運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-05-17 第101回国会 参議院 内閣委員会 12号 公式Web版

  1. 昭和五十九年五月十七日(木曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  五月十一日     辞任         補欠選任      海江田鶴造君     源田  実君      久保田真苗君     野田  哲君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         高平 公友君     理 事                 亀長 友義君                 坂野 重信君                 小野  明君                 太田 淳夫君     委 員                 板垣  正君                 岡田  広君                 源田  実君                 沢田 一精君                 林  寛子君                 林  ゆう君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 野田  哲君                 矢田部 理君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 柄谷 道一君                 前島英三郎君    国務大臣        郵 政 大 臣  奥田 敬和君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       後藤田正晴君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君    政府委員        国防会議事務局        長        伊藤 圭一君        人事院総裁    内海  倫君        人事院事務総局        管理局長     服部 健三君        人事院事務総局        任用局長     鹿兒島重治君        人事院事務総局        給与局長     斧 誠之助君        人事院事務総局        職員局長     叶野 七郎君        行政管理庁行政        管理局長     門田 英郎君        防衛庁参事官   古川  清君        防衛庁参事官   西廣 整輝君        防衛庁参事官   冨田  泉君        防衛庁長官官房        長        佐々 淳行君        防衛庁防衛局長  矢崎 新二君        防衛庁人事教育        局長       上野 隆史君        防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君        防衛施設庁長官  塩田  章君        防衛施設庁総務        部長       梅岡  弘君        防衛施設庁施設        部長       千秋  健君        外務大臣官房審        議官       山下新太郎君        外務大臣官房外        務参事官     有馬 龍夫君        郵政大臣官房長  奥山 雄材君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        外務省中近東ア        フリカ局審議官  英  正道君        郵政省人事局厚        生課長      菊地 惟郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査並びに国の防衛に関する調査  (「五九中業」策定作業等に関する件)  (日米防衛首脳会談に関する件)  (次期防空ミサイル導入問題に関する件)  (環太平洋合同演習(リムパック84)に関す  る件)  (米韓合同軍事演習(チーム・スピリット84  )に関する件)  (防衛費に関する件)  (米軍艦載機の夜間訓練用基地問題に関する件  )  (公務員制度見直しに関する件)  (ロング前米太平洋軍司令官の証言と我が国の  海峡防備問題に関する件)  (臨調答申と政府の行政改革実施に関する件)  (公務員等の災害補償問題に関する件) ○郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 高平公友

    ○委員長(高平公友君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る十一日、海江田鶴造君及び久保田真苗君が委員を辞任され、その補欠として源田実君及び野田哲君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 高平公友

    ○委員長(高平公友君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 矢田部理

    ○矢田部理君 防衛庁長官に伺いますが、五九中業の作業がスタートを切ったようでありますが、五九中業についての長官としての考え方をまず伺います。
  5. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 五九中業は、年度業務計画の作成等に資するため、従前どおり、主要な事業及びそれに要する経費の概略等の見積もりを行う。  それに伴いまして、五九中業においては、現下の厳しい国際情勢にかんがみ、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準の達成を期する。  それから五九中業の作成に当たっては、次の各項に留意する。一つ、真に有効な防衛力の発揮に資するよう、特に、正面と後方のバランスに極力配意し、継戦能力等の向上に努める。二つ、防衛力の整備に当たっては、諸外国の技術的水準の動向に対応し得るよう質的な充実向上に配意する。三つといたしまして、計上すべき事業の選択に当たっては、その必要性、優先度を十分考慮して、防衛力の整備及び運用の両面にわたる効率化、合理化を図り、極力財政負担の軽減に努める。  五九中業の作成作業期間は、おおむね一カ年を予定。  こういうことで指示を出したわけでございますが、私が特に重点を置きましたのは、防衛計画の大綱水準の達成を期する、そういう決意を新たにしたということ、それからもう一つは正面と後方のバランス、ここに特に配意をする、ほかにもございますけれども、特にこの二点について私といたしましては力点を置いた、こういうことでございます。
  6. 矢田部理

    ○矢田部理君 最後に長官も触れられましたように、大綱の水準達成について、五六中業は大綱の水準達成を「基本として」という表現になっておりますが、このたびは達成を「期する」という長官指示になっていようかと思うのでありますが、この意味は違うんでしょうか。
  7. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 「基本として」というよりも達成を「期する」、強い決意表明という意味でニュアンスの違いがございます。
  8. 矢田部理

    ○矢田部理君 同時に、達成すると言わずに「期する」と言ったのはなかなか意味があるというふうに言われているわけでありますが、特に大蔵省などの意見もあってこういう表現で妥協した、中間的な表現を使ったというふうにも伝えられているわけでありますが、どうでしょうか。
  9. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 財政当局は、よく御案内のとおり、非常に財政当局として見識を持ってやられております。私は、それはそのとおりだと思いますが、今度のやつは、財政当局と妥協してどうのこうのというよりも、長官としての決意表明をきちっとする、そういうことが必要じゃないかということで私はそういうことでいくべきだ、こういうことでやったわけでございまして、別に妥協というようには考えておりません。
  10. 矢田部理

    ○矢田部理君 余り文字面に拘泥するつもりはありませんが、達成するではなくて「期する」というのは多少ニュアンスがあるのだというふうに受けとめてよろしゅうございますね。
  11. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 強い決意表明である、そういうことで御理解いただきたいと思います。
  12. 矢田部理

    ○矢田部理君 決意がどうかの問題じゃなくて、達成するというのと達成を「期する」というのは少しく違うじゃないかという指摘であります。マスコミなどもそう受けとめているようであります。  そこで、五六中業の際にも、しばしば大綱の水準達成を目指してとか、基本にしてとかということでやってきたわけでありますが、非常に達成率というのか、到達点というのが低いというふうに言われているわけです。後で内容を伺ってもいいと思うんですが、大ざっぱに言えば二七%程度、この低い達成率というのは逆な見方をしますれば、五六中業そのものがアメリカの要請や党内外のいろんな動きなどもあって非常に無理な計画、無理な見積もりだったのではないかというふうにも今度は指摘できるわけです。その点、いかがでしょうか。
  13. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 中期業務見積もりの基本的な性格にも多少かかわるところかと思います。この点は先生もよく御承知のとおりでございまして、もともと中期業務見積もりというものが防衛庁の内部の参考資料として作成されたという性格のものを踏まえまして、そしてあと毎年度の事業につきましては毎年度の予算編成の過程で決めていく、こういう仕組みになっておるわけでございまして、そういうプロセスの中で、防衛庁といたしましては、五六中業の達成のために、五十八年度、五十九年度と努力をしてきたわけでございます。ただ、結果として、御指摘のように、正面装備につきまして二七%の達成率ということになったわけでございまして、その理由としては、御指摘のような財政事情等の問題ももちろんあったわけでございます。  しかしながら、これは毎年毎年防衛力整備の事業を決めていくという基本的な仕組みから由来するところでございまして、この数字自体は結果の数字だと受けとめておるわけでございます。私どもといたしましては、今後一層の努力を払うことによりまして、五六中業の達成のためにさらに引き続き努力はしたい、こういう理解をいたしておるわけでございます。
  14. 矢田部理

    ○矢田部理君 もともと防衛費については一%論があるわけです。ここ二、三年の傾向を見てみますれば、一%ぎりぎりのところまで予算をとってあるわけです。とりわけ、他の予算に比べれば非常に突出した形で軍事予算が組まれているわけでありますが、そこまでとってもなおかつ達成率正面装備二七%というのは、もともと五六中業の財政試算なり計画そのものに非常に無理があったのではないか、ずさんだったのではないかというふうに指摘をされてもいたし方ないと思うんですが、もう一度、長官として受けとめ方をお話しいただきたいと思います。
  15. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 御指摘のとおり、正面装備につきまして五十八、五十九で二七%ということで、われわれが一応予定しているよりもおくれておる、これは事実でございますが、しかし今、防衛局長からも申し上げましたとおり、俗に言う主要装備の中で目玉と思われるようなそういうものにつきましては、ある程度できてきておると思います。そういう点もございますので、御指摘のとおり非常に厳しい中ではございますが、我々としては五六中業の達成のために、現在のところ、全力を尽くして取り組んでいく、こういうことを申し上げるわけでございます。
  16. 矢田部理

    ○矢田部理君 全力を尽くすかどうかではなくて、五六中業の達成のために、例えば正面装備の防衛予算に占める比重を非常に重くしてきた経過もある。F15やP3Cの導入に非常に力点を置いた状況もある。しかし、F15にしてからがたしか四〇%程度しか達成できない。全体としては二七%。もともと一%枠という予算の限度があったわけですから、今の防衛予算はその枠ぎりぎりでやっている。その中で、しかも正面装備に相当の比重をかけた中身の仕分けをしているのにもかかわらず達成できなかったというのは、むしろ計画が少しく政治的に過ぎた、あるいは過大に過ぎた、財政試算も甘かったということに起因するのではないかという指摘は、今の説明にもかかわらずどうしてもせざるを得ないわけでありまして、もう一度だけ長官の考え方を聞きたい。一生懸命やるとか、これから努力するつもりだとかいう話ではなくて、今までの経過を踏まえてこれをどう評価するか、計画そのものをどう見るかということの問題としてお聞きをしておるのでありますので、それに見合った答弁をお願いしたいと思います。
  17. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 五六中業は、御承知のように、五十七年の七月に防衛庁において策定をしたわけでございます。  そのときの考え方は、先ほどもちょっと御指摘ございましたが、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準の達成を基本としてやっていこう、こういうことを踏まえて作成をされたものでございます。これは、もともと防衛計画の大綱そのものが五十一年の十月に作成されたものでございまして、その後相当の期間を経過しているわけでございます。したがいまして、防衛庁としては、やはりこの防衛計画の大綱の水準をできる限り速やかに達成するということが一番日本の防衛にとって重要であろう、こういう判断をしておるわけでございまして、五六中業もそれを踏まえて作成の指針としたわけでございます。したがいまして、御承知のように、大体のものにつきましては大綱別表の水準を五六中業完成時に確保し得るということになっているものでございまして、いわゆる概成と申しておるわけでございますが、そういった考え方で五六中業の作成に取り組んだこと自体はその時点の判断としては私どもとしては当然のことではなかったかというふうに思っておるわけでございます。  ただ、その後の経過を振り返ってみますと、御指摘のように、毎年度の防衛力整備の姿といたしましては、財政事情等がありまして若干のおくれのような姿が出てきておりまして、正面装備の進捗率が約二七%ということになっていることは結果としては事実ではないかと思っております。しかし、私どもとしては、基本はやはり大綱水準の達成ということでございますので、五六中業の目標も今後さらに一層の努力を尽くすことによりまして達成を図っていきたい、こういうふうに今は考えておるわけでございます。
  18. 矢田部理

    ○矢田部理君 少しく中身に入りたいと思います。  そこで、大綱の水準とは一体何なのかということが一つ問題になるわけでありますが、例の別表に掲げられておりますいろんな数字、最近の防衛ハンドブックによりますと、五十八年度末勢力見込み、つまり五十八年度末で到達するレベルと、それからもう一年あろうかと思いますが、それとこの別表との差を五九中業で埋めていく、正面装備について言えばそういうことになりましょうか。
  19. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 大綱水準とは一体何であるかという場合のポイントは、私ども三つあるのではないかと思っています。  その一つは、ただいま御指摘のございましたような量的な規模の問題でございまして、これは大綱の別表にそれが規定をされておると思います。それから第二点は、いわゆる質的な水準というものでございまして、これはやはり諸外国の技術水準に対応し得るようなものを持っていかなきゃいけないという考え方があろうかと思います。それから第三点は、教育訓練ですとか、あるいは指揮通信等の後方支援態勢、そういうものがやはり整備をされていなければならないというふうに考えておるわけでございまして、おおよそその三つのポイントを今後さらに念頭に置いてやっていきたいと思っております。  その場合に、ただいま御指摘の量的な第一の問題について申し上げますと、五九中業というものは期間は六十一年から六十五年までの期間が対象になります。したがいまして、正確に申せば六十年度事業による完成時勢力と大綱水準というものとの差というものが五九中業としては理論的には問題になるわけでございます。ただ、六十年度自体が今まだございませんから、実質的に見て五十九年度の事業の完成時と大綱水準との差が六十年度予算及び五九中業とによって埋められていくべき対象ではないか、そういうふうに理解をいただければよろしいかと思います。
  20. 矢田部理

    ○矢田部理君 量的な面からいえばほぼ同じ理解になろうかと思うのでありますが、そこでちょっと私が疑問に思っておりますのは、別表で量的なものを示しているわけです。ただ、量をそろえるということと質の問題をどう見るかということは相関しているのではないか、つまり質の高いものを導入すれば量はもっと少なくていいのじゃないかという議論が当然起こってこようかと思うのでありますが、質と量との関係が大綱そのものは極めて不十分なのではないか。例えば護衛艦にしましても、四千トンクラスのやつを数だけそろえればいいという議論なのか、それともその程度では今日だめなのでもう少し大型のものをそろえなきやならぬ、しかしそれは性能が非常にアップするということになれば何もこの数だけそろえなくてもいいのではないかという議論もあり得るわけでありますが、その量と質との関係は大綱はどういうふうに見るんですか。どうも量的水準を追求する余り、非常に高度のものが今、防衛庁の中に導入されている、高性能のものが採用されているにもかかわらず量を求めるというのはいかがかという感じもするわけでありますが、質と量の関係について少しく御説明をいただけませんか。
  21. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) ただいま御指摘の点は防衛計画の大綱の中にも示しているところでございます。  具体的に申し上げますと、大綱が大きく六項目ぐらいに分かれてございますが、六番目の「防衛力整備実施上の方針及び留意事項」というのがございまして、その書き出しのところからこういうふうに述べでございます。「防衛力の整備に当たっては、前記四及び五に掲げる態勢等を整備し、諸外国の技術的水準の動向に対応し得るよう、質的な充実向上に配意しつつこれらを維持することを基本とし、」云々というふうに書いてございまして、物の考え方といたしましては、やはり質的な水準というものを常に考えながらやっていかなきゃいけないということはここでも示されているわけでございます。
  22. 矢田部理

    ○矢田部理君 私はそこの記述はもちろん読んでいるわけですが、要するに私が申し上げたいのは、質が飛躍的に向上したりよくなってくれば、量は何も随分昔に決めたことにこだわる必要はないのじゃないか。ところが、今防衛庁が大綱の水準達成と言っておるのは、少なくとも一つは別表に示された量の確保ということを盛んに追求するわけでしょう。そのすき間を五九中業で埋めるということになるだろうと思うんです。しかし同時に、質の問題を考えれば量にそうこだわる必要はないのじゃないか、もう少しそこも見直してしかるべきではないかという感じもしないではないのですが、そういう立場から言っているので、質の問題を大綱は全く触れていないということを言っているのじゃないんです。
  23. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 大綱を作成いたしました五十一年の時点からいたしますと、既に十年近い歳月がたっておるわけでございますし、それからまた五九中業の最終年度といいますと六十五年度でございますから、十何年というふうな期間がたつわけでございます。その間におきまして、やはり諸外国の技術的水準というものは極めて進歩の目覚ましいものがあるわけでございまして、我が国の防衛を考える場合におきましても、そういったものに十分対応していかなきゃいけないということが基本にあろうかと思います。  その場合に、私どもの考えております大綱別表の規模と申しますのは、量的には「限定的かつ小規模な侵略については、原則として独力で」対処し得るというものの最小限のものと考えておりますが、この質的な内容につきましては、当然その諸外国の技術水準の進歩に対応して中身をむしろ常時見直して向上していかなければいけない、そういう性格のものであろうかと思います。  諸外国の技術水準の向上というものを考えますと、例えば周辺の諸国で言いますと、ソ連の軍事力がどうなっているかというふうなことが一般的に言われますけれども、その極東における勢力というものも、航空機について言えば、最近は第三世代の優秀な航空機が六割とか七割というところまでのシェアに高まっているというふうなこともよく言われておるわけでございます。一般的な、そういった諸外国の軍事技術水準の向上というものに対応する我々自身の質的向上の努力ということがむしろ大事なことでございまして、現在の規模そのものを減らしていいというふうな情勢にあると私どもは見ていないわけでございます。
  24. 矢田部理

    ○矢田部理君 もう一つの問題点といたしまして、当然のことながら五九中業でも財政試算、経費見積もり等をやろうかと思うんですが、この経費見積もり等をするに当たっての基本的な考え方、長官はいかにお考えでしょうか。
  25. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 御案内のとおり、私が長官指示を今出したばかりでございます。どういう事業を取り入れるか、それに対する費用というものはどうなるかというようなことにつきましては、これからの計算でございますからこれからのことなんで、それについて私があらかじめこうせい、ああせい、今そういう指示はしておりません。先ほど申しました五九中業指示の要綱を踏まえながら適切に作業を進めろということでございますので、この段階でこういうふうな格好で計算をしろということは、指示もしておりませんし、私も考えておりません。
  26. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこに私は問題を感ずるわけであります。五六中業のときにも財政試算がなかなか出なかった。最後に十六兆前後の数字が出ました。それで、五六中業を達成するためには十六兆ぐらいの金が必要だった。しかし、予算は一%枠がかかっている。しかも、それは正面だけでなくて後方経費もかかる、人種費というものもかかるということを考え合わせますと、正面装備に回せる金額というのはおよその推計ができるわけです。  そこで、そういうこともあわせ考えつつ、少なくとも今、政府の基本方針は一%枠、GNP一%以内ということがあるわけですから、五九中業を考えるに当たってもこの一%枠を念頭に置いて内容を詰める、あるいは策定をすべきだというふうに思うのですが、そう長官はお考えになりませんか。
  27. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) GNP一%、昭和五十一年度の三木内閣の防衛に関する閣議決定の方針はこれを守っていく、そのことは絶えず念頭にございます。ただ、五九中業というのは、御案内のとおり、防衛計画の大綱の水準を達成することを期する、そういうことで作業を進めよ、こう言っておりますから、私は政治家としてそのことは頭の中に置いておりますけれども、作業そのものについては、どうしたならば五九中業で達成できるか、こういうことで作業を進めてもらう、こういうことでございます。
  28. 矢田部理

    ○矢田部理君 今、日本政府がとっている防衛政策というのは、幾つかの基本的な問題があるわけです。専守防衛に徹するとか、非核三原則をとるとか、GNP一%論も少なくともその一つだと思うわけです。そうだとするならば、大綱の達成を期するにしましてもやっぱりその基本原則を超えて達成しちゃならぬ、そういう道を歩んではならぬというのももう一つ考え方としてとらなければならぬ性質のものだと思うんです。野放しに、幾らかかってもいいからとりあえず達成の道筋を明らかにせい、見積もりをせいということではないと思うんです。  その点で、長官として一%を少なくとも念頭に置いて経費見積もりをやるべきだという考え方には立てませんか。また、そう指示しないと、前回もそうだったのでありますが、各幕が財政抜きでどんどんいろんなものを要求してくるわけです。これは少しむちゃなのでありまして、もちろんいろんな最終的な調整はどこかでやらなきゃならぬにしても、念頭にまず置いた上でそういう数字を積み上げていく、考えていくというのが少なくとも政府の立場から見ても筋なのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  29. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 今御指摘のありましたとおり、最終的に調整をする問題ではないかと思うんです。毎年の予算で、一%の問題というのは毎年の予算を決定するときにそれが非常に重要な役割を果たしておる、そういうコントロール機能を果たしておりますので、それぞれの各幕が念頭には置きながらもこれを達成するためにはどうするのだ、そこまでその段階で縛りをかけてこの以内でやれと言われましても、それは各幕も困ってしまうと思うんです。ですから私は、最終的に一%どうこうということは毎年の予算編成のときの政治的な決定の問題であって、指示を出す段階から縛りをかけるということは適当でないと思うし、また実際問題、そうしたらば、さあどうなるかということになると思うんです。ですから私は、今の指示の仕方でいいのじゃないか、こういうように考えております。
  30. 矢田部理

    ○矢田部理君 私は、そこで先ほどの質問をしたわけです。五六中業というのが一%という政府の最も基本的な方針、財政の面からするコントロールについて余りにも軽く見ていたために、言うならば過大の物の購入を求め、財政試算を甘くして、結局、結果として達成率が低くなってしまう。やはりこれは政府の基本方針なんですから、その基本方針を抜きにして業務見積もりは自由にやっていいのだ、大綱の達成だけを求めていいのだということにはならぬはずでありまして、両者が比較考量の中でぎりぎりの選択をしていくというのが、これは軍ではなくてシビリアンコントロールの役割を少なくとも担うべき長官の仕事、政治姿勢の問題ではないかというふうに私は思うのですが、単年度予算のときだけ考えればいいのだということではなしに、そういう思想をいろんなところできちっとしておいてほしい。そうでないと、財政面からのコントロールが崩れる、あるいは過大の要求をしてきて結局達成できない、こういうことにもなりはしないかと思うので、もう一度、長官そこは考えてみてくれませんか。
  31. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) シビリアンコントロールとの関係で問題を言われましたけれども、私はシビリアンコントロールということは非常に重要なことで、私自身も責任を持ってこれをやっていかなきゃならぬと思うんです。ですから、今申しましたとおり、予算の段階でどうするか、それが一つの非常に大きな私の政治的な判断といいますか、決断をする大きな問題だと思うんです。そういうことから考えてまいりますと、今のやり方で別にシビリアンコントロールを覆すとかなんとかということじゃないと思うんです。特に、今、長官指示を発したばかりですから、経過を、どういうふうに出てくるかということを見た上で最終的な調整ができるわけでございますから、今の段階でそのことを特に私が強調する――私自体の頭の中にこの三木内閣の閣議決定、それに対する基本的な考え方というものがないというのなら別でございますが、それについて私はちゃんとわきまえておるということでございますので、この点は御信頼をいただきたい、こう思います。
  32. 矢田部理

    ○矢田部理君 自民党の安全保障調査会の中の小委員会がその一%枠の見直しについて作業を開始する、あるいは大綱の見直しも問題に供するというようなことがかつてからあったし、今回またその問題が改めて提起をされている状況、それから人事院勧告等があれば今にも突破せざるを得ないような現状等々から見て、長官の今の発言はちょっと不安があるんです。何かそういうことを少しく想定しながら、本来的に一%枠の声が非常に弱くなっているのじゃないか。予算のときに考えりゃいいとか、最終調整で考えればいいということではなくて、三木内閣が採用して以来ずっととってきた日本の防衛に対する財政負担における最も基本となる原則なんでありまして、この点は貫徹する、長官としては守っていくのだ、先般中曽根さんも予算委員会でそれを言っておられるわけですから、そのもとにある閣僚としても、それは長官の頭の中だけではなしに、やはり軍というか、自衛隊全体の考え方として貫徹をするということが大事なのではないかと思うのですが、もう一度答弁いただきたい。
  33. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 今、自民党の方で防衛大綱等の問題、一%の問題等が論議されているという御指摘もございましたが、私は自民党の国防部会における皆さん方の御意見というのはそれなりによく承っておるわけでございますが、政府といたしましては、防衛計画の大綱を見直す、そういうつもりはございませんということを申し上げているんです。また、この間の防衛に関する国会討論会でも自民党の部会の方からはそういう強いお話がございましたが、政府の方といたしましては防衛計画の大綱を今見直すというつもりはございませんというように申し上げておりまして、私自身はけじめけじめをちゃんとつけながらやっていく、またその姿勢も外部に出ておりますので、ひとつそういうことで御理解をいただきたいと思います。
  34. 矢田部理

    ○矢田部理君 防衛庁長官の考え方もさることながら、防衛局長とうですか。一%問題は、そういう心づもりで今後五九中業の策定に当たっていく、あるいは経費見積もりも考えていくということで明言できますか。
  35. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 基本的な考え方は、もう既に大臣からお答えがあったとおりでございます。  ただ、若干技術的なことを申し上げますと、今回の長官指示におきましても、留意事項の第三点で、計上すべき事業の選択に当たっては、その必要性、優先度を十分考慮してやりなさい、そして効率化、合理化を図って極力財政負担の軽減に努めるというふうなことを指示してございます。したがいまして、必要最小限の経費で所要の事業目的を達成するようにぎりぎりの努力を払っていくべきだということは、私どもも十分踏まえて対処していきたいというふうに考えております。
  36. 矢田部理

    ○矢田部理君 私は一%論を言っているのであって、それは経費をできるだけ節約し、軽減に努力するのは当然のこととして、同時に、大枠として一%がかかっているということを念頭に置いて作業を進めるという約束はできませんか。
  37. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) これは先ほども大臣からお答えを申し上げたとおりでございまして、五十一年の三木内閣の閣議決定の方針というものが念頭にあるということは、これは事実でございます。しかしながら、中業の作業そのものは、これは防衛庁の内部資料として作成していく、毎年の概算要求の参考にするというふうな性格のものでございます。閣議決定そのものは、御承知のように、毎年度の防衛力整備に当たっての指針という性格のものでございますから、閣議決定の問題そのものは毎年度の予算編成の過程におきまして最終的な判断をする際にこれが問題になってくる、こういうことではないかと思いますし、そういう意味で、大臣から申し上げましたとおり、毎年度の予算編成の際に一つの政治判断というものが毎年従来もされてきたわけでありますし、今後もそうなるであろうというふうに私は理解をいたしております。
  38. 矢田部理

