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1983-03-30 第98回国会 参議院 公害及び交通安全対策特別委員会 5号 公式Web版

  1. 昭和五十八年三月三十日(水曜日)    午前十時二十分開会     ─────────────    委員の異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      江島  淳君     石本  茂君      遠藤  要君     亀長 友義君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         宮之原貞光君     理 事                 梶原  清君                 本岡 昭次君                 沓脱タケ子君                 中村 鋭一君     委 員                 伊江 朝雄君                 沖  外夫君                 亀長 友義君                 山東 昭子君                 関口 恵造君                 内藤  健君                 中村 太郎君                 原 文兵衛君                 平井 卓志君                 増岡 康治君                 穐山  篤君                 小平 芳平君                 中野 鉄造君                 美濃部亮吉君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  梶木 又三君    政府委員        環境庁長官官房        長        加藤 陸美君        環境庁長官官房        審議官      鈴木  健君        環境庁企画調整        局長       正田 泰央君        環境庁企画調整        局環境保健部長  大池 眞澄君        環境庁自然保護        局長       山崎  圭君        環境庁大気保全        局長       吉崎 正義君        環境庁水質保全        局長       小野 重和君        運輸省航空局次        長        山本  長君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君    説明員        外務省中近東ア        フリカ局中近東        第二課長     渡辺  伸君        文化庁文化財保        護部記念物課長  小埜寺直巳君        厚生省社会局保        護課長      土井  豊君        労働省労働基準        局労災管理課長  新村浩一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○公害健康被害補償法の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) ただいまから公害及び交通安全対策特別委員会を開会いたします。  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。梶木環境庁長官
  3. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) ただいま議題となりました公害健康被害補償法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  公害健康被害補償法は、相当範囲にわたる著しい大気の汚染または水質の汚濁の影響により健康が損なわれた人々に対して、その迅速かつ公正な保護を図るため、各種補償給付の支給等を実施することとしております。これらの実施に必要な費用のうち慢性気管支炎等の非特異的疾患に係るものにつきましては、大気汚染防止法に規定するばい煙発生施設等を設置する事業者から徴収する汚染負荷量賦課金を充てるほか、自動車に係る分として、昭和四十九年度から昭和五十七年度までの間におきましては、自動車重量税の収入見込み額の一部に相当する金額を充てることとされてまいりましたが、今回、昭和五十八年度及び昭和五十九年度の措置を定めるため、この法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。  今回の法律案は、昭和五十八年度及び昭和五十九年度において、政府は、引き続き、大気の汚染の原因である物質を排出する自動車に係る費用負担分として自動車重量税の収入見込み額の一部に相当する金額を公害健康被害補償協会に対して交付することとするものであります。  以上がこの法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ただいま提案のありました公害健康被害補償法の一部を改正する法律案の審議に入る前に、こうした公害補償と深くかかわっております大阪空港訴訟の第四次、第五次の問題点について、若干運輸省、環境庁に事実関係をただして、法律の審議に入らしていただきたいと思います。  そこで、運輸省の方にもお越しいただいておると思いますが、去る二十六日の新聞によりますと、「大阪空港訴訟(四次・五次)和解へ」ということで、「五月から交渉開始 夜間飛行禁止が焦点」と、こういう見出しで記事が出ています。そして、そこに関係者の話として、栗林貞一運輸省飛行場部長の話なり、また大阪空港公害訴訟原告団事務局長の寺野さんの話等も記載されているわけですが、この事実関係について、若干の経緯を含めて説明をいただきたいと思います。
  6. 山本長

    ○政府委員(山本長君) 大阪空港に関係いたします訴訟がたくさんございましたが、一―三次は最高裁判決が一昨年、先生先ほど御質問の中でもおっしゃいましたいわゆる第四次訴訟、第五次訴訟というのが、一―三次訴訟に若干おくれまして提起されましたものが現在大阪地方裁判所に係属をしておる、こういう状態でございまして、この訴訟につきましては、最高裁で判決されました一―三次訴訟の判決の対象になっております時期とその後の時期というものが、相当周辺の対策などについても変化があると、あるいは最高裁の判決が必ずしも一般化し得る明確な基準でもないというふうな観点もございますので、現在国が国としての主張をしておる、こういう段階でございます。  御指摘の和解による解決というものについて、昨年の暮れでございましたが、裁判所から双方に対して打診がございました。昨年の十二月であったと存じます。私たちといたしましては、この訴訟というのが非常に長い期間係属しており、こういった訴訟の係属によりましていたずらに問題解 決をおくらせるということも本意ではございません。したがいまして、和解による解決ということを図っていくこともやぶさかではないと考えておる次第でございます。  現在、運輸省におきまして和解による解決を図る場合の基本的な考え方につきまして検討を行っておるところでございまして、今後原告団の方々の和解についての考え方というものも確かめ、また関係省庁とも十分協議の上、双方歩み寄りが可能であれば和解という形での早期解決に努力をいたしていきたい。  こういうところが経緯、並びに若干私たちの考え方も含めまして考えておるところでございます。
  7. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 経緯がわかりましたが、いまの答弁の中で、双方の歩み寄りが可能であればという中身がございました。新聞では五月十四日にこの和解交渉が始まるというふうに日にちまで明記してあるんですが、いま言われたその双方の歩み寄りが可能であればということと、五月十四日に交渉を始めるということの間に関連があるのかないのか。五月十四日というのは、いまおっしゃった歩み寄りの可能、不可能を抜きにしてもう交渉がスタートするのかどうか。その点はいかがですか。
  8. 山本長

    ○政府委員(山本長君) 五月十四日の期日は、和解ということも含めて、今後の訴訟をどのように進めるべきかということについて意見の交換を行う、こういう打ち合わせの期日というふうに聞いております。法務省もそういうふうに理解をされておるところでございまして、和解について直接に話をする、こういうものではないと、こういうふうに考えております。
  9. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうしますと、新聞の報道は、和解期日を受け入れたというか、明示されたことは、「はっきり和解の方向へ踏み切ったものとみられる。」という中身がありますが、いまの御説明では、和解に踏み切ったのではなくて、和解への条件をどう整えるかというような事柄も含めて、まずテーブルに着くということだという理解の方が正しいんですか。
  10. 山本長

    ○政府委員(山本長君) そのように御理解願った方が正確かと存じます。
  11. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その後、地元の豊中、川西の訴訟団の関係者の方では、この問題につきましてそれぞれ豊中市あるいは川西市に対して和解あっせんを依頼する、こうした記事も一方では出ているわけです。というのは、行政の方が積極的に和解へのあっせんを、その労をとってもらうべきだ、とるべきだと、そして解決を早めてもらいたいという原告側の一つの考え方が非常に強く出ているように思います。それについて私はなぜかと思っていたんですね。それは、いま政府側の答弁によりまして、和解そのものに対する確定があったのではなくて、和解そのものの条件も含めていろいろなまだ事前の問題がたくさん残っているということがわかったわけです。  そこで、これは要望になりますが、いま言いましたように原告側がこのように豊中、川西市に対して行政側の国に対する働きかけ、和解に対する働きかけ、こうしたものも要請しているという状況ですので、和解という問題について積極的な立場で対応をしてもらいたいという要望をまず申し上げたいのですが、これについて前向きなお考えを示していただければありがたいと思います。
  12. 山本長

    ○政府委員(山本長君) 裁判所の和解と申しますのはやはり裁判の判決と同じように一つの規範になるものでございまして、そういう意味におきまして、和解といえども、公害に関するたくさんの訴訟が、航空も含め、それ以外のものについても提起されておりますので、それに対する影響というものを考えなきゃなりません。そういう意味におきまして、非常にそういった影響を含めました判断をしなきゃならない。こういう意味で先ほど関係省庁とも十分話し合わなきゃならぬというふうにも申し上げた次第でございます。  そうではありますけれども、これも先ほど申し上げましたように長い間の訴訟でございます。こういう双方の歩み寄りが可能な形で解決をできるならば、運輸省としては早期解決を図っていくということについて、望ましい方向だというふうに考えております。運輸省の基本的な考え方はそういうところでございます。
  13. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そこで、この新聞に出ています運輸省の栗林飛行場部長の談話なのですが、これはそちらもお持ちだと思います。この談話の全体の内容は運輸省として責任の持てるものなのかどうか、それはいかがです。
  14. 山本長

    ○政府委員(山本長君) 表現はともかくといたしまして、考え方としてはこういうふうな考え方を持っておることは事実でございます。
  15. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ここで細かいことを論議することは不適当だと思いますが、ただ、いままでの委員会の中で、九時以降の飛行差しとめの禁止の問題につきましては、環境庁並びに運輸省との間で私が若干の質疑をし、いろんな答弁もいただいておりますので、九時以降の夜間飛行禁止の問題についてのみ若干質問をさせていただいて、この問題は終わりたいと思います。  そこで、夜間飛行の禁止についてですが、この飛行場部長の話では「午後九時以降の夜間飛行禁止についても、最高裁が住民の差し止め請求を却下していることからして、和解条件に明記することはできないと思う。」というふうなことであり、一方訴訟団の方は、午後九時の問題は絶対にこれは守ってもらいたいという、最終的に金額の問題ではかえられない折衝の問題になるんじゃないか、こう思いますが、ここの話の中では「和解条件に明記することはできない」という、「明記することは」ということは、先ほど答弁の中にありましたように、公害問題全体のいろんなことに影響するということも考えてのことだと思います。  しかし、大阪国際空港の問題については、午後九時飛行禁止ということが具体的な問題の解決に非常に大きく役に立っているという事実についてはだれも否定できない、こう思います。  だから、明記はできないといることと、もう一方、明記はできないが、その問題について住民の皆さんが納得できる条件をつくることが他に方法があるというふうな受け取り方もできるわけで、運輸省の九時以降飛行禁止という問題についての態度が和解の問題をめぐって従来から変わらないことを私は強く行政措置の問題として望んでいるのですが、その点はいかがですか。
  16. 山本長

