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1985-04-05 第102回国会 参議院 予算委員会 21号 公式Web版

  1. 昭和六十年四月五日(金曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  四月四日     辞任         補欠選任      吉川 春子君     上田耕一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         長田 裕二君     理 事                 井上  裕君                 岩本 政光君                大河原太一郎君                 梶木 又三君                 亀井 久興君                 志苫  裕君                 太田 淳夫君                 内藤  功君                 伊藤 郁男君     委 員                 安孫子藤吉君                 岩動 道行君                 板垣  正君                 海江田鶴造君                 梶原  清君                 古賀雷四郎君                 沢田 一精君                 山東 昭子君                 志村 哲良君                 杉山 令肇君                 関口 恵造君                 田中 正巳君                 土屋 義彦君                 成相 善十君                 鳩山威一郎君                 林 健太郎君                 増岡 康治君                 宮澤  弘君                 宮島  滉君                 森田 重郎君                 穐山  篤君                 久保  亘君                 久保田真苗君                 村沢  牧君                 矢田部 理君                 安恒 良一君                 和田 静夫君                 桑名 義治君                 鈴木 一弘君                 高桑 栄松君                 中野 鉄造君                 上田耕一郎君                 柄谷 道一君                 秦   豊君                 野末 陳平君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        法 務 大 臣  嶋崎  均君        外 務 大 臣  安倍晋太郎君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        文 部 大 臣  松永  光君        厚 生 大 臣  増岡 博之君        農林水産大臣   佐藤 守良君        通商産業大臣   村田敬次郎君        運 輸 大 臣  山下 徳夫君        郵 政 大 臣  左藤  恵君        労 働 大 臣  山口 敏夫君        建 設 大 臣  木部 佳昭君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    古屋  亨君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 藤波 孝生君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  後藤田正晴君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (国土庁長官)  河本嘉久蔵君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  加藤 紘一君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       金子 一平君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       竹内 黎一君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石本  茂君        国 務 大 臣        (沖縄開発庁長        官)       河本 敏夫君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長        兼内閣総理大臣        官房審議室長   吉居 時哉君        内閣法制局長官  茂串  俊君        内閣法制局第一        部長       前田 正道君        内閣総理大臣官        房審議官     田中 宏樹者        社会保障制度審        議会事務局長   藤田 恒雄君        臨時教育審議会        事務局次長    齋藤 諦淳君        警察庁刑事局長  金澤 昭雄君        警察庁警備局長  柴田 善憲君        総務庁長官官房        長        門田 英郎君        総務庁長官官房        審議官      手塚 康夫君        総務庁長官官房        審議官      佐々木晴夫君        総務庁長官官房        会計課長     鈴木 昭雄君        総務庁行政管理        局長       古橋源六郎君        防衛庁参事官   古川  清君        防衛庁参事官   池田 久克君        防衛庁参事官   筒井 良三君        防衛庁長官官房        長        西廣 整輝君        防衛庁防衛局長  矢崎 新二君        防衛庁教育訓練        局長       大高 時男君        防衛庁人事局長  友藤 一隆君        防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君        防衛庁装備局長  山田 勝久君        防衛施設庁長官  佐々 淳行君        防衛施設庁施設        部長       宇都 信義君        防衛施設庁建設        部長       大原 舜世君        経済企画庁調整        局長       赤羽 隆夫君        経済企画庁国民        生活局長     及川 昭伍君        経済企画庁物価        局長       斎藤 成雄君        経済企画庁総合        計画局長     大竹 宏繁君        経済企画庁調査        局長       横溝 雅夫君        科学技術庁研究        調整局長     内田 勇夫君        科学技術庁原子        力局長      中村 守孝君        国土庁長官官房        長        永田 良雄君        国土庁長官官房        会計課長     北島 照仁君        国土庁土地局長  鴻巣 健治君        国土庁地方振興        局長       田中  暁君        国土庁防災局長  杉岡  浩君        法務省刑事局長  筧  榮一君        法務省入国管理        局長       小林 俊二君        外務省アジア局        長        後藤 利雄君        外務省北米局長  栗山 尚一君        外務省欧亜局長  西山 健彦君        外務省中近東ア        フリカ局長    三宅 和助君        外務省経済局長  国広 道彦君        外務省条約局長  小和田 恒君        外務省国際連合        局長       山田 中正君        大蔵大臣官房総        務審議官     北村 恭二君        大蔵省主計局長  吉野 良彦君        大蔵省主税局長  梅澤 節男君        大蔵省理財局長  宮本 保孝君        大蔵省理財局次        長        中田 一男君        大蔵省理財局た        ばこ塩事業審議        官        松原 幹夫君        大蔵省銀行局長  吉田 正輝君        大蔵省国際金融        局長       行天 豊雄君        文部大臣官房長  西崎 清久君        文部大臣官房審        議官       菱村 幸彦君        文部省初等中等        教育局長     高石 邦男君        文部省教育助成        局長       阿部 充夫君        文部省社会教育        局長       齊藤 尚夫君        厚生省児童家庭        局長       小島 弘仲君        厚生省保険局長  幸田 正孝君        厚生省年金局長  吉原 健二君        社会保険庁医療        保険部長     坂本 龍彦君        農林水産大臣官        房長       田中 宏尚君        農林水産大臣官        房総務審議官   眞木 秀郎君        農林水産大臣官        房予算課長    鶴岡 俊彦君        通商産業大臣官        房審議官     矢橋 有彦君        通商産業省通商        政策局長     黒田  真君        通商産業省機械        情報産業局長   木下 博生君        通商産業省生活        産業局長     篠島 義明君        中小企業庁計画        部長       末木凰太郎君        運輸省航空局長  西村 康雄君        郵政大臣官房審        議官       田代  功君        郵政省貯金局長  奥田 量三君        郵政省電気通信        局長       澤田 茂生君        労働省労働基準        局長       寺園 成章君        労働省職業安定        局長       加藤  孝君        労働省職業安定        局高齢者対策部        長        小野 進一君        建設大臣官房長  豊蔵  一君        建設大臣官房総        務審議官     松原 青美君        建設大臣官房会        計課長      望月 薫雄君        建設省住宅局長  吉沢 奎介君        自治大臣官房審        議官       石山  努君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省行政局選        挙部長      小笠原臣也君        自治省財政局長  花岡 圭三君        自治省税務局長  矢野浩一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和六十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付) ○昭和六十年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付) ○昭和六十年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 予算委員会を開会いたします。  昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算、昭和六十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  それでは、これより太田淳夫君の残余の締めくくり総括質疑を行います。太田君。
  3. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 昨日、日米経済摩擦のことにつきましてこの委員会でもいろいろと論議があったわけでございますが、昨夜、経済対策閣僚会議が開催されましたが、河本特命大臣にお伺いいたしますけれども、これで党と政府との意見調整がされて、一応一致協力の体制ができて、これから対米経済摩擦への対応づくりが九日の答申で一応完成すると、このように考えられるんでしょうか。
  4. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 今、政府の作業日程といたしましては、今月九日に当面の対外経済対策、それから中期的な対策と展望、こういうものを明らかにしたいと思って最後の作業をやっておりますが、昨日、夕刻の経済対策閣僚会議では、現時点における作業の現状と問題点、これについて徹底的に議論をしようということで、約一時間半ばかりの会議になったわけでございますが、今それぞれの分野におきまして最後の仕上げのための作業を懸命にやっていただいております。難しい問題が大変多いのでございますけれども、しかし関係者の大変な御苦心によりまして作業はおおむね順調に進んでおると思います。したがいまして、九日には所期の対策がまとまるであろうと、このように期待をいたしております。
  5. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 総理大臣はいかがお考えですか。
  6. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 河本国務大臣が申し上げたとおりであります。
  7. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 外務大臣にお伺いしますが、外務大臣の日程の中に、十日からヨーロッパあるいはアメリカというふうに訪問される予定とお聞きしておりますけれども、特にアメリカではシュルツ国務長官との会談等も予定されているようにお聞きしますけれども、やはりそこではこういった日本のいろいろな状況の説明等がなされていくんじゃないか、このように思いますが、どのようにお考えでしょうか。
  8. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) OECDの閣僚会議に出席しました直後、アメリカに参りまして日米外相会談を行うわけでありますが、このときは私とシュルツ国務長官の間で日米の経済貿易問題、特に四分野の問題については相談をするということになっておりますので、九日に取りまとめました日本の対外経済対策を説明するとともに、四分野につきましての進捗状況等について意見の交換を行いたいと思っております。同時にまた、経済問題だけでなくて、日米間のその他の問題、さらに国際情勢等について意見の交換も行う予定にいたしております。
  9. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 きのうの閣僚会議の議題の中に、外務大臣もヨーロッパあるいはASEANの問題等もやはり検討すべきじゃないかということでお話があったようでございますが、そうですか。
  10. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 今、日本に対して注目しておりますのは、日米関係でアメリカだけじゃなくて、ECもあるいはまたASEAN諸国も日本に対していろいろの問題提起をいたしておりまして、九日の対外経済対策について非常な注目、関心を持っておりまして、したがって日本としましてはこの対外経済対策はまさに対米ということだけじゃなくてASEAN、それからECを含めた広範なやはり世界に対する日本の経済対策でなければならない、こういうふうに思っておりますし、その際はいわゆる開発途上国等に対する開発援助の問題等も含めてこの経済対策に盛り込む、こういう予定にいたしております。特に、ASEAN等につきましては、六月に経済閣僚会議を開く予定にしておりますし、そういう時点も念頭に置いてこの対策は行われなければならないと、こういうことを強調したわけでありますし、それは今回の経済対策に盛り込まれる、こういう予定になっております。
  11. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今、外相のお話がありましたように、六月に経済閣僚会議が開かれますが、ことしの二月に開催されましたASEANの経済閣僚会議では、特に我が国の市場開放策につきまして激しく非難するような共同コミュニケが採択されているわけです。そういった意味で、この六月にまた経済閣僚会議を迎えるわけでございますけれども、やはり日本がアジア諸国及び発展途上国に対します一つの友好関係を保つ上で十分これは考えていかなければならない、そう思いますし、総理としてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  12. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の経済摩擦問題の解消は、単にアメリカだけでなくして、アジア、EC諸国、発展途上国、特に近隣にあるASEANの諸国についても十分目を配って行わなければならぬと思っております。
  13. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その中で、これ一つ具体的な問題なんですけれども、本年の二日に経団連のミッションがタイ国を訪問したんですが、その際、多数のタイの政府要人が指摘しておりましたことに、骨なしチキンの関税もさることながら、日タイの合弁事業、この合弁契約についての問題点がここで指摘されたわけですが、この状況につきましては政府としてどのように把握され、どのように対処されようとしておりますか。
  14. 黒田真

    ○政府委員(黒田真君) タイにつきましては日本から約四百の企業が進出しておりまして、大体そのうちの四割程度が合弁形態をとっておると思われるわけでございます。そういう投資を行います際に、そこで製造いたしました製品をタイ国内の販売に限る、日本には持ち帰らない、あるいは近隣の諸国に出さないというような、いろいろな輸出制限条項というものがついている、それらについて今後タイ国としては輸出振興を図る際に障害となるので、何とか除去したいというような希望が強く出されたというふうに承知をしております。  この問題はもともとタイ国が輸入代替品のために外資を歓迎するということで、タイ自身の審査においてそういうような輸出制限条項のもとで認めるというような政策をとってきたところでございまして、この辺はコマーシャルにある技術を出す、投資を行うときの一つの条件ということもございますし、またタイ国側のどういう条件で認めるかというようなこともあるわけでございますので、なかなか私どもからいろいろなことを申し上げにくい点もございますが、経団連自身、こういう問題は十分に自覚して、今後輸出振興に協力する必要があるというふうに帰って報告をしているというふうに理解しております。
  15. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 現在のASEANの製品は日本に売れませんものですから欧米等へ輸出をされているわけですが、これがやはり何かの事情で欧米への輸出が規制されますと、我が国に対しまして市場開放をもっと激しく追ってくる可能性も十分あるんじゃないかと思うんですが、この点ASEANの首脳もそのことを指摘しているわけでございますけれども、そういった意味から、タイへ進出をされている企業あるいは合弁企業の輸出制限につきましては今後も十分な注意を払って、こういった面の緩和の方向へやはり何かの働きかけが必要じゃないかと思うんですが、その点に対する通産省の御意見を承っておきたいと思います。
  16. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。  ASEAN諸国との貿易あるいはASEAN諸国への投資、そういった問題は大変重要でございまして、いわゆる太平洋協力ということで総理からもかねて御指示のあるところでございます。私も現地へつぶさに行ってみましたのはシンガポールでございましたが、日本からの投資歓迎、またいろいろなことについての御要望がございました。タイもまたしかりでありまして、タイ、インドネシア、シンガポールあるいはフィリピン等、ASEAN地域に対する対応は非常に重要であります。日米と並んで、ECと並んで重要でございますので、委員の御指摘になりました点は十分注意をして進めてまいります。
  17. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、外務大臣にちょっとお伺いしますけれども、外務大臣はよく創造的外交ということをおっしゃっているわけですけれども、そして、ことしは特にそういった意味で年頭にもいろいろと対談等を行われておりますけれども、その中で特にイラン、イラク問題につきましてはことしは執念を燃やして取り組んでいくのだ、こういうお話をされておりますけれども、具体的にはどのように取り組んでみえますか。
  18. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) イラン、イラクにおきましては、不幸な戦争が四年半、五年に近く続いておるわけでございます。いろいろな調停が入りましたけれども皆失敗して戦火は拡大をする一方ということであります。そういう中で日本はイラン、イラク両国とも貿易の面でも非常に密接でありますし、外交の面においても友好関係を両国に対して維持してきておる。これはいわば自由主義国家群の中においては非常に珍しい存在でございます。  したがって、こうした立場というものから、やはりこうした戦争を傍観しておってはならない。日本の外交でこれからできるとすれば、そういうイラン、イラク両国の戦争に対して何らか貢献ができればすべきではないかという考えでイラン、イラク両国も訪問しましたし、この両国との間のパイプを強力にいたしまして何らかの平和的環境をつくっていく、あるいはまた何らか戦争の拡大防止、さらに最終的に平和解決へ向かって役割を果たすことができれば世界のために日本が働いたということに、貢献したということになるわけですから、これまでいろいろと努力を重ねてまいりました。  国連とも協力してやってまいりましたし、あるいはまた志を同じくする国々とも相談して努力を重ねてまいってきておるわけでございますが、イラン、イラク両国ともそうした日本の努力というものは大変評価をしておりまして、最近もイランの特派使節が日本を訪問しております。あるいはまたイラクの外務大臣も日本を訪問しておるわけでございます。彼らとの間にも率直に話し合いも持っておるわけでございます。なかなかしかし事態は改善されない、こういう状況にありますが、しかしいつまでも戦争が続くわけでもありませんし、また続けてはならない。そういう中でこうしたしっかりしたパイプを持った日本としてこれからも腰を据えて両国との関係を強化していって、そうして戦争の拡大防止ということに何か役に立てばということで腰を据えてこの問題は取り組んでまいりたい。  外交のことでございますから表に出ないこともあるわけでございますが、しかしそうした方向でいろいろと努力をしている、その成果はそれなりに上がっておる、こういうふうに私は確信をいたしております。
  19. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろいろと努力をされておるようですが、やはり結果が出なければその努力というのは評価されないんじゃないかと思うんです。やはり創造的外交という中でおっしゃっておりますことは、米ソでできないことを日本がやるということでございますし、イラン、イラクと日本には太いパイプがあるというお話でございますが、やはりそれを有効に生かしてぜひともこの解決に取り組んで結果を出していただきたい、こう思います。国連のデ・クエヤル事務総長あるいはインドの調停も失敗をしているようでございますので、日本に対するイラン、イラク両国の期待というものは大きいのではないかと思うのですが、総理どのようにお考えですか。
  20. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 今外務大臣がお答えしましたように、日本といたしましてもその独特の立場を活用いたしまして停戦、全面和平に至る道を模索し、今両国と接触しておるところでございます。やはり粘り強くたゆまなく、そして目的を貫徹するまでは不屈不撓の志を持ちましてその平和を達成する方向に協力してまいりたいと思っております。
  21. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 外務大臣にお聞きしたいんですけれども、やはりイラン、イラク等の国、あるいは中国にしましても、ASEANにしましても、日本に対していろいろと信頼をしてくるその基本には、外相も海外を回って既におわかりと思いますが、日本の平和憲法、あるいはその平和憲法から参りましたところの専守防衛、あるいは防衛費の一%の枠、あるいは非核三原則の厳守、こういうことがやはり日本の軍事大国にならない、軍事力を背景にした外交ではないということで各国に定着をしてきている、それが大きな日本への信頼感になっているんじゃないかと思うんですが、外相としてはそのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  22. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) こうした国々が日本に対して期待をしておる基本は、今おっしゃいますように、日本がやはり平和外交に徹しておる、軍事大国にならないで戦争の平和処理、紛争の平和処理というものに徹してたゆまない努力をしておる、そういう外交の積み重ねが信頼感になってつながってきておる、こういうふうにも思いますし、日本がそうした諸外国に対して一切政治的野心を持たない、領土的野心を持たない、そういうこともあわせて各国の信頼につながっておるであろう、こういうふうに認識しております。
  23. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、あくまでも平和外交を推進していきたいという外務大臣の立場になりますと、この防衛費の問題、今いろいろと論議されておりますけれども、やはり日本の平和国家としての一つの大きな見識、国民のコンセンサスのよりどころとしてのこの一%枠というものは堅持していきたい、支持していきたい、このようにお考えですね。
  24. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本の平和外交については各国ともこれに期待を寄せておりますし、日本が軍事大国にならないという路線も日本の国家の基本であります。そういう中にあって日本が自己の防衛のための最小限の防衛力を維持するということは、これは日本のためのみならず、アジアの安定のためにも必要であるというのが私の基本的な考えであります。
  25. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そこで、総理大臣にお伺いしますけれども、昨日この委員会で同僚の志苫委員からも指摘をされましたあの問題でございますが、防衛費の大蔵原案への上積みの問題が取り上げられたわけですけれども、総理はその中で、私が六・九%という数字を示して妥協した、こういう趣旨の御答弁をされておりますけれども、これは最初から六・九%という数字が何か存在しておって、それに大蔵原案に対しまして政治加算がされたと、こういうことだと理解してよろしいわけですね。
  26. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛庁の主張と大蔵省の主張というものが対立しておりまして、これが妥協がなかなか試みられない。防衛庁側にはちゃんと積み上げの主張で七%以上という数字があります。それには根拠のある数字であります。大蔵省側は大蔵省側のまた見解に基づいて五・一%ということを言っておったわけでございます。それらをいろいろ勘案いたしました結果、私は大体教育訓練の重視、あるいは継戦能力の増強等々の処置を考えまして、そういう念を込めて六・九%という数字を指示したのであります。政治でございますから最終的には妥協しなければできないわけでありますから、したがって、防衛庁としては不本意でありましょう。また、大蔵省としても不本意でありましょうが、私が総理大臣という見識を持ってそのように決めたのであります。
  27. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろいろと説明をきのうもお聞きしましたけれども、最初大蔵原案に上積みされましたところの五百十四億円のうちの三百三億円が復活折衝で認められた。これはやはり大蔵省と防衛庁との折衝で決まったことでございますが、あとの二百十一億円というのは総理が最終決断されたというお話でございますけれども、要するにこれはもうつかみ金と言われても仕方のない性格のものじゃないかと思うんですが、やはり私たちはこの六十年度予算の防衛費というものがこういうような不明朗な形でもって増額をされてくる。しかも六十年度になりますれば一%枠の突破ということがそれぞれ問題になってくる時期となっているわけですから、そういった意味でこの一%の枠を守るという意志であればこのような不明朗な形の積み上げというものはなされなかったのじゃないかと思うんです。そういった意味で、今回社会党さんからも修正案が出されておりますけれども、私たちもその修正案に対しては賛成をする立場でこの二百十一億円につきましては速やかにこれは削除すべきものだと考えますけれども、どうでしょう。
  28. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 遺憾ながら意見を異にいたしております。
  29. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、もう一度一%のことにつきまして改めてお聞きいたしますけれども、総理はこの防衛費の一%枠について、これは防衛費に枠をはめていると、こういう意味を認識されているのかいないのか、その点、お尋ねしたいと思います。
  30. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) めどと心得ておるわけです。
  31. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは昨年の十一月から十二月にかけまして、いろいろなところの見直しの提言が行われました。その中で例えば平和安保研究所におきましては、このGNP一%という数字に防衛政策上の理論的根拠があるわけじゃないというような意味のことを言っておりますし、あるいは平和研究所では総理大臣の今おっしゃったような一%のめどという原則は防衛力の整備に一応の目標水準にあることを具体的な形で表現するものとしていわば常識的に定められたものだと、こういうような意見を表明しているわけですね。あるいは自民党の政調でも一%そのものに軍事的合理性があるわけじゃない、こういうようなほぼ共通するような意見がここで述べられているわけですけれども、私たちはこのGNP一%にはいろいろな意味があった、そのように思っていますけれども、総理大臣としてはこのGNPの一%には軍事的にも政策的にも根拠はないと、このようにお考えになっているんですか。
  32. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 指摘されているようなものであると思います。ですから「当面」という言葉がついてめどとされておるわけであります。
  33. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 総理は昨年のこの委員会におきまして、これは政治的な歯どめであろうと、こういう位置づけを行っておるわけですけれども、その点の認識は変わらないわけですね。
  34. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それは大綱をまず決めまして、大綱を達成するという目標を持続しつつ当面はこういう配慮を行う、それは予算のほかの経費とのバランスやらあるいは周辺諸国に対する影響やら、そういうものをすべて勘案した上での政治的配慮のもとに行ったと、そう考えております。
  35. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 防衛庁長官にお伺いしますけれども、防衛庁長官は昨年十一月の内閣委員会でGNPの一%枠につきましては軍事大国になりたくないという精神で決められたものだと、こういう位置づけをされていますけれども、今もそのような認識ですか。
  36. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 私たちの政策につきましては、新憲法遵守とか専守防衛とかいろいろ基本的な原則がございます。その根底に軍事大国にならないという私たちの決意があるわけですけれども、その原則は一般論すべて私たちの政策に通用されるものだと思っています。一%の問題は当面の財政上のめどということで定められた五十一年の閣議決定だと思っております。その十一月八日の答弁はそういったことを一般的な形で述べたものでございます。いずれにいたしましても、私たちとしては軍事大国にならない、その精神は今後ともしっかりと守っていかなければならないと思っております。
  37. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 長官は、我が国が軍事大国にならないための政策として、一つは憲法上の制約からくる専守防衛やあるいは攻撃的な兵器は持たないというそういう基本防衛政策だけでなくて、防衛費に対する経済的な歯どめ、つまり日本のような経済大国はアメリカやソ連あるいは西欧諸国並みの対GNP比率を防衛費に充てましたら即軍事大国になってしまう。だから防衛費一 %以内という枠も重要な意思表示だと位置づけている、このように思うんですが、その点どうでしょうか。
  38. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 防衛政策につきましての基本的な原則とともに、この一 %の問題が当初は財政のめどとしてスタートいたしたものでございますけれども、その後国内で私たちの防衛政策に国民が理解を示す一つの働きをしたということも私たちは事実だと思っております。また、それが諸外国でどう受けとめられているかという問題もまたいろいろそれなりの効用と議論があろうかと思います。したがいまして、私たちはここで一%の問題について立法府で大変な御議論をいただいているのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、私たちはこの一%をできるだけ守ってまいりたい。そして一%を超えたときどうするかということは、今そういう事態を考えておりませんけれども、仮にそういう事態になりましたら、総理大臣も申しましたように、従来からの国会の答弁、そのときにおける国会の御議論等を踏まえて慎重に決してまいりたいと思います。
  39. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私がことで申し上げたいのは、最近までやはり防衛費に対しましては節度があったと思うんです。ある人によりますれば、それはタブーとさえも位置づけていたと思うんですけれども、予算面で見ましても五十六年度予算で社会保障関係費の対前年度比の伸び率をわずかながらにオーバーしました。当時は政府内でも調整に難航するほど議論が出たと、このように聞いておりますけれども、今ではその後の社会保障関係費とのバランスが果たして考慮されているのかと思うようなほどの差がついているわけです。  また五十七年度予算では、一般会計歳出の対前年度比伸び率を二十六年ぶりに超えるとともに、これに占めますところの構成比が上昇し出した。これから言えることは、一度外した歯どめというのは二度ともう戻ることがないということですね。ですから現在その予算面でただ一つ残っているところの歯どめというのがこのGNP比の一%枠であると、このように思うわけです。過去の例から見ましても、この歯どめを外しますとあとに残るのはあなた方の言葉をかりますと軍事的な整合性への限りない接近ということになってしまって、この防衛費というものはコントロールができなくなるんじゃないか、こういうことを私たちは非常に懸念するわけです。最近の防衛費に対しますところの国会の議論やあるいはマスコミのいろいろな考え、そして国民の皆さん方がいろいろと世論調査で示される考え方というのはまさしくその点の心配があるんじゃないかと思うんです。  今総理は他の経費とのバランスを考慮してと、こういうことをおっしゃっています。そういうことをおっしゃっていながら果たしてそのバランスというのは実際には考えられているのかどうか非常に疑問に思うわけです。ですから、先ほど申しましたような積み重ね、あるいは突出という事実さえ認めようとされていないわけですから、そういう感覚でこの防衛費というのは今まで来ているわけですから、ことで一%の枠というものを外してしまいますと、私たちは非常に歯どめがかからない、コントロールができないという事態に立ち入るということで非常に心配しているわけです。その点総理として、国民に対しまして納得のできる説明ができるのでしょうか。
  40. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) バランスはとれていると思います。本年度予算を見ましても社会保障費は九兆五千七百三十六億円であります。文教、科学技術振興費が四兆八千四百九億円であります。防衛費は三兆一千三百七十一億円でありまして、社会保障費の九兆五千七百億円に対する三兆千億円余でありますから、このバランスは完全に維持されていると思います。前から申し上げているように、こういう配慮も行いつつ一%は守っていきたい、そう前から申し上げているとおりであります。
  41. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 総理の御答弁いろいろ聞いていますと、防衛計画の大綱の水準達成ということを主張しながら、GNP比一%の枠を突破しようという考えにあろうかと思うんです。この防衛費の問題は、質的向上ということを足がかりにしながら、今度五九中業等でも最新兵器の整備ということがいろいろと検討されるようでございますけれども、その最新兵器をそろえるということになりますと、どういうように予算の面にあらわれてくるかといいますと、後年度負担が非常に増大をしてくる。そのために各年度の歳出化というのは防衛費の増加要因となってくる、防衛費は削減することができないという形になって、そこに残ってくるんじゃないかと思うんです。  今アメリカのいろいろな日米貿易摩擦等を考えてみますと、もうこれはアメリカ政府一体となっての一つのビジネスになっているんじゃないかと思うんですね。防衛費についてもそうだと思います。ですから、日本がアメリカの要求されているような方向に進んでまいりますと、向こうはビジネスサイドで日本の防衛力増強ということを考えるわけですから、これはとても向こうの要望にはこたえることができないような状況になると思いますし、やはり一%の枠ということは国民の世論として厳守をしていくのだということで、総理がことで毅然たる態度を示さないと、ますますこれは歯どめがかからなくなってくるということになると思いますので、その点再度御答弁いただきたいと思います。
  42. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 御意見として慎んで拝聴いたします。
  43. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 じゃ、次へ参りますが、次は児童手当の問題でございますけれども、政府・自民党は児童手当の改悪ということを考えておられるようで、四月上旬に本国会に提出をする、こういうことが伝えられておりますけれども、私たち公明党は、昨年の十二月に中央児童福祉審議会が意見書を提出したときから断固改悪反対、こういう意思表示をしております。今回の自民党の案のいろいろと伝えられているところを聞きますと、我々野党がいろいろと反対していること、あるいは審議会の意見書の内容、あるいは財政当局の国庫負担削減圧力、この三者をにらんだ妥協の産物じゃないかと、こう言われているんですけれども、厚生省としてはどのように評価されていますか。
  44. 増岡博之

    ○国務大臣(増岡博之君) 御指摘の児童手当の改革につきましては、昨年十二月に中央児童福祉審議会の意見具申をいただきまして、現在それを参考といたしまして改革案を策定中でございます。その意見書の中には、高齢化社会を迎えるに当たって、児童手当は世代間の連帯を確立し、また出生数の問題を含め、子供についての社会的関心、問題意識を高めるために必要な制度であると言われております。また、本来のあり方から、すべての児童を支給対象とすべきであるけれども、厳しい財政状況のもとにあっては当面現在の財政の枠内で賄い得るものとせざるを得ないともいただいております。さらに、改革の具体的内容につきましては、手当本来の趣旨に照らしまして、第三子以降の子供を支給対象としている現行制度を、当面はその支給期間を短縮してでも支給対象を第一子または第二子以降に拡大すべきであるというものでありまして、したがいまして、そのような趣旨に沿ったものになろうかと、現在検討を急いでおるところでございます。
  45. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 経企庁にお伺いしますけれども、中年世代、これに対する教育費の負担が非常にふえていると思いますけれども、その点どのようにお考えでしょうか。
  46. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 太田さんお尋ねの教育費でございまするけれども、年を追ってふえてまいっておりますし、特に年齢階層別に見ますと、四十代の後半の負担が特に大きくなっておりますが、具体的な数字につきましては、政府委員から答弁をさせます。
  47. 及川昭伍

    ○政府委員(及川昭伍君) 家計調査によりますと教育費と教育関係費の二つになっておりますが、教育費は授業料や教科書代、補習教育の合計であり、教育関係費は、そのほかに学校給食とか定期代だとか洋服代等々が含まれておりますが、教育関係費で申しますと、五十八年は月平均で消費支出に占める教育関係費の割合は六・五%でございました。ただ、これを年代別に見ますと、世帯主三十歳代の前半は三・七、後半五・三、四十歳代の前半は八・〇、後半は一一・八、五十歳代の前半は九・四、後半四・八というふうに年代別には非常に差がございまして、特に四十歳代後半から五十歳代前半にかけて教育費負担が非常に高くなっているということがわかります。  ただ、これを生涯の教育費負担ということで見てみますと、昭和四十年ごろには子供の数も多かったということで、消費支出の三・九%程度を占めておりましたのが、昭和五十年にはこれが二・八%に減りました。子供の数の減少が主たる要因であります。その後、子供の数は減ったままでありますが、昭和五十八年度には、これが三・七%、五十九年には四・〇%というふうに教育の質の向上や教育費支出の割合というものは逐年最近では高騰しておるという現状でございます。
  48. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 もう既にこの委員会でも論議されておりますように、教育費の負担というようなものは中年世代に重くのしかかってきておるわけです。総理は本年度の所得減税に前向きの姿勢を示されておりますけれども、きのうもお話がありましたけれども、その対象とするところをお聞きしてみますと、中年の所得層、中堅所得層、そういうところに対する減税ということをいろいろとおっしゃっておるようにお聞きしておるわけです。それはこうした教育費の負担、そういうものに対する配慮というものもそこにあるのじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  49. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 所得減税、法人税減税等を行いたいというのは、将来念願しておることで、本年度につきましては、与野党書記長、幹事長会談の合意の結果を踏まえまして、その結果をよく尊重させていただきたい、そういう考えであります。今年度のたしか政策合意の中には、減税の中身として教育問題であるとか、寝たきり老人対策、それからもう一つ単身赴任の問題ですか、そういうことが例示されていたように記憶しております。
  50. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ですから、一面におきましては、この児童手当の存在ということはそこで大きな意味があると私たちは思ってこの存続を強く主張しているわけです。  それともう一つは、やはり日本の場合ですと物すごい世界に類のないような速いピッチで高齢化が進んでいるわけです。その高齢化社会を担うのは今の児童でありますし、そういった児童の健全育成を図ることは、これは社会的な課題だと私たちは思います。そういった中で、財政優先ということでこの制度の趣旨がゆがめられて児童手当が改悪されることに対しましてはあくまでも反対していかなくてはならないと、こう思っておりますし、総理におきましても、逆に長期展望に立って制度を充実をしていく、こういう方向で考えていただきたいと思うのですが、その点どうでしょうか。
  51. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 子供を大切にすることは私も大賛成で、大いに念願しておるところでございます。児童手当の問題につきましては財政上の問題もございましょう。いろいろな点で検討さしていただいておるところでございま。
  52. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後に、最近の外国人登録法の問題でございますけれども、これにつきまして指紋押捺拒否者を告発しないと宣言する地方自治体もふえておりますけれども、このことに対する外務、自治、警察、法務の各省の見解をお伺いしたいと思うんです。
  53. 小林俊二