    ○矢田部理君 毎年そうなることは、私も承知しています。しかし、それだけではなくて、今、政府の防衛政策の基本の一つでしょう、一%論というのは。だから、今後の何年間にわたる正面装備の調達費を考えるに当たっても、防衛予算というのは後方経費が幾ら、人種費が幾ら、それから正面装備が今全防衛予算の中の二三%から五%ぐらいになっておりましょうか、というようなこの大枠があります。そして、全体として振り分けをどうするかということはあるでしょうけれども、その中でもこの一%論を念頭に置いて、五六中業ももちろんでありますが、とりわけ五九中業も考えていく必要があるのじゃないか。そうでなければ、計画だけ先走っちゃって、大綱水準の達成だけ調達計画を立てればいいのだ、見積もりをすればいいのだということになってしまって、予算は全く抜きということにはならぬでしょう、経費見積もりをするわけですから。  この経費見積もりの基本は、少なくとも五六中業もその議論があったと思うんですが、一%の中で正面装備にどのくらいの予算がとれるだろうか、そういういろんな推計や試算を織りまぜてやるのは当然のことじゃありませんか。どうもそこがはっきりしないのは、もう一%無理だ、ここで約束をすると大変なことになるという心配で、何か非常に一面的な言い方をしているのではないか。いずれにしたって、今の政府の方針として中曽根総理も示しているわけですから、今日段階でつくるのには少なくともそれが念頭なしにやるというのは私はおかしいと思う。そこの枠の中で、長官の指示のように優先度とか必要度とかということを検討すべきなのであって、そこはやっぱり長官、もう一度考えてください。
  39. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 繰り返して申し上げますけれども、私どもは一%の三木内閣の閣議決定の方針というものは尊重していく、そして私が、シビリアンコントロールの第一義といたしまして、私みずからがこの問題について責任を持って対処していかなきゃならないということでございます。  私の今の考え方というのは、防衛計画の大綱水準の達成を期する、そういう覚悟でつくってもらいたい。そのほか、今、防衛局長から言いましたように、財政事情いろいろございますから、ここら辺をずっと読めば、その上で作業を進めていくわけでございますから、その上に特にこうだと言って今の段階で指示をする必要はない。最終的な段階でどう政治的に判断するか、それでいいのじゃないかと思っております。
  40. 矢田部理

    ○矢田部理君 そうしますと、これは来年の七月ごろにはでき上がる、概算要求前に策定をするということになりそうですね。その時期には、少なくとも現在の方針である一%論を基本にして整理をする、まとめ上げる、調整をするというふうに承ってよろしゅうございますか。
  41. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) ですから私は、最終的に決めるときに判断すればいいことであって今の段階でどうこう申し上げるべきじゃない、こういうことを申し上げたのでございますから、私が長官指示を出したときには今のような考え方でやっておる、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  42. 矢田部理

    ○矢田部理君 ですから、現在の考え方とあわせて、最終というのは、ここ一年ぐらいの作業日程で五九中業につなぐということになるわけでしょう。そうすると、来年の六、七月ごろにでき上がってくる。そのときには、経費見積もりもこの内容にありますようにやらなきゃならぬわけですね、従前も財政試算などということをやってきたわけですから。その段階で、言うならば一%枠で調整をするというふうに承ってそれじゃよろしいか、こう聞いているんです。
  43. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) ですから、そのときの段階で、三木内閣の防衛に関する閣議決定の方針にのっとってどう対処するかということが出てくると思うんです。
  44. 矢田部理

    ○矢田部理君 じゃ、そういうふうに受けとめておきたいと思います。  そこで、もう一つ。五六中業はどちらかというと正面装備に重点を置き過ぎた、比重をかけ過ぎた、そこで今度は後方問題も重視していく、そのバランスの上にという内容になっていようかと思うのでありますが、後方とのかかわりで継戦能力論が出ているわけです。  総理とワインバーガー氏との過日の会談の際にも、その向きの話が出たとされているわけです。これは、外務省から伺いましょうか。総理とワインバーガー氏との会談では、どんな話だったんでしょうか。
  45. 山下新太郎

    ○政府委員(山下新太郎君) ただいま御質問の中曽根総理とワインバーガー国防長官の会談でございますが、これは十一日に御承知のとおり行われまして、そこで取り上げられました問題の一つに、御指摘のとおり、継戦能力といいますか、五九中業策定との関係での話が出たわけでございます。  そのくだりをちょっと御説明申し上げますと、八日に五九中業策定について防衛庁長官の指示が行われたということを総理が説明されまして、このような防衛力整備の努力は厳しい財政状況を勘案しつつ進めることとなるが、例えば五九中業においては継戦能力といったものについても改善が見られることとなると思うということを御発言になったわけでございます。  これに対しましてワインバーガー長官は、そのようなお話を伺って意を強くする、実は継戦能力の問題というのは各国で共通した問題であり、日本のみならずNATOでも大きな問題となっている、また来日直前に韓国を訪れたわけですけれども、ここでも継戦能力が重要な課題になっているということを説明したわけでございます。  これに次ぎまして総理から、もとより防衛力整備をいかに進めるかは日本が自主的に決めることであって、それは日本政府の問題である、しかしながら日米間には同盟関係があるわけで、今後とも日米の協力体制に遺憾なきを期していきたいということを指摘されて、この辺の議論を終わったわけでございます。
  46. 矢田部理

    ○矢田部理君 もう一度防衛庁に問題を戻しますが、防衛庁は、現在の継戦能力についてどんなふうにとらえているんでしょうか、それから今後の継戦能力をつけるというのはどういうことを意味し、考えておられるのか、説明をいただきたいと思います。
  47. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 継戦能力の一番中心になりますのは、言うまでもないわけでございますが、弾薬の備蓄の問題であろうかと思います。この点については、極めて微妙な問題でございますので、詳細は差し控えさせていただきますけれども、現状が必ずしも十分な水準にないというふうに私どもは認識をいたしております。  それから継戦能力といいますのは、要するに最後まで整々と戦闘を継続できるという能力であるという意味でございますから、ほかのいろんな機能もバランスをとって保たれていなければならないことは言うまでもないわけでございます。特に、最も密接に関連するということで申し上げますれば、例えば抗堪性の問題なんかもやはりそういうことになろうかと思います。そういう意味で基地の防空の火器の整備といったような問題もそれに関連はあろうかと思いますが、これも数年前から着手した状態でございまして、まだ十分な水準にまでいっているわけではございません。  したがいまして、そういった弾薬の備蓄でございますとか、抗堪性の向上といったようなこととか、いろんな問題につきまして私ども今後さらに改善を図るべき分野がかなり残されているという認識を持っておりまして、そういった点を今回の五九中業の長官指示の中では特に強調をして各幕僚監部にも指示をしたという経緯でございます。
  48. 矢田部理

    ○矢田部理君 通常、継戦能力というのは、弾薬とか燃料の備蓄量何日もつのかとかという議論として言われておりまして、日本の継戦能力は数日間だなどという指摘もあります。アメリカは二カ月ないし三カ月ぐらいはもつべしという非常に強い要請がかねてからあるとされているようでもありますが、その辺のところは非常にアメリカの日本に対する要請との間に距離があるというふうにまず承ってよろしいでしょうか。
  49. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) アメリカが我が自衛隊に対していろいろな期待といいますか、防衛努力の増強の期待を持っているということはかねて申し上げておりますが、具体的に個々に数字を挙げてこれをどうだこうだというふうに言っているということではございません。ただ、いろんな機会に、継戦能力でございますとか、抗堪性とか、あるいは即応能力といったようなものについてはこれは重要なファクターだと我々考えているというふうな意見は、もちろん彼らも言っております。  しかし、私どもは、アメリカ側から言われるまでもなく、私ども自身の防衛力のあり方といたしまして、真に有効な防衛力というものは、単に正面兵器をそろえるだけではなくて、そういった継戦能力なり、即応性、抗堪性といったような面にも十分配慮をされて、さらに後方支援態勢をしっかりしていくというものでなければならないというふうに考えておりますので、そういった努力を払っているところでございます。
  50. 矢田部理

    ○矢田部理君 アメリカの要求が非常にこの面でも強いということが言われているわけでありますが、私はこの要求に迎合することは大変また軍拡につながるという意味でも危険だというふうに思うわけでありますが、同時に、今いみじくも言われたように、継戦能力というのは単純に武器、弾薬の備蓄量というだけではなくて、もう少し広い意味でも使われているようにもとりわけ政治的には思われるわけでありますが、総理とワインバーガー長官との会談で話題になったこの継戦能力というのは、そういう広い意味で言っているんでしょうか。外務省。
  51. 山下新太郎

    ○政府委員(山下新太郎君) 総理がお考えになっておられる具体的内容、私、必ずしも詳細承知しているわけではございませんが、先ほど防衛局長から御説明があったような趣旨でおっしゃったのではないかと存じます。
  52. 矢田部理

    ○矢田部理君 そうなってきますと、この継戦能力というのはどの範囲までを総称して言うのか。例えば有事体制づくりということ、法制なども含めて、そういうことも含めてこの五九中業は考えていくということになるんでしょうか。
  53. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 今、先生おっしゃったようなふうに極めて広い概念で言っているわけではございませんで、いわゆる防衛力整備的な観点から、今回の中業の長官指示では「継戦能力等」という表現をしているわけでございまして、内容は何かと言われれば、継戦能力の中心はやはり弾薬の備蓄の問題であることは間違いございません。しかし、それに関連する分野もないわけではないということでございまして、強いて言えば抗堪性の向上の問題というようなものもその中に関連分野としては理解をしても差し支えないのではないかということを先ほど申し上げたわけでございます。要は、正面と後方のバランスのとれた防衛力の体制をつくっていくということが重要なポイントではないかというふうに私どもは理解をいたしております。
  54. 矢田部理

    ○矢田部理君 そうしますと、今度は別な言い方をすれば、有事法制などを念頭に置いた議論ではないというふうに承ってよろしいですか。
  55. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 有事法制の問題は別途の問題でございまして、ここで、五九中業の長官指示の中でそれを特に念頭に置いて出しているというものではございません。
  56. 矢田部理

    ○矢田部理君 五九中業の最後の質問になりますが、今後の作業手順。長官指示を出されたわけですが、どんな手順で作業を進め、かつ、いつごろ、どんな格好でまとめていくのかということを概略御説明ください。
  57. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 長官指示を受けまして、この方針に従って、まず各幕僚監部、統合幕僚会議でいろいろな具体的な検討をこれから開始するわけでございます。これがやはり数カ月はかかるだろうと思いますが、それがある程度煮詰まってまいりますと、そういうものを内局でも個別にヒアリングをいたしまして、意見交換をしながら逐次詰めていくというふうな作業になっていくかと思います。  その間におきまして、六十年度の概算要求の問題もありますし、それから暮れには予算編成そのものの本番も入ってくるわけでございますから、そういったことで、ある程度時期については仕事の波が出てまいります。そういう作業をずっと続けまして、来年に入りまして最終的な詰めの段階に入ると思います。  目標としては、これはできるだけ早い方がいいわけでございますが、前回の五六中業の例で申しますと、結果的には七月にでき上がるというふうになっておるわけでございます。五九中業の場合にそれが何月になるかはここでまだ、はっきりした決定をしておりませんので、具体的には申し上げられませんが、できるだけ早く仕事は進めたいというふうに考えております。
  58. 矢田部理

    ○矢田部理君 私は、五六中業がアメリカ側から問題にされて、言うならば最近の軍拡の大きな足場になったという経験にかんがみましても、やっぱり五九中業を次の軍拡の下地づくりというような位置づけでやってもらいたくないわけであります。特に、財政面から見ましても、一%枠は厳格に守っていただきたい。一説によれば、五六中業が十六兆前後だから二十兆超すのではないかというような見方をしている向きもあるわけでありまして、その点で長官として今後十分心してこの問題に対処をしていただきたいと思うわけであります。  次の質問に入ります。  航空自衛隊が採用しておるナイキの後継にパトリオットを導入することが内定したという報道がありますが、そのとおりでしょうか。
  59. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 航空自衛隊が保有しておりますナイキの部隊でございますが、これは約二十年前に導入された装備品でございまして、現在の航空技術の進歩に対応し切れなくなりつつあるということから、これの後継機種の選定をかねて進めておりました。五十九年度の概算要求の段階でもこれをどうするか検討をした経緯がございます。結果的には五十九年度の要求には盛り込むまでには至りませんでした。  ただ、その時点でも御説明を申し上げたことがあるわけでございますが、その候補機種としては一応二つがございまして、一つが、アメリカが既に実戦配備に移りつつあるペイトリオットという機種でございます。それからもう一つは、技術研究本部におきまして開発の検討をしておりますナイキフェニックスというものがございまして、この二つの機種の利害得失につきまして数年がかりで、外国調査も含めまして、詰めをしてきた経緯がございます。そういうことを踏まえました私どもの判断といたしましては、やはりペイトリオットの方が総合的に見て有力ではないかという判断を持つに至ったわけでございますが、昨年の段階ではまだ最終決定にまでは至っておりません。  したがいまして、六十年度の問題といたしましては、最終的な経費の問題の詰めとか運用構想とかいうことをさらにもう少し詳細に詰めまして、できれば概算要求に盛り込むことができるように仕事を進めたいというふうに今考えておりますけれども、まだ決定までは至っておりません。そこで、六十年度の業計の長官指示の中においても「検討し、所要の措置を講じる。」というふうな表現で指示を出している経緯がございます。
  60. 矢田部理

    ○矢田部理君 これはかねてから問題になっているわけでありますが、パトリオットかペイトリオットかよくわかりませんが、それとナイキフェニックス、これは両者が競争関係に立ってきたわけでありますが、この性能諸元の比較、それから値段の比較などを少しく説明していただけませんか。
  61. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) ペイトリオットからまず御説明いたしますと、これは米陸軍で開発をされた地対空誘導弾システムでございます。この中心にある一つの特徴は、レーダーが単一のレーダー機構でございまして、単一のレーダーで多機能を果たさせるというようなことがございます。それからもう一つは、地上のいわゆるコンピューターシステムを利用することを中心にしてございまして、そういう意味で誘導弾自体が極めて小型化されておるというふうな特徴がございます。全体として言いますと、機材を小型化、集約化しておりまして、機動性を向上さしているというふうなシステムでございまして、ミサイル部、レーダー装置、交戦統制装置等から構成をされております。これは米陸軍が既に保有しておりまして、一九八四年秋から欧州に配備される計画と聞いております。  それから他方ナイキフェニックスは、今後開発をしようとしておる計画の地対空誘導弾システムであったわけでございますが、中身を申し上げますと、既存のナイキJ弾、これと米国のフェニックス、空対空誘導弾の誘導制御部、これを組み合わせる、それによってミサイル部を構成したいというのが基本に一つございます。それから第二点は、レーダーについては、米国のF14用のFCSレーダー、それから多目標追尾レーダー、こういうものを別に備えて構成をしようということを中身としておりまして、それに射撃管制装置を加えていく、そういったような仕掛けになっております。したがって、ミサイルそのものは今までのナイキと同じ程度の大きさの非常に大きなものでありまして、それから全体の構成も、車両等も多数必要のようでございまして、かなり大型化しているというような特色があるようでございます。  その相違点をまとめて申し上げますと、一つは、今申し上げましたシステムの規模の問題でございまして、ナイキフェニックスが比較的大型のシステムであるのに対して、ペイトリオットは全体がコンパクトに構成されておるのが一つでございます。  それから第二点は、誘導方式も、先ほどちょっと触れましたように、違っておりまして、ペイトリオットの場合はTVMという、ミサイルを経由して地上のコンピューターと組み合わせて対処していくということを含んだいわゆる複合誘導方式、これをとっておるのに対しまして、ナイキフェニックスというのはセミアクティブ、それからアクティブレーダーホーミングというようなものを特徴とする複合誘導方式を用いております。  それから第三点は、レーダーでございます。ペイトリオットの場合は、分解能等にすぐれたフェーズドアレーレーダーというものを採用いたしております。それと、ナイキフェニックスの場合は、F14に搭載するレーダーと国産の三次元レーダーを組み合わせるというようなことで、構成に違いがございます。その性能の差といいますと、ペイトリオットの場合のレーダーというのは、単体では射界が百二十度というふうに一応限られておりますが、これは組み合わせをすることによって全局をカバーするという構想になっております。それに対してナイキフェニックスの場合は、今言った組み合わせのレーダーによりまして一応射界が全局だという特徴はございます。  そういったような全体の性能に基づきまして私どもが運用上の評価をした結論としては、総合的に見てやはりペイトリオットの方が有力であるというふうに今判断をしております。  それから経費の点は、まだ部隊配備の構想とか何かが詰まっておりませんので、具体的に申し上げ得る段階にはなっておりません。
  62. 矢田部理

    ○矢田部理君 従前、ナイキとホークの争いがあって、結果的にはナイキは航空自衛隊、ホークは陸上自衛隊が分有することになった。航空自衛隊のナイキは高空域防衛、それからホークは低い方という分担があったようでありますが、今度仮にパトリオットを採用すれば下から上まで全部カバーできるという性能を持つとされているんですが、今度はその辺の分担はどうなるんですか。特に、ホークについては既に改良ホークを後継に今年度予算で決定しているなどという経過もあるわけですが、その辺はどう考えられますか。
  63. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 航空自衛隊と陸上自衛隊とで、防空装備について今御指摘のような分担をしておるということは事実でございます。  基本的な今後の構想といたしましても、航空自衛隊がナイキの後継としての新しいSAMXによる防空機能を果たしていくということに変化はないわけでございますし、それから陸上自衛隊の方は五十九年度予算の段階で既に従来の改良ホーク改善型への換装で全部完了させたいという方向に方針を決めたわけでございますから、機種といたしましては、航空自衛隊と陸上自衛隊とはやはり別の機種で性能の違いのあるもので運用していく、こういう実態は変わりはないわけでございまして、したがいまして今のナイキの後継のものを航空自衛隊が運用し、それから改良ホークを陸上自衛隊が運用するという構想を特に変更する必要はないのではないかというふうに考えております。
  64. 矢田部理

    ○矢田部理君 パトリオットがいいなどと言うつもりは全くない。幾つか問題点を後で指摘をいたしますが、仮にパトリオットを採用すれば低いところから高空まで守備範囲になるということになると、低いのと高いのを分けてきた空、陸の争いあるいは分担は要らなくなるというふうに一般的には思われるんですが、こういうダブった形で依然として従来の争いをそのまま延長戦に持ち込むというのはいかがかというのが第一点であります。  同時に、パトリオットそのものについても幾つかの問題点が指摘されているわけです。例えば米陸軍の導入の責任者であったラッセル・マーレイという前国防次官補の発言でありますが、非常に割高で失敗作だったということで数点にわたって欠陥などを指摘しております。特に、値段の点から見てみますれば、一個群あたり千数百億円、六高射群日本は持っているわけでありますから、全体のナイキをこれにかえるということになりますと一兆数千億の巨費を投じなければならぬ。大変なことなんです。この点については、長官どういうふうにお考えになっていますか。
  65. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 第一点の問題は先ほど申し上げたようなことでございまして、やはり航空自衛隊としては、ナイキの果たしてきた機能をレベルアップしていくということを中心に考えているわけでございます。それと、陸上自衛隊の改良ホークによる低空域防空機能というものと、これが両々相まって日本の防空に万全を期していくということになっていくわけでございまして、陸上自衛隊の場合は、これもやはり後継機種の選定の段階では、候補として改良ホークだけじゃなくてペイトリオットも一応検討の対象にした経緯もございますけれども、しかしそれは全体としての防衛力整備の効率的な推進というようなこと、それから時期的に見て穴をあけるわけにもいかないという判断もございまして、陸は改良ホークに決定をした経緯がございます。したがって、これらを組み合わせて必要最小限の防衛力として構成をしていきたいというふうに私ども考えておりますので、陸、空の争いというような問題は現時点ではないというふうに私どもは考えております。  それから第二点の経費の問題でございますけれども、これはもちろん私どもが導入を決定するとすれば、幾らかかるかという点は厳密に調べましてむだのない買い方をしなければいけないということは当然でございます。いろんな記事等があったことは私ども承知しておりますけれども、私どもは私どもの独自の立場で十分な調査をして、この所要経費の詰めをしていくという所存でございます。
  66. 矢田部理

    ○矢田部理君 SAMX商戦ということで各企業や商社なども絡んでいろいろ動きもあったようでありますが、いずれにしても超大型の買い物になるわけです。F15やP3Cに比べてみても、金額だけだってはるかに高価なものになる。そういうことになりますれば、これは当然国防会議に諮ってしかるべきだと思うんですが、国防会議の方はこの問題をどういうふうに受け取っておられますか。
  67. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) 御存じのように、防衛予算を決定する前に、防衛力整備の主要項目というのを国防会議で決定をいたします。その中にパトリオットの整備というものは当然入ってくるというふうに考えております。
  68. 矢田部理

    ○矢田部理君 国防会議に諮ることの基準ですが、従来、F15の採用とか、機数をふやすテーマであるとか、これは逐一それが独自に国防会議にかかったような気がするんですが、この点はいかがですか。
  69. 伊藤圭一

    ○政府委員(伊藤圭一君) F15、P3Cは、それぞれ今申し上げました主要項目として国防会議の決定をするほかに、全体計画というものをやはり重要事項として決定をいたしております。その基準ということでございますけれども、これは事務的な決まった基準というものはないわけでございます。総理大臣が重要事項とお考えになった場合に国防会議で決定をしているということでございます。
  70. 矢田部理

    ○矢田部理君 防衛庁の方に伺いますが、パトリオットがまだ決定ではないが有力であるとか、内定しつつあるとかという位置づけなのかもしれませんが、これは六高射群あるわけです。全体にこれを入れるということになれば、これはとても単年度でできる内容じゃありませんね、一兆円以上、一兆数千億などという試算があるわけでありますから。そうすると、この全体計画などがあるのかどうか。あわせて、あるとすれば、それを国防会議にかける、これは国防会議がどう機能しているかということはまた一つ私ども意見がないわけではありませんが、そういう手順が必要なのではないかとも思われるのですが、いかがでしょうか。
  71. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) SAMX、つまりナイキ後継機種について先ほど申し上げたとおりでございまして、まだ決定をしておりません。したがって、全体計画というものがあるという段階でもございません。ただ、具体的な整備の段階になった場合にどういう手順を踏むべきかという御指摘かと思います。  ただいま国防会議事務局長からもお話ございましたように、主要な装備といたしまして毎年度の予算で幾つやるかという点については、そちらの方の基準に従って必要に応じて国防会議に付議される、こういうことになると思いますけれども、全体としてのものをどうするかという点は、これは国防会議との御相談という問題がございまして、私ども今この時点でどうこうするということを申し上げ得る状況ではございません。
  72. 矢田部理

    ○矢田部理君 これは長官、六十年度の概算要求を近々まとめて出さなきゃならぬという時期が来ようかと思うのでありますが、ここには出すんですか出さないんですか。
  73. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 先ほど申し上げましたように、これはまだ出すというふうに決めている状況ではございません。できればその要求に盛り込みたいという気持ちで努力をしてみようという、まだ途中の段階でございます。したがって、八月末の概算要求の提出の時期までには右左をきちっと決めなきゃいけないということでございます。
  74. 矢田部理

    ○矢田部理君 その段階までには全体計画も立てる、手順も当然考える、こういうことになりますか。一カ所だけやるという単年度方式ではなくて、長期計画になるわけでしょう、金額その他から見て。それはどうなんですか。
  75. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) まだ具体的にその詰めに入っておりませんから明確には申し上げられないわけでございますが、その判断の基礎としてある程度の見通しを私ども自身も持つということがやはり必要ではないかというふうには考えております。
  76. 矢田部理

    ○矢田部理君 非常に抵抗が強い兵器の採用ですから、いろいろ慎重な発言なのかもしれませんが、私は結論的にはこんなものは持つべきでないというふうに思いますが、それにしても、この値段は今どのくらいの試算というか、見込みになっているんですか。
  77. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 値段の点も、全体としてどういうふうな見通しを持つかということとか、あるいは中身の構成を、どういう機器でどんな数をセットするかというようなことを詰めませんとこれが出てきませんものですから、私ども今この時点で責任のある数字を申し上げるような準備がまだできていないというのが正直なところでございます。
  78. 矢田部理

    ○矢田部理君 厳格な数字あるいは価格を求めるつもりはありませんが、一千数百億、一千億以上というのは、そういうこととして受けとめておりましょうか。
  79. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 大変恐縮ですが、私も数字の点はちょっと責任を持って具体的なものをメンションするだけの自信が今の時点ではございません。
  80. 矢田部理

    ○矢田部理君 来年度予算にも組もう、あるいは概算要求をこの夏には出そうというときに、大づかみに、特に経理局長をやられた矢崎さんが全然雲をつかむようなことで問題を考えていることはないでしょう。おおよその見当はつけながら予算化への努力をしているのじゃありませんか。
  81. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) まさに経理局的に申し上げれば、概算要求を詰めるまでの間に、できる限り効率的最小限の費用でということを内局としても作業をしなきゃいけないものですから、やはりそういう作業を真剣にやった結果の数字を責任を持って申し上げるしかないのじゃないかというふうに思っておりますので、八月末の段階まで御容赦をいただければと思います。
  82. 矢田部理

    ○矢田部理君 お許しをするかしないかとかという問題じゃないんですが、とにかく全部そろえるということになれば兆単位の買い物になるという、これは日本の今後の五六中業あるいは五九中業の財政を考えるに当たっても大変なものなんです。しかも、アメリカ筋から指摘されている幾つかの欠陥もあると言われておる。そこら辺の検証も十分済んだかどうかもわからぬという段階で、財政負担を強いるような形は私は好ましくない、またこんなものを今すぐ求めなきゃならぬ必要性もそう強くはないというふうに思っておりますので、ひとつこの扱いは、僕は中上を求めるのが基本でありますが、少なくとも慎重にやってもらわなきゃ困るというふうに申し上げておきたいと思います。  それから次の質問に入ります。  リムパックについて伺いますが、これは外務省、リムパック84の概要について、まず御説明をいただきたいと思います。
  83. 山下新太郎