    ○政府委員(山本長君) この差しとめ問題は、最高裁判決がありましたあの第一次及び第三次訴訟における争点の最大のものであったことは御存じのとおりでございます。これにつきましては、結局は空港の使用ということに対する国内、国際両面からの必要性と、それから空港の運用に伴う公害の発生にかかわる住民の被害というもの双方を勘案の上、結局行政庁の適切な判断によってそれを行っていくべぎだ、こういう判断が示されたのでございます。  そういった意味におきまして、先生御指摘の栗林部長の発言も、和解というのは裁判と同じように一つの規範でございます。それにつきまして最高裁が判決を示しましたその判断というものを私たちも崩すわけにはいかない、こういう意味におきまして和解の中に入れるのは適当でない、こういう発言をしたものと思います。またそれは正しいと私も思います。  しかしながら、最高裁の判決も、行政庁の判断に任せているとはいえ、両方の必要性と公害問題を十分に考えた上、適切な行政措置を行っていくべぎだという考え方に従って私たちもやっておるつもりでございます。そういう私たちの考え方に従いまして、現在まで九時以降の航空便の発着につきましてそれを認めないという行政措置をとっておるのでございますが、現段階におきまして直ちにこれを変えまして九時を延長するというふうなことを課するという考え方を現在も持っておりません。そういう態度でここ当面は考えていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  17. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いまの答弁に十分私は納得できま せんが、しかしいまの時間はその問題を論議する適当な湯でもございませんので、一応和解という問題がいま問題に上ったという時点における運輸省の考えということで聞かしていただいたということにします。  そこで、環境庁に最後にこの問題でお伺いしますが、環境庁はこれは運輸省の問題だといってこれを横に見ているわけにはいかない、こう思います。環境庁長官として、大阪空港訴訟の問題が和解に進みつつあるという状況に対する評価と、その焦点が九時以降飛行禁止ということにしぼられてくるであろうという問題に対するひとつ見解を、所見を賜りたい。
  18. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) 一般論としまして、こういう公害関係の紛争につきましては、私どもとしましてもできるだけ速やかに話し合いができまして進んでいくことが望ましい、このように考えておるわけでございます。  それで、いま環境庁はだまって見ておれない、おっしゃるとおりでございまして、私どもも決してだまって見ておるわけではなく、いまの四次、五次の紛争問題、この和解の問題につきましては十分関心を持っておる、こういうことでございます。ただ、この和解の条件ですね、われわれが直接参加いたしておりませんし、現在裁判中でございますので、これをどうするこうするということは、そのコメントはひとつ差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、五十六年でしたか、最高裁の判決が一―三次のもので出ましたとき、これは環境庁としては、ああいう判決が出たけれども、九時以降の飛行禁止、これはいまも運輸省の方から現在がこうだから当面これを変える気持ちはない、こういう答弁がございましたが、われわれとしましても、これは当然五十六年のときに環境庁として長官談話を発表した、そういう経緯もございますから、ぜひともいまの現状を続けていただぎたい、こういう気持ちは持っておるわけでございます。
  19. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 最後に、環境庁に要望しておきたいのですが、問題は環境庁がどういう指導性を関係省庁との意見調整なりあるいは閣議の中において発揮するかということにかかっている、私はこう思います。したがって、いま環境庁長官も言われたように、五十六年十二月十六日に環境庁長官談話として最高裁判決について出ています。ここの文章の中に、法律論は別として、夜九時以降のダイヤが設定されていないという現在の状況が空港周辺住民の生活環境の改善に寄与しているという事実に照らし、今後とも引き続いてこのような措置がとられるべきであるという意味の談話がありますし、これと同じ答弁をそのときの私の質問に対して環境庁としては出されているわけでございますから、こうした立場をひとつ堅持して、五月から交渉開始の和解問題について、地元住民、訴訟を行っている、被害を受けている人たちの立場に立って、これから積極的に対応していただきたいという要望を申し上げ、いま一度くどいようですが環境庁長官のお言葉をいただいて、これは終わりたいと思います。
  20. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) 先ほども申し上げましたように、五十六年十二月十六日に長官談話を発表いたしましたその環境庁としての考え方、これは現在も変わっておりません。
  21. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それでは運輸省は結構です。  それでは法案の問題について若干の質問をしてまいりたいと思います。  まず、公害健康被害補償制度の役割りという問題についてお伺いします。  大気汚染による健康被害は高度成長が始まったころから数えて三十年近い歴史があります。これに対する現行の健康被害補償制度による救済が実施されるようになったのは昭和四十九年であり、今日まで八年余り経過したにすぎないという状況にあります。この間この制度が果たしてきた役割りを環境庁としてどのように考えているのか、またこの制度を将来に向かってどのように充実させていかなければならないかといった長官の見解をまず伺っておきたいと思います。
  22. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) 御指摘のように、いわゆる公害健康被害補償制度は、四十年代の高度成長の経済成長のときに大変な環境汚染が出まして、多数の患者が発生しまして、そのために被害者の方々の迅速かつ公正な保護を図ることを目的としてできた制度でございます。これはもう御承知のとおりでございます。この制度ができましていまお話しになりましたように八年間たっておるわけでございます。この間にいろいろ各方面の努力もございましたし、国民各一人一人の御努力等によりまして、あるいはまた経済情勢、社会情勢、こういう変化もございまして、状況が変わってきたわけでございます。しかし、この制度によりまして損害をてん補するために障害補償費あるいは各種補償給付の支給が行われますとともに、被認定者の健康の回復等に必要な福祉事業等も実施されてまいりましたし、こういうことで私は被害者の保護にはこの制度が大きな役割りを果たしてきた、かように考えておるわけでございます。  今後とも、環境汚染の未然防止、これは何といいましても第一義的に重要なことでございますから、この未然防止ということを第一に考えまして、環境の保全に努めつつ、健康被害者の迅速かつ公正な保護に万全を期してやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  23. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 現在の患者総数を一番最近の数字としてここで報告していただきたい。
  24. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) この制度におきます第一種地域に係る直近の現存の被認定者数について申し上げますと、五十七年の十二月末現在で八万五千五百八十一人となっております。
  25. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 対前年度比の増減はどのようになっておりますか。
  26. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) お答えいたします。  五十七年十二月末を前年同期と対比いたしますと三・七%増となっております。
  27. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その問題は後ほど質問させていただきます。  次に、最近の経団連の制度見直し要求の問題について伺っていきます。  私も、先ほど長官の話にありましたが、まあこの法案が大気汚染に悩む地域住民の補償に一定の役割りを果たしてきた、あるいはまた公害の事前防止という問題についても一定の役割りを果たしてきたというふうに思います。しかし、また一方では多くの不十分な点を持っていることも事実であり、その点についての改善がこれからの環境庁の課題として残っていると、こう思っています。ところが、公害の加害者たる企業を代表する経団連の方では、この制度の発足当時には紛争抑止効果があるとして一定の評価をしていたようですが、その後一転してこの制度に対するさまざまな批判や非難を加えてきているようになっています。  私はそれを新聞を通して知るわけですが、その主張なり要求はそのときどきによってさまざまに変わってきておりますが、環境庁はこれまで経団連からどのような主張なり要求を突きつけられてきたのか。また、現在も経団連からこの問題について要求を突きつけられているというふうに聞いているんですが、どのようなものが経団連から寄せられているのか、説明を願いたい。
  28. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 先ほど御指摘もございましたが、この制度をめぐりまして、大気汚染の状態の変化もございまして、この制度にかかわるいろいろな関係各方面から意見が寄せられているところでございます。その中で主として費用を負担する立場からの御意見というようなものがいろいろな形で環境庁の方にも寄せられておるわけでございますけれども、これを集約するような形で経団連が、たしか五十一年ごろからだったと思いますけれども、随時意見を表明し、意見を寄せてきておる、こういう状況にございます。  それで、最近の意見を集約して御説明申し上げますと、一つは著しい大気汚染の影響を受けていないことが明らかな人、たとえば汚染が改善された後に新たに生まれた人や転入した人が認定されることは問題ではないかという御意見、あるいは 著しい大気汚染がなくなった地域については地域指定の解除要件を明確化し、またそれに該当するものがあれば解除すべきではないかというような御意見、そのほか認定されました患者でもしたばこを吸っているような者があれば、その点についての何らかの適切な措置をとるべきではないかというような御意見、その他高齢者の問題でございますとか公害医療の問題等々、幾つかの意見を寄せてきているところでございます。
  29. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その経団連が環境庁に、いま要約して言われましたけれども、そのような要求、批判が寄せられていることについて、環境庁としてどのように対応してきたかということをお伺いしたいと思います。いま経団連の主張していることをここで一々反論するのは、経団連とのそうした場があったときにやればいいわけでございますから、この場ではこうした経団連の主張、私はずいぶん手前勝手な主張だというふうに思います。環境庁はこの要求に対してどう対応してきたんですか。また、これからこうした問題に対してどう対応しようとしているんですか。
  30. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 費用を負担する立場からの御意見もございますが、患者の立場からの御意見も寄せられておりますし、その他この制度にかかわりのある御意見をたくさん私どもの方にちょうだいしているわけでございます。その主要な問題点と申しますのは、現在の大気の汚染の状態をどのように評価するかというようなこと、それに関連しましての地域指定をどう考えるか、こういう地域指定をめぐる諸問題が一つの大きな問題点であろうかと存ずるわけでございます。  御承知のとおり、大気汚染につきましては、硫黄酸化物が公害防除努力の結果著しく改善してまいったわけでございまして、これは事実でございます。反面、窒素酸化物等、主要な汚染指標として目される物質が依然としてまだ横ばいの状態にある。このような汚染の状況の変化をどのように評価をするか。すなわち、先ほど申し述べました御意見の中に著しく改善された地域で云々というような部分がございますけれども、そのように判断してよろしいのかどうかというような問題が中心の問題点になるわけでございます。他方では、窒素酸化物等を評価して地域の拡大を図るべきであるというような御意見も寄せられているわけでございまして、これもその地域の汚染というものをどう評価するかという問題で共通するわけでございます。現在の汚染の状態をこの制度で対象といたします指定疾病とのかかわりにおいてどう評価するか、これが一つの大きな眼目になるわけでございます。  そのため、かねてより環境庁におきましては、こういったような御意見におこたえすべく、またこの制度の創設時からそういう問題点が提起されておったことでもございますけれども、窒素酸化物等の評価の問題につきましては、国内、国外の知見を鋭意収集するとともに、必要な調査研究を逐年実施し、また現在継続中である、こういう状況でございます。先ほど申し述べました問題点は非常に医学的、科学的な知識を基盤として論議を要することでございまして、そういった科学的な知見を基盤として、冷静な論議の中で合理的な結論を導き出していく必要がある、かように考えているわけでございます。環境庁としてはいまそういうような考え方に立って対処をしているところでございます。
  31. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いまの環境庁の説明はいろいろな取り方ができると思うのですね。環境庁として積極的に、大気汚染の原因の問題について、まあいままでは硫黄酸化物、SOxの問題を中心にして改善をやってきた、しかしまだまだもう一方のNOx初め浮遊粒子のような問題についても問題が残っているから、大気汚染に苦しむ公害患者を救済する問題点についてさらに拡大し改善をしていかなければならないという考え方と、一方では、経団連のそうした要求を組み入れて、この補償の制度そのものを縮小していこうということになるんではないかという危惧もいまのような話であればあります。  そこで、やはりそうした問題はできるだけはっきりとさせていただきたい。一体環境庁は、いまもおっしゃいましたけれどもSOxを中心に大気の汚染状況が緩和されてきた、そのことを理由に、患者の認定要件の厳格化、あるいは地域指定の解除の準備体制の整備などを含む補償制度の抜本的見直しに着手をして、近く中公審に諮問するのではないか、そういう方針を持っているのではないか、こういう心配をする向きもありますし、私もそういうところに進むことに対する懸念を持っております。環境庁、そうした中公審にこの問題の補償制度の抜本見直しについて諮問するような考えがあるのかないのか、ひとつはっきりとこの点はお答えをいただきたいと思います。
  32. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 先ほど御説明申し上げましたような経緯、背景でございまして、まあ私どもこの制度を所管する立場といたしましては、関係者から寄せられます意見というものは重視しながら、それに合理的にお答えしていく責務があろうかと思っておるわけでございます。ただ、現断面におきまして、そのための基盤となるべき知見の集積に相努めているわけでございまして、調査研究を目下継続中という段階でございます。したがいまして、まだ先ほど御指摘のような具体的なスケジュールとしてそのようなことを現在御説明できるというようなものは持ち合わせておりません。そのような状況でございます。
  33. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 御説明できるような状態ではないというふうな答弁じゃなくて、補償制度の抜本的見直しに着手して、そして中公審に諮問する方針、こうした考え方をいま環境庁としてずっと進めているのかどうかということをはっきりおっしゃっていただきたい。
  34. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 現在の調査研究をまずきちっと取りまとめるということが先決問題でございますが、その取りまとまりぐあいを勘案し、専門家にいろいろと御相談する必要性は私どもとしては感じております。それを中公審に諮問のような形でお願いすることになるのか、どのような形でお願いすることになるか、この点はまだ具体的なスケジュールとして現段階では考えておる状況ではないということを申し上げたわけでございます。
  35. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 まあ、中公審に諮問するかどうかは現在の研究調査の結果を待ってということです。しかし、もう一方調査研究そのものの結果によっては補償制度の抜本的見直しに着手する、こういうこともその結果としてあり得るというふうに考えていいんですか。
  36. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 抜本的見直しとおっしゃる意味の内容によるわけでございますけれども、現在私どもが調査研究を行っております趣旨といいますのは、先ほど申し述べましたように、硫黄酸化物が著しく低減をし、NOxが横ばいの状態で、これをどう評価するか。そして、その結果に基づきましての地域指定をめぐる諸問題、これにつきましては関係者からきわめて強い要望あるいは関心が寄せられているわけでございますので、それに対してお答えしていく、これが私どもの勤めであろうと、こういう意味でございまして、その意味におきます見直しということは必要であろうと感じております。
  37. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いまの問題を角度を変えて質問をいたします。  先ほど経団連の問題を言いましたが、経団連の問題を単純化して言いますと、大気汚染は企業側の努力によって改善されているのに患者がふえていくのはおかしいではないか、だからその病気そのものは大気汚染による病気ではなくて他の原因による病気ではないか、こういう主張ではないかというふうに考えられます。そして、その暴露要件の厳格化や地域指定の解除を要求しているということなんですが、いま環境庁のやっている調査研究というものが、こうした経団連の言っている主張と軌を一にするものではないかという懸念、危惧を持っているから先ほどよりさまざまな形で私は質問をしているんですが、こうした経団連の考え方を現在の時点で環境庁はそのとおりだと、 こういうふうに思われるのか、いやそうではない、このように考えられるのか、その点はいかがですか。  つまり、大気汚染は改善されたのに患者がふえるのはおかしいではないかということが一つ理由になってこの問題が提起されてくるという事柄について、環境庁も同じような発想を持つのか、それについては異議を持つのか、その点いかがですか。
  38. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 私どもの立場といたしましては、この制度を預かる立場から検討しているわけでございまして、どこかから御意見があってそれにのみ偏ってということは私どもとしてはとれない立場でございます。広く寄せられている御意見をすべて踏まえながら、事柄が医学的、科学的な基盤の中できちっと論議を行うべき事柄でございますので、結果的にどのような結論になるかは、これはいま予断を許しませんけれども、そういう姿勢でこの問題には取り組んでいっているつもりでございます。
  39. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 だんだん不安になってくるのです、いまの御答弁を聞いておって。それのみに偏って私たちは考えているんじゃないと、多くの人の意見を聞き、医学的、科学的に正しい判断を下していく、その結果経団連の言うようなことになればそれはそれだというふうなことであったと思うんですが、経団連の言っている大気汚染が緩和されているのに患者がふえるのはおかしいじゃないかと、必要のない人にたくさん金が行っているんではないか、必要ないのに金を取っているんではないか、こういうごくわかりやすい理屈です。  それに対して、ごくわかりやすい理屈で考えていくと、確かに硫黄酸化物を原因とする問題点は改善をされたかもしれない。にもかかわらず患者がふえるというのは、他の原因がそこにあって、他の原因が一向改善されないからそれによって患者がふえているんだと。その他の原因とは何かと、これはこの法律が制定されるその当時から問題になっておった、先ほども環境庁の方から言われました窒素酸化物の問題や浮遊粒子状物質、そうしたものによる健康影響の問題についてより困難な状況がそこにできているから、それが多くの患者をつくり出しているんだ、地域住民の健康を損ねているんだというふうに理解するのがごく自然であり、環境庁という立場から考える考え方というのは、むしろ私がいま言ったような立場での考え方でこの問題の解決に当たるべきではないか、このように思うのです。  それで、さきほどもNOxの問題について言われましたけれども、NOxの健康影響の問題についていまいろいろ知見を収集しているところだということですが、環境庁としていまこそこの問題についてはっきりとした知見を持ってもらわなければ、経団連の言っているような常識的な主張の中に対応できないということを私強くいま感じたんですね。いま私が言いましたように、環境庁のとるべき態度のあり方と、それからNOxの健康評価についての知見が初めに言われたようにまだ調査の段階というようなことなのかどうか、再度その点についてお伺いしたいと思います。
  40. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 御質問の冒頭で述べられました指定地域で患者が増加しているという点につきましては、一つには地域指定後のそれぞれの地域の期間が長短いろいろございまして、指定して日の浅いところでは患者数の増が依然としてまだ多いところもございますし、またこの補償法以前の旧医療救済法のころに指定したような地域におきましては患者数は横ばいないしは減少傾向が見られているというような状況でございます。そのほかいろいろな要因が絡んでおると思われますけれども、一つの要因だけで説明できるものとは考えておりません。窒素酸化物、浮遊粒子状物質は、これはもう御指摘のとおりでございまして、私どもとしましても、この制度を構築するとき以来、大気汚染の主要な汚染物質として硫黄酸化物と相並んで窒素酸化物等も重視して取り組んでいるところでございます。  ただ、現時点におきましては、硫黄酸化物が非常に減ってまいりまして、横ばいとして取り残されたような形の窒素酸化物等をどう数量的に評価するか、ここが非常に技術的にはむずかしいポイントになっておるわけでございます。硫黄酸化物の非常に高濃度汚染というような昭和四十年代の経験を経て、かつ公害関係の疾病の多発を経験して、大気汚染と現在の疾病とのかかわりというのはその時点において非常に因果関係として理解されたわけでございますが、現時点におきます汚染の態様が変わった、これを現在の指定疾病とのつながりにおいてどう数量的に評価したらいいかと、ここが一つの眼目になっているわけでございまして、この点は先ほど来繰り返し申し上げておりますように、医学、科学的な知見を可能な限り集めたその基盤に立って合理的に解釈をしていく問題である、かように理解しておるところでございます。
  41. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ということは、NOxの問題を制度に載せていくということについて、科学的、医学的な十分な把握ができていないということのようですが、しかしこの法案ができた当時の環境庁の国会における答弁を見れば、いまあなたの言っておられるようなそんな悠長な話では済まされないものがあると私は思うのです。いまおっしゃるようなことでいいんですか、環境庁として。いまあなたがおっしゃっているような、目下一生懸命調査研究中なんだというふうなことでいいんですか。
  42. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 私どもは、この制度の一番基盤に科学的な根拠というものを据えて取り組んでいかなければならぬと考えておりますので、その意味におきましてずいぶん年月がかかっているではないかというようなおしかりかと思いますけれども、その御指摘におこたえするには、やはりその基盤をしっかり固めた中で冷静な論議を専門家にお願いしなければならぬと、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
  43. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いや、それは慎重にやってもらわなければなりませんし、科学者の冷静な判断も必要だと思います。しかし、昭和四十八年七月十日、衆議院環境保全特別委員会の会議録を見ますと、いまあなたのおっしゃったような話じゃありませんよね。ここで説明されている事柄を読んでみますと、全部読むと非常に長くなりますから結論部分だけ読ませていただきますと、  NOxを主体として賦課料率をきめるということも、四十九年度の段階ではまだ無理ではないか。しかしながら、幸いNO2につきましての環境基準がすでに設定されております。これに伴いまして、つい先ごろ、大気局のほうも規制の方針を出しておられますので、ここ一、二年のうちにはNOxを制度に載せるということができるのではないかというように考えておる次第でございます。 ここ一、二年のうちにということを四十八年の段階でおっしゃっています。そして、この委員会は、最終的にこの法案を成立させるために総括質問を行って、審議の中で疑義の出た問題を一つ一つただしていっているんですね。だから、ここの答弁というのはこの法案を成立させる要件として非常に重要な中身を持っておるというふうに私は見ます。  いまの問題に関して、それは当時の法案を成立させる時点における判断であったというだけでは私は済まされないと思うのですよ。ここ一、二年のうちにNOxを制度に載せるということができるのではないか、このように考えている。だから、そこにおられる委員はそうかということで納得してこの法案を成立させているんですね。それが十年近くたったいまになって、あなたの先ほどのような答弁を繰り返し聞かされているわれわれとして、納得せいという方が無理ではないかと思うのですが、できるだけ詳細に、この件については私は素人ですから、私のような素人にもよくわかるようにこの問題についての解明を願いたい。
  44. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) その当時のことは私必ずしもつまびらかでございませんが、その当時の 判断として最善の判断をされての答弁であっただろうと思います。現在結果論としてそのようになってないというような御指摘なわけでありますけれども、環境庁としてはその間一生懸命この問題には取り組んできたわけでございます。  先ほどちょっと触れましたように、硫黄酸化物の急激な低下ということが非常に急速に進展したわけでございまして、かつて硫黄酸化物が非常に高濃度であり、それと共存する形での窒素酸化物、浮遊粒子状物質というような状況の中でいろいろな予測なり判断なりというものがあっただろうと思います。ところが、硫黄酸化物が急速な改善を見て、取り残されたような形での窒素酸化物というものをどう評価するかというのが、一生懸命取り組んでみましたら意外とむずかしい問題であったと、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  45. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 意外にむずかしかったというのをもう少しわかりやすく説明してください。
  46. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 現在、私ども窒素酸化物につきましての文献を、国内はもとよりでございますし、国外にも求めまして、相当膨大な量の中からこの制度に参考になるような数百の文献も集めていろいろと検討し、解析を続行中でございますけれども、その一つ一つの論文というものには莫大なエネルギーがつぎ込まれておるわけでございますけれども、なかなかこの一つその一つで明快な答えが出るということではないようでございまして、そんなような意味でなかなかむずかしい問題だと申し上げたわけでございます。
  47. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 さっぱりわからない。  そうしたら、いまから十年前は、一、二年後にこの問題も制度にのせるのではないかということで、この制度の中身のいわば充実の問題ですね、期待感というものを持たせて発足させていって十年たった。それではいま改めて問いますけれども、当時硫黄酸化物と共存している窒素酸化物という形で考えていくときには一、二年で制度化できるんではないか、こう思っていたが、硫黄酸化物の改善が急速に進んで、そして窒素酸化物だけ残ってみたときに、それに対する対応をどうしたらいいかということに困っているんだと。私は科学的な、医学的な知識、それに対して反論するものを持ち合わせていませんから追及できないのは非常に残念なんですが、共存していたものが共存する状態でなくなって、単独に窒素酸化物だけが浮き彫りにされて、それに対してどう対応したらいいのかまだ全然わからないんだという状態だと。  しからば、環境庁として、現在患者がふえているという状態とその窒素酸化物との関係、それはどういうふうにお考えになっておりますか。
  48. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 大変むずかしい御設問でございますが、患者の増がこの制度におきますところの認定患者さんの数という意味におきましては、先ほど申し上げましたように、指定地域が何年か置きに五十三年まで逐次指定されてきたというようなことも一つの要因に挙げられましょうし、そのほかいまおっしゃっているような大気汚染との関係がどうであるかというようなことも要素としては当然検討しなければなりませんし、いろいろな要因があるわけでございます。窒素酸化物が単独でどういう役割りをしているかという論議も一つはございますけれども、いろいろな汚染物質の共存している中で窒素酸化物を指標としてとらえたときにどういうふうに理解されるかというようなことが実際上の一つの問題点になるわけでございます。  私どものいまの調査研究におきましては、そういう実際の地域におきますいろいろな調査方法、手法の開発も含めまして現在それに取り組んでおる、そういう状況でございます。
  49. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 もうちょっとはっきり言っていただけませんか、私のような素人にわかるように。私が初めに経団連の話を出したのは、経団連の話は非常にわかりやすいわけですよ。大気汚染の原因となっている硫黄酸化物の排出について非常に改善努力をしてきた、そしてそれは改善された、にもかかわらず患者がふえ続けているのはおかしいじゃないかという理屈なんですね。
  50. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 一つ大事な点を申し落としておりましたが、この第一種地域で対象としております慢性気管支炎、気管支ぜんそく等の疾病は、いずれも非特異的疾病であるという点が非常に重要な点でございます。すなわち一つの原因で特定できないいろいろな要因、いろいろな原因がそれぞれ絡み合ってその病気が発生するということがございます。したがいまして、現在この制度で対象としております疾病につきましてもいろいろな原因が関与している可能性はあるわけでございまして、その中で大気汚染との因果関係としてどういうふうにとらえられるかという把握の仕方というのは大変技術的にむずかしい部分でございます。  高濃度の汚染というようなことになりますと、何か事故が起こったとかあるいは動物実験ベースのようなことを行えばこれはいろんなことがわかるわけでございますが、地域で現実に経験しているような濃度の汚染が、いま申し上げましたようなたくさんの原因でなり得る病気と大気汚染だけを抜き出してきてどうつながるかと、そこを因果関係として説得性の高いものとして説明できるのかどうかというあたりを明確にするということは大変なむずかしい部分でございます。この点の御理解をお願いしたいと思います。
  51. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 だから、逆に言えば経団連が言っているようなそんな単純な問題でないという一つの結論が出るわけですよ。一方、なかなかむずかしい問題に対する解明への努力が環境庁に要求をされているということであると思います。  それでは、十年前にNOxの問題の制度をここ一、二年のうちにはというふうに言われたと同じような立場に立って、むずかしい困難な問題を解明して、NOxとかあるいは浮遊粒子状物質の問題についても制度にのせる。これは何もいま新しく出た問題じゃなくて、当時もそういうものが一つの原因であると言いながら、いまおっしゃったように解明できないからといって直接問題にされなくて、検討課題として残された問題であるわけですね。だから、これはいつになればそれでは制度の中にのせていけるようになるんですか。
  52. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) まず第一点のこの制度にのせるという部分でございますけれども、この制度創設時の中央公害対策審議会の基本的な事項についての答申にも触れておりますけれども、硫黄酸化物のみでなくて、窒素酸化物、浮遊粒子状物質、これはいずれも大気汚染を判断していく際の重要な指標であり、こういったものを総合的に判断をしていくという、考え方としてはもうすでにこの制度の中に十分に重要な部分として入っているわけでございます。考え方としては入っているわけでございますけれども、数量的にまだ表現するだけの科学的、医学的知見がまだ十分でないので、その点の検討を引き続き行えと、こういう形になっておったわけでございます。御承知のとおり硫黄酸化物についてはその辺を数量的にかちっと押さえて組み込んでおるという意味で明確化されておるわけでございますけれども、窒素酸化物についてはその点が課題となっておるわけでございます。
  53. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 だから、最後の、それではいつになればそこの問題をあなた方は解決をされるんですか。
  54. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 現在その知見の収集の最中でございまして、できるだけ早い機会にそういった足固めを、めどをつけたい、こういうような努力をいま行っておる最中でございます。したがいまして、いまいつごろということはなかなか私どものところで見通しを明確に申し上げる段階ではございません。
  55. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 見通しを明確に言えない――当時一、二年待ってくださいといって法制化したものを、十年たってまだその時期は言えないというふうなことは、私はわからぬからあなたの答弁を、まだ把握していないんです、答えを出せないんですと言っていることをそうですかと聞いておりま すけれども、私がもし知っていたらそうではないのではないかという中身の反論をできる状態じゃないかと思うんですよ、もうすでに。そういうもう現在の状況に至っていてなおあなたのように、まだ将来どこまでこの研究が続くかわからぬ、いつまでにこの問題をするかという努力目標すらはっきり言えないというふうなことは、どうなんですかね、行政の怠慢と言ったらあなた方怒るかしらぬけれども、それ以外の何物でもないと私は思うのですよ。  どうなんですか、長官。十年前に一、二年たったら制度化しますと言って、延々とその努力は続けてきたという報告があって、そして十年たっていま法改正の問題について論議するときに、どうですか、もう答えが出ているんじゃありませんかと言ったら、いやまだ先のことで、そういう時期も、ここで予告のようなものもできません。どういうことなんですかね。それは私は行政の怠慢じゃないかと言っているんです。行政の怠慢と言われたら、これは長官がそうかそうでないかということを言わなければいかぬでしょう。
  56. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) 事ほどさようにこのNOxの問題は私はむずかしいと思うのですね。聞けば聞くほどむずかしい問題でございます。だから、四十八年当時にそういうお答えをしたと思うんですけれども、それは簡単にいくんじゃないか、こう思ったと思うんですけれども、行政の怠慢とおっしゃいますけれども、私就任いたしましてこのNOxの問題についてもいろいろ素人なりに専門家からお話を聞きましたが、なかなか一生懸命勉強は皆やっております。それは定性的にはいろいろもう五年前でも、あるいはその四十八年に政府委員が述べたことも、あるいは定性的にはわかっておったんじゃないかと思うんです。ですから、定量的にもすぐにいけるんじゃないかぐらい思ったと思うんですよ。しかし、実際やってみると、これはなかなか複合しておるものですから、抜き出して定量的にどうだという結論は十年間ずっとやってまいりましてもなかなか出なかった。  しかし、まあこの十年間で大分、私が聞き及んでおる範囲では大分皆勉強もいたしまして知見の集積に努めておりますので、私はこういう問題、いついつまでにやれという指示はもちろんできません、そういう割り切り方をやってできる問題でもございませんから。これはあくまでも冷静に議論も進め、科学的な根拠に基づいて知見を集積いたしまして判断すべき問題でございますから、いついつまでという指示はできませんが、私はもうそんなにいつまでも長くやっていたらいかぬじゃないか、早くひとついままでの勉強結果をまとめて、また新しいいろんな方法でも勉強いたしておりますから、そういう方面からの知見の集積を早くやって、だれが見ても大体判断のできる合理的な結論を早くやりなさい、こういう指示はいたしておるところでございます。
  57. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 周囲の状況が、環境汚染の問題、公害の問題に対してだんだんと後退をしてきているという状況下にあって、いま私が言っているような心配が出るんですよ。公害問題なりあるいは環境保全の問題について、環境行政がどんどんと前へ出ていっているという状況の中でのいまのような答弁であれば、がんばってくださいよといって、一日も早くということで引き下がれるんですが、しかし周辺の状況は、この法案一つの問題についても、この前の審議の中で、臨調の答申の中に出てきたこの制度の縮小、見直しというふうな意味にとれるあの中身、そういうことから、環境庁が本当に公害による健康被害の問題についてもっともっと積極的に前へ出て、単にそれが大手汚染の問題でない、さまざまな公害、環境汚染によっていろいろな人がいろいろな被害を受けているんだから、それに対する対応をどんどんと打ち出している中であればいいけれども、全体がどんどんと縮小されているという中だから、私は行政の怠慢を指摘し、そういう周辺に状況が起こってくるのも、環境庁自身が環境問題に対する物の考え方が後退しているということの中で起こっているという認識を持ちますから、環境庁長官に強くまずこの問題をひとつ前へ押し出せという要望を私はしているわけなんですよ。  どうですか、長官。まあ努力というのは、いつも長官が次々にかわりますから、前の長官がああ言った、この長官がこう言ったということを私いつも言わなければならぬのですが、梶木長官として、この法案がきょう審議されて、きょうは成立するわけですが、この法案の中身の検討の中のいろいろ大事なことがありますけれども、いま私の言っている問題はその中の最も大きな問題ではないかと思います。もう少し行政の責任者としてのはっきりとした答えをいただけませんか。
  58. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) 先般、この委員会で予算委員会の委嘱審査のときにも申し上げたわけでございますが、私どもじみちに環境行政を推し進めておりますので、環境行政が後退したとは私どもは認識はいたしていないわけでございます。ただ、いま御指摘のように、この公害健康被害補償制度につきまして先ほど来委員と私どもの方の保健部長との間にいろいろ御論議が交わされたわけでございますが、保健部長も答弁申し上げましたように、たとえばいま委員がおっしゃったように、一方的に経団連の意見に従ってわれわれがその方向で進んだというのであれば、これは環境行政後退だという御指摘を私どもは甘んじて受けますけれども、そうじゃない。  やはり、いろいろな各方面の御意見がいま出ておるわけでございますから、どちらの御意見ということに左右されない、いわゆる、くどいようでございますが、何回も申し上げておるように、また保健部長もお答え申しておりますように、やはり長い間かかってずうっと積んでまいりましたこの科学的知見、医学も含めまして、そういうようなものによって、これはどちらの意見にも左右されない冷静なひとつ判断のもとにやりたい、こういうことでいま一生懸命やっておるわけでございますので、この点はひとつ御理解を賜りたいと思います。
  59. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 早急にこの問題についての制度化、それをやっていただきたいということを強く要望しておきます。  そこで、各方面の要望を聞いてということがありますが、私は兵庫県の出身です。尼崎市長から梶木長官に対して出された要請書の写しを私はもらっております。梶木長官の方もお読みになったと思いますが、「公害健康被害補償制度について」というそのものずばりのこれは要請になっております。  全文を読む時間はございませんが、要するに実態の問題として、五十八年一月末現在で五千二百四十三名も患者が現存しています。これは東京、大阪に次いで大きな認定患者数なのですが、そして問題は、「五十六年度の新規の認定患者は四二〇名あり、今年度においても同数程度が見込まれ、今後より一層の被害の救済が望まれるところであります。」、新規の認定患者が五十六年で四百二十名、また五十七年度においても同数程度が見込まれると、こういうことで、この公害健康被害補償制度の縮小なんというふうなことはとんでもない、一層拡充をしていただきたい、こういうこと。あるいはまた、指定地域の解除というふうな問題も尼崎の状況からすればまさに時期尚早であると、そしてまた窒素酸化物、浮遊粒子状物質に基づく指定地域要件について早急に具体化してくれ、このように訴えております。  この問題について具体的にもうすでに回答はされていると思うのですが、各方面のというのが出ましたので、この事柄についての尼崎市の懸念なり、この中に出ている指定地域要件についての拡大の問題等々について環境庁のお考えを聞かしておいていただきたいと思います。
  60. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 尼崎市長からは本年の二月に要請書が提出されたところでございます。ただいまお話に出ましたように、この要請書におきましては、臨調において本制度についての論議が新聞等で報道されたその時期にこれと関連して出されたものであるというふうに理解しておりま す。  それで、要請書の中に三点述べておるわけでございますが、第一点はこの補償法が制定された経緯を尊重して被害の救済を図ること。それから第二点は、指定地域の解除は時期尚早であるという御意見が述べられております。それから第三点は、窒素酸化物、浮遊粒子状物質に基づく地域指定要件について具体化をするようにという要望の形で出されております。第一点のこの制度の経緯を尊重し救済を図る、これはこの法をあずかる私どもとしては当然のことでございますが、第二点、第三点の地域指定をめぐる問題につきましては、これまでに御説明申し上げましたとおりのことで御理解を賜りたいと思います。
  61. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いや、御理解を賜りたいじゃなくて、現場をあずかっている地方自治体からの要請は、先ほど経団連の問題を言いましたから、それに対して実態はこうであるということを申し上げたのです。  もう一方、東京からもそうしたものが出ております。東京から出ている問題も、「公害健康被害補償法に基づく大気汚染被害者救済対策の強化に関する意見書」ということで、これは議会から出ています。そして、これも尼崎市と同じように、「第一種地域指定の要件として硫黄酸化物だけでなく、窒素酸化物及び浮遊粒子状物質を加えること。」という事柄があり、未指定の世田谷、中野、杉並、練馬というふうな区の名前も書いてあって、要するにこれは地域指定の問題についてもっと多様なものが原因としてあるではないかということで指定の拡大を要求をしてきているわけですね。これがまあいわば実態であろう、恐らく大阪もそういう認識を持っているであろう、こういうことなんです。  だから、環境庁の長官として、先ほど言いましたように各自治体もいま私が主張したと同じような問題意識を持ち、そして早急にその問題の解決をしてもらいたいという要望をしているんですよね。だから、こうした問題に対して、いま局長の言ったような、先ほどお答えしたようなことでございますということでは済まされないこれもやはり中身を持っていると思います。  環境庁長官、具体的に東京都議会、そして尼崎市から出されてきたこの要望の中身について、長官としてどのように受けとめられるかお伺いしたいと思います。
  62. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) 尼崎市長から参ったのも、また東京都議会から私のところに参った要請書も十分承知をいたしております。ですから、こういう意見も踏まえまして、先ほど申し上げたとおり、自治体からのこういう意見あるいは患者側からの意見、また委員が冒頭から仰せられておる経団連からの意見、こういう各方面からの御意見がございますので、私どももどれにも左右されずにひとつ合理的な結論を得たいということで進んでおるわけでございます。この結論をできるだけ早く得るようにいま最大の努力をあらわしておる、こういう段階でございます。
  63. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 まあどれにも左右されずと、それは基本的にそうなるかと思いますが、しかし問題は、その公害によって健康を損ねて、そして正常な状態で生活できない、働けないというふうになる公害患者そのものが一体どういう実態にあるのかということが、環境庁のよって立つべき私は基本だと思うんですね。実際に公害によってさまざまな体に障害を起こす、その人たちがふえているのか減っているのかという問題、これはもう一番基本だと思うんですよ。現に具体的には尼崎も東京もふえている。何によってふえているのかというその問題について、その公害の発生源なり、体を損ねる直接の原因は何かという問題の研究は、それはいろいろあるにしましても、公害による患者がふえているというこの事実だけを環境庁は絶対逃げることができないと私も思うんです、ふえているんです。  そして、新しく交通公害と言われるように、騒音、自動車の排気ガス、そうしたものによる新しい問題がいろいろ起こっているんですからね。そういう認識に立って環境庁は具体的な公害防止と救済に乗り出さなければ、先ほどおっしゃるようにいろんな意見じゃなくて、よって立つのは公害患者がふえていると、そして公害そのものは全体としては減っていないんだという認識に立つのかどうかだと思うのです。  長官はどうですか、公害患者公害による健康被害を受けている人たちが減っているというふうな認識なんですか。それとも、どんどんふえていって大変な状態になると、こういう認識をお持ちなんですか、どうなんですか。
  64. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) 現在は減っているとは認識いたしておりません。ですからふえつつあることは事実でございますが、何によってこれがふえておるかということを、非常に複合的な原因なもんですから、何によってどのようにふえておるかと、この実態をくどいようでございますが、先ほど来申し上げておるように科学的にこれをつかんでいかにゃならない、こういうことで努力いたしておる、こういうことでございます。
  65. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それを環境庁としてどのようにやっておられるのかという問題なんですよ。いまおっしゃるように、何が原因で硫黄酸化物、窒素酸化物、それから浮遊粒子状物質、こうした問題は十年前に大気汚染による健康被害の原因だというふうに挙げられ、結局それが慢性呼吸器疾患というところでそれが特定されているわけですね。  しかし、問題はそれにとどまらず、降下ばいじんの問題とか炭化水素、光化学オキシダントというふうな問題から出てくるさまざまな循環器疾患の問題とか、あるいは肺がん、全身のさまざまな影響が起こってきているわけで、そのほか低周波の問題もこれあり、特に騒音に対する問題等もあるわけで、大気汚染による健康被害が一体何なのかという、いま少し突っ込んだ基本調査のようなものをしっかりと環境庁が早くやって、この病気の範囲というものももっと新しく再確認して、公害に悩む患者、あるいは公害患者を抱えてその救済に当たっている各自治体に対して環境庁の積極的な対応を示すべきではないか、このように思うんです。  いま、環境庁長官、いろいろなものがあるんだ、いろいろなものがあるんだと言ったって、具体的にそれに対して、それでは調査なり研究なりを具体的なひとつプランとしてやっているのかどうかという問題についてここで言っていただかなければ、抽象的なそんな答えを幾らいただいたってどうにもならぬ、こう思うのですがね。
  66. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) 具体的な問題につきましてはまた保健部長から答弁させますが、全国的に全部トータルで見れば御指摘のようにふえておるわけなんですが、地域によりまして減っているところがあるんですよ、四日市なんかはね。こういう問題もありまして、だからなかなか、ふえていく、あるいは減少していく、この原因というものを的確につかまなければ、この制度をどうのこうのという見直しができないわけでございますから、地域の指定をするにしましても、あるいは暴露条件をどうするとか、いろいろなことをするにしましても、そういうふうに大変地域によっても異なるむずかしい面がございますから、くどいようでございますが、それらのことを冷静に私どもは考えていかなければならない、こういうことで知見の集積にいま最大の努力を払ってきておる、こういうことでございます。
  67. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 御指摘の点につきましては、私どもも常に問題意識を持ちながら、それに関連します内外の情報の収集に努めておりますし、また指定疾病に関係いたします研究も積極的に取り組んで実施しているところでございます。
  68. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 研究を積極的にやっています、やっていますの繰り返しで、それ以上の何も出てこない。私は非常に不満です。そしてまた、環境庁としての答弁も非常に不十分であり、そしてある意味では不親切だと私は思います。  しかし、もう時間が相当過ぎておりますから、この問題はこれでおきますが、いま私が質問した一つでも、大気汚染による健康被害とは一体何な のかというふうな、基本調査をして病気の範囲を再確定するというようなことはどうですかという質問を私はしたんですから、それについては基本調査の必要があるとかないとか、いや基本調査は事実いまこういうふうにやっておりましてどうですとかいうふうな、どうですか、私の質問に対して的確に答弁をする気はあるんですか、ないんですか。私はもう全然、さっきのやりとり聞いておって、環境庁なんというのはお金もないし、何もないし、環境庁長官の頭でやるんだ、頭でやるんだと言うが、いまみたいなやりとりが頭でやることかなと半分あきらめながら私さっきからやっておるんですがね。どうなんですか、もう少し具体的な中身を答弁できないんですか。
  69. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  70. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) 速記を起こして。
  71. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 内外の知見の収集という抽象的に申し上げた点につきましては、先ほど数百の文献を集めてというところまでは御説明申し上げたつもりでございますが、中身的に肉づけをいたすとすれば、臨床面、疫学面、動物実験、そういったような各分野ごとにそれぞれ相当な数の文献を、専門的な複数の先生方でそれぞれをどう位置づけ、評価し、相互に関連づけるかというような作業をいまやっている最中でございます。したがいまして、その取りまとめの結論が出ませんことにはそれ以上の解説も私どもとしてはまだいたしようがないということを御理解賜りたいと思います。同様なことを窒素酸化物、浮遊粒子状物質でやっておりますが、その他もろもろの文献調査もそのような進めぐあいでやっております。  それから地域での調査と申しますのは、五十五年から着手しておる新しい調査がございまして、従前用いておりましたBMRCという英国で開発された疫学調査の有力な調査でございますが、それと少し趣を変えた、アメリカで開発されましたATSというような方式の調査を現在手法開発というようなねらいのもとに実行しておるところでございます。
  72. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私も専門的にもう少し勉強してまた改めてやりますが、いまもそういう調査をやっているんだということでございますが、それは何ですか。もう最後にこれを質問して終わりますけれども、いろんな学者や研究者に集まってもらって、NOxの問題、浮遊粒子状物質の問題等の指標化の問題についてやっているんだということですが、それについて、いつごろまでに結論を出してくださいと、早く出してくださいと、いまこの問題に対しての結論を急がないと非常にむずかしい問題が起きるんですというふうな状況において、いつまでという期日設定をやって環境庁としてこの問題の解決に当たっていかなければ、どうぞいつまでも十分に納得のいくように慎重にやってくださいということでは、行政は生き物であり、現に公害の被害によって健康を損ねている人がいるという問題に対しての対応では、いまみたいな形ではどうにもならぬじゃないですか。  だから、研究のまとめのめどというふうなものをやはり行政の責任としてはっきり言わなければ、それは行政の怠慢だということにしかならないわけで、ここであなたがそうした専門的な中身をやりとりするんじゃなくて、そういうものをいつごろまでに取りまとめて、いつごろまでに明らかにして、東京や尼崎、そして各地域で問題を提起しておることに対する答えを出しますと、こういうことをここであなたが言うべきなんでしょう。それも言えないんですか。この段階になってもやっぱりそれは慎重に研究をやってもらっていますということしか言えないんですか。私は大いに不満ですね。
  73. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) それでは少し形を変えて御説明申し上げますが、いまその地域の汚染の状況をどう評価するかという問題について大きく分けますと二つの問題点があるわけでございまして、一つは地域の汚染の状態そのものをどう把握するかということと、それからもう一つはそれと関連づけられるような疾病の新しい多発があるかどうか、こういったような観点とあろうかと思います。  その前段の汚染そのものをどう把握していくかということにつきましては、これまでの蓄積その他もございましてかなりなデータは集積されてきているわけでございます。その第二点目の疾病の新しい発生が、適切な他の地域との比較において、あるいはその他適切な方法で著しい多発があるかないかということをどういう形で把握したらいいか、こういったことを一生懸命取り組んでやっているわけでございます。  そのためには、方法論としてもどうしても何年かの推移を見なきゃいかぬというふうなことでございまして、先ほど申し上げました五十五年からパイロット調査としてスタートを切っておるわけでございますが、この年度ごとに一定の時期に行ったデータが出てきて、それをいろいろ統計的その他に解析をして突き合わせてみませんと、これでこの調査が一応物が言えるようになったという判断に至らないわけでございまして、そのようなことで、私ども行政としていたずらに時間を遷延させるという意図は毛頭持っておりません。これほどに関係各方面からも強く期待を寄せられ、御意見も寄せられているわけでございますので、私どもとしてはできるだけ早く結論を導いていただくように今後も対応していきたいと思っております。
  74. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それでは次の問題に入ります。  あと二、三で終わりたいと思うのですが、それは五十五年三月二十六日の第九十一国会で出された附帯決議の中での関係する事柄です。それは公害保健福祉事業の問題について若干質問をしておきたいと、このように思っております。  この公害保健福祉事業というのは、リハビリとか、転地療養とか、家庭療養器具の支給とか、あるいは家庭療養指導事業等々が定めてあるんですが、こうした公害保健福祉事業の現在の状況を環境庁として、どうですか、非常にうまくいっている、あるいはまたどうも参加者が少ない、いろいろな評価の仕方がありますが、現在どのように全体の状況を評価しておられますか。
  75. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 公害保健福祉事業は健康被害者の健康の回復、保持、増進を図ることを目的とする事業でございまして、環境庁といたしましてもこれを重視して取り組んでいるところでございます。  制度発足の当初におきましては、この事業の中身として、医療にわたる部分がございまして、医師、保健婦等に参加を願わなければならないわけでございますけれども、制度発足日も浅いというようなこともございまして、なかなか医師、保健婦等の専門家の確保が容易でなかったというような事情もございました。そこで、制度発足当時、事業実績が必ずしも十分と言えない状況がしばらく続いたわけでございます。その後、関係者、各自治体、大変努力をいただきまして、逐年その事業が伸びてきておる次第でございます。  リハビリテーション事業を例にとって申し上げますと、最近この参加者が非常に伸びております。一つには、事業の中身として小児に対します水泳療法というようなものもこの事業の中身に取り入れたこともございます。五十三年度には参加者が一万一千人でございましたけれども、直近の五十七年度におきましては四万一千人と増加を見ているところでございます。  それから、事業の実績としまして、実施額につきましても発足当初は一億円を下回るというような状況があったわけでございますけれども、五十七年度におきましては四億五千万というような状況で、相当それぞれの実施主体で努力をいただいているところでございます。  今後とも、このような方向で内容的にも一層の充実を図り、さらに地域によってまだ若干足並みのそろってないような面も見受けられる、そんな点については一層の改善を地方自治体ともども図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  76. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 しかし、問題はこの負担率が、国が四分の一、自治体が四分の一、汚染原因者が二分の一という負担割合というところから、事業が進展していくことに伴って自治体の超過負担というものが起こっているのではないか、こう思います。また逆に、事業が進展しないという阻害要因の中にも、やればやるほど自治体側の負担が、四分の一、四分の一、二分の一と定められてあるけれども、どうしても中身を充実させようとすれば自治体がそのために負担を多くしなければならぬということがその隘路としてあるように聞いているんですが、その点はいかがですか。
  77. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) この公害保健福祉事業につきましては、制度の中におきまして特徴的な性格を持っておるわけでございます。それは、公害健康被害者の健康回復を図るという側面と、それから地域の福祉行政というような性格を有する側面とございます。  そういう点に着目しまして、国及び地方公共団体におきまして、それ相応の負担を、あわせて二分の一、それぞれ四分の一ずつ、こういうふうにしているところでございます。この点をよく踏まえて地方自治体としてもしっかり取り組んでもらわなければならないし、またそのように取り組んでいただいておるわけでございますが、超過負担というようないま御設問でございましたけれども、私ども実行上いろいろ実施主体であります県市区の実態をよく聞き、意見も聞き、予算の組み替えも行いまして、できるだけ円滑に適正に実施できるようにいろいろ配慮をしているところでございます。したがって、そういう意味におきまして、超過負担等の問題があるために事業が伸び悩んでいるというような実態はないんじゃなかろうか、かように考えているところでございます。  今後とも、よく実施主体の意見、要望等も聞きながら適切な対応をしてまいりたいと思っております。
  78. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 超過負担になってなければいいんですが、私はなっているというふうに聞いているんですね。だから、ひとつ保健福祉事業というものをより充実していくために、その隘路となるであろう自治体の取り組み、そしてその自治体の負担、そうしたものが実態としてどのようになっているかという調査をやはりしていただいて、もし超過負担というふうなことが現にある、あるいは逆にその超過負担になるから事業そのものに非常に消極的であるということ、またその中身が充実しないということであるならば、その負担割合というふうなものをどうするかということを考えてみなければならぬと思うんですが、そうした実態そのものを正確に把握する、そういう調査のようなものを一度やられたらいかがですか。
  79. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) この事業を推進するに当たりましては、それぞれの実施主体ごとに事業計画をあらかじめ聞きまして、いろいろ協議をした上で進めておるということでございまして、個別に掌握をしておるところでございます。
  80. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それではその全体を把握しているというわけですか。
  81. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 事業計画としては相談を受けておるわけでございます。
  82. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 後ほどそれは資料としていただきたいと思いますが、よろしいですか。
  83. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 結構でございます。
  84. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それじゃ最後に、これも附帯決議の中にあった問題ですが、「工場等固定発生源から排出される窒素酸化物の規制については、環境基準の達成が困難と思われる地域において総量規制方式の早期実現に努めるとともに、浮遊粒子状物質対策を強化すること。」ということの中の総量規制の問題なんですが、現在東京都特別区あるいはまた横浜、大阪市等の三地域であるんですが、このほか名古屋あるいは神戸、北九州等々、今後の推移を見守っていくというふうなことになっているようなんですが、この現状と今後の見通し等について御説明をいただいて終わりたいと思います。
  85. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) 窒素酸化物に係る総量規制につきましては、御指摘もございましたように昭和五十六年の六月に大気汚染防止法施行令の一部を改正いたしましてその制度を導入したところでございます。  この政令の改正に際しましては、総合的に検討を行い、総量規制を導入し、所要の削減対策を実施することが特に緊要であると認められた東京都特別区等地域、神奈川県横浜市等地域及び大阪府大阪市等地域の三地域を指定したところでございます。これらの三地域におきましては、神奈川県では昭和五十七年の四月一日から、大阪府では同年の十一月一日から、東京都では同年の十一月三十日からそれぞれ総量規制が実施されておるところでございます。  また、御指摘のございました総量規制地域の指定を保留いたしました愛知県名古屋市等地域、並びに検討中でございます兵庫県神戸市等地域及び福岡県北九州市等地域につきましては、その後補完的な調査検討等を引き続き行っておりまして、これらの結果等を踏まえまして、地元の関係地方公共団体とも調整をしながら所要の窒素酸化物対策を推進していくこととしておるところでございます。
  86. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩をいたします。    午後零時十三分休憩      ─────・─────    午後一時十七分開会
  87. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) ただいまから公害及び交通安全対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  88. 小平芳平