    ○政府委員(小林俊二君) お答え申し上げます。  指紋押捺問題につきましては、衆議院予算委員会あるいは両院法務委員会におきまして法務大臣からも逐次答弁申し上げましたとおり、政府部内におきまして鋭意検討を進めておるところでございます。この検討に当たりましては、国際的なあるいは国内的な諸問題を念頭に置いて検討を進めておるということでございます。検討の対象といたしましては、制度上の問題あるいは運用上の問題を含めて幅広く検討を進めておるということでございます。すなわち運用上の問題につきましては、法務省部内に設けました研究班を督励いたしまして、種々物理的なあるいは技術的な可能性を追求しておるということでございます。また、法制上の問題につきましては、関係省庁との間の協議を鋭意進めておるという現況でございます。
  54. 柴田善憲

    ○政府委員(柴田善憲君) 外国人登録におきます指紋制度の具体的なあり方につきましては御案内のとおり警察の所管外ではございますが、せっかくのお尋ねでございますので、私どもの考えを申し上げますと、在留外国人の公正な管理ということは公共の安全と秩序の維持にとりましても大変重要なことだと考えております。  ところで、在留外国人の公正な管理を行いますには、まず最初にだれがだれであるかということを特定することが基本になると思うわけでございますが、そのためには指紋というものを使うことが最も有効で適切であろうと考えておる次第であります。また、我が国への密入国者などが後を絶たない現状におきましては、現行の指紋押捺制度はこれら不法行為に対する大きな歯どめになっているものと、このように考えておる次第であります。
  55. 古屋亨

    ○国務大臣(古屋亨君) 警察の考え方を申しましたが、自治省の考え方を御説明いたします。  この事務は法務省の機関委任事務でありまして、この事務について市町村に対する指導は所管大臣であります法務大臣の権限に属するものであると考えております。自治省といたしましては現場で混乱が生じないように法務省において適切な措置がとられることを期待しております。
  56. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今各省庁からお話ありました。なかなか協議が進んでいないように思いますが、一つは基本的人権の擁護の立場から、あるいは国際化の現状等から考えまして、やはり本人を確認するための別の措置を考えた上で指紋押捺のこの制度というのは廃止する方向で進んだらいいのじゃないかと思うのです。
  57. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 太田君、時間が参りました。
  58. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それと、第二点としましては、せんだっての衆議院予算委員会でも我が党の矢野書記長からも総理に対して要望がございましたけれども、外国人登録証明書の常時携帯義務、これにつきましても、永住権を持ってみえる皆さん方にはやはりその歴史的な経緯並びに日本社会の生活の実態等を考えながら、これはその義務をなくしていく、こういう方向でやはり進んでいくべきじゃないかと思うのですが、総理の御所見をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  59. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) この点につきましては、さきに全斗煥大統領と私との会談において、我が方におきましても改善を検討したいと申し上げておるところで、今各省庁におきましてそれの改善方をいろいろ検討しておるところでございますので、それらの成果を見ていろいろ判断してまいりたいと思っております。
  60. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 時間が参りました。
  61. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 夏に日韓閣僚会議がございますが、それまでにはめどをつけたいということですか。
  62. 小林俊二

    ○政府委員(小林俊二君) 先ほど関係各省長官及び法務省部内において種々検討を進めているとお答え申し上げましたけれども、その検討の過程におきまして日韓閣僚会議も念頭に置いておるということも事実でございます。
  63. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) できるだけ早く改善方をやった方がいいと思いまして、私も非常な関心を持ちまして、いろいろ事務手続を早く進めるように督促しておるところであります。
  64. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 以上で太田君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  65. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 次に、久保亘君の締めくくり総括質疑を行います。久保亘君。
  66. 久保亘

    ○久保亘君 六十年度の文教予算に計上されました国際日本文化研究センターというのは、総理が「新しい保守の論理」の中で言われております一大精神文化センターをつくるという、この構想の一環でしょうか。
  67. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) そんな気負ったものではないと思います。  私は昨年京都へ参りまして、今西錦司さんとか桑原武夫さんとか上山春平さんとか梅原猛さんとか、そういう方々にお会いしまして、いろいろ懇談をしました。そのときに、いわゆる日本学といわれるものをもう少しきわめる必要があると自分でも痛感したところでございます。それで、戦後いろいろな学問が発展、発達いたしましたが、世界から日本に対する興味、関心というものは非常に強まってまいりました。しかし日本とはどういうものなのだという点については日本人自体の究明がまだ十分でないと考えられるところでございます。それをいろいろな面から日本とは何ぞやというような面を究明していただく研究センターが要るなと、そういうふうに考えまして、学者の助言をいただきまして、そういうようなものを将来つくろう、その準備に入ろうという意味で予算を計上さしていただいたと、そういうところでございます。
  68. 久保亘

    ○久保亘君 自分でお書きになったものを気負ったものだと言われると大変不思議な感じがするのですが、この一大精神文化研究所というのは何ですか。
  69. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 一大精神文化研究所という言葉がどこで使われていたか私知りませんけれども、今申し上げましたような、日本とは何ぞやというものに答えるような学問的な一つの研究の場所をつくりたい、また、それによって外国に対してもいろいろな日本というものを学問的にも紹介するような一つの時期に来ている、外国からもジャパン・アズ・ナンバーワンとかいろいろなものが出てきておりますが、日本自体からあらゆる面から日本というものをきわめ尽くしたその成果を外国に紹介する、また外国の日本に対する見方というものを世界じゅうから拾ってきて国民にもお伝えする、そういうようなものが必要である。そう感じておるところなのであります。
  70. 久保亘

    ○久保亘君 この問題は、具体化いたしますとまたいろいろお尋ねをしたいと思っておりますが、いわゆる日本精神文化とか日本というものについてちょっとお尋ねしておきたいのですが、防衛庁長官、富士学校で出版されました雑誌の中に「死生観教育の提言」というのが自衛官の入賞論文として掲げられてありますが、お読みになったことがございますか。
  71. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 最近、質問の要旨をお聞きしてから取り寄せて読んでみました。
  72. 久保亘

    ○久保亘君 どのような御感想でしたか。
  73. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 筆者がたしか昭和十三年生まれの世代の隊員でございますけれども、年代の方の割には非常にいろいろなことを突き詰めて考えて研究され、また考えて書かれているものだと思いまして、個人の見解としては、よくまじめに勉強されているなという感じはいたしましたけれども、防衛庁としては、それは個人の見解という感じで読んでおりました。
  74. 久保亘

    ○久保亘君 ところが防衛庁は、この「死生観教育の提言」について、「この論文は、本誌発刊二周年記念論文において、服務指導・個人幹部の部で「第二席」に入賞したものであり、参考となるので紹介する。」、これが再録されて出されたということは、防衛庁としては死生観教育のこの提言に対して非常に防衛庁としてこれを支持できるものとお考えになったのじゃありませんか。
  75. 大高時男

    ○政府委員(大高時男君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の機関誌の「富士」でございますけれども、これは陸上自隊隊富士学校に勤務いたします隊員が富士修親会という私的なサークルをつくりまして、そこで出しております言うなれば機関誌でございまして、編集委員会がございまして、この編集委員会におきまして、この雑誌の発刊の二年を記念して論文の募集をやった。この委員会で自主的に選定したというものでございまして、防衛庁とは直接の関係がないものでございます。
  76. 久保亘

    ○久保亘君 これは防衛庁とは全然関係がないものと言えるのだろうか。防衛庁の隊内で現職の三等陸佐が書かれたものを、防衛庁の庁内というか、組織の中で出されるこういう機関誌に書かれるのが防衛庁とは無関係なものと言えるのですか。
  77. 大高時男

    ○政府委員(大高時男君) 私の説明がやや直截でございましたですが、防衛庁みずからが編集発行しておるという趣旨ではございません。会員がみずからの手で編集発行をしておるということでございますので、防衛庁自身が出しておるという趣旨ではないということを申し上げたものでございます。  なお、この本人の見解でございますが、青柳三陸佐は、本人は陸上自衛隊の富士学校におりますころには総務部の人事課、そこで専ら法務と申しまして、法律の相談その他に応ずる仕事をやっておりまして、直接富士学校で教えをとる立場ではございません。それからまた、本人の言っておりますところも、あくまで個人の問題といたしましてかなり掘り下げている。あと教育訓練の提言をいたしておりますが、その言動の中には、法令に触れるとか、あるいは他に自分の考え方を強制するとか、そういった自衛隊員としてふさわしくない行為といったようなものはございませんので、あくまで個人の考えとして私どもは受けとめておるということでございます。
  78. 久保亘

    ○久保亘君 じゃ、どういう評価をされておるんですか。
  79. 大高時男

    政府委員(大高時男君) この死生観の問題というのは、個人の心の中でそれぞれに考えていくべき問題であるというふうに考えておりますし、現在自衛隊におきましても精神教育というのは重視をいたしておりますけれども、あくまで責任の達成という見地からいろいろ隊員に敢えておるわけでございまして、死生観そのものを教育しておるわけではございません。
  80. 久保亘

    久保亘君 ところが、この死生観自衛隊教育に取り入れろという提言をされたものをさらにこの機関誌に再録をされるということは、自衛隊としてもこれに一つの評価を与えられておる、こういうことになりませんか。長官どうですか。
  81. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 局長が申しましたように、私的なサークルの機関誌でございます。そういうところに載った個人の意見でございますので、直接私たちの政策と関係するものではございませんし、死生観を教育するというようなことは現在の自衛隊の中では考えておりません。
  82. 久保亘

    ○久保亘君 この死生観とちょうど考え方を同じにするのじゃないかというのが中曽根さんの「学生諸君に告げる」という演説集の中に出てまいりますね。   皆さんと同じ年どろの青年学生たちが特攻隊となって何万人も第一線で死んだではないですか。あの人たちは自分の利益のために死んでいますか。自分の虚栄心のために死んでいますか。帝国主義のために死んでいますか。全く純粋な気持ちになって祖国を思い同胞を思い、みんな突撃したのではないですか。人間の命を自発的に同胞や国のために捨てるくらい大きなものはない  これはやっぱり一つの死生観ですね。どうですか。
  83. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それは拓大の学生に私が総長として講演した中の一節だろうと思いますが、今でもいいことを言ったと思っております。
  84. 久保亘

    ○久保亘君 大変その辺で中曽根さんと私どもは考えが違ってくるのですね。私は、その特攻隊における青年の死というものを決して軽く見てはならないと思っておるのでありまして、こういうような青年に死を選ばせた責任というものがむしろ私どもは問われなければならぬ。そして、このような死を正当なものとして見ると、こういうものはあり得べき青年の死生観として当然のことだという見方をすることはできないんです。
  85. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) その講演の中でもたしか言っていると思いますが、太平洋戦争というものは間違った戦争である、こういう戦争に持っていった日本の旧指導部の考え方は誤りである、そういうこともたしか指摘しておるつもりでおります。たしか間違ってないと思います。しかし、第一線で働いていた日本の兵士たち、将兵たちは、大部分はまじめな純粋な気持ちで動員され、また自分の力の限りを尽くして戦ったと自分は思っておる、そのこと自体はとうといことである、そのことを非難したりあるいはそのこと自体を軽べつしたりすることは間違いである、一生懸命純真に散っていった人々はそれ自体としては私はとうといことである、そう思っている、それを学生諸君に言ったのであります。
  86. 久保亘

    ○久保亘君 私もそのような特攻隊の道を少年時代に選ばせられて教育を受けてまいりましたから、そういうあなたが今おっしゃったようなことはよくわかります。しかしそれを、そういうような死が存在したことを正当化したりするようなことは絶対に私は許せない、こう思っておるので、このようなことには、なぜそういうような死を生じたかという責任が明確にされておらなければならぬ、こういう意味で申し上げたのであります。  次に、もう一遍総理大臣にどうしても聞きたいのは、なぜ今教育改革なのか、国民の期待した教育改革の原点は何であったかということで、私どもは今の臨教審の論議を見ながら、どうしても改めて考えざるを得ないような気持ちがしてならないんです。この国民の期待した教育改革の原点というのは何であったと思っていらっしゃいますか。
  87. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) おおらかで、伸びやかで、まじめで、そして二十一世紀に向かって堂々と濶歩するような世界的日本人をつくろうと、そのための基本的な教育の改革を行おうと、そのためにいろいろな諸制度や諸施策が見直されているのだろうと思います。
  88. 久保亘

    ○久保亘君 やっぱり中曽根さんの教育改革論をずっと流れてくるのは、戦後あなたが矢部先生の教えを受けられて青雲塾をつくられて、そして政界に身を投ぜられて、その後七〇年代には岸さんを会長にする協和協会というのが生まれて、これが教育改革の論議をずっとやってきた、それが今につながっておりますね。そして、一方では中教審の答申があって、これが臨調の行革にろ過されて、その後京都における京都座会の教育改革の提言とか、あるいはあなたの私的懇談会の提言とか、こういうものを通して臨時教育審議会につながってきた。一方では、経済界の方から日経連、これは労働問題研究委員会を中心にして毎年教育に対する提言を出してきた。また、経済同友会も同じような提言をしてきた。最近では、日本経済調査協議会も提言を行っておりますが、こういうものをずっと総合していきますと、国民が教育改革を今求めたその原点とは違って、ずっと中曽根康弘という政治家の念頭にあった日本の教育改革に対する一つのあなたのこの理念というか、そういうものがこの臨時教育審議会に凝集されてきた、こういう感じがしてならないのですが、そういうふうに思われませんか。  また、人的構成も今私が幾つか申し上げた各機関にずっとつながって、そういう人たちが、同じ人が至るところに登場する。そして、最後にはあなたのブレーンが臨時教育審議会にかなりの数取り入れられる、こういうことになってきたのじゃないでしょうか。いかがですか。
  89. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いろいろな考えや提言が行われているということは、教育がそれだけ重大な問題であるという認識が深まったことであり、かつ国民の皆様方が改革してくれという非常に大きな潜在力をお持ちであるからそれが出てきているのだろうと思います。日教組も御意見をお出しだろうと思います。そういう意味において、教育改革に関する論議が国民の前で百花繚乱として展開され、そして、おのおのがお互いに切磋琢磨し合って立派なものになっていくということは望ましいと思っております。  そして、今回の臨教審の人選等につきましていろいろ御批判をいただきましたが、臨教審の人選の中を見ますと、私はかなり専門家もおられますし、また普遍性を持った立場におられる方もおりますし、かつてのいわゆる中教審と味の違った一段と深まりと広まりを持ったものになりつつあると思うのであります。そういう意味において、現代における国民の期待に沿う人選ができていると思いまして、決して偏した人選であるとは思っておりません。
  90. 久保亘

    ○久保亘君 国民が臨教審に期待した教育改革の原点というのは何であったか。これは受験戦争とか学歴偏重、そしてそれの生み出す落ちこぼれとか、いじめとか学校嫌い、そういうようなものから子供たちを解放してもらいたい、そういう意味で教育の自由を求めたのです。ところが、今その中曽根教育改革というものは、二十一世紀論に頭が向いてしまって、そういう国民の期待にこたえていないから、新聞の世論調査でも、臨教審に期待するというものが四〇%、期待しないというものが五〇%というような数字が出てくるのであります。  それと、私は大変問題点を指摘されたと思いますのは、前文部大臣の森さんが西日本政経懇和会で講演をされたこの内容がございます。その新聞記事によれば、「教育改革の目指すもの」という講演で、教育自由化について対立が表面化していることに触れて、「国民の求めている教育改革とは異なる議論だ。知育偏重の詰め込み教育の解決が先」と注文をつけられた。そして「子供の自殺やいじめ問題など退廃した社会病理現象が児童生徒の世界まで広がっている。また、入試直前の生徒を持つ家庭は”落ちる”という言葉を会話に使えないほど暗い。入試改革、道徳教育、非行や校内暴力の防止こそ国民の切実な要求。それに目を向けず、自由化など難しい論議を続ければ、国民の期待を裏切ることになる」、これが臨教審を設置されたときの文部大臣の講演であります。どう思われますか。
  91. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) その御講演は、全文をよく点検してみないとわかりませんが、今の私が申し上げたような、おおらかな、二十一世紀に向かって歩む世界的日本人というものの中には、今の試験制度やあるいは偏差値やあるいは落ちこぼれ、そういうものを生み出しているもとを直さなければ、そういう人間は生まれてこないのであります。そういう意味において、今臨教審はその具体的なメスの入れ方をいろいろ御検討になっておるので、国民の皆さんが御期待している方向に沿って行われていると考えております。
  92. 久保亘

    ○久保亘君 そういうことで、私はここへ臨教審の会長に来ていただきたかったのであります。総理大臣の答弁は、もうそういうことになるというのはわかっているからぬ。ところが、残念ながらこれはこの予算委員会では実現いたしませんでした。いずれまた臨教審の会長にいろいろ伺いたいと思っております。  臨教審の性格を形づくるものに、そういう教育改革の原点をどうとらえるかということとともに、どういう人たちによって臨教審が構成されたかということも問題なのであります。このことも会長にぜひ聞きたいことなのであります。それはどういうことかといいますと、臨教審の専門委員は、前回文部大臣の方から二十人よりもたくさんのリストを出して、その中から選ばれた、こういうことになっておりますが、公然の秘密になってきて最近報道もされておりますのは、文部大臣が出したリストは二十九人プラスアルファ。ところが、その中から専門委員として任命された者は十二人。八人は官邸側から新たなリストとして出されて、それで二十人の専門委員が決まった。そして、その八人の官邸側から決められた専門委員というのはいわゆる中曽根ブレーンと称する人たちである。こういうことが言われておるのですが、これは間違いですか。
  93. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 人選については、あれは総理大臣が決めるというふうに書いてありましたから、文部省に案を持ってくるようにと、そう言って、大臣が案を持ってきたときを機にいろいろ懇談をしたわけであります。それで、文部省が持ってきたものをうのみにするようなことは必ずしも適当ではありません。文部省には今までの惰性があると私は考えている点もあります。しかし、いい改革に向かって進もうという情熱も非常に盛んになってきて結構であると、そう思っておるのであります。そういう意味において、文部大臣といろいろ懇談をしたわけです。しかし、文部省のレベルから内閣のレベルに臨教審というものを今度持ち上げたというのは、国民的な広いスケールにこの問題を持ち上げて、そして国民全体の立場に立って発言してもらえる勇気のある人が必要であると私は考えた。何しろ教育の殻を打破するというには、よほど信念と勇気のある人でなければできないです。そういう意味において文部大臣といろいろ相談をして、それにふさわしいような人を二人で決めたと、そういうことでございます。
  94. 久保亘

    ○久保亘君 総理大臣は男女共学をどう思われますか。
  95. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 結構なことだと思います。
  96. 久保亘

    ○久保亘君 ところが、私が推測いたしますところ、総理大臣側から専門委員に選ばれた人の中に、雑誌等を通じて、男女共学、女教師を廃止しろ、こういう意見を述べられている方がありますね。こういうのはやっぱり総理大臣としては意気投合されているんですか。
  97. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私は必ずしもその考えに賛成はしていませんが、そういう私と違う意見を持っている者を入れるのも民主的であると思います。
  98. 久保亘

    ○久保亘君 戦後の教育基本法や憲法のもとで民主的な教育が進められてきている中で、全くこれらを無視する暴論を吐く者を入れるのが民主的ですか。
  99. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) そういう議論も世の中にはかなりあると私は思います。したがって、そういう議論を中で展開することも国民の一部にある意見を表明するという意味において必ずしも無意味ではない。それらがいろいろ切磋琢磨して仕上がっていくところにやはりいいものが出てくると思います。
  100. 久保亘

    ○久保亘君 そうでしょうか。  さらに、この人は、女教師がいることによって子供たちが秩序の崩れを認識する、そのことが暴力につながる、こういう主張をされておりますよ。
  101. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私は個人の心情というものを公の場所で総理大臣として論評することは適当でないと思うのであります。そういう意味においてそういう思想の内容についてはこの際は差し控えさしていただきたいと思います。
  102. 久保亘

    ○久保亘君 私は大変問題だと思う。なぜなら、文部省が専門委員として意見を述べたリスト外からあなたが選ばれた人が、そういう意見を述べているということは非常に重要であります。これはそういうことで文部大臣が個人の自由だということで私は済まされる問題じゃないと思うんです。
  103. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 女教師云々ということがどういう文脈の中でどういうふうに全般的な中で言われているか、それはもう少し点検してみないとわかりませんが、それらにつきましても女性の先生の功罪があると思います。いい点もあるし、また足りない点もあるでしょう。そういう点をおのおの論じ合っていただくということは意味があると思うのです。片っ方においては、女の先生でも非常に立派な点があると強調される方もあるでしょう。しかし、それでも足りないということを非常に強調される方もまたあるでしょう。そういうことでさらにいいものが出てくると私は思うのです。
  104. 久保亘

    ○久保亘君 この人のは非常に極端な意見ですが、全体的に男女共学を見直せという意見がずっと財界あたりからも非常に強まってきておりますね。先ほど申し上げました日本経済調査協議会には、臨教審の会長以下臨教審の委員、専門委員がこの日本経済調査協議会のメンバーとして七人入っておられます。この七人入っておられるここから出されました最近の報告で、男女共学について検討を加えるべきだという意見が出てまいっております。こういうことは、私どもとしては、一つの意見がある団体を通じて出てきておって、それが臨教審に持ち込まれるものだという感じがしてならないのであります。きょうは時間がありませんから、私、総理大臣のその見解だけ承っておけば結構であります。  もう一つは、あなたがきのう言われた中で、私も歴史の教員をいたしておりましたのでおもしろくお聞きいたしましたが、律令国家以来の統治概念を変える改革をやる、こういうことを言われました。この教育に関しても律令国家以来の統治概念を変えるような改革、つまり臨調の行革を教育の分野に持ち込んでいく、そういう教育改革をやるというお考えなんだろうか、行政改革の任に当たられた総務庁長官はどう思っておられますか。
  105. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 行政改革は、御承知のように、行政の組織、機構、運営のやり方を効率的にし合理化する、そうすることによって変化への対応力を求めていこう、こういうことで行政全般にわたっておりますから、その中に教育の問題にも若干触れた点があることは事実でございます。ところが、私は担当ではありませんから詳細は知りませんが、教育改革の問題は、これは心の問題、人間の育成、人づくりの問題でございますから、おのずから性格が違う、私はこう考えているのです。  ただ、これもまた二十一世紀といいますか、時代の変化への対応力を求めていこうという、そういう観点においては同じかもしれませんけれども、性格それ自身が違いますから、臨調のやり方そのものを継承していくといったようなことではなかろう、かように考えております。
  106. 久保亘

    ○久保亘君 であるとすれば、総理大臣、今度の教育改革というのは、教育の自由化ということでもって、その自由化が教育に市場原理を持ち込んだり、あるいは義務教育の段階の公教育を縮小して、これを民営化の方向へ変えていくというような方向へ動くものではない、これは教育基本法の四条、六条といったようなところの精神がきちっと守られていくものだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  107. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 硬直性や封鎖性、閉鎖性、これらを打破する、そういう意味で使われているのではないかと思います。
  108. 久保亘

    ○久保亘君 しかし、非常に若手の学者グループ、臨調審の委員や専門委員になられた方の中に、明らかに公教育縮小論、廃止論を唱えられる方が何名もおられますね。こういう考え方には総理としてはくみせられませんね。
  109. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それも程度問題であって、義務教育あるいは高校の教育あるいは大学の教育、人間の発展段階に応じてそれらはみんなニュアンスも違うし、国の責任分野も違ってくる、それらに応じて憲法及び教育基本法の範囲内においてそういうような境界領域を調節していくということが私は適当であると思っております。
  110. 久保亘

    ○久保亘君 後藤田長官の言われた考え方というものを尊重していけば、臨調の方から移られた委員の中にそういう考えが強いのだが、直線的に自由競争、市場原理を義務教育にまで持ち込む、そういうような考え方というのはとらないところだということでなければいけないんじゃないですか。
  111. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) ですから、私が申し上げましたように、義務教育あるいは高校教育、大学教育おのおの発展段階に応じてニュアンスが違う。義務教育の場合には公的性格が非常に強くなって、国の責任範囲というものが非常に大きい。しかし高校や大学の方に行けば自由化を必要とする部面が非常に出てくる。そういう意味においておのおのニュアンスはあってしかるべきである、そう申し上げておるのです。
  112. 久保亘

    ○久保亘君 私は義務教育と限定して申し上げておるんですよ。
  113. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 義務教育においては国の責任分担が非常に大きい。さればこそ義務教育に対するいろいろ財政上の負担等も行っておるところであります。
  114. 久保亘

    ○久保亘君 そうすれば京都座会とか、それから経済同友会とか、日経連とか、こういうところが出されておる義務教育縮小論、こういうものは教育改革の対象としては考えられない、こういうことでよろしゅうございますね。
  115. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) あれが義務教育縮小論と言い得るものでしょうか、私は必ずしも縮小論ととらえらるべきものではないのではないか。みんなそれらの方々も義務教育と憲法との関係あるいは教育基本法との関係というものは了知されておられると思うのです。そういう前提の上に立って教育の自由化ということ、あるいは個性化という表現が適当かもしれませんが、そういう形で論ぜられているのではないかと思います。
  116. 久保亘

    ○久保亘君 いや、そうじゃないですよ。中学校段階の義務教育はやめろという意見がはっきり活字になっておりますよ。それから個人の意見としてはもう義務教育を廃止しろという意見もありますよ。
  117. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 政府はそんな考えを持っておりませんし、諮問の内容をごらんになりましても、やはり「教育基本法の精神にのっとり」云々と諮問しておるところであります。
  118. 久保亘

    ○久保亘君 ちょっと教育予算についてもお聞きしたかったのですが、時間がありませんから最後に一点お聞きしたいのは、戦争は最大の暴力であるということについては同感でしょうか。
  119. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) ある意味においてはそうです。
  120. 久保亘

    ○久保亘君 すべての意味においてそうだと私は思うんです。  ところで、戦争が最大の暴力であるということになれば、核廃絶とか軍縮とかいうのは現代における最高の道徳であると解してよろしゅうございますかね。
  121. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 核廃絶あるいは軍縮、私も大賛成であります。
  122. 久保亘

    ○久保亘君 であるとすれば、SDIが子供たちの宇宙への関心の動機になるということは、これは甚だ遺憾なことだと思うのですが、いかがですか。
  123. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) その前に「宇宙戦艦ヤマト」とか、ああいうテレビものが非常にそそっているんじゃないでしょうか。SDIというものはかなり複雑な内容で、子供にはまだわからぬものではないでしょうか。まだ私らもSDIというものがどういうふうに展開していくかつまびらかにできないところもあるので、留保している点もあるわけでございます。
  124. 久保亘

    ○久保亘君 外務大臣は宇宙条約を御存じですか。
  125. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 知っております。
  126. 久保亘

    ○久保亘君 宇宙条約の主な点をちょっと述べてください。
  127. 山田中正

    ○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。  一九五〇年代の後半に人類の宇宙活動が開始されるわけでございますが、宇宙空間の国家活動を規律する国際法が存在しておりませんでしたので、国連でこの新しい領域の立法化の努力が行われまして、先生御指摘の宇宙条約というのはその最初のものでございます。  この条約が規律しております主なものを申し上げますと、まず宇宙空間の探査、利用の自由。二番目といたしまして、宇宙空間は国家の取得の対象としないこと。三番目といたしまして、宇宙空間における国家活動は国連憲章を含む国際法に従って国際の平和と安全の維持、国際間の協力と理解の促進のために行う。第四点といたしまして、軍事利用につきましては、核兵器その他の大量破壊兵器を地球を回る軌道及び天体に設置しないこと。さらに、月その他の天体、これは宇宙空間全体ではございませんで天体のみでございますが、その天体は専ら平和の目的のために利用すること。その他宇宙飛行士に対する援助でございますとか、もろもろの国際協力の推進を規定いたしております。
  128. 久保亘

    ○久保亘君 核ミサイルの宇宙軌道への打ち込みは禁止されておりますね。
  129. 山田中正

    ○政府委員(山田中正君) 宇宙条約第四条で禁止されておりますのは、核兵器その他の大量破壊兵器を地球を回る軌道に乗せること、もしくは天体に設置することでございまして、今先生の御指摘が例えばICBMということでございましたら、これはこの条約の規律の対象外でございます。
  130. 久保亘

    ○久保亘君 それじゃあなたに聞くが、ICBMをもしSDIで宇宙空間で破壊した場合にはどういう結果を生ずるか。
  131. 山田中正

    ○政府委員(山田中正君) 宇宙空間で核爆発が起こりました場合にどういう結果が生ずるかという御質問であろうと思いますが、核爆発が起こりました場合に、主として地球の気象、環境、こういうものにどういう影響を及ぼすかというのが一九八〇年代からいろいろ議論されておりまして、いろいろな仮説が出ております。先生もよく御存じだと思いますが、例えばセーガン教授等の「核の冬」の議論とか、そういうものがございます。いずれにいたしましても、現実にどの程度の爆発が起こるかによって相当違ってくると思いますが、例えば大規模の核戦争というふうなことが起こりました場合には、相当大きな影響が出るということは当然予想されることだと思います。
  132. 久保亘

    ○久保亘君 科学技術庁長官、もしSDIが宇宙空間において核弾道ミサイルを破壊した場合に起こる地球や人類への影響というものをあなたはどう見ていますか。
  133. 竹内黎一

    ○国務大臣(竹内黎一君) 不敏にして私その方面余り詳しくないのでありますけれども、ただいまの外務省の国連局長が述べたようなそれらに関連して、「核の冬」という論議があるということだけ承知しております。
  134. 久保亘

    ○久保亘君 だから、SDIというのは決して核を防止したり抑止したりするものではなくて、もしこれが実際に戦闘行為に使われるということになれば地球の破壊につながる、私はこう思うんですよね。そういう意味で、文部大臣、反核、軍縮というのは、教育の中でも平和教育として非常に重要な分野であるとお考えになりますか。
  135. 松永光

    ○国務大臣(松永光君) 世界の平和を守っていくということ、非常に大事なことでありますし、我が国の憲法がいわゆる平和憲法をとっておるわけでありますから、そういう事柄を学校教育の場で子供に指導していくということは大事なことであります。ただ、子供にはそれぞれ発達段階というのがございますから、その発達段階に応じて適切に指導していくことが大切なことであるというふうに思っております。
  136. 久保亘

    ○久保亘君 その発達段階というのはどういうふうに理解したらいいですか。
  137. 松永光

    ○国務大臣(松永光君) その点は先生の方が私よりも詳しいのじゃないかと思いますが、幼稚園、小学校、中学校、高等学校等々の発達段階がありますので、子供の理解力その他を考えての指導でなければならぬというふうに思うわけでございます。
  138. 久保亘

    ○久保亘君 政治的な立場というようなことを離れて、反核とか軍縮とかいうものが人類全体の現代における重要な道徳として子供たちにしっかり認識されるということは、これは非常に重要なことでありますね。
  139. 松永光

