかもわかりません。多分に今話題になっておりますミリ波ですとかガリウム砒素ですとか、いろんなものは多分に汎用技術的な要素の多いものだと私は承知いたしております。
  131. 穐山篤

    ○穐山篤君 三回調査、勉強に行っているわけですが、このエックス線レーザー兵器について地下核実験を行ったという記録があるんですが、その点は勉強をされてきたでしょうか、あるいは確認をされたことがあったんでしょうか。
  132. 渡辺允

    ○政府委員(渡辺允君) 私どもの調査団ということで申しますと、調査団といたしましては、日本でどういう技術があるかということとの関連も勘案しながら具体的に技術の調査をいたしたわけでございまして、先ほど御答弁あったかと思いますが、そういう意味でエックス線レーザーそのものの技術については調査をいたしておりません。  それから、先生御指摘の点につきましては、私ども米国がそのエックス線レーザーの研究をしておるということは当然承知しておるわけでございますし、それがどういう意味で行われておるかということにつきましては、米国政府がいろいろな機会にこれは説明をしておるところでございますが、第一に、まずSDIとの関連で申しますと、SDIというものはあくまでも核でない非核の手段を用いて防御的なシステムをつくるということでやっているんだということでございまして、しかし、とすれば何でエックス線レーザーの研究をしているかということでございますが、それにつきましては、米国としてはそういう核爆発といったような要素をSDIに利用するという観点から行っているということではなくて、むしろソ連の方でいわゆるエックス線レーザーと言われるたぐいのものの研究をしておりますので、それが一体どういう意味を持つものであるのか、どういう影響を持つものであるのかということを見きわめた上でその対応を考えなければならない、そういう観点からやっているという説明を従来から一貫して受けておるわけでございます。
  133. 穐山篤

    ○穐山篤君 冒頭に官房長官が非核防御的、こう言われた問題について今説明が、補足がされておりますけれども、ここは後で少し議論をしたいと思っております。  私の勉強している範囲でいいますと、このエックス線レーザー兵器はネバダの実験場で三回行われているわけです。ソビエトのゴルバチョフの核実験の停止という問題に対してアメリカがそれにお答えのできない問題の一つにSDIのかかわり合いがあるわけで、今も申し上げたように、一九八〇年の十一月に第一回の地下実験が行われて以来三回やられているわけです。ですからアメリカは、世界の世論が核の実験だとか地下核実験をやめてくれ、こういう国際世論があったにしてみてもやめない理由がここにあるわけです。SDIにかかわるいろんなエネルギーの研究は、核を伴うものですからどうしても地下で実験をしなきゃならぬ、こういういきさつがあるわけです。  そのほかに、アメリカとすれば戦略的なことがあって、核実験は停止はしないということを言わない理由もあるんだろうと思いますけれども、ここのSDIにかかわる研究だけでも地下核実験をしなければならぬ状況にある。私は賛成しがたいわけですけれども、そのことを指摘をしておきたいと思います。国会で核に関する決議を幾ら行っても、これはアメリカは自粛をしない、あるいは自制をしないというものの理由にSDI研究が絡んでいるということを十分認識してもらいたいと思います。  それから、今非核防御的という話がたまたま出ましたけれども、このエックス線レーザー兵器は核爆発のエネルギーを利用するというところにこのエックス線レーザー兵器の特徴があるわけです。ですから、単純にこれは非核であるというふうな考え方では、とらまえ方では正当な認識にはならない、こう思いますが、いかがですか。
  134. 渡辺允

    ○政府委員(渡辺允君) 私どもの理解しておりますところでは、SDIという名前で現在行われておりますことはあくまでも関連技術の研究計画でございます。それで、その研究を進めました上でさらに戦略防衛のためのシステムを開発したり、あるいは配備したりすることになるのかどうかというのは、その研究の結果をも踏まえた上で、さらに一九九〇年代の半ばぐらいまでの間にそういう決定を行うというふうに、アメリカ政府の政策は今なっておるというふうに私どもは理解をいたしております。そのような前提のもとで非常に幅の広い研究が各種の手段について行われておりますし、それの全体を指導する考え方と申しますのは、たびたび申し上げますけれども、非核の手段によって防御的システムをつくりたいということでございますし、それからエックス線レーザーについて特に研究をしておりますのは、むしろ相手方の仮にそれが使用されたようなことになった場合にどういう影響があるのかということを研究するためにやったようなことであって、これをSDIに利用するということを主たる目的にしてやっているものではないというふうに私どもは理解をいたしております。
  135. 穐山篤

    ○穐山篤君 いろんな基礎研究を、アメリカは今六つの委員会でそれぞれ部会が持たれているわけですが、当然それは基礎研究をやりまして、SDIに採用できるものと採用できないものはいずれかの段階で整理されると思うんですね。それまではいろんな試行錯誤を含めて研究がされる、こういうふうに思うわけですが、その試行錯誤の中の指向性エネルギーのメカニズムなりシステムを勉強してみると、必ずそれは核の爆発のエネルギーというものをどういう形で使うかという使い方の違いが少しずつあるぐらいのものでありまして、破壊の原理は全部核爆発のエネルギーを利用するというところに全部集中されているわけです。ですから、簡単にこれは核ではない、まあ防御の問題はまた別に言いますけれども、核ではないというふうな単純な認識でSDIなりあるいは基礎研究をとらまえてもらうと大変な過ち、危険を冒す、こういうふうに思いますが、技術的分野ではどうでしょうか。
  136. 筒井良三

    ○政府委員(筒井良三君) 先ほど御議論を賜っておりますエックス線レーザーの研究、これだけが核弾頭の爆発を伴ってそのエネルギーをエックス線レーザーという形に変えて使用しているものと知っております。しかし、ほかの全指向性兵器、化学レーザーでも、自由電子レーザー、フリー・エレクトロン・レーザーと申しておりますけれども、そういったものでも、エキシマレーザーでも、すべて核爆発を利用するものではありません。それは確実にわかっていることでございます。もし核爆発を利用してこういったICBMを要撃するというようなことを考えるのでしたら、きょう現在モスクワのそばに配備しているABMはそうでございますけれども、これは技術的に難しいことではなくなっちゃうんですね。そういうものを利用しないでどうやって非核の方法で直撃して相手を壊すか、そういったところにSDIの高度の技術の難しさがあるわけでございまして、すべて核爆発を伴わない方法で現在研究が進んでおりますということは申し上げられると思います。
  137. 穐山篤

    ○穐山篤君 というように皆さんは理解をしたいという気持ちですよね。実際アメリカのこの六つの委員会が、六つの部会が勉強しているものの勉強の課題を見ると、それは非核の部分もありますよ。ありますけれども、核のエネルギーをどうやって活用するかという研究もしているわけです。ですから、余り好意的に物を見るんでなくして、客観的に正確に物を見てもらいたいというふうに思うんです。  さて、そこで防衛庁長官に伺いますが、SDIというものについての閣議の決定というものがあるわけではありませんから、これは個人的な見解になるだろうと思いますけれども、SDIというのは抑止に使われるんですか、よく言っておりますね、力の均衡とか抑止とかいろんなことが言われるわけですが、このSDIの終局的な目的、これは何に使おうとするのか、抑止の分野の中の一つの武器である、そういうふうにお考えですか、あるいはそうではないと、何かその辺についてのお考え方はあるんでしょうか。
  138. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) どちらかといえば外務省の方からお答えいただいた方がいいと思いますけれども、レーガン大統領及びそのプレーンの人たちがこれまで述べてきたことは、相互確証破壊、MADの世界から相互確証生存、MASの世界へ移行しなければならない、またその移行できるようなことができないかということを構想として研究してみるということであろうと思います。  先ほど言いましたように、お互いに確実に破壊できるということでもって均衡がとれていることが本当に人間の世界の中でヒューマンな、人間的なことなんであろうかということが昨年のレーガン大統領の第二期目就任演説の中で述べられておりますけれども、アメリカ自身が現在MADに基づいて核戦略を立て、またMADの理論自体もアメリカの中で出てきたわけですけれども、そういった中で相互確証生存の世界への道を何とか探ってみたいということにつきましては、私たちはひとつ戦略面でも論議に値するポイントではないかということで、今政府部内でいろんな議論をいたしているところであります。  ただ、そういうことが果たして本当に可能なのであろうか、またその移行期においてどのような戦略面に影響を及ぼすのか、そういった種々のことについて慎重な検討を日本政府の立場ではしなければならない、時間をゆっくりかけて慎重に検討しなければならないポイントが幾つかあるのであろうと思っております。
  139. 穐山篤

    ○穐山篤君 去年の五月二日に中曽根・レーガン会談が行われたわけですが、そのときにSDIについての理解をするといった五つの考え方があるわけですが、これは今でも政府の方針としては変わっていないんでしょうか。
  140. 渡辺允

    ○政府委員(渡辺允君) そのとおりでございます。
  141. 穐山篤

    ○穐山篤君 変わっていないということになりますと、私読み上げてみますが、一つはソ連への一方的な優位を求めるものではない、二つ目は総合的な抑止力の一環である、三つ目は攻撃核兵器の大幅削減を考えるものである、四番目が弾道弾迎撃ミサイル制限条約の枠内とする、それから最後に配備の際はソ連とも協議をする、こういうことになっているわけですが、戦略的に言いますとこれは抑止力に働くと、中曽根・レーガン会談の五つの項目を総称してみるとそういうふうに理解ができるわけですが、そういう考え方でいいんでしょうか。
  142. 渡辺允

    ○政府委員(渡辺允君) 抑止力の問題につきましては、先ほど防衛庁長官から御答弁ございましたように、アメリカとしては、やはりアメリカの全体としての戦略の基礎は常に戦争抑止にあるということと私ども理解いたしております。それで、抑止が現在の段階におきましては、いわば攻撃用の手段と申しますか、相手に対する報復力を相互に持っているということによって抑止が保たれているという状態でございます。  それで、このSDI研究を進めるに至りました米国政府の基本的な物の考え方と申しますのは、その抑止をむしろそういう攻撃的手段によってではなく、防御的手段をお互いに持つことによって有効に働かしていきたい、そういう考え方に立っているというふうに理解をいたしております。
  143. 穐山篤

    ○穐山篤君 よく総理は、予算委員会でもあるいは本会議の答弁でも、力の均衡、それから抑止が働くということを言われるわけですが、最近核戦略論の基本概念として力の均衡とか抑止という言葉が出るわけですけれども、歴史的に言いますと、必ずしも力の均衡とか抑止というのは、今様の話としてはわかりますけれども、戦後四十年の歴史の中では余り使ってこなかった言葉ですよ、一九六〇年初めぐらいまでは率直に申し上げてアメリカの方が軍事的には優位であった。そのときには力の均衡とか抑止という話は全然出てこなかった。最近六〇年から七〇年にかけ、それから八〇年の今日的には力の均衡とか抑止という話になってきた。  そのことを歴史的に見て、アメリカが優位であった時代があったわけですから、その優位であったときに、力の関係をそこできちっと整理をしておきさえすればこういう問題は理屈上起きなかったはずなんです。このSDIの研究開発に対してソ連の主張を一言で言うと、今ある核ミサイルの数をたくさんふやす、それでSDIに対抗する、こういうお話がしばしば聞かれるわけですが、そのことについてはどういうふうに認識をされますか。
  144. 渡辺允

    ○政府委員(渡辺允君) 米国がSDI研究を進めますに当たりまして、その一つの基本となっておる考え方の中に、日本語で申しますと限界費用対効果という考え方がございます。これはもう一つ残存性という考え方と並びまして、一つの戦略防衛システムを配備するに当たっての基準というふうに米国は考えておるものというふうに理解をいたしております。この限界費用対効果と申します考え方は、防御用の兵器をいわば一単位ふやしますために必要な費用と、それを凌駕するために攻撃的な手段を一単位ふやすための費用とを比較いたしました場合に、攻撃用の手段をふやすための費用の方が高くかかる、あるいは逆に申しますれば防御用の手段をふやすための費用の方が安いという状態でなければならないということでございます。これはそういうふうにいたしますことによって、いわばシステムそのものの性格として、先生御指摘のような防御的手段に対して相手方が攻撃的手段をふやすことによってその軍備拡張が進むというような状態を避けることにしたい、そういう考え方から出ているものというふうに理解をいたしております。
  145. 穐山篤

    ○穐山篤君 私の伺っているのは、アメリカはSDIのスターウオーズ計画を進めようとする、ソビエトは、それは宇宙まで核戦争を拡大するのはよくない、直ちに中止すべきである、こういうことを常に声明しながら、もしアメリカがSDIの開発をするならば、ソ連としてはICBMを含めて数たくさんのミサイルをつくって対抗する、こういうふうに核の拡大の競争になる可能性を持っているわけですね。そのことについて日本政府はどう認識をされているんでしょうかと、こう聞いているわけです。
  146. 渡辺允

    ○政府委員(渡辺允君) まず、米国がこのような戦略防衛システムを考えたいとしております考え方の基本は、例えば今申されましたような限界費用対効果の考え方を取り入れる、あるいは先ほど御指摘の中曽根総理とレーガン大統領との間で確認をし合った五つの原則の中に、開発、配備をするに当たってはソ連とも交渉をするという考え方がございますし、さらにSDI研究を進める目的がソ連に対する一方的優位を求めるものではないということもございます。こういうところにあらわれておりますように、私は、アメリカ側としては、いずれにいたしましてもお互いがいわば防衛的な手段を備えることによって安定的な戦略関係を両者間につくりたいという考え方に出ているものであり、そういうふうになることを希望もしており、またそれが可能になるような考え方をとっているというふうに考えております。
  147. 穐山篤

    ○穐山篤君 私ども原爆の洗礼を受けた国民とすれば、戦争をしてもらっては困るし、戦争してもよくないし、それから特に核の問題については我々は非常に敏感な感情を持っているわけです。それから、地理的な条件から考えてみて、日本の状態というのは、仮に不測の事態があったときに日本は全く無関係ではない地理的な条件にあるわけです。  そういうことを考えてみた場合に、対岸の火を見るんでなくして、このSDI研究開発がどんどん進むということは、片方では抑止と言っているけれども、私は必ずしも抑止という説には賛成しがたいところがありますけれども、ソ連はICBMを含めましてどんどんミサイルを拡大していく、核競争が拡大をしていくということを意味しているわけです。そのことについて官庁は官庁としての考え方があるんでしょうが、政策として日本の平和目的から考えてみてそれはどういうふうにお考えでしょうかと、こう聞いているわけですよ。
  148. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) それぞれの抑止の理論もございますし、人間の争いの歴史もいろいろあろうかと思いますが、その中で大ざっぱに考えてみますと、いわゆる軍事力の発展をいろいろ考えると、どうも守る方と攻める方の相互のシーソーゲームみたいなものの中で発展してきたように思います。例えば立派な戦車をつくりますと、そしてその戦車にかなり質の高い鉄板なんかを使用いたしますと、またそれを打ち抜ける火器を一方では開発するというような歴史をずうっと続けてきたわけで、ある意味では人間の争いの歴史は盾と矛の相互の開発合戦みたいだったというところがあろうかと思います。  そして、全般的に言えば、従来はその盾の方はなかなか開発が難しくて、そして攻撃兵器の方の発達が促進されてきたように思います。そしてまた、中途半端に盾をつくろうとするならば、それはそれを打ち抜くより強い矛の開発を促進するから、その盾の開発合戦というものが本当にいいのかどうかという議論は過去二十年ぐらい世界の中でもいろいろなところで議論されておりますし、現在のSDIに対する米国内の反対論の中にもそういう部分が非常に根強くあることは承知しております。  今、先生がおっしゃいましたソビエトのその表現は、多分まだ正式の政府見解という形では出ていないと思いますけれども、イズベスチヤかプラウダか何かの評論員の一つの形としてそういうのが多分出ているんじゃないかなというような推測をいたします。そういう論点が出てきても、それらは米国内にもありますし、我が国内にも非常にあるわけでございますから驚くには足りないことであろうと思っております。  そこで問題は、その盾の開発を進め、そしてもういかなる攻撃兵器力もかなわないほどの盾の開発をしようとする今度のSDIというものが本当にフィージブルなのであろうか、こういうことが私たちの一番の関心なのではないかなと思います。もし、そういうものが非核で、防御で、そして核の廃絶を最終的に目標とするものという形で本当にできるならば、その構想というものはかなり評価に値できるものでなかろうかと思いますけれども、それが本当にそうなのだろうか、そしてその技術開発に伴いましていかなる問題点が起きて、それぞれの国家間の利益に合致するか、そういったところを総合的に判断することが必要ですし、またそれができるようになる場合までの過渡期の間にどういうことが起こり得るのか、現在の核戦略にどういうような影響を及ぼし得るのかというような種々の論点が今私たちの前に提起されていると思います。  私たち防衛庁といたしましても、その辺につきまして十分なる結論はまだ持っておりませんけれども、各論点について研究を進めていきたい、こう思っております。
  149. 穐山篤