    ○小平芳平君 午前中に本岡理事から御質問のあった点について、私も硫黄酸化物の問題、窒素酸化物の問題、それから認定制度の問題、これらの点についていろいろ質問したいことがありますので、まずこれから質問したいと思います。  最初に、この環境基準の達成状況で、硫黄酸化物、窒素酸化物、浮遊粉じん、これらの環境基準の達成状況はどうなっておりますか、御質問いたします。
  89. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) 環境基準の達成状況でございますけれども、一般的に申し上げまして、近年一部の汚染因子につきましては改善傾向を示しておりますけれども、お話にもございました窒素酸化物や浮遊粒子状物質など、改善の進んでいない汚染因子もなお多いところでございますが、具体的に申し上げますと、昭和五十六年度の一般環境大気測定局及び自動車排出ガス測定局におきまして、まず二酸化硫黄でございますが、環境基準の達成状況を長期的評価で見ますと、達成率は昭和五十六年度は全有効測定局の九八・九%となっております。また、短期的評価につきましてもそれぞれ順調に低減をして達成率が上がっているところでございます。  次に、二酸化窒素でございますけれども、一般環境大気測定局及び自動車排出ガス測定局の測定結果につきまして環境基準との対応状況を見ますと、五十六年度には環境基準のゾーンの上限値でありますところの〇・〇六ppmを超えました測定局が一般環境大気測定局では三・二%、自動車排出ガス測定局では三四・一%でございます。  それから一酸化炭素でございますが、これは大変成績がよろしゅうございまして、一般環境大気測定局では一〇〇%、自動車排出ガス測定局におきましては九九・三%でございます。  浮遊粒子状物質でございますけれども、一般環境大気測定局の長期的評価によりますと、昭和五十六年度におきましては全有効測定局の三八・一%でございまして、五十五年度、前年度に比べますと若干改善しておりますけれども、依然として低い状況にあるところでございます。
  90. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで環境庁は、二酸化硫黄の環境基準は大分進んだ、しかし窒素酸化物及び浮遊粒子状物質については進んでない、依然として汚染が続いているというふうな判断ですか。
  91. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) お話のございましたような判断でございます。
  92. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、本岡理事からも御指摘のあったこうしたパンフレットが、いかにも硫黄酸化物の汚染は大きく改善されたと、それから窒素酸化物についてもNO2の濃度も欧米諸国の環境基準を下回っていますというふうに言われると、いかにも空気がよくなったみたいにとられますが、環境庁はそうはとっていないということですね。
  93. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) 確かにこの窒素酸化物、浮遊粒子状物質につきましては改善がはかばかしく進んでおりません。ですけれども、硫黄酸化物につきましては順調に改善を見ておるところでございまして、関係各機関の努力によりまして一時よりかはその空気は私どもといたしましてはかなり改善されておると考えておりますけれども、なお改善のはかばかしくない部面につきましてはさらに一層の努力を傾けたいと考えておるところでございます。
  94. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、もう空気がきれいになったんだから公害患者が減るはずだと、しかるにふえるのはおかしいじゃないかというような議論には現状はなってない。現状は、窒素酸化物といい浮遊粉じんといい、汚染は改善されてないということでしょう。
  95. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 硫黄酸化物に着目して改善、それから窒素酸化物に着目すればまだ改善してない、こういう論議のすれ違いの点があるわけでございますけれども、いずれも大気汚染を構成しておる重要な因子でございまして、総合してそれじゃどっちであろうか、改善したと言えるのか言えないのか。しかも、この健康被害補償制度の観点から申しますと、この制度の対象とするような疾病とのかかわり合いにおいてなお改善したと見ていいかどうかと、こういう観点が私どもの立場でございます。その観点から見たときに、どちらの言い分がどうだということを判定する数量的な物差しが十分でないというのが現状でございまして、そのためのいま私どもとしては物差しづくりを目指しての努力を行っている実情にございます。
  96. 小平芳平