    ○国務大臣(松永光君) 平和を維持し、これを守っていくということは極めて重要なことであると思っております。
  140. 久保亘

    ○久保亘君 それでは、ここでもう一つ文部大臣にお立ちいただいたついでに高齢化社会に対する生涯教育の問題についてお尋ねしたいのです。  高齢化社会における生涯教育というのは、高齢者の生きがいということだけではなくて、高齢者がその教育を通じてさらにその成果を社会に働かす、そういうような視点が非常に重要になってきつつあると思うんですが、いかがでしょう。
  141. 松永光

    ○国務大臣(松永光君) 高齢化社会における教育の問題でございますが、私は二つの面があると思うのです。一つは、高齢化社会においては、現在より以上に若者が高齢者を大切にし、そして高齢者を大事にしていくという心を若者が持っておくということが一つ。それからもう一つの面は、高齢者自身がその社会で生きがいを感じて活躍していただく、それが活力ある社会をつくっていく上で大事なことであると思うのでございまして、その両面の教育を充実していくことが大切であるというふうに私は思っております。
  142. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 久保田真苗君の関連質疑を許します。久保田君。
  143. 久保田真苗

    ○久保田真苗君 総理、総理の施政方針演説の中で「人生八十年時代」ということに触れておられるんですが、まさにこれは生涯教育のみならず、国民のあらゆる層を含む国民的スケールの問題であろうと考えるわけです。  そこで、既に高齢化社会への地殻変動が起こりまして加速されている、二十一世紀までの十五年間が勝負どころだ、こう言われているわけで、対策はまさに拡大さるべき時期だろうと私は思うのです。しかし、外交とか、防衛とか、国際化とかいう問題がクローズアップされております反面、むしろこの問題が埋没した感がある。つまり行財政改革の対象であり、また抑制、圧縮されるべき対象であるという感をどうも深くせざるを得なかったわけでございます。そこで、これが全国民的問題であるだけに、この対応が顕在化され、政治の中心に据えられるべき問題だと考えますので、改めてここで総理のお考えを伺っておきたいのです。
  144. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私も同感でございます。一方において対外的な外交、防衛という問題がございますが、内政面におきましては教育の問題等重大な問題がその他にもございますけれども、平均年齢が八十年近くにもなってきて、人生八十年の制度に対する設計変更をそろそろ社会的な部面において心がけていく、その準備をしていく、急にその時代がやってまいりますから、その設計変更、体制変換を急いでいく、補強を急ぐ、そういうときに入ってきていると思います。年金問題等でもう既に破綻が出てきそうですから、今いろいろ手入れをしておりますが、医療の問題にしても、老人の労働問題、働くという問題にいたしましても、その他社会万般につきまして検討していく必要がある時代に入ったと思っております。
  145. 久保田真苗

    ○久保田真苗君 私ども勤勉と勤倹貯蓄でもって経済発展を遂げてきたんですけれども、今、高齢化社会、総理も言われるように年金が破綻しかけている。いろいろな意味で財政破綻の結果、高齢化社会への対応が挫折しそうだということを非常に懸念しているわけでして、これでは今までの経済発展も一般国民には何の意味もないものになってしまうんじゃないかと思うのです。  そこで、今私がお願いしたいのは、今からでも二十一世紀に向けてはっきりとした高齢化社会大綱というのですか、こういった大綱のようなものをつくり、はっきりとした到達目標を定めて努力、御精進願いたい、こう思うわけです。これは経済、財政運営の指標としまして大蔵大臣にも財源の配分を積極的にお願いしたいと思います。それで総理並びに大蔵大臣の御見解を求めます。
  146. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 久保田先生おっしゃいますいわゆる経済社会計画というようなことになろうかと思います。そういうものの中で、この高齢化社会というものがいや応なしにやってまいりますだけに、それに対してのいわゆる単年度ごとの財源配分というものが一つございましょう。それからそれの経済社会計画に合わした中長期の財政のあり方と二つあるのじゃないか、こういう感じがいたしております。そこで、今から財政改革を行うことによって安定的な恒久策としての医療とか年金というようなものの姿を一つは描いてみたい。それからもう一つは、いわばお年寄りにおなりになった方の各種の障害等に対する対策、これが財源配分の重要な点として絶えず念頭に置いていかなければならないではないか、こういう感じを今先生の質問を受けながら受けたわけでございます。
  147. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 高齢化社会に対する、特に人生八十年に対する設計変更、総点検は各省庁においてそれぞれおのおのやっております。厚生省は厚生省、労働省は労働省等々においてやっておりますし、総理府におきましても老人問題懇談会をつくりましてやっております。そういう意味において、それらを全部網羅した総括的な大綱という意味で久保田さんはおっしゃっているのだろうと思いますが、私もその方針については賛成でございます。そういうような網羅的な総括的な大綱のようなものができればなお結構である、そういう点については検討させてみたいと思います。
  148. 久保田真苗

    ○久保田真苗君 総理、総務庁長官に伺いますが、高齢化社会への対応が今おっしゃったように各省庁の所管業務にかかわっているんですが、これを調整したり督励するのは一体どこなんでしょうか。
  149. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 老人問題は、年金とか保険とか、あるいは老人の住宅の問題とか生涯教育とか各般にわたっているわけですね。だから各省庁がそれぞれやっているわけです。これを推進してもらうことが大事ですけれども、御説のこれをどこで調整するのかといえば、私のところに老人対策室というのがございます。これは各省と連絡をしながら、これはできるだけ整々として歩調を合わせてやっていただくことが肝心でございますから、そういう意味合いで私の方が連絡調整の役割を担当しておる、こういうことでございます。
  150. 久保田真苗

    ○久保田真苗君 総理は老人対策本部の本部長、総務庁長官は副本部長でいらっしゃると伺っているのですけれども、どうもこの高齢化社会問題は非常に間口が広いのに、各省の行政は縦割りで、総合調整機能というのは余り発揮されていないように思うんです。特に総務庁の老人対策室というのはまさに老人対策をするところであって、高齢化社会への対応などという、そういうもののできない時代おくれの弱体のものであると思うんですね。速やかにもう老人対策オンリーから脱却していただきまして、高齢化社会推進本部のようなものに転換していただいて、総理が本部長、総務庁長官が副本部長でいらっしゃるから率先取り組んでいただきたいと、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  151. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私も本部長をやっておりますが、老人対策本部というのはいかにも古めかしい表現だなという感じがしていますが、しかしまた老人というものに焦点を当てて、御老人を大切にするという意味では、多少そういう政治性を持った意味があるのだなと、そう思います。しかし、久保田さんの御議論のようにもっと社会性の広がりを持った網羅的なものが要る、そういうふうにも考えますから、老人対策も含めてそういうような高齢化社会全般に対応できるような体制にひとつ検討してみたいと、そう思います。
  152. 久保田真苗

    ○久保田真苗君 それで、中でも私非常に難しいと考える問題があるんです。その一つは企業の問題なんですね。この問題は、企業、地域社会、家庭から個人のライフスタイルに至る広範な問題だと思うんですが、率直に言って、一番のネックは企業にあると思うんです。まず定年制ですね。これは長い間、人生五十年型でやってきまして、それがまた現在でも尾を引いている。六十歳定年が五割、五十五歳が三割、残りはその中間です。まだ五十五歳から先が非常に不安定なんです。こういうところを改めていただくためにも、この推進本部を設置していただいて総理に旗振りしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  153. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 総合的に総括的に見直し、検討するようにひとつ考えてみたいと思います。
  154. 久保田真苗

    ○久保田真苗君 同じく企業の問題で労働時間の短縮問題があるんです。これは高齢者へのジョブシェアリングという観点からも今後非常に大事だと思うし、まさに勤勉、長時間労働、勤倹貯蓄でもってやってきたことが今裏目に出ているんですね。貿易摩擦という格好、また一方では財政赤字という格好で出ているわけです。ですから、私はこの体質改善にぜひ労働時間短縮を中心に据えてやっていただきたいんです。総理、いかがでしょうか。
  155. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 高齢化時代を迎えますとワークシェアリングという考えは当然出てこざるを得ないものであると思います。労働大臣もこの点は非常に熱心でございまして、定年の見直しとか、あるいは定年になってから、あるいは退職してからいろいろな六十五歳の諸施策を受け得るまでの間のその間の施策であるとか、そういうようないろいろな問題について深く検討しなければならぬ問題も生まれつつあると思います。そういう点についてもひとつ研究してみたいと思います。
  156. 久保亘

    ○久保亘君 せっかくですから、連合政権の一方の相手の山口さん、あなたの党の公約であった教育費減税に対してあなたはどういうふうにやっておられますか。
  157. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 国民生活、特に世帯で考えた場合、教育費負担あるいは住宅ローンの負担また普通の日常の交際費負担、そういうのが非常に重いわけで、特に教育費負担というのは、親として子供への責任においてもこれは避けられない、逃げられない非常に大事な責任ということで非常に負担が重い。これが現状でございまして、我々もそういう意味で、特に四、五十代の教育費負担の問題を何とか軽減できないかという立場から、教育費減税というものを一つの政策の柱として、自民党政府にも予算折衝等においては時折お願いをしたり要求もしたりしているわけです。ただ、我々も少数党とは言いながら、きちっとした一つの政策を掲げておりまして、政策順位というものがございまして、一番大事な柱として増税なき財政再建、したがってそういう税負担が新たにふえるということは余計また全般の負担増にもつながる、こういうことでもございますので、こういう厳しい財政状況の中でもございますので、我々としては、教育費減税も大事であると同時に、一般の教育費の支出充実の中で、当面教育問題国民的な責任を果たすということを選択せざるを得ない、こういう考え方で今取り組んでいるところでございます。
  158. 久保亘

    ○久保亘君 最後に中曽根総理にお尋ねしておきますが、臨教審の方も教育改革の具体的課題について審議がかなり進んでおるように思います。これらの問題に関して制度改革や予算を伴ったりする問題について国会としても直接責任を負う問題がたくさんございます。これは答申としてまとまる前に国会においてもぜひ議論をしておくべき問題だと考えておるのでありまして……
  159. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 時間が参りました。
  160. 久保亘

    ○久保亘君 そういう意味で臨教審の責任者といいますか、代表者がぜひ国会に出席されて、そして私どもにもいろいろと意見を聞かしていただきたいし、我々の意見もまた聞いていただく、そういうような機会を持つべきであると考えておりますが、総理も積極的に御協力いただけましょうか。
  161. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 国会は国政調査権を持っており、国権の最高機関でもございますから、あとう限り協力していただくことは当然であると思います。  臨教審側の審議の状況及びここでどの程度会長やらあるいは委員が発言できるか、それらも臨教審の内部の問題でございますから、いろいろ研究していただいて、できるだけ早目に国会側の御期待に沿うように努力していただきたい、私もそういう面では協力いたしたいと思います。
  162. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 以上で久保君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午前の質疑はこれまでとし、午後零時四十五分に委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。    午前十一時四十四分休憩      ─────・─────    午後零時四十八分開会
  163. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 予算委員会を再開いたします。  昭和六十年度総予算三案を一括して議題とし、内藤功君の締めくくり総括質疑を行います。内藤君。
  164. 内藤功

    ○内藤功君 まず公職選挙法についてですが、公職選挙法の第百九十九条及び二百条、それからそれに対する罰則はどういうような内容になっておりますか、この点をお伺いしたい。
  165. 小笠原臣也

    ○政府委員(小笠原臣也君) お答え申し上げます。  公職選挙法第百九十九条は、国の選挙に関しては国等と、地方選挙に関しましては地方公共団体と、「請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関し、寄附をしてはならない。」としており、また二百条は「何人も、選挙に関し、」これらの「者から寄附を受けてはならない。」と規定いたしております。この規定に違反して寄附をした者に対しましては、公職選挙法第二百四十八条によりまして「三年以下の禁錮又は二十万円以下の罰金に処する。」こととされており、またこの規定に違反をして寄附を受けた者については、公職選挙法第二百四十九条により「三年以下の禁錮又は二十万円以下の罰金に処する。」というふうに規定されております。
  166. 内藤功

    ○内藤功君 この条項の立法趣旨はどういうところにありますか。
  167. 小笠原臣也

    ○政府委員(小笠原臣也君) こういう規定が設けられております趣旨は、契約の当事者である地位にある者が、その地位を獲得したいというようなことの代償として相当額の寄附がなされるというようなことがありますと、選挙あるいはその後における政治の上に好ましくない影響があるのではないかということでこれを禁止しておる趣旨と、このように考えております。
  168. 内藤功

    ○内藤功君 資料を配付してください。    〔資料配付〕
  169. 内藤功

    ○内藤功君 お名前の出ている現内閣の四人の大臣方にこれらについてのお考えをお伺いしたいと思います。
  170. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 私自身こういうことについては存じませんでしたけれども、何かそういうことがあったということでございましたので、いろいろ調査いたしました結果、取り扱い上の手違い、ミスがございまして、そうしたことでこの変更届を大阪府の選挙管理委員会に対して六十年三月二十八日に提出いたしまして、そうした手続を終わっております。今後こうした手違いで誤解を招くことのないように十分注意してまいりたいと考えております。
  171. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。  この問題につきましては、出納責任者に調査を命じましたところ、政治団体である良友会が政治資金として寄附を受けたものであり、当然政治資金として届け出をするべきところを事務手続上のミスにより選挙の収支報告として届け出をしていたことがわかりました。そこで早速に二月二十二日に広島県選挙管理委員会並びに自治省政治資金課にしかるべく訂正の手続を行ったところであります。事務手続上のミスにより御迷惑をおかけいたしましたことはまことに遺憾であります。
  172. 増岡博之

    ○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のことは、過日の衆議院の内閣委員会の御指摘により承知をいたしました。早速担当者に問い合わせましたところ、ほかの団体への出資であったものを間違えて収支報告書に書いたということでございますので、県の選管並びに自治省にそれぞれの変更の届けをいたしております。今後このようなことがないように十分注意をしてまいりたいと思います。
  173. 山口敏夫

    ○国務大臣(山口敏夫君) 国会議員を二十年もやっておりまして、こういう基本的な政治団体における法律的な行為に対しまして大変配慮が欠けてミスを提出をした、こういうことで訂正を既に受理していただいているところでございます。
  174. 内藤功

    ○内藤功君 農林水産大臣に伺いますが、二月二十日に衆議院農林水産委員会でこの問題が指摘されて、それから訂正をされたわけですね。
  175. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。  そのとおりでございます。
  176. 内藤功

    ○内藤功君 郵政大臣に伺いますが、あなたは九十六国会でこの前の総選挙のときも指摘されましたね。
  177. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) そのとおりでございます。非常にそういうことで重ね重ねミスしたことに対しまして大変申しわけないと思っております。
  178. 内藤功

    ○内藤功君 政府側に伺いますが、選挙の収支報告書というのは宣誓書がついていて、これに書いてあることは一応事実と推定されるんじゃないですか。
  179. 小笠原臣也

    ○政府委員(小笠原臣也君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、選挙に関する収支報告につきましては、以上の記載が相違ございませんということで宣誓をして出すわけでございます。そういうことでございまして、記載されておる寄附は一般的に見まして一応選挙に関する寄附という推定を受けるわけでございますけれども、ただ、実際問題といたしましては、経験上、思い違いとかあるいは書き違い等ということもあるわけでございますので、記載だけで判断するというわけにはまいらないかと思っております。
  180. 内藤功

    ○内藤功君 同時に、後で訂正をすればそれで犯罪が成立しなくなるというものでしょうか。
  181. 小笠原臣也

    ○政府委員(小笠原臣也君) お答え申し上げます。  選挙運動の収支報告書及び政治団体の収支報告書は、もとより事実に基づいて記載をし提出しなければならないことは当然ではございますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、実際問題としていろいろ思い違いとか間違いというようなことがないとは言えないわけでございまして、そのような場合には事実に即して記載内容を正すことはできるものだというふうに考えておるわけでございます。なお、そういう寄附とかあるいは受領が法に違反して行われたものかどうかということは記載のみによるわけではなくて、あくまでも事実関係に基づいて判断をさるべきものだと、このように考えております。
  182. 内藤功

    ○内藤功君 訂正をすればもうそれで犯罪が成立しなくなるというものじゃないですね。
  183. 小笠原臣也

    ○政府委員(小笠原臣也君) お答え申し上げます。  そもそも、そういう違反行為があるかどうかということも記載のみによって判断するわけではございませんし、それから、記載によってそういう違反行為がなくなるかどうかということも、その事実関係に即して判断をさるべき問題だと、このように思っております。
  184. 内藤功

    ○内藤功君 警察庁、この問題についての厳正な調査と再発の防止対策を要望したいと思いますが、どういうお考えでしょうか。
  185. 金澤昭雄

    ○政府委員(金澤昭雄君) 御指摘の点につきましては、現在、関係いたします都道府県警察におきまして関係者からの事情聴取また関係資料の収集等を行って現在調査中でございます。
  186. 内藤功

    ○内藤功君 法務省としてはどういうお考えでしょうか。
  187. 筧榮一

    ○政府委員(筧榮一君) ただいま警察当局の方で調査中ということでございますので、検察当局としても警察当局と緊密な連絡をとり、事案の実態に即して適切な処理がなされるものというふうに考えております。
  188. 内藤功

    ○内藤功君 自治大臣、前の選挙のときもこの九十六国会で大変なやっぱり論議になった、また起きたと、全体としての再発であります。再発の防止のためにどんな手を今まで打ってきたか、これからどうするおつもりか。
  189. 古屋亨

    ○国務大臣(古屋亨君) 自治省といたしまして、こういうような届け出を受けますと、一応はその届け出に基づいて、うその届け出というのはないわけですから、届け出をする。ただ、その後、誤記その他の事由によってこれを改めるという場合には、そういう事情を聞きまして、改めるものがあれば、事情を聞いて改める。それが自治省の判断でございます。  なお、警察のこともついで――ついでと言っちゃあれですが、警察としては選挙の公正ということが一番大事なことでございますし、公職選挙法の公正なる執行ということを責務としておりますので、いやしくも一般的な問題としては、こういう法律に違反することがあれば、不偏不党、選挙法の手続に従って適正に措置すべきものだと考えております。
  190. 内藤功

    ○内藤功君 再発防止策を聞いているんですが。
  191. 古屋亨

    ○国務大臣(古屋亨君) これはやはり候補者の方、そういう方に今後そういうことがないよう、選挙の事前にそういうような啓蒙宣伝の一つの部門として、やはりそういうことがないように十分注意することが必要であると考えております。
  192. 内藤功

    ○内藤功君 自治省、具体的にどういうことをやるのか、ここに示してください。
  193. 小笠原臣也

    ○政府委員(小笠原臣也君) お答え申し上げます。  公職選挙法の内容については、常日ごろから関係者の方々には御理解いただくように努めておるわけでございますけれども、具体的に選挙が近づいてまいりましたら、立候補予定者の方々に対する説明会もございますし、また立候補の手続をとられる際には、いろいろ関係書類とともに、そういう寄附の禁止等にも触れております立候補者の手引のようなものをお渡しをして御理解いただくように努めております。
  194. 内藤功

    ○内藤功君 建設大臣、この建設関係の会社が多いですけれども、こういう企業の方に対してはどんなふうに対処されますか。
  195. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 何人であれども公職選挙法や政治資金規正法というようなものはやはり守っていかなければならぬ、そういうふうに私は一般的に考えております。
  196. 内藤功

    ○内藤功君 どういうふうにしますか。対策です、聞いているのは。
  197. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 自治省その他の関係の省庁だと思っております。
  198. 内藤功

    ○内藤功君 ちょっと聞き取れないんですが。ちょっと聞き取れなかった、最後の言葉が。消えるような言葉だよ、それは。
  199. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) 自治省の所管する問題だ、こういうふうに私は理解いたしております。
  200. 内藤功

    ○内藤功君 ほかの法令に違反しても、建設省としては認可、あるいは認可取り消し権があるんじゃありませんか。
  201. 豊蔵一

    ○政府委員(豊蔵一君) 建設業法の規定に基づきまして、他の法令等に違反する、それによって建設業法の規定上必要な措置をとるというようなときには、それ相当の措置をとるということでございます。
  202. 内藤功

    ○内藤功君 総理、今までの問答を聞いておられて、現内閣の閣僚四人、前の中曽根さんの内閣の閣僚三人、有力な方ばかりですよ。違法案附の受領が指摘されたんですね。内閣自体のやはり信が問われていると私は思うんですが、総理としてこの問題を含め、どういうふうに思われますか。
  203. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) まことに残念な遺憾な事態であり、こういうことは再び繰り返さないように厳に戒めてまいりたいと思います。
  204. 内藤功

    ○内藤功君 次の問題に入ります。  三日十二日の総括質疑で、上田新一郎議員が提示した陸上自衛隊幹部学校で使用された文書について、防衛庁は調査の結果いかがでございましたか。
  205. 大高時男

    ○政府委員(大高時男君) お答え申し上げます。  三月十二日の参議院の予算委員会におきまして、上田議員の方から御提示をいただきました教育関係資料につきましては、鋭意調査を行いましたが、陸上自衛隊幹部学校等にはこれらに該当する資料が保管されていない、また、その作成、配付を裏づける資料もないということで、陸上自衛隊幹部学校等でつくられたものかどうか、使用されたものかどうか、この点は確認に至っておりません。
  206. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 上田耕一郎君の関連質疑を許します。上田君。
  207. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 大変不誠実な答弁だと思うんです。物がないので貸してくれと防衛庁長官言われたので、私の方は全部お見せしました。私の部屋に内局から三人、陸幕の教育訓練部から一佐が二人、それから幹部学校から一佐が三人、全部で八人、コピー機を持ってお見えになって、大事な重要な核関係は五冊全部二部ずつとって、三十二冊は全部表紙をコピーをとってお帰りになった。これ三日二十日のことであります。私の方は全部そうやって協力したんですから、あれだけの資料持って、何にもわからないというのはおかしいじゃないですか。
  208. 大高時男

    ○政府委員(大高時男君) ただいま先生御指摘のように、この資料につきまして、当方から人間が参り、コピーをして、それにつきまして、学校あるいは当時の関係者等につきましていろいろな角度から検討いたしたわけでございますが、先ほど申し上げたとおりに、陸上自衛隊幹部学校等におきまして作成したものであるという断定には至らなかったと、こういうことでございます。
  209. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 ちょっと大高さん、断定には至っていないけれども、当時ああいう教材使っていたものらしいということはわかったでしょう。
  210. 大高時男

    ○政府委員(大高時男君) この資料を御提示いただきました分は三十一年から三十八年ごろまでの非常に古いものでございまして、我が方では当時使った教材というふうには認定できなかったわけでございます。
  211. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 教材じゃないと、そう言えますか。
  212. 大高時男

    ○政府委員(大高時男君) 先ほど来申し上げましたとおり、当方では関係者等にも聞き、こういうものについては記憶がないということで、当方の資料というふうには断定できないと、こういうことでございます。    〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕
  213. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 大体文書番号も入っている。それから幹部学校総務部印刷所と、印刷の日付まで入っているのもあるんですよ。印刷の記録だって調べればわかるでしょう。それから米軍の教材の翻訳が七冊あった。そうしますと、貴重な米軍の英文の原文なんかは当然保管されているでしょう。等々調べる気があれば幾らでも調べられる。当時の井本熊男校長は八十二歳で現在世田谷にお住まいですが、井本校長お聞きになりましたか。
  214. 大高時男

    ○政府委員(大高時男君) 先生ただいまお示しの点も含めて検討をいたしたわけでございまして、御指摘の校長先生につきましても、非常な御高齢でございますけれども、お会いいたしております。
  215. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 何と言いました。
  216. 大高時男

    ○政府委員(大高時男君) この資料について、特に先生の方では御記憶がないということでございます。
  217. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 ここに三十二年九月の一等陸佐三岡健二郎の訪米報告があります。三岡一佐は現在軍事評論家で健筆を振るっておられます。三岡一佐にお会いになりましたか。
  218. 大高時男

    ○政府委員(大高時男君) 三岡一佐にもお会いしてお話をしておるというふうに承知いたしております。
  219. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 直接聞いてないんですね。三岡さんは三十一年から三十二年、十四カ月ペントミック師団、訪米して、この膨大な報告書を書かれている。波は記憶がないわけないですよ、健筆を振るっているんだから、軍時評論家で。何て言いました、三岡さん、これを書いたという記憶があると述べましたか。
  220. 大高時男

    ○政府委員(大高時男君) 確かに三岡さんは先生御指摘の当時米国に留学をされておるわけでございまして、ペントミックスについて御研究になったことはそのとおりでございます。ただ、先生お帰りになりましてから、いろいろな形でいろいろなところで講演あるいはまた資料等を出しておられますので、どれがどの時期のものかという点については、先生自身も具体的にそれが自分のものかどうかということは記憶されていないというふうに承知いたしております。
  221. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 そんな不誠実なことじゃ質問先へ進まないですよ。  防衛庁長官どうですか。あれだけのものを出して、コピー全部やらして、これだけ資料があって、何もわからないなんて、それでいいんですか。続きませんよ、これじゃ、進まないじゃないか。
  222. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 資料をいただきまして私たちも調べてみました。今ちょっと名前を失念いたしましたが、当時の学校長さん八十二歳の方、かなり御高齢のようで、筆談でなければもう会話が通じないというような耳の遠いお方になっておられるわけですけれども、その方のところまでいただいたもののコピーを持って調べに行って、そしてかなりの方にお会いいたしました。ただ、何せ昭和三十一年でございまして、自衛隊ができまして……
  223. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 三十四年。
  224. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 三十四年ですか、資料は三十一年のものから三十八年まであるわけでございますが、自衛隊の草創期であるというほどかなり昔の話でございまして、それに確認できる資料、それから資料を印刷し配付した場合にはそれに番号をつけて、どこにどういうふうに配付したかというのをとどめておくのが役所の常でございますけれども、そういった記録簿もないような昔の話でございまして、確認できなかったということでございます。資料をいただいて一生懸命調べたということだけはお認めいただきたいと思います。
  225. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 進まないですよ、この前にあれだけのものを出して。それは到底無理だ。
  226. 梶木又三

    ○理事(梶木又三君) 上田君。
  227. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 委員長、私に言うんじゃなくて向こうに言ってくださいよ、向こうに。人間らしい報告をさせてくださいよ。
  228. 梶木又三

    ○理事(梶木又三君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  229. 梶木又三

    ○理事(梶木又三君) 速記を起こして。
  230. 大高時男

    ○政府委員(大高時男君) お答え申し上げます。  昨日、内藤先生にお会いしました際に申し上げましたのは、当方の資料としてはこれは該当するものがないので違うと思うと。しかしながら、これにつきまして、例えばこの書き方とか様式なんかは若干でも似たところがあるかというお話でございますので、似たところもございますという趣旨は申し上げました。
  231. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 当時使っていた教材に類似しているというんですね。しかし、三十年代のものは全部廃棄しているのでないと、そんな答弁だろうと予測していたんですが、今はとにかく確認していないというだけなんでしょう。当時使っていた教材に類似していると。僕らは不満です、これはそのものずばりなんだから、本物なんだから。しかし、類似しているというのは事実上認めたということだと思って審議に協力して質問を続けます。  それで当時、今のは陸幕ですけれども、資料をひとつ配ってください。    〔資料配付〕
  232. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 海上自衛隊の幹部学校の教科書も新しくここにあるんです。これは三十二年十二月十六日の判こがついている。これも類似していると思いますな。これ最後のところにやっぱり原爆戦があるんですよ。もし原爆戦になったら日本の主要都市が攻撃されるであろうと、ずらっと都市の名前があって、五十メガトンの水爆が東京に落ちたときの被害状況まで書いてある。「結論」のところで私許せないと思うのは、非常に反共的なことが書いてありまして、「共産党の合法性を認め、憲法を始めとする諸立法処置は凡て彼等に都合のよい拠り所を与え」ると、憲法を初め日本の諸立法は日本共産党に合法性を与えて、よりどころを与えるものだといって憲法非難まで書いてあるんだから。こういうものが同じころ、今度、海上自衛隊の幹部学校の教材としてあったんですよ。そういう大変な時期だったんです。  それで防衛庁長官、類似でいいんですけれども、類似だとしても、もしこういう憲法並びに当時の政府の方針に反した教育を行っていたとしたら、責任の所在は総理、防衛庁長官、内局、陸幕長、校長、全部にあったのか、それともそのうちのだれかにあったのか、どう思いますか。
  233. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 累次申し上げておりますように、その資料がつくられた、ないし存在し始めた、どういう性格のものか確認できないわけですけれども、いずれにいたしましても昭和三十二年から三十八年のときの話でございます。防衛庁ができまして二年目でございます。私がまだ高校生のときでございます、関係ない話ですけれども。それほど昔のことで、そして今、上田先生は政府の方針と反するとおっしゃいましたけれども、例えば非核三原則が明確に国会の場で政府の発言としてなされ、そしてしっかりとしたものになってまいりましたのが昭和四十二年か三年ではないでしょうか。昭和三十八年の後でございますね。したがって、私たちの防衛政策というのは、初期のいろいろな混乱期を経ながらだんだん現在の基本政策のところまで固まってきたわけでございまして、そういう意味で、非核三原則ができて以来私たちはしっかりとしたこの原則を守り、その教育をいたしておるわけでございまして、その三十八年、三十九年の資料、いろいろなことを考古学的に考察させるより、やっぱり今の政策がどういうものかということをしっかり御議論いただいた方が有益ではないかと思っております。
  234. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 お若い防衛庁長官ができるとそういうことになっちゃうので、皆さん考古学的存在になっちゃう。(笑声)笑い事じゃなくて、無責任な発言だと思いますよ。  首相はこの前、安保改定前だろうと言われたけれども、私どもはその後も調査した。調査しますと、例えば元陸将、元陸幕長の一人はこう述べています。三十年代に入ると米軍がいろいろ教え始めた、それで留学も始まった、三岡一佐はその第一回目だったと思う、核戦争教育は米軍の教範の翻訳から始まって次第に日本流に手直しした、この教育は昭和三十年代いっぱい続いたと思う、非核三原則でタブーになったと、そう言うんですよ。だから、ほぼ十年、私は、昭和三十一年から昭和四十二年までほぼ十年、とんでもない憲法違反の核問題、並びに仮想敵国をつくり、集団自衛権行使を前提として他国まで攻撃するという教育が、また研究が三つの自衛隊の幹部学校で行われていたであろうと、そう思います。  それで、今お話は今の問題をというふうに言われるので、今の問題に移ります。  昨日、内藤理事を通じて現在の三つの幹部学校の教育状況の資料をいただきました。この中で三つの幹部学校とも核防護の教育をしているというのでかなり新しい項目も入っていますけれども、どういう項目なのか、中身を説明してください。
  235. 大高時男

    政府委員(大高時男君) お答え申し上げます。  陸上自衛隊及び海上、航空自衛隊学校におきましては、核の使用を前提とする教育は、これは核を持たないという政府の方針に従いまして全く行っていないわけでございまして、ただ万が一相手から核を使用されました事態に備えまして核防護の教育を行っておるわけでございます。  幹部高級課程でございますけれども、例えば「防衛教養」というところにおきまして核兵器の特性と性能、それから主要国の核兵器、防護の現状といったようなものを教育しておりますし、そのほか指揮幕僚課程というのがございますけれども、これについてもおおむね同様な教育を行っております。また、海上自衛隊も、幹部高級あるいは指揮幕僚等ございますけれども、おおむね今申し上げましたようなもののほか、主要国の核戦力の現状とか、あるいは核爆発に対する防護といったようなものにつきまして、それぞれ時間は非常に短いわけでございますが、一時間からあるいは十時間ちょっとという程度の教育を行っておるというところでございます。
  236. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 これは今までの政府答弁以上に主要国の核戦略、それから核兵器の性能、効果、核爆発の影響等々かなりの研究をしている、教育をしているということが明らかになりました。  私たちの調査によると、元陸幕長の一人は、幹部学校の研究課程では一般的にアメリカ軍の秘密以外の核兵器の研究をやっている、ここ数年その必要が重視されている、何年も前からじゃない。私はガイドライン以後だと思うんですね。こういう研究をやっている、留学もやっておる、座講という形式で講義もしているということを述べている。  それからもう一人、幹部学校のこれはある元校長先生です。この校長先生は、私どもの資料を見て、昔の人は勇気があったなと感嘆したんです、すごい勇気。勇気じゃなくて私はこれは暴走だと思うんだが、この校長先生は、今でも核兵器の知識はある、アメリカ軍の教範などの翻訳の学習は行っている、今でもやっている、使用について訓練はしない、放射能防護の教育をしている、核の問題は微妙な問題であるから必ずしも満足してもらえるお答えができない部分もあると、そう言っているんですよ。  相当、私はガイドライン以後、三つの自衛隊の幹部学校で教育だけでなく研究も進んでいるという証言を得ている。陸上自衛隊幹部学校は一佐の研究部員が四十名います。ここでは核防護の研究、どういう研究をやっていますか。
  237. 大高時男