    政府委員(山下新太郎君) リムパックにつきまして、外務省といたしましては、このリムパック84、これはアメリカ海軍の第三艦隊を中心にいたしまして、一九七一年から行われているいわゆるリムパックシリーズの九回目の訓練であるというふうに理解いたしております。  行われます時期は五月十四日から来月二十八日までで、中部太平洋方面において実施されるものだと承知いたしております。  リムパックは、通常兵器による海上戦闘のほとんどすべての主要な局面における参加部隊の戦術技量の向上を目的として行われる訓練でございまして、海上自衛隊からは、護衛艦が五隻、P3Cを含む航空機が八機、これが参加すると承知している次第でございます。
  84. 矢田部理

    ○矢田部理君 ことしの特徴ですが、従前の規模との比較においては日本の参加は空前のものになるという報道もあるんですが、そのとおりでしょうか。
  85. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 今回参加いたしますのは、従前、護衛艦は三隻参加しておりましたが、今回は五隻ということで、いわばグループとしての最小単位まで膨らましたものになっておるということと、航空機が、これも従前と同じ八機でございますが、今回初めてP3Cが参加をするという点で違っております。
  86. 矢田部理

    ○矢田部理君 この経費はどのくらい見ておりますか。
  87. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) リムパック全般の経費というのはなかなかとらえにくいわけでございます。米側に支払う経費ということでお考えいただきたいと思うんですが、内容的には糧食費、油代、あるいは訓練の施設の使用費といったものを全部含めまして、総額で約十二億六千万ぐらいというように御理解いただきたいと思います。
  88. 矢田部理

    ○矢田部理君 米側に支払う経費というお話でしたが、それはそれとして、日本自身も参加する以上は経費がかかるわけだろうと思いますが、含めてどのくらいになりますか。
  89. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 日本が参加すると申しますのは、例えば人件費その他はそれぞれ給料で支払うということでございまして、油は当初自分で積んでいくもの以外は向こうで購入をするということになりますので、今申し上げた数字が我々一応リムパック経費として積み上げ得る経費ということになります。
  90. 矢田部理

    ○矢田部理君 幾らになるか、試算はできないですか。
  91. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 例えば実弾射撃をするといったようなことがございますが、これは通常の訓練経費の中にあるものですから、それを一々引き出すことが難しいということを申し上げているわけであります。
  92. 矢田部理

    ○矢田部理君 一々引き出すことは難しいと言ったって、出向いていくのに経費の試算ぐらいしなきゃ困るんですよ、砲弾一発だって相当の値段になるわけですから。
  93. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) たびたび同じことを申し上げるようになりますが、要するにリムパックという訓練独自ということで個別に計上してあるものが今申し上げたような数字になりまして、それ以外につきましては、例えば訓練用の弾薬費ということで一本になっておりますので、現在リムパックで使用する訓練用弾薬費が幾らになるかというような引き抜いた計算はしておらないということでございまして、その点については御容赦をいただきたいということでございます。
  94. 矢田部理

    ○矢田部理君 経費の試算は後でまた伺うことにしまして、これはアメリカがイニシアをとってやる、あるいは主催のもとにやるということになるから、合同演習の指揮権などもこれはアメリカが持ち、その差配下でやるということなんでしょうか。
  95. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) この演習全般の調整は第三艦隊の司令官がやるということになっておりまして、指揮はそれぞれの国の参加国の部隊の指揮官がとるということになっておりまして、我が方につきましては小西という第一護衛隊群の司令が日本の部隊の指揮をとるということで、各国間の関係は調整をするという関係になるわけでございます。
  96. 矢田部理

    ○矢田部理君 ことしのリムパックの特徴点、訓練の内容とか規模の点はさっき伺いましたが、これは何でしょうか。
  97. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) リムパックに我が方は数回参加いたしましたが、今回特に私どもは違っておると考えておりませんが、御案内のように、リムパックで行います訓練は、先ほど外務省の方からも御答弁ありましたけれども、各種の訓練の組み合わせ、連鎖によって形成されておるということで、例えば陸上あるいは海上における個々の艦艇なり航空機の訓練施設を用いた訓練から対抗戦形式の訓練までいろんな訓練、対抗戦形式の中の訓練も対水上艦、対航空機、対潜水艦といったような各種戦の訓練の組み合わせということでございますので、それ自体は従来のものと変わらないであろうというように思っております。  ただ、海上自衛隊がやる訓練ということになりますと、先ほど申し上げたように、従来は三隻の護衛艦の参加であったということで、ある場面、対潜作戦なら対潜作戦のある場面のパートを受け持つというような格好になりますが、今回の場合は、先ほど申し上げたように、五隻参加いたしますので、一つのグループとして、ユニットとして最小限の独自の戦闘行為ができるということで、より今までよりもハイレベルの訓練ができるのではないかというように考えております。
  98. 矢田部理

    ○矢田部理君 毎年問題になるわけでありますが、どうも私どもが見ておりますと、米軍の指揮のもとで、いつでも議論として問題になっております集団自衛権の行使をする、その事前演習といいますか、合同演習というふうなとらえ方をせざるを得ないわけでありますが、日本の防衛政策の上から見ても非常に問題が多い。とりわけ経費負担なども相当額かかるのであって、内容が明らかにされないというのもいかがかと思うわけでありますが、こんなものにはやっぱり参加すべきでないということを特に申し上げておきたいと思います。  あわせて外務省に、チームスピリット84というのが二月の初めから四月にかけて行われましたが、この概況について御説明をいただきましょう。
  99. 山下新太郎

    ○政府委員(山下新太郎君) チームスピリット84でございますが、これは二月の初めから四月の半ばまでの間で、韓国の領域を中心にいたしまして行われた米国、韓国の合同演習でございます。  その目的は、朝鮮半島における不測事態に対する米韓の合同防衛作戦を通じまして、指揮官、幕僚、さらには部隊を演練することであると聞いております。  この演習に参加しました兵員の規模でございますが、アメリカ陸軍、海軍及び海兵隊、さらにアメリカの空軍等がこれに参加しておりまして、これを合計いたしますと米軍は総計約六万でございます。さらにまた、韓国軍が十四万七千ほど参加しておりまして、したがいまして関係しました兵員数は総計二十万七千、こういうふうに承知いたしております。  以上でございます。
  100. 矢田部理

    ○矢田部理君 チームスピリット84に参加をした人数は、今の米軍六万を含めて実に二十万七千、空前の規模だというふうに言われております。NATOの演習でも大体十万前後、今どうしてこんな大演習が行われることになったのか、背景は何でしょうか。
  101. 山下新太郎

    ○政府委員(山下新太郎君) この演習は、申し上げるまでもなく、アメリカと韓国の間の演習でございまして、したがって、その詳しい背景等、私、必ずしも詳細を御説明し得る立場にないわけでございますが、御承知のように、この訓練はたしか一九七六年からであったかと思いますが、今回の演習は九回目の演習で、御指摘のとおり、規模は確かに過去の八回に比べますと二十万七千、先ほど申し上げましたとおり、去年に比べましても多いわけでございます。去年の場合におきましても、十九万二千の兵員が関係いたしております。ただ、ことしの二十万七千と申しましても、米軍の参加人員は昨年に比べますと減少しているというのが実態でございます。
  102. 矢田部理

    ○矢田部理君 チームスピリット84の特徴点は、どんなふうにとらえておられますか。
  103. 山下新太郎

    ○政府委員(山下新太郎君) 例えば昨年と比較いたしますと、公表されている説明等によります限りにおきましては、主に戦闘即応態勢の向上、あるいはまた朝鮮半島において予測され得る突発事態に対処する米韓軍の展開、受け入れ、さらには部隊の運用を演練するということにございまして、大きな差があるとは思われないわけでございます。ただ、一つちょっと昨年になかったと思われますのは、エア・ランド・バトル・ドクトリンというものの適用の改善を図るといったようなことが今回の発表の中に実は出ております。この点が、言うなれば昨年と比べますと相違点ではなかろうか、こう思います。
  104. 矢田部理

    ○矢田部理君 その改善を図る中身は具体的にどういうことですか。
  105. 山下新太郎

    ○政府委員(山下新太郎君) エア・ランド・バトル・ドクトリンと申しますのは、私どもが聞いております範囲では、アメリカ陸軍の新しいドクトリンのようでございまして、空と地が一体となって敵の縦深に対する反撃を重視する戦闘にかかわるドクトリンということだそうでございます。
  106. 矢田部理

    ○矢田部理君 いろんな話を総合してみますと、昨年型までとことしはかなり大きな違いがある。特徴点が出てきております。昨年までがどちらかというと、防衛型というのは少しく特徴的に言い過ぎているのかもしれませんが、防衛型であったのに対して、ことしは攻撃型の防衛戦略に転換をしたという指摘がなされております、アクティブディフェンスという議論でありますが。それからもう一つは、昨年までは朝鮮民主主義人民共和国をねらった演習であったのに、ことしは対ソ戦も含む演習になっている。対ソ型をつけ加えておるということなどが指摘をされているわけでありますが、その点いかがですか。
  107. 山下新太郎

    ○政府委員(山下新太郎君) 私どもがアメリカ側等から受けている説明では、そのような事実はございません。
  108. 矢田部理

    ○矢田部理君 少し勉強不足じゃありませんか。韓国の参謀総長自身が、これまでの防御的な作戦概念から攻撃的作戦概念に切りかえる、戦争初期に敵の心臓部を空中攻撃でたたく、演習の重点は報復戦略に置くというようなことを具体的に談話として発表しているのでありまして、まさに攻撃型そのものじゃありませんか。
  109. 山下新太郎

    ○政府委員(山下新太郎君) 先ほど御説明いたしましたこのチームスピリット84の演習の目的から見まして、朝鮮半島における不測事態を想定し、米韓両軍が合同で韓国を防衛するためのいろいろな活動を訓練するということにその目的が設定されているものと理解している次第でございまして、それ以上のことは承知していない次第でございます。
  110. 矢田部理

    ○矢田部理君 日本も相当これにはかかわっているわけですから、それ以上は聞いていないとか知らないとかというのは少しく怠慢じゃありませんか。こういうことは注目しておく必要があるのじゃありませんか。韓国がどういう発表したのか、どういうねらいでこれをやろうとしているのかというようなことを、公然と記者会見でやっておるし、それから米韓連合軍司令部スポークスマンも記者会見などで公表している内容でありますが、御存じありませんか。
  111. 山下新太郎

    ○政府委員(山下新太郎君) 先ほど申し上げましたとおり、私自身承知していない次第でございます。
  112. 矢田部理

    ○矢田部理君 承知していない相手に議論してもしようがない。  在日米軍基地は、どんなふうにこのチームスピリット84では使われたでしょうか。
  113. 山下新太郎

    ○政府委員(山下新太郎君) 今、先生御指摘の点は、たしか在日米軍の施設区域がどのように使われたかということだと思いますが、私どもが知っております限りにおきましては、今回の演習に参加するアメリカ本土及び太平洋地域の米軍の部隊の一部の航空機が日本を通過したことはあるというふうに承知いたしております。
  114. 矢田部理

    ○矢田部理君 航空機の一部が日本を通過したことがある程度の話じゃないでしょう。幾つも具体的な事例が指摘をされているじゃありませんか。
  115. 山下新太郎

    ○政府委員(山下新太郎君) さらにまた、今回の演習に在日米軍の一部が参加いたしておりまして、それについてちょっと御説明申し上げますと、日本におります陸軍、これは参加いたしておりません。  それから海兵隊でございますが、これは第三海兵両用戦部隊、沖縄におりますもの、それから第三海兵師団、これも沖縄でございますが、さらに第一海兵航空団、沖縄及び岩国にありますもの、これらが、人数にいたしますと約八千五百でございますけれども、参加いたしております。  それから空軍の関係でございますが、第一八戦術戦闘航空団、これは沖縄でございますが、これが約四十機ほど参加いたしております。  それから海軍の関係でございますが、揚陸指揮艦ブルーリッジ及び両用戦用貨物輸送艦セントルイス、この二艦が参加いたしております。
  116. 矢田部理

    ○矢田部理君 そのほかにもいろいろありますが、例えば関釜フェリーで軍用トラックや消防車、機材などがどんどん岩国を中継して運び込まれる。米韓合同演習でありながら、日本の基地がフルに使われている。在日米軍が海兵隊を主力にして相当数、これは一万五千と私の数字にありますが、参加をしている。まさに米日韓一体の軍事演習の観を呈しているというふうにすら指摘してもそう間違いではないほど日本が参加をしているというか、基地その他が利用され、在日米軍基地が動いているということを指摘しておきたいと思うのであります。  その中で、日本の自衛隊とのかかわりを少しくお聞きしたいと思うのでありますが、過去に参観というような名目でこれに出向いていった防衛庁の幹部なり自衛隊員はありませんか。
  117. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) チームスピリットに防衛庁から視察なりあるいは見学で派遣をしたということはございません。  なお、念のために申し上げますが、在韓の防衛駐在官というのがおりますが、これが在韓武官団の一員として韓国国防部の招待を受けて参観をしたということはあるようでございます。
  118. 矢田部理

    ○矢田部理君 この時期というのは、二月から大体四月にかけて例年行われている演習でありますが、自衛隊の幹部が何名か韓国に出向いていっておるわけであります。例えば八二年の二月から四月にかけて空将補など何名か、それから八三年は陸将など、この人たちはチームスピリットに参加をしたというのか、参観をしたというのか、そこは評価の違いがあるかもしれませんが、視察をしたというようなことはありませんか。
  119. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 突然のお尋ねで、細かいことを私も覚えていないんですが、八三年の陸将というのは防衛大学校の幹事でございまして、韓国の陸軍士官学校とかそういったところに、ちょうどチームスピリットの最中でございましたけれども、行ったということですが、チームスピリット演習の参観といいますか、見学等はいたしておりません。
  120. 矢田部理

    ○矢田部理君 ことしはこの時期、どなたか防衛庁から行っているということはありませんか。
  121. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 私も細部は記憶しておりませんが、たしかシビリアンですが、防衛大学校の先生が委託を受けて、ある学会の関係で講義といいますか、シンポジウムのようなものに参加したというような記憶がございます。
  122. 矢田部理

    ○矢田部理君 韓国内の日程を逐一把握はしておりませんが、過去の事例に即して言いますれば、いずれもこの時期に軍事事情視察ということで行っているわけです。二月から四月にかけての韓国の軍事事情の最大のポイントは、チームスピリットの合同演習なんです。したがって、この視察を兼ねているという指摘がもっぱらなのでありますが、こういうことはあってはならないし、特に在日米軍基地がこんなに大規模に、大々的に使われているということを防衛庁としてもあるいは日本の外務省としても厳しく見詰めてもらわないと、日米韓の三国軍事体制の強化が言われているわけでありますから、その点はぜひ注意をしていただきたいというふうに防衛庁及び外務省に特にお願いをしておきたいと思います。  同時に、長官、この間アメリカの国防長官ワインバーガー氏が来られたときに対ソ脅威論で一致した、これを国民に今後大々的に言わなきゃならぬというような談話があるわけでありますが、これも率直に言うといかがかと思うんです。長官の言われたのは少し限定がないんです。防衛庁の今までの受けとめ方にも私は幾つかの問題点と疑問を持っておりますが、少なくとも防衛庁が今まで言ってきた脅威論というのは潜在的脅威論を言ってきたのであって、意思については不明、ところが、そういう括弧づきでない対ソ脅威論をワインバーガー氏との間で話題にされて、それを国民の間に宣伝しよう、よく教えなきゃならぬというような話は少しはねてはせぬか、もう少し問題の理解が正確でないのではないか。今アジアにおいて非常に大事なのは、軍拡や大々的な合同演習や日本の軍備増大ではなくて、とりわけシビリアンとしての長官はどうやって平和をつくっていくのか、緊張の緩和をしていくのか、朝鮮についてはもう少し後でいろんな議論をさせていただきたいと思いますが、そういうやっぱり政治的な含みを持った対応をしてもらわないと、いたずらに危機をあおる、緊張を激化するということでは困るわけでありまして、一言ちょっとお話をいただきたいと思います。
  123. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 新聞等の報道を通じて、そういう御質問があろうかと思います。  実は、ワインバーガー長官と私との会談内容というのは、ワインバーガーさんはアメリカのソ連に対する脅威というやつをずっと言われました。それは特に目新しいことを言ったとは私思いません。従来からのものを強調されたものと思います。ただ、私がこのワインバーガーさんの対ソ脅威論なるものに対してある程度の評価をしたというのはどういうことか。その論理、説得といいますか、そういう点について私は評価をしたんです。  どうして私が評価したかというと、ワインバーガーさんの説明は、一九六〇年代からソ連が軍備の増強をし始めてきた、一九七〇年代はアメリカの方はこのままやっていっちゃいけないからこちらの方が少しセーブしようというので、七〇年代は平均して二〇%軍備を削減した、様子を見ていたけれども一向にこれに応ずるような気配がない、むしろどんどん軍備を増強している、そして現在においては御案内のような状況であるし、特に極東ソ連軍の増強は非常に目覚ましいものがある、こういう話です。  しかも、ワインバーガーさんは、米議会において国防費が多過ぎるじゃないか、削れというようなことをいろいろ言われておる。だけれども、それじゃどこを落としていくのかというと議会の方はノーアンサーだ。民主主義、自由主義の国では議会がコントロールできる。ところが、ソ連のような国においてはそういう民主的なコントロールというのはない、だから増強しようと思えば幾らでも増強できるのだ。こういう点を考えてみると、我々としては現状を見ると非常に心配だ、そういう御説明があったから、私は、一つはアメリカも軍縮の努力をした、いま一つは自由主義諸国と共産主義国との体制の違いについて強調をされたから、それは今までと比べてみて私にとっては説得力があるということで御評価いたしましょうという話をしたわけです。  ただ、これは少し長くなりますけれども、非常に重要なことですからお聞きいただきたいと思いますが、私は、あなたの方の考えておる、あなたの国民が考えておるソ連脅威論と日本の国民がソ連に対して持っているものとは違うんです。あなたのところでは、ベトナムにしても、あるいは韓国にしても、あるいは最近ではレバノンにしても血を流している、金も使っている。グローバルな意味でアメリカは絶えずソ連というものを意識している。だから、そういう意味でグローバルで見、なおかつ血も流しているし金も出しているから、あなたの国民はソ連の脅威ということについて非常に強い関心を持っている。こういうふうに思うけれども、我が国の国民はおたくのような感覚じゃございません。それは、北方四島は占拠されておる、それからシベリア抑留等の問題もあるけれども、全体的に戦後平和に来ておるということであって、ソ連に対する問題については、おたくの方々の持っているのとこちらは違いますよと。  私は、いろいろ防衛哲学を言ったわけですが、その一つは、国会でもいろいろ議論があって、防衛庁長官は戦争のことばかり考えるな、政治家として平和を考えないのか、軍縮を考えないのか、こういう質問があって、私は政治家としては平和の問題に真剣に取り組まなければいかぬ、核の廃絶、こういう問題についても真剣に取り組まなければならぬ。ただ、私が政治家としていろいろ考えてみる場合に、この体制の違いというやつが非常に困る。自由主義の国では自由に物が言える、自由に行動できる、したがって軍縮をしろとか核を廃絶しろということが声を高くして言える。ところが、全体主義、共産主義の国ではなかなかそういう声は民衆の中から表面立って出てこない。全世界の国民がそういうことで声を合わせてくれればいいけれども、それが出てこないところに一つの大きな問題がある。  そういう意味で、私は隣国にあるソ連というものが共産主義、全体主義の国であって、どういうことを考えておられるのかよくわからない。もう一つは、現実に軍備というものが極東において行われているということを見ると、これはそういう実態というものについて我々は正確に把握をしていかなきゃならぬ。したがって、防衛庁長官でなくて政治家栗原祐幸としては、そういう認識を国民の皆さんにわかってもらう努力をすべきである。  それで、潜在的、顕在的ということがありましたけれども、これは国会討論会でも言いましたけれども、ソ連が今すぐにどうこうというようなことはアメリカも考えていないと思うんです、すぐあしたからというのは。そういう意味合いでは今までどおり潜在的脅威ということでございますので、この点は御理解いただきたいと思います。
  124. 矢田部理

    ○矢田部理君 アジアにおける米ソ双方の軍事力増強、これはお互いに対抗関係でやっているわけですから、ソビエトについて指摘をするときにはアメリカのトマホークの配備は一体どうなのか、日本海まで入り込んだ軍事演習はいかがなのかということなども含めて考えていきませんと、とりわけ長官ともなればその発言の重み、響きが大きいだけに、慎重を期していただきたいし、その発言自体が緊張をあおったり軍拡の足場にされたりすることについては厳に注意をしなければならぬということだけ申し上げて、いろいろ私も言いたいことがありますが、次の質問に入ります。  そこで、やっぱり朝鮮問題のポイントは、今各国が注目をしているわけですが、レーガンが中国に出向く、それから胡耀邦が共和国に出向く、金日成主席がソビエトヘ行く、非常に朝鮮政策が重大な転機に来ていると私は受けとめているんです。三者会談の問題なども提起をされている。そこで、日本としてもどうやって朝鮮半島の緊張緩和のために、これは当事者間の問題が一番ポイントではあるにしても、環境づくりその他に役立っていくのかというのが非常に大事な時期でありますから、そういう時期に、チームスピリット84とか大規模な演習をやられるということは、これは大変刺激的なんです。  同時に、もう一つ外務省に言っておきたいのは、全斗煥大統領が日本に九月ごろに出向いてくる、お招きするという向きの話があるようでありますが、それは内定しているんですか。
  125. 有馬龍夫

    ○政府委員(有馬龍夫君) お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、全斗煥大統領に対します招請は去年一月に中曽根総理が訪韓されました際に発出されたものでございますけれども、その後、日程につきましてはまだ具体的に何も決まっていないということでございます。
  126. 矢田部理

    ○矢田部理君 一両日前のどこかの新聞でしたか、安倍外務大臣が近々出向いていく、その際に、正式に九月いかがか、国会の関係とか総裁再選戦略とのかかわりで一番時期が九月がよろしいというようなことでほぼ九月論で固まりつつある、その向きで向こうに求めるというような話が流れているんですが、そういうことはありませんか。
  127. 有馬龍夫

    ○政府委員(有馬龍夫君) まだ、そのようなことは何も決まっておりませんです。
  128. 矢田部理

    ○矢田部理君 朝鮮問題について、これは外務委員会じゃありませんから、余り本格的な論議はできませんし、時間もありませんが、ただ、かつての歴史を振り返ってみますれば、長期間にわたって朝鮮の植民地支配をやってきた。その後、南とだけ条約を結んで、いわばある種の清算をした。しかし、全体としては歴史の清算が行われていない。そういう中にあって、北を敵視し、南とだけむつむ。全斗煥政権については、光州事件その他の忌まわしい問題もあります。在日韓国人の政治犯の問題も幾つかとげとして残っているわけであります。こういう問題をきちっと整理をせずして招請を急ぐようなことはないように私は指摘をしておきたい。  あわせて、先ほどから申し上げておりますように、アジアにおける外交のポイントが、単に日本や中国、関係国だけでなく、アメリカなども含めて非常に大きなポイントになっているし、転機に来ている。三者会談などの提案も、もともとアメリカからやられたという説もあるし、共和国が正式に提案をしているというような状況から考えますると、やはりここで緊張緩和あるいは南北対話というか、対話を促進といいますか、朝鮮の絶対的な統一の問題、平和の課題を真剣に日本としても考えるべき時期に来ているので、そこら辺を心して対処してほしいということを特に申し上げておきたいんですが、いかがですか。
  129. 有馬龍夫

    ○政府委員(有馬龍夫君) 日本政府といたしましては、繰り返し、いろいろな場面で申してまいっておりますとおり、朝鮮半島における緊張の緩和を願っているわけでありまして、それを具体的にしてまいりますためには、まず南北との間で話し合いがなされなければならないというふうに考えております。そして、そのような話し合い、対話の雰囲気が醸成されるような方向に我が国としてもできる努力はしてまいりたいということでございます。
  130. 矢田部理

    ○矢田部理君 時間がなくなりましたので、残された問題が幾つかありますが、簡単に施設庁に伺いたいと思いますが、日米防衛首脳会談ですか、栗原長官との会談の中でも再度ワインバーガー氏から要請があったようでありますが、三宅島の飛行場、離発着訓練滑走路の問題、これは今どうなっていますか。
  131. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) この点につきましては、従来から、五十八年度の調査費のつきました時点から私ども三つの項目で調査をしておりますということを申し上げてまいりました。  つまり、既存の飛行場でこの問題の解決を図りたいという第一の項目、第二に、関東及びその周辺で新しい飛行場の新設ということを当たってみたい、それから第三には、これは資料の収集にとどめておりますけれども、浮体構造物といったようなことで資料の収集をしてみたいというふうなことでやってまいりますということを申し上げてまいりましたが、現在の時点におきましても、五十九年度また調査費をいただきまして、引き続きその三項目で調査を続けておるという状況でございます。
  132. 矢田部理

    ○矢田部理君 一時期、三宅島からの要請などもあって、最有力地としてクローズアップされたわけでありますが、その後やはり村を挙げてというか、島を挙げて反対に回ってきているわけです。代表の方も施設庁を訪れて反対だ、こう言ってきておるわけでありますが、ひとつ、ここできちっとしておきたいと思いますのは、私どもの地元の百里なども候補地の一つに上がっておりますが、当該自治体とか住民の同意なしにやらない、少なくともそこは無理をしない、こういうことを施設庁としてきちっと確立をしておく必要があるのじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  133. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) これは三宅島に限らず、百里に限らず、すべてどこでもそうだと思いますけれども、この種の問題は、いずれにしましても地元の御協力、御理解をいただかなければ実現の困難な問題でございまして、私どもはどこにお願いするにしましても、地元の御理解をいただくために最善の努力をした上でお願いをするようにしたいというふうに考えております。
  134. 矢田部理