    ○穐山篤君 政府の公式態度はまだまだ研究の段階だということですからそれ以上言わなくてもいいと思いますが、私どもが勉強している範囲でいうと、核の拡大のために手をかすような結果になるというふうに思います。  少なくとも、このアメリカのSDIの研究計画を見ますと、二つの委員会が持たれているわけですね。技術研究の委員会というのが一つあるわけです。それから安保戦略研究委員会というのがあるわけです。その下にそれぞれの委員会がありまして、委員会に対して諮問をみんなしているわけです。その諮問している内容を見ますと、核ではないというふうに言い切れない部分があるわけです。それから、防御でなくて攻撃的分野も含まれているわけです。その意味で政府としてはもっともっと慎重に研究をしてほしい。業界のように、この共同研究に入ればうまく我が社の産業にハイテクに活用できるというふうな損得勘定でやるようなことがあってはならぬと思うんです。もっと日本の国益とか国民の安全とか、あるいは世界の平和といったような観点から業界といえども対処すべきであろう、こういうふうに思います。その意味で私どもとしては、このSDI研究に日本が参加をすることは絶対にいけない、まずい、そういうきょうは態度の表明をしておきたいと思います。  時間がありませんので、あと二つだけお伺いします。  一つは、西ドイツとアメリカの間におきましてSDIの協力問題について二つ協定が結ばれております。この二つの協定を、一条一条でなくて結構ですから、一つの協力協定にはどういうことが書いてある、もう一つの協定には何が書かれていますということだ付概括的にひとつ説明をしてください。
  150. 渡辺允

    ○政府委員(渡辺允君) これまでSDI研究参加に関しましては、イギリスとアメリカの間にSDI研究参加に関する取り決めが結ばれておりますのと、アメリカと西ドイツの間に今御指摘の二つの取り決めが結ばれておるということでございます。それで、この取り決めはいずれも不公表ということになっておりますので、内容の詳細は私どもも承知いたしておりませんけれども、西ドイツの場合、片一方のSDIの研究参加に関する取り決めにつきましては、SDIについての研究参加にかかわる幾つかの原則的な問題といいますか、大枠の問題が規定されておる。もう片一方の方の取り決めにつきましては、もう少し一般的な技術交流に関する規定が置かれていると、そういうふうに承知をいたしております。
  151. 穐山篤

    ○穐山篤君 我々が知っている範囲でいいますと、一つはSDIの研究協力に関する協定ですね。それから、二つ目は技術移転に関する協定なんです。ここで看過してはならないと思いますのは、特許権の問題と利用権の問題と、それから守秘義務といいますか、秘密保持の問題ですね。非常に大事なことがこの協定の中にも盛られているわけです。これは将来、まあ日本であろうがどこであろうが、SDIの共同研究に参加をしようと思いますと、この二つの協定がひな形になる。  そこで、米国と西ドイツとの間には不公表ということになっていますけれども、SDIの研究をどうしようかこうしようかという話になれば、いや応なしにこの協定というものを十分に勉強しなきゃならぬ、こう思うわけであります。そういう意味でくどくも辛くも聞いているわけです。いかがですか、その中身。
  152. 渡辺允

    ○政府委員(渡辺允君) 私どももSDI研究参加の問題について検討をいたしてまいります過程で、ほかの国との間でどういうことが行われているかということを一般的に言って調査研究いたしますのは当然のことと考えておりますので、その限りにおいてはいろいろの努力をいたしております。ただ、先ほど申し上げましたように、協定そのものにつきましては、それぞれアメリカとドイツ、アメリカとイギリスの間で不公表にするという合意をいたしておりますので、私どもいわば第三国の立場になりますもので、それについてはそれなりの限界があるということは御理解をいただきたいと思います。
  153. 穐山篤

    ○穐山篤君 官房長官もあるいは防衛庁長官も、米国と西ドイツの間のSDI研究協力に関する協定は知っているんでしょう。外務省から説明はされているんじゃないんですか、全く御存じないんですか、いかがですか。
  154. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) これはまあアメリカと西ドイツの間のことですし、しかし事柄は重要ですから、日本としてはできる限りのこういった問題についての諸外国の対応をこれはやっぱり調べなければなりませんけれども、何しろこれ両国の間で発表しないと、こうなっているものを私どもが承知するわけにいきませんし、今日まで私は全く聞いていないのが実態でございます。
  155. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) それぞれの国が発表いたしておりませんので、官房長官が申されましたように私たちも存じません。ただ、いろいろあちらこちらでそれについての推測や報道がされておりまして、そういうものにつきましては私たちも目を通しております。
  156. 穐山篤

    ○穐山篤君 いろいろなものを目を通しているということは知っているということでしょうね。  それで、知らないなら知らないでも結構ですが、先ほど申し上げましたように、秘密保持の問題ですね、それから特許権の問題、利用権の問題、これが協定文の中に入っていると私どもは勉強しているわけです。そのことだけをもってSDIの研究参加はいけないと言っているわけではありませんけれども、政府がこれから慎重に検討する場合に、あらゆる分野のものを勉強して慎重な態度を決めなきゃいかぬ。そういう意味で、この一例として今の協定の問題を取り上げてきたわけです。十分にひとつ心してもらいたいと思います。  それから最後に、これは防衛庁になりましょうか。昭和六十一年度予算が成立をして今執行の段階にあるわけです。アメリカから装備品を購入する計画が幾つかあるわけです。昨年の暮れ予算を決定したときの為替相場と今日ではかなり格差があるわけです。どのくらい格差があるのか。あるいはまた、円建てであるのかドル建てであるのかによっても違いがありますけれども、通常ドル建てだと思うんですね。そうしますと、ドル安、円高の影響というのは防衛庁にも相当あると、こう思うわけです。その金額を、大ざっぱな計算で結構ですが、数字をひとつ挙げてもらいたい。
  157. 池田久克

    ○政府委員(池田久克君) 六十一年度予算につきましては、ドル建ての問題の場合でございますけれども、支出官レートで二百九円に設定をしております。これは六十年度二百三十七円でございますから、歳出化も含めまして可能なものにつきましては全部二百九円でセットをしております。六十一年度の契約は基本的にはこれからでございまして、六十一年度いっぱいどういう為替水準になるか、なかなかわかりにくいことでございます。しかしながら、我々の外貨建ての契約につきましては、大筋に言って三本立てでございます。  一つは、FMSと申しましてアメリカ政府から直接買います。これは、支出官レートで我々は日本銀行に支払いまして、日本銀行が時価相場で処理してまいりますから、余りましたら、それら雑収入として大蔵省の方に日銀から入ることになります。我々は、その数字については関知をいたしておりません。  第二の問題は、一般輸入でございます。これは、基本的には時価相場で今後契約してまいりますから、そこで差が出れば補正の段階だとかあるいは年度末の決算で精算をいたします。  第三の問題は、国内のメー力ーに発注するものの中に外貨建てがあるものであります。これもまさに長期にわたるものでございますから、非常に、六十一年いっぱいの為替だけじゃなくて向こう五年間ぐらいの為替の検討をしなきゃいかぬものもありますし、短期的に判断できるものもございます。したがいまして、これにつきましては、長期にわたるものにつきましては基本的には支出官レートでやる以外に相手が応じてきません。それから、それ以外のものについて、話し合いができるものについては極力時価相場で今後やってまいる。これについても同じようなことで、補正とか決算で整理してまいります。  いずれにいたしましても、この三つのいずれの外貨建てにつきましても、制度上は千ドル以下は特約をつけないことになっていますけれども、事実問題としまして、防衛庁としては、すべての契約に特約条項がつきまして、もし差益が出ればそれは支払わないということで相手も納得しております。しかし、先生が御質問の具体的に六十一年度の為替相場を幾らと設定するかと、今は御承知のように百六十五円前後でございますけれども、仰せこれから一年長いわけでございますので、これから幾ら出るかという点については定かにお答えできないのが実情でございます。
  158. 源田実

    ○源田実君 先ほどからスペースプレーンの話も出ておりますが、このスペースプレーンというのが相当な、相当じゃない、大変なことになるんじゃないか。大変なという意味は変化をしておるという意味です。それで、これは政府の方で、スペースプレーンというものによって世界的な戦略戦術がどう変わっていくか、こういうことをどうお考えになっておるか、ちょっとお聞きしたい。
  159. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) レーガン大統領が提唱いたしましたスペースプレーンの構想の具体的内容につきましては、私たちまだ十分に承知いたしておりませんし、またアメリカ自体もまだ具体的な絵がかけていないのではないだろうかなと、こう思っております。ただ、私たちの国としては、防衛力整備をする際に、また防衛の政策を考える際に、やはり節度のある、小さなものであるけれども諸外国の技術的な動向には呼応したものを質の向上という形でやっていかなきゃならぬと思っておりますので、今後ともそれぞれの動きにつきましては、関心を持って情報を集め研究していきたいということしかまだ申し上げられない段階でございます。
  160. 源田実

    ○源田実君 それと諸外国の今後とる方策、これを参考にしてやっていこう、こういう意味ですね。そのとおりですか。
  161. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 参考にしていこうと申しますか、諸外国の技術的な変化というものを十分に考慮に入れて、その前提で我が国がどういった防衛政策及び防衛力整備をしたらいいか考えていかなきゃならぬことだというふうに思っております。
  162. 源田実

    ○源田実君 ここでちょっと私の考え方を申し上げたい。  というのは、スペースプレーンというのは大気の中も飛べれば大気の圏外も飛ぶんです。そうして、今までの飛行機は大気圏内の相当低いところなんです。ところが、このスペースプレーンはずっと上で大気圏外まで飛べる。そうすると、もし今までのジェット機、そういう最高性能を持った戦闘機がスペースプレーンを撃墜しようとして行っても、スペースプレーンがちょっと高度をとったら官公の方が墜落するんです、何にもしなくても。墜落というか、もう操縦性能を失うんですよ。戦にならない、全然。ねらわれるだけなんだ。決定的な差がそこへ出てくる。  ただ、ここで政府にこれはお聞きしたいのは、今でもまだ宇宙空間は軍事的には利用しないというあれは生きておるんですか。
  163. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) それは国会の決議でありますけれども、私たちはその点につきましての国会決議を守ってまいりたい、こう思って考えております。
  164. 源田実

    ○源田実君 そうすると、極端に言うと、今持っておる航空兵力というのは役に立たなくなるんですよ、スペースプレーンが出てくると。自分もつくって彼らと競争するんならばこれは守っていけるでしょう。しかし、スペースプレーンに対して在来の飛行機では対抗できない。  これは私はいろんな経験があるんですが、戦争前に海軍で、今までの戦艦は今度の戦には役に立たないからやめなさいという意見を随分言ったんですよ。ところが、とうとう半気違い扱いにされて、あれをやめない。源田は気が狂ったというわけで。ところが戦になったらどうなんです。あの戦艦が一隻でも船を沈めたのか。燃料だけ食った、あれは。しかし、今それと同じような段階が、このスペースプレーンによって世界戦略が大転換してくる。  ここで総理もおられないことであるし、どうやるなんということも言えないと思うんですが、私の希望としてはあの問題をもっと用兵家にも十分に研究させて、そして必要ならば、必要に決まっておるんです。だから勝手に自分の手足を縛ることが非常に好きなんですね、日本の政府は。GNPの一%とかあれやこれや、ここから先はこれができなければどうにもならないのにそこに縄をかける。このスペースプレーンが同じような縄に縛られて使えなくなる。これはここで転換しなきゃならぬと思うんですよ。そうすると、今まで持っておるどんな新しい戦闘機といえども対抗できないんです、飛べなくなるんだから。  これについて、結論を今求めても仕方がないと思いますが、ひとつ総理ともよく相談されて、十分に研究して転換すべきなら思い切って転換する、こういうことをしていただきたいと思います。いかがですか。
  165. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 宇宙空間を軍事的に利用することを控えようという国会の決議は、いろんな意味で今後とも守ってまいりたい、こう思っております。そして、恐らくそれを提起されました国会の御意思というものは、宇宙空間を戦争の場にしたくない、そしてまた一方には、いろんな先端科学技術というものが今後どうなるだろうかというようないろんな当時の惑いもあったのであろうかと思っておりますが、昨年度私たちは通信衛星利用につきましていろいろ御議論をいただいたわけでございます。その際私たちは、その機能が一般に使われているような形での衛星の利用は、我々自衛隊もお許しいただいていいのではないかということで御理解をいただいたわけでございますけれども、今後とも私たちは、科学技術の進歩とそれから私たちの節度のある防衛政策の調和点を考えながら、諸外国及び我が国の技術的な向上に合わせて防衛政策を考え、防衛力整備を進めてまいりたいと思っております。
  166. 源田実