    ○政府委員(大高時男君) お答え申し上げます。  研究に関する限りにおきまして、現在のところ、核に対する研究を項目を掲げてやってございますのは航空自衛隊でございまして、核が使用された場合の防護の装備であるとか、あるいは防護の施設、それからこういったものにつきまして研究を行っておるというところでございまして、それ以外に、先ほど先生が御指摘になりましたいろいろな学校でございますが、講義等も、市販と申しますか、公開の資料等も含めまして核の武器の現状でございますとか、あるいは戦略の推移、こういったものを教えておるということでございます。
  238. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 大高局長、それでは自衛隊自身は核兵器を使うという教育、研究はないとしても、米軍が使った場合の共同対処、この研究はしているのじゃないですか。
  239. 大高時男

    ○政府委員(大高時男君) ただいまお示しのようなシナリオのものについては承知をいたしておりません。
  240. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 承知していない。シビリアンコントロールがきかないから全然だめだろうと思うんですね。  私は、現在の幹部学校で使っているこの教材ですね、これを出してほしい。
  241. 大高時男

    ○政府委員(大高時男君) 自衛隊におきます三つの幹部学校でございますが、ここにおいて行います教育というのは将来の言うなれば自衛隊の中核になる人材に対しまして高度の戦略、戦術を教えるものでございまして、いろいろな教材を使っておりますけれども、これにつきましては我が自衛隊の戦術というものが明らかになるということで提出するのは差し控えさしていただきたいと思うわけでございます。
  242. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 ですから、私の出した三十年代のものも当時の自衛隊の中心的な戦略、戦術のものだったんですよ。今のものは出せない。昔のものも出せないわけだ、当時の戦略、戦術の中心だったんだから。それが独走したわけだ。  中曽根首相、とにかく三十年代にはああいう恐るべき暴走があった、シビリアンコントロールもいいかげんだった、現在も危ないと思う。私は考古学的問題じゃないと思う、自衛隊ができてたった二年目に核戦争の本格的な教育を始めているんですから。三十九年で、たった二年目ですよ。違憲の自衛隊、対米従属の自衛隊だからこういうことをやるんですよ。  それから今核兵器は物すごく発達している。ガイドラインもできた。今何をやっているか。中曽根さん、核兵器先制使用などの答弁もされている。私はここに危険があると思う。首相は先日自衛隊が逸脱する行為があったらシビリアンコントロールでこれは歯どめをする、そう答えられましたけれども、現在こういう憲法並びに政府の方針に違反する暴走がないように、この問題からどういう教訓を引き出して、どういうシビリアンコントロールの強化の改善策をおとりになろうとしているか、お答えいただきたいと思います。これで終わります。
  243. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 上田委員が指摘されました資料がどういう性格のものであるかつまびらかにしない状況でとかく申し上げることははばかる次第でございますが、しかし自衛隊の管理につきましては非核三原則のもとにシビリアンコントロールを厳重にして行うということを政府は約束しておりますから、今後とももし万一にも逸脱がないように厳重に督励してまいるつもりでおります。
  244. 内藤功

    ○内藤功君 次に、F16について伺います。  外務省、アメリカの八六年度国防報告ではどういうふうに書いておりますか。
  245. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) アメリカの国防報告におきましては、F16につきましてはソ連の空対空戦闘能力の大幅向上にかんがみてアメリカとしては空軍の積極的な近代化計画を進める必要があるということを申し述べまして、その一環としてF16の性能向上に努めている、そういう趣旨のことが書いてございます。
  246. 内藤功

    ○内藤功君 私の聞いているのはそこじゃなくて、第三章、核部隊、二百二十一ページですね、ここを読んでください。
  247. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) ちょっと突然な御質問でございますので、今資料を取り寄せていたします。――二百二十一ページでございますか。
  248. 内藤功

    ○内藤功君 二百二十一ページのc.です。
  249. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) 二百二十一ページの御指摘の項目におきましては、核攻撃ミッションとの関連ではNATOは各種のデュアルケーパブル、すなわち核、非核両方の性能を持っておる各種の航空機に依存しているということをまず言いました後に、その種の航空機のインベントリーは現在F16、それからトーネード戦闘爆撃機によって近代化されている、そういうふうに述べております。
  250. 内藤功

    ○内藤功君 NATOでは中距離核戦略としてちゃんと位置づけられています。日本でもそうじゃないんですか。日本ではどうして違うんですか。
  251. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) 我が国の場合には御承知のように非核三原則を堅持しておりまして、核の持ち込みは認めないということになっておりますので、ただいま委員御指摘のようなNATOのような目的でF16が配備されているというふうには全く理解いたしておりません。
  252. 内藤功

    ○内藤功君 同じF16なんですから納得できません。  防衛庁、防衛白書でもF16は戦域核戦力として位置づけているのじゃないでしょうか。
  253. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 済みませんが、防衛白書のどの辺の記述を指してそうおっしゃっているのか、ちょっと御指摘いただければありがたいんですが。(内藤功君資料を示す)
  254. 古川清

    ○政府委員(古川清君) 今拝見したのは二十九ページだと思いますけれども、私の持っておりますのにはその記述がございませんけれども、一般論といたしまして、F16と申しますのは非常に能力の高い、空中戦もできるし、爆撃機にもなるという大変多目的の能力の高い戦闘機である、しかも一般論として申し上げまして核積載能力がある。そういう非常に能力の高い飛行機であるというふうに防衛庁としては理解をしております。今拝見しましたのは五十六年の防衛白書でございまして、私が持っておりますのは五十九年の一番新しいものでございますので、どうも若干記述が違いますけれども、防衛庁といたしましては今私が申し上げたような理解をF16については持っている次第でございます。
  255. 内藤功

    ○内藤功君 五十六年の二十八ページを読んでください。
  256. 古川清

    ○政府委員(古川清君) こういった白書のたぐいは毎年毎年考え方をいろいろ変えて前進をしておるわけでございまして、今手持ちがございませんので、すぐに持ってまいります。
  257. 内藤功

    ○内藤功君 これで読んでください。これで読んでいただいていいですよ。(資料を手渡す)
  258. 古川清

    ○政府委員(古川清君) 昭和五十六年版の防衛白書によりますると、米国は「パーシングIIやGLCMを開発しており、F―16ファイテング・ファルコンなどもこの目的に使用することを計画している。」、米国はつまりF16をこういったパーシングIIのような目的に使用することを計画しておるという記述がございます。
  259. 内藤功

    ○内藤功君 ちゃんとあるじゃないですか。  F16は、今度来た16はどこで訓練を行うんですか。
  260. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) 三沢で訓練を行うと承知しております。
  261. 内藤功

    ○内藤功君 対地攻撃訓練はどこでやるんですか。これは施設庁。
  262. 佐々淳行

    ○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  現在、対地射爆場として提供いたしておりますのは、本州におきましては天ケ森、三沢射爆場でございますので、ここにおいて現在まで合意に達しておるやり方の訓練、すなわち二千ポンド以下の模擬爆弾、実際は二十五ポンドを使っておりますが、二十ミリ機関砲、対地ロケット、こういう射撃訓練を天ケ森でやることになろうかと考えております。
  263. 内藤功

    ○内藤功君 二千ポンドというと何キログラムですか。
  264. 佐々淳行

    ○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  四百五十三グラムですか、これがあれでございますから、約九百キロということでございます。しかしながら、これはそれまでが許容範囲でございますが、実際に使っておりますのは模擬爆弾二十五ポンド、これも煙を出すだけでございまして、爆発はいたしません。
  265. 内藤功

    ○内藤功君 F16は核の模擬爆弾を搭載する能力ありますね。
  266. 古川清

    ○政府委員(古川清君) F16の核爆弾搭載能力といたしまして、例えばジェーン年鑑を見てまいりますと、B43型を二発搭載できる、あるいはB57型の核爆弾を二発搭載できる等々の記述がございます。したがいまして、一般論といたしまして、核爆弾の搭載能力があれば同様の模擬爆弾というものも搭載し得るというふうに考えてよろしかろうと存じます。
  267. 内藤功

    ○内藤功君 核模擬爆弾の名称は何と言うんですか。
  268. 古川清

    ○政府委員(古川清君) 寡聞にして存じておりませんので、調査をいたしましてまたお答えをしたいと存じます。
  269. 内藤功

    ○内藤功君 BDU12B、BDU38B、どうですか。
  270. 古川清

    ○政府委員(古川清君) 調査をいたしましてお答えしたいと思います。
  271. 内藤功

    ○内藤功君 これはアメリカの軍需品規格でも、本物の核爆弾と同じように核爆弾の範疇に指定されている。いかがですか。
  272. 古川清

    ○政府委員(古川清君) 今初めて伺った次第でございまして、これはまた調査をいたします。
  273. 内藤功

    ○内藤功君 これから来るんじゃなくて、もう来ている飛行機、それがどんな核模擬爆弾を積めるか知らない。困るじゃありませんか。
  274. 梶木又三

    ○理事(梶木又三君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  275. 梶木又三

    ○理事(梶木又三君) 速記起こして。
  276. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) 私ども御質問の模擬爆弾の名称その他については承知しておりませんし、現実にそういう模擬爆弾が、例えばF16の配備に伴って三沢に持ち込まれておるかどうかというようなことについても承知はしておりません。しかし、いずれにしても核兵器の持ち込みの問題を御念頭に置いての御質問であれば、これは従来から申し上げているとおり、核の持ち込みについては事前協議の対象でありまして、事前協議があればノーと言うという、この政府の立場は明確でございますので、核爆弾の持ち込みという意味では、毛頭政府としてはそういうような可能性があるというふうには考えておりません。
  277. 内藤功

    ○内藤功君 F16が三沢の対地射爆場で核模擬爆弾を使って投下訓練をやる、そういう可能性があると思うんです。昭和四十七年三月の国会で、時の佐藤内閣、外務大臣も総理大臣も核の模擬爆弾の投下はさせないということを言いました。外務大臣、いかがですか。  外務大臣、お休みでしたね。質問の意味わかりますか。一番大事な質問ですよ、きょうの。
  278. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) ちょっと当時の答弁につきまして至急調査して御答弁申し上げます。    〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕
  279. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  280. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 速記を起こして。
  281. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) 当時、沖縄返還後の沖縄におきますアメリカの空軍の演習との関連で、核の模擬爆弾の使用が国会において問題にされまして、ただいまちょっと議事録拝見さしていただきましたが、私の記憶でも国民感情からいってそういう核の模擬爆弾の使用は好ましくない、そういうものはやめてほしいということをアメリカ側に申し入れるという趣旨の答弁があったということは私も記憶はしておりますが、ちょっと正確に当時の経緯、それから結果はどういうことであったかということはちょっと時間をいただきまして調べませんとわかりませんので、その点申しわけございませんが御理解いただきたいと思います。
  282. 内藤功

    ○内藤功君 議事録を渡したじゃないですか、今私の持っているのを。  時の総理佐藤榮作氏は、核の模擬弾でも投下しない、そういう方向でアメリカに向かい十分に話し合う、時の外務大臣福田赳夫さんは、模擬弾といえどもこれは核だ、核の模擬爆弾だというようなことについては日本人はアレルギーを持っておる、厳重にアメリカに申し入れをいたしたいと答弁しておるのであります。外務大臣、今は三沢に来ておりますが、この問題についての態度はいかがですか。
  283. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) F16は、これは核搭載可能の航空機であるということはもう周知の事実であります。しかし、このF16が核を搭載するかしないかということの問題については、日本は先ほどから申し上げましたように非核三原則というものがありますから、もし核を持ち込んでF16に搭載するということになれば、これは事前協議の対象にしなければならぬ、アメリカの義務になっております。日本はこれを認めないということを国会でも明らかにしておりますし、そういう限りにおいてF16は核搭載可能の航空機であったとしても核の持ち込み、核の搭載というのはあり得ないと、こういうのが政府の解釈であります。
  284. 内藤功

    ○内藤功君 外務大臣、核の模擬爆弾の投下は許さない、この立場はお認めになるんですね。
  285. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 今ちょっと貸していただいたこの議事録で、確かに模擬爆弾につきましてはそういう答弁がございます。日本としては、日本人としては核についてはおっしゃるように、またここで当時の総理大臣、外務大臣が答弁しておりますように非常にアレルギーがありますから、こういう点については、アメリカに対しても慎重な対応を求めるということは政府としてそれなりの考え方だと私は思っておりますし、この結果につきまして要請を出すということを言っております。その結果につきまして今ちょっと調べておりますが、私も今の摸擬爆弾といったようなものについては非常にアレルギー的なものが存在している、アメリカに対してもこの点については慎重にやはり取り扱ってもらいたい、日本の国民感情を考えて慎重に取り扱ってもらいたい、そういう気持ちは持っております。
  286. 内藤功

    ○内藤功君 外務大臣、そうすると、当時の福田外務大臣と同じ基本的な考え方に立ってやると、こういうことですね。
  287. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 核模擬爆弾といっても、核という名がついておりますと、これは非常にそういう面で国民感情を刺激するといいますか、アレルギーという立場もありますから、これはアメリカとしても米軍にとってもどうしても慎重な対応をしてもらいたいと、こういうふうに思っております。その当時のいきさつがどうなっておるかということも調べまして、慎重に今申し上げましたような基本的な立場で対応したいと思います。
  288. 内藤功

    ○内藤功君 防衛庁に伺いますが、この核模擬爆弾は本物の弾頭を持った核爆弾と寸法、形、重量、同じと聞いていますが、いかがですか。
  289. 古川清

    ○政府委員(古川清君) 承知しておりません。
  290. 内藤功

    ○内藤功君 これはもう常識なんですね。そういうことも調べてないというのは甚だ心もとないことでございます。  総理、今の点についていかがでございましょうか。
  291. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 外務大臣が答えたとおりに考えます。
  292. 内藤功

    ○内藤功君 外務大臣に伺います。アメリカ側に対しまして慎重に対処するように国民感情を踏まえてという申し入れ、要請はどのようなプロセスを経ていつごろ行われますか。
  293. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 今まだその核模擬爆弾を使っているかどうかということも私承知しておりませんし、そして先ほどお示しいただきました日本政府としての総理大臣、外務大臣等の答弁もあります。アメリカ側に要請したという事実もありますから、そういうものを踏まえまして、今現実にこの三沢で使われておるかどうかということも承知しておりませんし、そういうことも十分考えまして適切に対応したいと、こういうふうに思います。
  294. 内藤功

    ○内藤功君 絶対に核模擬爆弾の訓練さしちゃならぬ、しかもこれを明確にアメリカ側に申し入れてもらいたいと思います。  次に、防衛庁に伺います。日米防衛協力指針、いわゆるガイドラインの作戦構想、陸上作戦には何と書いてありますか。
  295. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) このガイドラインに書いてございますのは「日本に対する武力攻撃がなされた場合」というのがその一番の表題で出てきているわけでございます。そういたしましてその頭に「日本は、原則として、限定的かつ小規模な侵略を独力で排除する。侵略の規模、態様等により独力で排除することが困難な場合には、米国の協力をまって、これを排除する。」、それから次に「自衛隊及び米軍が日本防衛のための作戦を共同して実施する場合には、双方は、相互に緊密な調整を図り、それぞれの防衛力を適時かつ効果的に運用する。」ということが前段に書いてございます。  その次に「作戦構想」といたしまして一般的なことを次のように述べております。「自衛隊は主として日本の領域及びその周辺海空域において防勢作戦を行い、米軍は自衛隊の行う作戦を支援する。米軍は、また、自衛隊の能力の及ばない機能を補完するための作戦を実施する。」ということがありまして、その各論で「(a)陸上作戦」というところに次のように書いてございます。「陸上自衛隊及び米陸上部隊は、日本防衛のための陸上作戦を共同して実施する。陸上自衛隊は、阻止、持久及び反撃のための作戦を実施する。米陸上部隊は、必要に応じ来援し、反撃のための作戦を中心に陸上自衛隊と共同して作戦を実施する。」と、こういうふうに書いてあるわけでございます。
  296. 内藤功

    ○内藤功君 防衛庁、自衛隊のこういう状況における部隊の移動、資材の輸送、通信連絡などのいわゆる有事法制の研究は今どんな状況ですか。
  297. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 国会でも数次にわたって御報告いたしましたけれども、有事法制につきましてはまず自衛隊の行動にかかわる自衛隊そのもの、防衛庁所管の法令に関しましては五十六年に中間報告をいたしました。  なお、各省庁の所管にかかわる法令との関連、そういったものにつきましては昨年御報告をさしていただいたわけであります。現在主として作業をしなくちゃならないものは、いわゆる第三分類、つまり例えば住民の保護であるとか、あるいは避難誘導、そういったもの、その他例えば捕虜の取り扱いその他のジュネーブ条約にかかわる国内法の問題とか、そういったたぐいの現在その種の法律が全くないもの、あるいは所管が幾つかの省庁にまたがるもの、あるいはまた所管そのものすらまだわかっていないもの、そういったものを第三分類と称しておりますが、それらの研究をこれから始めようというところであります。
  298. 内藤功

    ○内藤功君 自衛隊が共同対処する米軍が有事の際に日本国内で部隊移動などするについての法令の適用除外、法令改正の研究はどうですか、今しておりますか。
  299. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 現在進めております有事法制の研究は自衛隊の行動にかかわるものでありまして、米軍の行動にかかわるものについてはまだ研究を始めておりません。
  300. 内藤功

    ○内藤功君 日米共同作戦計画が昨年十二月に署名された条件のもとでは、日本側としてそういうような立法作業、有事法制作業を米軍についても行うということが義務づけられることにはなりませんか。
  301. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) ガイドラインに基づきます共同作戦計画の研究と申しますのは、ガイドラインにもその基本的な前提条件が定められているわけで、その中で実施しているものでございます。  御指摘の共同作戦計画の研究は、これは有事におきます共同対処行動をいかに円滑にやっていくかという観点から研究をしたものでございます。そういった研究の成果については、ただいま申し上げましたその前提条件といたしまして、両国を拘束するようなものじゃないと、その成果の取り扱いはそれぞれの国の判断にゆだねられているという性格のものでございまして、何らそういった義務を負っているものではございません。
  302. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、そのような米軍についての法制上の研究はやっていないんですね。今後もやりませんね。
  303. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 現在の時点では、ただいま申し上げましたような研究を実施している段階でございまして、それからまた、ガイドラインの中には共同作戦計画の問題のみならず、いろいろな研究を要する問題がございますので、そういった面についての研究を逐次進めていこうということを考えておるわけでございまして、現在のところ、先生御指摘のようなことまで研究をする予定は持っておりません。
  304. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、拘束力の問題ですが、在日米軍と自衛隊との間に署名がされたという場合には、軍事上の約束、軍事上の協定がなされたとは見られませんか。
  305. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 先ほども御説明申し上げましたように、今回の共同作戦計画の研究と申しますのはあくまでも研究でございまして、有事におきまして共同対処行動をとる場合にどういったような考え方をとることが有益であるかという点を現在研究しているということにとどまるものでございます。そういうふうな性格のものであることを御理解をいただきたいと思います。
  306. 内藤功

    ○内藤功君 在日米軍と自衛隊、つまり、いわば軍と軍との軍同士の間では拘束されるのじゃないんですか。
  307. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 繰り返して申し上げるようでございますが、これはあくまでも研究でございます。十二月に作業当事者間での研究内容の確認をするためのサインを行ったことは事実でございますが、そういった自衛隊と米軍の間に何らかの拘束力を持つといったような性格のものではございません。これはあくまでも研究であるということでございます。
  308. 内藤功

    ○内藤功君 具体的に聞きましょう。  米軍の有事における来援について書かれたとすれば、そのこと自体は拘束力を持ちませんか。
  309. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 共同作戦計画の研究の内容で、いろいろな面が研究をされることはあり得ることでございますけれども、そういったものが、研究の内容はあくまでも、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、研究にとどまるものでございまして、現実にそういうものを両国間で約束をするといったような性格のものではございません。
  310. 内藤功

    ○内藤功君 両軍の間で。
  311. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) ただいま申し上げましたように、自衛隊と米軍との間で何らかの約束をするというような性格のものじゃなくて、あくまでもこれは一つの研究であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  312. 内藤功

    ○内藤功君 では、そこで不思議なのは、なぜ署名したのですか。署名はこの際どういう意味の署名なのですか、いかなる意思の表明の署名なのですか。
  313. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) これは先ほども申し上げましたように、何年もかけて研究をしてきた成果がまとまったわけでございます。そこで、その研究の成果が一区切りついたところで、研究の内容を確認をするという意味でサインをしたものでございます。研究の当事者でございます統幕議長在日米軍司令官との間で研究の内容をお互いに確認をしたというだけのことでございます。
  314. 内藤功

    ○内藤功君 署名というのはもう少し重みがあると私は思います。研究の内容を確認したというのは、私は納得できません。  次に加藤長官に伺いますが、この間、三月二十九日の当委員会集中審議におきまして、あなたは日米「共同作戦計画を確定するのは」「日米両国政府であろうと思います」云々という御答弁をなさっておる。そうすると、あなたの答弁では、この日米共同作戦計画を将来政府間の文書として確定させることがあり得ると、こういう趣旨ですか。
  315. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 作戦計画というものと作戦計画の研究とは別個のものでございますが、作戦計画というものを確定するということは将来あり得ると思いますけれども、それがどういった状況で、どういうタイミングで、どういう形態であるかということは、これからの検討であろうと思っております。
  316. 内藤功

    ○内藤功君 聞きたいのはそこなんです。どういうタイミングで、どういう条件の場合に確定させるのか、どんなふうに今お考えになっていますか、研究の到達点はどうですか。
  317. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 先ほども申し上げましたように、ガイドラインに基づきます研究はいろいろな研究の分野がございます。まず初めに共同作戦計画の分野についての研究をスタートしてきたわけでございますが、それも、しばしば御説明申し上げておりますように、やっとまあ一つの設想に基づく研究が一区切りがついたという段階でございます。したがって、私どもとしては、これからガイドラインに基づきますいろいろな分野の研究をさらに進めていきたいというふうに考えておる状況でございまして、先生御指摘のような、将来具体的にそれをどういうふうにまた活用していくかというような点につきましては、現在まだ詰めている状況ではございませんので、具体的に明確に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  318. 内藤功

    ○内藤功君 もう一回防衛庁長官に伺います。さらに外務省にも伺いたいと思うんですが、将来、この日米共同作戦計画を政府間において確定させるという場合に、それは国と国との間、政府と政府との間の条約あるいは国際協定、こういう性格を名称いかんにかかわらず持ってくるのじゃないですか。
  319. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 有事におきます日本防衛のやり方につきましては、自衛隊と米軍が必要に応じ共同対処行動をとっていくということがその基本になっておるわけでございます。その場合の共同対処行動の運用のあり方はいかにあるべきかということにつきましては、これもガイドラインにも明らかにされておりますように、自衛隊及び米軍は、それぞれの指揮系統に従って行動をするということが基本でございます。つまり、それぞれが他方の指揮下に入るというふうな関係を想定をしていないわけでございます。したがって、自衛隊の行動というものは、有事におきましてもあくまでも日本自身の判断で自主的に行動を展開をしていくということが基本になるわけでございます。  そういったことを踏まえて考えていくことでございまして、現在におきまして、私どもといたしましては、まだ有事の際の具体的な手続問題については全く検討していないわけでございますけれども、あくまでも基本は日本は自衛隊を自主的な判断に基づいて運用をしていくのだと。その自衛隊と米軍との協力関係をどうやってやっていくかということを共同作戦計画というような分野でお互いに確認をするというような性格になるのではなかろうかというふうに想定をしているわけでございます。
  320. 内藤功

    ○内藤功君 私の質問に直接答えてないんですね。将来政府間において確定させるというのは、すなわち条約なり国際協定なりという形式になるのじゃないでしょうか。これ長官に聞きたいんです。あなたの言った答弁の趣旨を聞いているんです。
  321. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 先ほど申しましたように、それをどういう形で、どういう手続でやるかということは、今後の検討課題だと申し上げました。
  322. 内藤功

    ○内藤功君 ことが非常に大事なところだと思うんですね。もしそういうことであるならば、将来あるいは政府間の協定になるかもしれぬと。まだ研究しているというんだけれども、そうなるかもしれぬというのであれば、これは憲法に基づき、条約なり国際協定の締結承認の手続、あるいはそれに準じた手続をもって、我々国会の中にもその内容は報告しなければならぬです。勝手に自衛隊が進んでいく、米軍が進んでいくというのは許されないんですね。私はこういう面で非常に、国会に本来報告すべきものが制服組と在日米軍との間で進められている。
  323. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 時間がきております。
  324. 内藤功

    ○内藤功君 これは非常に危険な事態だと思う。昔と同じとは言いませんけれども、新しい軍部独走の危険にならぬように、私は特にこれを危惧しているものであります。このことを申し上げまして、残念ながら時間が来ましたので質問を終わります。(拍手)
  325. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 以上で内藤君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  326. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 次に、柄谷道一君の締めくくり総括質疑を行います。柄谷君。    〔資料配付〕
  327. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 私は本予算委員会を初めあらゆる機会をとらえまして、予算審議に不可欠である財政の中期展望の主要経費別内訳の提出を政府に求めますと同時に、今後あるべき経済財政指標の目標値、政府の政策選択を具体的に盛り込んだローリングシステムによる中期経済計画と、それとの政策的連続性及び整合性を持った中期財政計画の提出を求め続けてまいりました。  それは、政府の経済計画や財政試算が今後の目標値を明らかにせず、政策選択に言及することを意図的に回避するなど、先見性と実効性に欠き、今後の増税なき財政再建のための具体的計画と対処方針もなく、毎年見せかけの歳出削減による予算の帳じり合わせに終始していたのでは、国民に将来に対する増税、福祉切り捨て等の不安感、不透明感を与え、民間の経済活動に関する足かせになりまして、今後持続的な適正成長の実現を妨げる危険があると憂慮したからにほかなりません。しかし、予算審議が終結しようとしている現在まで、政府は計画の名に値する内容を明らかにしませんでした。  そこで、やむなく私は私なりに中期財政経済計画の骨格と政策方針をつくり、これを実践するならば六十五年までに計画的かつなだらかな増税なき財政再建が達成されるという試算を行いました。私に与えられた質問時間が短いため、一昨日文書をもって関係大臣に提示してきたところでございます。  まず、私の提唱に対する大蔵大臣の所見をお伺いします。
  328. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 柄谷さんかねてから政府としていわば財政再建計画のようなものを、より具体的なものをつくるように御鞭撻をいただいてきております。これに対して、私どもといたしましては毎年毎年の議論の中におのずからコンセンサスの方向がわかっていくものであって、今まさに定量的なものをお出しすることは非常に困難だということを申し上げつつも、それなりの努力をしてまいりましたが、今お示しのありました中期展望というものにつきまして、私どもからの評価とでも申しましょうか、そういう言葉をお許しいただきますならば、まずは一つの仮定の上に立ってこの計算をしていただいておるわけでございますが、このようにお互いがそれぞれの仮定の上に立った資料を出し合って議論を重ねていく中で一つの方向が模索されながらコンセンサスが見出されていくということに対しては、私どもは大変好ましいことだと思います。  そこで、具体的に意見を申し上げますならば、いわゆる潜在成長力をどう見るかという点について、やっぱり柄谷さんとたびたび議論をいたしますが、それの乖離というものを否定するわけにはまいりません。私どもは六ないし七%の中間値をとり六・五というようなことを計算の基礎におきますが、この名目成長率も柄谷さんのは八%であります。それから、実質成長率を四%程度と申しておりますが、柄谷さんは五%以上。さらに税収の弾性値が私どもは十年間の平均値の一・一、柄谷さんは一・二、そういうことが一つ言えることであろうと思っております。それから、四条公債のいわゆる大幅増発というものは果たしてその名目成長率をインフレーションなしに想定することができるかどうかというところにも慎重な配慮を持っていなければならないではないかと、こういうようなことをまず端的な私どもの言葉としては、評価という言葉は非礼かもしれませんが、素直な感想をまずは申し述べさせていただきます。
  329. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 名目八%、実質五%の適正成長の維持、所得減税と政策減税、建設国債の活用、不公平税制の改善、これらの政策展開によって税の自然増収約一〇%を確保する、これは河本大臣の持論に近似するものであろうと思いますが、河本大臣の評価をお伺いします。
  330. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 財政と経済が中期的に一つの展望を持って運営されるということになりますと、私は大変効果があると思います。アメリカの例を申して恐縮でございますが、最近アメリカで非常に設備投資が激増しておりますが、これはアメリカの経済の力が回復したという現状もございますが、レーガン政権が一九八九年までの経済成長の見通しを明らかにしておる、こういう背景があるからだと思います。したがいまして、日本でも最近は民間の設備投資も若干伸びておりますけれども、さらに中期的な、さらに具体的な経済の展望を示すということになりますと、設備投資も一層拡大するのではないか、このように思います。
  331. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 経企庁長官の御所見はいかがですか。
  332. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 柄谷さんの御提案に対して深く敬意を表するものであります。  ただ、私どもの感じといたしましては、六十五年までの中期の経済展望をやろうという場合に、定性的にがっしりと動きのとれないものを今日の経済的に非常に流動性の高い時期に決められるかどうか、やはり一つ大きな問題だろうと思います。特に昨年のアメリカの好況からことしはある程度落ちる、来年がまたどうなるかわからないということで、六十五年までの景気をぎっしりと一定の数字でがんじがらめに計画的な構想に盛り得るかどうか。それから、こういう情勢のもとでは政策のあり方もおのずから弾力的でなければならぬと考えておりますものですから、経済成長率を実質四%に置いて、その間の物価はどうだ、失業率はどうだというのはごく大づかみなところを押さえて、その間に財政再建の方を、赤字脱却を何年までというようなことでしっかりやっていただこうという目途で中期展望をこしらえておるわけでございまして、今大蔵大臣からもお話がございましたように、大蔵大臣としてはそれなりのやはり財政再建の努力をしておられる、それとうまくこれを合わせていくことが大事なことであろうかと思うのでございます。  それで、先ほども経済成長率についての話が出ておりましたけれども、柄谷さんは五%成長ということを前提に置いて考えていらっしゃいまするけれども、ちょうどこの中期展望をつくりました当時は、第二次石油ショック直後のまだ先の見通しが明るき時代ではございませんでした。しかし、そういう中でも将来の政策努力を織り込んで四%台の成長率を設定したのでございますけれども、昨年はアメリカ経済がぐっと伸びましたから実質成長率五・三%ということになりましたが、ことしはまたそれが落ちると。大体四%というと、景気のいいときは五%に、悪いときは三%というふうなことに動きますから、そういう点で柄谷さんの方の前提と多少の狂いがこれは出ておるのじゃなかろうか、こういうように考えておる次第でございます。
  333. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 私の提言は、数字を固定せよと言っているんじゃなくて、一応これを前提に置いてローリングシステムということを提唱しているわけでございます。通産大臣の御所見をお伺いします。
  334. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 柄谷委員にちょうだいいたしました「中期経済・財政計画の骨格と政策方針」、承りました。読ましていただきました。この先生の方針のエッセンスは、一の「経済・財政政策の転換」のところに「政府による縮小均衡型経済・財政政策が、わが国経済・財政両面にわたる破綻を招いたことは既に立証済みであり、その継続は適正成長の維持と財政再建の達成に逆行するものに他ならない。」、そしてそのパラグラフの一番最後に、「拡大均衡型経済・財政政策への速やかな転換が必要である。」、このところが先生の御主張になりたい中心だと思います。  以下、十数項目にわたって御指摘になりまして、非常に私、実は興味を持って拝見をしたわけでございますが、今後の経済運営に当たって積極的な姿勢が必要となっているという考え方、これは理解できます。提示された試算は一つの仮定の上に立ったものでございまして、このような試算を出していただくことは今後の経済運営のあり方について、例えば内需の拡大であるとかいろいろな方面に議論が発展をするわけでございまして大変好ましいものであると思料いたしました。ただ、先生の御提示になった経済成長率、それから税収の弾性値等々につきましては、大蔵大臣が示されたものに私どもは従っております。
  335. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 建設大臣の御所見を伺います。
  336. 木部佳昭