    ○矢田部理君 理解なしにやれないということはそのとおりですが、同時に、理解なしにやらないということと同意なしにやらない、最善の努力をしてやりたいというのじゃなくて、同意がなければやらないということをきちっと約束したらどうですか。そうでないと、いつまでもある問題にこだわり過ぎちゃって、到底三宅島などは同意する見込みないですよ、今の状況は。八割方の住民が少なくとも反対、村の議会の構成も変わっておる、挙げて反対をしているという状況にあります。そういう点で、理解を得る努力ではなくて、基本的に住民と自治体の理解、同意がなければやらないということはきちっとした方がいいのじゃありませんか。
  135. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 私ども、夜間発着訓練という問題はパイロットの練度維持というだけじゃなくて、日米安保体制の有効的な運用という点からいっても大事なことだと思っております。ぜひ、この問題を解決しなければいけないという立場にあります。一方、厚木の現状というものが御承知のような状況でございまして、これまた、ぜひ問題を解決しなければいけないという立場にありますので、何とかしてこの問題を解決したいというふうに考えております。  ただ、その場合に、先ほど申し上げましたように、いかなる解決策をとるにしましても、地元の御理解、御協力がなければできない問題でございますので、私ども今言えますことは、どこにお願いするにしましても全力を挙げてこの問題の解決に努力をしたいということでございます。
  136. 矢田部理

    ○矢田部理君 一点だけですが、海上滑走路案というのがさっき第三案にありました。これはどの程度進んでいるんですか。
  137. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) これは、最初に申し上げましたように、資料の収集ということを主体としてやっております。  これはいきさつをちょっと申し上げますと、そもそも厚木の地元の周辺市町村の方からこの案を取り上げてもらいたいという要請がありまして、第三のテーマとして取り上げたわけでございますが、率直に申し上げまして、こういう実例が世界じゅうにまだないわけです。したがいまして、これはよほど慎重にやらないと、技術的な問題にしましても、でき上がった後の運用の問題にしましても、あるいは経費の問題にしましても、前例がないことでございますので、私どもとしましては、現時点ではこれは資料の収集に努めて我々の勉強の資料にしたいというふうに考えておりまして、そういった点では若干の資料等の収集をしておりますが、御承知のように前例のない問題でございますので、必ずしも十分な資料の収集ができておるというわけでもございません。第三のテーマとして掲げておりまして、引き続きそういった我々の勉強のための資料の収集はしていきたい。ただ、具体的に、この問題を浮体構造物という方向で進んでいこうというふうな決心をするような段階には至っておりません。
  138. 矢田部理

    ○矢田部理君 あと一問で終わります。  最後になりますが、防衛庁に。  日米防衛首脳会議みたいなもの、長官がアメリカに出向いていって、アメリカの国防長官と会談をするというようなことが近々予定をされているかどうか。それから事務レベル協議といいますか、ハワイ協議とも一般的に言われておりますが、これが六月後半ぐらいに開く予定、去年開かれませんでした関係もあるのかもしれませんが、という報道などもありますが、それは事実かどうか。それから開かれるとすれば、その議題はどんなことを考えておられるか。それから最後になりますが、私の注文でありますが、この種の会談なり会議なりが開かれますと、必ずアメリカからいろいろな注文がついてくるわけです。それがまた日本の軍拡や軍事予算にいろいろな響きを持ってくる。特に、安受け合いをしたり、問題に対する備えが不十分なために大変押し込まれるというようなことが間々過去の経験からいってもありますので、対応については非常に慎重にやってほしい。うかつに乗ったり、はしゃいだりしないようにしてほしいということを特に注意しておきたいと思いますが、この二つの会談なり会議の今後の予定等についてお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
  139. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 私から二番目の事務レベル協議の問題について申し上げたいと思います。  事務レベル協議は、原則的には年一回開きたいということでかねてやっておりましたので、それが昨年は諸般の都合で結局できなくて流れておるものですから、ぜひ早急にことしはやりたいという気持ちで日米両事務当局がいることは事実でございます。ただ、今いつやるかということはまだ決まっておりません。  したがいまして、その議題と申しましても、これは事務レベルの性格そのものが事務当局間のフリートーキングの意見交換の場だということでございますから、特に今特定の議題を考えておるわけではございません。ただ、ただいま先生からも御指摘ございましたように、自由な意見交換と申しましても、我が国は我が国の自主的な判断に立って防衛力の整備を行っていくという基本原則がございますから、そういう立場に立ちまして米側の意見は意見として聞きますけれども、そこは私どもの基本線を踏まえて整々と対応をしていきたいというふうに考えております。
  140. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 日米の首脳会談、今度は向こうでというお話でございますが、この間ワインバーガー長官が来られたときに私に一番最初に向こうから言われたのは、いつでも結構でございます、栗原長官の都合のいいときにお会いをいたしたい、こういうお話でございました。それで、新聞なんかによるとちょっとニュアンスが違っているようでございますが、常識といたしまして、これからの国会どうなるかわかりませんが、国会の開会中はやはり考えなきゃいかぬじゃないか。考えなきゃならぬというのは、向こうへ行くということについて積極的であるべきではない、こういうふうに考えております。  ただ、御指摘の、俗に言えば向こうにやられるな、しっかりやれよというお話でございますが、この間も、ワインバーガーさんとの話の中では率直に、おたくの方の考えていることと私の方の考えていることに段差があるんです、例えば国民の認識の中に、だから日本の国民の理解を得ることなしに防衛力というものはなかなか整備できないのだということを申し上げたわけです。ただ、基本的には、私どもは自分の国は自分で守る、そのために最大の努力をする、アメリカに日米安保で支援してもらうけれども、自分でできることは自分でやるのだ、憲法の許す範囲内で最大限の努力をする、その、定見だけは持って、その上で自主的に判断をしていくというのが私の基本でございますので、せっかくの御注意でございますので、さらに心を引き締めてそういう場合には対応いたしたい、こう考えております。
  141. 矢田部理

    ○矢田部理君 まことに申しわけありませんが、一分ぐらいです。  外務省にせっかく来ていただいておりますので追加したいと思うんですが、ホルムズ海峡でタンカーが盛んに今攻撃をされている。この状況が一体どうなっているのか、見通し、それから日本に対する響きなどについて一言だけ伺って、終わります。
  142. 英正道

    ○説明員(英正道君) 一言。  三月からタンカー攻撃が始まっておりまして、初めカーグ島に出入りするタンカーの攻撃だったのですが、この数日、そうでないサウジ等からのタンカーにも攻撃が及んでおります。大変憂慮しておりますけれども、とにかく情報の入手に努めているところでございますけれども、日本のタンカーは今のところカーグ島の方には就航していないということでございます。
  143. 高平公友

    ○委員長(高平公友君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時七分休憩      ―――――・―――――    午後一時二分開会
  144. 高平公友

    ○委員長(高平公友君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  145. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、午前中に引き続きまして、防衛問題につきまして若干の質問をさせていただきます。  先ほど、同僚委員から五九中業の案の作成にっきましての長官の基本的な認識について質問もありましたので、これを省くわけでございますが、長官の指示の中におきまして、やはり私どもとして確認をしておかなきゃならない問題は、先ほど同僚委員からも質問がございましたけれども、防衛費のGNP一%の枠の遵守の問題、これにつきましては今回は言及をされていないということでございます。それについて、いろいろとお話もございましたけれども、私どもとしましても、やはり国会などで総理、長官が確約をされていますところのGNPの一%枠につきましてそれを守り抜いていくという姿勢から考えますと非常に不適当ではなかったか、このように思いますので、その点、再度御答弁いただきたいと思うんです。
  146. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 先ほども申し上げましたとおり、昭和五十一年におきます三木内閣の防衛費に関する閣議決定の方針を守っていく、そのことは総理も言っておりますし、私もそういうことで来ておるわけでございますが、今度の長官指示を出す場合に、そのことは念頭にございますけれども、やはり五九中業というのは防衛計画の大綱水準を達成する、そういう強い決意でいくという指示を出しましたので、その線にのっとって作業を進める、最終段階でどういう判断をするか、どういう決定をするかという場合に、またこの防衛費の問題、これが来るということは当然でございますけれども、長官指示を出した現在において、そこまでぴしゃっとこういうことでいけということをすることは適当でない、こういうふうに考えております。
  147. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 長官は、五月八日の閣議後の記者会見で、長官指示は直接一%問題を念頭に置いているわけではない、五十一年の閣議決定の方針を守っていくが五九中業と直接結びつけて考えているわけではない、こういう発言をされているわけですが、三月二十九日の衆議院予算委員会における長官の答弁では、五九中業をもし出す場合に三木内閣のときの閣議決定の防衛費に関する方針が念頭にないということはあり得ない、こういう発言をされているんですが、その点と矛盾をするのじゃないか、このように思うんですが、この点どうでしょうか。
  148. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 先ほども、またただいまも申し上げましたとおり、三木内閣の閣議決定の方針というのは絶えず私の念頭にある、そういう意味でこれは一つのまくら言葉としてずっと言ってきていることでございます。ですから、そういう意味合いでは矛盾をしていない、こういうふうに私は考えております。
  149. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 仮に長官の指示が、これは五九中業に対するもので五九中業そのものではない、また統幕議長及び三幕僚長に対する指示であるからこれは単に政府側の要望を知るためのものにすぎない、そう考えてこのGNP一%枠閣議決定にこだわらない、こうした場合は多少問題があるのじゃないかと思うんです。案の作成の段階といえども閣議の決定事項というものを厳守するのは当然行政機関として基本的な条件なんじゃないかと思うんですけれども、長官はそう考えていないのかどうか、その点ちょっと私も疑問に思うわけですけれども。そういう考え方を推し進めてまいりますと、五九中業自体これは単なる防衛庁内部の概算要求の際の参考資料なんですから、これがどのような大規模な経費がかかり、必然的にGNP一%枠を越さざるを得ない、そういう規模になったとしてもそれは構わないということになりやしないか、その点心配するわけですが、そうでないと言うならば、この案の段階からきちんとやはり一%の枠を守っていくのだということの指示をすべきじゃなかったかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  150. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 再三申し上げておりますとおり、最後のまとめの段階でどうするか、そういう政治的な問題になろうかと思います。したがいまして、先ほど来申し上げているとおり、防衛計画の大綱水準を達成する、それを期するということで作業は作業として進めてもらう、それでいいのではないか、こう考えております。
  151. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その長官の考え方もわからないわけじゃないんですけれども、やはり私どもの心配しますのは、このままで置きますと、いろいろと検討を進めていく中で防衛の問題についてこれは必要であるというものにつきましては歯どめなくリストアップされる、そういうおそれが出てくるわけです。そして一方では、そのようなリストアップをさせながら、決定する際には我が国の政策上の歯どめであるそういう一%の枠、これを経費面からかけるという方法をやっていこう、それは大丈夫だとおっしゃるわけですけれども、そうしますと、それをいろいろと検討される側にとりましては、これはいつまでたってもふんまんがわだかまるような感じがするわけです。  一方では、国防上の必要からおまえさんたちいろいろ考えなさいよということで出しておきながら、またそれが出された段階でこういう枠があるのだということでそれが削られていくということではいろんな面の不満というものはたまってくるのじゃないか、そういうおそれがあるわけです、私たちとしましては。ですから、そういうことでいつもいろんな内部的にも不満がたまっている、必要なものをそろえてくれなければ防衛に責任が持てないとか、あるいは防衛戦略を無視した政策自体に対する反発とか、そういう空気というものが出てくることになりますと、これはシビリアンコントロール上ゆゆしい事態にならざるを得ない、このように私たちは思うわけですけれども、その点どうでしょうか。
  152. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) シビリアンコントロールというのは、第一義的には防衛庁、自衛隊を預かっておりまする私の責任でございます。したがいまして、私と防衛庁の制服組あるいは背広組含めまして、その問に信頼関係がなければこれはいかぬわけでございます。大変口幅ったい言い分で恐縮でございますが、私はまあまあ制服組にいたしましても背広組にいたしましても私と一体となって防衛政策を考えていこうというふうになっていると思います。最終的な決断はシビリアンコントロールすべき私でございますので、御指摘の点は頭の中に置きながら私の責任で対処してまいりたい、こう考えております。
  153. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 長官の政治家としての発言につきましては私ども敬意を表するわけですけれども、これができますのは来年ですね。来年、長官はいらっしゃることになるんでしょうかどうか、その辺はちょっと私わかりませんけれども、それはやはり代々の防衛庁長官にそのことはきちんと引き継がれていかなければならない問題じゃないかと思うんです。  その点で、どうでしょうか、長官としてはきちんとその点は引き継いでいくのだ、そして一%の枠についてはきちっと守り抜いていくのだ、こういう決意は表明できますか。
  154. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 私の決意、私の方針というものにつきましてはこれは内閣の方針ですから、内閣の方針というものは、次の長官がどなたになろうともこれは引き継いでいくべきものでございます。そういう意味合いで私もコメントをいたしたいと思います。
  155. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これはそういういろんな意味から考えまして提案なんですけれども、先ほど制服組とおっしゃいましたけれども、そういう皆さん方から案が出された段階で、国会にこういうものだということは提出できますでしょうか。
  156. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 五九中業、先ほどもちょっとお話し申し上げましたが、これから約一カ年かけて作成をするわけでございます。それができ上がりますと、五六中業の場合もそうでございましたが、国防会議に御報告をして御了承を得るということになるのではないか、こう思っております。そういたしますれば、その内容はもちろん必要に応じまして国会において御説明することは十分できるわけでございまして、五六中業についても同様に御説明してきたことでございますから、でき上がりました五九中業は国会にも私どもは御説明申し上げるつもりでおるわけでございます。
  157. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私の申し上げましたのは、でき上がったものじゃなくて、その案の段階のやつですけれども、その点どうですか。
  158. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) この五九中業の作成の過程は、先ほどもちょっとお話が出ましたが、各幕は各幕の一つの考え方というのを整理をする段階がもちろんございます。しかし、ある段階では内局との意見交換もやるわけでございます。そういうことをいわゆるフィードバックと申しますか、そういう意見の交換を積み重ねていきながら最終的にこういうことではないかという案が固まっていくプロセスが約一カ年続くわけでございますから、その途中の段階と申しますのはこれは内部の調整作業の連続でございます。したがいまして、そういう段階でこれを外部に申し上げるということはいかがかというふうに考えておるわけでございまして、でき上がりましたものを外部にも公表いたしますし、国会にも必要に応じて御説明を申し上げるということではないかと思っております。
  159. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この五九中業の作業を行うに当たりましては、訓令上、統合長期防衛見積もり、またそれを受けました統合中期防衛見積もりのその情勢見積もりが基本になってくると思うんですけれども、この二つの見積もりの作成年月日と対象年度及びその内容の概要について説明できますか。
  160. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) まず、統合長期見積もりと申しますのは統合長期防衛見積もりでございますが、この性格は、内外の諸情勢を可能な限り見積もりまして、これに対する防衛戦略を考察いたしますと同時に、防衛力の質的な方向等をそこで見きわめていこうという性格のものでございます。これは新しいものとしましては五八統長でございまして、これは対象期間は六十六年度以降の見通し得る期間ということになっております。長期の質的な趨勢というものを観察するものでございます。五十九年の二月の二十四日にこれが作成をされております。  それから、こういったごく長期のものの次に、中期のものとして統合中期防衛見積もりというものも作成することにいたしておりますが、これはその期間中、六十一年度以降の五年間、これを対象といたしまして五九統中というものを今作成中でございますが、これは内外の諾情勢を見積もりまして、防衛構想でありますとか防衛の体制とかいったようなものを検討いたしまして中期業務見積もりの基礎資料としていく、そういった性格のものでございます。これは目下作成中でございますが、前回の例で申し上げますと、五六統中は五十六年の十二月十五日に作成をされているわけでございます。
  161. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この中業の前提となります情勢の見積もりにつきましては、国会になかなか提出はしていただけないということで、防衛庁としては拒否をされているわけですけれども、やはりこれは国会の国政調査権に対する一つの挑戦じゃないかと思われるんですけれども、防衛上の事柄ですからすべてこれは公開としなければならないとは言いませんけれども、なかなか秘密事項が多くて、先ほどの案でも提出はできないということですけれども、中業がまとまっていわゆる買い物の計画だけ示されても私どもとしても的確な判断はできかねるのじゃないかと思うんです。アメリカの国防報告とかあるいは軍事情勢報告などはかなり詳細な説明をしているわけですけれども、どうして日本ではこのような政府側からの情報、認識について公表できないのか。防衛庁長官、どのようにお考えですか。
  162. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 私どもといたしましては、従来からも基本的な防衛の考え方については政府レベルのものとして防衛計画の大綱というものを作成いたしておるわけでございまして、それに基づきまして防衛力整備計画としては中期業務見積もりというものを部内資料としてつくり、それを踏まえて毎年度の防衛力整備の事業計画を立てて予算という形で国会の御審議も経ているわけでございます。その過程におきまして、必要に応じまして資料の提出なり、あるいは国会におきます御説明なりという形でできる限りのことはさせていただいているつもりでございます。  ただ、御指摘の統長なり統中そのものは、これは内容的に見まして極めて秘匿度の高いものでございまして、いわば手のうちを明かすというふうなことになるという問題もありますので、これは公表を差し控えさせていただいているわけでございます。ただ、国会の御審議に必要に応じて事項ごとに必要な御説明は今後とも申し上げていきたい、こう考えております。
  163. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 長官の指示の内容について一点だけお伺いしますけれども、この指示では「「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準の達成を期する」、こういうふうに言われていますけれども、具体的にこれは何を意味しているんでしょうか。
  164. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 大綱の水準というのは具体的に何かということでございますが、ポイントは三点あろうかと思っております。  その第一点は、量的な規模の問題でございまして、これは大綱の別表に示されているわけでございます。  それから第二点は、質的な問題でございまして、諸外国の技術的な水準の動向に対応し得るようなものでなければならないということでございます。これも大綱の本文の一番後の方にそういう趣旨が書いてございます。  それから第三点は、いわゆる後方支援態勢等の問題がございまして、教育訓練でございますとか、指揮通信等の後方支援態勢等が整備されていないといけないということでございます。この点も、大綱の本文の中に幾つかの項目に分かれてその点が明記されているわけでございます。  以上、申し上げました三つの大きなポイントがあるのではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  165. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大綱の水準達成という場合、一つは量的な問題、これですと別表しか記載がないわけですが、非常にこれも大まかなものになっているわけです。例えば、陸自の主要装備の数量というのも全く記載されていませんし、海自の艦艇や空自の作戦機につきましても、全数量は記載されていますけれども、艦種、トン数別の数量とか、あるいは機種別の数量というのは記載されていないわけですけれども、また質的な面でも、この大綱の記述から見ますと、質的な目標を読み取り、そしてそれはどのような装備を示すのか、これは非常に理解に苦しむということでございます。  全体的に記述というのがあいまいになっていますし、そしてその指示の中にありますところの諸外国の技術水準動向に対応し得るような防衛力の整備、こういう文言があるわけですけれども、これから考えてみますと、諸外国の技術水準動向に対応するとなると、これは相当日進月歩で進んでまいりますので、こういういろんな変化の激しいものに対応していくことになりますと大綱水準の達成ということがなかなか難しいのじゃないか、将来的にこれはあり得ないのじゃないかという感じもしますし、その逆な言い方をしますと、数さえそろえば、そして防衛庁自身がこれでいいのだとなればそれで達成されたというような不安定なものになりかねないと思うんですが、その点、長官として大綱水準達成についてどのようにお考えになっているか、もう一度お伺いしたいと思います。
  166. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 陸上自衛隊と海空自衛隊の別表の書き方の差異について若干御指摘がございました。  そこは、陸上自衛隊と海空の性格の差が基本にあるかと思います。陸上自衛隊の場合は、各国ともそうでございますが、やはり人員を基準として防衛力の規模というものが構成される性格が強いわけでございます。したがいまして、そこをきちっと決めておくというのが基本になっております。そして、装備はそういった基幹部隊の近代化に際しまして変動していくというふうな性格がございますので、それに応じた弾力的な対応をしていかざるを得ないと思います。  それに対しまして海空の場合は、やはり中核が航空機でありあるいは艦艇でありというようなことでございまして、そういう勢力を中心にして防衛力をはかるということで別表が構成をされておるわけでございます。また、陸、海、空いずれも共通でございますが、そういった基幹のものを支えるには各種のいろんな装備がもちろんあるわけでございますけれども、それは基幹のものを支えるためのバランスというものを十分考えてやっていくべき性質のものでございますので、それも技術的な水準の動向等を常時はかりながら弾力的に対応していく、こういう性格のものかと思います。  今御指摘の、一体どこまでいくのかというふうな点でございますが、それはやはり客観的に諸外国の軍事技術水準を検討いたしまして、自衛のための必要最小限の防衛力は何だということを我々は専門的な見地から十分念査をした上で判断していきたいと考えておるわけでございます。  何をやっているかと申しますと、例えば陸上自衛隊で申しますと、地対空誘導弾のホークの改装も今実施中でございますし、海上自衛隊でございますれば対潜水上艦艇のミサイル化の作業もしております。あるいは対潜航空機の整備につきましては、最新鋭のP3Cを逐次導入するということもやっております。あるいは航空自衛隊では、最新鋭のF15というものでこれを今の古いF104に置きかえるというふうなこともやっておるわけでございます。これらの事業は、やはりその必要性、優先度を十分吟味しながら従来からやってきたつもりでございまして、今後ともその点は十分に慎重に配慮しながら正面、後方のバランスのとれた真の防衛力の形成に努力をしたいと考えておる次第でございます。
  167. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 長官にお尋ねします。  長官、先ほども同僚委員からいろいろ指摘がございましたが、ソ連脅威論につきまして、ソ連の脅威の実態を国民に認識させるのが政治家としての任務だ、このようにおっしゃったということが報道されているわけですけれども、具体的にはどのような方策を考えておみえになるんですか。
  168. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 先ほども申しましたとおり、ワインバーガーさんとのお話のときには、衆議院の内閣委員会だったと思いますが、野党の先生から私に対する質問がありまして、防衛庁長官、あなた、戦争とか軍拡とかそういうことばかり考えないで、平和を考えなさい、そういう発言があって、政治家としてのあなたの見識を問う、こういう御質問があったわけです。  したがいまして、私はそのときに、私も平和を真剣に考えておる、核もこれはやめるようにしなければならぬと思っている。しかし、私が政治家として考えてみた場合に、一つの大きなネックというのは体制の違いだ。自由主義諸国と共産主義、全体主義との国民が一体となって立ち上がるというようなことにならないと、自由主義の国では自由に物が言える、自由に行動できる、しかし共産主義、全体主義の国では国民というものの方から起こってこない、そういうのは。いわゆる我々から言うと、何をしているかわからぬ、こういうところに非常に問題があると思う、そこら辺に体制の断層があるという話を私はしたんです。  その上に立って防衛庁長官として考えてみると、国の平和と安全を考える、そういう立場からすると、いわゆるソ連という国は共産主義、全体主義の国であって、正直言ってよくわからぬ、我々は。それが軍事的な増強をするということになると、これに対して潜在的な脅威を感ずるというのは当たり前でしょう、こういう話をしたわけです。そこで、防衛庁長官としては、そういう中にあって、自分の国は自分で守る、平和を守るというために、私としては必要最小限の防衛力の整備をせざるを得ないのです、こういうお答えをした。  その延長線上の問題としてお考えいただきたい。ですから、私は、防衛庁長官としてソ連の潜在的脅威をどこへでも行ってばんばんやる、そういう意味じゃない。政治家栗原祐幸として機会あるごとにやる。この間も、ある市長選挙のところへ行きました。そこでは、私は今私の申し上げていることを言うたんです、私は政治家としてこれは大変重大なことだと。ですから、これから政治家として発言すべき場所においては私はこの意見を言っていくということでございます。
  169. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 公人か私人か非常にこれまた難しい問題があろうと思うんですけれども、防衛庁長官としての公人の立場が優先するということでよくお考え願いたい問題じゃないかと思うんです。  せんだってテレビ放映がございました。そのときにも長官がお出になっていろいろとお話しになっているようですけれども、そのとき、うちの同僚議員からもいろいろと長官に対しましてお話があったと思いますけれども、その中で、やはりソ連脅威論というものにつきましても発言をさせていただきまして、その中でこういうふうに申し上げたと思うんです。ソ連脅威論の一つの根拠としております極東におけるソ連軍事力の増強の問題、これは米ソ軍拡競争の結果として生まれたものじゃないかという認識を申し上げたと思います。それにもかかわらず、ソ連の軍事力が直ちに日本への攻撃につながる、だから脅威であるとする認識であるとするとこれは非常に乱暴な見方じゃないか、こういう指摘を申し上げたと思うんです。政府が防衛力整備の基本としておりますところの防衛計画の大綱、これは特定の第三国の脅威は想定をしていない、ソ連脅威論というのはこの大綱と矛盾するのじゃないか、これを申し上げたと思うんです。それから大綱では米ソ相戦わずを前提としているんですけれども、防衛首脳会談ではアメリカ側は明らかに米ソ戦を想定して対ソ戦略の一環として日本側に防衛力の増強を求めてきているのじゃないか、こういうことで御質問をしていたと思うんですが、その点ではどのようにお考えでございますか。やはりアメリカが言うようなソ連脅威論に同調して日本が防衛を考えていくということは非常に問題があるのじゃないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
  170. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 防衛計画の大綱では米ソ戦わずということを前提としているという、そういう御指摘は私は正確じゃないと思うんです。あの防衛計画の大綱の中の国際情勢の基本的枠組み、それは米ソの間には非常に対立関係があるけれども今すぐにこれがどうこうという段階ではない、対立はある、対立はあるけれども、今これがすぐにどうこうというのじゃない、それからいわゆる世界の各地でいろいろ紛争が起きている、あるいは南北朝鮮においても緊張状態が続いておる、こういういろいろ情勢が書いてあるわけです。ですから、そういう情勢はそのとおりだけれども、そのこと自体が米ソ戦わずという断定をしておるというふうなお読みの仕方はこれは適当でないと思うんです。  もう一つは、ソ連の脅威の問題についてあの際にも申し上げたんですけれども、ソ連の脅威ということは、ソ連が今すぐに日本へ攻めてくる、そんなことはありません。そんなことを考えること自体がおかしい。ただ、潜在的脅威というのは今までも言ってきております。だから、こういう情勢になるとその潜在的脅威が増大してくる、こういうふうに考えるといとでございます。したがって、市川先生のおっしゃったことを私よく承知しておりましたけれども、ああいう短い時間でございますので、丁寧にお答えをする時間がなかったことは大変残念に思っております。
  171. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 長官は、大平元総理の盟友だったとお聞きしますけれども、亡くなられました大平元総理は、ソ連というのは本来防衛的な国だというような認識を前に委員会で表明されたこともあるんですけれども、長官としてもやはり同じような認識をお持ちなんですか。
  172. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) これは大変くしき御質問でして、実は我々の会談の際に、アミテージという向こうの国防次官補がその話を出しました。それで、長官は大平元総理に非常に信頼の厚かった方だけれども、大平元総理がソ連は防御的だ、非常に慎重である、こういう発言があったけれども、私は大平元総理の言われることは、これは抑止力がきいているときにソ連は極めて慎重だ、こういうふうに考えているのだけれども、栗原長官はこの点についてどうですか、こういう御質問がございました。私は、これはちなみに申し上げますが、近く大平元総理のお墓参りをするから、その際にあなたの御意見はお伝えしておきましょうと。この間行ってまいりました。  そこで、お答えでございまするけれども、大平さんにこの問題について私は直接話をしたことはございませんので、ここで大平さんがどうだこうだという答弁は御遠慮をさしていただきたい。
  173. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 午前中、同僚委員から例のイラン・イラク戦争のことにつきまして質問がございまして、外務省から答弁がありましたけれども、防衛庁としてはどのような情勢把握をされているんでしょうか。
  174. 古川清