    ○源田実君 この問題は、私は大気とそれから宇宙空間との境目ぐらいまで行ったんです、ジェット機で。これはどういうことかというと、ジェット機でこれはアメリカの上空、日本は狭いからできないんですが、上空でやったんですが、音速の二・何倍か出して、そこで上げかじをとってどこまで上がるかやるんです。そうすると、私が上がったのは十万フィート、そこへ行くともう飛行機の操縦ができなくなるんですよ。エンジンはとまる、飛行機の操縦はもうきかない、そして墜落するんですよ。墜落はやらぬです、私は。そして、空気が厚くなってくると今度は自分でエンジンかけておりてくる、こういうことになるんです。それが現実に今の状況でいくとはっきり、私はうそは言いません、はっきりそんな目に遭う。これは十分検討して、もう全然在来の飛行機とか兵力は役に立たないような、立たないでもスペースプレーンでやっていけるんならいいんです。そこらのところは特別研究していただきたい。  次には、実はこういう問題がいつでも出されて、最もみんながこれを合理的のような気持ちを持つのは、勢力が均衡するとこれは平和につながるように言っているんですね。甚だどうもおかしい。これはアメリカがそうなんです。ソ連もそうだ。私は違うんです。大体均衡勢力というのはミューチュアル・アシュアード・ディストラクション、これを頭文字だけとればMADということになるでしょう。MADというのは気違いということなんですね、頭文字だけとれば何でそんなにあれが好きなのか。大体均衡がとれておるからこそけんかやるんですよ、勝つかもしれない。一方が絶対強くて一方が絶対弱いならもうけんか起きない。それで、強い方が侵略をやらなければ世界は平和なんです。考え方間違えておる、アメリカも含めて。ただ、議会答弁ではこれで均衡がとれている、非常に調子がいいんですね。あのことは非常に危ない。  野球でもそうでしょう、たくさんの人々が見に行くのは均衡がとれてどっちが勝つか。相撲でもそうですよ、梅常陸とか均衡がとれておったからみんなあれを余計見に行った。一方が勝つに決まっておるなら初めから金なんか出して見に行かない。  我々が求めるのは、相手が手を出したら自分が負けるぞという体制をつくる、こういうことにあるかと思うんです。ただ、それは何もむやみやたらに金を出してたくさんつくれという意味じゃないんです。行き方はほかにあると思う。  それはね、自分ばっかりしゃべっちゃぐあいが悪いんですが、非常にいい例がある。まだ私が生まれるより大分前ですが、五条の橋の上で弁慶と牛若丸が試合をした。弁慶がなぎなたで切ってかかった。ところが牛若丸は太刀一つ抜かない、扇子をちょっと投げただけなんですね、来るのを全部受けてやる、彼がやったことは。どっちが勝った。牛若丸は勝とうと思ってなかった、負けないようにしょうと思った、負けないようにやった。そうして、最後は疲れ切った弁慶がとうとうあの橋の上で手をついて謝って、家来にしてくれ。それでその後は、義経に対してこのぐらいいい家来はないというようないい家来になった。これが私は、勝つ者が相手を痛めつけないで、相手がみずから自分の家来になるとか仲よしになる、こういう形に持っていくのが一番いいと思うんですよ。  それをどういうぐあいに言っているか。日本の武士道、武道、これにはそういう例を幾らも出しておるんです。居合道の開祖の林崎佐渡守、あの人が居合道はどうだ、「居合いとは人に斬られず人斬らず、己を責めて平らかの道」、平和を求めるわけですね。また、柳生但馬守はどういうことを言っているか、「勝つことは致さぬが、負けぬ術を存じ居る。」、昔の人はえらいことを考えたものだ、これなら平和が続くんですよ。  私は、最初のワシントン会議、あれをつくったときに海軍兵学校に入った。大変なことだったですよ。それまでそんなに嫌でなかったんですが、アメリカも。ところがあれ以来、非常に敵意を燃やすようになった、我々は。ロンドン会議でそれにまた火をつけたような格好になった。いわゆるMAD政策によって均衡をとるようにやろうというんでやったら、結果的には、歴史が示すところはマイナスの結果になったと思うんですよ。  したがいまして、今後、主として政府でおやりになるんですが、MAD政策というのは、こういうものは、ほかのことならともかく、こういう国の安危を肩に担うようなものにはこういうことをやらない、他の方法を考えるというようなぐあいにしていただきたい。これは私の所見です。反論あったらひとつお伺いしたいんです。
  167. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 源田先生は、非常にお若いときから日本の国防という問題に身をもって御体験されてこられた方でございますから、いろんなただいまおっしゃっていただきました防衛のフィロソフィーみたいなものを私たちお聞きして、十分に理解していない部分もあろうかと思いますが、十分心にとめて今後の防衛政策を考えさせていただきたいと思っております。  今、先生がおっしゃいましたのは、一つはMADというものの性格についてこれでいいのかということでございましょうけれども、その点につきまして、現在、世界の核の均衡がミューチュアル・アシュアード・ディストラクションで行われていることは事実でございます。先ほど穐山先生のSDIについての御質問に対して御答弁申しましたように、現在、国と国との間の相互信頼関係が十分に確立しておりませんし、また特に米ソの間の軍拡競争が非常に厳しく存在している中で、相互確証破壊というのはそこをとめる一つの理論であろうと思いますが、だからそれが理想的なものであるかということにつきましては、だれもそういうふうには思ってないんではないだろうか。そして、できるならばその相互確証破壊のレベルを、我々の中曽根総理もおっしゃっていますように、できるだけ低いものにして、そして最終的には核の廃絶に持っていくということの努力をしなければならないのだと思います。  そして一方、SDIというものは、相互確証破壊から相互確証生存の世界へ何とか持っていこうという、戦略論としては、哲学としては大きな転換であるのではないかと思います。先ほど申しましたように、MADの一番の理論的構築したと言われる米国、マクナマラ長官が理論づけしたと言われておりますが、その米国で、従来そのMADの効率性を追求しながら、同時に、最近に至って大統領自身が相互確証破壊の世界というのが本当にヒューマンなものなんであろうかということを大統領の演説でおっしゃっているということ自体、米国も何とか核の業の中から抜け出したいという気持ちが明確に見えているのだと思います。  ただ、問題は、MADの世界からMASの世界にそう簡単に技術的にできるのであろうか、フィージブルな、実現可能性があるものであろうか。その辺と、それからその途中経過を十分コントロールしなきゃならぬのではないだろうか。そういった部分について私たちは今後慎重に検討していかなければならないのであろうけれども、いずれにいたしましても、核の恐怖の均衡というものが、現在仮にそれで平和が保たれているとしても、将来何とか別の道を模索しなければならないということは、先生御指摘のとおりなのではなかろうかなと考えております。  それから、牛若丸の話でございますけれども、私たちの国の防衛力というものは核の戦略面を持たないわけでございます。非常に節度のある通常兵器だけの世界で、なおかつ専守防衛に徹しておりますから、ある意味では、牛若丸ほど立派かどうか別にして、我々の防衛政策がねらっているところも、そういう負けないようにひらひらと身をかわすというようなものなんではないだろうかなと、こう思っております。スポーツのサッカーで言うならば、どちらかというとゴールキーパーみたいなものでございまして、決して攻めではいかない、しかし攻めてきた以上は、全部キャッチして攻撃をかわすという非常に難しいことをやっているというのが専守防衛の政策なんではないかな、こう思っております。したがって、専守防衛ですから私たちは決して外国に行って勝つことを意図しているわけではなくて、外国に行くだけの装備が我が国にあるかといえば、源田先生特に御承知のように、長距離爆撃機を持つわけではない、大型攻撃空母を持つわけではない、ミサイルの射程だって外国に届くものは一切ないということでございますから、私たちの行動が牛若丸のような非常に効率がいいものであるかどうか、また彼が持っていた扇子のように効率がいいかは別にいたしまして、我々が目指しているのも、勝ちを制しないけれども負けないようにする政策という意味でやはり牛若丸精神なのではないかな、こんなふうに思っております。
  168. 源田実

    ○源田実君 私が数は問題じゃないと言ったのは、科学技術的に相手を十年ないし二十年引き離しておったら数は問題でなくなると思うんですよ。要するに、技術のレベルが相手よりうんと高い、これを常に維持する。これには政策的な問題があると思いますが、これは私の意見だけ先に申し上げます。  というのは、いろんな物理科学、それから医学も、要するにサイエンスの方の新しいものをつくり出した者は天才なんですね、ほとんど。その天才を大事に育てなきゃいけない。機嫌を取るという意味じゃないです、天才を育てる。アインシュタインは、あれは全然学校へ行ってもできが悪くて、なまけ夫とかいうあだ名をもらっておったらしい。ところが、そのころから既に数学と哲学と物理学にかけては先生がかなわぬと、みんな。こういうのは、現実に生きている人間でも私は知っています。こういう天才がつくり出す。一律の型にはめた教育をやったら、いわゆる技術的に相手を抜くということはいつまでもできないだろうと思うんです。これは御参考のために言っておきます。  次に、これはきょうお願いした、一番大事だと思うんですが、地球上に住んでおるあらゆる動物の中で、お互いに殺し合う、戦争とかあるいはけんかで、こういうことをやる動物は人間だけなんですね。ほかの猛獣でも何でも、毒蛇でも、お互いの種族ではやらない。アメリカにガラガラヘビがたくさんおる。ガラガラヘビ同士では殺し合いは絶対にやらぬです。これは神様から与えられたルールどおりのけんかをやる、領地を奪ったり、雌の奪い合いにおいて。シカもけんかをするが、その角をもって相手の土手っ腹を突くとか、こういうことはやらないんです。そうして相手が倒れたら、今やれば勝つと思うときでも勝った方が立って待っておる、そうしてともにしばらく歩いて左右に分かれてやる、まことに紳士的なことをやるんですよ。  人間だけなんですよ、殺し合いをやみのは。これがいろんな面において人類の社会を困難な目に遭わせておる。戦争なんかもちろんそうです。人間だけが天から与えられた自分の特徴を生かさない。天からは人間はけんかするように与えられてないんですよ。人間は、つめはだめ、きばはない、色もない、皮は薄い、防御は一つもないんですよ。ほかの動物は、牛でも大でもワニでも厚いやって靴になる。人間の皮で靴ができますか、できない。それで大事な頭は毛で防御しておるんですよ。ところが、非常に矛盾しておるのは、一番頭を使うぐらいの年配になるとはげてくるんです。これどういうわけなんだと。  それで、私は、神様が与えたのは、人間はけんかなんかおまえたちするんじゃないと、せっかくいい知能を与えてやったんだから、それによって、万物の霊長と自分で言っておる、それなら万物をかわいがって本当の平和をつくるようにおまえその頭でやれ、こういう意味だろうと思うんです。けんかするようにどう考えてみてもできてない。  それで、これがどういうところにそういう原因があるのか、どうすれば矯正できるのかという問題について、今すぐ出しても一遍に御返事いただけないだろうと思うんですが、今あったらちょっと官房長官でも防衛庁長官でも、どちらか教えていただきたい。
  169. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、先ほどから源田先生の修羅場を生き抜いてこられた、長年にわたる御体験の中からにじみ出た基本的な物の考え方、これについては大変参考になったと思います。傾聴させていただいております。ただいまの御質問についても、私が感想を申し上げるよりは先生の御意見をひとつ拝聴させていただきたいと、かように思います。
  170. 源田実

    ○源田実君 私は、ここで回答が出るようだったらこれはえらいことになるんですよね。ところが、回答は出ないんですが、我々の先人がやってくれた武道の中に、武道は相手を殺したりするためにもともとは始まったと思うんです。ところが、武道の歴史においてはだんだん洗練されてきて、最後の段階においては、山岡鉄舟先生でも浅利又七郎とか、こういう人がいよいよ最後の極意に達したときには剣を捨てているんですね。ここらに、非常に今混濁した世界の人類がお互いにけんかする、こういうものに対するどういう修業をやり、どうやればいいんだという一つのヒントが出るんじゃないかと考えているんですよ。こういうことは今ここで御返事をいただいても、いただくことができればいいんですが、なかなか難しいだろうと思うんですよ。  しかし、このままでいけば、これやっぱり孟子が言っておるんです、「天に順う者は存し、天に逆らう者は亡ぶ」というのを。今の人間は、天が闘争するような武器は与えてないんだからけんかしてはいけないんだと、しかしけんかを一番やる。これはほかの老子にも「賢を尚ばざれば、民をして争わざらしむ」というように、最後にいきつくべきいわゆる彼岸というか、そういうものは一応示しておいてくれると思うんです。我々は、日本の武道はそれを武道という形の上で示している。  したがって、何とかそういう人類の、このままでいったら協定を何遍やろうが必ず破るんですよ。我々さっきも言ったように、私がアメリカに一番反感持ったのは、戦争後じゃなくてワシントン条約のときですね。要するに、協定協定といって話し合い、これでおさまりがつくものじゃないです。やっぱり自分自身を絶対に磨き上げる、そして日本の武士道のように相手を殺すんじゃなくて相手とともに栄えていく、そういう道を選ぶ。選ぶといったってなかなかできないですが、努力すると考えておるんです。もし御意見があれば伺います。
  171. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 特に私たちの意見が、先生ほどの深さで申し上げられる準備もございません。官房長官がおっしゃられましたように、長年の経験に基づいた、それも本当に国防問題にもろに従事してこられた先年のお言葉ですので、十分また後で拳々服膺して考えてみたい、こう思っております。  ただ、先ほどの先生のお言葉の中に、人間というものは戦う武器は神から与えられなかったけれども、考える知能だけはほかの動物と違って与えられたというお言葉がありましたが、どうもある意味じゃ神が与えたその考える力というものが逆に我々を戦わせしめているのではないかという気がちょっといたします。人間は考え、また物を信じますものですから、それが主義主張になったり宗教になったり、そして考えるがゆえにそれが絶対正しい価値と信じ込んでしまって、そしてその自分の考えを正義どお互いの陣営が思って戦うというあたりが、ある意味では戦後のイデオロギー戦争を見ましても、最近の宗教戦争等を見ましてもかなりあるのではないか。  だから、その考えを与えられたことをもう一歩進めて、みずからの発想の中に相対的な価値観を持てるように訓練することと、お互いが人間を信頼し合えるような、国と国とが信頼し合えるような訓練をすることがある種の解決なのかなというふうに思ったりいたしましたけれども、まだ的確なお答えができるわけではございません。考え続けてまいりたいと思います。
  172. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、引き続きましてただいま議題になっております安保会議設置法案につきまして何点か質問をさせていただきますが、最初にやはりこの法案の関連で、国民の皆さんの生命と安全を守るという立場から一言官房長官にお尋ねしておきたいんですが、先ほども昼に、十一時か、記者会見でも触れておみえになりましたが、例のジャカルタの各国大使館に対する迫撃弾攻撃、これに対して国際テロ声明等が発せられたわけでございますが、その後の事実関係の調査はいかがでございますか。
  173. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 本件につきましては、日本旅券を持っておったと思われる者が、日本大使館に向けて弾を発射したと考えられるホテルの部屋に宿泊をしていたこと及び事件後に反帝国主義国際旅団と称する者から犯行声明が行われたこと等の事実はございますが、今のところ犯人及び犯行の目的等についての確たる情報は把握をされておらないようでございます。  我が方といたしましては、既にインドネシア政府当局に対して本件についての真相究明を要請いたしておりますが、今後ともインドネシア側との連絡を緊密にいたしまして、事実関係の把握に努めてまいりたいと思います。また、既に我が方の在外公館に対しては、公館警備にはより一層配慮すると同時に、本件紛失旅券を所持しておる者に対する情報提供を各国関係当局に要請をするように訓令を発したところでございます。  今後とも在外公館の警備、海外過激派問題の対応については遺漏のなきを期していきたい、こういうことでございますが、私はついせんだってまでに、先ほどまでに聞いている範囲では、一部のマスコミ等では、日本人旅券を持っておった者が泊まっておったホテルの部屋から撃ち出したものであるということで、日本人が犯人じゃないかというような報道がございますが、私が今承知している範囲では、まだあれが果たして日本人なのかどうなのかということも定かでないというのが実態のように承知をいたしております。
  174. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 外務省は見えていますか。何かありますか。
  175. 後藤利雄