    ○小平芳平君 それではさっきと全く同じ議論になってしまう。  ですから、数量的な判断はむずかしいでしょう、皆さんの説によりましてこれは非常にむずかしいんだと。むずかしいが、窒素酸化物の環境基準もある段階で緩めたですね。五十三年七月、大緩めに緩めたけれどもなおかつ環境基準を達成してないところが多数あるということはまだまだ――この環境基準を少なくとも私たちは緩めることに反対したわけですけれども、科学的知見と称して環境庁当局は緩める方をとられた。とられたけれども、それから見ても環境基準を達成してないんだから、まだまだそういう汚染をなくしていく努力が必要なんだ、そういう努力をしなければ公害患者も発生するんだということになるでしょう。
  97. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 気管支ぜんそくあるいは慢性気管支炎等、補償制度で対象としております疾病を引き起こす、あるいはそれとの因果関係で論じ得る程度の汚染というものがどのくらいあるかというのが補償制度から見たときの数量的な問題点になるわけでございますが、先生の御指摘の環境基準につきましてはそれよりかはるかに大事をとった望ましい水準というふうに私は理解しております。
  98. 小平芳平

    ○小平芳平君 じゃ、環境基準は公害病発生と関係ないのですか。
  99. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 関係ないと申し上げたつもりではございませんが、環境基準という水準と環境基準をちょっとでも超えたらすぐ病気が出るということでは必ずしもないという御説明を申し上げたわけでございます。
  100. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは環境基準を超えたから一〇〇%全員が発病するということは私も言っておりませんし考えてもおりませんけれども、環境基準として設定するからにはある根拠があってやるんでしょう。全然根拠もない、望ましい状態だといってやるんじゃないでしょう。
  101. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) どっちが責任あるの。もっと当面の責任者が答えてくださいよ。
  102. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) 環境基準は私の方であります。
  103. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) 余りごまかさないできちっと答えてくださいね。
  104. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) 環境基準の設定に当たりましては、動物実験とそれから人の志願者、篤志家によりますところの人体実験、それから疫学調査、大体におきましてこの三つのデータを総合的に判断して決めておるわけでございますけれども、その水準は、病気になることを防ぐだけではなくって、たとえば窒素酸化物の場合でございますと健康からの偏りというものを十分防げると、こういう水準で定められておるものでございます。
  105. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがいまして、窒素酸化物及び浮遊粒子状物質についてはなお改善が必要だと、さっきおっしゃったとおりでいいのでしょう。
  106. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) 御指摘のように、窒素酸化物と浮遊粒子状物質につきましては環境濃度の改善がはかばかしくございません。なお一層の努力が必要であると考えております。
  107. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで、さっきも問題にされお答えがあった点ですが、発生源の公害防除の努力が反映した徴収方法をとるべきであるという五十五年法改正の際の附帯決議があったわけですが、その発生源の公害防除の努力が反映する徴収方法というものはどうなりましたか。
  108. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) お答え申し上げます。  この制度の費用負担は固定発生源分とそれから自動車、移動発生源分というふうに分かれておりまして、ただいまの御質問が両方のことを含めておるといたしますと、固定発生源分についてはまさにその排出者から徴収をするという仕組みをとっているわけでございます。その意味において防除努力が反映される仕組みになっております。  それから、自動車分につきましては、自動車重量税が自動車の走行に伴いまして諸社会的費用を要するというような観点から設けられた趣旨にかんがみ、またその後税率が二度ほど引き上げになった際にも環境保全に十分配慮するというような趣旨が強くうたわれておる、こういう点に着目しまして、自動車分につきましては自動車重量税をもって引き当てると、こういう措置を四十九年制度創設以来五十七年度までとってきたわけでございます。今回その期限が参ったにつきまして御審議いただいておりますこの件につきましては、二年間の延長措置をお願いしておるところでございます。  なお、今回種々の方式につきまして中央公害対策審議会に、部会に意見を検討していただきまして、その検討結果を踏まえてそういうような判断をしておるわけでございます。で、その件につきましては、第一次的に自動車から徴収するという形になるわけでございますので、汚染者負担の原則に沿っているものであるというふうに判断しております。
  109. 小平芳平

    ○小平芳平君 自動車についてはまた後ほど御質問いたしますけれども、総量規制ですね、総量規制は、東京都、神奈川県、大阪府の総量規制の目標は立てられたんですが、その総量規制は計画どおりいっておりますか。
  110. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) お話のございましたように、神奈川県では昨年の四月一日から、大阪府では同年の十一月一日から、東京都では同年の十一月三十日からそれぞれ総量規制が実施されておるところでございます。新規のものにつきましては直ちに、それから現に存在しておる発生源につきましては六十年の三月三十一日までにきちんとこの排出の規制を守るようにすると、こういう計画でございまして、六十年の三月末までに環境基準を達成するように排出削減計画を定めておるところでございます。その結果、これを的確に実施することによりまして目的が達成するものであると考えております。
  111. 小平芳平

    ○小平芳平君 初めは愛知、兵庫、福岡も導入する計画だったが未導入になっている。これはどういうふうに措置なさるつもりか、それが第一点です。  それから第二点は、自動車の排出規制は、乗用車の五十三年規制、トラック、バスの五十四年規制、規制後の車が大分出回っているんじゃないかと思われますが、それにもかかわらずさっき御答弁があったような環境基準が達成できてない、環境基準に向かって汚染が減りつつあるという傾向が出てないとすれば、これはどういうわけでしょうか。
  112. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) 御指摘のありました三地域でございますけれども、愛知県名古屋市等地域につきましては総量規制の導入を留保したわけでございますけれども、現在愛知県におきましては、その後の補完的調査検討を行いまして、昨年十一月に出されました県の公害対策審議会の答申を受けて、今後の窒素酸化物対策について検討が行われておるところでございまして、当庁といたしましても引き続き調整を行っておるところでございます。  兵庫県でございますが、神戸市等地域につきましては、〇・〇六ppmを超えている測定局が現に存在をしておりまして、最近の推移等から見ますと、六十年までに環境基準を確保し得るかどうか予断を許さない状況にございます。同地域につきましては、昭和六十年までに行うべき有効適切な窒素酸化物対策に関しまして、県が関係市町等との調整を含めまして、目下地元において検討が行われておるところでございます。  福岡県北九州市等地域でございますが、セメント業等における石炭転換の状況、昭和六十年以降の開発の見通し等を踏まえまして、昭和六十年までに行うべき有効適切な窒素酸化物対策について、関係地方公共団体と引き続き調整を行っておるところでございます。  第二点でございますが、自動車のNOx規制につきましては、世界的に見ましてどこの国と比べても遜色のない規制を行っておるところでございます。ところが一方、環境基準が大体横ばいでございますが、しさいに見ますと横ばいの中でも五十三年まではやや上がりぎみ、それから今日まではやや下がりぎみ、大体しかし横ばいと、こういう状況でございますが、お話にもございました規制車の走り方でございますけれども、五十七年三月末現在におきまして、乗用車の厳しい五十三年度規制車でございますが、これが四七・三%であります。トラック、バスにおける低公害車、第一段階規制、五十四年規制車は二九・八%でございます。五十六年規制車は一・一%、五十七年規制車が〇・七%となっております。  最近の五年間を見ますと、自動車の保有台数は約二四%増加をしております。また、自動車の燃料使用量及び走行キロ数はともに約一五%増加をしておるわけでございます。そういう中におきまして、先ほど申し上げましたような窒素酸化物の濃度の状況にあるわけでございますので、今日すでに一定の効果があらわれておると考えておるところでございますが、今後さらに規制車の割合がふえていくことによりまして、一層効果があらわれてくるのであろうと期待しているものであります。
  113. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで、六十年目標に対しまして達成できると思われますか、環境基準を達成するというその目標に。実現性はどうでしょう。
  114. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) 窒素酸化物につきましては、これまで環境基準の達成に向けまして、固定発生源に対する全国一律の排出規制、四次にわたって実施をいたしておりますが、さらに総量規制、自動車に対する排出ガス規制等の処置を講じてきておるところでございます。  中でも、先ほどもお話にございましたけれども、昭和六十年までに環境基準を達成するために所要の削減対策を実施することが必要である、特に緊要であると認められた地域には総量規制を導入したところでございます。これらの三地域におきましては、道路、沿道も含めまして、環境基準が適用されるすべての地域または場所で、昭和六十年三月までに二酸化窒素の一時間値の一日平均値が〇・〇六を超えないように、それを目途といたしまして総量削減計画を策定しておるところでございます。  さらに、固定発生源に対する排出規制のほかに、省エネルギー対策、公共交通機関の整備及び利用の促進等各種の施策もあわせまして、総合的かつ有効適切に対策を講ずるということが必要でありますから、関係行政機関との協力、調整のもとに、昭和六十年までに実施可能な各種の対策を取りまとめて実施をすることとしておるところでございます。  今後、総量規制の徹底を図るとともに、各種の施策を総合的に推進することによりまして、二酸化窒素に係る環境基準の確保を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  115. 小平芳平

    ○小平芳平君 見通しですからそう的確なことは出てこないのでしょうけれども、しかし局長が御説明のように、五十三年規制車が四七・三%、五十四年規制のトラック、バスが二九・八%、およそ三分の一に近くなっているわけですね。これで何ら改善の効果が出てないという判断ならば、よほど厳しい態度で臨まなければ実現できそうもないではないかというように思われませんか。
  116. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) 確かに、五十三年度規制車は半分近くまでいっておりますけれども、一方走行距離、先ほど申し上げましたような状況にありますから、一定の効果はあらわしておる。乗用車のほかに、バス、トラック等の第二段階規制もこれから逐次効果をあらわしてくると思うわけでございます。それから、一般のバックグラウンドでございますけれども、第四次規制の猶予期間が大体切れまして、ほぼ全国的に適用になりましたのが昨年の八月でございまして、こういうものも効果をあらわしてくるということを期待しておるわけでございます。
  117. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、この改正案がいわゆる日切れ法案であって、ぜひとも三月いっぱいに成立を期待したいと。手っ取り早く言えば、三月いっぱいに成立しなければ大変なことになるぞということを環境庁の方が来られて言われますけれども、もしこれが年度内に成立しなかった場合はどういうことになりますか。
  118. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) ただいま御指摘のような事態、私ども全くそのようなことを想定したくないわけでございますが、仮にそのような場合、この仕組み上どういうことが考えられるかという観点で御説明申し上げたいと思います。  万一本法律案が本年三月中に成立いたしませんと、第一種地域の補償給付等に要する費用のうち、自動車負担分につきましては財源措置が講じられないということがまず起こるわけでございますが、これともう一体の関係におきまして汚染負荷量賦課金、固定発生源に賦課する分でございますが、その徴収すべき総額が確定できないと、こういう法令上の仕組みになっておるわけでございます。したがって、ばい煙発生施設等に賦課すべき負荷量を計算して申告してもらうという仕組みの際に、五十八年度にかかる単位排出量当たりの賦課金額、いわゆる料率を定めることが不可能になるわけでございます。さらに、このために法律上四月一日から申告を開始する五十八年度分の賦課金につきましては徴収が不可能になるわけでございます。  それで、このように相なりますと、本制度に基づく補償給付等に要する費用を調達する手段が途絶してしまうために、四月一日から予定されております補償給付の引き上げも見送らざるを得ないというようなことも起こりますし、また各種の補償給付の支給等にも種々支障が出てくるというような意味におきまして、制度上著しい支障を招来することになるわけでございます。  ちなみに、この関係につきましてこれまでに御審議を仰いで三回改正をいただいたわけでございますが、いずれも日切れ法案ということを御高配いただきまして、それぞれ三月三十一日には可決成立というこれまでの経緯がございます。
  119. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうふうに大事な改正がどうしてこう二年ずつ区切っていくかということが不思議なんですね。先ほどもちょっとお話がありましたが、自動車製造業者から徴収する方法とか、石油に着目する方法とかということを検討すべきであるというようなことが言われたわけですね、四十九年の段階で。しかし、依然として五十一年、五十三年、五十五年と同じことを繰り返しているのは、やっぱりいまのが一番いいやり方ですか。
  120. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) ただいま先生の方から例示されましたような種々の費用負担方式につきまして引ぎ続ぎ検討を行い、また中央公害対策審議会の部会にも御相談申し上げまして、今回の重量税を引き続き延長するという措置が、現実的に最も法律上、また公正を期する上でも適当であるというような検討結果もちょうだいしておりまして、私どもとしても今回はこれが一番現時点で適当な方法であろうと、こう判断したわけでございます。  なお、二年刻みという点についてでございますが、一つには、自動車重量税を引き充てるわけでございますが、その自動車重量税が租税特別措置法におきまして二年あるいは三年、今回は二年という予定であると承知しておるわけでございますが、それが二年延長ということも一つの理由となっておりますが、もう一つは、いろいろな方法について、今後の汚染の態様の変化等も踏まえながら、引き続ぎそのあり方を検討するにはやはり二年ぐらいの期間は少なくとも必要であろう、このようなことも勘案いたしまして、二年延長ということでお願い申し上げているところでございます。
  121. 小平芳平

    ○小平芳平君 要するに、恒久的措置にはしたくない、どこまでも二年あるいは三年というような暫定措置でいくのが現時点の一番いい方法だということですか。
  122. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) いま御審議をお願いしております自動車重量税の延長措置が当面私どもとしては考え得る最善の措置と考えるわけでございますが、それ自体についてのかねてよりのいろいろな問題点についてなお今後引き続ぎ検討もいたしたい、こういうことで、まだ恒久化というところまでは私ども考えるに至っていないという状況でございます。
  123. 小平芳平

    ○小平芳平君 いや、だから恒久化したくない。恒久化してしまったら被害者補償制度がずっともう恒久的にいってしまうから、そういうことは環境庁としてはしたくない。むしろ、二年あるいは三年というぐあいに、今回は二年ですか、そういうふうに絶えず検討を続けているんだという不安定な制度の方がいいんだということですか。
  124. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) ただいま先生からお話しのございました制度そのものの安定性あるいは恒久性という観点で申し上げているわけでは決してございませんで、この費用負担の方式として最も公正であり、汚染原因者負担の原則に照らして一番いい方法、効率的で実行可能性のある方法というのはどろいうものが一番いいだろうかという、まだ検討の余地ありという観点で、まだ恒久化ということを申し上げておりませんけれども、もしそういう方法が見つかるものであれば恒久化の方向でお願いしたい、かように考えております。
  125. 小平芳平