    ○国務大臣(木部佳昭君) ただいま先生から資料をいただき、また昨日も資料をちょうだいしたわけですが、特に私どもこの公共投資というものが国民生活の向上のため、また内需の振興、そういうふうな適正成長の維持を図る上においての役割というものは、先生の御提言は大変貴重なものである、そういうふうに理解さしていただきました。  また、おくれております社会資本を充実するためには、やはり何といっても公共事業の計画的、着実な実施というものが必要であるということも同感でございます。なお、この公共事業の財源につきましては、何といっても特定財源を確保するということが一番大事でございまして、また同時に一般財源の充当、それから建設国債というようなものについて私ども増発するというようなことも一つの方策であると。基本的には先生が御提唱いただきましたものについて非常に貴重な御意見だと受けとめさしていただきました。
  337. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 最後に自治大臣の御見解を求めます。
  338. 古屋亨

    ○国務大臣(古屋亨君) この中で私ども特に補助金の統廃合、地方出先機関の整理というような問題につきまして重点化を図るべきだということにつきましては、私も全くそうしなければならないと考えております。  それから、地方交付税の、私どもの地方財源のいろいろな交付税につきまして、総額が今後どういうふうに推移するかということにつきましては、御承知のようにその前提となるような経済見通しや国税三税の動向という条件がどういうふうに推移してまいるかということがやはり前提になるのでありますから、前提条件について見通しのはっきりしない現段階におきましては先生からお示しいただきました試算について見解を申し述べるのは大変難しい問題のように考えておりますが、いずれにいたしましても、財政の健全化を図るため貴重な御意見と思いまして参考にしながら、中期展望に立つ地方交付税や一般財源の安定的な確保ということに努力をしてまいりたいと思っております。
  339. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 内需の拡大に非常に関連がありますのは、生活余裕時間の増加、さらに国民経済的視野に立った適正賃金の引き上げというものが必要だと私は思いますが、労働大臣の御所見を伺います。
  340. 山口敏夫

    ○国務大臣(山口敏夫君) 柄谷先生の「中期的展望に立つ経済・財政運営の提唱」、これは我々、高齢化時代の五百万労働人口の増加ということから考えましても、こうした提案も大いに参考にして積極的な施策を講じなければならないというふうに考えておりますし、またそうした関連の中で内需を喚起する、こういう立場、労働時間短縮は労働者の労働条件の改善のみならず、貿易摩擦、雇用の拡大、いろいろな立場からの意味があるわけでございますけれども、私はやはり貿易摩擦は市場開放と同時に内需を喚起するということが、特に消費動向の中核を担う勤労国民の適正なべースアップというものが非常に内需に与える影響は大であると。そしてまた同時に余裕時間というものがございませんとなかなかその消費志向にこれがつながらない。  私も就任しましてから早いものでもう半年近くたつわけでございますけれども、ほとんど土曜、日曜もないぐらい動いておりましてほとんど消費をする時間かない。大蔵大臣が、おまえも閣僚になった以上は国債に協力しろということで、もう九十万も国債で貯蓄がふえましたけれども消費はできない、こういう状況でございます。私は労働時間短縮というものは消費の面からも不可欠な要件がある、こう考える次第でございます。  六十年度の政府の経済見通しの中にも、雇用者所得の伸びが六・八%、こういう数字が計上されております。これは雇用者がふえますから一人当たりは大体五%近い伸び、こういうことになっているわけでございますが、これはやはりそういう日本経済、そして日本経済が持つ世界経済の中における責任、牽引車としての役割等々も大所高所から判断をいただいて、労使双方でそうした適正規模のベースアップというものの環境づくりが望ましい、かように考えているところでございます。
  341. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 経済指標について若干お伺いいたしますが、経企庁は、公共事業を仮に一兆円追加し、あわせて一兆円の所得減税を行った場合、その景気浮揚効果、すなわち経済効果についてどの程度になると試算されておりますか。
  342. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 今お尋ねの件は世界経済のシミュレーションで推計を出しておりまするけれども、ただ前提が大変難しゅうございまして、例えば公共事業ならば公共事業の投資する場合の実施要件はどんな状況だとか、あるいは公共投資の場合でも財源は一体何によってやるか、あるいは減税の場合ですとそのときの状況がどうか、いろいろ違いますので、具体的な数字を政府委員から説明させます。
  343. 赤羽隆夫

    ○政府委員(赤羽隆夫君) 大臣のお答えに補足して申し上げます。  経済政策、特に財政政策の効果を数量的に把握しようということになりますと、計量経済学的なモデルを使って乗数を計算する、こういうことになります。ところが、この乗数はモデルによっていずれも数字が違ってくるという問題点がございますので、余り一義的な数字を申し上げることはできないと思います。一般論として申しますと、経済のメカニズムについての考え方が異なることによって乗数が大きい場合と小さい場合がございます。    〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕 マネタリストという人たちのモデルによりますと、財政政策の効果はゼロか、あっても非常に小さい。これに対しまして、ケインジアンの考え方で申しますと当然一よりも大きいというようなことになっております。  ただいま大臣が触れられました「世界経済モデル」はケインジアンタイプのモデルでございまして、ややその乗数効果が大きく出ております。これによりますと、公共投資の乗数効果というのは初年度におきまして一・四七倍、これに対しまして個人税減税の乗数効果というのは初年度におきましては〇・四七倍、つまり半分、こういうことになります。いずれにしましても、その乗数効果というのが現実にどれぐらいにきくのかということになりますと、そのときどきの経済情勢等に依存する場合が多いということで一義的な数字は出せない、こういうことではないかと思います。
  344. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 同じケースで、大蔵省は税の自然増収はどの程度になると試算されますか。
  345. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 前提の問題はもう今申されましたので、お答えいたしません。  「世界経済モデル(一九八四年二月版)」、これでやってみます。そういたしますと、名目GNP増加額を前提として六十年度予算において見込まれております国税、地方税の対名目GNP比率を用いて税収増を機械的に計算しますと、公共事業の一兆円の追加につきましては三年間で約四千億円、国税では約三千億円、それから所得税減税一兆円につきましては三年間で約三千億円、国税で約二千億円となります。したがって、二兆の施策について約七千億、そして国税だけでやれば五千億、こういうことになります。
  346. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 経企庁に逆にお伺いいたしますが、一兆円の個人増税と一兆円の間接税増税を実施した場合のデフレ効果について御説明ください。
  347. 赤羽隆夫

    ○政府委員(赤羽隆夫君) お答え申し上げます。  所得税の増税の場合の効果といたしましては、恐らく減税の効果と対称的ということでございまして、このモデルの効果によりますと、初年度は〇・四七倍というのが出ておりますけれども、これだと思います。それから、間接税につきましては、必ずしもモデルによって計算ができないということがございますけれども、増税の場合の効果というのはやはりマイナスの効果、つまりデフル効果が何ほどか発生する、こういうふうに考えております。ただし、このモデルによりまして間接税の効果を出すようにモデルができていないものですから具体的な数字を申し上げることはできない、こう思います。
  348. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 建設大臣にお伺いしますが、六十年度の公共事業の執行について、上期の契約目標率はどう考えておられますか。
  349. 豊蔵一

    ○政府委員(豊蔵一君) 現在予算を審議していただいておりますが、六十年度の予算が成立いたしました段階で関係各省庁で相談をしてまいりたいと思っておりまして、現段階ではまだ具体的な方針は定まっておりません。
  350. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 五十六年のときは成立を仮定して数値を述べられました。大蔵大臣の御所見を伺います。
  351. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 成立を仮定するということも非礼なことかとも思いますが、今五十九年は御案内のとおりいわば景気の動向に応じて機動的、弾力的な施策を推進しました。現在の我が国経済は民間設備投資を初め国内民間需要を中心にして順調に拡大しておりますが、今後とも引き続きインフレのない持続的安定成長を達してなければいかぬというのが前提にございます。  そこで、今度の場合は、御案内のとおり、国費は減額しつつも一般公共事業の事業費については前年度を上回らしていただく、これが通ればそうなるわけでございますが、上半期ということで考えますと、いろいろなことから考えると、特に目標を定めて前倒し的執行を行う必要はないではなかろうかという感じでございます。ただ、従来と同様に、五十九年に引き続きと言った方が適切かと思いますが、いわゆる地域的ばらつきには十分配慮をして、そうして景気の動向に応じて機動的、弾力的な運営をしなければならぬのではないか。だから、かなり前倒しという中に、何と申しましょうか、非常に練達になりまして、いわば全体の場合におきましても、かつて前倒しの際に設定したというような数値に近いものが現実出るようになっておるというふうな感じでございます。
  352. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 総理にお伺いいたします。  私は率直にかくすればという私案を出しました。各関係大臣もその構想を評価されながら、部分的には問題があるよ、こう言われました。また、政府の今述べられました経済指標について私も意見を持っております。しかし、良識の府参議院というのは、単に増税なき財政再建云々というスローガンよりもハウツーですね。問題をいかにすればそれが実現できるかという議論を詰めることが我が参議院に寄せられている任務ではないか、こう思うのです。しかし、これは限られた時間で議論できません。  そこで、評価をいただいておるわけですから、総理、この問題こそ国家的な重要課題として与野党間で積極的な政策協議を進めて、そのあるべき姿を与野党共通の場で詰めていく、これが必要ではないか、こう思うんですが、総理の御所見いかがでしょう。
  353. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 柄谷さんの御労作については敬意を表します。与野党間で中長期の財政も含めて政策協議を続けるということは極めて有意義であると考えまして、我々もそういう御提議があれば御相談に応ずるようにいたしたいと思います。
  354. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 従来風営法等で政策協議が部分的に行われておりますけれども、問題は、こういう問題こそ真剣に国家と国民のために与野党の立場を越えた政策協議が詰められるべきである。総理の善処を特に要望しておきたいと思います。  次に、これまで本予算委員会で貿易摩擦の解消、これに関する米国の財政赤字、高金利、ドレ高、円安問題の多くが取り上げられてまいりました。本国会が終わりますと、ボン・サミット以下重要な国際会議が連続して開かれます。これに臨む総理及び河本特命大臣の基本的姿勢と方針を明らかにしていただきたい。
  355. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 貿易摩擦問題は当面の最大の課題でございまして、来る四月九日を目標にいたしまして、緊急対策と中期的な対策を決めたい、このように思っております。なかなか難しい問題が多いんですけれども、関係各省の間で非常に御苦心、御努力をしていただきまして、現在のところ前向きに作業が進んでおります。
  356. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 経済摩擦に対応する問題は、河本国務大臣が申されたとおりでございます。  ボン・サミットにつきましては、やはり世界経済の現状に対する改革論、例えば各国における財政赤字の問題、あるいは失業問題、あるいは日本のような輸出超過の問題、こういうような問題がやはり問題として検討されるのではないかと思います。そうして、インフレなき持続的成長をいかに図っていくか、そういうことと発展途上国に対する配慮というようなものをいろいろ研究し合う、こういう会になるのではないかと予想して、いろいろ今勉強し始めておるところでございます。
  357. 梶木又三

    ○理事(梶木又三君) 伊藤郁男君の関連質疑を許します。伊藤君。
  358. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 関連して、まず河本大臣にお伺いをしますが、三月十二日に開かれました米国の上下両院経済合同委員会の公聴会で、ドル高が米国の競争刀に及ぼす影響が取り上げられまして、議長のベンツェン上院議員は、ドル高の影響でアメリカは一九八〇年から八四年の間に貿易収支が赤字に転じ、約二百万人の雇用機会が失われた、こういうように述べたと伝えられておりますが、アメリカのドル高がその貿易赤字に及ぼす影響について、大臣はどのような御認識を持っておられますか。
  359. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 私は、アメリカの現在の貿易赤字の一番大きな原因は、アメリカ経済が急速に回復をいたしまして内需が大変な勢いで拡大をした、そういうことが一つあろうと思いますが、同時に財政赤字、高金利というようなことで大変なドル高になってまいりました。その分だけアメリカの産業の競争力が弱くなったわけでありますから、やはり今のお話は私はそのとおりであろうと、このように理解をいたしております。
  360. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 次に、これも大臣にお伺いしたいんですが、三月十二日、これはニューヨークで講演をいたしましたオルマー商務次官は、労働、資本、エネルギーの三大コストで見た場合、日米両国間の企業競争力が長期的に均衡するには一ドル百六十八円が妥当である、こういうように述べたと伝えられております。これは具体的な為替相場水準に言及した例でありますけれども、これについて河本大臣並びに経済企画庁長官の御見解、客観的に正常な円の為替レートはどの程度が適当と考えておりますか、お答えをいただきたい。
  361. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 現在の為替レート、円レートが幾らぐらいが妥当かということについてはこれはなかなか申し上げにくいと思います。ただ、第一次石油危機の後、日本経済が激しく揺れ動いた時代がございましたが、そのときは我が国の産業界は二百円を目標にして国内産業の合理化をする、二百円でもやっていける、そういうことを目標にいたしまして合理化を進めたことがございます。
  362. 金子一平

    ○国務大臣(金子一平君) 今日のドル高はアメリカの経済、アメリカの政治に対する世界的な信任感のあらわれでああいうふうに高くなっておると思うのでございまして、私どもが学生時代から教わった為替換算のルールがどうも余り通用しなくなっている面もあるのじゃなかろうか、そういうふうに考えるわけでございまして、しからば百六十八円が当たり前だと言っていいのかと申しますと、それはそうもいくまいと。非常に高くなり過ぎていることは事実でございますけれども、現在の二百六十円が妥当であると私は思いません。今日の日本の経済パフォーマンスからいけばもっと上がってしかるべきですが、それが二百二十円がいいのか、二百十円がいいのか、それはちょっと言及を差し控えさしていただきたい、かように考えております。
  363. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 次に、米国の市場開放の要求が大変なものであることは米国の議会の動きでも明らかでございますが、対外経済問題諮問委員会は四月九日に河本大臣に我が国の市場開放のための中期課題として、政府みずからが今後三年間に取り組む行動計画を打ち出すべきだとの報告書を提出する予定と聞いておりますが、市場開放問題に対する大臣の対処方針を明らかにしていただきたい。
  364. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 貿易摩擦問題には緊急解決しなければならぬ課題と、それから若干時間をかけて抜本的に取り組んでいかなければならぬ課題がございます。そこで、対外経済問題閣僚会議の諮問委員会がございますが、この諮問委員会で中期的な課題につきまして抜本的にどう対応すべきかということについて答申をいただくことになっております。  その一つは、過去四年間に六回市場開放を我が国はいたしましたが、なぜこの六回の市場開放が私どもの期待するような評価を外国から受けることができなかったのか、こういうことについても徹底した分析をしていただこうと、こう思っております。それからあわせて、今後解決すべき幾つかの課題、数項目にわたって答申をしていただけると思っておりますが、これを受けまして政府といたしまして行動計画を立てまして、三年という目標にはなるようでありますけれども、しかしできればできるだけ早く問題が解決するようにそういう方向で中期的な抜本的な課題に取り組んでまいりたい、このように思っております。
  365. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この経済摩擦の解消のためには内需拡大が重要であることは今さら指摘するまでもありません。河本大臣は、六十五年度赤字国債脱却のためには景気を拡大し、税の自然増収を積極的に確保することが最も重要である、こういうようにも述べられているわけですが、積極経済政策の推進を持論とされる河本大臣は、六十年度予算案に盛り込まれている政策内容で内需の拡大が実現できると確信できますか。経済動向によっては機を失せず補正措置をとる考えを持っておられるかどうか、この点をお伺いをいたします。
  366. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 五十九年度予算が昨年この予算委員会で議論されましたときに、政府の正式の答弁は五十九年度予算は経済に対して中立型である、こういう答弁があったと思います。六十年度の予算は五十九年度予算よりは若干の工夫が加えられまして、社会資本投資なども一般会計では減っておりますけれども、全体としては数千億ふえておると思います。しかし、日本経済が何分にも大きな規模になっておりますから、数千億社会資本投資がふえたからといいましてどれだけ効果が出るか、これはもう少し分析する必要があろうと思いますが、しかし五十九年度予算よりは景気に対して若干の工夫が加えられておると、こういうことは言えると思います。
  367. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 総理、貿易摩擦問題ですが、アメリカの議会筋は強く我が国の市場開放を求めてきておる。しかし市場開放だけで貿易収支が大幅に改善されるとは思わない。そこにはやはりアメリカの財政赤字、高金利、ドル高、円安、こういう問題が介在することはもう指摘するまでもないと思うんですね。やはり今後のサミットにおいては、我が方としてとるべき施策はこうだというものは当然でございますけれども、相手国に対してもやはり収支改善のためにかかることを要求する、これは我が国の立場に立って力強く述べるのが至当であろうと、こう思うんですが、御所見を伺います。
  368. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それは当然のことでございまして、世界経済及び個別経済については共通の関心を持っておるわけであり、お互いが善意を持っていかに欠陥を是正していくかという助言をし合うという場でもありますから、我が方は我が方の見解を述べたいと思います。
  369. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 通産大臣にお伺いしますが、日本の輸出に伴う貿易摩擦とともに放置できない問題は、輸入の急増によって危機的な状況にある繊維産業の現状でございます。五十九年一年間、純綿糸、綿織物、合繊織物、二次製品の輸入急増の現状についてどのように把握していらっしゃいますか。
  370. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 簡潔にお答え申し上げたいと思います。  昨年の純綿糸の輸入量は八十七万こり、前年比五八%の増加でございます。この結果、輸入の国内生産に対する比率は、五十八年の二五%から四〇%へ上昇しました。それから綿織物は、同じく四億七千万平方メートル、前年比六一%の増加、大面な増加でありまして、この結果、輸入の国内生産に対する比率は五十八年度の一四%から二二%に一気に上昇いたしました。  それから二次製品の輸入量は全体で一億六千万トン、前年比二五%の増加でございますが、一例をとりますと、セーター、カーディガン等のメリヤス製外衣の輸入量は一億枚、前年比三九%の増加で、この結果メリヤス製外衣の輸入量の国内生産に対する比率は五十八年の二二%から三一%、大変な急上昇でございます。
  371. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 そのような輸入の急増が我が国の構造改善施策及び企業経営、雇用に及ぼしておる影響についてどう把握していらっしゃいますか。
  372. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) この問題は大変深刻でございまして、今申し上げたような輸入増加が一挙に起こりましたものですから、綿糸、綿織り、そしてまた関連の製品について非常に深刻な影響が生じております。  全体として申し上げますと、繊維産業全体では、日本の繊維産業は先進国型産業への脱皮を目指して構造改善事業に取り組んでおるというのが実態でございまして、その過程で転廃業を余儀なくされる事業者に対しては昭和六十年度から設備共同廃棄事業を行うこととしており、いずれにしても通産省としては、輸入急増が今委員が御指摘になった国内産業の雇用あるいは流通その他に重大な影響を及ぼしておるわけでございますので、これらの構造改善努力が無に帰することのないような、ひとつしっかりした努力を自主的にしてもらうように、また政府側でもその脱皮が早くできるようにできるだけの対応をいたしてまいりたいと、こういう考え方でございます。    〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕
  373. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 欧米先進国のすべてはガットによって許されたMFAによる国際ルールを適用しました二国間協定を締結しております。先進国で二国間協定を持たないのは日本のみでございます。また輸入関税も欧米諸国の関税は日本の数倍の関税を課しております。繊維産業の危機は単に産業問題ではなく、一千万の国民がこれによって生活しているわけですから、それは社会問題でもあり雇用問題でもあり、さらに地域経済問題でもございます。自主努力によって解決できない場合は、これは保護貿易じゃないんですね。自由貿易体制を維持する必要な手法としてMFA二国間協定が国際的に認知されているわけですから、自主的な交渉がうまくいかない場合はMFA協定による二国間協定の締結も考慮せざるを得ない。これだけの姿勢をもって国際的な折衝を進める必要があるのではないかと、こう思うんですが、いかがですか。
  374. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 自由貿易を基本的な立場とする日本といたしましては、繊維産業の創造性と活力を減退させる輸入規制などの保護的措置は差し控えて、自由貿易体制のもとにおいて積極的な構造改善を進めていくというのが我が国の繊維産業政策の基本的な考え方でございます。しかしながら、輸入急増に伴う過度の混乱を緩和するためには事態に即して機動的に対応してまいらなければならない、このことはよく認識をしておりまして、通産省としては、国内関係業界と緊密な連絡をとりながら、輸入動向、国内需給等を十分注視していくとともに、必要に応じて政府レベルの協議を行う、そういったことも必要である。  また、今委員がMFA、繊維製品の国際貿易に関する取極のひとつ発動をしたらどうかという御意見もございましたが、今申し上げたような対応をしながら秩序ある輸入の確保に努めてまいりたい。また、いろいろ二国間の政治的な対応等もしていかなければならない場合があると、こういうふうに決意をいたしております。
  375. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 紙パルプにつきましては既に過去前倒し引き下げが関税において行われております。また今年度から三年間さらに引き下げるということで決着がついていると思うんですが、今新たな対象品目としてこれを取り上げるという動きがございますか。
  376. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 紙パルプの問題でございますが、アメリカ側が市場開放に特に関心を有しております四分野、その中で林産物につきまして御承知のようにMOSS協議が行われておるところでございます。クラフトライナーであるとか、アメリカ側の関心品目は我が国の紙パルプ産業の状況の極めて悪い分野であり、また同時にことしの四月から八七年四月にかけての関税引き下げを既に総理の決定によって決断したところでもございますので、さらなる紙製品の関税引き下げにつきましては今後慎重かつ適切に対処をしていく、こういう方針でございます。
  377. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 総理、私は繊維と紙パルプを取り上げたわけですが、もちろん我々は保護貿易主義をとるべきではありません。しかし反面、輸入の急増によって国内産業の安定が著しく脅かされるということに対しては声を大にして外国にもその実情を述べ、適切な国内施策が必要である。これは総理も御否定なされないところであろうと思うのでございます。総理の御所見をお伺いします。
  378. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 輸出輸入ともにいわゆる秩序ある輸出輸入、オーダリーマーケティングということが両方に利益になると思います。自由貿易の範囲内においてそういうような話し合いをやり、お互いが自粛し合い、お互いが円滑に進むように心がけていくべきであると思います。
  379. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 次に、私は、日米安保条約が我が国の安全保障上必要である、こういう立場に立ちまして、現在日米間の最大の懸案となっております艦載機着陸訓練場問題について質問したいと思います。これは安保の信頼性と実効性にかかわる重要な問題でございますので、できる限り詳細に御説明を願いたい。  まず、本年一月の日米首脳会談においても、また累次の防衛首脳会談におきましても、米艦載機の着陸訓練場の問題が話し合われたと聞いておりますが、米側はなぜこの問題を重要視しているのか、長官の御所見を伺います。
  380. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 我が国にとりまして日米安全保障条約は私たちの自衛隊の防衛力とともに防衛上二つの柱になっておるわけでございますけれども、米側のこの地域におきます展開の中で、ミッドウェーの戦力というものは重大な抑止力として機能いたしておると思います。また、それがこの地域の安定と平和のために寄与するという意味で米側も非常に重視している空母でございますが、このミッドウェーの艦載機の夜間訓練はそういった意味で日本にとりましても米側にとりましても重要な機能を果たしております。このミッドウェーが日本に寄港しております間にどうしても練度を維持しておかなければ、非常に危ない夜間の着艦訓練でございますし、ごく最近も着艦に失敗して米海軍のパイロットが犠牲になった経緯もございますので、どうしてもこの訓練というのは重要であろうと思います。その意味で私たちは、今厚木でその着艦訓練をやっておりますけれども、いろいろ不適当なところもございますので、何とか早くこれを解決しなければならない、アメリカ側も大変重要な意味を持って首脳会談でも提起されたと承知いたしております。
  381. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 そのような訓練をどうしてこの狭い日本でやらなければならないのか、あわせて厚木飛行場でNLP、いわゆる夜間着陸訓練が年間何日ぐらい行われているのかお伺いします。
  382. 佐々淳行

    ○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  御承知のように、艦載機のパイロットの着艦訓練、特に夜間における着艦訓練は非常に高度の技術を要する難しい訓練でございます。前方展開しておりますミッドウェーの抑止力、即応態勢、これを維持いたしますためには不断の訓練が必要でございます。洋上におきまして航空母艦に対する着艦訓練をやりますときには、先生御承知のようにかなり高速で航行をしておる空母に対してタッチ・アンド・ゴーを行うわけでございますが、横須賀に修理、補給あるいは休養のために入港をいたしますと、とまっている空母ではこの訓練ができません。したがいまして、陸上基地における訓練が必要となってくるわけでございますが、日本に対する安保条約のコミットメントを果たすために前方展開しておる米海軍パイロットたちに十分な訓練の機会を与えることは私どもの条約上の義務であろうかと考えております。  厚木でどの程度行われておるかということでございますが、御承知のように、ミッドウェーの乗組員たちの家族が横須賀に居住をしておる、こういう関係から、米側の希望といたしましては横須賀、厚木から百海里以内程度の関東平野もしくはその周辺の飛行場で訓練させてほしい、こういう経緯から厚木で行われておるわけでございまして、入港中だけでございますが、五十七年度が七十五日間、五十八年度が七十日間、五十九年度三十二日間、六十年度、一月でございますが、十二日間行われております。
  383. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 艦載機の着陸訓練がパイロットの練度を維持する上で必要だということは理解できますけれども、一方その騒音が周辺住民に与えている影響も無視できないと思うのでございます。厚木飛行場周辺ではNLPのために多数の住民が騒音の影響を受け、今や受忍も限界に来ていることは防衛庁長官もよく承知しておられるところであろうと思います。  新聞報道によりますと、昨年六月二十七日、大和市は十二万余の署名簿、本年一月二十二日には海老名市が五万余名の署名簿を添えて夜間着陸訓練の中止と代替施設の早期実現の要望書を政府に提出したと承知いたしております。私は厚木飛行場はNLPには基本的に適さない飛行場ではないかとすら思うのでございます。厚木飛行場の騒音被害はいつごろから始まったのか、その対象世帯、対象人口はどの程度であるのか、お伺いします。
  384. 佐々淳行

    ○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  騒音被害が始まりましたのは、厚木におきましてNLPが開始されました五十七年二月からでございます。それまではミッドウェーの艦載機は三沢、岩国において訓練をしておったわけでございますが、御承知のように三沢が六百八キロ、岩国が五百九十二キロと大変離れておりまして、燃費の関係、あるいは訓練効率の問題、即応態勢への影響等からかねてから関東平野内に適当な訓練飛行場を提供してもらいたいという要請がございました。これがなかなか実現しないうちに五十七年から米海軍の施設として提供してございます厚木において訓練が始まったものでございます。かつては厚木は周辺は人家のないところだったのでございますが、最近では都市化が進みまして、現在、五十九年三月三十一日現在でございますが、周辺六市、綾瀬、大和、相模原、海老名、座間、藤沢で人口百二十一万、三十九万六千世帯。なお、騒音被害は町田、横浜にも及んでおるところでございます。  このうち、昭和四十八年十二月二十七日、環境庁告示第百五十四号、航空機騒音に係る環境基準、これに定められている基準値七十五WECPNL以上の範囲だけでも約十万世帯、人口が三十二万人という状況でございまして、この騒音被害は、特に五十九年度、夏場に入港をし訓練をいたした関係で苦情が大変多うございました。一日平均五十件を超える苦情電話がございまして、NLP中止、代替飛行場設置の、先ほど先生御指摘の大和市の署名十二万、海老名市の署名五万人ということで関係政府省庁に、総理官邸にも行ったと思いますが、これの早期解決の要望が出ておるところでございます。
  385. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 騒音の実態、さらには墜落等の事故があった場合の災害対策というものを考えますと、この問題については早急に解決の手を打つべきではないかと、こう思うんですが、いかがですか。
  386. 佐々淳行

    ○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  当面の措置といたしましては、米側の協力を求めまして騒音の軽減を図るように努めておるところでございまして、訓練期間中、土曜、日曜、祝日等の自粛、あるいはお盆、年末年始等の休暇の期間の自粛、夜十時までで必ずやめてもらうという時間規制、あるいは飛行コース、飛行高度の問題、一回二機以上飛ばないようにしてもらいたいという機数の制限、あるいは遅い時間帯はE2などのプロペラ機の訓練をやってもらいたいというような協力の申し入れをしております。  米側もやむを得ず厚木でこのNLP訓練をやっておるわけでございますが、アメリカ側も大変苦慮しておりまして、決して日本側の意向を無視して我が物顔で飛び回っておるという状況では乙ざいません。非常に協力をして、精いっぱい軽減に協力をしていただいておりまして、例えば五十九年度の年末、六十年度の年始等は全面的に中止をしてくれる等の協力をいたしております。  それからもう一つの対策といたしましては、ミッドウェーの寄港の時期を、これはアメリカの部隊運用にかかわる問題でございますので、私どもが口を出すべき問題ではございませんが、なるべく夏場を避けていただく。特に去年はオリンピックがございましたし、高校野球もございましたし、電波障害等がございまして非常に苦情が多うございました。しかし本年の一月十二日から入りましたときには、苦情電話二件でございまして、やはり冬場でございますとこの騒音障害が少ないようでございます。  それから私どもが積極的にできることといたしましては、住宅防音工事の促進でございます。これは先ほど申し上げました約十万世帯あるわけでございますが、進捗率が現在三三%、五十二年から急に始まった問題でございますので、大車輪でやっておりますけれども、全国平均の五三%に比較いたしますと防音工事の進捗率が低うございます。  これに対しまして六十年度、現在御審議をいただいております予算では、五百二十六億の住宅防音工事のうちの三七%、百九十五億を厚木に投資をいたしまして九千五百三十戸の防音工事を実施する予定でございます。  なお、長期計画といたしましては既存の飛行場への分散、新設飛行場予定地の選定、あるいは附帯滑走路の研究、こういうようなことでこの抜本的な解決を図りたいとやっておりますが、諸般の難しい事情がございましてまだ実現に至っておりません。
  387. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 応急の施策は講じられているとはいうものの、これは抜本策じゃないわけですね。そこで今ちょっと触れられました附帯飛行場についてどういう検討を行い、どういう結論に達せられたのですか。
  388. 佐々淳行

    ○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  附帯飛行場については研究をいたしておりますが、なかなか難しい技術上の問題がございます。アメリカの要求性能が長さ千八百メートル以上ということでございますので、ミッドウェーのような海上構造物を七、八隻つなぐということに相なりまして技術上の未知の問題がございます。また予算も非常にかかる、維持経費もかかるということで現在まだ具体的な成案を得ておりません。
  389. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 六十年度予算案で見ますと、周辺対策経費が千四百七十六億円計上されておりますが、世間の中には一部基地周辺に金をばらまいて地元の同意を取りつけているのではないかと疑う意見を述べる者もございます。この際、基地周辺対策の基本方針を明らかにしていただきたいと思います。
  390. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) いろいろお金で物事を処理しているのではないかという意見も時々聞かれますけれども、私たちとしては御迷惑をおかけしているところにはそれなりの対策をしなければならない、一種の原因者負担の発想でやらなければならぬことはしっかりやりたいと、こう考えております。
  391. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律により実施できる施策はどういうものがあるのですか。
  392. 佐々淳行