    ○政府委員(後藤利雄君) ただいま官房長官が御説明いたしましたのが、現状私ども把握している大体すべてでございます。
  176. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろんな通信社に入りました犯行声明などによりますと、今回のテロ行為は東京サミットヘの報復ということでいろいろ報道もされておりますし、そういうような通報もあったと聞いておりますけれども、このサミットでリビアをいわゆる名指ししましたところの国際テロ声明に対しまして、こういった国際テロの渦の中に日本を巻き込む危険性があるんじゃないかということは外務省あるいは公安当局も懸念をしていた、このように私たちも聞いております。  そういう中で今回のこのような事件が起きたわけでございますが、やはりこういうような事件が現実に起こってみて、今後やはり在留邦人を巻き込んだこういった国際テロ活動、あるいは在外公館等を巻き込んでのそういった事件等が発生することも考えられますし、やはり今回のサミットのリビア指名そのものがこれが引き金となったということであれば、これは政府の責任になってまいりますので、先ほど官房長官からもお話ありましたけれども、そういう在外公館あるいは在留邦人に対する警備というものもより以上にこれから取り組んでいただきたいと思うんですが、その点ど うでしょうか。
  177. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 最近非常にテロが世界各国頻発をしております。ことに国家支援のテロとみなされるような事件すら発生をしておるわけでございます。日本政府は、従来からこのようなテロは最も卑劣な行為であるということで、厳しい糾弾の姿勢を持っておるわけでございますが、その点は従来からの変わらざる考え方でございます。  そこで、リビアの問題につきましても、サミットでいろいろな意見がございました。政府のテロに対する考え方は、今言ったような考え方を従前から持っておるし、今後もそれを続ける。しかし同時に、日本は、いわゆる中東地域については英米等と違いましてフリーハンドなんです、きれいな手を持っております。そういったようなことで中東政策を今日まで展開してきておるわけでございますから、この政策にも我々は変わりはないという基本線を持っておるわけでございます。  あの際も、一部の国からはリビアは国家テロをやっておるんだ、こういうことは許すべきでない、したがって国際テロ一般についての声明も、リビアだけは別個の特別声明でやるべきだ、こういった強い意見もございましたが、それはひとつぐあいが悪いのではないが、やはりテロ一般の声明にとどめて、その声明の中で、エスペシャリーという形でこのリビアという国名に触れるというように実は日本は議長国としておさめたつもりでございます。  それは、リビアという名前を出さないで済めば私はいいと思いますが、日本は議長国でございます。やはり会議をまとめなきゃならない。ところが、従来から言われておるのは、フランス、イタリー等は割合リビアとの関係は深いわけですね。そういったことで、やや何といいますか、積極的な対応についてはちゅうちょしている面があったわけでございますが、またあの事件が勃発当時はまさにそういう態度でございまして、アメリカの処置に対しては、必ずしも理解をし支援をするというのではなくて、どちらかというと批判的な空気があったことは事実でございますね。  ところが、その後のいろんな調査の結果でしょう、これは推測ですよ。サミットの時期に至りますと、各国すべてがリビアに対しては非常に厳しい態度に変わってきておったことも事実でございます。そういったようなことを踏まえて、ああいう声明におさめたんだ、これは議長国としてあそこに要するにおさめたんだということは、ひとつ理解をしておいていただかなければならぬのではないかな、こう思います。  なおまた、今度のようなジャカルタ等の事件がありますと、今、太田さんおっしゃったような心配もございますから、先ほどお答えしたように、在外公館の警備その他について油断しないように訓令をしておるわけでございますが、しかし現実は、先ほど言ったようにまだだれの犯行かも実際わかりませんね。そうすると、ああいう犯行がありますと、あの犯行をとらえて国際何とか団と言って電話をかける人だってこれまた想像にかたくない。したがって、やはり何よりもインドネシア政府と協力もしながら、できる限り私は実態解明をするということが一番今肝心なことだろう。それによっての具体的な対応を考えていく、かような対処の仕方でいきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。    〔委員長退席、理事村上正邦君着席〕
  178. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 もう一点、これも官房長官にちょっとお尋ねしておきますけれども、ソ連のゴルバチョフ書記長のテレビ、ラジオを通じて演説がございましたけれども、この中で、いわゆる独特の平和攻勢じゃないかとも言われますけれども、欧州のどこかの国の首都があるいは広島で遅滞なく会談して、核実験の停止について取り決めるようレーガン大統領に提案を再確認する、こういう放送もありましたんですが、これに対しましては広島の市長さんも、そういう米ソ首脳会談が実現できれば核兵器廃絶と世界恒久平和に向けて極めて意義深いものじゃないか、こういうような談話も発表されているようですが、政府としてのお考えはどうでしょうか。
  179. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 私はまだ詳細わからないんです、率直に言って。だけれども、まあそういう考え方も出ることはあり得ると思いますが、広島は日本の国でございますから、ここへよそ様の国が来て会議を開くというんならば、私は日本政府に事前の打診があってしかるべきもの。ただ、その打診があったかどうか知りませんから、国際常識ならば打診があったのかなとも思いますし、あるいはそうでなしに一方的におやりになったのかもしれません。そこのところは不明でございます。しかし、常識的には日本の国の中で国際会議をやる以上は、事前に日本政府に私は了解を求めてやるのがこれは一番正しいんだろう、かように存じます。
  180. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、法案に関連してお尋ねしていきたいと思いますが、午前中も同僚委員からるる質問がございました。  今回、安全保障会議として移行されます国防会議につきましては、前々から臨調答申等を通しまして弊害化が指摘される中で、あるいは活性化のための方策というのが提唱もされてきたわけですね。その中を見てみますと、「定例的に会議を開催する」とか、「随時国防政策にかかわる諸問題を検討する」とか、そういう活性化についての提言はされてきたわけでございますし、あるいは国防会議事務局につきましても、「議員に対して、関係重要情報の総合分析結果、その他防衛関係事項について随時報告等を」行いなさいというような提言もそれぞれされてきたわけでございますが、それがなかなか実現できなかったということで、今回こういうふうになってきたんじゃないかと思うんですが、実現できなかった理由はどのような理由なんですか。
  181. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 御指摘のように、五十七年七月の臨調で現在の国防会議についての指摘がございました。その指摘の中で言っておりますことは、今もお話がございましたが、定例的に会議を開くなどもっと会議を活発に開きなさいということが一つあったわけでございます。ということは、逆に言いますと、現在の国防会議はそういった臨調の目から見まして十分に活動していない、こういうふうに思われてこういう答申が出たんであろうと思いますが、現在までのところ、国防会議は七十一回ばかり開催されまして、御承知のように国防会議の任務として与えられております付議事項については、審議をして答申してそれなりの機能は果たしてきたと私どもは思っております。ただ、三十年間に七十一回ということでございますので、いかにも回数的には少ないというようなこともございまして、臨調のああいう御答申になったんであろうというふうに思います。それから、あわせて国防会議の事務局についても御指摘のような答申がございました。  今申し上げましたように、私ども必ずしも国防会議の任務そのものについて機能してなかったとは思っておりませんし、それなりのことはしてきたと思っておりますが、ああいう答申を受けまして、やっぱり振り返ってみまして開催回数といったものにつきましてももっと開くようにしたいということを考えまして、実は昨年から、昨年の四月でございますが、従前余り開いていなかった国際情勢の報告につきまして国防会議を開くといったようなこともやりまして、少しでも活性化の趣旨に沿った努力をしてみたい、こういうふうに考えておったわけでございます。  たまたま昨年は、その後五九中業の取り扱いに関連しまして中期防衛力整備計画というものを作成する段階になりましたものですから、一年間に十一回開くというようなことになりまして、回数の点ではまあ随分開いたという形になりましたけれども、まあそういうことで、臨調の答申になるべく沿うべく私ども考えておったところに今回の行革審の答申がございまして改組という形になった、こういう経過でございます。
  182. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 官房長官が見えないので、防衛庁長官いいですか。  国防会議も、ロッキード事件等のいろんなことがありまして、いろんな受難の時代があったんじゃないかと思うんですね。今、事務局長さんからお話しありましたけれども、活性化への努力を続けていきたいというときに、今回こういうようなことになったわけでございますけれども、防衛庁長官としては、安全保障会議に変わればこれは非常に活性化された、非常に有効な会議になり得るのだと、こういうふうにお考えですか。
  183. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) そう思っております。  で、まあどうしてかということでございますが、第一に、今回の安全保障会議では、国防会議の所掌の事項、任務などが国防事項について言えば完全にそのままそっくり移されております。  それから第二に、重大緊急事態に対処するという条項が入っておるわけですけれども、これは事によっては有事にも発展しかねないような事態が、そこまで至らない重大緊急事態という段階から国防会議で審議され、その対処方針が論議されるということは、私たちとしては仮に有事になったような場合に適切な対処ができるし、シビリアンコントロールがより効いたプロセスの後にそういうことが起きてくるわけでございますから、その面でもいいんじゃないだろうかな、こんなふうに思っております。  私たちは、今度の制度ができたらシビリアンコントロールの面から問題ではないかというようなことをよく言われますけれども、どうして問題になるのか逆に私たちにはわからない、そんな感じでありまして、そのシビリアンコントロールの面は実にしっかりと従来どおり保障されているものだと思っております。
  184. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それではお聞きしますけれども、この安全保障会議、先ほどの国防会議は定例会議としてできなかったんですが、この安全保障会議についてはやはり定例会としてこれは運営されていくのか、あるいは今までの国防会議と同じように年二回ぐらいやって、それでちょっちょっとこう決めていかれるのか、あるいは何か事態が発生したときには、これ当然そうでしょうけれども、この会議が持たれるのか、その点どうですか。
  185. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 安全保障会議に移行しました場合に、重大緊急事態が発生した場合にこれに対処するために開かれることは、これはもう当然でございます。    〔理事村上正邦君退席、委員長着席〕それ以外に、全体としましてどういうふうな運営になっていくかということにつきまして、今ここで将来できます安全保障会議について、私の方からこういうような運営になるだろうというふうに申し上げることはいかがかと思います。そういう意味でお答えはいたしかねますけれども、まあ希望的なことを申し上げれば、先ほど申し上げましたような臨調の精神に沿った形で運営していっていただきたいという感じは持っております。
  186. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 まあ、防衛庁長官の先ほどのお話の中にも、シビリアンコントロール等については従来どおり守られていくんじゃないかというお話でございましたけれども、シビリアンコントロールなどの機能について、今まで国防会議は果たして十分であったかどうかということは私たちも疑問があるわけでございますが、国防会議の機構をいろいろ変えるというよりも、やっぱり運用の問題であったんじゃないかと思うんですね。この運用をうまくやっていけば十分に機能というものを発揮して今までもこられたんじゃないかと、このように思うんですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  187. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 運用というものが非常に大きな意味を持つということは、これはもう御指摘のとおりだと思います。ただ、運用というのはあくまでも制度があっての運用でございますから、制度と運用面とは両々相まっていくように図っていくべきものであろうというふうに考えております。
  188. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 少し過去を振り返ってみますと、この国防会議を改組して新しい機構を設置することに関しましては、かつて昭和五十五年の九月に内閣審議室が、「国の総合安全保障に関する行政の仕組み」という報告を出されて、その中で、緊急事態の対処は各省庁が責任を持ってその任務に当たるべきで、国防会議を改組するよりもむしろその活用、改善を図るべきだと、こういう結論を下して報告をしているわけですけれども、これについてはどのように受けとめてみえましたか。
  189. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) その点も確かに一つの御見解だと思います。  それで、今回も安全保障会議をつくるに当たりまして、しばしば申し上げておりますように、従来の、従来のといいますか、現在の通常の緊急事態対処体制でもって処理できるものはすべてそれぞれの体制によってやっていくということをしばしば申し上げておりますのも、その方がより合理的であるという点に着目をしまして、今御指摘の五十五年当時の文書の趣旨も、私ども、そういう意味では今回の答申の中でも考えて、なるべく従来の、現在の緊急対処体制で対処していくということをまず取り入れまして、それで対処し切れないものだけを今度の安全保障会議で対象にしようと、こういう考え方をとったわけであります。
  190. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 五十五年ですね、この内閣審議室の報告が出された後で総合安全保障関係閣僚会議が設置されているわけですけれども、この総合安全保障関係閣僚会議を官房長官としてはどのように評価されておりますでしょうか。
  191. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 今度のこの安全保障会議と今御質問の総合安全保障関係閣僚会議ですか、これと私はちょっと趣旨が違うなと、こう思っております。この五十五年につくりましたものは、もう少し何といいますか、経済とか外交、これを安全保障の面と何といいますか、整合性というものを考えながら政策を進めていったらどうだといったような私はこれは会議だと理解をしております。今度のは、何か緊急な事態が起きたときにどう対処していくかという基本方針を決めるやつでございますから、性格が少し違うなと。  そこで、御質問の総合安全保障関係閣僚会議ですか、これは一体効果はどうだと、こういうお話でございますが、これは別段法律によって設置したものでもございませんし、関係大臣が外務大臣等から国際情勢についての報告を受けたり、その他関係閣僚が所管行政の話をしたりして、お互いの何といいますか、自由な発言、討議をしていくと、こういう機関で、私はそれなりの意味は持っているなと、こういう認識でございますが、私が官房長官になってからは、まことに残念でございますが忙しくて一遍も開いていないのが実情でございます。
  192. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ところで、官房長官としましては、この第二臨調と行革審、これはどのような関係にあるべきかとお考えですか。
  193. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 第二臨調は、昭和三十八年の佐藤行政調査会の流れをくむものだろうと思いますが、それよりはややまた幅の広いものになっておるんですね。それは、第一次の三十八年のは御承知のような行政内部における文字どおりの効率化だけの話でございましたが、土光臨調というのは、そうでなしに、財政再建という問題が入りましたから政策課題にまで立ち至っておるということがまず一つございます。そして、聖域は設けないで全部審議をする、こういうことで答申をちょうだいした。ところが、この答申を実施していくについて、政府が怠けては困る、やっぱり政府を督励しなきゃならぬ、こういう任務が一つある。それから、第二次臨調で十分論議が尽くせなかった、期間の関係で。それをもう少し審議不十分なものについては徹底した審議をやっていこう、こういうことに審議会はなっておりますから、両者の関係といえばそういうことに相なろうかと考えるわけでございます。
  194. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 臨調第三次答申では、国防会議につきましては、先ほど話しましたように活性化ということを目指していくべきだということで答申は出されておりますけれども、行革審答申になりますと、これは国防会議の改組という、そして新しい機構をつくるということになっているわけで すけれども、やはり臨調答申を受けての行革審答申、行革審はいろいろと細かい詰めはやってきたと思いますけれども、行革審答申によって臨調答申というのは修正をされたというふうに受け取ってよろしいわけですね。
  195. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 修正というんではなくて深みを増したと言った方が私は正しいと思いますね。というのは、臨調の方では国防会議の活性化をうたっておる。それから、その事務局については強化を図るべし、こう出ておりましたね、臨調の方は。それを受けまして今度のような行革審の答申になっておりますから、議論を詰めていって、より深い論議の結果結論を出していただいた、こういう関係だと思います。
  196. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 深みを増したということでございますけれども、五十九年の五月に当時の後藤田行管庁長官が行革審に対して危機管理のための整備の仕組みなどの検討を要請されているわけですけれども、このときの経緯というものはどういうものであるか、あるいはこれは行革審自体の任務との関係からこの問題は多少問題が残るんじゃないかと思うんですけれども、その点どうですか。
  197. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 確かに五十九年の五月七日だったと思いますが、行革審に私は行政管理庁長官としてお伺いをして、せっかく臨調で国防会議の活性化、それから事務局の強化、これの御答申はいただいておるんだけれども、国防会議そのものはそれはそれで結構でしょう、そして同時に、普通の緊急事態に対処する体制は経済関係であるとかあるいは災害等にある、しかし一番抜けているところがあるんですよ、それはちょうど相中に入っている重要な事柄が私は欠けておるように思う、これが日本の行政組織全体を考えた場合の一番の欠点ではありませんかと。これもまた、昭和三十八年以来長い経過を経てきておるんです。ここらをぜひひとつ、せっかく聖域なしに御議論をなさっておるんならば詰めていただきたい。  それはどういうことかといえば、例えばダッカの事件でありますとかあるいはKALの事件であるとか、いろいろな重大な事件のときに政府の意思決定がなかなかできなくて、適時適切な処理が私は困難な事態がしばしばあったと思う。幸いなことに一応の結末はつけましたけれども、よりやはり的確に処理ができるような仕組みをぜひひとつ御検討いただきたいということでお願いをした結果、論議を詰めていただいた、こういう経緯でございます。
  198. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そういう経緯があるということでございましたけれども、行革審答申を受けてこの安全保障会議は「国防に関する重要事項」と、今いろいろと言われました「重大緊急事態」に対する「重要事項」、これを抱き合わせていろいろと審議するわけでございますけれども、昨日の本会議でも申し上げましたけれども、こういう重要事項、一つの機関がそれを所掌しなければならないということに対しては、私たちここ疑問を持っているんですが、その点は長官としてどのようにお考えですか。
  199. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 今度の会議で新たに取り扱うこととなります「重大緊急事態」というのは、国の安全に重大な影響を及ぼすおそれのある緊急事態でありまして、また同時に、事態の推移のいかんによっては国防問題に発展する可能性もあり得る、そういう事態であります。したがいまして、今回の改正に当たりましてこれを統一的に取り扱うということが、内閣の持っております総合調整機能の発揮という点からいって、かえって適当ではないかというふうに判断をしたわけであります。
  200. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、国防会議もあわせてこの安全保障会議を設置した方がいろんな問題に速やかに対応できるということになるという仰せでございますけれども、先ほども官房長官挙げられてみえましたけれども、ミグ25の、あるいはダッカのハイジャックの事件あるいはKALの事件、そういうことございましたけれども、それぞれ具体的にどういうような問題が生じて政府内で適切な対応ができなかったのか、現在の行政の仕組みの中でなぜそれが対処できないのか、もっと具体的にお話し願えますか。
  201. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) ミグとかダッカは割合古い事件でございますし、私は直接的ではなかったと思います、扱いが。ただ、KALの事件は私が直接扱いましたから、これはやはり処理のいかんを間違えたら大変な国際問題に巻き込まれるという危険性を私はひしひしと感じました。それは、一つは情報の取り扱いの問題、それから捜索の問題、あるいはまた日本の場合、ああいった北方の極めて緊張した海に海上自衛隊を出すのがいいのか、海上保安庁で処理をさせるのがいいのかといったような問題は、これは私は非常に慎重な配慮が必要だったと思います。これらの処理をめぐって、やはりこういった機関がきちんと整っておることが非常に私は日本の安全のためには望ましいということを痛切に感じたわけでございます。幸い結果としては割合うまく処理ができたと思いますけれども、しかし仕組みとしては、本当にあの官邸という中で勤務をしますと、私はこれで三回目なんですけれども、これは本当にスタッフ、組織が不足である。それから、各省の利害対立がどれぐらい厳しいものであるか、縦割りの対立のために本当に政府全体の方針がなかなか決まらない、決まっても中途半端になる、こういった例は幾らでもございますけれども、余りそういうことを言いましても、これは余り望ましいことではないと思います。私は、具体的な点についてはこの際答弁を差し控えさせていただきますけれども、本当にあそこで勤務すればどれくらい孤独感があるか、しかも自分が決めなきゃならぬことがどれだけ重大なことかということをひしひしと感じるのが実態でございます。
  202. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そういう縦割りの問題についてはかねてからいろいろと話があるわけでございますけれども、こういうような緊急事態に対応する場合には、各省庁ともやはりそれなりの対応というものは必ずされるはずじゃないかと思うんですね。やはりどなたでも、官僚の皆さん方だってそれぞれの権限の縄張りがありいろいろな法律を抱えているかもしれませんけれども、そういう国家存亡のときというか、緊急事態に対しては、もうそれは何をおいたって総理大臣のもとに結束をして一つの問題解決をしようという、そういう官僚の皆さん方の心組みというものはあるんじゃないかと思うんですね。あえてこの国防会議そのものを一本に合併して、何かいろいろと伝えられるところによりますと、中曽根総理の一つのペースによって、大統領志向じゃないか、きのう本会議でも質問がございましたね、あるいは後藤田官房長官の仕掛けであるかもしれませんけれども、そういう権限をどんどん集中させていくようなことを考える必要もないんじゃないかと思うんですよ。その点はどうでしょうか。
  203. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 常識的に太田さんがおっしゃることはそれなりに理解はできますね。しかしながら、ああいった事態が起きた場合に、やはり国全体としての総合的な観点からきちんとしたまず方針を決めませんと、どこの役所もそれは間違いなしにやりたい、こう思っているわけですね。しかしながら、役所が違いますと、おれの方はこうやるとなれば行き過ぎる面もできてくるおそれがある、おれの方はここまでしかやらぬとなればこれがまたやることがやれないということもあるわけでございますが、そこらは同じような考え方のもとに広い立場で判断して、それぞれの役所が持っておる現行の法制、そしてその法制のもとにおける力、バランスを考えながら総合的な対策を講じていくことが私は一番肝心ではなかろうか、そのバランスをとるということが非常に難しいんだ、しかしそれはとらなきゃならないんだというところにこの法律の大きな眼目がある、かように私は理解をしておるわけでございます。
  204. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 またちょっと前に戻りますけれども、ミグ25機事件についてですが、これはソ連の最新鋭の戦闘機でございましたね。日本に亡命をしてきて強行着陸をしたということで、これはいろいろと報道をされたところによりますと、防衛庁筋によればミグ25を破壊することによって我が国が攻撃される可能性も考えたというようなことでございますので、これは「重大緊急事態」ということも考えられるかと思います。あるいは大韓航空事件あるいはダッカハイジャック事件でも、それぞれ今お話がございましたけれども、いろいろな問題をはらんでいた。確かに大韓航空機事件につきましては、軍事情報に絡んだ極めて重要な問題で、この内閣委員会でもいろいろと論議がございました。そういった点でやはりこの問題はそれぞれが重要な事件でありますけれども、国防会議はその都度このときには行われていないわけですね、国防会議。これはどのような理由なんでしょうか。
  205. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 当時国防会議は開かれなかったわけでございますが、まずミグ25について考えてみますと、確かに機体が高度の軍事機密に属するものであったということの関連で、その取り扱いをめぐってかなり慎重な対処を要したという、さらにそれを適切な措置を誤れば場合によっては日ソ間の非常に紛争に至るおそれもあったというような点は確かにあったわけでございます。ただ、同時に事件そのものは、突き詰めて言えば一人の外国軍人の亡命事件でありました。したがいまして、そのこと自体は別に我が国の安全とかかわる問題ではないという面が、事件の本質的な面ではそうであったわけですね。それに関連して今言ったような機体の問題等があった、こういうことでございまして、政府全体としまして本事件への対処に当たりましては、国防会議で審議するということでなくて、人員の取り扱いあるいは関係国との外交関係、そういったようなことを含めてあのときああいうような措置をとったわけでございます。つまり、国防会議にかけない方がいいんではなかろうかという判断を当時されたんだろうと思います。したがいまして、私どもはこういうケースがもし起これば、今度はここで言うところの「重大緊急事態」には該当する、こういうふうに思いますけれども、直ちに国防事態としてかける案件がどうかというのは確かにまだ議論の余地はある。ただ、繰り返しになりますけれども、国防に関する局面も確かにあったということは、これは否定できないだろうと思います。  KALの事件につきましては、自衛隊の情報を公表するかどうかといったような問題が防衛上の絡みであったわけであります。しかし、これも、事件そのものは外国の領土で外国の航空機が外国の軍隊によって撃墜されたという事件でありまして、そういう意味では直接我が国の安全にかかわるという事件ではなかったわけであります。むしろ、それに関係をしまして、防衛上の情報秘密をどう取り扱うかという問題、あるいは機体の捜索についてどう関与するかという問題があった、こういうことであったわけであります。したがいまして、これも事件全体を見た場合には、当時も国防会議にかけるというような判断でなくて、ああいう形で処理をされたというふうに私は理解をいたしております。  いずれにしましても、この両方の事件とも我が国に対する攻撃といったような直接明白に国の安全を損なうような事態ではなかった、これはまことに明白であろうと思います。事件そのものとしては、むしろ言ってみれば偶発的な事件でありましたので、その処置の中で、今申し上げましたように国防に関連をした配慮を要するという点があったことは否定できませんけれども、全体の処理としては当時国防会議に誇るまでもないだろうという判断をされたように承知しております。
  206. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 事務局長さんのお話聞いていますと、三つ挙げられた重大事件がそれぞれ何も「重大緊急事態」じゃないような感じがしてなりませんね、国防会議にもかける必要なかったぐらいなんですから。何もこういう安全保障会議をつくらなきゃならない、そしてその対応するところの、先ほど来おっしゃっているような「重大緊急事態」に当たらないんじゃないかというような感じがするわけですね。  もう一つ、関東大震災のことを長官も例として挙げられていますけれども、これは具体的にどういうようなことがやはり後から考えてみると「重大緊急事態」として対応しなきゃならない、そういう面を持っていたんだ、こうお考えになっているか、どういうふうにお感じでしょうか。
  207. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 私は関東大震災例に挙げているのは、関東大震災のああいった地震現象そのものを言っているんじゃないんです。あの地震で起きた社会的、政治的な大混乱、こういったことを頭に置いて私は申し上げているんです。あの程度の地震なら、今これだけの安全装置ができていますし、殊に一番厄介なのは情報といいますかな、電話とかいろんなものが途絶しますから、そこで非常な不安感を住民が持つということでしょう。これはありませんからね、今は非常に情報が発達していますから。情報というものが適切に入ればそんな不安感は私は起きないと思いますから、あの程度の地震では私は心配してないんです。  しかしながら、あのときに起きた社会不安、政治的な大混乱、こういう程度のものであるならば、これは私はやはり「重大緊急事態」として処理すべきであろう。これはなるほど非常災害とか災害法の枠内の問題で大部分は処理できると思います。またそれは働くと思います。しかし、あのときだって私の記憶が正しければたしか戒厳令をしいたんじゃなかったですかな、戒厳令を。これは容易なことじゃありません。戒厳令というのは今で言えば治安出動ですね。治安出動というのはそうそう簡単にやるべき筋合いのものでありません、これは、武装部隊を国内に出すということは、単純な災害対策だけなら別として。だから、ここらにおいては慎重なる判断を要する。  それから、その前の段階で、治安出動の前の段階で、例の警察法の何条かによる非常事態宣言というものもございますね。これは公安委員会の権限を排除して、各都道府県警察が全部総理大臣、警察庁長官のルートを通じて指揮すると、こういう規定が働きますね。しかし、これだってそんなむやみにかけるべき筋合いのものではありませんね。  しかし、これらを本当にやらなきゃならないのかどうかということになりますと、災対の会議だけでは私はなかなか処理ができませんよと、これは。これはやっぱり私はまず緊急事態として一応考え、そして治安出動に及ぶ必要があるというんであれば、これはいわゆる国防事案の方で取り扱いますから、五号事案として取り扱いますから、そういうようなあれで、いわゆる安全保障会議に諮って。処理するのが私は一番現実的であろうと、かように理解しています。
  208. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私もこういうような大規模な地震災害等によって今長官おっしゃられたような事態にならないことを望んでおります、これは。  で、大正時代、私も生まれてませんでしたからちょっとわかりませんけれども、今とは情報伝達のいろんな手段、そういったものは大きな違いがありますね、そのころとは。ですから、そのころいろんな社会的な不安が起きた大きな原因というのは、やはり一種のデマじゃないですか。デマによってそういう社会的な不安が助長されてきた。で、戒厳令しかれて何人かの、何というか、罪のない人たちが亡くなられたり、あるいは思想的な弾圧もある面ではあったようであると感じるんですね。それは、そういうものをそういうときに利用して何か行われたような感じがして、そういうところに国民の多くの方々のやはり不安感というものがあるんじゃないでしょうかね。そういうような災害が起きた――一人の人間です、これ。総理大臣が決めるわけでしょう、の決断によって決まる。それにはいろいろな会議があって、その会議の中でいろいろと論議されるとは言われますけれども、この一人の人の決断によって、そういうものが上からずっと下までおりて、しかもいろんな治安出動的なことによって、治安維持的なものに利用されることがあるんじゃないかと、こういう不安も抱いているわけですよね。その点につい てどのようにお考えになりますか。
  209. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) それはもう全く逆ですよ、逆。それはなぜかといいますと、この会議を設置しようという目的は、国の安全に重大な支障がある、つまりは、国民の生命、財産が重大な事態で危機に瀕したといったときに、国民の命と財産をどう守るかというためにやるんであって、別段それで弾圧なんということがあるわけがない、それは。これは第一、審議をして、そして政府の意思決定をして、総理に答申をする、これはいいですよとお答えをする。すると総理は、それによって御自分自身の、政府全体としての一応の意思を決定するわけですね。  しかしながら、それによって具体的に何を行うかといえば、もう何遍もお答えしておりますように、日本は法治国家なんですよ。現行の法制と戦前の法制はまるっきり百八十度違うんです、これは。そして、現行の憲法秩序の中でできておる現行の法制で、現在ある行政機関がそれぞれの所掌に応じて実行していく。この機関がその実行までやるわけじゃありませんから、そういう点は絶対に御心配のないように、およそ考え得られないことをあなたがお考えになったような御心配で、よく御心配わからぬわけでもありませんけれども、そういうことはありませんので御安心を願いたいと思います。
  210. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 さっきも申しました、そういうような事態にならないようにと私たちも思っています。  先ほど同僚の穐山さんからもお話があったけれども、今は諮問機関かもしれないけれどもやがては政策決定機関になるかもしれないし、いろんな面の危惧というものは皆さん抱いているんじゃないでしょうか。その点、これは絶対にあり得ないと再度お答えいただけますか。
  211. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) さような御心配のないように、もう細心の注意を払うつもりでございます。
  212. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 さて次に、マニュアルの問題について、事務局長からも衆議院でもいろいろと御答弁をいただいておりますが、この衆議院でおっしゃっていることは、安全保障会議は、「事態が起こった場合の基本的な方針、その措置等について、平素から勉強しておくという意味でマニュアルをつくっておく必要がある」、このようにおっしゃっているわけでございますが、このマニュアルというのはあくまで安保会議の内部資料であって、これを知る立場の人というのは非常に限られた人である。このようにもおっしゃってますが、その点はどうなわけでございますか。
  213. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 御指摘のように、事態が起こったらどういう手続で情報の収集なり意思の決定なりを進めていくかという手続をあらかじめ勉強しておこうと、こういう内容でございますから、まあ純粋の内部の手続を決めたものという意味で私は公表されるべきものではないというふうに考えておりますが、それが非常に限られた人しか知らないんではないかという御趣旨のお尋ねでございますけれども、これは当然、今度安全保障会議ができて安全保障室というところでその事務を処理するようになりますと、安全保障室で勉強していくことになると思いますが、当然関係の機関、つまり各省でございますが、各省には十分合議をしてその上でつくっていかれるものでございまして、必要な範囲においては十分御承知いただくということになろうかと思います。
  214. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その中身はどういうものが考えられるんでしょうか。
  215. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 結局、非常に抽象的になるんですけれども、各省間の情報の連絡体制、そういったものを考えますと、責任者はだれであるとか、あるいはその連絡系統はどこからどういうふうに行くようにするとか、それもいろんな事態がありますから、事態によって区別したものをつくっていく必要があるだろうと思います。そういったようなこと、それからさらに、その情報を受けまして、今度は事件によりましては対策本部というようなものをつくるのか、あるいは関係各省から係官を集めて何か相談をするというようなことから始まるのかと思いますが、そういう場合のやり方でありますとか、そういうようないわゆる意志決定のための仕組みでございますね、そういったようなことを考えられる事態に応じて平素から勉強しておこうということでございます。
  216. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 意思決定の仕組みについてのマニュアルであるという、あるいは連絡方法とか、そういうお話ですけれども、こういうような事態のときにはこういうふうな対応ですよというような、そういう方針を含めたようなものの作成はされないんですか。
  217. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 私自身も将来つくるものを今どういうふうにということまでちょっと申し上げかねるわけですが、わかりやすく一番いい例で申し上げますと、過去何回かハイジャックがございまして、ハイジャックに対して防止対策本部も常置されておりますし、そこでその種の事件が起こった場合には事件本部をつくって対処すると。その場合にはどういう人が関係者として集まるとか、そういうようなことも決めてあるわけですね。私はこれも一種のマニュアルだと思っておりますが、そういうようなことを過去のいろんな経験を勉強しながらつくっていくということになるんじゃなかろうかなと思っております。
  218. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 科学技術庁、お見えになっていますか。  ソ連の原発事故ですね、ゴルバチョフ書記長の発表もありましたけれども、科学技術庁では現状をどのように把握されておりますか。
  219. 今村治