    ○小平芳平君 前回の委員会ですか、詳しく論議されました臨調の最終答申ですね、「地域指定及び解除の要件の明確化」、「レセプト審査の強化」、「療養の給付の適正化」ということをうたっておりますね。こうなるとまさしく恒久化どころじゃないですね。
  126. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 臨調の答申において指摘されております点は、地域指定をめぐる諸問題、大気汚染の態様もいろいろ変化した中にありまして、この地域指定要件あるいは解除要件、こういった問題についてのいろいろな検討を要するというのが第一点の指摘でございまして、これの明確化を科学的な基盤に立ってしっかり検討する。  それから第二点の医療費の適正化の問題、これも運営の一層の適正化ということの指摘であろうと思いますが、制度そのものの恒久化云々ということの論議とは別のように私どもは理解しております。制度の運用面での適正実施という角度からの御指摘だろうというふうに理解しております。
  127. 小平芳平

    ○小平芳平君 まあそうだろうと思います。運用面の検討が必要だという指摘があって、制度そのものを存続するか廃止するかということには触れてないんですよね、もちろん。もちろん触れておりません。また、この被害者補償をそんなに簡単に打ち切られるようなもんでもないわけですね、実際問題は。打ち切れるような性格の制度ではないわけですね。そういう意味では恒久的な制度と言えますし、環境庁もそう思っていらっしゃると思います。思いますが、こういうことが臨調から出てきます。あるいは経団連パンフレットなどが出てきます。そうするとその都度後退していくんじゃないか、環境庁がですね。制度は恒久的に存続するとしましても運用面で後退していってしまう、そういうおそれはないかどうか。  この新聞報道でも、環境保健部会の昨年十二月の会合で、部会長から早急に科学的知見を整理するよう事務当局である環境庁に異例の指示があったというふうなことが出ておりまして、これを環境庁内部の足並みも乱れ始めているというふうにとってこの新聞は書いているわけですが、そういう点はどういうふうに考えておられますか。
  128. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) ただいまの新聞の件につきましては私ちょっといま確認をしておりません。承知しておりませんけれども、中央公害対策審議会審議会としてかねてよりこの制度をめぐるいろいろな問題点については、審議会の立場におきますいろいろな自由な御討議というものがございますし、また私どもは、制度をあずかる立場といたしまして、中央公害対策審議会がこの制度発足に当たりましていろいろ課題を提起しておることも含めまして、必要ないろいろな内部的な検討といるものは行っているわけでございます。    〔委員長退席、理事本岡昭次君着席〕 特に最近、中央公害対策審議会の方から事務局に対して云々というような形で新たに指示を受けるということではないかと思いますが、いろいろそういう論議の中で事務局の説明に対してそういうようなコメントがあったということではないかと思います。
  129. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、こうやっていても時間ばかりとりますので率直にお聞きしますが、臨調が答申しているように「地域指定及び解除の要件の明確化」ということはなさるんですか、なさらないんですか。もしやるとすればどういう手順でいつおやりになるんですか。
  130. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 客観的な大気汚染の状態か硫黄酸化物の急激な低下、窒素酸化物等の横ばい状態ということで変わってきておりますので、やはりそういった変化に必要な対応という意味におきまして、ただいま御指摘の指定をめぐる問題については明らかにしなければならぬことであるという気持ちで事に当たっているわけでございます。  ただ、この点につきましては、科学的な基盤というものを踏まえて、その論議の中でより一層適切な答えを見出していくというプロセスでございますので、いまそれにまさに取り組み、その基盤固めの調査研究を進めているという最中でございまして、いつまでにということはなかなかいまの時点でめどを申し上げるというところには至っておりません。  しかし、事柄が客観的にもうそういうふうに大気汚染の態様が変わってきているという実態はございますし、それをめぐりまして関係各方面からの大変御意見なり御心配なりをいただいているわけでございますので、いま申し上げましたような調査研究を基盤に置きました検討というものは、それが実行できるような段階になりましたら、できるだけやっぱり早く私どもとしては行政の責任において取り組んでいかなければならない、かように考えておるわけでございます。
  131. 小平芳平

    ○小平芳平君 もう一度伺いますけれども、じゃこの臨調答申の「地域指定及び解除の要件の明確化」という作業をいつから始めたんですか。
  132. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) この制度の創設時に、いろいろと制度に関する基本的な事項に関し、中央公害対策審議会の方から答申をいただいているわけでございますが、その中で地域指定の関連につきましては、硫黄酸化物につきまして具体的な数字を入れた指標が示されておりますが、その同じ答申の中で、窒素酸化物等も重要な指標である、今後調査研究を引き続き行い、そういったものの数量化に引き続き取り組むようにと、こういう答申をいただいておりまして、それ以来ずっと取り組んでおる事柄でございます。
  133. 小平芳平

    ○小平芳平君 結局、午前中御答弁がありましたように、窒素酸化物の研究をずっと続けているわけです。それこそその研究は長い間続けているわけです。だけれども、具体的に地域指定の解除とかそのための要件をどうするということはまだ検討には入ってない、そこまでは作業が進んでない、そういうようなことでしょうか。
  134. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) まだ具体的にそういう段階にまでは立ち至っておりません。
  135. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、最近の認定患者数ですね、地域指定の数、それから認定患者の人数について概略の御報告をいただきたい。
  136. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 第一種地域の認定者数等について御説明申し上げます。  第一種地域の現存被認定者数は、制度発足時点すなわち昭和四十九年の八月末で一万四千三百五十五人でございました。五十七年の三月末におきましては八万三千二百十一人となったわけでございます。  それで、この間五十一年から五十七年までの三月末現在の対前年同期ということで年間の増加の状況を申し上げますと、対前年のパーセントで申し上げますと、五十一年から五十七年にかけまして、それぞれ七七%、五六%、一九%、一四%、六%、三%、四%というような趨勢にございまして、全体として増加率は鈍化傾向にあるという状況でございます。  新規の被認定者数について申し上げます。新規に認定される人数は、最初が一万五千七百五十四人でございましたが、現在は九千六十七人となっておりまして、昭和五十一年以降減少の傾向にございます。
  137. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから地域指定の地域数、これは四十一カ所ですか。
  138. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 第一種地域については現時点で四十一地域でございます。
  139. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、自治体が独自に健康被害補償制度を実施している地域ですね、これはどういうところがありますか。  また、そうした自治体が独自でやっているにもかかわらず国が指定しないのはどういうわけですか。
  140. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 現在、四十の地方自治体におきまして何らかの独自の制度があると承知しております。制度の対象といたしましては大多数のものは補償法と同様の疾病を対象としておりますが、給付の中身につきましては自治体ごとにかなりさまざまでございまして、医療費の自己負担分を支給するものもございますし、見舞い金等を出すというような制度のものもございますし、障害補償費的な支給まで行っているようなところもございます。  なお、その制度はそれぞれの地方自治体の独自の立場から行っておるということでございまして、国の立場から申しますと、現在の地域指定要件に照らしましてこの指定要件に合致する地域はないものと判断しております。
  141. 小平芳平

    ○小平芳平君 かえって、先ほどのように地域指定を見直すとか解除の要件を検討しようとかいうことよりも、もっと作業が急がれることは、いまの地方自治体が独自で補償制度をとっているところ、そういうように汚染が深刻化している地域がある。にもかかわらず国は指定しようとしてない。まあ個々に挙げればまた個々にお答えがあると思いますけれども、時間の関係でちょっと個々の例を挙げませんけれども。ですから、そういう拡大する、もっと地域指定してほしいということが叫ばれている、そしてまた自治体がもうすでに実施しているという現状。  その現状とともに、もう一つ日弁連とかそれから川崎市医師会の調査、こういうものによりますと、川崎市医師会の調査によれば気管支ぜんそくなどと診断された者で未認定の患者が大変に多いというような事実。それから日弁連の調査によりますと、協力的な医療機関とそうでない医療機関があって、ここにも問題があるというふうに言われております。それから人口ですね、指定地域の人口に対する認定患者数の割合というものを比較してみても問題があるというふうに報告されておりますが、こういうような点は環境庁はどう検討しておられますか。
  142. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 公害健康被害補償法という立場で私どもは事に当たるわけでございまして、その場合に環境汚染、大気汚染なり水質汚濁なりとその病気との相当説得性のある因果関係というものを踏まえまして、そしてこの制度としてどう取り組むかと、こういう手順になってまいります関係上、地方自治体が独自の判断で行っておられることについて、こちらの制度から照らしてみて、そのある一定の尺度に合致しなければこの制度にはなじまないものと申し上げざるを得ないように考えております。ただ、汚染の態様の変化等をどう評価するかという基本論のところでの検討という意味で、今後のことについてはまた今後の場合があり得るかと思いますけれども、現段階におきましては、現在の指定要件でこの制度というものは運用されておるということで御理解を賜りたいと思います。  それから医療機関の協力関係、これにつきましては、健康被害を対象としている制度でございますので、基本的に医療機関の協力というのは非常に重要な部分だと考えております。それで、かつこの制度の中で大きな部分を占めております療養の給付、あるいは公害保健福祉事業等非常に医師の協力にまつ部分が多うございます。この制度を適正、円滑に実施していくために、医療機関の協力というものは私どもも重視して取り組んでおるつもりでございます。  それから、地域によりまして人口との対比でいろいろばらつきがあるという御指摘でございます。確かに、私どももその点は分析して承知しておるところでございますが、これは地域ごとに指定の時期がかなり異なっていることもございますし、またそれぞれの地域の汚染の過去の履歴も違いましょうし、また医療機関の分布等々いろんな社会的な要因もございましょう。そのようなばらつきはある程度あるというようなことは予想されるんではないかというふうに考えております。
  143. 小平芳平

    ○小平芳平君 何かいま部長さんは、地方自治体のやってることは公害補償制度とは関係のないことを勝手にやってるみたいな言い方をされたようにとれましたが、そうじゃないでしょう。やはりいま私が挙げている点、あるいはそちらから御答弁のあった点は、環境汚染が進んでいると、そこでほってはおけないから自治体がこの補償制度にならって救済措置をとっているということでしょう。    〔理事本岡昭次君退席、委員長着席〕
  144. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 御指摘の点、理解できるわけでございますが、その汚染をどのように評価するかということが一つございますし、またこの制度で第一種地域問題にしております病気が全国どこにでもあり得る非特異的疾患というようなことでもございますので、この制度の立場からは、やはり因果関係という観点からするある一定の要件を整えた上でございませんと、この制度にはなじまないということを御理解賜りたいと思います。
  145. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、環境庁の決めたある一定の要件に合ってないという、そういう理由で環境庁が取り上げないだけであって、現に汚染されている地域を自治体が取り上げてやっているとい うことは間違いないでしょう。
  146. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 個別の地域ごとに考え方には若干の差はあろうかと思います。すなわち、公害の疾病として割り切っている場合もあるかもしれませんし、あるいはそのぜんそくというようなものに着目してのやや福祉行政的な観点に立った制度もあるやに理解しておるわけでございますが、それを包みまして、気管支ぜんそくにせよ慢性気管支炎にせよいろいろな原因で起こるわけでございますし、やはり大気汚染と結びつけて公の制度として取り組むというには、一定のやはり科学的基盤に立った判断というものが前提になろうかと思うわけでございます。
  147. 小平芳平

    ○小平芳平君 どうもその辺が意見が合いませんが、もう時間がないからいいです。そういうふうにまあ福祉的な要素もあるでしょう。あるでしょうけれども、自治体がせっかく公害被害者補償として制度を立てている、また実施している、それをそれはもう汚染とは関係なく勝手にやっているんだみたいな言い方をされますと、非常に心外ですね。  次は、浮遊粒子状物質対策検討調査ということを環境庁は計画的にやっておられるようですが、時間がありませんのでごく簡単に御説明を願います。
  148. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) 先ほども御説明申し上げましたように、浮遊粒子状物質の環境基準の達成状況が依然として低い状況にございます。そこで、御指摘にもございましたけれども、昭和五十六年の十二月に浮遊粒子状物質に関する専門家から成る検討会を設置いたしまして、四カ年計画の予定で、発生源における防除対策、環境への寄与率、大気中における粒子状物質の化学反応による二次生成、対策による環境濃度の改善効果等の検討を進めてきておるところでございます。浮遊粒子状物質は発生源が非常に多様でございますので、地域の実態等もよく調べまして、この研究結果を踏まえまして、適切なる対策を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  149. 小平芳平

    ○小平芳平君 これも環境基準とそれから発病との関係は、先ほどの窒素酸化物のときと同じようでありますでしょうから念を押しませんけれども、要するに環境庁としては生活環境を保っていくと、より望ましい生活環境を実現していくというための環境基準を設定されたのであって、それでやはりこれに向かって努力していくというのは、そのための環境庁でしょう。
  150. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) お話にございましたように、人の健康を保護し、生活環境を保全するために環境基準を定めまして、その維持達成に向けて最大の努力をしてまいる所存でございます。
  151. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、ディーゼル車の排出ガスに含まれるニトロ化合物やベンツピレンは発がん性が強いと言われる。特に、このニトロ化合物について大きく新聞報道もされましたが、その辺の調査、研究はどうなっておりますか。
  152. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) ディーゼル排出ガスの中には、ただいま御指摘のございましたニトロピレンのほかにもベンツピレンその他の多環芳香族、炭化水素を数多く含んでおります。これの発がん性等人体影響に着目をいたしまして、動物実験、環境の実態の正確なる把握等に努めておるところでございます。
  153. 小平芳平

    ○小平芳平君 その規制はどんな見通しになりますか。
  154. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) ディーゼル排出ガスの中のいまのお話に最も関係の深いのが黒鉛であろうかと思いますが、これは今日五〇%の規制をやっておるわけでございます。しかしながら、いろんな問題がございますので、さらに規制の強化の可能性も含めまして技術評価を進めておるところでございます。
  155. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、無公害車として電気自動車の開発、普及の状況、また税制面で電気自動車の優遇をすることになったと報道されておりますが、これらについて御答弁を願いたい。
  156. 吉崎正義

    政府委員(吉崎正義君) わが国で現在使用されております電気自動車は、観覧車でありますとかゴルフカート、そういうものを除きまして約五千五百台であろうと推定をされるところでございます。それらは主として電力会社等の巡回サービス新聞や牛乳の配達等に供されておるところでございますけれども、電気自動車は現段階では一充電当たり走行距離等の面で今後一層の技術開発が求められておるところであろうと思います。  一方、電気自動車は環境面から見ますと排出ガスというものが全くございませんし、低騒音でもあるということから、今後技術開発を大いに推進いたしまして、広く普及することが望ましいと考えておるところでございます。そういう意味で、電気自動車の利用促進を図りますために物品税、自動車取得税自動車税及び軽自動車税につきまして税の軽減措置がとられてきたところでございますが、五十七年度でその期限が切れることに伴いまして、五十九年度まで二年間延長されることになっておる次第でございます。
  157. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、アスベストについて労働安全衛生法による規制が行われておりますが、環境庁でもこの検討調査を進めておられますか。あるいは外国における規制状況はどんなふうになっておりますか。
  158. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) 御指摘のように、アスベストにつきましてはアスベスト灰などの健康障害があることが明らかでありますために、労働安全衛生法による作業関係での規制は実施されておるところでございます。  外国のお話がございましたが、たとえばアメリカでは目に見えるような状況で排出してはいかぬとか、私のいま承知しておりますところではかなり大ざっぱな規制がなされておるようでございます。私どもといたしましては、そういう状況でございますために、昭和五十六年から三カ年計画をもちまして都心部、住宅地域、道路沿道等における環境の濃度、排出状況及び防止技術の実態等の調査を行っておるところでございます。これはたとえば窒素酸化物をはかりますようになかなか機械ではかるわけにまいりませんで、顕微鏡で一々のぞいて数を数えるんでございます。それでなかなかむずかしいんでございますが、調査員の訓練等もいたしましてそういう調査を実施いたしております。これをもとにいたしまして、環境体系のアスベスト排出抑制に対する適切な対策を検討してまいりたいと考えております。
  159. 小平芳平

    ○小平芳平君 最後になりましたが、外務省とそれから環境庁長官に質問して終わりたいと思いますが、二点あります。  一つは、ペルシャ湾のイランのノールーズ油田、これが爆撃によって原油が流出しまして、史上最大級の流出事故が起きているという、現に汚染が進んでいるというような報道。それから、その原油の流出をとめようとして作業しても、また爆撃されて破壊されるというようなこともあるだろうと思いますし、これらについて外務省ではどんなふうに情勢を受けとめておられますか。  それからもう一点は、わが国がというよりも先進工業国のことですが、わが国もそれに入るんですけれども、公害を輸出するという非難、これはたとえば使用禁止になっている農薬が発展途上国に輸出されるというような例が大変多いというところから、環境保護グループが国際監視団をつくるということ。それから、日本の企業もこのような非難を受けることがないように、これはむしろ環境庁の仕事にならないかもしれませんが、こういう点についてのお考えを承りたい。
  160. 渡辺伸

    ○説明員(渡辺伸君) 最初の御質問についてお答え申し上げます。  原油の流出は二月の末ないし三月の初めから始まったようでございます。それで、私ども外務省といたしましても、そのころから最近に至るまで毎日大量の公電等で現地の公館から報告を受けております。  御指摘のイランのノールーズ油田からの原油の流出でございますけれども、確定的なところは確認されていないんでございますけれども、少なくて毎日一千バレル、――一バレル百五十九リットルでございますけれども、少なくて一千バレル、 それから多い見積もりでは七千バレルぐらいの石油がいまだに流出し続けていると言われております。それで、かつこの流出した油は、海流に乗りまして、風の向き等の影響を受けて大体一日約十キロの速度で移動しているというふうに言われております。現在の流出範囲は四十平方キロメートルにも及んでいるということで、御指摘のとおり非常に大きな汚染事故に発展しつつございます。  この流出の原因でございますけれども、これはイラン当局の発表によりますと、イラク軍の爆撃によって油田が破壊されて、そのために油田から油が流出し始めたということでございますが、もう一つの可能性といたしまして、海底油田でございますけれども、その海底油田から陸上にパイプラインが引かれているわけでございますが、そのパイプラインが腐食した、あるいは船か何かで引っかけてそのパイプラインに損傷を与えたと、その影響もあり得るのではないかということも言われております。  それで、現在ペルシャ湾にありますサウジアラビア、クウェートあるいはアラブ首長国連邦といった国々は早期警戒警報システムをとりまして、何とかその汚染事故の防止に努めているところでございます。それで、これら諸国は雨量が非常に少ないところでございますので、海水を真水にして使う、海水淡水化と言われておりますけれども、海水淡水化によって水をつくっているわけでございますが、これに非常に大きな影響を与える、それから漁業資源への影響も非常に大きいということで、この影響を非常に深刻に受けとめております。  現在、国内的にいろんな措置がとられるほかに、国際的にもたとえばペルシャ湾海洋環境保全機構というものがございまして、その機構を中心に何とかこの防止策を国際的に手当てしようということで動きが進んでおりまして、具体的にはこれはまだ必ずしも確定はしていないんでございますけれども、来月二日にクウェートでこの機構の緊急会議を開催して、対策を協議するというふうなことも伝えられております。  それから、先生の御質問の第二点でございますけれども、つまり破壊された油井が修復されても戦争のためにもう一度破壊されてまた同じようなことが生ずるんじゃないかという点でございますが、まさしく御指摘のとおりの点はございます。ただ一つ、これもまだ未確認情報でございますけれども、イランと戦争をしておりますイラクがこの地域での作戦を停止するというような態度を表明したというようなことも伝えられておりまして、私どもも情勢の推移を見守っているところでございます。  基本的には、イランとイラクが戦争をしている、そしてその戦争が海上地域にも及んでいる、したがってイランとイラクの戦争が停戦に至ることが大前提でございますけれども、両国とも非常に複雑な利害関係がございまして、なかなか一気に停戦までにはこぎつけ得ないという状況でございます。したがいまして、全面的な停戦は無理といたしましても、せめてこの汚染事故をこれ以上拡大しないために、限定的な停戦でも成立してくれれば非常に国際的にもいいことであろうと、われわれはそういう方向での問題の一時的な解決を願っているところでございます。
  161. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) いま外務省の方から詳細に説明なり報告がございましたとおり、わが国といたしましても、石油によりまして海上が汚染される、これはもう大変被害も大きく、また本当に貴重な資源が海へ流れていく、これは大変もったいない話でもございますから、    〔委員長退席、理事本岡昭次君着席〕 イラン、イラクの戦争をやめていただく、これはもう一番結構でございますが、少なくともこういう世界のいろんなところへも影響するような、あるいは海上汚染するような、こういうことだけは何としてでも円満に早く話をつけていただいて、解決をしていただきたい、こういう気持ちでいっぱいでございます。  なお、後段のことにつきましては、事務的な面もございますので、官房長の方から答弁さしていただぎます。
  162. 加藤陸美