    ○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  同法三条によりまして障害防止工事の助成、同じく三条二項及び四条によりまして防音工事の助成、法五条によりまして建物の移転補償、土地の買い入れ、第八条民生安定施設の助成、第九条特定防衛施設周辺整備調整交付金の交付、第十三条農業、漁業等営業上の損失補償等がございます。
  393. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 今挙げられましたいろいろの施策について具体的にもう少し御説明願いたいと思います。
  394. 佐々淳行

    ○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  障害防止工事と申しますのは、米軍あるいは自衛隊の特定の行為によりまして生ずる障害の防止または軽減に必要な工事を行う地方自治体に対しまして、原則として一〇〇%の国庫補助を行う、こういうものでございまして、どんなことができるかと申しますと、ため池等の農業用施設、林道等の林業用施設、養魚場であるとか漁礁等の漁業用施設、道路、河川、海岸、上下水道等、防風、砂防施設等もできます。  防音でございますが、これは法三条と四条がございますが、住宅防音を個人でいたします場合には一〇〇%国庫補助、それから学校、病院等につきましても法人が行います場合にも一〇〇%の国庫補助が可能でございます。  それから八条の民生安定でございますけれども、これは地方公共団体の行う防衛施設の設置、運用等に伴うところの周辺住民に対する迷惑、これに対する障害の緩和にかかわる施策を行います場合に行う補助でございまして、これは例えば道路八〇%、ごみ処理場五〇%等の定率の補助、あるいは集会所、青年の家等に対しましては定額補助、これは大体三分の二でございますが、こういう補助等ができるわけでございまして、農地の造成とかあるいは畜産場等の農業施設、有線、無線の放送施設、林道、造林施設等の林業用施設、養魚場、漁礁あるいは漁港等の漁業用施設……
  395. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 簡明に御答弁を願います。
  396. 佐々淳行

    ○政府委員(佐々淳行君) はい。体育館、プール等のスポーツ施設、それから公民館等の集会施設、道路、公園、あるいは老人福祉センター、養護老人ホーム等の福祉施設、消防施設等が可能でございます。  なお、九条特定防衛施設周辺整備調整交付金というのがこれは四十九年からできておりますが、これも一〇〇%国庫の補助でございまして、これはジェット騒音に対する生活環境の補償でございまして、これも今申し上げたようなものがほとんど全部できるようになっております。ただし一〇〇%補助でございまして、産業の振興に寄与する施設等も可能なようになっております。
  397. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 三宅島に飛行場を新設する計画があるとも聞いておりますが、現在どうなっているのか。また、三宅島には現在飛行場があるわけでございますが、さらに飛行場を要望しているのはいかなる理由によるものと把握しておりますか。
  398. 佐々淳行

    ○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  御指摘のように飛行場が現在ございますが、滑走路千二百メートル、プロペラ機のYS11機用でございまして、冬場、西風の強いときなんかは欠航が多うございます。就航率七〇%というようなことで、かねてから三宅島島民は大型ジェット機用空港の建設を熱望しておりまして、五十七年九月十七日には三宅島村議会に三宅島空港ジェット化促進特別委員会ができました。  理由は、人口が減少してきたので過疎化の防止を図ること。昭和三十五年には六千七百人おりましたのが現在では四千三百三十五人でございます。側光客もやっぱり減っております。五十五年十一万人が五十八年度九万人、産業振興のための航空便の安定的運用等の希望がございましたところへ、さらに五十八年十月三日噴火がございました。非常事態の際に島民の安全を確保する安全政策上も複数の空港、あるいは運用の安定しておるジェット空港が欲しいと、こういうことから官民共用ジェット空港を国の全額負担で建設せよという村会決議が行われたわけでございます。  ところが、これが島民の十分な根回しなしにやったということから反発を受けまして、一転して反対決議に変わり、三宅村議会の改選でも反対派が勝ちましたし、村長選でも反対派が勝ちまして、現在ではこの問題については反対という状況で、私どもは説明の機会を得たいという申し入れをしておる状況でございます。
  399. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 国土庁にお伺いしますが、三宅島の阿古地区は一昨年十月の噴火によりまして悲惨な被害を受けております。被災の状況と復興計画の現状はどうなっておりますか。
  400. 杉岡浩

    ○政府委員(杉岡浩君) お答えいたします。  五十八年の十月三日の三宅島の火山噴火によりまして、阿古地区を中心に三百四十棟の被害を受けたわけでございます。幸い人的被害は皆無でございましたが、各施設が被害を受けております。道路等を中心といたしました公共土木施設、あるいは農地、農業用施設、あるいは中小企業施設等が被災を受けております。これに対しまして政府としては、災害後直ちに災害対策本部をつくりまして、応急対策、あるいは道路、ライフラインの確保等を努めたわけでございます。  本格的な復旧につきましては、道路を中心といたしました公共施設、これの復旧に努めまして、ほぼ概成をいたしております。また、農地、農業用施設につきましても、現在災害復旧事業を積極的に進めておるわけでございます。それから阿古地区で、溶岩によりまして阿古小学校及び中学校、これが埋没をいたしたわけでこざいまして、これにつきましては本年度中に新校舎ができる予定になっております。  また、被災を受けました阿古地区の住家でございますが、昭和五十九伍の三月より、防災集団移転事業、これを現在積極的に推進しておるところでございます。政府といたしましては、関係省庁連絡をとりまして、三宅島の災害復興のために全力を尽くしておる段階でございます。
  401. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 総理は、二月十九日の衆議院予算委員会で、「できたら三宅島にお願いしたい」こう答弁されております。しかし、阿古地区で多くの農地がつぶれました。新たな飛行場をこの地域につくるということになれば、さらに農地がつぶれまして、島の農業に打撃を与えるとも考えられるわけでございますが、いかがでございますか。
  402. 佐々淳行

    ○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  既に農地に相当の被害があったことは事実でございますが、まだ、どこの地区に飛行場をつくるというような具体的な計画までいたしておりませんので何とも申せませんが、先ほど申し上げました周辺整備法の第八条、これによりまして、例えば転移表面、飛行機が旋回をする範囲の転移表面を削った後の農地の造成等が可能でございますので、農地がこの建設計画によってこれ以上つぶれるということはないのではないか、逆に造成することが可能ではないかと考えております。
  403. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 今、施設庁長官が申されましたように、当初三宅島村議会は誘致決議を行いましたが、これが議会を初め村民の大多数が反対する情勢に変わりました。  本件について、東京七島新聞という地元新聞に、三宅村村長が艦載機着陸場設置反対の見解と理由を寄稿しておられる、こういうふうに聞きますが、その内容はどういうものか、どう把握していらっしゃいますか。
  404. 佐々淳行

    ○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  御指摘の、東京七島新聞一月二十八日付の三宅村長寺澤晴男さんの署名入り原稿のことだろうと思います。これで反対の理由としていろいろなことが書いてございますが、ポイントだけ挙げますと、災害復興の意欲が損われる、騒音と生命の危険がつきまとう、超音速の軍用機が飛び交う中でいつ落っこってくるかわからない、諸産業の発展に多大の影響を及ぼして、観光客は減り、漁業、農業も悪影響がある、住民に与える心理的影響が大きい、施設周辺に張りめぐらされる鉄条網、銃剣装備の兵士に監視されての生活、あるいは金武町の例なんか挙げまして、沖縄で起こりました殺人事件でございますが、犯罪も当然ふえるし、狭い村道を軍用車が走り回って事故もふえる、教育にも騒音でもって支障がある、こういうようなことが書いてございます。
  405. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 これに対して防衛庁はどういう見解を持っておられますか。
  406. 佐々淳行

    ○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  行政の責任者である村長さんがこのような誤解をしていらっしゃるというのは大変残念でございまして、何とかこの誤解を解くような、私どもの本当の考え方を聞いていただく相談の機会を得たいと思っております。  例えば幾つかポイントだけ申し上げますけれども、先ほど来周辺整備法で申し上げましたように、むしろ復興だけでなくて振興に寄与することができるのじゃないか。農業、漁業なんかもいろいろお手伝いができるのではないか。観光客も、就航率の低いプロペラ機が、ジェット機によることによってふえるのではないだろうか。それから、一番肝心なことは、訓練の旋回コースを海上にとりますので、部落の上を飛び回ってその上に騒音被害を及ぼすということは、今私ども考えておる案では少ないのではないだろうか。また、鉄条網で張りめぐらされた基地に銃剣装備の兵士がいる、事件や事故が起こる、こういうことを言っておるのでございますが、先ほど申しましたように、厚木から飛んで行きまして夜だけ訓練を年間七十日ぐらいやって、そのまままた厚木へ帰りまして、パイロットは家族のところへ戻るのでございまして、常駐はいたしませんので、そういうことはないであろう。また騒音問題なんか、できました場合にはもちろん当然防音工事等をいたしますので、大変誤解をしていらっしゃる面が多いのではないか。  特に、この特定防衛施設周辺整備調整交付金というのは、村に与えられる交付金でございまして、一〇〇%国庫補助でございます。どこに空港を設置いたしましても、あと他の四つの部落、阿古、坪田、神着、伊豆、伊ケ谷と五つ部落がございますけれども、これにつきましてはいろいろな先ほど申し上げましたような施策が可能でございますので、むしろ振興に役に立つのではないか。とにかく私どもの言うことを、説明を聞く機会を与えていただきたいというのが私どもの考えでございます。
  407. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 長官にお伺いしますが、私たびたび申しますように、艦載機の着陸訓練問題は、日米安保体制の信頼性と実効性の観点から極めて重要でございます。また一方、厚木飛行場周辺の、この訓練によって大きな被害を受けている多数の関係住民のためにも早急に解決しなければならない問題でもあります。さらに、代替地を仮に引き受けるということになりますと、今、佐々長官が言われましたように、十分な防音対策を講ずることは当然でございますけれども、やはり地域振興など、住民にとってメリットを伴うものでなければならない、こう思うのでございます。長官の処理方針をこの際お伺いしたい。
  408. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 防衛庁長官になりましてから、私はこのNLP、夜間着艦訓練の問題というのは最も重要な懸案であろうと考えております。私も厚木飛行場の上空をへリで二回ほど旋回しながら視察してまいりましたけれども、最近の住宅化の勢いはすごいものがございまして、騒音やいろいろな面からかなり今御迷惑をかけているということははっきりと見える次第でございます。委員が御指摘のように、そろそろ限界に来ているのではないかということは、私たちもそのつもりでございまして、精いっぱい何とか早くしなければならない、そして私たちは、できれば三宅島にお願いしたい、こう思っておりますけれども、その際に御迷惑をかける分につきましては従来の施策で十分やりたいと思いますし、またそれでできないところも、各省にお願いしながら、政府全体で取り組んでいただくことを各省大臣にお願いしても、早くこれを解決しなければならない、そんなつもりでおる次第でございます。
  409. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 日米安保体制を有効に機能させるという視点から、外務大臣はこの問題をどうお考えですか。
  410. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) いつまでもやはりほっておくわけにはいかないと思いますし、アメリカ政府も事あるごとに非常に強く要請しておりますし、また日本としても、日米安保体制の効果的な運営といいますか、日米安保条約の信頼性を確保するためにはできるだけ早く措置をしなければならない、これはただ防衛庁だけじゃなくて、政府全体としてこの問題に真剣に取り組んでいく必要があるということを痛感をしております。
  411. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 問題解決のためには地方自治体の協力が必要でございますが、国政における安全保障上の責務と地方自治体の関係について自治大臣はどうお考えですか。
  412. 古屋亨

    ○国務大臣(古屋亨君) 厚木飛行場におきますNLPの問題につきましては、非常に三宅島が有力な候補者になっておるということは知っておりますし、また、そこに非常に反対運動があるということも知っております。  私は、この問題は防衛施設庁の所管事項でありますから、私としては、施設庁が地元の理解を得る努力を重ねて、適切に処理されることが望ましいというふうに考えております。
  413. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 国土庁長官にお伺いしますが、災害復興、離島振興の観点からこの問題をどうお考えですか。
  414. 河本嘉久蔵

    ○国務大臣(河本嘉久蔵君) 災害復旧の努力が鋭意なされておるところでございますが、御指摘の官民共同飛行場の問題をも含めまして、今後とも三宅島の復旧及び振興につきましては、住民の意向を十分に尊重しながら、国土庁といたしましては、離島振興という立場から緊密な連絡をとりながら、離島振興の立場に立ちまして適切に対処していきたいという考えでございます。
  415. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 航空行政を担当しておられます運輸大臣は、三宅島に官民共用飛行場を新設することについてどうお考えですか。
  416. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 今のところ、大体ここ数年需要が六万人前後でございますから、YS11で一応十分対応できているわけでございますし、もう一つは、東京都が空港のジェット化について、何らまだその問題について意思表示をなさっておりません。  したがって、そういう現時点におきまして、私の方としましても、この空港整備の五カ年計画に今のところは入れておりません。しかしながら、せっかくおつくりになる、そして、その時点においてこのジェット需要というものがある程度生じてまいりますならば、それはまた、民間のジェット機の空港として使用さしていただくということも考えられると思います。
  417. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 大蔵大臣、この問題解決のためには建造費ないしは基地周辺対策費、ある程度の金が要るんですね。この点どうお考えなんですか。
  418. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 先ほど来、防衛庁からお話がありますように、今そういうことで進められておる段階でございますので、柄谷さんの考え方は私も理解できますが、まだ私の段階でこれに対して予算上の調整作業を行うというところまではきておりません。
  419. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 総理にお伺いしますが、安保条約の廃棄を求める立場にあられる会派とはこれは意見かみ合いませんが、我が党は、安保条約が我が国の安全保障と平和に有効に機能するという、是認するこれは立場に立っておるものでございます。  そういう立場からは、私はこの問題は早急に解決しなければならない。受忍限度を超えたとも言うべき厚木周辺の住民の感情というものも十分配慮しなければならない。しかし、この問題は単に防衛施設庁一庁をもって処理できる問題ではないわけですね。日米安全保障体制という視点から、やはり政府全体としてこの問題に取り組む必要があると私は思うわけでございます。総亜の御所見を率直にお伺いいたしたい。
  420. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) NLPの問題は政府としても最も重要視しておる政策でございます。この問題は前内閣のとき以来ずっと日米間の懸案の問題でございました。特にまた厚木方面の住民、都市の市長さん、議長さん等から相次いで、至急に移転をするようにという陳情がございました。もう厚木の情勢というものは飽和状態に達しているように思うのであります。その上、日本は万一の際には米軍の救援という形で国防を全うしておるという状況にありまして、そのためにミッドウェーの入港も、停泊もあるわけでございます。その練度が落ちるという状態では万一の際の抑止力にも差し支えてくる、こういうことでありますから、日本側の義務としてもその訓練には協力するというのは当然の我々の責任であると考えて、それを果たしたいと思っておるわけでございます。  適地がないので今まで困ってきた状況でございますが、もし三宅島においてこの我々の要望について深い理解がいただけるならば、政府としても各省庁挙げ、また東京都の御協力もいただきまして、全面的に地元の福祉あるいは産業の発展のために協力も申し上げ、そしてこのNLPの飛行場を設置して、あわせてこれを民間航空機が利用できるようにしてジェット化をし、住民の観光やあるいは利便にも供し得るように努力していきたいと思っておる次第でございます。  まだ地元の状況は非常に苦しい、難しい状況にございますが、何とかこの実情、あるいはNLPが行われた場合、いろいろな万全の対策が講ぜられるのだということを御理解いただきまして、この問題がスムーズに住民の皆様方の御理解の中に進行し解決できるように念願してやまないところでございます。
  421. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 次に、私は委嘱審査の中で自衛官の退職手当、共済年金、医療費負担、これを一般公務員と対比してやはり公平を欠いておる、劣後に置かれているということを具体的に指摘をいたしました。防衛庁長官は問題があることを認められて、隊員の士気を高めるためにはやはり公平な制度を実現すべく、関係官庁と十分協議してその改善を図りたいという趣旨の答弁をなさいました。  自衛隊の最高指揮官としての総理の御決意を伺います。
  422. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛庁長官の希望がかなえるれるように、私も各省庁の協力を得るように努力してまいりたいと思います。
  423. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 最後になりましたが、私は健保改正のときに、退職者医療、これ約四百六万人の加入を見込んで、国保補助金の切り下げを行っても負担金をふやすことはない、国保財政が危機に陥ることはないという答弁をしばしばなされたわけでございます。しかし、私が承知するところ、現在二百六十万、目標に対して六五%前後ぐらいしか加入していない。一説によると六百億ぐらいの赤字が生ずるんではないかとも言われております。地方に対する信頼性を確保するために、公約を守り地方負担を増加せしめない適切な措置がとられてしかるべきだと思いますが、厚生大臣及び大蔵大臣の所見を伺って私の質問を終わります。
  424. 増岡博之

    ○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のことにつきましては、退職者医療制度を創設することによって国保の財政負担を軽減させること、またそのことによって高齢化に伴う医療費の自然増等がありましても負担増とならないということで、補助制度の合理化をやったわけでございますけれども、御指摘のように対象音数が見込み数より下回っておるところでございます。しかし、これは現在なおその加入を促進するための積極策をとっておるところでございます。特に本年度以降は、新しく年金を受給されることになる方々等の加入を徹底をいたしまして、五十九年までにさかのぼって財政調整をすることにいたしておりますけれども、しかし、いずれにしましても今後市町村国保の実態を十分に把握いたしまして、安定的な運営に支障が生じないような方策を検討してまいりたいと思います。
  425. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 御指摘のように見込み四百六万人、六十年一月末二百六十二万人、御指摘のとおりでございます。市町村国保は医療費や保険料の水準、被保険者の高齢化の度合い等その運営の状況がさまざまでありますために、現在生じております負担増のすべてが退職者医療制度によるものとは必ずしも考えられない面もございます。このようなことからいたしまして、今後この退職者医療対象者の加入の促進、それからまさに財政調整交付金の活用等、市町村国保の運営面におけるさまざまな工夫というようなことをすべき問題であろうと、現段階でそういうふうに見ておるところでございます。
  426. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 以上で柄谷君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  427. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 次に、秦豊君の締めくくり総括質疑を行います。秦君。
  428. 秦豊

    ○秦豊君 中曽根内閣は認証式以来きょうで八百六十一日です。顧みて、総理みずから評価に値する最大の業績は何でしょう。
  429. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) さしたるものがないことを恥ずるものであります。
  430. 秦豊

    ○秦豊君 あなたシャイな方でいらっしゃるから、シャイなあなたにはくすぐったい質問かもしれませんけれども、国民はあなたの何を最も評価したのでしょう。
  431. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 国民の皆様方には、私は内閣を挙げて一生懸命努力してきたところでございますが、そうお報いすることもなくただ恐縮に存じております。
  432. 秦豊

    ○秦豊君 総理府が最近発表した調査によると、日本の進路は悪い方向に向かっていると、しかもその原因のトップは防衛なんです。これどう思われますか。
  433. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) この間の発表、しかし、読んでみますといい方向へ向かっているという率がぐっと上がってきているのを見まして、やや安心したという感じを持っております。
  434. 秦豊

    ○秦豊君 つまみ食いはいけません。あなたの防衛政策のスタンスが歴代政権とがらりと変わった、つまり何がなしきな臭さを感じている反発がこの数字と私は思うが、どうですか。
  435. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 秦さんはそう思っても国民の大部分は安心しておられるだろうと思います。
  436. 秦豊

    ○秦豊君 良識の大部分がきな臭さを感じている。  ところで、田中角榮氏の病状は依然として大きな政治マターであり過ぎるわけですが、総理は病状をどうお聞き取りですか。
  437. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 順調に快方に向かっているというので喜んでおる次第です。
  438. 秦豊

    ○秦豊君 お立場上見舞いにも行けませんでしょうが、これからの田中氏に対してはどうあってほしいですか。
  439. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 一日も速やかに回復して戦列に復帰していただきたいと心から念願しております。
  440. 秦豊

    ○秦豊君 リハビリが終わった後は特にいかがですか。
  441. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく一日も早く回復して、もとのように元気にはつらつとして頑張っていただきたいと思います。
  442. 秦豊

    ○秦豊君 今後とも影響力ある政治家として振る舞ってくれるとお考えですか。
  443. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 新潟県の選挙区の皆さん方から二十万票以上というあれだけの期待と信頼を得て出てきておるのでございますから、その御信頼におこたえするように思い切って働いていただいたら結構だと思います。
  444. 秦豊

    ○秦豊君 ところで総理、来年十一月までの中曽根政治展開の優先順位をこの際伺っておきたい。
  445. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これはもう前から一貫して申し上げますように行革の徹底的推進、これであります。それから、あと三つ言っております。行革と財政改革と教育改革を言っております。それから国際国家日本ということを言っておりまして、外交の展開、外交では平和と軍縮の問題、特に核軍縮を世界的に実現していくという問題、こういうような諸問題について前進していきたいと思っております。
  446. 秦豊

    ○秦豊君 肝心の解散が抜けていましたな。  ことしの秋は国連創立四十周年です。各国のトップは恐らくニューヨークに集まります。まさに拡大サミットのチャンスでもありますけれども、時期もよし、総理としてはどうされるお考えでしょう。
  447. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) どういう国連になるか確かめた上で判断を下したいと思います。
  448. 秦豊

    ○秦豊君 出席の可能性も選択肢としてはおありでしょうか。
  449. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) ですから、どういう国連になるか、どういう人たちが集まるか、どういうものが主な議題になるか、そういうような状況をよく確かめた上で進退を決めたいと思っております。
  450. 秦豊

    ○秦豊君 仮にゴルバチョフ氏とニューヨークでなら二回目が会えるという成算があればいらっしゃいますか。
  451. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) そういうことごとも含めて判断いたしたいと思います。
  452. 秦豊

    ○秦豊君 それから、総理の外遊日程なんですが、七月のヨーロッパは固まっていらっしゃいますか。
  453. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 国会がどういうふうになるか、やはり国会が一番優先している事項でございますので、それらの状況も見つついろいろ考えてまいりたいと思っております。
  454. 秦豊

    ○秦豊君 ヨーロッパの中にはバチカンのパウロ二世との会談も含まれますか。
  455. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) まだ具体的に何をするか、どこの国へ行くか確定したものがございません。
  456. 秦豊

    ○秦豊君 しかし、バチカンでの会見は強い御希望ではございませんか。
  457. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) もしイタリーへ行くというようなことになれば、バチカンへ行って伺いたいと思います。
  458. 秦豊

    ○秦豊君 河本長官、あなたはいわゆる六・六案に対してはきっぱりと反対していらっしゃると思います。改めて論拠を伺いたいのですが。
  459. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 先般来、四地方の高裁で定数問題についての判決がございました。近く最高裁の判決も出るやに聞いております。そこで、これに対する対応の仕方でありますが、一つは抜本的に対応するという考え方と、それからもう一つは、裁判の結果も出たことだから何でもかんでもいいから急いでやれと、こういう考え方と二つあると思うんです。私はその前提条件として裁判所の判決が総理大臣の解散権を拘束するか、制約するか、そういう問題から判断する必要があると思うのですが、私は裁判の結果は、総理の解散権は一切制約をしない、拘束をしないと、こういう判断を持っております。したがいまして、この際は抜本的な改革をやるべきだと、特にこの秋には五年ぶりで国勢調査もございますから、それを参考にして、幸い政府には選挙制度審議会という、そういう法律によってこの問題に取り組む方法もございますので、そういう方法でやったらどうかと、こう思っておるのです。特に中選挙区制を根本にしまして、そして府県単位で定数を判断していったらどうだろうかと、こういう感じを持っております。  しかし、一方で早くやれという議論等もございますので、先般私は自由民主党の藤尾政調会長とお目にかかったときに、どうしても六・六案を中心に早くやりたいということであるならば、六・六案というのは六つの選挙区の定員を一人減して、それから六つの選挙区の定員を一人ずつふやす、こういうことでございますから、その十二の関係する府県の内部で線引きを少し変更して、それで三人、五人という現在の中選挙区制を基準にして調整したらどうか。そのことに限って選挙制度審議会に諮問すれば選挙制度審議会も早く答申を出してもらえるのではないか、そういう方法もあるから便法としてあわせてひとつ研究してもらいたい、それが終われば引き続いて抜本対策をおやりになったらどうですかと、こういう提案もいたしております。
  460. 秦豊

    ○秦豊君 にもかかわらず、党執行部が六・六案による改正法案を出された、提出したという場合、どうされますか。
  461. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) この問題は、現在は、選挙制度調査会という制度が自由民主党の中にありまして、そこにはプロジェクトチームというのがございます。そのプロジェクトチームが選挙制度調査会の小委員会に数日前にかけて、最終の議論をしたのですけれども、二つの議論がございまして結論が出ておりません。そこで、まだ結論が出ていない段階ですから、これから幾つかの手続が必要だと思うのです。その動きを見た上で判断したいと思っておりますが、願わくば私が藤尾政調会長に提案したような、そういう案が実現することを期待いたしております。
  462. 秦豊

    ○秦豊君 総裁たる中曽根総理は、党内を強力に調整して、やはり改正法案は今国会というお考えでしょうか。
  463. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 前から申し上げておるように、今国会にぜひ間に合うように努力したいと思っておりますし、党の首脳部にもお願いしているところであります。
  464. 秦豊

    ○秦豊君 かなり強く執着していらっしゃいますか。
  465. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 非常に強く願っております。
  466. 秦豊

    ○秦豊君 日米摩擦を二、三。  日米摩擦については、例のMOSS方式、中場指向型個別協議方式で合意しているんだから、四分野の交渉が仮にまとまったとしてもそれはあくまで当面の鎮静化でしかないと私は思うが、通産大臣。
  467. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 昨日来のここにおきます議論にもありますように、日米の問題は非常に今高まってきております。さしあたりは四分野ということで努力して、総理以下全力投球しておるわけでございまして、この四分野を解決することがまず前提であると思っております。
  468. 秦豊

    ○秦豊君 総理のお考えはいかがですか。
  469. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり日本がこれだけの大きな輸出超過もし、また一部のマーケットについて閉鎖性やあるいは不透明性というものが言われており、ほかにもそういうとこ乙ろがないか、やはり点検してみる必要はあると思っております。しかし、当面はこの四つの分野で全力を注いでフォローアップをやりまして、いい成績を上げていきたいと思っております。
  470. 秦豊

    ○秦豊君 アメリカ政府部内には、四分野の妥結までに数カ月かかるだろうという見通しもあるが、村田さん、どうですか。
  471. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 近く行われます安倍・シュルツ会談、そして五月のサミットの前に予定されておると聞いております中曽根・レーガン会談、こういったことで対応してまいるわけでございまして、当面そういうことで解決していく、こういうふうに信じております。
  472. 秦豊

    ○秦豊君 アメリカがねらっておりますのは、総理、四分野じゃなくて全分野なんですね。戦略的な目標は、日本の全市場をアメリカ国内と同等のアクセス条件とする、つまり日本市場の内国化というふうに私は認識していますが、総理のお考えは。
  473. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本市場の内国化というのは表現がちょっと偏した表現だろうと思うので、要するに国際水準にして、そして不公正な貿易が行われないように、フェアトレードが行われるようにしたいと、そういう考えだろうと思います。
  474. 秦豊

    ○秦豊君 外務大臣、いかがですか。
  475. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 今、総理が述べられたとおりだと思います。
  476. 秦豊

    ○秦豊君 村田さんにも伺っておきましょう。
  477. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 総理と全く同様でございます。
  478. 秦豊

    ○秦豊君 総理のお考えではもう短期的なものは出し尽くした、ベストという見解ですか。
  479. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく一月の会談で向こうが特に要望した四つの分野については我々としてはベストを尽くした、そう思います。まだ九日が残っておりますが、またその後も今度はフォローアップの問題がありますから、それについてもベストをつくしていきたいと思っています。
  480. 秦豊

    ○秦豊君 改めて総理もう一問。中長期ではいかがですか。
  481. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 中長期につきましては、九閣僚の、経済諮問委員会におきまして中長期的な勧告あるいは権限が出ますから、それを実行していきたいと思っております。
  482. 秦豊

    ○秦豊君 日ソ問題、総理大変な熱意をお持ちだと思いますが、やはり政権交代の時期というのは大きなチャンスなんですかね。
  483. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 前からそのことは申しておりました。
  484. 秦豊

    ○秦豊君 グロムイコ外相来日についての確信は、依然として強うございますか。
  485. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私がゴルバチョフ書記長と会談したときにその話を切り出しましたら、肯定的に対応する、そして具体的なことは外務当局で相談させよう。そういうことでございましたから、前よりは大いに前進したと。最高の政治的ポジションにある方がそういうふうに言明したということは初めてであります。
  486. 秦豊

    ○秦豊君 私は総理、ゴルバチョフ幻想と呼んでいるのだけれども、米ソや中ソの間に流れ始めた一種のやわらかさは対日関係には波及しない、対日方針は依然として強硬、生硬と思っていますが、いかがですか。
  487. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私たちもそんな甘い考えは持っておりません。幻想は抱かないと前から申し上げているのです。しかしやはり一国の首脳部が一国の首脳部に対して言った言葉というものは重みがあると思っています。
  488. 秦豊

    ○秦豊君 安倍さんのお考えは。
  489. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も総理の認識と同じです。
  490. 秦豊

    ○秦豊君 外務省、グロムイコ外相来日の条件がいろいろありましたね。
  491. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 別にグロムイコ外相の前提条件というのはありません。今その問題について話し合いに入っておりますが、見通しは今のところはついておりませんけれども、前提条件とかそういうものはありません。
  492. 秦豊

    ○秦豊君 あれはなかったんですか、快適さ、有益さの確保。
  493. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) この点については私は来られたら歓迎するということを言っておりますから、それで十分だと思います。
  494. 秦豊

    ○秦豊君 ソ連が案外それにこだわっておるのだが、欧亜局長からも聞いておきたい。
  495. 西山健彦

    ○政府委員(西山健彦君) ただいま大臣が答えられたとおりでございます。ただ、チーホノフ首相とガンジー首相の葬儀の際に中曽根総理がお会いになったときに、先方がそういう言葉を使ったということが新聞に伝えられております。
  496. 秦豊

    ○秦豊君 新しい言葉ですか。
  497. 西山健彦

    ○政府委員(西山健彦君) 先方が言いましたのは、快適さと有益さが確保されることである、そういうことでございます。
  498. 秦豊

    ○秦豊君 それを聞いていた。今度はその二つの条件が満たされる時期ですか。
  499. 西山健彦

    ○政府委員(西山健彦君) そういう言葉の中身をどういうふうに解釈するかということを目下私どもは念頭に置きつついろいろと検討しております。
  500. 秦豊

    ○秦豊君 外務大臣、日本側が仮に用意でき得る有益さの上限は文化協定ですか。
  501. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) この点につきましては、今、別にソ連と何も話を詰めておるわけでありませんが、やはり対話を積み重ねていく、そういう中でグロムイコ外相が日本へ来られたときに何か決着できるものがあれば決着したい、こういうふうに思っています。
  502. 秦豊

    ○秦豊君 もし上限が文化協定だと、クレムリンの感覚では余り魅力は感じないであろうと思いますが。
  503. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 文化協定もかねてから日ソ間の懸案になっておりましたので、この点については我々としても何とかこれを締結したい、こういう考えを進めております。
  504. 秦豊

    ○秦豊君 中曽根総理の対ソ交渉に臨む基本的なスタンスを伺っておきたいんですが。
  505. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の国益を踏まえながら、粘り強く懸案の解決に向かって対話を続けていき、そして世界的には平和と軍縮の問題が達せられるように協力していく、そういうことであります。
  506. 秦豊