    ○説明員(今村治君) お答えいたします。  現在までに得られている情報は依然かなり限られておりますので、事故を起こしました原子炉及びその周辺地域の状況についてはいまだつまびらかになってはおりません。現在までのソ連政府の公表したところや、ソ連政府を訪れたIAEAのブリックス事務局長、それから今御指摘になりましたゴルバチョフ・ソ連共産党書記長のこういった発表等、今までに得られた情報の範囲内で事故の状況をまとめますと、次のようになるかと存じます。  事故は、現地時間四月二十六日でございます。午前一時二十三分、キエフ市の北方約百三十キロのところにあるチェルノブイル原子力発電所の四号基の予定されていた運転停止の作業中、突然出力が上昇して水蒸気が噴出し、さらに水素が発生して爆発が発生したと言われております。この結果、二人が死亡し、原子炉の建物と設備、それから炉とその中心部が大きく損傷を受け、原子力発電所区域外に放射能が漏れるという事故に発展したことになっております。事故に至りました原因の詳細については、先ほども申し上げましたように不明でございます。  被害状況でございますが、十四日現在で、二百九十九人が被爆ややけどで入院、治療を受けておりましたが、七名が死亡、さきの申し上げました二人を含めまして合計九名が死亡していると聞いております。また、同原子力発電所及び半径三十キロ以内の地域からは四万八千人が避難したとも聞いております。外部に漏れた放射能につきましては、スウェーデン、フィンランド等北欧諸国を中心にソ連の国境を越えて拡散し、各地で環境放射能に異常値が観測され、牛乳、野菜等の販売制限や影響地域への旅行制限等の措置がとられております。我が国も、五月三日以降十四日時点で、二十九都道府県にわたり今回の事故が原因と見られるヨウ素131が検出されておりますことは御承知のとおりでございますが、現在検出されているレベルでは健康への影響はないと考えられております。  現在、事故炉全体につきましてコンクリートで封印する作業が行われておりまして、炉の下にコンクリートが打ち込まれるなどの事故の影響の拡大防止のための措置が行われた模様でございますけれども、はっきりしたことはいまだわかっておりません。  いずれにしろ、引き続き事故情報の収集を行いまして、原子力安全委員会にソ連原子力発電所事故調査特別委員会というものを設置いたしておりますので、そこにおきまして今後原因究明等に努めてまいりたいと考えております。
  220. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 科学技術庁さん、御苦労様でございました。  ちょっとお伺いしますけれども、こういうような事態、我が国で起こればこれは重大緊急事態になるんでしょうか。
  221. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) この点もけさほどからの御議論であったわけですが、例えば我が国の原子力発電所に何か事故が発生したという場合に、現在の仕組みでいいますと、科学技術庁の方で対策がとれるような体制があるということを科学技術庁からも御説明があったわけです。つまり、私どもで言いますところの通常の緊急事態対処体制があって、そこで処理されるという限りは、原子力事故についてもそこで対処する、こういうことになろうかと思います。  したがいまして、今回のような事故といわれます場合の、ソ連の事故を例にとってみますと、今私どもはソ連の事故の実態が必ずしもわかっておりませんので、ソ連の事故に即してお答えすることはできませんけれども、一般的にいえば我が国の場合、原子力発電所の事故については現在の体制があります。そこで処理されるのが原則であります。なお、それで処理されないような事態であれば安全保障会議にかかるということもあり得る、こういう考え方でございます。
  222. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それじゃ、官房長官どうぞ。  次は、内閣の機能強化についてお尋ねしたいんですけれども、内閣の総合調整機能問題につきましては、第一次の臨調初め、従前から種々の改革提言があったわけでございますけれども、しかしいずれも実施することができなかったんですが、その理由は何でしょうか。
  223. 的場順三