    ○政府委員(古川清君) お答え申し上げます。  このイラン・イラク戦争につきましては、特に最近になりましてタンカーに対する攻撃というものが非常にふえてきておるわけでございまして、攻撃をする国が従前はイラクと言われておりましたけれども、最近におきましてはイランもこれを攻撃しておる、その頻度が極めてふえてきておるということに防衛庁としても注目をしておるわけでございます。  特に、最近、数日前になりまして、サウジアラビアの船籍のタンカーに対する攻撃というものがイランが行ったものであるという可能性が非常に強まっておる。こういったことから戦況というものが拡大するということを非常に憂慮しておるわけでございまして、当然のことでございますけれども、戦況が拡大するということになりますれば、これは、あそこを通って石油が我が国に入ってきておるわけでありますから、日本の経済にも非常に重大な影響を及ぼしかねないわけでございまして、私どもとしましても、一日も早く紛争の当事国が自制的な態度をとり、停戦が実現するということを期待しておる、こういう考えを持っておる次第でございます。
  175. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、厚木基地の夜間訓練代替地の問題について多少触れておきますけれども、これも午前中に同僚の委員からも御指摘がございましたが、せんだって三宅島の有志の方々が上京されまして、議長にもいろいろと請願書を提出されてみえました。三千三百八十九名の方々が署名されて三宅島の官民共用空港についての意見書を出されているわけですけれども、この間ワインバーガー長官が見えたときも総理あるいは防衛庁長官といろいろとこの問題について意見を交わされたようですが、その点どうでしょうか。
  176. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 私ども、直接総理とワインバーガー長官の会見に立ち会ったわけじゃございませんけれども、お聞きしたところによりますと、中曽根総理から、重要な問題として政府として努力しているということがございまして、ワインバーガー長官から、これに感謝しておる、重要な問題であるのでぜひ努力をお願いしたいという趣旨のお話があったというふうに承知いたしております。
  177. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) ワインバーガーさんと私との会談のときにも、最後の方にワインバーガーさんから、この夜間訓練場の問題についてよろしくお願いします、そういうお話がございました。私は、十分承知をしております、こういうように答えておきました。
  178. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 昨年の十二月、噴火被害の復旧と絡めて三宅島に代替基地を建設する構想が急に浮上してきたわけですけれども、この三宅村の議会の受け入れ要望に先立ちまして、施設庁から事前工作を行ったことがあるんでしょうか。
  179. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) これは毎回申し上げておりますように、関東及びその周辺地区ということで、新設飛行場の適当な地域はないかということが我々の調査一項目に入っておりまして、そういう意味では三宅島を含む伊豆七島も当然調査対象に入っておるわけでございまして、そういう観点からの資料の収集といったことはいたしておったわけでございますが、御指摘のように、去年の十二月の議決の前に三宅村自体に対しまして私どもの方から働きかけたということはございません。
  180. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 せんだって十日の日に三宅島の代表の方が防衛施設庁を訪問されまして、そのとき、代替訓練基地建設は騒音公害や生命の危険を伴うもので永久に断念してほしい、こういう代表からの話があったと思いますが、これに対しまして防衛施設庁側としましては、三宅島は候補地の一つにすぎず、計画は具体化していない、島民の意向は尊重していきたいとしながらも将来的にはこの計画に島民の理解を得たい、こういう建設への協力を求めた、このように報道されておりますが、その事実はありますか。
  181. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 十日の日の例を申されたわけでございますが、十日に限りませず、この一連の最近のやりとりの中におきまして、今お話のような地元の御要望なり、また我々の意見を申し上げるというような機会はあったわけでございますが、基本的に私たちが申し上げているのは、騒音の被害でありますとか、あるいは関連するいろんな問題につきまして実態はどうなるであろうかというようなことについて我々の説明を聞いてほしいのだ、聞いて、その上で御判断いただきたいということを申し上げておるわけでございます。それに対しまして村の方からは現時点ではまだそういうチャンスを与えていただいていないという状況でございますので、私どもとしましては、今先生のお話にもありましたように、我々の方からぜひ説明のチャンスを与えてほしいという発言をしたことは事実でございます。
  182. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、三宅島を断念をしていないのだ、今後もいろいろと接触を図っていきたい、こういうことですね。
  183. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 何度も申し上げましたように、今三宅島と限定しておるわけではございませんけれども、三宅島もその対象の一つといたしまして、私ども先ほど来申し上げておるような努力を今後も続けていきたいというふうに考えております。
  184. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 三宅島が無理だとわかった場合には、伊豆七島の他の地域いろいろとございますが、新島あるいは大島あるいは神津島についてもいろいろと打診を進めていくやのことも伝えられますけれども、この点はどうでしょうか。
  185. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 最初に申し上げましたように、我々の調査区域の中に伊豆七島の地区が含まれておることは事実でございますので、そういう意味では今後とも調査の対象といたしまして資料の収集なりやっていきたいというふうに思っておりますけれども、具体的にどの地点というふうに特定をする段階には至っておりません。
  186. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いずれにしましても、騒音とかあるいは事故のいろんな苦しみを住民に強いるわけでございますので、対象地域の住民の意向というものを十分これは尊重してやっていただきたい、このことを防衛庁長官に要望しておきたいと思いますが、いかがですか。
  187. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 今、施設庁長官からいろいろお話しをしたとおり、住民の皆さん方の御理解、これをいただかなきゃならぬことは当然でございます。私どもは、まだ特定のところを決めてやっておるわけじゃございませんが、いわゆる候補地としてお願いしたいというようなところができた場合には、よく話し合いをして、そして御理解いただくようにしなきゃならぬと思うのです。私、率直に申し上げまして、こちらの方の説明をまず聞いてもらいたいと思うんです。説明も聞かないで、門前払いでそんなものはだめだ、こういうのが一番私どもとしては頭痛の種なので、よく聞いて、その上でいろいろと御意見なり何かを賜れば大変幸せだ。ですから、こういうところで大変恐縮でございますが、太田さんにもそういう意味合いでいろいろと御協力いただければ大変ありがたい、こういうふうに思います。
  188. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 協力要請があったような点なんかは、住民の皆さん方からも相当な反対、要望もありますし、我が党も十二月に反対の要求を防衛施設庁に出しておりますので、そういうことで、なかなかこの点につきましては簡単には協力ができないのじゃないかと思います。いずれにしましても、住民の生命、安全にかかわる問題でございますので、慎重に検討していただきたいと思います。  先ほどイラン・イラク戦争の状況についてお聞きしましたけれども、例えばこういうホルムズ海峡の封鎖等になってまいりますと、やはり日本のいろいろ石油資源につきましてもこれは大きな問題になろうかと思うんですが、以前いろいろと言われましたけれども、シーレーンの防衛、これは今千海里ということで大体論議されておりますけれども、日本の本当の安全保障という点から考えると、ペルシャ湾から日本までの約一万海里、このオイルルートですか、この防衛もやはり考えるべきじゃないかというような意見も出てこないとも限りませんけれども、こういう問題についていろいろと検討されるようなことがあるんでしょうか。
  189. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 我が国のシーレーン防衛の問題につきましては、かねてから申し上げておりますように、我が国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね一千海里程度の海域における海上交通の安全を確保するということを基本にいたしまして海上防衛力の整備をしているところでございまして、この点、変更をする考えは持っておりません。  しからば、先は一体どうなるかということでございますが、これは日米の間でいろんな機会に話をしているわけでございますが、アメリカ側も日本のそういった防衛政策の考え方を十分理解しておりまして、千海里以遠についてはアメリカがそういった海上交通の安全の確保をやっていくということを言っておるわけでございまして、私どもとしてはそういったことを念頭に置いて現在の海上防衛力の整備を進めておるということでございます。
  190. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは次は、人事院がお見えになっておりますので、人事院にお聞きしたいと思いますけれども、まず昭和五十五年以来、毎年人事院は高学歴化あるいは高年齢化等の社会経済情勢の基調の変化に対応するため、人事行政諸施策の策定について報告をしておりますけれども、できれば定年制が導入される六十年四月から同時に全部の施策を実施したい、このようにしているようですけれども、新たな区分による採用試験を具体化する第一歩として六十年度から実施することとしているようでありますけれども、この個別的なことはまた徐々にお聞きするとしまして、この総合施策の概要、あるいは現在までの人事院の作業の進捗状況、あるいは本年度の勧告にどの程度のことを盛り込むつもりでおられるのか、あるいは六十年実施という日程に変わりはないのか、その点ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  191. 服部健三

    ○政府委員(服部健三君) 総合施策の概要につきましては、昨年の勧告の際に、任用制度、給与制度、研修制度あるいは休暇制度等々、その各施策の概要につきまして御報告を申し上げまして、その後、各施策ごとにそれぞれ鋭意具体案の作成の検討をしているわけでございまして、一応めどといたしましては六十年にその成果の結論を得たいということで作業を進めているわけでございますが、ただ、これらはいずれも六十年にすべて実施をするのかということになりますと、これらにつきましては、それぞれ施策の内容等によりまして、一斉にやることがいいのかどうかというような問題もございまして、それらにつきましてはさらに検討して実施等については考えていきたいと思っております。  なお、これらの問題につきまして本年の勧告においてどのように言及するかというお尋ねのことと思いますが、これにつきましては、今のところ、ただいま申しましたように、具体案を作成するよう鋭意作業を進めているという段階でございまして、これを今年の勧告においてどのようにするかについては今後の検討を待つこととしたいと思っております。
  192. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 人事院が初めてこの制度改正の必要性を指摘しました五十五年から比べますと、五十七年人勧が凍結され、昨年は二・〇三%、こういうふうに圧縮されて実施されたわけですから、しかもこの委員会で問題になりましたけれども、俸給表についても政府が手直しをしている、こういう状態でありますし、人勧をめぐる情勢というのは非常にさま変わりをしてきているわけですけれども、給与制度一つとっても制度改革が本当に実現できるかどうか、非常に疑問視されている向きもあるわけですけれども、人事院規則の改正だけで実施できるものは実現可能だと思いますけれども、特に給与制度とか、あるいはその基礎となる官職の分類、これらの実現性については人事院総裁としてどのようにお考えでしょうか。
  193. 内海倫

    ○政府委員(内海倫君) 五十五年からここ二、三年につきましては確かにかなりの変化があるわけでございますけれども、総体的に見ますと、戦後新しい国家公務員の制度というものをつくり上げて、三十年の経過の中で、それなりの安定をし、維持され、制度として熟してきておると私どもは見ておるわけです。しかし反面、社会経済情勢というものは高学歴化あるいは高年齢化というふうなことに伴いましてかなりの変化をしておるわけでございまして、これに対応してやはり公務員の制度、公務員の諸般の問題というものも見直さなければならないものが出ておることは事実でございまして、そういう意味で、五十五年以来、公務員制度の見直しというふうなことで、かなりの項目を拾い上げて勧告の中にもその概要をお示しし、今日もその検討を続けておる。もとより、そういうふうなものの中には人事院だけの規則等をもってできないもの、例えば休暇問題などは法律をもってこれに対処するというふうなことがあるいは必要なんじゃないか、その他諸般の問題についてすべて人事院で全部できるというふうなものではないものもあろうと思います。政府全体でそういうものに取り組んでいただかなきゃいけないかもしれません。  なお、戦後生まれた制度自体の中に、まだ今日まで本当の意味の実現をしていないもの、例えば職階法に基づく問題で、あるいは給与制度その他につきましても、職階法それ自体が非常に難しいものでございますから、こういうものにも手をつけなければいけない。あるいは先ほどちょっと申しました休暇制度の問題にしましても、これはいわゆる明治以来のものをとりあえずこれでいくというふうな決め方になっておりますから、これも根本的に考えなきゃいけないと思います。また、今御指摘の官職分類の問題につきましても、やはり現状をよく考えて実態にマッチしたものをさらに検討していかなければならない。  こういうことでございますから、公務員制度というものにつきましても、私どもはいろいろな向きの御意見を承りながら進めていきたい、こういう考えておりますので、御質問のほかにも若干意見を申しましたが、あわせて私どもの考えておるところを申し上げておきたいと思います。
  194. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 何点か具体的な事例についてお聞きしますけれども、公務員の定年制、これは六十年三月三十一日から実施されることになっているわけですけれども、定年制が導入されますと職員の在職期間が長期安定化するなどのところから、それに見合う給与制度あるいは昇進管理等の検討の必要性が出てきたのじゃないかと思うんですが、しかし定年制度だけが実施されて給与制度とかその他の制度の改革が実施されないことになりますと公務員制度にひずみが出てくるのじゃないかと思うんです。人事院としましては、定年制が導入されて、そして給与制度や昇進管理が現行制度のままであっても現行の公務員制度にとって特に支障はない、こう見ておられるのか、それともどういうところにひずみが生じてくるのか、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  195. 服部健三

    ○政府委員(服部健三君) 定年制につきましては、職員の高年齢化の傾向の強まる中におきまして、計画的な新陳代謝、それから計画的な人事管理というようなことができるよう定年制の導入ということを考えているわけでございますが、他方、人事院が従来から行っております総合施策の検討は、ただいま総裁の方からお話がございましたような観点から、いろいろ行われておりますが、なかんずく、その中におきましても高学歴化であるとか高年齢化というようなことも一つの要因として、それが新しい今後の安定的な人事行政制度にどのように考えていったらいいかというような問題を検討しているわけでございまして、その中において、もちろん定年制が六十年から実施されるということにつきましては十分それを認識して問題の検討に当たっているわけでございまして、ただいま先生からひずみはというようなお話がございましたが、例えば給与制度の検討におきましては、そういった高年齢の者ができた場合にその者の給与上の処遇をどうするかというようなことにつきましては、俸給における号俸数が現在の状態でいいのかどうかというようなことにつきましてさらに検討を加えるというようなことでそういった問題に対処してまいりたいと考えております。
  196. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど休暇制度のことについてお話が総裁からございましたけれども、この休暇制度についても人事院は再検討しているようですけれども、この中で結婚休暇あるいは夏季休暇の新設については特に問題はないようですけれども、しかし、年次有給休暇の削減にはいろいろな問題があって、外務省や通産省あたりからも国際的な動向に反するとか、あるいは貿易摩擦を激化させるだけでとかというそういう批判もあるように聞いていますけれども、人事院は公務員のこの休暇制度について基本的に法律制度として新たに休暇法を制定するつもりなのか、それとも人事院規則だけでこれを実施するつもりなのか、また結婚休暇とか夏季休暇の新設や年次有給休暇のあり方についてどのように考えてみえるのか、その点お伺いしたいと思います。
  197. 叶野七郎

    ○政府委員(叶野七郎君) 休暇につきましては、先ほど総裁から答弁ありましたように、現在、従前のレールということを中心にいたしまして人事院規則で制定されております。ただ、休暇というような勤務条件の基本的なものであるようなこと、こういうのは当然法律として整備すべきであるというのが我々の長年の懸案としてきたところでございます。そういう意味で、今度の見直しの時期を控えまして、ぜひ法的整備を図りたいというふうに考えております。  ただ、この際に、方法といたしましては、給与法の改正あるいは休暇法として単独立法にする、あるいは国家公務員法の中で改正を行うという方法があろうかと思いますけれども、これらは他の諸制度の改善整備の方法をも考慮しながら今後慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  198. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 時間も参りましたので、最後になりますけれども、報道によりますと、人事院は第二土曜日を閉庁にして隔週ごとに休日にするというようなことも検討されているということでございますけれども、この閉庁方式によって公務員の週休二日制を実施するつもりなのかどうか、また本年の人勧に際しましてはいろいろと週休二日制の実態についても検討されていると思いますけれども、本年の勧告で公務員の週休二日制が前進させられるのかどうか、その点の感触はどうでしょうか。それをお聞きしたいと思います。
  199. 叶野七郎

    ○政府委員(叶野七郎君) 閉庁問題につきましては、単なる勤務条件の改善という以外に、官庁の執務体制をどういうふうにするかという問題とも絡み合っている問題でございます。そういう意味で、今後の国民の世論であるとかあるいは民間企業における閉店の状況であるとかというようなものを勘案しながら、今後の検討課題にしてまいりたいというふうに考えております。  それから今度の勧告について云々のお話でございますけれども、これも民間の給与実態調査の結果がまとまった以降判断していこう、かように考えております。  それから、先ほどちょっと失礼いたしまして答弁漏れいたしましたが、結婚休暇、年次休暇等の問題でございますが、これらにつきましても、現在の社会情勢の変化であるとか、あるいは民間の普及状況であるとか、あるいはその休暇が一体公務員の現在の勤務体制の中にどういうふうにはまり込んでいるか等々を勘案しながら、鋭意検討を進めている途中でございます。
  200. 内藤功

    ○内藤功君 去る五月三日に、アメリカ下院外交委員会アジア・太平洋問題小委員会の対日公聴会で、ロング前太平洋軍司令官が三海峡の封鎖、機雷敷設などについて証言をしたと報道されておりますが、この証言の内容の概要をお聞かせいただきたいと思います。
  201. 山下新太郎

    ○政府委員(山下新太郎君) ただいま御質問の、ロング前太平洋軍司令官が、確かに五月の三日、アメリカの下院の外交委員会アジア・太平洋小委員会の対日関係の公聴会で証言を行ったことは事実でございます。  その中身をかいつまんで御説明申し上げたいと思います。  まず、ロング前司令官は、太平洋地域の重要性を指摘した後に、アジアの発展における米国の役割が過去においても現在も重要であること、ソ連のこの地域における政策が成功していないことなどを述べるとともに、日米の関係は、日米両国のみならず、東アジア、ひいては世界の利益に決定的な役割を果たしていると述べております。  次に、同司令官は、日米関係の将来にとって最も重要な要因は経済問題であろうといたしまして、両国経済の健全な発展が重要である旨を指摘いたしております。  防衛問題についてでございますが、次のような点が指摘されております。  まず第一でございますけれども、米国はもはや単独で世界的にソ連に対抗し得る力を有しておらず、米国としては同盟国が自国の防衛につき第一義的責任を担うことを引き受け、そのための能力を増すことが必要である。  第二点といたしまして、日本の防衛力は重要なものとなっているが、継戦能力が不足している。  第三点といたしまして、核兵器及び攻撃戦力を含む日本の軍事力の大幅な増強は東アジアを不安定化し得るものであり、米国としてはかかる動きを抑えるべきである。  さらにまた、米国としては、日本の防衛力増強の必要性を引き続き指摘していく必要がある。他方、日本の意思決定はコンセンサスによるものであることを認め、日本に対し過度の圧力をかけないよう注意しなければならない。  同司令官は、さらに、最後の点でございますが、両国の努力によってはぐくまれた日米関係は、時に摩擦はあっても基本的に良好であり、今後ともその発展のための努力が必要であるということを述べた模様でございます。    〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕
  202. 内藤功

    ○内藤功君 海峡の封鎖、機雷敷設能力についての部分は、どういうふうに述べておりますか。
  203. 山下新太郎

    ○政府委員(山下新太郎君) ただいまロング前司令官が行いました証言を御説明したのでございますが、これは冒頭発言、用意されたテキスト、これに基づいて読み上げたものでございますが、その後で質疑の応答がございまして、その中で日本のシーレーン防衛に関する発言を行ったということは承知いたしております。しかしながら、その質疑の応答部分につきまして、その議事録がいまだ正確につくられておりませんので、その内容をちょっと御紹介することはできない次第でございます。
  204. 内藤功

    ○内藤功君 そこもひとつ調べて、後で報告をしていただきたいということをお願い申し上げておきます。  私が日本での新聞報道を総合するところ、ロング証言では次のようなことを指摘しております。  第一に、シーレーン防衛には三海峡の封鎖が不可欠である。二つ目には、三海峡の封鎖は、アメリカ単独ではやれない、自衛隊の支援と日本の基地の利用が必要である。三番目に、日本は機雷の敷設能力を持っている。四番目に、この費用は機雷敷設だけで二十億ドルから三十億ドル程度である。  こういう内容を質疑に答えて証言をしたと報道されております。  防衛庁に伺いたいんですが、これらのロング前太平洋軍司令官の証言をどのように受けとめておられるか。特に、これは日本単独で機雷敷設をやれという趣旨のように読めるのでありますが、防衛庁としてのこれらの受けとめ方をお伺いしたいと思います。
  205. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) ただいま外務省の方からもお話がございましたように、ロング前太平洋軍司令官の質疑応答におけるやりとり、これにつきましては、議事録を私どもも入手しておりませんので、どういうことであるか、正確な発言ぶりは承知いたしておりません。したがって、それに直接コメントをすることは差し控えさしていただきたいと思います。  ただ、一般的な我々の考え方について若干御説明をさせていただきたいと思いますが、我が自衛隊がこの海峡防備の問題を考えますのは、従来から申し上げておりますように、あくまでも日本が武力攻撃を受けた場合に日本防衛のための作戦の一環としてそういった海峡防備の作戦をとることもあり得るという位置づけでございます。そういった海峡防備の作戦というのはどういうやり方でやるかということになりますと、それは艦艇なり、航空機なり、潜水艦なりを使う作戦というものももちろんあるわけでございまして、そのほかに、場合によりまして機雷の敷設をするという作戦も必要に応じてやることがあり得るということでございます。  したがいまして、ただいま申し上げましたことから御理解いただけますように、我が自衛隊が海峡防備の作戦というものを実施いたしますのは、あくまでも日本が武力攻撃を受けました日本有事の場合に日本防衛のために実施するという性格のものであるというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございますリ日本が武力攻撃を受けていない時点におきまして、自衛隊が海峡防備というふうな、海峡における通峡阻止の作戦というものをその一環として実施することはないということでございます。
  206. 内藤功

    ○内藤功君 ロング氏は太平洋統合軍司令官を歴任しておりますが、この間、当然のことながら日米安保協議委員会の米国側の代表であった人であります。単なる一介の高級軍人というにとどまらない。この人の証言の重みというのは非常に大きいと思うのであります。公式の議事録は入手していないとしても、各紙の報道は今後の米側の日本に対する対日軍事要求を判断し、占う上で非常に重要な意味を持っておるのであると私は思うのであります。  さて、この中で特に二十億ドルというような機雷敷設についての経費の数字が示されたのは、非常にこれは今までの米軍人の証言の中では目新しいことだと私は思うんです。これは防衛庁に伺いますが、我が自衛隊の保有する機雷の一発の価格をお伺いしたい。これは、機雷には種類がいっぱいあります。使い道によっての種類、性能の種類いろいろございましょうが、安いもの、高いものいろいろありましょうが、上限と下限で分けてみた場合にどのくらいの単位の値段なのか、これをお示しいただきたい。
  207. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 私どもは、アメリカから機雷の備蓄等についてこれだけやれとかいうふうな具体的な数字をもっての要請を受けたということは従来からないわけでございます。  それから機雷をつくるのにどのくらいの経費がかかるのかという御質問でございますが、これは我が国の非常に秘匿度の高い分野に属する問題でございまして、機雷の一個の値段が幾らであるかということについては具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  208. 内藤功