    ○政府委員(加藤陸美君) 先生の第二番目の御質問についてお答え申し上げます。  いわゆる有害な化学薬品の件でございますが、御承知のとおりわが国におきましても、いわゆる有害なディルドリンとかDDT等につきましては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律というのがございまして、所定の規制を行っておるわけでございます。先生おっしゃいました問題は、海外におけるこれらの化学薬品によるいわば公害問題という御指摘でございます。  これは一般論的な言い方を申し上げることになるわけでございますが、海外における公害問題は基本的に当該国の主権のもとに処理されるものでございます。これはまあ当然のことではございますが、その国の主権のもとにその国の制度で対処されているわけでございます。したがいまして、物資の輸出、まあ国際貿易上いろいろな関連があるわけでございますけれども、その物資の輸出に伴う公害問題というようなケースにつきましては、輸出先国、相手の国の公害対策に合致するような配慮が当然必要でございまして、これはお互いに必要なわけでございますが、それは輸出者において、輸出する人が十分措置することを基本としなければなりませんけれども、それぞれの物資所管官庁においても十分な指導をしていただくようにお願いしたいと思っております。
  163. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、本題に入る前にちょっと確かめておきたいことがございます。  それは硫黄酸化物の測定方法の問題で、大気中のアンモニア濃度の影響によってSO2の測定値が実際よりもかなり低く出るという疑いが持たれまして、この問題は衆議院でもわが党の藤田議員から当時の鯨岡長官にただされたところでございますが、鯨岡長官は調査をして公表することをお約束しておられます。その解析結果は五十七年度末、今月末に発表するというお約束になっておったようでございますが、ちょうどあしたがその最終日だと思いますが、これはあした解析結果をいただけますか。
  164. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) 二酸化硫黄の測定に関しまして、まあ負の影響を与えたり正の影響を与えたりする物質があるわけでございます。御指摘のございましたアンモニアでございますが、これは確かに負の影響を与えるということでございます。そこで、私どもといたしましては、測定局の周辺に、手洗いでありますとか、湿式コピーでありますとか、動物舎でありますとか、農地、肥料等、アンモニア発生源となるものがある場合には、蓚酸トラップを取りつけまして、その影響を除去するように指導をしておるところでございます。なお、蓚酸トラップの取りつけ状況及び二酸化硫黄の測定精度を確認するため、測定局周辺におきまして二酸化硫黄に対する干渉成分の測定調査を実施をいたしておるところでございます。  あしたまでというお話でございましたけれども、ただいま専門家の意見を聞きまして評価、解析を行っているところでございますので、いましばらく時間をいただきたい次第でございます。
  165. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いましばらくというのはどのくらいですか。
  166. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) 二カ月ないし三カ月でございます。
  167. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 長官がお約束をされておるんだから、ちょっと怠慢ですよ。きょう言うてあしたという話じゃなくて、期限が来ているから、あした最終日だからいかがですかと言って聞いているんだから、これはぜひできるだけ早く解析をして公表していただきたいと思いますが、よろしいですね。
  168. 吉崎正義

    ○政府委員(吉崎正義君) 調査の進展状況その他、当初よりおくれたことがありまして、したがって解析もおくれましておしかりを受けましたんですが、二、三カ月のうちに取りまとめまして公表をいたすことにしております。
  169. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ本題に入りますが、自動車に係る費用負担分について、政府は昭和四十 九年の法律施行のときに恒久的な費用負担のあり方が見つからないと、だからとりあえず暫定措置として自動車重量税の一部引き当てを二年間行い、その間に恒久制度を確立する約束で出発をしたわけですね。ところが、その後昭和五十一年、五十三年、五十五年、そして五十八年と、四度も暫定措置の延長の繰り返しになっております。その都度恒久制度確立を求める附帯決議というのが委員会でつけられておりますが、全くそれが無視をされてきているわけですね。  今回また、この暫定措置による交付金が、特に第二臨調の補助金の整理合理化の対象にされて、公害患者切り捨ての口実に利用されるというふうな重大な事態まで出てきているわけでございますが、臨調は交付金の整理合理化を理由に地域指定の解除、すなわち公害患者の切り捨て促進を政府に求めているのではないかということが、これは本委員会でもいろいろ問題になっているところでございます。  こういう公害被害者の救済に対して臨調の不当な干渉を許さないためにも、少なくとも今回暫定措置を四たび同じ姿で延長するというのではなくて、わが党がそのたんびに提案をしてきているんですけれども、自動車製造企業から正当な賦課金を徴収する制度にして、真に原因者負担の原則にのっとった恒久的な制度に確立をするべきではないかと思いますが、これは初めてのことではありませんから、少なくとも環境庁としては態度を明確にしていただきたいと思います。
  170. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 自動車に係る費用負担の方法につきましては、このたびの改正案を提出するに当たりまして、各種の方式につきまして中央公害対策審議会の検討をいただき、その検討結果を踏まえた上で、自動車重量税収から引き当てる措置をさらに二年間継続をすることが適当と判断いたしたものでございます。  御指摘の自動車メーカー等に賦課する方式につきましては、新車につきましては対象にできるわけでございますが、実態上汚染への寄与が相対的に高い使用過程車にそれに応じた負担を求めることができない、こういう問題点がございまして、自動車全体にかけるべき費用を新規の販売車にのみ負担させるというような結果に相なる。そうなりますと公正が得られないというような問題もありまして、この方式によって費用負担を求めるということは、今回の中公審の討議でも適当でないというふうな整理になったわけでございます。
  171. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、それは中途半端な交付金という形でやっているから臨調の対象になってくるんであって、明確な態度にしておいたらこんなもの臨調でごてごて言われるような筋合いのものでないことは明らかなんですよね。それは、そういうことで問題になってきているというのは、環境庁の姿勢の問題が臨調でまで問題になってきているということに関連をしますから、やっぱりはっきりしなきゃいけないと思うのです。  自動車重量税の一部引き当て措置という今回も引き続きやるこの措置は、一般会計からの公費導入によって企業負担分の肩がわりになるわけですね、一つは。それからもう一つは、ユーザーに責任を転嫁して、自動車の製造企業の責任を免罪するという結果になる。こういう点から汚染原因者負担の原則から外れるということで、私はやっぱりこういう暫定措置というのはいつまでも続けるべきではないので、明確にする必要があると思いますが、これはひとつはっきりしてもらっておきたいと思うのですが、いかがですか。
  172. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 繰り返しの説明で恐縮でございますが、今回の改正法案におきまして自動車重量税収引き当て方式をさらに延長することといたしましたのは、自動車重量税が自動車を走行させるという地位に着目をした税でございますし、その創設の目的が自動車の走行に伴いまして諸社会的費用を要する、こういう状態に着目してその諸社会的費用に充てることというのが重量税の創設の趣旨、目的であったわけでございます。このことからその税収を引き当てると。この制度の自動車分として引き当てるということは汚染原因者の負担の原則に適合すると考えられるわけでございます。  それから、この制度におきましてほかの形で自動車の保有者から直接徴収するとか、いろんな方式もあわせて検討の対象になったわけでございますけれども、徴収のためのコストが徴収する金額よりも上回るとか、それぞれにいろいろ実行可能性という面からの問題があるとか、あるいは公正さという意味におきまして偏った徴収になってしまう、あるいは第一次的な汚染者に負担がかけられない、間接的な徴収になるとか、いろいろと問題点がございまして、総合しまして当面結果的には自動車重量税収を引き当てることが一番現実的であり、かつ汚染者負担原則にも沿うものである、かような結論になっているところでございます。御理解を賜りたいと思います。
  173. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは理解ができない。原因者負担が明確な補償法の財源に公費を入れるということが問題だ。だから、公費じゃなくて原因者に負担をさせるような方策を考えるべきですよ。八年も九年も同じことばかり言うているというのは芸がないにもほどがあるんですよ。同じことばかり言うているのには言うだけの根拠があるんだろうと言わなきゃならぬようになってくる。これは財界から強い要求があるからこんなことになっているんでしょう。いかがですか。
  174. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) そのような発想は全くございません。
  175. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはありますとは言われへんけれどもね。しかしあれですよ、なぜ自動車に係る負担分が公費負担になったかという具体的な経過というのは、企業負担分の一部をこういう形で免除してもらったんだと財界の側がはっきり言うてるでしょう。  これは何遍も国会でも言われているから御承知だろうと思うんで詳しく言わないけれども、「経団連週報」、これは四十八年六月二十八日、「第三二〇回定例理事会議事要録」に書いてある。これは実に具体的に書かれているんですが、時間がとられるんで詳しくは述べませんが、こんなふうに言うているんですね。   公害健康被害補償法案について   さる五月十八日に閣議にかけられた公害健康被害補償法案の要綱は、産業界にとりきわめて不満なものとなっており、この閣議の席上、中曽根通産大臣からも公費負担の範囲を広げるべきだとの発言があった模様である。   そこで当会では、法案作成の段階でさらに再検討するようにさる六月一日、電事連の加藤会長、石連の密田会長、日化協の篠島会長、石化協の鳥居会長、日本鋼管の松尾副社長とそれに私が私というのは堀越副会長ですね。田中総理と三木環境庁長官にそれぞれ面会し、公費負担に問題を絞って申し入れを行なった。   その内容は、「PPPの範囲内で産業界が負担することに異論はないが、ぜん息については自然発生患者が相当数存在する、 云々ということを言うて、  公費負担の範囲を拡大してもらいたい。」というものであった。   席上、田中総理は、「公費負担については税制等の措置でやれるのではないか。関係各省の間で事務的に修正案を作り、非公式に自分の処へ持ってくるよう指示する。 これは全部を読みませんが、  と述べ、また三木長官は、「来年度石油課税を洗い直し、合理的なものにする」ことを示唆、「これとの関連で負担の問題も検討したい」と述べた。   その結果、さる六月十五日の閣議で決定された法案では、公費負担を拡大しうる余地を残した形に修正が行なわれ、自動車等の賦課方法の問題と合わせて別の法律に委ねることとし、これを次期通常国会にかけることとなった。 というふうな報告が、これは経団連でやられているわけです。  だから、こういうことになるわけですから、財界の要求を入れる形で自動車重量税の一部引き当 てという形の公費負担の方式にしたものだということは明らかなんですね。だから、いつまでもこんなことをするというのではなしに、これは自動車の製造企業から適正に賦課金を取る、少なくとも加害者からちゃんとした賦課金を取るという制度を確立するということがきわめて大事だと思うんですが、その点は恒久制度をそういう形で確立することを強く要求したいと思いますが、長官いかがですか。原則問題ですよ。
  176. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) いま沓脱さんがお述べになりました過去の経緯は私は十分承知はいたしておりませんが、この自動車重量税、これは先ほど保健部長も述べましたように、自動車が走行するにつきましてはいろいろな社会的費用、これに充てるということで設けられた税でございますから、先ほど沓脱さんがおっしゃいましたように、これが汚染者負担の原則に外れておるとは私は思いません。その辺の点についての考えの違いがあると思うんですけれども、私は汚染者負担の原則には決して反していないと思うわけでございます。  また、中公審の保健部会から検討結果をいただいておりますが、これもいろいろ問題はあろうけれども合理的で一応現実的な措置だと、こういう結果もいただいておるわけでございまして、今回いま申し上げた重量税、これが二年間の延長で出されておる、そういうことでございますので、今回も一応暫定措置ではございますが、この公害被害補償制度におきましてもそれとあわせて二年間の暫定措置と、こういうことでお願いをいたしておるわけでございます。
  177. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 答弁にならぬわけですね。四回やっているわけです、同じことを四回延長している。だから、ずるずると延長して事実上こういう形を固定化してしまう、暫定措置がそのまま固定化するというふうな形でしょう。公費負担形式というのはやっぱり恒久制度に、きちんとPPPの原則を確立するような制度確立を要求しておきたいと思います。おたくの方はこういう法案を出しているのだから変えますとおっしゃらぬでしょうけれどもね。やっぱりおかしいですよ。  時間の都合がありますから次に参りますが、次は賦課対象物質についてお聞きをしておきたいと思います。  現在、大気汚染に係る賦課金というのは固定発生源と移動発生源の汚染寄与率、寄与度に応じて八対二ということに定めているわけですね。この配分比率というのはSOxとNOxの発生源別の推定排出量の割合によって八対二と決められている。個別発生源の賦課金の算定に当たっては当分の間SOxのみとされている。なぜここにNOxを賦課の対象物質から除外しているか。これは当時は、窒素酸化物については各施設ごとに時間的操作条件等による変動が大きくて、年間排出量の把握は現時点においてはきわめて困難であるという理由でありました。しかし、今日NOxの測定網の整備も進んでおりますし、常時測定が実施されているという段階では、個別発生源ごとの排出量の把握が困難というふうな問題は解消されていますね。その点はどうなんですか、それにどうして入れないか。
  178. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) ただいまの先生の御設問の一番最後のところで御指摘のございました、個別発生源ごとの排出量の的確な把握ということが当時の問題点の一番大きい部分であったかと思うのでございますが、この点については、残念ながら現在もまだその困難性においては状況は同じでございます。すなわち、施設の操業状態なり、施設の条件なり、そういったものからいろいろな計数を求めようとするとものすごい数の計数を必要としますし、またそれで推計をして、一方常時測定装置のある施設でそれを調べてみますと、実測値と推計値がずれる比率の方が大きい、乖離が大きいというようなまだ技術的問題が多々ございます。そのようなことで、技術的な困難性というようなことが主体で、まだ当面SOx、NOx等の汚染物質をSOxで代表させて賦課をしているという実情にございます。
  179. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 四十九年のときに困難とされていた問題はすでに今日では技術的に解決されているんですね。だって、それが解決されていなかったら、総量規制だとか常時測定なんということはできない。できているからそれがちゃんと把握できるようになっているのに。やはり情勢は変わっているんですよ。科学は進歩するし、八年も九年も十年もたてば変わってきている。変わってきているということは認めるでしょう。あなた、それを認めなかったら、総量規制を網にかけるとか、そんなことはできはせんですね。いかがですか。
  180. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) この制度におきましてある程度定型化をして推計をしていくというような方式がまだ標準的に確立困難であるというようなことが実態でございます。それからまた、賦課の対象とすべき事業施設は非常に数多うございますが、そのすべてに常時測定体制というものはまだ整備されていない実態にございます。
  181. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、この固定発生源対移動発生源が八対二ということは、SOxとNOxの汚染寄与度の割合を示すとどういうことになるんですか、いまやっているやり方で言うと。
  182. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 先生御案内のように、SOxとNOxとがそれぞれ定量的にどの程度影響をしているかということが掌握困難ということで、総量においてその寄与度は等しいというような前提を置きまして、SOxとNOxとの固定発生源、移動発生源別の実態を調べておるわけでございます。それで、一番新しい数字で申し上げますと、移動発生源分が二二・六%というような計算結果になっております。これが五十三年の状況で申しますと二三・〇ということで、五十三年度以降五十六年度へかけまして逐次その数値が二二の方へ近づいてきているというような状況にございます。
  183. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 その賦課金ですけれども、この八対二というのは固定発生源と移動発生源の割合で、これは法律の綱ですよ。しかし、SOxとNOxというのは半々にしているんでしょう、いまのやり方は。    〔理事本岡昭次君退席、委員長着席〕
  184. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 総量において寄与度が等しいという扱いになっております。
  185. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうなると、固定発生源の中にも十分の三というものがある。十分の二は移動発生源ということで自動車重量税でカバーする。あとの十分の八のうちの十分の五はSOxで十分の三はNOxでしょう。それなら、実質的にNOxにも賦課しているんだから、これは法律的にもSOxだけに限るということではなくて、NOxというものも賦課対象物質に入れるべきではないかということを申し上げているわけです。いかがですか。
  186. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 御指摘のとおり、計算の基礎に入っているという意味ではNOxも現在の算定の中に含まれておるわけでございますが、具体的に個々の発生源に申告をさせ徴収するという段階では、その排出している汚染物質をSOxで代表させた扱いとして、SOxの単位排出量当たりのそれぞれの地域で定められた料率ということで掛け算をしていただいていると。そういう意味ではNOxは賦課の徴収の段階では入ってきてないということでございます。
  187. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、しかし現実的にはSOxだけではないわけですね。当時は、法律を最初つくったときは、SOxでしか測定できないんだということで、技術的な困難があるからということであったんだけれども、できるようになってきているわけだから、当然これはあれでしょう。政令だってそうなっていますよ、五対五なんですよ。部長はあんじょう知っているんかな。  だから、実質的には賦課しているんですよ、十分の三は。その計算はどうなっているか知らぬですよ。しかし、割合としては、環境庁の指導している内容には、十分の三は固定発生源の中のNOx分として勘定しているわけですよ。だから、現実に賦課してるんだから法律にきちんと載せなさいと、なぜ載せないんだということを言っている んです。
  188. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 制度創設のときに中公審でいろいろ論議をいただいて現在のような算定方式をとり、またこの法律もおつくりいただいたというときと特段の事情の変化が現在も生じておらないという判断で、法律をあえて変えるというような発想をとっておらないわけでございます。
  189. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、あえて変える必要ないって、中公審は最初にそういうふうにとりあえずやったわけでしょう。それは今回もそれを踏襲するという答申は出ているけれども、少なくとも九年前に測定が困難だというような時代とは科学の進歩の状況というのは変わっているし、中公審の方針だって十分の三を固定発生源のNOxとして考えて指導されているわけでしょう、環境庁は。だから、そんなことが暫定措置、暫定措置で次々行くんじゃなしに、ちゃんと賦課物質もSOxだけにせずにNOxも法律に賦課物質としてなぜ書かないのかといって聞いているんです。特段に変わったことないと言ったって、現実に情勢どんどん変わってきているのに何で書かないのか。
  190. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 御案内と思いますけれども、現在はSOxも法律段階ではなくて政令にゆだねて政令で定めているという仕組みでございます。
  191. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 政令でそういうふうにやってるんです。だから、当分SOxだけとするということにしてあるから、それをNOxも加えるというふうになぜできませんかということを聞いているんですよ。現実に賦課してるんだから、十分の三は。さっぱり言うていることがわからぬのか、そっちがようわからぬのか、時間がもったいないんですけれどもね。
  192. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 全国を一本にしての料率の計算基礎に入っているということと、それから個別の施設ごとに具体的にある一定の物質の排出量に着目して払っていただくこととは一応異なる事柄でございまして、後者の方につきましては、いま硫黄酸化物の単位排出量と、標準状態におきます単位排出量で料率を掛けたものを申告して徴収する、こういう形になっておるものでございますから、政令においてもまさに必要にして十分な硫黄酸化物を掲げてあるわけでございます。先生御指摘のように当然計算の基礎にはSOxもNOxも入っておるわけでございます。
  193. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 計算の基礎に入っているんだから、その物質もちゃんと賦課対象物質として明記をなぜしないかということを言うているんですが、もうひとつよくおわかりでないみたいなんでちょっとこれは保留しておきますわ。時間がないから次へ行きます。  これは各委員からも問題がたくさん出ています地域指定の要件物質にSOxだけではなしにNOxを加えるという問題ですが、これも大変問題だと思うんですね。これはもうすでに御承知のように、四十九年の中公審答申でも、大気汚染を構成するいろいろな物質があるうち、「当面は、硫黄酸化物、窒素酸化物、浮遊粒子状物質の三種類の汚染物質を指標として大気の汚染の程度を判定せざるを得ない」と。四十九年の段階では、「公害健康被害補償の見地から、窒素酸化物、浮遊粒子状物質による大気汚染の程度を数字で示すことは困難」とされ、「硫黄酸化物で代表された大気汚染の程度を示すこととする」というふうに四十九年の中公審では書かれているんですね。これに基づいてSO2の年平均値が過去に連続して三年間に〇・〇五ppm以上であった地域が著しい大気汚染地域という指標にされてきたんですね。  四十九年の中公審答申では、「なお、窒素酸化物、浮遊粒子状物質については、その健康影響に関する研究を推進し、できるだけ早急にこれらの物質についての大気汚染の程度を具体的に示す必要がある」と述べられておる。これは皆さんも御指摘のとおりです。ところが、四十九年暮れ以来いまだに解明をされていないということが大問題だというのが各委員からもすでに御指摘になっているところなんですね。  環境庁は、先ほど小平委員からもお触れになっておられましたが、環境基準を緩めるような調査はやったと称するわけですね、われわれは反対したけれども。しかし、人体被害を防止する、人体被害を起こさないというその基準をよう調査で出してこないということでほってあるでしょう。NO2の環境基準はこの間緩めたんだからね、われわれは反対いたしましたけれども、これも非常に問題があると思うんだけれども。  だから、環境基準を緩和するようなときには調査ができたんだと言って、データがあるんだと言って緩めるわけ。ところが、健康被害に心配があるということで、四十九年からその点については中公審でも指摘されているのに、いまだに先ほどからの御答弁を伺っていても調査中でございますというふうなことで、これは現実に被害者はやっぱり人体被害を受けていっているわけですからね。その点はそんなことで済みますか、どうなんですか。非常におかしいですよ。都合のいい方の緩めるときには、ちゃんと資料があるんだと言って強引に押したんじゃないですか。国民の健康を守るときはさっぱり八年たっても九年たってもいや調査中、調査中。中身はわからぬわけじゃないですよ、あなたが言っておられる中身わかった上で言うておるんだけれども、患者さんにしたらたまったものじゃない、国民にとっても。そういうことはやっぱり怠慢だと言われてもしようがないと思うんですけれども、長官、おかしいと思いませんか。
  194. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) 環境基準につきまして緩めたという問題、これは医学的ないろんな専門的な知識でやったと思いますが、この点につきましては、沓脱先生もお医者さん、うちの方もお医者さんおりますから、お医者さん同士でひとつ御議論いただくといたしまして、朝から本岡委員初め小平先生からもいろいろございましたが、いまの補償制度をいろんな点で見直すという点につきましては、再々申し上げておりますとおり、長い間かかっておるという御指摘はいただいておりますけれども、いろいろやっておるけれども、非常に定量的に結論を出す段階にまだ至ってない、こういうことでございますので、私どもはひとつ今後できるだけ早く、冷静に議論を進めて合理的な結論を得たいということで努力をいたしておるところでございます。  環境基準につきましては専門家から御説明させたいと思います。
  195. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは要らぬのです。私、長官に細かいことを聞こうと思っていないんですよ。国民から見たら非常におかしいと言うんです。環境基準を緩和するときには、いやああだこうだ言って、データがあってどうでこうでと言って強引に〇・〇二ppmが一挙に日平均〇・〇六ppmまでだあっと緩められた。ところが、人体被害について、早く調査して基準を設定して、被害の激甚な地域には指定地域として拡大せよと言うている方は、いつまでたっても調査中、調査中と言われたら、環境庁一体どっち向いているんやというふうな感じをこれは国民は持たざるを得ないですよね。だから言うているんです。それは政治論として言うているんですよ、中身じゃない。  そこで、時間がありませんから少し申し上げておきたいと思いますことは、NO2についての地域指定の問題が問題になりました四十八年、九年の段階でも、これは一般環境大気測定ステーションで代表される面のところもありますけれども、自動車道路の沿道を帯状に指定するという問題がすでにあのころから問題になっていたわけですね。その点では自動車の沿道でのNOxの濃度というのは非常に高いということが注目されているわけですね。  時間がありませんから私、簡単に言うてしまいますが、昭和五十年度から五十六年度までの過去七カ年の自動車排ガス測定局のNO2測定データのうち、一回以上NO2の年平均値〇・〇四ppmを超えた測定ステーションのデータを集計して資料としてつくってみた。それを見ますと、過去七年間で一回でもNO2年平均値〇・〇四ppmを超えた測定局というのは百一カ所です。これ はおたくの測定の測定値をずっと整理してみたんです。このうち一回でも年平均値〇・〇五ppmを超えた測定局は三十八カ所。過去七年間さかのぼって、そのうち連続三年間のNO2年平均値が〇・〇四ppm以上〇・〇五ppm未満の測定局三十八カ所、連続する三年間の年平均値が〇・〇五ppm以上の測定局は二十二カ所。  これは中身を見てみますと非常におもしろいんですが、時間がないんでゆっくり言えませんが、もう東京は軒並みですね。それから神奈川、それから大阪、名古屋、兵庫、広島市、そういうふうになっておりますが、こういう状況ですから、健康被害の救済の見地からNOxの人体影響を問題にする場合に、自動車沿道のような高濃度なゾーンの健康影響調査は特に重要だと思うんですが、これは早急に疫学的な調査をやるべきではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。  参考のために、これは私この間委員会で委員派遣に行っていただいてきた資料なんですけれども、見てみたら、四十三号線の大気汚染による健康影響の調査が岡山大学医学部の衛生学教室や奈良県立医科大学公衆衛生教室などの研究者の集団で行われているものがあるんです。  これは一九八〇年の六月十五日付です。二つの小学校の学童を対象にいたしましてやっているんですが、これを見ますと、せき、たん、ぜん鳴とぜんそく、かぜを引きやすい、のどなどの呼吸器症状、目の症状、鼻、のどなどの症状の有訴率というのは、いずれも道路端に面して住んでいる学童が一番高くて、道路から遠ざかるに従がってきれいに低下していく。これはNO2の濃度が道路から遠ざかるに従って低下していくということときわめて深い関連性が見られるんですね。だから、NO2の濃度と学童の訴えを持つ率との間には正の相関が認められるというふうな大変有効な資料をいただいてきたんですが、こんなふうになってるんですが、そういう点で早急に私は疫学的な調査をそういった高濃度汚染の道路の沿道でやるべきだと思いますが、どうですか。
  196. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 先生も専門的な立場から大変手法的にむずかしいということは御理解いただいているかと存ずるわけでございますが、環境庁におきましても、かねて調査も実施しておりますし、また現在手法を開発すべく行っております調査においてもそういったような観点を配慮しながらの調査を進めておるわけでございます。何分にもこの制度からする問題の取り組みということになりますと、どうしてもある一定の広がりを持った面という形でのいろいろな問題、それをめぐっていまいろいろな論議がこれからされるということでございますので、当面、焦眉の急はその辺にあるわけでございますが、個々の地域を検討するに当たりましては、その地域に関係してくるであろういろいろな道路あるいは自動車から排出されるガスの状況とか、そういうことは当然論議の中には入ってくると思います。
  197. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これはおたくの方でいまATS方式で調査してるんでしょう。そのデータできちんと手法を確立して進められたらどうですか。年平均〇・〇五ppmというたら日平均にしたら〇・一でしょう。かなり高濃度ですよ。そういう地域をほっておくという手はないと思うのですが、それはどうですか。
  198. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) いま御指摘のように、通常の地域よりも比較的高い、そういう濃度レベルのデータというものが得られるとすれば大変有用であろうということは理解できるわけでございます。ただ問題は、疾病の多発というような観点である大きな集団をとらえるというときに、そういう線的に非常に細く広がっている部分をどのように位置づけして集団としてとらえるかというのはいろいろ専門的な論議があり得ると思います。その手法をめぐっていろいろ論議があるわけでございますので、その点御理解を賜りたいと思います。
  199. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはSO2のあのひどかったときのように煙突の中で人間が住んでいるようなことにならぬとあたふたとやらぬということかもしれませんけれども、これはぜひやはり検討してもらいたいと思うのです。  時間がありませんので、もう一点聞きたいのは、障害補償給付の水準なんですね。これは指定地域の解除だとか認定地域もできるだけしぼるとかなんとかいうようなことを経団連の方針でいろいろ言うておられるようですけれども、私はけしからぬと思っているんです。加害者の集団が被害者に対してあたかも値切りをやったり、あるいはいやもうあんなのやめさせんといかぬとか、そんなことを言えた筋合いのものじゃないんです。被害者というのは好きこのんで病気になっているんじゃないんですよ、実際ね。それをああだこうだと言って、経団連の文書を嫌というほどいろいろ見せてもらいますけれども、本当に腹が立ってしようがないんです。本末転倒している。その点は環境庁としてはしっかりとしてもらいたいですね。加害者がつべこべ言う筋合いでないところは毅然として被害者の立場、国民の立場にお立ちになるという点を踏まえてもらいたいと思いますが、長官、それは間違いないでしょうな。
  200. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) この制度の趣旨が被害者の方々の迅速かつ公正な保護を図っていくという趣旨でございますから、私どもあくまでもこの制度の趣旨に沿ってやっていきたい、かように考えているわけでございまして、決して経団連がどうのこうの言われたからどうしていくとかいう気持ちは毛頭持っておりません。再々申し上げているように、見直しとかいろいろな点につきましても、あくまでも公平な立場で合理的な判断をやっていきたい、これが再々申し上げている環境庁としての基本的な態度でございます。
  201. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでやりとりしていたら時間がないのですが、それで加害者集団がつべこべ言うけれども、被害者の障害補償給付というのはずいぶんひどう値切られていると私は思う。というのは、これは詳しく言うていると時間がないので簡単に言いますが、障害補償給付の額の算定というのは、二年前の賃金構造基本統計調査結果の中の男女別、年齢階層別の決まって支給される現金給与額をベースにして、それに前年度の春闘の賃上げ分をスライドした金額、それの八〇%を標準給付基礎月額、こういうことになっているんですな。それで、この標準給付基礎月額で、特級、一級はそれの八〇%を一〇〇としたものの一〇〇%、それで二級の患者はそれの半分の〇・五、三級の人は〇・三というふうになっているんですね。これは間違いないですね。間違うていたら言うてください。  この考え方なんですが、障害補償給付制度というのは労働の逸失利益の補てんだということになると、これは間違いないでしょうね。逸失利益の補てんでしょうね。それはどうですか。
  202. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 逸失利益の補てんのみならず、慰謝料的要素等も総合的に勘案してこの水準を定めております。
  203. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 だから、逸失利益の補てんと慰謝料的な要素も加味してと、こういうことですな。  それで、労働の逸失利益の補てんということであったら何でボーナス含めないのか。年間所得の計算の基礎にボーナスを何で含まないのか。いまあれでしょう、労働者の収入、生活というのは月収とボーナスをまとめて生活のサイクルにしているわけですが、公害患者のように長期療養の場合には、当然逸失利益の根拠にボーナスを含む年間収入を計算するべきだと思うのですが、これはどうですか。
  204. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 制度創設時の中央公害対策審議会におきます論議の中で当然そのようなことも含めて論議はなされたものと考えております。その上で、中公審答申に示してございますような、公害裁判におきます判決に見られる例、あるいは社会保険諸制度の水準、あるいは自動車損害賠償責任保険の実情、これらもろもろを勘案いたしまして、保険諸制度の水準と公害裁判等の水準とのちょうど中間ということで水準が示されたわけでございます。
  205. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 現行のボーナスを含まないいまの金額で計算をしますと、ボーナスを含んでの補償給付との差額を見てみたら、これは男子の一番高いところというのが四十六歳から五十歳が一番高いんですが、そこら辺で見たら補償給付月額で六万円から七万円ぐらい一級、特級で差が出る。だから、二級、三級の患者でも二万円、三万円というふうな差が出て値切られる結果になるわけですが、これはボーナスを入れるべきではないかと私は思うのです。  ちょっと労働省の方おいでですか。――労働省にお聞きしたいのですけれども、無過失の賠償制に基づく労災保険法、この労災保険法によりますと、これは障害や遺族補償等には労働者の従前所得を補償するという考え方に基づいてボーナスを含む補償制度になっていると思いますが、そういう考え方と措置をちょっと教えてください。
  206. 新村浩一郎