    ○政府委員(的場順三君) 御指摘のとおり、何度か内閣の総合調整機能の強化について、政府として内閣法の改正案をお願いしたことがございますが、そのうち一部分を除きまして、国会において十分御理解を得ることができず、審議未了、廃案となったという事実がございます。国会において十分に御理解を得ることができなかったというところに尽きるんだと思います。
  224. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今回、内閣の総合調整機能を強化するということは、これはとりもなおさず内閣及び内閣総理大臣の指導性を強化することになると思うんですが、臨調は総合調整機能の強化、総合管理機能の強化、総合企画機能の強化等を提言しているわけですけれども、今回の安保会議の設置というのは、これらの臨調の答申とどのような整合性を図ったんでしょうか。
  225. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 今回のこの法律は、昨年の行革審の答申を受けまして、内閣の総合調整機能の強化の一環として考えたものでございまして、現在の国防会議の任務はそのまま継承いたしますけれども、今申し上げました内閣の総合調整機能の強化の一環として、重大緊急事態への対処について、内閣が従前、当然各省間の調整をしてきておるわけでございますが、その点についての整備を図ろうというのがねらいでございますので、そういう意味では答申の趣旨を受けて今回の御提案を申し上げているというふうに言えるかと思います。
  226. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほども行革審答申を受けて今回内閣官房の再編を行うということでございますが、その全体像はどのような全体像ですか。
  227. 的場順三

    ○政府委員(的場順三君) 御指摘のとおり、六十年七月二十二日の行革審の答申、それを受けまして、政府として十二月二十八日に閣議決定をいたしまして、内閣官房の組織の再編成ということを考えているわけでございますが、この概要は、まず一つは内閣レベルにおける総合調整機能を強化するため、内閣官房の組織を再編成することとし、現在の内閣審議室を内政調整室、外政調整室に分離する、それから安全保障室、情報調査室及び内閣広報官を設置する。これに伴いまして内閣審議室と内閣調査室、内閣広報室及び国防会議事務局を廃止するということと、同時に内閣広報官室、いずれも仮称でございますけれども、設置するということにしております。  それから、国防会議の任務を継承するとともに、国家の安全にかかわる重大事に発展するおそれのあるいわゆる重大緊急事態への対処体制の整備等を図るため、内閣に安全保障会議を設置することとし、所要の法律案を提出させていただいて、ただいま御審議いただいているところでございます。そして、この内閣官房の組織の再編成につきましては、安全保障会議の設置のための法律の施行にあわせて実施するというふうに考えております。これが全体像でございます。
  228. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 内閣審議室が現行では十二名のところ、これを拡張しまして、内政調整室四十三名あるいは外政調整室十九名ということで拡充をされてくるわけでございますけれども、この問題につきましては、この法案提出の段階からいろいろと問題点があると指摘されているところでございますが、特に外政調整室を拡充するということは官邸と外務省との外交二元化になるんじゃないかという議論がされておりました。私たちもそういうふうに考えざるを得ないんですが、この点についてはどのようにお考えですか。
  229. 的場順三

    ○政府委員(的場順三君) 内閣の行っております仕事は、閣議にかかる重要事項等の総合調整の仕事でございまして、外交そのものは当然外務省がおやりになるわけでございます。したがいまして、仮に内閣審議室を内政調整室、外政調整室という形に分離いたしましても、外交そのものを外政調整室でやるわけではございませんで、外交問題といいましても、これは各省がいろいろ、経済外交等もございますし通貨外交等もございますので、かんでいるわけでございまして、総合的に行う場合の調整をするというところに主点がございます。したがいまして、外交二元化になることはない。これは総理も官房長官もしばしばお答えしているところでございます。
  230. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 あるいは先ほどお話がありました内閣調査室を情報調査室に変えるという点と、昨日の本会議で申し上げましたけれども、外務省の情報調査局、防衛庁防衛局あるいは警察庁警備局、公安調査庁、それら合同情報会議を行う、まあこれは前からも行っていたというきのうの答弁もございましたけれども、こうした情報収集の一元化を図るねらいは一体何でしょうか。日本のやはりそういう情報機関というのは外国に比べ非常に貧弱だと、そういう意図からこれは発足しているんですか。
  231. 谷口守正

    ○政府委員(谷口守正君) 現在の内閣調査室の任務は、先生御案内のとおり内閣の重要政策に関する情報の収集等をするということになっておるわけでございますけれども、昨年の行革審の答申ではその機能が必ずしも十分ではないという御指摘があったわけでございます。で、御案内のとおりの国内外の情勢を踏まえまして、重要政策に関する情報の収集等をするということは極めて重要であるわけでございます。そういう面で今回の答申では、内閣調査室を情報調査室へ改組しなさい、また官房副長官が主宰する合同情報会議、これは関係行政機関の責任者が一堂に会しましてこういった種類の情報につきまして相互に意見交換する、そのことによってこの種の情報の総合的な把握、分析をするということでございます。で、そういう面におきまして、関係行政機関がやっておる情報をこの機会に収集一元化するというものではございません。  もう先生御案内のとおり、各行政機関ではそれぞれの施策遂行に必要な情報の収集等をやっておるわけでございます。私どもは、内閣としての重要政策に関するものについてその収集等をやる、また各関係行政機関の収集した情報等について連絡調整を図るという機能、任務を与えられておるわけでございますけれども、現行法で私どもに与えられた任務の十分を期するための改組であり合同情報会議の設置でございまして、この一元化あるいは国民の知る権利云々ということには全く関係ないと私ども思っておるわけでございます。
  232. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 あるいは内閣広報官の設置も挙げられていますけれども、この広報体制の強化とい うのは言論統制の強化を意図するものじゃないかという危惧もあるんですが、その点はどうですか。
  233. 金子仁洋

    ○政府委員(金子仁洋君) 内閣広報官を設置するというのは、現在、各省で広報を担当しておりますし、また内閣近辺におきましては総理府で広報の実施をしているところでございます。しかも、それらが一元的に矛盾なく行われるためには、これを各省庁で者やっているところでございますけれども、その総合調整という仕事があるわけでございまして、それは従来からやってきているところでございます。  そして今度、内閣広報官と申しますのは、そういう仕事とあわせまして、官房長官が現在行っておりますところの報道という仕事でございますが、新聞記者にいろんな情報を提供していくという仕事でございますが、それについての補佐も一緒に担当していこうと、こういうことになっているわけでございまして、この広報という仕事の基本は、マスコミが主体的に国民に情報を提供しておりますが、そのマスコミを媒介として国民に情報を提供するということになるので、したがいましてそれはマスコミのルールに乗っかってするという仕事でございます。したがいまして、マスコミを統制するとかいうふうな力を持つものでないことは明らかでございます。
  234. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 アメリカの報道官の制度を取り入れたという感じですが、この情報公開ということに関連しますけれども、重大緊急事態の国民への周知方法というのはどのようにされる予定なんですか。あるいは重大緊急事態が発生したその概要をやはりいち早く報告したり、あるいは対処措置も決定後直ちにこれは報告することが必要じゃないかと思うんですが、その点についてはどのように対応されるおつもりですか。
  235. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 実際に起こりました段階におきましては、今、広報室長から御説明がありましたが、内閣広報官あるいは内閣広報官室に大いに御協力いただいて適切な広報を実施していく必要があろうと、こういうふうに思っております。
  236. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後に、先ほど官房長官にインドネシアの問題もいろいろと御質問しましたけれども、もしも海外で、大使館等で、まあアメリカ大使館が占拠された事件もありましたが、ああいうようなことが起きた場合には「重大緊急事態」と、こういうふうに認識してよろしいわけですか。
  237. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) これはダッカの例で申し上げましたが、その事件が例えば我が国の政府に対して何を要求するのか、政府の作為を要求する場合に、国家主権に挑戦するといったような形で政治的要求が加えられる、そのための人質としていろんなテロ行為があるといったような場合は、つまりダッカに準ずるような場合には、私はここでいうところの「重大緊急事態」に該当するケースというのはあり得るんじゃなかろうかと、こういうふうに考えております。
  238. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  239. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  240. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 速記起こして。  暫時休憩いたします。    午後四時八分休憩      ―――――・―――――    午後四時十四分開会
  241. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 会議を再開し、質疑を続行いたします。
  242. 内藤功

    ○内藤功君 法案の一番大きな問題点が「重大緊急事態」、この解釈と運用にあると私は思うんですね。それで、従来、きょうの会議でも出てまいりましたように、ミグ事件などの過去の例を例示として挙げられておるわけであります。ただ、こういうミグ事件、ダッカ事件あるいは大韓航空機事件など、それぞれその時点、時点での閣議あるいは関係閣僚会議、あるいは各省庁のそれなりのやはり、何といいますか、平和国家的な知恵で処理をしてきた。その中には、私は前に置いて失礼ですが後藤田さんのいろんな活動も含められてあったと思うんですね。  そこで、今そういう既存の体制あるいは既存の法律でやってきたというものをここで安全保障会議という機構、体制をつくって、そしてやらなければならぬという理由が、今までの御質問、応答を聞いておりまして、また会議録を読みましてもどうしてももう一つ納得ができない。あるいはそのほかの、ここに挙げられないほかのいろいろな理由を考えておられるのかなとも思うんですよ。  それで、まずその点から改めて後藤田さんの御答弁をお伺いしたい。
  243. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、内藤さんのおっしゃいますように、従来も今までの体制でそれなりの処理はしてきたわけでございますから、それでいいではないかという御議論も当然私出てくると思います。  ただしかし、私はそれらのうち特にKALの事件を担当したわけでございますが、これらの一連の事件の処理をめぐりまして、やはりこういった重大な事態に対処する日本の行政機構の仕組みとしては、これは非常に欠けたものがある、これでは本当の意味での「重大緊急事態」になったときに、一歩誤ると大変な国益上の損失を及ぼすおそれが多分にあるなど。したがって、今まで非常体制であるものはそれでいいし、それから国防事案は国防事案でいいけれども、その相中に非常に体制として欠けたところがあるよと、ここらを何とかやはり埋めないと、非常に国益上問題が出てくるおそれが多分にある、これは。そこを実は一番心配をしまして、それでせっかく御審議を願っておった行革審でございますから、もう少し第二臨調以来の詰めるべきところを詰めて、それでひとつ御答申をいただければありがたい、こう私が要請をしたわけでございます。  おっしゃるような、うまくいったといえばそうですけれども、私は必ずしも、中におりますからそんなにうまくいったとは思わない、これは結果としては非常によかったなというだけの話で、もう少し仕組みがないとぐあいが悪いなというのが率直な感じでございます。それだけであって、別にほかの意図は本当に私は持っておりません、そういうことは。こんな組織を考える場合に、そんなことを考えてできるわけがありませんし、そして同時に、既存の法の体系の中で具体的には処理するんだということを、ここはひとつしっかりと御理解をしておいていただきたい、こう思います。
  244. 内藤功