    ○内藤功君 これは国の予算にかかわる重要な問題ですからお答えいただきたいんですが、大体単位として一発一千万円台とか一億円台とか、いろいろありましょうけれども、大体一千万円台と我々は理解をしておりますが、いかがでございましょうか。遠からずですか。
  209. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) この問題はいわゆる弾薬全般にも共通する問題でございまして、私どもとしては具体的に数字をもって公表することは差し控えさせていただきたいと存ずる次第でございます。
  210. 内藤功

    ○内藤功君 これは重大な問題なんです。なぜかというと、機雷敷設に二十億ドル、こういう数字が出ておる。二十億ドルというと、二百三十五円で計算して四千七百億円になりましょうか。こういう膨大な予算がアメリカの方から経費として少なくとも指摘をされている、ロング司令官に。そうすると、仮に一千万円として四万七千発分になりますね。二千万円と見て二万三千五百発分であります。補充分を含めてであるとしてもこれは大変な量だと思います。三海峡の封鎖にこんなにたくさんの何万発という機雷が必要なのだろうか。海峡の封鎖というものに機雷の役割が大きいというお話がありましたが、一体こういうようなとてつもないけたの封鎖に必要な機雷というものをどう我々は考えたらいいかということを、この証言の報道を見て私は思うわけなんです。  ここでお伺いしたいのは、こういう膨大な機雷の量というのは、単に海峡の封鎖だけではなく、公海上に非常に広大な機雷原をつくる、さらに進んで外国の沿岸や港湾に機雷を敷設する、こういうような場合にはこのような何万発という機雷の量は必要とされてくるだろう、そこらあたりの御判断はいかがでございましょうか。
  211. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) ただいま御引用になりました数字も私どもは正確には承知いたしておりませんが、いかなるものとしてロング前司令官が御説明になったのかも私どもよくわかりません。したがって、具体的にこれについてコメントをするのは差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、私ども機雷の敷設の問題というのはどういうふうに考えているかと言われたわけでございますが、これは初めに申し上げましたとおり、海峡防備の作戦を日本有事の場合に考えることがあり得るという前提で御理解をいただきたいわけでありますが、その際にも直ちにすぐ機雷を敷設するということではございませんで、艦艇、航空機、潜水艦等を活用しての作戦というものが当然にあるわけでございまして、機雷の敷設をすることが適当かどうかということは、その時点におきまして諸般の状況を慎重に考えて総合判断をしていくべき事柄であるというふうに考えておるわけでございます。  また、その具体的なやり方はどうかという点につきましては、これはもちろん領海だけではございませんで、公海の部分にもし必要であれば敷設することもあり得るわけでございますけれども、どのぐらいのものをどういったところに敷設するかというようなことはこれまた千差万別でございまして、事態の様相に応じまして変わってくるわけでございますから一概には申し上げられないと思っておるわけでございます。    〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕
  212. 内藤功

    ○内藤功君 公海上の敷設はお認めになりましたが、この時期に日本問題、太平洋問題に非常に詳しいロング大将があえてこの証言の中で海峡封鎖機雷戦という問題に触れてきたのはどのような背景があると防衛庁はお考えですか。それは日本がなかなか機雷敷設戦というものをやろうとしない、日本にはこういう機雷戦についての努力が少ない、こういうふうに米側は考えているのか、それとも日本が機雷戦の能力をつける、増強をやる気になってきているというふうに判断をしたからの証言であるのか、その背景について防衛庁はどういうふうに御判断になりますか。
  213. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) ロング前司令官が、証言の際に質問に応じてお答えになったお話のようでございますが、どういう経緯で質問が出、どういう内容で答えられたか、私どもも正確に承知をいたしておりません。したがいまして、ロング前司令官がいかなるお気持ちであるかということについて私どもも推測をすることは困難だと存じます。  いずれにいたしましても、我が国の防衛力整備の問題は、あくまでも我が国の防衛は我が国が自主的な判断に基づいて決定をしていくということが基本でございますから、アメリカがこう言ったから右から左にこうやるというふうなものでないということはぜひ御理解をいただきたいわけでございまして、私どもは今後ともそういった我が国の防衛は我が国自身が自衛のために必要最小限のものを整備していくという基本的な考え方で対処していくつもりであるということを申し上げさせていただきたいと思います。
  214. 内藤功

    ○内藤功君 私は、日本が戦争に巻き込まれるようなことが絶対あってはならぬ、こういう前提で、それでは逆に戦争に巻き込まれる危険性のある条件はどんな場合であろうかと考えてみた場合に、一つが封鎖作戦、特に機雷による封鎖を日本側、米側が三海峡で実施した場合だろうと思います。  これはいわゆる武力攻撃の前後ということでお答えになっておりますが、前後にかかわらず、この機雷の敷設のあり方が非常に攻勢的だった場合、これは相手に対する非常な通峡の妨害、また相手に対する非常な攻撃的な意味を持ちますから、この敷設作業を妨害する、それから突破して海峡の通峡を確保する、こういうことのために相手国は必ず強力な反撃、攻撃、場合によっては報復というものを必ず加えてくるだろうと判断をしなければならない。一般的に封鎖、これに対する強力な反撃という形で事態は発展していくだろう、この可能性を私は見落とすことはできないと思いますが、一般論に今話がなりましたが、防衛庁の御所見を伺いたい。
  215. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) ただいま機雷の敷設ということが戦争に巻き込まれる原因になるのではないかという趣旨からの御質問のように理解をいたしましたが、私どもが一貫して申し上げておりますのは、自衛隊が海峡防備の作戦を実施するというのはあくまでも日本有事の場合でありまして、我が国が武力攻撃を受けたという場合に我が国が自衛権を発動するというふうな事態に即してそれは考えられる話でございます。  したがいまして、そういった場合に、我が国を攻撃している相手国の艦船の通峡、自由な通航を阻止するということのために必要最小限の範囲内で実施をするというものでございます。したがって、日本が既に有事になっているということでございまして、先ほど御指摘になりました海峡防備作戦をしたから有事になるのじゃなくて、有事になってから我々はそういうことを考える、こういうことでございますから、いわゆる巻き込まれ論というものはいささか私ども考えていることと違っているのではないかというふうに考えております。
  216. 内藤功

    ○内藤功君 自衛権の行使にもいろいろあります。自衛権の行使と称して非常に行き過ぎた行動をすることがあります。また、当方が自衛権と見ても相手方はそう見ないという場合があります。ここに戦争の場合の錯誤が拡大する要素が入ってくるわけです。ですから、こちらが自衛権の適正な行使、相手もそれを認めるという前提に立てば法律の解釈のようなそういうお話のようになりますけれども、私はそこのところに問題があると思っておる。  ところで、ロング証言でこういうものが出てきた場合に今後予想される日米安保事務レベル協議、さらには近く予定される長官の訪米、こういうときに米側からロングさんが言われたような日本に対する機雷二十億ドルぐらいだから持ちなさい、こういう要求を米側から出されてくる可能性は考えなくちゃいかぬ。この場合に、日本がどういう対応をとるのか。さらに、このロング発言を一つの契機として、五九中業の中で機雷敷設能力をもっとつけろとか、予算をもっと要求しろとか、こういう波に乗った軍備の拡張の要求が一部から出てくる可能性がある。これらに対して、既定の方針なども十分考えつつ、防衛庁は内外ともにどういう対応をされるのか、この基本姿勢をお伺いしたい。
  217. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 日米の関係は、既に御承知のとおり、日米安全保障条約によりまして日本の安全を確保するということが基本になっているわけでございます。我が国が攻撃を受けた場合はアメリカは日本の防衛を行う義務がある、こういう特別の関係にあるわけでございまして、したがってそういう立場にある米国が日本の防衛努力に対しましていろんな期待を持つということはこれは自然なことではないかというふうに考えております。しかし、従来からそういった一般的な防衛努力への期待の表明は我々も受けておるわけでございますけれども、具体的な数字を個々にああしろ、こうしろというふうに要求をされているということはないわけでございます。  いずれにいたしましても、我々といたしましては、日本の防衛というものは日本の自主的な判断のもとに自衛のために必要最小限の範囲でこれを実施していかなきゃいけないということが基本の方針でございます。したがって、いかなる協議の場合におきましてもこの基本線に沿って対応をするということは言うまでもないことかと存じております。
  218. 内藤功

    ○内藤功君 私がこの問題をあえて時間をかけて取り上げましたのは、総理大臣を初めとして、実にこの二年来軽々しく海峡封鎖ということを口にしておるように感じてなりません。その結果が相手国からの猛烈な反撃、これを誘発する。これは仮に防衛出動後であっても事態は同じことだと思うんです。これが日本にどういう運命をもたらすかということを国民に詳しく語るところが少ないのじゃないか、あるいはないのじゃないかと私は思うんです。こういう観点で今ロング発言を契機に所見をただしたわけであります。  次に、リムパックの問題について御質問したいと思います。  リムパック84演習、この参加の各国別の主なる航空機、艦船、海兵隊を含む兵員の数について御説明願いたい。
  219. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 現在までのところ、私どもの手元に入っております数字は、各国のそれぞれの了解を得て発表された全体の兵力量といいますか、参加艦艇なり航空機の数あるいは人員だけがわかっておりまして、それ以外は自衛隊からの参加の数がわかっておるということでございます。  念のために数字を申し上げますと、今回のリムパック84に参加する艦艇は、日本、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの五カ国から参加をいたしまして、艦艇が約八十隻、航空機が約二百五十機、人員が五万名以上ということになっておりまして、そのうち我が方海上自衛隊から参加いたします艦艇が五隻、航空機が八機、人員約千四百名ということでございます。
  220. 内藤功

    ○内藤功君 この演習の調整官としてアメリカの第三艦隊司令官が担当するということになっておりますが、今度の演習は対空部隊を設けて、ブルー、オレンジというような二つのグループに分けて行った八二年の演習、これと同じようにグループを分けて行われるんですか。
  221. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 大まかに申し上げまして、演習は四つのフェーズに分かれると思います。  第一のフェーズというのは、サンジェゴあるいはハワイ、その周辺の陸上及び海上におきまして、主として個艦なり個機、それぞれの航空機なり艦艇というものが、陸上なり海上の訓練施設を用いて行う訓練。  さらに、洋上に出まして、以後、洋上の移動あるいは対潜、対空、対水上といったような各種戦についての訓練を行うわけでありますが、その訓練の第二フェーズの中では、今先生の御質問にもありましたいわゆる対抗戦形式の訓練というものもあろうかと思います。  さらに、第三のフェーズになりますと、そのように行った第二フェーズの訓練のもろもろの成果なりというものの検討会といったものがあろうかと思います。  第四フェーズというのは、主としてハワイ周辺に各種のミサイルとか魚雷の発射訓練場がございますが、そこでミサイルの射撃なりあるいは魚雷発射訓練をそれぞれが行うといったようなことになろうかと思っております。
  222. 内藤功

    ○内藤功君 我が海上自衛隊の部隊は、さっきのお話では、五隻が一つのグループ、ユニットとして行動するというお話でしたが、このいずれか一方のグループに入るわけでしょうか。その場合、どういう指揮系統に入るわけですか。
  223. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 先ほど申しておるように、対抗戦形式の訓練も当然あると思いますので、その際に、我が派遣された部隊があるグループに参加をするということは当然あるというふうに考えております。  なお、訓練に参加する各国の部隊というものは、各国のそれぞれの指揮官、ナショナルコマンダーというものがおりまして、その指揮下で行動するということになります。
  224. 内藤功

    ○内藤功君 八二年のリムパックの場合には、日本の海上自衛隊は日本の海上自衛隊の指揮官の指揮下に入りましたけれども、その海上自衛隊の部隊はブルーグループ、ブルー部隊に所属しておって、ブルーグループの司令官はアメリカの第三巡洋・駆逐艦隊司令官のモロー少将という方であって、この人の指揮下に入ったように私は理解をしております。そうすると、第三艦隊司令官は主宰者でありますけれども、ブルー部隊に所属した場合にはそのブルー部隊の総指揮官の指揮下に日本の海上自衛隊が入る、こういう関係になったと思うんです。このことと、今度の場合もそういうことになりますか。
  225. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) ブルー部隊という特定された一つの艦隊なりグループが編成されるというふうにお考えになると若干誤解があると思いますが、対抗戦形式ですから、当然ブルーなりオレンジなりといった特定の名称をつけた二つの側に分かれると思いますが、それが一つの一元的な指揮のもとに部隊が編成されるということではございませんで、仮にあるブルーならブルーという側に日本とアメリカの両方の艦艇が参加するということであれば、この中の日本と米側の部隊との関係というのはあくまで調整関係でありまして、それを一元的に指揮をする指揮命令的な関係は、そのグループの中のどこがイニシアチブをとるかということはあろうかと思いますが、指揮命令関係はないということになります。
  226. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、ブルーグループなり、あるいはオレンジグループの中では指揮される、指揮するという関係は一切ないというふうに言い切られるわけですか。そういうようなことで対抗演習ができますか。
  227. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 例えばブルー部隊の中に、日本の艦艇が五隻全部が参加をした、あるいはさらに海上自衛隊から派遣された航空機が参加したということになりますと、日本から参加した部隊はその中のナショナルコマンダーである小西峯生海将補の指揮下にあるということになるわけでございます。  さらに、そのブルー部隊にアメリカの幾つかの部隊が参加しているとすれば、だれがなるかわかりませんが、アメリカの例えば太平洋艦隊の訓練隊司令なり、それぞれの国のそれぞれの部隊の指揮官というものが発表されておりますが、それが指揮をとるということになりまして、米側と日本側との関係ということになりますと、それはコーディネーション、調整であるということになろうかと思います。
  228. 内藤功

    ○内藤功君 私は、今の点が理解ができないんです。例えば、これは当時発売された雑誌世界の八二年七月号にリムパックを取材された方が、片山さんという方ですが、この「リムパック82指揮・統制図」という中に書いておるんです。ブルーグループ、オレンジグループと分けて、それぞれのグループには総指揮官、米軍の少将がちゃんと指揮官としてついておりますこういう資料があります。この点、あなた、全体の調整官と各グループの司令官の役割を混同してお答えになっていませんか。
  229. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) 繰り返すようになるかもしれませんが、リムパック84なら84というものは、一つの戦略想定に基づく演習ではなくて、先ほど来、本委員会でもお答え申し上げているように、各種の訓練が一つ一つの集合体というか連鎖になって成立しておるわけです。その全体についての計画なり調整は第三艦隊の司令官が行う、さらにそれぞれの訓練があるわけですが、例えば移動訓練であるとか、対潜訓練だとか、その場面場面それぞれの訓練想定に基づいて、それぞれの場面において同じようにそのレベルの調整をやる人間がおるというようにお考えいただいたらいいと思います。
  230. 内藤功

    ○内藤功君 八二年のリムパックの後、ある程度の報道がされました。これをずっと見て私なりに分析してみると、日本の海上自衛隊は、米空母のいわゆる護衛のこういう輪形陣の中に組み込まれて、その中に位置して対潜、対空、通信などの訓練をやっておる。  それからもう一つは、海上自衛隊の八二年の派遣部隊は、ハワイのある島に対して艦砲射撃の訓練をやっておる。この艦砲射撃は、もちろん対艦訓練の意味も持ちましょうが、同時に、やはり対地攻撃の意味を持つという点で問題が私はあると思うんです。同時に、それは海兵隊の上陸の前後、接近された時点で行われている。  私は、こういうリムパックであり、技量の向上だから何でも訓練をやっていいということにならないと思う。そこに一つの、おのずから日本国憲法、この解釈の仕方はいろいろありますが、憲法を持ち、海外派兵はやらないという、そういう憲法の前提のもとでの一つのけじめというものが私は演習参加の場合にあってしかるべきものだ。参加がこれで終わるのなら別だけれども、特にこれからさらに二年後も続けるという場合に、どこまで演習の中に入っていくか、私は非常に危険なものがあると思うんです。  その点についての御見解と、もう一つは、時間の関係ではしょって恐縮ですが、リムパックエクササイズというもの、このうちのリムパックというものがリムパックフリート、環太平洋連合艦隊というものに編成されていく、そういう可能性を考える兆候はないのか、この二点をお伺いをしたいと思います。
  231. 西廣整輝

    ○政府委員(西廣整輝君) まず、前段の方からお答えいたしますが、今、先生の82リムパックに対する御理解というのはどうも、リムパックというのは先ほど申したように各種訓練、汎用的な各種戦訓練というものが連鎖的にあるいは同時並行的に行われている、それらをある程度一緒にされて見られている面があるのじゃないかと思います。  例えば、確かに、82リムパックにおきまして、ハワイ地区で両用戦訓練というものが行われております。これは海上自衛隊が全く参加しなかったわけですが、行われておることは間違いない。そこで、強襲上陸作戦訓練というものが行われている。ただ、自衛隊はそれに参加いたしませんので、参加しなかった艦艇部隊はその間それじゃ黙って見ておったかというとそういうことではなくて、全く違った地域に参りまして、我が国ではなかなか実施できない対地射撃訓練を実施した船もあるということでありまして、対地射撃訓練をやったのが両用戦訓練に参加をした、そういうものに参加をしたということではございませんで、これは全く別の地域で、別の目的でやられているもので、そういうことが同時並行的に各種の訓練が行われるということであります。  なお、後段の御質問でございますが、たびたびお答え申し上げているように、リムパックエクササイズというものは艦隊レベルの、しかも各種の戦術技量の向上のための訓練を行うものでありまして、これ自身これに参加したもので一つのフリートをつくるとか、そういったこととは全く関係のないものだというように理解をいたしております。
  232. 内藤功

    ○内藤功君 私は、このリムパック80、82、今度のごく一部あらわれた報道を総合して、これは太平洋、極東における一つの非常に攻撃的な意味を持つ、単に対艦、対空、対潜の技量向上の訓練だけではなくて、相手国、予想される外国の拠点攻撃に至るまでの非常に攻撃的な演習だというふうに理解をしておるわけであります。しかも、これはアメリカのワインバーガー長官の国防報告でも特に明記をされて、このような合同訓練というものがこの地域の友邦国との共同軍事作戦がより可能となり、さらに効果的な合同作戦も可能となる、こういう位置づけで見ておるという点で、私は日本の今の安全、特に世界の紛争に日本の海上自衛隊の参加を通して巻き込まれていく、この危険を強く感ぜざるを得ないわけであります。私のそのゆえんをお話しする時間が既にありませんので、これは別途また防衛庁に対する御質問の機会に譲りたいと思います。  最後に、防衛施設庁にお伺いをしたいのは、三宅島を中心とするNLPの問題であります。  まず、厚木基地におけるNLPの訓練はこれまで何日間あるいは何千回の訓練を行っておるか、これは延べで結構ですが、お答えをいただきたい。
  233. 塩田章

    ○政府委員(塩田章君) 昭和五十七年の二月から現在まで回数で十一回、日数で百四十五日、一回の平均が約十三日、発着回数は延べで約六千五百回でございます。
  234. 内藤功

    ○内藤功君 数字で聞いただけでも大変なことだと思います。いわんや、住民の方の騒音、轟音の被害は想像に絶するものがあると思うのであります。  ところで、昨年十月に、三宅島の噴火後、防衛庁及び防衛施設庁が、厚木基地の代替飛行場として各地を物色する中で三宅島を最も有力な基地の一つとしていろいろと工作をしている点は私は甚だ遺憾だと思うのであります。ことしになりましてからも、私のところに村議会、村長さん、反対する会のグループの方が再三再四にわたって陳情に見えておられるわけであります。特に、失われつつある自然を保護し、首都圏三千万の憩いの場としての青い海と緑濃き島を維持しなければならないのが島民の責任である、さらに快適な生活環境を確保し、住民生活の安定と福祉の向上を図ることは地方公共団体の目的であり、官民共用空港建設に対し反対する意思が表明されているゆえんだと述べているのは私は当然だと思うのでございます。私は、まず、この地方自治の民主的な発展と地方自治体の意思というものを十分に尊重して、こういう強行を行われないように強く希望するものであります。  もう一点伺いたいのは、アメリカのワインバーガー長官が来日した際に、報道によれば、栗原防衛庁長官を初めとする防衛庁首脳との会談があった、この中で栗原長官は、ワインバーガー長官の方からこの夜間発着訓練場について発言されたときに、米側の気持ちはよくわかる、こういうふうに言われたそうでございますが、この米側の気持ちはよくわかるとおっしゃった長官の真意は一体どこにあるのか、日本の国民の真意がわかるというなら私は話がわかるんですけれども、それを差しおいて米側の気持ちがよくわかるというのでは、もしこの報道が誤りないとすれば、日本の政府の大臣でいらっしゃるわけですから私ははなはだ理解ができない。日本の国民の気持ちがよくわかるという立場に立たなきゃならぬと思うんです、これはある意味では当たり前のことを言っているかもしれませんが。まず、米側の気持ちがわかる、こうおっしゃられたのかどうか。この点は、どういうふうにあなた釈明されるか、お伺いしたい。
  235. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 私はワインバーガーさんには、NLPの話があったから、そのことはよく承知をしております、こう言ったんです。しかし、それだけで私は終わったと思っていない。防衛施設庁長官が言っているとおり、日米安保の円滑な運用のためにこういう訓練施設というものをアメリカが求めているということはよく理解できるし、それに対して我々としては努力をしなきゃならぬ、こう思っております。  先ほどもお答えをいたしましたけれども、私は日本の国の国民のことを考えて、やはり日米安保上必要なものについては住民の皆さんの御理解をいただく、住民の皆さんの御理解をいただかないで何かやるということはいかぬけれども、御理解をいただいてやる、こういうことはこれは当然だと思うんです。このことは、決してアメリカの気持ちだけを大事にして日本の国民の気持ちを大事にしない、そういう論法にはならぬと思います。
  236. 高平公友