    ○説明員(新村浩一郎君) 労災保険の本体給付でございます保険給付の算定の基礎には、いわゆる三カ月を超える期間ごとに支払われます賃金、いわゆるボーナスは含まれていないということになっているわけでございます。しかし、ボーナスの額が最近相当高額になってきましたこと、それから労災保険の年金等の保険給付ということになりますと相当長期間にわたりまして給付が行われることになりますので、こういった給付にいわゆるボーナスを反映させないというのは、こういった障害労働者の方々やあるいは遺族の方々に対しまして大変お気の毒であるという強い御指摘が労働省の労災保険審議会でございまして、昭和五十年の十二月にこういったボーナス分につきましても何らかの意味で制度に取り入れるべきであるという御建議をいただいたわけでございます。  その御建議に従いまして、五十二年の四月からは、年金の保険給付の受給者等につきましてはこれに上積みする形でいわゆるボーナス分も給付に反映させるということで、労働福祉事業の特別給付金という形で支給をいたしているわけでございます。
  207. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 労災の場合は、五十二年の四月から、やっぱり労働者の生活実態が変わってきたということで六年前から実施しているわけなんです。だから、環境庁もそういうことはやっぱり情勢の変化に基づいて改善をするべきだと思いますが、長官――後でまとめて聞きますわ、たくさんある、もう一つありますから。こんなのはボーナスを入れるべきだと思う。さらに、ボーナスを含めない上に、大体初めから労働者の平均賃金の八〇%というように頭から削って、その八〇%を一〇〇として特級、一級には支給する、二級には半分や、三級には〇・三やというようなことになっているんで、これは二重に値切られていると思うんですね。だから、その辺は少なくともボーナスを入れることと、一〇〇%を少なくとも基準にして特級、一級、二級、三級というふうなランクを決めるのが当然ではないかというふうに思うのです。  あの時分決めるときにはどうだったかというと、労災の休業給付は六〇%だったんですね、それで特別給付金が二〇%が加わって八〇%になったんです。労災が六〇%やということで労災よりも部長がおっしゃった慰謝料的要素も加味して八〇%ということになったんだけれど、しかし今日では、労災では現実に八〇%になり、企業によってはプラス付加給があってそれ以上になっているわけですから、情勢が変わっているんだから、こういった給付についてもそれは考え直してみるべきではないかというふうに思います。  私の持ち時間がもう残り少ないので、もう一つまとめて申し上げますが、もう一つは男女差がものすごくひどい。これはひどい年代では女子の給付額といったら男子の半分以下ですね。こんな、時間が余りもうないもんだから遠慮して言わないんですけれども、実際どのくらい少ないかといったら、四十五歳の人が満額で二十七万円、いや二十三万円ですか。それから女子が十二万円ですわ。そういう半分ないし半分以下になっているんですが、これはわが国の労働者の平均賃金というんですか、これが世界一格差がひどいといって新聞にも書かれているぐらいですからひどいんですが、これはそのままこういう補償給付に適用するのが妥当なんだろうか。少なくとも患者の苦しみや生活をしていくという、いわゆる生活をしていくというのは男女同程度の費用がかかると思うのですね。  厚生省にちょっとお聞きしたいのですけれども、生活保護の男女間格差というのがだんだん縮められてきている。これはどういう理由でどういうように縮小されているか、ちょっと簡潔に時間ございませんのでお願いします。
  208. 土井豊

    ○説明員(土井豊君) 生活保護の男女差の問題でございますが、男女の間には栄養所要量の違いがあるということで若干の格差を設けております。しかしながら、最近におきまして女性の社会的進出等に伴いまして、男女間の消費の相対的な格差というものは縮小の傾向にあるというような考え方に立ちまして、また中央社会福祉審議会の意見具申等もございまして、五十七年度から若干の縮小を図っております。すなわち、五十六年度までは男一〇〇に対しまして女八五という割合でございましたが、五十七年度は八九、五十八年度は九二というふうに縮小をする予定でおります。
  209. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 生活保護でもちゃんとそういうふうに格差を是正していっているわけです。  そこで、もう最後にお伺いをしたいのですが、いわゆるこの補償給付の標準給付基礎月額というものですね、少なくともボーナスを入れて計算するように改善をするべきである。もう一つは、いきなり頭から二〇%をカットして八〇%というふうに決めておるのを改善して一〇〇%にするべきである。それから、男女間格差が半分以下というふうなひどいことじゃなしに、生活保護でもどんどん生活のニーズと実態に応じて変化をしてきているわけですから、そういうふうに改善をされてきているという実態にかんがみて改善をするべきであると思いますが、その点まとめて最初に部長からお聞きをしておいて、長官、補償法の法の精神からいってそういった点の改善について基本的には考えてみなければならない段階へ来ているんではないかと思いますので、そういった点の御見解をあわせてお伺いしておきたいと思います。
  210. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 便宜上一番最後の点を先にお答え申しますが、男女差の問題についてでございます。平均賃金の実態が男女格差があるということが最大の原因になっているわけでございます。私ども、この制度におきましては、あくまでも定型化してこの逸失利益に見合う分をというような観点からいろいろよりどころを中公審としても御検討なさいまして、その結果労働省の賃構、これを採用したという経緯でございまして、その実態が男女差があると。ただ、制度を組み立ったときと現在とで相当事態は変わってきておりまして、格差は縮小する方向に向かっておると了解しております。  それから、最初の二点につきましては、先ほどお答え申し上げましたように制度創設時の中公審の御議論もございますし、また障害補償費等毎年中公審の御意見をちょうだいして定めるということで、毎年御論議をいただき創設当時と特段変更する事情にないというような判断をいただいておるわけでございまして、この点御理解をお願い申し上げたいと思います。
  211. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) いま御指摘の問題のみならず朝からずっと御議論いただいておる中で、基本的にこの制度はいろんな問題、見直さなければならない問題も含んでおるわけでございますから、当然われわれはこの問題のみならず今後ともいろんな資料を踏まえて検討を続けていかにゃならぬ。これはもう当然でございますが、しかしいまおっしゃったようなことは中公審でいろいろ御審議をいただいて毎年決めておる問題でございますから、御理解をいただきたいと存じます。
  212. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 本日の審議は、公害健康被害補償法の一部を改正する法律案につきまして審議すべきではございますが、私は翻って考えますと、この日本列島に生きとし生けるもの、その山河すべ てことごとくいわば国民の健康に関係があると思いますし、日本列島の活力が劣勢化していきますと、当然ながら日本国民の活力も劣勢化していくことになりますので、その考え方で少し本日の法律案とは一見関係がないようではございますが、一般的な問題について冒頭に演繹敷衍しつつ質問をさせていただきたいと思います。  いま日本の天然記念物の種類でございますね、それとその天然記念物の保護、それから育成等についてどういう手段が講じられているか、まずそれをお伺いいたしたいと思います。
  213. 小埜寺直巳

    ○説明員(小埜寺直巳君) お答え申し上げます。  天然記念物の種類の状況でございますけれども、先生も御承知のとおり、私どもは文化財保護行政の観点から学術上貴重な動物、植物等につきまして天然記念物として指定してございます。  したがいまして、まず動物でございますけれども、動物は百九十二ございます。それから植物は五百三十四、それから地質鉱物が二百七、それから天然保護区と申しまして動物、植物、地質鉱物と一体となって貴重なものを天然保護区という概念で指定してございますが、それが二十三、合わせまして九百五十六件を指定してございます。  どのような政策を行っているかという点につきましてでございますけれども、これも先生御承知のとおり天然記念物に指定いたしますとこれが文化財保護法の規定がかぶることになります。その文化財保護法の規定の中に八十条という規定がございまして、この天然記念物を、たとえば動物を捕獲するとかあるいは植物を採取するとか、そういういわゆる天然記念物の保存に影響を及ぼす行為につきましては文化庁長官の許可を得なければならないということになっております。したがいまして、この許可等に基づきまして一つ一つの物件につきまして保護を加えているという状況でございます。
  214. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 いまお伺いした中でたとえば動物、植物、こういったもので、環境庁所管であってもいいといいますか、文化庁と環境庁との間で密接に連携を保ちつついいチームワークでやっていった方がいいと思われるものも多々あると思うんですが、こういった天然記念物について環境庁はどのように対処をされているわけですか。
  215. 山崎圭