    ○内藤功君 先ほど長官は、ああいう事態に対してなかなか政府の意思表示、意思統一ができなかったと言われますが、これは困難な事件はそれだけのやっぱり時間がかかるわけでしょう。安全保障会議ができてそれが早くなるというものでも私はないと思うんですね。困難な事件がどうかということでこれは変わってくるんじゃないかということが一つ。  もう一つ、役所間の、いろんな行政官庁の間のいろんな縄張りと言われましたかね、それぞれの立場というものが非常に強いというのを感じたと、官邸での御経験でおっしゃるわけですけれども、しかしこれは、じゃ内閣の中に安全保障会議というものをつくっても、各省庁というレッテル、肩書きといいますか、それは消えないんですからね、その代表が集まってきていますから、大臣だって防衛庁長官と国家公安委員長、例えばですよ、警察と自衛隊、これはいろいろそれぞれの立場それぞれございますだろうと思いますですね。私は中に入ったこと、わかりませんけれどもあると思うんですよ。そういうふうなものは安全保障会議をつくったって変わらないじゃないか。  まずこの二点疑問に思うんですが、どういうふうに、御説明願えますか。
  245. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 確かに重大な事態ですから、それは各省みんなやる気なんですよ、それは間違いありませんね。しかし、これはやっぱり大きな方針のもとで、各省それぞれに突出せられても困りますし、引っ込みになっても困るわけですよ。そこの整合性がとれない、それで非常に困るんですよ。ここはひとつ頭に置いていただきたいと思います。  そうすると、もう一つは、それならこんなものできなくても同じことじゃないか、こう言いますが、そこがやはり総理大臣、内閣というものは、これは総合調整機能を持っているわけですね、実施するんじゃありませんけれども総合調整機能を持っている。そこで、いよいよとなってきたら総理が迷うわけです、これは。総理は迷いますね。そこは少数の閣僚で、一応やはり閣僚レベルで検討して、ここはこういったらどうですか、それじゃこれでいくか、といったような基本の方針を私は総理に決めてもらおうと。これは総理も、それで私は心強いんじゃないかと思いますよ、一番日本で孤独者は総理大臣なんですからね、実際は。  だから、私はこういう重大な事態のときには、やはり総理を補佐する意味合いにおいてこういった諮問機関が必要だし、それと同時に、この会合で議するようなことについて、スタッフ組織というのもやはりそれなりの整備をしておいて、強化をしておいて、それで常日ごろからの対応というものを絶えず考えておくということがやはり肝心であろう。これが私のあなたの御質問に対するお答えになるわけでございます。
  246. 内藤功

    ○内藤功君 そういうことを内閣法や憲法あるいは行政組織法をつくったときの先輩たちは考えていて、そういう場合は内閣総理大臣に中曽根さんがよく言われるいろんな強力なる調整権限というものを付与しているわけです。それから官房長官、後藤田さんのような非常に腕のいい官房長官、失礼ですが、そういう方もいる。そういう人が調整をやるわけです。  それから、総理は孤独だとおっしゃったけれども、私はあるもので読んだことがあるんですが、総理は秘書官というのが一番頼りになる、秘書官というものが唯一の話し相手だということを私はある総理の書いたもので見たことありますよ。ちゃんといるんですよね。そういうふうにやっぱり調整役はできている。今なかなかうまい御答弁をなさるけれども、私は安保会議をつくらなけりゃならぬ理由というふうには感じられないんです。見解の相違ですけれども、もう一問この点を聞いておきたいんです。
  247. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) おっしゃるように、私もいかなる組織といえどもしよせんは私は人によると思います、それは。しかしながら、それじゃ人によるからといって仕組みそのものを、欠陥が仮にあるとする場合そのままでいいのかといえば、これはやっぱり仕組みは仕組みなりにきちんとやった上で、なおかつそれにしかるべき人を配置するというのが私は適切な処置ではないのか、これが一点。  それから、お読みになったという総理大臣の、まあ回想録かもしれませんが、まさに秘書官だけなんです。ここにも秘書官おりますからあんまりなこと言っちゃいかぬけれども、秘書官というのは総理大臣秘書官で課長の大体右翼ぐらいの人じゃないですかね、普通は。官房長官の秘書官というので課長の若手か課長補佐のクラスですね。非常に頼りになります、それは、間違いありません。しかしながら、実際は非常に孤独であることは事実なんですよ。本当に心配をしますね。だから、今の内閣では課長ではなくなっているんですよ、総理大臣秘書官は。あれは中二階に上がっているんです、一ランク上に持ってきている。私はあれは正しい処置だと思います。それくらいなものでございますから、いかにも総理大臣とか官房長官を補佐するスタッフが手薄であるということだけは間違いがない。これは何とかしていただかなければならぬと私は本当に思います。
  248. 内藤功

    ○内藤功君 ですから、後藤田さんのお話を聞けば聞くほど、それならば秘書官の増員と、今課長クラスの方をもう一ランク上げて、それでいけるんじゃないかという気がしまして、お答えを聞けば聞くほど安全保障会議というものにどうして結びつくんだろうという感じを持つわけなんです。  さて、ミグ25戦闘機の事件のときに、これは既存の体制、法令では足りないところがどこにあったのか。ミグ25戦闘機のあの函館空港着陸事件のときには、塩田さんは当時は防衛庁におられたわけなんだが、じゃどうすればよかったんですか。あの場合、こういうふうにすればよかったという点から聞いてみましょうか。どういうふうに思われますか。
  249. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) あの場合は、私はまだ自治省におって防衛庁ではなかったのですが、それはともかくとしまして、例えば機体の取り扱い一つをめぐりましても、全く新しいケースでございまして、一体どこの省庁が所管するかということさえわからない、これは正直そうだったのだろうと思います。ですから、例えば不法入国であるとかあるいは空港の無断使用であるとかというようなことで、運輸省が関係するとか出入国管理官が関係するとか、そういうようなことは一つ一つはわかりますけれども、今の機体の処理なんていうのはたちどころに所管省庁さえないというので、最初はそう言っては当時の先輩に失礼かもしれませんが、恐らく手探りでいろいろやられたのだろうと思います。  ずっと振り返ってみて、それはあの処置が間違っておったかどうかということになりますと、それは必ずしもそうは言えないかもしれません。私は、あれ以上の重大結果にならなかったんですから、結果的に言えばよかった処置なのかもしれません。しかし、その経過において少なくとも迅速的確な処置であったかどうかという点については、やはり議論があるのではなかろうかというのが私どもの見解であります。
  250. 内藤功

    ○内藤功君 迅速的確というのも、これも程度の問題ですから、これまた安全保障会議というものをどうしてもつくらなきゃならないのかなというところには、今の塩田局長の御答弁でもまだ納得できないですね。  それで、そのミグ25でちょっとどんどん聞いていきますが、あの場合ミグ25戦闘機を函館基地において、あるいは百里基地において破壊をして、あるいは奪還するという相手国側の意図については、これはもう現実的なものとして当時の防衛庁としてはお考えになっていたのかどうか、これは当時の防衛庁の人がいるかどうかわかりませんが、この点となたかお答えいただけませんか。
  251. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 当時私直接関係したわけではございませんが、いろいろな状況を想定して警戒等は厳重にした方がいいだろうということはございましたけれども、具体的に今先生が言われたようなことが起きるであろうということを前提にして物を考えたということではございません。
  252. 内藤功

    ○内藤功君 これは西廣さんにお伺いいたしますが、そのとき北海道にいる陸、海、空の自衛隊の部隊が具体的にそういう事態に対処してどんな行動をとったかおわかりですか。
  253. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 当時陸、海、空それぞれの自衛隊は、平時に与えられたそれぞれの指揮官の権限の中でできる範囲の警戒措置をとったというようにお考えいただきたいと思いますが、具体的な内容は、当時間別にそれぞれの指揮官から防衛庁長官の方に上申があって、防衛庁長官の承認を得てやられたわけです。例えば陸上自衛隊についていいますと、情報所なり指揮所を開設する、あるいは各部隊を第三種勤務態勢、つまり全員外出どめにして待機させる態勢をとるとか、そういった措置をそれぞれ平時態勢の中で、平時の行える権限の中でできる、あるいは教育訓練としてできる範囲で行ったということでございます。
  254. 内藤功

    ○内藤功君 ちょっと私の方から申しますが、例えば陸上自衛隊の第十一師団が、現地函館部隊に今あなたのおっしゃった第三種勤務態勢を命じて待機させる、駐屯地祭を中止して、一般展示用に到着していた戦車、対空機関砲を万一の事態に即応できるよう準備したとか、あるいは海上自衛隊大湊地方隊が護衛艦四隻、ヘリコプターを出動させて津軽海峡の警戒監視を命じた。北部航空方面隊は第四警戒態勢、領空侵犯に対する措置ですか、これに準じて行動し、空対空ミサイルの組み立てを完了した、こういうような事態が私は当時の事態として承知をしておるんですが、いかがでござ  いますか。
  255. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) それじゃ具体的に申し上げますが、例えば陸上自衛隊では、これは函館におります連隊、これは一一師団隷下の二八普通科連隊でありますけれども、この連隊が九月八日から九月二十四日の間、第三種勤務態勢、先ほど申し上げたように、これは全員を待機させる態勢でありますが、とったということが中心的な措置でございますが、それ以外に、北部方面総監部と師団司令部が指揮所を開設する、これは指揮所の開設というのは第二種勤務態勢というような格好になっております。そのほか、函館駐屯地内では二八普通科連隊がいわゆる緊急配備訓練というのを行っておりまして、当時駐屯地内で記念日をやる予定で用意しておりました例えばL90とか戦車、そういったものの操作訓練という形でそれがいつでも実動できるような態勢まで状況を高めておるというようなことであります。  それから、海上自衛隊でありますけれども、海上自衛隊も同じく九月八日から二十四日の間、艦艇及び航空機による津軽海峡の監視活動を行っております。  次に、航空自衛隊ですが、航空自衛隊は、第二航空団が平時の警戒態勢の枠内で待機を強化する。それから、偵察航空隊のRF4Eが九月十三日から九月二十四日の間、函館周辺の監視飛行を行っておるといったようなことが中心であります。
  256. 内藤功

    ○内藤功君 今の西廣局長の答弁の範囲では、その当否の議論は別として、現行体制下で自衛隊のそういう動きがあります。  そこで、このミグ25事件について、ミグ25というのは一応新鋭のソ連邦の軍用機であるにかかわらず、それが日本の函館に着陸してから四日間の間は警察庁の担当になっていて、防衛庁は列外、枠外に置かれていたということについて、これは処理として事後からいって大変問題だということを言う人がおるんですが、これは官房長官、防衛庁長官、こういう話についてはどういうふうな御見解でしょうか。
  257. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、この事件当時は直接タッチをしていないので、当時の実情が詳細わかりません。わかりませんが、私が少なくとも聞いている範囲で申し上げますと、あの事件は外国軍用機だと、そして領空侵犯である、しかもそれが亡命であるといったようなことで、関係各省が非常に多いわけですわ。そこでああいう事件が起きたときに、この問題を全体としてとらえてどこが一体中心的に処理をするのか、それ自身既に決まっていないわけです。そういうことが決まってないから、今、内藤さんがおっしゃったのがそのとおりであったとすれば、そこらに私はもたつきがあったと。ある役所は早くやる、ある役所は後ろへ引くといったようなところに本当は私は問題があって、もう少しここらは政府全体として少なくとも、飛行機の機種は別として、ともかくソ連の飛行機が亡命してきたということになれば、それじゃどうするというぐらいの政府の考え方は迅速に決めないとぐあいが悪いんじゃないかと、こう思いますね。具体的な中身はわかりませんから、私は。
  258. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 私ども、六日の日にミグが強行着陸したということで、その後たしか七日の日に警察が中心になって実況見分、これは機体についてでありますが、実況見分を行っておりますし、八日には函館の地方検察庁が中心になって実況見分を実施をいたしております。そして、いずれの場合にも、防衛庁としては、いわゆる専門技術的な知識を有するものということで立ち会いをしているというように理解をいたしております。
  259. 内藤功

    ○内藤功君 それは後藤田さんね、当時どこが先に処理するか決まってなかったというのを悔やんでおられるけれども、それは無理なんですよね、それはそのときの経験でマニュアルというものをそれこそつくっていけばいいんですから。ですから、これも、くどいようですが、安全保障会議をつくる理由にちょっと僕も結びつかないと思う。  もう一つは、この当時の事件があった直後に、この事件の処理について、機体を武器輸出の形でソ連に引き渡した。調査をするだけじゃなくて、あのミグ25戦闘機にだれかパイロットが乗っかって飛行してみたらよかったと、それを悔やんでいる人がいるんですね。これは具体的に竹田五郎さんという元統幕議長です。こういう点については、防衛庁はどういうふうにお考えになりますか。こういうことを書いています、本に。
  260. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 外国機が例えば亡命その他で領空侵犯をして不時着する、あるいは強行着陸するといったような場合には、各国ともそれらの航空機について、その性能その他について調べるというようなことは国際的な慣行であろうと思います。したがって、どの程度やるかという程度問題もあろうかと思いますが、我が国としてもそれなりの調査というものは必要であろうというように、当時政府としてあるいは防衛庁として判断をいたしたわけであります。一方、こういった事案はできるだけ早く解決をしたいということで、早く機体等も返して解決をしたいということもありますので、その間の時間的にはできるだけ早くというようなこともありますから、そういったところの兼ね合いのところででき得る限りの調査をいたしたということだろうと思います。  なお、いずれにしろこういうものが国外から出たり入ったりしたということで、現状であればそれが関税がかかるというようないろんな問題があるようであります。それについてどうするかというようなことについても、当時関係省庁でいろいろ御検討になった、あるいはソ連に送り返すについて、その運賃をどこで持つかとか、これはソ連が本来持つべきであって要求しているわけですが、いまだに返していただけないので防衛庁の負担になっておりますけれども、その種のいろんな問題があったことは事実であります。
  261. 内藤功

    ○内藤功君 やはりそういう各省庁ごとの苦労をして、最大限の知恵を発揮しているのですね。  もう一遍飛行機の問題について申し上げますと、これは韓国が中国と北朝鮮から二度亡命してきた飛行機を受け入れたんですよね。そういう事件があったんです、これはミグ19戦闘機。このときにこの韓国側の処置としましては、軍が調査をして、今度はそれにパイロットを乗っけてソウルの上空をその分捕ったやつで編隊飛行をやった。その竹田五郎さんは、それを倣って、それを評価して、日本も函館であれをやればよかったと後で言っているのです。これは防衛庁長官でも官房長官でも、どうお思いになりますか。
  262. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) ただいま防衛局長が答弁しましたように、できる限りの情報というのは重要なことですから、それを努力するということは我々防衛庁としてもやるべきことではないかな、そう思います。ただ、それは上空を編隊飛行するかどうかというようなのは情報収集とは別個のことでございまして、またそれで特にある種のデモンストレーション効果をねらうというようなことも必要のない、実にクールに情報収集ということをやるということに限るべきことではないかなと思います。また、飛行によってもしそれができるんであるならば整々とやるということも可能性あったと思いますけれども、それはさっき防衛局長言いましたように、できるだけ早く返さなきゃならぬということと、種々の外交上の考慮とかいろんな当時お考えになったと思うし、日本政府としては的確な処理をしたんではないかなと、こう思っております。
  263. 内藤功

    ○内藤功君 次に、大韓航空機の関係ですが、これはポイントは交信記録の公開問題とそれから機体捜索問題だと思うんですが、交信記録の公開は、やはりこれは大きなやっぱり、交信記録の公開と七文字で言うけれども、これは渦中にいた後藤田さん、大変だったろうと思うんですね。これは閣内の意思統一は容易でなかったろうと思うんですよ、閣内とそれから省庁間のね。これはどういうふうにやられたんですか。
  264. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) まさに情報の取り扱いは、これは大変苦労いたしました。しかし、やはりああいう事件をうまく処理するのには、何といってもお互いの連絡協調、これが一番肝心でございますから、直接やれと言ってもなかなかそう 簡単に情報というものはよそへ渡すものじゃありません。そういうことがございますから、私のところを仲介にして、そして関係省庁ができる限りの協力をしながら処理していったというのが実情でございます。
  265. 内藤功