    ○秦豊君 ならば、さらに踏み込んで北方領土問題と経済協力問題を包括的に展開するというお考えはおありですか。
  507. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これはゴルバチョフ氏にも私が申し上げましたように、北方領土問題というものは避けて通ることはできないのでありまして、この基本的問題を解決しつついろいろな諸問題についても解決するように両方で協力していきたい、そういうことであります。
  508. 秦豊

    ○秦豊君 バム鉄道周辺のシベリア極東地域の開発、長期的なプロジェクト建設への参加等は検討に値する今後の方向でしょうか。
  509. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 先方がどういう考えを持っているか、先方の考えを聞いた上でこちらは対応すべき問題であると考えます。
  510. 秦豊

    ○秦豊君 今後のモスクワとの交渉では、総理、やはり経済協力に見合うものとして北方領土からの兵力削減ないし撤退、SS20の削減等は正面から堂々と要求すべきだと思いますが、いかがですか。
  511. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 我々は国益を踏まえまして日本の主張は主張としてあくまでこれは貫徹していかなければならぬと思っております。そういう立場で今後もまいりたいと思います。
  512. 秦豊

    ○秦豊君 外務省、演習の相互通告あたりから、低レベルから始める北東アジアでの信頼醸成措置、これについてはどうお考えですか。
  513. 西山健彦

    ○政府委員(西山健彦君) ヨーロッパではそういう信頼醸成措置というものが行われておりますが、その前提といたしまして第二次世界大戦後の領土の現状ということを認め合った上でそれが行われております。ところが、我が国の場合、極東の場合そういう条件が整っておりません上に、北方領土にソ連は現に軍備を増強しております。そういう状況下においては、そういうことを進めることが非常に困難であるというふうに考えます。
  514. 秦豊

    ○秦豊君 外務省、きのう私が特に特定をした核戦略システムに関する昭和四十六年十一月十七日の衆議院沖縄返還協定特別委員会の議事録、これをここで明らかにしてもらいたい。
  515. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) 御指摘の議事録につきましては、政府としては配付を受けておりません。国会図書館の方に念のために問い合わせさしていただきましたところ、国会議事録の目次には該当の議事録がございません。目録には同議事録は理事会の承認を経ていないので発行されていない旨の記述があったというふうに国会図書館の方から御返事をいただいておりますので、御指摘の議事録というものは私ども持ち合わせておりませんので、お読み上げすることはできません。
  516. 秦豊

    ○秦豊君 私が渡したでしょう。何を言っていますか。手元にあるじゃないか。
  517. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) いただきましたものを読み上げるということであれば、読み上げさしていただきます。
  518. 秦豊

    ○秦豊君 ならば読んでもらいたい。漏らさないで読んでもらいたい。正しい日本語で、漏らさずに読んでもらいたい。都合の悪いところも全部ね。これをやってもらいたい。
  519. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) 秦委員からいただきましたものを読み上げさしていただきます。  上原委員の御質問でございますが、  ○上原委員 核抜きということは核基地の撤去を意味するという場合には、核の貯蔵庫あるいはそれに伴う運搬手段、そして近代戦略兵器の装備の中で特に重要視されている通信施設そのものを含めての、いわゆる核戦略のシステムということを考えずに、単に核弾頭だけ抜けばいいという概念で論じられる問題ではないと思うのです。そうなりますと、外務大臣や総理の御答弁からすると、当然、沖縄の核基地の撤去――核の撤去ということは核基地の撤去だということですから、核装備をしている部隊や弾薬貯蔵庫、あるいはそれと関連のある通信施設を含めて撤去さるべきだというのが、私たちの核抜きの主張なんです。これに対してはどうお考えですか。  ○佐藤内閣総理大臣 核に関連するものは一切なくなる、これが私どもの願いでもあります。おそらく、ただいま言われることは同様じゃないかと思っております。 以上でございます。
  520. 秦豊

    ○秦豊君 さらに、続いて同年十二日八日の参議院の方を確認してもらいたい。
  521. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) 十二月八日の参議院沖縄返還協定特別委員会における質疑でございますが、  ○羽生三七君 ほんとうなら、この核抑止力、抑止政策に関連する問題をここで議論したいのですが、時間の関係でただいまの問題を続けますが、核弾頭そのものは沖縄返還後なくなるかもしれませんが、しかし、核のシステムや部隊は存在すると思いますね。これはなくなるのかどうか、もしこれが存在すればいつでも持ち込める可能性を持っておると思うんです。それに関連してお伺いしたいことは、たとえば七千万ドルの撤去費ですね、核の。これは核弾頭だけの撤去費を言うのか。核システム、核の諸施設を全部撤去することを言うのか、これは明確にしていただきたい。  ○国務大臣(福田赳夫君) それは核並びに核に関する諸施設を含む意味で。  ○羽生三七君 それでは今後核弾頭はもとより核に関する諸施設は全部本土、沖縄から完全に撤去される、こう理解してよろしゅうございますか。  ○国務大臣(福田赳夫君) 核に関する施設は本土にはもうないことは繰り返し繰り返し申し上げておるところでございますが、沖縄におきましても同様に相なる次第でございます。  以上でございます。
  522. 秦豊

    ○秦豊君 それでは、新しく、昭和六十年二月八日衆議院予算委員会での岡田氏と中曽根総理とのものを確認してもらいたい。
  523. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) 総理の御答弁の部分、これは大変長文のものでございますが……。(「何だよ」と呼ぶ者あり)
  524. 秦豊

    ○秦豊君 何だよという言い方はないでしょう、重大な問題だから。二十一ページのところ。
  525. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) 総理の御答弁の部分と理解しておりますが、それでよろしゅうございますか。
  526. 秦豊

    ○秦豊君 はい。
  527. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君)  ○中曽根内閣総理大臣 今おっしゃるような五つの基地があるかどうか、私は知りません。今あなたからそういう話を聞いて、それだけお調べになっているならば我々の方もよく勉強してみる必要がある、そう思った次第です。防衛庁、外務省にいたしましても、急にこういう質問をせられたから準備がなかったという点もあり、これは遺憾であります。遺憾でありますけれども、我々の方もよく勉強してみたいと思っております。   それから第二番日に、我々は非核三原則を国是として堅持しておるわけです。それは持たず、つくらず、持ち込ませず。自分ではつくらない、また自分では持たない、また持ち込まさせない、そういうことでこれは堅持して、今も厳然と守られていると思っております。   そこで、第三点でございますが、日本の列島防衛、日本の本土防衛等につきましては、安保条約を機能させまして、そして安保条約プラス自衛隊という形で守っていることは御存じのとおりです。その安保条約を機能させて日本を守ってもらう、あるいは日本が自分で守っているという機能の中には、アメリカの核抑止力に依存しているということもまた厳然たる事実で、これは前から言っているとおりであります。その核抑止力に依存しているということと、それから非核三原則を持っているということは私は矛盾していない、そう思っておる。前から申し上げているとおりです。日本の国内にあるアメリカの通信系統というものがそういうような核関係に使われるということも、これはあり得ると思っています。必ずしもないとは思いません、あり得ると思います。しかし、そのことは持ち込みを認めているということではないのであります。また、その機能があるということ自体が日本列島を守るための核抑止力として機能しているということも、私は厳然たる事実であると思うのです。   そういうような関係から、我々の防衛戦略体系からすれば、岡田さんのお考えとは違うところがあると思いますが、今まで申し上げた範囲内においてそれはおさまっていることである、このように思います。  以上でございます。
  528. 秦豊

    ○秦豊君 総理、お聞きのとおりです。佐藤総理、福田国務大臣の答弁とあなたの答弁は全く根本的に相反しています。重大な政府方針の変更と理解されても仕方がないと思うが、いかがですか。
  529. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 別に変わっているとは思いません。
  530. 秦豊

    ○秦豊君 どうしてですか。
  531. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) ダイメンションが違うと思うんです、ダイメンションが。つまり、沖縄の場合は核基地を撤去すると、そういう場合に、核兵器を使うために必要ないろいろな諸施設、それに随伴する一体になっている諸施設、それは全部移動する、撤去されると、そういう意味であります。  ところが、私が申し上げているのは、日本にある通信体系というものがアメリカの核抑止力のために貢献する場合もあり得る。そのことは核抑止力に日本は依存しておるのであるから矛盾しているものではないと。また、それは非核三原則と矛盾するものではない。非核三原則というのはつくらず、持たず、持ち込まず、そういう原則なので、それは日本が自分でやっていることに関する問題でもあります。しかも、アメリカの通信体系というものは、これは世界的な観点で連携して動いておるものであって、それは日本列島における部分は日本防衛を中心にして機能するでしょうけれども、しかし、そうでない、世界全体が連動して使われているという部分も否定できない。これは世界的な平和維持あるいは世界的な抑止力という意味において機能していると私は考えておるからであります。
  532. 秦豊

    ○秦豊君 その辺が違うんです、総理。WWMCCSと言われている世界的グローバルな軍事通信システムは核戦略の一環なんですよ。違いますか。
  533. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) そういうふうに使われることもあるでしょう。しかし、それは世界的な米軍の通信体系の機能をなしていると、そう私は考えております。
  534. 秦豊

    ○秦豊君 佐藤さんはだから通信システムも撤去、福田さんもそう言ったんです。重大な食い違いです。
  535. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) 沖縄返還協定の審議の際にいろいろこの問題について、先ほど秦委員御指摘の質疑、その他もろもろの質疑がございました。全体を見ていただければ非常にはっきりしておると思いますが、御指摘のいろいろな政府側の答弁というものは、返還前の沖縄に核兵器が配備されていると一般的に言われておりました状況のもとで核抜き本土並み返還というものを達成する。そういう見地から、単に核弾頭あるいは核ミサイルの撤去にとどまりませず、そういう核兵器の存在に伴って必要な施設、すなわち事前協議の対象となるような核ミサイルの発射基地そのものを構成するような施設の撤去をアメリカに求めると、そういうことを佐藤総理あるいは福田外務大臣が述べられたというふうに私どもは理解しております。
  536. 秦豊

    ○秦豊君 やはり総理、納得できませんね、総理の答弁では。やっぱり通信系統を含めて、貯蔵庫を含めて、発射手段を含めての核兵器システムなんです。その一部を日本に存置することが抑止力の形成というあなたの論理は佐藤さんの見解とは全く違う、異質なんですよ。重ねて答弁願いたい。
  537. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私がですから最初にダイメンションが違うと申し上げたのは、佐藤さんの場合は、もし核が沖縄にあったとしたら、その核発射、核機能を展開させるためのワンセットのものを全部撤去すると、そういう意味なのであります。  私が申し上げているのは、そういうふうな通信体系というものがあって、その通信体系が全般的に世界的に動いておって、それはワシントンから、第七艦隊から日本列島にかけて全部動いておるわけでございますから、それが核に使われるという場合もないとは言えない。しかし、通信体系というものは核兵器ではないのであります。そういうふうに我々は考えておるのであります。それはもう政府は一貫して言ってきておる解釈なのであります。
  538. 秦豊

    ○秦豊君 だからゴルバチョフ氏と会ったときに、日本の現状に対して特に非核三原則は守られていないというような発言は、システムとしてとらえた軍事常識から当然出てきたものなんですよ。違いますか。
  539. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それはゴルバチョフ氏の認識の間違いであります。
  540. 秦豊

    ○秦豊君 あなたの方が間違っている、その点については。  防衛庁長官、同じ問題について。
  541. 加藤紘一

    ○国務大臣(加藤紘一君) 総理、外務大臣の見解と同じでございます。
  542. 秦豊

    ○秦豊君 外務大臣。
  543. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 総理大臣と同じ見解であります。
  544. 秦豊

    ○秦豊君 外務省に聞いておきたいが、SDIに協力を求めてきたあのまことに失礼千万なワインバーガー書簡に対する各国の反応はどうなっていますか。
  545. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) 具体的に各国がどういうふうにワインバーガー書簡に対応するかということについては現段階ではまだ不明でございます。  一般的に申し上げますと、ワインバーガー書簡そのものに対しましては、御承知のNATOのニュークリア・プランニング・グループの会議におきまして国防相レベルのコミュニケが出ております。そのコミュニケにおいて、アメリカのSDIの研究はこれを支持すると、参加の勧誘についてはこれを歓迎する、そういうコミュニケが出ております。
  546. 秦豊

    ○秦豊君 我が国としてはいつごろ回答のお考えですか、総理。
  547. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) とりあえず専門家に来てもらおうということについての私からワインバーガー氏に対する手紙はしたためました。  全体的な問題としては、これは専門家の意見を聞きまして、そして慎重に検討いたしまして、日本の立場に基づきまして自主的に判断をしなければならぬ、こういうふうに考えています。
  548. 秦豊

    ○秦豊君 しかし、これすぐれて総理マターじゃないんですか。
  549. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 外務大臣と同じであります。
  550. 秦豊

    ○秦豊君 キャッチボールも結構だが、総理、ボン・サミットの場では在来のSDIの理解の一線を超えることはあり得ないでしょうね。
  551. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) よく専門家の意見も聞いて、そしてよく検討した上で判断をいたしたいと思っております。
  552. 秦豊

    ○秦豊君 外務省、八四年度から八七年までのアメリカのSDI関係予算、これを述べてください。
  553. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) 八四会計年度につきましては総額約十億ドル、八五年におきましては約十四億ドル、それから一九八六会計年度につきましては、現在アメリカの議会で審議中でございますが、行政府の要求額は約三十七億ドル、それから一九八七会計年度につきましては、国防省の資料によりますと一応計画として考えておる金額といたしまして約四十九億ドル。  以上でございます。
  554. 秦豊

    ○秦豊君 ずばり焦点は同盟国への経費分担なんです、分担を仮に正式に要請された場合にはあくまで断り通しますか、総理。
  555. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) ともかくその正体を見きわめて、勉強が済むまでは白紙でおります。
  556. 秦豊

    ○秦豊君 このシステムの一環にポップアップ方式というのがある、打ち上げ方式。そのための通信施設ないし基地施設を要請された場合には日米安保との関連でどう対応されますか。
  557. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) ともかくどういうものであるかということを突き詰めるのが先でありますから、それまでは白紙でおります。
  558. 秦豊

    ○秦豊君 総合安保関係閣僚会議を構成するメンバーに限定をするけれども、一体SDIにどの程度の認識をお持ちか聞いておきたい。主宰者の官房長官から。
  559. 藤波孝生

    ○国務大臣(藤波孝生君) 今度、今外務大臣が言われましたように説明に来られるわけでありますから、その説明をよく聞いて勉強いたしたいと思っております。
  560. 秦豊

    ○秦豊君 あとはだれに聞いても、以下同じくだからやめる。  防衛庁、一番重要な部分のDEW、この研究の部門はわかっていますか。外務省でも結構、わかっている方で結構。
  561. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) DEWというのは、指向性エネルギー兵器の総称であるというふうに理解しておりますが、具体的に指向性エネルギー兵器につきましてはいろいろな兵器が現在研究されているということが文献等において明らかになっております。
  562. 秦豊

    ○秦豊君 その中に核励起エックス線レーザーというものがあるんだが、これはエネルギーに水爆を起爆力とします。これは御存じですね。栗山さんがわからなければ防衛庁でいいですよ。
  563. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 秦君、時間が参りました。
  564. 栗山尚一

    ○政府委員(栗山尚一君) 従来からそういう兵器が研究されておるということは承知しております。
  565. 秦豊

    ○秦豊君 最後にいたします。  防衛庁、次期対地支援戦闘機FSX、これは国産化の方向が現在最も有力なのか、だとすればその論拠、根拠、理由をあわせて明らかにすると同時に、これは国防会議マターであると思うんだが、どういう手順で国防会議の決定に持ち込む存念か。また、次期対地支援戦闘機についての国産化については総理はどんな考えをお持ちなのか、それを伺って質問を終わります。
  566. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) FSX、FI型機の後継機の問題につきましては、これが耐用命数の延伸が可能になったということを踏まえまして、幅広い検討が可能になったわけでございますので、その一つとして国産の可能性があるかどうかということの検討を今技術的にやっておるという段階でございます。まだ機種選定の作業に入ったわけではございません。したがって、今後その結果も見ながら幅広い観点から機種選定の作業をすることが想定されるわけでございますけれども、今は全く白紙の状態でございます。したがって、この機種選定に伴う手続をどういうふうにとるかということにつきましても、それはそういった作業が煮詰まりました段階で国防会議とも御相談をして、その時点で慎重に判断をすべき問題だと思っております。
  567. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私のところへ上がってきたときに判断をいたします。
  568. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 以上で秦君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  569. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 次に、野末陳平君の締めくくり総括質疑を行います。野末君。
  570. 野末陳平

    ○野末陳平君 私は、国民が総理に聞きたいと思っているような素朴な質問を幾つかしていきたいと思うんです。  まず、年金の課税ですけれども、これが国会の内外で議論になってきておりまして、そこで総理はこの年金課税強化の方向に賛成かそれとも今のままでいい、強化するのは反対だと、どちらか、それをお聞きしたいんですが、大蔵大臣と厚生大臣それぞれの立場から御意見をお聞きして、そして総理の御所見を伺いたいと思います。
  571. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 私からお答えするということになりますと、五十八年十一月の中期答申、これが土台になります。今後、制度の成熟等に伴って、公的老齢年金の支給の増大が確実に見込まれる、また世代間の負担のバランスをより重視していく必要がある、こういうことを考慮すれば公的老齢年金についても現行の課税の仕組みから負担水準、それらを基本的に見直すのが適当であるということが基本になっておるわけでございますので、いずれにいたしましても今後の年金体系全体の関連の中で、私的年金、企業年金そして任意年金を含めて検討するという課題でございますので、今端的な答えと申しましょうか、感覚的に、端的にと、こういうのはちょっと今の段階では答える時期ではなかろうというふうに思います。
  572. 増岡博之

    ○国務大臣(増岡博之君) 年金に関しましての特別控除は昭和四十八年から設けられたものでございまして、今日でも大変大きな役割を果たしておるし、また年金税制は受給者の間に既に定着しておると思われるわけでございます。したがって、この見直しにつきましては受給者に不安を与えることとなると思われます。いずれにいたしましても、年金控除の適用期限は昭和六十二年度末までの二年間延長をするための法案が先般成立したところでございます。その後におきましても、年金受給者の立場に立ってこの問題に取り組んでまいりたいと思います。
  573. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 年金については、掛金の方はたしか控除される、しかし今度は給付される方についてはいろいろな控除があって、それはまた課税の対象になっていく、そういうことになっているのだろうと思っております。要するに、公的年金と私的年金との均衡とか、そういういろいろな面を考えて、それから高齢化時代がもう間近に迫ってきているということ、あるいは財政負担力等も総合的に考えて判断をいたすべきであると思います。
  574. 野末陳平

    ○野末陳平君 これは課税強化というよりも実態を見直す必要はあると思います。しかし不安を与えるような方向だと非常にこれは問題だと思いますから慎重におやりになった方がいいと、そういうふうに思います。  第二問は、総理は所得税、法人税の減税を願望なされておりまして、これはまことに結構なんですが、そのときにこの席上だったんですがどんな財源をあてにしておられた発言なのか、国債ということもないでしょうし、しかし増税かあるいは歳出カットか、とにかく総理の発言の、あのとき財源がどんなものが頭にあったか、それをお聞きしたいと思います。
  575. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これはやはり税調に諮問しまして、総合的にどういうふうな判断をするかまずそれを聞いてみたいと思っております。今のところは白紙であります。
  576. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、あのときは願望だけで財源のあてがないという発言だとすれば余り重みのある意味ではなかったんですね。
  577. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) まず言えることは赤字国債に頼らないということ。それから臨調答申の中に書いてありまするいわゆる不公平税制の是正とか、そういうようなことも考えられる。それから思い切った歳出削減あるいは税外収入の確保等々によるそういう余裕を得るというやり方、あるいは経済政策によりまして税の自然増というものもできるだけ多く得られるように努力していく、そういうようないろいろな総合的なことも頭にあった次第であります。
  578. 野末陳平

    ○野末陳平君 次は、第三次オイルショックの心配が本当にないのかどうか。つまり我が国の油はペルシャ湾に依存度が非常に高いですから、もし万一のことがあった場合に不安がつきまとうと思うのです。そこで、仮に中東情勢に異状があった場合でも我が国の石油対策というのは万全であるかどうか、それを不安に思っている国民も多いので、それについてお聞きしたいと思います。
  579. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 野末委員御指摘のとおり我が国の中東に対する依存度は極めて高い。またホルムズ海峡依存度も六割以上ということでございまして、そのためにエネルギーの安定供給ということを考えておるわけでございますが、現在の段階においては私どもは供給を確保できると思っております。しかし、将来さらに中東の情勢が苛烈になったときも考えて、例えば北米のアラスカ石油であるとか、インドネシアであるとか、そういった地域の依存度を変えるということと、それから石油以外の代替エネルギーの開発を急いでいる、そういった事情からでございます。
  580. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで総理に、確かにいろいろなことを考えておられるけれども、ペルシャ湾への依存度を低めるという方向を中長期的に考えておられるのか、それだけをお聞きしておきます。
  581. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 供給源やあるいは航路帯を多元化していくということは総合的な安全保障の上からも大事なことであると思います。
  582. 野末陳平

    ○野末陳平君 円相場が相変わらず揺れ動いておりますけれども、アメリカのドルは今後外国通貨に対してどのようになっていくと総理はお考えかどうか、日本の経済にとって非常にこのドルの動きというのは大変なかぎを握っておるわけですが、総理の見通しについてお聞きしたいんです。一部にドル暴落説のようなものもありますが、どうでしょうか。
  583. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) まず言えることは、円とドルの関係を見ますと、円が過小評価されドルが強過ぎる、そういう感はいたしまして円の値打ちを強めるようにしていかなければいけないと思います。  それから欧州通貨とドルとの関係も見ますと、最近はやや欧州通貨は回復していますが、やっぱり一時から見るとドルが強い、そういう感がいたします。しかし、これにはやっぱり強いアメリカという背景がありまして、単に経済現象のみならず、安全保障面の安全感とか、さまざまなものがこれにも入ってきておると思っております。そういう面において人為的に急激にこれを改革するということは非常に難しい、また適当でない、そういうふうに思っております。
  584. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしますと、今の円のポジションというのは少し低過ぎる、そういうお考えですね。
  585. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) そう思っております。
  586. 野末陳平

    ○野末陳平君 総理はたびたび戦後の総決算を口にされておりますけれども、となるとその総理の総決算というお考えの中にデノミというのは入っているんでしょうか。
  587. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 入っておりません。
  588. 野末陳平

    ○野末陳平君 しかし、国の威信を高めるという意味から言えば、戦後の総決算の中にデノミが入ってもいいんじゃないかという気もしますが。
  589. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) デノミが威信に役立つかどうか、そういう貨幣の数字で威信というものがあるのかというのは古い考えじゃないか、新しい人たちは別に何の苦にしない、そういう考えもあります。
  590. 野末陳平

    ○野末陳平君 私も個人的にはデノミをやる必要は余りないように思っているんです。ただし、この国会の議論で今までデノミをやりづらい経済的な条件として、国際収支とかあるいは景気の問題とか幾つか挙がっていたんです。その場合に、物価が鎮静してきておりますし、それから国際収支も安定的な黒字ですし、それから経済成長もまずまずである。そうすると今までの議論の延長としてはデノミをやりにくくする条件というのはほとんどなくなって、むしろやりやすくなっている、こういうふうに判断されるので、そこで総理にあえてお伺いしたわけです。  重ねてお伺いしますけれども、そうすると、ドルに対して三けたであっても全く国民が不便を感じていないこの現状ではデノミというのはあり得ない、そういうことで受け取ってよろしいですか。
  591. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 考えておりません。
  592. 野末陳平

    ○野末陳平君 それから、ありがたいことに最近物価が落ちついておりますが、国民の中にはまだインフレを心配する声もないではありませんね。そこで、総理の見通しとしてここ当分もうインフレの心配はないんだ、インフレなどを考えないでそれぞれが生活設計を立ててもいいんだ、こういうことを断言していただけるかどうか、その辺のことを。これはやはり高齢化社会に向かってそれぞれみんな経済計画を立てる、それを立ててもらった方がいいんですが、その場合にインフレ要因を加味するかどうか非常に重大だと思うんですね。そこで総理から国民が安心するような見通しが聞ければいいと思いますが、いかがですか。
  593. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 少なくとも国内的要因からインフレが起こる危険性はないと思いますし、また、ないようにしたいと思います。  我々が耐乏予算を組んで国民の皆さんに御苦労をしていただいておるのも、やはり予算が膨脹していけば必ずインフレも起こってくる、そういう面から見まして、サラリーマンや老人や皆さん方のことも特に考え、家庭の主婦の立場も考えて物価を抑えるということに全力を注いでいる一つの努力でもあるとお考え願いたいと思うのであります。
  594. 野末陳平

    ○野末陳平君 次に、インフレと関係がありますけれども、土地の値段ですが、ここのところずっと落ちついていい傾向だと思います。ただし土地の値段というのはいつまた上がるかわからないんです。土地の値段について国土庁長官から先にお答えいただきたいんですが、これからどうなっていくでしょうか、五年、十年先に。
  595. 河本嘉久蔵

    ○国務大臣(河本嘉久蔵君) 御指摘の五十九年一年間の地価上昇率は全国で二・四%と五年連続して鈍化しております。全体といたしまして地価は安定的に推移しております。  この主な原因でございますが、経済の安定成長、人口、世帯数の増加の鈍化、移動人口の減少、住宅の量的充足等の社会構造の変化、国土利用法を初めとする一連の土地対策の展開ということでございます。ただ、東京、大阪などの大都市の商業業務用地でございますが、これは局地的に高い地価上昇を呈しております。一般の商業地や住宅地の地価は安定しておりますが、今後の地価の動向につきましては十分注意していく必要があると考えております。
  596. 野末陳平

    ○野末陳平君 注意はもちろんしてほしいのですが、この先果たしてこのままの安定的推移で何年いけるのかどうか、その辺どんな見通しを政府は持っておられるか、そこが聞きたかったわけなんです。国土庁長官にお聞きしたいと思ったのですが、それははっきりと政府にデータはあるのですか。
  597. 河本嘉久蔵

    ○国務大臣(河本嘉久蔵君) 今後の動向を見通せという非常に難しい問題でございますが、経済社会情勢の動向、私は、物の需給関係によって価額は決まるのですから、需給関係によってある程度は決まっていくんじゃないか。国土庁としましてはとにかく地価を抑制していくという方針に徹底して監視していきたいという考えであります。
  598. 野末陳平

    ○野末陳平君 確かに需要と供給の関係で決まっていくのですが、土地だけについてはそれだけではちょっと一般の国民は不安になるというか、納得しないと思うんです。  そこで総理、これは実に単純素朴なんですが、若いサラリーマンが頑張れば土地つきのマイホームが自力で持てるようになるかどうか、その辺のことを土地の値段と絡めてやはり素朴にお聞きしたいと思ったわけなんですが、どんなふうな御意見をお持ちですか。
  599. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 持たしてやりたいと思いますが、現在の状況ではなかなか難しい点もあります。  土地つきで一戸持つというのも一つのしっかりとした考え方でありますけれども、アパートとかそういうようなところへ住むというのもまた一つの生き方で、一つの人生観でもありましょう。そういう意味で非常に多様性を持っていくということはいいのじゃないかと思います。しかし、土地つきでどうしても持ちたいという希望のある人についてはそういう願望をできるだけ遂げさしてあげたい、そういう気持ちでおります。
  600. 野末陳平

    ○野末陳平君 しかし、実際にはそういう希望はかなえてやりたいと思うもののなかなか難しいので、むしろ質のいい賃貸住宅をどんどんふやすことの方がこれからの政策ではないかと、こう思うのです。ただし今やっているいわゆる公団住宅のような、遠くて狭くて高くてというのはもうだめなんですが、今持ち家よりも借家というような考えも出てきておりますから、土地の問題が解決すれば土地つきですけれども、しかし借家がどんどん、質のいい賃貸住宅ですね、それがどんどん便利なところにできるということも大事だと思うのです。それについてはいかがですか。
  601. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) その考えはいいと思います。  戦前は借家市場というものがかなりございまして、そして流動性を持っておりました。戦後これがなくなったというのは非常に大きな欠陥ですが、最近これが回復をしてきておるようです。そういう意味において借家政策というものは我々は奨励していいと思っております。
  602. 野末陳平

    ○野末陳平君 住宅政策もそちらの方にやはりもう変えた方がいいのではないか。特に若い人の好みなども勘案しますと、土地の抑制あるいは持ち家促進、これもいいのですが、しかしいつまでもそうではなかろう、そういう気がします。お願いしておきます。  最後に、租税と社会保障を合わせた負担率の対国民所得比ですけれども、この予算委員会でも何回もこれが議論になりましたが、今三十五、六%の数字が今後は間違いなく上がっていきますね。その上がっていくリミットがどの辺か、これが非常に重大な問題なんですが、大体二十年後には常識的に考えて四五%を超えるのではないか、正直言いましてそういうおそれすらあるわけです。  そこで総理にお伺いしたいのは、この負担をぎりぎりこの線で抑えるという目標ですね、努力目標でなくて実現目標。ただし先のことですが、その先を今から総理の政策に取り入れなければいけないと思いますので、総理としてはこの負担率はどの線で抑えるという目標、これを具体的に示していただきたいと、そう思っています。
  603. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) この点は臨調で随分議論したところでありまして、臨調答申では西欧のレベルからかなり低い水準でとどめる、そういうことが文章で公にされておるところです。政府は臨調答申に従ってやっているということでありまして、将来の話としてはそういう水準を守っていくべきであると考えております。具体的に何%というナンバーを言うことは適当でないと思っております。
  604. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこが違うんですが、適当でないのでなくて、それを言わないとまずいだろうと、そういうふうに思っています。  それではもう最後ですが、四五%と、これはもう間違いなくこの辺まで行きそうだというのがこの予算委員会の議論でも出てきているんですが、その上か下か、それを総理にお答えしていただいて、それで終わります。
  605. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私は頑固なところがありまして、ナンバーを言わないと言ったら言わないので、やはりかなり低い水準と、そういう定性的表現で御容赦願いたいと思うのであります。
  606. 野末陳平

    ○野末陳平君 まあそれでは御容赦して、私は頑固じゃありませんから、それを素直に受け入れておきましょう。  終わります。
  607. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 以上、野末陣平君の質疑をもって締めくくり総括質疑は終了いたしました。  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。昭和六十年度総予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  608. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 昭和六十年度一般会計予算及び昭和六十年度特別会計予算の修正について矢田部君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。矢田部君。
  609. 矢田部理