    ○政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。  ただいま文化庁から御答弁申し上げましたように、文化庁の方では学術上貴重なものというとらえ方で天然記念物という形で保護を行っているわけであります。それで、私どもとも関連いたしまして、私どもは、一つは鳥獣については絶滅のおそれのあるもの、これを何とか保護していかなければならない、こういうことでございまして、たとえば天然記念物、文化庁で指定されている種の指定と地域の指定と両方ありますが、種の指定が行われております鳥類二十八種のうち、私どもで絶滅のおそれのあるものとして十七種を特殊鳥類に指定している。そしてこれは流通規制を行っております。また、そのうちでも特に絶滅の非常に危険性が高いもの、トキとかライチョウとか、こういうものにつきましては積極的な飼育増殖、環境整備の事業、こういうものを行っております。  獣類につきましても同じような考え方でありまして、文化庁の方で十種類を天然記念物に指定しておりますが、そのうち重要性の高いもの、ニホンカワウソ、あるいはイリオモテヤマネコ、こういう代表例がございますが、こういうものにつきまして給餌事業というものを積極的に行っている。  こういう絡みがありますが、総じて私どもと文化庁との間でそれぞれの立場はありますが、この調整につきまして基本的な合意のもとに両庁でよく協議を行いつつ、それぞれの保護を図っている、こういうことでございます。
  216. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これは縄張り争いとかそんなことじゃなく、仲よくいつも協議を重ねてその保護育成に当たっていただきたいと思います。  私は、大阪の新聞記者で、朝日新聞に長年おられた方ですが、猪丸き久蔵さんとおっしゃる方が何冊も本をお書きでございますが、この方はニホンオオカミがいまだにたとえば奈良県の大台山系に生息すると、こういう説で、新聞記者である当時から一生懸命その実証に努めて、私も拝見したことがあるんですけれど、戦後になって捕獲されたと言われるニホンオオカミの毛皮を見せていただいたことがございます。ところが一方では、このニホンオオカミは明治三十一年でしたか、ちょっと年数は明らかにしませんが、英人の学者が奈良県の鷲河口で猟師から手に入れたニホンオオカミが最後のニホンオオカミであって、絶滅したというのが学者間の定説になっているようでございますが、環境庁はこのニホンオオカミについてはどのような見解をお持ちでございますか。
  217. 山崎圭

    ○政府委員(山崎圭君) ただいま御指摘のニホンオオカミでございますが、先生お述べになりましたように、明治三十八年だそうでありますが、奈良県の吉野の鷲河口で捕獲されましたものが最後とされております。これが学説上の定説になっておりまして、私どももその見解に沿っております。  なお、もちろんこのニホンオオカミの中には、いわゆるオオカミの中にニホンオオカミというものとそれから北海道におりますエゾオオカミと両方あるわけでございますが、エゾオオカミはさらにそれよりも数年前に絶滅したと言われております。  いずれにしましても、明治時代のことでありましてその後大正から昭和にかけましてもいろいろ各地でその種の報道はあったようであります。あったようでありますが、大体は犬が野性化したものではないかと言われたり、あるいはタヌキ、キツネの幼獣ではなかったかと、こういうことがむしろ通説でございまして、残念ながら私どもは現在はすでに生息しているとは言えない、こういう考え方に従っております。
  218. 中村鋭一

    中村鋭一君 ニホンオオカミ、私もいろいろな学者の方に実は会ってお伺いしたんですけれども、何をもって犬の野性化したものであり、何をもってオオカミであるかと特定する純然たる科学的根拠は案外乏しいようでございまして、あご骨とかいわゆる犬歯の状況、それから前足のけづめ、こういうもので一応の判断はしているようですけれど、やはり私は絶滅したというふうに考えるのは早計ではないかと、こういう立場に立ちますけれども、ニホンオオカミ以外にも貴重な鳥獣がどんどん少なくなるか絶滅に瀕している。その一方では、たとえばイリオモテヤマネコのように、あるいはまた沖縄で近来発見されました鳥がございましたね。ああいうふうに、何千年という間、いわばわれわれ人類の目に触れることなく生息をしてきた貴重な哺乳動物も現に新たに発見されているわけですね。  お尋ねいたしますが、ニホンオオカミのほかにかつて日本に住んでいた動物ですでに絶滅をしたと考えられているものはほかにございますか。
  219. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) わが国でかつては生息していたが絶滅したと思われるものは、獣類につきましてはいま御指摘のニホンオオカミエゾオオカミでございます。鳥類につきましては、オガサワラガビチョウというようなものを初めといたしまして、小笠原群島に生息したものが四種類、それから沖縄宮古島、あるいは南硫黄島対馬というような島に生息したものが三種類、たとえば対馬ではキタタキというのがございます。そういうもので合わせまして七種類が鳥類では絶滅したと言われております。いずれも明治末年あるいは明治の二十年代まで、一部は大正九年というようなものもありますが、そういう時期に絶滅したと言われております。
  220. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私が申し上げるのは、そういうふうにかつて日本に生息したものですでにいなくなった、あるいは数が激減しているもの、たとえばトキでありますとかニホンカワウソでありますとか、こういうものを統計的にその推移を眺めますと、それは日本列島全体が衰えつつあることの証明といいますか、あの可憐な動物たちがわれわれに警告を与えてくれているんじゃないか、こう思うんですね。その点において私は環境庁の使命 というのは大変重大であると思いますので、長官ひとつ予算等におきましてもせっかくこの点に御留意をいただきまして、こういった動植物が減るんじゃなくてむしろふえる方向にいくように御努力くださることをお願い申し上げておきたい、こう思う次第でございます。  そういう点で、たとえば志布志湾の石油備蓄基地でありますとか中海の干拓締め切りでありますとか、こういうことはだれが考えたって全き自然環境の保全、保護、育成には背馳する方向に進んでいると思いますので、この点においても留意を促しておきたい、こう思います。  現在、日本と諸外国との間に結ばれております動物に関する条約の主なものを挙げていただけますか。
  221. 山崎圭

    ○政府委員(山崎圭君) 一つは渡り鳥の保護の条約がございます。これはアメリカ、オーストラリア、中国との間にそれぞれ渡り鳥の保護条約あるいは協定という形で発効しておりまして、渡り鳥その自身、あるいはその生息地の保護につきまして、情報交換なり技術協力を毎年のように行っておりまして、協力を進めているということであります。そのほか、そういう二国間条約のほかに多国間の条約といたしまして、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約というのがございますが、通称ラムサール条約というものであります。これも日本は昭和五十五年に加入いたしまして、釧路湿原をこの重要湿地の一つに登録をしているところであります。  以上でございます。
  222. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ありがとうございました。  次に、公害健康被害補償法の一部を改正する法律案について二、三お伺いをさせていただきます。  長官、行政改革に関する第五次答申、最終答申、第四章補助金等。その中に、「第一種指定地域の地域指定及び解除の要件の明確化を図るとともに、レセプト審査の強化等により療養の給付の適正化を進める。」、こういう条文がございますが、朝来の委員会の審議で他の委員の方もこの点については質問をされたと思いますが、私は改めてこれにつきまして、長官のこの答申を尊重、実施するという意味での御答弁をいただければ大変ありがたいと思いますが、まずそれについてお尋ねいたします。
  223. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) 臨調の答申は、これはこの問題に限らず、政府としまして最大限尊重するということは閣議決定をいたしたわけでございますから、この点につきましても私どもは尊重しなきゃならぬと思っております。  しかし、いまの問題につきましては、各方面からのいろんな御意見があるわけでございまして、そういう各方面の御意見を踏まえて、私ども地域指定の問題だとかあるいは暴露条件、いろんな問題がございます。こういう問題を、これは臨調の答申ということじゃなくて、私どもは前々から長い間かかりまして、医学を含めまして、これは科学的な知見のもとに結論を出さなきゃならぬ、こういうことで冷静にやっておるわけでございます。議論もこれは感情的じゃなくて、どうしても私どもは冷静な議論を推し進めてまいらにゃならない、かように考えておるわけでございまして、いまその科学的な知見の集積に努力をいたしておる、こういう段階でございます。
  224. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 第一種地域、非特異的疾患ですね。その非特異的疾患とは慢性気管支炎、気管支ぜんそく、ぜんそく性気管支炎及び肺気腫並びにこれらの続発症とありますが、私医者ではございません。ございませんからとことん詳しいことはわかりませんけれど、どうでしょう、ぜんそくとか気管支炎というのは非常に良好な環境、たとえば高原とか、空気はいいし景色もいいし、そういうところでも気管支炎とかぜんそくは起こり得るものでございますか。
  225. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 御指摘のとおり非特異的疾患ということでございまして、どういう場所ででも原理的には発生するわけでございます。
  226. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 少しおさらいをさせていただきます。じゃこの第一種地域におきまして公害病であるということを認定する場合は、非特異的疾患でございますからどんな状況でも場合によればぜんそくにもなるし気管支炎にもなるわけでございますが、これがたとえば工場の煙突から排出されるばい煙あるいは自動車の排気ガス等によって引き起こされるものであるということを特定するいわゆる認定の基準、これをもう一遍お教え願います。
  227. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) この制度は民事責任を踏まえた損害を補てんする制度でございまして、御指摘の因果関係という点は重要な点であると認識しております。ところで、この対象といたします第一種地域の疾病につきましては、いま御指摘のような非特異的という特徴のある疾病でございます。  そこで、この制度創設当時の中央公害対策審議会の基本的な事項を御答申いただきましたときに、その点の因果関係についてはずいぶん多角的に詳しく論議をされまして、非常に簡潔に申しますと、四日市の公害裁判の判決の際に用いられた因果関係の考え方、これが基本的に採用されているというふうに考えております。  そのような考え方を基礎に置きまして、まず著しい汚染があり、いま問題となる疾病が他の通常の地域に比べて著しい患者の多発が見られるというような一定の合理的な条件を定めて、それに合致するところをまず地域を指定いたします。そして、その指定した地域で指定された病気にかかっているかどうかということを確認される。もう一つ条件がございまして、その指定された地域の中で、暴路要件と言っておりますが、一定の期間以上居住する、またはそれに準ずるような通勤等の状態にあるというような要件、すなわち、繰り返しになりますが、指定地域に一定の期間住んでおりまして、一定の疾病にかかっていることが認められれば、その者は、その地域の大気汚染とその者の病気とがその影響によるとみなすと、こういう制度上の取り決めをしておるわけでございます。  以上のような意味におきます因果関係のつながりでございます。
  228. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 じゃ確認をしておきますが、一定の地域に住んでいて、一定の暴露があって、そしてそういう疾病が起こった場合は、厳密に科学的に、ばい煙でありますとか排気ガスによってかよらずか、それは問わずですね、公害病患者であると認定するという、そういうみなしに基づいているわけでございますね。
  229. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) みなすという表現が最も適当な表現かどうかは問題点があるかと思いますけれども、中央公害対策審議会の答申におきましては、ちょっと読ませていただきます、恐縮ですが短い文章ですから。  非特異的疾患といわれる大気汚染系疾病(閉塞性呼吸器疾患)にあつては、多くの場合個々に厳密な因果関係の証明を行なうことはまず不可能である。したがつて、このような特性を有する大手汚染系疾病を本制度の対象とするためには、 途中を省略しまして、  指定地域、曝露要件、指定疾病という三つの要件をもつて個々の患者につき大気の汚染との間に因果関係ありとみなすという制度上の取決めをせざるを得ない。 こういう記載になっております。
  230. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 よくわかりました。  昭和五十七年九月末現在、東京都におきましては公害健康被害補償法の被認定者数は人口比〇・五〇ですね。大阪市全域は〇・七二です。尼崎市東部南部地域一・五一、倉敷市水島地域一・八七です。東京や大阪に比べると地域の面積、人口等で問題にならずいわば狭小であり人口も少ない地域、すなわち倉敷市、尼崎市等において東京の〇・五〇、大阪の〇・七二に比べて著しく被認定者数が多いというこの因果関係はどこにあるんでございますか。
  231. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) いま個別に例示なさい ました地域についてのコメントはなかなかむずかしい、具体的にいろいろと検討しませんとコメントしようがないわけでございますが、一般論として申し上げますと、それぞれの地域におきますところの過去の汚染の歴史といいますか汚染の履歴、それからその地域におきますところの年齢、人口構成の差とか、あるいは医療機関の分布状況でございますとか、またそれにも増して重要なことはその地域の指定がいつ行われたかというようなことなど、いろいろな要因が、単に科学的な要因だけではなく、いろんな社会的な要因も全部入ってまいっております。  ただいま御指摘のございました人口比は、ある一つの時点の断面での数字だと思いますけれども、これは慢性の病気なものでございますから、古くから指定しておる地域におきましてはだんだん累積されて数は多くなってくるというようなこともございます。  以上のようなことで、当然ばらつきというのはある程度あってしかるべきというふうに考えております。
  232. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 いまある程度とおっしゃいましたけれども、私はこういうことはもっと科学的にはっきりと証明さるべきであって、いまのあなたの答弁の中で医療機関の数とかとおっしゃいましたが、じゃこういった一種認定区域内において、医療機関の数がたくさんあれば認定患者がふえるんですか、少なければ少ないんですか。医療機関の数とおっしゃいましたその点についてわかるように説明をお願いできますか。
  233. 大池眞澄

    ○政府委員(大池眞澄君) 一般論の要因として考え得るものとして申し上げたわけでございまして、医療機関について具体的にそういう数量的なものは持ち合わせておりません。
  234. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 では、そういうあいまいなことはおっしゃらない方がいいと、こう思うんです。  対前年同月比の現存被認定者数、これ見ますと、四日市市は五十七年の十月末現在マイナス一・一、東大阪市一二・一、八尾市一二・四、ふえていますね。それから、比較的早期に地域指定を受けたたとえば大牟田市ではやはり八・八、十月末現在で推移しておりますね。こういう数字を見ておりますと、どういう基準で――いま御説明いただきましたけれども、たまたまたとえば医療機関の数というようなことをおっしゃる。ちょっとわかりかねる面があるんですけれども、だから私は臨調の答申が「第一種指定地域の地域指定及び解除の要件の明確化を図る」と、こういう答申が出てきたと思うんです。  逆に言えば、これまで環境庁が明確に解除の要件を指定し、地域指定を行っており、レセプト審査をきちんと強化していれば、こういう答申は出なかったわけであります。こういう答申が出るということは、こういうことをこれまで怠っていたからこういう答申が出たんだと言えないこともないと思いますが、最後に長官、これについて御見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  235. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) 後のレセプトが不適正に行われたとは私どもは思っておりません。そういう答申を出されたのはあくまでも臨調が御判断なさったことだと思います。しかし私どもも、さてそれじゃ今後とも努力しなくてもいいのかという問題でもございませんから、今後ともあくまでも適正化に向かってさらに努力を重ねていく、これはもう当然の義務だと考えておるわけでございます。  前段の問題につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、これはやはりなかなかむずかしい問題でございますから、各方面からいろいろな意見が出ておるわけでございますので、私どもは医学も含めましてあらゆる科学的な領域に関する知見を集めまして、あくまでも冷静な判断のもとに合理的な結論を得たいと、目下そのために一生懸命努力を重ねておる、こういう現状でございます。
  236. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 最後に念のために申し上げておきますが、私がこの質問をいたしましたのは、たとえば先ほど来から沓脱委員が指摘をしておられましたそういう諸点について私も全く同感であります。求めてなった病気でもないのに、それに対して国や自治体がしかるべき手当を怠る、これはけしからぬ話であります。当然、たとえば沓脱委員も指摘になったように男女間のこういったことについての格差、これは是正をしなければいけませんし、そのことによって被害を受けている人があるならば、その人に対して一二〇%の完璧な手当てを行うのはこれは法の命ずるところでございます。  ただ、私が言いますのは、税金にしてもそうですけれども、その間にあいまいさがあってはいけない。脱税をする者が許されないと同様に、こういった公害病の認定一つにいたしましても、だれにもわかるように、明確にしかも広範に、しかも根本的にやらなくては本当に病気で苦しんでいる人のためにはならぬ、そう思いましたので指摘をした次第でございます。  これで質問を終わります。
  237. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について沓脱君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。沓脱君。
  238. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、本案に対し日本共産党を代表し、修正の動機を提出いたします。  その内容はお手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明を申し上げます。  政府の提案している原案は、補償費のうち移動発生源に係る負担分に自動車重量税収の一部に相当する額を引き当てるという制度創設以来の暫定措置を、昭和五十五年に引き続き四たび延長しようとするものであります。  私どもは、当初からこの暫定措置は、自動車排ガスによる大気汚染の真の原因者である自動車製造企業の責任を免罪し、その負担をユーザーに転嫁するという、まさに公害健康被害補償の公費による肩がわりであることを指摘し、これに反対してまいりました。しかるに、政府が本委員会でのたび重なる附帯決議を無視し、今回四たびこの暫定措置を延長しようとすることは、もはやこの措置を完全に固定化することを意味し、断じて容認できないのであります。  さらに今回、この暫定措置による公害健康被害補償協会交付金が第二臨調の補助金の整理合理化の対象にされ、公害患者切り捨ての口実として利用されるという重大な事態を招いていることであります。臨調最終答申は、この交付金の整理合理化を理由に、地域指定の解除、すなわち公害患者の切り捨て促進を政府に求めておりますが、こうした被害者救済に対する臨調の不当な干渉を断じて許さないためにも、いまこそこの暫定措置を改め、真の汚染原因者負担の原則に立った恒久制度を確立すべきなのであります。  以上の理由により、わが党は原案に反対するとともに、移動発生源に係る費用負担分は自動車製造企業から正当に賦課金を徴収する制度に改め、あわせて窒素酸化物を地域指定要件に追加し、公害保健福祉事業等にある公費負担の解消を図る修正案を提出するものであります。  次に、修正案の概要を御説明いたします。  第一に、補償費等の一部に充てるため、輸入業者を含む自動車メーカーから賦課金を徴収することとし、その賦課金の額は、自動車の種別、総排気量、汚染物質の排出量等を勘案して政令で定める金額に出荷台数を乗じて算定することとしております。  第二に、ばい煙発生施設等設置者から徴収する汚染負荷量賦課金の賦課対象物質に硫黄酸化物とともに窒素酸化物を法定することにより、窒素酸化物が公害健康被害発生の原因物質であることを明確にし、これを地域指定要件に追加することとしております。  第三に、公害保健福祉事業費、自治体の補償給付事務費及び公害健康被害補償協会事務費にある 公費負担を全廃し、これを企業負担にすることとしております。  以上をもちまして、委員各位の御賛同をお願いいたしまして、提案理由の説明を終わります。
  239. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。  別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、沓脱君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  240. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) 少数と認めます。よって、沓脱君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  241. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決するべきものと決定をいたしました。  本岡君から発言を求められておりますので、これを許します。本岡君。
  242. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、ただいま可決されました公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び無党派クラブ各派共同提案による附帯決議案を提案いたします。  案文を朗読いたします。     公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一、昭和六十年度以降における費用徴収方法については、汚染の原因者負担の原則にのっとるとともに、発生源の公害防除の努力が十分反映されることを重点においた方策の確立に努めること。  二、幹線道路周辺における環境の改善を図るため、自動車に係る騒音、排出ガス等の規制を強化するとともに、物流及び土地利用の適正化を含めた総合的な交通公害対策を推進すること。  三、最近における都市型複合汚染に対処するため、窒素酸化物等についても健康被害との因果関係を究明し、その結果に基づいて地域指定の見直しを行うこと。  四、補償給付の改善を行うとともに、公害保健福祉事業の実施については、関係地域住民並びに患者の意見を尊重してその充実、強化を図ること。  五、浮遊粒子状物質に係る環境基準達成状況にかんがみ、多岐にわたる発生源の把握とその対策の確立に努めること。  六、公害健康被害に関する調査・研究については、その結果を公表し、本制度の適正化に資すること。  七、国立水俣病研究センターについては、なお一層体制の整備に努めるとともに、研究成果をふまえて水俣病の治療体制の充実についても検討すること。  八、本制度の対象となっていない騒音、振動等による健康被害及び財産被害についても、その実態の把握に努め、被害者の補償措置を早急に確立するよう検討すること。   右決議する。  以上でございます。
  243. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) ただいま本岡君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  244. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) 全会一致と認めます。よって、本岡君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、梶木環境庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。梶木環境庁長官。
  245. 梶木又三

    ○国務大臣(梶木又三君) ただいまの決議に対しましては、その趣旨を体して最大限の努力をいたします。
  246. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  247. 宮之原貞光

    ○委員長(宮之原貞光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会します。    午後四時十八分散会