    ○内藤功君 ちょっと嫌なことを聞きますが、防衛庁は当時レーダーですね、たしか宗谷海峡に面した稚内の航空自衛隊のレーダーだったと思うんですね。恐らくこの情報については防衛庁内部でもかなり秘扱いは強度のものだったんじゃないかと私は思うんですね。こういうものの公開という問題については、当時の防衛庁はどういうふうに考えていたか、今どう考えているかという点について。
  266. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 我が方の情報能力といいますか、そういったものについては、でき得ることなら、できるだけこれは秘匿しておきたいというのは当然のことでございます。一方、事案が事案であり、多数の方の人命が失われている、しかもそれについて当事国であるソ連は何も言わない、口をぬぐっているというようなことでありましたので、そういったことの兼ね合いで、ぎりぎりのところで、我々としてはやはりここまでは提供しなくちゃいかぬのじゃないかというようなことをいろいろ御論議いただいた結果、最小限必要な情報を提供したということであります。
  267. 内藤功

    ○内藤功君 当時はたしか夏目さんが次官であられたと思うんですね。制服のトップを含めて、かなりこれは防衛庁プロパーがこういう考え方で反対をされたと思いますよ。それに対して、ソ連に事実を認めさせるにはこれしかないということで、官房長官がどういうふうにこれをまとめていったんですか。
  268. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) やはり防衛当局は、情報が外に出るということは、これは当然秘匿する、したがって反対するというのは私は当たり前だと思いますね。手の内見せることになりますから、それに関する限りは。そこで、しかし私は、やはり防衛庁の情報といえども必要最小限度にとどめまして、そして国益上必要であるというだけの活用はしなければ意味をなさない、こういう観点で処理をしたつもりでございます。  これはどういうところかといいますと、御案内のようにソ連はともかく最後まで、何か命令を遂行したということまでしか最後になってもまだ言わないんじゃないですか。それが何といいますか、言葉は悪いかもしらぬが、しぶといですよ。しかし、事実は。一つしかないではないか、事実は一つだよと。戦闘機によって、理由のいかんを問わない、戦闘機によって非武装の何百名かの人間が乗っている旅客機をいきなり撃墜するとは何事だと。しかし、恐らくああいう国柄でございますから、陳謝はせぬであろう、損害賠償もせぬであろうと。これは私一応そういう自分自身の気持ちの中に持っておりましたが、少なくとも事実は一つである以上は、事実だけは認めさせなければならない。  しかし、同時にこのことは基本的には韓国とソ連の間の問題である。アメリカは何かと言えば、アメリカはアメリカ発の飛行機であった。日本は何かと言えば、日本は数は二十名、三十名弱でございましたかね、日本人乗客があの事件によって殺されておるということ、そしてあの飛行機は日本の上空を飛んでソウルに行く飛行機であった、こういう種類の旅客機でございますから日本は無縁とは言えない。ならば、日本としては、少なくとも事実関係だけははっきりひとつソ連に認めてもらわなければならぬ。こういう判断で、そこで必要最小限度の情報はこれはやむを得ないということで防衛庁に御辛抱願ったというのが実態でございます。
  269. 内藤功

    ○内藤功君 大体わかりました。私たちは、それだけの情報能力を持っておられるんだから、これは科学的に筋が通るかどうかわからぬが、まだ落とされる前に、それだけの科学情報能力を持っておられるのであれば、当該KAL機に連絡をして進路変更などできなかったのかということを当時国会でも申し上げたはずです。この点は、議論は過去の議論ですからもうやりませんが、今のお話を聞いていても、既存の体制で、初めて起きるいわゆる危機的事案に対して既存の体制と法令でそれなりの知恵を払ってやってきた。その問題はありますけれども、私はそういう感じをするわけなんです。  きょうは議論するあれじゃありませんから質問を続けますが、次に安保会議の議題の問題に入って質問したいと思います。  まずその前に、シビリアンコントロールをやっているとか、シビリアンコントロールを一歩進めたものだと中曽根さん国会でしばしばおっしゃるんですけれども、このシビリアンコントロールというものの意義についてはどういうふうに御理解なさっているかを官房長官と防衛庁長官にお聞きしたいと思うんです。  日本の自衛隊、制服組というものが逸脱しないように、出過ぎないようにこれを機構的に組織的に抑えるという、そういうふうに理解をしておられるのか、あるいはそういう単純な理解ではないお考えなのか、そこのところをちょっと質問に入る前に聞いておきたいんですが。
  270. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 単純に制服組を抑えるとか何とかという話ではなくて、やはり我が国の防衛政策とか防衛力整備とか、それからその運用に関しまして、やはり国民の意思の存するところとかけ離れないように慎重な判断を加えてやっていくことだと思います。その一番基本なのは、我が国の防衛政策の決定はあくまで最後は国民が決定するものということを確保する仕組みということなんではないだろうかなと思っております。  それを、国民の意思の存するところを一番最初は行政的には防衛庁の内局がまず判断し、そしてそれが制服組の純軍事的な判断とかけ離れた場合にはそれを指導しコントロールする。そして、防衛庁限りの判断では非常に一方的になるおそれがなしとしませんから、そうするときには国防会議において防衛庁以外の各省の大臣等が集まって相計らって判断し、そしてその意見に基づいて総理大臣が閣議で決定する、そして最終的には国会の御承認を得る、こういう仕組みがシビリアンコントロールの概念とそのプロセスである、こう思っております。
  271. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 今その点は加藤長官がお答えになったとおりだと思いますが、要はシビリアンコントロールというのは政治が軍事に優先する、政治が軍事をコントロールするという考え方であろうと、こう私は思うわけでございます。  そこで、日本の制度を考えますと、国政を執行する最高の責任者である内閣総理大臣初め各国務大臣、これは少なくとも憲法上は文民でなければならぬ、こう書いてありますね。これもやはり私は一つの原則であろうと。それと同時に、国防に関する重要事項は国防会議の議を経るということになっておる。さらに、自衛隊、国防を直接担当する自衛隊も、法律、予算等によって国会のコントロールのもとにある、同時にまたその運営の仕方、それらについても、私は最終は国会の批判、それにたえる限度のものでなければならぬ、こういうような仕組みができてきておるわけでございます。これが私はシビリアンコントロールではなかろうか。  今度は、自衛隊の中においては、とかく背広が制服の上におるという考え方は、これは私は間違いである、そうではない、これは加藤さんが今おっしゃったとおりであろうと、かように理解いたします。
  272. 内藤功

    ○内藤功君 私は、自衛隊について憲法上のまた違った見解を持っておりますので、ひとつの立場が違いますが、文官統制じゃなくて文民統制だと、こういう考え方のように承りました。  そこで次に、重大緊急事態対処措置、これを今回安保会議の議題の柱にしたわけですが、これにつきまして昨日も本会議で総理大臣中曽根さんが、これはシビリアンコントロールを一歩進めたことになるんだと再三にわたり言っておられました。そこで、これはどういう点で一歩進めたことになるのかという点を端的にお答えいただきたい んです。
  273. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 三点お答えを申し上げたいと思いますが、一つは国防会議に関する従来の任務はそのまま継承いたしますので、その点について改正というよりも従前と変わらない、従前の国防会議のシビリアンコントロールについての機能はそのまま維持されるということが一点。それから第二点に、今回「重大緊急事態」が加えられるということによりまして、事態によっては国防事態に発展するおそれのある事態もその段階で既に処理されるわけでありますが、そういう点からいきまして、より慎重な対処についての措置がとれるということが言えるのではなかろうか。それから第三点に、これは形式的といえば形式的ですけれども、現在国防会議が防衛庁設置法の中で規定されているという事態に対しまして、今回は内閣関係法の一環として独立法になるということは、やはり形式的ではあるけれどもそれだけの意味はあるというふうに私どもは理解をいたしております。  そういったことを考え合わせまして、今回の改正は、シビリアンコントロールの観点から決してマイナスではなくてむしろ前進になるというふうに考えておるわけであります。
  274. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、具体的な例ですが、これは西廣さんにお尋ねした方がいいですかね、よく議論される問題なんですが、我が国の領海を外国の艦船が侵犯する、こういう場合に現行法制では、海上自衛隊を初めとする自衛隊はどういう対応ができますか、どこまでできますか。
  275. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 領海の警備といいますか監視は、平時におきましては第一義的には海上保安庁の任務になっております。ただ、領海条約については日本は批准をいたしておりますけれども、これについての警備について特段の法律とか定めがありませんので、自衛隊としては領海侵犯等に対して直ちに何かをし得るという状況にはございません。
  276. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、一部に領海侵犯対処行動というものを法律の中に規定をしろ、領空侵犯対処措置と並んで領海の方もやれという立法論がちらほら時々見え隠れするわけなんですね。こういう場合に、今塩田さんが言った国防事態に発展するおそれがある事態として、今度安全保障会議法ができると、この「重大緊急事態」としてこれが総理から御諮問を受けるということは、解釈からいえば出てくる余地がありませんか。
  277. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 率直に申し上げてお尋ねの趣旨がよくわかりませんが……
  278. 内藤功

    ○内藤功君 言いましょうか。我が国の現行法では、領海侵犯だけでは武力行使はできない。そこで、しかしその事態を、現在の自衛隊法ではできないんだけれども、内閣総理大臣が、あるいは安保会議がこれは「緊急重大事態」であると判断をして、その対処措置を安保会議法に基づいて安保会議で決定し、行政各部に指導するという余地は私はできるようにも読めるんで、どうかと聞いています。
  279. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) ということは、現行法上で、領海を無断で通過するよその国の艦船がある場合に、それに対する措置がここでかかるかと、こういうお尋ねでございましょうか。
  280. 内藤功

    ○内藤功君 いろんな態様がありましょうが、態様によってはかかる場合があるというふうにお考えかどうかと。
  281. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 私は領海に関する制度をつまびらかにしておりませんのでよくわかりませんが、聞きますところによりますと、領海につきましては無害通航権もありますし、そのこと自体でここで言うところの「重大緊急事態」に当たるんだとはちょっと考えられないんですけれども、これは私の感想でございますが、ちょっと考えられないと思います。
  282. 内藤功

    ○内藤功君 アメリカの海軍研究所が発行したプロシーディンクスの八六年一月号、これはもうしばしばこの国会で加藤防衛庁長官、中曽根総理にも私も聞きましたし、他の議員も聞いて論争になった点ですが、一つ私は聞いておきたいんですが、ワトキンス作戦部長の論文ですね、それからケリー大将の論文、時間がありませんから全部を御紹介するわけにはいかないんですけれども、これは非常に重大なものだと思うんですね。  一つは、ワトキンス作戦部長は、戦争が起きた場合は「ソ連は、世界的紛争やかれらの側面への軍事行動とかかわることなしに、ヨーロッパに対する大規模な地上軍の優勢を活用しようとするだろう。」と。それに対抗してアメリカは「このような対抗のカナメは、長期的な全面紛争の見込にソ連が直面せざるを得ないように仕向けることである。この点で、海洋戦力は大きな役割を演ずる。海軍のこうした貢献を浮きぼりにする戦略」として、ここでは読む時間がありませんが、三つの段階を挙げて、そして最後に、海洋戦略の「第三段階の目標は、陸空両軍やわが同盟諸国の努力との連携のもとに海洋戦力を行使することにより、有利な条件での戦争終結を実現すること」だと。同盟諸国の海軍力も使って有利に展開するということをこれは総論的に言っている。  その各論を展開したのがP・X・ケリー大将ですね、海兵隊司令官。この論文は第三段階まで言っていますが、第二段階で日本に関係してきます。「攻撃型潜水艦は、ノルウェー海、バレンツ海、地中海及び太平洋で、ソ連海軍戦力とただちに交戦する。」、「他方、同盟国の対潜水艦戦力は、ソ連の潜水艦部隊をさがし出し、破壊する」。第三段階では、「海軍作戦の一部としての作戦のなかで海兵隊航空隊地上機動部隊は、ノースケープ、東部バルチックまたは黒海沿岸、千島列島またはサハリン島(樺太)に上陸する。これに上って連続的な海洋作戦の遂行のための決定的なテコの役割を果たす」。  ちょっと引用が長くなって恐縮ですが、私は、この雑誌の冒頭にワインバーガー国防長官の承認を得た米海軍の公式戦略だとうたっているところで、今までの同様類似の米海軍あるいは米軍、ペンタゴンの人たちの論文とは違った重みがあるというふうに私は評価、判断をしているわけなんです。特に我が国周辺で太平洋でのソ連海上戦力への攻撃、サハリン、千島という名前を出しまして、そこへのマリーンの上陸侵攻、こういう事態、これが日本周辺で起こる可能性を、これを読んだ人間としてはやっぱり痛切に感じるわけですね。  特に日本の場合には、「同盟国の対潜水艦戦力は、ソ連の潜水艦部隊をさがし出し、破壊する」。今、日本の海上自衛隊、航空自衛隊も非常に対潜戦力に力を入れていますから、こういう事態の中でアメリカが日本にこういう協力、軍事だけじゃありません、そういうことをやる。リビアに対するああいう制裁をやったから協力してくれと言ってきましたが、今度はこういうふうになったときに、こういう協力をしてくれ、支援をしてくれと言ってきた場合の心づもりというものは我々はどういうふうにしなきゃならないか。  日本の安全の問題として、これはミグ事件とかKAL事件とか、関東大震災とかダッカ事件が安全保障会議の「重大緊急事態」になるということであれば、これはなおさらこの法律ができると、そういうような事態についても、これは重大緊急事態あるいは国防事態の重要問題として安全保障会議の少なくとも議題となっていく、こういうところに私どもこの法文を見て、また今国会の論戦を考えるときに思うわけなんですよ。これは私だけじゃなくて、かなりそういう疑問を持っている人が国民の中に多いと思いますが、いかがでございますか、そういう点。
  283. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 今、先生の言われたような御質問、累次ございまして明確にいたしておりますように、我が国の立場というのは非常に明確でございまして、その事態が既に我が国に対して武力攻撃が行われておったということであれば、当然のことながら、安保条約五条のもとで米側と共同の対処行動をとるということは当然あり得るわけでございます。  一方、我が国に対して何ら武力攻撃というものがなされておらない状態で、日本周辺において米側が何らかの軍事行動をとっておるということは、それが我が国の安全上に重要な関係があれば、それは第六条、いわゆる極東有事の事態でございまして、それは極東有事の事態における我が国が、いわゆる便益供与として何ができるかという問題であろうかと思います。その種の問題につきましては、御承知のように日米防衛協力のためのガイドラインに基づきまして、現在外務省が中心になってその種便益供与について勉強いたしておるということでございます。
  284. 内藤功

    ○内藤功君 大臣、いかがですか、特にありませんですか。
  285. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 米国の政策は、そのときどきいろいろ変わります。政策といいますか、戦略論、戦術論はいろいろございまして、例えばこれは抑止の理論のいろんな変形だろうと思うんですが、ホリゾンタルエスカレーション理論とか、今回の場合のケリー論文にしましても、いろいろなときどき状況で変わっていくと思うんです。我が国としては、今防衛局長が申しましたように、我が国の防衛基本政策及び憲法の精神に従って判断していくわけでございます。  どういった対処の方針でいくべきかということを内藤委員がおっしゃいましたけれども、我が国の場合には我が国の政策に従って集団的自衛権の原則に背馳するようなことはいたしませんから、我が国が有事でない場合にそのような我が国が出動するということはないし、当然のことながら安保会議のテーマになることもないわけであります。
  286. 内藤功

    ○内藤功君 私の質問は、この法案についてまだまだ聞きたいことがたくさんありまして、きょう聞いただけでもまだ十分の一ぐらいにしかいってないんですが、非常に重要な問題であります。また、きょうの答弁で、今までの既存の体制で十分にやってきたということも私なりにわかりましたし、安保会議の必要性ますます疑問になってきているんです。その疑問点の続きは、この次にやります。
  287. 亀長友義

    ○委員長(亀長友義君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時五分散会      ―――――・―――――