    ○矢田部理君 私は、ただいま議題となっております昭和六十年度総予算三案のうち、昭和六十年度一般会計予算及び昭和六十年度特別会計予算に対し、日本社会党を代表して、修正の動議を提出いたします。その内容はお手元に配付されております案文のとおりでございます。  これよりその趣旨について御説明申し上げます。  昭和六十年度予算政府三案につきましては、既に衆議院の議決を経て送付されてきたものでありますが、参議院予算委員会における審議の中で、軍備優先、国民生活圧迫の予算の実態が一層明らかにされており、政府案の欠陥を是正することが必要となってまいりました。六十年度予算の課題は、二十一世紀を展望した福祉社会の建設と世界の軍縮に寄与するための施策を講じることでありますが、政府案はこれに逆行した内容となっているのであります。衆議院においては、我が党を初めとした野党共同の修正要求に対し、所得減税問題に関しては、実施に向けて今後さらに検討することで与野党の書記長、幹事長間の合意が成りましたが、防衛関係費のGNP一%枠問題では「守るため最善の努力をする」との与党責任者の約束にとどまり、国民の立場からするならば必ずしも十分とは言えませんでした。また、政府は従来より歳出削減を福祉と教育に集中し、経費を抑えることで財政再建を図る方針をとり続けてまいりましたが、新年度の予算案においては、国と地方の責任分担をあいまいにしたままに地方に対する補助金支出を一律に削減し、負担を地方自治体に転嫁しようとしているのであります。我が党が主張してきた「軍縮、国民生活安定、公平の社会経済改革」の予算に改めるためには、大幅な修正を必要といたしますが、この際、必要最小限度の緊急項目すなわち軍事費を抑え、軍縮元年予算を編成すること、制度改革に予算を先行させる財政運営をやめること、財政再建に寄与することの方針に立って予算修正を行うことといたした次第であります。  したがって、本修正案の特色は、第一に、防衛関係費を前年度当初予算相当額にとどめ、軍縮予算への転換を図り、第二に、地方自治体向けの民生関係の高率補助金の一律削減を撤回し、第三に、特例公債の減額を図る等の修正を行うことであります。なお、減税については、与野党の書記長、幹事長会談の合意に対する政府の対応努力を見守ることといたします。  以上の修正の結果、昭和六十年度一般会計予算の規模は、政府案を一千億円減額した五十二兆三千九百九十六億円となります。  次に、修正案の具体的な内容について申し上げます。お手元に修正案が配付されておりますので、修正内容の中身について簡潔に御説明いたしたいと存じます。  まず、歳入についてでございますが、特例公債の発行を一千億円減額し、財政再建を進めることといたしております。  次に、歳出でございますが、第一に、防衛関係費を二千二十五億円減額いたします。防衛関係費を減額するに当たりましては、装備等現有勢力を凍結することを基本方針に置き、人件費、給与改善、糧食費等を除いて六十年度予算の新規増額分を認めないこととし、また、五十九年度までの国庫債務負担行為等の歳出化分は原則として繰り延べ、さらに、防衛本庁の六十年度新規国庫債務負担行為は一切認めず、防衛施設庁につきましてはいわゆる「思いやり経費」を重点的に減額することにいたしております。このような方針に基づき減額いたします主な項目を申し上げます。防衛本庁経費を百十億円減額いたします。この中には、油購入費を前年度予算額で凍結することによる九十八億円の減額のほか自衛隊員の募集にかかわる募集等旅費等の十一億円を含んでおります。  武器車両等購入費九百九十三億円を減額いたします。このうち九百六十八億円は弾薬購入費の減額であり、武器購入費、車両購入費とがそれぞれ十一億円の減額となります。この措置によって、二百三ミリ自走りゅう弾砲十二門、地対空誘導弾ホーク一個群等の購入を取りやめることとなります。なお、巨額な後年度負担をもたらすペトリオットの導入も中止いたします。  航空機購入費を二百四十七億円減額いたします。このうち八億円が新規国庫債務負担行為に当たり、これを減額することによって、F15戦闘機、C130H輸送機、T2高等練習機等の購入を中止することといたしております。また、五十九年度国庫債務負担行為の歳出化を繰り延べて二百二十九億円減額しております。  艦船建造費を八十二億円減額いたします。このうち七十九億円を五十九年度国庫債務負担行為の歳出化の繰り延べによって減額しております。  また、五十九年度継続費の年割額を変更することによって、昭和五十九年度潜水艦建造費の六十八億円、昭和五十九年度甲型警備艦建造費百億円をそれぞれ減額いたします。  さらに、研究開発費を百十六億円減額いたします。試作品費十八億円の新規国庫債務負担行為分とその他の研究開発費九十八億円の減額を含んでおります。  防衛施設庁関係では、いわゆる「思いやり経費」と言われております在日米軍への提供施設等の整備費を二百四十八億円減額いたします。  なお、昭和六十年度から新規に計上しております継続費及び国庫債務負担行為に係る部分については原則として削除いたしております。  第二に、地方交付税交付金を一千億円減額いたします。これは、政府案において講じられております地方自治体への高率補助金の一律削減措置に対する見返り措置としての交付金の特例増額措置を取りやめるものであり、経常経費系統の補助金の削減を中止することと平仄を合わせるための措置であります。  第三に、国債費を十二億九千万円減額いたしますが、これは特例公債の発行額を一千億円減額することに伴う利払い費等の減額措置であります。  第四に、予備費を六百億円減額いたします。この減額により、予備費は二千九百億円となりますが、ここ二、三年の使用実績から見て十分余裕のある金額であります。  以上のような歳出の減額三千六百三十八億円から歳入の減額一千億円を差し引くことで生み出した財源によって、地方自治体に対する高率補助金の一律削減のうち、経常経費系統の補助金の一律削減を中止するための予算措置を講じております。なお、投資的経費系統の補助金の削減については、事業及び起債等自治体に選択の余地があることにかんがみ予算修正を行わないことにいたしております。  予算増額の内容について申し上げます。  第一は、厚生省所管の十二項目に及ぶ経費を二千五百五十二億円増額いたします。このうち一千三百九億円は生活保護費の増額であります。政府案では、現行の国庫負担率十分の八を十分の七に引き下げることによって一千五百九億円の国庫支出額を節減する一方で、地方負担の激変緩和措置として、臨時財政調整補助金二百億円を計上いたしておりますが、財政力の弱く、生活保護費支出の多い地方自治体にとっての負担は大きく、それは受給者の制限にならざるを得ないのであり、弱者切り捨ての政策への転換となりかねないのであります。財政優先による生存権侵害は許されないのであります。このほか児童保護費六百六十八億円、老人福祉費三百二十一億円、精神衛生費七十三億円、身体障害者保護費七十一億円、特別児童扶養手当等給付諸費五十四億円、結核医療費四十三億円等々を削ろうとするのが政府案でありますが、これは財政赤字のツケを地方自治体からさらに子供、年寄り、病人に押しつけるもので、到底認めるわけにはまいらないのであります。  第二は、文部省所管の学校教育振興費を一億二千九百万円増額いたします。要保護児童生徒、僻地児童生徒援助費等の引き下げは教育環境の地域間格差を拡大する結果を招くおそれがあり、行うべきではないのであります。  第三は、環境庁所管の自然公園等管理費二百万円、自然公園施設整備費百五十万円を増額し、現行の国庫補助率八〇%、五五%を維持することとしております。  第四は、国土庁所管の国土調査費九億三千三百万円、小笠原諸島振興事業費一億七千三百万円をそれぞれ増額いたします。特に、小笠原諸島振興事業費の補助金には十割補助も含まれておりますことはそれだけ国の助成を必要としていることでありますので、現行補助率を確保すべきであると考えるものであります。  第五は、外務省所管の経済協力費を八千万円増額いたします。海外技術協力を推進することは我が国の国際的責任でもあり、国の協力体制を後退させるべきではありません。  第六は、農林水産省所管の林業振興費等五項目の経費五億六千万円、通商産業省の七十二万円、運輸省関係で一億五千万円、労働省所管の失業対策事業費等三項目の経費六十一億円、自治省の消防施設整備費補助三億九千万円をそれぞれ増額いたします。これらの予算の増額は一律削減という方式による弊害をなくすための最小限の対策と考えるものであります。  次に、特別会計予算の修正は、一般会計の修正に関連して、交付税及び譲与税配付金持別会計の交付税及び譲与税配付金勘定の歳入と歳出をそれぞれ一千億円減額するとともに、国債整理基金特別会計についても歳入と歳出をそれぞれ十二億九千万円減額いたしております。  以上、修正案の概略を申し上げましたが、修正案の内容とその意図するところは、我が国の将来に思いをいたし、平和と思いやりのある社会を建設するために必要不可欠の修正を行ったものであります。これらの点を考慮いただき、全会一致で御賛成くださるよう強く要望し、提案の趣旨説明といたします。
  610. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 以上で両修正案の趣旨説明は終わりました。  これより総予算三案並びに両修正案に対する討論に入ります。  討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。村沢牧君。
  611. 村沢牧

    ○村沢牧君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になっております政府提出の昭和六十年度予算案に反対、社会党提出の修正案に賛成の討論を行います。  我が国経済の現況は、アメリカの予想を超えた景気回復に支えられて、拡大基調にあると言われているものの、国内においては依然として業種間、地域間に大きな跛行性が残っており、特に大企業が輸出の増大に伴って巨額の収益を上げている反面、輸出力の弱い、あるいは個人消費依存の中小企業は業績不振による倒産の多発で苦しんでおります。また、内需の中心である個人消費は、政府、財界の賃金抑制策による所得の伸び悩みに加えて、税金や社会保障負担の増加から低迷を続けております。  こうした我が国経済の外需依存と内需拡大による積極的な対策を講ずることのできない政府の無策とも言える経済運営に対し、厳しい批判が出ております。とりわけ、最近のアメリカの我が国に対する市場開放の要求は日に日に激しさを増し、四分野の市場開放要求はもはや一刻も猶予できないほど切迫してきておるのであります。  また、我が国財政を直視するならば、政府の財政力の回復という宣伝にもかかわらず、国債残高は年々累増し、歳出予算に占める国債費の割合も増高の一途をたどっており、財政の対応力は回復どころか、佐々弱まっているではありませんか。その一方で、増税なき財政再建を掲げた中曽根総理は、それを単なる理念として後退させた上に、不公平税制に対する国民の怒りと不満を逆用し、一部財界からささやかれた増税容認発言をうのみにし、まるで理性を失ったように、シャウプ以来の抜本的税制改正を声高に叫び、無理やり大型間接税の導入を図ろうと企てているのであります。  しかも、財界主導の行革路線を推進し、社会保障、教育予算切り捨てによる弱者しわ寄せと防衛費の聖域化をますます強めている中曽根内閣の予算を断じて認めるわけにはいきません。  以下、数点にわたって政府予算案に反対の具体的理由を申し上げます。  反対の第一は、六十年度予算が原則マイナスシーリングを貫いたとは言いながらも、その内容は単なる見せかけ圧縮のからくり予算となっていることであります。政府は、財政再建を歳出削減で達成しようとしていますが、それは歳出の繰り延べや他会計へのツケ回しによる圧縮であり、それによる後任度負担は隠された赤字国債そのものであります。六十年度予算では、その手口は一段と巧妙になってきたと言わざるを得ません。揮発油税の道路整備特別会計への直接繰り入れを初め、厚生保険特別会計健康勘定へ繰り入れの削減等々は一般会計の規模圧縮のための手段であることは明らかであり、このようなからくり予算を認めることはできません。  反対の第二は、防衛費が五年連続で異常突出が続いていることであります。  防衛費優遇増額の結果、我が国の軍事大国化防止の歯どめとしてこの十年間重要な役割を果たしてきたGNP一%の枠が今しも突破されようとしておるのであります。政府予算案による防衛費の対GNP比は〇・九九七%、額にしてわずか八十九億円を残すのみであり、昨年度の人勧の積み残し分を加えると、GNP一%枠は実質的に破られているのであり、我々はこのゆゆしき事態を黙って見過ごすことはできません。これこそ社会党の予算修正案の最大の力点であり、その内容は国民の期待にこたえる方途と考えるものであります。中曽根総理の防衛計画大綱水準の早期達成優先の発言は、我が国が歯どめのなき軍拡への道を歩まんとする恐るべきねらいがあり、軍縮を求める国際世論に逆行する暴挙であり、絶対に許すことはできません。  反対の第三は、生活保護費や児童保護費あるいは公共事業費等を中心に、地方自治体への補助金を一律に一割削減し、地方と国民に負担を押しつけようとしていることであります。  政府は、地方財政余裕論、こうしたものをでっち上げ、生活保護費の一千五百億円、児童保護費等の六百六十億円等、経常経費で二千六百億円余、投資的経費でも三千二百億円、総額五千八百億円に達する負担を押しつけようとしています。このような政府の一方的な経費節減だけを目的とした補助率の引き下げは、財政力の弱い地方をますます窮地に追い込み、地域間の格差の拡大をもたらすとともに、このような地方への負担転換を行うべきではなく、少なくとも経常経費系統の補助率は現行どおり維持すべきだとする修正案こそ受け入れられるべき筋合いと考えるものであります。  反対の第四は、中曽根総理のシャウプ勧告以来の抜本的税制改正、この発言によって、増税なき財政再建から増税による財政再建に方向転換を図ろうとしたことは明白であります。  総理は、税制改正は増税や財政再建のためではないと繰り返す一方で、増減税ゼロを確約せよとの我々の追及に困り果てると言葉を濁し、臨調答申を尊重して行うと御都合主義の答弁を繰り返すばかりであります。政治責任をおそれ、本音の議論と財政の実態を見ようとしない欺瞞に満ちた姿勢と政治のやり方は、議会制民主主義を忘れた独善的手法で断じて認めることはできないのであります。  眼後に、五十七年以降毎年のように出されてきた予算の空日に関する委員長の見解もあるにもかかわらず、六十年度暫定予算が提出されなかったことは、近代法治国家として恥すべきことであり、審議に当たって、証人、参考人を十分に確保できなかったことは、国会審議をみずから形式的なものに落としめる行為と断ぜざるを得ません。国会の審議権の充実、予算執行のあり方、立法府としての予算修正等々、政府・自民党に猛省を促すことは多々あります。  社会党の修正案を提出するに至った理由、その内容については、ただいま矢田部委員から詳細に述べられましたが、この修正案こそ、我が国の平和と安全、国民生活を守るために必要不可欠なものと言うことができます。  以上、社会党の修正案に賛成し、これを受け入れる必要性を強調し、政府提出の六十年度予算案に強く反対して、私の討論を終わります。(拍手)
  612. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 次に、亀井久興君。
  613. 亀井久興

    ○亀井久興君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、昭和六十年度予算三案について政府原案に賛成し、日本社会党から提出された修正案に反対する討論を行うものであります。  ここ数年来、我が国財政はこれまでにない危機に陥っていると言っても過言ではありません。景気の下支え、国民生活向上のためやむを得ず発行された国債の残高の累増により、その利払い費に当たる国債費は年々増加し、六十年度予算において十兆円を超える額に上っております。乙うした義務的経費の増加は、行政的経費たる一般歳出を圧迫し、財政の機能をますます弱めようとしております。この期にあって、まず取り組まねばならないことは、財政の機能回復に向けた財政再建でありましょう。財政再建元年と言われた昭和五十六年度以来、政府は安易な増税策に頼ることなく、この財政再建に取り組まれ、予算編成に当たって並み並みならぬ努力を続けてこられました。また、高度成長時代の惰性から脱却し、二十一世紀への新たな発展を目指して、活力ある社会と経済を構築する上で行政改革も重要な国民的課題でありますが、これについても政府は熱心に取り組まれ、電電公社改革、専売公社改革、医療保険制度改革などの諸改革を行うなど、着実にその成果を上げるに至っております。  昭和六十年度予算は、歳出の徹底した見直し、合理化に取り組むなど、こうした行財政改革に配慮しつつ、他方、社会経済情勢の推移に即応した財政需要に対しては、財源の重点的、効率的配分を図るなど、めり張りのきいた賛成できる内容となっております。  以下、具体的に賛成の理由を申し上げます。  第一は、国債費等の義務的経費の増加があったにもかかわらず、補助金の整理合理化を初めとする歳出の節減合理化に努められ、一般会計の予算規模を五十二兆四千九百九十六億円、前年度に比べわずか三・七%の増加にとどめたことであります。  なお、行政的経費である一般歳出は三十二兆五千八百五十四億円であり、前年度に比べ三億円の減少となっており、三年連続して前年度以下の水準に抑制しております。こうした歳出の抑制に加え、税負担の公平、適正化の推進によって国債の発行額は十一兆六千八百億円にとどまり、前年度より一兆円減額することができました。財政再建を成し遂げるには、何よりも財政の国債依存体質を改めねばなりませんが、今回の措置により、国債依存度は二二・二%と前年度より三ポイント近くも改善され、再建に向けて着実に前進いたしております。  第二は、財政再建のために歳出の節減合理化に取り組まれる一方で、必要な施策のために財源を確保していることであります。  我が国の社会保障制度は、既に欧米諸国と比べ遜色のない水準に達しておりますが、今後とも国民の期待にこたえるべく、その充実に努力していかねばなりません。六十年度においては、老人や身体障害者に対する在宅福祉施策等の充実、医療保険給付の改善、年金額の改定、難病対策の推進など、社会保障制度の一層の充実のための措置がとられております。また、二十一世紀に向けて我が国の安定的な発展を期するためには、科学技術の振興を図り、科学技術立国への道を歩むことが重要です。基礎研究を充実するほか、宇宙開発、海洋開発等を中心として、時代の要請に即応した科学技術の研究開発に努めていることは、我が国の今後の発展にとって意義あることであります。  さらに、相互依存の深まる国際社会において、開発途上国の経済的安定は、世界の平和と繁栄にとって不可欠であります。経済協力費は、前年度予算に比べ七・八%増と、一般歳出の主要経費中最大の伸びとなっております。これは、自由世界第二位の経済力を持つ我が国がその国力と地位にふさわしい役割を積極的に果たそうとする姿勢を示すものであります。  防衛費につきましても、前年度に比べ六・九%増と、経済協力費に次ぐ高い伸びとなっております。みずからの国はみずから守るという意味から、また、自由主義諸国の一員として、自由主義擁護のための国際的責任を果たす意味からも適切な措置と考えます。  以上述べてきましたように、昭和六十年度予算は、我が国が直面する諸問題に対応すべく、限られた財源を有効に生かすよう最大限の努力が払われた内容となっており、高く評価いたすものであります。  なお、日本社会党提出の修正案は、一つは、防衛費の大幅な削減を求めておりますが、これは国の存亡にかかる基本的な国策である防衛力の整備に重大な影響を及ぼすものであります。  また、経常経費にかかる高率補助率の見直しを取りやめるという点につきましては、補助金の総合的見直しを行うという政府案の基本的方針に重大な修正を加えるものであります。  このように本修正案は、政府案の基本的性格にも触れるものであり、ひいては政府の予算編成権との関係においても問題なしとはしないように思われるのであります。  以上の理由により、本修正案に反対するものであります。  さて、この際政府に一言申し述べたいことは、我が国が活力ある経済社会を維持し発展するには、何よりもまず財政の健全化を図り、財政の対応力を回復させることが不可欠の緊急課題であります。政府は、今後とも六十五年度赤字公債脱却を目指して最大限の努力を払うとともに、税制問題についても、国民的論議を十分踏まえ、幅広い検討を願いたいのであります。  以上をもって私の賛成討論を終わります。(拍手)
  614. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 次に、中野鉄造君。
  615. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和六十年度予算三葉に対し反対、日本社会党提出の予算修正案に賛成の討論を行うものであります。  反対の第一の理由は、内需主導の経済成長を実現する政策が何らとられていないことであります。  先日発表された昨年十月から十二月の国民所得統計速報では、内需の寄与度はわずか〇・四%にすぎず、残り一・九%はすべて外需によるものであり、外需依存が一段と強まっているのであります。これでは六十年度政府見通しの四・六%成長のうち四・一%を内需で達成しようなどとは、全くの絵そらごとであり、貿易摩擦はさらに激化するおそれが十分であります。さらに、最近の海外からの批判は、巨額の貿易黒字を海外投資へ振り向け世界経済へ貢献するという政府の資本供給国路線にも及んで、このままでは貿易摩擦回避は不可能と言わざるを得ません。内需拡大という命題は、世界のGNP一〇%を占める日本に課せられた責務なのであります。政府は、内需主導による安定成長を図るため、輸出、設備投資に続く景気拡大ロケットの三段目、個人消費を回復すべく、直ちに一兆円の所得税、住民税減税を実施すべきであります。  なお、私は、この際今日の厳しい情勢にかんがみ、国会においても、対外貿易、経済摩擦の解消を図るため特別委員会を設置し、これら問題の解決に取り組むべきであることを提案するものであります。  反対の第二の理由は、政府による財政再建が完全に失敗していることであります。  一兆円の特例公債減額は、五十九年度五千二百五十億円、六十年度も七千二百五十億円にとどまり、計画達成には今後毎年約一兆一千五百億の減額が必要で、政府の公約は単なる願望にすぎなかったのであります。一方、十兆円を超えた国債費は、歳出全体の約五分の一を占め、今後ともますます増高していくことは必至であり、財政窮迫が一段と進むことは避けられません。かくて中曽根内閣による財政再建の失敗は明らかであるにもかかわらず、その失敗の責任を既存税制の抜本改正という巧言ですり抜け、大型間接税導入をもくろむ政府の態度は、断じて容認できないのであります。  反対の第三の理由は、中曽根内閣は行革内閣であるとみずから言いながら、その言葉とは裏腹に、むしろ反行革の姿勢すらとられていることであります。  六十年度予算で整備新幹線予算が計上されておりますが、この整備新幹線は、行政改革の観点から凍結することが閣議決定されております。ところが、この閣議決定の変更の手続もとらず整備新幹線予算の凍結を解除したことは、極めて疑問であります。この事業は、一たん着工すれば完成までに五兆円を超える莫大な資金が必要となる大事業であります。いわんや国鉄再建の方向も定まらず、新幹線建設の財源さえも目途が立っていない現時点での整備新幹線着工は、無謀過ぎると言わざるを得ません。さらにまた政府は、補助金一括法案によって補助金を一律に削減し、地方自治体に大幅負担増を押しつけようとしておりますが、このような措置は、財政の帳じり合わせにすぎず、行政改革とはおよそかけ離れたものであります。本来ならば、国と地方における権限や財源配分を見直すことこそ最重点施策とすべきであり、改めて、本来的意味での行政改革の断行を強く主張するものであります。  反対の第四の理由は、六十年度予算における防衛関係費は対前年度六・九%も突出させ、三兆一千三百七十一億円を計上し、政府見通しのGNP比で〇・九九七%にまで達しております。この結果、GNP一%枠とのすき間はわずか八十九億を残すだけであります。政府の言うとおり、人勧凍結分を三年間で埋め合わせるとすれば、今年度の公務員ベア引き上げ分が八十九億円を超えることは必至であり、六十年度予算は実質一%を突破した予算にほかなりません。政府は、防衛関係費を他の予算と同様に抑制し、我が国が軍事大国の道を歩まないあかしである一%枠をあくまで堅持すべきであり、これこそ平和国家日本のとるべき道であります。  最後に、予算成立が執行年度にずれ込み、暫定予算が必要であるにもかかわらずこれを提出せず、予算の空白を生じさせた政府に猛省を促して、私の昭和六十年度予算三乗に対し反対、日本社会党提出の予算修正案に賛成の討論を終わります。(拍手)
  616. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 次に、内藤功君。
  617. 内藤功

    ○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の昭和六十年度予算三案並びに日本社会党提出の修正案に対し、反対の討論を行います。  政府予算案は、財政危機の一層の深刻化にもかかわらず、軍備拡大と財界奉仕という二つの聖域をあくまで維持し、その犠牲を挙げて国民に転嫁する最悪の日米運命共同体予算と言うべきであり、戦後の福祉、教育制度の到達した成果を破壊する予算と言わなければなりません。  反対理由の第一は、アメリカの核戦略に追随し、その要求にこたえる軍備拡大予算であることであります。広島、長崎被爆四十周年の今日、核兵器廃絶に向けて日本と世界の諸国民は政治の根本的転換を強く求めております。本年一月の米ソ外相会談が核兵器の完全廃絶を交渉目標としたことは、この声にこたえる歴史的意義を持つものであります。  しかるに中曽根内閣は、事実上相次ぐ核積載艦船の寄港、核搭載機の飛来を容認しております。そればかりか、中曽根総理は、米軍の核兵器先制使用を容認する発言をなし、さらに、宇宙にまで核軍拡競争を広げるレーガンのSDI構想に理解を表明しているのであります。これこそ、最も危険な集団的誤謬と指摘された抑止と均衡論、つまり際限のけい核軍拡の路線を歩むものであります。  とりわけ、国会での否定答弁にもかかわらず、自衛隊が核戦争を想定した高級幹部の教育を行っていた事実こそ、大軍拡路線とかかわって、米軍指揮下の大規模な核実戦訓練の疑惑と日米安保条約の危険性を劇的に示したものと言わなければなりません。  軍事費が五年連続異常突出し、三兆円を超え、二兆三千億円の後年度負担と合わせてGNP一%突破にとどまらず、来年度以降これまで以上の軍備拡大が必至となっているのは決して偶然ではありません。  反対の第二は、国民生活破壊、財界奉仕の予算であることであります。  臨調路線の四年間、一部大企業が空前の利益を享受している一方で、年間二万件もの中小企業の倒産、農業所得の低下、減税なしの実質賃金低下、社会保険料の引き上げ等が勤労国民の生活を直撃しております。その上、本予算案は社会保障、教育費の実質マイナス、中小企業、農林漁業費の大幅カットなど、国民が切実に求めている予算を軒並み切り捨てております。  中曽根内閣の民間活力構想が国民生活の活力のためでなく、国有財産の払い下げ、公的部門の民営化、規制緩和などによって財界に新たな利潤追求の場を保障するものでしかないことは、東京都新宿区の西戸山開発などに関連して我が党が明らかにしたところであります。  反対の第三は、財政破綻のツケを挙げて国民に押しつけ、大型間接税導入による大増税を企画していることであります。  財政危機の原因は、財界の要望にこたえ、歴代の自民党内閣が赤字国債を大量発行してきたことにあります。財政危機の激化と裏腹に、史上空前の繁栄と利益を謳歌している一部大企業に、不公平税制の是正などによって適切に課税をし、財政危機打開の責任の一端を担わせることは当然であります。私は、いかなる名称、形態であれ、最悪の大衆課税である大型間接税の導入に断固反対することを改めて強調するものであります。  なお、日本社会党提出の修正案には賛成できません。それは、結局、昨年程度の軍事費は認めるものであり、政府予算案の反国民的本質を変えるものではありません。我が党は、中曽根内閣の軍備拡大、対米従属、大企業奉仕の政治を国民本位に転換する方向を示す予算組み替え動議を衆議院で提出した次第であります。  以上が反対の理由であります。  これをもって私の反対討論を終わります。(拍手)
  618. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 次に、柄谷道一君。
  619. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております昭和六十年度予算三案及び日本社会党提出の修正案に対し、一括して反対の討論を行います。  その第一の理由は、政府が経済計画や財政計画、今後の具体的目標数値等を何ら示さず、本委員会の質疑を通じても政策選択に言及することを意図的に避けるなど、政府の公約である増税なき財政再建を達成するための具体的対策や対処方針が国民の前に全く明らかにされていないことであります。  我が党は、本委員会の審議に際し、財政の中期展望の主要経費別内訳を提出するよう政府に要求するとともに、今後あるべき経済、財政指標や、政府の政策選択を具体的に盛り込んだローリングシステムによる中期経済計画と、それとの政策的に連続性と整合性を持った中期財政計画を策定し、提示するよう求め続けてきました。こうした我が党の建設的な提言に対し、昨年末の与野党政策責任者会談で藤尾自民党政調会長は前向きの検討を約したのであります。しかるに政府は、先見性と実効性を欠く抽象的な答弁を繰り返すだけで、計画の名に値する内容を示さず今日に至りました。  政府が長期的展望を欠き、毎年見せかけの歳出削減による予算の帳じり合わせに終始するという姿勢を続ける限り、国民に将来に対する増税、福祉切り捨て等の不安感、不透明感を与えることは避けられず、また民間の経済活動に対する足かせとなって、今後の持続的な適正成長の実現を妨げる危険があることを指摘するものであります。  第二は、政府が縮小均衡型経済、財政運営に固執し、内容の乏しい民間活力期待を声高に叫び続けるばかりであるということであります。  昨年十月ないし十二月期の実質経済成長率は、前期に比べ年率換算で九・六%と八年ぶりの高い伸びを示しました。しかし、この成長率のうち八割以上は外需に依存したものであり、内需主導による潜在成長力の顕在化というにはほど遠いものと言わざるを得ません。特に内需の過半を占める個人消費の伸び悩み、公共投資の鈍化、不透明なアメリカ経済の先行き、貿易摩擦の未解消など、我が国経済を取り巻く情勢はなお厳しく、当面設備投資の堅調な動きなどをもって楽観することはできません。  このような現状を打破し、我が国経済を内需主導による安定的な適正成長軌道に乗せるため、我が党は、所得減税の実施、政策減税の推進、社会資本の充実と建設国債の活用、自然増収の確保等積極経済政策への転換を要求しましたが、政府はこれに耳をかさず、または問題を先送りして、あくまでも縮小均衡型経済運営に固執したのであります。このような政策運営によっては適正成長の実現も大幅な税の自然増収の確保も望めず、ひいては中曽根内閣最大の公約である増税なき財政再建もかけ声だけに終わり、早晩大増税が余儀なくされることは必至であります。かかる大増税路線への端緒となる六十年度予算は到底我が党の容認できるものではありません。また、政府は、所得税、法人税などの直接税の減税と抱き合わせであればEC型付加価値税などの大型間接税を導入し、租税負担率が上昇しても臨調答申の理念に反しないことをにおわせておりますが、このような論理はまさに国民を欺く詭弁にほかならないことをこの際特に強調するものであります。  第三は、国民に増税を求める以前になされるべき政府・与党の政策努力、すなわち行財政改革による歳出の削減、現行税制の不公平の是正等がいずれも極めて不十分であるということであります。これまで中曽根総理は、臨調答申の最大尊重を約束し、行政改革は現内閣の生命線とまで公言してきました。しかるに政府が六十年度予算において臨調答申を自分勝手に解釈し、不十分なものにとどめていることは極めて遺憾であります。また、国民の税に対する不信感、不公平感に目を覆い、所得捕捉の徹底、利子配当課税の是正、有価証券譲渡所得の適正化など、制度面、執行面の不公正税制の是正について見るべき施策を講じていないことを指摘するものであります。我が党は、政府の政策努力が極めて不十分な現状のもとで、仕組み自体にも懸念をはらんだ大型間接税を導入することには強く反対することを明らかにするとともに、今後政府が本格的行財政の改革、すなわち退職者不補充措置の拡大による公務員定員の約一万七千人純減、政策判断に基づく補助金の削減、地方公務員給与適正化法の制定などに速やかに着手するとともに、税制の不公平の是正を徹底して実践するよう強く要求するものであります。  第四は、政府が臨調答申の指摘に反して、住宅金融公庫の利子補給金の繰り延べ、住宅・都市整備公団補給金の未計上、政管健保に対する国庫負担の時限的な削減などの財政技術的操作による見せかけの歳出削減を六十年度においても再び行おうとしていることであります。これらは実質的な赤字国債の発行であり、まことに遺憾というほかはありません。我が党は、政府が今後糊塗的な財政操作を繰り返さないことを確約するとともに、既往の措置を速やかに解消することを強く求めるものであります。  第五は、政府が政府管掌健康保険の国庫補助削減、児童扶養手当制度の改悪など、福祉政策の後退を図っていることであります。我が国は二十一世紀に向かって急速に高齢化社会へ移行しようとしており、こうした社会への移行に伴って、雇用、年金、医療、住宅、福祉サービスなどの諸施策は新たな視点から総合的、計画的に充実することが急務と言わなければなりません。しかるに政府の姿勢は、場当たり的な歳出削減という城を出ておらず、極めて遺憾であります。今後政府がノーマライゼーションの理念に基づく福祉のナショナルミニマムを確保し、活力ある福祉社会の建設に向けて、確たる総合政策を計画的に推進することを要求いたします。  なお、日本社会党提出の修正案は、現実性と整合性を欠くものとして賛成することはできません。  最後に、さきに与野党間で協議し、自民党が本年中の実施を我々に確約した単身赴任減税などの政策減税と、所得税減税の検討及び労働時間短縮、連続休日等休日の増加の今国会中の実現について、政府・与党が誠実にその約束を履行するよう強く求め、私の反対討論を終わります。(拍手)
  620. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、矢田部君提出の両修正案を一括して採決いたします。両修正案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  621. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 少数と認めます。よって、矢田部君提出の両修正案は否決されました。  それでは、昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算、昭和六十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  622. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 多数と認めます。よって、昭和六十年度総予算三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  623. 長田裕二

    ○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十二分散会