    ○委員長(高平公友君) 最後に、締めくくってください。
  237. 内藤功

    ○内藤功君 それであるならば、三宅島の村民は、私は九割と言っていいのじゃないでしょうか、今署名をずっと集めておりますが、これだけの人が反対を表明し、村議会もしばしばこの反対の請願を行っております。私は、今長官がおっしゃったように、日本国民の気持ちを考えるという立場を貫くならば、これは三宅島ということにこだわるのじゃなく、アメリカの空母艦上機の人たちが訓練の練度を上げたいというのであれば、アメリカにもいっぱいあるでしょうし、アメリカが遠いというならばほかの国もあるでありましょうし、日本の東京のその周辺はこれはとてもいっぱいでできないということをはっきり私は言うのが筋道と思います。私は、そういう意味で、日本国民の立場に本当に立つというならば、この三宅島への設置というものは島民の気持ちを酌んで私は断念するのが相当だと思います。いかがですか。
  238. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 私は、住民の気持ちというものは十分に考えなきゃならない。しかし、ただ反対というのじゃなしに、いろいろ説明を聞いてもらって、その上でこれはだめだとか、ああだとか、こういうようなことをぜひしてもらいたいと思っているんです。だから、共産党さんも、ただ反対というので言わないで、説明も聞いていただいて、それでこれは考えることがあるというなら考えていただきたい。それが日本とアメリカ、特に我々として日米安保というのは重要だ、あなたの方とは立場が違いますが、そういう観点に立って御協力を賜りたい、こう思います。
  239. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 去る五月十一日の日米防衛首脳会談でワインバーガー米国防長官が、ソ連の脅威は急速かつ劇的に増大しておる、こういう基本認識を示しまして、西側諸国の結束を強調すると同時に、日本政府が自衛力を強化している努力を評価すると述べた後、栗原長官が、さきの質問にも出ましたけれども、自衛力の整備推進にとってソ連の脅威の問題は大きい、日本国民にソ連の脅威を正しく認識させていくことが大事で、私の任務だと思う、こう述べられた、これは報道でございます。  さきの委員の質問に対して、この発言は政治家栗原祐幸としての認識を述べたものである、こうお答えになったんです。しかし、両国の防衛に関する長官同士の会談で、私人と公人の使い分けが果たしてできるかどうかという点は問題があろうと思いますが、この問題は質問をいたしましても従来どおりのお答えから一歩も出ない、こう思いますので、そこでお伺いしますが、これから政治家栗原祐幸でも結構でございます、防衛庁長官としてでも結構でございますが、どういう目的で、どういう方法でソ連の潜在的脅威というものを国民に認識さしていくというお考えをお持ちでしょうか。
  240. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 柄谷さん、私が政治家というのと防衛庁長官と分けたというくだりでございますが、ワインバーガーさんがいろいろと御説明されたことについては私は防衛庁長官として非常に説得力のある論理的なお話であって評価する、こう言っているんです。ただ問題は、後のソ連の脅威、いわゆる俗に言う潜在的脅威、この問題については今まで衆議院におけるやりとりがあるわけです。そのやりとりの中で、政治家として防衛庁長官は戦争のことばかり言わないで、もう少し平和のことを考えろ、核の問題なんか考えろ、そういうお話がありましたので、その中で私が言うたのは、平和を考えているし、核の問題も削減しなければならないあるいは撤廃しなければならないけれども、なかなかこれが言うべくして行われないのは何かというと、体制の違いがある。自由主義陣営と全体主義、共産主義陣営とのそういう差がある。自由主義では物が自由に言える、共産主義の方じゃ言えない。だから、核を廃絶するという声が全世界の国民の中から起こってくるというのならいいけれども、なかなか起こってこない。そういうふうに考えてみると、なかなかこの問題については、今度は現実にどう処理するかという防衛庁長官の立場になってくると、実際にソビエトという国が全体主義、共産主義の国であって、極東の方に軍事力を増強しているということになると、これに対して重大な関心を持たざるを得ない、こういう説明したいきさつがあるんです。  私がワインバーガーさんに申し上げたのは、その体制の違い。その体制の違いの中で現実に軍事力が増強される、これを潜在脅威の増大と見る、こういう話をすることは政治家として当然じゃないか、こういうことなんです。ですから、長官と分けているんです、政治家とは。それで、政治家としてはどうするのだ、私は政治家として時と所をわきまえて、これは政治家として言うべきだというときには声を大にして答える、こういうことでございます。
  241. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 潜在的か、顕在的かという議論はきょうは横に置きまして、長官のお心の中には体制の違う東側、いわゆる共産諸国のソ連という実態を踏まえながら、やはりそれを念頭に置かねばならぬというお気持ちがあると思うんです。そうしますと、仮に国民にソ連の脅威というものを認識させていく、認識してもらうということによって防衛力を整備する支えにするというもしお考えがあり、それが言葉に出たというのであれば、防衛大綱に特定の脅威に対抗するものではない、こううたった趣旨とそぐわなくなるんです。この点に対して、より明確にお答えをいただきたい。
  242. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) これも実は、柄谷さん、先ほどお答えしたんです。というのは、防衛計画の大綱というのは、一定の基本的な国際情勢の枠組みというのがあります。米ソというものは対峙をしておる、対峙をしておるけれども、今すぐ、あすにも戦争が起こる、そういうことではない、それから全世界の中で各地で紛争が起きている、それから南北の朝鮮では緊張が続いておる、こういう状況が防衛計画の大綱をつくるときの基本的な国際情勢の枠組みです。その後いろいろアクセントはついている。アクセントはついているが、基本的な枠組みは変わっていない。そういうことでございますから、今ここでソ連の潜在的脅威が増大した、だから大綱を見直せという論理にはならぬ、こういうことです。
  243. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 そこらが国民には非常にわかりにくいんです。およそ防衛、安全保障という問題は、あらゆる局面を想定して防衛力を整備することによってその抑止力としなければならぬというところに基本があるんです。ということになれば、特に顕在化しつつある、いわゆる増大しつつある脅威というものを念頭に置いて我々も防衛力を整備することがより強い抑止力になるのだということでないと、国民はそれじゃ何のために防衛力を整備するのかということが、非常に今の政治の論理は回りくどくて国民には理解できない。そういうことに対して説明する必要があるという長官は御認識だから、こういうことを言われたのじゃないですか。
  244. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 言葉としてどういうふうな言い方をすることが国民の御理解をいただくには一番いいか、この工夫はしなきゃならないと思います。この工夫はしなきゃならぬと思いまするけれども、現実にはやはり国民の皆さんのコンセンサスを得ながら防衛力の整備をしなきゃならぬわけです。そして同時に、いろいろ御議論があるように、この五九中業はこれでできるのか、五六中業できるのか、こういうことを言われているわけですから、我々としては当面はいわゆる五九中業で防衛計画の大綱の水準を達成する、そういう強い決意で進めていくというのが現実的な政治の手法じゃないか、こう考えています。言い回しでどうしたら国民の皆さんにわかるようにその工夫をしろというのなら、それはいろいろ考えなきゃならぬと思います。
  245. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 この問題ばかりでやり合っておりましても、従来の歴代防衛庁長官の長官答弁というものが念頭にあるためになかなか本音を引き出しがたい、こう思いますけれども、これは一応置いておきます。  そこで、ワインバーガー長官は、栗原長官が行われました五九中業の策定の指示に対して何らかの評価をされましたでしょうか。
  246. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) これも新聞記者の方に対するブリーフでも述べておりますけれども、私は、アメリカのソ連に対する認識と我が国民のソ連に対する認識というのには感覚的にギャップがある。おたくの国の方では、実際に血を流し、金を使って、いつもグローバルな観点からソビエトというものを見ている。我が方は、北方領土を占拠されておる、あるいはシベリア抑留というものをされておるけれども、国民の一般の認識は、平和というものがずっと続いてきておるのでソ連に対する認識はアメリカのようになっていない。したがって、国民の認識度合い、そういったものをよくわきまえた上で努力すべきことは努力をしながら防衛力を整備しないと、これはできません。その一環として五九中業があるのです。こう説明したんです。それに対してワインバーガーさんは、そうでございますかと答えただけでありまして、それ以上のことは言わなかった。
  247. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 そうでございますかという答えにとどまったというんですが、これはワインバーガー長官と中曽根総理との会談で、これも報道でございますけれども、抑止力という概念は静的なものではない、相手方の軍事力の伸びに対応して考慮すべきものである、こう中曽根総理に述べた、こう言われておるわけです。これは、両国の確かに認識は違います。しかし、この発言からしますと、五十一年の十月に定めた防衛大綱の達成を依然として指示されておるということは静的な概念ではないかという、これは非常に間接的ではございますけれども、ワインバーガー米長官は栗原長官指示に対して間接的な批判の意見を述べた、こうしか受けとめられないのですが、いかがですか。
  248. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 事実関係もございますので私から御説明申し上げたいと思いますが、ワインバーガー長官が総理に表敬をされました際に述べられたことは、抑止力の概念は静的なものではなくダイナミックなものである、相手側の軍事能力が伸びるに従ってそれへの対応を考慮しなくてはならないというふうに述べられまして、それに続けまして、レーガン政権が三年間抑止のための努力を行ってきたこと、それから今後とも米国が国防努力を続けていかなければならないという趣旨のことをお述べになったというふうに私どもは承知をしているわけでございます。  こういったワインバーガー長官の抑止力についての御発言は、米国の国防努力を述べるに当たりまして、従来からの抑止力についての米国の考え方を一般的にお述べになったものだというふうに私どもは理解をしておるわけでございまして、日本に対しまして大綱の見直しを求めたというふうなものではないというふうに理解をいたしております。
  249. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 それでは、五九中業に対する長官指示でございますが、その第二項には、「「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準の達成を期するものとする。」、そしてさきの答弁では、これは長官としての強い決意の表明である、こう述べられたんです。しかし、現在の五六中業も大綱の水準達成を基本とする、こうされているわけです。私、論理的に伺いますけれども、基本とする、「期するものとする。」、強さは違います、しかし五六中業で水準の達成ができるということであれば、五九中業で「期する」という必要はないわけです。そういうことですね。したがって、この長官指示の第二項は、努力は努力として、五六中業では大綱水準の達成ができない、したがって引き続き五九中業でその水準の達成を期す、こういうことでないと論理はつながらないと思うんです。そういうふうに私は理解しておるんですが、間違いございませんか。
  250. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 五六中業の長官指示におきまして、大綱に定める防衛力水準の達成を基本とするということで作業を始めたわけでございますが、実際にでき上がったものがどういう姿かと申しますと、大綱水準をおおむね達成する水準というものが五六中業の内容になったわけでございます。これもしばしば申し上げておりますように、一部に未達成部分が残っておるわけでございまして、それは海上自衛隊の作戦用航空機、航空自衛隊の作戦用航空機、いずれも三十機程度の未達成部分が残っております。したがいまして、五六中業の場合はもともと概成とは言っておりますが、完全に達成しているというふうには量的にも言えない状態であったことは事実でございます。  それに対しまして、今回の五九中業の場合は、大綱に定める防衛力の水準の達成を期する、この達成について強い決意を持って当たっていこうということを申し上げているわけでございまして、そこは五六中業の目標を変えたのかどうかというふうなこととは性質の違う問題であるというふうに考えている次第でございます。
  251. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 それは非論理的でして、達成を期するということは、変えないけれども、期せなかったので引き続き五九中業で達成する、こう言わないと、達成できたものをなぜ引き続いて水準達成を期すると言うのか、ここは理屈が合わないのじゃないですか。
  252. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 先ほど申し上げましたように、五六中業は大綱水準を達成できたものということでは厳密に言うとないわけでございまして、おおむねそういった水準に近づくというような内容のものであったわけで、現に未達成部分が、先ほども申し上げましたように、主要な項目にも残っているわけでございますから、そこは今回の五九中業で大綱水準の達成を期するという表現をしておるのとはやはり内容的に違いがあったものというふうに御理解いただいて結構かと思います。
  253. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 まだ、どうもわからぬですが、問題を先へ進めましょう。  それじゃ、五九中業で大綱の水準達成を期す、こういうことですから、その最終年度である昭和六十五年、もっと短く考えた場合で少なくとも六二中業を策定する昭和六十二年までは防衛大綱の見直しを行うことはないというふうに受けとめていいんですか。そうでないと、水準達成というのは、大綱水準が変われば――その達成というのは一体何なんですか。これは現在の防衛大綱の付表を指しているわけですか。
  254. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 現在の時点は、五九中業の作成作業に着手したばかりの段階でございます。したがいまして、その五九中業のさらにその後の問題ということになりますと、とてもとても今申し上げ得るような状況ではないわけでございます。いずれにいたしましても、現在大綱水準の達成ということを期して努力を始めたということでございまして、現在のところ、この大綱の見直しを特に考えている状況ではございません。
  255. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 いや、五九中業は、現在の防衛大綱水準、すなわち、もっと端的に言えば付表、これを達成しましょうということですね。したがって、大綱は見直す必要がその間はないわけですね。次の計画は昭和六十二年に策定の準備が始まるわけですね。だから、六二中業で大綱を変えるか変えないかはわからぬ、これはわかります。しかし、それまでは大綱を見直さなくても中期の目標は立て得るということじゃないですか。
  256. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 繰り返すようで恐縮でございますが、ともかくも現在の時点というのは五九中業の作成作業に着手したばかりの段階でありまして、そこから先一体どうなるかということについて予測をすることはとてもできない状況でございまして、現在はともかく大綱水準達成のために努力をしていこうということでスタートを切ったところでございますから、そういうことで御理解を賜りたいと思います。
  257. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 言い合っておってもしようがありませんが、大綱水準達成という目標を決めたんですから、その目標がふらふら途中で変わるのであれば、長官指示は何のためのものか、こういうことになってしまいますから、これは常識的に考えて、五九中業期間中は大綱を変えないというふうに理解するのが素直なとり方だと私は思うんです。私が頭が悪いのか、防衛局長の頭がよ過ぎるのか、これはわかりませんけれども、私はそのように一応受けとめておきます。  そこで航空自衛隊が昭和五十八年末に保有いたしております作戦用航空機は、防衛庁の資料によりますと、要撃戦闘機二百二十四機、支援戦闘機六十八機、偵察機十四機、輸送機四十機、早期警戒機四機、航空自衛隊の持つ作戦用航空機数は合わせて三百五十機でございます。これが大綱の付表によりまして戦闘機の数が決められておりますので、一定の予備機を持ちまして、今一飛行隊十八機を基本として編成されているわけです。ところが、付表は作戦用航空機約四百三十機、こう書かれておるわけです。大綱を変えないというのですから、飛行隊の数はこのままだということになりますね。ということは、一飛行隊当たりの基本定数、これを十八機から二十五機程度に編成を変えるとしか読み取れないんですが、そのとおりですか。
  258. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 戦闘機部隊の編成の問題を御指摘いただきましたので、先ほどのお示しいただいた数字の中で戦闘機部隊について申し上げますと、戦闘機部隊は大綱の水準では約三百五十機というふうに考えておるのに対しまして現状が二百九十二機でございますから、確かに約六十機の不足であるということでございます。この差は一体どういうことかと申しますと、一つは将来構想といたしまして、支援戦闘機の方の部隊、これが一飛行隊当たり現在十八機でやっておりますが、これは将来構想としてはぜひ二十五機編成にふやしていきたいということを考えているのは事実でございます。ただ、要撃戦闘機部隊の方は現行の十八機の原則をそのまま維持することが基本になっております。ただ、予備機の機数の割合が現在では若干不足しておるというふうに判断しておりますから、要撃戦闘機の方ではそういった予備機の増というものをもう少し図っていかなきゃいけないという問題が残っております。その二つの要因が約六十機程度の差ということになっていると御理解をいただければ結構かと思います。
  259. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 したがって、五九中業では今、局長が述べられました各飛行隊の航空機定数及び各機種ごとの予備機数対就任機数比率について見直しが行われる、そういうことで四百三十機になるのだ、この理解は正しいわけですね。
  260. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 戦闘機部隊についてはそういった御理解で結構でございますが、ほかに偵察航空機の部隊もございまして、これの不足の問題がその四百三十機全体の中にはなお別途ございますから、そこら辺はこれもあわせて検討をしなけりゃいけない、こういう問題でございます。
  261. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 そこで、長官にお伺いいたしますが、今回の長官指示の一つの大きな特徴は、「真に有効な防衛力の発揮に資するよう、特に、正面と後方のバランスに極力配意し、継戦能力等の向上に努める」、これが非常に大きな特徴です。  そこで、ひとつ簡単にお答え願いたいんですが、一体どの程度の継戦能力をお持ちになろうとお考えなんですか。
  262. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 継戦能力の問題の中心は、弾薬の備蓄の問題が中心になることは先ほども申し上げたとおりでございますが、これは現状が必ずしも十分でないということは申し上げざるを得ないわけでございますが、じゃ、具体的にどの程度を考えるかということにつきましては、これはまさに防衛構想の非常に一番微妙な分野に属する問題でございますから、数字をもって申し上げることは差し控えさしていただきたいと存じます。
  263. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 それ以上の無理は聞きますまい。  そこで、長官にお伺いしますが、長官、私の前の質問に対して、陸、海、空のバランスを図る、こう言われました。今度は、正面と後方とのバランスも考える、こう指示されたわけです。ということは、五十九年を見ますと、正面二三・一%、後方三二・三%、人件糧食四四・六%、これが防衛費関係の比率です。枠は限界があるんですから、陸、海、空のバランス、正面と後方のバランス、これを考えていくということであれば、この比率も見直すというふうに受けとめていいんですか。それとも、正面装備はこのままにしてバランスを図るということになると防衛費は何ぼでも伸びていくと思うんです。どちらのお考えですか。
  264. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) ただいま御指摘の問題は、五九中業においてどういった経費の詰めをするのかということが基本になるわけでございます。五六中業の場合もそうでございましたが、正面の分野につきましてはある程度詳細な積み上げはしなきゃいけないというふうに思っております。ただ、後方につきましては、主要な問題点についてはもちろん正面とのバランスという観点からの検討をするつもりでおりますけれども、全体について詳細な予算と同様の積算の積み上げということができるような性格のものではございませんので、そこは明確にこうだということを計画数字みたいな形で出すことは困難かと思います。人件糧食費についても、ある程度の推計的なものを五六中業の場合やってみましたけれども、五九中業の場合にどういったような計算ができるかどうか、これは今後の問題かと思っております。  したがって、五九中業ができ上がった段階におきましてどういった数字をまとめ得るかということは、実は今の段階ではまだ決まっておりませんで、どういうやり方をするかということ自体、今から詰めていこうというふうに思っております。実際に、正面、後方、人糧といった構成がどうなるかということは、実は毎年度の予算編成の過程におきまして具体的に積み上げが行われて、そこで決まるものでございますので、今ここの時点ではっきりこうだということは申し上げられないわけでございます。それからまた、数字そのものの性格からいいまして、それぞれの正面なり後方なり人糧なりの必要性を判断して毎年度の予算で出されるわけでございますから、それは結果としての藤成比が出てくるということでございまして、初めから一定の比率がこうシフトする、変わっていくというふうにちょっと予測して申し上げることは難しいかと思っております。
  265. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 予測して、あらかじめこういうパーセントに変わりますということは言えない、これは当然のことです。ただ、今までどおりの比率をやったためにアンバランスが生じたわけです。予算編成のときに枠が決まる。その枠の中でバランスをとろうということになれば、枠が無限のものなら別ですが、枠は有限なんですから、有限の中でのバランスということになれば、パーセンテージは別にして、考え方としてはある程度正面の経費を若干落としても、その原資を後方、人糧、ここへ回していくという発想でないと永久にバランスはとれないということだと思うんです。そういう私の受けとめ方は間違いないですか。
  266. 矢崎新二

    ○政府委員(矢崎新二君) 正面、後方、人糧の構成比の推移をごらんいただきましてもわかるわけでありますが、年によって変動がある程度生じているわけでございます。その年々の状況に応じまして数字が変わっているわけでございます。したがって、あらかじめ一定の率でこうであろうということは申し上げられないわけでありますが、現時点で私どもが言えますことは、物の考え方としては、長官指示にもありますように、正面と後方のバランスを十分考慮してやっていこう、正面の力を発揮させるためにはやはり後方というものがそれにバランスをとった形で整備されていないと真の防衛力にはならない、こういう考え方を明確に長官に示していただいているわけでございますから、そういう判断基準に沿って物事を考えるのは当然のことではないか、こう考えております。
  267. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 防衛問題はまた改めての機会にお伺いすることといたしまして、せっかく行管庁長官においでいただきましたので、お伺いいたしたいと思います。  このたび、臨調答申を受けて、行革の一つの大きな目玉とも言うべき日本電信電話株式会社法案と電気通信事業法案が国会に提出されております。もちろん、この細部につきましてはこの法案審議のときに十分の議論が行われるべきであろう、こうは思いますけれども、私は行政改革というものをつかさどる行管庁長官としての基本的認識をお伺いいたしておきたい、こう思うわけです。  私は、臨調答申の主眼は、従来公社に対する政府の監督規制というものが強過ぎた、そのことによって企業性が損なわれがちであったという点に着目をいたしまして、これを民営化して当事者能力を高め、経営の効率化を図るというところに主眼が置かれた、これは第四部会の部会報告を通読いたしましても、また答申を通読いたしましても臨調の意思は明らかにそこにあった、こう思うわけでございます。  ところが、政府案では、例えば人事への介入という問題についても、従来は正副総裁だけだったです、政府が介入いたしましても。今度の政府の案では、全取締役、全監査役の選任は郵政大臣の認可ということになっておりまして、人事に関する政府の関与は従来以上に強まっている。これは見ればわかるわけですから、範囲が非常に拡大したわけです。ところが、同じ特殊会社でも、運輸省が出しました関西国際空港株式会社の場合は、政府の関与は代表取締役に限られているわけです。この点は非常に臨調答申というものが尊重された人事の介入、こういう形になっているわけです。同じ政府でありながら、臨調答申を非常に尊重、そんたくして特殊会社をつくろうという省と従来以上に関与を強めようという省と対称的にあらわれてきておるわけです。これは臨調の答申に照らして、行管庁長官ちょっとおかしいとお思いになりませんか。
  268. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 臨調の答申は、電電公社を民営にする、そして同時に分割する、その趣旨はといえば、おっしゃるとおりに、民間の経営手法、効率化、活性化、競争原理の導入、こういうことであったと思います。そういう観点から見て、全重役を郵政大臣の認可にかからしめるのは前よりきついではないか、こういう御説です。  ただ、現在は、あれは政府の任命なんです。今度のは、株主総会でお決めになって、株式はとりあえずは政府が持っていますけれども、先行きは国会の御承認を得て民間に放出するということも中にあるわけですから、株主総会でお決めになったのを政府の認可にかからしめるということで、基本的な物の考え方としては、臨調のように一挙に民営分割までいきゃ別として、まず第一歩の改革として現在と比べてみれば私は臨調答申の精神に反しておるというふうには考えていないんです。  といいますのは、この電電公社というのは、御案内のように、三十二万人の職員です。売り上げが、現在でも大体四兆五千億。今利益がどれぐらいありますか、三、四千億あるのじゃないですか。民間会社とすれば、これは日本一の巨大企業です。しかも、同時に、この事業は今三千万の私どもの個人の電話を扱っております。極めて公共性が高いわけですから、民営になってもこういった基礎的なサービス、公共性というものは忘れてくれちゃ困る。それから同時に、巨大性ということもある。しかも、これは分割までは今度言っておりません。しかも、お手本がないんです、外国にお手本があると割合やりやすいんですけれども。御案内のように、ATTは一月から分割したと思います。しかし、まだ先行き極めて透明ならざる部分も私はあると思うんです。あるいはイギリスが、御案内のように、今、国会で電話料金の問題でひっかかって審議が途中です。イギリスもアメリカもしたがって本当の意味でのお手本がない。  今度の改革は、日本にとりましては重大な大改革です。これはやはり日本の社会のみならず個人の家庭まで、今度の改革だけはよほど慎重な配慮を持ってやらなきゃならない。そこで、私どもとしては、五年間の見直しの計画規定を置いたわけです。そこで、今度の第一歩の計画としては人事等についても今言ったような処置をとってあるわけでございますから、ここらはやはり臨調の答申の趣旨を踏まえた第一歩の私は大改革だ、かように考えておるわけでございますから、その点はぜひ御理解をしていただきたい、かように思います。
  269. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 わからぬことでもないんですけれども、例えば事業の方を見ましても、郵政大臣の認可を受けるべき事業計画について、臨調の答申の精神は従来公社形態の弊害として予算及び事業運営について政府の関与が強過ぎたということが企業の弾力性というものを損なっているということも強く指摘しているわけです。ところが、今回の法案では、郵政大臣の認可は事業計画ということに加えて、予算及び資金計画の点については何ら触れられていないんです。仮に、この資金計画とか予算問題も郵政大臣の認可だということになると、衣は公社から株式会社に変わっても従来と何ら変わるものではないという欠陥があらわれてくると思うんです。私は、この臨調精神からしますと、当然この予算とか資金計画は事業計画の付表ということにとどまるべきであって、そこらは企業性を発揮した事業運営が行われるというのが臨調答申に沿うものではないか、こう思うんです。この点はまた郵政大臣にも篤と質問しますけれども、行管庁長官は御認識いかがですか。
  270. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) 郵政大臣より先にお答えして後でおしかりを受けちゃいけませんから、管理庁の長官としての意見だというぐらいにお聞きいただきたいと思います。  今までは、御案内のように、国会に予算案を出して、国会の承認事項ですから議決していただかなきゃどうにもならぬわけです。したがって、事業計画とか、資金計画というのはたしか付表ですか、それで出ておった。今度は事業計画だけが郵政大臣の認可事項になっています。そうすると、事業計画というものを認可を受ける際には、それに伴う資金なり経費なりがどうなるかというのは当然その背後にあるわけですから、したがって法律では何も書いてないはずです、事業計画だけになっている。問題は、そうすると今度は今までと逆になりますか、その予算とかなんとかという方が付表で出てきますから。そこで、それをどのように扱うかということは、これはこれから先の検討事項だと私は考えているんです。しかし、それまで許可にしてしまう、これは私はちょっと無理だろうと思います、法律に書いてないんですから。そこらは検討さしていただきたい。そのときに、今、柄谷先生のおっしゃいました御議論は私はごもっともだという気がいたしますので、そこらは十分これから先の検討の際に考えさしていただきたい、かように思います。
  271. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 時間が参りましたので質問はこれでやめますけれども、臨調、特にこれらを議論されました第四部会の部会長は、どうも我々の意図と今度の政府提出法案は大分ずれがあるということを指摘されております。これは法案審査の際に、必要であれば一遍参考人としてでもお呼びしてやりたいと思いますが、やはり臨調の答申を踏まえた、その精神を生かす改革、このことに対して行管庁長官もその職掌柄ひとつ積極的な御努力をお願いいたしたいと思います。  なお、質問予告には特殊法人、特殊法人を締めますと認可法人に逃げ、認可法人を今度締めると財団法人に逃げるという、一つの官僚の皆さんのからくりについて篤とお伺いしたいと思いましたが、時間が参りましたので、この問題はまた改めての機会に譲って質問を終わりたいと思います。
  272. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 いろいろ防衛問題が論議されておりましたけれども、私は特に福祉に関心を持つ立場から、大変防衛問題というのも福祉につながりがあるように思っております。  したがって、どうしても防衛費が膨らんでまいりますと福祉が切り詰められていくというのは、過去の歴史的な数字が示しております。GNP一%問題もいろいろな形で論議をされているんですけれども、いずれこの一%はやっぱり壁は破られていってしまうであろうという懸念は国民の多くが持っているわけです。今までいろいろお話を聞いてみますと、五六中業も非常に中途半端の嫌いがある、あるいは五九中業もなかなか完成は難しいであろうというような一般的な議論を聞いてきたわけですけれども、防衛庁長官とすればこのGNP一%というものからこれから大きく転換をする時代が当然やってくるだろうと思うんですけれども、防衛庁とすればGNPに対して防衛予算はこのぐらい必要なんだという一つのお考えがあるかどうか、率直にまず伺いたいと思います。
  273. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 今、GNP一%をめぐりまして、国会でもあるいは国会外でも大変多くの議論がなされております。しかし、私ども政府の立場からいたしますと、国会におきまして総理がGNP一%の問題については昭和五十一年の三木内閣のときの防衛に関する閣議決定の方針を守ってまいりますと、そういうことでございますので、そういうことで進めていくということでございまして、これ以上の御答弁は御勘弁をいただきたい、こう思います。
  274. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 本当に防衛に携わる方々の中から率直な、このぐらいなければ五六中業も、五九中業も、これからのいろいろな防衛大綱も遂行できないのだという本音の部分が出てまいりませんと、国民のコンセンサスはなかなか得られないのじゃないかというような気がするんです。特に、予算編成の形を見てみますと、どうしても防衛費が出てくるときには福祉が切られていきますし、やっぱり真の防衛福祉の後退であるというふうな感覚になりますと、私などは真の福祉が真の防衛でなければならない、こういう気持ちを持つんですけれども、そういう意味ではやっぱり率直にGNP一%の枠ではない、防衛庁とすればこれだけの一つの要求があるのだ、こうしなければ日本の専守防衛、一つの自衛というものはなし遂げられないのだということをそろそろ毅然として本音をおっしゃるべきときだと思うんです。繰り返し申し上げますが、いかがですか。
  275. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) いろいろ御議論のあること、また今の御提言、よく私の頭の中に留意をいたしたいと思います。  ただ、ここで私申し上げておきますのは、私は、俗に言う総合安保でございますが、国の安全というものは防衛力だけでいけるものじゃないと思っています。政治、経済、文化教育福祉、各般の施策が整々と秩序あるそういうつながりの中で行われねばならない、そのことはよく承知をしております。ただ、防衛庁を預かっております私の立場からいたしますると、まだ防衛計画の大綱水準に達していない、これは限定的状況に対応する一つのものなんです。それが昭和五十一年以来まだこの程度であるということを考えてまいりますと、国の平和と自由と安全というものを守る立場からいたしますと、いろいろなことがございますが、我々としては最小限これだけの予算はいただきたいということで参ってきているわけでございます。この点につきましても、決して私が福祉とかその他のものを軽視しておるのじゃないということだけは御理解を賜りたいと思います。
  276. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 そういう長官のお話を伺って、きょうは、特に自衛隊員も含めまして、公務員の災害補償に関して質問をしておきたいと思うんです。  まず、人事院に伺いたいと思いますが、人事院は災害補償制度の適正な実施及び施策の確立のために災害補償実施状況総合調査というのを行ったと聞いております。ところが、いまだにその調査結果について報告が出ておりません。昨年九月の中間集計結果はいただいておりますが、随分ゆっくりとしているような気もいたします。早ければいいというものではありませんけれども、この調査に関しまして、その目的、経過、見通しにつきまして伺っておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  277. 叶野七郎

    ○政府委員(叶野七郎君) 実は、この調査は昨年の二月に実施したわけでございます。一年余りたっておりますけれども、まずこの結果は本年の夏を目途にして発表を行う、そういうふうに考えております。  それから、この目的でございますけれども、要すれば国家公務員の災害補償制度の適正な実施なりあるいは制度の拡充ということを当然目途にして調査しているわけでございます。これらの事項が出ましたならば、その点を踏まえまして、単に民間労働者に対する補償の均衡というものを中心に従前考えてまいったわけでございますけれども、これからはやはりさらに進んで被災職員及びその遺族の方々の生活状況等も勘案しながら制度の拡充改善を図っていかなければならぬ、かような趣旨で調査しているわけでございます。
  278. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 昨年出ました中間報告というんですか、集計概要を見ましても、障害補償受給者あるいは遺族補償受給者の生活状況というものを推測することができるんですけれども、一例を挙げますと、意見、要望等について見てみますと、年金等の支給水準の引き上げがいずれの場合もトップでございます。やはり生活の苦しさを感じている人が断然多いわけであります。  ここで、中間集計にちょっと苦言を申し上げておきたいんですけれども、意見、要望等については「あり」ということで記入した人は大体半数でございます。遺族を例にとりますと、千百二十五人中五百三十八人、四七・八%が記入をしております。そして、そのうち支給水準の引き上げを要望している人は四百十一人でありますけれども、中間集計の資料によりますと、その割合は三六・五%となっております。つまり、この割合というのは全対象者に対する割合でありまして、ところが記入した人の中では五百三十八人中四百十一人ですから七六%にもなるのだということなんですが、ここは数字の非常にテクニック的なものがありまして、ちょっと苦言になりますけれども、意見、要望等について特に記入しなかった人たちについて潜在的に同じような要望があると推測できるとしますと、この七六%の方がやはり意味のある数字になるわけであるということをお含みおきをいただきたいと思うんです。数字のとり方によって調査結果の解釈が違ってきますので、その辺十分に御注意をいただきたいと思うのでございます。後で説明がありましたら説明を伺いますけれども。  いずれにせよ、せっかく調査をされたんですから、その結果を施策に反映してもらわなければ困ります。今後、この調査結果をどのように活用し、どのように施策の充実に反映さしていくおつもりなのか、承りたいと思います。また、今の私の数字のマジック的なものについての御説明があれば、それも承っておきます。
  279. 叶野七郎

    ○政府委員(叶野七郎君) 実は、申しにくいことでございますけれども、本調査の結果を待って子細に内容を分析しようというようなことで臨んでおります。  ただ、今の数字の件につきましては、複数調査ということになっておりますので、一人で複数回答、その辺の集計でございますので、必ず一〇〇%以上になるということかと思います。  それから、この結果の利用方法でございますけれども、従前から民間労働者に対する均衡を考慮しながら、五十一年には補償年金の創設、五十五年にはそれぞれ水準の改善ということなどを行ってきております。今後は、被災職員の生活状況を踏まえてさらに改善をやっていきたい、かような趣旨でございます。
  280. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 次に、一般職公務員について公務災害の発生状況を省庁別に見てみますと、林野庁がトップでございます。それに次いで郵政省が第二位となっております。林野庁の場合はチェーンソーの振動によるいわゆる白ろう病です、これは社会的にも大きな関心を呼んだことですけれども。郵政省の場合について見ますと、比較的新しい問題としまして、外務職員のバイク振動による障害というものがございます。かっては山坂越えて何百里というような、かばんを提げてという形から自転車、自転車から最近はバイクという一つのプロセスもあるわけですけれども、郵便配達などで毎日毎日バイクで走り回っている方々は、バイクの振動で手のしびれ、感覚の麻痺といった障害が出てくるのだろうというふうに思います。  ところが、振動による障害は、その因果関係の証明が非常に難しいという面がありまして、公務災害として認めてもらえないケースが非常に多いわけなんです。人事院月報の末尾に毎月判定要旨が載っておるんですけれども、四月号の場合ですと、八件載っているうち五件がバイクによる振動障害の訴えを棄却する、こういう内容になっております。こうした状況でありますから、郵政省の公務災害の発生率は私の見方からすればもっと高いのが実情ではなかろうか、こういうぐあいに思われるんですけれども、バイクによる振動障害の発生状況についてどのように把握しておられるのか、郵政省、人事院、それぞれお答えいただければと思います。
  281. 菊地惟郎

    ○説明員(菊地惟郎君) 郵政省におけるバイク振動障害の発生状況いかんということでございますが、これにつきましては、四十九年ごろからぼつぼつ出てまいりまして、現在まで三百六十一件の認定申請件数を数えております。その中で現在まで認定いたしましたものは、公務上と認定されたものが五十四件、それから公務外と認定されたものが三百件ございます。あと七件が目下検討中ということでございます。
  282. 叶野七郎

    ○政府委員(叶野七郎君) ただいまの認定状況につきまして、さらに現在の制度上、人事院に対する審査申し立てというのがあるわけでございます。これにつきましての件数を申し上げますと、ただいま公務外に認定されました中の五十七件が人事院へ審査申し立てがございます。その中で三十八件の棄却件数ということで、残部は現在審査中ということでございます。
  283. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 因果関係というよりも、それは非常に関係があるのだという見方が一般的だろうと私は思うんですけれども、人事院は、昨年三月このバイク振動による障害の公務災害認定に関して郵政省に対して通知を出しておられます。この通知に至る経過、そしてその通知の考え方はどういうものであろうか、お答えいただきたいと思うんです。また、通知は当分の間下記によって認定されたいといった表現を使っているんですけれども、これはどういう意味なのかもちょっと伺いたいと思うんです。
  284. 叶野七郎

    ○政府委員(叶野七郎君) ただいま郵政省の方からお答えがありましたように、バイク振動は実は四十九年から大きな問題になってきたわけでございます。それに対しては、従前、労働省から出しております振動障害に対する認定についてという労働省の通達基準、これを類推しながら個々のケースに向かって障害認定をしてまいったわけでございます。ただ、バイク使用に対する問題が集中してまいったために、人事院としても何らかの統一的な基準というものを設定しなきゃならぬ、かような趣旨で五十七年に専門家によりますところのバイク振動障害専門家会議というものを設けまして、そこで検討し、その結果がただいま申しました我々の通達でございます。この結果に基づきまして、郵政省の方について適切な認定を迅速にやるように指導しておる次第でございます。
  285. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 それで、郵政省はその通知を受けて、それ以後認定方法、認定基準等について改善はどういうぐあいにしているわけですか。
  286. 菊地惟郎

    ○説明員(菊地惟郎君) 先ほど人事院からお話のありましたように、去年の三月三十日に人事院から通知を受けました。その後、私どもといたしましては、その通知を郵政局にも十分浸透いたしまして、また認定のために必要なお医者さんによる健診の表というものも改正をいたしまして取り組んでおるところでございます。  それで、このバイク振動障害の認定という問題は、人事院からもお話のありましたように、非常に医学的に見てもなかなか難しい問題をはらんでおるということで、私ども人事院からのこの通知のあるまでは、労働省が出しております振動障害の認定基準というものに準じてやってきておったわけです。これをやるにつきましても、人事院と十分協議をしながら進んでまいったわけでありますが、今回のこの通知の内容というものは、これまで私どものやってまいりました労働省通達と基本的には同じであるというふうに考えられますし、その後もこの人事院の通知に従いまして順調に処理をしておるというところでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、三百六十一件の申請件数のうち、現在残っておるのは七件ということでございまして、これについてもできるだけ早く認定をしたいということで取り組んでいるところでございます。
  287. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 しかし、最近の判定例を見ましても、ほとんどが棄却されているという状況なんです。通知が出される以前と変わっていないのじゃないかというような声も大変強いわけなんですけれども、郵便事業を体で支えてくれる人々の問題でありますから、この辺は人ごとじゃありませんし、そしてまたしっかりと健康診断を含めまして、今後、充実改善策というのはそういう勧告に沿ってやってもらいたいと思うんですが、その決意はございますね。
  288. 菊地惟郎

    ○説明員(菊地惟郎君) 我々の郵政事業は、まさに人力に依存している事業でございまして、職員の健康の確保ということが事業を左右する大きなポイントだというふうに考えております。したがいまして、私どもの方もそういった意味からいろいろな観点で職員の健康管理というものを進めてきておるわけでありますが、このバイクの振動障害につきましても、なかなか医学的には原因その他の解明というのが難しいものがありますけれども、私ども、バイクの乗務員約十万弱おるわけでございますが、この人たちのバイク振動障害をチェックするための健診というものも五十七年からやり始めておりまして、現在その三年目ということでかなり軌道に乗ってきておるというふうに考えております。しかし、これにつきましても、今後十分そのアフターフォローなどに努めまして、障害者の発生することを極力抑えるような対応をしていきたい、こういうふうに思っております。
  289. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 非常に滑らかに答弁されていますけれども、要は棄却、棄却という繰り返しが多いだけに、やっぱりその因果関係というのは明らかにバイク障害によるのは私は事実だろうと思います。しかも、九年、十年とやっている人たちがそうした振動による一つの後遺症となってあらわれているわけですから、単に労働省の一つの今までの前例に倣ってとかというのじゃなくて、郵政事業の中の特別な一つの労働の条件に対する障害ですから真剣に取り組んでいただきたいことを要望しておきます。  次に、防衛庁に伺いたいと思うんですけれども、防衛庁職員、中でも自衛官の場合、公務災害の危険度が高いということは想像にかたくありません。過去のデータを見ましても、他の官署に比べまして災害の発生率は高い数字を示しているようでございます。発足以来の殉職者の隊員数は千四百人以上、年間平均にしますと五十人近くの隊員が殉職していることになります。  提出いただいた資料によりますと、近年はだんだん減少の傾向にありました。ところが、資料は五十七年度まででございまして、五十八年度は残念ながら大きな事故が幾つかありまして、逆戻りという感がいたします。  また、これからいろいろ近代装備の中の防衛、そのまた訓練ということになってまいりますと、またこれからリムパックというようなことも行われるようでありますが、非常に事故も大きくなっていくということを考えていきますと、これは慎重に取り組んでいただきたいことをまず申し上げておきたいと思います。  中でも、昨年四月とことしの二月、対潜哨戒飛行艇PS1の事故がありまして、合わせて二十人以上の若い命が失われたことは多くの論議を巻き起こしております。このほか、伊勢湾でのC1輸送機の事故も忘れられない事故の一つでございます。これらを含めまして五十八年度における自衛官の公務災害の被災状況につきまして、その概要を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
  290. 上野隆史

    ○政府委員(上野隆史君) お答え申し上げます。  昭和五十八年度において公務認定されました自衛官の数は一千百九名であります。内訳を申し上げますと、陸上自衛隊が六百七名、海上自衛隊四百二十二名、航空自衛隊八十名であります。また、この年度中に殉職した自衛官の数は四十四名であります。陸上自衛隊が四名、海上自衛隊二十四名、航空自衛隊十六名でございます。
  291. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 防衛庁長官は、昨年度途中からその任につかれたわけでございまして、就任早々のことし二月いろんな事件がありまして、驚かれたことだろうと思います。かつては労働大臣として労働者の安全という立場におられた大臣であるだけに、そのように思うんです。しかし、就任後約半年間経過したことでもありまして、改めて自衛隊の状況がよく見えるようになってこられたと思うんですけれども、昨年度このように数多くの殉職者を出したという事実をどのように見ておられるのか、長官の率直な感想を承りたいと思います。
  292. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) PS1の事故等が昨年に引き続きことしも起こりまして、本当に国民の皆さんに申しわけない、大変貴重な財産を失った、しかも優秀な隊員も亡くしてしまった、遺族に対しましても大変気の毒で申しわけない、そういう気持ちでございます。  私は、とにかく事故の起きないように、管理上問題がなかったかどうか、この点について本当に徹底してやるべきじゃないかというようなことで、PS1等につきましては特命検査なんかもしまして、そして事故の原因はまだわかりませんけれども、それとは別に考えられるものはすべてやってみる。その上で、一つにはパイロットのみならずクルー、こういう人たちの心理状態も聞いて、もうPS1に乗るのはいやだ、不安感があるというような場合にはこれは今度は飛行しちゃいかぬということで、それも上の方からどうだ大丈夫かというような聞き方じゃなくて、周りの方から聞くような格好で慎重にやりなさい、そして、パイロットもクルーももう大丈夫です、私どもはそんな心配はございません、そういうふうな状況にもなり、いろいろの過程を経てもういける、そういうことになったら、その段階で飛行を再開しよう。もし、そういうこともやらないで、ただただ早くやらにゃいかぬじゃないかということになりますと非常にまたいけない。さりとて、事故の原因がわからないから、それで非常に不安だから、いつまでもそういう気持ちが残っていますから飛行を再開しませんということになりますと、これまたえらい問題が起こるわけです。ですから、そこら辺をぴしっとしなきゃならぬというので、若干時間をかけましたけれども、最終的にはPS1では海上自衛隊の一番上の航空司令、それが試飛行のときに乗りまして、それでテストした結果大丈夫だ、私に対して飛行を再開したいということがございましたのでこれを許したということで、管理上の問題について十分見ていく、飛行を再開するときには一番上の者が乗れ、そういう格好でやっております。  なお、今後につきましても、そういうことで十分に注意をして、国民の皆さんに御心配をかけないようにしていきたい、こう考えております。
  293. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 自衛隊員も人の子でありますし、そういう意味ではこのところ自衛隊員によるさまざまな不祥事も多いわけですけれども、こうした綱紀の緩みということと事故の多発と私は無関係ではないのじゃないかという気がするんですけれども、気の緩みというか使命感の欠如といいますか、何らかの共通点がありまして、しかもそれが精神的な面での問題である点を見逃すことができないというふうにも思います。  私は、福祉問題をやっておりまして、自衛隊の事故につきましても、亡くなった方の遺族の方々とかあるいは傷病を負った隊員の方々に対する処遇の問題につきましても特に関心を持っているわけなんですけれども、全体としての私の印象を申し上げますと、その任務の危険度に対して災害に遭った場合の補償が薄過ぎるのじゃないかという気がしてなりません。ということは、政府が一人一人の隊員を人間として大切にしていないということにも通じるわけでありまして、自分たちが大切にされている、尊重されているという自覚を持てないとすれば自然気も緩んでくる、綱紀も緩んでくるという、そういう関係にあるのじゃないかというような、こういう一面を私は感じてしまうわけなんですけれども、自衛隊員にかかわる公務災害補償はどのようになされているのか、その制度的位置づけはどうなっているのか承りたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  294. 上野隆史

    ○政府委員(上野隆史君) 自衛隊員の公務災害に対します補償につきましては、防衛庁職員給与法第二十七条第一項の規定によりまして、一般職の国家公務員、警察官等と同様の補償が行われることになっております。また、その補償の内容、これも逐次、年来改善されてきておるところでございますけれども、制度上は一般職国家公務員と同等の補償を行うということになっております。
  295. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 一般職公務員の災害補償を規定した国家公務員災害補償法を準用するということですね。私は、これでは何となく実情に合わないだろうと思うんです。災害の統計を見ますと直ちに明らかになると思うんですが、自衛官の被災率は他の省庁に比べてぐんと高いはずだと思うんです。公務死亡災害で言えば、およそ一けた違うのじゃないかというふうな気がするんです。もう一つ見逃せない点は、若い年齢で災害に遭うケースが大変多いということなんです。  災害補償は、亡くなった場合でもけがをした場合でも事故に遭う前の給与が計算の基準となりますから、若い隊員の命はそれだけ安く見積もられてしまうという結果になっていると思うんです。これは災害補償のあり万全般の問題でもありますが、自衛隊という特殊な職場については、単に一般的な問題として片づけられない面があるのじゃないかと私は率直に思っております。  そこで伺いますが、ここ数年の分で結構ですから、殉職者の年齢分布、平均年齢について集計していただいているはずでありますから、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  296. 上野隆史

    ○政府委員(上野隆史君) 昭和五十六年度から五十八年度までの数字でお許しいただきたいと存じますが、この間に公務災害により死亡いたしました自衛官は八十五名おります。この平均年齢は三十一歳でございます。  年齢分布を申し上げますと、十代が三名、二十代が四十一名、三十代が二十五名、四十代が十四名、五十代が二名となっております。
  297. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 非常に若いんです。他の省庁あるいは民間企業の場合のデータをとってきちんとした比較してもらいたいと思うんですけれども、民間企業の場合にはもっと高齢になって、全然この平均の年齢数値は違ってくるだろうと思うんです。  ところで、その補償が十分でないために訴訟になるケースもかなりあるようでございます。訴訟になっているケースがどのくらいあるのか、その状況はいかがでしょうか、ちょっと伺います。
  298. 宍倉宗夫

    ○政府委員(宍倉宗夫君) 五十四年度から五十八年度におきます公務死亡訴訟の件数でございますが、五十四年度が六件、五十五年度が二件、五十六年度は四件、五十七年度が三件、五十八年度が一件でございます。合計十六件でございます。
  299. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 私は、逆に判決の方で調べてみたんですが、ざっと探してみただけで、この五年間分だけで三十件ばかり見つかりました。判決は最近ですが、災害発生時期は昭和四十年から四十年代の中ごろまでのもので、大体十年以上かかって解決を見るというケースが多いわけなんです。判決は一件ごとに裁判官が判断を下すものでありますから一概には言えませんけれども、中身を見てみますと、裁判で賠償を求めなければならない背景が手にとるようにわかります。すなわち、それだけ遺族補償、障害補償が手薄だということであります。裁判の場合、自衛隊側の責任を問うという前提があるわけで、すべての被災者が訴えるというわけではございません。被災時の状況にもよりましょうし、また裁判を維持する力量もなければならないわけでありますから、こうした点を考えますと、薄い補償で我慢をしている人の方がずっと多いと考えなければならないと思うんです。防衛庁は、その被災者、遺族の生活状況というのを調べたことがあるかどうか、その辺はいかがでしょうか。
  300. 上野隆史

    ○政府委員(上野隆史君) 殉職隊員あるいは公務災害を受けました隊員の御遺族あるいは御家族に対します生活の保障、安定ということは、大変私どもこういう武装集団として団結を重んずる集団として極めて大事なことであると考えております。これは定期的に調べるとかそういうようなことではございませんで、随所随時、そういう御家族の御心情あるいは生活の状況等々につきましては、いろいろな手段を講じまして情報を集め、またその生活の安定につきまして配意をしておるところでございます。
  301. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 そういうもののデータ的なものはあるんですか、その生活状況の。
  302. 上野隆史

    ○政府委員(上野隆史君) ただいま手元にはございませんけれども、調べまして先生に御報告いたしたいと思います。
  303. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 防衛庁の訓令の中に賞じゅつ金に関する訓令というのがあります。それに、特別弔慰金に関する訓令というのがあるんですけれども、これは隊員が職務遂行に当たって亡くなったり、けがをした場合に授与されるものでありますが、これらの性格、その運用というのはどうなっているわけですか。
  304. 上野隆史

    ○政府委員(上野隆史君) 賞じゅつ金について申し上げますと、これは災害派遣、あるいは地震防災派遣、武器、弾薬等の防護、司法警察業務に従事する隊員、これらのものに対しまして、また航空機の搭乗員、空挺隊員、潜水艦の乗組員、不発弾の処理隊員等これらの職務、こういうようなものは自衛隊の他の一般の職務に比較いたしまして高度な危険が予想され、災害を受ける蓋然性が高いものでございます。賞しゅつ金制度は、これら特定の高度に危険が予想される職務に従事する隊員が、一身の危険を顧みることなくその職務を遂行し、またはこれらの職務に特有の事故によりまして不幸にも殉職し、または障害の状態となった場合に、その勇敢な行為をたたえ、弔意または見舞いの意を表するとともに、平素から国のために安んじてその職務の遂行に専念し得るようにという観点から措置されているものでございます。  特別弔慰金につきましては、特にジェットパイロットにつきまして、賞しゅつ金と同様の趣旨で設けられているものでございます。ジェットパイロットが死亡いたしました場合に授与されるものでございます。
  305. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 その金額もございますけれども、非常に民間に比較して額が低いですね。当時は百万円ぐらいから始まったと聞いているんですけれども、今ようやく十倍ちょっとぐらいの形になっているようです。私は、こうしたものを訓令ではなく法律で定めるべきではないかと考えるのでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、自衛隊の場合はその職務の特殊性から災害率が高いこと、そして若くして災害に遭う可能性が非常に高いこと、こういうことを見ますと、単に国家公務員災害補償法の準用というだけでは何か済まないというふうな気がするわけなんです。このままでは上厚下薄にすぎず、若い隊員は浮かばれないと思うのが率直な私の感想です。では、どうすればよいか、私もにわかによい知恵というのはわいてはこないわけなんですけれども、例えば訓令でやっている賞しゅつ金のようなものを補強していくとか、あるいは補償金額に最低保障を定めるとか、幾つか考えられるわけであります。こうした点を含めて検討していく必要があるのじゃないかと思うんですが、そういう提案に対して防衛庁はどのようにお考えになりますか。
  306. 上野隆史

    ○政府委員(上野隆史君) ただいま先生から御指摘いただきましたこと、まことにありがたい御指摘でございます。自衛官につきましては、災害に遭う隊員が当然実力集団という組織の特性上若い人に多くなるということは御指摘のとおりでございます。現在の災害補償法の建前は、これからいきますと、若い人は当然のことながら補償額が低く算定されざるを得ないという状況にあることも御指摘のとおりでございます。ただ、これにつきましては、我が国の雇用制度が終身雇用制をとっておるとか年功序列の賃金制度をとっておるといったようなことも深い関係があると存じますけれども、やはり国家公務員として同様の扱いを受けるという一つの原則、これも大事な原則であろうと思います。  しかしながら、若年の隊員、あるいはこれは防衛庁以外の省庁におきましても、若い公務員の災害に対しますその補償につきましてはやはりもっと厚くしてほしいという希望があることは、これはひとり防衛庁のみではございませんで、私どもの伺うところでは、他省庁にもそういう御希望が強いとも聞いております。私ども、毎年この災害補償に関します主管官庁で定例的な会議がございますけれども、そういうようなところでは、特に私どもはその必要性が高いということで若年隊員に対します補償を厚くしていただくようにというお願いは毎年しでございます。他省庁におきましても、そういう御希望を出すところもございます。  ただ、これは先生御承知のとおり、一般の労働災害のこれとも深くかかわるところでございまして、特に国家公務員災害補償法の二十三条におきましては、労働者災害補償保険法とか労働基準法とか、船員法、船員保険法、こういったような業務上の災害に対する補償との間に均衡を失さないよう十分考慮しなければならない、こういうような一つの方針もあるわけでございますけれども、さはさりながら、私どもとしては何とかこういう若い者に対する補償を厚くしていただきたいということで努力を重ねてまいりたいと存じます。  また、賞しゅつ金につきましても、この制度につきましては私どもその改善につきまして努力を続けてまいりたいと考えております。
  307. 前島英三郎

    ○前島英三郎君 そういう意味では真の防衛は、そうした若い人たちの本当に国のため、国防のためにという燃える命の中に、やっぱりしっかり温かいものを防衛庁の幹部の方々が感じないと、本当の防衛にはならないような気がいたします。  最後に、五十八年度のようなことのないように、そしてまた人間を大切にするという原点を忘れないように、防衛庁長官の決意を承りまして、私の質問を終わります。
  308. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 今いろいろと御忠告いただきましてありがとうございます。そういう気持ちで善処したい、こう考えております。
  309. 高平公友

    ○委員長(高平公友君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  310. 高平公友

    ○委員長(高平公友君) 次に、郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。奥田郵政大臣。
  311. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) 郵政省設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、臨時行政調査会の答申を踏まえて決定した政府としての行政改革に関する当面の実施方針に基づき、郵政事業に係る地方行政機構の総合化及び効率化を図るため、地方支分部局の統合を行おうとするものであります。  その内容は、現在独立の地方支分部局として置かれている地方貯金局及び地方簡易保険局を地方郵政局に統合して、同局の貯金事務センター及び簡易保険事務センターとすることとし、これにより地方郵政局を中心とした為替貯金事業及び簡易保険・郵便年金事業の運営体制の総合化及び効率化を図ろうとするものであります。  その他、所要の規定の整備等を行うことといたしております。  この法律の施行期日は、昭和五十九年七月一日といたしております。  以上が、この法律案を提出いたしました理由及び内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  312. 高平公友

    ○委員長(高平公友君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案についての質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時九分散会      ―――――・―――――